委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 小宮あんり君 |
副委員長 | 中谷 祐二君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 柳ヶ瀬裕文君 |
理事 | 大塚たかあき君 |
西沢けいた君 | |
かち佳代子君 | |
林田 武君 | |
松下 玲子君 | |
吉田康一郎君 | |
小磯 善彦君 | |
こいそ 明君 | |
馬場 裕子君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 大野 輝之君 |
次長 | 紺野 秀之君 | |
環境政策部長 | 吉村 憲彦君 | |
環境政策担当部長 | 松下 明男君 | |
都市エネルギー推進担当部長 | 久原 京子君 | |
都市地球環境部長 | 山本 明君 | |
環境都市づくり担当部長 | 谷上 裕君 | |
環境改善部長 | 中村 豊君 | |
環境改善技術担当部長 | 島田 光正君 | |
自動車公害対策部長 | 山内 和久君 | |
自然環境部長 | 高橋 宏樹君 | |
緑施策推進担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
廃棄物対策部長 | 木村 尊彦君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 山根 修一君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)
○大松委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、環境局長より紹介があります。
○大野環境局長 去る十月十一日の当委員会を公務により欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
環境政策担当部長の松下明男でございます。廃棄物対策部長の木村尊彦でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○大松委員長 紹介は終わりました。
○大松委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○吉村環境政策部長 去る十月十一日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、七項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成十二年度から平成二十二年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
なお、平成十四年度以降については、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で、二段書きとしております。
二ページをお開き願います。2、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
平成十二年度から平成二十二年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素につきましては、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
四ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきましては、同様に記載しております。
五ページをお開き願います。4、平成二十三年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局における各測定局ごとの年平均値を記載しております。
六ページをお開き願います。5、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
平成十五年度から平成二十四年度までの各年度における保全地域に係る指定面積並びに公有化の面積、予算額及び決算額を記載しております。
七ページをお開き願います。6、保全地域における希少種の状況でございます。
調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を記載しております。
八ページをお開き願います。7、都内区市町村の使用済み小型電子機器等の回収取り組み状況でございます。
各区市町村別に、使用済み小型電子機器等の回収に関する取り組み状況を記載しております。
各区市町村の取り組み状況欄に記載がございますとおり、回収方法といたしましては、ボックスを設置し回収する方法と、ごみとして回収し選別する方法の二つに大別することができます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○松下委員 私は、廃棄物対策とカラス対策について質問いたします。
まず、廃棄物対策ですが、一般廃棄物対策に絞って何点か伺います。
私の住む武蔵野市では、さらなるごみの減量と分別、資源化を目的に、平成十六年十月から、家庭ごみは有料化、戸別収集が実現されており、ことし十月でちょうど八年が経過しました。燃やすごみと燃やさないごみは、市指定の有料ごみ袋に入れてごみを出しています。
武蔵野市民一人当たりのごみ量も、目標値を毎年のように低く設定し、実現に向けて、武蔵野市、市民、事業者、クリーンむさしのを推進する会という市民団体などが力を合わせて取り組んでいる現状があります。
ごみを減量し、埋立処分量の削減を図るためには、企業や家庭の段階でごみを出さないことが必要です。既に、事業系ごみの有料化は都内すべての自治体で実現されていますので、今後は、家庭ごみの有料化に、ごみの排出抑制効果が最も期待できるのではないかと私は考えます。
このような視点から、家庭ごみ有料化の現状の把握と、都民共通の財産としての最終処分場の現状や今後のあり方について、幾つか伺いたいと思います。
まず初めに、東京都は、家庭ごみ有料化について、目的や効果等をどのように考えているのか、また、都内の家庭ごみ有料化の実施状況と検討状況について伺います。
○木村廃棄物対策部長 家庭ごみの有料化の目的と効果といたしましては、経済的インセンティブによるごみ減量とリサイクルの推進、ごみ処理に関心を持つという意識改革、排出量に応じた負担の公平化、ごみ処理経費の削減などが考えられます。
現在、都内の区市町村では、二十二の市と町が家庭ごみの有料化を実施しております。このほか、多摩の市では、立川市、国分寺市で有料化の検討が進んでおります。二十三区では、これまで二十二の区が審議会等で有料化について検討を行っております。
○松下委員 既に多摩地域では、今お答えもございましたが、約七割と、多くの自治体が家庭ごみの有料化を実施しており、検討が進んでいる二市が実現すると約八割の自治体と、ほとんどの自治体が実施していることにもなります。
一方、二十三区では、二十二区が審議会等で有料化の検討を行っているとのことですが、まだどこの自治体も有料化に取り組んでいない現状、私は改めてとても驚きました。
平成十八年に、都も、計画において家庭ごみ有料化促進と明記してから、二十三区へも助言、指導等をしているようですが、平成二十四年十月現在、どこの区も家庭ごみ有料化を実施していないという、これはぜひ、検討の段階から進んで、実施に向けて取り組んでいただきたいと私は考えます。
家庭ごみの有料化について、研究論文や実際の状況等を調べてみますと、約二割のごみの削減効果があるようであります。武蔵野市では、有料化実施後七年で一三%のごみの減量効果がありました。しかし、決して現状に満足するにとどまらず、引き続き、ごみの削減の努力を重ねているところであります。これはひとえに、現在の多摩地域の自治体共通の最終処分場である、日の出町にある二ツ塚処分場の延命のためでもあります。
エコセメント化によって、二ツ塚処分場の当初の埋立計画である平成二十六年から、現在では平成三十七年度まで埋立期間が延びてはいます。これは、エコプラント施設の耐用年数が平成三十七年度までと、東京たま広域資源循環組合の事業概要に書かれているところですが、このエコプラント施設が平成十八年にできてから二ツ塚処分場の埋立量は激減し、まだまだ埋立可能との認識ではありますが、埋立量激減に貢献しているこのエコプラント施設の耐用年数が、実は、残り、あと十三年しかございません。
多摩地域では、二ツ塚処分場の埋立処分が終了後、今のところ、新たな処分場の計画はございません。私は常々、今ある自然環境や財産を次の世代へしっかりと引き継いでいくということが、今を生きる大人の責任でもあり、とりわけ政治に携わる者の重要な責任であると考えています。そういう観点からも、多摩地域の次の最終処分場をどうするのかということは非常に大きな課題であり、十三年という極めて近い将来に最終処分をどうするのか、今から考えなくてはならないと私は思います。
そこで、東京都は、多摩地域の最終処分の将来をどのように考えているのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 エコセメント化施設が稼働しております現状の多摩地域の二ツ塚処分場の埋立量は、年間一万立方メートル以下におさまっております。
現在の二ツ塚処分場の残余容量は約百三十万立方メートルでございます。単純に計算いたしますと、百年以上ももつことになりますが、エコセメント化施設の稼働契約が平成三十七年度までとなっていることを考慮し、埋立期間は三十年以上というふうにされております。
平成三十七年度以降のエコセメント化施設の更新につきましては、多摩の市町村で検討されるものと考えております。都は、必要な技術的支援を行ってまいります。
○松下委員 歴史的な経緯があるとはいえ、二十三区の最終処分場は、東京都が東京港内の埋立地に所有をしているというのが現状です。多摩地域の最終処分場の施設更新は多摩の市町村で検討されるものと考えているという今のお答えは、確かに一義的にはそうかもしれませんが、東京都も広域自治体として、二十三区と同様に積極的にかかわって、最終処分場の確保に努めていただきたいと私は考えます。必要な技術的支援のみならず、財政的な支援も、ぜひ積極的にしていただきたい。二十三区と多摩地域で、都民生活に直結しているごみの最終処分場への東京都の関与に差があってはならないと私は考えます。(「多摩格差なんだよ」と呼ぶ者あり)そうなんです。
最終処分場の延命のためには、ごみの発生抑制、ごみの減量化が欠かせないと考えます。廃棄物等の埋立処分計画が改定され、本年二月に公表されました。この計画は、都が管理する中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場における廃棄物、しゅんせつ土、建設発生土等の減量、資源化や、今後十五年間の埋立量を取りまとめたものです。
この埋立処分計画を見ると、二十三区で発生する一般廃棄物の埋立量は、これまでの計画と比べて約五九%の削減を行うものとしています。これを達成するためには、相当な取り組みが必要と考えます。どのような減量、資源化施策を行っていくのか、お伺いいたします。
○木村廃棄物対策部長 二十三区内の一般廃棄物を処理しております特別区では、大規模事業所への排出指導や容器包装廃棄物の分別回収の促進などの発生抑制や分別対策を行うことによりまして、前計画に対して、現計画では、約一五%、ごみの発生量を抑制するとしております。
また、前計画の埋立量の八割を占めております不燃ごみ、粗大ごみにつきましては、処理過程での資源の選別精度を上げるとともに、可燃残渣は清掃工場で焼却処理を進めることにより、埋立量を八割削減します。
一方、残りの二割を占めます焼却灰は、溶融処理を続けるものの、焼却量がふえるため、埋立量は多少増加いたします。
これらによりまして、二十三区の一般廃棄物の埋立量は、前計画と比べ五九%削減いたします。
都は、特別区が整備しますリサイクル施設や資源化に関する技術支援を行うとともに、現在、不燃ごみとして埋立処分されております小型電子機器や蛍光灯の回収、資源化につきまして、二十三区の代表も参加した検討会で協議するなど、埋立処分量の削減について二十三区に働きかけております。
○松下委員 区と都のごみの減量、資源化の施策については、今、ご説明で区分についてはわかりました。
今のお答えだと、最初、冒頭に、二十三区内の一般廃棄物、約一五%のごみの発生量を抑制するとのことですが、この一五%を削減するための具体的な方策、大規模事業所の排出指導や容器包装廃棄物の分別回収の促進などの発生抑制と、大規模事業所に対しては、やや具体的な方策をお答えになっていますが、私はこれ、やっぱり家庭ごみについても、具体的な方策と実現に向けた進行管理のようなものが、一五%削減するには重要であると考えます。やはり家庭の段階でごみをできるだけ出さないことが重要であり、ごみの排出抑制効果がある家庭ごみの有料化を、多摩の市町村と同様に、二十三区も早急に実施すべきであると私は考えます。
都の埋立処分場の残余年数は、現段階では五十年以上となっているようですが、五十年以上埋め立てが可能といっても、この処分場は、東京港内に残された最後の埋立処分場であり、一日でも長く使用することが求められています。しかし、二十三区では、一つの区も、まだ家庭ごみの有料化を実施していない現状。二十二区の審議会では検討はしているものの、まだ実施していないという現状。では、一体、いつ実施をするのか。多摩地域の市町村と同様に、くどいですが、早急に実施すべきと考えます。
東京都は、二十三区の家庭ごみの有料化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○木村廃棄物対策部長 平成十二年度に清掃事業を都から特別区に移管いたしましたのは、ごみの減量、リサイクル施策を、各特別区が基礎的自治体として独自に行うためでございます。
家庭ごみの有料化につきましては、住民に直接影響が及ぶものであることから、住民に身近な各特別区において判断すべきものと考えております。
都は、埋立処分場の設置管理者の立場として、埋立処分量の削減策を講ずるよう、特別区に要請しております。
○松下委員 二十三区がそれぞれ実施をすべきというようなお答えかと思うんですけれども、これ、やっぱり矛盾があるなと私が思うのは、二十三区に責任があるといっても、埋め立ての最終処分場は、都民共通の財産として東京都が所有、管理をしているわけですよね。
多摩の地域は、既に七割の自治体が有料化を実現しているのは、これは、多摩の自治体でつくる組合によって二ツ塚の処分場を運営しているという実態があります。自分たちの責任で最終処分場のことを重く受けとめて、もっともっと努力して削減していかなければいけないと、先行して頑張っている多摩の自治体に比べて、二十三区はやや、東京都の処分場、しかも五十年以上まだあるというような現状の中で、もっと頑張ってという努力が足りないのかなというふうに私は考えてしまいます。
この家庭ごみの有料化は、削減のみならず、分別の徹底も促すはずです。多摩地域の自治体でも、有料ごみ袋の値段はまちまちで、有料化といっても、決してごみ袋の負担額ですべての家庭ごみの処理が賄えるはずはなく、ごみ処理費用の一部にすぎません。でも、一部でも負担することで、ごみに対する意識も--意識改革と、最初、目的のところでお答えがございましたが、意識が、いやが応でも高まるはずです。
現に、私ごとですが、私の家族も、夫は、私と結婚する前は中央区に在住していました。結婚後、私の仕事の関係で、本人は不本意ながらのようですが、武蔵野市に住むことになり、一番戸惑ったのは、ごみだといっております。最初は面倒で面倒で仕方がなく、何でこんなにごみに振り回されないといけないのかと不満をいっていましたが、今となっては、私以上に、ごみの分別に積極的に取り組んでくれています。
武蔵野市は、一番小さい五リットルの袋で一枚十円、大きい四十リットルで八十円、これが有料の指定のごみ袋の値段です。(「高い」と呼ぶ者あり)高いですか。私は三人家族ですが、一回のごみで、五リットルの袋一枚を使います。これ、十円ですね。週に二回、回収があるので、月に八回、八十円。年間にすると、計算しますと九百六十円です。
千円弱のこの値段でも、ごみに対する意識が全くなかった中央区から転居してきた私の夫ですらも、いやが応でも関心を持つようになる。これはやっぱり有料化の重要な政策であり、二十三区の皆さんにも実現していただきたい。東京都も、二十三区が自主的に行うとはいいながらも、できるだけ早く二十三区が実現するように力を入れて取り組んでいただきたいと述べ、次の質問に移ります。
次に、カラス対策について伺います。
まず、このカラス対策は、東京都の環境局の事業概要一六一ページに、(8)、カラス対策として、あっさりと四行のみ書かれていますが、今回、私がこのカラスについて質問したいと思った背景には、都民の方からの二種類の声があります。私の事務所に二種類の声が届いております。
その一つは、カラスに非常に困っていると。ごみはあさられるわ、自転車の前かご、買い物かごに、ちょっと買い物したものを入れておくと、それをねらって、つつかれたり、持っていかれたりするとか、そういった苦情ですよね。カラスが非常に迷惑で、苦情という、カラスを何とかしてほしいという声が一つございます。
でも、その反面、もう一つの声。なぜ東京都はカラスを捕獲するんだと。私の地元の武蔵野市の井の頭公園にも、大きなカラスの捕獲器というんですか、トラップというんですか、それが置いてありますけれども、それを見た都民からは、何でそんなかわいそうなことをするんだというような苦情も私のところには寄せられました。
カラスは神話にも出てきたり、みんなが口ずさむことができる「七つの子」という童謡がございます。武蔵野市にも大変ゆかりのある野口雨情さん作詞の「七つの子」というカラスの歌もございます。私の事務所に意見をくださった方は、その歌も歌いながら、なぜ、こうしたカラスを東京都が捕獲をして殺しているんだという、そういう二種類の異なる声がございます。
私も、東京都がこのカラス対策を行っていることを、ここでちょっと細かく、詳しく確認したいと思い、以下、質問をいたします。
まず、そもそもカラスの捕獲を行う理由についてお伺いをいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 カラスの生息数は、区部において、昭和六十年には約七千羽というデータがございます。また、平成十一年には、その三倍になります二万一千羽まで増加しております。つまり、昭和から平成にかけて急速にふえたというのが実態であります。
これは、毎日排出される生ごみが、カラスにとって安定した栄養の供給源になっていること、それから、区部におきましても、夜間に人の出入りのない、うっそうとした樹林を有する公園、緑地がカラスのねぐらになっていることなど、東京には、カラスの生息に好都合な環境があるためと考えられております。
カラスの増加に伴い、他の野鳥の卵やひなを食べてしまう、あるいは、ごみ集積所の生ごみを食い散らかす、巣の近くを通る人が襲われる、そういった被害が起こるようになってまいりました。また、カラスに襲われたとか、ごみ集積所が荒らされたなどの苦情が、平成十三年度には約三千七百件に及んでおります。
こうした被害をなくしていくために、東京都におきましては、有害鳥獣捕獲として、鳥獣保護法に基づく許可を得まして、平成十三年度から東京全域で捕獲を実施しております。
なお、外来生物を除き、東京全域で有害鳥獣捕獲に取り組んでいる鳥獣は、カラスのほかにはございません。
○松下委員 詳しくご説明いただきまして、カラスはそもそも、当たり前ですけど、野鳥であり、じゃ、ハトやスズメ等、他の野鳥とどう違うのかなとか、いろいろ私も考えてみたんですが、数が非常にふえて害が起こるようになったというのも、人間のごみの出し方が悪いというのも背景にあるのかなとも私は感じますし、外来生物を除き、東京全域で有害鳥獣捕獲に取り組んでいる野生の鳥獣はカラスのほかにはないという、カラスは、野鳥の中で唯一、対策として講じられているということはわかりました。
では、昭和六十年には約七千羽だったとのお答えですが、現在の東京都全体のカラス生息数についてお伺いをいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 都では、平成十三年度から、区部及び多摩の大規模ねぐら四十カ所におきまして、生息数の調査を実施しております。
平成二十三年度におきますカラスの生息数は、区部、多摩合わせて約一万六千六百羽となっており、前年度に比べて二千七百羽の減となっております。また、調査を始めた平成十三年度の三万六千四百羽からは、半分以下にまで減少しております。
なお、カラスの苦情も、平成十三年度には約三千七百件あったものが、昨年度には約四百件にまで減少しております。
○松下委員 私も本当に、飛んでいるカラス、どれが同じでどれが違うか、はっきりいって区別がつかないので、この事業概要を見たときに、約とついていなくて、十五万四千二百三十四羽とか一万六千六百羽と書いてあるのが本当に正確なのかと思って、このように質問をしたのですが、カラスの数え方を含めて、いろいろお聞きした中で、これはやっぱり、約というのを事業概要にもつけた方がいいかなと。これ、実数ではなくて、大規模なねぐらだったり、都立の公園の森のところではかって、それを推測したりするわけですよね。全部の実数じゃないですよね。なので、より実態を正確に示す上でも、事業概要に、細かいですけど、約というふうに来年度からはつけた方がよろしいかなというふうに思いました。
カラス対策を行って、ちょうど十年間で、対策前の半分以下まで減少をさせたということでございますが、具体的にどのような取り組みでカラスを減少させてきたのか、お伺いをいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 カラスの生息数を減らすためには、ごみ対策とカラス捕獲により、カラスの生息数を管理していくことが大切と考えます。
そこで、人の出す生ごみがカラスのえさとならないよう、ごみの排出指導を区市町村にお願いするとともに、公園や樹林地などに大型のわな、いわゆるカラストラップを設置いたしましてカラスを捕獲してまいりました。
さらに、平成二十二年度からは、大規模なねぐらを中心にカラスの巣を撤去し、巣立ち前のひなや卵を採取することで繁殖の抑制を行っております。
○松下委員 カラストラップ、私も井の頭公園、都立の公園で拝見したことがございますが、そうしたトラップを仕掛けることや、また、最近だと、巣を撤去して、巣立ち前のひなや卵を採取することで繁殖の抑制を行っているということをお答えいただき、わかりました。
さまざまな取り組みによって、野鳥であるカラスを減らしているとのことでありますが、そもそも東京におけるカラスの適切な生息数というのはどれくらいとお考えになられているのか伺います。
○臼井緑施策推進担当部長 平成十三年九月にカラス対策プロジェクトチームが都庁で結成されまして、人々とカラスが共存しながら、安全、快適に都市活動を営んでいくための対策を検討いたしました。
そのプロジェクトでは、東京のカラスは、自然界のえさよりも、人が出す生ごみを主なえさとして異常に繁殖し、人とカラスの距離が縮まったことで、さまざまなあつれきを起こしていると分析しております。
また、平成十四年度からの中期対策におきまして、適切な規模の考え方として、カラスによる被害が大きな問題になっていなかった昭和四十年の調査結果を紹介するとともに、カラスが人に依存することなく、自然界からえさをとっていくことができる状態を望ましい状態とすべきことを示しております。
野生動物の適正な生息数を設定するのは難しいことでありますので、人とカラスが一定の距離を保ち、互いに干渉しない程度の生息数が望ましいのではないかと考えております。
○松下委員 今、お答えで、昭和四十年と、私、聞こえたんですけど、昭和六十年ですよね。(臼井緑施策推進担当部長「六十年です。済みません」と呼ぶ)そうですよね。(「何だ、知ってるじゃない」と呼ぶ者あり)いや、さっき、最初に、区部で昭和六十年に約七千羽だったというお答えがあったので、そこに--適正な生息数を設定するのは難しいけれども、人とカラスが干渉し合わないような、六十年の七千羽に向けていくのかなというお答えかと、私は今、受け取りました。
カラスを、対策を講じてほしい、捕獲して殺処分というんですか、してほしいという声と、かわいそうだという声が両方あるので、今後、どこを目指していくのかということについては伺いたかった。カラスと人との共存共栄というか、共存しながらという、最初のプロジェクトの目的も伺いましたので、それについてはわかりました。
人とカラスが互いに干渉しない程度の生息数が結果的には望ましいということであるかと思いますが、私の地元、武蔵野市でも、まだそこには至っていないのかなという印象がございます。今後、どのように生息数を減らしていくのか伺います。
○臼井緑施策推進担当部長 先ほど、昭和四十年と間違っていってしまいましたが、昭和六十年の間違いでございます。訂正させていただきます。
先ほど答弁しましたとおり、カラスの生息数が半分以下に減少し、都民からの苦情も一割程度に減るなど、望ましい状態に近づきつつはありますが、引き続き、カラスの生態や行動に合わせて捕獲を行うとともに、ごみ対策と連携して対策を実施することが重要であります。
そのため、群れで行動することが多い大規模ねぐらの周辺で、トラップによる捕獲を進めるとともに、繁殖の時期には巣を撤去することで、卵やひなを捕獲してまいります。また、繁殖の時期には、巣をつくりやすい電柱や鉄塔、ビルなどの施設管理者に対しましても、適切な時期に巣の撤去を行うよう普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
また、冬場には自然界のえさが少なくなることから、引き続き、ごみの排出指導の徹底を区市町村にお願いすることとしたいと考えております。
○松下委員 やっぱりカラス対策を行うということは、予算をかけて、カラス一羽に対して幾らと、きょうはお金のことについては触れませんけれども、お金が、税金がかかっていることですので、適正なというか快適な、人とカラスとの適切な、共存できるような数に近づいたら、そのときにはカラス対策は終了ということがあってもいいのかなとは私は思っております。
野鳥であり、野生の動物カラスが人間と適切な距離を保って、お互いに安心して生活できるような状態が実現することを要望して、私の質問を終わります。
○こいそ(明)委員 それでは、何点かお尋ねしたいと思います。
まず初めに、廃棄物対策について伺いたいと思います。
廃棄物の中でも都市鉱山について伺いますが、携帯電話などの電子機器には、レアメタルと呼ばれる有用な貴金属が含まれています。例えば白金を例にとれば、携帯電話などに蓄積されている量は、我が国は、日本は、世界の年間消費量の何と五・七倍にもなるとの調査結果も出ております。これは、世界の国別の埋蔵量でいうと、ベストスリーに入るそうでありますけれども、まさに都市鉱山であると思います。
これが、現状では、家庭内で眠っていたり、また、事業所でもあるかどうかでありますけれども、ほとんど利用されずに埋め立てされたり、非常に有効に活用、利用されていないということであります。非常にもったいないです。
こうした状況を受けて、都では、国に先行して、関係者を集めて、使用済み小型電子機器等のリサイクルを促進する検討会を行っているようであります。
家庭から出される小型電子機器は一般廃棄物でありますけれども、区市町村の事務だということでありますが、これを、ただ単に区市町村だけに任せてよろしいのかどうなのか。環境先進都市東京として、まさに都市鉱山の分野にもっと積極的に、しっかりと取り組んでいくべきではないかと思いますが、都として、法施行の前に具体的に、検討会だけじゃなくて、どういうふうな取り組みを考えているのか、教えていただきたい。
○木村廃棄物対策部長 来年、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律が施行されますが、法において、回収は区市町村の自主的取り組みとされております。
このため、都は、広域的自治体の立場から、学識経験者、区市町村、事業者の代表から成る検討会を本年七月に設置し、区市町村での効率的な回収方法や、広域的に回収するための家電量販店や金属資源回収業者の役割などについて議論しております。
都では、関係者が相互に連携した有機的な取り組みを進められますよう、法施行前の年度内に検討結果を取りまとめ、公表する予定でございますが、都といたしましては、回収主体である区市町村や事業者に対しまして、処理のノウハウやコストに関する情報を都が取りまとめて提供することや、都民の参加を促すためのオール東京都としての統一的な広報や普及啓発などを行ってまいります。
○こいそ(明)委員 いわゆるこの都市鉱山でありますけれども、これはまさに新たな施策の展開がこれからされるということで、大いに期待をしているところであります。
都は、まさに今答弁がありましたけど、広域自治体として区市町村に対する技術的支援等々、これは大切だと思いますが、にとどまらず、小型電子機器等の回収を促進するための、さらなる仕組みづくり、取り組みを含めて--東京全体の量というのはどのぐらいかなと本当はお聞きしたいんですが、少なくとも、首都東京の回収率が上がることによって、この都市鉱山も成果が、これは一定のさまざまな、先ほどのレアメタルもそうであり、白金もそうであり、こういう希少な貴金属がかなり多く回収され、それがまた、循環社会の中でそれぞれに有効に使われていくということ、これは極めて有意義なことでありますから、特に東京都環境局としては、ぜひしっかりとこれからも対応していただきたいと思います。
それでは、続いて、これは何回か過去に質問もいたしましたが、古紙の持ち去りであります。
古紙もやはり有用な資源であるわけでありますけれども、地域の特性を生かして、区市町村による行政回収、地域住民による集団回収等々、これはまさに行政と地域住民がともに築き上げてきた仕組みであると。さりとて、持ち去りの不当、不法な行為によって、このような長年築き上げてきた仕組みが、今、崩されようとしているわけですね。
一昨年の委員会におきましても、古紙の持ち去り問題について質疑させていただきましたけれども、これを受けて東京都環境局は、区市町村、回収業者、古紙問屋、製紙メーカーといった関係者による古紙持ち去り問題についての検討協議会を二十二年十一月に立ち上げて、昨年六月に、関係者がそれぞれの役割を果たし、実効性のある対応策を講じるとの内容が示されたわけであります。
古紙持ち去り防止に向けて、各団体が一生懸命努力をし続けているわけでありますけれども、しかし、とりわけ多摩地域の実情を見ますと、持ち去り禁止条例を設けている。それも、内容として、厳しい条例がそこに盛り込まれている、条例はあるけれども、少し罰則規定が弱い。または、全然、条例も制定していない。中には、持ち去り行為があることによって、ごみ減量につながっていくという、こんな変な見方もあるわけでありますけれども、しかし、さりとて、これは有価物ですよね。それが不当、不法な行為によって持ち去られている現状は憂うべきことだと思うんですね。
しかし、区部二十三区中十七区、市部では二十六市中十二市では、条例は制定されているわけでありますが、今いったように、なかなか巧妙に、何というんですかね、回収、いわゆる持ち去り行為がまだまだ、反対にふえているという、地域に偏在し始めながらふえているということが明らかになってきています。
回収業団体からも、持ち去りに対する都の対応を強く強く求める声が、ことしも引き続いてあるわけでありますけれども、持ち去り行為は多くの市町村で行われている、そういう状況でありますけれども、広域行政体のまさに東京都環境局が、全区市町村に対して、私は、今内容をいいました、まさに条例を制定している、強いところ、条例を制定しても罰則規定云々、それから条例を制定していないところ、こういうものはやはり--もう五年ぐらいたちますかね、そんなにたっていないかな、この問題が出て。かなり新しくもあり、古くもあるこの問題なんですけれども、しかし、こういう状況というのは、なかなかおさまらない。反対に顕在化している。
こういう状況から見ると、私はやはり、東京都が、いわゆる東京都全体的な統一的な基準のもとで、しっかりと抜本的にこの問題に取り組むという、その姿勢があらわれるのは条例化じゃないかと思うんですが、都条例、このあたりはどうでしょうか。
○木村廃棄物対策部長 都は、区市町村に対しまして、検討協議会の取りまとめ内容を周知し、罰則つき条例の制定や、地元リサイクル団体と緊密に情報交換を行うよう依頼してまいりました。この結果、ことし四月に清瀬市及び武蔵村山市、十月に三鷹市が新たに持ち去り禁止条例を施行し、制定自治体数は十七区十二市となっております。
持ち去り行為は、リサイクルルートを崩壊させる極めて悪質な行為でございます。都は、改めて区市町村に対しまして、罰則つき条例の効果に関する警視庁やリサイクル団体との意見交換の場を設けてまいります。
なお、都条例につきましては、区市町村が有します一般廃棄物の処理責任に抵触するかどうかや、必要性の有無につきまして、今後の区市町村の取り組み状況を見た上で考えてまいります。
○こいそ(明)委員 確かに、第一義的には区市町村であるわけでありますけれども、しかし、広域的にこのような不当、不法な行為が続いている、非常にふえてきている、こういう状況というのは、取り組み状況をもう少し調べてもらうことは当然必要だと思いますけど、しかし、有効な、しっかりした手だてというのは、私はやはり、今申し上げたような都条例ということも、極めて重要かつ必要ではないかなと思うわけであります。ぜひ検討はしてもらいたいと思うんですね、これ。
資源のリサイクルは、それぞれの区民、市民の協力を得て成り立つものであります。その努力を無にしてしまうような、このような古紙の持ち去り行為の根絶に向けて、都の果たすべき役割は、ますます私は大きいと思います。循環型の中で、やはりそれぞれの立場立場、行政、市民のそれぞれの、先ほどいいましたけれども、地道に取り組みをやってきたわけですね。それを根底的に覆すような行為が決して少なくない状況の中では、都の積極的なさらなる働きかけ、それから取り組み、これをお願いしたいというふうに思います。
引き続いて、不用品の件でありますけれども、不用品業者の多くは、産業廃棄物の許可のみで、区市町村の区域を越えて活動しております。今、私は古紙の持ち去りについてやりましたから、もう一点、今、少しこれも問題になっています、家庭に不用品ということでチラシをまずまいて、その中で家電を収集すると。それもよく調べてみますと、いろんなチラシが入っていますけど、特に、小さく産業廃棄物の許可とはあるんですが、許可番号は書いていない。さりとて、一般とは書いていないんですね、一般の許可というのは。こういうことが非常にトラブルを起こしていると。これは、本議会でもどなたかがやられたと思いますけど、まだまだそういう問題が発生している。
それからもう一点は、それは例えば有価物として対応すればいいじゃないかということで、その有価物、じゃ、幾らだと。そうしたら一円なんですね。一円で購入する、だから問題ないじゃないかと。これは、議論の分かれるどころか、大変おかしい話なんですけどね。
それが実際にどこに持っていかれるかなというと、港。いわゆるヤードがあって、そこに関東の、東京も当然そうでありますが、集められたものを持ってくる。その前段では、ストックのまたヤードがあるそうですよ、拠点、拠点に。これは環境局は知っていると思うんだけれども。そういう、何というのかな、循環型社会という中で、よりリサイクルという方向に向かっているにもかかわらず、これは恐らく海外に向けて持っていかれると思うんですね。
それから、トラブルも、運賃請求をされるとか、さらなる、チラシには全然書いていないようなものを不当に要求されるという行為、これらの状況というのはどうでしょうか。
○木村廃棄物対策部長 都では、不用品回収業者の立入調査を昨年度から実施し、指導しております。
ほとんどの不用品回収業者は、買い取りといいながら、作業代や運搬代と称した料金を取り、結果として都民が支払う形になっております。
また、回収物の処分先は、リサイクルショップ等での販売や輸出業者への売却、残りは産業廃棄物として処分と、業者は主張しております。個々の処理ルートや適法性につきましては、引き続き、調査、検証を続けてまいります。
一般廃棄物を取り扱っています区市町村におきましては、廃棄物と有価物の判断など、立ち入りノウハウの不足、それから、広域的に活動しています業者への対応に限界があることなどの課題がございます。
都は、区市町村に対しまして、不用品回収業者への指導方法について支援を行うとともに、区市町村と合同で、不用品回収業者への立入調査を行ってまいります。
なお、通常の一般廃棄物処理業許可では、事業所からの廃棄物のみを扱いますが、家庭系の廃棄物を扱える一般廃棄物処理業許可も出し、住民ニーズに対応している市もございます。このような事例を他の区市町村に情報提供してまいります。
○こいそ(明)委員 今の不用品の回収業者でありますけれども、これは、今、部長からも答弁がありましたように、トラブルをかなり起こしているし、おかしい点が多々あるんですね。ですから、これは、実際、基礎自治体というか、区市町村が対応するということになるんでしょうけれども、しかし、産業廃棄物の許可をおろしているのはどこだというと、東京の場合、環境局でしょう。ですから、そういう観点。
それから、全体的に見て、こういう盲点をつくというのかな、私は、これも脱法的な部分があるんじゃないかと思うんですね、何点かの中でも。ですから、こういうことが横行しているということは、私はやっぱりおかしいと。これも抜本的な対応策を強く求めたいと思うんですね。広域的立場にある東京都は、ぜひ、この不用品回収業者へのさらなる対応をしていただきたいと、これは要望します。
それから、最後にもう一点、廃棄物対策の中で、静脈ビジネスの発展。廃棄物の中における、いわゆる三つの柱がありますよね。この大きな柱の中で、静脈ビジネスを発展させていくんだと。大変いいことではないかと思うんですね。
廃棄物処理を適正に行うために、第一に、廃棄物処理を依頼する排出者の取り組みがやはり必要だというふうに思うんですけれども、廃棄物処理契約において、中には低廉な価格で処理業者が落札して、安かろう悪かろうと、その後の廃棄物の不適正な処理にもつながってしまう懸念があるわけですね。
こういうことを含めて、まず、足元というかな、特に東京都の各部署、監理団体、区市町村が率先垂範というかな、まず、しっかりと認識をしていただくと。排出者となる、廃棄物処理契約が適正に行われているかどうか。民間企業等では、廃棄物適正処理はなかなか、その面での浸透ができ得ないような状況もあるようでありますけれども、まずは都からと。こういうあたりを取り組みができないかどうか。
そこで、都の各部署や監理団体、区市町村に対する排出者指導としての取り組みを教えていただきたい。
それで、もう一点は、直接的ではありませんけど、しかし、やる側、業者側の方も、いろいろな努力を行っていかなければ、またいけませんね。そういう中で、東京都が行ってきた第三者評価制度でありますけれども、これが二年が三年になりましたけど、これをエキスパートとプロフェッショナルの二段階でやると。しかし、さりとて、なかなかこういう業種、業界、それから社会の全体的な不況感の中で、排出する、先ほどいったような料金等々も厳しいという中で、この第三者評価制度が発足してもう四年ですね。という中で、制度を施行して四年、環境局としては、それに対して、どういう一定のとらえ方をしているかどうか。評価も含めて、あるかどうか。
それともう一点は、このエキスパートにしても、十三万一千円の更新料、中間処理十八万九千円でしょう。この料金体系が果たして、いかがなものかどうなのかと。少なくとも、二年が三年になったんだけれども、産業廃棄物の許可というのは五年ですよね。そういうことを踏まえて、もう一段の検討の余地というのはあるんじゃないかなと。あわせてお願いします。
○木村廃棄物対策部長 まず、排出者指導でございますけれども、環境局では、平成二十三年度から、年二回、都の各局及び監理団体の契約担当者向けに、廃棄物処理委託契約の適正化に向けた講習会を実施し、昨年度は約五百名の受講者がございました。
この講習では、廃棄物処理契約やマニフェスト等に関することや、第三者評価制度により認定された優良処理業者の積極的な活用を働きかけております。
さらに、発注した契約で、安価な金額で契約した業者や不適正処理の疑いのある場合は環境局に連絡するよう周知し、その業者への立入調査を実施し、不適正処理がないか確認しております。
区市町村に対しましても、区市町村の契約担当主管課長会などや、年二回の廃棄物行政講習会におきまして、都の講習会と同様の内容を説明しております。
今後も引き続き、都の各部署や監理団体、区市町村に対しまして、廃棄物処理契約の適正化や、優良な処理業者の活用について積極的に働きかけを行ってまいります。
次に、第三者評価制度でございますが、排出者から見ますと、安心してその処理業者に任せられるというメリットがございますし、処理業者の方から見まして、一つの評価基準がございますので、それを目指してレベルアップを図るという一つの目標にもなってございます。
第三者評価制度をスタートしてから四年以上たちまして、その審査基準ですとか認定期間についてもいろいろ意見をいただいておりますので、処理業界の団体あるいは専門家を交えて、再度、見直しの検討をしたいというふうに思っております。
以上です。
○こいそ(明)委員 それでは、二点目のエネルギー政策について伺います。
東京は、当然、電力の最大の消費地であります。エネルギーの大消費地でもあるわけですけれども、新潟や福島を初めとする他県に電力を依存してきた東京が、地産地消による電力の安定確保に取り組み、都民生活や経済活動への制限を最小にするなど省エネルギーに努め、エネルギー問題に総合的に取り組む必要性が当然あるわけであって、取り組んでいるんですけれども、ぜひさまざまな施策を国に先駆けてやっていただきたいと思っております。
先般、国はようやくエネルギー戦略なるものを策定しましたが、重要課題は軒並み先送りし、依然として将来の電力安定供給への不安はぬぐい去られない状況であります。今後、火力発電の役割が高まりますが、東京電力の火力発電所の約四割が、運転開始から三十五年経過している状況であり、これはまさに、これを燃やし続けるとCO2の排出量が多量に出る、また故障のリスクがつきまとい、地球温暖化の面からも、安定供給の面からも望ましい姿とは当然いえない。
こうした中で、地産地消の東京産のエネルギーを今確保することは当然重要でありますけども、都として、低炭素で高効率な自立分散型電力を確保していくことが必要であるわけでありますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○久原都市エネルギー推進担当部長 低炭素な高度防災都市の実現の観点から、災害時のみならず、通常時においても活用できる高効率なコージェネレーションシステムなど、自立分散型発電を拡大していくことが重要であると認識しております。
コージェネレーションシステムは、熱需要に応じて発電規模を設定し、廃熱を冷暖房等に活用するとともに、電力需要のピーク時に稼働させることで、昼間などの電力供給のピークを抑制し、エネルギーの有効活用につなげることができます。
これにより、系統電源のみの依存からの脱却を図り、地産地消の東京産電力、エネルギーの確保に取り組むことが重要であると考えてございます。
○こいそ(明)委員 電力の地産地消として、再生可能エネルギーの活用も当然重要であります。ことしの七月から固定価格買い取り制度が始まりましたけども、東京は、広い土地が国内で最も確保しにくい。メガソーラーなどの大規模な再生可能エネルギーは困難のようであります。
一方、東京はさまざまな建物が集積しており、例えば私の地元でも、団地もかなり多いですから、そのような中で、または屋根の広い流通センターも含めて、太陽光発電の導入ポテンシャルの施設が割と多いのではないかと思うんですね。
このような東京の特性をまず活用して、太陽光発電の一層の普及拡大を図るために、先ごろ、都は、新聞に載っておりましたけども、屋根貸しビジネスのマッチング事業を開始したというふうに聞いております。
都は、この事業を行うことで、具体的にどのような建物に太陽光パネルの設置が拡大することを期待しているのか、事業のねらいを伺いたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 屋根貸しビジネスにおいて、発電事業者は、費用対効果の高い屋根、すなわち、スケールメリットの働く広い屋根の建物を積極的に選んで太陽光パネルの設置を進めていくと考えられます。
具体的には、例として挙げていただきました流通センターや倉庫等の物流施設、工場、事務所、集合住宅などが想定され、このような建物が多数存在する東京は、屋根貸しビジネスのポテンシャルが非常に高いと期待しています。
都は、このたびマッチング事業を開始しましたが、これを契機に屋根貸しビジネスの市場を活性化させることで、東京のさまざまな建物の屋根へ、可能な限り太陽光発電の設置を進め、自立分散型電源の確保に貢献していきます。
○こいそ(明)委員 まさに地産地消の電力を確保するためには、今ご答弁がありましたけれども、屋根貸しのほかに、これも前にこの場でも質疑させていただきましたが、清掃工場に太陽パネルを設置したらどうか。まさにごみ発電ですね。これもかなり性能が高くなっていますから、ごみ発電とあわせて、工場内の電力を賄うこと、周辺の一般住宅にその電力を供給する。買い取り制度が出てきたわけでありますから、そういうことも検討の余地はあるんじゃないかなと。
または、水道施設に小水力発電の導入の推進など、可能なあらゆる限りのエネルギーの有効活用を図るとともに、新しい都市型エネルギーの推進に努めてもらいたいと思います。
そこで、環境局には環境科学研究所がありますよね。専門性の高い任期つき職員の活用、民間との共同研究によるエネルギーの推進等々、これから東京モデルを発信していくことも極めて重要だと思うんですね。
そこで、この環境科学研究所の分野においても、もう一段のやはり、今いったように民間も活用しながら、人的な交流も進めながら、東京発のこのような取り組みを行う中でのシンクタンク及び研究開発、このようなことを、ここでもう一たん、役割をしていただいてはどうかなと思うのですが、このあたりはどうでしょうか。
地産地消の東京産電力の確保、首都機能を維持するという、こういう観点、都市のポテンシャルを高めていくためにも、私は、そのことも極めて重要ではないかと思うんですね。
東京は、エネルギーのまさに自立都市になっていく、目指すと。他県依存ではない。東京が最大のエネルギー消費都市であるわけですから、東京産のエネルギーを確保して、自立都市をしっかりと確立していくべきだと思うんですね。
一方、もう一点でありますけれども、非常時に、三・一一は特にそうでありました。このときに、いわゆる有事のときに、東京都内のガソリンスタンドは、今かなりの、火災、震災、防犯等で協定を結んでいるんですね。有事のときの、震災発生時の帰宅時においてもそうです。
こういうことですけれども、このエネルギー供給源であるガソリンスタンドが、今、インフラが寸断されようとしているんですね。というのは、数が極めて少なくなっちゃっているわけです。ですから、東京の都心部におけるエネルギーインフラとしての役割を果たすガソリンスタンドが極めて少なくなっていく現状に対して、これはやはり問題じゃないかと思うんですね。
これについてはどうかなということはありますけども、さりとて、それとともに、もう一点、今後普及が見込まれる、低炭素で環境負荷の極めて低いといわれる燃料電池車などの次世代自動車への、そのエネルギー拠点が必要なんですけども、現状のエネルギーインフラが、もう要するに、急坂を転がり落ちるようになくなっていっちゃった場合、次の代替的なエネルギー供給拠点が極めて厳しいんじゃないかというふうに思うんですね。今、こういう観点からも、やっぱり環境局は対応をしていかなきゃいけないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
このような中で、極めてさまざまに厳しい状況があるわけでありますけれども、物流機能が麻痺してしまう、消費者の利便性が失われる、都市機能の維持が極めて困難になってしまうかもしれない。こうした動きを踏まえて、都は、次世代サービスステーションも含めて、今後調査をさらに進めていただきたいと思いますけども、また、調査を行っているということも聞いておりますが、調査の目的も含めて教えていただきたいと思います。
○久原都市エネルギー推進担当部長 都市で重要な機能を果たすガソリンスタンドが厳しい状況にあることは認識しております。
こうした状況を踏まえ、平常時及び災害時のエネルギーの安定確保、供給、また、燃料電池車などの次世代自動車の普及の観点から、現代社会の情勢に合わせた次世代中小ガソリンスタンドのあり方を検討し、将来像、方向性を示すことを目的に調査を行っております。年度末に向けて調査結果を出す予定でございます。
○松下環境政策担当部長 まず、最初にございました環境科学研究所の方のご答弁をさせていただきます。
環境科学研究所では、今年度はこれまでに、大学、外部研究機関、民間企業との共同研究を十三件、外部資金を導入した研究を六件行っているほか、四名の任期つき研究員などの専門性の高い人材の活用によりまして、新たな課題に対しても効果的に研究を実施しております。
また、賢い節電、都市エネルギーの推進など新たな課題に対する研究といたしましては、学校における空調機器の省エネ対策に関する検討を行いまして、夏季及び冬季の節電対策に活用されております。
また、都市型エネルギーとして、都内から発生する事業系一般廃棄物を対象といたしまして、乾式メタン発酵法の活用によるバイオマスエネルギーシステムの実用化に関する技術開発を行いまして、事業化等の検討に役立てております。
今後とも、自立分散型エネルギー確保など新しい都市型エネルギーの推進に向け、研究の充実強化に努めてまいります。
○こいそ(明)委員 環境科学研究所のことについては、私も聞いているし、説明を受けてはいるんですよ。じゃなくて、私は何をいいたいかといったら、要するに、エネルギーの面ですけど、自立分散の都市をしっかり確立していくには、もう少し強化すべきじゃないかといっているんですよ、環境科学研究所を。そういうことなので、現状がこうやっているんだからと、現状で足踏みじゃなくて、要するに、これからまだまだ果たすべき役割、それから機能を向上させてやるべきことがあるんじゃないかということなんですね。
ですから、ぜひ、いい研究も当然しているし、しっかりした、この世にいろんなものを出していますよね。いい論文も出しているし、承知しているんですけども、さらにもう一段、機能アップを図っていくことがとても大切ではないかというところの観点でお尋ねしたということなんですね。よりお願いしたいと思いますね。
エネルギーインフラについては、るるいいましたので、もうあえて触れませんけども、都市において極めて重要であることはいうまでもありませんけども、それとともに、今後、今のエネルギーインフラ状況というものを、現状というのをしっかり調査していただくと。それに対して、係る次の代替的なエネルギーを展開するにおいても、やっぱり拠点がなきゃ、だめですよね。
二〇一六年ですか、燃料電池を普及させていくという国の方針が示されているでしょう。じゃ、それに対して東京都はどうなんだと。二〇一六年に果たして、今のこんな現状で、供給施設がどんどん減少している中でどうするんだということもあるわけであって、ですから、ぜひそういう観点からも調査をしっかりしていただいて、係る対応がどういう対応ができるのかということを踏まえて、検討をぜひ深めていただきたいなというふうに要望します。
最後に、自然環境についてお尋ねしたいと思います。
東京は、いうまでもありませんけれども、我が国の最南端である沖ノ鳥島から、北は奥多摩、埼玉県境までの、南北約千九百キロと広範囲に及んでおります。世界遺産に登録された小笠原を初め、訪れる人々が息をのむような非常に美しい南島だけじゃありませんけども、非常に景観がすばらしい。本当に、世界のこの分野の専門家が極めて驚く多種多様な動植物など、魅力にあふれる自然が数多く存在をしているということであります。
身近な環境に目を向けるならば、数は減っているものの、都内にはそれぞれ丘陵もありますが、ここでは、多摩丘陵の貴重な里山、または市街地近郊の雑木林も残っております。いわゆる希少種を初めとする生物のかけがえのない生息空間が点在をしているということでありますけれども、都では、そうした場所を自然保護条例に基づく保全地域に指定しております。
私も保全活動を行っている七国山緑地保全地域では、タマノカンアオイという、多摩丘陵に生息をし続けてきたアオイ科の植物でありますけども、このタマノカンアオイが、この希少種が、十ヘクタールの敷地内、結構広いですよね。この敷地内で、わずかにもう一カ所、たったの一カ所ですよ。これがなくなったら、もうない。群生するような生息状況が本来あるべきなんだけども、少ないですね。だけども、季節には花を咲かせたり、非常に生命の強さも一面感じるわけなんですけども、本当にもう一カ所しか残っていない。まさに絶滅寸前。レッドデータリストにも載っていますよね。これが現実だと。
都では、保全地域の希少種の実態調査を進めていると聞いておりますけども、先ほどの資料の説明もいただきましたが、調査実施の経緯、調査手法、そして、それによって判明したことについてお聞かせいただきたいと思います。
○高橋自然環境部長 都は、保全地域について、希少種等の生息実態が変化していることが見込まれたため、昨年度から順次、近年調査が行われていなかった保全地域ごとに、植物、哺乳類、鳥類、昆虫類、両生類などの生息、生育状況について、文献の確認、地域ボランティアへの聞き取りとあわせ、直接現地での調査を行っております。
現時点では、すべての保全地域の調査が完了していない上、各保全地域は、面積、水辺の有無などに違いがあるため、単純な数の比較は困難でございますが、植物だけを見ても、二十種以上の希少種が生息している保全地域が複数あることが判明するなど、生物多様性の面で高いポテンシャルを有することが裏づけられました。
一方、外来種の繁茂、侵入、雑木林の手入れ不足による日照障害など、希少種の生息、生育に悪影響を及ぼすような管理上の課題も浮き彫りとなりました。
○こいそ(明)委員 保全地域に希少種が数多く存在し、生物多様性の面でもポテンシャルが高いという、今、二十種類生息しているというお話もありましたけども、それはそれでいいことですよね、当然ね。
しかし、七国山を例にとるまでもなく、いろいろ聞いている中では、我々もじっとしていますけど、このように希少種、ここでは、あえてまたいいますけど、タマノカンアオイのように、もう絶滅寸前なんですね。こういうところも現実にあるわけですね。
ですから、もう絶滅してしまったら、当然の話でありますけども、何をかいわんやで、今まで悠久の時を多摩丘陵の中で生息してきたものが滅びていくということになってくるわけでありまして、それが果たして、我々が今生きている中で、こういうことを、ただ傍観していることでいいのかどうなのか、そんなことも思うところなんですね。
そしてまた、外来種による希少種への悪影響が懸念されているという調査結果も気になるところであります。
希少種の減少要因として、もう一点は、持ち去り行為ですね。さっきの古紙じゃないけども、いわゆる抜き取っていくわけですね。抜き取ってというかな、抜いていってしまったり、いろいろありますけど、持ち去りなど、心ない行為の影響も極めて大きいのではないかというふうにも現実的に聞き、そして見ている状況があります。
そこで、都は、なかなか難しいですけども、どのように希少種の保全に取り組んでおられるのか。また、現在進めている調査の結果をどのように生かしていくのか、教えていただきたいと思います。
また、同じような丘陵の中で都立公園がありますね。桜ヶ丘公園もあれば、いろいろあります。小山内裏公園もあります、まだまだありますね。こういうところは、なかなかよく管理されているんですね。植物だけじゃなく、作物も、今お話があるような状況もかなり見受けられるんですね。
それと、里地、里山的な保全。いわゆる田んぼをつくったり、保全していって--田んぼを実際にやったり、稲作ですよね。それから畑をつくったりとか、非常にいい景観になっている。
これは、本来、環境局の分野でもないのかなと思うところがあるんですけども、そんなこともちょっと感じるところなんですが、もう一回、現在進めている調査の結果をどのように生かしていくか、お尋ねしたいと思います。
○高橋自然環境部長 都では、保全地域から植物の持ち去りを禁止する掲示板を設置したり、地域ボランティア団体の協力による見守り活動を行ったりしております。また、散策路などを外れて希少な植物等がある場所に入りづらくさせるため、散策路にロープさくを設置する取り組みなどを行っております。
しかし、希少な植物などの人為的な持ち去りを防ぐためには、さらなる保護策に取り組むことが不可欠であるため、まずは、調査によって判明した希少種の実態や課題を地元自治体、NPO、地域ボランティアの方々などと共有し、その上で、各保全地域の特性に応じた対策を一緒につくり上げていきたいと考えております。
○こいそ(明)委員 このように、今お話しのように、保全地域ごとの希少種の実態が明らかになっていくわけですね。これはとてもいいことだと思いますけども、それを最大限に活用していただいて、地元と一緒に効果的な対策を講じ、とにかく、都の保全地域の希少種は着実に後世に引き継いでいくというような強い思いで取り組みをしていただきたいなというふうに思っております。
しかし、保全地域にとどまらず、都内に残された希少種の保全を考えれば、その希少種の保全だけじゃありませんけれども、全体的な自然の保全に対して、もっと多くの都民に、希少種や保全活動に関心を持ってもらうことは当然必要だと思います。一般の都民の皆さんは、このような滅びゆく希少種、そして、里地、里山の保全活動について、余りこう伝わって--知らない方も少なくないのではないかと思うんですね。このあたり、どうなのかなと危惧するところでありますけども、それがために、新しい周知、いろんな広報は大切だと思うけども、実際的な保全にかかわってもらうということ、そういう中では、やっぱり人だと思います。
そのために、環境学習や環境教育、または都民向けの体験型の催し、学習等々が大切だと思いますけども、都の見解とこのことに対する取り組みを教えていただきたい。
○高橋自然環境部長 都内の緑地を保全し、絶滅に瀕する希少種を守っていくことは、自治体や地元住民の力だけでは到底なし得るものでないため、多くの都民に保全に協力していただき、希少種についても知っていただくことが重要であると考えております。
また、保全のための木の伐採も、生木であるため、乾燥した角材と違って簡単に切れないことは体験しないとわからないなど、座学とは比べようもない学習効果があると考えております。
そのため、都は、次世代の担い手である大学生に緑地の保全活動に参加してもらい、保全に対する関心の喚起や行動を促すため、東京グリーン・キャンパス・プログラムを実施しており、現在、桜美林大学、恵泉女学園大学、明星大学、首都大学東京が参加しております。
また、企業の社員やその家族の方々など、幅広い層の都民に保全活動に参加していただく東京グリーンシップ・アクションを進めており、現在、三十以上の企業などが参加しております。
さらに、自然公園のビジターセンターや都民の森では、親子で自然観察や森づくりに参加していただくイベントを実施するなど、世代に応じて、保全活動や希少種などに関する学習体験の場を提供しております。
○こいそ(明)委員 まさにそうだと思いますね。実態的に体感をしていく。実際にその体験を通じて得るものというのは本当にあると思うんですね。自然と触れ合って体験することにより、地元の方の生の声も聞き、作業の大切さ、作業後の爽快感など、まさに五感ですね。部長もよくいわれる五感ですよ。これは本当にそうだと思います。五感で感じることができ、本質的な理解につながる。
先日も、グリーン・キャンパス・プログラムに参加した学生が、初めて希少種を見たと。そして、本当に感動したということですね。これは五感ですね。これは図鑑や、そんな教室やどこかではわからないと思いますと話していたことが、まさにこのように心に響かせるというかな、こういう感動も与えるということが、私は、環境人材を育てる重要な一歩、体験をするということが非常に大切だと思います。
私は、日ごろから、環境問題を考える中で、まさに人に内在するものが非常に重要ではないかと。すなわち、環境保全にとって重要なのは、やはり人づくり。要するに、五感だとか、それから、いい、悪いもそうだと思いますよ。希少な絶滅するような植物を、もう絶滅寸前だから価格が高くなっちゃう。そうすると、またそれを買うやつがいるわけだ。それの、また売り買い行為が発生する。こんなばかなことがあっていいわけないんだけど、現実にある。
開発だけじゃないですよ。開発だけで、谷戸を埋められて、沢を埋めて、それだけじゃない。人為的行為なんですね。こういう内在するもの、このようなことを踏まえて、環境というのは考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
身も心もというけども、心が健全であれば、希少種や、まさに古紙の持ち去りの問題は、極論すれば抑えられていくんじゃないか、発生しないのではないかと。日本人がまさに祖先から受け継いだものを大切にするという、もったいない意味も含めて、この精神をもう一度呼び起こすならば、廃棄物問題やエネルギー不足も、大幅に私は改善方向に行くのではないかと思えてなりません。
こうした意味で、環境人材づくり、これは極めて大切だと。日本人の心の再生、環境の観点から、私は、こういうことは極めて重要だと思えてならないですね。
今後も、人材づくりを進めることによって、都民と手を携えて、東京の環境施策が一層推進していくことをお願いしながら、質問を終わりたいと思います。本当は大野局長に答弁してもらいたかったけど、まあいいです。
○小磯(善)委員 再生可能エネルギーについてお伺いいたします。
きのうは、千葉大学大学院の倉阪教授という方の講演を聞きました。そこで、日本における再生可能エネルギーのポテンシャルというのは大変高いんだという話がありまして、まず、太陽光発電は、日本の国土に降り注ぐ太陽エネルギーは、日本の最終エネルギー消費量の百倍の量がある。水力は、年間降水量は世界第六位の国である。日本は、ダムを用いなくても、発電に必要な落差を得ることができる国である。地熱は、世界の活火山の一割を有する日本は、この地熱資源の量は、インドネシア、アメリカに次ぐ世界第三位だと。風力は、北海道、東北に大変大きなポテンシャルがある。バイオマスは、国土の六割以上を森林で覆われている国ということである。海洋エネルギー、波力、海流力なども使用することができるということで、日本は再生可能エネルギーには恵まれている国であるという話がございました。
そういう中で、都道府県レベルでは、この再生可能エネルギーはどうなんだという話がありまして、この総供給量、それから自給率、この辺は、総供給量の一位は大分県、自給率の一位も大分県。でも、供給密度、供給密度というのは、面積当たりの再生可能エネルギーの供給量は、東京は全国で第五位なんですね。神奈川、富山、大分、大阪に次ぐ第五位。二〇一〇年は第七位だったのが、二〇一一年には第五位に上がっているということで、面積当たりの再生可能エネルギーの供給量ということからいくと、東京が頑張っているということでございます。恐らく、太陽光発電についての補助金制度が、こういった結果に結びついているんじゃないかなというふうに思っております。
先日行われた決算特別委員会でも我が党の質問に答弁されまして、東京都は、平成二十一年度から、全国的に見ても最高水準の補助事業を展開して、補助開始前と比較して、都内の住宅用太陽光発電の導入を約十倍に加速する大きな成果を上げてまいりました。
一方、都は、この太陽光発電のさらなる普及拡大を図るために、本年七月から開始された固定価格買い取り制度を踏まえて、屋根貸しビジネスのマッチング事業を開始されているわけであります。
このような取り組みというのは、従来の経済的支援を中心とした普及策に加えて、知恵と工夫によって事業者の力を引き出す新たな手法の可能性を示すという意味で、非常に有意義と思っております。
先ほど、こいそ先生からも話がございましたので、まとめてお伺いしますけども、この屋根貸しビジネスの概要及び意義、そしてまた、東京都がこの事業を実施する意義、目的について伺いたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 まず、屋根貸しビジネスそのものの意義でございますが、本年七月からの固定価格買い取り制度の導入によりまして、十キロワット以上の太陽光発電につきましては、その発電量の全量を売電することができることになりました。
これにより、発電事業者が一定の面積を有する屋根を借りて太陽光発電を設置し、建物所有者が屋根の賃料を得る屋根貸しビジネスという新たな手法を活用することが可能となり、関心が高まっております。
この手法は、発電事業者にとっては、賃料を払いながらも売電収益が得られる一方、建物所有者にとっては、定期的に賃料が入るとともに、費用負担がなく太陽光発電が設置、運営されるという、双方にとってメリットがある新たなビジネスモデルであります。
また、この屋根貸しビジネス事業を都が行う意義でございますが、屋根貸しビジネスは、今後の太陽光発電の一層の拡大に有効と考えられますが、現状では建物所有者と発電事業者が接点を持つ機会がほとんどないため、都がその橋渡し役としてマッチング事業を開始することとしました。
この取り組みを契機に屋根貸しビジネスの市場を活性化させ、建物所有者と発電事業者の連携を一層進めることで、東京のさまざまな建物の屋根に、可能な限り太陽光発電が設置されることを期待しております。
○小磯(善)委員 東京都がこのマッチング事業を実施する、その趣旨がわかりました。
都は、既にこの事業を開始しておりますが、まず発電事業者を募集したということでございますが、事業者募集の考え方、そして、その結果についてお伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 マッチング事業の実施に当たりましては、屋根の借り手である発電事業者について、その事業概要や実績等を都のホームページに登録、公表した上で、屋根の貸し手である建物所有者を募集することとしました。
九月下旬から十月上旬にかけて発電事業者を募集した結果、登録された事業者数は三十五に上り、その内訳は、屋根貸しビジネスの実績がある六事業者、太陽光発電の販売、施工等を行っている十七事業者、その他、新規参入の十二事業者と、多種多様な形になっています。
○小磯(善)委員 屋根の借り手である発電事業者、これは全部で三十五ということで登録がなされたようでございますが、次の段階は、屋根の貸し手である建物所有者の募集であります。
既に屋根の募集も始まっているとのことでございますが、屋根の条件など具体的な募集方法について伺います。
○谷上環境都市づくり担当部長 募集する屋根につきましては、固定価格買い取り制度の買い取り期間が二十年のため、おおむね二十年間の貸し付けが可能であることや、発電量の全量売電には十キロワット以上の出力が必要なため、屋根面積として百五十平方メートル以上であることを主な条件としております。
ただし、固定価格買い取り制度におきましては、複数の太陽光発電の組み合わせで十キロワット以上になる場合も全量売電の対象となることから、複数の屋根をまとめて百五十平方メートル以上となる場合も応募できることとしております。
また、建物所有者は、応募に当たって、屋根の面積や形状などの基本情報を登録するとともに、その情報を提供してもよい発電事業者をリストから選んで提出することとしております。
○小磯(善)委員 複数の屋根をまとめて百五十平方メートル以上というのは、大変いいところに目をつけたなという感じがいたします。
貸し手である建物所有者が、借り手である発電事業者を選べる仕組みということでございまして、これで建物所有者の応募があれば、実際のマッチングが可能な状況ということになるわけでございます。
都は、建物所有者と発電事業者の間に立って、具体的にどのような役割を果たしていくのか、お伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 都の行いますマッチング事業の基本的な流れでございますが、まず、都は、建物所有者が選んだ発電事業者に対して屋根情報や連絡先を提供し、発電事業者が速やかに建物所有者と連絡をとった上で屋根の賃貸借に係る協議に入るよう促します。この後は、建物所有者と発電事業者が、当事者同士で実際の屋根を確認しながら契約に向けた賃料等の協議を行うこととなります。
都は、建物所有者と発電事業者が実際に顔を合わせ、協議を進めやすくするための場として、十一月下旬に、都庁で屋根貸しセミナーを開催する予定でございます。このセミナーでは、屋根貸しビジネスのメリットや、実際に屋根を貸す際の留意点の説明、屋根貸しビジネスの実績がある発電事業者による事業紹介などにより、建物所有者の理解を深めてもらうことを目的としているところです。
○小磯(善)委員 東京より先にこの事業を始めた県もあるようでございますけども、そこは、それぞれ屋根を貸す側と発電事業者を募集しただけで、なかなか、その後は、まだマッチングしているというふうには聞いていないわけでございますけど、これから、屋根貸しの人と発電事業者を本当にきちっと組み合わせて、この事業をきちっと軌道に乗せるという大変大事な局面に入ってくると思います。
そういう中で、やっぱりセミナー等を行って、それで、双方のいろんな問題点とか、また要求するものとか、そういったものがいろいろと話が出てくると思いますので、そういったところをしっかり都は掌握をして、今後の屋根貸しマッチング事業に生かしていくということをよろしくお願いしたいと思います。
あと、もう一ついえることは、八王子市でも、要するに、小学校、中学校の屋根を貸す事業を始めたわけでございますが、東京都としても、こうした公共施設というのはかなりあるんだというふうに思っております。屋根貸しにふさわしい、そういった公共施設についての調査もしていただいて、その可能性を探っていただきたいなと、こういうふうに要望しておきたいというふうに思います。
太陽光でございましたが、次に、これからは太陽熱の利用も大変大事でございます。再生可能エネルギーの今後の可能性ということで、コジェネなど熱の高度利用ということで、これが二〇三〇年に二千五百万キロワットの可能性があると。二千五百万キロワットといえば原発の二十五基分ということで、このコジェネというのが、我が国にとっては大変有意義なエネルギーの利用であるということでございます。
太陽熱利用というのは、太陽光発電に比べて、比較的狭いスペースでも設置可能で、コストも半分程度というメリットがあり、給湯とか、また暖房といった熱需要の多い家庭を中心にもっと普及されるべきと考えますが、太陽光発電の躍進の陰に隠れて導入が十分に進んでいない状況でございます。
このような状況を踏まえて、都は昨年度から、住宅供給事業者を対象として新たな太陽熱の導入補助事業を構築して、補助申請を受け付けているということでございますが、現段階で補助事業の成果がどうなっておるのか、お伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 太陽熱利用の低迷している現状を打破し、市場を再生させるため、都は、今後の普及に資する新たな技術を公募、採択し、これを新築住宅に導入する住宅供給事業者を支援する補助事業を昨年度構築しました。
新技術の公募は既に二回実施しており、学識経験者による審査を経て、合計六十二に上る新たなシステムを採択し、新築住宅にこれらが導入される場合の補助申請を昨年十一月から受け付けております。
補助開始からまだ一年たたない現段階で、十三件の物件、合計千八十六戸に上る補助申請を受け付けており、そのうち二件は既に竣工しております。これを、都が平成二十一、二十二年度の二カ年間実施した太陽熱補助の実績と比較しますと、導入は倍増しております。
都は、今回の補助事業により、太陽熱利用の有効性が実証される新たな事例を多数生み出し、その成果を積極的に発信することで太陽熱の認知度を向上させ、加速度的に導入を促進してまいります。
○小磯(善)委員 千八十六戸で十三件の物件ということでございますので、マンションとか、そういったところでの太陽熱の利用が進んでいるということがわかるわけであります。
国も含め社会全体が太陽光発電ばかりに目が向いている中、都は、太陽熱利用についても、しっかりと現状を踏まえた対策を講じて、着実に成果を上げ始めているということがわかりました。ぜひ太陽光と太陽熱の両方を普及拡大するこれまでの姿勢を堅持して、太陽エネルギーのポテンシャルをフル活用できる社会の形成に取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、波力発電について伺います。
この波力発電につきましては、我々、都議会公明党は関心を持って、二〇一〇年の第二回の定例会での代表質問、また、二〇一一年の第三回の代表質問でも、私が波力発電については質問をさせていただきました。
この波力発電といいますのは、面積当たりのエネルギーは太陽光の約二十倍ということで、大変魅力のある再生可能エネルギーということでございます。そういう波力発電については、東京都が声をかけて検討委員会を設けて、それで、いろいろと実証実験を目指して頑張っておられるわけでございます。
この波力発電検討会の専門家による検討の成果として、波力発電の実証実験の実施に向けた準備が進められているということでございますが、現状及び今後の見通しについてお伺いをいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 波力発電につきましては、実証実験の実施に向け、主体である民間事業者が、国の支援も得ながら、海底地形や地質等の基礎調査を着実に進めています。
今後は、この基礎調査を踏まえ、平成二十七年度までに、実際の波力発電設備の設計、製造を経て、実証実験が実施される予定でございます。
○小磯(善)委員 平成二十七年度までに、この実証実験が実施されるということでございます。
ともかく、日本は四方を海に囲まれた島国であるということ、また東京自体も、島しょ部が大変海に恵まれているということで、海洋エネルギーのポテンシャルは非常に高いということでございます。
再生可能エネルギーの利用を飛躍的に拡大するためには、将来的には海洋エネルギーを活用することが必要不可欠であり、この波力発電の実用化に向けて、都が引き続き、事業者と連携、そして協力していくようお願いをしたいというふうに思います。
震災後の電力危機によって、近年、特に再生可能エネルギーへの注目度が高まっておりますが、都は、既に六年前に再生可能エネルギー戦略を策定して、二〇二〇年、二〇%という高い利用目標を掲げています。この戦略に基づき、都はこれまで、実効性の高い施策を打ち出して着実に成果を上げてきているわけでございますが、ここに来て、固定価格買い取り制度の導入など、再生可能エネルギーをめぐる状況は大きく変化をしているわけであります。
先日行われました第三回定例会の代表質問で、我が党の野上純子議員の質問に対して、東京都は、時代状況の変化も踏まえ、再生可能エネルギー施策を体系的に整理し、東京における再生可能エネルギー全体の利用拡大に向けた実効性ある新たな戦略策定に着手していくと答弁をされたわけでございます。
そんなことで、この二〇%というのをどうやって達成していくのか。このエネルギーはこれぐらい、このエネルギーはこれぐらい発展させてこれを達成する、そういう具体的な、二〇%に向けた戦略を打ち出していく、その戦略策定に着手していくという答弁があったわけでございます。
そのためには、きょう質疑をしたものも含めて、再生可能エネルギーの導入を飛躍的に加速させる具体的な取り組みを不断に積み上げていくことが必要でありまして、今後のさらなる環境局の取り組みの拡大を期待するところでございます。よろしくお願いいたします。
次に、電気自動車について質問いたします。
最近、この電気自動車におきまして、貨物用車種の販売が開始されたとのことでございます。
都においては、環境性能のよい自動車の導入を進めていますが、EVの車種の拡大を踏まえて、電気自動車の導入に積極的に取り組むべきであると思いますが、例えば、今のところは、この前いただいた事業概要によりますと、電気自動車は、東京都はまだ一台なんですよね。プラグインハイブリッドはまだゼロと。むしろ区市町村の方が、電気自動車が三十三台、プラグインハイブリッドが一台ということでございまして、都庁の電気自動車の導入という面では、いささかおくれているんじゃないかな、こんなことを思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○山内自動車公害対策部長 都内における自動車部門からのCO2を削減するためには、環境性能のよい自動車の導入促進を図っていくことが重要であり、幅広い普及を目指して、中小企業者への導入支援とともに、都の庁有車への導入にも取り組んでおります。特に、走行時の排出ガスがなく、CO2の削減効果の高い電気自動車、EVを普及させていくことは効果的でございます。
都庁におきましては、貨物用の車の占める割合が非常に多いものですから、当初、市場に投入されていたEVの車種は乗用のみでございましたが、昨年末から、今、委員の方からお話がありましたとおり、貨物用の車種について新たに販売が開始されましたので、都においてもその導入が始まっております。
今後、さらに車種の拡大も想定されることから、使用実態を踏まえ、庁有車へのEVの普及拡大を図ってまいります。
○小磯(善)委員 そういうことで、電気自動車の導入が、車種も多くなったということで、今後、積極的に導入をしていただけるというご答弁でございました。
実際、ハイブリッドだとか、CNG車だとか、低公害車等の導入というのは大変頑張ってきていただいていますので、今後のEVの普及についても、恐らくふえていくんだというふうに期待をするところでございます。
それから、きのう、倉阪先生のお話を聞いたときに、いわゆる蓄電池というのは、単体では大変高いものなんだけども、いわゆる電気自動車に取りつけられた蓄電池というのは、そういった意味では安価であると。それで、例えば日産のリーフなんかも、二十四キロワットアワーで、一世帯でこれを蓄電池として使った場合、上手に使えば二日分ぐらいの電気はあるんだという話がございました。
そういった意味では、今後、電気自動車の蓄電池としての役割というのも大変重要になってくるんだなというふうに思っております。そういった意味で、電気自動車を普及するということは大変大事なことだというふうに思っております。
そして、電気自動車の普及に当たって大事なことは、急速充電器の普及も重要でございます。東京都は、都内の急速充電器の設置について、補助金をつけたりして取り組んできておられるわけでございます。
EVは、一回の充電による走行距離がガソリン車に比べて短いことから、EVの短距離移動を補うために、高速道路のパーキングエリアやサービスエリアへの急速充電器の設置を進めることが重要と考えます。設置が進めば、高速道路を利用したEVでの長距離移動がよりしやすくなり、EVの普及も促進されるのではないでしょうか。
EVの急速充電器が高速道路ではどれぐらい普及しているかということにつきましては、私がこの資料を見た限りでは、その資料がもうどこか、見当たらなくなりましたけど、とにかく、中央自動車道には、この急速充電器はどこも設置されていないんですよね。それから、東京都内の、例えば首都高だとか、いろんな高速道路があるんですけれども、一カ所しか設置されていない。
資料を見た限りではそうだったわけでございますが、例えば、中央高速でちょっと遠いところへ行こうと思えば、どこかに急速充電器があるというのがわかっていれば、電気自動車でも、さあ、行こうかということになるんですけれども、そんなことで、やはり高速道路の急速充電器の設置を積極的に進めるべきだというふうに思います。
それからまた、これは答弁は要らないんですけれども、要するに、急速充電器の規格というのがいろいろありまして、日本の場合は、日産自動車、トヨタ自動車などでやっている規格はチャデモ方式という急速充電器なんですね。ところが、アメリカとかドイツ、本当に世界を席巻するそういう大手の会社は、コンボ方式という方式でございます。
日本のチャデモ方式というのは、充電中にお茶でもどうぞということで、チャデモ方式という名前だそうでございますけれども、チャデモ方式は、実際、千六百カ所以上にきちっと設置をされている。
ところが、アメリカがやっているコンボ方式というのは、まだコンボ方式の電気自動車は一台も存在しないという状況なんですけれども、実は、国際標準という意味では、いわゆるコンボ方式の方が先行しているという、まことに不思議な状態になっておるということでございます。
ですから、日本が幾ら技術があっても、やっぱりそれを後押しする国としての戦略というんですか、これが大事だということであります。だから、コンボ方式が世界標準になりますと、チャデモ方式でずっと進んできた日本の電気自動車というものが、やっぱりおくれをとって--おくれをというか、今までの投資が、ひょっとしたらむだになってしまう危険もあるということでございまして、日本が進めているEVの急速充電器の規格については、このチャデモを国際標準化できるように、都から国にもしっかりと要請をしていただきたいなと、こんなふうに思っております。
そんなことで、高速道路の急速充電器の設置を積極的に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
○山内自動車公害対策部長 EVを一般に広く普及、浸透していくためには、より利用しやすい環境を整えることが必要でございます。
都は、平成二十一年六月から平成二十四年三月まで急速充電器の設置補助を行い、EVが利用しやすい環境を整備してきました。現在、都内においては九十カ所の急速充電器が設置されており、日常的なEV利用の利便性の確保が図られているものと考えております。
一方、EVの高速道路を利用した長距離移動が可能となれば、EV利用の利便性の向上が図られるものと考えております。
高速道路会社におきましては、パーキングエリア、あとサービスエリアへの急速充電器の設置に取り組んでいると聞いておりますが、先ほど委員からご紹介がありましたとおり、まだ設置のないところもございますので、今後、高速道路会社と情報交換を行い、高速道路のパーキングエリア、サービスエリアへの急速充電器の設置の普及拡大について要請してまいります。
なお、先ほど急速充電器の規格についてのお話がございましたが、今、国際的な動きがいろいろ進んでいる最中ですので、都としてもしっかりと注視していきたいと考えております。
○小磯(善)委員 今、設置の普及拡大について要請していくというご答弁でございましたので、また、規格についても、しっかりと都としても注視をしていっていただきたいということを要請いたしまして、これで私の質問を終わります。
○かち委員 私からは、まず、大気汚染の対策について伺います。
東京大気汚染公害裁判から、既に五年になろうとしております。そして、この和解条項には、医療費助成の課題と環境対策への実施が記されています。国や都、首都高は、原告団と協議しながら具体的な改善を進めることが求められています。その見直しも来年に迫りました。
大気汚染状況は、NO2やSPMは、この間の取り組みや景気動向なども影響して改善傾向があるといえます。しかし、資料を見ますと、NO2の全国比較では、松原橋、大和町、上馬の三地点が、過去五年間のワースト三位以上に位置するという不名誉な事態が続いています。
松原橋付近の大気汚染対策としては、土壌浄化装置の設置などにも取り組んできたわけですが、にもかかわらず、全国他の地域に比べて改善が遅いのはなぜでしょうか。しかし、SPMとは必ずしも一致していません。その要因は何でしょうか。
○中村環境改善部長 二酸化窒素、NO2でございますけれども、二酸化窒素濃度につきましては、例えば松原橋測定局における平均値は、平成十三年度は〇・〇五二ppmから平成二十三年度は〇・〇四二ppmと改善しているなど、ご質問の三地点のすべてにおいて改善が進んでございます。
また、浮遊粒子状物質、SPM濃度についても改善が進んでおりまして、平成十九年度以降は、ご質問の三地点だけでなく、都内のすべての測定局が全国上位十位には入ってございません。
NO2、SPMにつきましては、工場などの固定発生源や自動車などの移動発生源などが原因で発生しております。NO2濃度及びSPM濃度につきましては、全国的に見ても低減傾向にございますが、発生源やその構成割合については、各地域の特性により差異がございますため、これらの濃度の減り方は異なっております。したがいまして、NO2濃度とSPM濃度の相対的な順位は、必ずしも一致しないと考えられます。
○かち委員 確かに、SPMは非常に改善をしていて、全国ワーストテンの中にも入ってこないというような状況があります。その大きな要因は、ディーゼル規制などによるところが大きいといえるんじゃないかと思います。
しかし、NO2対策には、さらなる改善が必要だということではないでしょうか。地形的なことも影響しているのでしょうが、全体的な改善に向けて、TDMやロードプライシング、大型自動車の走行規制など、総合的な対策を今後一層強化されることを求めておきます。
SPMよりもさらに小さい微小粒子状物質、PM二・五が体に及ぼす影響については、国立環境研究所の研究でも、呼吸、循環器系を調節している副交感神経の支配が強まり、ぜんそく様発作や心拍数の低下が起きると検出されています。この物質の規制値の設定や常時測定の設置が和解条項の一つにもなっています。
微小粒子状物質の国基準が、ようやく一五マイクログラム毎立方メートルと決まりました。昨年度から、都においても公式に測定が始まりました。測定器は、まだ全測定局への設置途上でありますが、二十三区内の一般局の達成は、九カ所中二カ所のみ、自排局は、十二カ所中一つも達成していません。この結果をどのように認識しているでしょうか。
○中村環境改善部長 まず、微小粒子状物質、PM二・五の環境基準についてでございますけれども、長期暴露による健康影響を踏まえて設定された長期基準では、我が国で健康影響があるとみなせる濃度水準は、年平均値で一立方メートル当たり二〇マイクログラムとされましたが、国外知見や不確実性も考慮して、一立方メートル当たり一五マイクログラムとされるなど、より厳しいレベルで設定されたものでございます。この値は、EUの環境基準である一立方メートル当たり二〇マイクログラムと比べても厳しく、アメリカの一立方メートル当たり一五マイクログラムと同じレベルでございます。
都では、国が平成二十一年にPM二・五濃度の環境基準を設定する以前から、大気中のPM二・五濃度の連続測定を行ってきております。この測定の方法は、平成二十一年に国の設定した測定方法とは若干違いがございますけれども、その結果によれば、都内大気環境中のPM二・五濃度は、ディーゼル車規制などの効果で、この十年間で約五五%減少しており、現在も削減が進んでいる段階であると考えられます。
今回のPM二・五濃度の常時監視測定結果は、国が定める測定方法により、平成二十二年度に設置した二十八カ所の測定局での結果でございます。平成二十二年度から二十四年度の三カ年をかけて測定体制を整える初年度での結果でございまして、現時点では都全体の状況をあらわすものではないと考えてございます。
なお、環境基準の達成は、一般環境測定局、これは多摩地域も含めて二カ所のみでございましたけれども、このほかの三カ所で、黄砂の影響のために環境基準を達成しておらず、黄砂期間を除くと五カ所で達成していることになります。
これらのことを勘案して測定結果を見ていく必要があると考えております。
○かち委員 基準設定以前から、東京都としては、四カ所で定点観測地域での経年変化を見てきているのですが、測定方法が違うので一概には判定できませんけれども、減少はしてきているということです。確かに、まだ全測定局の結果は出ていないので、今後も注視していきたいというふうに思います。
微小粒子状物質検討会報告書を都の方で出しておりますが、発生要因は多岐にわたるようですが、それだけに、今後も広域的、継続的に調査研究を続けることが重要とのことですが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○中村環境改善部長 PM二・五には、大気中に直接粒子として排出される一次粒子と、排出されたガス状の物質が大気中で粒子に変化してできた二次生成粒子とがございます。
一次粒子には、燃焼に伴って発生するすすや、土壌、海塩などが含まれておりまして、また二次生成粒子には、燃焼施設や火山から排出される硫黄酸化物が粒子化した硫酸塩、あるいは揮発性有機化合物、VOCを含む塗料、あるいは燃料使用施設や植物から排出されるVOCが粒子化したものと考えられる有機炭素などが多く含まれております。
発生源別の割合で見ますと、都の調査では、都内の発生源の寄与割合は約一五%、関東六県からの移流は約三四%、関東以外からの移流は約一八%などでございまして、広域的に発生しております。
このように、PM二・五の発生源は多岐にわたっており、また都外からの移流もあるなど、その生成機構には未解明な部分も残ってございます。
このため、都では、これまでも行ってきた常時監視データの解析による大気中の挙動や二次生成機構の解明などを引き続き進めてまいります。あわせて、行政区域を越えて広く存在する発生源の実態や二次生成機構などを解明し、総合的かつ広域的な対策を講じるよう、国に対して引き続き求めてまいります。
○かち委員 お聞きしていますと、大変複雑な生成過程を経ている物質だということがわかります。そして、都内の発生源の割合は一五%、生成機構には未解明の点も多いなどから、総合的、広域的な対応を国に求めていくとのことでしたが、同時に、都としても、近県などと共同研究、調査などを強化していくことを求めておきたいと思います。
これまでの段階では、都内のディーゼル車規制が功を奏していることから、この対策を推進していくことの重要性も指摘されています。また、今後の予測では、平成二十八年度時点では一七・二マイクログラム・パー・立方メートルであり、基準をクリアできない見込みです。さらなる対策が求められていますけれども、いかがでしょうか。
○中村環境改善部長 PM二・五濃度は、ディーゼル車規制あるいは廃棄物焼却炉対策、VOC排出抑制対策といった、これまで取り組んできた粒子状物質全体に係る対策により大きく改善してきております。
加えまして、平成二十三年度からは、VOC等が二次生成粒子の原因となることから、揮発しやすい時期に着目した夏季のVOC対策を実施してございます。
さらに、より一層の低減を図るためには広域的な対策が必要と考えられます。このため、今年度からは、隣接県、政令市と連携し、広域的な視点から新たな取り組みに着手しており、今年度は、共同で事業者に夏季のVOC対策を行うよう呼びかけております。
今後も、これらの対策を着実に推進していくことにより、PM二・五濃度の一層の低減を図ってまいります。
○かち委員 次に、地球温暖化対策について伺います。
地球温暖化が加速する中で、世界的に異常気象を引き起こし、日本でも、集中豪雨や竜巻等々さまざまな被害が起きています。自然の猛威を目の当たりにして、改めて地球温暖化対策を抜本的に強化しなければならないと実感しているところです。
東京都の二酸化炭素削減計画は、二〇二〇年までに、最もCO2排出量の多い二〇〇〇年度比二五%削減ですが、本来なら、京都議定書の基準年である九〇年度比を目指すべきと思います。
とはいえ、東京のエネルギー消費量は、五年前から、微減ではありますが減少を続けています。この減少をどのように見ているでしょうか。
○山本都市地球環境部長 都の目標につきましては、低炭素都市の実現を目指しまして、都が本格的に地球温暖化対策に取り組み始めました二〇〇〇年を基準にして、二〇二〇年までに二五%削減をするという目標でございます。
平成十八年度からのエネルギー消費量の低下傾向につきましては、都がこれまで、地球温暖化対策計画書制度などのさまざまな地球温暖化対策を積極的に進めてきており、こうした都の取り組みなどもあって、都内のエネルギー消費量が低下傾向にあるものと考えてございます。
引き続き、都は地球温暖化対策を着実に進めてまいります。
○かち委員 昨年は、福島原発事故により原発ゼロの状況下で、電力不足を予測し、一部計画停電まで行い、相当厳しい節電対策がとられました。また、一部混乱も招きました。
都は、ことし五月、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針を策定し、昨年の経験を生かした賢い節電の実践を呼びかけてきました。この夏の取り組みと、その成果について伺います。
あわせて、当面、火力発電への依存が避けられない状況下で、どのように賢い節電の定着を図っていくのか伺います。
○松下環境政策担当部長 都は、今夏も、事業者向けの節電・省エネセミナーや無料省エネ診断の実施、家庭向けの節電アドバイザーの派遣等により、賢い節電の定着を誘導いたしました。
ことしの夏の最大電力は、震災前の平成二十二年度夏に比べ、平均八百八十万キロワット、約一七%程度低い値となっておりまして、照明の見直しを中心とする無理のない賢い節電が確実に定着していると認識しております。
今後とも、効果を見定めた賢い節電の実践を誘導いたしまして、東京のエネルギーの利用効率を高めてまいります。
○かち委員 今のご説明だと、東京都のエネルギー消費量は、平年で六千万キロワットに対し、二十三年度は約五千万キロワットまで節電し、ことしは五千百十五万キロワットという経過だったということから、平年よりも八百万キロワット強程度の節電は、無理なく賢く節電できるということです。
これまでは、大量生産、大量消費が経済発展であると考えられてきましたが、しかし、原発事故や、使用済み核燃料の処理技術がいまだないということや、資源には限りがあるということから、エネルギー消費のあり方が見直されつつあります。そして、原発に頼らなくてもエネルギーを賄えるということは、ことしの夏でも実証されました。
省エネ技術の進歩や人口減少時代の到来などから、エネルギー消費はさらに大幅に縮減させることが可能です。産業技術研究所の試算では、現在の消費の約半減まで可能だと試算されています。
これらのエネルギー供給は、一極集中ではなく、地域分散型、自立型、地域の特性に合った多様なエネルギー創出が必要であり、その可能性は原発の四十倍ともいわれています。それらの開発を促進し、新たな産業に位置づけることが経済再生にもつながっていきます。東京都から、そのイニシアチブをぜひとっていただきたいと思います。
次に、再生エネルギーについて伺います。
先ほど波力発電についてのご質問がありまして、現況と見通しについてありましたので割愛いたしますが、今後、三年後までに、設計、製造を経て実証実験に入るということで、まだまだ先の長い話ではありますが、この実証実験における都の役割と、実用化によって期待される効果などについてお聞きしたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 波力発電のような新技術の開発は、本来、事業者が主体的に行い、国がその支援を行うべきものですが、数年前まで、国においては積極的な取り組みがなされてきませんでした。
そこで、都は、東京の島しょ部における海洋エネルギーの将来的なポテンシャルの観点から、三年前に波力発電検討会を立ち上げ、その成果として、国及び事業者の取り組みを引き出してまいりました。
波力発電の実用化による海洋エネルギーのポテンシャル活用に向け、都は引き続き、事業者と連携しながら、実用化に向けた取り組みに協力してまいります。
○かち委員 本来国が行うべきものを怠ってきたから、都がイニシアチブをとって取り組みを引き出してきたのだというご答弁でしたが、海に囲まれた日本の条件を生かし、波力、洋上風力や潮力発電など海洋エネルギーの可能性は大変大きく、各地で取り組みが行われています。
新たな再生エネルギーの技術開発を都が主体となって取り組む、あるいは支援をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○谷上環境都市づくり担当部長 新技術の開発段階における支援は、国がその役割として行うべきものであると考えます。
都は、実用化に至っている再生可能エネルギー技術の普及拡大に引き続き取り組んでまいります。
○かち委員 いろんなことに東京都は率先的に取り組んできている立場ですから、ぜひエネルギーの新たな開発についても取り組んでいただきたいと思います。先ほど質問がありましたけれども、環境科学研究所の拡充などもぜひ含めて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
この夏、私は現地を見てきましたが、福岡市では大学との実証実験中の洋上風力発電、北九州市での八幡製鉄とのタイアップでスマートシティーのモデル事業など、市が主体になって、こうした開発事業に取り組んでいます。
国の支援はもちろん必要ですが、その地域の特性に合った再生エネルギーの開発、実験、研究などを都として積極的に位置づけ、さらに多様な新エネルギーの開発を進めていくことを求めておきます。
太陽光発電における補助制度の活用状況と予算の執行状況はいかがでしょうか。
○谷上環境都市づくり担当部長 都は、平成二十一年度から補助事業を実施しておりますが、補助開始前の平成二十年度が月平均約四百二十キロワットであったのに対し、直近の平成二十三年度は月平均約四千二百キロワットとなり、約十倍にその導入速度を加速しております。
○かち委員 今のご答弁だと、まだ取り組みが始まっていない平成二十年度との比較でお答えになりました。事前にお聞きしたときには、二十一年、二十二年では約七倍に、二十三年、二十四年にかけて十倍にふえているんだというようなお答えをいただいております。
これは前進ではありますが、東京都は「十年後の東京」で、二〇二〇年までに百万キロワットを目標にしています。取り組みが始まった二十一、二十二と今回の二十三、二十四年の四年間フルに実績を上げたとしても、二十万キロワットそこそこという計算になります。目標の再生エネルギーの普及拡大には、もちろん都の制度を利用しないで普及している部分もあるとしても、目標にはまだおぼつかないという状況ではないでしょうか。
太陽光発電の屋根貸しシステムが始まりました。概要とか公募条項については、先ほどありましたので割愛しますが、私たちは、太陽光発電の抜本的促進のためには初期投資の負担軽減、ゼロにするなどの取り組みを要望してまいりましたが、この屋根貸し制度は一種のゼロシステムともいえるものです。
長野県内の市や町を初め、全国各地で始まっています。登録事業者が三十五ということで、実際にはこれからというところですが、クリーンエネルギーの創出に自分もかかわっているという意識と、毎月賃料収入もあるということで、大いに普及促進を図っていただきたいと思いますとともに、同時に、初期投資の軽減システムは引き続き検討することを求めておきます。
最後になりますが、事故由来の放射性物質への対応について伺います。
昨年三月十一日の福島原発事故によって放射性物質が広範囲に飛来し、東京でも各地に空間線量の高い地域が出現しました。国は、遅まきながら、被曝線量基準を年間一ミリシーベルト以下と定めました。それを空間線量で換算すれば、毎時〇・二三マイクロシーベルトということになります。
文科省の航空機測定や、福祉保健局の都有施設の百カ所調査によって、東部地域が比較的高線量だということが示された中で、環境局としては、昨年十一月に、東部地域の三つの都立公園における局所汚染状況を調査されました。その中で、都立中川公園の一角では、地上一センチで七マイクロシーベルト毎時という極めて高線量の結果が測定されています。
局は、三カ月ごとに測定し、高濃度地点においての減衰傾向を見ているのだということですが、東部地域における公園局所の高濃度地点の継続測定における今日までの測定結果についてどのように見ているのか、お聞きします。
○中村環境改善部長 都は、昨年十一月に実施した都有施設における局所的な放射線量の調査におきまして、比較的空間線量が高かった六地点を対象に、三カ月に一回、継続調査を行っております。
これらの地点の直上、地上高さ一メーターの位置の空間線量について見ますと、すべての調査ポイントで減衰傾向を確認しております。これは、時間的経過による放射性物質の物理的な減衰に加え、風雨などの自然的要因により減衰したものと考えております。
○かち委員 私もその調査結果を見ておりますけれども、地上一センチで七マイクロシーベルトの減衰状況では、四回ぐらいはかっていますけれども、七マイクロから、せいぜい四マイクロ程度にしか減衰していません。直近では、そこから六十センチ離れても、〇・四一が〇・四八であり、減衰するどころかふえています。また、高さ一メートルの空間線量の比較だけをしていますが、篠崎公園では、汚染地点の放射線量はむしろ高くなっています。
セシウム134の半減期は二年です。セシウム137は三十年です。まだ二年もたっていない中で、それほど物理的減衰の結果とは思われません。むしろ、風雨にさらされ、自然的要因によって飛散し、しみ込んだりして減衰しているのではないでしょうか。
専門家から伺ったところ、除染しなければ鉱物に集積するという現象が起きるといわれています。問題は、外部被曝だけでなく、内部被曝が子どもたちにどう影響するかという点で、影響がないという検証はされていないということなんです。だから、可能な限り放射性被曝はない方がよいとされているわけです。
不特定多数の人々が往来し、特に子どもたちの遊び場である公園の中に簡単な囲いをしただけで時間的減衰を調査する意義がどこにあるのでしょうか。時間的減衰を確実に調べる必要があるなら、このような開放的な場所ではなく、隔離された中で調べるべきだと申し上げておきたいと思います。
昨年六月二十五日、水元公園の局所で国の基準を超える空間線量が検出されたことについては、どのような見解でしょうか。
○中村環境改善部長 文部科学省ガイドラインでは、周辺より高い線量率が予測されるポイントとして、建物の雨どい、側溝及び側溝の泥土、樹木の葉などを挙げております。
環境局は、このガイドラインに従い、昨年十一月、都有施設における局所的な放射線量の調査を行いました。調査の結果、これまでもお知らせしているとおり、ガイドラインの目安を上回る地点はなく、また距離による減衰を確認したことから、都有施設全般にわたる調査や経常的な調査は基本的に不要と考えております。
一方、本年六月、都立水元公園駐車場付近で行われた建設局の調査結果によれば、局所的に放射線量が高い区域内十四地点のうち九地点で、文部科学省ガイドラインの目安を上回る空間線量を確認したとされております。
詳細な原因につきましては、建設局が調査中でございますけれども、風雨などの自然的な要因によって生じたものではなく、施設の維持管理によるものと推察されます。したがいまして、これまでの考え方は変える必要はないと考えてございます。
○かち委員 一たん外に放出された放射性物質がどういう経過をたどるのか、だれにもわからないわけです。測定してみなければわからないということです。実際、局が昨年十一月に測定したときには国基準を超える地点はなかったわけですけれども、同じ公園内で局所汚染が見つかったではありませんか。
その要因についても、清掃の際、側溝の泥をかき上げたのだとしたら、同様の行為がほかでも行われていることは当然考えられるわけです。そうであれば、公園内の他の場所でも測定して、その有無を確認するというのが行政のとるべき姿勢ではないでしょうか。
同公園内はもとより、他の都有施設、都営住宅、都立学校についても測定が必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
○中村環境改善部長 先ほどご答弁したように、これまでの考え方を変える必要はないと考えてございます。
なお、念のため、本年六月、関係局に対しまして、都有施設において適切な維持管理が行われるよう注意喚起を行ったところでございます。
○かち委員 適切な維持管理を行うように注意喚起をしたということですけれども、それを行うにしても、測定した上で行うべきことです。
都の汚染状況に対する都民の健康への影響について、どのように認識しているのでしょうか。
○中村環境改善部長 除染に関連してでございますけれども、都内の空間線量は、関東地方の中でも高い水準にはなく、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域はないなど、面的な汚染はないものと考えてございます。
また、局所的な汚染につきましても、昨年十一月、これまで申し上げましたように、区部東部三区の都有施設を対象に調査を行い、文部科学省ガイドラインの目安である、地上高さ一メーターの位置での周辺より放射線量が毎時一マイクロシーベルト以上高い地点はなく、わずかに離れるだけで大幅に放射線量が減衰することを確認しております。
したがいまして、特段の対応は必要ないと考えてございます。
○かち委員 環境局が三つの公園でずっと経過を追って測定しているものを、先ほど私はいいましたけれども、減衰をしていない状況もあるじゃないですか。そして、環境局が測定したときには見つからなかったけれども、同じ公園内で国のガイドラインを超す地点が見つかっているではありませんか。六月二十五日、十二ポイント中九ポイントで超えていたんですよ。だから、建設局は、その土壌を二十トン以上入れかえるという作業を行っているんです。そういう事実を全く直視しないで、除染の必要はない、特段の必要はないなど繰り返すばかりでは、都民の理解も得られません。
先ほどからのお答えでは、空間線量の影響のみについて論じていますが、それは一面的です。ホットスポットには、私たちの調査では、一キログラム当たり二十五万ベクレルの場所もあったんです。これは、わずか一グラムを口にしただけで、五から六マイクロシーベルトの内部被曝になるんです。たとえ口に入っても大丈夫な環境で、子どもたちの健康を放射能から守るべきです。
国の対応方針では、都内の汚染状況には反映できません。都は、地上一メートルで周辺より一マイクロシーベルト以上というあいまいな国の対応方針で、健康上問題ないとする科学的根拠を示せるのでしょうか。
○中村環境改善部長 国が昨年十月に策定した方針は、福島県以外の地域における、周辺より放射線量の高い箇所に対応するための対応方針とされておりまして、地表から一メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所を、簡易な除染等を行う場合の目安としてございます。
国からは、この目安は、福島県外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安であり、地域内の除染に当たって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安と聞いてございます。
都は昨年十一月、この対応方針及び文部科学省のガイドラインに基づきまして、再三申し上げましたように、区部東部三区の、都内では比較的空間線量が高い場所について局所的な放射線量の調査を行ったところ、わずかに離れただけで大幅に減衰していることを確認しております。
都は、この対応方針は、都内における局所的汚染箇所への対応を図るに当たって妥当なものであると認識しております。
○かち委員 今ご答弁にもありましたように、この基準の目安というのは、福島県以外の相対的に高い汚染地域の除染の優先順位を決めるために当面設定した目安ということなんです。だから、これ以下は除染しなくてもいいということにはならないんです。何ら科学的な根拠などないのではありませんか。だからこそ、都内各自治体は、〇・二三マイクロシーベルトをめどに、独自基準で局所対策をしているんです。東京都だけが国のあいまいな目安が妥当だと認識しているというのは、実態に全く即していないといわざるを得ません。
文科省のガイドライン、子どもの集まる場所での--とりわけ子どもへの対応に十分配慮することが必要であり、子どもの生活環境において優先的に実施するに対し、どのような対応をしていますか。
○中村環境改善部長 私ども、先ほどから申し上げています、都が局所的な箇所において放射線量を測定する際に活用している文部科学省ガイドラインは、人、特に子どもが集まる公的スペース等において放射線量を測定するに際して参考となるものとして作成されたものでございまして、都はこのガイドラインによって対応を行ってございます。
○かち委員 おっしゃっている測定のガイドラインではなく、除染の考え方についていっているのです。都は、都有施設について測定もしないし、地上一メートルで一マイクロシーベルト以上はないから除染もしないといっていますが、この立場が国の方針と違うということをいっているんです。
このガイドラインにより対応しているのであれば、まず、子どもの生活環境、学校や公園において測定をすることから始めるべきです。測定もしないで大丈夫だといっても、不信を買うだけです。測定して、より安全対策をとる、このことによって都民の安全を得る姿勢に立つことを重ねて求めて、質問を終わります。
○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十六分休憩
午後三時四十五分開議
○大松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○柳ヶ瀬委員 環境局所管の事業について、幾つか質問をしていきたいというふうに思います。
まず、災害廃棄物の広域処理について、次に、市中で見られる放射能に汚染された土について、また新発電所設置プロジェクトについて、そして再生可能エネルギーについて、順次質問をしていきたいというふうに思います。再生可能エネルギーについては、かなり各委員から出ていますので、通告をはしょった形でやっていきたいというふうに思います。
まず、災害廃棄物の広域処理事業についてですけれども、昨年発生した東日本大震災において、地震による大規模な津波により、膨大な量の災害廃棄物が発生しています。特に被害の大きかった岩手、宮城、福島、この三県は量が非常に多いわけですけれども、被災地では処理能力が不足していると。よって、その一部を被災地以外の自治体で広域処理をしていこうと、政府、環境省が主導して実施しているのがこの広域処理事業だというふうに理解をしています。
そこで、この事業に東京都も協力し、昨年十一月から災害廃棄物の受け入れを実施していますけれども、まず、この受け入れ状況についてお伺いをしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 都は、区市町村や民間処理業者と共同いたしまして、昨年十一月から岩手県宮古市、本年三月からは宮城県女川町、六月からは石巻市、八月から岩手県大槌町の災害廃棄物を受け入れております。今週末の十一月三日でちょうど一年となります。この九月末までに約四万五千トンを処理しております。
引き続き受け入れ、今年度末までに十三万トンを処理する予定でございます。
○柳ヶ瀬委員 今ご説明があったとおり、都内で九月末までに四万五千トン、そして、今年度末までに十三万トンを受け入れ、処理する予定であるということでございました。
これは結構な量になるんだなということですけれども、当初、この災害廃棄物の受け入れについては、放射性物質が含まれているのではないかということで心配をされていたわけであります。私も、最初の受け入れのときに、環境局の皆さんのお手配もあって現地の方に行って、どのようにその汚染状況を計測しているのかを視察させていただいて、非常に丁寧に測定をしているんだなということを現場で見てきたわけですけれども、事業開始から一年がたとうとしているわけであります。
そこで、実際に放射性物質はどれほどのものが含まれていたのか、この現状について教えていただければと思います。
○木村廃棄物対策部長 都は、現地から搬出する災害廃棄物について、毎回すべてのコンテナなどで放射線量を三回測定するとともに、月一回、放射能濃度を測定しております。
組成単位の放射性セシウムの分析結果では、災害廃棄物の多くを占める木くずなどでは、定量下限値以下から、一キログラム当たり数十ベクレルの範囲であります。また、数%から十数%混入している繊維くずや廃プラスチックでは、定量下限値以下から数百ベクレルの範囲となっております。これらのデータは、都のホームページで公表しております。
○柳ヶ瀬委員 それで、今答弁でもありましたけれども、非常に少ない濃度であった、低い濃度であったということで、焼却灰に関しても、これはすべて、一キログラム当たり八千ベクレル以下であったというふうに聞いています。
ただ、ここで問題にしたいのは、災害廃棄物についての国の基準が、可燃物に関しては、焼却後の焼却灰の放射能濃度が八千ベクレルを下回っていればよいということになっているんですね。つまり、国の基準は、燃やした後、出口の基準でしかないということで、逆にいえば、受け入れるときの基準がないんですね。どれだけ高いものを受け入れようとも、濃度の薄いものとまぜ合わせて処理をすれば、八千ベクレル以下の焼却灰を達成することができるということになると思います。
ですから、私は、この点が、高い濃度の廃棄物が入ってくるのではないかと広く都民に不安を感じさせてきた原因なのではないかというふうに考えて、これまでも指摘をしてきたところでございます。
そこで、現在、多くの自治体がこの広域処理に協力をしようということで手を挙げているわけですけれども、その中で自治体の多くが、災害廃棄物の受け入れ基準を一キロ当たり百ベクレル以下に制限するという入り口の基準を設けようとしています。
そこで、今後の受け入れに際して、都でもこの基準を採用するべきではないかと考えますけれども、見解を伺います。
○木村廃棄物対策部長 廃棄物に含まれます放射性セシウムが一キログラム当たり百ベクレル以下という基準は、特段の制限なく、市場にリサイクル製品として流通しても問題のない基準でありまして、廃棄物を処分するための基準ではありません。
受け入れた災害廃棄物は、バグフィルター等の排ガス設備のある清掃工場等で焼却し、排水設備の整った都の最終処分場で埋め立てております。都内の清掃工場等の排ガスから放射能は検出されておらず、都内で埋め立てている焼却灰等は、すべて八千ベクレル以下となっております。都内のごみを処理したときと災害廃棄物を処理したときで、変化はございません。
国の定める、焼却灰で一キログラム当たり八千ベクレル以下という処分基準を満たせば安全に処理ができます。
○柳ヶ瀬委員 国がいっていることはそういうことであるということなんですけれども、それでも不安だという声が多いので、多くの自治体では、受け入れ時に百ベクレルという基準をつくろうとしているということなんですね。
今おっしゃったとおり、この百ベクレルという基準は、廃棄物を安全に再利用できる基準だということで、これはクリアランスレベルと呼びますけれども、このクリアランスレベルというのは、放射能濃度が十分に低くて、放射性物質として扱う必要がないものを区分するレベルのことであります。ですから、このレベル以下の廃棄物は、一般の廃棄物と同様に、再使用や再利用してもいいよというふうに法で決められているわけですね。
逆にいえば、百ベクレルを超える放射能を帯びた廃棄物は、原子炉等規制法によって、放射性廃棄物として厳密に処理をしなければいけないということも決まっておったわけです。厳密にというのは、六ヶ所村などに建設された低レベル放射性廃棄物埋設施設などに特別な体制でこれを保管しなければいけないというのが、百ベクレル以上の廃棄物の扱い方だったんですね。
昨年の事故のずっと前からこのような取り扱いは決まっていて、事故までこの取り扱いをしてきた。それが、この原発事故が起きて大量に放射性物質が拡散された。その処理を何とかしなければいかぬということで、国は、焼却灰の基準を八千ベクレル以下としたということなんだろうというふうに私は理解をしております。これは、食品においてもそうなんですけれども、原発事故が起きてから基準を変更しておるということで、これでは、残念ながら安心は得られないだろうというふうに考えています。
実際に都が受け入れをしているこの災害廃棄物は、東京都のごみと比較しても、放射能濃度は低いくらいであり、百ベクレルにも満たないものがほとんどですね。ですから、今さらながらではありますけれども、百ベクレルを受け入れ基準とするということをぜひ検討いただきたいということを要望しておきたいと思います。
さて、東京都が災害廃棄物の広域処理に協力をする一方で、現地の廃棄物処理がなかなか進んでいないという現状もあります。環境省のデータによると、三県での災害廃棄物の総量が約千八百万トンであるのに対して、九月末現在で約五百万トン、割合でいうと二七%しか処理が終了していない。また、広域処理の必要量としては、先ほどの千八百万トンのうち百三十四万トンで、全体の約八%を広域の自治体で処理をしようというものとなっています。この数字からわかるとおり、広域処理する量というのは、全体の中のわずかな量なんですね。ほとんどは現地で処理をすることになっています。
この数字から見ると、被災地の瓦れきがなくならないのは、誤解している方もたくさんいらっしゃるんですけれども、広域処理が進まないということが理由ではなくて、現地での処理が進んでいないということ、これが主な原因なんですね。今の政府の現地での処理体制、ここに大きな問題があるんだろうというふうに思います。
では、この広域処理事業の必要性について考えてみたいというふうに思うんですけれども、私は、事業を始めたころと大分変わってきたなという印象があります。当初、政府は、災害廃棄物が総量で二千三百万トンあるといっていたんですね。だから、四百万トンの広域処理が必要だということで、必死になって各自治体に呼びかけていたわけです。つまり、千九百万トンは被災地で処理をして、四百万トンは外でやってくれよということだったわけです。
ところが、災害廃棄物の量をよく精査してみると量が少ないことがわかり、二千三百万トンといっていたものが千八百万トンだと判明してきた。これは、当初、現地で処理が可能だとしていた千九百万トンを下回る数字ですね。しかし、それでも広域処理が必要だとして、広域処理に必要な量が、四百万トンから百三十四万トンであるというふうに三分の一としたものであります。これは、災害廃棄物の量を当初はざっくりと多目に見積もっていたものが、処理が進むことにより実態が把握され、正確な量に近づいたものによるものだというふうに考えています。
ですから、今後も、この広域処理に必要な量、また、瓦れきの総量というものは減っていくだろうというふうに私は考えるわけですけれども、そこで、東京都が、岩手県と宮城県からの要請を受けて、この処理事業をしているということは存知をしているわけですけれども、改めて本事業の必要性についてお伺いをしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 本事業は、岩手県及び宮城県から要請を受けまして、被災地で処理し切れない災害廃棄物を受け入れ処理しているものでございまして、被災地の復旧、復興のために必要な事業と考えております。
既に、平成二十五年度分の受け入れ要請を受けまして、両県と調整を進めております。
都が災害廃棄物の受け入れ処理を進めた結果、宮古市では仮置き場が片づき、選別破砕施設の設置が可能となったり、女川町では、災害廃棄物が撤去された後の土地に魚の冷凍、冷蔵倉庫が建設されました。被災地からは感謝の言葉をいただいております。
○柳ヶ瀬委員 今おっしゃったように、都は、これに一生懸命協力をしているわけですね。ただ、これは、国の広域処理というスキーム自体に問題があるのではないかということを私は申し上げたいわけであります。
都は、各県から必要だという要請を受けて実施しているということですけれども、そもそもこの事業に係るコストですけれども、これは都が支払っているものではなくて、国の負担で実施しているわけですが、この事業費についてもさまざまな検証がなされています。
災害廃棄物の処理は、一兆円以上の税金を投じて実施される大事業であるということですけれども、現在の処理コスト、これが非常に高額であるということなんですね。産経新聞の記事によれば、阪神大震災における災害廃棄物処理費用の総額は約三千二百四十六億円で、これを割り返して一トン当たりにすると、処理単価は約二万二千円なんですね。これに対して、東日本大震災における岩手県の処理見通しは約三千億円で、一トン当たりの費用は、阪神の三倍に当たる六万三千円、宮城県は総額七千七百億円で、一トン当たりの費用が、阪神の二倍以上の五万円となっているということであります。
独法の国立環境研究所が出した「東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理に関する一考察-費用と処理期間の低減効果-」という論文がありますけれども、これを見ると、広域処理を進めれば進めるほど、当然、処理期間は短くなるわけですけれども、費用ははね上がって、その主な要因は輸送費によるものであるということを示しているわけであります。東京都までの運搬は貨物列車を使用していますけれども、被災地から遠い場所で処理すればするほど高額になっていくということなんですね。
そんな中、新聞報道で注目される発言があったわけですけれども、岩手県岩泉町の伊達勝身さんという町長の発言が取り上げられていました。広域瓦れき処理について、無理して早く片づけなくてはいけないのか、十年、二十年かけて片づけた方が、地元に金が落ちて雇用も発生するのではないかとして、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのかと疑問を呈したということが取り上げられていました。
当初、この広域処理に関して、東京都は真っ先に手を挙げて協力体制を築いて、このスキームを開始してきたわけですけれども、ここに来て、処理すべき量が大分減ってきた、また、コストも大分高いということもわかってきたわけで、この広域処理をめぐる環境も、都が事業に取り組み始めたころと大分変わってきたというふうに認識をしています。
このような側面があるということをよく考慮いただいて、環境局におかれましては、今後の広域処理に対するスタンスを決めていただきたいということを申し上げまして、次のテーマに移りたいと思います。(木村廃棄物対策部長発言を求む)特に答弁求めてませんけど……。
○木村廃棄物対策部長 私も被災地に参りますと、瓦れきを片づけるのが私の仕事じゃないと思っています、本来の水産業の仕事に従事したいんです、そういう意見を多く聞いております。被災地では、とにかく早期の復旧、復興を図るためには、瓦れきを片づけてほしいというふうに聞いております。私どもは、被災地の要望を受けて、引き続き災害廃棄物の受け入れを続けてまいります。
○柳ヶ瀬委員 わかりました。これは、都が悪いといっているわけじゃないんですよ。都は、各県から必要だという要請を受けて実施しているわけですから、これは必要なんでしょう。ただ、この事業スキーム自体が、こういったむだをはらむ構造にあるということをぜひ念頭に置いて、今後の処理ということを考えていただきたいということなんですね。
次は、都内の多くの場所で確認がされている、高濃度セシウムを含む土に関してであります。
先ほど、かち委員の方から、都有施設、都内の公園で局所的に高い線量が検出された等々の問題についてお話がありましたけれども、私は、それに似ていてちょっと違う話でございますが、福島第一原発事故に起因する放射能汚染は、事故から一年半以上たった今、東京都内でも、事故当初とは異なる状況にあります。
昨年三月にアスファルトやコンクリート等の人工構造物上に降り注いだセシウムが、雨や風によって路傍に寄せ集まり、月日を経て高濃度になっていきました。
これまでにも各メディアでも報道されましたが、江東こども守る会及び東京連合こども守る会という会の皆さんが、江東区や江戸川区などでこの土の実態を調査してきたということなんですね。その結果、これらの区内において、江東区内で一キロ当たり四万から九万ベクレル、江戸川区内で二十四万ベクレルという大変高濃度の汚染土が見つかったということが報告がなされています。
また、この汚染された土は、通学路や歩道、公園、駐車場など、まちじゅうの至るところで、一キロ当たり数千から数万ベクレルと予測できるものが散見されているとの報告もなされています。
そこでまず、都内の道路や駐車場、公園などにおける、このような高濃度セシウムを含む土の現状について把握をしているのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○中村環境改善部長 除染の判断でございますけれども、国のガイドラインにおいては、空間線量で評価するということにされてございます。
都内の空間線量は、福祉保健局の百カ所調査あるいは文部科学省の航空機モニタリング調査によりまして、関東地方の中でも高い水準にはなく、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域は都内にはないなど、面的な汚染はないものと考えてございます。
また、局所的な汚染につきましても、これまでご答弁しているとおり、昨年十一月、都内としては比較的空間線量が高いことが示されました区部東部三区の都有施設を対象に、文部科学省ガイドラインで放射性物質がたまりやすいとしているポイントを測定しましたが、ガイドラインの目安を上回る地点はなく、また距離による減衰も確認してございます。
このように、空間線量で都内の状況を把握しているところでございます。
○柳ヶ瀬委員 私も、こども守る会の皆さんと現地を視察してまいりました。ごく普通に子どもが遊んでいる公園の片隅などに、このような土が固まっているんですね。
先ほど質疑をした災害廃棄物に関して、私は、受け入れを百ベクレルにしてくれという要望をしました。廃棄物であれば、国の基準では、焼却灰が八千ベクレル以上であれば特別な保管方法をとらなければなりません。特別な方法というのは、具体的には、飛散防止策を講じた上で、排水を管理する管理型処分場に埋立処分にすることが決められているわけであります。
さっき、八千ベクレルとありましたね、百ベクレルというのがありました。その数値からすると、ここで発見されている四万から九万、そして二十四万というのが町中のあちこちにあるということが、いかに異常で高いものなのかということがわかると思います。
実際、都も、八千ベクレル以上の焼却灰が出たときには、特別な管理方法をとっているわけですね。ただ、その一方で、こういった高濃度に汚染された土に関しては、現状のところ、何の処置も施さずに路上に放置されておるということになっています。
そこで、このような多くの事例が報告をされていることから、まず、現状を把握するためにも、都がこの実態について調査をするべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○中村環境改善部長 今、理事のいわれました八千ベクレルでございますけれども、これは埋立処分場での埋立作業の際の基準ということで、町中でのことに適用するのは適切ではございません。先ほどご答弁したとおり、除染の判断は空間線量で評価するものとされておりまして、既に都や国などが調査をしてございます。したがいまして、除染の観点から、土壌について調査することは考えてございません。
今後とも、国のガイドラインに従って適切に対応してまいります。
○柳ヶ瀬委員 そうですね。八千ベクレルというのは埋め立ての基準ということなんですけれども、比較は成り立つと思うんですよ。八千ベクレル以上高いということであれば、これは特別に保管をしなければいけないということになっているわけですから、それ以上の土が路上に放置をされておるという現状があるということなんですね。
ですから、これは徹底した調査をしていただきたいと思うわけですけれども、この懸念は、さっきから線量の話をされているわけであります。国の基準は空間線量で決めているというところに、私はここに大きな誤りがあるんだろうというふうに思いますけれども、このような事例が報告をされている以上、今後、これらの物質がどのような挙動を示すのかということも含めて、徹底した調査と除染を求めたいと思います。
そこで、次の質問に移ります。
こうやって放射性物質の影響について質疑をしてきたわけですけれども、このような問題を二度と引き起こさないためにも、その要因である原子力発電に依存しないエネルギー供給が急務であるというふうに考えます。電力の大消費地である東京が成長を続けるためには、安定した電力供給体制の確保が必要であるということは論をまちません。地方にリスクを押しつけて、そこに安住するというのではなく、あらゆる東京の英知と技術を結集し、エネルギーの自給自足、地産地消を目指し、安定した電力供給体制の確立を目指すことが必要であります。
そのような中で、都は昨年八月に、百万キロワット級の発電所設置に向けてプロジェクトチームを立ち上げて検討を行ってきたというふうに聞いています。
そこで、この発電所の新設について、現在の状況と、今後どのような点に留意して事業を進めていくのかについて見解を伺いたいと思います。
○久原都市エネルギー推進担当部長 本年七月から一年間をかけまして、東京湾岸の発電所候補地周辺の大気、水質、動植物等の自然環境について調査を行っているところでございます。
今後、年内を目途に策定されます電力システム改革やグリーン政策大綱など、国のエネルギー、環境政策の動向や、東電管内の電力需給の状況など、本事業の推進に影響を及ぼす要因を踏まえつつ事業を進めてまいります。
○柳ヶ瀬委員 現在、自然環境の調査を実施しているところだと思います。東京の地産地消による電力の安定確保を進めていくことは、非常に意義のあることであります。ただ、この事業の中では、今後、政府が示していくであろう電源構成によって、採算性が左右されるという不安定要素もあります。売電単価が下がれば事業として成り立たず、公募に応じる企業はなくなるのではないかといった懸念もあります。
電力システム改革の動向を注視しながら進めていくことが必要ですけれども、普通に考えれば、需要が大きくて、事業の必要性は高まっていくだろうというふうに考えられます。老朽火力発電所のリプレースにも貢献できるように、一刻も早い発電所の設置が望まれるものであります。
そのためにはどうしたらいいのかということなんですけれども、大規模な発電所が設置されるということになれば、環境への影響など、地域住民、付近の人たちは不安を感じる場合もあるだろうというふうに思います。
そこで、現状、発電所の設置予定地が三カ所の候補地に絞られているというふうに聞いていますけれども、これまで地元に対してはどのように説明を行ってきたのか、また、今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いしたいと思います。
○久原都市エネルギー推進担当部長 プロジェクトの検討経過は、プロジェクトチームの会議終了後、記者会見を行うとともに、資料をホームページに掲載するなど、広く都民に明らかにしてまいりました。また、地元の理解を得るために、関係区に対しても直接説明を行ってきたところでございます。
今後とも、関係区や都民に周知した上で、発電所の候補地周辺の自然環境の調査を着実に進め、事業を次のステップに進めてまいります。
○柳ヶ瀬委員 今おっしゃったように、ぜひ地域に丁寧な説明をして、ご理解をいただきながら進めていただきたいというふうに思います。
非常に重要なプロジェクトであります。その中で、地元に対する説明というのが、多分、この事業をスムーズに遂行できるかどうかのかぎであろうと。事業自体は非常に魅力的な事業ですから、公募も多くの事業者が応募してくるだろうということは想定されるわけでありますから、ぜひ着実に事業を進めていただきたいということを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
エネルギーの安定供給を考えたときに、とることができる手段は大きく二つで、当たり前なんですけれども、需要を減らすか供給をふやすかのどちらかしかありません。
需要を減らすためには節電キャンペーンが有効であったということで、昨年からことしにかけて多くの皆さんが協力し、成果を上げてまいりました。しかし一方では、経済に与える影響なども考慮し、今後、節電による需要減が飛躍的に伸びることは考えにくいだろうと思います。
そこで、一方の供給をふやしていく施策が重要なわけですけれども、その施策として、都は、老朽化してしまった火力発電所のリプレース、また、先ほどの発電所の新設などを積極的に取り組んでいます。しかし、先ほど他の委員からもあったように、これらの化石燃料を使用した発電は、エネルギーに転換するときに膨大な二酸化炭素を排出するということで、地球温暖化への影響が避けられません。
現在のエネルギー供給の状況を考えると、原子力の代替エネルギーとしてフル稼働が求められますけれども、持続可能な社会を構築する上では、クリーンな再生可能エネルギーにシフトをしていくことが必要だと考えます。
そこで、都は、再生可能エネルギーについて、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%に高めるという、非常に高い目標を掲げているわけであります。この点については、先ほども質疑で出ていましたので、答弁を聞かずにそのまま進めますけれども、この二〇%に対して、現状は二・九%であるということなんですね。
では、どうやってこの二〇%を達成するのかといったときに、再生可能エネルギーを、都内産をふやしていくということは当然そうなんですけれども、それだけでは到底足りないわけであります。
そこで、都外で生み出される再生可能エネルギーをどれだけ利用できるかがかぎだというふうに考えますけれども、これについては、システム上、問題があるというふうに聞いています。
そこで、都は、電力の広域融通のための対応を、国に対して強く要求をしているとのことでありますけれども、それに対して国の見解はどうなっておるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 国が九月に発表した革新的エネルギー・環境戦略におきましては、電力システム改革の断行の一環として、地域をまたいで系統を運用する中立的な機関を創設し、送配電網の広域運用を実現すると記載されてございます。
○柳ヶ瀬委員 国は、電力システム改革を断行するのである、送配電網の広域運用を実現するというふうにいっています。これはぜひ実現をしていただきたいなというふうに思いますけれども、今後も紆余曲折があると思うんですね。その中で、都は、電力の大消費地としてほかの自治体をリードし、大規模な再生可能エネルギーのポテンシャルが活用できるように、その役割を果たしていただきたいというふうに思います。
この話は、都外で生み出す再生可能エネルギーをどう東京に引っ張ってくるのかという話なんですけれども、では、都内ではどうかということでいうと、先ほどから話が出ているとおり、太陽光発電を中心としてこれを高めていく、九十万キロワットという導入目標を掲げているということですね。
九十万キロワットというと、都内戸建て住宅の六分の一に相当し、三十万戸に設置するということになります。かなり高い目標であるわけですけれども、先ほどから屋根貸しビジネス等々の話が出ていましたが、かち委員からもさっきありましたが、これは、初期投資負担の軽減というのが大事であろうというふうに私も思います。
都内であれば三キロワットが標準かなと。三キロワットということであれば、百五十万円程度の初期投資になるということですね。百五十万というのは、やっぱり一回のキャッシュで払っていける額としては非常に高いということで、分割払いということになってくるわけですけれども、そのときに、私は、これは都がやるかどうかは別として、ぜひ分割払いにしたときの利子負担を補給していくというような制度を考えてはいかがかなというふうに思います。
今の固定価格の買い取り制度だと、設置費用を約十年で回収できるという設計になっていますけれども、この利子補給というのは、心理的な負担感を軽減する上で、非常に高い効果があるというふうに考えます。
そこで、この利子補給の制度についていかがかということで見解を伺いたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 太陽光発電の一キロワット当たりの設置コストですが、先ほど答弁しましたとおり、都の補助開始前の平成二十年度に七十万を超えていたものが、現状では五十万円を切るまでに低下し、普及に当たっての大きな障壁でございましたコストの問題は大幅に改善してきているという認識でございます。
初期投資の負担を軽減する方策の具体的な仕組みにつきましては、コスト以外にも、アフターケアや相談窓口の充実など太陽光発電に関する理解を促進し、安心して設置できる仕組みなどとあわせて、現在検討を進めているところでございます。
○柳ヶ瀬委員 ぜひ検討していただきたいというふうに思いますけれども、この普及策の中で、先ほどから出ている屋根貸しビジネスがあるわけです。これは非常によく考えたなというふうに思いますし、やりようによっては、非常に高い効果が得られるのではないかというふうに期待をするものであります。
ただ、その高い効果を得るためにはリスクを低減していかなければいけないということなんですが、幾つかのリスクが考えられるかなと思いました。
これは都が直営で行うということで、事業が大きな広がりを見せていく中で、マンパワー的に対応が大丈夫なのかという点が一つ。
それからもう一つは、発電事業者なんですけれども、先ほど、公募をして三十五ぐらいあったということなんですが、この事業は、屋根を貸したいという建物所有者に対して、都が発電事業者の一覧を示して選んでもらうという仕組みだというふうに思います。ということは、ある意味、都がこの発電事業者に対してお墨つきを与えるということになるんですね。
ただ、その事業者が本当にすばらしい業者なのかどうかというのは、なかなか難しいところであります。事業者の経営状況など、どこまで把握をして事業者を認定しているのか。例えば、事業者が倒産してメンテナンスができなくなったとか、または、こんなことはあってはならないですけれども、これが悪徳業者であったというようなことも考えられるわけであります。こういったことについてどう対処していくのか。
先ほどのマンパワーの分も含めてお答えをいただきたいというふうに思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 マンパワーの件についてですが、都は、このマッチング事業につきまして、まず、今年度末までと期限を区切り、試行的に取り組みを実施します。その後の展開につきましては、今回の試行的取り組みの状況を踏まえ、改めて検討していくこととしておりまして、現在、マンパワー的に都の対応が不十分でないかという状況になることは想定してございません。
それから、発電事業者とのトラブル等の関係でございますが、今回のマッチング事業における発電事業者は、都が特にお墨つきとか評価、認定するものではなく、あくまで登録、紹介を行うものでございます。
建物所有者の方のリスクを軽減するため、マッチングにおいては、まず、建物所有者が発電事業者を選び、希望する事業者に対してのみ建物所有者の情報を提供するという仕組みとなっております。また、事前の現地調査等に係る諸経費は発電事業者の負担とすること、今後の屋根修繕等の長期計画を踏まえた費用負担について十分協議を行うことなど、必要な注意喚起を継続的に行うことを予定しておりまして、都民の方々に不安を与えないよう万全を期しているところでございます。
○柳ヶ瀬委員 そうですね。都が特に評価、認定するのではなくて、あくまでも登録、紹介を行うということなんですけれども、登録して紹介をするということは、ある意味、都が認定をしているものであるというふうに思われてしまうということだと思います。
一度悪いうわさが立つと、市場は急速に冷え込んでいくものですから、できるだけリスクを減らすべき努力をしていただきたいというふうに思いますし、また、こういった事業が、非常に将来の期待性の高い事業だというふうに思いますけれども、今後、大きな広がりにつながれば民間に移行するべきであるというふうに考えます。その点についてはいかがでしょうか。
○谷上環境都市づくり担当部長 屋根貸しビジネスは、今後の太陽光発電の一層の普及拡大に有効と考えておりますが、現状では、建物所有者と発電事業者が接点を持つ機会がほとんどないため、都がその橋渡し役としてマッチング事業を開始することといたしました。
この取り組みを契機に、屋根貸しビジネスの市場が活性化し、民間主導で普及が進むようになる状況こそ都が目指すものでございまして、逆に、民間のさまざまな取り組みを促す起爆剤になるものと考えております。
○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。非常に期待しておりますし、ぜひこれを成功させていただきたいというふうに思います。
二〇二〇年度に再生可能エネルギーを二〇%とするという、非常に意欲的な目標を掲げているわけでございます。ぜひ都庁の英知を振り絞って、この目標を達成するべく努力をしていただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。
○西沢委員 私からも、再生可能エネルギーについてと東京都環境科学研究所についてお伺いをしたいと思います。質疑が大分かぶっている部分は、ポイントを絞って聞かせていただいて、質疑をするところは視点を変えて発言をしたいと思います。
再生可能エネルギーについては、さまざまな議論がございますけれども、千葉大の倉阪先生、先ほど小磯委員からもお話がございましたけれども、私もお話を聞いてまいりました。そうした中では、日本全体が、実はこの再生可能エネルギーのポテンシャルは高いんだよというような話、そして、地域ごとの地産地消のエネルギーの政策を打ち出すことができるんだと、そういったご主張、ご講演を聞いてきたところでもございます。
そうした中で、この辺の質疑は十分になされておりますので、特に、今、太陽光発電中心の再生可能エネルギーの導入について、都は二十一年から補助事業をしているわけですが、この辺の成果と今後に向けた施策の方向性というのをまとめてお伺いさせていただきたいと思います。
大きな成果を上げているということなので、その具体的な内容と、状況が目まぐるしく変わっている中で、今後の普及に向けた都の施策の方向性というものについてお伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 まず、成果の方ですが、都内の住宅用太陽光発電の導入量は、補助開始前の平成二十年度が月平均約四百二十キロワットであったのに対しまして、直近の平成二十三年度は月平均約四千二百キロワットとなり、約十倍に導入速度を加速しています。
また、都の補助開始が、国の補助制度の復活や余剰電力の買い取り制度を引き出したため、全国的にも太陽光発電の普及は飛躍的に拡大し、一キロワット当たりの設置コストは、都の補助開始前の平成二十年度に七十万円を超えていたのが、現状では五十万円を切るまでに低下しております。
また、都の施策の今後の方向性でございますが、都は、今後のさらなる普及に向けまして、住宅用の太陽光発電については、コスト以外の面にも着目し、アフターケアや相談窓口の充実など太陽光発電に関する理解を促進し、安心して設置できる仕組みの構築に向け、現在検討を進めているところでございます。
一方、今後の大きな伸びが期待される事業用の太陽光発電につきましては、全量買い取り制度のメリットを活用した新たなビジネスモデルの構築が必要であり、その一環として、都は、屋根貸しビジネスのマッチング事業を開始しているところでございます。
○西沢委員 これまでの成果というものはお答えいただいて、ある程度の金額の負担というものは軽減をされてきたということ、それから、これまで議論があった屋根貸しのビジネスというところに関して、これはこれまで議論がありましたので、これ以上は申しませんが、私も、なかなかいい手を考えてきているんだなというような感じがあります。
ただ、ユーザーの方が導入するメリットというものを考えるのは、やっぱりコスト的なもの、お金、予算、そうしたものが一義的に出てくるので、相談窓口やアフターケアという部分についてはもちろんなんですけれども、どうしてもこうした部分の方が工夫が大事になってくるのではないのかなというようには感じ、そういった要望なんかも出てくるところは真摯に対応すべきなのではないのかなと考えます。
そして、視点を変えて、この部分について質問をしてまいりますが、豊かな森林を東京は有しているわけでございます。森林は、CO2の吸収源としての公益的な機能を持ったり、都民全体がその恩恵を享受する共通の財産である。そこから発生する木材というものは、リユースやリサイクルが可能な環境に優しい資源であって、間伐材や製材の端材等は木質バイオマス燃料と、エネルギーの利用が可能であります。
この木質バイオマスの活用は、再生可能エネルギーとして地球温暖化対策に貢献することはもちろん、効果的な森林保全にも寄与することも期待できる。普及が進んでいるとはいいがたい今の現状があると考えますが、都ではどんな取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 都は、全庁一体となって取り組むカーボンマイナス東京十年プロジェクトの事業としまして木質バイオマスの活用を位置づけ、取り組んでまいりました。
スギ花粉発生源対策において発生する間伐材や剪定枝等の木質バイオマスを、下水処理施設で発生する汚泥の焼却時等に焼却を助ける助燃剤として使用することにより、通常、助燃剤として使用されている都市ガス等の代替エネルギーとして有効活用しております。
また、都施設においてペレットストーブの導入を推進するなど、木質バイオマスの新たな活用を進めてまいりました。
○西沢委員 この木質バイオマスについてですが、東京の森林の多くが多摩の西部にあるということから、この辺の活用というものが望まれている声がありますが、地域の市町村の取り組みがあると聞いています。これを支援することについてはいかがでしょうか。
○松下環境政策担当部長 都は、地域特性に応じた地球温暖化対策や緑の創出、保全に取り組む区市町村を支援するため、平成二十一年から二十三年度まで、地球温暖化対策等推進のための区市町村補助制度を実施いたしました。
この補助を通じて、多摩西部の三つの自治体が行う、森林資源を活用した木質バイオマスボイラーを地域の公共温浴施設に設置する事業に支援を行いました。
また、平成二十四年度からは、地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助制度によりまして、木質バイオマスの活用について、山間部の森林資源を有する近隣市町村の連携の仕組みづくりや流通に係る課題の解決に向けた二つの自治体の取り組みを支援しております。
○西沢委員 こうした今までの多摩の西部の市町村の取り組みを支援しているという話がございましたが、この普及拡大をするための取り組みとして、私は、例えば火力発電所の方で助燃剤として使うと。現在は、現地の方で、多摩西部の方でそのままで使っているというような話がございますが、助燃剤としてかなり効果があるというような話も聞きます。これは、花粉対策にも当然なりますし、エネルギー対策はもちろん、地域の振興や森林保全にもつながっていく施策となる。
流通の面からいって、少し離れた場所にそれを運ぶことはどうなのかというようなところですが、そこは、流通の面、コスト的な面、いろいろと可能性を考えてみる、検討してみる必要はあるのではないかと私は要望をさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
次に、環境科学研究所の調査研究のあり方についてお伺いをいたします。
環境科学研究所は、これまで議論がありましたが、先駆的な環境施策を推進する上での基礎データや科学的知見を提供しているほか、都や区市町村職員に対する測定、分析技術等の技術的支援を行うなど、重要な役割を担っていると認識しております。
一方で、専門性が高い試験研究機関であればあるほど、行政施策との関連性が外部からは見えにくく、研究のための研究に陥る可能性があるということが一般にいわれていることから、環境局は、調査研究テーマが行政ニーズに合致しているか、社会経済状況を反映しているかについて不断に検証するということが重要であると考えるわけであります。
研究をするための研究というようなことになってはいけないんじゃないか。そのテーマが重要だ、行政が研究しています、役立っていますといっても、それが外部に見えにくく、専門性が高ければわかりづらいという部分があるから、そうした部分はどういうふうにしているのかをお聞きしていきたいと思います。
まず、毎年度の調査研究テーマの選定はどのような手続で行われているのかをお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 環境局では、現在行っている環境施策の効果検証や、新たな施策の検討に必要な科学的、専門的、技術的な裏づけを提供する調査研究の充実強化に向け、調査研究等の基本方針を定めまして、調査研究等の目的、対象など基本的な方向性を示しております。
調査研究テーマは、同方針に基づきまして、局内の事業所管部と研究所で構成する研究調整会議において、必要性、実施方法、期間、経費等の事業の効率性、外部の研究機関等との連携の可能性等について検討を行い、選定しております。
したがいまして、すべての研究テーマは、環境局の行政施策を適切にサポートし、最新の行政ニーズを十分に反映した内容になっていると認識しております。
○西沢委員 テーマについては、研究調整会議というところで決まるというようなご答弁がありました。
この研究調整会議というのはどういったものなのか。どのようなメンバーで構成されて、どのような検討を行っているのか伺います。
○松下環境政策担当部長 研究調整会議は、局内の事業所管部の計画担当課長等から成る調整会議と、計画担当係長等から成る調整会議幹事会の二つで構成しておりまして、研究所側との調整を行っております。
これらの構成員は、部内各課における新たな施策の検討、事務事業の進捗状況の把握、国や他自治体等の施策の動き等に最も精通しておりまして、所管ごとの最新の行政ニーズを踏まえ必要な調査研究の内容を検討する最もふさわしいメンバーと認識しております。
この会議において、先ほど述べたように、必要性、実施手法等を検討の上、都が先駆的な環境施策を推進する上で必要な調査研究テーマを選定しております。
○西沢委員 つまり、この研究調整会議でテーマが決まるということでありますが、そのメンバーは課長級の職員の方、係長の方で構成される幹事会で決まるというような話であります。
当然、環境局の施策の方針というものは議会でもたびたびご報告もされて、その方向については都民の目にも大きくさらされる部分ではありますけども、この環境科学研究所のテーマについては、本日も議会で取り上げられるぐらい関心の高いものでありますから、私は、テーマの研究について広く意見を聞くというような姿勢があってもいいのではないかなというように感じます。
それは、例えば、きょう議会で議論があって、こんなテーマがいいんじゃないのかというような議論もありましたし、機能アップをするべきではないのかというような、もしくは拡充をするべきではないのかというような話もありましたが、これはお伺いしてよろしいのでしょうかね、こういうのも含めて、研究調整会議でテーマは決めるというようなことで認識してよろしいのでしょうか。
○松下環境政策担当部長 先ほど申し上げましたが、調査研究等の基本方針の中で、環境局行政、都の行政を研究所において補完する、あるいは研究所の先駆的な知見を施策に反映するというような方針が定められておりまして、そういうところを我々としてはきちんと踏まえてやってまいりたいと思っております。
○西沢委員 さまざまな都民の意見があると思いますから、テーマを決める、これは要綱ですか、方針についても、こうした視点を取り入れるような必要が私はあると思いますので、その部分がもし必要であれば、つけ加えていただきたいと要望させていただきたいと思います。
そして、調査のテーマが決まって、研究をしたその成果についてでありますけれども、この成果に関する検証についてお伺いをいたします。
これは定期的に取りまとめを行っているということでありますけれども、その成果については、都の職員や研究員の目だけで検証するのではなくて、できる限り客観性を担保することが必要だと考えますが、どのように検証を行っているのかお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 研究所では、調査研究の効率的、効果的な運営を図るため、学識経験者等五名から成る外部研究評価委員会を設置し、定期的に評価を行っております。
評価は、新規の研究等の内容、方法の適正化を見る事前評価、実施中の研究等について当該年度の成果を見る中間評価、研究期間終了後に達成度、発展性を見る事後評価の三段階で実施しております。
加えて、評価結果につきましては、すべての調査研究テーマについてホームページ上で公表し、客観性を担保しております。
○西沢委員 この調査結果はホームページでも公表して、だれでも見れるというようなことでございます。
このメンバーについても見ることができるということですが、このメンバーは学識経験者などで構成するということですが、どのような観点でどのようなメンバーを選定しているのかお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 外部研究評価委員会は、専門、技術的観点から研究内容の妥当性、研究成果、今後の展開可能性等について評価を行う場でございます。
そのため、実施している調査研究テーマに合わせまして、自動車工学、大気科学など五つの専門分野に関する豊富な知見を有する大学教授等の学識経験者を委員に委嘱しております。
本委員会は極めて専門性が高く、調査研究内容の詳細にわたりまして、その成果の進捗度、妥当性等の検証を行っております。
○西沢委員 この外部評価委員による検証ですが、今、これは極めて専門性が高く、その内容が非常に難しいというようなことなので、大学の先生などにお願いをしているということでありました。
私の観点は、冒頭にお話を申し上げたように、専門性が高いから、研究のための研究になってしまうのではないのかというようなことを検証できないかということでございます。専門性が高くてわかりづらい研究をするという中で、それを検証する人たちも専門性の高い人たち、これは当たり前ですが、ある程度知識がないとできませんが、都民目線を入れた方々も--それが専門性が高くて非常にすばらしいと。いいんだけれども、例えば莫大なお金がかかるであるとか、そういった部分が検証できるような都民公募委員というようなものを入れる必要性があるんじゃないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 研究テーマ、研究成果につきましては、先ほど来の答弁で申し上げていますとおり、かなり高度なことを研究所ではやっております。
そういう部分での都民の方の評価ということよりも、委員のおっしゃっているお話は、恐らく、もう少し研究所が開けた研究所になるべきじゃないかというようなご指摘だと思っておりますので、その辺につきましては、公開等いろいろ進めておりますが、さらにホームページの充実等を進めてまいりたいと思います。
○西沢委員 ホームページに出されている研究成果については、だれでも見ることができますが、その判断は、A、B、C、Dの四段階の評価で行われているということでございますが、ほとんどがAまたはB、たまにCがあるかなというようなことです。
Aはすぐれている、Bが普通、C、Dはそれ以降で、Dについては劣っている。事前評価、中間評価、事後評価ですが、抜本的見直し、計画変更ないし中止、劣っているという評価がDになり、これはないというようなことでありますので、それだけすぐれているものや、普通以上のA、Bの評価、高い評価が毎回毎回テーマとして研究がなされているということでもある一方で、お手盛りなんじゃないのかなと思われてしまわないように、この辺については、予算の兼ね合いから考えても、都民目線から考えても問題のないことなんだというような視点を入れてはどうなのかなということを考えたので、その辺、工夫していただいたらどうかと要望いたさせていただきます。
そして、公表についてでございますが、やはり都民にわかりやすく見ていただくことが必要です。この成果の公表について、ホームページを充実していくというお話もありましたが、どのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
○松下環境政策担当部長 研究所では、先ほどいいましたホームページ等で研究成果を公開しておりますが、毎年、都民や事業者向けに研究発表会というものも開いておりまして、研究成果のわかりやすい説明を行っております。
また、毎年七月には都民向けに施設の一般公開を行っておりまして、ここでは、パネルや測定機器等の展示をいたして、また、研究員等の研究成果のわかりやすい解説等も行いまして、家族連れの方とかが結構いらっしゃって、にぎわっております。
今年度からは、研究所が都の環境学習の窓口機能を担っておりまして、調査研究に関する専門、技術的な知見を生かした環境学習の展開など、新たな取り組みを行っております。
○西沢委員 ホームページと、ほかにもそうした、施設で都民向けに行う一般公開、さらには、専門家の方向けにも、そういった知識を共有していく場をつくっていくというご答弁がありまして、そうした形で、ぜひわかりやすい形でやっていただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。
○林田委員 多摩の森林における生物多様性について質問いたします。
東京都では、地球規模の生物多様性の危機や、東日本大震災をきっかけとした東京のプレゼンスの低下などの背景を受けて、将来的な施策の方向性を取りまとめた緑施策の新展開-生物多様性の保全に向けた基本戦略をことしの五月に策定いたしました。
生物多様性とは、さまざまな自然があり、そこに特有の個性を持った生き物がいて、それぞれの命がつながり合って、地球規模の生物多様性の絶妙なバランスの上に成り立ってきたことは申し上げるまでもありません。
私の地元であります多摩の山間部も、実際、生物多様性の絶妙なバランスがあって、標高の高い地域には原生林があり、それより低い地域には、自然植栽と杉やヒノキ等の人工林がまじり、ニホンシカ、イノシシ、クマ、猿など、生息しているのが自然体であります。
都は、改めて生物多様性の保全に向けた戦略を展開する。大変結構なことだと思っております。その中で、特にシカの食害は、今、どんな状況になっているのか伺っていきたいと思います。
ご承知のとおり、平成十六年七月十一日、奥多摩町川乗谷付近を中心とする地域にゲリラ豪雨が発生し、川乗谷支流逆川の源流上部森林が崩壊いたしました。川乗谷は、日本の水源の森百選の一つにもなっているところですが、逆川の上流、オオダワ地区がまさに裸山になってしまいました。
その原因は、シカの食害でした。私も現地視察を行いましたが、ひどい状況でありました。シカがオオカミの絶滅によって天敵がいなくなったことや、地球温暖化により積雪が少なくなったことなどで猛繁殖したことによるものでした。
また、昭和五十一年、東京都が奥多摩町を都内で唯一、オジカ狩猟禁止区域に指定したため、生態系が崩れたことも、シカがふえ続けた大きな原因でした。
都の調査によりますと、平成五年、三百から四百頭、平成十一年、千頭、平成十四年には二千五百から二千六百頭、平成十六年には三千頭生息しているというデータが出されました。まさに森林生態系のバランスが崩れたわけであります。
平成十七年から、都では本格的なシカ対策事業がスタートいたしました。環境局を中心に、産労局、建設局、水道局、知事本局、総務局の六局で取り組む、総額六億七千四百三十五億円の対策費が計上されました。六局の調整は、環境局自然環境部で行うということになりました。
これまでの八年間、都も、シカの被害対策には取り組んできたと承知しておりますけれども、現在のシカ被害の現況についてお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 ただいまの委員の質問の中にもございましたとおり、平成十六年に、奥多摩町オオダワ地区におきまして、シカの食害により下草がなくなったことが原因で森林の土壌が流出し、大規模な土砂崩壊が発生いたしました。
このような状況を受けまして、都では、平成十七年度から十九年度までを第一期、二十年度から二十三年度までを第二期とするシカ保護管理計画を策定し、関係各局が連携して、シカの個体数の管理、シカさくの設置や治山、砂防事業などの被害対策を実施してまいりました。
土砂崩壊の跡地では、治山事業により対策が進み、植生が回復しつつあります。
また、防止ネットの普及により、ワサビなどの農業被害額は減少傾向にございます。
シカの推定生息数でございますが、捕獲により、対策実施前の二千六百頭程度から、平成二十三年度には九百頭程度まで減少しております。
○林田委員 今のお答えの中で、平成二十三年度には九百頭程度まで減少したというお答えをいただきました。生息密度が低下することによって捕獲が困難になっていく、また、ハンターの減少や高齢化の問題もありまして、さらにシカの生息数を減らすためには、捕獲頭数の制限等を緩和するとともに、隣接する県とも共同して対策を進めるべきと思いますけれども、取り組みについてお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 森林生態系の回復、保全や農業被害額軽減を目標に、本年四月から五年間を計画期間とする新たな第三期シカ保護管理計画を策定いたしました。この計画に基づきまして、被害軽減と生息範囲拡大防止のため、狩猟における捕獲頭数制限の緩和や、シカの狩猟期間の延長を引き続き実施してまいります。
今後とも、庁内関係部局が連携しながら対策を推進していくとともに、隣接します埼玉県、山梨県とは情報交換会やシカの共同捕獲を実施いたしまして、確実に効果を上げていきたいと考えております。
さらに、都県を越えて広く分布、移動するシカに対応する必要もあることから、国及び関東甲信の各県が参加する関東山地ニホンジカ広域協議会に、都も新たに参加いたしまして、広域的な情報共有と管理によりシカ対策を一層推進してまいりたいと考えております。
○林田委員 まさにシカでございますので、東京都だけで追いましても、埼玉県に行ったり山梨県に行ったり、そういうことになってしまうわけでございまして、広域的に取り組む、これは絶対必要なことだと思っております。ぜひ庁内や隣接する県との連携をよくとっていただいて、さっきカラスの話が出ましたけれども、シカの生息数を適正な数に持っていく、そして生物の多様性を維持してほしいと思っております。
次に、杉やヒノキの人工林における生物多様性について伺います。
多摩地域の森林の約六割が、杉やヒノキの人工林であります。戦後、安い外材が輸入されると、多摩の木材価格が高価となり、木を切り出すことが極めて減少して、間伐等の森林整備が進まないため、多様な生き物の生息環境が悪化してまいりました。
都では、こういう状況を改善するために、平成十四年から森林再生事業を実施してまいりましたけれども、以来十年を迎える、この十年間の実績と効果についてお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 十分な手入れが行われていない人工林は、地面に光が当たらず、下草が育たないため、土砂の流出防止、水質浄化など水源の涵養、野生動物の生息場所の提供などの、いわゆる森林の公益的機能を大きく低下させることになります。都は、森林所有者にかわって間伐を実施し、下草を育てることで、このような森林の公益的機能の増進を目的として森林再生事業を進めております。
平成二十三年度までに、日の出町の面積の約二倍に当たります五千七百三十三ヘクタールの間伐を行い、下草やそこに生息する昆虫など、多様な生き物の生息環境を回復してまいりました。
○林田委員 平成二十三年までに五千七百三十ヘクタールの森林を再生してきたということでありました。確かに、都道や林道から見る限りでは、中が暗くて下草がほとんどないような森林は、多少少なくなってきたと思っております。
ところで、協定締結の相手であります森林所有者と締結の承諾にこぎつけるに当たりましては、市町村の担当職員が、車道や登山道から荒廃した森林を見つけて、登記所で所有者を探すという地道な作業を繰り返しているということでありますが、見つけやすい道路沿いの森林から再生していくことは仕方のないことではありますけれども、そのために奥地の人工林が残ってしまう。
また、森林の中には、所有者が共有していて、多いところでは十数名が共有しているということであります。当然、所在不明の所有者もいて、探すのが困難である、こんなことも大変な作業だと思っております。
今後、森林再生事業をより効果的に推進していただくためには、東京都が市町村を効果的に支援していくことが重要ではないのかと思いますが、所見をお伺いいたします。
○臼井緑施策推進担当部長 森林再生事業の実施に当たり、協定の相手方を特定し交渉を行うのは市町村の担当職員であります。これらの職員が、奥地の森林や共有林などについて効率よく協定を締結していくためには、森林の状況や所有者との交渉に関する情報提供、協定締結方法の工夫といった支援が重要と考えます。
具体的には、今後新たに、交渉事例集の作成、配布や、事業の対象とする森林の場所などの情報共有を実施するとともに、各市町村を訪問し、個別の交渉に関する課題の解決をともに図っていくなど、市町村の協定締結に向けた交渉を支援してまいります。
また、共有林においては、法的課題を整理し、協定を締結しやすい環境を整備してまいります。
今後も、これまで以上に市町村担当者との情報交換を密に行い、効率のよい事業推進を目指していきたいと考えております。
○林田委員 いろいろ申し上げましたけれども、ぜひ東京都が情報提供等を行って、効率よく森林再生事業が進められていくことを願っております。
冒頭申し上げましたとおり、多摩の森林は、自然の中に、バランスの上に成り立っております。森林における生物多様性を高めることによって、水質の浄化、潤いや安らぎを与え、生物の生息場所の確保などの自然の恵みを将来にわたって享受できるよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○吉田委員 よろしくお願いいたします。
私からは、まず、環境確保条例に基づくキャップ・アンド・トレード制度についてお伺いをいたします。
東京都は、環境確保条例に基づいて、総量削減義務と排出量取引制度を開始されました。本制度は、国内で初めての取り組みであるばかりでなく、世界的に見ても、初めてオフィスビルを対象とする都市型のキャップ・アンド・トレード制度であります。本制度がスタートして三年になるわけですけれども、この制度の進捗状況について、まずお伺いをいたします。
まず初めに、対象となる大規模事業所におけるCO2削減の状況はどうなっているのでしょうか、伺います。
○山本都市地球環境部長 制度対象となります大規模事業所の平成二十二年度の排出量につきましては、基準排出量に対しまして一三%の削減となってございます。対象事業所ごとに八%ないし六%の削減義務率が設定されておりますが、この結果、削減義務率以上に削減をしております事業所は全体の六四%に達してございます。
平成二十三年度については、対象事業所から本年十一月に排出量の報告がされますことから、実績の把握についてはこれからということになりますが、震災後の各事業所での積極的な節電対策が取り組まれておりますことから、平成二十三年度についても着実に削減が進むものと見込んでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。これ、非常に積極的なというか、この制度を導入していただいて、まだ始まったばかりですけれども、義務率以上の削減をしている事業所が六四%に達していると。まだまだこの先、取り組みを進めていただける時間的な伸び代が残っているのに既に六四%、非常に進んでいるんだなと。そしてさらに、二十三年度については、震災の影響もあって、皆さん、さらに節電されておられるので、着実に削減が進むということをお聞きして、まずは大変評価をしております。
大規模事業所のCO2削減が着実に進んでいるということですが、次に、本制度の義務履行には、みずからの事業所における削減のほか、他事業所の削減量を取引によって取得する排出量取引という仕組みもつくっておられます。
既に、大きく削減した事業所が取引を開始しているのではないかと、こういうふうに思うわけですが、取引の実績についてお伺いします。
○山本都市地球環境部長 制度開始から一年が経過しますと削減量が確定するため、平成二十三年度から取引が可能になってございます。
平成二十三年四月から本年九月までの間で、都が把握しております事業所間の取引実績については五件、削減量にして約二万トンでございます。このほか、都が保有しております再生可能エネルギーの利用による削減量を本年九月に販売したところ、一件六百トンの申し込みがあり、売却を行ったところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。取引件数は六件と少ないように見えますけれども、これは、各事業所の削減が進んだことから、取引をしなくても義務が履行できる、こういう事業所が多くなっているためだと理解します。
このように、都のキャップ・アンド・トレード制度は、大規模事業所における二酸化炭素削減に大きな成果を上げつつあると思います。
この制度は、冒頭も申し上げましたが、石原都政の大きな業績の一つだと思います。公会計制度の改革とか、そういうものと並んで、地球温暖化対策として日本の首都東京が非常に頑張っている。
そして、これは、非常に緻密な積み上げの数字がなければ、現場の事業所に非常に混乱あるいは不当な負担、こういうものをもたらす懸念というのは、導入時に大きく議論をされました。しかし、今お聞きをしている範囲でも、着実にソフトランディングでこの制度が定着しつつある。こういう状況を確認して、当時は、局長が都市地球環境部長でいらっしゃったときに何度もやりとりをさせていただきましたが、本当にこの制度が引き続き定着し、発展することを期待しております。
このキャップ・アンド・トレード制度導入に関する環境確保条例の改正を審議した平成二十年の第二回定例会において、私は、当時、都と同様なこの制度の導入を検討しようとしていた埼玉県との連携について質問をいたしました。その後の状況についてお伺いをいたします。
○山本都市地球環境部長 埼玉県は、都が制度を開始いたしました翌年の平成二十三年度に、目標設定型排出量取引制度を開始しております。
埼玉県の制度の検討に当たりまして、都は、先行者として制度設計に関する情報提供を行うとともに、検討に協力してまいりました。この結果、埼玉県の制度は、多くの部分が都と共通する仕組みになってございまして、このため、相互に連携もしやすいものとなってございます。
また、都と埼玉県は、キャップ・アンド・トレード制度の首都圏への波及に向けて連携協定を締結し、昨年五月には、両都県における相互の排出量取引を可能とすることや、手続の簡略化や事務の共同実施等を行うことといたしました。この相互の排出量取引の利用によりまして、両都県にわたって事業展開をしております事業所が広域に削減対策を計画し、実施することも可能となってございます。
今回の埼玉県との連携は、他の自治体にキャップ・アンド・トレード制度を広めていく上で大きな第一歩になるものでございまして、連携の成果が上がるよう、今後とも取り組みを進めてまいります。
○吉田委員 着実に進めていただいているということを非常に評価しております。
本日、名前は挙げませんけれども、別の大都市の方も、関心を寄せていただいている自治体があるということも聞いております。引き続き、この制度を日本じゅうにというか、他の自治体へ拡大していくよう、またご努力をいただければと思います。
次に、土壌汚染対策、特に中小事業者にかかわる土壌汚染の対策について伺ってまいります。
環境確保条例の土壌汚染対策に係る規定や土壌汚染対策法が施行されてから十年程度経過し、土壌汚染に対する都民の意識も非常に高くなっております。
一方で、事業の廃止によって、法や条例に基づく土壌汚染の対策が必要となった中小事業者にとっては大きな負担となっているのも事実でございます。
私は、平成十九年に、本委員会で土壌汚染の質疑をさせていただきましたが、その後、二十二年には土対法の改正もございました。こうした状況を踏まえて、現在の都内の土壌汚染の状況を確認させていただきます。
土壌汚染対策法では、汚染が明らかとなった場合に区域指定を行うこととされていますが、都はこれまでに区域を何カ所指定し、そのうち解除されていない区域は幾つあるのかお伺いします。
○島田環境改善技術担当部長 平成十五年二月の法施行から平成二十三年度末まで、二百六十五区域を指定しております。平成二十三年度末時点で、この二百六十五区域のうち百四十区域は指定が解除され、百二十五区域が指定された状況にあります。
平成二十二年度の法改正によりまして、区域指定の制度は、それまでの指定区域一種類から、汚染の除去等の措置が必要な要措置区域と、健康被害が生ずるおそれがない形質変更時要届け出区域の二種類に分類されました。
法改正前の指定区域も含めまして振り分けますと、指定が残る百二十五区域のうち、要措置区域に該当するものは十六区域であり、順次対策が検討、実施されております。
一方、形質変更時要届け出区域に該当するものは百九区域であり、摂取経路が遮断されていることから、適切なリスク管理を行えばよいとされておりますが、土地の形質変更が生じた際には、計画の届け出とともに汚染の拡散を防止することが必要となります。
○吉田委員 ありがとうございます。指定区域のうち要措置区域に指定されますと、健康被害が生じるおそれがあるとして、汚染の除去等の措置が求められるわけであります。
環境対策は、本来、汚染者負担の原則、PPPの原則でありまして、土壌汚染についても、この原因者が調査や対策を行わなければならないという原則であることは理解しております。
しかし、先ほど申し上げたとおり、例えば、メッキ業界あるいはクリーニング業界、こういうところは中小の事業者が大変多く、また経営も非常に厳しい状況で、大変大きな負担となるわけであります。調査や対策を行える事業者はよいけれども、資金不足によって、調査や対策を行いたくても行えない事業者もいると聞いております。
このため、東京都による中小事業者への支援が不可欠であると、これは前にも、またほかの議員の先生方からもいろいろ質疑があったと思いますが、都はこれまで、中小事業者のためにどのような支援を行ってきたのか伺います。
○島田環境改善技術担当部長 都は、平成十六年度から土壌汚染処理技術フォーラムを開催し、合理的で低コストな処理技術の紹介や普及啓発を図ってまいりました。
また、土壌汚染対策を実施しようとする中小事業者が合理的な対策を選択できるよう、中小事業者のための土壌汚染対策ガイドラインを策定し、土地利用に応じた合理的な土壌汚染対策の普及促進に努めております。
さらに、平成二十三年度から、技術的な観点から適切なアドバイスを行う専門家を無料で派遣する土壌汚染対策アドバイザー制度を開始して、中小事業者による円滑で合理的な土壌汚染対策の取り組みを支援、促進しております。
○吉田委員 都は、いろいろ取り組んでおることがよくわかりました。国や他の自治体に先駆けて開始をした土壌汚染対策アドバイザー制度を初めとして、中小事業者が合理的な土壌汚染対策を円滑に進めるためのいろいろな支援に取り組んできたことを評価いたします。
ところで、この土壌汚染対策法では、工場等は廃止しても、建物は壊さずにそのまま住み続ける場合などについては、第三条一項ただし書きという規定によりまして、調査や対策の実施が猶予されております。これは、零細な事業者にとっては本当に助けになるというか、もう夜逃げもしなければいけないんじゃないかというぐらい苦しんでいる事業者さんにとっては、本当に望みの綱なのでありますけれども、しかし、この調査を先送りにすれば、もし地下水に汚染があるとすれば、汚染が周囲に拡散するおそれが残されます。また、大きな地震などによって地下水の流路が変わるということもあります。新たな汚染が生じる可能性も、このただし書きによって猶予されている間に起きることもある。調査や対策を先送りにせずに、前倒しで実施できれば、それにこしたことはないわけであります。そのようなインセンティブを設けるなどして、着実に土壌汚染を減らしていく必要があると考えるわけです。
アメリカのスーパーファンド法を初めとして、オランダ、イギリスなど諸外国では、公的な支援のスキームが運用されていると聞いております。我が国でも、東京都が、ぜひ国の先頭に立って新たな支援の枠組みを検討していただきたい、このように念願するわけであります。
土壌汚染対策を講じたくても、その費用を用意することが困難な中小事業者に対して、これまでよりも一歩踏み込んだ新たな手法、例えば融資などの経済的な手法の導入が必要と考えるわけですけれども、いかがお考えでしょうか。
○島田環境改善技術担当部長 都はこれまで、中小事業者に対して合理的な土壌汚染対策の取り組みを支援してまいりました。さらに、土壌汚染対策を工場等の廃止時に検討するのではなく、操業中から計画的に対応すれば、費用の面でも有利となる可能性があることから、既存のアドバイザー制度を操業中の事業者も利用できるよう、今年度に予算を計上し、制度の拡充を検討しているところでございます。
これにより、未然防止の取り組み強化や汚染の早期発見、操業中からの調査、対策などについて助言することで、事業者の合理的な取り組みを一層推進してまいります。
また、操業中に実施可能な浄化技術の開発促進及び対策の実施に必要な資金の助成制度の整備等を講ずるよう、これまでも国に求めてきております。
各種の支援事業につきましては、諸外国における状況も含めて情報収集に努めてまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。今ご答弁にあったように、操業中にも調査ができるようにと、これは本当に有効だと思います。畳んだときだというと、すぐに使いたい、再利用したい、再開発したい、こういうようなときには、費用のかかる、高い、例えば除去とか、こういう手法を使わなければいけないけれども、操業中からゆっくりと考えて、この浄化の対策をとるということであれば、例えばレメディエーションとか、安いけれども時間がかかる、こういう対策もとれるわけで、私は、都の新たな施策に高い評価をさせていただきます。そして、各国の状況をよく調査していただいて情報収集に努めて、さらなる施策の展開をしていただければと思います。
繰り返しになりますけれども、土壌汚染対策はとてもお金がかかります。中小事業者には、とてもその費用を用意できないと、困っている方もたくさんいらっしゃいます。今後とも真剣に取り組んでいただいて、原因者が中小事業者であっても土壌汚染の対策が進む、そういうスキームづくりを国にも働きかけていただきながら、東京都として引き続きお願いをいたします。
次に、感染性廃棄物対策についてお伺いをいたします。
以前、ICタグを活用した感染性廃棄物の追跡システムの普及について質問をさせていただきました。東京都は、感染性廃棄物の不法投棄を防止するため、平成十七年度から、都内の病院を対象にICタグを活用した追跡システムの普及を図ってこられました。感染性廃棄物の容器一つ一つにICタグを添付し、排出から焼却まで追跡、確認できるシステム、これも評価できるものであります。前回の質問の際には、これを感染性廃棄物以外のものにも拡大したらどうかと提案もさせていただきました。
そこで、現在の追跡システムの普及状況についてお伺いをいたします。
○木村廃棄物対策部長 ICタグを活用いたしました医療廃棄物追跡システムは、東京都環境公社、東京都医師会、東京産業廃棄物協会が共同で管理をしております。都も、利用率向上のため、平成二十年度から二十二年度まで、病院を対象に補助を行いました。
しかしながら、都内の病院の参加数は四十九病院であり、利用率七・五%でございます。また、都内の診療所の参加数は千二百九所でございまして、利用率四・八%です。
利用率の低い理由は、病院等が、義務ではないためコストがかかる方法を選択しないこと、廃棄物収集運搬業者はICタグを確認する作業が付加され、収集業務が非効率となること、また、公社のICタグと別のバーコードやQRコードを利用した追跡システムを利用している病院もあることなどでございます。
感染性廃棄物以外への利用につきましては、公社の独自の事業といたしまして、有害な薬品や機密文書などについて適用していると聞いておりますが、同じ理由により一部にとどまっております。
○吉田委員 ありがとうございます。やはりコストが原因になって、なかなか普及が進んでいないんだという状況をお伺いしました。
近年、不法投棄も減少傾向にあるとは聞いております。しかし、一たび感染性廃棄物の不法投棄があった場合には、やはり都民の安全ということについて強い危機感を覚えるわけであります。したがって、感染性廃棄物の適正な処理のために、追跡システムの利用を促す方策を検討する必要があると思います。
現状の公社のシステムは、老朽化して、更新も必要だということもお伺いしています。
いろいろと困難の中で、またシステムの老朽化という状況も踏まえて、今後、都として、追跡システムの利用拡大に向けてどういう対策を考えていらっしゃるのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 環境省の報告によりますと、感染性廃棄物の不法投棄は減少しており、平成二十二年度は、全国の感染性廃棄物の不法投棄件数、投棄量ともゼロでございました。また、ICタグ導入以降、電子マニフェストの普及、廃棄物処理法の改正による排出者責任の強化、第三者評価機関による優良業者認定制度の実施など、廃棄物をめぐる状況は大きく変化してきております。
東京都医師会や廃棄物処理業界等との意見交換を踏まえ、関係者が利用しやすく、医療廃棄物の適正処理の確認が可能な新たな仕組みを検討しております。
○吉田委員 いろいろの環境の変化あるいは技術の進捗、こういうものを踏まえて新たな仕組みを検討されていると。今後のシステムの更新については、やはりコスト、これも、とにかく同じ効果を一番低いコストでやる。それによって、これを使おうという排出者もふえてくるわけであります。コスト負担を少なくするために、汎用性あるいは機器の寿命というものも考慮していただく必要があると思います。それと、いろいろと勘案して利用しやすいシステムとなるようにご努力をいただきたいと思います。
また、ご答弁にあった優良な処理業者を活用して感染性廃棄物を処理することは有効であると思います。引き続き関係団体等と調整をいただいて、この感染性廃棄物、これは本当に暴露すれば厄介でございますので、適正処理が確保される方策を検討していただきたいと思います。
廃棄物処理に関連して、環境科学研究所の研究内容について私からも伺ってまいりたいと思います。
環境科学研究所では、人類、生物の生存基盤の確保、健康で安全な生活環境の確保、より快適で質の高い都市環境の創出と、この三つの体系のもとで、今年度は八つのテーマを設定して調査研究に取り組んでいらっしゃるということであります。
今回、私は、都市鉱山、それから青潮、風の道と、その三つについて質疑をいたしたいと思います。青潮、風の道は後ほど質疑をさせていただきまして、まず都市鉱山についてお伺いします。
先ほど、こいそ委員もご指摘されたように、小型電子機器等のリサイクルとレアメタルの回収促進、これも喫緊の課題でありまして、都が区市町村を強力にリードしていくことを私も強く期待しております。
これに加えて、より細かくいえば、レアアース、希土類の回収も絶対に視野に入れなくてはいけないと思っております。レアアースは、今は世界の生産量の約九七%を中国が占めるといわれておりまして、前の平成十九年の質疑でも、中国に依存するのは大変なカントリーリスクがあるというふうに私は申し上げて、輸入がストップするような事態が起きれば、日本の先端産業を結集したものづくりの命運を左右しかねない、こういう警鐘を鳴らしたんですが、昨年、いみじくもそれが実際のものとなりました。
その後、日本は英知を結集して、中国依存度、対中依存度をどんどん減らしておりますけれども、ここで、研究所が取り組んでいる資源循環に関する研究の中で、レアアースの回収という視点についても取り組みを進めるべきと考えますが、ご見解を伺います。
○松下環境政策担当部長 研究所では、二〇一〇年から、不燃ごみとして埋立処分されている小型電子機器等に含有される希少金属類等の種類と含有量等について、簡易定量分析により調査を行っております。
昨年度の調査では、ネオジム等のレアアースが、特に磁石類に比較的多く含まれるなど、小型電子機器等の部位別のレアアースの含有比率を一定程度明らかにすることができました。
今年度も、自治体における小型電子機器類の効率的な回収を検討する上での基礎資料とするため、レアアース等を含む希少な鉱物を廉価かつ簡易に分析する方法などについて調査研究を進めております。
○吉田委員 ありがとうございます。レアメタルに比べてレアアースの方は、まさにまだ研究の端緒というか、そういう状況でございますので、ぜひ研究を進めていただいて、よい成果を期待したいと思います。
次に、廃棄物の関係で、埋立処分委託料についてお伺いします。
二十三区内の一般廃棄物は、現在、中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場に埋め立てられております。これが、ご存じのとおり、東京の域内の最後の処分場であるわけです。廃棄物の再資源化を進め、ゼロエミッションの廃棄物処理システムを構築し、もう将来は埋立処分場の処分という必要がなくなる社会の実現を目指す、こういう問題意識が必要であります。
こういう問題意識に立ってご質問しますが、この埋立量削減のためには、適切な埋立処理コスト、こういうものをきちんと排出者から出すことによって、これを埋め立てるよりも、こいそ先生もおっしゃいました、リユース、リデュース、リサイクル、この3Rの方にお金をかけないといけないねと、こういうふうに各排出者に考えていただく、こういうことが経済的な誘導措置として機能するわけであります。
翻って、現在、東京都が埋立処分場で受け入れている産業廃棄物の処分料金は、一トン当たり九千五百円。これは、今、埋立処分原価と均衡しているんだというようなご説明でありました。
ところが、二十三区から徴収する一般廃棄物の処分料金は、一トン当たり五千九百円と六割程度になっているわけであります。これは、私が前に、十九年に質疑したときには三千五百円ぐらいだったと思うので、少し必要なコストに近づいてきたということでありますけれども、産廃の九千五百というのに比べれば、まだまだ政策的な安い価格で受け入れているというふうにいわざるを得ないと考えるわけであります。
過去の経緯というのもあるかと思いますけれども、都が二十三区から徴収する埋立処分料金は、少なくとも埋立処分の原価に見合う水準に引き上げる必要がありますし、そうなれば各区で、それだけ出してダンプするならば一生懸命リサイクルしようよ、あるいは減量化しようよと、こういうインセンティブが増して、ごみの減量が推進される。場合によっては、私、前に質疑もしましたが、二十三区においても一般廃棄物の有料化ということも、真剣に二十三区は考えるようになるんじゃないかと、このように考えていますが、所見を伺います。
○木村廃棄物対策部長 平成十二年四月の清掃事業の二十三区への移管時に、埋立処分委託料の算定に当たりましては、埋立作業経費、排水処理場運転経費及び車両減価償却費が対象経費とされまして、一キログラム当たり三・五円という単価で都区合意がなされました。
その後、平成二十三年度に、埋立処分委託料を、当時の経費から算出して五・九円に改正し、以後、四年ごとに都区間で協議して更新することといたしました。
今後は、次期改定期に向けて、費用に見合った料金徴収という観点から、適正な埋立処分委託料について関係局と検討してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。ごみを捨てるのは、ただじゃないんだと。本当に社会全体で費用を負担しなければいけない、その適切な費用負担をそれぞれがきちんとしようということで、ぜひ進めていただきたいと思います。
次に、浄化槽の維持管理についてお伺いします。
東京都全域における下水道の人口普及率は、平成二十年度末で約九九%、そして、浄化槽の設置基数は減少傾向にあると聞いています。しかし、山間部や市街化調整区域など下水道計画の区域外や下水道の普及が当分見込めない地域においては、生活排水とし尿をあわせて処理できる合併浄化槽の役割は大変重要であります。
このように、下水道と同じ役割が求められる浄化槽設備でありますが、先日の新聞報道において、平成二十二年度の浄化槽の法定検査の実施率が、都道府県により大きな開きがある、そして、全国平均の実施率が三割程度という中で、東京都は九・七%と一割に満たないということがわかりました。
そこで、法定検査とはどのような検査なのか、また、法定検査は法律に義務づけられているのに、なぜこれが実施されていないのか、お伺いをします。
○木村廃棄物対策部長 法定検査には、指定検査機関が浄化槽の新設後に行う検査と、その後、毎年実施する定期検査がございます。
法定検査は、浄化槽が適正に設置され、清掃や保守点検が正しく実施され、水質が適正なレベルにあるか否かを確認するものであり、毎年一回の検査で五千五百円の費用がかかります。
法定検査を受けずに生活環境の保全及び公衆衛生上支障がある場合に限り、勧告、命令することができ、その命令に従わない場合に設置者に罰則が適用されます。
都内では、今まで生活環境の保全及び公衆衛生上支障があるようなケースは起きていないため、法定検査を命じた例はございません。
なお、浄化槽設置者への戸別訪問による調査結果では、約二割から三割程度が、既に下水道への接続により浄化槽を廃止しており、現在、法定検査の義務者の数を精査しているところでございます。
○吉田委員 下水道につながったから使っていないという方もこの中に入っているんだということもわかりましたが、そして、今まで生活環境の保全及び公衆衛生上支障があるようなケースは起きていない、苦情とかは起きていないということで検査を命じた例がないということで、深刻な事態にはなっていないということはわかりました。
しかし、この浄化槽は、やはりきちんと機能していただかないと、下流域に対して水質の汚濁、さまざまな問題が起きるわけであります。この浄化槽が本当に機能しているのかどうか、きちんとこれはチェックする必要がある。
法定検査の実施率を上げて、もっと適正な維持管理のチェックをすべきなんじゃないかなと、こういうふうに思うわけですが、見解を伺います。
○木村廃棄物対策部長 浄化槽法では、法定検査のほかに、設置者には清掃と保守点検の義務がございます。戸別訪問による調査では、清掃が約七割、保守点検は約五割程度実施されており、一定程度の維持管理はなされていると考えております。
都には、年数回、浄化槽を原因とした悪臭の苦情が寄せられておりますが、そのような苦情があった場合には、設置者には、少なくとも清掃と保守点検を実施するよう指導し、問題の解決が図られております。
○吉田委員 これは、年数回、悪臭の苦情が寄せられているということだそうでございますので、それは、でも、きちんと清掃と保守点検を実施するよう指導して問題の解決をしていらっしゃるということで、わかりましたというべきなんでしょう。
しかし、引き続き、都民が非常に納得いく、きちんとした--まず、今、その浄化槽は生きているのか、もう使われていないのか、その辺の把握から始めていらっしゃるようですから、都民にわかりやすく、きちんと、この浄化槽行政が機能しているんだと、こういうふうに説明あるいは取り組みを進めていただければと、このように思います。
この水質という関係で関連して、再び環境科学研究所の方についてお伺いをいたします。
どんどん川から水が流れて東京湾に注ぐわけですが、東京湾の水環境の問題、特に青潮についてお伺いをしたいと思います。
東京湾に流入する有機汚濁物質量は、これまでの水質総量規制の効果によって、過去二十五年間で二分の一以下に減少している一方、残念ながら、赤潮、青潮は依然として発生しているわけであります。
そして、特にことし九月二十五日には、船橋から千葉港周辺で大規模な青潮が発生したほか、実は九月二十八日には、東京湾内湾において、東京の域内において、隅田川河口部周辺で、平成十六年以来八年ぶり二度目の青潮が発生しました。つまり、平成十六年までは発生していなかったと。初めて平成十六年に東京の域内で発生したんだと、羽田沖ですよね。そして、八年ぶりに、この間、月島、佃島の周りで青潮が発生したと。
千葉県の沖の青潮については、もうメカニズムがわかっている。沖に、昔しゅんせつした土砂の深い穴があるとか、この発生メカニズムがわかっているとされているんですけれども、青潮は、原則として、雨天時に河川等から流入する汚濁物質が原因だといわれているわけですが、この東京の域内で二回発生した青潮については原因がわからぬということだというふうに理解しております。
研究所では、生物生息環境、自然浄化機能に関する調査研究を行っておりますが、この中で、特に東京で起きた青潮についても調査研究を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
○松下環境政策担当部長 東京湾は、地形的条件によりまして、底層に酸素濃度が極端に低い海水の塊であります貧酸素水塊と無生物域が広がりまして、気象条件によっては、赤潮、青潮が発生しやすい環境にございます。
環境科学研究所ではこれまで、東京湾の水質調査、沿岸域の生物生息の現状把握、プランクトンデータの整理、解析等を進めてまいりました。
こうした調査の結果、東京湾の窒素、燐濃度については改善が進んでいる一方、青潮の一因となる底層の改善は十分でないことがわかっております。
今後とも、東京湾の水質環境のさらなる改善に向けて、引き続き、具体的な対策について調査研究を進めてまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。ぜひ成果を期待しております。
次に、同じく研究所に対し、ヒートアイランド対策についてお伺いします。風の道ということについて伺います。
これまでの調査研究では、それぞれの開発エリアにおける熱環境の改善に向けて、当該エリア内において風の道を配置するという研究、いわば部分最適を目指す取り組みをしていただいておりました。
しかし、本来、風の道というのは、既存の市街地の建物の存在を前提に考えるのではなくて、東京全体の地形、河川、運河の配置、あるいは大規模緑地がどこにあるか、こういう地域特性を踏まえて、それぞれの区内で考えるんじゃなくて、東京全体が、どう風の道が通っていくのが一番内陸まで風が通っていくのかということを考えていく。そういう東京全体のあるべき風の道の配置図、地形に基づく配置図を考えて、そして建物を更新するときには、この配置図への、少しでも合うように適合を求めていく、そういうような東京全体の全体最適を目指す取り組みが必要だと考えるわけであります。
そこで、研究所は、これまでの研究成果を生かして、あるべき風の道の姿を考えていただいて、環境局がこれを指針として示していただいて、それを都市整備局や建設局なども念頭に置きながら都市計画を考えていただく、あるいはいろいろな事業をしていただく。こういう都全体の取り組みが必要だと考えますけれども、見解を伺います。
○松下環境政策担当部長 ヒートアイランド現象は、緑地の減少や舗装等に伴う人工的な地表面被覆の増大、都市化の進展による人工排熱の増加、建物等の高密度化など、さまざまな要因が重なって発生するものでございます。
これまでの研究成果から、臨海地域においては、都市緑化等の対策や海風が、ヒートアイランド現象の緩和に一定の役割を果たしていることがわかっておりますが、都市全体への影響につきましては明確な結論が得られておりませんで、引き続き研究が必要と認識しております。
都は今後とも、関係各局が連携して、屋上緑化や環境対策型舗装など市街地における環境改善に向けた取り組みを進めるとともに、新たな緑の創出、街路樹の倍増など水と緑のネットワーク化を推進し、ヒートアイランド現象の緩和に取り組んでまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。現場現場の改善も必要ですし、非常に包括的な、原理的なというか、そういうところからもきちんと提示していただくことが大事で、まさしくそれこそ環境科学研究所の存在意義ではないかと思います。よろしくお願いいたします。
最後に、東京のみどり率について質問をさせていただきます。
都が公表している直近のみどり率は平成二十年の数値ですが、これを五年前の平成十五年の数値と比べると、区部で〇・四ポイント減の一九・六%、多摩部で二・四ポイント減の六七・四%、都全体では一・七ポイント減少の五〇・七%となっておりまして、都の緑は、いまだに減少傾向にあることが明らかになっております。
まず、この現状を都はどのように認識しているのかお伺いします。
○高橋自然環境部長 平成十五年から平成二十年の五年間でみどり率の変化を見ますと、区部ではほぼ横ばい、多摩では約二ポイントの減となっており、緑の減少傾向が続いております。
緑の増減の主な原因でございますが、都市公園、緑地の着実な整備により公園、緑地が増加した一方、宅地造成等の開発に伴って、農用地や樹林、原野、草地が減少したと分析しております。
これを区部について詳しく見ますと、五年間で、公園、緑地が〇・二ポイントの増、農用地が〇・三ポイントの減、樹林、原野、草地が〇・二ポイントの減となっております。
農用地や樹林、原野、草地が減少した主な要因は、市街化区域内の草地と屋敷林が、地価が高く宅地並みの相続税が課せられることなどから、相続を契機に相続人が農地や屋敷林を手放し、それらの土地が宅地等に転用されるためであると考えております。
○吉田委員 ありがとうございます。都のいろいろな取り組みにもかかわらず、特に区部における緑の減少の主な要因が、相続を契機とした農地や屋敷林の宅地化であるというご説明でありました。
特に、区部のみどり率が二〇%を切ってしまったということは問題であります。その二〇%、二一%はよくて、一九じゃだめなのかといいますが、都において二割、この大きな大台を切ってしまったというのは私は問題だと思うんですね。
これに対して、都は、これまでどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
○高橋自然環境部長 都市農地や屋敷林が保全されるためには、農業の担い手を確保し、事業承継を円滑にする取り組みが重要でございます。このため、生産緑地の指定に係る面積要件を、農業経営上の必要性などを考慮して引き下げることや、相続税の納税猶予制度を、一定の土地利用制限のもとで、農業経営に必要な農業用施設用地や屋敷林等にも拡大するなど相続税の軽減措置を講じるよう、継続的に国に要望しております。
○吉田委員 区部の農地や屋敷林の減少に対応するために、生産緑地の面積要件の引き下げ、あるいは相続税の軽減措置を国に要望しているということですが、これらの制度はいまだに改善されていないわけであります。
例えば、都みずから、平成十五年から二十年にかけて減少した〇・四ポイント分のみどり率を何とか二〇%に戻すという、こういうガイドラインというか目標を掲げて、それを達成できるように取り組みを強化するなど、実効性のある緑の確保策を今こそ講じるべきと考えますけれども、見解を伺います。
○高橋自然環境部長 都はこれまでも、新たな緑の創出に向け、平成十九年度から緑の東京十年プロジェクトを展開し、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化等の取り組みを進め、平成二十二年度までに新たな緑を四百二十四ヘクタール創出しました。
また、自然保護条例に基づく開発許可制度を通じ、自然地を含む土地を対象とする一定規模以上の開発行為に対し、一定割合の緑地面積の確保を義務づけているほか、緑化計画書制度を通じ、一定規模以上の土地における建築物の新築、増改築に当たり、緑化計画書の提出を義務づけております。
さらに、都市農地や屋敷林の保全についても、関係局と連携しながら、生産緑地の指定や、区市との連携による農業、農地を生かしたまちづくり事業などの取り組みを推進しております。
今後とも、区市町村や関係局と連携し、緑の保全と創出に関するあらゆる仕組みを総動員して、重層的に東京の緑を確保してまいります。
○吉田委員 本当にご苦労されていると思います。これまでの取り組みについてのご説明、この効果を否定するわけではありませんけれども、とにかくみどり率が減って、一度も上昇したことがないという事実があるわけであります。
そこで、都市農地が相続を契機に宅地に転用されないよう、例えば行政が公有地化を図るとか、持続可能な保全を図っていくとか、国がさっぱり税制上の見直しをしないのであれば、二十三区内では都みずからが課税主体となっている固定資産税あるいは都市計画税、こういうものについて、何とか緑が減らないような再開発とか、そういうふうにしてくれる場合には減免措置を講じるとか、より一層の踏み込んだ対応を検討していただくように、これはご答弁は難しいと思うので要望だけさせていただいて、ぜひ研究していただきたいと思いまして、次の質問に移ります。
以前、私は環境局に対して、区部、多摩部別で公表しているみどり率、これは区市町村別に示すことができないかということをご提案したことがあります。そのときに環境局からは、都が把握しているみどり率を区市町村ごとに把握することは技術的にできるけれども、区市町村も同様の調査を行っておって、その数値と異なる場合があって、非常にフレクションが生じるので、区市町村との調整を経なければ都の数値の公表が難しいというご説明を受けました。
各区市町村が独自に把握しているみどり率を否定するものではありません。しかし、都の調査は、都内全域を同じ物差しで把握をしているはずであって、区市町村間の比較も可能なわけですから、これが公表できることが望ましいわけです。この点についてどのような検討を行ってきたのか、お伺いします。
○高橋自然環境部長 これまでに都の数値と区市の数値が異なる要因を分析した結果、都と区市のみどり率が異なる要因には大きく三つあることが判明しました。
一点目は、判読基準の相違や現地確認調査の有無などでございます。都は広域行政の立場から、都の開発許可制度や緑化計画書制度の運用への活用を図るため、おおむね一平米以上の緑被のみを抽出対象としているのに対し、住民ニーズに対し、きめ細かな緑施策を展開する区市においては、例えば、生け垣の設置や、屋上、ベランダ、壁面緑化に関する補助、苗木、土、肥料の配布などの区市町村みずからの施策効果を検証する観点から、都が調査対象としている緑被よりも小さな緑も拾い上げております。
二点目は、航空写真の撮影時期による樹冠成長のとらえ方でございます。都のみどり率の調査では、都内全域を対象に経費を節減しながら効率的に調査を行うため、既存の航空写真を活用しており、その航空写真の撮影時期が四月から五月となっているのに対しまして、区市の調査では、樹木が生い茂る七月から八月に、独自に航空写真の撮影を行っております。このため、区市の調査の方が数値が大きく算出されることが多くなっております。
三点目は、航空写真中の建物の影になっている部分のとらえ方でございます。都の調査でも、他の航空写真画像も参考にするなど、建物の影になっている部分の確認を行っておりますが、区市の調査では、現地確認などで細かく補捉しているため、都の調査に比べ数値が大きくなる傾向がございます。
○吉田委員 よくわかりました。以前から、区市町村が発表する数字の方が大きいのが不思議だなと思っておったんですが、非常によくわかります。
区市町村の方が、より細かな緑も一生懸命調べて拾い上げて入れている。それから、航空写真の影みたいなところも、都はそのまま、簡単にいえば、全体を把握するというニーズのために、そこはそんなに突っ込まないけれども、区市町村は丁寧にそこも調べると。
しかし、この樹冠の成長のとらえ方というのは、一番葉っぱが広いときの夏を調べた方がいいのか、一番葉っぱが落ちる冬を調べた方がいいのか、東京都がやるように、真ん中辺の四月から五月というのが一番フェアじゃないかなと思うんですが、都内全域の航空写真を活用して調査を行っているのに、各区市が別途航空写真を撮影して調査を行っているという事例があるわけです。これはもう二重行政の弊害そのものではないかと思うわけであります。
いろいろ区市のご意見もよくわかる、都のニーズに基づく調査もよくわかる。それを今後は、区市町村と連携して、より都民、区市町村民の税金を合理的に使って、合理的なみどり率の調査のあり方を検討していただいてはどうかと考えますが、見解を伺います。
○高橋自然環境部長 現在、都と区市町村は、それぞれみどり率の調査を行っておりますが、区市町村によっては、財政事情によって独自の調査を行うことが困難なところもあると聞いております。
このように、みどり率の調査に当たってはさまざまな課題があることから、今後、都と区市町村の意見交換の場を通じて、区市町村と相互に意見交換を行いながら、共同でみどり率の調査のあり方について検討してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。ぜひ共同でみどり率の調査のあり方について検討を進めていただいて、度量衡の統一じゃないですけれども、東京都と二十三区と二十六市と各町村、この取り扱うみどり率が、将来、きちんと同じような数字になるように、同じ物差しで都内の緑化についてどんどん行政を進めていただけるようになるといいなと思います。
さまざまな問題について、いろいろと質疑をしてまいりました。原則として、都は日本を、あるいは世界を牽引するすばらしい環境行政をしておられて、それを担っていらっしゃる環境局に本当に心から敬意を表しつつ、今後のご活躍を期待して、質問を終わります。
○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時五十四分休憩
午後六時十分開議
○大松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○高橋委員 最初に、私は、今年度、東京都自然環境保全審議会の委員を務めた経験から、環境局事業概要の一四五ページ以降の緑の保全と再生に関連する今後の緑施策の展開についてお尋ねいたします。
さきの第三回定例会における代表質問で、我が党は、東京がビジネスの中枢として選択され続ける存在であるためには、江戸から引き継がれてきた緑の歴史的価値や生物相の多面的な機能に着目しつつ、潤いや安らぎを与える自然に配慮した都市環境を創出し、都市としての魅力を一層磨き上げるべきとの主張を展開しました。
こうした我が党の主張を踏まえ、環境局から、都市公園などの大規模緑地との連続性を考慮しながら公共施設などの緑化を進め、生態系に配慮した緑のネットワークを形成していくという、今後の緑施策の方向性について答弁をいただきました。
そこでまず、生態系に配慮した緑のネットワークの形成とはどのようなものであるのか、お伺いいたします。
○高橋自然環境部長 生態系に配慮した緑のネットワークの形成とは、生き物の生息場所や移動経路の確保などを通じて、細切れになった自然をつなぎ、都市の中にも豊かな自然を再現する取り組みでございます。
例えばアゲハチョウは、サンショウの木を産卵と成長の場に選びますが、サンショウの群落が四百メートル以内の間隔で存在する場合、アゲハチョウは、群落と群落の間を移動して、産卵や生育する場所を移すことができるといわれております。また、シジュウカラは、マユミという木の実などをえさとしており、マユミなどの群落が二百メートル以内の間隔で連続していれば、シジュウカラが生息場所を移すことが十分に可能と考えられます。
このように、サンショウやマユミなどの郷土種の樹木群落は、東京の在来生物の産卵や生育の場所となっていることから、都市公園などの大規模緑地の間を郷土種の植栽でつないでいくことによって、生態系に配慮した緑のネットワークが形成されていくと考えております。
○高橋委員 アゲハチョウやシジュウカラなどの在来生物の生息空間を拡充する上で、郷土種の植栽が有効であることが理解できました。
次に、こうした郷土種の植栽を広げていくためにどのような取り組みを進めていくのか伺います。
○高橋自然環境部長 都は、開発事業や緑化事業における郷土種に配慮した植栽を促していくため、郷土種に配慮した植栽ガイドラインを年度内に取りまとめることにしております。
このガイドラインでは、東京で緑化を行うに適した郷土種や、植栽を行うと生態系を乱す外来種のリストを示し、先進的な郷土種の緑化事例を紹介するなど、わかりやすい情報提供に努めてまいります。
あわせて、都市公園などの大規模緑地と大規模緑地の間を結ぶ線上にある公共施設を抽出するなど、郷土種の植栽を行うべき場所を明らかにしてまいります。
○高橋委員 ガイドラインを作成し、どのような樹木を植栽することがふさわしいかをわかりやすく示すとともに、大規模緑地の連続性に配慮しながら郷土種の植栽を行うという進め方について理解をいたしました。
しかしながら、公共施設などを活用し、郷土種の植栽を広げていくためには、都有地における取り組みだけでは限界があり、また、区市町村の行政区域をまたがる緑のネットワークを形成することも困難であると考えられます。
このため、郷土種の植栽を通じ、生態系に配慮した緑のネットワークを効果的に広げていけるよう、都と区市町村とがより一層連携して取り組んでいただくよう要望しておきます。
次に、都市間競争の中で東京のプレゼンスを高めるには、生態系に配慮した緑のネットワークの取り組みも大切でありますが、東京ならではの先駆的な緑施策を世界に発信することも必要であると考えます。
今月の八日から十九日にかけて、「自然が守られれば、自然が守ってくれる」というスローガンのもと、生物多様性条約第十一回締約国会議、いわゆるCOP11がインド共和国のハイデラバード市で開催されました。この会議と並行して、自治体の国際的な連合組織であるイクレイが主催する第二回生物多様性国際自治体会議が行われました。この会議には、前回のCOP10を主催した名古屋市、愛知県とともに、東京都も参加したと仄聞しております。
都は、気候変動対策の分野では世界初となる都市型キャップ・アンド・トレード制度を開始し、さまざまな国際会議を通じてその取り組みの意義を世界に発信してきましたが、今回の国際自治体会議では、都はどのような活動を行ったのか、お伺いいたします。
○高橋自然環境部長 今回の生物多様性国際自治体会議は、都の緑施策を国際会議の場で紹介する初めての機会となりました。
イクレイは、世界的な大都市である東京の参加によって、都市レベルの生物多様性の取り組みがさらに進むことを期待しております。
現地で行われたグループ討議では、開発から緑を守る都の取り組みとして、自然保護条例に基づく開発許可制度と緑化計画書制度を紹介するプレゼンテーションを行ったところ、参加した自治体から、東京の取り組みは大変興味深いものであり、制度の内容をさらに詳しく知りたいとの声も寄せられました。
また、都の生物多様性地域戦略である緑施策の新展開の英語版を作成し、会議参加者や来場者への説明を行いました。
プレゼンテーションを行ったグループ討議以外にも、さまざまなサイドイベントに参加し、生物多様性の保全に向けた先進的な取り組み事例の情報収集を行うとともに、担当者間の人間関係を深め、今後の施策の検討に必要な意見交換を行う体制をつくることができました。
○高橋委員 気候変動対策の分野に続き、自然環境、生物多様性の分野でも東京のプレゼンスを高める情報発信を行ったことが確認でき、大変喜ばしいと思います。
世界の都市間競争の中で、東京が人と企業から選択される都市であり続けるためには、緑豊かな環境の中で快適に生活できる魅力的な都市であることが求められております。
今回の国際会議で得られた新たな知見や構築できた人的ネットワークを生かし、都の緑施策を生物多様性の視点から強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○高橋自然環境部長 今回の国際会議に参加して、生物多様性に配慮した緑の保全と創出は、世界の諸都市が直面する喫緊の課題であることを改めて認識しました。
緑の保全については、諸外国では、開発行為が生態系に与える影響を定量的に評価し、生態系に与える影響を緩和する仕組みが存在しており、オーストラリアのビクトリア州、イギリス、ドイツなどで既に運用されております。
緑の創出についても、例えばシンガポールでは、シティ・イン・ザ・ガーデン、庭園の中にある都市という構想に基づき、自然との共生をテーマとする巨大庭園を整備するなど、戦略的な都市緑化が進められております。
今回得られた海外の先進事例に関する知見や人的ネットワークの活用を通じ、今後は、COP11以降の生物多様性を取り巻く世界的な潮流も見据えつつ、開発行為が生態系に与える影響を評価する東京独自の手法の作成や、生態系に配慮した緑のネットワークの形成などの取り組みを進めてまいります。
○高橋委員 東京の都市としての魅力を高め、今後も新たな取り組みを海外に向けて発信できるよう、生物多様性の視点から緑施策をさらに発展、強化していただくよう要望して、次の質問に移ります。
次に、廃棄物対策についてお尋ねいたします。
事業概要の一七七ページにある在宅医療廃棄物の適正処理に関連してお伺いいたします。
私の地元の練馬区薬剤師会と杉並区薬剤師会は、都の働きかけを契機に、平成十四年度から、針刺し事故防止など安全確保のため、薬局が患者から回収した注射針を専用の容器に詰め、廃棄物処理業者に引き渡し、適正処理するという仕組みを構築いたしました。現在では、二十三区及び多摩地域の全域で実施しております。
近年、高齢化社会の進展や医療技術の進歩により、自宅で医療を受けたいという要望がふえ、例えば、糖尿病の患者の方が、医師の処方せんを持って薬局で注射針を購入し、自宅でインシュリン注射を行うなど、今まで医療機関で行われていた医療が、ますます一般家庭で行われるようになっています。使用した注射針が家庭からごみとして排出されることになり、区市町村からは、ごみの収集作業での安全面の懸念が引き続きあると仄聞しております。
このため、在宅医療廃棄物の適切な処理体制を実現するためには、すべての関係者が参加する新たな検討会の立ち上げが必要だと考えます。この点については、平成二十三年十一月の当委員会での私の質問に答えて、関係者に対して検討会への参加を強く要請していくとの答弁をいただいております。
その後、検討会の立ち上げについて、関係者へどのような働きかけを行い、いつごろスタートするのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 検討会の構成メンバーといたしましては、医療機関である東京都医師会及び東京都歯科医師会、販売者であり、現在、注射針の回収事業を行っている東京都薬剤師会、また、昨年、高橋理事から参加を要請すべきとご指摘いただいた製造業界からは、医療機器業界及び製薬業界の両者、さらに、家庭ごみの処理責任を持つ特別区及び多摩地域市町村に参加を要請し、了承を得ております。
現在、これら関係者との調整を進めており、年内には検討会を立ち上げる予定でございます。
○高橋委員 在宅医療廃棄物の関係者すべてが検討会に参加する運びとなり、年内にも立ち上げるための準備が進んでいると聞き、一安心しました。
東京都薬剤師会によれば、都内全域で使用済み注射針回収事業を始めた平成十七年度には回収容器約三万本であった回収量が、その後、年々増加し、平成二十二年度には約八万七千本、さらに平成二十三年度には約九万四千本と、ふえているとのことであります。
また、在宅医療廃棄物としては、注射針のほか、腹膜透析に用いられるバッグ類やチューブ、カテーテル類などの排出量もふえていると聞いております。
検討会の立ち上げに向けた関係者との調整の中で、在宅医療廃棄物の処理については、関係者それぞれに懸念や課題があることも聞いたかと思います。それぞれの課題解決のためには、このように関係者が一堂に会して意見交換を行い、一致した考えのもと、取り組みを進めることが重要であると思います。また、在宅医療廃棄物を排出する患者や介護者の立場に立った処理を検討するべきであります。
そこで、年内に立ち上げる検討会での検討内容について伺います。
○木村廃棄物対策部長 検討会では、一つ目といたしまして、東京都薬剤師会が十年間実施してきました注射針回収事業の検証を行います。注射針の回収量の増加の一方、針刺し防止機能を持った注射針の普及が進む中で、この回収事業を継続的、安定的に維持するための方策を改めて検討いたします。
二つ目といたしまして、使用済み注射針以外の在宅医療廃棄物の適正処理について検討いたします。区市町村では、感染性について判断ができないとして行政回収をしない自治体がございます。在宅医療廃棄物は、それぞれが感染性か非感染性かについて専門的な知見に基づいた共通認識を持ち、その共通認識を踏まえた処理方法を検討することとしております。
これらの検討に当たっては、患者や介護者から見て、容易かつわかりやすい排出方法であるかどうかや、その排出方法の周知の仕方などについても検討してまいります。
○高橋委員 ますます増大する在宅医療廃棄物を安全・安心に処理するためには、都が率先して関係者を取りまとめ、新たな方向性を打ち出していくべきであります。
検討会の成果を強く期待して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中谷委員 私からは、エネルギー施策について何点か伺いたいと思います。
平成二十四年度の環境局の当初予算を見ますと、歳出が約三百九十四億円であります。主要事業を見ると、市街地における豊かな緑の創出に三十八億円、森林や丘陵地、島しょにおける自然の保全に約五十四億円、そして大きなところでは、やはり被災地支援として災害廃棄物の受け入れに百六億円余でございます。この三つの分野で百九十八億円で、つまりは歳出の約半分を占める構成になっているわけであります。
事務事業を施行するときに、やはり、コストを最大限考えなければいけない事業と、スピード感を持ってやらなければいけない事業というのがあるかと思います。また、その両方を求めなければいけない事業もあるかと思いますが、特に災害廃棄物の受け入れについては、やはりスピード感を持ってやる。また、東京が最初に手を挙げたということによって、他の自治体も続いて手を挙げてくれた。
東京はなぜいいかというと、それを運んできたときに、焼却をして、また埋め立てるところまで、都内だけで一気通貫でできると。ほかの自治体だと、それが、処分場がまた別であったり、焼却場所が違ったりという、そういう弊害もあったかと思いますが、また引き続き、この災害廃棄物の処理については、大変ではありますけれども、環境局の方で尽力をしていただきたいと認識しております。
この瓦れき処理を含む、いわゆる被災地支援と、先ほどの緑の創出、自然保護というのは大変大切な事業ですから、それはそれで、もちろん進めなくてはいけないんですが、それとともに、やはり環境局の大きな使命として、CO2の排出量削減、さらには新たな東京のエネルギー生成にまつわる事業の展開もしなくてはなりません。
昨年、電力の需給の逼迫がいわれたわけでありますが、昨年の夏も、二〇一〇年と比べると、約一千万キロワット、東京電力管内の最大電力が削減できたと。これで電力危機が一応回避をされましたけれども、このときは当然、節電というのが大きなマターでありまして、抜本的な解決策に至っているわけではありません。
震災前に比べて、恐らく、今なお四百万キロワット程度の節電が続いておりますから、いわゆる電力需要そのものが減っているという状況だと思いますが、東京がこれから進めなくてはいけないのは、節電の効果ばかりが今いわれていますけれども、それ以外に、やはり新たな電源の確保、新たなエネルギー生成というところに力を注いでいかなくてはならないと思っております。
震災以後、我が国の火力発電の比重が当然高まっておりまして、きょう、資料要求がありまして、温室効果ガスの排出量増加という資料がありますが、これは平成二十二年度の速報値しかありません。これは、そこまでの数字しか出せないはずなんですね。二十三年度の震災後の数値というものが、まだ具体的に我々も見たことがありませんけれども、当然、温室効果ガスの排出量はふえていると想像するのは容易であります。
さらには、火力発電をするために原油の輸入量が増大しておって、それがまた、国の貿易収支の赤字の最大の原因になっているのも事実であります。
そこで、東京の地産地消のエネルギーの創出とよくいわれて、臨海部で進める天然ガス発電所の設置の進捗状況と今後の取り組みというのを伺う予定でありましたけれども、既に他の委員からの質疑もありましたので、その質問は割愛をさせていただきますけれども、その発電所でつくられる電力も、百万キロワットということは、節電で削減した電力の十分の一程度でありまして、東京のエネルギー事情を、供給事業を物すごく、根っこから変えるというほどの規模ではないのも事実であります。
そしてまた、今、三カ所の候補地に絞られておりますけれども、これも、公募開始から運転開始までは六年から七年程度まだかかるという、少し先の事業でありますから、これは、仮にというよりも、首長がかわり、副知事がかわっても--よく石原知事は、役人の方の一貫性と継続性をやゆしていわれますけれども、これはまた逆で、これこそ一貫性、継続性を持って進めていく事業であると認識しております。
そこで、想定される首都直下型地震が起きた、そういう緊急時であっても、首都の中枢機能を確保しなければいけないと。そのために、エネルギーの多元化を図って防災力の強化をするということが、このいろいろな、東京省エネ・マネジメント推進方針にも書いてあります。この中で、CO2の削減を可能にして低炭素なエネルギー利用を高めていかなくてはならないというのが必ず出てくるんですけれども、その方法の中で、なかなか水素ガスの利用というのが出てこないんですね。
過去、東京は、平成十五年当時ぐらいに、多分、水素ステーション的なパイロット事業を臨海部でやって、五、六年やったんだと思うんですけれども、この水素ガスに関する今までの局の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○山本都市地球環境部長 都は、平成十五年度から二十一年度までの間、燃料電池自動車の啓発等を図ることを目的に、パイロット事業といたしまして、燃料電池自動車の市街地走行の拠点となる民間の水素供給ステーションの設置に都有地の提供等を行ったところでございます。
現在、このステーションにつきましては、当該民間事業者が民有地に場所を移しまして水素供給を継続してございます。
○中谷委員 過去、十五年度から二十一年度まで、燃料電池自動車の啓発等を図る事業をしたということでございまして、ただこれは、二十一年度以降は、都がやるというよりは、ほかでやっているんだと思います。
バイオマス燃料というのはなぜいいかというと、生物由来の資源から製造されたバイオ燃料というのは、国際制約上、CO2排出量に積算しないものとするということがありますから、二〇二〇年までに、まして再生エネルギーで二〇%を目指すということであれば、バイオマスの比率をふやしていくということが非常に手っ取り早い話だと思います。
そこで、防災力に備えるためのエネルギーの多元化という中で、災害時に通常のエネルギー供給源が途絶えても、継続的に電源を確保するということが求められていると思いますけれども、そのために蓄電池の技術とか再生可能エネルギー、要は、電力を使わないでも自立できるような供給源が必要だと思うんですが、そうしたときに、下水の汚泥とか、場合によっては、もちろん、木質、木材あるいは食物残滓、そういうバイオマスから水素を生成するという技術が既に日本では確立をされておりまして、実際、九州では稼働しているプラントもあります。
水素というと、どうしても扱いづらいとか、また、その生成、圧縮をするときに、物すごく熱量というかエネルギーがかかるんじゃないかという印象があるんですけれども、実際、都として、バイオマス水素の取り組みについて具体的に検討する予定がないのか、また、それこそパイロット事業として、このバイオマス水素というのが検討に値しないのかどうか、お伺いをいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 水素ガスは、国内では、鉄鋼や化学工業におきまして副次的に生成されるものとしても多量に産出されていますが、その用途については十分に活用されていない部分もあると聞いております。
お尋ねのバイオマス水素につきましては、国内で、国の支援を得ながら実験的な取り組みが行われている事例があることは認識しておりますが、現状では、効果等については評価がまだできる段階にはないとも聞いております。
新技術の開発段階における支援は、国がその役割として行うべきものであり、都は、実用化に至っている再生可能エネルギー技術の普及拡大に引き続き取り組んでまいります。
○中谷委員 新技術の開発段階における支援は、国がその役割を果たすべきという話でありましたけれども、よく石原知事は、国がやらないから都がやるということを、内容によってはよく発言をされますけれども、このエネルギーについて、やはり最大の消費地である東京が、バイオマスエネルギーにしても、取り組んでからすぐに実用化というのは、やはり難しいと思うんですね。
ただ、立地的な条件をいうと、例えば、多摩の多摩産材というか間伐材を使うとか、下水処理場にしても、東京が一番規模が大きいわけですから、そういう原料になるものが必然的にあるこの東京で、やはりパイロット事業としてでも、このバイオマス水素というものを具体的にぜひ検討していただきたいというお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○小宮委員 既に温暖化対策については、多くの委員の先生方から、再生可能エネルギーの活用やシフトの必要性について質疑が行われてまいりました。
私からは、都の取り組むキャップ・アンド・トレード制度について、また、運送事業者、輸送事業者が取り組むエコドライブの評価制度について、そして、スーパーエコタウン事業について伺ってまいりたいと思います。
近年、地球温暖化防止への取り組みの必要性が声高に叫ばれてきましたが、昨年の震災、そして原発事故の後は、すっかり影が薄くなってしまったような感があります。しかし、地球の温暖化のペースが遅くなったわけではありません。我が国のCO2の排出に関していえば、火力発電所の稼働が増加をしたことで、むしろ増加しつつありますが、地球温暖化対策は、どんな状況にあっても手を緩めることなく着実に進めていくべき大きな課題であると考えます。
私は、本年第一回定例会の環境・建設委員会において、家庭における節電、創エネ対策について質問をいたしましたが、限られたエネルギーを効率的にむだなく使うまちづくりには、家庭における対策だけでなく、都内エネルギー使用量の四割を超える業務、産業部門における事業所の取り組みも必要であると考えています。
都は、環境確保条例に基づいて、都市レベルでは世界で初めてのキャップ・アンド・トレード制度を開始しています。東京都に、制度調査のため、アジアを中心に世界各国から関係者が訪問をしているようですが、導入から三年目となる本制度における大規模事業所の削減状況については、先ほど、削減義務率以上の削減を実施している事業所が全体の六四%に達しているというご回答もありました。また、震災後の節電が定着をして、二〇一二年度においても削減が進んでいると伺っておりますので、この質問は割愛をいたしたいと思います。
そこで、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所には、多くのテナントビルがあると思います。そのテナントビルのオーナーからは、過日、この取り組みの達成については、テナント事業者さんの理解や協力が欠かせないという声を聞いています。その点について、都のこれまでの支援や取り組み状況について伺いたいと思います。
○山本都市地球環境部長 制度対象事業所にはテナントビルが相当数ございまして、このテナントビルの削減対策につきましては、ビルオーナーとテナント事業者との協力が不可欠でございます。
このため、キャップ・アンド・トレード制度におきましては、すべてのテナント事業者に、オーナーの削減対策に協力する義務を課すとともに、大規模なテナント事業者に対しましては、削減対策をみずから実施することも義務づけてございます。また、都がテナント事業者に直接出向きまして、指導等も行ってきたところでございます。
こうしたことによりまして、制度開始後、ほとんどのテナントビルにおきまして、オーナーとテナントが協力して温暖化対策を行うテナント協議会が設置されてございます。
ビルオーナーからは、こうしたテナントとオーナーの協力体制が、今回の節電対策に大いに役立ったという声が寄せられておりまして、都の調査によりますと、昨年の夏は、約八割の大規模テナントがビルオーナーに対して節電対策を提案するとともに、みずから積極的に取り組んでいるところでございます。
○小宮委員 都の温暖化対策に加えて、震災以降の節電対策もありまして、大規模事業所のCO2の削減は大きく進んでいるようですが、それでも義務の履行が難しい事業所も存在をすると思います。
こうした事業所の削減対策を、都はどのように推進していくのか伺います。
○山本都市地球環境部長 対象事業所の震災前の削減計画によりますと、約三十万トンの追加削減対策が計画されております。仮にこれがすべて実施されますと、対象事業所の約七割が削減義務率を満たす水準に到達することが予想されます。
また、昨年度以降の節電対策による効果も加わりますと、さらに多くの事業所で義務率を満たすことが見込まれております。
しかしながら、ご指摘のように、一部で一層の取り組みが必要な事業所も存在いたします。
そこで、都はこれまで、業種別に省エネセミナーを開催して、大幅な削減を達成した事業所の事例紹介や、専門家による助言を行ってきたところでございます。
今年度は、これに加えまして、設備の点検表を作成、配布いたしまして、個々の事業所における削減余地の把握を支援したり、個別の事業所に立入指導等を行い、すべての事業所が円滑に義務履行ができるよう取り組んでいるところでございます。
○小宮委員 今後、義務の履行に向けてさらなる取り組みの必要な事業所に対して、きめ細かい支援を引き続き進めていただきたいと思います。
次に、運輸部門のCO2排出量の削減について伺います。
自動車からの環境負荷を低減するために、現在、都内のCO2排出量の約五分の一を占める運輸部門のCO2排出量の削減が、都においても重要な課題となっております。特に運輸部門においては、その九割を占める自動車からの排出削減が不可欠であり、都内の運送事業者が率先して、エコドライブや環境性能の高い自動車の導入に取り組んでいく必要があります。
東京都トラック協会では、平成十八年からグリーンエコプロジェクトという、ドライバーみずからが満タン時の記録をつけて燃費を自己管理し、それを協会が集約してエコドライブの結果をフィードバックするといった環境への取り組みを続けておりますけれども、都は、運輸部門のCO2削減策として、このたび、貨物運送事業者のそうしたエコドライブ等の日常的な努力を評価する貨物輸送評価制度を創設し、本年度は試行として実施をしております。
今後、本格展開をすると伺っておりますけれども、世界的に見ても先駆的な取り組みと考えておりますが、この評価制度にはどのような特徴があるのか、まず伺っておきます。
○山内自動車公害対策部長 この評価制度は、事業者が運行させる全車両について、事業者による正確な燃費管理と燃費の改善に向けたエコドライブ等の日常的な努力が行われていることを、その燃費のレベルに応じて、一年間分の実際の走行燃費の数値により客観的に評価するものでございます。
今年度の試行では、百十五社を評価しました。営業地を問わず、都内に貨物を運送する事業者を対象として、営業所単位の評価ではなく会社ごとに評価することが、他の認証制度などにはない特徴的な点でございます。
会社ごとに評価することにより、荷主企業や消費者は、運輸サービスを利用する際、一定の評価を得た事業者を選択することができ、荷主の立場でもCO2削減に貢献できることになります。事業者にとっても、継続的な努力による評価結果をアピールし、受注機会の拡大などにつながることが期待できるものと考えております。
○小宮委員 運送事業者さんの中には、荷主さんから、最近、都の試行するこの評価制度に参加しているかどうかを尋ねられたという声があったというふうに私は伺いました。
環境への取り組みに対する社会的期待が荷主さんにもあるということを感じるわけですけれども、この評価制度に対する運送事業者さんからの反響はどのようであったか、伺います。
○山内自動車公害対策部長 本年三月の制度の概要を公表後、事業者や他の自治体から多数の問い合わせが寄せられております。
また、先ほど副委員長からご紹介がありました、エコドライブ等によるCO2削減の取り組みを支援する東京都トラック協会主催のグリーンエコプロジェクト、これは、この制度以前からそういった取り組みがなされているわけなんですが、この制度の公表が三月だったのですが、四月以降、さらに参加する事業者がふえたとも聞いております。
また、評価結果の公表も、他の事業者への刺激となり、申請に向けて、これまで以上にドライバー一人一人が日々の燃費の記録やエコドライブに真剣に取り組むようになり、会社としても、より正確な燃費管理を行う事業者がふえたとも聞いております。
この制度により評価を受けられることが、日々の燃費管理に取り組む一つの励みになったものと考えております。
○小宮委員 エコドライブ等の日常の努力を積み重ねた事業者が評価を受けて、荷主や消費者にも広く認識をされ、貨物運送において積極的に活用されるようになれば、ビジネスチャンスが拡大いたしますので、事業者の取り組みがさらに進むと思われますが、今後の本格実施をどのように展開していくのか伺います。
○山内自動車公害対策部長 今回の試行におきまして、評価結果の公表とあわせて、評価事業者が活用できる評価ロゴデザイン、マークですね、そういったものを決定しまして、車両や名刺、ポスター等への掲示により、事業者みずからが、評価を受けた会社であることを広くアピールできるようにいたしました。
また、現在、日本全国の重立った企業、消費者団体や自治体などが加盟し、環境負荷の少ない製品やサービスの購入を進めるグリーン購入ネットワークという団体があるんですが、こちらの団体において、この評価制度により評価を受けた事業者の活用も含めた輸送や配送のガイドラインの検討が進められております。
今後、グリーン購入ネットワークなど関係者との連携を図りながら、事業者によるCO2削減の努力が報われ、ビジネスチャンスの拡大につながるようなルールの構築に取り組んでまいります。
○小宮委員 CO2排出量削減のために民間が自助努力で取り組むプロジェクトに対して、東京都という発信力のある行政が評価をすることで、制度への関心や信頼が高まったといえると思います。今後は、ぜひこの評価制度を、ディーゼル車の排ガス規制のときのように、広く九都県市、首都圏及び区市町村に普及していただくように要望をいたしておきます。
さて、CO2削減のためには、こうした評価制度の円滑な運用はもとより、継続的なエコドライブの実践などとともに、環境性能の高い車両の導入が有効と考えます。ただ、環境性能の高い自動車を導入するためには多額の経費がかかることから、中小の運送事業者への経費面への支援策が重要と考えます。
今年度から、都は、中小事業者への支援策として、ハイブリッドトラックへの補助を開始したと聞いていますが、その内容と現在の実績について伺います。
○山内自動車公害対策部長 ハイブリッドトラックは、通常のディーゼルトラックに比べ二割程度燃費が改善されており、環境性能がすぐれているものでございます。今年度に入り、メーカーからの供給も本格化したことから、本年五月から導入補助事業を開始しました。
補助内容でございますが、補助の対象は、都内の貨物運送事業者のうち中小企業及び個人事業者であり、補助額につきましては、通常車両との価格差から国の補助額を除いた額の二分の一、限度額は、最大積載量四トン未満の車両で一台当たり十六万四千円でございます。また、これはリース車両も対象としております。
なお、申請台数は十月二十三日現在で九十三台でございます。
○小宮委員 従来のトラックに比べて燃費が改善をされているとはいえ、現場の事業者さんにとっては、まだまだといった声を伺っています。ハイブリッドトラックの販売時期に合わせて素早く対応したということは評価をするところです。
昨年は東日本大震災があり、サプライチェーンが寸断されて物流が一時滞ったわけですが、ことしに入り、景気も物流も回復してきているとはいえ、中小の運送事業者さんにとっては、全体の物量が減る中で、ほとんどの事業者が赤字を抱えております。そんなとき、環境だけでなく、経営の視点からも事業者さんは判断をしなければならないというわけです。
大きなトルクを必要とするトラックというのは、乗用車のように簡単に大幅な燃費の改善をするというわけにはなかなかいかないかもしれませんが、そのための必要な技術開発等に対しても、都の積極的な取り組みを期待しておきたいと思います。
最後に、循環型社会の実現に向けた都の取り組みについて伺います。
スーパーエコタウンという、大田区の城南島と中央防波堤内側埋立地には、リサイクルによるガス発電や、食品廃棄物を飼料ですとかバイオガスに変える施設、また、建設廃材や瓦れき、泥土、情報機器類のリサイクルをする、そんな、まさにその名のとおりのスーパーエコタウンがあります。
このスーパーエコタウン事業は、都が施設の立地に必要な都有地を確保して、整備する施設と事業者を決定するとともに、計画全体の推進及び調整に当たります。一方、事業主体として決定された民間事業者は、都有地を購入の上、施設を整備し、運営をみずから行うというスキームになっています。
既に九つの施設が整備をされ、それぞれ特色あるリサイクルにも取り組んでいて、また、東日本大震災による災害廃棄物の受け入れにも大きく貢献した。まさにこの施設があったからこそ受け入れもできたというふうに伺っております。
そこで、まず初めに、スーパーエコタウン事業のこれまでの実績について伺います。
○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 平成十六年度から開始したスーパーエコタウン事業につきましては、平成二十三年度末に事業成果の取りまとめを行いました。
これによりますと、スーパーエコタウン事業では、都内の産業廃棄物中間処理量の約一〇%の処理実績を上げるとともに、エコタウン内の施設の相互連携により、効率的で高度なリサイクルを実現しております。また、産業廃棄物の最終処分量につきましては、首都圏の処分量の一四%に相当する量を削減しております。
個別の施設の実績で見ますと、建設混合廃棄物リサイクル施設や廃情報機器類等リサイクル施設は、約九〇%以上の高いリサイクル率を達成しております。
また、廃プラスチックのサーマルリサイクルによる年間約五千九百万キロワットアワーを発電し、うち約二千四百万キロワットアワーを売電しております。この発電量は、約一万六千世帯分の年間消費電力量に相当いたします。
さらに、東日本大震災の災害廃棄物の受け入れに当たりましては、スーパーエコタウンの三施設で、本年九月までに、被災地の混合廃棄物など約一万九千トンを受け入れ、被災地の復興に貢献しております。
○小宮委員 スーパーエコタウンの施設が、今回の災害廃棄物の受け入れにおいて、本当に重要な役割を担ったということがよくわかります。せっかく先進的な取り組みを行い、大きな実績を上げているわけですから、都は、その現状や実績を広く都民に周知することが重要であると思います。
スーパーエコタウン事業の都民への周知について、現状と今後の取り組みを伺います。
○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 スーパーエコタウン事業では、先進的で信頼性の高いリサイクル施設を広く国内外にアピールするため、情報公開や施設公開などを積極的に進めております。
都は、毎年、都民を対象にスーパーエコタウン事業施設の見学会を二十回実施するほか、個別に、観光庁、各企業、外国人などの見学者を受け入れております。平成二十三年度の見学者の受け入れは、約八千四百人となっております。
また、スーパーエコタウン事業のこれまでの事業成果を平成二十三年度末に取りまとめてホームページに掲載するなど、広く都民に向けて情報発信をしております。
○小宮委員 スーパーエコタウン事業の実績を広く都民に周知するべく、都の積極的な取り組みをお願いします。
また、この高度で先進的な廃棄物処理、リサイクル施設が集積するスーパーエコタウン事業について、今後、都はどのような方針で取り組んでいくのでしょうか、見解を伺います。
○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 スーパーエコタウン事業は、これまで、都内処理率の向上、最終処分量の削減、循環型社会の推進などに貢献してまいりました。
現在、事業区域には約一・五ヘクタールの未利用地がありますが、この用地につきましても、経済状況等を見きわめながら、必要なリサイクル施設の誘致について検討してまいります。
今後とも、都は、スーパーエコタウン事業者が円滑な事業運営ができるよう、必要な調整を行うとともに、これら事業者による事業の成果を、先進的な取り組み事例として、国内外に向けて積極的に発信してまいります。
○小宮委員 エコタウン内の相互の連携によって、リサイクルしたものをさらに近場でリサイクルできるという、大変効率的な実績を上げているということですから、今おっしゃった未利用地一・五ヘクタールに対して、今後どのようなリサイクル施設が必要なのか、ぜひ地元区や関係者と十分な協議をしながら事業を進めていただくようにお願いをしたいと思います。
以上、キャップ・アンド・トレード、エコドライブ、エコタウン、どれも資源を効率よく使ってむだを省く、地球に優しい取り組みをについて伺ってまいりました。そのような取り組みが温暖化を防ぐことにつながると思います。
この夏も、我が国では、局所的な激しい豪雨による被害がたびたび報道されたのは記憶に新しいところですが、アメリカでは約六十年ぶりの大干ばつや熱波、ロシアでも約七十年ぶりの大洪水など、温暖化の影響が指摘をされている深刻な異常気象というのは世界各国で見られているところです。これらの異常気象は、例えば穀物価格の上昇等を招き、日本の、そして東京の経済へも影響をもたらしています。
こうしたことから、温暖化対策の重要性を改めて確認することが重要であり、先駆的な取り組みを進めてきた都には、引き続き積極的に温暖化対策を進めていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時散会
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