委員長 | 田の上いくこ君 |
副委員長 | 佐野いくお君 |
副委員長 | 河野ゆりえ君 |
理事 | 栗林のり子君 |
理事 | 関野たかなり君 |
理事 | 三宅 正彦君 |
西郷あゆ美君 | |
やながせ裕文君 | |
田村 利光君 | |
宮瀬 英治君 | |
原田あきら君 | |
保坂まさひろ君 | |
平 慶翔君 | |
小磯 善彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 和賀井克夫君 |
次長 | 吉村 憲彦君 | |
総務部長 | 谷上 裕君 | |
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 若林 憲君 | |
政策調整担当部長 | 松本 明子君 | |
地球環境エネルギー部長 | 小川 謙司君 | |
都市エネルギー推進担当部長 | 村山 隆君 | |
環境改善部長 | 筧 直君 | |
環境改善技術担当部長 | 近藤 豊君 | |
自然環境部長 | 須藤 栄君 | |
緑施策推進担当部長 | 金子 亨君 | |
資源循環推進部長 | 松永 竜太君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 風祭 英人君 | |
建設局 | 東京都技監建設局長兼務 | 西倉 鉄也君 |
次長 | 片山 謙君 | |
道路監 | 三浦 隆君 | |
総務部長 | 今村 篤夫君 | |
用地部長政策調整担当部長兼務 | 関 雅広君 | |
道路管理部長 | 杉崎智恵子君 | |
道路建設部長 | 奥山 宏二君 | |
三環状道路整備推進部長 | 大庭 孝之君 | |
公園緑地部長 | 日浦 憲造君 | |
河川部長 | 村井 良輔君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 花井 徹夫君 | |
総合調整担当部長 | 鹿田 哲也君 | |
道路保全担当部長 | 加藤 直宣君 | |
道路計画担当部長 | 田中 慎一君 | |
公園計画担当部長 | 細川 卓巳君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第百九十二号議案 城北中央公園調節池(一期)工事その二請負契約
・第百九十三号議案 境川金森調節池工事その二請負契約
・第百九十四号議案 中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約
・第百九十五号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十九)請負契約
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
環境局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・東京都環境影響評価制度の見直しについて答申(案)
・都における土壌汚染対策制度の見直しの方向性について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○田の上委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
本件については、本日の理事会において協議の結果、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
お諮りいたします。
本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○田の上委員長 次に、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成三十年九月二十七日
東京都議会議長 尾崎 大介
環境・建設委員長 田の上いくこ殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百九十二号議案 城北中央公園調節池(一期)工事その二請負契約
第百九十三号議案 境川金森調節池工事その二請負契約
第百九十四号議案 中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約
第百九十五号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十九)請負契約
2 提出期限 平成三十年十月二日(火)
○田の上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査、建設局及び環境局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより建設局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百九十二号議案から第百九十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○今村総務部長 去る九月十八日の当委員会において、契約議案に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会要求資料の表紙をおめくりいただきますと、目次に四件の資料の件名が記載してございます。
一ページをお開きください。城北中央公園調節池(一期)工事その二請負契約における入札経過でございます。
この資料は、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
二ページをごらんください。境川金森調節池工事その二請負契約における入札経過でございます。
この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
三ページをごらんください。中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約における入札経過でございます。
この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
四ページをごらんください。綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十九)請負契約における入札経過でございます。
この資料も、本請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしたものでございます。
以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田の上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○平委員 本契約案件の城北中央公園調節池についてお伺いをいたします。
本年七月に西日本を中心に大きな被害が発生した豪雨など、近年、全国各地で豪雨による水害が発生しております。
板橋区を流れる本契約案件の城北中央公園に調節池を整備する石神井川において、平成十七年九月、また平成二十二年七月の集中豪雨において浸水するような被害が発生をいたしました。
また、本年九月十八日、先月に都内で発生したゲリラ豪雨では、板橋区と大田区に洪水警報がなされまして、ほかの十一区においては大雨警報が発令をされました。仕事や学校の帰宅時間で、大変な思いをした方々が多くいらっしゃったのではないかというふうに思います。
私も、この都議会から板橋区の方へ車で向かっておりまして、地元の板橋区に入った途端に、車が浮いちゃうんじゃないかなって思うぐらいに浸水をしておりまして、大変驚きました。
このとき、積算雨量が百三・五ミリ、一時間雨量が八十八・五ミリ、十分間の最大雨量が三十四ミリで、この日のゲリラ豪雨において、板橋区内では七十棟を超える床上、また床下の浸水被害に遭われたと報告が上がっております。
こういった豪雨が頻繁に起こり得る、浸水被害が発生することは阻止しなければならないというふうに思っております。都民の生命と財産を守るために、護岸や調節池等の中小河川の整備は喫緊の課題と考えております。
そこで、本調節池を整備する石神井川の整備状況について、また、現在進めている七十五ミリ対策における本調節池の位置づけと、その整備効果についてお伺いをいたします。
○村井河川部長 石神井川は、時間七十五ミリの降雨に対処するため、時間五十ミリまでは河道で、これを超える降雨に対しては新たな調節池などにより対応することとしております。
現在、練馬区の螢橋上流など三つの区間において護岸整備を進めておりまして、平成二十九年度末の時間五十ミリに対応する護岸整備率は七四%となっております。
調節池につきましては、平成二十八年度より環状七号線地下広域調節池の整備に着手しております。
本調節池は、河川整備計画におきまして、具体的な場所や規模を定めた時間七十五ミリ対応の調節池の一つでございます。
また、本契約案件は、調節池の総貯留量二十五万立方メートルのうち、一期事業といたしまして約九万立方メートルを貯留する施設を整備するものでございまして、供用を開始しますと、平成二十二年七月に板橋の雨水観測所で時間最大百十四ミリを記録した豪雨と同じ雨が降った場合でも、下流での溢水を防止する効果を発揮いたします。
○平委員 ありがとうございます。五十ミリ対応の護岸整備が着実に進んでおり、新たな目標整備水準である時間七十五ミリ対策にも着手しているとのこと、私、冒頭で申し上げたとおり、近年ゲリラ豪雨とも呼ばれる時間五十ミリを超える豪雨がふえており、本調節池はそういった豪雨に対して効果を発揮する役割を果たすこともわかりました。
板橋区の安全度を向上させ、また平成二十二年度のこういった被害も解消可能であるということ、整備効果も非常に高いということが今のご答弁でわかりました。
契約の相手方がかわったことによって、工事着工時期におくれをとったということになります。完了予定時期におくれは生じないのかお伺いをいたします。
○村井河川部長 本調節池は、平成二十六年度より基本設計、詳細設計を順次進め、平成二十八年度より一期事業の準備工事に着手いたしまして、平成三十七年度には事業が完了する予定でございます。
本工事は、当初、本年三月末に契約を予定しておりましたが、仮契約解除となりまして、現在、十月初旬の本契約に向けて手続中でございます。
これによりまして、事業の完了予定時期は約六カ月おくれることとなります。
○平委員 調節池工事の着手がおくれ、その影響によって事業完了がおくれる予定でもありますが、工事を着実に進めていただき、安心・安全に早期実現、早期の完成を目指してもらいたいというふうに思います。
次に、事業費についてお伺いをいたします。
財務局のホームページを確認しますと、平成二十七年度に約百四十億円と公表されていた総事業費が、平成二十八年度には約二百七十億になったということでございますが、この経緯についてお伺いをいたします。
○村井河川部長 事業費につきましては、計画段階におきまして、概算額として約百四十億円と試算しておりました。
その後、平成二十七年度に実施いたしました地質調査におきまして、工事箇所の地盤は調節池の底版付近に粘土層が存在し、その下に地下水を含む砂れき層があるため、この地下水により粘土層が持ち上げられる、いわゆる盤膨れ現象が発生するおそれがあることが判明いたしました。
このため、施工の確実性、安全性を考慮いたしまして施工方法を変更したため、事業費が増額したものとなりました。
○平委員 多額の経費がかかるということで、地元の皆さんにも事業の必要性や効果をご理解いただかなければならないというふうに思います。
この工事につきまして、これから工事がなされるわけでありますが、二年前に行われた地元住民への事業説明会は参加者が少数にとどまっておりますが、川の氾濫を阻止する適切な工事が行われるということを地元の皆さんに理解されているのかお伺いをいたします。
○村井河川部長 事業説明会の開催に際しましては、地元町会や自治会の代表者に丁寧に事前説明を行った上で、工事現場周辺の住宅や企業に説明会の開催案内を各戸配布いたしまして、関係する方々へご参加いただくよう周知いたしました。
今後開催する工事説明会につきましても、河川氾濫を防止する効果や工事の施工方法、安全対策、環境対策につきまして、地元の皆様に丁寧に説明してまいります。
また、工事施工中におきましても、施工内容や進捗状況につきまして情報提供するなど、工事へのご理解やご協力をいただけるよう努めてまいります。
○平委員 ありがとうございます。工事の進捗等を説明していくということでございました。丁寧な対応に努めていただきたいというふうに思います。
先ほどの答弁にもございましたが、本工事は大規模で工期の長い工事となりますが、周辺にお住まいの方々の生活への影響も大きいと思われます。
そこで、本契約案件における周辺環境への配慮についてお伺いをいたします。
○村井河川部長 工事箇所周辺には、都立高校や住宅地が近接しておりますため、工事では、低振動、低騒音の機械の使用や防音パネルの設置など、振動、騒音対策を実施いたします。
また、工事車両の通行につきましては、川越街道と環状第八号線から区道を通り工事箇所にアクセスするルートを想定しておりまして、交通誘導員の適切な配置や通学時間帯に配慮するなど、地元住民への安全対策を図ってまいります。
工事に当たりましては、工事説明会を開催いたしまして、近隣住民の皆様へ丁寧に説明してまいります。
○平委員 この工事についての配慮についてはわかりました。
私が住んでいる近くの工事現場、これ、東京都の下水道局の事業なんですけれども、その工事現場において、工事現場に設置する安全の鉄板の一部にクリアタイプのものを設置して、今ここにパネルがあるんですけれども、こういった形で生花を飾ったり、また、一部をクリアタイプにしているところに、クリスマス時期にはイルミネーションをこういったふうに設置をして住民の皆さんを楽しませている。近くを通る方々に目の保養じゃないですけれども、こういったぐあいで工事業者の方々もご努力をされているんだなというふうに思います。
また、これはクリアタイプなんですけれども、こっちは上から見えるような形で、どこからでも、全体から見渡せるような形でも、こういった創意工夫をなされている現場があります。
そこで、本工事においても、こういった住民を楽しませるような工夫だとか、またイメージアップの経費を捻出されているのかお伺いをいたします。
○村井河川部長 工事現場のイメージアップは、周辺住民の生活環境への配慮、住民への建設事業の広報活動など、工事を円滑に実施するために重要でございまして、環境改善費として計上しております。
具体的には、インフォメーションセンターを設置いたしまして、工事のPR映像を流しますほか、工事の施工方法をわかりやすく示す模型を展示いたします。また、地元の学校を招いて現場見学会も実施いたします。
その他の内容につきましては、今後、受注者と協議いたしまして決定し、実施してまいります。
○平委員 受注者とこういった住民の方々を楽しませるために、丁寧な対応に努めていただければというふうに思います。
次に伺います。
この第一期調節池、また第二期調節池の工事は、その終わった後の調節池地表部分はどのように活用していくのか、建設局の公園課になるんでしょうか。お伺いをいたします。
○細川公園計画担当部長 城北中央公園は、石神井川沿いの緑の拠点として、自然観察や散策に利用されるほか、陸上競技場などの運動施設、遊具を備えたこども広場等があり、発災時には避難場所や大規模救出救助活動拠点となる防災上重要な公園であります。
調節池を設置する地表部は、導入する機能や施設配置などを定める整備計画において、水辺の景観や環境に親しめる緑と水辺のゾーンに位置づけております。
具体的には、来園者が水辺の景観を楽しめる広場や散策路、水辺の多様な環境を再現した空間などを整備してまいります。
○平委員 ありがとうございます。この城北中央公園については、私も以前からこの委員会において取り上げをさせていただいておりますが、民間事業者の導入だとか、そういったことも広い視野で考えていただいて、この城北中央公園、にぎわいを創出するために努めていただければというふうに思います。
これまで、本調節池の効果や工事実施上の配慮についてお伺いをしました。
最後に、都内の河川における今後の調節池の整備についてお伺いをいたします。
都は先月、防災事業緊急総点検の結果として、調節池の加速的な整備の方針を示されました。いつ東京を襲うかわからない豪雨に対処するため、調節池の整備を早期に着実に実施していくことが求められます。
そこで、防災事業緊急総点検で示した調節池の加速的整備に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○村井河川部長 今後は、本調節池など、事業中の調節池などの着実な整備に加えまして、新たな調節池の事業化に向けた検討を石神井川などにおきまして、前倒しして実施してまいります。
○平委員 ありがとうございます。新たな調節池の検討を行っていくということですが、早期の事業化に向けて、しっかりと検討を行っていただきたいと思います。
水害対策の強化に向けて調節池は必要不可欠ですし、地域住民への丁寧な対応も心がけ、理解と協力を得ながら着実に進めていただきたいということ、そして、この城北中央公園に関して、最後、一つ要望して質問を終わりたいと思います。この城北中央公園には茂呂遺跡と呼ばれる歴史上の遺跡があったり、土を掘ったら下の方から旧石器時代のそういった歴史上の遺跡が発掘されたりしましたので、この事業においても、この契約が実現したときには、丁寧にそういったところも加味しながら対応を進めていっていただきたいなというふうに思います。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
○小磯委員 私からは、契約議案の第百九十三号議案、境川金森調節池工事について質問いたします。
本年の三月に仮契約解除となりました境川金森調節池工事と今回契約案件の境川金森調節池工事その二の工事の内容の違いについてお伺いします。
○村井河川部長 今回契約案件の境川金森調節池工事その二は、本年三月に仮契約解除となった境川金森調節池工事と同様、貯留量約十五万立方メートルの地下調節池を構築する工事でございます。
本案件は、調節池を構築する工事と、前回は別途発注する予定でございましたパイプコンベヤーによる土砂搬出の設備工事とをあわせて発注しているものでございます。
○小磯委員 今回はパイプコンベヤーの土砂搬出を一緒にやるということで、いわゆるトラックによる土砂搬出をなくしたということで、その工事をあわせて発注ということでございました。
ことし、平成三十年七月豪雨ということで、大変な豪雨被害が発生をして、都としてもこの防災事業の緊急総点検を踏まえた調節池の加速的な整備というのが、今回の第三回定例会の本会議でたびたびそれが出てきたわけでございます。ただいまも平委員からお話がございました。
これによって、境川についてはどのようにしていくのか伺います。
○村井河川部長 都内の中小河川におきましては、事業中の調節池などを着実に整備することに加えまして、西日本を中心に大きな被害をもたらしました平成三十年七月豪雨などをきっかけとして実施いたしました防災事業の緊急総点検を踏まえまして、新たな調節池の事業化に向けた検討を前倒しして実施することといたしました。
新たに検討する調節池は、境川を含めました九つの対策強化流域の中で検討する予定でございます。
○小磯委員 ついせんだって、いわゆる南東建、南多摩東部建設事務所の所長の方に、町田市の小田急線、また横浜線のあたりに森野団地という団地があって、そこの会長さんとか、また森野地域のそれぞれの町内会長さんと一緒に境川についての申し入れをしてまいりました。
平成二十年のときの豪雨で町田も大変な溢水をしたという境川の溢水によって、被害が生じたわけでございます。
森野の皆さん方は、やっぱり境川が、集中豪雨があるといつも心配で心配でならないという状況でございまして、ですから、河川の中に生えている樹木でありますとか、また土砂の堆積、こういったのも本当にとってもらいたいという要望をされたわけでございます。
そのときも結局は、金森調節池をつくって、またクリーンセンターの方の調節池をつくる以外に抜本的な対策はないんだけれども、しかし、ああいう土砂堆積とか樹木をとることによって、少しでも溢水の危険を除去したいと。そういう住民の皆様のお気持ちというのは本当にわかりますので、一緒に申し入れをさせていただきました。
南東建としては、できる限りのことはやりますという答弁でございましたけれども、境川のいわゆる東京都の管理区間における流下能力、そういった意味で、適切に確保されているのかどうかお伺いしたいと思います。
○村井河川部長 境川の流下能力を確保するため、河道内の土砂の堆積や樹木の繁茂などの状況を把握いたしまして維持管理を実施しております。
今年度は、JR町田駅付近の島橋から下森橋間におきまして、河道内の樹木、約九十本を伐採いたします。
また、昨年度より、河道内の土砂の堆積状況を把握する現況測量を行っておりまして、今後、河床整正を実施するなど、適切に流下能力の確保を図ってまいります。
○小磯委員 ただいまの答弁で、河道内の樹木、約九十本を伐採するということと、それから、今、現況測量をやっているんで、今後、河床整正を実施するということでございますので、本当に地元の方々にとっては大変うれしい情報だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
境川は、何回も申し上げているとおり、上流が神奈川県の管理区間、そして東京都の管理区間、そしてまた下流は神奈川県の管理区間ということでございます。
結局、河川というのは、下流側からしっかり河道を整備していくということで、神奈川県の河川整備がなかなか進まないということで、結局、東京都の管理区間は五十ミリ対応のそういう工事はやったとしても、川底をわざと、そうでない三十ミリから三十五ミリの河川にしているということでございます。
もう一つ心配なのは、上流側の境川ですね。小山から上流の神奈川県管理区間、平成二十年のときに、やはり溢水したということで土のうをずっと積んでいて、たしか平成二十年のときに土のうを積んで、平成二十五年のときに都議会の予算特別委員会でその土のうを積んだ写真を示しながら、五年前の土のうがそのまま積まれているというのを質問したことがあって、でもやっぱり今も土のうが積まれているという、そういう状況でございまして、何とかこの小山から上流の神奈川県管理区間の整備ということについて、都としても神奈川県への働きかけを強力に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村井河川部長 神奈川県は、現在、上流の県管理区間におきまして、都県管理境の根岸橋から小山町の馬場橋までの護岸に加え、下馬の橋より上流の風間遊水調節池を整備しております。
都は、神奈川県管理区間につきまして、治水効果の早期発現に努めるよう、定期的に開催しております都県河川調整会議の場などを活用いたしまして、引き続き強く神奈川県に要望してまいります。
○小磯委員 ただいまお話のありましたように、都県河川調整会議の場というのがありますので、本当に都としては、金森調節池をやり、またクリーンセンターのところでも調節池をつくるというようなことをしっかり示しながら、また議会でもいろいろとこのことについては審議されているということを向こうにも伝えていただきながら、神奈川県の整備の促進を図っていただきたいと、このように思います。
最後に、境川金森調節池の工事を進めるに当たり、地域住民の方々にはいろんな思いがございますので、今後とも住民の声をしっかりと聞いて丁寧な対応を図るとともに、また工事中の事故が発生しないよう願うわけでございますが、建設局長の決意についてお伺いします。
○西倉東京都技監 境川の東京都管理区間におきましては、平成二十年八月末の溢水被害に加えまして、平成二十八年、二十九年と台風により氾濫危険水位まで上昇いたしまして、二年連続で町田市が避難勧告を発令するなど、治水安全度の向上は喫緊の課題でございまして、金森調節池の整備は必要不可欠でございます。
沿線に住む方々の命と暮らしを守るために、引き続き丁寧な説明に努めるとともに、工事の安全対策に万全を期しまして、着実に整備を進めてまいります。
○小磯委員 それでは、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○宮瀬委員 どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、おととい台風が来た際に、ご担当の方が夜を徹して、都庁に泊まり込んでご対応されていたと聞いております。質疑に入ります前に、心から敬意と感謝を申し上げます。
さて、質疑の方にまいりますと、私は先日、ちょうど八月に岡山県の真備町の方に行って、現場の方を見させていただきました。実際現場を回ると、本当にふだんは用水路のような川が一気に氾濫してしまうといったことで、自分の目と感覚をもって、大変その脅威を感じた次第でございます。
特別に倉敷市の総務部長さんと局長さんにも、お忙しい中お話をお伺いしまして、おっしゃっていたことはたくさんあるんですけれども、やっぱり、やろうと思っていたところに来てしまったとか、これからまさに取り組んでいこうとしていたとか、また、京都府庁に行きまして、京都府のご担当にも、前回の災害の件の教訓を聞かせていただきました。
災害はいつやってくるかわからないといいますけれども、東京都の整備が、いつどう完結していくのかというのが、やはり計画を持って取り組んでいかなきゃいけないと改めて痛感した次第でございます。
その中で、今回契約案件の中川護岸耐震補強工事、綾瀬川の同工事について、そして調節池について、全体像と今回の議案の位置づけ、そして今後の方向性を確認したいと思います。
まず一つ目は、護岸の方でございます。
都では、東日本大震災を受けまして、護岸の耐震対策を定めた東部低地帯の河川施設整備計画というのを策定して事業を進めてきたと聞いています。
その全体での計画の中で、護岸の今回の耐震対策の目標年度及び中川、綾瀬川が占める割合についてお伺いいたします。
○村井河川部長 都では、平成二十四年度に中川や綾瀬川を含む東部低地帯の河川施設整備計画を策定いたしまして、堤防や水門などの河川施設の耐震、耐水対策を実施し、地震時におきましても、津波による浸水を防ぐこととしております。
このうち、水門内側の護岸約四十六キロメートルにつきましては、三十三年度までに耐震対策を完了させることとしておりまして、中川、綾瀬川が占める割合は合わせて約四割でございます。
○宮瀬委員 質疑の方で全体像をしっかりと確認させていただきました。
東部低地帯の地域の中で、中川、綾瀬川が占める割合は約四割と、平成三十三年度までに完了させると、四十六キロメートルということでございました。
では、中川及び綾瀬川の耐震補強工事の進捗と、目標どおり工事が完了するのかお伺いいたします。
○村井河川部長 耐震対策の計画延長に対しまして、平成二十九年度までに、中川約五割、綾瀬川約六割の区間で工事に着手いたしました。
引き続き、三十三年度の完了に向けまして、必要な対策を着実に進めてまいります。
○宮瀬委員 とてもわかりやすい答弁で、東部低地帯の河川施設整備計画という紙も見せていただきまして、ちゃんと計画期間が十年、対策延長も八十六キロということをしっかりと計画を立てて、その計画の中で三十三年度の完了に向けてしっかりと計画を組んでやっているといったことが確認できました。
私はこれが、言葉を選ばなければ、恐縮ですが当たり前だと思っておりまして、前回も少し質疑しましたが、調節池の方が先が見えないといったことがございます。
今回の議案をもとに、どう計画が進んでいくのか確認をしたいと思います。
今回の議案は、城北中央公園調節池についてを取り上げますが、先ほど平委員からもありましたが、九月十八日に、板橋区など石神井川流域で集中豪雨が発生いたしました。この豪雨における河川の状況というのは実際どうだったのかなというところを改めて確認しますとともに、先日の知事からの十二テーマの防災総点検の中でも、スマートフォンで川の水位をそれぞれが確認をして、危険をはかることができるという施策も発表されましたが、今回はできたのかお伺いいたします。
○村井河川部長 九月十八日には、板橋区などにおきまして、短時間で強い降雨がございまして、板橋区赤塚では時間最大八十九ミリ、総雨量九十八ミリを観測いたしました。
板橋区の加賀橋で水位が上昇いたしましたが、局地的で短時間の降雨であったため、河川からの溢水などの被害はございませんでした。
また、加賀橋などに都が設置しております水位の値は、スマートフォンなどで確認することができます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。最近の豪雨のひどさというのも改めて実感しているところでございます。
今、東京都では七十五ミリ対応ということで対応している中で、どう進んでいくのかという間もなく、時間八十九ミリの雨がもう降っちゃっているということでございます。
局地的なものであったので、今回、水があふれなかったということでございますが、やはり喫緊の課題として、対策を待ったなしで行っていかなければならないというのは見てとれると思います。
その中で、城北中央公園の調節池の貯留量と整備効果については、先ほど平委員の方から質問がありましたので、私、しっかりと聞かせていただきました。質問とはしませんが、総貯留量は二十五万立米のうち、一期事業として約九万を整備ということでございます。
では、ここで全体像の確認をしたいんですけれども、石神井川の河川整備計画の中で、時間七十五ミリ計画に位置づけられた貯水池の貯留量の合計、つまり何がいいたいかといいますと、七十五ミリ対応にしていかなければならないと、それは水の量でいうと実際どれぐらいの量になるのかということでございます。よろしくお願いします。
○村井河川部長 調節池の貯留量の合計は約七十九万立方メートルでございます。
○宮瀬委員 約七十九万立方メートルということで、その分量を調節池の全体に対応していかなければならないということでございます。
今回の議案が約九万立方メートルでございます。先ほど石神井川河川整備計画で示した期限まで、私は、ここ議論になりますけれども、この中小河川における今後の整備のあり方検討会の報告書に、おおむね三十年後、七十五ミリ対応をしなければならないと。おおむね三十年後と書かれておりまして、ちょうど二十七年度、これが発表されたわけでございます。
そうしますと期限まで二十七年、現在のペースで整備が完了するのかどうかというところが私は大変気になるところでございます。このペースで実際完了するのかお伺いいたします。
○村井河川部長 河川整備計画でお示ししておりますおおむね三十年間という期間は、計画の対象期間を示すもので、調節池の整備完了時期を示すものではございません。
○宮瀬委員 では、この計画に書いてありますおおむね三十年後というのは、どういったものを指すんでしょうか。
○村井河川部長 計画対象期間とは、洪水対策や河川環境の保全などに取り組むに当たりまして、河川整備計画に示す基本理念や目標などを定めるに当たって対象とする期間でございます。
○宮瀬委員 今、答弁ちゃんと聞いていましたけど、基本理念を示すのが三十というご答弁がありましたが、何で十じゃなくて、二十じゃなくて、三十なんでしょうか。
私、いつもここ食い違ってしまうんですけれども、おおむねですが、三十年と明確に書いてあるのは、三十年後完了ではなくて、着手も含めて三十年というのがベンチマークになっているから三十年と書いてあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○村井河川部長 計画対象期間につきましては、河川整備計画の中で、河川整備計画の目標に関する事項という記載がございます。この中で、川のあるべき姿、将来像ですとか、計画の基本的な考え方、こういうことを三十年というスパンで目指していこうと、そういうことが記載されているものでございます。
○宮瀬委員 川の基本的な考え方として三十年というスパンが書かれている。そのことが、すなわち七十五ミリ対応、六十五ミリ対応というのが、ここで書かれている基本的なことだと私は思っています。
ちょっと質問を変えますと、実行プラン二〇二〇では、明確に治水安全度を八二%に向上すると位置づけられておりまして、あと二年で二%、今が八〇であり、二%向上するのかお伺いします。
○村井河川部長 実行プランでお示しした目標達成に向けまして、石神井川や空堀川など河道の整備を行いますとともに、神田川の下高井戸調節池などについても着実に整備を進めてまいります。
○宮瀬委員 その数字は、あと二%ということでいいんですよね。確認です。
○村井河川部長 二〇二〇年度までの実行プランで治水安全度八二%とすることとしておりますので、あと二%ということで結構でございます。
○宮瀬委員 今の話はとてもわかりやすいんですよ。しかし、七十五ミリ対応、六十五ミリ対応になると三十年というのは、とても曖昧な期限になって、何度か答弁を聞いても、ちょっと私には理解がしがたいものでございます。
何でこんなにいっているかといいますと、私も都議会議員になってちょうど六年目になります。今までの議会で、いつもこの貯水池、護岸工事等、いろいろ建設関係の契約議案が出てまいります。本当にこのペースで今の洪水対策が間に合うのか、そのことがわからないわけであります。
本当であれば人、物、金、人材をもっと充実させて、もっと倍のスピードでやらなければ間に合わないのではないか。また、このスピードだと早過ぎているのか遅過ぎているのか、その基準がないまま、都度都度、莫大な金額の契約議案が出てきて、その都度、判断するという形になっています。
もちろん用地の買収ですとか、さまざまな現実的な制約がある中で理解はしているつもりなんですが、この議案に対して都度都度出てくるものももちろんわかりますが、これでは全体の整備計画の中で、このペースで本当に間に合うのかどうか、適切なのか、本当はもっと急いだ方がいいのかどうかというのはわかりません。所見をお伺いいたします。
○村井河川部長 先ほどからご答弁差し上げていますように、河川整備計画でお示ししておりますおおむね三十年という期間は、計画の対象期間を示すもので、調節池の整備完了時期を示すものではございません。
この整備計画でいっておりますおおむね三十年間というのは、ここで定めておりますが、洪水などに対する整備の水準の見直しとか流域の状況の変化、それから技術革新などによりまして、計画期間内にあっても、必要に応じてこの整備計画というのは改定をしてまいりますということでございます。
○宮瀬委員 完了ではないというのは、何度もご答弁を聞いてわかっているんですけれども、となりますと、今のお話ですと、三十年後にはめどはついているという意味なんでしょうか。
完了ではないというのは、何度もご答弁を受けてわかっていまして、ちょっと済みません、もう一回確認させてください。
○村井河川部長 今後整備いたします調節池は、浸水被害の発生状況や河川の整備状況などを踏まえまして、調節池の候補地となる公共用地の状況などを見ながら、事業化に向けた具体的な検討を行っていくため、現時点では、その場所や形式が決まっていないため、事業に要する年数などは未定であるということでございます。
○宮瀬委員 じゃあ、ちょっと違う角度から確認しますと、三十年ということではなくて、今回の石神井川河川整備計画で、時間七十五ミリ対応の調節池の貯留量の総計は七十九万立方メートルということでありました。
つまり本案件を含めまして、実際、着手済みの調節池の整備が終わると何%貯水量が確保されるんでしょうか。つまり今まで整備してきたもの、これまで整備してきたペースを見れば、この先何年かかってその総数が担保できるのかという、過去からこれから先のスケジュールを推測してみたいと思います。いかがでしょうか。
○村井河川部長 石神井川の時間七十五ミリ対応の調節池のうち、現在着手しております調節池は、城北中央公園調節池の一期分と環状七号線地下広域調節池でございます。
河川整備計画に位置づけました貯留量の合計は約二十一万立方メートルでございまして、総貯留量に占める割合は約二七%でございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。今回の議案が通って、今までの計画を割り出していくと約二七%、この期間で完了しているということでございます。
ということは、このペースで、この期間での数字を計算していくと、城北中央公園調節池の一期分と環状七号線地下広域調節池の整備完了目標年次が平成三十七年度でございますから、計算すると、このままのペースでいくと、これから約四十年かかるんじゃないかと思いますが、所見を求めます。
○村井河川部長 今後整備いたします調節池は、浸水被害の発生状況や河川の整備状況などを踏まえまして、調節池整備の候補地となる公共用地の状況を見ながら、事業化に向けた具体的な検討を行ってまいります。このため、現時点では、その場所や形式が決まっておらず、事業に要する年数は未定でございます。
調節池整備は、現在、新たな水準に対応した六つの調節池の事業に着手していることに加えまして、今後新たな調節池の事業化に向けた検討を前倒しして実施してまいります。
○宮瀬委員 前回もお伝えしているんですけれども、過去一・六兆円の都税が投入されている事業であります。これからの計画が、正直いってスケジュール感が見えてこないと。過去のスケジュール感から大体これぐらいではないかと、このペースでいったら四十年かかるんではないかということでありましたが、それも全て未定だといったことでございます。
この質疑で終始、護岸整備以外は質疑がかみ合わないんですよ。それはなぜかといいますと、やっぱり護岸の方でしっかりと出しております東部低地帯の河川施設整備計画、ちゃんとこちらに長期計画が出ているので、しっかりと話もわかりますし、それに対して投下している予算、費用もわかるわけであります。
改めて、一・六兆円かけてきた事業でございます。これからも都民の生命、命を守っていかなきゃいけない、洪水が本当に頻出している昨今、早急に整備を進めなければいけない、都度都度対応ではいけないと思っています。
やはり長期計画をしっかりとつくるべきと考えますが、所見をお伺いします。
○村井河川部長 中川や綾瀬川などで進めております護岸の耐震化は、既設の護岸の補強であることから、対象となる施設が明確であり、新たな用地取得を要しないことに加え、対策工法が明らかになっていることから、目標年次を定めて事業を実施することが可能でございます。
一方、新たな調節池の整備については、その場所や形式が決まっておらず、事業に要する年数は未定であるということでございます。
○宮瀬委員 今、長期計画を確認させていただきました。
○村井河川部長 調節池につきましては、先ほどからご答弁差し上げておりますように、設置する区間、貯留量など、必要な事業を河川整備計画に示しております。
事業化に当たりましては、調節池の場所や形式が具体化されてきた段階で、都の実施計画に位置づけまして事業を進めてまいります。
○宮瀬委員 その河川整備計画というものが、もう二、三年で終わってしまうといったことが課題だとお伝えしております。
やっぱり素直に、国が答申をまとめてほしいといって東京都におりてきて、東京都の中小河川の今後の整備のあり方検討会の有識者が出して、六十五ミリ対応、七十五ミリ対応していきましょうと、おおむね三十年ですと書いてあって、普通に読めば三十年で、いろいろ制約はありますよ。でも、その中でしっかりとバッファーを持たせた形で計画を立てていくべきだと私は思っております。
もちろんぶれる--民間企業ですと、例えばマックス、ミディアム、ミドルとか、そういったレンジの中での都度都度、状況に応じて計画を途中で変えていくことはございます。
今のように東京都の計画が長期でないと、あっても二、三年で終わってしまうと。しかも巨額の税金が投じられる、しかもそのリスクがこれだけ高まっているのは昨今ないと思います。
改めて長期計画の設定を要望いたしまして、質問を終わります。
○保坂委員 私からは、第百九十四号議案、中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約について質問をさせていただきます。
中川は、葛飾区高砂橋付近で新中川に分派して、上平井橋付近で綾瀬川に合流した後、荒川に沿って流下し、東京湾に注ぐ川であります。
先ほどもお話がありましたが、東京都は、平成二十三年の東日本大震災を受けて、平成二十四年に東部低地帯の河川施設整備計画を策定され、防潮堤、護岸や水門及び排水機場などの耐震、耐水対策を実施していくとしています。
今回の綾瀬川護岸整備とともに、中川についても計画が始まった平成二十四年から十年間の期間を定め、平成三十三年度までに完了とされております。
そこで、今回の中川の護岸耐震補強工事について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
まず、中川の耐震、耐水対策の進捗について伺います。
○村井河川部長 中川の耐震対策につきましては、平成三十年度に本工事を含む四区間で新たに着手いたしまして、堤防の計画延長七・六キロメートルの約七割を事業化しております。
また、津波の遡上などを防ぐ役割を持ちます上平井水門で耐震、耐水対策を実施しております。
○保坂委員 計画の七・六キロメートルのうち七割が事業化ということで確認をさせていただきました。
中川の護岸耐震補強工事に当たり、これまでも都は、見学会の開催、そして工事内容の情報提供など、積極的に行っていると思いますけれども、地域住民に理解と協力を得るための具体的な取り組みについて改めて伺います。
○村井河川部長 現在、施工中の現場では、近隣の住民の皆様に工事内容を理解してもらうため、工事看板とあわせて大型モニターを設置いたしまして、工事の概要を映像で紹介するなど、積極的に情報提供を行っております。
また、地元の小学生向けに見学会を開催いたしまして、船から施工状況を見てもらいますとともに、紙芝居を用いまして工事概要をわかりやすく説明いたしております。
○保坂委員 私も先日、中川の工事箇所周辺を歩かせていただきました。工事内容の情報なども確認させていただきました。見学会も地域の小学生に参加をしていただくということで、工事現場や川を直接地元の子供たちに見てもらう、非常に重要なことだと私も思います。
こういった取り組みというのを引き続き子供だけでなくて、大人に対しても丁寧にやっていただきたいと要望して、次の質問に移らせていただきます。
中川といえば、皆さんご存じのとおり、かつては排水が非常に環境的にもよくない状況で、においとかもかなり目立った川で、比較的きれいな川ではありませんでしたけれども、今行ってみると非常にきれいなというか、普通に川辺を楽しめる、そういった川に生まれかわりつつあることも私は今認識をさせていただいております。
そこで、幾つかテラス整備についてお伺いしたいと思います。
中川・綾瀬川圏域河川整備計画の基本理念として、地域に生きた親しめる川の復活を目指した二十一世紀の東京の川づくりを進め、人々が集い、水辺に触れ合える川づくりを進めるとしております。
都は、護岸の耐震補強工事に合わせてテラスの整備を進めておりますが、確かにジョギングや散歩をする利用者を私も幾度も確認させていただき、その必要性を感じました。
そこで質問なんですけれども、テラスの整備については、地元利用者からもさまざまな要望がある中で、地元葛飾区と連携して、水辺に親しみやすい空間の創出をすることが重要であると考えております。
そこで、中川におけるテラス整備の状況について伺います。
○村井河川部長 中川では、耐震補強工事に合わせまして、人々が水辺を散策できる幅約四メートルのテラスを整備しておりまして、都と葛飾区が連携して、ベンチや植栽帯、照明などを設置しております。これまでに上平井橋から奥戸橋までの区間で約五・三キロメートルが完成しております。
また、奥戸地区では、葛飾区の運動公園とテラスを一体的に利用できるよう、バリアフリーにも配慮いたしまして、スロープを整備いたしております。
○保坂委員 テラスのさらなる利便性ということで、テラスの連続化も地元の強い要望があり、計画区内ではいまだ実現はされていません。
橋のもとで寸断されたテラスにより、利用者は都度、堤防を上がって橋を渡るという不便さがあります。また、テラスの先端は行きどまりのため、利用者も少なく、ごみも見受けられます。
同じような課題を持つ私の地元隅田川では、人道橋を設置することでテラスの連続化を進めていただいており、利用者に大変好評をいただいております。
そこで、今回の青砥橋をくぐる中川のテラス整備も含め、何としても連続化を進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○村井河川部長 中川では、橋の桁下が低いため、歩行者空間として必要な高さが確保できないなどにより、テラスの連続化が困難な区間がございます。
本工事区間にございます青砥橋につきましては、桁下が高く、テラスの整備が可能なため、連続化を行ってまいります。
引き続き、耐震、耐水対策を着実に進めますとともに、水辺に親しめる中川の整備に取り組んでまいります。
○保坂委員 今回の護岸耐震補強工事の中で、青砥橋をくぐる人道橋を整備するテラスの連続化をしていただけると今ご回答いただき、まことにありがとうございます。
このテラスの連続化が実現すれば、隣の奥戸橋までつながるので、非常に利便性も高く、そして親水性もかなり向上されると期待されます。
その他の橋下についても、親水テラスの連続化は難しいとは思いますけれども、ぜひできるところから検討を進めていただきたいと要望します。
最後に、今回の整備工事箇所のすぐ先は、今回の契約案件とはちょっと隣なんですけれども、新中川に接岸しますけれども、新中川の護岸との接続とともに、その接岸点上部にある新中川通水記念公園と中川のテラスとのアクセスが新たにつくられれば、利便性が非常に高まり、さらに親しみのある川となりますので、こちらも実現に向けて、葛飾区とも協議していただくよう要望いたします。
そして、中川の護岸耐震補強工事の期間、平成三十二年度まで、もう二年を切っております。非常に大変なことだとは思いますけれども、引き続き情報提供や利便性向上など、丁寧な対応で工事完了をしていただき、耐震化はもちろん、地域に愛される中川となるよう切にお願いをして、質問を終わります。
○佐野委員 それでは、質問の最後になりますので、総括的な意味で、この四件の契約議案について確認の意味を込めて、一点お伺いしたいと思っています。
毎回申し上げておりますけれども、都議会議員として、都民の税をしっかりと使い方が正しいのかチェックをしていくという役割がございますので、今回の契約議案四件について、適正な入札をされたのか、あるいは工事内容、必要性、あるいは位置づけ、効果、これらについて、これまで各委員の質疑を聞いておりまして、ある程度確認をできる内容だったのかなというふうに思っています。
私も四つの現場を見せていただいておりますけれども、それぞれ大きな金額を投入して、今回工事を行うということでございますので、しっかりチェックをできればというふうに思っています。
最後、改めての確認ということでございますけれども、今回、調節池二件ございますが、今後、この調節池の事業について、円滑に、着実に進めていくために、都はどのように工事として取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。
○村井河川部長 工事着手に当たりましては、説明会におきまして、工事の施工方法や安全対策、環境対策の具体的な取り組みについて、地元住民へ丁寧に説明いたします。
工事施工中におきましても、境川金森調節池では、地元市や町会役員などから成る、仮称でございますが、工事連絡協議会を設置いたしまして、工事の内容や進捗状況などの情報を地元住民に提供するなど丁寧な対応を心がけまして、工事に対する理解と協力を得られるよう取り組んでまいります。
水害から都民の命と暮らしを守るために、一日でも早く効果発現できますよう、事業を着実に進めてまいります。
○佐野委員 改めて今後の工事についてお伺いいたしました。着手に当たっても、そして工事中も、住民に対する丁寧な説明、対応をしていくということでございます。
工事をしっかりと予定どおり着実に、そして安全に進めていただけるように要望させていただきたいと思います。
最後に、これらの工事、今回の四件の議案でも、総額でいうと四百五十五億円程度かかると。四百億円が二件の調節池ですよね。私の地元小平市は、一般会計で年間が六百億ぐらいなんです。三分の二の金額をここへ投入するということ、そして工事が時間がかかる、そして地元住民の方たちは、数年かかって工事車両等かかわってきますので、本当に住民の皆さんに対してはしっかりと丁寧な対応を、そしてできるだけ理解を得られるように対応していただきたいということは切にお願いしたいと思いますし、先ほど宮瀬委員からも、これだけの莫大な金額を投入する、しかも河川、中川も綾瀬川も現場を見ると、ここに二十億円かけて何が変わるのかというのは、ほとんど都民にとっては見えないんですね。
住民の方も、それは耐震で必要だとか、あるいは調節池がここにできました、でき上がったのは地下でありまして、それは何が変わったのかということがなかなか見えづらい。そこにそれだけの金額を投入する、そして計画も今なかなか理解が得られないと。
都民が理解をしたいのはそういう工事そのものだけではなくて、今後どうなるのかとか将来どうなるかということもあると思います。
そこを今ご答弁で、私は、具体的なものをしっかりと詰めてやっていくのは難しいんだろう、そこはできるところから、それがわかったところからしっかりと、ただし必要性と目標はしっかりと持っていますよということなのかなという気はしましたけれども、その辺も含めて、都民に理解を得られるような努力をぜひしていただきたいと要望して、質問を終わりたいと思います。
○田の上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。
○原田委員 議案第百九十三号、境川金森調節池工事その二請負契約について、日本共産党東京都議会議員団として意見を述べます。
本議案は、境川六十五ミリ対策として、金森調節池を設置するための工事契約議案です。
金森調節池については、第一回定例議会において、工事に反対する住民から陳情が出されていました。同陳情は、調節池に関して、都と町田市が計画地住民との合意形成なく基本協定書を結んだとし、その効力の停止を求める内容でした。
水害対策として、数万トンから十数万トンという雨水をピークカットする調節池は、最終的な水害対策として、私たちもその効果を一概に否定するものでありません。
しかし、調節池の設置は住環境に重大な負荷がかかり、巨額の経費、境川調節池でいえば百八十六億円余という経費も要するため、調節池が設置される地域の住民などとも情報の共有や合意の形成が図られることが不可欠です。
また、グリーンインフラの理念に見られるように、下水道の改善や雨水浸透施策など、ほかの施策で代替はきかないのかという声も高まってきています。
さらには、五十ミリ改修を終えている東京都に対して、下流の神奈川県の事業が滞っている事態は深刻です。
三十五ミリ対応にとどまっている神奈川県側に鑑みて、現在、東京都は、五十ミリ対応した境川の容量をわざわざ埋め戻して能力を低くしています。その上、調節池に莫大な税金をかけて都民の住環境を破壊するという計画ですから、計画地住民が寝耳に水という状態で計画がスタートし、乱暴に押し通そうとすれば、住民とのあつれきを生むのは当然です。
一旦立ちどまり、計画地住民を含む広範な住民と代替施策の議論も含めた意見交換が必要と考えます。あくまでも工事に突き進むという都の進め方は、丁寧な説明を口にするものの、実際には一方通行以外の何物でもありません。
そのため、現在、裁判闘争にまで発展しています。調節池の設置は、住民との合意形成が極めて重要とする立場から、本議案には反対いたします。
なお、境川は、現在五十ミリ改修を埋め戻して三十五ミリ対応のキャパに戻していますが、その埋め戻し部分に大量の土砂が堆積して樹木まで生い茂っています。これでは三十五ミリ対応よりも弱くなっていると地域から声が上がっています。
早急に樹木伐採と土砂の撤去を求めて、意見の開陳を終わります。
○田の上委員長 発言は終わりました。
お諮りいたします。
第百九十三号議案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、また、第百九十二号議案、第百九十四号議案及び第百九十五号議案につきましては、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○田の上委員長 次に、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○やながせ委員 私債権の放棄について、何点か確認だけさせていただきたいというふうに思います。
本件の概要として、一千十万円の工事請負契約に係る契約違約金であるということでございます。平成十四年三月契約の工事請負契約、路面補修工事について、工事請負者から履行不能届が提出され、工事完了の見込みがないということから契約を解除したため発生した契約違約金であるというふうに確認をしております。
私債権の放棄の理由として、督促状の送付等々してきたけれども、時効の援用の確認が得られないということから債権を放棄したというふうに聞いております。
この債権の徴収努力は尽くされてきたのかなということから、何ら瑕疵のないものだというふうに考えておりますけれども、何点か、私債権の放棄がこれから起きないために何が必要なのかという観点で質問させていただきたいと思います。
建設局において、現状、契約違約金に伴う私債権は何件あって、金額は幾らなのかということを、まず確認したいと思います。
○杉崎道路管理部長 建設局における契約違約金に伴う私債権は三件ございまして、その合計金額は約六百十万円でございます。
○やながせ委員 現状の収入未済金として六百十万円で三件であるということを確認させていただきました。
それでは、過去三年で、契約解除に伴って契約違約金が発生した件数について確認をしておきたいというふうに思います。
○今村総務部長 平成二十七年度から平成二十九年度の三年間に、建設局におきまして契約解除に伴い違約金が発生した件数は十六件でございます。
○やながせ委員 それでは、毎年五件から六件の契約違約金が発生しておるということでありますけれども、この発生する契約解除がこれだけ起きている理由ということについては、どのように分析されているのかということを確認したいと思います。
○今村総務部長 契約解除の理由でございますが、経営不振というのが主な理由でございまして、そのほかに、技術者や職人の確保など施工体制が整わず履行できなくなったものなどがございます。
○やながせ委員 契約違約金は、経営不振ということで、契約はしたけれども、その後、経営不振によって履行ができなかったということによって発生しているということを確認しましたけれども、それでは、入札参加者の経営状況の把握ということはどのように行っているのかということを確認したいと思います。
○今村総務部長 発注工事の円滑で確実な履行を図るためには、優良な業者を選定することが重要でございます。
東京都では、入札に参加する場合、競争入札参加資格といった登録が必要でございまして、登録に当たりましては、経営状況、実績等を審査し、事業者の施工能力等を評価しております。
資格の更新は二年ごとで、財務局において審査をしております。
○やながせ委員 そこで、私が申し上げたいのは、この二年に一回の資格の更新ということによって、経営状況を的確に把握できるのかということを問いかけたいということが趣旨なんですけれども、これ、今回は一千十万円ということで、契約違約金ということで、都が払ったお金というのはないわけですね。相手側から一千十万円もらえる予定だったというものがもらえなかったよということでありますけれども、通常の場合は、工事案件に関しては前払い金を払うというふうに聞いております。その総額は四〇%、全体の四〇%を払うと。着手するに当たって、今回の案件だと一億円でありますけれども、一億円であれば四千万円を先にお支払いするということなんですね。
ということであれば、今回はたまたまこの前払い金を払っていなかったということによって、一千万円の違約金の私債権の放棄ということに至ったわけでありますけれども、これ、前払い金を払っていれば五千万円以上の違約金になったと。
もっともっと建設局の案件というのは、当然、非常に大きな案件が多いわけですから、十億、百億といった案件も、百億の案件であれば、前払い金を四十億円払っている可能性もあると。だけれども、そのまま回収できないということに至る可能性があるのではないかなというふうに思うわけであります。
そういった中では、この二年ごとの資格の更新ということでは、額の多寡にもよるとは思うんですけれども、ちょっと不十分なのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、発注時に最新の経営状況を把握するということはできないのかという投げかけをしたいと思います。
○今村総務部長 建設局では、希望制指名競争入札におきまして、指名業者を選定する際に、直近の受注状況、同種の工事や官公庁における工事の実績、過去に受注した工事の施工成績、あるいは自己資本の状況などを判断材料といたしまして指名を行い、工事の確実な履行を図っております。
○やながせ委員 二年ごとの契約の資格の更新ということでありますから、最悪二年前の経営状況によって判断をされているということでよろしいんですよね。それで適切な経営状況の把握ができるのかということであります。
経営環境も急激に変わっていくという中では、大手のゼネコンも、いつ倒れるかわからないというような状況にあって、どうやってこの私債権に至らないようにするのかということであります。
例えば、あそこ危なそうだというようなことがあれば、うわさ等で情報が入ってくるわけでありますけれども、そういう情報があったときには、何らかの確認をするということに至るんですか。それとも二年前の資格を更新しているんだから、それに基づいてやるということなのか。ちょっと通告していないんですけど。
○今村総務部長 経営状況につきましては、入札参加資格というものをベースにしておりますが、私どもの日々の入札事務におきましては、建設事務所における業者の評判ですとか財務局からの情報提供ですとか、そういったものをできる限り収集いたしまして、直近の事業者の経営状況が把握できるような努力はしております。
○やながせ委員 直近の経営状況の把握に努めていらっしゃるということはよくわかりました。これは財務局の問題でもありますので、財務局の方ともまた質疑をしたいなというふうには思いますけれども、案件の多さもありますから、全ての案件で直近の経営状況を把握するというのはなかなか難しいかなというふうには思います。ただ、金額が大きい案件などについては、特にこういった、これまで大きな放棄に至ったということはないということでありますけれども、これからどうなるかはわかりません。
そういった意味では、常に適切に経営状況の把握に努めていただきたいと、このことを申し上げまして、質問を終わります。
○田の上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で建設局関係を終わります。
○田の上委員長 これより環境局関係に入ります。
報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○西郷委員 私からは、東京都環境影響評価制度の見直しについて質問をいたします。
東京都の環境影響評価条例は、国に先駆けて昭和五十五年に制定されました。国の環境影響評価法は、平成五年、環境基本法の制定を受けて、平成九年にようやく成立したことに鑑みれば、法制化をもっての上乗せ、横出し条例が多い中で、先駆的な役割を果たした条例であります。
その後も、国が平成二十五年に導入した計画段階の環境影響評価制度を、東京都ではいち早く平成十四年の条例改正で導入しており、この面においても先駆的な役割を果たし、これらは高く評価したいと思います。
しかし、時代は変化し、高度経済成長期、その後、安定成長期につくられた多くの社会インフラや建築物の耐用年数が到来し、更新需要がふえていって、また、人口減少の中で空き家が増加し、社会インフラにおいても費用対効果、また経営合理性の観点から、撤退、廃止する施設も増加しています。
今回、施設の更新の手続を明確にする改正を行うことは時宜を得たものでありますが、ただし、地元の築地市場解体工事、環状二号線仮設工事、オリ・パラ仮設駐車場についての近隣住民説明会の経過から、幾つか明確にしなければならない点があります。
現行の環境影響評価条例の対象事業のうち、自動車駐車場の設置または変更については、臨時に設置するものを除くとされています。このような規定があるのは駐車場だけであるが、この規定における臨時の定義が明確にされていません。
近時の土地利用においては、建物等を取り壊して次の用途が決まるまで、その間の土地を駐車場として活用することが見受けられます。
土地の次の新たな使用用途が決まっていない場合、駐車場としての利用は臨時といえるか。それは事業者の主観的意図であって、主観的には期限の定めがなく、駐車場として利用されるという事実が存在し、これを臨時というなら、事業者の主観的意図によって義務を免れることになり、それは適切ではないと考えます。
また、駐車場として使用する期間が定まっている場合もありますが、それが十年間という長期にわたれば、それを臨時と評価することは適切でないと考えます。
では、何年、あるいは何カ月なら臨時として義務を免れるのか、それを明確にする必要があると考えます。
そこで、対象事業である自動車駐車場の設置または変更における臨時に設置するものを除くという場合の臨時はどのようなものをいうか、明確な定義が必要と考えるが、都の見解を伺います。
○松本政策調整担当部長 自動車駐車場の設置または変更における臨時に設置するものと申しますのは、一定期間のイベント等のために使用する仮設の自動車駐車場でございます。
使用終了後に撤去することが事業計画等で認められているものが該当いたします。
○西郷委員 築地市場の解体工事は、オリ・パラの仮設駐車場を設置するための工事であり、極めて大規模な解体工事であります。
現行の環境影響評価条例の対象事業のうち、自動車駐車場の設置または変更については臨時に設置するものを除くとされています。
オリ・パラの駐車場は二千台以上の自動車が駐車するという規模のものであり、使用期間が短期、臨時的なものであるということで、現行の環境影響評価を免れていると思います。
今回の環境影響評価条例の趣旨は、施設の更新が対象であるというが、現に築地で起きていることは、中央卸売市場を解体して駐車場を設置する事業であり、その環境影響は著しいものがあると思います。
すなわち、自動車駐車場が臨時に設置されるものであることによって異なるのは、自動車運行による環境影響の期間が短いということであり、一年半にわたる工事の影響は大きく、また、築地市場を囲む新大橋通り、晴海通りは、ふだんでも渋滞が激しいところであり、このような場所での自動車駐車場の設置は、臨時でも著しい環境影響を及ぼすおそれがあると思います。
さらに、大規模な解体工事を伴う臨時の自動車駐車場の設置は、著しい環境影響をもたらす工事であると考えます。
そこで、現行条例で、臨時に設置する自動車駐車場の設置または変更を除いている理由について伺います。
○松本政策調整担当部長 臨時に設置する自動車駐車場につきましては、一定期間のイベント等のために使用する仮設のものでございまして、使用終了後に撤去するものでございます。
そのため、通常アセスが対象とします大規模な開発事業が行われ、施設が長期間にわたって供用される状況とは異なります。
このことから、工事中及び工事の完了後の環境影響も限定的であると考えられ、環境アセスメントの対象事業から除いているものでございます。
○西郷委員 では、築地の解体工事のように大規模な解体工事を伴う自動車駐車場の設置については、臨時に設置するものも環境影響評価条例の対象事業とするべきだと考えるが、都の考えを伺います。
○松本政策調整担当部長 現行制度におきましては、施設の解体工事単独の事業につきましては、環境影響評価条例の対象事業としておりませんが、事業者の計画において、施設の解体と設置とをあわせて実施する場合には、それらを一体として対象としてございます。
しかしながら、臨時に設置する自動車駐車場につきましては、本条例の対象事業ではないため、解体工事を伴うものでございましても対象とはなりません。
○西郷委員 築地市場の解体工事からもたらされる教訓は、解体工事そのものが大規模工事であるにもかかわらず、環境影響評価条例の対象事業とされていないことにより、地元住民への事前の説明会も説明内容も、騒音、振動、粉じん、自動車走行による近隣影響なども全く数値が示されていないものであります。
解体工事は、近隣住民にとっては一方的に迷惑を受けるものであり、まちづくりなど何らかのメリットをもたらすものではありません。このような解体工事に当たっては、事前の十分な説明が不可欠であるばかりでなく、工事中も住民に対して丁寧な説明が必要であると考えます。
築地市場解体工事の経験からすれば、大規模な解体工事を環境影響評価条例の対象事業とすべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○松本政策調整担当部長 現行制度におきましては、施設の解体工事単独の事業につきましては、環境影響評価条例の対象事業としておりませんが、事業者の計画において、施設の解体と設置とをあわせて実施する場合には、それらを一体として対象としてございます。
ただし、解体工事につきましては、環境アセスメントの対象外であっても、ほかの各種環境法令による環境配慮が求められます。
○西郷委員 築地市場における工事では、築地市場の解体工事、環状二号線の仮設道路設置工事、オリ・パラ仮設駐車場の工事が同時に行われます。
このように複数の工事が同時に行われる場合、それらの複合的な環境影響について説明することが必要となります。例えば、工事車両の出入り、交通渋滞やアイドリングなどによる大気汚染、騒音などの影響は、築地市場用地内での工事に伴って生じる影響です。
住民に対する対応窓口を一本化するのは当然だと考えますが、東京都の工事では、中央卸売市場、建設局、オリ・パラ局と、それぞれみずからの所管についてのみ責任を持つということで、複合的な影響について説明がなされていません。
施設の更新に当たって、施設があった用地内で、仮に環境影響評価条例の対象事業と対象外の事業が同時に行われる場合、住民への環境影響は、これらの事業による複合的、一体的なものとなるが、その場合の環境影響評価は対象事業の影響だけでよいのか、それとも対象事業でない事業も一体的に環境影響評価を行うこととなるのか、環境影響を受ける都民ファーストの視点から都の見解を伺います。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価条例の対象事業と対象外の事業とが同時に行われた場合、環境影響評価は対象事業の影響について行います。
ただし、対象事業を実施する事業者に対しましては、委員ご指摘のように、近隣で実施されている事業の影響も踏まえて環境配慮を行うよう指導しております。
○西郷委員 個々の住民は、静穏な生活を侵害されない権利、営業を妨害されない権利があるので、事業者は騒音規制法などの行政法規を遵守することはもとより、行政法規を守ってさえいればいいというものではないです。
ここで、住民の理解を得ながら工事を進めるという趣旨があると考えます。環境影響評価条例の対象にならないからといって、住民に対して事業実施による環境影響を説明しなくてよいということにはなりません。
築地市場解体工事においても、中央区建築物の解体工事の事前周知に関する指導要綱に従って事前説明会が行われました。これは、条例ではなく、中央区の行政指導の要綱にすぎませんが、民間事業者もこれによって事前説明を行っており、民間事業者の模範となるべき東京都の事業においても、当然、事前説明を行わなければならないと考えます。
東京都の環境影響評価条例の見直しに当たっては、環境影響評価条例の対象事業となっていない事業について、事業者の自主的な環境影響評価を促すために、要綱などガイドラインを定めるべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○松本政策調整担当部長 今回の審議会答申案では、法や条例の対象にならない事業等に対して、事業者がみずから行う環境影響評価は、事業者が行う事業に環境配慮を組み込むために重要な手段であると考える、自主的な環境影響評価を促進する観点で制度上に位置づけている自治体もあり、他の事例等を参考にしながら、自主的な環境影響評価の仕組みの導入について検討する必要があるとされておりまして、都としても、今後検討してまいります。
○西郷委員 それぞれにご答弁ありがとうございました。住民に対して丁寧な対応を求め、私の質問を終わります。
○小磯委員 それでは、環境アセスメント制度の見直しから質問をさせていただきます。
見直しについての答申、それからまたパブリックコメント等を読んだところでございますが、その答申の中に、東京都は、国に先駆けて昭和五十五年に環境影響評価条例を制定いたしました。これまで三十七年以上にわたって、三百五十件を超える多くの案件について手続を実施してきたとあります。
環境アセスメント制度は、大規模な開発事業の実施による環境への影響をできるだけ少なくするための効果的な仕組みであり、環境アセスメント制度の運用には環境全般に関する専門的知識を要求されるにもかかわらず、都はこれまで、適正かつ円滑に運用してきたと大いに評価できるものと思います。
また一方、専門的な内容を事業者や都民に理解してもらうためには、よりわかりやすく制度を見直すことが必要で、その上で本制度を適正かつ円滑に運用することが都民の利益に大きくつながるものと考えます。
まず、今回の環境アセスメント制度の見直しにおいて、中心として検討されたところであります施設の更新時等の手続の明確化について伺います。
審議会答申によりますと、今後、更新期を迎える施設の増加が見込まれると、このようにありますけれども、具体的にはどのような状況なのか、都の認識を伺います。
○松本政策調整担当部長 国土交通白書二〇一七によりますと、我が国では、昭和三十九年の東京オリンピック以降に整備された首都高速一号線等、高度成長期以降に整備したインフラが今後一斉に老朽化し、今後二十年間で、建設後五十年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みである。例えば、道路橋は、その割合が平成二十五年三月の約一八%から、十年後には約四三%、二十年後には約六七%と急増する。このように、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理、更新することが求められるとあります。
このように、更新期を迎える施設の増加が見込まれていると東京都としても受けとめてございます。
○小磯委員 今回の見直しの中で、その施設の更新について明確化するということでございますけれども、それでは、これまではどのように対処してきたのか伺います。
○松本政策調整担当部長 環境アセスメントの対象事業に係る施設の更新があった場合には、これまでは東京都環境影響評価条例の別表にございます新設や設置などの規定を適用して手続を行ってまいりました。
しかしながら、環境アセスメントの手続は事業者の一定の負担を伴うものであるため、対象事業に該当するか否かをより明確に判断できるようにする必要があると考えております。
そのため、審議会において、施設の更新の定義や個々の対象事業の更新の規模要件などについて詳細に検討し、対象事業に該当するか否かを明確に判断できるように見直しを行ったものでございます。
○小磯委員 環境アセスメント条例というのは手続条例といわれており、誰がどのような場合に義務を負うかを明確に規定することが必要であり、対象事業を明確に規定するということは重要であると、このように考えます。
施設の更新時においては、現行条例の施設の新設等の規定を適用して手続を実施してきたということでありますが、今回の見直しで新たに対象となる事業というのはあるのかどうか。
○松本政策調整担当部長 道路や鉄道の施設更新につきましては、道路の改築や鉄道の改良として行われる場合、車線数や線路の増加がない限り、現行ではこれを対象とする規定がございませんでした。
このため、審議会において、改めて道路や鉄道の施設更新のうち、どのような行為をアセスの対象とすべきか検討した結果、高架や橋梁の道路や、鉄道について、橋脚、橋台や桁の除却を伴う更新をする場合を対象とすべきとの結論に至ったため、その旨、審議会答申案に記載されてございます。
また、答申案では、道路につきましては、更新と同様に環境への影響を及ぼすおそれがある地下や高架などへの移設につきましても、鉄道と同様に対象とすることが適当であるとされております。
○小磯委員 高架の道路や鉄道の更新なども新たに対象となるという答弁でありました。
環境影響を考えれば、こうした事業について当然対象とすべきであり、これを対象事業として明記することは重要なことであると、このように考えます。
次に、制度の運用上の課題の見直しのうち、事業者のより主体的な手続の実施というのがあります。
これまでは、この審議会への説明を全て都が対応していたということでありますが、今後は、事業者が説明するように求めることができるというようにするということでございますが、ここでいうところの事業者の定義について、また、その審議会に出席して説明するのはどのような役職の人を想定しているのか、これについて伺います。
○松本政策調整担当部長 事業者とは、対象事業を実施しようとする者でございまして、環境アセスメントの手続の主体となるものでございます。
例えば、東京都、国、自治体のほか、高速道路会社や鉄道会社などの施設を運営する者、またディベロッパー、再開発準備組合などが事業者でございます。
また、今回の見直しにおきまして、審議会の実際の会議の場で出席と説明を求める相手としましては、事業計画の内容を詳細かつ的確に説明できる担当者を想定しておりまして、役職を問うものではないと考えております。
○小磯委員 事業者の説明を求めることができるということで、これは審議会の環境アセスメントの中で、審議会のどのあたりから参加をしてもらうかというのは、個々の案件によって、それぞれ検討されるということだというふうに認識しております。
審議会の会議の場において、実際の事業計画の担当者が説明をすると。これによって、審議会委員と事業者の理解が進んで、事業者がより主体的に事業計画を見直すことにつながる、そういう可能性はあるんだというふうに思っております。このことによって、これまで以上に各事業における環境配慮が進むと期待できます。
今後、審議会の適切な運用に努めていただきたいと思います。
次に、パブリックコメントをいろいろ読ませていただいたことについて伺いたいと思います。
パブリックコメントに対して、提出された意見についての審議会の考え方として、東京都は、変更届にかかわる予測、評価の見直しが必要となる代表事例を示すなど、事業者が参考にし得る情報を具体的に示す必要があると考えますと、こうありますが、これはどういう意味なのか、もう少しわかりやすく説明をお願いしたいと思います。
○松本政策調整担当部長 今回の答申案では、事業内容等変更時の手続要件の明確化としまして、変更届が不要となる場合の要件を具体的に定めております。
その要件のうちの一つに、対象事業の変更によって、環境アセスメント図書に記載した環境影響評価の項目や、環境に及ぼす影響の予測、評価の内容のいずれも変更する必要がない変更という要件がございます。
この要件につきまして、審議会は、どのような場合に予測、評価の見直しが必要となるかの代表事例を、例えば質疑応答集などで事業者が参考にできる情報を具体的に示す必要があると指摘しております。
○小磯委員 変更届は事業内容を都民に周知する上でも重要な機能を有すると考えます。事業者が変更届を適正に提出するよう、都は、届け出の要件を明確なものにするとともに、引き続き事業者に対する指導を適切に行うことで手続が適正かつ円滑に行われるよう、万全を期していただきたいと思います。
次に、制度の運用上の課題の見直しについて、氏名等の公表にかかわる条例規定の見直しについて伺います。
そもそもこれを今回見直すこととなったきっかけは何であったのか伺います。
○松本政策調整担当部長 今回の環境アセスメント制度の見直しでは、委員ご指摘のとおり、手続の明確化を中心とした見直しのほか、制度の運用上の課題の見直しも行っております。
審議会における審議の過程におきまして、審議会の委員から、運用上の課題として、氏名等の公表に係る条例規定におきまして、違反があれば即公表というような直罰的な規定になっているが、他の自治体の規定なども参考としながら見直す必要があるとの指摘がございました。
そのため、審議会において議論した結果、近隣の他の自治体の条例の規定を参考として、違反があると認められるときは、氏名等の公表の前に必要な措置を講じるよう勧告する規定を設けることが適当であるとされたため、審議会の答申案に記載されております。
○小磯委員 この審議会の答申案では、この手続に従わない事実があった場合に、氏名等の公表の前に必要な措置を講じるよう勧告する規定を設けることが適当であると、このように記載をされております。
これは、本来公表すべき案件を勧告にとどめるという制度の後退ではないのかと、そういう意見があって、これについての見解を求めます。
○松本政策調整担当部長 条例第九十一条は、事業者が条例に定める手続を行わなかったときに、その氏名等を公表することを定めております。
この条文は、手続に従わない等の事実があれば、直ちに氏名等を公表するという定め方になっておりますけれども、都はこれまでも、手続の確実な遂行を担保する趣旨から、早期に是正を図るよう指導を行うものと解し、運用してまいりました。
そのため、審議会答申案では、都の考え方及び運用に合わせ、氏名等の公表前に必要な措置を講じるよう勧告する規定を設けることが適当であるとされております。
したがって、お尋ねのような制度の後退を意味するというものではございませんで、現在の運用の明文化を図るものでございます。
なお、事業者に対し勧告を行った場合におきまして、当該事業者が勧告に従わないという場合には、意見聴取の機会を付与した上で、その意見に正当な理由がないと認めるときは当該事業者の氏名等の公表を行うことになります。
○小磯委員 今の答弁で、今回の見直しは、これまで行ってきた手続をよりわかりやすく明確化するものであって、事業者の氏名等の公表の規定を後退させるものではないということでございます。
かねてから本委員会でたびたび議論となっておりますが、豊洲新市場建設事業の環境アセスメント手続において、変更届の提出がおくれたということでありますが、今後、氏名等の公表前に勧告する規定を置いた場合において、同様の事態が起こった場合には勧告を行うことになるのかお伺いします。
○松本政策調整担当部長 条例第九十一条は、手続の確実な遂行を担保することを目的とした規定でございます。
豊洲新市場の建物下に盛り土が行われなかったことにつきまして、都は一昨年九月に公表し、公表後、直ちに当局が確認したところ、中央卸売市場は変更届を提出したいとの意向を速やかに示したことから、条例第九十一条を適用し、氏名等を公表する必要性は乏しいと判断したものでございます。
今回、条例に規定することを予定している勧告につきましては、氏名等の公表に相当する手続違反を対象に行うということを想定しておりますため、豊洲新市場の場合のように、事業者が速やかに対応する意向を示したのと同様の事態が起こったとしても、勧告をする必要はないと考えてございます。
なお、変更届の提出の要否についての判断は事業者が行うものでございますが、環境局としては、事業の進行管理と、あと事業者に対する周知を引き続き適切に行っていくことで、提出のおくれ等を未然に防止してまいります。
○小磯委員 ただいまの答弁で、豊洲新市場の環境アセスメントにおける環境局の手続に問題がなかったこと、また、今後どのような場合に勧告が行われるのかがよく理解ができました。
引き続き、手続の適正かつ円滑な運用に努めていただきたいと思います。
最後に、環境影響評価図書の公表方法の見直しについて伺います。
答申案によると、環境配慮書や環境影響評価書案といった環境アセスメントの図書を積極的に公表するということでありますが、現在どのような公表を行っていて、今後どのような公表にするべきだと考えているのか。ウエブサイトに全文を掲載するなど、積極的な取り組みが必要と思いますが、具体的な答弁を示していただきたいと思います。
○松本政策調整担当部長 現在、環境アセスメントの図書の公表につきましては、紙媒体によるものが中心で、委員ご指摘のウエブサイトによる公表につきましては、図書の概要のみ行っております。
現在の紙媒体による公表ですと、都民が図書の全文を閲覧するためには、平日に都の本庁舎や事業所、あるいは関係区市町村の窓口などに赴く必要がございます。さらに、縦覧期間終了後は、都の本庁舎の窓口に限定されてしまいます。
そのため、今回、審議会答申案では、事業者の著作権にも配慮した上で、ウエブサイトに図書の全文を掲載するなど、より積極的に図書を公表するべきであるとされております。
なお、どのような図書を何年間公表するか、図書のダウンロードや印刷を可能とするかなど、具体的な公表方法につきましては、国や他の自治体の事例を参考に、今後、都において検討してまいります。
このことにより、図書に対して都民がアクセスしやすくなり、制度や事業に対する都民の皆様の理解がより進むこととなると考えております。
○小磯委員 事業に対する都民の理解が進み、都民の意見が事業計画により反映されることは望ましいことから、都は、その答申案の記載のとおり、積極的に図書の公表を行っていただきたいと思います。
以上、環境アセスメント制度の見直しについて質問いたしましたが、都においては、今後とも制度を適正かつ円滑に運用し、都民の健康で快適な生活の確保に資するよう努めていただきたいと思います。
続きまして、土壌汚染について質問をさせていただきます。
この土壌汚染というのは、そもそも環境確保条例という中に入っております。この環境確保条例というのは、全部で百六十五条ありまして、国でいうところの十五の法律に対応しているというか、そういう条例でございます。
今回の土壌汚染の関連規定というのは、百十三条から百二十二条の十条の中に土壌汚染が入っているわけでございますけれども、この十条の条例の中で、今回見直しの検討をする項目というのが全部で三十三項あるんですね。ですから、結構窮屈な条例になってくるんじゃないかと。
条例をふやすと、その後の百二十三条からは全部、条例がずれていくということで、条例そのものは、条例の番号は変えない、そういう中で三十三の見直しを図るというのは、改正条例をつくる上では結構大変な作業なんじゃないかなというふうに思っておりまして、この環境確保条例というのは、もともとは公害防止条例から来たものでございますけれども、そういった条例のつくり方というんですか、これは今後、ちょっといろいろ検討してもらってもいいんじゃないかなと、こういう思いでございます。
土壌汚染対策制度の見直しでございますが、都では、国に先駆けて都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、いわゆる環境確保条例に基づく土壌汚染対策の規制を始めたということでございますが、まず、その経緯についてお伺いいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 平成十二年十二月二十二日、東京都公害防止条例を全面的に改正した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、いわゆる環境確保条例が公布され、一部の規定を除いて、平成十三年四月一日から施行されております。
この条例は、環境への負荷の低減の取り組み、自動車公害対策、工場公害対策等、緊急時の措置等の各章から成るものでございます。
土壌及び地下水の汚染の防止に関する節は、市街地における再開発等に伴い土壌汚染が顕在化したこと、水質汚濁防止法に基づく地下水調査等で地下水汚染が各地で発見されたこと等を背景に、環境確保条例制定の際に工場公害対策等の章に追加され、平成十三年十月一日から施行されております。
○小磯委員 この条例施行から十年が過ぎたということでございますが、これまでどのような改正を行ってきたのか伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 条例に基づく土壌汚染対策制度の制定は、土壌汚染対策法の施行及び改正に合わせ、条例施行規則及び調査や対策の技術的事項を示した東京都土壌汚染対策指針の必要な部分を改正し、法との整合及び運用上の調整を行ってまいりました。
○小磯委員 まず、今回の制度の見直しにおいて、法と同様の健康リスクの考え方を導入し、その判断基準を明確化するということでありますが、現行条例では、人の健康にかかわる被害が生ずるおそれの判断基準について規定がないところを、具体的にどう規定するのか、まず伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 人の健康にかかわる被害が生ずるおそれの判断基準については、土壌汚染対策法において、法第五条に基づく調査命令及び法第六条に基づく要措置区域の指定の要件として、人の健康にかかわる被害が生ずるおそれの判断基準が示されております。
具体的には、汚染土壌の直接摂取によるリスクについては、当該土地の人の立ち入りの有無により判断いたします。また、汚染土壌に起因する地下水汚染によるリスクについては、汚染が到達する範囲における地下水の利用状況により判断いたします。
制度見直しにおいて、法と同様の判断基準を条例にも規定することを検討しております。
○小磯委員 ただいま答弁のありました土壌汚染対策法と同様の健康リスクの判断基準を導入するということでありますが、この規制はどういったものになるのか伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 法と同様の健康リスクの判断基準に基づき、含有量基準を超える土壌汚染がある土地においては人の立ち入りがある場合、または溶出量基準を超える土壌汚染がある土地においては周辺の土地での地下水の飲用が確認された場合に対策を必須といたします。
これに加えまして、条例独自の目的である地下水環境保全の観点から、一定濃度を超える土壌の汚染または地下水の汚染が確認された場合には対策を必須といたします。
ここでいう一定濃度とは、土壌については、廃棄物の埋立処分の判定基準値を参考に環境基準値の三倍から三十倍程度の濃度とし、地下水については、事業場から公共用水域への排水に適用される排水基準値を参考に環境基準値の十倍程度の濃度とすることを検討しております。
○小磯委員 健康リスクのない土地に対して対策を必須とすることは過剰な規制ではないかという意見も一部ありますが、これについて都の見解はいかがなものか伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 対策要件の一つとして、一定濃度を超える土壌汚染または地下水汚染がある場合を導入することについては、従来より条例で対象としている地下水環境保全のための規制の要件を明確化するものでございます。
一定濃度を超える汚染がある場合には、それ以上、周辺へ地下水汚染が広がらないような対応を求めるもので、地下水環境保全の観点から必要な規制と考えております。
一方で、健康リスクがなく一定濃度を超える汚染もない土地については、対策を不要とすることとしており、これにより対策が必要な土地と不要な土地が明確化できるものと考えております。
○小磯委員 健康リスクの一つの要素であります飲用リスクについて判断するためには、飲用井戸の情報が重要であると考えます。平成二十九年に土壌汚染対策法が改正された際にも、飲用井戸等の情報の把握、収集等が都道府県知事の努力義務として新たに規定をされております。
東京都においては、平成二十二年に飲用井戸の全戸調査を行ったということでありますが、情報が古くなっているのではないか。
そこで、七年前に得られた飲用井戸の情報を今現在どのように活用しているのか。また、今後やはり更新等していくべきであると、このように思いますが、見解をお伺いします。
○近藤環境改善技術担当部長 都は、土壌汚染対策法を円滑に執行する目的で、平成二十二年に飲用井戸の全戸調査を実施いたしました。
現在は、調査の際に飲用していると回答した井戸の設置者に対し、周辺の土地で指定を要する案件があった際に、現在の利用状況について個別に再確認を行っております。
再確認の際に、もう既に井戸を利用していない、または飲用をやめたという回答も得られております。
飲用井戸情報の更新については、井戸情報を保有する関係機関との定期的な情報供給を今後行ってまいります。
また、平成二十二年度の全戸調査の結果について、フォローアップ調査を実施することにより更新を図っていくことも検討しております。
○小磯委員 今、ご答弁で平成二十二年度の全戸調査の結果については、フォローアップ調査を実施することによって更新を図っていくことも検討するという答弁でございましたが、ぜひこれは実施をお願いしたいというふうに思っております。
現行の条例では、汚染の原因が専ら自然的条件であることが明らかであると認められる場所の土壌、いわゆる自然由来汚染土壌については適用除外となっておりますが、今回の制度の見直しでは、自然由来汚染土壌について一部規制を適用するということであります。
一方、法では平成二十二年以降、自然由来汚染土壌を人為由来の汚染土壌と同様に規制をしております。
そこでまず、都内に、自然由来汚染土壌により規制されている土地がそもそもあるのかどうかお伺いしたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法では、形質変更時要届け出区域のうち、人為由来の汚染がなく、土壌の汚染状態が専ら自然に由来すると認められるものについて、自然由来特例区域として指定することとなっております。
現在、都内では、鉛、ヒ素などの特定有害物質が基準に適合しない土地として、七カ所が自然由来特例区域に指定されております。
○小磯委員 この自然由来汚染土壌には、今後、条例等でどのような規制が適用されるのか具体的に伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 自然由来の基準超過土壌については、土地の改変時に搬出されることで汚染が拡散するおそれがございます。
法は、自然由来特例区域内の土壌を搬出する場合に、汚染土壌として処理施設での処理を義務づける等の規制を行っておりますが、今回の法改正により、搬出及び処理についての規制を一部緩和し、特例区域間の移動を認める制度等を設けることとしております。
条例においても、自然由来の汚染が確認された土地の改変時には、搬出にかかわる計画書の提出及び適切な処理等がなされたことの完了の報告を義務づけることを検討しております。
○小磯委員 この汚染土壌情報の公開については、法律では区域指定の公示、台帳などの規定がありますが、一方、都の条例には公開に関する規定がなく、個別の開示請求により対応しているということであります。
今回の制度見直しにおいて、積極的な情報公開を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染情報については、区域指定を行った際に、法の規定に基づき東京都公報に告示するとともに、ホームページに告示の内容を掲載しております。
また、汚染の詳細については、法の規定に基づき台帳を調製し、これを都庁の窓口で供覧する形で公開しております。
現在、台帳は紙媒体でございますが、来年度からホームページに掲載できるようシステムの構築を図っているところでございます。
今回の制度の見直しにより、条例においても台帳の調製、公開の仕組みを設け、調査の結果、汚染ありと評価された土地について、法と同様に情報公開を行っていくことを検討しております。
さらに、将来的には、汚染が確認されなかったことの届け出も公開の対象とすることについて、引き続き検討してまいります。
○小磯委員 土壌汚染対策というのは、費用負担が大きくて、さまざまな手続が必要であることから、事業者にとっては影響の大きいものでございます。条例改正に当たっては、十分な周知が必要と考えます。
施行までの間、都はどのように対応していくのかお伺いいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 施行までの間に土壌汚染対策セミナーを開催するとともに、事業者や調査機関に向けた説明会を個別に開催いたします。
また、リーフレットや届け出の手引等を改定した上で公表、配布し、事業者や届け出者への周知を十分行ってまいります。
条例の事務を一部移譲している区市に対しては、事務処理にかかわる解説資料等を作成した上で、担当者向けの説明会を開催することを予定しております。
○小磯委員 都における土壌汚染対策制度は、法と条例の両方で規制しており、体系が複雑であります。事業者にとっても、それは難しい制度になっております。
来年春には改正法が全面施行されて、加えて、条例も今後改正ということになりますと、事業者や区市が混乱することも想定をされます。
先ほど事業者等に対して十分な周知を図る旨の答弁がございましたが、その内容を確実に実施していただいて、この土壌汚染対策制度がしっかりと運用されることを願いまして、私の質問といたします。
○田の上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十七分休憩
午後三時三十五分開議
○田の上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○田村委員 私からは、環境アセスメント制度と土壌汚染対策制度についてお聞きします。
まず、都の環境アセスメント制度について伺います。
都のアセスメント制度では、大規模な開発事業などを実施する際に、開発事業者がみずから主体的に環境の保全について適正な配慮を行う手続の仕組みを定めています。
このため、アセスメント制度を適正かつ円滑に運用し、実効性のあるものにしていくには、実際に手続を行う事業者の視点を忘れてはならないと考えます。
今回、環境アセスメント制度を見直すに当たり、審議会では、手続の明確化に加え、制度を運用していく上での課題を指摘し、その見直しを提言しています。
昭和五十五年に条例を制定し、手続を開始してから今日まで長年にわたって制度を運用してきた中で、幾つかの課題が浮き彫りになってきたものと考えております。そして、事業者のより主体的な手続の実施が課題の一つとして取り上げられ、見直しが行われると聞いております。
この見直しによって、アセスメント手続に関して、事業者の方の負担に何らかの変更が生じることがあるのか伺います。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価審議会は、環境アセスメントの図書に係る審査意見書の作成につきまして、知事の諮問に応じ答申を行う権限を有しております。
そのような審議会におきまして、都以外の多くの自治体では、事業者がみずから事業内容等を説明しているが、都におきましては、現在、審議会における事業内容等の説明を全て都が対応しております。
今般の審議会答申案によりますと、環境アセスメント制度は、事業者が主体的に環境の保全について適正な配慮を行う手続の仕組みであることから、今後は、審議会が、事業者に対して審議会への出席や説明を求めることができることを明文化することが適当であるとされております。
審議会への出席が事業者にとって過度な負担とならないよう、今後検討してまいります。
○田村委員 事業者にとって過度な負担にならないよう検討していくとの確認がとれました。
引き続き、審議会の適切な運用に努めていただくことを要望します。
さて、制度の見直しは、都民や事業者からの意見を的確に反映したものとなっていなければなりません。
現在、本委員会に提出されている審議会答申案を策定する過程で、審議会の中間まとめについて、三十日間パブリックコメントを実施したとのことですが、その結果とその内容をどのように反映したのかお聞きします。
○松本政策調整担当部長 法人、個人合わせて五者の方から二十件の意見がございました。内訳は、施設更新時等の手続の明確化に関することが十件、事業内容等変更時の手続要件の明確化に関することが六件、環境影響評価図書の公表方法の見直しに関することが一件、その他が三件でございました。
これらのご意見を踏まえ、審議会答申案におきましては、施設の保全のために行う防護柵、遮音壁、床板等の取りかえ工事が施設更新に該当しないことを明確化する記述に改めております。
また、変更届が不要となる場合の要件の一つとして、基本的な諸元が減少する場合も追加すべきであるとのご意見に対し、その旨を明確化する記述に改めてございます。
そのほかのご意見は、今後、都が検討すべき内容として参考とさせていただきます。
○田村委員 パブリックコメントに対して提出された意見の中には、条例改正により新たにアセス手続が必要になると事業の進捗に大きく影響する、改正条例の施行時期をできる限り先延ばしにしてほしいとの意見もあります。
条例の施行に当たっては、事業者が準備できる期間をきちんと確保することが必要と考えますが、見解を伺います。
○松本政策調整担当部長 委員が引用なさいましたパブリックコメントの意見につきましては、審議会からも、改正条例の施行に当たっては、新しい手続について事業者に十分な準備を行っていただくため、適切な周知期間を勘案する必要があるとの考え方が示されております。
都としては、今後、委員や審議会からいただいたご意見を踏まえまして、事業者の準備期間が必要な手続については十分な期間を確保できるように、施行時期を定めた上で改正条例案を提案してまいります。
○田村委員 十分な準備期間を確保するとの答弁ですが、手続を行う事業者に配慮することは、事業者が環境の保全に対する責務をしっかり果たすことにつながり、都民サービスの向上にとっても重要です。
今後とも、事業者の声にきちんと耳を傾けつつ、事業者と住民との相互理解の橋渡しに努めながら、改正条例案の作成等に取り組むことを要望いたします。
次に、土壌汚染対策制度の見直しについて伺います。
都における土壌汚染対策制度の見直しの方向性については、本年第一回定例会において、都議会自民党から代表質問をしました。
土壌汚染対策は、都の公共事業も含め、さまざまな工事の根幹をなす重要な対策です。一方で、特に中小事業者にとっては、土壌汚染の調査や対策は、技術的及び経済的に大きな負担となっています。さらに、豊洲の例でもわかるように、都民の関心も非常に高いテーマです。
そのような中、このたび委員会に見直しの具体的な内容が報告されたので、改めて伺います。
まず、昨年五月に土壌汚染対策法が改正されましたが、その概要について伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 今回の土壌汚染対策法改正は、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進すること等を目的としており、平成三十年四月と平成三十一年四月の二段階に分けて施行されます。
第一段階の施行では、汚染土壌処理業に係る規定の整備及び土地の形質変更の届け出、調査手続の迅速化等が行われます。
第二段階の施行では、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大及び都道府県知事が汚染の除去等の措置内容の計画提出を命じること等の規定が追加されます。
○田村委員 今回の改正土壌汚染対策法は、平成三十年四月と平成三十一年四月の二段階に分けて施行されるとのことですが、施行に当たって、都はどのような対応を行うのか伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 本年四月の第一段階の施行において、汚染土壌処理業の譲渡及び譲り受け、汚染土壌処理業に係る法人の合併及び分割、汚染土壌処理業の相続に係る手続を定める規定が追加されました。
そのため、改正により追加された譲渡等の申請に必要な手数料を新たに定める必要があり、土壌汚染対策法関係手数料条例の改正を行いました。
なお、第二段階の施行に伴い、必須となる条例改正はございません。
○田村委員 都では、土壌汚染対策法と環境確保条例の双方に基づく二つの規制が行われております。先ほどの答弁では、改正法の第二段階の施行においても、特段、条例改正はないとのことですが、であるならば、なぜ今回、土壌汚染対策制度を見直すための条例改正を行う必要があるのかお聞きします。
また、この条例改正について報じたある新聞記事では、都内の土壌汚染は、築地市場の豊洲移転問題で注目されたとの記載がありましたが、念のため、今回の見直しと市場移転との関係についても伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 都は、環境確保条例に基づき、土壌汚染対策制度を国に先行して平成十三年に施行いたしましたが、その後、土壌汚染対策法が施行され、数次にわたり改正されてきており、法との関係を改めて整理する必要が生じております。
このため、このたびの法改正を契機に、都の土壌汚染対策制度を見直すこととし、昨年十一月から学識経験者等による検討委員会において、専門的見地から検討を進めております。
今後、健康リスクの捉え方について法と整合を図りつつ、地下水汚染の拡大を防ぐ対策を導入することなどについて検討委員会で議論を進め、条例改正に向け取り組んでまいります。
また、市場移転に限らず、個別の案件に対応することを目的とした見直しではございません。
なお、現在見直しの検討を行っている段階でございまして、実施済みの対策については新制度の影響は受けません。
○田村委員 都内では、環境確保条例と土壌汚染対策法の両方に基づく規制が行われているため、条例と法が両方該当する案件は、同じような書類をそれぞれ用意し、場合によっては都と区市に提出しなければならず、規制を受ける事業者にとって負担となっています。
条例改正に当たっては、事業者の負担の軽減も考慮されるべきだと考えますが、見解を伺います。
○近藤環境改善技術担当部長 今回の条例改正に当たっては、土壌汚染対策法との関係性の整理を一つの視点として見直しを進めており、法と条例が重複する案件に対する合理化も検討しております。
例えば、調査実施の契機の適用除外として、水道、下水道、ガス、電気工事等の通常の管理行為、三百平方メートル未満の土地の形質の改変などを明確化いたします。
また、調査の実施時期や調査方法について、法の規定と整合させることを基本とすることで調査に係る負担の軽減を図ります。
さらに、法と条例が重複する手続については、法の届け出を行うことで条例の提出書類の一部の省略を可能とすることなどにより、届け出を簡素化し、届け出に係る負担の軽減及び行政手続の効率化を図ります。
加えて、操業中に自主的に実施した調査や対策を条例上の手続として報告可能とすることで、操業中からの計画的な土壌汚染対策を推進し、廃止時の負担の軽減につなげてまいります。
○田村委員 条例改正に当たっては、適切な土壌汚染対策を推進することは当然ですが、規制対象となる事業者の意見を聞くことも重要です。
本年第一回定例会の代表質問に対し、環境局長から、業界団体の意見を聞きながら条例改正に向けて取り組んでいくとの答弁がありました。
そこで、事業者等からの意見をどのように聞いてきたのか、検討の経緯と内容をお聞きします。
○近藤環境改善技術担当部長 本年四月に昨年度までの検討状況の取りまとめを行い、その内容について、中小企業などの事業者団体や区市等の七団体にヒアリングを実施し、それぞれの立場から意見を伺いました。
また、本年六月から七月にかけてパブリックコメントを実施し、事業者も含む十五名の方から百八十一件の意見が寄せられております。
これらの意見については、各意見に対する都の考え方を整理して公表するとともに、検討委員会等において参考としております。
○田村委員 事業者の意見を聞き、負担の軽減も考慮しながら条例の見直しを進めていることは理解しました。
しかし、先ほどの環境アセスと同様、都の施策は、適用を受ける事業者の協力なくして実効性は発揮できません。改正を円滑に実施するために、事業者の声にさらに真摯に耳を傾け、制度の見直しを行っていただくことを要望し、質問を終わります。
○原田委員 それでは、東京都環境影響評価制度の見直しの方向性についてお聞きします。
この間、私は、環境アセス条例にかかわって、豊洲新市場計画や中央環状線のアセスなど幾つかの事例を示し、事業者がアセスを軽視し、手続違反を犯しているのではないかという指摘を行ってきました。
豊洲新市場計画でいえば、当初の計画を変更し、地下に盛り土をせず地下空間をつくり出していた問題で、環境アセス条例六十二条に定められた事前の事業変更届提出に違反していたことが発覚しました。法的瑕疵はないとされてきた同計画に条例違反が見つかったという事態でした。
アセス条例は、住民の立場に立って適切に運用されれば、これまでなすすべのなかった大型開発による自然環境や住環境破壊をとめる力を持ち得ると考えています。
一九六九年、アメリカで誕生した環境アセス制度ですが、その制度は急速に世界に広まっていきました。大規模な開発によって引き起こされる公害、あるいは住環境の破壊をとめなければならないと、環境アセス制度は各国の国民に歓迎され、広まっていったのです。
日本でも一九九七年六月、環境影響評価法、いわゆる環境アセスメント法が制定されたのでした。
環境影響評価の手法は、それ以後、発展してきています。戦略的環境評価、SEAという手法では、今日本で多く行われているような、事業が始まる段階のごく限られた空間への影響評価ではなく、もっと以前の計画段階、政策段階で、環境影響だけでなく、社会的影響、経済的影響なども評価に含め、しかも住民参加をふんだんに盛り込むなど、多彩な評価手法が取り入れられてきています。多くの国で取り入れられ、大規模開発から自然と住環境を守る一定の役割を果たしています。
中には、環境上望ましい代替案を検討させ、より環境上望ましい代替案を選択する義務を行政機関に課したものまであります。これらは事業計画を審査し、必要があれば規制する権限の存在を示しており、単に手続を示したアセス制度ではない実態アセスと呼ばれたり、戦略アセスと呼ばれたりもしています。
さて、昨年二〇一七年が日本の環境影響評価法制定からちょうど二十年目の年でした。現在、日本における環境アセスの評価といえばどうか。事業者の環境に対する一定の配慮をさせているとはいえ、期待されるような大規模開発の歯どめになっていないのが現状です。
有名なところでいえば、諫早湾干拓事業、辺野古新基地建設、南アルプス地下を通るリニア新幹線、いずれもアセスでは総じて環境への影響は小さいとされ、現実と乖離しています。
環境保護よりも大規模開発の工程表ばかりが重視され、しばしば手続アセスと批判され、アワセメントとやゆされてきたのが実態です。本来なら、大型開発から自然や社会を守っていく、それこそが環境アセスの本来の趣旨ではないでしょうか。
そこでお聞きします。
東京都環境影響評価条例の意義について、改めて都の認識を伺います。
○松本政策調整担当部長 東京都環境影響評価条例は、環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより、計画の策定及び事業の実施に際し、環境の保全について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とした条例でございます。
○原田委員 環境保全について適正な配慮がなされることを期すると、都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的としているんだというふうに語られました。
これまで都環境局は、都のアセス条例について、みずから手続条例であると見解を示してきましたが、その意味を問いたいと思います。
単に手続を定めた条例であって、違反事業者などを規制する力はないという意味で、この手続条例をわざわざ自分で使っているんでしょうか。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、東京都環境影響評価条例は、環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることで、計画の策定及び事業の実施に際し、環境の保全について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とした条例でございます。
この条例において、都は、良好な環境を保全し、もって都民の健康で快適な生活を確保するため、この条例に定める手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければならないとされております。
○原田委員 大事な確認だと思っています。
改めて聞いておきたいんですけど、手続について何が何でも円滑に進めればいいというのではなくて、そこには適正さも求められると今の答弁はいっているんだということで解してよろしいですね。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、東京都環境影響評価条例は、環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより、計画の策定及び事業の実施に際し、環境の保全について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とした条例でございまして、この条例の中で、都は、良好な環境を保全し、もって都民の健康で快適な生活を確保するため、この条例に定める手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければならないとされております。
○原田委員 普通に答えればいいと思うんですね。円滑なだけでなく適正さも求められるんですよねと聞いたんですから、適正さも求められますといえばいいのかなと思うんですけれども、なぜあんなに長くなるのかは不思議です。
さて、東京都は、国による環境影響評価法制定の十七年前、先ほど他の委員も指摘しましたが、一九八〇年にアセス条例を制定しています。先進自治体の一つですね。そして、二〇〇三年、東京都が国に先んじて導入したとする戦略アセス、計画段階アセスの導入が実現をしました。これは、事業がほぼ固まり切った後の事業段階アセスと違い、政策決定前のアセスメントで、代替案の可能性も含めて複数案の中から計画案をつくっていくというものです。
さて、そこでお聞きします。
当時、国より先んじた、いわゆる戦略アセス、計画段階アセスの導入について、その意義を教えてください。
また、その機能は現在でも維持されていますか。
○松本政策調整担当部長 戦略的環境アセスメント、委員ご指摘のとおり、都では計画段階環境アセスメントと申します。こちらは事業段階アセスメントに先行して実施するものでございまして、計画立案の早い段階から都民に開かれた手続の中で採用可能な複数の計画案について環境影響を比較評価し、その結果を計画に反映させることにより、環境配慮を一層推進させるものでございます。
計画段階環境アセスメントは、これまで五つの大規模事業について適用されてきてございます。
○原田委員 計画立案の早い段階から複数の計画案で環境影響を比較して、一番適切な案を選び取って、事業段階アセスに向かうんだと。これはとても大事な手続です。
その第一号が、実は豊洲新市場計画と聞くと、この間の私の質疑と今回のアセスの見直しの何か不思議な関係を感じるんですけれども、そこで、東京都が誇る計画段階アセスの第一号、豊洲新市場計画では、どのような選択肢あるいは代替案が用意され、結果、豊洲への移転計画となったのか見てみたいと思います。
このときのアセスですけれども、計画段階アセス、複数案として出てきたのは、どこを新市場にするかではありませんでした。
豊洲六丁目の地域に千客万来施設の配置について三つの案が示された。A案は、仲卸市場の一部と関連店舗を開放し、千客万来施設がないという案でした。B案は、「ゆりかもめ」の駅の近くに千客万来施設を二棟設置するという案でした。C案は、駅から晴海通りにかけて計四棟つくる、この三案のどれがいいですか、これが第一号計画段階アセスの三択だったんです。
汚染地としての豊洲六丁目、ここじゃない場所とか、どこにもそういうものを候補に入れていたわけではなくて、しかも、全然この計画の根幹とは別のところの千客万来施設、A案、B案、C案を出していたと。本当に計画段階アセス、戦略アセスが泣くというような、そういう始まりだったわけです。
ちなみに、これなんですけれども、最終的には、駅の前にある千客万来施設二棟というB案しか選ぶことはほぼ不可能という案になって、かなり誘導的な選択肢になっていたんですよね。
率直にいって、内容の伴わないアセス手続が進む中、環境基準を万の単位で上回る汚染が豊洲新市場計画で発覚し、再アセスとなってしまいました。この時点で環境アセスは、じくじたる思いをしなければならなかったはずです。
ところが、出し直しアセスに示された汚染対策について、アセス審議会は、有効な指導、提案の機能を発揮できず、そして小池都知事が誕生した後、地下空間の発見、市場の地下汚染の発覚など、またもや都の環境アセス制度は、豊洲新市場の汚染対策に機能することができなかったことを露呈したんです。
環境アセスが真に大規模事業に対するチェック機能を働かせ、単なる手続条例ではなく、大規模事業から住民と環境を守る制度に成長発展し、それこそ事業を審査、必要があればその事業を規制する、実態アセスとしての性格を備えていかなければならないと私は考えますけれども、どうですか。
○松本政策調整担当部長 東京都環境影響評価条例、あるいは東京都環境影響評価制度につきましては、環境影響評価等の手続で必要な事項を定めて、それにのっとって事業者に主体的に実施をしていただくということをもって、環境の保全について適正に配慮をされることを期し、都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的としております。
都は、この制度を十分に活用しまして、良好な環境を保全し、都民の健康で快適な生活を確保すると。この条例に定める手続が適正、円滑に行われるように今後とも努めてまいります。
○原田委員 今の答弁は、これまでも適正に運用されてきたと。環境アセスは、私は実態アセスとしての性格を将来的にも備えていくべきじゃないかといったら、もう備わっているんだというような、そういう答弁でしたね。
そういう気概も確かに大事だと思うので、この後、聞いていきたいと思うんですけれども、ただし、今の答弁、やっぱり環境配慮のための手続を定めているといっているにすぎない。それだけで本当に、都民の健康で快適な生活の確保を図ることが可能なのかが問われているわけですね。手続さえ進めれば、環境局の仕事は終わりと思っているわけじゃまさかないと思うんですけれども、さっきの答弁は不安を覚えるところだと思っています。
そこで振り返られなければならないのが、豊洲新市場計画のアセス条例違反における環境局の姿勢です。
あるはずの盛り土がなく、地下空間が発見されてから一年たった昨年十一月、事業の変更届を事前に提出しなければならないとしたアセス条例六十二条違反が発覚しました。
それは同時に、知事による九十一条違反が疑われました。それは、手続違反を行った事業者には弁明の機会を与えるとともに、その弁明に正当な理由がなかったときは、事業者の氏名や違反事実を公表することを九十一条が定めています。しかし、そうした公表等を小池都知事は行っていませんでした。この違反事実は、私は重大だと思っています。
都の検証報告書によると、盛り土でなく、地下にモニタリング空間をつくったということは、万一、地下水中から環境基準を超える汚染物質が検出された場合には、浄化が可能となるように対処するための作業空間だった。盛り土があるのかないのかというのは、まさに豊洲新市場の汚染状況にかかわる大問題につながる話なんですね。
事業者は、既に盛り土がないこともわかっていたのに、都議会議員の質問に対して、盛り土はあるといい続けました。しかも、良心の呵責に耐えかねてみずから暴露したのではなく、共産党都議団の現地調査によってそのことが発覚した後に事業変更届を出すというありさまでした。
このような事業者の違反行為にペナルティーを課さないとなれば、アセス条例に定められたさまざまな配慮行動は、守らなくても構いやしないという事業者を呼び込むことになってしまうじゃありませんか。
なぜ九十一条を適用しなかったのか。ことし三月二十日、私が何度も松本部長に聞いたとき、部長から驚くべき答弁をいただきましたので、その答弁についてお聞きします。
三月二十日の環境・建設委員会において、松本政策調整担当部長は、豊洲新市場計画が六十二条違反したことに対し、九十一条を適用しなかったことの理由を問われて、違反事業者の氏名と違反事実を公表した場合、アセス制度にとって不利益があると答弁しました。新答弁です。
改めて聞きますけれども、九十一条を適用したことで起きるアセス制度への不利益というのは何ですか。
○松本政策調整担当部長 東京都は、良好な環境を保全し、もって都民の健康で快適な生活を確保するため、環境アセスメントの手続が適正かつ円滑に行われるように努めなければなりません。このため、都は、環境アセスメントの手続の適正かつ円滑な運用が行われないということを避ける必要がございます。
この間、何度も答弁申し上げておりますが、豊洲新市場整備事業の件では、早い段階で中央卸売市場から速やかに変更届を提出したいとの意向が示されていたことから、当局は、第九十一条に基づく手続を踏む必要性は乏しいと判断したものでございます。
○原田委員 今の答弁はすごくわかりにくいと思うんですけど、じゃあ、逆に聞くんですけど、九十一条を、ペナルティーを事業者に与えることを適用しないことによる--今回しなかったわけですね、アセス制度の利益って何だったんですか。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、都は、良好な環境を保全し、もって都民の健康で快適な生活を確保するため、私どもが所管しております環境アセスメントの手続が適正かつ円滑に行われるように努めなければならないと考えております。
何度か申し上げましたが、豊洲新市場の件では、早い段階で事業者である中央卸売市場から速やかに変更届を提出したい、つまり環境アセスメントの手続を速やかに行いたいとの意向が示されていたことから、当局としては、九十一条に基づく手続を踏む必要性は乏しいという判断に至ったものでございます。
○原田委員 繰り返しの答弁が出たわけですけど、やっぱり答弁には責任を持ってもらいたいんですね、松本部長。
あなたは、三月二十日の委員会で、九十一条を適用しなかったことのアセス上の利益、そして九十一条を適用したときのアセス上の不利益を比較考量したと明確に答弁しているんですね。どういう利益があってどういう不利益があったのか、今しっかりと答えられない。
ただし、先ほどの答弁の中に、環境アセスの手続の適正かつ円滑な運用が行われないことを避ける必要があるというふうにいいました。つまり、九十一条を事業者に適用して、違反者の氏名や事実を公表すると事業者の手続が滞ってしまうと。それがアセスにとっての不利益だということなんじゃないんですか。答えてください。
○松本政策調整担当部長 繰り返しの答弁になりますが、豊洲新市場整備事業の件では、事業者としての中央卸売市場が、早い段階で速やかに変更届を提出したいとの意向を示しておりました。そういうことから、アセスメントの手続が適正かつ円滑に行われるように努めなければならない当局としましては、九十一条に基づく手続を踏む必要性は乏しいと判断したものでございます。
○原田委員 自分の答弁で不利益と利益を比較考量したとまでいったんですから、すぐ出てくる答弁だと思うんですけれども、私がいいましょう。
つまり、さっきいったことなんですけど、九十一条を事業者に適用すると事業者の手続が滞っちゃうから、そのことがアセスにとっての不利益なんだというふうに部長は答弁したわけですね。もはやアセス制度が本末転倒しているわけですよ。(「勝手に解釈しておかしいじゃない。勝手に解釈して……」と呼ぶ者あり)いや、勝手に解釈したわけじゃないですよ。だって、そういう答弁になっているんです。
今、公明党の委員から、そういう、勝手に解釈だという意見が出たので、私は違うと思うんですけど、委員からそういう質問というか意見が出たので、改めてもう一度お聞きします。九十一条を適用すると事業者の手続が滞ってしまう、それがアセスにとっての不利益だということですか。
○松本政策調整担当部長 東京都は、良好な環境を保全し、都民の健康で快適な生活を確保するため、環境アセスメントの所管部署として、その手続が適正かつ円滑に行われるように努めなければなりません。
今回の豊洲新市場整備事業の件では、早期の段階で中央卸売市場から変更届を提出したいという意向が示されておりました。したがって、当局としては、九十一条に基づく手続を踏む必要性は乏しいと判断したものでございます。
○原田委員 私がさっきいった解釈でよろしいんですか。
○松本政策調整担当部長 お尋ねですので回答させていただきます。
東京都は、良好な環境を保全し、もって都民の健康で快適な生活を確保するため、環境アセスメントの手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければなりません。このため、都は、環境アセスメントの手続の適正かつ円滑な運用が行われないことを避ける必要がございます。
以上でございます。
○原田委員 さて、私も何とかして少しは実効性のあるアセス制度の確立のために、このような質疑を行ってまいりましたが、ここに来てまさかの制度見直しの方向性が答申されました。幾つかの前進面もあると考えていますけれども、勧告制度の導入は、私は重大だと思っています。
九十一条は、現在、手続違反事業者に弁明の機会を与え、その正当な理由がない場合に九十一条を適用する規定となっています。
今回の見直しの方向性は、九十一条の前に勧告の制度を置くというものです。勧告の制度を置いたら、これは強化されるんじゃないかというふうに感じるんですけれども、果たしてそうかと。
今回、制度の見直しにおいて九十一条に勧告手続を入れるに当たって、答申案にはこう書いてあります。これ、都を代弁して審議委員が書いているんですよ。都はこれまでも、手続の確実な遂行を担保するという趣旨から、より早期に是正を図るために指導や勧告を行うものと解してきたが、現行の規定はこの考え方に即していないと書いてあるわけです。
これは、東京都の認識とこの間の対応が条例にそぐわなかったということを端的に指摘していると考えるんですが、どう考えますか。
○松本政策調整担当部長 既にご答弁申し上げておりますけれども、条例第九十一条は、事業者が条例に定める手続を行わなかったときに、その氏名等を公表できるという、公表するということを定めております。
この条文は、手続に従わない等の事実があれば、直ちに氏名等の……(原田委員「ごめんなさい、できるじゃなくて、すべきで」と呼ぶ)すると申し上げました。それで、この条文は、手続に従わない等の事実があれば、直ちに氏名等を公表するという定め方になっておりますけれども、都はこれまでも、手続の確実な遂行を担保するという趣旨から、早期に是正を図るよう指導を行うものと解し、運用してまいりました。
そのため、審議会の答申案では、都の考え方及び運用に合わせ、氏名等の公表前に必要な措置を講じるよう勧告する規定を設けることが適当であるとされております。
したがって、お尋ねのように、都の認識とこの間の対応が条例にそぐわなかったということを意味しているものでは全くなく、あくまで現在の運用の明文化を図るという趣旨でございます。
○原田委員 今の説明は、そぐわなかったということを指摘する答弁になっていないと思うんですけれども、もう一回いいますけど、答申案に書いてあるんですよ。指導や勧告を行うものと都は解してきたが、現行の規定はその都の考え方に即していないと。
つまり、現行の規定に即していない勝手な解釈をして、この九十一条は、円滑手続だから、この事業者にはペナルティーを与えないという判断をしてきたんだというふうに、そのまま読めば、そのまま書いてあるわけですよ。
ただし、この審議会答申は、逆に東京都の姿勢を支持して、そっちの方に条例を変えようじゃないかという答申案になっている。私はすごく重大だと思うんですね、それが。
これまで都は、九十一条を適用してこなかったのは、この条例及び条文が、円滑に手続を進めるためのものと都として解釈しているためと説明してきました。それに対して私は、その解釈は条文のどこからも読むことはできない、そういってきました。
そうしたら、今回都の考え方は、現在の規定に即していないという答申があったと。今回の答申案の表現からすれば、都の解釈が条例に即していなかったと認めている表現であることは、もう、火を見るより明らかだと思うんですね。
答申案は、九十一条は直罰的だと書いていますが、これは都の指摘による表現なんですか、それとも審議委員の指摘による表現ですか。
○松本政策調整担当部長 審議会答申案は、審議会の委員の総意としてまとめられた文書でございます。
ご質問ですけれども、この審議会特別部会で最初に直罰的と発言した者は誰かという趣旨でございますならば、審議会の委員でございます。
○原田委員 九十一条は、違反事業者に弁明の余地を与えており、それに正当な理由がないときに、氏名や違反事実の公表をすることを都知事に定めているんですね。
九十一条は、決して、私が見る限りは直罰的ではないんじゃないかと考えるんですけれども、いかがですか。
○松本政策調整担当部長 専門家で構成する審議会では、直罰的と認識されておりまして、都もそのように受けとめております。
直罰と申しますのは、違反行為があった場合、行政指導や行政命令による是正の機会を与えることなく、即時に罰則を適用することを定めたものでございます。
条例第九十一条は、違反行為があった場合、事業者に意見を述べ、証拠を提示する機会を付与しておりますが、これは公表を前提とした規定でございます。
○原田委員 確かに、この規定は公表を前提とし、そのために不利益をこうむるかもしれない者に対し、あらかじめ弁明や証拠提出の機会を与えるものです。しかし、当然、弁明の内容によっては公表しないという余地も残されているんですよね。
同時に、手続違反や虚偽報告などに対し、弁明と公表というやり方で臨んでいる現条例のたてつけは、手続違反とか虚偽報告とか、そういうものを起こさせないと、そういう違法な事業者を防止するんだと、アセス条例を制定した当時の方々の強い思いや自負が込められていると私は感じているんですよね。
この弁明の機会も与えておいて、不当な理由しかなかったと。そうしたらペナルティーを与えるのは当たり前じゃないですか。
よもやとは思いますけれども、今回の見直しは、つまり、どんな違反行為を働いたとしても、勧告を受けて手続に戻りさえすれば、それまでの違反行為は全て許し、氏名や違反事実の公表などペナルティーを課さないという見直しなんじゃないですか。
○松本政策調整担当部長 今回、審議会答申案において示された勧告につきましては、氏名等の公表に相当する手続違反を対象に行うことと想定されるものでございますが、勧告を受けて手続を実施したとしましたら、氏名等の公表を行わないものと考えられます。
○原田委員 極めて重大な答弁です。この勧告制度の導入は、どんな手続違反事業者でも、その後に誰かにばらされたりだとか告発されたりだとか、そういうものであっても、勧告に従いさえすれば、おとがめなしにするという見直しの方針になっていると。驚くべき制度の緩和だと私は指摘をするものです。
日本弁護士連合会が環境影響評価法改正のときに、環境影響評価法改正にかかわる第一次意見書というのを出しまして、そこでは、環境アセスメント手続に関与する公的機関に行政調査、命令権を与えて、事業者に対して、行政調査や命令権を課せる権限を環境アセス上、行政に持たせようじゃないかということを訴えて、環境アセスメント手続違反に対する罰則規定を設けようということを提案しているんですね。
虚偽記載や悪質な手続違反に対しては、厳しい罰則を設けるべきなんじゃないですか。お答えください。
○松本政策調整担当部長 東京都環境影響評価条例は、第九十一条で氏名等の公表の規定を設置しております。
○原田委員 虚偽記載や悪質な手続違反に対しては、厳しい罰則規定を設けるべきじゃないかと日弁連の指摘を受けて質問をしたところ、答弁としては、先ほど勧告制度の導入で骨抜きになろうとしている九十一条がそれに当たるんだという答弁が出てまいりました。
これで本当に、これまで全国で、世界で歩まれてきた環境アセスの発展に、ちゃんとそぐう見直しになっていくのかと、逆行しているんじゃないのかと、私は、そういうところを今の答弁を聞いていて感じざるを得ないんですね。
都環境アセス条例六十二条が定めた事業変更届の提出、これまでもさまざまな場面でないがしろにされてきました。豊洲新市場計画が盛り土をやめて地下空間をつくり出したことのように、重大な変更を黙ったままアセス手続を進めた事業はほかにもあります。
この一年間追及してきた中央環状品川線換気所の問題を通して、今回のアセス条例見直しの議論の一つとするとともに、まだ未解決の問題も質問したいと思います。
二〇一三年度、第十一回アセス審議会総会に、中央環状品川線南品川換気所において出水があったため開通時期の延長を図る事業変更届が出ました。この際、建設局はプレス発表やアセス審議会への事業変更届の理由を出水としてきましたが、ことし三月の委員会で私は、建設局の内部文書を示して、建設局内部では、シールドセグメントへの負荷応力を低減し、工事中、何らかの原因で物すごい圧力がシールドセグメントにかかったと。それを低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工を検討、実施に必要な期間として工事を一時中止したというふうに書いてある資料を示しました。
改めてお聞きしますが、事業変更届には、出水ではなく、シールドセグメントに重大な圧力がかかり、その事象に対する対応に時間がかかったということが明記されなければならなかったのではないですか。お答えください。
○松本政策調整担当部長 さきの環境・建設委員会でご答弁申し上げたとおり、今回の報告内容は、事業者によるプレス発表と同様の内容でございます。
また、本年第一回定例会で文書質問に対して建設局が回答した内容によりますと、南品川換気所工事において、本線トンネルのセグメント応力上昇に対する凍結工の見直しや、ロックボルトの施工時の出水は、さまざまな出水に関する事象に含まれているとなっていることを確認してございます。
環境局は、変更の内容及びその理由について、事業者に対し報告を求めておりまして、変更理由として、出水対策に時間を要したという事実に基づく報告として受理をして、特段問題ないと認識しております。
○原田委員 出水対策に対する対応という事実があったんだというふうにいっていますけど、一応、今の答弁の中には、工期の延長について、やっと環境局としてセグメントへの応力上昇の対策工というのを認めました。
建設局の内部文書を改めて示しますね。工期の理由は先ほど示したように、シールドセグメントへの負荷応力を低減し云々かんぬんとあり、その後です。上記より、上記の理由によりという意味ですね、上記より二百四日間本工事を工期延伸するとあるんですね。セグメントの応力上昇は、二百四日間です。
同時に、先ほど環境局が示したロックボルトの施工時の出水、これは何かと。換気所の出水というのは、トンネル本線に対する圧力が上昇して、深刻な影響をもたらしかねなくなったため、トンネルを支えるためのロックボルトを打ち込むためにトンネルに穴をあけたんですね。その穴から水が出てきたと。ですから、実はロックボルトを打ち込んだら、当然、出水はほとんどなくなってしまったんですよ。わずか一日だけの話です。
ですから、アセスを変更して、開通を一年延長することには、ほとんど影響は及ぼしていないんです。これはもう環境局が確認しているんですよ、このことを。
この情報をもってしてまで、環境局が、建設局のいう出水のために工期は延伸したんだという理由を信じるのは一体何でなんですか。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、今回の建設局の報告内容というのは、事業者である建設局のプレス発表と同様の内容でございます。
また、先ほど申し上げましたとおり、建設局の説明によりますと、本線トンネルのセグメント応力上昇に対する凍結工の見直しですとか、ロックボルトの施工時の出水、これらは全て出水に関する事象ということに含まれるということでございますので、変更理由として、出水対策に時間を要したという事実に基づく報告として受理したものでございます。
○原田委員 少なくとも、これを出水と説明するのは、環境アセス制度に対して説明が丁寧でないということぐらいは、私はいえるんじゃないかと、いわなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。
重大な圧力が品川線にかかって、それのために、もしかしたらトンネルが潰れるかもしれないといって、トンネルの中に物すごいでかい鉄柱を二本ぐらい立てて、それで何とかして潰れないようにして、どうしようかというのを考えるだけで数カ月、その対策に七カ月ぐらいかけてやっていたんですよ。そのことが一切出水ではわからないじゃないですか。
本線トンネルに対する圧力が急上昇し、トンネル自体に大きな影響を与える可能性もある事態に至った。これが工期延伸する最大の理由です。しかし、こういうことが外部に知らされたら、中央環状品川線は本当に大丈夫なのかということになりかねません。そこで、プレス発表でも環境影響評価でも、そういう対策による延期であるとの記述を避けたんじゃないのか。そうした推測も決して非現実的な指摘ではなくなってくるわけです。
トンネルの対策工事自体が周辺の環境に与える影響は、特に大きくはなかったかもしれません。しかし、トンネルに異常な圧力がかかって対策をとらざるを得なくなったという重大事実、これは長く将来にわたって引き継ぎされなければならないトンネルの安全性能にかかわる問題であり、本来、都民や社会に広く知らされるべき事実ではないでしょうか。
それを事実上押し隠すよう、環境影響評価書の変更案の延長理由に、出水が発生したため薬液注入等の出水対策に時間がかかった、こう書いてあるんですよ。
シールドセグメントへの大変な圧力の上昇に対抗するために二百四日間を要したと建設局は内部文書で書いているのに、私たちに対しては、出水が発生したため薬液注入等の出水対策に時間がかかったとするのは、そんな変更届を出してくるのは、アセス軽視、審議会軽視の態度であるとともに、都民を欺くものとして厳しく批判をされなければならないと思いますが、部長いかがですか。
○松本政策調整担当部長 アセスの変更報告における変更の内容及び理由については、事業者みずからが事実に基づき報告を行うと認識しております。
そして、この件に関しては何度も答弁申し上げているように、事業者がプレス発表もしたものと同様の内容でありますし、さらに詳細を確認しますと、ロックボルトの施工時の出水等々は、出水に関する事象に含まれているということも確認できております。
○原田委員 環境アセスは、事業者みずからが報告するものだからそれを信じるしかないと。この場面でいう答弁ですか、部長。プレス発表したからきっとそうだろうと。こんな状況で、環境アセス、ちゃんと成り立つのかと。大型開発から住民を、自然環境を守れるのかと本当に不安になるじゃありませんか。
豊洲新市場計画でも、地下空間の発見以外にもさまざまな問題が日々生じています。
事業変更届を出すのが妥当と考えられる事象のうち、今回は三層遮水壁問題を取り上げ、都の環境アセス条例、あるいは今回の見直しがむちゃで巨大な開発行為から住民の生活を守る機能を発揮することができるのかただしたいと思います。
さて、大前提として、豊洲新市場という場所がどういう土地で、環境アセスはこの計画でどう機能しているかを確認したいと思います。
豊洲新市場は、土壌汚染対策法上の形質変更時要届け出区域に指定されています。これは、土壌が汚染はされているけれども、汚染物質が事業地外に流出しないという対処がなされている土地のことを意味しています。
つまり、豊洲新市場は、地下が汚染されてはいるものの、周囲は三層遮水壁、鋼管矢板で囲われ、下は不透水層で水の逃げ場をなくしたプール状になっている、上はコンクリートで固めている、汚染物質は絶対に外に出ないんだと、汚染物質が事業地外に流出しない構造になっている、そういっています。
二〇一一年、石原氏による再アセス評価書には、遮水壁が含まれた図ではA.P.六・五メートルというふうに推察されるイメージ図が書かれています。(パネルを示す)これが遮水壁です。これで完全に地下水を事業地外には流さないと。事業地外からも水を入れさせないという遮水壁が地上部分まで伸びていて、ご丁寧にA.P.一・八メートルから四・七メートルに線まで引いてある。これが六・五メートルを意味しているのはわかりやすいわけです。
誰がどう見ても、遮水壁はA.P.プラス六・五メートルとなっていて、小池都知事による二〇一七年八月の事業変更届では、遮水壁にかかわる記述はありませんので、これが受け継がれています。
また、これもありますね。これは三層遮水壁の図ですけれども、やっぱり事業地の一番上の方まで、ここの層の上のところまで来て、外界との地下水の行き来を遮断しているんだというふうになっています。
また、予測、評価項目選定表の水質汚濁の項目などによりますと--読みますか。今後の地下水管理による地下水の水質への影響。本事業の計画地では、準備工事として街区周縁に遮水壁を設置しており、計画地とその周辺の地下水の移動は遮断されている。中略、また、遮水壁により計画地周辺からの地下水の流入はないというふうに、遮断とか地下水の流入は断たれているというふうに書いています。
ところが、当初の計画は、工事をやっている途中に変更されまして、護岸側、海側ですね、遮水壁が、実は一律二・五メートルかき切られておりまして、A.P.プラス四・〇メートルと変更され、施工されました。また、所管は、A.P.プラス四・〇メートル以上に地下水が行くことはないと考えたんですけれども、二〇一六年十月ごろは、少なからず観測井戸でA.P.プラス四・〇メートルを超えています。
当都議団の聞き取りに対し、遮水壁がA.P.プラス四・〇メートルは都議会でも議論になったことがあり、周知の事実であるとしたため、逆に変更届がなぜ出なかったのかが問われる事態となっています。
三層遮水壁の天端がA.P.プラス六・五メートルに達しておらず、条件によって、地下水が事業地内と事業地外を行き来することになれば、二〇一七年、事業変更届の記載が変わらなければいけなかったのではないですか。お答えください。
○松本政策調整担当部長 事業者である市場当局から提出されておりますアセス図書におきましては、遮水壁の高さについての記載はございません。
また、図についても、冒頭、委員もおっしゃいましたが、液状化対策など全体像の説明に使ったイメージ図であると聞いておりまして、当局もそのように認識しております。
○原田委員 その答弁は市場当局がいうんだったらまだわかるんですけど、丁寧な説明を求める環境局のいう答弁ですか。
明らかに文章には、遮水壁によって外界からの地下水は遮断されていると。そして、このイメージ図というものも、数字まで示して六・五メートルかのように見せていると。
これはやっぱり誤解を生む表現なんじゃないか、丁寧な説明になっていないんじゃないのかというのが環境局の姿勢じゃありませんか。どうぞお答えください。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、市場当局から提出のあったアセス図書においては、遮水壁の高さについての記載はございませんでした。
○原田委員 計画地周辺との地下水の移動の可能性があるとすれば、二〇一七年、事業変更届の水質汚濁にかかわって、工事完了後の予測、評価は行わないとした予測、評価項目選定表の記載は、修正が必要になる可能性が出てきています。環境局の見解を求めます。
○松本政策調整担当部長 委員のご指摘のありました計画地周辺との地下水の移動の事実につきましては、確認することができないため、お答えのしようがございません。
○原田委員 だって、遮水壁は護岸側に沿ってA.P.プラス四・〇なんですよ。ところが、二〇一六年の十月には一カ月近くにわたって、その四・〇を水位が超えているんですよね。
事業地外に水が流れていないとはいいません。ただし、遮水壁の天端を水位が超えている事実、これをもって答弁は、計画地周辺との地下水の移動の事実を確認できないで終わっていいんですか。これは、おそれがあるから、市場にちょっと環境アセスとして遮断と書いてある評価書の内容と違うから、ちょっと調査をしてみたいとか、そういうふうにならないんですか。
○松本政策調整担当部長 繰り返しのご答弁になりますが、計画地周辺との地下水の移動の事実は確認できないため、お答えできません。
○原田委員 事実は確認できないとのことですが、単に東京都として確認できていないだけであって、事実が発生していない、起きていないと都ははっきりいえないということでしょう。
実際、私たちの党都議団で、六月の定例会の代表質問でただしたとき、小池知事の答弁はこうでした。これまでの地下水位の測定結果から、一部の観測井戸におきまして、海側の遮水壁の高さを超える水位となりましたことは、一時的かつ局所的なものと認識いたしておりますと。たとえ一時的でも、一部の観測井戸の水位は、海側の遮水壁の高さを超えたという重大事実を認めているんです。その上で、流出がなかったとはいいませんでした。
それはそうでしょう。そもそも地下水が、当初、評価書に書いてあったとおりに下げられていないと。その中で地下水管理システムが想定どおりに機能せず、一部の地点の地下水位が海側の遮水壁の高さを超えてしまっているわけですから、今や流出、流入はあり得ないといってきた前提条件が崩れようとしているわけです。
事実が確認できないなどとは、環境影響評価に責任を負う環境局としては許されない姿勢じゃありませんか。市場じゃないんですよ、環境局なんですよ。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価書の予測、評価につきましては、事業者みずからが事後調査計画書に基づき検証し、事後調査報告書として報告することとなってございます。
○原田委員 環境局として、アセス評価書に書かれた遮水壁によって地下水の流出入は遮断ということがこれまでできていたのか、今後、絶対に流出入は起きないのか、科学的な検証、証明を事業者である中央卸売市場当局、小池都知事に求める気もないということですか。
○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、環境影響評価制度におきましては、環境影響評価書の予測、評価につきまして、事業者みずからが事後調査計画書に基づき検証し、事後調査報告書として報告することとなっております。
○原田委員 本当に、国に先駆けた戦略的アセスだとか、適正かつ円滑な手続をもって住民、自然環境を守るとか、最初の答弁が泣くじゃありませんか。
本日の質疑を通じて明らかになったのは、事業者としての都の行う事業で、監視者としての都に提出した環境影響評価書の記述とは異なることが幾つも引き起こされているということです。
しかも、その事態に対して、監視者としての都環境局は、とがめようとしない、確認をしない、丸のみにするという態度で、チェック機関としての役割を果たしているとは、おおよそいいがたい状況です。
その上、手続違反や虚偽の報告などに対して、発覚しても勧告を受けてすぐに直せばおとがめなしと。さらに緩和してしまったらどうなるんですか。
条例には、第一条の目的で、環境の保全に適正な配慮を行う、第三条の知事の基本的責務で、この条例に定める手続は適正に進められることが強調されているにもかかわらず、適正に行われないことを助長し、モラルハザードがますます進むのは、火を見るより明らかじゃありませんか。
このような緩和は、現在起きている事態に照らして行われるべきではない。むしろ罰則を設けるなど、強化すべきだということを主張します。
また、条例改正案の提出までに、二〇〇二年の条例改正時にも幾つかの会派から出されましたアセスの代替案の中に、事業をそもそもやらないという選択肢を入れること、都民の積極的な参加、関与の仕組みを拡充すること、評価書本体のインターネット公開については、縦覧の機会にとどまらず少なくとも事業期間中と事業後何年かは事後評価に都民も参加するという観点から公開を続けること、さらには二〇〇二年の条例改正時に大幅に緩和し、対象から外してしまった百八十メートル未満の超高層ビルなどアセスの要件を少なくとももとに戻し、乱開発から都民の暮らしや環境を守ることなど、抜本的な拡充を検討することを強く求めるものです。
私は、環境アセスの質は、その都市、自治体のまち並み及び文化の質に深くかかわるものと指摘し、より豊かな環境アセス制度の構築に向け、今後も追及していくことを決意申し上げまして、質疑を終了します。
○宮瀬委員 私の方からも質問させていただきたいと思います。指摘もさせていただきますが、具体的な提案もさせていただければと思っております。各委員の質問も出ておりまして、重複するところは割愛をさせていただきます。
冒頭、今までの環境影響評価制度を見直すということで、目的とポイントについてお伺いしようと思いましたが、昭和五十五年、制度創設以来、これまで三百五十を超える大規模事業に適用してきたということ云々ということで認識しております。
最初、基本的な質問で恐縮ですが、現在の制度で、昭和五十五年から三百五十件ということなんですが、年間どれぐらいの件数をどのように消化しているのかお伺いします。
○松本政策調整担当部長 新規に受け付ける大規模事業の件数でございますが、年間で平均しますと約十事業ほど大規模事業の受け付けを行っております。
それぞれの案件ごとに、事業者が事業実施による環境影響の調査、予測ですとか、調査計画書、あるいは環境影響評価書案等々のさまざまな書類を出していただき、それを審査することになります。
具体的に私どもがどのくらい年間にやっているかということのお尋ねでございますが、年間に審査等を行う環境アセスメントの図書数、例えば平成二十九年度で申しますと、合計十二件の特例環境配慮書、調査計画書、環境影響評価書案につきまして、審議会、総会と部会がございます、それぞれにおいて審議を経て、意見をまとめております。
あわせまして、都民の意見を聞く会を二回開催しております。
さらに、合計七十二件の環境影響評価書、事後調査計画書、着工届、事後調査報告書、完了届を受理し、審議会に報告をしております。
環境影響評価を所管する環境局では、各事業の計画を把握し、事業者から提出された評価書案等が条例や技術指針などにのっとって環境影響を予測、評価しているか、審議会の前段階という形で綿密に審査を行っております。
○宮瀬委員 ご説明ありがとうございます。年間十事業ほどということでご説明を受けまして、注意深く聞いていると、事後調査計画書、着工届、事後調査報告書、完了届を審議会に報告といった業務だと思いますが、素朴に思うわけでありますが、実際に事業の現場に行くといったことはあるんでしょうか。
○松本政策調整担当部長 大規模事業の申請が出ましたときに、原則として全ての案件につきまして、審議会委員及び事務局であります当局の担当者とが現場に出向いております。そして、そこで現場を視察すると同時に、事業者から事業計画の説明など、また質疑応答を行っております。
○宮瀬委員 となりますと、ここで一つ疑問になるわけでありますが、豊洲新市場の建設におきまして、環境アセスの申請時とは異なり、盛り土がなかったことが大きな問題になったわけであります。
実際、今のご答弁ですと、現場に行かれているといったご答弁だったと思いますが、現場に行っているのに、どうして盛り土がなかったことがわからなかったのか、その点についてちょっとお伺いいたします。
○松本政策調整担当部長 豊洲新市場につきましても、先ほど申し上げたとおり、ほかの案件と同様に、審議会の委員、また当局の担当者が現場に出向いて、それで現場を視察し、事業者から事業計画の説明は受けているところでございます。
○宮瀬委員 ちょっと私の理解力が悪いのかもしれないですけれども、現場に行っていますと。実際に盛り土がなかったわけで、説明を受けているということは、ちょっと失礼ないい方かもしれませんが、何を見ていたんですか。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価制度では、さまざまな事業評価項目で事業をチェックしております。特にこれは書面に事業者が書いてきたことを確認するという形をとっております。それで、具体的に、審議会の委員の方々はそれぞれの分野の専門家でいらっしゃいますので、その方たちと事業者との間でやりとりをして、書面に書かれた事業計画についての詳細な確認をとっているということでございます。
○宮瀬委員 結局は書面でやっていたということだと思っています。先ほどご答弁もありましたけれども、意見を聞く会を開催して、事後調査をして、今ご答弁ありましたように、書面でやりとりをしていたと。
となりますと、いずれにせよ結果責任といいますか、盛り土がなかったことというのは、都庁全体の責任でもございますが、環境局として責任があると認識されているのか。また、どこに反省点があると--ちょっと続けて聞いて恐縮ですが、では、そういった反省点があるとしましたら、今回の環境影響評価の見直しに反映されているんでしょうか。お伺いします。
○松本政策調整担当部長 豊洲新市場の事業計画の変更につきまして、事前に届け出がなされなかったことにつきましては、大変遺憾と認識しております。
環境アセスメントは、事業者がその責任と負担において実施するものでございまして、都は、今後も環境影響評価条例に定める手続が適正かつ円滑に行われるよう努めてまいります。
具体的には、変更届等の書類の提出について当局に遅滞なく相談をし、必要な手続をするなど、環境影響評価の手続を適正に履行するよう、引き続き求めてまいります。
○宮瀬委員 ちょっと答弁がわかりにくかったので教えていただきたいんですが、一部であっても、結果責任は環境局にあったという解釈でよろしいでしょうか。
○松本政策調整担当部長 環境局としては大変遺憾と認識しております。
○宮瀬委員 ここのやりとりは原田委員のやりとりを見ていましたので、ずっとエンドレスになってしまいますので控えますが、結局、答弁を聞いていますと、最後に、引き続きやっていくといったご答弁だったと思います。
つまり、問題が起きて、遺憾と感じることが環境局としてあって、実際に何がどう変わるのかというのが、具体的には答弁を聞いてわかりませんでした。
基本的には、業務は変わらないということの認識でよろしいんですか。
○松本政策調整担当部長 今回の環境影響評価制度の見直しにつきましては、制度創設から三十七年が経過し、今後、更新期を迎える施設の増加が見込まれるという制度を取り巻く状況の変化を踏まえまして、現行制度は施設更新の規定がないという、これまで新設等の規定を適用してきたけれども、更新の要件を明確化するなど、より適切でわかりやすいものに見直す必要があるという考えのもと行おうとするものでございます。
したがって、見直し内容としては、施設更新時等の手続の明確化、事業内容等変更時の手続要件の明確化、事業者のより主体的な手続の実施、氏名等の公表に係る条例規定の見直し、また評価図書の公表方法の見直しなどとなっておりますが、こちらの方で手続のさまざまな明確化ですとか要件の明確化をすることは、都として、引き続き必要と考えておりますし、そもそも委員の方からもお話ありましたとおり、東京都としては、環境影響評価制度を所管する部署としまして、環境影響評価制度が円滑で適正に運用が進むように最大限努力をしなければならないと考えておりますので、引き続き、事業者に対してはコミュニケーションを密にとり、進行管理などを適正にやってまいりたいと思っております。
○宮瀬委員 ちょっと違う角度から同じ質問をしたいんですけれども、では、今回、中央卸売市場が虚偽の申請をしましたということが、再度同じことが、悪意を持って虚偽の申請をした場合に、今のご答弁だと、そのまま、また同じことが起きるのではないかと危惧をしているんですが、どうでしょうか。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価制度を円滑かつ適正に進めていく責任のある立場としまして、今後とも、引き続き事業者とは密に連携をとり、進行管理を徹底してまいります。
○宮瀬委員 書類上でやっているといった認識があります。その中で密にとるということで、その書面自体に誤りがあったら同じことが起きるのではないかなと私は危惧をしているわけであります。
今回の改正によって、それがどう改善されるのかがなかなか見えてこないなと思っておりまして、実際に中央卸売市場からのアセスの申請を受けて、実際に豊洲新市場に環境局の皆さんは現場に足をどれぐらい運んだのか伺います。
○松本政策調整担当部長 直近の数になりますけれども、この一年間、変更届の関連で、審議会として四回ほど足を運んでおります。
○宮瀬委員 大事なのは、そこがどのタイミングなのかということでありまして、いわゆる盛り土問題が発覚する前に行かれたのか、またこのような騒ぎになった後に行ったのか、どっちでしょうか。
○松本政策調整担当部長 今申し上げましたのは、この一年間の回数でございますので、後ということになります。
○宮瀬委員 事実は事実なので隠せないと思いますが、ここで一つ問題提起したいのは、書面上でのやりとりで、行くのもやっぱり問題が起きた後といったことでは、もし事業者の方が悪意を持って虚偽の紙を出してきたときに、見抜けないのではないかなと思っております。
何でこんなことをいっているかといいますと、実は私、平成二十八年度各会計決算特別委員会におきまして、監査事務局に対しまして、厳しく盛り土の件を追及させていただきました。当然、中央卸売市場は幹部を初め処分を受けておりまして、その中の当該部局であります監査事務局の責任はないのかといったことで、少数会派ながら厳しくやらせていただきました。
今まで監査事務局の方は、一切謝罪はありませんでしたが、そのときのご答弁を読ませていただきますと、豊洲市場の土壌汚染対策工事についても同様に監査を実施した結果、指摘は見つけることができませんでした、大変申しわけございませんという答弁が実際出ております。公式な謝罪です。
その原因として、工事監査では、工事の計画が適切に策定され、ここがポイントなんですけれども、関係書類に反映されていることを前提に、工事が契約どおり施工されているか確認してきたと。つまり、当然、関係書類にそのことが善意を持って反映されているのが前提だったということで監査をしていたので、結果、そこは工事監査の実効性をより高めるために、実際に、長期にわたる大規模工事等については、設計、施工が計画どおり適正に行われているかを含めて確認するという正式な答弁が出ております。
平成二十九年から工事計画が関係書類に反映していることを前提とせず、監査をしているわけでございます。
このように、他局において、もちろんメーンとなっているのは中央卸売市場でございますが、関係部局であります監査事務局の方は、まず責任を認め謝罪をし、その上で対策をしっかりと打ち出していただくと私は安心できるんですけれども、今のご答弁、遺憾というのはどういう意味なんだろうと。引き続きやっていくというのは、どうチェック体制が変わるんだろうということが心配になるわけでございます。
そこで、冒頭に年間の件数、何件ですかと聞いたのは、十事業ということでございます。十事業を多く見るのか少なく見るのかは所感も分かれますし、皆さんのところは大きな事業を扱っていますので、何ともいえないところでありますが、今後は、現場にちゃんと行って、環境アセスの申請どおりに建設工事が進んでいるかを確認すべきであると考えています。
いきなり全て十件行くというのは難しいかもしれませんけれども、抜き打ち的に、今回はこの工事を抜き打ち検査するといったことが抑止力にもつながると思っております。所見をお伺いします。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価制度は、事業者が大規模な開発事業などを実施する際に、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測、評価し、その内容について住民や関係自治体などの意見を聞くとともに、専門的立場からその内容を審査することなどにより、事業実施による環境への影響をできるだけ少なくするための一連の手続の仕組みでございます。
このように、この制度の主体は事業者でございます。事後の確認につきましても、一義的に事業者が行うべきものでございます。
ただし、都の環境アセス制度においては、法のアセス制度以上に事後調査の仕組みも整備されておりますので、事後調査報告書の内容確認などを引き続ききめ細かく行ってまいります。
○宮瀬委員 一義的には事業者が責任を持っていると。当然、それをチェックするのが皆様で、ここでポイントとしているのが、事後報告書の書面の確認ではなくて、現場、現地、現物を、足を使ってチェックしていただきたいという旨なんですが、答弁よろしくお願いします。
○松本政策調整担当部長 都としましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、大規模事業の申請を受けるたびに、その事業計画の説明を受けるなどして、あわせて現場に行き、事業者とコミュニケーションをとって事業内容の把握、また審査するポイントなどの把握に努めております。
引き続き、それらを主体にし、事業者とともにコミュニケーションをとりながら事業内容の把握に努めてまいります。
○宮瀬委員 これは堂々めぐりになってしまうんですが、であれば、どうして豊洲の件は見抜けなかったんですかという話になるわけですよ。その現地、現場に行っているタイミングが事後だったり、適切なタイミングじゃないんじゃないですかということを繰り返し述べているわけであります。
やはり私、いろいろご説明していますが、これ、提案させていただいているつもりでございます。まだ条例制定までいろいろご意見をいただく場もあると思いますが、簡単とはいいませんが、ぜひ今いった、現地、現場に行って、その申請書が正しいかどうか、一部でもちゃんとチェックをしていただけるような制度にしていただきたいなと思っております。
このように、実態と異なる申請があった場合に、ダブルチェックですとか、また第三者による確認というのは、いずれにせよ大事だと思っておりますが、そういった機能というのは、環境局ですとか環境局以外にあるのか、最後、改めて基本的な話で恐縮ですが、お伺いいたします。
○松本政策調整担当部長 環境影響評価制度におきます環境影響評価審議会も第三者の専門的見地から調査、審議をする機関でございます。
また、先ほどの繰り返しで恐縮ですが、都の環境アセス制度におきましては、事後調査報告書の内容確認をきめ細かく行っております。
さらに、環境局としましては、この環境影響評価条例のほか、環境確保条例、自然保護条例や、あと大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法など、さまざまな法令の規定と相まって、東京の環境の保全を図っているものでございます。
○宮瀬委員 今、内容確認をきめ細かくということでありますが、それがどこでということであります。ご答弁ですと、事後調査報告書の内容確認となっておりますが、繰り返し申し上げますが、現地、現場、現物でのしかるべきタイミングで確認をしていただきたいと思います。
また、それに伴いまして、監査、チェックの負荷も増すと思います。監査事務局の方も今回の豊洲の件を受けまして、人員増ですとか体制の強化とセットで動いておりますので、ぜひ人員の増と体制の強化もセットにして、監査体制、アセスの体制を強化していただけるような条例にしていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○田の上委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時十五分休憩
午後五時三十五分開議
○田の上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○関野委員 では、土壌汚染対策の見直しについてを質疑させていただきます。
まず、基本的なことをお伺いしたいと思っております。
資料4、都における土壌汚染対策制度の見直しの方向性だったり、環境確保条例の施行令だったり、いろいろといただいた資料、また調べた資料の中から、ちょっと聞いてみたいなと思ったことをお伺いさせていただこうかなと思っています。
まずは、工場等を廃止する際に調査が必要となる業種について、環境確保条例では、土壌汚染対策法よりも対象となる業種を広く捉えているという形で認識をしておりますが、条例の対象となる業種、具体的にどういったものがあるのか、基本的なことをお伺いさせていただきます。
○近藤環境改善技術担当部長 工場等の廃止時に調査の対象となるのは、有害物質を取り扱う事業者でございます。
法、条例ともに対象となる業種としては、主にメッキ業やクリーニング業が挙げられます。
条例のみ対象となる業種としては、ガソリンスタンド、印刷業、自動車整備業、金属製品製造業等が挙げられます。
○関野委員 条例では調査義務者が工場等設置者となっております。このたび調査の報告期限を法と合わせるというような形で、もともとは廃止の三十日前という条例だったものを、法に合わせて廃止後百二十日以内にするとのことですが、工場等を廃止した後に工場等の設置者と連絡がとれなくなるというケースが想定されますけれども、そのような場合については、調査義務はどのような形で扱われるのか、この点についてお伺いします。
○近藤環境改善技術担当部長 工場等の廃止の調査の期限については、法との整合を図る観点から、廃止の三十日前までから廃止後百二十日以内に見直すこととしております。
現行条例において、事業者が調査報告を行えない場合には、土地譲り受け者または借地の返還を受けた者に調査の義務が生じることになっております。
制度見直し後においても同様に、譲り受け者等の調査対策義務について規定することを検討しております。
なお、事業による調査の実施を確実にするため、廃止後の事業者に対する指導権限を担保するとともに、廃止後も調査義務が残っていることについて関係者へ周知徹底を図るなどの対策を講じていく予定でございます。
○関野委員 わかりました。工場等設置者との連絡がとれないなどの事案が起こらないようにするには、ある意味、工場等の設置者への指導もそうですけれども、土地所有者への周知というところも必要になってくるのかなというふうに考えております。
また、土地所有者と工場設置者という形で、土地の取引などは民民の契約になっていくので、十分留意しておく必要があると考えています。
そういう意味では、このような契約に携わる行政書士または不動産業などなど、いろいろな方々がいると思われますが、そういった団体への十分な周知や相談を受ける体制の整備、そういったのが必要だと考えておりますが、都はどのように考えておりますか。
○近藤環境改善技術担当部長 都内では、活発な土地取引が行われており、土壌汚染は不動産取引への影響も十分考えられることから、不動産取引関係者の理解は重要であります。
そのため、これらの団体等に対し、制度見直しの内容を十分周知するとともに、一般的な相談に対し、土壌汚染の専門知識を有する者がアドバイスする土壌汚染対策総合相談窓口を活用し、不動産業者からの個別の問い合わせ等にも丁寧に対応してまいります。
○関野委員 調査が適切に行われなかった場合、調査義務者に対して指導を行うということになりますが、調査義務者が法人で、その法人が解散した場合、義務を課すことが困難になるというところですけれども、そういった場合は土地所有者というような形も今お伺いしたんですけれども、実際、いい方は悪いですけれども、計画倒産をして免れようと、こういったことを考える方は多分いると思うんですね。
そういった事案が起こり得るだろうということも想定した上で、今後適正な制度となるよう、ルールや運用方法など、こういったものは検討していただきたいなというふうには思っておりますので、この点については要望しておきます。
また、先ほど来、私も最後の方の質問になっておりますので他の委員からの質問と重複する部分がありますが、せっかくですので、あえて質問させていただきます。
今回の制度の見直しにより、土壌汚染対策法と同様の健康リスクの考え方を導入するとのことですが、健康リスクを判断するためには、飲用井戸の情報が重要と考えております。
また、改正法でも飲用井戸等の健康影響に係る情報の把握、収集などが知事の努力義務として追加されたことを認識しておりますが、都は現在、井戸に関してどのような情報を把握しているのか、また情報の更新はどのように行っていくのか、この点についてお伺いをいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 都は、土壌汚染対策法を円滑に執行する目的で、平成二十二年に飲用井戸の全戸調査を実施し、これをもとに、個別事案ごとに再度利用状況等の確認を行うことで飲用井戸を把握しております。
飲用井戸情報の更新については、井戸情報を保有する関係機関との情報共有及びフォローアップ調査により更新を図っていくことを検討しております。
○関野委員 一方で、将来的にわたり地下水の飲用利用の見込みがない土地については、条例独自の地下水環境保全の考え方に基づく規制の対象外にするということですが、具体的にどういった土地なのか、この点についてお伺いをいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 将来にわたり地下水の飲用利用が見込まれない土地としては、大正十一年に施行された公有水面埋立法に基づく埋立地であって、現在、飲用井戸が確認されておらず、その状況が変わる見込みのない土地を想定して検討しております。
○関野委員 これまで条例の適用外とされていた自然由来等の汚染土壌について、今回の制度見直しにより、新たに規制の一部を適用するとのことですが、どのような土壌に適用されるのか、この点についてもお伺いします。
○近藤環境改善技術担当部長 自然由来等の汚染土壌については、搬出による汚染拡散リスク防止の観点から、搬出時の届け出等を義務づけることを検討しております。
具体的には、法の要件を参考とし、汚染の原因が専ら自然的条件であることが明らかであると認められる場所の土壌及びそれと同程度の汚染状態であると認められる埋立地の土壌を対象とすることを想定しております。
○関野委員 いろいろな資料を読ませていただきましたが、土壌汚染情報の公開というようなことが書かれておりました。都民ファーストの目線から、また知事の政策もそうですが、私どもの会派としても一丁目一番地ともいえる政策の一つでありますので、徹底的に情報公開していただければなというふうに思っておりますので評価はいたします。
土壌汚染情報の公開に当たってなんですけれども、例えばハザードマップではないですけれども、汚染が確認された土地、対策済みの土地、汚染が確認されなかった土地など、東京都全体の状況という形で示されるのか。
また、さらに気をつけなければいけない部分として、先ほどの委員からもありましたし、パブコメにもあったと思うんですが、土地所有者の不利益が生じないような、どのような対応を考えているのか、ちょっとこの点についてお伺いいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 情報公開の推進の観点から、条例に基づく手続を行った土地を対象に、土壌汚染情報に関する台帳の調製及び公開に係る規定を整備してまいります。
今回の制度見直しの方向性では、まず、汚染ありと評価された土地及びその後に汚染が除去された土地を公開の対象とすることとしております。
一方で、汚染が確認されなかったことの届け出の情報については、個人資産保護の観点等から慎重に取り扱うべきとの意見もあることから、土地所有者の不利益が生じないよう、将来的な公開に向けて、引き続き検討してまいります。
○関野委員 引き続き検討ということですので、いろんな角度から検討していただければなというふうにお願いをしておきます。
条例の的確な運用に当たっては、都の職員の指導力が問われることはもちろん当然ではあると思うんですけれども、一部の事務を担う区市町村の方の職員に対しても、技術力指導というのも重要になってきます。
そこで、区市職員に向けてどういった支援を行っていくのか、この点についてお伺いをいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 条例の土壌汚染対策制度のうち、工場等の廃止等の事務及びそれに係る事業者への指導を区市に移譲しております。
区市の職員に対しては、研修や意見交換会等を通して、技術力の向上や運用上の疑義の解決を図ってまいります。
また、台帳も含め条例の執行に必要となるものについては、参考様式を定めるなどの支援を行う予定でございます。
さらに、必要に応じて個別の事案についても相談を受けるなど、きめ細かい支援を実施してまいります。
○関野委員 ちょうど今、答弁に参考様式とありましたが、この後の質問で、ちょっとこの件については触れようかなと思っておりますので、今の答弁は理解をさせていただきました。
実際に今度は、操業中の工場における自主的な調査の規定というのもたしかありますし、先ほどいわれた土壌汚染対策アドバイザー、総合相談窓口、こういったところにも無料で相談ができるとか派遣ができるというようなことで書かれております。
そういう意味では、自主的な取り組みを行うために、事業者へ何らかの対応だったり、インセンティブが必要だと考えておりますが、現状どのようなことを施策として考えているのかお伺いいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 今回の制度見直しの方向性では、操業中からの計画的な土壌汚染対策を推進するため、操業中の自主的な調査、対策を条例上の手続として届け出できるよう、規定を設けることとしております。
操業中からの土壌汚染対策は、汚染の拡大前に早期に対応が図れ、対策の選択肢が広がるなどの利点があり、有効に活用することで土壌汚染対策による負担の軽減につなげることができると考えております。
また、都では、中小事業者を対象として、土壌汚染対策の専門家を現場に派遣し、具体的なアドバイスを行う土壌汚染対策アドバイザー制度を設けております。操業中の土壌汚染対策を検討している事業者に対して、この制度の積極的な活用を促し、操業中からの土壌汚染対策の利点を具体的に示すことで、自主的な取り組みを推進してまいります。
○関野委員 了解しました。基本的に調査義務を廃止時に課している現状では、操業中の自主的な調査、対策を行った土地についても再度調査を行わなければいけないのか、ちょっと読み取れなかったんで、この点についてお伺いいたします。
○近藤環境改善技術担当部長 操業中の調査及び対策を実施した土地については、その内容に応じて廃止時の調査の軽減を図ることを検討しております。
具体的には、操業中の調査、対策の実施後に、地下浸透防止施設を設置するなどにより、新たな汚染のおそれが生じていない場合には、廃止時の調査を不要とすることなどでございます。
○関野委員 状況により早く対応した方が広がらないんで、そういった部分も検討しながら、事業者の方に情報提供をしていただければなと思っております。
また、小規模なクリーニング店、あと印刷店、ちょっとこれは条例と法律という感じになってしまうんですけれども、実際そういったところは居住をしながら事業をされている方が多くあります。
そういう意味では、事業は終了しますけれども、そのまま居住し続けるという場合が出てくると思いますが、この場合、調査がちょっと難しくなるのではないかなというふうに思っているんですけれども、あえてお伺いしますが、この場合どのような対応となるのかお伺いします。
○近藤環境改善技術担当部長 工場等の廃止時に係る調査については、今回の制度見直しにより一定の条件を満たす場合には、調査の猶予を可能とする規定の明文化を考えております。
猶予の要件は条例独自に定めることとしており、引き続き、工場等の設置者や土地所有者により適切に管理される土地で、かつ建物があって調査が困難な場合を対象とするよう、具体的な規定について検討しているところでございます。
したがって、ご質問のような小規模の事業場で、工場等であった建物にそのまま居住し続ける場合には、申請により調査の猶予が受けられると考えております。
○関野委員 今、説明のあった中で、調査の猶予という言葉があったんですけど、どのくらいの猶予がされるのか、この点について教えてください。
○近藤環境改善技術担当部長 調査の猶予は、建物の解体や建てかえを行う場合等、調査が実施可能となった時点で取り消すことを想定しております。
○関野委員 了解しました。実際に小規模な形で事業をされている方で、事業をやめて居住実態のあるところにそのまま住んでいくとなると、やはり年配の方とかが多くなってくるのかなというところから、ある意味、その家を、じゃあ壊しますと、売りますというときに、単純に壊すだけの申請を役所にしていた場合、どうやってこれが猶予されていた土地なのかというのがわかるかなと思ったんです。
やっぱりそういったものは、先ほども区市の方に研修とか、そういったものをやっていくということですが、正直、私は都議の前に市議会議員をやっておりましたが、なかなか全てを覚えている方がいないといいますか、東京都も同じですけれども、縦割り行政の中で横の方に情報を流さないとか、そういったことが市の中ではよく行われていたんですね。
今までは福祉課にいて今度は建築課に行った、また環境課に行ったとなっていると、まだ来たばっかりなんでわかりませんと、よくこういうこといえるなと思うようなことをいうんですけれども、そういう意味では、東京都の方からしっかりと教えていっていただかなければいけないなと思うんですが、人間、やっぱり忘れる生き物だというふうに思っております。
そこで、私ちょうど、たまたま市の方で東京都が出している様式ということで、先ほど様式というのがありましたけれども、建築物に係る解体工事の届け出とか変更届とか、ちょっとそこら辺の内容、別表を見たんですが、ここにもしあれでしたら、こういった猶予がされているのかされていないのかとか、例えば壊そうと思っている建物は有害物質を使用した建物か建物でないのか。または、先ほど他の委員の中で質問がありましたけれども、国との申請の関係でいろいろ書類も簡潔にしていくと。それ、多分この中で見ると、たしか国に申請した番号を東京都の方も書けばいいというようなことがあったんで、なるべく何かしらにつながるところにはそういう項目を入れてあげるという形のことをやっていってほしいなというふうには思っております。
これは要望ですので、都から各市に行っているいろいろな様式は、私よりも皆様ご存じですから、しっかりそこは対応していただければなというふうに思っております。
土壌汚染のあった土地に対して土壌改良を行うというところはわかるんですけれども、自分が持っている場所の土壌改良を行うんですが、周辺の隣接している土地、自分たちが持っていない土地の場所ですね、そういったところについて、私は単純に考えると、同じように土壌汚染されている場所から流れていっちゃっているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういった土地についてはどのように考えているのか、この点についてお伺いします。
○近藤環境改善技術担当部長 土壌は、それ自体が移動しないという性質上、当該地の土地が汚染されていても、隣接地に土壌の汚染がある可能性は低く、直ちに調査や対策を要するものではありません。
ただし、土壌汚染に起因する地下水汚染については、地下水の流れにより拡散するおそれがございます。この場合であっても、汚染源となる土壌汚染の除去等の措置により、隣接地のさらなる地下水汚染の拡大は防止することが可能でございます。
具体的には、周辺に飲用井戸がある場合は、当該土地の敷地境界から地下水基準を超える地下水が流出しないよう、汚染の除去や封じ込めによる対策または地下水質測定による管理を求めることを検討しております。
また、周辺に飲用井戸がない場合は、当該土地の敷地境界から一定濃度を超える地下水が流出しないよう、同様の対策または管理を求めることについて検討しているところでございます。
このように、敷地境界の地下水が規制基準を超えないことを対策の目標とすることで、隣接する土地に汚染が拡大しないことを目指してまいります。
○関野委員 対策はいろいろ考えておられるんだなと思いますが、やはり想定外のことも起こり得る可能性もありますので、いろいろとあることないこと、みんなで話し合うと、案外、あっ、そんなのもあったんだなと出てきますので、ざっくばらんに検討していただければなというふうに思っております。
最適な土壌汚染対策の選択の推進として、この方向性についてというのをたしか読ませていただいたときに、グリーンレメディエーション、GRやサステーナブルレメディエーションという考え方を取り入れるとこちらに書いてあったんですけれども、これに関して、都として、どういったことを取り入れていくのか教えてください。
○近藤環境改善技術担当部長 最適な土壌汚染対策を推進していくためには、環境負荷を初め、経済社会影響を配慮した合理的な土壌汚染対策を推進していくことが大切でございます。
都では、環境基本計画二〇一六において、最適な土壌汚染対策の推進を選択する手法の検討を取り組みの一つとして挙げており、この中で、環境負荷及び経済社会影響に配慮した合理的な土壌汚染対策を推進していくとしております。
今回の制度見直しの方向性においては、対策に伴って生じる環境負荷の最小化を目的とするグリーンレメディエーションの考え方や、さらに社会影響、経済影響という視点を加えた持続可能性の三つの側面から土壌汚染対策の最適化を図るサステーナブルレメディエーションの考え方も取り込んでいくことを考えております。
事業者が対策計画を立案するに当たって、これらの考え方を反映した計画となるよう促していくことを検討してまいります。
○関野委員 ちょっと読みづらいんで、略文字でGR、SRというようなものですが、事業全体から見た環境負荷の考え方というところで、簡単にいうと、製造時から廃棄までのライフサイクルみたいなものなのかなというふうに理解をさせていただきました。
環境局ですから、ある意味こういった部分もしっかりと、今後、土壌汚染だけじゃなくて、いろいろな形で先陣を切ってやっていってほしいなというふうには考えております。
そういった広い視野に立った上で、トータルとしての環境負荷の低減または持続可能な社会の実現に向けた取り組みをぜひ今後も推進していただきたいというのと同時に、私から出した要望についてもしっかり検討していただいて、土壌汚染対策を行っていただければなと思っております。
以上で私の質問を終わります。
○河野委員 都における土壌汚染対策制度の見直しの方向性について質問をいたします。
今回示されている環境確保条例の土壌汚染に関する条項の改正は、大変広範で多岐にわたっています。
東京都では、豊洲新市場の用地をめぐる土壌汚染対策のあり方が、都のみならず全国的に注目されました。豊洲新市場用地にはいまだに深刻な土壌汚染が残され、地下水からは環境基準の百倍以上に上るベンゼンなど有害物質が検出されております。対策として、地下空間にコンクリートを敷く、地下水のくみ上げを強化するなど、封じ込めが講じられていますが、多くの専門家からその有効性に疑問符が突きつけられています。
それだけに、豊洲新市場の土壌汚染対策の経験などから教訓を深く酌み取りながら、有効な土壌汚染対策を築き上げることが東京都に強く求められていると考えています。
きょうは、私、最後の質問者になりますので、他の委員の方と質問が重なるものもありますが、角度の違いもございますので、順次できるだけ条文に沿って質問をさせていただきます。
まず、都における土壌汚染対策制度の見直しの方向性と国の改正土壌汚染対策法の関連についてです。
土壌汚染対策法は昨年の五月、国会で改正、公布されました。第一段階の施行はことしの四月です。今回、都が検討を進めているのは、公布から二年以内とされている第二段階施行に対応して、条例改正の内容を定めるものであると理解しています。
そこで、昨年の土壌汚染対策法改正の背景、主な内容についてご説明をお願いしたいこと、そして法改正と関連して見直しをする環境確保条例改正案の主要な点及び具体的な運用などについてご説明をいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 法改正の背景については、法の施行状況を点検した結果、土地の汚染状況の把握が不十分であること、汚染除去等の措置にかかわるリスク管理が不十分であること、リスクに応じた規制の合理化が必要であることなどの課題が明らかになったため、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進することを目的に、必要な措置を講じたものでございます。
法の主な改正内容については、今回の土壌汚染対策法の改正でございますが、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進すること等を目的としており、平成三十年四月と平成三十一年四月の二段階に分けて施行されることになっております。
第一段階の施行では、汚染土壌処理業にかかわる規定の整備及び土地の形質変更の届け出、調査手続の迅速化が行われます。
第二段階の施行では、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大及び都道府県知事が汚染の除去等の措置内容の計画提出を命じることとする等の規定が追加されます。
今回の条例による土壌汚染対策制度の見直しは、法の改正を契機として、法との関係性の整理、汚染地情報の公開規定の未整備、条例運用上の課題の発生等に対応するため、見直しの検討を行っているものでございます。
具体的な運用のあり方としては、健康リスクの捉え方について法と整合を図りつつ、地下水汚染の拡大を防ぐ対策の導入や、法と条例の両方が対象となる案件の手続の簡素化、都内の活発な土地取引を踏まえた土壌汚染情報の積極的な公開などを実現すべく検討しております。
○河野委員 次に、土壌汚染対策の基本精神についてお伺いをします。
東京都の環境確保条例は、百十四条で明確に土壌汚染の調査、処理、完了届などについて汚染原因者の責任が明記されております。
この百十四条の規定はとても重要だと思いますが、この汚染原因者の責任、今後も堅持されていくでしょうか。そのことを伺っておきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法は、土地の状態責任の考え方に基づき土地の所有者等に調査、対策の義務を課しているのに対し、環境確保条例は、汚染原因者責任及び行為責任の考え方に基づき有害物質取扱事業者または土地の改変者に調査、対策の義務を課しております。
今回の制度見直しにおいても、この汚染原因者責任及び行為責任の原則は維持することとしております。
○河野委員 私は江戸川区に住んでおりますが、かつて江戸川区内では、化学工場の操業で大量に排出された六価クロム鉱滓を宅地の埋め立てなどに使って公害問題になった歴史があります。当時、都は、公害防止条例に基づいて、化学工場を操業していた企業に六価クロムの汚染処理対策を果たさせました。
汚染原因者の責任、そして今、部長がご答弁されました行為責任、この原則は非常に大事だと思います。環境確保条例の根本にかかわる重要な条項でありますので、未来に向かって堅持していただくように、改めて要望をしておきたいと思います。
次に、第百十五条、地下水汚染地域における土壌汚染の調査要請等についてです。
要約していいますが、見直しの過程で、地下水汚染地域における調査要請等については、当該地域の埋め立て等の造成の来歴及び現在の土地利用から見て、将来にわたり地下水利用が見込まれない場合などを除き、適用を整理するべきであるとしています。つまり、地下水として利用される見込みがなければ、百十五条は適用しなくなるということなのかなと思うんです。
しかし、土壌汚染対策が必要になるのは、地下水利用だけとは限りません。豊洲市場用地では地下水の利用はありません。でも、汚染された地下水から環境基準値を超えたベンゼンや水銀などが揮発し、封じ込める対策が求められました。対策は講じられたことになっていますが、今なお環境基準値を超えたベンゼンなどの値が検出されており、都民は不安を抱いています。
見直しの方向性は、将来にわたり地下水の利用による人の健康被害が生じる見込みがない土地について、具体的には、当該地域の土地の埋め立てなどの造成の来歴及び現在の土地利用を踏まえて要件を定め、適用除外について判断することが適当であると、適用除外という判断を示しています。
そこで伺いますが、東京ではこのように豊洲新市場用地での経験を持っているのですから、一様にこのような適用除外の判断の整理の仕方をするべきではないと考えるものなのですが、いかがでしょうか。
○近藤環境改善技術担当部長 条例では、現在の都民のみならず将来の都民の安全も確保することを目的としており、その観点から、地下水環境保全の考え方に立った調査、対策の規制を設けております。
一方、都内では、埋立地のように、将来にわたり地下水の飲用利用がされる見込みがなく、地下水利用による人の健康被害が生じる見込みがない土地も存在いたします。このような土地については、規制の合理化の観点から、調査要請や対策命令の対象外とすることを検討しているものでございます。
○河野委員 今、ご答弁の最後で、調査要請や対策命令の対象外とすることを検討というふうにお話しされました。
しかし、健康リスクの回避へのあらゆる努力をするのは行政として当然で、地下水の利用が見込まれない土地を一律に対象外とするのは、私は問題があると考えるものです。これは意見として申し上げておきますので、検討課題に加えていただきたいと思います。
次の質問ですね。
現在飲用に供していない井戸などの場合、災害時の断水などの場合に井戸水の利用が必要になることを予測しておくべきではないでしょうか。
都内各地で防災井戸と看板がかかった井戸をよく見かけます。先日、偶然荒川区役所に行く用事がありましたが、区役所の広場の前にも防災井戸の看板がついた、ある程度大きなポンプがありました。数年前に設置されたとのことでした。
今、北区の滝野川公園にも防災井戸などが設けられて、区内の区議会議員の人とかが視察に行ったりというお話を聞いているんですが、新しいそういう井戸が設けられているという状況もありまして、東京都は井戸について数や利用実態の把握--先ほど平成二十二年の調査のお話もされておられましたけれども、改めて伺いたいのは、東京都がこれまで行ってきた井戸の実態調査や利用状況について、どのような把握をされているのか。お答えをいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 都は、土壌汚染対策法を円滑に執行する目的で、平成二十二年に飲用井戸の全戸調査を実施し、これをもとに、個別事案ごとに再度利用状況等の確認を行うことで飲用井戸を把握しております。
○河野委員 井戸のことは何人かの方が質問されましたので簡単に申し上げますが、この夏は、本当に大きな災害が多発いたしました。
井戸の地下水利用についても、飲用ということでなくても、災害時の生活用水の確保のために安全に使用できる、そういうことの検討を深めておくことが重要であるということを、この際申し上げておきたいと思います。
次に、百十六条の工場等廃止などに関連して伺います。
有害汚染物質を排出し、土壌を汚染させた工場等設置者が工場等を廃止する場合、都への調査報告期限は、都条例ではこれまで、廃止の三十日前、事前報告でありました。土壌対策法改正法では廃止後百二十日以内となっていることから、都は、法と整合性を図るとして、これまでの事前報告のやり方を転換して、百二十日以内の事後報告とするとしています。
都が行った第一東京弁護士会からのヒアリング文書を見せていただきましたが、廃止前に調査させる制度、これはこれでうまくいっていたのではないか、廃止前三十日の規定のままでよいのではないかと意見が出されています。
また、他の関係機関の人に意見を聞きましたが、廃止後百二十日以内、約四カ月もの期間の中で土地の転売などがあった場合には、責任の所在が曖昧になり、処理対策などに問題が起きる可能性があると、こういう指摘もありました。
都が長年にわたって取り組んできた廃止の三十日前の事前報告を変える必要はないと、今の時点で私は考えるものですが、いかがでしょうか。そして、廃止後百二十日以内の事後報告とする根拠、これについてご説明をいただければと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 工場等の廃止時の調査の期限については、法との整合を図る観点から、廃止の三十日前までから廃止後百二十日以内に見直すこととしております。
この百二十日とは、土壌採取、分析、報告書の取りまとめにある程度の時間を要するため、それに必要な時間として設定されているものでございます。
事業者による調査の実施を確実にするため、廃止後の事業者に対する指導権限を担保するとともに、廃止後も調査義務は残っていることについて関係者へ周知徹底を図るなどの対策を講じていく予定でございます。
○河野委員 区市の担当者の方の意見も伺ってきました。百二十日以内の事後報告については、そういう担当者の方々も、いろいろとこれからどうなっていくんだろうというような思いも抱いておられるようですので、ぜひ区や市の担当者などの意見も集め、さらにこの問題については検討していただくことをお願いしたいと思います。
次に、見直しの方向性では、条例百十六条三項の改正の方向性についてであります。
法との整合性を図るため、土壌汚染があっても、健康リスクの要件や周辺地下水汚染の要件に該当しない土地については対策を要しないものとする、当該土地については法の形質変更時要届け出区域と同様に、汚染土壌が存在する範囲において拡散防止を義務づけると書いてあります。
土壌汚染があっても、法との整合性を図るために対策を要しないというのはいかがなものかなと、おかしいのではないかと私は思うのですが、この点についてご説明いただけますか。
○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染があったとしても、健康リスクがなく、一定濃度を超える汚染がない土地の場合には、対策が不要であることを明確化することを検討しているものでございます。
汚染土壌が存在する範囲を掘削する場合には、事前に拡散防止の届け出を義務づけることを検討しており、これにより汚染の拡散は防止できるものと考えております。
○河野委員 後からも申し上げますけれども、改正された土壌汚染対策法は、改正前より後退したという見解を持っている方がいらっしゃいます。その法に合わせるということは、都条例の後退につながっていくのではないかと考えます。
土壌汚染があれば汚染対策を前進させるように条例改正に臨むべき、それが都の姿勢であるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
次に、百十七条、汚染地の改変について伺います。
一つは、規模要件です。
これまで都は、土地の切り盛り、掘削等の土地改変について、三千平方メートル以上の敷地面積は、土地の改変者が都の土壌汚染対策指針に基づき、過去の有害物質取扱場の設置状況等、規則で定められている事項について調査し、その結果を知事に報告すると定めてきました。
見直しの方向性では、規模要件はこれまでどおり三千平米以上ですが、新たに法に合わせて、操業中の工場の九百平方メートル以上の改変も加わっています。
これは具体的にはどのような場合が想定されるのでしょうか。そして、九百平米以上の面積要件を加えることは、いわゆる規制緩和につながらないのでしょうか。資料を見ますと、国の法よりも広範囲と都は説明をされておりますけれども、この点についての説明をいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 土地改変時の調査については、面積三千平米以上の土地における土地改変に加えて、改正法により新たな対象となります施設操業中の事業場における一定規模以上の土地の形質の変更を対象とすることを検討しております。
具体的には、面積が三千平米未満の操業中の工場等において、九百平米以上の土地改変を行う場合等を新たに対象とすることを想定しております。
これは、法の運用に当たり、条例に基づく土地利用の履歴等調査を活用することで、法第四条に基づく調査命令の要否に係る汚染のおそれの判断を円滑かつ正確に行うことを目的としたものでございます。
○河野委員 九百平米以上の土地改変を行う場合を新たに対象とするということを想定した見直しの方向性なわけですが、九百平米以下の場合、土地が切り売りされて七百平米とか八百八十平米とか、そうした面積の場合は条例の規制対象にならないこともあり得るのではないでしょうか。
条例改正に当たっては、こうした問題も視野に入れて検討していただきたいということをお願いしておきます。
次に、百二十二条第二項にかかわって、自然由来等の汚染土壌に対する対策についてお聞きいたします。
現行条例では、百二十二条第二項に、汚染の原因が専ら自然的条件であることが明らかであると認められる土地は、汚染の調査や処理を定めた条例条項の適用除外となるとなっています。
今回、都が示した条例改正の方向性には、改正後の法の考え方を取り入れるため、汚染の原因が専ら自然的条件であることが明らかであると認められる場所の土壌については、改正後の法が、自然由来等基準不適合土壌を規制の対象にしていることの趣旨を踏まえ、搬出による汚染拡散リスクの観点から条例の規制を一部適用するとしています。
改正土壌汚染対策法では、自然由来等汚染土壌は規制適用となっています。今回の条例改正は、法との整合性を図ることが大きな柱になっています。そうであれば、自然由来等基準不適合土壌全てを規制対象にする、それが法との整合性であるべき方向なのではないでしょうか。
都は、法よりも合理的としておりますが、どのような考え方に基づいて一部適用としたのか、この点もお聞きをしておきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 環境確保条例は、事業活動、その他の人の活動により環境に加えられる影響を低減するための措置を定めており、自然由来汚染そのものは規制の対象にしておりません。
しかしながら、自然由来の汚染であっても、土壌の搬出の際には汚染土壌が拡散するおそれがあることから、搬出にかかわる規定に限定して、新たに規制の対象とするものでございます。
○河野委員 自然由来なんですけれども、建設発生土を扱っている、UCR、建設資源広域利用センターというところがありますね。ここのヒアリングを東京都が行っております。
UCRの出しているヒアリングの文書を見せていただきましたが、自然由来汚染土壌の扱いに対して自然由来汚染土壌の問題は、基準超過土については、今後、法や条例の調査において、汚染のおそれがあり、またはなしとして、試料の採取調査が求められるのかとか、幾つかの問いかけが都に対して行われております。
都は回答として、ご意見として承り、今後の検討にさせていただくということしか答えていませんが、規制の一部適用についてUCRも強い関心を持っていることが、このヒアリングからうかがえます。
私は、自然由来等の土壌汚染は、搬出時の汚染拡散リスクだけにとどめておくべきではないと考えます。
よく知られている豊洲市場用地では、環境基準の十倍以下の発がん性ヒ素を自然由来としてきました。しかし、汚染の原因は、東京ガス工場でヒ素化学物を使用していたことにありました。そのため、現在、青果棟が建っている五街区の南西端には、環境基準の二十倍以上の汚染地が存在しましたし、そのほか、十倍以下の数値で検出されたところも集中していた、いわゆる局在地がありました。
当時、都は、不透水層内からの有害物質は自然由来だとして、詳細調査は百六十カ所、四%程度しか行っていなかったことが都議会の議事録に残されています。自然由来なのか操業由来なのか、あるいは混在しているのか、実態把握はまともに行われてこなかったという豊洲の土地をめぐる苦い歴史があります。
豊洲での土壌汚染からの教訓を生かして、自然由来の汚染土壌も国と同様の扱いにする、そのことが必要ではないかということを意見として申し上げておきます。
次に伺います。
正確な汚染状況を把握する調査手法に関しての問題です。
土壌汚染対策法、そして東京都の土壌汚染対策指針では、汚染状況を調べる試料の採取は十メートルメッシュで行うとなっています。
豊洲市場用地の土壌汚染に長くかかわってこられた水谷和子さんがインターネットで発表されている見解を読ませていただきました。
水谷さんは、土壌汚染対策法の汚染調査は、十メートルメッシュを単位に、中心七センチメートルの管を差し込んで試料を採取しています、そのサンプリングでたまたま見つかった汚染がその区画を代表する汚染となるのですが、豊洲市場用地の場合、汚染タールのたまりはクラスター爆弾のように散らばっている、そのために汚染を見落とす確率の方がはるかに高いと考えられると述べています。
正確な汚染状況を把握する上では、現在の調査方法だけでなくて、単元調査とか単元間調査とか、大変難しい方法のようですが、そうした方法、手法を用いることも考えるべきとした専門家の意見もあります。
東京都は、条例改正に向けて、より正確なデータが得られる調査手法の採用をする努力が求められているのではないでしょうか。
単元調査などを含めて、調査の手法についての現在のお考えについてお聞かせをいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 今回の制度見直しでは、法との整合による合理化を主目的の一つとしており、基本的に法と同様の調査方法を条例で採用することとしております。
○河野委員 申し上げた単元調査は、地質ごとにサンプリングの試料をとって、そして汚染状況を調べていくということで、大変、手法としては時間とか手間がかかるという手法みたいですけれども、正確なデータという点では、専門家の方々はそういう方法もあるのではないかといっています。
今、科学技術は日々発展して進歩しています。調査の手法についても選択肢もいろいろ設けて、東京都は正確なデータ取得のために今後検討していただく、このことを私はこの機会に強くお願いしておきたいと思います。
次に、土壌汚染地の台帳整備、公開について伺います。
これも、ご質問が先ほどもありました。都が示している条例改正案には、土壌汚染地の土壌汚染届け出情報の公開があります。今後、区や市が土壌汚染地の台帳を整備し、公開することになっていきます。
情報公開は大変必要ですが、区市にとっては初めての事務になりますから、戸惑いがあるのではないでしょうか。実際に区市の事務負担がふえるという意見も聞かれます。
区市と都の情報共有も必要になりますし、都と他県との境界地周辺、こうしたことについてもどのような台帳の整備や公開がされるのか、そうした検討も求められると思います。
土壌汚染台帳の整備、公開に向けてのスケジュールや方法は、今どのように検討されているのか、そして実施に向けての具体的な東京都の支援策、財政支援も含めてどのような検討がされているのか、それぞれご説明をいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 区市の職員に対しては、研修や意見交換会等を通して、技術力の向上や運用上の疑義の解決を図ってまいります。
また、必要に応じて個別の事案についても情報を共有した上で相談を受けるなど、きめ細かい支援を実施してまいります。
なお、台帳整備については、参考様式を定めるなどの支援を行う予定でございます。
さらに、県境地周辺における事案については、必要に応じて隣接の自治体と連携を行ってまいります。
スケジュールを含めた具体的な運用方法については、区市等の意見も伺いながら、現在検討しているところでございます。
○河野委員 法の第二段階の施行に向けて、そして条例の改正に向けて、環境局が進めていかなくてはならないお仕事がたくさんあるということがわかりましたが、区や市も、これを担当する職員の人たちはいろんな意味で思いを抱いているというか、どうなるんだろうということを、さまざまな問題を抱えておられますので、この機会に、東京都がこれまでずっと蓄積してきた経験や知見を持って、区や市への支援を十分に進めていただくことが必要でありますし、近隣の県、そういうところとの連携もしっかりととっていただきたい、そのことをお願いいたします。
最後に、二問伺いたいと思っています。
最後の質問は二つあるんですけど、知事の意見書についてです。今回の条例の大もとにある土壌汚染対策法の改正、これに対する都の姿勢に関連しての問題です。
土壌汚染対策法は、二〇〇二年に法律がつくられ、二〇〇九年に一度法改正が行われましたが、これまでの改正の内容は、総じて規制を強化する改正でありました。ところが、昨年の法改正は、規制緩和の方向での見直しが行われています。その背景には、日本経団連、石油連盟といった産業界の規制緩和の要望があったということは国も認めています。
では、この規制緩和の法改正に対して都はどのように臨んだのか、これが大事だと思うんです。
二〇一六年三月に、都は、当時の舛添知事の名前で国に意見書を提出していますが、目を通すと、土壌汚染対策の取り組みが都の環境確保条例よりも後退していくのではないかと率直に感じます。
例えば、汚染土壌の敷地内移動の手続の合理化があります。東京都の意見は、同一敷地内または同一調査対象地内においては、指定区域の境界を越えた汚染土壌の移動を可能にするとあります。
現在の汚染土壌の搬出規制は、敷地境界ではなくて区域の境界を越えると適用されるために、区域外に持ち出した汚染土壌は、同一敷地内または同一調査対象地内であっても、他の場所に移動できず、処理施設に搬出しなくてはならないという決まりになっています。
都が意見を上げた汚染土壌の敷地内移動の手続の簡略化は、汚染土壌の処理のあり方を緩めてしまうことにはならないのでしょうか。
また、調査についても、自然由来特例区域における認定調査は、三十メートルメッシュによる調査を可能にする特例を設定することも求めています。
一点目の同一敷地内の汚染土壌の移動を可能にすることについて、そして二点目の三十メートル格子、三十メートルメッシュの調査を可能にする特例を設けることについての都の見解をお示しいただきたいと思います。
また、この舛添知事の名前の都の意見書は、他にも多くの要望を国に上げていますが、意見書提出に当たっての都の土壌汚染対策への基本的な立場、立脚点についてもお示しください。
○近藤環境改善技術担当部長 国への意見提出を行った趣旨としては、平成二十一年の法改正から五年が経過し、国が制度の見直しに向けて検討を開始したことを受けて、現場を持つ都としても、事業者が実施する調査や対策の状況を分析し、改善点について検討した上で提案したものでございます。
検討結果を踏まえ、環境リスクに応じた合理的な土壌汚染対策とするための改善策と、確実に土壌汚染対策を実施するための規定の明確化の二つの視点から、国に対して提案いたしました。
同一敷地内または同一調査対象地内において、指定区域の境界線を越えた汚染土壌の移動を可能にすることについては、形質変更時の届け出内容等により汚染土壌の適正な管理が可能であることから提案したものであり、公布された改正法において、この考え方が採用されております。
また、自然由来特例区域の認定調査については、そもそもの自然由来特例区域の指定に当たり実施される調査が、一辺九百メートルの格子、いわゆるメッシュ単位での調査という特例によるものであることを踏まえ、認定調査についても特例調査を設定すべきという考え方により提案したものでございます。
○河野委員 東京都が国に上げた意見書には、物すごい項目がたくさん盛り込まれているんですが、その全てが取り入れられているわけではありませんけれども、東京都のこれまで蓄積してきた土壌汚染対策と比べると、いかがなものかなと感じるものがかなりあります。
それで、もう一点、意見書のことで伺いますが、水面の埋立地の特例調査の改正として、第二種、第三種特定有害物質調査は、一面で埋め立てられている地歴を踏まえ、第一種特定有害物質調査と同様に、九百平方メートル単位、格子ごとに一地点ボーリングによる評価を可能にするとか、試料採取深度を深さ十メートルまでとせず、埋立深度が十メートルより浅い場合は埋立深度までとするなど、地歴を踏まえて設定するとした要望も出されております。
都の意見書の全体としての特徴は、手続や調査方法の簡略化、そして汚染土壌処理に当たっての事業者の費用負担の軽減ではないかと率直に思います。
都はこれまで、国に先駆けて土壌汚染防止対策に取り組んできたとしていますが、今回の法改正に当たっては、むしろ国に対して都が規制緩和を呼びかけるもの、すなわち施策の後退を引き出す取り組みをしていると感じざるを得ません。
これでは、環境確保条例でうたっている、現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保するという理念から離れてしまうのではないかと思うんです。都はいかがお考えでしょうか。
また、都民の健康、安全、環境にかかわる重要な意見書を国に提出する場合は、可能な限り広範な都民意見を聴取すべきだったのではないか、このことも感じるものです。この点の努力はどうだったのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
○近藤環境改善技術担当部長 この、国への意見提出については、健康影響を回避するための土壌汚染の調査や対策を確実に実施することを大前提としており、近くに飲用井戸等がある要措置区域に係る規定の強化や事業者責任の強化等の提案も含まれております。
その上で、汚染の程度に応じた調査や汚染土壌処理の合理化を提案しているものであり、これは、現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保するという環境確保条例の目的にも合致するものでございます。
また、この意見については、都が土壌汚染対策法を運用する立場から、法制度の改善すべき点を提案したものであり、これを受けて法制度を見直すか否かは、国が検討、判断するものと考えます。
なお、法制度の見直しに当たっては、国においてパブリックコメントが実施されております。
○河野委員 ずっとご説明を伺ってきましたけれども、今回の法改正と環境確保条例の改正は、いわゆる健康リスクを回避していくというリスク管理をきちんとしていこうとか、そういうことが強調されておりますけれども、果たしてそのことが本当に道を開いていくのかどうかという点では、さまざまな疑問はまだ残されております。
最後に意見を申し上げますけれども、先ほども指摘させていただきましたが、今回の法改正の背景には、もちろん中小企業の負担軽減になっていく手続や費用負担、そういうもので荷物が軽くなるという内容もありますが、主には、京浜工業地帯や京葉工業地帯などの首都圏の臨海部で、今後、土地の活用がスムーズに行えるよう、経団連や石油連盟など経済界の規制緩和の要求が強く働いたことが挙げられます。経済活動や開発優先で環境行政が後退することはあってはならないと思います。
東京都が、現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保すると、これは先ほど、アセスの条例改正のときにも部長が強調されておられましたが、この大事な姿勢を必ず守り抜いていただけますように、重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田の上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○田の上委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田の上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○田の上委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、西倉東京都技監から発言を求められておりますので、これを許します。
○西倉東京都技監 発言のお許しをいただき、両局を代表いたしまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。
田の上委員長を初め委員の皆様には熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
また、一年間を通じてさまざまなご指導、ご鞭撻を賜り、ありがとうございました。
委員会審議を通じまして皆様から頂戴いたしました貴重なご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事業執行に反映させてまいりたいと存じます。
今後とも一層のご指導を賜りますようお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○田の上委員長 発言は終わりました。
この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
一年余りにわたりまして、この体制で環境・建設委員会を続けてまいりましたが、本日で一区切りとなりました。
佐野副委員長、河野副委員長を初め理事、委員の皆様には、活発なご意見をいただき、委員会運営にご協力いただきましてありがとうございました。
また、環境局、建設局の理事者の皆様方には、審議、調査、また視察等、さまざまな形でご協力をいただきましたことを改めて御礼申し上げます。
ことしはといいますか、ことしもですが、台風が多発し、また平成三十年七月豪雨、北海道胆振東部地震など、大変大きな災害が起こりました。被害者並びに被災者の皆様もたくさんいた中で、東京都の課題も改めて認識するところでございます。
環境局におかれましては、予測できないような気候変動であったり災害廃棄物対策であったり、建設局におかれましては、河川整備、土砂災害の対策等、さまざま考えるところがあると思っております。
また、東京二〇二〇大会まで二年を切りましたが、その二年弱の間にも、例えば環境局であれば暑さ対策であるとかゼロエミッションであるとか、また、渋滞緩和の道路ネットワーク整備であるとか遮熱性舗装も含めまして、課題が山積しているというふうに思っております。
こうした課題については、また次の委員会の皆さん方にバトンタッチをしていきたいというふうに考えております。
また、この一年間を通していただきましたさまざまなご意見、ご提案が都政の発展につながることを期待しております。
結びになりますが、皆様のますますのご発展をお祈りいたしまして、私からのご挨拶とさせていただきます。簡単ではございますが、本当にどうも一年間ありがとうございました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時四十七分散会
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