環境・建設委員会速記録第十四号

平成二十八年十一月二十二日(火曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長石川 良一君
副委員長山内  晃君
副委員長河野ゆうき君
理事まつば多美子君
理事清水 孝治君
理事西崎 光子君
舟坂ちかお君
高倉 良生君
近藤  充君
河野ゆりえ君
小山くにひこ君
大島よしえ君
高橋かずみ君
こいそ 明君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長遠藤 雅彦君
総務部長笹沼 正一君
環境政策担当部長小原  昌君
政策調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
鈴木 研二君
地球環境エネルギー部長松下 明男君
都市エネルギー推進担当部長小川 謙司君
環境改善部長松永 竜太君
環境改善技術担当部長近藤  豊君
自然環境部長志村 昌孝君
緑施策推進担当部長須藤  栄君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務風祭 英人君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○石川委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○笹沼総務部長 去る十月二十七日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次にございますとおり十三項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十六年度から平成二十六年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 なお、各年度の数値は、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で二段書きとしております。
 二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十六年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 なお、各年度の数値は、(注4)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十六年度から平成二十六年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況でございます。
 平成二十七年三月末現在におけます都内の発電ごとの普及状況を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去三年分)でございます。
 平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、平成二十七年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
 九ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして同様に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十九年度から平成二十八年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、予算額及び決算額を記載してございます。
 一一ページをお開き願います。9、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一五ページにかけて記載しております。
 一六ページをお開き願います。10、都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の推移でございます。
 平成十一年から平成二十八年十一月六日までの各年における都内の一時間降水量が五十ミリ以上七十五ミリ未満、七十五ミリ以上百ミリ未満、百ミリ以上の豪雨の日数を記載してございます。
 一七ページをお開き願います。11、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十九年から平成二十八年十一月六日までの各年における都内の真夏日と熱帯夜の日数を記載しております。
 一八ページをお開き願います。12、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれにつきまして、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十五年、平成二十年及び平成二十五年のみどり率を記載してございます。
 一九ページをお開き願います。13、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 平成十八年度から平成二十七年度までの各年度における土壌汚染状況調査の届け出件数等を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 最初に、事業概要一〇三ページの土壌汚染対策についてお尋ねいたします。
 豊洲市場への移転問題では、中央卸売市場が行った土壌汚染対策の内容が都民や議会に対して正しく伝えられなかったことで、都民の皆さんの信頼を大きく裏切ることとなりました。
 一方で、マスコミやインターネットなどでさまざまな情報が錯綜し、豊洲市場については何が正しいかわからない、そういう話をよく聞きます。
 私は先日、豊洲新市場を視察してまいりました。遮水壁の設置や地下水の管理、土壌の掘削除去など、最先端技術を駆使した最適な組み合わせによる土壌汚染対策がなされているとのことでした。
 そこで、都民の方に正しい情報を伝えるために、豊洲市場における土壌汚染対策について何点か確認したいと思います。
 まず、我が党の第三回定例会代表質問に対して環境局長から、土壌汚染対策法上の対策は的確に実施されているとの答弁がありました。土壌汚染対策法とはどのような趣旨で定められた法律なのか、改めてお伺いいたします。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法は、人の健康被害を防止することを目的としており、人が有害物質を含む汚染土壌に直接触れること、周辺で汚染された地下水を飲用してしまうことを防止するために定められております。人が汚染土壌に直接触れたり、周辺で地下水を飲用利用したりする場合には、要措置区域に指定され、汚染を封じ込める等の措置が必要になります。
 一方、人が汚染土壌に直接触れることはなく、周辺で地下水を飲用利用しない場合には、形質変更時要届け出区域に指定され、土地を改変する場合に届け出等を行いまして、汚染が拡散しないよう、リスク管理をしながら土地利用をしていくことになります。

○高橋委員 法上は、措置の必要な要措置区域と、リスク管理をしながら土地利用をしていく形質変更時要届け出区域に分けられることがわかりましたが、豊洲市場用地はどちらの区域に該当し、中央卸売市場及び環境局はどのような対応を行ったのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 豊洲市場用地は、人が汚染土壌に直接触れないように対策がとられており、周辺で地下水の飲用利用は予定されていないことから、形質変更時要届け出区域に指定されており、リスク管理をしながら土地利用していくことが可能な区域となっております。
 ただし、中央卸売市場は食の安全・安心の観点から、法を上回る任意の対策として、操業に由来する汚染土壌について、敷地周縁部等を除き原則として除去する対策を実施いたしました。
 環境局では、これらの対策について中央卸売市場から工事終了報告書が提出されたため、添付された測量データや写真等で汚染の除去が的確に実施されたことを確認しております。

○高橋委員 次に、盛り土について伺います。
 中央卸売市場では、厚さ四・五メートルの盛り土を行うこととしていましたが、本年九月に、知事の緊急記者会見で建物下に盛り土がないことが明らかになりました。先ほどの答弁では、汚染の除去といった法を上回る対策を実施したとありましたが、そもそも土壌汚染対策法で盛り土は必要だったのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法では、人が汚染土壌に直接触れることがないよう措置を行えば足りるとされております。
 具体的には、必要な範囲を厚さ五十センチメートル以上の盛り土、十センチメートル以上のコンクリート、三センチメートル以上のアスファルトのいずれかで覆うこと、または立入禁止区域の措置等でございます。このため、厚さ四・五メートルの盛り土は法を上回る対策であるといえます。

○高橋委員 土壌汚染対策法では、人が汚染土壌に直接触れないようにするため、一定の厚みの盛り土、コンクリート、アスファルトがあればよく、厚さ四・五メートルの盛り土は法上は必ずしも必要ではないということであります。
 次に、地下水について伺います。
 地下水モニタリングを二年間やっていく中で、八回目の分析結果で初めて地下水基準を超えるベンゼンとヒ素が確認されました。この結果について環境局は健康への影響をどのように評価するのか伺います。

○近藤環境改善技術担当部長 全二百一カ所ある観測井戸のうち、八回目のモニタリングでベンゼンは二カ所、ヒ素は一カ所から土壌汚染対策法の地下水基準を超える値が確認されました。
 ベンゼンは基準値一リットル当たり〇・〇一ミリグラムに対してそれぞれ〇・〇一四ミリグラム、〇・〇一一ミリグラム、ヒ素は基準値一リットル当たり〇・〇一ミリグラムに対して〇・〇一九ミリグラムの値でありました。
 この結果に対して専門家会議の平田座長は、土壌汚染を浄化した場合、対策実施後に地下水中の汚染物質濃度が変動しながら低下していくことはよくある現象です、現在は、土壌汚染対策後の地下水中の濃度の推移を確認している状況であり、一時的な上昇をもって判断するものではなく、今後の推移を見守るべきと考えております、さらに、豊洲市場の地下水は飲用に供することはなく、人体への健康に影響するものではありませんとコメントしています。
 そもそも土壌汚染対策法の観点からも、地下水基準は、仮に地下水を毎日二リットル、七十年間飲み続けても健康に影響を及ぼさないように定められたものでございます。さらに、豊洲市場では地下水を飲用利用しないことになっているため、これにより健康被害が生ずるおそれはないと考えております。

○高橋委員 豊洲市場用地においては、人の健康被害を防止するという観点から定められた土壌汚染対策法上の対策が的確に実施されていることがわかりました。
 しかしながら、環境アセスメントにおいては盛り土があるという間違った前提で手続が続けられてきたことは甚だ遺憾であります。環境アセスメントは豊洲新市場のような大規模な事業の実施に際し、その事業が環境に与える影響を事前に予測、評価すること等を通して、事業実施による環境への影響を可能な限り少なくするための制度でありますが、今回の豊洲新市場の一件では、そうした環境アセスメントの趣旨が十分に生かされなかったことになります。
 そこで、豊洲新市場については環境アセスメントの手続がどのように行われてきたのか、今後どのような手続が必要になるのか確認したいと思います。
 初めに、一般的な環境アセスメントの手続とはどのような流れで行われるのか伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の環境アセスメントの手続は、大きく三つの段階、すなわち計画段階アセス、事業段階アセス、そして着工後の事後報告の三段階で行われます。
 まず、計画段階アセスメントは、一定規模以上の都の事業計画に限って適用されるもので、複数の事業計画を作成し、その環境影響を比較検討するものでございます。
 次に、事業段階アセスメントでは、まず事業者が調査項目等を検討する環境影響評価調査計画書を作成し、これに基づいて環境影響の予測、評価を行って環境影響評価書案を作成し、審議会が審議を行います。その後、知事は答申を踏まえた審査意見書を事業者に送付し、事業者はその意見書の内容を踏まえ、環境影響評価書を作成した上で工事に入るということになります。
 工事着工後は、事業者が調査を行い、都に事業報告を行うことになります。

○高橋委員 ただいま一般的な環境アセスメントの進め方について大まかな流れをご説明いただいたわけでありますが、豊洲新市場については具体的にどのような手続が行われてきたのか伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊洲新市場建設事業は、環境アセスの対象事業の卸売市場の設置または変更、それから自動車駐車場の設置または変更に該当し、敷地面積二十ヘクタール以上、駐車場能力二千台以上という計画段階アセスの規模要件にも該当するため、計画段階アセスから手続を行ってまいりました。平成十六年九月に環境配慮書、平成十八年十月に環境影響評価調査計画書が提出され、さらに平成十九年一月に環境影響評価書案が提出されました。
 その後、同年五月に中央卸売市場が土壌汚染対策等を検証する専門家会議を設置し、その提言を踏まえて、土壌中の高濃度のベンゼン等に関する新たな土壌汚染対策工事を実施することとなったため、平成二十一年三月に中央卸売市場から環境アセスメントの変更届が提出されました。
 当該の変更は環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められたため、知事は環境影響評価審議会の意見を聞いた上で、中央卸売市場に再アセスの実施を求めました。これにより新たな環境影響評価調査計画書及び環境影響評価書案が提出され、審議会での審議を経て平成二十三年七月に環境影響評価書が作成され、提出されたところでございます。

○高橋委員 今の説明にあったとおり、豊洲新市場は一度、再アセスを実施しているとのことであります。この再アセスの内容はどのようなものであったのか伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 再アセスでは専門家会議等の提言を踏まえ、土壌の全面的な掘削と健全土との入れかえ、盛り土の実施、地下水位を一定に保つための地下水管理の導入等、事業計画の大幅な変更を前提とした環境影響評価書案等の関係書類が提出されました。環境影響評価書案では、汚染土壌の掘削処理等に伴うベンゼン等揮発性物質による大気汚染等について新たに環境影響の予測、評価を行い、これを受けた審議会は計四回の項目審議を行いました。
 審議会は、工事に伴う土壌汚染対策、大気汚染対策等について、十二項目、計四十八件の意見を答申し、中央卸売市場は調査意見書等を反映した環境影響評価書を平成二十三年七月に提出をしたところでございます。

○高橋委員 再アセスは盛り土の実施を前提として行われたとのことでありますが、実際には建物下については盛り土は行われておりませんでした。
 確認しますが、建物下の盛り土について、これまで変更などの手続は行われなかったということでしょうか。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでのところ、盛り土に関し変更の届け出は提出されておりません。

○高橋委員 先ほど説明がありましたように、豊洲新市場のアセス手続については、専門家会議等の提言を受け、盛り土を行うなど土壌汚染対策の内容が大幅に変更されたことが再アセスの実施につながったわけでありますが、これまでのところ盛り土が行われていないことについて、変更届が提出されていないとのことであります。
 現状と異なる形でアセス手続がなされているわけでありますが、今後の手続はどのようになるのか伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場は、建物下の盛り土が評価書の記載と異なっていることについて、変更届を提出していきたいとの意向を示しております。
 中央卸売市場では、九月に専門家会議を設置し、改めて土壌汚染対策について安全性の評価、検証を行っており、市場からはその結果を踏まえた対策工事等、新たな環境保全措置と、その環境影響の予測、評価を含んだ変更届が提出されると考えております。

○高橋委員 今後の手続においては、新しい対策工事についての予測、評価等も含めた変更届が提出されることがわかりました。詳細については専門家会議等で検証中のため、その結果を待たなくてはなりませんが、市場関係者は一日も早く開場時期等が決まるように願っております。
 今後とも、環境局としても科学的かつ冷静な議論がなされるよう正確な情報を発信していただくとともに、環境アセスメントについては必要な手続をしっかりと行いながらも、迅速に進められることを強く要望いたします。
 次に、事業概要五五ページの建築物環境計画書制度についてお尋ねいたします。
 都内では都心部を中心に、オフィスビルや商業施設など大規模な都市再開発が進んでおりますが、建築物は一度建てられると長期間使用されるため、計画段階から省エネルギー対策を促していくことが大変重要であると思います。
 都では、こうした省エネルギー性能など、さまざまな環境配慮の全体像を示した建築物環境計画書の提出を、床面積五千平米を超える大規模な建築物の建築主に対して義務づけています。そして、この計画書を都が公表することにより、環境性能の高い建築物が評価される市場の醸成と新たな環境技術の開発を促進しているとのことであります。
 最初に、この建築物環境計画書制度が建築物の省エネルギー化を推進する上で果たしてきた役割についてお伺いいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 建築物環境計画書制度では、新築等の建築物の省エネルギー化に向けまして、空調、照明などで消費されるエネルギー量について、国が示します建築物エネルギー消費性能基準から低減率を三段階に設定いたしまして、建築主に対し、より高い削減の取り組みを促しております。
 現行の省エネ性能に係る段階評価の基準につきましては、国における算定方法の改正に合わせ平成二十五年度に改正したものでございまして、この年度から平成二十七年度までに提出されましたオフィスビルや商業施設などの建築物環境計画書制度では、七割以上が最高段階に達しております。
 このように、本制度は建築物における省エネルギーの推進に一定の役割を果たしてきたものと考えております。

○高橋委員 最近のオフィスビルなどの省エネ化は、技術の進歩が後押ししてきた側面もあると思いますが、今ご説明のありました環境配慮の取り組み状況を公表するという制度が建築主の自主的な取り組みを誘導してきたものと考えます。
 ところで、国においては、平成二十七年七月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が制定されました。その際、省エネルギー性能を表示するラベリング制度も規定されたと聞いております。
 都の建築物環境計画書制度では、このような動きに対してどのように対応したのか、具体的内容について伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 まず、お話の国の動き等につきましては、いわゆる建築物省エネ法が制定されまして、建築物の販売等を行う事業者に対し、省エネ性能表示の努力義務が規定されました。
 また、第三者認証機関による建築物省エネルギー性能表示制度におきまして、これまで非住宅全体として一区分で設定されていた省エネ性能の段階ごとの水準を、事務所等と飲食、百貨店等の二つの用途区分に分割いたしまして、それぞれの区分で新たな水準の設定がなされました。
 一方で、先ほど答弁いたしましたとおり、都におきましては、オフィスビル等の建築物の既に七割以上で建築物環境計画書制度における省エネルギー性能の最高段階に達しており、段階ごとの達成比率のバランスを図るとともに、より高いレベルへ誘導するための基準の見直しも必要となってございます。
 そこで、こうした状況を踏まえまして、非住宅建築物の用途区分を二つに分割するとともに、三段階の評価基準も整合を図りながら引き上げを行い、来年度から実施することといたしました。

○高橋委員 建築物の省エネルギー化をさらに促進していく上で意義のある改正だと思います。また、第三者認証制度で採用されている基準を活用することは、建築主にとってのわかりやすさからも適切だと考えます。
 今後も本制度の活用により、建築物の省エネルギー化の推進が必要だと考えますが、今後の取り組みの方向性について伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は今回、省エネ性能の段階評価の基準の見直しを行ったところでございますが、平成十四年に建築物環境計画書制度を創設以降、約十五年が経過し、この間、空調や照明など、建築設備の技術革新も進み、建築物の省エネルギー性能は向上してございます。
 今後はこうした状況に対応するため、さらなるエネルギー性能の向上につながる評価基準の検討を進めますとともに、環境性能の高い建築物がこれまで以上に不動産市場で積極的に評価されるよう、ラベリング制度の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

○高橋委員 我が国には多くのすぐれた省エネ技術があり、こうした技術が取り入れられることで建築物の省エネ性能はさらに高められていくと思います。
 今後も本制度によって事業者の積極的な環境配慮の取り組みが促され、建築物の環境負荷低減につながっていくことを期待しておきます。
 次に、事業概要一二三ページのフロン対策についてお尋ねいたします。
 さきの報道でもあったとおり、本年十月にルワンダで開かれたモントリオール議定書第二十八回締約国会合において、代替フロン、いわゆるHFCの生産等を段階的に削減していく議定書の改正が採択されました。
 フロンは、エアコンなどに冷媒として広く利用されています。議定書改正の焦点であったHFCは温室効果が非常に高く、その漏えいが地球温暖化に影響を与えることから、大気中への排出を抑制していくことが求められております。
 国内においては、平成十四年度にフロン回収破壊法が施行され、業務用冷凍空調機器を廃棄する際のフロン回収と破壊処理等が実施されてきました。さらに、業務用冷凍空調機器の使用時にフロン漏えいが多いことから、フロンの使用量の低減や管理の適正化を規定したフロン排出抑制法が平成二十七年四月に施行されました。
 このような法改正を受けて、東京都はどのようなフロン対策を行っているのかお伺いいたします。

○松永環境改善部長 フロン排出抑制法が施行され、フロン製造業者やフロン使用機器の製造業者、フロン使用機器のユーザーなど、それぞれの主体がフロンの使用抑制や適正管理等に取り組むことが求められております。
 特に、使用時の漏えいに対応するため、新たに義務者となった業務用冷凍空調機器のユーザーには、三カ月に一回以上の簡易点検を初めとする適正管理が義務づけられ、これに対し都道府県が指導助言や立入検査を行うことができるよう規定されました。
 これを受け、都は、該当機器を多数設置している大手企業の工場や大規模な小売店舗等を選定し、点検等の管理状況を検査するとともに、具体的な助言を実施いたしております。また、都独自の点検マニュアルを作成し、広く配布するほか、国や事業者団体等と連携し、法改正の内容の周知や適正管理を要請してまいりました。

○高橋委員 都は、ユーザーへの立入検査の実施や改正法の周知などの対応を展開していることがわかりました。
 しかしながら、点検等の適正管理が必須となった業務用冷凍空調機器は、業種にかかわらず多くの企業で使用されており、一部の中小企業からは、改正法に対してどのように取り組んだらよいかわからないという声や、機器管理に新たな手間がふえるのではないかという声も聞こえております。このような中小企業の現状も踏まえ、フロンの排出抑制に向けてどのような取り組みを展開していくのか伺います。

○松永環境改善部長 中小企業では機器の使用年数が長くなる傾向にあり、経年劣化による漏えいの可能性が高まることから、フロンの排出抑制のためには、都内企業の大部分を占める中小企業が適正管理の重要性を認識し、定期的な漏えい点検などに取り組むことが必要でございます。
 このため、都は、中小企業での取り組みが円滑に進むよう、これまでの立入検査で得られた効率的な管理手法等を説明会やホームページで紹介するなど、さまざまな機会を通じて情報提供を行ってまいります。
 また、冷凍空調機器関係の事業者団体と連携し、適正管理の詳細なアドバイスができる方策を検討してまいります。

○高橋委員 法の適正管理を定着させるため、都は、わかりやすい情報提供や助言を継続して行うなど、地道な取り組みを着実に行ってほしいと思います。
 また、平成三十一年一月の改正モントリオール議定書の発効に向け、国においては対策の具体化と法整備に取り組むと聞いております。都においては対策の方向性等についてしっかりとした情報収集を行い、適切に対応していくことを要望いたします。
 次に、事業概要一四一ページの緑施策についてお尋ねいたします。
 都は、平成二十四年に緑施策の新展開を策定し、生物多様性の観点から、緑の量だけでなく質を確保するための取り組みとして、在来種植栽を推進しております。この在来種植栽に関し、都はこれまで、江戸のみどり復活事業として、区市町村が行う事業への財政支援や先駆的な民間事業者と協働した植栽管理手法の検討等を実施しており、私も当委員会で何度か取り上げてまいりました。
 私の地元である練馬区の中里郷土の森緑地では、この事業を活用して屋敷林を再生し、ヤマツツジやウメモドキなど在来種による植栽を行い、近隣の緑地や水辺との生き物のネットワークを形成するなど、他の区市町村の参考になる先進的な事例が生み出されてきております。
 また、在来種は、一般に手間がかかるといった先入観がありますが、昨年度、都が民間事業者と連携して通常の植栽とのコストや管理の手間を比較した結果では、両者に大きな差がないことが明らかになったと聞いております。
 江戸のみどり復活事業は平成二十七年度で終了したということですが、在来種植栽など、質の高い緑化を広げていくには、引き続き行政による積極的な取り組みが重要と考えます。
 昨年度までの事業成果を踏まえ、今後どのように在来種植栽の普及拡大を推進していこうとしているのかお伺いいたします。

○志村自然環境部長 在来植栽を初めとする生態系に配慮した緑化を推進することは、生物多様性の保全を図る上で重要な取り組みと認識しております。
 お話の江戸のみどり復活事業は平成二十七年度で終了いたしましたが、区市町村に対する助成につきましては、今年度から新たに地域環境力活性化事業の対象とすることで、引き続き支援を行うこととしております。
 次に、民間事業者に対しましては、昨年度まで実施した在来植栽の維持管理コスト等の検証結果や先進的な植栽事例を取りまとめて公表し、これを参考としていただくほか、在来種の供給を担う苗木業者とも連携を図ってまいります。
 また、在来植栽に加え、生き物の生息、生育空間の創出など、一歩進んだ取り組みを働きかけていくとともに、積極的な取り組みを行っている事業者については、東京都のホームページ等で紹介してまいります。
 今後とも、在来植栽の普及拡大に向けた取り組みを一層推進し、東京における生物多様性の保全を図ってまいります。

○高橋委員 在来種の普及拡大には、需要者である開発事業者への働きかけとともに、苗木事業者などの供給事業者と連携を図っていくことも重要であります。需給両面から在来種の普及拡大に取り組んでほしいと思います。
 二〇二〇年東京大会に向け、自然と共生した都市づくりを具現化するため、今後とも区市町村や事業者など、さまざまな主体の理解や協力を得ながら、都として、生態系に配慮した緑化の普及に向けた取り組みを積極的に進めていくことを要望しておきます。
 最後に、事業概要一五一ページの森林保全についてお尋ねいたします。
 多摩・島しょ地域の森林は、都民のレクリエーションの場となるほか、木材の供給や水の浄化、土砂災害の防止など、私たちの生活にさまざまな恵みをもたらす重要な生態系であります。森林は、いわば大都市東京の持続的発展を支えるグリーンインフラといえます。
 昨年、伊豆諸島の利島において、森林病害虫であるエダシャク類が大量に発生し、利島村のシンボルであるツバキに深刻な被害を与えたことは記憶に新しいと思います。
 エダシャク類は、ガの一種でありますが、その幼虫がツバキの葉を食べ尽くし、島内の二十万本に及ぶツバキが枯れ木のようになったニュースの映像を見て、私は心が痛む思いでありました。とりわけ、ツバキ油の生産量が日本一を誇る利島村にとっては、ツバキ林の被害はさまざまな恵みをもたらす森林機能の低下を招くだけでなく、島民の生活を揺るがす重大な問題であります。
 こうした問題を受け、我が党は昨年七月、利島村のツバキ林における病害虫対策について、都の取り組みを強化するよう要望したところであります。
 そこで、まず、これまで実施してきた対策についてお伺いいたします。

○志村自然環境部長 利島村におけるツバキ林の深刻な被害を受けまして、都は昨年、森林病害虫に精通した専門家等から成る東京都エダシャク類防除対策会議を設置し、効果的な防除対策について検討を行いました。
 対策会議において昨年十二月に取りまとめられました報告書では、卵からふ化した直後のエダシャク類の幼虫に対し、時期を逃さずに薬剤散布を行うことが最も有効な対策であることが示されました。
 これを受けて、東京都は、ことしの春のエダシャク類の幼虫発生に備え、利島村が行う新たな薬剤散布機の購入を支援するとともに、利島村や関係機関を初め、ツバキ生産農家などにも協力を求めまして、報告書で示された効果的な薬剤散布の実施に努めてまいりました。
 その結果、ことしは、幼虫がふ化した直後の四月下旬からの約一カ月間に、昨年の七十八ヘクタールを上回る百四十六ヘクタールのツバキ林に薬剤の散布を行いました。

○高橋委員 病害虫対策では、その害虫の生態を把握した上で、適切な駆除方法を選択することが重要であり、その意味では、都が対策会議を設置し具体的な対策を提示したことは有効な支援であったと思います。
 ふ化直後の幼虫への薬剤散布などを実施したことにより、どの程度対策の効果が上がったのか、また、今後の取り組み方針について伺います。

○志村自然環境部長 ことしの春の薬剤散布後、幼虫の生息密度調査を実施いたしましたところ、調査員が一分間に発見できた幼虫数の平均値は、昨年の一・八匹に対しまして、ことしは〇・一匹までに減少してございまして、幼虫はほとんど発見されないという状況になりました。
 また、八月に実施いたしましたツバキの健全度調査では、ツバキの葉の食害面積が三〇%以下に抑えられました。エダシャク類が大量発生したのは平成二十六年からでございますが、この大量発生する前年の平成二十五年度と同等のレベルにまでツバキの葉は回復してございます。
 去る十一月十六日、専門家による対策会議を開催し、ことしの防除効果や今後の対策を議論いたしました。専門家からは、来年も幼虫に対する重点的な薬剤散布を継続すべきとの提言をいただきまして、都は引き続き、来春以降のエダシャク類の発生に備え、利島村や関係機関と連携し、効果的な防除対策を進めてまいります。

○高橋委員 ツバキの被害が昨年と比べて少なくなっていると聞いて一安心しました。都と利島村が連携して迅速に緊急対策を実施したことがよい結果につながったと思います。
 ことしのエダシャク類の発生は抑制されておりますが、病害虫の発生は自然現象の一部であり、また大発生が起こらないとも限りません。引き続き、都は利島村との連携を密にし、ツバキの保全対策をしっかりと進めていくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○まつば委員 東日本大震災からの復興へ向けて歩まれている福島県で、けさ、福島県沖を震源とする大きな地震が発生をし、津波も観測をされました。県民の皆様は大変に心配をされていることと思います。私も胸が痛み、心配をしております。東日本大震災から五年八カ月、改めて復興支援に力を入れていきたいと決意をしたところでございます。
 環境局では、水素社会実現へ向けた取り組みを進められております。中でも、本年五月にCO2フリー水素及び再生可能エネルギーの研究開発等に係る連携・協力に関する基本協定書を福島県等と締結をされました。
 そこで、本協定を締結した意義と概要について改めてお伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 利用の段階で水しか排出しない水素を再生可能エネルギーにより大量に製造し、輸送する技術が確立すれば、低炭素社会の切り札となり得ます。本協定は、水素社会の実現に向けまして、水素の需要拡大に取り組む東京都と再生可能エネルギーの導入拡大を復興の柱の一つに掲げる福島県、それを技術面で支える国の産業技術総合研究所及び東京都環境公社の四者で締結したものでございます。
 協定では、CO2フリー水素の活用及びそれを通じた再生可能エネルギー導入の推進に係る共同研究や人材交流、CO2フリー水素及び福島県内の再生可能エネルギーの広報啓発活動等を四者で協力して行うこととしております。
 こうした取り組みを進めながら、二〇二〇年大会時における都内での福島県産CO2フリー水素の活用も視野に、四者による取り組みを進めてまいります。

○まつば委員 ただいま答弁をいただきましたけれども、二〇二〇年東京大会開催時に福島でつくられたCO2フリー水素が都内で活用されれば、福島の復興を世界に発信することにもなると考えております。そのためには、これから二〇二〇年までの四年間、四者が連携をし、具体的な取り組みを進めていくことが重要だと思っております。
 そこで、協定締結からこれまでの半年間にどのような取り組みを進めてきたのかお伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 まず、協定締結の当日より、東京都環境科学研究所の研究員を産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所へ派遣いたしまして、再生可能エネルギーから製造した水素を活用したエネルギーマネジメント等に係る共同研究を開始いたしました。
 あわせて、環境科学研究所では、水素を活用したまちづくりに向けた調査も実施してございます。
 また、先月福島県で開催されました再生可能エネルギー関連産業の展示会でありますREIFふくしま二〇一六へ東京都も出展いたしまして、ブースを訪れた地元の事業者や県民の方々へ、四者協定や都の水素社会の実現に向けた取り組みについてPRをいたしました。

○まつば委員 まずは共同研究や広報からスタートしたということがわかりました。
 こうした取り組みの上に立ちまして、やはり協定に基づく取り組みを福島県の復興の後押しとしていくという視点が大変重要であると考えております。
 都は、今後どのような取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 福島県では、復興の柱の一つとして、二〇四〇年ころに県内の電力需要の一〇〇%相当を再生可能エネルギーで賄うことを目標に取り組みを進めており、今回の都との協定への期待は大きいと聞いてございます。
 一方、国におきましては、本年九月、再生可能エネルギーの研究開発、実証事業の推進や、福島県内での再生可能エネルギーを活用した大規模水素製造等の構築などを掲げた福島新エネ社会構想を策定し、県の取り組みを支援していくこととしております。
 今後、こうした国の動き等とも連携を図るとともに、福島県としっかり連絡を取り合いながら、共同研究の実施や福島県産CO2フリー水素の活用、子供たちの東京スイソミルへの招待など、復興の後押しにもつながる取り組みを協力して進めてまいります。

○まつば委員 私もこの夏も福島県を訪れさせていただきましたが、昨年、福島県では環境創造センターという施設もオープンいたしまして、こうした環境ということに対して大変力を入れております。今もご答弁があったとおりでございます。
 ぜひとも福島県としっかりと連携をとっていただきながら、震災からの復興につなげていただくという視点で、これから取り組みをさらに力強く進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、豊洲新市場の環境アセスメントについて質問をいたします。
 都議会公明党は、豊洲新市場問題についてはプロジェクトチームを立ち上げまして、万全な食の安全対策の再構築へ向け全力を尽くしているところでございます。
 そうした中、先日、知事は、豊洲への移転に向けたロードマップを示し、さらに先週の金曜日、十八日には、ロードマップに関し、ステップごとの期日や部門の見通しを発表されました。今後の見通しについて、場合によっては長期化することもあるということが浮き彫りになりました。その中で、再アセスが必要か否かということでございます。
 これまでの都の環境アセスメントの中で再アセスとなった案件にはどのようなものがあるのか、それらはなぜ再アセスとなったのかお伺いをいたします。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都の環境アセスメントは、昭和五十六年に条例を施行してから、ことしの十月までで三百三十二件の事案を取り扱ってまいりました。そのうち、これまで再アセスとなった案件は、廃棄物処理施設の設置一件、道路の新設一件、高層建築物の新築一件、卸売市場の設置一件の計四件でございます。
 廃棄物処理施設設置の案件では、ごみ量予測の見直しによる焼却能力の大幅な変更があったため再アセスとなりました。道路新設の案件では、トンネルから平面へ道路構造が変更されたため、また、高層建築物の案件では、棟数が四棟から一棟へ変更されたため再アセスとなったものでございます。卸売市場の設置の案件は、豊洲新市場建設事業に係る案件でございますが、市場敷地内の全面的な掘削、仮設プラントによる汚染土壌処理、地下水管理の導入等、新たな土壌汚染対策を実施することとなりまして、アセス項目に追加等が生じたため、再アセスとなったものでございます。
 このように事業計画等の大幅な変更によりアセス項目の追加等が生じ、予測、評価が大きく変わるなどしたため再アセスが行われたものでございます。

○まつば委員 再アセスが実施されるのは、事業計画等の変更によりアセス項目の追加等が行われたときであるということがわかりました。
 今回の豊洲新市場の件では、現在、専門家会議により、盛り土がないことについての検証が行われておりますが、その検証結果と追加対策がセットで報告される見込みであると聞いております。
 それでは、今後、変更届が提出された場合、環境アセスメントではどのような審査を行うのかお伺いをいたします。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 変更届が提出された場合、一般的には、評価書で環境基準を満たすとしていた事項が変更届によりどう変わるのか、その結果、評価の基準とされていた環境基準を満たすのかどうかということを審査いたします。
 具体的には変更届が提出されてからのこととなりますが、今回の場合、例えば専門家会議を踏まえた対応の結果が土壌汚染対策法に定める基準を満足するのか、また、追加の対策工事の施工による環境影響、つまり工事車両の走行に伴う大気汚染や騒音、振動の影響が環境法令に定める基準を満たすのかどうかなどについて審査することが考えられます。

○まつば委員 現在、専門家会議が検証と追加工事等の検討を議論している最中なので、環境アセスが何を審査するのか具体的には答弁できないと思いますが、おおむね二つの点について審査するということであることを理解いたしました。
 先般、知事が示したロードマップの中でも、再アセスがない場合は一、二カ月、再アセスを行う場合は十五カ月程度かかるということが示されたところでありまして、大きな判断をするということになるわけであります。大変重要な判断であり、都民も重大な関心を持って見ております。市場関係者のみならず、消費者である都民にも理解していただけるよう、しっかりと手続を進めていただきたいと思っております。
 最後に、食品ロスについて質問をいたします。
 資源循環、廃棄物処理の問題、とりわけ、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの問題は大変大きい課題でございます。国連も二〇三〇年までに世界全体で一人当たりの食品ロスを半減させる目標を掲げております。そうした意味では全世界的な問題でありまして、私もたびたびこの取り組みについて求めてきたところであります。
 先週の各会計決算特別委員会では、昨年度から実施をしております食品ロスの削減を含むモデル事業について質疑をいたしました。その中で、先進的取り組みを展開しようとする事業者との連携を進め、食品ロスの削減に取り組んでいくとの答弁があったところでございます。
 引き続き、食品ロス削減の取り組みを広げていくために、事業者単独ではなかなか広めることができない先進的な取り組み、試みを都がサポートすることで、実りのある成果を生み出し、そこから大きなムーブメントをつくっていっていただきたいと思っております。
 事業概要によりますと、今年度のモデル事業では防災備蓄食品のリサイクルについて採択をしたということでございますが、この取り組みは具体的にどのようなものなのかお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 今年度採択しましたモデル事業は、事業所等で保管されている防災備蓄食品を買いかえる際に不要となる食品につきまして、できるだけ有効活用を図るものでございます。
 具体的内容といたしましては、回収した防災備蓄食品をモデル事業の提案事業者が物流会社の倉庫内で仕分けをした後、賞味期限まで余裕のあるものを社会福祉施設等に引き渡すことで、食品ロスの発生抑制を図っていくものでございます。
 また、やむを得ず賞味期限を過ぎてしまって廃棄する食品につきましても、確実にリサイクルしてまいります。

○まつば委員 私から二点、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 一つは、備蓄品を有効活用するルートの整備をしっかりしていただきたいということです。
 今、モデル事業でこうしたことの取り組みについて検証されるということになると思いますけれども、私もフードバンク等の取り組みについては注目をしているところであります。
 東日本大震災から五年八カ月が経過をいたしまして、この間、都は、帰宅困難者対策条例を施行しております。多くの事業所が備蓄を推進していただいております。また、一時滞在施設であります都施設におきましても、備蓄品の更新という時期にも当たってまいります。
 そうした意味では、大きな震災がなく、使用しなくて済んだということに感謝をしながら、その上で、備蓄品を有効活用していくというルートの整備をしっかりやっていただきたいというふうに思っております。ぜひ総務局とも連携をして、環境局がしっかり総務局ともこうした問題点について話をしていただく中で、こうした備蓄品の有効活用のルートの整備ということを進めていただきたいと思います。
 二点目は、食品リサイクル施設の充実と情報発信ということであります。
 都のスーパーエコタウン事業、食品廃棄物のリサイクル施設、飼料化施設、またバイオガス発電施設、実際に私も拝見させていただきましたが、さらに来年度は新たなリサイクル施設が稼働すると聞いておりまして、大変期待をしているところでございます。
 こうした食品リサイクル施設の情報についても広く発信をしていただくことで、食品ロスをしない、持続可能な資源利用というものを推進していただく、そうした取り組みをしていただくことを求め、私の質問を終わります。

○河野(ゆり)委員 私は、エネルギー施策にかかわって、東京熱供給株式会社について何点か伺います。
 初めに、東京都の環境局の報告団体であります東京熱供給株式会社の設立の経過と事業の全体像についてのご説明をお願いします。

○松下地球環境エネルギー部長 東京熱供給株式会社は、熱供給事業法に基づきまして、蒸気、温水、冷水等の熱供給に関する事業を営むことを目的といたしまして、昭和五十六年に設立されました。
 昭和五十八年四月から、光が丘団地地区及び品川八潮団地地区において、清掃工場からの廃熱を有効利用して熱供給事業を開始いたしました。
 現在、竹芝地域、八王子南大沢地域及び東京国際フォーラム地域を加えた二地区三地域において事業を実施しております。

○河野(ゆり)委員 清掃工場で生み出された廃熱を無駄に捨ててしまうのではなくて、有効活用する。また、そのことを通して、当時としては環境性能が低く、大気汚染の原因となっていた中小ボイラーの使用を減らして大気環境の改善にも貢献する。こうした取り組みは非常に重要なことだと思います。
 品川八潮団地にお住まいの方からお話を聞いたんですけれども、団地に供給された当時は先進的な団地として非常に人気が高かったとおっしゃっていました。そして、給湯装置は蛇口をひねるとすぐにお湯が出てくる、温風装置は各部屋に温風が出てくることから、当時は利便性も高く、安全に使用できるという点もこの熱供給の長所として評価できたと思います。
 しかし、基本料金が高かったことについては、お住まいの方々は当初から負担感を持っておられました。三十年以上たった現在、居住者は高齢化しております。年金生活者もふえて経済的な負担は一層重いものとなっています。
 そこで、このシステムの料金体系についてお伺いをいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 熱料金は、一定期間における熱供給設備に関連して発生する減価償却費、支払い利息、固定資産税や設備の運転、保守のための人件費、燃料費、電力料、修繕費などの費用を料金収入で回収するよう設定されております。その料金は、専有面積に応じた基本料金と熱使用量に応じた従量料金により構成されております。
 住宅系の熱料金は、経済産業大臣に申請し認可を受ける必要がございます。八潮団地及び光が丘団地地区の熱料金も経済産業大臣の認可を受けたものでございます。

○河野(ゆり)委員 原価をもとに一定の利益を出せるようにする総括原価方式をとった上で、部屋の広さで決まる基本料金と、熱をどれだけ使ったかで決まる従量料金とに料金は分かれていると聞いています。
 部屋の広さで決まる方の基本料金が平均でも月三千七百円、三LDKサイズの七十平米のお部屋では四千円を超えます。たとえ温水も温風も一切使わなくても四千円近くがかかるわけです。
 都民の多数が使っている電気やガスの基本料金は月千円程度です。たくさん利用してたくさんの料金を払う、それなら納得がいくんでしょうけれども、例えばの場合ですけれども、全く利用しなくても毎月四千円程度が差し引かれるというのでは、納得がいかないという声が上がるのは当然ではないでしょうか。
 しかも、お部屋が広ければ広いほど基本料金が高い仕組みになっていますが、当時、一九八〇年代の初め、入居したころは子育て期真っ盛りだった家族も、今は子供たちが独立して、かつては四人、五人家族だったのが今は夫婦二人暮らしになっている、部屋もたくさん使っているわけではない、だけれども、部屋がただ広いからと自動的に高い基本料金を取られることにやっぱり負担感が強い、経済的なしわ寄せが本当に重いという声が寄せられています。
 熱供給株式会社の提供する温熱と温風の基本料金が高い、高過ぎる、こういう住民の声について東京都は把握されておられるでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 東京熱供給は、事業を営む二地区三地域において支社または管理事務所を設置いたしまして、利用者の要望を直接伺うことのできる体制を整えており、料金についての意見についても同社が対応しております。

○河野(ゆり)委員 会社が住民の料金についての意見を把握する、そして対応していくというのは当然だと思うんですけれども、私が伺ったのは、東京都は把握しておられるのかどうか、このことについてなんですけれども、それはいかがでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 料金設定等の経営上の課題につきましては、東京熱供給が中長期的に安定して経営できるよう、社会経済状況に応じてみずからの経営判断で行っていただきたいと考えております。
 環境局といたしましても、引き続き適切に対応してまいりたいと存じております。

○河野(ゆり)委員 適切に対応していきたいというお答えで、住民の皆さんも少し安心感を持たれるかなと思います。
 東京熱供給株式会社は、都が二五%出資、資本金が七億五千万円ですから、二億円近くを都が出資している会社であり、報告団体であることから、経営状況を把握する上でも、利用者の声に都として耳を傾けていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。
 そして、環境局が進める地球温暖化防止の対策の実現のためにも、熱供給事業の安定的な継続、発展は必要であり、そのためにも利用者の声の把握は欠かせない、このことを申し上げておきます。
 それでは、お伺いしていきたいんですが、熱供給株式会社自身は基本料金についてどのような認識を持っているでしょうか。
 日本熱供給事業協会が発行する「熱供給」という業界誌で、東京熱供給株式会社の元の総務課長さんが三年前、八潮団地について文章を寄せています。
 そこでは、昭和五十八年当時、環境問題に配慮し、瞬間湯沸かし器を使わずに蛇口からお湯が出てくる最新型大規模高度集積団地ともてはやされた品川区八潮団地地区では、現在、次のような課題を抱えており、その対応が迫られているとしています。
 二つあります。一つは、基本料金の比率を見直し、利用実態に見合った、いわゆる少量熱利用者の負担軽減、この料金体系について検討すること、二つ目、熱供給契約の締結義務の見直しを求め、契約を破棄したいとする利用者に対し、事業の社会的意義をPRするとともに修理等のサービスの向上に努めること、この二点をいっています。
 基本料金の比率を見直し、少ししか熱を使わない利用者の負担を軽くする料金体系への検討が必要だということです。この文章には、基本料金の軽減を求める利用者の声があることを熱供給株式会社自身も受けとめていることがあらわれていると私は感じます。
 都は、熱供給株式会社が八潮団地への熱供給についてこのような課題があると考えていることについてはご認識があるでしょうか。伺います。

○松下地球環境エネルギー部長 今お話のありました論文が個人的な見解なのか会社のものなのかということにつきましては私どもも存じ上げておりませんが、料金体系や個々の利用者との契約のような事柄につきましては、東京熱供給が中長期的に安定して経営できるよう、社会経済状況に応じて適切な経営判断を行っていただきたいと考えております。

○河野(ゆり)委員 さかのぼりますけれども、一九八四年になります。練馬区光が丘でも料金の負担の重さが問題になり、当時、我が党の高橋知一都議が文書質問をしています。
 その中で、料金は基本料金と従量料金の二部で構成されているが、都市ガスに比べて高い、引き下げとともに料金決定に利用者の意見反映をと求めています。これに対して東京都は、利用者の方々との話し合いの機会をできるだけ求め、相互の理解を深めるよう都として要望していると答弁をしています。
 私は、今この方向で、都が、環境局が努力していただくことをお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 東京熱供給は、品川八潮地区の住民団体と定期的に意見交換を行うなど、お客様の意見の把握に努めていると聞いております。

○河野(ゆり)委員 私たちのところにはいろいろな意見が寄せられておりますが、今、部長が答弁されたように、住民の皆さんの意見というのは確かに聞く場合もありますけれども、十分な形で進められていないという声も耳に入ります。
 私は、都として引き続き、東京熱供給が住民の意見把握に努めるよう働きかけていただきたいということを要望しておきます。
 メンテナンスの問題についても住民の方々から意見が寄せられておりますので、質問しようかなと考えていたんですが、要望にとどめさせていただきますけれども、今から要望を述べさせていただきます。
 機器が故障したときにJKKは本人の負担がなくて修理をしてくれる、URの分譲などは負担がある、同じ供給システムなのに公平感に欠けるとの意見があります。特にURは居住面積が広いから負担感は大きいと思います。
 問題は、こうした事態が続けば、そもそも温風装置を使わなくなるという家庭がふえていきかねないことです。実際、地元で熱供給のことが話題になったとき、居合わせた九世帯のうち八世帯までが給湯、お湯だけしか使っていなかったという話もありました。
 また、できた当時は最新鋭だった装置も、現在では温度が低くて部屋が温まるまで時間がかかることから、エアコンを使っているという方もいらっしゃいました。最新鋭のエアコンは省エネ性能も高く、電気代もかからない上、人をセンサーで感知して直接温めてくれるので、すぐに暖房の効果があるわけです。
 メンテナンスは、それぞれの住宅を供給している事業者の側の責任において行われるものだとは思いますけれども、そのうちの一つである東京都住宅供給公社に聞きますと、機器は熱供給株式会社が用意するものを活用するとのことでありました。
 環境局としてもURなどに働きかけて、居住者の機器更新負担を軽減するよう支援を求めていただきたい。そして、熱供給株式会社に対しては、温風機器がエアコンなどの性能に大きく劣らないような性能のよいものを提供するよう努めてもらう、そのことを働きかけていただきたい。これを要望しておきます。
 次に、会社の経営状況についてお尋ねをいたします。
 東京熱供給株式会社は、都が二五%出資している会社です。環境局長が非常勤の取締役を務めておられるわけですから、安定した経営を行うよう、都としてもきちんと注視し、必要な支援を行うことが求められていると思います。
 会社の経営状況はどうでしょうか。特に直近三年間の営業収益、当期純利益の状況などについてご説明をお願いいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 年によって変動がございますが、平成二十五年度から二十七年度の三年間においては、経常利益及び当期純利益とも黒字を確保しております。
 平成二十五年度は経常利益九千百万円、当期純利益五千六百万円、平成二十六年度は経常利益二千八百万円、当期純利益一千八百万円、平成二十七年度は経常利益一億七千三百万円、当期純利益一億一千六百万円でございます。

○河野(ゆり)委員 先日の委員会で私たちに配布されました東京熱供給株式会社の団体運営状況、この資料ですね。これには会社の収支構造や財務体質について記載があります。
 書かれていることは、当社の社会的使命を果たし、今後、設備更新事業を着実に推進していくためには、一層の経営努力による収支改善が求められる。略しますけれども、続いて、適切な維持管理によるコストの削減、設備投資額の圧縮、新規需要家の獲得など、多方面から収支構造及び財務体質の改善、強化をしていくとあります。原材料の調達も廉価で安定的な方法を追求、模索とあります。ここから見えてくる会社の経営の姿は、決してゆとりある状況にはないといえると私は判断いたします。
 都の行った監査の報告書によれば、都は、平成二十三年、二十四年の二年間で計十五億円の返済期間十年の長期貸付を行っています。こうした支援は重要なことと考えますけれども、熱供給の状況や料金問題、会社の今後の経営について、環境局がお持ちの見解をお伺いしておきたいと思います。

○松下地球環境エネルギー部長 今、委員のお話がありました都の長期貸付につきましては、都内のCO2排出削減を目的に、エネルギー効率向上のための施設改修を行う住宅向けの地域冷暖房を対象に実施した事業により行ったものでございます。
 会社の経営についてでございますが、地域冷暖房事業は、地域のエネルギーの有効利用を図るために重要な事業でありまして、東京熱供給についても、中長期的に安定して経営できるよう、社会経済状況に応じて適切な経営判断を行っていただきたいと考えております。

○河野(ゆり)委員 今、部長がご答弁されましたように、CO2排出削減を目的にということで、本当に地域冷暖房事業は地域のエネルギーの有効利用を図るために重要な事業だと私も思います。
 都が行っているこうした支援は、持続可能な社会を東京からつくっていく、このためにも重要でありますし、同時に、長い目で見れば、会社の経営の安定、廃熱を利用する光が丘団地とか品川の八潮団地にお住まいの方々への支援にもつながっていきます。八潮団地においては、こうした光が丘で行ったような設備更新はいずれ必要になってくるでしょうから、熱供給株式会社の着実な更新計画の策定に対しても、またその費用についても、都としての支援に取り組まれる、そのことを要望しておきます。
 それから、経営の安定という点で気になる問題について伺っておきます。会社の役員体制です。
 ことし八月一日から新しく代表取締役に就任された方は、元東京都副知事の方であります。その前任者は公営企業の元局長、そのまた前任者は豊洲市場移転で話題になった元中央卸売市場長です。わずか五年で会社のトップである代表取締役が三人交代し、いずれも都庁の局長クラスの幹部OBです。
 熱供給株式会社の代表取締役の任期はどのようになっているのでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 同社の取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結のときまでとされております。代表取締役につきましては、取締役会の決議により置くこととされております。

○河野(ゆり)委員 代表取締役を選任するのは取締役会の役割かと思いますが、その非常勤取締役の中に環境局長もいらっしゃいます。都庁幹部職員OBが短期間で熱供給株式会社の代表取締役に選ばれている、これは東京都が深くかかわっていると感じるものであります。
 代表取締役が二年ほどで交代する、こういう会社のあり方はどうなんでしょうか。会社は長期の収支を分析し、今後の経営見通しを明らかにするということをいっています。収支構造と財務体質の改善に向けて取り組むのを柱の一つとしているわけです。
 二年余りで経営トップが交代するのでは、この会社がいっている長期の方針、財務体質、収支の構造についての改善、こうした問題について取り組んでいく見通し、長期的なそういう方向が出てこないのではないかと私は感じますが、いかがでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 代表取締役の在籍期間につきましては、東京熱供給が会社経営の継続性を担保しながら、取締役会において適切に決定されているものと認識しております。

○河野(ゆり)委員 そうおっしゃいますけれども、その取締役のメンバー六人のうち、代表取締役は都庁の幹部OB、そして、四人いる非常勤の取締役のうちの一人は現役の都庁の幹部でいらっしゃるわけですね。東京熱供給が勝手に決めているということには到底ならないということだと思います。幾ら行政経験が豊富でも、短期間で次々と交代する。
 さらに、役員給与も私は見てみました。皆さんもごらんになったかもしれませんが、今年度のこの運営状況報告ですか、運営状況を報告している文書がありますね。ここに予算が書かれておりますが、役員報酬は今年度予算でも三千五百七十四万八千円を計上しています。
 熱供給株式会社に問い合わせたところ、非常勤役員は無給という話でした。常勤の役員は代表取締役を含めて三人です。ですから、代表取締役として就任した都庁の幹部職員たちは年間一千二百万円くらいの給与をもらっていることになります。
 先ほどご答弁にありましたように、会社の経営状況は、少ない年では純利益が一千八百万円です。そういう経営状況で、都庁幹部OB職員が一般の労働者の人たちと比べてかなりの高給を受け取っている。果たしてこれがふさわしいあり方なのでしょうか。高い基本料金に苦しんでいる八潮団地や光が丘団地にお住まいの方が納得するのだろうかと考えます。
 私は、都はそういう点にも思いをいたし、八潮団地や光が丘団地の住民の皆さんが基本料金が高くて切ない、そういうふうにおっしゃっているその思いを心にとめて、きちんとこれからの役員のあり方についても、その体制、お給料、報酬、そういう問題も会社運営の問題とあわせて検証していただくことを強く求めておきたいと思います。
 冒頭述べましたように、私は、ごみ処理の廃熱を有効に利用すること自体は非常に重要な取り組みだと思います。しかし、廃熱を供給する事業はなかなか採算に合いづらい。それを、開発を行い、オフィスビルなどに貸し出すなどして利益を上げている業者、住宅を大規模に開発した都営住宅や東京都住宅供給公社、URなどがふさわしい負担をするのは当然ではないでしょうか。
 しかし、一利用者、しかも公的な性格を持った住宅に住まわれる住民の方がお風呂や暖房など、生活に欠かせないものでありながら、それを利用しようとすれば一般の暖房や風呂代よりも高くかかる。こうした問題は是正が必要だと思いますし、改善、是正の方向で力を合わせていくことが住宅での廃熱利用の普及にもつながっていくことと確信いたします。
 そのために環境局も、ぜひ今後とも、熱供給公社への支援、さらには住宅関係の事業者への働きかけを強化されることを求めて、私の質問とさせていただきます。
 以上です。

○小山委員 先ほど、まつば理事から言及がありました、けさ、福島県沖を震源とします震度五弱の地震が発生をいたしました。被害は軽微なものにとどまっているとの報道がなされておりますが、津波警報が出されたことから、東日本大震災の悪夢がよぎったという被災地の方のインタビューもありました。
 あの東日本大震災から五年の歳月がたちましたが、私たちは、東日本大震災の経験と教訓は極めて重要であるとの立場から、その経験と教訓を踏まえた対策を都に求めてまいりました。防災対策はもちろんでありますが、都市のエネルギー問題に対しても、計画停電や電力不足から、省エネルギーや再生可能エネルギーの普及促進など、高効率かつ自立分散型のエネルギー都市東京を構築する取り組みを行ってまいりました。
 平成二十三年には、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例を提案、議決し、その取り組みを都にも求めてまいりました。その後、都としても各施策の推進を図られてきたと考えておりますが、二件について、きょうはお伺いをさせていただきたいと思います。
 まずは、都市のエネルギーの高効率という点から、都市におけるエネルギーの有効利用についてお伺いさせていただきます。
 都内では、再開発事業がたくさん進んでおりまして、オフィスビルや商業施設、マンションなどの集積が進んでおりまして、一定の地域で多くのエネルギー需要が発生をしております。また、特にホテルや病院などの施設を設置する場合には、空調や給湯など多くの熱エネルギーを消費しております。こうした地域では個々の建築物への省エネを進めることはもちろんでありますが、エリア全体としてエネルギー利用の高度化、効率化に取り組むことが極めて重要であると考えております。
 そこで、都は、地域のエネルギー利用の高度化、効率化にどのように取り組んでいるのかお伺いをさせていただきます。

○小川都市エネルギー推進担当部長 地域のエネルギー利用の高度化、効率化には、複数の建物の冷房や暖房、それから給湯に必要な熱源設備を集約いたしまして、効率的に冷水や温水、蒸気を製造し、集中的に供給する、いわゆる地域冷暖房の導入が有効でございます。
 都は、環境確保条例に基づきます地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度によりまして、延べ床五万平米を超える大規模な開発を行う事業者に対しまして、計画の早い段階から、新築建築物におきます省エネルギー性能目標値の設定や、未利用エネルギー、再生可能エネルギーの導入検討とともに、地域冷暖房の導入検討を求め、エネルギー利用の高度化等を促しているところでございます。

○小山委員 条例に基づく制度によりまして、地域におけるエネルギー利用の高度化、効率化が進められているとのことでございますが、その制度によって、大規模な開発を行う事業者に対して、再生可能エネルギーや地域冷暖房の導入検討を求めているとのご答弁でございました。
 そこで、現在の都内地域冷暖房の導入状況と具体的な事例にどのようなものがあるのかをお伺いさせていただきます。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、地域冷暖房を実施する熱供給事業者からの申請に基づきまして、地域冷暖房区域の指定を行ってございます。平成二十八年十月末現在で八十四区域、約一千四百四十ヘクタールを指定しており、うち七十八区域で熱供給が開始されております。
 具体的な事例といたしましては、臨海副都心区域などで清掃工場の廃熱を利用した地域冷暖房が行われているほか、スカイツリーのある押上・業平橋区域では、地中熱を利用した地域冷暖房が実施されております。また、府中日鋼町区域などではビル廃熱の利用も行われております。

○小山委員 ただいま、平成二十八年十月末現在で八十四区域、約一千四百四十ヘクタールが指定されておられて、そのうちの七十八区域で熱供給が開始をされているということ、まさに都内ではこのように数多くの地域冷暖房が導入されているとのご答弁でございましたが、都内には当然多くの人々や企業が集まり、そのために多くのエネルギーを必要とする実情がございます。
 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さらにこういった開発や機能集積が高まることが想定をされまして、こういった取り組みが重要となってくることはいうまでもありません。こうしたエネルギー需要の密度の高い地域でこそエネルギーの面的な利用が効果的でありまして、地域冷暖房の導入は有効だと考えております。電気や熱を効率的につくることができますコージェネレーションシステムを導入し、電気や熱を複数の建物で融通するとなれば、さらに高いエネルギー効率を実現することが可能となります。
 そこで、都は、地域冷暖房の導入拡大や、そのエネルギー利用のさらなる効率化に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、今後とも地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度や建築物環境計画書制度により、省エネルギー性能の向上や再生可能エネルギー、地域冷暖房の導入検討を求めてまいります。
 また、平成二十七年度に開始いたしましたスマートエネルギーエリア形成推進事業におきまして、コージェネレーションシステムの導入や、電気や熱を複数の建物で融通するためのインフラ導入に対する支援を実施してまいります。
 なお、当事業は平成三十一年度までの五年間で総額五十五億円の支援を予定しており、初年度である二十七年度は三件、約十四億円の申請を受け付けました。

○小山委員 ただいま、三十一年度までに五十五億円という予算の見込みの中で、今十四億円の申請があったというご答弁でありましたけれども、都内でエネルギーの面的な利用を推進することは極めて重要だと考えております。
 コージェネレーションシステムなどに対する導入支援も行っているというご答弁でもございますので、ぜひ、地域冷暖房を実施しております事業者にも活用を促していただきまして、さらなる地域のエネルギー効率の向上に取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、水素社会の実現に向けた取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 燃料電池自動車の発売が開始されてから間もなく二年になります。まだ普及台数は限られておりますが、ガソリン車と同等の航続距離でありながら、走行時に水しか排出しない環境性能も有しているなど、次世代自動車の本命として普及拡大が期待をされているところであります。
 今私から当然申し上げるまでもなく、皆様もご承知のとおりだと思いますが、日本のエネルギー自給率は六%となっておりまして、OECD加盟国三十四カ国中三十三位ということでもありますし、CO2排出量は十二・二億トンで、国別のCO2排出量については世界五位となっているという実情がございます。
 こういった状況を鑑みれば、水素利用ということは極めて重要になってくるというふうに思いますし、ここに私たち二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックのレガシーがあると、かつてそういったことのやりとりも本会議や特別委員会などでもさせていただきました。
 そのような中で、さらに、再生可能エネルギーから水素エネルギーを生み出すといったことを既に各研究機関や民間企業が取り組んでおりまして、先ほど申し上げたような課題を解決しながら、経済成長にも結びつく極めて重要なものだというふうに考えております。
 都も、二〇三〇年までに水素社会の実現に向けて目標を策定されていらっしゃるなど、普及に取り組んでいますが、そのために不可欠なのが、一つは水素の供給インフラであります水素ステーションの整備であります。しかし、この水素ステーションは、法令等による規制や、それに伴うコスト面での課題もありまして、整備が進みづらい状況にあるということも、これまでも指摘をしてきたところでございます。
 そこで、こうした課題の解決に向けて、これまでも何度か求めてまいりましたが、都は、これまでどのように取り組み、また今後どのように取り組むのか、あわせてお伺いをさせていただきます。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素ステーションの整備に当たりましては、法令の規制等により広い敷地が必要になることや、整備コストが高額になること等の課題がございます。
 都は、これまで他の自治体等とも連携しながら、安全性の確保を前提に、国へ規制緩和等の要望をしてきており、一部には緩和が実現したものもございます。
 例えば、水素ステーションの配管等におきまして、同等の性能を有しながらコスト低減につながる鋼材が使用可能となっております。また、公道から水素充填設備までの距離につきましては、距離を確保するのと同等の措置を講じることにより、短縮が認められました。
 今後も、民間事業者等とも連携を図りながら、水素ステーションの整備促進に必要な事項を国へ働きかけてまいります。

○小山委員 都がこれまでの要望などによって、少しずつではありますが、規制緩和が進んできていることを評価したいと思います。ぜひ、引き続き必要な要望を国へ求めていただくようにお願いをしたいと思います。
 水素社会の実現には、燃料電池自動車や水素ステーションの普及に加え、家庭用燃料電池など、さまざまな水素関連製品が普及をし、まちの中で水素が幅広く活用されることが重要であります。
 事業概要を見ますと、都では今年度、環境科学研究所において水素を活用したまちづくりに向けた調査を実施されておりますが、その概要と取り組みの状況についてお伺いをさせていただきます。

○小川都市エネルギー推進担当部長 環境科学研究所において進めている水素を活用したまちづくりに向けた調査では、水素を活用したエネルギーマネジメントの構築に向けまして、関連法規や導入が見込まれる機器等につきまして調査を行っております。
 また、再生可能エネルギーの電力で製造した、いわゆるCO2フリー水素の都内での利活用に向けまして、製造や運搬に係る技術開発の動向、コストを初めとした導入に向けた課題等について現状把握を実施しているところでございます。

○小山委員 ただいまご答弁の中にもありましたけれども、再生可能エネルギーを活用したCO2フリー水素の利活用に向けて、これを課題として行われて、研究、さらには動向調査などもされているということであります。まずは先ほど、現状把握と課題の整理とのご答弁でございましたが、早期に環境科学研究所の調査等を通じて得られた知見を蓄積されて、将来的にぜひ民間事業者へも提供していくことを望みたいというふうに思っております。
 先般、二〇二〇年に向けました実行プラン策定に向けて、コンセプトと主要施策の方向性というものが示されておりましたが、この中でスマートシティーの主要政策として、スマートエネルギー都市を目指す次世代自動車、水素ステーション、家庭用燃料電池の導入支援や再生可能エネルギーの導入を拡大するということがこの中にも記載をされておりました。
 これらの施策をより一層進めていただきまして、先ほど来、確認をさせていただきました効率的かつ自立分散型のエネルギー社会をぜひとも実現していただくよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○西崎委員 私からはまず、地球温暖化対策について伺いたいと思います。
 パリ協定が発効し、地球温暖化対策のさらなる推進が求められています。都は、温室効果ガスを削減するために、再生可能エネルギーの導入及び活用を進めています。
 ことし四月には、電力小売全面自由化となりました。自由化を機に再生可能エネルギー活用が進むよう期待しております。そのためにどのように都民への情報提供を行っているのか、まず伺います。

○松下地球環境エネルギー部長 都では、本年四月からの電力の小売全面自由化に向け、都民が環境性に着目して電気を販売する小売事業者を選択できるようにするためのパンフレットを作成いたしまして、各事業者の再生可能エネルギーの利用率等の情報を公表しております。
 これによりまして、電気の環境性について見える化を進めまして、再生可能エネルギーによる電力への都民の選択意識を高めてまいります。

○西崎委員 十月末までに東京電力から新電力に契約を切りかえた件数は百十八万九千八百件で、契約総数の五・二%とのことです。再エネが重視されているとは限りません。自由化をめぐるマスコミ情報は電気料金のことばかりで、再エネを取り扱っている事業者の情報を得ることが難しい状況にあります。さらに、再エネの供給量が少なく、新規参入する小売事業者もなかなかふえません。
 こうした中、東京都環境公社が小売のモデル事業を始めました。再エネのFIT電気を調達し、関係施設に供給するものです。七月から供給を開始していますが、この事業の目的と現時点での評価について伺います。

○小原環境政策担当部長 東京都環境公社の本事業は、電力供給施設の需要予測などのノウハウを蓄積し、再エネ電力を供給する小売電気事業者に提供することなどによりまして、小売電気事業者を育成し、将来的には再生可能エネルギーの拡大につなげていくことを目的といたしております。
 既に再エネ由来の電気供給を検討しております自治体や事業者からの問い合わせに対し、情報提供を行った実績もあり、再生可能エネルギーの拡大につながっていくものと認識いたしております。

○西崎委員 カーボンニュートラルを目指す企業がふえ、再エネの需要は増しているのに供給が追いつかない事態です。国の再エネ施策は後退するばかりですが、都は再エネに切りかえたい事業者や市民に対する支援を積極的に進めていっていただきたいと思います。
 先日、都が温暖化対策として実施しているキャップ・アンド・トレード制度の第一計画期間の結果が公表されました。CO2の削減量は五年間の計画期間で約千四百万トン、期間の最終である二〇一四年度には削減義務の八%を大きく上回り、二五%削減を達成しました。
 事業者はさまざまな方法で省エネを実施していますが、第一計画期間の各事業者への省エネの取り組みを都としてどう分析しているのか伺います。

○松下地球環境エネルギー部長 対象事業所から提出された計画書を分析いたしましたところ、第一計画期間では約七割の事業所がエネルギーの使用量の大きい照明と空調設備の省エネ対策に取り組んでおりました。
 また、アンケートの結果によりますと、CO2削減に対する経営者の関心が高まったとする事業所が七割を超えております。こうしたことがCO2の大幅な削減につながったと考えております。

○西崎委員 二〇一五年から第二計画期間が始まっており、その削減義務率は一七%と一五%です。これは第二期が始まる前から既に達成されています。
 二〇一四年度には二〇%以上の大幅削減がわかっていたため、生活者ネットワークは削減義務をもっと高い目標値にすべきと主張してきましたが、もう間に合わないということでした。パリ協定を機に、日本でもさらなる温暖化対策に取り組む必要がありますが、国に先駆けてつくったキャップ・アンド・トレードですから、第三期に向け高い目標値を掲げて取り組むことを要望しておきます。
 次に、フロン対策について伺います。
 先ほどフロン対策についてはお話が出ておりましたが、ちょっと重なる部分もありますが、大規模な事業者は対策が進んでいるということですけれども、漏えい抑制の取り組みがなかなか進まない事業者も多いのが現状です。
 都内の中小企業が機器使用時の漏えい防止や機器を廃棄するときのフロンの適正処分を適切に実施するため、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。

○松永環境改善部長 フロン排出抑制のためには、中小企業における適正管理等の取り組みが重要でございます。
 このため、都は現在、点検マニュアルや廃棄時の留意点をまとめたチラシ等を配布し、広く周知いたしております。また、各企業の事業者や建築物解体現場への立入検査を通じ、フロンの適正管理や適正処分について確認、助言を行っております。
 今後も、引き続き中小企業に対し立入検査を行うとともに、これまでに得られた効率的な管理手法等につきまして、説明会等で情報提供してまいります。

○西崎委員 都内の中小事業者は数が多いので、フロン対策を実施してもらうためには工夫が必要だと思います。情報提供や支援をきめ細かく行うようお願いします。
 都は、代替フロンの排出量を二〇三〇年度には二〇一四年度比で三五%削減するという目標を掲げました。国際的な目標を達成するためには、ノンフロン機器への転換が欠かせません。都は、ノンフロン機器への転換を促すため補助金を出していますが、機器が高額でなかなか進まないと聞いています。今度の法改正に向けて国に働きかけていただくことを要望しておきます。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 現在は新たな使用が禁止されているものの、過去にアスベストが使われた建物を解体する際には、適切な飛散防止措置を講じてリスク管理を徹底する必要があります。万が一にも周辺住民が知らずに暴露することがないよう、大気汚染防止法に基づく届け出を出さないまま不適切に工事が行われることがあってはなりません。
 二〇一三年の大気汚染防止法改正により、届け出義務者が工事を行う施工者から、より川上の発注者に変更され、届け出が確実に行われるように規制が強化されました。この法改正によって届け出件数はふえたのかどうか、また、規制強化の狙いどおり無届け工事をなくす効果があったのかどうか伺います。

○松永環境改善部長 アスベスト使用建築物の解体等の都内の届け出件数は、ここ数年、年間おおむね千二百件前後で推移しており、法改正の前後で大きな変動はございません。
 なお、改正法施行後の平成二十七年度には、アスベストが使用されているにもかかわらず無届けで着工していた現場が八件見つかっております。

○西崎委員 二〇一三年の法改正で届け出が必要かどうかを判断するため、アスベスト使用状況の事前調査が法に明記され、調査を担当する施工者に発注者への結果報告が義務づけられましたが、これには罰則等はありません。調査や報告義務の履行状況については、立入検査で監視がなされているとのことですが、立入検査が強化されなければ法改正の実効性が伴いません。
 法改正では、届け出のない工事についても立ち入り権限が拡大されましたが、改正の前後で立ち入り件数はふえたのかどうか、また立ち入りの際に不備を見つけ、行政指導を行った件数と内容について伺います。

○松永環境改善部長 都内では、解体工事の規模により、都と区市が分担して立ち入り指導を行っております。アスベスト解体工事の届け出がなされた現場の九割以上に立入検査を行うほか、届け出のない解体現場にも、廃棄物の処理の確認とあわせて抜き打ちで検査を行っております。
 都と区市を合わせた立ち入り件数は、法改正前の平成二十五年度が九百六十件だったのに対し、六月から改正法が施行された平成二十六年度には二千百八十八件、平成二十七年度には二千四百五十六件と大幅に立ち入りを強化いたしております。
 また、行政指導件数は、平成二十五年度は三十九件、立ち入り件数の四%だったのに対し、平成二十六年度は二百六十四件、一二%、平成二十七年度は二百四件、八%でございまして、ほとんどが事前調査の結果を掲示していないことや、隔離養生の軽微な不備に対する指導でございました。
 引き続き、立入検査等による周知、指導の徹底を図ってまいります。

○西崎委員 アスベストを使用した建物の解体工事を行う際には、根拠法令や工事の規模により、さまざまな機関の窓口に届け出を出す必要があります。無届けでの工事をなくすには、これら関係機関との情報共有を図り、連携してアスベスト対策に係る指導を行うことが重要と考えます。
 関係機関との連携について、都の認識と取り組みについてお聞かせください。

○松永環境改善部長 無届けでの解体工事をなくし、アスベストの飛散を防止するためには、環境局とともに大気汚染防止法を所管する区市の環境部署のほか、都市整備局や区市の建設リサイクル法所管部署、労働安全衛生法や石綿障害予防規則を所管する労働基準監督署などと情報を共有し、連携することが重要でございます。
 そのため、環境局では、これらの関係機関と届け出情報の照合を行っているほか、協力して解体現場への立入検査や合同パトロールを実施しております。また、区市の環境部署と連絡会議を定期的に開催し、担当者間で必要な情報、対応事例等を共有しているほか、都による講習会や解体現場における助言等の技術支援を行っております。
 引き続き、関係機関や区市と連携して、アスベストの飛散防止対策を強化してまいります。

○西崎委員 届け出漏れをなくすため、法改正により、施工者を選び施工方法を決定する権限を持つ発注者に届け出義務を課す規制強化がなされました。しかし、アスベストに関する知見を持たない発注者が、果たしてこの責務を果たし得るのかとの懸念を以前から指摘してまいりました。
 現場の事業者からは、アスベストの存在を発注者に告げると解体費用がかさむため、解体施工者をほかに変更するといわれてしまうという声も聞いています。
 また、一昨年の都営住宅での届け出違反や、昨年の大学の届け出違反と不適切工事のように、法改正後も実際に公共施設や大学などでも懸念どおりの事態が発生しています。知らなかった、うっかりしていたでは済まされません。こうした届け出違反が今後も多く起こるのではないかと危惧しています。
 法改正により、届け出の義務や違反の際の罰則の対象者は発注者に変わりましたが、アスベストの知見を有し、繰り返し工事に従事する施工者こそ、アスベストの対策のキーマンであり、施工者にも発注者とともに連帯責任を課すべきだったと考えます。
 届け出義務者については法を再度見直すよう国に要望してはどうか、見解を伺います。

○松永環境改善部長 届け出義務者を発注者に変更した法改正の趣旨は、飛散防止に対する発注者の責任を明確化することで、アスベストに係る調査や工事が適正な価格で発注、実施されるようにするものでございます。
 一方、施工者には引き続き大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく作業基準の遵守義務、労働安全衛生法や石綿障害予防規則に基づく労働基準監督署への届け出義務が課されております。
 都としては、それぞれの法律の趣旨に基づき、発注者と施工者の双方がともに責任を持ち、連携してアスベスト対策に取り組んでいくための法体系が既に構築されているものと認識しております。
 なお、都では、法改正を受けまして、発注者が適切に届け出義務を果たせるよう、解体工事等における手続等をわかりやすくまとめたリーフレットをビル管理業や不動産業等の事業者団体を通じて配布するなど、積極的に普及啓発を行っております。

○西崎委員 アスベスト含有建材には、大気汚染防止法の届け出が必要なレベル一のアスベスト含有吹きつけ材、レベル二のアスベスト含有保温材等に加え、レベル三のアスベスト含有成形板等もあります。非飛散性の成形板等については、大気汚染防止法の規制の対象外となっています。しかし、不適切な解体作業により飛散する可能性があり、災害等での予期しない建物の倒壊等による飛散も懸念されます。
 東京都では、アスベスト成形板対策マニュアルを策定するなどして啓発に努めてきました。アスベスト含有成形板等は比較的小規模な建物でも使用されている場合があるので、アスベスト対策に関する知識、経験が十分でない施工者にとって、不適切な作業が行われることも懸念されます。
 実際に成形板を壊して袋に入れている施工事業者もいるという話も聞きました。このような比較的小規模の施工者に対しても成形板対策マニュアルの内容を十分に周知し、遵守させることが重要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、そもそもレベル三の成形板等についても法の規制対象とするよう国に要望すべきと思いますが、見解をお聞かせください。

○松永環境改善部長 都では、成形板対策マニュアルの周知やリーフレットの配布に加えて、今年度からは、アスベスト診断士などの資格を有する都の職員を、施工者や事業者団体等に派遣して行う出前講座形式の講習会を本格的に開始しておりまして、これまでに十三回開催いたしまして、六百人以上が聴講いたしました。この講習会では、アスベストによる健康被害や含有建材の種類など、アスベストに関する基礎的な知識や具体的な飛散防止対策などについてわかりやすく解説を行っております。
 なお、非飛散性のアスベスト成形板につきましては、その種類も多く、飛散の程度やリスクも異なることから、都は、国に対し、リスク等に応じた施工方法の調査研究を行うなど、実効性のある対策を講じるよう要望いたしております。

○西崎委員 アスベストによる健康被害を防止するためには、まずは最も被害を受けやすい解体施工者に危険性を知ってもらうことが重要です。さらに周知に努めていただきたいと思います。
 また、アスベストを含む廃棄物の適正処分や、住民の健康被害を防止するための監視強化も必要です。建物の更新のピークがまだしばらく続くため、しっかりとした対策を要望しておきます。
 次に、地下水対策検討委員会のまとめについて伺いたいと思います。
 ことし七月、地下水対策検討委員会から、これからの地下水保全と適正利用に関する検討について出されました。
 地下水対策検討委員会は、東京の地盤沈下と地下水の現状について調査検討を行うために、学識経験者より構成され、五年ごとに報告をまとめています。水循環の全体像や水収支を計算するなどしており、こうした地道な基礎調査は非常に重要です。
 そこで、今回のまとめで特徴的な点は何か伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 地下水対策検討委員会における今回の検証におきましては、都内においては地下水位が全体として回復傾向にあり、地盤沈下も鎮静化傾向が継続をしているが、特に区部低地部などでは、過剰な揚水を行った場合、地盤沈下が起きるおそれが依然として存在すること、また、多摩地域での揚水が区部に影響することなどが示されております。
 こうしたことから、現行の揚水規制は継続しつつも、さまざまな角度からデータ分析を行い、時間をかけて丁寧な検証に取り組む必要があるとしております。
 また、水循環基本法の制定など、近年の動向を踏まえまして、地下水の保全等適正な利用の調和を図ることが重要であるとしておりまして、今後は地下水の多様な実態を把握する取り組みを推進すべきであるとの提言をいただいております。

○西崎委員 水循環基本法で、地下水も含めて水が国民共有の財産であり、公共性の高いものであると位置づけられました。健全な水循環のための総合的な仕組みが必要です。
 今後も地下水の実態把握をしていくということですが、降水量、被圧地下水の関係や、多摩地域の不浸透率増加と雨水浸透施設による効果などについても研究していただくことを要望しておきます。
 最後に、食品ロスについて伺いたいと思います。
 食品ロスの問題は、国際的に大きな課題となっており、フランスでは貧困対策とあわせて、大規模店舗での期限切れ、売れ残り食品の廃棄を禁止する法律が施行されています。その一方で、国内では食品ロス削減についての周知そのものがまだまだ不十分だと思います。
 そうした中、都では、NGOなどと協働したモデル事業として、都民に対する広報普及の事業を行ってきています。
 昨年、イベントを行いましたスーパーマーケットにも私も実際に行ってみましたが、賞味期限が近づいた商品にメッセージ入りの値引きシールを張って購入を促すフードレスキューのシール、昨年いただいたものですけれども、これを張って、一人一人の小さな行動の積み重ねが食品ロスの削減につながっていくことをわかりやすく広報していたのではないかと思っております。私もこの取り組みを知ってからは、できるだけ賞味期限が早く切れるものから購入するように、私自身の意識も変わりました。
 そこで、まず、昨年度実施した食品ロス削減に向けたモデル事業について、その後どのような展開をされているのか伺います。

○谷上資源循環推進部長 消費期限の近い商品の販売を促進するフードレスキューは、昨年のモデル事業では都内一店舗のみで実施していましたが、その後、ことしに入り、大手スーパーが自主的取り組みとして全国展開を行いました。
 また、子供たちが遊びを通じて食品ロスの問題を学ぶ、もったいない鬼ごっこにつきましては、都とNGOが共催で、さらなる普及を図るための研修会を今年度開催しています。
 今後も先進的取り組みを展開しようとする事業者との連携を進め、食品ロスの削減に取り組んでまいります。

○西崎委員 このシールはとてもかわいいと思います。NGOと連携してやっているということですけれども、ぜひ今後も事業者と都がタイアップして広報活動を展開するなどして進めていってほしいと思います。事業者単独ではなかなか広めることができない先駆的な取り組みだと思いますので、大きな運動に広めていくことを要望しておきます。
 そして、今年度のモデル事業については、先ほど、まつば理事の方から質問が出ておりましたけれども、防災備蓄食品についてお話がございました。食品ロス削減の取り組みは、市民や事業者の地道な取り組みの積み重ねが必要だと思います。今年度のモデル事業でも多くの事業者の参加を期待したいと思います。
 今後も食品ロス削減を呼びかける広報活動にも積極的に取り組むことを要望して、私の質問を終わります。

○石川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○石川委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、エネルギーの政策ということで伺いたいと思います。
 昨年末のCOP21で採択をされたパリ協定は、当初の予想を大幅に上回るスピードで各国が批准したために、今月、十一月四日に発効がされました。
 先週末までモロッコのマラケシュで開かれたCOP22では、パリ協定の第一回締約国会議も開催されたところでありますが、残念ながら、我が国は国会の承認がおくれたために、議決権を持たないオブザーバーとしての参加にとどまってしまいました。
 これはいろいろな面で本当にどうしたんだという話なんでありますけれども、外交上の不利益が懸念されるとともに、あの京都議定書採択のまさにホスト国であり、そして、さらにその後のリーダーシップを発揮し続けてきたこの日本として比べると、非常に厳しい時代だなというふうに思います。
 また、この件に関しまして、都環境局としてはどのように、評価ということはないわけでありますが、受けとめられておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。

○遠藤環境局長 今、委員からお話がございましたように、パリ協定の発効につきましては、日本の批准が間に合わず、今回の締約国会議には正式参加ができなかったということにつきまして、知事も記者会見で非常に残念と報告を差し上げているところでございます。
 地球温暖化対策を進めてきた環境局といたしましても、政府の立場が結果的にせよ、このような状況になったことの影響について危惧しているところでございます。
 当局では、COP22が行われましたモロッコのマラケシュに職員を派遣いたしまして、COPに関連して開かれたICLEI主催の会議などの中で、キャップ・アンド・トレード制度など、都の先進的な施策を紹介してPRするなど、東京及び日本のプレゼンスの維持向上に取り組んでまいったところでございます。

○こいそ委員 ただいま局長からご答弁いただきましたけれども、東京都環境局もマラケシュに職員を派遣されたと、そしてキャップ・アンド・トレードを中心にプレゼンも行ったということでありまして、国際社会に対してまさに貢献しようとしている、このことについてよく理解をさせていただきました。
 ことしの八月には約半世紀ぶりといわれる、台風が四つも上陸をし、発生はあったわけでありますけれども、上陸が四つあったと。そのうちの一つは観測史上初めて東北地方の太平洋側に直接上陸した台風もあったわけであります。
 私は、地球温暖化、すなわち気候変動が影響をもたらしていると、影響があるのではないかと考えるところでもありますが、このような事態は、やはり一刻の猶予もできない事態ではないかなというふうにも考えているところでもあります。
 そこで、環境局として、気候変動問題に対して一層の取り組みが求められているわけでありますが、その点どうであるかということ、または、東京都はまさに世界有数の大都市としてエネルギーの政策に取り組んでいるわけでありますけれども、今後どのようにさらなる取り組みをされていかれるのか、改めて伺いたいと思います。

○松下地球環境エネルギー部長 気候変動の脅威に対処いたしますには、世界の温室効果ガスの七割を排出しております都市の役割が極めて重要であります。中でも東京のような大都市は、率先して排出削減に取り組む必要がございます。
 このため、二〇三〇年までに温室効果ガスを三〇%削減するという意欲的な目標の実現に向けまして、キャップ・アンド・トレード制度などによる省エネの推進、一方で、自家消費型の再生可能エネルギーの導入支援等の再生可能エネルギーの導入拡大、さらには、燃料電池自動車や家庭用燃料電池の設置支援、このようなことを行ってまいります。
 今後とも、持続可能な成長を実現する環境先進都市を目指しまして、都がリーダーシップを発揮しながら、全力で取り組んでまいります。

○こいそ委員 気候変動対策について、かねてから東京都として取り組みがされてきた。具体的な答弁も今ありました。二〇三〇年に三〇%ということが今示されました。
 それとともにやはり、エネルギー政策についても答弁をいただいておりますけれども、続けさせていただくならば、都が世界一の、まさに環境先進都市東京を構築するに当たって特に力を入れて推し進めていくべきなのは、本委員会で私も何回となく取り上げさせていただいております、利活用の重要性を主張させていただいた、この委員会でも各委員からも取り上げられておりますけれども、私も水素エネルギーだというふうに思います。
 先ほどありましたけれども、一昨年、燃料電池自動車が発売されて、二年たったということであります。まだ、まち中で水素カーを見る機会は余りありませんね。私は、水素社会の実現に向けて、普及という観点からでありますけれども、水素の需要拡大にもつながる、都内の自動車の約二割を占めている、例えばトラック、貨物の業務用車両がやはり早期に市場投入されることも必要ではないのかなと考えるところでもあります。
 そして、業務用車両も含めた燃料電池自動車の普及を図りながら、まさに水素の供給インフラである水素ステーションの整備を着実に進められてはおられますけれども、やはりこれもさらにしっかりと進めていくべきだと思います。
 これまで、私は、東京都の本気度を示すためにも、営業時間が極めて限られる、曜日的にもでありますけれども、営業終了後はその土地がいわゆる空き地状態になってしまう、すなわち移動式ステーションでありますけれども、周辺及び通過する車両、歩行者等々に対して果たしてPR的にいかがなものかということも含めて、今進められている固定式の整備を、この観点からもやはりさらに進めるよう取り上げさせていただいた経緯がございます。
 改めて水素ステーションに向けた都の考え方を伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都内では、現在十一カ所の水素ステーションが営業を行っておりまして、このうち固定式が八カ所、移動式が三カ所となってございます。
 また、新たに固定式が二カ所、工事中でございまして、うち一カ所は産業ガス等を専門に取り扱う中小事業者が設置するものでございます。
 移動式水素ステーションは、固定式に比べると必要な敷地の面積が少ないことや、整備コストが低いこと等の利点があるものの、充填ができる台数が限られておりまして、将来、燃料電池自動車の普及が進む中では、固定式の整備が重要になるものと認識してございます。

○こいそ委員 現在、固定は八カ所の移動が三カ所であると、それで、新たにまた中小事業者の参入も含めて二カ所ということでありますけれども、大手事業者を中心に行われております現在の整備ですね。しかし、水素社会の広がりをより示していくためにも、まさに今お話もありましたけれども、やはり全くそのとおりでありまして、中小事業者の参入が不可欠だと考えます。
 しかし、中小事業者が実際に水素ステーションの設置をしようとした場合、これは現実的なところだと思いますけれども、どこからどのように検討をしていったらいいのか、どこへどのように相談していったらいいのかなどが、ちょっとわからないという声が随分聞かれます。
 私は、都はこうした中小事業者をさまざまな面から、やはり広く相談の窓口なり、対応をしっかりとしていただく必要があるんではないかと考えますが、見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、来月、中小ガソリンスタンド等事業者の方に向けまして、水素の性質や水素ステーションの仕組み、それから運営方法等を学ぶことができます講習会を開催することとしてございます。
 この講習会に向けましては、水素になじみのない事業者の方にもわかりやすいよう、写真なども取り入れましたテキストの作成も行っています。講習会開催時には、営業中の水素ステーションの見学も実施する予定でございます。
 今後、こうした取り組みを進めることなどによりまして、中小事業者の皆様へのきめ細かい情報提供に努めてまいります。

○こいそ委員 まさに中小事業者の立場に立ったわかりやすい情報提供は極めて重要だと思いますけれども、水素ステーションの整備に関する知見を有している事業者の協力も得る中で、このあたりをしっかりと対応していただきますように要望させていただきます。
 加えてもう一つ、中小事業者が水素ステーション運営に参入するに当たって大きな課題となっているのが人材の確保だといわれます。
 水素ステーションの運営に必要な高圧ガス保安監督者は、いわゆる高圧ガス保安法が適用されるようでありますけれども、国家試験に合格するとともに六カ月以上の実務経験が必要とされているようであります。
 しかしながら、現実的には対応できない中小事業者が独自にこうした人材を、時間をかけて育成を図っていくことは極めて困難なところもあり、都としてもこのあたりを、やはり何らかの支援をしていく必要があるのではないかと考えるところでありますけれども、見解を伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素ステーションの運営に際しましては、今、委員ご指摘のとおり、設置に必要な高圧ガス保安監督者には、高圧ガス製造保安責任者の国家資格に合格いたしまして、かつ水素製造の六カ月以上の実務経験を有するということが求められております。
 要件の一つでございます国家資格の取得に向けまして、都では先月、受験予定者を対象といたしました事前の勉強会を開催いたしまして、ガソリンスタンド等の職員の方からご参加をいただいたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、水素ステーションの運営に意欲を持つ中小事業者の方の後押しをしてまいりたいと考えてございます。

○こいそ委員 ご答弁を今いただきましたように、先月講習会が開かれたということで、とりわけこの対象者の中にも、やはり中小事業者から講習会に参加されたという話を聞いております。国家資格の取得支援を初め、水素ステーション運営への実際的な、現実的な参入に向けて、さまざまな施策の展開を期待するところであります。
 水素社会の実現には、実際にエネルギーを使用する都民の皆様の理解が必要だと、重要だと思います。
 過日、東京都環境公社が江東区潮見に開設した水素情報館、すなわち東京スイソミルを視察させていただきました。水素の意義や未来の水素社会などのパネル等の展示のほかに、自転車をこいで水素をつくる実験など、大変親しく、楽しく体感できるコーナーがございました。
 まさに大人から子供までが実際に学べる施設だなという感じがいたしましたが、その中でも一点、私、これをいい続けてきましたけれども、要するに実際的な水素のステーションがあるんですね。スイソミルの近くは近くなんだけれども、ところが、本当にわずかな面積ですよね。ほとんどガソリンスタンドが圧倒的だったように感じます。やはり外から見てもなかなかよく見えない。
 現行通行している水素車両が少ないといいながらも、やはり公社の用地は、普及、そして啓発、広がりを示すような、そういう具体的な目で見える取り組みというのは必要じゃないかと。その中で、私は、これは大変残念だなと改めてここでいわざるを得ないわけでありますけれども、いずれにしても、スイソミルについては非常に意義ある施設であったことは事実であります。
 水素はガソリン等と同様、正しく扱わなければ、安全なエネルギーでありながら、これは何でもそうですね、怖い、危ないという声も耳にします。また、水素ステーションはガソリンスタンドと同様に耐震性にすぐれて、災害時でもまさにエネルギーの拠点となり、東京都の防災協定を今結んでいるわけでありますけれども、防災的な観点からも極めて期待されています。
 こうした点も含めて、都民の皆様に水素を身近に感じていただけるような、より理解していただけるような今後の普及啓発にどのように具体的に取り組んでいかれるか、見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーを普及していくためには、エネルギーの利用者である都民の皆様に対しまして、水素を利活用する意義や安全性をしっかりと伝えていく必要が重要でございます。
 都は、水素情報館東京スイソミルでの情報発信に加えまして、先月には、多摩地域で初めてとなります都主催の水素関連イベントを多摩六都科学館との合同で開催いたしまして、近隣から多くの方々にご来場いただきました。また、集客力のある民間イベント等への出展によるPRも実施しているところでございます。
 今後も、さまざまな場面におきまして水素に関する情報を発信いたしまして、水素エネルギーの認知度の向上を図ってまいります。

○こいそ委員 多摩地域で初めての水素関連イベントが開催されたと、これは当然にして評価されるわけでありますけれども、これはまさにいいことをやられたわけでありますが、一方で多摩地域も大変広い。単純面積でいえば区部の約二倍ありますよ。これは奥多摩、檜原とかありますけれども、三多摩というぐらいで、それぞれの地域特性もあるわけであって、大変広いわけです。いわゆる多摩地域でありますけれども、それぞれのエリアにおいても、できるならばやはりこのような積極的な情報発信を今後も引き続いてしていただきたいなと、するべきではないのかなと思うんですね。
 また、環境学習の機会を通じた情報発信も極めて重要です。とりわけ学校教育に直接入り込んでというか、行って、次世代を担う子供たちに直接環境学習の訴えをしていくことも必要だと考えます。見解を伺います。

○小原環境政策担当部長 次世代の人材育成を図るため、学校教育とも連携いたしました環境学習のさらなる充実を進めることは重要なことと認識いたしております。
 ことしの七月、区部ではありますが、小学校におきまして気象予報士を講師に招き、地球温暖化や熱中症予防などの暑さ対策をテーマといたしました環境学習を実施いたしました。
 引き続き、教育庁とも連携を図りながら、環境問題について、専門的知見や現場での経験を有する人を講師として招聘いたしまして、楽しみながら学べる講座を提供する出前授業を実施することで、環境配慮の意識の高い人材育成に努めてまいります。

○こいそ委員 やはり大変すばらしい取り組みだと思います。こうした取り組みは持続可能な未来や社会づくりのために、まさに小学生段階から、義務教育段階から極めて大切な環境学習、環境教育だと思いますね。それがために、さらなる持続可能な社会を形成するために行動できる人材の育成につながっていくのではないかと思いますし、期待するわけでありますが、これを着実に進めていただきたいと思います。
 続いて、資源環境施策について伺います。
 まず、不要となった電子機器に含まれた希少貴金属の有効活用、すなわち都市鉱山でありますけれども、世界有数の大都市である東京は大量の電子機器が集積されております。それらの中には極めて高価な貴金属やレアメタル、タンタルが多く蓄積されており、まさに東京は大都市の中の都市鉱山といえると思います。
 しかし、小型電子機器のほとんどは他の廃棄物と一緒に収集されて、鉄やアルミニウムなど一部の資源を回収しただけで埋め立てされているケースが極めて多いと聞いております。私はかねてより、この都市鉱山をもっと有効に活用すべきではないかと、この委員会でも数度にわたって論じさせていただきました。
 小型家電リサイクルに関する現在の市区町村の取り組みについて、現状についてお願いします。

○谷上資源循環推進部長 都は、これまでも小型家電に含まれる希少金属等のリサイクルに向けて、市区町村に対して財政支援や希少金属などの種類やその重要性などについての情報提供、説明会の開催などを行ってまいりました。
 その結果、平成二十七年度末の時点で、都内の市区町村六十二団体のうち、島しょの一部町村を除いた合計五十六団体で使用済み小型家電を回収する取り組みを行っております。
 回収方式は、回収ボックスを設置する拠点回収方式が四十団体で最も多く、回収したごみの中からピックアップする方式が三十六団体、分別回収が九団体などとなっております。

○こいそ委員 島しょ部の一部を除いて全ての市区町村で小型家電の回収が実施されているとのお話であります。
 回収方法は前にもお聞きしたことがあるんですが、いろんな調査を含めたお話を聞く中で、若干の温度差があるのではないかと。まだまだ都市鉱山を掘り起こせる可能性は十分残っているはずだと。
 今後、さらなる回収拡大に向けた取り組みについて伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 ご指摘のとおり、小型家電のリサイクルについては、量的にもまだまだ回収を促進すべきであると考えております。
 最近の動きとして、市区町村による拠点回収、収集したごみの中からのピックアップ、分別回収のほかに、小型家電リサイクル法の認定事業者による直接回収というルートもあって、都民の排出機会の多様化が図られつつあります。
 引き続き、東京都が行っております区市町村との連携による地域環境力活性化事業も活用していただくなどして、効果的な回収方法によるリサイクルの進展を市区町村に促してまいります。

○こいそ委員 まさに都市鉱山を掘り起こし切れていない状況といっていいんでしょうかね。有用な貴金属を有効活用できないだけではなくて、都市の活動を持続させるのに欠かせない希少な埋立処分場の容量の逼迫性につながる、いわゆる埋め立てに回しちゃっているということですね。廃棄している。まさに二重の意味で、これはもったいないということじゃないかと思います。
 引き続いて、都から市区町村に対して意識啓発とともに、実際のところ、私は財政の支援も必要じゃないかと思うんですね。資源回収をさらに促進していってほしいなと思うんです。
 次に、PCB廃棄物及び使用中のPCB電気機器の掘り起こし調査について伺いたいと思います。
 都内のPCB廃棄物の処理は、この委員会でも行きましたけれども、JESCO東京事業所で平成十七年に処理が開始されてから十年以上が経過しています。
 都内の高濃度PCB廃棄物のうち、代表的な電気機器であるトランス類、コンデンサー類については、都に届けのあるもののうち約八〇%の処理が完了したといわれております。しかし、低濃度のPCBは、まだまだ使用、保管の実態がわかっていないのが現状ではないでしょうか。
 また、都に届けの出ていないPCB電気機器も多数あるんではないかといわれています。期限内の確実な処理完了には、都はこれらの掘り起こし調査をさらに行って、都内のPCB電気機器の実態の把握が極めて重要だと思います。
 都は、昨年度から、自家用電気工作物設置者約六万事業者に対して掘り起こし調査を実施はされております。しかし、昨年度の回答者は半数の約三万事業者でありました。調査票の届かない、いわゆる不達事業者がそのうちの約一万三千件もあったと、六月の環境・建設委員会での答弁があったわけでありますけれども、都内のPCB電気機器の実態の把握には、なかなか難しいと思いますけれども、不達事業者や未回収の事業者をやはり何とか把握することが重要と考えます。
 そのために、今年度のさらなる掘り起こし調査では、どのような工夫、対応がなされているのか、このあたりをお伺いします。

○風祭調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 掘り起こし調査の調査票は、国から提供を受けました自家用電気工作物の設置者を対象に送付しております。昨年度調査票が不達となったのは、自家用電気工作物設置場所の住所が最新となっていないことが主な原因でございました。
 今年度の掘り起こし調査では、自家用電気工作物が設置されている建物の登記簿や最新の地図情報を調査することなどにより、昨年度不達の事業者の住所を特定いたしました。また、昨年度調査で未回答の事業者に対しては、電話による聞き取りを繰り返し実施するなどしております。
 こうした取り組みにより、都内のPCB電気機器の全体量の把握に努め、早期処理を推進してまいります。

○こいそ委員 この調査というのは極めて困難性もあるわけであって、本当にご苦労さまですと申し上げさせていただきたいと思います。
 都内のPCB電気機器の実態把握には、まだまだ相当の労力と時間を要すると思われますが、しかし、やはり人体に対して有害といっていいんでしょうかね、速やかにPCB電気機器の全体量を把握する中で、適切な処理計画を立て、早期に都内のPCB電気機器の処理完了を目指していただきたいと思うところでございます。
 次に、照明用安定器の処理について伺いたいと思います。
 PCB廃棄物のうち、照明用安定器は処理できる施設がなかったということが現実でありましたけれども、長らく保管を余儀なくされていたのが現状であります。しかし、ようやく本年四月からJESCOの北海道事業所でその処理が開始されたということであります。
 その処理方式は溶融方式でありますが、ごみの焼却灰の溶融炉は管理がなかなか難しく、全国でも休止している施設が多いと聞いており、期限内に処理が完了できるのかと、そのあたりの危惧がされています。
 改めて、JESCOの北海道事業所で処理をすることになった経緯と、都内の照明用安定器の処理状況について伺いたいと思います。

○風祭調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 一都三県の照明用安定器は、平成十七年十二月に、JESCO東京事業所で処理が開始されましたが、当初から処理設備でトラブルが多発し、その解決ができなかったため、平成二十年七月、処理を停止いたしました。
 その後、国が照明用安定器の処理方法を検討した結果、一都三県の照明用安定器は、JESCO北海道事業所で処理することとなりました。これを受け、国は、平成二十六年六月にPCB処理基本計画を改定いたしました。
 こうして本年四月から都内の照明用安定器はJESCO北海道事業所で処理が開始されたことから、都は、去る九月、現地調査を行い、八月末までに約百七十トンの処理が完了し、順調に処理されていることを確認いたしました。
 しかしながら、照明用安定器に加え、PCBに汚染されたウエスなどの汚染物も溶融炉の処理対象であり、いまだ全体量が未確認であることから、都は、今後とも処理状況の推移を引き続き注視してまいります。

○こいそ委員 都は引き続いてJESCO北海道事業所の稼働状況を注視する中で、都内に保管されている照明用安定器と、今ご答弁ありました汚染物の期限内処理に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。
 都内にはまだまだ処理をしなければならないPCB廃棄物があり、特に低濃度PCB廃棄物の処理は都が積極的に取り組みをされ、事業者を強力にリードして処理を進めていくことが極めて大切、重要です。このことを要望させていただきたいと思います。
 次に、古紙の持ち去りについて伺います。
 この問題については本委員会においても何度か取り上げさせていただいておりますし、また、各関係団体からも強い要請がまた引き続いて来ておりますけれども、市区町村における罰則つきの持ち去り禁止条例の制定、集積所のパトロールや、GPSを活用した持ち去り古紙の追跡調査の実施など、さまざまな取り組みが行われてきているとの答弁はありました。
 しかしながら、持ち去りを行う者は、市区町村が実施しているパトロールや条例に基づく取り締まりをまさにかいくぐって、市区町村の枠を超えて広域的に、さらに、持ち去られた古紙の一部が海外に輸出されているということがあるわけであります。これはもうまさに資源循環型社会形成をしっかりと推し進めていくんだ、つくり上げていくんだという中でも、やはりこういう資源物が海外に流出しているということ自体も問題だと思っております。
 また、条例化ができていない自治体もまだある中で、特にこれは私の聞いた話でありますけれども、こういうことをいってはいけませんけれども、意識の低い自治体では、古紙持ち去りにより、いわゆる全体のごみ量が減るということで、それを放置するといった話も現実あるようであります。こうしたことから、東京都が一律対応、いわゆる広域的な対応をして、はっきりいって、これは犯罪ですから。有効な資源であり、これを持ち去る行為というのは、いわゆる刑法でも断罪されるべき犯罪ですよ。
 このような中、東京都が全体的な対応をする中で、古紙持ち去りを禁止することを検討しても、平たくいいますと、直接いわせていただくならば、はっきりいってこれはイタチごっこなんですよ。A市、何とか区でもそうだけれども、ここでたたく、そうすると今度は甘いところに出ていく。さらに、テレビでもやっていました。これはどうも裏社会がかなり関与しているんじゃないかということもいろいろ報道でも伝わってきましたね。
 ですから、こういう悪質、そしてかいくぐっていくことに対して、やっぱり断固とした措置を講ずるには、私は、はっきりいって市区町村だけじゃなくて、これはもう前々から話もあるけれども、広域的にばさっと対応しなきゃならないと思うんですよ。それにはやはり条例化も必要ではないかとかねてから主張もさせていただいているところでありますけれども、きょうはそのあたりのご答弁はいいです。
 市区町村における古紙持ち去り対策がその後どの程度進んだのか。そうはいっても、取り組みは進んでいますよ。また、東京都が市区町村に対してどのような支援や取り組みを行ってきたのか、改めて伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 市区町村における古紙持ち去り禁止条例の制定状況ですが、平成二十八年十月現在、区部では二十三区中十八区が条例を制定しており、うち十四区が罰則つきとなっております。また、多摩地域では三十市町村中二十三市が条例を制定しており、うち十七市が罰則つきとなっております。
 前回ご質問のあった平成二十六年時点での条例制定団体数と比べますと、区部が一区の増加、多摩地域は七市が増加しており、条例制定が進んでおります。
 都は、古紙持ち去り対策に関する情報交換会を実施したり、条例制定を検討する市区町村と条例制定済みの自治体との意見交換会を実施するなど、技術的支援を行っております。
 また、市区町村の古紙持ち去り対策を、区市町村との連携による地域環境力活性化事業における補助対象事業の一つと位置づけ、古紙持ち去りの根絶に向け、市区町村への財政支援を行っているところでございます。

○こいそ委員 大変失礼ですけれども、徐々にといいましょうか、徐々とはだんだん上がってきているという意味合いでありますけれども、各自治体の取り組みも、実際の自治体での持ち去り条例制定が進んでいることは今のご答弁でわかりました。こうした条例の制定、特に罰則つきの持ち去り禁止条例は効果が間違いなくあるということだと、これは聞いております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたけれども、根絶するには、やはり広域行政体である東京都がさらに積極的関与をすべきだと。一般廃だということの捉え方はありますけれども、これだけ広域化していますから、これはやっぱり環境局がしっかり対応することも必要だと思います。
 業界はまだまだ大変困っているようですよ。うちの党にも要請がせんだってもありました。こういうような中で、引き続いて市区町村への支援、自治体間、業界との連携を進めていただきますよう、ぜひ対応を強めていただきたいと要望します。
 次に、カラス対策について質問します。
 私も、海外から来られる知人もそれなりにいるわけでありますけれども、東京を案内する機会も少なくない中で、しかし、そこで出るのは、東京は予想外に緑が多くて、ちょっと意外なんですけれども、環境がいいですねということをよく聞きます。これはうれしいわけでありますけれども、緑の創出や自然環境の保全に力を入れてきた環境局、そして、いわせていただくなら、その一人としてとても誇らしい感もするわけであります。
 ただ、そうした美しい景観の中で目につくのが、商店街だとか地域によるんですけれども、カラスですね。昔、カラスは、ヤタガラス、霊鳥として大変たっとばれてきたと。
 今日のようにふえ過ぎると、当然いろんなカラスの種類があるそうでありますけれども、鳴き声がうるさい、それから子供を威嚇する、他の野鳥を攻撃する、郊外では田畑に影響を与えると、生活被害や生態系への影響も実はまだまだ現実的に懸念されているところだと思います。
 都もこれまでさまざまな対策を実施してきたと承知をしておりますが、まず最初に、都がカラス対策に取り組んできた経緯、そして具体的な取り組み内容をお聞かせいただきたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 カラスの生息数は、平成十三年に都が調査いたしましたところ、約三万六千四百羽と推定しております。また、平成十三年度にカラスに襲われた、ごみ集積所を荒らされたなど、カラスに関して都に寄せられた苦情は約三千七百件でございました。
 こうした状況の中、カラスの生息数を減らすため、都は、平成十三年度からカラスの捕獲を進めるとともに、市区町村に対し、餌となるごみ対策を要請しております。
 捕獲といたしましては、公園や樹林地などに大型のわなを設置するとともに、平成二十二年度から大規模なねぐらを中心にカラスの巣を撤去し、巣立ち前のひなや卵を採取することで繁殖の抑制を実施しております。
 ごみ対策といたしましては、市区町村と連携し、防鳥ネットの貸し出しや深夜、早朝回収等を実施することで、カラスの餌となるごみを排除しているところでございます。

○こいそ委員 平成十三年から比べると、ご努力もあって、今数字からもわかりますけれども、確かに減少してきているんではないかと思います。
 しかし、地域によってということもあるかもしれませんけれども、最近またカラスがふえているのではないかということもよく聞きます。
 そのような中で、これまでの対策の実績、今後、都として、これら取り組んできた経験を踏まえて、どのように取り組みをしていくのかについて伺いたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 都では、大型のわな、いわゆるカラストラップを設置して、平成二十七年度には約九千羽、平成十三年度から二十七年度まで累計で約二十万二千羽のカラスを捕獲しております。また、平成二十七年度にカラスの巣を約四百撤去、巣立ち前のひな、卵を合わせて約四百六十採取しております。
 さらに、市区町村におけるごみ対策等も行われた結果、平成二十七年度におけるカラスの生息数は約一万一千九百羽と推定しており、調査を始めた平成十三年の約三分の一にまで減少しております。カラスに関する苦情も昨年度は二百二十三件と大幅に減っております。
 このようにカラスの生息数、苦情件数は減っておりますけれども、一方で、経験を積んだ成鳥、大人のカラスでございますが、それはトラップを警戒し、入らない面があるなど、現状の捕獲方法にも課題がございます。
 今後とも、市区町村と連携するとともに、必要に応じて、適切な捕獲方法などについて学識経験者等の意見も聞きながら、カラス対策に取り組んでまいります。

○こいそ委員 二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックも開催をされる東京で、これは時間にもよるかもしれませんけれども、カラスが多いというのはやっぱりイメージとしてよくないのではないかなと。
 確かにカラスも賢いですよね。いろんな種類がいますけれども、この賢いカラスにどうか皆さん、さらに勝っていただいて、負けないように頑張っていただきたいなと。英知を集めて対策に取り組み、まさに世界に誇れる美しい東京をつくっていただきますように要望して、次の最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、自然環境分野における環境人材の育成について質問させていただきます。
 私はかねてから、環境問題、環境課題の解決の鍵として、やはりそこは人にあるんではないかと、こういうふうに思いを持ってまいりました。
 都は、自然環境保全の人材育成策として、グリーン・キャンパス・プログラムだとかエコトップ・プログラムを実施してまいりました。この事業は、大学が設けた自然環境保全に関する教育課程を東京都が認定する制度であり、全国で先駆けて行った先駆的な事業、制度だというふうに思います。また、履修者は幅広い知識を得た者として東京都に登録されて、まさに知事名で修了証を交付する仕組みとなっております。
 そこでまず、これまでの事業の取り組み状況についてお願いします。

○志村自然環境部長 都は、平成十九年度からエコトップ・プログラムを開始し、首都大学東京を初めといたします七大学の教育課程を認定してございます。平成二十七年度末時点で約二百名の修了生を輩出したところでございます。
 この修了生についての進路状況を見ますと、都や特別区など自治体の環境関連部局や環境コンサルタント会社に勤務する事例も生まれるなど、本プログラムが目的としております自然環境分野においてアクティブに行動できる若手人材の育成に寄与しているものと考えてございます。
 また、平成二十四年度から認定の更新制度を導入するとともに、学生の必修科目である行政、企業、NPOでのインターンシップの活動内容について都が事前に確認をするなど、教育の質を担保する仕組みを構築してございます。

○こいそ委員 本事業を十年間継続されてこられたわけでありますが、その中で改善されてきたことも承知をしておりますが、しかし、環境問題を取り巻く社会情勢は変化し続けていると思います。
 その中で環境人材をしっかりと育成するためには、不断の見直しも行うことが重要だと思いますし、都が各大学のプログラムを認定している以上、都みずからが人材育成の観点で大学のカリキュラムのチェックも行い、しっかりと見直しを図るところは図るということの中で、しっかりと対応していく必要性はあろうかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 エコトップ・プログラムが目指す人材像の趣旨に照らし合わせて、各大学のカリキュラムを随時検証し、その改善を図ることは、今日的な環境人材を育成する上での重要な取り組みであると認識してございます。
 このため、都は、更新審査などを活用し、大学関係者へのヒアリングを行いながら、各大学のカリキュラムを検証してまいりました。
 その結果、大学の履修科目が多様化し、また細分化するといった中で、例えば環境関連法規の授業において、本来であれば環境基本法や生物多様性基本法などを基軸に、体系的に関連法規を学ぶべきところ、その一部のみを取り上げた授業が散見されるといった課題が明らかとなり、カリキュラムの見直しや再編成につきまして、大学側と協議をいたしたところでございます。
 今後は、各分野のカリキュラムで最低限必要とされる履修科目の内容等を例示した指針を示すなどして、自然環境分野を体系的に学べるよう大学側に強く働きかけまして、環境人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

○こいそ委員 ぜひ事業の見直しを進めていただきたいと思います。
 東京都知事名で修了証を交付するエコトップ・プログラムは、まさにこの首都東京の環境人材育成策を対外的に象徴するものであり、都の責務も非常に重いと思います。大学関係者や学生たちの声をしっかり受けとめていただいて、環境人材育成プログラムの内容も一層充実させていくことを強く要望させていただき、質問を終わります。

○高倉委員 ことしの八月十一日は、山の日ということでありました。この山の日は、ことし初めて施行されたわけであります。高尾山など山岳地では、随所で盛大なイベントが開かれまして、都庁内でも都内の山々の写真展示等が行われまして、多くの来庁者の目を引いたというふうに伺っております。
 この山の日は、山の恵みに思いをはせる日として制定をされたものであります。山登りを通しまして、大自然の中に謙虚な気持ちで身を置くということは、日ごろのせわしさを忘れまして、心身ともにリフレッシュするものであるというふうに思います。私も山登りを愛する一人でありますけれども、私からも多くの都民の皆様に、この機会に山に出かけられることをぜひお勧めしたいというふうに思います。
 そこで、きょうは山に関係をしまして、自然公園について幾つか質問をいたします。
 まず、自然公園制度の概要と都内の指定状況についてお伺いをしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 自然公園は、自然公園法に基づき、山や海などの豊かな自然を保護し、利用するとともに、生物多様性の確保にも寄与することを目的として指定をしております。都内には、秩父多摩甲斐国立公園など国立公園が三カ所、明治の森高尾国定公園として国定公園が一カ所、滝山や狭山などの丘陵地を対象に都立自然公園が六カ所、合計十カ所の自然公園が指定されております。
 その総面積は約八万ヘクタールで、東京都の総面積の約三六%を占め、滋賀県に次ぎ、全国第二位の面積率となっております。
 自然公園制度では、土地の所有を原則とせず、民有地を含む地域も指定されており、都は開発行為に対する規制等により、自然や風景地を保護するとともに、登山道やトイレなどの施設の整備や管理を行うことにより、利用を促進しております。
 なお、これらの都内の自然公園は、年間約千七百万人の方々に利用をしていただいているところでございます。

○高倉委員 都内の自然公園、全部で十カ所ということであります。そして、今、東京都の総面積に占めるこの自然公園の割合といいますか、面積率が全国でも第二位であるという、今、改めて東京というところに自然公園というのがあるということを知ったわけでありますけれども、さらに、この自然公園を利用している人が年間で一千七百万人ということで、これも想像以上に多くの人が訪れているということに驚いたわけであります。
 特に高尾山については、平成十九年度のミシュランの三つ星を獲得して以降、海外からの来訪者も大変ふえているというふうに聞いております。多くの来訪者があることは、大変喜ばしいことでありますけれども、人がふえればふえるほど、それに十分対応できるトイレや安全な登山道などの施設整備も必要になってくるというふうに思います。
 特にトイレは、誰にとっても必要不可欠なものでありまして、自然公園の施設の中でも一番重要ではないかというふうに思っております。私は、一年前の第三回定例会で、このトイレの洋式化などの改善の必要性について質問を行いまして、取り組みを進めていくといったご答弁をいただいたところでございます。
 そこで、自然公園におけるトイレの洋式化について、これまでの実績と今後の予定についてお伺いしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 自然公園には、多くの外国人や高齢者が来訪されることから、自然公園内のトイレについて、洋式化が可能な場所においては積極的に洋式化を進めており、対象百三十二カ所のうち、平成二十七年度末までに九十一カ所、約六九%の改善を達成しております。今年度は八カ所のトイレの洋式化を進めており、特に利用者の多い御岳山岩石園付近のトイレは、年内の供用開始を目指しております。
 引き続き、洋式化を中心としたトイレ整備を進めるとともに、計画から前倒しして整備できるものは積極的に前倒しをするなどにより、平成三十一年度末までに八〇%のトイレの洋式化を図ってまいります。

○高倉委員 今、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでに八割のトイレの洋式化を達成していきたいと、そういったことで、大変心強く思っております。
 海外からのお客様にも不便をかけることなく、東京の山のすばらしさを体感していただける環境が整備をされていくということは、大変に重要であるというふうに思います。ぜひ積極的に取り組みを前倒しして、トイレの洋式化について推進をしていただきたいと思います。
 ところで、この夏、東京の最高峰であります雲取山に新しい山頂標識が設置をされたというふうにお聞きをしております。これまで雲取山には、山頂に幾つかの標識が立っていたというふうに記憶をしているわけでありますけれども、今回、新たに山頂標識を設置した理由についてお伺いをしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 標高二千十七メートルを有し、都内最高峰である雲取山は、埼玉県や山梨県との県境に亜高山帯の豊かな自然が広がり、毎年多くの登山客に来ていただいているところでございます。その山頂には、従来、東京都と埼玉県、そして、山梨県が木製の山頂標識や案内板などを別々に設置しておりましたが、それらが老朽化し、見えにくくなってきていたこともあり、利用者からは、標識が点在しているとわかりづらい、一つにした方がよいなどの声が寄せられておりました。
 そこで、都は、ことしの夏、山の日施行に合わせて、山頂に県境を有する埼玉県と調整の上、それぞれが別々に設置をし老朽化していた木製の山頂標識の撤去を行い、これらにかえて、新規に耐久性が高く、見ばえのする御影石の山頂標識を山頂三角点のすぐ近くに一基設置をしたところでございます。

○高倉委員 この山頂が東京、それから、埼玉、山梨、それぞれに接しているということで、これまでそれぞれの山頂の標識があったということでありますが、今、ご答弁いただいたとおり、新しいものを設置したということで、特にこの夏以降、雲取山に出かけた方々からは、記念写真を撮るときに、背後に富士山も映り込む位置に立派な標識があるということで、大変よかったという声を聞いているわけであります。山頂の標識を一つにしたことは、山頂の景観の点から見ても大変よかったのではないかなというふうに思っております。
 東京には、雲取山や高尾山のほかにも、御岳山や川苔山、あるいは奥多摩三山と呼ばれます大岳山、御前山、三頭山などファンの多いメジャーな名峰が数多く存在をしております。今後、こうした山々の魅力をより広く伝えていくことが求められるというふうに考えております。
 奥多摩三山など東京の数々のこういった有名な峰々、名峰を東京の山としてアピールをしていくためには、デザインをある程度統一した山頂標識の整備が効果的というふうに考えるわけでありますけれども、この点についての見解を求めたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 御岳山や奥多摩三山などは、東京の山を代表する人気の山であり、東京が豊かな自然環境を有していることをアピールするためにも、山頂標識のデザインを数種類程度に統一することは効果的であると考えております。
 そこで、標高が高く、内外から登山者が訪れ、登頂記念撮影なども盛んに行われている奥多摩三山や川苔山など計十カ所の山頂については、雲取山と同じ意匠の重厚な石づくりのタイプの標識を設置していく予定でございます。
 あわせて、比較的標高が低く、遠足等で気軽に利用されている山々については、周辺の木々と調和した温かみのある丸太や角材を用いた標識を設置していくなど、デザインの統一化を図ってまいります。

○高倉委員 奥多摩三山や、あるいは川苔山など、ある程度標高が高い山とともに、標高が低い山々についても、山のタイプに合った標識を設置していくということで、大いに期待をしております。ぜひアピールをお願いしたいなというふうに思います。
 また、設置に当たっては、山頂での記念撮影写真をイメージするなどして、建設するポイントの選定にも十分に留意をしていただければというふうに思っています。
 山の日の施行を背景としまして、トイレの洋式化や山頂標識の設置など、東京の山々においてハードな面での取り組みが進められているということについては、今、答弁で確認をさせていただきました。
 一方、山への関心の高まりを一過性のものとさせないためには、ソフト面での取り組みも大変重要であるというふうに思います。そのためには、日ごろ山に出かけないような人にも、東京に豊かな自然が存在をしているということを知らせて、東京の山への関心を呼ぶ取り組みが必要と思いますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 山の日施行を契機に高まった東京の山への人々の関心をこれからも高め、東京の自然の豊かさを伝えていくためには、ソフト面での取り組みが重要であると考えております。
 昨年度、都民広場や都議会議事堂都民ホールで開催した東京の自然公園についてのPRを目的としたイベントでは、東京の山々の紹介とともに、世界的に著名なクライマーの講演や山道具の紹介などを行い、多くの来場者の方々から好評を得ることができました。
 また、今年度は、日比谷公園ガーデニングショーなど都心部で開かれる大型イベントに自然公園を紹介するブースを出展するなどして、山には行ったことがないけれども、山の植物には興味があるというような方々へのPRに成果が得られたと考えております。
 これらの実績からも、都心部でのイベントによる周知は効果的であることから、今年度末も自然公園をPRするイベントを開催したいと考えております。
 さらに、現在、自然公園ビジョンの策定を進めており、多くの山々を有する東京の自然公園のすばらしさを伝え、関心を高めていくためにも、このビジョン検討の中で、イベント以外にも必要なソフト面での施策について検討を進めていきたいと考えております。

○高倉委員 ありがとうございました。きょうの質疑の中で、この自然公園というのが東京の面積に占める割合、この面積率が全国でも二番目であるといったこと、それから、ことしから、八月十一日でありますけれども、山の日が施行されたといったことについて質疑をさせていただきました。都心部に住んでいる人、あるいは東京都外の人々、これまで山に行ったことのない方々がぜひ東京の山に行ってみたいというふうに思う、そういう企画、あるいは施策をぜひとも積極的に検討していただきたいと思います。
 山を初めとしまして、東京の多様で豊かな美しい自然を有します西多摩のエリア、そして、島しょ部についても、それぞれの魅力が十分に発揮されるハード、ソフト両面からの取り組みの展開につながるようなビジョンの策定といったことも期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○大島委員 私、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 先ほど、こいそ委員さんも触れておりましたが、昨年、COP21が開かれまして、もう今や先進国とか途上国とかを問わずに、世界全体で産業革命後の平均気温の上昇を二度未満に抑える、これを目標にした地球温暖化対策の新しい国際枠組みとしてのパリ協定が採択されました。
 今月の七日からは、COP22がモロッコで開かれているんですね。この会議では、パリ協定で各国が示した削減目標が適切かどうかとか、削減の進捗状況を誰がどう検証するかなどということを定めたルールブックをつくるための議論が始まっています。まさに地球温暖化対策、世界中で着々と進めなければならない、また、進めるという体制をつくろうということになっているわけです。
 残念ながら、規定の日までに批准できなかった日本は、今回、議決権のないオブザーバーとなっております。国の削減目標は、二〇三〇年度までに二〇一三年度比で二六%、長期目標では、二〇五〇年までに八〇%削減を掲げています。
 東京都は、環境基本計画で、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比で三〇%削減という、国を上回る積極的な目標を掲げています。しかし、二〇一三年度の速報値では、都内の温室効果ガス排出量は、二〇〇〇年度と比べて、削減どころか一三%増加しているというのが現状です。
 都の環境基本計画では、都内の再生可能エネルギーによる電力利用割合は、二〇二四年までに二〇%、二〇三〇年までに三〇%程度に高めるという計画ですが、現在までの電力利用割合の到達状況及び今後の取り組みについてお伺いいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 都内の再生可能エネルギーによる電力利用割合は、平成二十六年度実績でおよそ八・七%でございます。
 今後、目標の実現に向けまして、需給両面からの取り組みを進めてまいります。需要面では、省エネ、節電の着実な推進により、エネルギー消費量の削減を図ってまいります。供給面では、東京ソーラー屋根台帳を活用した普及啓発等による太陽光発電の導入促進、地産地消型の再生可能エネルギー導入拡大など、東京の特性を踏まえた取り組みを推進してまいります。

○大島委員 きょうのいただいた資料の五ページのところに、やはり再生可能エネルギーによる都内の電力利用割合というのが書かれているんですけれども、これを見ても二〇一四年度実績で八・七%ということなんですね。そうすると、二〇二四年までに二〇%ということになりますと、あと十年でこれを引き上げなきゃならないと。大体これを見ると、毎年一・五%ぐらいずつふえているということもあるので、このペースでいけば大丈夫なのかしらというふうに期待もしているんですけれども、電力利用の割合を高めるということも非常に大事な取り組みになるだろうと思っています。
 もちろん再生可能エネルギーというのは、太陽光発電に限ったものではありませんけれども、東京都も二〇〇九年度から、集中的な補助事業などによって、都内の太陽光発電の導入量は二〇〇八年度五万キロワットから二〇一四年度四十万キロワットへと、およそ八倍に拡大していると分析をしています。非常に大きく伸びているわけですね。
 この環境基本計画では、都内の太陽光発電設備導入量の目標を二〇二四年までに百万キロワット、二〇三〇年までに百三十万キロワットに高めるということですから、相当の努力と取り組みが必要になってくると思っています。
 東京都の長期ビジョン、これは環境基本計画も同じ数字なんですけれども、二〇二〇年までに都有施設を利用しての太陽光発電量を二万二千キロワットに高めるとしています。二〇一五年三月末の都有施設の太陽光発電設備容量は一万一千八百キロワットなので、二〇二〇年度末までにおよそ一万キロワット以上ふやすことが必要となります。
 ことし三月には、スマートエネルギー都庁行動計画が策定されました。これによると、二〇一九年度までに太陽光発電を四千二百キロワット新規導入するという目標を示しています。この新規導入の具体化についてお聞きします。

○松下地球環境エネルギー部長 都は、公営企業を含めた都有施設全体を対象といたしました東京都長期ビジョン、そして、知事部局等を対象といたしましたスマートエネルギー都庁行動計画におきまして、都有施設の太陽光発電設備の導入目標を定め推進しております。
 これまでに都立学校や浄水場等において、設置可能なスペースを活用しまして、太陽光発電設備の導入を進めてまいりました。都有施設の新築、改築の際に、原則として太陽光発電設備を設置すること等を省エネ・再エネ東京仕様において定めておりまして、これに基づき、今後も再生可能エネルギーの導入を拡大してまいります。

○大島委員 今述べられましたスマートエネルギー都庁行動計画によると、二〇一九年度までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で二五%削減、エネルギー消費量を二〇〇〇年度比で二五%削減を掲げています。
 東京都は、みずからの事務事業活動に伴う温室効果ガスやエネルギー消費量を削減する取り組みの強化が求められています。今後、どのように取り組みを強化していくのか、お伺いいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 委員のご発言のとおり、都は、スマートエネルギー都庁行動計画におきまして、知事部局等による温室効果ガス排出量及びエネルギー消費量を二〇一九年度までに二〇〇〇年度比二五%削減という目標を定めておりまして、節電や施設改修に伴う設備の高効率化などの取り組みを実施しております。
 今後も、照明、空調の運用対策の徹底、LED化や高効率省エネ機器の導入推進、再生可能エネルギーの導入拡大などによりまして、都の事務事業活動に伴う温室効果ガスとエネルギー消費量の削減について取り組んでまいります。

○大島委員 東京都は、最大の事業者であるのかなというふうに思うんですけれども、やはりこの事務事業活動に伴って出る温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入ということについては、より積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 私は、共産党都議団で環境エネルギーチームというのをつくっているんですけれども、そのチームの人たちと一緒に、再生可能エネルギー自給率を二〇一七年度までに一〇〇%にするという高い目標を掲げている長野県に調査に行ってまいりました。
 長野県では、固定価格買い取り制度を活用し、自然エネルギーを地域主導で普及するために、市民、NPO、地域企業、地域金融機関などでつくる地域協議会を県内二十団体で設立をしていまして、産学官の連携、事業別協議会などで地域に自然エネルギーを進める基盤を整えているんですね。そして、自然エネルギーの情報や知見の広範な供給を進めています。
 地域の事業主体による自然エネルギー発電の利益というのは、地域に還元しているんです。そして、地域活性化につなげることを重視して取り組んでいます。太陽光、小水力、バイオマス、グリーン熱など自然エネルギーの種別ごとに促進策を講じておりまして、エネルギーの地域分散型、地産地消型を進めて効果を上げているということを聞いてまいりました。
 長野県のように、市民や地域の企業との協働による地産地消型、地域分散型の自然エネルギー発電の取り組みを強化することは必要と考えます。
 都も、今年度から地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業を実施しておりますが、その事業内容についてお伺いいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業ですけれども、都内におけます自家消費型の再生可能エネルギーの導入拡大のため、民間事業者を対象といたしまして設備導入経費の一部を支援するものでございます。
 具体的には、いわゆるFITによる売電を目的としない自家消費型の再生可能エネルギー発電設備、それから、再生可能エネルギー熱利用設備が支援の対象となってございます。

○大島委員 今の答弁でもありましたけれども、都の事業は、自家消費を前提とした再エネ発電と熱利用設備の導入に補助金を出すという事業です。長野県では、自然エネルギー発電や熱利用を推進するために、市町村、NPO、中小企業、住民団体が基本計画、詳細設計、計画策定、実施設計、こういったものをつくるソフト事業と、それから設備導入に係る工事費等のハード事業にそれぞれ補助金を支給して、地域主導での取り組みを支援しているというところに大きな違いがあると思います。
 地産地消型のエネルギーシステムの構築を行う地方公共団体や非営利民間団体、民間事業者等には、国の地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助事業と、大変長い名前なんですけれども、これが実施されています。
 地域分散型、地産地消型の再生可能エネルギーシステムの構築を行うためには、地域に自然エネルギー発電を進める基盤を整えることが重要だと考えますが、いかがでしょうか。そのために、長野県のような支援策を実施する考えはないのか、お伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 地域に根差した再生可能エネルギーシステムの構築には、区市町村が多様な民間団体と連携し、地域の特性に応じた取り組みを進めることが重要でございます。
 このため、都は、区市町村がNPOなどの民間団体と連携して行う再生可能エネルギーの利用拡大に向けた仕組みの構築ですとか計画策定などに対しまして、支援を実施しているところでございます。
 一方、FITによる売電を目的とした発電事業につきましては、設備導入に要する経費が国の定める買い取り価格に算入されているということから、長野県のような設備導入経費を支援する考えはございません。

○大島委員 地産地消型の再生可能エネルギーを進めるというためには、もう一つそれを進める人材の育成というのも大変重要だと思っています。
 長野県では、人材育成事業として、地域主導型の自然エネルギー事業で起業する意欲がある方などが、人材育成プログラムとして専門知識などを学ぶ講座とか実地研修、こういったものを行うほか、おひさま進歩エネルギー株式会社が飯田市などと連携して開校する飯田自然エネルギー大学の一部を県の委託事業という形で位置づけています。
 都も、省エネアドバイザーの人材育成などを実施しておりますけれども、自然エネルギー事業を牽引するためにも、都として、こうした人材育成にもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 都は、再生可能エネルギー等導入推進基金を創設し、区市町村の防災拠点施設への自然エネルギー等を導入するための補助金を支給しておりますが、今年度で終了してしまいます。これは、災害時における自然エネルギーの活用ということがメインですが、熊本地震の状況を見ても、必要不可欠のものと考えます。この事業についての実績についてお伺いをいたします。

○小原環境政策担当部長 再生可能エネルギー等導入推進基金事業は、国からの補助金を原資といたしまして、総額十億円の基金をつくり、これをもとに平成二十七年度からの二カ年間で補助を実施するものでございます。
 実績が確定いたしております平成二十七年度においては、避難所指定されている公立小中学校など区市町村等から申請のあった二十五施設に対しまして、合計約二億一千万円の補助を実施いたしました。

○大島委員 けさも福島でマグニチュード七・四、震度五弱という地震がありまして、津波警報も出されたということで、災害はいつ来るかわからないし、五年前の東日本大震災を思い起こさせるような、そういう状況が今あるわけです。防災施設への備えというのは、一日も早く万全なものにしていかなければならないというふうに思います。
 確かに二年間の事業ということで、今年度の状況については、まだ集約もできないような状況にあるということですから、今年度どんな状況なのかというのはわからないわけなんですけれども、いずれにしましても、十億円の基金をもとにして、二十七年度では二億一千万ということですから、まだ十分に余裕があるわけです。
 そして、区市町村からの申請に基づいてという話もありましたけれども、積極的にやっぱり今の時期にこれを活用して、こういった防災的なものをちゃんと整備していくということがどれほど重要かということは、みんな知っていると思うんですね。ですから、そういうもので、今後の防災対策の一環としても必要なんだということも考えて、二年間で終わりにするんではなくて、国の方のお金が切れてしまったら都が独自で継続する、こういったこともぜひ考えていっていただきたいなということで要望しておきたいと思います。
 次に、温室効果ガス削減のためには、再生可能エネルギーをふやすことと省エネの取り組みを強化する、この二つが必要です。
 東京都は、二〇三〇年までの東京都のエネルギー消費量を二〇〇〇年比で三八%削減するという目標を掲げました。現在の到達状況についてお伺いいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 都における最終エネルギー消費及び温室効果ガス排出量総合調査におきましては、都内のエネルギー消費量、二〇一四年度速報値で、二〇〇〇年度と比べまして一九%の減となっております。

○大島委員 一九%、頑張っているというのはわかるんですね。でも、これ、全体の目標からいうと、ちょっと差があるというか、あと二〇三〇年までの間にどうするかということでは、積極的な取り組みというのがこれからも必要になってくるというふうに思うんです。
 その中で、この東京でやっているキャップ・アンド・トレードの制度なんですけれども、温室効果ガスの排出量の多い大規模事業所を対象にして、この制度を導入しています。大規模事業所だけで見ると、既に二〇一四年度実績で二五%削減し、二〇一五年からの第二期計画期間の目標の一七%も、もう既に達成をしているということです。
 この取り組みの効果をもっと引き上げるために、CO2排出量の多い都内にある発電所もエネルギー環境計画書の提出だけでなく、対象にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 都内の発電所の取り扱いについてでございますが、都は、委員ご発言のとおり、エネルギー環境計画書制度によりまして、都内へ電気を供給する事業者に対しまして、CO2排出係数を削減する取り組み、削減目標等を記載した計画書と、その実績報告書の提出を義務づけておりまして、事業者の計画的なCO2排出係数の削減を促進しております。
 このため、これに重ねてキャップ・アンド・トレード制度の対象とする必要はないと考えております。

○大島委員 やはりCO2排出量が一番多いのがこの都内にある火力発電所じゃないかなと思っておりますので、確かに目標と、それに合った実績を毎年提出させているということでありますけれども、CO2削減目標を持って、ぜひ対応していただきたいというふうに思っています。
 次に、足立区では、私は足立区なんですけれども、家庭における省エネを促進するために、省エネラベル五つ星家電や、それからLEDの照明を区内業者から購入する場合に補助金を支給する事業を行っています。
 こうした自治体の取り組みを後押しして、家庭の省エネを進めるために、省エネ家電製品購入補助というのを実施する考えはないでしょうか。

○小原環境政策担当部長 都は、地域に根差した区市町村の取り組みを支援するために、地域環境力活性化事業を実施いたしております。その中で、白熱球などに比べまして価格が高い直管型LEDの家庭への導入事業に対して補助を行うなど、家庭の省エネを推進しているところでございます。
 その他の省エネ家電につきましては、既に広く普及してきていることから、都として購入補助を実施する必要性はないと考えております。

○大島委員 この今回いただいた資料の中にもありますけれども、家庭などのエネルギー消費の部門別の推移などを見ますと、やっぱり家庭などでの消費、排出量というのがなかなか減らないというか、そういうところもあります。そういう点では、この省エネ家電、今、テレビなどでもかなり普及するようにいっていますし、大型店なんかに行くと、もうずらっと並んでいるという、そんな状況なので、こういったところに買いかえをして、CO2排出量を少なくするという温室効果ガスの削減にぜひ努めていくために、応援をしてもらえたらいいなというふうに思っているんです。
 先ほども述べましたけれども、この排出量が二〇〇〇年度と比べて一三%増加しているというのが現状なんですね。その中でも、家庭は約四五%増となっていて、削減対策の強化が求められています。できるところから少しでも前に進めるようにすべきではないかと考えます。ぜひ身近な省エネ家電への補助も検討していっていただきたいと思います。
 次に、先ほど西崎理事の方からも質問がありました、東京都環境公社が小売電気事業者ライセンスを取得しまして、気仙沼地域エネルギー開発と調布まちなか発電からFIT電気を調達して、環境科学研究所と水素情報館、スイソミルに電力を供給するという再生可能エネルギー由来のFIT電気供給モデル事業というのを実施しました。この需給バランスをとるというのは、再エネ発電では歴史のある、みやまスマートエネルギー株式会社に委託をしたということです。
 この電力の需給調整や共同調達などのノウハウの蓄積を図るということは、非常に重要だと考えます。今後、地域で電気事業を行う事業者への技術的サポートに生かすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○小原環境政策担当部長 東京都環境公社では、電力供給施設の需要予測などのノウハウを蓄積し、再エネ電力を供給する小売電気事業者に提供することなどによりまして、小売電気事業者を育成し、将来的には再生可能エネルギーの拡大につなげていくことを目的といたしまして、本事業を開始したところでございます。
 既に再エネ由来の電気供給を検討している自治体や事業者からの問い合わせに対しまして、情報提供を行った実績もあり、今後も引き続き行ってまいります。

○大島委員 環境公社が小売電気事業者のライセンスをとったというのが非常に重要だと思うんですね。電力の供給調整や、それから共同調達などのノウハウ、これの蓄積をぜひ図っていただいて、今後、電気事業を行うという事業者への技術的サポートに生かしていくということは非常に重要だと思っています。再エネ事業のノウハウを広く提供して、今後に続く事業者の育成にもぜひ力を尽くしていただきたいと思います。
 そして、電気事業者としても、環境公社を活用して現在交通局が、これはほかの局になっちゃうんですけれども、多摩第一、白丸、それから多摩第三ダムのこの三カ所で三万六千五百キロワットの水力発電を行っているんですね。
 この電力で、例えば都庁舎九千五百キロワットの電力とか、都電荒川線の電力、こういったことを賄うということができるようになれば、FIT電気利用のスマートエネルギー都市東京に向けて、非常にインパクトある取り組みになるんではないかなというように考えています。こういったインパクトある事業などについても、全庁的に考えていっていただきたいなと思っています。
 次に、気仙沼地域エネルギー開発、今回、環境公社が買う電気事業者なんですけれども、間伐材を通常の倍の価格で購入をして、その半分を地域通貨で支払って、林業の活性化と地域経済の循環に貢献していると聞きました。
 地産地消型エネルギーシステムなどを活用し、多摩の林業支援にもつながるバイオマス発電や熱利用を拡充することはできないのでしょうか。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、区市町村が地域とともに取り組む木質バイオマスなど、再生可能エネルギーの利用拡大に対しまして支援を実施しているところでございます。また、地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業では、民間事業者を対象といたしまして、自家消費型のバイオマス発電や熱利用設備の導入に対する支援を実施しております。

○大島委員 木質バイオマス発電とか熱利用とかいうのは、なかなか進まないというか、全体の再生可能エネルギーの比率から見ても非常に少ない中身になっているので、ぜひこういった事業にも目を向けていただきたいなと思っています。
 もう一方の調布まちなか発電からも電気を買っているんですけれども、調布市から公共施設の屋根を無料で借りて、三十三カ所で一メガワットの太陽光発電を行って、その収益を調布市の環境基金に寄附して地域に還元して、地域経済の振興、地域での雇用創出、エネルギー自給率の向上に大きく寄与していると聞きました。
 現在、都は、省エネ・再エネ東京仕様で都有施設の新築、改築に当たって、原則として太陽光発電設備を導入しています。既存施設について、耐震基準を満たしている施設については全て設置すべきだと考えます。
 ところで、この屋根台帳をつくったんですけれども、これはどのように活用されているんでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 東京ソーラー屋根台帳は、インターネットのホームページ上に表示される地図上の建物をクリックするだけで、設置可能な発電容量や予測される発電電力量がわかるほか、所在地の区市町村の補助金やセミナーなどの情報もあわせて表示されるシステムでございます。
 平成二十五年度末に公開いたしまして、先月末までに約十九万件のアクセスがございます。太陽光発電や太陽熱利用システムを設置する際の動機づけとして活用されております。

○大島委員 約十九万件のアクセスがあるということで、非常に活用されているのかなというふうに思いますけれども、太陽光発電とか熱利用のよい動機づけになっているんじゃないですかね。
 私の住んでいる足立区は、四方を川に囲まれた平たんな地形なんです。余り高低差がないんですね。区は、再エネに取り組むには太陽光発電が最も有効だと考えておりまして、都の補助制度が打ち切られた後も、太陽光発電システム設置費補助金というのを支給しています。これは区内の事業者を活用しますと、補助が二割増しとなるんですね。それから、そらとつながるお店、そらつなというんですけれども、それを紹介して、区が行って、地域経済の活性化にもつなげています。
 住宅用の太陽光発電が進むように、都としても補助制度の復活や買い取り価格の引き下げによる負担軽減などの支援策を検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○松下地球環境エネルギー部長 都は、平成二十一年度から太陽光発電に対する補助を実施してまいりましたが、設置費用が大幅に低下したことや、固定価格買い取り制度が導入されたことなどから、太陽光パネル単体に対する補助事業は平成二十四年度で終了しております。
 平成二十五年度以降は、さらなるエネルギー利用の効率化と自立分散型エネルギーの利用拡大を図るため、蓄電池やビークル・ツー・ホーム等と同時に太陽光発電を導入した場合などに補助を実施しております。

○大島委員 前にも述べましたけれども、東京都も二〇〇九年度からの集中的な補助事業によって、都内の太陽光発電の導入量は二〇〇八年度五万キロワットだったものが、二〇一四年度には四十万キロワットへと、およそ八倍に拡大していると、これはそう分析しているわけですよね。
 きょういただいたこの資料の四ページのところでも、風力、地熱、水力、バイオマス、いろいろありますけれども、項目別で見ても太陽光発電が一番多いですね。しかも、その中でも住宅用というのが一番多いわけなんです。
 そういうことを考えますと、都内の再生可能エネルギーによる電力利用割合を目標値まで高めるには、かなり大変なんですけれども、この太陽光パネル単体でも設置が進むような補助制度の復活を強く要望しておきたいと思います。
 最後に、ことし三月、地中熱ポテンシャルマップというのが公開されました。外気と地中の温度の差を空調に生かすことによって省エネ効果が上がる地中熱利用は、導入コストを考えると、一般家庭では投資回収というのがなかなか困難なものです。公共施設の新築、改築時に導入を検討したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都有施設におきましては、既に省エネ・再エネ東京仕様に基づきまして、新築、改築を行う際に、施設の特性や立地状況に応じて、地中熱利用の導入について検討することとしてございます。
 また、区市町村が実施する公共施設への導入についても支援を行っているところでございます。

○大島委員 この地中熱ポテンシャルマップでは、岩の多い多摩地域の方が二十三区よりも効果があるとしているんですね。
 公共施設の新築、改築のときに導入を検討するという、省エネ・再エネ東京仕様に基づいてということなんですけれども、例えば特別支援学校なんかについては、車椅子の通学者が多い学校ですと、入り口のところが自動ドアでこうやっていても、あけっ放し状態になってしまうということなんです。この玄関の冷暖房とか、今ないですけれども、温水プールなどの活用なんかもぜひ検討してほしいという、そういう声も聞きました。
 地中熱というと、なかなか個人ではすぐできるというような話ではありませんけれども、こういった新しい需要に応えていくということも必要かなというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、温室効果ガス削減に向けて、世界が大きく動き出しました。日本も、そして、この首都東京も、掲げた目標をやり遂げるということに大きな責任を持っていると思います。そのためにも、ぜひ施策の拡充を求めまして、質問を終わります。

○近藤委員 それでは、私からも、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。
 大きくいえば、地球の環境はしっかりと守られなければならない、また、次の時代に向けてそれを保全していかなければならないという大前提、総論は理解をしているつもりであります。
 それを踏まえた上で、各論のお話も幾つかお尋ねをさせていただきたいと思いますが、担当の局は違いますけれども、道路はつくらなければなりません。道路をつくるときには、トンネルを掘ったり、掘り割り用の道路をつくったりして、多少の山を削ったり、自然を削ったりするところがあるんだというふうに思っています。
 私どもの多摩地域には、森林、樹林地など豊かな自然がたくさん広がっております。こうした自然を守ることは、都市の魅力を高め、私たちの住む東京が快適な都民生活を実現するために必要な取り組みなんだというふうに理解をしています。
 しかし、大都市東京でこの発展を支えてきた都市インフラ、先ほど申し上げた道路やトンネルなどの整備更新は、これからも必要なんだというふうに思っています。
 これから都は、都市の開発と自然環境の保全が調和したまちづくりに向けてどのように取り組んでいくのか、まずはお尋ねをしたいと思います。

○志村自然環境部長 多摩地域の緑は美しい景観を形成し、人々に潤いや安らぎを提供するだけでなく、水害や土砂災害の軽減にも寄与するなど、さまざまな機能を有してございまして、安全で快適な都市環境を支える重要な要素と認識してございます。
 このため、都は、自然環境の保全と開発のバランスを図るため、自然保護条例に基づきまして、開発による無秩序な自然破壊を防ぐことを目的とした開発許可制度を運用してございます。
 この開発許可制度の運用に当たりましては、開発で損なわれる自然を最小限にとどめ、自然が損なわれた場合には、その回復を図る都の条例の趣旨に基づきまして、事業者に対し既存樹木等の保護の検討や、一定の緑地面積の確保や、希少動植物への配慮などを求めてございます。
 今後とも、開発許可制度を初めとする緑の創出、保全に係る緑施策を適切に実施し、都市の持続的な発展と、自然環境の保全が両立する環境先進都市東京の実現を目指してまいります。

○近藤委員 ありがとうございました。先ほど申し上げましたけれども、自然環境の保全をしつつ、都市の開発を進めていく、これはぜひお願いをしたいというふうに思っています。
 先日、これも申しわけありません、ちょっと局が違うんですけれども、羽田連絡道路というものが都計審で可決をしたようであります。反対する側には、首都圏に残る貴重な自然だとして、この干潟を守りたいというようなお声もあったようでありますけれども、審議会では多くの方のご理解をいただいて、採決されて賛成多数で可決されたなんていうニュースも新聞報道がありました。そういう意味では、自然を守りながらも、きちっと経済活動が守られるような都市環境づくりをぜひお願いしたいというふうに思っています。
 次に、環境局の事務事業の中で、各論にちょっと触れていきたいというふうに思います。
 自然環境で人の手の入らなくなったところの現状、なかなか今自然を守るといっても、環境を守るといっても、その自然や環境が私どもの普通の住民の生活を脅かしているということがあります。
 先ほどもお話がありましたように、山の問題もそうなんですけれども、実は、私ども多摩には獣害の問題やら外来生物の問題が大変大きくあります。先ほどもちょっとお話もありましたけれども、森林などの緑を守ることは大切だということは十分理解をしています。守るべき環境の中にこの野生鳥獣がいることも理解をしています。
 しかしながら、野生鳥獣におきましては、単に保護すればよいというわけではなくて、生息数を適正な水準に保つこと、すなわち保護と狩猟、駆除の適当なバランスが重要なんだと思います。先ほど先輩都議からお話がありましたように、カラスだって、ちょっとぐらいいなければ寂しいんだと思います。昔の童謡にあったような、カラスなぜ鳴くのというのがありました。でも、余りふえ過ぎても困るんです。
 実は、近年は都内でもふえ過ぎたこの野生鳥獣によって問題が発生しているのはご存じだと思います。特に私どもの八王子は、イノシシの増加は大変深刻な問題なんです。
 多摩地域と大きくくくりましても、例えば私どもの八王子であれば、八王子は八王子の猟友会の方が面倒を見てくれます。隣のあきる野市の人は、あきる野の市域を面倒見ます。イノシシには住民票がありませんから、都境も越えれば市境も越える、こういう状況でございまして、こっちから追っ払えば向こうに入ってしまう、向こうから追っ払えばこっちへ入ってきてしまう。こんな問題が今、大変続いています。
 多摩地域のこの野生鳥獣による農業被害は、イノシシによるものだけで、東京都の調査だけでも二千万円近いんだというふうに聞いていますけれども、実は私も、あるところで一カ所ちょっと借りて、シイタケのほだ木を立ててシイタケをとっているんですが、このシイタケがことしの秋は猿で全滅になりました。ですが、私は申告額を出していませんから、この数字には乗ってこないんだと思いますけれども、そういう被害というのも大変あるんです。
 全国的にも、このイノシシによる人身の被害や交通事故等の生活環境被害が頻発していることはご存じだと思います。植物の掘り返しなどによる生態系の深刻な影響も見られています。
 そこで、都内のイノシシの現状と、今後の都の取り組みについてお尋ねをしておきたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 本年十月に、各区市町村及び猟友会から鳥獣被害の実態について聞き取り調査を行ったところ、多摩西部の市町村や猟友会支部からは、イノシシがふえて対応に苦慮しているとの声が相次ぎ、都内でイノシシが増加していると認識をしております。
 国は、平成二十五年度に、環境省、農林水産省が策定した抜本的な鳥獣捕獲強化対策に基づき、イノシシの生息数を、十年後の平成三十五年度までに平成二十三年度の生息数から半減させることを当面の捕獲目標に設定しております。
 イノシシは生息数の増減が著しい動物で、数年で生息数や分布などが大きく変動いたします。そのため、まずは、現時点での都内におけるイノシシの生息状況、生息環境、被害と被害防除の現状等の調査を実施し、都内におけるイノシシの実情を把握したいと考えております。

○近藤委員 ぜひよろしくお願いします。調査をしていただいて、こんなことをいっちゃ何ですけれども、猟友会の方もみんな高齢化をしましたから、なかなか手に負えないという現状もあるんです。ですから、ぜひ東京都の方でいいアイデアを出していただければありがたいなと思います。
 フランス語でジビエといいます。英語でゲームといいますが、実はこの野生鳥獣をとって食べるというのは、フランス料理なんかにあるんですね。ハト、ウサギ、イノシシ、鹿、こういったものがあるんですが、日本人はこういうものを今余り食さなくなりました。ですから、そういう点では、今後はぜひ東京都なんかのアイデアをいただいて(「近藤さんがやればいいじゃない」と呼ぶ者あり)いやいや、ぜひお知恵を拝借したいというふうに思います。
 今も先輩議員からもお話がありましたけれども、私どものまちでは、イノシシのほかにもニホンジカの食害による森林植生への影響、それから、島しょ、伊豆大島におきますキョンなどの外来生物による農業被害、そのほかには、私どもの市にもまだ出ていますけれども、ハクビシン、アライグマ、こういった生活環境被害が多々発生していることはご存じだと思いますので、ぜひお力添えをいただきたいと思います。
 動物相手の仕事は、机上の想定どおりにいかないことが十分あることは承知をしておりますけれども、ぜひ今、部長からご答弁ありましたように、実態をよくつかんだ上で効果的な対策を講じていただければありがたい、そしてまた、人と動物が共存できる環境をお願いしたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、先ほど先輩都議からもお話がございましたけれども、都市鉱山の話にちょっと触れさせていただきたいと思います。
 先ほど先輩都議からは、都市鉱山を東京都の力をかりて民間から掘り起こせと(発言する者あり)こいそ都議から掘り起こせというお話がありましたけれども、ただ掘り起こせといってもなかなか--実は私のうちにも数えたら、もう古い携帯電話がいつも転がっています。
 こういったものを市役所に持っていったりすればいいんですが、ついつい普通のごみで出してしまうと、先ほどお話にあったように埋め立てになってしまうということですから、私はちょっとそれの各論に触れさせていただきたいんですが、東京二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの競技大会まで、あと四年を切りました。
 この世界最大規模のスポーツイベントでありますオリンピック・パラリンピック競技大会の開催、スポーツの分野だけでなく、社会経済など多岐にわたる影響を及ぼす一大事業であると思っています。その影響は、開催都市の東京のみならず、日本全体、さらには世界にまで広く及ぶものであると思っています。
 とりわけIOCは環境を重視しておりますので、オリンピック憲章の中で、スポーツにおける持続可能な発展を奨励すると明記をしています。来る二〇二〇年の東京大会を持続可能な大会として、この機会に世界に対して持続可能性の考え方をより広く発信していく必要があるんだと思います。
 そうした中、先ほどからお話があるような都市鉱山から金メダル、銀メダル、銅メダルになるんだというようなことをいっていただいて、民間の皆さんからのご協力をいただいて、それを使って、今申し上げたオリンピックの金、銀、銅のメダルをつくるんだと、全部が全部は足りないんだと思いますけれども、その一部になるからぜひ出してほしいということをキャンペーンとしてやっていくというようなことも、ひとつお考えいただければと思いますが、いかがかなと思いまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 都市鉱山の国内の状況でございますが、日本国内に蓄積されている工業製品を資源とみなしまして、そこに含まれる金属の量を算定する調査が平成二十年の国の機関によって発表されております。それによりますと、国内に蓄積されている金は約六千八百トンで当時の世界の埋蔵量四万二千トンの約一六%、銀は約六万トンで二二%を占めるとされています。
 このほか、レアメタルのインジウムは一六%、タンタルが一〇%と、蓄積量が世界埋蔵量の一割を超える金属が多数あるとの結果が出ています。これらの都市鉱山の金属類を活用することは、非常に重要であるというふうに認識しております。

○近藤委員 また同じようなことをお尋ねするようになりますけれども、何といったって、買ったときは何千円とか何万円とかするわけなんですが、それが使い終わってしまうと、ただのごみになってしまうのは大変もったいないというふうに思います。
 先ほど、こいそ都議からもいいお話がありましたから、ぜひこの都市鉱山の活用に向けて、東京オリンピックをうまく利用していただいて、資源循環施策を推進する環境局として何かご支援をいただければありがたい。ご所見を伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 現在、東京二〇二〇組織委員会におきまして、小型家電のリサイクル活動の全国的展開を通じ、入賞メダルの原材料となるリサイクル金属を調達するプロジェクト、このプロジェクトを推進するため、事業協力者の選定に向けた企画の受け付けを今月から行っております。今後、選定された事業協力者の企画内容によりまして、メダルの原材料となる金属の具体的な回収方法が決まると聞いております。
 都といたしましても、持続可能な資源利用の推進を進める立場から、委員会からの要請があれば、法的、技術的観点から必要な情報提供を行うなどの協力をしてまいります。

○近藤委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。今ご説明ありましたように、二〇二〇年東京大会は、東京から全世界にこの持続可能性の考え方を発信していくまたとない機会であるというふうに思っています。
 ぜひこの都市鉱山の活用プロジェクトを都民一人一人が身近に取り組めるものになるよう積極的な取り組みを期待し、お願いし、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○舟坂委員 先ほど、先輩のこいそ委員から、モロッコのマラケシュの話が出ましたが、時節柄、私もそこからお話をさせていただきたいと思います。
 本年の十一月七日から十八日まで、モロッコのマラケシュで気候変動枠組条約第二十二回締約国会議、いわゆるCOP22、そして、パリ協定第一回締約国会合などが開催されました。十一月四日、昨年のCOP21で採択されたパリ協定が発効しました。百の国と地域がパリ協定のメンバーにもなっています。
 今回は、初めてのパリ協定締約国会合も開かれております。そして、今回のポイントは、パリ協定を具体的にどう動かしていくのか、その仕組みをつくること、詳細ルール策定であるといわれております。
 政府は、ご承知のとおり、去る八日、パリ協定の批准を決めました。パリ協定を採択できたことは、世界全体の温暖化対策の転換点となる大きな成果ですが、地球の平均気温の上昇を二度未満に抑えるなど、世界中の国々が合意してパリ協定に描いた地球の未来を実現できるかどうかは、パリ協定の詳細ルールがどのようなものになるのかと、今後、各国が温暖化対策をレベルアップさせていけるかどうかにもかかっていると思われます。
 東京都でも、平成九年の京都議定書が採択されたことを踏まえ、これまで環境基本計画により、地球温暖化防止に向けた目標達成に向けてさまざまな施策事業を推進してこられております。
 そして、本年三月、パリ協定を踏まえ、都は環境基本計画を改定し、世界一の環境先進都市東京の実現を目指すべき将来像として掲げ、特に政策の第一に挙げたスマートエネルギー都市の実現における温室効果ガス排出量については、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減するという野心的ともいえる目標を新たに打ち出しました。大変厳しい目標値であると認識をいたします。
 その中でも特に都民、すなわち家庭部門の取り組みについて二〇%の削減目標を掲げたことは、都民が日々の暮らしの中で取り組んでいく目標として都民の皆さんにもご理解、ご協力をいただかなければ、目標の達成は大変厳しいものになるのではないかと思います。
 そこで、私は、都民の皆さんにご理解、ご協力をいただき、この環境基本計画の目標達成に向けて都が進めていくべき施策事業の方向性についてお伺いをいたします。
 都の二〇〇〇年における温室効果ガスの排出量はどのくらいだったのか、そして、その目標である三〇%削減するとどれぐらいになるのでしょうか。具体的な数字をイメージも含めてわかりやすくお示しをいただきたいと思います。

○松下地球環境エネルギー部長 環境基本計画の基準年の二〇〇〇年との比較ということで申し上げさせていただきます。
 二〇〇〇年における都内の温室効果ガスの排出量は、六千二百十万トンでございます。環境基本計画におきまして目標年としている二〇三〇年に三〇%を達成するのに必要な削減量は、千八百四十万トンでございます。この千八百四十万トンのCO2を杉の木で換算しますと、杉林でCO2を全て吸収するということにいたしますと、四国全域の面積を上回る面積が必要となります。

○舟坂委員 次に、今回の都が打ち出した削減目標は、努力目標なのか、それとも達成目標なのか。必ず達成しなければいけない目標ならば、都の温室効果ガス排出量が減少していない状況をどのように考えているのでしょうか。
 特に家庭部門の温室効果ガス排出量は二〇%削減という、部門別目標の達成の道筋はどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○松下地球環境エネルギー部長 国連の機関でありますIPCCによりますと、産業革命前からの気温上昇を二度未満に抑えるという国際的な目標を達成するためには、二〇五〇年に世界全体で二〇一〇年比四〇から七〇%の温室効果ガスの削減が必要とされております。
 都の新たな削減目標は、このような長期的な目標水準や環境審議会からの提言などを踏まえつつ、中期的な目標として設定したものであります。都民、事業者の取り組みを促しながら、達成に向けて取り組んでいく目標でございます。
 東京全体の現状は、東日本大震災以降の火力発電所の稼働増に伴うCO2排出係数の悪化によりまして、温室効果ガス排出量は増加しております。その一方で、エネルギーの消費量は着実に減少しております。家庭部門のエネルギー消費量につきましては、従来増加傾向で推移しておりましたが、ここ二年は減少に転じております。
 今後とも、都は、区市町村等と連携しながら家庭部門の対策を進めるなど、エネルギーの大消費地として省エネルギーを着実に進めてまいります。

○舟坂委員 環境問題は、すぐに結果が出るものではありません。千三百六十万人余りの都民一人一人がエコアクション事業として全員で取り組んでいく機運の醸成、積極的なPR、誰にでも取り組めるさまざまな取り組みが必要であると考えます。
 おくれをとることなく、むしろ千三百六十万人余りの都民全員で温暖化を食いとめる環境先進都市として、リードをするように頑張っていかなければならないと思います。
 そこで、この取り組みを都民運動としていくためにどのようなことが必要であるのか、お示しをいただきたいと思います。

○松下地球環境エネルギー部長 地球温暖化対策を推進していくに当たっては、委員ご発言のとおり、都民一人一人の理解と行動が不可欠であります。
 このため、都は、九都県市などと連携いたしまして、省エネ・節電キャンペーンを実施するなど、身近な省エネ対策について普及啓発を図ってまいりました。また、世帯の特性に応じた具体的な省エネに関するノウハウを提供することが重要でありますことから、家庭向けに省エネアドバイスを行っております。
 今後とも、都民の機運を醸成するため、さまざまな機会や方策を通じて省エネムーブメントを起こしてまいります。

○舟坂委員 家庭部門の取り組みとして、これまで高効率省エネルギー機器導入、太陽光発電システムなどに対する助成などを行ってきております。しかし、太陽光発電については、買い取り価格の低減などにより導入に対するインセンティブが薄れてきたことや、既存の建物の屋根や屋上などへの太陽光発電システムの設置が、建物によっては耐震性能を低下させるおそれが指摘されるなど、必ずしも今後の需要増しが見込まれる状況にはなっていないと考えます。
 今後は、さらにさまざまな観点から、このような家庭向けの省エネ補助について、例えば省エネリフォーム、二〇二〇年省エネ適合モデル住宅などへの建設費の支援などの検討、実施もしていかなければならないものと考えております。
 また、災害時にも対応可能で、昼間、太陽光でつくった電気が余れば蓄電し、夜間、そのためた電気を使えるように、太陽光発電システムと蓄電池をセットで普及させていくべきではないかとも思いますが、そのためには、蓄電池と太陽光発電システムなどをミックスして、建設支援策などを検討すべきと思いますが、都の見解をお示しください。

○松下地球環境エネルギー部長 都では、太陽光発電による電力を夜間でも有効利用を可能とする蓄電池やビークル・ツー・ホーム・システム等と太陽光発電システムの同時導入に対しまして補助を実施しております。その実績は、現在、千七百四十三件でございます。
 また、住宅本体の環境性能の向上を図るため、都内で多数を占める既存住宅に対しまして、その断熱性を向上させる省エネリフォームと太陽光発電システム等の同時導入に対する補助を実施しております。これまで二十件の実績でございますが、さらに都民への事業のPRに注力していく必要があると感じております。
 都は、新築のみならず、既存も含めた高性能住宅の普及に向けて、都内の住宅の特性に合った創エネ、省エネ機器の導入や、建物高断熱化等への支援に引き続き取り組みまして、施策の展開を図ってまいります。

○舟坂委員 環境対策は、短期的な取り組みだけではなく、長い期間都民生活にしみ込むよう、日々の生活の中に省エネ意識、省エネ行動を取り組んでいけるような啓発も重要です。
 地球温暖化対策だけではなく、リサイクルや環境学習など、環境行動、エコアクションにつながる仕掛けが大切です。もう既に日々の生活の中でエコアクションに取り組んでいる方もいらっしゃると思いますが、この輪をもっと広めていかなければなりません。
 その中では、子供に対するアプローチも重要です。子供の省エネ意識やエコ行動が次世代へつながるはずですし、大人世代にも伝播し、波及する可能性が大であると思います。子供たちへの環境教育については、学校では、都だけではなく、文科省から環境教育の副読本が配布されていますし、自治体によっては独自の環境教材を作成し、配布しているところもあると聞いております。
 しかし、学校教育の中では、これらの副読本が教材としてなかなか上手に活用されていないのが実情ではないでしょうか。学校教育という場面ではなく、もっと子供たちが楽しんで環境や日常のごみ問題などを学ぶ機会が必要であると考えます。
 私の地元葛飾では、子供たちに向けた独自の環境検定制度を創設し、楽しんで環境について学んでもらおうという機会をつくり、また、検定合格という目標に向けて子供たちが取り組む環境をつくろうという動きも出てきております。
 都は、このような環境教育について長い目でさまざまな支援をしていくべきと考えますが、ご見解をお願いいたします。

○小原環境政策担当部長 持続可能な社会の実現に向けまして、次世代を担う人材育成が重要であると考えております。
 都は、これまでも環境教育を担う小学校教職員を対象とした環境教育研修会の開催を初めといたしまして、廃棄物の最終処分場への見学者受け入れや東京都レンジャーによる出前授業等を通じ、環境学習を推進してまいりました。また、水素の意義や安全性等を身近に感じることができる総合的学習施設である東京スイソミルを本年七月に開設したところでございます。
 さらに、地域環境力活性化事業におきまして、区市町村が環境課題に取り組む中で実施する環境学習に対して後押しを行っております。
 引き続き、学校教育を初め、先進的な取り組みを行う区市町村と緊密に連携を図りながら、環境先進都市東京にふさわしい環境教育の実現に向け取り組んでまいります。

○舟坂委員 地球温暖化対策を初めとする環境問題は、地球規模の課題でもありますが、同時に、私たちの生活に直結する身近な問題でもあります。環境省は二〇三〇年まで、低炭素型の製品やサービス、ライフスタイルなど、あらゆる賢い選択を国民運動として、クールチョイスを推進していくとしております。
 地球温暖化対策への取り組みを行うに当たっては、一人一人の地球温暖化に対する理解と、一人一人の日常生活でのしみ入るような自発的で地道な取り組みへつなげていくことが大切であると考えます。そのためには、クールチョイスで示されているように、都の地球温暖化対策の取り組みの姿勢や、取り組みへの強化を積極的に発信していくことを期待いたしております。
 次に、キャップ・アンド・トレード制度についてお伺いをいたします。
 平成二十二年度から始まった世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度は、平成二十六年度までが第一計画でしたが、本年九月末をもって整理期間が終了いたしました。
 対象となった都内大規模事業所の全てが削減義務を達成したとのことですが、この義務達成による都内のCO2削減の状況につきましては、第一計画期間の最終年度である平成二十六年度に基準年度比二五%のCO2削減を実現し、第一計画期間の五年間では約一千四百万トンの排出削減が行われました。これは、都内世帯総数の約二割に相当する百三十万世帯の五年分のCO2排出量に相当するとのことです。
 このように、キャップ・アンド・トレード制度は着実に成果を上げているわけですが、これまでキャップ、いわゆるみずからの排出削減ばかりに注目されてきましたが、一方、トレード、すなわち排出量取引の実態については余り注目されていなかったのではないでしょうか。キャップとトレードの両方が機能して初めて大きな成果が生まれる制度です。
 先般の都の発表によりますと、この第一計画期間では、全体の約九割の事業所がみずからの対策で削減義務を達成し、残りの約一割の事業所は排出量取引を利用して削減義務を達成したとのことです。
 そこで、まず、この第一計画期間の排出量取引の状況についてお伺いをいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所は、全体で約千三百でありますが、そのうちの九一%の事業所がみずからの省エネ対策、残りの九%の事業所は排出量取引を行って削減義務の達成となりました。
 この義務達成のために行われた排出量取引の取引量は、全体でCO2二十万トン程度でありました。
 取引の内訳は、約六割が同一法人、グループ企業内の無償取引でございまして、約三割が仲介事業者を活用した取引、残りの約一割が対象事業所間の直接取引でございました。

○舟坂委員 千三百もある都内の大規模事業所の全ての事業所が、排出量取引も利用しながら排出義務を達成したことは大いに評価したいと思います。この結果は、現場の担当者だけではなく、経営層も含めて、全社一丸となって省エネ対策に取り組んだことのたまものだといっても過言ではありません。こうした各事業所の皆様の多大なるご努力に対して、心から感謝を申し上げる次第です。
 次に、第二計画期間の状況についてお伺いをいたします。
 平成二十七年度からは、さらなるCO2削減を必要とする第二計画期間に入っています。第二計画期間の削減義務率は、オフィスビルなどが一七%、工場などが一五%となり、第一計画期間の八%、六%と比較すると削減目標値が上がり、対象事業所ではより一層のCO2削減への取り組みが必要となると考えます。
 本制度の対象である大規模事業所においても、省エネへの対応は簡単なものとはいえません。こうした状況を踏まえ、第二計画期間でも全ての事業所が削減義務を達成できるようにするための東京都の取り組みについてお伺いをいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 対象事業所から提出された計画書によりますと、第二計画期間でも多くの事業所において、高効率熱源機器やLED照明の導入など、さらなる省エネ対策の実施が予定されております。
 こうした省エネ対策が着実に実施されるようにするため、都は、第一計画期間の経験も踏まえまして、省エネ対策の進みにくい業種、業態に対する省エネ診断などを充実させ、事業者のニーズに応じたきめ細かい支援を行ってまいります。
 また、削減義務率が高くなるため、排出量取引につきましては、第一計画期間に比べて取引量がふえることが予想されます。そのため、都は取引に関するマッチングイベント、出張相談などを充実させ、事業者が円滑に排出量取引を行えるよう、必要な支援を行ってまいります。

○舟坂委員 私の地元であります葛飾区にも工場や病院などの対象事業所がありますが、制度の対象となる大規模事業所の皆様も、この削減義務達成のために日々努力を積み重ねております。
 そうした中、第二計画期間も対象事業所の省エネへの取り組みが円滑に進み、全ての対象事業所の削減義務が達成できるよう、都が必要な支援を行っていただきたくお願いもいたします。
 次に、産業廃棄物の不法投棄対策についてお伺いをいたします。
 国によると、全国の産業廃棄物の総排出量は、ここ数年、減少傾向にあると聞いております。これは、事業者によるリサイクル意識の浸透や廃棄物の減量効果があらわれているものと考えられます。
 一方で、産業廃棄物が不法に投棄されたという報道も、以前は香川県の豊島の事件や、青森、岩手県境の事件などが大きく取り上げられましたが、近年では余り大きなニュースにはなっておりません。
 廃棄物が減量傾向にあることは、環境負荷低減などへの点で大変に好ましいことですが、ただいま申し上げた不法投棄される廃棄物についてはいかがでしょうか。最近の産業廃棄物の不法投棄の状況についてお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 環境省が昨年十二月に発表した資料によりますと、平成二十六年度に新たに判明した全国の不法投棄件数は百六十五件、約二万九千トンとなっており、最近十年間で排出量がピークだった平成十七年度の五百五十八件、約十七万二千トンと比較して約六分の一と大幅に減少してきています。
 一方、都内での大規模な不法投棄件数は、ここ十年の間で平成二十六年度に八王子市内の一件のみでございます。
 しかしながら、都内で排出される産業廃棄物の約七割は他県に運ばれており、その一部が不法投棄されている例が報告されています。

○舟坂委員 ただいま不法投棄も全国的には減少しているとの答弁がありました。これは、平成二十二年の廃棄物処理法の改正による罰則強化や、同法に基づく不法投棄に対する監視指導の強化などが効果をあらわしているものと考えられます。
 私も環境省の資料を見ましたが、答弁にあったように、都内では、最近十年間で大規模な不法投棄は平成二十六年度に報告のあった八王子市内における一件のみであります。一方、東京都に隣接している県では、同年度に茨城県での三十四件をピークに、千葉県で七件、群馬県で六件、栃木県で五件などの不法投棄事例が報告されております。
 産業廃棄物の不法投棄は、都内で事件がなければよいというのではなく、他県においても減少、根絶に向かわなければなりません。また、一度不法投棄が発生すると、生活環境に深刻な被害を生じかねず、それを改善する場合には莫大な費用と多くの労力が費やされます。
 そこで、今後も産業廃棄物の不法投棄の未然防止に向けた取り組みが何よりも重要と考えますが、都はどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○谷上資源循環推進部長 不法投棄される廃棄物の内訳ですが、環境省の調査によりますと約八割は建設系廃棄物でございます。このことから、建設工事における監視指導が重要であると考え、平成十九年度から建築物の解体現場に対する立ち入り指導を実施しております。昨年度は、これにより約一千四百件の検査、指導を実施しました。
 また、建設廃棄物以外の廃棄物につきましても、広域にわたる不法投棄ルートの解明や、排出者責任の徹底などの行政指導を行っております。他県で不法投棄など悪質な行為を繰り返す業者に対しては、産業廃棄物処理業の許可取り消しなどの行政処分を、今年度はこれまでに十七件実施いたしました。
 さらに、関東地域を中心とした三十二の自治体で産廃スクラム32という名称の協議会を構成し、自治体の枠組みを超えた広域監視体制を強化いたしました。この地域における不法投棄件数は、解体現場への立入検査を実施する前年の平成十八年度の二百五十六件に比較して、平成二十六年度には七十五件と三分の一に減少しています。
 今後も、このような取り組みの充実を図り、関係機関との連携を強化しながら、不法投棄の未然防止に向けて厳正に対処してまいります。

○舟坂委員 高度経済成長期に整備された社会インフラが一斉に更新期を迎え、また、二〇二〇年東京大会の開催に向けた施設整備が本格化する中では、建設系産業廃棄物の大量発生が見込まれ、その適正処理がますます重要になってまいります。
 また、経済活動が活発化することで排出量の増加が見込まれますが、最終処分場の不足などにより、行き場を失った廃棄物の一部が新たな不法投棄を発生させるおそれが懸念されるところです。
 最終処分場の問題も、都内二十三区には一般廃棄物を最終処分する新海面処分場がありますが、これは臨海部につくることができる最後の処分場であり、一日でも長くもたせなければなりません。
 一方で、産業廃棄物の最終処分場も、都内にはもとより、全国的にも新たにつくることは難しく、都民から見えないところで大きな課題を抱えております。その点では、廃棄物の減量、リサイクルがより一層重要になってまいります。
 あわせて、産業廃棄物を多量に排出し、その処分の多くを他県に依存している都は、産業廃棄物の不法投棄を根絶させるため、責任感を持って近県を巻き込んだ一層強力な監視指導や相互連携の体制をとることが重要です。
 今後も、産廃スクラムなどを協力連携の軸として、不法投棄の根絶に向けて取り組みを強めていくことを要望して、質問を終わります。

○山内委員 東京都は、ことし三月に策定した環境基本計画で、二〇三〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減をするとともに、再生可能エネルギーによる電力利用割合を三〇%程度まで高めるという意欲的な目標を掲げております。この目標の達成のために、省エネの取り組みも重要でありますが、再生可能エネルギーの拡大を図っていくことも大変に必要であります。
 本年四月、一般家庭等の小口需要も含めた電力の小売全面自由化が行われております。これを契機として、さまざまな事業者が電気の小売業に参入をしているのが現状だと思います。東京都には、これらの事業者を対象としたエネルギー環境計画書制度がありますけれども、その意義についてを伺います。

○松下地球環境エネルギー部長 都では、環境確保条例に基づきまして、都内に電気を供給する小売電気事業者に対し、エネルギー環境計画書及びエネルギー状況報告書の作成、提出を義務づけております。これらを都のホームページで公表しております。これにより、CO2排出係数の改善とともに、再生可能エネルギー利用を促進することで、電気の環境性の向上を図ることを目的としております。
 提出対象となる事業者数は、全面自由化前は五十一でございましたが、自由化後は百二十を超えております。報告書を提出した事業所の平均CO2排出係数は、平成二十五年度は〇・五二二でございましたが、二十六年度は〇・四九八に改善しております。
 また、再生可能エネルギー利用率が三〇%以上である事業所は、二十五年度には九社でございましたが、二十六年度には十二社に増加しております。

○山内委員 エネルギー環境計画書制度が電気事業者におけるCO2削減や再生可能エネルギーの利用拡大等、みずから環境性を高めていくことを促しているということが確認できました。
 一方、小売電気事業者が再生可能エネルギー電力の販売をふやそうとしても、そもそも供給が少ないと聞いております。
 そこで、供給をふやしていく必要があると思いますけれども、東京都は、大規模な再生可能エネルギー発電に適した広い土地が非常に少なく、しかも高い。そのため、地方でメガソーラーや風力により発電した電力の都内での活用を進めていくことが必要でありますけれども、どのようなこれについての課題があり、そして、都としてどのように対応していくのかということをお伺いいたします。

○松下地球環境エネルギー部長 地方において再生可能エネルギーにより発電した電力を送電線に接続する際に、受け入れ容量不足等を理由といたしまして、大手電力会社から接続を拒否されることが再生可能エネルギー電力の供給拡大にとり課題となっております。
 そこで、先月二十六日に横浜市で開催された九都県市首脳会議におきまして、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大の国への要望について都から提案を行っております。
 具体的には、送電線や変電所等の系統設備の整備促進や、東北東京間連系線などの送電系統の一体運用の着実な実現等でございます。
 今後とも、国や関係機関へ、都として、そして首都圏の県や大都市とも連携して働きかけを行い、再生可能エネルギー発電の拡大につなげてまいります。

○山内委員 電力の大消費地であります東京が再生可能エネルギーの利用拡大を図るためには、風力や太陽光などの大規模な発電ポテンシャルを持つ東北地方等で発電した電力が欠かせないと思います。
 国も、福島新エネ社会構想実現会議において、風力発電のための送電線増強を検討しているということであります。福島を初めとする東北地方の復興支援にもつながる取り組みの実現に向け、今後も国に働きかけをしていくことを強く要望いたしたいと思います。
 次に、地産地消型の再生可能エネルギー導入拡大についてを伺います。
 都は、先ほど質疑した都外でつくられた再生可能エネルギーの利用拡大に取り組むとともに、みずから地域で電気や熱をつくり、その地域で消費をする再生可能エネルギーの地産地消を進めていく必要があると思います。
 あとは、今年度新たな事業として、地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業を開始いたしましたけれども、改めてその意義と、そして内容をお伺いいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都内での再生可能エネルギーの導入をさらに進めていくためには、系統への負荷軽減や地域防災力の向上にも資する自家消費型の再生可能エネルギーの導入拡大が重要だと考えてございます。
 そのため、自家消費を前提といたしました再生可能エネルギーの導入を行う民間事業者を対象に、初期導入費用の一部を支援する事業を開始いたしたところでございます。
 具体的には、固定価格買い取り制度による売電を行わない太陽光や風力、小水力などの発電設備や、太陽熱や地中熱、木質バイオマスなどの熱利用設備が支援の対象となってございます。

○山内委員 再生可能エネルギーの地産地消が進めば、災害時のエネルギーの自立性が高まるほか、地域経済の活性化も大いに期待ができるのかなと思います。
 都内では、太陽光発電が中心となるとは思いますけれども、小水力発電や、木質のバイオマスの熱利用など、さまざまな種類の再エネ設備が対象になっていることから、地域の特性に応じた機器の選択が可能であると考えます。
 再生可能エネルギーを拡大していくためには、こうした支援事業の多くを事業者に活用してもらうことが必要かなと思います。ことし始まったばかりの事業でありますから、事業者の活用を促す仕組みとしてどのように工夫を行い、そしてまた、事業者の反応はいかがなものか伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 当事業は、事業者が計画する施設整備のタイミングに合わせた活用ができるように、平成二十八年度から三十一年度までの四カ年の支援事業といたしております。また、初期導入費用の負担が困難である中小規模事業者や公益性の高い病院、社会福祉法人などに対しては、補助率や上限額の上乗せを行うこととしてございます。
 九月末から募集を開始いたしましたが、募集開始に当たっての説明会では、参加申し込みが定員を大きく上回りまして、追加で説明会を開催するなど、事業者の関心は非常に高いものというふうに考えてございます。

○山内委員 大変関心が高いということで、一歩一歩着実に前に進めていただければと思っています。
 冒頭で述べたように、環境基本計画で定めた目標は極めて高いものであります。この意欲的な目標を達成するためには、さまざまな施策を組み合わせ、都民、そして事業者を巻き込んだ取り組みを、今後ともやはり東京都が率先して着実に進めていただくことを最後に要望して、終了いたします。

○河野(ゆう)委員 まず、局の主要施策の方向性について伺います。
 都は、四年後に控えた東京二〇二〇大会の成功と、その先の東京の未来への道筋を明確化し、東京のさらなる成長を創出するため、二〇二〇年に向けた実行プランの策定を目指しております。
 この中で小池知事は、公約であるセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つを実現していくとしております。また、今月初めに、このプランの策定のコンセプトと主要施策の方向性を新たに示して、これに対する意見やアイデアを都民に募るということを行っております。
 しかし、今まで環境局は、これは前の知事のときのですけれども、東京都長期ビジョンというものを(「懐かしいね」と呼ぶ者あり)平成二十六年十二月に策定、もはや懐かしいという声が出ておりますけれども、策定して、今、山内副委員長からもお話ありました、これをもとにこの東京都環境基本計画というものを策定しました。
 この東京都長期ビジョンというのには、政策指針ということで、都市戦略7の中に、エコ、スマート・アンド・サステーナブルと、よく片仮名で聞く言葉になってきましたけれども、こういうことを政策指針20ではスマートエネルギー都市の創造ということで、まあ、いっていることは同じなんだろうというふうに思います。
 いっていることは同じで、ただ看板をかけかえるのかなというふうに思いますが、これに基づき既にさまざまな環境施策を展開しておりますが、このプランの策定により環境局の主要施策の方向性が転換するのかどうか、これについて伺います。

○小原環境政策担当部長 二〇二〇年に向けた実行プランの基本的考え方は、長期ビジョンが示す大きな方向性を継承しつつ、新規性、先進性を持つ施策を積極的に立案することとされております。
 この中で、環境局の主要施策は、スマートシティーの中に位置づけられており、今後とも昨年度策定いたしました東京都環境基本計画などを踏まえ、スマートエネルギー都市の実現、持続可能な資源利用の推進、自然豊かな都市環境の継承などの実現に向けまして積極的に施策展開してまいります。
 こうした取り組みを進め、都民、事業者のご協力のもと、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい世界一の環境先進都市東京をつくり上げてまいります。

○河野(ゆう)委員 積極的に施策の展開ということで、それは当然書いてあることだけではなくて、実行していくことが大切だと思います。先ほどもお話ありましたが、この基本計画というのはかなりチャレンジングな施策としていろいろ展開されていると思いますので、かけ声だけでなく、無理なく着実に進めていただきたいと思います。
 一方で、これは余談になりますが、環状二号線の発表が金曜日にありまして、これに間に合って、本当はきのうでも通告すればなと思ったんですけれども、こういうことで環状二号線の整備も少しおくれることによって、環境へのマイナス効果というのが必ず生まれてくると思います。
 選手村の整備も、これはアセスも関係してくるんじゃないのかなと思いますし、そういった面で、新聞に出ていましたけれども、例えば工事車両が晴海通りに集中してしまうとか、環境的な面で逆行しないように、ぜひとも、いっていることとやっていることが違わないように、方向性をしっかりと皆さんの方でつくってもらいたいと思います。
 次に、環境変動の危機が迫る二〇二〇年以降の地球温暖化対策の国際ルールであるパリ協定、先ほど来、こいそ先輩や舟坂先輩からもお話ありましたが、パリ協定が今月四日に発効し、先週、モロッコでパリ協定の締結国の初会合が開催されました。
 都は、既に温室効果ガスを二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減すると、国や他都市をリードする意欲的な目標を策定しておりますが、今後、これを着実に達成していくことが重要です。とりわけ、都内に六十三万ある中小規模事業所の省エネ対策の推進が重要でありますが、なかなか十分に進んでいないのが実態だと思います。
 こうした中、東京都環境公社の取り組みとして、地球温暖化防止活動推進センターが、私の地元である板橋区の二つの商店街に対して、これは平成二十六年だったと思いますけれども、省エネ診断を実施し、省エネ対策の提案や運用改善の支援、効果測定を行ったと聞いております。
 まず、高島平商店会に対してどのような概要だったのかと、効果についてお伺いします。

○小原環境政策担当部長 地球温暖化防止活動推進センターが平成二十六年度に高島平商店会の七事業所に省エネ診断を行いまして、ビル共用部の照明の間引きやエアコンの設定温度の見直し、通行時のみ点灯する階段照明への更新などの省エネ対策を提案いたしまして、運用改善の支援を行いました。これによりまして、年間で電気代など約二十四万円の削減と、CO2排出量の約一〇%削減につなげることができました。
 この結果につきまして、商店会で報告会を開催いたしまして、商店会の他の事業所への対策の普及を図ったところでございます。

○河野(ゆう)委員 続いて、遊座大山商店街について、省エネ推進事業の概要と効果について伺います。

○小原環境政策担当部長 同じく平成二十六年度に遊座大山商店街の十三事業所に省エネ診断を行い、室外機の運転効率改善、省エネ型自動販売機への更新、誘導灯のLEDタイプへの更新などの省エネ対策を提案いたしまして、運用改善の支援も行いました。これによりまして、年間で電気代など約二十一万円の削減、CO2排出量の約八・四%削減につなげることができました。
 また、本商店街におきましても報告会を開催し、他の事業所への対策の普及を図ったところでございます。

○河野(ゆう)委員 大変小さな規模でありますけれども、商店街の方たちは大変喜んでおりました。温室効果ガスの削減目標の達成のためには、こうした地域からの小さな取り組みを積み重ねていくことが必要であります。
 都としても、こうした商店街のような人材やノウハウの十分でない小規模事業所の省エネ対策をどのように推進していくのか見解を伺います。

○松下地球環境エネルギー部長 人材やノウハウが十分でない商店街等を含めた中小規模事業所に対しまして、省エネに関するきめ細かな支援を行っていく必要がございます。
 そのため都は、商店街、理容室、クリーニング業など二十七種類の業種別の省エネテキストを作成いたしまして、その業種の主な設備について容易に実践できる具体的な省エネ対策をアドバイスしてまいりました。
 また、業界団体や区市町村と連携した省エネの研修会の実施や、個別事業所に専門家を派遣する無料の省エネ診断を実施しております。
 今後も、さまざまな業界団体や区市町村と連携を密にいたしまして、都の支援策の周知を図り、中小規模事業所の温暖化対策の推進に努めてまいります。

○河野(ゆう)委員 都は、都内の中小規模事業者の実態に即した温暖化対策に取り組んでいることがよく理解できました。これからも業界団体や区市町村の要望に耳を傾け、中小規模事業者対策の充実を図っていただくようお願いを申し上げたいと思います。
 次に、次世代自動車の普及促進について伺います。
 先日、トヨタ自動車が電気自動車の生産に乗り出す方針を表明したという記事を目にしました。日本だけでなく、世界各地で自動車への環境規制が強まる中、トヨタを初め、フォルクスワーゲンなどの欧州メーカーも、電気自動車やプラグインハイブリッド車のラインナップを積極的にふやしていくとの報道があり、次世代自動車は本格的な普及に向け、技術面での競争が激しくなってきております。
 先ほども議論がありましたが、電気自動車や燃料電池自動車などの次世代自動車は、CO2削減効果が大きく、走行音も静かなことから、環境面での効果が高いのはもちろんですが、災害発生時には非常用電源としての活用ができることも防災対策としても有効であります。
 こうした次世代自動車の普及は、蓄電池や燃料電池など日本の最先端の技術力を生かすことができ、高い経済波及効果が期待できます。このようなさまざまなメリットのある次世代自動車の普及にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○松永環境改善部長 都内全体のCO2排出量のうち、運輸部門は約二割を占めており、自動車からのCO2削減を進めていくためには、走行時にCO2を出さない燃料電池自動車や電気自動車など、次世代自動車の普及が重要でございます。
 このため、都は二〇三〇年までに、次世代自動車等の普及割合を乗用車で八割、貨物車で一割にする目標を掲げ、環境確保条例により、二百台以上自動車を使用している事業者に対して次世代自動車等の導入を義務づけるとともに、導入補助や融資あっせんにより普及拡大を図ってきております。
 とりわけ燃料電池自動車につきましては、二〇三〇年までに二十万台を普及させ、水素ステーションを百五十カ所整備する目標に向けて、車両の導入やインフラ整備に対する補助を積極的に行っております。
 また、本年九月の総合防災訓練では、燃料電池バスや電気自動車を展示し、搭載しているバッテリーを非常用電源として使用する方法を紹介するなど、都民にPRを行いました。
 今後も、さまざまな機会を捉えて、次世代自動車の魅力や活用方法を情報発信しながら普及に取り組んでまいります。

○河野(ゆう)委員 都もいろいろな形で次世代自動車の普及啓発を行っていることがわかりました。燃料電池自動車の本格的な普及には少し時間がかかると思いますので、当分の間は電気自動車の普及にも力を入れるなどバランスをとりながら、次世代自動車の普及に取り組んでほしいと思います。
 私は、フォーミュラE、FEという電気自動車の世界選手権のお話をよくさせていただくんですけれども、東京でも誘致をしたらどうだというふうなお話はさせていただくんですけれども、これは観光の観点だったり、MICEの観点だったり、そういった面で今まで質問させていただいたんですけれども、実はあした、二十三日、東京駅の駅前の丸ビルや丸の内仲通りで、地球温暖化防止に貢献する電気自動車の普及を目的とする民間事業者が中心となり、エコロジー&モビリティフェアというのが開催されるそうです。
 そのイベントの中で、元F1ドライバーの片山右京氏のトークショーを初め、フォーミュラEのデモ走行だったり、車両の展示や電動カートの試乗などを通じて電気自動車を体験するなど、内容も充実しております。
 このようなイベントを通じて、次世代自動車の魅力を都民にPRすることは重要だと思います。官民がともに取り組むことによって、次世代自動車が普及していくことを期待申し上げて、質問を終わります。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十四分散会

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