委員長 | 細谷しょうこ君 |
副委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
理事 | 舟坂ちかお君 |
理事 | 小磯 善彦君 |
理事 | 滝田やすひこ君 |
藤井とものり君 | |
保坂まさひろ君 | |
原田あきら君 | |
神林 茂君 | |
もり 愛君 | |
桐山ひとみ君 | |
高倉 良生君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 吉村 憲彦君 |
次長 | 奥田 信之君 | |
総務部長 | 谷上 裕君 | |
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 若林 憲君 | |
政策調整担当部長 | 和田 慎一君 | |
地球環境エネルギー部長 | 小川 謙司君 | |
次世代エネルギー推進担当部長 | 山田 利朗君 | |
環境改善部長 | 筧 直君 | |
環境改善技術担当部長 | 志村 公久君 | |
自然環境部長 | 近藤 豊君 | |
資源循環推進部長 | 宮澤 浩司君 | |
調整担当部長 | 風祭 英人君 | |
資源循環計画担当部長 | 金子 亨君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十四号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・ゼロエミッション東京戦略について
・東京都気候変動適応方針について
・プラスチック削減プログラムについて
・ZEV普及プログラムについて
○細谷委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細谷委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○細谷委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
令和二年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和二年三月十三日
東京都議会議長 石川 良一
環境・建設委員長 細谷しょうこ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時
(別紙1)
環境・建設委員会
第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 環境・建設委員会所管分
(別紙2省略)
○細谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第六十四号議案、第六十七号議案、第六十八号議案及び報告事項、ゼロエミッション東京戦略について外三件を一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○谷上総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次にありますとおり十五項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成十九年度から二十九年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
平成十九年度から二十九年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量でございます。
三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
平成十九年度から二十九年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去十年分)でございます。
平成二十一年度から三十年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
平成二十五年度から二十九年度までの各年度における都内の再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十五年度から二十九年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
八ページをお開き願います。7、平成三十年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
微小粒子状物質、PM二・五の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
九ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
一〇ページをお開き願います。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額(過去十年分)でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの各年度における指定面積などを記載しております。
一一ページをお開き願います。9、保全地域における希少種の状況でございます。
調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一五ページにかけて記載しております。
一六ページをお開き願います。10、真夏日、熱帯夜の状況(過去十年分)でございます。
平成二十二年から令和元年までの各年における日数を記載しております。
一七ページをお開き願います。11、緑被率、みどり率の推移でございます。
区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十年から三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
一八ページをお開き願います。12、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
平成二十年度から二十九年度までの各年度における自動車走行量を記載しております。
一九ページをお開き願います。13、建設汚泥の発生量(過去十年分)でございます。
平成二十年度から二十九年度までの各年度における発生量を記載しております。
二〇ページをお開き願います。14、日本からの廃プラスチック輸出量の推移(国・地域)でございます。
貿易統計に基づき、平成二十七年から令和元年までの国、地域別の輸出量の推移を記載しております。
二一ページをお開き願います。15、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(平成三十年度、区市町村別)でございます。
区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を二二ページにかけて記載しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細谷委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○桐山委員 質疑に入る前に、新型コロナウイルス感染にてお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、罹患された方々に深くお見舞いを申し上げます。
全ての方々に平常な生活が一日も早く戻ることを願うばかりです。全庁を挙げて取り組み支援をお願いするとともに、我が会派としても、都民の意見、要望を引き続きお伺いしながら予防活動を続けてまいりたいと存じます。
それでは、私からは、令和二年度一般会計予算の環境局分から及びプラスチック削減プログラムについて質疑をさせていただきます。
まず、家庭における廃プラスチックのリサイクルについてでございますが、私、当委員会でも、この問題を取り上げさせていただきまして、区市町村によるプラスチック製容器包装リサイクルを都全域で展開すべきと主張させていただいているところです。
ごみ処理事業は、区市町村の自治事務ということはいうまでもなく、自区内処理の原則と、そして広域処理の考えのもとで運営されている現実がございます。
都内の区市町村のごみ処理方法や、また分別、リサイクルなど、私なりに都内全域を調べてみますと、できているところとできていないところ、さまざま工夫しながら、ごみ処理については取り組みを行われている現状を把握させていただいているところです。
さかのぼりますと、多摩地域におきましては、最終処分場の延命策で埋め立てを行わないということを決定してからほぼ全市がごみ袋の有料化を実施し、ごみの減量化にも努めております。
また、容器包装リサイクル法が施行されてからも、この容器包装プラスチックのリサイクルを早い段階から取り組んできた自治体が多い一方で、二十三区の多くはもともと分別をされていたということが、前回の質疑の中でも明らかになっていたところですけれども、廃プラスチックを焼却して、この熱利用をするサーマルリサイクルで対応するということで整理をされてきた背景がございます。その分別収集に向けた検討がなかなか進められてこなかったということで、かなりこの自治体が多く見受けられたところです。
こうした中で、都は、昨年末にプラスチック削減プログラムを公表し、プラスチックの3Rの施策の方向性を示すとともに、二〇三〇年までに家庭やオフィスから排出される廃プラスチックの焼却量を四〇%削減する目標を設定しました。
ここで最も注目をした点は、こうした資源循環分野の取り組みを気候変動対策に位置づけたことです。区市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集を含め、廃プラスチックのリサイクルを施策の柱に位置づけたプラスチック削減プログラムを高く評価したいと思います。
さて、都は、プラスチック削減プログラムの策定と並行して、区市町村の担当者と検討会を立ち上げ、プラスチック製容器包装の分別収集の拡大に向けた議論をしていると伺っているところでございます。
そこで、まず、これまでの検討会における議論の状況やその成果についてお伺いをいたします。
○金子資源循環計画担当部長 都は、昨年六月に都と区市町村による共同検討会を立ち上げ、区市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集の拡大に向けた議論を開始いたしました。
具体的には、昨年度からプラスチック製容器包装の分別収集を開始した小平市や、本年一月から部分的に分別収集を開始した日野市にヒアリングを行い、その準備作業の内容や工夫点等について確認をいたしました。
例えば、住民への事前周知については、日野市役所の職員がキャラバン隊を結成して市内の町内会に赴き、分別の必要性や具体的な分別方法を説明するなど、きめ細かな対応をすることで、住民の理解と協力をいただくことは十分可能であることがわかりました。
また、行政によるプラスチック製容器包装の収集についても、不燃ごみの回収頻度を減らすなどの工夫をすることで、既存の人員、予算内で対応できることが判明するなど、分別収集の導入に向けたノウハウを蓄積することができました。
○桐山委員 区市町村の担当者から、現場の実情や課題を把握して、その解決策を都と区市町村が共同して検討することは、大切な取り組みであるというふうに考えております。
既に容器包装プラスチック、以下、容リプラと省略していわせていただきたいと思うんですけれども、分別収集に取り組んでいる自治体から、そのノウハウを直接教えていただくことは大変有意義であると思います。
私の地元西東京市も分別収集を開始したときというのは、かなり各家庭で混乱もありましたし、市は説明会を何度も実施して分別の徹底と容リプラの洗い方などを紹介するなど徹底をしました。
例えば、納豆の容器とか、ねばねばしているのとかも、最初にちょっと拭き取って水やお湯で洗ってくださいとか、そのねばねばを取ってから、きれいにしてから出してくださいとか、お弁当の容器、プラの容器も残渣もきちっと捨てた中で、少し洗ってきれいにしてから出してくださいとか、そういった事例をたくさん出しながら取り組みを行わせていただきました。
中には、やはり水で洗うことによって、その水が無駄じゃないかという声もあるんですけれども、できるだけきれいなプラを、徹底してできるだけ品質のよい状態でリサイクルにつなげていくというような形で協力をお願いしてきたという背景があります。
都内の区市町村には、こうした生きたノウハウがまだまだあると思いますので、今後も検討会で各自治体の優良事例を収集、整理しながら、分別収集を実施していない自治体にぜひこういった形の事例なども情報提供し、また、プラスチックに対する都の取り組みに対して協力をいただくようにご努力をいただきたいと要望しておきたいと思います。
これまでの質疑で、区市町村における容リプラの分別収集の導入に向けた大きな課題として、予算や中間処理施設の確保というものが挙げられています。
容リプラの分別収集には、その運搬費と、ごみから異物を除去していわゆるきれいなものを取り出さなきゃいけないので、圧縮やこん包する中間処理費が必要です。新たな財政支出が発生します。また、自前で中間処理施設が用意できない場合は事業者に委託することになりますので、これも財政支出を伴うことになります。
こうした財政負担を軽減し、区市町村における分別収集導入を促進するため、さきの予算特別委員会における我が会派の福島議員の質問に対し、都は来年度から、プラ製容器包装再資源化支援事業を開始する旨の答弁がございました。
そこで、本事業の具体的な取り組み内容と補助金の概要についてお伺いいたします。
○金子資源循環計画担当部長 本事業では、これまで収集品目を白色トレーなどに限定してきた区市町村が、全てのプラスチック製容器包装を収集対象とする場合、そのスタートアップ支援として、受け入れ可能な中間処理施設の選定など、初年度に実施する調査の経費を五百万円を上限として補助いたします。
また、その後のプラスチック製容器包装の分別収集に係る経費についても、開始する年度に二分の一、二年目に三分の一、三年目に四分の一の補助を実施いたします。
さらに、既にプラスチック製容器包装の分別収集に取り組んでいる区市町村に対しても、リサイクル実績の向上に向けたレベルアップ支援として、事業者と連携した店頭回収などに対し、年間一千万円を上限として、二年間の財政支援を行います。
こうした財政支援を通じて、区市町村が質と量の両面でプラスチック製容器包装のリサイクルに一層取り組めるよう、都として後押しをしてまいります。
○桐山委員 ありがとうございます。このような形で財政支援をしていただくということは大変有意義だと思います。
特に、既にもう容器包装リサイクルにも取り組んでいる自治体に対しても、こういったレベルアップ支援として、一千万円を上限として二年間の財政支援を実施されていくということですので、相乗効果も含めて、都全体でレベルアップを図っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
この財政支援をしていただくということは、今回目玉かなというふうに思いますが、都の本気度も十分伝わっていくと思います。ぜひとも新規事業、区市町村にしっかりと周知をしていただいて、初年度から実績を上げていくことを強く求めておきます。
都が容リプラのリサイクル支援に乗り出す一方で、都内二十三区の中でも、廃プラの処理をサーマルリサイクルでという考え方がまだまだ根強くある自治体の中では、容リプラのリサイクルが本当に環境負荷を低減するのかという議論もございます。
可燃ごみに含まれる廃プラスチックが焼却からリサイクルに回れば、その分のCO2は排出されず、環境負荷は低減されると思いますが、こうした効果をわかりやすく区市町村に示していく必要があると考えます。
そこで、都は、昨年の委員会の質疑の中で、サーマルリサイクルや容器包装リサイクルによるCO2削減効果を調査しているとの答弁がありましたが、その後の取り組みについてお伺いいたします。
○金子資源循環計画担当部長 区市町村によるプラスチック製容器包装のリサイクルを進めていくためには、リサイクルによる環境負荷の削減効果をわかりやすく示し、住民の理解と協力を得ることが重要です。
このため、都は、サーマルリサイクルと容器包装リサイクルにおけるCO2排出量の比較や、将来的に容器包装リサイクルを進めた場合のCO2削減効果の推移を検証するため、専門家の知見を得ながら調査を行いました。
これまでの検証結果から、容器包装リサイクルにおいて、焼却が避けられない一部の残渣を考慮しても、サーマルリサイクルと比較して二割から三割のCO2削減効果があるとの試算が得られております。
今後、都と区市町村の共同検討会でその内容を精査し、プラ製容器包装再資源化支援事業の実施に合わせて、リサイクルによる環境負荷の削減効果を区市町村にわかりやすく情報提供してまいります。
○桐山委員 これまでの検証結果から、サーマルリサイクルと比較をして二割から三割のCO2削減効果があると試算が得られているとのご答弁でございました。これらの効果をもとに、区市町村担当が住民に説明しやすい資料となるよう、引き続き資料の内容の検討などもお願いをしていきたいと思います。
今回取り上げた新規事業を初めとする区市町村支援事業を力強く進めていくことを要望し、次の質問に移りたいと思います。
続きましては、都内の事業系のごみの質疑をさせていただきたいと思います。
私たちの生活の場である区市町村における3Rの取り組みと、働く場である事業所における事業系ごみの3Rの取り組みにギャップを感じるという方は多いのではないでしょうか。
オフィスビルや商業店舗等の施設では、事業所内の従業員等に向けたプラスチックの削減や、ごみの減量、あるいは資源化の周知というものが十分行われていないことが多く、また、分別については、例えばきれいなプラスチックと食品残渣などが付着した汚れたプラスチックがまとめて捨てられている事業所も多いと聞いています。
要は、家庭ごみ、いわゆる自分の自治体でのごみはしっかり分別できているのに、会社や事業所やオフィスビル等に行ったときには、実は全部ごっちゃになっているという現実というものもありまして、逆行しているというようなケースもあるというふうに伺っております。
このように、都内の事業系の施設では、3Rの取り組みが必ずしも十分とはいえない状況だということでございます。
そこで、隗より始めよと知事もいわれておりますが、多くの資源を消費する都庁みずからが3Rに率先して取り組み、事業者に範を示していくべきと考えます。
そこで、とりわけ多くの職員が勤務する都庁本庁舎において、プラスチックの3Rにどのように取り組んでいるのかお伺いいたしたいと思います。
○金子資源循環計画担当部長 昨年六月に策定した都庁プラスチック削減方針では、本庁舎内で開催する会議において、ペットボトルや飲料カップ、レジ袋などのプラスチック製容器包装及びストローやスプーンなどのカトラリーの使用を原則禁止しております。
加えて、職員による率先行動として、必要性の低いワンウエープラスチックの受け取りをみずから辞退するよう、庁内放送や職員向けポータルサイトでの啓発を行ってまいりました。
昨年十二月に、都庁舎におけるレジ袋の廃棄状況を調査した結果、一日当たり約千八百枚が廃棄されていたことがわかりました。その結果も含め、全局が参加する会議の場や職員向けポータルサイトを通じたレジ袋受け取り辞退の周知徹底を図っており、引き続きこうした調査や啓発活動に取り組んでまいります。
また、廃プラスチックが発生した場合には、適切に分別し再生利用を推進することとしており、廃プラスチックをきれいなプラスチック、汚れたプラスチック及びペットボトルの区分により分別し、再資源化が可能なものについて、適切にリサイクルを行っております。
○桐山委員 隗より始めよで行っている職員みずからの取り組みをお伺いしたところです。
実は私、財務局に、職員の方々がどんな取り組みを行っているのかなということで、庁舎管理のリサイクルの状況を、ごみの処理の仕方など、いろいろお伺いしたところ、今おっしゃっているように、環境局が本当に各局にあるリサイクル室のごみ、分別されている状況をしっかりとチェックをされて、先ほどもあるようなレジ袋、一日当たり約千八百枚、すごい数だと思うんですけれども、それが破棄されていた。これを一枚一枚ごみ箱から出して、一枚ずつ数えられて、各局に厳しく注意を行っているというところまでお伺いをしたところでございまして、非常に取り組みをしっかりなさっているんだなというふうに敬意を表したいと思っているところでございます。
こういった都庁舎における職員向けの周知、あるいはこういった分別、リサイクルの方法についても、今後、都内のオフィスビルにおいても参考にできるのではないかなというふうに思います。
今後は、こうした都庁の取り組みを民間事業者にもしっかりと広げていただいて、リサイクルの徹底を促していく必要があると考えております。
そこで、都は、来年度予算におきまして、都内オフィスビルを対象に事業系廃棄物の3Rの推進に向けて取り組むと聞いておりますけれども、その取り組みの内容についてお伺いしたいと思います。
○金子資源循環計画担当部長 オフィスビル等では、各テナントが個別に廃棄物を排出しており、ビルオーナー等の協力がなければ、ビル単位での分別の徹底が行われにくく、また、廃棄物の保管場所も限られていることなどから、ごみの分別、リサイクルが進んでおりません。
また、オフィスビル等から排出される廃棄物は、例えば紙ごみは事業系一般廃棄物、プラスチックごみは産業廃棄物であるなどわかりにくく、分別が進まない要因の一つとなっております。
そこで、来年度、オフィスビル等の事業者に対し、廃棄物に関する知見を有するアドバイザーによる各施設に適した効率的な分別、リサイクル等に向けた助言等を試行的に実施してまいります。
実施に当たっては、オフィスビル等の廃棄物排出実態等を把握、分析し、課題等を整理した上で、現場における事業者との双方向の対話を通じた的確な助言等を行ってまいります。
また、区市町村の協力を得ながら、一般廃棄物、産業廃棄物の分け隔てない助言等を実施するなど、プラスチックを初めとする事業系廃棄物の3Rのさらなる徹底を図ってまいります。
○桐山委員 来年度は、オフィスビル等の事業者に対して、アドバイザーによる各施設に適した効率的な分別、リサイクル等に向けた助言等を試行的に実施とのことでした。
先ほども申し上げたとおり、事業系のごみというものは本当に混在していて、一般ごみに比べたらまだまだ分別も進んでいない現状があると思いますので、やはりこういった事業系にどんどん切り込んでいただいて、できるだけ斬新な取り組みを、ぜひアドバイザーの方々にしっかりと中に入っていっていただいて、その施設に合った効率のいいリサイクルをぜひ進めていただきたいというふうに思います。
多分、家庭できちっと分別をされている方々は、事業所でできないはずはないというふうに思いますので、今後、その事業者の方々への的確な助言、3Rが今後促進されていかれることを期待しておきたいというふうに思います。
今回、区市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集、あるいは事業系の施設における3Rの推進について取り上げました。
今後、都における3Rの施策の実効性をさらに高めていくために、都民や事業者の社会的な機運醸成が重要であると考えております。ぜひ見解をお伺いしておきたいと思います。
○金子資源循環計画担当部長 都はこれまで、広く都民に向けてSNSやトレインチャンネルなど、さまざまな媒体を活用した広報や街頭キャンペーン、また、大学、オフィスビル等と連携し、学生による創意工夫を生かした啓発イベント等を実施してまいりました。
加えて、昨年十二月、環境分野を専門とするメディア等との包括連携協定を締結し、持続可能な資源利用等をテーマとした環境関連イベントの開催、ゼロエミッション東京に向けた取り組みを発信する情報番組の放映等を行いました。
今後とも、廃プラスチックを初めとした資源の持続可能な利用の実現に向けて、区市町村やメディアなど多様な主体との連携を深めながら、効果的な普及啓発に取り組むことで、都民や事業者の具体的な行動変容に結びつけてまいります。
○桐山委員 ありがとうございます。ぜひ今後とも、プラスチック削減プログラム、私は数値目標をもっと厳しくやってほしいなということもありますけれども、これはおいおい、またこの委員会の中で質疑をさせていただきたいと思います。
ぜひ、もったいないの心を都民に広げていただきますことを要望しまして、私の質疑を終わります。
○小磯委員 令和二年度の新規事業として予算にも計上されております都庁電力プランについて質問いたします。
この都庁電力プラン、私は、本会議での一般質問でも取り上げさせていただきました。十年間の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が終了する、いわゆる卒FITの都民の皆さんが、そういうご家庭が、再生可能エネルギーをやめるということが--発電をやめない仕組みづくりが大事だということで、本会議の代表質問でも質問させていただいて、そういうプランができたわけでございます。
この卒FIT電力を再エネ電力として活用するということで、電力の地産地消、そしてまた、災害時などのレジリエンス強化、また、民間企業のRE一〇〇の取り組みの強化というようなことで、いろいろと重要な意義を持つ、そういう事業だというふうに思っております。
そこで、私の質問の中で、卒FITの皆さんを都庁電力プランに迎え入れるために、いわゆる一キロワットアワー当たり一・五円を上乗せするということで答弁がございましたけれども、この都内産卒FIT電力の買い取り量の規模というのを教えていただきたいということで、都内での卒FIT電力がどれほど生じるのかお伺いをしたいと思います。
○小川地球環境エネルギー部長 住宅用太陽光発電の買い取り制度が開始されました二〇〇九年十一月から、買い取り期間である十年が経過いたしまして、都の推計では、昨年十一月から来年度までに、おおむね一万六千戸の都内のご家庭が順次卒FITを迎えます。
これらの家庭の太陽光で発電される電力のうち、自家消費されずに余剰電力として売電される都内産卒FIT電力の量は、年間約四千百万キロワットアワーと推計しております。
○小磯委員 来年度末までということですので、来年の三月までに年間でおよそ四千万キロワットアワーが売電をされるということでございます。
来年度、プランの対象となる都有施設の電力使用量をお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 来年度、プランで卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力を供給する施設につきましては、都内に五十七校あります特別支援学校の全てと、環境局の埋立管理事務所や大気測定局の合計約百二十施設を予定しております。
これらの施設の電力使用量は、合計で年間約三千五百万キロワットアワーでございます。
○小磯委員 今お話ありましたように、来年度は都有施設ということで、特別支援学校五十七校全ての学校、それから、環境局の埋立管理事務所、また、大気測定局などの施設でやるということでございます。
都内産卒FIT電力の量が、今お話ありました約四千万キロワット、来年度対象の都有施設の電力使用量が約三千五百万キロワットということでございますので、全ての使用電力を都内産卒FIT電力で補うこともできるわけでございます。
都庁電力プランは、小売電気事業者が都内産卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力を調達し、都有施設に供給するものだと思いますが、都内産卒FIT電力をどれだけ利用する計画であるのかお伺いしたいと思います。
○小川地球環境エネルギー部長 都内産卒FIT電力は、RE一〇〇を目指す民間企業などの需要もございますことから、都だけが大量に調達することがないよう、来年度利用する量につきましては、対象都有施設の電力使用量の一割である一年当たり約三百五十万キロワットアワーを上限とする予定でございます。
対象都有施設、約三千五百万キロワットアワーの残りの電力につきましても、小売電気事業者が都内産卒FIT電力以外の再エネ電力を調達いたしまして、再エネ一〇〇%電力とした上で供給いたします。
なお、来年度、都が利用する都内産卒FIT電力は、都内全体、約四千百万キロワットアワーの九%弱に相当いたします。
○小磯委員 今、答弁ありましたように、都内産卒FIT電力の約一割弱の電力を都有施設で利用するということであります。
都内、五十七あります都立特別支援学校の生徒さんも、またその親御さんも、また学校の関係者も、自分のところの高校の施設は、こうやって東京都内で太陽光で発電している電気を使っているんだという大変誇らしいものも出てきますでしょう。
そういった意味で、今後、都立支援学校から、また全ての都立高校というふうに発展していくんだと思いますし、さらにまた、文化施設とかスポーツ施設、そういったところを対象とすることによって、訪れた都民の皆様が再生可能エネルギーということについての関心を大変呼んでくるんじゃないかなということだというふうに思います。
そうした環境局のアピールといいますか、そうしたものをやっぱり都立支援学校でも、都立学校でも、またそういうところでも、環境局がいろいろとアドバイスして、やっぱりアピールするような、そういう取り組みもぜひお願いをしたいと思います。
いわゆる都有施設の再エネ電力一〇〇%化に向けた今後の取り組みについて伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 理事お話しの都有施設の電力使用量は、直近で約九億キロワットアワーでございまして、この省エネを進めながら、二〇三〇年度に再エネ一〇〇%化するためには、都民のご協力、ご共感を得て進めていくことが必要でございます。
そのため、都は、来年度、将来世代が学ぶ特別支援学校を都民の協力を得て再エネ一〇〇%化する予定でございます。
なお、文化施設等における電力契約につきましては、都が直接実施している施設のほか、指定管理者、政策連携団体等が実施している施設がありますことから、契約方法について整理するなどの必要があると認識しております。
今後、こうした課題の解決も図りながら、都有施設の再エネ電力一〇〇%化を進めてまいります。
○小磯委員 第一庁舎とか、また、この都議会棟とか、財務局のあれで再エネ一〇〇%になっておりますけれども、今後そうした、例えば指定管理者とか政策連携団体が管理しているところも、ぜひそういう取り組みができるよう、課題を一つ一つ解決しながらお願いをしたいというふうに思います。
同じく、令和二年度の新規事業の自家消費プランということで、蓄電池についていろいろと前回も当委員会で質問したところでありますけれども、家庭における蓄電池の導入促進をしっかり進めることが大事であるというふうに思っております。
そこで、蓄電池というのは、昼間に太陽光発電でできた電気を昼間に蓄電池に充電して、それを夜間に放電するというような使い方をしないと、太陽光発電設備による電力の自家消費にはつながらないわけであります。
そういういわゆる補助を受けて導入される蓄電池が、目的に沿って使われるようにするためにどう対応していくのかお伺いしたいと思います。
○小川地球環境エネルギー部長 主要メーカーの蓄電池システムにおいて、昼間、太陽光発電により発生する余剰電力を蓄電し、それを発電量が少ない夜間に使用することで、太陽光発電による再エネ電力の自家消費をふやす、こうした環境を優先した運転モードの設定ができるようになっております。こうしたモードは、蓄電池システムに附属する制御機器で簡単に設定することが可能となっております。
なお、自家消費プランにおいては、太陽光発電による電力の自家消費を促す観点から、補助対象機器として、環境を優先した運転モードの機能が備わっている蓄電池システムに限定することを検討してまいります。
○小磯委員 今、蓄電池には環境を優先にした運転モードとか、いろんな機能があって、それにスイッチを入れるとそういう形になるということで、これは大変いいんじゃないかなというふうに思います。
蓄電池は高価な設備であって、また導入後、どの程度この蓄電池が使えるのかとか、また、維持管理にどれだけの手間とかコストとかがかかるのか、その辺のところを見解をお伺いします。
○小川地球環境エネルギー部長 家庭用蓄電池は、使っている間に蓄電容量が徐々に減少するなどの劣化が発生するとされておりますが、主要な蓄電池メーカーは、十年程度の期間、機器や出力の保証を無償で行っております。
この間、特段のメンテナンスは不要とされておりまして、機器のふぐあいや出力の異常低下などがあった場合には、保証の範囲で機器の修理等が行われることとなっております。
○小磯委員 今、答弁ありましたように、蓄電池は十年程度は使用できるということ、それから、その間に、維持管理に手間やコストがほとんどかからないということがわかったわけであります。
予算の着実な執行に向けて、本事業を都民、また関連業界、団体等に広く周知するなど、取り組みをしっかりと行っていただきたいというふうに思います。
それからまた、再生可能エネルギーの拡大の質問でございますけれども、二〇一六年四月に電力が自由化をいたしました。各家庭においても、さまざまな電気事業者が提供する電力メニューを選べるようになったわけであります。
昨年十二月の時点で、東京電力管内では、家庭など低圧電力の新電力への切りかえ率は約二五%までになったと聞いております。テレビなんかを見ていても、ガスとセットで支払いができますよとか、いろんなメニューがあります。
一方で、再生可能エネルギーをうたった電力メニューはあるんですけれども、切りかえると料金が高くなるのではないかとか、電力メニューがいろいろあり過ぎて、どれを選んでよいかわからないということもございます。
こうした再エネ電気が当たり前に選ばれるようには、まだなっていないと感じているところでございます。
こうした中、都は昨年十二月から、みんなで一緒に自然の電気と名づけて、再エネのグループ購入を促進するモデル事業を開始いたしました。
このグループ購入事業の第一回目のキャンペーンが三月十日に終了したということでございますけれども、改めてこの取り組みの狙い、そしてその実績が出ていればお伺いしたいと思います。
○小川地球環境エネルギー部長 再生可能エネルギーグループ購入促進モデル事業は、太陽光や風力などの自然の電気を三〇%以上含む電気を利用したいと考える家庭や個人事業主を募り、多くの参加を得て購買力を高めることで、お得な電気代で再エネ電気の利用を促していこうとするものでございます。
都民等は、電力会社が提案する最も安い電力メニューが運営事業者から提示されることから、どの再エネ電気がよいか、みずから調べ選ぶ必要がなくなります。
第一回目のキャンペーンとして、十二月三日から一月二十一日まで参加登録の募集を行い、約四千三百世帯からご登録がありました。そのうち、約九百四十世帯が実際に再エネ電気に切りかえる予定でございます。
運営事業者の試算によりますと、今回登録された世帯のうち、電力契約が四十アンペア前後の世帯では、切りかえにより電気代が年間約八千円安くなるとされております。
○小磯委員 もう既に実績が報告をされましたけれども、一カ月半の間に四千世帯以上の参加登録があって、そのうちの約二割の千世帯弱が再エネ電気に切りかえる予定であるということでございまして、初めてにしては、まずまずの滑り出しなんじゃないかな、こんなふうに思います。
来年度は、さらに数回、このキャンペーンを行うと聞いておりますので、この取り組みがさらに大きく広がることを期待するものであります。
再エネ電力の利用とともに、都内での太陽光発電などの再エネ設備の設置拡大も一方ではしっかりとやっていかなきゃならない大事なテーマであります。
みずからの建物に再エネを設置して地産地消できれば、災害時の自立電源としても利用できるなど、レジリエンス向上の点からも意義が大きいものと考えます。
都は、来年度から新たに地産地消型再エネ増強プロジェクトを開始するとのことでありますが、取り組みの意義、また、これまでの補助事業との違いについてお伺いします。
○小川地球環境エネルギー部長 都内の再エネ導入量の拡大や、災害時の自立電源確保の観点からも、事業者によります再エネの地産地消の取り組みは重要でございます。
都はこれまで、地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業により、事業者による再エネ設備導入の取り組みを促進してきており、例えば太陽光発電設備につきましては、二月末時点で約五千四百キロワットの補助申請を受け付けております。
来年度から新たに創設いたします地産地消型再エネ増強プロジェクトでは、これまでのみずからの事業所の屋根などに再エネ設備を設置する場合に加えまして、都内の別の場所に発電事業者等が再エネ設備を設置し、その電気をみずからの事業所で利用する場合も補助対象とする予定でございます。
このように、再エネ導入の選択肢も広げ、事業者による再エネ利用の取り組みを後押ししてまいります。
○小磯委員 あの手この手で、しっかりと再生エネルギーの拡大に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。
最近では、企業も再生可能エネルギー一〇〇%、こういったものを目指そうというところもございまして、再エネの発電事業者と長期の電力購入契約を結んで、お互いのリスクを補完し合いながら再エネ設備の設置を進めるパワー・パーチェス・アグリーメント、PPAという手法について耳にするようになりました。
そうしたことで、電力需要の大きい都内の企業が主体的に再エネをふやしていく取り組みがますます重要になると考えますので、都もしっかりとそういった取り組みを支えていただきたいというふうに思っております。
最後に、新聞報道でもございました地下水の中の有機フッ素化合物についてお伺いします。
有機フッ素化合物のPFOS、またPFOAについては、半導体製造や撥水加工の原料等幅広い用途で使用されておりますけれども、環境中で分解されにくく、蓄積性があると。また、生態系や健康への影響が懸念されているということから、国際的に製造が禁止をされております。
また、日本において、これまで水質の基準等が設定されてきませんでしたけれども、先日開催された国の検討会では、PFOS、またPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットルを目標として要監視項目に位置づけるとの案が示されたということであります。
東京都では、環境科学研究所において、平成二十二年度から都内全域の二百三十七地点で地下水中のPFOS、またPFOAの濃度を調査しておりますが、そのうち比較的濃度の高かった三地点では調査を続けて、直近の平成三十年度におけるPFOS、またPFOAの合算値は、いずれも五十ナノグラム・パー・リットルを超えているようであります。
そこで、これまでの調査で、両物質の合算値が五十ナノグラム・パー・リットルを超えた地点は何カ所あったのか、また、その地点についても改めて調査をして結果を公表すべきであると考えますけれども、見解を求めます。
○志村環境改善技術担当部長 東京都環境科学研究所が平成二十二年度から平成二十五年度にかけて、島しょを除く都内全域の二百三十七地点で実施した地下水調査の結果、PFOSとPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットルを超過していたのは、七区十二市一町にわたる二十八地点でございました。
理事ご指摘のとおり、今月十日に開催されました環境省の検討会では、PFOSとPFOAを要監視項目に位置づけるとともに、公共用水域や地下水の監視強化の観点から、目安となる目標値をPFOSとPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットルとするとの案が示されました。
都は、こうした国の動向を踏まえ、都内全域で実施した地下水調査の結果、PFOSとPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットルを超過していた地点につきまして、来年度、改めて必要な調査を実施いたします。
また、調査結果についてはホームページ等で公表するとともに、井戸の所有者等に対して、国の目標値を含めて丁寧に説明を行ってまいります。
○小磯委員 来年度、改めて必要な調査を実施するということ、また、調査結果についてはホームページで公表するということでございました。
こういう化学物質については、一般的になじみがなく不安に思う都民も多いことから、調査結果については、ホームページ等でも、また、井戸の所有者等に対しても、わかりやすい丁寧な情報提供をしていただきたいな、こんなふうに要望して私の質問を終わります。
○細谷委員長 質問を続けます。
○神林委員 まず、今回の水素社会の実現に向けた取り組みに当たっては、最優先で取り組まなければならない課題というのは、水素を安全、安価に生成すること、保存や運搬を実現可能にし、どのような分野に効率的に活用していくのか、また処分には、当然のことですけれども、一切問題がないのかなど、一連の水素が生成から自然界に消滅するまでの過程の中で、何の問題もなく民間で大量に流通されることでございます。
そして、その流れの中で、困難な問題や弱点が見出される課題についてこそ、国、東京都、市区町村などの公的機関が積極的に補い、取り組んでいくべきだと考えております。
まず、こうした基本的な考え方についての環境局の基本的見解を伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素社会の実現に向けましては、水素の製造、貯蔵、輸送に至るサプライチェーンの構築と、水素エネルギーを利活用する水素関連技術の普及を通じた需要の拡大の両面から市場を拡大していくことが不可欠でございます。
水素関連市場は立ち上がったばかりであり、コストも高く、技術革新も途上であるため、国、都、区市町村など、行政が制度面、財政面でさまざまな観点から後押しを行いながら、サプライチェーンの構築や初期需要の創出に取り組むことが必要であると認識しております。
○神林委員 今ご回答いただきまして、サプライチェーンの構築ですとか、初期需要の創出、こういった考えは私とほぼ同様の認識をお持ちでございますので、安心をいたしました。
それでは次に、東京都では、国、都、区市町村の役割分担をどのように認識し、それぞれの取り組むべき主要な課題は何か伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 エネルギー政策基本法では、国がエネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有し、地方公共団体は、その区域の実情に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとされており、これを役割分担に対する基本的な考え方と認識しております。
具体的には、水素エネルギーの普及全体に係る基本計画やロードマップの策定を実現可能とする技術開発やサプライチェーンの構築に対する支援、安全性を確保するための規制や制度の整備などが、現在国により進められております。
一方、エネルギーの大消費地である東京におきましては、企業活動や住民生活において、水素エネルギーの利活用を推進することで初期需要を創出し、水素のサプライチェーンの構築や水素価格の低下、民間企業等における技術革新を促すことができます。
このため、都は、区市町村と連携し、水素関連技術の導入や活用を支援するとともに、水素エネルギーに関する普及啓発を推進しております。
○神林委員 ここで肝心なことは、東京都は、やはり経済活動の中心である日本の首都なんですよ。ですから、やっぱり多くの自治体と連携を図って、率先垂範していくということが肝心でございますので、ぜひその辺をしっかりと取り組んでいただければと思います。
以後、一般的に懸念される課題について、順次質問をしてまいります。
気候変動がもたらす影響は、前回質問させていただいたとおり、地球規模で危機的な状況にあり、パリ協定では世界共通の目標として、産業革命前からの気温上昇を二度Cに保つこと、一・五度Cに抑える努力を追求することに合意しております。
それでは、まず、現実を直視するためにも、具体的に世界の平均気温が二度C上昇した場合と一・五度C上昇した場合とを比較して、実際にどのような気候変動の被害がもたらされるのか、想定で結構ですので、お示し願います。
○小川地球環境エネルギー部長 パリ協定を採択した気候変動に関する国際連合枠組条約からの要請を受け、IPCCが二〇一八年十月に公表した特別報告書では、気候変動のリスクは、二度C上昇に比べ一・五度C上昇の方がより低いこと、一・五度Cに抑えるためには二〇五〇年ころにCO2排出を実質ゼロにする必要があることなどが示されております。
この報告書において、気温上昇一・五度Cと二度Cの具体的なインパクトの違いとして、例えば少なくとも五年に一回、深刻な熱波の影響をこうむる世界人口が一・五度C上昇の場合は一四%、二度C上昇の場合には三七%、北極に海氷のない夏が一・五度C上昇では百年に一度、二度C上昇では十年に一度、漁獲量の損失は一・五度C上昇の百五十万トンに対し、二度C上昇では三百万トンになるなどが挙げられてございます。
○神林委員 今ご回答いただきましたとおりで、何かぴんとこないところはあるんですが、今みたいに海氷だとか熱波だとか漁獲量が減るだとか、こういう具体的な事象を頭に描いてみますと、こんなにも恐ろしく悲しいものとなってしまうことを改めて認識させていただいております。
世界の平均気温上昇を一・五度Cに抑えるためには、二〇五〇年ころまでにCO2排出を実質ゼロにするパリ協定の必要性を重く受けとめなければなりません。
国では、水素は脱炭素化したエネルギーの新たな選択肢として利用が期待されていますが、水素の持つ特質を活用して、他のエネルギーと比較してどのようなすぐれた利用が期待されているのか、また、民間の大量消費を支える取り組みに支障や課題はないのか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素は利用の段階で水しか排出せず、エネルギー供給の多様化や非常時対応など、多くのすぐれた特徴を有しております。
また、燃料電池や燃料電池自動車等の水素関連技術は、運輸、家庭、業務、産業など、さまざまな分野での省エネ化に寄与するほか、水素は大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能であり、今後、再生可能エネルギー由来の電力が大量導入された際の調整力としても有望であります。
将来的には、水素のガス管への混入やメタネーション等の技術により、電解が困難な熱エネルギーの脱炭素化が進むことも期待されます。
一方、水素関連市場は立ち上がったばかりであり、コストも高く、技術革新も途上であることが課題となっており、制度面、財政面など、さまざまな視点での後押しを行い、初期需要の創出と、これを通じたサプライチェーンの構築を進めることが必要と認識しております。
○神林委員 そこで行政の課題が大分はっきり見えてくるわけですよね。やはり低コスト化、技術革新、それから一般家庭にどのように普及させていくのか、こういった点が一つずつ出てくると思います。
国の水素・燃料電池戦略ロードマップの中で、生成方法、コスト、保存方法などの重点的技術開発項目がどこまで進んでいるのか、また、急増が期待されているFCVは、括弧すると燃料電池車ということになると思いますが、従来のガソリン車に比べて、どの程度まで性能が向上しているのか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 現在、都内の水素ステーション等で商用化されている水素は、化石燃料を改質したものや、工業プロセスで副生物として発生したものが主に用いられており、その取引価格はノルマル立米当たりおおむね百円程度となってございます。
国の水素・燃料電池戦略ロードマップにおきまして、中期の取り組みとして、二〇三〇年ごろに海外の未利用エネルギーに由来した水素の製造、輸送、貯蔵を行うサプライチェーンの本格導入により、プラント引き渡し価格を三十円程度まで引き下げることとされており、オーストラリアにおいて、未利用の褐炭から水素を製造し、液化水素運搬船により輸入する実証実験などが進められております。
また、燃料電池自動車につきましては、三分程度で約五キログラムの水素を充填でき、約六百五十キロの走行が可能とされており、車の性能面では、従来のガソリン車等と同等の利便性が確保されております。
さらに、平成二十三年に実施された民間研究機関の調査によれば、燃料の製造から自動車の走行まで含めて、トータルで排出される走行距離当たりのCO2排出量は、ガソリン車のおおむね半分程度まで削減できるとされております。
一方、車両価格につきましては、現行のモデルでは同車格のハイブリッド車と三百万円程度前後の価格差があることから、官民での技術開発や普及促進により、二〇二五年にその差を七十万円程度まで縮小することを目指すとされております。
○神林委員 今、詳しくご答弁いただきましたけれども、やはり輸入ということになりますと、安定的で長期的に対応できる国ということを選択していただかなきゃいけません。
それで、残念なのは、肝心のCO2排出量はガソリン車のおおむね半分程度まではということでございますので、これではまだまだ不十分なのかなということを強く感じさせていただきました。
そこで、都の方針として、ゼロエミッション東京戦略の実現には、化石燃料から脱炭素エネルギーへの転換が不可欠とされていますが、現実的には、どのような手法や活用比率によって脱炭素エネルギーへの転換を図っていくのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 脱炭素エネルギーへの転換に向けましては、都内CO2排出量の約七割が電力消費に伴うものであることから、まずは電力の脱炭素化が重要であり、再生可能エネルギーの基幹電源化を進めてまいります。
そのため、都内における地産地消型再エネ設備等の導入拡大を補助事業により促進するとともに、再エネ電力の利用拡大に向けて、キャップ・アンド・トレード制度等におけます再エネ電力評価の強化、家庭等での再エネ電気のグループ購入の推進、都の率先行動としての都庁電力プランなどに取り組んでまいります。
また、再エネ電力の大量導入時に備え、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能である水素の調整力としての活用にも取り組んでまいります。
さらに、将来的には光触媒によるCO2フリー水素製造技術の開発促進や、水素とCO2からのメタンガス合成など、新たな技術により熱エネルギーの脱炭素化に取り組んでいくものと考えております。
○神林委員 今の答弁を聞いていまして、当面は熱エネルギーの脱炭素化などで地球上からCO2排出量そのものを減少させる技術開発、この辺がポイントになると思いますので、ぜひこれからもしっかりこうした開発に力を注いでいただきたいと思います。
次に、再エネの基幹電力化に加え、再エネ由来CO2フリー水素を本格活用し、脱炭素社会の柱としていく方針が示されていますが、現状ではコストや大量生産の手法に課題があると考えます。
今後の再エネ由来CO2フリー水素の本格活用に向けた戦略はどのようなものでしょうか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 再生可能エネルギー由来水素の本格活用に向けましては、コストの低減が鍵となり、そのために、再生可能エネルギー由来電力の価格低下、水素製造設備の稼働率向上、水を電気分解し水素を製造する装置の設備コストの低減の三つが求められます。
一点目、二点目につきましては、再生可能エネルギーの導入拡大により進められるものであり、水素・燃料電池戦略ロードマップにおきましては、三点目の設備コストにつきまして、技術開発により装置コストの低下や水電解効率の向上を図ることとされております。
また、将来的な大量の水素需要に対しましては、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い国からの輸入も必要となるため、輸送の際のエネルギーキャリアに関する研究開発や実証事業が進められております。
都におきましては、再エネ由来水素の活用を促進するため、再エネ由来水素製造活用設備導入事業者への支援や、福島県での実証事業により製造された再エネ由来水素の活用、さらには環境科学研究所におけるエネルギー調整としての水素活用の実証などの取り組みを推進することとしております。
○神林委員 今までは、お取り組みですとか手法についていろいろお聞きしてまいりましたけれども、その中で、ちょっと現実的な問題にも戻りますが、今までの質問からも、今後、水素社会を実現する取り組みを加速していくことを最も有効な手段として位置づけてよいと考えられます。
水素ステーションの整備、燃料電池車、バスなどの二〇三〇年到達目標は、質、量ともにバランスが保たれていなければなりません。
燃料電池自動車やバスなどの供給や技術開発は、大手自動車メーカーも本格的に乗り出しておりますので、正直なところ、さほど心配はしておりませんが、水素ステーションの整備が特に土地の狭い東京では心配でございます。バランスのとれた水素ステーション戦略についてお聞きをいたします。
現状、水素ステーションの整備については、現存のガソリンスタンドに水素ステーションも兼ねて併設していくことが最も有効的で現実的な手段でございます。
都内に張りめぐらされた店舗網、手なれた従来からのサービス体制、円滑なる需給ライン体制の確保、既存施設の有効活用など、どれをとっても既存のガソリンスタンドによって、水素ステーションに併設移行していただくことが、新たな水素ステーションを新設するよりも圧倒的にまさっており、コスト面や良好な流通環境を促す面でも、ほかに選択肢はございません。見解を伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は、燃料電池自動車の普及に不可欠なインフラである水素ステーションにつきまして、二〇三〇年に都内で百五十カ所整備する目標を掲げております。
水素ステーションの整備には、比較的大規模な用地を必要とするため、都内ではその確保が難しい状況となっております。
このため、都内で多くの水素ステーションを整備し、燃料電池自動車の利用者にとって利便性の高いネットワークを確保する上では、既存のガソリンスタンドへの併設が最適と認識しております。
都は、平成三十年度に業界団体と協力し、実在するガソリンスタンドに水素ステーションを併設した場合のレイアウトや整備費用などを調査し、小冊子に取りまとめた上で、都内の中小ガソリンスタンド事業者に配布することにより、検討を後押ししております。
○神林委員 今、答弁をしっかり聞き漏らさずに聞かせていただいたんですけれども、既存のガソリンスタンドへの併設などが最適と認識していただきましたので、そのことに基づいて、一、二、質問をさせていただきます。
しかしながら、こうした最適と認識はしていただいたんですが、唯一の問題点は、現状のガソリンスタンドは、都内でも過去十年間で四割弱も店舗が減少し、残された店舗も厳しい経営環境が続いているとのことでございます。
その上、この先、見通しのつかない新たな水素ステーションの併設移行に着手するには、規制緩和や自己資金を投入することに非常に高いハードルがございます。
まず、規制緩和についてでございますが、一番として水素の漏えい防止、二番、漏れた場合の早期検知、三番、滞留防止、四番、引火防止、五番、火災発生時の影響軽減などの規制緩和措置がどの程度実現に向けて進んでいるのか伺います。
特に、敷地境界、公道などでの距離の確保、外部障壁の設置などは、狭い都内では非常に厳しい規制でありますので、この点についての規制緩和の考え方や取り組み状況、動向についても伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都内のガソリンスタンドは、比較的小規模なものが多いことから、都は、限られた敷地でも水素ステーションの整備、運営が可能となるよう、国に対して水素ステーションに係る規制の緩和を要望してまいりました。
これらの取り組みにより、水素の充填設備と公道との間に必要な距離の短縮が可能となったほか、令和元年八月にはガソリンの給油機と水素の充填設備を並べて設置することが可能となりました。
しかしながら、取り組みの推進に向けましては、さらなる規制緩和が不可欠であり、引き続き要望を行ってまいります。
○神林委員 冒頭、先ほど申し上げましたとおり、どんどんどんどんいい車ができたって、ガソリンスタンドがなきゃ、水素ステーションがなけりゃ、全然機能しないわけですよ。そうしたら、車の方も減少しちゃうわけですね。ですから、しっかりと現場に即した柔軟な対応ができるよう、さらなる規制緩和策を検討していただくことをお願いしておきます。
次に、水素ステーションの整備に向けては、都の取り組みとして、一、整備費補助が都一・五億円、中小は二・五億円、国二・五億円。二、運営費補助が土地代賃借料の三分の一、運営費として上限五百万円、中小は一千万円など、比較的多額な準備金が用意されております。
石油組合からの要望では、約八カ月にも及ぶ工事期間の間、営業ができない、あるいは部分的にしか営業できないことによる損失補償や、中小のガソリンスタンドの場合、約二千五百万円もの自己負担額が問題提起されております。見解を伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 業界団体やガソリンスタンド事業者からは、既存の給油設備の撤去、移設、水素供給設備の設置などの併設に係る工事のために、既存のガソリンスタンド事業者では、休業や長期間の部分営業が生じ、利用者へのサービス低下や収益減少への影響が大きいことや、水素ステーション整備に対する補助事業において、補助対象外となる経費の負担が生じるなどの意見が寄せられております。
さらに、燃料電池自動車につきましては、メーカーや車種が限られるなど、普及を懸念する声も多くあります。
そのため、整備費等で生じる多額の自己負担と、それに見合う収益の見通しが立てられないものと認識しております。
○神林委員 現場の実情は非常に厳しいものがあるわけで、十分把握するためにも、石油組合との意見交換会など、継続的に積み上げていっていただきたいと思います。
身近に便利な水素ステーションが増加しなければ、誰もFCV車を購入いたしません。このままでは今後の水素社会実現への道が大きく閉ざされてしまいます。
そこで、水素ステーションをさらに整備拡大するには、大胆な規制緩和に加えて、開設による自己負担金を賄う目的で、例えば水素ステーション開設後、返済期間の猶予も可能な、柔軟で特別な融資制度を設立することなども現実的だと思っております。
今後、東京都において、併設を行うガソリンスタンド事業者へのさらなる負担軽減策を検討することを要望いたします。
また、今回はステーションについてお伺いいたしましたけれども、整備についても、利用者の利便性を考えると既存の自動車整備事業者が整備できる体制を整えていくことが必要と思います。
今後、メーカーとも連携して、裾野を広げる取り組みも検討いただくこともあわせて要望をさせていただきます。
最後に、今までの問題とは全く離れた問題でございますが、感染のとまらない新型コロナウイルスについて、あえて申し上げておきますと、現状、コロナウイルスの性質や感染力が十分把握されていない中で、ティッシュやマスクなどの一般廃棄物や、一般の医療機関でコロナウイルスの疑いのある患者への診察で使用された医療機器や備品などの廃棄物について、一定の処分の取り扱い手法や注意喚起が十分にされているのか、特にこうした廃棄物を収集、運搬処理、処分を行う関係者への感染が心配でございます。関係者の取り組みを伺います。
○宮澤資源循環推進部長 新型コロナウイルスに係る廃棄物については、本年一月三十日に環境省から新型インフルエンザ対策ガイドラインに準拠して適正に処理するよう通知されております。
本ガイドラインによりますと、家庭から排出されるマスクやティッシュ等については、ごみ袋等に入れて封をし、集積所などで収集員が直接廃棄物に触れることがないよう十分配慮して、区市町村が収集する一般廃棄物として排出することとされております。
一方、医療機関及び検査機関から排出される医療機器等につきましては、滅菌処理されずに排出される場合、感染性のある特別管理産業廃棄物として適正に処理することとされております。
こうした取り扱いについて、都は、国の通知や関係資料を廃棄物の業界団体や区市町村の清掃部門、東京都医師会などに速やかに情報提供するとともに、環境局のウエブサイトに専用ページを立ち上げ、当該通知や資料を容易に閲覧できるように配慮してございます。
また、都民、区市町村、医療機関、ビル管理会社からのお問い合わせに対しましても個別の相談に応じており、今後とも安全で適正な廃棄物処理に向け、国や関係機関からの情報収集に努めるとともに、周知が必要な情報を迅速に提供できるよう取り組んでまいります。
○神林委員 今、しっかりご答弁いただきましたので、安心させていただきましたけれども、やっぱり目に見えないウイルス対策は、ともかく正しい情報が必要でございますので、今後も速やかな情報発信に努めていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○原田委員 それでは、私からは、予算や報告事項にかかわりまして、ゼロエミッション東京戦略について質疑させていただきます。
私たちは、この間、長年にわたり気候変動問題に取り組まれてきた認定NPO法人、それから国立研究法人の研究者、あるいは再エネ電力サービス会社などを視察、懇談し、ゼロエミ東京戦略への評価、今後の東京の取り組みへの提言、要望などをいただいてまいりました。
研究者やNPO団体の方々が口をそろえておっしゃるのが、まず、国の動きに比べて、ゼロエミ東京宣言を宣言したことは高く評価されるべきであると。しかしながら、実際に二〇五〇年、ゼロエミ目標が達成され得る計画となっているのかについては疑問が残るという見解でした。
その点で、まず東京都には、二〇二〇年、ことしまでに温暖化ガスを二〇〇〇年比で二五%削減するという環境基本計画で定めた目標がありました。その後の新しい環境基本計画では、二〇三〇年に二〇〇〇年比三〇%削減するという目標が打ち出されましたが、そのときの新しい環境基本計画の都議会質疑でも、四年前になりますかね、二〇二〇年に二五%削減という目標は、放棄したわけではなく、確実に目標を達成してまいりますと都は答弁されていました。
しかし、いよいよ二〇二〇年を迎えましたが、目標達成どころか、最新の数字では二〇〇〇年比四%も温暖化ガスの総排出量をふやしてしまっているのが現実であります。
そこでお聞きします。
当初の環境基本計画、二〇二〇年目標の達成が厳しい状況となっておりますが、このことへの総括なく、さらなる目標を掲げても、施策が達成されるか不透明なままであります。二〇二〇年目標の達成は不可能ですが、都としてはどのような議論の場を持ち、どのような総括をしているのか、お答えください。
○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、気候変動による影響が既に私たちの身近な生活にも及んでいる危機的な状況を強く認識するとともに、二〇五〇年のCO2排出実質ゼロというゴールに向けた具体的な行動を都民や事業者の皆様とともに起こしていくため、ゼロエミッション東京戦略を策定いたしました。
東京都環境基本計画等に掲げた目標及び施策の進捗状況につきましては、都において把握、分析の上、毎年、東京都環境審議会に報告し、議論を行っております。
都のエネルギー消費量の二〇一七年度実績は、都民や事業者等の皆様のご協力による省エネの成果として、二〇〇〇年比二二・七%の削減となり、長期ビジョン等で設定した二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二〇%削減するという目標を既に上回っております。
一方で、温室効果ガス排出量につきましては、東日本大震災以降、火力発電の割合が増加したことなどにより、電気の排出係数が二〇一〇年度の〇・三七八から二〇一七年度には〇・四七〇と約二〇%悪化し、結果として二〇〇〇年比で増加をしております。
○原田委員 答弁の中にありました省エネの成果というのは大きいものがあります。しかしながら、部門でいえば産業や運輸の減少によるエネルギー消費量の減というのも大きいものがあり、全てが省エネ努力の成果というわけにもいかないと思います。
しかし、何よりも総括すべきは、温室効果ガスでいえば、先ほども指摘しましたが、二〇〇〇年比でふえてしまっていると。東日本大震災以降、火力の割合がふえたから仕方ないという答弁だったと思いますが、係数でふえたのは二〇%ほどです。そのことを考慮したとしても、果たして温暖化ガスの排出量を二〇〇〇年比で二五%削減できていたのかといえば、結局、達成には至らないというのが実態ではないのかなと。
排出係数を例えば二〇〇〇年でそろえたとしても、実際は一〇%削減ぐらいで終わっておりまして、排出削減は一五%ほど目標には足りていないんじゃないかという話もあるわけですね。
そうした総括に立てば、二〇三〇年目標というのは今までの延長線上の手法ではうまくいかないと。まさに温暖化対策のパラダイムシフトが必要だと。目の色が変わらなければいけないと思うんですよね。
今回、東京戦略で示された二〇三〇年目標というのは、新しく設定された目標ではありません。先ほど示したように、二〇一六年、今から四年前に二〇二〇年の目標達成もおぼつかないまま打ち出された計画です。目標だけはどんどんと打ち出されるのですが、現実からはどんどん離れていくという実態では、これはもう許されないのではないでしょうか。
ゼロエミッション東京戦略は、二〇〇〇年比三〇%の温暖化ガス排出削減目標に向けて、六分野から成る戦略において、十四の政策を示し、四十七項目八十二アクションを打ち出したといいます。
しかし、それらのアクションも一つ一つがどれだけ排出削減となっていくのか、温暖化対策に寄与していくのか、これが、実は数値的に示されていません。それはなぜなのか教えてください。
○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本戦略では、二〇三〇年に向けて、十七の主要目標を設けるとともに、さらにそれを上回るために進化、加速する具体的な取り組みを二〇三〇年目標プラスアクションとして示しています。
目標の達成に向けては、この戦略に基づき、一つ一つの施策を着実かつスピード感を持って実行していくことが重要でございます。
今後も、省エネルギーの取り組みや再生可能エネルギー等の活用によるCO2排出量の最小化とともに、省資源の推進、再生資源の活用、ゼロエミッションビークルの普及、さらには革新的な技術、イノベーションの誘導など、あらゆる分野の多様な取り組みを気候変動対策として進化させてまいります。
○原田委員 私は、最後の方でいわれていた省エネルギー、再生可能エネルギー、ZEV、再生資源の活用、そうしたそれぞれの施策が東京戦略に向けてどれだけの貢献をする計画なのか、なぜ数値的にそれが示せないのかと聞いたんですよね。答弁は一つ一つの施策を着実かつスピード感を持って実行していくというもので、率直にいって答えにはなっていませんでした。
二〇五〇年に向けたロードマップというのなら、この分野、この施策で温暖化ガスを何%、いつまでに削減していきますよというような具体的な削減量と期間が示されてしかるべきなのですが、それがないわけなんですね。ロードマップというより、施策のメニューとゴールだけが書いてあるだけになっているんじゃないでしょうか。
目標を掲げたとか、取り組みを進化、加速するとか、意気込みは大事です。しかし、私が聞いたのは、意気込みを聞いているわけではないので、ちょっと聞き方を変えまして、より端的にお聞きします。
戦略に示されたそれぞれの施策の排出削減量を積み上げると、二〇三〇年目標に到達する、そういう計画になっているのかどうかお答えいただきたいと。要は、施策の積み上げでできた二〇三〇年目標なのか、施策なのかお聞かせください。
○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本戦略では、二〇三〇年に向けて、十七の主要目標を設けるとともに、さらにそれを上回るために進化、加速する具体的取り組みを二〇三〇年目標プラスアクションとして示しております。
今後、これまで取り組みを進めてきた分野に加えまして、あらゆる分野の広範な取り組みを気候変動対策として位置づけ、目標の着実な達成を目指すとともに、目標を上回るために進化、加速する具体的取り組みを実行してまいります。
また、本戦略は東京の脱炭素化の出発点となるものであり、今後も科学的知見や施策の進捗、技術開発の動向も踏まえ、目標や施策のバージョンアップを図りながら進めていくこととしております。
○原田委員 私も高い目標と意気込みというのはすごく大事なことだと思うんですよね。このゼロエミッション東京戦略も緒についたばかりであり、最後にもお話がありましたけど、今後も科学的知見や施策の進捗、技術開発の動向も踏まえてバージョンアップしていくんだと。これからが期待されているんだと私も思うわけです。
だからこそ、出して終わりのパフォーマンスに終わらせず、それぞれの施策ごとに排出削減量を算定し、数値目標を設定し、この間の質疑でも他の委員からありましたけれども、予算規模を割り出していくという基本的なロードマップの作成に着手してほしいという願いを込めて私は質疑をしているわけなんですね。
ゼロエミッションと口でいうのは簡単なのですが、そもそも温暖化ガス排出量ゼロというのは本当に可能なのかということ自体が、実は科学者たちの議論になるくらい大変なことなんですね。
その点で、国立研究開発法人産業技術総合研究所の歌川学氏による二〇五〇年までのゼロエミッションロードマップについて勉強してまいりました。氏は、これは可能であるというふうに訴えている方であります。四時間ほどお話を聞きましたので、それを全てここで話すわけにいきませんので、かいつまんでお話しするために、このパネルをごらんいただきたいというわけなんですね。
いつもどおり細かい字は見えないと思いますが、一番左が二〇一六年における東京都のエネルギー構造とエネルギー消費量です。二〇一六年、六百十ペタジュール、それを左から二番目のグラフ、エネルギー構造で見るとこうなります。電力、熱利用、運輸、この四部門が出している六百十ペタジュールは、運輸と熱利用と電力に分けるとこういう割合になるんだということなんですね。
三つ目のグラフは、それをより細かくした構造グラフです。運輸は自動車燃料と船舶、航空燃料に薄くあります。ほとんど自動車燃料です。熱利用というのは、実はほとんどが低温熱利用、百度以下。中温熱利用の百度から二百度が薄い線、高温熱利用、二百度以上の熱を使っているのが、それよりもうちょっと太い線ぐらいですね。あとは電力と。
まず、電気の再生可能エネルギー化が促進されることが前提となるんですが、同時に運輸は電化され、低温熱利用も電化促進や太陽熱で賄われ、ここら辺の熱もですね、ここは電気。そうすると、二〇三〇年に大幅にエネルギー消費量というのが減少することが可能になりますと。
エネルギー消費量は、二〇三〇年には四百ペタジュールまで下げられることができると。二〇五〇年には二百五十ペタジュールまで落ち、それらのエネルギーは再生可能エネルギーによるとされているわけです。
ちなみに、電気の消費量が落ちていないのは、運輸や低温熱が電化されているからこっちに来ると。じゃあ、逆にふえるんじゃないかというと、それは省エネで賄ってこういうところまで落とし込むことができるんだよというのが氏のロードマップになっているわけなんですね。
この後、さらに細かいロードマップに入っていくわけですが、そこに触れていると時間が足りませんので割愛しますが、これを見せずとも、よくいわれるように、電力の再生可能エネルギー化が、やはりさまざまな施策の中でも最も重視されねばならないわけなんです。
そこでお聞きします。
ゼロエミ東京戦略、政策1で示された都内太陽光発電設備導入量を、現在の六十万キロワット弱から、二〇三〇年には百三十万キロワットに引き上げるとしています。二倍強と。これで発電される一年間の発電量は、何億キロワットアワーかお示しください。また、その規模は都内年間電力消費量の何%に当たるのか教えてください。
○小川地球環境エネルギー部長 太陽光発電は、日照時間や発電パネルの効率等によりまして発電量が変動いたします。
そこで、国の固定価格買い取り制度に関する調達価格等算定委員会が二〇二〇年度の調達価格等の意見取りまとめ時に用いた設備利用率一三・七%で一律に算定いたしますと、百三十万キロワットの太陽光発電設備で発電される一年間の発電量は約十五億キロワットアワーとなります。
また、都内の年間電力消費量は、直近の二〇一七年度で約七百九十二億キロワットアワーであり、おおむねこの二%に当たります。
○原田委員 太陽光発電の二〇三〇年目標である百三十万キロワットというのは、都内電力消費量の二%にしかならないと。現在、太陽光パネルは都内にふえたといっても、そのポテンシャルを生かしているとは全くいえない状況です。
来年度の太陽光発電初期費用ゼロ事業には七億円の予算となっていますが、本当にこの規模でいいのかと。余りに小規模なんじゃないのかと。助成の仕組みも含めて、さらにこの太陽光パネルは一般家庭だとか施設だとかビルだとか、そういうところに拡充していく必要があるんじゃないのかと。これは要望としておきます。
さて、二〇三〇年目標では、知事部局の都有施設使用電力を一〇〇%再エネにするとしていますが、現在、知事部局の都有施設の消費電力量とは、じゃあ、一体どれだけになるのかとお聞きしようと思いましたが、先ほど他の委員の質疑で年間九億キロワットアワーと答弁がありました。
再エネ電力一〇〇%化目標の対象となる都有施設の電力使用量が現在年間で約九億キロワットアワー。都庁だけでなく、都有施設の再エネ電力化は、私たち当都議団も求めてきたことなので、目標に掲げられたことはうれしい気持ちなんですけれども、知事部局の都有施設だけで九億キロワットアワーが必要になると。さっきの百三十万キロワットの二〇三〇年目標だと、年間だと十五キロワットアワーにしかならないと。東京都の都有施設だけでもう九億使っちゃうと。このほか計画には含まれていない公営企業等の施設もたくさんあるわけなんですよね。
こうした施設の再エネ電力化も進めなければならないと思いますし、何といっても、これからRE一〇〇に名乗りを上げてくれた多くの企業が再エネ電力化を目指しているわけです。そうなってくると、再エネ発電の規模が全く足りていないわけなんですよね。
二〇三〇年目標の再エネ率三〇%目標というのは、現在一四%ですが、その引き上げの度合いでRE一〇〇との整合性は保たれるのかと。大体二〇五〇年目標を実現しようとしたら、残りの二〇三〇年から先の二十年間で再エネ電力化を七〇%引き上げなきゃいけないと。最初の十年で一六%の引き上げで、残りの二十年で七〇%引き上げというのは、ホップ・ステップ・ジャンプというのはあるといっても、余りにいびつなマイルストーンの配置になっていやしないかと不安を感じてしまいます。
都有施設というところでいうと、再エネ化と同時に省エネ化が進んでいない分野もたくさんあるわけですよね。例えばということで一つお聞きしておきたいんですけれども、都営住宅の電灯をLED化すると大幅な温暖化ガス排出削減になるとともに、居住者の共益費が三分の一ほども低減されたという例が示されておりまして、低所得者対策にもなるわけでまさに一石二鳥なんですが、都市整備局任せにせず、環境局としても都庁横断的に助成していくべきなんじゃないかと思うんですけれども、見解をどうぞお願いします。
○小川地球環境エネルギー部長 都営住宅の共用部等における照明器具のLED化につきましては、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、二〇三〇年度に都営住宅全棟のLED化を目標とし、建てかえ時に導入するとともに、既存住宅において計画的に更新することとされております。
○原田委員 都営施設の省エネ化というのも、さっきアクションというのがいわれていましたけれども、進化、加速でしたっけ、ということが何度もいわれてましたけれども、二〇三〇年を待たずに、できることは進化、加速してやっていただきたいなというふうに思うんです。
改めて、再エネを大量導入していく際には避けて通れない課題が目前に見えており、今から本気の対策が必要なのが、送電線の利用の問題です。
端的にいって、原子力が動き始めることを見越して、送電線の再エネ電力の利用枠は限られています。その点では、各地で大規模太陽光発電の送電線利用が制限される地域が出てまいりました。こんな不合理な話はありません。早急に対処が必要であり、これまでも東京都の姿勢は注目されてまいりました。
そこでお聞きしますが、今後、太陽光や風力などの再エネ電力が大規模に発達すると考えられており、そうした再エネ電力の送電線利用が極めて重要な課題になってきています。都としては、送電線の再エネ電力の利用についてどのように考えているか、お答えください。
○小川地球環境エネルギー部長 昨年から千葉方面では、送配電網の容量制限から再エネ電力を送電できない状況が既に生じております。
都は、電力の送配電網への負荷軽減にも資するよう、自家消費型再エネ設備や、蓄電池の導入に対する支援を実施し、再エネ電力の地産地消を進めながら再エネ導入拡大を図っております。
また、国に対し、既存送配電網の最大限の活用、広域的な電力融通の実現、送配電網設備の整備について提案要求しているところでございます。
○原田委員 極めて重要な都の姿勢が示されたと思っています。自家消費型再エネ設備や蓄電池の導入とともに、大規模再エネ電力の送配電網利用について、本格的に国に要求することを求めておきます。
さて、電力の再エネ化とともに重要になってくるのが、建築物の高断熱、高気密化です。この再エネ化と建築物の高断熱、高気密化がゼロエミッション東京に向けて最も重要な課題なんですね。
例えば、昭和期に多く建てられた無断熱住宅と比べ、高断熱、高気密化した住宅では冷暖房にかかる電気代が実に六〇%削減できるんだそうです。
そこでお聞きしますが、国の建築物に対する断熱基準は不十分であり、東京都の断熱窓、ドアへの助成は重要な施策として評価するものなんですけれども、建物全体の断熱がゼロエミ東京に向けて不可欠と考えるんですけれども、国との関係も含めて、東京都の姿勢はいかがかお聞かせください。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、建築物環境計画書制度におきまして、新築建築物等の断熱性能について評価を行うなど、建築物の断熱性能の向上を図っております。また、省エネに加えまして、断熱性能も含めた東京ゼロエミ住宅の普及も図っております。
なお、国は住宅の断熱性能につきまして、建築物省エネ法や住宅品質確保促進法において基準を設けておりますが、非住宅建築物につきましては断熱性能に関する基準等は設けてございません。
そこで、建築物のエネルギー性能にも大きな影響を与える外壁等の熱の損失を防止する性能、いわゆる外皮性能に関する指標につきましても、建築物の基本的性能に位置づけるよう、国に対し提案要求しているところでございます。
○原田委員 いわゆる外皮性能に関する指標についても、建築物の基本性能に位置づけるように国に要求するという都の姿勢が示されました。重要です。
住宅もビルも、一度建てたら三十年から五十年は維持するため、実は二〇五〇年ゼロエミッション東京を実現する上では、ことし建てたビルや住宅はそこまで残っちゃうわけなんですね。ですから、この建築物に対する性能基準、あるいは規制は待ったなしの課題なんです。
東京都としても、ゼロエミッション住宅やゼロエミッションビルの基準を、高断熱、高気密化を中心に、もっとヨーロッパ並みに高めていくことを求めるものであります。
専門家からは、東京都のゼロエミッションビル、ゼロエミッション住宅の基準が少し甘いんじゃないかと。建てやすいものというのは大事なんですけれども、もうちょっとやっぱり助成なり何なりをして高断熱、高気密化に誘導していく必要があるんじゃないのかというのをかなり真剣に専門家の方々はおっしゃっているんですよね。
海外では、とりあえず公共施設は断熱性能のすぐれた建築にしていると聞きますが、都営住宅の断熱性能の向上は、排出抑制となるだけでなく、住人の電気代の節約になるなど、低所得者対策としても重要なわけです。
都営住宅を初め、公共施設の断熱強化について、環境局として各局に呼びかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、スマートエネルギー都庁行動計画におきまして、都有建築物の新築、改築や大規模改修時には、省エネ・再エネ東京仕様を適用し、外壁、屋根の高断熱化などによる建物の熱負荷の低減を図ることとしております。
○原田委員 公共施設の建築及び民間住宅や事業所の建築、改修の際に、省エネや断熱の専門家を派遣し、アドバイスする制度が必要と考えます。
再エネ機器や省エネ機器を設置することでどれだけ節約になり、どれだけの期間でコストを回収できるかなど、アドバイザーが行政から派遣されることで安心にもつながり、踏み出しやすいと考えますが、アドバイザー制度の確立について見解を求めます。
○小川地球環境エネルギー部長 建築物は、建築後、長期間使用されることから、設計段階から省エネ等の環境配慮を進めていくことが必要でございます。
そこで、都は、公共施設を含めた一定規模以上の建築物を新築、増築する建築主に対しまして、省エネ等の環境配慮の取り組みについて記載した建築物環境計画書の作成と都への提出を義務づけております。
本年四月から、この計画書の作成と提出の対象となる建築物の範囲を拡大し、より多くの建築主に対し、環境配慮を促すこととしております。
また、住宅展示場等におきまして、東京ゼロエミ住宅の仕様を含めた住宅の省エネ等について普及啓発を行っているほか、事業所に対しましては、省エネ等の専門家が直接訪問し、無料でアドバイスを行う省エネ診断を年間三百件程度実施しております。
こうしたことに取り組みながら、建築物の省エネ等環境性能向上を促しております。
○原田委員 こうしたアドバイザーについては、早くから東京都としては着目し、派遣してきたことを高く評価します。専門業者にいわれると、吹っかけられているんじゃないかとか心配になりまして、そこで東京都から派遣されるアドバイザーの指導であれば、安心して受けられる部分があるわけですよ。ですから、三百件じゃもったいないなと。
こういう環境問題に厳しい国なんかに行くと、民間の住宅で建てようとすると、一回一回、こういうアドバイザーが行っていろいろ指導してくれるらしいんですよね。より大規模にこうしたアドバイザーを養成し、一般住宅に至るまで太陽光発電初期費用ゼロ事業や断熱窓、ドア設置助成事業など、助成事業も含めて、温暖化対策にもなり、中長期で見ればお得にもなるということを伝えられるようにしていっていただきたいなと思うわけです。
さて、国立研究開発法人産業技術総合研究所主任研究員の歌川学氏は、このゼロエミッション東京戦略は、電力の再エネ化に次いで温暖化ガス排出抑制に効果の高い低温熱利用の再エネ化が政策として重視されていないのではないかと指摘しています。
家庭や事業所などでの温水や暖房など、低温熱利用に対する太陽熱利用などの再エネ化が重要であると考えますが、環境局の見解を示してください。より重視すべきとの専門家の指摘に対する環境局の見解を伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、平成二十三年度から、熱は熱でというキャンペーンを実施し、太陽熱の利用によるCO2排出量や光熱費の削減効果などを紹介してきたほか、平成二十五年度からは太陽光発電とあわせて太陽熱の、また平成二十七年度末からは地中熱のポテンシャルマップを公開するなどして普及啓発を行ってまいりました。
加えて、家庭や事業所を対象に太陽熱や地中熱などの利用機器の導入に対する支援を行ってきたところでございます。
○原田委員 この先ほど示した図を見ても、熱利用というのは、かなりのエネルギー構造の部分を占めているわけなんですね。これが再エネ化されていくというのは物すごく重要でして、それについて東京都は一定やってきたという答弁がありましたけれども、改めて低温熱利用の再エネ化というのはさまざまな技術がありまして、その地域ごとにあるとのことなので、さらなる再エネ促進に向けて、私たちも提言していけたらなと思っております。
さて、今まで見てきたように再エネや断熱、低温熱利用に重大な力を注ぐべきときに、やはり今年度予算を見ても、ここにゼロエミッション東京戦略の中心が置かれているのかというと、そう見えません。
そこで、環境局を見回しますと、さきの委員会で水素推進基金の廃止に伴い指摘をしましたが、水素関連事業には重大な規模で税金が積まれ、しかも執行されずに、たまり込んでいる実態を追求してまいりました。
このたび、水素関連事業のために環境公社へ出捐されたお金がどれだけ使われ、どれだけ残高があるか調べた資料をいただきました。この間、皆さんに示した資料は、四百億円のうち百四十五億円が出捐金として環境公社に出捐されていたというところまで皆さんに紹介しましたが、実際はそのお金が余り使われていないんじゃないのかというのをこの間指摘をしたわけですよね。
目標値に対して、例えば水素自動車とかも六千台つくるはずだったのが現時点で八百台しかない、使われていないとか、だから出捐したお金が使われていないんじゃないのかというので、その決算を持ってきていただきました。すると、その規模は予想をはるかに超えておりまして、百四十五億円出捐したんですが、使われたのは百億円を下回っているという重大な事態だったことがわかってまいりました。
このたび、水素関連事業のために環境公社へ出捐されたお金がどれだけ使われ、どれだけ残高があるか調べた資料をいただきましたが、水素推進基金の百四十五億円は公社に出捐されましたが、膨大な規模の残高があることがわかりました。
困窮する都民の暮らしの財源が絞られ、一方では四百億円もの税金が基金に積まれ、五年間かけて数百億円が執行されず、温暖化対策で一番大事な再エネにも断熱にもそれほどのお金がかかっていない、かけられていないと。
こうした中で、数百億円が執行されずに余った事態をどのように受けとめているのか、改めて総括を伺いたいと思います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素関連市場は立ち上がったばかりであり、コストも高く、技術開発も途上であることから、これまでの実績が限定的な補助事業もありますが、創成期の市場は短期的には必ずしも当初の想定どおりに拡大するものではないと認識しております。
例えば、液化天然ガスの普及を見ましても、初めて国内に導入された一九六九年から五十年かけて技術開発を繰り返しながら市場が拡大し、日本は世界の液化天然ガス取扱量の三割を占めるまでになっております。
水素エネルギーは、再エネ大量導入時代の調整力として有望であり、将来的には電化が困難な熱エネルギーの脱炭素化の手段としても期待されるなど、ゼロエミッション東京の実現に不可欠なエネルギーであります。
このため、将来を見据え、市場の立ち上げ期から基金を活用しながら、水素の製造、輸送、貯蔵に至る安定的なサプライチェーン構築に向けた初期需要の創出やインフラ整備などに継続的に取り組んできております。
○原田委員 再エネ電力化や太陽光発電助成、これ、今年度、さっきもいいましたけれども、初期費用ゼロ事業、すばらしい施策ですけれども、七億円ですよ。断熱助成など、温暖化対策にかけがえのない施策がなかなか進まなかった中で、環境局として四百億円ものお金を積んで、そのほとんどを使うことなく終わらせたことに私は率直な反省と総括が必要だと思うんですね。
くしくも答弁でいっておりますが、水素エネルギーは再エネ大量導入時代の調整力として有望なわけで、そこに今、日本が重大な規模の税金をかけるべき段階では全くありません。
さきに紹介した産業技術総合研究所の歌川先生も、水素をこんなに高い優先順位にする必要があるのかは疑問であると指摘し、再エネ水素一〇〇%の展望が必要であるが、水素は製造のときに大きなエネルギーロスがあるため、太陽光や風力が供給過剰になるのを待ってからの利用が賢明と指摘をしていました。
そこで、ずばり指摘しますが、公社に大規模なお金を出捐したまま水素推進基金はなくなってしまいましたが、今後、ゼロエミ戦略全体の力の入れどころに鑑み、水素関連事業への出捐金については、一度引き上げて総合的な判断を専門家に伺うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素は利用の段階でCO2を排出しないことに加えて、エネルギー供給の多様化や非常時対応など、多くのすぐれた特徴を有するほか、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能であり、再エネ由来電力が大量導入された際の調整力としての役割も期待されております。
このため、ゼロエミッション東京戦略では、再エネ由来のCO2フリー水素を脱炭素社会を支えるエネルギーの柱として位置づけており、引き続き燃料電池自動車や燃料電池等の水素関連技術の活用や、再エネ由来水素活用設備への支援等によるCO2フリー水素の活用、水素エネルギーに関する普及啓発などを推進していくこととしております。
今後は、今般設置された基金も活用しながら、水素エネルギーの普及拡大に向け一層積極的な取り組みを展開してまいります。
○原田委員 CO2フリー水素の活用とありましたけれども、この間示したとおりですよ。工場か事業所で太陽光発電をして、それをそのままフォークリフトにつなげばいいのに、半分ぐらいのエネルギーになってしまうんですけど、わざわざその太陽光で水素をつくって、その水素でフォークリフトを動かすと。ここに何十億円というお金がつぎ込まれるわけなんですけれども、こういうことを本当にやってていいのかと。研究にはもっと力を入れたらいいと思いますよ。
でも、実際に、それをあえてなぜ数十億円ものお金をかけてやらなきゃいけなかったのかというのは、本当に私はほかにかけるべき施策がたくさんあるんじゃないのかということを改めて指摘しておきたいと思います。
東京都の温暖化ガス排出の重大問題の大きな柱は都市開発です。建築中、建築後のCO2排出増加もさることながら、建築材を製造する際の排出も深刻です。
日本の温暖化ガス年間排出量の三分の一が産業であって、その三分の二から四分の三が素材製造といわれています。建築におけるコンクリートや鉄鋼などの素材製造は重大な割合を占めていると。気候危機に直面する中、環境配慮に努めたという程度で大型開発が進められていいのか問われ始めています。
杉並では、最近、駅前の保存樹林が八〇%伐採され、六十メートル以上のビルを建てるかもしれないという駅前開発が進行中です。中野では、百メートルを超える高層ビルが、これ複数かもしれませんね、計画をされていると。
新宿では、西口に都庁よりも高いビルが複数そびえるかもしれないという計画の話も聞こえてまいりました。渋谷に負けるなと。新宿の西口も、もっとすごいものを建てるぞと。先を争うように、そこかしこで再開発ビルやマンション建設などがめじろ押しとなっていますが、重大な環境負荷となることは決定的です。
そこでお聞きします。
巨大開発は、建築時の温暖化ガス排出だけでなく完成後の車両等の増加による排出増、さらにはコンクリートや鉄筋など、建築材の製造過程で相当の温暖化ガスを排出するものであるという認識があるかどうかお聞かせください。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、一定規模以上の建築物を新築、増築する建築主に対しまして、省エネ、再エネ利用など、エネルギー使用の合理化や、再生建材の利用などの資源の適正利用等の環境配慮の取り組みについて記載した建築物環境計画書の作成と都への提出を義務づけております。
また、大規模事業所に対しましては、キャップ・アンド・トレード制度により温室効果ガスの排出削減を義務づけております。
なお、事務所や住宅用途の延べ面積は二〇一〇年から二〇一六年でおよそ六%増加しておりますが、都内の車両走行キロは同期間でおよそ一〇%低下しております。
○原田委員 ですから、今まで東京都が他県、他の自治体と比べれば先進性を保ってきた建築物環境計画書やキャップ・アンド・トレード制度はすごく重要ですよ。けれども、事この気候危機という事態に直面をして、環境に配慮しましたというレベルで本当にいいのかと。いよいよ年間総排出量の削減に本気になって取り組まないといけないと。
大型開発という問題について、各国並みの、ヨーロッパ並みの規制というものがしかれていかないと、本当に待ったなしというか、もう後戻りできない状況になるんじゃないのかということを改めて指摘したいと思います。
事務所や住宅用途の延べ床面積とか、ふえてきたとか、都内の車両走行キロは同期間でおよそ一〇%低下した。まさに、そういう低下を食い潰して大型開発がどんどんと進んでいっているから全然なかなか進まないわけですよね。
この間、車の走行キロ数も減ってきているにもかかわらず、違うところでどんどん開発が行われて、その部分でふえていってしまっていると。本当にこういうことでいいんですかということを真剣に考えなきゃいけないときなんじゃないでしょうかね。
膨大な温暖化ガスを排出するマンションや商業ビルなど、都として開発規制に踏み込むことをいよいよ検討すべきと考えますが、環境局の見解を伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 東京が持続的な発展を続けていくためには、環境負荷の少ない都市づくりを進めていくことが重要でございます。
都はこれまで、大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度の導入等によりまして、建築物からのCO2削減に取り組んでまいりました。
こうした先進的な省エネ施策の展開等によりまして、経済成長を維持しつつも、エネルギーの消費を減らしていくデカップリング、切り離し傾向が続いております。
さらに、都内の企業におきましては、脱炭素化に向けましてRE一〇〇を宣言する取り組みが広がってきております。
今後も、こうした意欲的な企業等との連携を進めながら、省エネや再エネ設備の導入等とともに、エネルギーの脱炭素化を促すことで、ゼロエミッションビルの拡大を図ってまいります。
○原田委員 二〇三〇年目標、二〇五〇年目標、ゼロエミッション東京戦略というものが、本気で排出量を削減して、その目標に到達しようという中身になっているのかどうか、改めてこの間のきょうの答弁というものは、多くの住民、専門機関、この間、環境問題に取り組まれてきた団体の皆さんの前に明らかにされた上で、こういう姿勢でいいのかということが真剣に議論の対象にならなきゃいけないなというふうに思う答弁が並んでしまったなと思っています。
ただし、送電線の問題ですとか、送配電網の問題ですとか、割と前向きな答弁も出たりして、やっぱりいろんな議論が必要だなというのも感じた、前向きな姿勢もすごく感じる、意気込みというところですかね、感じる答弁も幾つかありました。
改めて、ゼロエミッション東京宣言は、もう役所だけでつくっていくものではなくて、専門的な知識や実行力が必要となる施策でありまして、幾つもの議論を担当する環境審議会の場だけではなく、ゼロエミ戦略に特化した専門家による議論の場というものが必要になってきているんじゃないかなと考えるんですけれども、いかがか。
○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京戦略では、これまでの省エネ、再エネ拡大施策に加え、大気環境分野や資源循環分野など、あらゆる分野の広範な施策を気候変動対策として位置づけ、進化、加速させていくこととしております。
東京都環境審議会は、環境法学、環境経済学、低炭素型まちづくり、国際的な気候変動対策などの専門的知見を持つ複数の学識経験者の方々を初め、環境NGO、国連機関や国立環境研究所、シンクタンク、法曹界、経済界等の第一線で活躍する多様なメンバーで構成されており、幅広い分野に係る専門的な知見に基づくご議論をいただいております。
また、都はこれまでも、環境に関するシンポジウムや会議等のさまざまな機会を活用いたしまして、多様な主体との意見交換や知見の共有等を図っております。
今後も環境審議会での専門家の意見をお聞きしながら、PDCAサイクルによる持続的な取り組みを進めてまいります。
○原田委員 環境審議会のメンバーというのは、今、部長がおっしゃったように非常にすぐれた方々が、学識経験者の方々が集まって議論をされていると私も認識をしております。
けれども、ゼロエミッション東京戦略の議論というところでいいますと、これまでは環境基本計画の議論がそれに当たると思うんですが、この議論は、具体的には、この環境審議会の中の企画政策部会という部会の中で行われてきたんですね。ここでは、本当に高度な議論が行われてきました。
しかしながら、目標の設定などでの議論というのはあったんですけれども、二〇三〇年までにどうするとか、そういう議論はあったんですけれども、いよいよゼロエミッション東京戦略ともなれば、ゼロエミッション東京戦略の目標があって、そこにさまざまな部会、再エネ部会とか断熱部会とか、そういう部会が相当数できていって、より多くの有識者を集めていくと。議論を無数に繰り広げてもらうと。そうしていかなければ、私は二〇三〇年目標、二〇五〇年目標の間尺に合わないと思うんですね。
昨年は環境審議会は一年に一回でしたっけ、この政策部会だったかな、まあ何カ月に一回とかそういう世界ですよ。そうしたペースでは、すぐれた専門家や活動家の知識や経験を施策に反映することは私は不可能だと思うんですね。
私は、改めてゼロエミッション東京戦略審議会というのをやっぱり創設をして、再エネ推進部会、断熱部会、そういう幾つもの部会を設定するなどして、より大規模に専門家やNPO団体などを首都東京に結集して、目標の計画と実行、そして検証を無数に行う体制が必要であるということを指摘し、検討を要望し、質問を終わらせていただきます。
○細谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時二十五分開議
○細谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○藤井委員 まず、東京ゼロエミ住宅についてお伺いいたします。
昨年十二月に公表されましたゼロエミッション東京戦略におきましては、東京のCO2排出量の七割以上が建物由来であるということでありまして、ゼロエミ住宅の拡大を挙げておられます。
そこで、都が普及を図っている東京ゼロエミ住宅について何点かお伺いをいたします。
省エネ性能を高めた住宅には、国が普及を図っているいわゆるZEH、ゼロエネルギーハウスがございます。このZEHの都内普及率は一%程度にとどまっている現状にございます。
その背景には、地価が高く、狭い土地に住宅が密集しているという東京の地域特性がございます。こうした特性を踏まえた省エネ住宅を普及させていく必要があると考えます。
このため、都は、東京の地域特性を踏まえた省エネ住宅である東京ゼロエミ住宅の基準について、昨年一月に公表し、補助事業を実施されておられます。
そこで、まず、東京ゼロエミ住宅の特徴、意義についてお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 家庭部門の省エネを進めていくためには、断熱性能を高めるなど、住宅そのものの省エネ化を促していくことが重要でございます。
地価や住宅の建設費が高いほか、狭小地に住宅が立て込んでいる場所も少なくないといった東京の地域特性を踏まえまして、国の定める基準よりも三割程度、省エネとなる都独自の省エネ住宅、東京ゼロエミ住宅の基準を定めたところでございます。
この東京ゼロエミ住宅は、ゼロエネルギーハウス、ZEHで必要とされる省エネ性能に関する計算を不要とし、カタログ等から一定の性能を有する建材や設備を選ぶことで省エネ住宅を建築できるよう、東京ゼロエミ住宅の基準を仕様で定めているところに特色がございます。
これによりまして、省エネ性能の計算になれていない中小工務店にも省エネ住宅の建築を促していくことが期待できます。
○藤井委員 東京ゼロエミ住宅ですと、国の基準よりも三割、省エネを実現できるということがただいまの答弁で確認できたところであります。
この住宅は、民間の住宅性能評価機関が第三者の視点から省エネ性能をチェックして認証するという仕組みになっていると伺っております。
そこで、現在までに東京ゼロエミ住宅として認証された件数がどうなっているのかお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 東京ゼロエミ住宅は、都の要綱及び指針に基づきまして、住宅性能評価機関が書類及び現地調査を行い、東京ゼロエミ住宅としての基準を満たしている旨を認証しております。
現在、二十一の評価機関が東京ゼロエミ住宅の認証を行っており、認証件数は二月末時点で六百五十五件となってございます。
今後も東京ゼロエミ住宅の普及を通じ、新築住宅の一層の省エネを促進してまいります。
○藤井委員 六百五十五件ということでございまして、ぜひさらなる拡大に向けて取り組んでいただきたいと思います。
この東京ゼロエミ住宅は、高い省エネ性能、断熱性能を兼ね備えた住宅であり、そしてその性能も第三者からの認証を受けているということがわかりました。
来年度もこの補助制度を継続されるということでございますので、ぜひこの住宅のさらなる普及に努めていただきたいということを要望させていただき、次の質問項目に移らせていただきます。
プラスチック対策についてお伺いをいたします。
私は、昨年の十二月のこの委員会におきまして、家庭ごみの大半を占める容器包装廃棄物、とりわけプラスチック製容器包装のリサイクルに焦点を当てて質疑をさせていただきました。
都からは、区市町村の間で取り組みに大きな差があり、都と市区町村との間で分別収集の拡大に向けた議論を深めていくという答弁をいただいたところでございます。
その後、昨年末にプラスチック削減プログラムが公表され、プラスチック製容器包装のリサイクルを初め、ペットボトルからペットボトルへのリサイクルなど、資源の循環的利用の高度化が施策の大きな柱に位置づけられたところでございます。
現在、地球温暖化、海ごみ問題などさまざまな環境課題が山積をする中、資源を賢く利用していくという視点が極めて重要だと考えております。
今回のプラスチック削減プログラムにおきましても、リサイクルにかかわる施策の方向性が大きくしっかりと書き込まれたということは評価をさせていただきたいと思います。
都は、次年度から区市町村が実施するプラスチック製容器包装のリサイクル、そして事業者によるボトル・ツー・ボトルのリサイクルを支援する事業を開始されるということでございますが、改めてその内容についてお伺いをいたします。
○金子資源循環計画担当部長 プラスチックの持続可能な利用を実現するためには、リデュース、リユースに加え、廃プラスチックの高度なリサイクルに取り組んでいくことが重要です。
このため、都は、来年度からプラスチック製容器包装の分別収集を拡大する区市町村へのスタートアップ支援として、その拡大に向けた調査費や分別収集費を補助いたします。
既に分別収集に取り組んでいる区市町村に対しても、レベルアップ支援として、リサイクル実績の向上に向けた取り組みに支援を行ってまいります。
また、廃ペットボトルから新たなペットボトルを再生するボトル・ツー・ボトルの取り組みについても、飲料メーカーやリサイクル業界との連携により、高度で質の高いリサイクルに取り組んでまいります。
今後、こうした事業を通じて区市町村や業界団体等の協力のもと、プラスチックの資源循環利用を進めてまいります。
○藤井委員 ペットボトルのリサイクルは、これまでは品質の低いプラスチック製品に再利用されるというケースも多かったと伺っております。
このプラスチック削減プログラムにおきましては、ボトル・ツー・ボトルなど、同等のレベル間のリサイクルを水平リサイクルということで紹介されておられますが、こうしたリサイクルはCO2削減効果が非常に高いものでございます。
ぜひ飲食メーカー等と連携をされまして、取り組みを推し進めていただきたいということを要望させていただきます。
このプラスチック製容器包装のリサイクルにつきましては、今回、分別収集の実績が低い区市町村に財政支援を行うという答弁がございました。
これから分別収集の拡大を検討する自治体にとっては、大きなインセンティブになると思います。
しかしながら、私の地元練馬区におきましては、十年前から区民の皆様のご協力をいただきながら、プラスチック製容器包装を収集し、そのリサイクルに取り組んでまいりました。
当然、都や国からの財政支援はございませんで、あくまでも練馬区の一般財源で対応してきたということでございます。
さらに、練馬区は、先週からごみと資源の分別や、地域ごとの回収日がわかるスマートフォンの運用を開始しており、区民の皆様にごみの分別に、よりご協力をいただけるよう、区独自の取り組みを進めてございます。この取り組みについては、新聞報道でも報道されたところでございます。
既に独自の取り組みを行っている区市町村が、さらなるレベルアップを図るという場合であっても、ぜひ都は積極的に、そしてしっかりと支援をしていただきたいということを考えますけれども、改めて都の見解をお伺いしたいと思います。
○金子資源循環計画担当部長 都内には、プラスチック製容器包装のリサイクルにおいて、全国と比較してもトップレベルの実績を誇る自治体が複数存在しており、意欲ある自治体が同様のレベルまで到達できるよう後押しする必要がございます。
区市町村のレベルアップに向けた取り組みとして、例えば事業者と連携した店頭回収のほか、リサイクル施設におけるプラスチックごみの分別機能の強化など、さまざまな取り組みが想定されております。
今後、こうした取り組みをプラ製容器包装再資源化支援事業のレベルアップ支援の中で財政支援するとともに、支援事業を通じて得られた取り組み事例のノウハウを区市町村と共有し、都全域でプラスチック製容器包装のリサイクルの底上げを進めてまいります。
○藤井委員 最後に、ぜひ、既にリサイクルの取り組みを進めている区市町村に対して財政支援というご答弁もありましたけれども、その点も含めまして、都として支援をしていただきますよう強く要望をさせていただきたいと思います。
プラスチックを取り巻く問題は、リサイクルの問題だけではなく、大量消費される使い捨てプラの削減、そして海洋プラといった多岐にわたるわけでございます。
プラスチック削減プログラムに掲げた目標の達成に向けて、ぜひ着実に、そしてその着実な取り組みをさらにスピードアップされながら取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○保坂委員 私から質問させていただきます。
まず、ゼロエミッション東京戦略における水素エネルギーの普及拡大に向けた取り組みについて、まず選手村地区でも活用されている水素関連の技術などについて伺います。
大会後の選手村地区のまちづくりでは、自立性の確立、快適性とエコな暮らしの両立、環境先進都市のモデルを目指すべき将来像としています。
水素ステーション、水素パイプライン、純水素型燃料電池を整備して、燃料電池バスなどの車両への水素供給やパイプラインを通じた街区への水素供給を目指しています。
東京二〇二〇大会後に移り住む世帯数は約五千六百五十戸と日本最大級の規模となります。
パイプラインによります街区への水素供給は、実用段階としては日本初となりますことから、世界も注目する環境エリアとなることは間違いないと思います。
大会後の選手村地区では、エネルギー利用を最適化するエリアエネルギーマネジメントシステム、AEMSや水素で発電する純水素型燃料電池、災害時の供給電源を確保する蓄電池や非常用発電機などが導入されます。
そこで、純水素型燃料電池は、都でも補助事業を実施するなど普及を促進していますが、その特徴とどのような購入効果があるのか改めて伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 純水素型燃料電池は、機器内で都市ガスを改質した水素ではなく、機器に外部から直接供給される水素を燃料として発電するものでございます。
導入の効果でございますが、純水素型燃料電池は高効率で電力需要の変動に柔軟に対応ができ、水素を活用したエネルギーマネジメントにおきましては、電力のピークカットに貢献し、エネルギー利用の最適化に資するものでございます。
さらに、将来的に再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素を活用することで、脱炭素化に大きく貢献することができます。
○保坂委員 純水素型燃料電池の有用性がわかりました。補助事業などにより引き続き導入を促進していただきたいと思います。
水素社会のモデルとなります選手村地区では、自動車についても多くの燃料電池自動車、いわゆるFCVが使われることがふさわしく、当然FCVの所有者が住民となることも望まれますが、FCV販売会社との連携などにより、ガソリン車からFCVへの乗りかえをさらに加速させる取り組みも必要ではないでしょうか、伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 平成三十年度に実施いたしましたゼロエミッションビークル、ZEVに関する都民世論調査では、燃料電池自動車、FCVの認知度は四二%と電気自動車の八五%の半分程度にとどまっており、認知自体が進んでおりません。
このため、都は、各種イベントでのFCVの展示のほか、実際に乗車いただき、走行性能や乗り心地を体感いただくための取り組みを展開しており、今年度は十一月に東京都環境公社及び自動車販売会社と共同で試乗会を実施いたしました。
また、今年度からの二カ年でレンタカー事業やカーシェアリング事業におきまして、都民が手ごろな料金でFCV等を利用できるよう、民間事業者と共同事業を実施しており、選手村地区がある中央区におきましても、四台のFCVが利用いただけるようになっております。
さらに、選手村地区の完成後に各街区で提供されるカーシェアリングにおきましても、FCVが活用される予定と聞いております。
今後とも、ご質問の選手村地区を初め、水素ステーションの整備地域などで民間事業者とも連携しながら、FCVの認知度向上、普及拡大に向けた取り組みを展開してまいります。
○保坂委員 水素ステーションが選手村に整備されることこそが、FCVユーザーにとっても最大のインセンティブではないかと思います。だからこそ、選手村でのFCVの導入拡大に向けて、民間事業者とも連携しながら取り組みを進めていただきたいと思います。
水素社会を広めていくためには、選手村地区などの水素を活用したまちづくりを都民を中心に多くの方に知っていただくことが重要であり、水素情報館東京スイソミルを活用して情報発信を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及を進めるためには、まちづくりのさまざまな場面で水素を活用する取り組みが進められていることを都民に知っていただくことが重要であります。
東京都環境公社が運営する東京スイソミルでは、大会期間中、都市整備局と連携し、選手村地区における水素活用に関する最新技術を紹介する特設展示を実施するほか、全国の自治体の水素社会の実現に向けたさまざまな取り組みを紹介いたします。
大会後におきましても、まちづくりにおける水素活用について、来館者にわかりやすくPRする方策を検討してまいります。
○保坂委員 ぜひ大会期間中も、選手村は水素社会のモデル地区として、関係各局などとよく連携をして、国内外に向けて効果的な情報発信を行っていただきたいと思います。
次に、多摩地域におきます水素エネルギーの普及拡大に向けた取り組みについて伺います。
スイソミルによるさらなる都民への普及拡大に向けては、現状の地理的な課題でありますスイソミルが江東区潮見地区にあるということは認識をしております。
多摩地区にもスイソミルを活用して、積極的に水素社会を普及拡大していくことは重要なテーマではないでしょうか。各地区で展開している既存の関連施設、例えば科学というテーマを持った施設と連携すれば、より効率的かつ集客も見込めるという利点があります。
例えば、西東京市にあります多摩六都科学館との連携は効果が期待できるかと考えております。(パネルを示す)こちらですね。多摩の方は皆さん知っていると思いますが、四百万人という子供たちが特に科学を勉強しに来る西東京市にある科学の施設でございます。
同施設は、小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市で構成される一部事務組合の多摩六都科学館組合によって設置されておりまして、ターゲットも子供から大人までと非常に広く世界最大級のプラネタリウムでも有名であります。
そこで、多摩地区にありますこういった多摩六都科学館を含め、科学系の関連施設との連携でスイソミル事業を拡大することも検討すべきと考えますが、見解を伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及拡大に向けましては、実際に利用する都民の理解が不可欠であり、多摩地域を含め、都内全域に向けた情報発信が重要であります。
東京スイソミルでは、これまで都内各地からの視察の受け入れや府中市内の小学校への出前講座などによりPRを行ってまいりました。
今後は、市町村の環境イベントへの東京スイソミルの出展や環境関連施設等との連携などを検討し、多摩地域での情報発信を強化してまいります。
○保坂委員 今後も環境局は受け身ではなく、積極的な情報発信はもちろん、多摩地区でのスイソミルの展開を主体的に行っていただくことを強く求めてまいります。
次は、都内では十六カ所の水素ステーションが運営されているということでございますけれども、二十三区の十五カ所に比べて、多摩地域はわずか一カ所という現実があります。
また、FCVの補助実績を見ますと、二十三区対多摩は二十三区八〇%、多摩は約二割ということでございますので、まだまだでございます。
さらに、FCバスもまだ一台も走っていないといった現状も無視はできないと思います。
そこで、多摩地域におきます水素ステーションの整備、FCバスの普及に向けた取り組み状況について伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都はこれまで、広い用地の確保が困難な都内でも整備が可能となるよう、水素ステーション整備に対する補助事業におきまして、国補助への上乗せに加え、都単独で土地賃借料や障壁の設置、既存設備の撤去、移設に対して補助を拡充するとともに、民間事業者に対して整備の働きかけを行ってまいりました。
これらの取り組みもあり、現在、多摩地域で二カ所目となる水素ステーションの整備が多摩市において進められております。
多摩地域における水素ステーションの整備拡大のためには、FCVや燃料電池バス、FCバスの導入を促進し、水素需要を創出することが必要であります。
都は、民間事業者と共同でレンタカーやカーシェアリング事業へのFCV等の導入事業を実施しており、多摩地域では二台のFCVが導入されております。
また、市町村に対しましては、FCV導入への補助額上乗せなどにより導入を働きかけるとともに、バス運行事業者に対しましては、FCバスや補助事業のPRを実施しております。
引き続き、こうした取り組みを積極的に展開し、多摩地域におけるFCV、FCバスの普及拡大と、それらを通じた水素ステーションのさらなる整備拡大に取り組んでまいります。
○保坂委員 新たな水素ステーションの整備をよいきっかけにして、FCVやFCバスの導入促進とさらなる水素ステーション整備の好循環を生み、多摩地域でも水素エネルギーの普及が着実に進みますよう、計画的にしっかりと取り組んでいただきますようお願いをして、次の質問に入ります。
ZEV普及プログラムに絡めて、来年度予算について質問していきます。
都有施設における充電設備設置事業について伺います。
平成三十年度から年度末までに、都が整備を進めてきました都有施設におけます急速充電設備について、今月初め、十カ所目となる東京ビッグサイトでの供用が開始されました。
また、昨年十一月の当委員会の事務事業質疑で、都庁舎に最新の超急速充電器が設置されましたとの答弁があり、徐々に都有施設への充電設備の設置が進んでいることは評価したいと思います。
そこで、都庁舎の急速充電器について、十一月の供用開始からこれまでの利用状況と、EVユーザーの利便性向上策に関するその後の検討状況についてを伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都庁第一本庁舎地下駐車場の公共用急速充電器でございますが、昨年十一月二十六日の供用開始以降、二月末までに二百八十八回、直近の二月は都有施設の中で最も多い百九十九回の利用があり、一日当たりの平均利用回数が約七回となっております。
都有施設の充電器の情報は、民間が運営する複数の充電器マップに掲載され、都庁舎に超急速充電器が設置されていることも含めてEV利用者へ提供されているほか、都のホームページでも周知しております。
引き続き、充電器の運用状況などを把握しつつ、案内看板の設置などについて関係者とも調整しながら、利用者の利便性向上に向けた検討を進めてまいります。
○保坂委員 利用者も着実にふえていることも確認できました。引き続き、EVユーザーの声や利用状況などをしっかりと把握しながら、ユーザー目線を意識した充電設備の利便性向上に取り組んでいただきますようお願いをいたします。
さらに、今後一層のZEV普及を進めていく中で、私は公共用充電設備の設置が進んでいない自治体にも理解と協力を求め、支援をしていく必要性を感じています。
そこで、区市町村施設への充電設備の設置について、都としてどのように促進を図るのか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 ゼロエミッションビークル、ZEVの社会インフラである公共用充電器の導入拡大を図るためには、多くの都民が利用する区市町村施設への設置が有効でございます。
都は、来年度、充電設備導入促進事業を拡充し、公共用充電器につきましては、機器の購入費に加え、設置工事費等を補助の対象に追加するとともに、区市町村施設につきましても、民間施設と同様に補助対象に加えることといたしました。
公共用充電器導入に係る負担軽減を図るとともに、今後、都有施設における設置事例なども紹介しながら、区市町村における設置を促してまいります。
○保坂委員 区市町村施設に対しましても、民間施設と同様の支援がなされるとのことで、ZEVの社会インフラである公共用充電設備の普及が今後さらに進むことを期待したいと思います。
次に、EVバス導入促進事業について伺います。
都は、来年度、EVバスの導入を支援するため、新たに総額約一億円の予算を計上しています。
私は、かねてから地域の中をくまなく走るコミュニティバスこそ、排ガスを出さず、音が静かなZEVへの転換が必要であると主張し、補助対象とするよう要望してきましたので、今回の予算化は大変意義深いものを感じています。
そこで、本事業の概要とEVバスの導入に不可欠であります充電設備の設置にかかわる費用の負担軽減をどのように図るのか、あわせて都の見解を伺います。
○筧環境改善部長 身近な公共交通機関として、住宅街を走行するコミュニティバスにEVバスを導入することは、環境負荷の低減だけでなく、人々にZEVのよさを実感してもらうよい機会となります。
都は、コミュニティバスを運営する地方自治体やバス事業者を対象に、令和二年度から四年度までの三年間で、EVバス五台に導入補助を行うこととし、その経費として約一億円を計上しております。
補助率は、車両本体価格の三分の一、上限一千六百六十万円としており、国補助と合わせることで従来の車両と同程度の負担でEVバスが導入可能となります。
充電設備につきましては、区市町村も補助を受けられるようにすることで、EVバス導入に係る自治体の初期費用の軽減を図ってまいります。
○保坂委員 ゼロエミッション東京戦略において掲げています二〇三〇年に小型路線バスの新車販売を原則ZEV化する目標の達成に向けて、都の積極的な支援を期待しております。
続いて、電動バイク、EVバイクの普及促進事業についても伺います。
(パネルを示す)写真ですね。エンジンつきの二輪車についても、ゼロエミッションへの転換を積極的に進めていく必要があります。
先般開催されました東京マラソンでも、警視庁が先導車として初めてEVバイクを導入いたしました。
これは、一番上の写真、BMW社製です。大きさは排気量二五〇cc相当の中型クラスの自動二輪車に相当し、四時間半の充電で約百六十キロの航続距離がある非常に実用的なバイクであります。格好よかったです。これも知事が公約として掲げていましたマラソンに電動バイクを導入するということでしたので、ようやく前に進んだと私も実感しております。
また、水道局では原付クラスのEVバイクを積極的に導入していくことも聞いておりまして、ZEV化が進んでいることは評価したいと思います。
こちらが新しいZEVの原付相当のバイクで、これもいいやつは航続距離が八十七キロ、既存のバイクに比べて一・二、三倍、また性能が上がって、非常に実用的になってきております。
一方で、都は個人や事業者を対象に購入費に対する補助を実施しておりまして、民間に対する普及も進めていますが、制度開始からこれまでの補助実績と、補助対象となるEVバイクの種類について伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は、平成三十年度から電動バイクの購入経費の補助を開始し、これまでの補助実績は、平成三十年度が二台、令和元年度は十二月末時点で三十一台、合計三十三台となっております。
電動バイクにつきましては、国が同様の補助制度を設け、補助対象となる車種をリスト化しており、都におきましても国と同一車種を補助対象としております。
二〇二〇年一月十七日現在、原動機付自転車で六車種が補助対象となっており、中型自動二輪車に相当する電動バイクは補助対象となってございません。
○保坂委員 これまでの補助実績と補助対象となります電動バイクの種類がまだ少なく、中型クラスのEVバイクは対象ではないことがわかりました。
今後、高性能の電動バイクも販売されますので、新規に販売される車種や中型クラスもぜひ都から国に対して迅速に補助対象とするよう働きかけをお願いします。
最後に、自転車シェアリングについて伺います。
ここ数年、複数あるサイクルポートのどこでも借りられて返せる便利な自転車の共同利用サービス、いわゆる自転車シェアリングが急速に普及しています。
都は、自転車利用の促進に向けて、自転車シェアリングを実施する自治体に対する支援などを行っていますが、現在の普及状況について、まず伺います。
○筧環境改善部長 都は、環境に優しい交通手段である自転車の利用を促進するため、自転車シェアリングの普及を推進しており、事業の実施主体である区市町村に対して、自転車等の初期費用への財政支援を行うなど、その取り組みを広くサポートしております。
また、行政区域を越えた自転車シェアリングの広域相互利用を進める自治体に対して、連絡調整等の支援を行っており、現在、都心部を中心に十区にまで拡大しております。
これら十区では、本年一月末時点でサイクルポートが七百六十四カ所、自転車の台数は七千九百十五台にまで拡大し、利用件数も順調に伸びております。
○保坂委員 ポートの数や自転車の台数が順調に拡大しているということで、都民の暮らしの中にも自転車シェアリングはかなり浸透してきていると思います。
一方で、自治体からは、より一層の普及にはサイクルポートの設置場所の確保が課題との声も聞きます。自転車シェアリングは、サイクルポートの数がふえることにより、利用者の利便性が向上して利用件数もふえていきますことから、サイクルポートの設置場所の確保に都も積極的に協力していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○筧環境改善部長 自転車シェアリングのさらなる普及に向けては、サイクルポートをさまざまな場所に設置し、利用者の利便性を向上させていくことが必要でございます。
都では、都道や公開空地上などへのサイクルポートの設置がスムーズに進むよう、環境局が窓口となって、庁内関係局との連絡調整を行っております。
今後とも、サイクルポートの拡充に向けて、都有地等の活用を希望する自治体の支援を行ってまいります。
○保坂委員 自転車シェアリングの実施主体は区市町村ですが、さらなる普及に向けては都の支援が不可欠であります。都の今後の取り組みに期待をしております。
さらに、自転車シェアリングの大きな利用メリットは、自治体をまたいでの広域での使用です。
先ほど広域相互利用を進める自治体が十区まで拡大したとの答弁をいただきましたが、そのほかにも自治体が独自に展開する例もあり、住民に広く活用されています。
都も、環境局のホームページで自転車シェアリング事業について、十区以外の自治体情報も含めて紹介していますが、決してわかりやすいとはいえません。利用者目線に加えて、環境面からしても、都は横断的に推進していくべきと考えます。
そこで、東京全体の自転車シェアリングサービス情報として、総合的に情報を網羅するサービスの展開マップや、利用によりますメリットなどの情報を都民に提供することは大変重要だと考えますが、見解を求めまして、私の質問を終わります。
○筧環境改善部長 都ではこれまでも、広域相互利用を行っている自治体だけでなく、独自に展開している自治体の事業も含めまして、都内で実施されている自転車シェアリング事業について、ホームページを通じた情報提供を行っております。
また、自転車シェアリングの安全で快適な利用に向けたリーフレットを作成し、自治体を通じて利用者等に配布するなどPRに努めてまいりました。
利用者の利便性の向上と自転車シェアリングの普及促進を図るためには、利用者の視点からわかりやすい情報を総合的に発信していくことが重要でございます。
今後、都内の自転車シェアリングサービスの普及状況が一目で確認できる情報マップや、自転車シェアリングの手軽さや便利さなどのメリットを都のホームページに掲載するなど、総合的、網羅的な情報発信に努めてまいります。
○高倉委員 それでは初めに、ゼロエミッション東京戦略と、それとともに発せられた気候危機行動宣言についてお伺いしたいと思います。
本当に今、大きな世界的な課題になっている気候変動であります。気候変動については、これまでの長い人類の生活によって、今日もたらされてきているもので、特に昨今、生活の利便性が増すに従って、そうした気候変動に与える影響というのがますます大きくなってきた結果、今こういう状況になっているというふうに思います。
したがって、これへの取り組みというのは、恐らく大変時間を要するものであって、そしてあらゆるところから取り組んでいかなければならない。しかも、地道に取り組んでいかなきゃならないというような意味で、本当に着実に粘り強く、諦めずに取り組んでいく、こういう大変重要な取り組みであるというふうに思います。
さらに、例えば今回、東京がこういう行動宣言を発して、さまざまな取り組みをロードマップにもまとめてやっていくということでありますけれども、東京だけがやったとしても、東京だけが気候変動から免れるということでは当然ないわけでありまして、本当に縦に横に大きな連携を広げながら行っていくということが極めて重要であるというふうに思います。
したがって、先ほど申し上げたように、都としてこの戦略にのっとって、時間もかかるし、それから財政的にも負担がかかるし、それからまさに、諦めずに粘り強く取り組んでいくと。こうしたことは当然のこととして、東京だけではなくて国内に、そして広く世界に、いわば同じ仲間をふやしていく、こうした連携をとっていく、そして、今回の宣言によって東京がその先頭に立っていくと、こうしたことが私は大事ではないかなというふうに思います。
これまでも質問の中で要請をしてきましたけれども、特に世界の諸都市との連携を密にしていく必要があるというふうに思いますけれども、この取り組み、そして今後の展開について答弁を求めたいと思います。
○和田政策調整担当部長 都はこれまで、地球規模の環境課題への対応には、世界の諸都市との連携が重要であることを認識し、C40やICLEIなどのグローバルネットワークを活用しながら国際会議に参加し、都の先進的な気候変動対策などを発表、意見交換するとともに、他都市の優良事例の情報収集も行うなど、世界の諸都市との連携の強化を図ってまいりました。
また、ゼロエミッション東京戦略を発表した際、多くの国内外のメディアで取り上げられるとともに、会議やイベントなどでも発信し、行動の重要性への理解を進めております。
今後は、気候危機行動宣言に基づきまして、気候の危機的な状況に立ち向かう具体的な行動に踏み出していくことが重要でございます。
そのため、C40などと一層連携強化することに加え、さらにUNEP、国連環境計画のイベントやU20サミットなどとも連携してまいります。
引き続き、都は、世界の大都市の責務としてリーダーシップを発揮しながら、世界諸都市とさらなる連携強化を図り、国内外の脱炭素化に向けて行動を強化してまいります。
○高倉委員 今、答弁でリーダーシップをとっていくという力強い決意を述べていただきました。ぜひしっかりお願いしたいと思いますし、私も全力で応援はしてまいりたいというふうに考えております。
次に、ZEVレンタカー、カーシェアリング事業についてお伺いをしたいと思います。
この事業については、先ほど質疑もちょっとあったというふうに思っております。こうしたいわゆる排ガスを出さない車は、これから本当に期待をされているわけでありますけれども、一方で、まだ普及が進んでないという状況があって、当然ながら価格も高いわけでありまして、個人で購入するというのは、なかなかそう簡単ではないというふうに思っております。
そういう意味では、レンタカーでありますとか、それからカーシェアリングというのは別に今始まったものではなくて、ずっと以前からあるわけでありますけれども、実際このZEVという乗り物に乗ったときには、今までのいわゆるガソリン車なんかとどう違うのか、単に体験試乗ではなくて、必要に応じてこういうレンタカーを使う、それからカーシェアリングを使って、そして、まさに自分の必要性に応じた運転をして、以前の車と違うのか同じなのか、もう実用性に十分耐えられるのか、こういったこともしっかり自分で体感をできるわけでありまして、今後普及を図っていく上ではとても効果的な取り組みというのが、このレンタカー、カーシェアリングというふうに思っております。
この事業は、今年度と、それから来年度の二カ年の事業というふうに聞いておりますけれども、これまでの事業実績と来年度の取り組みについて答弁を求めたいと思います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 本事業では、レンタカー事業、またはカーシェアリング事業において、ゼロエミッションビークル、ZEVを新たに導入し、通常のコンパクトカークラス以下の手ごろな料金設定でサービスを提供する事業者を公募いたしました。
電気自動車につきましては四事業者で六十台、燃料電池自動車につきましては三事業者で計四十台の導入を決定しており、準備が整った事業者から順次ZEVを導入し、サービスを開始しております。
令和二年二月末現在で電気自動車三十六台、燃料電池自動車四十台が区部、多摩地域及び島しょ地域で運用されており、令和元年十二月末までに累計千五百七十四回の利用実績がございます。
今後も、新モデルのZEVも導入しながら、令和二年度につきましても、引き続き事業を継続することとしており、より多くの都民の方に利用いただけるよう、事業者と連携したPRを図ってまいります。
また、事業者からの報告や利用者アンケートの結果を活用し、今後のZEV普及策の検討にもつなげてまいります。
○高倉委員 事業者が取り組んでいらっしゃるというお話がありました。できるだけ事業においても採算性がとれるようにしていくということが、これからこの事業を拡大していくきっかけになるというふうに思います。
今後もさらに拡大をしていく事業計画等も明らかにしていきながら、特に普及を図っていく一つの重要な取り組みとして進めていただければありがたいというふうに考えております。
次に、三宅島のエコツーリズムについて質問いたしたいと思います。
きょうの新聞報道にもありましたけれども、もともとことしの四月から実施をするという予定でありましたけれども、現在の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、これは当分の間、延期をするということになりました。これはいたし方ないことであるというふうに思います。しっかりと感染の拡大に打ちかった暁には、エコツーリズムがまたちゃんとできるようにお願いしたいと思っておりますけれども、済みませんけれども、このエコツーリズムについては質問をさせていただきたいというふうに思います。
既に二〇一五年以来、三宅島の雄山の火山活動は鎮静化をしている。私どもは、火口周辺というものを観光資源といったものとして生かしてエコツーリズムを実施するように提案をしてきているわけであります。
既に都と村は、昨年の六月に協定を締結しているわけであります。エコツーリズムの実施に当たっては、都は自然保護を目的として、自然ガイドの同行を義務づけているわけであります。そして、観光客の安全というものも確保していかなきゃいけないと思います。
そこで、まず、自然ガイドの養成状況と安全対策について答弁を求めたいと思います。
○近藤自然環境部長 エコツーリズムの実施に当たり、知識と技量を備えた自然ガイドの養成と、噴火時の安全対策の徹底が重要でございます。
都は、昨年十一月に三宅島の自然情報を提供している村営のアカコッコ館におきまして、自然ガイドの認定講習会を開催し、火山島の特性や安全管理等の講義、ガイド技術等の現地実習を行い二十三名の自然ガイドを認定いたしました。
また、現在、登山道に火口までの距離や噴石にも耐えられる避難小屋への避難経路を示した案内板などの設置を進めており、万が一の際、円滑な避難を可能といたします。
コロナウイルス感染拡大に伴い、エコツーリズムを延期したところでありますが、こうした取り組みに加え、今後、政府の方針や感染状況を考慮し、三宅村と連携して対応を図り、令和二年度からのエコツーリズムを安全に実施してまいります。
○高倉委員 今、答弁でも三宅村との連携といったお話が最後にありましたけれども、エコツーリズムの円滑な実施については、まさしく都と三宅村の連携、そして役割分担といったようなことも定めて、緊密に連携をしていくということが重要だというふうに思います。このことについて答弁をいただきたいと思います。
○近藤自然環境部長 エコツーリズムを円滑に実施するには、運用の主体となる村と都が緊密に連携することが重要でございます。
昨年六月に締結した協定では、一日当たりの最大利用者数を四十名とすることや、植生回復のため、十二月から三月は利用しないこと等の利用ルールを定めております。
また、村は観光協会とともにエコツーリズムの運営体制の整備や観光客への利用ルールの周知等を行い、都は自然ガイドの継続的な養成、認定やモニタリング調査を実施するなど、両者が緊密に連携し、雄山の貴重な自然の保護と利用のバランスを図ってまいります。
○高倉委員 この質問の冒頭申し上げたとおり、延期ということに残念ながらなってはおりますけれども、ぜひ準備は着実に進めていただいて、三宅村にとっても大変重要な取り組みであるという期待があると思いますので、その点はぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
次に、自然公園に関係をすることについて質問をしたいと思います。
私、昨年の予算特別委員会でもちょっと取り上げさせていただいたんですけれども、自然公園には、まさに本当にさまざまな人たちが訪れる、その自然の豊かさを満喫するわけであります。
その中でも、自然公園といいますと、例えばすぐに思い浮かぶのは山でありますけれども、去年、私が取り上げたのは、東京の御岳山の例だったと思います。あそこで身体障害の方が登山を楽しんでいるということを取り上げさせていただいたわけであります。
例えば体が不自由でありますので、実際、自分の足で歩いたりすることが当然できない方々なわけですけれども、車椅子に乗ったり、もちろん補助の方がいるわけですけれども、あるいは車椅子をちょっと工夫して、リヤカーのように、そういう手で引っ張るものを取りつけることによって、多少険しい山道でも車椅子に乗ったままずっと山道をたどっていけると。特別なコースではなくて、普通に山道をそういう状態で登りながら、まさしく、ひとしく同じように登山を楽しめる、こういうことを紹介させていただきました。
その中には、視覚障害のある方もいらっしゃって、もちろんお一人ではなかなか難しいわけでありますけれども、どなたか案内の人がいると楽しめるわけであります。
そうすることによって、まさに自然のすばらしさ、自然の空気、自然の雰囲気に触れて、東京の自然公園のすばらしさというのを味わえるわけであります。
昨年、私が予算特別委員会で質問したときに、ビジターセンターにおいて必要なソフト対策に取り組んでいくという答弁がありましたけれども、令和二年度にどういったソフト対策の取り組みを予定しているのか、ご答弁をいただきたいと思います。
○近藤自然環境部長 自然公園ビジョンに掲げましたソフト面の支援の検討を進めるために、平成三十年度に開催いたしました自然公園の多様な利用者の来訪促進検討会におきまして、傾斜のきつい登山道を進むことを可能とする車椅子用の補助器具の貸し出しが有効であるとの見解が示されました。
これに基づきまして、高尾など六カ所のビジターセンターで、人力車のように車椅子を牽引する補助器具の貸し出しを開始する予定でございます。
また、視覚障害のある方に向けて、音声読み上げ機能のついたデジタルサイネージやタブレットを備えるとともに、介助を必要とする方に積極的な声がけができるよう、ビジターセンター職員等への研修を行うことで、多様な利用者の受け入れ体制を充実させてまいります。
○高倉委員 具体的な取り組みを進めていただけるということで、私も大いに期待をしたいというふうに思います。
昨年は台風災害が東京を襲って、特に自然豊かな多摩地域にも大きな影響をもたらしたわけであります。その中で、特に自然公園の中の登山道が大きな被害を受けていたわけであります。私どもも現地に参りまして具体的な声を聞いてまいりました。この復旧の取り組みは全力でやっていらっしゃるということは、もう十分承知をしております。
台風の災害から五カ月ほどが経過をしているわけでありますけれども、この自然公園の中の登山道や遊歩道の復旧工事の進捗状況についてご答弁をいただきたいと思います。
○近藤自然環境部長 昨年十月の台風十九号によりまして、多摩地域の自然公園では、多くの倒木、折れ枝が発生するとともに、歩道への土砂堆積や木橋の流出等により、高尾山六号路等、十一の登山道、遊歩道が通行どめとなりました。
被災後、レンジャーによる応急的な措置や事業者による軽微な復旧作業を速やかに実施いたしました。それに加えまして、現地調査を進め、利用者の多い御岳渓谷など四カ所において緊急工事を行っております。今月末までに、増水により流出した御岳小橋の撤去を完了いたします。
昨年十一月までに全面開放している高尾山六号路に加えまして、首都圏自然歩道線は三カ所の通行どめのうち二カ所が開放となっており、これまで一部通行どめでありました吉野氷川線のほぼ全区間が開放となります。
残る八つの通行どめ路線については、被害箇所の復旧工事の優先度と工法などの検討を進めてまいります。
そのうち日原雲取山線等、五つの路線は崖崩れによりまして車両通行どめとなっております日原街道の開通に合わせて、順次復旧の対応を進めてまいります。
○高倉委員 最後に、雲取山にかかわる話を質問したいと思います。
この雲取山というのは、いうまでもなく東京都の最高峰なわけであります。雲取山で、あそこには頂上近くに避難小屋というのがあるわけであります。
先般、私のもとに、ある方から手紙が来ました。ことしの二月に雲取山に登ったときにあった出来事ということで来たわけです。
こういうことが書かれておりました。要旨を申し上げると、夕方五時ごろに登っていたときに、年配の二人の男性が歩いており、一人はかなり弱った状態で、話を聞くと雲取山荘を目指しているとのことでしたが、状況からして山荘までは無理だと思い、今の状況を山荘に電話で伝えてもらい、幾らかジグザグはあったものの、暗くなった六時ごろに避難小屋に到着し、そこで泊まることになりました、弱った一人の方は、避難小屋に入って座った瞬間、寝息を立てて寝てしまうほど疲れ果てておりましたと、こういうお話でありました。
実は今の読んだところの前に、避難小屋の中に寝具の一式があって、それを使うことができたといったような話があったわけでございます。
避難小屋というのは、道が険しいとか長いとか時間がかかるとか、なかなか小屋にたどり着けないといったような場合の場所にあるわけであります。北アルプスのようなもっと非常に険しいところは、冬に登ったりする場合に冬用の避難小屋なんかもあったりするわけでありますけれども、いざというときに、これがあることによって安全をしっかり確保できるというものであります。私は非常に重要なものであるというふうに思っています。
自然公園における避難小屋の位置づけと利用方法、このことについてご答弁いただきたいと思います。
○近藤自然環境部長 避難小屋は、国立公園の計画策定の指針を定めた公園計画作成要領におきまして、山岳等の厳しい自然条件下で、登山者等の最低限の安全を確保する避難施設として位置づけられております。
都内では、雲取山と秩父多摩甲斐国立公園内の主要な登山コースに六つの避難小屋を設置しております。避難小屋にはトイレを併設し、横になって体を休めるスペースも確保しております。
避難小屋は宿泊を目的とした施設ではないため、都では登山者には無理のない登山計画を立てて、安全・安心な登山を心がけていただいた上で、天候の急変や体調の悪化などの非常時に使う緊急の避難場所としての利用をお願いしております。
○高倉委員 これで質問は終わりますけれども、先ほどこの避難小屋に寝具があったというお話を実は私は聞いたわけであります。
宿泊を目的とするという施設ではないと今ご答弁がありましたので、それはまさにそのとおりであるというふうに思いますけれども、いろんな意味で万が一のことを考えて、もちろん宿泊するために置いておくとかということである必要は全くないわけでありますけれども、何かあった方がいいようなものについては十分にまた検討していただいて、先ほど申し上げたように、宿泊をする場所ではありませんので、手厚いものは不要であるというふうに思いますけれども、十分検討もしていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○舟坂委員 自然保護条例の開発許可制度の見直しについてお伺いをいたします。
平成二十九年十月の台風の影響で、八王子市内の建設残土の処分場で大規模な土砂崩落事故が発生をいたしました。
これを受けて、昨年九月、第三回都議会定例会において、我が党から建設残土の処分場における安全対策について一般質問をさせていただきました。
その際、我が党から事故の再発防止に向けて、開発許可制度の見直しにも着手すべきであると指摘したところ、環境局から残土処分場については都市計画法等の適用がされず、自然保護条例のみの適用となる場合があり、土砂災害未然防止等に十分対応できないため、年度内を目安に見直しの方向性を検討していくと答弁がありました。
まず、開発許可制度の見直しについて、現在の検討状況をお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 残土処分場等からの土砂崩落事故等を未然に防止するためには、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則に規定する開発許可の基準のうち、切り土、盛り土の安定等の基準を抜本的に見直す必要がございます。
このため、昨年十月、施行規則の改正について、都知事から自然環境保全審議会へ諮問いたしました。
同審議会は、計画部会及び規制部会へ審議を付託し、両部会はこれまで二回ずつ審議を行いました。
現在、両部会で施行規則改正の内容について、都民の意見を聞くために、中間のまとめの案を審議しているところでございます。
○舟坂委員 昨年十月には審議会へ諮問し、既に合計四回の部会での審議を経て、中間のまとめの案を作成する段階まで検討が進んでいるということで、着実に環境局の皆さんが対応していただいているのだと感じております。
それでは次に、その中間のまとめの案で示されている規則改正の内容はどのようなものかお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 中間のまとめの案では、施行規則に規定されている開発許可の基準について、切り土、盛り土の安定等を図るため、より明確で具体的な基準が規定されている都市計画法等の規定と同様になるように改正するべきであるとしております。
具体的には、切り土、盛り土の安定性を図る上で必要な排水施設や擁壁などの構造基準を詳細に規定するとともに、申請者の資力、信用等の項目を追加すべきとしております。
特にのり高が切り土十メートル、盛り土九メートルを超える長大のりについては、のり面の安定計算を必須とするなど、通常の切り土、盛り土よりも厳しく基準を設定しております。
さらに、原則として許容されるのり高である切り土三十メートル、盛り土十八メートルを超える場合には、事業者が専門家等、知事が指定する複数の者の意見を聞いて計画を作成しなければ認めないこととしております。
また、これまで緑地等管理計画書制度において、開発許可で確保した緑地等の管理状況を都に報告させておりましたが、今後は緑地等の植生基盤となる切り土、盛り土の状況についても報告させるべきとしております。
○舟坂委員 開発許可の基準の中に、資力、信用等の項目の新たな追加や、切り土や盛り土についての厳しい基準の設定など、これまで以上に都民の安全を確保しようという取り組みは、ぜひとも進めていただきたいと思います。
続きまして、昨年九月の一般質問に対する環境局の答弁では、監視指導や定期的な巡視、立入検査体制の構築についての見直しの方向性も検討するということでした。
今回の中間のまとめの案では、規則の改正以外についてはどのような取り扱いになっているかをお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 中間のまとめの案におきましては、諮問事項である施行規則の改正以外についても、土砂災害の未然防止を図る上で必要な事項を意見として記載しております。
具体的には、審査基準を施行規則とあわせて改正するとともに、工事中に切り土、盛り土の出来高、施工状況を都に報告させること等を許可条件として追加することが望ましいとしております。
また、既に許可を受けた事業者等に対しても、事業地を定期的に監視し、違反があった場合には適時適切に行政指導や処分を行う必要があるため、新たに監視指導のための指針を策定することが望ましいとしております。
○舟坂委員 規則の改正だけでなく、関連する必要な事項についてもあわせて検討しているとご答弁をいただきました。都民の安全を守るために、必要な事項について、漏れのないようにしっかりと対応していただきたいと思います。
それでは、最後に、今後の予定についてお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 今後、中間のまとめの案につきまして、自然環境保全審議会で審議いたします。
中間のまとめについて、審議会で了承された後、その内容は都民生活に密接に関連する方針等であることから、都民の意見を聞くためにパブリックコメントを実施いたします。
その後、都民から寄せられた意見を反映したものを答申案として再度審議会で審議する予定でございます。
○舟坂委員 パブリックコメントを実施するということです。都民の意見についてもしっかりと聞いた上で検討を進め、開発許可制度における安全性の確保について万全を期していただくことを要望いたします。
次に、田園住居地域の追加による環境確保条例の改正について質問をいたします。
都市部における営農環境が変化する中、住宅と農地が調和して、良好な環境が形成されている地域として、新たに田園住居地域が創設されました。
田園住居地域においては、農家レストランや農産物直売所なども建築可能となり、農業を安定的に続けることができることから、都市農業者にとっても大変よいことだと思います。
都市計画法の改正により、用途地域に田園住居地域が追加されましたが、このことによって、なぜ環境確保条例を改正しなければならないのか、改めてその理由をお伺いいたします。
○筧環境改善部長 環境確保条例では、騒音、振動及び悪臭につきまして、都市計画法で規定する用途地域に応じて基準を定め、規制を行っております。
このたび用途地域に田園住居地域が追加されたことから、環境確保条例の関係条文等を改正し、田園住居地域に応じた騒音、振動及び悪臭の規制基準を新たに定めるものでございます。
○舟坂委員 都市農業の振興も大切ですが、良好な生活環境を守ることも大切であり、両者がバランスよく共存した地域を目指していくべきです。
そこで、田園住居地域に適用される規制基準は、どのような考え方によって設定されたのかをお伺いいたします。
○筧環境改善部長 田園住居地域は、住居系用途地域の一類型として創設されたものであり、環境省からは、田園住居地域は第二種低層住居専用地域と同等の生活環境が保全されるべきと考えられ、区域の当てはめ等については原則として同等の扱いとすることが適当であるという通知が出されております。
このため、今回の条例改正におきましては、第二種低層住居専用地域と同じ区分の規制を適用することといたしました。
○舟坂委員 現在、騒音、振動及び悪臭の規制事務は区市が担っていることから、規制基準を当てはめる際には地域の実情を把握している区市の意見を聞くことが重要と考えます。
そこで、今回の改正に当たって、区市の意見を聞いたのか、また、今後、区市が円滑な運用を行えるよう、どのような支援を行うのかお伺いいたします。
○筧環境改善部長 環境確保条例における騒音、振動、悪臭の規制事務の多くは区市に移譲されており、その円滑な運用のためには、区市との連携が重要でございます。
このため、今回の見直しに当たりましては、改正案について事前の説明を行うとともにアンケートを実施し、区市の意向の把握に努めました。
今後は、条例の施行に合わせ、基準集等の解説資料を改定した上で、担当者向け説明会を通じた情報共有などを行い、円滑な運用を図ってまいります。
○舟坂委員 地元の区市とも連携して取り組んでいくということを確認させていただきました。この制度が適切に運用され、住民にとっても、農家にとっても、よりよい環境を確保することを要望いたします。
次に、資源環境分野についてお伺いをいたします。
二十三区の家庭ごみなどの一般廃棄物は、都が管理する廃棄物埋立処分場で最終処分されております。
この処分場は、都民の生活を支える都市の重要な施設であり、この処分場を長く使っていくことが重要です。
今回出されたゼロエミッション東京戦略では、プラスチック対策などの資源環境分野も重要な取り組みと位置づけ、ワンウエープラスチックの削減など、これまでの大量消費型のライフスタイルの変革を正すとしております。
こうした資源環境分野に関し、都民に普及啓発していくことにより、資源の持続可能な利用や、ひいては最終処分場の延命化にもつながると考えます。
まず初めにお伺いをいたします。
環境局が所管する廃棄物埋立処分場において、施設見学会の開催など普及啓発を行っていると聞いておりますが、その意義と実施状況についてお伺いをいたします。
○風祭調整担当部長 環境局が管理する埋立処分場は、東京二十三区から発生する一般廃棄物や中小企業から排出される産業廃棄物を中間処理を経た上で最終処分する施設であり、都民生活や事業活動を支える重要なインフラでございます。
埋立処分場は、今後五十年以上、埋め立てが可能と見込んでおりますが、東京港内最後の処分場であり、延命化の推進が重要な課題でございます。
このため、処分場の見学については、廃棄物処理への理解や延命化に向けた取り組みを促す機会として重要な意義を持っていると認識しております。
見学の実施状況でございますが、都内の処分場には、昨年度、約六万人が来訪し、このうち小中学校の社会科見学が九割を占めております。
見学の内容としましては、事務所の見学ホールにおける学習と処分場をバスに乗って実際に見学することで、ごみの収集から中間処理、最終処分までの流れや、処分場における埋立作業のほか、3Rの取り組み等について学習し、施設の重要性と限りある埋立空間を大切に使わなければならないことについての理解を促進しております。
○舟坂委員 処分場では、見学ホールでも学習ができるとのお話がありましたが、資源環境分野に限らず、こうした常設の展示施設は、年数が経過するにつれて内容が陳腐化する傾向があります。
また、プラスチック問題など、新たな課題を即座に広くわかりやすく伝えることが難しいのではないでしょうか。
この施設については、どのような課題があり、その課題に対してどのように対応していくのかをお伺いいたします。
○風祭調整担当部長 見学ホールにおきましては、廃棄物処理のほかリサイクルの取り組みなど、環境学習の機会を提供しております。
説明する際には、現在課題となっておりますプラスチックのリサイクル等について、口頭で加えているほか、展示物においては食品ロスや海ごみ等のパネルを追加するなど、工夫を凝らして対応しております。
しかしながら、現在の見学ホールは整備されて十年以上経過しているため、展示物の更新が必要なことに加え、昨今の課題や取り組み等を発信するという視点から見ますと、リニューアルが必要と考えております。
このため、来年度、更新に向けての設計を実施し、展示物や展示内容の更新を行ってまいります。展示物や展示内容を更新することにより、正確でわかりやすい情報を見学者に伝え、処分場の重要性などについて理解を深めてまいります。
○舟坂委員 現在の見学ホールは、展示物の内容をよりわかりやすくすることが必要とのことでしたが、年間でおよそ六万人もの見学者が訪れる施設であるからこそ、埋立処分や資源循環に関する最新の情報を取り入れ、実情に沿った情報を速やかに発信していくことが重要と考えます。
また、ゼロエミッション東京の観点から、プラスチック対策などについても、次世代を担う子供たちの教育に役立てていくとともに、一般都民や事業者に対する普及啓発のほか、国外から訪れる諸外国の方々に、都の先進的な取り組みを紹介していくことも重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○風祭調整担当部長 見学ホールのリニューアルに当たりましては、展示内容としまして、処分場の歴史や変遷、現在のごみ処理の流れや埋立作業について、最新の情報に更新してまいります。
また、ゼロエミッション東京の観点から、食品ロス削減や海ごみ対策、プラスチック対策など、新たな施策に関するコンテンツも整備する予定でございます。
あわせて、東京二〇二〇大会における環境配慮の取り組み等について、オリ・パラレガシーとして紹介してまいります。
限られた見学時間の中でわかりやすく説明を行うため、最新の映像技術を用いて、東京港内の埋立地が順次拡大してきた様子などを再現するほか、小中学生の社会科見学向け、一般向けに内容や説明についての工夫を凝らしてまいります。
さらに、国外から訪れる諸外国の見学者に対しまして、多言語の映像を作成し、都の先進的な取り組みを発信してまいります。
○舟坂委員 処分場を見学し、資源循環に対する取り組みを啓発していくことは非常に意義があるものと考えます。ぜひ展示内容をよりよいものに更新していただきたいと思います。
子供たちの理解を深めることで次世代へつなげるとともに、現時点において、子供から親世代に伝播、普及する効果も期待できます。また、諸外国へ都の先進的な取り組みを広げていくことも期待できます。ぜひよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わらせていただきます。
○細谷委員長 質疑を続けます。
○里吉委員 私からは、まず初めに、有機フッ素化合物、PFOS、PFOAについて質問いたします。
横田基地で残留性フッ素化合物であるPFOSを含む泡消火剤が三千リットル以上も流出し、基地内の井戸調査でも高濃度で検出されたという報道がありました。
先ほども質疑がありましたので、簡潔で結構ですので、PFOS、PFOAとはどのような物質なのか、また、環境局として二〇一〇年度から二〇一三年度まで、このPFOS、PFOAについて調査を行っている目的と結果についてお答えください。
○志村環境改善技術担当部長 有機フッ素化合物であるPFOS、PFOAについては、半導体製造や撥水加工の原料等として幅広く使用されておりましたが、環境中で分解されにくく蓄積性があることから、国際的に製造禁止等の措置がとられております。
ご質問の調査については、こうした国際的な規制の動きを踏まえ、都内におけるPFOS等の地下水中の濃度状況を把握するために、環境科学研究所が調査研究の一環として、島しょを除く都内全域の二百三十七地点で実施したものでございます。
その結果、全ての区市町村にわたる二百七地点においてPFOS、またはPFOAが検出され、全調査地点の平均濃度はPFOSが約十二ナノグラム・パー・リットル、PFOAが約十ナノグラム・パー・リッターでございました。
○里吉委員 これ、危険だということで、何か事故があったから調査したということではなくて、あくまでも環境科学研究所が調査研究の一環として都内全域を調査したというご説明でした。
今もご説明あったように、発がん性があるということがわかってきて、アメリカでは国内での製造を禁止したのが二〇〇六年、二〇〇九年には残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約でもPFOSの製造、使用、輸出入を制限すべき物質に指定と。二〇一〇年に日本でもPFOSの製造、使用、輸出入が制限されたというふうに伺いました。
そういう時期だということで、今ご答弁いただきましたように、環境科学研究所が調査研究の一環として調査をしたと。
今、平均でPFOSが約十二ナノグラム・パー・リットル、PFOAが約十ナノグラム・パー・リットルということでご答弁ありましたが、一覧表を見せていただきました。
一番高いところは、両方足すと三百八十一ナノグラム、二番目が二百七十二、三番目が二百四十ということで、結構な数値が出ているので、私も驚きました。私がこの問題に関心を持ったのは、横田基地周辺でこういう事態があったということで関心を持ったわけですが、これは地下水の汚染として、全域で認識する必要があるのかなというふうにも思いました。
先ほどもお話がありましたように、全域をはかった中で、高いところから三カ所、継続して調査を行ったと。これは答弁は結構ですので、先ほどご答弁がありましたけれども、比較的濃度が高かった三地点を対象に、動向を把握するため、継続して調査をしたということでした。
あくまで調査研究の一環という位置づけだというふうには伺いましたけれども、高い数字が出たところを継続して調査をするということは大事なことだと思います。
この数字をどう見るかというときに、国の基準がないと。もうすぐ国で基準ができるということで、検討中ということで、具体的な検討内容がもうそろそろ明らかになってくるということでしたが、ここは簡潔にお答えいただきたいと思います。具体的な検討状況を伺います。
○志村環境改善技術担当部長 国は、令和元年十二月に有機フッ素化合物の評価等に関する検討会を立ち上げまして、地下水等の水環境におけるPFOS及びPFOAの目標値等の検討を開始いたしました。
今月十日に開催された二回目の検討会では、公共用水域や地下水における目標値をPFOSとPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットルとするとともに、PFOSとPFOAを要監視項目に位置づけるとの案が示されました。
なお、この目標値は公共用水域や地下水の監視強化の観点からの目安として定められたものであり、毒性学的に明確な環境基準値とは別のものでございます。
○里吉委員 目標値は毒性学的に明確な環境基準値とは別ということですけれども、PFOSとPFOA合算値で五十ナノグラム・パー・リットルということで、一定の基準が示されたということです。
この水準で見ますと、いただいた資料ですと、平成三十年度、継続して調査しているところが全て三カ所とも五十ナノグラム・パー・リットルを超えているということで、ここの調査は引き続きされるということは重要だというふうに考えます。
同時に、横田基地周辺での環境汚染問題が心配されているわけです。我が党の代表質問に、横田基地周辺で泡消火剤等の流出について国は承知していないと聞いていると。これは環境局さんではないですけれども、そういう答弁もあって、これどうなんだと。横田基地の中は調べられないし、外はどうやったら調べられるのかということになっているわけです。
環境局として、周辺自治体からぜひ調査していただきたいという依頼があった場合は、基準となる数字も出てきたわけですから検査できるのかということで伺いたいと思います。
○志村環境改善技術担当部長 PFOS等の有機フッ素化合物は、泡消火剤だけではなく、半導体の製造や撥水加工の原料等として幅広く使用されておりました。
そのため、都内では島しょを除く全ての区市町村において、地下水からPFOS、またはPFOAが検出されており、その原因を特定することは容易ではございません。
都は、国の動向や都内全域で実施した地下水調査の結果等を踏まえた調査を行ってまいります。
○里吉委員 原因がはっきりしていないということで、調査は特にするということにはならないというお答えだったと思うんですね。
今行っている調査は、あくまで調査研究の一環として調査を続けているということで、いろいろお伺いしたんですけれども、明確にこの地域で何かが流出したという事故があって、地下水が汚染されたということがあれば調査はするかもしれないけれども、なかなかそういうことでなければ調査対象にはならないということだというふうに思いました。
現時点では、基準もないので、監視対象にもならないということも伺いました。これは、一方で飲料水の話ですけれども、水道局が稼働中の浄水場などで有機フッ素化合物の検査をずっと実施していた中で、多摩地域の浄水場の原水でアメリカの基準である七十ナノグラム・パー・リットルを超える値を検出したということで、報告されたわけです。これは、横田基地内の泡消火剤流出事故が原因ではないかというふうに報道がされているということだと思います。
環境局としては、現在は地下水の調査を行う基準はないと。今後、基準としてPFOSとPFOAを足して五十ナノグラム・パー・リットルという一定の水準が決められるわけですけれども、そういうふうになった場合には、これは監視の対象となるということだと思うんですね。
改めて伺いますけれども、PFOS等がきちんと正式に要監視項目に位置づけられた場合には、例えば地下水調査の実施に当たっては、それぞれの区市町村で調査をされると思うので、この場所で、この地域で、一つ一つの自治体は広いですから、そういった意向を踏まえて、測定地点を選定するなどしていただきたいと考えますが、環境局の見解を伺います。
○志村環境改善技術担当部長 現在、国において検討されているのは、基準値や指針値ではなく、目標値でございます。
なお、要監視項目に位置づけられている物質の地下水等の水質測定に当たりましては、区市町村と調整の上、調査地点を選定しております。
今後、PFOS等が要監視項目になった場合においても同様に対応してまいります。
○里吉委員 いわゆる環境基準みたいなものではなくて、あくまでも要監視項目ということに位置づけられた場合には、これまでも要監視項目として幾つか調査項目になっている物質がありますから、それと並んで調査の対象になるということで、毎年の調査ということではないというふうには伺っておりますけれども、ぜひ地元自治体と調整していただいて、地下水の調査をしていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
次は、これも重なっているところははしょりながらやりたいと思いますが、廃プラの問題について質問したいと思います。
今回の計画、プラスチック削減プログラムは、先ほど来お話がありましたように、CO2排出の観点がきちんと示されているということで、重要な観点が示されているというふうに思っています。
深刻な温暖化の進行、そして海洋プラスチック問題に見られる地球規模でのプラスチック汚染の危機的な状況を受けて、これらの問題解決のために国際的な取り組みが次々と進んでいる。そんな中で、プラスチック削減プログラムも、CO2排出削減の観点から廃プラスチックの削減の必要性についてきちんと述べているというふうに思っております。
特に、きちんと図柄つきで、私たちは都内での消費活動や事業活動で大量のプラスチックを使っているけれども、プラスチックを生産する過程でもCO2がたくさん排出されている、その多くは都外である。だから、都内のCO2排出量としては算定してこなかった。また、廃プラとなって処分されるときも都外で焼却されるなど、その処分されるときのCO2排出量も同様に算定されてこなかったということも示して、都外も含めて、私たちがプラスチックを使うことによるCO2排出がいかに多いか、これをどうやって減らしていくことができるのかということを提起している。この視点がすごく重要だというふうに思います。
プラスチックを製造するところから、使い終わって廃棄するところまで、全体を通じてCO2を排出している。これを減らしていくためにどうしたらいいのか、こういう問題提起をされている中で、今回、都はプラスチック削減プログラムで、この削減目標を家庭と大規模オフィスから排出される廃プラスチックの焼却量の削減目標四〇%というふうに設定しておりますけれども、この四〇%の根拠をお伺いします。
○宮澤資源循環推進部長 国は、昨年五月にプラスチック資源循環戦略を策定し、二〇三〇年までに使い捨てプラスチックを累積で二五%の排出抑制を図った上で、容器包装プラスチックの六割をリユース、リサイクルする目標を掲げております。
都における二〇三〇年目標は、国が目標とする水準に加えて、国内でトップレベルの再生利用率を誇る多摩地域のレベルにまで都全体を引き上げることを目指すとともに、資源利用に伴うCO2削減を図る観点から、廃プラスチックの焼却量、四〇%削減という目標を設定したものでございます。
○里吉委員 国のワンウエープラスチックを累積で二五%削減ということが国の目標にもあるということで、ここにも書かれているわけですけれども、私も直接、環境省の担当の方にお話を伺いました。
何をもって累積というのかという説明を聞いたんですけれども、なかなか理解が難しかったんですね。以前から削減の努力をしてきた、例えばペットボトルを薄くする、つまり使うプラスチックを減らす、そういう努力をしてきたところも考慮するべきじゃないか、こういう説明でした。
結局、数字として二五%削減というけれども、なかなか数字として抑えることは難しいですよね。簡単にいうと方向性を示したということなんだというふうに、電話の対応ですけれども、そういうふうにおっしゃっていました。
今使われているワンウエープラスチックの総量を二〇三〇年までに二五%減らす。例えば今使っているワンウエープラスチックが一〇〇だとしたときに、十年後は七五まで減らすという意味だったとしても、私はまだ不十分ではないかと思うわけです。
現在、EUは使い捨てプラスチック食器や発泡スチロール容器を禁止する、そういった新規制案が出て、二〇二一年までに各国で法制化するということで、まちにあふれているプラスチック製品のうち、まずワンウエープラスチック、使い捨てプラスチック、身近にあるプラスチックをどんどん使用を禁止して違うものに置きかえていこうということが広がっているわけです。
ですから、ワンウエープラスチックをどれくらいリデュース、発生抑制させるのかということについては、東京都としてもきちんと明確に目標を持っていただきたいということを要望しておきます。
発生抑制のためには、リサイクル量をふやすことで、どうやっていくのかということについては、熱回収の割合を減らすことが重要で、そのために具体的にどういうふうに進めていくのかということについては先ほど答弁がありました。
特に三多摩に比べて、熱回収が多い二十三区ですよね。そういうところで一般廃棄物である家庭ごみのうち、プラスチックが多く燃やされているわけですから、清掃工場における焼却熱回収を減らしていく、プラスチック製容器包装のリサイクル率を高めていくことが大事だということでした。
先ほど聞いた焼却量四〇%削減というのも、国内でトップレベルの再生利用率を誇る多摩地域のレベルまで都全体を引き上げることで実現できる目標だというご説明でしたから、三多摩でできることだから都内全域でできるだろうということでこれをやっていくというご説明で、来年からはそのためにいろいろな施策を進めるということでプラスチック製容器包装の分別収集を拡大する区市町村に対して、調査費や分別のための分別収集の経費を補助すると。既に分別収集に取り組んでいる区市町村もリサイクル率の向上になるような支援をするということでした。
改めて、一点だけ確認したいんですけれども、このリサイクルの中にはサーマルリサイクル、熱回収は含まれていないということでいいんですよね。もう一度、確認します。
○宮澤資源循環推進部長 ご指摘のリサイクルには、清掃工場において廃棄物として焼却し、熱回収するいわゆるサーマルリサイクルは含まれておりません。
○里吉委員 それで、私、これ、東京都に強く要望したいんですけれども、何でこの二十三区のサーマルリサイクルが続いているかといえば、大もとには、やっぱり国が熱回収、サーマルリサイクルをリサイクルだといって認めているということがあると思うんです。
エネルギー回収といいますけれども、世田谷区の資料を見せてもらいましたが、二十三区清掃工場の発電効率は、おおむね二〇%前後です。生ごみと一緒に燃やしますから、熱回収するといっても本当に効率は悪いわけですよね。
一方で、火力発電は平均四三%、中には六〇%を超えるものもあるわけで、CO2も排出し、効率も大変悪いプラスチックを燃やすという行為は、リサイクルではないんだと。これは外して廃プラのリサイクル率を上げなくちゃいけないんだということを、東京都としても、東京都の方針にしていることはすばらしいと思うんですが、国に対しても求めていただきたいということは要望にしておきますので、お願いしたいと思います。
次に、家庭とともに大規模オフィスなんですけれども、ここもリサイクルを進めるために分別を徹底することが大事なんですけれども、3Rアドバイザーによる助言、これがちょっと先ほどの説明でもよくわからなかったんですけれども、廃プラスチック、オフィスでも一応資源ごみとして出すときに分けることにはなっているんですよね。それが、私が住んでいるところですと分けて出すことができないので、一緒にして出すわけですけれども、企業の中は分けて出すことになっているはずなんですよね。
それがどうしてそうなっていないのかということについていろいろ調べたら事業ごとに違ったということで、3Rアドバイザーが行くんだということなんですが、実際にその方たちというのはどういうことをやるのか、今、何が課題だと思われているのか、伺いたいと思います。
○宮澤資源循環推進部長 都はこれまで、オフィスビル等から排出される事業系廃棄物について、区市町村との共同検討会における事業系ごみのリサイクル促進に向けた議論や、事業系廃棄物の3R促進に係る実証事業等を通じて実態を把握してまいりました。
その結果、オフィスビル等では各テナントが個別に廃棄物を排出しているため、ビル単位での分別の徹底が行われにくいこと、また、廃棄物の保管場所も限られていることなどの課題があり、ごみの分別、リサイクルが進んでいないことがわかってまいりました。
そこで、事業系廃棄物の3Rの促進に向け、来年度、廃棄物に関する知見を有するアドバイザーによる事業者への助言等を試行的に実施し、オフィスビルの業態や管理実態等に応じた効率的な分別、リサイクルの徹底を促してまいります。
○里吉委員 先ほどの話とかぶるんですけれども、自宅でちゃんと分別している人は、会社でできるはずだという話が先ほどありました。
逆に、自宅でやっていない人は会社でもやっていないんじゃないかということもあって、それはなかなか会社だけで徹底するというのは大変で、二十三区もちゃんとプラごみは分けて捨てるように、お子さんとか本当に困るわけですよね、学校でプラごみは資源だよと習うのに、うちでは紙ごみと一緒に捨てるわけですよね。
だから、国の方針がちょっと矛盾しているというのがあると私は思っているんですけれども、そこを徹底していくということが大事で、そういう意味では3Rアドバイザーが行って具体的な対応をするということも大事ですけれども、思い切って、家でも、職場でも、プラスチックはごみとして捨てない、回収するということをどうやったら徹底できるのかというのは、家庭と事業所と一体に環境局では考えていただきたいなというふうに思います。
現在の国のリサイクル率、二八%なんですよね。熱回収が五八%、これを本当にリサイクルに回していくというのは並大抵のことではないと私は思っています。きちんと分別できなければ、汚れたまま捨てれば、結局、焼却に回すことになるわけですから、分別の重要性、オフィスでごみを出す場合にも理解してもらうということは本当にどういうふうにしたらいいのかというのは、いろいろと試行錯誤が必要だと思いますけれども、私はその一つの案は、家庭でもちゃんと分別できるようにするということもあると思っております。
それから、プラスチックのことで、都庁の取り組みはもう聞きましたので、省略しますけれども、都庁のごみ削減のことで一言だけ、意見だけ申し上げておきますと、都庁のごみを減らす、ワンウエープラスチックを減らすというときに、これですね、東京都グリーン購入ガイド、ことしの二月二十日施行のがありますけれども、ここではイベントでワンウエープラスチック製品の使用を削減することというふうにあるんです。これ、ちょっと書き方がどう変えたらいいのかわからないのですけれども、ワンウエープラスチックは原則使用しないことぐらいのことが東京都としては求められているのではないかなと思います。
ワンウエープラスチック容器包装の利用は、日本は世界で二番目に多いといわれているわけですから、これを減らすというのは本当に意識改革が必要で、東京都では、イベントのときには使わないというぐらいの改革をしていただきたいというふうに要望しておきます。
最後に、現在、家庭から出る廃プラスチックについては、容器包装以外は全くリサイクルの制度はありません。焼却処理されていると思われます。今後は、こうしたプラスチックの回収を行って材料リサイクルできるように仕組みをつくっていくことが必要だと思われます。
国に検討を求めるとともに、都としても民間企業や大学などとも協力して、容器包装以外のプラスチックをリサイクルしていくために、積極的に研究など、取り組んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。
○宮澤資源循環推進部長 都は、国に対して、容器包装リサイクル法の対象とされていない使い捨てプラスチック製品についても、同様にリサイクルを推進するよう提案要求を行っております。
既に都においては、店頭回収されたペットボトルや事業活動に伴って排出される使用済み小型電子機器等について、再生利用指定制度を活用し、事業者による自主回収やリサイクルを促進しております。
加えて、ポリエステル製の衣服を店頭で回収し、適切にリサイクルを行う場合には、古紙や瓶、缶等と同様、廃棄物処理業の許可なく収集運搬を可能とするなど、事業者がリサイクルに取り組みやすい仕組みとしております。
また、物品調達時のグリーン購入を通じて、環境に配慮した製品の普及を図り、メーカー等に対して、廃棄物になった際のリサイクルを容易にするような製品開発を引き続き促してまいります。
○里吉委員 東京都として、既に国にも要望しているし、いろいろ努力されているというご答弁でした。
今、いろいろと東京都がプラスチック削減のために努力を始められているということはよくわかっているつもりなんですけれども、今、リユース、リサイクルよりも、とにかく脱プラスチック、リデュース、発生抑制が本当に求められているというふうに思うわけです。
例えば、ニューヨークでもリサイクルができない発泡スチロール製の食品容器とか、こん包の緩衝材の使用禁止を決めるなど、ヨーロッパだけでなく世界各国で脱プラスチックの流れが強まっています。
昨年六月に東京で発表されたメイヤーズ・サミット・コミュニケでも、ゼロウエースト、廃棄ゼロに向けて、3Rや環境に配慮した廃棄物処理をさらに推進するというふうにうたっています。
そこでは、埋め立て、焼却を三〇%まで減らすという目標なんですよね。一般廃棄物の七〇%を埋め立て、焼却以外の方法で処理していますから、そういう意味では、本当に一番にプラスチックを減らすということが求められています。
東京都は、国に対していろいろ要望しているということを今お伺いしましたけれども、脱プラスチック、発生者責任、発生元、生産者元の責任もきちんと明確にして、全体としてプラスチックを生まない、別のものにかえていく、そういう努力が必要だと思います。
そういったことについて、国に積極的に働きかけていただくことと、あわせて都として脱プラスチックの取り組みを進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
○細谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時十二分休憩
午後五時三十四分開議
○細谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○滝田委員 よろしくお願いいたします。
昨年の事務事業質疑の冒頭で、私の考えとしまして、東京の長期的に目指すべき姿において、環境分野での三つの方向性について述べました。
一つは、ゼロエミッション都市の実現、二つ目は、特に再生エネルギー分野の拡大を目指し、成長戦略としての環境政策への転換をするべきではないか、三つ目は、水、緑、大気など、世界の都市間競争の中で、競争力のある魅力的な都市環境を形成していくという観点を述べました。
この中でも、特に緑、都市から緑が失われ続ける状況から転換をして、あらゆる機会を持って、公有の緑、民地の緑をふやしていく取り組みを進めるべきと考えます。
未来の東京戦略ビジョンでは、緑あふれる東京や、多摩・島しょにおける緑施策などが盛り込まれています。これらは緑や貴重な自然環境を積極的に確保し保全していくという姿勢のあらわれだというふうに思います。
そこで、未来の東京戦略ビジョンに掲げている緑あふれる東京の実現や自然の恵みの発信などの施策展開に向けて、意気込みを含めまして、環境局長の見解をお伺いしたいと思います。
○吉村環境局長 都はこれまで、丘陵地などの良好な自然地を保全地域として指定するとともに、緑化計画書制度によって、民間の再開発等の機会を捉えて、都心に働き、暮らす方々にとって身近な都市緑化を推進するなど、緑の保全と創出に取り組んでまいりました。
また、多摩の森林再生やエコツーリズムなどの取り組みも進めてきたところでございます。
今回の未来の東京戦略ビジョンでは、こうした取り組みをさらにブラッシュアップして、例えば保全地域については、指定面積に初めて目標を設定して指定拡大を図るほか、緑化計画書制度についても従前の緑の量的な底上げに加えて、質の向上の視点も加えて、約十年ぶりに見直しを進めるなど、都民が身近に感じられる緑あふれる東京プロジェクトを推進することを盛り込ませていただきました。
また、大都市東京に生活する方々にとっては、ふだんはなかなか東京の自然を身近に体感することは難しいのが現実であります。私は、ぜひともそういった方々にこそ東京の自然の魅力を発信していきたいというふうに考えております。
こうした観点から、先ほども質疑にございました都内三カ所目となるエコツーリズム事業を開始して、三宅島雄山の魅力を発信するとともに、バーチャルリアリティーを活用して、都心にいながらにして東京の自然公園の魅力を感じていただける新たな情報発信の事業も開始いたします。
ゆとりと潤いのある都市、そして世界の人々や企業から選択される東京を実現するため、戦略ビジョンに掲げた政策を、関係各局はもちろんのこと、区市町村や民間事業者、NGOなどともしっかり連携して強力に推進してまいります。
○滝田委員 局長からの力強いご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
各局や区市町村、民間との連携が非常に重要でありますけれども、緑や貴重な自然環境の積極的な確保、保全をお願いしたいというふうに思います。
お話しいただきました幾つかの取り組みの中で、保全地域についてのお話がありました。これは大変期待をしておりまして、まず保全地域について、保全地域指定の意義とともに、これまでどのように保全地域を指定し、公有化してきたのかお伺いをしたいというふうに思います。
○近藤自然環境部長 保全地域とは、自然保護条例第十七条に基づき、都内に残された貴重な自然地の保護と回復を図るため、都が指定する地域でございます。
昭和四十八年四月の制度創設以来、四十七年間に都は山地や丘陵地の緑地など五十カ所、面積にして約七百五十八ヘクタールを保全地域に指定しており、開発行為から貴重な自然を守ってまいりました。
保全地域は、多様な動植物が生息、生育する里山保全地域など、その地域の特性に応じ、五種類に分類して指定しております。保全地域に指定すると、建築物等の新築、増改築や土地の形質変更等の行為が制限されるため、土地利用制限の代替措置として、都は自然保護条例第三十四条に基づき、地権者からの申し出がある場合に土地を買い取る義務がございます。
平成三十年度現在の公有地の面積は、保全地域に指定した約七百五十八ヘクタールの八四%に当たります約六百三十八ヘクタールでございます。
○滝田委員 保全地域は五種類あるということで、答弁のあった里山保全地域のほかには、自然環境保全地域、森林環境保全地域、歴史環境保全地域、緑地保全地域が条例に記載をされておりまして、私の理解としましては、特に里山保全地域や、身近な緑地ということで緑地保全地域につきましては、市街地の際でありますので、開発の圧力にさらされているということで、適切な保全が重要であるというふうに考えております。
続けてお伺いしたいというふうに思いますが、長期戦略ビジョンでの記載も踏まえまして、保全地域の指定、公有化に向けて、来年度はどのような取り組みをしていくのか、予算の確保も含めてお伺いしたいと思います。
○近藤自然環境部長 都は、丘陵地等の良好な自然地を二〇五〇年度までに新たに百ヘクタール程度保全地域として指定し、公有化してまいります。
この目標を達成するため、今年度、約十四億円の予算を来年度は約二十億円に増額し、保全地域に指定した後に必要となる公有化に確実に対応してまいります。
○滝田委員 今回、先ほどご答弁ありましたけれども、三十年間で百ヘクタールという新たな目標を設定しておりまして、これまでの保全地域の指定、公有地化のお話を聞きますと、このように目標設定をして進めていくというのは、これまでの取り組みから大きな転換であるということで、環境局として緑や貴重な自然環境を積極的に確保し保全していくという姿勢のあらわれだというふうに思っております。
昨年十二月に、我が会派から知事にご提案をいたしました長期戦略への提言におきましても、目指す姿の三本柱の一つとして、自然と都市の融合というテーマを掲げさせていただきました。
ゼロエミッション東京やグリーンインフラの推進といったこともありますし、あるいは緑、水辺、空などの自然と都市との融合を進めるということを主要な内容として提言をいたしました。
特に緑については、緑や自然の保全、緑の量の確保、緑の質の向上、緑に身近に触れられる緑へのアクセスという視点も入れて取り組んでいただきたいということを要望しております。
環境局だけではなくて、都市整備局、建設局、産業労働局などとも連携をしながら進めていく施策でありますが、来年度の長期計画の策定ということを見据えまして、我が会派としてもしっかりとこの緑の施策というものを後押ししていきたいというふうに思います。
長期戦略ビジョンには、次世代に引き継ぐ東京の未来の森ということも提案されています。産業労働局の担う部分が多いんですけれども、環境局所管の部分についても確認をしたいというふうに思います。
環境局の担う多摩の森林再生事業は、手入れの行き届かなくなった人工林について、民有林を対象に、所有者と協定を結び、間伐を行うことで、水源涵養等の機能を回復していくという事業でありますけれども、これまでの事業期間と予算規模、あわせて来年度の計画についてお伺いしたいというふうに思います。
○近藤自然環境部長 環境局では、森林所有者と二十五年間の協定を締結し、協定期間中に二回間伐を行う多摩の森林再生事業を平成十四年度から実施しております。
平成三十一年度までの十八年間で約八十一億五千万円の予算計上がなされており、対象九千ヘクタールのうち、平成三十年度末時点で約七千五百ヘクタールについて協定を締結し、事業を実施してまいりました。
令和二年度は、約五億三千万円の予算を計上しており、一回目と二回目を合わせて六百二十五ヘクタールの間伐を予定しております。
○滝田委員 伐採、利用、植栽、保育という森林の循環というものは非常に重要でございまして、先日の予算特別委員会でも、私の方からそれを担う人材育成について産業労働局の方に問いました。
環境局が担っている九千ヘクタールの手入れというものも、水源涵養であったり、あるいは土砂の流出の防止などに寄与する、地道ではあるんですけれども、非常に大切な取り組みでありますので、引き続き着実に進めていただければというふうに思います。
次に、戦略ビジョンには、豊かな大自然の映像を都心部でVRを用いて体験して、自然公園の魅力を広く発信するというふうにありますけれども、取り組み内容と意義づけについてお伺いをしたいというふうに思います。
○近藤自然環境部長 都は、誰もが訪れ、誰もがかかわれ、誰からも理解される自然公園を目指し、その取り組みとして、東京の自然公園が有する魅力の発信、多様な主体との連携に努めることとしております。
平成三十年に自然公園ホームページを大幅リニューアルし、四季折々の写真を多用し、視覚に訴えるとともに、自然情報だけではなく、各地域の文化や伝統を紹介するなど、自然公園の魅力をわかりやすく発信してまいりました。
令和二年度、都心部で開催されるイベント等において、バーチャルリアリティーを活用した自然公園体験を実施いたします。
具体的には、装着型ディスプレーを使って、多摩地域の山岳や島しょ地域の美しい海等を体感してもらうとともに、自然公園利用ルール、安全情報、動植物の情報等を提供いたします。
こうした先進技術を用いて、自然公園の魅力に触れる機会をふやすことで、今まで自然公園に興味がなかった層や、障害等があり現地に行けなかった方に関心を持っていただくよう、自然公園のすばらしさを訴求してまいります。
○滝田委員 先進技術の活用ということにつきましては、ぜひ各分野で挑戦をしていただきたいというふうに考えております。
一方で、魅力の発信という観点だけでは、ちょっと意義づけが弱いのではないかということも指摘をさせていただきたいと思いまして、障害をお持ちの方という話がありましたけれども、例えば障害をお持ちの方であったり、ご高齢であったり、介護を必要とする方などが現地に行けないけれども、直接自然体験はできないのだけれども、遠隔で楽しむことができるといったことも非常に価値が高いものでありまして、そういったことも、より訴求されてはどうかなというふうに思います。
また、将来的には、障害者施設であったり高齢者施設などでも活用できるということも十分にあり得るというふうに考えています。
また、VRもいいんですけれども、ARという考え方もありまして、ARは自然体験との親和性が高いと私は思っております。
例えば、動植物にARのアプリをかざすと、動植物の名前であったり、あるいは特徴、希少性などのストーリーが表示されるといったこととか、なかなか最近子供たちに伝えられていないような知識のサポートをするといったこととかで、自然体験をより一層楽しめるということも考えられるのではないかというふうに思います。
このVRであったり、ARなどの先端技術の活用方法ということについては、いろんなことが考えられるというふうに思いますので、ぜひさまざまな視点から検討してチャレンジをいただきたいなということを求めておきます。
次に、地元八王子市の谷戸の自然環境についても伺いたいというふうに思います。
東京都では、自然保護条例に基づいて、一定規模以上の開発に当たっては、都の許可を得ることが必要であります。特に一定の規模や必要性がある場合には、有識者で構成される自然環境保全審議会に諮るということになっていると理解しています。
これらの自然保護条例に基づく手続について、改めて内容を伺いたいというふうに思います。
○近藤自然環境部長 都は、自然保護条例第四十七条に基づき、宅地の造成など土地の形質を変更することで自然環境に影響を及ぼす開発行為について、知事の許可を必要とする開発許可制度を運用しております。
開発許可の対象となるのは、一定規模以上の自然地を含む土地であって、市街化調整区域にあっては一千平方メートル以上の土地を、市街化区域にあっては三千平方メートル以上の土地を開発する場合でございます。
また、三万平方メートル以上の土地を開発する場合には、東京都自然環境保全審議会の意見を聴取し、事業者が策定する自然環境の保全に係る計画等に当該意見を反映する必要がございます。
○滝田委員 さて、私の地元の八王子市に川町という地区がございまして、私も先日視察をしてきました。
そこの谷戸、丘陵地が侵食されて形成された谷合いの自然環境でございますけれども、地元の皆様が有識者に確認したところ、ゲンジボタルとヘイケボタルが共存するという貴重な自然環境があるということであります。
この場所に、今、民間事業者が埋め立てを行って、スポーツパークをつくるという構想がございます。
私もサッカーもテニスもやりますので、民間でスポーツができる環境ということをつくるのは結構なことではあるんですけれども、先ほどまで申し上げてきましたとおり、自然や緑の保全がより大きなテーマであるという中で、非常に慎重に考えなければならないというふうに思います。
地元の八王子市は中核市でありますので、市長が都市計画法上の開発許可の決定権限を有していますけれども、この都市計画法上の開発許可と都の自然保護条例の開発許可との関係についてお伺いをしたいと思います。
○近藤自然環境部長 都市計画法の開発許可制度は、防災上の措置を講じることを事業者に義務づけること等により、良好かつ安全な市街地の形成を図ることなどを目的としております。
一方、自然保護条例の開発許可制度は、自然環境に配慮した開発を事業者に促すことにより、開発と自然の保護の両立を図ることを目的としております。
都市計画法を所管する八王子市と自然保護条例を所管する都は、それぞれの制度の目的に従い、開発規制を行っております。
○滝田委員 都が担っている自然保護条例による開発許可制度については、自然環境に配慮した開発を事業者に促すことで、開発と自然保護の両立を図ることが目的というご答弁でありました。
開発そのものは、民間企業である事業者、あるいは地元市において判断する事柄であるというふうにも思いますが、当該事業予定地には、希少な自然環境があるということからも、都としては、その役割である自然環境に配慮した開発となっているのかということについて、しっかりと見ていただきまして、自然環境保全審議会の意見を踏まえて、適切に対応していただくことを要望しておきます。
次に、大気環境について伺いたいというふうに思います。
現在の大気環境に関して、PM二・五の長期環境基準の達成状況や、光化学スモッグ注意報の発令日状況などとあわせて、今後の課題を伺いたいというふうに思います。
○筧環境改善部長 PM二・五につきましては、環境基準が年平均十五マイクログラム・パー・立方メートルとなっており、平成三十年度の状況は四十六局全ての一般環境大気測定局で達成し、自動車排出ガス測定局では、三十四局中三十二局で達成いたしました。
光化学オキシダントにつきましては、環境基準が一時間値〇・〇六ppm以下であり、平成二年度以降、全ての測定局で環境基準を達成しておりません。
また、光化学オキシダント濃度が継続して環境基準の二倍の〇・一二ppm以上となるときに発令される光化学スモッグ注意報は、令和元年に七日発令されております。
PM二・五を初め、NOxやSPM等、他の大気汚染物質はおおむね環境基準を達成していることから、現在の大気環境における課題は光化学オキシダントでございます。
○滝田委員 現在の大気環境の主な課題が光化学オキシダントであるというご答弁でした。
そこで、光化学オキシダントの原因となっている揮発性有機化合物、いわゆるVOCの発生源の特定や対策について、来年度、どのような取り組みを行っていくのか伺いたいと思います。
○志村環境改善技術担当部長 光化学オキシダントの低減には、原因物質である揮発性有機化合物、いわゆるVOCについて、発生源を把握するとともに、効果的な削減対策を実施することが重要であります。
都はこれまで、事業者の自主的なVOC排出削減の取り組みを促進するため、VOC対策ガイドの作成やアドバイザーの派遣など、区市や業界団体等と連携して、中小事業者への支援を実施してまいりました。
こうした取り組みに加え、来年度は未把握となっているVOC発生源の推定や大規模事業者におけるVOC削減対策技術の収集に向けて実態調査を実施いたします。
さらに、ガソリンスタンドでの給油時に発生するVOCを削減するため、VOCの回収が可能な懸垂式給油機の製品化や導入促進に向けたモデル事業を実施いたします。
○滝田委員 来年度、VOCの新たな対策に取り組んでいくという強い姿勢を評価したいというふうに思います。
VOCの排出事業者には中小企業も多く、実態把握とともに、さらなる支援策を講じるなど、取り組みの強化を求めておきたいと思います。
次に、フロン対策です。
ゼロエミッション東京戦略においても、フロン対策、特に老朽化をした業務用冷凍冷蔵空調機器からフロンが漏れている、あるいは廃棄の際にも適切に扱われず、約六割のフロンが回収されていないということが大きな課題として扱われています。
この点については、公明党さんの小磯理事の方で一般質問でも取り上げていただいておりまして、フロンGメンといった踏み込んだご答弁が局長からもございました。
取り組みを強化し、既存の老朽機器について適切な対処をしていくとともに、ノンフロン製品や低フロンの機器などへの早期の転換を促し、フロンの排出量削減に迅速に取り組んでいただきたいと私からも要望をいたしておきます。
私からは、規模感について確認をしておきたいと思いますが、フロンの漏えいのある老朽化した業務用冷凍冷蔵空調機器が現在どれくらい都内にあるのか、把握ができているのか、使用時、廃棄時の対策について、また、それらに対する都の対策事業の規模感についてお伺いをしたいというふうに思います。
○筧環境改善部長 業務用冷凍冷蔵空調機器は、国の資料によると、全国に約一千八百万台の市中ストックがあり、そのうち都内には約二百二十万台が設置されていると考えられます。
また、都内で故障や老朽化による補修などに伴い、フロンを充填した台数は平成三十年で約四万台でございました。
これらの機器の設置管理及び点検整備などにつきましては、十分に把握されていないということから、来年度、実態調査を行い、今後の対策につなげてまいります。
フロン排出量削減に向けた取り組みとして、来年度からフロン漏えい量がCO2換算で一千トン以上の排出事業者、約百二十社の事業所へ全件立入検査を実施し、機器の点検状況や老朽箇所の補修などについて指導を実施いたします。
さらに、業務用の冷凍冷蔵空調機器が設置されていると推計される約四千件の建築物の解体現場の調査及び立ち入り指導を実施し、フロンが適正に回収されているかなどの確認を行うこととしております。
○滝田委員 相当数の機器について、適切な管理、廃棄等のフロンの排出対策を行っていくことが必要ということがわかりました。
ゼロエミッション東京戦略の目標達成に向けた着実な取り組みというものを求めておきたいというふうに思います。
最後のテーマに移りたいと思います。
二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けまして、早期に一層踏み込んだ対策を構築していくことが必要と私は思っていますのは、先ほども質疑の中で出ましたけれども、住宅や事業所の省エネ化、ゼロエミッション化であります。
というのも、耐用年数を考えますと、家電であったり車両などとは異なりまして、今、新築をしている住宅や事業所は、二〇五〇年にはまだ確実に使用しているという非常にシンプルな理由でございます。
都では、規模の大きい建築物や事業規模の大きい事業者については義務化をしている部分も含めて、しっかりとした省エネ基準を設けてきているという理解です。
そこで、まず、住宅や事業所などで新たに建設されている建築物における省エネ化、ゼロエミッション化について、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 建築物は一度建てられれば数十年にわたり使用されることから、建築物を建てる際に、設計段階から着実に環境配慮を進めていくことが必要でございます。
そこで、都は、一定規模以上の建築物を新築、増築する建築主に対し、建築する建物の省エネや断熱性能、緑化や再生可能エネルギー等の環境配慮の取り組みについて記載した建築物環境計画書の作成と都への提出を義務づけております。
本年四月から、この計画書の作成と都への提出対象となる建築物の規模を、延べ面積が五千平方メートル超から二千平方メートル以上に範囲を拡大するとともに、従来の省エネ性能を大きく上回るネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ZEBについての評価を始めることといたしました。
こうしたことに取り組みながら、より多くの建築主に対し環境配慮を促してまいります。
○滝田委員 建築物環境計画書の作成、提出の対象を拡大する取り組みについては評価をするものであります。
一方で、例えばそれほど大きくないワンルームマンションであったり、アパートであったり、中小企業の事業所であったりというものは、省エネ性能が高くないものも建てられてしまうという状況にあるのではないでしょうか。
こうした規模の大きくない集合住宅や事業所の新築に関しての省エネ化、ゼロエミッション化について見解を伺いたいというふうに思います。
○小川地球環境エネルギー部長 建築物環境計画書の作成及び都への提出義務の対象となりません延べ面積二千平方メートル未満の集合住宅や事業所につきましても、本年四月から任意で計画書の作成及び提出をできるようにいたしました。
また、住宅については、省エネや断熱性能を高めました東京ゼロエミ住宅の仕様を満たす新築の戸建て及び集合住宅に対する補助を実施しております。
このほか、建築士や建材メーカー等、設計や建築の第一線で活躍する実務家を主な対象といたしましてZEBや、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEH等の先進的な省エネ建築物の事例を紹介する東京都環境建築フォーラムを開催するなど、建築物の環境性能向上に向けた普及啓発を図っております。
こうした取り組みによりまして、規模の大きくない新築建築物等の一層の省エネ等を促してまいります。
○滝田委員 建築物の省エネ性能ということにつきましては、低コスト化ということや技術革新なども促していく必要があるというふうに思います。
そういった点での促進策ということも必要ですし、あるいは建築物環境計画書の提出義務対象となっていない集合住宅や事業所などに対する支援策、対策の強化ということも検討が必要だということで、ぜひ取り組みを進めていただきたいということも求めまして、私からの質問を終わりたいというふうに思います。
○もり委員 昨年十二月、東京都は気候危機行動宣言として、非常事態というエマージェンシーから、より危機感を示したクライメートクライシス、気候危機という言葉を用いて、具体的行動につなげるための二〇五〇年、CO2実質ゼロに向けて、国に先駆けて方向を打ち出したことを高く評価いたします。
ゼロエミッション東京戦略において、都は、再生可能エネルギーの基幹電力化が掲げられております。
再生可能エネルギーの基幹電力化に向けて、再エネの利用を高めるには、民間の建物においても太陽光や熱利用を標準装備とするようなゼロエミッションビルの拡大が求められます。
東京のCO2排出量の七割以上が建物由来といわれており、二〇五〇年の目指すべき姿として、都内全ての建物のゼロエミッションビル化に取り組むとしております。
そこで、東京都内CO2排出に占める建物割合で最も多いのは四三・六%を占める業務部門となっております。
民間ビルのゼロエミ化に都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都内のCO2排出量の四三・六%を占めるオフィスビル等のゼロエミ化に向けましては、省エネの徹底とエネルギーの脱炭素化が必要でございます。
このため、都は、まず一定規模以上の建築物を新築、増築する建築主に対し、建物の環境配慮を促す建築物環境計画書制度におきまして、省エネ等の評価に加え、本年四月より再エネ利用割合の高い電気の利用についての評価を始めることといたしました。
また、大規模事業所を対象としたキャップ・アンド・トレード制度におきましても、四月より再エネ割合の高い電気を調達した場合に、追加的な削減量として評価するなど、新たなインセンティブを導入することといたしました。
さらに、中小規模事業所を対象とした地球温暖化対策報告書制度につきましても、四月から再エネ利用に関する報告義務を新設し、すぐれた取り組みを行っている事業者を評価、公表することといたしました。
加えまして、再エネ電力販売事業者と都内事業者とのマッチングなど、都内RE一〇〇宣言企業の拡大支援等を行っていくとともに、再エネの地産地消の拡大等を進めてまいります。
こうした再エネを主力とするエネルギーの一〇〇%脱炭素化とさらなる省エネ化を目指しながら、より多くの建物のゼロエミ化を図ってまいります。
○もり委員 民間ビルにおいても、この四月より再エネ割合の高い電力へのインセンティブを高めるなど、ゼロエミ化に向けた取り組みが確認できましたので、ぜひ多くの事業主に利用していただけるよう周知をよろしくお願いいたします。
事業所に次いで多いのが家庭部門です。建物における省エネ化、熱や光を効率的に活用することは、防災や暑さ対策としても有効だと考えます。
ゼロエミッション東京戦略では、二〇三〇年目標プラスアクションとして、家庭におけるゼロエミッション住宅の拡大に向けて、室内での熱中症予防などにも資する、断熱性能の向上等を図った東京ゼロエミ住宅の全面的な普及に向けた導入支援が挙げられております。
来年度予算で何件くらいの規模感で事業の推進をしていくのか、取り組み目標をお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、今年度から、省エネや断熱性能を高めた東京ゼロエミ住宅の仕様を満たす新築住宅に対し、一戸当たり戸建て住宅で七十万円、集合住宅で三十万円を補助する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しております。
来年度予算においては、戸建て住宅で一千九百戸、集合住宅で一千百七十戸の規模で積算し、事務費を含め、今年度予算よりも増額となる約二十一億七千万円を計上しております。
○もり委員 地元の方からは、新築でのゼロエミ住宅に応募したが当たらなかったとの声も聞かれました。事業への都民の関心の高さがうかがえますが、東京都として、二〇五〇年に全ての建物のゼロエミッション化を目標として掲げている以上、できるだけ多くの希望する方に本事業の補助金を活用していただけるよう検討していただくことを要望いたします。
次の質問に移ります。
私も以前、環境政策の視察でドイツのゼロカーボン住宅を視察してまいりました。ドイツでは、二〇二〇年前後で全ての州でカーボンニュートラル住宅とすることが義務づけられており、昼間でも電気をつけずに過ごせるよう、自然光を取り込めるように採光にも工夫がなされ、設置している太陽光と熱利用システムでほぼ電力を賄えるとのことを伺ってまいりました。
また、寒いドイツにおいても、冬でも暖かく過ごせるのは、高断熱により冷暖房の使用を抑えられるということもとても大きな要因であり、世界で標準装備となっている断熱性能において、日本の住宅は約四〇%が無断熱と、断熱性の低さが指摘をされております。
無断熱住宅とゼロカーボン住宅では、先ほどの答弁でも指摘がされておりましたが、消費エネルギーで六倍から十倍のエネルギーを消費してしまうとの試算もあり、既存住宅の高断熱化はとても重要だと考えます。
既存住宅についても、リフォームによって建物のゼロエミ化を進めていくことが重要であると考えますが、都はどのような取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 住宅の内外で熱の出入りが最も大きいのは、窓などの開口部であり、こうした箇所の断熱改修を図っていくことは、住宅のゼロエミ化に向けては重要でございます。
そのため、都は、平成二十九年度から今年度までの三年間で、窓の断熱改修に係る費用の六分の一を補助する事業を実施しておりまして、来年度においては、窓の断熱改修に加え、新たに玄関ドアの断熱改修も対象として、かかる費用の六分の一を補助するなどの支援事業である家庭における熱の有効利用促進事業を予定しております。
また、家庭における省エネ手法を取りまとめたハンドブックに断熱改修の必要性等を掲載するなどして普及啓発を行っております。
こうした取り組みを着実に進め、既存住宅における断熱性能の向上を図ってまいります。
○もり委員 民間の事業所や住宅のゼロエミ化を進めていく上で、都民や事業者の皆様の理解と協力を得ることは欠かせません。
そのためには、都みずからの率先的な取り組みが求められます。どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、スマートエネルギー都庁行動計画を定め、省エネの一層の推進と再エネの導入拡大を図っております。
太陽光発電については、二〇一五年度から二〇一九年度までの五年間で四千二百キロワットを新規導入する目標を定め、二〇一七年度までに二千九百八キロワットが導入されております。
加えて、省エネにつきましては、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、都有施設におけるLED照明普及率を二〇二〇年度におおむね一〇〇%にするという目標を掲げ、全庁的に照明のLED化を進めております。二〇一九年度末におおむね七割に達し、二〇二〇年度には目標を達成する見込みでございます。
こうした取り組みにより、都有施設の温室効果ガス排出量の二〇一七年度実績は、二〇〇〇年度比で一九・六%の削減となっております。
今後、都内産卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力を都有施設で利用する都庁電力プランの実施や、電気のグリーン購入の促進などにより、使用エネルギーの脱炭素化を進めるとともに、庁有車のZEV化を図るなど、率先的にゼロエミッション東京の実現に資する取り組みを実行してまいります。
○もり委員 引き続き、都有施設における率先的な取り組みを進めていただくとともに、区市町村においても、民間をリードするようなゼロエミ化が進むよう、都の一層の支援をお願いいたします。
次に、食品ロス対策についてお伺いいたします。
日本で一年間に発生した食品ロスは約六百四十三万トンと推計され、国民一人当たりに換算すると、一日にお茶わん約一杯分の食品が廃棄をされております。
こうした本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品ロスの削減は、取り組むべき喫緊の課題です。
こうした中、食品ロスの削減の推進に関する法律が昨年十月に施行され、多様な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進していくこと等が求められております。
これに先立ち、都においては平成二十九年九月、事業者団体、消費者団体、有識者が一堂に会した東京都食品ロス削減パートナーシップ会議が設置をされ、これまで食品ロスの削減等について議論が重ねられてまいりました。
現在、パートナーシップ会議では、取りまとめを行う段階とお聞きしましたが、同会議におけるこれまでの議論の成果と、食品ロス削減に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 都はこれまで、パートナーシップ会議において、賞味期限の長い加工食品や外食産業等の食品ロス削減策等について議論を重ねるとともに、会議メンバーである事業者等とも連携して、食品ロス削減に向けたキャンペーン等を実施してまいりました。
現在、同会議では、これまでの議論を食品ロス削減に向けた提言として集約をしております。
提言案では、例えばフードサプライチェーンで発生する食品ロスの削減や家庭における食品ロス予防など、事業者、消費者、行政、NPO等が自主的かつ連携して食品ロス削減に取り組むべき方向性が示されております。
今後、本提言を踏まえ、都における食品ロス削減推進計画を策定するとともに、事業者や消費者等の食品ロス削減に向けた能動的な行動を促す取り組みを推進してまいります。
○もり委員 今後、本提言の取りまとめや食品ロス削減推進計画の策定を進め、各主体との連携のもと、食品ロス削減に向けた施策を着実に実施していただくことを期待いたします。
東京都は、食品ロス削減に向けて、都民一人一人、企業、団体との連携により行動を呼びかけるチームもったいないとして、食品、資源、エネルギーの有効利用に向けて取り組みを進めています。
一方で、先日、日本財団が食品ロスをテーマに十八歳意識調査を行った調査結果が報告され、八割の若者が食品ロスの社会問題化に関心を持ち、食品を残すことはよくないと感じる一方で、日本の食品ロス対策は十分だと答えたのは、わずか五・四%にとどまり、五五・八%は不十分であるとの回答がありました。若い世代へのより一層の周知と啓発も必要であると感じます。
一人一人の関心も高く、地元自治体でも、企業や家庭の賞味期限の迫った食品を募って、フードドライブ、必要とするご家庭や施設へのフードバンク、未利用食品のマッチング事業も始められております。
こうした食品ロス削減に向けた動きは、近年、民間のビジネス分野においても見られるようになり、多くの食品ロス削減に資する事業が登場しております。
例えば、スマートフォンのアプリを活用し、消費者個人にきめ細かい情報を提供するサービスや、気象情報、POSデータ等を用いた需要予測システムの開発が始まっております。
事業者の創意工夫による取り組みは、食品ロス削減を進める上で大変意義あるものであり、都は先進的な取り組みを行う事業者等と連携しながら、食品ロス削減に向けて取り組んでいく必要があると考えますが、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 ICT等の先進的な技術を活用した製品、サービスを利用することは、食品の売れ残り予防や食品を最適発注することができるなど、食品ロス削減に向けて有効な手法でございます。
都はこれまで、賞味期限等の近い商品の購入促進を図る仕組みの構築や気象情報等を用いた食品の需要予測等の実証事業を通して、事業者の取り組みを推進してまいりました。
来年度は、ICTやAI、さらには5Gの活用可能性を見据え、製造、卸、小売、消費の各段階で食品ロスの大幅な削減に寄与する新たなビジネスモデルの創出と社会実装を推進するための実証事業を実施いたします。
実証事業で得られた成果を事業者と情報共有するとともに、消費者へも普及啓発することで、食品ロス削減に向けた取り組みを推進してまいります。
○もり委員 食品ロス削減に向けて、民間事業者による新しいアイデアや取り組みが、個々の事業者の取り組みにとどまらず、フードサプライチェーン全体での取り組みとなるよう、今後とも後押ししていただきたいと思います。
昨年十二月、都が策定したゼロエミッション東京戦略では、二〇三〇年までに食品ロス半減、さらに二〇五〇年の目指すべき姿として、食品ロス発生量実質ゼロを達成するといった極めて意欲的な目標が掲げられました。
フードサプライチェーンが複雑に絡み合う過程で発生する食品ロスは、特定の分野への規制を設けることで解決する課題ではないため、目標の達成は決して容易ではありません。
だからこそ、個々の取り組みのみならず、事業者や消費者等が双方向の対話を通じて食品ロス削減に向けた連携、理解を深化させ、各主体が協調して取り組んでいくことが必要であると考えます。
そのためには、若い世代の行動変容を促す学校教育、市場、産業、生活文化等々の局を超えた連携が求められると考えます。
今後策定する東京都食品ロス削減推進計画のもと、事業者や消費者等の多様な主体と連携を密にしながら、食品ロス削減に向けて積極的に取り組んでいくことを要望し、期待をいたしております。
最後に、再エネ由来CO2フリー水素の推進について質問させていただきます。
本年三月七日に福島県浪江の再生可能エネルギー水素製造拠点がいよいよ開所いたしました。東京二〇二〇大会では、聖火台での水素活用など、浪江の水素を使用することになっておりますが、大会関連以外でも、できるだけ利用することが大切だと考えます。
今後、浪江の水素を利用する具体策を検討すべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 脱炭素社会の実現に向けましては、再生可能エネルギー由来の水素の普及拡大が重要でございます。
都は、浪江町の水素製造設備で実証を行う国の新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOとことし一月に協定を締結し、都施策に対する技術的知見の提供や、より効果的な情報発信等で連携することといたしました。
この協定に基づき、都は、国や関係団体と連携し、東京二〇二〇大会関連以外においても、浪江町で製造された水素をイベント等で活用するなど、具体的な方策を調整してまいります。
こうした取り組みを継続していくことで、再エネ由来の水素の普及を図ってまいります。
○もり委員 先日、三・一一東日本大震災から九年を迎え、原発事故を振り返る特集やFukushima50の映画公開等、福島県において首都東京のエネルギーをつくっていただいたという事実から、東京に住む我々は目をそらすことはできません。
ゼロエミッション東京戦略には、再エネの基幹電力化に加え、再生可能エネルギー由来CO2フリー水素を本格活用することが盛り込まれております。
長い復興への道をともに歩み、再生可能エネルギー水素の拠点として、脱炭素社会を実現する柱となることを願っております。
今後のエネルギー社会は、地域で自立した電力供給を行うことも考えていく必要があります。
例えば、島しょ地域においては、既存の電力供給、石油供給に伴い、高いコストがかかっています。再生可能エネルギーを中心に、水素で安定化させながら、地域で自立した電力供給、オフグリッドの仕組みをつくる次なるエネルギー社会の理想型を目指すべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 ゼロエミッション東京の実現には、化石燃料から脱炭素エネルギーへの転換が不可欠であり、これを実現するには、再生可能エネルギーの基幹電源化とともに、エネルギーを地産地消し、自立して活用していくことが重要でございます。
特に島しょ地域におきましては、発電の大半を遠方から輸送される化石燃料で賄っているため、再エネの利用拡大が有効でございます。
都は、小笠原村及び東京電力と連携し、母島で一年のうち半年程度を太陽光発電のみで電力供給を行う実証に向けた取り組みを進めております。
また、今後、都内において再エネが大量導入されることを見据えますと、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能な水素の調整力としての役割が必要であることから、都は東京都環境科学研究所内に新たに設置した水素蓄電実験システムも活用しながら検討を進めてまいります。
○もり委員 ありがとうございます。既に再生可能エネルギー一〇〇%を達成しているデンマークのサムソ島の事例など、世界からも注目をされております。
ぜひ東京都島しょ地域から再生可能エネルギー一〇〇%アイランドに取り組んでいただき、また、再エネの大規模、長期間のエネルギー貯蔵に向けて、水素蓄電の新たな技術開発の取り組みについても大きな期待を込め、東京から日本を牽引するような再エネ推進の取り組みとなりますよう願い、質問を終わります。
○米川委員 これまでゼロエミッション東京戦略に掲げる取り組み内容について、多くの質疑がありました。
私からは、再生可能エネルギーとZEVの普及について、どのように具体的取り組みを展開していくのかを質問してまいります。
最近、まちを歩いていても、電車に乗っていましても、屋根をよく見るようになりました。太陽光発電を設置するために、よい形、よい方角の屋根だなと見ておりますが、まだまだ設置されていない屋根が多く、普及は道半ばだと思っております。
太陽光発電を導入するには、購入しなければという考えが、都民、また区などの自治体でも根強く、初期費用が高いという固定観念に縛られているのではないでしょうか。私も不勉強でして、このように考えていた一人でもありました。
そうした中、都は、太陽光発電の導入に、リース方式などの初期費用ゼロによる支援メニューを設けたことは画期的なことだと考えております。
そこで、今年度の問い合わせや申し込み状況を含め、事業の実施状況はどのようになっているのかを伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 太陽光発電導入の際に、一時的に生じる初期費用が負担となり、設置が進まないケースがあることから、都は、昨年八月からリースなどにより都民の初期費用の負担なしで太陽光発電設備を設置する事業者に対しまして、一キロワット当たり十万円の補助を行っております。
補助のスキームや実務的な補助条件等につきまして、主に事業者から月に二十件程度のお問い合わせが寄せられております。
二月末現在で、リースや電力販売メニューなどの事業プランを登録した事業者数は十六社となっており、補助申請件数は約二百件、補助申請額は約一億五千万円となっております。
○米川委員 現時点での事業の実施状況について、よくわかりました。
事業単位での量的な寄与度については評価が難しいものと思いますが、こうした取り組みにより、住宅への太陽光発電の設置が進むことが、ゼロエミッション東京戦略に掲げる都内太陽光発電導入の目標達成を後押しすることを期待するものです。
そこで、都民の方が太陽光発電を導入することでどのような効果があるのか、戸建て住宅を参考に伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 補助申請状況を見ますと、戸建て住宅には平均して四・七キロワット程度の太陽光発電が設置される見込みでございます。
年間発電量は約六千キロワットアワーとなり、これは四人世帯の一般的な家庭における年間電気使用量に相当いたします。
○米川委員 家庭で利用するエネルギーにおける再生可能エネルギーの利用比率を大幅に高めることは、災害時にも役立つことから、都民、都内自治体の事業担当者への導入のための理解促進や支援制度の認知度向上が何よりも必要と考えております。
そこで、今年度の状況を踏まえ、こうした周知についてどのように取り組んでいくのかを伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、事業者から提案された事業プランにつきまして、契約手法や都民への補助金の還元スキーム等をホームページでわかりやすく公開しております。
また、これまで区市町村や太陽光発電関連の事業者団体等を通じて補助事業の周知を図ってきたほか、事業プランが登録された設備業者や電気事業者等が主体的な営業を通じまして、事業プランや補助事業について、住宅オーナー等に説明してまいりました。
今後は、さらに区市町村の事業担当者や工務店、リフォーム事業者等へも周知を図るとともに、関係事業者向けのセミナー等でも積極的に発信してまいります。
○米川委員 住宅の屋根の形や設置できる面積によっては、設置した太陽光発電の発電量が少なくなり、現在の電気料金よりもリース料金などが割高になることもあるかもしれません。
しかし、ZEV普及プログラムの一七ページには、災害時におけるZEVの活用が掲載されておりますが、太陽光発電と電気自動車や蓄電池をセットで導入した場合、災害時には、はかり知れない安心感を与えてくれるものと確信しております。
太陽光発電と蓄電池を導入することで、家庭で利用するエネルギーの多くが再生可能エネルギーとなり、ゼロエミッション東京の実現に大きく寄与することになると考えております。複合的な視点で両者をセットとして捉え、進めていただくことを求め、次の質問に移ります。
次に、島しょ地域におけますZEVの普及について伺ってまいります。
昨年十二月、都は、ZEVの普及プログラムを策定し、二〇三〇年に都内の新車販売台数に占めるZEV割合五〇%を目指すとして、さまざまな施策を講じていくこととしております。
島しょ地域においては、平成三十年度に島民や観光客が電気自動車、EVを気軽に体験できるよう、島しょ振興を所管する総務局が主体となり、東京アイランドモーターショーを八丈島や新島で開催しておりますが、その成果は島しょ地域におけるZEV普及の参考になると考えております。
そこで、東京アイランドモーターショーの成果について、環境局として把握、情報共有ができているのかについて伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 東京アイランドモーターショーは、平成三十年度に電気自動車、EVを気軽に体験する機会の創出を目的に、新島及び八丈島におきましてEV等の展示会や試乗会などを行った事業でございます。
各島の参加者へのアンケートでは、例えばEVを購入しない理由として、充電切れの不安を挙げる割合が八丈島で約二一%、新島で約三%と差異があるなど、島の特性把握につながる結果も得られており、ZEVの普及に向けて参考となる事業であったと認識しております。
こうした各イベントの内容や参加者へのアンケート結果など、事業に関する情報を共有した上で、新たに今年度、環境局が引き継ぎ、ZEVの普及を進めております。
○米川委員 東京アイランドモーターショーの結果が共有されていることが確認できました。
環境局では、島しょ地域におけるEVや電動バイクの認知度向上を図るため、希望する島内の事業者を対象に、一定期間EVなどに乗ってもらい、アンケートや実態調査などを行うモニター事業を昨年度は八丈島で、今年度は大島で実施しております。
島しょ地域は、島によって地理的条件や自動車の利用状況などが異なります。大島、八丈、三宅島などの大離島といわれているところと、式根島、利島、御蔵島、青ヶ島の小離島とでは事情は異なりますし、同じ大離島の中でも、三宅と八丈では地形や気候が違うなどさまざまです。
また、私自身も伊豆諸島の三宅島で二年間勤務、そして居住した経験がありますが、島しょ地域では塩害などで車の傷みが早いため、新車を購入するユーザーはとても少ないとも考えております。だからこそ、島しょ地域の共通の実情に加え、各島の実情を調査し、きめ細かく分析し、その上で普及に取り組むことが何よりも重要と考えております。
そこで、今年度、大島で行われているモニター事業は、結果を取りまとめ中とのことですので、既に実施した八丈島のモニター事業について、どのような成果が得られたのかを伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 昨年度のモニター事業では、製造業、卸売業、小売業など、事業者二十社にEVをそれぞれ三カ月間貸与し、業種別にEVの使い勝手や経済性等を検証いたしました。また、EVを営業に利用しているタクシー事業者へのヒアリングをあわせて実施しております。
利用者アンケートの結果では、EVの使い勝手や経済性の評価について、肯定的な意見が大半を占め、ほとんどの利用者から、条件が合えば購入を希望するといった回答も得られております。
一方で、充電切れによる航続距離の不安や、軽トラックや林道走行などに耐え得る四輪駆動車等、車種の多様性を求める指摘、EVの整備、修理体制の心配などが明らかになっております。
○米川委員 八丈島での状況がよくわかりました。
繰り返しになりますが、各島での自動車の利用環境は異なりますので、今年度の大島での成果も期待したいと思っております。
来年度、モニターキャラバン事業という名称で予算要求されておりますが、今年度事業との違いや狙い、進め方など、今後どのように事業を進めていくのか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 来年度実施するモニターキャラバン事業では、モニターの対象を事業者だけでなく個人に広げること、また、モニターとは別に、EV及び電動バイクの展示や試乗の場を設け、より多くの島民にZEVに直接触れていただく機会を拡大することを考えております。
また、来年度実施する島につきましては、これまでモニター事業や類似の事業を実施していない島を選定する予定でございます。
今後は、選定した自治体とも意見交換を図りながら、各島の特性などを参考に、島しょ地域におけるEVの認知度向上に向けて取り組んでまいります。
○米川委員 都が来年度以降の具体的な事業をしっかりと構築し、工夫も加えながら取り組んでいくことがよくわかりました。
ゼロエミッション東京戦略では、今後十年間の取り組みが未来に向けた重要なマイルストーンであるとして、二〇三〇年に向けた十七の主要目標と具体的行動を掲げております。
これらの目標達成はもちろん、二〇五〇年ゼロエミッションという危機を乗り越えるために到達しなければならないゴールに向け、幅広い視点を持ち、迅速かつ大きな変化を伴うアクションを絶え間なく起こしていくことが求められております。
そこで、ゼロエミッション東京戦略に込めた局長の思いを伺います。
○吉村環境局長 ゼロエミッション東京戦略の策定に当たりまして、私がまず念頭に置いたのが、東京の経済成長、そして都民の豊かな暮らしとCO2削減との両立でございます。
脱炭素化を支えるテクノロジーは、日々刻々と進化しており、最新の技術をいち早く活用することによって、まちづくりや都市の活力と脱炭素化を両立させ、東京の経済成長を損なうことなく、ゼロエミ東京の実現に向けて、施策を毎年ブラッシュアップし、また、この戦略もバージョンアップを重ねていくことが重要だと考えてございます。
こうした基本認識のもと、戦略では二〇三〇年に向けたリアリティーのある具体的な行動、きょうの質疑でも幾つかご議論がございましたけれども、再生可能エネルギーやZEV、プラスチック対策など、具体的な行動を示した上で、さらに二〇五〇年に向け、二〇三〇年以降の飛躍的なステージアップに必要と考えられるシステムやイノベーションについても提示しています。
例えば、エネルギーの大消費地である東京のゼロエミッションを実現するには、エネルギー供給の脱炭素化が欠かせません。
戦略では、再生可能エネルギーの基幹電源化と水素エネルギーの普及拡大を二つの柱として、短期的な視点にとどまることなく、長期的な展望に立って、重層的、複合的に推進していくこととしております。
特に水素は、出力が不安定な再エネ電力が大量導入された際の調整力として、LNG発電にかわって、CO2フリーのエネルギーとして有望なだけでなく、将来的にはメタネーション等の新しいテクノロジーによって、都市ガスの脱炭素化、あるいは鉄鋼生産の際の還元剤としても活用が期待されているところでございます。
また、グローバルな視点からは、将来、コストの安い海外の再エネ等を活用したCO2フリー水素エネルギーを輸入し、ゼロエミッション東京を支える基幹的なエネルギーの一つとしていくことも展望しております。
このように、現時点で我々の持ち得る知力を結集させて戦略をまとめたつもりではございますが、ゼロエミッション東京は、我々行政の力だけで実現できるような生易しいものではないというふうに認識しております。
戦略に示しました個々の施策だけを積み上げればゼロエミッションの目標が達成されるというような性格のものではなくて、実現のために最も重要なのは、都民や事業者の皆様に共感をいただき、ゼロエミッションの実現に向けてライフスタイルを見直していただき、協働していただくことだというふうに考えております。
だからこそ、今回の戦略の公表に当たって、知事から気候危機行動宣言を発していただき、広く全ての都民や事業者に対して気候危機に立ち向かう共感と協働を呼びかけていただきました。
この共感と協働をキーワードに掲げ、都民の皆様、事業者の皆様のご協力のもと、この難題の解決に向けて行動を起こし、ゼロエミッション東京の実現に向けて努力してまいります。
○米川委員 大変力強い思いを伺うことができました。東京、日本にとって絶対必要なものです。ぜひ今後もバージョンアップを重ねながら、都民や事業者とも一丸となって、ゼロエミッション東京を実現していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○細谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細谷委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時三十五分散会
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