環境・建設委員会速記録第九号

平成二十七年九月十五日(火曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長野上ゆきえ君
副委員長河野ゆりえ君
副委員長山田 忠昭君
理事山内れい子君
理事きたしろ勝彦君
理事小磯 善彦君
米倉 春奈君
河野ゆうき君
高椙 健一君
大西さとる君
高橋かずみ君
こいそ 明君
藤井  一君
林田  武君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長遠藤 雅彦君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
地球環境エネルギー部長笹沼 正一君
都市エネルギー推進担当部長小川 謙司君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長志村 昌孝君
緑施策推進担当部長須藤  栄君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務野崎 慎一君
建設局局長佐野 克彦君
次長福田 良行君
道路監西倉 鉄也君
総務部長佐藤  敦君
用地部長杉崎智恵子君
道路管理部長今村 篤夫君
道路建設部長相場 淳司君
三環状道路整備推進部長川嶋 直樹君
公園緑地部長五十嵐政郎君
河川部長三浦  隆君
企画担当部長伊佐 賢一君
総合調整担当部長前田  豊君
道路保全担当部長川合 康文君
道路計画担当部長東野  寛君
公園管理担当部長日浦 憲造君

本日の会議に付した事件
環境局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事請負契約
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
建設局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・ 環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一環二築地工区)請負契約
・ 地下トンネル築造工事及び街路築造工事(二十七 二環五の一千駄ヶ谷)請負契約
・綾瀬川護岸耐震補強工事(その十)請負契約
陳情の審査
(1)二七第二一号 環境破壊・まち壊し・住民追い出しの特定整備路線の建設中止に関する陳情
(2)二七第三二号 都立公園内の放送に関する陳情

○野上委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野上委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、環境局関係の報告事項の聴取並びに建設局関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、環境局長から紹介があります。

○遠藤環境局長 去る七月十六日付で異動となりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 地球環境エネルギー部長の笹沼正一でございます。自然環境部長の志村昌孝でございます。資源循環推進部長の谷上裕でございます。調整担当部長でスーパーエコタウン担当部長兼務の野崎慎一でございます。
 なお、本日、政策調整担当部長の鈴木研二につきましては、所用のため委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○野上委員長 紹介は終わりました。

○野上委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○遠藤環境局長 平成二十七年第三回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十七年第三回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 今回提出を予定しております案件は、条例案一件及び契約案一件でございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。
 初めに、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準等の改正に伴い、騒音及び振動の規制基準に係る規定を改めるほか、規定を整備する必要があるため、改正するものでございます。
 続きまして、契約案につきましてご説明申し上げます。
 平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事でございます。
 これは東京都江東区青海三丁目地先において、平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事を施行する必要があるため行うものでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○池田総務部長 お手元の資料2をごらんください。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準等の改正に伴い、騒音及び振動の規制基準に係る規定を改めるほか、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正の内容でございますが、騒音及び振動による影響に特に配慮しなければならない施設に幼保連携型認定こども園を追加するほか、規定の整備を行うものでございます。
 三の条例の施行日でございますが、公布の日となっております。
 二ページ及び三ページは本条例、四ページから八ページまでは新旧対照表でございます。
 続きまして、お手元の資料3をごらんください。平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 本工事は、中央防波堤内側埋立地にございます分別ごみ桟橋等の中防揚陸施設の撤去を行うとともに、配管類の切り回し工事を行うものでございます。
 工事場所は、江東区青海三丁目地先、契約の相手方は五洋・若築建設共同企業体、契約金額は二十四億五千百六十万円、工期は平成三十年九月二十八日までとする工事請負契約を一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。本件の工事場所の案内図及び平面図でございます。
 案内図の中ほど、網かけで表示をしております箇所が工事場所でございます。工事場所の詳細は平面図のとおりでございます。
 三ページをお開き願います。構造物の形状は断面図のとおりでございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○河野(ゆり)委員 二点お願いします。
 一つは、中防揚陸施設撤去その他工事の契約議案、入札状況と経過がわかるもの。
 二つ目、中防揚陸施設の利用状況についてわかるもの。

○野上委員長 ただいま河野副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。
 理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○池田総務部長 東京都債権管理条例第十三条に基づき、環境局が平成二十六年度に実施した私債権の放棄についてご報告をさせていただきます。
 お手元の資料4、私債権の放棄についてをごらんください。
 平成二十六年度に放棄した私債権は、公害防止資金貸付金の二件、金額は計六百九十五万二千五百円でございます。
 当該債権は、東京都公害防止資金に係る貸付金で、1については昭和四十七年度、2については昭和五十年度に貸し付けし、それぞれ昭和五十五年度、平成十八年度から債務の返済が滞っている債権でございます。
 これまで債務者及び連帯保証人等に対し催告、交渉を行うなど、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりました。しかしながら、当該二件の債権は、消滅時効に係る時効期間が1については平成六年度、2については平成二十三年度に経過しておりまして、債務者についてはそれぞれ借り受け人である法人が解散しております。
 また、連帯保証人についても、死亡または破産免責となっておりまして、このたびその相続人から相続放棄及び時効の援用が行われたことから、平成二十七年三月に放棄を実施したところでございます。
 以上、私債権の放棄につきましてご説明申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野上委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で環境局関係を終わります。

○野上委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、建設局長及び幹部職員に交代がありましたので、建設局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
 建設局長に就任いたしました佐野克彦さんを紹介いたします。

○佐野建設局長 建設局長を拝命いたしました佐野克彦でございます。野上委員長を初め、委員の皆様方には、建設局事業につきまして日ごろからご理解とご支援を賜り、まことにありがとうございます。
 建設局では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を安全・安心、確実に開催するため、関連する事業を推進するとともに、さらにその先を見据えて、道路、河川、公園など都市基盤の整備と管理に全力で取り組んでいきたいと考えております。引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、去る七月十六日付けで異動のございました当局の幹部職員をご紹介いたします。
 次長の福田良行でございます。道路監の西倉鉄也でございます。用地部長の杉崎智恵子でございます。道路管理部長の今村篤夫でございます。河川部長の三浦隆でございます。総合調整担当部長の前田豊でございます。公園管理担当部長の日浦憲造でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○野上委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○野上委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○佐野建設局長 第三回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一環二築地工区)など、契約案三件でございます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明いたします。

○佐藤総務部長 それでは、第三回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明を申し上げます。
 資料1をごらんいただきたいと存じます。契約案につきましてご説明を申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております契約案三件の件名は目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開き願います。環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一環二築地工区)でございます。
 本工事は、延長五百七十二メートルにおいて、延長約九十二メートルの地下トンネル及び延長約五十一メートルの換気所を施工するとともに、擁壁工事等を行うものでございます。
 工事場所は中央区築地五丁目地内、契約の相手方は大成・大日本・徳倉建設共同企業体、契約金額は九十七億九百二十万円、工期は平成三十一年七月三十一日までとする工事請負契約を一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。本件の工事場所の案内図でございます。案内図の中ほど、網かけで表示しております箇所が工事場所でございます。
 三ページをお開き願います。構造物の形状は平面図、側面図及び断面図のとおりでございます。
 四ページをお開き願います。地下トンネル築造工事及び街路築造工事(二十七 二環五の一千駄ヶ谷)でございます。
 本工事は、延長九百七十二メートルにおいて、延長約二百八十メートルの地下トンネル及び延長約九十八メートルの擁壁を施工するとともに、街路築造工事を行うものでございます。
 工事場所は渋谷区千駄ヶ谷五丁目地内から新宿区新宿二丁目地内、契約の相手方はフジタ・奥村組土木・あおみ建設共同企業体、契約金額は四十一億四千七百二十万円、工期は平成三十一年十月一日までとする工事請負契約を一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 五ページをお開き願います。本件の工事場所の案内図でございます。案内図の中ほど、下寄りに網かけで表示しております箇所が工事場所でございます。
 六ページをお開き願います。構造物の形状は平面図、側面図及び断面図のとおりでございます。
 七ページをお開き願います。綾瀬川護岸耐震補強工事(その十)でございます。
 本工事は、最大級の地震が発生した場合においても浸水防止機能を保持し、津波等による浸水を防止するため、延長二百六十四・五メートルにおいて河川側の根固め及び一部護岸本体の補強を行うものでございます。
 工事場所は足立区綾瀬四丁目地内、契約の相手方は、りんかい日産・CRS建設共同企業体、契約金額は十三億三千四百八十八万円、工期は平成三十年三月十四日までとする工事請負契約を一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 八ページをお開き願います。本件の工事場所の案内図でございます。案内図の中ほど、下寄りに黒い丸で囲っております箇所が工事場所でございます。
 九ページをお開き願います。構造物の形状は平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 以上で平成二十七年第三回定例会提出予定案件についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大西委員 綾瀬川の件なんですけど、これ、全体の進捗状況、要するに、ちょっとずつやっていかれていると思うんですけど、今までどこまでできて、これからどのぐらいかかるのかというのがわかるような資料をお願いします。
 先週の大雨でこの綾瀬川は氾濫の危機がありまして、足立区民はその情報が流れてすごく冷や冷やしたんですけど、ついでに水位の、過去の何かのときの、その時々の、どのぐらいまで行っているのか、それがわかる資料があったら提出をお願いします。

○河野(ゆり)委員 契約議案二件で、環二地下トンネル及び築地換気所ほか築造工事と、環五の一千駄ヶ谷の地下トンネル築造工事及び街路工事の入札状況と経過がわかるものをお願いいたします。

○野上委員長 ただいま河野副委員長、大西委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。
 理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○野上委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情二七第二一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○東野道路計画担当部長 それでは、お手元の資料2、陳情審査説明表の整理番号1、陳情二七第二一号をお開き願います。
 本件は、環境破壊・まち壊し・住民追い出しの特定整備路線の建設中止に関する陳情で、豊島区東京都特定整備路線連絡会代表、柴田裕さん外一万千百二十八人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、環境破壊、まち壊し、住民追い出しの特定整備路線の建設をやめていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、木造住宅密集地域におきましては、延焼遮断や沿道建物の不燃化促進などに効果が高く、避難経路や緊急車両の通行路ともなる都市計画道路の整備が重要でございます。そのため、都は、震災時に甚大な被害が想定される約七千ヘクタールの整備地域におきまして、防災性の向上に資する二十八区間の都市計画道路を特定整備路線に選定し、昨年度までに全ての区間を事業化して、現在、用地取得を進めております。
 特定整備路線は昭和二十一年から昭和四十一年の間に当初の都市計画が決定されており、当時の法令に基づきまして、適切に手続がされたものと認識しております。さらに、都は過去数度にわたり、適宜、都市計画道路の見直し、必要性の検証を行っており、首都直下地震の切迫性を踏まえますと、木密地域の改善に資する本路線の整備の重要性は増しております。
 また、阪神・淡路大震災で確認されておりますとおり、道路は延焼遮断に効果があり、特定整備路線につきましても、東京消防庁の手法を活用して延焼シミュレーションを行い、その効果を確認しております。
 事業認可の申請に当たりましては、都市計画道路の基本的な役割を踏まえ、交通の円滑化、安全で快適な歩行空間の確保、防災性の向上の三点を申請理由としており、防災性の向上は本事業の重要な目的でございます。
 また、事業認可申請以前から事業概要や測量の説明会を開催しており、その後も個別の要望にきめ細かく対応するなど、特定整備路線の必要性や事業の進め方を住民に説明しております。
 なお、本年三月に閣議決定された首都直下地震緊急対策推進基本計画におきましては、出火対策や初期消火とともに、基盤施設の整備がおくれている木造住宅密集市街地での道路拡幅など活動空間の確保や、安全に避難するための避難路の整備などを国や自治体が推進すべきものとしております。
 今後とも、関係権利者の生活再建に十分配慮し、理解と協力を得ながら特定整備路線の整備を推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○河野(ゆう)委員 よろしくお願いします。特定整備路線の建築中止に関する陳情について幾つか質問したいと思います。
 首都直下地震は、今後三十年以内に七〇%の確率で発生すると予測されており、これは都民にとって極めて切迫した危機であると、私はそう思っております。都は、東京都長期ビジョンや東京の防災プランを公表し、ハード対策やソフト対策の両面から首都の防災性を早期に向上させることを都民に約束しております。
 直近では、「東京防災」が配布されており、黄色い本ですね、これは都民にみずから備え、行動していただくことをまとめた、ソフト対策としては大変大きな効果を上げており、取り組みが着実に進められていると感じております。
 一方で、都市における災害対策の前提となるのは、先ほど大西委員もお話しされましたけど、河川の整備だったり、道路や公園などの都市基盤整備であり、これこそが発災時の都民の活動を支援することにつながることから、ソフト対策にあわせてハード対策を計画的かつ早急に進めていくことが重要であります。
 木造住宅密集地域の中でも、特に震災時に甚大な被害が想定される整備地域の改善に向け、特定整備路線の重要性は極めて高いものであります。私の地元板橋区でも、補助二六号線、また隣接する豊島区から来ます補助七三号線、また八二号線の三つの特定整備路線があり、いずれも整備地域内に新設される道路で迅速な整備が必要であると考えております。
 そこで、改めて特定整備路線の整備効果と取り組み状況について伺いたいと思います。

○東野道路計画担当部長 特定整備路線は、災害時に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において、延焼を遮断し、市街地火災の燃え広がりを防ぐものです。また、地域にお住まいの方々の避難路や緊急車両の通行路となり、救助、救援活動にも資するものでございます。
 このように特定整備路線は地域の防災性向上に大きな効果を発揮いたします。平成二十四年度の選定以来、事業や測量についての説明会や予備設計などを実施し、昨年度までに全二十八区間、約二十五キロメートルの事業に着手しており、現在、用地取得を進めております。

○河野(ゆう)委員 全二十八区間、特定整備路線の必要性と、事業を着実に進捗しているということがわかりました。
 さて、首都直下地震などの被害を軽減する施策としての推進は我が国の存亡にかかわる喫緊の根幹的課題でもあると考えておりますけれども、本年三月に閣議決定された首都直下地震緊急対策推進基本計画の内容と特定整備路線の整合性についてお聞きしたいと思います。
 本陳情においては、国と都が行うべきは防災の名による道路の押しつけではなく云々と書いてありますけれども、国の閣議決定された計画には、木造住宅の倒壊防止対策を初め、火災発生防止と初期消火対策など、予防原則に立った対策が示されていることであります。実際にどのような対策が示されているのか、本計画に対する都の見解をぜひともお伺いしたいと思います。

○東野道路計画担当部長 平成二十七年三月三十一日に閣議決定されました首都直下地震緊急対策推進基本計画では、出火対策や初期消火とともに、基盤整備がおくれている木造住宅密集地域での道路拡幅など、活動空間の確保を進めることや延焼の拡大を防ぐ火災に強い都市づくり、まちづくりを推進することが記載されています。
 まさに特定整備路線の事業内容は本計画と合致しております。都としては、木密地域の延焼遮断や避難、救命、救援などに資する特定整備路線を全力で整備してまいります。

○河野(ゆう)委員 今説明いただいたとおり、出火対策や初期消火だけでなくて、この延焼遮断帯をつくるということが閣議決定された基本計画と都の施策が否定するものではなくて合致しているということが確認できました。
 一方、事業に協力することにより移転が必要になる関係権利者の中には、特定整備路線の整備の必要性は理解しつつも、将来の移転や再建に不安を感じている方たちもいると聞いております。
 そこで、関係権利者の生活再建をどのように支援していくのか、取り組みをお伺いしたいと思います。

○杉崎用地部長 事業用地の取得に当たりましては、民間事業者を活用した相談窓口を十八カ所設置し、全ての区間で関係権利者の意向確認を進めるとともに、不動産、設計など、専門家のノウハウや民間のネットワークを活用するなど、関係権利者の多様なニーズに的確に対応しております。
 これまでに、残地を活用した建てかえプランに関すること、移転先の不動産情報に関すること、税務、相続、借地等の権利関係に関することなど、多くの相談が寄せられております。
 ご相談をいただいた方々に対しては、電話や戸別訪問等により継続的にコミュニケーションを確保、図るとともに、権利者の方々を対象とした税務セミナーを実施するなど、きめ細やかな対応をしているところでございます。
 あわせて、優遇金利による移転資金の貸し付け、都営住宅や代替地のあっせんなど、関係権利者の意向を踏まえて生活再建の支援を行っているところで、引き続きまして理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。

○河野(ゆう)委員 ありがとうございました。関係権利者の生活再建に配慮し、きめ細かく支援していただいているということがわかりました。
 ところで、私の地元では特定整備路線をまちづくりの契機として捉えている方たちが多くいらっしゃいます。これは都市整備局の所管でありますけど、補助二六号線、大山地区では特定整備路線と周辺の再開発とを連携させ、より防災に強く、よりにぎわいのあるまちづくりにつなげようと、ハッピーロード大山商店街が先頭に立って、区や都とともに前向きに努力をされております。
 その中で、一部の方たちが差しとめの訴訟を起こしており、報道の中で商店主ら五十数名というような報道をされてしまったことによって、あたかも商店街が何か挙げて反対をされているのかななんていう印象をとられるような、そんな報道があったんですけど、私も商店街の事務局や商店街の役員に話を聞きますと、ほとんどの方がそんなことなく、恐らく一人や二人の方が、商店の店主の方が訴訟を起こす名前に入っているらしいというふうな程度なんですけど、それでも、そのような、あたかも商店街の総意かのように、事業を反対しているかのようにとられてしまったということは、非常に地元は残念に思っております。
 早期防災性の向上はもとより、長い目で見たまちづくりにつなげていただけるよう、引き続き関係権利者の生活再建にも十分配慮され、全ての特定整備路線を積極的に推進していただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○米倉委員 特定整備路線について質問させていただきます。
 この路線については、毎回のように各路線についての中止ですとか計画の変更を求める陳情が議会に寄せられております。きょうは幾つかの角度から質問させていただきたいと思います。
 一つは、住民合意の問題です。
 今回この特定整備路線全体について、建設中止を求めて一万筆を超える署名が寄せられていることは、私は、これは非常に重いことだと思います。都はこれをどう受けとめているのか伺います。

○東野道路計画担当部長 陳情がございましたことについては真摯に受けとめております。
 その上で、木造住宅密集地域においては、延焼遮断や沿道建物の不燃化促進等に効果が高く、避難経路や緊急車両の通行路ともなる都市計画道路の整備が極めて重要でございます。
 整備に当たりましては、事業認可申請以前から事業概要や測量の説明会を開催し、その後も個別の要望にきめ細かく対応するなど、事業の必要性や進め方を住民に説明しております。
 今後とも、関係権利者の生活再建に十分配慮し、理解と協力を得ながら、特定整備路線の整備を推進してまいります。

○米倉委員 私はこの一万筆もの署名が集まるということは、繰り返しますけれども、本当に重いことだと思っているんです。都議会に寄せられる陳情署名について調べてみましたが、毎年議会には百六十から百九十件、陳情署名が寄せられているのですけれども、一万筆を超えるというのはわずか七、八件なんです。
 道路整備に異議ありということで一万筆超えて集まるということは、この数年ではこれしかなかったことなんです。これはそれぞれの路線で住民の皆さんがこの道路はおかしいと、納得がいかないということで立ち上がられて、中には人生で初めて署名を集めて回った方もいらっしゃって、そういう方たちが集めた一筆一筆なんです。
 運動の先頭に立って署名を集めている方からお話を伺いました。署名のために、おはようもいったことのない人のところに行って、ピンポンを押して入ることには本当に勇気が要るんだと。でも、一時間地域を回ると、署名をきっかけに住民の意見を聞けるんだ、それが重要なことだと思っているんだと、仲間と励まし合って、地域を回って声を聞いていらっしゃるんです。
 こういう住民運動の中で、非常に切実な声が拾われています。計画線にかかる方の中には、例えば八十代の女性から、事業認可がとれてから夜眠れないと。夫と二人で死のうかとも考えました。やっと年金で暮らしていけるところまでなったのに、今から出ていけば自分たちだけでは食べていけなくなるという声も上がっています。都はこうした声を承知しているのか、伺います。

○杉崎用地部長 特定整備路線の関係権利者にはさまざまなご意見があることは承知しており、権利者の方々の生活再建に十分配慮し、理解と協力を得ながら事業を進めていくことが重要でございます。
 このため、民間の専門事業者を活用した相談窓口を設置するなど、きめ細やかな対応に努めているところでございます。

○米倉委員 先ほど紹介した声のほかにも、事業認可がおりてから動悸がする、安定剤を飲んでも落ちつかないなど、本当に不安の声がたくさん上がっているんです。立ち退きを迫られる当事者にとってはそれほど大変なことで、今回寄せられた署名の一筆一筆はそういう重さなんだということを受けとめていただきたいと思います。
 そういうことを考えたときに、これだけ、一万筆を超えて多数の都民から整備中止を求める声が上がっているということからして、反対の声が上がっている路線については事業を見直すことは当然だと私は思います。
 そして、そもそもなぜこれだけ反対の声が広がっているかということなんですが、私はその一つは、都が、当事者である肝心の地域住民の意見を聞かずに、突然に、一方的に道路を動かすことを決めたことにあると思います。特定整備路線の多くの路線というものは、戦後すぐに決定されて、七十年間建設がとまっていたと、動いていなかったものです。特定整備路線を選ぶ際には、都からそれぞれの区に意見を聞きましたけれども、中にはこの住民の意向を重視する立場から道路の建設を進めないという立場をとった区が幾つもあります。
 例えば足立区は、区内の補助一三八号線について、特定整備路線として指定するには、事前からまちに入り、住民との関係づくりが不可欠である、現時点でこの地区でのまちづくりは予定していなかったため、準備が整っていないと考えるといってこの道路を特定整備路線に入れないように都に伝えました。あるいは台東区では、区内の補助九二号線について、沿道住民の理解が得られない可能性が大きいためとして特定整備路線の必要がないと都に伝えました。
 お伺いしますが、延焼遮断帯をつくるに当たっては住民の理解が必要であり、理解がとれていない路線は進めないと、こういう区の立場を都は尊重したのか確認をいたします。

○東野道路計画担当部長 特定整備路線の整備を進める上で、地元区との連携は必要不可欠でございます。
 このため、特定整備路線の選定に当たっては、防災上の課題や住民の意識、意見などといった地域の実情に精通している地元区に意見照会を行いました。特定整備路線の選定に当たりましては、区の意見を尊重した上で、都において選定をいたしました。

○米倉委員 区が地元の実情を把握しているということをおっしゃっているんですけれども、こういうふうに特定整備路線の指定を希望しなかった区というところは、こういう事情も勘案した上で、そして、まちづくりや道路づくりには地域の住民の合意が不可欠であるという真っ当な姿勢だと思うんです。この区の意見に対して、東京都も住民の合意がなくても必要な道路をつくるんだというふうに押しつけることはいたしませんでした。
 それならば、ほかの道路についても同じように住民の意向を尊重すべきだといっておきたいと思います。本来ならば、都が率先して住民の意向を確かめて、合意がとれていないものについてはつくらないことも含めて、どうすれば地域の安全性が守れるかを話し合っていくべきだったと私は思います。
 しかし都は、候補路線を一方的に発表し、パブリックコメントすら集めませんでした。出発点から間違っているといいたいです。その上で、先ほど都は説明会を開きと、この陳情についての説明、現状の状況というところでおっしゃって、今後も個別に要望をきめ細かく対応するなど、特定整備路線の必要な事業の進め方を住民に説明しているなどといいましたけれども、これは事実と異なっているということは、この間、議会で明らかにしてきたことだと思います。
 都は説明会を開いても、多数の方が納得していない、質問の手を挙げていても、時間が来たからといって一方的に説明会を終わらせてきたんです。そしてその後、じゃ、東京都から地域に出向いてまた説明会を開いて、地震対策としてなぜ必要かと、こういう努力をやってきたんですかと。やっていないんですよね。私も地域を回りましたが、東京都は測量のお願いに来たことはあっても、特定整備路線がなぜ必要か、地域を回って都の職員が説明するということは一度もないというふうに伺っているんです。
 しかし、かつて東京都は、白鬚東防災拠点をつくる際には、地域の住民や商店、工場が多数移転せざるを得なくなったこのときに、休日にもたくさんの職員が地域に足を運んで何度も地域の方と話し合ったと伺っています。
 ところが、今度の特定整備路線については、一度か二度の説明会を各路線で開いて、都として出向くことはその後やっていないというのが現状じゃありませんか。これで住民の理解を得る説明を尽くしているとは到底いえないと指摘しておきます。
 次に、都が住民に対して説明しているという中身について伺ってまいります。
 特定整備路線の必要性についてですけれども、都はこの必要性について説明してきたとおっしゃってきました。しかし、これを検証している唯一の根拠となっているものは延焼シミュレーションとなっています。しかし、この延焼シミュレーションは、あくまで道路で火がとまるかどうかを調べただけのもので、建設局長が木密地域全体の火災に対する安全性を検証するものではないと以前に本会議ではっきり答弁をされています。
 改めて伺いますが、この延焼シミュレーションの性格を確認したいと思いますが、延焼シミュレーションというものは、じゃ、首都直下地震を想定して、延焼棟数や延焼面積がわかるものなのか伺います。

○東野道路計画担当部長 先ほどの委員のご意見のうち、区の理解につきましては、特定整備路線の必要性については都と区で認識を同じくしており、引き続き木密地域の改善に向け、連携して取り組んでまいる所存でございます。
 さらに、整備に当たりましては、先ほどご答弁申し上げましたように、事業認可申請の前から事業概要や測量の説明会を開催し、その後も個別の要望にきめ細かく対応し、場合によっては地元に出向いて説明をするなど、事業の必要性や進め方を説明させていただいているところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 そして、シミュレーションについてでございますが、延焼シミュレーションは、東京消防庁の手法や総務局の被害想定に用いた条件を活用して、風向や風速、建物の状況などの条件を仮定いたしまして、特定整備路線のありなしによる焼けどまり効果を確認したものでございます。

○米倉委員 今いろんなことをおっしゃられたんですが、一万筆を超えて署名が集められていると。この中心の一つは納得がいっていない、住民の合意抜きにどうして進めるのかということですとか、今、一つ目、聞きましたけれども、防災にそもそも役に立つのか疑問があるということなんですね。じゃ、これだけ署名が集められているわけで、でしたら、説明会をぜひ開くべきだと私、思うんです。
 この延焼シミュレーションについて今伺ったんですが、結局これは首都直下地震に対しての被害想定、延焼面積、建物がどれだけ燃えるかを明らかにしたものなのか、もう一度明確にお答えください。

○東野道路計画担当部長 延焼シミュレーションは、実際に起こり得る一定条件を想定いたしましてシミュレーションを行ったものでございます。

○米倉委員 では、もう一問伺いますが、実際に起こり得る状況というのはどういうことを想定したシミュレーションなんでしょうか。

○東野道路計画担当部長 想定する特定整備路線に対して直角に風が吹いており、それが八メートルの風であるといたしました。発火地点を百メートルに一カ所設定をいたしまして、そこから火災が広がり、三時間、道路から反対側に向かって延焼した後に、今度は道路に向かって、同じ八メートル、逆の方向に風が六時間吹いているという状況の中で、道路を越えてどれほど燃え広がるかということについて、そういう想定のもとに行ったものでございます。
 これは実際に起こり得ることの一つでございますが、あらゆる状況を想定して、例えば直下型地震のときの状況ということもあらゆることが想定されますので、それに対して行ったということにはならないと思います。

○米倉委員 私はこのシミュレーションについて何を伺ってきたかといいますと、首都直下地震を想定しての被害がわかるものなのかどうかということを今聞いたんですけれども、今のご答弁はそれについて明確には何も触れられませんでした。それは当然だと思います。それは今、部長がご説明をされたように、都がやった延焼シミュレーションというものは、あくまで道路を越えて反対側に火が燃え移るかどうかのみを検証したものだからです。
 そのため、今、部長が詳しく説明してくださいましたが、出火点、すなわち火が出るポイントも、風の向きも道路に対して一番厳しい条件で吹いたときに設定して、道路に、つまり真正面に向かって火が吹いて、火も道路に迫ってくるというときにどうかというのを検証したものですね。しかし、そもそも、じゃ、現実に風は道路に火をとめてもらうように、道路に向かって正面から吹いてくるのかと。むしろ逆だと私、指摘したいと思うんです。
 例えば、品川区大井町の補助二八号線や北区十条の補助七三号線なんです。これらの道路というのは南北に道路が走るんです。シミュレーションでは、ですから、道路に向かって西風と東風が吹くという想定になっています。
 私はきょう、パネルを持ってきたんですけれども、ところが、これは東京管区気象台というところが東京に吹く風をまとめたデータなんですけれども、一年を通して西風が吹く割合はゼロ%なんです。東風についてはどうかといいますと、これもゼロ%に近いと。ほとんど吹かないんですね。じゃ、どういう風が多く吹くかといいますと、主に冬に吹く北風、特に北北西の風です。そして夏には南風が吹くと。これが東京の現状なんですね。
 それで、私は消防庁にお願いをしまして、補助二八号線では北風が吹いた場合にどうなるかということをシミュレーションしてもらいました。これが補助二八号線になるんですが、ここから出火した場合に、北向きの風が吹いた場合どうなるかと。燃え続けるんですね。補助七三号線はどうかと。南風を吹かせてみました。やっぱりこれが道路になりますけれども、ひたすら燃え続けるわけなんですね。これが結果なんです。
 ですから、東京都の皆さんは延焼シミュレーションを掲げて、ここに道路さえつくれば、あたかも延焼面積が減るかのようにこれまでおっしゃってこられたんですけれども、ここに道路さえつくれば面積が減ると、こういう主張は今されませんでしたけれども、撤回すべきだといっておきたいと思います。
 さらに、私、重要だと思いますが、この延焼シミュレーションというものは火が焼けどまるかどうかだけを検証したものにもかかわらず、この検証結果で都は自分たちにとって不利な部分は住民に隠してきたと、そして道路整備を進めてきたということなんです。
 伺いますが、都が行った延焼シミュレーションでは、特定整備路線を整備して、さらに道路の沿道を不燃化しても、その後にも火が道路を突破する地点があります。これは何地点、何カ所か伺います。
 そして、住民への説明会で延焼が突破される地点があることについて説明したことがあるか伺います。

○東野道路計画担当部長 先ほどの委員のお話のうち、風向きでございますが、このシミュレーションは個別に条件設定をしたものではなく、最悪の条件で直角に風が吹いた場合に、道路のありなしによって効果がどうなるかということを検証したものでございますので、そこをご理解いただきたいと思います。
 なお、この道路につきましては、延焼が横に広がったと仮に仮定いたしましても、避難や緊急自動車の通行にとって非常に有益であるということを申し添えます。
 次に、今のご質問でございますけれども、延焼シミュレーションは、特定整備路線のあるなしによる焼けどまり効果を路線ごとに確認するために実施したものでございます。全二十八区間を整備することにより、延焼面積は約四四%減少いたします。説明会では延焼遮断に効果があることを説明してまいりました。
 延焼が突破される地点のあるなしについては、あくまでもシミュレーション上の予測値でございまして、本シミュレーションの目的そのものではないため、延焼の突破については説明をしておりません。

○米倉委員 何地点、何カ所ですか。

○東野道路計画担当部長 地点でございますが、答弁申し上げます。
 都は特定整備路線二十八区間、約二十五キロメートルにおきまして、百メートルごとに合計五百三十五カ所の出火地点を設定いたしまして、延焼シミュレーションを行い、八カ所で突破するシミュレーション結果となりました。この八カ所は五区間に分布しており、箇所数では五百三十五カ所のうちの八カ所でございますので、全体の一・五%程度でございます。
 先ほども申し上げましたが、延焼シミュレーションは特定整備路線のあるなしによる焼けどまり効果を路線ごとに確認するために実施したものでございまして、二十八区間を整備することにより四四%減少するというのがシミュレーションの目的でございまして、延焼が突破される地点のあるなしについては、途中の過程の予測値でございますので、説明をしておりません。

○米倉委員 面積が四四%減るとおっしゃっているんですけれども、部長も何度もご答弁されているように、これはあくまで焼けどまり効果をはかるシミュレーションなわけで、これと、じゃ、実際に首都直下地震が起きたときにどういう被害が出るかと、延焼被害が出るかというのは全く性格が違うものですよね。
 私、さっき示しましたように、例えば、補助七三号線で面積がどれだけ延焼が減るというふうにいうとしても、現実には西風、東風は東京ではほとんど吹かないと。そういうもとでのシミュレーションだということだからこそ、面積の話をするべきじゃないと私はいったんです。
 さっきご答弁に答えて、八カ所延焼を突破するとお認めになって、それについて住民に説明されていないとおっしゃいましたが、これは非常に重大なことだと思うんです。都はこれまで地震対策のために延焼遮断帯が必要だとして住民に協力を求めてきました。しかし、例えば補助二八号線、都のシミュレーションでも三カ所突破して四百棟、その後焼け落ちると。延焼中も六時間後でも百棟前後だと。その大半が整備後の道路を乗り越えた先で燃え続けているものなんです。
 にもかかわらず、都は住民説明会で、延焼を防げることがはっきりしましたと示しているんです。池袋本町の七三号線でも突破しているんですけれども、これについても住民に知らせていませんよね。これでは都が意図的に住民に誤解させてきたと、延焼は必ずとまるんだといわれても仕方ないと思います。
 火がとまるなら仕方ないと思ってきた方が現実にはたくさんいらっしゃるんです。しかも、都のシミュレーションは出火後六時間でとまっているんです。私は補助二八号線について、延焼突破した場合に、これも消防庁にお願いして、さらに十二時間後、火が出てからまちがどうなっているのかとシミュレーションをしていただきました。パネルを持ってきました。
 ここに補助二八号線が整備される、さらに、沿道も不燃化されるという想定での都のシミュレーションですけれども、それでも火が燃え移るということがシミュレーションで明らかになりました。建設局が出されている六時間後のシミュレーションはどうかといいますと、火が突破した後にこのあたりが燃えていると。ここについてはもう燃え切ったという状況です。面積が減ったとおっしゃいますけれども、それはこの六時間の段階でのこの道路に対して風が吹いた場合の話ですよね。じゃ、火が燃え移って、さらに六時間消火ができないという場合どうなるかというと、結局一帯が燃えてしまうんですね。こういうことは考慮抜きの、さっきの面積が四四%焼失、免れるんだという話なわけで、これはちょっとおかしい話なんですね。
 今お示ししましたけれども、火が突破するかどうかというのは本当に重大な問題なんですが、これについて延焼を妨げることがはっきりしましたと都は断言しているんですね。これは本当に大問題だと指摘をしておきます。これで住民の理解と納得を得てということは到底いえません。事実をきちんと住民に示す説明会を開くべきだといっておきたいと思います。住民の理解を得ようと、東京都がそういう立場でいらっしゃるなら、もう一度説明会などで知らせて、そして事業を進めるかどうか住民に問うべきだと、私、指摘させていただきたいと思います。
 先ほどのご質問の中にも、防災について、国の閣議決定との関連で都はどうなのかということで、都の立場のご答弁がありました。私、この問題は総務局総合防災部にかかわることだと思って今回ご質問はしていませんけれども、国のこの防災計画と比較しても、都の防災計画は非常にいびつだということを指摘しておきたいと思います。
 一つは、耐震化の軽視です。東日本大震災を踏まえて閣議決定された首都直下地震対策推進基本計画では、あらゆる対策の大前提として、国、地方公共団体等は建築物の耐震化の取り組みを強力に推進することと書きました。
 しかし、東京都は、我が党の吉田議員が都が一戸当たり五十万円補助すれば、国や区市町村の補助も合わせて百三十六万円、耐震助成ができますと。将来的に十万戸助成をしたとしても、東京都の負担は五百億円程度だということを明らかにして、都の耐震対策の上乗せを迫りました。
 しかし、知事は、お金は天から降ってくるものではないといって拒否をしました。ところが、特定整備路線は三千億円超えるともう明らかになっています。そのうち半分を国が持つにしても、一千五百億円ものお金を都は投入しようとしているじゃありませんか。
 もう一つの問題は、出火防止と初期消火のケースです。また、首都直下基本計画、さっき紹介しましたけれども、このベースになったワーキンググループの最終報告というものがあります。ここでは、首都直下地震で首都圏が一万六千人もの火災による死者が想定されると書いております。
 しかし、感震ブレーカーなどを設置して電気火災の出火を防止し、加えて初期消火を行えば、死者は八百人にまで減らすことができると、九五%の死者を減らすことができると強調しているんです。
 そして、感震ブレーカーを国として買い上げ、モデル地域に配布するということも国は始めました。これを受けて高知県では、地震火災対策を重点的に推進する地区というものを指定して、対策をつくった地区には感震ブレーカーを無料で配布するという取り組みも始めました。
 ところが、都はどうでしょうか。二〇一二年に東京都地域防災計画震災編というものを改定しました。ここでは首都直下地震の減災目標が書かれていますけれども、そのうちの火災の死者を減らす目標については、建物の不燃化、耐震化、延焼遮断帯等の整備等で二千人減らすと。そして、防災市民組織や消防団の初期消火力の強化によって、約五百人死者を減らすとなっていますが、改定前の計画にはあった出火防止という言葉や、その具体的中身としての電気器具などからの出火防止という言葉自体も消えているじゃないですか。
 防災というならば、それぞれの地域でどういう対策を講じれば被害を抑えることができるのかと、こういう検証に基づいた対策こそ今求められていると。そして、住民もそういう検証を行った上で、どうですかというふうに求められれば、一生懸命一緒に考えたいと思うんです。ぜひそういう立場に立っていただきたいと思います。
 次に、補償の問題について、大きな問題になっているので伺います。
 特定整備路線のうち、建設局が手がける道路に係る建物の棟数というものは三千棟をはるかに超えます。アパートなどもありますから、四千から五千世帯という方が立ち退きに遭うと、住宅再建を迫られるということになります。
 整備に当たって、都は特別な支援策として発表した文章の中で、住宅の移転など、再建の進め方に不安がある人や、住みなれた地域で暮らし続けたい人に対してきめ細かくサポートしていきますと宣言をされています。具体策の中には、代替地の提供、公的住宅等の確保などが挙げられております。
 ところが、特定整備路線という事業を始めてから、建設局が新たに取得した代替地というものは十八件、既に売却されたものを除くと十二件と。さらに、そのうち二十三区にある物件はわずか六件ということです。これで何千という方が住みなれた地域で暮らし続けたいと望んだときに対応できるんでしょうか。
 特定整備路線それぞれの地域について、現在、意向調査をやっていらっしゃると思います。アンケート用紙を見せていただきました。地区内に残りたいという希望があるか、公営住宅や代替地などを希望するかなどを聞いていることは当然ですが、大切な取り組みだと思いました。
 そして、住居の移転、再建を進めるにも、地域で暮らし続けるためにも、まずそのために用地や建物がなければ移ることもできません。何千という方に移転を迫る事業になっているわけですから、あらかじめ一定の都営住宅や代替地を準備しなければならないと思いますし、そのために路線ごと、さらには二十八路線全体として住民の皆さんがどういう希望を持っているか、その動向を数としてつかんで、その確保に取りかからなければ、都が示した住居の移転への不安、住みなれた地域で暮らし続けたいという人へのサポートをしようとしても、絵に描いた餅になってしまうと思うんですね。
 そこで伺うんですが、都はこうした地元に住み続けたいかどうかですとか、公営住宅に入りたいかどうか、こういう数値について把握する予定はあるのか伺います。

○杉崎用地部長 特定整備路線の関係権利者の方々の年齢や家族構成、ご事情、お住まいの形態、生活再建に関するご希望、希望する地域や居住形態などはそれぞれでございます。
 意向調査は、こうしたお一人お一人の事情や意向を個別具体的に把握し、生活再建に役立てるため実施しているものでございます。

○米倉委員 個別に事情があるのはそのとおりなんですけれども、その個別の事情の総体がどうなっているのか、どういう希望があるのかということを数でつかまない限り、希望に沿った対応はできないと思うんですね。
 生活再建といっても、まさにこの数をつかんだ上で、それに見合う器が準備されていなければできないと思います。そのために事業主体である東京都こそがこの実数を全体として把握して、希望に沿うための取り組みを進めることが不可欠だといっておきたいと思います。
 これまでの都の事業では、一定の都営住宅を準備するとおっしゃっても、都からあっせんされる都営住宅は今お住まいの土地からはるか離れたところにしかなくて、これではいいよと、そこまでは行けないよということで諦める方が多いんです。それで都営住宅をあっせんしたけれども、希望者が少なかったといっても、それは住みなれた地域で暮らし続けたいという願いを満たしていないからなんですね。
 ですから、繰り返しになりますけれども、それぞれの地域で都営住宅を希望する人が何人いるかですとか、地域に残りたいという人が何人いるのかしっかり把握して、その希望から一人でもあぶれる人をつくらないと、そういう決意で取り組んでいただきたいと。そういう数すら把握しないということでは、生活再建に対する都の決意も希薄なものだというふうにやっぱり指摘せざるを得ないといっておきたいと思います。
 阪神・淡路大震災の復興では、仮設住宅や復興公営住宅が準備されたんですけれども、被災者がばらばらになって孤立してしまって、孤立死が大きな社会問題になりました。この反省を生かして、東日本大震災では被災者がこれまで暮らしていたコミュニティを生かして、地域の人がなるべくばらばらにならないように強い心配りがされました。
 私が今回質疑に当たって地権者の方から聞いた中で一番強く胸に残ったのは、九十歳の夫を介護しながら--八十代の奥さんのお話です、この方はお祭りや防災や地域の交通安全やで、こういう地域のために今まで頑張ってきたんだと。今はもう体力がなくて、そういうことはできない。それだからといって、この地域から離れては暮らしていけないと。人間関係だってこの地域にあるんだとおっしゃいました。地域のために長い間頑張ってこられた方が地域や仲間から切り離されると、こういうことは絶対あってはいけないと思います。ぜひとも実数を把握して、こういう方々が孤立しないような、希望に沿う対策を都としていろんな模索をしていただきたいと申し述べておきます。
 最後に、法的決定手続の問題について述べておきます。
 特定整備路線の多くは一九四六年、昭和二十一年十二月の都市計画決定によるものです。決定の際の道路の原図については、官報によりますと、東京都によって保管されると記されています。今これがない、原図がないことが大問題になっています。東京都は地図について適切に引き継がれているとおっしゃっていますが、原図がなくて比較できない以上、その確証はないんですね。
 道路がかかっているかかかっていないか、かかっているとして、家や土地がどこまでかかっているかということは、これは当事者にとっては死活問題だと思います。ところが、この問題について、当時、戦後、首都高速道路ですとか、東京外環自動車道の立案、設計に積極的に関与し、一時は天皇と呼ばれるほど権威があったといわれている元東京都首都整備局長の山田正男さんという方が、驚くべきことを本の中でインタビューでおっしゃっております。
 戦後の復興計画について、古い地図があるんですけれども、野原とか田んぼばかりのような古い図面でよく建築制限なんかできたですね、災害路と幹線道路の線がごっちゃになっていたりと聞き手の一人がいった後に、だから僕はあきれ返っていたんだよと。図面のしわはわかっても、法線なんかはわからないもんねとおっしゃるんですね。古い図面はしわはわかるけど、道路の法線はわからないものだと山田さんはおっしゃって、そして、この法線の証拠書類なら見つからない方がいいけれどねとまでおっしゃっているんです。そんな図面がどうして正確に受け継がれているといえるんですか。
 繰り返しになりますけれども、道路がかかるかどうかは生き死ににかかる問題です。残地を買ってもらえずに、住宅が再建できなくて涙をのむ方もたくさんいらっしゃるんです。疑義がある以上、それを解明しなければならないし、解明できないならば、改めて今日の都市計画法の精神にふさわしい手続をとるよう検討されるべきだと私、申し述べておきたいと思います。
 きょう、ここまで特定整備路線についての住民合意、防災の問題、補償の問題、そして決定手続のことについて触れてきましたけれども、どの問題も非常に重大な問題だと思います。これが解決されること抜きに、住民の納得を得ること抜きに、反対がある路線について事業を進めるということは許されないことだと指摘しておきます。このことを、住民反対がある路線について事業の見直しを強く求めておきます。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○野上委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第二一号は不採択と決定いたしました。

 次に、陳情二七第三二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○日浦公園管理担当部長 資料2、陳情審査説明表の整理番号2、陳情二七第三二号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、都立公園内の放送に関する陳情で、世田谷区の戸田玲子さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都において、上野公園等の都立公園内で、ヘブンアーティストの活動や一般人の販売行為等について、都民に注意を促す放送を流していただきたいというものでございます。
 次に、現在の状況をご説明いたします。
 都立公園におけるヘブンアーティスト事業につきましては、生活文化局からの協力依頼に基づきまして、上野恩賜公園を初め、十二公園で実施しております。
 公園内でのヘブンアーティストの活動に当たりましては、CD等の販売行為、投げ銭を強要することなどを禁止しております。
 また、ヘブンアーティスト以外の公園利用者につきましても、東京都立公園条例におきまして、公園内での物品販売などの営業行為を制限しております。
 このように公園内では営業行為を制限していることから、適宜、園内放送により注意喚起を行っているほか、営業行為が見られた場合には管理所の職員による注意指導を行っております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二七第三二号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十六分散会

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