環境・建設委員会速記録第十一号

平成二十四年十月二日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長上野 和彦君
副委員長中村ひろし君
副委員長桜井 浩之君
理事高橋かずみ君
理事柳ヶ瀬裕文君
理事尾崎 大介君
松葉多美子君
かち佳代子君
原田  大君
吉田康一郎君
こいそ 明君
石毛しげる君
大津 浩子君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長紺野 秀之君
環境政策部長吉村 憲彦君
建設局東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
次長野口 宏幸君
道路監横溝 良一君
総務部長東  了一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
付託議案の審査(決定)
・議員提出議案第十二号 東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○上野委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書二件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○上野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。

○尾崎委員 議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例について意見を申し上げます。
 環境分野では、環境基本条例や環境確保条例がありますが、環境基本条例は環境の保全を目的とした環境政策全般に関する条例、環境確保条例は、公害防止条例を改正した排出ガスや土壌汚染、騒音等の規制などの環境政策全般を行う条例であります。
 本改正案は、緑の保全、新たな緑の創出を定める自然保護条例の第十三条に、室内緑化推進を努力義務として規定するものであります。
 質疑においては、改正によって屋外の緑化が減るおそれがあるとの意見もございましたが、答弁にもあったとおり、改正案は、現在、義務である緑化に加えて、室内も努力していただく内容であり、トータルで東京の緑をふやすものであります。
 また、室内緑化を条例に規定する点について、一般家庭の中に行政が入るのかとご懸念の向きもあるようですが、現在、義務とされている第十三条一項の屋外緑化も、第十四条に基づく緑化指導並びに緑化計画書制度の対象は、民間施設では千平米以上、また公共施設では二百五十平米以上の新築、改築、増築等の場合であり、一般家庭には実質的に強制していないことからも、各家庭内に緑をふやしていただければ幸いではありますが、一般家庭の室内に行政が立ち入ることはあり得ないものと考えます。
 趣旨説明にもあったとおり、室内緑化によるさまざまな効果は広く都民にもたらされるものであり、ぜひともこの改正案を成立させるべきと考えます。

○桜井委員 民主党の議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案について、反対の立場から意見を申し上げます。
 東京の都市としての魅力を高めていくためには、市街地の緑化を積極的に推進していくことが重要であり、緑の東京十年プロジェクトや、本年五月に策定した緑施策の新展開などにより、都が質の高い緑の創出に向けた取り組みを力強く進めていることは、風格ある都市の創造につながるものと大いに期待をするところであります。
 改正の提案がなされている自然保護条例は、東京の自然を守り、緑をふやすための基幹的な条例であり、その目的は、市街地の緑化推進や貴重な緑地の保全により、自然の魅力があふれる都市環境を実現することにあります。この自然保護条例において、事業者等に対し、緑化計画書制度や開発規制により、緑化基準に応じて屋外の緑化等を求めているのも、そのためであります。
 しかしながら、今回、民主党が提案しているように、自然保護条例を改正して室内緑化の努力義務を導入することは、都の緑化施策の推進にむしろ支障が生じる危惧があります。
 室内緑化については、潤いや安らぎを与えるなど、その効果を否定するものではありませんが、自然保護条例に室内緑化を含めた場合、都の政策として、屋外の緑と室内の緑を区別する理由が希薄となってしまいます。そのため、事業者からは、本来ならば十分屋外緑化を実施できる場合でも、室内緑化で代替しようという動きが出てくる懸念があります。そうなると、結果的に都の緑化施策が後退することになってしまいます。これは極めて大きな問題であります。
 屋外の緑化は、ヒートアイランド現象の緩和や都市水害の軽減、豊かな景観の創出などの形で、多くの都民が自然の恵みを享受し、快適な生活を営む環境を確保することができます。その効用は極めて幅広いものであるといえます。
 また、自然保護条例においては、自然について、大気、水、土壌及び動植物を一体として総合的にとらえた人間の生存基盤である環境をいうと定義しておりますが、室内の緑は、窓や壁によって外部環境から隔絶されているため、外部環境に波及して緑豊かなネットワークを形成することはありません。プランターなどを利用しているため、容易に移動、撤去できるのも問題です。
 室内緑化は、自然保護条例が定義する自然には到底当てはまらないと考えます。このような人工的に管理された箱庭のような室内緑化を幾ら進めても、自然保護条例が目指す自然の魅力にあふれる東京の実現にはつながらないと考えます。
 以上のことから、自然保護条例に室内緑化の推進を位置づけようという民主党の提案は、思慮が浅いといわざるを得ないものであり、本条例案に対して反対である旨を強く申し上げて、意見表明を終わります。

○松葉委員 民主党の議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案について、反対の立場から意見を申し上げます。
 都の緑化施策につきましては、本年五月に策定した緑施策の新展開により、緑の量を確保する取り組みに加え、生物多様性の保全など緑の質の確保にも重点を置いた取り組みの推進など、新たな施策の方向性を既に示しており、我が党としても、その積極的展開を大いに図っていくべきと考えます。
 自然保護条例は、乱開発による緑の減少を抑止し、市街地等に新たな緑地を創出するなど、都の緑施策を推進する上で大きな役割を果たしてきたといえます。
 民主党は、この自然保護条例を改正して、室内緑化の推進について新たな規定を設けることを提案していますが、室内緑化の推進は、自然保護条例が目指す自然の保護と回復、市街地の緑化推進といった趣旨、目的とは異なるものであると考えます。
 自然保護条例は、市街地の緑化等により自然の保護と回復を図り、もって広く都民が豊かな自然の恵みを享受することを目指しています。しかしながら、室内の緑は、屋外の緑地と異なり、その恩恵を享受するのは限られた建物利用者にとどまります。
 また、室内の緑では、小動物や鳥類、昆虫などが自由にえさをとったり、産卵に利用したりするような生息環境を提供することはできませんので、都が緑化の質を高める新たな方向性として打ち出した生物多様性の確保にも寄与することはないものと考えます。
 したがって、屋外緑化を質、量ともに拡充していこうという都の緑施策の観点から考えるならば、室内緑化を屋外緑化と同じ条例で規定することは誤りであります。
 さらに、自然保護条例が、屋外緑化に関し緑化基準による対応を求めているのは、屋外の緑化が不特定多数の都民にその効用を及ぼすなど、公共的性格を有しているからこそであります。
 一方、建築物の内部空間は、公共的空間もあるものの、大半が私的空間であり、こうした私的空間の利用方法は、基本的には建築物の使用者の自由意思に任されるものであります。室内を緑化するかどうかは、いわば使用者の趣味、嗜好の問題といえます。個人住宅のような私的内部空間の室内緑化についてまで、条例をもって一律に努力義務を課すことは、到底、都民に受け入れられない問題であります。
 以上のとおり、民主党の提案は、条例本来の目的を逸脱するものであり、都民に対し説明できる水準には到底達していないことから、本条例案に反対することを申し上げて、都議会公明党の意見表明といたします。

○かち委員 私からも、議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案について、賛成の立場から意見を述べます。
 本条例案は、都の自然保護条例に、第十三条の二として公共公益施設及び建築物の内部の緑化に配慮するよう努力義務の規定を加えるものです。
 もとより、建物の内外を問わず、安らぎと潤いをもたらす緑化を推進することは意義あることであります。
 改正案の条文中の建築物の規定には都民の住宅も含まれますが、暮らし、都民の個人住宅について、その内部の緑化まで義務づけることは行うべきではありません。しかしながら、改正案の条項の表現は、配慮するよう努めるという、強制を伴わない表現になっていることから、個人の生活スタイルを拘束することにはならないと判断しました。よって、あえて反対の立場をとりません。
 そもそも本条例の本旨は、東京における都市化の進展、開発等によって失われつつある都民の生存の基盤である環境を守り、回復するための条例であります。条例を改正するというなら、本条例が二〇〇〇年に改定されたときに、緑化保全地域の指定対象から市街地を外してしまったことなどにより、市街地での緑の喪失が加速しているという事実に目を向ける必要があると考えます。
 調査方法が異なるとはいえ、東京のみどり率は、十年間で区部で九%、多摩部では一二・六%の減少に至っています。緑地保全に対する決算額も、九年間で半分に減少しています。
 したがって、今ある緑を守るための新たなルールを設け、緑を守り、回復するための具体的な施策を抜本的に強めるべきであることを主張し、意見とします。
 以上です。

○上野委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○上野委員長 起立多数と認めます。よって、議員提出議案第十二号、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例は、原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○上野委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○上野委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、村尾東京都技監建設局長兼務から発言を求められておりますので、これを許します。

○村尾東京都技監 発言のお許しをいただき、両局を代表しまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会に提案いたしました議案等につきましてご調査、ご審査いただき、まことにありがとうございます。
 また、一年間を通じて、上野委員長を初め委員の皆様には、熱心なご指導、ご鞭撻を賜り、まことにありがとうございました。
 委員会審議を通じまして、皆様からちょうだいいたしました貴重なご意見、ご提案などにつきましては、今後の事業執行に反映させ、万全を期してまいります。
 今後とも、環境、建設行政の発展のため、ご指導賜りますようよろしくお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○上野委員長 発言は終わりました。
 この際、私からもごあいさつを申し上げたいと思います。
 昨年の十月から本委員会がスタートいたしまして、この一年間、環境・建設委員会の委員長として務めさせていただきました。本当にありがとうございました。
 この間、桜井副委員長、中村副委員長を初め理事、委員の皆様には、委員会運営に対しましてご協力をいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 また、環境局、建設局それぞれ理事者の皆様には、委員会審議、視察、調査等で多大なるご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。
 そしてまた、何よりも議会局の職員の皆様にも細かいご配慮をいただきまして、円滑なる審議を進めることができましたことを改めて感謝申し上げます。
 当委員会は、いかにして都市の発展と環境を調和させ、都民が安全で暮らしやすい東京を実現するかを真剣に議論する場であると思っております。環境局、建設局の両局は、ともに都政において大変重要な政策課題、さらに政策目標を担っている局でございます。
 その意味におきまして、本委員会でのご意見、ご提案、そしてご指摘等につきましては、先ほどの都技監からのお話もありましたように、着実に事業執行の中で反映させていただきますよう、心から念願する次第でございます。
 今後とも、環境行政、建設行政が都政の中でますます発展、繁栄されますことを心からお祈り申し上げまして、私の御礼のあいさつとさせていただきます。一年間、本当にありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十六分散会

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