環境・建設委員会速記録第三号

平成二十八年三月十五日(火曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長田中 朝子君
副委員長高椙 健一君
副委員長大島よしえ君
理事西崎 光子君
理事上野 和彦君
理事神林  茂君
菅野 弘一君
米倉 春奈君
田中  健君
吉倉 正美君
高橋かずみ君
林田  武君
こいそ 明君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長遠藤 雅彦君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木 研二君
地球環境エネルギー部長笹沼 正一君
都市エネルギー推進担当部長小川 謙司君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長志村 昌孝君
緑施策推進担当部長須藤  栄君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務野崎 慎一君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十九号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 緑の東京募金基金条例の一部を改正する条例

○田中(朝)委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中(朝)委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○田中(朝)委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十八年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十八年三月九日
東京都議会議長 川井しげお
環境・建設委員長 田中 朝子殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
 第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中
        歳出
        繰越明許費
        債務負担行為
環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○田中(朝)委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第七十九号議案及び第八十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○池田総務部長 去る二月十五日の当委員会でご要求をいただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次のとおり、資料は七件ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十六年度から平成二十五年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
 表の上段には、京都議定書の基準年であります平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年であります平成十二年度の数値を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、太陽光発電促進事業での都の取り組みの経過、目標及び年度別実績でございます。
 東京都が取り組んでおります太陽光発電促進事業につきまして、その取り組みの経過、目標及び年度別実績を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載しております。
 五ページをお開き願います。4、平成二十六年度における大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
 まず、(1)、大気汚染における二酸化窒素及び微小粒子状物質(PM二・五)の環境基準達成状況について、それぞれ表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 次に、(2)、騒音における道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。5、過去十年間の保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
 平成十九年度から平成二十八年度までの各年度における保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移を記載しております。
 七ページをお開き願います。6、保全地域の指定実績でございます。
 平成十九年度から平成二十六年度までの各年度における指定した保全地域名、年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
 八ページをお開き願います。七、平成二十八年度補助事業(再生可能エネルギー・省エネルギー関連)概要及び実績でございます。
 (1)、オフィスビル等事業所の省エネ・エネルギーマネジメント促進補助事業、(2)、スマートマンション導入促進事業、(3)、中小事業所向け熱電エネルギーマネジメント支援事業など、八ページから一〇ページにかけまして、平成二十八年度における再エネ、省エネ関連の補助事業の概要及び実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田中(朝)委員長 説明は終わりました。
 たただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、東京都環境公社の活用のあり方について伺います。
 環境公社は、昭和三十七年に設立された都の監理団体でありますが、中央防波堤、外側埋立処分地に係る廃棄物の受け入れ業務、第三者評価制度など、廃棄物行政を中心に都の事業を補完されてきました。
 しかし、近年の環境行政を取り巻く状況の変化に合わせて、事業内容も多様化し、拡大の一途をたどっていると思います。
 近年では、平成十九年に環境科学研究所が都から移管され、平成二十年には地球温暖化防止活動推進センター、いわゆるクールネット東京の事業を開始するなど、都の環境行政にとって重要性が増してきております。
 そこでまず、環境公社に対してどのような事業を委託しているのか、あわせて、来年度予算で公社が実施することになる新規の事業はどのようなものがあるのか、このあたりを教えていただきたいと思います。

○篠原環境政策担当部長 公社に委託しております事業についてですが、エネルギー分野では、中小規模事業所、家庭部門への温暖化対策等支援事業やエネルギーマネジメント支援業務のほか、太陽エネルギーの普及促進事業、コージェネレーションシステムの導入支援事業などを行っております。
 また、資源循環の分野では、微量PCB廃棄物処理支援事業や河川清掃事業などを委託しております。
 そして、自然環境分野では、保全地域で活躍するボランティア人材の育成や人材登録などを行います森林・緑地保全活動情報センターの運営を今年度から委託しております。
 次に、来年度予算案についてでございますが、CO2フリー水素をまちづくりに活用するための調査や、中小事業者に向けた水素ステーション整備に関するセミナーの開催、相談窓口を設置する事業などを新たに委託する予定としております。

○こいそ委員 ただいまの答弁によりまして、環境公社は、都から多くの事業を受託しているんだなということがわかりました。
 都として、職員がふやせない一方で、経験やノウハウを持ったベテラン職員が退職していく状況は現実的にわかりますけれども、公社への委託は、今のご答弁にもありますし、まだ、現行、かなりのエネルギー関係、それから廃棄物関係、さらには自然環境、このあらゆる環境行政の、本来的に主体的にやらなきゃいけない分野も含めて、かなり公社に委託されていると。いわゆる公社への委託が多くなり過ぎているのではないかという指摘も出てきているんではないかと思うんですね。
 都みずからが取り組むことで、今申し上げたような、環境に対しての都民サービスの、維持向上につながる分野もあるはずでありますし、そこで、都全体としてどのように監理団体を活用しようとしているのか。その中で、環境局ではどのような視点に立って、環境公社を活用しているのかということを伺いたいと思います。

○篠原環境政策担当部長 監理団体は、新たな行政ニーズへの対応など、民間による取り組みが期待できない分野でも先駆的にサービスを提供することが可能でございます。また、年度をまたがる事業執行などを迅速かつ柔軟に対応するということができます。
 東京都では、このような監理団体の持つ特性に着目しまして、平成二十二年九月に策定した東京都監理団体活用方針におきまして、監理団体の活用をさらに進めるということとしております。
 また、平成二十七年三月に策定いたしました都庁組織・人事改革ポリシーにおきましても、新たな課題や都民ニーズに的確に対応していくため、監理団体を都政の一体運営を担う都政グループの一員と捉え、積極的に活用していくとしております。
 こうした点を踏まえまして、環境局では、公社を都の環境政策全般を補完する団体と位置づけまして、局事業の増加や新規事業の開始に対応する受け皿とするため、環境公社の体制を整備し、活用しているところでございます。

○こいそ委員 事業執行など迅速かつ柔軟な対応が可能であるというようなご答弁も今いただきましたけど、それと先駆的なサービス提供が可能になったと。東京都の監理団体活用方針云々という話がありましたけれども、確かに社会経済情勢は刻一刻と変化をして、新たな環境行政需要も拡大しているということはわかります。
 しかしながら、先ほど申し上げましたけれども、いわゆる廃棄物関係から始まったこの三十七年にスタートした監理団体が、今まさに、先ほどご答弁いただく中でも、また、今年度のいわゆる委託を見ても、余りにも各分野にまたがって、かなり多くなってきているんではないかと。
 例えば、自然分野の仕事では、経験やノウハウが何より重要だと。樹木の下草刈りや道具の手入れや効率的刈り方のたくさんノウハウが必要ですが、公社がそうした人材を確保することは現実どうなのかということですね。
 また、公社の事業拡大によって、人材の面で、これだけあらゆるといういい方はおかしいけれども、局内の重要な施策も、活用するんだ公社、活用なんだよ公社、敏速なんだよ公社と、そういうことで、かなり私も数年来のこの状況を見ていても、この公社活用そのものは是としますよ、はっきりいって。だけれども、余りにもいろいろな分野に広がり過ぎている。それに対して、まだまだことしもふえてきている。
 人材の面で、今申し上げた自然環境分野でもどうなのかと。事業の質やサービスの低下がやはりそこに生じないのかと。事業の質を確保する観点からも、活用は結構ですよ、しかし、活用、活用という名のもとで、本来やるべきことを含めて、余りにも投げているんじゃないかと、はっきりいって、平たい言葉でいえば。このあたりどうなんでしょうか。

○篠原環境政策担当部長 東京都では、環境公社を都の環境施策全般を補完する団体と位置づけておりまして、重要なパートナーとしまして、今後とも活用していきたいと考えております。
 公社にノウハウが十分に蓄積されていない分野につきましては、外部から専門人材を確保するなど、事業の質やサービス低下につながることがないよう、引き続き取り組んでまいります。
 また、新たな業務の委託に当たりましても、業務の特性や公社側の体制などに十分配慮し適切に対応してまいります。

○こいそ委員 重要なパートナーとして今後も活用したいと考えているということは、そのとおりだと思いますよ。パートナーだと思いますよ。
 しかし、物事には許容というのがあるんじゃないですかね。何でもかんでもじゃないけれども、どんどこどんどこ、廃棄物だ、さっきもいったけれども、自然環境だ、エネルギーだ、エトセトラ、だあっと、パートナーなんだからと。はっきりいってそれだけの対応ができるのか、実際問題、検証したことはあるの。

○篠原環境政策担当部長 予算、あるいは決算などの作業を通じまして、定期的に検証し改善に結びつけております。

○こいそ委員 それにしては、余りにも、やはり実情、実態的なもの、今、部長は、その都度把握しているというけれども、本当にそれで、あなたがいっているようなことで公社運営がうまく回っているのか、これから回るのか。だったらいいよ、それはそれで。
 でも、少なくとも、各分野にまたがる環境政策が、それぞれやはりもう少しかみ砕いて、みずからがやっぱりやってみて、その上でどうしようもないのであるならば、パートナーとしての公社活用は必要だと思いますよ。
 だから、活用は、我々というか、認めているわけだよ。容認しているわけだよ。当たり前のことだよ。しかし、余りにも人材のことも含めて、多過ぎるんではないかと。そして、専門職は育っているの。それぞれの分野の専門職。私は、とてもそう思わないね。私も自然環境で、約十年近く、いろんな形でやってまいりましたけれども、ここもやはり今度は公社だ。
 また、次年度予算では、今度センターをつくるわけでしょう、自然環境の分野でも。何か本来的に、それから今度は、後ほどのお話になってくるけれども、水素館が云々が出てくる。廃棄物も当然そうだ。それから地球温暖化だ。ほとんどじゃないの、これ、はっきりいって。
 そういうことの中で、公社だ、公社だと、毎年のように新しい業務がふえ続けている。本来、これまでの業務委託の結果をあなたは検証したというけれども、新たな委託について、はっきりいって、やはりもう少し精査すべきだよ。
 それから、今後、都としての環境公社をいかに活用するのか、ただ需要が出たから、人件費というか、職員をふやせないから回すんだと。迅速な対応は確かにあるかもしれないけれども、専門職が育っていないじゃないかというんだ、時間もなくて。それだけの体制がしっかりとできているのであるならば別だけれども、そんなに専門職がどんどん短期間で養成できて、実践的な対応ができるか否かというところ、それこそ我々は不安でしようがない。
 そして都自身が、やはりやるべきことはしっかりやる。その上に立って、公社を活用していくということ。もうちょっといわせていただくなら、これだけどんどんこれから拡大方向で広げていく。今、東京都は、いうまでもなく、二〇二〇のオリンピック・パラリンピックに向けて、環境面でいけば、東京を世界一の環境都市にしたいと、水素社会の実現を期したいと、こういっているわけでしょう。
 であるならば、堂々と総務局だろうが何だろうがいって、そういうしっかりした形の公社をもっとつくったっていいんじゃないの、監理団体も、はっきりいって。ご答弁がなかなか難しいだろうけれども、率直にいってそういう私は意見もありますよ。なかなか監理団体規制が厳しいから、今の現行の環境公社に全て投げちゃう。どんどこどんどこ、毎年毎年、ギブアップするまでやっちゃったんじゃ、どうなのかな、これは。
 これは私の私的な意見も踏まえて、やっぱりここまでぎゅうぎゅうになっているんだったら、環境局所管の監理団体をつくったっていいんだよと、それは堂々と、議会からの意見もあったということで、つなげてくださいよ。
 じゃ、続きます。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 東京は、さらなる環境負荷の低減をなし遂げ、世界一の環境先進都市を実現するに当たり、これは要するに、環境負荷を軽減させていくということの中での切り札である、私も他の委員の皆さんも繰り返し利活用の重要性を主張した水素エネルギーであります、今もちょっと触れましたけれども。
 先般、都は、燃料電池自動車の普及と水素ステーションの整備について、二〇三〇年までの新たな目標が示されました。一つ一つの目標達成をすることは、もちろんこれは重要でありますけれども、水素社会の実現は、さまざまな取り組みを総合的、一体的に展開し、あらゆる場面で都の決意と覚悟が都民にやはりいろんな場面で示していくことは必要じゃないのかということですね。
 水素社会の実現に向けた東京都の、何度も聞いていますが、改めての見解を伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素社会を実現するためには、初期需要の創出やインフラ整備を都がしっかりと後押しし、水素エネルギーを利活用する機運を高めていく必要がございます。
 来年度、四十五億円の予算を計上いたしまして、水素ステーションの整備や燃料電池自動車の普及を促進するための補助、水素ステーション運営への参入を検討する中小ガソリンスタンド事業者への支援、水素エネルギーの普及に向けた都民への広報等を実施してまいります。
 今後、こうした施策を多面的に展開しながら、水素社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。

○こいそ委員 水素社会を実現するんだということは伝わりますけれども、その具体的な中で、水素ステーション、車両の使用拡大が出てくるわけでありまして、とりわけこの水素ステーションの整備でありますが、これまで、たびたびいって申しわけありませんけれども、水素社会の実現に向けて、東京都の本気度といいますか、大変失礼なんだけれども、本気度あるに決まっているんだけれども、これはもう少しいろんな場面、場面で、やっぱり示す必要性があるんじゃないかなと。
 それには、ステーションの関係ですけれども、整備期間が短いなどの利点はあるものの、営業時間が極めて限られている。そして営業終了後は、その土地がもう空き地状態になってしまうといわれる移動式であります。
 周辺に住む方々のPRもどうなのかと。固定式であれば、それは通行人だろうが、それこそ車両通行される方だってわかる。地元の人だと、ああ、水素のスタンドができたのかなというしっかりとした認識を持つ。本委員会において、このような固定式整備を進める必要性はどうなのかということをお話しさせていただきました。
 現在、水素ステーションの運営は、これはやっぱりやむを得ないといわれるかもしれない、大手事業者を中心に行われているのが現状ではないかと。
 今後、水素ステーションの整備を進めるとともに、水素社会の広がりをより示していくためにも、中小事業者の参入は、やはり東京の場合も不可欠じゃないかと考えるんですね。
 現状では、水素ステーションの整備に当たり、中小事業者に十分な情報が伝わっていない。運営する際に必要となる法体系の整備、そして、水素製造の実務経験を有する人材の育成や確保が障壁となっている。
 こうした中小企業の参入にかかわる課題に対して、やはり水素社会の実現という大きな大命題、目標に向けて、都としてはどういうふうに取り組んでいくのか教えてください。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、法規制や補助制度など、水素ステーションの設置に必要な情報の提供を業界団体とも連携し行うとともに、水素ステーション運営への参入に意欲を持つ中小事業者に対する相談窓口を来年度開設することとしております。
 さらに、水素ステーションの設置に不可欠な保安監督者の確保に向けて、水素ステーションの運営事業者とも連携しながら、中小ガソリンスタンドの従業員等が実務を経験できる方策について検討を進めてまいります。
 今後、こうした取り組みを進めることで、中小事業者の参入しやすい環境を整えてまいります。

○こいそ委員 たびたびでありますけれども、水素社会という新しい時代に、やはり代替的なエネルギーの普及発展、拡大、裾野の広がり、これを示すためにも、中小企業者がやはり参入する必要性は出てくるんではないかと。都が積極的な取り組みをすることを、改めてまた要望させていただきたいと思っております。
 水素社会の実現には、業務用車両への燃料電池自動車の導入も必要ではないのかと、この議論をさせていただきましたけれども、水素自動車が出始めて、燃料電池自動車が出始めておりますけれども、まだまだ普及の初期段階にあるんではないかと。一般の方々が実際に目にしたり、利用する機会もまだ少ないですよね。
 トヨタもまだ発注して二年だということを踏まえて、ホンダもこれで出すということでありますけれども、現状はセダンの乗用車だけに限られている燃料電池自動車を、都内の走行の二割を占めている物流を含めた、いわゆる貨物トラックなどの業務用車両にも今後は導入することで、都民の目に触れる機会が当然ふえてくるわけで、全体的な車両目標は当面は六千台、その次は十万台でしょう。
 そういうことから見ても、やはりこのことも重要ではないかと思いますけれども、どうなんでしょうか。

○小川都市エネルギー推進担当部長 昨年、環境省の実証事業といたしまして、走行ルートや距離があらかじめ定まっているごみ収集車について、バッテリーと燃料電池を組み合わせた車両の開発を目指すという事業が採択されてございます。この事業を進めている企業からは、ことし夏には車両を完成させ、走行実証実験を行うと聞いております。
 この実証事業に協力するため、環境科学研究所と事業者等とで共同研究契約を締結いたしまして、東京都ごみ収集走行パターンのデータ提供や、燃料性能の試験等に協力していく予定でございます。
 今後、こうした事業者とも連携を図りつつ、メーカーにも市場投入を働きかけながら、燃料電池トラック等の普及に向けて取り組んでまいります。

○こいそ委員 とてもいいと思いますね、これ。特に実証事業に協力するため、環境科学研究所と事業者で共同契約、これは極めていいことだと思います。こういうことの積極的な取り組みがやはり必要ではないかというふうに思います。
 その中で、業務用の燃料電池自動車開発が一部で進んできているというお話をいただきました。都も協力をしていることがわかりました。
 今後は、東京都もいろんな面で、メーカーとの関係もあるし、国とのいわゆる関係もあると思いますけれども、都がリードして、一日も早い貨物自動車も燃料自動車の市場に投入がされるように取り組んでいかれることを期待したいと思います。
 こうした取り組みを通じて、都内を走行する燃料電池自動車をふやしつつ、都みずからも積極的に情報の発信をし続け、都民の皆さんに水素の特性や将来訪れる、これも何回もいっておりますけれども、もう目の前に来ている水素社会がどのようなものなのかと、このイメージ図も含めたありよう、こういう社会になっていくんだと、それは環境負荷も、いわゆる環境面でも世界一の都市を目指す中で、この社会の到来は不可欠であると、積極的にといいますか、このことを理解していただくことは重要ではないかと。
 そして、その際には、水素は目に見えないんですけれども、見える化、見せる化、やらせる化し、わかりやすく伝えていくことの工夫をすることは当然必要だと思います。
 都は、今後、都民への普及啓発にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの利活用を広げていくためには、エネルギーの利用者である都民の皆様に対しまして、水素を利活用する意義や安全性をしっかりと伝えていくことが重要でございます。
 子供から高齢の方まで、幅広い年齢層への普及浸透を図るため、本年七月末に改修予定の普及啓発施設を水素エネルギーの情報発信の一つの拠点としつつ、今後、庁内のイベントともタイアップしながら、東京全体で広がりのある広報活動を展開してまいります。
 こうした取り組みの一つといたしまして、今月末に多摩動物公園で開催されるアフリカフェアにおきまして、燃料電池自動車の展示等を行うなど、日ごろ科学技術やエネルギーになじみの少ない都民の皆様方へのPRを行ってまいります。
 加えまして、来年度、水素社会への未来像などを伝える映像コンテンツを製作し、ホームページで公開するなど、多くの都民の皆様へ水素に関する情報提供を実施してまいります。

○こいそ委員 今の積極的なご答弁もいただきました。あらゆる場に水素の理解を求めていくんだと、その姿勢がやっぱり大切だと思います。
 水素社会は、都民の理解なしにはなかなか厳しいと思います。都があらゆる機会を通じて、積極的に水素に関する情報発信を行っていくことを要望するわけでありますけれども、また、未来のエネルギーの利用者である子どもたちの理解を進めるためにも、学校の教員向けの各器具、何か教材、副読本、いろいろあるでしょうけれども、いろんな場の見学をしてもらうとか、取り組んでいただくことを要望させていただきたいと思います。
 四年後の二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックにおいて、環境先進都市東京、すなわち世界一の環境先進都市東京の姿や、日本の高い技術力を世界に向けていく、またとない機会でありますから、大いにそのあたりをお願いしながら期待を申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、自然環境の保全について伺います。
 私の地元は、多摩丘陵、昭和三十年代、特に四十年代にここで開発が始まって、多摩ニュータウンという開発でありますけれども、四市にまたがっております。
 この中で、宮崎駿さんのアニメ、「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台になっております。この中で、当然、多摩丘陵に位置しているわけであります。
 これは舞台も非常にリアルに描いていただいておりますけれども、やはり、谷戸を埋めて、そして丘陵をはぎ取って、緑をがさがさ切って、開発、その次の新しいまちづくりを我々も期待いたしましたし、うれしかった。しかし、一抹のやはり寂しさも去来するんですね。
 そういう中において、里山、里地、喪失された緑、これらも含めて、やはり保全区域の指定ということは大きな行政的な手段だと思いますけれども。今申し上げた多摩丘陵は保全区域があります。
 その中で、保全区域には、とりわけ目視するということの中では、確認できるという範囲でありますけれども、あの多摩丘陵に古来から生息するタマノカンアオイ、いわゆるアオイ科ですけれども、群生をしているところはもうほとんど見当たらない、それから、キンラン、ギンランを初めとする希少な植物もだんだんとなくなってくる、こういうことであります。これは、もう事実だと思いますね。
 いろんな理由がある。残念ながら、人的行為の盗掘もあるかもしれない。開発によってのこともあるかもしれない。いろんなことがあるかもしれない。踏み荒らされたという問題もあるかもしれない。いろいろな状況が問題を生じています。
 こうした状況を踏まえて、当委員会でもこの問題は過去に取り上げさせていただきまして、局の積極的な対応を講じていただきたいということを要望してきたわけであります。
 そこでまず、保全地域の希少種対策の取り組みと現状について伺います。

○志村自然環境部長 東京都は、全ての保全地域におきまして、希少種対策を強化することとしてございます。
 具体的には、保全地域に専門家をアドバイザーとして派遣し、希少種の適切な維持管理方法の指導助言を行うとともに、保護柵や監視カメラを設置するなどして、盗掘や持ち去り行為等を抑制する取り組みを行うこととしてございます。
 このうち、既に保護柵を設置いたしました八王子東中野緑地保全地域におきましては、持ち去りや盗掘、踏み荒らしといった形跡が見られなくなったほか、希少種の個体数の増加も確認いたしました。
 また、七国山緑地保全地域におきましては、監視カメラを設置するとともに、看板等を設置して注意喚起を続けたところ、希少種が盗掘されることなく、良好に生育していることが確認できております。
 今後とも、保全地域の実情に応じて、実効性のある対策を展開し、希少種の保全に全力で取り組んでまいります。

○こいそ委員 積極的な取り組みをしていただいているということでありますけれども、本当に残念ですね。こういう自然の中に防犯カメラがあったり、柵をどうしても設置しなきゃいけない等々、本当に残念だなと思うところでありますけれども、現実は現実ですね。悲しからずや、今お話をいただいたように、持ち去りや盗掘、踏み荒らしは現実的に起きているということであると私も認識しております。いずれにいたしましても、希少な自然環境を将来に引き継ぐ上でも、とりわけ保全区域だけじゃないけれども、東京都管理の保全区域の中で、希少種保全の取り組みは極めて重要だと。
 保全活動、また、それを担う環境人材の育成も極めてこれは重要だと思います。やっぱり適度に手を加え続けていかなければということの中で、これ以上いいませんけれども、必要だと思います。
 中でも、保全活動への学生の参加を促す東京グリーン・キャンパス・プログラムは、かねてからいろいろとお話をさせていただいてきておりますけれども、都民が自然と触れ合う機会が減る中で、そういう新しい環境人材育成という手段では、とても効果が出ていると思います。間伐や下草刈り等の活動を通じ、五感で自然のすばらしさを体感してもらうことは、現実的にもいろいろ教育的な見地から見ても、極めて意義深い取り組みだと改めて感じているところであります。
 しかし、この事業も開始から既に八年有余が経過しており、ややもすると、プログラムの内容、手法等々にやっぱり同じことの繰り返しということのマンネリ化が生じ始めているのではないかと。いま一つ、いま一歩、このあたりもやっぱり環境人材育成という観点から見ても、改善に向けた努力が必要ではないかと感じているところでもありますし、これは共通認識ではないかと思っております。
 そこで、このグリーン・キャンパス・プログラム、または、グリーンシップ・アクションについて、これまでの施策の効果や課題をどのように捉えておられるのか。また、とりわけグリーン・キャンパスは学生でありますけれども、気づきの機会を得られるような取り組みを、さらに行っていくべきではないかと考えるところでありますが、あわせて伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 東京グリーン・キャンパス・プログラムは、大学生が間伐や下草刈りなどの活動を通じて、里山保全の意義やすばらしさを理解する場を提供するものでございますが、ただいま委員からご指摘いただいたとおり、本事業は開始から既に八年有余が経過してございます。
 これまで実施していた事業の検証を行った上で、プログラムの充実を図ることが必要と考えてございます。
 このため、本年一月には、グリーン・キャンパス・プログラムの参加学生に対しまして、プログラムの満足度等のアンケート調査を実施いたしました。その結果、学生の多くがおおむね満足という回答をした一方で、間伐などの作業が自然環境にどのような影響を及ぼすのかわからない、あるいは聞きなれない言葉があり、わかりにくいなどといった意見がございました。
 こうした意見を踏まえまして、来年度からは、保全作業の意義や効果についてわかりやすいテキストを作成するとともに、専門家等を派遣して実地に即した指導をきめ細かく行うなど、プログラム内容を充実し、保全活動に対する学生の理解を促進してまいります。
 また、こうした今のプログラムの内容の充実に加えまして、やはりその体験した方々の交流というのも必要かなというふうに考えてございます。
 そこで、東京グリーンシップ・アクションの参加企業や、地元ボランティア団体等との間で合同情報交換会を開催することといたしまして、大学生の保全活動に対する学習機会の充実を図ってまいります。

○こいそ委員 学生による保全活動は極めて重要かなと思いますが、保全地域の良好な自然環境を守り続けていく上で、関係する地元のボランティア団体の果たす役割もこれは大きいと考えます。
 しかし、ボランティア団体の多くは、活動に参加するメンバーが固定化する傾向にあるのではないかと。また、新しいメンバーや若い方々が気楽に参加しにくい状況にあるのではないかということを聞いています。
 メンバーの高齢化がだんだんと進む中で、保全活動の担い手が極端に少なくなる。保全地域の自然は、適度に手をかけていく、加えていくということの中でも、それがなかなかできなくなってくると、当然荒れ放題になるのではないかと危惧をしておるところであります。
 そこで、保全活動を担う環境人材の育成に都はどのように取り組んでおられるのか、改めて伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 東京都は、保全活動を担う新たな人材を掘り起こし、育成していくため、今年度から専用のウエブサイトを開設いたしまして、緑地保全活動に関する多様な情報を発信するほか、登録を行った方に対しまして、保全地域における活動情報を定期的に発信することとしておりまして、これまで既に約二百五十名の方に登録をいただいております。
 また、未経験の方が気軽に保全活動を体験できるプログラムをこれまで十四回実施いたしまして、延べ二百人以上の方にご参加いただいております。そして、この中から既にボランティア団体に加入したと、こういう事例も生まれてございます。
 こうした取り組みを踏まえまして、来年度、さらにプログラムの実施回数や対象の保全地域をふやしますとともに、参加者に対しまして地元ボランティア団体への加入を積極的に働きかけることで、継続的な保全活動の担い手の確保と育成を図ってまいります。

○こいそ委員 環境施策の遂行、それから、より求める効果の中では、見解が違うところがあるかもしれませんけれども、私は人ではないかと思うんですね。やっぱり人が、分別だってそうだと思いますよ。そして、こういう育む、自然をやはり、よりよく保全を続けていくということの思い、また、実践、それから、さまざまな環境的な面も含めて、私は、やっぱり人ではないかと。
 そうなっていきますと、さっきからも、るるお話しさせていただいているような、やっぱり環境の人材の確保、育成、参加、各世代にわたってもそうですよ。これは必要であるということは、もういうまでもないと思いますね。
 ぜひその中でも東京都が長年実施してきた緑のボランティア指導者育成講座を初め、それだけじゃなかったと思いますね。この中の修了者をやはりしっかりと登録してもらい、把握するということの中で、指導者なり、また新たな人材の育成に寄与してもらうということが極めて重要だと思います。
 次に、都は、その環境人材の育成を図っていくんだというお話も今、部長からありましたから、であるならば、環境人材の育成に資する機能も当然そこに必要になってくるわけです。
 例えば、建設局が所管している公園協会が管理運営に携わっている丘陵公園の中では、しっかりとした施設、それから内容、環境ビジターセンターが存在し、環境学習に役立つ展示や、まさに専門的なそれぞれの知識を持つ常駐スタッフによって解説が随時行われております。来訪者へのきめ細かい対応を、私も直接、見、聞き、そこに参加した経験がありますから、わかりました。保全地域においても、ビジターセンターのような拠点施設があってこそ、また、こういう施設が、それぞれ所管によっての目的が違いますから、一概にいえないとしても、環境人材の育成が成り立つのではないでしょうか。
 都は、こうした問題に今後、環境局として、どのように対処していくつもりなのか、見解を伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 保全活動を担う人材の確保と育成を図る上では、自然体験活動や環境学習に資する拠点機能を持つ施設の設置は、有効な取り組みと認識してございます。
 一方、保全地域では、自然保護条例上、建築行為や土地の形質を変更する行為は行えないといった制約がございます。
 また、拠点施設として十分な機能を発揮するためには、さまざまな要素について十分に検討する必要があると考えてございます。
 このため、今後、環境人材の育成に取り組みます中で、保全地域の近隣における設置の可能性や交通の利便性、多様な保全活動メニューの実施の可能性、あるいはボランティア団体の受け入れ状況といった具体的な課題の洗い出しを十分に行いまして、拠点施設の設置可能性について検討を行ってまいります。

○こいそ委員 いろいろ制約もあるし、環境局としては、本来的には自然は自然のままでということの意義を感じつつ、いろんな政策を進めてきたということだと思いますけれども、やはり時代も多様化してくる。
 いろんな生活、ライフスタイルも変わってくる中で、いろんな世代が、いわゆるこういう保全活動を展開する中では、今お話があるように、保全区域の外でも当然いいわけですよ、道具を置く場所だとか、本当、最小限度でもいいんじゃないかなと思うんですけれども、そういう施設の設置に向けたもう一歩前向きな検討を、いい答弁だと思いますけれども、私は重ねて要望させていただいて、次の質問に移ります。
 それでは、この流れの中で最後ですけれども、資源環境施策について伺います。
 まず、一般廃棄物の適正処理についてであります。
 平成二十六年十月、環境省廃棄物・リサイクル対策部長名で、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底についてという通知が出されたと思います。
 この通知には、ごみの安定処理のかなめである収集運搬の業務委託について、経済性の確保等の要請ではなくて、業務の確実な履行を求めると書かれているなど、極めて重要な内容ではないのかというふうにそれぞれ捉えられているようであります。
 廃棄物処理法の適正運用に関しては、平成二十年にも今回と同じ内容の通達が出されておりますが、平成二十年通達では環境省廃棄物対策課長名の発信だったのに対して、今回の通知は部長発信へと格上げされております。環境省がいかに法の適正運用を重視しているかということのあらわれではないでしょうか。
 ごみの安定的な処理のかなめである収集運搬が極めて、俗にいう言葉でいけば、価格、価格ということで、多少悪くたって価格が安けりゃいいんだとより不適正に業務委託をされると、一般廃棄物の適正処理には当然不可能です。
 この通知に関する都の見解と、市区町村に対する周知はどのように今までされてこられたのか、お聞きしたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 平成二十六年の環境省通知につきましては、平成二十年の通知に続きまして、一般廃棄物の処理に関する市町村の総括的な責任を示した重要な通知であると認識しています。
 都としては、本通知を直ちに都内市区町村に送付し、周知を図るとともに、市区町村部課長級を含めた職員が出席する東京都廃棄物行政講習会や、東京都多摩地域廃棄物行政連絡会の場で毎年度繰り返し説明をしています。
 来年度以降につきましても、本年四月、来月に開催されます東京都市町村清掃協議会の場で、市町村の部課長級職員に対して改めて通知内容を周知するなど、さまざまな機会を通じて廃棄物の適正処理について働きかけていきます。

○こいそ委員 東京都多摩地域廃棄物行政連絡会の場で、毎年繰り返し、繰り返し説明しているんだということでありますけれども、せんだって、実は、多摩地域、三多摩清掃事業協同組合という団体があります。この団体に私も何人かの都議会議員の皆さんとともに行きました。
 その中で、実はこの話が、私が今質問をしている話が出たわけでありますけれども、非常に厳しい状況だと。三多摩ですから、市町村ですけれども、このいわゆる基礎自治体、自治体によって、なかなかその捉え方が違う。
 非常に厳しい経営と社員の雇用が不安定であるということを非常に強く話をされておられました中で、平成二十六年通知は、収集運搬業務に関する業務委託の適正運用のほか、平成二十六年一月に出された最高裁判決についても、そこに説明がなされております。
 そこでは、環境省通知により、周知してきた廃棄物処理法の目的及び趣旨に沿った一般廃棄物処理計画の適正な策定及び運用についての考え方が示されておりますけれども、その内容について改めて伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 これに関連します裁判は、既存の一般廃棄物収集運搬業者が市を相手どり、新規許可業者の許可取り消し処分を求めたものです。
 最高裁から平成二十六年一月に出された判決の中では、廃棄物処理法において、一般廃棄物処理量は専ら自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置づけられていないとの考え方が示されています。

○こいそ委員 最高裁では、今、部長が答弁されたような見解が示されたということですね。
 これまでの答弁からも、ごみの収集運搬業務委託にする場合、市区町村は、経済性の確保だけではなくて、業務の確実な履行が当然求められなければならないわけであって、そのためには専ら単なる価格的自由競争に委ねられるものだけではないということではないかと思うんですね。
 平成二十六年通知や最高裁判決について、都には改めて市区町村への周知を徹底する必要があるんではないかと要望します。
 次に、環境ビジネスにおける人材育成について伺います。
 私は、これまでも循環型社会の実現に向けて、静脈ビジネスが健全に経営でき、発展していくことは欠かせない、この場でもお話をさせていただきました。
 しかし、そうした中で、ことしの一月に、愛知県でメーカーから食品の廃棄を受託した廃棄物処理業者が、廃棄物を不正に商品として横流ししていた事件が発生いたしました。これは、まだまだ記憶に新しいところです。この事件で、廃棄物処理全体に対する信頼が損なわれたのではないかと危惧するところでありますけれども、この内容につきましてはゆゆしき事態だと思います。
 さりとて、真面目に取り組んでいる廃棄物処理業者が--不適正な処理をする、これらは何と理由をつけても絶対容認できない、これらのことに対しては妨げるということがあってはならないと思います。悪質な行為はしっかりと取り締まるということはもちろんです。
 一方で、中小の処理業者にとっては、廃棄物処理法を十分に理解させる社内研修をする機会やノウハウが少ないんではないかともいわれています。しっかりとしたサポートがやはりそこには必要なのではないかと思うところであります。
 産業廃棄物業の経営層から従業員まで、それぞれの必要とされる知識を習得していくことによって、基礎的な、基本的な知識でも当然重要です、正しい法令知識のもとに適正な処理がなされるよう、今後、都としてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 都は、産業廃棄物処理業者を対象として、日々の適正処理の徹底に役立てることを目的に、廃棄物関連法令の解説を主とした講習会を毎年度実施しています。
 本年度も、多摩地域の処理業者にも参加しやすい会場を設定するなどして、五百名を超える参加をいただいております。
 加えて、先月には、産業廃棄物処理業の経営者を対象として、専門家の講演やパネルディスカッションを開催しました。参加者からは、今後、産業廃棄物処理業界が立つべき社会的役割について、わかりやすく論じられていたと好評でした。
 しかしながら、講習会の効果が処理業者全体に行き渡るにはまだまだ不十分であり、今後、さらに受講者の裾野が広がるよう、講習会の開催頻度や対象者にあまねく伝わるような周知方法を工夫していきます。
 さらに、経営者を対象とするセミナーにつきましても、今年度の成果を踏まえ、処理業者の先駆的取り組みを支援する内容にしてまいります。
 あわせて、ウエブを利用したわかりやすい情報発信なども通じて、廃棄物処理業者に対して廃棄物関連法令に関する正しい知識の定着や、持続可能な資源利用に寄与する、すぐれた取り組みの推進など、健全で信頼される静脈産業の発展に向けて積極的に支援してまいります。

○こいそ委員 昨年、五回ですか、六回ですか、やられたと、いわゆる二十七年、今年度か。二十六年度はこれを産廃業界がやりましたよね。そういう中で、今度二十七年は、公社が自主的に行っているということだそうでありますけれども、私はこういう講習が極めて意義あることだと思いますよ。そう思う一人です。
 そういう中で、これは平日でしょう。やっている内容はすごくいいわけであるから、過去、結局六回だったか、五回だったか、その中でトータルすると、先ほどの数字が出ますよね。でも、やはり平日の昼間に、こういう講習があるから来いやというのはどうなのか。
 もうちょっとそのあたりも、例えば先ほどから私がいっているのは、中小の事業者はそんなに余剰人員なんて置けるわけないんだし、これは環境的にもいろんな面で厳しいですよ。それを来いやと。平日の昼間のところに、あれは午前やったときも、午後一時ぐらいからやるときもあるそうだけれども、やっぱりこのあたりも考えていく必要性があるんじゃないかと一点思うんですね。
 いずれにしても、ぜひ、人材育成、これもそうです、裾野の広い育成を東京都環境局は断続的、継続的に行っているんだということが大切なんじゃないですか。それによって伝わりますよ、間違いなく。そのためにも、やっぱりできるだけ機会均等を与えていただくことも必要ではないのかなと。
 こういうことの中で、やはり講習会は内容的に大変結構だと思います。しかし、もう一段の取り組みを考えていただければ、またさらに効果が出てくるんじゃないかということで、これは要望させていただきます。
 次に、これは高橋委員も取り上げましたけれども、ポリ塩化ビフェニル廃棄物、いわゆるPCB廃棄物のうち、とりわけ微量のPCBの対策について伺います。
 高濃度PCB廃棄物は、国が関与して全国五カ所に整備した施設で処理が進んでいます。これはもういうまでもないですね。江東区にも一カ所ありますよね。この委員会でも視察をしたことも記憶にあります。
 その一方で、低濃度、いわゆる微量PCBは、国の認定を受けた民間の施設で処理がされています。高濃度と比べて、処理がかなりおくれているんではないかと思うところでありますけれども、どうなんでしょうか。
 微量PCBの処理期限は、PCB特別措置法で平成三十八年度末までと定められておりますが、人体にそもそも影響するものであるわけであって、負の遺産ともいえるこのPCBを、いつまで、どこに、どのぐらいあるのかと、何万トンあるのかということも把握されていないそうだけれども、都内に保管をしているということが正しいのかどうかわからない、まあ、保管もしているんでしょう、放置することもできないんじゃないかと、拾っておけば。そういう意味合いにおいて、低濃度だから民間に任せておけばいいんだと。もうこれは全て民間の役目だと。高濃度を国にいえばいいんだと。後回しでとはいわないけれども、どうなんだとも受け取るような現状を聞いておりますと、国及び都の認識は、私はいかがなものかと思えてなりません。
 そこで、現在の微量PCB廃棄物の処理の現状に関して、その認識と今後の取り組みを伺いたいと思います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 微量PCBの処理につきましては、国が無公害化処理認定施設として許可した民間等の施設において処理が行われております。
 ご指摘のとおり、微量PCB廃棄物につきましては、民間等の処理体制がいまだ整備の途上にありますことから、引き続き国に対して処理施設の整備を強く要望してまいります。
 また、微量PCBは、機器の銘板によってPCBの存在がわかる高濃度のものとは異なり、分析をしなければPCBが含まれているかどうかがわからないため、そのことも処理が進まない要因となってございます。
 これまで都は、中小企業の事業者等に対して、分析費及び処理費の一部を助成して、微量PCBの処理促進に努めてきたところでございます。さらに、今年度から約六万件を対象とした新たな掘り起こし調査によって、PCB保管事業者の正確な情報把握に努めております。
 微量PCBの早期処理に向け、今後ともこれらの施策とともに、微量PCBの処理の重要性についての周知を徹底し、さらなる実効性ある施策の展開につきましても、引き続き検討してまいります。

○こいそ委員 この微量性PCBの処理に対して、確かに国に高濃度、また、この微量性PCBの分析云々でおくれているんだというけれども、東京都も予算出していますよね、補助金を。さらにこれを促進する、金を出しっ放しじゃなくて、分析だからおくれているんだというのは、私、ちょっとわからないな、これ、はっきりいって。そうじゃないんじゃないですかね。
 それともう一点、PCBの処理については、基本的には確かに国が法律や方向性を定めて、都はそれに沿って実施しているんだということでありますけれども、このようなペースで期限内の処理は、平成三十八年ですよね、期限は。どうなのかということですね。
 このような現状に対して、東京オリンピック・パラリンピックを四年後に控えた東京都において、これ、はっきりいって人体に影響するわけじゃないですか。なぜもっと真剣な、積極的な取り組みができないのかと思いますよ。
 PCBの早期処理に向けて、もっと強い責任感を持って全力で取り組んでいただくことを強く要望して、終わります。

○吉倉委員 私からも、水素社会の実現に向けた取り組み、さらに暑さ対策など、何点か質問いたします。
 ただいまも議論がありましたが、水素エネルギーは、利用段階で水しか排出をしない、すぐれた環境性能や高い経済波及効果など、多くの利点があることから、その普及が期待されております。将来、水素利用が実用化されれば、低炭素社会への切り札になるといわれております。
 都は、先般、東京都環境審議会から答申された東京都環境基本計画のあり方についてを受けて、燃料電池自動車と水素ステーションについて、それぞれ二〇三〇年までに二十万台の普及と百五十カ所の整備を新たな目標として掲げました。
 燃料電池自動車と水素ステーションは、水素社会の実現に向けて、大きな鍵となるものであり、都がオリンピック・パラリンピックのさらに十年先まで見据えて、長期的に取り組む姿勢を示したことは評価できます。
 今後、都は、二〇二〇年東京大会を起爆剤に、水素社会へ動きを加速させていくとしており、これからの四年間でしっかりと取り組みを進め、水素を利活用する都市の姿を世界に向けて示していくことが大変重要であります。
 そこでまず、水素エネルギーの普及に向けた現在の状況と今後の取り組みについて伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 二〇二〇年大会開催時に、都民の方々や国内外から東京を訪れた方々に水素社会の到来を実感していただくためにも、燃料電池自動車の普及と水素ステーションの整備の初期段階におきまして、着実に後押ししていくことが重要でございます。
 今年度から本格的に実施している燃料電池自動車の導入補助につきましては、二月末時点で、一般向け、区市町村向けを合わせて六十一台の交付決定を行っております。
 また、水素ステーションにつきましては、今年度、十二カ所の整備が進められてきておりまして、今月末には、既に開所しているステーションも含めまして、十一カ所が開所予定となってございます。
 今後、これらの補助事業を着実に実施するとともに、水素ステーションの整備促進に向けて、規制緩和の国への働きかけや都関連用地の活用などに取り組み、一層の普及、整備拡大を促してまいります。

○吉倉委員 燃料電池自動車の普及や水素ステーションの整備が進むことは、都民が水素社会を身近に感じることにもつながります。引き続き、着実な取り組みを進めていくことを期待いたします。
 水素社会の実現に向けて、大きなインパクトになる取り組みの一つは、平成二十八年度予定されている燃料電池バスの市場投入だと思います。
 昨年夏、燃料電池バスの走行実証実験を行った際に、私も試乗いたしましたが、音の静かさや出発時のスムーズさなど、すばらしい乗り心地であり、都民の方々にも早く実感していただきたいと感じたところであります。
 一方、燃料電池バスの導入には、通常のバスと比べて高い導入コストがかかることが課題であり、そのためにも、都は補助制度を創設し、事業者を積極的に支援すべきであります。
 今後、燃料電池バスの普及に向けては、財政支援の仕組みづくりなど、計画的に進めることが重要だと考えております。都の見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 昨年度策定いたしました水素社会の実現に向けた東京戦略会議の取りまとめにおきまして、燃料電池バスについては、二〇二〇年までに計画的に百台以上の導入を目指すとし、都営バスへ先導的に導入することといたしました。
 先般、交通局から出された経営計画におきましては、二〇二一年度までに八十台導入する目標が示されてございます。
 また、選手村や競技場のある臨海部と東京の中心部を結ぶBRTでも積極的に導入するとされております。
 今後、燃料電池バスの市場投入に合わせまして、補助の実施要綱等を作成し、支援を図っていくとともに、国へ継続的な財政支援等を要望してまいります。
 また、メーカーの生産動向も踏まえながら、民間バス事業者への導入の働きかけを行い、目標の達成を目指してまいります。

○吉倉委員 身近な乗り物であるバスに燃料電池バスが導入されれば、都民にとって水素エネルギーの利用を目にする機会がよりふえることになります。燃料電池バスの導入に向けて、しっかりと取り組んでいくことを期待いたします。
 さて、水素エネルギーは、これまでに触れた燃料電池自動車やバス、あるいは水素ステーションを中心に導入が始まっておりますが、オフィスビルや商業ビルが高度に集積する大都市東京では、今後、次世代型燃料電池の活用など、まちづくりの中でも水素活用を進めることが重要だと考えております。
 環境基本計画のあり方答申においても、都内の象徴的な施設や地域において、水素が利活用された先進的モデルを示していくことも検討する必要があると、このようにされております。
 そこで、今後将来のまちづくりにおいて大きな可能性を秘めた水素を地域のエネルギー源として活用していくための取り組みについて、都の見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、これまでも環境負荷の少ないまちづくりに向けまして、再生可能エネルギーの導入やコージェネレーションシステムによる効率的な電気と熱の活用を後押ししてまいりました。
 水素を地域のエネルギー源の一つとして組み込むことは、さらなる低炭素化の実現や系統電力への負荷軽減につながります。
 このため、都は来年度、水素を活用したまちづくりに向けた調査を実施いたしまして、環境性、防災性、経済性などの観点からシミュレーションを行い、まずは導入に向けた課題を検証してまいります。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、二十八年度の調査結果も踏まえながら、まちづくりでの水素活用を目指していくことを期待いたします。
 都は、二〇二〇年東京大会で、晴海選手村において次世代型燃料電池を導入するなど、生活の中に水素エネルギーを組み込んだまちの構築や臨海部と東京の中心を結ぶBRTへの燃料電池バスの導入を掲げております。
 実現に向けて各局が緊密に連携し、日本の環境先進技術を世界にアピールすべきことを強く要望しておきたいというふうに思います。
 次に、暑さ対策について伺います。
 先般、第一回定例会の代表質問における我が党の暑さ対策についての質問に対し、平成二十八年度都施設における率先的な取り組みとして、都バスの停留所にドライ型ミストを設置するモデル事業を実施すると、こういう答弁がございました。夏場に屋外の暑さの中で乗車待ちをするバス停に、即効性の高いドライ型ミストを設置する取り組みは、大変有意義なものであると考えております。
 モデル事業の具体化には、バス停の選定など、今後さまざまな検討、調整が必要になると思いますが、実施に向けた取り組みについて都の見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 ドライ型ミストの設置には、水道管及び電気系統との接続や、ポンプ等の関連設備のスペース確保が必要でございます。そのため、今回のモデル事業におきましては、バス停が水道や電気設備に近接して配管しやすいことや、一定の敷地面積を有することなどが条件となります。
 このような観点に立ちまして、今後、交通局とともにモデル事業のためのバス停の選定作業を進めてまいります。

○吉倉委員 今回のモデル事業は、夏場の暑さの中、バス停の乗客に快適な環境を提供する利用者サービスの向上のための取り組みと認識しておりますが、利用者の中にはミストを好まない方がいる可能性もあり、事業実施に当たっては配慮が必要ではないかというふうに思います。
 また、今回のモデル事業を今後に生かすためには、設置した後のバス停の利用者の声を把握することも必要と考えます。
 そこで、今回のモデル事業において、バス停の利用者の視点をどのように取り入れていくのか見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 委員ご指摘のとおり、今回のモデル事業実施に当たりましては、ミストを好まない利用者もおられることも想定されますことから、設置に向けた設計上の配慮を進めてまいります。
 また、ドライ型ミストの設置後は、バス停の利用者アンケートや気温の低減効果の測定などを実施する予定でございまして、利用者ニーズなどモデル事業の成果を定性的、定量的に把握いたしまして、今後の検討に活用してまいります。

○吉倉委員 今回のモデル事業を実施する中で、新たな課題が見えてくるかもしれませんが、事業で得た知見も踏まえ、今後の展開につなげていただきたいというふうに思います。
 今回は、都の率先的な取り組みを取り上げましたが、二〇二〇年東京大会に向けた暑さ対策は、社会全体で取り組むべきものであり、今後とも国や区市町村、民間事業者等とも連携しながら、しっかりと取り組みを前へ進めていただきたいことを要望しておきます。
 最後に、家庭の省エネについて伺います。
 都が新たに掲げた温室効果ガスの削減目標の達成に向けては、都内のエネルギー消費量の約三割を占める家庭部門への対策を強化していく必要があります。その際、無理のない賢い省エネを図るためには、高効率な省エネ機器の導入を促進していくことが効果的といわれております。
 このうち、家庭用燃料電池については、長期ビジョンにおいて、二〇二〇年までに十五万台、二〇三〇年に百万台という導入目標を掲げ、これまでも補助事業などを通じて支援に取り組んできております。
 そこで、現在取り組んでいる家庭用燃料電池に対する補助事業の実績と効果について伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 平成二十五年度から今年度まで三カ年の事業として実施しております家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業におきまして、都は、約七千台の家庭用燃料電池の補助金交付決定を行っております。
 本事業により、導入促進が図られた結果、平成二十一年度に三百三万円でございました販売価格は、平成二十六年度には百四十九万円に半減するなど、着実に価格低下の効果はあらわれております。

○吉倉委員 ただいま答弁のありました事業は、今年度までとのことですが、二十八年度予算には家庭用燃料電池に対する新たな補助事業が計上されております。
 これまでの事業と新たに実施予定の事業との違いは何なのか、新規事業の狙いと内容について伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 来年度から開始予定の家庭におけるエネルギー利用の高度化促進事業は、環境公社に三十五億円の基金を設けまして、平成三十一年までの四年間、集中的に実施するものでございます。
 現在の補助事業の実績を分析いたしましたところ、設置コストが割高な集合住宅には導入数が少ないことがわかりました。
 今後、長期ビジョンの目標達成に向けまして、都内住宅ストックの約七割を占めます集合住宅への導入を促進していくことが重要でありますことから、新たな補助事業では、戸建てが十万円である補助の上限を、集合住宅につきましては十五万円と上乗せすることとしております。
 こうした支援制度を通じまして、機器の需要を喚起し、量産効果による一層のコストダウンを図ることにより、家庭用燃料電池のさらなる普及を促進してまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。かつて太陽光発電がそうであったように、環境技術の市場を創出していくためには、普及の初期段階に需要刺激策を講じることが効果的であります。
 家庭の省エネ促進に向け、引き続き家庭用燃料電池を初めとする高効率な機器の普及促進に取り組んでいただきたいことを要望し、質問を終わります。

○米倉委員 東京は、地球温暖化という地球の温暖化とヒートアイランド現象による都市の温暖化の二重の温暖化の危機にさらされています。
 CO2の削減など温暖化防止に対し、都は、これまで対策を講じられ、私たち共産党都議団でもさまざまな提案をしてきました。
 しかし、一方で、近年の気候変動の影響により、東京の高温化現象は継続し、熱中症で緊急搬送される方も、ここ数年、三千人から五千人と非常に多くなっております。
 ですから、現在既に起きているヒートアイランド現象や猛暑から都民の健康を守るとともに、快適な都市生活を営めるようにすること、いわゆる気候変動を防止するだけでなく、対処することの重要性も今日叫ばれています。
 今回は、暑さ対策について伺います。
 都は、ヒートアイランド現象について、環境科学研究所において研究を行っていますが、その内容について伺います。

○篠原環境政策担当部長 現在、都は、環境科学研究所に都内で行われているヒートアイランド対策の効果につきまして研究を委託しております。
 この研究ですが、平成二十六年度は、大手町、丸の内地区、今年度は、新宿及び品川駅周辺におきまして、保水性舗装や公開空地の設定、緑地、水辺の積極的な導入などの対策による暑熱緩和の効果を検証しております。

○米倉委員 さらに、対策のための研究を進めていただきたいと思います。
 私も研究の報告を拝見しまして、新宿エリアについて熱をはかった結果としてなんですけれども、住宅の多い市街地で高温が目立つとも指摘をしております。
 今、駅の周りですとか、そうした中心地でいろんな対策の効果を検証されていると思うんですけれども、ぜひ今後、住宅地などでも、どのような熱状況なのか把握して対策を検討していただきたいと思います。
 都の具体的な暑さ対策について伺います。
 今年度から開始しましたクールスポット創出支援事業について、目的と内容、実績について伺います。また、来年度予算はどのくらいで、何件補助を予定しているかも伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 クールスポット創出支援事業は、人が自由に出入りできる空間における暑さを緩和する設備等の設置を支援するものでございまして、今年度の実績は、公園や神社など七件でございます。
 来年度は、今年度同様に五千万円を予算計上しておりますが、一件当たりの補助額がさまざまでございますため、予定件数は設定してございません。

○米倉委員 この支援事業についてなんですけれども、対象としては、今、神社というお話ありましたが、こうした寺社ですとか、商店組合も対象になるんでしょうか。また、どのようにこの事業の周知徹底を図っているのかも伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 本事業の補助対象は、区市町村、法人、または個人等の事業者としており、商店組合や寺社なども含まれます。
 事業につきましては、ホームページへ掲載するとともに、建材や設備等の事業者が技術や製品をPRする暑さ対策展で情報発信を行うなど、周知を図ってございます。

○米倉委員 今年度の実績で、さっき七件とご答弁あったんですけれども、その内訳を見ますと、五件が自治体となっております。
 私の地元豊島区でも、区立南池袋公園でドライ型ミストが設置されることとなりました。まず、重要なことだと思います。来年度、さらにクールスポットをふやしていくためにも、都としてさらにPRしていただきたいと思います。
 どういうところが暑くなるのか、対策が必要なのかという部分では、環境局の知見を生かして、補助の申請待ちにならずに、補助制度を活用した暑さ対策を自治体、事業者に呼びかけていただくことを要望するものです。
 そういう中で、例えば熱中症患者に占める高齢者の割合は多いと出ております。高齢者が多く出かけ集まるような場所でクールスポット創出支援事業を進めることが好ましいと思いますが、いかがでしょうか。

○小川都市エネルギー推進担当部長 平成二十六年六月から九月までの東京消防庁管内におけます熱中症による救急搬送人員を発生場所別に見ますと、六十五歳以上の場合は、住宅等居住場所が五六%に上り、道路交通施設が二六%でございます。
 一方、十九歳から六十四歳までの場合は、道路交通施設が二九%であり、住宅等居住場所は二三%にとどまります。
 そのため、高齢者の熱中症対策といたしましては、室内における水分補給や適切な空調利用などの普及啓発が重要でございます。
 クールスポット創出支援事業は、高齢者を含みます全ての年齢層を対象にいたしまして、人が自由に出入りできる空間における暑さ緩和を目的として実施しておるところでございます。

○米倉委員 高齢者の屋内での対策が重要なのは当然の話でして、既に他局も取り組まれているわけです。今のご答弁ですと、あたかも高齢者が熱中症になるのは専ら屋内で、若い世代は屋外で熱中症になるというふうにも受けとれます。果たしてそんな単純に割り切っていいんでしょうか。
 そこで、私も同じデータで、道路交通施設で熱中症で搬送された人の割合を年齢ごとに計算してみました。そうしますと、十八歳以下の年少者が六十四人、十九歳から六十四歳までの若者、現役世代が四百十人、六十五歳以上の高齢者が三百五十七人ですから、高齢者が全体に占める割合は四三%にもなるんです。外出先で倒れる方もやはり高齢者が多いんですね。
 ですから、私は、クールスポット創設支援事業は、高齢者の方にもよく目配りをしていただきたいんです。私の地元には、おばあちゃん、おじいちゃんの原宿として有名な巣鴨地蔵通り商店街もあります。こうした高齢者が多く集まる場所にクールスポットがふえれば、さらににぎわいの場所もできるかと思います。
 支援や対策を呼びかけていただきたいですし、また、地元から要望があった際には積極的に応えていただくことを要望しておきます。
 次に、来年度、新規にどのように暑さ対策を拡充するか伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 来年度につきましては、都施設における率先的な取り組みといたしまして、先ほどご答弁いたしました都バスの停留所へドライ型ミストを設置するモデル事業や、暑さ対策の機運を醸成するための打ち水など、都民参加型のイベントを実施する予定でございます。

○米倉委員 ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 あわせまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、選手や観客の暑さ対策が重要な課題となっております。そのためには、区市町村のような基礎自治体との連携だけではなく、都として広域的に進めるため、国やオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会との連携が必要になってきます。
 都としては、どのように協議を進めているんでしょうか。また、選手や観客の暑さ対策について、今後どのように計画し、どのように推進していくか伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、既に国や組織委員会の参加も得まして、二〇二〇年大会に向けた暑さ対策に係る全庁的な推進体制を整備してございます。
 今後とも、この推進体制のもと、選手や観客の暑さ対策も含め、さまざまな対策を推進するため、関係各局や省庁等と連携しながら、具体的な検討を進めてまいります。

○米倉委員 今後、検討されるということでした。
 オリンピック開催まで四年半に迫っております。オリンピックの開催期間、七月二十四日から八月九日までというのは、去年の夏では、一日を除いて三十度を超える真夏日を記録し、日本体育協会の指針で激しい運動を禁止するほどの暑さが続きました。
 選手や観客の安全を守ることを第一に、面的に暑さ対策を進めるためにも、関係局や省庁と連携し、早急に具体化することをお願いいたします。
 次に、緑の保全について伺います。
 東京都の緑率は、二〇一三年の調査結果では、二〇〇八年と比べて、区部が初めて〇・二%上昇しましたが、長期的には緑の減少傾向は継続している状況と示しています。同時に、多摩部の緑率は、この五年間で〇・三%減少、面積にして約三百四十八ヘクタール、東京ドーム七十四個分の緑地が減っています。
 多摩地域には、多様な生物が生息する貴重な自然環境である谷戸、湧水、雑木林などが市街地に隣接をして、里山として人々の生活に密着しながら、多様な環境機能を有しております。
 また、地球温暖化対策としての二酸化炭素の吸収源、そして、広域的な都民の憩いの場としても重要で、減少している多摩地域の緑を守ることは喫緊の課題です。
 都は、保全緑地の公有化の役割についてどのように認識しているんでしょうか。

○志村自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、保全地域の指定をしてございます。保全地域として指定されますと、建物その他工作物の建築等が制限されます。
 こうした土地利用の制約に対する代償措置として、土地所有者の申し入れに基づいて都が買い入れることとしてございます。これにより、当該保全地域の良好な自然を長期的に残していくことができるものと認識してございます。

○米倉委員 緑の保全について、多摩地域の複数の自治体に聞き取りをいたしましたが、まさに今お答えでいただきましたとおり、緑地の公有化、長期にわたって緑を守っていくために一番有効であると声を伺っています。市独自で民有地の緑地の保全指定をしても、所有者の代がわりのときに売られてしまうケースが多いとのことです。
 都が行っています多摩の森林再生事業でも、民有地である森林は、結局は、所有者が手放すケースが多く、その結果、今年度の予算でも約五千万円減になっております。だからこそ、都が緑地を公有化することは、緑を保全する上で重要な施策であると思います。
 そこで伺いますが、保全地域の公有化の今年度の予算は、前年度比二億五千万円増となったのですが、その理由は何でしょうか。また、来年度予算は二億五千万減になっていますが、その理由を伺います。

○志村自然環境部長 都は、土地所有者からの公有化の申し入れに対応できるよう、毎年度必要な予算を確保してございます。
 お話の平成二十七年度は、買い取り額が高額となる申し入れが想定されたため、前の年、二十六年度と比べまして二億五千万増の予算額を確保いたしました。
 二十八年度の予算案におきましては、こうした案件が見込まれないため、二十六年度と同様の予算額としてございます。

○米倉委員 必要に応じて予算をつけたとのお答えでしたが、この十年の保全地域の公有化決算額を見ますと、少ない年もありますが、大体十三億円から十六億円と一定になっています。
 そこで伺いたいんですけれども、保全地域の公有化に当たっては、どのように公有化される対象が決まるのか。また、公有化の申請に対して、条件を満たしていながら公有化されないケースがあるのかどうか伺います。

○志村自然環境部長 都は、土地所有者からの買い取りの申し入れがあった場合には、土地所有者が抱える事情などに可能な限り配慮をしつつ、買い入れを行ってございます。
 なお、土地所有者からの申し入れに対しまして公有化を行わないという事例はございません。

○米倉委員 公有化されないケースはないとのことでした。ぜひ今後も必要な予算を確保し、緑地の公有化を積極的に進めていただきたいと思います。同時に、保全地域の指定面積についても、さらに拡充することを要望しておきます。
 次に伺うんですが、では、公有化した緑地の維持管理についてなんですけれども、これも多摩の自治体に伺ったところ、ボランティアの高齢化が進み、後継者づくりが難しいという声を聞いております。
 都としては、どのように認識し、どのような支援をしているんでしょうか。

○志村自然環境部長 保全活動を担うボランティア団体の方々が高齢化する一方で、活動の担い手となる新たな人材確保が重要であることは認識をしてございます。
 都は、これまでもさまざまな機会を通じまして、ボランティア人材の育成を行ってきてございます。
 今年度は、専用ウエブサイトを開設し、保全活動に関するさまざまな情報を発信するとともに、未経験の方が気軽に保全活動を体験できるプログラムを実施しておりまして、今後ともボランティア団体の人材確保を図ってまいります。

○米倉委員 新たな人材確保にさまざま取り組まれているということでした。
 私も、「里山へGO!」というウエブサイトを拝見しました。スマートフォンでも見やすいつくりになっていまして、今、スマートフォンでネットを見られる方は非常に多いので、本当にデザインもかわいくて、若い世代にボランティア参加を呼びかけるには有効なツールになるだろうなというふうに感じました。
 同時に、これは都の保全地域だけではなく、東京全体で緑を守るための人材を確保することについてなんですけれども、現場で緑の維持管理やボランティアの育成に励んでいらっしゃる方は、このボランティアの場を設定することですとか、ボランティアを育成するということには費用や事務作業が大変で、支援が欲しいというふうに伺っております。
 また、市長会でも、公有化後に必要となる維持管理費等について新たな支援を検討されたいとも要望が出ております。財政的なものを含めて、支援をさらに拡充し、緑の適正な維持のために取り組んでくださることを求めまして、質問を終わります。

○田中(健)委員 私からは、自動車のCO2削減対策について伺いたいと思います。
 都は、世界一の環境先進都市を目指し、温室効果ガスを二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減するという、国を上回る意欲的な目標を表明いたしました。
 運輸部門からのCO2の排出量は、都内全体の約二割を占めており、とりわけその大部分を占める自動車からのCO2排出量を削減していくことは大変重要であります。
 先月発表された環境審議会の最終答申では、部門別の温室効果ガス削減目標が示されておりまして、二〇〇〇年度比で、業務産業部門また家庭部門は二〇%程度削減に対しまして、この運輸部門というのは六〇%程度削減という大変高い目標となっております。
 そこでまず、自動車からのCO2削減に関するこれまでの取り組みと削減の実績についてを伺います。

○木村環境改善部長 都は、これまで条例に基づきまして、自動車環境管理計画書制度を設け、三十台以上の自動車を使用する約千七百社に対しまして、自動車の使用の合理化やエコドライブなどの取り組みを促しております。
 さらに、二百台以上自動車を使用しております事業者に対しましては、低公害、低燃費車の導入義務を課してまいりました。
 このほか中小企業者等に対しまして、電気自動車などの次世代自動車やハイブリッドトラック、バス等に対します導入補助や融資あっせんを行い、環境性能の高い自動車の導入を促してまいりました。
 これら取り組みや事業者の努力によりまして、自動車からのCO2排出量は、二〇一三年までに二〇〇〇年比で四〇%減となっておりまして、二〇〇八年に設定しました現在の運輸部門の目標を既に達成しており、着実に削減が進んでおります。

○田中(健)委員 それぞれの大規模な企業や、また中小企業という中で、きめ細かい規制をかけまして、また中小企業に対しても補助や融資のあっせん等で、その対応を図ってきているということで、着実にこれまでは自動車部門からのCO2の削減が進んでいるということであります。
 また、きょうの局からのいただきました資料によりましても、都内のエネルギー消費量の部門別推移と、一番最初の資料でありますが、運輸部門におきましては、平成十二年度から見ても、毎年着実にこのエネルギー消費量が減っていることがわかります。六〇%減というさらに高い削減目標に向かって、この取り組みを推進していく必要があるかと考えます。
 その中で、さらなる削減を進めていく方法といたしましては、一つは、環境性能の高い自動車の普及拡大を図っていくこと、また二つ目には、効率的な自動車の利用やエコドライブなどの方法もこれまで環境局の中で進めてきたハードとソフトの取り組みでありますが、この二つの方法があると思います。
 まず、一つ目の環境性能の高い自動車を普及させるため、今後、都はどのように取り組みを進めていくのか見解を伺います。

○木村環境改善部長 二〇一三年度時点におけます都内におけるハイブリット車以上の次世代自動車等の普及割合は、乗用車で九・七%、貨物車で〇・四%となっております。
 環境審議会の最終答申では、二〇三〇年におけます都内の次世代自動車等の普及割合を、乗用車八割以上、貨物車一割以上とする目標が示されました。
 この目標達成に向けまして、これまでの導入補助や融資あっせんに加えまして、一日の走行距離が長いタクシーを次世代自動車等に転換することがCO2削減に効果的であることから、環境性能が高く、誰もが快適に移動できるユニバーサルデザインタクシーの導入に対しまして、新たに補助制度を創設いたします。

○田中(健)委員 二〇三〇年に乗用車の八割以上が次世代自動車になるということを考えますと、これもかなり高い目標であると思いますが、また同時に、今走っている車の八割がいわゆる電気自動車や燃料自動車というエコカーにかわるということで、こういう様子を浮かべますと、東京は大きく変わっていくんだなと。それが本当に実現したなら、本当にすばらしい環境の性能の車が走る都市が実現するんだなということを考えていました。
 これに対しても、今までよりもタクシーにこれからその導入を図っていくということで、大きな取り組みになると思いますので、ぜひとも推進していってほしいと思いますし、また、先ほど来、他の先生たちから水素エネルギーの件も多々質疑がされております。
 この水素エネルギーを導入することで、燃料自動車のさらなる推進も図られることかと思いますので、あらゆる施策をこれからしていくということもお話がありましたので、ぜひともこの水素のエネルギーの推進も図っていただきたいと思っております。
 また、自動車からのCO2削減には、環境性能の高い自動車の導入を今おっしゃってもらいましたが、もう一つは、効率的な自動車利用やエコドライブの普及拡大も大変重要なテーマであります。
 都は、この点については、今後どのように事業者への取り組みを促していくのかを伺います。

○木村環境改善部長 自動車環境管理計画書制度は、来年度から第四期が始まりますことから、事業者に対しまして次世代自動車等の導入台数やドライバーへの教育内容、それによりますCO2削減見込み量などを記載いたしました今後五年間の計画書を提出させ、引き続き事業者に対しましてCO2削減の取り組みを促してまいります。
 取り組みの進まない事業者に対しましては、事業所に出向きまして、状況を把握した上で参考となる優良事例を紹介するなど、引き続き指導助言をきめ細かく実施してまいります。

○田中(健)委員 この都の取り組みは、ディーゼル車規制の例を挙げるまでもなく長い歴史がありまして、このCO2削減や環境対応をしてきたということであります。
 今回、来年度から第四期の自動車環境管理の計画書制度も始まるということで、五年間の取り組みが始まります。これも長い歴史があり、しっかりと一つずつ実績を積み上げてきたというお話も聞かせていただきました。
 また一方、ヨーロッパでは、排出ガスの偽装の問題もあったばかりでありまして、環境性能の高い自動車への注目はさらに大きくなることも考えられます。
 ぜひとも、今、質問の中に挙げましたハードの面から、またソフト面の両面で、さらなる自動車部門におけるCO2の削減を図っていただきたいと思います。
 同時に、これまでご答弁いただきました取り組みのほか、運輸部門からのCO2削減には、交通渋滞の解消、また自動車に依存しないライフスタイルの転換など、まちづくりの視点からの対策も重要であると考えておりますし、今回の予算の中でもその取り組みが見られます。
 ぜひ今後公表される新たな環境基本計画を踏まえて、総合的に運輸部門からのCO2削減に取り組むよう期待と要望をしまして、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、まず初めに、持続可能な資源利用に向けたモデル事業について伺いたいと思います。
 都は、平成二十七年三月に策定しました東京都「持続可能な資源利用」に向けた取組方針を具体化するために、今年度、モデル事業を実施いたしました。
 資源ロス削減、エコマテリアルの利用促進、廃棄物循環利用のさらなる促進の三分野で合計六つの事業に取り組んだと聞いております。
 その一つに、食品ロス削減に向けたモデル事業があります。食品ロスの問題は、国連も積極的に取り組むなど、世界的にも問題になっている生活者に身近な課題であります。
 廃棄食品の横流し事件があってから、企業でも再発防止に努めておりますけれども、消費者も意識を変えることによって、購買行動が食品ロス削減につながるのではないかと考えております。
 私、先日、西葛西のスーパーで行われましたフードロス・チャレンジ・フェスを見てまいりました。この取り組みはテレビでも紹介されておりましたけれども、消費期限が近い生鮮食品にフードレスキューのシールを張り、捨てられる前に買ってと消費者の目にとまるようにしておりました。小さくて恐縮なんですが、局長がいらっしゃるから--このシールなんですけれども、博報堂の方がデザインされたということで、とてもかわいらしかったんです。
 私もこの日、この賞味期限切れのシールを張っている食品を買いまして、チラシやポスターを読んでから大変意識が変わりました。今まではどちらかというと、コーナーの一番奥からできるだけ賞味期限の長い食品を選んでいたんですけれども、いろいろ考えて、賞味期限が近い生鮮食品から購入することが食品ロス削減になり、それが社会貢献につながるという考え方から買い物をするようになりました。
 そこでまず、食品ロスの削減を目的として行われたモデル事業の狙いと実施内容について伺います。

○谷上資源循環推進部長 食品ロスの削減に向けたモデル事業は、フードロス・チャレンジ・プロジェクトという団体等と都が連携し、共同事業として都民が参加できるイベントを中心に、食品ロスの削減対策の理解を深めるということを目的に実施したものです。
 参加者が余った食材を持ち寄り調理する、いわゆるサルベージパーティーを昨年十月に実施したのを皮切りに、子供を対象に食品ロス対策の重要性を啓発する、もったいない鬼ごっこ等、各種のイベントをこのモデル事業において実施しました。
 また、委員のお話にありましたように、都内大手スーパーにおいて消費期限が近い生鮮食品などの購入が食品ロスの削減につながることをフードレスキューと名づけ、都民に情報発信するなどいたしました。

○西崎委員 食品ロスの削減については、身近な問題として考えていても、なかなか実際意識の高い都民でも、具体的にどのように取り組めばよいのかわからないといった声も聞きます。
 今回のモデル事業等を踏まえて、今後も継続的な取り組みが重要だと思います。都は、引き続きこの問題にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、企業等と連携して、事業者から排出される廃棄物についても、リサイクルの促進等に向けた、これまでにない提案型のモデル事業を実施しています。こうした事業の狙いと実施内容などについて伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 今お話がありましたこれらのモデル事業につきましては、まだリサイクルの不十分な事業系廃棄物の分別の徹底や、より質の高いリサイクルへの取り組みなどについて、新たな視点を加えて行ったものでございます。
 今回、先進的な民間企業と連携して、お台場地区における事業系のペットボトルのリサイクルや、都心のオフィスビルにおける廃棄物の見える化事業などを実施しました。
 例えば、お台場地区におけるモデル事業では、ペットボトルのリサイクルループの構築に向け、商業施設への来場者の動線を意識したリサイクルボックスの設置や、リサイクルした製品を地区のイベント開催時に活用するなど、工夫を凝らした取り組みを行いました。

○西崎委員 今回のモデル事業については、民間の知恵を活用して、持続可能な資源利用という目的の実現につながるというよい取り組みだと思っております。
 来年度予算においても、モデル事業に関する予算が措置されていますけれども、来年度の展開についてお聞かせください。

○谷上資源循環推進部長 このモデル事業は、持続可能な資源利用の促進という行政目的を、民間事業者が持つさまざまなアイデアや知見を活用しながら、都と共同で事業を行い達成していくものです。
 来年度につきましても、先進的な企業等と連携したモデル事業を実施するとともに、今年度も含め、モデル事業で得られた成果を踏まえ、多くの企業に取り組みを促す施策を検討するなど、持続可能な資源利用に向け、より一層取り組みを推進してまいります。

○西崎委員 今後もぜひ続けていっていただきたいと思うんですけれども、都は、容器包装リサイクル法施行に合わせまして、ペットボトル回収のための東京ルールを設けたことがあります。ペットボトル飲料を取り扱う事業者に、責任を持って回収するよう求めたものでした。
 このルールは、廃棄物行政が区に移管されて消えてしまいましたけれども、先ほどのモデル事業のように、事業者から出る廃棄物を減らす取り組みは重要だと思います。リサイクルだけではなく、リデュース、リユースの施策もさらに進めていっていただきたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーの拡大について伺います。家庭部門の再エネ、省エネについてです。
 都は、先月、太陽光発電の導入量を二〇三〇年までに百三十万キロワットまで高めるという新たな目標を明らかにしました。都内には、メガソーラーに適した広大な土地はありませんから、このような目標を実現するためには、家庭への太陽光発電の導入拡大への取り組みが重要になると考えます。
 都として、来年度どのような取り組みを予定しているのか伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 太陽光発電の導入に向けまして、都は、東京ソーラー屋根台帳などを活用しながら、区市町村とも連携し、普及啓発に取り組んでおります。
 また、今年度から、既存住宅における再エネ、省エネ促進事業といたしまして、断熱性を高めるリフォームと同時に、太陽光発電等を導入する場合に費用の一部を補助する制度の運用を開始しております。
 加えまして、国の固定価格買い取り制度による普及と並行して、来年度から開始予定の家庭におけるエネルギー利用の高度化促進事業におきまして、蓄電池の導入費用の一部を補助し、都民がつくり出した電力をみずから消費するよう促すことで、太陽光発電の導入拡大を図っていきたいと考えております。

○西崎委員 国の固定価格買い取り制度の行方が不透明な中で、オフグリッドへの注目も高まっております。そこまでいかないとしても、来年度から始まる補助金は、災害時の活用や自前の電力を自家消費する取り組みでもあり、それによって太陽光発電が促進されるよう期待するものです。
 こうした補助金などの支援制度が十分活用されるためには、都民や事業者にその情報が伝わることが重要です。都民や業界団体向けの説明会などで周知を図っているということですが、引き続き、きめ細やかなPRに努めていただきたいと思います。
 次に、区市町村との連携による再生可能エネルギーの普及について伺いたいと思います。
 まず、昨年度の補正予算で積立金を計上した再生可能エネルギー等導入推進基金についてですが、今年度からのこの基金を原資として、区市町村が震災時等に避難所となる施設に太陽光パネルなどを設置する費用を助成すると聞いております。
 補正予算から一年が経過しましたが、この基金を活用した事業の現状について伺います。

○篠原環境政策担当部長 これまでに三区五市二町及び一部事務組合一団体の合計十一の団体が実施いたします小中学校四十二校、体育館その他の施設三施設、合計四十五施設での整備事業に対しまして補助金の交付を決定しております。
 事業は、いずれも避難所となる施設に太陽光パネル及び蓄電池等を設置するものでございまして、現在、設計または設備設置工事を進めている段階でございます。

○西崎委員 この事業は、太陽光発電導入を拡大するとともに、震災対策にも資する取り組みです。国からの交付要件が窮屈な面もあるようですけれども、区市町村と連携して引き続きしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、地域環境力活性化事業について伺います。
 この事業には、区市町村への補助メニューの中に、再生可能エネルギーの普及に関するものが幾つかあるようですが、太陽光エネルギーに関するメニューについて、その内容を伺います。

○篠原環境政策担当部長 都は、建物の屋根を活用した太陽エネルギーの利用ポテンシャルを調査いたしまして、ソーラー屋根台帳として公開しております。
 地域環境力活性化事業では、区市町村がこの台帳を活用して行います太陽光エネルギーの普及啓発事業に財政支援しておりまして、これまでに一団体が助成を受けて事業を実施しております。

○西崎委員 太陽光発電に関しては、私の地元であります世田谷区でも、区と世田谷サービス公社が力を入れておりまして、建物の屋根を活用してエネルギーを生み出す、通称ヤネルギーという取り組みを進めております。
 今後、都と区市町村が連携して、適切に役割分担すれば、建物の屋根を利用した太陽光発電をもっと推進できるのではないかと思います。
 業者は、補助金の出る機器を消費者に進める傾向があります。以前は太陽光発電に、固定価格買い取り制度以降はHEMSや蓄電池へと移ってきています。
 太陽光発電の導入拡大のために、生活者ネットワークは太陽光発電単体への助成を継続するように求めてきましたが、残念ながら現在では実現しておりません。効果的で使いやすい助成のあり方を検討していただくよう要望しておきたいと思います。
 次に、大気環境への取り組みについて伺いたいと思います。
 ガソリンベーパーという自動車から蒸発するガスは、大気中の反応でPM二・五や光化学スモッグの原因となるVOCの一種です。給油するときの独特なにおいがまさにガソリンベーパーとのことです。
 国のデータによりますと、二〇一二年のVOC排出量は、日本全体で八十二万トンですが、そのうち自動車からの排出は、給油時に七万トン、駐車時に三・一万トン、走行時に一・八万トンとなっております。
 ガソリンベーパーの排出抑制対策には、ガソリンスタンド側での対策と自動車側での対策があると聞いていますが、それぞれどのような方法があるのか伺います。

○木村環境改善部長 ガソリンスタンド側の対策には、二つの方法がございます。
 まず、タンクローリーからガソリンを荷おろしするときに、地下タンク内から押し出されます蒸発ガス、ガソリンベーパーをタンクローリー内に回収する方法でございます。
 次に、自動車の給油時にガソリンベーパーをノズルで吸引し、地下タンク内へ回収する方法でございます。
 一方、自動車側の対策といたしましては、自動車内に蒸発ガス回収装置を搭載し、給油時、駐車時、走行時、いずれのガソリンベーパーも回収し、燃料として利用するORVR車がございます。

○西崎委員 答弁にありましたガソリンスタンド側の一つ目の対策であるタンクローリーからガソリンを荷おろしするときの対策については、都は、条例に基づき二〇〇一年度から回収設備の設置を義務づけておりますけれども、それ以外のガソリンベーパーの回収は現在行われておりません。
 生活者ネットワークは、昨年の第一回定例会の一般質問で、PM二・五、VOC対策として、ガソリンベーパーの問題を取り上げ、アメリカでは義務づけられている蒸発ガス回収装置のついたORVR車への転換が重要であることを確認いたしました。
 海外では、どのようにガソリンベーパー対策を進めているのか伺います。

○木村環境改善部長 アメリカでは、タンクローリーからガソリンを荷おろしする際の対策に加えまして、二〇〇六年以降、ORVR車の導入が義務づけられております。
 アジアにおきましては、中国でORVR車の導入が決定し、韓国でも導入を検討中であると聞いております。
 一方、ヨーロッパでは、揮発性が低い軽油を使うディーゼル車が多いことや、比較的平均気温が低く、駐車時にガソリンが揮発しにくいことから、ORVR車ではなく、ガソリンスタンドでの対策となっております。

○西崎委員 ORVR車は、給油時だけでなく、駐車時や走行時にも有効であるため、ガソリン車の多い日本でのガソリンベーパー対策として、一刻も早くORVR車導入を実現していく必要があります。
 ORVR車導入実現に向けて、都は、今後どのように取り組みを進めていくのか見解を伺います。

○木村環境改善部長 ガソリンベーパーは、都内VOC排出量の一四%を占めており、都といたしましては、給油時、駐車時、走行時、いずれの場合でもガソリンベーパーを回収できるORVR車の導入が最も適切であると考え、昨年夏に国に提案要求いたしました。
 また、九都県市といたしましても、これまでにORVR車の早期義務づけを国に対して要請してきております。
 国は、来年度末までにガソリンベーパー対策の方向性を示す予定でございます。そのため、今後も九都県市と連携いたしまして、国や関係者に対して、ORVR車導入義務づけを求める要請を行ってまいります。

○西崎委員 日本の自動車メーカーは、アメリカ向けの輸出車はORVR車としておきながら、国内向けには販売されないで、大気環境の悪化の原因をつくっているのではないかと思います。
 VOCは、健康被害をもたらし、さらにPM二・五の原因物質にもなるため、日本国内への配慮がない姿勢は速やかに是正すべきではないでしょうか。
 また、ガソリンベーパー問題については、私たち市民が使っている車が引き起こす環境汚染でありながら、一般にはORVR車の必要性だけではなく、ガソリンベーパーという言葉自体知られていないのが現状です。私も恥ずかしいのですが、この質問を取り上げるまでは、ガソリンベーパーという言葉さえよくわかりませんでした。
 ORVR車導入義務づけと国を動かすには、市民の認識、世論が大きな力になります。九都県市ではガソリンベーパーに関する電車内の映像広告、パンフレットを作成しております。これがそうです。こうした周知の取り組みは、大変重要だと思います。
 パンフレットなどでより多くの人に問題を知ってもらうために、そして、これを読みますと、ガソリンベーパーという言葉はよくわからないんですけれども、私たちの生活の身近にある問題だということで、PM二・五という問題は中国だけだと思っていたのが、実は自分たちの身の回りにある、これが発生源であることをもっと大きくアピールしていって、市民の興味を引いて、認知度を上げていくことが大変重要なんではないかと思いますので、ぜひ今後も継続して、そして工夫して、普及に努めていただきたいと思います。
 次に、アスベスト対策について伺いたいと思います。
 東京では、高度経済成長期に建設されました建物の老朽化や再開発などを背景に、アスベスト含有建築物の解体棟数は既にピークを超えておりまして、二〇五〇年ごろまで毎年千件から千五百件程度のアスベスト含有建築物の解体工事が続くと推定されています。
 私たちは、大量にストックされたアスベストに囲まれて生活しています。それらのアスベストを適正に撤去、廃棄させていくためには、事業者に任せておくだけでは、残念ながら十分ではありません。多くは適正な工事ですが、一部では不適切な工事によりまして、目に見えない発がん性物質、アスベスト粉じんが飛散している現実もあります。
 環境局では、都市整備局や区市の担当との合同パトロール、労働基準監督署と協力して、解体工事現場への立ち入り検査を実施していますけれども、事業者によってはアスベストの調査や適切な掲示を行っていない事例があります。
 今年度のアスベスト担当による解体工事現場への立ち入り検査件数と、不適正事例について伺います。

○木村環境改善部長 平成二十七年四月から二十八年一月末までに、都及び区市合わせまして、大気汚染防止法に基づく届け出があった工事現場に千五十件、届け出がない工事現場に千九十九件の立ち入り検査を実施いたしました。その結果、約一七%に当たる三百六十二件で指摘事項がございました。
 このうち、アスベストの有無を調べる事前調査が不十分なまま着工した現場、アスベストがあるにもかかわらず、無届けで着工した現場というアスベストの飛散が懸念される事案が計八件、〇・四%ございました。
 このような現場では、工事を停止させ、アスベストの有無を確認してから着工することを指導し、アスベストの飛散防止を図っております。
 このほかの指摘事項といたしましては、事前調査結果の掲示がない事例がほとんどであり、これらの現場では、周辺住民の見やすい場所に掲示するよう指導いたしました。
 引き続き、工事現場への抜き打ちの立ち入り検査を実施し、事業者に法令遵守の徹底を指導してまいります。

○西崎委員 二〇一〇年、新宿区の東京厚生年金会館の解体工事が計画され、これに隣接した新宿区立保育園の保護者は、園児たちが解体工事に伴うアスベスト粉じんにさらされることを心配しました。住民が解体事業者のアスベストの調査漏れを事前に見つけ、適切な工事の実施を事業者や行政に働きかけた結果、保育園周辺のアスベスト大気中濃度の測定と監視が行われ、安全な解体工事が実施されました。
 また、二〇一五年の東府中にある社宅解体工事現場では、敷地が隣接したところに保育施設があり、幼児たちが一日中保育されている環境でした。この解体工事では、施主事業者による工事説明会に、毎回多くの近隣住民や隣接する保育園の園長、保護者、府中市生活環境課の職員などが参加して、質の高いアスベスト除去工事が実現しました。
 都は、区市からの依頼に基づき、アスベストの知識を有する専門職員を工事現場に派遣し、アスベストの飛散防止のための手法や監視等に関する技術的助言を区市職員に行うほか、アスベストの分析を実施しています。引き続き、関係者や区市と連携して、解体工事への立ち入り指導を強化してほしいと思います。
 さらに、解体事業にかかわる人へのアスベスト対策も重要です。
 現場の作業員は、二十年後、三十年後もアスベストによる中皮腫のリスクにさらされます。特に若者は、五十代の働き盛りに発症するリスクも懸念されます。こうした現場の作業員にも、アスベスト含有建材等に関する知識を身につけることにより、みずから身を守ることができるような研修が必要と考えます。
 そこで、工事事業者自身にアスベストによる健康影響や、飛散されないようにする作業基準などを正しく理解される取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○木村環境改善部長 都は、アスベスト診断士などの資格を有します専門職員等を事業所まで派遣し、解体工事に直接携わる作業員などを対象といたしました出前講座形式の講習会を今年度十回以上開催いたしました。
 この講習会では、アスベストの健康影響や含有建材の種類などアスベストに関する基礎的な知識や具体的な飛散防止対策などについてわかりやすく解説を行っております。
 今後は、立ち入り検査時に出前講座の案内リーフレットの配布や、建設業団体などを通じたPRを積極的に行い、多くの事業所で講習会を開催し、工事事業者に対しましてアスベストの飛散防止対策の一層の周知に努めてまいります。

○西崎委員 最後に、フロン対策について伺いたいと思います。
 都では、昨年四月に執行されましたフロン排出抑制法に基づき、フロン機器を使用する事業者に対して立ち入り検査を行っていると聞いています。
 法が施行されて二年目となる来年度、都は、フロン機器の適正管理についてどのように取り組みを進めていくのか伺って、質問を終わりたいと思います。

○木村環境改善部長 フロン排出抑制法によりまして、業務用エアコンや業務用冷凍冷蔵機器を所有する全ての事業者に適正管理の義務が課されました。
 こうした機器のユーザーへの立ち入り検査につきましては、今年度は、まず率先的に対応すべき国、都、区市町村の施設を中心に実施いたしました。
 来年度は、民間事業者にも拡大し、四半期ごとに行う点検のポイントや点検記録の電子化等の助言も行い、適正管理の浸透を図ってまいります。
 また、点検漏れがないよう、機器ごとの点検時期が表示されるシステムの導入などのすぐれた取り組み事例をホームページに公開いたします。
 加えまして、ユーザーと直接接点のあるフロン類重点回収業者に対する講習会などを通じました効率的な周知を継続するなどによりまして、フロンの適正管理を定着させてまいります。

○田中(朝)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時三十分開議

○田中(朝)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○菅野委員 私からは、今回、議案としても条例改正の提案がなされておりますけれども、緑の東京募金に関連してちょっとお聞きしたいと思います。
 先日の予算特別委員会でも、私は、この緑の東京募金を取り上げまして、その際、舛添知事の方からは、この東京募金を今回、花と緑の東京募金という新しい募金に再構築をして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向け、この東京を花で彩るということで、花と緑あふれる都市東京を目指すとの答弁をいただきました。
 そこで、きょうはこの新しい募金について、さらに質疑を行っていきたいと思います。
 まず初めに、都は、これまでの緑の東京募金をどのように総括をしているのか伺いたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 都はこれまで、都民、事業者のご協力のもと、平成十九年十月から平成二十八年二月までの約八年間で九億三千万円を超える募金を集めさせていただきました。
 この募金を活用し、海の森の植樹や街路樹の倍増を今年度中に完了するとともに、公立小中学校八十二校の校庭芝生化や、森林百六十六ヘクタールでの花粉の少ない杉への植えかえを進めるなど、都内の緑化を着実に進めることができたと考えております。
 緑の東京募金は、緑化という共感しやすいテーマのもと、募金者が使い道を選択できる仕組みとしたことで、都民、事業者の幅広い支持を集め、九億円を超える募金に結実したと考えており、緑を植え、育てる機運の醸成に大きく寄与したと認識をしております。

○菅野委員 この緑の東京募金はこの八年間で九億三千万円ですか、九億円を超える募金を集めたということです。
 こうした募金に対する都民、そして企業、そうした多くの皆様の善意には本当に心から敬意を表したいと思いますけれども、この結果を聞きまして、緑を大切にして身近な緑をふやしたいという、やはりそういうふうに考える都民の気持ちが強いということを改めて実感をいたしました。
 そこで、今回、緑の東京募金を花と緑の東京募金に衣がえすることになるわけですが、新たな募金においても、引き続きこの緑を大切にしたいという都民の思いをこれまで以上に受けとめるべきであると思います。
 とりわけ、都内には、森林や里山等の貴重な自然があり、今後は緑をふやす取り組みだけではなく、これらを守る視点も加え、緑を大切にする共感の輪を一層広げることが重要だと考えます。
 都は、こうした視点を踏まえて、花と緑の東京募金を活用して、どのような緑施策を推進していくのかをお伺いしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 多摩地域には豊かな森林や里山などが残されており、こうした東京の貴重な自然を将来の世代に引き継ぐことは重要な課題と認識をしております。
 このような認識のもと、都は、企業、ボランティア団体など幅広い都民の参画を得ながら、森林や里山で下草刈りや枝打ち作業などを実施し、良好な自然環境の保全を進めているところでございます。
 こうした緑地保全活動などを新たに募金の対象とし、保全活動を担う人材の育成に役立てながら、自然環境を守る機運の醸成を一層図ってまいります。
 今後、これまでの目に見える緑をふやす取り組みに加え、緑を守る取り組みにもその活用を広げ、緑施策を多角的に推進する募金として位置づけていきたいと考えております。

○菅野委員 都民とともに、こうした森林や里山などを守ることは、次世代に貴重な自然を引き継ぐことにつながるだけではなくて、国内外からの来訪者にも魅力ある里山などを訪れていただいて、多様な顔を持つ東京を知ってもらう契機になると思います。
 私も昔、昔というか、港区で区民の森というのをあきる野市にやっているんですが、そうした森の間伐体験なんかで何度か多摩の森へ入らせていただいて、あと、都議会の森林議連の方でも見学させていただいたりして、実際にそういった場に行って、森、森林、そして、そういった間伐作業、そうしたものに触れることで、本当に新たな魅力というか、自分が環境を守るということもそうですけれども、そうした緑に触れることで新たな東京の魅力に触れることができる本当にいい機会じゃないかなと思っておりますので、ぜひこういったものを活用いただければと思います。
 そして、花と緑の東京募金は、こうした緑を守る取り組みについても着実に推し進める原動力になることを今申し上げたように期待しているわけですが、それでは新たに開始する花と緑の東京募金、これについてはどのような事業に活用していきたいのか、お考えを伺いたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 都はこれまで、海の森の植樹、街路樹の倍増、校庭芝生化、花粉の少ない森づくりの四つの事業に、緑の東京募金を活用してまいりました。
 このうち、海の森の植樹と街路樹の倍増は、今年度中に終了することから、募金の目的や対象となる事業を見直すことといたしました。
 新たな募金では、これまでの校庭芝生化と花粉の少ない森づくりの二つのメニューに花を生かした緑化と緑を守る人材育成を加え、四つの募金メニューを用意する予定でございます。
 引き続き、都民が使い道を選択して募金できる仕組みを用いることで、都民の理解と共感を得る工夫をしながら募金を効果的に活用してまいります。

○菅野委員 民間団体の調査によると、募金者が寄附先を選ぶ際には、それで重視している点として、寄附金の使い方が明確で、有効に使ってもらえるかどうかということがやはり一番判断するポイントになるということで上位でありました。
 新たな募金でも、都民が使い道を選択して募金をできるということで、ぜひ効果的な運営を図っていただきたいと思います。
 そこで、花と緑の東京募金では、新しい募金メニューとして花を生かした緑化と緑を守る人材育成を加えるとのことですけれども、具体的にどのような事業に活用していくのか伺いたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 花を生かした緑化では、その第一弾として、お台場海浜公園において、桜やサルスベリなどを植樹する事業への活用を検討してまいります。
 また、緑を守る人材育成では、大学生や企業による里山保全活動事業への活用を検討してまいります。
 こうした花を生かした緑化や緑を守る人材育成といった事業は、さまざまな時期や場所で実施されるものと考えております。
 このため、今後、各局と連携して、順次対象事業を追加し、花と緑の東京募金の内容を一層充実させるとともに、それぞれの事業の進捗状況に応じて柔軟に募金を活用しながら、花と緑あふれる都市東京の実現を目指してまいります。

○菅野委員 お台場海浜公園には、かなり以前から桜を植えてほしいなという話は地元の方からもご要望があったというふうに私も聞いています。
 来年度からは、その桜に加えてサルスベリなどの植樹事業が開始されるということをこの間も伺いましたけれども、大変意義深いことであります。こうした取り組みに、この花と緑の東京募金が活用されれば、都民、住民との連携の輪が一層広がって、臨海地域のさらなる魅力の向上につながると期待をしています。
 花と緑の東京募金を成功させるためには、都民を初めとするさまざまな主体の理解と協力が不可欠であります。
 住民、民間事業者、区市町村からの提案をよく聞いていただいて、ぜひ今まで以上に柔軟にそれに対応して、全庁挙げて取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○大島委員 パリで開かれましたCOP21、すなわち国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議は、パリ協定を採択し、気温上昇を産業革命以降、二度未満に抑えるのみならず、一・五度に向けた努力をする長期目標を決めました。今世紀末には、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという中期目標を明確に設定いたしました。
 国の削減目標は、二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%、これは九〇年比で換算しますと一八%にすぎません。EUの九〇年比四〇%、スイスの五〇%、ノルウェー四〇%、アメリカの二〇〇五年比三二%削減に比べても極めて低い値だと思っています。
 温暖化の影響で、世界の気温は〇・七度上昇していますが、東京は都市化の影響を受けて三度上昇しているといわれています。
 舛添知事は、温室効果ガスについて意欲的な削減目標を掲げるといって、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減、これは京都議定書の一九九〇年比で換算しますと、二四%削減という目標を設定するといっていますが、現在の環境基本計画の二〇二〇年までに二五%削減というこの目標の達成見込みについてお伺いをいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 東京都環境審議会から答申いただきました東京都環境基本計画のあり方についてに記載されておりますとおり、CO2排出係数を二〇〇〇年度に固定した二〇一三年度の温室効果ガス排出量は、速報値で二〇〇〇年度比一〇・八%の減少となっております。
 引き続き、都民、事業者のご協力のもと、先進的な環境施策を積極的に展開いたしまして、確実に目標を達成してまいります。

○大島委員 二〇二〇年末までに二五%達成というのは、なかなか大変な仕事だなというふうに思うんですね。今お答えがありましたけれども、二〇一三年度から考えますと、あと七年間で一四%以上の削減が必要となるという計算になるんですね。
 新たな目標値では、二〇二〇年以降の十年間で五%削減ということで、これでは本当に意欲的な目標なのかどうなのかと考えざるを得ません。
 京都議定書採択の開催都市であった京都市では、二〇〇五年度に地球温暖化対策に特化した京都市地球温暖化対策条例というのを全国に先駆けて施行しまして、京都市役所CO2削減アクションプラン、これも改定をして温暖化対策に積極的に取り組んでおります。
 そして、二〇一〇年には、この条例を全面改正して二〇三〇年までに一九九〇年比で四〇%削減という高い目標を条例に明記して取り組んでいるんです。
 条例では、事業者及び市民等による地球温暖化対策の取り組みが明確に位置づけられておりますし、事業者の排出量削減計画や建築物排出量削減計画などの提出を義務づけているというのが特徴です。
 私は、意欲的な目標というのなら、東京都としても目標の引き上げが必要ではないかと考えています。
 先ほども申しましたが、京都市では、京都市役所CO2削減アクションプランというのを改定して温暖化対策に取り組んでいるということですが、東京都もこれまで、温室効果ガス削減都庁行動計画により取り組みを進めてきたと聞いています。
 今後、新たにスマートエネルギー都庁行動計画を策定するとしていますが、これまでの計画の成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 温室効果ガス削減都庁行動計画で定めました温室効果ガスを二〇一四年度までに二〇〇〇年度比二〇%削減するという目標は、おおむね達成することができました。
 引き続き、都の気候変動対策を牽引するため、新たな目標と取り組みを定めるスマートエネルギー都庁行動計画を本年三月末に策定する予定でございます。
 新たな目標のもと、照明、空調の運用対策の徹底、LED化や高効率省エネ機器の導入推進、再生可能エネルギーの導入拡大など、今後とも、都民、事業者の範となる取り組みを進めてまいります。

○大島委員 スマートエネルギー都庁行動計画、三月末までにというので、もうできているのかなと思って実はご質問したんですけれども、まだできていないということだったので、いずれにしても、意欲的な目標の設定とか取り組みをしてくださるように期待をしています。
 とにかく都民や事業者の範となる取り組みという点では、都庁が非常に注目されているということも、ぜひこうした行動計画の中にも反映をしていただきたいというふうに思っています。
 次に、温室効果ガスの排出量の多い大規模事業所、これは業務とか産業部門、これを対象にした東京都のキャップ・アンド・トレード制度というのが効果を上げています。
 二〇一四年度は、基準年度と比べて二五%削減となっておりますし、二〇一五年からの第二期の計画期間の目標、一七%も既に達成しているという状況です。
 その点からいえば、この削減の義務率を、第二期計画がもう既に始まっていますけれども、もっと引き上げることはできないのかと。また、こうした大規模事業所という点でいえば、都内にある発電所なども対象にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○笹沼地球環境エネルギー部長 第二計画期間の削減義務率につきましては、現在の環境基本計画の削減目標を達成する観点を第一に、事業所の削減余地も考慮しつつ、専門家の意見を伺い、パブリックコメントを行った上で設定したものでございます。
 既に今年度から第二計画期間に入っておりまして、対象事業所は、義務の履行に向け、一層の取り組みを計画、実施しているところでございます。こうしたことから、第二計画期間の削減義務率を見直すことは考えておりません。
 また、都内の発電所の取り扱いについてでございますが、都は、エネルギー環境計画書制度によりまして、都内へ電気を供給する事業者に対して、CO2排出係数を削減する取り組みや、削減目標等を記載した計画書と、その実績報告書の提出を義務づけておりまして、事業者の計画的なCO2排出係数の削減を促進しております。
 このため、これに重ねてキャップ・アンド・トレード制度の対象とする必要はないと考えております。

○大島委員 既に第二計画期間に入っているということもありますし、それぞれの事業者がそれぞれ決められた義務率で達成しようということで頑張っているというのは十分わかります。
 ただ、全体として進んでいるし、効果のある事業だということで考えれば、次の計画期間に向けて、やはり目標値をもうちょっと引き上げて、全体として、この義務率というか、この計画を推進するということも必要ではないかというふうに思っておりますので、ぜひその点についてもお考えいただきたいと思っています。
 先ほど発電所の関係でお聞きをいたしましたけれども、都内へ電気を供給する事業者ということで、東京電力が中心ですけれども、都内にある発電所だけじゃなくて、ほかから電気を持ってくるんで、そこも含めてというふうなことで、実はこのCO2の排出係数とか、そういうものを取り組む削減目標値を出させているということなんですけれども、実は、私たち日本共産党都議団の有志で、二月五日の日に品川と大井の東京電力の火力発電所を視察してまいりました。大井と品川の両発電所で東京全体の電力の一〇%強を発電しているということで、大変なことだなというふうに思いました。
 旧品川火力発電所というのは、もともとは使用燃料が原油であったために、非常に熱効率の関係とかで悪かった、CO2の排出も多かったということもあって、二〇〇一年の七月に改良型コンバインドサイクルというのに変えたということなんです。
 使用燃料も都市ガスに変えたために、熱効率が非常によくなって、CO2の排出量も年間約三百トンということでお聞きしてまいりました。
 大井火力発電所というのは、築四十五年の老朽発電所なんですね。今でも原油を使用しているということで、使用燃料を都市ガスに変えた場合、時間一キロワット当たり約四割のCO2の削減ができるということを聞きました。
 ただ、この大井火力発電所の設備の更新とか、リプレースのことについては、国が今、新総合特別事業計画というのを検討している最中なので、個別の状況については答えられないということで、明確なお答えは得ることができませんでした。
 ただ、大井火力発電所、老朽化しているということもあるし、CO2の排出量も多いということなんでしょうけれども、一号機から三号機まであるんですけれども、それを稼働することについては、季節とか、それから、その日の温度の予報などから事前に稼働計画をつくって決定しているということで、全部を一遍に稼働させているわけではなくて、とめているところもかなりありました。
 こうした努力をしているということは非常に理解できるんですけれども、東京電力にCO2排出の取り組みや削減目標等を記載した計画書と、その実績報告書の提出というのは、先ほどもいいましたように、都内へ電気を供給する事業者ということで、都内にある、この二つの火力発電所を対象にしたものではないと聞きました。
 この二つの両火力発電所は、温室効果ガスの排出量の多い大規模事業所でもありますし、指定地球温暖化対策事業所の削減義務を課す、キャップ・アンド・トレード制度の対象とすることで、確実な総量削減ができるのではないかと考えています。
 東京都は、大規模事業者に対するさまざまな取り組みということでやっているんですけれども、CO2の削減幅が小さい中小規模の事業者や家庭の省エネ対策を今後積極的に後押しをすると述べています。
 中小事業者の省エネの取り組みを進めるためには、専門のコンサルを派遣して、事業所の省エネ診断を行い、省エネのための初期投資に必要な費用を捻出するために、無利子の融資とか債務保証などの支援を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○笹沼地球環境エネルギー部長 中小規模事業所の省エネを進めるため、都は、エネルギー管理士等による無料の省エネルギー診断を実施いたしますとともに、省エネ機器の導入等に対する補助、省エネ促進税制による事業税の減免などを行っております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、中小規模事業所の省エネ対策を後押ししてまいります。

○大島委員 都内の産業、業務部門の温室効果ガス排出量の約六割を占めているのが、この中小規模の事業所だということですが、ここで省エネ診断とか技術的な助言を受けることによって、光熱水費などの大きな削減ができるなど、CO2の削減だけでなくて、事業者にとってもとても大きなメリットがあるんですよね。
 この省エネ診断をまだ受けていない事業所が数多く残されているという現状を見れば、ぜひこうした省エネ診断などの普及啓発をもっと強化していただきたいと思っています。
 都内の温室効果ガスの排出量というのは、二〇〇〇年度と比べて一三%増加、部門ごとに見ますと、業務は約三九%増、家庭は約四五%の増で、対策が急がれています。
 業務では、事務所の床面積が増加したこと、家庭では、世帯数が増加したこと、これが理由の一つとなっています。
 二〇一三年度からオフィスビル等へのコージェネレーションシステム導入への助成が行われてきましたが、きょういただいた資料を見ますと、二〇一四年度で補助金がなくなるほど実績が上がっています。
 この事業の評価と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 当事業の申請期間は、平成二十五年度からの五カ年を予定しておりましたが、想定を上回る申請がございまして、二カ年で受け付けを終了してございます。合計で六万二千キロワット余りのコージェネレーションシステムが導入される予定でございます。これは、開発事業者の低炭素かつ災害に強いまちづくりへの意識が高まったことによるものと考えてございます。
 また、今年度からは、エネルギーの面的利用を促進するため、建物間を結ぶための熱導管や電力線も助成対象に加えましたスマートエネルギーエリア形成推進事業を開始してございます。

○大島委員 やはり効果が大変高いというもの、お金がなくなる、補助金の範囲内だということだと、早く使ってしまったところはそれで入るんだけれども、そうじゃないところは後から手を挙げるとちょっと遅くなって、それが補助金をもらえないとかということになるんですけれども、やっぱりそういう期待が高まっているということをよく見る必要があると思うんですね。
 今年度からは新しいスマートエネルギーエリア形成推進事業というのを開始しているということですが、これと、前のオフィスビル等へのコージェネレーションシステム導入のための助成というのは若干違う部分もありますので、こういうこともやっぱりいろいろ考えていただいて、補助金の枠を上げるとか、補助金の額を上げるとか、そういうことも一緒に考えていっていただきたいなというふうに思っています。
 それに、家庭における温室効果ガスの排出量が約四五%増ということになっていて、家庭での省エネ対策も急がれています。家庭の省エネアドバイザー制度の活用もぜひ普及啓発していただきたいと思います。
 家庭における新たなCO2の削減策として、来年度から新規事業として、エネルギー利用の高度化促進事業と、住宅の低炭素化推進事業が予算化されておりますが、この事業の内容についてお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭におけるエネルギー利用の高度化促進事業は、家庭用燃料電池等の高効率な設備機器の導入費用の一部を補助するものでございます。東京都環境公社に三十五億円の基金を設けまして、平成三十一年度までの四年間実施していく予定でございます。
 また、住宅の低炭素化推進事業は、断熱性、機密性にすぐれた高水準な省エネモデル住宅について調査検討するものでございます。

○大島委員 東京電力の福島第一原発事故からちょうど五年がたちまして、安全な電源を使いたいとか環境に優しい電気をという世論の高まりを受けまして、この四月から家庭向けの電力の小売全面自由化が実施されることになっています。
 電力自由化の意義として、多様な電源の活用と、それを消費者が自由に選べる点を挙げています。安心・安全でクリーンな再生可能エネルギーの普及拡大が求められています。
 舛添知事も、二月十九日の定例記者会見の中で、まず、再生可能エネルギーは、二〇三〇年までに都内の再生可能エネルギーによる電力利用割合を三〇%程度にまで拡大する、長期ビジョンでは、二〇二四年までに二〇%程度とやっていたのだけれども、二〇三〇年まで、ここまでやりましょうと。これは二〇三〇年までに二二%から二四%というのが国の目標で、それをはるかに上回る高い数字なので、環境の面でも、国をリードしていこうということで述べています。
 二〇一四年度末の達成状況を見ますと八・七%であります。目標達成に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 新たな再エネ目標の実現に向けまして、需給両面からの取り組みが必要でございます。
 需要面では、省エネ、節電の着実な推進により、エネルギー消費量の削減を図ってまいります。
 供給面では、東京ソーラー屋根台帳を活用した普及啓発等による太陽光発電の導入促進、都市型バイオマス発電や地産地消型の再エネ電気、熱の導入拡大など、東京の特性を踏まえた取り組みを進めてまいります。

○大島委員 都は、住宅用の太陽光発電についての補助事業を二〇〇九年度から二〇一二年度まで実施してきましたけれども、都内の再生可能エネルギー導入量は、太陽光発電が大幅に伸び、二〇一三年度実績で二〇〇八年度比の約六倍になっているということであります。
 再生可能エネルギー導入をさらにふやすためにも、住宅用の太陽光発電設備の設置を進めるということが非常に重要だと考えます。
 都として、住宅用太陽光発電の補助事業をぜひ復活することを要望しておきたいと思います。
 知事は、今度のオリンピック・パラリンピックでは、水素社会というレガシーを残したいということを繰り返し述べています。
 先ほどの定例記者会見の中でも、長期ビジョンでは、オリンピック・パラリンピックまでに燃料電池自動車を六千台、二〇二五年までに十万台であったところを、二〇三〇年までに二十万台にふやすということでありますし、水素ステーションは、二〇二〇年までに三十五カ所から始めて、二〇二五年までに八十カ所であったところを、一気に二〇三〇年までに百五十カ所までふやすというようなことを述べています。
 安全性や安定供給のために、今、慎重な検討が必要であるこの水素エネルギーの活用についてお伺いをいたします。
 水素エネルギーの普及に当たっての課題は何なのか、今後、水素需要がふえることが見込まれておりますが、安定して水素を供給しなければなりません。その供給はどのように行っていくのか、また、再エネ由来などのCO2フリー水素をどのように普及させていくのか、お伺いをいたします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及に向けましては、安定的かつ低価格な水素の供給と、それに必要な技術開発等が課題であると認識してございます。
 現在は、石油精製の過程などで発生する副生水素と都市ガスなどを改質した水素が主に供給されてございます。
 水素需要が拡大していく中で、当面はこれらの水素を活用していくこととなると認識しております。
 国は、二〇四〇年ごろにCO2フリー水素の本格的利用を見込んでおりまして、都は、昨年公表いたしました水素社会の実現に向けた東京戦略会議の取りまとめにおきまして、低炭素な水素の先導的導入を方針と掲げて、太陽光等の再生可能エネルギーを活用した水素の製造に向けて取り組むこととしてございます。

○大島委員 今ある水素でいろんなものを使っていくということで、これから先ほどの舛添知事の記者会見の中でも話されておりますように、ますます水素を活用した燃料自動車をふやしていくということや、家庭でもそういうものをふやしていくということになると、水素の需要というのがどんどんふえていくわけですよね。
 水素というのは、自然界には存在しませんし、炭化水素や水などの形で化合物として存在しているために、何らかの形でこれらの化合物にエネルギーを加えて水素を製造する必要があるということです。
 現状では、工場で産出される副生水素で賄っておりますし、足りない場合には、化石燃料を改質して製造しているということです。
 しかし、これらの水素製造プロセスでは、エネルギーを加える過程でCO2を排出してしまいます。
 水素社会を実現するために不可欠な取り組みとして今注目されているのが、CO2の排出を伴わない、いわゆるCO2フリー水素製造プロジェクトだと考えています。再生可能エネルギーの電力によって水を電気分解する方法や化石燃料を改質、またはガス化するというもので、改質やガス化時などに発生するCO2を大気に放出する前に分離、回収して貯蔵するという、このプロセスを経ることによってCO2フリー化する、二つの方法でCO2フリーの水素を製造する試みが今活発化しています。
 一方で、水素を原発からつくり出そうという主張を行っている方々もいるということで、非常に心配しています。日本原子力学会は、原子力発電に伴い発生する余熱で水素を大量に製造し、需要増大が見込まれる水素の主要な供給源の一つになる可能性があると述べているからです。
 三・一一東日本大震災による福島原発事故から五年、原発は一旦事故を起こして放射性物質が外部に放出されると、それを完全に抑える手段がありません。地域社会の存続すら危うくする行為は、ほかに類を見ない異質の危険を持っているといわれています。水素の供給が原発生き残りの手段とされないよう計画していく必要があると考えます。
 水素エネルギーの活用については、これからも慎重に対応することを要望して、質問を終わります。

○神林委員 私の方からも何点か質問させていただきますが、まず初めに、水素社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 今、大島副委員長の方からも少しお話がございましたが、先般、都は水素社会の実現に向けた動きをさらに前に進めていくため、二〇三〇年までに燃料電池自動車を二十万台普及させるとともに、水素ステーションを百五十カ所整備する意欲的な目標を設定いたしました。
 この目標を達成するためには、四百億円の基金を有効活用し、燃料電池自動車の初期需要の創出や水素ステーションの整備をしっかりと後押しすることで、将来の自立的な普及拡大につなげていくことが重要でございます。
 燃料電池自動車の普及には、水素ステーションの整備が不可欠ですが、水素ステーションの整備には、公道と水素充填設備までの距離を八メートル確保することなどの規制がございます。このため、地価が高く、用地確保が困難な東京においては、容易には整備が進みにくい状況にあるといえます。
 都議会では、我が党が中心となって、保安距離の見直しなどを強く求める意見書を取りまとめ、国に提出いたしました。こうした動きも受け、先ごろ国では、保安距離の規制に係る省令を改正したと聞いております。
 そこで、改めて国が行った省令改正の内容と、それに対する都の見解について伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 先般、国が行った省令改正は、公道から水素充填設備までの距離を八メートル離すかわりに、これと同等の効果のある措置を講じることで、距離の短縮を認めるというものでございまして、その例といたしまして、公道との間に壁を設置するという措置を提示しております。
 今回の省令改正につきましては、これまでに実施してまいりました、さまざまな要望が一定程度受け入れられたものと認識してございます。
 しかし、公道との間に大きな壁を設置する措置では、ドライバーがステーションを見つけにくいですとか、ステーションへの出入りがしづらいなどの課題が生じると考えられます。
 こうした点から、今回の省令改正のみでは、すぐに水素ステーションの設置が促されるとは考えにくいものと認識してございます。

○神林委員 今ご答弁を伺いまして、国においてようやく規制緩和に向けた動きが出てきたということですが、まだまだ課題が多いこともよくわかります。大体今お話を聞いていますと、公道との間に大きな壁をつくるなんて全く非現実的な考えですよね。
 ですから、ならば都は、国に要望するだけでなくて、みずからのことも重要ではないかと私は考えます。
 先般の我が党の予算特別委員会総括質疑において、知事からは、都みずからも汗をかき、新たな緩和措置の調査検討を実施すると答弁がございました。
 今後、規制緩和に向けて、都はどのように取り組むのか伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都内において着実に水素ステーションの整備を図っていくためには、今回、国から示された壁の設置以外に有効な代替措置を見出すことが必要でございまして、来年度三千万円の予算を計上して、代替措置の調査検討をいたしていく予定でございます。
 また、調査の実施に当たりましては、水素ステーションの運営面やドライバーの利用面等から実効性の高いものとなるよう、業界団体など関係者の意見も聞きながら検討を進めてまいります。
 今後、この成果も活用しながら、国に対してさらなる規制緩和を求めていく予定でございます。

○神林委員 そうなんですよ。肝心なのはやっぱり有効な代替措置を見出すこと、それから実効性の高いものにすると、こういうことが肝心なんだと思います。
 水素ステーションの整備を進める上で、安全性の確保を前提に保安距離の規制が緩和されることは極めて重要なことでございます。
 都は、みずからの取り組みとあわせて、国への要望をしっかりと行うなどして、新たに設定した目標の達成を図り、水素社会の実現を目指していくことを期待いたします。
 次に、廃棄物処理について伺います。
 先般の廃棄物処理計画改定についての審議会答申において、二〇三〇年に実現する姿として、ライフサイクル全体を視野に入れた持続可能な資源利用への転換と良好な都市環境の次世代への継承を目指すことが重要だとされております。
 その目指すべき姿の一つとして、適切かつ確実な廃棄物処理を継続させるために必要不可欠なインフラである最終処分場をできる限り長期間使用している姿が示されております。
 今の新海面処分場は、いわゆるバブル期におけるごみの急増により、ごみを処分する場所がなくなるという危機感のもとにつくられたと聞いております。
 広大な処分場でも、当時の計画ではわずか十六年間しか使用できないといわれておりました。しかし、必死にごみの減量、資源化に取り組んだ結果、現在の試算では、これからまだ五十年以上使用できると見込まれるまでになっております。
 そこで、我々の生活を支え、都市にはなくてはならない廃棄物埋立処分場について、まず、現在の進捗状況と来年度予定されている整備内容について伺います。

○谷上資源循環推進部長 現在、二十三区部のごみの埋め立てにつきましては、中央防波堤外側処分場及びその南側に隣接します新海面処分場Bブロックで埋め立てを行っています。
 既に昭和五十二年から埋め立てをしている外側処分場につきましては、その完了が近づいていますが、新海面処分場については、将来的にBブロックからさらに沖合へ展開する予定です。
 そのため、搬入車両の廃棄物の重量を計測する受け入れ管理施設を処分場東の端から沖合に近い中央部に移設したり、拡大していく埋立処分場から発生する浸出水処理対策などの処分場内の諸施設の再整備を順次進めているところです。

○神林委員 今ご答弁で、沖合に埋め立てが進んでいくということでしたが、現在埋め立てている処分場は、東京都最後の処分場といわれており、都内に新たな廃棄物埋立処分場を確保することは極めて困難だと思われます。
 五十年以上使用が見込まれるといっても、この先、例えば大規模な災害があったりとか何が起きるかわからないわけでございます。
 ですから、答申にもあるとおり、今ある処分場を可能な限り長期間にわたって使い続けるためには、計画的な対策が重要だと考えますが、廃棄物などの埋立処分計画はどのようになっているのか伺います。

○谷上資源循環推進部長 都では、埋立廃棄物等の種類、量、期間などを定めた廃棄物等の埋立処分計画をおおむね五年ごとに見直しを行い、埋立処分場の延命化を図っています。
 平成二十四年二月に改定した現在の計画では、埋立処分量を前回計画から一八%削減したものとなっています。
 埋め立ての状況につきましては、東日本大震災の影響で節電に伴うスラグ化の縮小等による焼却灰の増加や、上下水道の汚泥等の増加などもありましたが、おおむね計画どおり進んでいます。
 現在の埋立処分計画につきましては、これまでの実績や動向を踏まえ、来年度、二十八年度に改定を行う予定です。

○神林委員 今ご報告を聞いていまして、埋立量がほぼ計画どおりおさまっているということで、ひとまず安心ということだと思います。
 二十三区では、清掃事業の移管以降、さまざまな廃棄物の減量、資源化に取り組み、埋立量については、平成十二年度に約八十七万トンだったものが、平成二十五年度には約三十六万トンへと約六〇%の削減としています。
 多摩地域では、焼却灰のエコセメント化などにより大幅な削減を行っております。区部でも、焼却灰のリサイクルが始まりましたが、まだ削減の余地があると考えております。
 今後、さらに埋立量の削減を進めるためには、都がリーダーシップを発揮し、二十三区と連携しながら、区民がごみ減量を意識して行動につながるような取り組みを進めるべきだと思いますが、認識を伺います。

○谷上資源循環推進部長 二十三区では、これまでもスラグ化による埋立量の削減に取り組んできましたが、さらに今年度からは、焼却灰を普通セメントの原料として活用する取り組みを本格的に開始しました。
 平成三十二年度までには三万トン程度まで拡大するとして、より一層の埋立量削減に取り組んでいます。
 処分場の延命化を進めるに当たっては、このような焼却灰のリサイクルや、実際にごみを排出している区民の意識や行動の転換が重要だと認識しています。
 そのため都は、二十三区に対して、区市町村との連携による地域環境力活性化事業により、蛍光灯や小型電子機器などの分別収集や資源化などに取り組むための財政的支援を行っています。
 また、現在、都と区市町村で共同の検討会を立ち上げ、今後の資源循環施策について検討を行っているところです。
 このような場において、都は、ごみの減量化、資源化に向け、二十三区へ働きかけを行うなど、埋立処分場のさらなる延命化に向けて積極的に取り組んでいきます。

○神林委員 次に、廃棄物処理計画改定についての審議会答申において、持続可能な資源利用を進めるために、エコマテリアルとして利用を拡大すべきとされている建設泥土についてお伺いいたします。
 都が行った実態調査では、都内で排出される建設廃棄物の四分の一に当たる約二百三十万トンが建設汚泥、すなわち建設泥土であるという結果が出ております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が近づき、さまざまな都市インフラの整備や改良工事が行われ、また、高度経済成長期に建設された多くの建物が更新時期を迎えることになります。そうした工事からは、今後、さらに多くの建設泥土が発生することが見込まれます。
 そこでまず、今後増加が見込まれる建設泥土の処理の課題について伺います。

○谷上資源循環推進部長 都内で排出された建設泥土は、脱水等の中間処理で減量した後、再生利用または海洋投入などの最終処分がなされています。
 建設泥土は建設工事によって土壌を掘削して生じた泥状のものなので、用途に見合った品質に改良すれば、建設資材として有効利用できるものです。にもかかわらず、工事の発注者などから廃棄物由来のものであるという印象で敬遠、発生量の増加が見込まれる中、有効利用が十分進んでいない現状にあります。
 一方、海洋投入処分は、世界的に禁止される動きの中で、現在、国が見直しを検討しており、今後、陸上において適正処分できるルートを確保できるかが課題となっています。

○神林委員 これ、冷静に考えますと、今後、建設泥土の発生量は増加が見込まれる中、海洋投棄処分が見直されていくという状況にあって、かつ再生利用に対する理解が進んでいないとなりますと、このまま放置しますと、行き場を失って不適正処理されるのではないかという懸念になるわけでございます。
 陸上における適正処理と再生利用の促進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いいたします。

○谷上資源循環推進部長 都は、今年度、持続可能な資源利用に向けたモデル事業の一つとして、建設泥土改良土の利用促進の取り組みを行いました。
 このモデル事業は、品質管理を徹底した建設泥土改良土を実際の工事で活用し、再生利用を促進することが目的です。
 これまでに工事の施工者からは、建設発生土と比較しても品質が高く、使い勝手にすぐれているという声があった一方、そもそも建設泥土改良土の存在が十分に認知されていないという課題も明らかになりました。
 今後は、このモデル事業などの成果を踏まえ、適切な品質が確保された建設泥土改良土が有効利用される仕組みの検討を工事の発注者への働きかけも含め、関係事業者と連携しながら積極的に進めていきます。

○神林委員 先ほどもお話ししましたとおり、これ、ますますふえてくるわけですよ。そういう意味では、ぜひ品質的にすぐれた建設泥土改良土が有効活用されるよう、泥土を出す側であり、利用する側でもある事業者と密に連携をしながら積極的に取り組んでいくことを要望しておきます。
 あわせまして、今後、先ほどの建設泥土と同様、膨大な建築物が建てかえの時期を迎えるとなると、それに伴って、コンクリート塊も多量に発生すると見込まれております。
 その一方で、コンクリート塊からは、再生される砕石の需要は減少傾向にあり、とりわけ、これまでの主要な利用先であった道路舗装の路盤材に用いられる砕石の減少傾向は著しいと聞いております。
 所管は違いがあるんでしょうけれども、こうした中、路盤材以外への再生砕石の活用や再生骨材コンクリートの利用拡大について、今もいいましたとおり、所管する各局がお互いに協力しまして、さらに、都庁のみならず事業者全体、ともに連携して検討を進め、積極的に取り組んでもらうことを要望いたします。
 次に、大気環境の改善について伺います。
 都は、かつて深刻な大気汚染に見舞われていましたが、ディーゼル車規制を初めとする対策のかいもあり、大気環境は大幅に改善し、二酸化窒素や浮遊粒子状物質はほぼ環境基準を達成するまでになりました。
 残された課題は、光化学オキシダントとPM二・五でございます。光化学オキシダントは、揮発性有機化合物、VOCが大気中で化学反応を起こして発生し、光化学スモッグを引き起こしております。
 昨年の夏も光化学スモッグ注意報が十四日も発令されました。注意報発令日を低減するためには、光化学オキシダントの主な原因物質でありますVOCの排出削減が必要でございます。このVOCは、PM二・五の原因物質の一つでもあります。
 そこで、VOCの排出削減について具体的な取り組みを伺います。

○島田環境改善技術担当部長 都内のVOC総排出量のうち、六割以上は屋外塗装や工場といった固定発生源からとなっており、この分野での排出削減を進める必要があります。
 昨年度、都は、VOCの少ない塗装を推進するため、学識経験者や業界団体から成るワーキンググループを立ち上げ、検討を行いました。
 VOCが入っていない水性塗料は既に販売されておりますが、JIS規格がないなどの理由から普及が進んでおりませんでした。検討の結果、メーカーは水性塗料の規格化を進めることになりました。
 さらに今年度は、施主や施工業者に低VOC塗装への転換を促すため、ビルの外壁や橋梁など、さまざまな塗装工事に対して適用可能な低VOC塗装を例示し、使用する際の注意点やVOC削減効果を紹介する事業を実施しております。
 また、工場での取り組みを促進するため、都はこれまで、VOCの削減方法などを紹介するセミナーの開催やガイドブックの配布による普及啓発を進めてまいりました。
 ガイドブックの作成から十年経過したことから、現在、新たな対策を盛り込むなどの改定作業を進めており、新しいガイドブックを来年度早々に配布する予定でございます。

○神林委員 今ご答弁にありました屋外塗装や工場といった産業分野は、固定発生源としてVOC排出量への寄与が高いものでございます。この分野での削減対策にしっかり取り組むよう期待しております。
 さて、VOCは、屋外塗装や工場だけでなく、日常生活からも排出されております。周りを見回しますと、ひげそり用のクリームや、殺虫剤、オフィスで使うスプレーのりなどには、噴射剤などとしてVOCが含まれております。
 VOCをさらに削減していくためには、都民の方々にVOC削減に向けた行動を起こしていただくことが重要と考えております。
 環境基本計画の審議会最終答申の中でも、身近な生活環境でのVOC対策が掲げられていますが、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。

○島田環境改善技術担当部長 一般家庭やオフィスからのVOC排出量は、都内の総排出量のうち一六%を占めております。
 VOCの削減をさらに幅広く進めていくためには、こうした分野においても排出を減らす取り組みが必要であります。
 日常生活からのVOCの排出を削減するためには、噴霧にガスを使わない霧吹きや、手押しポンプの製品、含まれる成分が水性タイプや低溶剤タイプの製品といった低VOC製品の普及が重要であります。
 都はこれまで、製品の形状や表示を見て商品を選ぶ方法を紹介したリーフレットを作成するなどの周知を行っております。
 さらに普及を促進するためには、都民や事業者みずからが低VOC製品を選択するような新たな働きかけを行う必要があります。
 そのため来年度は、流通、小売、消費者団体などから成る協議会を設立し、VOCに対する問題意識の共有を図り、低VOC製品の利用拡大につなげてまいります。

○神林委員 光化学オキシダントや、PM二・五の共通の原因物質であるVOCの削減に日常生活まで含めて幅広く対応していくことは、引き続き具体的に到達目標数値などを定めて、実効性のある対策をしっかりと進めてほしいと思います。
 また、これはばかにできないんですが、またそのほかにも、例えば製品の生産者への協力要請も私は大変必要なことだとも考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、中国からの越境汚染について懸念する声が聞かれるなど、都民の関心も高いPM二・五について伺います。
 都内の大気汚染の測定結果では、PM二・五は、この十年間で約半分の濃度に減っていると聞いております。本年度の測定結果でも、対策の成果が上がっていることを期待していますが、長期ビジョンで掲げている全ての測定局での環境基準の達成に向けては、さらに努力する必要がございます。PM二・五は、VOC以外にも窒素酸化物や硫黄酸化物などの原因物質があり、発生源も多岐にわたっております。
 これまでの取り組みの効果を過去の調査結果と比較検証した上で、この点についても効果の高い対策を講じていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○木村環境改善部長 都では、平成二十三年にPM二・五検討会報告書を取りまとめております。
 この報告書では、VOC、窒素酸化物、硫黄酸化物などの原因物質につきまして、平成二十年度時点の発生源別の排出量を調査し、各発生源の寄与率や基本的な対策の方向性などを整理しております。
 都は、これに基づきまして、工場等の燃焼機器の高効率化や、低公害、低燃費車の導入促進のほか、近隣県市と連携して、事業者に排出削減を促すなどの対策を進めてまいりました。
 最近五年間のPM二・五の濃度を見ますと、一日の値が一立方メートル当たり三十五マイクログラムを超える日が年に八日程度ありますと、短期環境基準は未達成となるため、各測定局での環境基準達成率は低いものの、一般大気環境測定局全体での五年間の平均値は十五・一マイクログラムでありまして、長期環境基準である年平均値十五にあと一歩となっております。
 平成二十三年に報告書を取りまとめて以降、五年が経過し、社会情勢、ライフスタイルの変化を受け、エネルギー消費量や自動車の利用状況なども変動していることから、来年度、改めて平成二十七年度時点におけます工場や自動車など、さまざまな発生源ごとの排出量を網羅的に調査いたします。
 この調査結果をもとに、この間の発生源別の削減量とその要因を分析し、今後の削減に向けて効果的な対策を検討し、PM二・五の低減を進めてまいります。

○神林委員 PM二・五は、発生源も複雑で、一つの対策で直ちに目に見えるような効果があらわれるものではなく、改善は一朝一夕にはいかないと思います。
 これまで進めてきた対策を引き続き行うとともに、最新の情報に基づいた効果的な取り組みを行うことが重要でございます。
 世界の大都市で最も水準の高い、良好な大気環境の実現という東京のあるべき姿を目指して、都は、今月末に策定される環境基本計画を着実に履行し、都民に、より快適な生活環境を提供するよう、一層の取り組みを期待しておきます。
 局長、お待たせをいたしました。最後に、環境施策の今後の展開について伺います。
 都は、この年度末にも気候変動対策に向けた意欲的な目標を掲げ、その実現に向けた施策の方向を明らかにする新たな環境基本計画を策定すると聞いております。
 昨年末、COP21でのパリ協定採択を受けて、今や世界は温室効果ガス削減に向けて、大きく動き出そうとしております。
 そして、ことしはオリンピックイヤーでもあり、こうした時期に新たな目標、新たな計画を打ち出すことは、都が世界全体の環境政策をリードしていく意気込みを示すことにもなりますし、次の大会の開催都市としての東京の存在感を高めることにもつながると思います。
 一方で、二〇二〇年の東京大会まで、残すところ四年半、これからは環境施策の具体的な成果も問われてまいります。
 二〇二〇年東京大会と、その後を見据えて、幅広く、そして効果の高い取り組みが必要となってくると考えますが、二十八年度予算編成に当たり、環境政策をどのように展開していくのか局長の見解を伺います。

○遠藤環境局長 大変大きな課題についてご質問いただきましたので、多少長い答弁になりますけれども、ご容赦いただきたいと思います。
 世界は今、温暖化に伴う異常気象を初めといたしまして、大気や水の汚染、廃棄物の問題など、これまでに経験したことのない大きな環境リスクに直面をしております。そのリスクの大きさは、我々の世代がその対処を誤れば、人類そのものが絶滅しかねないほど深刻で、一刻を争うものでございます。
 このような時代の中にあって、世界的にも有数の大都市である東京には、積極的な環境政策を展開し、国や世界を牽引していく役割が求められております。
 我々は、こうした時代状況と都が果たすべき役割を十分に認識し、その責務を果たすための、いわばマニフェストとしての新たな環境基本計画を策定することといたしました。年度末に策定する環境基本計画においては、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入拡大などについて、これまでにない高い目標を設定するとともに、良好な大気環境の実現や生物多様性の保全、緑の創出などについても、あるべき姿を設定し、中長期にわたる政策の方向性を明らかにしてまいります。
 同時に、持続可能な資源利用への転換と良好な都市環境の次世代への継承を目指して、廃棄物処理計画も策定をしてまいります。
 二十八年度予算案では、新たな計画を実現するスタートといたしまして、具体的で実効性のある施策を盛り込み、局別では最大の伸び率となる前年度比二六%増、四百九十五億円を計上させていただきました。
 今後、二〇二〇年大会に向けた東京のまちの魅力を向上させるとともに、大会後のレガシーとなる世界一の環境都市東京を実現してまいります。
 環境局は、その前身となる公害局、清掃局でありました時代から、都議会との真摯な議論を積み重ね、その時代、その時代における最も先鋭的で厳しい課題に立ち向かってまいりました。
 今後とも、このよき伝統を受け継ぎまして、都議会の皆様方のご意見を頂戴しながら、職員一丸となって全力で環境行政に当たる決意でございます。

○神林委員 局長、どうもありがとうございました。
 将来にわたって持続的に発展する東京の実現に向けて、ただいま局長から力強い言葉をいただきました。
 積極的に環境政策を展開し、ぜひとも高い目標の実現につなげてほしいと思います。ともに頑張っていきましょう。
 以上で質問を終わります。

○田中(朝)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中(朝)委員長 ご異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十七分散会

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