委員長 | 上田 令子君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
副委員長 | 河野ゆりえ君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 山内れい子君 |
理事 | 相川 博君 |
米倉 春奈君 | |
舟坂ちかお君 | |
高椙 健一君 | |
大西さとる君 | |
小磯 善彦君 | |
高橋かずみ君 | |
林田 武君 | |
こいそ 明君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 長谷川 明君 |
次長 | 石野 利幸君 | |
環境政策部長 | 吉村 憲彦君 | |
環境政策担当部長 | 須藤 栄君 | |
都市地球環境部長 | 山本 明君 | |
環境都市づくり担当部長 | 谷上 裕君 | |
都市エネルギー部長 | 松下 隆弘君 | |
都市エネルギー推進担当部長 | 久原 京子君 | |
都市エネルギー技術担当部長 | 石川 裕通君 | |
環境改善部長 | 木村 尊彦君 | |
環境改善技術担当部長 | 島田 光正君 | |
自動車公害対策部長 | 山内 和久君 | |
自然環境部長 | 笹沼 正一君 | |
緑施策推進担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
廃棄物対策部長 | 齊藤 和弥君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 山根 修一君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)
○上田委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
この際、さきの台風二十六号により亡くなられた方々のご冥福を祈るため、黙祷をささげたいと思います。
皆さん、ご起立を願います。
黙祷。
〔全員起立、黙祷〕
○上田委員長 どうぞお直りください。ご着席願います。
○上田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○吉村環境政策部長 去る九月十七日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次にありますとおり、十三項目でございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成十二年度から平成二十三年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
なお、平成十四年度以降については、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で、二段書きとしております。
二ページをお開き願います。2、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
平成十二年度から平成二十三年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素につきまして、平成十九年度から二十三年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
四ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
五ページをお開き願います。4、平成二十四年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における各測定局ごとの年平均値を記載しております。
六ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
七ページをお開き願います。5、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
平成十六年度から平成二十五年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、予算額及び決算額を記載しております。
八ページをお開き願います。6、保全地域における希少種の状況でございます。
調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一〇ページにかけて記載しております。
一一ページをお開き願います。7、都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の推移でございます。
平成十年から平成二十五年九月末までの各年における都内の一時間五十、七十五、百ミリ以上の豪雨の日数を記載しております。
一二ページをお開き願います。8、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
平成十六年から平成二十五年九月末までの各年における都内の真夏日、熱帯夜の日数を記載しております。
一三ページをお開き願います。9、緑被率、みどり率の推移でございます。
区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では、平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では、平成十五年及び平成二十年のみどり率を記載しております。
一四ページをお開き願います。10、産業廃棄物の排出量及び処分量の推移でございます。
平成十九年度から平成二十三年度までの各年度における排出量及び最終処分量を記載しております。
一五ページをお開き願います。11、ディーゼル車指導の取り組み状況でございます。
平成十五年度から平成二十四年度までの各年度における運行禁止命令台数を記載しております。
一六ページをお開き願います。12、都内における資源物の持ち去り防止対策の実施状況及び各区市町村の条例化の状況でございます。
各区市町村における条例制定及び罰則等の有無、並びに持ち去り防止対策の有無とその具体策について記載しております。
一七ページをお開き願います。13、燃料電池車の取り組み状況及び国の動向、今後の見通しでございます。
(1)、都の取り組み状況、(2)、国の動向、(3)、今後の見通しについて、近年の取り組みや動向について記載しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○上田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林田委員 西多摩選出の議員といたしまして、環境局が進める多摩の森林再生事業についてこれまで取り組んできたことを、検証を兼ねましてお伺いしたいと思います。
ご承知のとおり、都内の森林面積は約七万九千ヘクタール、東京都の面積の三六%を占めております。これは、何と千葉県や茨城県より高い割合ということであります。
そして、この森林面積の約七〇%、五万三千ヘクタールが多摩西部の森林であります。そこでは、林業経営としての杉、ヒノキの間伐作業が、年にやっと千五百ヘクタール程度しかできないと伺っております。
昭和三十年代には、都内の森林就業者が二千人以上おりました。しかし、今では三百人にも満たない状況であります。森林再生、そのための間伐といっても、思うように、計画どおりには進んでいないものと察しております。
多摩の森林の荒廃が進み、花粉症対策もままならない、そして、想定外の集中豪雨が来る、土砂災害が頻繁に起こる。都民も住民もじくじたる思いですが、それでも、根気よく、森林再生、間伐作業は手を抜くことなく進めていかなければなりません。
環境局では、東京の森再生プロジェクトを策定し、平成十四年から多摩の森再生計画を進めてまいりました。それから十二年経過いたしました。
私は、昨年の事務事業質疑で質問させていただいた際、森林再生事業を市町村と連携して進めるべきだとご提案申し上げました。
そこで、その後の取り組みの成果、あわせて、森林再生事業は今どれぐらい進んできたものか、まずお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 森林再生事業の候補地の選定や森林所有者の特定及び事業実施に向けた交渉は、地元の事情に詳しい市町村に委託して実施しており、昨年度から、その連携をより強化してまいりました。
具体的には、産業労働局から森林の情報提供を受けて、事業候補地や森林所有者を市町村の担当者に提示したり、森林所有者との交渉方法などを取りまとめた事例集を作成、配布するなど、市町村が交渉を進めやすい環境を整備いたしました。また、毎月の進捗状況の報告や四半期ごとの市町村担当者との会議開催等により事業の執行状況を把握し、適切なアドバイスを実施してまいりました。
このように、市町村との連携をより密接にして事業を進めてきた結果、前年度比三割増しの五百六十七ヘクタールで間伐を行うことができました。
これによりまして、平成十四年度から合計で六千三百ヘクタール、多摩の人工林の約二割の間伐を実施したことになります。
○林田委員 実績を三割伸ばしたこと、多摩の人工林の二割の間伐を実施したことは評価したいと思います。環境局には、今後も確実に事業を進めてほしいと思います。
ところで、事業開始から十二年たつと、協定締結の相手である森林所有者も代がわりが進んでおります。私の地元でも、森林の機能や手入れについて十分理解していない方、森林を相続したものの、どこにあるのか、隣は誰の山林なのかもわからない方がいると伺っております。
このような事例がふえますと、協定締結の意義を十分に理解しない森林所有者がふえるなどして、事業の推進にも支障が出るのではないかと危惧いたしております。
今後、森林再生事業をより効率的に推進していくために、森林所有者に森林の現状と森林再生事業をわかりやすく説明していくことは重要と思いますが、所見をお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 森林所有者との間で二十五年にわたる協定を締結し、開発の禁止等の条件を遵守してもらうためには、森林所有者に、森林の現状を正しく認識した上で、森林再生事業について十分ご理解いただくことが大切でございます。
そのため、森林所有者に、本事業の必要性や効果などをわかりやすく説明したダイレクトメールを送付し、協定締結を促すとともに、市町村が開催するイベントや自治会、町会等に積極的に出向き、PRや相談の場を設置しております。また、森林所有者と交渉する場合には、あらかじめ森林の状況を調査して、現地の写真を用いて説得するようにしております。
今後も、森林所有者に対し、わかりやすい説明に努めることで、事業を効率的に推進してまいります。
○林田委員 ぜひ森林所有者にわかりやすく説明した上で事業を効率的に推進してほしいと思います。今後の進捗を見守っていきたいと思います。
次に、花粉症対策について伺います。
環境・建設委員会が初めての議員の方もおられますので、私が知っている範囲で経過状況を申し上げたいと思います。
平成十七年三月二十一日、圏央道あきる野インターチェンジ開通式が行われました。その開通式に出席するため、石原知事がヘリコプターで現地に向かいました。西多摩上空を飛ぶ中で、外は黄色いかすみが広がってまいりました。石原知事はそのとき、スギ花粉が飛び散るそのすごさに驚かされたといっております。そして、石原知事も花粉症になってしまいました。
石原知事は、その年、平成十七年十一月十四日、当時の関谷副知事に命じて花粉症対策本部を立ち上げました。百年かけて、一万二千ヘクタールのスギ花粉の少ない杉に植えかえるという大きな事業がスタートしたわけであります。
平成十八年には、スギ花粉対策費に三十四億円の予算が計上されました。環境局では、平成十八年度から、花粉症対策事業として、杉やヒノキの人工林で枝打ちを実施しております。そして、この枝打ち事業は、福祉保健局の花粉飛散予測や花粉症治療方法の普及啓発、産業労働局の花粉の少ない品種の杉苗を植える取り組みなどとともに、花粉症対策事業の一つに位置づけられております。
そこでまず、枝打ち事業の花粉症対策の効果について伺います。
○臼井緑施策推進担当部長 先ほど答弁いたしました森林再生事業では、本数割合で三割の杉やヒノキを伐採してまいりました。また、間伐後に引き続き行う枝打ちでは、枝のついている部分の下半分を切り落とすことで、雄花の量をおおむね四分の一に減らしております。
このような間伐と枝打ちをあわせた一連の取り組みにより、花粉の発生量を抑制する効果があると認識しております。
○林田委員 枝打ちが、間伐とともに花粉対策として効果があることはわかりました。
ところで、間伐実施から数年を経過すると、枝が横に伸びてすき間が少なくなってくるので、枝打ちは、間伐によって回復してきた森林の公益的機能を維持していくために重要と考えますが、これまでの取り組みと成果についてお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 間伐で樹木の間隔が広がりますと、枝が横に伸びやすくなり、特に森林の縁の部分では、枝が幹の下の部分にまで生えてしまうため、森林の側面から太陽光が入りにくくなってしまいます。
そのため、間伐実施後、三年から五年を経過した人工林の外側、面積にして全体の二割に当たる部分を対象に、枝の生えている部分の下半分を切り落とす強度の枝打ちを実施しております。
平成十八年度から昨年度末までに千八十三ヘクタールの実績がございます。
○林田委員 ありがとうございます。
次に、西多摩、特に奥多摩地域のシカ被害対策について伺います。
東京都が把握したシカの生息状況は、平成五年には三百頭でした。それが平成十四年には二千五百頭までふえました。
平成十六年には、奥多摩町川乗谷支流逆川地域の山林がシカの食害によって裸山となりました。その年に降った集中豪雨によって大量の土砂が流れ出し、甚大な被害を出しました。
森林の大規模な崩壊の原因となったシカによる被害は、オオカミなどの天敵がいなくなったことや、ハンターの高齢化、減少などの理由により、シカの生息密度が大きくなったことであります。
ピーク時の平成十四年には、一キロ平方メートル当たり十二頭程度にまでふえていたとのことであります。特に奥多摩町の多摩川北岸では、シカによって、杉やヒノキの苗木だけではなく、植物が減少しており、雲取山付近の稜線では、かつて、夏になると、お花畑と呼ばれるほどさまざまな高山植物が咲いておりましたが、今ではすっかり見られなくなりました。
平成十七年から、東京都では、環境局を中心にシカ被害対策に本格的に取り組んできましたが、現状はどうなっているのか、まずお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 平成十六年に、奥多摩町オオダワにおきまして、シカが下草を食べ尽くしたため森林の土壌が流出し、大規模な土砂崩壊が発生しました。これを受けて、環境局は、平成十七年度から十九年度までを第一期、二十年度から二十三年度までを第二期、二十四年度から二十八年度までを第三期とするシカ保護管理計画を策定して、シカの個体数管理に取り組むとともに、産業労働局、建設局、水道局など関係局が連携して、シカ柵設置や治山、砂防事業などの被害対策を実施してまいりました。
土砂崩壊の跡地では、治山事業により対策が進み、植生が回復しつつあり、また、防止ネットの普及により、ワサビなどの農業被害額は減少傾向にあります。
また、捕獲頭数の制限等の緩和や、隣接する埼玉県及び山梨県との共同捕獲により、推定生息密度は、対策開始前の一平方キロメートル当たり約十二頭から、平成二十四年度には約六頭程度にまで減少いたしました。
○林田委員 環境局がシカ保護管理計画を策定し、シカの生息密度を下げるとともに、関係局が連携して被害対策に取り組んできたことに対しましては敬意を表したいと思います。
先ほど雲取山付近のお花畑に触れましたが、ぜひ、生物多様性維持、回復の観点からも、高山植物の回復にも取り組んでいただきたいと思います。ご所見をお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 七ツ石山から雲取山の尾根沿いには、かつてニッコウキスゲやヤナギランなどの高山植物が生育しておりましたが、シカに食べられてしまったため、現在は、シカが嫌うマルバダケブキという植物が一面に生えている状況にあります。
これらの高山植物を再生するためには、シカの侵入を防ぐとともに、遺伝子撹乱を生じないよう、このあたりに生えていた植物と遺伝的に同じ系統の植物を導入し、徐々にふやしていくことが重要であります。
そこで、この夏、初めての試みといたしまして、自然公園法の許可を得て、植物の専門家の指導を受けながら、雲取山荘前の保護柵からヤナギランの種子を採取し、山頂下に設置した保護柵内に散布いたしました。
今後も、専門家の指導を受けながら、高山動物の復活に向け、取り組んでまいります。
○林田委員 自然が相手なので、難しいことも多々あるかと思いますが、試行錯誤を繰り返してでも、雲取山の夏の風物詩として高山植物を復活させてほしいと思います。
今回、私の地元、西多摩のことについて、いろいろお伺いいたしました。私は、西多摩地区八市町村及び山梨県の小菅村、丹波山村で協力して観光事業を進めております大多摩観光連盟の会長を担わせていただいております。西多摩を東京の自然の宝庫として大切に育むとともに、大勢の都民に愛される観光のメッカにしていかなければならないと思っております。
二〇二〇年夏の東京オリンピック・パラリンピックには、海外からも多くの観光客が訪れます。西多摩の豊かな森林、そこから湧き出る水でつくられた日本酒、ワサビ、豆腐などはもとより、雲取山で咲き乱れる高山植物も観光名所として見ていただきたい。東京の豊かな自然を五感で感じ取ってもらいたいと思います。
東京の自然、東京の緑がおもてなしの一つになることを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○小磯(善)委員 東京オリンピック・パラリンピック大会二〇二〇年が決定をいたしました。このオリンピック開催時期というのは七月下旬から九月上旬ということで、ことしで考えますと、大変暑い時期での開催ということになります。なおかつ、大会が開催される地域は、多くのビルが存在する東京の区部を中心に行われるということでございます。そういった意味では、都民はもとより、選手、そして観客にとっても快適な都市をつくるという観点から、できる限りの手だてを講じていくべきである、私はこう思っているわけでございます。
建築物に起因するエネルギー消費を減らすことは、地球温暖化対策に加えて、人工排熱を抑制し、夏季におけるヒートアイランド現象など熱環境の改善にもつながることから、省エネ、また再生可能エネルギーの推進など、建築物に関する環境施策を総合的に進めていくことが重要であると思います。
そこでまず、新築の建築物対策について伺います。
都は、平成十四年六月から、延べ床面積一万平米を超える建築物に対し、建築主みずからが当該建築物の環境性能を評価する建築物環境計画書制度の運用を開始し、既に十年以上が経過をしております。
この制度による実績を改めてお伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 建築物環境計画書制度につきましては、新築及び増築を行おうとする建築主に対して計画書の提出を義務づける制度で、平成二十二年十月から、対象規模を延べ床面積五千平米を超える建築物に拡大しています。
提出された計画書の概要を都のホームページで公表することで、建築主に、省エネルギーや緑の保全、ヒートアイランド現象の緩和といった環境に対する自主的な取り組みを求めることを主な目的としております。
この計画書は、昨年度末までに二千二百件を超える提出があり、建築物の環境性能の向上に大きく貢献しています。例えば、事務所ビルにおける設備の省エネ性能についていえば、国の定めたエネルギー使用の基準値からの削減率が、平成十四年度には二〇%弱であったものが、二十四年度には三五%程度へと大幅に向上しました。
○小磯(善)委員 ただいま、建築物環境計画書制度によって、新築の建築物における環境性能が向上してきていることはよくわかりました。
しかし、建築物は、一旦、建設されますと、長い期間にわたって利用されるものでありますので、新築当初に少しでも環境性能の高いものが建設されるという、そういう誘導をすることが求められていると思います。
そのためには、建築物環境計画書制度の不断の見直しが必要である、こう思うわけでございますが、見解を伺います。
○谷上環境都市づくり担当部長 建築物環境計画書制度につきましては、平成十四年の制度導入以降、環境に配慮する内容の追加や対象規模の拡大など、求められる環境性能や水準を見直し、適宜改正を行ってきました。
直近では、ことしの三月に、国の省エネルギー基準の改正に合わせて、空調や照明などの設備性能に関する評価項目などについて改正しました。
また、国は、ことし九月にも、窓や壁といった建物の外皮の性能に関する新たな評価方法を告示したため、都としても、誘導すべき水準や実現可能性などを調査した上で、今年度末を目途にこの基準の改正を行う予定です。
この制度を通じて、さらに環境性能の高い新築の建築物がふえるよう、適切に誘導していきます。
○小磯(善)委員 今後、オリンピック・パラリンピックの開催を前に、都内の建築活動が活発になることも予想されます。引き続いて適切に制度を運用するとともに、適宜、制度を見直すことで、より環境に配慮した都市づくりを進めていただきたいと思います。
さて、新築建築物の省エネ性能を高めていく上でも、すぐれた省エネ技術を活用することは大変大事であります。重要でございます。
昨年五月に開業した東京スカイツリー、東京の新たな観光名所として注目を集めているわけでありますが、そのスカイツリーの照明には全てLEDを採用し、東京スカイツリー内にある商業施設、東京ソラマチでは、冷暖房に地中熱を利用するなど、先進的な省エネ対策にも取り組んでいます。私も、スカイツリーのこうした地中熱の装置につきましては視察をさせていただきました。
都のキャップ・アンド・トレード制度では、すぐれた省エネ性能を有する事業所に対して、トップレベル事業所として認定し、削減義務率を緩和する制度があります。これにより高効率な省エネ設備の導入を促していますが、改めて、トップレベル事業所認定の仕組みとその運用状況についてお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 トップレベル事業所認定とは、省エネ対策が特にすぐれている事業所を都が認定し、削減義務率を緩和する仕組みで、オフィスビルの場合、二百二十八項目の省エネ対策について審査をし、百点満点中八十点でトップレベル事業所、七十点以上で準トップレベル事業所として認定するものであります。
認定に当たりましては、管理体制や設備の運用、保守についても審査いたしますが、高効率な熱源機器、照明、BEMSといった省エネ効果が大きい設備機器を導入している場合には高得点になります。
これまでの平成二十二年度から二十四年度までの三カ年の認定実績は、トップレベル事業所で三十四件、準トップレベル事業所で四十五件、合計で七十九件となっております。
○小磯(善)委員 トップレベル事業所は、二百項目以上にわたる審査を経て認定されるということで、厳格な運用がされているようであります。
こうした制度を導入するに当たっての狙いと、制度導入後の事業者の反応についてお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 我が国にはすぐれた省エネ技術がございますが、比較的省エネ性能の高い建物でありましても、コストや運用の手間がかかるということを嫌って、実際にはこうした技術が採用されないことが多くございます。こうした状況を転換し、省エネ性能の高い建物の水準をさらに引き上げていくことをトップレベル事業所認定の狙いの一つとしております。
制度導入後、その認知度が上がりまして、都市開発事業者の中には、社会的に注目の集まる開発プロジェクトでは、開発当初からトップレベル事業所認定を目指して高性能な省エネビルを計画する事例が出てきております。また、建築設計事務所においても、ビルオーナーへ省エネ提案を行う際、トップレベル事業所の認定基準が活用されているとも聞いてございます。
○小磯(善)委員 トップレベル事業所認定は、日本のすぐれた省エネ技術の導入を促進する上で意義がある仕組みである、こう思います。
東日本大震災以降、LED照明は、エネルギー効率だけでなく、色の見え方を示す演色性も格段によくなってまいりました。このように、技術は日々進展しており、トップレベル事業所認定においても、新しい技術を積極的に導入し、その普及を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○山本都市地球環境部長 現在の認定基準は平成二十一年度に策定したものであり、四年が経過しておりますが、近年、LED照明では、高効率な蛍光灯の一・二倍以上の効率のものや、空調熱源においても、従来の最高効率を一割以上上回る機器が製品化されており、最近竣工したビルでは、こうした高効率な機器を導入する事例が多くなってございます。また、高層ビルでは、従来難しかった自然の風を利用した空調が導入されるものも出てまいりました。
こうした技術の進展に対応した認定基準とするため、今年度は、最近竣工した省エネ性能の高いビルの調査や設備機器メーカーのヒアリングを実施するなど、最新技術の動向を把握し、基準の見直しに当たっては、対象事業所が対応しやすいように、平成二十七年度と二十九年度に段階的に基準の見直しを行っていく予定でございます。
また、事業者から、申請に際して負担が大きいとの声もいただいております。認定手続の点検をし、評価項目数や申請時の提出書類の削減など、簡素化も図ってまいります。
○小磯(善)委員 日本のすぐれた省エネ技術を最大限に活用していくことは重要であります。そのためにも、多くの事業所にトップレベル事業所を目指してもらう、そういう必要があります。これからも事業者の声に耳を傾け、制度の円滑な運用をお願いいたします。
続いて、再生可能エネルギーについてお伺いいたします。
都はこれまで、再生可能エネルギーの普及拡大に積極的に取り組み、太陽光発電を中心に大きな成果を上げてきました。
再生可能エネルギーの利用目標である二〇二〇年、二〇%に向けては、なお一層の取り組みが必要と思われますが、まず、現状の利用割合と今後必要となる取り組みについて所見を伺います。
○石川都市エネルギー技術担当部長 東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの利用割合は、平成二十三年度末時点で約三・一%となっておりまして、主な内容は、太陽光発電が約十七万キロワットで約〇・一%、廃棄物発電が約三十一万キロワットで約〇・三%、水力発電が約二・四%となっております。
今後、再生可能エネルギーの利用をより一層促進するには、都内及び都外双方で生み出される再生可能エネルギーのさらなる拡大が必要でありまして、都内では、引き続き、太陽エネルギーを中心に多様な普及策を展開するとともに、都外では、北海道、東北など、ポテンシャルが豊かな地域における風力発電などからの電力を広域で融通することが必要と認識しております。そのためには、各電力会社の送電系統を一体的に運用することが不可欠でありまして、都は、その着実な実現を、既に国に対し強く要求しているところでございます。
○小磯(善)委員 国による取り組みはもちろんでありますが、都としても、主体的な取り組みを引き続き実施していく必要があると思います。その一環として、現在、住宅用太陽光発電の新たな普及策である屋根ぢからプロジェクトが展開をされております。
一方、全国的に見ますと、太陽光発電の市場は、メガソーラーを初め、大規模な事業用が飛躍的に拡大しているため、住宅用は、従来に比べ縮小しているようであります。
このような状況下、屋根ぢからプロジェクトの現状と、今後の住宅用太陽光発電の普及に向けた取り組みについて、所見を伺います。
○石川都市エネルギー技術担当部長 屋根ぢからプロジェクトでございますが、太陽光パネルの価格の低下や固定価格買い取り制度の導入を踏まえまして、市場の自立的な普及拡大を側面支援する観点から、低利ローンを提供する金融機関や、すぐれた販売プランを提供する販売店と連携しながら、本年六月から展開している普及策でございます。
プロジェクトの対象となる販売店は公募により選定されておりまして、その販売件数は、都内の太陽光発電の導入件数合計の一部でありますが、実績としては、プロジェクト開始の六月が約十件であったのに対し、七月は約四十件、八月、九月はそれぞれ約六十件と、徐々に伸びてきております。
ご指摘のとおり、住宅用太陽光発電の普及は、メガソーラーなどの影響で一時的には落ち込んでおりますが、都は、固定価格買い取り制度を活用しながら、今後とも、市場の自立的な普及拡大に向けた側面支援を着実に進めてまいります。
○小磯(善)委員 住宅用太陽光発電の現状並びに都の取り組みのスタンスがよくわかりました。
都は、住宅用だけでなく、事業用についても太陽光発電の普及拡大に積極的に取り組んでいます。
先日の第三回定例本会議で我が党の代表質問に答弁されたとおり、都は、太陽光発電のさらなる普及拡大を図るため、屋根貸しマッチング事業の新たな取り組みを開始し、屋根の借り手である発電事業者と、貸し手である建物所有者の募集を行っています。
この事業は昨年度も試行的に実施をされ、数多くの発電事業者と建物所有者が登録するとともに、セミナーには二百名の定員を超える参加者を得るなど、高い関心が寄せられておりましたが、一方、賃料だけでは屋根貸しの契約に結びつきにくい、そもそも屋根貸しの契約方法がよくわからないといった課題も明らかになったわけであります。
こういった課題を解決してマッチングの実効性を高めるため、都は、今回の取り組みにおいて、停電時の非常用電源としての活用など、賃料以外のメリットの提案を発電事業者に対して積極的に働きかけるなど、さまざまな工夫を行っています。
中でも、屋根の賃貸借契約書モデルを作成、公開することでマッチングの実効性を高めようとしているとのことでありますが、契約書モデルを作成、公開する意義及びその概要についてお伺いいたします。
○石川都市エネルギー技術担当部長 太陽光発電の屋根貸しは新しい手法でございまして、屋根の賃貸借に係る一般的な契約方法はまだ確立しておりません。
昨年度のマッチング事業では、発電事業者、建物所有者双方から契約書モデルの提供を求める声が多数ありまして、今回、都がこれを作成、公開することで、屋根貸しを進めるツールとして活用していただくこととしました。
契約書モデルは、二十年という長期の契約期間内に、屋根の修繕のため、一時的にパネルの撤去が必要となった場合の取り決めなど、屋根の賃貸借契約を締結するに当たって、発電事業者、建物所有者の双方が留意すべき事項をまとめる形で、現在、作成を進めているところでございます。
○小磯(善)委員 契約書モデルの意義、概要はわかりました。屋根貸しを進めるツールとして活用できるとのことでございますが、既に発電事業者と建物所有者の募集が始まっているわけですから、なるべく早くこのツールを提供する必要があると考えます。
いつ、どのような形で公開される予定なのかお伺いいたします。
○石川都市エネルギー技術担当部長 契約書モデルでございますが、今月二十日に都庁で開催予定の屋根貸しセミナーで公開いたします。
セミナーでは、契約書モデルの解説に加え、既に屋根貸しの実績がある建物所有者や発電事業者に事例を紹介していただくことを予定しております。
セミナーの定員二百五十名は既に満席となっておりまして、開催当日は、発電事業者や建物所有者を初め、多数の参加者に契約書モデルなど屋根貸しの促進に資する情報をわかりやすく提供することで、マッチング機会のさらなる創出を図ってまいります。
○小磯(善)委員 セミナーは非常に盛況になるようなご答弁でございましたが、ぜひ、これを契機に屋根貸しの機運が高まってマッチングの実績に結びついていくことを期待しておりますので、頑張っていただきたいと思います。
それでは、最後の質問になりますが、環境アセスメントについてお伺いをいたします。
ことしの九月、JR東海が建設する中央新幹線、いわゆるリニア新幹線の東京都-名古屋市間における具体的な路線概要が明らかになったところでございます。
本件は、新幹線の建設事業であり、都の条例に基づく環境アセスメントではなく、環境影響評価法の対象事業でございますが、都としてどのような関与ができるのか、今後の手続についてお伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 国の環境影響評価法におきましては、環境アセスメント手続の段階に応じて関係都道府県知事等が意見を述べることができる仕組みが設けられており、都の条例においても、これに関連する必要な規定を置いています。
中央新幹線の事業につきましては、現在、JR東海が作成した環境影響評価準備書というアセスメント図書の公告、縦覧や地元説明会が終了した段階です。今後、法や条例の規定により、住民等の意見に対する見解をJR東海が取りまとめ、都へ提出することになります。
都としては、法や条例の手続にのっとり、地元の市長及び区長への意見を照会し、都民の意見を聴く会を開催するとともに、都の環境影響評価審議会においてアセスメント図書の審査を行い、知事の意見書をJR東海へ交付する流れになっています。
○小磯(善)委員 JR東海が公表した資料によりますと、リニア新幹線の線路は、都内は全て地下トンネルということであります。そしてまた、地上を通過する場所はない。しかし、都内には、ターミナル駅に加え、非常口が五カ所程度、変電施設が一カ所建設される計画で、このうち、私の地元町田市においては、リニア新幹線の駅でもあれば相当よかったんですけども、結局、川崎市との境界に位置するものも含め、非常口が三カ所、この町田に設置されるということになっております。直径が三十メートル、深さが四十メートルという、こういう穴の非常口が三カ所程度設置されると。
これらのリニア新幹線の整備による環境への影響についてお伺いしたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 JR東海は、みずから作成した環境影響評価準備書におきまして、工事の実施に伴う環境影響評価項目として十六項目、土地または工作物の存在及び供用に伴う項目として十八項目を選定し、評価を行っています。その結果、必要な環境保全措置を講ずることで、現状でも既に環境基準を上回っている一部の項目を除き、全ての項目で基準値を下回る、または影響は小さいなどとしています。
都としては、今後、地元の市長及び区長や都民の意見、並びに環境影響評価審議会の答申などを踏まえ、環境アセスメント図書の内容を適切に審査し、より環境に配慮した事業となるように、必要な意見をJR東海へ伝えていきます。
○小磯(善)委員 リニア新幹線は、我が国の最先端の鉄道技術により建設するものであり、今後の経済成長にも大きく寄与するものと期待いたしますが、環境への影響を最小限とし、都民に安心を与えるものでなければなりません。
今後、都においてもアセスメントの審査が行われるとのことであったので、地元市長や区長の意見を踏まえつつ、世界一の環境先進都市東京にふさわしい事業となるよう、しっかりチェックしていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○河野委員 私は、初めに、放射能汚染の問題について伺います。
おととしの東日本大震災に伴って起きた福島第一原発の事故から二年八カ月が過ぎました。過酷事故によって、いまだに十四万人の福島県民が避難生活を続けて、東京都内にも九千人に及ぶ避難者の方々が生活しておられます。
福島第一原発の事故によって、東京東部地域にも放射性物質が多く飛散してきて、私が住んでおります江戸川区も、放射線量が高いホットスポット最南端と呼ばれるようになりました。地域からさまざまな声が寄せられていますので、質問をいたします。
東京都は、新宿に一カ所しかなかった放射線量測定のモニタリングポストを、江戸川区の篠崎公園を含めて八カ所にふやして線量測定を継続してきましたが、測定値、そして、地域などのその値についての特徴的な点をご説明ください。
○木村環境改善部長 今、お話がありましたように、都内の大気中の放射線量の測定は、従来から新宿モニタリングポスト一カ所で測定をしておりましたが、東日本大震災を契機に増設いたしまして、現在、都内八カ所で福祉保健局が実施しております。
最新の十一月十一日のデータによりますと、放射線量の一日の平均値は、毎時〇・〇三五〇から〇・〇八二二マイクロシーベルトとなっております。
東日本大震災前から測定を行っている新宿モニタリングポストの震災前の値は、毎時〇・〇二八から〇・〇七九マイクロシーベルトでございます。
都内の現在の値は、ほぼ震災前の水準になっております。
○河野委員 私も、福祉保健局が実施しているということで改めて認識をしたところなんですけれども、このモニタリングポストの値を比較させていただきました。
私が住んでおります江戸川区篠崎の公園のところにありますモニタリングポストは、十月、十一月の値を見ますと、毎日のように、平均値が時間当たり〇・八マイクロシーベルト、そういう値を示しています。
一方で、西側の新宿の方では、これの半分以下の〇・〇三マイクロシーベルト毎時ということで、かなり江戸川の数値が高いというふうに感じています。同じ東京東部地域の足立でも、平均して大体〇・〇五という数値でありますから、区部東部の放射線量は高いまま推移している、そのように私たちは推計します。
そこで私は、九月の半ばに、葛飾区の都立水元公園と東金町運動場の放射線量を測定してみました。
行きまして、最初に驚いたのは、線量計を高さ一メートルのところで持って歩きますと、園内はずっと〇・二マイクロシーベルトを超える、そういうレベルの数値が出てくるんです。
十数カ所測定いたしましたが、広い水元公園、九十四ヘクタールあるそうですが、そこの記念広場近くの何カ所かでは、高さ一メートルで〇・三から〇・四二で、同じ場所の地表面五センチでは一・九から二・四一の数値でした。
公園のほぼ全域で、高さ一メートルで〇・二以上の数値が出ているので、本当にこれは、ほかの地域に比べて高いということを感じてしまうのですが、東金町運動場は三カ所の測定でしたけれども、やはり〇・二とか〇・三とかという数値が示されます。
福島第一原発の事故から、さっきも申し上げましたように二年八カ月たっている。その中で線量が高いという、こういう葛飾区の二つの都の施設の状況について、東京都はどのようなお考えをお持ちか、お聞きしておきたいと思います。
○木村環境改善部長 先ほども申し上げました八カ所の福祉保健局のモニタリングの中で、確かに、一番高いところは篠崎公園の〇・〇八二でございますけども、先ほどいいましたように、震災前の値も、高いときは〇・〇七九ございましたので、ほぼ震災前の水準になっているというふうに考えております。
そのほか、平成二十三年六月の福祉保健局によります都内百カ所での調査もございますし、二十三年十月に公表されました文部科学省による航空機モニタリング調査の結果を見ますと、都内の空間放射線量は、関東地方の中でも高い水準になく、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域に該当する面的な汚染はございません。
また、局所的な汚染については、国のガイドラインがありまして、地上高さ一メーターで、周辺より毎時一マイクロシーベルト以上を除染の目安として対応しております。
環境局では、区部東部の三公園で比較的空間放射線量が高かった六地点につきまして、放射線量の時間的、距離的減衰を把握するために、二十三年十一月以降、三カ月ごとに継続して測定しています。その調査によれば、二年弱で、平均して四割程度の放射線量の減衰が見られます。
また、葛飾区が区内三十三地点で測定いたしました結果を見ますと、平成二十三年十二月に比べ約五〇%低減しており、本年十月では、地上高さ一メーターで、最小値が毎時〇・〇四マイクロシーベルト、最大で〇・一六、平均で〇・〇九であります。
これらのことから、都内東部地域についても問題ないものと考えております。
○河野委員 詳しく数値はご説明いただきました。結論的には問題がないということなんですが、九月に金町の二カ所を測定して、汚染は、要するにスポットではない。ホットスポットといういい方をしていますけど、スポットではないということを私は実感しました。葛飾区の南に私たちの江戸川区も隣接しておりますが、江戸川区小岩地域も、江戸川のずっと南の葛西よりも、はかりますと高い線量が出てくるんです。
計測した数値の詳細は、きょうの場合は省きますけれども、区内東部は本当に面的に、平常時だったときよりも放射線量の値は高いという状況が続いている、これが住んでいる私たちの実感でありますので、正確な認識をお持ちいただけるようにお願いしておきます。
放射能は、においもなくて、色もなくて、目にも見えません。高線量にさらされていること自体、気がつかない、そういう人たちがほとんどだと思うんですね。
国は、毎時〇・二三マイクロシーベルトの放射線を一年間、浴び続けると、年間一ミリシーベルトの放射線を浴びることになるとして一つの目安としているわけですけれども、高さ一メートルで〇・二以上の数値が公園一帯に出ている水元公園や東金町運動場、この二つの都立施設には、公園内に、樹木の剪定や草むしり、そして清掃など、たくさんの人たちが働いております。
公園整備に携わる作業員は、マスクなどの着用もなくて、砂ぼこりが舞い上がる中で仕事をしていました。作業員や入園者への安全対策、これは建設局としても検討すべきであると私は強く感じましたので、きょうは局の見解は伺いませんけれども、このことは認識をしていただきたいと思います。
それで伺いますが、区部東部の葛飾区や足立区を含めて幾つもの自治体が、住民に安心してもらえるようにということで独自の指標値を設定しまして、清掃、除草、除染、それから、砂場の砂の入れかえ工事などの対応をしてきています。
例えば足立区は、毎時〇・二五マイクロシーベルトが指標値になっておりますけれども、東京都でもずっといい続けてきた、一メートルの高さで毎時一マイクロシーベルト以上、方針がずっとこのことをいい続けているわけですけども、そういう高い線量を示している自治体を中心として、住民の立場に立った独自基準が設けられているところが多くなってきているわけですから、東京都もこの点で努力が必要なのじゃないでしょうか。
○木村環境改善部長 放射線の人体への影響を評価するには、放射性物質の発生源での強さだけでなく、放射線をどのくらいの時間、どのくらいの距離で受けたかを考えて評価すべきであります。
繰り返しになりますが、都内には問題になる面的な汚染はございません。局所的な汚染については、その場所に滞在する時間が短く、また、少し離れるだけで大幅に減衰することから、国のガイドラインに沿った都の対応は妥当なものと考えております。
○河野委員 これは、ずっとそういうふうにいい続けているわけですから、私がここでお願いしてもなかなか変わらないし、東京区部東部地域と西部の方に住んでいらっしゃる方の感覚の違いもあると思いますが、私は江戸川区に住んでおりますから、いろんな状況を見ています。
江戸川区では、水再生センターのスラッジに含まれているセシウムなどの量が、ほかのところに比べて多いことも確認されています。ホットスポット最南端というようないわれ方をされない地域に何とかしたいというのが住民の思いです。
特に幼い子供さんを持つ若い世代は、放射能汚染について大変敏感です。子供が一番放射能の影響を受けるからであります。遊びのこと、食材のこと、内部被曝の不安など、心配は尽きることはありません。
私は、環境局が都民の思いに寄り添った対策を講じる、そのような検討を進められるように、改めて強くお願いをしておきます。
次に、再生可能エネルギーの開発と普及について伺います。
幾つか重なる質問もありましたので、省略もしながらお伺いをしたいと思います。
今、東京都が、再生可能エネルギー戦略、そして環境基本計画などで、二〇二〇年までに再生可能エネルギーの割合を二〇%にとの目標を掲げて取り組みを進めておられます。そして、この到達は、先ほどもお話というか答弁があって、現在の時点で三・一%、再生可能エネルギーの利用割合が来ている。それから、太陽光発電は十七万キロワットで〇・一%、廃棄物発電が約三十一万キロワットで〇・三%、水力発電が約二・四%ということで、太陽光や廃棄物の発電量を計算いたしますと約四十八万キロワットでありますから、東京都の電力需要が年間五千数百万キロワット必要だということがいわれておりますので、これに比較しても、目標の二〇%の達成にはかなりの距離があるということを、答弁をお聞きしながら感じました。
そこで伺うのですけれども、この掲げた二〇二〇年までに再生可能エネルギーの割合を二〇%の目標に向けて、東京都はどのような取り組み、努力を進められてきたのか、改めてご説明ください。
○石川都市エネルギー技術担当部長 再生可能エネルギーの利用をより一層促進するため、都内では、太陽エネルギーを中心に多様な普及策を展開するとともに、都外では、北海道、東北などにおける風力発電などからの電力の広域融通に不可欠な各電力会社の送電系統の一体的な運用の実現を、既に国に対し要求しているところでございます。
○河野委員 私は、再生可能エネルギーの比率を高めていくという点で、東京都の可能性として、風力発電の取り組みにやはり力を入れていく、こういうときに来ているんじゃないかと感じています。
ちょうど昨日から、福島県の楢葉町の沖合で浮体式洋上風力発電の実証研究設備が稼働を始めました。経済産業省を中心にして、東日本大震災からの復興事業として実施して、実用化は二〇二〇年を目指しているということです。
東京でも、広い海域を持つ島しょ部などを視野に入れれば、浮体式の洋上風力発電の可能性が広がっていくのではないかと考えますが、都として、この取り組み、積極的な姿勢を求めるものですが、いかがでしょうか。
あわせまして、陸上、洋上、島しょ部などでの風力発電の開発、普及について、現段階での都の検討状況をお聞きしておきます。
○石川都市エネルギー技術担当部長 島しょ部につきましては、変動が大きい再生可能エネルギーによる電力の安定供給の課題などの検討を、送配電系統を運用する東京電力株式会社とも連携しながら、既に開始しております。
また、海洋エネルギーにつきましては、そのポテンシャルの活用が将来的には期待され、二年前から、神津島では波力発電の実用化に向けた実証実験も始まっておりますが、その普及拡大に当たっては、国がみずからの役割として示しております海底送電ケーブルなどのインフラ整備が必要でありまして、都は、その着実な実施を、既に国に対し要求しているところでございます。
○河野委員 東京都が国とともに、風力発電の可能性を広げていこうということでいろいろ取り組みされていることは、今、ご答弁でわかりました。
この間、私も、風力発電について、各分野の方々のお話を聞いてまいりました。東京では、風の強さのことや土地の確保の問題で、大型の風力発電の普及については、クリアしなくてはならない課題が数々あることがわかりました。そして、風力発電の開発の現状、特に小型風力発電の開発には、中小企業の方々が大変な努力をされて取り組んでいることも、認識を新たにしたところです。
私たち日本共産党都議団はこれまでも、風力発電は、部品が一万点以上も必要で、その部品の多くが精密な回転部分を持つ機械製品であるということから、東京のものづくりの強みを発揮できる分野の一つということも示してまいりました。実際、都内では、風力発電の開発意欲を持って取り組んでいる中小企業が幾つもあるわけなので、環境局は、こうしたご苦労をしている中小企業に対して、産業労働局などとプロジェクトチーム、全庁的なものも立ち上げて、環境基本計画で掲げた目標二〇%の再生可能エネルギーの比率に向けて、やはり小型風力発電の開発、普及ということについても検討していただくように、この機会に強くお願いをしておきます。
風力発電を進めていく上で問題なのは、日本に開発した風力発電機を試験する場がないことが、一つネックだといわれています。ある中小企業は、遠くカナダなどに運んで、ここは一千万かかったといっておりましたけども、そこで、多くの費用をかけて海外でテストを受けているという現状が話されました。
国が国内の風力発電の試験場を設けること、このことをぜひ都が働きかけていただきたいということと、さらに、東京都としても、独自にそうした試験場を設置するよう検討する、この問題ではどんなお考えをお持ちか、お聞きしておきます。
○石川都市エネルギー技術担当部長 再生可能エネルギーの技術開発支援は、全般的に国全体の視点に立って進められるべき国の役割でありまして、特に海洋エネルギーにつきましては、その開発促進のための実証フィールドの整備を国が進めることとしておりまして、都は、その着実な実施を、既に国に対し要求しているところでございます。
○河野委員 都がそういうふうな働きかけをしているということは大変力強いことなんですが、早く着実に実現できるように、首都である東京都としても努力されるように重ねて要望しておきたいと思います。
もう一つ、風力発電のことで伺いたいのですが、今、学校の施設に小型風力発電を設置するという取り組みも進みつつあります。
学校は、災害時には避難所にもなりますし、もし災害が起きた場合、停電になっても、小型風力発電があることによって、携帯やパソコン、あるいは夜間の照明などの電源確保に役立つといわれています。また、子供たちへのエネルギー教育の側面からも意義があるといわれています。
小型風力発電の可能性を広げていく上で、こうした学校施設などへの設置について、東京都も取り組まれることが望ましい方向じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○石川都市エネルギー技術担当部長 学校施設におきましては、非常用電源の確保や環境教育などの観点から、各施設の実情に応じまして、既に太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進められているところでございます。
○河野委員 太陽光を中心にということで、まだ小型風力とか、そういうところに東京都の目が十分に注がれていないということは現実にはあるんじゃないかと思います。
小型風力は、風力四メートルから五メートルで稼働するわけですね。東京が再生可能エネルギーの利用を拡大していく、目標二〇%に向けて進んでいく、そうした意味でも検討に値するものと考えられます。
原発などの大規模集中型の電力供給から、地域分散型、地域経済循環型への転換のときを迎えているということが強調されているわけです。
現在、小型風力や、あるいは小型水力について、創意ある取り組みを進めている方がたくさんいらっしゃいます。新たな可能性を持つ風力発電について、開発と普及の努力を都に改めて求めておきます。
次に、太陽光発電に関連して、先ほどもありましたが、屋根ぢからのことについて伺います。
今年度、都は、太陽光発電普及へ、屋根ぢからソーラープロジェクトをスタートさせています。そして、家庭のソーラー機器取りつけを支援しています。実績も伸びている、このことが先ほどご答弁であったように思いますが、この屋根ぢからソーラーのプロジェクト、私は、今年度からの事業なので詳しく存じ上げませんので、ぜひご説明をいただきたい。
この屋根ぢからソーラープロジェクトは、東京都環境公社が中心的な役割を果たしていると聞いておりますが、仕組みそのものがどのようになっているのか、ご説明をお願いいたします。
○石川都市エネルギー技術担当部長 屋根ぢからプロジェクトでございますが、低利ローンを提供する金融機関や、すぐれた販売プランを提供する販売店と連携しながら展開している、住宅用太陽光発電の新たな普及策でございます。
○河野委員 今、私、最初に質問申し上げましたけれども、これは東京都が力を入れて、太陽光を普及していこうということでやる事業なんですけれども、主体を担うところは環境公社、そこが中心になって進められていくプロジェクトなのじゃないですか。それは、改めてご答弁いただいておきたいと思います。
○石川都市エネルギー技術担当部長 そのとおりでございます。
○河野委員 部長、わかっている人はいいんですけど、私みたいに、議会に来て間もない人はなかなかわからないので、もうちょっとご丁寧な答弁を今度、検討しておいてください。
答弁ではっきりしないのですけれども、このプロジェクトは大事なプロジェクトだと思いますが、東京都環境公社がソーラーを取りつける販売店を公募、選定する、それとともに、都環境公社がソーラーローンを貸し付ける金融機関を公募、選定するという仕組みになっている、私はそのように認識をしているわけなんです。
今、はっきりしないから、こうとしかいいようがないのですが、この屋根ぢからのプロジェクトでは、ソーラーを取りつける販売店が大事な役割を担っていると思うのですけれども、販売店の選定基準はどのような状況になっているのでしょうか。
○石川都市エネルギー技術担当部長 プロジェクトの対象となる販売店でございますが、公募により選定されておりまして、その審査基準は、太陽光パネルの価格、設置後のアフターケアの内容、販売体制、販売実績、財務状況などを総合的に評価するものでございます。
○河野委員 今年度からのスタートということで、販売店の公募は四月から五月にかけて行われたと聞いています。
ある業者の方から相談がありました。この方は、ジャックスに相談をして申し込みをしたら、多分、都の環境公社はオーケーを出すだろうといわれて、書類を整えて提出したわけなんですけども、その後、何も連絡がなかったそうです。
だから、直接、環境公社に問い合わせをしましたら、インターネットで選定の結果を公表しているから、それで判断してくださいといわれたとのことです。そこで、ネットを検索して自社が選定から漏れたのを知って、もう一度、公社に問い合わせをしましたが、公社の方は、理由はいえないというだけの返事だったそうです。
これでは開かれた制度とはいえないのではないかと、この選定に応募した業者の方がいわれているわけなんですが、どうして選定されなかったのか、そのわけがわかれば、次回の公募に向けて自社が何を補っていけばよいのか、改善への努力方向が、光が見えるというふうに、その方はいっていました。
情報が閉ざされているような感じがする、実際に公募に応じた販売店の人がそういっているわけなんですが、今の仕組みでは、意欲を持っているそういう業者の人たちの気持ちがそがれていく、そんなことも考えますが、せめて問い合わせがあったときには納得がいく対応をされるように、環境局は、環境公社と共同で、このプロジェクト、改善に向けて検討されることが必要じゃないかと私は考えるのですけども、どうでしょうか。
○石川都市エネルギー技術担当部長 プロジェクトの対象となる販売店の公募に当たっては、具体的な審査基準を公開することで、必要な透明性、公開性を担保しております。
なお、個別の審査内容につきましては回答しない旨を公募要領に明記しているところでございます。
○河野委員 実際に、ジャックスですか、そこからいろいろ教えてもらって書類も提出しているわけですから、そういうことが書かれていることも、もしかしたら教えてもらっていたのかもしれませんけれども、この方は、ソーラーについては十数年も取り組みを進めてきたということで、自分の会社の技術にかなり自信を持っているわけです。そういう人がいるということも、環境局は今、認識していただいて、改めて、このままでいい制度なのかどうかご検討をいただきたい、このことを要求しておきます。
次に、大気汚染、PM二・五の問題について質問いたします。
今月初め、千葉の市原市でPM二・五の濃度が高くなったことが報道されました。同じくらいの時期に、市原市だけでなくて、東京や関東近県の濃度も上がったということがいわれています。
PM二・五は、一定量以上を吸引すると、気管支から肺の奥に入り、付着してしまうので、ぜんそく、気管支炎、肺がんなどの呼吸器系疾患の原因になることから、規制の強化が求められてきました。
国も、PM二・五環境基準値を一立方メートル当たり十五マイクログラムと決めるなど、削減の方向に向けているところですけれども、このPM二・五の東京の現状と対策について伺いたいと思います。
まず初めに、市原市などで、十一月初めにPM二・五の濃度が高まった。これはどんな要因があったのか、分析されているでしょうか。このPM二・五の由来は非常に複雑で、容易に解明できないということもたくさん聞いてきましたけれども、現在の段階で想定される要因についてお聞きしておきます。
○木村環境改善部長 千葉県では、今月四日、市原市内の三カ所の測定局の午前五時から七時のデータに、一時間のPM二・五の濃度が一立方メートル当たり八十五マイクログラムを超える値があったことから、県内全域に不要不急の外出を控えるなどの注意喚起を行いました。
この注意喚起は、一日平均値が七十マイクログラムを超える可能性があるとして千葉県が出したものですが、その後、濃度が下がり、市原市内の測定局の当日の一日平均値は、それぞれ五十七、四十七、四十五マイクログラムで七十を下回り、特に問題となる濃度にはなりませんでした。
PM二・五は、気象状況にも大きく左右されます。市原市の当時の風の動きを見ますと、南風が北風に変わるときに風が弱まったことが、濃度が高くなった要因の一つと考えられます。
なお、十一月四日、当日の都内測定局の一日平均値の最大は、三十四マイクログラムでございました。
○河野委員 きょうの委員会の資料で、PM二・五の一般測定局、自動車排ガス測定局の資料をお願いしました。
環境局も、ホームページで一般局、自排局の測定状況を出しておりますが、それによりますと、二〇一二年度は、一般局三十一局で達成率六五%、自排局二十四局で達成六局、合計で達成率は二五%という数値になります。
二〇一一年度、都は、微小粒子状物質検討会を設けて検討を重ね、報告書も出されています。環境基準値の達成が少ない中で、都の方針はどうなっているのか、また、基準値達成に向けてのこれからの見通しについてお伺いをしておきます。
○木村環境改善部長 PM二・五の削減につきましては、都はこれまで、工場等の固定発生源対策やディーゼル車対策、あるいは揮発性有機化合物、いわゆるVOC対策などに取り組んでまいりました。その結果、平成十三年度から二十三年度の十年間で、都内のPM二・五の年平均濃度は約五五%減少しております。
平成二十四年度の環境基準達成率はお話のとおりでございますが、委員会資料にありますように、環境基準である年平均濃度一立方メートル当たり十五マイクログラムに対しまして、一般環境大気測定局平均では十四・二、自動車排出ガス測定局平均では十五・九となっており、環境基準値まであと一歩のところまで来ております。
都民に安心していただくために、都内のPM二・五の状況をホームページやツイッターなどでお知らせしております。
今後とも、正確な情報を提供してまいります。
○河野委員 その点は、ぜひよろしくお願いいたします。
PM二・五は、天候の影響も受けるし、抑制に向けての取り組みが難しい。でも、どうしていくかということを報告を出していくためには、やはり正確なデータをできる限り多く収集して分析していくことが必要だと思われますし、急がれると思います。
測定局は都内で五十五局ということですが、さらに広範囲に測定局を配置することが必要ではないかと考えます。特に自動車排ガス測定局などをふやすことを提案するものなんですが、いかがでしょうか。
○木村環境改善部長 都は、PM二・五の環境基準が平成二十一年に制定されたことから、二十二年度から二十四年度までの三年間で、都が設置する一般環境大気測定局四十三局、自動車排出ガス測定局三十四局及びバックグラウンド局一局の合計七十八測定局の全ての測定局において、PM二・五の測定体制を整備いたしました。
PM二・五の発生源の状況や人口などをもとに国が定めた常時監視の基準では、都が設置すべきPM二・五測定局は五十一カ所であり、都の測定体制は国の基準を大幅に上回るものとなっております。
現在、都が設置する七十八の測定局に加えまして、八王子市が設置する三測定局でもPM二・五の測定を行っており、都内のPM二・五の状況を把握するのに十分な数であると考えております。
○河野委員 今、ずっとお話ししてきましたけど、PM二・五は発生原因が複雑で、自然由来のもの、人工由来のもの、さらに、一次粒子だけでなくて二次粒子の生成も起きる、そうしたことではとても複雑です。対策も容易ではないと思います。でも、人体に有害で深刻な健康被害を起こす物質ですから、可能な対策を数多く打ち出していくことが必要だと思います。
アメリカでは、連邦政府が各州に対して、二〇二〇年を目指して環境基準値達成のための具体策を義務づける、そうした取り組みもされています。日本でも、国がこの問題で抜本的な対策を講じないと改善に向かわないことは明らかだと思います。国との関連で、具体的対策の提案をさせていただきます。
第一は、工場、ボイラーなど固定発生源対策、二つ目に、日本では自動車にPM二・五の発生を抑制する装置の義務づけがされていませんが、自動車メーカーに単体規制を求めること、三つ目に、自動車の走行量そのものを減らすこと、そのためのロードプライシングや自転車の整備が求められていくと思います。そういう点で、ぜひ自動車メーカーへの義務づけなどについて国に求めていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
また、東京には全国から車が入ってきます。いわば越境汚染といえる要因もあります。この点でも、国が各県と協力した取り組みが重要ですが、都としてリーダーシップをとった役割を果たしていただきたいと考えますが、国及び各県との連携の取り組みの状況と、東京都が今どのような見解をお持ちか、伺っておきます。
○木村環境改善部長 先ほどもお答えしましたとおり、都はこれまでも、工場等の固定発生源対策、自動車排ガス対策など、さまざまな分野にわたって持てる力をフル稼働させてPM二・五の削減に取り組んでまいりました。
平成二十三年七月に学識経験者が取りまとめました東京都微小粒子状物質検討会報告書では、PM二・五全体の約三分の二を占める二次生成粒子に着目した対策を推進するよう提言しております。また、都内のPM二・五は、五割以上が都外の発生源に起因するものであることから、近隣県市と連携した広域的な取り組みを進めていくべきとしております。
都は、これらの提言を受けて、PM二・五の環境基準を全測定局で達成できるよう、現在、都内はもとより、近隣県市と連携した夏のVOC削減対策など、広域的な発生抑制対策にも取り組んでおります。
○河野委員 国との関係ですが、国も測定局を千三百カ所ですか、目標に取り組むといっているようですけども、まだ五百数十カ所しか国自身の努力が見られない。そういう点でも、東京都がきちんとした要望をしていただきたいと思います。
今、ご答弁でお言葉がありましたが、東京都微小粒子状物質検討会報告書に基本的な対策の方向性ということで書かれております平成二十八年度のPM二・五の濃度は、一般局の平均でも一立方メートル当たり十七・二マイクログラムですけども、こういうことになって、環境基準を上回ると推計されることから、既定の対策に加えて、新たな対策または対策の強化が必要であると、このように書かれております。
私は、環境局が、この報告、今、しっかり受けとめておられるとは思いますが、さらに重く受けとめて対策を強めていかれるように求めておきます。
最後に、緑の施策についてお聞きいたします。
緑は、大気汚染対策、ヒートアイランド現象や温暖化防止の問題、さらには人々に安らぎをもたらすなど、多様な役割を持っています。緑をふやしていくことは、環境問題では欠かせない課題であります。
都は、緑施策を強力に推進していく、そういう方向ではいろんな施策を打ち出してきたのですけれども、今の時点で、緑の大事さを考えておられる東京都が今後どのような取り組みをされていくのか、このことをお伺いしておきます。
○笹沼自然環境部長 都はこれまでも、開発許可制度や保全地域制度などによる緑の保全とともに、海の森や都市公園の整備、校庭の芝生化、街路樹の倍増など、新たな緑の創出に積極的に取り組んでまいりました。
昨年五月、生物多様性に関する国際的な危機意識の高まりなど、緑施策を取り巻く状況の変化等を踏まえまして、緑の質を向上させるという新たな視点を盛り込み、守る、つくる、利用するという三つの行動指針を掲げた緑施策の新展開を策定いたしました。
既に、これに基づきまして、区市町村が行う在来植物による緑化を支援する事業などを開始しており、今後とも着実に取り組みを推進してまいります。
○河野委員 最後に、お願いしておきます。
東京都は、一千三百万人の人たちが生活している、働いている場所で、本当にいろんな、首都東京ならではの解決しなくてはならない環境課題、問題が山積しております。東京の大気汚染を改善し、都民の健康を守っていく、その上でも、緑をふやすことを初めとして、環境対策の充実へ環境局の一層の努力を求めて、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○大西委員 私からは、規制開始から十年を迎えましたディーゼル車規制について伺います。
当時、深刻な状況にあった大気汚染を一刻も早く改善するため、石原前知事が黒煙の入ったペットボトルをこうやって振ってアピールしていたディーゼル規制ではありますが、早いもので、ことしでもう十年がたっております。
この間、SPMについては、規制開始前は一つも環境基準を満たしていなかったものが全測定局で達成したということ、また、PM二・五についても、代表的な地点における濃度が十年間で半減するなど、東京の空は、厳しい規制のかいもあって随分ときれいになったと、これは多くの都民も実感しているものだと思います。
このような大気の環境の改善は、厳しい経営環境の中で、新しい低公害の車両への買いかえや、また、PM減少装置の装着に対応してくれた都内の多くの運送事業者や関係団体の協力によって、ようやくもたらされたものであり、しっかりした取り締まりにより、東京のきれいな空を守っていくことが重要だと考えます。
規制開始から十年が経過したことを踏まえ、これまでのこの取り締まりの状況についてどのように認識しているのか、まず伺います。
○山内自動車公害対策部長 都は、環境確保条例に基づき、平成十五年十月から、使用過程の車両を含めて排出基準に適合しない古いディーゼル車の都内走行を禁止しており、平成十八年度には排出基準を引き上げ、規制の強化を図っています。規制の対象となる車両は、トラックやバスのほか、清掃車や冷蔵冷凍車などであり、新車登録から七年間は規制適用の猶予期間としております。
都では、多くのトラックが走行する幹線道路などにおいて自動車Gメンによる車両検査を行うほか、首都高速に設置した固定カメラで都内への流入車両を撮影し、一般幹線道路についても移動カメラで撮影を行い、違反車両の把握に努めてまいりました。
こうした取り締まりの中、都内を繰り返し走行する悪質な違反車両に対しては、違反の是正を求める注意書等を発行した上で、自動車Gメンなどによる改善指導を行ってまいりました。
注意書等の発行台数については、新車登録から七年間の規制猶予期間を満了した車両が順次規制の対象になり、増加する時期もございましたが、規制開始当初、年間四千台近くあった注意書等の発行台数は、現在では約一千台となっており、取り締まりを継続してきたことにより、指導の必要な車両は着実に減少してきていると認識しております。
○大西委員 規制開始以降、厳しい取り締まりを継続してきたということで、注意書等の発行台数は着実に減少しているということでございますが、事業者の規制対応が進むよう、どのような取り組みを行ってきたのか伺います。
○山内自動車公害対策部長 東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県では、平成十五年十月から、ほぼ同内容の条例に基づく規制を実施しており、各自治体において、規制に適合するよう事業者指導を行うほか、中小企業に対しては、車両の買いかえや装置装着などについての支援も実施してまいりました。
また、都では、車両を三十台以上保有する事業者に対して、自動車環境管理計画書による計画的な車両代替の促進を図り、新車登録から七年の規制猶予期間を満了する車両に対しては、一台一台のダイレクトメールを送付することにより、規制対応の督促などを促してまいりました。
さらに、中小企業に対しては、車両の買いかえの融資あっせんや、ハイブリッドトラックの購入補助なども実施してまいりました。
このようにきめ細かな取り組みを継続してきたことにより、一都三県のディーゼル車については、規制への対応が着実に進んできております。
一方、一都三県以外の外側の地域につきましては、一都三県のようなディーゼル車規制は行われておらず、国の自動車NOx・PM法の欠陥により、古いディーゼル車であっても車検の登録が可能となっていることから、いまだにこうした地域から違反車両が都内へ流入している状況がございます。
○大西委員 そうなんですよね。今、部長がいわれたように、一都三県の中では着実に改善は進んでいるにもかかわらず、その外からやってくる。中には、東京で使えなくなったのを外に売っちゃうということもあるみたいですし、私自身も、他県ナンバーの古い車が黒煙をもくもく上げながら走っているのを、たまに、やっぱり見かけます。昔ほど多くはないのは感じていますが、やはりまだこのような車が残っているんだなという思いを持っている方もたくさんおられると思います。そのナンバーが、ほとんどが一都三県以外のところであることは、ほぼ間違いないと思います。
この違反車両の多くが一都三県外のディーゼル車ということは、距離的な制約もあって、なかなか指導することは難しいのかなという面もあると思いますが、どのように対応しているのかお伺いいたします。
○山内自動車公害対策部長 都内走行を繰り返す悪質な違反車両については、注意書を発行するだけでなく、電話や文書による指導のほか、事務所が遠方であったとしましても、電話、文書でなかなか指導ができない場合には、自動車Gメンが直接出向いて立入指導に当たるなど、規制を遵守するよう、徹底した指導を粘り強く行っております。
これらの指導により、違反事業者は、車両の買いかえやPM減少装置の装着など確実に規制に対応しており、再三の指導にも応じない場合に発行する運行禁止命令は、規制開始当初、年間百件以上発行しておりましたが、現在では、年に数件と非常に少なくなってきております。
○大西委員 年に数件になってきているということですけど、こうやってまだ、少ないですが、都内走行を繰り返す悪質な違反車両については、先ほどいわれたように、自動車Gメンが遠くまで行って、徹底した指導、取り締まりによって減少してきているということは、本当に評価させていただきます。
遠方にもかかわらず、懲りずに繰り返し流入してくる車両がいまだに残っている、少ないですけど残っているのが現状だと思います。
このときに、僕は思うんですけど、東京都内に入るには、どうしてもこの隣の三県どこかを通ってくるわけですよね。当然、埼玉、千葉、神奈川、どこかを通ってくる。ここも同じように規制をしているわけですから、やはりこの三県と連携を深め、遠方から流入してくる車両の徹底した取り締まりというのに取り組むべきだと思いますが、見解を伺います。
○山内自動車公害対策部長 一都三県では、ほぼ同内容の条例に基づくディーゼル車規制を実施していることから、平成十五年十月の規制開始以降、多くのトラックが走行する一般幹線道路や高速道路のパーキングエリアのほか、多くの観光バスが集まる主要な観光地などにおいて、定期的に一斉取り締まりを実施しております。
本年も、十月に九都県市で一斉取り締まりを行ったところでございますが、都では、地方からの長距離トラックが集まるトラックターミナルで大規模な取り締まりを実施しました。
また、九都県市では、規制開始から十年が経過したことを機に、改めてディーゼル車規制を周知するためのポスターやステッカーを作成し、普及啓発キャンペーンを展開いたしました。
一都三県では、それ以外の地域から流入してくる違反車両の取り締まりが共通した問題であることから、この問題にかかわる九都県市で構成する大気保全部会などにおいて、効果的な連携についてさらに協議するなど、取り締まりの徹底を図ってまいります。
○大西委員 ぜひこれを大々的にがあんとやっていただいて、そういう違反車両撲滅に寄与していただきたいなと思います。
少し話は変わりますけど、最近、中国の大気汚染の問題がよく報道されます。映像で見る限りではございますが、大変汚いというイメージを持ってしまいます。これが風に乗って日本にまで来てほしくないと思うのは、ほとんど誰もがそう思っていると思いますが……(「季節風に乗ってくる」と呼ぶ者あり)そうそう。だから、それは何とか、もとを断たないといかぬわけでしょう。
それに対してなんですけど、先日、この大気汚染が深刻化している北京市との大気汚染のワークショップが開催されたということは、多くのメディアが取り上げていたところでございます。ここで報告された東京のディーゼル車規制の経験やノウハウは、北京市側にとっては模範となるものが多く、非常に有意義であったと私は伺っています。
アジア諸国は今、著しい経済発展の一方で、自動車の増加による大気汚染問題に直面しています。東京都が中心となって推し進めてきたこのディーゼル車規制の取り締まりにかかわるさまざまな取り組みは、アジア諸国が対策を進める上で大変参考になるものだと思います。
都は、これらのノウハウを、北京市だけでなく、中国全土、そしてアジア諸国の大都市に提供することにより、さらに海外貢献を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○山内自動車公害対策部長 先日のワークショップでは、北京市側から、都のディーゼル車規制が石油連盟や東京都トラック協会などの関係団体の協力を得て実施されたことに対して、大きな関心が示されました。また、北京市では車両の取り締まりは警察でなければできないのに対して、都では、条例に基づく自動車Gメンによって、規制に適合しない車両の取り締まりを実効性ある形で実施しており、非常に参考になるというコメントもいただきました。
東京都がリードする形で進めてきたディーゼル車規制の一連の取り組みは、非常に短い期間で大気環境を大幅に改善させた点で、世界に誇ることのできる貴重な実績でございます。このノウハウを東京都にとめ置くことなく、ディーゼル車による大気汚染問題に悩んでいるアジア諸国に提供していくことは大切と考えております。
このため、都ではこれまでにも、ソウルやバンコクなどの大気汚染問題に直面しているアジア大都市の訪問を受け入れており、積み上げてきた取り締まりにかかわるノウハウについて情報提供をしてまいりました。
今後も、大気汚染対策としてのディーゼル車規制の取り締まりに関連する情報を惜しみなく提供することにより、海外諸都市に貢献してまいります。
○大西委員 ありがとうございます。
オリンピックの開催も決まりまして、東京を訪れるビジネス客や観光客は、今後、一段とふえていくと予想されます。そうした世界中から訪れる多くの人たちにとって、世界の大都市である東京の環境は、やっぱりすばらしいなと実感してもらうためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
そのためにも、引き続き、徹底したディーゼル車の規制や取り締まりに着実に取り組むとともに、環境負荷の少ない自動車利用の積極的な取り組みもあわせて進め、世界に誇れる環境先進都市を目指していっていただくようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
○山内委員 太陽エネルギーについて伺っていきたいと思います。
まず、都有施設の太陽光発電装置について、設置について伺います。
固定価格買い取り制度の導入もありまして、全国的に太陽光発電の導入が進んでいます。都においては、屋根貸しマッチング事業等を実施するとともに、都有施設の太陽エネルギー施設設置も進めていますが、もっと積極的に都自身が設置すべきと考えます。
そこでまず、現在の都有施設における太陽光発電設備の導入状況についてお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 都は、率先行動として、平成二十二年度から二十六年度までの五カ年間の温室効果ガス削減都庁行動計画を策定し、各局と連携して再生可能エネルギーの導入等を進めてございます。
本計画において設置しました太陽光発電の設備容量は、計画初年度である平成二十二年度末では約七千九百キロワットで、前年度比二一%の増となっております。二年度目の平成二十三年度末では八千八百キロワットで、前年度比一一%の増となっており、毎年度一千キロワットの増加と、着実に太陽光発電設備の設置を進めてございます。
○山内委員 今ご説明があったとおり、太陽光発電は、一年間で千キロワットの増と、導入が進んでいるとのことです。
今後も、都の率先行動として、一層の導入拡大に取り組んでいくべきだと考えますが、ご見解を伺います。
○山本都市地球環境部長 都は、平成二十三年七月に、都有施設の新築、改築等について省エネ・再エネ東京仕様を策定し、再生可能エネルギーを原則導入するものとしてございます。
また、既存施設の設備更新には、都有施設省エネ・再エネ等導入指針に基づき、再生可能エネルギーの導入検討を行うこととしております。
今後も、こうした取り組みを着実に進め、計画終了年度である平成二十六年度に向けて、都有施設全体で十メガワットを超える設備容量を目指し、太陽光発電の導入拡大を図ってまいります。
○山内委員 福島原発事故以来、省エネ、創エネについて、都内でもさまざまな努力が広がっています。個人だけでなく、動き出した市民共同発電所もふえています。
都が実施している屋根貸しは民間同士のマッチングですが、自治体によっては公共施設の屋根を貸し出すところもあり、都有施設についても屋根貸しをしてほしいと考えています。と同時に、都自身が設置する際、各局の施設は、それぞれの局の予算内で設置することになるので、例えば都有施設全体の設置費用を枠で設けるなどの方法も考えられると思います。
また、固定価格買い取り制度ができたので、これまでの取り組みとは、設置の考え方を変える必要もあるのではないかと思っています。さまざまな方法を検討するよう要望いたします。
次に、太陽熱利用についてお伺いいたします。
太陽熱利用は、太陽光発電に比べ、比較的狭いスペースでも設置可能で、コストも半分程度というメリットがあり、給湯や暖房といった熱需要の多い家庭を中心にもっと普及されるべきと考えますが、太陽光発電の躍進の陰に隠れ、導入が十分に進んでおりません。
このような状況を踏まえ、都は、住宅供給事業者を対象とした太陽熱利用機器の導入補助事業を実施していますが、現段階で補助事業の成果はどうなっているのかお伺いいたします。
○石川都市エネルギー技術担当部長 太陽熱利用を促進するため、都は、今後の普及に資する新たな技術を公募、採択し、これを新築住宅に導入する住宅供給事業者を支援する補助事業を平成二十三年度から実施しております。
新たな技術の事例といたしましては、集合住宅における太陽熱利用が可能となるシステムや、屋根への設置が困難な場合にも導入可能なバルコニー型システム、戸建て住宅におけるデザイン性にすぐれた屋根一体型システムなどが挙げられます。
既に二十七件の物件、戸数では千五百二戸に上る補助申請を受け付けておりまして、そのうち七件は既に竣工しております。
○山内委員 太陽熱利用の新たな技術が開発されています。都の支援が新たなモデルを生み出すことに寄与していることはわかりました。
今後は、これらのモデルをいかに普及拡大していくのかが課題と思われますが、所見をお伺いいたします。
○石川都市エネルギー技術担当部長 都は、今回の補助事業による成果を積極的に発信することで太陽熱利用の認知度を向上させるとともに、その利用を促進してまいります。
また、太陽熱利用の普及拡大には、国による全国的な取り組みが必要と認識しておりまして、既に、国に対しまして本格的な支援制度の創設を要求しているところでございます。
太陽光発電と同様に、都の先駆的な取り組みが国による全国的な取り組みを引き出し、本格的な普及拡大につながるよう、太陽熱利用についても取り組みをさらに強化してまいります。
○山内委員 エネルギー効率のよい太陽熱利用は、家庭への普及も大切ですが、お湯を大量に使う高齢者施設や病院などで利用が広がってほしいと思っています。そのために、設置を支援する事業を検討するよう要望いたしておきます。
次に、緑の保全についてお伺いいたします。
都は、二〇一二年五月に緑施策の新展開を策定しました。その中で、生物多様性の保全の観点から、緑の量だけでなく、緑の質に配慮した施策の方向性が示されました。
緑の質を重視する意義と、現在での取り組み状況についてお伺いいたします。
○笹沼自然環境部長 生物多様性の保全と回復を図るためには、生物の生存基盤となります緑の量に加えまして、生息空間としての緑の質を向上させていくことが重要であると認識しております。
具体的な取り組みといたしまして、例えばシジュウカラの餌場となるマユミの木など、東京在来の生き物の生息場所となる在来植物による緑化を推進するため、現在、気候や地形等の地域特性に応じた在来植物のリストや植栽方法等をわかりやすく整理したガイドラインを作成しているところでございます。
○山内委員 緑施策の新展開の策定に加え、ことし三月にはレッドデータブック東京二〇一三を公表し、保護上重要な野生生物種を明らかにしています。
生物多様性の保全に向けて、開発事業者に対する指導はどのように行っているのか、お伺いいたします。
○笹沼自然環境部長 事業区域の三分の一または一団で、千平方メートル以上の自然地を含む開発行為は、東京における自然の保護と回復に関する条例第四十七条に基づく開発許可制度の対象でございまして、事業区域内における一定面積の緑地の確保や、希少動植物の生息、生育環境への配慮を事業者に義務づけております。
具体的には、原則として、一ヘクタール以上の開発行為につきましては、事業者に自然環境調査の実施とその調査結果に基づく自然環境保全計画書の提出を義務づけております。
開発許可に際しましては、新たに策定したレッドデータブック東京二〇一三も踏まえまして、改変範囲の一部変更などによる希少種の生息、生育地の残存や、その場所に残せない場合の移植等の措置につきまして指導をしております。
また、オオタカ等の希少な猛禽類の生息区域であった場合には、飛翔ルートなどの詳細な調査を実施の上、繁殖期における工事騒音の配慮や、鳥の建物等への衝突防止対策などを行うよう指導しております。
○山内委員 都内で開発事業によって緑が失われる例は、枚挙にいとまがありません。緑施策の新展開には、将来的に、開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな開発規制のあり方を検討することが書かれています。今のところ、多くのハードルがあり、実際の制度設計は難しいですが、今後の動きに期待しております。
さて、東京には多摩地域に広がる森林があります。東京の緑を守る観点から、森林保全は重要です。環境局では、二〇〇二年度から森林再生事業を行っています。
まず、森林再生事業の概要と、これまでの実績について伺います。
○臼井緑施策推進担当部長 林業経営が困難になったこと等により、間伐や枝打ちなどの手入れがされずに放置された杉、ヒノキの人工林では、地面に光が当たらず、下草なども生えなくなるため、土砂の流出や水源涵養機能の低下を招くなど、森林の公益的機能が衰えてまいります。
環境局は、このような杉、ヒノキの人工林において、環境保全という観点から、都の負担による間伐を行うことで森林の公益的機能を回復させる森林再生事業を実施しております。
事業の実施に当たり、都は、森林所有者と二十五年間の協定を締結し、また、間伐の実施につきましては、地域の事情を熟知した地元市町村に委託しております。
平成十四年度から昨年度末までに、奥多摩町など七市町村におきまして、六千三百ヘクタールの間伐を実施しております。
○山内委員 事業の内容についてはわかりました。
間伐の実施については地元市町村に委託しているとのことですが、林業労働者の減少や高齢化も進んでいると聞いております。都内の中には、こうした作業に関心のある人もおり、ボランティアグループの活動も行われております。このようなマンパワーを活用できればいいと思う一方で、山間部の作業にはいろいろな困難が伴うことが懸念されております。
作業に従事するにはどのような専門的な知識や技術が必要なのか、お伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 森林再生事業の対象となっているのは、手入れが十分でない杉、ヒノキの人工林で、その多くは林道から離れた山奥にございます。
これらの森林は、主に昭和三十年代から四十年代にかけまして、生産性などを考慮して高密度に植栽がなされており、成長のよい杉では、高さ二十二メートルから二十六メートル、直径は二十八センチから三十四センチほどに育っております。
このように大きく育った樹木を間伐するには、生育状況だけではなく、将来像を予測して伐採樹木の選定を行う知識や、急傾斜の斜面で安全かつ効率的に間伐を進めることのできる技術が必要であります。
なお、こうした作業に従事できる人は森林組合作業員等に限られておりますため、地元区市町村は、森林組合等の事業体と委託契約を締結して間伐作業を実施しております。
○山内委員 間伐作業には専門的な事業が必要であることはわかりました。
多摩の森林を保全する事業としては、ほかにも、水道局が実施している水源林保全や、産業労働局の林業支援があります。それぞれ目的は違いますが、多摩地域の森林保全という観点からは同じです。杉やヒノキの人工林の手入れができない森林所有者にかわって、都が間伐を行う森林再生事業は重要だと思いますので、今後も進めていただくよう要望します。
ごみ問題についてお伺いいたします。
小型家電回収の取り組みについてです。
小型家電リサイクル法がことし四月に施行されました。これまで再資源化のきちんとしたルートがなかった小型家電について、リサイクルの仕組みができたわけです。
法施行までの準備及び施行後、これまでの取り組みについてお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 都は、法施行前に、小型電子機器回収の先進的取り組みとして、平成二十年度に希少金属等を含有する携帯電話の回収実験を実施いたしました。
平成二十一年度から二十三年度には、都内で排出される小型電子機器の量の推計を行うとともに、区市と連携して国のモデル回収事業に参加するなど、金属資源のリサイクル向上に取り組んでまいりました。
こうした取り組みをもとに、都は、学識経験者及び関係者等で構成する検討会を設置しまして、本年三月に、多種多様な主体による回収ルートの構築や効果的な普及啓発の実施など、都域における使用済み小型電子機器のリサイクル促進策の考え方を取りまとめたところです。
また、都は、法施行を見据え、区市町村に対し、回収、リサイクルに関する技術的支援や、新たに回収事業を行う際の財政的支援を行ってまいりました。
法施行後は、区市町村別の取り組み状況等を一覧にしてホームページに掲載し、情報を一元化した広報を行っております。
その結果、十月末現在で、使用済み小型電子機器の回収、リサイクルに取り組んでいる自治体は、十七区、二十二市町村となっております。
○山内委員 取り組んでいる自治体が十七区、二十二市町村ということですが、まだ全区市町村ではありません。法施行からまだ期間が短く、自治体によって取り組み状況も違います。
現状での課題及び今後の取り組みについてお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 使用済み小型電子機器の回収、リサイクルをさらに促進していくためには、回収、リサイクルに取り組む自治体をふやすとともに、各自治体の回収量を増加させることが必要であると考えております。
このため、都は今後も、区市町村に対して技術的支援などを継続的に行っていくとともに、区市町村別の取り組み状況等の一覧表をホームページに掲載するなど、情報を一元化した広報を行っていきたいと考えております。
また、検討会の取りまとめでお示しいたしましたが、大学等と連携した回収など、自治体以外の主体とも連携した回収ルート構築に取り組んでまいります。
○山内委員 回収率を上げていくためには、住民が出しやすい方法と、制度や回収方法の周知が重要だと思います。今後も、自治体への技術支援と情報提供をお願いいたします。
水銀対策について伺います。
ことし十月、水銀規制のための水俣条約が採択されました。都では、昨年二月に水銀の処理等に関する検討会の取りまとめを出し、率先して取り組んでいます。中でも、清掃工場で大量の水銀が検出されたこともあり、水銀の使用削減とともに、廃棄の際の分別を確実に行っていく必要があります。
そこで、自治体及び事業者の分別回収の進捗状況についてお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 家庭から排出される蛍光ランプにつきましては、多摩地域では全ての自治体が既に分別回収を行っております。二十三区におきましても、今年度、新たに二区が加わりまして、現在、十二区において分別回収が行われております。
事業所から排出される蛍光ランプにつきましては、東京ビルヂング協会を通しまして、ビルオーナー等の排出者に蛍光ランプのリサイクルをお願いしたほか、都内全ての産業廃棄物収集運搬業者に対して、水銀を回収できる専門の処分業者で処理するよう、文書で依頼しております。
また、東京都医師会では、都の働きかけに応じまして、昨年に引き続き、本年九月にも水銀血圧計及び水銀体温計の自主回収に取り組んでいただき、水銀を処理できる業者で適正に処理をしております。
さらに、都の率先した取り組みとして、グリーン購入ガイドを改定しまして、都が蛍光ランプ等の水銀使用製品を廃棄する場合は、封入されている水銀を流出させないよう適正に処理することを義務づけるなど、廃棄管理や回収の徹底に努めております。
○山内委員 都では、蛍光ランプなどの埋立不適物化の検討や、焼却施設での排ガス中の水銀濃度の測定、長期的、安全な管理方法を調査検討するよう、国に要望などの取り組みを示しております。
条約が採択されましたが、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 都では、水銀に関する水俣条約の採択による国内法の整備に向けまして、水銀含有廃棄物の特別管理廃棄物への指定、廃棄物焼却施設からの水銀の排出測定の義務づけ、廃棄物から回収した水銀の長期的かつ安全な管理方法の確立等について、国に対して提案要求を行っております。
水銀含有廃棄物からの水銀の環境への排出をさらに削減するため、水銀の処理等に関する検討会の取りまとめでお示しをしました、焼却施設における水銀の定期測定の実施や、水銀含有廃棄物を都の埋立処分場で埋立処分しないことなどについて、引き続き関係者と協議してまいります。
○山内委員 ごみ減量のための施策について伺いたいと思います。
ごみ問題の解決に向けて、ごみの量を減らすためには、リデュース、リユース、リサイクルの優先順位を徹底する必要があります。これまでにさまざまなリサイクル法ができて、実際にリサイクルは進んでいますが、もっと優先されるべき発生抑制やリユースはなかなか進んでいないのが実情です。
現在、都が実施しているリユースの取り組みについてお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 家庭から排出されるごみのうち、容器包装廃棄物は、容積比で過半を占めております。
製造事業者や流通業界では、容器包装の減量化に向けた取り組みは進んできているものの、流通段階では多くの使い捨て容器が使用され、容器包装廃棄物となっております。こうした使い捨て容器をリユース容器へ転換することは、容器包装廃棄物の発生抑制に有効であると考えております。
都は、今年度、リユース容器使用による廃棄物の減量効果等を検証するため、都内のスーパーマーケットにおきまして、通常は使い捨て容器に販売している握りずしなどの調理済み食品を対象にしまして、リユース容器を使用して販売する実証実験を行いました。
また、九都県市と共同で、複数のコーヒーチェーンと連携し、紙コップなどの容器の削減のため、消費者に繰り返し使えるマイボトルの利用を促進しております。
○山内委員 現在、容器包装リサイクル法の見直しに向けた議論が始まっています。過剰包装の改善やレジ袋の有料化など、民間の努力が進んでいるところもありますが、制度改正によって拡大生産者責任の徹底が必要です。
都として、業界に対してどのような働きかけを実施しているのか、お伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 都は、九都県市と共同で、事業者に対し、商品化、流通及び販売などの段階で容器包装を軽量化し、廃棄物の発生抑制に取り組むよう働きかけるとともに、専用ホームページでこうした取り組み事例を紹介し、消費者に対して普及啓発するなどの支援を行っております。
また、今年度は、十月の一カ月間、大手の流通事業者と連携し、消費者に対して製造事業者の容器包装軽量化の取り組みを伝え、環境に配慮した商品の購入を促すため、四百八十九店舗において、九都県市容器包装ダイエットキャンペーンを実施したところでございます。
○山内委員 発生抑制については、エンドユーザーである消費者も、ごみ行政を行っている自治体とともに考えていく必要があります。都は、広域自治体として、また、九都県市の枠組みで率先して取り組んでいただきたいと思います。
例えば、飲み終わったペットボトルの回収ボックスがない自動販売機も多く見受けられ、設置を働きかけていただきたいと思いますし、容器包装をリサイクルしやすい素材にすることも重要です。
国への働きかけを含めて取り組みを要望し、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○上田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十五分開議
○上田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○こいそ(明)委員 それでは、事務事業質疑ということでありますから、全般的なことと、絞り込んで何点かお聞きしたいと思います。
まず最初に、自然環境につきまして何点か伺いたいというふうに思います。
私の地元であります多摩地域の多摩市、そして稲城市でありますが、緑豊かな多摩丘陵に位置しております。この多摩丘陵には、これは町田市でありますけども、七国山緑地保全地域、八王子の堀之内里山保全地域を初め十の保全地域や、都立の桜ヶ丘公園、小山内裏公園など五つの都立の公園があります。
これらの公園では、散策、レクリエーションの場の提供、公園本来の設置目的に沿った利用が行われる一方、近年では、タマノカンアオイ、そしてキンラン、ギンランなどの植物を初め、そこに生息する、また生育する希少な動植物の保全にも、これら公園管理者が積極的に取り組んでいるというふうに、私も直接見て、聞いてまいりました。
つい先日も、五つの公園のうちの一つ、小山内裏公園を訪問させていただきました。その際、これまで世界で百本程度しか見つかっていないというホシザクラを見てまいりましたが、当然、咲いておりませんでしたけども、希少な樹木が公園内に存在することを改めて認識させていただいた次第であります。
その周りにロープ柵を設置する、または、その株分けをしてふやしていくということを行ったり、希少種を保全する、より具体的な取り組みを行っていることに私は感銘を受けた次第であります。
東京都は、平成二十二年に愛知県で開催された生物多様性条約締約国会議、いわゆるCOP10以来--今回、COP19ですから、あのときはCOP10ということで、国際的に意識の高まりを見せていた生物多様性の保全に向けて、近年、緑施策の新展開という基本戦略を策定しました。
このような背景から、都立公園で希少種を保全する、特に公園協会の取り組みは、私は非常に意義深いものを感じましたし、評価できるものだというふうに思っておりますが、そもそも、こうした希少種、生物多様性の保全については、本来は、環境局がより先頭に立って積極的に取り組むべきではないかということも実は感じた次第であります。
これまで環境局は、多摩丘陵の貴重な里山を初め、生物にとってかけがえのない生息場所となっている樹林地を保全地域に指定するなど、地域住民の方々やNPOなどと協働して適切な維持管理に努めてきた、これは承知をしているところでありますが、保全地域における希少種の保全についてどのように取り組んでいるのか、まず、その点をお伺いさせていただきたいと思います。
○笹沼自然環境部長 都は、保全地域におけます動植物の生息、生育状況につきまして、近年調査が行われていなかった保全地域ごとに、改めて平成二十三年度から順次調査を行っております。
昨年度までの調査結果から、植物だけを見ましても、二十種以上の希少種が生育する地域が複数あることが判明するなど、保全地域は生物多様性の高いポテンシャルを持つ地域であることが再確認されております。
また、調査結果によりまして、間伐や下草刈りなどを行い、太陽の光が行き届くようになった樹林地や、ため池や水路の整備を行うことで良好な環境を取り戻した湿地など、適切に人の手が加えられた自然地では、キンラン、ギンランなどの絶滅危惧種が復元していたこともわかってまいりました。
こうしたことから、現在、樹林地、水辺、湿地など、それぞれの自然地の状態にふさわしい活動が行えますよう、活動団体向けに、わかりやすい解説を加えたガイドラインの作成に取り組んでおりまして、今後、活動団体に対しまして、このガイドラインに関する助言や研修会を開催し、希少種保全のノウハウを浸透させてまいりたいと考えております。
これらの取り組みを通じまして、地元の自治体や団体と協働して、希少種の保全と回復を図る緑地保全活動をより一層推進してまいります。
○こいそ(明)委員 保全地域は、まさに希少な動植物が生息、そして生育する生物多様性の宝庫であることを改めて確認したところでもあります。環境局として、希少種保全の取り組みをより進めているんだというところもよく理解はできました。
そこで、次に、希少種の保全を図る上で重要な、いわゆる持ち去り、これは当然、盗掘対策ということでありますけども、伺いたいと思います。
保全地域では、先ほどの多摩丘陵の中で生育しているタマノカンアオイ、そしてキンラン、ギンランなどの希少種を持ち去る行為が、残念ながら現実的に起きています。これは開発と違う--開発は開発でありましたけども、現在は、どうもこういう現実が起きている。私も、こうした現状を大変に危惧しているところでありますけども、昨年度の当委員会でも、この問題は取り上げさせていただいたところであります。
私も保全活動を行っております七国山緑地保全地域では、タマノカンアオイという希少種が、絶滅危惧種が、十ヘクタールの敷地内にたったの一株しか残っていない。それが何らかの人為的行為によってか、さまざまな状況によって、この一株がなくなってしまったら、いわゆる固有といわれるタマノカンアオイというのは消滅する、そういう現実がありますね。まさに絶滅寸前である状況であります。
昨年度の質疑でも、植物の持ち去りを禁じる掲示板を設置していただきましたり、地域ボランティア団体の協力により見守り活動などに取り組むほか、希少種の実態や課題に関する調査結果を地元自治体、NPOの方々と共有して、各保全地域の特性に応じた対策をつくり上げていくんだという、その旨の答弁はいただいております。
それ以降、どのような取り組みを行っているのか、お願いします。
○笹沼自然環境部長 昨年度行いました調査の結果や、他の地域での効果のあった取り組み事例から、持ち去り、盗掘対策といたしまして、フェンス柵や監視カメラの設置などが有効であることがわかってまいりました。
このため、七国山緑地保全地域や八王子滝山里山保全地域に、従来から調査で使用しております野生動物のモニタリング用のカメラを設置いたしまして、希少種の持ち去り行為の実態把握などにも着手したところでございます。
今後、こうした実態把握を行った上で、現地で活動する市民団体などと調整を図りながら、カメラを用いた持ち去り行為の監視や、フェンス柵の設置等の閉鎖管理など、各保全地域の実情に応じた実効性のある対策に取り組んでいきたいと考えております。
○こいそ(明)委員 こういう絶滅危惧種、絶滅寸前、こういう希少種の持ち去りのような行為を予防、防止できるような対策は、ぜひとも講じていただきたい。実効的行為を、ぜひ対策を講じていただきたいと思います。
保全地域では、こうした希少種対策のほか、保全活動に携わる人材の確保、育成が大きな課題であると私も認識をしております。
現在、活動している方々の多くは、子供のころに、まさに里地、里山で遊んだり、生活をし、農作業を手伝ったという経験がある高齢者の方々が少なくないようにも私も感じておりますし、お話も聞かせていただいております。
保全地域でも、何かと維持管理が--このようにできているのも、そうした方々がいろんな思いを持って、里地、里山保全というさまざまな思いを具体的にそこで、さまざまな時間を、またご努力をしていただきながら、この保全ができているという事実もあるわけでありますけども、私も一緒に協働して六年、七年目、こういう里地、里山保全というものをやらせていただいておりますけども、そうした方々が、例えば七十代の方は、もう六年、七年たったということになってくると、そのリーダーの方々も高齢化をしていますね。
そういう中で、その地域で思いを持って活動された方々が、高齢でやむなく、どうしても今までのような作業活動もできなくなってくるという思い、それをやはり継承していかなきゃいけませんし、より幅広い環境人材育成というのをしていかなきゃいけないということは、もういうまでもないと思うんですね。
こういうことを、やはり環境局として、特に保全地域の活動に携わる人材育成にどのように今後取り組んでいくか、この点もお聞かせいただきたいと思います。
○笹沼自然環境部長 都内の貴重な緑地や里山を保全し、絶滅に瀕する希少種を守っていくためには、自治体や一部の活動団体の力だけでなく、多くの都民の方々の参画と協力を得て、活動の担い手を確保していくことが非常に重要でございます。
このため、都は、次世代の担い手である大学生に保全活動を体験していただき、里山などへの関心の喚起や行動を促すグリーン・キャンパス・プログラムや、民間企業の社員、その家族の方々など幅広い層の都民に保全活動に参加していただくグリーンシップ・アクションに、引き続き力を入れて取り組んでまいります。
また、里山の維持管理に関するノウハウや、各保全地域における特徴的な活動内容、大学や企業などの活動状況などにつきまして、相互の情報共有と人材交流を進める情報交換会を開催いたしますとともに、保全地域に足を踏み入れたことがない地域の方々を対象に、保全地域の魅力や保全活動を現場で紹介する取り組みを実施するなど、新たな人材の確保や育成に寄与し、保全地域全体の活動の底上げにつながるような取り組みを行ってまいります。
○こいそ(明)委員 ただいまご答弁にもございましたけども、グリーン・キャンパス・プログラムに参加した学生は、保全活動を通じて、里地、里山の魅力、維持管理の重要性、それとともに体感する。五感で感じ、その感動的なものをやはり口々に語っているし、顔からもそれがあらわれている、体からもあらわれている。
このように若い世代の心に響く実質的な実体験こそが、私はやはり、本来の自然環境保全、すなわち環境教育であるのではないかと思うんですね。新たな環境人材を育てる重要な一歩だと思いますし、このプログラムをより進化していっていただきたい。グリーンシップ・アクションもそうです。このことも、ぜひこれからもさらに進めていっていただきたいなと思います。
今後は、ご答弁いただいた取り組みなどを通じて保全活動に参加した学生、企業の方々が再び里地、里山を訪れ、保全活動に参加しやすくすることにより、将来にわたって安定的、継続的に里地、里山を守っていける人材をしっかりと育成していく必要性があるわけでありますから、よろしくお願いしたいと思います。
また、学生及び企業の方々にとどまらない幅広い都民の方々、保全地域の周辺に住む多くの都民、市民の方々が地域にある保全地域を訪れて、その自然の、いわゆる小鳥が鳴く、さえずる、それから、いろんな気象条件がありますけど、木漏れ日が差す、季節によっては爽やかな風が吹く、さまざまな、息づいている里地、里山を、多くの方々が、そのすばらしさをより学び、理解と関心を高めていただける、その中における拠点的な施設整備も含めたことが必要じゃないか、人材育成にとって重要ではないかと思うんです。
その中で、例えばグリーン・キャンパスにしても、グリーンシップにしても、先ほど私も冒頭に申し上げさせていただきましたけども、ビジターセンターまではなかなか厳しいと思いますけども、のこぎりを初めとした--この辺は道具を置く場所がないですね。ヘルメットを保管する場所がないですね。それとともに、場所を固定していないから、その時点その時点で移さざるを得ないという状況もある。
こういう状況の中で、もう一段、そこに集まれる--広い環境じゃなくていいと思うんですよ。集まれる広場でもいいんだ、一つの建物があれば。広場でもいい。さまざまな天候条件もあるかもしれないけども、やはり、そろそろ環境局としては--自然環境を守っていくんだ、自然の状況をそのままにしながら適度の手を加えていくんだというのはわかるんだけども、しかし、先ほど冒頭に申し上げたように、多摩丘陵にある、とりわけ小山内裏公園を初めとする公園に行ってみますと、環境的配慮、本来、環境局がやるべきことが、ビジターセンターを初めとして展開されているんですね。さまざまな、大学もそう、研究所もそうだ、市民団体もそうだ。そういうところとの協働、連携的なものというのは極めて強く行っていることも現実なんですね。それは、すなわち人材の育成策にもつながっているんですね、これ。
ここまで十一年、グリーンシップ・アクションがスタートして十一年がたちますね。それから、グリーン・キャンパスがスタートして、もう七年目でしょうかね、これ。そういう状況の中で、もう一段、人材育成策という観点とともに、これから里地、里山を初めとする自然的な景観保全を、環境人材育成をする中で保全をしていくという、これは行政と、企業や市民や、大学もそうかもしれないけども、さまざまな客体的な、そういうところと連携をする中でも、私は、そろそろこのあたりも、環境局も一歩踏み込んでいったらいいのではないかと思います。
これは、きょうは要望にしておきます。本当は答弁をいただきたいんだけど、要望にします。
続いて、小峰公園について質問します。
これは林田さんの地元なんですけど、先ほど断って、質問させていただきますので……。
小峰公園は、里山環境の保全を通じて、生き物との触れ合い、素朴で美しい雑木林や田園の風景といった里地、里山の景観に親しめる貴重な環境ゾーンではないかと私は思います。
私も、この公園というのはちょっと--後ほどいいますけど、いわゆる名前が公園とついておりますけども、私は、この小峰に魅力を感じている一人であります。学生と一緒にでも、いろんな、ほかの方とも、実はたびたび足を運んでおります。こうした里山の生き物や風景を守り育てていくことを願い、昨年、この常任委員会でありますけども、小峰公園についても取り上げさせていただきました。
杉、ヒノキ林から広葉樹林への転換、畑作の実施、あぜ道の、まさに環境局所管でありますから--尾根と尾根のど真ん中にアスファルト舗装でがっちり、それは車両も通過できるということですが、でも、その、らしさというんですか、環境局らしさの取り組みも求めさせていただいたところでありますが、まずは、その取り組み状況についてお願いします。
○臼井緑施策推進担当部長 小峰公園は、希少なランの仲間やモリアオガエルなど多種多様な生き物が生息、生育する貴重な里山環境を有しており、公園管理に当たりましては、これらの生き物や里山景観を守り育むことが非常に重要であると認識しているところでございます。
これまで委員からいただきましたご指摘は、里山環境を保全しております小峰公園の魅力を高める観点から極めて重要であり、指定管理者とともに取り組みを進めてきたところでございます。
広葉樹林への転換につきましては、杉、ヒノキ林の間伐を実施するとともに、伐採時に植栽するための、クヌギやコナラ、もみじなど在来広葉樹の苗木の育成を進めており、この十一月には、いよいよボランティアと一緒に植栽する予定になっております。
畑作につきましては、地野菜や、和紙の原料となりますトロロアオイなどを栽培し、地域の歴史と文化を踏まえて、畑の管理を実施しております。
また、アスファルトで舗装されたあぜ道につきましても、粘土を固める荒木田舗装といいます昔ながらの手法で施工し直すなど、着実に改善を進めているところでございます。
○こいそ(明)委員 この公園整備、維持管理を行っていくことの中で、さまざまな取り組みをしていただいているということはよくわかりました。
この小峰公園は、平成十四年に建設局から移管されて、昨年、十年が経過しております。環境局らしい取り組みを進めるべきであろうとの意見も述べさせていただきましたけども、生物多様性、里山環境の保全といった国際的な流れを考えても、散策やレクリエーションといった利用を目的とした建設局時代の公園とは違った、建設局時代とは違った環境局らしい公園づくりを進めるべきだと、改めて、私も行くたびに感じております。
実際、環境局が生物多様性基本戦略として策定した緑施策の新展開の中でも、小峰公園などの自然公園では、自然環境の大切さ、そして魅力を実感、体感できるよう、学びと体験の場の創出を図るとしております。同じ公園といっても、建設局時代と異なる役割がそこにも記載がされているわけであります。
そこで、改めて、環境局らしい小峰公園の管理運営、コンセプトは何か、それに向かってどのように取り組んでいくのか、教えてください。
○臼井緑施策推進担当部長 都は、小峰公園に指定管理者制度を導入した平成二十年度以降、指定管理者とともに、多摩の里山見本園をコンセプトとして管理運営に取り組んでおります。
里山見本園とは、雑木林や田んぼ、畑を適正に管理することで、里山の生き物を保全するとともに、四季折々に美しい身近な風景を再生し、そこから都民が楽しみや喜び、学びを享受できる公園を目指すものであります。
そのためには、希少種保全、外来種対策及び里山保全の普及啓発が重要と考えております。
希少種保全につきましては、ツレサギソウやヤマホオズキなど、公園内に生育する希少種ごとに保全管理手法を記載したカルテに基づいて植物個体を守るとともに、トウキョウサンショウウオやカヤネズミなどの希少動物の保全に向け、詳細なモニタリングの実施や、その繁殖に配慮した植生管理を推進してまいります。
外来種対策につきましては、希少生物の生存を脅かすアライグマやアメリカザリガニ、セイタカアワダチソウなどの外来動植物が生息、生育しておりますので、その対策を強化してまいります。
里山保全の普及啓発につきましては、小峰公園を訪れる多くの都民が、田畑の耕作や雑木林の手入れなど里山の営みに親しみ、自然の恩恵を体感できるような魅力的なプログラムやイベントを企画するとともに、認知度や注目度を高める取り組みを進めてまいります。
○こいそ(明)委員 まさに環境局らしいコンセプト、そして、今後の取り組み方針を確認することはできましたが、加えて、都民の皆さんに、この小峰の魅力をより広く、より強力に発信する、そして多くの方々に訪れてもらえるような取り組みも必要だと思うんですね。
私は前々から思っておりましたけども、今もそうなんですけども、公園というのは、何かやっぱり、こうイメージがありますね。公園という響きでは、小峰の魅力が都民に十分伝え切れていないような感じがしてならないんですね。
二年前の当委員会の場でも、親しみやすい愛称をつけることを提案させていただきましたが、今後、都は、環境局らしさをもってどのような魅力を発信する、知名度や注目度をどう高めていこうと考えておられるか、お願いしたいと思います。
○臼井緑施策推進担当部長 小峰公園では、さくら祭りやハイキングイベントなどを、あきる野市や多摩地域のさまざまな関係団体と連携して行っており、地元あきる野市周辺における認知度は高まってきていると考えております。
今後、より多くの人々に来訪してもらい、豊かな里山環境を享受していただくには、小峰公園の魅力を広く東京全域に発信していくことが重要であります。
そこで、専門誌などのメディアや交通機関と連携したPRに取り組むほか、四季折々の風景写真や生き物情報などの掲載によりホームページを充実させるとともに、メールマガジンやツイッターなどを用いてタイムリーな情報発信に努めてまいります。
また、今、委員からお話のありました親しみやすい愛称につきましても、今後、指定管理者を初め、公園の管理運営に携わっていただいている方々と調整をしながら、しっかりと検討を進めてまいります。
○こいそ(明)委員 この小峰、今、公園という名前でありますけども、本当にすばらしい里山環境であります。いわゆる里山環境と環境学習、環境保全の拠点となるビジターセンターがあそこにあるわけでありますから、東京都の自然環境保全を進める--今のようなお話をしっかりお聞きいたしましたけども、これを受けとめて取り組んでいただくならば、施設的なことを含めた中でも、まさにあのゾーンが、小峰が中核となるのではないかと私は思います。
今は公園という名称でありますけど、愛称を広くというお話もありました。多くの都民が小峰公園に親しめるよう、何といったって、これは環境局の数少ない所管の公園といういい方、一応公園なんだけど、本当に数少ない管理ゾーンなんですよ、管理公園なんですよ。
ですから、ぜひ、数少ないといわれる中でも、やはり磨いてもらって光るような、本来的な環境局が抱く、そして、基本的なコンセプトをお示しいただきましたから、ふさわしい公園づくりを--多摩の里山見本園、これも政策の中にはしっかり載っていますよね、環境局の本来的な。多摩の里山見本園をここで着実に実現をしていただきたいと強く要望いたします。
次に行きます。
次は、これも何回かやらせていただいておりますけども、古紙資源の持ち去り対策であります。廃棄物対策関係でありますけども、その一つとして、古紙資源の持ち去り問題については、この委員会でも何回もやらせていただきました。ほかの委員からも、このことは出ております。
今回、都内における古紙等資源物の持ち去り防止対策の実施状況、それから各市区町村の条例化の現状について、再度確認をさせていただくために資料もいただきました。
この資料を見ると、区部で十五自治体、多摩地域では十一自治体が罰則つき条例を制定しているほか、持ち去り防止対策として、職員や民間委託による定期的な巡回パトロール、GPSを活用した持ち去りの古紙の追跡調査など、古紙持ち去り根絶に向けた取り組みが進められていると受けとめております。
また、資源回収業界では、古紙持ち去り根絶宣言をした事業者の回収車両に、持ち去り業者識別ステッカーを貼付し、古紙持ち去り車両の排除に取り組んでいると聞いております。
都も、市区町村、警視庁といった関係者によるこの問題についての検討協議会で、古紙持ち去り問題根絶に向けた取組を平成二十三年六月に取りまとめておりますが、その後、このメンバーにより、本年二月に情報交換会を立ち上げて、罰則つき条例を促す働きかけをしていくとの答弁も、三月の当委員会でございました。
このような都、市区町村、業界団体が連携した古紙持ち去り根絶に向けた取り組みは、一定の成果は上げていると回収事業者から聞いておるところでありますけども、従前から主張させていただいている古紙持ち去り防止対策がどこまで、どのように進んできたのか、改めて伺いたいと思います。
○齊藤廃棄物対策部長 情報交換会の開催以来、多摩地域において、多摩市、東大和市、小平市が新たに罰則つきの持ち去り禁止条例を施行しております。
また、GPSを活用した追跡調査につきましても、本年六月から実施している西東京市を初め、実施自治体は増加しておりまして、持ち去り古紙を受け入れた問屋が判明するなど、着実に成果を上げております。
都は、組織的、広域的で悪質な古紙持ち去り行為等の根絶に向け、本年四月に、九都県市の会議体で、都内市区町村の持ち去り禁止条例の制定状況や、持ち去り防止に向けた取り組みを情報提供しております。
このため、八王子市や町田市が隣接する神奈川県相模原市や横浜市と定期的に情報交換を行うなど、都域を超えた自治体間の連携も進んでおります。
今後も、九都県市の場で情報提供を行いながら、組織的かつ広域的な持ち去り古紙の流れを防止する対策について働きかけてまいります。
都内市区町村との連携も進めておりまして、東京都地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助制度を活用しまして、二十三区では江東区、北区、練馬区の三区で、多摩地域では町田市と多摩市の二市で、今年度より、持ち去り防止対策としてパトロールなどを実施しております。
今後も、市区町村や業界団体と連携し、古紙持ち去り根絶に向けた取り組みを進めてまいります。
○こいそ(明)委員 都、市区町村、業界団体が連携して、古紙持ち去り根絶に向けた対策が着実に進んでいるとの答弁はいただきました。
しかし、残念なことに、いまだ行政回収、それから集団回収において、古紙の持ち去りは後を絶たない状況にあるというふうに、いろいろ聞いております。
また、市区町村が実施しているパトロールや条例に基づく取り締まりをかいくぐって持ち去られた古紙の一部が海外にも輸出されている、流されているとも聞いております。これは、国内での古紙の循環、まさに有価物、循環型社会形成という根本を揺るがすことにもなるのではないかと思えてなりません。このような行為が後を絶たない。
そして、その中でも、これは市区町村の枠を超えた問題ではないかと、当然思うところであります。持ち去られた古紙が、あらゆる形の中で、今申し上げたように海外にも流れている。
まさに広域的観点で行政、各自治体との連携の指導に当たっている都が、東京都全域で--例えば、先ほどいった、それぞれの罰則規定を設けている、条例を設けているところは確かに少ないかもしれない。しかし、少なくとも--条例化はまだしていないところもありますよね、区部でも、多摩地域でも。ですから、そのあたりが狙われるようなんですね。イタチごっこというか、モグラたたきというか、どうもそういう状況があるように見えてなりませんし、まだまだそういう話が後を絶たない。
ですから、その中で、やはり少なくとも東京都全体的で、さっきいった都県をまたがって連携することも大変必要だと思いますけども、まず、東京都の中ではこういう行為は断じて許さないんだという姿勢を極めて明確に出す必要性というのはあるんじゃないかというふうに思うんですよね。
そういう中で、私はもう、持ち去り防止の網をかける条例を制定するなどの有効な対策を立てるべきだと。立てていかないと、これ、いつまでたっても--やるところはやりますよと、規制が強い罰則があるところは。しかし、まだ罰則規定も何もないところ……。こういう状態がいつまで続くのかということでありますので、ちょっと見解を伺います。
○齊藤廃棄物対策部長 まず、持ち去り古紙が海外へ輸出されるという問題についてですが、昨年以降、都は、廃棄物の輸出品の品質検査機関に対しまして、古紙を輸出する商社等から持ち去り古紙を取り扱わない旨の宣誓書の提出を求めるよう依頼しております。
その結果、商社等からは宣誓書が提出されるなど、持ち去り古紙の輸出防止に向けた取り組みも進んでおります。
都条例につきましては、市区町村が有する一般廃棄物の処理責任との関係などの課題もありますので、さまざまな観点から、今後の市区町村の取り組み状況や成果を見た上で考えてまいります。
○こいそ(明)委員 なかなか条例化に向けてというのは、いろんなことを想定したり、対応したり、いろいろあると思いますので、きょうはそういう答弁かなと思いますが、ちょっと残念だなという感じもします。
今後の市区町村の取り組み状況や成果を見た上で考えていくとありますが、はっきりいって、先ほどの資料要求したことから見ても、持ち去り状況はいよいよ、地下に潜るわけじゃないけども、非常に、悪質化方向に行っても、根絶方向には全然行っていないんですね。
ですから、こういうことを見ても、先ほどいった東京都全体で強い姿勢、断固としてこういう行為は許さないと首都東京から発信していかなければ--これによって、もし東京都がそういう姿勢で罰則規定をつけた条例でも制定すれば、この周辺の九都県市が全国に及ぼす影響というのは、私は極めて強いと思いますよ。
やっぱり、いいことはいいんだ、やって悪いことは悪いんだ、循環型社会を形成していくのは、東京都としては強く進めていくんだと、私は全国主張にもなっていくと思うんです、このあたりは。ですから、そういう意味合いからも、ちょっと残念だなという感じはしますが、ぜひ検討をしていただきたいなと思います。
資源のリサイクルは、それぞれの市民、区民の協力によって成り立つもので、その努力を無にしてしまう古紙の持ち去り行為は--他人のものを持っていくと。これは公共のものですよ。さまざまな、みんな苦労して集めた。集団回収だってそうでしょう。そういうものでもある。それから、何よりも、先ほどいった環境的な面から見れば、循環型社会形成という根幹的なものを揺るがす行為にもつながっているわけだからね、これ。まさに、私は、言葉がいいか悪いかはわからないけども、泥棒行為を取り締まらないということはどういうことかと改めて思いますね。
そのような行為の根絶に向けて、九都県市など近隣自治体とのつながりを持つ広域自治体としての都が主体的に乗り出していくべきで、都の果たすべき役割は大きいと強く強く思います。都の積極的な働きかけが不可欠であり、根本的な取り組みを今後もしっかりと、この問題解決のためにさらに取り組んでいただきますよう強く要望いたします。
そして、続きます。
環境ビジネスの育成についてちょっと伺いたいと思うのですが、廃棄物関係でありますけども、廃棄物処理を適正に行うためには、やはり優良な処理業者の育成が必要であると思います。これには、排出業者が適正なコストで処理を委託することが極めて重要だと思うところであります。適正な対価として必要なコストが支払われなければ、循環型社会は、やはり私はどうなのかなと思うところでもあります。
都における循環型社会形成のための基本計画である東京都廃棄物処理計画の中においても、主要施策の大きな柱になっていますね、これ。主要施策に載っていますよ。
しかし、市区町村の廃棄物行政をそれぞれ見ると、特に三多摩の市町村の一般廃棄物処理における契約行為で、安かろう悪かろうという、過度に低い処理経費で契約がされていると。これが不適正処理につながるものではないかという懸念が広がっているんですね。
実は、せんだって、三多摩清掃事業協同組合という、これは歴史的な組合ですよ、五十年以上たっているんですかね。この組合の理事長さんを初め役員の皆さんが要請行動に来られましたよね。その中で、その主な話としては、強い危機感を持っていると。これはそのとおりなんですけども、今、雇用を確保しなきゃいけない、専任の社員を雇用しなきゃいけないとか、それから、物事というのは継続的に、循環型社会を含めたリサイクル社会を進めていかなきゃいけないのは当然でありますけども、そういう中で、いつ切られるかわからない不安定状況、そして、契約金額も極めて劣悪な状況下の中で、どんどんどんどん切られていくと。
じゃあ、雇用はどうするんだよ、安定的な設備投資はどうするんだと、そういうことを総括的に考えたときに、この間の三多摩清掃事業協同組合の人たちは、ほとんど東京都にこういう要請行動はしてこなかったようですよ。それぞれの自治体に要請行動したんだけども、やはり東京都だということで、悲鳴に近い思いで労使ともに来ているんですよ、はっきりいって、これ。単なる事業者だけじゃない。そこにかかわる従業員、そして家族がいるわけだ。そういう中で、安い方、安い方でばさばさ切られたらどうするんだという危機感ですよね。そういうこともある。
一時期、東京都の清掃局の時代、三多摩地域は分別が進んでいましたね。当時はさまざまにリサイクル体制が進んでいたんですよ。しかし、現実として、市町村は財政が大変厳しいんです。その中で、努力を努力としてやってきた、行政体、自治体は。しかし、それに、委託関係事業者も含めて、さまざまに一緒になってやってきた経緯もあるんです、歴史的に。これはもう事実なんですよ。何十年と一緒になってつくり上げてきたんだ。
そういう中で、ところが、時が移り変わるからとして--別に循環型社会形成が変わるわけじゃない。その中でも、安けりゃいいんだ、安けりゃいいんだと。これ、はっきりいって、どうするんですかという話が出てきているわけですね。
ですから、そういうことも含めて、私はぜひ東京都のいう--東京都廃棄物処理計画の中における主要な一つに載っているんだ。そして、環境省だって通達を出しているじゃないですか。これと同じような、そういうことがないようにという通達を出しているはずですよ。
こういうものの管理監督、チェックは、やっぱり広域行政体の東京都がやる必要性があるんじゃないですか、はっきりいって。そのあたり、ちょっと聞かせてください。
○齊藤廃棄物対策部長 都の廃棄物対策では、循環ビジネスの育成を三本柱の一つとして位置づけております。循環ビジネスの育成の観点からも、排出者と処理業者との間で適正な委託契約が結ばれることが必要だと考えております。
そこで、環境局では、各局及び監理団体の契約担当者向けに、廃棄物処理契約等について講習会や個別指導を実施しております。講習会は、一昨年から十二回実施しておりまして、約千八百人が受講しております。この中で、安価な金額で契約した業者や不適正な処理の疑いがある場合は、環境局に連絡するよう周知を図っております。
今後も、極端に安い落札価格がないか、各局から情報を集めるとともに、環境局としても、立入調査時に各局の入札価格をチェックし、適正に対処してまいります。
市区町村に対しましても、契約担当主管課長会や、年二回開催する廃棄物行政講習会、東京都多摩地域廃棄物行政連絡会などにおきまして、適正な委託契約の締結についてご説明するとともに、市区町村が排出者となる廃棄物処理委託契約が適正かどうかの確認と、例年に比べて大幅に安価な金額で契約した場合、都へ情報提供するよう強く働きかけております。
今後も引き続き、都の各部署や監理団体及び市区町村に対しまして、廃棄物処理契約の適正化や優良な処理業者の活用につきまして積極的に働きかけを行ってまいります。
○こいそ(明)委員 ぜひそういう取り組み、それから、齊藤さんも清掃局のご出身でもありますし、そのあたりの実情というものもよくおわかりだと思いますし、三多摩清掃事業協同組合の方々にも会っていただいて、大変真摯にこの話に向き合って聞いていただいたということで、そういうお話も、後々というか、その後に聞かせていただきました。ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
本当に一生懸命、真面目にそういった取り組み、それぞれの自治体等の関係者とも連携をとってやられたという、やはりノウハウがあると思うんです。これがきちっとまたこれからも、人材育成もそうなんだ、継承していかなきゃならない。こういうことも思うところでありまして、ぜひこのあたりもよろしくお願いしたいということで、要望であります。
それから、次、エネルギー政策について伺います。ちょっと早口で聞きますけど。
先般、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書が公表されました。人為的な要因で温暖化が進んでいるんだと、明確にそこで示されましたけども、世界各地でまさに豪雨、これは、近年では、つい最近では東京の大島もそうでありますけども、それから、フィリピン、レイテ島の大変な惨状というんですかね、被害、こういう状況をもたらしている台風だとか、豪雨だとか、竜巻だとか、これは世界中の話にもなりますけど、極端な気象状況が頻発していると、改めてこのIPCCも警告を発しているんですね。直接的な、個別的なことはいっておりませんけども。
こうした中で、東京が電力供給を依存している東京電力は、CO2排出量の多い老朽化した火力発電所が約四割も占めているわけでありますが、いろんな電力供給をしていかなきゃいけないという観点はわかるんだけども、これは地球温暖化の面からも望ましい姿とはいえないと思います。
エネルギー政策は、国の専管事項ではないと私は思います。電力の大量消費地であり、また、キャップ・アンド・トレード制度の導入など先進的な気候変動対策に取り組んできた日本の首都東京が、エネルギー政策についても、地産地消による東京産電力の安定確保など、低炭素な観点から総合的に取り組み、成果を上げることが、今、より一層求められているのではないかと思うんですね。
そういう中で、今後、都市エネルギー政策をどのように進めていかれるのか、都の見解を伺いたいと思います。
○松下都市エネルギー部長 ご指摘のとおり、地球温暖化による影響は深刻な状況であります。エネルギー施策を進める上でも、低炭素の観点から電源確保に取り組むことが不可欠であると考えております。
一方、東京電力管内には、運転開始から三十五年を過ぎた老朽化した火力発電所の出力が千六百六十万キロワットもございまして、これが全体の約四割を占めているという供給面の不安要素ということになっております。
こうしたことから、まちづくりと一体となった、低炭素な天然ガスを利用した分散型発電の整備などに取り組んでいく必要があると考えております。
今後とも、具体的な施策に着実に取り組み、温暖化にも配慮しながら、地産地消の東京産電力の確保に努めてまいります。
○こいそ(明)委員 今、答弁いただきましたけども、しかし、天然ガスは石油などに比べて低炭素でありますが、温暖化による影響が危機的な状況では、天然ガスに依存し過ぎることは好ましくないとも思います。
また、これは貿易赤字の原因と指摘されていますね。国富流出につながるんじゃないかといわれています。ちなみに、直近的な数字でいくと、約五兆円に迫る貿易収支の赤字が出始めてきている、こういうこともあります。
そこで、化石燃料からの脱却を目指すことも重要であると思います。
先日、八丈を視察させていただきましたが、地熱発電も極めて有効であるというふうに感じました。また、都市型の風力発電の設置を初め、例えば、清掃工場に太陽光パネルを設置して、ごみ発電とあわせて工場内の電力を賄うことや、水道施設に小型小水力発電の導入を推進するなど、可能な限りエネルギーの有効活用を図るべきだというふうに思います。
都は、膨大なエネルギー消費の代替に向けて、新しい都市型エネルギーの推進により努めていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○松下都市エネルギー部長 温暖化の深刻な状況を見ますと、できる限り化石燃料から脱却していく、そういったことが必要であると認識しております。
こうした認識のもとに立ちまして、都は、屋根ぢからプロジェクトや太陽熱の推進など、東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーにつきまして、さらなる普及拡大に取り組んでおります。
また、近年、下水道の熱であるとか、あるいは河川水を空調熱源として活用するなどの民間の動きもございまして、都としても、未利用エネルギーのさらなる活用が必要であると認識しております。
今後とも、こうした取り組みを進め、あるいは後押ししながら、環境負荷の低減に向けたエネルギー確保に取り組んでまいります。
○こいそ(明)委員 東京都が環境に配慮しつつエネルギー政策に主体的に取り組むことは、首都機能を維持する電力安全保障の観点からも極めて重要だというふうに思います。
一方、非常時にもガソリンや灯油などのエネルギー源を供給でき、エネルギーインフラとしての役割を果たす市内にあるガソリンスタンドは極めて重要だと思うんですね。また、今後普及が見込まれる低炭素で環境負荷の低い燃料電池車などの次世代自動車へのエネルギー供給拠点としても、やはりもう一度担うべき役割があるのではないかと私は思えてなりません。
しかしながら、都内のガソリンスタンドは、平成二十四年度末に千三百四十カ所と、平成六年度の半分以下に減少しています。特に中小ガソリンスタンドの経営状況は極めて厳しい状況でありますが、このような状況が続けば、ガソリンなどの燃料供給に支障を来すおそれがあり、ひいては物流機能が麻痺し、消費者の利便性は失われ、都市機能の維持が困難となってしまいます。
ちなみに、大きなセルフスタンドができる、地場のスタンドがばたばた倒れる、大手の石油会社が、元売が子会社をつくって市場を席巻する、非常に安い価格でガソリン等々を入れられる。これは、いわゆる小売価格は、当然、安く入った方がより有利になるわけですよね。こういうことができる。
そういうことの中で、初めから元売大手と地場のガソリンスタンドは、実際上は、もう勝負にならない。そういうことで、かなり減ってきた部分もあるかもしれません。それとともに、発券店値づけ的なもの。
しかし、アメリカの例をとるまでもなく--アメリカも、やはりこういう市場席巻を大手がした。その中で、地場がどんどんどんどん倒れた。やはり同じように大きなセルフスタンドがどんとできた。そこには、身障者の方々、お年寄りの方々、なかなか機械操作はできませんよ。今だって発火しているんだから、危ない。それから、遠くまで行かなきゃいけない。さまざまな不都合が生じてくるということはアメリカでもあって、十三州が分離法というのをつくったわけだけども、エネルギー網も寸断されましたよ。そういうことを含めて、東京でもそういう状況が出始めてきているのではないかと思えてなりません。
ガソリンスタンドは減少傾向が続き、都市のエネルギーインフラは寸断されようとしておりますが、都はどのような認識を持っているのか、お願いします。
○松下都市エネルギー部長 委員のご指摘を踏まえまして、昨年度、次世代ステーションに関する調査委託を行ったところでございます。
その中では、石油の自由化に伴う規制緩和などを背景といたしまして、大手企業による出店、あるいはセルフ化による低価格化、あるいは低マージン化、こういったものが続いておりまして、地場の中小ガソリンスタンドの極めて厳しい状況が明らかとなっております。
ガソリンスタンドは、ガソリン、灯油、軽油など、都民生活や経済活動に不可欠なエネルギーの供給拠点として重要な役割を果たしているのみならず、地域に密着し、防災拠点あるいは防犯など、地域のネットワークとしても機能していると認識しております。
また、燃料電池自動車など次世代自動車の普及促進という観点から見ましても、極めて重要であると考えております。
○こいそ(明)委員 まさに意義あるご答弁をいただいたというふうに受けとめさせていただきました。
ガソリンスタンドは、耐火性、耐震性が極めて強い。世界で一番といっていいぐらい、この法基準が厳しいんです。ガソリンなどの石油製品の安定供給だけではなくて、震災時には帰宅困難者のトイレや水の供給拠点、今お話がありましたが、防犯にも役立つ地域ネットワークとして、都市において果たす役割は極めて重要であります。今後しっかり検討していくことを、また強く強く要望いたします。
ここで、新しい都市型エネルギーの推進について質問してまいりましたが、東京から都市型エネルギーのモデルを発信していくことも重要ではないかと考えるところであります。その一つとして、燃料電池を挙げさせていただきたいと思います。
ちょっと時間もあれですから、大変申しわけないんですけども、一点だけに絞らせてください。今後の燃料電池の--メーカーが今かなり開発をしていて、二〇一五年にいよいよ五百万円台だったですかね。一時期は--一時期といってもかなり前でありますけど、一億円ぐらいはした。そういう中で、だんだんだんだんと低コスト化を目指してきているという状況があります。
しかし、全国で四カ所、そういう中で東京は、当然、中心的な要因でエネルギー供給もしていかなきゃいけないと思うんですけども、まずは、今後の東京都の燃料電池自動車の普及の認識と、卵が先か鶏が先かわからない、両方必要だと思いますけども、いわゆる拠点施設整備も含め、東京都がこの燃料電池自動車をこれからどのようにしていきたいのか、そのあたりを一点聞かせていただきたいと思います。
○山内自動車公害対策部長 燃料電池自動車は、大気環境対策、地球温暖化対策、エネルギー対策、さらに防災対策、多方面に貢献するものであり、東京都として積極的に普及を図るべきものと考えております。
先ほど四カ所というお話がありましたが、自動車業界、石油業界、ガソリン業界などでは、一昨年、共同声明を発表し、平成二十七年に、四大都市圏を中心に燃料電池自動車の本格販売を開始し、さらに、水素ステーションを百カ所程度先行的に整備するという目標を掲げております。
国も、これを受けまして、今年度から三カ年で、四大都市圏を中心に水素ステーションの整備費補助を行うこととしており、平成二十五年度は、商用を目的とした水素ステーション、全国十九カ所の整備に係る補助の交付を決定しております。このうち、都内では四カ所が補助対象になり、今後、整備が進められることになっております。
都の今後の取り組みなんですが、都は、今年度から施工、整備される都内の水素ステーションを対象に、整備を進めるに当たっての課題の整理を行って、水素ステーションの普及策を検討してまいるのですが、都内はまた、他の地域と違いまして、水素ステーションの整備を進めるに当たって、いろいろ難しい課題がございます。
一つは、例えば水素ステーションをガソリンスタンドに併設する場合には五百坪程度の、約千五百平米程度の広さが必要といわれているのですが、五百坪以上の面積を持つスタンドは、日本エネルギー経済研究所の調査によりますと、全国で一一・七%。ところが、都内に限れば四・三%しかなく、地方に比べ、敷地の確保は非常に難しい状況にあります。
また、ガソリンスタンドの水素貯蔵量というのが決められておりまして、現行の建築基準法でいいますと、商業地域では七百ノルマル立米ということで、燃料電池自動車が二十台分しか今はないという状況になります。
こうしたことが、ガソリンスタンドにそういった水素ステーションを整備する上での、今後、経営上の大きな課題になるということが懸念されております。
そうしたことから、都としましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけども、今年度から先行整備するステーションについて、法整備や規制緩和の影響など、都内で整備する場合の課題等を調査、整理し、国に対して、安全性への配慮を欠くことなく、大都市固有の立地条件や、より多くの事業者の参入が図れることなどを踏まえた規制緩和を進めるよう要望してまいります。
○こいそ(明)委員 これから、やはり水素、燃料電池は、まさに誰も否定できない現実になっていくと思うんですね。そういう中で、自動車だけじゃなくて、さまざまな代替エネルギー、未利用エネルギー、これは今、全国的にはまだ、再生可能エネルギーは一・六%の供給だという数字もありますけど、しかし、さりとて、これからはさまざまな未利用エネルギー、それから、環境負荷を極めて低減させる--自動車の場合は、水素系の燃料電池車というのは非常に有力だというふうに強くいわれておりますけども、今後、東京都としても、この次世代というか、新しい代替的エネルギー、特に自動車ですけども、東京モデルぐらいの取り組みを発信していく、取り組んでもらうということを強く強く要望して、終わります。
○小林委員 私の方からは、三つのテーマについてお伺いをさせていただきます。
初めに、緑施策についてお伺いをいたします。
文明の発展に比例して失われてきたものが、自然であり、緑といっても過言ではありません。フランスの著名な彫刻家のロダンは、自然を無理強いしてはいけない、自然を歪曲することは恐ろしいとの言葉を残しましたが、ある意味、自然を無理強いし、自然を失った結果、私たちは新たな課題に直面し、再び自然を、緑を復活させる取り組みが急務となっております。
地球レベルでは、年間七百三十万ヘクタールの森林が減少。東京におけるみどり率は、平成十五年の時点で、区部が二〇%、多摩が六九・八%であり、都全体では五二・四%であったのに対し、平成二十年では、区部で一九・六%、多摩で六七・四%、都全体では五〇・七%となっています。依然として、ひたひたと緑が失われている現状にあって、都として、緑の保全、創出のために今日までさまざまな取り組みを推進してこられたと思います。
昨年五月には緑施策の新展開を策定し、緑を守る、つくる、利用するとの観点で全庁的な取り組みを開始しましたが、特に環境局の役割は重要であると思います。今ある緑をこれ以上喪失しないよう、保護に万全を期していくことはもちろんのこと、失った緑を、新たに知恵を絞っていかに創出していくかが極めて大事な課題であります。
緑の創出という観点では、緑の拠点となる公園、緑地の整備拡大、学校の芝生化の推進、公園や緑地、幹線道路の街路樹、緑化した河川を結ぶグリーンロードネットワークの充実の推進など、さまざまな取り組みがありますが、その中でも、とりわけ環境局が主体となって取り組む緑化計画書制度が、実効性という点からもさらなる推進が必要であると考えます。
本年一月に策定した「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三においても、規制、誘導による緑化の促進として位置づけられています。
そこで、改めてではありますが、緑化計画書制度の概要についてお伺いをいたします。
○笹沼自然環境部長 都は、緑あふれる都市東京の再生を目指しまして、市街地における緑化を推進するため、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき、一定規模以上の建築行為に対し一定割合の緑地面積の確保を図る緑化計画書の届け出を義務づけております。
民間施設では千平方メートル以上の、公共施設では二百五十平方メートル以上の敷地における建築行為を届け出の対象としておりまして、緑化する面積割合については、民間の施設でいいますと、二千五百平方メートル未満の敷地で建築行為を行う場合、建物を建てない部分の敷地面積の二〇%と、屋上の利用可能な部分の面積の二〇%を緑化する必要がございます。敷地面積が五千平方メートル以上になりますと、これに緑化率が五%加算されまして、建物を建てない部分の敷地面積と、屋上の利用可能な部分の面積のそれぞれ二五%を緑化する必要がございます。
また、大規模な都市開発案件に適用されます総合設計制度等の都市開発諸制度を活用した建築物につきましては、さらに一〇%高い割合の緑化を求めております。
○小林委員 実際、都心部などのオフィスビル街を歩いておりますと、各ビルの敷地内にはしっかりとした植栽が施されていることに気づかされることもたくさんございます。
高度に都市機能が集積し、緑化が可能なスペースが限られている東京において新たな緑を創出することは、そう簡単なことではありませんが、活用できるものは知恵を生かして活用していくとの視点で、屋上や壁面など建築物上のスペースを利用して緑化を図っていくことは、都市空間に緑を創出する手法の一つとして充実、推進をしていかなければならないと思います。
今、ご答弁で、都は、敷地での緑化とともに、屋上などの緑化を義務づけているとのことでございましたが、これまでの屋上などの緑化の実績についてお伺いいたします。
○笹沼自然環境部長 直近の平成二十四年度では、緑化計画書制度に基づく屋上等の緑化に係る計画の届け出は四百一件、面積は約十八・四ヘクタールとなってございます。
また、緑化計画書制度が施行されました平成十三年度から平成二十四年度までの十二年間の累計では、計画の届け出は五千百七件、面積は約百六十三・五ヘクタールとなっておりまして、日比谷公園の十個分強の緑が新たに創出されたことになります。
○小林委員 ありがとうございます。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しましたが、その立候補ファイルにおける環境ガイドラインの基本的な柱の一つとして、二〇二〇年東京大会は、都市の緑化を促進させる契機にもなり、自然環境と共生する快適な都市環境をより楽しめるようになると記載されています。
また、東京都内の緑の創出については、東京都の旧長期計画「十年後の東京」に位置づけられていたが、この計画のもと、既に四百六十三ヘクタールの新たな都市公園や植樹などの緑地が創出されている、「二〇二〇年の東京」のもとでは、二〇二〇年までには五百三十七ヘクタールが創出される、大規模緑地とそれをつなぐ緑の回廊は、多様な生物が息づく自然環境に特別に配慮しながら形成されるとも述べられております。
二〇二〇年に向けて、東京の緑の創出は関係各局が総力を挙げて取り組むべき課題でございますが、先ほどのご答弁で、緑化計画書制度における屋上などの緑化だけで、十二年間で日比谷公園十個分とありましたので、二〇二〇年までの七年間においても、着実な緑の創出に向けての取り組みをぜひともお願いしたいと思います。
次に、家庭における省エネ、節電の取り組みについてお伺いします。
都はこれまで、CO2削減の取り組みとして、大規模事業所に対してのキャップ・アンド・トレード制度など先駆的な取り組みを実施してきましたが、都における温室効果ガス排出量の三割は家庭部門が占めており、家庭での省エネ、節電の取り組みも大変重要であります。特に東日本大震災以降はその対策が急務となったわけですが、都は、東日本大震災以前から、家庭向けの省エネ、節電対策として、企業、団体と連携してその対策に取り組んでこられたことと思います。
家庭における省エネ、節電行動の推進は、その普及啓発という取り組みが主であるかと思いますが、これまでの都の取り組みの状況についてお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 都は、家庭部門対策として、平成二十一年度から、企業、団体と連携して、家庭からの申し込みを受けて専門家を派遣する省エネ診断員制度を開始いたしました。
また、その仕組みを活用して、平成二十三年度からは、震災後の緊急節電対策として、都が認定したエネルギー供給会社等の団体のスタッフが法定点検等で家庭を直接訪問する際に、すぐに取り組める節電対策をパンフレットで説明する節電アドバイザー事業を実施いたしました。昨年度は、五千四百人のアドバイザー等により約十七万件の戸別訪問を実施し、季節に応じた冷蔵庫の温度設定など、実態に即した省エネ、節電対策の提案を行うとともに、各種講座やイベント等で、約二万五千人を対象に省エネ、節電対策をわかりやすく説明いたしました。
○小林委員 震災以降、各家庭での省エネ、節電の意識が高まり、取り組みは進んできていると思います。
都が実施している温室効果ガスの排出量調査によりますと、平成二十三年度のCO2排出量は、前年度比で減少はしているものの、長期的にはまだ増加傾向にあるといえます。このため、もう一歩踏み込んだ対策を実施する必要があると考えます。
都は、節電アドバイザー事業を実施する中で、どのような新たな課題が見えてきたのか、見解をお伺いします。
○山本都市地球環境部長 震災以降の節電意識の高まりを背景に、家庭への戸別訪問などにおいて、LEDランプに取りかえる場合の明るさの選び方や、窓ガラスの遮熱フィルムの費用対効果など、これまでよりも個別具体的な内容の質問がふえてまいりました。
このため、今年度から、省エネ診断員制度と節電アドバイザー事業を一体的に運用するとともに、戸別訪問での家庭からの声を踏まえて、配布するパンフレットの内容を見直し、アドバイス内容の質の向上を図っております。
今後とも、こうした取り組みを通じて、家庭の省エネ、節電行動の一層の推進を図ってまいります。
○小林委員 震災以降の省エネ、節電意識の高まりの中、先ほどご答弁にもありました、平成二十三年六月から実施された節電アドバイザー事業を私も活用いたしまして、地域の会合に節電アドバイザーに来ていただきまして、講演をお願いしました。大変に好評でありました。
都は、本年度から家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業を開始し、家庭のエネルギー管理システム、HEMSの導入に合わせた蓄電池や家庭用燃料電池の導入を支援する新たな施策に取り組んでおりますが、地道なようであっても、省エネ、節電の普及啓発は、継続的に粘り強く取り組んでいくべき運動であると思います。
今後とも、アドバイスの質の向上を図るとともに、地域の町会や自治会などで積極的に活用してもらうためにも、家庭の省エネアドバイザー制度自体の普及をさらに促進していっていただきたいと思います。
最後に、食べられるのに廃棄される食品、いわゆる食品ロス対策についてお伺いします。
日本国内において廃棄される年間の食品量は約一千八百万トンで、食料消費全体の約二割に当たるそうでございます。このうち、期限切れの食品や食べ残し、売れ残りなどで廃棄される食品ロスの問題が昨今大変大きな問題となっております。
都は、平成二十五年度から食品ロス対策の取り組みを強化しましたが、どのような問題意識から取り組みを強化することとしたのか、見解をお伺いします。
○齊藤廃棄物対策部長 国の推計によりますと、小売店や飲食店などの食品関連事業者において、売れ残りや食べ残し、賞味期限前でも販売をやめる商慣習などによりまして、ただいまお話のありました、本来食べられるにもかかわらず捨てられている、いわゆる食品ロスの量は年間三百万トンから四百万トンあるとされております。これは日本の年間米生産量の約半分にも上ります。食品ロスの削減は極めて重要であると考えております。
国におきましては、平成十三年度に食品リサイクル法を施行し、食品廃棄物の発生抑制、リサイクルに取り組んできましたが、残念ながら、リサイクルの取り組みに比べて、発生抑制の取り組みは進んでこなかったと認識しております。
都には、食品ロスの発生元となっている小売店や飲食店が集積しておりますので、これまで取り組んでまいりました食品ロス削減の普及啓発や、臨海部においてスーパーエコタウン事業として実施してきた食品リサイクルの取り組みなどをさらに推進する必要があると認識し、取り組みを強化することとしたものでございます。
○小林委員 今、食品関連事業者の食品ロスの量は年間三百万トンから四百万トンあり、日本の年間米生産量の約半分にも上るというご答弁がございましたけれども、私も調べてみましたところ、家庭系も合わせた食品ロスは、平成二十二年度の推計によりますと、年間五百万トンから八百万トンあるとのデータもあり、日本の米の年間収穫量が昨年約八百五十万トンでありましたので、これに匹敵する数字があります。
また、世界各国から発展途上国への食料援助量が、平成二十三年で年間三百九十万トンでありましたので、日本国内における膨大な食品ロスの実態が浮き彫りになっております。
このような実態の中、食品関連事業者が排出する事業系廃棄物の食品ロス発生量が減少しない理由の一つとして、三分の一ルールがあるというふうにいわれてございます。三分の一ルールは、賞味期限までの三分の一を過ぎた商品を小売店が引き取らないという、長年にわたって広く定着している流通現場での慣習でありますが、日本においてメーカー、卸、小売という流通過程がある中で、小売業者は、できるだけ新鮮な商品を売りたいという意向が働きます。そのような中で、納品の期限を過ぎた商品を、小売業者は卸業者に受け取りを拒否することができるというルールがこの三分の一ルールでございます。このルールにより受け取り拒否された商品は大半が廃棄され、食品ロスという形になっています。
この三分の一ルールについては、国や食品業界の見直しに向けた具体的な取り組みが始まり、試行的に納品の期限を三分の一から二分の一へと緩和して、食品ロスの削減効果を検証するというプロジェクトがこの八月から始まったと聞いておりますが、都としても、家庭系食品ロスを含め、具体的な取り組みを急ぐ必要があると考えます。
そこで、都は今年度、食品ロスの削減に向けてどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。
○齊藤廃棄物対策部長 都は今年度、都内の食品関連事業者における食品廃棄物の排出実態などを把握するため、事業系食品廃棄物の排出実態調査を実施しておりまして、年内には調査結果を取りまとめる予定でございます。この調査結果を踏まえまして、都内における食品関連事業者の実態に合った食品ロス削減対策を検討してまいります。
また、食品ロスの発生原因である飲食店における食べ残しや小売店における賞味期限を過剰に意識した購買行動などについては、都民の皆様の理解、協力がなければ解決することは難しいと考えております。
このため、都は、本年十月に、新宿西口広場で開催された消費者向けのイベントにおきまして、食品ロス削減に関する展示等を実施いたしました。
さらに、今後でございますが、十一月二十六日には、食品ロスの実態の周知や、賞味期限が近い食品などをメーカーなどから引き取り、福祉施設などへ無償提供するフードバンク事業などの取り組みを知っていただくためのシンポジウムを展開するなど、都民の皆様へのさらなる普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
○小林委員 ありがとうございます。
東京都としても、この平成二十五年度から本格的に取り組みを開始されたということもございますし、また、実態調査に今、取り組んでいるとのことでございます。その調査結果を待ち、注視していきたいと思いますが、その調査結果を踏まえて、食の大消費地である東京の先駆的な取り組みをぜひとも期待したいというふうに思います。
その際、まずは隗より始めよで、都庁や都の関連施設における食堂などから排出される食品ロスの実態も調査をしていただき、必要とあらば、当然のことながら食の安全を確保しつつ縮減に取り組んでいくことをぜひご検討いただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○高橋委員 私から、最初に、事業概要の一八三ページにある在宅医療廃棄物の適正処理に関連してお尋ねいたします。
高齢化の進展と医療技術の進歩により、在宅医療の実施件数は年々増加しています。これに伴い、在宅医療廃棄物の排出量、種類ともに増加しており、その適正処理がますます重要となっております。
このため、私は、糖尿病など病気を患っている方々が自己注射で使用した注射針が廃棄物として処理される過程で生じる針刺し事故を防止するため、東京都薬剤師会が行っている使用済み注射針の回収事業について、平成十六年三月の委員会で初めて取り上げさせていただきました。以来、現在まで、使用済み注射針を初めとした在宅医療廃棄物の適正処理の問題に継続して取り組んでまいりました。
使用済み注射針の回収事業は、まず、私の地元である練馬区薬剤師会と杉並区薬剤師会がモデル事業として平成十四年度から取り組みを開始したものであります。この取り組みは、平成十四年度から、私が初めて質問を行った平成十六年三月までの間に、実施地域が、当初の二区から十一区三市に広がったとお聞きしました。
当時、私は、実施地域が順次拡大していることを評価しつつも、患者の利便性を考慮すると、都内全域で実施することが望ましいと提言いたしました。この結果、平成十八年十一月の当委員会では、島しょ部を除く都内全域で事業が展開されていると伺いました。
平成二十一年十月の当委員会では、この回収システムの運用状況について伺い、本事業が定着していると実感をいたしました。
一方、増加し、多様化する在宅医療廃棄物の適切な処理体制を実現するためには、医療機関、薬局、区市町村、メーカー等、在宅医療を担う関係者が協働して取り組むことが重要であることから、東京都が広域的な立場でこの取り組みに関与することをお願いさせていただきました。以来、平成二十三年十一月、平成二十四年十月の当委員会でも、全ての関係者が参加する新たな検討会の立ち上げを提言、要請してまいりました。
その結果、平成二十四年十二月には、東京都医師会、東京都歯科医師会、東京都薬剤師会、医療機器業界及び製薬業界、さらに、一般廃棄物の処理責任を持つ区市町村といった全ての関係者が参加する在宅医療廃棄物の適正処理に関する検討会がスタートいたしましたことを、平成二十五年三月の当委員会でも質問をさせていただきました。この検討会では、事業開始から十年を経過する東京都薬剤師会による使用済み注射針回収事業の検証と検討を行い、平成二十五年九月をもって検討会が終了したと聞いております。
そこでまず、使用済み注射針回収事業について、検討会でどのように評価したのかお伺いいたします。
○齊藤廃棄物対策部長 お話のありました在宅医療廃棄物の適正処理に関する検討会は、平成二十四年十二月から本年九月までの間に計五回開催したものです。
この中で確認された内容で申しますと、使用済み注射針の回収事業につきましては、モデル事業が開始された平成十四年度に四百六十五個であった専用容器の回収実績は、平成二十四年度には約十万二千個に至るなど、着実に増加しております。また、参加薬局につきましても、平成十四年度の三百五十二薬局から、平成二十四年度までで約三千六百薬局まで広がっておりまして、ごみ収集時における針刺し事故件数も減少しております。
本検討会では、課題はあるものの、不適正な排出による無用な針刺し事故を未然に防止するためにも、東京都薬剤師会による事業の継続と拡大が必要であることを確認いたしました。
○高橋委員 使用済み注射針回収事業について、ただいまお聞きし、東京都薬剤師会による使用済み注射針の回収事業は、この十年間で着実に拡大し、ごみ収集時における針刺し事故件数も減少するなど、その成果が出ていることがわかりました。
このように、この回収事業が順調に展開している一方、東京都薬剤師会からは、回収量の増加に伴う事業費の負担増などが課題になっているとお聞きしております。
そこで、この課題に対し、どのような検討がなされたのか伺います。
○齊藤廃棄物対策部長 お話がございましたように、回収量の増加に伴いまして、適正処理のために必要とされる専用容器の数も増加いたします。
現在、東京都薬剤師会で使用されている専用容器の購入及び保管経費は、一個当たり百円程度となっておりまして、平成二十四年度の回収実績は約十万二千個ですので、約一千万円の負担となっているとお聞きいたしました。
経費の問題につきましては、検討会に参加している医療機器業界及び製薬業界により、専用容器の安価な調達について検討が行われ、コストダウンの提案がなされました。
また、東京都薬剤師会によれば、医療機関のほか、薬剤師会未加入薬局での回収も行われておりますが、区市町村の普通ごみへの混入や、デパート、ホテルなどでの注射針の放置は根絶されておらず、それが事故につながっているのではないかとの報告がなされました。
こうしたことから、注射針の不適正な排出のさらなる減少を目指し、区市町村や都、医療機器業界、製薬業界などと連携し、薬局による回収事業など適正な排出ルートへ誘導する取り組みが必要であるとされました。
○高橋委員 使用済み注射針回収事業については、解決すべき課題はあるものの、事業継続に向けて関係者が協力して取り組んでいくことでありますので、引き続き努力をお願いいたします。
次に、もう一つの検討項目である、使用済み注射針以外の非鋭利な在宅医療廃棄物の適正処理について伺います。
○齊藤廃棄物対策部長 腹膜透析で用いられているバッグ類やチューブ、カテーテル類など非鋭利な在宅医療廃棄物について、現在、区部では、ほとんどの区で行政回収が行われております。多摩地域では、三十市町村のうち、半数程度の市町村で行政回収が行われております。
注射針以外の非鋭利な在宅医療廃棄物については、鋭利ではないため、プラスチック袋に入れ、しっかり封をすることで感染のおそれを回避できるため、行政回収し、自治体の清掃工場で焼却処理することが適当であるとまとめられました。
なお、現時点では焼却処理が最も合理的であると考えられますが、今後、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの調査研究などについて検討の余地があるとされております。
○高橋委員 在宅医療廃棄物の適正処理について検討結果をお伺いし、関係者間の協力や取り組みが進んでいることがわかりました。
課題解決に向けた一定の方向性も示されたので、これを実行していくということだと思います。
実行に際しては、ごみの出し方など、地域の実情も異なります。在宅医療廃棄物の適正処理には、地域の実情に即した取り組みが必要と考えますが、今後の展開について所見を伺います。
○齊藤廃棄物対策部長 在宅医療廃棄物を適正に処理するためには、患者さんや介護者の皆様にとって負担の少ない処理方法を関係者間で協議し、着実な取り組みを進めていくことが必要であると考えております。そのためにも、ご指摘がございましたように、地域の実情に応じて、保健部局など在宅医療にかかわる関係者を含めた連携体制を構築し、患者さんや介護者の皆様にとって負担の少ない処理方法の普及啓発を行うなど、関係者による協働的な取り組みを進めていくことが有効であるとの考え方が本検討会においても示されております。
今後、都としましては、在宅医療廃棄物が適正に処理されるよう、関係者の皆様との情報共有に努め、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○高橋委員 在宅医療廃棄物を安全・安心に処理するためには、区市町村と連携して財政的な支援を行うなど、都が率先して関係者との連携を図ることが重要だと考えます。患者や介護者の立場を考慮した、より安全で安定した処理体制が構築されるよう期待しておきます。
次に、事業概要一五三ページにある緑施策の推進についてお尋ねいたします。
都は、緑の歴史的価値や生物相の多面的な機能に着目しつつ、潤いや安らぎを与える自然に配慮した都市環境を創出すべきであるとの昨年の第三回定例会の代表質問における我が党の主張を踏まえ、今年度、江戸のみどり復活事業を創設し、大規模緑地との連続性に配慮した公共施設の緑化を行う区市町村を支援することにより、生態系に配慮した緑のネットワークづくりを推進しています。
私は、本年第一回定例会の一般質問及び当委員会の場でも、江戸のみどり復活事業について質問をし、都から、在来植物の選定に関するガイドラインの作成や、生物の生息空間の拡充に資する緑化の技術的助言などを通じて当事業を進めていくとの答弁をいただき、これを評価し、大いなる関心と期待を持っております。
そこでまず、本事業の進捗状況と、その具体的な実施箇所において見込まれる緑のネットワークの効果についてお伺いいたします。
○笹沼自然環境部長 江戸のみどり復活事業では、本年度は二自治体を支援する予定でございますが、現在までのところ、江東区から、江東内部河川沿いの北砂水上公園におきまして、在来植物による緑化を行うという申請がなされております。
この公園は、大規模緑地である都立木場公園や都立猿江恩賜公園に近接しておりまして、在来植物による緑化を行うことで、大規模緑地との間に連続性を生み出すことができると考えております。
また、鳥や昆虫の専門家と都区の担当者と合同で、木場公園等において生物観察を行いましたところ、木場公園で、都心部では珍しいジャコウアゲハの生息が確認されました。このため、例えば、この公園にアゲハの餌場となる在来植物を植栽することによりまして、こうした貴重な生物の生息空間の拡大にもつながることが期待されます。
このように、江戸のみどり復活事業は、区市町村による生態系に配慮した緑化の取り組みを促進いたしますとともに、都が広域自治体の立場から技術的支援をすることにより、都と区市町村で、在来植物による緑化のノウハウの蓄積と共有にもつながる施策効果があると考えております。
今後とも、区市町村への働きかけを行いまして、本事業を通じ、生態系に配慮した緑のネットワーク形成を進めてまいります。
○高橋委員 ぜひ、他の区市にも広げていっていただきたいと思います。
しかし、都内の植栽に目を向けますと、まだまだ外来植物が多いと感じます。常緑で落葉しないため、見た目もよく、落ち葉を片づける必要もないなど、少ない労力で管理が可能であることが要因の一つのようであります。
都内では、在来植物による植栽を通じて生物多様性の保全に取り組む企業があらわれているものの、それがなかなか広がっていかないのは、先ほど話した落葉以外にも原因があるのではないかと思いますが、在来植物による緑化を進める上で、どのような課題、難しさがあるのか伺います。
○笹沼自然環境部長 在来植物による緑化に関する課題といたしましては、まず、管理手法が十分確立されていないことが挙げられます。例えば、農薬の使用を例にとりますと、植栽で病害虫が発生した場合、安易に殺虫剤を散布してしまいますと、在来植物によって呼び寄せた生き物も殺してしまうということになります。一方、殺虫剤を散布しないでおきますと、植栽した在来植物が枯死してしまうリスクも高まることになります。
このほかにも、在来植物の苗木の確保が困難であることや、植栽管理コストの増大、外見上の魅力が乏しくなるなど、さまざまな懸念の声が在来植物を植栽管理している民間事業者の方々から寄せられております。
東京本来の生態系を保全、回復し、緑のネットワークを拡大するためには、こうした在来植物の植栽管理等に関する技術的な課題を整理いたしまして、解決策を見出していくことが必要であると考えております。
○高橋委員 在来植物による緑化は、単に植物を植えればよいのではなく、その後の植栽管理などにさまざまな課題があることを理解いたしました。
こうした課題を都や区市町村だけで解決するのは困難であり、我が党がさきの第三回定例会の一般質問で申し上げたように、民間企業を巻き込んだ取り組みが必要だと思います。今後、先進的な在来種の植栽に取り組む企業とともに、植栽管理等に関する知識やノウハウを蓄積し、さまざまな主体と共有していくことが、広域自治体である都の役割であると思います。
生態系に配慮した緑のネットワークを効果的に広げていけるよう、都と民間事業者が一層連携して取り組むよう要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、事業概要三七ページ、大規模事業所における温暖化対策の推進、すなわちキャップ・アンド・トレード制度についてお尋ねいたします。
昨日から、国連気候変動枠組条約第十九回締約国会議、COP19がポーランドで開催されています。これまで、国家間の利害が対立し、問題が先送りされてきましたが、都は既に、先駆的に気候変動対策に取り組み、平成二十二年度から世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度をスタートしています。
私は、この制度がスタートした初年度の平成二十三年三月に、当委員会で制度の意義などについて質問を行うとともに、これまでの間、たびたび取り組みの推進を求めてまいりました。
ことし一月の発表によれば、キャップ・アンド・トレード制度の対象となる大規模事業所において、平成二十三年度は平均二三%という大幅な削減実績を上げております。ほとんどの事業所では、八%または六%の削減義務率は達成できるのではないかと考えますが、そうでない事業所もあるかと思います。
これまで都は、事業所の義務履行に向けてどのように対応してきたのか、お伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 平成二十三年度は、第一期の削減義務率を超えて削減をしている事業所は、約千四百の対象事業所のうち九割程度に達しております。これらの事業所は、現在の対策を維持することによって、おおむね義務履行が見込まれております。
一方、義務履行に向けて一層の取り組みが必要な事業所に対しましては、都はこれまで、業種別セミナーや事業所に出向いて行う省エネアドバイスなど、きめ細かな削減対策の支援を実施してまいりました。加えて、事業者が保有設備の状況を入力するだけで省エネの余地が把握できる点検表を作成し、その活用方法についての説明会も開催してまいりました。
○高橋委員 今伺ったように、都はこれまで、さまざまな省エネ支援をしてきたということでありますが、キャップ・アンド・トレード制度には排出量取引もあり、初めてのことなので戸惑っている事業所もあるかと思います。
事業所からどんな声が寄せられ、また、それに対してどう対応しているのか伺います。
○山本都市地球環境部長 義務履行に当たっては、みずからの事業所で省エネ対策を行うことを基本としておりますが、都が実施しましたアンケート調査によりますと、排出量取引の活用を考えている事業所もございます。
排出量取引については、これまでも、排出量取引セミナーを開催して仕組みをわかりやすく説明するとともに、排出量取引の企業会計上の処理方法や税法上の取り扱いについて情報提供を行ってまいりました。
事業者からは、取引価格がわからない、取引相手をどうやって見つけてよいかわからないといったご意見をいただいており、こうした課題に焦点を当て、取引価格の動向に関する情報提供や、取引相手を見つけるためのマッチングなどを行ってまいりました。
今後とも、事業者のニーズを踏まえた支援策の充実を図ってまいります。
○高橋委員 都は、ことし四月に、平成二十七年度から開始する第二期について、削減義務率とともに、我が党の緊急要望も受け、中小企業等が所有する大規模事業所に対する配慮も行う旨、公表しました。
第二期の開始までの間、事業所は第一期の義務履行と第二期の準備を同時に行うことになります。第一期の義務履行に向けた都の取り組みについては伺いましたが、第二期を円滑にスタートするためにも、しっかりとした情報提供が必要だと考えますが、どのような取り組みをしていくのか伺います。
○山本都市地球環境部長 本年六月に、第二期の削減義務率や中小企業等が所有する大規模事業所への配慮等について、主要事項に関する説明会を開催し、全六回で千六百名の方の参加をいただきました。
今後は、本年度末に向けて詳細ルールを取りまとめ、ガイドラインを作成し、公表を行ってまいります。
ガイドラインの作成に当たっては、事業者からいただいた意見等も踏まえ、提出書類などの簡素化もあわせて進めてまいります。また、来年度には、策定したガイドラインについて説明会を開催し、周知を図ってまいります。
○高橋委員 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業者の皆さんは、これまでも真摯に削減に取り組んでいますが、都も、丁寧な説明ときめ細かな支援を引き続きお願いしておきます。
続いて、事業概要六六ページにある自立分散型エネルギーの推進についてお尋ねいたします。
キャップ・アンド・トレード制度の対象である約一千四百の大規模事業所で、都内の電力の約四分の一を消費していると仄聞しております。エネルギーの需要側の対策の一つとして、この制度の果たす役割は大きいと考えますが、同時に、エネルギーの供給側の対策も重要であります。
電力は都民生活を支える根幹のインフラであり、都民が安心して生活するためには、電力の安定供給は不可欠であります。しかし、東京電力の火力発電所は、約四割が運転開始から三十五年以上経過し、常に故障による運転停止のリスクがつきまとっています。発電設備の更新計画が不透明である中、今後の東京の電力供給には不安があるといわざるを得ません。
私は、東京電力の老朽火力発電所のリプレースについて、平成二十五年第一回定例会で一般質問をさせていただきましたが、東京電力には、老朽火力発電所のリプレースを早急に進めるため、全力で取り組んでいただきたいと思います。
東京電力からの受電のみに頼るのではなく、独自にエネルギーを確保することも重要ではないでしょうか。電力の安定供給のためには、節電、省エネなど需要面の取り組みだけではなく、供給面での取り組みを進めることが必要であります。
今年度の組織改正によって、これまで複数局にまたがっていたエネルギー施策を所管する部署が環境局に一元化されました。これにより、エネルギーを需要側と供給側の両面から一体的に取り組む体制が構築されたことになります。
そこで、系統電力のみに頼らず自立分散型のエネルギーを推進するため、供給面で、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○松下都市エネルギー部長 ご指摘のとおり、大規模集中型の電力供給への過度の依存から脱却し、系統電源のみに頼らない自立分散型のエネルギーを推進する取り組みを強化していくことは非常に重要だと認識しております。
こうした認識から、都は、固定価格買い取り制度を活用した屋根貸しの推進など、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの拡大に取り組むとともに、高効率なコージェネレーションシステムへの補助制度など、自立分散型電源の普及拡大に努めているところでございます。
また、官民連携インフラファンドによるガス火力発電所や、あるいはメガソーラーへの投融資を行い、このファンドを活用した十万キロワット級の発電所が来年八月には運転を開始する予定でございます。
今後とも、電力の安定供給に資するため、都内の再生可能エネルギーの新たな展開に向けた調査検討を継続しながら、面的な開発における電気と熱の一体的な供給の検討など、引き続き、供給面での具体的な施策を進めてまいります。
○高橋委員 都は、供給面においても着実に取り組みを進めていることがわかりました。
電力の安定供給のためには、需要側と供給側の両方での、より一層の取り組みが必要であると思います。都民の電力の安定供給に対する不安を払拭するためにも、需要と供給の両面での取り組みを今後とも着実に進めていくことを強く要望しておきます。
最後に、皇居やその周りにある公園等への環境配慮についてお尋ねいたします。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックには、世界中からたくさんの方が東京を訪れます。その多くの海外からのお客様は、競技を見るだけにとどまらず、都内の観光名所を訪ね、楽しんでいかれると思いますが、中でも皇居は、歴史と文化を醸し出す風格ある景観を持ち、我が国の顔ともいうべき観光名所であり、誰もが訪れると考えられます。
我が党は、美しい都市景観の創出を政策に掲げ、水と緑の調和した景観形成に向け取り組んでおりますが、皇居の中で、その実現に重要な役割を担っているのがお堀だと思います。
しかし、現在のお堀は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催予定日程である夏季にはアオコが大量発生し、異臭というか、臭いにおいを放つなど、水質汚濁が改善されていないのが現状であります。
皇居外苑濠は環境省が管理していると承知しておりますが、お堀の水質の改善に向け、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。
○笹沼自然環境部長 皇居を取り囲む十二のお堀は閉鎖性水域でございまして、水源を雨水に頼る状況となった昭和四十年代以降、水質の悪化が目立つようになっております。
これを管理する環境省外苑管理事務所が平成七年から浄化施設を整備し運用しておりますが、お堀には下水道から雨天時に越流水も流入することから、夏季を中心にアオコの大量発生も見られる状況にございます。
現在、都及び国は、平成二十二年に国が策定した皇居外苑濠水質改善計画に基づきまして、適切な役割分担のもと、都は下水道の越流水対策を行い、国は、当面の対策といたしまして、浄化施設の運転と改良、発生したアオコの回収等の対策を行っております。
また、都は、本年五月に、環境省に対しまして、浄化施設の更新整備や底泥の対策の実施など水質改善対策を強化し、迅速かつ効果的に取り組むよう緊急要望を行いました。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催を踏まえつつ、引き続き、都は、これまでの対策を確実に実施いたしますとともに、国に対し、皇居外苑濠の水質改善に向けて着実に取り組みを進めるよう働きかけてまいります。
○高橋委員 今の答弁で、都も国も、さまざまな対策を行っていることはわかりましたけども、二〇二〇年までに残された時間は七年しかありません。環境局だけの問題ではないのですから、ぜひ、下水道局や国や省庁との連携を密にして、ともに汗をかきながら取り組みを加速していただくことを要望しておきます。
加えて、エネルギー確保についても、環境に配慮したクリーンな電力を推進していくことが必要であります。例えば、皇居周辺の日比谷公園等に太陽光パネルなどを造設するなど、訪日外国人に対し、環境に優しい東京をアピールすることも重要であります。都の見解を伺います。
○松下都市エネルギー部長 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、環境にも優しいエネルギー政策を展開することが非常に重要であると認識しております。
都はこれまで、低炭素化を進めながら、自立分散型電源や都市型の再生可能エネルギーの導入に向けた取り組み等によりまして、東京のエネルギーの安定供給に努めてまいりました。
今後とも、こうした取り組みとともに、ご指摘にありましたような、東京は世界有数の観光都市である、そういった視点に立ちまして、都立公園など都施設等への再生可能エネルギーの導入の推進や、あるいは地域の特性に応じた未利用エネルギーの有効活用に取り組むなど、オリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい環境都市東京を目指してまいります。
○高橋委員 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にふさわしい、世界で一番の都市東京の実現に向けて、関係部局が緊密に連携して取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○桜井委員 それでは、皆様、大変お疲れのところとは思いますが、最後の答弁者でありますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
また、先ほど、こいそ明委員並びに高橋かずみ委員のお話の中に一部重なるところがありますが、どうかよろしくお願いをしたいというふうに思います。
私の方からは、大きく二点、質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、老朽火力発電所のリプレースと温暖化についてご質問をさせていただきます。
先般の都議会定例会で、猪瀬知事は百万キロワットプロジェクトの中止を表明しましたが、その中で、首都圏では懸念された電力不足に陥っておらず、電力事情が震災直後とは大きく異なっているものの、現状は、東京電力の老朽化した発電所が稼働し続けており、故障による運転停止のリスクがつきまとっているとの答弁があったわけであります。
確かに、都民、都内企業の節電の努力もあり、電力需給状況は逼迫した状況にはないわけでありますけど、しかし、私は、現在稼働し続けている老朽火力発電所は、老朽ゆえに、安定供給の面で問題があることに加え、発電効率が悪くCO2排出量が多いことから、地球温暖化の面でも好ましい姿とはいえないというふうに考えております。
我が党は、CO2削減を進め、クリーンな都市を実現することを公約に掲げております。そこで、CO2を大量に排出している老朽火力発電所のリプレースについて伺いたいと思います。
まず、東京電力管内の老朽火力発電の現状と、特にCO2排出の面でどのような特徴があるのか、最初にお伺いいたします。
○久原都市エネルギー推進担当部長 東京電力の火力発電所の設備容量は約四千万キロワットでございます。そのうち、運転期間が四十年以上の老朽火力発電所は約一千万キロワット、これに三十五年以上のものを加えると一千六百六十万キロワットとなります。これは東京電力の火力発電全体の約四割に相当いたします。
これら老朽化した火力発電所は、発電効率が四割台前半でございまして、燃料から生み出されるエネルギーの半分も電気に変換できずに多くのエネルギーを捨てている状態でございます。そのため、一定量の電気を生み出すときに排出されるCO2の量は相対的に大きくなります。
また、電源別に発電電力量一キロワット時当たりのCO2排出量を見ますと、石炭火力は、磯子火力発電所にある最新型のものでも約〇・八キログラム、石油火力も〇・六九五キログラム、これに対しまして、天然ガス火力は最新型のもので〇・三二二キログラムでございまして、石炭火力や石油火力は、最新型の天然ガス火力に比べて二倍を超えるCO2を排出します。
これらのことから、リプレースは必要な状況でございますし、今後実施するのであれば、天然ガス火力へのリプレースが中心になっていくと考えられます。
○桜井委員 ただいまの答弁で、東京電力にはかなりの設備容量の老朽火力発電所がありまして、しかも、これらの老朽火力発電所は効率が悪く、多くのエネルギーを捨て、CO2排出の面でも大きな問題があるということが理解できました。
また、リプレースを進めていくのであれば、石炭火力や石油火力ではなく、天然ガス火力としていくべきであるということも理解したところです。
そこで、当面は、老朽化した天然ガス火力発電所、一千万キロワットがリプレースの対象になると聞いておりますが、では、これを最新型のものにリプレースした場合に、CO2排出量はどの程度改善されるのか、また、CO2排出低減以外にどのような効果があるのか、お伺いをいたします。
○久原都市エネルギー推進担当部長 老朽化した天然ガス火力発電所を最新型の天然ガスコンバインドサイクル発電にリプレースしますと、発電効率を五割程度高めることができます。仮に同じ量を発電したとすれば、CO2排出量は約三割低減することが見込まれます。
また、リプレースにより、故障による運転停止のリスクの低減が見込まれ、電力の安定供給につながるものと考えられます。
さらには、リプレースの際、既存の送電線やガスパイプラインを活用できることから建設費の低減が見込まれるほか、発電効率が高まることから発電コストの六割以上を占める燃料費の低減も見込まれます。これらのことから、電気料金の抑制にもつながるものと考えられます。
○桜井委員 リプレースには、CO2排出の抑制を初め、さまざまな効果があり、その必要性がよくわかりました。リプレースは迅速に進めていかなければならないと思います。
そこで、東電の三十五年以上の老朽化した火力発電所のリプレースに向けて、都はどのような関与ができるのかお伺いをいたします。
○久原都市エネルギー推進担当部長 都はこれまでも、国と東電に対して、リプレースを推進するよう要請してまいりました。具体的には、東京電力単独ではリプレースに必要な資金を確保することが困難であると見られますことから、発電所の売却も含め、他の事業者を活用したリプレースについて提案してまいりました。
また、電源を欠くことなく安定供給を維持したままリプレースを行うために、種地がある発電所で、古い発電設備の撤去前に、その種地の方に新しい発電設備の建設を行うビルド・アンド・スクラップの方式をとることも要請いたしました。
今後も、こうした具体的な提案を示しながら強く働きかけを行い、CO2排出の低減や電力の安定供給、電気料金の抑制に向けて努力を続けてまいります。
○桜井委員 今まで質問してきたとおり、地球温暖化対策というのは、本当に待ったなしの課題だというふうに考えます。
同時に、電力は都民生活や企業活動になくてはならないものでありまして、その安定供給、そして料金抑制も極めて重要な課題であります。これらの課題に対応していくためにも、老朽火力発電所のリプレースにしっかりと取り組んでいただきたいと、よろしくお願いをいたします。
それでは、最後の質問になりますが、中小規模事業所の地球温暖化対策についてお伺いをいたします。
CO2排出削減の取り組みを進めていく上で、供給側の取り組みに加え、需要側の省エネ、節電の取り組みも非常に重要であるというふうに考えます。
これまで都は、大規模事業所に対してCO2排出量の総量削減義務を課す、先ほども話がありましたが、キャップ・アンド・トレード制度を導入し、事業者の努力もあり、二〇一一年度実績で、基準排出量比二三%減と順調に削減が進んでおります。
一方、都内業務、産業部門のCO2排出の約六割は中小規模事業所が占めており、中小規模事業所への対策も大変重要だというふうに考えます。しかし、多くの中小事業者は、資金力が弱く、ノウハウや人材も不足しているのが現状であります。
都は、二〇一〇年度から中小規模事業所を対象にした地球温暖化対策報告書制度を開始いたしましたが、まず、その実績と、これまで進めてきた中小事業者への支援策についてお伺いをいたします。
○山本都市地球環境部長 中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度は、事業者が簡単にCO2の排出量を把握でき、都の提示している対策メニューを参考に省エネ対策に取り組むことができる制度であり、昨年度は三万四千を超す事業所から報告書の提出をいただきました。報告書を連続で提出している事業所の排出実績を見ると、二〇一一年度は、震災後の節電対応により前年度比一四%の削減となってございます。
また、支援策としては、無料の省エネ診断や業種別の省エネルギー研修会を実施するとともに、省エネ設備導入に伴う事業税の減免を行う省エネ促進税制により、幅広く中小事業者の省エネ対策を支援してございます。
○桜井委員 都内には約六十九万の中小規模事業所があるとされておりますが、数が膨大でありまして、また、さまざまなタイプの事業所があるというふうに思います。
中小規模事業所対策を進める上で、その特徴を捉えた施策が必要だと考えておりますが、都は、中小規模事業所の特徴をどのように捉えて取り組みを進めているのか、お伺いします。
○山本都市地球環境部長 都内業務、産業部門における中小規模事業所のCO2排出量を見てまいりますと、全体の約五割を事務所、約二割を商業施設が占めておりまして、こうした事業所はテナントビルに入居している場合が多いことなどから、テナントビル対策が重要でございます。このため、都は、報告書制度のデータを活用して、昨年度、テナントビルの自己評価指標として低炭素ビルベンチマークを作成いたしました。
このベンチマークは、床面積当たりのCO2排出量により、テナントビルの排出レベルを七段階で示すものであります。これによりまして、中小テナントビル全体において、みずからの排出レベルがどの位置にあるのかを把握することができるものでございます。
事業者に対しては、今年度からワンランク上のベンチマークを目指した目標設定を促してございます。
○桜井委員 今の答弁の中でベンチマークという単語が出てきましたけど、ベンチマークについては、各委員の皆様の机の上に資料として配布をさせていただきましたので、ご参考いただければというふうに思います。
都は、ベンチマークをみずからの排出レベルを把握できる手段として活用し、事業者の目標設定を促しておりますが、このような自己評価指標は、中小テナントビル対策を進めていく上で有効な指標になるのではないかなと考えます。
都は、ベンチマークの活用について、事業者の目標設定以外に幅広い活用方法を検討すべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 都は、今年度から、ベンチマークを活用して積極的に省エネ対策に取り組み、低い排出レベルを実現している中小テナントビルを低炭素モデルビルとして募集し、都のホームページで公表しております。また、低炭素ビルの普及を図るため、都の率先行動として、都の事業所がテナントビルに入居する際の基準としても、このベンチマークを活用してございます。
このように、ベンチマークの活用については今年度からの取り組みを始めたものでございますが、今後、上位のベンチマークになることが事業者のメリットになるような活用方法についても検討し、中小テナントビルの低炭素化を推進してまいります。
○桜井委員 今後も、このベンチマークを幅広く活用していただきまして、中小テナントビルの対策を推進していっていただきたいことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
○上田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十四分散会
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