環境・建設委員会速記録第十三号

平成二十九年十一月七日(火曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長田の上いくこ君
副委員長佐野いくお君
副委員長河野ゆりえ君
理事栗林のり子君
理事関野たかなり君
理事三宅 正彦君
平  慶翔君
西郷あゆ美君
やながせ裕文君
田村 利光君
宮瀬 英治君
原田あきら君
保坂まさひろ君
小磯 善彦君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長和賀井克夫君
総務部長笹沼 正一君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小原  昌君
政策調整担当部長松本 明子君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
都市エネルギー推進担当部長村山  隆君
環境改善部長松永 竜太君
環境改善技術担当部長近藤  豊君
自然環境部長須藤  栄君
緑施策推進担当部長金子  亨君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務風祭 英人君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○田の上委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、環境局長に和賀井克夫君が就任いたしました。
 和賀井克夫君を紹介いたします。

○和賀井環境局長 去る十月十六日付で環境局長に就任いたしました和賀井克夫でございます。
 田の上委員長を初め委員の皆様方のご指導を賜りまして、職責を全うしていく所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○田の上委員長 ご挨拶は終わりました。

○田の上委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○笹沼総務部長 去る九月十五日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次にございますとおり十三項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十七年度から二十七年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
 平成十七年度から二十七年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十七年度から二十七年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況でございます。
 平成二十八年三月末現在における発電方式ごとの設備容量を記載してございます。
 五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去三年分)でございます。
 平成二十五年度から二十七年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合等を記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十三年度から二十七年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載してございます。
 七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質濃度につきまして同様に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、平成二十八年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載してございます。
 九ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして同様に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成二十年度から二十九年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載してございます。
 一一ページをお開き願います。9、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一五ページにかけて記載してございます。
 一六ページをお開き願います。10、都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の推移でございます。
 平成十一年から二十九年までの各年における都内の一時間降水量が五十ミリ以上七十五ミリ未満、七十五ミリ以上百ミリ未満、百ミリ以上の豪雨の日数を記載してございます。
 一七ページをお開き願います。11、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成二十年から二十九年までの各年における都内の真夏日と熱帯夜の日数を記載してございます。
 一八ページをお開き願います。12、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれにつきまして、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十五年、二十年及び二十五年のみどり率を記載してございます。
 一九ページをお開き願います。13、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの各年度における土壌汚染状況調査の届け出件数等を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田の上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○関野委員 それでは、環境に関する質疑を行わせていただきます。
 私からは、一点、外国人旅行者に対する分別、リサイクルの表示について質疑させていただきます。
 東京が多くの外国人観光客を迎えるに当たって、滞在中にごみの分別の徹底やリサイクルの推進を呼びかけていくことは、東京のリサイクルシステムを知っていただく上でも重要であると考えております。
 ごみの収集は区市町村の自治事務であって、どのように分別してリサイクルを推進していくかは各区市町村にそれぞれ判断が委ねられているところですが、公共空間でのごみの回収については、できるだけわかりやすい表示ルールを定め、リサイクルを推進していくべきと考えております。
 都は、公共空間における分別の徹底、リサイクルの推進、わかりやすい分別表示など、これまで区市町村とどのような検討を行ってきたのか、この点についてお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 都は、平成二十七年に今後の資源循環施策に関する区市町村と都との共同検討会を設置しました。
 この検討会は、二〇二〇年大会を契機に区市町村と都がこれまで以上に連携して資源循環施策の推進について共同で検討を行い、具体的な取り組みを進めていくものでございます。
 その中の一つのテーマとして、二〇二〇年大会を見据えて、東京を訪れる観光客にもわかりやすい公共空間における東京の資源廃棄物管理のルールやマナーを再構築していくことを掲げ、検討を進めてきております。
 具体的には、環境省が主催するごみ分別のラベル統一化を導入する検討に参画し、公共空間におけるわかりやすいピクトグラムによる表示や分別区分ごとの色分けなどの検討に加わってきました。
 また、まちの美化対策に取り組む意義の確認や、公衆用ごみ容器の状況に関する情報共有を行ってまいりました。

○関野委員 環境省でも統一分別ラベルの検討を行っているということですが、外国人観光客向けに全国レベルでわかりやすい表示をするということは望ましいというふうに考えます。
 一方で、海外からの玄関である羽田空港、こういったものを持つ東京としても、よりわかりやすい方法で、外国人観光客に分別ルールの徹底と日本におけるリサイクルの取り組み、そういった紹介を行ってほしいというふうに思っております。
 私ごとですが、私、海外に行くと、必ずといっていいほど現地の空港内にある無料パンフレットをまず手にとるところから旅行をスタートするんです。成田空港とか羽田空港、今回の場合は羽田空港ですが、そこにある無料パンフレット、こういったものにごみのルールだったり、そういったものを表記したり、または、荷物の到着所、すぐ荷物が出てくるわけではありませんので、そういったところで待っている間、または出口などにQRコードみたいなものを張って、そこでスマートフォンかなんかで写真を撮ることで、観光案内と同時に、ごみのルールなどをネット情報で提供するとか、そういったことを環境局としては担当局に要請する、こういったことをしていただきたいなというふうにも思っております。
 また、もちろん飛行機で来たりということもありますので、航空会社に協力をお願いして、日本に到着する全ての航空会社の機内でそういう表記をするとか、先ほどいったQRコード、こういったものを利用した周知なども航空機内の中でできればなというふうに考えております。
 そういうところから、わかりやすい分別表記の普及に対して積極的にかかわっていくべきと考えておりますが、どのように考えているか、この点についてお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 先ほど答弁しました環境省が主催するごみ分別の統一ラベルを導入する検討では、羽田空港におきましても、ごみ箱の分別ラベルの実証実験を行いました。
 公共空間におけるごみの分別は、当該空間を管理する事業者との調整など課題が幾つかございますが、外国人観光客にもわかりやすいごみ箱の分別表記などにつきまして、国や区市町村など関係部署とも連携しながら、先ほど答弁しました共同検討会の場を活用するなどしまして、その普及を図ってまいります。

○関野委員 とりわけ、二〇二〇年大会に向けて多くの外国人観光客を受け入れるということになります。大会会場で誰にとってもわかりやすいごみの分別表示、こういったものを徹底していただくことはもとより、大会を通じて日本のすぐれた3Rの仕組み、こういったものも海外に紹介していく貴重な機会になるのかなというふうにも考えております。
 そこで、海外に対して二〇二〇年大会を3Rの取り組みの発信の場として、今後、都はどのように取り組んでいくのか、この点についてお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 東京二〇二〇組織委員会が本年一月に作成いたしました持続可能性に配慮した運営計画第一版では、主要テーマの一つに資源管理を掲げております。
 そこでは、再利用及び再生利用の推進に当たっては、外国人にもわかりやすい分別ボックスに関する統一デザインの実施を図るなどの具体的な取り組みとともに、世界に対して3Rの取り組みなど、持続可能性の概念、考え方をより浸透させていくとあります。
 この考え方に基づきまして、大会のみならず、さまざまなイベント等を通じまして、組織委員会、関係局、事業者、都民、関係自治体と連携しながら、東京の3Rの施策を広く発信してまいります。

○関野委員 わかりました。東京の3Rの施策を広く発信するというのはもちろん望むんですが、オリンピック・パラリンピック担当のところなどを通して東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等にも周知の徹底と同時に、リサイクル協会など、協議しながら、できれば会場内やその周辺に日本のリサイクル技術の展示とか紹介など、こういったものも行うことで世界にもアピールできるのかなというふうにも考えております。
 展示や紹介をすることで中小企業の技術が海外に進出していくということになれば、もちろん売り上げが上がって税収も上がるということになります。
 そういった意味で、多くの場所、多方面からいろいろな考えとともに、このような提案、要請なども同時に行っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小磯委員 まず初めに、水素社会の実現への取り組みについてお伺いいたします。
 去年の十一月にパリ協定が発効されて一年になるわけでございます。そういう温室効果ガスの対策ということは、やっぱりいかにエネルギーをクリーンなエネルギーにしていくかということだというふうに思います。その中で、環境局としても、また都として、そして国としても今力を入れているのが水素ということになるんだというふうに思っております。
 水素というのは、いわゆる利用する段階で水しか出ない、そういうクリーンなエネルギーであるということで、東京都もこの水素については燃料電池自動車をつくる際にも、また、水素ステーションをつくる際にもさまざまな支援をやっているわけでございます。
 水素ステーションの整備とか、また燃料電池車の普及について、東京都として今までどのような取り組みをして、どのような状況なのかをお伺いしたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都は、二〇三〇年までに水素ステーションの整備箇所数を百五十カ所とするとともに、燃料電池自動車を二十万台普及することを目標に掲げております。
 現在都内では、十三カ所の水素ステーションが営業を開始し、また、都が実施する補助事業の実績から、本年十月末現在、三百台程度の燃料電池自動車が都内を走行していると推計しております。
 加えて、本年三月からは、都営バスにおいて燃料電池バスの営業運行が始まりました。
 引き続き、補助制度を有効活用する等により水素社会の実現に向けて取り組んでまいります。

○小磯委員 今、水素エネルギーの活用が徐々に進展してきているというお話でございました。二〇三〇年という目標の数を思えば、今走り出したんだということですけど、ただ、もう一つ二〇二〇年の目標もあるんですよね。
 そこでいくと、水素ステーションが三十五カ所、燃料電池車が六千台、そしてまた都営バスについては百台ですかね、そういう目標があって、あともう三年を切っているわけでございます。そういった意味では、もうちょっとやっぱり加速してやっていかなきゃいけないんじゃないかなというのがまず一つあります。
 それから、やっぱり水素ステーションについて十三カ所しかないということで、どっちが先なのか、鶏と卵みたいなもんなんですけれども、水素ステーションが十三カ所しかない。例えば、三多摩だと八王子しかないんですよね。そうすると、それ以外のところで水素を供給しようとすると、本当にちょっと考えちゃうという面があるんで、やっぱり場所も適切に配置された水素ステーションということを目指していただきたいというふうに思います。
 それともう一つは、次に水素ということで、いわゆるCO2フリーの水素ということをやはりまた目指していっておられるわけでございます。私、都議会公明党で福島県の再生エネルギー研究所、いわゆる産業総合研究所だっけ、国のあそこを視察して、これはすばらしい施設であるというふうに感じたものですから、環境・建設委員会の視察に、実はこの福島県の再生可能エネルギー研究所をぜひみんなで見に行きましょうと、こういう提案をさせていただいて、二年前にこの場所に行ってきたところでございます。環境・建設委員会の管外視察ということで、産総研の福島再生可能エネルギー研究所に視察に行きました。
 平成二十七年の七月九日、十日ということで、そのときにこの福島の再生可能エネルギー研究所と東京都が交流することによって、福島の再生エネルギーの普及にもつながるし、また、東京都の水素エネルギー等の普及にもつながるということで、これはぜひやっていただきたいという提案をさせていただいて、これが昨年の五月、福島県と東京都でいわゆるCO2フリー水素の活用等に向けての基本協定の締結につながったということで、これは大変評価をするわけでございます。
 協定の締結から一年半が経過しておりますけれども、現在までの取り組みについてお伺いしたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 お尋ねの四者協定は、水素社会の実現に向けて水素の需要拡大に取り組む都と、再生可能エネルギーの導入拡大を復興の柱の一つに掲げる福島県、それを技術面で支える国の産業技術総合研究所及び東京都環境公社の四者で締結したものでございます。
 協定締結の当日より、東京都環境科学研究所の研究員を産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所へ派遣し、CO2フリー水素を活用したエネルギーマネジメント、CO2フリー水素の製造や輸送に係るコスト等の課題等について共同研究を実施しております。
 今後、CO2フリー水素の普及に向けて、四者でしっかりと連携を図りながら取り組みを進めてまいります。

○小磯委員 現在の水素ステーションでは、七百気圧という非常に高い気圧の気体で貯蔵する必要があるわけでございます。そのため、もっと大量に長期間貯蔵できるように、水素を有機液体水素化合物に変換して、必要なときに効率よく利用できる技術を開発しているということでございまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのときの選手村でしっかりと水素のエネルギーを使うということで、そういった意味ではここの水素の開発というのがそこで大変大事になってくるんじゃないかなというふうに思っております。
 水素エネルギーの利活用を拡大していく意義として、関連産業の裾野が広く、また、経済波及効果が高いということが挙げられているということでございます。
 つい先日、十一月一日に東京都が立ち上げましたTokyoスイソ推進チーム、東京水素の日というのを決められたみたいで、二月一日ということでございます。行政と事業者が官民一体となって水素の普及拡大に取り組むということでございます。
 水素社会の実現による経済波及効果をより一層大きなものとしていくために、福島県との協定の推進に当たって、東京都は都内事業者との連携だけでなく、こういった福島県内の事業者との連携を図るというのも一つありますし、また、都内事業者と福島県の事業者の間にも連携が生まれる、そういう工夫をしていくべきではないかと、こう思いますが、見解を伺います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都は昨年度、再生可能エネルギーの導入拡大や水素社会の実現等をテーマに、福島県が開催するREIFふくしまに出展し、四者協定での取り組みや、都の水素エネルギーに係る取り組みを事業者等多くの方々にPRいたしました。
 今年度は、あすから開催される本イベント、第六回になりますREIFふくしまに引き続き出展するとともに、より多くの事業者同士の連携強化が有意義との考えから、都内の水素関連企業の担当者とともに現地を訪れるツアーを実施し、福島県内の企業と交流する機会の創出を図ることとしております。
 今後、福島県産CO2フリー水素の都内での利用に向けて、多くの事業者の協力を得ながら具体的に取り組みを進めてまいります。

○小磯委員 この協定がぜひとも東京都にしても、また福島県にとっても、双方にとって実り多いものになるということを期待したいというふうに思います。
 それから、CO2フリー水素につきましては、これは今の交流というのもありますけれども、東京都独自でCO2フリー水素の水素ステーションへの補助金というのを創設されております。この事業の目的並びに実績についてお伺いいたします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 東京都におきましては、水素ステーション等への補助も実施しているところでございます。また、水素ステーションの補助事業以外にも、事業所において再生可能エネルギーにより発電した電力による水素活用設備を設置する事業者等に対する、そういった補助もしているところでございます。
 ただいま申し上げました事業は、地産地消等の低炭素な水素による環境負荷の低減を推進することを目的として、太陽光パネル等、再生可能エネルギー設備や水を電気分解する水素製造装置、水素を貯蔵するタンク等を設置する事業者に対して費用の二分の一を助成するものでございます。
 これまでに申請のあった二社に対して交付決定しておりまして、このうち一件につきましては本年六月に設備が完成しているところでございます。この事業者が導入した設備は、燃料電池フォークリフトに供給するため、事業所内に設置した太陽光パネルにより発電した電力で水を分解して水素を製造するものでございまして、製造から利用までトータルでCO2フリーのシステムとなっております。

○小磯委員 きょうは和賀井局長が環境局長になって初めての委員会ということでございます。きょう、どこかでお会いしたなと思ったら、きょう配られた都政新報に和賀井局長の写真が載っており、ここでお会いしたんだなというふうに今思ったわけでございますけど、和賀井局長が水素エネルギーなどに覚悟を持って職に当たると、同局の特徴は結果が出るまでに長い時間を要すると、その仕事の心得では、今やっている仕事の成果はすぐにはあらわれず、五十年後、百年後に初めて花が咲き、実がなる、我々がそんたくするのは五十年後、百年後の都民の気持ちだと、水素エネルギーについても、宇宙の質量の四分の三は水素、これを生かさない手はないと、大変すばらしいコメントを拝見させていただきました。
 確かに環境局の取り組む事業というのは、地球温暖化防止についても、土壌汚染なんかについても、また空気をきれいにしていく、また川をきれいにしていく、全てがやっぱり本当に五十年、百年先を見据えての事業なんだというふうに思っております。
 ただ、今持っているいわゆる水素についてのいろんな補助金はやっぱり大きく皆さんに利用していただいて、一挙に水素社会を--水素ステーションも、燃料電池自動車も、そしてまた、そういう選手村なんかでもしっかりと水素エネルギーをつくること、普及することによって、世界からも、ああ、日本は本当に水素エネルギーをしっかりやっているんだなと。
 例えば、そういう選手村に水素を使ったんであれば、そこにちゃんとここは水素エネルギーを使っている施設ですと、水素エネルギーはこういうことで実はCO2フリーの水素なんですとか、そういう説明を書いたものをそこに用意して、世界の方々がそれを見て、この日本の水素について、じゃあ、我が国も頑張ろう、こういう気持ちになってもらえる、そういうことが一つの取り組みとして大事なんじゃないかなというふうに思います。
 水素エネルギーの普及はまだまだ初期段階であるということでございますけれども、一層の取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 今後、水素社会の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の決意をお願いしたいと思います。

○和賀井環境局長 水素は化石燃料だけではなく、水ですとか、あるいはバイオマスなど、さまざまな資源から製造できるということから、エネルギー問題の解決に非常に有効でございます。
 とりわけ再生可能エネルギーの電力で水を大量に分解して水素を製造するシステムが実用化されれば、低炭素社会の切り札にもなるといわれております。水素エネルギーは自動車や家庭用、業務用燃料電池など、さまざまな分野で活用され始めてはいますが、都民の認知度のさらなる向上やコスト面での課題もございます。
 このため、委員からも先ほどお話がございましたけれども、東京都はTokyoスイソ推進チームを十一月一日に立ち上げまして、そのときに、スタート時点で参画していただいた企業が、東京都も含めてですけど、実は百十一団体ございました。つまり十一月一日で百十一団体、しかも水素の元素番号は一番ということで、一が七つ並んで非常に縁起がいいと、これは何か今後の未来が明るくなったなあというふうに私は思っているところでございます。
 このチームをさらに活用して、情報共有やさらなる普及啓発を図りまして、大きな推進力としていくとともに、都としましても初期需要を後押しするための補助事業を着実に実施してまいります。
 今後とも、官民連携の取り組みを着実に進めながら、二〇二〇オリンピックの選手村等で水素社会のモデルを示して、オリンピックを踏み台としてといいますか、弾みとして水素社会の実現を図っていく所存でございます。

○小磯委員 ただいま和賀井環境局長の力強い決意をお伺いいたしまして、大変心強い思いがいたしました。これからもよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、次のテーマでございますが、都道の六一号線、いわゆる美山通りの土砂崩れについて質問いたします。
 私、町田なんで、隣の八王子の東村邦浩都議から私の方に、この美山通りが土砂によって現在も全面通行どめになっていて、皆さん迂回をしなくちゃいけないと、迂回をするために大変不便であるということと、また渋滞が通勤通学のときに激しいということ。そしてそれが十月末、台風二十一号が上陸した際の大雨によって八王子市内の残土埋立現場の土砂崩れ、原因が、残土の埋立現場が現地での土砂崩れであるということでございました。
 東村都議からも何とかこの現状を改善してもらいたいということで、今回の環境・建設委員会の事務事業質疑があるので、一日も早い対処をしっかりとやっていただきたいという要望もあり、私も町田の人に聞いてみたら、やっぱりそこを利用している人もいたりして、大変不便だということでございました。
 そんなことで、本来これは建設と思うわけですけど、実はいわゆる残土の埋め立ての開発行為の許可を持っているのが環境局だということでございまして、きょうのこの質疑になったわけでございます。
 環境局は、自然地における開発行為について開発許可制度を運用しておりますが、今回事故が発生した事業の概要と、それから事故の発生状況についてお伺いいたします。

○須藤自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、宅地の造成、運動場の建設、残土による埋め立てなど自然環境に影響を及ぼす開発行為について、一定の緑地面積の確保や、希少動植物への適正な配慮などを求め、事業者に自然環境に配慮した開発を促す開発許可制度を運用しております。
 今回事故があった残土埋立現場につきましても、この制度の許可対象であり、事業者は八王子市上川町の私有地約七千平方メートルに約二万七千立方メートルの土砂を搬入する開発計画を都に申請し、条例で定める許可基準に適合していたことから、都は、平成十七年三月三十日付で許可処分を行っております。
 今回の土砂崩れは、大雨をもたらした台風二十一号が接近した平成二十九年十月二十三日未明に発生し、幅約七十メートル規模で土砂が流出し、現在も近接する都道六一号線を塞いでいる状況でございます。

○小磯委員 東京都は、そうしたさまざまな開発行為について、いわゆる自然環境に配慮したそういう開発規制を行っており、残土の埋立事業もその対象の一つであるということでございます。
 八王子のホームページによりますと、台風が通過した十月二十五日時点で市内七カ所が土砂崩れなどにより通行どめになっており、この二十一号の台風がもたらした被害は甚大であったというふうに思います。
 しかし、残土の埋立現場で土砂崩れが起きたということがやっぱり今回の事故の重要な視点なんだというふうに思います。都はこれまで、事業者に対してどのような指導を行ってきたのかお伺いいたします。

○須藤自然環境部長 事業者は、平成十七年三月三十日に許可を取得後、翌月から土砂搬入を開始したため、都は、四月に現地調査を行い、工事の進捗を確認するなど、事業者への監視指導を実施しておりました。
 その後、都の現地調査で盛り土の一部流出や擁壁の排水管付近の亀裂、開発区域の逸脱などが確認されたため、都は、事業者に改善指導を行ってまいりましたが、平成二十年九月に郵送した指導文書が宛先不明で返送されて以降、事業者と連絡がとれなくなり、継続して指導することができない状況となりました。
 このため、事故当時、事業者は所在不明の状態であり、都道の復旧作業は道路管理者である南多摩西部建設事務所が中心となって行っている状況でございます。

○小磯委員 ただいまの答弁によりますと、事業者が行方不明で、その後、指導ができなくなったということでございます。恐らく二回、三回と、どこに行ったんだろうと探したんだというふうに思いますし、そういう環境局の努力は多分あったんだと思いますけれども、事業者そのものがやっぱり無責任で、また悪質で、決して許されないことだというふうに思います。
 しかし、工事開始後、都の指導の中で擁壁の排水管付近の亀裂とか、また盛り土の一部流出と、そういった現場の危険性が判明したということであれば、都として何らかの対策を講じる必要があったのではないかなと、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

○須藤自然環境部長 事業者が不在となった後、平成二十一年五月七日に都が現地調査を行った際、擁壁の排水管付近の亀裂は浅く、盛り土の流出も事業地内にとどまっていたこと、さらには、盛り土のり面に草本が繁茂していたことから、現場は安定していると判断し、喫緊の危険性があるとは認識しておりませんでした。
 都と八王子市が市内で行われている開発事業についてお互いに情報共有を行う定例会議においても、今回事故のあった残土事業について取り上げられることはございませんでした。
 都としては、事業者への連絡を試みておりましたが、連絡がとれなくなった後は、現地周辺を訪れた際に、泥水の流出等を確認するなどして危険性の有無の確認に努めておりました。

○小磯委員 ただいまの答弁で、その現場については安全かどうかというのは常に監視はしていたということでございました。工事現場の安全確保に責任を負っているのはもちろん事業者本人でありますので、現場で何か問題があれば事業者本人が改善措置を行うのが当たり前であります。
 しかし、今回事業者が行方不明となって、実際に土砂災害が発生したわけでございます。そういったことから、この事実を都としても真摯に受けとめて、事業者への監視指導のあり方などをやっぱりこの際、再検討すべきであると、こう思うわけでございますけれども、都の見解を伺います。

○須藤自然環境部長 通常、自然地で開発行為を行う場合、自然保護条例に基づく開発規制のほか、その内容や規模に応じて、森林法や都市計画法などの開発規制を受けることとなっております。
 しかし、今回の残土埋立事業のように、事業面積が一ヘクタールに満たず、建築物などが設置されない残土埋立事業の場合、他法令の規制対象外となり、開発指導は自然保護条例を所管する環境局のみが行っております。
 今後は、こうした小規模開発事業者の監視指導に当たっては、土木の専門機関との連携を一層強化し、安全性に係る審査を厳格に行うとともに、問題のある事業者に対する監視の頻度や手法などについて見直しを図ってまいります。また、工事途中で事業者が現場を放棄するといった不適切な行為を防ぐための対策についても検討してまいります。
 都としては、今回の土砂災害事故を真摯に受けとめ、事業者が適正に開発事業を実施するよう対策を講じてまいります。

○小磯委員 今回の残土埋立事業がいわゆる法令の規制を受けない、法規制の空白域にあったんだということを理解したところでございます。
 今回の残土埋立事業者も法の抜け道を巧妙に突いてきているというわけであります。今後不適切な残土埋立事業が都内で行われないように、しっかりと今回この事故を通して検討していただきたいというふうに思います。
 それから、マスコミ報道によりますと、今回の台風二十一号を初め九州で起きた七月の記録的な豪雨で、全国でも土砂災害が数多く発生しております。こうした災害を未然に防止し、都民の生命、安全を守るのは行政の基本的な役割であります。
 自然保護条例が都市開発と自然保護のバランスを図るための条例であることは承知をしておりますけれども、都民の安全・安心の確保という基本軸をしっかりと再認識して、監視指導のあり方を見直すことを強く要望して、質問を終わります。

○三宅委員 それでは、まず初めに、省エネルギー対策について伺いたいと思います。
 七月から始まりました家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業は、都内八百余りの地域家電店を活用し、LED電球を交換する際にあわせて省エネアドバイスを実施する、家庭の省エネを進める取り組みだと聞いております。
 しかし、どこで交換できるかわからない、自宅の近くに交換できる店がないなどの意見が寄せられております。これまでも本事業につきましてはさまざまな周知をしてきたと思いますが、具体的にどのような広報を行ってきたのか、まずお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、都内八百三十一の地域家電店にご協力をいただきまして、本年七月十日から始めたものでございます。
 事業の開始に当たりましては、「広報東京都」で広く都民に周知を行ったほか、PR用の動画の公開や、参加協力店の店頭へのポスターや、のぼりの掲示、掲出など、できるだけ多くの都民の目にとどまる方法で事業の周知を行ってまいりました。
 また、あわせまして、区市町村の窓口でチラシの配布なども行っているところでございます。
 また、都民からの問い合わせに対応できますように、専用のコールセンターを設けまして、交換可能なお店の場所、それから交換できる電球の種類などをご案内しておるところでございます。

○三宅委員 広報紙への掲載、また、チラシの配布などにより周知をしてきたことはわかりましたが、事業開始から二カ月半でLEDの交換実績が十万個程度にしか達していないと聞いております。
 目標の百万個どころか、これ、五十万個にも達しないんじゃないかと、そのように思います。交換可能な場所や交換の対象となる電球の種類などを丁寧に都民に伝える必要があるのではないでしょうか。今後の事業の展開について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 これまでの広報に加えまして、先般、都民に身近な場所といたしまして、都内JR、私鉄、地下鉄各路線で夕刻帰宅時の乗降客数が比較的多い駅でのチラシの配布を行ったところでございます。
 また、今後、引き続きまして、区市町村と連携して広報紙等への記事の掲載をお願いするとともに、都民の身近な場所、方法での広報を実施してまいります。
 加えまして、去る十月二日から参加協力店の追加募集を行っているところでございまして、今月中には新たに協力いただく店舗の公表を行い、利便性の向上につなげてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、年末の大掃除の時期等に向けまして、住戸ごとに各戸に配布される情報紙への事業内容等を掲載するなど、都民に身近な広報媒体を使いまして、時期を捉えた広報を展開してまいります。

○三宅委員 この事業を進めるためにはタレントを使った広報も一つのやり方ではあると思いますが、地元の協力を得て、地域に根差した丁寧な周知を図っていくことも必要だと思います。
 我々自民党は、以前から環境問題を重視しておりまして、LEDの普及は大切なことだと考えております。私個人としては、この事業がどれだけ効果があるのか、ちょっと懐疑的なんですが、今後都民や地元の声をよく聞いて進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。
 世界をリードするスマートエネルギー都市を実現するためには、省エネルギーや節電を着実に進めるとともに、低炭素で防災面からも有効な分散型エネルギーでもある再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠です。
 都は、二〇三〇年までに再生可能エネルギーによる電力利用割合を三〇%程度に高めるとの目標を定めていますが、都内の再生可能エネルギーの導入の現状はどのようになっているのか、先ほどの資料の中にもありましたが、改めてお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都内での再生可能エネルギー導入状況につきましては、太陽光発電は、住宅での設置のほかに、上下水道や市場施設などでの設置も進みまして、平成二十七年度末時点の累計で約四十六万キロワット導入されております。
 このほか、水力発電約四・七万キロワット、地熱発電約〇・三万キロワットといった再生可能エネルギー設備が導入されているところでございます。
 また、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度や徹底した省エネ、節電対策を含むエネルギーの需給両面からの取り組みによりまして、都内の再生可能エネルギーによる電力利用割合は年々増加してきているところでありまして、平成二十七年度におきましては一一・一%となっております。

○三宅委員 再生可能エネルギーの電力割合は年々増加しているとのことですが、二〇三〇年の目標達成には一層の取り組みが必要です。再生可能エネルギーの拡大に向けては、まだまだ導入コストが課題であり、都としても補助制度による積極的な支援を行っていく必要があると考えます。
 都は、再生可能エネルギーの導入に対してどのような支援を行っているのか伺います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 再生可能エネルギーの導入を進めるためには、固定価格買い取り制度による導入拡大が重要となりますが、一方、地域防災力の向上にも資する自家消費を目的とした導入も重要でございます。
 このため都では、電力会社への売電を行わない自家消費型の再生可能エネルギーを導入する事業者に対して支援を行っております。
 そのほか、バス停留所への太陽光発電の設置や、災害時にも太陽光発電の電気でスマートフォンの充電や照明点灯などができる自立型ソーラースタンドの設置に対する支援を行っております。
 さらに、区市町村が行う防災拠点等への再生可能エネルギーの導入や、島しょ地域の地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入などに対する支援も行っております。

○三宅委員 都がこの導入に対してさまざまな支援を行っていることはわかりましたが、今後も区市町村や事業者等の取り組みを支援し、導入拡大に取り組んでいただきたいと思います。例えば、島しょ地域では、再生可能エネルギーの導入のポテンシャルが大きく、一層の拡大が見込まれます。導入コストや地理的困難性などの課題があります。今後さらにさまざまな地域で再生可能エネルギーの導入を進めようとする動きが出てくると思います。都としても積極的な支援を行うよう重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、大島におけるキョン対策について伺います。
 昭和四十五年の台風通過時に都立大島公園にある動物園から逃げたキョンが繁殖し、農作物や野生の植物などに被害をもたらしています。この問題に関しては、都が積極的な対策を講じるように従来から要望しており、昨年三月の予算特別委員会におきましても質問したところです。
 都は、キョンの問題について平成二十八年度から予算を大幅にふやし、さらなる対策を進めているものと聞いています。
 そこで、キョンの捕獲実績など、都の取り組みの現状について伺います。

○金子緑施策推進担当部長 平成二十八年度に、都はこれまでの最高となる約二千二百頭のキョンを捕獲いたしました。捕獲を始めた平成十九年度からの累計捕獲数は約八千九百頭に上りますが、キョンの推定生息数は依然として増加傾向にあり、平成二十八年末における生息数は一万五千頭でございます。
 キョンの繁殖率はおよそ二割といわれており、生息数を低減させるため、都は平成二十九年度の年間捕獲目標を三千五百頭と定めました。都は今年度、これまで地元ハンターを動員し、出猟日数をふやすとともに、張り網の延長距離もふやすなど、対策をさらに強化しております。
 この結果、平成二十九年度におきましては、四月から九月までの六カ月で昨年度の同時期の実績の六割増となる千四百三十九頭を捕獲しているところでございます。

○三宅委員 四月以降、昨年度を大きく上回るペースでキョンの捕獲を進めているとのことですが、島の主要な農産物であるアシタバへの被害や車両との衝突事故が起きておりまして、地元からは、捕獲の一層の強化を望む声が上がっております。キョンの捕獲数をさらにふやすため、都は今後どのような対策を講じていくのか伺います。

○金子緑施策推進担当部長 これまでは搬入路がないなど、銃による猟や、わなの設置が難しい場所では十分な捕獲が実施できず、キョンの生息密度が高くなる傾向がございました。
 そこで、今年度後半からの取り組みとして、このようにアクセスの困難な場所において地元と十分調整の上、島外からのハンターを導入することにより集中的に捕獲を実施することとしております。従来の対策に加え、このような新たな対策により今年度の捕獲目標である三千五百頭の達成に向けて着実に捕獲に取り組んでまいります。

○三宅委員 本来、大島に生息していない特定外来生物であるキョンを住民や観光客の安全に配慮した上で、効率的に捕獲を進め、一日でも早く根絶していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 自然公園について伺います。
 都は五月に自然公園ビジョンを公表しましたが、規制にとどまらない積極的な自然保護や地域振興、観光振興への寄与などの新たな視点で自然公園の将来が語られています。今後は、計画策定にあぐらをかかず、多摩や島しょの観光振興や地域振興にも寄与するよう、着実にビジョンの実現に向け、取り組みを進めることが重要だと思います。
 施策を具体的に進めるためには留意すべき点もあると考えており、ここで幾つか質問させていただきます。
 ビジョンは、三つの目指す姿と、それを実現する施策展開について明記されています。
 まず、目指す姿Ⅰの多様性と連続性が織りなす自然環境を育む自然公園に関連して伺います。
 ビジョンでは、これまでの規制行政のみならず、積極的に手をかける自然の保全や再生にかかわる施策が示されています。この中では植生回復や外来種対策などを進めることも掲げられており、先ほどご答弁いただきました大島のキョンについても位置づけられています。
 自然の保全や再生ということでいえば、東京の豊かな自然の中でも小笠原諸島の自然環境は世界に誇れるものであります。世界自然遺産に登録されて六年が経過しました。国、都、村を初め地元関係者の努力で固有種の保護や外来生物の駆除などを進めていると理解しています。
 その成果の一例ということでいえば、ここ数年、立て続けに報道された小笠原諸島の一部である聟島列島におけるアホウドリの繁殖のニュースが思い起こされます。この聟島列島は、父島に着く二時間ほど前に東の方に見える島々でございます。聟島列島の自然再生は、ノヤギの排除など、東京都が長らく力を入れてきました。自然が荒廃していた聟島も今はすっかり緑の島によみがえってきております。
 一方、隣の媒島における自然再生の取り組みは、聟島に比べ進みが遅いように思われます。写真を見ましたところ、ノヤギを根絶してから十年が経過しても植生が回復せず、赤い表土がむき出しになっている場所も多いようです。
 媒島も、海鳥の繁殖地形成にも重要な島となっております。大変な労力をかけたノヤギ排除事業の効果をきちんと発揮するためにも、早急にその要因への対策を行い、海鳥の繁殖地形成や植生回復等の自然再生を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○金子緑施策推進担当部長 小笠原諸島の聟島列島は現在は無人の島で、カツオドリ等の海鳥の繁殖地や希少な昆虫の生息地として重要であり、世界自然遺産の管理計画では、この列島における植生回復は都の責務となっております。都は、列島最大の聟島から植生回復事業を進めており、近年話題となったアホウドリの繁殖成功はその成果であると科学委員会からも評価されているところでございます。
 一方、媒島については、植生に悪影響を及ぼすノヤギの根絶は完了しているものの、植生の回復は十分ではないと認識しております。これは過去、世界自然遺産登録を目指す取り組みの中で、環境省が殺鼠剤の空中散布を父島列島と聟島においては実施いたしましたが、散布されなかった媒島では外来ネズミが繁殖しており、このネズミによる食害が一因でございます。
 そこで、媒島においても早期に植生回復を図るため、外来ネズミの根絶について調査、対策を進め、都の役割を果たしてまいります。

○三宅委員 ビジョンの目指す姿Ⅰの考え方は、規制にとどまることなく、手を加えて自然を取り返したり、守ったりしていくことと理解しています。
 そういう意味では、世界自然遺産登録前から進めてきた小笠原諸島における都の取り組みは、そのお手本ともいえる先駆的な取り組みであると私も思っておりますし、これまた全国に誇れるものだと思っております。引き続き、しっかり成果を上げ、世界に誇れる自然を次世代に継承することに取り組んでもらいたいと思います。
 次に、目指す姿Ⅱの人と自然との関係を取り持つ自然公園に関して伺います。
 人と自然との関係について着目したことは非常に重要なことだと思っています。地域の暮らしや文化、農林水産業等の産業とのつながりがあって東京の自然が成り立っており、また、そのつながりの中で育まれてきた地域独自の暮らしや文化も自然公園の魅力の大きな要素でもあります。
 中でも次世代を担う子供たちと、高齢化や過疎化、あるいは林業等の後継者問題が課題となっている地域とのつながりを生み出すことが必要であります。例えば、都内の小学校が地方の村と継続的に交流しているような事例もあるようですが、こうした取り組みは地方まで行かなくても、都内でも展開できるのではないでしょうか。
 東京の自然を支えている地域の振興、あるいは担い手の確保に向けて、世代間交流や地域間交流を図るためにも、自然公園を教育現場にもっと活用してもらうなどの取り組みなどが必要と考えますが、見解をお伺いします。

○金子緑施策推進担当部長 豊かな自然を守ることを目的とした世代間交流、地域間交流を進めるには、自然公園区域外の子供たちに自然公園と親しんでもらうことが重要であり、学校行事等で自然公園を活用してもらうことは有効でございます。
 そこで、この夏、都内の小中学校に対し、自然公園に関するアンケート調査を実施したところ、六百七十九校から回答を得、自然公園に興味があると回答した学校は七七%に上りました。
 この結果を踏まえ、今後、関心の高い学校を中心に、山のふるさと村など、自然公園施設を宿泊行事等に活用してもらうよう、環境学習プログラムの企画提案をするなど、働きかけを進めてまいります。
 あわせて、今年度調査を実施しております世代間交流や自然再生を軸とした地域おこしの成功事例などを、教育現場の助言を得ながら検証し、応用するなど取り組みを進めてまいります。
 これらの取り組みにより、世代間交流、地域間交流を図る仕組みの検討を進め、人と自然との関係を取り持つ自然公園の実現を図ってまいります。

○三宅委員 ぜひ、多摩・島しょと、そして都心部などとの地域間交流にもつなげる取り組みを進めていただきたいと思います。継続的なつながりが生まれることが後継者確保にもつながっていくと思いますし、それは地域の活性化にもつながり、ひいては一部の荒れた森林が手入れされた森林によみがえることなどにもつながると思います。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、目指す姿Ⅲについて伺います。
 東京の自然公園は、内外から多くの人が訪れることが見込める都心に比較的近接して立地していることから、来訪者がふえています。一方で、多摩・島しょとも、都内の自然公園の魅力や自然の豊かさについての認知度は決して高くなく、国内のほかの自然公園利用者数に比べてまだまだ少ない割合にとどまっている状況にあります。
 また、トレイルランニング等のスポーツ利用、あるいは高齢者の登山など、利用形態や利用者層が多様化する中で、誰もが安全で快適に利用できるような環境を確保することは極めて重要です。
 都は、自然公園内に登山道やビジターセンター、あるいはキャンプ場などの利用のための施設の多くを整備し管理していますが、こうした施設の安全・安心、快適性の確保の重要性が増す中で、効率的、効果的に整備や改修を進めることが重要です。内外の観光客がふえる中、単に利用者総数等ではなく、外国人の利用者やニーズなどの自然公園の利用状況を的確に把握し、施設改修に反映させる必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○金子緑施策推進担当部長 都は現在、利用者の多様化が進む中、トイレの洋式化、わかりやすいサインの設置、老朽化した施設設備の整備、改修などに取り組んでおります。
 一方、施設整備に必要な基礎的情報である利用者数の把握は十分でなく、利用者のニーズについても一部エリアにおける日本人を対象としたアンケート調査等による把握にとどまっているところでございます。
 そこで、多様な利用者のニーズを的確に捉えるため、自然公園の利用実態について体系的に調査分析し、施設改修等に反映させ、内外から多くの人々に訪れてもらえる自然公園を目指してまいります。

○三宅委員 限られた財源、体制の中でこの事業を推進する、そういった中で基礎情報の把握は大切なものだと思います。効率的、効果的に事業を行うためにも、ぜひ前提となる利用実態の把握はしっかりと行っていただきたいと思います。
 また、その際は特に外国からの利用者の動向もしっかりと把握していただきたいと思います。
 さて、今も申しましたとおり、ニーズもますます多様化する中で、効率的、効果的に事業を推進し、自然公園のよさを内外の多くの人に体感してもらうためには、行政だけで事業を担うのではなく、ビジョンに描かれたように、多様な主体との連携を具体に進めることが必要となります。
 特に民間企業との連携に関し、都は、調整先となる企業の本社機能等が多く配置される有利な立地にあるものと考えます。イベントの実施等については、早速、民間企業との連携について取り組みを開始しているようですが、今後、より幅広く民間事業者と連携を進めるべきであると思います。この点についてご見解を伺います。

○金子緑施策推進担当部長 都は、自然公園のPRやイベントの実施のほか、ボランティア活動の支援等について民間事業者との連携を開始いたしました。具体的には、この夏、山の日に食品メーカーと連携し、東京タワーを都内の山々に見立てたイベントを開催いたしまして、二万二千名に上る来場者に山を初めとした東京の自然公園のPRを行うことができました。
 また、医薬品メーカーとの連携により、自然公園におけるボランティア活動参加者に対する熱中症対策飲料の配布など、民間事業者との連携事業は自然公園のPRやボランティア活動の推進に効果があると考えております。
 そこで、今後もこうした民間活力を最大限に生かし、より魅力的なイベントの開催等、自然公園に関するPRやボランティア活動支援を進めてまいります。
 加えて、新たな連携分野の可能性について、今年度調査を実施しており、今後、相手先企業や連携メニューの拡大に努め、自然公園事業の推進を図ってまいります。

○三宅委員 二〇二〇年、このときには海外からも多くの人々が東京に集まり、注目度もますます高まると思います。自然公園ビジョンの実現に向けた取り組みを進め、多摩・島しょの自然のすばらしさについて、内外の多くの人に訪れてもらい親しんでもらうことを強く期待いたしまして、質問を終わります。

○原田委員 よろしくお願いします。私からは、まず、ガソリンスタンドの周辺環境への影響についてお聞きしたいと思います。
 過日、杉並区上井草にガソリンスタンドが新設され、それに対する住民の不安が高まっています。その不安は、ガソリンスタンドから漏れ出るベンゼンへの不安です。東京ガス跡地でも問題となったベンゼン、一九五〇年代、工場における継続的なベンゼンの吸入により、造血器系の障害、白血病等を含むそうした障害を受け、死亡する事象が発生して以来、研究が進み、現在ではWHOの下部機関である国際がん研究機関、IARCより発がん性があると勧告されています。
 公益財団法人日本中毒情報センターが発表する資料によりますと、急性毒性、慢性毒性のどちらも確認され、呼吸によってや皮膚からも吸収され、神経系を初めとする全身性の中毒を起こすとされ、日本では大気汚染にかかわる環境基準が定められています。改めてベンゼンの恐ろしさというものを認識したわけですが、今、各地でガソリンスタンドのベンゼン漏れが問題となっています。インターネットをちょっと検索しただけで幾つもの事故が報告されています。
 二〇〇三年、ガソリンスタンド跡地からのベンゼンの検出についておわびとお知らせと題されたある会社のニュースリリースは、岡山県都窪郡のガソリンスタンド敷地内の地下水からベンゼンが検出され、井戸水の飲用をしないようと書かれています。
 二〇一一年、とある会社によるリリースでは、ガソリンスタンド敷地内において土壌で最大値、環境基準の四十三倍、地下水で実に五千七百倍のベンゼンが測定されました。
 さらにNHKの報道によりますと、三年前に廃止された水戸市のガソリンスタンドの跡地から基準の二百二十倍のベンゼンが検出されたことがわかり、市は、影響が予想される半径五百メートルの地域で飲み水として井戸を利用している世帯に井戸を使わないよう指導したとのことです。
 残念ながら、ガソリンスタンドによる土壌汚染は頻繁に確認されてきたのが実態です。こうなると住民の心配、関心は大気汚染の有無にも広がってまいります。スペインで行われた研究では、ガソリンスタンドは半径百メートル近くまでの空気に影響し、発がん物質であるベンゼンのような空気中の有機化合物の濃度を高くするという研究結果も出ているようです。もちろんこれは一研究であって、直ちにガソリンスタンド周辺が汚染されていると判断するわけにはいきません。
 そこでお聞きしますが、ガソリンスタンドによる周辺環境への影響について、以上のような指摘、汚染事故が頻発していることを都としては認識しているかお答えください。

○近藤環境改善技術担当部長 ガソリンスタンドの大気環境への影響について、スペインのムルシア大学でそのような研究が行われたこと、またガソリンスタンド跡地の土壌等から環境基準を超えるベンゼンが検出された事例があることは承知しております。

○原田委員 都は、大気汚染防止法に基づき、一月に一回、十五カ所で大気汚染調査をしているとお聞きしていますが、都としては大気中のベンゼンの測定、どのように具体的には行っているのか、またガソリンスタンドから検出されるベンゼンについて都としてはどのような対策を施しているのかお聞かせください。

○近藤環境改善技術担当部長 都は、大気汚染防止法に基づき、ベンゼン等有害大気汚染物質による都内における大気汚染状況を把握するため、都内十五地点で毎月測定を行っております。
 また、環境確保条例において、ガソリンスタンド設置に当たっての届け出や、貯蔵するガソリンの蒸気の排出を防止するためのベーパーリターンと呼ばれる回収設備等の設置を義務づけております。

○原田委員 今の答弁を聞く限り、つまりはガソリンスタンドにおける大気中へのベンゼン排出の問題があるということを認め、だからこそベーパーリターンの設置も義務づけてきたわけですね。
 そもそもベーパーリターンの種類にしたって旧型、最新型のものがあるわけです。私は、単にベーパーリターンの設置だけで環境対策が万全と満足するには早い気がするんですよね。
 都が設置させたベーパーリターンで本当に周辺環境が守られているのか、ガソリンスタンド近隣の住民の不安を払拭するためにも、都においてガソリンスタンド周辺でベンゼンを測定するべきと考えますが、いかがでしょう。

○近藤環境改善技術担当部長 ガソリンスタンドに対しては、ガソリン蒸気の対策として、条例でベーパーリターン設備の設置を義務化するなど、国に先駆けた対策を講じております。
 また、都では、広域的な観点から、法で定める基準に従い、人口や面積から算定した都内十五地点で毎月ベンゼン等有害大気汚染物質の測定を行っており、全ての測定地点において環境基準を達成しております。個別の事業所周辺において都が測定を行うことは予定しておりません。
 なお、ガソリンスタンド等、有害物質を扱う指定作業所の設置の届け出の受理や、指定作業所に対する指導等については、事務処理特例条例により各区市に委任しております。

○原田委員 今の答弁では、なかなか私の質問に答えられていないのかなと思っているんですけれども、だとすると、実際の測定方法をちょっと聞いておきたいと思うんですが、機器自体は高価で、扱うのも技術が必要なものなのだと思うんですけれども、既に一月に一回、十五カ所でやっているわけですよね。率直にいいまして、それを少しふやすだけの話なんです。
 個人での検査をしようとした住民がいましたが、業者から数十万円という大変な値段を突きつけられました。また、違う業者からは、幾ら専門業者を使ったとしても個人の測定結果などを行政は信用しないと、ずばり指摘をされてしまったそうです。
 そこでお聞きしますが、東京都は高価な機器を既に持っており、専門家も常時勤務しているわけです。広域的な課題となる個別のガソリンスタンドといいますけれども、ガソリンスタンドは都内にたくさんあるわけで、だからこそベーパーリターンの設置も全国に先駆けて義務づけたわけで、広域的な課題となるガソリンスタンド周辺のベンゼン調査に東京都がその財産を活用することは都民の理解を得られるものと思うんですけれども、いかがでしょう。

○近藤環境改善技術担当部長 先ほどもご答弁したとおり、都は、大気汚染防止法に基づき、都内における大気汚染状況を把握するために十五地点で毎月測定を行っております。したがって、現在の時点で測定をふやすということは考えておりません。

○原田委員 今回の事務事業概要を読んでみますと、第六節、環境に関する調査研究というところでは、今後も、持続的な発展が可能な都市として東京を成熟させつつ、環境問題に対して果敢に取り組むなど、さらなる施策を展開していく必要があり、これらの施策展開には、科学的な知見の集積や技術開発の推進が不可欠であると。
 東京都環境科学研究所の概要というところでは、今後とも先導的な環境施策を実施していくため、東京都環境科学研究所が担っている試験研究機能をより一層充実させていく必要があると、都民のニーズに応じた研究をこれまで以上に機動的かつ効率的に進めていきたいと、こうした文言が躍っているわけなんですよね。
 私は、こうした事務事業概要に示されたアグレッシブな環境局の姿勢を読み解く限り、ガソリンスタンドのベンゼン問題という住民から提起された新たな課題に果敢に取り組んで、調査による科学的知見を集積していただきたいものだなと思うんですけれども、改めて、ガソリンスタンドの周辺地域のベンゼン調査について、今やるかやらないかは決断せよとはいいません。ぜひ検討の課題にでものせていただけたらなと思うんですけれども、どうでしょう。

○近藤環境改善技術担当部長 先ほどもご答弁申し上げたとおり、東京都全体の大気汚染状況を把握するために測定をしております。
 なお、都民の方からこのような相談を受けた場合には、分析機関といたしまして、一般社団法人の日本環境測定分析協会を紹介しております。
 これは、大気、水などに含まれる有害物質の濃度を正確に把握し、分析を行うためには専門知識と技術が必要です。そのため、ベンゼンの濃度を客観的に証明するためには、専門知識と技術を有する計量法に基づく国家資格であります環境計量士が在籍する分析機関において測定し、濃度計量証明書を得ることは適当と考えられます。
 そういったことから、先ほど申し上げたとおり、都民から相談を受けた場合には、こういった機関を紹介しております。

○原田委員 質問を移します。
 次に、環境影響評価制度、いわゆる環境アセスについてお聞きします。
 今回のアセスの変更は、もともと環境影響評価書に書かれていた盛り土が設置されておらず、地下水管理システムがまともに機能していなかったことに対して新たな対策を講じるものです。
 謎の地下空間として全国的に有名になりましたが、汚染物質を封じ込めるはずの盛り土を事業者である都がやらないことを決めた。つまり、アセスの内容を変更しようとしたにもかかわらず、何らそのことを環境局に対して報告しなかったことは重大問題です。
 この環境アセス問題で環境局が委員会答弁するのは実は今回が初めてでありまして、注目度は決して低くありません。今回事業者自身が東京都という問題もありますが、何にせよ、事業者をチェックする側に立つ東京都の任務は軽くなく、環境局の誠実かつ適切な答弁を求めるものです。
 まず、そもそも環境アセスとは誰が何をするもので、その意義と効果について教えていただきたいと思います。

○松本政策調整担当部長 東京都環境影響評価条例におきまして、環境影響評価、いわゆる環境アセスでございますが、これは大規模な開発などを実施しようとする事業者が、その事業の実施が環境に及ぼす影響について、事前に調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程において、その事業に係る環境の保全のための措置を検討し、その措置が講じられた場合における環境に及ぼす影響を予測し、評価することをいいます。
 この環境影響評価及び事後調査の手続によりまして、公害の防止や自然環境の保全など、環境の保全について適切な配慮がなされ、もって都民の健康で快適な生活の確保に資するものでございます。

○原田委員 では、この制度に定められた基本手続は、なぜこれほどまでにも事業者にとって煩雑な手続を求めているのでしょうか。特に、専門家だけでなく住民の意見を取り入れる手続になっている意義について教えてください。

○松本政策調整担当部長 都の環境影響評価条例は、事業が環境の保全に十分配慮して行われるということを目的としまして、事業者にさまざまな手続を求めているところでございます。住民の意見を取り入れることにつきましては、事業者と住民などとのコミュニケーションの促進を図りまして、環境影響評価書案などの記載内容の理解を深めるためでございます。
 あわせて、知事から環境影響評価書案等に対する審査意見書を出しますが、こちらにつきましても都民からの意見書等を勘案して作成してございます。

○原田委員 この制度は、まさにいうまでもなく事業者自身が環境への対応策を公表し、それを住民や専門家、東京都が閲覧し意見を付したり、計画の変更を迫ったりする制度であります。つまり、事業者がみずからの技術と誠実さにかけて対策を公表し、住民、専門家、行政がそれを信頼して手続が進んでいく、そんな制度です。
 今、答弁として、都は記載内容の理解を深めるとおっしゃいましたが、住民は、向こうが出されたものをただ理解するといった受け身の存在ではなくて、適正な環境配慮がされるように、この環境影響評価書を改善する主体者でもあるんだということは指摘しておかなければいけないと思っています。
 ですから、環境アセスの変更届が出てきたときには、環境局の仕事としては、再アセスをするのか、それとも進めさせるのかについて、これまでの住民や専門家の意見も考慮に入れながら、事業者の変更届に信頼性があるかについて真剣に判断をしなければならないわけです。
 そこで、以前から問題とされてきたんですけれども、今回、事業計画の変更を行うということで変更届を出した事業者は東京都です。もちろん事業者の代表は小池都知事と。しかしながら、この変更届に対して最終的な判断を下すのも、チェック機能も、東京都であり小池都知事であると。チェック機能が働かないんではないかという疑念がこれまで指摘されてきたわけですけれども、こうした疑問に都としてはどのように答えてきたのか。

○松本政策調整担当部長 委員おっしゃるとおり、変更届も事業者が作成するものでございまして、豊洲新市場の変更届につきましては、中央卸売市場が作成いたしました。
 一方、環境影響評価を所管する環境局では、その変更届に示されましたデータや添付資料等が変更内容を説明するのに適切であるか、変更された対策を実施する際の環境影響について予測、評価がなされているかなどを確認したものでございます。そして、今回の地下ピットへのコンクリート打設や地下水管理システムの機能強化といった変更は、環境影響評価条例に定める再アセスメントが必要な環境に著しい影響を及ぼすおそれがある変更には当たらないと判断したものでございます。
 このように環境局では条例所管局として、専門的、客観的な視点で確認を行っているところでございます。

○原田委員 環境アセスの手続では、これまで何度も事業者の環境対策に対する都民意見を集めています。都民からは、例えば土壌汚染を除去できると信じることはできませんとか、東京が長年石炭、石油ガスの製造を行ってきた土地で、シアン、ベンゼン等の汚染は環境基準を大幅に上回っています、石原都知事は現代の技術によってそれらは除去できるといっていますが、地下水を含む汚染は除去できるのでしょうか等々の意見が寄せられていました。
 これに対して事業者である東京都は強く回答しています。本事業で実施する土壌汚染対策は、有害物質や土質等の専門家から構成される専門家会議及び環境や土木の専門家から構成される技術会議から、科学的知見や最先端の技術動向を踏まえ提言されたもので、その内容は操業に由来する土壌地下水中の汚染物質を指定基準、地下水基準以下まで浄化するものとし、汚染物質を無害化できることを客観的データで確認していると、まあ今聞くと空虚に響く見解となっています。
 さらに東京都は続けます。APプラス四・〇メートルからAPプラス二・〇メートルの土の入れかえを含む計四・五メートルの覆土、街区周縁へ遮水壁を設置することによる地下水遮断、砕石層設置による毛細管現象の防止及び地下水管理システムの導入による水質、水位の管理を行います、こうした対策を確実に行うことにより、市場用地としての安全・安心は十分確保されますと回答し、不安を訴え問題を指摘する都民の声に公式な見解を発表していました。
 都民からは、まるで現在の状況を予言するかのような意見がそれでも多数寄せられています。例えば、地下水の揚水方法についても、粘度の強い土壌から地下水を抜き出す技術の欠如がいわれているとの指摘がありました。東京都はこれに対し、地下水の揚水方法については、新市場予定地の土質等を踏まえ、これまでに多くの実績のあるポンプ揚水を採用しています、この手法については現地の実験でも地下水をくみ出すことが可能であることを確認していますとし、現状を見れば、現地の実験というものが果たして適切なものだったのか不信の募る状況となっています。
 事業者が環境対策とその効果予測を事前に公表し、都民はそれを見て事業者への意見や問題意識を明確に指摘し、さらに事業者がそうした意見に公的な場でしっかりと答えると、この信頼感のもとに事業は進められていくはずでした。ところが、この事業者は、東京都は、約束した盛り土をしていなかったり、地下水管理システムの破綻に対してまともな検証、対策も施さず、しかもそのことを共産党都議団によって暴かれるその日までみずから語ろうとしなかったんです。
 まずその点について、環境局としてはどのように捉えているのか。盛り土を行わず、さらには報告もしなかったことについて、事業者である市場当局、東京都は環境アセスを担当する環境局にどう説明してきたのか、また、反省や謝罪の言葉はあったのかお聞かせください。

○松本政策調整担当部長 中央卸売市場からは、都の豊洲市場の地下空間設置と盛土がなされなかったことに関する自己検証報告書にあるとおり、変更手続がなぜ行われなかったのかについては十分に解明できなかったものの、本来であれば、建物の設計が固まった時点で変更手続を行うべきであったにもかかわらず、これを怠ったことは重く受けとめているとの説明を受けてございます。

○原田委員 盛り土が行われず、報告もしなかったことに対する環境局としての受けとめをお尋ねしておきます。また、環境局として事業者に対してどのような抗議、指導を行ったのか伺います。

○松本政策調整担当部長 環境影響評価書に書かれました事業計画について、変更の手続をせずに工事を実施したことについて、環境局としても遺憾の意を伝えてございます。また、今後はあらかじめ相談を行い、適時適切に環境影響評価の手続を行うよう強く要請したところでございます。

○原田委員 変更について報告が行われた、さきの環境影響評価審議会では、評価書の内容と異なる工事が実施されたことについて、審議会会長からまとめとして厳しい批判がされたと聞いていますが、その内容についてお答えいただきたいと思います。
 また、この会長のまとめに対する環境局の受けとめを伺います。

○松本政策調整担当部長 本年八月二十八日に開催されました環境影響評価審議会におきまして、審議会会長の柳会長から、変更届がなされずに、評価書の内容と異なる工事が実施されたことにより、環境影響評価という制度の信頼性が損なわれる事態が発生したという点について、審議会を代表して強く遺憾の意を表したいとの発言がございました。
 これに対する環境局の受けとめでございますが、事業者に対しまして、対象事業の変更等が見込まれる場合は遅滞なく相談をし、必要な手続をするなど、環境影響評価の手続を適正に履行するよう引き続き求めてまいります。

○原田委員 事業者がセルフコントロールする、みずから実行しますと、都にも、都民にも示した評価書の内容を誠実に履行する、変更がある場合にはその都度変更届を提出するという手続を行う、このことによって環境保全を担保するシステムでありながら、それがなされなかったと。これはもう信義が大もとから崩れる事態なんですけれども、このような場合、環境影響評価条例ではどのようにする仕組みになっているんでしょうか。

○松本政策調整担当部長 環境影響評価条例におきましては罰則規定はございませんが、条例に定める手続の全部または一部を行わなかったときなどには、事業者の氏名等の公表を行う規定がございます。

○原田委員 そうですね。昨年、二〇一六年九月二十四日の毎日新聞の記事中にはこう書かれています。都によると、評価書には主要建物のフロアの概要を示した平面図が添付されたが、環境局の担当者は、図面に地下空洞の記載はなく、審査は盛り土がされていることが前提だった、計画を変更したのであれば、本来は事前に変更届を出さなければならないと話す。環境局もかつてはこういっているわけですけれども、今でも変わらないのかどうか、事前に変更届を出さなかった当該事業者の手続上の違反行為を都はどう考えているのか。

○松本政策調整担当部長 事業の実施が環境に及ぼす影響を事前に調査、予測及び評価するという環境影響評価の趣旨から鑑みまして、変更届も事前に提出すべきとの考え方に変更はございません。
 今回の豊洲新市場の事業計画の変更について、事前に届け出がなされなかったことにつきましては大変遺憾と認識してございます。

○原田委員 重要な姿勢です。
 そこで、お聞きしたいことがあります。環境アセス条例第九節、対象事業の変更等において、変更の届け出等、六十二条という条文があります。その第一項には、事業者が対象事業の事項を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない、ただし、軽微な変更その他規則で定めるものについては、この限りではないとあります。
 これまで再アセスを求める質問に対して、事業者たる都は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのない変更については再アセスをする必要はないとする六十三条の条文をもとに、あたかもこの間のアセス手続には問題がないかのような姿勢を示してきました。
 しかし、六十二条の規定は、六十三条が定めた環境に影響を与えるかどうかによらず、事業の変更として大きなものであれば、事前に変更届の提出を求める条文となっています。このことからすれば、事業者たる東京都はアセス手続において明白な条例違反を働いたといえるのではないかという話になります。これまでに事業者たる市場当局、つまりは東京都がこの問題について、みずから条例違反を働いていましたと反省の弁を議会で述べるべきでしたが、そうした自浄作用が働かなかったときこそ環境局の出番が期待されます。
 さて、初の答弁となりますので、誠実にお答えいただきたいと思います。アセス条例六十二条には、変更届の提出は、環境への影響の多寡にかかわらず、事業変更の事前に提出しなければならないとあります。この際、当該事業者は明らかな条例違反を行ったといえると思いますが、いかがか。

○松本政策調整担当部長 都の環境影響評価条例上、変更届は事前に提出すべきであり、今回の豊洲新市場の事業計画の変更について、事前に届け出がなされなかったことについては手続の違反と認識してございます。

○原田委員 大変重大な答弁をいただきました。事業者たる東京都に対して、チェックをするべき東京都として、初めて議会の場で条例違反を指摘しました。このことは、罰則がないからといって軽くない問題です。地方自治法第二条十六項、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない、さらに十七項、前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とするという条文があります。
 この条文自体は、上位の法律に従わねばならないという地方自治法の定めではありますが、今回は、都みずからつくった条例に都が違反したという、私からすれば、むしろ政治倫理上、重大な問題です。その認識があるのかが問われるわけです。今回のアセスの変更は、重大な手続違反を、条例違反を働いた事業者による変更です。ですから、相当厳しいチェックが必要であり、事業者のいい分ばかりをうのみにして情状酌量するなどは許されません。
 ここで質問したいと思うんですけれども、手続上の違反があったという初の答弁を受けて、改めてお聞きしたいと思うんですけれども、条例違反を環境局はいつ認識したんですか。

○松本政策調整担当部長 今回の豊洲新市場の事業計画の変更につきまして、事前に届け出がなされなかったことについては、この件が公になった当初から手続の違反という認識でございました。

○原田委員 そうすると、昨年の九月ということでよろしいんですかね、局長。そうなってくると、さらに追加して質問せざるを得なくなるわけですよね。チェックをする側としての東京都において、環境局ですね、アセス条例上の瑕疵はないのかという問題です。
 アセス条例九十一条には、知事は、事業者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該事業者に対し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与え、その意見に正当な理由がないと認めるときは、当該事業者の氏名及び住所並びにその事実を公表しなければならないとし、その第一項で、この条例に定める手続の全部または一部を行わなかったときは事業者を公表すると定めています。
 今し方、手続上の違反ということを認めたわけですけれども、しかもその認識の時期は去年の九月となると、九十一条に定めた知事による事業者の氏名、住所の公表を行わねばならなかったのではありませんか。

○松本政策調整担当部長 豊洲新市場の盛り土について変更届が提出されなかったということで、今、委員ご指摘のとおり、環境影響評価条例第九十一条第一項第一号におけます手続の全部または一部を行わなかったときということで、同条に定める事業者の氏名等の公表の規定が適用される可能性はございました。
 しかしながら、中央卸売市場からは、その当時から既に変更届を提出していきたいとの意向が速やかに示されておりました。このため、この条文は、事業者の氏名等の公表により手続の確実な遂行を担保しようとする趣旨でございますので、あえて本条を適用する必要性は考えないということに至った次第でございます。

○原田委員 事業者が東京都、チェックするのも東京都という問題点が今あらわれているんじゃありませんか。この九十一条は大変厳しい条文です。情状酌量の余地なんていうのは残していません。事前に変更届を提出しなかった条例違反が認められました。この手続上の違反を行った事業者は、これは公表になると。
 しかも皆さん、わかっていると思いますけれども、これは自浄作用で出てきた話じゃないんですよね。共産党が地下空間を見つけて、そこで初めて公の社会的な問題になったと。それから変更届を出している。情状酌量の余地ないじゃありませんか。これに対して知事は、明白な九十一条違反を行っているんじゃありませんか。

○松本政策調整担当部長 先ほどお答えしましたとおり、変更届が提出されていないということに関しまして、中央卸売市場からは、その後、速やかに変更届を提出したいとの意向が示されていたことから、事業者の氏名等の公表により手続の確実な遂行を担保しようとする条例の趣旨に照らせば、本条を適用する必要は乏しいと考えたものでございます。

○原田委員 手続の確実な遂行を担保しようとする同条例の趣旨に照らせば、一体どこにそんな趣旨が書いてあるんですか。明白に、この九十一条は、違反行為を行った事業者の公表をしなければならないと--努めるものとするでも、できる規定でもありません。公表しなければならないとなっています。それについてどう思いますか。

○松本政策調整担当部長 環境影響評価条例は手続条例でございまして、事業者みずからが事業の環境に及ぼす影響について調査し、予測し、評価するための手続を定めた条例でございます。
 ここの条例におきまして、東京都は、その手続が円滑かつ適正に進むように努めるというふうに定められております。ですので、ここでは東京都の環境影響評価条例違反とは考えておりません。

○原田委員 円滑、適切に手続を進めるといいましたけれども、まさに円滑、適切にこの手続を進めなかったのは東京都なんです。しかも、その条例違反が見つかったもとで、そのチェックをすべき都知事が適切にこの手続を進めなかった事業者をなぜか公表しない、氏名、住所を公表しない、これ、重大問題じゃありませんか。私は、環境局、逃げ切れないと思うんです。
 平成二十八年十一月一日、第二次自己検証報告書、ご存じですよね。先ほどの答弁にも入っていた文書です。この二六ページ、まとめの直前です。環境影響評価の変更手続はいつ行うべきだったのか、そのものずばりのまとめがあります。何て書いてありますか。環境局の一般的な見解によれば、変更届については、具体的な工事に着手する前に出さなければ条例違反となるとしている、事実と異なる環境影響評価をそのまま放置して変更手続を怠ってきたことは、ミスの一言では済まされず、重大な手続違反と捉える以外にない。この報告書について、どのような見解がありますか。

○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、都の環境影響評価条例上、変更届は事前に提出すべきでございまして、豊洲新市場の事業計画の変更について、事前に届け出がなされなかったことについては手続の違反と認識しております。

○原田委員 手続の違反をしたものの、事業者の氏名も公表しない、それ自体が九十一条違反だということはもう明白です。申しわけありませんけれども、この議論はずっと続きますよ。これで終われるはずないじゃありませんか。もう一度お答えください。

○松本政策調整担当部長 変更届が提出されていないことに関して、中央卸売市場からは、その後、速やかに変更届を提出したいとの意向が示されていたことから、事業者の氏名等の公表により手続の確実な遂行を担保しようとする条例の趣旨に照らして、本条を適用する必要は乏しいと考えたものでございます。

○原田委員 いつまでも続けましょうか。冒頭に質問したように、事業者にセルフコントロールを求める制度であります。今答弁したとおりです。それでありながら、その事業者がミスでは済まされない手続違反を犯していた。
 しかも、その事業者が東京都なのですから、行政ですから、見過ごすわけにはいきませんよね。環境局こそ敏速に手続違反の認識を表明すべきだったと考えるんですけれども、少し質問を変えまして、なぜすぐに手続違反だということを環境局として表明しなかったんですか。

○松本政策調整担当部長 この件に関しましては、環境局から中央卸売市場に対して、即座に環境影響評価書に書かれた事業計画について、変更の手続をせずに工事を実施したことについて遺憾の意を伝えてございます。
 あわせて、今後はあらかじめ相談を行い、適時適切に環境影響評価の手続を行うよう強く要請いたしました。

○原田委員 不思議じゃありませんか。それだけ強く要請をしながら、なぜそれが公表にならなかったんですか。

○松本政策調整担当部長 環境局は中央卸売市場に対して、変更の手続をせずに工事を実施したことについて遺憾の意を伝えました。そして、環境局は中央卸売市場に対しまして、今後はあらかじめ相談を行い、適時適切に環境影響評価の手続を行うよう強く要請いたしました。
   〔原田委員「違います。それをなぜ公表しなかったのか聞いたんです。どうぞ」と呼ぶ〕
   〔「だめだよ、手を挙げなきゃ」と呼ぶ者あり〕

○原田委員 なぜそれを公表しなかったのか不思議だといったんです。抗議をしたのは聞きました。なぜそれを公に我々は抗議をしましたと、事業者の氏名とかなんとかではなくて、まずは市場に対して抗議をしたということがそれこそ出てこなかったのかと。それは何ですか、やっぱり庁内で口だけでやったということですか。文書とかそういうものは残っているんですか。

○松本政策調整担当部長 繰り返しになりますが、環境局としては、環境影響評価条例の所管部署としまして、中央卸売市場に対しまして、環境影響評価書に書かれた事業計画について変更の手続をせずに工事を実施したということについて遺憾の意を伝えるとともに、今後はあらかじめ相談を行い、適時適切に環境影響評価の手続を行うよう強く要請いたしました。(原田委員「その強い要請がなぜ出なかったんですか」と呼ぶ)あわせて、その変更届が提出されていないことに関しまして、中央卸売市場からは、速やかに提出をしたいという意向が示されていたことから、事業者の氏名等の公表により手続の確実な遂行を担保しようとする条例の趣旨に照らして、本条を適用した公表ということはしなかったということでございます。

○田の上委員長 原田委員、発言時は委員長と呼んでください。

○原田委員 今のやりとりを聞いていましても、まさにこれだけ重大な手続違反を行った事業者に対して、まさに手心、品心じゃありませんけれども、環境局が、これから頑張るといっているから、それでいいじゃないかと。私は、九十一条違反といわれようが、あのときしっかりと事業者名を公表していなかったことは間違いでしたと、この事業者はしっかりと厳しく指導すべきだったと今答えた方がよかったと思いますよ。
 逆に、こんな違反を犯したということを環境局として認めたこの事業者をそのままおとがめなしで過ごしたって、環境局は何の問題もないんだということを、九十一条違反には環境局はならないんだと、まさに自浄作用がゼロだということを表明した答弁だったと思っています。
 ここからは、環境アセス制度そのものの問題点についてもただしたいと思います。
 まず、制度本来の趣旨として、事業者による変更届の扱いを判断するために東京都環境局が依拠しなければならないのは、手続上から見れば、当然、環境アセス審議会の意見といえるでしょう。事業者である東京都市場当局が提出した変更届を前に議論したことし八月二十八日のやりとりは、先ほどの会長意見のように、大変興味深いものでした。
 例えば、ある委員は、水位が上昇し続けると周辺環境への影響があり得るわけだから、十分低く保ってほしいので、今後はちゃんと運転すれば水位自体が抑えられるという記述が余り変更届の中に見られないと指摘をしています。
 また、ある委員も、今回示されている対策で初期の水位レベルに抑えることができるんだという根拠がこの資料からはやはり見えてこない、専門家会議ではお墨つきを得ているという説明はあるが、では専門家会議でどのようにシミュレーションなりに基づいて定量的に評価したのか、その結果、これらで十分なのかと判断されたのか、もう少し根拠を示さないと等、厳しい指摘をしています。
 こうした指摘に対する環境局、東京都の見解は驚くべきもので、機能強化については今すぐに出てこない。環境局ですね。機能強化については今すぐに出てこないと、あっけらかんと答弁しています。環境局は、事業者が提出した追加対策は環境への重大な影響を与えないとして、再アセスの必要はなく、当該審議会への諮問は必要ないと報告している席での発言ですよ。
 地下水管理システムの機能強化の根拠は、本来は変更届に明確に書かれていなければいけないものです。問題を指摘する委員に都が真っ先に答弁すべきは、資料が手元にないという答弁ではなくて、ポンプの機能強化について、変更届にしっかりと書かれていないのは問題だ、そう指摘する一言でしょう。
 都は続けて、水をくみ上げるだけの能力は計算上成り立つということをご説明させていただいていると、もはや事業者にでもなったかのような答弁ぶりです。都民の安全・安心の観点に立って厳しく変更届に対峙する姿勢が見当たりません。地下水管理システムのパイプが機能していないことについては、暫時詰まりを直しているところで、今後透水していくと思いますし、建物下にも新たに追加するので、そちらの方の効果を今後期待できるのではないかと思うと他人ごとです。
 築地の卸売市場が移転する先の話ですよ。今後うまくいくと思いますとか、今後期待できるのではないかと思いますとか、なぜそこまで悠長でいられるんでしょうか。市場ができてから問題が発覚したらおしまいなんですよ。
 都は、今回の変更届の内容に対する確信があってのことではなくて、今後に期待という環境対策として不確実な状態で変更届を認めたということですか。お聞きします。

○松本政策調整担当部長 環境局では、専門家会議等での審議内容を確認するとともに、あわせて、事業者である中央卸売市場からも詳細に説明を聴取した上で変更届を受理したものでございます。不確実な状態で変更届を認めたわけではございません。

○原田委員 さらにある委員は、変更後はポンプを使ってそれなりの機能強化を図るというのはわかるが、要するに濁質が多い場合には、それなりに目詰まりが起きてしまうのではないかとただしました。
 それに対しては、環境局、今回説明で省いたが、物によっては泥が目詰まりしやすい場所もあって、今までのポンプが泥水に弱いポンプだったということもあって、今回はこの後の工事で泥水が出やすい場所については、泥水用のポンプに切りかえて揚水量をはかるというふうにしてあるので、今後改善の様子は適宜見ていくと答弁しました。
 本当に不可解なんですけれども、環境局がなぜ変更届にも書いていないことを、事業者の補足をしてやらねばならないのか。都は改めて審議会でのみずからの答弁を振り返ってみてどう思いますか。

○松本政策調整担当部長 環境局におきまして変更届を受理する際に、改めて専門家会議でのやりとり、審議内容等を詳細に確認し、不明な点を中央卸売市場に確認することによって補足をしております。
 なお、地下水管理システム揚水量の低下のお話がございましたので、こちらについては目詰まり等が要因ということで中央卸売市場から聞いておりまして、変更届におきましても、揚水ポンプの仕様を一部濁水用に変更しているということが確認できたものでございます。

○原田委員 アセス審議会において地下水管理システムが機能することの説明の根拠が薄弱だという指摘が多かったことに対して、環境局としてどのように受けとめているのか改めてお答えいただきたいと思います。

○松本政策調整担当部長 環境影響評価審議会の委員からご質問やご意見をいただきましたので、それに関しましては、事業者である中央卸売市場に伝えまして、今後確実な履行を求めるとともに、事後調査報告書等で確認をしてまいります。

○原田委員 目詰まりは揚水井戸から水をくみ出すパイプだけではありません。井戸だって目詰まりしていることを東京都も認めているわけですが、井戸は取り出して取りかえることはできませんから、目詰まりを抜本的に改善する方法はないわけです。だからこそ従来の揚水井戸からくみ上げる水の量は、追加対策後であってもわずか百から百五十トンで、当初の六百トンを大幅に下回る計画となっているわけですね。目詰まりを取りかえてもわずかしか改善しないという計画ではないのかと。
 あくまでも環境局がアセスの手続の上で依拠すべき専門家の意見は、審議会の意見であるはずです。専門家会議の議論は参考にするにしても、アセスの手続上定められた組織ではありません。アセスの手続上重視されているアセス審議会でこそ数多くの地下水管理システムに対する問題意識が示されている以上、重大に受けとめなければならないはずです。
 要は、今までの答弁を聞く限り、市場の説明なり専門家会議の議論なりをそのまま受けとめたというにすぎないのではないかと。しかし、審議会が指摘しているように、新しいポンプが機能するかどうかシミュレーションなり実証実験なりはされていないのですから、幾ら市場がいっている、専門家会議がいっているといっても、それで機能する保証がないと審議会の中でも多くの専門家も指摘をしているわけですよね。
 確認しておきますが、東京都の判断に対して環境影響評価審議会として受け入れられないと判断した場合、審議会が再アセスメントを求め、実施させることは条例上可能かお答えください。

○松本政策調整担当部長 変更届の受理に関しましては、環境影響評価審議会として受け入れられないと判断したとしても、同審議会が再アセスメントを求め、実施させることは条例上できません。
 しかしながら、審議会は、同条例第六十九条におきまして、この条例によりその権限に属させられた事項並びに知事の諮問に応じ環境影響評価及び事後調査に関する重要事項を調査審議させるため、知事の附属機関として設置しているものでございますので、今後とも審議会の意見につきましては重く受けとめていく所存でございます。

○原田委員 そうなると、お聞きしたいことがふえるんですけれども、二〇一六年九月二十四日付の毎日新聞の記事では、環境アセスにおいて、東京都では事業者に対策やその効果などを盛り込んだ評価書案の作成を求め、有識者による審議会での審査を経て、確定した評価書を公表すると、審議会の審査を経て評価書を確定するとしています。
 今回はこうした手続から考えても、なぜ審議会に対して審査を依頼せず、これだけの重大な問題にもかかわらず、報告という形にして押し通そうとしてしまったのかと。この記事は環境局も確認しているはずだと思いますけれども、いつ、局の姿勢は変わったのか。

○松本政策調整担当部長 委員がご指摘のように、環境影響評価審議会に諮問する場合というのは、当初の環境影響評価書案などについてでございます。
 そして、今回のような変更届の場合につきましては、条例の第六十三条にございますとおり、変更の届け出があった対象事業について、当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聞いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部または一部を再度実施するよう求めるものとするということで、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときに審議会に意見を聞くという形となってございます。

○原田委員 環境に大きな影響がないから再アセスはやる必要はない、これはずっとこの間いってきたことですね、六十三条に基づくものであると。対して六十二条では、今回の東京都は条例違反に当たるということは認めました。これは重大なことです。
 しかしながら、条例違反を起こした事業者の氏名、住所の公表などについてはやらないこととしたというので、環境局は何の罪もない、条例違反は環境局は犯していない、都知事はですね。きょうは全体的にはそういう答弁だったと思うんですよね。これはどう考えても納得がいかないですし、そもそも今までの議論を見ている限り、条例を見る限り、私は環境局、知事の九十一条違反は明白だということを指摘しなければいけないと思っています。
 審議会の会長は、今回の事態はある意味では条例上ないしは条例運営上の問題が潜んでいるかもしれないので、条例等の見直しを含めて東京都には強くお願いしておきたいとしていますが、この発言を環境局としてどのように受けとめているのか。また、審議会の求めに応じて条例等の見直しを行う考えはあるのかお答えください。

○松本政策調整担当部長 柳会長の発言につきましては、極めて貴重な意見として受けとめてございます。また、会長を初め委員の皆様は、環境アセスメントなど環境分野の専門家でございます。高い知見をお持ちです。ですので、条例運用上の問題を含めて引き続きご指導を賜りたいと考えてございます。

○原田委員 高い知見を有する人たちで、この人たちのご指導を仰ぎたいといいながら、ほぼその人たちのいうことを聞く姿勢はこの期に及んでない、専門家会議の意見ばっかりを押し通しているのが、今、環境局の実態であって、まさに、いわばお手盛りともいわれたこの環境アセス条例の豊洲における問題点を露呈していると思います。
 事業者は東京都、そしてチェックするのも東京都、皆さん、改めて、この環境影響評価制度というものの改善が必要だということを私は広く議会の側にも訴えたいなと思うんですね。当会環境アセス変更届に関する環境局の姿勢は、極めて問題のあることが浮き彫りとなりました。これは環境アセスの制度設計自体の問題点も浮き彫りにしました。
 環境アセスの制度が環境を守り、豊かなまちづくりに寄与するものとなる上で、アセス制度そのものの改善が必要です。同時に、行政たる東京都のモラルハザードを正すことが急務であるということを指摘し、質問を終わります。

○田の上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○田の上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○宮瀬委員 どうぞよろしくお願いいたします。私の方からは、災害廃棄物、いわゆる首都直下地震等の際の瓦れき処理についてお伺いしてまいります。
 首都直下地震が来るといわれておりますのはもういうまでもなく、その危険性は重大でございます。私も前期、各局に対しまして、さまざまな地震対策の質疑をさせていただきましたが、環境局におきましては、瓦れきの撤去及び処理ということが事務事業の冊子の中でもうたわれているところであります。瓦れきをいかに素早く処理して復興につなげていくかというのは、東京都にとって本当に大きな復興に向けた第一歩だと思っております。
 その中で、まず基本的なことを確認したいんですが、災害廃棄物の発生量について確認したいと思います。
 熊本での地震ですとか東日本大震災において、どれぐらいの量の廃棄物が出たのかというのが一つのベンチマークになると思っております。
 そこで、それぞれの分量と、首都直下地震であります東京湾北部地震ではどれだけの発生量を見込んでいるのか、まずお伺いいたします。

○谷上資源循環推進部長 熊本地震における災害廃棄物の発生推計量は、熊本県が本年六月に改定いたしました災害廃棄物処理実行計画第二版におきまして二百八十九万トンと発表しております。また、東日本大震災における災害廃棄物の発生量は、環境省によりますと約二千万トンとされております。
 一方、本年六月に策定いたしました東京都災害廃棄物処理計画では、平成二十四年の東京都防災会議の被害想定に基づきまして、東京湾北部地震での災害廃棄物発生量を四千二百八十七万トンと見込んでおります。

○宮瀬委員 熊本の際は約三百万トン、東日本のときは約二千万トンということで、首都直下地震の際には大体四千三百万トンというご答弁でございました。この数字、どのように出したのかなというのは、大変、私もいろいろ研究してみたんですが、大体熊本県の人口が百七十六万人ですか、東京都の人口が一千三百万人でありますけれども、実際建物の量ですとか、東京都に関しましては、やはり建物にビル群も多いので、本当にこの数字でいいのかなというところに疑問が生じるわけであります。
 しかし、一つの専門家の答申をもとに出したものでございますので、その数値をもとに質疑をさせていただきますと、では、どれぐらいの分量が本当に処理できるのかという、いわゆる算数といいますか、足し引き算になっていきます。
 まず、そもそも災害とは別に、通常生活をしておりますと、ごみが生じるわけであります。そのごみの処理に加えまして災害の瓦れきの処分が加わるわけでありますので、現在、災害廃棄物を処理するための都内の破砕や焼却施設の余力がどれぐらいあると見込んでいるのかお伺いします。

○谷上資源循環推進部長 東京都災害廃棄物処理計画では、巻末資料に災害廃棄物の処理可能量の推計方法を示しております。
 これによりますと、二年間での試算としてコンクリート殻の破砕処理可能量が三千八百四十八万トン、木くずの破砕処理可能量が五百一万トン、焼却処理可能量が百三十四万トンと見込んでおります。

○宮瀬委員 今ご答弁にありました東京都災害廃棄物処理計画というものの資料の方を拝見させていただきまして、先ほどご答弁あった四千二百八十七万トンの廃棄物が出ると。そのうちコンクリートが大体七割で二千九百九十二万トン、可燃のごみが、木くずですとか、その他可燃のごみが合わせて四百九万トンで約九%、金属くずが百九十六万トンで約五%、その他埋め立てにするのが六百九十一万トンで約一六%ということでございますが、今お伺いした答弁でありますと、コンクリートのいわゆるごみが約三千万トン、処理能力が三千八百四十八万トンであります。
 また、可燃、燃やすごみに関しましては、ごみの出る量が四百九万トンで、実際に処理できる量が百三十四万トンであります。割り算をしますと、首都直下地震が起きた際にコンクリートの処理は約二年、また、可燃のいわゆるごみは約六年という計算になりますが、そういった認識でよろしいでしょうか。

○谷上資源循環推進部長 計画の巻末資料に掲載いたしました処理可能量は、あくまで都内の施設における余剰能力、いわゆる余剰のキャパシティーがどれぐらいあるかというデータでございます。
 今回策定いたしました計画、基本方針を七つ設けておりますが、その一つには災害廃棄物のリサイクルの推進を掲げておりまして、例えば木くずにつきましては、先ほど二年間で百三十四万トン余剰能力があるとした焼却施設に持ち込んで焼却処理を行うのではなく、極力チップ化するなどしてリサイクルすることを目指しております。できる限りのリサイクルを行うことによって、資源の有効利用及び処理期間の短縮が図れるものと考えております。

○宮瀬委員 ここは大事なところですので、もう一回ちょっと確認をしたいんですけど、私、申し上げました東京都が出しているデータと先ほど申し上げた皆さんの数値を割り算していくと、首都直下地震が起きたときにコンクリートは二年、リサイクル云々等の話はありますが、可燃のごみは六年ですかということを端的に聞いたんですが、いかがでしょうか。

○谷上資源循環推進部長 先ほど委員が二年と申し上げた数字につきましては、例えばコンクリート殻の破砕につきましては、出てくる量につきまして、都内ですと大体二千九百九十二万トンですので、破砕能力三千八百四十八万トンで二年間ありますから、大体二年ぐらいで破砕が終わるだろうという計算でございます。
 また、木くずと可燃の合計をいたしますと大体四百万トンぐらいなんですが、それの処理能力百三十四万トンで見ますと大体二年間ですので、三掛けて六年ぐらいではないかという計算になりますが、先ほど答弁いたしましたとおり、必ずしも木くずにつきましては直接焼却に持っていくわけではございません。
 一度破砕したものをチップ化いたしまして、例えば燃料チップであるとか木質ボードの材料として使うように考えております。これを行うことによりまして、焼却処理を行わずにリサイクルすることが可能になれば、この容量以内で終わることも十分可能であるというふうに考えてございます。

○宮瀬委員 行政の方から数字で明確にご答弁って、なかなかしづらいのはわかっております。ただ、木くずのリサイクル、チップ化というのは、じゃあ、実際どれぐらいの分量になるのかというのがいまだに多分見込めていない状況だと思います。大体の目安で都民の皆様に、実際に災害廃棄物がどれぐらい都内に残っていくのかという一つの目安がやはり今示されたことというのは大変重要だと思っております。
 しかし、六年を短いととるのか、長いととるのかは人それぞれでありますが、やはり私からすると、震災があって六年、ごみがずっと残り続けるというのは少し長いのではないかと思っております。今、木くずの話もございましたが、できるだけリサイクルに努めていってほしいと思いますが、その論理的な数字をある程度持っておくことが大変重要だと思います。少しでも首都直下地震後の二年、そして六年という数字を短くしていただければと思います。
 その中で、他県との連携というものは非常に重要だと思っております。東京都でも東日本大震災の際に、岩手県やその他の地域の瓦れきを約五十万トン受け入れたといった報道も見ておりますが、もし仮に都内で十分処理やリサイクルができないのであれば、当然他県とも逆に今度はお願いする形で処理を進めるべきと考えますが、所見をお伺いします。

○谷上資源循環推進部長 今回策定いたしました計画では、発災時の都の対応といたしまして、災害廃棄物処理の実施主体である区市町村からの情報をもとに、災害廃棄物の発生量、要処理量、処理可能量の算定を行うこととしております。こうして算定された要処理量と処理可能量を比較し、例えば都内の処理だけでは早期の復旧復興が困難と判断される場合などには、都が仮設の処理施設の整備、または広域処理に向けた調整を予定しているところでございます。
 発災後おおむね一カ月を目途に区市町村と調整しながら、広域処理の有無を含め、処理の優先順位、処理期間、リサイクルの方法などを示した処理方針を都は決定することにしております。この方針におきましては、できる限りのリサイクルを行うこととしており、広域処理の可能性なども含めまして、その中で処理期間の短縮が図れるものと考えております。

○宮瀬委員 今のご答弁でありますと、今さまざま連携を図っているということであります。となりますと、やはり先ほどご答弁がありましたコンクリートの処分が約二年弱で、可燃ごみが六年ということは、最大値でありまして、そこ以上は伸びないといった認識でございます。ぜひ他県と連携しながら、首都直下地震でありますと、当然、関東近郊がだめになると思いますので、遠隔の県ともぜひ連携をとっていただきたいと思います。
 一方で、私も東日本大震災の際に、災害後一週間で気仙沼の方に物資を届けに行ってまいりましたが、やはり道路の確保というのが最重要だと思っております。瓦れきの撤去がなされなければ、救急車やパトカー、緊急車両、通れないわけでありますから、その道路をどう確保していくのかが大きな課題となります。
 実際に自衛隊の皆さんが道路の開通を目指して動かれると思いますが、東京都においては、じゃあ、自衛隊の皆さんが、道路のいわゆる災害廃棄物のいろいろ瓦れき等をどけたものをどう処理していくのかというのが大きな課題だと思っております。
 とりわけ東京都の防災計画では、電力の復旧は発災後五日となっております。何がいいたいかといいますと、私、よく質疑するんですけれども、都内の災害拠点病院が八十ある中で、病院の非常用電源、発電用の燃料の備蓄が三日しかないわけであります。
 その中で道路の復旧が五日ということになりますと、残り二日、電力を喪失する可能性が大きいと思っております。災害拠点病院だけではなく、百二十ほどある災害拠点連携病院も多く患者さんが入院をしていて、電力の確保というのは本当に大きなテーマだと思っています。
 道にある瓦れきをいかに早く取り除けられるかが本当に生命をかけた大きな取り組みだと思っております。その中で、実際に仮置き場をどうするのかといった問題がございますが、実際、区市町村が対応すべきことだと思いますが、どのような連携を想定し、いざというときに緊急対応ができるよう、どのように取り組んでいくのか伺います。

○谷上資源循環推進部長 今回の計画では、これまでの大規模災害を教訓といたしまして、平常時からの関係機関同士の連携体制の準備や、発災初動期に廃棄物の分別を徹底することが重要であることから、災害廃棄物の適正かつ迅速な処理を行うための事前準備について明記しております。
 その中で、仮置き場に関しましては、区市町村が選定、準備するほか、被害状況によりましては都も支援できるよう、発災後に利用できるオープンスペースを事前に把握していくこととしております。
 今後は、都として発災直後の混乱が予想される初動期を中心に、復旧復興期までに対応すべき業務手順等を記したマニュアルを整備するほか、区市町村等と連携した訓練、演習に取り組んでいくことによって、発災時における対応力の向上を図ってまいります。

○宮瀬委員 ご答弁ありがとうございます。今後は、マニュアルをつくって訓練していただくというご答弁をいただきました。しかし、逆にいえば、ちょっと厳しい言葉でありますが、今までそういったマニュアルですとか運用がなかったというのが現状だと思っております。ぜひ、自衛隊の皆さんがまず瓦れきを側道に寄せる、その寄せた瓦れきを速やかに区市町村のいわゆる仮置き場に置く、その仮置き場が、いかにすぐ分別をして処理できるような体制を組んでいただくようお願いを申し上げます。
 地震の瓦れきについて質疑をしてまいりましたが、次に、もう一つの災害がいわゆる火山の噴火でございます。例えば、富士山の噴火といったことがいわれておりますが、私も最初は富士山の噴火はあり得ないという認識でおりましたが、都議会議員になりまして、国の研究機関ですとか、東京都の防災部の方で富士山の噴火はもうリアルなリスクとして想定をされております。
 そこで、平成二十八年第三回定例会、前期になりますが、私の方から富士山の噴火についてどのように都は捉えているのかといった質問に対しまして、南関東一円に降灰の影響が及ぶとされ、都においても数センチ程度の降灰が見込まれることから、対策が必要な防災上のリスクと認識していますというご答弁がございました。
 もう少し資料を見ていきますと、平成二十一年に修正した地域防災計画の中で、富士山噴火の降灰対策は、いわゆる災害の影響範囲でありますが、宝永噴火と同程度としたときに、八王子市及び稲城市の一部は十センチ灰が積もる、その他の地域は二センチから十センチ程度積もると、これは私がいっているわけではありません。東京都が出している数字データでございます。
 火山灰が降り注ぎますと、まず交通網がほぼやられまして、当然、緊急車両も通れなくなるわけであります。また、停電のリスクもありますし、そうしますと、先ほどいった病院の燃料の問題もございます。当然健康被害も影響があると思っておりまして、その中で都民の環境、そして健康ということでありましたら、当然環境局の皆様も出番があるのではないかと私は思っております。
 そこで、首都直下地震の件で質問してまいりましたが、実際に数年以内に巨大噴火のリスクというのが指摘されている昨今でございます。大きな地震と噴火は連動しているということで、南米の方でも地震と噴火は連動しております。首都直下地震が起きた後の富士山の噴火と、考えたくもありませんが、そういった事態に備えまして、都内全域に莫大な量の火山灰が生じます。その処理について環境局としてどう考えているのか所見をお伺いします。

○谷上資源循環推進部長 火山灰につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律における廃棄物には該当いたしません。富士山の噴火に伴う降灰対策につきましては、東京都地域防災計画火山編に別途規定がございまして、火山灰の処理につきましては、土地の所有者、管理者、または区市町村が行うこととされているところでございます。

○宮瀬委員 私は今のご答弁、少し違和感を感じるわけであります。まず火山灰となりますと、広域にまたがりまして--少なくとも今、土地の所有者、土地を持っている人と、区市町村の役割ですというご答弁でありました。火山であります。その中で本当に全域に火山灰が都内、多いところで十センチ積もるといわれていて、それを、土地を持っている方と区市町村でやってくださいといったご答弁だったと思います。本当に区市町村だけで、また、地主さんだけで対応できるんでしょうか。率直にお伺いしてもよろしいでしょうか。

○谷上資源循環推進部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、火山灰の処理につきましては土地の所有者、管理者、または区市町村が行うこととされておりますので、例えば道路に積もりました火山灰につきましては、降雪地帯における除雪と同じように道路管理者が行うものというふうに考えてございます。
 また、区市町村が火山灰の処理を行うということに役割分担はされてございます。今後これの具体的な内容につきましては、東京都地域防災計画を所管します部署において具体的に検討がなされていくというふうに考えてございます。

○宮瀬委員 実際に環境局としては、地主さんと区市町村ということでございました。私はもうこれ以上ここの部分に質問いたしませんが、もう一度申し上げますが、広域の災害であること、それは首都直下地震も同じであります。とりわけ都内全域に、全ての家屋の屋根に、また公園等いろんな敷地に十センチ積もるということはどういうことなのかということで、環境局の皆さんにもぜひ考えていただきたいと思います。
 そういった中で、富士山の噴火に対しまして、環境局として逆に対応できる、対応することというのはないのでしょうか。

○谷上資源循環推進部長 今回策定いたしました東京都災害廃棄物処理計画では、火山による災害から発生した廃棄物処理の計画については今後取り組むべき課題としてございます。検討状況に応じまして、関係部署と調整して進めていく予定でございます。

○宮瀬委員 ぜひ進めていってほしいと思います。ご答弁をよく聞いていると、火山に関する廃棄物、その災害に伴う廃棄物の処理は皆さんがやると、しかし、火山灰は違いますということでありますが、都民の皆さんからしてみれば、両方とも生活を脅かすものであるのに変わりはありませんので、ぜひ局を超えてやっていただきたいと思います。
 また、ほかの自治体では、桜島があります鹿児島市や鹿児島県の方に実際に行かれて計画を練られているといった自治体もあると聞いております。ぜひそういった先駆的な取り組みをしている自治体を見ていただいて、東京都の富士山の噴火の火山灰に対する対応としていただきたいと思います。
 次に、高圧ガスの施設についてお伺いいたします。
 災害時に大きなリスクとして火災が挙げられております。報道でもございましたが、東日本大震災の際に、石油コンビナートから、津波により壊されたタンクの方から大量に重油が流出をしまして、そこから何かしらの理由で火災が起きたわけであります。多くの方々が命を落としまして、国の方では指針として、こちらにありますが、石油コンビナート等災害防止法の概要ということで、石油コンビナート等高圧ガスが置かれている自治体に対して行政対応を求めた資料、通達がございますが、実際に皆様と議論していく中で、東京都にはコンビナートがないので対応していませんとお伺いしました。
 しかし、都内には、私、地元板橋もそうですけれども、大きなガスタンクですとか、高圧ガス自体はあるわけであります。この通達には石油コンビナート等と書いてある、等の中に、この中の文章でも高圧ガスという文言が出ていますので、この対応が、いわゆる皆様の中では対応の範囲外といったことに驚きを持っております。
 そういった中で、今回の事務事業の中を見ますと、高圧ガスの取り組みとして、災害時の高圧ガスの取り組み、防災に対する見解が出ておりました。
 そこで、改めてお伺いしますが、東日本大震災において、東京都内の高圧ガス施設の被害状況はあったのでしょうか。お伺いします。

○松永環境改善部長 東日本大震災では、都内での事故はございませんでした。

○宮瀬委員 実際に事故はなかったということでありますが、この中で、やはりそういったタンクが地震等によって破損して、そのタンクが壊れて燃料が漏れ出て引火してしまうといった事態が想定されるわけであります。
 前回の地震の際には大きな事故はなかったということでありますが、実際に整備、点検することは大事であります。東日本大震災を契機に、平成二十五年から二十七年にかけて耐震基準適合状況等の調査を行ったと聞いておりますが、不備はどれぐらいあったのでしょうか。

○松永環境改善部長 都では、一定規模以上の高圧ガス施設を有する二百八十一事業所、三百九十施設の耐震設計基準への適合状況等を調査いたしました。
 その結果、高圧ガス保安法の耐震設計基準が適用される各施設につきましては全て適合しており、昭和五十六年以前の耐震設計基準が適用されない古い施設につきましても同程度の耐震性能を有することが確認できました。
 一方、維持管理の状況につきましては、大半の施設で良好でございましたが、支柱の腐食や基礎コンクリートの劣化等のある施設が区部で十六カ所、多摩地域で十三カ所、合計二十九カ所ございました。

○宮瀬委員 高圧ガスの施設が劣化してしまっているということで、二十九カ所あるといったご答弁をいただきました。もちろんすぐ対応しなければ、地震はいつ起きるかわかりませんので、対応していただきたいと思いますが、実際どう対応しているのか、確認を行ったのか、現在の状況について教えてください。

○松永環境改善部長 改善等の対応が必要な施設につきましては、平成二十八年度から立入検査等を通じて具体的指導を行っておりまして、今年度中に全て終わる予定でございます。
 また、現在、改善済みとなっております施設は二十二カ所でございます。

○宮瀬委員 検査の方は今年度終わる、そこから検査を受けて指摘をして改善という手続になりますので、少なくとも指摘を今されている二十九カ所中二十二カ所は対応しているということで、あと七カ所ございます。あえて委員会の質疑で取り上げて数字を確認させていただいていますので、ぜひ早急に対応していただきたいと思います。
 一方で、今回質疑をさせていただく中で一つ大きな疑問があるわけであります。都内には、板橋区にもありますが、大きなガスの円形の、巨大な建物があると思います。その建物自体、都内にたくさんある、川沿いとか、そういったものがあると思います。私も小さいながら、そういったタンクを見て育ったときに、あのタンクがもし地震の際に壊れて爆発をしてしまったらどうなるんだろうといったことで、実際に近隣の住民の方の不安というのは直接聞いたこともございます。
 実際不安だけではなくて、二〇〇三年九月には、愛知県東海市東海町の新日鐵名古屋製鉄所でガスタンクが爆発、火柱が上がり、関係者十五名が重軽傷を負ったといったご報告がされております。
 先ほどの質疑の中で高圧ガス施設の災害防止に努めているということでありますが、東京ガスのガスホルダーの指導監督は環境局で行っているのか、また災害が発生したときについて都の関与はどうなっているのかお伺いします。

○松永環境改善部長 東京ガスのガスホルダーの指導監督につきましては、ガス事業法に基づき、経済産業省、資源エネルギー庁が所管しております。震災時等には、東京都地域防災計画震災編等によりまして、東京ガスが予防、応急、復旧対策に取り組むこととなっております。

○宮瀬委員 私、今のご答弁を聞きますと、経産省と、あとは東京ガスがやる話だといったご答弁でございました。先ほど火山灰のところでもお伝えさせていただいたんですが、少しやはり違和感を感じるわけであります。
 もし、爆発事故があった、災害等でガスホルダーが破裂した際に、本当に一民間企業だけで対応できるのかといった問題もございます。また、地域の住民は当然都民でありまして、各基礎自治体を超えて爆発の影響が出る可能性が高いと思っております。そういった状況の中で、経産省と東京ガスでやってくださいといったことになりますと、本当に東京都の役割というのはないのでしょうか。
 実際に調べてみますと、こういった災害時の高圧ガスへの対応ということで、千葉県ですとか福岡県といった広域自治体におきましても、大火災対策計画、大爆発対策計画を定めているところであります。その根拠は、先ほどいった石油コンビナート等災害防止法の概要という中に、高圧ガスと中の文言で明確にいわれているわけでありますから、石油コンビナートが都内にはないからといった声も聞こえますが、ぜひ東京都環境局におきましても、その対応を検討していただきたいと思っております。
 縦割りではなく、都民の目線から立てば、実際に火山灰の件やガスホルダーの件、そういった件は東京都も責任を負うべき話だと思っております。首都直下地震の対応はします、しかし、爆発の対応や、そういった火山灰の対応は所管が違いますということでありますと、都民の目線からいうと違和感を感じますので、ぜひ東京都環境基本条例の中にありますその理念、その条例の内容をもう一回読んでいただきまして、都民のために何ができるかということを最優先に、縦割りの壁を超えて対応していただくようお願いを申し上げ、質疑を終わります。

○やながせ委員 私からも何点か質問したいと思うんですけれども、かなりかぶっている事項があるので、その点は省略をして簡潔に終わるようにしたいというふうに思います。
 まず最初に、LEDの問題について話をしまして、その後、水素社会、それから最後に自然公園の三点について質疑をしていきたいと思います。
 最初、LEDなんですけれども、もう既に先ほど来、LEDの省エネムーブメント促進事業について委員から意見が出ておりますけれども、このLED省エネムーブメント促進事業についてなんですが、これ、交換実績が九月二十四日までに十万個余りということで、目標の百万個の約一割にとどまっているというふうに聞いております。
 それで、これは大丈夫なのかという話があるわけですけれども、そもそも百万個という目標設定、これはなぜ百万個という目標となっているのかと、この点について聞きたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 平成二十六年にクール・ネット東京が実施いたしました調査から、都内でまだLED電球を一つも使用していないという世帯が約二百八十万世帯と推計しております。この約三分の一に当たります規模の百万個を目標といたしまして、LED電球を交付する取り組みによって、都内全域で省エネに対する都民の機運醸成を図るとともに、CO2削減を進めていきたいと考えたところでございます。
 なお、本事業の期間ですけれども、本年七月十日から開始いたしまして、来年七月初旬までの一年間の事業として実施しているところでございます。

○やながせ委員 都内の世帯数七百万世帯で、その四割の二百八十万世帯がこのLED電球を使っていない世帯であると、そういう調査があるということなんですけれども、そこまではよくわかるんですけど、その後、その二百八十万世帯の三分の一の百万個という設定をされたようなんですけれども、なぜ三分の一なのか、この点について聞きたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、二百八十万世帯の約三分の一ということで百万個にいたしたところでございますけれども、例えば若者の単身世帯ですとか、戸建て住宅と集合住宅の比率など、そういうものも一応勘案はいたしたところでございますけれども、おおむね二百八十万世帯の三分の一に当たる百万個というのを目標としようということで百万個としたところでございます。

○やながせ委員 七百万世帯あって、その四割が二百八十万世帯で、これはLED電球を一つも使用していない世帯数であるというデータがあるということなんですけれども、この二百八十万世帯の三分の一の規模に当たる百万個を目標としたということなんですが、この三分の一というのは、なぜ三分の一なのかという点についてお答えいただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 繰り返しになりますけれども、二百八十万世帯と推計したうち、三分の一の規模に当たる百万個を目標としようというふうに考えたところでございます。

○やながせ委員 これは決めたということですよね。ですから、三分の一にしようということは決めたということだと今理解をしたわけでありますけれども、三分の一にしようというふうに都として決めたというだけのことであって、ほかに百万個、三分の一の根拠というのは何かあるんですか--ないですね。済みませんね、しつこいんで。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほど答弁していますとおり、二百八十万世帯のうちの三分の一ということで百万個としたところでございますけれども、検討するに当たりましては、例えば若者の単身の世帯、また、一戸建ての戸数なども勘案し、おおむね三分の一を目標とするということで百万個といたしたところでございます。

○やながせ委員 若者の単身世帯が何戸あって、そこをターゲットにしているということですか。つまりこれ、百万個は積み上げであるということなんでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 例えば、若者の単身世帯でありますと、何といいますか、白熱電球二個を使っていない可能性が高い世帯ですので除くですとか、もしくは、戸建てであれば二つ以上をご使用になっている可能性が高いということで入る、そういうことは一度検討はしたんですけれども、今回、二百八十万世帯のうちの三分の一として百万個を決めたということでございます。

○やながせ委員 いろいろ検討したけど三分の一というふうに決めたということだと理解をしたわけでありますけれども、やっぱりこれ、目標設定にミスがあるんじゃないかというふうに私は思っています。やっぱりこういった事業をするときに、百万個って切りがいいので、何となく伝えやすいということから百万個というふうにしたのかなと思うんですけれども、ただ、残念ながら、今は十万個なんですね。
 先ほど三宅委員からもありましたけど、五十万個行かないわけですよ。これは十五億円の予算をとっているわけですね。トータル事業で二十億円ですけれども、十五億円というのは何かというと、単価千五百円の電球代掛ける百万個ということでこれ設定をして、十五億円をとっているということであります。
 ですから、例えば五十万個ということになれば、当然その半額である七億五千万円が不用額となってしまうということになるわけであります。そして、じゃあ、これから百万個に到達しようということで頑張られるという答弁が先ほどありましたけれども、なかなかこれは難しいだろうというふうには思うんですね。
 ですから、百万個なんか到達しなくてもいいんだという、達成意欲というのは失われていくのかなというふうに思います。私は、こういう目標は極めて重要なもので、積み上げだけではいけないんですけれども、現実的にある程度、電球が一年間にこの東京都内でどれくらい販売されているのかであるとか、やっぱりそういったことをしっかりと調査して、エビデンスを重ねてやっていくと。
 それと同時に、高い目標設定をしたいということは当然ありますから、やっぱりこれぐらいやらなければ意味がないだろうという、そこをすり合わせして、現実的にこの目標設定というものをしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、今回の百万個の目標設定について今どのように考えているのかという認識について聞きたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 繰り返しになりますけれども、平成二十六年に調査した都内でまだLEDを一つも使っていない世帯が二百八十万、そのうちの三分の一を百万として今回の目標と定めたところでございまして、この目標の達成に向けて、引き続き普及啓発、それから広報を行いながら、目標達成に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○やながせ委員 目標設定というのは非常に重要だということで、今、じゃあ、この事業に対してみんながどう思っているのかといったら、簡単にいえば、これ、失敗の事業じゃないかというふうに思っているわけですよ。百万個といっていたのに全然進まないじゃないかと、もうこれは十万個しか行かないじゃないかという認識ですよ。
 でも、その認識でいいのかといえば、私は、この事業そのものは非常にいい事業だというふうに考えておりまして、効果のある事業だというふうに考えているんですね。これ、百万個、もし達成できたならば、CO2は四・四万トン、一年当たり削減できるということで、これは三万世帯分だということですから、毎年毎年この百万個をここで減らすことができたならば、この三万世帯分の電力使用を控えるだけのインパクトのある事業だということだと思います。
 ですから、私は非常にこれは意義があるというふうに思うんですけれども、この目標設定が、積み上げであるとか、設定の仕方を間違えてしまったがゆえに、残念ながら失敗した事業だと。かつ、この事業というのは小池さんが派手にピコ太郎と踊っているということから、都民みんなが知っている事業であると思うんですね。そういう意味では認知が高い事業だというふうに思うわけでありますけれども、この事業が失敗したということは小池さんが失敗したと、小池知事失政の一つだという位置づけになってしまうわけですね。
 だから、そういった観点からも、この目標設定のあり方というのは、私、各事業について、この目標設定を厳しく見るようにしているわけでありますけれども、やっぱりどこかで軌道修正をした方がいいんじゃないかというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 目標の設定に当たりましては、都内でまだLEDを一つも使っていない世帯が二百八十万世帯あるというところから、その三分の一に当たる百万個を目標といたしたところでございまして、この目標達成に向けて引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。

○やながせ委員 ぜひ、百万個達成に向けて頑張っていただきたいというふうに思うんですけれども、でも、百万個行かなかったら、これ、誰か責任とらなくちゃいけないですよ、こういうのって。普通、民間だとそうですから。やっぱり事業目標を決めて、そこに到達しなかったということになれば、それは誰かが責任を問われるということになるわけです。だから、それだけ目標設定というのは厳しいものだというふうに、ぜひそういう認識をしていただきたいというふうに思います。
 これはただ単純に失敗したとかというだけではなくて、やっぱり十五億円の予算をとっているわけですよね。それが不用額になってしまうということがいかに大きなことなのかという、これもぜひ認識をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 それでは、この事業については、もう一つ疑問点があって、これ、ピコ太郎さんを使っているわけでありますけれども、この広報のやり方は非常にインパクトがあったというふうに私は考えています。
 ただ、タレントの契約額が二千万円弱であるということで、これはちょっと高いのかなと。私はもともと広告代理店の出身でありまして、さまざまなCMとか、タレントの契約とかをやってきたわけでありますけれども、二千万円弱ということを聞いて、高いのかなという正直な印象を持ちました。この二千万円弱という契約額は妥当だという根拠をお示しいただきたいというふうに思います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業を開始するに当たりまして、白熱電球二個とLED電球一個を交換するという事業の特徴をわかりやすく伝えることができ、かつ多くの都民の方に広く本事業を知っていただけるように、事業イメージに合致し、また認知度の高いタレントを起用して広報を実施することといたしました。五月からユーチューブに公開した広報動画は再生回数二十二万回、また、テレビの情報番組でも何度も取り上げられるなど、波及効果は大きいと思っております。
 また、七月十日の事業開始時には都庁で交換開始のイベントを実施いたしました。タレントも参加したことで多くのマスコミに取り上げられ、また電球の交換の仕方、また交換対象となる電球の種類など、具体的な内容を広く都民にお知らせすることができたと考えております。
 さらに、ポスターや、のぼり、チラシなどにもこのタレントを活用することで、都民にとってわかりやすく大きな広告効果を上げたというふうに考えており、契約額は高くなかったと考えているところでございます。

○やながせ委員 これ、契約に当たって、企画コンペであるとか、競争性の高い入札であるとか、そういったことをされたのかどうなのか、この点について聞きたいと。

○小川地球環境エネルギー部長 今回は、本事業に合致するタレントを選定いたしまして、その上で、都の契約にのっとりまして特命随意契約で行ったものでございます。

○やながせ委員 先ほど申し上げたように、この広報の仕方については効果があったというふうに私は思うんですけれども、この二千万円というのが妥当なのかどうなのかということについては、これはどうやって都民に説明をすればよいのでしょうか。
 普通、やっぱり入札なのか、コンペなのか、さまざまな比較検討がなされた上で、内容とコストが見合ったからこれなんだよというのが税金を使った事業のやり方だというふうに考えるわけですけれども、この二千万円が妥当だというのをどういうふうに証明されるのかというこの点についてお伺いしたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほどの答弁と繰り返しになる部分がございますけれども、本事業を都民の方にできるだけわかりやすくお伝えすること、また本事業のイメージに合致し、認知度の高いタレントを起用するということで、タレントの起用を決定し、都の契約手続にのっとり、タレントの所属する事務所と契約を行ったものでございます。

○やながせ委員 これ、決め方として、入札やコンペとか、そういった競争原理というのは働いていないわけであります。随契をしたと。局内で誰がいいのかなということで、ピコ太郎さんがいいだろうということで、ピコ太郎さんに当たった結果、向こうから二千万円といわれたというだけの話なんですね。ですから、その二千万円が高いのかどうなのかというのは、これはどうやって説明するんですか。この事業の進め方、まず局内で人を決めて、その人に当たって随契をするというやり方が、ちょっと大きな瑕疵があったんではないかなというふうに私は考えるわけです。
 まず最初に、じゃあ、もしピコ太郎さんが六千万円ですよと、もしくは一億円ですよといわれたら、それはやったんですか。その点についてお伺いしたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 繰り返しになりますけれども、予算の範囲内におきまして、本事業の趣旨に合致するタレントの選定を行い、都の契約手続にのっとって行ったものでございます。

○やながせ委員 ですから、これはエイベックスさんとの契約ということなんですけれども、普通に考えて、やっぱり初めに人ありきでいくと、それは足元を見られるというのは当然のことであります。ですから、こういった事業をするときには、なれないことを東京都が直でやろうとすると、やっぱりちょっと無理が生じるのかなというふうに思いますので、こういった事業のやり方はやめて、しっかりとコンペをするというやり方に今後ぜひ改善していただきたいと、こういうことを一応申し上げておきたいというふうに思います。
 類似の事業については、今後もしっかりとチェックをしていきたいというふうに思いますので、ぜひお願い申し上げたいと思います。
 それで、次に水素の問題に移りたいというふうに思いますけれども、先ほど水素社会の重要性についてはさまざま言及がありました。都も産学官連携のTokyoスイソ推進チームというものを発足させたということで、東京水素の日等々をつくって、広報活動も強化するということであります。
 このこと自体に異を唱えるものではありませんし、水素社会の実現というものが大事なことだということはそのとおりだと思います。さっき局長の方から、五十年後、百年後を見据えたということで、多分そういった長いスパンの事業なんだろうなというふうにこの普及啓発というのは思うんですね。
 そこで、まず最初に聞きたいのは、都は水素エネルギーの普及啓発ということに取り組んでいるわけですけれども、都民が今、水素エネルギーに対してどれだけの認識をしているのか、これをどのように把握されているのかということ、この点についてお伺いしたいというふうに思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 現状についての把握ということでございますが、水素エネルギーにつきましては、平成二十六年度に燃料電池自動車が市場に投入されるなど、普及の初期段階にあり、多くの都民の皆様にとっては余りなじみのないエネルギーであると認識しております。
 都は、同年度末に初めてシンポジウムを開催し、その後さまざまな場面において普及啓発活動を実施してきております。
 今後とも、水素エネルギーを活用する意義や安全性等に関する都民の皆様の理解を深めるために取り組みを進めてまいります。

○やながせ委員 そうなんですね。だから、この水素のエネルギーを活用する意義や安全性等に関する都民の皆様の理解を深めていくことが重要だというのは共通認識としてあるわけでありますけれども、都民が今どれくらいの認識を持っているのか、水素が安全だと思っているのか、危険だと思っているのか、そのデータはあるのかと、エビデンスがあるのかということを聞きたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都が平成二十七年度に実施したアンケートでは、水素のイメージとしまして、爆発を挙げる方が多く見られるなど、正しく管理すれば安全という水素の安全性に対する理解は十分に進んでいないというふうに認識しているところでございます。
 また、今後暮らしの中で使ってみたい水素エネルギーとして、自動車等、既に商品化されているものを挙げる方が多く、さまざまな場面で活用できる水素の有用性は浸透していないと認識しております。

○やながせ委員 どれくらいの、都民の何割ぐらいの方が安全性を理解していないというふうにお考えでいらっしゃるのか、もしくは何割ぐらいの方は水素をきちんと理解しているというふうに考えているのか、そのエビデンスがあるのか、その調査というのはどういう調査なのかということをお聞きしていいですか。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都民の方の理解に関する何割というデータ、エビデンスはございません。
 現状といたしましては、先ほど別の答弁で、二〇三〇年におけます燃料電池自動車の普及台数の目標二十万台、水素ステーションの普及百五十カ所という目標を掲げているところでございますけれども、現状におきましては、燃料電池自動車につきましては三百台程度と推計していると、水素ステーションにつきましては十三カ所程度ということになっているというふうにお答えしたところでございまして、目標に向けてまだまだ安全性、それから有用性についての都民の理解を深めていくことが必要である状況というふうに認識しているところでございます。

○やながせ委員 エビデンスがないということはよくわかりました。そういった意味では、都は水素エネルギーが広く認識されるということを目的としてさまざまな事業をしているわけですけれども、この水素エネルギーが広く認識されているというのはどのような状態を指しているのかということを聞きたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都はさまざまな手法により、水素エネルギーを利活用する意義、水素の安全性やリスク等に係る情報提供を行っております。
 水素は、環境負荷の低減やエネルギー供給源の多様化等の意義を有することや、ガソリンや都市ガス、LPガスと同様に、正しく管理すれば安全なエネルギーであることが広く都民に浸透することを目指して取り組みを進めているところでございます。

○やながせ委員 広く都民に浸透することを目指しているということはわかるんですけれども、その広くというのが何を示すのかということなんですけど、それについては何かお答えがありますか。

○村山都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーを活用する意義や水素の安全性等について、広く都民の皆様に浸透している状態というふうに認識しております。
 具体には、今後、二〇二〇年大会を契機としまして、自動車やバス、まちづくりなど、生活のさまざまな場面で活用が進み、都民の皆様が水素エネルギーに接する機会がふえることにより、こうした状況が訪れるというふうに期待しているところでございます。

○やながせ委員 私がなぜこういう質問をするのかというと、やっぱり普及啓発というのを都はいろんな事業で取り組んでいるわけでありますけれども、まず現状がよくわかっていないわけですよね。都民の中で、どれくらいの方がどんな意識を持っているのかという調査データも何もないということであります。じゃあ、それをどういうふうにしたいのかというと、それも漠としていて、広く浸透させるということでしかないということでありました。
 そのような中でさまざまな事業を行っていくのは非常に危険なことだなと私は思うんですね。それは例えるならば、砂漠に水をまくような事業となってしまって、まあ、水は若干残るかもしれないんですけれども、ただ、広大な砂漠に一生懸命水をまいているというような普及啓発という事業になっているなというのは、これは環境局の今回の水素の問題だけではなくて、これはあらゆるところで申し上げてきたわけでありますけれども、やっぱり今、現状どうなっていて、どこを目指していくのかというのを、きちんとこれは設定をしなくちゃいけないだろうというふうに思います。
 それはかなり難しい作業だということもよくわかるんですけど、それがないと、果たして、やっぱりさまざまな事業の予算を認められないですよね。この後のスイソミルの話にもつながってくるわけでありますけれども、やっぱりしっかりと数値目標を持っていただきたいというふうに思います。それについては何か答弁がありますか。

○村山都市エネルギー推進担当部長 先ほど来答弁を申し上げておりますとおり、都は、二〇三〇年に燃料電池車二十万台、水素ステーション百五十カ所というような目標を掲げて、さまざまな施策を推進しているところでございます。この施策を推進するために、各種補助金の着実な実施、それから普及啓発を行っているところでございまして、そういった普及につながるということを目的に普及啓発事業を今後とも実施してまいる所存でございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。FCVとか、エネファームとか、水素ステーションの数値目標があるということはよくわかっているわけでありますけれども、じゃあ、そのためにはどこまでの認知を獲得しなくちゃいけないのかということ、こういったことが重要なんだろうというふうに思いますので、ぜひその点は考えていただきたいと思います。また予算でやりたいというふうに思います。
 それで、これ、役割分担の問題なんですけれども、東京都環境公社という外郭団体があります。これは監理団体でありますけれども、ここと東京都の環境局で同じような普及啓発事業、環境に関する広報ということで、この水素に関してもそうなんですけれども、やっているということでありますが、この役割分担はどうなっているのかと、この点についてお伺いしたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都は、水素エネルギーの普及啓発に係る総合的な企画立案を行っており、これまでイベントやシンポジウムの開催、パンフレット作成、開校でんじろう東京スイソ学園のユーチューブ配信などを行ってきております。
 一方、東京都環境公社は、都の環境施策を補完する役割を踏まえ、水素社会の早期実現を図るほか、水素ステーションを誘致した際に、周辺住民から安全性に対する不安が示されたこと等を踏まえ、水素情報館東京スイソミルの活用による情報発信を行っております。

○やながせ委員 都が総合的な企画立案を行うということでありますけれども、総合的な企画立案以外にも、都が直営でイベントもやっているわけですね。環境公社は一方で、東京スイソミルであったりとか、またほかの、これ、環境公社の事業概要でありますけれども、環境に係る広報、普及啓発及び支援等に関する事業を行うということが書いてあって、特に、例えば地球温暖化防止活動普及広報事業と、こういった事業はやっているわけであります。
 私、思うんですけど、やっぱり都の普及啓発の予算というのは極めて少ないですね。少ないというのは、効果を出すには非常に少ない予算で、事業ごとに細切れになっていると。ですから、私はやっぱり役割をしっかりと分担した方がいいだろうというふうに思うんです。
 ですから、例えば、東京都はやっぱりブレーン機能として企画立案を行って、環境公社が実行部隊と。これから監理団体をしっかりと実行部隊としてタッグを組んでやっていくんだということをいっているわけでありますから、環境公社が例えば地球温暖化の普及啓発をやっているのであれば、こういった地球温暖化と水素ということも含めてトータルでやっていくと。その方がトータルコストが、トータルでかけられるお金がふえますから、より効果的、効率的な広報ができるというふうに思います。そういう役割分担をもう一回見直すべきなんではないかというふうに思います。
 私の問題意識は、やっぱり都はさまざまな事業をとにかく抱え過ぎということで、国との役割分担も--水素社会の普及啓発というのは国もやっているんですね、区市町村もやっていると、都もやっていると、環境公社もやっているということであります。ですから、こういった役割分担をはっきりさせるということが一つ重要なことなんだろうというふうに思いますし、せめて都にできることというのは、都と環境公社の役割分担をしっかりと行っていくということ、これは都にできることだというふうに思うわけでありますけれども、見解をお伺いいたします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 先ほどご答弁しましたように、都は水素エネルギーの普及啓発に係る総合的な企画立案等を行っておりますし、また各種イベントやシンポジウムの開催等も行っているところでございます。
 なお、イベント開催等の普及啓発事業につきましては、多くの民間事業者が実施可能であることから、基本的には入札等に付すべき性質のものであり、公社一括して委託することは適切でないというふうに認識しているところでございます。

○やながせ委員 この役割分担というのはぜひ考えていただきたいというふうに思います。これは水素だけの話ではなくて、普及啓発の話だけではなくて、都と外郭団体、特に監理団体のあり方と、これは次の予算でもしっかりテーマにしていきたいというふうに思います。この監理団体との連携、これを強化していくということでありますから、都はブレーン機能になる、外郭団体は実行部隊を担うと、こういうあり方が一番効率的なんだろうというふうに私は考えております。本来は外郭団体はなくした方がいいという考え方でありますけれども、通過点としてそういうやり方にした方がいいというふうに思っておりますので、ぜひご検討いただきたいというふうに思います。
 それで、今回水素社会の実現に当たって、去年、東京スイソミルという建物ができました。江東区の潮見にある建物ですね。私、行ってきました。これ、もともと公社が持っていた実験施設ということで、これを改築して、うまいことつくったなということなんですけれども、スイソミルはアクセスが悪いですね。ちょっと遠いですね、潮見。でも、コストを削減するために多分あそこを活用しようということでつくったというのはよくわかります。
 私が行ったときにも、四、五人ぐらいの方がいらっしゃって、一階には水素って何だろうみたいなものがあって、クイズとかがあるわけでありますけれども、お子さんたちは、そこはばあっと素通りして、二階に発電できる自転車があって、その自転車で水素エネルギーを起こして、それでラジコンカーを走らせるというようなものがあるんですけど、お子さんはそこばっかりに行っていましたね。
 そういった意味でいうと、なかなかこういう箱物というのは難しいなというふうに私は思っておりまして、東京都はさまざまなエネルギーの課題について取り組んでいるわけでありますけれども、これはほかの再生エネルギーの普及啓発についてはこういった箱物を整備していません。なぜこの水素の普及啓発に関しては、このスイソミルという箱物を整備したのかと、この点について聞きたいと思います。

○小原環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水素は無色の気体でございまして、実際に目にすることができませんので、認知度を向上させていくには、実際に水素エネルギーに接していただくことが重要でございます。
 そこで、水素の意義や未来の水素社会などをパネルなどで理解していただくことに加えまして、燃料電池車の試乗ですとか、自転車をこいで水素をつくる実験なども体験できる施設として東京スイソミルを整備いたしました。
 東京スイソミルを訪れた方々に、水素エネルギーの安全性や防災力など多様な役割を理解していただくことで水素エネルギーの普及につなげてまいります。

○やながせ委員 ただ、東京都は原発のエネルギー供給を受けている消費地であるということでもあります。また、であったということですかね。また、再生可能エネルギーと、こういったものに取り組んできたわけですよね。どのエネルギーもやっぱり目には見えないわけです。
 水素も目に見えない、だから触れなくちゃいけないというロジックだったわけですけど、ほかのエネルギーも同じように目に見えないわけですね。なぜ水素だけが今回スイソミルという形の箱物になったのかということでありますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

○小原環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水素のエネルギーが目に見えないというのは、水素自体が目に見えないといったところが大きく影響しておりまして、それをどう見える化するかということで、今回、東京スイソミルを整備したものでございます。
 委員ご指摘の例えば再生可能エネルギーなどですと、再生エネルギーをつくる設備、例えば風力発電であれば風車であるとか、ああいったものは風車という形が見えますので、実際に風車などが整備されているものを見せれば済むんですけれども、水素エネルギー自体は水素が目に見えないので、エネルギーとして使われている姿を目に見えるように東京スイソミルをつくったということでございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。僕は、こういった箱物はもうやめた方がいいかなというふうに率直に思っています。このスイソミル自体はよくできていました。私なんかが行くと、一生懸命、僕、一時間ぐらいいたんですけど、知らなかったことがたくさんあって、よく理解できました。ただ、やっぱりこれはお子さんを相手にするものだというふうに思います。多分、大人の方はほとんど来ていなかったんで、お子さん向けだと思います。
 そういった意味では、体験できるというのは確かにいいんですけど、ただ、箱物で年間四千万、これ、整備費が一億七千万ぐらいですかね。運営経費四千万かかるということで、目標も一万二千人ということでありますけれども、一万二千人の方がここに来場することによって、これはどのような影響があるんでしょうか。どのようなインパクトをもたらすことができるのかということを聞きたいと思います。

○小原環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 スイソミルにつきましては、年間一万二千人の来場の目標を設けているという点についてはご指摘のとおりでございまして、これは、スイソミルという場を一つの場といたしまして一万二千人お越しいただくのとあわせて、今までるる答弁申し上げてきたような取り組みも含めまして、水素エネルギーについて発信していくということの一翼を担っているものでございます。
 したがいまして、この一万二千人だけを取り上げてその効果がどうこうということではなくて、水素エネルギーの普及啓発に関する全体の中で役割を担っていくものと認識しております。

○やながせ委員 これ、最初に戻ってしまうんですけど、やっぱり現状、都民の皆さんが水素についてどういう認識を持っているのかということはよくわからないわけです。都もよく把握されていないということです。それをどこまで認知を高めていくのかと、どういう理解を深めていくのかという数値目標もないわけですね。その中で箱物をつくって一万二千人来たらいいじゃないかというのは、やっぱりこれ、納得できません。
 水素社会をつくるという大きな目標を掲げていて、それは五十年、百年スパンのものだというふうに思います。ただその中で、やっぱりこれ、ちゃんと納得を--都民に説明していく、事業として税金を使ってやっていくためには、毎年毎年ここまでやっていくんですよという目標があって、それに対してスイソミルはこれだけの寄与をするんだということを説得していただかないと、これ、外郭団体だと、監理団体だということでありますけれども、東京都と一体的に運営している以上、これは東京都の施設のようなものですから、そこで四千万かけてやっていくということはやっぱり理解が得られないだろうというふうに思います。
 それはやっぱり数値目標がないと、どう貢献できるかということを、目標もそうですけれども、ちゃんと数字で説明できないというところに問題があるというふうに私は思うんです。これ、もしやろうとすれば説明できると思いますよ。それをよく考えていただいて、そういった説明をするように、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 現状ではスイソミルがどれだけ寄与するのかと、それは水素社会にどれだけ寄与するのかと、それは都民の利益にどうなっていくのかということがよくわからないと。だから、これに対してアグリーはできないというふうに、都民の代弁者としてそれは申し上げておきたいというふうに思います。
 水素社会を目指すに当たって、普及啓発の中では、このスイソミル、江東区の潮見で、なかなかアクセスも悪いということもあって、やっぱりこれは自転車をこぐ器具などは東京都も補助しておるということのようでありました。ですから、来ていただくというよりも、やっぱりこれは学校の教育現場でしっかりと水素社会に関して普及啓発を行っていくというのが王道で、ここを強化していくということにお金を使った方がより効果が高いんじゃないかというふうに考えるわけであります。
 そういった意味では、東京都の教育庁としっかりと連携をとるべきというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○小原環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでも、環境教育を担う小学校教職員を対象といたしました環境教育研修会の中で、水素エネルギーもテーマの一つとして研修を行ってまいりました。また今年度、水素も取り上げた環境副読本を教育庁の協力のもと作成いたしまして、教育現場に配布することで水素エネルギーの普及啓発に取り組んでおります。
 引き続き、環境学習を推進する中で、水素エネルギーの普及に向けて教育庁とも連携を図ってまいります。

○やながせ委員 ぜひ教育庁と連携をとっていただきたいというふうに思います。
 ちょっと一問飛ばしたんですけど、これは聞かないんですが、やっぱりスイソミルも、小池さんが来て、改革の一つに事業の終期をつけたということですね。事業の終わりをちゃんと設定したということはすばらしいことなんだろうというふうに思っております。
 そういった意味では、このスイソミルなんかも、箱物ではありますけれども、こういう状況になったらこのスイソミルはもう役割は終わったんだというようなことがしっかりとわかるような説明をしていただきたいなというふうに思います。これ、一万二千人毎年来たから、それで役割が終わるということではないというふうに思うわけでありますけれども、なかなか、私たち、コストパフォーマンスがいいのかどうかというのはよくわからない、こういった事業を見ていく上で、やっぱり事業のゴールをちゃんと明示していただきたい。このことを申し上げておきたいというふうに思います。
 水素に関して申し上げると、さっきの水素ステーションの話がありましたけれども、私、大田区なんですけれども、私の家のすぐ三分ぐらいのところに水素ステーションがあるんですね。池上のイワタニのステーションなんですけれども、できてからもう何年たつのかわからないんですけど、残念ながら、一回も水素を注入している場面を見たことがないんですね。水素ステーションとセブンイレブンが併設されていて、私、よくそのセブンイレブンに犬の散歩をしながら行くわけでありますけれども、毎回すごく注目しているんですけど、一回も水素ステーションでFCVが注入しているといったところは見たことが残念ながらないということであります。
 先ほど、卵が先か鶏が先かという議論があるわけでありますから、それはしようがないとしても、やっぱりこれは近隣の皆さんから、やながせさん、あの施設は何なんですかということをよく聞かれるわけですね。やっぱり使っていないので、かなり目立つ建物になっています。
 ですから、これは要望でありますけれども、ステーションの近隣には、あれは水素ステーションなるもので、FCVを買ったら、あそこで注入できるんですよというような告知をぜひしていただくと、そうすると、ああ、あれが水素ステーションかということで、じゃあ、FCV、ちょっと買ってみるかと。僕はちょっとお金ないから買えませんけど、FCV、買うかというような動機にもなってくるのかなということも含めて、ぜひそういった告知をしていただきたいということ、これは要望しておきたいというふうに思います。これは質問ではありません。
 最後に、自然公園の利用について聞きたいというふうに思います。
 ことしは二〇一七年で、雲取山が二千十七メートルということで、雲取山の記念すべき年ということのようであります。残念ながら、私、この事実も知らなかったわけでありますけれども、先ほどさまざまな自然公園についての話がありましたので、飛ばすべきところは飛ばしますけど、やっぱり自然公園の役割というのは東京においても非常に高いものがあるというふうに考えています。
 特に都民の皆さんが利用されるということもそうなんですけれども、インバウンドを考えていく上で、私はやっぱりインバウンドを伸ばしていかなければ東京の成長はないというふうに考えています。気候、食事、文化、自然というインバウンドの四つの要素がそろっているところはちゃんと観光として成り立っていく、発達していくというのがありまして、東京は、気候もいいですし、食事もあって、文化もあるという中で、自然がしっかり完備されたら、もっと魅力的な東京になっていくだろうというふうに考えるわけであります。
 その中でいうと、ちょっとさっきの答弁とかぶるかもしれないんですけれども、やっぱり海外の方がどれくらい今、高尾山なのか、雲取山なのか、そういった自然公園を利用されているのかという実態調査を把握しなければいけないというふうに考えるわけですけれども、この見解だけ聞いておきたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長 自然公園の利用形態が多様化している中、誰もが訪れ、誰もがかかわれ、誰からも理解される自然公園を実現するに当たっては、利用実態を把握することは重要と考えております。
 都では、ビジターセンター等施設利用者数の調査や一部エリアにおけるアンケート調査等を既に実施しております。
 また今後、多様なニーズを的確に捉えるため、利用実態について体系的に調査分析することとしており、これらの調査結果に基づき、内外からより多くの人に訪れてもらえる自然公園を目指してまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。ぜひこの実態調査をしていただいて、把握していただいて、インバウンドに寄与できるように、多摩振興という側面からもしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それできょう、自然公園でお聞きしたいのは、トレラン、トレイルランニングということで、自然のままの山を走る人であったりとか、マウンテンバイクで、平地ではない、自然そのものを自転車で走っていこうということでありますが、こういった志向が高まっていて、かなり、はやってきているなということで、私の知り合いなんかも、マラソンをやっていた人がみんなトレランにどんどん転向していっているというような現状があります。
 かなり競技人口もふえているということで聞いているわけでありますけれども、このトレイルランニングについて、ちょっと私、山に登るわけでありますけれども、このトレランの人たちと遭遇したことは余りないんですけれども、やっぱりトレランの人たちが向こうからばあっと走ってくると、おっということで、ちょっとびっくりしてしまうわけですね。そういう意味でいうと、登山者とトレイルランナーの皆さんとの共存共栄というのは、やっぱり一つの大きな課題なんだろうというふうに思います。まだまだこれからのトレランということでいうと、もっと競技人口がふえてくると、やっぱりこれは問題になってくるのかなというふうに思いますので、ぜひこれについての対応を聞いていきたいというふうに思います。
 まず最初に、このトレイルランニングについて都はどのように対応しているのかということについてお聞きしたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長 自然公園において利用者の増加や多様化が進む中、さまざまな利用者が互いに快適に過ごせ、また、自然環境への影響を少なくするため、都は国に先駆けて東京都自然公園利用ルールを策定し、平成二十七年四月から運用を開始しております。
 このルールの中で、トレイルランニングについての個人利用ルール及び大会利用ルールを定めております。個人利用ルールでは、追い越し、すれ違い時や、天候等により路面状態が悪いときには走らずに歩くことなどを定めております。
 また、大会利用ルールでは、自然公園法を遵守するとともに、自然環境や他の利用に配慮し、競技参加者が百名を超える場合は東京都への届け出や事前周知を行うことなどを定めております。

○やながせ委員 都としては利用ルールをつくって、それを今、啓発をしているところであるということはよくわかったんですけれども、やっぱり接触事故などが心配であります。ただ、聞くところによると、事故は把握されていないと、起こっていないということで聞いておるわけでありますけれども、これはなかなかよくわからないと思うんですね。実際に、じゃあ、接触したといって、ちょっと足を痛めたとかということで、東京都の方に足を痛めたじゃないかということをいうかといったら、やっぱりなかなかそうはならないのかなということでありまして、この実態はよくわかっていないということだろうというふうに思うんです。
 そこで、私としては、一つ要望としてお願いしたいのは、これ、百人以上の団体が大会などを開くときには事前に周知をするということになっているようであります。届け出をして、それを都がその拠点のビジターセンターとか、そういったところで告知をしているということのようでありますけれども、登山者が登山をしようとしたときに、やっぱりトレイルランナーとはぶつかりたくないと思うのは当然でありまして、前もって知りたいわけですね。
 雲取山でトレイルランナーが千人、二千人規模の大会をやっているわけでありますけれども、じゃあ、きょう、千人走っていると、その中で静かに山を楽しみたいという人たちがトレイルランナーの大会とは遭遇したくないと思うのは、もう当然のことであります。
 現状は百人以上の大会、団体のときには事前に届け出をして、それを告知しているということのようでありますけれども、百人に行かなくても、やっぱり五十人、六十人の人たちが走ってこられたら、そのときには私たち登山者は行きたくないと思うのは必然でありまして、ぜひ百人未満の団体でも、ある程度の数になるようであれば、それを事前にちゃんと教えてくれという周知をしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、見解を伺いたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長 百人未満の集団でトレイルランニングを行う場合におきましても、先ほどご答弁いたしました、登山者とすれ違うときにはゆっくり歩くなどを定めている個人利用ルールは当然適用となります。
 今後とも、こうした東京都自然公園利用ルールの普及啓発に取り組んでまいります。

○やながせ委員 ありがとうございます。ぜひ普及啓発していただきたいと思います。
 マウンテンバイクに関しては、これ、登山道を自転車で走るということは許可されているのか、この点について聞きたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長 自然公園は、自然環境の状況により規制の強さが異なるゾーニングがなされておりますが、最も規制が強いエリアである特別保護地区については、自転車の使用は自然公園法で禁止されております。
 その他の地域においては、法令上、自転車の使用は禁じられておりませんが、東京都自然公園利用ルールにおきましては、登山道は登山やハイキング利用を優先すること、一部エリアでは自然保護を優先すること、利用者の多いエリアや季節では自転車の使用を控えることなどを定めております。

○やながせ委員 今のご答弁であったとおり、マウンテンバイクは登山道を走ることは禁止されていないんですね。一部のエリアだけは禁止されているということだというふうに思います。
 ただ、やっぱりこのマウンテンバイクと登山者ということになると、これは相当危険だなということであります。ですから、ルール、マナーについて、今、普及啓発をしていただいているということでありますので、それをやっていただきたいというふうに思うと同時に、規制についてはやっぱりしっかりと考えていただきたいなということを要望しておきたいというふうに思います。
 マウンテンバイクであるとか、トレイルランニングで二千人単位でわあっと山を駆けおりたりすると、やっぱり山が傷むということはあるだろうというふうに思うんです。それで、トレイルランナーの方に結構聞いたんですけれども、やっぱり山が傷むことに対する、何ていうんですか、呵責の思いというか、それはあるみたいなんですね。皆さんやっぱり思っていて、何か山のためにやりたいという思いもお持ちのようです。
 海外では、トレイルワークといって、山を自分たちで整備をする、整備に参加した人は何かその証明書が発行されて、その証明書を幾つか集めないとトレイルランには参加できないと、そういう仕組みがあるようであります。この仕組みをそのまま導入するのは難しいというふうに思うわけでありますけれども、やっぱりトレイルランナーの皆さんとか、マウンテンバイカーの皆さんも、山のために何か役に立ちたいという思いを持っていらっしゃって、自分たちが使う山だから、そこの整備は自分たちでやりたいと、こういうような思いもあるようであります。
 そういった人たちの思いもしっかりと酌んで、こういったみんなで山の修復作業ができるような仕組みをつくるべきなんではないかなというふうに思います。自分たちで山を整備していけば、やっぱり乱暴な走り方とか、乱暴な自転車の運転とかということはしなくなるということで、いい循環が生まれていくんではないかというふうに思います。こういった仕組みの導入について見解を伺いたいというふうに思います。

○金子緑施策推進担当部長 都内の一部エリアでは、従前からマウンテンバイクの愛好団体の皆様が荒れた森林や登山道の手入れをしたり、放置されたごみを片づけるなどの取り組みを進めております。そして自然公園内の土地所有者の方々と良好な関係を築いているという状況がございます。この団体は、東京都自然公園利用ルールの検討が進む中で、団体内で自主的に詳細なルールをつくり、自主規制を行うなど、自然公園において他の利用者との共存や自然の保護に積極的に取り組んでおられます。
 今後も、このような地域に根差し、継続的な自然環境保全活動を行う団体の皆様との連携に取り組んでまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。マウンテンバイカーの皆さんが自主的に山を整備されていると、そういった事例があるということは聞いております。そういったことをもっともっとやりたい方ってたくさんいらっしゃると思うんですね。
 そうした方たちが気軽に参加できるような仕組みをぜひつくっていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

○保坂委員 よろしくお願いします。私からは、まず、自動車の環境負担低減対策における低公害、低燃費車の普及促進についてお伺いをしたいと思います。
 現在、自動車の環境対応をめぐる動きは世界で物すごいスピードで加速化をしております。ことし七月には、イギリス、フランスが二〇四〇年までにガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を発表したところであります。中国では、二〇一九年から新たな環境規制が導入されることももう発表されております。特にCO2を排出しないEV、電気自動車の普及は日本のみならず、既にもう世界中へと広がっています。製造メーカーによる技術革新は、環境の負担軽減はもちろん、走行距離も長くなり、利便性も高まっていることが大きな普及の要因であるともいわれております。
 東京都は、東京都環境基本計画にある都内温室効果ガス削減目標達成に向けて、EV、電気自動車、PHV、プラグインハイブリッド車、HV、ハイブリッド車、FCV、燃料電池車といった、いわゆる次世代自動車の普及割合を二〇三〇年までに乗用車で八割以上という高い目標を掲げています。
 今後、さらなる普及拡大に向けて都の役割がますます重要になると認識しています。
 都は、FCVやEVなどの次世代自動車の普及を現在どのように進めているのか、改めてお伺いをします。

○松永環境改善部長 都の環境基本計画では、環境性能の高い燃料電池自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車を次世代自動車等と位置づけ、その保有割合を二〇三〇年までに、乗用車で八割以上、貨物車で一割以上とする目標を設定しております。
 このため都は、環境確保条例に基づき、三十台以上の自動車を使用する事業者に対して、自動車環境管理計画書制度により、環境性能の高い自動車の導入を促しております。また、二百台以上自動車を使用している事業者に対しては、次世代自動車等の導入を義務づけておりまして、昨年度、その導入率を二〇二〇年度末までに一五%以上とするよう引き上げたところでございます。
 乗用車につきましては、燃料電池自動車を初め、電気自動車、プラグインハイブリッド車に対する導入補助を実施しており、昨年度は燃料電池自動車百四十二台、電気自動車百十二台、プラグインハイブリッド車十台に補助を行いました。

○保坂委員 今ご回答いただきました、主に事業者に対しての取り組みは大変重要であると認識していますが、その一方で、個人のユーザーも含めてニーズが高いのは、何といってもインフラの整備だと考えます。
 特に、世界的に見ても普及拡大しているEVの現状は、私も、十一月五日に幕を閉じました東京モーターショー、こちらに伺った際に、国内外各社がEVをコンセプトカーに採用したりするこの現実を見まして、ガソリン車からいよいよEV車へ時代が変革するときを迎えているという現実を目の当たりにしました。
 EV普及拡大に向けて、自動車自体はもちろん、かねてから急速充電器の普及が大きなテーマだといわれていますが、都のこれまでの取り組みについて、それと方向性をお伺いします。

○松永環境改善部長 都はこれまで、平成二十一年度から二十三年度にかけて、事業者向けに急速充電器の導入補助を行い、また、民間事業者と連携して、充電設備の設置状況など、情報発信に努めてまいりました。その結果、都内には商業施設やオフィスビルなどに約三千基の充電器が整備されております。
 一方、都民の約六割が居住しているマンションなどの集合住宅では、充電設備の整備が進んでおりません。集合住宅での充電設備の整備には、住民の合意形成や費用負担等の課題があり、都といたしましては、これらの課題を踏まえ、電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及の後押しとなる施策を検討してまいります。

○保坂委員 今、お答えいただきました都内の充電器が約三千ということでございましたが、この中で特に注目したいのは、特に利便性が高い、実効性が高い急速充電器が幾つあるかということでございます。聞くところによりますと、三千のうちの約一割程度と聞いております。
 東京都は国際観光都市でもあります。特に国内から電気自動車に乗ってこられる方も年々ふえているとも聞いています。こういったことからも、充電器の利用状況などを把握、分析することが急務であると私は思い、行政、民間の連携もますます重要になってくると考えます。各市区町村では、インフラ整備の重要性を非常に高く認識しており、庁舎や公共の駐車場に急速充電器を設置する自治体が増加しています。
 ちなみに、急速充電器にかかわらず、東京都におきましても、この事業概要を見ますと、一三九ページ、電気自動車は、東京都は所有は四台、それに対して市区町村は七十八台、一方、燃料電池車は既にもう電気自動車を上回る七台、市区町村が六台。先ほど回答があったのかな、東京都はもう十二台FCVを持っているということで、電気自動車に対しての考え方というのが、いささか、都内もしくは日本中、世界中がEVシフトをしている中での、電気自動車もふえている中での、ちょっとした乖離があるのかなと私は考えております。
 私もEV車は利用しています。もう五年になります。ただ、なかなか環境整備というのはまだまだ追いついていない、それでもまだ利便性は高くなっていると認識しておりますが、今後さらなる電気自動車普及拡大に向けて、私は、都民に環境配慮型社会実現を目指す姿勢を都が示すためにも、まだ実現がしていない都庁舎内に急速充電器を設置する、このことはもちろん、都立公園や都施設に急速充電器を積極的に設置することを強く要望いたします。
 続きまして、水素社会実現に向けた取り組みについて、特に水素社会実現に向けた取り組みにおけるFCV、燃料電池車の普及、導入促進事業について質問をさせていただきます。
 これも先ほど各委員からお話がありましたので、なるべく重ならないようにしたいと思いますが、世界的にガソリン車への規制強化が進んでいることに伴い、ガソリン車からEVへの乗りかえが始まっております。いわゆるEVシフト現象。資源が少ない我が国では、東京が中心となり、水素エネルギーを使用する車の実用化で、東京二〇二〇競技大会以降を見据えた環境整備に積極的に取り組む、この姿勢で臨んでいます。
 東京二〇二〇大会は、日本の先端環境技術をPRする絶好のチャンスであるとも認識しています。
 改めて、世界がEVシフトする中、都があえて進めるこのFCVを初めとする水素社会実現に向けての意義と取り組みをお伺いします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーは、環境負荷の低減、エネルギー供給源の多様化、経済産業への広い波及効果、災害時における対応等、さまざまな意義を有しております。
 都は、水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車の普及や水素ステーションの整備等について、二〇三〇年までの目標を策定するとともに、達成に向けてインフラ整備や初期需要を後押しする補助制度等を実施しております。
 また、業務、産業用を初めとした燃料電池の導入支援や、都民の皆様に対して水素を利用する意義や安全性などについて周知する普及啓発事業、CO2フリー水素の普及に向けた福島県等との連携等、さまざまな施策の実施により水素エネルギーの普及に取り組んでいるところでございます。

○保坂委員 電気自動車、EVの急速充電器同様、私は、FCVも水素燃料を供給する水素ステーション整備が必要不可欠であると考えております。
 先日、私もスイソミルに会派の視察で伺ったところ、やはりこの隣にあるオフサイト水素ステーションを視察した際、水素を管理する設備面積の広さに驚きました。また、固定型水素ステーションの建設費は約五億円ということで、海外と比べても非常に厳しい法令や基準に基づく特殊鋼材や機器の使用原則のためにコストが高くなり、かつ運営費も年間約五千万円というコストの課題があるとも伺っております。
 安全は確保しながらも、中小企業に対しても固定型水素ステーションの設備の支援は十分行っておりますが、コストそのものを考えたときに、やはりある程度、低減に向けて、海外規制も参考にした規制緩和への取り組み、また機材の技術革新なども期待されています。現在このような課題がある中、都は水素ステーションの整備促進にどのように取り組んできたのかをお伺いします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 水素ステーションの整備促進に向けましては、高圧ガス保安法等の規制により、ガソリンスタンドと比べて高額となる整備費や運営費等の課題がございます。
 そこで、ガソリンスタンドを整備するのと同程度の負担で事業者が水素ステーションを整備できるよう、都は、設備整備費について国と合わせて五分の四を支援しております。また、運営費につきましても、国、民間企業とともに補助するほか、都独自の取り組みとして土地賃借料に対する補助も実施しております。
 加えて、水素ステーションの整備促進に向けて、使用可能な材質の拡大や、民間事業者の技術開発の動向を踏まえた適切な規制見直し等を国へ要望しております。

○保坂委員 規制の見直しも国に訴えているということで、前向きなご回答をありがとうございます。
 インフラ整備の支援とともに、高額なFCVの普及は水素社会実現に向けて、やはり各区市町村自治体との連携がますます必要になってくると考えます。東京都だけでは限界です。市区町村と連携し、FCV導入を促すとともに、水素エネルギーを都民に向けて、より身近に感じてもらえるよう、もはやスイソミルだけではなくて、各地域の環境や防災イベントなどでも積極的にPRしていくことも必要ではないでしょうか、見解をお伺いします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 住民により身近な区市町村が燃料電池自動車を導入することは、環境イベント等での活用により普及啓発の機会となることや、水素ステーションの整備促進につながることも期待できます。
 こうした観点から、都は、水素エネルギーに関する住民への普及啓発活動の実施などを条件に、区市町村に対する燃料電池自動車の導入補助を行っております。また、昨年度制作した映像コンテンツ活用の働きかけや、普及啓発用パネル等の貸し出しを行うなど、区市町村におけるPR活動を支援しております。
 都の補助制度を活用して燃料電池自動車を導入した江東区や町田市などでは、住民向けの環境イベント等で試乗会や災害時における活用方法の実演などを実施しております。

○保坂委員 都の水素社会実現に向けた取り組みの象徴、また強い姿勢を都民に示すためにも、急速充電器同様、水素ステーションを都有地もしくは近隣公園内に積極的に設置していくことも必要だと考えます。東京から水素社会を全国に広めていく使命のもと、都内の限られたスペースでいかにステーションを整備していくか、このことが非常に大きな課題だと考えておりますが、逆に全国が注目をしています。
 課題は多いですが、都内設置目標でもあります、先ほどもありました二〇二〇年までに三十五カ所、二〇二五年までに八十カ所、二〇三〇年までに百五十カ所のステーション整備実現に向けて、また、先ほどご答弁いただきました規制緩和、こういったものもうまく利用して、果敢に挑戦していただきたいと強く要望します。
 あともう一点、LED、これは意見表明だけでございます。よろしいでしょうか。
 先ほど委員数名から話が既にありましたLED省エネムーブメントの促進事業についてでございます。
 我が会派は、代表質問におきましても小池知事に対して、目標達成に向けて、この事業に対して後押しするという立場から、特にLED普及啓発事業、この重要性を訴えさせていただいております。
 まだ目標に対して七、八、九、三カ月でございます。十万個ちょっとということで、非常に厳しい道のりであるということは我々も認識しております。ただ、三カ月です。まだまだ手を打っていくことはできると思います。始まって三カ月、私も民間企業にいましたが、三カ月で目標を下方修正する、これはあり得ません。ですから、どこまでできるのか、どんどんと挑戦していただきたいと、私は、この事業に対してさらに加速させていただきたいという思いも込めて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○栗林委員 それでは、二テーマ、四問ほど質問させていただきます。
 初めに、省エネ、節電を伺います。
 温室効果ガスの増加により地球温暖化が急速に進み、地球規模での気候変動を引き起こし、想像を超える自然災害により、近年甚大な被害に襲われているという状況でございます。余りにも便利で、そして豊かなこの生活環境になれてしまった現代の状況に、いま一度生活を見直して改善することからしか、この自然界の猛威を抑えることができないのではないかと思います。自然との共生を考えた生活行動に転換することが重要でございます。時間と費用もかなりかかるために、急速な普及拡大は難しいといわれていても、自然エネルギー、また再生可能エネルギーへの転換を身近なこととして捉えることが重要でございます。
 国のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの最大限の導入と並んで、徹底した省エネルギー、省エネ、これがエネルギー政策の重要な柱となっています。世界に先駆けた省エネ型の地域のモデルを構築して、再エネとあわせて地域の活力につなげていくことが大事ではないかと思います。
 再エネ一〇〇%のイノベーションには、削る、ふやす、ためる、この三点が必要です。そういったことからも、今回は削る、省エネという取り組みについて伺いたいと思います。その省エネの中でも、特に家庭の省エネについて伺います。
 東京都も、節電の先のスマートエネルギー都市という方針を出されて取り組んでいます。今回の事務事業概要の六〇ページにも、賢い節電七カ条という具体的なものも載せていただいております。
 初めに、家庭の省エネに対する都の具体的な取り組みについて伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、東日本大震災以降、都民の節電、省エネ意識の定着を図るために、今、理事お話しの冷蔵庫の設定温度、またテレビの省エネモードの設定の徹底など、家庭向けの七カ条の対策メニューを提示するなどして取り組みを促すとともに、家庭とのかかわりが深く、省エネに関するノウハウを持つ企業、団体と連携した省エネアドバイス事業を実施いたしまして、家庭の省エネを促進してまいったところでございます。
 また、こうした取り組みにあわせまして、これまで蓄電池や太陽エネルギー利用システム等への補助を実施してきており、今年度からは、熱の出入りの多い窓を高断熱窓に改修するための既存住宅における高断熱窓導入促進事業を開始いたしまして、住宅の断熱性能の向上を図ることで家庭の省エネルギー化を進めております。
 加えまして、本年七月からは、家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業を実施いたしまして、白熱電球二個以上とLED電球一個を無償で交換する際にあわせて省エネアドバイスを行うことで、都民の能動的な省エネ行動を促しているところでございます。

○栗林委員 三・一一以降、やはり今まで余り節電ということを意識していなかった、そこにいま一度、節電、省エネということを生活の中で見直しをしていこうことで、このときかなり地域の中でも節電意識ということが高まりつつあったと思うんです。ピークカットとか、やはり設定温度を中にしようとか、さまざま意識をして行動した時期ございました。
 しかし、ちょっと六年経過して、少しその省エネ意識も薄れてきている部分はあるのではないかなと思いますので、しっかりもう一度この省エネアドバイザーさんの体制等々も整えていただいておりますので、やっぱり積極的に活用していただきたいと思います。
 面倒なことではなくて、身近ですぐに実践できる、こういう具体的なアドバイスとか、また、先ほど多くの委員の方から質疑がありましたLED電球の交換、これも話題性があったんですが、なかなかまだ目標には届いていないということで、もう一度、即効性のあるような対策等も講じていきながら、斬新なアイデアをさらに進めていただきたいと思います。
 そこで、こうした家庭の省エネ対策の効果はどのようであったか伺わせてください。

○小川地球環境エネルギー部長 今年度から始めました高断熱窓導入促進事業では、一般的なマンションですと、一部屋だけで高断熱窓を導入した場合にはエネルギー消費量の約四%、全ての部屋を高断熱窓にした場合は約八%削減できるという試算がございます。
 また、省エネアドバイザーが実施しております省エネアドバイスの一例といたしまして、冷蔵庫の温度を季節に合わせて調整することで、CO2を年間三十・二キロ、またテレビの明るさを調節することで十三・三キロ削減できるなどの試算がございます。
 さらに、白熱電球をLED電球に交換した場合は、一個につきましてCO2を年間四十四キロ削減でき、電気代で二千三百四十円の節約になります。また、百万個の白熱電球がLEDにかわった場合には、都内の一般世帯約三万世帯分に相当する電気使用量を削減した効果があると試算しているところでございます。
 このような省エネ効果を都民に周知するため、省エネのコツや工夫等をあわせて紹介いたしましたリーフレットを配布するとともに、省エネアドバイザーによる助言、LED交換の際に行う省エネアドバイス等を通じまして、引き続き家庭の省エネ対策を進めてまいります。

○栗林委員 ぜひ、身近なことから家庭の省エネを一層強化していただけるようにお願いしたいと思います。やはり子供のころから、小さいときから学ぶということが大事です。省エネが当たり前、習慣になるように教育面にもしっかり力を入れていただきたいと思います。
 そして、続きまして、次の質問に移らせていただきます。食品ロス対策について伺います。
 今、世界では栄養失調などで亡くなる五歳未満の子供たちは、何と毎年三百五十万人から五百万人もいるといわれています。五秒に一人、一日約一万四千人の子供たちが亡くなっているという状況でございます。そうした状況の中で、日本は食料の大半を世界から輸入している一方、年間で約六百四十二万トン、まだ食べられるのに食料が破棄されているという状況でございます。この量は、世界の食料援助量の約二倍にも及ぶといわれています。
 そういったことから私たち公明党は、平成二十七年に食品ロス削減推進プロジェクトチームを立ち上げまして、国にも提言を行い、また都議会でも代表質問や環境・建設委員会、特に、まつば議員が積極的に議会質問もさせていただいてまいりました。
 ことしの第一回の定例会でも質問をさせていただき、都からも、今後は流通、小売段階における食品ロス削減に向けての実態調査をしますよということ、そして、関係事業者から成るステークホルダー会議を立ち上げて、新たな取り組みについて検討していくという前向きな答弁をいただいたところでございます。
 食品の流通にかかわる事業者と意見交換をして、ともに食品ロスの削減に取り組んでいくというこの新たな取り組みについて大変期待するところでございます。
 そこで、食品ロスの削減に向けた現在の都の取り組み状況について伺います。

○谷上資源循環推進部長 食品ロスの削減につきましては、これまでも平成二十七年度から実施いたしましたモデル事業などにより社会全体の意識醸成に努めてまいりました。これらの取り組みを通じまして、食品ロスをさらに削減していくため、食品の製造から流通、消費までの一連の過程におきまして、各主体が連携協力して対策を講じていく必要性が明らかになりました。
 そこで、本年九月、理事からお話のありましたように、食品製造業から卸売業、小売業までの各事業者団体や消費者団体及び有識者から成る東京都食品ロス削減パートナーシップ会議を設置し、食品流通段階で発生する食品ロスの削減策について検討を始めるとともに、実態調査をあわせて行っているところでございます。
 第一回目の会議では、食品の製造から流通過程における情報共有の重要性や、小売店への納品期限を過ぎた食品を無駄にせず寄附する際のルールづくり、さらには、消費者にわかりやすくこの問題を伝えていく広報のあり方などについて活発な議論がなされました。
 こうした課題の解決に向けまして、今後も会議において議論を深めていくことによって、二〇二〇年を目途に食品ロス削減東京方式の確立に努めてまいります。

○栗林委員 二〇二〇年を目指し、食品ロス削減東京方式、そういったところに取り組むという答弁をいただきました。本当にこれ、大変重要な大事な取り組みですので、大いに期待をさせていただきます。
 いよいよ二〇二〇年、世界中が注目する東京でございます。マータイさんが世界中に広げてくれましたもったいない精神、もったいないという言葉、この発祥は日本でございます。昔は、私たちというか、私だけぐらいかもしれませんが、戦後のまだ十年もたたないころ育った……(発言する者あり)はい、戦後から十年ぐらいの間。ここにいるのは小磯議員と私ぐらいかもしれません。やはりまだ貧しい時代ですね。物がなく、そういうときにはもったいない、これは当たり前の言葉。お茶わんにご飯粒が一つついていても、ああ、これをつくってくれた農業をやっていらっしゃる、お米をつくってくださっている方に申しわけないよというもったいない、何でも生活の中にもったいないということがあふれていました。
 でも、やはりどんどんどんどん経済が成長して、物も豊かになり、もったいないという言葉が何となく消えていったときに、アフリカのマータイさんという環境を大事にしている方から逆輸入じゃないですけれども、世界にもっとこのすばらしい言葉を広めましょうということから、また見直されるようになりましたけれども、そういったもったいない精神の発祥の地であるこの日本が、残念ながら現在日本の食の無駄というのは世界のトップクラスになってしまっております。
 ここをもう何としてでも改善して、世界に誇れる、さすがもったいない精神が生まれた国だといっていただくように変えていかなければならない。また、このもったいないのムーブメントを、さらに二〇二〇年大会を迎える東京から変えていく、つくり上げていく、そういう流れをぜひつくっていただきたいと思います。
 今ちょうど、やはり民間でも、世界的にももったいないをもっと盛り上げようということで、映画で「〇円キッチン」、ゼロ円のキッチンということが話題になっていて、いよいよ日本でもこの運動がスタートするようなんですけれども、食のもったいないをなくすため、日本全国をキッチンカーで回って、ロードムービーをつくって、「MOTTAINAIキッチン」ということで、クラウドファンディングもスタートするようです。
 大量の食べ物がごみとして捨てられている現状を嘆くかわりに、プロデューサーというか、これを考えた人は、もったいないキッチンをスタートさせ、日本中をめぐり、廃棄食料の中から食材を厳選し、独創的なオリジナルレシピを開発しながら、おいしい料理を出会った人に振る舞っていくというムービーをスタートさせる、そのクラウドファンディングもスタートするという、こういった、やはりもったいないを高めていくために、いろんな民間のこういう活動をしている方たちとも連携を図りながら機運を高めていくことも重要ではないかと思います。
 また、やはり一番住民とつながっている団体と、その関係を有しているのは区市町村ではないかと思います。各区市町村においても食品ロスの削減に向けては、家庭で余った食材を持ち寄って社会福祉団体に寄附するというようなフードドライブの取り組みを初めとして、さまざまな取り組みがされています。このような区市町村とともに連携した取り組みも展開すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷上資源循環推進部長 これまでも都は、区市町村が実施しますイベントに参加、協力して、食品ロスの課題について普及啓発に取り組んできたほか、区市町村の職員にも参加を呼びかけ、フードバンクとの連携に関するセミナーを開催するなどしてまいりました。
 また、区市町村が食品ロスの削減に向けた取り組みを実施し、その効果を検証する取り組みに対して、都として補助事業を実施しております。
 さらに、平成二十七年に設置した今後の資源循環施策に関する区市町村と都との共同検討会、この中におきましても、食品ロス問題につきまして、都と区市町村が連携して、普及啓発を実施していくこととしております。
 今後も、区市町村と連携を図りながら、食品ロスの削減に努めてまいります。

○栗林委員 住民に一番身近な取り組みを展開していく区市町村と、また事業者団体との共同によって新たな食品ロス削減の取り組みの構築を目指す都の取り組みは大変重要でございます。さらに効果的な削減効果がこういったところからも得られていくのではないかと思います。
 私の地元世田谷でも、やはりことし四月からフードドライブが始まりまして、今、二カ所で区民が自由に持ち込める、賞味期限二カ月までのものですけれども持ち込んで、それを社会福祉協議会が入って、子供食堂とか、必要なところへお届けするという仕組みが始まり、これ好評で、次は拠点五カ所、五つのステーションに拡充するという動きも今出てきております。
 このように食品を決して無駄にしないというこの重要性を周知していただき、食品ロス削減をしていくその意義とか、また具体的取り組みが広く浸透していきますよう、そしてもったいない東京を構築していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

○田の上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後五時五十六分開議

○田の上委員長 休憩に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田村委員 環境対策について伺います。
 気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21において、二〇二〇年以降の気候変動対策の新たな国際的枠組み、パリ協定が採択されたのを受け、東京都は、昨年三月に東京都環境基本計画を策定し、十二月には二〇三〇年までに東京都のエネルギー消費量を二〇〇〇年比で三〇%削減するという省エネ目標を策定いたしました。
 我が党は、この目標を着実に達成していくには、今までの取り組みを強化するなど、CO2削減に向けて、地味ではあっても着実な歩みを進めることが必要であり、それに加え、新たな施策も駆使していくべきであると主張してきました。
 そこで、CO2排出量削減に向けた基本的な取り組みの一つである自動車の環境対策について伺います。
 自動車からのCO2削減を進めるには、次世代自動車の普及に加え、誰でも今すぐに実行できるエコドライブを推進する必要があります。急発進、急減速をしないなどのエコドライブは、CO2削減効果があるだけでなく、事故の低減効果もあります。
 実際に、東京都トラック協会が平成十八年からスタートしたエコドライブの取り組みであるグリーン・エコプロジェクトでは、CO2削減効果に加えて、交通事故が低減したと聞いています。
 本日の質疑では、既に効果を上げているトラック事業者ではなく、自動車からのCO2排出量の半分を占める一般ドライバーに対する都のエコドライブの取り組みを伺います。
 まず、都のこれまでの普及啓発の取り組みとエコドライブのCO2削減効果について伺います。

○松永環境改善部長 都はこれまで、自動車の関係団体と連携して普及啓発イベントを開催するとともに、先日まで開催しておりました東京モーターショーでは、九都県市共同でブースを出展し、多くの都民やドライバーにエコドライブの意義や効果をPRしてまいりました。
 また、九都県市と連携して年に二回、一般ドライバーが実車でエコドライブの運転技術を身につけることができるように講習会を開催しております。このエコドライブ講習会には、過去三回で五十三名が参加いたしました。
 集計したデータによりますと、参加者の燃費は、講習の前後で平均して約二五%改善する結果となりました。

○田村委員 燃費比較は、日常の利用では条件を同一にして実施することが難しいことから信頼性に乏しく、一方、燃費計を使っての計測は説得力があり、効果を実感できる手段だと思います。
 また、一般的にエコドライブによる燃費改善効果は一五%程度といわれており、これを大きく上回る平均で二五%という結果が出たことも、この講習が有用であることを示しています。
 このような取り組みをより一層都民に広げていくべきだと考えますが、都は今後どのようにエコドライブの取り組みを進めていくのかお聞きします。

○松永環境改善部長 エコドライブ講習会の参加者アンケートでは、エコドライブという言葉は知っていたが、実際の運転操作については理解できていなかったという声が多くありました。また、講習を受けて、エコドライブが事故防止にも役立つことがわかったという声も聞かれました。
 このため、今後は、イベントや講習会などで交通事故の低減にもつながることを周知しながらエコドライブの普及啓発を図っていくとともに、より多くの一般ドライバーが実車でエコドライブを体験できる機会を充実させてまいります。

○田村委員 ドライバー一人一人を対象とする講習会などの取り組みは地道なものでありますが、エコドライブの効果を実感したドライバーをふやしていくことは重要だと考えます。
 また、ふだん、都内交通網の下支えとなっている自動車整備業に従事する方々のエコドライブに対するノウハウも、この事業では大きな力を発揮していると思われます。今後も協力しながら、エコドライブ事業の取り組みをしっかりと広げていくようお願いしておきます。
 次に、コンクリート塊再利用について伺います。
 今後、二〇二〇年東京大会による都市開発と高度成長期に建築された大量の建築物の更新需要により、建築物の解体により生じるコンクリート塊の増加は必至であります。
 そして、天然資源の採取に伴う環境負荷を最小化し、持続可能な資源利用を進めるためには、循環型の建設資材の利用拡大を図っていく必要があります。しかし、これまでコンクリート塊は、主に道路等の路盤材に利用されてきましたが、公共工事等の減少から、その利用量は激減してきています。
 そのような中、事業概要の一六二ページによると、都は、再生砕石の利用拡大に向けた支援を始めたとのことです。まず、その支援の概要についてお聞きします。

○谷上資源循環推進部長 解体によって生じたコンクリート塊をリサイクルした再生砕石につきましては、公的な品質基準がない、廃棄物由来による忌避感があるといった課題がありますが、これからの都市更新等の進展に伴い、生産が増加していくことを考慮しますと、今後も需要を喚起する必要があります。
 こうした問題を解決するため、都は、本年五月、再生砕石利用拡大支援制度を新設いたしました。この制度の目的は、再生砕石に関する民間団体等の取り組みを都が認証することにより信用を高めるとともに、都と業界等関係者との連携した普及啓発を通じて、再生砕石の利用拡大を図ることとしています。

○田村委員 支援制度については、認証と普及啓発の二本立てであるとのことですが、その具体的な内容と取り組みについて伺います。

○谷上資源循環推進部長 都の支援は、認証と普及啓発の二つを内容としております。認証につきましては、民間団体等が策定した品質基準について優位性が認められるものであることを行政が認証する基準認証と、その再生砕石を製造する施設が品質基準どおりの再生砕石を製造する能力があるかどうかを認証する施設認証の二段階で行うこととしております。
 また、普及啓発につきましては、再生砕石に関する専門サイトを都ホームページに設けるなど、既にさまざまな情報提供を行っております。
 都は先月、この制度に基づき、東京建物解体協会、東京都産業廃棄物協会、東京建設業協会の三団体が連名で策定した再生砕石の品質基準を基準認証の第一号として認証したところであります。
 施設認証につきましては、既に認証機関として指定した東京都環境公社において認証に向けた手続を進めているところでございます。

○田村委員 答弁にもあったとおり、この制度創設を受け、東京建設業協会、東京建物解体協会及び東京都産業廃棄物協会の三団体では、先般、東京都に対し、業界が自主的に定めた高度なリサイクルを可能にする再生砕石の品質基準、東京ブランド粋なエコ石を策定、申請し、認証されました。
 この品質基準認証申請に当たっては、立ち位置の違う元請、解体業者、処理業者が三位一体となって一気通貫の品質管理体制を整えたことに大きな意義があるのではないかと思います。
 また、こうした取り組みを進め、大都市部で大量排出されたコンクリート塊を同じ大都市内の地盤材料として利活用することで、道路の路盤材としての利用が頭打ちになっている現状を打破し、新たな再利用が進んでいくものと期待しています。
 さらに、大都市地域内での再利用が進めば、コンクリート塊を他地域にトラック等で運搬することによる排出ガスの削減にもつながり、CO2排出削減効果も十分期待できるのではないかと思います。
 そういう意味では、再生砕石の利用拡大に向けた新たな取り組みがまさに始まったところだと認識しておりますが、都として、今後どのような支援を続けていくのか見解をお聞きします。

○谷上資源循環推進部長 都は、各種広報媒体や講習会などさまざまな機会を通じまして、再生砕石の利用拡大を普及啓発していくとともに、都が認証した基準に基づく高品質な再生砕石が早期に流通し、幅広い工事に活用されるよう、今後も新たな基準の認証に向けて民間団体等からの申請を受け付けていく予定です。
 さらに、再生砕石が都の圏域を超えて関東一円で広く流通している実態を踏まえ、既に九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会において、再生砕石の利用拡大に向けた都の取り組みを情報提供しています。
 今後も、広域的な連携の取り組みの実施を幅広く働きかけてまいります。

○田村委員 再生砕石の利用拡大は、都市機能を更新し、新たな都市づくりを円滑に進めていく上での喫緊の課題であり、東京に限らず、首都圏全体で連携して取り組むことは非常に重要です。その一方で、東京都としてこの取り組みをさらに推し進めていくために、再生砕石の利用を促す仕組みも重要です。
 具体的には、入札契約制度を改正し、東京ブランド粋なエコ石を使用した場合には、入札の社会的貢献の項目に加点することで、都内の施工業者の方々による再生砕石利用を後押しすることも有効であると考えております。
 入札契約制度は、ただ単に安く契約ができればいいというものではありません。現在、豊洲市場の工事契約が何度も不調になっているのを見れば、そのことは明らかです。都民の安全・安心のために環境対策に責任を負っている東京都として、都が発注する公共工事において、契約の適正を確保しながら再生砕石利用を推進していく、そうした取り組みが欠かせないと考えています。
 入札契約制度の改正自体は環境局の所管ではないかもしれませんが、関係事業者の方々のせっかくの取り組みを形骸化させることのないよう、関係局とも連携し、施工業者が再生砕石を利用しやすい環境を整備する取り組みを積極的に推進していただくことを強く提案し、私の質問を終わります。

○河野委員 初めに、エネルギー問題に関連して伺います。
 今年度からの新規事業として、家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業と既存住宅における高断熱窓導入促進事業について、始まっているこの新規事業について伺います。
 LED電球と白熱電球交換の事業については先ほど質問がありましたが、私も幾つかの点で伺います。
 参加協力店の家電販売店の方にお話を聞きました。LED電球は、メーカーごとにさまざまな種類のものを開発していて、価格や品質も一様でないとのことでした。価格と品質の関係では、消費者側から考えると、おおよそ家電販売店のアドバイスで選んでいくと思います。
 LED電球の価格、品質については、消費者のサイドからは、このことをどのように考えればよいのでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業で交換対象とさせていただいておりますLED電球につきましては、全て資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイト、こちらに登録のあるLED電球を対象とさせていただいているところでございます。

○河野委員 このLED電球は、省エネと、それから消費電力を減らすということですから、家計にも助かるということで、歓迎されるものだと思います。しかし、取り組みやすい仕組みにしていくことも大事と考えています。
 販売店の方は、事務量が多いと感じておられるようです。毎週一回、交換の数を環境公社クールネットに報告する仕組みとか、いろいろ事務量が多いということを伺いました。それから、消費者の方は、使用中の白熱球でなければ交換してもらえない、このことも十分に理解されていないという状況も私が聞き取る中でわかりました。
 環境局が高齢者や障害を持つ人に配慮して、代理人でも交換できるようにしているのはよいと思っています。しかし、代理人が提出する用紙を見ますと、代理人が本人にかわって家電販売店で受けた省エネアドバイスを本人に伝え、省エネ行動の実施を促します。本人が省エネ行動を実施できない場合は、代理人が省エネ行動を実施しますということで、この紙ですけれども、これは家電販売店の代理人用に配っているものです。そういうふうに誓約書のような感じで記述されています。例えば、高齢者が高齢者の代理人になった場合などは、このことは負担感が大きいのではないかと感じます。
 既に七月十日の交換開始から四カ月になります。家電販売店の事務量を減らすことや代理人の申請の簡略化などについて、環境局として検討していることがあればお聞かせをいただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 この事業につきましては、LED電球への交換を通しまして、家庭の省エネルギー化を進めていこうとするものでございまして、地域家電店の方には店頭での本人確認など、それから、家庭での省エネを進めるための省エネアドバイスの実施を、また、先生お話しの代理人の方には、申請人本人に省エネ行動を実践するよう伝えていただくことなどを求めているところでございます。
 その上で、可能な限り都民の方や地域家電店の皆様には、負担をおかけしない手続を必要最低限行っていただいているものと考えているところでございます。

○河野委員 ニュアンスとしては、今の制度で十分だというお考えかなというふうに受けましたけれども、私が申し上げたようなことは、聞き取りをした多くの方がおっしゃっているので、一応お伝えをしておきます。
 家電販売店からお聞きしますと、このLED電球の交換、東京都がもっと広くPRしてほしいと望んでおられます。都として周知の努力をしている、これは私たちも承知しております。事業の目的や仕組みについて知らない都民が多く存在する、これも現実です。LED化は省エネに有効な施策ですから、百万個達成に向けて、目的、そしてその仕組みなどを広く周知、PRしていただきたいと思いますが、その工夫の方策、今後に向けてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 これまでの広報に加えまして、先ほどもご答弁したところもありますけれども、都内鉄道各路線の帰宅時の乗降客の比較的多い駅でのチラシ配布なども行ってきたところでございます。
 また、今後引き続き区市町村と連携いたしまして、広報紙等への記事の掲載、こうしたことを通じまして、都民の身近な場所、方法での広報を実施してまいりたいと考えております。
 また、年末の大掃除の時期に向けまして、都民の目にとどまりやすい広報媒体を使いまして、時期を捉えた広報を展開していきたいと考えています。

○河野委員 ぜひご努力をお願いします。
 次に、断熱窓ガラスのリフォーム助成についてお尋ねをします。
 都は、平成二十七年度から、既存住宅における再エネ、省エネ促進事業を、環境公社に出捐金を出し、取り組みを進めてきました。この事業は、国の住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金と同等な要件が必要ということで、太陽光発電、太陽熱利用、蓄電池の設置が求められて、費用の負担も重く、使い勝手がよい制度とはいえませんでした。
 二〇一五年三月十八日のこの環境・建設委員会で我が党の米倉春奈委員が、都民にとって使いやすい制度にするように求め、窓一枚からでも断熱リフォームができる簡易な制度への改善を提案しました。
 今年度、都が環境公社に二十五億円の出捐金で、事業期間三カ年として、既存住宅における高断熱窓導入促進事業をスタートさせたことは、使いやすい制度への改善となり、住宅の省エネが拡大すると期待を持つものです。
 住宅の省エネを促進する立場で、以下伺います。
 今年度からの新しい事業ですが、事業の内容及び申請の受け付けの実績はどのような状況にありますでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、取り組みが進みにくい既存の戸建て、マンションの断熱性能の向上を図るために、高断熱窓への改修に係る補助を行うものでございます。
 まだ事業が始まったばかりでございますが、八月二十四日から本事業の周知を始めまして、十月末までに百二十六件、二百六十八戸の補助申請を受け付けているところでございます。

○河野委員 高断熱窓ガラスを設置した場合の省エネの効果については、先ほどの質問に対してご答弁がありました。一部屋で四%、全部屋実施すれば八%の消費エネルギーの削減効果があるということで、省エネに貢献する制度だと思っています。
 補助のことなんですが、都は、かかった費用の六分の一を補助するということですが、補助割合はどのような考え方からお決めになられたのでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 国が実施しております断熱リノベーション事業の補助率が三分の一ということでありまして、国の制度と都の制度を併用することで、本人負担が最大二分の一になるよう補助率を定めたところでございます。
 なお、足立区や板橋区など、区市町村が有している類似の制度とさらに併用することも可能な場合もありまして、その場合は本人負担がさらに減ることとなります。

○河野委員 今後、ぜひ区市町村とも連携して、消費者の費用負担も安くなって、高断熱窓ガラスの設置、その方向に意欲が湧くように、環境局としても努力していただきたいと思います。
 環境公社のホームページを見ますと、都内の住宅戸数全体の九八%を占める既存戸建て、マンションに高断熱窓を導入すると書かれてあります。この事業は、既存住宅全体を視野に入れて進めていただきたいと私たちは思いますが、都内のマンション、戸建て住宅の戸数はそれぞれ何戸あるのか。そしてまた、断熱窓ガラス導入助成実施の目標と今後の見込みについて、現段階での局の見解を伺っておきます。

○小川地球環境エネルギー部長 都内には、戸建て住宅が約百七十二万戸、マンションが約四百六十四万戸、合計いたしまして六百三十七万戸があると推計されております。本事業は、国が実施した調査に基づきまして、過去五年間に都内でリフォームを実施した件数から、三年間で三万三千戸の導入を目標としております。

○河野委員 この事業を進めていくのに大事なのは、やはりLED電球交換と同じように、都民や工務店などへの周知、PRを徹底することだと思います。
 まず、工事に携わる工務店や業界団体が事業の目的や仕組みをよく理解することが必要だと思います。工務店などへのPR、周知については、どのような取り組みがこれまでされてきて、そして、今後の取り組みについてのお考えもお答えいただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、これまでリフォームの主体となる工務店や協会、それから板硝子協会、サッシメーカーなどに対しまして広報を依頼してきたところでございます。
 また、今後も、業界団体が実施するシンポジウム、それから住宅設備などの展示会などを通じまして、周知を図ってまいりたいと考えております。

○河野委員 それから、もう一点、この省エネ住宅がふえていく、その鍵を握っているのは、やはりユーザー、都民ではないかと思います。なぜなら、工務店が働きかけても、実際に工事費を負担するユーザーがその気にならなければ、導入が進まないと思うんです。都民、ユーザーへの周知については、どのような取り組みをされているでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都民の皆様に対しましては、一つは、区市町村を通じまして、省エネリーフレットの配布、また省エネアドバイザーによる省エネハンドブックを活用した事業の紹介など、こうしたものを通して周知を図ってきているところでございます。
 今後も、先ほどご答弁いたしました業界団体を通じた周知も含めまして、引き続き都民への周知を図ってまいりたいと存じます。

○河野委員 高断熱窓ガラスに取りかえて、住宅の省エネ化が進むのは望ましいことです。エネルギー消費量を減少させて、CO2排出削減もできます。加えて、冬の季節などは暖かい室温に保たれますから、健康で生活する条件も整います。広く都民に住宅省エネの大事さについて啓発し、まず、目標の三万三千戸の達成へ努力していただくよう要望しておきます。
 それから、環境公社のPR用チラシを見せていただきました。(資料を示す)事業期間は三年間、平成三十二年度いっぱいとあって、その下に小さな字で、期間内にかかわらず予算がなくなり次第終了と書いてあります。七百万戸の既存住宅があるのですから、三万三千戸の目標でよしとするのではなくて、これからの推移もよく見ていただいて、都民のニーズに沿った対応をしていただくことをこの機会に求めておきます。
 次に、再生エネルギーの利用拡大、特に太陽光発電の拡大についてお尋ねします。
 二〇一四年十一月の東京都再生エネルギー拡大検討会議で、率先行動として、二〇二〇年までに都有施設への太陽光発電導入二万二千キロワットとの目標を掲げましたが、最新の導入状況についてお示しください。

○小川地球環境エネルギー部長 平成二十八年三月三十一日現在になりますけれども、都有施設におけます太陽光発電の導入量につきましては、浄水場、水再生センター、都立学校、都営住宅など、合計で約一万三千七百キロワットでございます。

○河野委員 計算すると残り八千三百キロワット、都有施設へ導入ということがまだ目標として残っているわけですが、期限を切って二〇二〇年までということで都が示されておりますので、達成できるように努力をお願いいたします。
 都有施設での導入拡大、この点では、都立学校なども可能性を持っています。学校の屋根を活用した太陽光発電では、隣の千葉市では市有施設、特に小中学校の屋上を貸し出して太陽光発電を進めています。一校当たり五十キロワットの太陽光発電が行われているということです。都内では、調布市などで学校の屋根を活用して、積極的に太陽光発電が取り組まれております。
 東京都が出している省エネ・再エネ東京仕様、これは建築物の新築、新設、改築、改修の機会に、太陽光パネルを設置するという考え方ですが、今後東京都としても学校施設を含め、いろんな可能性を求めて重点的に取り組んでいただきたいと思っています。環境局が先頭に立って各局との調整をリードして、より積極的に都有施設での太陽光発電を促進していただきたい、このことを求めるものですが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都有施設の新築、改築等の際に、原則といたしまして、太陽光発電設備を設置することなどが省エネ・再エネ東京仕様、ご指摘の仕様に定められております。これに基づきまして、今後も各局と連携いたしまして、再生可能エネルギーの導入拡大をしてまいります。

○河野委員 私たちは、新築、改修、改築の場合だけだと、まだまだ限界があるというふうにも思っております。事業概要も見せていただきましたけれども、東京都は、都有施設を含めて都内全体で、先ほどもありましたけれども、再生可能エネルギーの導入、六九ページに記してあります二〇二四年までに二〇%程度、二〇三〇年までに三〇%程度という目標も掲げておられます。
 資料をこの委員会に出していただきましたが、今の都有施設の再生可能エネルギーの導入については、総電力使用量においての再エネの導入は一一%ちょっとということで、まだまだ都が掲げている目標に距離があると思いますので、都有施設を中心として、ぜひ再生エネルギー導入の可能な条件を開いていっていただきたい、このことを要望しておきます。
 エネルギー問題は以上で終わりです。
 最後に、質問として、八王子市の上川町美山街道戸沢峠で盛り土による土砂崩れが発生した問題についてお伺いをいたします。
 先ほども質問がありましたが、私も現地に二度足を運びまして、実際に見てまいりましたので、そのことに基づいて、今、環境局に申し上げたいことも含め、要望をしていきたいと思います。
 台風二十一号の襲来で、十月二十二日、二十三日に大雨が降って、東京都内にも多くの被害をもたらしました。八王子市上川町では、一時間当たり六十ミリ、二十四時間で約三百ミリの豪雨だったとのことです。
 十月二十三日の未明、民間事業者が行った盛り土造成地が崩れて、都道の美山街道に土砂が崩落し、現在も通行どめになっています。流れた土砂は、七千立方メートルから一万立方メートルというふうに想定されていますが、現地を見た専門家は、まさに土石流の状態だといっていました。伊豆大島の土砂災害と同じような現象だとのことです。
 崩れたところは、環境局が盛り土造成を目的とした事業として、建設残土の搬入を許可した場所であります。埋め立てた建設残土が大雨によって緩み、崩落して、都道に流れ込んだという災害です。
 以下伺います。
 まず、環境局は、この土砂崩落をいつ、どのように知ったでしょうか。そして、局としてとった対策、それから、流出した土質や土砂の量は把握されておられますでしょうか。お答えください。

○須藤自然環境部長 今回の残土埋立現場における土砂崩れは、大雨をもたらしました台風二十一号が接近した平成二十九年十月二十三日未明に、都道六一号線が通る八王子市上川町で発生したものでございます。
 道路管理者である南多摩西部建設事務所は、事故の第一報を受け、周囲の安全確保のため、午前三時ごろに都道六一号線の通行どめを行っております。同じく同日、事故の報告を受けました多摩環境事務所は現地において、幅約七十メートル規模で土砂が流出し、都道六一号線を塞いでいることを確認いたしました。
 現在、道路管理者は、都道六一号線の復旧工事を準備しており、環境局といたしましても、道路の復旧に向け、地権者との調整など必要な協力を行っているところでございます。
 なお、都道に流出いたしました土砂量については、道路管理者が現在調査中でございます。

○河野委員 環境局としては、土砂量とか道路管理者、建設局が調査中ということで、土質についてもそういうことなのかなと思ってご答弁を伺っておりますが、環境局としてのこの状況というのがどうなのかなということで、私は少し疑問に思っていることもあるので、順次聞いていきたいと思います。
 土石流が起きてから十日後の十一月一日に現地に行きました。四日にも行きました。一日の日は十日たっておりましたが、埋め立てた場所のどこから土砂が崩れ落ちたのか、崩れた後の山肌の形状はどのような状態になっているのか、どれくらいの量の土砂が都道に流れ込んでいるのかなど、崩壊の全体像がわからない状況でした。
 だから現場では、全体の様子を知りたい、空からの映像が欲しい、再び雨が降ったら作業している自分たちにも二次災害が及んでくるかもしれないと緊張した様子で話してくれ、土砂の除去に向けての準備作業がされていました。水も大量にたまっていて、三台のポンプを二十四時間稼働させて水をくみ上げていました。
 全体像を把握する、そのための空からの撮影はいろいろな方法があると思います。ドローンによる撮影や、あるいは、東京都ですから、消防庁などにヘリコプター出動の協力を要請するなど、土砂崩壊の状況をいち早く把握することが必要だったと思うんです。環境局の責任でこうした必要な措置を直ちに行う、その判断をするべきだったのではないかと私は感じましたが、いかがでしょうか。

○須藤自然環境部長 現在、道路管理者でございます南多摩西部建設事務所は、都道六一号線に流入した土砂の撤去作業中であり、これとあわせて事故現場の状況把握が進められております。また、現場では、二次災害を防止する観点から、都道の全面通行どめが行われております。
 環境局としては、道路管理者と緊密に連携協力しながら、事故現場の全体像の把握を進めてまいります。

○河野委員 道路管理者の建設局は、二十三日の午前三時に通行どめにしていますが、環境局が事故を受けて必要な対策を講じたのかどうかをお聞きして、ドローンのことなどをお聞きしているんですけれども、具体的なご答弁はありませんでした。
 事故現場の全体像の把握を推進しているとの答えではありますが、速やかにこの事故に対して必要な判断を講じたことにはならない、私はこのことを指摘せざるを得ないと思っています。
 事業について、具体的にお聞きいたします。
 事業の目的の盛り土造成とはどのようなものでしょうか。盛り土工事は土木の分野だと思うんですけれども、環境局が許可を出した経過もお答えをいただきたいと思います。また、残土を搬入した事業者名、事業規模、搬入土砂量、土地所有者と搬入事業者の関係など、できるだけわかりやすく、詳細に説明をお願いいたします。

○須藤自然環境部長 今回事故があった残土埋立事業は、事業者であります株式会社ケー・ディー・シーが、都道六一号線沿いの八王子市上川町の私有地約七千平方メートルに盛り土造成事業を行うものであり、計画では、約二万七千立方メートルの土砂が搬入されることとなっておりました。
 自然保護条例の開発許可制度では、自然の保護と回復を図ることを主眼に許可基準を定めており、今回の事業では、事業区域面積の約四三%の残留緑地と約一〇%の植栽緑地を合わせて五〇%以上の緑地が確保されることから、条例が求める緑地基準に適合しておりました。
 この基準以外にも、盛り土勾配を三十度以下とし、盛り土高五メートルごとに小段を設けるなどののり面保護や、雨水の地下浸透についての配慮などもなされていることから、許可基準に全て適合していると判断し、平成十七年三月三十日付で開発許可処分を行ったものでございます。
 なお、条例施行規則に基づき、土地所有者以外の者が開発行為を行う場合の土地所有者の承諾書も都に提出されており、私有地内の開発事業について、当時の土地所有者の同意を得られていたことも確認しております。

○河野委員 事業の許可がおりたのは、ご答弁にありましたように平成十七年三月三十日、もう今から十二年と六カ月以上前のことですね。環境局が許可した約二万七千立方メートルの土砂は、事業者が申請したとおりに全量搬入されたのでしょうか。
 それから、十トントラック一台の土砂の積載の量は五立方メートルとのことですが、一台当たりの搬入料金は幾らぐらいだったのか環境局は把握されていますか。

○須藤自然環境部長 事業開始後、実際に搬入された土砂量につきましては、事業終了時に事業者が完了届をもって報告することになっておりますが、工事は現在、未完了であるため、事業者からの届け出は提出されておりません。
 また、土砂の搬入による事業者の収益につきましては、他の残土埋立事業を含め、事業者に報告を求めておらず、都として把握しておりません。

○河野委員 バブルのころには、十トントラック一台で、相場は一万八千円の搬入料だったそうです。平成十七、八年ごろには価格が下がったとしても、一台一万数千円は下らずに、そういうことで事業が進められたと思うので、土地所有者に土を入れさせてもらう代金を搬入事業者が払っても、その事業者には大きなもうけが入ったことになるのではないかと私たちは思っています。
 平成十七年三月に、環境局が東京都の自然の保護と回復に関する条例によって、これは許可した事業でありますが、建設残土を入れる面積約七千平方メートルで、三ヘクタールを超えていないために、東京都自然環境保全審議会の審議対象にはならない、そういう事業でした。
 私は、自然環境保全審議会の委員を何期か務めさせていただきましたけれども、平成十八年七月に、今回、土石流災害が起きたちょうど隣にありますグリーンステーションという事業者が行っている建設残土埋め立てについて、審議に審議会で加わったことがあります。
 あのときの審議会では多くの意見が出されまして、厳しく審査が行われました。ケー・ディー・シーは、事業面積が狭いことで、審議会を通さないで都の許可を受けたわけですが、今回、大量の土砂が流れ落ちたのは本当に重大なことだと思います。環境局が行った事業者の許可をしていく上での審査、事業の資格審査はどうだったのでしょうか。資金力や地盤の安定化のための技術力、環境局が許可をした判断の詳細についてご説明をいただきたいと思います。

○須藤自然環境部長 自然保護条例に基づく開発許可制度は、自然の保護と回復を図るとの条例の趣旨に基づき、一定の緑地面積の確保や既存樹木等の保護の検討、希少動植物への配慮などを許可基準で定めており、開発事業者の資金力や信用力の有無、また、工事施工者の技術力などについては、審査事項としておりません。
 また、今回のように事業面積が一ヘクタールに満たず、建築物などが設置されない残土埋立事業の場合、森林法や都市計画法などの開発規制の対象外となるため、こうした法令においても事業者の資金力や技術力などの審査は行われておりません。

○河野委員 ケー・ディー・シーという事業者が残土埋め立てを行った、この事例については、極めて規制基準が甘いということが今のご答弁でわかりました。土砂の搬入の作業や地固めの作業がどのように施工されているかについて、許可をおろした環境局は、監視、監督を行う責任があると思っています。環境局は定期的に、また適切に監視や監督を実施されたでしょうか。

○須藤自然環境部長 事業者は、平成十七年三月三十日に許可を取得後、翌月から土砂搬入を開始したため、都は同年四月に現地調査を行い、条例で規定する標識の掲示などを確認しております。
 また、必要に応じて現地調査を行い、工事の進捗を確認するなど、事業者への監視指導を実施しておりました。

○河野委員 標識はつけました、そして、必要に応じて現地調査も行ってきましたという部長のご答弁ですが、定期的に、適切に行われたかということを私は伺いましたが、そのことについては、はっきりとしたお答えではなかったし、状況を見ますと、監視、監督も十分な仕組みがなかったのではないかということを率直に感じます。
 平成十七年三月の許可から翌年の平成十八年に泥水、この場所から土が流れたと聞いています。これはどんな事態が起きたのでしょうか。そして、そのときに事業者に対して環境局はどのような措置をとったかお聞かせください。

○須藤自然環境部長 事業者に指導をする中で、平成十八年十月の降雨時に泥水の流出が確認されたため、事業者に対して都道六一号線に泥水が排出されないよう、土のうの設置を指導し、その実施を現地で確認しております。
 その後、盛り土の一部流出や擁壁の排水管付近の亀裂、開発区域の逸脱などが確認されたため、都は、事業者に改善指導を行っておりましたが、平成二十年九月に郵送した指導文書が宛先不明で返送されて以降、事業者への指導ができない状況となりました。
 このため、事業者への連絡は試みておりましたけれども、連絡がとれなくなった後は、現地周辺を訪れた際には、泥水の流出を確認するなどして危険性の有無の確認に努めておりました。

○河野委員 平成二十年から事業者と連絡がとれなくなったとのことですが、数えてみると、もう九年も前のことになります。
 ここで、確認の意も込めまして三点伺います。
 一つは、環境局はこの九年の間、どんな措置をとったのでしょうか。二つ目に、九年の間、事業者不在の状態が続いていたことになりますが、土砂埋立地の安全性について、環境局はどんな認識を持たれていたのでしょうか。今、危険性の有無を確認してきたとおっしゃっていますが、実際にどういうふうに安全性の調査を行ってきたのかお答えください。また、今回のような大量の降雨があったときに、土砂崩れが起きて都道が塞がれる、そうした事態になることは想定されなかったのでしょうか。それぞれ三点お答えいただきたいと思います。

○須藤自然環境部長 まず一点目の、どんな措置をとってきたのかということでございますけれども、平成二十一年五月七日に都が現地調査を行った際、擁壁の排水管付近の亀裂や盛り土の一部流出を確認しておりましたけれども、亀裂は浅く、盛り土の流出も事業地内にとどまっていたこと、さらには、盛り土のり面に草本が繁茂していたことから、現場は安定していると判断し、喫緊の危険性があるとは認識しておりませんでした。
 事業者への連絡を試みてはおりましたけれども、連絡がとれなくなった後は、先ほどもご答弁申し上げたように、現地周辺を訪れた際に、泥水の流出などを確認するなどして危険性の有無の確認に努めていたところでございます。
 それから、二点目の埋め立ての安全性等につきましては、今のご答弁と重複いたしますけれども、平成二十一年五月七日に現地調査を行った際に、擁壁の排水管付近等の亀裂を確認いたしましたものの、亀裂の程度が浅かったことなどから、現場は安定していると判断し、喫緊の危険性があるという認識は持っておりませんでした。
 また、都と八王子市が市内で行われている開発事業についてお互いに情報共有を行う定例会議におきましても、今回事故のあった残土事業について取り上げられるということはございませんでした。
 都としては、事業者への連絡は試みていたものの、連絡がとれなくなった後は、先ほどの繰り返しになりますけれども、現地周辺を訪れた際に、泥水の流出などを確認するなどして危険性の有無の確認に努めていたところでございます。
 したがって、三点目の土砂崩れの可能性等につきましても、こういった事情がありまして、現地が安定しているという観点から、喫緊の危険性があるという認識は持っていなかったところでございます。

○河野委員 ご答弁の中では、いろいろふぐあいがあって、見回りましたと、そして、排水管の亀裂も浅かったり、そういうことがあったり、のり面については草本が繁茂していたとか、危険性の喫緊なものは感じていなかった、そして、危険性の有無はずっと確認していたんですよというご答弁が続いております。
 私は、前の平成十八年のグリーンステーションのときも、あの近辺の残土埋め立ての状況を見てきました。それから、今回も二回にわたって行っておりますから、美山街道全体が、やっぱり残土が相当埋め立てられている谷合いの筋があるんですね。そこは、周りの林と植生が全然変わっているんですよ。埋め立てたところに生えているのは草本とおっしゃいましたけれども、草、そして低木です。だから、今はススキがいっぱい茂っていましたけれども、あの草本の茂り方で根っこが土をきちんと押さえる、地盤が安定しているというふうには、専門家であれば判断なさらないんじゃないかなと、私自身も全く素人ですけれども、これで安全な地盤だとはいえないというふうに感じています。
 八王子の話も出ましたが、八王子市議会では、ケー・ディー・シーの盛り土造成事業について、あのような急傾斜地に残土を入れれば、いずれ崩壊の危険が免れない、このような指摘があったと聞いております。危険が指摘されていた急傾斜地の盛り土造成を、途中で事業者がいなくなったという本当に不運な出来事があったわけですけれども、九年間そのままにしておいたというこのことは大きな問題だと思っています。
 東京都環境局の開発許可の手引という冊子が出ております。これですね。ここには、自然の保護と回復に関する条例の第五十四条などに基づいて、事業者に中止命令を出せる、さらに、従わなければ六カ月以下の懲役刑、または三十万円以下の罰金刑を科すことができるということになっています。そうした措置については、今回の場合どうだったんでしょうか。

○須藤自然環境部長 これまでの自然保護条例に基づく行政処分は、事業者がたび重なる指導に従わない場合であって、かつ明らかに災害発生のおそれがある場合、事業者に是正措置を行わせるために実施してまいりました。
 今回の件については、現場調査をした結果、喫緊の危険性があるとは認識していなかったため、中止命令等の行政処分を行う状況ではなかったと考えております。

○河野委員 事業が九年間にもわたり中断したままで、喫緊の危険性はないと判断していた、ここもやはりこれから環境局の姿勢が問われる問題だというふうなことを私は申し上げておきます。
 谷戸に残土を搬入することは、自然の生態系が壊されるだけでなくて、地盤の安定の面でも問題が多いことははっきりとしています。だから、崩落現場の隣のグリーンステーションの残土搬入事業では、ここは七千平米の今回のケー・ディー・シーよりはさらに何倍も大きい事業地なんですけれども、その搬入事業では、地元町会も加わって地区連絡協議会をつくって、施工中のチェック体制を確保していく、そういうことになったのが東京都の自然環境保全審議会の議事録に残されております。その点でも今回の土石流被害は、チェック機能の仕組みが曖昧なままで過ぎてきた中で起きているわけですから、本当にチェック機能がどうだったのかが問われます。
 建設残土の埋立事業は、都の自然保護条例で実施されています。今回の土砂崩壊は、東京都内では、その規模は極めて大きなものであるということを専門の方も指摘されておりましたし、今も積み上げた土砂は残されているわけですから、不安定な状態にあるとも指摘されています。この事態をどうするかが今、環境局に厳しく問われているのではないでしょうか。
 土砂崩壊の教訓をしっかりとつかんで安全性を担保するためには、より厳しい許可基準が必要だと考えます。環境局の見解、安全性担保について、これから許可基準の見直しなどについて私は求めていきたいと思いますが、そのことについての見解をお示しください。

○須藤自然環境部長 今回のように事業面積が一ヘクタールに満たず、建築物などが設置されない残土埋立事業の場合、森林法や都市計画法などの規制対象外となり、こうした事業の安全性に係る技術審査は、自然保護条例に基づく審査のみとなっているところでございます。
 このような状況を踏まえ、都では近年、条例に基づく開発許可において、必要に応じて土木の専門機関に助言を求め、適切な指導につなげる取り組みを始めております。
 今後は、土木の専門機関との連携を一層強化し、安全性に係る審査を厳格に行うとともに、問題のある事業者に対する監視の頻度や手法などについて見直しを図ってまいります。
 また、工事途中で事業者が現場を放棄するといった不適切な行為を防ぐための対策についても検討してまいります。
 都としては、今回の土砂災害事故を真摯に受けとめ、事業者が適正に開発事業を実施するよう対策を講じてまいります。

○河野委員 最後に意見を申し上げたいと思います。
 今、部長がいろいろ、これから専門機関に助言を求めることとか、専門機関との連携を一層強化して、安全性にかかわる審査を厳格に行っていくこととか、事業者に対しての姿勢も厳しくしていくということをご答弁されましたので、ぜひ、そういう意味では環境局の総力、聡知を挙げて取り組みを進めていただきたいということをまず要望します。
 台風二十一号によって、八王子市上川町で起きた土石流を見て、私は人災としかいいようがないということを感じました。かつて環境局は、温泉掘削で人命を失う爆発事故が起きたときに、温泉の掘削基準をより厳しいものに見直しております。上川町では、土石流が起きた時間が午前三時ごろで、都道を通る車がない時間帯、そういうことでしたから、幸いに人命にかかわる事態にはなりませんでした。これは、考えてみれば奇跡的で、通勤の人が車に乗って会社に行く、そういう時間帯だったら深刻な事態が発生したと思います。
 こうした土石流被害が絶対に起きないように、これまで環境局が許可した建設残土埋立事業の安全性について、全てを調査していただきたい、これをぜひ求めておきたいと思いますし、許可に当たっての基準は、安全性を重視して見直しすることをお願いいたします。谷埋め盛り土である建設残土の埋め立ては、下の基盤と埋立土砂の形状との計算、また、土石流も起こり得ることを想定して、基準の見直しはぜひ必要だと思います。
 八王子市には、東京都よりも厳しく残土埋め立てを規制する条例が制定されていると聞いています。東京都としても規制を強めていただきたい、そして、都の関係各局や地元自治体、住民の皆さんと十分な協議をして、建設残土による盛り土事業は、できるだけ本当にしっかりと抑制の方向を今とるべきであることを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○西郷委員 では、まず初めに、二〇二〇東京大会は、オリンピックが七月二十四日から八月九日、パラリンピックが八月二十五日から九月六日と大変暑い中、開催されます。この期間にはアスリートだけではなく、多くの外国人観光客や関係者が東京を訪れます。この中には、日本特有の蒸し暑さになれていない方も多いと考えられます。そのため、アスリートや観客の方が快適に過ごせるよう、暑さ対策について万全を期する必要があります。
 さきの第三回定例会の代表質問において、我が党の増子議員より、暑さ対策について質問し、都として暑さ対策を総合的に推進していくとの答弁をいただきました。
 そこで、今回は、暑さ対策の取り組みのうち、新規事業である東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策推進事業について質問をいたします。
 まず、この事業の目的と内容についてお伺いいたします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 都は、大会開催時に東京を訪れる方々に、真夏でも快適に過ごせる環境を提供していくことを目指し、今年度から三カ年、東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策推進事業を行うことといたしました。
 この事業では、東京二〇二〇大会の競技会場周辺で、現在も観光客などが多く訪れる地域内の施設に面的に暑さ対策設備を導入し、クールエリアを創出してまいります。
 具体的には、まず、事業を実施する区市を公募し、対象となる一定の範囲を選定いたします。次いで、その対象区域内において、日よけや微細ミスト、歩道等の舗装の遮熱化などの対策を講じる区市や民間事業者に対し、一地域当たり五千万円を上限として整備費用の全額を補助していくものでございます。

○西郷委員 事業の目的と内容はわかりました。オリンピック・パラリンピックの観戦で東京を訪れた方々が少しでも快適にまちを歩き、楽しめるように対策を進めることは重要です。
 そこで、今年度の取り組み状況及び来年度以降の予定についてお伺いをいたします。

○村山都市エネルギー推進担当部長 今年度は、五月に本事業の対象となる地域を公募し、応募のあった中央区及び調布市を選定いたしました。七月に、中央区では数寄屋橋や日本橋、京橋において整備する微細ミストや日よけなどを、調布市では東京スタジアムに向かう歩道の遮熱性舗装及び微細ミストを、それぞれ補助対象として決定いたしました。
 来年度も引き続き対象となる自治体を公募し、東京二〇二〇大会開催までにこうしたクールエリアを合計六地域程度整備してまいります。

○西郷委員 現在の取り組み状況と今後の予定について理解をいたしました。
 補助対象となった銀座や日本橋などは、私も日ごろからよくまちを歩いていますが、本当にたくさんの外国人の観光客の姿を目にいたします。東京にはこのほかにもたくさんの観光スポットがありますが、オリンピック・パラリンピックを契機に、東京を訪れる多くの方々がまち歩きする際に少しでも快適に楽しめるよう、クールエリアの整備を今後とも着実に進めていくことを要望し、次の質問に移ります。
 次世代タクシーの普及促進事業についてお伺いをいたします。
 先日開催された東京モーターショーでは、トヨタ自動車から次世代タクシーの専用車、ジャパンタクシーが出展されました。子供や高齢者、車椅子使用者、外国人観光客など、さまざまな人に優しく、快適なタクシー専用車としてユニバーサルデザインが採用されております。さらに、新開発のLPGハイブリッドシステムを採用することで、十九・四キロの低燃費とCO2排出量の大幅な低減を達成しているとのことです。
 東京二〇二〇大会に向けて、ユニバーサルデザインを採用していたり、CO2排出量を削減した次世代タクシーの普及が急がれております。
 そこで、現在の都内におけるタクシーのうち、このような次世代タクシーの割合を具体的にお伺いいたします。

○松永環境改善部長 現在、都内約四万八千台のタクシー車両のうち、スロープやリフトを装備し、車椅子に乗ったままで乗車できるユニバーサルデザインタクシーは八十三台でございます。
 また、燃料電池自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド車のタクシーは合計十九台、ハイブリッド車のタクシーは約七千台ございまして、これらの車両が都内のタクシー車両に占める割合は約一五%となっております。

○西郷委員 東京二〇二〇大会に向けて、都内で次世代タクシーの普及を促進するために環境局が取り組んでいる事業を具体的にお伺いします。

○松永環境改善部長 都は、ユニバーサルデザインタクシーの中で、環境性能の高いタクシーの普及促進のために総額六十一億二千万円、電気自動車、プラグインハイブリッド車のタクシーの普及促進のために総額五億円の財源で、平成二十八年度から三十二年度の五年間の補助事業を実施しております。

○西郷委員 それでは、最後に、今後、東京二〇二〇大会に向けて、ユニバーサルデザインタクシーの普及を促進するために環境局が取り組む方向性を具体的にお伺いしたいです。

○松永環境改善部長 都内では、自動車から排出されるCO2は全体の約二割を占め、その削減に向けた取り組みは重要でございまして、中でもタクシーは、一日の走行距離が長いため、環境性能の高い自動車に転換することが必要でございます。
 また、オリンピック・パラリンピック東京大会の成功のためには、交通機関を初めとする都市のバリアフリー化に取り組んでいくことが不可欠でございます。
 都は、これらの課題を解決するため、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシーなどを二〇二〇年までに約一万台にふやすという目標を掲げておりまして、この目標を達成するため、今後、タクシー事業者への説明会や関係団体を通じた制度の周知などに努め、補助制度を着実に実施してまいります。

○西郷委員 前向きな答弁をありがとうございます。二〇二〇までに目標達成できるよう要望し、今後も努力していただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○佐野委員 本日最後の質問者になります。あとしばらくおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。
 質問件数は一件、自然環境について質問をさせていただきたいと思っています。
 今回、私にとっては初めての事務事業質疑ということで、環境局の事業についてはどれもが非常に重要なものばかりでありまして、選ぶのにどうしようかと。また、最後ですので、これまで十一名の委員の方々がさまざまな観点から質問をしていただいておりますので、非常に参考になりました。議会としての質問ですので、重ならないようなことを質問させていただきたいと思っています。
 まず、環境局のホームページを見ますと、トップページに、横にバナーというんですかね、見出し、表紙がございまして、この中に十一項目挙がっています。気候変動、エネルギー、自然環境、そして廃棄物、自動車、大気・騒音・振動・悪臭、化学物質・土壌汚染、水環境、環境アセスメント、高圧ガス・火薬電気、その他、この十一項目でございます。
 また、いただいております平成二十九年度の事業概要を見ますと、五部二十三課、一事業所ですか、このような体制で十一の主要事業が挙げられて、五つの章で二十八の節で目次構成で事業が説明されているという、この中では自然環境といっても範囲が非常に広く、さまざまな事業が行われておるわけでございます。
 まず初めに、東京のこの豊かな自然環境や生態系保全に向けた都の取り組み方針について伺いたいと思っております。

○須藤自然環境部長 都では、平成二十四年五月に都の生物多様性地域戦略として策定した緑施策の新展開で定めている緑を守る、つくる、利用するという三つの行動方針に基づき、自然環境や生態系の保全の取り組みを進めております。
 緑を守る取り組みといたしましては、保全地域の指定などにより、多様な生物の生息、生育基盤となる既存の緑や希少種の保全を図るとともに、外来種対策などを行っております。
 緑をつくる取り組みといたしましては、緑化計画書制度などにより、多様な生物の生息、生育基盤となる緑の創出に取り組むとともに、民間事業者による生態系に配慮した質の高い緑化を促進する取り組みを進めております。
 緑を利用する取り組みといたしましては、自然公園など、東京のすぐれた自然環境の利用を促進するとともに、その前提となる生物多様性の重要性について、都民などの理解を促しているところでございます。
 緑施策の新展開の目標年次であります二〇二〇年に向けて、引き続きこれらの取り組みを着実に進めてまいります。

○佐野委員 自然環境に対する取り組みの基本方針ということで、守る、つくる、利用するということでございますけれども、生物の多様性保全のためには、その生息や生育の基盤となる緑地保全、守ることとともに創出、つくっていくことも重要だということがわかります。
 そして、民間事業者等による生態系に配慮した緑化を促進するということで、ホームページを見ますと、生態系評価手法試行事業というものもあるようですけれども、これらの取り組みの進捗、あるいは今後の方向性についてはどうなっていますでしょうか。

○須藤自然環境部長 生態系に配慮した緑化を促進するためには、生き物の生息空間としての緑地の価値を客観的に評価し、見える化することが重要と考えております。
 このため都は、生態系への配慮や影響の度合いを定量的に評価できる緑化評価ツールを本年三月に公表いたしました。
 このツールの特徴は、事業者が緑化計画を行う際に東京の地域特性に合致した種類を植栽しているかどうか、周辺緑地との連続性や生き物を呼び寄せる工夫をしているかどうかなどの項目について、評価シートに入力することで自動的に評価結果を得られる点にございます。
 今後、事業者がツールの利用を通じて生態系に配慮した緑化への理解を深め、積極的に取り組んでいただけるよう、講習会の開催や先駆的な取り組みを進める民間団体などと連携するなどして普及啓発に取り組んでまいります。

○佐野委員 新たな先駆的な取り組みを行っているということで、私も注目はしていきたいと思っておりますが、次に、生物多様性保全を進めるといっても、このように東京の地域特性に合致した緑化等をしていても、本来の生態系でない生物、外来種がふえていっては困るわけでございます。我が家の近所にも、最近、ハクビシンが頻繁にあらわれたり、大きな緑のインコが群れをなして飛んでいるというようなこと、また、北米原産のアライグマがふえているというようなことも伺っています。
 これらの外来種対策といいますか、こういうことも重要と考えておりますが、都内の主な外来生物であります今挙げましたアライグマやハクビシン、これらの生態の特徴、あるいは、これらが生態系に与える影響についてはどのようになっているかお伺いしたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長 アライグマ、ハクビシンは、本来、日本に生息していないネコ目の外来生物であり、生態は類似しております。すみかは木の上のうろ、他の哺乳類の巣穴のほか、家屋や神社仏閣の屋根裏などであり、民家の屋根裏に侵入し、ふん尿による悪臭を発するなど、生活環境にも影響を与えております。また、雑食性で果樹や野菜などの農作物への被害が報告されているほか、小型哺乳類や鳥類、昆虫類などを食べております。
 アライグマ、ハクビシンは、タヌキなどの在来種のすみかを奪うとともに、特にアライグマは絶滅が心配されるトウキョウサンショウウオを食害することから、生態系に影響があると考えられております。

○佐野委員 今、アライグマが絶滅が心配されるトウキョウサンショウウオを食害するというような話が出ましたけれども、こういうことで生態系への影響が懸念されているということでございます。
 実際、このアライグマやハクビシンの対策についての現状というのはどうなっていますでしょうか。

○金子緑施策推進担当部長 都は、平成二十五年度、アライグマ・ハクビシン防除実施計画を策定し、これに基づき、区市町村と連携して対策に取り組んでおります。捕獲の主体である区市町村に対しては、都は、財政的及び技術的支援を行っております。
 アライグマ、ハクビシンの防除は、行政区域を超えた広域的な対策が必要でございます。都は、区市町村に防除対策への参加を働きかけており、この結果、対策に取り組む自治体数は年々ふえ、現在、十五区七市二町、合わせて二十四自治体が取り組みを進めております。
 こうした取り組みにより、都内における捕獲数は、防除実施計画を策定した平成二十五年度に比べ、平成二十七年度では、アライグマは二百一頭から二百九十四頭、ハクビシンは三百八十頭から五百七十頭へと着実に増加しております。
 引き続き、区市町村と連携して捕獲に取り組んでまいります。

○佐野委員 今お聞きしまして、かなりの頭数が捕獲されているという現状にちょっと驚いたわけでございますけれども、次に、外来種の中でも、人間に、我々に危害を及ぼすものということで、本年七月に都内で初めてヒアリが確認され、都民に不安がちょっと広がったわけでございます。
 また、数年前になりますけれども、セアカゴケグモというのが、毒を持つクモでございますけれども、これも都内で見つかった。これら人的被害を及ぼす外来生物についても適切な対応が必要だと考えられますけれども、これまでの取り組み状況、また今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○須藤自然環境部長 人的被害を及ぼす危険な外来生物としては、平成二十六年九月に都内で初めてセアカゴケグモが確認されました。
 これを踏まえ、都は、区市町村と情報共有と連携強化を図るため、危険な外来生物に関する連絡協議会を設置するとともに、人的被害を及ぼす十六種の外来生物の特徴や、窓口対応などに関する担当職員向けのマニュアルの作成、配布、外来生物の駆除などに係る財政措置を行うなど、区市町村に対する技術的、財政的な支援を行っております。
 あわせて、昨年度から、危険な外来生物に関する特設サイトを開設するとともに、都内の公共施設などにポスターを配布するなど、都民への情報提供や注意喚起を図っております。
 また、ヒアリについては、本年六月に国内で初めて確認されて以降、都民や区市町村に対してヒアリに関する情報提供を行うとともに、七月には、都や国、東京港の周辺区などから成る東京港におけるヒアリ等対策連絡会を設置し、ヒアリの防除や都民等への情報提供などについて連携を図っております。
 今後も、国や区市町村などと緊密に連携し、危険な外来生物の防除に的確に取り組んでまいります。
 あわせて、港湾局や福祉保健局、教育庁等の関係局と連携しながら、都民や事業者に対して適時適切な情報提供や注意喚起を行い、都民などの安心と安全の確保に努めてまいります。

○佐野委員 今話題のヒアリにつきましては、まだ防除できるような段階なのかなと私も思っていますけれども、安心できないのが生物でございますので、万全を期して取り組んでいただければと思っています。
 これらの外来種の対策については、ご存じのように国において、いわゆる外来生物法というのがございまして、特定外来生物等として指定して規制をかけ、必要に応じた防除を定めているわけでございますけれども、指定を受けていない生物や在来種でも、本来その地域にいないものが繁殖したり、そして希少の野生生物の生息を脅かしているというようなことで、対策については非常に難しい問題があるのかなというふうには思っております。
 東京のこれら希少野生生物を適切に今後保護していくためには、まずその生息状況を的確に把握することが重要ではないかと思っておりますけれども、この点について都の見解はいかがでしょうか。

○須藤自然環境部長 都では、東京に生息、生育する希少な野生生物を把握するため、生物学的観点などから、個々の種の絶滅の危険度を評価し、絶滅のおそれのある種を選定し、東京都の保護上重要な野生生物種、いわゆる東京都版レッドリストとして取りまとめ、平成九年度に策定、公表いたしました。
 また、経年による生息状況の変化などを適切に把握するため、本土部については平成二十一年度、島しょ部については平成二十二年度にレッドリストを改定しております。
 今後も、希少な野生生物の適切な保護に向け、生息状況等の把握に努めてまいります。

○佐野委員 今ご答弁いただきました希少野生生物の生息状況の把握については、レッドリスト、調査されているということでございますけれども、これらの希少な野生生物の保護に向けた具体的な都の取り組みについては、どのような状況でございましょうか。

○須藤自然環境部長 都民や事業者などに対して、東京の希少な野生生物についての理解を深めるため、平成二十一年度の本土部、二十二年度の島しょ部のレッドリストの改定にあわせ、掲載種ごとに詳細な解説を記述したレッドデータブックをそれぞれ平成二十四年度、二十五年度に作成し、広く公表しております。
 レッドデータブックは、民間事業者などが自然環境に及ぼす影響が大きい開発行為を行う際に実施する環境アセスメント調査等の基礎資料として活用されております。また、大学や公的機関などによる調査研究や、NPO、都民などによる希少種保全の取り組みを行う場合などにおいても広く利用されております。
 今後とも、適切な情報収集、発信に努め、都民や事業者の理解と共感を得ながら、希少な野生生物の保護に取り組んでまいります。

○佐野委員 ただいまご答弁でご紹介がありましたレッドデータブックがここにあるわけでございますけれども、これは非常によくできている資料でございます。これつくるのに非常に大変だったんだろうと、苦労もうかがえるような内容になっていまして、私は非常に評価しているんですが、実際に高い評価を受けていると思っています。
 さすがに、こういうのは国がやることではないかなというふうにも思うんですけれども、世界の中の東京がやっぱり先駆的にやっているということは、私は誇るべきことではないかなと、意義があることではないかなというふうに思っているわけでございます。
 ここからが今回、私がなぜこういう事業に関心があるかということなんですけれども、先ほど、もったいないというところで、栗林委員と小磯委員、私も同じ世代でして、子供のころ、私は非常に生物が好きで、昆虫採集だとか、虫とり、それから魚とりとか、そういう時代を過ごしたものですから、非常にこういうものに関心があるわけなんですね。
 それで、現在、もう六十を超していますけれども、五十年前、子供のころと比べると、自然が大きく変化をしているんではないかというふうに日ごろ感じていて、こういう変化をきちっと、東京都がこのような調査、あるいは仕事ができるんであれば、そういうことをもっと体系的に、あるいは過去のデータ、地域のデータ、そういうものを総合的に把握してつかんでいくことが、都市がどんどん都市化していく、あるいは東京がどう発展していく、進化していく、その過程において、どういう自然がどう変わっていったか、こういうことをやっぱりつかんでおくことが、将来の東京の姿を予測したり、あるいは描いたり、そういうことの資料になるんではないかなということも非常に関心があるわけなんです。
 具体的に、ちょっとこれからはマニアックなことになるかもしれないんですけれども、子供のころ、例えばチョウチョウ、モンシロチョウがたくさんいたんですよ。それはキャベツ畑にたくさんいまして、近所の八百屋さんのキャベツの山にモンシロチョウが来るので、そこに網を持ってとりに行くというような状況でした。ところが、都市化によって畑がなくなるというのも一つですけれども、やっぱり農業の近代化で農薬がすばらしいのができちゃうと、一斉にモンシロチョウがいなくなりました。
 それから、逆に最近、ツマグロヒョウモンチョウというのが多いんですよ。ヒョウモンチョウというのは、名前のとおりヒョウのような紋をしているチョウチョウで、高原に行かないと見られないようなチョウチョウだったんです。ところが、それがスミレ類を食草としますので、最近、パンジーだとかビオラが、もうあらゆるところに都内ありますよね。そういうものを食べながらふえているといわれています。
 そして、アカボシゴマダラというチョウチョウもきれいなチョウチョウです。これは琉球の方にいる、原産はそうなんですけれども、どなたかマニアの方が逃がしたといわれていますけれども、神奈川あたりから発生して、最近、小平あたりでも本当にしょっちゅう見ることができる。そのアカボシゴマダラが在来種のゴマダラチョウの食草であるエノキ、それから国チョウであるオオムラサキ、こういうものと一緒でございまして、繁殖力が強いので、そういうものに影響を与えるともいわれています。
 そういうことが、じゃあ、データとしてどうなのかというのは、民間でインターネット等どこかで見かけたというような調査もありますので、東京都が全体を把握できる仕組みがあればいいなというふうに思ったりしています。
 それから、さらにどんどんいきますと、例えばセミは、子供のころはクマゼミというのはいなかったんですね。ところが、熱海から伊東に行くといるんです。熱海にはいなかったんです。それが温暖化の影響なのか、九州あたりから来るクスノキとか、いろいろ樹木が土とともにこちらに来ますので、そこから生まれて、暖かいのでまた冬を越せるとか、こういうことの影響かもしれませんけれども、五十年前にいなかったセミが最近聞ける。
 また、私が子供のころにいたヒグラシとか、カナカナカナと非常にいい声で鳴くんですけれども、こういうセミがほとんどいなくなってしまった。雑木林がなくなったり、そういう影響がもちろんあるんでしょうけれども、いなくなる。アブラゼミがすごくふえてきて、うるさいぐらいにいると。こういうような状況をどう--私は非常に関心があるんですが、例えば行政なり東京都として、こういうデータをうまく蓄積できるのかな、できたらいいなというふうに思っているんですね。
 トンボなんかも、うちの近くは野火止用水というのがありまして、多摩川から原水が引いてありましたので、たくさんのトンボがいました。オニヤンマとかカワトンボとか、あるいはムカシトンボなんていうのもいましたけれども、高度成長時代に下水を流してしまったのでどぶ川になりまして、一切いなくなって、今は、それを東京都の清流復活事業ということで、高度処理水が流れていますので、コイとか、幾らか生物が生きているんですけれども、トンボはやっぱり復活はしていないという状況です。
 そのほかバッタ類とかも、草っ原がなくなってバッタが少なくなったとか、トノサマバッタを見かけないとか、童謡でありますよね、スズムシだとかマツムシだとか、ガチャガチャクツワムシだとか、ああいう虫がほとんどいなくなりました。かわりに中国原産の同じマツムシという名前でもアオマツムシというマツムシが街路樹で生活できるので、非常にうるさい音、私なんかにはうるさいんですけれども、リーリーリーリーうるさい音で鳴いています。これらを、同じマツムシなのに、僕らの時代はチンチロリンだったのに、今の子供たちはリーリーリーというふうになってしまうと、やっぱり文化とか、そういうものも非常に変わってくるんではないかというふうにも思っています。
 これら虫を挙げれば切りがないんですけれども、魚に今度行ってみますと--済みません、もうちょっと時間をいただきまして。その野火止用水は高度処理をしているんですね。そうすると冬も暖かいんですよ。何と、熱帯魚のグッピーが繁殖しているんですね。子供たちがあれをメダカのようにとって遊んでいるという状況が今あります。
 それから、多摩川もアマゾンになぞらえて今タマゾンといわれているぐらいで、熱帯の魚、ピラニアとか、ああいうのが繁殖しているというふうに聞いています。
 それから、池では、釣りのブラックバスだとか、あるいはブルーギル、これはほかの魚とか虫を食べてしまうので、非常に生態系が乱れてしまうと。だから、先日というか何年か前に六義園、あそこは日本庭園できれいな池があるんですけれども、その池に何とブルーギルがたくさんいたというような状況になっています。
 これらは、井の頭公園なんかでも沼さらいというか、池を上げていろんな生態の調査をして、外来種を駆除しようというような試みをされているようですけれども、そういう試みがデータ化されて一つあるんではないかというふうにも思っています。
 それから、鳥は、さっきいいました緑のインコというのは、ワカケホンセイインコという、結構大きな緑のインコなんですね。これが木のうろとかで営巣しますので、在来のフクロウだとか、あるいはキツツキの仲間だとか、いろいろ影響が出てきているというような状況もありますし、もちろんカラスの問題もございます。あと、ドバトの問題だとか、そして高尾山、先ほど話題に出ましたけれども、高尾山できれいな鳥の声が聞こえるなといって、その鳥の名前はといったらガビチョウ、あるいはソウシチョウということで、きれいな声だから東南アジアの鳥を輸入して、それがかご抜けして逃げて繁殖をしていると。この繁殖がウグイスなんかと一緒の状況なので、ウグイスの繁殖が少し影響されているともいわれています。普通にガビチョウとかソウシチョウがいて、特定の外来生物には指定されているようですけれども、そういう状況が至るところにあるわけです。
 一方で、近所で子供のころ、チョットコイチョットコイと鳴いているコジュケイも全然聞かなくなりました。まだ多摩の西の方にはいると思うんですけれども、あるいはサンコウチョウという鳥が昔はいたんですけれども、今はもう見えなくなった。
 一方で、たくさんのムクドリが大量に群れをなして、都会の木で夜を過ごして、ふん害が起こっているとか、地方の都市に行くと、ほとんどの駅前ではそういう状況になっていますよね。そういうような生態の変化というのをぜひ何とか記録を残してやれないかなというふうに思っています。
 哺乳類は、先ほどハクビシンとアライグマを聞きましたけれども、多摩の方では鹿、イノシシやニホンザルも何か影響しているようですし、先ほど三宅委員から出ましたキョンも非常に問題になっていたり、タイワンリスだとか、そういうのは大きな問題になっていて、一方で、在来のタヌキやキツネがいなくなっているというようなこともございます。
 爬虫類もカミツキガメがいるだとか、あるいは、子供のころ縁日で売っていたミドリガメが大量に大きくなって、ミシシッピアカミミガメというんですけれども、生態系を乱しているというふうにいわれています。
 そういうことで、植物についてはもういいですかね。セイタカアワダチソウだとか、最近春になると、あれはオレンジ色のナガミヒナゲシというんですけれども、一株で十五万粒ぐらいの種が放出されるそうでございます。それが定着すると、セイタカアワダチソウと一緒に、ほかの植物を寄せつけないようなものを出して、それが繁殖していくというようなことで、春の風景も変わっていくというような状況もあります。
 それらを非常に私、心配していまして、これを何とか東京の方で調査とかできないか。ただ、東京が調査するというのは無理だと思うんですね。先ほどの小笠原から雲取山まで幅広い。そして、ある意味では非常に多様性のある自然がまだあるわけでございますけれども、そこを私はいろんな手だてをして、例えば、お隣の東村山市で野鳥調査をした記録がございます。一年間かけてやりました。私の市の小平でもそういう調査をやっています。これが何年ごろどういうふうに行われたかということ。それから、今回、資料提供いただきました保全地域の希少種、これらも、いつ、どのような調査が行われたかによって、この自然の状況がわかるわけでございます。
 また、多くの環境アセスメントを行っていますので、スポット的にその環境がデータとして残っている。そういうようなデータを、やはり何とかこのITの時代で東京都が主体となってできないかということを私は要望というか、思いがございます。
 そして、市町村に対しても、補助金等で何かやっていただけるような、そういうことで、何とかして東京のそういう自然環境をデータ化する、そんな仕組みができればいいなというふうに思って、今回質問をさせていただいたわけでございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、要望というか思いを述べさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○田の上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田の上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十四分散会

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