環境・建設委員会速記録第十六号

平成三十年十二月十四日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長栗下 善行君
副委員長関野たかなり君
副委員長里吉 ゆみ君
理事米川大二郎君
理事上野 和彦君
田村 利光君
細田いさむ君
原田あきら君
やながせ裕文君
西沢けいた君
平  慶翔君
入江のぶこ君
森村 隆行君

欠席委員 一名

出席説明員
環境局局長和賀井克夫君
次長吉村 憲彦君
総務部長谷上  裕君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務若林  憲君
政策調整担当部長松本 明子君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
都市エネルギー推進担当部長村山  隆君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長近藤  豊君
自然環境部長須藤  栄君
緑施策推進担当部長金子  亨君
資源循環推進部長松永 竜太君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務風祭 英人君
建設局東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
次長片山  謙君
道路監三浦  隆君
総務部長今村 篤夫君
用地部長政策調整担当部長兼務関  雅広君
道路管理部長杉崎智恵子君
道路建設部長奥山 宏二君
三環状道路整備推進部長大庭 孝之君
公園緑地部長日浦 憲造君
河川部長村井 良輔君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務花井 徹夫君
総合調整担当部長鹿田 哲也君
道路保全担当部長加藤 直宣君
道路計画担当部長田中 慎一君
公園計画担当部長細川 卓巳君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第二百二十七号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約
・第二百二十八号議案 小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約
・第二百二十九号議案 北十間川護岸建設工事(その三)請負契約
・第二百三十号議案  神田川整備工事(その二百十一)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百三十四号議案 東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百一号議案 平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為 環境局所管分
・第二百十七号議案 東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
・第二百十八号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都における気候変動対策に係る主な制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、建築物環境計画書制度)

○栗下委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○栗下委員長 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年十二月十二日
東京都議会議長 尾崎 大介
環境・建設委員長 栗下 善行殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百二十七号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約
 第二百二十八号議案 小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約
 第二百二十九号議案 北十間川護岸建設工事(その三)請負契約
 第二百三十号議案 神田川整備工事(その二百十一)請負契約
2 提出期限 平成三十年十二月十四日(金)

○栗下委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十七号議案から第二百三十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る十一月二十八日の当委員会において、契約議案に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料の表紙をおめくりいただきますと、目次に四件の資料の件名が記載してございます。
 一ページをお開きください。綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約における入札経過でございます。
 この資料は、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
 二ページをごらんください。小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約における入札経過でございます。
 この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
 三ページをごらんください。北十間川護岸建設工事(その三)請負契約における入札経過でございます。
 この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
 四ページをごらんください。神田川整備工事(その二百十一)請負契約における入札経過でございます。
 この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗下委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○細田委員 それでは、私からは、護岸耐震補強工事の中で、小名木川、そして綾瀬川の耐震補強工事についてお尋ねします。
 東京都は、平成二十四年の十二月に東日本大震災を受けまして策定した東部低地帯の河川施設整備計画に基づいて、河川施設の整備、耐震、耐水対策工事を進めております。この計画の対象である水門より内側の護岸工事、約四十六キロメートルは平成三十三年度までに対策する、このような計画になっております。
 私の地元の江東区にも、本契約の案件にもあります小名木川など耐震対策が必要な河川が多くありまして、首都直下地震の切迫性を踏まえれば、まさに工事の実地を着実に進めていくことが都にとって肝要でございます。
 さて、地元の小名木川と、この東部低地帯の中でも対策延長の長い綾瀬川におけます護岸の耐震対策の進捗状況については現段階でどうなっていますでしょうか。いかがでしょうか。具体的にお尋ねをいたします。

○村井河川部長 小名木川、綾瀬川の護岸耐震補強工事は、想定される最大級の地震が発生した場合におきましても、浸水防止機能を保持し、津波などによる浸水を防止するため、護岸の補強を図るものでございます。
 小名木川の進捗状況は、計画延長二・七キロメートルのうち、平成二十九年度までに約一キロメートルの区間におきまして耐震補強工事に着手しております。本契約案件、約〇・五キロメートルを含めまして、三十年度末までには計画延長の約五割を事業化することとなります。
 綾瀬川の進捗状況は、計画延長十一・二キロメートルのうち、二十九年度までに約六・七キロメートルの区間におきまして耐震補強工事に着手しております。本契約案件、約〇・三キロメートルを含めまして、三十年度末までには計画延長の約七割を事業化することとなります。

○細田委員 小名木川に関しては計画延長の約五割、また綾瀬川に関しては七割と着実に進んでいる、このようなご答弁でありました。
 小名木川では、不法係留船が河川整備の支障となっております。整備工事を着実に進めるためにも、不法係留船対策が大変に重要でありますということを本年の予算特別委員会でも私は指摘をさせていただきました。
 不法係留船は、治水、船舶航行の支障、また環境、景観への悪影響も及ぼす、また河川整備の支障にもなっている。整備工事を着実に進めるためにも、この不法係留船の対策というものが肝要、重要でございます。
 都のこれに対する取り組みについては、都の船舶の係留保管の適正化に関する条例に基づいて、不法係留船の所有者に対して指導、警告を強化しながら、あわせて受け皿となる係留保管施設を整備する、このことによって適正化を進めること、これが一つであり、二つ目としては、平成三十年度以降に工事を予定しているこの区間、約三十五隻の不法係留船がある、このことを明らかにしていただきました。
 これは地元区、江東区とも連携して、船舶の自主撤去や廃棄処分などしっかりと指導している、またこれからも指導していく、こういうようなことで対応をしていただけると思っております。
 また、本年の三月には、条例による重点化、適正化区域に加えまして、河川法に基づいて船舶放置行為に罰則を適用する、そういう河川にも指定していただいたと理解しております。
 そして四点目に、この不法係留船の所有者に対しての指導、警告を行って、都の係留保管施設への移動を促すことで、工事着手までに適正化を完了していただけると答弁していただいておりますが、これらの成果の具体的な形を大いに期待いたしますが、現在までの取り組みの中で、小名木川の不法係留船、この対策状況についてはどうなっていますでしょうか、この点についてお尋ねをいたします。

○村井河川部長 今回、工事区間の西深川橋から東深川橋間におきまして、十三隻の不法係留船などは、江東区と連携いたしまして、指導、警告を強化することで全て解消いたしました。
 具体的には、船舶を大富橋上流に整備いたしました係留保管施設などに移動させますとともに、その他の不用船舶などは所有者が廃棄処分いたしました。
 小名木川に残る不法係留船につきましては、引き続き所有者への指導を強化いたしますとともに、今回工事で整備する係留保管施設などを受け皿とすることで適正化を進めてまいります。

○細田委員 取り組み、大いに期待しています。三十五隻のうち、今回のこの工事区間の十三隻の不法係留が全て解消されて順調に進んでいる、このことを確認させていただきました。
 計画が完遂します平成三十三年度までの今後の工事に向けての着実な取り組み、これも引き続いてお願いいたします。
 今後の工事区間となる大富橋から東深川橋などの間にも多数の不法係留船があります。本日の段階でも沈んだ船、不用船舶なども確認いたしました。大変な作業でありますが、どうぞ引き続いてご尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○西沢委員 私は、この四つの契約案件に関して質問をしたいというふうに思います。
 この質問をするに当たって、さまざまな整備の計画があると思うんですけれども、長い、長期間の整備計画なんかもあったとすれば、災害があった後に改めてこの護岸を踏まえた、もしくは災害を想定したような、対策を想定とした計画なんか、幾つかの計画があろうかと思います。それが今回の四つの契約に関してどのように結びついているのかというところをちょっと整理しておきたいというように思います。
 というのも、地元、私は中野ですけれども、中野でも護岸工事であったり、川の工事をやっていただいていますけれども、これもう何かいつもやっているよとかいう声をよくいただきます。いつ終わるのとか、これはどういう基準でやっているのとかいう声をたくさんいただくわけでありますけれども、幾つか計画がある中で、それがどれに基づいていくのかというのは、なかなか地元の住民の方でもわかりづらいというところもあろうかと思いますので、きょうはちょっとその辺を確認しておきたいというふうに思います。
 この計画に関してですが、大阪府北部地震や西日本を中心に大きな被害がことしは発生したわけで、平成三十年七月豪雨ということで、全国各地で地震や豪雨による被害が発生をいたしました。こうした災害がいつ東京で発生してもおかしくないという状況でありまして、都民の命と暮らしを守るため、着実に対策を進めていくという必要がございます。
 一方、インフラ整備は長期間にわたるため、都民に対して目標や対策を明確にし、計画的に実施することが重要であります。先ほど申し上げたとおりでございます。
 ここで改めて本定例会で付託されておりますこの建設局関係の契約案件四件、どのような方針や計画に基づき実施しているのかお伺いいたします。

○村井河川部長 東部低地帯の河川では、東日本大震災を受けまして、平成二十四年に東部低地帯の河川施設整備計画を策定いたしまして、想定される最大級の地震に対する耐震対策を進めることといたしました。
 中小河川では、局地的に集中豪雨などが増加している傾向を踏まえまして、平成二十四年に中小河川における都の整備方針を策定し、新たな目標整備水準を定めまして、二十六年に改定した東京都豪雨対策基本方針に位置づけました対策強化流域で優先的に整備を実施していくことといたしました。
 今回付議しております工事を実施する四つの河川につきましては、いずれもこうした方針などで定めた目標に加えまして、必要な対策の内容や区間などを河川法に基づく流域ごとの河川整備計画に位置づけまして、耐震対策や護岸整備を進めております。

○西沢委員 今の答弁で、東日本大震災を受けて東部低地帯の河川施設整備計画という平成二十四年につくった一つの計画があって、そして局地的集中豪雨がふえているということから、これも平成二十四年に中小河川における都の整備方針というものを策定して、そして平成二十六年に改定した東京都豪雨対策基本方針と、こういった方針、それから計画に基づいて進めていて、この整備計画や方針というものは、いずれも大きな河川法に基づく河川整備計画というものでつくられているということがわかったわけであります。
 この河川整備計画というのは国に定められたもので、三十年ぐらいのスパン、かなり長いスパンを計画にすると。当然ですけれども、川の工事というのはすごく大変ですから、一年、二年でぱっとやれるようなものでは当然ありません。だからこそ、この長期的な計画というのは重要であるということは理解をいたします。
 一方で、予算の裏づけというものも必要になってくると思うんです。さすがに三十年先に幾らかかりますかと聞かれれば、なかなか答えづらいというように思うんですね。ただ、そうはいっても三十年でどれくらいお金がかかるのというような疑問が出たりすることも確かです。
 そうした中で、いってみれば、東京都の長期計画である実行プランがあります。二〇二〇年に向けた実行プランというものがありますが、これは皆さんご承知のように、予算の裏づけをもって計画をされているものでございます。
 そこで、この契約案件に該当する東部低地帯の河川の耐震、耐水対策や中小河川の整備が、この都の実施計画である二〇二〇年に向けた実行プランにどのように位置づけられているのかお伺いをいたします。

○村井河川部長 二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、セーフシティー実現に向けた取り組みの一つとして位置づけをしております。
 具体的には、東部低地帯の堤防の耐震対策を、二〇二一年度までに約八十六キロメートル実施することなどを目標としております。中小河川の整備は、二〇二〇年度までに時間五十ミリ降雨に対応した治水安全度達成率を約八二%にすることなどを目標としております。

○西沢委員 二〇二〇年に向けた実行プランに位置づけているというような答弁でございまして、少なくとも二〇二〇年度までにやっていくということ、東部低地帯の堤防の耐震は二〇二一年度ということではございますけれども、こうした区間において数年単位の目標にしていくということは予算も含めて非常に重要だというように思いますので、着実にこれも進めていただきたいというようなことをお願いしておきたいと思います。
 最後に、地元は私は中野で、神田川と妙正寺川が流れております。特に今回、神田川の案件がございますけれども、妙正寺川に関しては、二〇〇五年に氾濫いたしまして、衆議院議員選挙中だったということもあって大きな混乱がありまして、その記憶というものが、住民にとって非常にまだ新しいところだというふうに思うんですね。
 地元のもう一つの川である神田川の、今回は整備工事の請負契約というところが案件でございますので、この神田川における整備状況と契約案件の内容について確認しておきたいと思います。

○村井河川部長 神田川は、井の頭池に源を発し、隅田川に注ぐ延長二十四・六キロメートルの河川でございます。現在、新宿区、中野区、杉並区におきまして、時間五十ミリ降雨に対応する護岸を整備しております。
 本契約案件は、杉並区の宮前橋上下流の約百三十メートルで護岸を整備いたしますとともに、宮前橋の橋台などの工事を実施いたします。
 今後とも、神田川の治水安全度向上に向けまして、護岸などの整備を着実に進めてまいります。

○西沢委員 災害が起きると計画を見直すということは重要だと思うんですけれども、災害があって計画を見直して、新たにやはり基準が変わって、一旦工事をしたところだけれども、新たに同じ整備をし直す必要があるとなると、ダブル工事というものが出てくると、これまた効率が悪くなってくる部分もあろうかと思います。
 状況に応じてだと思いますけれども、ぜひ効率的な工事をしていただきたいということと、今ご答弁のありました神田川も、着実に整備をしていただきたいということを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○栗下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○栗下委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百三十四号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○やながせ委員 瑞江葬儀所の指定管理について、三点だけ確認をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、利用状況について確認させてください。
 平成二十九年度の火葬実施件数のうち、江戸川区の利用者の割合及び江戸川区に隣接する墨田区、江東区、葛飾区を加えた近隣四区の利用者の割合を伺います。

○日浦公園緑地部長 平成二十九年度に瑞江葬儀所が取り扱いました火葬のうち、江戸川区の利用者の割合は三九・四%でございました。また、近隣四区の利用者の割合ですが六五・五%でございます。

○やながせ委員 瑞江葬儀所では近隣四区の利用が三分の二を占めているということがわかりました。
 それで、火葬場の運営主体についてもお伺いしたいと思います。
 二十三区と多摩地区、それぞれに所在する火葬場について、運営主体別の箇所数を伺いたいと思います。

○日浦公園緑地部長 二十三区では、都の運営が瑞江葬儀所一カ所、それから一部事務組合の運営が一カ所、民間の運営が七カ所の合計九カ所ございます。
 また、多摩地区でございますけれども、市の運営が四カ所、一部事務組合の運営が四カ所、民間の運営が一カ所の合計九カ所ということでございます。

○やながせ委員 都内の十八カ所ある火葬場のうち、都営は瑞江葬儀所だけであるということを確認させていただきました。
 これ、全国的に見ても、都道府県が運営する事例はこの瑞江葬儀所のみというふうに聞いております。
 私の大田区にも臨海斎場ありますけれども、これも五つの区による一部事務組合で運営しているということです。
 そこで最後、確認しておきたいんですけれども、この瑞江葬儀所の運営主体の検討状況については、平成二十二年六月に都区のあり方検討会の中で、都は、区へ移管すべきものと評価し、区は、引き続き都が担う方向で評価したため、都区の役割の是非を引き続き検討すべき事務として整理されたものと理解をしています。
 そこで最後、確認したいんですけれども、瑞江葬儀所の運営主体を区へ移管すべきものというふうに、都はそのときに方向性を出しているわけでありますけれども、現在でも、この区へ移管すべきものという方針で変わりはないかどうかを確認しておきたいと思います。

○日浦公園緑地部長 火葬場につきましては、住民サービスの視点から、住民に身近な区が運営するのが望ましいとの考え方に変わりはございません。

○やながせ委員 区では無理であるならば、一部事務組合の方で引き取るといった方が私は正しいのかなというふうに思いますので、引き続き、区への移管、一部事務組合への移管という方向で話をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○栗下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○栗下委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百一号議案、平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為、環境局所管分、第二百十七号議案及び第二百十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田村委員 まず、私からは、都の環境アセスメント制度について伺います。
 本定例会には、環境アセスメント制度の見直しに伴う、環境影響評価条例の改正案が提出されています。都の環境アセスメント制度は、大規模な開発事業を実施する際に、開発事業者がみずから主体的に環境の保全について適正な配慮を行う手続の仕組みです。このため、アセスメント制度を適正かつ円滑に運用し、実効性のあるものにしていくには、実際に手続を行う事業者の視点が重要なものとなります。
 また、事業実施による環境への影響を少なくするには、事業者と都民とのコミュニケーションも欠かせません。
 さらに、事業者が作成する図書の審査に当たっては、専門的な知見を求められるため、都では、専門家で構成する東京都環境影響評価審議会の意見を聞いています。
 こうしたことから、制度の見直しに伴う今回の条例改正においては、事業者や都民の意見、そして専門家の意見を十分に聞いた上で、こうした意見を反映した条例案となっていることが重要と考えます。
 そこでまず、制度の見直しに当たって、都民や事業者の意見や、専門家の意見をどのように聞いてきたのか伺います。

○松本政策調整担当部長 昨年十二月に、知事から東京都環境影響評価制度の見直しにつきまして、専門家で構成する環境影響評価審議会へ諮問いたしました。
 審議会は、環境影響評価制度検討特別部会を設置し、総会と特別部会、合わせて計十回にわたり専門的見地から審議を行いました。この間、本年六月には中間のまとめを公表しまして、三十日間パブリックコメントを実施することにより、都民や事業者から意見を伺っております。こうした経緯を経て、審議会は本年十月、知事に答申を行いました。
 今回の条例案は、この審議会の答申と、さきの第三回都議会定例会環境・建設委員会での議論を踏まえて作成したものでございます。

○田村委員 事業者の意見も反映した形で条例案を作成したとの答弁ですが、今回の条例案では、施設更新について環境アセスメントの対象となることを明確化するため、定義の追加等を行うとしています。
 この改正によって、環境アセスメントの対象事業が拡大し、事業者の負担が大きく変更することになるのか伺います。

○松本政策調整担当部長 今回の改正条例案では、委員お話しのとおり、新たに施設更新の定義の追加を行うとともに、対象事業のうち、改築、改良、または設置の行為を行うものについては施設更新に該当するものがあることを明確にしてございます。
 これまでは、例えば工場の施設更新があった場合、工場の設置の規定を適用するということで環境アセスメントの対象としてまいりましたが、改正後は施設更新の規定を適用することが明確となります。
 詳細な規模要件につきましては、審議会答申や都議会でのご議論を踏まえて東京都規則で規定いたしますけれども、これまで適用してきた設置の規模要件と同じ要件で設置することを予定しておりますので、対象事業者の範囲や負担に大きな変更はないと考えております。
 なお、道路の改築、鉄道の改良など一部の事業では、施設更新が対象となってございませんでしたが、今回の改正により、これらのうち環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものについて対象事業に追加することを予定しております。

○田村委員 今回の改正により対象に追加される事業があるとのことですが、新たに環境アセスメントの対象となる事業については、事業者が環境アセスメントの手続を行うために十分な準備期間が必要と考えます。
 さきの第三回都議会定例会の環境・建設委員会では、事業者の準備期間が必要な手続については十分な期間を確保できるように、施行時期を定めた上で改正条例案を提案していくとの答弁がありましたが、今回の条例案ではどのように規定しているのか伺います。

○松本政策調整担当部長 第三回都議会定例会環境・建設委員会におきまして、条例の施行に当たっては、事業者が準備できる期間をきちんと確保することが必要であるとのご意見を委員からいただきました。
 こうしたご意見を勘案し、条例案では、施設更新に関する規定につきましては、新たに対象となる事業があるため、事業者が手続を行うために十分な準備期間を確保する必要がございますので、過去の事例を参考に、必要な期間を検討し、平成三十三年一月一日に施行することといたしております。
 また、軽微な変更等の場合に届け出を不要とする要件を明確化するための規定や、事業者に対する審議会への出席等の求めに係る規定につきましても、事業者が手続を行うために必要な期間を考慮した上で施行時期をそれぞれ定めております。

○田村委員 手続を行う事業者に配慮して、きめ細かく準備期間を設定しているとの答弁ですが、このことは、事業者が環境の保全に対する責務をしっかり果たし、ひいては都民サービスの向上にもつながると考えます。
 環境アセスメント制度を実効性のあるものにするには、事業者や都民の声にきちんと耳を傾けつつ、相互理解の橋渡しに努めながら取り組むことが重要です。
 今後行う規制の改正等に当たっても、こうした視点を忘れずに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、環境確保条例に基づく土壌汚染対策制度の改正について改正案が提出されたため、その改正内容を伺います。
 今回の改正案は、土壌汚染対策法との関連性の整理、土壌汚染情報の公開制度の拡充、条例を確実に運用するための規定の整備という三つの視点から見直しを行ったものであるとのことですが、それぞれの内容について確認いたします。
 まず、土壌汚染対策法との関係性の整理の視点から、具体的にどのような改正を行うのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 今回の改正は、人の健康保護を目的とする土壌汚染対策法と、それに加えて、地下水環境保全を目的に含める条例の特徴を生かした最適な制度の構築に向けて、法との整合を図りつつ、条例独自の規定を組み込んだものでございます。
 具体的には、対策を義務づける要件として、法と同様の健康リスクの有無に基づく判断を導入するとともに、条例独自の地下水環境保全の考え方に基づき、一定濃度を超える汚染がある場合に対策を必須といたします。
 また、土壌の調査方法を具体的に法と整合させて合理化した上で、地下水の調査を条例独自に求めていくこととしております。

○田村委員 次に、土壌汚染情報の公開制度の拡充について、具体的な改正内容を伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染情報については、条例においても法と同等以上の情報公開を進める観点から、公開に関する規定を追加いたします。
 今回の改正により、条例においても台帳の調製、公開の仕組みを設け、調査の結果、汚染ありと評価された土地について法と同様に情報公開を行ってまいります。
 さらに、将来的に、汚染が確認されなかったことの届け出も公開の対象とすることも見据えた条文を整備いたします。

○田村委員 次に、条例を確実に運用するための規定の整備の視点から、具体的にどのような改正を行うのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 条例を確実に運用するための規定の整備については、条例に基づく調査、対策の確実な実施及び規定の明文化の観点から改正を行います。
 まず、工場等の廃止時の規定においては、対象となる業種及び汚染原因者責任の原則の考え方を維持した上で、調査義務違反者に対する勧告及び未調査地の公表等の規定を加え、調査の確実な実施を促進いたします。
 また、これまでの運用で行っていた調査猶予の規定及び土地改変の適用除外行為について、要件等を再度整理した上で明文化いたします。

○田村委員 改正の概要については理解いたしました。
 先日の代表質問においても言及しましたが、適切な土壌汚染対策を推進することとあわせて、事業者にとって過度な規制とならないようにすることも重要です。
 そこで、事業者の負担軽減の観点からは、具体的にどういった改正点があるのか改めて確認します。

○近藤環境改善技術担当部長 今回の条例改正に当たっては、土壌汚染対策にかかわる規制及び手続の合理化も図ってまいります。例えば、調査の実施時期や調査方法について、法の規定と整合させることを基本とすることで調査にかかる負担を軽減いたします。
 また、事業者の計画的な土壌汚染対策の実施を促し、廃止時の負担軽減につなげるため、操業中に実施した自主的な調査、対策の届け出を可能とした上で、実施した内容に基づき廃止時の調査内容を軽減できるものといたします。
 さらに、法と条例が重複する手続については、法の届け出を行うことで、条例の提出書類の一部の省略を可能とすることなどにより、届け出を簡素化し、届け出にかかる負担軽減及び行政手続の効率化を図ってまいります。

○田村委員 今回の改正により、事業者の負担が一定程度軽減される方向であることは理解いたしました。
 一方で、土壌汚染対策制度は、体系が複雑で、事業者からは難しい制度であるという声が届いています。
 施行後においても技術的な支援を継続的に実施していくことを要望し、私の質問を終わります。

○細田委員 都は、国に先駆けて、平成十三年から環境確保条例に基づく土壌汚染対策の規制を実地してきております。この条例制定時に、市街地における再開発等に伴い土壌汚染が顕在化したこと、そして水質汚濁防止法に基づく地下水調査等で地下水汚染が各地で発見されたことなどもあったと私は認識をしております。
 さて、条例施行から十五年以上経過いたしましたが、本条例についてこれまでどのような改正を都は行ってきたのか、また、条例改正はなぜ今行うのでしょうか。確認をいたします。

○近藤環境改善技術担当部長 都は、環境確保条例に基づき、土壌汚染対策制度を国に先行して平成十三年に施行いたしましたが、これまで改正は一度も行っておりません。
 一方、条例施行後、平成十五年に土壌汚染対策法は施行され、法は数次にわたり改正されてきております。この間、法の施行及び改正に合わせ、条例施行規則及び調査や対策の技術的事項を示した東京都土壌汚染対策指針の必要な部分を改正し、法との整合及び運用上の調整を行ってまいりました。
 今回の条例改正は、改正法が平成三十一年四月に全面施行されるのを契機として、これまでの法及び条例の運用状況を見直した上で法との関係を改めて整理し、条例運用上の課題等について対応するために行うものでございます。

○細田委員 これまで未改正ということで、今までは必要な部分を改正して、この東京都土壌汚染対策指針を改正して対応してきた、このようなことでありますが、現状の運用上の課題等に合わせた改正であるということ、一方、社会に目を向けてみれば、土壌汚染に対する都民の関心は当時の条例制定時よりもさらに高まっており、さまざまな声も寄せられている現状下にあります。土壌汚染情報に対するニーズも高まっているんだ、このように考えられるわけです。
 土壌汚染情報の公開については、法には区域指定、そして工事台帳などの規定がありますが、現行の条例では公開に関する規定がありません。個別に開示請求により対応している、こういうことであります。
 このような現状を踏まえて、制度を見直して積極的な情報公開を推進していかなければなりませんが、都はどのような見解をお持ちなのでしょうか、見解を求めます。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染情報については、情報公開の推進の観点から、条例の規定及び運用上の見直しを行うこととしております。
 まず、条例改正により、条例においても法と同様の台帳の調製、公開の仕組みを設け、調査の結果、汚染ありと評価された土地について情報公開を行ってまいります。
 さらに、将来的には、汚染が確認されなかったことの届け出も公開の対象とすることについて、引き続き検討してまいります。
 また、法に基づく台帳については、現在は紙媒体の資料を窓口で閲覧に供しておりますが、来年度からは詳細情報も含めましてホームページ上で閲覧が可能となるよう、システムの運用を開始する予定でございます。

○細田委員 ぜひ、窓口に行かなくてもいいように、閲覧がホームページ上で可能だということなので、それを着実に実行していただきたい、このように思います。まさにそのことが情報公開をさらにプッシュしていく、こういうことになってくると私も思います。
 続いて、今回の改正では対策が必要となる要件を見直すとのことですが、具体的にはどういった要件になるのでしょうか、また、見直し後であっても、土壌汚染によるリスクは適切に管理されて安全性は確実に担保されるのか、この点について確認をいたします。

○近藤環境改善技術担当部長 今回の改正では、人の健康保護を目的とする土壌汚染対策法と、それに加えて、地下水環境保全も目的に含める条例の双方の考え方を生かした対策要件を設定いたします。
 具体的には、法と同様の健康リスクの判断基準に基づき、汚染地下水の飲用リスクまたは汚染土壌の直接摂取リスクがある場合に対策を必須といたします。これに加えまして、条例独自の目的であります地下水環境保全の観点から、一定濃度を超える土壌の汚染または地下水の汚染が確認された場合には対策を必須といたします。
 なお、一定濃度とは、土壌については、廃棄物の埋立処分の判定基準値を参考に環境基準値の三倍から三十倍程度の濃度とし、地下水については、事業場から公共用水域への排水に適用されます排水基準値を参考に環境基準値の十倍程度の濃度といたします。
 また、土壌汚染地における汚染の拡散防止を図るため、条例で把握された汚染値を改変しようとする者に対し、事前に汚染拡散防止計画書を作成し、提出することを義務づけるとともに、改変時の施行の基準を定めます。
 以上のことから、土壌汚染によるリスク管理が適切に行われ、安全性は確保されるものと考えております。

○細田委員 一方で、土壌汚染対策においては、安全であるにもかかわらず、過度な対策が実施されることがしばしば見受けられます。このような対策は、コストの増加のみならず、土壌搬出に伴う拡散リスクや、大気汚染や騒音の発生など周辺環境への負荷の増大にもつながるものであり合理的とはいえません。
 今後は、安全性を確実に担保した上で、過度な対策とならない、必要かつ十分な対策の実施が重要になってくる、重要である、このように考えますが、都はどのように考えているのか所見を求めます。

○近藤環境改善技術担当部長 最適な土壌汚染対策を推進していくため、都では、環境基本計画二〇一六において、最適な土壌汚染対策の推進を選択する手法の検討を取り組みの一つとして記載しております。
 これを踏まえ、今回の条例改正においては、対策に伴って生じる環境負荷の最小化を目的とするグリーンレメディエーションの考え方や、さらに社会影響、経済影響という視点を加えた持続可能性の三つの側面から土壌汚染対策の最適化を図るサステーナブルレメディエーションの考え方を東京都土壌汚染対策指針の中に取り込んでいくこととしております。
 これにより、事業者が対策計画を立案するに当たって、これらの考え方を反映した計画となるよう促してまいります。

○細田委員 環境負荷、そして経済面、社会面に配慮した最適な土壌汚染対策、この推進は、今の国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの考え方に合致するものである、このように考えます。
 環境局においては、そういった国際情勢、世界の広い視野を持った上で、持続可能な環境先進都市、世界に誇る安全・安心の環境先進都市の実現に向けた取り組みを引き続いて推進していっていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○里吉委員 私からも、環境確保条例改正案、土壌汚染対策制度について質問を行ってまいります。
 都では、条例に基づく土壌汚染対策制度を国に先駆けて平成十三年、二〇〇一年から施行し、主に工場等の廃止時の調査、対策、土地改変時の調査、対策等の規制を行ってきました。
 この間、国では大規模な法改正も行われながら--東京都の条例の後ですけれども、土壌汚染対策法ができて、国の改正がずっと行われてきました。今回それに合わせて、条例改正としては初めて行うものということで、どのように法と整合性をとるのか、そしてよりよいものにしていくのかということが問われていると思います。
 改正前の条例、土壌汚染対策制度の課題として、環境局は、一番目として法との関係性の整理、二番目として土壌汚染の公開規定の未整備、三つ目として条例運用上の課題の発生などを挙げております。
 いろいろ読ませていただきまして、数多くの変更点が示されておりましたが、その全てについて議論することはできませんので、私が特に重要だと思う点に絞って伺ってまいりたいと思います。
 まず、土壌汚染状況の調査について伺います。
 土壌汚染状況調査については、事業者が調査をせずにいなくなってしまう、行方がわからなくなってしまうという場合があって、そのときの対応について、法律では土地所有者の責任を明記しております。今回、検討会でもこのことについてさまざま議論がされておりました。都としては、最終的にはこれまでどおり汚染原因責任者の原則というものを維持するということとしております。
 そこで、改めて都として土壌汚染調査についてのもとの事業者、それから譲り受けた者、土地所有者、それぞれの責任についてどのように捉えているのか考え方を伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法は、土地の状態責任の考え方に基づき、土地の所有者等に調査、対策の義務を課しているのに対し、条例は、汚染原因者責任及び行為責任の考え方に基づき、有害物質取扱事業者または土地の改変者に調査、対策の義務を課しております。
 今回の条例改正においても、工場等の廃止時における調査は、汚染原因者責任に基づき事業者に義務づけることを原則としております。ただし、事業者が調査を行わなかった場合には、補充的な責任により、土地の譲り受け者または借地の返還を受けた者にも調査義務を課すことといたします。
 なお、調査義務違反者に対する勧告及び未調査地の公表等の規定を加え、調査の確実な実施を促します。
 土地所有者については、直接権利承継のない場合は調査義務を負いませんが、事業者による調査及び対策が円滑に実施できるよう協力する義務規定を明記いたします。

○里吉委員 汚染原因者責任の原則を維持しつつ、事業者がいなくなった場合の対策について調査が確実にできるように対策をとられたということだというふうに思います。
 次に、課題の二番目に書かれていました情報公開について伺います。
 汚染地の情報公開については、土壌汚染対策法で、今までの汚染地についての区域指定、開示、台帳整備に加え、新たに、対策し指定を解除した土地の台帳整備も対象となりました。
 今回、都として情報公開の考え方を示していますが、具体的な内容、そして今後の方向性について伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染情報については、情報公開の推進の観点から、条例の規定及び運用上の見直しを行うこととしております。
 まず、条例改正により、条例においても法と同様の台帳の調製、公開の仕組みを設け、調査の結果、汚染ありと評価された土地について情報公開を行います。
 また、将来的には、汚染が確認されなかったことの届け出も公開の対象とすることについて、引き続き検討してまいります。

○里吉委員 これまで情報公開の規定がなく、開示請求によって対応していた現状からの改善ですから、ぜひ多くの都民にとってわかりやすい、見やすいものになるように努力していただきたいと思います。
 次に、土壌汚染対策制度のかなめだと思うんですが、土壌汚染がある場合の対策要件について伺います。
 まず、健康リスクの定義にかかわって伺います。
 条例の百十四条では、有害物質取扱業者が土壌を汚染し、人の健康に係る被害が生じ、または生ずるおそれ、これがいわゆる健康リスクだと思うんですけれども、このおそれがある場合、土壌汚染への対応を命じることができるとあります。
 この健康リスクの判断基準について、これまでは条例では明確に示されていなかったということですけれども、それでは、今まではどのように判断をして対応していたのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 現行条例では、人の健康に係る被害が生じ、または生ずるおそれがあると認めるときには、有害物質取扱事業者に対し、対策を命ずることができることとしております。
 この命令の具体的な判断基準は示しておらず、個別の事案ごとに判断することとしており、結果として、これまでにこの命令の発出に至った事案はございません。
 そのため、今回の条例改正では、これらの健康リスクの判断基準を明確化いたします。

○里吉委員 これからは、判断基準が今までなかったから明確化するということなんですけれども、では、改めて、法の健康リスクに合わせて判断基準を導入するということなんですが、今までと何が変わるのか伺いたいと思います。

○近藤環境改善技術担当部長 法における土壌の直接摂取リスクとは、飛散した土壌、粉じんのほか、土をさわった手をなめる等の方法により、土壌を口にすることを対象としております。
 今回の条例改正において、人の健康リスクについては法と同様の考え方とし、地下水経由の飲用リスクのほか、土壌の直接摂取リスク全般が対象に含まれることを明確にいたします。この改正により、将来的に土壌汚染による新たな健康リスクが示された場合にあっても対応できるものとなります。
 なお、現行条例においても、直接摂取リスクにかかわる基準値は既に法の基準と同じ値を用いており、条例改正に伴う基準値の変更はございません。

○里吉委員 今までは特に決まった基準はなかったけれども、今、そして将来影響がある可能性がある場合は、対策とれるよと、命じることができるよといっていたけれども、結果としては、それに対応して対策をとったことはなかったと。
 今後は、先ほどもお話ありましたけれども、地下水の場合は環境基準の十倍、それから土壌汚染の場合はこれまでの環境基準の三倍から三十倍という基準を設けて、それで対策をとるということだと思うんですね。
 これまでは全く対策をとっていなかったけれども、今後は、第二基準という環境基準の三倍から十倍を超えた場合は対策をとると。それよりも以下の場合は、環境基準を超えていても、監視はするけれども、特に対策はとらないということで、そういう違いがあるというふうに理解しているんですが、それでよろしいでしょうか、確認いたします。

○近藤環境改善技術担当部長 現行条例の地下水汚染地域における汚染土壌の処理にかかわる命令は、健康リスクがない土地であっても、条例独自の地下水環境保全の考え方に基づき、当該地の土壌汚染が地下水汚染の原因であると認められるときに適用されるものでございます。
 この地下水汚染の原因であると認められるときという要件については、これまで具体的な判断基準は示しておらず、個別の事案ごとに判断することとしており、結果として、この命令の発出に至った事案はございません。
 今回の条例改正は、この判断基準を明確化するため、規則において第二溶出量基準及び第二地下水基準を設けるものでございます。
 対策手法については、対象地境界において第二地下水基準を超過していない場合に、周辺の地下水への影響を継続的に監視するため、地下水の水質の継続監視の措置を導入するものでございます。
 なお、地下水の水質の継続監視の実施中に第二地下水基準超過が確認された場合には追加の措置が必要となります。

○里吉委員 今、これまでのはっきりしていなかった運用を明確化して、第二基準を超えれば--簡単に第二基準というふうにいいますけれども、環境基準値の、土壌であれば三倍から三十倍、地下水であれば十倍、これを超えれば対策をとるという明確な基準を設けたということなんですね。
 ただ、環境局の作成したA3の概略説明を読みましても、これまでの条例の仕組みは、汚染土壌処理基準をオーバーすれば対策はできたわけです。ただ対策してこなかったというだけだと思うんです。ですから、いろいろおっしゃいましたけれども、これは、新たに第二基準を導入したことで明らかに規制が緩和されたというふうに私は思います。
 今までは百十四条と百十五条の汚染に対して、都は処理計画という用語を使っていました。それをこれからは対策計画というふうに名称を変更するわけです。これは処理するという選択肢以外に継続監視、見守るという選択も可能にすることから名称を変えたというふうに伺いました。
 こうした緩和に対して、専門家からは、後退した土壌汚染対策法との整合性を図るためのものであり、承服しがたく、土壌汚染があれば一定の対策をさせるべきであるとの意見が出されております。
 もう一つ、あわせて伺いますが、一定濃度を超える土壌または地下水の汚染が確認された場合の対策については、埋立地は適用除外にするというふうにさらに書かれていますが、この理由についても伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 条例独自の目的である地下水環境保全の考え方は、先ほど答弁したとおり、将来利用され得る地下水も含めて保全の対象とするものでございます。
 一方で、埋立地のように、将来にわたり地下水の利用による人の健康被害が生ずる見込みのない土地において対策を必須とすることは、条例の規制目的と照らして過剰と考えられるため、一定濃度を超える汚染がある場合の対策等の規定を適用除外とするものでございます。
 その条件は、大正十一年に施行された公有水面埋立法による埋立地であり、現在地下水の飲用利用がなく、かつ将来にわたって飲用利用の見込みがないと認められる土地であることとしております。

○里吉委員 埋立地は、将来にわたって地下水を利用しないから、対策を必須とすることは条例の規制目的と照らして過剰だと、適用除外するべきだということで今ご説明いただきましたけれども、私は本当にそれで大丈夫なのかというふうに思うわけです。
 埋立地での土壌汚染といえば、皆さんすぐに豊洲市場のことを思い浮かべるんじゃないかと思います。豊洲市場では、東京ガスが垂れ流した有害物質が残って地下水は汚染されたままです。そこから揮発する有害物質については盛り土で封じ込めるとしてきましたが、ところが、建物の下については盛り土はなく、あってはならない地下空間が存在し、空洞になっているということが私たち共産党都議団の調査で発覚をしました。
 これに対して専門家会議はどう判断し、都はどう対処したか。専門家会議の判断は次のようなものです。
 現況のリスクは低いが、将来のリスクについては、地下水から気化した水銀、ベンゼン、シアン含むガスの地下ピット内への侵入が発生すると。一階の床面のコンクリートにひび割れが生じて、地下ピット内から一階部分への空気の侵入、拡散が発生することにより、一階部分でリスクが生じる可能性があると。
 つまり、地下水を飲むリスクはなくても、揮発するリスクはあると。現在のリスクはなくても、将来にリスクを生じる可能性があるというわけです。
 そして、環境の専門家の方からは、これでは絵に描いた餅に終わると指摘される不十分な対策ではありますが、都は地下空間の床面にコンクリートを張って汚染物質の揮発を低減し、換気扇をつけて換気する対策をとることになりました。
 こうしたこと一つとっても、地下水を飲んだりするようなことがなければ大丈夫として、このように一律の適用除外をすることは危険であるといわざるを得ません。土壌汚染があった場合の対策について、そういう点からも私はもう一度考え直すべきだというふうに思います。
 それから、法律との整合性の問題で一点お伺いしておきたいんですが、土壌汚染があった場合の対策について、法は健康リスクがあるときに対策を要し、条例は当該土壌が周辺の地下水汚染の原因であるかどうかの対策の要否の判断に用いているということで、判断が東京都と国で違いが出てくると思うんですけれども、そのことについて、改めて確認をしておきたいと思います。

○近藤環境改善技術担当部長 対策要否の判断については、法は健康リスクを判断基準としているのに対し、現行条例は地下水汚染の有無を重視しており、両者の要件が異なっております。そのため、法では、健康リスクがあるとして対策が必須となる土地であっても、条例では、地下水汚染が生じていないとして対策が不要となることがあるなどの違いが生じておりました。
 改正条例においては、法と同様の健康リスクの判断基準を基本とすることで、健康リスクにかかわる要件は法と整合させます。これに加えて、地下水環境保全の観点から、条例独自の要件として、一定濃度を超える土壌または地下水の汚染が確認された場合には対策を必須といたします。

○里吉委員 地下水環境保全の観点から、一定濃度を超える土壌または地下水の汚染が確認された場合には対策を必須というご答弁でしたが、繰り返しになりますが、一定濃度というのは、環境基準を超える独自の第二基準のことです。ですから、これを超えなければ、やはり汚染土壌処理基準を超えても継続監視だけでいいということになるんだということを確認いたしました。
 最後に、自然由来の汚染土壌について伺います。
 現行条例では全ての規定が適用除外でしたが、今後は法の考え方を導入し、規制を一部適用するとしておりますが、具体的にはどのように対応するのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 環境確保条例は、事業活動、その他の人の活動により、環境に加えられる影響を低減するための措置を定めており、現行条例では自然由来汚染そのものは規制の対象になっておりません。
 しかしながら、自然由来の汚染であっても、搬出による汚染土壌の拡散を防止する必要があることから、搬出について新たに規制の対象といたします。
 具体的には、調査の結果判明した自然由来の汚染に対しては対策の義務を課すことをいたしませんが、汚染土壌を搬出する際には、実施前の汚染拡散防止計画書の提出及び終了後の完了報告等の規定を適用いたします。

○里吉委員 今まで、自然由来等の汚染土壌について全ての規定が適用除外だったわけで、今回、法の考え方を導入したことは評価できます。
 しかし、国の自然由来の汚染土壌についての考え方、今ご説明あったとおり、何ら区別する必要はないということですから、ここについては、条例でも法律に合わせて自然由来等の基準、不適合土壌も全て同じように対象にするべきだというふうに申し上げておきます。
 何点か特に重要だと思う点に絞って質疑をさせていただきました。改善点も確認させていただきましたが、議論を通じて、改めて肝心の土壌汚染の処理、対策という点では、今回の条例改正は規制緩和であり、後退しているといわざるを得ません。
 地下水については、将来にわたり地下水の利用が見込まれないということを理由に、埋立地を調査や処理の対象から外す。汚染土壌処理基準だけで判断するのではなく、それより三倍から三十倍緩い第二基準を持ち込んで、対処すべき基準を緩めてしまうことが明らかになりました。
 自然由来等の汚染土壌についても、規制の対象にすることは評価できますが、あえて国の規制より緩めるなど、これまでの規制を緩める重大な問題を含んでおります。
 よって、今回の改正には反対であることを表明して、私の質問を終わります。

○西沢委員 私からは、まず最初に、付託議案の補正予算の方で、暑さ対策について質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 ことしの夏はめちゃめちゃ暑かったですし、暑さ対策についてさまざま議論がされてきたところであります。これを踏まえて、きょうちょっと質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 今回の補正予算では、この暑さ対策は、東京二〇二〇大会における暑さ対策ということで、要するにオリンピックのための暑さ対策というようなことでありますが、そこでちょっと最初に確認ですが、二〇二〇大会をきっかけとした全般の対策をしていこうということなのか、それとも二〇二〇オリンピックオンリーの対策と考えるのか。今回の暑さ対策は、東京二〇二〇大会のための暑さ対策ということで理解していいのかどうかお伺いいたします。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の補正予算に計上している暑さ対策事業では、二〇一九年夏のテストイベントにおける暑さ対策の実施及び二〇二〇年大会における暑さ対策の検討調査を行う予定でございます。
 これらは東京二〇二〇大会の成功に向け、大会開催都市の責務として、東京の厳しい暑さから都民や観客などの健康と安全を守るために実施するものでございます。
 なお、これらの対策によって得られた知見につきましては、今後の都市の暑さ対策として、レガシーとして活用していきたいと考えております。

○西沢委員 レガシーとして残していくということでご答弁をいただきましたが、まさにきょう私が申し上げたいのはそういったことです。確かに、事業説明の中にもレガシーとして、しっかりとその知見をこれから使っていくというようなことが書いてあります。ただ、事業としては、当然二〇二〇大会に関してやりますよということだと思うんですね。
 これからやることもそうですけれども、これまでやってきたことをちょっと確認しておきたいと思います。もちろんこれ環境局の事業ですけれども、環境局だけでやるものではなく、関係局であったり、区市町村であったり、それから事業者であったり、これまでさまざまな連携をして行ってきたと思いますが、改めて、どのような取り組みを今までこの暑さ対策は行ってきたのかを確認しておきたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 これまで都は、区市町村等と連携し、道路舗装の遮熱化、街路樹や公園の整備、建物の屋上や壁面の緑化等、幅広い取り組みを推進してまいりました。
 環境局では、微細ミスト等の設置による、クールスポットの創出を行う自治体や事業者に対する支援を行っており、平成二十九年度末現在で二十カ所の整備を行っております。
 さらに、平成二十九年度から東京二〇二〇大会の競技会場周辺で、観光客等が多く集まる地域において、暑さ対策設備の整備費用を補助することでクールエリアの創出を図っておりまして、昨年度は中央区と調布市で、今年度は千代田区と港区におきまして整備を促進しております。

○西沢委員 今ご答弁いただきましたが、区市町村といろいろと連携しているということは承知しているところであります。道路の舗装であったりとかもやっているなというのはわかりますけれども、今こうやって答弁を聞いてみると、もっといろいろあったんじゃないかなという気もするんですね。
 例えばパンダの列の話、この前ちょっとありましたけれども、めちゃめちゃ暑い中並ぶというところで、これは建設局というか公園協会かもしれませんけれども、どういうふうに暑い中並んでいただくのかという一つの暑さ対策のノウハウというものを建設局は持っていたりもするわけですし、公園協会も持っていたりすると思うんですよね。
 そういったノウハウであったりとかというものは、環境局だけではなくて、今、環境局を中心として区市町村といろいろやっていたと思いますけれども、まさに全庁を挙げてやるべきことになっていくんじゃないかと思います。
 この施策、ほかにもたくさんあると思います。このノウハウは、消防庁であったりとかもそうです、建設局もそうです。共有して活用するということが非常に重要だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、ことしの災害級の暑さを受けて、東京二〇二〇大会の成功に向け、八月に副知事をトップとする暑さ対策の全庁的な検討チームを立ち上げました。
 この検討におきましては、今お話のありました建設局を初め、各局における暑さ対策の取り組みや、散水などの実証実験で得られた知見も活用しながら、関係各局と連携して取り組んでまいります。

○西沢委員 ぜひ取り組みを進めてもらいたいと思います。
 レガシーということで、これからその知見を残していくということでありますけれども、それは先ほども答弁いただきましたが、例えばどんなノウハウ--先ほどパンダの例をいいましたけれども、レガシーとして残していくということは今回の議案の中でもご説明をいただいたわけでありますが、具体的に例えばどんな知見が今後の都市における暑さ対策のレガシーとして活用できるというように考えているのか、見解をお伺いいたします。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会においては、競技会場周辺の駅から会場入り口までのいわゆるラストマイルなどにおいてハード、ソフトの両面から暑さ対策を行うことを予定しております。
 これらの対策を行うことによって得られる効果的な取り組みや実施手法等に関する知見を、先ほどご答弁いたしましたレガシーの具体的な内容として、今後の東京における暑さ対策に生かしてまいります。

○西沢委員 今回の予算、やれることをいろいろ調査していくということですが、もちろん二〇二〇大会の成功に向けた暑さ対策は極めて重要ですけれども、ぜひその先を見据えて対策というものを、対策はもちろんですけど、その対策をどう共有していけるのかというところも含めて施策を進めていただきたいというように思います。
 続いて、環境アセスの見直しについていきますけれども、最初に、平成二十四年十一月に行った都の国への要望についてを確認しておきたいと思うんですが、当時、これは猪瀬さんのときだと思うんですけれども、国に対して、平成二十五年度国の予算編成に対する東京都の提案要求で、首都圏のエネルギー安定供給に資する、大井火力発電所など老朽化した火力発電所のリプレースの早期実現を推進すること、また既存よりも環境負荷を低減する設備にリプレースする場合には、アセス手続の簡素化等により期間短縮を図ることというような要望を東京都は求めております。
 当時、東日本大震災を受けて電力が逼迫する、どうしようどうしようというところの後に、猪瀬さんがプロジェクトチームをつくったときにリーダーシップをとって始めてきたところの一環だと思いますが、改めてこの趣旨というものが何なのかお伺いをいたします。

○松本政策調整担当部長 お話の平成二十四年十一月に行いました平成二十五年度国の予算編成に対する東京都の提案要求でございますが、委員お話しのとおり、東日本大震災を踏まえた対策として、老朽火力発電所等のリプレースを推進するために、既存よりも環境負荷が低減する設備にする場合には、アセスの手続の簡素化等により、短期間にリプレースの実現ができるようにすることを求めたものでございます。

○西沢委員 今回のアセスの見直しについて、きょうもいろいろ議論ありましたが、当時、簡素化等により、短期間に、簡単に、早くリプレースをしましょうというようなことを国に求めていたんだと思いますが、今回のアセスの見直しというものが、この動きというものに逆行するのではないかというように感じる部分がある方もいるかもしれませんが、見解をお伺いいたします。

○松本政策調整担当部長 今回の環境アセスメント制度の見直しでございますが、こちらは、施設の更新についての要件を明確化するなど、より適切でわかりやすい制度とするために見直しの検討を行ったものでございます。
 なお、施設の更新に当たりましては、新設時等と同様に審査業務を円滑に行うなど、引き続き効率的な手続の実施に努めてまいります。

○西沢委員 逆行するものではないし、多分当時の考えも状況が変わってきているところだというように思います。
 次に、アセスについての計画段階環境アセスということについて、ちょっとお伺いをしておきたいというふうに思います。
 築地の再開発がこれにどうかかわっていくのかというところをお伺いしていきたいところなんですが、この計画段階環境アセスというものが平成十四年に改定されたと思うんですけれども、当時さまざま、共産党さんとか、これはもっと広く捉えるべきだというような議論があったと思いますが、まず最初に、この計画段階環境アセスというものがどういうものなのかお伺いします。

○松本政策調整担当部長 計画段階環境アセスメントとは、都が実施する事業について、計画立案の早い段階から採用可能な複数の計画案について環境影響を比較評価しまして、その結果を計画に反映させることにより、環境配慮を一層推進させることを目的にしているアセスメントでございます。

○西沢委員 要するに、計画の段階から、早い段階からやりましょうというようなことなんですね。やってみてから、環境アセスやりましょうとか、後からいろいろ出てきましたとかではなくて、最初から、規模にもよるんでしょうけれども、それをやりましょうということだと思います。
 規模についてはさまざまな議論があったところだと思うんですが、今回、築地の再開発が行われる場合の計画段階環境アセスは対象になるのかどうかお伺いいたします。

○松本政策調整担当部長 築地におきまして、今後行われる事業が、東京都が単独で実施する事業で、かつ環境影響評価条例等に定める要件に該当する場合には計画段階環境アセスメントの対象となります。
 ただ、今後、具体的にどのような事業が行われるかは未定でございますので、現時点では、お話の築地の再開発が計画段階環境アセスメントの対象となるかは不明でございます。

○西沢委員 当然まだ決まっていないということですし、今これからやっていく話ですから、わからないということは当然だと思うんですが、私自身は、今後築地のまちづくりが進むのであれば、しっかりとこういうのを適用されて、問題が起こらないようにしていかなければいけないということを申し上げておきたいということなんです。
 今回の環境アセス制度の見直しというものが、これまで議論してきたものにどう関係していくのかというものを最後にお伺いしたいと思います。

○松本政策調整担当部長 今回の環境アセスメント制度の見直しは、施設更新時の手続の明確化を中心として、早期に見直すべき事項を検討したものでございます。
 環境影響評価審議会答申にも示されておりますとおり、計画段階環境アセスメント制度の見直しにつきましては、環境アセスメント制度のさらなる改善に向けた重要な事項であるため、今後も本制度がその役割を十分に果たしていくよう、本格的な検討を進めてまいります。

○西沢委員 環境アセスに関連して、さまざまな問題が後になって出てくるということがないように、しっかりと進めていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

○やながせ委員 私からも、二〇二〇大会の暑さ対策、補正予算について何点かお伺いをしていきたいというふうに思います。
 暑さ対策というのは難しいという話を、今、西沢議員もやられていたわけでありますけれども、どのレベルまで行うのか。重複は避けていきますので、よろしくお願いします。
 どのレベルまで暑さ対策をするのかというのはなかなか難しいなというふうに考えているところなんですけれども、今回のテストイベントにおける暑さ対策は、例えば、快適な環境をつくるとか、もしくは最悪の熱中症を防ぐとか、いろんなレベルがあると思うんですけれども、これは、この事業においてどのレベルを目的とされているのかと、この点をお聞きしたいと思います。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 この暑さ対策は、東京二〇二〇大会の成功に向けて行うものでございます。大会開催都市の責務として、東京の厳しい暑さから都民や観客、観光客などの健康と安全を守るために実施するものでございます。

○やながせ委員 東京の厳しい暑さから都民や観客、観光客などの健康と安全を守るということなんですけれども、やっぱりこれだと漠然としているんではないかというふうに思うんですね。
 ですから、やっぱり目標をはっきりと、熱中症にならないようにするんだとか、私はそれが一番正しいのかなというふうに思うんですけれども、そのように設定をされた方がわかりやすいのかなというふうに思いますので、これはご提案として聞いていただきたいというふうに思います。
 なぜこういう話をするかというと、今回の六千八百万円で、ラストマイルや路上競技、沿道等においてハード及びソフト対策を試行実施するということなんですけれども、この六千八百万円という金額が本当に妥当なのかどうかということ、これを検証したいというふうに思うわけですけれども、この金額の妥当性について、どのように立証されるのかということをお伺いしたいと思います。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 予算上の見積もりにおきましては、現在想定されているイベントの観客数をもとに必要となるハード及びソフト対策の規模、数量を積算してございます。
 なお、実際の発注におきましては、環境公社に設置を予定しております、仮称でございますが、暑さ対策緊急対応センター、こちらで発注をする際、内容及び金額面についてはプロポーザル形式を予定してございます。すぐれた提案を行った事業者を選定していくことを予定しております。

○やながせ委員 休憩所、テント、ミストの設置、うちわと紙製の帽子をつくって、かち割り氷を配布するんだよというのはわかるんですけれども、それがなぜ六千八百万円なのかというのは、実はさっぱりわからないんですね。
 これは、プロポーザルでやるんだというのは一つの根拠になると思います。プロポーザルでやるというのも正しい姿なので、それはいいんですけれども、例えば町会の運動会というのがあるんですね。
 私のまちであれば、中学校の敷地でテントを張って運動会をやるわけですけれども、この運動会の予算というのは、町会、自治会、連合会の予算からすれば大体二十万から三十万でやるわけです。テントを張ってやるんです。じゃ、これをイベンターに頼むと、大体百万から三百万ぐらい取るでしょう。これを広告代理店の例えば電通に頼んだら、一千万から三千万、場合によっては一億取るかもしれません。
 多分電通は受けないと思いますけれども、私、元広告代理店にいましたけれども、それぐらいのものは受けないということから、一億になるということはないと思いますけれども、一千万から三千万ということで、同じような規模のイベントをやろうとしても、同じようにテントを張ってやっても、これはピンからキリまで出てくるわけです。
 今の幅でいうと、十万、二十万でできるところから一千万、三千万というところまでピンキリであるといったときに、この六千八百万円というのがどのレベルのもので、どれくらい妥当性があるのかというのを、僕たちはどうやって審議をしたらいいのかなということなんです。
 これはちょっと根本的な投げかけになるんですけれども、ずっと局の方とやりとりをさせていただきましたけれども、出てきたのはやっぱりこのペーパー一枚でありまして、積算したんだよということで書いてあるのは、休憩所、テント、ミストの設置、うちわ、紙製帽子、かち割り氷の配布と。
 五競技程度で、想定観客数は七万人程度なんだよということなんですけれども、これで六千八百万円、判こ押せといわれても、やっぱりなかなか押せないなというふうに思うんですけれども、これはもうちょっと具体的に、この六千八百万の使い方というのをお示しされるというようなことはできないんでしょうか。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回お出しをしております中に、検討調査に係る予算も計上してございます。
 こちらで、実際の対策の内容についても、必要性、それから妥当性についても調査をしてまいりますので、そのような中でプロポーザル方式による発注も含めまして、妥当性、正当性については検討してまいりたいと思っております。

○やながせ委員 ちょっと意地の悪い質問をしていますので、なかなかお答えできないかなというふうに思うんですけど、こういう提案をされるときには、やっぱりできるだけ説明していただきたいというふうに思うんです。
 例えば過去こういう事例があって、こういう暑さ対策をやったときには一千万でしたと、それが五会場だから五千万なんですよとか、こういうのがあったらわかりやすいのかなというふうに思います。ぜひ提案には工夫をしていただきたいというふうに思います。
 この話はこれで終わります。
 このオリンピックの暑さ対策なんですけれども、これの役割分担はどのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきまして、競技場の中におけます事項については大会組織委員会、それからラストマイルなどの競技場の外につきましては開催都市の担当ということになってございます。

○やながせ委員 組織委員会が競技場内における暑さ対策を担って、都は競技場外、ラストマイルの暑さ対策を実施するんだということであります。
 暑さ対策というのは、私はやっぱり連続して行うものなのかなというふうに思いますので、例えば外でも帽子を配って、中でも帽子を配ってとか、こういうことをやっていたら、これは極めて無駄遣いが発生するということもあります。どうしてこういうやり方になっているのかなというのは、さまざまな縦割りの中でこういうふうになってしまったという事情もよくわかっているわけでありますけれども、その縦割りの弊害を何とかして乗り越えて、しっかりと連携していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 先ほど西沢委員からもあったんですけれども、暑さ対策を行っているイベントというのはほかにもあると思うんですね。現地で実際にやる意義というのがどれくらいあるのかなというのが、ちょっとそもそも根本的に私は疑問を持っておりまして、さまざまなイベントはもうずっと行われているわけです。ことしの夏もさまざまなイベントが行われて、暑さ対策も行われてきたというふうに思います。そういった調査をどれくらいやられてきたのか。
 逆にいえば、そういった調査でこれは終わらないか。イベントをやらずにそういった知見をしっかり集めれば、このイベントに対応できるんではないか、本番に対応できるんではないかとも思うわけでありますけれども、これについての見解を伺いたいと思います。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来年施行を予定しておりますテストイベントにつきましては、これは東京二〇二〇大会と同じ会場を使用し、その運営を行うことによって、競技運営及び大会運営の能力を高めることを目的として行われるものでございます。
 暑さ対策につきましても、このような場を活用し、実際の現地の状況を踏まえた検証を行うことで、より効果の高い対策、あるいは運営上の課題についても明らかになるものと考えております。

○やながせ委員 現場を使ってやることに意義があるんだよということなので、それも一理はあるなというふうには思うんですけれども、できるだけ、さまざまな知見を検証してやっていただきたいというふうに思います。
 来年のテストイベントと本番は、当然気候も違うし、来る観客の人数も全然違うと思われるんですね。その中で、来年のテストイベントで暑さ対策をやって、それを検証して、どこまで本番に役に立つのかというのはなかなか難しいのかなというふうに思います。
 引き続き、この対策については私の方でもチェックをしっかりやってまいりたいというふうに思うわけであります。
 もう一問、ラストマイルでの健康と安全を守るために暑さ対策をやるんだよということで、その暑さ対策をやるのが環境局ということでありますけれども、例えば、ラストマイル中に倒れた人をどうするのかとか、そういったリスクヘッジ、リスク管理に関しては、これはどうやってやっていくんでしょうか、この点をお伺いしたいと思います。

○若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 さまざまご懸念があるかと思われます。来年のテストイベントを通じて、さまざまな知見、それから効果的な対策というものをしっかり積み上げていきたいと思います。
 ご懸念にあるリスクが発生しないよう、関係各局連携しながら、しっかり対策に取り組んでいきたいと思っております。

○やながせ委員 やっぱりどこかが責任者となってやる必要があるのかなというふうに思うんです。これも局の方と一時間ぐらい話をして、余りいい結果が得られなかったものですから、余り話をするのはやめようかなというふうに思っているんですけれども、やっぱりどこかが司令塔となって、ラストマイルで倒れた人がいたならば、それは環境局が責任を持って救急等々につなぐんだよというようなことをやっていかなければ、このオリンピックの問題というのは、縦割りの問題というのが相当あるなというふうに考えておりまして、ぜひ、このラストマイルの暑さ対策、これだけのお金をかけて環境局がやられるということなんですから--このラストマイルでさまざまな出来事があると思います。
 それに対しては環境局が責任を持ってやるというのが、私は筋なんだろうというふうに思いますので、ぜひそこは検討していただきたいと、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○栗下委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十四分休憩

   午後二時五十分開議

○栗下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 それでは、議案第二百十七号、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例について、主な四点について質問したいと思います。
 まず一点目、施設更新をアセス対象とすることの明確化なわけですが、これまではどのように運用されてきたのか。

○松本政策調整担当部長 これまでは施設更新があった場合は、環境影響評価条例等の施設の新設等の規定を適用して手続を実施してまいりました。

○原田委員 これまで運用として、施設の更新についてもアセスの対象としてきたと思いますが、いかがですか。

○松本政策調整担当部長 今ご答弁申し上げたとおり、これまで施設の更新があった場合は、条例等の施設の新設等の規定を適用して実施してまいりました。

○原田委員 これまで運用として、施設の更新についてもアセスの対象としてきたのを改めて明文化すると。これまでの運用の範囲内とはいえ、条文上アセス対象が広がる内容も持っていますから異論はありません。
 ただし、少し気になる部分が、審議会答申の資料の中にありました。審議会答申の別表として示された更新の視点での対象事業の整理という表についてお聞きします。
 道路の新設、増設、更新時における一キロ未満でも、対象事業の一部または延長として実施するものについて、これまでは軽微なもの以外はアセスをするものとするという規定がありました。つまり、軽微でなければアセスの対象にするとなっていた、道路で一キロ未満であっても。
 ところが、改定案では、軽微なものに括弧づきで、知事が定めるものと規定が加わっています。この基準については今のところ示されていませんが、この知事が定めるものというのはどのような基準となっていくのか。

○松本政策調整担当部長 お話しの知事が定めるものにつきましては、今後検討しまして、具体的な規定として定め、公表する予定でございます。

○原田委員 都市計画道路など住宅地を踏みつけにしてつくられる道路は、たとえ一キロ未満、数百メートルでも重大な影響を地域に与えるわけです。当然軽微なものではないので、アセスの対象にすべきだと考えるわけですが、その基準が定かでないまま、都知事が定める軽微なものはアセスの対象にしないと条例提案されては、正直穏やかではいられません。
 今後基準を定めるとありますが、その基準は極めて重要な基準となりますので、議論の過程も含めて当委員会に報告するよう求めるものです。
 次に、条例改定のポイントの二点目、事業の変更があったときは、事前に変更届を出さなければならないとした六十二条があるわけですが、軽微な変更については提出を求めていません。
 軽微な変更といわれても基準がはっきりしないので、それを明確化するという今回の見直し自体に異論はないのですが、諸元の増加が一〇%未満という定めの根拠が定かではありません。詳しく説明を求めておきます。

○松本政策調整担当部長 都では、変更届が不要となる要件として、これまでの運用や国及び他の自治体の例などを踏まえまして、施設の面積や長さなどの諸元が一〇%以上増加しないことといたしました。
 なお、諸元が一〇%未満の増加であっても、事業の変更が予測、評価の内容に影響を与える場合には、変更届を提出することとなります。

○原田委員 今回、六十二条に基づく事業変更届の提出、これを出さなくてもよしとする基準については明確化するわけですが、このお隣の六十三条、アセスのやり直しを定めた条項ですが、ここにも実は、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときという曖昧な基準があります。
 この曖昧な基準をもって、例えば豊洲新市場計画の地下空間が発見されたときに、これは環境に著しい影響はないとして、豊洲は再アセスになりませんでした。
 そこでお聞きします。
 六十三条は、環境に著しい影響を与える場合にアセスのやり直しを求める条項ですが、環境に著しい影響について、その要件を明確化することの必要性についてはどのように考えていますか。

○松本政策調整担当部長 条例第六十三条に定めます当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるか否かの認定につきましては、個々の事案ごとに判断する必要がございますので、一律に要件を定めることは困難でございます。
 ただし、審議会答申にもございますが、事業内容等の変更が、基本的な諸元以外の変更または当該基本的な諸元の増加が一〇%未満である変更、もしくは減少がある変更ですとか、変更後の対象事業について、変更前の関係区市町村長以外の区市町村長が含まれていない変更に該当しない場合には、環境影響評価法令では手続の再実施を求めているということに倣いまして、変更の届け出の後は、審議会への意見聴取を経て、手続の再実施を求めることになると考えてございます。

○原田委員 環境に著しい影響を及ぼすおそれの認定は、個々の事業ごと、そのときの審議会や都の判断に委ねられる部分が大きいわけですね。その時々の行政の思惑で基準を明確化したり、曖昧にしたりとなっては、問題を指摘されてしまうと思います。
 基準の明確化という作業に、不均衡の起きない制度設計を求めておくものであります。
 事業者が審議会への出席、説明を行える規定が追加されました。ポイントの三番目です。これは重要です。
 これまでも審議会の専門的な質問に対して、環境局が事業者に成りかわって一知半解の知見で答えるという問題を、私もこの場で指摘をしてまいりました。この見直しについては明確な前進面として歓迎するものです。
 そこでお聞きしますが、条例上、事業者の出席について義務や責任を定めたものとなっていないと見受けますが、この規定はどのように担保されるのか、事業者から出席が断られるなどの問題は起きないのかお答えください。

○松本政策調整担当部長 審議会答申にございますとおり、環境アセスメント制度は、事業者が主体的に環境の保全について適正な配慮を行う手続の仕組みでございます。この趣旨からすれば、事業者が事業の内容等について説明責任を果たすべきでございます。
 この認識に基づき、審議会は、調査審議を行うため必要があるときは、事業者、その他関係者の出席等を求めることができる旨の規定を新たに追加したものでございます。審議会から出席等を求められた事業者は、これに応ずる原則的な義務が生じ、審議会に出席等を行い、説明責任を果たすこととなります。
 都としましても、審議会から出席等を求められた事業者が、適正かつ円滑に手続を行うことができるよう、審議会への出席等を求めてまいります。

○原田委員 今の答弁も含めて、原則的な義務が生じるといった一連の答弁も含めまして、今回の条例の見直しの前進面として受けとめたいと思います。
 それでは、改定のポイントの四番目、勧告制度の導入についてお聞きします。
 日本共産党都議団の現地調査で、豊洲新市場計画の地下空間が発見されたとき、アセス条例違反とそれへの対応が問われました。
 地下空間がなぜ設けられたかを検証した都の報告書、事実と異なる報告書、これですね、第二次自己検証報告書、いつ、どの時点で誰が、建物下に盛り土をせず地下にモニタリング空間を設置することを決定したのかというこの報告書ですけれども、この中で、事実と異なる環境影響評価をそのまま放置して、変更手続を怠ってきたことはミスの一言では済まされず、重大な手続違反と捉える以外にないとこの報告書は、事業者たる東京都に対して厳しい指弾を行っている、断定をしています。
 そして、結びにおきまして、今後は、都議会において事実と異なる答弁を行ってきた責任等を含め、懲戒処分等の手続に委ねることとなるが、毀損された都民の信頼を取り戻すには長い時間と多くの努力が必要であり、今回の事態を契機として、東京都の組織が元来持ってきた自浄機能を一刻も早く回復できるよう、東京都が一丸となって、環境局も含めてです、取り組まなければならないと強い決意をこの報告書は示しているわけです。
 第二次自己検証報告書の指摘を受け、豊洲新市場計画における環境影響評価制度の手続違反について、発覚当時、環境局はどのような認識を持ち、どのような姿勢で違反事業者たる東京都に臨んだのか、その詳細を改めて述べてください。

○松本政策調整担当部長 環境局は、豊洲新市場の建物下に盛り土が行われなかったことにつきまして、都が一昨年九月に公表した後、直ちに確認を行いました。
 そして、中央卸売市場に対し、環境影響評価書に書かれた事業計画について、変更の手続をせずに工事を実施したことについて遺憾の意を伝えました。
 また、今後は、あらかじめ相談を行い、適時適切に環境影響評価の手続を行うよう強く要請いたしました。

○原田委員 当時の環境影響評価審議会において、会長は、今回、変更届が、出されている評価書の内容と異なる工事が実施されたことにより、環境影響評価という制度の信頼性が損なわれるという事態が発生しました点につきましては、審議会を代表しまして強く遺憾の意を表したいと発言をしました。
 その上で、条例のあり方についてこうもいっています。今回の事態は、ある意味では、条例上ないしは条例運用上の問題がそこに潜んでいるかもしれないので、条例等の見直しを含めて、東京都には強くお願いしておきたいと言及しました。
 文脈からすれば、アセス手続の遵守規定を担保する何らかの条例等の改正の必要性を指摘しているように私には聞こえるわけですが、そこでお聞きします。
 環境局は、当時の環境影響評価審議会会長の言及を受けて、条例にどのような問題があると受けとめたのか、今回の制度改定に影響を与えたのかお答えください。

○松本政策調整担当部長 今、委員が引用なさった環境影響評価審議会の柳会長のお言葉ですが、引用された部分のほか、また、このようなこともおっしゃっております。アセスメント制度といいますのは、事業者みずからのセルフコントロールの仕組みを手続で担保することによって、環境の保全と、事業者の事業に対する透明性と説明責任を果たしていくことを目指すものであります、こうおっしゃっています。
 こうした柳会長のご発言につきましては、環境局として極めて貴重な意見と受けとめております。
 今回の環境影響評価制度の見直しは、施設の更新についての要件を明確化するなど、より適切でわかりやすい制度とするため、環境影響評価審議会へ諮問し、検討を行ったものでございます。
 審議会におきましては、今申し上げました手続の明確化を中心とした見直しのほか、柳会長を初め審議会委員の皆様からのご指摘を受け、審議会への事業者の参加など制度運用上の課題の見直しについてもご審議いただいており、今回の改正条例案に反映してございます。

○原田委員 今答弁にありましたアセスメント制度というのはセルフコントロールが大事なんだと。常々、この柳会長は、罰則よりもセルフコントロールが大事だ、そういう持論の持ち主ですよね。
 だからこそ、そのセルフコントロールが踏みにじられた豊洲の件に関しては、アセス条例上の問題があると強い遺憾の意を彼は述べたわけです。そこを受けとめないと、これはしっかりと受けとめているのかどうか疑問に思ってくるわけですね。
 つまり、今の部長の答弁を総括しますと、会長の発言は強く受けとめたといいながら、諮問をしたのは施設更新の要件の明確化等についてであって、重大な条例手続違反が地下空間から発見されるまでは、放置された事態に今後どう向き合うのかと迫られた課題について、東京都は審議会に諮問もしなかったということがわかってきたわけです。
 今回見直しをされようとしている九十一条は、違反事業者に対して弁明の機会を与えた後、違反行為に正当な理由がなければ、違反事業者の氏名、住所、違反事実を公表するというものです。
 私はこの間、六十二条に違反し、しかも都として単に軽い違反でなく、重大な手続違反と認定した以上、九十一条を適用すべきと指摘をしてまいりました。適用すべきだったんだと指摘してまいりました。
 ところが、環境局は円滑な手続を担保する狙いが九十一条にあるとして、すぐにも変更届を出そうとした事業者たる東京都には、九十一条を適用する必要性が低いと判断し、弁明の機会、すなわち事業者の弁明の文書も残さずに、九十一条の違反事実等の公表も行わなかったんです。弁明の機会も与えていないものですから、どういう理由があったのかも文書として実は残っていないんです。
 そして、今回の見直しについて審議した制度検討特別部会において、とある委員は、九十一条の規定ぶりを見ていただきますと、中略、違反があれば即公表というような直罰的な規定ぶりになっていると指摘をしました。
 確かに、多くの自治体は勧告制度を置いていますが、それではなぜそのような仕組みをつくったのか。違反事実が見つかって弁明の機会を置いた後、即事実の公表に入ると。正当な理由がなければ事実の公表に入るという仕組みを東京都がつくったのかが、制度の歴史をさかのぼって調べられなければならないと考えるんですね。
 そこでお聞きしますけれども、現行九十一条、さきの審議委員いわく、直罰的な仕組みをつくった当時の東京都の目的、歴史的背景は何だったのか教えてください。

○松本政策調整担当部長 現行条例第九十一条におきまして、氏名等の公表の前に必要な措置を講じるよう勧告する旨の規定がないことの理由は、今のところ不明でございます。
 ただ、当時の都議会の議事録を確認いたしました。現行の条例は、昭和五十五年の第三回都議会定例会に提出をしております。その時点で、現行の条例にございますとおり、事業者が条例に定める手続の全部または一部を行わなかったとき等は当該事業者に弁明の機会を与え、その弁明に正当な理由がないと認めるときは当該事業者の氏名等を公表しなければならないという規定ぶりになっておりました。
 その当時の議事録を読みますと、当時共産党の議員の方から、勧告規定など他都市の条例にもあるものを、なぜ今回の条例案に入れなかったのか明らかにしていただきたいとの質問がございまして、当時の知事は、既に施行されている規制法令の運用で対処し得るものと判断し、採用しませんでしたと答弁しております。
 このことから、当時は、環境影響評価条例上の勧告規定を、規制を遵守させるための勧告と同様の意味であると解し、手続条例であります環境影響評価条例の規定としては適当ではないという判断をしたと推察されます。
 なお、今回の条例案における勧告規定は、手続を履行させるための勧告でございます。

○原田委員 議事録まで調べていただいたということで、こういうことはもうちょっと早くやるべきだと思うんですけれども、私も若干調べてまいりましたので、後でご紹介させていただきたいと思うんですけれども、勧告をどう捉えるか、これは確かにその前後の条文であるとか、全体の仕組みであるとかでちょっと変わってくるんだなということが、ここ最近勉強してきて思ったところです。
 こうやって九十一条、罰則規定といいますかペナルティーの規定というものを変えるとき、あるいは勧告制度というものを置くとき、そういう際は、歴史的な経緯などについて慎重に調べるべきだと思うんです。きょうやっとわかったと。
 一九八〇年当時のアセス条例策定にかかわる資料というのは、議事録以外にお持ちではないんですか。

○松本政策調整担当部長 今のところは確認ができておりません。

○原田委員 現行九十一条の仕組みによって、過去、制度の運用に支障が生じたことはあったんですか。

○松本政策調整担当部長 過去に制度の運用に支障が生じたことは把握してございません。

○原田委員 九十一条の規定で支障が生じたことはないのに、なぜ見直す必要があったのかはやはり疑問なんですね。
 思い返せば、私との議論で、松本部長はデメリットがあるという発言をしたことがここの場でありましたけれども、次の議会で、そのデメリットって何なんだと聞いても全く答弁が出てこなかったのが前回でしたよね。
 現行九十一条の仕組みで、今後、制度の運用の支障が生じたり、信頼が失われたりするような事態が予測されるのかどうか。

○松本政策調整担当部長 条例第九十一条につきましては、制度見直しの審議において、環境影響評価審議会の委員から、運用上の課題として、氏名等の公表に係る条例規定は、違反があれば即公表というような直罰的な規定になっているが、他の自治体の規定なども参考としながら見直す必要があるとの指摘を受けて見直したものでございます。
 改正後の条例におきましては、現在の運用が明文化されるものでございますので、これまでと運用が変わるものではありません。そのため、ご質問のような事態はないものと考えております。

○原田委員 つまり、これまで九十一条の運用で、デメリットですとか支障が生じたことはなかった、過去も現在の問題がないわけですから、いわゆる立法事実、何のために条例を改正するのかが、私は根本から、この九十一条の規定の変更の場合は問われていると思うんです。
 現行九十一条は、その各号に定められた行為を事業者が行うことを抑止する効果があると思うんですけれども、いかがですか。

○松本政策調整担当部長 都民との信頼関係によって事業が成立している事業者にとりましては、条例違反があった場合に、氏名やその事実等を公表されるということを通常望まないということですから、手続違反を抑止する効果があると考えております。
 このことは、改正後においても同様の効果があると考えております。

○原田委員 改正後も同様だという答弁もありましたけれども、前段、現行九十一条の規定というのは抑止する効果があるんじゃないかと私が聞いたら、手続違反を抑止する効果はあるだろうと認めたわけです。
 それに対して、勧告制度はどうでしょうか。私が十月二日の委員会質疑において、今回の見直しは、つまり、どんな違反行為を働いたとしても、勧告を受けて手続に戻りさえすれば、それまでの違反行為は全て許し、氏名や違反事実の公表などペナルティーを課さないという見直しなんじゃないですかと質問をしたところ、松本部長は、今回、審議会答申案において示された勧告につきましては、氏名等の公表に相当する手続違反を対象に行うことと想定されるものでございますが、勧告を受けて手続を実施したとしましたら、氏名等の公表を行わないものと考えられますと答弁しているわけです。
 つまり、勧告に従えば、それまでどんな違反を犯していても、その事業者の氏名も住所も違反事実の公表もないんだと明確に部長は答弁されたわけです。
 豊洲の事件が発覚したとき、違反手続を行い、議会で事実と違う答弁まで行って、アセス手続を踏みにじった事業者の出現により、アセスのあり方そのものが問われたにもかかわらず、今回の見直しは、そうした事業者も勧告制度によって違反事実の公表を免れる方向に向かってしまうんです。
 お聞きしますが、勧告について、せめてその記録は残るんでしょうか。

○松本政策調整担当部長 条例第九十一条におきまして、氏名等の公表の前に行う勧告は文書で行いますので、公文書として作成し、保存されます。

○原田委員 勧告について、審議会では、勧告をしたことの報告をしてほしいと意見が出されていますが、どのような形で公表は行われるんでしょうか。

○松本政策調整担当部長 勧告を行った件数等の制度運用に関する重要な事項につきましては審議会に報告する予定でございます。
 審議会への報告案件につきましては、会議資料として審議会の傍聴者に配布いたすとともに、環境局のホームページにおいても公表いたします。

○原田委員 件数というのはそれほど重大なことではないんですね。どんな違反手続を行った事業者がいて、それに対してどのような勧告を行ったのかというところが大事なわけですけれども、それは出ないで件数だけが報告をされるんだと。
 審議会報告案件が傍聴者に配布されるといいましたけど、勧告をした件数を報告しますということだけが載るだけでしょう、何もわからないじゃないですか。
 審議会に対してすら、どの事業者がどのような違反を犯し、どのような勧告を出して、どのような対応が行われたのかは知らされず、件数のみが報告されるというわけです。
 たとえ重大な手続違反を犯し、その事実を押し隠し続けていたとして、その事実が発覚したときに勧告に従いさえすれば、簡単にいえば、やり直しをすればなぜそのような違反をしたのか弁明しなくてもいいし、弁明の文書も残らない、公表も免れることができてしまう。重大問題じゃないですか。
 改めてお伺いしますが、例えば議会で、誰がどのような違反をし、どのような勧告を行ったのか、議会でですよ、資料請求をしたり、質問したりすれば、勧告の内容について、一定のところまでは都はお答えいただけるんでしょうか。

○松本政策調整担当部長 事業者に対する勧告を行った文書につきまして、例えば開示の請求というか求めがあった場合ですけれども、それはまた内容に応じて適切に開示をする部分、あるいは非開示をする部分、そういった決定を行うこととなります。
 先ほど勧告について、審議会での報告についてご答弁申し上げましたけれども、こちらについては、今の予定として、まずは勧告を行った件数等の制度運用に関する重要な事項について報告する予定であると答弁申し上げております。

○原田委員 今はそういう段階だというんですけど、部長、今、条例提案しているんですよ、条例改正案を。その段階で何にも決まっていなくて、極めて重要な案件ですよ、勧告制度を置いた。その勧告制度について、どういう取り扱いをするのか、議会に報告するのか、審議会にどういう報告をするのかについても決まっていないと。どうやって賛否を出せというんですか。
 開示請求については、ケース・バイ・ケースだみたいな答弁もありましたけれども、これでは勧告すら、勧告ですよ、行政が行う公的な指導ですら、その事実が明確にされるかはっきりとした保証がないといわざるを得ません。
 九十一条の改正に当たって、環境影響評価条例における勧告、違反事実の公表、罰則などについての歴史を若干調べてまいりました。
 全国の自治体に先駆けて環境影響評価条例を制定したのは川崎市で、一九七六年、東京都の条例のちょうど四年前。ちなみに、その四年前には四日市ぜんそくの公害裁判の勝利判決が出ていると。機運が高まっているときですよね。
 当時の川崎市の環境管理部長は、制定の背景として、川崎ぜんそくという深刻な公害の存在、環境は事後的な回復、救済が不可能なことから、アセスを実施し公開することの、事前にアセスをして公開することの全市民的な要請が、この制度を確立することの大きな契機になったと語っています。
 そして、この条例の条文には、実効性を担保するため、評価書を届けない、あるいは違反をした者に対しては、罰金刑という厳しい措置を講ずるとともに、それだけではなく、条例の規定に違反して良好な環境の保全に支障を及ぼしている場合には、社会的側面からも違反者に反省を求めるように違反の事実の公表の条文を設けていると解説しています。罰金だけでなく、市民や社会からも反省を求めるよう促すという二重のアプローチを川崎市条例はつくっているんです。
 川崎市の公表の仕組みについて、数少ない環境影響評価法実務という本がありますけれども、これによると、アセスの専門家は、川崎市の条例は勧告規定について、違反事実の公表については勧告に従わないことに対する不利益措置としての公表ではなく、審査書遵守義務に違反し、しかも、それにより良好な環境保全への影響のおそれをもたらしたために受ける措置であると。つまり、勧告に従わないことではなくて、義務に違反し、影響のおそれをもたらすことに対して措置をとると。事実の公表を行うということに対して、この本では先進的なものだと高い評価を与えているわけです。
 川崎市との細かな違いはあるものの、東京都も、このように勧告に従わないことを抜きにして、弁明、公表という仕組みをとってきたわけです。
 本文に当たることができなかったんですけど、一九七九年に東京都環境アセスメント制度検討委員会が設置されて、翌年答申が出されております。その概要は、一九八〇年度版の当時の東京都公害局の事業概要にも掲載されています。これですね、事業概要です。ちょっと当たれば出てくる。
 そこではアセスの実効性の担保の措置として、意見表明の機会を与えた後、必要と認めたときは経過と経過を明らかにするという方向性が示されていると。アセスの実効性を担保するにはこのようなスキームが大切だとしたわけです。
 当時の東京都公害研究所大気部の職員は、この論文の中で、影響評価条例の比較表を作成しています。それが今持ってきました、このパネルです。字が小さくてさっぱりわからないと思いますけれども、ここに何が書いてあるかというと、東京都条例、神奈川県条例を、この職員さんは比較をしているんです。
 同じ時期につくられた環境影響評価条例です。神奈川は措置、勧告、公表、つまり今回の見直しのように公表の前に勧告を置いていると。ところが、東京都の場合は手続違反の措置については公表、許認可権者に通知をするというふうに、いわゆる即公表というのを出して、東京都の条例の優位性を示しているということなんです。
 これを見ると、東京都と神奈川県でほぼ同じ時期、東京都は一九八一年十月の施行予定、神奈川県は同じ年の九月施行予定ですが、手続違反等の措置に対しては、東京都が公表、さらには許認可権者に通知となっているのに対し、神奈川県は措置、勧告、公表として、勧告の後に公表という仕組みになっていることがわかります。東京都の九十一条はあえてそうしたんです。
 こうした事実を見ても、条例制定に当たって、東京都としてアセスの実効性を担保するのに、指導や勧告の後に弁明、公表という仕組みではなく、あえて弁明、公表という、よりストレートな仕組みを意識的につくったことが強く推定できるのかと思いますけれども、難しい答弁になるかもしれませんけど、部長いかがでしょう。

○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、昭和五十五年、都議会の第三回定例会がございまして、そこで現行条例を提案しております。そのときに、当時、貴政党、共産党の先生からも、勧告規定など他都市の条例にもあるものをなぜ入れなかったのか、そういう問いかけをいただいております。
 条例九十一条については、繰り返しになりますが、今回の制度見直しの審議におきましては、法律の専門家でございます審議会の委員の先生から、運用上の課題として、氏名等の公表に係る条例規定は、違反があれば即公表というような直罰的な規定になっているが、他の自治体の規定なども参考にしながら見直す必要があるとの指摘を受けて見直したものでありまして、改正後の条例については、繰り返しになりますが、現在の都の運用が明文化されるものでありますので、これまでと運用が変わるものではございません。

○原田委員 これまでどおりの答弁を繰り返したわけですけれども、こうやって歴史をひもとけば、改めて、なぜその当時九十一条ができたのかというのは明確になっていくんだと思うんです。共産党が当時、周りの自治体は勧告というのを置いているんだけど、なぜ置かないのかという質問があったと。まさにそれが焦点になったと。
 やっぱりこういうことは、条例を見直すときにはちゃんと調べてから提案をするとか、審議委員の人とも会話を尽くすということが大事でありまして、私が今回こうやって質問を用意したときに初めて調べるというようなことであっては困るわけですよね。
 今回の条例改正で、今まで環境審議会に対して都環境局が行ってきた説明を事業者が責任を持って行えるようにしようとすること、また条例の運用という点では、わざわざ都庁や区市町村の役所まで出向かなければ見ることができなかったアセスの本体がホームページでも見られるようにしようとしていることは、私は重要な前進面だと感じています。
 しかし、一方で、手続違反がどんなに重大であろうと勧告をまず求め、それに従えば弁明すら求められず、文書も残らず、公表の心配もない。この点はこれまでの仕組みを緩めるものになります。
 東京都の条例は、大型開発から自然と、住民の暮らしや健康を守るために、東京都の先人たちがつくり上げたものです。
 九十一条の改定については、これを緩めることになる強い危惧を述べるとともに、日本共産党東京都議団は、今後も環境アセスの制度改善に取り組むことを述べて、質疑を終わります。

○栗下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○栗下委員長 次に、報告事項、都における気候変動対策に係る主な制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、建築物環境計画書制度)に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 小池知事が所信表明で述べられましたが、気候変動対策にかかわる主な制度の見直しについて詳細を伺います。
 現在、ポーランドにおいて国連気候変動枠組条約締結国会議、いわゆるCOP24が開催されています。二〇二〇年から始まるパリ協定、つまり産業革命前からの気温上昇を二度未満に抑えるという地球温暖化対策の国際的枠組みについて、具体的なルールづくりが議論されています。
 温暖化否定論を主張するトランプ大統領により、アメリカは二〇一七年にパリ協定からの離脱を表明し、また新興国の中国やインドの温暖化ガス排出が急増する現状で、国家政府間の交渉は難航を極めています。
 しかし、東京都においては、二〇一〇年度から、いち早くキャップ・アンド・トレード制度を導入し、着実に成果を挙げ、環境先進都市として気候変動対策を牽引してきました。
 今回、二〇二〇年以降の、既存建築物と新築建築物に関する三つの制度の見直しについて報告がありました。
 まず、オフィスや工場など大規模事業所を対象とするキャップ・アンド・トレード制度について伺います。
 都は、この二〇二〇年度から始まる第三計画期間の制度について、本年三月から専門家による検討会で議論を進め、事業者ヒアリングも行っていますが、改めて制度改革の目的を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガスを三〇%削減する目標を掲げて取り組みを進めているところでございます。
 都のCO2排出量を見ますと、建築物から排出されるCO2は約七割に上り、その対策は大変重要でございます。
 世界では、パリ協定を踏まえて、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが共通の目標として掲げられておりまして、再生可能エネルギーの利用拡大が進むなど脱炭素社会に向けた動きが加速化しております。
 都といたしましては、このような動向を踏まえて、第三計画期間が始まります二〇二〇年度を、二〇三〇年目標の達成とその先の脱炭素社会の実現を見据えた新たなステージと位置づけまして、省エネ対策のさらなる推進と再エネ利用の拡大、その両輪で、大規模事業所のCO2削減の取り組みを促してまいります。

○入江委員 このキャップ・アンド・トレード制度の第三期では、省エネと再エネの利用拡大の両輪で取り組みを進めていくというご答弁でした。
 報告資料によりますと、CO2削減義務率をオフィスビルなどが一七%から二七%、工場などが一五%から二五%と引き上げています。そして、太陽光、風力、バイオマスなど、再エネ電力の利用拡大を推進するための新たなインセンティブを導入することを提案しています。
 この制度の進化について、これまで開催してきた専門家検討会や、今月、この十二月の四日まで実施していたパブリックコメントでは、どのような意見が表明され、今後どのように検討を進めていくのか、都の見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 これまでの検討会におきましては、二〇二〇年以降の取り組みの方向性、それから都の二〇三〇年目標を踏まえました削減義務率の設定を初め、再エネ利用の拡大策などについてご意見を賜ったところでございます。
 また、事業者の削減の取り組みにより生まれた超過削減量のバンキングにつきましては、第三期まで利用を認めると追加削減が進まなくなるとの専門家のご意見もいただいています。
 また、今月四日まで実施いたしましたパブリックコメントでは、削減義務率が厳しいですとか、バンキングの利用制限をなくしてほしいといった意見がある一方、さらに削減目標を高くすべきという意見も寄せられております。
 今後は、いただいた意見を検討会で専門家にお示しながら、さらなる検討を進めてまいります。

○入江委員 二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガスを三〇%削減するという大きな目標を達成するためには、CO2削減が一層進むように事業者の理解を深め、制度をしっかり進めていく必要があります。
 パブリックコメントでもありましたけれども、これまでの事業者の削減の取り組みによって生まれた超過削減量のバンキングについては、例えば東京二〇二〇大会で、開会式と閉会式の合計四日間、都内で排出されるCO2をゼロにする東京ゼロカーボンフォーデーズの取り組みなどに活用できるということも説明していただきたいです。
 パブリックコメントで寄せられた意見については、引き続き事業者と意見交換を重ねるなど丁寧に対応していくいただくことを要望いたします。
 続いて、中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度の改正について伺います。
 本制度は、店舗などをチェーン展開するような企業に対し、CO2排出量等に関する報告書の提出を義務づけています。対象の大半は大企業ですが、CO2削減の取り組み実績を見ると、半数が増加傾向にあるなど企業ごとに大きな差が見られます。
 都は、今回の制度改正により、これらの企業を対象にCO2削減実績などがすぐれている企業を評価、公表する仕組みを導入するとともに、再エネ利用状況の報告を新たに義務づけることで、企業のCO2削減の取り組みを促進することを検討しています。
 さて、私もこのSDGsバッジをつけているんですけれども、これはニューヨークの国連本部のショップで購入してきてもらったんですけれども、気候変動など環境対策を初めとした十七の持続可能な開発目標、SDGsへの企業の取り組みが大変大きく注目されています。
 経団連の中西宏明会長は、六月の就任時のテレビインタビューで、このSDGsバッジだけをつけていました。そして、目指すべき目標にSDGsの推進の強化を挙げていらっしゃいました。
 また、環境、社会、企業統治の視点で、投資先企業を選択するESG投資が世界的に大変拡大しています。
 このように、脱炭素化の潮流が企業活動に与える影響は無視できないものとなっていて、CO2の削減と企業価値向上の好循環を促していくことが大変重要だと考えます。
 今回のこの制度改正に当たっては、専門家検討会を開催し、こちらも四日までパブリックコメントを行いましたが、どのような意見が表明され、都としては今後どのように検討を進めていくのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 専門家検討会では、主に評価に当たっての削減水準や再生可能エネルギー利用の評価方法、一般都民に対してアピールできる仕組みの検討などについてご意見をいただいております。また、SDGsやESG投資などを見据え、気候変動に関する企業の情報開示の動きが活発化していることから注視すべきであるといったご意見も出されておりました。
 パブリックコメントでは、原単位改善率を評価に用いることへの賛同のご意見をいただいたほか、評価水準等に関する考え方については説明を求めるなどの意見がございました。
 今後、こうした意見を専門家にお示ししながら、さらなる検討を進めてまいります。

○入江委員 今ご答弁にもありましたが、国内外で企業の脱炭素経営に向けた投資家や株主との対話が活発化している状況を踏まえますと、都が地球温暖化対策を積極的に進める優良企業を公表することは、企業のインセンティブとなります。
 優良企業には、SSという評価を与えるとのことですが、この制度の認知度を上げ、価値を高めるために、都民、投資家、株主などにわかりやすい見え方を考えていただきたいと思います。
 本制度の効果的な運用を図ることを強く要望いたします。
 続いて、建築物環境計画書制度の改正について伺います。
 この制度は、大規模な建築物を建てる際に、建築主にエネルギー使用の合理化、資源の適正利用、自然環境の保全、ヒートアイランド現象の緩和という四分野について環境配慮を促すとともに、その取り組みを建築物環境計画書にまとめ、都に提出させ、その内容を公表する制度です。
 対象となる新築大規模建築物が近年減少傾向にあることから、都は、提出義務対象を延べ床面積五千平方メートル超えから二千平方メートル以上に拡大していくことを検討しています。
 地球温暖化対策を進めるに当たり、CO2削減のために省エネを進めていくことは大変重要です。
 国は、省エネルギー性能評価の最高ランクとなるゼロエネルギービル、いわゆるZEBの普及を図っています。このZEBは、オフィスビルなどにおいて、空調や照明の効率や断熱性能をより一層高めるといったさまざまな技術を活用することで、エネルギー消費量を最低でも基準の半分以下までに下げるものです。
 東京における最終エネルギーの消費を、産業、業務、家庭、運輸の部門別で見ると、オフィスビルなどの業務部門が最もエネルギーを消費しています。
 こうしたことからも、最先端の省エネビルであるZEBを都でも普及させていくべきだと考えます。
 都は、この建築物環境計画書制度の改正に際し、ZEBの普及に向けてどのような見直しを図るのか伺います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 オフィスビル等の建築物は、建築後、長期間使用されることから、新築時に環境配慮を行うことが重要でございます。
 また、東京における最終エネルギー消費のうち、オフィスビル等の業務部門の消費は、二〇一五年度実績で約四割を占めており、主に新築建築物を対象とする建築物環境計画書制度においても、省エネに向けた取り組みを強化していく必要があります。
 そこで、都は、自治体で初めて建築物環境計画書制度において、従来の省エネ性能を大きく上回るZEBを評価基準の最高ランクに位置づけるとともに、その旨を公表することでZEBの普及を図ってまいります。

○入江委員 都は、自治体で初めてZEBの普及を図るというご答弁をいただきました。
 東京にはオフィスビルが大変多く集積しています。そして、私の地元の港区では、二〇二〇年春に開業する高輪ゲートウェイ駅の周辺など多くの大規模開発が進んでいます。
 こうした建物の省エネ性能のよしあしは外見からはわかりません。今回の制度改正により、どの新築ビルがZEBなのか都のホームページでわかるようになれば、不動産市場におけるZEBの評価が高まることも期待できます。
 都には、各企業に今回の制度改正の趣旨を十分にご理解いただき、省エネをしっかりと進めた建築物がこれまで以上にきちんと評価される仕組みとなることを丁寧に周知していただき、ZEBの普及につなげていくことを強く要望いたします。
 都の気候変動対策に関し、キャップ・アンド・トレード制度、地球温暖化対策報告書制度、建築物環境計画書制度の改正について質問してきました。
 都には、こうした制度改正による取り組みを推進することで、さらなる省エネと、さらに再エネ利用の拡充を強化し、脱炭素社会、ゼロエミッション東京の実現を目指すことを強く要望して、質問を終わります。

○細田委員 私からも、報告事項についてお尋ねさせていただきます。
 四半世紀前の一九九二年リオデジャネイロで、今日まで続きます大きな成果を残しました環境と開発に関する国連会議、いわゆる第一回地球サミットが開かれました。
 このとき私は、NGOとして参加した公明党のグループに同行しまして、いても立ってもいられず現地に赴きました。このときに、まさに気候変動枠組条約が採択され、大気中の二酸化炭素を削減する国際的な枠組みが定まってきたわけであります。
 そして、この二年前に、まさにIPCCが第一次の評価報告書を出して、科学的不確実性はあるものの、気候変動が生じるおそれは否定できない、このことが指摘されたわけですが、まさに今、入江委員に世界的な状況をおっしゃっていただきましたが、そういうような状況がある中、都がCO2を削減していく、この事業を地道に確実に推進していくということは大変に重要な、世界的にも重要な、日本の中でも本当に環境先進都市のトップリーダーとしての、トップランナーとしての非常に重要な施策である、このように思っております。
 さて、私からは、重ならないように、なるべく簡潔に中小企業事業者を対象とする地球温暖化対策報告書制度について、CO2削減を確実に進めていくという観点から伺わせていただきます。
 本制度において、CO2排出量などに関する報告書の提出を義務づけています企業の多くは、私たちの生活に身近な店舗、チェーン展開をしている大企業でありまして、例えば、ファミリーレストランやコンビニエンスストア、またスーパーマーケットなどが対象になっております。
 これらの企業は、本社などが主導して店舗の仕様を定め、また設備のエネルギー管理などを行っているものと認識していますが、企業として二酸化炭素削減に向けた対応を求めていくことは、そういうチェーンの状況ですから大変に効果的であります。
 都は、今回の制度改正によって、これらの企業を対象に、会社単位でのCO2削減実績について着目して、そのすぐれた企業を評価、公表する仕組みの導入を検討していますが、まず、今回のこの制度の改正の対象となる企業について、現状は削減実績がどうなっているのでしょうか、この点について改めてお尋ねします。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇一六年度の義務対象事業者は二百八十三社でございましたけれども、その実績を見ますと、これは二〇〇九年度に当たります制度改正前に比べまして、エネルギー使用量では〇・六%削減、また床面積当たりのエネルギー消費原単位では九・七%改善しているところでございます。
 しかし、直近の動きを見ますと、エネルギー使用量及び原単位は横ばいの傾向にございまして、改善が十分に進んでございません。
 また、制度の義務対象事業者のうち、約半数の企業ではCO2排出量の総量の削減が進んでいるものの、いまだに削減が進んでいない企業も多い状況でございます。

○細田委員 企業によって店舗の展開や売り上げの状況などは異なるように思いますけれども、CO2の排出量削減が進んでいる企業と、そうでない企業が存在する、そういうことであります。
 本制度の義務対象者の中には、都内でチェーン展開をする店舗などの総延べ床面積が増加しているにもかかわらず、原単位の改善が進んだことで、企業全体としてはCO2排出量の総量も削減できた非常にすぐれた企業も存在していると聞きます。
 資料の中の五ページの報告書を見ますと、原単位が削減して総量がふえていくという中で伸びていくということは大変難しい、さまざまな取り組みを総合的にやっていかなくちゃいけないことだと思うんですが、都は、この企業の評価に当たって、会社単位でのCO2排出量の削減率及び延べ床面積当たりのCO2排出量をあらわす原単位の改善率を用いて、それぞれ一・三%以上ずつ削減した企業に対して、Sランク、またSSランクといった評価を付与することとしています。
 そこで、評価に当たって、この一・三%を水準として設定した考え方についてお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 今回の改正におきましては、会社単位でのCO2排出量削減率及び原単位改善率につきまして年度ごとに増減がございますので、それを平準化させるために直近五カ年の平均値を用いて、優良な企業等を評価、それから公表いたします。
 評価項目のうちCO2排出量削減率につきましては、一・三%以上の水準としてございますけれども、これにつきましては、都の二〇三〇年省エネルギー目標の達成に向けまして、対象事業所の目標排出量を踏まえて設定いたしたものでございます。
 また、店舗数の増加など事業の状況によりまして、CO2排出量の総量が増加する企業等におきましても省エネ対策による原単位の改善が進むことは重要でありますことから、原単位の改善率につきましても評価項目といたしまして、同等の水準により設定したところでございます。

○細田委員 都の二〇三〇年削減目標を踏まえた水準を設定したものであるとのことですけれども、本制度の義務対象事業者で、都内の産業、業務部門におけるCO2排出量の約二割を占める、このように理解いたします。
 今回の制度の見直しでは、これまでの省エネの取り組みに加えて、再エネについても新たに報告の対象とするようになっていまして、都は、これによってどのような効果を期待しているのでしょうか、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 今回の制度改正では、すぐれた取り組み等を行っている事業者を評価、公表するものでございまして、都内に多く事業所を有する企業等において、エネルギー利用設備の運用改善、それから設備の改修が促進されますとともに、再生可能エネルギー等の設備の導入、それから利用の拡大につながっていくものと考えているところでございます。
 なお、これまでの検討会では、CO2排出量削減率等の算定に際して、再生可能エネルギー等の利用量を反映できるようにすることや、一般都民に向けた効果的な情報発信についても検討が必要とのご意見もいただいております。
 今後、これらの具体的な方策につきましても適宜検討を進めまして、企業のさらなるCO2削減につなげてまいりたいというふうに考えております。

○細田委員 私たちが日ごろ利用する、接する店舗等におけるCO2の削減の取り組み状況がどうなっているのかということを即座によくわかる、それに対して関心を持っている、そういう都民の方々は余り多くないのではないかというふうに思います。
 すぐれた削減実績を上げた企業の取り組みについて、工夫して一般都民にぜひ伝えていただきたい。関心が高まることで企業の取り組み意欲もさらに高まる、このようになっていくと思っています。
 一目でわかるように--店舗に入るといろんな広告がありますけど、ここはここまで原単位を絞って、そして延べ床面積ふえているはずだよね、でも、東京都がいったこのマークが、これだけ頑張っているんだよというのがあるね、何でだろう、これ何だろうというのがわかるような、そういうような発信を工夫してもらって、ちゃんと貢献していますよと、削減していますよというのがわかるような取り組みをぜひ検討していただきたい、こういうことを思います。
 今後、専門家やパブリックコメントの意見も勘案していただいて、より実効性の高い制度にしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○栗下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗下委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十六分散会

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