環境・建設委員会速記録第十四号

平成二十七年十一月十二日(木曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長やながせ裕文君
副委員長高椙 健一君
副委員長大島よしえ君
理事西崎 光子君
理事上野 和彦君
理事神林  茂君
菅野 弘一君
米倉 春奈君
田中  健君
吉倉 正美君
高橋かずみ君
林田  武君
こいそ 明君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長遠藤 雅彦君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木 研二君
地球環境エネルギー部長笹沼 正一君
都市エネルギー推進担当部長小川 謙司君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長志村 昌孝君
緑施策推進担当部長須藤  栄君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務野崎 慎一君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○やながせ委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、環境局長から幹部職員の紹介があります。

○遠藤環境局長 去る十月二十三日付の人事異動により、兼務発令のございました幹部職員をご紹介申し上げます。
 政策調整担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします鈴木研二でございます。
 よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○やながせ委員長 紹介は終わりました。

○やながせ委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○池田総務部長 去る十月二十日の当委員会でご要求をいただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次にございますとおり十項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十五年度から平成二十五年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 なお、平成十五年度以降につきましては、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で二段書きとしております。
 二ページをお開き願います。2、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十五年度から平成二十五年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況でございます。
 平成二十六年三月末現在における都内の各発電ごとの普及状況を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、平成二十一年度から平成二十五年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。5、平成二十六年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質、PM二・五の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における各測定局ごとの年平均値を記載しております。
 七ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして同様に記載しております。
 八ページをお開き願います。6、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十八年度から平成二十七年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、予算額及び決算額を記載しております。
 九ページをお開き願います。7、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一三ページにかけて記載しております。
 一四ページをお開き願います。8、都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の推移でございます。
 平成十年から平成二十七年九月末までの各年における都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の日数を記載しております。
 一五ページをお開き願います。9、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十八年から平成二十七年九月末までの各年における都内の真夏日、熱帯夜の日数を記載しております。
 一六ページをお開き願います。10、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十五年、平成二十年及び平成二十五年のみどり率を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○やながせ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 二点ばかりご質問をさせていただきます。
 まず第一点目は、林田議員がいらっしゃる中、大変恐縮でございますけれども、自然公園事業について伺います。
 ことしの都議会第二回定例会で、我が党を代表し、林田議員が、自然公園利用ルールの普及啓発の必要について質問いたしましたけれども、去る十一月三日に、このルールの浸透などを目的として、環境局が民間事業者や地元自治体と手を組み、東京の山に関するイベントを都庁で開いたと聞いております。新聞報道を見ると、当日は、高尾山の僧侶なども登場し、多くの人々が楽しんだようで、自然公園利用ルールの普及啓発も行えたのではないかと思います。
 そこでまず、改めて、このイベントの狙いと内容について伺います。

○須藤緑施策推進担当部長 去る十一月三日に、都民広場と都民ホールを会場として開催いたしました第一回東京メトロポリタンマウンテンミーティングは、多摩地域の山を初め、多様な魅力を有する東京の自然公園と、昨年度策定いたしました自然公園利用ルールを多くの方々にPRすることを狙いとして実施したイベントでございます。このイベントは、民間事業者と多摩地域の一部の自治体から成る実行委員会の主催に都が共催したもので、協賛企業は十四社に上り、民間事業者からも高い関心が寄せられました。
 具体的には、まず都民ホールでは、第一線で活躍するクライマーや、トレイルランナーによる講演会、あるいは自然公園利用ルールに関するパネルディスカッションなどを実施いたしました。また、広場やギャラリーでは、パネル展示や登山関連道具の紹介、販売のほか、安全登山教室やマウンテンバイク体験などを実施いたしました。あわせて、高尾山薬王院の修験者によるほら貝の実演や、関係自治体のゆるキャラとの触れ合いなどにより、にぎわいを創出いたしました。

○神林委員 どうもありがとうございました。
 来年は、山の日が施行されるということでもありますし、イベント開催は有意義であったと思います。多摩地域の自治体や民間事業者と手を結ぶことによるさまざまなアイデアやネットワークが、イベントを成功に導いたのではないかと推測させていただいております。
 東京の自然公園は、多摩地域や伊豆諸島、小笠原にまで広がっておりますが、まだまだこうした多様で魅力あふれる自然公園の存在を知らない人、あるいは存在は知っていても、どのような場所かを知らない人も多いのではないでしょうか。
 今回、こうしたイベントを都心で開催したことにより、今まで自然公園に行ったことがない人にも大きな関心を持ってもらえたのではないかと考えております。
 今回のイベントの成果を踏まえまして、これまで東京の自然公園に余り縁のなかった人々にも、その魅力を周知していく取り組みをしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○須藤緑施策推進担当部長 今回のイベントでは、約六千人に上る方々にご来場いただきまして、会場は終日にぎわいを見せました。
 来場者の方々には、アンケートにご協力をいただきましたけれども、自然公園に行ったことがない、もしくは知らないと答えた多くの方から、行ってみたいとの回答を得ることができました。こうしたことから、今回の都心で開いたイベントは、これまで自然公園について知らなかった人や行ったことのない人の関心を呼び起こすのに有効であったと考えております。
 また今回、多くの来場者の方からご好評をいただいたこととあわせ、来年、国民の祝日として山の日が施行されるタイミングでもあることから、参加した民間事業者や地元自治体からも、継続的な実施を望む声が上がっております。
 そこで、来年度以降も、自然公園の魅力を伝えるイベントの都心部での開催を目指し、今回、実行委員会等にかかわった民間事業者などと早速調整してまいります。

○神林委員 こうしたイベントが次年度以降も継続して実施され、多くの方々が多摩地域や島しょ部を訪れる契機となってくれることを強く期待しております。
 ところで、今回のイベントでも、奥多摩町や檜原村など、多摩地域の自治体が主催者や講演者となるなど密接にかかわったとのことでございますが、多摩地域は、自然環境も文化も産業も、地域ごとに豊かな個性に富んでおり、各自治体は、地産地消を絡めた地元グルメのPRや温泉施設の運営など、さまざまな魅力的な取り組みを実施しています。
 私の地元の大田区というのは余り縁がない部分なんで、私であれば、山歩きだけでなく、例えば、山歩きとセットで地域の施設などの見学ですとか、温泉を楽しむツアーなどがあれば、出かけてみたいなということを強く感じております。自然とともに、地域の魅力を存分に味わうプログラムなどが提供されれば、訪れる人もさらにふえるのではないでしょうか。
 そこで、都は、これからの自然公園の持つ潜在的な魅力を掘り起こし、東京の観光産業の発展や地域振興につなげるべく、自然公園ビジョンの検討を行うということですが、こうした地元の個性や魅力を的確に捉え、それを活用することも重要でございます。
 そのためにも、今後、都と地元自治体が一丸となって課題解決に取り組むような場を設け、都と地元自治体あるいは自治体同士の連携により、一層深めることと考えますが、見解を伺います。

○須藤緑施策推進担当部長 自然公園の指定区域は、多摩地域、島しょ地域を合わせ十市五町七村にまたがりますが、それぞれの地域の歴史や産業あるいは文化を有しており、これらを活用することは、自然公園の魅力やポテンシャルを発揮させるのに有効でございます。このためには、これらの地域の資源を熟知している地元自治体との連携が必要でございます。
 そこで、自然公園にかかわる各地域の課題や取り組みなどについて情報共有を行うとともに、自然公園の魅力を高める方策について意見交換を行い、お互いが協力することで、より効果的な施策展開が行えるよう、自然公園を有する自治体との新たな連絡会の早期の設置を検討してまいります。

○神林委員 今ご答弁いただきましたように、ぜひそうした取り組みをしっかりと行って、自然公園の魅力を高めていただきたいと思います。
 自然公園ビジョンの検討に当たっては、地元自治体と十分に意見交換や情報共有を行い、これまで以上に各自治体が、その豊かな個性や主体性を発揮できるよう取り組んでもらいたいということを要望しまして、この件についての質問を終わります。
 次に、大島のキョン対策について伺います。
 我が党は、地元の三宅正彦議員を中心に、環境局と一緒になってこの問題にずっと取り組んでまいりました。もう皆さんもご存じかもしれませんが、キョンは、中国南東部及び台湾に生息する小型の鹿で、大島にある都立大島公園動物園で飼われていたものが、昭和四十五年の台風通過時に柵が壊れ、園外に数頭が逃げ、野外で繁殖が始まったといわれております。
 当初、大島公園周辺で生息していましたが、徐々に生息域を広げて、今では、元町や岡田などの市街地でも見られるようになりました。島の特産品であるアシタバや固有のランが食べられる被害のほか、昨年は、走行中のオートバイと接触して、運転者が緊急ヘリコプターで搬送される事件も起こっております。
 これまでキョンの捕獲は、大島公園を所管する東京に任せてきましたが、この四月に就任した三辻町長は、東京都と連携して捕獲に取り組む決意を表明しております。我が党としても、町と連携しながら、東京都にさらなる捕獲の強化を要望するものでございます。
 そこでまず、これまでの都の取り組みについて伺います。

○須藤緑施策推進担当部長 大島のキョンについては、外来生物法が制定され、平成十七年に国がキョンを特定外来生物に指定したことを機に、都は、平成十八年度、生息調査を行い、翌十九年度から生息密度の高い大島公園周辺を中心に捕獲を始めました。
 捕獲開始当初は、わなによる捕獲のみでありましたが、平成二十一年度から銃器による捕獲を始め、毎年八百頭前後の捕獲を行ってまいりました。その後も張り網等の複数の捕獲方法を試行するとともに、平成二十四年度にはキョン防除対策検討委員会を設置し、学識経験者等の意見を聞きながら、根絶に向けた有効策を検討し、生息域を分断する柵や、キョンを追い込む囲いわなを設置するなどの対策を図ってまいりました。
 こうしたことにより、平成二十六年度は千頭を超えるキョンを捕獲するなど、これまでに累計で五千頭以上のキョンを捕獲してまいりました。

○神林委員 今ご報告ありましたとおり、東京都では、毎年着実にキョンを捕獲して、累計、今ご答弁では五千頭以上になるとのことでしょうけれども、ただ、こうした努力にもかかわらず、現実には、一向に生息数は減ってないと、こういうことだと思います。
 それでは、都の取り組みにもかかわらず、どうしてキョンの生息数が減らないのかについて伺いたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 平成十八年度及び二十二年度のキョンの生息状況調査では、当時、動物の生息数の算定に一般的に用いられていたニホンジカ等の個体数を算定する推定法に基づき大島のキョンを推計したところ、平成十八年度は約二千頭、二十二年度は約三千頭とされました。
 これに対し、国が動物の生息数を算定する際に、新たに採用されることになった推定法を用いて本年六月に算定したところ、約一万一千頭となりました。この結果、都としては、その時点で最適と考えられる手法を用いて、都の捕獲目標設定の基礎となるキョンの生息数の推定を行ってきましたが、キョンの実際の生息数は、過去の推計値を大きく上回っていると推定されました。
 大島には、キョンの天敵がいないこと、もともと生息していた地域と似た温暖な気候で、一年を通じて餌となる植物があることなどから、当初設定した捕獲目標を超えて繁殖したものと考えております。

○神林委員 環境局としては、その時点時点を捉えて、最適な手法を用いてキョンの生息数を推定して、それに基づいて捕獲を行ってきたようですけれども、現実にはそれを超えるキョンが生息したようでございます。
 都としても努力はしてきたんだと思いますけれども、現実に約一万一千頭生息していることがわかった以上は、これまでの捕獲方法を検証して、一刻も早く新たな目標に合わせた対策をとる必要があると強く思っております。
 本年七月二十三日、都議会自民党は、大島におけるキョンの捕獲強化を舛添知事宛てに要望いたしました。大島町からもあわせて同様の趣旨の要望も出ております。
 これを受けて都は、これまでどのように対応していたのか、伺います。

○須藤緑施策推進担当部長 ご指摘のとおり、キョンは、従来の推計をはるかに上回って生息していることが判明したことから、速やかに対策をとる必要がございます。このため、今年度は、当初予定していた頭数約一千二百頭ではなく、自然増加分である一千七百頭の捕獲を目指すこととし、効率のよい銃器や張り網による捕獲の強化など、必要な対策を年度の途中で追加いたしました。
 また、大島町と連携して捕獲を強化する観点から、地域環境力活性化事業を活用し、大島町が住宅の敷地内や農地周辺での柵などを設置する場合には、財政支援することといたしました。
 引き続き、都と大島町の連携を密に、効果的なキョンの捕獲を行い、キョンによる被害の軽減、さらには撲滅に努めてまいります。

○神林委員 今答弁にありましたとおり、我が党の要望を受けまして、捕獲強化にしっかりと取り組まれているという答弁をいただきましたので、ありがとうございます。
 東京都と大島町が協力して、外来種のキョンを効率的に、また、住民や観光客の安全にも配慮して捕獲を進めることで、島にとってかけがえのない産業や自然環境を守ってほしいと強く願うものでございます。
 以上で私の質問を終了いたします。

○上野委員 私からは三点について質問してまいりたいと思います。
 まず初めに、コージェネレーションシステムの普及促進について伺います。
 政府は、ことし冬の節電について、数値目標を伴う節電要請を見送ることを決定したようであります。東京電力管内については、二〇一三年度並みの厳冬になるリスクや、直近の経済成長の伸びを見込んでも、なお企業や家庭における節電の定着などによりまして、電力の安定供給に最低限必要な予備率三%以上を確保できる見込みとなっております。
 当面の電力不足の懸念はほとんどなくなりましたが、これに安堵してはいけないと思います。電力の大消費地である東京においては、他県からの電力の依存を極力減らし、電力の地産地消に取り組み、環境負荷の低減やエネルギーセキュリティーの向上につながるまちづくりをしっかり進めていくことが重要だと思います。そのための方策として、分散型電源であるコージェネレーションシステムの導入があります。
 コージェネレーションシステムは、系統電力への負荷を低減するとともに、万が一、災害が発生した際も電力は確保され、事業継続ができるため、私はかねてから積極的に促進すべきと主張してきたところでございます。
 そこでまず、オフィスビルにおけるコージェネレーションシステム導入に向けた都のこれまでの取り組み、実績についてお伺いします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 コージェネレーションシステムは、昼間の発電によるピークカットによりコスト削減ができること、高効率な運転で低炭素で環境負荷の低減が図れること、またその燃料となる都市ガスは、耐震性にすぐれた中圧管で供給されるため、災害に強いことなどの特徴がございます。
 そのため、都は、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現に向け、ビルのエネルギー管理システム、いわゆるBEMSの導入等を条件に、オフィスビルと事業所へのコージェネレーションシステム導入に対する補助を平成二十五年度から実施してまいりました。平成二十五年度と二十六年度の二カ年で約六万三千キロワットの補助申請を受け、事業者の関心は非常に高いものでございました。

○上野委員 ただいまのご答弁で、都内オフィスビルでのコージェネレーションシステムの導入は着実に進んでいるということが理解できたわけでございますが、コージェネレーションシステムの導入をさらに促進していくには、発電の際に発生する熱をいかに冷暖房や給湯に有効活用するかが課題であると思っております。
 事業者は、より多くの電気を発電したいと考えていますが、発電容量の大きなコージェネレーションシステムになるほど多くの排熱が発生いたします。この排熱が使い切れないと、エネルギーが無駄になってしまい、熱需要に合った規模のコージェネレーションシステムの導入にとどまることとなるわけであります。
 都が以前実施した地域エネルギーマネジメント調査でも、熱の有効利用がより重要であることが明らかにされていると聞いております。
 そこで、この排熱をより有効に活用していくために、どのような取り組みを実施しているのか、お伺いします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 より規模の大きいコージェネレーションシステムの導入を可能とするためには、熱を余すことなく最適利用することが重要でございます。そのためには、熱需要や電力使用の状況が異なるさまざまなビルを連結し、街区レベルでの熱や電気を融通することによりトータルで最適化が図れるよう、エネルギーの面的利用を進めることが有効でございます。
 そこで今年度から、これまでのコージェネレーションシステムへの補助に加え、建物間を結ぶための熱導管や電力線も新たに補助対象に加え、エネルギーの有効利用を進めるスマートエネルギーエリア形成推進事業を開始いたしました。
 今後とも、平常時の省エネと非常時の電力供給が図られるスマートエネルギー都市の実現に取り組んでまいります。

○上野委員 都内電力需要の四割を占めるのが業務部門でございます。とりわけ、オフィスビルなどの事業所に対する取り組みは重要であると思います。今後、オリンピック・パラリンピックの開催を控え、大規模な開発が行われていきますが、こうした開発事業も好機と捉えて、さらに、コージェネレーションシステムの導入が進むよう、引き続き積極的な施策展開をされるよう、ご期待申し上げます。
 次に、二点目としまして、家庭部門の省エネ対策について伺います。
 家庭部門のエネルギー消費量は、平成二十五年度の速報値で、前年度比一・四%の減となっております。この数字から震災以降の省エネ、節電の定着が見られるわけでございますが、長期ビジョンの省エネ目標の達成に向けては、引き続き都内のエネルギー消費量の約三割を占める家庭部門に対して、実効性ある取り組みを展開していくことが大切であると思います。
 その際には、情報通信技術を活用したエネルギーマネジメントにより、無理なく賢い省エネ、節電を実現していくという視点が重要であると考えております。
 そこで都は、家庭のエネルギーマネジメントの推進に関し、都内の住宅の約七割を占める集合住宅向けに、昨年七月からスマートマンション導入促進事業を実施していますが、これまでの取り組み状況についてお伺いします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 スマートマンション導入促進事業は、集合住宅のエネルギー利用の効率化を図るため、電力消費量を見える化し、空調や照明などの制御を可能とするエネルギーマネジメントシステム、いわゆるMEMSの導入促進を目的としましたもので、昨年度から五年間の事業として実施しております。
 事業開始から本年十月末までの一年余りで百一件の申請を受け付けており、このうち約四分の三が既存の集合住宅からの申請となっております。これは、インターホンの画面上で、電力の見える化に対応したシステムが開発されまして、インターホン機器の更新時期を捉えた導入が進んだこと。また、新築の場合には補助の条件としている百戸未満という要件希望を課さず、スケールメリットが得られやすい制度としたことによりまして、設備導入の合意形成が円滑に図られたことなどによるものと考えております。
 今後とも、制度の内容やMEMS導入のメリットなどについて十分な周知を図ることにより、マンションのスマート化に取り組んでまいります。

○上野委員 家庭のエネルギー利用を効率化するためには、エネルギーマネジメントシステムの導入とあわせ、最先端の省エネ、創エネ機器の普及を図ることが効果的であります。
 そこでこれに関連し、都は平成二十五年度から、家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業として、燃料電池などに対する補助事業に取り組まれておりますけれども、この事業の取り組み状況をお伺いします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業は、家庭のエネルギー利用の効率化、最適化を推進するため、エネルギー管理システム、HEMSの導入を条件に、家庭用燃料電池や蓄電池などのエネルギー機器の導入経費を補助するものでございます。
 事業開始から本年十月末までの二年余りで、家庭用燃料電池七千百三十八台、蓄電池三千九百五十四台、ビークル・ツー・ホーム二十台の補助申請がなされております。
 本事業により導入促進が図られた結果、家庭用燃料電池につきましては、平成二十一年度に三百三万円であった販売価格が、平成二十六年度には百四十九万円に半減するなど、着実に価格低下の効果があらわれているものと考えております。
 今後とも、高効率な機器の導入や、エネルギーマネジメントを着実に推進いたしまして、家庭のエネルギー消費量の削減に取り組んでまいります。

○上野委員 今のご答弁にあったように、環境局の取り組むその事業がしっかりと効果を出しているということで、私は高く評価したいと思っております。
 省エネ、節電は、我慢を強いるものでは長続きいたしません。引き続き、快適性を損なうことなく省エネが達成できるよう、高効率な機器の導入に対する支援や、エネルギーマネジメントの推進に取り組んでいただくことを重ねて要望していきたいと思っております。
 次に、三点目として、水素社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 昨年十二月、トヨタが世界に先駆けて、燃料電池自動車を発売してから間もなく一年がたちます。先日、開催された東京モーターショーでは、ホンダが来年三月に、燃料電池自動車を発売開始すると発表しましたが、今後、車種がふえることによりユーザーの選択肢が広がれば、さらに普及が拡大していくと考えております。
 燃料電池自動車は、走行中に水しか排出しない環境性能や、災害時における非常用電源としての活用などの意義を有しております。都では、そうした燃料電池自動車の導入促進事業を実施するなど普及を後押ししておりますが、まず、この導入促進事業の実績と、今後の都の取り組みについて伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、燃料電池自動車について、二〇二〇年までに六千台、二〇二五年までに十万台を普及することを目標に掲げております。現在、この目標達成に向けて、燃料電池自動車の導入促進事業を実施しております。
 本年二月から、民間事業者と個人を対象とした補助を、また六月からは、区市町村向けの補助も開始いたしました。十月末時点で、民間向けの補助申請件数の累計は四十六台でございます。また、区市町村を対象といたしました補助申請受け付け件数は二台でございます。
 自動車メーカーからは、今後、生産台数を拡大していく予定と聞いており、こうした支援策を講じながら、燃料電池自動車の普及拡大を後押ししてまいります。

○上野委員 来年度には、燃料電池バスも市場投入されると聞いております。燃料電池自動車は、ますます身近な存在になっていくと、このように考えております。今後のさらなる普及に向けた都の取り組みに期待しております。
 さて、燃料電池自動車の普及に欠かせないのが供給インフラである水素ステーションの整備です。燃料電池自動車のユーザーが必要なときに水素の充填が可能になるよう、水素ステーション整備を着実に進めていくことが重要であります。
 水素ステーションは、ガソリンスタンドに比べて多くの費用がかかることや、都内では必要な規模の敷地を確保することは困難であるなどの課題があると聞いておりますけれども、こうした中、都では、国と都の補助を使えば、ガソリンスタンド並みの一億円程度で整備できるよう補助を行うなど、水素ステーションを整備する事業者への支援策を講じているところでございます。
 そこで、現在の都内における水素ステーション整備状況、また、今後の整備拡大に向けた取り組みについて伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素ステーションにつきましては、二〇二〇年までに三十五カ所、二〇二五年までに八十カ所整備する目標を掲げ、現在、国の補助とあわせて、ガソリンスタンドと同程度の負担で整備できるよう支援してございます。
 十月末現在、都内では六カ所の水素ステーションが稼働しております。また、計画中の水素ステーションが六カ所あり、これらを含めまして、今年度末までに十カ所程度の開所が見込まれております。
 今後、民間事業者等と連携を図り、都心や臨海部周辺、また、燃料電池バスの走行ルートに対応した場所などでの水素ステーションの整備について検討を進めますとともに、支援を講じながら整備拡大に取り組んでまいります。

○上野委員 先ほども述べました、水素は、利用の段階では水しか排出しないと。そのため、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの電力で水を分解して水素を製造するシステムが実用化されれば、まさに低炭素社会につながります。
 都では、本年二月に公表した水素社会の実現に向けた東京戦略会議のまとめにおいて、低炭素な水素の先導的な導入を取り組みの方向性として掲げております。こうした取り組みを、今後ともしっかりと進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○米倉委員 横田基地の騒音問題について伺います。
 横田基地の始まりは、一九四〇年、陸軍の戦闘機のテスト飛行場にと建設され、戦後はアメリカ軍が接収し、朝鮮戦争、ベトナム戦争などのアメリカの戦争の拠点となってきました。そうした中、航空機騒音により多大な影響をこうむってきた住民の皆さんが、静かに眠れる夜、そして、被害の救済を求め、四十年にわたり幾度も裁判を起こしています。そしてどの裁判でも深刻な騒音被害を認定し、国に損害賠償を命ずる判決を確定しています。
 しかし、国がまともな対策を立てず、被害を放置したため、最新の訴訟で東京高裁は、法治国家のありようから見て、立法府は怠慢のそしりを免れないと司法として国の被害対策を厳しく批判する判決を下しています。
 都民の健康と安全を守るべき都としても、現状を放置できないと思いますが、横田基地の航空機騒音による住民の健康や生活への影響を都としてどのように認識しているか、伺います。

○木村環境改善部長 航空機騒音に関しましては、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準といたしまして、航空機騒音に係る環境基準が設けられております。
 都では、横田基地周辺に環境基準を当てはめる地域を指定しており、航空機騒音の実態を調査するために十二地点で測定を行っております。平成二十五年度の調査では、四地点で、その環境基準値を超過していることを確認しております。

○米倉委員 環境基準値を達成していない箇所があるということでした。
 都もいっているように、人の健康の保護と生活環境の保全からして、認めがたい事実が続いているということです。そこで、都の騒音測定からどういう実態が見えてくるか、幾つかお尋ねしたいと思います。
 都は、横田基地における深夜から早朝にかけての飛行実態をどのように把握しているか、具体的に伺います。

○木村環境改善部長 横田基地周辺四地点におきましては、航空機騒音の通年測定を行っております。平成二十五年度に、最も騒音発生回数が多かった瑞穂町農畜産物直売所での騒音発生回数は、十九時から二十二時の間は二千二百十九回、二十二時から七時の間は百十五回でございました。
 都の測定は、環境省の航空機騒音測定・評価マニュアルに基づき、暗騒音より十デシベル以上大きい航空機騒音を発生回数として捉えているため、飛行回数とは一致しておりません。
 なお、日米合同委員会におきましては、二十二時から六時までの時間における飛行等は、米軍の運用上の必要性に鑑み、緊急と認められるものに制限され、夜間飛行訓練は、任務の達成及び乗務員の連動維持のために必要とされる最小限に制限するとともに、できるだけ早く完了することが合意されております。

○米倉委員 日米合意では、十時から朝の六時の飛行などについては、米軍の運用上、緊急と認められるものに制限、夜間飛行訓練は必要最小限に制限、できるだけ早く完了するとしていますが、二十五年度に最も騒音発生回数が多い地点では、二十二時から朝の七時の間に百十五回ということでした。これが緊急で必要最小限のものとはいえませんし、早期に完了するよう最善の努力をすると日米合同委員会で承認されたのは、何と一九六四年、それから既に半世紀もたっているんです。五十年以上も続いていて、最善の努力がされているなどといえるのか、司法がいうように怠慢という事態が続いているといわざるを得ません。
 次に、都は、二〇一三年度の日曜日、祝祭日について、騒音が確認された日が何日で、そのうち騒音回数が十回以上の日は何日だと把握しているのか伺います。

○木村環境改善部長 平成二十五年度の横田基地周辺地域におけます日曜祝祭日六十七日中の騒音発生日数は六十六日で、そのうち一日の騒音回数が十回以上の日は二十一日でございました。
 なお、日米合同委員会におけます日曜日等の飛行規制の対象は訓練飛行のみであり、訓練以外の航空機の飛行は対象となっておりません。

○米倉委員 一日を除いて全ての祝祭日に、航空機による騒音が確認されているということでした。近隣住民の皆さんは、航空機騒音にさらされない日がほとんどないということです。
 次に、都は、二〇一〇年十一月に、八日間にわたって、横田基地を離着陸ないし旋回した米軍機の航跡と高さを測定しました。
 この調査結果について伺います。
 一つは、飛行航跡の下にある小学校、中学校数はどれだけあるのか。二つ目に、人口密集地域を旋回したことが確認されたのか。三つ目に、調査結果では百九十六回の飛行が確認され、その航跡断面図によって飛行高度が確認できるのか、日米合意の高度が守られているのか伺います。

○木村環境改善部長 平成二十二年十一月に、環境局では、航空機騒音から通常の生活を保全する必要がある地域といたしまして、知事が指定する航空機騒音地域類型指定地域の見直しを検討するための基礎調査を行っております。
 この調査では、騒音の分布状況を見るために、簡易な装置で飛行航跡を描いたもので、正確な飛行経路を確認できる精度で測定していないため、飛行航跡の下にある小中学校数は算出できませんが、横田基地周辺の航空機騒音地域類型指定地域内の小中学校数は、小学校七十二校、中学校四十二校でございます。また、いわゆる住宅街の上空も飛行しております。航跡につきましては、日米合意の高度が確認できる精度で測定は行っておりません。

○米倉委員 日米合意はあっても、連動維持のための最小限のものですとか、飛行訓練ではない飛行なんだなどといいわけをして、深夜も祝祭日も、日曜日も騒音を発生し続けている、住宅地や学校の上も飛び回ると。合意はあるといっても、幾らでも解釈の幅があって、人口密集地の上空をいつでもどこでも飛べること、住民に被害を与え続けていることが、都の調査からも明らかになっていると思います。
 都は、国の定めた環境基準を超えているかどうかのみを指標にして、騒音被害を評価しています。しかし、国の基準は、国際的な知見の到達点に照らして今日十分なものでしょうか。
 そこで伺いますが、都は、欧州WHO事務局が二〇〇九年に公表した欧州夜間騒音ガイドライン、また二〇一一年に公表した環境騒音による疾病負荷についてご存じなのか、また、どのように受けとめているのかを伺います。

○木村環境改善部長 欧州WHO事務局が二〇〇九年に公表いたしました欧州夜間騒音ガイドラインは、夜間騒音による睡眠障害及びそれに起因する健康影響の防止を目的といたしまして、夜間の騒音ガイドライン値と、暫定目標値を定めたものと承知しております。同じく二〇一一年の環境騒音による疾病負荷は、騒音による健康リスクを定量化する方法を示したものでございますが、具体的な活用策の記述はございません。
 一方、我が国におきましては、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準といたしまして、航空機騒音に係る環境基準が設けられており、都は、この基準に基づく調査を行っております。

○米倉委員 国の環境基準の評価指標というものは、昨年、WECPNL、いわゆるW値からLdenへ変わりましたが、約四十年前につくられた基準の基本的な考え方は変わらず、その後の科学的な到達点は織り込まれていません。WHO世界保健機構の九九年の環境騒音ガイドラインでは、このW値、Ldenとも、住民の睡眠を保護しないと指摘しているものです。
 WHOは、一九九九年に環境騒音ガイドラインを発表し、日平均騒音レベルが六十五から七十デシベルの地域で、心臓血管系疾患、つまり心筋梗塞などが増加していることを明らかにしました。その後、疫学研究の科学的根拠が充実したことを受けて、このガイドラインを補足するものとして、二〇〇九年に公表されたのが欧州夜間騒音ガイドラインです。このガイドラインは、夜間の騒音による睡眠影響や心臓血管系疾患などについて、どの程度の騒音レベルから影響が生じるかということを示しています。また、その後の二〇一一年に公表された環境騒音による疾病負荷は、抽象的で目に見えない騒音による健康リスクを明らかにしています。
 厚木基地の訴訟では、北海道大学の松井利仁教授が、厚木基地周辺において、航空機騒音による健康損失がどれほどのものかを定量化することを試みていらっしゃいます。これは神奈川県民のみを対象とした計算ですので、騒音の影響を受けている東京の町田市の健康損失は入っていませんが、結果は非常に深刻です。航空機騒音がW値九十五以上の地域に住む方の健康損失は、百万人がこの地域に住んでいるとした場合に、疾病負荷はがんによる健康損失に匹敵する値が出ています。つまりW値九十五の地域では、がんに相当する健康損失が航空機騒音によって余計に追加されているということになるんです。
 また、航空機騒音によってどれほどの人数が、虚血性心疾患など健康に影響を受けているかも試算をされています。生活習慣病などとは関係なく、航空機騒音が原因で、厚木基地周辺で九十五人が虚血性心疾患になると算定をされています。
 さきの厚木基地の騒音訴訟の地裁判決では、こうしたWHOのガイドライン、欧州夜間ガイドラインが示した指標が全面的に採用されました。判決文は、例えば次のように指摘をしています。
 厚木飛行場の少なくともW値八十以上の地域の多くにおいては、夜間の等価騒音レベルを指標とした場合、欧州夜間騒音ガイドラインのガイドライン値を超えた航空機騒音にさらされているといえるし、W値七十五の地域においても、同様の場所があるといえる。厚木基地周辺のW値七十五以上の地域のかなりの部分で、夜間に健康に対する悪影響が心配される程度に、強度な航空機騒音にさらされているといえるのであり、これに応じて、原告らを含む周辺住民の多くが受けている睡眠妨害の被害の程度は相当深刻なものというべきであると指摘をしているのです。
 このことから、睡眠妨害の被害を相当軽減するために、米軍機の夜間飛行は差しとめられなかったものの、国の権限が及ぶ自衛隊機については、夜間飛行差しとめを命じました。既に司法では、世界の知見を取り入れることによる騒音被害救済が始まっているのです。
 先ほど、都は、国の基準に基づいて調査をするといいましたが、WHOが既にこの指標では、睡眠障害、適切につかめないよとした指標を基準とする国の環境基準に、私は、いつまでも都がしがみついて、そこから出ない立場を続けるべきではないと思います。しかも都は、都独自の生物的調査や世界の最新到達に基づいて国の基準の不十分さに物を申したり、都独自の基準で環境規制を行ってきた画期的な経験を持っていらっしゃいます。
 ディーゼル規制の際には、国の基準は、国が主張するように世界一厳しいとはいえないと主張をして、数度にわたって見解や国への質問状を発表するなど、異例ともいえる思い切った行動をとり、都独自の排ガス基準を設け、基準を満たさない車両に、ディーゼル排ガス浄化装置の装着を求めました。こうした経験を再び生かすときではないでしょうか。欧州夜間騒音ガイドラインや、環境騒音による疾病負荷などを研究調査して、環境規制行政に生かすことを求めるものです。
 国の環境基準では、騒音被害実態をつかむのに十分ではありません。都民の騒音被害が続いている現状から考えますと、騒音問題について、環境基準を超えているかどうかの把握だけでなく、都としても、この世界的知見に基づいて、都民の健康調査を行うことが求められていると思います。
 そこで伺いますが、横田基地の騒音がもたらす健康被害について、都として調査を行ったことが近年あるか伺います。

○木村環境改善部長 関係局にお聞きしましたところ、都では、横田基地の騒音のもたらす健康被害についての調査は実施していないとのことでございます。
 横田基地周辺の諸問題の解決に当たっては、原因者である国の責任において、必要な措置を講ずべきと考えております。
 都は、都と横田基地周辺六市町から成る横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会におきまして、国に対して、航空機騒音等による健康被害調査の実施を要望しております。

○米倉委員 都は、国に健康調査の実施を要望しているとのことです。
 しかし、さきの日米合意の実態にもあらわれているように、米軍の訓練に歯どめをかけているとは到底思われない、国任せでは健康被害調査も行われず、いつまでたっても、健康被害の詳細はあらわれないのではないでしょうか。
 沖縄県では、文化環境部として、県独自に航空機騒音による健康影響に関する調査というものを実施して、嘉手納、普天間基地周辺の住民が、航空機騒音により、どのような健康影響を受けているか調査をされています。
 その結果、明らかになったのは、W値九十五の地域では、深刻な睡眠被害を受けていることであり、W値七十五の地域でも睡眠被害が生じていること、騒音暴露量がふえるにつれて、心身症のかかりやすさが増加すること、W値九十五以上の地域では、かかりやすさが二倍を超えること、そして、航空機騒音にさらされている幼児たちは、風邪を引きやすく、食欲が乏しく、友達づくりに手間取る傾向があると解されること。学童の記憶力についても、覚えた物事を長期間保持し続ける長期の記憶の忘れやすさと、航空機騒音の量に有意な関連があること、低出生体重児の出生率と騒音の量にも有意な関係があることなど、広範な分野にわたって、米軍基地騒音があるがゆえの被害が明らかになったのです。
 私は、この沖縄県文化環境部の報告書を読んで驚いたのですが、序論には、我が国で行われた空港周辺での騒音の影響に関する社会調査の主なものを挙げると、まず一九七二年に、東京都公害研究所が行った報告が比較的初期の包括的な調査研究報告としてある。その研究では、航空機騒音の日常生活、睡眠及び身体的、情緒的影響、乳幼児への影響、心理的影響、生活行動テストなどが調査され、議論をされていると書いてあるのです。騒音の健康調査でも、都には先進的な経験があります。ここでもやはり、都の経験を生かしていただくことを要望するものです。
 次に、騒音調査について、横田基地周辺自治体も、独自に騒音調査に取り組んでいらっしゃいます。そのことの役割と意義について、都の認識を伺います。

○木村環境改善部長 基礎的自治体であります基地周辺の市と町では、国等に横田基地対策に関する要望を行う際の科学的なデータなどとするため、横田基地周辺を飛行する航空機の騒音調査を実施しているものと認識しております。

○米倉委員 自治体がみずからの地域の騒音実態を的確に把握し、国に改善を要望するための必要な調査であるということです。ところが、国の騒音評価指標が変更されたために、周辺自治体は新たな負担に苦しんでいます。
 このため、多摩市長会要望では、航空機騒音の環境基準が変更されたことに伴う費用への支援を国に求めるとともに、都に対しても、国に支援をするよう求めることとあわせて、都の財政支援も求めています。費用負担の増大について、都としてどのように認識しているか、多摩市長会の要望にどのように応えるのか、伺います。

○木村環境改善部長 多摩の市長会からは、航空機騒音に係る環境基準がWECPNLからLdenに変更されたことにより、機器の購入及びリース料金、委託経費などの負担が増加したため、財政支援を国に要請するよう要望を受けております。
 これを受けまして、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会におきまして、国に対しまして、地元自治体が実施する騒音測定器の維持及び更新並びに測定に要する費用について、国の助成制度を設けることについて要望しております。

○米倉委員 都としても、国には助成制度創設を求めているということでした。
 私は、福生市の担当者に話を伺いましたが、航空機の測定装置の二台購入費が七百十七万円かかり、加えて毎年三十四万円保守費用がかかるということでした。市が出している音ではないにもかかわらず負担しなければならないとおっしゃっていました。市や町にとっての七百万円は重いと思います。ぜひ都として支援するよう要望しておくものです。
 繰り返しになりますが、都民が横田基地から受ける騒音被害は、量も質も深刻で、長期にわたるものです。首都に他国の軍事基地があること、そして、その活用が自国の航空法の適用も受けないなど、事実上ほとんど制約を受けず、野放しであることなどが世界に類を見ないものになっています。
 多数の住民が長期にわたり健康と暮らしを脅かされ、地域のまちづくりにも多大な影響を受けているこの状態を、世界一の都市を目指すと宣言している東京が続けてよいのでしょうか。しかし、そのような環境を改善していくための自治体独自の環境行政の創意工夫にあふれた取り組みも、東京都は持っているというのもまた事実だと思います。ぜひこの経験を生かして、新しい取り組みに踏み出されることを再度要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からは、東京都環境基本計画が、このたび七年ぶりの改定になるということでありまして、さらに環境審議会から、中間のまとめが先日提出をされたということでありまして、この環境基本計画のそれぞれの数値目標と具体的な達成状況についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず、気候変動の危機回避に向けた施策の展開についてということでの項目でありますが、キャップ・アンド・トレード制度に代表される都の取り組みによりまして、確実にこの間、エネルギーの消費量は減少をしております。
 一方、二〇二〇年までに、東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で二五%削減するというこれまでの環境基本計画の目標に対して、CO2排出係数を二〇〇〇年に固定した場合に、二〇〇〇年度比では約一一%の減少にとどまり、目標達成にはまだまだ厳しい状況であります。
 この内訳を見ますと、部門別、産業業務部門、運輸部門に対しては、着実に減少が実現している一方で、先ほど来の質問にも出ておりましたが、家庭部門というのは、なかなか厳しく、逆に増加をしてしまっているという事実もあります。産業業務部門、運輸部門が減少して、家庭部門だけが増加をしてしまった、まずこの原因をどのように都としては分析をしているのか、伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭部門の温室効果ガス排出量が増加している主な要因は、世帯数の増加であると考えております。

○田中委員 東京都は、唯一まだまだ人口がふえるということで、世帯数が増加することによって、この家庭部門がふえてしまっていると。なかなか二〇〇〇年度比から比べて住宅がふえていますので、ただ、ほかの家庭部門以外の産業業務部門とも同じように比較するのは難しいのでありますが、しかしながら、大きなエネルギーの割合を占めるこの家庭部門の削減というものにも取り組んでいかなくてはならないのは事実であります。
 その中で、都としては、この家庭のエネルギー消費量を減少させるため、これまで具体的な取り組みを行ってきたかと思いますが、それについてのこれまでの方策を伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭のエネルギー消費量を削減するための方策といたしまして、都は、家庭用燃料電池等の高効率な機器の普及拡大、マンションの電力消費量を見える化するエネルギーマネジメントシステム、いわゆるMEMSの導入促進、省エネアドバイザー制度を通じた省エネ節電行動の推進などに取り組んでおります。

○田中委員 これらの取り組みの中で、特に代表的な創エネ機器の導入促進支援、またマンションへのMEMS導入促進、省エネアドバイザー派遣がありますが、それぞれの実績を伺いたいと思います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭への創エネ機器の導入促進事業では、事業を開始いたしました平成二十五年度から本年十月末までで、家庭用燃料電池七千百三十八台、蓄電池三千九百五十四台、ビークル・ツー・ホーム二十台の申請を、MEMSの導入促進事業では、昨年度の事業開始から本年十月末までで百一件の申請を受け付けております。
 また、昨年度の家庭の省エネアドバイザーの派遣実績は、省エネのポイントを簡潔に説明いたします省エネアドバイスが一万四千四百件、電気やガスの使用料を確認した上で、エネルギー使用状況に応じた省エネ節電の提案を行う省エネ診断が百九十二件でございます。

○田中委員 省エネアドバイザー制度の派遣は、多くの委員からも、たくさんの意見が出ておりますし、省エネ診断も、新しい取り組みということで、大変実績を上げておることは理解をしておりますが、なかなかその創エネ機器の導入に対しては、まだまだ都民としても一般的でないのは事実かと思います。新築ならば、スマートホームのように、今、導入がしやすいんですが、どうしても既存の家では導入が難しいという現実があります。
 創エネ機器は、日進月歩の進歩によりましてコストも下がり、さらに、簡易な機器ができるということを望みますが、先ほど上野委員の質疑では、マンションのMEMSについては、かなり既存マンションに大きく今回の導入が進んだということでありましたが、やはりどうしても、既存の住宅に対しては、まだまだ進んでいないのが事実かと思います。ぜひとも、既存の住宅への利用がしやすい制度というものに、さらに取り組んでいただくことを要望したいと思います。
 家庭のエネルギー消費減少には、ハードの導入が最も効果的ではありますが、同時に、個人個人の節電意識が必要かと思います。東日本大震災のときに比べ、この節電の意識というのが、どうしても低くなってしまっている現在、さらに、ことしの冬も、この政府の節電目標も設定されないということで、どうしてもますます意識の低下というのが懸念をされております。
 このような意識の低下の中、やはり都としては、意識の変換、または意識を高めるための方策も必要かと思いますが、どのように訴えかけていくのか、お伺いします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 家庭のエネルギー消費量を削減していくためには、高効率な省エネ機器の導入促進に加えまして、省エネ意識の向上を図ることも重要でございます。
 このため、都は、エネルギーマネジメントシステムによるエネルギーの使用状況の見える化や省エネアドバイザーによる世帯特性を踏まえたきめ細かなアドバイス、九都県市が連携して行いますライフスタイルの実践行動キャンペーンなど、さまざまな手法を組み合わせて、家庭の省エネ意識の向上に取り組んでおります。

○田中委員 これに対しては、やってもやってもその結果はまだまだ出てこないわけでありますが、しかしながら、これはやり続けることが大事だと思いますので、今、先ほど家庭の省エネ意識向上のさまざまな取り組みをしているといいましたが、引き続き、これも取り組みを進めてもらいたいと思っております。
 産業業務部門に移りますが、産業業務部門では多くの対策がとられ、実績を上げております。その中で、中小企業事業者への省エネルギー対策について伺いたいと思います。
 先日、中小事業者への省エネ支援事業で、新しくクラウドサービスへの移行費用助成というものが開始をされるということで説明会が開かれました。この事業の具体的内容はどのようなものなのか、内容を伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都内の業務産業部門のCO2排出量の約六割は、中小規模事業所から排出されておりまして、中でも増大傾向にある情報システムの省エネルギー化を図ることは重要でございます。
 この事業は、都と特定非営利活動法人日本データセンター協会とが、協定に基づき認定いたします省エネ性能にすぐれたクラウド型データセンターに、中小事業者が所有する情報システム等を移行し、省エネを図ることにつきまして、その経費の一部を助成するものでございます。
 経費の助成に当たりましては、情報システム等の移行前に、都による省エネルギー診断などを義務づけておりまして、移行前後のエネルギー消費量を確認することとしております。

○田中委員 新しい取り組みということでありますが、これによってどのくらいの省エネにつながり、結果的に電力の消費量の削減ができると都としては試算をしているのか伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 一般的なオフィスの電力消費量のうち、十数%はデータサーバーに関連する消費と推計されておりまして、移行によりこの電力分が事業所から削減されることになると見込んでおります。
 一方、システムの移行先でありますデータセンターでは、電力消費量の増加が見込まれますが、中小事業所にサーバーが設置されている状況と比較いたしまして、平均で七三・五%の省エネにつながったと経済産業省の調査で示されております。

○田中委員 かなり多くの電力の消費量が削減できるということで、大変期待をしたいと思いますが、まだ今募集をして始まったばかりの事業でありますので、またこの委員会の中でも、ぜひともその成果をお聞きをさせていただき、確認をしていきたいと思います。
 それでは、再生可能エネルギーの方に移りますが、この二〇二四年までに、この基本計画の中では、再生可能エネルギーの電力利用割合を二〇%程度に高めるという目標を立てておりましたが、二〇一二年度末では六%という現状であります。都内の再生可能エネルギーとしては、太陽光発電が一番代表的なものでありますが、この導入量は、固定価格買い取り制度の導入もありまして、二〇〇八年、五万五千キロワットから、二〇一三年には、約三十四・二万キロワットと大きく拡大をしているという実績はあります。
 しかしながら、先ほどいいました六%の実績の中、目標達成のためには、さらなる推進が求められています。再生可能エネルギーの導入についての現状の認識と、割合が伸び悩んでいる原因というのを、どのように認識しているのか、まず伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 東京は、日本の首都、経済の中心といたしまして、都市活動を支える電力、エネルギーの供給を他の地域に大きく依存しており、電力の大消費地の責務として、現状六%程度である再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図っていくことが重要であるということでございます。
 東京における太陽光発電などの普及には、高額な地価や設置スペースの確保といった東京特有の課題があると認識をしておりまして、集積する建物の屋根や駐車場の上部空間等の未利用スペースを有効活用するなど、地域特性を生かした取り組みを進めますとともに、需要面でも一層の省エネ節電を推進いたしまして、目標達成に努めてまいります。

○田中委員 太陽光以外の再生可能エネルギーとしては、風力やバイオマス、地熱などが挙げられます。その中でも、先ほどいった都の特有の課題がある中でも、特に、都市型バイオマスの活用、また地熱に代表される島しょ部での再生可能エネルギーのさらなる導入が一番の現実的な取り組みかと思っております。また、それも必要かと考えておりますが、これまでの取り組みと今後の方向性について伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都市活動から生じます廃棄物を利用した発電や、多摩地域に代表される森林資源を活用した木質バイオマスの利用は、地域資源を生かした再生可能エネルギーとして有効であります。また、島しょ地域は、太陽光や風力、地熱など豊かな自然環境を有しており、各島の特性に応じた地産地消の自然エネルギーの活用が可能でございます。
 このため、都では、これらの再生可能エネルギー導入に向けた技術的支援のほか、地域に根差した地元自治体の取り組みを後押しするため、区市町村補助制度を活用した支援を行っております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入を推進してまいります。

○田中委員 このバイオマスの活用、地熱は、採算性がなかなか難しいということ、またコスト面ではまだまだ課題があることも理解をしておりますが、しかしながら、今の六%をやはり上げていくためには、積極的にこの取り組みを進めていかなくてはならないということも事実でありますので、ぜひとも、できることから、この再生可能エネルギーの推進を進めてもらいたいと思います。
 二〇%という目標というのは、相当高いという目標でありますが、都がこの再生可能エネルギーを拡大する明確な目標を掲げたということは、都民、事業者の取り組みを喚起する非常に重要なメッセージであると思います。
 事業者の取り組みがなければ実現ができません。今後は、太陽光発電の導入だけではなく、現在、三十一万キロワット導入されている廃棄物の発電が大きく今伸びているということでありますが、この廃棄物発電、また、先ほど述べました木質バイオマスの発電など、大規模な再エネ電源の導入を進めていくことが必要かと考えます。
 都は、こうした取り組みに対する支援を行っているという答弁ありましたが、今後とも、区市町村とも連携をして、さらなる導入促進を図っていただきたいと思います。
 また、目標の実現に向けては、今まで供給をふやす取り組みを議論してまいりましたが、需要側の電力消費量そのものを減らす省エネ節電の取り組みも非常に重要であります。
 今後も、さらに需給両面での幅広い取り組みをすることを求めたいと思います。
 それでは、次は、廃棄物の方に話を進めていきたいと思います。
 現在の東京都の環境基本計画におけます都内から発生する廃棄物の最終処分量、二〇一六年度までに二〇〇〇年度比五五%削減するという目標に対し、二〇一二年度で最終処分量は百二十四万トン、六三%の実現をしております。また、東京都の廃棄物処理計画においても、二〇一五年度の最終処分量が、二〇〇七年度比三〇%減とする目標に対しまして、達成状況は、二〇一三年度実績で三八%減ということで、こちらも実現をされております。
 さらに、廃プラスチックの類のリサイクルを促進し、二〇一〇年度までに埋め立て処分量をゼロにするという目標も実現をしております。その中で、東京都は、「持続可能な資源利用」に向けた取組方針を本年発表しています。その中で、持続可能な資源利用を進めるための三つの柱として、資源ロス削減の促進、エコマテリアル利用の促進、廃棄物循環利用のさらなる促進を掲げています。これらを具体化するため、都は、モデル事業を募集して、九月に採択をしたばかりであります。
 どのような事業が採択をされたのか、詳細を伺います。

○谷上資源循環推進部長 都は、「持続可能な資源利用」に向けた取組方針に基づき、三つの分野について、先進的なモデル事業を公募し、専門家の意見を踏まえた上で、本年九月に六事業を採択いたしました。
 採択した事業は、例えば、資源ロスの削減に関しましては、NGOと連携した食品ロス削減プロジェクト、エコマテリアルの利用に関しましては、建築工事における国産合板材型枠の利用及び建設泥土改良土の利用に関するモデル事業でございます。

○田中委員 その中の事業で、特に今資源ロスについては、食品ロス削減に向けた取り組みの話が出ておりました。これまでも都は、この食品ロス削減を推進してきたという話を聞いております。ことし二月には、その取り組みの一つとして、フードバンクマッチングセミナーを開いたということでありますが、どのような内容で、どのような成果があったのかを伺います。

○谷上資源循環推進部長 フードバンクは、企業等から食品の寄贈を受け、それを福祉事業に活用する取り組みでございますが、二月に行ったセミナーでは、実際にフードバンク活動を行っている団体や食品を提供している企業などから、それぞれの取り組みについて話をしていただきました。
 セミナーには、食品関連事業者や災害備蓄を行っている企業等二十五団体が参加し、そのうち六団体が、セミナーの後に、フードバンク団体との合意書を締結し、食品の寄贈を行っております。

○田中委員 このフードロスに関しては、昨日も、このフードロス対策から始めよう、断捨離とハッピーで進める東京の取り組みというセミナーが、この一階であったばかりでありますが、今後、どのようにしてこの資源ロスの取り組みを進めていくのか、方針を伺います。

○谷上資源循環推進部長 昨日行いましたフードロスに関するセミナーは、広く都民に食品ロスの問題の重要性を理解していただくために実施したものでございます。食品ロスを初めとした資源ロスの削減に向けて、このような普及啓発を行うとともに、今回のモデル事業の結果も踏まえて引き続き取り組みを進めてまいります。

○田中委員 国の調査によりますと、食品ロスというのは、五百万から八百万あるといわれています。そのうち一般家庭が二百万から四百万と半分近く占めるということであります。私は、最初は事業者が多いのかなということで調べましたら、一般家庭が多いということでありまして、私たち個人の認識が大変重要なんだろうなと思っております。食品関連事業者への働き方というのは、環境省が音頭をとって今取り組みを進めているということでありますが、今いった家庭への啓発というのは、都としても大きな役割を果たすことができると考えております。
 都におきましても、この独自の調査をしたということで、平成二十五年度の調査で、年間の食品破棄の量が九十八万トン、そのうち食べられる前に破棄されたものが年間十六万トン含まれていたということも発表がされました。ぜひ、そのような情報をしっかりと都民に知らせまして--私たちは、昔だとお百姓さんがつくった米粒一つ残すなと父親にいわれて育ったと思います。そういうもったいないという、もともと日本人にあるそういった心に訴えかけてもらいたいと思いますし、今飽食の時代といわれますが、やはり子供たちへの教育というのも大変重要かと思いますので、連携をとってこの問題にさらに力を入れていただければと思っております。
 また、廃棄物の問題でありますが、循環利用を進めているということで、その例として、私たちの生活に身近なペットボトルについてお聞きしたいと思います。
 これまでペットボトルは店頭での回収が進められておりましたが、廃棄物処理法上の扱いが不明確との指摘がたびたびありました。これを明確にするために、再生利用指定制度を適用したということでありますが、具体的にこれまでとどのようなことが変わったのか説明を伺います。

○谷上資源循環推進部長 小売業者が自主的に回収したペットボトルにつきましては、産業廃棄物として取り扱い、廃棄物処理法に基づき、これを運搬する場合は許可が必要です。都は、店頭回収されたペットボトルの円滑なリサイクルを維持促進するため、本年三月末に、それを運搬する事業者、リサイクルする事業者を対象に再生利用指定を行い、制度の適用を図りました。これにより許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に加え、ペットボトル飲料の商品をスーパー等に納入した物流業者による、いわゆる戻り便も廃棄物処理法の許可を受けずに、店頭からリサイクル施設まで運搬ができるようになりました。

○田中委員 これもことしから始まったということで、これからの取り組みを注視していきたいと思いますが、このような廃棄物循環の利用をさらにしやすくするような制度を大きく使っていただいて、推進を進めていただければと思います。
 これら廃棄物の問題とあわせて、その処分場の問題も忘れてはいけないと考えております。都の最終処分場、よくいつまであれ大丈夫なんだと、永遠に大丈夫じゃないかという人もいれば、もうすぐ埋まっちゃうんじゃないかという人もいる中、おおむね聞きますと、五十年程度は確保できるという話も聞いております。
 しかしながら、これも震災があったり、何か大きな出来事があれば、この五十年というのも短くなるということもあります。新たな最終処分場が今のところ確保できない中、可能な限り長く現在の処分場を使用できるように、広く都民に、今の埋立処分場の現状、大変厳しいということ、また同時に、それとごみの減量化というものをあわせて訴えていく取り組みが必要かと思いますが、都の取り組みを伺います。

○谷上資源循環推進部長 都の埋立処分場につきましては、その現状をホームページで周知するとともに、年間約四万五千人の見学者を受け入れ、より効果的な広報に努めております。ごみの減量化につきましては、都の技術支援等によりリサイクルを推進し、埋立量の削減に取り組んでおります。
 都は、埋立処分場のさらなる延命化に向けて、区と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。

○田中委員 四万五千人、大変多くの見学者がいるということでありまして、やはり現場を見ると、その現実というのがよくわかると思いますので、この年間四万五千人、さらにふやしていただいて、そして、その最終処分場の現状というのを広く都民に知らせていただくことを要望したいと思います。
 最後に、市街地における豊かな緑の創出についてお聞きします。
 今回の環境基本計画の中でも、この緑の創出に対する目標が掲げられておりまして、二〇一六年に向けて、新たに一千ヘクタールの緑を創出する目標に対して、二〇〇七年からの七年間で六百二十五ヘクタールを創出、また、街路樹を百万本に倍増するという目標に対して、八十九万本の整備が進んだということであります。
 都としては、あらゆる事業を通して緑の量、また、さらにはその質ということに配慮した取り組みを進めてきたかと思いますが、その中でも、江戸のみどり復活事業ということが昨年から行われております。
 区市町村の先進的取り組みに対する支援や事業者と連携した技術ノウハウの蓄積をこの間進めてきたと思いますが、どのような成果が生まれているのか、これまでの実績を伺います。

○志村自然環境部長 江戸のみどり復活事業は、在来植物による緑化に取り組む区市町村を支援するほか、民間事業者とともに蓄積した在来植栽に関する技術的知見を広く業界に周知することで、生態系に配慮した緑のネットワーク形成を推進する事業でございます。
 区市町村の補助事業においては、タブノキ、イロハモミジといった在来植物を活用して、既存の大規模緑地の間をつなぎ、生き物の生息空間の拡大を目指す取り組みが行われております。また、民間事業者三社との連携事業におきましては、植栽を求めて飛来した生き物のモニタリング手法や害虫発生時の対応などを検討しており、このうち害虫対策では、特定の害虫のみを駆除する方策として、生物農薬の散布に一定の効果があることが確認されております。

○田中委員 この江戸のみどり復活事業におきましては、プレスの中でも発表がされておりまして、この三社の中の一つであります三井住友海上火災保険のビル周辺でも、この在来種による緑地づくりが進んでいるということで、この担当者によりますと、皇居と上野公園の中間地点にビルが位置しておりますが、実がなる在来種に切りかえるなどしたことで鳥たちが移動するときに寄るようになりました、鳥にとっての都会のオアシスになっているようですという、これは当事業者の担当者ですから、そこまで大変魅力的な鳥が大きく飛んでいるかは私も目にしてはいないですが、このようにして実績が出ているようでありまして、東京に、そのような緑がさらにふえ、さらにこの取り組みが、今、三社ということでありますが、あらゆる事業者に広がっていくことを要望したいと思います。
 それに関連しまして、この緑の事業として、本年度から、花と緑による緑化推進事業というのが始まっております。事業、七月から始まったということでありますが、江戸のみどり復活事業とはどのような違いがあるのか、この事業の概要を伺います。

○志村自然環境部長 江戸のみどり復活事業は、在来植栽の普及を通じて、生態系に配慮した緑のネットワーク形成を推進する事業でございます。
 これに対し、花と緑による緑化推進事業は、美しい花や緑がまち並みに潤いを与え、都市景観の魅力を高めることに着目し、人が自由に立ち入りが可能な場所等において、樹木や花による緑化を行う民間事業者に補助をすることで、快適な都市空間の創出を図る事業でございます。

○田中委員 大変目的はすばらしいことでありまして、ぜひともこれも事業として進んでいただきたいと思っておるんですが、江戸のみどり復活事業は、今いったように三社と連携して大きく進んでいる中であるんですが、この花と緑による緑化推進事業、七月からの募集で、お聞きしますとまだ応募がないという現状であるようであります。この事業を、今回のチラシによりますと、受け付けが二月二十九日までに緑化が完了するということで、大変時間もない中、この事業が始まっているようでありますが、現状、どのようにこの状況を考えているのか、また申し込みをふやすために今後どのような取り組みが考えられるのか、対応を伺います。

○志村自然環境部長 花と緑による緑化推進事業は、本年七月に募集を開始したところでございますが、開発行為に伴う緑化の整備には、計画の設定に一定の時間を要するといった事情などから、現時点でまだ応募はございません。
 引き続き、二〇二〇年の東京大会に向け、緑化計画書制度の窓口におけるパンフレットの配布や区市の緑化担当者向けの説明、事業団、業界団体に対する会員各社への周知依頼などを行い、民間事業者等に制度の周知を図ってまいります。

○田中委員 たしか、周知、PRが足らないというようなことで、このチラシが見られたのですけれども、このような、ちょっと実務的な書類で、もう少し夢があるようなパンフレットをつくって、そして企業の皆さん、恐らくこのような花と緑をふやそうということに反対する人どころか、ぜひ、企業としてもやりたいという方がたくさんいらっしゃるかと思います。しかしながら、この事業対象を見ますと、百平米以上であったり、いろんなこれまで使っていた制度や条例とは別に緑化されるということで、ハードルもちょっと高いんじゃないかなと思っております。
 本年度だけかと思いましたら、今のお話にもありましたが、二〇二〇年オリンピックに向けて、さらにこの事業も拡大をしていくというようなお話も聞かせてもらいました。ぜひとも、江戸のみどり復活事業と同じように、この花と緑による緑化推進事業もさらに推進をして、東京中に緑があふれるようにしてもらいたいと思っておりますし、この中間のまとめを見てみましても、あらゆる都市空間における緑の創出として、この推進事業も掲げられております。ぜひともこの事業が推進をして、また、この委員会でも報告が聞けることを期待しまして質問を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 私からは、まず初めに、水素エネルギーについて伺います。
 水素エネルギーについては、先ほどもお話がございましたけれども、現在、自動車や家庭用燃料電池などで実用化されておりますけれども、将来的には、バスや船など、私たちの暮らしのさまざまな場面での活用が期待されております。水素は、利用する段階で水しか排出しないため、今後、利活用が進めば環境負荷を低減することができます。
 私の地元世田谷では、市民がお金を出し合って共同発電所として太陽光発電を行っておりますけれども、この電力を活用して水素を製造できるようになれば、環境に優しいエネルギーになります。
 このように製造段階でもCO2を排出しない水素を普及させていくことで、一層のCO2削減が可能と考えられますが、都の見解をお伺いします。

○小川都市エネルギー推進担当部長 環境負荷の低減に向けまして、製造時にもCO2を排出しない再生可能エネルギー由来の水素を活用することは重要でございます。水素社会の実現に向けた東京戦略会議の取りまとめにおきましても、地産地消等の低炭素な水素の先導的な導入による水素供給の多様化など、取り組むべき方向性として掲げ、公表したところでございます。

○西崎委員 再生可能エネルギーを使って水から取り出す水素はR水素といわれています。太陽光や風力などの自然エネルギーは、電力や熱に変えることで暮らしに役立てることができますが、使いたいときになかったりしてしまうことがあります。その欠点を補い、再生可能エネルギーの可能性を広げるのがR水素でもあるといわれております。再生可能エネルギーを利用した水素の普及に向けて、今後、都の取り組みに期待しております。
 こうした取り組みとあわせて、都民へわかりやすく情報を伝えていくことも重要ではないでしょうか。日ごろ、水素に関する情報に触れる機会が余りないこともあり、水素についてよくわからない、安全なのか不安であるといった声も聞きます。
 水素エネルギーの普及に向けた情報発信について都の取り組み状況を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及には、水素を利活用する意義や安全性につきまして理解を深めていただくことが重要でございます。都ではこれまで、シンポジウムの開催や国の水素関連ポータルサイト立ち上げに向けた検討会への参加などを通じまして、都民への水素エネルギーの普及に取り組んできております。
 今後とも、さまざまな情報発信により、都民の幅広い層への普及促進に努めてまいります。

○西崎委員 水素エネルギーの利活用を拡大するには、今後、技術革新も必要です。さらに、利用者である都民の理解は不可欠です。引き続き都民の普及啓発に取り組んでいただくことを要望します。
 次に、太陽熱の利用促進について伺います。家庭で消費するエネルギーの約半分は、給湯や暖房といった定温の熱需要であることから、家庭の省エネを考える際には、太陽熱の利用を促進していくことが効果的です。また、太陽熱利用には、太陽光発電に比べまして、太陽のエネルギーを効率よく利用できることから、比較的狭いスペースでも設置可能というメリットもあります。こうしたことから、都は、平成二十三年度から、新築住宅への太陽熱利用システムの導入に対する補助事業に取り組んできていると聞いております。
 この事業のこれまでの取り組み状況についてお聞かせください。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都は、太陽熱の利用拡大に向けまして、エネルギー利用方法や施工方法、デザイン性などにすぐれたシステムを、専門家による審査会で認定し、これを導入する住宅供給事業者に対しまして、対象経費の二分の一を補助しております。この補助事業では、バルコニー設置型などの新たな方式やデザイン性にすぐれた屋根一体型システムなど、事業開始から本年十月末までに三十七件、千五百一戸の申請実績がございます。

○西崎委員 都の取り組みによりますと、太陽熱利用機器の新たな技術やデザイン開発が促進されたことがわかります。しかしながら現状は、固定価格買い取り制度により急速に導入が拡大している太陽光発電に比べ太陽熱は押されぎみです。また、そもそも太陽光発電と太陽熱利用との違いを正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。太陽熱利用を拡大していくためには、補助制度による経済面での支援とあわせまして、太陽熱利用の意義やメリットを紹介することなどにより、都民や事業者の認知度を高めていくことも重要です。
 そこで、太陽熱利用に関し、都はどのような普及啓発に取り組んでいるのか伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都は、これまで、太陽の熱でお湯をつくり家を暖める「熱は熱で」というキャンペーンや、家庭の省エネアドバイザー制度等を通じ、太陽熱利用によるCO2排出量の抑制効果や光熱費の削減メリットなどを紹介してまいりました。また、平成二十五年度末には、太陽光発電とあわせ太陽熱利用のポテンシャルを建物ごとに確認できるシステムといたしまして、東京ソーラー屋根台帳を公開し、設備導入の動機づけを図っております。加えまして、九都県市共同でセミナーの開催やPR動画の配信を行うなど、広域的な取り組みも実施しております。
 今後とも、さまざまな機会を捉えまして、太陽熱利用システムの普及啓発に努め、導入拡大につながるよう取り組んでまいります。

○西崎委員 昨年、都議会生活者ネットワークでは、大分県を視察いたしました。大分県は、再生可能エネルギーが占める割合が日本一です。視察した際も、地域を回りますと、各家庭の屋根に太陽光パネルや太陽熱を利用した装置をよく見かけました。都においても、再生可能エネルギーに関する有識者検討会の報告書でも、太陽熱や地中熱など再生可能な熱エネルギーを活用していくことの重要性が指摘されております。
 再生可能エネルギーによる電力利用割合を、先ほどもお話が出ましたが二〇%まで高めるという長期ビジョンの目標達成に向け、太陽光発電だけではなく、引き続き太陽熱利用の促進にも力を注いでいただくことをお願いしておきます。
 次に、地域におけるエネルギーの有効利用について、お伺いいたします。
 都は、長期ビジョンにおきまして、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市を創造する政策目標を掲げております。その実現のためには、事業所や家庭がそれぞれ省エネに取り組むことはもちろんですけれども、まちづくりの段階から地域のエネルギーネットワークを形成し、エリア全体でエネルギーマネジメントを行い、省エネ、低炭素化を進めることも重要です。古くは、新宿地域でも導入されています地域冷暖房を都内でのエネルギーの有効利用につなげていくことが必要です。
 そこでまず、都内の地域冷暖房の導入状況と導入のメリットについて、改めて伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 地域冷暖房は、複数の建物の冷房や暖房、給湯に必要な冷凍機、ボイラーなどの設備を集約し、効率的に冷水や蒸気などをつくり、集中的に供給する仕組みでございます。
 都では、環境確保条例に基づきまして、その地域冷暖房区域の指定を行っており、平成二十七年十月末現在、八十二の区域を指定してございます。また、七十六の区域で熱供給が実施されております。
 地域冷暖房は、地域の特性にあわせ清掃工場やビルの排熱など未利用エネルギーや再生可能エネルギーの活用も図ることができ、CO2削減や排出されるNOx濃度の低減も可能な仕組みとなっております。

○西崎委員 地域冷暖房は、地域におけるエネルギーを集中的に管理することで、省エネや低炭素化に貢献していることがわかりました。また、未利用エネルギーや再生可能エネルギーの活用も可能であるということも大変意義があります。
 都は、こうした地域冷暖房区域の導入を積極的に進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、これまで、地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度により、計画の早い段階から、延べ床五万平方メートルを超える開発を行う事業者に対し、地域冷暖房の導入検討を促しております。また、この制度では、未利用エネルギーや再生可能エネルギーの導入についても検討することを求めております。
 今後とも、この制度などを活用しながら、スマートエネルギー都市の実現に向け取り組んでまいります。

○西崎委員 新たなまちづくりは、エリア全体として、省エネや低炭素化に取り組む絶好の機会だと思います。都は、機会を逃がさずにスマートエネルギー都市の実現に向けて、しっかりと取り組むことを要望しておきます。
 最後に、プラスチックごみの減量について伺います。
 ことしの第三回定例会の一般質問で、都議会生活者ネットワークは、プラスチックによる海洋汚染を取り上げました。先日、環境局は、海ごみ問題を考えるシンポジウムを開催し、マイクロプラスチックやマイクロビーズの問題も取り上げておりました。私も当日、参加し、お話を伺いましたけれども、問題提起につながるいい取り組みだったのではないかと思っております。特に大妻女子大学の兼廣教授のお話は、プラスチックによる海洋汚染について詳しく説明され、とても参考になりました。
 そこで、このシンポジウムの目的と、どのような方が参加されたのか、お聞かせください。

○谷上資源循環推進部長 今月六日に開催した、海ごみ問題を知っていますかと題するシンポジウムでは、都民に対して、プラスチックによる海洋汚染の実態をお知らせするとともに、国や都の海ごみ問題に関する施策や、ごみ拾いに積極的に取り組む団体の活動内容に関する情報提供を行いました。当日の参加者は約百九十名で、民間企業や各種団体の方と海ごみ問題に関心の高い都民などがほぼ半々でございました。

○西崎委員 講演の中で、兼廣教授が指摘しておりましたように、従来の合成プラスチックにかわる環境低負荷型のプラスチック製品への切りかえを推進して、ごみをつくらない、売らない、買わないなど、プラスチックに依存しない社会のシステムの構築が重要だと思います。
 また都は、都民、企業、NPOや専門家と連携しながら、積極的な取り組みを進めていく必要があると思います。シンポジウムの中では、環境NGOとの実際の取り組みとして、荒川クリーンエイド・フォーラムや、グリーンバードが市民と協働してごみ拾いを行っている活動についての講演もありました。こうした地域社会に根差した取り組みは重要だと考えます。
 環境NGOの取り組みに関する今後の都の連携について伺います。

○谷上資源循環推進部長 今回のシンポジウムにおきましては、海ごみの回収を行っている団体の代表者を招き、実際に取り組んでいるさまざまな活動について紹介いただきました。
 海ごみの削減に当たりましては、都民やボランティア団体の協力が重要であり、都としては、今後も、このようなシンポジウムの開催などを通じまして、海ごみ問題に関する都民の理解が深まるよう取り組んでまいります。

○西崎委員 海洋汚染につながるプラスチックごみを減らすためには、海に流れ出ないように、川や海岸までの陸地で回収することは重要ですけれども、発生抑制の観点から、リデュース、リユースを優先させる必要があるということはいうまでもありません。事業者によっては食品トレーを抜いたり、プラスチックの詰めかえボトル、リユース食器の使用などの努力も見られますが、全体には広がっておりません。また、プラスチックの代替品やリサイクルしやすい材質への変更も進んでいないのが現状です。都は、都民への情報提供とともに、プラスチックを生産や使用している事業者に対して働きかけていくことも重要だと考えます。環境分野で先駆的な取り組みを実施してきた東京都には、ぜひ事業者への働きかけを行っていくことを要望して、質問を終わります。

○高橋委員 最初に、事業概要の一二五ページにある高圧ガスに係る防災対策についてお尋ねいたします。
 高圧ガスには、塩素やアンモニアなどの毒性ガス、LPガスやアセチレンなどの可燃性ガスなどがあり、これらが高圧の状態で封じ込められていることから、一たび、事故や災害が発生すれば、甚大な被害を及ぼしかねない危険性を有しております。
 未曽有の被害をもたらした東日本大震災以降、全国的に、地震の発生や火山の噴火など、自然災害が相次いでおります。仮に、東京が首都直下地震などの災害に見舞われ、高圧ガスを取り扱う施設が被災した場合には、周辺に被害が拡大しないとも限りません。
 都は、長期ビジョンで、都民、事業者の防災力の向上と行政の防災対策の充実により、発災時の被害を軽減するとしております。私も、こうした被害軽減の取り組みが極めて重要であると考えます。
 都は、高圧ガスに係る防災対策としてどのような取り組みを進めているのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 高圧ガスに係る事故や災害に対応する地域防災組織といたしまして、約一千事業所が加盟する東京都高圧ガス地域防災協議会が組織されており、都は、昭和四十七年以来毎年、同協議会と共催で高圧ガス防災訓練を実施しております。
 訓練では、約八百名が参加いたしまして、アセチレンの発火などの実験や初期消火、空気呼吸器の装着などの基礎訓練のほか、警視庁、東京消防庁と連携した大規模訓練を行っております。
 こうした実践的で総合的な訓練の積み重ねによって、高圧ガス事業者の防災意識の高揚と緊急措置技術の向上を促すとともに、関係機関との連携強化を図り、防災力の向上に努めてまいります。

○高橋委員 都と高圧ガス事業者は、今後も訓練を継続して、対応力の向上や警察、消防との連携の強化に努めていただきたいと思います。
 高圧ガス事業者と関係機関が連携して対応するには、情報の共有が不可欠であります。東日本大震災では、東京でも電話が通じにくくなりました。大地震等の災害により電話が使えなくなった場合でも、事業者と連絡がとれるよう、電話以外の通信手段を確保する必要があると考えます。
 都は、非常時における情報連絡体制をどのように確保するのか、伺います。

○木村環境改善部長 東日本大震災を踏まえまして、平成二十四年度に総務局が東京都高圧ガス地域防災協議会を構成します三団体の本部に防災行政無線を配備し、電話が不通の際の情報通信手段を確保いたしました。加えまして、平成二十六年十二月には、団体本部との連絡がとれない場合でも、各支部に直接被害状況の確認や緊急出動の要請を行えるよう、環境局が三団体の三十八支部全てに防災行政無線を追加配備して情報連絡体制を強化いたしました。今年度の高圧ガス防災訓練では、防災行政無線を活用した情報連絡訓練を新たに行いました。
 引き続き定期的に防災行政無線の通信訓練を行い、非常時の情報連絡体制を確実なものにしてまいります。

○高橋委員 いざというときに無線が使えない、使い方がわからないなどということがないように、繰り返し訓練を行って、万一の事態に備えておいてもらいたいと思います。
 さて、東日本の大震災では、千葉県の石油化学コンビナートで高圧ガスのタンクが倒壊し、爆発、火災に至る事故が発生しました。タンクから黒い煙がもうもうと立ち上がる映像をテレビで目にした方も多いことと思います。
 都内にも、工場には原料ガスなどを貯留するタンクが、LPガスのスタンドや充填所には貯留タンクが、病院には液化酸素のタンクがあると聞いております。高圧ガスを取り扱う施設の安全性を確保するには、その耐震性が確保されている必要があると考えます。
 都はこのことについてどのように取り組みを進めているのか、伺います。

○木村環境改善部長 高圧ガス保安法に基づき、高圧ガスのタンクやその基礎などについて、耐震設計基準が定められている施設が、都内には現在、二百八十一事業所ございます。
 都は、東日本大震災の被害を踏まえ、平成二十五年度から三年間で、これら全ての事業所に専門家を派遣いたしまして、高圧ガス施設の耐震設計基準への適合状況や経年劣化等の状況を確認しております。調査の最終年度である今年度は、残る百一事業所の現地調査を行うとともに、経年劣化の抑制に有効な維持管理手法を明らかにするため、全事業所に施設の維持管理に関するアンケート調査を実施いたします。
 また、三年間の調査結果を取りまとめ、各事業所にフィードバックして、高圧ガス施設に係る自主保安の取り組みを促進してまいります。

○高橋委員 都が高圧ガス施設の耐震性を確認していることはよくわかりました。毒性ガスや可燃性ガスなどを取り扱う施設については、耐震性能に加えて、ガスの特性に応じた安全性の確保も必要であります。
 都は、これらの施設の防災対策についてどのように取り組んでいるのか、伺います。

○木村環境改善部長 各種の高圧ガスを大量に取り扱う第一種製造事業者につきましては、高圧ガス保安法により、保安管理の体制や製造施設が危険な状態となった場合の措置などを定めた危害予防規程を作成し、知事に届け出ることが義務づけられております。
 都では、この危害予防規程の内容を確認するとともに、従業員に保安教育を適正に実施するよう指導しております。
 これに加えまして、都独自の指針を定め、毒性ガスや可燃性ガス、酸素など燃焼を助ける支燃性ガスを取り扱う製造事業所や貯蔵事業所などに対しまして、震災対策条例に基づいて作成する防災計画に、発災時の応急措置や事業継続計画、BCP等の復旧対策などの具体的内容を明示するよう指導いたしまして、各事業所の防災力の向上を図っております。

○高橋委員 高圧ガスは、幅広い産業分野で利用されているとともに、私たちが便利で快適に生活していく上で、なくてはならないものであります。
 都は、引き続き高圧ガス事業者に耐震性の確保やガスの特性に応じた自主保安の取り組みを促して、高圧ガスに係る安全確保に万全を尽くしていただきたいと思います。
 次に、事業概要の一八三ページにあるPCB廃棄物の処理に関連してお尋ねいたします。
 PCBは、昭和四十三年のカネミ油症事件を機に、この毒性が社会問題化し、昭和四十八年より、製造、使用が原則禁止されましたが、処理施設の整備が進まず、事業者は長期間の保管を余儀なくされてきました。
 過日の決算特別委員会でお尋ねした際には、都内の高濃度PCB廃棄物のうち、代表的な電気機器であるトランス類、コンデンサー類については、処理登録されているもののうち約九〇%の処理が完了しているとのことでありました。
 しかしながら、思うように処理が進んでいないものもあります。その代表的なものには、照明用の安定器があります。事業概要によれば、これについては、中間貯蔵環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOの東京PCB処理事業所ではなく、北海道の事業所で処理することになりました。
 このように、JESCOの全国五事業所の相互補完により、PCB廃棄物の処理を促進していくことでありますが、相互補完が実施されるようになった理由と、東京事業所エリア内、一都三県のPCB廃棄物の具体的な移動の内容について、お伺いいたします。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 全国に五カ所ありますJESCOの各事業所におきましては、各事業所エリア内のPCB廃棄物を処理することになっておりましたが、それぞれの処理設備が異なるため、次第に効率的に処理できるもの、できないものがあることが判明いたしました。
 また、各PCB事業所により処理の進捗状況も異なっていたため、昨年六月、国が変更したPCB廃棄物処理基本計画において、各事業所のエリアを越え、それぞれの施設が相互に補完し合うことで、国内全体での処理を円滑に実施し、処理期間を短縮することになりました。これにより東京事業所エリア内にある照明用の安定器等が北海道、高圧コンデンサーの一部が北九州の各PCB事業所で処理されることになりました。逆に、東京PCB事業所では、北九州と大阪事業所エリア内の廃粉末活性炭、豊田事業所エリア内の車載トランスを処理することとなり、今月から順次搬入される予定となっております。

○高橋委員 高濃度PCB廃棄物の処理については、全国五カ所のJESCOの各事業所がこれまでの事業エリアを越え、それぞれ効率的に処理できるものを処理し、国内全体の処理を円滑に実施していくとのことでした。このことにより、一日も早い処理の推進を期待いたします。
 次に、このたびのJESCOの処理体制の見直しにより、北海道で処理されることとなったPCBを含有した照明用安定器について伺いたいと思います。
 照明用安定器については、数あるPCB廃棄物の中でも一番数が多く、これまで多くの事業者が長期間の保管を余儀なくされてきたものであります。このため、中小企業等においては、長期間保管基準を遵守した管理を行い、保管のために限られた施設内のスペースを奪われ、大変困っております。
 それがこのたびやっと処理が開始されるというわけでありますが、都内の照明用安定器は、いつから処理が始まるのか、また、北海道で処理を行うことについて、事業所へどのように周知しているのか、伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 照明用安定器の処理につきましては、千四百度以上の高温で処理を行うプラズマ溶融炉を有するJESCO北海道PCB処理事業所で実施されることになりました。本年十月から、北海道PCB事業所が処理の登録を受け付け、来年の四月以降、順次、北海道への搬入が開始される予定となっております。
 都は、JESCOと共同で、七月と八月の二日間、計四回、保管事業者を対象とした説明会を実施し、運搬処理の内容と今後の手続等について周知をしたところでございます。
 さらに、ホームページへの掲載や保管者へのお知らせのチラシ配布等により、今後も引き続き周知を行ってまいります。

○高橋委員 照明用安定器については、会社や学校などで使用されていたため、その数は膨大であります。北海道の事業所での処理が効率よく進むことを期待しています。また、都においては、説明会の開催やチラシの配布等により、周知に努めているとのことでしたが、引き続き処理に困っている中小企業等の保管者への丁寧な説明に努めていただきたいと思います。
 次に、現在も使用されているPCBを含有した電気機器の今後の取り扱いについて伺います。
 PCB廃棄物は、決められた処理期限内に確実に処理されなければならないものでありますが、そのためには、現在使用中の電気機器の使用を取りやめ、確実に処理されるようにしなければなりません。
 そこで、使用中のPCB機器の現在の法律的な扱いと、これからの都の取り組みの内容について伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 使用中のPCB機器につきましては、経済産業省が所管しておりますが、同省の省令において機器の使用期限が定められておらず、現在も使用できることとなっております。PCB特別措置法で定められた期限内の処理には、この法令等の是正が必要であり、都はこれまでも国の施策に対する提案要求や、国の主催する会議の場において、PCB機器の使用期限の設定等、国の省令改正を含めた抜本的な対策について強く要望してきております。
 都では、引き続き国への要望を行うとともに、都独自のPCB適正管理指導要綱による使用中機器の届け出によってこれらの把握に努め、処理期限等について継続的に周知をしていきたいと考えております。

○高橋委員 PCB廃棄物を一日も早くなくそうとしている中、いまだに使用されているPCB機器があることがわかりました。また現状を是正するため、都が国へ提案、要望していることもわかりました。
 国に対しては、引き続き、省令改正を含めた抜本的な対策について強く要望していただくとともに、都の要綱による届け出情報をもとに、使用者への継続的な周知に努めていただきたいと思います。
 次に、掘り起こし調査について伺います。
 都は、自家用電気工作物設置者約六万件に対し、掘り起こし調査を実施しているようでありますが、その具体的な内容について伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 今年度実施している掘り起こし調査は、十月に、自家用電気工作物設置者約六万件に調査票を送付し、現在その回収を行っており、年度末には調査結果を確定させる予定でございます。また、この調査結果をもとに、来年度以降は、電話による聞き取りを実施したり、職員が直接出向いて確認を行いたいと考えております。
 都では、こうした取り組みにより、PCB機器の使用保管の実態を把握し、今後の確実な処理につなげ、都内にあるPCB機器の一日も早い処理に努めてまいります。

○高橋委員 調査対象が六万件ともなると、調査票を送付しても返信のない事業者や、さらにはPCBの存在自体を初めて知ったという事業者など、さまざまなケースへの対応が必要と考えられます。大変な作業となると思いますが、都においては、今回の調査が今後のPCB機器の確実な処理につながっていくことを期待いたします。
 PCBに関しての最後に、微量PCBの処理についてお聞きいたします。
 都には、国に先んじて創設した都独自の中小企業等への微量PCBの分析費及び処理費の助成制度があります。この微量PCB助成事業は、制度が有効に機能し、処理が促進されていると伺っております。しかしながら、この助成制度の事業期間は今年度までとなっており、これまでの実績を踏まえ、都では、来年度以降の制度をどのように考えているのか、伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 微量PCBの処理につきましては、昨年度処分費の助成金額の上限を引き上げたことなどにより、中小企業等の微量PCB電気機器の処理申請は大幅に増加し、処理が加速しつつありますが、処理完了にはまだ時間がかかると認識しております。
 これらの状況に鑑み、来年度以降につきましては、引き続き中小企業等への負担を軽減する制度を検討してまいります。

○高橋委員 中小企業等の微量PCB電気機器の処理申請が大幅に増加しており、処理完了にはまだまだ時間がかかるとのことでありますので、今年度末で終了予定となっている微量PCBに対する都の補助制度の来年度以降の継続について強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、事業概要の一七四ページにある災害廃棄物の受け入れに関連してお尋ねいたします。
 平成二十三年三月の東日本大震災や平成二十五年十月の大島土砂災害では、通常時の年間廃棄物処理量と比べて岩手県及び大島町では九年分、宮城県については実に十四年分という膨大な量の災害廃棄物が発生し、その処理が喫緊の課題となりました。
 この危機的状況に対し、都は、被災地からの支援要請を受けて、協定や地方自治法に基づき、災害廃棄物の処理を広域支援することとし、都内自治体やすぐれた処理技術を持つ都内廃棄物処理事業者の理解と協力のもと、災害廃棄物の処理を精力的に進め、被災地の一日も早い復旧、復興に大きく貢献いたしました。都が率先して災害廃棄物の処理支援を行ったことは大いに評価できるものであり、災害時における相互協力の重要性について、他の自治体に対しても模範を示した意義は非常に大きいと考えております。
 改めて、東日本大震災や大島土砂災害ににおける災害廃棄物の広域処理支援の成果について、お伺いいたします。

○谷上資源循環推進部長 災害廃棄物の処理に関して、都は、東日本大震災分で約十六万八千トン、大島土砂災害分で約一万二千トンの木くずなどの可燃性廃棄物や住居廃材などの建設系混合廃棄物等の処理を着実に行い、被災地の早期復旧、復興に役立つことができたと認識しています。
 また、広域処理の経験を通じて、例えば、大量に発生し、火災の危険のある畳などの災害廃棄物の安定的な処理に向けた工程管理、鉄道や船舶を用いた確実な広域輸送システム、さらには、関係自治体やさまざまな技術を持つ廃棄物処理業者との強固な信頼関係の構築など、今後、発生が見込まれる首都直下地震等への備えとして有効な知見や経験を得ることができました。

○高橋委員 災害に対する備えは非常に重要であります。首都直下型地震に関しては、去る九月十二日早朝、東京湾を震源とする地震が発生、多摩地域の一部で震度五弱を記録いたしました。九月は、防災月間だったこともあり、マスコミも震災に関する特集を組むなど、改めて震災に対する関心の高さを感じたところであります。
 仮に東京が大規模地震などの災害に見舞われ、大きな被害を受けた場合、都民生活や首都機能の一日も早い復旧のためには、災害廃棄物の除去や処理を迅速かつ適切に進めていく必要があります。その際、区市町村や近隣県との連携や廃棄物処理事業者との協力などが欠かせません。災害時の混乱の中において、円滑に災害廃棄物処理を行っていくためには、日ごろからの備えや仕組みをつくり上げておくことが非常に重要であります。こうしたことは、過去の災害対応事例に多くの教訓も残っています。
 東日本大震災や大島の土砂災害などの経験も踏まえ、都は、首都直下地震などを想定し、災害廃棄物の処理について今後どのように対応していくのか、見解を伺います。

○谷上資源循環推進部長 ご指摘のとおり、災害からの一日も早い復旧、復興のためには、災害瓦れきなどの災害廃棄物を迅速に撤去し、適切に処理していくことが重要と考えます。
 都は、ことし八月の廃棄物処理法及び災害対策基本法の改正や環境大臣が定める基本方針を踏まえ、今年度中に改定予定の東京都廃棄物処理計画に、災害廃棄物処理についての基本的な考え方を新たに盛り込む予定です。
 さらに、来年度を目途に、災害廃棄物処理における都と区市町村や事業者などとの連携など具体的に定めた、東京都震災廃棄物処理計画を策定する予定です。
 今後も、首都直下地震など、都に大きな被害が想定される災害による災害廃棄物への対応に万全を期してまいります。

○高橋委員 いうまでもなく、大規模災害から一日も早い復旧、復興は、平時からの備えが一番重要であることはいうまでもありません。実効性のある災害廃棄物処理に関する計画をしっかりと策定しておくなど、平時から大規模災害に対する十分な備えを整えていただきたいと思います。
 最後に、事業概要一四三ページにある緑施策の推進について、お尋ねいたします。
 私は、かねてから、生物多様性について、当委員会を通じて、たびたびこの問題を取り上げてきましたが、昨年、内閣府が実施した世論調査によると、生物多様性に対する国民の認知度は一六・七%であり、平成二十四年に行われた前回調査の一九・四%を下回る残念な結果となりました。私たちの暮らしは、さまざまな生き物が支え合う生態系からもたらされる自然の恵みで成り立っていることは誰もがわかるとは思いますが、生物多様性という言葉の難しさがその理解を妨げているようであります。
 私の地元練馬区は、二十三区の中で都市農業が最も盛んな自治体でありますが、昔の農家では、敷地内の落ち葉を微生物の働きで堆肥にして畑に施し、その畑から収穫された農作物を人々の生活を支える糧とするなど、自然のサイクルの中でその恵みを享受してきました。こうした暮らしを通じて昔の人々は、生物多様性と密接にかかわった生活を実践していたかと思います。
 しかし現在、市街地では宅地化が進み、生活の中で自然の恵みを実感できる機会は少なくなっているといわざるを得ない状況であります。だからこそ、都市化が進み、生活の中で自然と触れ合う機会が減った都内において、人と自然が共生するまちづくりを進めていくことは大変重要な取り組みであると考えます。
 私は、こうした観点から、都が推進する江戸のみどり復活事業を高く評価しています。この事業は、鳥や昆虫の餌場や休憩場所となる在来植物の緑化を誘導することで、生き物のネットワークを広げ、人と自然が触れ合える機会をふやすほか、秋の紅葉を初め、四季折々の都市景観の創出にも寄与するなど、市街地における生物多様性の回復に有効な取り組みであると考えています。中でも、区市町村は、都の補助事業を活用して、先駆的な在来種植栽を行っていると仄聞しております。
 そこで、これまでの事業の実績と具体的に区市町村でどのような整備が行われているのかをお伺いいたします。

○志村自然環境部長 江戸のみどり復活事業における区市町村の補助事業につきましては、事業を開始いたしました平成二十五年度から今年度までに、江東区、練馬区、目黒区など五つの区から合計で七カ所の緑地整備について補助申請がございまして、現在までに一カ所で植栽整備が完了したほか、残りの六カ所で植栽の設計施工等が進められてございます。このうち、既に植栽整備の完了した江東区の北砂水上公園では、公園内に在来種植栽のエリアを設けまして、近隣の都立木場公園等からシジュウカラやメジロ、アオスジアゲハなどの鳥や昆虫を呼び寄せるなど、生き物のネットワークの拡大に資する植栽が整備されたところでございます。
 また、練馬区大泉の仮称中里郷土の森緑地では、放置された屋敷林に在来植物を再度植樹し、昔ながらの農家のたたずまいを再生し、良好な郷土景観の形成を目指す計画が進められ、目黒区では、昔から残る樹林地に隣接して在来植物を植樹し、強風や乾燥から樹林地を守る植栽の整備に着手するなど、各区において地域の生態系を再生する先駆的な取り組みが広がっております。

○高橋委員 地域の公園など、身近な緑で子供たちが昆虫や野鳥と触れ合える機会をふやしていくことは、自然の恵みや、それを支える生物の役割の理解につながるとともに、豊かな感性を育む機会にもなります。
 江戸のみどり復活事業における区市町村補助事業が先駆的な在来種植栽を生み出し、複数の区市町村に広がっていることは大変意義のあることだと思います。ぜひ今後とも、区市町村の取り組みをしっかり支援していただくよう要望しておきます。
 都市における緑化は、事業所等の新築、増改築にあわせて植栽が整備されることで進められるケースが多いと思いますが、こうした機会を捉えて、生き物のネットワーク形成に寄与する在来植物の活用を誘導していくことが重要であります。
 しかし、これまでは乾燥や病虫害に強く管理の手間がかからない外来植物が多く使用されてきたことから、在来植物による緑化を行うと、その管理の負担がふえるのではないかと心配する事業者の声もあります。
 都は、昨年度から、江戸のみどり復活事業の一環として、民間事業者や業界団体から成る検討会議で、在来種植栽の普及に向けた課題解決策を検証しているとのことでありますが、現在までにその普及に向け、どのような課題があり、その課題に対してどのような対策が検討されているのか伺います。

○志村自然環境部長 都と業界団体等から成る検討会議におきましては、在来種植栽の普及を阻む課題といたしまして、意義や効果が事業者に十分浸透しない点や管理負担が増大する懸念が取り上げられており、現在、こうした課題の解決策を議論しているところでございます。このうち、在来種植栽の意義効果の浸透策につきましては、事業者に在来種植栽のメリットや効果をわかりやすく説明することが重要であることから、植栽を求めて飛来した野鳥や昆虫の事例や、植栽に関する周辺住民の好感度等を紹介する資料の作成を進めております。
 また、管理負担の問題につきましては、近隣住民に配慮した清掃や通行者の安全対策に時間が割かれているところでございますが、従来の植栽においても同様の管理が必要でございまして、在来種植栽か否かによって管理負担に差異が生じるわけではないということが明らかになりつつあります。
 今後、さらに精査を行い、効率的な植栽管理に向けた取りまとめを行ってまいります。

○高橋委員 在来種植栽の普及には、事業者にその意義やメリットを周知するとともに、その維持管理についても多大な負担はかからないとの情報をしっかり提供していくことが重要であると理解しました。
 在来種植栽の課題を現場で検討し、植栽を管理している事業者や業界団体の声を聞きながら、その解決策を見出していくことは大変意義のある取り組みであります。現場での検証と検討を重ね、有効な対策を見出してほしいと思います。
 最後に、生態系に配慮した緑のネットワークの普及策について伺います。
 これまでの答弁で、江戸のみどり復活事業が着実に成果を上げていることは理解できましたが、生態系に配慮した緑のネットワークの形成をさらに進めていくためには、区市町村や民間事業者の参画や協力を得るなど、官民一体となった取り組みを進める必要があります。
 これまでの都市緑化を振り返ってみると、開発行為が行われる敷地内に植栽を施す取り組みが広がっているものの、周辺の緑地や植栽と関連づけながら、みずから地域の生態系に配慮した植栽を設計するといった考え方はなかったと思います。
 こうした新しい緑化の概念のもと、生き物のネットワークの拡大に向け、都は、今後、江戸のみどり復活事業の成果を活用しながら、どのように緑施策を展開していくのか、伺います。

○志村自然環境部長 区市町村や民間事業者の理解と協力を得ながら、在来植物による緑化を誘導していくことは大変重要でございまして、植栽を設計する際の具体的な工夫点を事業者にわかりやすく示すなど、事業者等が取り組みやすい環境を整備することが必要でございます。
 このため、今年度に在来植栽の意義や効果、効率的な維持管理の要点などを取りまとめ、行政、業界団体等を対象としたフォーラムを通じて広く周知を図るとともに、緑化計画書を届け出る事業者の方々にも窓口を通じて働きかけを行い、これまで進めてきた江戸のみどり復活事業の成果を積極的に活用いたします。
 今後とも、事業者の意欲を高めるなど、在来植栽の普及啓発に取り組み、生態系に配慮した緑のネットワークの形成を推進してまいります。

○高橋委員 身近な緑が減少してきた中で、今回取り上げた在来種緑化など、生き物と触れ合える潤いのある緑は、明治神宮などの風格が漂う緑や、花や緑で彩られた美しい緑などと相まって都市の緑の表情を豊かにし、東京に住み、働く人々にとって快適な都市空間の創出につながると考えます。
 今後とも、生態系に配慮した緑化を積極的に推進していくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○やながせ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十分休憩

   午後三時三十五分開議

○やながせ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉倉委員 私からは、大気汚染対策に係る国際協力について何点か伺います。
 現在、アジアの諸都市では、急速な経済成長を遂げる一方で、大気汚染などの環境問題が深刻化しております。特に、都の友好都市である北京市においては、PM二・五などの大気汚染が大きな問題となっており、今月三日にも北京市環境保護局は、重度大気汚染の警告を発令したとの報道がありました。
 東京は、高度経済成長期から大気汚染を克服してきた経験があり、こうした都の経験や技術を、アジアの諸都市の環境汚染対策への取り組みに対して大いに生かしていくべきと考えております。PM二・五を含めた大気汚染の改善について、都は北京市との間で技術協力を行うことを合意して以来、積極的に大気汚染対策に関する交流を進めてきております。
 そこで、これまでの交流の実績について伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、平成二十一年に北京市と東京都の技術交流・技術協力に関わる合意書を締結し、大気汚染対策を初めとする四分野において、交流、協力事業を進めてまいりました。
 大気汚染対策では、これまで四回にわたり北京市主催のワークショップへ専門家の派遣や研修の講師派遣などを行ってきたところでございます。
 また、平成二十五年十月には、北京市環境保護局の実務者を東京へ招き、大気保全ワークショップを開催いたしました。

○吉倉委員 実務レベルでの技術協力が活発に行われてきたとのことであります。特に一昨年には、大気汚染に関するワークショップが東京で開催され、北京市との交流が行われたということでありますが、ワークショップの内容について具体的に伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都・北京市大気保全ワークショップは、北京市環境保護局の副局長を初めとする実務者六名を東京に招き、三日間にわたって開催されたものでございます。
 このワークショップでは、両都市の大気汚染対策の取り組みや都のVOC対策、ディーゼル車規制の取り組みを紹介いたしました。また、対策現場への理解を深めていただくため、車両取り締まりのデモンストレーションや、都内の大気測定局などを視察していただきました。
 北京市の方々からは、都が事業者や都民及び他の自治体と一体となって大気汚染対策に取り組んでいることに多くを学んだ、あるいは東京の大気汚染の実績は我々の見本であり、学ぶべき点が多い等の感想をいただきました。

○吉倉委員 大気汚染問題の解決のためには、実務者レベルでの交流、協力を進めることが重要だと考えております。一昨年のワークショップでは、東京都と北京市の現状や、これまでの取り組みについて情報交換がなされたとお聞きいたしましたが、具体的な課題解決につなげるには、今後一層の技術交流が必要ではないかと思っております。
 そこで、先般、東京都と北京市の研究員相互交流が実現すると、こういう発表がありましたが、具体的にどのような交流が行われるのか、相互交流の内容について伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 研究員の相互交流事業は、昨年四月、知事の北京市訪問の際に、王安順市長との会談において、交流、協力をさらに推進することで合意したことに基づき、実施するものでございます。
 まず、今月の十五日から一カ月間、北京市環境保護科学研究院の二名の研究員が都に派遣されます。研究員の方々には、東京都環境科学研究所においてPM二・五やVOCの測定、データ解析などに実際に携わっていただき、都の大気汚染対策の経験や技術に関する知見を深めていただく予定でございます。
 また、来年一月には、都から環境科学研究所の研究員一名を北京市へ派遣し、現地において技術的な情報交換等の交流を行う予定でございます。

○吉倉委員 ご答弁ありがとうございます。今後とも、都が持つ政策ノウハウや技術が、北京市における大気汚染対策の向上につながることを大いに期待したいというふうに考えております。こうした都市間の実務的な技術交流は、大都市共通の課題解決はもとより、友好関係を一層深めることにもつながります。
 アジア諸都市では、まだまだ多くの都市が環境問題に直面しております。都は、北京市だけではなく他の都市にも積極的に交流し、さらに国際貢献を推進していくべきであります。
 そこで、今後の国際協力の展開について伺います。

○鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、北京市のほか、バンコク都やヤンゴン市等と大気汚染対策や廃棄物対策に係る国際協力を具体的に進めております。
 大気汚染対策に関しては、来年一月、バンコク都に東京都の実務担当者を派遣し、現地において自動車排ガスの取り締まりや削減に関するワークショップを開催いたします。このワークショップには、バンコク都環境局職員が二百名ほど参加するという予定でございます。
 また、廃棄物対策についても、個別の都市とワークショップ開催などの協力事業を進めておりますほか、来年二月には、アジア大都市ネットワーク21の会員都市であるトムスク、シンガポール、マニラなどの廃棄物対策担当職員を招き、資源リサイクルの促進研修を実施する予定でございます。
 今後とも、都は、各都市のニーズに応じ、積極的に国際協力をしてまいります。

○吉倉委員 ただいま答弁いただきましたけれども、これからも大気汚染対策や廃棄物対策など、アジア諸都市が直面する深刻な問題解決にぜひ積極的な協力をしていただきたいことを念願いたしまして、質問を終わります。

○大島委員 私からは、地球温暖化対策と再生可能エネルギーについて伺います。
 地球温暖化対策の強化が求められている中で、都の環境基本計画では、二〇二〇年までに温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年比で二五%削減する目標ですが、現在までの削減率を部門別にお伺いいたします。
 また、資料ありがとうございました。
 このいただいた資料では、業務、家庭部門で伸び悩んでおりますが、原因についてはどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 二〇一三年度、平成二十五年度の速報値では、都内の温室効果ガス排出量は二〇〇〇年度、平成十二年度と比べまして一三%増加しております。
 部門別に見ますと、産業は約二五%減、業務は約三九%増、家庭は約四五%増、運輸は約三四%減となっております。業務と家庭部門が増加していますのは、事務所の床面積や世帯数の増加のほか、原子力発電の停止に伴う火力発電の増加などにより、CO2の排出係数が大幅に増加したことによるものと考えております。

○大島委員 今のご答弁でも、運輸部門で順調に削減をしている一方で、家庭では四五%の増加、業務も約三九%増加となっていて、都内の温室効果ガスも増加しているということです。
 とりわけ、オフィスビルとか商業ビル、業務部門での取り組みが今後も重要になってきますが、今大型開発が次々と行われ、超高層ビルや超高層マンションが建ち並ぶ状況に都が歯どめをかけるどころか、積極的に推進していることがこうした事態を招いているのではないでしょうか。オフィスをふやし、自動車を呼び込む都市再生は、大気汚染を一層激しくし、温室効果ガス削減の方向と逆行するものになると考えます。温暖化をどう食いとめるのか、そのためにも東京都として、都市の成長をコントロールする方策を環境局としても検討することが求められると考えます。
 間もなく開かれますCOP21、気候変動枠組条約第二十一回締約国会議では、京都議定書に続く温暖化対策の新たな枠組みをめぐり、今国際交渉が続けられています。ここで二〇二〇年以降の世界の温暖化対策の大枠が決まり、実効性のある大胆な温暖化対策を打ち出せるかどうかが注目されています。
 日本政府は、二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%の削減を目標とすると七月に発表しました。しかし、二〇一三年の排出量は、国連気候変動枠組条約や京都議定書の基準とされていた一九九〇年の排出量よりも約一〇・八%ふえており、この目標では一九九〇年比で見ると一八%程度の削減にしかなりません。安易な基準年の変更について国際的な批判が集まっています。
 こうした中で、今、都の環境基本計画の見直しが行われておりますが、今後の削減目標についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 人類の生存基盤を脅かす気候変動の危機を回避するためには、全体で世界の温室ガスの七割を排出している都市の果たす役割が重要であると認識をしております。このため、都は今年度、再生可能エネルギー目標や省エネルギー目標を勘案しつつ、意欲的なCO2削減目標を策定することとしております。

○大島委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを控えて、都は世界一の環境都市を志向しています。この東京都が先進的な削減目標を示す必要があると考えています。今の答弁にありましたけれども、ぜひ意欲的な目標設定を期待しています。
 二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの果たす役割の重要性が、一層高まっています。長期ビジョンでは、二〇二四年までに東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの利用割合を二〇%程度に高めるとしていますが、現在までの到達が六%ということです。
 今後、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都は、電力の大消費地の責務として、電力需給の安定を図るとともに、気候変動対策にも資する低炭素な電力の利用割合を拡大していくことが重要と認識しております。
 このため、昨年度設置いたしました東京都再生可能エネルギー拡大検討会における専門家からの提言も踏まえまして、東京都長期ビジョンにおいて、再生可能エネルギーの電力利用割合を二〇二四年までに二〇%に高める目標と、具体的な施策展開を示したところでございます。
 目標の実現に向け、都民、事業者と連携をいたしまして、省エネ、節電とともに、住宅等への太陽光発電の設置促進や、バイオマス発電、小水力発電の導入推進など、引き続き取り組みを進めてまいります。

○大島委員 昨年十一月に出された東京都再生可能エネルギー拡大検討会の報告書、私も読ませていただきました。これによりますと、二〇一二年七月から再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度が開始されてから、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入量が増加したが、都内の太陽光発電以外の再生可能エネルギーについては、太陽光発電と比較して導入量は非常に小さいものとなっていると報告されています。
 さらなる再エネの普及に向けて、都内にポテンシャルのある地中熱の導入拡大に取り組んでいくべきだと考えます。
 今後、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 地中熱利用には、地中熱を得るための機器設置に係るボーリング工事等の導入費用の負担が大きいこと、都民、事業者の認知度が低いことなどの課題がございます。
 このため、平成二十七年度においては、地中熱利用設備の導入に対する補助を実施するとともに、地中熱ポテンシャルマップを現在作成しておりまして、地中熱利用の効果をわかりやすく情報発信することで、都民、事業者への認知度向上を図ってまいります。

○大島委員 この報告書には、課題ということで、国及び都における補助制度の終了や固定価格買い取り制度の買い取り価格の引き下げによる影響を受けて、近年の住宅用太陽光発電の市場は厳しい状況となっていると明記されています。都は、検討会と同じ認識を持っているのですか。
 また、住宅用の太陽光発電設備の設置が進むように、都として支援を復活させるべきと考えますが、いかがですか。
 また、この検討結果はどのように施策に反映されるのか伺います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 お話の太陽光発電を取り巻く状況の記述につきましては、検討会報告書の中で課題の一つとして掲げられているものと承知をしております。
 都は、平成二十一年度から太陽光発電に対する補助を実施してまいりましたが、設置コストが大幅に下がってきたことや、固定価格買い取り制度が導入されたことなどから、補助事業は平成二十四年度で終了しております。
 報告書を踏まえまして、都は、太陽光発電の導入拡大に向け、区市町村と連携した東京ソーラー屋根台帳の活用や工務店を対象としたセミナーなどを実施しております。

○大島委員 ご答弁いただきましたけれども、私は、国及び都による補助制度の終了や固定価格買い取り制度の買い取り価格引き下げによる影響で、住宅用太陽光発電の市場は厳しい状況になっていると、この検討会で挙げられた課題について、都は検討会と同じ認識を持っているのかどうかということをお尋ねしたんですね。それについてお答えいただきたいと思います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 報告書の中で一つの課題として掲げられていることは承知してございます。
 なお、平成二十六年度の業界団体の太陽光発電に係る出荷統計を見ますと、全体としては前年度を上回る出荷実績もございます。
 また、住宅におきましても、太陽光発電の搭載率は、前年度に比べて分譲住宅、注文住宅が伸びております。ですから、国の補助制度であるとかFITだけの理由をもって減少しているというのは否定するものではございませんが、一つの見方として掲げられているものと承知をしております。

○大島委員 認識が必ずしも一致していないということだと思うんですけれども、都自身が設けた検討会の報告です。その見解を尊重し、しっかり受けとめる必要があると思います。見解を受けとめて、改めて補助制度の復活なども検討していただきたいし、国に対して、適切な買い取り価格を設定するように要望していくということについても求めておきたいと思います。
 ことしから、森林の間伐材などを利用した未利用木質バイオマス発電の買い取り価格が、従来の三十二円から小規模の二千キロワット未満の発電については別区分化しまして、四十円に引き上げられています。小規模木質バイオマス発電の価格引き上げというのは、里山の森林資源を活用し、市町村単位で発電を普及できるチャンスだと考えます。
 また、木質バイオマスの活用は、多摩の森林の再生にもなりますし、近年ふえています大雨とか地崩れ対策などにも大きな効果が期待できます。
 このように木質バイオマスの活用は、地域特性を生かすとともに、地域の課題解決にもつながることから、都は、区市町村の取り組みを支援していくべきではないでしょうか。お答えください。

○篠原環境政策担当部長 検討会報告書によりますと、多摩地域等には、木質バイオマス資源が豊富に存在しており、森林資源の多様な利用方法の一つとして、林業の振興や地域の活性化に貢献することができるとしておりまして、区市町村の取り組み支援などを進めるべきと提言されております。
 現在、東京都は、地域環境力活性化事業におきまして、固定価格買い取り制度を適用するものを除き、区市町村が実施する木質バイオマスエネルギー利用の促進事業を助成対象としておりまして、引き続きこの助成事業による支援を進めてまいります。

○大島委員 検討会報告にもありますけれども、木質バイオマスの導入というのは、林業の振興とか地域活性化のために大きく貢献できるものだと思います。
 しかし、市町村の財政力では、この地域環境力活性化事業を導入しても、二分の一の補助ですから負担が大きいわけですね。市町村も二分の一負担しなきゃならないということで、財政的には大変厳しいのではないかと思います。そういう意味で、さらなる支援を要望しておきます。
 次に、放射性物質による環境汚染について伺います。
 東日本大震災による福島第一原発事故は、大量の放射性物質が大気中に放出され、福島県だけでなく、東日本の各地において環境汚染が生じました。こうした放射能による環境汚染や内部被曝等について、都民の不安はいまだに大きいものがあります。
 都民の健康で安全な生活環境を確保するために、放射能汚染について都はどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○木村環境改善部長 福島第一原発における放射能汚染について、環境局は土壌等の局所的汚染や廃棄物の処理に関して所管してまいりました。その他、福祉保健局では百カ所の空間放射線量調査や流通食品の放射性物質濃度の測定、産業労働局では農林水産物の測定、水道局では水道水の測定などを実施してまいりました。
 都内の空間線量は関東地方の中でも高い水準にはなく、事故由来放射性物質を除去しなければならない面的な汚染はございません。
 また、都内の中では比較的空間線量が高いことが示されました区部東部三区の都立公園を対象といたしまして、放射性物質がたまりやすい地点で、平成二十三年十一月から空間線量を測定いたしましたが、当初から国のガイドラインで除染の目安としている地上高さ一メートルで周辺より毎時一マイクロシーベルトを上回る地点はございませんでした。

○大島委員 今の答弁の中にもありましたけれども、都内の中で比較的空間線量が高いことが示された区部東部三区、私、足立区選出なのものですから、まさにこの地元が汚染の空間線量が高い地域ということで示されてきました。
 私も、この放射線の測量を地元の足立区も含めまして、都内の各地で住民の皆さんと一緒に行ってきた経験があります。この高い線量を示した場所について、都として全面的な調査と除染をするようにも要求してまいりました。
 二〇一一年十一月の調査で、都立中川公園、これは足立区なんですけれども、これでは地上一センチメートルで七・〇六マイクロシーベルトという高い数値が認められましたけれども、除染ではなくて、その周りをフェンスで囲いをして、時間的な減衰を継続的に調査するということになりました。その後の二年間で約四割程度減衰したということで、二〇一三年の十二月には、この減衰調査も終了いたしました。
 また、二〇一二年の七月には、高い放射線量が確認された都立水元公園、これはお隣の葛飾区なんですが、東京都が初めて除染を行いました。その後、都は、都有施設全般にわたる調査や経常的な調査というのは基本的には不要だというこの判断に立って、調査も除染も行っていません。
 しかし、現在も市民レベルで放射能の量や放射線の線量の測定が行われているんです。ことし七月にも、葛飾区内の都営住宅など二十カ所の測定結果では、地上一メートルで一マイクロシーベルトを超えたところはありませんでしたが、地上一センチでは二マイクロシーベルトを超える場所があり、土壌測定では四万六百ベクレルという高い値も測定されました。いわゆるホットスポットといわれる場所が幾つも発見されているんです。
 こうした場所の除染等については、どのように考えているのかお伺いいたします。

○木村環境改善部長 局所的な汚染に対する除染の判断につきましては、人への影響が口や呼吸からの摂取によるものは非常に少なく、空間線量の影響が大半を占めることから、都は、土壌の放射性物質濃度、ベクレルではなく、空間線量、シーベルトで評価するとしている国のガイドラインに従っております。
 国のガイドラインの目安を上回る箇所が見つかった場合には、各施設管理者がガイドラインに従って適切に対処することとしております。

○大島委員 二〇一二年三月につくられまして、二〇一三年四月に改定をされた放射性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドラインというのが環境省から出されているんですね。
 このガイドラインの「はじめに」というところなんですけれども、この部分には、いまだ確認されていない局所的汚染箇所を早急に発見するとともに、適切かつ速やかな対処を推進していくことが喫緊の課題となっています。今般、環境省では、これらの局所的汚染箇所、特に放射性物質を含む雨水排水によって土壌等が汚染された箇所の効果的な発見方法や、発見後の詳細な調査方法等の具体的な方法その他、その取り組みを実施する際の留意点を整理して、ガイドラインとして取りまとめましたと書いてあるんですね。空間線量だけじゃなくて土壌汚染についてもちゃんと見つける方法まで示しているんですね。
 さらに、この中の局所的汚染箇所の発見方法という項目では、放射性物質による環境汚染を低減するためには、まずは局所的汚染箇所を早急に発見することが先決であるとまで書かれているんです。
 この環境省のガイドラインに沿えば、局所的汚染箇所を住民の皆さんが自分たちの手で調査したデータを持って東京都にも来ているんですから、都としてもホットスポットといわれるようなところについては、せめて調査ぐらいはすべきではありませんか。いかがでしょう。

○木村環境改善部長 国のガイドラインでは、局所的な汚染につきましては、除染の目安としているものが地上高さ一メートルで周辺より毎時一マイクロシーベルト上回る地点としてございます。それに従いまして、そういう箇所が見つかった場合につきましては、各施設管理者がガイドラインに従って対処いたします。

○大島委員 国のガイドラインの目安を上回る箇所が見つかった場合は、各施設管理者がガイドラインに沿って対処すると、こういう答弁でした。
 ことし五月二十七日に住民の方が都立中川公園B地区で、地上一メートルで最大一マイクロシーベルトという測定値を示したところについて調査を東京都に要請したんですね。そして、放射線量が高いということが確認されたために、これは公園なので建設局がやったと思うんですけれども、私も建設局に聞いたんですね、ここをどうしたんですかということで。そうしたら清掃したといっていたんですよ。ガイドラインに沿った簡易な除染というのがあるので、多分それを行ったということではないかと思うんですけれども、環境局としてこういう事実については確認をしているんでしょうか。
 また、こうしたホットスポットと呼ばれるような場所が確認されたときは、都立施設であれば、その施設管理者に申し出れば、ガイドラインに沿って適切に処理していただけるということで確認してよろしいですね。

○木村環境改善部長 各施設管理者がガイドラインに従って対応することとなっております。

○大島委員 先ほどの中川公園のB地区の簡易除染か清掃か、わかりませんけれども、そういった情報については環境局には届いていないんですか。

○木村環境改善部長 施設管理者の方で処理したと聞いております。

○大島委員 それぞれの管理者が違うわけですよね。公園だったら建設局とか、都営住宅だったら都市整備局とか。でも、環境汚染という点でいえば、総元締めになっているのが環境局ですから、こういったところと連絡などを密にして、それぞれの施設管理者が対処するにしても、そういう連携はとっていっていただきたいなというふうに思っています。
 こうした測定活動を続けている方はたくさんいるんですね。面的な汚染でなければ影響は少ないと、こうやって皆さんおっしゃるんですけれども、大人が近づかないところで遊ぶのが子供たちだと。子供たちのために、もとの環境を取り戻したくて測定活動を手弁当で続けていると、その思いを語っているんです。ぜひ、この市民の皆さんの願いに応えていただきたいと思います。
 現在の環境基本計画の中で、放射能による環境汚染等の防止や対策はどのように位置づけられているのか、伺います。

○篠原環境政策担当部長 放射性物質による環境汚染等の防止や対策は、法令などに基づきまして、主として国が担うものとされております。都の役割は限定的なものでございますので、現行の環境基本計画において記述はされておりません。

○大島委員 従来、環境基本法では、放射性物質による環境汚染を防止するための措置について、原子力基本法に対応を委ねていました。しかし、二〇一二年の環境基本法が改正されまして、現在では放射性物質による環境汚染を防止するための措置が環境基本法の対象となっています。
 この改正によって、環境汚染等の防止や、対策に対する規定、都の取り組みはどのように変わったのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 福島第一原発の事故を踏まえて、平成二十四年に環境基本法が改正され、放射性物質による大気汚染等の防止をするための措置が環境基本法の対象となりました。
 これを受けて、平成二十五年六月には大気汚染防止法、水質汚濁防止法等が改正され、放射性物質による大気汚染と水質汚濁の状況の常時監視し、公表する規定が設けられました。これらの事務はいずれも環境大臣が行うこととされており、都道府県が所管する事務の内容は変わっておりません。

○大島委員 現在、環境基本計画の見直しが検討されておりますが、この新しい環境基本計画では、放射能と環境汚染の関係についてどのような議論がされているのか伺います。

○篠原環境政策担当部長 先ほどもお答えしましたとおり、放射性物質による汚染等の防止や対策は法令などで明確に定められておりまして、都の役割は限定的なものとなっております。このため、基本計画の見直しに際しまして、議論の素材とはなっておりません。

○大島委員 二〇一二年二月に開かれておりました東京都の環境審議会、ここでは、東日本大震災を踏まえた今後の環境政策のあり方についてという答申が出ているんですね。
 震災直後の議論であったんでしょうけれども、災害に伴う環境リスクから都民生活を守るための対策という項目の中で、事故由来の放射性物質によるリスクや都民の不安への対応という項目があるんです。その中で、都は、都民の健康確保に向けて実現すべき目標値を設定し、その達成に向けた体系的かつ長期にわたる施策を実施していくべきであるとか、情報提供にとどまらず、安全サイドに立って放射性物質のリスクを可能な限り低減させる対応をとるべきである、こういう意見が審議会のメンバーから出されたということが紹介されているんですよ。
 環境審議会の事務局というのは環境局が務めているんですよね。答申が出てから三年たつと、同じ環境審議会の中でこれから新しい環境計画をつくるというときに、議論の俎上にも上がらない、素材になっていないというのは、こうした問題の提起を環境局として全くしていないということになるんじゃありませんか。
 環境局の姿勢が都民生活を守る立場からも、都民の不安の対応からも大きく後退しているといわざるを得ません。ぜひ都民の放射能への不安に応える計画をつくるべきだと思います。
 最後に、東京都のキョン防除実施計画について伺います。
 先ほど神林理事がやりましたので、その重複する部分は省かせていただきます。
 伊豆大島では、外来種であるキョンが野生化して、アシタバや苗木や園芸植物など農作物の被害が年々拡大して大問題になっていると先ほども質問でありました。二〇一〇年度の調査では三千二百五十頭と推計されていたんですね。そしてそのときは、五年後をめどに根絶する計画というのが立てられて取り組んできたということです。
 先ほどの答弁では、この間毎年八百頭近くを捕獲し、そして累計で五千頭のキョンを捕獲したという答弁がありました。三千二百五十頭ならば、五千頭捕獲すればいなくなるということに引き算でなるんですけれども、今現在は、何と平成二十七年六月の生息数、先ほどもありましたけれども、一万一千頭と。かえって、とってもとってもふえていってしまうと、こういう状況になっているということでした。
 東京都は、根絶の計画を立てて二〇〇七年から駆除を開始してきたと、こういっておりますが、やっぱり根絶どころか増加していると。
 この当初の駆除計画が思うように進まなかった原因をどのように分析しているのか、お伺いいたします。

○須藤緑施策推進担当部長 平成十九年度から開始いたしましたキョンの捕獲事業は、当時の調査に基づいた生息数の推定を踏まえて捕獲目標を設定し、実施してまいりました。
 年間捕獲目標はおおむね達成してまいりましたけれども、大島のキョンの実際の生息数が推定数を上回っており、その結果、ふえてしまったと考えております。

○大島委員 年間の捕獲目標がおおむね達成していても、それでもふえ続けるという相当な繁殖力があるんですね。目標達成に向けた防除の方法における実施体制という点では、東京都が実施主体となって関係団体や研究機関等の協力を得るというふうに書いてあるんですが、どのような団体や研究機関に、どのような協力を要請しているのか、お伺いします。

○須藤緑施策推進担当部長 キョンの捕獲を効率的かつ効果的に進めるための方法については、外来種対策に詳しい学識経験者の方や外来種の捕獲実績がある民間団体の意見を踏まえ、対策を進めております。
 また、わなや張り網の設置については、土地の借用や観光客の安全を確保する必要があるため、地元農協や観光協会に相談しながら行っております。

○大島委員 今回の計画の中では、防除の目標というのは、防除を行う区域からの根絶、完全な排除というふうになっているんですが、この目標を短期間で達成できる現実的な防除の技術や体制が整っていない現状にあるともいっているんですね。こうした状況で根絶という目標が達成できるんでしょうか。お聞きします。

○須藤緑施策推進担当部長 これまでのキョンの防除実績等を踏まえますと、生息密度の高い重点地域の一部を柵で囲んだ後、銃や張り網、くくりわななど複数の捕獲方法を実施することが有効でございます。
 今後も、これらさまざまな方法を講じて効果的にキョンの捕獲を行ってまいります。

○大島委員 地元の方に聞いたんですね。そうしたら、特に張り網というんですか、このやり方は、畑の周辺に張ることができて、アシタバを初めとした農作物を守るということについても非常に有効だといっていました。畑の周辺を中心とした張り網による捕獲を強化するということを要望しておきたいと思います。
 この防除目標を達成するための数値目標についてですが、今回、捕獲努力量ということで設定をし、年度ごとの防除事業実施計画で定めるとありますが、捕獲努力量とはどのようなものなんでしょうか。
 また、年度の目標が達成できないというときは、対策を強化するということなのか、お伺いいたします。

○須藤緑施策推進担当部長 捕獲努力量とは、キョンを捕獲するために費やした労力のことでございます。例えば、銃器捕獲の場合は、キョンを捕獲するために従事した捕獲者の延べ労力、すなわち人数掛ける日数であらわした数値でございます。また、わなの場合は、わなをかけた日数、わなの設置数の延べ数であらわすものでございます。
 数値目標として捕獲数そのものではなく捕獲努力量で設定するのは、キョンの生息数が少なくなると生息密度が低下するため、捕獲効率が悪くなり、結果として生息数がもとに戻ってしまうこともあるため、捕獲努力量を定め対策を推進するという趣旨でございます。

○大島委員 キョンの捕獲頭数そのものを目標数にするんでなくて、キョンを捕獲するために費やした労力の量で決めるということですから、年度ごとの防除事業実施計画というのは、前年度の捕獲頭数なども見ながら毎年つくっていくということになるんだというふうに思うんですね。生息数が少なくなっても、根絶するまで捕獲努力量というのは縮小することなく計画をつくっていくんではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 防除の目的というところに、在来生態系の保全と農作物被害の防止というのがあります。農作物被害の防止のための具体的な対策というのは、どのようにとられているのか、お伺いします。

○須藤緑施策推進担当部長 農地を初め、個別の敷地内でのキョンによる被害防止については、都によるキョンの捕獲にあわせて、地元大島町や町民の方にも一緒に取り組んでいただくことが有効であると考えております。
 そのため、今年度から、大島町が農作物被害や生活環境被害を防止する事業に必要な経費の一部を補助する地域環境力活性化事業を活用することにより、財政面での支援を行っているところでございます。
 また、従来から農業被害防止の対策としては、適切な防除を進めるための農業者向けの講習会を開催し、キョンの生態や捕獲に必要な情報等を提供しております。

○大島委員 担い手の育成という点では、キョンの捕獲のほとんどを担って、キョン対策を進める上で重要な存在が銃猟捕獲事業者、いわゆるハンターなんですね。ところが、島内における銃猟免許所持者というのは二人しかいないということで、余りにも少な過ぎると思うんです。銃猟捕獲従事者の育成、確保を図る対策がどうしても必要ではないでしょうか。
 地元で捕獲にかかわっている事業者の方からは、捕獲の人員体制を強化していくためには、地域に精通した地元の人間の中から銃器取り扱いの資格者などを養成していくことが必要だということを聞いています。キョンの問題は、もとをただせば都立大島公園の中にある動物園から逃げ出した十数等が野生化して島全体に繁殖したということが原因です。ハンターとして十分な捕獲に従事できるようになるには、かなり時間がかかるというふうに聞いておりますけれども、中長期的な視点に立ってハンターの養成を、ぜひ検討していただきたいと思います。
 また、先ほどありました地域環境力活性化事業を活用するということは、非常に重要です。しかし、これも二分の一補助なんですね。これでは、いろんな防止策を実施しようとすればするほど町の負担は大きくなるばかりです。キョン根絶のために一層の財政支援を求めて質問を終わります。

○こいそ委員 それでは、なるべくポイントを絞って質問させていただきたいと思いますけれども、ご答弁の方もよろしくお願いします。
 それでは、第一点といたしましては、先ほどからも出ておりますけれども、エネルギーの政策についてお聞きをしていきたいと思っております。
 今月末から、ご案内のようにパリで気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP21が開催されます。先日、条例事務局は、各国が削減を実行したとしても、気温上昇を二度未満に抑えるという、いわゆる目標達成には不十分だとして、各国にさらなる削減を求めたとの報道がございました。
 こうした中で、エネルギーの大量消費地であり、キャップ・アンド・トレード制度の導入など先進的な気候変動対策に取り組んでいる日本の首都東京が、我が国をリードしてエネルギー政策に取り組むことが当然にして重要であるということであります。とりわけ世界中が注目する二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として、環境先進都市東京の姿や日本の高い技術力を発信していくことが求められると考えます。
 今後、このような観点を踏まえて、都市エネルギー政策においてどのような取り組みを行っていくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 世界各国から多くの方が訪れる東京オリンピック・パラリンピック大会におきまして、低炭素でエネルギー効率の高い都市の姿を示すことは重要でございます。
 都はこれまで、省エネルギー対策の推進や高効率なコージェネレーションシステムを活用した自立分散型電源の導入、太陽光、太陽熱などの東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーのさらなる普及拡大、加えて、燃料電池自動車や燃料電池バスの導入など、水素エネルギーの利用拡大に向け取り組んでおります。
 今後、こうした取り組みを着実に進め、スマートエネルギー都市を実現してまいります。

○こいそ委員 ただいまご答弁にございましたように、水素エネルギーは環境の負荷の低減やエネルギー供給の多様化などに極めてすぐれた特徴を有しており、都のエネルギー政策において重要な役割を担うべきものであると、本委員会でも私も再三質問をさせていただいてきました。
 昨年末、燃料電池自動車、ミライが世界で初めて誕生して、日本で販売がされました。しかし、まだ、まちに出て見ても、なかなかミライにも遭遇しないですね。そのような中で最近、水素に関する話題がマスコミで取り上げられることも何か減ってきました。専門紙は別ですけれども、一般紙の中では減ってきているんじゃないのかなと危惧するところであります。一年前の水素社会に向けた高まりが、何かいま一つの感じ方になってきているんですね。
 水素社会を実現するためには、まさに官民挙げて機運を盛り上げていくことが当然必要でありますけれども、この水素エネルギーに対する都民の関心や、より理解の促進に向けて、東京都環境局がどのように具体的に実践的に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及を拡大していくためには、実際にエネルギーを利用する都民のご理解が重要だと認識しております。
 これまで、シンポジウム等の開催を通しまして、さまざまな情報発信を行ってまいりましたけれども、さらに都民のご理解を深めていただく必要がございます。特に、日ごろエネルギー等への関心が余り高くない都民の皆様に向けまして、水素を利活用する意義や安全性等を伝えていくことが不可欠でございます。
 そこで、都民が多く集まる民間イベントへの参加や、大学との連携による講座の開催等により、情報発信を強化してまいります。
 また、国に対しましても、国民への、より一層の普及啓発を行うよう働きかけてまいります。

○こいそ委員 水素社会の実現をより確実なものにするためには、何よりも水素ステーションの整備が不可欠だと私は思います。確かにここでホンダも新しい型というか、水素燃料自動車を出しましたけれども、とりわけこのステーションでありますけれども、敷地の限られる都内では、既存のインフラである中小ガソリンスタンドの活用は重要ではないかと思うんですね。
 また、水素ステーションには、固定式と、大型トレーラーの荷台に水素充填装置を積んだいわゆる移動式があります。移動式は、整備時間が短くて用地確保が困難な都内でも導入できるなどの利点はあるにしても、水素充填のための水素製造拠点に今、私はもう一度戻る必要性があるんではないかと。
 例えば移動式、何カ所か私も見てまいりました。一回や二回じゃありません。非常に関心を持っておりますので、その中で、移動式は私も当初は段階でいいのかなという感じがしましたけれども、しかし、この移動式は、例えば午前十一時から三時で終わっちゃう。その間、行こうと思ったってわかるわけない。そしてまた、土曜、日曜はほとんどが休みですね。そうすると、旗がはためいてもいなければ、そして、社員もほとんど見えないことが少なくないようです。私、実際に見てきましたから。一回や二回じゃありません。
 そういう中で、固定式、移動式、今、私は移動式をいっておりますけれども、東京都の補助が上限で一・二億円、国の補助が一・八億円ですね。これがいわゆる移動式にも加わる。さらには運営として、大手企業であれば三千七百万の年間の運営費が出るわけですね、これはメーカー補助も入っているけれども。こういう中で、これだけの財政、いわゆる予算を投入したとして、要は効果はどうなんだということなんですよ。
 やはり水素社会をしっかりとつくり上げていくには、これは大変だろうけれども、固定式、そこに現存として、車で通っても、歩いても、あっ、これは水素スタンドだと、身の周りに水素スタンドができたんだという感じ、感覚。移動式だと時間は短いし、はっきりいってほとんど感じられませんよ。
 それとともに私が残念なのは、この委員会でも何回も取り上げさせていただいたけれども、いわゆる公有地の利活用--都有地、公有地、特に公社の用地を何でガソリンスタンドにしなきゃいけない。いや、そうじゃないよ、その横にも水素スタンドをつくりますよ、そうじゃないでしょう。水素の時代をつくっていくという中で、環境局がその三セクといっちゃあれだけれども、公社がなぜ堂々と固定式をつくらなかったのか。専門家がいない、そんなのは初めからどこだって専門家がいるわけじゃないんで、一定期間トレーニングも必要かもしれないけれども、そんなのはやっぱりそれなりの専門家を呼んでくればいいんだ。東京都が、関係するところがまずやるべきなんだよ。それをガソリンスタンドをつくってどうするんだという議論は前にやりましたけれども、そういうことを含めて、やはり固定式ということをまずもう一度考えられないかというんですよね。どうでしょうか。

○小川都市エネルギー推進担当部長 委員のご指摘のとおり、移動式につきましては、整備時間が短く、また用地の確保が困難な都内においては、初期においては利点がございます。
 また、委員ご指摘のとおり、水素社会の実現に向けては、固定式の水素ステーションの整備が極めて重要だと認識してございます。
 しっかりと水素ステーションの整備に向けて取り組んでまいります。

○こいそ委員 用地確保は大変です。確かに中小の都内のスタンドに併設するということも一つです。これは法改正を求めていかなければならないという、クリアしていかなきゃいけないことはありますけれども、それも踏まえて、とりわけ都有地、公有地、ここのところはより活用しなきゃだめだと思いますよね。
 より積極的に固定式をやると。これだけ効果がないというのは大変失礼になっちゃうけれども、移動式の効果を検証してくださいよ。だって、これにも東京都は先ほどいったような補助金を出しているじゃありませんか。先ほど、どなたかの質問の中で何カ所できたんですか、六カ所ですとか、これから三十四カ所つくりますよと。その中でもこれらは割と簡易といったら失礼だけれども、できやすい。一応実績は実績だ。水素スタンドをつくりましたよと。でも、移動式じゃ余り効果はない、発信力が少ないと思います。
 ですから、堂々と公有地を活用して固定式をしっかりと進めていく、このことをぜひ考えるというか取り組んでいただきたいなと思います。
 それともう一点、車両ですね。来年はバスがいよいよ走るということでありますけれども、しかし、今から何年前、十年ぐらい前ですか、十年もたっていないか、環境局の音頭で世界で初めて、要するにそれぞれのレーンを回る、通常の地域地域を定期的に回る水素バスを走らせましたよね。大変な思いで、一庁の前だったかな、すごい鳴り物入りでやりましたよね、その後どうなったかわからないけれども。
 それはそれとして、このバスだってぜひ頑張ってほしいんだけれども、しかし、その中で、先ほどいった固定式もそうなんだけれども、やっぱり車両がふえなきゃいけない、そういうことですね。それはミライもそうだ。ミライも実際発注したとして、手元に来るのに三年ぐらいかかるといいますね。役所ばかりがやったって、役所だって予算配分がそれぞれあるでしょうから、限界点はある。やっぱり民間がふやさなきゃいけない。そうなってくると、どうなってくるか。乗用車、セダンだけでは幾ら補助金を出したって買いません。それから、それまで待っているというのはなかなか大変だ。実用的ではちょっと少ないですね。
 そういう中から考えるとき、二トン車、一トン車でも、軽でもあるけれども、トラック貨物、こういう部門というのは必然的に仕事で使用することが多いですから、やはり使用度というものが現実に出てくるんじゃないかと。これにも有効な、補助対象的なものもしていかなきゃならないと思いますけれども、最初は大きくなくたっていいと思うんですよ。だんだんやっていけばいいと。
 そういう中における通称貨物トラックというか燃料電池トラックを自動車メーカーはなかなか難しいといっている。だけれども、今テレビで「下町ロケット」、町工場が相当な技術力を持っている。驚くべき技術力を持っている。NASAで発射するロケットだって町工場の部品がたくさんある。きのうだったか、おとといの国産のジェット機、あれだって下町のというか、失礼だけれども、町工場の技術力をかなり投入している。そういうことを含めて日本のまさに技術とものづくりというか、こういう中でぜひ、だめだだめだじゃなくて、こういう部門もやっぱり水素社会達成の速度をより上げていくには、この部門も、私は、局としても都としても、メーカーを後押しすべきだと思うんですよ。そのあたりどうですかね。

○小川都市エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの普及を図るためには、多くの水素需要の創出が必要であります。また、重要でございます。そのためには、今、委員ご指摘のとおり、乗用車タイプだけではなく、トラック等の業務に使用する車にも燃料電池の車両を導入することが有効でございます。
 しかし、先ほど委員の方からもお話がありました燃料電池トラックの開発には、乗用車に比べて長い走行距離等への対応は技術的な課題があるということで、現状ではまだ見通しが立たない状況であるというふうに伺っております。
 都といたしましては、燃料電池トラックの早期市場投入に向けまして、自動車メーカーに対しまして引き続き強く要請してまいりますとともに、国からもメーカーへの働きかけを行うように要望してまいります。

○こいそ委員 いろんな形の中で、先ほどいいましたけれども、ステーションのこともそうですね。それから、実際的に使用過程として走るさまざまな車種の車、こういう中で、何とかやっぱり二〇二〇年を目途として、オリンピック・パラリンピックを目途とする中で、海外から来るさまざまな関係者、観光客もそうでしょう、選手団も当然そうだと思うけれども、日本という国はすごいなと。まさに先進的なエネルギーの水素自動車が、またステーションがこれだけ整備されることは、いわゆる驚きであるというか、すばらしいという評価ですね。
 水素もそうなんだけれども、日本が敗戦して十九年目の昭和三十九年のオリンピックは、打ちひしがれた日本が勇気と誇りをもう一度持とうということで達成したすばらしい祭典だったんですよ、これも。世界中からも評価された。日本を卑下していた国だって、日本はやっぱりすばらしいという再評価もしてくれた。これが我々の自信に大きくつながってきたと思うんですね。
 その中で、あと約五年足らず、五年あるかどうか、約五年。このときは何だといったら、おもてなしもそうだと思うけれども、私は、環境だと思うんですね。この環境分野こそ--きれいな景観すばらしい、すばらしい青空もそうだけれども、あらゆる形の中で、緑と花もすばらしいですね。呼吸をして、何てすばらしい、おいしい東京の空気なんだと。そして、資源循環もそうですよ。何でこれだけすばらしく分別されていて、何で物を大切にして、何でこれだけ循環型社会形成が達成しているかを、まざまざと示すということは、私は、日本の国そのものと日本人そのものを評価されると思うんですよ。
 ですから、世紀の祭典はさまざまありますけれども、やっぱり環境の世界一の東京を世界に示すという意気込みで皆さんおられると思うけれども、もう一段ねじを巻き直してもらって、水素のこともそうなんだけれども、ぜひ頑張ってほしいなということです。
 そういうことの中で、一日も早い水素社会の実現に向けて、東京都がリードして、燃料電池と、私はトラック、トラックといいましたけれども、トラックだけじゃ当然ありませんけれども、さまざまな車種が市場投入されることを期待したいと思っております。都が先頭に立って水素社会を目指すならば、東京都の関連団体も、全体的に、局内だけじゃなくという意味もあるんですけれども、志を一つにして進めていかなければならないと思います。
 私はこの夏、前の常任委員会の視察でありましたけれども、福島県にある産業技術総合研究所の再生可能エネルギー研究センターを訪れました。この研究所では、再生可能エネルギーを活用したCO2フリー水素の製造と、エネルギーマネジメント技術の開発に力を注いでいたところでありますけれども、また、他の研究機関としての共同研究を通じて、将来を担う人材の育成など、すばらしい仕事をしていることに感銘を受けた一人です。
 都の環境科学研究所もこれに倣ってといういい方もちょっとあれだと思いますけれども、よりすばらしい研究を実はしているんですね。東京都の環境研究所も内外でも評価されていますよ。より高い機能を発揮してもらいたいなという思いであります。
 今後、水素社会実現に向けて東京都が政策を進めていく上で、環境公社みずからも、これは公社の話になっちゃいますけれども、専門人材を確保して事業の取り組みを支援、指導できる体制を整備していくことも重要ではないかと思うところであります。今、公社の中における環境研究所でありますからね。あわせて、今申し上げた環境研究所においても、水素の利活用にかかわる技術について研究を進め、行政をバックアップするということを、ぜひしていただければというふうにも思っております。
 そこで、今後の研究所を含めた公社の機能強化、事業展開について、所見を伺いたいと思います。

○篠原環境政策担当部長 都が、水素社会実現に向けたさまざまな施策を推進、展開していく中で、環境公社は都のパートナーとして欠かせない存在でございます。今、委員からご指摘いただきましたとおり、公社における体制の強化や研究所としての機能強化を図っていくということが重要だと認識しております。このため、現在、水素エネルギーに関する事業者への支援や都民への普及啓発の手法などについて、都と公社で検討を進めております。
 また、研究所に関しましては、エネルギー分野における専門人材の確保や自主財源を活用した新たな研究テーマの設定など、調整を進めております。
 こうしたエネルギー分野における取り組みや、それに応じました体制の整備によりまして、都の環境行政を強力にバックアップできる公社や環境科学研究所として機能強化を進めていきたいと考えております。

○こいそ委員 環境先進都市、世界一の環境都市を実現するためにも、水素エネルギーの利活用を促進していくことは不可欠だというふうに思います。
 東京都が先頭に立って国やメーカーを力強く牽引して、水素社会のまさに実現に取り組んでいくことに期待と要望をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、資源循環施策について伺います。循環型政策でもいいですね。
 私はこれまでも、循環型社会の実現に向けて、静脈ビジネスが健全に経営でき、発展していくことが欠かせないんではないかと、この中でもお話もさせていただきました。健全な経営とは、すなわち受注機会に恵まれ、経理的な基盤が安定し、雇用もしっかりと確保する、さらにはしっかりとした人材育成ができる状態ではないかと思います。
 産廃物処理やリサイクルを行う事業者には、循環型社会を実現していく原動力として大きな役割が期待されているところでありますけれども、不適正な処理を行う事業者が市場から排除されて、努力する優良な事業者が市場で評価されるとともに、健全な経営を行える環境を提供して支援していくことが、今行政に求められているのではないかと思えてなりません。
 しかし、残念なことに、廃棄物処理業を営む事業者の経営基盤は、ごく一部の事業者を除いて、まだ決して安定しているとはいえません。第一が価格ですね、あくまでも安かろう、たとえ悪くたって安い方がいいんだ。この安易な処理の委託は、零細ながらも真面目に取り組んでいる事業者の受注機会をも奪っている現状です。
 また、従業員全てに廃棄物処理法を十分理解させるだけの社内研修をする時間と環境がなかなかない処理業者が多いのも、現実ではないでしょうか。
 静脈ビジネスの発展のためには、業界全体に目を配って全体のビジネスアップを図らなければ、不適正な処理はなくならず、循環型社会はこの面からも到底実現できないのではないかと思います。現行の東京都廃棄物処理計画には、循環型ビジネスの発展の促進が主要施策に位置づけられていますが、果たして十分な成果が上げられているのか。
 そこでまず、これまでの静脈ビジネス発展、展開の促進策の進捗状況について伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 廃棄物処理に係る事業者全体のレベルアップは、不法投棄や不適正な処理を防止し、ひいては健全な静脈産業の育成に向けて極めて重要であると考えております。
 現行の東京都廃棄物処理計画に掲げている優良な処理業者が優位に立てる環境づくりの取り組みの一つとして、これまでに産業廃棄物の適正処理に取り組む優良な処理業者を評価、認定する、いわゆる第三者評価制度の普及に努めてまいりました。現在、二百五十三社がその認定を受けております。
 また、平成二十三年度より、産業廃棄物の収集運搬業者を中心に、実務に従事する従業員を対象といたしまして、廃棄物関連法令をわかりやすく解説し、日々の適正処理の徹底に役立てる講習会を実施してまいりました。多摩地域の処理業者にも参加しやすい会場を設定するなどして、これまでに千二百名近くの受講者を数えております。
 今後とも引き続き、廃棄物処理業界全体のレベルアップを図る取り組みを展開し、健全な静脈産業の育成に努めてまいります。

○こいそ委員 ご答弁がありましたように、産業廃棄物処理業者の第三者評価制度についてでありますけれども、これまでも指摘をさせていただいたところがありますが、中小零細事業者、とりわけ東産協からも要請を我々も会派としても受けています。その中で、認定の取得や更新に要する費用や更新頻度が多大な負担になっているということをいわれていますね。にもかかわらず、認定を受けても要するに余りメリットが感じ得ないという声、これは要請がありましたね。
 よって、更新はもうやめよう、取得したってどうなんだということで諦めてしまう、やめてしまう。優良な業者を本来認定する制度ではなかったかと思いますが、それがいわゆる期間の問題、例えば産業廃棄物の許可であれば五年ですよね。これが初めは二年だ、それがいよいよやっと三年になった。でも、これは大変ですね。事務量と、それから公社から派遣された方たちの評価というか、さまざま調査して、ヒアリングしてということも含めて大変だそうであります。それが負担になっている。よって、本来は優良な業者を選定するということでありましたけれども、この業者が今いったように離れていってしまっているようであります。健全な廃棄物処理体制の構築に向けては、やはりこのあたりも何とか対応していかなきゃいけないんじゃないかなということは思いますね。
 制度そのものをよくしていくには、もっとやはり第一線の声を踏まえて、認定を受けるメリットをつくり出して、かつ、小規模な処理事業者でも参加しやすい配慮をすべきと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 都はこれまで、第三者評価制度による認定を受けた処理業者が、そのメリットを生かせることができるよう、制度の普及に取り組んできました。都の各局及び監理団体の契約担当者を対象に、廃棄物処理委託契約の適正化を徹底する年二回の講習会におきまして、本制度の認定を受けた優良処理業者を積極的に活用するよう働きかけてきたのに加えて、一般の排出事業者に対しましても、各種講習会において本制度を紹介し、適正処理の徹底に向けて、本制度の活用を働きかけてまいりました。
 制度発足後、事業者の声も踏まえまして、二年後に制度の見直しを行いましたが、今後も現場の第一線ですぐれた取り組みを行っている処理業者の声を聞きながら、優良業者が選ばれやすくなるという制度本来の趣旨が生かされるよう、検討してまいります。

○こいそ委員 適正ないわゆる処理コストの負担について聞きます。
 市区町村の一般廃棄物の収集運搬契約については、先ほど申し上げましたとおりに、いまだ先ほどいったように、安かろう、安かろう、少し悪くたっていいんだというのが安易に行われておるのが現状だというふうに聞いています。
 いうまでもなく、ごみを着実に収集し運搬するには、一般廃棄物の適正処理のかなめとなる業務の一つであり、行政、収集運搬を行う事業者とが両輪になって安定的に、かつ継続的に事業が続かなければなりません。
 こういった考えに立って、先般、環境省より、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長名で都道府県知事宛てに、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底についてという通知が出されました。この通知には、収集運搬業務を担う事業者への委託の基準に関して、経済性の確保などのことだけではなくて、要請ではなく、業務の確実な履行を求める基準であることと書かれており、国として安定的な収集運搬業務体制にかかわる委託契約のあり方について基本的認識を示したものであると思います。
 この通知の内容を、市区町村が正しく理解し実行していくことは極めて重要であると考えますけれども、この通知に関する、都の見解と市区町村に対する周知についてはどうでしょうか。

○谷上資源循環推進部長 平成二十六年十月八日付の環境省通知につきましては、同趣旨の平成二十年六月十九日付の環境省通知に続き、一般廃棄物処理に関し、その処理全体について市町村が総括的な責任を有する旨を示した重要な通知であると認識してございます。
 都としては、本通知を直ちに都内市区町村に送付し周知を図るとともに、昨年十月に開催した東京都多摩地域廃棄物行政連絡会及び本年五月に開催しました東京都廃棄物行政講習会において、都内市区町村の担当職員に対して、市区町村部課長級職員を含め説明を行っております。
 今後も、市区町村に対して国通知について繰り返し周知を図ってまいります。

○こいそ委員 市区町村指導はいうまでもなく、広域行政である東京都の重要な役割の一つだと思います。適正なコスト負担により事業者が処理事業を安定的に続けていけるように、引き続き市区町村をしっかりと指導してほしいと思います。
 次に、小型家電リサイクルの現状について伺います。
 日本は、資源が極めて乏しい国であるために、今後、小型家電を初め、貴重な資源のリサイクルを進めていくことが重要であると思います。世界有数の大消費地である東京には大量の小型家電が集積しており、それらの中には、あのレアメタルなどの希少貴金属や価値の高い貴金属が多量に眠っているわけであります。
 しかし、こうした小型家電のほとんどは、他の廃棄物と一緒に破砕されたり、鉄やアルミニウムなど一部の資源を回収しただけで埋め立てをされるケースが多いと聞いております。私はこれまでも、当委員会などの場において、小型家電に含まれる貴重な貴金属などについてリサイクルを拡大推進していく重要性、いわゆる都市鉱山の活用促進について見解を述べさせていただきましたが、平成二十五年四月一日に、小型家電リサイクル法が施行されて二年半が経過しました。
 小型家電のリサイクルに関する市区町村の取り組み状況と今後の対応について、その後どうなったか教えてください。

○谷上資源循環推進部長 都はこれまでも、小型家電に含まれる希少金属等のリサイクルに向けまして、市区町村に対する財政支援などを行ってまいりました。
 具体的には、市区町村の担当者に対しまして、小型家電に含まれる希少金属などの種類や、その重要性などについての情報提供や説明会の開催を通じ、リサイクルに対する動機づけを行ってまいりました。こうした取り組みにより、平成二十六年度末の時点で、都内では、島しょの一部町村を除いた二十三区三十二市町村の合計五十五団体で使用済み小型家電について回収への取り組みを行っております。
 回収方式は、回収ボックスを設置する拠点回収方式が三十八団体で最も多く、回収したごみの中からピックアップする方式が三十七団体、分別回収が九団体などとなっております。
 小型家電のリサイクルにつきましては、まだ緒についたばかりであり、量的にもまだまだ回収を促進すべきであると考えることから、今後も都は、都民がより協力しやすい回収方式の拡大に向けた働きかけを行うなど、小型家電のリサイクル促進に向け、引き続き積極的に取り組みを進めてまいります。

○こいそ委員 この小型家電に関する取り組み状況について、回収を実施している自治体の数は今お話がありましたけれども、実際のところ、回収方法に極めて温度差があるんではないかと。リサイクルの余地はまだまだ残されているのではないかと。ですから、引き続いてこの現状を把握する中で、貴重な貴金属が先ほどいったように破砕されたり、埋め立てられたり、破棄される、これはやはり平たくいえば大変もったいないわけでありますから、引き続きしっかりと実効効果が上がるような取り組みはどうあるべきなのかということを踏まえて、ぜひ東京都として、これをより強力に対応していただきたいと思います。
 次に、さらに、私は先日、小型家電リサイクルの認定事業者のところに見学に行かせていただきました。その中で、障害者の方々が携帯電話を細かい部品にまで分解する作業を担っているという現場を見てまいりました。そして、そのリサイクル率が極めてそれによって高くなってきていると。より多くの希少貴金属を回収することが可能になったということなんですね。
 この作業は、当初は自動化を試みたそうでありますけれども、途中で自動化は中断した。そして、今私が申し上げたように身障者の方々にお願いするということ、この方式に落ちついたという経緯をお話しいただきました。その結果、人の手をかけることによって、より質の高いリサイクルが行えるという、または障害者の方々の雇用も、生きがい、やりがいというか、これも確保できるということも管理者の方々からも聞きました。福祉事業と廃棄物処理事業、リサイクル事業の連携により、質の高いリサイクル、まさに雇用がマッチングした例として注目してもいいんではないかなと思います。
 循環型社会づくりを進める都として、小型家電に限らず質の高いリサイクルを実施する観点から、こうした連携事業も、より模索をしたりしていただきながら進めていくことも必要ではないかと思いますけれども、この見解を伺いたいと思います。

○谷上資源循環推進部長 資源の乏しい我が国におきまして、リサイクル率の向上のみならず、再生資源に付加価値を設けるなどの質の高いリサイクルは、循環型社会づくりを行う上で、今後ますます重要になると認識しております。
 委員ご指摘の事例では、障害者の方々が持つ能力を生かして、機械化できない細かい作業を担い、希少金属を回収した結果、質の高いリサイクルが可能となっており、複数の事業がマッチングした極めてよい例であると認識しております。
 このような取り組みは社会的にも意義深い事業であり、今後、都庁各局との情報交換を行うなど、連携を図ってまいります。

○こいそ委員 繰り返しになりますけれども、循環型社会づくりに向けては、それを支える静脈ビジネスのよりレベルアップや、リサイクルのさらなる促進などが大変重要だというふうに思いますし、これが今日的課題だと思います。
 私は、本日いろいろなお話をさせていただいたように、現場のさまざまな声をしっかりと聞いていただいた上で、今後も、積極的な施策の展開をしっかりした形で進めていただきたいと望みます。
 次に、環境人材の育成について伺いたいと思います。
 東京は、南は世界自然遺産の小笠原諸島、沖ノ鳥島、我が国の最南端、そしてマーカス島、南鳥島、最東端、西は標高二千メーターを超える奥多摩の秩父多摩甲斐国立公園に位置する雲取山に至るまで、非常に広範囲にまたがっており、訪れる人々を魅了する四季折々の美しい景観、希少な動植物が生育する豊かな自然を有しております。
 一方、身近な自然に目を転じると、都内多摩地域になりますけれども、田んぼや畑、広葉樹林から成る丘陵の里山、市街地の雑木林などがまだまだ残されております。
 都は、こうした貴重な自然を守るために、保全地域の指定を進めてきたわけでありますが、私は、東京の自然環境を将来にわたり守り続けていくためには、保全活動を担う環境人材の育成が極めて重要だというふうに考えています。人材の育成は大変時間のかかる取り組みであり、その成果を着実に生み出していくためには、小学生、いや幼稚園か保育園に通うぐらいのお子さん、中学、高校、大学、社会人に至るまで、人間の成長過程に応じ、五感で自然のすばらしさをいわゆる体感できる取り組みを行うことが大切ではないかと思います。
 そこで都は、保全活動を行う環境人材の確保と育成にどう取り組んできたのか、またこれからどう取り組むのかということを含めて伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 東京に残された貴重な自然環境を将来にわたり守り続けていくためには、保全活動を担う新たな人材を掘り起こし育成していくことが重要でございます。
 このため、都は、保全活動を行うボランティア団体と連携し、樹木の間伐や下草刈り等の保全活動に大学生の参加を促す東京グリーン・キャンパス・プログラム、企業の社員等の参加を促す東京グリーンシップ・アクションに取り組んでございます。
 また、今年度から専用ウエブサイトを開設し、緑地保全活動に関する多様な情報を発信するほか、登録を行った方々に対しましては定期的に活動情報を提供する取り組みも開始いたしました。
 さらに、未経験の方が気軽に保全活動を体験できるプログラムを開始し、子供から社会人まで幅広い年代の方に参加していただけるよう、最寄り駅への送迎や道具の貸し出しを行うほか、現地で樹木の伐採や下草の刈り方などの保全作業についてわかりやすく助言を行うなど、きめ細かなサポートを行っております。

○こいそ委員 ただいまありましたグリーンシップ・アクション、グリーン・キャンパス・プログラム。グリーン・キャンパス・プログラムは大学との協定によってということで、今現に四大学で緑地保全活動を行っているわけであります。私もこれに参加をしてまいりましたが、樹林地の間伐や下草刈りなどにそれぞれの学生がかかわる中で、自然のすばらしさ、そして自然を守ることの大切さを実感するわけですね。なおかつ、その中で四季折々の自然に身を投じる、まさに生物多様性、さまざまな観点から思いを持つ。
 この事業は開始から既に八年が経過しており、その間、いわゆる間伐や下草刈りなどの作業に一生懸命取り組んでいるのも現実であります。その作業が里山の保全にどのような効果をもたらしているのか、活動の意義を十分に伝え切れているのかどうなのかということも昨今感じるところであります。
 私は、このグリーン・キャンパス・プログラムをさらに発展させていくべきだと考えております。
 そこで、この事業が人材育成策という観点からも、これまでにどのような政策効果を上げてきたのか、どのような課題を抱えているのか、やはりこの時期に検討をするべきではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 ただいま委員からお話がありましたとおり、東京グリーン・キャンパス・プログラムには、これまで首都大学東京、恵泉女学園大学など四つの大学が参加してございまして、大学生が間伐や下草刈りなど、樹林地の維持管理や、最近では田畑を用いた耕作や収穫を行うことなどを通じまして、里山保全の意義やすばらしさを理解する場となってございます。
 しかしながら、本事業は開始から八年が経過し、学生に対する、より効果的な指導を行う観点から、プログラムの一層の充実を図るための事業の検証が必要と認識しております。
 このため、今年度の活動に参加した学生に対しまして、満足度や今後体験してみたい活動内容等を確認するアンケート調査を行うほか、保全活動の専門家にヒアリングを行うなどして、大学生の保全活動に対する理解の促進に向け、プログラムの充実を図ってまいります。

○こいそ委員 環境人材の育成ということの中で質問させていただいているわけでありますけれども、その中で、やはり今お話しのグリーン・キャンパス・プログラムについては、保全活動を行う上で、その中で最も重要な点は何かと思うときに、やっぱり、気づき、このあたりが非常に重要ではないかと思うんですね。なぜ里山を保全しなければならないのか、なぜ景観を大切にする、そしてさまざまな希少なレッドリストにも載っているような植物も大切にしていかなきゃいけないのか。
 多摩丘陵の中で、キンラン、ギンランを初め、タマノカンアオイ、ちょうどその保全区域の中の活動の中で大変広い地域でありますけれども、その多摩丘陵は、まさにキンラン、ギンランもそうですけれども、タマノカンアオイが群生していて、珍しくなかったんですね。ところが、その広い保全区域の中で、まさに一株、二株というか、群生はもうしていない。それ一カ所だけです。だからレッドリストにも載るようになったと思うんだけれども、こういう悠久のとき、そしてやはり自分らが今日的に生存する中で、種が滅びるという現実に対する気づきというのがあるんですね。
 そういう中における人材育成について、東京都は保全区域の維持管理とともに人材育成という観点から、東京都環境公社が都の委託を受けて今後取り組んでいくんだと、こういう話があります。これは結構な話かなというふうに思うんですけれども、実際、公社の方々がいわゆる環境保全をするということはわかるんですけれども、人材育成策の中のかかわり、具体的などういうメニューを持っていて、どういう専門性を持っていて、どのように指導していくのかといいますか、このあたりがちょっといま一つわからないんですね。そこのところを踏まえて教えていただきたいなと。
 それから、続きますけれども、企業や大学など、保全活動に参加する団体は個々の団体の中だけで活動が完結しており、企業や大学同士で活動内容を学び合うには至っていないのではないかと思うんですね。
 私は先ほど、保全活動を行う上で最も重要なのは、重要かどうかはわかりませんけれども、その重要な一つとしては、気づきでもあるんじゃないか。気づく、気づきではないかと。こうした気づきは現場での活動の中でこそ体感できる。個々の団体の枠を超えて、NPO、大学、企業等が相互にそれぞれの活動に関する情報を知ることによって、新たな共有する気づきが得られることもあるのではないか、この点について都の見解を伺います。

○志村自然環境部長 保全活動を担うさまざまな団体が相互に連携を強化することは、保全地域全体の活動を活発化させる上で重要な取り組みでございます。このため、都は、来年二月に、大学、企業、地元ボランティア団体等が一堂に会し、団体相互のすぐれた取り組みを学び合う合同情報交換会を開催し、専門家による講演やグループディスカッション等を新たに行うことといたしました。
 こうした取り組みを通じまして、保全活動を担う全ての個人、団体のレベルアップを図り、東京に残された貴重な生態系を次世代に継承してまいります。

○こいそ委員 先ほどから環境人材の育成ということでいろいろご答弁いただいておりますけれども、また、東京都のレッドリスト、先ほどいいましたけれども、掲載されている希少種が今なお存在し、また滅びようとしている現状もあります。東京に残されたこうした貴重な自然は、子や孫の代まで引き継いでいくべき、当然にして都民の共有の財産だと思います。
 こうした豊かな自然に触れ合い、親しむことを通じて、五感で自然のすばらしさを体感することが私は真の環境教育にもつながってくるんじゃないかと考えるところであります。
 今後、環境人材の育成が功を奏して、保全活動にかかわる人材が陸続としてあらわれて、あらゆる形の東京の環境にかかわっていく、この保全活動はもとよりでありますけれども、東京の里地、里山、里海もありますけれども、将来にわたって守られていくことを期待していきたいなというふうに思います。
 最後でありますけれども、次代を担うまさに子供たちに対する環境教育について、伺いたいと思います。
 一部の先進的な小中学校では、ESDといわれる環境教育が行われています。このESDを直訳すれば、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育だということでありますけれども、二〇〇二年のヨハネスブルグ・サミットにおいて、実は日本が提唱しています。以来、世界各国で進められている環境教育の取り組みであるわけであります。
 とりわけ、環境省は、このESDを所管する専門部署をもはや設けております。各学校の先進的な取り組み内容を紹介することに加えて、みずからが直接出前講座を行うなど、次代を担う人材育成に環境省は強く力を注いでいる現状があります。
 その一つは、私の地元、多摩市内の小学校においても、昨年、環境省の副大臣みずからが直接子供たちに環境授業を行いました。大変すばらしい授業だった。これは恐らく環境省のスタッフの皆さんがいろんな教材準備をされたこともそうだと思いますけれども、その授業を見てまいりました。
 当然国は文科省もありますよね。その中で、東京都環境局も、教育庁ともいろいろ連携をとりながらも、私はこの環境教育こそしっかりと環境局が責任を持ってやるべきじゃないかなと思えてならないんですね。
 そういう中で、都として東京の子供たちへの環境教育について、まさに繰り返しますけれども、東京都環境局として、より具体的にどのようにやっていくか。環境省はずっと前からやっていますよ。水をあけられていますよ。東京都の中で、小学校に環境副大臣が来て、環境省の職員がわんさと来て、それぞれみんなやっているんだ、これ、はっきりいって。世界一の環境都市東京じゃないか。その中における環境教育も環境局がこの国の先頭切ってやってもいいんじゃないかと思うんですね。そのあたりはどうでしょうか。

○篠原環境政策担当部長 都はこれまでも、学校で環境教育を担います教職員を対象とした環境学習講座を行ってきましたほか、廃棄物の最終処分場への見学者の受け入れ、それから自然公園などの活用を通じまして、子供たちに環境を学ぶ場を提供してまいりました。しかし、今、委員からもお話のあったESDといったような観点から見れば、まだまだ取り組む余地があるものと認識しております。
 持続可能な社会の実現は、都の環境政策が目指す大きな目標でございまして、このためには、次代を担う人材を育成していくということも極めて重要でございます。特に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会開催に向けまして、環境施策を積極的に展開していく中で、子供たちへの環境学習も充実してまいりたいと考えております。
 今後、学校教育ともしっかり連携しながら、都が保有します施設や人材をフルに活用して、環境先進都市にふさわしい環境教育の実現に向けて取り組みを強化してまいります。

○こいそ委員 もうこれで終わりますからね。私たちは、私たちが子供のころはそうではなかったけれども、今、豊かさをまさに当たり前のように感じ、享受をしている今でありますけれども、環境問題の多くは日常生活に根差しているわけであります。このため、まさに早い段階から、人と環境のかかわりについて正しく理解をし、認識することが重要ではないかと思います。
 次代を担う子供たちが自然に対する思い、人に対する優しさ、物に対する、マータイさんじゃないけれども、もったいない、さまざまな思いを持つ。そして環境、この東京は、世界一の環境先進都市東京ならではの人材教育というか、人を人とする根本的な、まさに環境こそが、やはり一番根差しているんですよね。
 ですから、そういう意味合いの中で、環境教育を推進することを要望して質問を終わりたいと思いますけれども、最後ですから、局長、一言。

○遠藤環境局長 本日、委員からは大きく分けて四点のご質問をいただきました。いずれも現場の、あるいは事業者のご意見に根差した貴重なものだというふうに拝聴してまいりました。
 最後に、環境人材の育成という点からお話をいただきましたけれども、ご指摘のように環境問題というのは、未来永劫、子や孫に伝わる非常に大切な問題だというふうに考えております。
 私たちも世界一の環境先進都市東京を目指すというのを、単なる行政上の目標としてではなく、大きな目標として捉えながら、きっちりと次代を担う人材を育成するために努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○やながせ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○やながせ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十分散会

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