環境・建設委員会速記録第十四号

平成二十六年十一月二十日(木曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長野上ゆきえ君
副委員長河野ゆりえ君
副委員長山田 忠昭君
理事山内れい子君
理事きたしろ勝彦君
理事小磯 善彦君
米倉 春奈君
河野ゆうき君
高椙 健一君
大西さとる君
高橋かずみ君
こいそ 明君
藤井  一君
林田  武君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長長谷川 明君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
都市地球環境部長谷上  裕君
都市エネルギー部長櫻井 和博君
都市エネルギー技術担当部長石川 裕通君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長緑施策推進担当部長兼務笹沼 正一君
資源循環推進部長齊藤 和弥君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務山根 修一君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○野上委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○池田総務部長 去る十月二十一日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次にありますとおり、十四項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十五年度から平成二十四年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値、及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 なお、平成十五年度以降につきましては、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で二段書きとしております。
 二ページをお開き願います。2、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十五年度から平成二十四年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値、及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況でございます。
 平成二十五年三月末現在における都内の各発電ごとの普及状況を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、平成二十年度から平成二十四年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。5、平成二十五年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における各測定局ごとの年平均値を記載してございます。
 七ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
 八ページをお開き願います。6、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十七年度から平成二十六年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、予算額及び決算額を記載しております。
 九ページをお開き願います。7、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一二ページにかけて記載しております。
 一三ページをお開き願います。8、都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の推移でございます。
 平成十年から平成二十六年九月末までの各年における都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の日数を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。9、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十七年から平成二十六年九月末までの各年における都内の真夏日、熱帯夜の日数を記載しております。
 一五ページをお開き願います。10、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十五年、平成二十年及び平成二十五年のみどり率を記載しております。
 一六ページをお開き願います。11、大気汚染についての測定結果及び河川、東京湾のBOD、CODの経年変化でございます。
 (1)、大気中の二酸化窒素及び(2)、大気中の浮遊粒子状物質につきまして、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局におけるそれぞれの年平均値の経年変化を記載しております。
 一七ページをお開き願います。(3)、河川のBOD及び(4)、東京湾のCODにつきまして、グラフ中の右上にございます測定地点における年平均値の経年変化を記載しております。
 一八ページをお開き願います。12、東京都内における温泉の掘削許可件数の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十五年度までの各年度における東京都内の温泉の掘削許可件数を記載しております。
 一九ページをお開き願います。13、都への提言、要望等の状況(環境局分)でございます。
 平成二十五年度における自然環境や自動車公害、廃棄物対策などの各分野に対する苦情、要望、提言、意見の件数を記載しております。
 二〇ページをお開き願います。14、ディーゼル車指導の取り組み状況でございます。
 平成十六年度から平成二十五年度までの各年度における運行禁止命令台数を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 私は、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京の実現ということを大きな政治テーマの一つとして政治活動をしてまいりました。
 港区は、二十三区で昼間人口が最も多いほか、主要な民放テレビ五局全ての本社を初め、企業の中枢機能が集積しております。日本有数の業務・商業都市ですが、まちを歩いてみると、赤坂御所を初め、有栖川公園や芝公園、増上寺など、歴史を有する貴重な緑が数多く残されており、魅力的なまち並みが心を和ませてくれます。
 私は、港区が、利便性や業務機能の高さだけでなく、人々に潤いや安らぎを与える良質の緑をあわせ持っていることが、国内外から多くの人や企業を引きつける要因の一つと考えており、こうした点から、東京全体のまちづくりにとっても緑が非常に重要な要素だと思っております。
 都は、さきの第三回定例会において、都内の緑の状況を示す指標であるみどり率について、平成二十五年の調査結果を明らかにしたところですが、改めて、その具体的な内容についてお伺いをいたします。

○笹沼自然環境部長 平成二十五年のみどり率は、前回の平成二十年調査と比較いたしますと、都全域で〇・二ポイント減の五〇・五%となり、ほぼ横ばいでございました。
 みどり率の増減要因を分析いたしますと、区部では、農用地は減少するものの、公園、緑地や樹林、原野、草地は増加し、平成十五年の調査開始以来、初めて〇・二ポイントの増加に転じました。この結果は、都市公園や海の森の整備、校庭の芝生化、緑化計画書制度に基づく再開発時の緑化など、都のこれまでの緑を創出する施策効果も反映されているものと考えております。
 また、多摩部につきましては、宅地開発の鈍化によりまして、みどり率の八割以上を占める樹林、原野、草地の減少が大幅に縮小する一方、公園、緑地が増加しまして、全体としては〇・三ポイントの減少でございました。
 都は、今後とも、関係各局と連携をいたしまして、緑の創出や保全に努めてまいります。

○きたしろ委員 区部では、公園や緑地などがふえたことでみどり率が増加に転じたとのことですが、確かに港区内でも、六本木ヒルズやミッドタウン、最近では、赤坂サカスやアークヒルズ、仙石山森タワー、そして、ことし六月にオープンした虎ノ門ヒルズなど、新たなオフィスビル等の開業にあわせ、大規模で良質な植栽が誕生しており、以前に増して、緑がより身近になったと感じております。
 また、建設局が主導する街路樹を百万本に倍増する取り組みの一環として、私の地元にある新虎通りで、多様な植種により、一年中、季節感を醸し出す街路樹が整備中であるように、まち中の街路樹の様相も変わりつつあるようです。
 今お話しした民間事業者による緑化は、先ほどの答弁にもあった緑化計画書制度によりつくり出されたものですが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向け、さらに緑豊かで美しい東京を実現するためには、最近の港区内の民間事業者による緑化事例のように、生態系に配慮した在来種植栽など、質の高い緑をふやしていく必要があります。
 そこで、緑化計画書制度を通じて、こうした在来種による植栽づくりを積極的に推進していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○笹沼自然環境部長 委員ご指摘のように、今後の緑づくりに際しましては、緑の質に着目し、生態系への配慮の観点が必要と認識をしておりまして、これまでも、緑化計画書に関する事前相談等に際しまして、高木、中木、低木といった高さの異なる樹木を織りまぜることや、樹種を多様化することにより、生物の生息しやすさを考慮した魅力ある植栽づくりを誘導してまいりました。
 また、広く都民や事業者の方々に在来種に関する理解と積極的な利用を促すことが必要であるため、今年度、在来種選定ガイドラインを作成したところでございます。
 今後は、緑化計画書制度の運用に際しまして、本ガイドラインを積極的に周知、活用いたしますとともに、都と同様に民間事業者等に対する緑化指導を行っている区市町村に対しましても、このガイドラインの活用を促すことによりまして、都内に在来種を用いた良質な植栽をふやし、自然と共生する緑豊かな東京を実現してまいりたいと考えております。

○きたしろ委員 東京、特に市街地において緑をふやしていくために、民間事業者や区市町村などとしっかり連携をし、都市に潤いや安らぎを与える緑化を誘導していくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、エネルギー政策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災以降、国民生活と産業活動の血脈であるエネルギーの安定的な確保が大きな課題となっております。
 原子力発電所が全て停止する中、この夏の電力需給は大変厳しいものになることが予想されていましたが、震災以降、定着をしつつある、多くの家庭や事業所での賢い省エネ、節電への継続した取り組みなどにより、心配された事態には至りませんでした。
 しかしながら、依然として安定供給に課題のある老朽火力に頼らざるを得ない状況が続いており、今後も電力需給は予断を許さない状況といえます。
 老朽火力発電所はCO2排出量が多く、地球温暖化の面でも好ましい状況とはいえません。また、全国の火力発電等のたき増しによる輸入燃料費は、燃料費の高騰等もあり、一日当たり約百億円とも試算され、これが電気料金にも影響していることを認識すべきであります。
 本年四月に閣議決定された第四次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを重要な国産エネルギー源と位置づけ、固定価格買い取り制度などにより太陽光発電などの導入が加速しましたが、一方で、急激な導入量の増加による賦課金など国民負担の抑制が課題となり、制度等の見直し議論が進められるなど、直ちに再生可能エネルギーで全ての電力を賄うことは困難です。
 長期にわたりこのような状況が続くと、企業や家庭の不安はますます増幅し、ひいては日本経済の活力に影響を及ぼす懸念があります。
 都は、再生可能エネルギーの利用割合を二〇%に高める目標を掲げていますが、こうした厳しい実態を受け、どう取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 我が国が持続可能な発展を継続するためには、エネルギーの利用効率を最大限に高めるとともに、安価で低炭素なエネルギーの安定的な確保に向けた取り組みが不可欠です。
 都は、電力の大消費地としての責務を踏まえ、無理なく賢い省エネ、節電に引き続き取り組むとともに、再生可能エネルギーを初めとする低炭素で災害にも強い分散型エネルギーの拡大やエネルギーマネジメントの推進に努めるなど、エネルギーの需給両面にわたる取り組みを強化しております。
 現在、都では、専門家による再生可能エネルギー拡大に向けた具体策の検討を進めているところです。
 固定価格買い取り制度の見直しに係る議論など、再生可能エネルギーを取り巻く現状を踏まえつつ、今後も、再生可能エネルギー拡大の動きを失速させることのないよう、都が率先して、東京の発展を支える実効性の高いエネルギー政策を展開してまいります。

○きたしろ委員 CO2排出量の増加がもたらす地球温暖化により、台風や豪雨、猛暑などの異常気象が頻発しており、先般は都内でデング熱の感染患者が確認されましたが、これも地球温暖化の影響があるのではないかと考えられます。
 これまで、人間が快適さや便利さを追い求め、エネルギーを大量に消費し続けてきたことに対し、地球が怒っているものと私は思います。
 人類が今後も地球や自然と共生していくためには、これまでのエネルギーの使い方やライフスタイルそのものを見直すことが必要であり、こうした覚悟を持って、引き続き知恵と工夫を凝らし、取り組みを進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○小磯(善)委員 それでは、再生可能エネルギーについてお伺いをいたします。
 さきに公表されました長期ビジョンの中間報告では、東京の電力に占める再生可能エネルギーの利用割合を二〇%程度に高めるという目標が示されております。都が高い目標を掲げて取り組むことが重要であり、今後、目標年次についても示していくことを期待するものであります。
 これまでも、都は、再生可能エネルギーの導入拡大に向けてさまざまな手だてを講じてきましたが、この高い目標を実現するためには、都内、都外における導入拡大への取り組みを一層強化していくことが必要であります。
 一方で、全国的には、国による固定価格買い取り制度のあり方に関する議論、また、九州電力を初めとする電力各社が相次いで発表した電力系統への接続問題など、再生可能エネルギーの導入拡大に向けたさまざまな課題が明らかになっております。こうした事態が、これまで培ってきた再生可能エネルギー拡大の機運の失速を招くことを強く懸念しているわけであります。
 今後、こうした課題も踏まえて、都としてどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 都は、電力の大消費地としての責務を踏まえ、一層の省エネ、節電とともに、再生可能エネルギーの導入拡大に努めていくことが重要であると認識しております。
 ご指摘のとおり、現在の国等の状況は、再生可能エネルギー導入拡大の機運の低下はもとより、市場の縮小により、新たな技術開発やコスト低下などへの取り組みも停滞する可能性があり、再生可能エネルギーの拡大に向け、大きな制約になることが懸念されます。このため、国に対し、他の自治体とも連携して提案等を行っているところです。
 今後も、エネルギー基本計画を踏まえ、再生可能エネルギー拡大の機運を失速させることなく、導入を加速する方策を講じていくことを求めてまいります。
 さらに、専門家による検討会での議論も踏まえ、今後とも、再生可能エネルギーの拡大に向けた需給両面での取り組みを推進してまいります。

○小磯(善)委員 東京都の取り組みというのは、やはり全国の取り組みへ大変影響の大きい自治体でございます。そういった意味で、今回、たまたまこの検討会が、この時期に再生可能エネルギー二〇%を目指してのそういう報告を出すというのは、ある意味では大変タイミングがよかったんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 そんなことで、今後も都が先頭に立って、都民や事業者、区市町村等の再生可能エネルギー拡大の機運を喚起し、一層の取り組み推進を図っていただきたいというふうに思います。
 次に、地中熱の利用についてお伺いいたします。
 地中熱は、空調や給湯に使用する電力消費量の削減につながるだけでなく、ヒートアイランド対策にも役立つものであります。
 十月三十日には、我が党の再生可能エネルギー促進プロジェクトチームが、その調査研究の成果を踏まえて、再生可能エネルギーの導入拡大策を東京都の方に提言させていただいたわけでございますけども、この中でも、地中熱利用の普及についてさまざまな提言を盛り込んでいるところであります。
 一般に、東京は地価が高く、土地の高度利用が進んでいることから、都内での再生可能エネルギー導入拡大はハードルが高いといわれておりますが、この点、地中熱は、東京の特性を生かした再生可能エネルギーとして、東京にもポテンシャルがあるのではないでしょうか。
 そこで、東京にはどの程度の地中熱のポテンシャルがあるのか、お伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 地中熱導入のポテンシャルにつきまして、平成二十四年度に環境省が簡便な方法で調査を実施しております。
 この調査によりますと、東京都内の地中熱の導入ポテンシャルは、年間七千億メガジュール以上とされております。

○小磯(善)委員 たしか、これは全国でポテンシャルが一番高いというふうに私は聞いておるんですけども、今のは環境省の簡便な方法の調査の発表でございますが、ポテンシャルはとにかく大きいということでございます。
 導入拡大に向けては、克服すべき課題が存在していると認識をしております。その一つは、認知度が低いと。近年、都内でも幾つかの先進的な事例が出てきていると聞いておりますけども、実際、どのように地下から熱をとるのかということも余り知られていないのではないでしょうか。
 そこで、都内での地中熱の代表的な導入事例と導入効果についてお伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都内では、スカイツリータウンや渋谷区立本町学園、小田急線東北沢駅などで導入事例がございます。
 スカイツリータウンでは、基礎ぐいと一体で交換器が設置されており、また、小田急線東北沢駅では、地下駅のトンネルの下に熱交換器を水平に設置し、深さを必要としない設備とするなど、さまざまな採熱の方法がございます。
 千代田区の中小ビルへの導入事例では、空調に係る消費電力量が年間で四九%削減されるなど、省エネ効果が確認されております。

○小磯(善)委員 ぜひともこのような事例を積極的にPRして、地中熱の認知度を高めていただきたいというふうに思います。
 私もスカイツリーの方の地中熱を見させていただきましたけども、その機械は見えますけど、地下の中というのは見えないわけでございます。そういったことで、導入を検討する上で、地下の状況を見ることができないのでハードルが高い、そういう声も聞かれるわけでございます。
 そこで、地中熱の利用を検討するときに東京都がデータを提供することで、そうした地中熱の促進ができるんじゃないかな、こう思うわけでございまして、積極的にデータを提供すべきだと、このように申し上げたいと思います。
 どのような情報が必要なのか、お伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 地中熱を利用する場合、空調や給湯に必要な熱量を得るためにどの程度の深さまで掘削が必要か、すなわち、その地点でとることのできる採熱可能量のデータが必要となります。このため、来年度、地質や地下の温度等の地盤情報から、都内における採熱可能量に関するデータを整備することを検討しているところでございます。
 実際に導入する際には、ボーリング工事により地下の採熱量を詳細に調査する必要がありますが、あらかじめこうした地盤データを都が整備しておくことによりまして、事前に採熱量の目安がわかりますことから、地中熱の導入検討のハードルを下げることができると考えております。

○小磯(善)委員 地中熱の導入検討のハードルを下げるという点からも、ただいま答弁のございました地盤データの整備を着実に進めていただきたいと思います。
 地中熱の利用拡大に向けたもう一つの課題は、地中から熱をとるためのボーリング工事などのいわゆるコスト面でございます。コストが高いということでありまして、こうした状況に対して、国、そして東京都においてどのような支援策が現在あるのか、お伺いをいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 国においては、二酸化炭素排出抑制を目的とした環境省の補助事業や、再生可能エネルギー熱利用の加速化を目的とした経済産業省の補助事業の中で、自治体や民間事業者が地中熱利用設備を導入する際の補助メニューがございます。
 また、都が今年度から実施しております区市町村との連携による地域環境力活性化事業におけるメニューの中にも、区市町村の施設等への導入に対する補助制度を設けているところでございます。

○小磯(善)委員 国や都の支援策はあるということでございますけども、まだまだこの設置コストが高いという課題がございますので、公共の分野、公共の施設等でしっかりとこの地中熱を導入することによって、いわゆる施工実績を積み重ねてコストダウンを図る、こういうことも大事だというふうに考えます。
 都施設の新築、改修に合わせて地中熱を導入するなど、公共セクターで率先して地中熱の利用を拡大していく必要があると考えますが、都の考えをお伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都施設の新築、改修に当たりましては、財務局の定めた省エネ・再エネ東京仕様に基づきまして、施設の特性や立地状況等に応じて導入を検討する再生可能エネルギーとして、地中熱の導入が位置づけられております。
 また、先ほど答弁させていただきました地盤情報の整備や地域環境力活性化事業によりまして、区市町村施設への導入を促してまいります。

○小磯(善)委員 公共施設への導入による認知度向上という意味では、二〇二〇年に開催をされるオリンピック・パラリンピックの施設に、本来ならというか、積極的にこういった地中熱等の導入を促進していただきたいと思うわけでございますけども、これは局が違うということもございますので、しっかりと要望しておきたいというふうに思います。
 ここまで、認知度向上やコスト低減策など具体的な取り組みについて伺ってまいりましたが、これとあわせて、都が地中熱の利用拡大を積極的に推進していくという政策上の位置づけを行うことも重要と考えます。
 東京の再生可能エネルギーの利用拡大を進めるに当たり、地中熱をどのように位置づけていくのか、お伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 東京の電力に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度まで高めるという目標を実現するためには、分母となります電力消費量の縮小と、分子である再生可能エネルギー電力の供給拡大とを両面から取り組んでいく必要がございます。
 この点、地中熱などの熱エネルギーは、電力消費量の削減という形で目標達成に貢献するだけではなく、いまだ十分な利用が進んでいない再生可能エネルギー熱の利用拡大という側面からも、着実に取り組みを進めていく必要があると認識しております。
 現在進められている有識者による検討会の議論も踏まえつつ、再生可能エネルギーの割合を二〇%に高めるという目標の実現に向けた具体的な取り組みの一つとして、地中熱を位置づけてまいります。

○小磯(善)委員 我が党の提言を踏まえ、都としても、地中熱導入の効果や意義について整理をされ、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた政策の中にしっかりと位置づけていくということがよくわかりました。
 地中熱の利用拡大に向けて、今後とも精力的に取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 太陽光発電についてお伺いをいたします。
 都内では、年間約五万戸の住宅が新築されますが、近年、新築の建て売り住宅の広告を見ますと、太陽光発電設備が標準で設置されていることも多くなってきました。
 一方、都内には約百七十万戸の既存住宅が存在しており、再生可能エネルギーの利用拡大には、これらの住宅に対しても太陽光発電設備の設置を促進することが重要であります。
 そこで、都で行っていた太陽光発電設備の補助において、新築と既存の戸建て住宅において、どの程度、太陽光発電設備が導入されているのか、お伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都は、平成二十一年度から二十四年度まで、太陽光発電設備を導入した場合に補助を行っておりまして、その実績は、四万七千七百七十五件、十八万七千七百五十六キロワットでございました。
 この中で、新築住宅は一万三千二百五十三件、四万九千二十二キロワット、うち、戸建て住宅は八千九百五十八件、三万七百六十八キロワット、一方、既存住宅は三万四千五百二十二件、十三万八千七百三十四キロワット、うち、戸建て住宅は二万七千九百六十件、十万四百七十五キロワットでございました。
 太陽光発電のみを対象とした補助事業でございますが、設置コストが大幅に下がってきたことや国の固定価格買い取り制度が導入されたこともございまして、平成二十四年度で終了しております。

○小磯(善)委員 既に太陽光発電設備のみを対象とした補助事業は終了したということでありますが、既存住宅は、新築と比べて、追加工事となるため、手間、また費用がかかって設置が進まないという話も伺うわけでございます。こうした点も考慮して、既存住宅における対策を講じるべきと考えます。
 私は、幼稚園の建てかえをしたときに、その幼稚園が建てかえと同時に太陽光発電を屋根の上にしっかりと設置して、それを見て、リフォームとか改築とか、こういったときに太陽光発電を導入しようかというきっかけになるんじゃないかな、そんなふうに思うわけでございますが、見解を伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 一般に、既存住宅に太陽光発電設備を設置するためには、配線や仮設工事を個別に施工する必要がございますので、手間や費用がかかります。このため、リフォームの機会を活用し、あわせて工事を行うことで、太陽光発電設備の設置を進めていくことが有効と考えられます。
 今後、こうした観点も踏まえまして、太陽光発電設備の導入拡大に向けた取り組みを検討してまいります。
 また、都は、インターネット上で都内の建物の太陽光発電の導入ポテンシャルを把握できる東京ソーラー屋根台帳を公開するなど、住宅での設置促進に取り組んでおりまして、引き続き、区市町村との連携も図りながら、都内の太陽光発電の普及拡大に努めてまいります。

○小磯(善)委員 都内に膨大に存在する既存住宅の屋根が持つポテンシャルを有効に活用して、太陽光発電設備の普及を積極的に進めていくことを要望させていただきます。
 次に、水素社会実現に向けた取り組みということで質問をさせていただきます。
 水素エネルギーは、燃料電池自動車やバスを初め、燃料電池や水素発電などさまざまな用途に利用できるため、将来、化石燃料にかわる次世代エネルギーとしてエネルギー構造の変革などが期待されております。
 また、燃料電池に加え、燃料電池車や燃料電池バスなどについても非常用電源としても利用することが可能であり、水素を都市開発に組み込むことにより、より一層、災害に強いまちづくりを行うこともできます。
 水素はさまざまな資源から製造することができると聞いておりますが、具体的にはどのような資源から水素を製造することができるのか、まずお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 水素の製造方法としては、石油、天然ガス、褐炭などの化石燃料の改質や、製鉄等の過程で副次的に生成する副生水素などが現在の主流となっております。
 将来的に実用化が期待されているものとして、再生可能エネルギーの電力による水の電気分解や木質バイオマスによる手法などがございます。

○小磯(善)委員 水素エネルギーは、利用の段階では一切CO2を排出しないために、水素を製造する段階でもCO2の排出がなければ、究極のエコということになるわけでございます。こうしたいわゆるCO2フリー水素の活用を進めていくことができれば、水素は低炭素社会の切り札となり得ます。
 都としてもCO2フリー水素を推進すべきと考えますが、見解を求めます。

○櫻井都市エネルギー部長 再生可能エネルギーの電力を利用し、水の電気分解により水素を製造する技術は存在しているものの、安定的に低コストで製造するためにはさらなる普及が必要です。先日取りまとめた水素戦略会議の中間のまとめにおいても、こうした取り組みの推進を掲げているところです。
 今後は、CO2フリー水素の先導的な活用の観点から、都内事業所における再エネ電力による水素活用設備の設置の推進などを検討し、環境負荷の低減を図ってまいります。

○小磯(善)委員 CO2フリー水素については、このほか、海外で褐炭を改質して水素を生成し、副生したCO2を回収するとともに、地中に貯留し、取り出した水素を船などで日本に輸入しようとする取り組みを進めている事業者もおりますが、この場合、輸送、貯蔵が課題になると思います。
 輸送、貯蔵する技術が複数あると聞いておりますが、それぞれのメリット、デメリットについてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 輸送、貯蔵に関する技術を大きく分けますと、ヒ化水素よる場合と、トルエンと水素を反応させる場合の二つがあると聞いております。
 ヒ化水素は、体積が八百分の一に減少しますが、水素をマイナス二百五十三度まで冷却する必要があり、エネルギーを大量に使用いたします。また、トルエンと反応させる場合は、常温、常圧での輸送が可能で取り扱いは容易ですが、体積の減少は五百分の一であります。

○小磯(善)委員 福島県に国の再生可能エネルギー研究所というのがございまして、私もそこを訪ねまして、そこでは地中熱の研究をしていたり、太陽光の研究をしていたり、また水素の研究もされておりました。そこで、このトルエンと水素を反応させて輸送するという話を伺ったわけでございますけども、とにかく、本当に日進月歩で研究が進む水素エネルギーというのをしっかりとお願いしたいと思います。
 大消費地である東京が水素の需要を創出することで、技術開発を加速させていくことにもつながります。こうした観点も踏まえながら、都として水素エネルギーの普及に取り組んでいただきたいと思います。
 需要の創出には、燃料電池車や家庭用燃料電池を扱うメーカーの存在も重要であります。日本のメーカーは高い技術力の集約であり、産業の裾野も広く、製品の普及による高い経済波及効果も期待できます。
 水素社会を実現するに当たって鍵となる、この日本のメーカーの取り組み状況についてお伺いいたします。

○櫻井都市エネルギー部長 燃料電池車や家庭用燃料電池の分野におきましては、日本のメーカーが世界に先駆けて製品化するなど、市場を先導しているところです。
 ある自動車メーカーは、来月にも燃料電池車を世界で初めて販売いたします。また、他の自動車メーカーは、来年度中に販売する旨を発表しております。
 家庭用燃料電池を扱うメーカーにおいては、二〇〇九年から製品を販売しており、現在、普及拡大を図っております。
 今後は、技術開発による機器のダウンサイジングや価格の低下を目指すというふうに聞いております。

○小磯(善)委員 この燃料電池自動車については、ここ二、三日、大変新聞をにぎわせておりまして、今のあるメーカーというのが、トヨタがこの十二月に発売をしますし、来年度はホンダが発売するということで、本当に楽しみな感じでございます。また、走行性能もかなりいいというふうに書いてございまして、この燃料電池車の普及を我々もしっかりと後押ししていきたいと考えております。
 都は、オリンピック・パラリンピックまでに水素エネルギーを普及させ、日本の高い技術力を世界に発信していくとしています。このためには、実際に競技場の空きスペースに専用のブースを設けて--このオリンピック・パラリンピックは世界の方々が来られるわけでございます。世界の方々が燃料電池車に乗ったり、そういうバスに乗ったり、また、地中熱の会場に行ったりとか、太陽光発電の会場に行ったりとか、いろいろと日本の再生可能エネルギーのそういった技術をしっかりと体感してもらいたいと思います。
 そんなことで、実際に競技場の空きスペースに専用のブースを設けて、新たな製品や技術の展示を行っていく、そういったことも必要じゃないかなと考えます。見解を求めます。

○櫻井都市エネルギー部長 世界に向けて高い技術力を発信していくためには、東京を訪れた方々に、燃料電池車や燃料電池バスなどが実際にまちで利用されている姿を見ていただくことも重要でございます。
 ご指摘の点も踏まえ、あらゆる機会を捉えて、水素エネルギーや再生可能エネルギーなどに関する世界最先端の技術を発信できるよう、他局とも連携を図りながら検討してまいります。

○小磯(善)委員 ぜひ今申し上げた展示等を通して東京の取り組みを発信していただきたい、そういう期待を申し上げて、私の質問を終わります。

○米倉委員 東京都における再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギー使用の効率化などを進めていくことについて伺います。
 初めに、九州電力に続き、五つの電力会社が自然エネルギー接続申し込みへの回答を保留するなど措置を表明したことについてです。
 送電網を地域独占している電力会社が手続を保留することは、持続可能な社会をつくっていく再生可能エネルギーの普及への重大な影響を与えることになります。
 経済産業省が大規模太陽光発電所の認定を凍結するなど、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を大幅に見直す検討に入ったことに対し、普及の後退を懸念する声が上がっています。
 都としてどのように考え、対応するのか、伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 都は、関東知事会などにおいて、他の自治体とも連携し、国に対して、必要な見直しは行いながら再生可能エネルギーの導入拡大方策を講じるよう提案してきたところです。
 今後も引き続き求めてまいります。

○米倉委員 都が国に対して要望していることは重要だと思います。
 特に、今回の五つの電力会社は、系統運用についての必要な情報も公開せずに、送電網が不安定になることについて、一切、具体的な試算をしていません。説明責任も果たさずに、電力会社が一方的に接続を凍結することは許されるものではありません。
 東京電力については、群馬県北部と島しょの一部について、接続申し込みへの回答保留を行うとしています。都は、東京電力に対し、この問題でも国民、都民への説明責任を果たすように迫っていただきたいと思います。
 次に、東京都が掲げる再生可能エネルギー二〇%目標達成に向けて質問したいと思います。
 この問題では、事業者の努力とあわせて、都民の力をエネルギーの創造と省エネ化の促進で引き出すことが大事だと考えます。その角度から、家庭への東京都の支援、特に既存住宅への支援について伺います。
 初めに、都は、全国に先駆けて太陽光パネルの補助制度を導入し、数多くの実績を上げてきました。二〇〇九年から一二年までの実績で、四万七千七百七十五件に上ると聞いています。
 しかし、固定価格買い取り制度が導入されたことで一般的な補助制度はなくなり、現在補助制度として残っているのは、HEMS、つまり家庭での電力を管理するシステムを導入することとあわせて太陽光パネルを設置したケースに限定しています。
 では、固定価格買い取り制度が導入された二〇一三年度以降はどうなっているのか。
 例えば、国の住宅用太陽光パネルの支援事業である住宅用太陽光発電導入支援復興対策事業の都内における申込件数を見ますと、新築住宅では、確かに二千件から五千件へと二・五倍に大きくふえています。しかし、既存住宅については、これまでは年間六千件から九千件の申し込みがあったのに、二〇一三年度には、こちらは大きく四千件へと減っています。これまでは既存住宅への太陽光パネル設置が新規住宅を上回っていたのに、二〇一三年度では新規住宅を下回ってしまっています。
 そこで伺いますが、既存住宅への太陽光パネルの導入が伸び悩んでいるように思われますが、その原因について、都としてどのように分析し、改善を図るのでしょうか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 既存住宅での太陽光パネル導入は、固定価格買い取り制度の買い取り価格の改定など、さまざまな要因により影響を受けると考えております。
 都は、インターネット上で都内の建物の太陽光発電の導入ポテンシャルを把握できる東京ソーラー屋根台帳を公開するなど、住宅での設置促進に取り組んでおり、引き続き、区市町村等との連携も図りながら、都内の太陽光発電の普及拡大に努めてまいります。

○米倉委員 既存住宅への太陽光パネル導入のネックになり得る要因はさまざまなものがあるとのことですが、では、既存住宅への太陽光パネルの設置を今後推進するにはどのような課題があると考えますか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 一般に、新築住宅に太陽光発電設備を設置する場合には、これを前提として建物の設計、施工が行われております。
 一方、既存住宅では、設置に当たりまして、屋根の耐荷重やメンテナンス状況、建築年数等を把握しておく必要がありますほか、新たな工事となるため、手間や費用がかかります。また、設備設置後のメンテナンス性についても考慮する必要があると考えております。

○米倉委員 既存住宅では、新規の住宅と比較して、メンテナンスのこと、屋根の耐久性のこと、家の耐用年数のことを考慮しなくてはならず、加えて、設置する際にも、手間も費用もかかるということでした。
 それだけに、都が環境公社を通じてやっているように、窓口を設けた丁寧な相談は大切ですし、同時に、新規住宅に比べて、費用の面でも支援が必要だと思われます。
 そもそも、固定価格買い取り制度における買い取り価格は、新築住宅に設置する際にかかる平均費用を算定根拠にしているといわれています。ですから、既存住宅への太陽光パネル設置は、そもそも採算がとりにくいのです。
 ですから、太陽光パネルの抜本的な促進を目指すなら、既存住宅については、固定価格買い取り制度の導入を機になくしてしまった設置補助を復活させることも考慮に入れるべきかと思います。
 その点で参考になるのは静岡県です。静岡県では、固定価格買い取り制度が導入されたもとでも、一キロワット当たり一万五千円の補助を行っており、二〇一三年度も年間一万件を超える助成を行っています。
 ちなみに静岡県では、二〇一一年度から一三年度まで、東京都と同じ程度の数の太陽光パネルが住宅に設置されています。現在、静岡県では約七万件の太陽光パネルを住宅に設置済みですが、このペースで、二〇二〇年度までに十万件という目標も超過達成できる見込みと伺っています。
 静岡県が設置補助を行う背景には、固定価格買い取り制度の買い取り価格では必ずしも採算がとれるとは限らないということや、補助制度を動機づけとし、二〇二〇年度の静岡県の太陽光パネルの設置目標を達成したいという考えがあるようです。
 都としても、既存住宅については、太陽光パネル設置助成を復活させるなど、さまざまな支援の強化を検討していただきたいと思います。
 次に、太陽熱システムについて伺います。
 デザイン性にすぐれた太陽熱利用機器の普及を東京都が進めていることは非常に重要です。しかし、屋根と一体になった太陽熱利用機器を住宅に設置するとなると、やはり新規住宅でやるしかなくなると思います。ここでも、既存の住宅で太陽熱利用機器の導入を促進するにはさまざまな支援が必要です。
 そこで伺います。既存戸建て住宅で太陽熱利用機器の導入を促進するために、都としてどのような取り組みが必要と考えていますか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 太陽熱利用機器でございますが、ほかの再生可能エネルギーと比較して認知度が低く、まずは、導入効果の周知を含めた普及啓発が不可欠でございます。
 都はこれまでも、九都県市で「熱は熱で」キャンペーンを展開するなど、太陽熱利用の普及拡大を図ってまいりました。また、太陽熱利用のメリットや普及策の紹介を行うセミナーを開催するなど、さまざまな機会を活用して一層の周知に努め、太陽熱利用システムの普及拡大に取り組んでいるところでございます。

○米倉委員 先ほど紹介しました静岡県では、太陽熱利用機器についても、住宅への設置補助を二〇一二年度から始めています。
 その中で、戸建て住宅への設置件数は、一一年度の四百四十八件から、一二年度は七百二十四件、一三年度は八百九十三件と着実にふえており、一三年度の設置件数は全国一位となっています。都としても、こうした経験を大いに参考にしていただくことを要望するものです。
 同時に、既存住宅については、住宅の省エネ化を進めることも重要です。そこで、窓の交換や、壁や床、天井の断熱など、住宅の省エネ性能向上の重要性について、都の認識を伺います。
 また、既存住宅の省エネ化を進める上では、効果をわかりやすく示すことが重要です。環境局として、パンフレットやホームページで普及啓発に努めることが大事だと考えますが、いかがですか。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都内のエネルギー使用の約三割は家庭部門でありますことから、住宅の省エネ性能の向上を図ることでエネルギーの利用効率を高め、エネルギー使用量を減らしていくことができるものと認識しております。
 都は既に、家庭の省エネハンドブックやパンフレットを作成しておりまして、その中で、断熱性能の向上など、住宅における省エネ化についても紹介しております。また、これらのパンフレット等は、ホームページでも公開しているところでございます。

○米倉委員 住宅省エネ性能の向上が都内のエネルギー使用量の削減にとっても大切だということでした。
 特に冬には、暖房時、室内の熱の五八%が窓などの開口部から流出するといわれています。窓をペアサッシにかえるだけで大きな省エネ効果があります。ぜひ、こうした住宅リフォームを初め取り組みへの財政的支援を検討していただきたいと思います。
 最後に、立川飛行場の騒音測定について伺います。
 都は、立川飛行場周辺について、航空機騒音環境基準を適用する地域として新たに指定しました。どのような調査を行い、指定に至ったのか、経緯を伺います。

○木村環境改善部長 都道府県は、航空機騒音に係る環境基準を超えるおそれのある地域を指定することになっております。
 国は、平成十九年に航空機騒音に係る環境基準を改正し、ホバリングの音などを対象に加えた新たな評価指標、Ldenが平成二十五年四月から採用されました。
 このため、都は、航空機騒音に係る環境基準を適用する地域に指定していなかった立川飛行場周辺についても、騒音調査を行い、新規指定の必要性を検討いたしました。
 調査は、国のマニュアルに沿って、立川市内、武蔵村山市内、日野市内の計六地点で測定を行いました。調査手法と結果の評価については、外部専門家から成る検討会でご意見をいただきました。その結果、立川飛行場敷地外で環境基準値五十七デシベルを超過する可能性がある地域が確認されたため、立川飛行場周辺約四・一平方キロメートルを今月四日に新たに地域指定し、告示をいたしました。
 この地域指定の範囲は、機種や訓練内容の変更など、将来的な騒音状況の変動に対応できるよう、環境基準値に五デシベルの余裕を持たせた五十二デシベルをカバーする範囲でございます。
 今後、都は、指定地域内で航空機騒音の測定を行い、その結果に基づき、防衛省など関係機関に環境基準の達成維持を要請してまいります。

○米倉委員 新しい基準をもとにした場合、立川飛行場の周辺では基準値を超える可能性があるのは重大です。実際、近隣八市による立川飛行場周辺自治体連絡会に出された資料でも、二〇一三年、立川飛行場周辺の区市町村には二百二十六件もの航空機騒音の苦情が寄せられたとしています。二〇一二年が百五十八件でしたので、一三年度は六十八件の苦情がふえています。ヘリコプターの騒音がひどくて病気が悪化した、赤ちゃんが昼寝できない、バリバリと音がひどくて、テレビの声も電話の音も聞き取れない、ひどいときには山手線のラッシュ時間のようにヘリコプターが飛んでくると声が寄せられるなど、騒音により多くの人が苦しめられています。
 こうした周辺住民の訴えもありますし、今後、都として、立川飛行場周辺の航空機騒音測定体制をしっかりとつくり、基準を超える場合には関係機関に指導し、是正していくことを求め、質問を終わります。

○大西委員 私からは、まず初めに、河川の水質改善について伺います。
 東京の河川の水質は高度成長期に著しく悪化いたしましたが、今回いただきました資料の中で、一七ページのグラフにも、四つの河川についてその状況が示されております。工場などの発生源に対する規制や下水道の普及等に取り組んだこともあって、大幅に改善されております。
 この中にある綾瀬川、これは足立区にあるのですが、平成十年ごろからは環境基準を達成する状況にあるとなっております。しかしながら、残念ながら、地元の住民、私もそうですが、それを見て、それほどきれいになったという実感は到底持てません。もっときれいにならないのかという声も多く聞きます。
 そこで、これは一体どういうことが原因なのか、伺います。

○笹沼自然環境部長 綾瀬川には、上流にある埼玉県側の下水道整備が不十分な地域からの未処理の生活排水や田畑からの排水等が流入しております。
 環境基準の達成度は年間の平均値で評価することとなっておりまして、綾瀬川は環境基準を達成しておりますが、水田からの排水がなく、水量が少なくなる冬季に川が汚れやすくなるという問題がございます。
 また、田畑からの土の流入は、見た目の濁りや色となってあらわれやすく、汚れていると感じやすいというふうに思われます。

○大西委員 問題は埼玉ということですね。東京都の取り組みだけではなかなか解決できない課題があるということですが、やはり住民の方々にとっては、身近に流れる河川が美しく快適な水環境であってほしいと願うのはごく自然なことだと思います。
 何とか一年を通じて見た目にも水環境を改善させてもらいたいと考えますが、都みずからはどのように取り組んでいくのか、また、この埼玉の問題のように、都県をまたぐ広域的な課題に対してどう対応していくのか、伺います。

○笹沼自然環境部長 都は、水質管理のためのモニタリングや河川の清掃等の環境改善に取り組みますとともに、上流からの油流出といった水質事故等の応急的な対応を行っております。
 また、埼玉県側から流入する汚濁物質に対しましては、国と流域自治体が下水道整備や河川水浄化施設の設置等の取り組みを進めますとともに、都も、国が主催する綾瀬川清流ルネッサンス連絡会等を通じまして、水質改善技術やモニタリング結果等の情報共有と、住民の方に対する普及啓発活動に取り組んでおります。
 さらに、埼玉県側を起因とする水質事故に対しましては、埼玉県等に適切な対応を要請いたしますとともに、必要な技術的アドバイスを行っております。
 引き続き、綾瀬川流域の自治体等と連携しながら、こうした取り組みをしっかりと行ってまいります。

○大西委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 近隣の小学生が、微生物が入った泥を泥だんごにして、いつも川に投げ込んでいます。少しでもきれいにしたいという気持ちなのでしょうが、そこできれいにしても、また上から汚いのが流れてくるとどうしようもないわけですから、ぜひとも近隣と、広域自治体が連携して頑張っていただきたい。綾瀬川の水環境が一層改善されるよう、流域自治体等と連携した取り組みを着実に進めていただくようお願い申し上げます。
 次に、自動車の環境対策について伺います。
 ディーゼル車規制開始から十年以上が過ぎました。SPMやNO2がほぼ全ての測定局で環境基準を達成するなど、東京の大気環境は大幅に改善しております。
 とはいえ、最近は少なくなってきているようですが、もくもくと黒い黒煙を出しながら走行する車両を見かけることが、残念ながら今でも少しはあります。
 都は、黒煙一一〇番という制度を設け、都民がこうした車両を見つけた場合の通報を受け付けていますが、この制度は大気環境の改善に有効なものであり、私も、自分の政治活動の活動レポートでも黒煙一一〇番を取り上げ、黒煙を出すディーゼル車を見かけたらここに通報してくださいと電話番号などを掲載しています。
 そこで、この黒煙一一〇番などの窓口は、都民から毎年どの程度の通報や相談が寄せられ、どのような対応を行っているのか、伺います。

○木村環境改善部長 黒煙一一〇番などの窓口への通報件数は年間百件程度でございます。そのうち、アイドリングに関するものが一番多く六割程度、次いで、黒煙に関するものが二割程度、その他騒音等の苦情が二割程度となっております。
 こうした通報を受けた自動車Gメンは、速やかに現場の状況を調査するとともに、都民から寄せられた車両ナンバーや会社名等の情報から、規制の適合状況を確認の上、運行管理者や駐車場管理者などへ改善指導を行っております。
 近年、黒煙に関する通報件数は減少してきておりますが、都民からの通報は貴重な情報源でもあることから、自動車Gメンによるきめ細かな対応を引き続き行ってまいります。

○大西委員 都民から寄せられた通報に対しては、その都度、自動車Gメンが現地に足を運ぶなど、フットワークよく適切な対応をお願いしたいと思います。
 昔、同じような質問をしたら、東北まで追いかけていくということもありましたが、そのご苦労には本当に敬意を表させていただきます。
 この提出していただいた資料によりますと、運行禁止命令の件数が減少しておりますが、これは、自動車Gメンが先ほどのように長年にわたり頑張っていただいて、指導の最前線で地道に取り組んできた効果も大きいものだと思います。
 東京の大気環境が大幅に改善された背景には、今答弁にあった自動車Gメンの活躍もあると思いますが、自動車Gメンは、都民から寄せられた通報への対応だけでなく、ほかにもさまざまな取り組みをしているということです。
 そこで、自動車Gメンは日々どのような活動をしているのか、改めて伺います。

○木村環境改善部長 環境確保条例では、排出基準を満たさないディーゼル車の都内走行を禁止しております。自動車Gメンは、トラックの走行が多い幹線道路など、年間延べ八十カ所以上の場所で取り締まりを行うとともに、首都高速道路に設置した固定カメラ等で把握した違反車に対し、改善指導を行っております。
 指導は、車検証やPM減少装置の装着確認から始め、違反を繰り返す事業者には、電話や文書のほか、今、委員からもありましたように、遠方であっても直接現地に出向くなど、違反が是正されるまで粘り強く行っております。
 また、条例に基づく自動車環境管理計画書制度では、三十台以上の自動車を使用する事業者に対して、自主的な環境配慮の取り組みを促しております。この制度に基づき、自動車Gメンは、燃費改善などですぐれた実績を上げた事業者から参考となる取り組みをヒアリングした上で、より環境配慮の取り組みが必要な事業者を訪問し、丹念に指導しております。
 こうした地道で着実な自動車Gメンの取り組みが東京の大気環境の改善に果たしている役割は大きいと考えております。

○大西委員 本当にありがとうございます。これからもどんどん強く取り締まっていただきたいと思います。
 私は、この委員会に二期連続所属をさせていただきました。ことしの三月の委員会において、組織改定がございまして、私は、この組織改定以降もディーゼル車規制などの取り組みをしっかりと続けてほしいとお願いしたところでございます。自動車に関する大気環境改善に向けた取り組みを今後も着実に進めてほしいと思います。
 昨年度までは自動車公害対策部が取り組んできたこのディーゼル車規制などの業務が環境改善部に移ってから七カ月余りが経過しました。PM二・五などの課題解決に向けて、一つの部の中に、固定発生源対策から移動発生源対策まで、幅広く効率的に推進する体制が整ったことは心強いことでもあります。
 東京の大気環境がなお一層改善されるよう、組織統合による効果を最大限に発揮すべきだと考えますが、見解を伺います。

○木村環境改善部長 環境改善部では、新たな体制のもと、これまで積み上げてきた豊富な知識や経験を生かし、都民の関心の高いPM二・五や揮発性有機化合物、VOCなどの大気環境対策を総合的に進めております。
 一例を挙げますと、先週、九都県市は、ガソリン給油時や走行時などに大気に放出し、PM二・五の一因となっている、いわゆるガソリンベーパーについて、自動車自体に回収装置の装着を義務づけるよう国に要望いたしましたが、この要望内容の検討に当たっては、自動車の構造を熟知した職員とVOC対策に精通した職員が連携して対応したところでございます。
 今後も、各職員が知恵を出し合い、総合力を高めることにより、大気環境の改善に向けて効果的な対策を講じてまいります。

○大西委員 環境先進都市にふさわしい一層クリーンな環境の実現を目指し、ディーゼル車規制を初めとする自動車の大気環境対策とともに、総合的な大気環境の改善に向けた対策を着実に進めていかれますよう頑張っていただきたいということを最後に要望させていただいて、私の質問を終わります。

○山内委員 廃棄物対策についてお伺いしてまいります。
 初めに、一般廃棄物対策ですが、一般廃棄物の処理は基本的に区市町村が責任を負いますが、都は、二十三区の委託を受けて、都の埋立処分場で最終処分を行っています。埋立処分量の減量と処分場の延命は都の大きな課題です。
 都が二〇一二年二月に改定した都の埋立処分場の廃棄物等の埋立処分計画では、二十三区の一般廃棄物について、埋立処分量を二〇一五年度から年間十九万トンの横ばいにしていく計画を立てています。
 また、二〇一一年に策定した東京都廃棄物処理計画においても、二〇一五年度には、二〇〇七年度の都全体の一般廃棄物の最終処分量六十二万トンを六〇%減の二十五万トンを目標にするとしておりますが、この計画は、来年度、改定に向けた検討が行われることになります。
 そこで、現在の計画の目標に対して、一般廃棄物の埋立処分量の減量はどのぐらい進んでいるのか、また、どのような施策を進めてきたのか、お伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 埋立処分場の延命化のためにごみ減量リサイクルを推進していくことは、重要な課題であると認識しております。
 一般廃棄物のごみ減量リサイクルは区市町村が主体的に取り組むべきものですが、都も技術的支援を行っているほか、小型電子機器等のリサイクルや食品廃棄物の発生抑制、リサイクルの推進事業など、都全体の環境施策の推進に資する区市町村の各地域の特性に応じた取り組みを支援するため、助成制度を設けております。
 こうした取り組みの結果、平成二十四年度の都全体の一般廃棄物の埋立量は、平成十九年度に比べまして四二%減の約三十六万トンとなっております。
 都は、一般廃棄物の埋立処分量の削減に向け、引き続き技術的支援等を行ってまいります。

○山内委員 多摩地区ではごみの分別が進み、ペットボトルや瓶、缶などはもちろん、容器包装のプラスチックを分別、リサイクルし、できるだけ埋め立ても焼却もしないように、市民の意識も高くなってきています。
 ところが、二十三区では、容器包装プラスチックも燃えるごみとして回収しており、多摩の人たちは大いに驚いております。
 そこで、二十三区の一般廃棄物の中で、容器包装プラスチック、ペットボトルのリサイクルルートに回される量と、燃えるごみとして焼却される量の比率はどのくらいか、お伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 平成二十五年度に二十三区で資源として回収されたペットボトル、白色トレー、その他のプラスチック製容器包装の合計は約六万二千トンとなっております。
 一方、東京二十三区清掃一部事務組合の平成二十五年度清掃工場等ごみ性状調査報告書によりますと、可燃ごみに含まれるプラスチック類の割合は一八・四%となっております。したがって、平成二十五年度の二十三区の可燃ごみ量約百七十三万八千トン中のプラスチック類の量は約三十二万トンと推計されます。
 このことから、平成二十五年度に資源として回収されたプラスチック類と清掃工場で熱回収されたプラスチック類の量の比率は、おおむね一対五となっているものと推計されます。

○山内委員 容器包装リサイクル法が施行されてから十五年がたちます。リサイクルのうち、費用の大半を占める回収、選別を自治体の役割としておりますが、容器包装プラスチックのリサイクルはなかなか進んでいないと聞いております。
 容器包装プラスチックの資源化に努めている自治体はどのぐらいあるのか、また、資源化への取り組みのネックになっていることについて、都の見解をお伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 都では、総合的かつ計画的に容器包装廃棄物の3Rを促進することにより、最終処分場の延命化を図り、循環型社会の実現に向けて一層の推進を図るため、容器包装リサイクル法に基づき、東京都分別収集促進計画を策定しております。
 平成二十五年度に策定した第七期計画では、九二%の区市町村がプラスチック製容器包装の分別収集計画を策定しております。また、白色トレー以外のプラスチック製容器包装について申しますと、七七%の区市町村が分別収集計画を策定しております。
 容器包装リサイクル法では、リサイクルに係る費用の多くを占める分別収集及び選別保管が区市町村の役割となっておりまして、その負担が大きいことから、区市町村の負担の軽減や事業者による自主回収の促進などの課題があると考えております。
 このため、東京都は、リサイクルの合理化、効率化に向けた区市町村への拠出金が区市町村の努力に見合った額の配分となるよう、制度を抜本的に見直すことや、事業者による自主回収を含めた回収ルートの多様化などについて、国に提案要求をしております。

○山内委員 容器包装を製造、利用する事業者は、リサイクルルートの中で再商品化費用を負担するだけでよく、自治体の負担に比べて事業者の負担は少なく、容器包装廃棄物の発生抑制や環境配慮設計へのインセンティブが弱くなっています。そのため、自治体は、費用負担がネックとなって分別回収に取り組めないでいます。
 また、自治体は、異物を取り除くなどの選別をして再商品化事業者に渡さなくてはならず、再商品化事業者もまた、さらに再商品化手法に見合う選別を再度行うなど、二重の選別が行われ、費用がかさんでいると聞いております。
 そこで、自治体における容器包装プラスチックの収集、選別費用はどのくらいになっているのか、また、自治体と再商品化の義務を負う事業者の費用負担の比率についてお伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 中央環境審議会にて示された環境省の資料によりますと、平成二十二年度に、その他プラスチック製容器包装の分別収集、選別保管、再商品化に直接要した費用のうち、自治体が担う分別収集費用は約四百七十二億円、選別保管費用は二百三十九億円と推計されております。
 一方、事業者が負担する再商品化費用は三百五十九億円で、自治体と再商品化の義務を担う特定事業者の費用負担割合は、おおむねですが、二対一と推計されております。

○山内委員 白色トレー以外のプラスチック製容器包装について、七七%の区市町村が分別収集計画を策定しているとのご答弁だったのですが、その取り組みにはばらつきがあるようです。分別収集に懸命に取り組んでいる自治体が報われるような仕組みをぜひ進めていただきたいということとともに、焼却せずにリサイクルする仕組みを推進することが重要だと考えます。
 生活者ネットワークはこれまで、拡大生産者責任の拡充を提案してまいりました。生産者側のリサイクルに対する意識は徹底されておらず、一見エコに見える容器包装が実は分別しづらく、リサイクルルートに乗らない、リサイクルできないものもふえています。リサイクルをしやすい製品設計の促進を進めることが重要です。ドイツなどで進んでいる拡大生産者責任を参考に、産業界全体で進めていくよう、都としても働きかけを続けていただきたいと思います。
 また、二十三区でペットボトルの店頭回収を進めてきた東京ルール三について、自治体の回収が定着してきたとして、今年度末に廃止することになりました。しかし、東京ルール三は、ごみの収集を二十三区に移管する前に東京都が始めた施策であり、廃止することによってペットボトルの分別回収を後退させることがあってはなりません。
 現在実施しているスーパーマーケットやコンビニエンスストアでの店頭回収は廃止することなく、事業者が独自に回収する仕組みを都は進めていくとともに、この方法を、二十三区に限らず都全体に広げていくべきと考えております。
 次に、産業廃棄物対策についてお伺いいたします。
 東京都廃棄物処理計画では、産業廃棄物について、二〇一五年度の最終処分量を、二〇〇七年度百十六万トンから百万トンの一四%減といたしました。都の埋立処分場の廃棄物等の埋立処分計画では、産業廃棄物の埋立処分量を、二〇一二年から二〇一六年度までの五カ年で六十万トンにすることになっています。
 そこで、その目標に向けての見込みについてお伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 平成二十四年度の都全体の産業廃棄物の埋立処分量は、平成十九年度に比べまして、二五%減の約八十八万トンとなっております。このうち、中小事業者が排出した産業廃棄物であって受け入れ基準を満たすもの四万六千トンを都の埋立処分場で受け入れております。

○山内委員 廃プラスチック類については、都は、一層のリサイクルを推進するとして、二〇一一年度から埋め立ての受け入れをやめました。
 そこで、廃プラスチックはどのようなルートでリサイクルされるのか、また、どのくらいリサイクルが進んだのか、お伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 都は、最終処分場の延命化を図るとともに、循環型社会、低炭素社会を構築し持続可能な都市東京を実現するため、廃プラスチック類のリサイクルを推進し、平成二十二年度末をもって、都が管理する埋立処分場での廃プラスチック類の受け入れを終了いたしました。
 産業廃棄物経年変化実態調査によりますと、平成二十二年度のプラスチック類の排出量が二十六万五千トン、再生利用量が十三万八千トンで、再生利用率は約五二%だったのに対し、平成二十三年度の排出量は二十八万六千トン、再生利用量が十六万トンで、再生利用率は約五六%であり、再生利用率は約四%増加をいたしました。
 廃プラスチック類につきましては、プラスチック製品の原料やボイラーの燃料等としてリサイクルが行われていますが、廃プラスチック類のさらなるリサイクル促進に向け、今後、詳細なリサイクルルート等について調査を行ってまいります。

○山内委員 廃棄物対策について、最後に不法投棄対策についてお伺いいたします。
 首都圏における広域連携の強化と、産業廃棄物の不法投棄をゼロにする目標の達成状況と、不法投棄の実態調査についてお伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 不法投棄などの不適正処理をなくすことは、良好な生活環境を確保する上で重要な課題だと認識しております。
 都は、広域的な不法投棄対策として、福島県から静岡県にわたる三十の自治体で構成される産廃スクラム30におきまして、パトロールの強化や廃棄物運搬車両の一斉路上調査を実施しております。
 また、平成十九年度から、不法投棄につながりやすい建設廃棄物について、その発生場所である建物解体現場に対し、産廃Gメンにより、年間一千件を超える立入指導を行っております。
 こうした取り組みの結果、スクラム30の地域内での不法投棄件数は、平成十八年度の二百五十六件から、二十四年度では七十九件と、三分の一以下に減少しております。

○山内委員 先ほどのご答弁で、事業者が出す廃プラスチックについては、詳細なリサイクルルート等の調査を行うということでした。
 事業者の廃棄物は本来なら産業廃棄物ですが、都内には小さいオフィスが多く、独自の取り組みが難しいことから、分別してきちんとリサイクルルートに乗せていく仕組みをつくっていただきたいと考えます。
 次に、フロン対策についてお伺いいたします。
 二〇一〇年の第一回定例会で、生活者ネットワークは、フロンの稼働時の漏えいへの対応を求める質問を行い、まず、実態を知るための調査の実施を求めました。その後、都は、二〇一二年からフロン類等漏えいゼロ実態調査を行ったことは評価いたします。
 本来であれば、オゾン層を破壊しないためにノンフロンへの転換を求めるものですが、現段階では、フロンの大気中への排出をいかに抑制するかが重要です。
 従来のフロン回収破壊法では、フロンを冷媒として使用する業務用の冷凍冷蔵機器や空調機器の廃棄時にフロンを回収し、確実に破壊等の処理を行うことが規定されているのみでした。
 しかし、来年四月に改正フロン法が施行され、こうした機器の使用中からフロンの漏えいを防止することが求められることになります。
 具体的に事業者にどのような義務が課せられるのか、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 改正フロン法が施行されますと、業務用冷凍空調機器の使用時に冷媒として使用されているフロンが漏えいしないよう、ユーザーの所有する全ての機器で、目視による腐食や損傷の確認などを四半期ごとに行う簡易定期点検が必要となります。
 また、一定規模以上の機器については、一年ごともしくは三年ごとに、冷媒フロン取扱技術者などの有資格者によるガス検知器を使うなどした定期点検が必要となります。
 点検等によってフロンの漏えいが確認された場合には、再度の漏えいを防ぐため、漏えい箇所の修繕が完了するまでフロンの再充填が禁止されます。
 今回の改正フロン法の施行により、都は、ユーザーに対して指導助言、立入検査等が実施できることとなります。

○山内委員 冷凍空調機器の管理者に、改正フロン法により定められた定期点検などの適正管理のルールをきちんと認識していただくことは重要です。業務用の冷凍空調機器は店舗やオフィスなどで一般的に使われているものであることから、事業者に適正管理のルールをきめ細かく周知する必要があります。
 周知と方法についてお伺いいたします。

○木村環境改善部長 国は、十月から全国で、業務用の冷凍空調機器のユーザーに対し、改正フロン法の説明会を実施しております。
 冷凍空調機器はさまざまな業種で使用されていることから、都は十月に、約二百の業界団体を通じて、ユーザーが果たすべき適正管理義務等について周知を行いました。
 また、都内のユーザーの数は非常に多いことから、都は、日ごろユーザーから業務を請け負っている冷凍空調機器の保守点検業者やフロン回収業者を対象とした講習会を十二月から二月にかけて行い、この講習会で、これらの業者からもユーザーに適正管理のルールをお知らせするよう依頼し、改正フロン法の周知徹底を図っていくこととしております。

○山内委員 フロンは無味無臭であるため、放出への罪悪感が薄いものです。事業者が使っている機器にフロンが入っているのか、漏えいの可能性はどうなのかなど、認識を持って管理するよう周知していくことが重要です。
 例えば、ショーケースに圧力計がついている場合には確認するとか、漏えいしやすいところに腐食や油じみがないかなどを見るとか、日常的に簡単に漏えいチェックができることもあわせて周知し、管理することを徹底していくよう進めていくことが必要です。
 都では、中小企業者がノンフロンのショーケースに更新する場合に、導入費用の三分の一を補助する制度を今年度から開始しましたが、更新する場合に限っています。更新に限らず、新しくお店を開く場合などにもノンフロンの機器導入の補助をするよう求めます。
 また、都有施設においてノンフロン機器の導入は進んでいないと聞くので、率先して都有施設にも促進していくような仕組みを求めておきます。
 次に、電気自動車等の普及に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 最近、次世代自動車である燃料電池車が話題となっていますが、普及はまだこれからであるため、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及が進められています。
 電気自動車は、地球温暖化対策に寄与するだけでなく、車に載せている蓄電池の電力を取り出して使えるため、防災面からも活用することができます。
 こうした点も考慮して、電気自動車等の普及に向けて取り組むべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 電気自動車などは、住宅や事業所との間で電気を融通し合う機器と組み合わせることで電気の有効活用を可能にするだけでなく、停電時には非常用の電源として活用も可能です。
 都は、平成二十五年度から、家庭のエネルギー管理機器、HEMSの設置を条件にビークル・ツー・ホームシステム等の導入を支援し、同時に電気自動車などを購入する場合に補助を上乗せしております。
 今年度から、中小事業者等による電気自動車などの購入とともに、あわせてビークル・ツー・ホームシステムを購入する場合も支援しているところでございます。
 今後とも、環境に優しく、分散型電源としても活用可能な電気自動車などの普及拡大を推進してまいります。

○山内委員 電気自動車の普及を進めるためには、充電設備が身近なところにあることが不可欠です。
 都は、充電設備の整備に向けてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○石川都市エネルギー技術担当部長 充電設備については、都道府県が整備計画を作成することによりまして、設置者への国の補助が増額されるほか、国内自動車メーカーが中心となり設立した会社からも支援を受けることが可能となります。
 都は、この整備計画において、ユーザーにとって利便性の高い環境を構築する観点から、都内に五百六十カ所の整備を目指しております。
 今後も、ユーザーの方が安心して使用できるよう、電気自動車や充電設備の普及に努めてまいります。

○山内委員 電気自動車は、CO2、NO2を排出しないし、分散型電源としても活用できます。太陽光発電と組み合わせて利用する仕組みを進めていくことが重要です。チャージに時間がかかる、走行距離が伸びないなど問題点もありますが、住宅街でのコンパクトなシェアリングなどの可能性があると考えます。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。

○高椙委員 自然環境の保全についてお尋ねをいたします。
 東京に残された貴重な自然を守るため、都は条例に基づく保全地域の指定を進めており、つい最近も、我が党のこいそ先生の地元、多摩市と稲城市にまたがる里山緑地が五十番目の保全地域として指定されました。これで約七百六十ヘクタールの緑地が保全地域に指定されたことになりますが、保全地域は土地の改変や建築行為に制限がかかるため、我々の世代が子供のころに走り回り、なれ親しんできた武蔵野の緑豊かな空間をそのままの姿で後世に残すことができる大変重要な取り組みであると評価しております。
 こうして守られた自然環境は、多くの保全地域においては、地元ボランティア団体の方々による献身的な保全活動によって支えられておりますが、私の地元、国分寺姿見の池緑地保全地域では、いまだ継続的な活動を行うボランティア団体が立ち上がっていないと聞いております。
 そこでまず、保全地域における新たなボランティア団体の立ち上げに向けて、都はどのような支援を行っているのか、お伺いをしたいと思います。

○笹沼自然環境部長 都は、行政とボランティア団体との仲介役として、緑地保全活動の円滑な実施とボランティア団体同士のネットワークづくりの役割を担う東京都緑保全コーディネーターを活用いたしまして、現在、新たなボランティア団体の立ち上げに協力をしております。
 お話の国分寺姿見の池緑地保全地域では、平成二十四年度から六名のコーディネーターを年三回程度派遣いたしまして、下草刈りなどの保全活動や自然観察会などを開催することによりまして、地域にお住まいの方々の自然体験活動への参加を促してまいりました結果、今年度中に、二十名ほどから成る新たなボランティア団体が立ち上がる予定でございます。
 今後とも、地元国分寺市とも連携いたしまして、ボランティア活動の担い手を拡充し、当該保全地域における継続的な保全活動を推進してまいります。

○高椙委員 ただいまご答弁をいただきましたように、保全地域の自然環境を守り続けるためには、地元のボランティア団体による継続的な保全活動が重要であります。
 ぜひ引き続き新たなボランティア団体の立ち上げに尽力してもらうとともに、立ち上げた後もしっかりとバックアップをお願いいたします。
 私自身、もう一つの地元でございます国立市にある谷保の城山歴史環境保全地域のボランティア団体の方々と意見を交わす中で、保全地域の維持管理に対して、近隣の住民の方々からさまざまな意見が寄せられていると聞いております。その中には、落ち葉が散乱して民家の雨どいを塞いでしまうといった意見に加え、保全地域内の樹木が倒れて、家屋や車などに被害をもたらす危険性を指摘する声もあるようでございます。
 ボランティア団体の方々が安心して保全活動を行うためにも、また、保全地域を訪れる都民の方々が安心して自然と親しめる機会を守るためにも、倒壊の危険のある樹木の撤去は大変重要な取り組みと考えます。
 そこで、都は、この保全地域の安全・安心の確保に今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

○笹沼自然環境部長 都は昨年度から、まず、外観上、倒壊の危険性が明らかな樹木につきまして、短期集中的な伐採を行っております。今年度は、外観からは倒壊の危険性が明らかでない樹木につきまして、専門家による診断を行い、近い将来、倒壊の危険性が高いと判断された樹木の伐採にも着手したところでございます。
 引き続き、地元自治体、ボランティア団体等と連携しながら、速やかに危険木の除去を行いまして、保全地域における安全と安心を積極的に確保してまいります。

○高椙委員 倒壊の危険性がある樹木の除去は、保全地域のあらゆる活動の基盤となる大切な取り組みであると考えております。
 今後、精力的に進めていただくよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○河野(ゆり)委員 最初に、緑の問題について質問します。
 東京都は、環境基本計画などで、緑の量を確保するとともに質の高い緑の確保をするとしています。緑は、ヒートアイランド現象や地球温暖化、生物多様性の保全、また防災などに効果があります。
 委員会の資料を出していただきました。東京の緑の状況ですね。東京都は、かつての緑被率から、河川、水路、湖沼などもカウントするみどり率として緑の状況を示す方法に変えました。
 そのみどり率ですが、資料では、平成二十年から二十五年の五年間だと、区部で〇・二ポイント増、多摩で〇・三ポイント減となっています。事業概要でもこの数字が出ておりまして、五年間の変化はほぼ横ばいであると書いてあります。
 資料の一五ページを見ますと、十年間の変化で見るとどうでしょうか。平成十五年と二十五年を比較すると、区部でマイナス〇・二、多摩でマイナス二・七ポイントです。やはり減少した緑は取り戻せていないと感じるものです。一度失った緑を取り戻すのは容易ではありません。
 私は、この緑の減少について都がどのように捉えているか、お聞きしたいと思います。

○笹沼自然環境部長 平成十五年以降に実施いたしました三回のみどり率調査の結果を見ますと、平成二十年は前回調査比一・七ポイント減の五〇・七%、平成二十五年は同〇・二ポイント減の五〇・五%となっておりまして、今回の調査結果は、平成二十年と比較しまして、ほぼ横ばいの状況でございます。
 この結果を事項別で見ますと、公園、緑地が、その整備が進み、今回及び前回調査時とも着実に増加している一方、農用地と樹林、原野、草地は、宅地開発の鈍化等によりまして、今回の調査では減少幅が大きく縮小し、ほぼ横ばいとなっております。

○河野(ゆり)委員 東京の緑をふやしていく、そのためには、多摩地域の緑が重要な位置を占めております。森林、田畑などが区部よりも多く存在する多摩地域ですが、ここは残念なことに緑は減少しています。それは資料の数字でも明らかだと思うんです。
 この結果についてはどのようにお考えでしょうか。また、多摩の緑をふやす対策についてもお答えください。

○笹沼自然環境部長 多摩部のみどり率調査の結果を見ますと、前回の平成二十年調査時と比較いたしまして減少幅が大きく縮小し、〇・三ポイント減のほぼ横ばいの状況でございました。これは、公園や緑地の整備が進みますとともに、宅地開発が鈍化したことが主な要因であると考えております。
 今回の調査結果を踏まえまして、都は引き続き、都市公園の整備、校庭芝生化、緑化計画書制度による緑化等に取り組みまして、新たな緑を創出いたしますとともに、開発許可制度を通じて自然環境に配慮した開発を事業者に促してまいります。

○河野(ゆり)委員 平成十五年から二十年の調査で都が明らかにした数値があります。区部、多摩ともに、公園、緑地は〇・二ポイント増加しているが、農用地、原野、草地は減少というものです。特に多摩部の農用地の〇・六ポイント減、これも書かれてあるわけなんですけれども、顕著な減少は樹林、原野、草地の二・〇ポイントです。
 先ほど、宅地の鈍化の問題とか、ご説明がいろいろありましたけれども、多摩の樹林、原野、草地の減少の対策は重要であると感じておりますので、申し上げておきます。
 それで、三つ目に伺いますが、都市開発、そして経済活動が要因となって、多摩地域での緑の減少が続いております。
 私はことし、八王子市に行く機会がありました。美山町、小津町などに採石場が何社かありまして、その状況を見ました。採石の現場では、発破で山を崩していて、多くの樹木が失われているのを目の当たりにいたしました。崩されて裸になった山肌をひな壇状にして木を植えていました。その木が、もとどおり緑が茂った、そういう青々とした緑の山に戻るには、何十年もの長い時間がかかるだろうと推測をいたしました。八王子市だけでなくて、青梅市、奥多摩などにも採石場がありますから、同じような状況があるのではないでしょうか。
 経済活動と自然環境保全の両立を図る、これは緑の減少を防ぐための都政の大きな課題と思いますが、この問題についてはどのように対応されていきますか。

○笹沼自然環境部長 一定規模以上の開発行為は、自然保護条例に基づきます開発許可の対象となっておりまして、都は、自然環境に配慮した開発を事業者に促すことにより、開発と自然保護の両立を図っております。
 具体的には、採石行為や宅地造成など開発行為の内容に応じて、事業区域における一定割合の緑地面積の確保等を義務づけておりまして、都は、こうした措置が確実に行われることを確認した上で許可を行っております。
 とりわけ三ヘクタール以上の開発行為につきましては、自然環境保全審議会に諮り、自然環境に関する各分野の専門的な視点から審議を行った上で許可を行っております。

○河野(ゆり)委員 二〇一二年の五月に、東京都がパブリックコメントを行い発表した緑施策の新展開には、経済活動と自然環境保全の両立を図る開発規制の推進の一項があります。このパンフレットですね、きょう持ってきましたけれども、その中には幾つかの方策が書いてあります。諸外国の環境アセスメントの仕組みにも触れて、このような海外の先進的な取り組み事例の研究を通じ--長いから略しますけれども、これから東京都として、東京にふさわしい新たな開発規制のあり方を検討していく、こういうことも書いてあります。
 これまでの都の努力をさらに前に進めていただきまして、緑を減らさない、そういう有効な施策を構築されるように求めておきます。
 次に、希少種の問題について伺います。
 この緑施策の新展開は、生物多様性の保全に向けた基本戦略というサブタイトルがついています。緑を守り、育んでいくという考え方を示しているわけですね。
 生物多様性に関しては、本当に希少種の保護が大事な課題だと思います。
 先ほどの八王子市美山町では、今後、山の頂が採石のために削られることも予定されていて、今までよりももっと自然環境が壊されていくと住民の方々が心配をしています。採石作業で山が崩されていく、そうすれば水の流れも変わってしまいます。
 山域には、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、陸上や水生の植物など、まさに多様な生物が生息して豊かな生態系が形成されています。国や東京都が絶滅危惧にあるとして希少種に指定している鳥類を初めとした動物、また植物が数多く生息していることも確認されています。
 今のままでは、貴重な山域の自然が失われて希少種の保護がより難しくなる、私は現地に行きましてそのように感じましたけれども、希少種の保護について、環境局はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○笹沼自然環境部長 都は、一定規模以上の開発行為の許可申請に当たりましては、自然環境調査を行い、その結果に基づき、植物については適切な場所へ移植を行うことなど、希少な動植物の生息、生育環境に適正な配慮を行うよう、条例、規則に基づき事業者を指導しております。
 また、許可を行う際には、移植を行った希少植物の生育状況につきまして、一定期間のモニタリングを行うことを条件に付すなどいたしまして、希少な動植物への適正な配慮を事業者に徹底しております。

○河野(ゆり)委員 ぜひ引き続きのご努力をお願いいたします。
 希少種の保護に関連してもう一点、オオタカについて伺います。
 この間、環境省は、レッドリストに載っているオオタカを絶滅危惧種の指定から外すことを検討しているといわれております。猛禽類のオオタカは食物連鎖の頂点に立っている動物です。オオタカが生息、繁殖するためには、多様な動植物による生態系が保たれていなくてはなりません。絶滅が危惧されるほど個体数が減少したオオタカを希少種に指定して保護に努めたこと、これが、本当に多くの人たちの力や行政が協力して取り組んだ、広く知られている大事なことだと思います。
 環境省は、一定の個体数に増加してきたからレッドリストから外す検討を表明しているわけなんですけれども、長年にわたる市民団体や各方面の努力を振り返ってみても、引き続き保護に努めることは当然だと思います。
 東京都として、国にオオタカを希少種としての指定を続けるように求めていただきたいと考えるものですが、いかがでしょうか。

○笹沼自然環境部長 オオタカの種の保存法による国内希少野生動植物種の指定解除につきましては、現在、環境省が専門家を交えて検討中でございます。
 都といたしましては、その検討状況を見守ってまいります。

○河野(ゆり)委員 国の動きを見守っているというだけでは、東京都の役割を果たすことにはならないのではないでしょうか。オオタカは食物連鎖の頂点にある動物と申し上げましたが、このことをよく認識していただきたいのです。
 オオタカを初めとする猛禽類は、小鳥、例えばヒヨドリとかドバト、ヤマドリなどを餌とします。餌の小鳥が生息、繁殖するには、昆虫や木の実が豊富でなければなりません。昆虫は草木の花の蜜を食し、その草木が生息するには、太陽、水、大地が必要です。お互いが命を支え合っている、そこには豊かな自然の生態系が存在するわけです。
 オオタカを保護する努力の中で、その生態系が守られてきました。保護のためには開発が厳しく制限されてきた。結果、今の到達につながったのではないでしょうか。そこを環境局は強く認識していただきたい。
 とりわけ東京は、全国の中で最も都市開発が行われているのですから、国の検討を見守るというだけでは不十分ではないでしょうか。再度ご答弁を求めます。

○笹沼自然環境部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、都といたしましては、環境省の検討状況を見守ってまいります。

○河野(ゆり)委員 オオタカ生息地の開発を規制して、保護に多くの人が取り組んだ歴史があります。開発が安易に許されなかった、歯どめがあったことで、緑、水などの貴重な自然が保全されたのです。
 日本野鳥の会もシンポジウムを開いております。会場からは、オオタカが各地の開発行為の抑制に果たしている役割や生態系保全の視点から、解除は慎重にとの意見が多く出されたとのことです。
 都としても、国に積極的に希少種オオタカ保護を働きかけていただくよう、強く要望しておきます。
 次に、環境アセスメントと建設発生土に関連して伺います。
 ことし十月、JR東海が計画しているリニア中央新幹線の建設を国土交通省が認可いたしました。JR東海が実施した環境アセスメントについて、関係七都県から六百項目に及ぶ意見が出されたと報道されています。
 東京都知事からも意見が出されたとのことですが、その内容はどのようなものだったのでしょうか。ご説明をお願いします。

○谷上都市地球環境部長 都は、JR東海が作成した環境影響評価準備書に対して、環境影響評価審議会での答申を踏まえ、百件の意見を付した知事審査意見書を平成二十六年三月にJR東海へ交付いたしました。
 この知事審査意見書におきましては、主な鉄道施設の位置や規模を明らかにすることや、予測の妥当性について根拠を示すことなどを求めました。

○河野(ゆり)委員 東京都は、大量の排出が予測される建設発生土について、知事意見書においてはどのような意見を提出しておりますか。また、その意見に対してJR東海がどのように答えているか、お答えをお願いします。

○谷上都市地球環境部長 都は、その知事審査意見書におきまして、JR東海に対し、建設発生土の再利用の方法などを明らかにし、具体的な計画を策定するよう求めました。
 JR東海は、平成二十六年八月に国土交通省に提出いたしました環境影響評価書におきまして、工事着手前に関係機関と協議を行い、公共、民間事業への有効活用等の具体的な計画を策定するとしております。

○河野(ゆり)委員 都知事の意見書は、膨大な建設発生土の処理、処分及び発生土置き場の具体的な位置や規模などについて不明確として、関係機関と協議の上、具体的な残土処理計画を早急に策定するとの内容だと聞いております。
 JR東海は、この意見に今の段階で答えているとはいえません。都がきちんと監視していく必要がある、私はこのことを申し上げておきます。
 JR東海の計画では、二〇二七年、十一年後ですね、ここまでに東京-名古屋間を開通させるとしています。二百四十六キロメートルの区間、八六%がトンネルとのことです。地中を掘ることで排出される建設発生土は五千六百八十万立方メートル、汚泥やコンクリートを合わせると、六千三百八十万立方メートルの膨大な量となります。事業費は、東京-名古屋間で五兆四千三百億円、二〇四五年までに大阪まで延伸になると九兆円を超える巨大プロジェクトです。
 報道によりますと、JR東海が、五千六百八十万立方メートルもの建設発生土の置き場は、南アルプス山中の七カ所などわずかな場所しか示しておらず、処理についても具体的な計画を明らかにしていないことが問題になっています。
 環境アセスメントには、建設発生土などについても記述されております。東京では、品川から町田までの十九・四キロメートルの区間が大深度シールド工法で計画されています。建設発生土の排出量は幾らになるのでしょうか。建設発生土、建設汚泥、また、コンクリート、瓦れきなどその他の建設廃棄物について、それぞれその量をお示しください。

○谷上都市地球環境部長 都内区間における発生量につきましては、先ほどのJR東海の環境影響評価書におきまして、建設発生土が六百万立米、建設汚泥が百五十一万立米、その他建設廃棄物が約五万立米発生するとしております。

○河野(ゆり)委員 品川-町田区間から排出される総量は、合わせて七百五十六万立方メートルの量になることが今のご答弁でわかりました。
 排出された建設発生土、汚泥などのうち、新海面処分場に持ち込まれて埋め立てになる量はどのくらいなのか、また、それ以外のものについても、どのような処分、処理になるのか、お示しをいただきたいと思います。

○谷上都市地球環境部長 JR東海は、環境影響評価書におきまして、建設発生土で九九%以上、建設汚泥で九五%、その他建設廃棄物で九九%以上と、可能な限り再利用、再資源化等を図るとしております。
 再資源化等が困難な場合につきましては、関係法令を遵守し、適正に処理、処分をするとしており、埋立処分を行うことも想定されておりますが、具体的な処分先は明らかにされておりません。

○河野(ゆり)委員 その具体的な処分先がわからないことが問題なわけなんですね。
 大深度シールド工法によって建設された中央環状品川線の場合、建設発生土の処理をどうしたか、調べてみました。東京都が建設した街路事業の方だけで百万立方メートルの建設発生土があり、そのうち約七〇%、すなわち七十万立方メートルを横浜市の南本牧処分場に搬入、残りを中央防波堤の海の森及び新海面処分場に入れたとのことでした。
 南本牧処分場、ここは埋立処分場です。先ほどのご答弁では、建設発生土は再利用に回される、あるいは有価で買い取られるという意味も含まれるでしょうか、そういうふうな理解になりますけれども、品川線建設で出た建設発生土はこの処分場に埋め立てられたということでは、実際に廃棄物扱いになってしまったのではないか、そのように思います。
 これからリニア新幹線で排出される大量の建設発生土も、廃棄物として埋め立てられることが起こり得るのではないか、そのように思うのですが、東京都は建設発生土の処理方針をJR東海にきちんと示させていない今の状況では疑問は払拭できないし、都民の納得は得られない、このように感じるものですが、いかがでしょうか。

○谷上都市地球環境部長 JR東海は環境影響評価書におきまして、建設発生土については、本事業内で再利用することや、他の公共事業等への有効利用に努めることにより、九九%以上を再利用するとしてございます。
 また、先ほど述べましたが、JR東海は同評価書におきまして、工事着手前に関係機関と協議を行い、公共、民間事業への有効活用等の具体的な計画を策定するとしておりますので、その際に方針等が明らかになると思われます。
 また、都内での工事から発生します建設発生土につきましては、建設リサイクル法など関係法令や東京都が作成いたしますガイドラインに基づき、適正な処理をすることが求められております。
 今後、JR東海が計画を策定する段階で、適正に再利用などがなされるよう、関係部署による指導等がなされるものと考えております。

○河野(ゆり)委員 建設発生土について、関係機関に問い合わせをしてみました。東京都の担当は、リニア新幹線の建設発生土について、JR東海から特定の相談は伺っていない、都内には置くところがないと思う、持っていく先をあっせんしたということもないといっております。それなのに、JR東海は、環境アセスメントの国土交通大臣の意見と事業者の対応という文書の中で、建設発生土について、情報収集の結果、現時点で全体の八〇%の発生土の活用先の候補地情報を得ていると述べています。
 都内では、六百万立方メートルの建設発生土、建設汚泥も合わせますと七百五十万立方メートルを超える排出になるのに、肝心の東京都の担当はJR東海から伺っていないといっている。私は、この実態を本当に不思議な話だと思わざるを得ませんでした。この場で申し上げておきます。
 次に、電力の消費の問題もお聞きしておきます。
 リニア新幹線は大量の電力を消費します。東海道新幹線の二倍から三倍ということです。省エネの重要性がエネルギー問題、地球温暖化防止などでいわれている中で、省エネとは真逆の計画ではないか、このように思います。
 東京都は省エネを推進していて、貴重な取り組みと思います。リニア新幹線は都の方針と相入れない計画ではないか、このように考えますけれども、エネルギー問題でのお考えはいかがでしょうか。

○谷上都市地球環境部長 JR東海は、先ほどの環境影響評価書におきまして、リニア運行時における省エネルギー化を進めるため、電力変換器の高効率化や走行抵抗の低減及び空気抵抗の低減を図り、約一割のエネルギー消費量の低減を目標に取り組んでいくとしてございます。
 都はこれまで、都内で事業活動を行う事業者等に対して、省エネ、節電の取り組みを促してまいりました。今後も、JR東海も含め、このような事業者に対して、引き続き省エネ、節電の取り組みを求めてまいります。

○河野(ゆり)委員 今わかっているのは、電力消費量は東海道新幹線の二倍から三倍、いわゆる二〇〇%から三〇〇%かかるわけですよね。それで、今ご答弁は、省エネは、いろいろ工夫をして約一割のエネルギー消費量の低減を目標に取り組んでいくと。そういう点では、なかなかエネルギー問題では、何というのでしょうか、問題を大きく抱えている計画だと思います。
 それで、電力の問題なんですけれども、JR東海の社長発言が批判をされています。原発をとめれば電力供給の不安定化を招く、原発継続しか活路はないといっているのです。福島第一原発の過酷事故の教訓をつかんでいない発言である、このように、JR東海の経営者の発言について、私は批判せざるを得ません。
 最後に、意見を申し上げます。
 JR東海は、環境アセスメントの中で、建設発生土の活用について、土地区画整理事業など都内の公共事業への活用を、都の関係諸機関等に情報提供を受けながら調整していくともいっています。環境アセスで、受け入れ先事例としてUCR、株式会社建設資源広域利用センターの活用が出ています。UCRの年間受け入れ量は、資料で見ますと、この近年、一年間で百五十万から二百万立方メートルで、これを急速に受け入れ先を拡大するのは容易なことではありません。
 そうした中で、建設発生土の受け入れ先として、国のスーパー堤防事業も候補に挙がっております。スーパー堤防事業は、ご承知のとおり、税金の使い方、地元住民の多大な犠牲、水防効果などに疑問が噴出し、テレビ番組でも繰り返し取り上げられ、批判されている事業です。
 今後、リニア新幹線や外かく環状道路、超高層ビル建設など、東京がこのまま開発を進めていけば、建設発生土は大量に排出になります。その受け入れ先をつくり出すために、住民合意がない事業が計画される、そのようなことがあってはならないと考えるものです。
 リニアの建設発生土については、環境アセスの都知事の意見書に基づいて監視を強めていただくように私は繰り返し求めまして、質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十一分開議

○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、まず初めに、エネルギー政策について伺います。
 先般、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書が公表されました。現行を上回る追加的な努力がないとリスクが非常に高いレベルに達してくると、改めて警告が出されました。そして、その対策をしっかり促進していくということにもなっております。
 こうした中で、都は、キャップ・アンド・トレード制度の導入など先進的な気候変動対策に取り組んでいますが、エネルギーの大消費地である首都東京こそが国のエネルギー政策をリードする気概を持って取り組むことが重要であると思います。とりわけ二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、選手村の電力を水素や再生可能エネルギーなどで最大限賄うなど、地産地消の東京産電力を確保し、環境に配慮した未来型都市としての姿や、まさに世界に誇れる日本の高い技術力を発信していくことが重要だと思います。
 今後、このような観点を踏まえて都市エネルギー政策をどのように進めていくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○櫻井都市エネルギー部長 世界各国から東京オリンピック・パラリンピックで東京を訪れた方々に、低炭素でエネルギー効率の高い都市の姿を示すことが重要でございます。
 都は、高効率なコージェネレーションシステムを活用した自立分散型電源や太陽光、太陽熱の推進など東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーのさらなる導入拡大、燃料電池車や燃料電池バスなど水素エネルギーの普及、省エネルギー対策の推進に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、都市エネルギー施策を強力に推進してまいります。

○こいそ(明)委員 まさに温暖化による影響が危機的な状況の中で、化石燃料への過度の依存は当然検討しなければならないと思います。特に天然ガスへ大きく依存している現状では、年間三・六兆円もの国費が流出しているといわれています。都として、メタンハイドレート、またはバイオ等々の新たな多様なエネルギーについても検討していく必要性があるかと思います。
 そこで、次に、エネルギーに関する新たな技術について伺います。
 先日、私は、光合成などによってみずからの体内で油をつくり出すミドリムシを初めとした、いわゆる藻でありますけども、その研究開発に取り組む事業所を視察させていただきました。まさに百聞は一見にしかず。残念ながら、藻を大量に培養するには、この東京では気候やスペースの問題で条件が厳しいために、事業化の場所としては海外を想定しているということでありましたが、資源輸入国である日本にとって非常に重要で将来性のある取り組みであると実感をしたところであります。
 新たな技術の開発には長い時間を要して大きな投資を伴うために、技術開発への支援は基本的に国の役割であると思いますが、都としても、この取り組みを、何らかの形で研究開発を後押ししていくことが重要ではないかと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 ご指摘のとおり、新技術の研究開発費用は事業化できて初めて回収できるものでございまして、事業者にとって負担が重いことから、国による支援の仕組みが整えられているところでございます。
 長期間にわたり技術開発を進めていく上では、こうした公的な支援と同時に、開発動向や新技術の可能性を広くPRし、金融機関や投資家などから投資資金を呼び込むことが重要になってまいります。
 このため、都といたしましては、企業の新技術開発の取り組みを広く都民、事業者などに発信し、認知度の向上につなげていくことで、新たな再生可能エネルギー技術の研究開発の取り組みを後押ししてまいります。

○こいそ(明)委員 供給源の多元化、低炭素などの観点から、水素は次世代エネルギーとしてエネルギー構造の変革にもつながってくるといわれます。
 間もなく燃料電池車が市場に投入されるということでありますけども、水素ステーションが十分整備されていない状況では、その普及に支障を来すおそれがあるのではないかといわれています。地価が高く、用地の確保が難しい東京において、例えばガソリンスタンドに併設するなどの既存のインフラの活用が私は効果的ではないかと考えている一人でもあります。
 こうした中で、国における整備費の支援策は、大手元売会社または子会社を対象とした補助制度につながっていくのではないかとの懸念があります。そこで、経営状態が極めて厳しい中小のガソリンスタンドにおいても水素ステーションを併設できるよう、中小の実態に配慮した整備費支援の制度を構築すべきと考えます。
 また、安全性も確保しつつ、中小の事業者を数多く抱える東京都こそが、国に対して、敷地面積の縮小を図るため、水素充填機と公道との保安距離などの規制緩和をより強く求めていくべきではないかと考えますが、あわせて所見を伺います。

○櫻井都市エネルギー部長 燃料電池自動車は、環境対策、地球温暖化対策、エネルギー対策、さらに防災対策など多方面に貢献するものであり、積極的に普及を図るべきと考えます。
 燃料電池車の普及に向けては、水素ステーションの整備が極めて重要でございます。しかしながら、設置に当たっては、法規制などに伴う広大な敷地面積と高コストな整備費が課題となります。
 そこで、既存のガソリンスタンド等のインフラを活用することも効果的であり、その際には中小事業者の実態に十分配慮する必要がございます。
 また、今後、国に対して、安全性への配慮、大都市固有の立地条件や、より多くの事業者の参入促進に留意した規制緩和を進めるよう提案してまいります。

○こいそ(明)委員 東京オリンピック・パラリンピックでの水素利活用に向けた環境を早期に整備することは極めて重要でありますが、水素社会の実現には、やはり長期的なビジョンを持ち、具体的に進めていくことが求められると思います。
 都としても、国を先導し、水素社会の実現に向けてどのように取り組むのか、都の見解を求めます。

○櫻井都市エネルギー部長 これまで、官民の英知を結集した戦略会議で議論を重ね、このたび中間のまとめを行いました。この中で、燃料電池車やバスの普及、水素ステーション整備に関する明確な数値目標、社会的受容性の向上等の具体的取り組みを示したところでございます。
 今後は、これらを東京都長期ビジョンに反映させていくとともに、戦略目標の達成に向けて、官民一体となった取り組みを加速させてまいります。

○こいそ(明)委員 世界一、環境負荷が低減され、まさに環境先進都市をしっかりと実現するためにも、東京都が先陣を切って積極的な対応を図り、モデルを示すことで、水素社会の実現に向けて国を先導していくことが今、必要だと思います。今後の都の力強い取り組みを大いに期待いたすところであります。
 次に、自然環境の関係でありますけれども、小峰公園について質問します。
 林田委員さんの地元であるあきる野市にあります都立小峰公園は、貴重な里山環境が極めて良好な姿で残された場所です。私も、年に数回、足を運び、田んぼなどの作業を初め、里山体験を通じた環境学習を行っておりますが、何度訪れても、里山は四季折々、新しい発見がありますね。昔の日本人の暮らし、そして、環境の生態系、循環型社会などが学べる、まさに学びの宝庫だという実感をいたします。
 そのために、多くの都民の皆さんに訪れてほしい場所だなという感を行くたびに思うわけでありますけども、その中でも、公園、公園というと、イメージが何か都市公園のような、そういうイメージになってくるわけでありますけれども、この公園という響きが普通の公園を連想させるせいか、小峰公園の存在や魅力が、余り幅広く都民に伝わっていないのではないかと思うんですね。そのため、私は、林田委員とも連携をとりながら、その中でも、委員会の質疑を通じ、愛称をつけることを提案してきたところでございます。
 今般、都が愛称を募集したところ、小峰ふれあい自然郷という名前に決まったとのことでありますけれども、そこで、都は、この愛称をどのように都民に浸透させていくのか。
 今後、愛称がこのように決まった中で、よりすばらしい公園といっていいのでしょうかね、里地、里山環境にするため、どのようにさらに魅力や価値を高めていこうと考えておられるのか、伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長 小峰公園は、日本人が暮らしの中で自然の恵みを活用しつつ、その種の生態系を適切に維持してまいりました里山生活の知恵などが学べる貴重な場所と認識しております。
 今回選定されました小峰ふれあい自然郷という愛称は、小峰の豊かな自然と触れ合え、四季の移ろいを感じられる都民のふるさとという意味が込められておりまして、小峰公園が目指すイメージを的確に捉えた名称だと考えております。
 この愛称を広く都民に知っていただくため、都は指定管理者と連携を図りながら、インターネットを活用した周知とともに、新宿御苑や日比谷公園で行われる自然環境イベントへの参加や鉄道事業者と連携したPR活動などを進めてまいります。
 また、畑作体験など、来訪者が里山の暮らしを体感できる機会をふやしますとともに、雑木林の管理に当たりまして、在来の樹種である山桜を補植していくなど、引き続き、魅力ある小峰ふれあい自然郷を築いてまいります。

○こいそ(明)委員 まさに多くの都民の皆さんに、このすばらしい里地、里山である、生態がしっかり息づいている小峰ふれあい自然郷をぜひ訪れてもらうためにも、引き続き、より一層、さらに頑張っていっていただきたいなと思います。
 次に、保全地域における環境人材の育成について質問します。
 私も七国山緑地保全地域において、長年にわたって、学生たちと間伐や下草刈りなどを行うグリーン・キャンパス・プログラムに取り組んでまいりましたが、活動して汗を流すと不思議と心が落ちつく、自然の中に身を置くとすがすがしい気持ちにもなるわけであります。学生たちが、心から笑顔になれるというんですかね、そのような感想を口にするたび、実際に体験し五感で里山保全の重要性を感じさせることが、まず、環境人材の育成にとっては極めて重要だということを痛感しているところであります。
 しかし、こうした活動は、主に地元のボランティア団体の主導によって行われているものの、団体の特に役員の皆さんは、大変頑張っておられるんだけれども、高齢化が著しく、里地、里山で農作業を手伝った経験がある方々も、年々やはり足が遠のいていくような感じがするんですね。やはりその点は、将来に継承をしていかなきゃならない中で不安を隠せません。
 里山保全のノウハウを持つ、高齢者だけじゃありませんけども、高齢者の方々がより元気なうちにそれらを継承させるため、都は、保全活動の担い手となる環境人材の確保、育成にもっと力を入れて取り組むべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長 保全地域の貴重な自然を守り続けていくためには、地元自治体との連携のもと、多くの都民の参画と協力を得まして活動の担い手を確保し、継続的な保全活動につなげていくことが重要であると考えております。
 このため、都は、次世代の担い手であります大学生に保全活動を体験していただき、里山などへの関心の喚起や行動を促すグリーン・キャンパス・プログラムや、民間企業の社員、その家族の方々などに保全活動に参加していただくグリーンシップ・アクションに取り組んでまいりました。
 今後、新たに、保全活動に興味や意欲のある未経験の方々を対象に参加しやすい機会を設けた上で、これらの周知を含めまして、既存の保全地域等における活動情報などの提供や、活動団体とのマッチングにより継続的な活動につなげる仕組みを構築することを検討いたしまして、保全活動の担い手づくりに積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 各年代層の方々と一緒にこういう保全活動をするということは、お互いにいいのではないかと思うんですね。そういう意味合いからも、ご答弁をいただきましたが、ぜひ今のような、そういう方向で取り組んでいただきたいなと思います。
 里山管理のノウハウを継承するため、しっかりと取り組んでいただくとともに、今後、保全活動に不可欠な用具や、その荷物といいますか、備品類が置ける拠点的な施設を用意することも必要じゃないかと思うんですね。
 私も八年ばかり、このように七国山、春、夏、秋、まあ最低年二回でありますけれども、多いときには四回ぐらいここに行っております。近ごろでは、先ほど申し上げた小峰公園にも行かせていただいておりますけれども、やはりそこで感ずるものは、環境局と建設局は根本的にどこが違うんだというと、環境の場合はビジターセンターを持っていますよね。それで、環境プログラムがかなりしっかりしているんですよ。そこに専任が、OBの方も含めておられるんですね。そして、そこにいろんな各団体が集うんですね。集まれる、そこで学べる、情報提供も受けられる、こういう相互の環境人材育成という、現存として大変すばらしい取り組みをしているところは幾つもありますよね。ところが、環境局の場合は、あくまで自然だと。自然がフィールドであって、そこでやってくださいということだと思うんですね。それも一つかもしれないけども、やはりこれからはそれだけでいいのかどうなのか。私は常々、実際的にやっていて感じますね。
 例えば、あるファーマーズセンターを借りる。しかし、当然にして年間日程がばあっと入っているから、横から入れませんね。じゃ、その最大限近いところの施設を借りるとしても、やはり当然、都合がありますよね、さまざまな計画の都合があるわけであって。そうすると、それが本当に借りられない場合は外ですね。だって、雨天決行ということになっているわけだよね。
 そういうさまざまな中で考えたときに、やはりもう一段--小峰には、建設から移管された大変すばらしいビジターセンターがありますね。やはり私は、保全区域であっても、ぜひそのような、何というのかな、大がかりなものじゃなくても、そこである程度集えるような必要最低限度の、何かそこで情報交換的な、交流的なもの、確認し合えるようなものも必要じゃないかと思えてならないんですね。ぜひこれはご検討いただきたいというふうに思います。
 次に、東京の水環境についてであります。
 さきの第二回定例会での一般質問で、小河内ダムの水を玉川上水を活用してお堀に流し込み、水質改善を図るプロジェクトを至急開始、検討すべきだと提案させていただきました。
 東京オリンピック・パラリンピックには、世界中から多くの方々がこの東京を訪れ、日本の象徴である皇居に足を運ぶことから、プロジェクトの成果は、環境に配慮した日本ならではのおもてなしを世界に発信することにもなるのではないかと考えます。そのため、舛添知事もあのときの答弁で、大変に夢のある提案である、この提案を真剣に受けとめて検討していくとご答弁されました。
 そこで、現在の進捗状況とこれからの取り組みについて伺いたいと思います。

○笹沼自然環境部長 現在、皇居外苑堀は、外部からの水の供給の減少と継続的な汚濁物質の流入によりまして、夏季にアオコが大量に発生し、悪臭や景観面での悪影響が生じるなどの事態が生じております。
 この水質改善の実現に向けましては、まず課題を洗い出し、取り組みの優先順位を勘案いたしまして、最も効果的な施策を構築していくことが重要であると考えております。
 本年第二回定例会での委員からのご提案後、直ちに環境局を事務局とした関係局課長級によるワーキンググループを設置いたしまして、外苑堀の管理者である環境省にも働きかけながら、水質改善の取り組みについて検討を重ねております。
 今後とも、関係局や国等としっかりと連携をいたしまして、スピード感を持って着実に取り組みを進めてまいります。

○こいそ(明)委員 壮大なといいますか、大がかりなプロジェクトであることはいうまでもないと思うんですね。しかし、これは、東京が、日本が開催する東京オリンピック・パラリンピックの節目の年に合わせて、それから、その後の東京ということを見据えて、私は検討していただきたいな、また、取り組んでいただきたいなと思うんですね。国のさまざまな関係機関との調整が必要だということはわかるんですけども、この点も、東京が一歩リードして積極的にこれを進めていかなくてはならないのではないかと思います。
 東京の豊かな水環境を取り戻す、すなわち、お堀から、さらには東京湾にこの水が注ぐということなんですね。清流が循環していくということですね。東京湾の水質も、もういうまでもありませんけれども、アオコがやはり発生している。赤潮、青潮、水質が余りよくないですね。
 ですから、これはこれとしながらも、個々の対応というのは求められるわけだと思いますけれど、やはり水循環、みずみずしい東京の、地下保水力もこの際しっかり確保する、こういうことも含めて、ぜひこのことも取り組みをさらに強めていただければというふうに求めます。
 次に、廃棄物対策について伺います。
 本年十月八日、環境省より都道府県知事宛てに、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底についてという通知が出されました。このことについては、三多摩清掃事業協同組合からも情報の提供を受けているところであります。
 この通知には、収集、運搬業務を担う事業者への委託基準に関して、経済性の確保などの要請ではなく、業務の確実な履行を求める基準であることと書かれており、非常に重要な内容がそこに記されています。
 この通知に関する都の見解と市区町村に対する周知について伺いたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 平成二十六年十月八日付の環境省通知につきましては、一般廃棄物処理に関し、その処理全体について市町村が総括的な責任を有する旨を示したものであり、改めてそのことを周知徹底する内容であると認識しております。
 都としましては、本通知を直ちに都内市区町村に送付をし周知を図ると同時に、本年十月に開催した東京都多摩地域廃棄物行政連絡会において、都内市町村の資源循環行政担当の部長、課長を初めとした幹部職員に対し、趣旨説明を行ったところでございます。
 今後も、さまざまな機会を通じて、市区町村に対しまして廃棄物処理計画の適正化について働きかけてまいります。

○こいそ(明)委員 ただいまご答弁をいただきましたとおり、本通知は市区町村の一般廃棄物の処理責任について明確に言及したものであります。重く受けとめていただきたいと思うところであります。
 次に、古紙資源の持ち去り対策について伺います。
 この問題については、本委員会においても何度か取り上げさせていただきました。市区町村における罰則つきの持ち去り禁止条例の制定が進んでいることや、集積所のパトロールやGPSを活用した持ち去り古紙の追跡調査の実施など、さまざまな取り組みが行われているとの答弁がありました。
 そこで、改めて、市区町村における古紙持ち去り対策の実施状況と、それに対する都の支援について伺います。

○齊藤資源循環推進部長 市区町村における古紙持ち去り禁止条例の状況ですが、平成二十六年十月現在、区部では、二十三区中十七区が条例を制定しており、うち十三区が罰則つきとなっております。また、多摩地域では、三十市町村中十五市が条例を制定しており、うち十一市が罰則つきとなっております。
 平成二十二年の条例制定団体数と比べると、区部は十七区で変化がありませんが、多摩地域は、平成二十二年の五市が現在は十五市に増加しており、条例制定が進んでおります。
 持ち去り行為の根絶に向けて、市区町村では、集積所への持ち去り禁止警告文の表示や、職員や委託事業者による集積所の定期的巡回パトロールといった持ち去り抑止対策のほか、関東製紙原料直納商工組合と連携したGPSによる古紙持ち去りルートの解明、また、条例に基づく違反者に対する口頭指導や警告書の交付、さらには、悪質な違反者に対する刑事告発など、さまざまな実効性の高い対策を講じております。
 都は、行政や業界関係者が一堂に集まり、有効な持ち去り防止策を議論する古紙持ち去り対策に関する情報交換会を定期的に開催したり、条例制定を検討する市区町村の求めに応じて、条例制定済みの自治体との意見交換会を実施するなど、技術的な支援を行っております。
 また、市区町村の古紙持ち去り対策を、区市町村との連携による地域環境力活性化事業における補助対象事業の一つと位置づけ、古紙持ち去りの根絶に向け、市区町村への財政支援を行っております。

○こいそ(明)委員 市区町村がさまざまな取り組みを行って、また、都がそれを支援している実態は、今お話しのとおりだと思います。
 しかしながら、古紙持ち去り禁止条例の制定状況を見ても、今のお話でわかりましたけれども、都内の全自治体で条例を制定しているわけではありません。持ち去り業者は、ある自治体で--持ち去りといっても、これは泥棒ですから、はっきりいって。ある自治体で条例が制定されれば、近隣の条例が制定されていない自治体にぴょこっと行っちゃうということで、要するにモグラたたきじゃないかと。自治体において持ち去り行為を始めてしまうわけであって、またこちらをたたく、またこちらに行っちゃうという、こういう状況になっているようであります。つまり、都内全域をカバーする持ち去り禁止条例、私はやはり根本的な対応というのはそこじゃないかと思うんですね。
 泥棒を横行させておくというのは、法と正義に基づいて、この国、そして東京都もそうだと思うんだけれども--私は、これが全然根絶されていないというのは、今いったことも一つかもしれないけれども、広域行政体として根本的なところを取り組んでいかないと、いわゆる禁止条例の制定はしっかりやらなきゃしようがないんじゃないかと。
 そこで、古紙持ち去りを禁止する都条例の制定について、都の見解を伺いたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 一般廃棄物につきましては、廃棄物処理法に基づき、市区町村が処理責任を負っております。
 古紙持ち去り禁止に関する都条例の制定については、一般廃棄物に関する市区町村の処理責任との関係などの課題もございますので、さまざまな観点から、今後の市区町村の取り組み状況や成果を見た上で考えてまいります。

○こいそ(明)委員 いずれにしても、認識はそう変わらないと思うんですよね。都は根絶させていかなきゃいけない。やはり関係される方々はもう必死ですよね。ともかく、本当にもう大変な思いを持ちながら取り組んでおられるということですから、ぜひこれらのことを含めて、抜本対応、対策をしっかりとして取り組んでいただきたいなということであります。
 それともう一点、環境ビジネスについて。
 都の廃棄物処理計画に主要施策の柱として位置づけられているリサイクルビジネスの発展に欠くことのできない人材の育成については、積極的、継続的な取り組みが欠かせない。改めて廃棄物業界全体、廃棄物だけじゃないと思いますけど、視野に入れた人材の育成、環境人材育成の状況について伺いたいと思います。

○齊藤資源循環推進部長 廃棄物処理業界における人材育成は、循環型社会づくりや循環ビジネスの発展には不可欠だと認識しております。
 都では、従前の講習会を、ご指摘いただいた業界全体の底上げや人材育成を目的として、現場で汗を流す担当者が理解しやすいものにリニューアルして、平成二十三年度から多摩地域の処理事業者にも参加しやすい会場で設定するなどにより、これまで千二百二十九名の受講者を数えております。
 また、リサイクルなどの静脈ビジネスにおける新たな取り組み例や、中小事業者を対象とした低利の融資、総合相談窓口の設置など、都が実施する支援事業の紹介など、需要拡大に向けたヒントとなるような内容の講習会も開催し、好評をいただいております。
 あわせて、中小事業者を対象とした省エネ診断についても紹介させていただき、約六百事業者に制度の内容の案内リーフレットを送付させていただいております。
 今年度も引き続き、内容を十分に精査しながら、実効性のある人材育成を継続してまいります。

○こいそ(明)委員 人材育成という観点でお尋ねをしておりますけれども、取り組み状況についていろいろお話を聞かせていただきましたけども、まだまだ取り組み対応に不十分性があるんじゃないかということも感じるところであります。都としても、より実効性のある取り組みを今後もより積極的に進めていただきたいと要望します。
 次に、子供たちの環境学習についてであります。
 環境学習の目的は、子供たちがみずから考え主体的に行動する、すなわち、生きる力を育むことに大きな意味があると考えます。
 私の地元である多摩市の市立多摩第一小学校では、都内でも有数の自然環境に恵まれた地の利を生かして、ESDといわれる持続発展教育を実践しています。本年五月には、環境副大臣みずからが五年生を対象とした環境教育授業を行いました。私も授業風景を拝見いたしましたが、児童が積極的に手を挙げ発言する姿に、日ごろの環境学習の効果を実感したところでもあります。
 同じく、市内の東愛宕中学校では、平成二十二年にユネスコスクールに加盟して以来、取り組みが行われているわけでありますけども、先進的な環境学習が評価され、先月は下村文部科学大臣に視察に来ていただきました。
 環境学習は、学校と生徒と地域とを結び、希薄になりがちな地域ネットワークの形成にも寄与するものと、改めて確信をさせていただいたところであります。
 環境先進都市をうたう東京は、環境学習の面においても国に先んじた取り組みが必要ではないかと考えるところでありますが、環境局は、東京都教育委員会とも連携しながら、子供たちへの環境学習を--私は、国にちょっとリードされているんじゃないかなという感じがしてしようがないですね。ですから、ぜひ環境学習をより積極的に展開すべきと考えるところでありますけれども、見解を伺いたいと思います。

○篠原環境政策担当部長 都内の小中学校では、その立地や地域の人材などを生かしまして環境教育を実践しておりまして、お話のように多様な効果を上げております。
 これまで東京都におきましては、東京都環境基本計画において、東京の環境を引き継いでいく次世代の人材育成を目標の一つに掲げまして、学校などと連携した環境学習のほか、埋立処分場への見学者の受け入れ、シンポジウム、学校の教員を対象とした研修などの実施に取り組んでまいりました。
 今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、また、環境先進都市東京を実現していく上で人材育成はますます重要になっておりまして、子供たちへの環境学習への取り組みも強化していくことが必要と考えております。
 都内に存在する豊かな自然や最先端の省エネ、再生可能エネルギーの技術などを生かした新たなプログラムや教材についても検討するなど、子供たちへの環境学習がより充実して体系的、計画的に実施できるよう、教育委員会とも連携して取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 都は、過去から現在に至るまで、いわゆる日本の環境政策、行政を私はリードしてきたというふうに思います。しかし、この分野においては、今お尋ねしているこの分野でありますけども、私は先ほどもちょっと触れましたけども、環境省はきめ細かくやっていますね、このあたりは。実際の教育現場にも入ってきて。大臣だって、副大臣だって--副大臣が直接、小学生を相手に授業をしたり、このメニューというのかな、マニュアルもすごくしっかりしているようですね。その点、私は若干残念なんですけれども、東京都も、この環境学習分野の教育も、ぜひ国におくれをとることがないようにしていただきたいなと思います。
 環境局は、積極的なリーダーシップを発揮して、学校や教育委員会とともに連携を図りながら、一歩先んじた環境学習を展開することを強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、最後になりますけれども、環境科学研究所について伺います。
 環境科学研究所は、微小粒子状物質対策など、都内の環境行政に関する調査研究を行っておるようであります。一時期、環境ホルモン、杉並病だといわれた、この研究というのは、発表されて、世界的な研究なんですね、すごく高いんですよ。その後において、公社の方に入っちゃったんですね、これ、パラソルに。組織上ね。
 それはそれなんですけれども、しかし、東京が世界一環境負荷の少ない都市を目指していくためには、私は、こういうよりよい研究、よりよい取り組みがさらにさらにこの研究所で行えるように、もう一段、力を入れる必要性があるんじゃないかというふうに思います。
 例えば、先ほど触れましたけれども、ユーグレナです。これは学名ミドリムシですね、近年、バイオ燃料として注目を集めています。アメリカでは民間航空機での活用も始まっていると聞いております。現在、こうしたいわゆる藻の培養研究が世界的に注目を集めておるところであります。
 これは一例でありますけども、それからPM二・五もそうですね。こうした世界でも通用する研究の実施、高度人材の招聘などによって--私はやっぱり、客員研究員をこちらに招請する、また反対に、世界の中で先進的な環境研究をしている研究所に一定期間職員を派遣する、こういう人的な交流とか、それだけの世界レベルの知識を有する研究所になってもらいたいなと思うんですね。今申し上げましたけども、まさに世界で通用する研究の実施、高度人材の招聘など、研究全体のレベルアップを図ることで、環境科学研究所の機能をより強化していくべきと考えます。
 まさに東京だったらできるんですよ、はっきりいって。大変失礼だけど、他の県を見ても、それだけの力を入れるのは厳しいんじゃないかな。だけど、東京だったらできるんですよ、これ。東京は世界一になろうよと、東京は世界一の環境都市を目指しているわけだから、そのためにも、私は、今るるいろんなことで人材育成だ、環境学習、教育だという話もさせていただきましたけれども、環境だけではないけども、環境はすなわち人だと思うんですね。やはり人なんですよ。こういう面から見ても、この環境科学研究所も人だと思うんですね。
 よりよい研究をする、世界をリードする研究がこの研究所から発信ができる、世界人類に貢献できる研究所になってほしいなと私は思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○篠原環境政策担当部長 近年の環境行政は、例えば大気環境などでは、従来から取り組んできた分野なんですけれども、PM二・五などの新しい要素が加わっております。また、水素エネルギーなど新しい分野でも対策が求められるなど裾野が広がっている一方で、測定や分析技術の進展があり、燃料電池自動車などに見られる技術革新のスピードも目覚ましいものがあります。都の施策を展開していく上で、新しい技術、すぐれた技術をいかに活用していくかということが大きな課題になっていると考えております。
 こうした中で、東京都環境科学研究所に期待される役割はますます重要になってきておりまして、都が研究所に委託していく業務にも、エネルギー分野などの最新技術動向の情報収集を加えるということを検討しております。
 今後、環境科学研究所の機能をさらに充実強化するため、都の委託業務において改善、工夫を加えていきますとともに、公社の自主財源の活用や外部資金獲得などによる新たなテーマの研究にも取り組みを促すことで、戦略的な研究を支える研究員の能力の向上や人材確保を図り、研究機関として研究所みずからが一層の機能の向上を図っていけるように、都として支援していきたいと考えております。

○こいそ(明)委員 海外にも、そうした国内留学的なことでもいいと思うんですね。そういう人材のさらなる交流、育成策というんですかね、これもぜひお願いしたいなと思います。
 少し時間が経過しましたけども、私は前に環境科学研究所に視察に行かせてもらったときに、メダカの研究をやっていたんですよ。この話と若干ずれますけどね。メダカの研究をやっている。これ、実はすごいことなんです、メダカの研究というのは。これは環境のバロメーターというぐらいのもので、非常にデリケートなんですね。今、ゲンゴロウがこのあたりではいなくなりましたね、この周辺。多摩地域でもそうですよ。そういう中で、これらのことをこうやって地道な研究がしっかりできるというのは、私は、やっぱり環境科学研究所はやっているなという感じがしたんですよ。
 でも、またこれからさらに日本のすぐれた科学技術を環境の分野で生かしていくことこそ--先ほどちょっと触れましたけども、東京という都市はメガシティーなんですね。都市が今後も持続的に発展していくために当然必要なことです。そのためにも、都は環境科学研究所を、先ほどちょっといいましたけど、東京が世界一の環境先進都市を実現する上で必要なシンクタンクと位置づけて、人材や設備など必要な基盤を整備することを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○河野(ゆう)委員 私からは、気候変動対策の国際的な活動について何点かお伺いしたいと思います。
 気候変動対策に関しては、二〇一五年末にフランスのパリで開催が予定されているCOP21において二〇二〇年以降の新たな枠組みを決定することを目指して、国際交渉が精力的に続けられています。
 国連の調査によれば、今後、先進国はもとより、アジアやアフリカでも急速に都市化が進展し、今世紀半ばには世界人口の三分の二が都市に集中する予測があるとしており、エネルギーを多量に消費する都市においてCO2削減対策は重要性を増してきております。
 都は既に、平成二十二年度からオフィスビルをも対象とする世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度を導入し、大きな成果を上げられております。事業者の努力もあり、制度導入後三年目となる平成二十四年度実績は、基準排出量に比べて約二二%もの大幅削減を実現しているとのことです。
 このように実効性の高い制度を世界に広めていくことは、気候変動によるリスクを軽減し、持続可能な都市を構築するために大変意義が深いことだと思います。
 事業概要にも触れられております、都は取り組みを広くアピールするために国際炭素行動パートナーシップ、ICAPに加盟しておりますが、まず、ICAPとはどのような組織で、そして都はどのように関与しているのか、確認の意味を含めて改めてお伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 ICAPは、排出量取引制度の国際的な連携を推進するための中心的な組織であり、現在、ドイツやオランダ、アメリカのカリフォルニア州、カナダのケベック州など、合わせて三十の国家政府及び地方政府がメンバーとして加盟しております。
 都は、総量削減義務と排出量取引制度の導入を決定した実績をもとに、平成二十一年五月、都市として初めてICAPに加盟いたしました。
 制度開始初年度である平成二十二年度には東京で総会を開催するとともに、翌二十三年度からは運営委員会のメンバーとなり、活動方針の策定や予算案の検討など、ICAPの意思決定にも深くかかわっております。

○河野(ゆう)委員 地球温暖化問題の解決に向け、実効性ある対策を進めるためには、気候変動のリスクに対する危機感を共有し、先進的な対策を進める意思と能力を持った国家や州政府などと連携した取り組みが重要です。
 また同時に、ほかの国や地域の排出量取引制度の運営から得た知見を、都自身の制度運営に生かすことも大切です。
 このような認識を踏まえて、ICAPでの活動はとても有意義であると思います。
 都は、運営委員としてICAPの活動に深く関与されているようですが、最近は具体的にどのような役割を担っているのか、お伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 まず、都は運営委員として、ことしの九月にカナダのモントリオールで開催された総会に参加し、都の制度の現状について報告するとともに、ほかの海外の参加者と、排出量取引制度の連携などについて意見交換を行いました。
 また、今年度、フランスのパリで行われた新興国や途上国の政策担当者向けの研修に、ICAP事務局からの要請を受け職員を現地に派遣し、制度についての講演やパネルディスカッションを行っております。研修に参加した海外の方々からは、制度の導入に際しての教訓は何か、オフィスビルのテナントから協力を得るためにはどうすればよいかといった具体的な質問が数多く出されるなど、都の制度に対して高い関心が寄せられております。
 今後とも、都は、これまでの東京の取り組みで蓄積したノウハウを志のある国や州、都市に積極的に提供するなど、ICAPの運営委員として、そして、メンバーで唯一の都市としての役割を果たしてまいります。

○河野(ゆう)委員 EUや北米の州といった気候変動対策が進んだICAPメンバーの中でも、都の制度というのは注目される存在であるということがわかりました。ぜひもっと一般の方たちもわかるようにPRを進めてもらいたいと思います。
 今後、世界で都市化が進展するにつれ、一層注目されるようになるのではないかと思います。冒頭に申し上げたとおり、今後発展が見込まれる新興国や途上国にこそ、都市の持続可能な成長を目指す東京都の制度に対する関心が高いのではないでしょうか。
 都は、ICAPのメンバーとしての活動以外にも、これらの国や都市に対してさらに貢献すべきであると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○谷上都市地球環境部長 急速に都市化が進む新興国などにおいてオフィスビルの省エネを進めることは大きな課題であり、都のキャップ・アンド・トレード制度は国際的に大変注目されております。
 まず、成長著しいアジアにおける活動としては、台湾や香港などで開催された国際シンポジウムにパネリストとして参加したほか、タイやインドネシアなどから来日した調査団に対して都の制度を詳細に説明するなど、各国の気候変動に関する政策形成の支援をしております。
 また、ことしの六月には、これまでの実績が認められ、ドイツのボンで開催された国連気候変動枠組条約の技術専門家会議において、先進的な取り組みを進める代表的な都市の一つとして招聘され、制度運用の経験と成果を世界の国々と共有いたしました。
 今後とも、ますます重要性が高まっている都市におけるCO2削減対策のモデルとして、キャップ・アンド・トレード制度の情報発信を積極的に行い、アジアを初めとする国や都市の気候変動対策に積極的に協力してまいります。

○河野(ゆう)委員 今後も急速に発展が見込まれる国や都市において、気候変動対策において東京都の果たす役割はさらに重要性を増してくると思います。
 都は、現場を持つ強みを生かして、都市ならではの気候変動対策に今後とも貢献していくことを強く要望し、質問を終わります。

○高橋委員 まず最初に、事業概要の一七七ページにある在宅医療廃棄物の適正処理に関連してお尋ねいたします。
 いわゆる在宅医療は、高齢化社会の進展や医療技術の進歩に伴い、年々増加し、結果として生じる在宅医療廃棄物の適正処理はますます重要となっております。
 中でも、糖尿病患者が行うインシュリンの自己注射などに使われた注射針については、使用後の処理過程で、いわゆる針刺し事故が生じるおそれがあるなど、緊急の対応が迫られておりました。そのため、平成十四年度に、私の地元である練馬区と杉並区の薬剤師会が使用済み注射針の回収事業を開始し、平成十八年には、島しょ部を除く都内全域に実施地域が拡大しております。また、私も、回収事業の重要性を指摘するため、当委員会において繰り返し取り上げているところであります。
 また、使用済み注射針の回収が定着する一方、医療技術の目覚ましい進歩に伴い、注射針以外の新たな在宅医療廃棄物に対する適正処理もますます重要になってまいりました。
 そこで、都では、私の当委員会における指摘に基づき、平成二十四年十二月に、医療業界、医療機器業界、製薬業界、区市町村といった全ての関係者が参画する在宅医療廃棄物の適正処理に関する検討会を設置し、使用済み注射針回収事業と非鋭利な在宅医療廃棄物の適正処理の二点について、検証と今後の取り組みの方向性が議論されてきました。
 この検討会における取りまとめは、今後の在宅医療廃棄物の適正処理のあり方を考える上で非常に重要なものであります。また、この内容を着実に実行に移すことにより、在宅医療廃棄物の適正処理を推進していく必要があります。
 そこでまず、本検討会における検討内容について改めてお伺いいたします。

○齊藤資源循環推進部長 在宅医療廃棄物の適正処理に関する検討会は、平成二十四年十二月から平成二十五年九月にかけて計五回開催し、平成二十五年十一月に検討結果の取りまとめを行ったものです。
 具体的には、まず、使用済み注射針につきましては、医療機関で処方したものは医療機関が、薬局が販売したものは薬局が引き取ることを原則とし、薬局で引き取る場合は、専用容器を用いた回収を徹底すべきとしております。
 一方、注射針以外の非鋭利な在宅医療廃棄物については、感染のおそれを回避した上で焼却処理をすることが適当としております。
 今後については、在宅医療廃棄物の適正処理の促進に向け、個別の事情を考慮しつつ、患者、介護者などの方々にとって負担の少ない処理方法について関係者間で協議を行いながら、連携した取り組みを進めていくことが重要であるとしております。
 加えて、行政の保健部局など廃棄物対策部局以外との連携体制の構築や協働的な取り組みが有効としております。

○高橋委員 ただいまの答弁のとおり、検討会では今後の適正処理に向けた方向性が示されました。これに基づき、都や関係機関は具体的かつ着実な取り組みを進めていくことが必要であると思います。
 一方で、廃棄物の収集、運搬の現場からは、残念ながら、いまだに使用済み注射針が満杯に詰め込まれたペットボトルが廃棄されているという声も上がっております。このような現状を踏まえると、とりわけ使用済み注射針回収事業の普及拡大へのさらなる取り組みは喫緊の課題であると思います。
 そこで、検討会取りまとめ以降の使用済みの注射針回収事業の促進に向けた動きについて伺います。

○齊藤資源循環推進部長 平成二十五年十一月の検討会取りまとめの後、都は、福祉保健局や区市の実務担当者、東京都医師会、東京都薬剤師会及び訪問看護関係の医療関係実務者を構成員とする在宅医療廃棄物の適正処理に関する意見交換会を立ち上げ、現在までに、本年三月及び十月の二回実施をいたしました。
 意見交換会では、各主体から現在の取り組み状況を報告した上で、課題について多方面から掘り下げた議論を行いました。
 その結果、患者さんなどへの注射針回収事業のさらなる周知徹底を図るべきという結論に達し、各主体の連携による普及啓発の強化により注射針回収率の向上を進めるとの認識で一致をいたしました。

○高橋委員 使用済み注射針を着実に回収していくためには、使用済み注射針回収事業の認知度の向上が課題であるということがわかりました。
 使用済み注射針をごみとして廃棄してはいけない、医療機関で処方したものは医療機関へ、薬局が販売したものは薬局へという方針が患者や家族に広く認識され、実際にごみとして廃棄されることがなくなれば、針刺し事故のない安全・安心な収集、運搬体制を確立することができます。使用済み注射針の回収徹底は、今後の在宅医療廃棄物の適正処理を進める上で極めて重要な課題だと考えます。
 そこで、今後の使用済み注射針回収事業の普及啓発に向けた取り組みについて、都の見解を伺います。

○齊藤資源循環推進部長 委員から一貫してご指導いただいておりますように、高齢化社会の進展と医療技術の進歩により、在宅医療は年々増加しており、家庭から排出される在宅医療廃棄物の適正処理は極めて重要であると認識しております。
 そのためにも、使用済み注射針の適正処理に向け、回収事業のさらなる促進を図るために、まずは排出者となる患者さんやご家族などに直接呼びかけることが必要であると考えております。
 都は、各種広報を通じて、直接都民の皆様に使用済み注射針回収事業の活用を啓発するとともに、区市町村に対してもさまざまな手段を講じた周知を呼びかけてまいります。
 また、今年度より開始した区市町村との連携による地域環境力活性化事業における補助対象事業の一つに、在宅医療廃棄物の適正処理の推進事業を設け、採択要件に効果的な普及啓発の実施を加えておりますので、こうした事業などを通じて、使用済み注射針回収事業の普及啓発と事業拡大を支援してまいります。

○高橋委員 使用済み注射針を含む在宅医療廃棄物を安全・安心に処理するためには、関係者が一丸となり努力を重ねることが必要であると思います。
 都は、さらなる普及啓発に努めるとともに、区市町村や医療関係者への有益な情報提供や意見交換の場の設定など、在宅医療廃棄物の適正処理に向けた取り組みへの惜しみない支援を期待しておきます。
 次に、事業概要一四七ページにある緑施策の推進についてお尋ねいたします。
 私は、先週の当委員会の建設局関連の質疑で、都立公園における生物多様性の保全について質問をさせていただきましたが、本日は、市街地における生物多様性の回復という観点から幾つか質問をしたいと思います。
 都は、都市化が進んだ市街地において生物多様性の回復を図るため、江戸のみどり復活事業と称して、昨年度から在来植物による緑化を積極的に推進しています。
 在来植物は、東京にもともと生息する鳥や昆虫のすみかや移動経路となるため、それらが都内にふえ、生き物のネットワークが形成されることは、人と自然が共生するまちづくりにとって重要であります。また、在来種植栽は、春の芽吹きや秋の落葉など、季節ごとに豊かな表情を持つことから、都民が季節の移り変わりを実感できる機会にもつながっております。
 私は、かねてから本事業に注目しており、本会議や当委員会の場でたびたび取り上げてきました。
 区市町村の在来種植栽を支援するこの事業について、昨年度は、初年度だったせいか、残念ながら補助実績が江東区のみにとどまったようでありますが、早期にネットワークを築くためにも、多くの区市町村の積極的な取り組みを期待しています。
 そこで、今年度の実績及び区市町村の取り組みの内容についてお伺いいたします。

○笹沼自然環境部長 区市町村が行う在来種植栽を支援いたします江戸のみどり復活事業につきましては、今年度はこれまで、目黒区、江東区、練馬区の三区から補助申請がございまして、おのおの在来種植栽の設計に着手したところでございます。
 具体的な申請内容を見ますと、区立公園の再整備にあわせて在来植物による緑化に取り組むほか、練馬区では、放置され外来種がふえていた屋敷林を在来種で再生いたしますとともに、昔ながらの農家のたたずまいをほうふつさせる生け垣を整備する計画であるなど、特徴的な取り組みもございます。
 また、全ての区におきまして、植栽整備後には、案内板の設置や自然と触れ合う環境学習の実施など、生物多様性に対する地域住民の理解を広げる場として活用することも計画されており、こうした事例を他の区市町村にも示しまして、在来種植栽の意義や効果をアピールし、在来種による植栽の取り組みを一層働きかけてまいります。

○高橋委員 引き続き区市町村と連携して事業効果の高い取り組みを引き出し、それを他の区市町村にも広めることで、都内に在来植物のネットワークを着実に広げていってほしいと思います。
 また、都は今年度から、江戸のみどり復活事業の一環として、在来種植栽の普及に向け、先駆的に在来種植栽を行っている民間事業者と協働し、実際の植栽地を用いて、その管理上の課題解決策を検証する事業を進めています。
 実証実験に参加している企業に加え、施工主となるディベロッパーや日常管理を行う造園業界、在来種の供給者となる苗木の生産者団体など、幅広い方々が参加する検討会議を立ち上げたとのことでありますが、現在までの進捗状況と今後の取り組みについて伺います。

○笹沼自然環境部長 在来種植栽に関する維持管理のノウハウを蓄積、共有し、広く民間事業者等に普及させることを目的といたしまして、本年七月、先駆的に在来種植栽に取り組む三つの企業と協定を締結し、現在、それぞれの植栽地におきまして管理手法の検証を行っているところでございます。
 また、当該三社のほか、関連業界の方々が広く参画する検討会議につきましては、これまで二回開催しておりまして、今月上旬に開催した会議では、三社からこの夏の検証状況について報告を受けますとともに、害虫の駆除方法などに関する意見交換を実施いたしました。
 その結果、例えば害虫がつきやすい一部の在来樹木の管理につきましては、他の種類の在来樹木と混合して植栽するなどの工夫によりまして、全体の管理費用を削減できる可能性が見出されるなど、効率的な管理手法の構築に向けた基礎的な知見が得られつつあります。
 引き続き、管理手法の検証を進めまして、その成果を検討会議で議論いたしますとともに、年明けには業界団体等を対象としたフォーラムを開催し、在来種植栽の意義や管理手法の検証結果等を民間事業者に広く周知することで、都内における在来種植栽を一層推進してまいります。

○高橋委員 ノウハウを持っている事業者団体の意見も聞いて、しっかりと検証と検討を重ね、在来種植栽の普及のハードルとなっていると思われる管理コストの高さや害虫駆除といった問題に対する有効な解決策を見出してほしいと思います。
 そこで、都における生物多様性の保全に向けた国際交流について伺います。
 先月、韓国の平昌で生物多様性条約第十二回締約国会議、いわゆるCOP12が開催され、国レベルで施策の報告や意見交換が行われました。
 生物多様性は、国に限らず海外の諸都市もさまざまな問題意識を持っているため、都としても、国際会議などの場でみずからが推進する在来種緑化の取り組みなどをアピールするとともに、諸都市のすぐれた取り組みを情報収集し、それを都の施策立案に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○笹沼自然環境部長 委員のご指摘のとおり、今後、都が生物多様性の保全策を検討する上で、海外都市と交流を図り、他都市の施策や各都市が抱える課題を共有することは有用と考えております。
 このため、先月、韓国のCOP12の附帯行事として開催されました生物多様性国際自治体会議に参加いたしまして、都の生物多様性の取り組みをプレゼンテーションしましたところ、多様で豊かな自然を持つ東京の取り組みに対しまして、海外の都市から高い評価をいただきました。
 また、他都市との意見交換の場におきまして、例えば先進的に緑化に取り組んでおりますシンガポール市から、在来植物を活用した街路樹整備に関する情報を得るなど、海外都市の生物多様性の取り組み事例について情報収集をすることができました。
 今後とも、国際会議などの機会を捉え、都の生物多様性に関する施策をアピールしますとともに、他都市から情報収集するなどいたしまして海外都市の事例も参考としながら、都の生物多様性の保全回復に向けた取り組みを進めてまいります。

○高橋委員 民間シンクタンクの世界都市ランキングで一位を獲得しているロンドンは、オリンピックでオリンピックパークを整備する際に、四十五ヘクタールに及ぶ生き物の生息場所を復活させたことが世界的に評価されております。
 都も、こうした海外の先進事例を参考にしながら、生態系に配慮した緑化を推進し、自然環境と共生する都市の実現を目指していくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、事業概要四二ページ、大規模事業所における気候変動対策の推進についてお尋ねいたします。
 キャップ・アンド・トレード制度は、平成二十二年度の導入以降、早いものでことしで五年目を迎え、第一期の最終年度となりました。来年度からは、義務の履行を確認する整理期間に入るとともに、第二期が始まります。
 事業者にとっては、今年度は、第一期の義務の履行を着実に進めつつ、第二期の準備を同時に行わなければならない重要な年となっています。
 このため、私は昨年度のこの委員会において、事業者に対して丁寧な説明ときめ細かな支援を行うことを要望しましたが、これまでの間、都はどのように取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○谷上都市地球環境部長 まず、第一期の義務の履行の支援につきましては、今年度も、昨年度に引き続き窓口での相談に加え、事業者に直接訪問して省エネのアドバイスを行っているほか、排出量取引に関するセミナーを開催して、クレジットの価格情報や取引に当たっての注意点を周知するなど、事業所の実態に即した支援を行っております。
 一方、第二期の準備につきましては、ことしの三月に改正したガイドラインに基づき、昨年度よりも具体的な内容について、六月、七月、九月にわたり合計十回の説明会を開催して、延べ千六百人近い参加者を得ました。
 今後とも、省エネ対策のアドバイスや排出量取引の活用に関する情報提供を含め、事業者のニーズを踏まえたきめ細かい支援を行ってまいります。

○高橋委員 ただいま答弁のあったように、事業者に対する支援はきめ細かく行われているようでありますが、排出量取引を初めて行う事業者の中には、まだ不安に思っている方もあるかと思いますので、整理期間が終了するまで、引き続き丁寧に行うことを要望いたします。
 さて、第二期は、より大幅な削減を定着、展開する期間との位置づけにより、削減義務率が一五%または一七%に引き上げられます。事業者みずからがより主体的に削減義務の達成に取り組めるようにするために、義務の履行手段の幅を広げることは有効だと考えます。また、同時に、CO2の削減を進めるには、省エネとともに、再生可能エネルギーを利用した電力など環境への影響の少ない低炭素なエネルギーの普及を促進することも重要であります。
 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所においては、みずからの省エネによるCO2削減が優先されるのはもちろんですが、低炭素なエネルギーを使用した場合にも、CO2の削減相当として評価することはできるのではないかと思います。
 このような考え方を踏まえ、都は、第二期から新たに低炭素電力などの選択の仕組みを設けるとしていますが、その導入の目的や具体的な内容を伺います。

○谷上都市地球環境部長 この低炭素な電力及び熱の選択を促す仕組みは、エネルギーの供給事業者がよりCO2の少ない電力や熱を供給するよう、第二期から新たに導入することとした仕組みであります。
 例えば、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業者が、CO2の排出係数が低く再生可能エネルギーが一〇%以上含まれている電力を利用した場合には、一定量をCO2の削減義務量から差し引くことができるようにいたしました。この仕組みは、排出係数が低いエネルギーを使用するほど、対象事業者にとってメリットが大きくなるよう設定されておりまして、より環境性能にすぐれたエネルギーの供給事業者が選ばれるよう工夫をしております。
 今年度内に要件に該当するエネルギー供給事業者を公表する予定であり、この仕組みを通じて、対象事業者の義務の履行とともに、電力及び熱の低炭素化を促進してまいります。

○高橋委員 新たな工夫をして第二期を迎えようとしていることはよくわかりました。今後とも、対象事業者の声に耳を傾けた着実な制度運用を引き続きお願いさせていただきます。
 最後になりますが、我が党は、世界で一番の都市東京の実現を公約として掲げ、後世に誇れるクリーンで美しい東京をつくるために、さまざまな政策提言を行っております。
 二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、環境先進都市東京の姿や日本の高い技術力を世界に発信していく絶好の機会になります。
 しかし、この東京オリンピック・パラリンピックは、あくまで中間点にすぎません。その後の東京の姿も見据えて、着実に環境施策を進めていかなければならないと思います。
 本日、環境問題について何点か伺いましたが、答弁いただいたテーマを含め、まだまだ多くの困難な課題は残されております。
 環境先進都市の実現に向けた局長の意気込みを伺って、私の質問の締めくくりとします。

○長谷川環境局長 ただいま高橋委員から、資源循環、省エネルギー、自然環境それぞれの分野におきまして、示唆に富んだ重要なご指摘をいただきました。また、各委員の皆様方から、大変厳しく、また温かい叱咤激励をいただいたと思います。ありがとうございました。
 東京都はこれまでも、大都市に先鋭的にあらわれます環境問題に真摯に向き合いまして、その解決のために、ディーゼル車規制に代表されるような多面的な対策を行ってまいりました。また、世界初となる都市型キャップ・アンド・トレード制度を導入するなど、将来を見据えた先進的な取り組みを実施し、世界一の環境先進都市の実現に向けて着実にノウハウを積み上げております。
 二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピックは、こうした東京の先進的な取り組みや日本の高度な環境技術を発信する非常によい機会でございますが、ただいま高橋委員からお話がございましたように、さらに肝心なことは、この五輪の後も持続的な発展が可能な都市としていく、東京をそういう都市としていくということを、確かな将来のビジョンを持って取り組んでいくということだと思います。
 例えば水素は、低炭素なエネルギーというだけでなくて、さまざまな資源から製造が可能であるということから、資源小国である日本の未来には切り札ともいえる存在でございます。このため、一昨日、官民の英知を集めた戦略会議におきまして、水素社会実現に向けた中間報告を取りまとめております。
 そこでは、燃料電池車の普及台数や水素ステーションの設置数を初めとする幅広い取り組みについて、二〇二〇年とそれ以降を見据えた高い目標を設定しております。これをスピード感を持って実現するため、次の定例会には補正予算案を提出することとしております。
 省エネルギー、再生可能エネルギーや大気、自然環境、それから資源循環などの分野を含めまして、十二月に発表する予定の長期ビジョンにおいて中長期の戦略的な目標を掲げて、環境負荷の少ない持続的な発展が可能な都市に向けまして、具体的な施策を講じてまいります。
 今後も、都議会の皆様のご意見を頂戴しながら、職員一丸となって地道な努力を重ねまして、都民、区市町村や民間事業者の皆さんとも連携をして、世界一の環境先進都市東京を目指してまいります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十三分散会

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