環境・建設委員会速記録第三号

平成二十七年三月十八日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長野上ゆきえ君
副委員長河野ゆりえ君
副委員長山田 忠昭君
理事山内れい子君
理事きたしろ勝彦君
理事小磯 善彦君
米倉 春奈君
河野ゆうき君
高椙 健一君
大西さとる君
高橋かずみ君
こいそ 明君
藤井  一君
林田  武君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長長谷川 明君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
都市地球環境部長谷上  裕君
都市エネルギー部長櫻井 和博君
都市エネルギー技術担当部長石川 裕通君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長緑施策推進担当部長兼務笹沼 正一君
資源循環推進部長齊藤 和弥君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務山根 修一君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十六号議案  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第八十七号議案  東京都水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金条例
・第八十九号議案  特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・第九十号議案   土壌汚染対策法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第百十三号議案  災害廃棄物処理の事務の受託の廃止について
・第百二十八号議案 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)二六第一一六号 環境確保条例における子供の声等に係る規制の見直しに関する陳情
(2)二七第二号 環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しに関する陳情

○野上委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野上委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十七年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十七年三月十六日
東京都議会議長 高島なおき
環境・建設委員長 野上ゆきえ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(金)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
 第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中
        歳出
        繰越明許費
        債務負担行為 環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○野上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び陳情の審査を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第八十六号議案、第八十七号議案、第八十九号議案から第九十二号議案まで、第百十三号議案及び第百二十八号議案並びに陳情二六第一一六号及び陳情二七第二号を一括して議題といたします。
 予算案及び付託議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料及び陳情について理事者の説明を求めます。

○池田総務部長 去る二月十六日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料1、環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次のとおり、資料は八件ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十五年度から平成二十四年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、太陽光発電促進事業での都の取組の経過、目標及び年度別実績でございます。
 東京都が取り組んでいる太陽光発電促進事業につきまして、その取り組みの経過、目標及び年度別実績を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載をしてございます。
 五ページをお開き願います。4、平成二十五年度における大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
 まず、(1)、大気汚染における二酸化窒素及び微小粒子状物質(PM二・五)の環境基準達成状況について、それぞれ表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 次に、(2)、騒音における道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。5、過去十年間における保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十七年度までの各年度における保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移を記載しております。
 七ページをお開き願います。6、保全地域の指定実績でございます。
 平成十九年度から平成二十六年度までの各年度における指定した保全地域名、年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
 八ページをお開き願います。7、平成二十七年度補助事業、(再エネ・省エネ促進事業等)概要でございます。
 (1)、既存住宅における再エネ、省エネ促進事業、(2)、地中熱利用の普及促進、(3)、低公害、低燃費車の普及促進及び(4)、緑の学び舎づくり事業の各事業における補助対象、補助限度額、補助率、条件、規模及び補助総額を記載してございます。
 九ページをお開き願います。8、ディーゼル車規制に係る取締等の推進でございます。
 (1)、取り締まりの方法につきまして、違反車両の把握として、路上等による取り締まりや監視カメラによる取り締まり等について記載しております。
 次に、(2)、取り締まりの体制及び状況といたしまして、平成二十一年度から平成二十五年度までの各年度における自動車公害監察員数、路上等の調査箇所、調査台数、注意書等発行数及び運行禁止命令台数について記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○木村環境改善部長 それでは、お手元の資料2、陳情審査説明表の表紙をおめくりください。
 一ページをごらんください。整理番号1、陳情番号二六第一一六号、環境確保条例における子供の声等に係る規制の見直しに関する陳情につきまして説明申し上げます。
 陳情者は、練馬区田村一美さん外九人でございます。
 陳情の要旨でございます。
 都において、1、環境確保条例における騒音規制の見直しにおいて、保育所等から発せられる子供の声を騒音の規制から除外せず、防音設備の設置や十分な広さの土地の確保等の方法により、園児が抑制されずに遊べる環境を整備し、他の住宅と同様に保育所に隣接する住宅の生活環境を確保すること、2、子供の声等に環境確保条例の別表第十三の数値を適用しないよう改正するのであれば、保育所等の児童施設から発せられる子供の声だけを特別扱いせず、全ての子供の声に対して共通の受忍限度の考え方を明確にし、他の住宅と一律に保育所に隣接する住宅の生活環境を確保することを求めるものでございます。
 それでは、現在の状況につきまして説明申し上げます。
 現行条例におきましては、何人の音も規制基準の対象となっておりますので、子供の声につきましても数値規制の対象となっています。
 しかし、乳幼児にとって、成長過程において遊びは欠かせず、楽しく体を動かし声を出せる環境を社会全体で確保する必要がございます。
 一方で、子供の声を含め、騒音に悩まされる方もいらっしゃいます。
 子供の声に関する規制につきましては、次代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、苦情の解決に資する制度とするため、単に音の大きさによる規制では子供の健全な育成が阻まれるおそれがある場所におきまして、数値規制から、周辺の生活環境に障害を及ぼしているかどうかを判断する規制へと規制方法を見直す条例改正を提案してございます。
 この判断には、講じた措置や関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容等も考慮されます。
 このようなコミュニケーションを通じて、近隣への配慮が進むことが期待されます。
 なお、改正条例におきましても、周辺の生活環境に障害を及ぼしているような場合には、施設管理者側にも適切な対応を求めることができることとしております。
 整理番号1の説明は以上でございます。
 ページをおめくりいただき、二ページをごらんください。
 整理番号2、陳情番号二七第二号、環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しに関する陳情につきまして説明申し上げます。
 陳情者は、新宿区五味広美さんでございます。
 陳情の要旨でございます。
 都より提案される環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しに関して、1、当事者、保育園とその近隣が受け入れられる対策を講ずるように見直すこと、2、都議会として騒音、環境、都市計画等の専門家、関係者の意見を聴取すること、3、都議会として東京都環境審議会での審議を都知事に求めることを求めるものでございます。
 それでは、現在の状況につきまして説明申し上げます。
 現行条例におきましては、何人の音も規制基準の対象となっておりますので、子供の声につきましても数値規制の対象となっています。
 しかし、乳幼児にとって、成長過程において遊びは欠かせず、楽しく体を動かし声を出せる環境を社会全体で確保する必要がございます。
 一方で、子供の声を含め、騒音に悩まされる方もいらっしゃいます。
 子供の声に関する規制につきまして、次代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、苦情の解決に資する制度とするため、単に音の大きさによる数値規制から、受忍限度で判断する規制へと規制方法を見直す条例改正を提案してございます。
 この判断には、講じた措置や関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容等も考慮されます。このようなコミュニケーションを通じて近隣への配慮が進むことが期待されます。
 都は、条例改正案を検討するに当たりまして、子供の健やかな成長、育成という社会共通の利益と、騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利とのバランスをいかに図るかという点から、騒音、法律、保育の専門家、保育団体等にヒアリングを行いました。また、条例を運用する区市とも協議を重ねるとともに、一般の方々の意見も公募いたしました。
 整理番号2の説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 私からは、子供の声等に関する規制の見直しについて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 子供は本来、伸び伸びと遊べるようにするべきであり、我が党は、東京を子供の声にあふれるまちとしたいと主張してまいりました。
 都は、本定例会の子供の声の規制に関する環境確保条例の改正案を提出いたしましたけれども、まず、この条例改正案の趣旨について改めてお伺いをいたしたいと思います。

○木村環境改善部長 今回の子供の声に関する環境確保条例の改正案は、次代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、都民の生活環境を保全し、騒音問題の解決に資する制度とするよう、子供の声について、単に音の大きさによる規制から受忍限度で判断する規制へと見直すこととしたものでございます。

○山田委員 今回は、騒音に悩む方からの陳情も、先ほどご説明がございました。都民の生活環境を保全するという視点から質問をさせていただきたいと思います。
 都が昨年末に行ったパブリックコメントによりますと、条例を改正せず数値規制を残した方が、施設側も防音対策をすることになるのではないか、子供も伸び伸びと活動ができて、近隣の方々も静かな環境が保てるのではないかというご意見がございました。また、子供の声に対して数値規制が外れることによって、保育所などの施設側で防音対策をとらなくなるのではないかという懸念した声もございます。
 このことにつきまして都としてどのように考えるのか、また、この問題の解決に向けて、保育所等では実際にどう取り組んでいるのかをご説明いただきたいと思います。

○木村環境改善部長 今回の改正によりまして、子供の声は数値規制からは外れますが、受忍限度で判断することになりますので、無制限に声を出してよいということではございません。受忍限度を超えているかどうかの判断において、施設管理者が講じた防止措置の有無も考慮されます。
 したがいまして、施設管理者に防止策を講じる努力を促すものとなりますが、実際の防止策としては、二重窓や防音壁などのハード対策だけではなく、他のソフト対策をあわせて行う必要もございます。
 保育所の実際の取り組みにおきましては、都が区市町村の保育部署にアンケートを昨年六月から九月にかけて行ったところ、騒音苦情に対する保育所の対応として最も多かったものは、苦情申立者とのコミュニケーションを深めたことでございます。防音壁の設置や遊具位置の変更など、施設の改善を行った自治体六に対しまして、コミュニケーションを深めたところが二十二自治体ございました。

○山田委員 ハード対策とソフト対策の両方が大事だということでございますけれども、特に当事者同士が、あるいは地域社会とのコミュニケーションが重要だということが今のご説明でわかりました。
 私が聞いたところでは、開園前から近所の苦情が寄せられていた保育園、保育所が、開園後も苦情が続いたけれども、職員が地域に溶け込む努力をしたり、町内会に園庭の利用を申し出たり、あるいは住民を招いた夏祭りや、高齢者と園児の食事会を開くなど努力をされた結果、保育所と地域は、今は切っても切れない関係となっているという事例があるようであります。
 今回の条例改正によって、このようなコミュニケーションは誘導されることになるのかをお伺いいたします。

○木村環境改善部長 受忍限度を超えているかの判断におきましては、単に音の大きさだけでなくさまざまな要素が配慮されますが、その一つといたしまして、関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容なども考慮されます。

○山田委員 今回の見直しは、子供の健全育成だけでなく、騒音問題解決に向け周辺住民側にも配慮されたものであるわけであります。先ほどの答弁からも、多くの保育所は既に近隣とのコミュニケーションを図ろうとしているようでありますが、そうでないところもあるかもしれません。
 今回改正される条例のこうした考え方と、地域とのコミュニケーションを図ることが重要であることは、音の発生側であります保育所等々にもきちんと伝えるべきであると思いますけれども、その所見についてお伺いいたしたいと思います。

○木村環境改善部長 今回の改正に当たり実施しましたパブリックコメントで、近隣住民の方々から、本当にコミュニケーションが図られるのか心配する意見も寄せられました。そうした意見があることを、施設管理者の方も含め広く知っていただきたいと考え、パブリックコメントで寄せられた意見の概要は全てホームページ上で公開いたしました。
 福祉保健局とも連携し、保育所団体、幼稚園団体を通じて、保育所や幼稚園の施設管理者等に対し、改正の趣旨や、騒音問題の解決に当たり地域とのコミュニケーションが重要であることを、パブリックコメントに寄せられた意見の概要なども紹介しながら改めて周知してまいります。

○山田委員 東京のように過密の都市におきましては、近隣から発生する騒音がゼロになるというのは困難なことだと思います。
 その解決に当たっては、特に騒音問題の解決に当たっては、住民あるいは施設管理者双方の歩み寄りも重要でありまして、地域住民は子育てへの理解を、そしてまた、音の発生元となる施設管理者側は地域と深くかかわる真摯な対応が求められると思います。
 一方で、当事者だけに任せるのではなくて、条例を執行する立場にある区、あるいは市としても、苦情の相談を受けた場合には、地域の生活環境を守る立場からしっかりと改正条例を運用してもらいたいと思います。
 このことに関して、都としてどのように区市に働きかけているのかお伺いをいたします。

○木村環境改善部長 子供の声等が問題となる事例につきまして、苦情相談の窓口となる区市としても、これを積極的に解決に導くことが求められていることから、改正条例を運用する区市の環境部署に対して送付する施行通知におきまして、当事者に対して適切な助言、援助等を行い、話し合いやコミュニケーション等を通じた問題の解決に協力することを盛り込んでまいります。

○山田委員 現場を抱える区市では、今回の条例案の改正によって数値規制が外れ、受忍限度で判断する規制となることについて不安に感じる声もあるようであります。
 改正条例がしっかり運用されるよう区市を支援してもらいたいと思いますが、それに対する所見をお伺いいたします。

○木村環境改善部長 区市が個々の問題の解決に取り組めるよう、例えば受忍限度の考え方や、その判断のための調査内容等を具体的に示すなど、改正条例の運用に関するQアンドAを作成するなど、区市を支援してまいります。
 また、近隣住民や地域との話し合いやコミュニケーションを通じて騒音問題をうまく解決に導いた例などを収集し、区市に提示してまいります。

○山田委員 騒音問題の解決のためには、施設建設計画の段階から、周辺地域に騒音が及びます影響等について事前に地域住民と十分協議をし、そして周辺に配慮をして敷地内の施設配置などを工夫していくことが有効であると考えます。
 このようなことからも、環境局からも保育部署に対し周知していくことも重要と考えますけれども、その点に対する所見をお伺いいたします。

○木村環境改善部長 ご指摘のとおり、施設開設前の近隣住民とのコミュニケーションも重要と考えております。
 環境部署は騒音問題が発生してからでないと接点が生じないことから、問題の未然防止のために福祉保健局と連携いたしまして、保育所設置認可等において相談窓口となる区市町村の保育部署に対しても、課長会等の場を通じて周知してまいります。

○山田委員 この改正条例がきちんと運用されるよう、ぜひ福祉保健局とも連携をするとともに、区市をしっかり支援してほしいと思います。
 そして、子供たちが伸び伸び育ち、都民の生活環境も守られる東京を築いていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

○小磯(善)委員 私からは、子供の声、そしてキャップ・アンド・トレード、再生可能エネルギー、水素エネルギーということで質問をしてまいりたいと思います。
 初めに、環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについてお伺いいたします。
 安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現が求められる中、今回の環境確保条例の改正は時宜を得たものと考えます。一方で、子供の発する声や物音に悩んでいる方もおられます。
 改正に当たっては、子供の健やかな成長、育成という社会全体のニーズと、騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利の、その両方のバランスをとったものにしていく必要があるわけでございます。そういった意味で、都民のコンセンサスを得たものでなければなりません。
 そこで、検討の経緯や改正条例案の具体的な内容などについてお伺いをいたします。
 今回の条例改正は、子供の声の規制について、数値規制から受忍限度へと変更するものでありますから、都民の生活環境の保全にかかわることであります。
 このような場合、都の考え方について、専門家や都民などから広く意見を聞いた上でじっくり時間をかけて検討すべきと、そういった意見もあるわけでありますが、東京都はどう考えていたのか、お伺いをいたします。

○木村環境改善部長 検討に当たりましては、子供の声をめぐる紛争の実態や原因、苦情相談の窓口となっている区市町村での対応策などについて関係者から意見を聞いてまいりました。
 まず、騒音規制の実務を担う区市町村の環境部署や保育部署に対しまして、昨年三月からアンケート調査を実施するとともに、区市の担当者とその後も見直しについて協議を重ねてまいりました。
 次に、規制手法の見直しの考え方について、専門的立場の意見を聞くため、環境法、騒音問題、教育発達心理学の専門家のほか、保育所等の団体へのヒアリングを行いました。
 また、これらを経て、都の見直しの考え方を取りまとめた上で、都民からの意見を聴取するためパブリックコメントを実施いたしました。おおむね一年間にわたり、実務を担う区市町村、専門家や都民などから意見を聴取し、これらの意見を踏まえた条例改正案となっております。

○小磯(善)委員 ただいまの答弁で、条例改正案の提出までしっかりと手順を踏んできたということがありました。
 今回の条例改正案では、子供の声の規制について、単に音の大きさだけでなく、受忍限度で判断していくということがポイントになっております。ただ、その受忍限度というのがわかりづらい。騒音で悩んでいらっしゃる都民から見ると、自分たちの申し立てを受けとめてくれなくなってしまう、そう思っている方もいらっしゃるわけであります。
 そこで、この受忍限度とはそもそもどういう概念で、どう判断していくのか、ご説明をお願いしたいと思います。

○木村環境改善部長 人が社会生活を営む上で、程度の差はあっても、騒音、振動、悪臭などを生じさせることは避けられず、近隣に全く影響を及ぼさずに生活することは不可能でございます。騒音などに対する不快感等の感じ方は、個人差が大きいだけでなく、原因者との関係等によっても大きく左右されるなど主観性も強く、騒音などを全て違法なものとしてしまいますと社会生活そのものが阻害されることになります。
 そこで、被害の程度が共同社会生活を営む上で一般に受忍すべき程度を超えた場合、つまり、通常の平均的な人が我慢できない程度の被害があれば防止するという考え方を受忍限度と申します。最高裁の判決をもとに受忍限度の判断を説明いたしますと、受忍限度を超えるか否かは、個々の事例ごとに、音の種類や発生頻度、近隣住民等に及ぼす影響の程度、音を発生させる行為の公益上の必要性、所在地の地域環境、関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容、原因者が講じた防止措置の有無や内容等を十分に調査した上で、総合的に考察して判断すべきものとされております。

○小磯(善)委員 都市生活の中でお互いの気持ちを持ちつつ、やはり耐えがたいものについては、さまざまな要素で総合的に判断していくということであります。
 実際の判断が公正に行われるよう、本当に運用に当たる区市への支援というのは大変大事になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、その数値規制の対象となる年齢であります。
 未就学児までとすると、小学生というのは引き続き数値規制の対象となるということでございます。なぜ小学生は対象外とならないのか疑問に思う方もいるので、確認しておきたいと思います。
 また、小学生の声が騒音だとの苦情が入った場合はどのように対応するのか、伺います。

○木村環境改善部長 専門家からのヒアリングや文献によりますと、乳幼児は神経機能が発達途上で、発生を含めた力の加減のコントロール能力が向上していく段階にあり、遊びを通じて発達していく時期でございます。このような乳幼児期における子供の声や遊びを抑制するのは望ましくないとのことであります。
 一方、小学生になりますと、大人のいうことを守る中で善悪についての理解と判断ができるようになり、集団や社会のルールを守る態度を身につける段階とされております。また、小学生は他者の視点を意識できるようになります。学校では、遊びを通じた学びから、主に授業を通じた学習へと移行します。
 このため、今回の改正では、数値規制の対象外とする子供の範囲は未就学児といたしました。今後の小学生の声をめぐる騒音苦情につきましては、引き続き現行のとおり対応することになります。

○小磯(善)委員 待機児童の解消が急がれている今日、乳幼児期の子育て環境を整えるということは都政の喫緊の課題であります。それを環境確保条例の面から支えていくことは、時宜を得た改正であると思います。
 一方で、都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保することが、条例の目的であります。今回の改正では、数値規制から受忍限度まで判断するよう見直すことから、その判断を行う区市が適正に業務を執行できるよう、都が支援を行っていくとともに、施設管理者側に対して、地域社会とのコミュニケーションの重要性など、改正条例の趣旨を周知していくことが必要であります。
 そこで、今後に向けた局長の決意を伺います。

○長谷川環境局長 ただいま小磯理事から、さまざまな観点からご質問いただきました。
 今、理事からも条例の目的のお話がございましたけれども、環境確保条例では、都民が公害被害を受けない権利を有すると同時に、騒音などの公害を発生させる原因とならない義務を負うという理念から、何人の音も規制の対象としております。
 今回の改正は、こうした基本的な考え方の上に立った上で、子供の声の規制について、子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しながら、話し合いやコミュニケーションを通じて騒音問題の解決に資する制度とするように、単に数値で規制をするというのではなくて、受忍限度で判断する規制へと見直すというものでございます。
 今後は、ただいまのご指摘も踏まえまして、区市の関係部署に対しましては、条例が適切に運用されるように判断の目安を示したり、あるいは相談にも的確に応えるなど、最大限の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
 また、こうしたことが大きな問題にならないように、円満に解決ができるようにする、未然にしていくということも大事な視点だと思います。保育所や幼稚園の団体、あるいは区市町村の保育部署などに対しましても、改正条例の考え方や、あるいはその問題解決に特にポイントとなるコミュニケーションの重要性、こういったことについて丁寧に説明して周知していくということも大事なことだと思います。
 こうしたことを含めまして、当事者間のコミュニケーションの活性化を促すことなどによって地域の問題解決に資するようなものになりますように、しっかりと取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 子供の健やかな成長に配慮しつつ、騒音問題の解決に資することを目的としたこの見直しによって、施設側と近隣住民の皆さんがお互いを理解して、乳幼児期の子供たちが伸びやかにすくすくと成長できる保育環境を地域全体で築き上げていくことを期待したいと思います。
 それでは、次のテーマでございますが、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部改正案のうち、大規模事業所における温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度に関連する事項について質問いたします。
 提案資料によれば、今回の条例改正は、この制度の対象事業所について、申請により事業所区域の変更をすることができるよう規定を改めるということでございますが、今回の改正の意義、そして内容、改めてお伺いをいたします。

○谷上都市地球環境部長 現行の条例には、例えば一つの敷地内に複数の建物がある事業所が、その一部を分割してほかに売却し、所有者がかわることがありますが、この場合でも、制度上、分割後の事業所を別の事業所として扱うことができる規定がございません。このため、従前どおり、一つの事業所としてCO2の削減計画の立案や排出量の報告を複数の所有者が共同で行わなければならないのが現状でございます。
 しかしながら、このような形態では、情報の伝達や意思決定に時間を要し、省エネ対策を効率的に行えない場合があります。そのため、事業所を分割するなどの事態が生じた場合は、その実態に合わせ、それぞれの管理者のもと、責任体制を明確にした上で省エネ対策を行うことが合理的であると判断し、今回、事業所区域の変更申請を可能にするとともに、変更後も引き続き適切に温暖化対策が行われるよう規定を整備することといたしました。

○小磯(善)委員 今回の改正案は、事業所の実態に即して効率的に省エネ対策を行えるよう規定を整備するもので、必要性や内容は適切であると考えます。
 次に、キャップ・アンド・トレード制度の成果について伺います。
 都は、地球温暖化対策の柱として、平成二十二年度から業務部門をも対象とする世界初のキャップ・アンド・トレード制度を開始いたしました。この制度は、最初の五年間の削減計画期間が今年度で終了し、来年度からは新たな計画期間が開始されます。
 都の発表によれば、平成二十五年度のCO2排出量は、基準年度と比べて二三%減少し、約一千三百の対象事業所のうち九割が削減義務を上回る水準に達しております。また、二〇%を上回る削減は過去三年間継続していると聞いており、大きな成果を上げていると認識しています。
 キャップ・アンド・トレード制度のもとで、このような大幅な削減が続いている、その要因は何か、また、今後の削減可能性をどのように見込んでいるのか、あわせてお伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 省エネ対策は従来、現場レベルの問題とされていましたが、キャップ・アンド・トレード制度の導入により、事業内ではトップマネジメントの重要課題と位置づけられ、高効率な機器の導入や全社的な省エネ活動が積極的になるなど、CO2の削減体制が整備されました。
 また、入居者の協力が鍵を握るテナントビルでは、大規模なテナントに対しオーナーへの協力義務を課すなど、世界でも例のない実効性ある仕組みを設けてあります。
 こうしたことなどから、震災から三年が経過した平成二十五年度時点でも、全国レベルの二倍に相当する高い削減効果が継続しているものと認識しております。
 対象事業所は、今後、削減量として、LED導入などにより現時点で二十万トン分の新たな対策を計画していますが、この二十万トンというのは、林野庁の推計方法によりますと、山手線内側の約四倍となる二百二十七平方キロメートルの杉林の年間CO2吸収量に相当いたします。
 これらのことから、今後も、CO2の削減は着実に進むものと見込んでおります。

○小磯(善)委員 ただいまの答弁で、山手線内側の約四倍となる杉林のCO2吸収量に当たるということで、大変な努力をされているんだということがよくわかりました。
 この制度の特徴としては、削減義務の履行に当たりみずからの事業所での省エネによるCO2削減とともに、他の事業所における削減量、いわゆるクレジットを利用する排出量取引があります。平成二十七年四月から一年半の間は、第一計画期間の整理期間とされており、削減が不足する事業者はその間に排出量取引を行う必要があります。
 全ての事業者が削減義務を達成するには、円滑な取引への支援が必要であると考えますが、排出量取引の今後の見込みと都の取り組みをお伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 第一計画期間の削減義務につきましては、現時点で約九割の事業所がみずからの省エネのみで達成可能であり、排出量取引が必要な事業所はおよそ百程度と現時点では見込んでいます。
 都はこれまでも、対象事業者に対してセミナーを開催し、取引の仕組みをわかりやすく説明するとともに、クレジットの需給量推計などの情報を提供してきました。第一計画期間に必要なクレジット量は約四十万から五十万程度と見込まれていたのに対して、これまでに九十万トンを超えるクレジットの発行があり、現在、発行量は需要量を上回っている状況にございます。
 都は今後、取引が円滑に行われるよう、市場に供給されるクレジットの動向を踏まえ、取引相手を見つけるマッチングイベントの開催や出張相談の実施など、取引が必要な事業者に対してきめ細かく支援してまいります。

○小磯(善)委員 この必要なクレジットが四十万から五十万トンで、今度は発行量が九十万トンということでございます。都は、クレジットの必要量などの重要な情報を積極的に公開し、事業者を支援していることがよくわかりました。
 省エネと排出量取引の着実な運用を引き続きお願いいたします。
 地球温暖化対策を進める上で、低炭素エネルギーである再生可能エネルギーの普及拡大も重要であります。二〇一六年からは、電力の小売全面自由化により、家庭や中小事業所を含む需要家が自由に電力会社を選べるようになります。電力の大消費地である東京で需要側が再生可能エネルギー電力を積極的に利用する、あるいは関心を持つ行動が再生可能エネルギー供給事業者へのインセンティブになり、一層の供給拡大につながります。
 電力の小売全面自由化を踏まえて、都民や事業者による再生可能エネルギーの利用を促進する仕組みづくりを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 東京の再生可能エネルギー利用割合を拡大していく上で、電力を大量に消費する需要地として、需要側の取り組みにより供給拡大を促していくことが重要です。
 都はこれまでも、マンション環境性能表示制度やキャップ・アンド・トレード制度による低炭素電力選択の仕組みづくりなどを進めてまいりました。東日本大震災や電力小売全面自由化等の動きを契機として、再生可能エネルギーによる電気の購入を希望する消費者がふえるなど、その要望は多様化しております。
 こうした動きも踏まえ、来年度、需要家、供給事業者等の意向や有識者の意見を聞きながら、都民、事業者が再生可能エネルギー電気をみずから積極的に選び利用することを促す仕組みを検討し、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 ただいまの取り組みは大変大事なことだと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。
 次に、水素エネルギーについて伺います。
 昨年十二月十五日に、世界に先駆けて燃料電池車が一般販売され、都庁においても環境局に公用車第一号が納車されております。燃料電池車を一般販売したトヨタ自動車では、熟練工が手作業で丁寧に組み立てているため、生産台数は一日三台、海外を含めた総生産数は一年間で七百台、うち国内向けは四百台といっております。しかし、発売から一カ月で約一千五百台を受注し、納車までに数年かかるといわれているほどの人気ぶりであります。
 そこで、昨年十二月に販売したトヨタ自動車の販売戦略及び他のメーカーの動きについてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 トヨタ自動車の発表によると、燃料電池車の生産台数は、海外を含めて二〇一五年末までの約一年間で七百台の計画となっております。二〇一六年は二千台、さらに二〇一七年には三千台程度に増産する予定です。
 なお、増産後の日本、米国、欧州各国での販売計画は、各国の水素ステーション整備の進展、エネルギー政策などを見ながら検討するとしているところです。
 また、ホンダも二〇一五年度中には五人乗りの燃料電池車を日本で販売開始することを発表しております。

○小磯(善)委員 ただいまご答弁いただいたとおり、燃料電池車の販売動向は水素ステーションの整備によっても大きく影響するとのことであります。
 水素ステーションは、水素エネルギーの普及には不可欠であり、都は、二〇二〇年までに三十五カ所整備するという目標を掲げていますが、現在の整備状況及び今後どのように整備を進めていくのか、あわせて、水素ステーションに参入している事業者の動向について伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 都内の水素ステーションは、既に練馬区谷原、八王子市高倉町に開設されていますが、来月までには杉並区宮前、港区芝公園、千代田区九段にも整備され、計五カ所となる見込みです。
 今後、さらなる整備促進に向けて、事業者の負担軽減を図るための整備費、運営費の都独自の補助制度を創設いたします。
 また、用地確保が困難な東京の特性も考慮し、ガソリンスタンド等、既存のインフラを活用した整備を促してまいります。
 なお、現在、水素ステーションの整備については、産業ガスなどのエネルギー関連事業者を初め、リース会社、総合商社、コンビニなどが算入を表明しております。

○小磯(善)委員 ただいまご答弁いただいた都の取り組みに加えて、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアへの設置が進むよう国に働きかけることも重要であります。
 また都は、環境公社の土地を活用して水素ステーションを整備する事業者を公募しておりますが、土地の確保が困難な都内で整備していく上で、都関連用地の活用は極めて有効と考えます。ぜひ進めていただきたいと思います。
 さらに水素ステーションには、高圧ガス保安監督者の設置が義務づけられており、この資格を習得するためには、現場での六カ月に及ぶ実務経験が必要となるなど、負担が生じます。
 都は、水素ステーション整備促進の支援策も講じるとしておりますが、こうした人材育成などの視点も踏まえた支援策を検討いただくようお願いしたいと思います。
 次に、過日の我が党の代表質問でも取り上げましたが、将来的には、製造段階でCO2を排出しない水素の普及も必要であります。
 都は、地産地消の太陽光などの再エネ由来水素活用設備への補助事業を来年度早々に開始するとしておりますが、本補助事業の概要についてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 水素は利用の段階で水しか排出しないため、再生可能エネルギーでの電力を活用した水素製造が普及すれば、低炭素社会の切り札となります。
 ご指摘の補助事業は、都内の倉庫や物流拠点などにおいて、太陽光等の再生可能エネルギーで発電した電力を用い、水を電気分解することで水素を製造し、この水素を用いて、施設内で使用する車両や燃料電池などを稼働させる事業を対象とすることを想定しております。
 これらの設備を導入する場合に、設置費用の二分の一を助成することとしており、間もなく補助制度の詳細を公表する予定です。
 こうした取り組みにより、CO2フリー水素の活用を図り、環境負荷の低減を推進してまいります。

○小磯(善)委員 また、水素エネルギーの普及に当たっては、水素について都民の理解を深めていく取り組みも重要であり、昨年十二月の当委員会の際にも、安全対策や都民の理解促進に向けた都の取り組みを伺いました。
 普及啓発は、継続的な粘り強い取り組みが重要であり、ぜひとも地道に取り組んでいただきたいと考えます。その際、さまざまな取り組みの一つとして、都は、国と連携して、専用のポータルサイトを開設していくとのご答弁をいただいております。
 そこで、水素の専用ポータルサイトの概要や進捗状況について伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 水素エネルギーの普及には、都民の理解を深めることが重要であり、水素の特性、安全性や意義、水素エネルギー技術、水素ステーションの整備状況、各種支援制度などを都民にワンストップで情報提供することが重要です。
 ポータルサイトはそのために有効であり、国の検討会に都も参加し、これまで内容等について議論を重ねてまいりました。近々、開設する予定でございます。
 今後とも、こうしたサイトの活用等を通じ、都民への水素エネルギーの理解促進に努めてまいります。

○小磯(善)委員 ただいまご答弁いただいたとおり、都として、普及啓発にも力を入れて進めていってもらいたいと思います。
 最後に、燃料電池車の外部給電器の補助について伺います。
 燃料電池車は、移動の手段としてだけでなく、発電した電力を外部に供給することも可能であり、非常時対応の観点からも有効であります。
 都は、外部給電器について補助制度を創設するとしておりますが、補助事業の概要についてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 燃料電池車は、電気自動車に比べて五倍以上の電力供給能力があり、燃料電池車を住宅などに給電できるシステムの普及は、非常時対応の観点からも有効です。
 このため、燃料電池車から家庭等へ給電する外部給電器を導入する費用の一部を補助し、普及を促します。間もなく補助の詳細を公表する予定です。
 こうした取り組みにより、より一層、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

○小磯(善)委員 都が、水素エネルギーの普及に向けて、官民一体となって着実に事業を進めていることが理解できました。
 今後の都の取り組みに期待して、私の質問を終わります。

○河野(ゆり)委員 最初に、子供の声等に関する規制の見直しについて質問いたします。
 子供が声を発し、成長発達することの保障、もう一方での都民の健康や安全の確保、この両方のバランスをとることは大変難しい課題です。特に保育園に入りたくても入れない待機児童が少しでも減っていくためには、今、都民も行政も挙げて懸命の努力がなされていますが、東京という土地柄、新しい保育園等の施設をつくれば、住宅地などの、そこに隣接したものがどうしても多くなってしまうというのが実際だと思います。
 子供の声による音の被害、苦情の解決と子供の成長発達との両立に、行政の保育担当者も、環境所管の担当者も、保育園等の関係者も、地域の方々も大変苦労していらっしゃる。しかし、同時にその中で、手探りを重ねながら粘り強く取り組む中で、重要な教訓や手法も得られてきているのが今日の到達点ではないかと思います。
 教訓を今回の改定にどう生かしていくのか、また、今回の改定に伴う不安や懸念にどう応えるか、きょうは一つ一つお伺いし、確認をしていきたいと思います。
 都は、今回の条例改定に取り組むに当たって、福祉の環境、保育それぞれの担当部署へのアンケートを実施されました。保育担当部署へのアンケートでは、子供の声等に関する苦情の解決事例や解決するための手法、子供の声に関する問題について、ご意見等があればお聞かせくださいという設問を設けています。
 解決事例や解決するための手法で、主要なものはどういうものでしょうか。

○木村環境改善部長 保育所の実際の取り組みにつきまして、都が区市町村の保育部署にアンケートを昨年六月から九月にかけて実施いたしました。
 騒音苦情に対する保育所の対応として最も多かったものは、苦情申し立て者とのコミュニケーションを深めたことで、二十二自治体ございました。
 自由意見欄を見ますと、具体的には、運動会、入園式等のプログラムを持参して挨拶したり、行事に招待したり、遠足でとった芋を焼いて近隣に配った事例、また、騒音苦情にならない時間帯を聞いて遊びの時間を工夫したり、保護者の送迎時マナーに気を配ることもしているとのことでございました。
 また、防音壁の設置や遊具位置の変更など、施設の改善を行ったのは、六自治体ございました。

○河野(ゆり)委員 東京都が行ったこのアンケートなんですが、教訓的だと保育担当者の記述から思っておられるものを二、三紹介していただきたいと思います。

○木村環境改善部長 ふだんから保育園行事に招待いたしましたり、地域行事に参加するなど、近隣住民とコミュニケーションを図り、良好な関係を保っております。それによりまして、信頼関係を築き、苦情にならないようにしているとのことでございます。

○河野(ゆり)委員 それでは逆に、こじれた場合には、どのような問題があったと考えておられるのか、具体的にご紹介いただければと思います。

○木村環境改善部長 区市におきましては、長引かないよう、話し合いにより解決に導く努力をしております。近隣関係ができていないことが原因で、当事者同士のコミュニケーションがとれないこともあり、こうした場合は対応が困難になっているケースもございます。

○河野(ゆり)委員 私も今回の委員会の質問の準備のために、いろんな関係者の方からお話を伺ってきました。江戸川区内の定員七十名程度の保育園の園長さんにもお話を伺ったんですが、そこはやはり、建設計画の当時から苦情が一件寄せられていたそうです。
 それで、社会福祉法人設立者の理事や、あるいは園長さんになる方が足を運び、よく話し合って、ご意見も聞いてきたと。しかし、開園してからも、苦情はやはり年に数回、うるさいですよという声が寄せられていたということであります。
 それで、園の方もいろいろ考えて、近くに古くから運営している認可保育園の方の意見なども聞いて、アドバイスも受けて、とにかく、近隣の皆さんときちんと理解を深め合って、子供たちを守っていくことが大切だということで、できることは何でもやろうということで取り組まれたそうです。
 プールは屋上にあるんですが、夏のプールの時期などは外に音が漏れないように、白いシートを張って音を遮るとか、そういう努力をし、本当に近隣の方の理解を得るということで、一生懸命取り組んだそうです。
 開園後、この三月三十一日で丸四年なんですが、今では苦情をいってきた方も心を寄せてきて、自分は体調が悪いから、うちの家族よりも余計音に敏感でいろんなことを申し上げているけれども、園の努力が見える、そういうことが感じられるので、これからも一緒にいろいろ意見交換しながら、子供たちを見守っていきたいという関係が築かれたそうです。
 こういう努力はいろいろやられておりまして、さっきもお話がありましたけど、行事のたびにお知らせし、そして行事が終わったらお礼のご挨拶の文書を配るとか、これは私立の保育園だけじゃなくて、公立の園などでも、園長先生などを先頭に主任の先生なんかがご近所との友好な関係をつくっていこうということで努力されているということなので、本当にコミュニケーションということは大事なことだと、そういうお話を聞きながらも感じているところです。
 そこで、お聞きするんですけれども、園や行政、特に園の運営者、関係者から、近隣住民や地域に歩み寄ってのコミュニケーション、この重要性について、都としてどういう認識をお持ちか伺いますので、お願いします。

○木村環境改善部長 東京のような人口が密集している都市におきましては、騒音問題をゼロにすることは不可能に近いことでございます。
 そうした中で、音の発生側、近隣住民側、双方が歩み寄りをすることが必要で、そのためにはコミュニケーションが大事でございます。
 施設管理者側の働きかけによりコミュニケーションを重ねて、信頼関係を築くことにより、同じ音でも煩わしく感じなくなることもございます。

○河野(ゆり)委員 いわゆるコミュニケーションが形成されていないコミュニケーション不全、このようなことが起こらないことが大事なんですけれども、騒音被害者の苦痛を生まない、このことも重要な問題であると思いますが、この点での都の決意をお持ちでしたら、伺っておきたいと思います。

○木村環境改善部長 被害者が騒音だと強く感じている場合においては、コミュニケーションは問題の解決に大事なことでございます。
 コミュニケーション不全は、騒音被害者のみならず、施設管理者側にもよい結果を生みません。お互いに何が不満で、解決に向けどんな対策が考えられ、どこまでなら受忍できるか、話し合うコミュニケーションが重要と考えます。

○河野(ゆり)委員 これまで伺ってきた、先ほどからのご答弁を伺っている中で、子供の声などをめぐる苦情やトラブル、近隣住民の被害の解決には、園の運営者や関係者、行政が近隣の方や地域に歩み寄ったり、参加を強め、コミュニケーションを深めていくことが決定的だと思います。それだけに、今回の改正に当たっても、その方向が一層強められることが求められていると感じます。
 そこで伺いますけれども、今回の改正に当たって、園の運営者、関係者から、近隣住民や地域に歩み寄ってのコミュニケーションは、どのように位置づけられているのでしょうか。

○木村環境改善部長 コミュニケーションは、双方から行い、互いに歩み寄っていくことが大切でございます。
 区市が行う受忍限度を超えているか否かの判断におきましては、単に音の大きさだけでなく、さまざまな要素が配慮されますが、その一つといたしまして、関係者同士で出された話し合いやコミュニケーションの程度や内容も考慮されます。
 つまり、話し合いやコミュニケーションの程度や内容が乏しければ、音を発する施設管理者側にさらなる努力が求められます。

○河野(ゆり)委員 施設管理者側の努力も重要だということがわかりました。
 コミュニケーションが実際に図られるための制度的な保障、これはどこにあるのか、そしてまた、今後、都が区市に示す運用基準などにはどのように盛り込まれていくのでしょうか。

○木村環境改善部長 苦情相談の窓口となる区市といたしましても、積極的に解決に導くことが求められていることから、改正条例を運用する区市の環境部署に対して送付する施行通知におきまして、当事者に対して適切な助言、援助等を行い、話し合いやコミュニケーション等を通じた問題の解決に協力することを盛り込んでまいります。

○河野(ゆり)委員 子供の声等に対する苦情に対応するに当たって、環境確保条例百三十六条と別表十三にある規制値を画一的に当てはめるやり方は、実際にはとられていません。既に百三十六条についての解釈や運用として話し合いの場を設定し、良識ある解決を実現していくというやり方が、都、そして区市で実践されています。
 知事が依頼した私的諮問機関であります東京都近隣騒音問題懇談会が、一九八六年に提出した報告書では、行政側の対応として、学校や保育園からの音については、これらの施設が地域において有する社会的役割等を考慮し、関係者のほか、当該地域の住民を含めた話し合いの場を設定し、その中で適切な解決策を見出していく。そして、なお苦情の処理や紛争のあっせんに当たっては、現行公害防止条例に定める音量規制基準が一つの目安となるが、必ずしもこれにとらわれず、実情に即した良識ある解決を求めるべきであるとして、このような内容が現行の環境確保条例百三十六条の都の解釈や区市の運用に生かされてきたのではないでしょうか。
 それならば、今回の条例改定が、このような解釈運用に加えて、さらに話し合いやコミュニケーションは強化に役立つものでなければならないと考えます。今回の改定によって、話し合いが強化される保証、これはどのようなものになるでしょうか。

○木村環境改善部長 今回の改正によりまして、子供の声は数値規制からは外れますが、受忍限度で判断することになります。
 受忍限度を超えているかの判断におきましては、単に音の大きさだけでなく、さまざまな要素が配慮されますが、その一つといたしまして、関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容などが考慮されます。
 受忍限度のそうした考え方は、受忍限度を判断する区市に示す施行通知の中でも記載してまいります。
 なお、話し合いやコミュニケーションの程度や内容が乏しければ、音を発する施設管理者側にさらなる努力が求められます。

○河野(ゆり)委員 それでは、具体的なコミュニケーションのやり方について伺います。
 コミュニケーションといった場合、園の設置者だけではなく、園長を初めとした保育者みずからが近隣住民とのコミュニケーションに努めるべき、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。

○木村環境改善部長 一般論ではありますが、保育及び地域環境の実態をよく知り、現場での騒音防止の具体策の立案に責任ある立場の方、例えば園長なども、地域とのコミュニケーションに努めるのは意義あることと考えます。

○河野(ゆり)委員 保育所の設置に当たっては、騒音などへの対処も含め、設置者と近隣住民との十分な話し合いが行われるべきと、私が先ほどご紹介した江戸川区内の保育園の例を申し上げましたけれども、そのように思いますが、いかがでしょうか。

○木村環境改善部長 一般的には、保育所の設置に当たりまして、周辺住民への説明が十分になされていることが望ましいと考えます。

○河野(ゆり)委員 次に、子供の声等をめぐる苦情と条例による数値規制との関係について確認させていただきます。
 今回の改定に当たっては、子供の声に関する苦情一般ではなく、数値規制をめぐっての条項が問われています。パブリックコメントにかけられた規制の見直し本文では、子供の声をめぐる問題として、保育所等からの子供の声等に対する苦情が挙がっていること、子供の声等に対する苦情が保育所等を新たに設置する際の妨げとなっているという意見があること、子供の声をめぐる訴訟では、自治体の条例に関する規制基準をもとに、不法行為責任が争われている事例があることなどが挙げられています。
 苦情、保育所等の新設、子供の声をめぐる訴訟、それぞれについて百三十六条と別表十三の数値規制を課していることとのかかわりが争われた都内の事例について、都としてどう把握されていますか。
 また、条例には、百三十六条に違反する行為をしている者に対し、勧告、命令、罰則する規定が盛り込まれておりますが、近年それぞれ何件あったでしょうか。

○木村環境改善部長 百三十六条を根拠とした子供の声をめぐる訴訟は、西東京市の市立公園の噴水の使用停止の仮処分の例がございます。
 そのほか、ある区内の保育所をめぐって、公害審査会において、保育所から発生する騒音を条例に定められた基準値内に維持することを書面で約束することという申し立てがございましたが、この件は訴訟に至ったと聞いております。
 苦情者は、通常、条文を明示して苦情を申し立ててくるわけではございませんので、百三十六条を根拠とした苦情や訴え、保育所等の新設の妨げがあるかは把握しておりません。区市の窓口で条例違反の判断を求められれば、百三十六条を根拠に判断することになります。
 あと、過去五年間、百三十六条に違反したことに係る勧告、命令、罰則は、それぞれゼロ件でございます。

○河野(ゆり)委員 つまり、子供の声などをめぐる苦情は、都内でさまざまに生まれてはいても、それは必ずしも都条例に定める数値規制との関連で問題になっているわけではなく、具体的に把握されているのは、陳情にもあります都内の係争中の案件を初め、ごくわずかということです。
 陳情にあります練馬区内の保育園についての係争中の事例は、今日、当事者の方から陳情も出されていますが、そして訴訟に至っているということですが、どのような事案が係争されているのでしょうか。原告の方の訴えはどういうものでしょうか。ご説明ください。

○木村環境改善部長 係争中の裁判の内容については、把握しておりません。

○河野(ゆり)委員 百三十六条や別表十三が争われている場合、その内容を変更すると、裁判に影響を及ぼす可能性はあるのではないでしょうか。この点での都の認識をお聞かせください。

○木村環境改善部長 訴えの内容は承知しておらず、裁判所が適切に判断するものと考えております。

○河野(ゆり)委員 条例が変われば、裁判所の司法の判断も変わっていくんじゃないでしょうか。影響する可能性はある、こういうふうに識者の方がおっしゃっている例もあるんですね。その点では、都のお考えは少し違うんじゃないでしょうか。確認させていただきます。

○木村環境改善部長 繰り返しますが、訴えの内容は承知しておりません。
 したがいまして、裁判所が適切に判断するものと考えております。

○河野(ゆり)委員 私は今、そういう部長のご答弁を聞いて大変驚きましたけれども、影響する可能性は秘められているわけです。それは、私たちが、先ほどもお話ししましたように、各関係者、いろんな分野の方からご意見を伺って、そして、ここで質問しているわけですので、ご認識は違うのではないかということを指摘しておきます。
 次に、お聞きします。係争中の裁判の判決を待って改正を行うという検討はされたのでしょうか。判決を待たずに改正を行う理由についても教えてください。

○木村環境改善部長 今回の改正は、都全体の生活環境を保全する中で、子育て環境への配慮とのバランスを考えているものであり、個別の裁判は関係なく改正するものでございます。

○河野(ゆり)委員 私どもは、練馬区内の係争中の事例について調査しました。陳情にも出されている関係もあります。少なくとも、練馬区議会の議事録から、練馬区側の説明として確認できるのは、以下のことです。
 保育所開設の前年十一月、これは二〇〇六年ということですね、二〇〇六年十一月の夜に、近隣住民に対する説明会を開催し、その翌日、すぐに工事に入った。
 次に、同じく区議会の議事録では、区側の説明として、開園した二〇〇七年四月に、保育所側がお知らせを近隣住民に配ったが、その主な内容は、一つ、クレーム、話し合いの窓口は現場ではなく、東京支社に一本化し、保育中の現場でのクレームの対応をする、会社として代表取締役社長と取締役の二人が今後も対応。
 それから二つ目、保育園への立ち入りをお断りする。
 三つ目、四月十四日に中止になった説明会、この日に開催が予定されていたらしいんですが、ここで話し合いを継続して行うということで、それから近隣の住民の中で騒音の測定等も考えたいと思っているので、調整をさせてほしいなどというものだったんですけれども、園長を初めとした園の保育者が苦情に応対しない立場がここで通告されている、そういうお知らせが出ているわけですね。
 練馬区側は、近隣住民が騒音を感じた時点で、本来であれば園に連絡をし、園でその場での対応をすれば、ある程度簡単に済むところが、一度本部の方へ電話を入れ、本部の担当者から園の方で今どうなっていると確認をし、その対応を図ったことをまた住民の方にお戻しするというような形で行われているとして、話し合いの席等に園長は出席しないということを決めている園があるかのような問いに対しては、私立の保育園の対応についてはこの件が初めてで、通常、区立の保育園やこれまで運営している私立の保育園等では、そういう運営の場の話し合いというのは、基本的には現場で対応するという部分、そこでは園長先生が対応されているとお聞きしていると説明している、こういうことです。
 こんなことが練馬区議会の議事録に載っているんですが、これではコミュニケーションが尽くされているとはいいがたい、そのように感じますし、住宅地に突然、保育園がつくられることが説明された翌日に建設が始められ、すぐそばにいる園長とも話し合えない、こういうやり方をとっていては、住民の皆さんとのコミュニケーションもとれませんし、批判の声が高まり、問題がこじれるのではないか。私たちは、こうした事例からも教訓をこれから酌み出して、今回の条例改正に臨んでいかなくてはならないと思っているところなんです。
 次に、屋内外の規制値を外すことによる被害の増大への懸念について質問をいたします。
 今回の改正では、屋内で発する子供の声等も規制数値の対象外とされます。私どもも保育園に赴きまして、不十分ながらではありますが、音量測定を行いました。屋内で子供がはしゃいでいるような園でも、窓を閉め切っている場合は、四十五デシベルという環境確保条例の数値規制をおおむね達成できていました。
 屋内で遊んでいる子供の声は、防音に配慮して設計した窓を閉めるなどすれば、基準値はおおむね達成できるというふうに、実際に保育園の場所に足を運んで測定をし、感じているところなんですけれども、これは、当局はいかが捉えておられるでしょうか。

○木村環境改善部長 一般的には、どのような建物で、何人の子供がどのように遊んでいるのか、あるいは防音に配慮して設計した窓の防音性能、あるいは敷地境界までの距離などが不明なため、確実なことはいえないと思います。
 今回の改正によりまして、音を無制限に出してよいということではなく、受忍限度の判断において、原因者が講じた防止措置の有無や内容等も考慮されることになります。

○河野(ゆり)委員 保育園側と近隣住民との話し合いで、防音窓を設置し、子供が騒ぐような時間は窓を閉めるなどを取り決めているところもあります。このように防音装置と適度な取り決めによって、子供の成長や発達と近隣の人たちの平穏な生活のバランスをとるよう努めることは大切な問題だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○木村環境改善部長 防音窓で騒音問題が解決する場合もございますが、そうした対策だけでは、必ずしも受忍限度の範囲におさまらないこともございます。その場合は、他の対策をあわせて行う必要がございます。
 騒音問題の解決には、発生者側と近隣住民との話し合いが重要でございます。話し合いの中で、双方が譲り合えるところを探り、一定のルールを定めることもあり得ます。

○河野(ゆり)委員 私も百五十通のパブコメの文書を一つ一つ読ませていただきました。そこで書かれていることなんですけれども、数値規制をなくした場合に、これまで窓を閉めるなどして配慮していたところが、窓を開放することにならないかという懸念、そういうことが表明されています。そうならないための保証はどうとられるのか。そして、区市に示す運用基準には、屋内外において防音設備や十分な距離をとるなどによる防音の努力と適度な取り決めの方法、特に屋内の騒音については、さっきいいましたような努力、そういうことが保育園の設置者、運営者に促す規定を盛り込んでいくことが必要と考えるんですけれども、どうでしょうか。

○木村環境改善部長 まずは話し合いが重要でございますが、受忍限度の判断におきましては、話し合いの有無のほか、原因者が講じた防止措置の有無や内容等も考慮されることになります。受忍限度で考慮された内容が一方的に変更されれば、再度、受忍限度の判断をすることにもなります。
 福祉保健局とも連携し、保育所団体、幼稚園団体を通じて、保育所や幼稚園の施設会社等に対し、改正の趣旨や騒音問題の解決に当たり、地域とのコミュニケーションが重要であることを、パブリックコメントに寄せられた意見の概要なども紹介しながら、改めて周知してまいります。

○河野(ゆり)委員 子供の声等に関する規定の見直しについて、本文、私もきょうここへ持ってまいりましたが、その中では、見直しの基本的な考え方として、子供の健やかな成長、育成という社会共通の理念と、騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利とのバランスを図る必要があるとあります。
 バランスを強調しつつ、利益と権利という言葉を対比する文章となっているんです。バランスを重視するならば、子供が健やかに成長する権利と騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利のバランスを図るなどと表現して、あわせて受忍限度に当たっての判断も、音を発生する行為の公益上の必要性とするのではなくて、音を発生する行為の子供の成長、育成から見た必要性などとするのがふさわしいのではないかと考えるものですが、どうでしょうか。

○木村環境改善部長 改正の趣旨を改めてわかりやすくご説明いたしますと、まず、環境確保条例は、現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で、必要な環境を確保することを目的とするものでございます。
 今回の改正は、子供の健全育成も考慮いたしますが、健康で安全な暮らしを二の次にするというものではございません。

○河野(ゆり)委員 子供が声を出して成長発達していくことを考慮するが、健康で安全な生活の問題を二の次にするものではないという都の姿勢は、今のご答弁は重要だと思います。
 騒音による被害から都民を救済するためにも重要なのが、子供の声などが受忍限度を超えているかどうかの判断要素とされる影響の程度、ここにどのような要素を盛り込んでいくかです。
 例えば、国の環境基準における騒音の基準値は、昼間は日常会話が妨げられること、夜間は睡眠が妨げられることを防止するように設定されています。影響の程度には、このような日常会話、睡眠への影響は含まれるのでしょうか。
 また、騒音をめぐる最高裁判決では、騒音被害として、睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ、ラジオの視聴等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛を挙げ、認めています。
 影響の程度には、この判決の判断要素となった睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ、ラジオの視聴、そして、これらの悪循環による精神的苦痛は含まれるのでしょうか。
 あるいは、環境確保条例の前身であります公害防止条例に基づき、規制基準値による騒音の損害賠償や差しとめ請求を認めた東京地裁判決では、住民の安眠の確保とともに、夜間における平穏な生活を保証する必要性が受忍限度の限界として、指標として考慮されるとしております。影響の程度と夜間における平穏な生活、これは含まれるのかどうか。
 以上、挙げた要素は、今回どのように条例改正で考慮され、区市に運用基準ですか、QアンドAなどに反映されていくのでしょうか。

○木村環境改善部長 個々の事例におきまして、それらの影響が生じている場合には、受忍限度の判断に当たって考察する事項となります。
 区市に対しましては、改正条例が円滑に運用できるようQアンドAを作成し、配布を予定しております。その中に、受忍限度の判断に当たって考慮すべき事項を盛り込んでまいります。
 ただし、個々の事例によって判断は異なるものであり、一般化は困難でございます。個別事例で、どうしても区市が条例運用の判断に悩む場合は、これまでどおり、相談に丁寧に応じてまいります。

○河野(ゆり)委員 騒音被害の騒音の程度の内容を曖昧にすることなく、今挙げた日常会話や家族の団らん、夜間における平穏な生活など、具体的な事柄を判断に当たって考察する事項として、しっかり区市に示す運用基準ですか、QアンドAに反映することを改めてこの場で要望しておきます。
 子供の声等に関する規制の見直しのパブリックコメントについても伺います。
 パブリックコメントの賛否の割合はどのようなもので、主な意見はどのようなものだったでしょうか、お示しください。

○木村環境改善部長 パブリックコメントに対して、全体で百三十四通寄せられました。意見つき賛成を含め、賛成が六割、反対が三割、その他が一割でございました。
 主な意見を五つ挙げますと、子供が大きな声を出して遊ぶことは当然で、成長過程においても大事だと思う。子供たちが伸び伸びと育つ環境の確保、子育てを応援する環境の整備こそが、子供と子育て世代への応援となる。小学生までを見直しの対象とするべき。子供の声であっても騒音であり、大勢の声等は耐えがたい。現状でも、施設側の対策は不十分であり、数値規制がなくなればさらに悪化するというものでございました。

○河野(ゆり)委員 先ほども申し上げましたけど、私も全部目を通して、箇条書きで書きかえてみました。上の五行ぐらいが賛成の人の主な意見なんです。下の方はいろんな方がいろんな立場でこうあるべきだということで、賛成か反対かわからない、東京都にほんとにこの問題で真剣に要求しているということ、いろんなことを要求しているということがわかりました。
 反対が三割あって、都民の理解が得られているという点では、まだ十分な都民の合意形成がされていないように感じますし、この意見を見て、なお私は感じているんですが、東京都はこの点ではどういうお考えをお持ちですか。

○木村環境改善部長 六割の方々に賛成をいただいていると思っておりますが、改めて施設管理者と近隣住民とでしっかりと話し合い、信頼関係を構築することが重要と認識しております。

○河野(ゆり)委員 子供の成長と発達の保障、もう一方での都民の健康や安全を確保すること、両方のバランスをとることは、先ほども申し上げましたが、とてもいろいろな問題を抱えていると思います。
 都民や専門家の英知を結集することが、今、本当に必要になっていると思います。東京都は、その点では、東京都が審議会を持っています東京都環境審議会、こういう場所に、なぜ今回の条例改正についての審議を諮らなかったのでしょうか。

○木村環境改善部長 環境審議会に付議すべきものは、基本的事項でございます。
 今回の見直しは、子供の声という一部の騒音に関する規制手法の見直しであるので、審議会に付議すべき基本的事項に当たらないと考えております。
 今回の子供の声の規制手法の見直しに関しましては、専門的立場の意見を聞くために、学識経験者のほか、保育所等の団体へのヒアリングも行いました。

○河野(ゆり)委員 次に、施行規則や通知の問題です。
 施行規則や施行通知、それから、QアンドAといわれている運用基準を策定するに当たって、さらに関係者や専門家への聞き取りや意見交換も都が努力して進めること、これを私は求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木村環境改善部長 施行規則、施行通知、QアンドAは、区市が円滑に改正条例を運用できるよう、現場に即したものとするため、四月一日の施行日に向け、都と区市が意見交換を行っております。

○河野(ゆり)委員 これから、この条例改正に伴っていろんなことが想定されるんですけれども、今後、新たな課題や教訓が生まれてくるに伴って、適宜、区市町村や専門家などの意見を酌み取り、施行通知やQアンドA、運用基準などを改善していくことは、本当に大事な問題だと思うんですけれども、これについては、東京都はどのような方向性をお持ちなんでしょうか。

○木村環境改善部長 騒音問題をうまく解決に導いた例などを収集して、区市に提示するほか、今後、必要に応じてQアンドAの追加を行います。その際、区市と協議するとともに、必要な場合には、専門家の意見も聞いてまいります。

○河野(ゆり)委員 質問の最後二点ですが、福祉保健局を初めとした保育部署との連携についてお伺いしておきます。
 一点目、伺います。
 保育所の認可、設置、運営、それぞれの局面で保育園の設置者、運営者が積極的に近隣とのコミュニケーションをとる仕組みを設けるよう、福祉保健局とも検討を進めるべきだと思います。こうした問題をめぐって、福祉保健局との話し合いはどのように行われているのか、話し合いの状況など示していただけるものがありましたら、お示しください。

○木村環境改善部長 福祉保健局とは、条例改正に当たり、改正の考え方についてたびたび情報交換を重ねてまいりました。
 環境部署には、騒音問題が発生してからでないと苦情が届きにくい状況がございます。問題の未然防止のためには、近隣住民と開設前のコミュニケーションも重要と考えますことから、保育所設置認可等において相談窓口となる区市町村の保育所に対しましても、都から課長会等の場を通じて、周知してまいります。

○河野(ゆり)委員 もう一点伺います。
 これは局の方もご存じだと思うんですけれども、このパブコメなどにも、保育所に防音装置を設置する場合、都として補助する仕組みが必要と考えるけれども、福祉保健局などと関係局で検討を進めるべきということを、そういう公費の助成で、子供たちを守るためにも、防音助成みたいなものを求めているわけですが、私たちもこれは、都民の、要望の重要なものの一つかなと考えますけれども、福祉保健局や関係局との検討、これはどのように進めていかれるのでしょうか。お伺いしておきます。

○木村環境改善部長 福祉保健局によりますと、保育所の施設整備については、内装や囲障など、建物と一体となって整備されるものは、施設整備費補助の対象となると聞いております。
 今後とも、関係局において、適切な対応がなされるものと考えております。

○河野(ゆり)委員 防音対策については、私も区市のアンケートも読みましたけど、いろんな住民の皆さんとの関係で、区が実施した、補助をしたみたいな記述もありました。そして、設置者の側も行ったとか、いろんなやり方があると思うんですが、東京都は、条例を持っている大事な自治体でありますので、そういう点では、これから関係局において適切な対応がされるというふうに今ご答弁されましたけれども、環境局自身が各局と働きかけて、適切に都民要望に応える方向で施策を進めていただきたいということを要望し、子供の声等に関する規制の見直しについて、この問題についての質問は終わらせていただきます。
 次に、水素エネルギーに関連して伺います。
 都は、昨年の補正予算で、四十億の財源で環境公社に基金を創設し、水素エネルギー普及に向けて積極的姿勢を発信し、都民や事業者の取り組みを加速させ、新たな事業者の参入も促すとしました。
 さらに新年度は、スマート社会、水素エネルギー都市づくり推進基金として、新たに四百億円の基金を創設するとしています。都は、二〇二〇年までに水素エネルギーでの燃料電池車を六千台、補給するステーションを三十五カ所設置する目標も示しています。
 伺いたいのは、江東区潮見の問題です。
 ことし二月十七日に、江東区潮見一丁目にある環境公社の近くの住民に対して、水素ステーション設置の説明会が開かれています。東京都と環境公社の共催で行われた説明会等と伺っております。突然の説明会の開催に、地域の人たちは驚いたわけなんですけれども、江東区潮見一丁目のステーションの設置、この計画がなぜ急にここで持ち上がっているのでしょうか。

○櫻井都市エネルギー部長 水素社会の実現に向けて、水素ステーションの整備促進は極めて重要です。このため、都は、事業者の負担軽減を図るための補助制度を創設いたします。
 また、戦略会議では、土地の確保が困難な都内において、都関連用地の活用も取り組みの方向性としております。
 潮見の環境リサイクルセンターでは、既存事業の終了を予定していたところであり、この公社の土地を活用して整備しようとするものでございます。

○河野(ゆり)委員 二月十七日の説明会に参加された地域の方は、約二十人と聞いています。その場では、質問も多く出て、都側の回答が明確でなかったものもあったために、参加者は再度の説明会が開かれると思っていたそうです。
 しかし、以後、住民説明会は持たれないままで、三月二日に都はステーション設置の事業者の公募を行いました。
 住民からの説明会開催の要望については、事業者が決まってから開くといって、いまだ答えられておりません。昨年の補正予算で、ステーション設備等導入促進事業に二十一億円が組まれましたが、都の財源で設置するステーションについて、関係住民から説明会開催の要望が出ているのに、なぜ速やかに開催をしないのか疑問なんですが、これはどうなんでしょうか。

○櫻井都市エネルギー部長 住民への説明については、隣接住宅に個別に訪問して説明をした後、二月十日の町会役員会を経て、二月十七日に説明会を開催し、二時間以上にわたり、事業の目的や水素の安全性等について説明及び質疑応答を行いました。
 水素ステーションの設備配置や仕様、さらにそれを踏まえた安全性の検証等についての質問があり、また、民間に売却され、高層マンションができるよりはよいという意見や、安全性を危惧する意見等が出されました。
 これを受けて、より丁寧に説明をし、理解を得るため、事業者を決定した後に、再度住民説明会を開催すること等をお約束いたしまして、説明会を終えたところでございます。

○河野(ゆり)委員 これまでも、この委員会でも、東京都は水素は安全との考え方を表明されています。安全を言明しているのであれば、その都の認識を説明すればよいのであって、そうすれば、地域の皆さんの疑問、不安を払拭することができるのではないですか。
 潮見地域は、埋め立ての土地の上に築かれたまちだそうです。地盤の軟弱さが指摘されております。立地条件として懸念はないのか。ステーションは水素の貯蔵タンクがつくられますが、ステーションに水素の補給のために来る車の台数も増加が予測されます。軟弱地盤に多くの車が集中している、このことについても住民は心配しているわけなんです。
 水素ステーション設置と地域への影響の関係、これについては、都のお考えはいかがでしょうか。

○櫻井都市エネルギー部長 法律上、建築物の基礎は地盤に応じて構造上安全なものとすることになっており、水素ステーションにもこの基準に従って整備することになっております。
 都としても、これが安全な施設となるよう、適切に関与してまいります。

○河野(ゆり)委員 水素ステーションの問題では、安全に水素を供給できるように、国は法律で厳格な基準を定めている。これは、この委員会でも、東京都が何度も私たち議員にご答弁されていますよね。その基準はどういうものなのか、具体的にわかりやすくご説明を、この機会にいただきたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 水素は気体の中でも拡散が早いため、密閉された空間で一定の濃度になるなど、限定的な条件でなければ火がつくことはございません。
 このような特性を踏まえ、水素ステーションの安全性については、燃料電池車の場合と同様に、国の安全基準のもとで管理がなされているところでございます。
 具体的に申し上げますと、万一の水素漏れを検知し、とめるためのセンサーの設置や、漏れた水素をためないよう水素が拡散しやすい構造などの対策、火がつくことを防ぐための静電気防止機器の採用、高圧ガス設備から敷地境界までの法定離隔距離の確保などの対策がなされているものでございます。
 こうした基準に基づいた対策を行うことにより、化石燃料同様に安全な利用が可能でございます。

○河野(ゆり)委員 化石燃料と同様に安全ということなんですけれども、まだまだ水素については多くの都民がわからないことだらけなわけですね。それで、私は東京都の環境局のホームページで、都の水素戦略会議、いろいろ情報発信されておりますが、見ました。さきの委員会でも申し上げましたけれども、ここで発言されているNPO団体の代表の方は、三つのことを提言しています。
 一つは、水素について、リスクを含む総合的情報をわかりやすく伝えること。二つ目は、一方通行ではない対話の場をつくる。そのためには、事業決定前の計画段階からの事前相談の姿勢が重要である。三つ目は、都民の参加と共生です。
 水素エネルギーの利用を進める上で、これは重要な提言だと思いますが、こうした提言を受けて、東京都は都民に対してどうしていこうという意識をお持ちなのか。事業者が決定されてからとかじゃなくて、計画段階から都がこういうふうに今スケジュールをつくっているわけですから、私は今の時点で住民要望に応えるのが当たり前なんじゃないかと感じるんですけれども、どうでしょうか。

○櫻井都市エネルギー部長 水素エネルギーの普及には、都民の皆様に理解を深めていただくことが大変重要であると認識しております。このため、シンポジウム等の普及啓発を行っており、今後も進めていく予定でございます。
 水素ステーションを整備するに当たっても、ご理解を得るべく、取り組むことは当然でございまして、事業者が決定した後においても、都、公社、事業者で、住民の方々に丁寧に説明をしてまいります。

○河野(ゆり)委員 最後、意見申し上げます。
 東京都は、地域住民の皆さんが考えていること、悩んでいること、求めていることを正確に捉える必要があると思います。私は伺いましたが、潮見の地域の皆さんは、水素エネルギーの普及に反対しているのではないといっているんですね。
 私たちが知りたいのは、水素の安全性、ステーションの立地条件などについての正確な情報、これが欲しいんですといっています。一回だけの説明会で、それも私たちの質問に答えていないものも残されているのに、今の都の進め方はとても疑問、こういう声でありました。
 都は、水素エネルギー利用を進めるに当たって、これまでもずっと都民の理解を得るためにも、啓発と社会的受容性に努力すると述べているではありませんか。それなら、説明会を開いてほしいという潮見地域の皆さんの要望に応えるのは当然だと思います。
 都は、住民の方々の要望、意見に対し、真摯に向き合って、潮見へのステーション設置を住民説明会の開催の要望に応えないまま推し進めることのないように強く求めて、この問題での質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○大西委員 まず最初に、私の方からは、森林の保全と活用について伺います。
 先月あたりから早くもスギ花粉が飛び始め、スギ花粉症の皆さんには、大変お気の毒な季節がやってまいっております。私も大変な思いをしているところでございますが、鼻水や目のかゆみだけでなく、頭が重い、体がだるいなど、つらい状態が五月半ばまで続くわけですから、原因となるスギ花粉を何とかしてほしいという声は切実でございます。
 それから、仕事の効率、成果、医療費もかかります。花粉症のマスクや目薬なども買わなければなりません。洗濯物や布団も外に干せない、窓があけられないとほかのアレルギー疾患にもよくない、そういったことで、多くの都民が困っております。
 そのために、社会的にも大変重要なのが、花粉症対策にも効果のある森林再生だと捉えています。
 都においては、産業労働局において、生産型森林に対して、花粉の少ない森づくりを進めていますが、都内の森林全てをカバーしているわけでありません。環境という面からも、花粉の少ない森づくりをしっかりと進めていく必要があると考えますが、来年度予算における取り組みはどのようになっているのか、見解を伺います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 環境局におきましては、平成十四年度から、水源の涵養、土砂災害の防止、生物多様性の維持などの公益的機能の回復と、花粉の発生源対策を目的に、手入れがされず、荒廃した人工林を対象といたしまして、間伐や枝打ちを行う森林再生事業を実施しております。
 平成二十五年度までの十二年間で、あきる野市の全面積に近い六千七百九十ヘクタールの森林を間伐したほか、十八年度から開始した枝打ちは、八年間で千二百三十六ヘクタールに及んでおります。
 来年度予算案におきましては、間伐八百ヘクタール、枝打ち百八十ヘクタールの計画の事業費を計上しております。

○大西委員 都は、放置された森林を再生するため、所有者と協定を結んで、多摩の杉、ヒノキ林三万ヘクタールのうち、六千七百九十ヘクタールに上る面積を間伐してきており、その後、枝打ちも実施するということで、水源の涵養や土砂流出の防止、生物多様性の維持などを行う取り組みを引き続き行うということです。
 手入れがされず、放置された杉林から大量の花粉が放出されるというのは、報道で皆さんもおなじみの映像を見ていると思われます。この時期は、山火事の誤報があるなど、大量に飛散しているわけでございます。この取り組みを通じて、山に手を入れるということで、花粉の少ない針広混交林づくりが進んでいるというわけです。
 私が昨年、ドイツ南部を視察した際、同行した尾崎大介議員が、黒い森は実際見ると全く黒くないと何度も盛んにいっておりました。といいますのも、黒い森というシュヴァルツヴァルト、黒い森とそのままなんですが、かつて、未踏の深い森を黒い森と称したことが由来とされていますが、中世に燃料や建材利用など、ほとんどはげ山となった後、標高の低い地域にも針葉樹を一斉に植林したために、実際、黒く見えたそうです。
 この針葉樹の森が、九十年代に災害とか虫の害で被害を受けた後、再生され、手入れの行き届いた混交林になり、黒くなくなった、それが森林再生のあかしであるということでございます。
 都の森林再生事業も、針広混交林をつくり出す重要な取り組みです。森づくりは数十年のスパンで取り組む事業であり、しっかりと継続して取り組んでいただきたいと思います。
 森林所有者の相続案件がふえる中で、相続人にも森林の現状と森林再生事業の役割などを理解してもらい、今後も着実に本事業を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 森林再生事業を着実に進めていくためには、相続により森林を承継した所有者等に、森林の現況と事業の役割を十分に理解していただくことが重要でございます。
 そのため、森林所有者に対しまして、ダイレクトメールの送付や地元市町村のイベント開催時における出張相談等を行い、事業内容の周知を図っております。
 また、事業実施前後の森林の状況を写真等で具体的に示しながら、事業効果について丁寧に説明しております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、森林所有者や地元市町村の理解と協力を得ながら本事業を推進し、針広混交林化した多摩の豊かな森林の再生を目指してまいります。

○大西委員 私の選挙区でございます足立区には森林というものはないんですが、水源涵養や花粉症は都民全体にかかわってくることですので、森という長いスパンで取り組まなければならない事業に対し、さまざまな苦労、困難もあろうかと思いますが、継続的に取り組んでいただきたいとお願いしておきます。
 森林の保全、活用という点では、木質バイオマスという観点も重要です。昨年の予算特別委員会で、都議会民主党の質問に対し、木質バイオマスは気候による不安定要素が少なく、森林の保全、活用効果もある。再生可能エネルギーの熱利用について調査検討するとの答弁をいただきました。
 私たちも、その後、福島県やドイツ、大分県などの視察調査を重ね、規模ややり方は違っても、CHP、コージェネや熱利用による木質バイオマスの活用は、東京において、再生可能エネルギーの利用拡大や林業、森林保全の推進力になるという確信を強めたところでもあります。
 木質バイオマスを含めた熱利用の積極的な推進に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○篠原環境政策担当部長 木質バイオマス等の熱利用は、化石燃料や電力消費量の節減にも寄与するものでございまして、昨年開催いたしました再生可能エネルギー拡大検討会からも利用拡大に向けたさまざまな提言をいただいております。
 木質バイオマスにつきましては、これまでも区市町村補助制度などを通じて利用促進に取り組んでおりまして、今年度は奥多摩町の公共温浴施設で、燃料のチップとなる間伐材を山林から搬出する仕組みづくりなどを支援しております。
 また、地中熱につきましては、来年度、ポテンシャルマップの作成や設備導入費用の助成などにより、普及を促進してまいります。
 今後とも、再生可能エネルギーの熱利用の拡大に向けまして、区市町村とも連携しながら、地域に根差した取り組みを推進してまいります。

○大西委員 地中熱も含めて、積極的に進めるとの答弁をいただきましたので、森林の保全と活用の質問は終わりといたしますが、特に木質バイオマスは、森林循環のサイクルを軌道に乗せるという面で大きな意義があります。
 例えば、木材のカスケード利用として、端材や林地残材を木質バイオマスとして利用するなどの取り組みを推進していくことも、ひいては森林の手入れが行き届き、花粉の少ない森がふえる効果を発揮するものと捉えることができます。ぜひさまざまな観点から、メリットのある取り組みとして推進していただきたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギーについて伺います。
 再生可能エネルギーの拡大と省エネは、エネルギー自給率の向上、CO2排出削減、原子力発電依存度の低減などの観点から、より一層強力に取り組む必要があります。
 そこで、まず、来年度予算においては、再生可能エネルギーの導入拡大について、どのように位置づけているのか伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 東京は、エネルギーの大消費地としての責務を踏まえ、省エネ、節電とともに、低炭素で災害にも強い再生可能エネルギーの導入拡大に努めていくことが重要です。
 このため、来年度予算においては、長期ビジョンにも掲げた施策を着実に進めるため、東京の将来の礎を築き、持続的発展が可能な都市を実現するを重要施策の柱として、再生可能エネルギーの導入拡大や省エネ等の推進により、スマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。

○大西委員 来年度において重要施策と位置づけ、予算配分されているということでありますので、しっかりとした取り組みを期待したいと思います。
 東京の電力消費量は、日本全体の一割を占める八百億キロワットアワーに上りますが、再生可能エネルギーは、このうちわずか六%です。しかも、この大半は、東京電力の水力発電所が占めているため、新たな再生エネルギーの導入によるシェアは低くなっております。
 都は、昨年発表した東京都長期ビジョンにおいて、再生可能エネルギーの電力利用の割合を二〇二四年までに二〇%に高める目標を掲げておられます。この目標の実現に向けて、再生可能エネルギー導入拡大への取り組みを一層推進すべきだと考えますが、今後の取り組みについて伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 再生可能エネルギーの利用割合を高めていくためには、再生可能エネルギー供給設備の導入拡大とともに、膨大な電力消費量そのものを削減する需給両面からの取り組みが必要です。
 このため、供給面では、住宅等への太陽光発電の導入促進や駐車場の上部空間の活用、都市型バイオマスの促進など、東京の特性を踏まえた取り組みを推進いたします。
 需要面でも、一層の省エネ、節電とともに、太陽熱、地中熱等の再生可能エネルギー熱の普及を促進するなど、都民、事業者、区市町村とも連携した幅広い取り組みにより、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図ってまいります。

○大西委員 再生可能エネルギーの拡大では、先ほど申し上げた木質バイオマスを含む熱利用も推進していただきたいのですが、太陽エネルギーが主力と考えられます。
 都は、二〇二四年までに、百万キロワットの太陽光発電の目標を掲げています。固定価格買い取り制度では、買い取り価格は三年連続で値下げとなっていますが、しっかりと取り組みを進めていく必要があると考えます。都の見解を伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 多数の建物が立地している都内において、太陽エネルギーの利用拡大を進めるためには、太陽光発電パネルなどが設置可能な住宅等の屋根を活用することが重要です。
 そこで、設置の動機づけを図るため、建物の太陽光発電導入ポテンシャルを把握できる東京ソーラー屋根台帳を公開するとともに、区市町村が屋根台帳を活用して行う普及促進事業を実施する場合に、財政支援を行っているところです。
 また、家庭用燃料電池等の設置に加えて、太陽光発電設備を導入する場合に補助を上乗せしているほか、新たに既存住宅において断熱性を高めるリフォームとあわせて導入する場合、補助する制度を平成二十七年度予算案に盛り込んでおります。
 今後も、こうした取り組みを積極的に進め、太陽光発電の一層の普及拡大に努めてまいります。

○大西委員 需要面の抑制の面からは、業務用コージェネに負うところが大きいといわれますが、さらなる省エネ方策も推進していく必要があります。
 そこで、中小規模事業者における省エネ対策について伺います。
 都内では、六十三万に上る中小規模事業所が事業活動を行っており、ICTは業務の効率化や迅速化などに今やなくてはならない技術となっています。
 近年では、事業所において取り扱うデータの増加から、データを一括管理するデータセンターに所有するデータを移行する動きがふえてきています。
 これらのデータを扱うデータセンターは、セキュリティーや耐火、耐震にすぐれた施設が多く、中小規模事業者にとっても、個々に設置したデータサーバーを撤去して、データセンターに移行することによるメリットが大きいといわれています。
 そこで、都の新年度予算案を見ると、ICT設備のクラウド化の財政支援が盛り込まれていますが、省エネという観点で見たときに、どのようなメリットがあるのか、都の見解を伺います。

○谷上都市地球環境部長 一般的なオフィスでは、データサーバーとそれに関連した空調などで消費される電力は、事務所全体の約一三%になると推計され、その削減は、中小規模事業所の省エネ対策を進める上で重要であります。
 業界団体のデータによれば、このようなオフィスのデータサーバーを、インターネットを経由したデータセンターへ移行することで、稼働に要していた電力を移行前よりも二割から四割程度削減できるとしており、セキュリティーや耐火、耐震などとともに、省エネにもメリットがあると考えております。

○大西委員 データセンターへの移行には、セキュリティーや耐火、耐震性能以外にも、省エネにも効果があることがわかりますが、この事業を推進していくには、中小規模事業者へ広くPRしていく必要があります。
 総務省がまとめた情報通信白書では、クラウドサービスについて、よくわからない、利用する予定がないと回答した事業者が約半数いるとの結果も出ており、この事業を推進していくには、クラウド化が広く認知される必要があります。
 そこで、中小規模事業者にとって効果が大きいと期待される本事業は、認知度向上に向けて積極的にPRすべきだと考えますが、見解を伺います。

○谷上都市地球環境部長 総務省の情報通信白書では、国内におけるクラウドの利用状況を見ると、大企業が半数程度であるのに対し、中小規模事業所では三割程度にとどまっています。
 このことから、クラウドサービスがいまだ十分に浸透していないのは、中小規模事業者に多いと考えられます。
 そのため、都は、中小規模事業者に対して、従来から行っている各種の説明会や研修会などにおいて、クラウド化とそれによる省エネ効果の説明を行い、普及を図っていきます。
 あわせて、クラウドサービスを提供する事業者などと連携して、本事業について積極的なPRを行ってまいります。

○大西委員 ICTの進展は、事業の省エネ対策や効率化だけでなく、新たなサービスの創出にもつながり、社会の発展に寄与するものと考えます。このクラウド化には多くのメリットがあるため、積極的なPRに努めていただくことを改めて要望させていただきます。
 続きまして、先ほどから出ております子供の騒音につきまして、私の方からも少し質問をさせていただきます。
 東京の待機児童数は、昨年四月に八千六百七十二人となり、過去最高となっております。待機児童の解消に向け、保育所等の設置が必要とされていますが、大都市東京では、保育所などと民家が近接していることから、子供の声がうるさいと苦情になっているケースがあります。これは、保育所に限らず、子供が集まるプレーパークなども同様でございます。
 そこで、まず、保育所、幼稚園、学校、公園、プレーパークなどで、小学生以下の子供が発する声、物音により、区市町村に寄せられた苦情は一体どのくらいあるのか、また、主な理由はどのようなものかを伺います。

○木村環境改善部長 昨年三月から九月に区市町村に行った調査では、都内六十二自治体中、約七割の四十二自治体で、子供の声に関する苦情があったと回答がございました。
 環境部署には、幼稚園、学校、公園等での小学生以下の子供が発する声、物音に関する苦情が、都内合計で年間六十件程度寄せられております。また、区市町村の保育部署には、都内合計で年間五十件程度、苦情が寄せられております。
 苦情の対象には、保育所等の園庭からの声や遊具の音、行事の練習などの音楽やマイクを通した音、公園での子供の声などがございます。

○大西委員 環境部署と保育部署で一部ダブりがあるかもしれませんが、合わせると、都全体では百件程度の苦情が行政に寄せられているということになると思います。
 このほか、当然、近隣住民が保育所等に直接苦情を申し入れているケースもあると思います。苦情を受け、保育所等では、防音壁の設置や園児の園庭活動の制限などの対策を行っている事例もあります。
 これらを踏まえ、子供の声に関する規制について、次の世代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成に配慮もしつつ、苦情の解決に資する制度とすることが基本的考えとして、今回、環境確保条例の改正案が、平成二十七年の都議会第一回定例会に提出されているわけでございます。
 我が党は代表質問で、この条例改正に関する基本的な考えについて答弁をいただきましたが、本日、改めて条例改正の考え方についてお伺いいたします。

○木村環境改善部長 近年、保育所等から発せられる子供の声が騒音だとして悩む住民もいらっしゃり、その苦情を受けて、保育所などでの活動を制限している状況も生じております。
 今回の条例改正案では、子供の声等について数値規制を適用するのではなく、周辺の生活環境に障害を及ぼしているか否か、いわゆる受忍限度を超えているか否かで条例違反の判断を行うことといたしました。
 受忍限度の判断に当たっては、単に音の大きさだけでなく、関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容等も考慮されることから、コミュニケーション不足により、受忍限度を超えるおそれがあると判断された場合には、施設管理者側に対応を求めることもございます。
 関係者同士の話し合い等がなされることによって、施設管理者側においては、近隣へ配慮する意識が、苦情者側においては、子供の声等に対する理解がそれぞれ深まり、こうしたことを通じた問題の解決が期待されます。

○大西委員 今回のこの条例改正では、子供の声などの規制については、数値規制から受忍限度で判断していくということに変更されたということでございますが、数値で規制をするということはわかりやすいという反面、数値規制を厳守することが求められるわけでございます。
 これは先日、朝日新聞の二月五日に、そういう記事が載っているんですが、その中で、園庭を使うのは二時間まで、歓声が上がるボール遊びは禁止、抜き足差し足と物音を立てない忍者ごっこがはやっていると、これははっきりいって、ちょっとせつないというか、かわいそうな状況かなと私は思うわけでございます。
 子供の声の騒音に悩まれている方もいらっしゃるのはわかります。しかし、もう少し子供にも目を向けてあげることはできないのでしょうか。誰もが子供の時代があったわけでございます。自分が小さいときに(発言する者あり)あなたもうるさかったと思いますけどね。やはり元気な子供というのは大切だと思います。
 都が行ったパブリックコメントを見ると、元気に頑張る子供たちの声は、私自身にも頑張ろうと思う意欲を持たせてくれる、地域と積極的にかかわることで、そこから聞こえてくる音は騒音でなく、親しみの声に聞こえてくるからというものや、子供が大きな声を出して遊ぶのは当たり前で、成長過程において最も大事なことという意見もございます。私も子供が大好きでございまして、本当に同感でございます。
 一方で、先ほどから他の皆さん、たくさんの委員の方からの答弁で、コミュニケーションが大切だと、そういう話がよく出ております。この新聞にもすごいことが書いてあるんですね。お先にどうぞ、園児十五人を連れた保育士が高齢の夫婦に声をかける。園児も足をとめて道を譲った。ありがとう、きょうも元気ね、夫婦が目を細めた。保育士は、地域の人と交流するチャンス、さりげない心遣いを大切にしています。
 または、最初、保育園ができることに反対だった人が、そういうコミュニケーションなどで、今では自宅で飼うオタマジャクシを見に園児が喜んで訪れる、保育士との散歩中、園児がトイレを借りに来ることもあり、カエルおじさんと呼ばれていると笑う。これはやっぱりコミュニケーションが大切で、それがよくなっていき、そういうことで、こういう保育活動を行って、苦情が激減した一つのいい例だと思います。
 ただ一方で、騒音というものを、何をもって騒音となるのか。これも人によって大きな違いがあります。例えばこんな話があります。
 ヨーロッパの方で、とある高級ホテルにある人が泊まりました。そこで部屋に入ったら、隣からピアノかバイオリンか知りませんけど、すごい大きな音が聞こえる。(「ピアノとバイオリンはわかるだろう」と呼ぶ者あり)いや、それは覚えていないっていうことですよ、僕が。そういったじゃない。要するに、そういう音楽の音が聞こえたと。
 当然、すぐにフロントに、ふざけるなと、うるさいといったということなんですが、そこでフロントからは、隣の人はヨーロッパでも超有名なあの音楽家さんが来て、今、練習しているんですけど、じゃあすぐやめさせますね。ちょっと待てと。結局その人は、それを聞きながら、また、自分の友達を、どんどん知り合いをその部屋に呼んで、ただで聞けるんだからいいよと。
 先ほどまで騒音だと思った、ピアノかバイオリンかわかりませんけど、その音楽の音が、その次の瞬間、誰がやっているというのを聞けば、それが物すごい、友達を呼んで、一緒に酒を飲んで聞いていると。そういうふうな自分のすごいいい音に変わってしまうわけですね。
 先ほどから出ています近隣住民との関係性、これはコミュニケーションにより、また、聞く人によって、この煩わしさの程度が異なる。子供の声は一律の基準で評価するべきではないと私は思います。むしろ、受忍限度という判断基準で個別具体的に評価をするべき音であり、至極、私は妥当な規制の見直しであり、バランスのとれたものであると考えます。
 子供が伸び伸びと育つことは、都民の願いでもあり、これはまた一方で、子供の権利でもあると思います。今回の子供の声の規制の見直しは、私は大いに大賛成でございます。
 今回の改正により、子供が地域で健やかに育つ環境づくりに関する認識を都に求めます。

○木村環境改善部長 本会議で知事がお答えしましたとおり、安心して産み育てられ、次世代を担う子供一人一人が健やかに成長できるまちの実現は、都政の重要課題でございます。
 この条例改正によりまして、子供の声をめぐる騒音問題について、話し合いやコミュニケーションを通じた地域での円滑な解決を促し、社会全体で子供が健やかに育つ環境の整備につなげていきたいと考えております。

○大西委員 次世代を担う子供一人一人の健やかな成長という意味では、先ほど小磯理事の方からも出ましたが、小学生も対象に含まれると私は思います。
 しかし、条例改正案を見ると、数値規制の対象外とする年齢は未就学児であるが、この理由を伺います。

○木村環境改善部長 専門家からのヒアリングや文献によりますと、乳幼児は神経機能が発達途上で、発声を含めた力のかげんのコントロール能力が向上していく段階にあり、遊びを通じて発達していく時期でございます。
 このような乳幼児期における子供の声に、騒音の規制基準値を適用し、遊びを抑制するのは望ましくないとのことでございます。
 一方で、小学生になりますと、大人のいうことを守る中で、善悪についての理解と判断ができるようになり、集団や社会のルールを守る態度を身につける段階とされております。小学生は、他者の視点を意識できるようになり、学校においては、遊びを通じた学びから、主に授業を通じた学習へと移行します。
 環境確保条例は、都民の健康と快適な生活環境の確保が目的となっております。子供の健やかな成長、育成にも配慮するとともに、騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利との両方のバランスをとった規制の見直しという視点から、数値規制を適用しない範囲は限定的なものとし、数値規制の対象外の子供は未就学児までといたしました。

○大西委員 私の住んでいるところも目の前が小学校でございます。実は、小学生の声も大変な大きな声です。私は、それは騒音とか嫌な声には聞こえませんけど、また、それに対して、そういう規制という話になるとかわいそうかなという気もいたします。
 都の考え方はよくわかりましたが、これからの状況に応じて、小学生の扱いについても検討していただきたいということをお願いいたします。
 続きまして、水素エネルギーについて伺います。
 燃料電池車が一般販売されて以来、都を初め、公官庁や法人を中心に、徐々に納車され始めていますが、先ほども出ましたけど、高い品質レベルで一台一台丁寧につくっているということで、生産が追いついていかないと聞いております。
 水素エネルギーが普及するためには、燃料電池車の初期需要の創出が重要であり、都は燃料電池車を爆発的に普及させるロケットスタートを切るに当たり、水素ステーションをどのように整備していくのか、改めて見解を伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 水素ステーションの整備促進のためには、燃料電池車の普及も一体的に行っていくことが重要です。
 戦略会議では、官民一体となって議論を重ね、燃料電池車の普及目標台数を二〇二〇年までに六千台といたしました。あわせて、水素ステーションについては、都内で最寄りのステーションまでの到達時間が十五分程度となるよう、二〇二〇年までに三十五カ所整備するという目標を設定したところです。

○大西委員 ただいま水素ステーションについては、二〇二〇年までに三十五カ所整備する目標を設定したということをご答弁いただきましたが、今現在で三十五カ所の整備場所のめどが立っているのかどうか伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 都内の水素ステーションは、既に二カ所開設されており、来月までには五カ所となる見込みでございます。
 今後、さらなる水素ステーション整備促進に向けて、事業者の負担軽減を図るための整備費、運営費の補助制度を創設いたします。
 こうした制度を活用し、官民一体となった取り組みを推進することにより、目標に向け、整備を着実に進めてまいります。

○大西委員 水素ステーションが近くに存在しない限り、燃料電池車の普及というのは進まないわけです。しかし、燃料電池車が普及しないと、水素ステーションは全く商売になりません。
 これはいわば卵が先か鶏が先かと同じようにも考えられますが、当然、双方の施策を推進する必要があると考えますが、水素ステーションが近くに存在しないと、幾ら需要があってもなかなか普及しないのも明白であります。
 一方で、水素ステーションには莫大な予算が必要であり、整備数に限りがあるのも事実です。少ない整備施設を広い都内全域に行うことに、私は疑問も感じています。
 ならば、例えば、整備目標の半数をある一地域に集中する、さらにその半分をその地域の周辺に整備し、残りを他の都内に整備するといったやり方、要するに、一定地域を中心に、ドーナツ状に整備していく。そのエリアで燃料電池の普及が進んでくれば、その対象地域を拡大していく、このような方法の方がより普及が進むと考えます。
 例えば、大企業や公官庁が集積する千代田区や港区、また、五輪開催の中央区や江東区を中心に整備していくことが得策とも考えます。これは五輪開催時に、他国への大きなアピールにもつながると思います。
 今回、手を挙げていただいて、整備されている水素ステーションが成功できるかどうかは、次にこの世界に参入しようと考えている方々がたくさんいるわけですから、大きな影響を与えると思います。ゆえに、何が何でも今回の水素ステーションは成功させていかなければなりません。
 都は、この水素エネルギーの利用の成功を目指して、積極的に整備計画を都主導のもとで推し進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 戦略会議では、官民一体となって議論を重ね、都内全域で水素ステーションを三十五カ所整備を促進するに当たり、都心部、オリンピック・パラリンピックの競技場が集積するエリア、選手や大会関係者の輸送ルート等に重点的に整備すること、地域の特性に応じて整備していくこと等も方向性として示しております。
 また、燃料電池バスは、安定的で大規模な水素需要の創出に寄与するため、路線バスのルート等を考慮した水素ステーションを設置することが効果的でございます。
 こうした考え方に立ち、補助制度の活用を初め、移動式やガソリンスタンド併設型など、さまざまなタイプの水素ステーション整備も考慮しながら、官民連携して、水素ステーションの整備促進を図ってまいります。

○大西委員 先日、練馬の水素ステーションを見てまいりました。初めてミライにも乗せてもらったわけです。ぜひ、近日中にああいう水素ステーションがたくさん並んで、そして、水素燃料電池車がたくさん走るこの東京を、皆さんも、都の主導のもとで、どんどんやっていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十五分開議

○野上委員長 休憩前に続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 質問させていただきます。
 東京都が国に先駆けて、日本初の本格的なキャップ・アンド・トレード制度となる温室効果ガスの排出総量削減義務と排出量取引制度を導入し、大幅に排出削減を達成できたことは評価しております。
 今年度で第一計画期間が終了となり、これから評価、検証が行われることと思いますが、二〇一三年度の削減実績の集計によれば、マイナス二三%に達しているとのことです。既に高い水準で省エネ対策に取り組んでいる事業所はトップレベル事業所として認定し、削減義務率の軽減がなされていると聞いております。
 それでもなお、これらの事業所においても、さらなる省エネ対策が推進され、結果として平均二三%の削減がなされていると思います。
 そこで、トップレベル事業所の先駆的な取り組み、高い削減効果を残した取り組みなどを他の事業所で参考にできるように情報提供すべきと考えますが、見解を伺います。

○谷上都市地球環境部長 キャップ・アンド・トレード制度では、省エネ対策の取り組みが特にすぐれた事業所をトップレベル事業所として認定し、削減義務率の軽減を行うとともに、他の模範とすることで、大規模事業所全体の省エネ対策のレベルアップを図っております。
 都では、トップレベル事業所の取り組みがほかの事業所の参考になるよう、毎年、トップレベル事業所フォーラムを開催し、LEDなどのすぐれた省エネ技術の導入効果やBEMSを活用した運用改善の事例紹介などの情報提供を行っております。
 また、トップレベル事業所を紹介する日本語版と英語版の冊子を作成し、国際会議の場などにおいて配布するとともに、ホームページに掲載するなどして、国内外に情報を発信しております。

○山内委員 キャップ・アンド・トレード制度において、義務量を超えて達成できた排出量はクレジット化できることになっています。
 この制度で創出されたクレジットの状況と排出量取引の活用状況及び今後の見込みについてお伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 第一計画期間において削減量が不足する事業所に必要なクレジット量は約四十万トンから五十万程度と見込まれているのに対しまして、これまでに九十万トンを超えるクレジットの発行があり、発行量が需要量を上回っている状況にあります。
 排出量取引につきましては、これまで取引が成立しているのは数万トンと実績は少ないのですが、第一計画期間の義務履行期限は、一年半後の平成二十八年九月末までとなっており、今後、徐々に排出量取引の成立割合が増加することが予想されます。
 都は、取引が円滑に行われるよう、今後とも、セミナーの開催やクレジットの需給量推計などの情報提供を行ってまいります。

○山内委員 クレジットの発行量は需要見込みの二倍近くに上回っており、いかに排出削減が進んでいるかを示しています。
 しかし一方で、削減努力の結果得られたクレジットが余っていることになり、それが売れなければ、事業者には取引による経済的インセンティブが働きません。これは非常にもったいないことで、都の排出量取引の活発化に向けた目標設定が必要ではないかと考えております。
 IPCCの勧告によりますと、世界の地球温暖化対策はさらに厳しく、気温上昇を二度に抑えるためには二〇三〇年度までに五〇%、二〇五〇年までには八〇%の削減が必要ともいわれております。
 温暖化対策は待ったなしであり、先駆的な取り組みを進めてきた東京都だからこそ、長期的な高い目標を掲げることを要望いたします。
 次に、事業所域の変更にかかわる改正について、環境確保条例についてお伺いいたします。
 今回、環境確保条例の改正では、キャップ・アンド・トレードの対象となる事業所について、一部を譲渡や取得した場合に、管理形態に応じて任意申請でき、事業所の分割が統合できるようになっています。この仕組みを活用することで削減義務を免れる事業者が出てくるのではないかと心配しております。
 この改正の狙いと、今後、この仕組みを利用する事業者はどれくらい見込まれるのか、お伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 事業所区域の変更申請ができるのは、事業所の一部の売却により所有者が変更した場合等に限られます。
 今回の改正は、このような場合に、事業者の管理の実態に即して、効率的かつ効果的に省エネ対策を講じられるようにするためのものでございます。
 また、今後、この規定により、事業所区域の変更申請が行われるのは、これまでの相談件数から想定すると年間数件程度と見られます。
 なお、分割、統合に際しましては、登記などさまざまな手続や費用が発生するものである上、分割後であっても、条例の対象規模を満たす場合は、引き続き条例の義務の対象となることから、ご心配のような事態は想定してございません。

○山内委員 今回の条例改正による分割、統合は、キャップ・アンド・トレードの排出削減量にはほとんど影響がないということでございました。そうあってほしいので、運用に際して、しっかりチェックしていただきたく要望いたします。
 次に、フロンについてお伺いいたします。
 従来のフロン回収破壊法がフロン排出抑制法に全面改正され、この四月から施行されております。改正法では、新たにフロン使用製品のメーカーに対して、業務用のエアコンであれば、二〇二〇年度には、冷媒フロンの温室効果係数を七百五十以下とするなどの義務を課し、温室効果の低いフロンを使用した低GWP機器やノンフロン機器への転換を促しています。
 また、業務用冷凍空調機器のユーザーには、新たに点検の実施と記録の保存が義務づけられました。修理をしないままで充填を繰り返すことが禁止されるなど適正管理の責務が課せられました。
 都は、昨年末の長期ビジョンで、代替フロンの排出量を二〇三〇年度には、二〇一四年度比で三五%削減するという国を上回る目標を掲げました。その実現に向けて、法改正による対策強化に加え、都独自の排出削減策を展開すると聞いております。
 ノンフロン機器への転換を促すため、都は、昨年、中小事業者に対して、フロンを使用する冷凍冷蔵ショーケースをノンフロン機器に買いかえる費用を補助する制度を創設いたしました。
 来年度予算にも、同様の補助金が盛り込まれていますが、今年度の補助制度の活用状況と来年度の取り組みについてお伺いいたします。

○木村環境改善部長 ノンフロン機器の導入を促進するため、中小事業者がノンフロンのショーケースに更新する際に、導入費用の三分の一を補助する制度を、昨年七月から、年間二億円、三十台程度の想定で開始いたしました。
 問い合わせは数十件あったものの、残念ながら申請はゼロ件でございました。
 ショーケースを更新するには、配管工事を伴うため、一定期間、店舗の営業を停止する必要があり、補助制度開始の初年度は、事業者の設備更新計画とうまくマッチングしなかったこともあると思われます。
 補助対象機器につきましては、来年度には、より小型軽量で施工コストを低減化したノンフロン機器が販売されると聞いております。
 補助制度のPRに当たっては、募集期間が原則一カ月程度に限定される国の補助制度に比べて、通年で申請の受け付けを行っている都補助の利用のしやすさや、改正法で義務づけられた点検等がノンフロン機器では不要になるメリットなどを紹介してまいります。
 また、チェーンストア協会、精肉、鮮魚等の事業者団体に改めて周知いたしますとともに、事業資金を融資しております金融機関にも補助制度をPRしてまいります。

○山内委員 フロンの排出を抑制するには、ノンフロン機器等への転換が有効ではありますが、全ての事業者がすぐにノンフロン機器に転換できるわけではありません。
 そのため、現状のフロン機器を使用する際に、漏えい防止をする取り組みが不可欠です。機器の適正な管理について、フロンの漏えい防止対策を評価する制度をつくり、事業者が取り組みを進めるインセンティブとすることが必要です。都のお考えを伺います。

○木村環境改善部長 フロン排出抑制法の施行により、この四月から、都は、業務用冷凍空調機器のユーザーに対して、漏えい防止策など適正管理のための指導助言を実施できるようになります。
 そこで、来年度から、フロン充填回収業者や設備点検業者で構成される業界団体と連携して、法施行後のユーザーにおける機器の点検実施状況や冷媒フロンの転換状況などを調査し、実態を把握してまいります。
 あわせまして、法に基づく点検以上の漏えい防止策を行っているすぐれた事例についても、収集してまいります。
 この調査結果を業種別、業態別に解析し、同業種、同業態の取り組み状況と比較できるようにしたり、すぐれた取り組み事例を広く紹介できるように取りまとめてまいります。
 これらを各ユーザーへの指導助言に活用いたしますとともに、事業者団体にフィードバックすることによって、事業者みずからが排出抑制の取り組みレベルを向上させるよう働きかけてまいります。

○山内委員 フロン対策を一層推進されることを期待しております。
 子供の声の規制に関する改正について、私からもお伺いさせていただきます。
 環境確保条例における子供の声等にかかわる規制の見直しが行われますが、どのような背景があって改正をするに至ったのか、お伺いしていきたいと思います。
 都は、規制の見直しに当たり、各区市町村にアンケート調査を行っていると聞いておりますが、どのような調査を行ったのか。また、調査を行うに当たり、専門家等の意見聴取を行ったのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 子供の声等に関する苦情の状況や条例の適用についての実態、区市町村の考えを把握するため、区市の環境部署に対しまして、昨年三月にアンケートを実施し、その回答を踏まえ、その後、区市に対してヒアリングも実施いたしました。
 苦情を受け付けるのは環境部署だけではありませんので、区市町村の保育部署に対しましても、昨年六月から九月にかけ、苦情の状況やその後の対応について、アンケート及びヒアリングを実施いたしました。
 これらを実施後、専門家の方々には、規制手法の見直しの考え方について意見聴取を行ってまいりました。
 これらを経て作成いたしました都の子供の声をめぐる条例改正の考え方につきまして、区市の課長会や係長会で協議を重ねてまいりました。

○山内委員 子供の声に関する苦情は、都や自治体にどのくらい寄せられているのでしょうか。この苦情に対し、解決に向けてどのように対応してきたのか。園庭活動を縮小した事例はどのぐらいあったのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 昨年、区市町村に行った調査では、都内六十二自治体中、約七割の四十二自治体で、子供の声に関する苦情があったと回答がございました。
 環境部署合計では年間六十件程度、保育部署合計は年間五十件程度の苦情が寄せられております。
 騒音苦情は区市が対応いたします。苦情を受けた区市の環境部署は、通常、苦情申し立て者の苦情の内容を聴取するとともに、騒音発生者側にも、音の発生状況や対応などの事実確認、騒音の測定、実際の騒音発生状況等に応じて、騒音を下げるための働きかけなどを行います。
 保育部署に行ったアンケートによりますと、遊戯時間の短縮や変更を行ったのは十五自治体、対応として最も多かったのは、コミュニケーションを深めることで、二十二自治体でございました。

○山内委員 東京都公害審査会までもめたケースというのはあるのでしょうか。

○木村環境改善部長 公害紛争処理法第三十七条に基づき、個々の調停内容については非公開であることから、子供の声をめぐる件数を特定することはできません。
 ただし、申請人の請求の概要については、係属中のものを除き公開されており、それによりますと、平成二十四年八月一日に調停が打ち切られた保育所からの騒音防止の案件は、ある区内の保育所から発生する園児の声を環境確保条例に定められた基準値内に維持することを求めるものでございました。

○山内委員 騒音防止に関する基本的事項を所掌事務としている東京都環境審議会というのがございますが、今回の改正に当たって、審議会で審議されたのかということをお伺いする予定でございましたけれども、先ほども質疑、答弁がございましたので、控えておきます。
 環境局は、保育所等に関する他局、専門家、区市町村の関連部署と、それぞれどのような議論を行ってきたのでしょうか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 区市町村につきましては、アンケート実施後も、改正条例案の考え方や運用上の取り扱いについて協議を重ねております。
 環境法、騒音問題、教育発達心理学の専門家にお話を伺い、都の考え方をまとめてまいりました。
 具体的には、法律の専門家からは、子供の健全な育成と騒音被害者の幸福追求権のバランスをとること、騒音専門家からは、子供の声を数値規制の適用対象外とすることは基本的に賛成だが、同時に、住民を騒音被害から守るということも重要だということ、煩わしい音と捉えられるから、相手に対する誠意ある対応が改善につながるとのご意見をいただきました。教育発達学の専門家からは、数値規制の対象外とする子供を未就学児までとする案について賛成、六歳になれば、自発的に学び、他者の視点を意識できるようになるとの意見をいただきました。
 福祉保健局、生活文化局、教育庁に対しましては、見直しの背景や理念、子供の声に対する規制手法の見直しの内容等について、検討段階から随時説明を行ってまいりました。

○山内委員 では、改正について各自治体からどのような意見が寄せられているのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 改正条例を執行することになる区市からは、改正後、各区市において適切な対応ができるよう、受忍限度の判断方法などを示すよう要望がございました。
 区市が個々の問題の解決に取り組めるよう、例えば受忍限度の考え方やその判断のための調査内容等を具体的に示すなど、改正条例の運用に関するQアンドAを作成するなどして、区市を支援してまいります。

○山内委員 次に、実は、講じた措置や関係者同士でなされた話し合い等で、保育所の近隣への配慮が進み、近隣住民とうまくいっているケースがあるということを伺おうと思いましたが、これも先ほど出ておりましたので、こうした事例を参考にしていただきたいという要望にしておきます。
 見直し後の子供の声等について、都は、受忍限度を超えているか否かの判断に当たっては、単に音の大きさだけによるのではなく、音の種類や発生頻度、影響の程度、音を発生させる行為の公益上の必要性、所在地の地域環境、関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容、原因者が講じた防止措置の有無や内容等を十分に調査した上で、総合的に考察する、上記のような関係者同士の話し合い等がなされることによって、施設管理者側においては近隣へ配慮する意識が、苦情者側においては子供の声等に対する理解がそれぞれ深まり、こうしたことを通じた問題の解決が期待されるとしております。
 そこで、都は、合意形成を進めるために具体的にどのようなことをしていくのか、また、騒音対策として都がやれることは何か、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 子供の声等が問題となる事例につきまして、苦情相談の窓口となる区市といたしましても、これを積極的に解決に導くことが求められていることから、改正条例を運用する区市の環境部署に対し、当事者に対して適切な助言、援助等を行い、話し合いやコミュニケーション等を通じた問題の解決に協力することを条例の施行通知に盛り込みます。
 また、環境部署には、騒音問題が発生してからでないと接点がないことから、問題の未然防止のためにも、保育所設置認可等において相談窓口となる区市町村の保育部署に対しましても、都から課長会等を通じて周知してまいります。

○山内委員 子供の声等を数値規制から外す今回の条例改正においては、子供たちの生活、遊び、教育等を総合的に保障する基盤となる地域が協力し合って子供を育てていく社会を目指すものであり、単に子供の声が騒音かどうかの議論をするのではなく、地域の合意形成こそ重要だと考えております。
 しかし、今回の見直しで、待機児童解消を優先し、地域の合意形成をないがしろにして、保育所等が設置されるのではないかと心配の声もあります。
 残念なことに、実際に、近隣住民と保育所が対立している地域もあります。もし、ご近所に怒られるから静かにしなさいと子供を叱ったり、互いに挨拶もしないという環境があったとしたらば、地域として不幸なばかりか、子育ち、子育ての環境として良質であるとはいえません。子供の地域参加を阻害していると思います。
 おはようとか、暖かくなってきましたねとか、お隣のおばあちゃん、ぐあいが悪いんだって、静かにしてあげようね、早くよくなるといいねなどと言葉を交わせる環境が質も量も良質な子育ち、子育ての環境だと考えます。
 子供に優しいまちづくりは、並大抵のことではできません。だからこそ、国連は、子どもの権利条約で、子供の最善の利益の実現のために、大人たちが挑戦することを求めています。
 地域住民と事業者の間に対立が起きないよう、行政が積極的に丁寧にかかわって対応することが重要です。今後、待機児童解消に向けて保育所の設置が進んでいきますが、住宅街の限られたスペースやコストの安い賃貸物件などを増改築して整備する場合などにこそ、事業者が近隣住民の理解を得る努力をし、行政はそれを支援していかなくてはなりません。
 保育所設置の計画段階から、時間をかけて地域の理解を求められるように丁寧に対応し、開園後も、行事に招いたりすることで、地域に溶け込んでいる保育園もあります。
 福祉保健局によりますと、児童福祉法の改正により、この四月から、認可保育所の認可申請の際には、外部委員による児童福祉審議会で意見を聴取することが新たに盛り込まれました。都は、この法令に基づき、計画段階と認可申請の二段階で意見を聞くことをルール化するといいます。その中で、良好な保育環境が確保されているのかという観点から、近隣の理解を得ているかどうかもポイントになり得ると聞いております。ぜひ、環境局も、福祉保健局とも連携していただきたいと思います。
 今回、環境局が自治体に行ったアンケートによって、近隣から苦情が寄せられていることがわかりました。苦情解決の手段として、保育所等で子供の声等の騒音測定をするというアンケートの項目がございますが、その中で、八割の区市がしていないんです。
 発生源となっている保育所等の施設側が、防音壁の設置や遊具施設の設置場所の変更の工夫、あるいは隣家の防音工事費の負担なども講じた事例については、五五%の区市は把握していません。
 そして、保育所の新設の認定をする際に、保育所の担当部署では、こうした工夫を、上記のような工夫を講じた事例についても、二十六区市がしていないと答え、九の区市が把握していないと答えています。
 私はこの例を挙げまして、このアンケートの調査の結果で、区市が怠けているということをいっているわけではないんです。こういう問題がある中で、業務が非常に厳しい区市で、本当に大変なんだろうなというふうに思います。
 だからこそ、今回の数値規制から受忍限度で判断する規制に改正することで、受忍限度という曖昧な基準での判断をすることになるため、直接の窓口である区市町村が対応に苦慮するのではないかと懸念しております。
 子供の最善の利益の実現のためには、先ほど申しましたように、大人たちが合意形成ができるように調整していくくらいの気持ちがないとできないと思います。
 生活者ネットワークでは、これまでも訴えてまいりましたが、保育所を設置する事業者に対しては、都としても、近隣住民への説明を義務づけるなど工夫をしていくことが必要であると申し置いておきます。
 次に、自転車シェアリングについてお伺いしていきます。
 これまで生活者ネットワークは、自転車の利用の促進を求めてまいりました。二〇〇九年の第三回定例会で、環境省が温暖化対策として自転車使用に着目し、札幌市と千代田区の丸の内でレンタサイクルの社会実験を始めることから、都の環境局としても、まち中での自転車利用の促進をさらに具体化し、回遊性のあるレンタサイクルを進めていくことを環境面からも効果のあることと指摘をいたしました。
 そのとき、局長からは、温暖化対策を進めるには、自動車に過度に依存しない交通行動への転換が必要であるとの観点から、都は、環境に優しく、身近で便利な交通手段である自転車の利用を促進しており、今後とも、自転車走行空間の整備、交通ルールの遵守などとの取り組みをあわせて、地域特性に応じて区市町村とも連携しながら、先進的な自転車利用の取り組み事例の周知や都民への幅広い普及啓発などを展開していくという趣旨の答弁がございました。
 レンタサイクルは、さらに回遊性を持ち、コミュニティサイクルとかサイクリングシェアなどといわれるようになり、今回、都でも、ようやく具体的に動き出し、広域利用を実現していくとのことです。
 そこで、都は、自転車シェアリングに取り組む江東、千代田、港、中央の四区と基本協定を締結し、広域的な相互利用の実現に向けて取り組んでいくとのことですが、今後、取り組みをどのように進め、いつごろの実現を目指していくのか、お伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 協定を結んだ四区の取り組みに対してですが、都は、今後、来年度予定の中央区の事業化が着実に実現できるよう、ステーション用地の確保のための調整など、従来に引き続き、他の三区と同様に多角的な支援を行ってまいります。
 それと並行いたしまして、広域利用の実現に向けては、今回の基本協定を踏まえ、四区と設置している都区連絡会の中で課題を具体的に整理し、来年度から各区と課題解決に取り組み、再来年度を目途に広域利用を実現できるよう、調整を進めてまいります。

○山内委員 これまで生活者ネットワークは、自転車の利用を促進していくには、環境局だけでなく全庁を挙げて課題解決をしながら、政策的に進めていく必要があることを指摘してまいりました。
 自転車シェアリングについても、ステーションの用地確保や、バスや鉄道、地下鉄等の公共交通との連携、サイクル・アンド・ライドといったりしますけれども、あるいは、建設局が進める自転車推奨レーンとの連携などのさまざまな課題があります。
 そこで、この問題解決については、都の関係局との協力が必要と思われますが、環境局はどのような観点で連携を図っているのか、お伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 都は、三年前に、江東区が事業化を行う段階から、事業のかなめとなるステーションの設置に向け、歩道上を活用する観点などから、建設局、港湾局、警視庁などと庁内連携体制を整備し、調整を進めてきております。
 今年度は、都心部での円滑な事業展開に向け、都市整備局を初め関係局との連携を強化することで、新たにステーション用地として公開空地の活用ができるようにし、あわせて自転車への広告物の表示範囲を拡大するなど、各区の事業化を支援しているところでございます。

○山内委員 海外の都市でも、かなり自転車シェアリングは促進されております。パリのヴェリブが有名ですけれども、東京都からも派遣されて調査発表が行われているようですが、ロンドンでも目覚ましく進展していると聞いております。
 もともと、ロンドンは、イギリスの他都市に比べて自転車に乗ること自体が少なく、自転車政策がおくれていました。ロンドン市長がロンドン市の交通戦略構想を発表し、自転車を都市交通の重要なファクターとして取り組み、自転車革命都市にすることを明記いたしました。
 政策目標を、短期的には、ロンドン・オリンピックの交通需要対策の一つとして位置づけ、市民や観光客の足としての機能、中期的には、二〇三〇年を目標に、運輸交通部門における環境改善、市民の健康増進、そして地域経済の活性化、市民生活の向上を同時に達成することとし、一挙に自転車政策が進んだといいます。
 都においても、しっかりと政策的に位置づけ、自転車シェアリングを促進するべきと考えますが、都は、海外の事例を踏まえ、今後どのように自転車シェアリングを推進していくのか、所見をお伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 東京と海外の各都市とでは、道路事情や社会情勢など自転車をめぐる状況は異なり、単純な比較はできませんが、自転車走行空間の整備など総合的な自転車政策の一環として、都としても、東京にふさわしい自転車シェアリングを推進していきます。
 具体的には、来年度、幅広く都内の各自治体に向けて、事業化のノウハウなどの情報提供を行うとともに、ステーションの設置ポテンシャル調査などを実施し、新たな事業化を支援してまいります。
 また、自転車シェアリングの認知度向上のため、ビジネスや観光など多様な利用主体に向けた情報発信を行ってまいります。

○山内委員 自転車シェアリングは、通勤、通学や観光等を目的とし、これまでもさまざまな地域で社会実験等が実施されてまいりました。
 しかし、残念ながら、継続が難しい事例も多いのが事実です。成功させ、普及するには、これらの事例を把握し、課題を整理していくことで進んでいくと考えます。
 これまで、海外や他都市での事例では、ターミナルサイクルステーションをどうするか、例えば東京でいえば、東京駅がそういうふうになるのかわかりませんが、そういったことや、シェアリングは自由な乗りおりのため、特定のステーションにどうしても集中するため、自転車が偏るので、需要に合わせて自転車を移動させるリバランス、回遊するためのステーション以外の観光地や商店街の駐輪場や、ナビゲーションや利用状況、多言語表示などITによるサービスなど、シェアリングが持つ共通課題もあります。
 さまざまな調査結果や専門家の知見を生かして、環境負荷の少ない自転車の促進を進めていっていただきたい、そのように自転車シェアリングに期待しております。
 以上で質問を終わります。

○高橋委員 私から、水素社会の実現に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 水素は、化石燃料にかわる次世代エネルギーとして、また、低炭素社会の構築にも資するものとして期待されています。
 さきの本会議の一般質問で、私は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会での水素利活用に向けた環境整備のための施策展開について、舛添都知事にお伺いいたしました。
 知事は、水素社会というレガシーを後世に残したいというスタンスのもと、東京が日本を先導して、意欲的で先進的な施策を展開するための経費を新年度予算案に盛り込んでいるとのご答弁をいただいております。
 これに関連して伺いますが、都は、平成二十七年度予算案の中に、新たに水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金を創設するとしていますが、ここでは、まず、この基金の目的と想定される事業についてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 本基金は、水素エネルギーの利用拡大を図るとともに、エネルギーの有効利用及び低炭素かつ自立分散型のエネルギーが進んだスマートエネルギー都市の実現に資することを目的として設置するものでございます。
 インフラ整備の促進や初期需要の創出など、二〇二〇年までの継続的な支援を担保するとともに、都の水素社会実現に向けた強い意欲を示すものでございます。
 具体的には、水素ステーション整備、燃料電池車やバス、業務用、産業用燃料電池の導入支援等に要する経費に充当することを想定しております。
 こうした基金を活用し、着実に取り組むことで、東京が先導して水素エネルギーの普及に道筋をつけてまいります。

○高橋委員 ただいま答弁いただいた基金の創設により、民間事業者は安心して事業に取り込むことができます。東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、水素エネルギーの普及に着実に取り組むようお願いしておきます。
 最近の動きを見ると、都内の水素ステーションの数が間もなく五カ所になると聞いており、水素エネルギーの普及には、こうした民間の取り組みが確実に広がっていくことが重要であります。
 東京の特性も踏まえながら、都として、さまざまな施策を多面的に展開していくべきと思います。
 また、水素社会の実現は、資源小国である我が国にとって重要であり、国の成長戦略にも位置づけられていることから、水素の普及にとって、国の取り組みは不可欠であります。
 とりわけ、国のインフラ整備の促進や燃料電池車の導入支援等は、現在のところ、二十七年度までしか確定しておらず、また、安全性の確保を前提とした保安距離の見直しや使用可能な材質の拡充などの規制緩和も必要であります。
 都としての施策展開とともに、国に対し、水素の普及にとって必要な継続的な財政支援、規制緩和などを積極的に求めていくべきであります。都の見解を伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 用地の確保が困難な東京では、移動式やガソリンスタンド併設型などさまざまなタイプの水素ステーションの整備や、省スペース型の家庭用燃料電池などの普及など、新たな動きが出ております。
 水素の普及に向けましては、都として、こうした民間の先駆的な取り組みも積極的に後押しするなど、さまざまな施策を多面的に展開することが重要であります。
 一方で、水素エネルギーの普及には、国の積極的な取り組みが不可欠であり、他団体とも連携して、あらゆる機会を捉え、国に対し、継続的な財政支援や規制緩和などを強く求めてまいります。

○高橋委員 水素社会の実現に向けた都の取り組みを期待して、次の質問に移ります。
 次に、資源循環施策についてお伺いいたします。
 都市活動に必要な資源の多くを都外からの供給に頼る東京が持続的に発展していくためには、資源の消費に伴い発生するさまざまな問題に的確に対処していくことが必要であります。
 例えば、東京オリンピック・パラリンピック大会を見据えた都市更新を円滑に進めるためには、建物の解体により発生するコンクリート塊で製造した再生砕石等の再生資材の利用拡大が大きな課題となります。また、コンクリートの打設時に使用される木製型枠には、東南アジアの熱帯雨林での違法伐採が疑われるものもあり、国産材を使用した環境配慮型の製品への転換が必要であります。
 さきの本会議で、都は、こうした課題の解決に向け、先進的企業と連携したモデル事業を実施するとの見解を示しましたが、その実施に当たっては、課題ごとにサプライチェーンも考慮し、関係事業者が一体となって、効果的な方法で取り組みを進めることが必要だと考えますが、見解を伺います。

○齊藤資源循環推進部長 持続可能な資源利用の実現に向け、都は、実際のフィールドを有する企業等と連携しながら、資源循環の具体的な方策の検討や課題を整理するために、来年度、モデル事業を実施したいと考えております。
 例えばご指摘をいただきました建設工事などにおいて、コンクリートを流し込む際に使用する木製型枠の例では、違法伐採によるものではなく、国産材を使用した環境配慮型の製品に転換してもらうために、型枠用合板の生産者、工事の発注者、建設工事業者が連携した取り組みを強力に推進していただくなど、資源の生産から利用までに関係する事業者が一体となって、各課題の解決に適したスキームを連携して構築し、実施する取り組みを都として公募、選定していきたいと考えております。
 都は、モデル事業の実施に要する費用の一部を負担するとともに、事業者と共同して効果の検証を行い、持続可能な資源利用のさらなる展開に向けて取り組んでまいります。

○高橋委員 東京オリンピック・パラリンピック大会を機に、世界一の都市東京にふさわしい持続可能な資源循環の姿を実現するよう取り組むことを要望しておきます。
 本会議の答弁では、事業系廃棄物のリサイクルのルールづくりにも取り組むとのことでありましたが、一般廃棄物については、各市町村が分別のルールを定め、住民に周知していますが、排出事業者に処理責任がある産業廃棄物については、排出事業者と処理業者の個々の取り決めに任せ、統一した分別ルールがありません。
 このため、それぞれの事業所ごとに分別や処理の方法が異なり、効率的なリサイクルを妨げているのではないかと思います。
 今後、都全体のリサイクル率の向上を図るためには、一般廃棄物の処理を担う区市町村との連携のみならず、日ごろから事業系廃棄物の処理に携わり、豊富な知識と経験を有している廃棄物処理業界の声を十分に反映させ、中小事業者にも取り組みやすい統一的な分別ルールを策定することが必要だと考えますが、見解を伺います。

○齊藤資源循環推進部長 都内に多いオフィスビルや商業施設などの業務系ビルからは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物の両方が排出されます。これらの事業系廃棄物のリサイクルルールづくりを進めるには、ご指摘をいただきましたように、一般廃棄物を所管する区市町村と産業廃棄物を所管する都が、これまで以上に密接に連携することが必要であると考えております。
 そのため、今月中に、都と区市町村の垣根を越え、オール東京で資源循環の取り組みを進めるため、都と区市町村との具体的な協議の場を立ち上げてまいります。
 そして、その場では、リサイクルを促進すべき品目や促進に向けた課題、共同した取り組み等を検討してまいります。
 また、この協議における検討を踏まえ、廃棄物リサイクル業界などの関係団体との協議を進め、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向け、事業系廃棄物の分別、リサイクルの定着を目指して取り組んでまいります。

○高橋委員 中小企業を含め多くの都内の企業が分別、リサイクルの促進に取り組めるよう、民間事業者の知恵をしっかりと取り込んだ仕組みを構築し、持続可能な資源利用への転換が着実に進むことを期待して、次の質問に移ります。
 次に、エネルギー資源循環と並び、環境施策の重要な柱である自然環境施策についてお伺いいたします。
 東京には、多摩・島しょ地域の森林、丘陵地の里山、市街地に残る農地や屋敷林など、多様で豊かな緑があり、都市の魅力を高めています。
 昨年の予算特別委員会の場において、我が党は、東京オリンピック・パラリンピック大会開催都市の緑施策の動向を踏まえつつ、今後の東京の緑施策について都の見解を求め、知事から、緑の保全や森づくりにおいて、都民や事業者の参画も得ながら、質と量の両面にわたる緑施策に全庁を挙げて取り組むとの姿勢が示されました。
 都はこれまで、緑の量をふやす取り組みとともに、緑の質を高める取り組みとして、私も当委員会で何度か取り上げた生態系に配慮した在来種植栽などに取り組んでおり、さらに、今定例会の我が党の代表質問に対し、美しさの視点も踏まえた具体的な花と緑による緑化施策を明らかにしました。
 今後は、こうした取り組みに加え、都民が緑の保全や森づくりに主体的に参加することで、その重要性に関する認識を高め、貴重な自然環境を将来にわたり保全していくことが重要であると考えます。
 そこで、都は、世界一の環境都市実現に向け、今後どのような都民参加の自然活用、保全施策を行っていくのか、見解を伺います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 今後の緑施策の推進に当たりましては、自然を活用しつつ、これを守る取り組みも重要でありまして、森林や保全地域等の魅力を伝えながら、より幅広く、多くの都民が保全活動に主体的に参加できる環境を整えていく必要がございます。
 このため、関係局と連携し、新たに保全活動の情報センターを立ち上げ、活動を希望する都民に対しまして、要望や技量に応じた活動の場をきめ細かく紹介するなど、参加意欲に応える環境を整備いたしますほか、作業用具の貸与や丁寧な個別指導等を行い、初心者が気軽に体験できる機会をふやしてまいります。
 さらに、活動参加者が地元住民と語らい、多摩地域の伝統や食文化等を体感する機会もあわせて設けてまいります。
 こうした取り組みを積極的に展開し、緑を育む意識の向上を図り、保全活動を担う人材の確保、育成につなげ、東京の豊かで美しい自然環境の継承に努めてまいります。

○高橋委員 本日、水素エネルギー、資源循環、自然環境、それぞれについてお尋ねしてきましたが、いずれの分野においても、先進的な施策や意欲的な取り組みが来年度予算に盛り込まれていることが確認できました。
 今後は、こうした施策の着実な執行を期待したいと思います。
 ことしは、五年後に東京オリンピック・パラリンピックを控えた重要な年になると思います。世界一の環境先進都市をそのレガシーとして残すためにも、今後は、都の施策に実行力が問われると思います。
 最後に、平成二十七年度の施策推進に向けた局長の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。

○長谷川環境局長 ただいま高橋委員から、水素エネルギー、資源循環、自然環境、それぞれの分野におきまして、貴重なご提言と施策推進に向けた激励の言葉を承りました。
 お話のように、オリンピック・パラリンピックを契機として、世界一の環境先進都市東京を実現するためには、大会開催の五年前となりますこの二十七年度からの施策展開というのは極めて重要だというふうに考えております。
 このために、昨年末発表いたしました長期ビジョンにおきまして、二〇二〇年とその先を見据えた高い政策目標と、それを実現するための先進的な施策展開を明らかにしておりますけれども、重要なことは、今もお話ありましたとおり、これらを着実に前進をさせて、常に施策をレベルアップをしていくということだと思います。
 今、先ほど来いろいろ議論いただいております水素一つをとりましても、これは非常に大きな問題でございまして、我が国全体の問題でもあります。これを東京から先導していくというためには、あらゆる知恵と踏み込んだ施策を構築して実行していくということが求められて、それを集中的にやっていかなければいけないと思います。
 私ども、こうした覚悟を持って、今後、都議会の皆様のご意見を頂戴しながら、世界一の環境先進都市東京を目指しまして、ともに担い手になります都民の方々、それから事業者の皆さん、それから区市町村とも十分に連携しながら、局一丸となって、汗を流して、創意工夫を凝らして環境施策を推進してまいります。

○米倉委員 初めに、第百二十八号議案、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例の一部を改正する条例案について質問いたします。
 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律及び同施行規則を施行していくことに関して定めている条例とのことで、私も、この施行条例を見てみました。
 鳥獣保護区などの標識の寸法、狩猟免許の更新、申請などの手数料などが定められています。
 今回の条例改正は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、いわゆる鳥獣保護法が改正されたことに伴って、法律の名称の引用箇所などを改正するとのことです。
 そこで伺いますが、鳥獣保護法の改正はどのような内容なのでしょうか。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 本法律を所管いたします環境省によりますと、近年、鹿やイノシシによる農林業被害等が深刻化する一方で、狩猟者の減少、高齢化等により、鳥獣捕獲の担い手の育成や確保が課題となっておりまして、このため、積極的に鳥獣を管理し、また、将来にわたって適切に機能し得る鳥獣管理体制を構築することが必要な状況となっており、鳥獣の生息状況を適正化するための抜本的な対策を講じるために、鳥獣保護法の改正を行うこととしたとのことでございます。
 新たに鳥獣の管理を図る措置として、知事が一定の技能や知識を有する捕獲事業者を認定する認定鳥獣捕獲等事業者制度や、国や都道府県がこの認定事業者に委託して捕獲を行う指定管理鳥獣捕獲等事業が導入されます。
 また、住居集合地域等における麻酔銃による捕獲を可能とすることや、網猟とわな猟の狩猟免許取得年齢を十八歳に引き下げることも盛り込まれております。

○米倉委員 鳥獣保護法改正は、全国的に頭数がふえている鹿やイノシシによる農業、林業への被害が深刻化していることが背景にあります。
 東京でも、かつて奥多摩町で、鹿の食害で樹木が枯れてしまった結果、山が裸になり、そこに雨が降って土砂崩れが起きるという被害がありました。
 そうした被害を出さないためにも、適正な頭数で鹿が生育することが必要、望ましいと考えますが、鳥獣を保護する観点も重要です。人と野生動物が共存するそのためには、適正な保護と管理が必要と考えます。
 そこで、現在、東京都内の野生鹿の生息数はどのくらいか、また、適正な頭数は何頭なのか、都としてはどのように対応しているか伺います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 平成十六年七月、奥多摩町の大ダワなど、三カ所におきまして、鹿の食害により表土が流出し、一部の岩石の露出や崩壊が見られた激甚的な被害が発生いたしました。
 都は、翌十七年九月に第一期シカ保護管理計画、同二十年三月には第二期の計画、同二十四年四月には第三期の計画を策定いたしまして、関係部局や市町村、地元猟友会などと連携しながら、モニタリング調査を進めますとともに、捕獲による生息数管理、被害地の復旧、鹿柵の設置等を行ってきております。
 現在の第三期シカ保護管理計画では、適正な生息数を四百頭として、年間六百頭を目標に捕獲に取り組み、四百頭弱を捕獲しております。
 また、平成二十五年度の調査では、奥多摩町を初め檜原村や青梅市など六市町村に二千頭程度生息していると推定されております。

○米倉委員 現在、奥多摩町などで、地元の猟友会の方々が協力して適正管理に当たっていらっしゃるということを聞いています。
 険しい山の中を銃を担いで狩猟するのはご苦労が多いことと思います。その努力の中でも、捕獲目標頭数の三分の二程度に捕獲がとどまっている現状に、生息数を管理していく難しさを感じます。
 鳥獣保護法は、国会では、昨年の五月に審議がなされています。法改正については、自然保護団体などが見解を出しています。管理並びにの文言が入った法改正になっていますが、管理、すなわち捕獲の側面が強まったといわれています。
 先ほどのご答弁では、今後、法律では、指定管理鳥獣捕獲等事業、認定鳥獣捕獲等事業者制度などの新たな制度が導入されることになりますが、東京都はどのように対応されるのでしょうか。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 本年五月二十九日から、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律が施行されることに伴い、都は、認定鳥獣捕獲等事業者の認定や住居集合地域等における麻酔銃による捕獲許可を行ってまいります。
 また、網猟とわな猟の狩猟免許試験年齢の引き下げにつきましては、来年度の試験から実施いたします。
 なお、指定管理鳥獣捕獲等事業は、有効な手法の検討、実施場所の選定、関係機関等との調整に時間を要しますことから、平成二十九年四月からの第十二次鳥獣保護管理事業計画の策定過程におきまして、東京都自然環境保全審議会の審議を踏まえ、導入の可否を含めて検討してまいります。

○米倉委員 今、ご答弁の事業では、許可のない捕獲、捕獲個体の放置、夜間発砲の三つの禁止が原則適用除外となります。
 捕獲個体の放置により懸念される問題としては、例えば冬に殺傷された鹿が放置されると、熊が餌を求めて徘回して越冬しなくなる、あるいは、雑食であった熊が肉食になって人を襲う、鉛の弾で撃たれた鹿を猛禽類が食べて鉛中毒を起こすなどの危険が指摘されています。
 夜間発砲については、ハンターから、夜間発砲なんてとんでもない、慎重の上にも慎重にやったとしても事故を起こさない保証はないという声も出されております。
 地元の地理や実情に詳しくない認定事業者が、キノコ狩りやトレッキングに入った人を誤射したり、希少種の動植物などの生態系を壊す危険もあります。しかし、事業者が一旦山に入ってしまえば、行政の監視が行き届かないわけなので、事業者任せになれば、こうした問題を引き起こす危険性が高まるのではないでしょうか。
 指定管理鳥獣捕獲等事業の導入、認定鳥獣捕獲等事業者の活用については慎重であるべきだと考えます。
 特に、捕獲個体の放置や夜間発砲は禁止にすることも含め、さまざまな規制を設けるなど、都として、指定管理鳥獣捕獲等事業の導入の是非については、今後、丁寧な検討を行い、その際には、地元の猟友会を初めとした意見聴取や協議を行うことを要望するものです。
 また、環境NGOのWWFジャパンのホームページには、今回の法改正についての見解が表明され、野生生物の生息や繁殖の状況、食べているもの、生息数の増減の要因などを科学的に把握した上で施策を講じることが求められている、こうした取り組みに従事できる鳥獣保全管理計画専門官(仮称)ともいう行政職の人材の育成と配置を、九九年から国に提案してきたとしています。
 生態を正確に把握する専門家の育成と配置が非常に重要にもかかわらず、今、全国的に進んでおりません。
 一方、兵庫県では、独自に森林動物専門員が配置され、専門的人材の登用を進め、くだんのセンターと大学の連携が進んでいる例もあります。
 都は、鳥獣を保護する立場を明確にすること、そして、国に対して、専門的知見や経験を持つ人材の育成と配置、予算措置が必要であることを要望することを求めておくものです。
 そして、次の質問に移らせていただきます。
 都は、二〇二四年までに、電力利用に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%に引き上げるとしています。そのためには、電力というパイに占める再生可能エネルギーの割合をふやすとともに、電力というパイそのものを、省エネを進めることで小さくすることが重要です。
 都は、長期ビジョンで、エネルギー消費量を二〇〇〇年比で、二〇二〇年までに二〇%、三〇年までに三〇%削減するという目標を掲げています。
 都は、電力に占める再生可能エネルギーの割合二〇%という目標を実現する上で、省エネ対策の必要性をどう認識し、取り組みを進めていくのか伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 再生可能エネルギーの利用割合を高めていくためには、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、エネルギー消費量そのものを削減する需給両面からの取り組みが重要と認識しております。
 このため、住宅への太陽光発電導入等の供給拡大策とともに、需要側の取り組みとして、省エネ、節電のさらなる推進、太陽熱等の再生可能エネルギー熱の普及促進など、幅広い取り組みを進めてまいります。

○米倉委員 再生可能エネルギーの導入拡大とともに、省エネ対策を進めることが重要とのことでしたが、それでは、大企業、中小企業での電力使用を削減する上で、都としてどのような対策を掲げてきて、どのような効果があったか伺います。

○谷上都市地球環境部長 都はこれまで、大規模な新築建築物に対する建築物環境計画書制度や既存の大規模事業所へのキャップ・アンド・トレード制度、中小規模事業所の自主的な取り組みを促すための地球温暖化対策報告書制度など先駆的な制度を創設し、事業所におけるCO2削減、省エネルギー化を進めてまいりました。
 また、中小規模事業所については、無料省エネ診断など、資金、ノウハウ面での支援策も講じてきております。
 こうした取り組みにより、二〇一二年度の都内の産業業務部門の電力を含めたエネルギー消費量は、二〇〇〇年度対比一二%の削減となっております。

○米倉委員 都内では、家庭部門はエネルギー消費の三割を占めており、そのうちの半分は電気によるものです。
 都は、来年度、住宅省エネリフォーム助成を実施しますが、その主な内容と補助の予定件数について伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都は、来年度、既存住宅における一層の省エネ促進と太陽光発電等の利用拡大を効果的に推進するため、断熱性能の高い建材を用いるリフォームと太陽光発電設備等の設置等をあわせて行う場合に、HEMS等の設置等を条件として、リフォーム費用と太陽光パネル等の設置費用の補助を予定しています。
 補助件数は一千三百五十件を見込んでおります。

○米倉委員 住宅省エネリフォーム助成は、HEMS、太陽光発電もしくは太陽熱利用機器とのセットを条件としているということです。
 HEMSだけでも、工事費は別に、数万円から、高いものでは二十万円台後半、太陽光パネルも、住宅用で標準的な三キロワットで、価格が下がってきたとはいえ、百万円前後いたします。ですから、HEMSと太陽光パネルセットで住宅に設置するだけで、初期費用は百数十万円に上ります。
 しかし、このようにHEMSと太陽光パネルがセットということになりますと、省エネリフォームに着手しようにも、初期投資の高さが制約になる危険性があります。
 少なくとも太陽光発電や太陽熱利用機器は、セットの条件から外すべきと考えますが、いかがですか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 先ほどの答弁とも重なりますが、再生可能エネルギーの利用割合を高めていくためには、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、エネルギー消費量そのものを削減する需給両面からの対策が重要です。
 このため、太陽光発電設備等の設置とあわせて、省エネリフォームを行う場合に補助を行うこととしているものです。

○米倉委員 では、制度の実施はいつごろを予定しているのか。また、住宅省エネリフォーム助成の部分の補助要件はどのようなものを考えているか伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 補助事業の実施要綱や手引を作成した上で、早期に実施できるように取り組んでまいります。
 省エネリフォームに関しては、国の平成二十六年度補正予算の住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金と同等な要件を検討しております。

○米倉委員 省エネリフォーム自体が使い勝手のよい制度になることが大事だと思います。
 その点でハードルが高いのが、今ご答弁にもありましたが、国の住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金です。
 この事業は、住宅全体の一次エネルギー消費量の一五%以上を削減することを要件としています。公募要領には、早見表で、どの程度のリフォームで要件をクリアできるかを示していまして、リフォームに用いる建材は、独自の高い基準を満たしたものでなければなりません。
 都内で戸建て住宅を省エネリフォームする場合、この早見表によりますと、全体改修であっても、天井と床の改修では、一次エネルギーを一五%削減できません。天井と窓、もしくは外壁と窓、もしくは外壁と床の改修を行わなければ要件を満たすことができません。
 当然、改修費は高くなり、補助事業の窓口である一般社団法人から伺ったところ、工事費は百万円から三百万円ほどのケースが多いということでした。
 また、事業主体である経済産業省の担当者からも伺いましたが、この事業は、そもそも高性能な窓断熱の価格を低減し、市場をつくろうというものであり、補助対象となる建材は特に性能が高いものに限定し、必ずしも費用対効果は高くない、相当高いレベルのものを求めているとのことで、都の検討の内容では、この補助事業の要件にあわせて、太陽光パネルを設置し、さらにHEMS導入が要件となり、これだけで初期費用が二百万から四百万円ほどになり、ハードルが上がり過ぎるのではないでしょうか。
 この間、日本共産党都議団として、耐震改修や住宅リフォームなどについて調査を行ってきましたが、大規模に進められている取り組みは、どれでも手続が簡易で使い勝手がよく、費用も大規模ではない、業者が市民に勧めやすい制度になっていることが特徴でした。
 山形県は、この四年で約一万四千件の住宅リフォーム助成を行いました。窓一枚の断熱から助成を行っています。省エネだけでなく、部分補強、バリアフリー化、一定量以上の県産木材利用など、いずれかの内容の工事を行うことを要件にして、その他のリフォーム、例えば外壁の塗装ですとか畳がえなどにも、これも含めた総工事費の一〇%に補助を行います。
 二〇一二年度の利用者アンケートによると、利用者の六割が窓断熱や太陽光発電の導入など、省エネ化工事を行いました。
 静岡県の耐震改修助成は、年間一万件近く実施されていますが、このくらいの補修をやれば幾らぐらいかかるかを県がパンフレットなどでわかりやすく示した上で、業者が簡単に手続できるようにしています。県の担当者は、事業者が意欲を持ってやれば利用が進む、進めばいざ大震災になったときの県の復興費用も軽減できると語っていました。
 国のエコポイントなどは、窓一枚の断熱リフォームなどに対してもポイントがついて支援する制度となっています。
 このように、窓一枚から進められる使い勝手のいい制度を求めるものですが、いかがでしょうか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 窓だけではなく、天井や床などを組み合わせてリフォームを行うことにより、住宅全体の一次エネルギー消費量を一五%以上削減できる高い省エネ性能を確保することを考えております。

○米倉委員 では、窓一枚の断熱リフォームなど簡易なリフォームの効果について、都としてどのように認識しているか伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 熱の出入りの大きい開口部などにおいて、窓一枚を交換するだけでなく、天井や床などを組み合わせてリフォームを行うことにより、より高い省エネ性能を確保することができると認識しております。

○米倉委員 都内の既存戸建て住宅は、約百六十九万戸ありまして、住宅の三割になり、都内のエネルギー消費の一割にも及ぶと考えられます。
 戸建て住宅で大規模に省エネが進めば、都内全体の省エネにも少なくない貢献ができます。そういう角度から省エネリフォーム助成の制度設計を考えることを要望しておきます。
 また、省エネリフォームの促進には、実施主体となる都民にとって費用と効果がわかりやすく示されることが重要です。
 環境局として、環境公社などとも連携しながら、窓や壁の断熱などそれぞれの省エネ、節約効果などをわかりやすく示せるようにし、それをホームページやパンフレットなどで普及啓発することを求めるものです。
 最後に、再生可能エネルギーの創造を抜本的に進めることについて伺います。
 都が掲げた二〇二四年までに再生可能エネルギーによる電力利用割合を二〇%までに拡大する目標の達成は重要です。
 都は、ヨーロッパの大都市の再生可能エネルギーの目標や計画について研究をしていますが、その中で紹介しているヨーロッパの比較的大きな都市、ドイツのミュンヘン市では、二〇二五年までに、市内の全電力需要に占める再生可能エネルギーの比率を一〇〇%にする、デンマークのコペンハーゲン市では、二〇二五年までに、市内の電力消費を超えるとする目標を持っています。
 これらの都市では、都市の外でつくる再生可能エネルギーへ投資した分を再生可能エネルギーにカウントして、この高い目標を達成し、エネルギーの大消費地としての責任を果たそうとしています。
 東京都が温暖化防止や原発依存からの脱却を進めるために、さらなる責任を果たすには、都内での再生可能エネルギーを抜本的にふやすだけでは壁に突き当たると考えます。
 都内に存在し、大量の電気を消費している事業所などが都外での再生可能エネルギーの開発、もしくはつくり出された再生可能エネルギー電力の購入などに取り組むことも必要です。
 そこで伺いますが、都外での再生可能エネルギー開発や再生可能エネルギー電力購入に、都内の事業者の参加を促す仕組みを都として研究することを求めるものですが、いかがですか。

○櫻井都市エネルギー部長 昨年設置した都の再生可能エネルギー拡大検討会におきまして、再生可能エネルギーの供給拡大に向けて、需要家による再生可能エネルギー電力の選択を促すことが重要であると、こういう提言をいただいております。
 このため都は、今後、都民、事業者の再生可能エネルギー電力の利用を促す仕組みづくりを検討していくこととしております。

○米倉委員 二〇二四年の再生可能エネルギーの目標の達成、また二〇二〇年、三〇年のエネルギー消費量目標達成に向けて、さらなる取り組みを進めることを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○こいそ(明)委員 それでは、何点か順を追ってお尋ねをさせていただきたいと思います。
 初めに、環境人材の育成について質問いたします。
 都は、保全区域の良好な自然環境の保全と、それを支える環境人材の育成を図るために、企業の社員等が参加するグリーンシップ・アクション、そしてまた、大学生が参加するグリーン・キャンパス・プログラムを進めてきました。都民の方々が間伐や下草刈りなどを通して、五感で自然のすばらしさを体感してもらうことは、この点からも極めて意義深い取り組みだというふうにも思います。
 既に事業開始から、グリーンシップ・アクションは十二年、グリーン・キャンパス・プログラムは七年が経過しております。それぞれの職場や大学で、自然環境保全活動への参加意識が高まって、特色のある保全活動がこのように行われてきたわけでありますけれども、しかし、現在は一つの企業、または大学で活動が完結されており、企業や大学同士で活動内容を相互に報告したり、または、ともにその保全活動を行う、学び合うようには至っていないようであります。
 私は、ボランティア団体、大学、企業等が横の連携をさらに強化することで、両事業はさらに発展的に都民からも受け入れられるものではないかと考えるところであります。
 そこで、両事業のこれまでの取り組みを総括した上で、それらを生かして、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 都は、平成十五年度から東京グリーンシップ・アクションを、平成二十年度から東京グリーン・キャンパス・プログラムを開始し、今年度は、四つの大学と二十八の企業、団体から延べ千七百人の方々がこれらの活動に参加しております。
 事業開始から現在に至るまで、延べ一万三千人を超える方々が保全活動を体験しており、自然のすばらしさや活動の重要性等を肌で感じ、緑を守り育む意識を向上させているほか、開始当初からの参加者の中には、企業内でリーダー役を果たす方も生まれるなど、所定の成果を上げていると認識しております。
 こうした状況を踏まえまして、今後、ボランティア団体、大学、企業等おのおのの団体が活動内容の充実を図れますよう、関係者が一堂に会し、相互の取り組みを学び合う合同情報交換会を開催するなどいたしまして、活動内容の情報共有化を図り、両事業のさらなる発展につなげてまいります。

○こいそ(明)委員 ボランティア団体、大学生、企業がまさに相互に連携を強化しながら、自然環境保全活動の全体的レベルアップを図っていく、これをぜひお願いしたいと思います。
 両事業とも、間伐などの作業のやり方を教えているわけでありますけど、いわゆる萌芽更新ですね。これらのことの中で、地元のボランティア団体の方々が主にこのようなお世話をしていただくわけであります。最近は、一概にいえませんけれども、ある保全区域、幾つかありますけれども、この中で、高齢化などの影響などから、熟練したメンバーの方々が少なくなってきているんではないかと。技術が継承していかない、技術が低下しつつあるように感ずるわけですね。
 そのため、ボランティア団体のレベルアップといういい方はおかしいんですけど、維持でもいいですよね、技術維持でもいいんですけれどもレベルアップ、そして団体メンバーの参加が今後は喫緊の課題になっていくわけでありますので、こうした視点も踏まえて、都は、環境人材の育成と確保と、そういうふうな観点から、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 保全地域の希少な自然環境を将来にわたり守り続けていくためには、地元で継続的な保全活動を担うボランティア団体の能力向上と活動人材の確保が重要でございます。
 このため都は、ボランティア団体の保全活動のノウハウ向上に向けまして、樹林地、湿地、農地など、さまざまな環境に適した保全作業をガイドラインにまとめ、全てのボランティア団体に周知いたしますとともに、今年度、現地に専門家を派遣し、適切な手入れ方法について指導助言を開始したところでございます。
 また、来年度から、公益財団法人東京都環境公社を活用し、新たに保全地域の体験プログラムを設け、最寄り駅への送迎や作業用具の貸与、きめ細かな個別指導等を行い、初心者が気軽に安心して保全活動に参加できるようにいたしますほか、自然観察やクラフト作成等、楽しく自然体験が行われる機会もふやしてまいります。
 こうした取り組みを積極的に展開することによりまして、地元の保全地域で活動する継続的なボランティア団体の育成と人材の確保を図り、東京の豊かな自然環境の継承に努めてまいります。

○こいそ(明)委員 ただいまご答弁がございましたけれども、環境人材の育成と確保に向けた取り組みを強化するのであれば、かねてより主張をさせていただいたわけでありますけれども、環境人材の育成に向けた拠点施設、大げさなものじゃないんです、器具というんですかね、一定、自然活動に要する用具というか道具というか、こういうものの保管場所が実際ないんですよね。
 そういうことを含めて、大げさな拠点施設でなくていいんですけれども、やはりそろそろ、ある程度そこに一つの、集合もできる、全員が例えば立っていては入れるか入れないか、いずれにしても、私は、そういう面での拠点が、施設が必要になってくるのではないかなというふうに思うんですね。
 都立公園などには、常設スタッフとして、レクチャールームを備えたビジターセンターがあります。大変意欲的にさまざまな環境教育、学習に供されており、これは非常にレベルが高いです。また、来訪者が保全活動の重要性等を学んでいるわけでありますけれども、保全地域は、まさに良好な自然を守り抜いていく場所であると。利用を前提とする公園と異なった取り組み、保全活動の場であるべきだというふうに私は思うんですね。
 ですから、そういう観点から含めても、今後、環境人材を広く育成をするためにも、このあたりもそろそろ、やはり、検討、検討でなくて、具体的なスケジュールを示しながら、本腰を入れて取り組んでいただきたいと思うんですね。
 保全地域には、このような拠点的施設及び技術を継承させていく。それから、より積極的に地域の方々も参加ができ得る、それに対して受け入れられる、また、それに対応できる、こういうことも当然必要だと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 今後のボランティア団体の育成と人材確保の充実強化に当たりましては、委員お話しのように、保全活動体験や環境学習に資する拠点機能を有する施設の設置は、有効な取り組みの一つと認識しております。
 しかしながら、例えば保全地域では、自然保護条例上、建築行為や土地の形質を変更する行為は行えないなどの制約があるなど大変難しい面もございます。
 今後、ボランティア団体のノウハウ向上や新たに開始する体験プログラムの実施に取り組む中で、拠点施設の設置に向けた課題を洗い出し、その実現可能性等について検討を行ってまいります。

○こいそ(明)委員 成功事例というのは、先ほどもいいましたけれども、ビジターセンター等を併設している都立公園、これは主に建設局の、また公園協会が管理している。これは本当に、はっきりいいまして、生物多様性の学び、それからさまざまな環境の学び、また人材育成プログラム、これがしっかりしているんです。
 ですから、自然の中で、自然とともに--わかるんだけどね、もう一歩、東京のさまざま多様する環境状況をしっかり守り抜いて、それを継承させていく担い手として、やっぱりさまざまな場面場面で必要なものは必要として、もうそろそろやはり整備していいんじゃないかなというふうに私は思うんですね。
 そんな中で、ぜひ、今申し上げた拠点施設的なものといってよろしいかどうかも含めた、さまざまな環境人材育成可能な取り組みをしっかりと取り組んでいっていただきたいと、これを要望いたします。
 それでは、続いて、東京の水循環についてお尋ねをしたいと思います。
 東京の水循環の回復について、昨年の第二回定例会の中で、私も一般質問の中でこの問題を取り上げさせていただきました。要するに清流復活水、清流の清らかな水を、今、小河内ダムは、この水質がすごくよくなってきて、全国でランキング第六位ですね。いずれ、これはトップ、さらに水質を向上させていこうという取り組みが始まっております。
 こういう中で、やはり、この連綿とする東京のさらなる清水というんですか、清らかな水、これを二〇二〇年の東京オリンピックに向けて、この水循環機能をさらに円滑に、また回復させ再生させるためにも、私は一層の取り組みが必要ではないかと思うんですね。
 ワーキングチームできました。ワーキングチームできたけれども、どうもやはり、今、東京の持つ、クールダウンをさせていかなきゃいけない。だって、オリンピックは七月二十四日から八月九日という猛暑ですね。大変暑いです。それから、さらには、パラリンピックも当然そうですよね。
 こういう中で、全世界から東京に来る--水素は後ほどやりますけれども、やはり、このような水の都というか水循環、そして今、地下水が極めて厳しい状況ですよね、東京の地下水ということも含めて。
 ですから、このあたりで総合的に、東京の水循環と水質と、さらには地下水の涵養を含めた総合的な取り組みを環境局はやるべきじゃないかと思いますけど、どうでしょうか。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 七月に、都市整備局、水道局とともにワーキンググループを立ち上げまして、効果的な水質改善策の検討に着手いたしました。
 ワーキンググループでは、このプロジェクトを実現するための課題の洗い出しを行い、その後、各局は、それぞれの役割と責任に応じまして、関連情報の収集や資料の収集、それを整理してございます。
 多摩川の水を活用するためには、水利権や河川法に係る課題について、国や他県と調整する必要があるほか、玉川上水には既に下水道として活用されている部分があるなどの課題も明らかになっております。
 引き続き、関係局や国等としっかり連携し、課題解決の取り組みを進めてまいります。

○こいそ(明)委員 当時、確かに清流を復活して、特に多摩川、そして玉川兄弟の玉川上水、このあたりを、玉川上水路網を再生する必要性があるんじゃないかということですね。江戸時代は当然にして、玉川上水の水が江戸城まで来ていたわけでありますから、そういう中における玉川上水、この活用というのは極めて重要ではないかと。
 この水が今、大木戸でとまっていますよね。これをいかにして、三局、今、ワーキングチームつくっていただいたということでありますけれども、それはそれとして局間の連携はやはりしていただきたいと思うんですが、その中でも、さらに清流水を、今、皇居のお堀、アオコ発生がすごいですよね、ここにやはり流し込んでいく。今、いろんな対応はしておられますけれども、さらには、これを東京湾、東京湾はいうまでもないですけど、赤潮発生、アオコ、大腸菌の大変な発生が今起きています。こういうような状況下で、この改善策を、やっぱり東京都の環境局がしっかりやっていくべきだと思うんですね。
 東京全体の環境のクールダウンもそうだ、これは夏の話ですけど、オリンピックでありますけれども、さらには、地下水の涵養をどうやるか。それから、清流水をいかにして東京に循環させていくか。こういうような取り組みはぜひやっていただきたいなと思うんですが、そのあたりはどうでしょう。今、皇居のお話をさせていただきましたけれども、今年の夏の皇居のお堀のアオコが大発生してしまうんじゃないかという危惧もありますので、そのあたりお願いします。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 皇居のお堀の水質の件でございますが、来年度末に、下水道からの未処理用水の流入がとまることで、皇居外苑濠に新たな汚濁物質は流入しなくなります。
 また、平成二十五年度に整備した水質浄化施設の稼働率を向上させることで、お堀全体の水質の大幅な改善が期待できます。
 現在、環境省は、皇居外苑濠の水質改善に向けまして、来年度に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を見据えた水質改善計画を取りまとめるための検討を進めております。
 この計画では、お堀に堆積した汚泥等のしゅんせつや、堀の間をつなぐ管路整備による水の流れの確保、水質改善のための新たな技術の実証等によりまして、二〇二〇年大会開催までに、水質改善を実現することとしております。
 都は、国が主催する検討会への出席のみならず、個別に会合を重ねまして、これまで蓄積してきた公共用水域の水質改善に関するノウハウを提供しつつ、対策が早期に推進されるよう、ともに取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたけれども、昨年六月定例会で、知事からも前向きな答弁をしっかりもらっています。こんなことを踏まえながら、三局でのワーキングチームができたんでしょうけれども、私はやはり環境局がイニシアチブをしっかりとってもらう必要性があるんじゃないかなという感じがするんですね。これは、それぞれ連携をとっていかなきゃいけないんですけれども。
 東京の健全な水循環を再生するためには、上流から東京湾までのトータルした、全体的な議論、取り組みが必要だということはいうまでもありません。東京都長期ビジョンには、平成十一年に策定した東京都水循環マスタープランの改定に着手することとしております。このプロジェクトをそのプランの中に位置づけながら、関係各局が共通の問題意識を持って、しっかりと私は取り組んでもらいたい。
 それから、もう一点は、最後でもありますけれども、さっきから何回もいわせていただきましたが、まさに真夏のオリンピックを成功させるために、東京のクールダウンと水循環の回復及び水質改善に、環境局の一層の奮起一番、努力が必要だと、このことを最後に確認をしたいんですけれども、要望を強くさせてもらって、これは終わります。
 それから、次に行きます。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 昨年十一月に、IPCC、気候変動に関する政府間パネル第五次統合報告でも、気候変動に対して、現状の取り組みでは取り返しがつかなくなると出ました。警笛がまたも、またも出ました。
 さらなる対策を促しているわけでありますけれども、これまで東京は、キャップ・アンド・トレード制度の導入など、先進的な気候変動対策に取り組んでこられました。エネルギーの大消費地であり、他県に電力を依存している首都東京こそが、国のエネルギー政策を断固リードする気概を持って取り組むことが極めて重要であろうというふうに思うんですね。
 とりわけ、二〇二〇年に向けて、低炭素でエネルギー効率の高い都市づくりを推進し、環境と調和した災害にも強い都市を構築することが、これはもう必要であることはいうまでもありません。
 こうした観点を踏まえて、都市エネルギー政策をどのように進めていくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 エネルギーの大消費地として、エネルギー施策に積極的に取り組み、世界各国から、東京オリンピック・パラリンピックで東京を訪れた方々に、環境先進都市としての姿を示すことは重要です。
 都は、省エネや節電を推進するとともに、高効率なコージェネレーションシステムを活用した自立分散型電源やエネルギーマネジメントの推進、太陽光、太陽熱の推進など、東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギー、さらに、水素エネルギーの普及拡大に取り組んでおります。
 今後は、長期ビジョンにも掲げた施策を着実に進め、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。

○こいそ(明)委員 ただいま答弁にもございましたが、私も以前から主張をさせていただいた一人でありますけれども、水素エネルギーの普及は、これはいうまでもない、極めて重要です。水素は、利用の段階ではCO2を一切排出しない。低炭素社会の構築につながるとともに、さまざまな資源から製造できるため、化石燃料にかわる代替的なクリーンエネルギーとして、エネルギー構造のダイナミックな変革やエネルギー安全保障のリスク分散が期待をされているところであります。
 昨年十二月に燃料電池が発売されましたけども、いよいよ、水素エネルギーの実用の段階に入ったところであります。
 しかし、水素エネルギーの普及に当たっては、これはもうさまざま議論が出ておりますけれども、インフラの整備や水素の安全性に関する都民の理解促進、規制緩和などさまざまな問題があるわけであります。
 都として、水素社会の実現に向けてどのように取り組んでおられるのか、改めてお聞きしたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 これまで水素戦略会議で議論を重ね、二〇二〇年及びそれ以降を見据えた戦略目標を取りまとめ、長期ビジョンに反映させたところでございます。
 今回の予算案にも、燃料電池車やバスの普及、水素ステーションの整備促進など、二〇二〇年まで継続的に民間の取り組みを後押しできるよう、支援策を盛り込んでおります。
 今後は、これまでの戦略会議を推進会議に改組し、数値目標の達成に向け、官民を挙げた取り組みを一層充実させてまいります。
 また、都民に対する普及啓発に取り組むとともに、国に強く規制緩和を求めてまいります。
 こうした取り組みを推進し、官民一体となって、水素エネルギーの普及に向けた歩みを加速させてまいります。

○こいそ(明)委員 東京から官民挙げて、水素の利活用分野を拡大すること、これも重要だと思います。
 昨年の燃料電池車に続き、二〇一六年には、燃料電池バスが発売される予定であります。
 しかし、水素の需要をさらに創出させるには、私は、セダン型の自家用というんですか、セダン型自動車やバスだけではどうかというふうに思うんですね。
 これは環境確保条例の中でも、あのときに、あれは全然、話、取り組みは違いましたけれども、やはり貨物車ですよ、トラック、都内の車両の約二割を占めているトラックを初めとするさまざまな車両への燃料電池の導入は、極めて効果が高いんではないかと私は思うんですね。
 現在、自動車メーカーで、トラックへの燃料電池を導入するんだというところは聞かれておりません。今どうなっているかよくわかりませんけれども、トラックについては、余り話聞かないですね。
 燃料電池トラックの市場の投入に向けて、都が先導的にさまざまな対応をしていってもいいんじゃないかと私は思うんですね。メーカーの動きをさらに誘導する、このあたりも大切なところじゃないかなと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 ご指摘のとおり、水素エネルギーの普及を図るには、需要の創出が重要であり、自動車やバスだけではなく、トラックを初めとするさまざまな車両への燃料電池車の導入が有効であると認識しております。
 現在、自動車メーカーは、バスの開発には取り組んでいるところですが、技術的な課題などもあり、トラックについては見通しが立たない状況であると聞いております。
 都といたしましては、燃料電池トラックの市場投入について、自動車メーカーに対して要請をするとともに、国などに対しても、メーカーを誘導するよう強く求めていくことを検討してまいります。

○こいそ(明)委員 ぜひ、そういう市場のさらなる拡大というんですかね、創出、拡大、このためにも必要じゃないかと思いますね。
 燃料電池車の普及は、水素ステーションの整備を進めることが不可欠であります。東京では地価が高い、ステーション用地を新たに確保することは困難という事情はあります。民間のガソリンスタンドを転用したり、東京都の関連用地を活用する取り組みも必要だというふうに思います。
 こうした中、先ほどの話にもありましたけれども、都は、先月、東京都環境公社の保有する潮見の用地を活用して、新たにガソリンスタンドを併設した水素ステーションを整備するため、事業者の公募を開始しております。
 こうした中で、都は、都内の水素ステーションの数をふやすために、都と環境公社が連携して取り組みを進めようとすることは理解ができるわけでありますけれども、今回の公募に関していえば、幾つかの論点があるんではないかと私は感じています。
 まず、第一点目として、土地を提供する、そもそもの環境公社、この役割はさまざま担っていただいているけれども、こういうエネルギー分野というか、このインフラ整備についても、環境公社自身が、みずからの用地でありますから、ステーションの経営も、運営も担っていくということも、これは考えてもいいんじゃないかと私は思うんですね。
 仮に、現在、水素ステーション経営のノウハウがないんだというお話がありますけれども、どこだって初めからあるわけないので、公社には、ノウハウが蓄積されるまで、本来このような形で公募に出さないで、土地の活用を留保するという選択肢はとれなかったのかなと思うんですね。
 今回、都の関連用地を活用した第一段階であり、今後のモデルケースとなるものであるからこそ、公社の用地、公社がみずからこのステーションの運営に当たっていく、そして受け入れ教育もしていくと、こういう姿勢こそがあってしかるべきじゃないかと思うんですね。
 二点目は、ガソリンスタンドの併設を条件としている点です。約五億近いかな、運営費も出ますよね。しかし、実際の計画を見れば、ガソリンスタンド、それで整備できますよ、大体からして。そうしたときに来る車両は、ほとんど軽油かガソリン、灯油もあるかもしれないけれども、そういう中で、何で公有地であるところに、民間のガソリンスタンドをわざわざつくらせて、これは水素スタンドですよという主張は、私はいかなるものかなというふうに思います。
 そして、その中で、使用する土地の面積やステーションとしての運営規模は大きくなっているようでありますけれども、本来、これを拡大に次ぐ拡大をしていくのであるならば、中小零細企業者でも、奮闘、努力をする中で、公募に参加できなくてはいけないと思うんですね。
 しかし、はっきりいって、現実、これはなかなか難しいです。恐らくはわかりませんけれども、大手の企業がという予測はちょっとしてしまうんです。今回の公社用地を活用するプロジェクトは、競争力の高い大手企業が、都内でも地域の貴重なインフラである中小ガソリンスタンドの経営を、私はこのあたりどうなのかなと。だって、大手が直接販売まで介入して、都内のエネルギーインフラ、今、大変な状態になりつつある中で、さらにまた公有地にガソリンスタンドをつくらせると。それも恐らくそうなるんじゃないかな、大手に。いかなるものかなと。
 また、この条件は、大手企業の採算を考えたものじゃないかと。私は、明らかに問題があるというふうにいわざるを得ません。
 水素活用の目的は、低炭素社会の構築であることを考えるならば、ガソリンスタンドの新設、併設じゃなくて、既存のガソリンスタンドの有効的な利用、活用ということを推進すべきですよ。しかし、何で公有地に改めてガソリンスタンドをつくらなきゃいけないのか。化石燃料から脱却といっている中で、排気ガスは大分少なくなったけれども、ここにCO2をどんどん出している車両がばんばん集まってくる、また行く。だって、その後わかりませんけども、水素車なんていうのは、割合としては、ほとんど少ないんでしょう。私はやっぱり、何かもう少し考えてもらってもよかったんじゃないのかなと。
 水素活用の目的は、低炭素社会の構築であることを考えるならば、今、ちょっと重複してしまいましたけれども、ガソリンスタンドの新たな併設ではなくて、水素ステーション単独の整備をする。このことこそが、私は都民に向けても、環境局が目指す、東京都が目指す水素社会の到来に、そこで目いっぱいアピールできるじゃないですか。補助金だって、運営費だって出すんだから、それを何もガソリンスタンドやらせることはないですよ。
 まず、この二点に関して、都としてどういう考えを持っているのか、今回の公募のやり方をこのようにとった、どうしてとったのかということを含めてお伺いしたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 大変重要な論点のご指摘を二点いただいたわけでございます。
 まず、公社の関与についてでございますが、都は、戦略会議での議論を経て、二〇二〇年までに三十五カ所の整備目標を掲げており、この達成にはできるだけ早く整備を進める必要がございます。
 そのためには、現時点で十分なノウハウを有していない公社ではなく、既に一定程度ノウハウを持つ民間での取り組みを後押しすることが重要と考えたものでございます。
 次いで、ガソリンスタンド併設を条件にした理由についてでございますが、水素戦略会議でも、土地の確保が困難な都内で、水素ステーションを整備するには、ガソリンスタンドなど既存のインフラを活用するのが効果的であるとしております。
 これはおっしゃるとおり、新設ではなく既存のガソリンスタンドへの併設を促す趣旨でありまして、今回、併設可能な敷地面積を有する公社敷地の有効活用に加えまして、水素ステーションとガソリンスタンド併設の機器設置などのノウハウの蓄積や中小事業者の人材育成などを図ることで、今後、中小ガソリンスタンドへの水素ステーション整備につなげていくと、こういうものでございます。
 ご指摘を踏まえまして、中小ガソリンスタンドの参画に資するとともに、水素エネルギーの普及啓発に活用するよう、全力を尽くしてまいります。

○こいそ(明)委員 今回の公募で中小事業者に配慮している。ちょっと、これはわからないな。それでも、私は、何回もいって申しわけないんですけれども、このステーションにガソリンスタンドを併設することが本当に好ましいのか、非常に疑問なんですね。また、先ほど申し上げましたけれども、公社がみずから水素ステーションの運営に、ここらあたりから乗り出してもよかったんではないかな。
 例えば、スタンドの建設と保守管理に関しては部分的に業者に任せたとしても、水素ガスを取り扱う有資格者を公社自身が育成するなり、雇用をして経営主体者となることが、私は可能ではないかと思うんですね。そして、公社がみずからステーションを経営することで得られた、まさに生きたノウハウ、これはやっぱり気づかなかったと、これはこうすべきだと、改良点はこうあるべきだということのノウハウを中小企業者に提供する。
 やはり、民間企業がやれば、それなりの補助金をもらったとして、投資をかければ、やっぱり企業ローンにいっちゃいますよ。その中から見たときも、中小企業の事業者も今後、水素ステーションの事業に、中小企業者がそこでトレーニングしたり、いろいろ聞きに来る。いろいろまた経過があるそうでありますけれども、それをさらにもっと促進していくんじゃないのかなという感じがするんですね。資金力や人材の豊富な--豊富かどうかはちょっとあれだけど、資金力や人材が一定的にしっかりと財政運営されている公社が経営できないのであるならば、はっきりいって、とてもとても中小企業者はステーションの参加はできませんよ。
 いろんな諸条件をクリアするためにも、将来に向けて、今、述べさせていただいたようなことを公社と東京都でしっかり考えていただきたい。公社自身も水素ステーションの整備、水素エネルギーの普及拡大に向けて、これもやはり汗をかくというか、取り組んでいただきたいと思いますね。
 水素社会の実現を目指した官民の取り組みの中で、今後果たすべき環境公社の役割はそこにもあるんじゃないかなと私は考えているところでありますけど、所見をお伺いします。

○篠原環境政策担当部長 東京都は、水素社会の実現に向けまして積極的に施策の展開を図っておりますが、都の環境行政を補完する環境公社におきましても、こうした都の施策と連携協力を進めていくことが当然に重要でございまして、このためには、水素エネルギーの活用に関して公社自身が知識や経験を高めていくことも必要になってまいります。
 都としましては、今後、公社には、今回の公社用地の活用をしていく中で、さまざまな知識やノウハウを蓄積していただき、これを都民への普及啓発や中小事業者への情報提供、それからステーション事業にかかわる人材育成などに生かしていってもらいたいと考えております。
 本日、委員からいただきました意見も踏まえながら、都と公社で、こうした公社が今後果たしていく機能につきまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

○こいそ(明)委員 ただいまの答弁で、環境公社の役割として、都民への普及啓発や人材育成などとの発言がありました。
 やはり、私も、中小企業者がこの水素ステーション事業に拡大していくには、水素社会を構築していくにはいろんな参加が必要だと思うんです。チャレンジが必要だと思うんですよ。それをやはり可能にしていかなければ、本当の意味の水素社会の実現というのはどうなのかなという感じもするんですね。大手だけがやればいいんだと。大手はやはり、中小がどんどん疲れたら、多少困るかもしれない、わからないけど。大手だけで全部席巻して、ありとあらゆる異業種の方まで展開して、既設、既存のところが、がたがたがたと崩れてしまっても困るわけであって、ですから、ぜひこういう今後の水素時代の可能性というものを、それぞれの中小企業の可能性をもって、そして取り組んでいく。取り組んでいくということが裾野を広げていることではないかというふうに思えてならないですね。
 今後、公社と東京都がしっかりと--私はやっぱり公社の役割が大きいと思いますよ。公社と東京都がしっかりとこのようなことを検討していただくことを要望させていただきたいと思います。
 それともう一点。大規模な団地が再生事業を行う。長期ビジョンに載りました。多摩ニュータウンもそうだ。その中で、今、いろんな提案があるんですよ。エコタウン、水素タウン。ええっ、水素タウンって何というけれども、これ、実は私はせんだってフランスのある設計の方だったかな、いろんな提案を聞く機会があったんだけど、要するに自動車だけじゃないですね。これからは、やっぱり水素時代というのはあらゆる形の中でこれに取り組んでいくということが必要なのかなと、お話を聞かせていただく中でそう思いました。具体的にはどうなのかということはちょっと時間がかかるでしょうけれども、ですから、ぜひひとつ、そういう中でもそれぞれがそれぞれの立場立場の中で、特に先ほど公社ということをちょっと中心にお話をさせていただきましたけれども、大いに活用していただいて、公社の機能をさらに充実させ得ることもこの機会に必要ではないかということを要望させていただきたいと思います。
 それでは次に、資源循環施策について伺います。
 都は、長期ビジョンで示した持続可能な資源循環型都市の構築に向けて、今年度中に資源循環の取り組み方針を策定するとともに、平成二十七年度予算では、先進企業等と共同したモデル事業の実施や、事業系廃棄物のルールづくりを行っていくとしております。
 世界一の循環型都市を目指すためにも、区市町村による資源回収の拡大を図ることはもちろんでありますけれども、事業者による自主回収を促進していることも重要だというふうにも思います。
 廃棄物の適正な処理やリサイクルには相応のコストの支払いが必要であり、廃棄物を扱うことができるのは、その事業を的確に行うことのできる者として都道府県知事等の許可を受けた事業者に限られております。例えば、リサイクルが目的だったとしても、誰もが廃棄物の収集運搬や処分を行えるわけではなく、事業を的確に行える者であることが必要であります。
 今般、都は、店頭回収された廃ペットボトルについて、法的な課題を整理するとともに、収集運搬や処理に関する許可が不要となる再生利用指定制度を活用することとされるようであります。
 早ければ今月末にはこの制度が動き出すと聞いておりますけれども、どのようにこの制度を活用していくのか、東京都のスキームを教えていただきたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 世界一の都市東京にふさわしい持続可能な資源利用を進めていくためには、資源の特性に合わせた多様な回収ルートを構築することが必要だと考えております。
 そのためには、ご指摘をいただきましたとおり、区市町村と連携し、行政や自治会による資源回収を拡大するとともに、製品の製造や販売を行う事業者による自主的な回収を促進させる必要があると考えております。
 廃棄物処理法では、産業廃棄物の収集、運搬や処分を業として行うためには、原則として都道府県知事の許可を受けることが必要となります。
 一方、法律では、都道府県知事が指定を行うことにより、再生利用されることが確実である産業廃棄物の収集運搬や再生処理に関する許可を不要とすることができる再生利用指定制度が設けられております。
 そこで、都は、この制度を活用し、スーパーやコンビニ等の小売店の店頭で回収された廃ペットボトルに関して、これを原料として再生フレークや再生ペレット等の再生プラスチック原料を製造する事業者について、個々の事業者からの申請に基づいて、廃棄物処理法の許可を受けることなく再生ができるとの指定を行います。
 また、店頭回収された廃ペットボトルを指定を受けた再生事業者に運搬する事業者については、原則として個別の申請を行うことなく、廃棄物処理法の許可を受けずに運搬ができるとの指定を行います。
 こうしたことによりまして、許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に加え、ペットボトル飲料の商品をスーパー等に納入した物流業者、いわゆる戻り便等を利用した運搬も可能となることから、自主的な回収にかかる負担が軽減でき、廃ペットボトルの店頭回収が促進されるものと考えております。

○こいそ(明)委員 ただいまの答弁によりますと、事業者による自主回収を促進するために、小売店の店頭で回収された廃ペットボトルに限って再生利用指定制度を活用するとのことでありますけれども、これに限定をするという、そもそもの理由はどこにあるんでしょうか。

○齊藤資源循環推進部長 小売店の店頭で回収される廃ペットボトルに関して申しますと、主にこれは都民の皆様が、ご家庭などでキャップやラベルを外して、中をすすいで潰したものを持ち込んだものであることから、概してリサイクル原料としての品質が高く、一定量を収集し、再生事業者に持ち込んだ場合、有価での買い取りが行われております。
 このため、不法投棄等の不適正処理の可能性はほとんどございません。
 加えて、店頭回収された廃ペットボトルは高品質であることなどから、再生工程において残渣の発生が少なく、そのほとんどが再生資源として利用されることが確実であると考えられます。
 したがって、残渣が不適正処理される可能性も低いと考えられます。
 しかし、小売店から再生事業者までの運搬を考慮すると、同様の性状のものであっても、運搬距離や収集量の違いによっては売却益より運搬費の方が高くなり、排出時点においては廃棄物に該当するとの判断になるケースも発生します。
 また、市況の変動や持ち込む量によって売却益が変化し、廃棄物であるかどうかの判断が変わってしまうことも考えられます。
 このため、事業者が安定的に自主回収を実施できるよう、再生利用されることが確実であると考えられる店頭回収された廃ペットボトルについては、再生利用指定制度を活用し、小売店から都が個別に指定した再生事業者に運搬する場合は、一律に収集運搬の許可を不要とするものでございます。

○こいそ(明)委員 店頭回収された廃ペットボトルについては、基本的には有価物に近いものでありますけれども、さまざまな条件によって廃棄物扱いとなり、リサイクルされなくなるという懸念から、再生利用指定制度を活用して回収を促進するという今回の都の取り組みの趣旨はわかりました。
 しかし、収集運搬業の許可が不要となるものの中には、処分費を徴収しているケースもあるわけであります。
 例えば、これは国の広域認定制度についてでありますけれども、消火器の処理について、これまで販売事業者が引き取って、廃棄物として許可業者が収集、運搬、処分を行ってきました。しかし、平成二十一年に国の認定を受けてからは、日本消火器工業会が申請した事業者が、収集運搬の許可を得ずに運搬することができるようになったということなんですね。
 今回、ペットボトルに限るとのことでありますけれども、リサイクルが目的であっても、処分費を徴収するような場合は不適正な処理につながらないかという懸念もあるわけであります。
 このため、都は、再生利用指定制度を適用するに当たっては、やはり一定のルールが必要じゃないかと思うんですけれども、このあたりどうでしょうか。

○齊藤資源循環推進部長 事業者による自主回収やリサイクルを促進するためには、適切な再生処理を担保するとともに、再生利用制度の活用を含め、効率的な回収、リサイクルの仕組みを構築していくことが必要であると考えております。
 また、こうした仕組みを担う事業者については、回収、リサイクルの対象となる廃棄物の特性に応じて、その事業を的確に行える能力を備えていることを確認することが必要だと考えております。
 このため、都は、再生利用指定制度の対象とする廃棄物や、廃棄物の特性に応じて必要となる能力の確認方法など、制度の活用に当たって必要となる事項について整理し、ルール化することを検討してまいります。

○こいそ(明)委員 店頭回収された廃ペットボトルのように、有価物に近くて、間違いなく再生利用されるようなものについては積極的に規制を緩和しながらも、効率的なリサイクルを目指すことが必要であると思います。
 しかし、リサイクルが目的であるからといっても、何でもかんでも規制緩和では、不適正処理がいまだ根絶されない中で不適正な処理を招き、都民の生活環境を脅かすことにもなりかねないというふうに思うんですね。
 都は、再生利用指定制度を活用する際には、今ご答弁ありましたけれども、その適用についてしっかりとしたルールを定め、個別の事案ごとに慎重に検討を詰めていただくよう要望させていただきたいと思います。
 次に、不用品の回収業者対策について伺います。
 産業廃棄物収集運搬や古物商の許可のみで、一般廃棄物を収集運搬する許可を得ずに一般家庭から粗大ごみや廃家電などを不用品回収と称して活動している業者が、このところ少なくありません。こうした違法業者の中には、都民に対し高額、まさに法外な請求を行う、いわゆる悪質なものも少なくないというふうに聞いています。
 まず、都として、その活動実態はどのように把握しているのか伺いたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 都では、不用品回収業者の立入指導を平成二十三年度から実施し、指導を行っております。
 不用品回収業者は、ただいまご指摘をいただきましたように、区市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を得ずに粗大ごみや廃家電などを回収しているケースがほとんどです。しかも、買い取りといいながら、作業費と称して料金を要求しているケースも少なからずあると認識しております。
 また、集めたものは、中古品の海外輸出業者への売却、壊れて使えないものは金属スクラップとして売却、売れないものは産業廃棄物として処分しているケースも多いと認識しております。

○こいそ(明)委員 一般廃棄物に関する指導権限は区市町村にあるわけでありますけれども、まずは区市町村がしっかりとこうした悪質、違法な業者の指導に積極的に取り組むことが原則でありますけれども、これは重要であると思います。
 しかしながら、熱心に指導に取り組む自治体と、そうでもない自治体があるようにも聞いております。
 そこで、広域的な立場にある都として、やはり区市町村への何らかのこれに対する支援が必要と考えるところでありますけれども、都の取り組みはどのようになっておられるのか伺いたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 ほとんどの不用品回収業者が廃品回収ではなくリサイクル品として買い取っていると主張することから、立入指導に当たっては、回収されたものを廃棄物と認定するための判断、手法などのノウハウが必要で、区市町村だけでは対応が難しいこともあります。
 このため、都としましては、これまで蓄積してきた立ち入りノウハウなどを区市町村に提供するとともに、区市町村とともに不用品回収業者に対する合同立入調査を行うなど、指導方法の支援を行ってきております。
 こうした取り組みにより、現在、徐々にではありますが、区市町村による指導も広がりつつあると認識しております。

○こいそ(明)委員 今後とも、広域的な立場にある都は、区市町村の取り組みがより一層進むように、しっかりと支援をしていただきたいと思います。
 また、無許可で一般廃棄物の収集運搬を行う業者には、区市町村だけではなくて、産業廃棄物に関する指導権限を持つ都も直接、指導を行うべきではないかと考えてございます。
 そうした業者への都の立入指導はどうなっているのかお聞かせいただきたい。

○齊藤資源循環推進部長 都の不用品回収業者への立入指導では、買い取ったと主張するものについては伝票類の確認を行い、違法行為が確認されれば文書による指導を行い、事業の廃止や転換を促しております。
 また、ご指摘がありましたように、都民の皆様への直接被害が生じる高額請求など悪質なケースについて、先月、区からの一般廃棄物収集運搬業の許可を受けずに一般廃棄物である粗大ごみや廃家電等を回収したとして、都が交付した産業廃棄物収集運搬業の許可取り消しを行い、公表を行ったところでございます。
 都は、不用品回収業者への立入指導を平成二十三年度より行ってきておりますが、一般廃棄物収集運搬業の無許可営業に基づき産業廃棄物収集運搬業許可を取り消したものは都としての初めてのケースでございまして、全国的に見ても珍しい事例です。
 今後、こうした悪質な不用品回収業者については、都としても厳正に対処してまいります。

○こいそ(明)委員 産業廃棄物の許可を持っているということは、無許可営業が重大な法違反だということは認識をしているはずだと思います。こうした業者に対して、都は、許可の取り消しなど積極的に厳正な処分を行って、悪質な許可業者の排除をしていくべきだというふうに考えます。
 都が今回、悪質な業者に対して初めて行政処分を下したことは、極めてインパクトがあると思います。都は産業廃棄物行政を牽引していくという自負とミッションがあるわけであって、引き続き積極的な指導を行うことを強く要望させていただき、質問を終わります。

○きたしろ委員 二時間ぐらい時間が短くなっておりますので、私が最後ですから、よろしくご協力のほどお願いを申し上げます。(発言する者あり)了解しています。
 私は、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京をつくろう、実現しようということで、都議会議員として働かせていただいております。そしてまた、区議会議員のときは、花と緑の港区というようなテーマを持って動いておりまして、長年、緑を生かしたまちづくりに取り組んできたわけです。本日もこれに関連して質問をさせていただきます。
 我が党は、本定例会における代表質問において、世界で一番美しい都市の実現に向け、五輪開催時のおもてなしにもなり、また、その後も都民に長く愛され親しまれる花と緑の空間を創出するための具体的取り組みを求めました。
 これに対し、都は、来年度、新たに花と樹木による植栽づくりを行う民間事業者等や、地域緑化に取り組む区市町村を支援していく考えを明らかにしたところでございます。
 都内は、都がこれまで積極的に取り組んできた海の森、公園、街路樹などの整備や、私の地元港区などでの都市再開発事業に伴って創出された良好な植栽などによって、少しずつ身近な緑がふえてきたように感じています。ここに美しい花や実のなる樹木が加われば、景観がより華やかになるとともに、自然の野鳥が訪れるようになるなど、都市の魅力が格段に向上するため、私も全面的に応援したいというふうに考えています。
 そこでまず、来年度から開始される民間事業者等への支援策の具体的な内容についてお伺いをいたします。

○笹沼自然環境部長緑施策推進担当部長兼務 来年度予算案におきまして、接道部や開放空間など人の目に触れる、あるいは立ち入ることのできる屋外で先導的に花と緑による植栽づくりに取り組む民間事業者等に対する支援を予定しております。
 具体的には、生態系への配慮の観点から、面積の三分の一ずつを花と樹木、残り三分の一は水面、花、樹木のいずれかで構成することなどを要件とし、緑化計画書制度に基づく義務分を除きまして、百平米以上の植栽を対象に、設計施工費の二分の一を一千万円を上限に助成する考えでございます。
 また、当該植栽に生息または飛来する野鳥や昆虫等を三年間モニタリングする場合には、補助率五分の三、上限一千二百万円に引き上げます。
 良好な取り組みに対しましては、ホームページ等で広く紹介し、他の民間事業者等の取り組みを促しますとともに、都民の生物多様性の保全に関する意識の向上を図ってまいります。

○きたしろ委員 都内には華やかでまとまりがある緑が不足していると感じるため、民間事業者等に人の目を引くような植栽を意欲的につくってもらう、この取り組みは大変意義のあることだと思います。
 民間事業者を支援して一定規模以上のまとまりのある植栽をふやしていくこともよい取り組みだと思いますが、それだけでなく、地域の住民も巻き込んだ緑化もあわせて普及させていけば、二〇二〇年大会の機運醸成に生かせると考えます。
 地域を巻き込んだ花と緑の取り組みを進めていくためには、地域に身近な区市町村との連携も重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○篠原環境政策担当部長 今、理事からお話しいただきましたように、民間事業者による取り組みとあわせて、地域に密着した区市町村が住民やNPOなど地域のさまざまな主体と連携して花と樹木をふやしていくということも重要でございます。
 このため、二十七年度から、区市町村が民間団体等と連携して行う草花や樹木による植栽づくりなど地域に根差した取り組みにつきまして、区市町村補助制度を活用して支援してまいります。

○きたしろ委員 民間事業者等のダイナミックな取り組みと地域の広がりを持った取り組みのさまざまなレベルの植栽を支援することで、花と緑に囲まれた美しい空間が東京全体に及んでいき、世界で一番美しい都市東京が実現できます。
 ぜひ積極的に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、スマートエネルギー都市の創造についてお伺いをいたします。
 本年一月より、我が国のエネルギー需給構造の将来像、いわゆるエネルギーミックスに関する議論が始まっているところです。
 第四次エネルギー基本計画では、エネルギーミックスについて、水力、火力、原子力、再生可能エネルギーなどエネルギー源ごとの位置づけを踏まえ、原子力発電所の再稼働、固定価格買い取り制度に基づく再生可能エネルギーの導入や、国連気候変動枠組条約締約国会議、COPなどの地球温暖化問題に関する国際的な議論の状況等を見きわめて示すことになっています。
 我が国のエネルギーの現状を見ると、東日本大震災以降、経済産業活動を支えるエネルギー需給は予断を許さない状況にあります。全ての原子力発電所が停止し、電力の安定的な確保が大きな課題となる中、安定供給に課題のある老朽火力に頼らざるを得ない状況が続き、化石燃料の大量消費によるCO2排出量の増加、輸入燃料の増大による国富の流出を招いています。
 電力供給においては、日本経済の産業競争力を損なうことのないよう、安定供給、低コスト、地球温暖化対策等の観点を踏まえ、現実的かつバランスのとれた供給構造を実現していく必要があると思います。
 東京は、日本の首都として経済活動や都市活動を支えるため、膨大なエネルギーを消費しており、今後も持続的な発展を継続するため、実効性の高いCO2削減、省エネルギー対策や再生可能エネルギーを初めとする低炭素エネルギーの普及拡大が求められます。
 また、利用の段階でCO2を排出しない水素エネルギーも次世代エネルギーとして有効です。
 今後、こうしたエネルギー施策を総合的に展開していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 我が国が産業競争力を確保しつつ気候変動の危機に対処し、持続可能な発展を継続するためには、省エネ、CO2削減を進めるとともに、安価で低炭素なエネルギーの安定的確保が不可欠です。
 こうした観点から、都は率先して、省エネ、節電とともに、低炭素で災害にも強い分散型エネルギーの拡大やエネルギーマネジメントの推進など、東京の発展を支える実効性の高いエネルギー施策の強化を図ることとし、東京都長期ビジョンで今後の施策展開を示したところでございます。
 具体的には、これまでの施策を着実に進めるとともに、さらなる創意工夫を重ね、建物の断熱性能の向上や、取り組みが進みにくい中小規模事業所の省エネルギー化、燃料電池車など水素エネルギーの活用、再生可能エネルギーやコージェネレーションの導入拡大などを積極的に進め、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現を目指し、取り組んでまいります。

○きたしろ委員 我々はこれまで、エネルギーを大量に消費することにより、便利で快適な生活を享受してきました。しかし、これからは、ライフスタイルやエネルギーの使い方を根本的に見直し、賢い節電やエネルギーの低炭素化、効率的利用を進め、地球や自然と共生をし、快適性や防災性も兼ね備えたスマートエネルギー都市をともにつくっていきたいと思います。
 これで私の質問は終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会

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