環境・建設委員会速記録第七号

平成二十四年六月十四日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長上野 和彦君
副委員長桜井 浩之君
副委員長中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事笹本ひさし君
理事尾崎 大介君
松葉多美子君
かち佳代子君
山田 忠昭君
原田  大君
こいそ 明君
石毛しげる君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
建設局東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
次長野口 宏幸君
道路監横溝 良一君
総務部長東  了一君
用地部長佐藤  敦君
道路管理部長浅川 英夫君
道路建設部長吉原 一彦君
三環状道路整備推進部長長谷川金二君
公園緑地部長町田  誠君
河川部長飯塚 政憲君
企画担当部長西倉 鉄也君
総合調整担当部長今村 保雄君
道路保全担当部長鈴木 昭利君
道路計画担当部長野崎 誠貴君
公園管理担当部長滝澤  達君
緑化推進担当部長五十嵐政郎君
環境局局長大野 輝之君
次長藤原 正久君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市エネルギー推進担当部長久原 京子君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長中村  豊君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長高橋 宏樹君
緑施策推進担当部長谷上  裕君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務山根 修一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 建設局関係
契約議案の調査
・第百五十二号議案 擁壁築造工事(二十四四-放三十五)請負契約
 環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十六号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・緑施策の新展開-生物多様性の保全に向けた基本戦略について

○上野委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る六月四日付をもって、小宮あんり議員が本委員会から文教委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告申し上げます。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○上野委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○上野委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十四年六月十三日
東京都議会議長 中村 明彦
環境・建設委員長 上野 和彦殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百五十二号議案 擁壁築造工事(二十四 四-放三十五)請負契約
2 提出期限 平成二十四年六月十五日(金曜日)

○上野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十二号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、第百五十二号議案、契約案件、擁壁築造工事(二十四 四-放三十五)についてお尋ねいたします。
 東京の最大の弱点である交通渋滞解消はもとより、災害時には安全な避難や緊急車両の通行を確保し、住民の生命、財産を守るためにも、道路整備は不可欠であると思います。とりわけ練馬区内の都市計画道路の整備率は、平成二十三年三月末で約四八%であり、区部の約六二%や多摩の約五八%に比べ、著しく低い水準であります。
 こうした状況において、放射第三五号線及び放射第三六号線は、練馬区など区部北西部の骨格を形成し、地域のまちづくりに寄与する重要な幹線道路であり、その早期整備が望まれております。
 現在事業中の補助第二三七号線から川越街道付近までの放射第三五号線は、昭和四十一年に都市計画決定後、大気、騒音、交通量等の沿道環境について、地元住民、地元関係者等とのきめ細かな話し合いを重ね、環境影響評価の手続を行い、ようやく平成十六年に事業着手した路線であります。その路線がいよいよ本格的な道路整備に入る段階を迎えるに当たり、工事内容を含め、質問をさせていただきます。
 まず、放射第三五号線の必要についてお伺いいたします。

○吉原道路建設部長 骨格幹線道路の整備は、交通渋滞の解消のみならず、震災時においては避難経路としての役割を果たすなど、まさに都民の生命、財産を守る命の道として重要な役割を担っており、一刻も早く完成させなければなりません。
 放射第三五号線は、区部北西部の道路ネットワークの充実を図り、地域の防災性を高めるためにも重要な路線であり、練馬区豊玉中三丁目を起点とし、都県境の板橋区新河岸三丁目に至る全長約八・五キロメートルの都市計画道路でございます。
 本路線のうち、現在事業中の補助第二三七号線から川越街道付近までの区間の整備によりまして、環状第八号線から新大宮バイパスまでが結ばれます。このことによりまして、災害時の避難経路の強化や、延焼遮断帯としての空間が確保され、地域の安全性や防災性が向上いたします。
 さらに、昨年度事業着手した放射第三六号線と接続することにより、池袋から都県境までが結ばれ、環状第六号線、環状第七号線、環状第八号線とも交差することとなり、新たな道路ネットワークが形成され、渋滞緩和や交通の円滑化が図られます。

○高橋委員 放射第三五号線の整備は、区部北西部の道路ネットワークを形成し、その整備効果が大きいことを改めて確認いたしました。
 次に、現在事業中の補助第二三七号線から川越街道付近まで、その区間の進捗状況と、今回の提案工事の概要について伺います。

○吉原道路建設部長 事業中区間の進捗状況でございますが、平成十六年度より事業着手し、これまでに約九割の用地を取得しており、配水管設置工事などを実施してまいりました。
 契約案件の擁壁築造工事は、環状第八号線立体交差部の南側において本体構造物を築造するものでございます。さらに、本契約案件は、練馬区が近接して整備する東京メトロ有楽町線平和台駅地下自転車駐車場の土工、仮設工などを含めて施工するものでございます。

○高橋委員 今年度より環八通りとの立体交差部の工事に着手するといった答弁がありましたが、これからも早期に整備を進めていく必要があると考えます。
 そこで、現在事業中区間の今後の取り組みについて伺います。

○吉原道路建設部長 環状第八号線立体交差部の区間は、用地の取得を鋭意進めるとともに、今回契約案件に引き続き、環八直下付近で、トンネル及び擁壁工事にも着手する予定でございます。
 また、環境施設帯を設置するため、副道の有無や緑地帯の構造などについて、計画線内に構築した環境施設帯モデルも活用し、本年夏から沿道の方々との話し合いを始めることとしております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、事業中区間の平成二十七年度開通を目指し、全力で整備を進めてまいります。

○高橋委員 交通渋滞の解消とともに、都民の命、財産等を守るため、震災など災害に強い都市をつくることは喫緊の課題であり、地域の防災性向上を図るためにも、放射第三五号線の早期完成に向け、整備を進めるべきと思います。
 引き続き、地域の声に耳を傾け、地元の理解と協力を得ながら事業を推進していくことを強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上をもちまして建設局関係を終わります。

○上野委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 それでは、私の方から、付託をされております都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正につきましてお伺いをしたいと思います。
 これまで都は、この条例の目的である都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保することをより一層高い次元で実現していくために、都の地域における環境に関するさまざまな仕組みづくりや基準を定めて先駆的な施策を推進してきたところであると思います。
 今回の条例改正は、国の水質汚濁防止法に関する政省令改正との整合性を図るためとして、排水基準及び地下浸透防止について新たな基準の設定などを行うものということでありますけど、国において十分な検討を行った上で基準設定が行われ、それに基づいた条例改正であると聞いておりますが、改めて今回の条例改正の内容などについてお伺いをいたします。
 まず最初にお伺いをいたしますのは、今回、排水基準に新たに設定される予定の1・4ジオキサンは、一般都民の生活上余りなじみのない物質でありますが、どのような用途で使用されているのか、また、今回の基準設定の経緯についてもお伺いをいたします。

○高橋自然環境部長 1・4ジオキサンは、主に化学工業において製品製造時に原料を溶かすための溶剤などとして使用されている特徴的な臭気を有する透明な液体でございます。
 排水基準等の設定につきまして、国において、まず、良好な環境を確保するための行政目標である環境基準を定めます。この環境基準の設定は、環境省の中央環境審議会において、WHO、世界保健機関の飲料水水質ガイドラインで推奨されているガイドライン値及び厚生労働省の水道水質基準の改定の際の検討経緯などを再度検証した上で、環境基準値の案が答申されます。こうした専門家による検討結果を踏まえまして、環境省が環境基準を設定いたします。
 環境基準の設定後に、さらに、その物質の使用実態や環境中における検出状況などのデータに基づき、排水基準や地下浸透防止に関する具体的な規制値が設定されることとなります。
 今回の政省令の改正も、この手続を踏んだものでございます。

○桜井委員 わかりました。基準の設定の件については、今、ご答弁をいただきまして、よくわかった次第です。
 次に質問させていただきますが、個別の物質について基準設定を見ますと、今回の条例改正では、塩化ビニールモノマー及び1・2ジクロロエチレンについては、地下浸透基準のみの設定になっておりますが、これについて何か理由があるのか、お伺いをいたします。

○高橋自然環境部長 塩化ビニールモノマー及び1・2ジクロロエチレンは、既に水質汚濁防止法及び環境確保条例で規制の対象となっているトリクロロエチレンなどの物質が、嫌気性条件下、つまり地下水の中で分解して生成されると考えられております。実際、環境中においても、地下水からは継続的に検出される一方、公共用水域においてはほとんど検出されていない状況であることから、地下浸透のみの基準設定とされたものでございます。

○桜井委員 このような環境の実態に合った基準項目の設定は、合理的な規制行政を進めていく上で重要であるというふうに考えます。
 今回の条例改正において、1・4ジオキサンの排水基準については暫定基準が設けられており、本則適用までの間に、特定の事業者が、処理施設の設置など何らかの対応が求められるのではないかと考えます。
 そこで、都内で、今回の条例改正後の基準に該当して新たに規制の対象となる事業者の数など、状況はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○高橋自然環境部長 1・4ジオキサンを公共用水域に排水する事業者はおりません。
 また地下水浸透基準につきましては、二事業者が該当することになる見込みでございますが、これらの事業者に対しましては、事前の聞き取りなどを行い、該当することが明らかとなった場合は、条例に基づく届け出や事業所指導など、環境確保のため適切に対応してまいります。

○桜井委員 ありがとうございます。今回の条例改正の内容について、今の流れでよく理解できたところです。
 引き続き、都民がより良好な環境を享受できるような取り組みの推進をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○上野委員長 次に、報告事項、緑施策の新展開-生物多様性の保全に向けた基本戦略についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 去る五月三十一日の当委員会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、三項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、区部、多摩別の過去二十年間の緑被率とみどり率でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十五年及び平成二十年のみどり率を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、緑地保全と生物多様性地域戦略策定にかかわる予算、決算の推移でございます。
 (1)では、平成十五年度から平成二十三年度までの各年度における緑地保全にかかわる公有化の予算額及び決算額、並びに管理費の予算額を、(2)では、平成二十一年度から平成二十三年度までの各年度における生物多様性地域戦略策定にかかわる予算額及び決算額を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、区部、多摩別の過去十年間の開発許可件数でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、平成十四年度から平成二十三年度までの各年度における開発許可件数を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 緑施策の新展開-生物多様性の保全に向けた基本戦略について質問をいたします。
 東京は、東西に約千九百キロメートル、南北はニューヨーク市の約四十倍もある約千七百キロメートルにも及ぶ広範なエリアを有しています。また、年平均気温も、小河内の十一・九度から父島の二十三・二度と、気温差が十一度もあります。シカやツキノワグマの生息する奥多摩からクジラの回遊する小笠原諸島まで、多彩な自然環境に恵まれています。
 もし尖閣諸島を購入することになれば、尖閣諸島は黒潮の源流も流れており、シュモクザメの回遊する尖閣諸島、そしてアホウドリの繁殖地、国際的な野鳥、世界的な鳥類、魚の生態系の研究フィールドとなり、世界の納得するような環境保護の島にすることもできます。
 このような地理的な側面と、歴史的、文化的な側面が相まって、東京は、東京にしかない固有の地域特性をはぐくんでまいりました。
 一昨年の第二回定例会で、私は、都の生物多様性地域戦略の策定に関して一般質問を行いました。このような首都東京、世界でたった一つの、こうした首都東京としての独自性を十分に生かした生物多様性地域戦略を策定するように求めておりましたが、このような視点は、緑施策の新展開にどのように生かされ、どのように反映されたのかをお伺いします。

○谷上緑施策推進担当部長 緑施策の新展開では、前半部分で東京の現状を分析しており、地域ごとに多様な自然が存在するというプラスの側面や、開発による緑の減少や外来種問題などマイナスの側面を整理する一方、都民の暮らしや東京で行われる経済活動が、都外の生物資源に依存する現状を整理しております。
 また、東京には、企業、NPO、区市町村、大学など、さまざまな主体が存在しており、これらの主体がどのような行動をとれば緑施策に貢献できるかを明らかにするため、守る、つくる、利用するという三つの行動方針を示してございます。
 以上のような地理的、社会的特性や多様な主体の集積など委員のお話にありましたような東京の独自性を踏まえ、各主体との連携による緑の保全、創出活動や、生物多様性に配慮した企業活動を促す仕組みなど、生物多様性の保全など緑の質を重視した今後の緑施策の方向性を示しております。

○大津委員 緑施策の新展開は、生物多様性の保全など緑の質を重視して今後の緑施策を展開する方向性を示したとの答弁でありました。
 ここで確認をしたいのですが、そもそも緑の質とは何かについてご答弁願います。

○谷上緑施策推進担当部長 緑には、食料、燃料、水、酸素など人間の生存に不可欠な物資の供給や、森林、樹林、水辺など生き物の生存基盤としての役割、ヒートアイランド現象の緩和など環境を改善する機能、震災時の避難場所や火災の延焼防止などの防災機能、さらには人々の心に潤いや安らぎをもたらす機能など、さまざまな機能があります。これらを総称して緑の質と呼んでおり、緑の多面的な機能をより一層発揮させていくことが、今後の緑施策の展開において重要と考えております。

○大津委員 緑には多面的な機能がありまして、それらを総称して緑の質と呼んでいるということであります。私は、この東京が高度な防災都市東京として強いまちづくりを行っていく中で、とりわけ、木の持つ、自然の持つ、生物の持つ防災機能に注目をしてまいりたいと思います。
 本年三月に国土交通省が公表した、津波災害に強いまちづくりにおける公園緑地の整備に関する技術資料によりますと、昨年の東日本大震災で、海岸沿いの樹林地が津波のエネルギーを吸収するとともに、押し流されてきた流木や瓦れきから民家を守る事例が報告されました。このような事例は、自然の持つ防災力が、人間がつくった防潮堤を上回る可能性さえも示唆しております。
 また、地元の渋谷区の鳩森神社では、戦争のときに丸焼けになった中で、たった三本のイチョウの木が生き残ったという話も聞いておりますし、神田明神では、半分イチョウが焼けながらも、今もなお元気に植わって息吹いております。このような、関東大震災や東京大空襲の際には、イチョウの木が、東京都のシンボルツリーにもなっていますが、火災の延焼を防いだという話を多く聞いてまいりました。
 樹木のさまざまな特性を分析した文献を見ますと、樹木の防災機能については、例えば火災に強い樹木としては、今のイチョウのほか、シラカシ、ツバキなどが挙げられています。また、風に強い樹木としてはクリ、ケヤキ、カシワなどが、そして、潮風に強い樹木としてはクロマツ、エノキ、ツバキなどが挙げられています。さらに、根が深く張っていく樹木でもありますクヌギ、コナラ、ケヤキなどは土砂災害に強い樹木と考えられています。
 このような樹木の防災機能を初め、緑の多面的機能をより一層発揮させていくため、今後どのように取り組んでいくのか期待をし、見解をお伺いします。

○谷上緑施策推進担当部長 今回発表しました緑施策の新展開では、緑の防災機能につきましても言及しておりまして、その中で、昨年十二月に改定した都市計画公園・緑地の整備方針に基づき、震災時の避難場所や防災拠点となる公園、緑地を初め、緑の拠点となる公園、緑地を整備していくこととしております。
 今後、防災機能に加え、潤いや安らぎ、ヒートアイランド現象の緩和、生物の生存基盤の確保など、緑の多面的な機能のより一層の発揮に向け、緑施策を所管する関係局と連携しながら重層的に施策を展開してまいります。

○大津委員 ぜひそうした自然物を活用した強い東京のまちづくりを促進していただきたいと思います。
 防災に関しては、動植物と災害に関する多くのいい伝えもございます。
 古文書によるいい伝えとしましては、調布市の「子どものための調布のむかしばなし」の文献によりますと、天気予知、風、台風ということで、ハチが高いところに巣をつくるとその年は風が吹かない、低いときは風が多い。これは動物の気象等の予測能力について述べたところです。
 もう一つとしましては、いい伝えとして口伝情報で残っているとのことですが、大島町にあるいい伝えです。ハチの巣が低い場所にある年は台風が多い、夏から秋にかけて巣をつくるハチが低い場所に営巣することは、激しい風雨から逃れるための現象と示唆をされています。
 こうしたミツバチが木の低いところに巣をつくるときは台風が多いという、古くから人間が生き物とともに共存をしてきたあかしであると思いますし、また、生き物の存在によって災害発生前に危険を予知し、被害軽減につなげてきた可能性も示唆をしているわけであります。
 そこで、ミツバチですが、ミツバチは地域の生態系の中でも植物の受粉を媒介し、結実を促す役割を担っています。私の地元、代々木公園で、最近、豊かな自然環境のもとでしか生息しない、非常に珍しい貴重なニホンミツバチが自然に営巣している事実が判明したことは大変驚きでもあります。
 一方、ニホンミツバチが営巣した都立代々木公園ですが、先日、どういった動植生物があるのか、ちょっと確認してまいりました。何と都立代々木公園でタヌキが五頭確認されました。家族でした。そして、環境局もずっと力を入れてきたレッドアニマルですか、絶滅危惧種といわれるものがたくさん生息しています。絶滅危惧種Ⅰ、Ⅱ、分類はありますけれども、非常に危惧をされる動植物としまして、いろいろとありましたが、ダイサギ、コサギ、ヤマガラ、オシドリ、これはすべて確認をされていますし、オオタカも都立代々木公園で生息していました。そして、カワセミ、モズ、ノスリ、ニホンヤモリ、ちょっと確認しただけで、これだけの絶滅危惧種が、何と都立代々木公園におりました。多分、隣にある明治神宮と地続きであることからフェンスを乗り越えて、もしくはタヌキなどは、もしかしたら明治神宮でずっと誕生したのかもしれませんけれども、それほど大自然な都立公園となっていました。
 今後、受粉媒介を行うミツバチの機能に注目するなど、地域の生態系を改善、修復する取り組みをぜひ展開してもらいたいと考えておりますが、ご見解をお伺いします。

○谷上緑施策推進担当部長 ミツバチの受粉媒介機能は、東京における生態系のバランスを維持する上で重要な役割を果たしていると認識しております。このような観点から、例えば、サンショウの木がアゲハチョウに産卵と成長の場を提供するように、昔から東京に生育する樹木に着目した取り組みを進めれば、本来そこに生息すべき動物も戻ってくると考えられます。
 こうした取り組みを進めるため、都は、昨年度実施した東京の郷土種に配慮した植栽のあり方調査をもとに、今年度は事業者向けの植栽ガイドラインを作成し、東京の地域特性を踏まえた植栽の誘導を通じて地域の生態系の改善、修復に努めてまいります。

○大津委員 生態系の豊かさをはかるには、先ほどのニホンミツバチのように豊かな自然にのみ生息する生物のほか、生態系の頂点に位置するといわれるフクロウなどの猛禽類の存在によってもはかることができます。東京の生態系の改善、修復は一朝一夕にはなし得ませんけれども、さまざまな取り組みを通じて、ニホンミツバチやフクロウの生息空間が広がる自然豊かな首都東京を実現していただきたいものです。また、そういう努力を、都民の参画とともに、さまざまな仕掛け、工夫、そして、いろいろなボランティアの協力も得ながら進めてまいりたいと思います。
 次に、緑施策の新展開では、東京の独自性を人口の集積や経済機能の集中からも論じておりますが、こうした独自性を踏まえ、次のようにも書かれています。東京で暮らす人々の生活や東京で行われる経済活動が都外の生物資源に大きく依存している状況を踏まえ、東京で消費生活や経済活動を行うすべての主体が生物多様性の重要性を理解し、みずからの行動を生物多様性に配慮したものへと転換していくことが重要であると。まさに人口、経済機能の集積こそ、東京の独自性の最たるものであります。とりわけ企業、この企業の経済活動を生物多様性に配慮してもらったものへと転換していく取り組みが重要と考えられます。
 この点について、東京都は、今後、企業の生物多様性への取り組み、具体的にどのようなことを進めていくのか、お伺いをいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 緑施策の新展開の中では、食料、水、燃料の供給など人間の生活を支える自然の恵みは、地球規模の生物多様性によって支えられており、そのバランスが崩れることに対する危機意識をあらわしております。このため、こうした危機意識とともに、東京で営まれる消費活動や経済活動を生物多様性に配慮したものへと転換していく施策の方向性を今回示しました。
 今後、生物多様性に配慮した企業の先駆的な取り組みなどを収集、分析し、それらを踏まえまして、危機意識を共有する企業、NPOなど、さまざまな主体と連携しながら、実効性の高い取り組みを進めてまいりたいと思います。

○大津委員 都民の消費行動や企業の経済活動の転換を少しでも促すことができますよう、具体的で実効性のある取り組みを検討してもらいたいと思います。
 企業の取り組みを推進することも大切でありますが、緑施策や生物多様性の取り組みを社会全体に広げていくには、陸続きの千葉県、埼玉県、神奈川県等、近隣県市とも連携をし、取り組んでいく必要があります。
 また、近隣県市との協力関係を築いておけば、例えば東京を災害が襲い、瓦れきが生じたときに、じゃ、東京の瓦れきは、震災のときにどこがどのように--逆に今は東北のを処理して東北支援をしておりますが、東京で起きた場合には、じゃあ、瓦れきはどこがやっていただけるのか。そういったことを、おととし協定書で取り決めてはありますけれども、それがさらに、こうしたいろいろなことを近隣県市との協力関係を築くことによって、さまざまな政策が実現可能になってくると思いますので、近隣県市の協力を今から仰いでいくことも可能となります。
 そこで、今後、緑施策や生物多様性を推進するに当たっての広域連携の活用に関する見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都はこれまでも、都県境を越えて生じるさまざまな環境問題に関して、九都県市首脳会議などの広域連携会議を通じて近隣県市と連携し、解決に向けて継続的に取り組んでまいりました。その結果、ディーゼル車対策に係る一斉取り組みや、低公害車粒子状物質減少装置の共同指定制度、また東京湾の水質一斉調査など、大きな成果を上げております。
 今回の緑施策の推進や生物多様性の保全についても、他県市をもリードする先駆的な取り組みを進め、広域的な場面で貢献できるよう努めてまいりたいと思います。

○大津委員 最後に、緑施策の新展開公表後の環境政策についてお伺いします。
 一九九二年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット、これはリオ行動宣言として、気候変動枠組み条約や生物多様性条約が署名をされ、その後の地球的規模での環境問題に大きな影響を与えてきました。この地球サミットから、ことしで二十年目を迎えました。何と今月の二十日から二十二日までの三日間、国連持続可能な開発会議、いわゆるリオプラス20ですが、これが開催されることとなっています。これと時期を同じくして、東京都の生物多様性地域戦略でもある緑施策の新展開が策定されたことは大変感慨深いものであります。
 福島にいる私の友人が、東京に十年以上ぶりで来たときに、東京の空が青くなったと語っていたのがとても印象的でした。
 例えば、先ほどの代々木公園には、ニホンミツバチが生息するようになったほか、東京都区部で絶滅危惧種に指定されているオシドリ、カワセミ、モズなどの鳥類も見られるようになってきています。
 例えば、東京の街路樹や公園は殺虫剤をまかなくなっております。虫がついたときには木ごと剪定をする。最小限の殺虫剤しか散布しないようにしてきていますし、そうした政策も重要でした。また、百万本の街路樹で緑の創出も重要でした。そして、環境局の、十年前から展開をしてきたディーゼル車排ガス規制、またキャップ・アンド・トレード制度を初め、さまざまな環境政策の累積効果といっても過言ではないかもしれません。オール都庁としても、それぞれの局でやった、それぞれのいろいろな施策が、総合的にこの首都東京を地方以上に自然豊かで安全なまちにつくってきているわけであります。
 世界の都市の環境政策を先導してきた東京都は、これまでの成果を踏まえて、持続可能な都市づくりに向けて今後どのように環境政策を展開していくのか、大野局長の決意と思いを伺い、質問を終わりにします。

○大野環境局長 今、一九九二年の地球サミットからのお話をいただいたわけでございますけども、我々は今いろいろな環境政策を展開しておりますが、その基本になるのは東京都の環境基本条例でありまして、これは、リオサミットの二年後、一九九四年に策定されたものであります。
 この環境基本条例を策定する契機になったのは、たしか、この九二年の地球サミットであったというふうに私、記憶をしています。私自身は、環境行政にかかわったのはそれからさらに四年後で一九九八年からでありまして、それから十四年間、環境行政を担当させていただいているわけですが、これは石原都政の時期とほぼ重なっているわけです。
 今、お話しいただいたように、まずは東京自身の大気汚染を解決するということで、これは議会の皆さんと力を合わせていただいて、最後はトラック業界、バス業界の全面的な協力をいただいてディーゼル規制を実現したわけであります。
 その後、二〇〇五年ぐらいから地球温暖化対策の取り組みを始めて、二〇〇八年に、これも議会で全員一致でキャップ・アンド・トレードの導入を含む地球温暖化対策の強化をしていただいて、いろいろな成果が上がってまいりましたが、これは本会議でも何人かの先生からのご質問にお答えしましたが、そのことが、特に、去年の電力危機に対応する上でも非常に大きな力になったというふうに思っております。
 その二つの取り組みに比べれば少しおくれましたけれども、まさに二十年前のリオサミットのもう一つの柱であった生物多様性の戦略の位置づけを持った今回の新しい方針をようやく策定したと、こういう経緯でございます。
 今後の取り組みということでございますけれども、もちろんこれは環境政策の全分野での取り組みの強化が必要なわけですが、リオサミットの関係で二つの点に関してだけ申し上げますと、一つは緑の取り組みの強化、生物多様性の強化ですが、これは、この後、個別の中身については委員の皆様からご質疑をいただく予定になっておりますので、個々には申し上げませんが、急いでこの取り組みを強化しなきゃならないテーマがあるのと同時に、もう一つは、緑化計画書制度でありますとか、開発許可制度でありますとか、少し腰を落ちつけてじっくりと見直しをしていくものと二つあると思っております。いずれにしましても、今回の新展開の方針に従って着実に取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 もう一つは、気候変動サミット、気候変動の取り組みでございまして、これは東京自身は着実に成果を上げてきて、二〇一〇年からキャップ・アンド・トレードは始まっておりますが、既に基準排出量よりも一三%削減するという成果が上がっています。ただ、世界全体で見ますと、なかなかこの気候変動の取り組みの強化が進んでおりませんで、一方でCO2の排出量は相当増加していて、かなり危険な状態に入ってきていると思っています。
 リオサミットに向けて、先週六月六日に国連が新しい報告書を出したわけでございますが、この中では、本当に、もう気候変動の危機が限界点を超えてしまったかもしれないと、そういう非常に危機の意識を鮮明にしております。気候変動の取り組みについては、ティッピングポイントといわれるものがありまして、その点を過ぎてしまうと、もうどんな取り組みをしても加速度的に温暖化が進んでいってしまって、取り返しのつかない危機になると。その限界点を、あるいはもう超えてしまったかもしれないと、そこまでの危機感が語られております。
 この気候変動の危機に対しても、これは東京だけではどうしようもないわけでございますが、我々が今やらなきゃならないと思っていることは二つあります。
 これは以前にも申し上げたと思っているわけですが、これからますます世界の排出の中で重要な位置を占めてくる東京という都市において、経済界と一緒に協力をして、経済活動にもいいし、成長も維持をしながらCO2も減らしていくというモデルをつくっていく、これが一つの我々の役目だと思っています。その方向性は、今回、同時に発表しましたスマートエネルギー都市を目指してという、東京の省エネルギーマネジメント推進方針を出しましたが、あの方針に従って、東京での取り組みを、企業の皆さん、都民の皆さんと一緒にさらに進めていきたいと思っています。
 もう一つは、東京のそうした行政、都民、経済界の力を合わせた成果を、そのモデルを、全国にあるいは世界に広めていくということが我々の役目だろうと思っています。
 今回、まさにリオプラス20が来週開かれるわけですが、これも先週発表させていただきましたけれども、このリオプラス20の会場で、東京都主催でワークショップを開催いたします。
 その中では、今まで都市レベルのキャップ・アンド・トレードというのは、まさに世界で東京だけがやっていたわけですが、中国の五つの都市が取り組むというふうになっておりまして、上海、北京、深セン、重慶、天津ですか、この五つの都市がキャップ・アンド・トレードを二〇一三年からやるという準備をしております。こういう中国の取り組みでありますとか、あと、途上国ではブラジルが、まさにリオとサンパウロ、ここが同じくキャップ・アンド・トレードを開始するという方針を発表しておりまして、今回東京都が主催する、このリオで開催するワークショップでは、こういうところに来ていただきまして、お互いの経験、東京の経験もお話しをして、交流していくということでやっていくつもりであります。
 また、先進国の中でいえば、ニューヨークが非常に熱心な取り組みをしておりまして、これらのキャップ・アンド・トレードとは違うのですが、ニューヨークもまさに、マンハッタンの超高層ビル街に見られるように、やはりビルが非常に大きな排出源ですから、これを全部グリーンビルにしていくという大変意欲的な取り組みをしております。こうしたところとの連携も強化していかなきゃならないと思っています。
 いずれにしましても、東京自身でモデルをつくっていくこと、それを世界に広めていくことを通して、できる限りの、この気候変動対策への貢献をしてもらわなきゃならないと思っております。
 なかなか困難な課題でありますけれども、思い出すのは、ディーゼル車NO作戦を始めるときに、当時は大気汚染が非常に深刻な状況で、本当にこんな大気汚染を我々の取り組みで解決できるのかなというふうに疑問を持ったわけですが、実際には、非常に大気がきれいになったわけです。
 そのとき、昔の一九六〇年代の東京都の公害白書の中の言葉があったわけですが、どんな問題であっても、人間がつくり出した公害は必ず人間が解決できるということを、当時、昭和四十年代につくられた公害白書の中に記載されておりました。その思いを持って、気候変動は困難な問題でありますけれども、人間がつくりました問題なので、必ず解決できるという思いを持って取り組んでまいりたい、このように思っております。

○こいそ委員 それでは、緑施策の新展開につきましてお聞きしたいと思います。
 今回、都が発表した緑施策の新展開の中で、緑を守る、つくる、利用するという、この三つの行動方針が示されているわけでありますけれども、この行動方針は、緑施策を推進するためには、都民、企業、NPO、行政など、さまざまな主体による参加と協働が必要であるということをいわれています。
 各主体がどのような行動をとれば、緑施策の推進により貢献できるのかを明らかにしたものとなっているわけでありますけれども、これらの行動方針を示し、より緑施策の推進を図っていくのは評価できるのでありますけれども、なぜ今このような戦略を策定する必然的、また必要性がそこにあったのかというところからお聞きしたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 今回、緑施策の新展開をまとめた背景でございますが、これまでの緑施策は、平成十九年度から開始した緑の東京十年プロジェクトに基づき展開してまいりました。
 しかしながら、その策定から約五年が経過し、生物多様性に関する国際的な危機の高まりや、東日本大震災をきっかけとする外国人観光客の減少などの国際的なプレゼンスの低下など、緑施策を取り巻く情勢は大きく変化しております。
 そのため、これまでの緑施策の取り組みを検証するとともに、多様な生き物が生息、生育しやすい環境を整えていくことや、緑の蒸散作用によるヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止や都市水害の軽減を初めとする防災面での効果など、緑の多面的な機能を改めて確認し、生物多様性の要素を取り入れた方向性を、今回、緑施策の新展開としてまとめたところでございます。
 なお、この緑施策の新展開は、生物多様性基本法に定めるところの東京都の生物多様性地域戦略をあわせ持つものでございます。

○こいそ委員 次に、緑施策の新展開の中で、守ると表現をしておりますけれども、緑の保全強化のうち、保全地域について聞きたいと思います。
 都は、多摩丘陵だけじゃありませんけれども、特に多摩丘陵に残された貴重な里山などを自然保護条例に基づく保全地域に指定しており、既に四十八カ所、面積七百五十ヘクタールが保全をされています。保全地域は、いうまでもありませんけれども、生き物にとって大変重要な場であり、特に希少動物にとっては、かけがえのない生育、生息の場所となっています。
 とりわけ七国山緑地保全地域においては、以前、かなり前ですけれども、よくよく見かけた希少植物、キンラン、ギンランだとかタマノカンアオイ、これがここ六、七年、いや、もっと前でしょうか、ほとんど目測、確認することができなくなってしまった。とりわけ七国山緑地保全地域では、約三万坪の敷地内で、わずか一カ所です。わずか数株、これしかなくなっちゃった。
 よって、この保全区域は東京都のいわゆる保護条例に基づく指定でありますけれども、このように希少植物等々を保全して守っていくんだということをいいながらも、もはや自分のところの保全区域の中で、特に当該の、今申し上げたところは特にでありますけれども、わずか一カ所です。これも、まさに言葉としては風前のともしび。ろうそくに息をふっと強くかければ消えちゃう。こういう状態にいよいよなっちゃったんですね。
 以前、私も、保全地域における希少種の実態把握の必要性について、ぜひ調査し、対応をしっかりやってくれということを再三再四にわたって求めました。私はこの問題を、十五年、いや十六年目に入りましたけれども、ずっといい続けているんですよ。
 要するに、希少種、とりわけタマノカンアオイ、多摩丘陵に生息するレッドリストに載っている植物、長年の歴史経過の中で、何回もいわせてもらったけれども、もうそれは、私たちが今、生きている間に滅びちゃう。
 滅ぼそうとするさまざまな要因関係もあったけれども、除去できなかったことも、それを除くこともどうであったのか、そんなことを思いつつ、この当該の保全地域もそうでありますけれども、今までどのように調査を行っていったのか、これについて……。

○高橋自然環境部長 都は、昨年度から保全地域における希少種に関する生息、生育状況調査を開始しており、昨年度は六つの保全地域における調査を行い、今年度は、ただいま委員からお話のあった七国山緑地保全地域を初め十二カ所の保全地域を対象にした調査に着手したところでございます。
 具体的には、保全地域ごとに、植物、鳥類、昆虫類、爬虫類、両生類などについて、季節に応じて年数回にわたり現地での直接観察調査などを行うものでございますが、昨年度の調査結果によれば、改めて多くの希少種の生息、生育が確認されたほか、ある保全地域では、湿地を回復する管理を長年継続した結果、それまで絶滅種とされていたアズマツメクサが再出現していることが認められるなど、適切な管理が生物多様性の観点からも重要であることが改めて認識されたところでございます。

○こいそ委員 保全地域の管理をしっかりやった事例が今出ました。アズマツメクサですね、湿地を回復する管理を長年継続してやった結果だということで、これはまさに、そういうことも当然、成果だと思います。
 しかし、さりとて、圧倒的にこの保全区域は、自然の中における希少植物がまさに滅びようとしちゃっている、なくなろうとしているんですね。こういうことを踏まえて、より効果的な、より即効性のある調査--遅いとはいいませんよ。去年からかな、ことしからかな、着工したということで、遅い遅くないという議論じゃなくて、やっぱりそうでしょう、いろいろ今まで議論を積み重ねてきましたよね。そういう中で共通的な認識だってあったはずだよね。これは何とか保全していこう、守ろうじゃないかということはあった。
 その中でも、現実問題として当該の保全区域においては、これ、はっきりいって、もう恐らく--私もせんだって行ってきましたけれども、ありました。ありましたけど、人の足がずっとついて誘導しちゃっているんですね。危ないですね、はっきりいって。私、再三にわたっていったじゃないですか。最後の、三万坪の中のたったの一カ所になっちゃったんだよ。その前のキンラン、ギンランが、もう根こそぎないよ。これははっきりいって。
 例えば人為的行為の中における持ち去りも大きな--だと思います。しかし、持ち去りは持ち去りかも知らぬけれども、持ち去りだけじゃないよね。周辺の開発だってそうだった。さまざまな要因が重なって、やはり固有種というか、希少種というか、こういうものに点滅信号がかかったわけでしょう。いわゆる黄色信号になった。黄色信号のときにやるべきことがあったんじゃないか、環境局として。もうなくなるよ、これ。
 そういうような実態の中で、改めて環境局の希少種に対する取り組み姿勢についてお願いします。

○高橋自然環境部長 希少種対策は、本来、里山にあるはずの植物などが、人為的な持ち去りなどによってその数が急激に減り、生態系のバランスに著しい影響をもたらすおそれもあり、早急に対策を進めるべきと認識しております。
 こうした認識のもと、希少種を持ち去りなどから守っていくためには、より多くの都民に希少種の実態を認識していただいた上で、都やNPOなどとともに、その保全活動に参加していただくことが重要であると考えております。
 そのため、グリーン・キャンパス・プログラム、グリーンシップ・アクションなどを通じて、直接、保全地域の希少種の実態を知っていただいているほか、現地では持ち去りを禁止する掲示板を設置するなど、危機意識の醸成、共有化を図っております。
 しかしながら、現在でも希少種の持ち去りが後を絶たないことから、早急に現状を把握した上、地元自治体や地域のボランティアとともに、即効かつ実効性ある具体的対策を検討してまいります。

○こいそ委員 確かに、原因関係というのは、そういうところも大きいと思いますけど、だって、それをずっと見続けてきたわけでしょう。保全区域の管理だと、保全区域に対する指定を行って、その管理というのは最終的には環境局じゃないですか。
 そういう中において、まさに地元自治体だとか地域ボランティア、即効性かつ具体的な対応策を検討していく、これは大変結構な話ですよ。結構な話なんだけれども、とりわけ東京都環境局の指定したところ、限定するわけじゃないけど、環境局が指定したんだと、環境局が責任をもってやる地域ですよね、これは。
 それぞれ主体が絡まって、主体が関係して保全活動を展開している。それも確かにそうなんだけれども、環境局の姿勢だとか--まさに希少の植物等々だよ。ホトケドジョウもそうかもしれない。そういうような希少な動植物をしっかり守り抜いていくんだというところが、やっぱり主体としての環境局の中にしっかりないと、やあ、自治体の皆さん、ボランティアの皆さん、何々の皆さん、よろしくと、そういう掲示板を出したというけど、どこへ出したんですか、特に七国山の中では。持ち去りの看板を出したんでしょう。

○高橋自然環境部長 七国山自然地域におきましては、ふれあい原っぱの周辺に掲示板を掲示してございます。

○こいそ委員 それはあるという話で、私はあそこにもう七年ぐらい行っていますよ。悪いけど、ほとんど見たことない。私は視力一・二だよ。これは若干違うけど、昔は一・五だったけども。いずれにしても捕捉したことないね。だって、そういうのは目立つところに置かなきゃいけないな。そんな一カ所にぽんと置いてあるよという話じゃないんじゃないの、これ。そもそも論として、姿勢がそういうところにあらわれているとはいわないけれども、やっぱりもう少し何か実効的、効果的なものがあってしかるべきじゃないかなと今思いました。
 それはそれとして、いずれにしても、引き続いて環境局としてぜひ具体的なと、もう何回も、十何年来いっているんだけど、はっきりいって私も本当に何かむなしいんだけど、より具体的な希少種の保全策をぜひ、検討もそうだけど、対応してくださいよ、これ。それが一点。
 続きます。次にいきます。
 次に、守るですね、緑を守っていくということ。守るというこの方針に関連して、特にこの中で民有地の緑の保全、これが一点です。
 そしてまた、多摩丘陵と狭山丘陵、埼玉県境の方の狭山丘陵、それから、神奈川県に連なるところの、隣接しているところの多摩丘陵、このいわゆるベルト帯というんですかね、南北におけるベルト帯のあたりが、平成十五年から平成二十年にかけての一番新しい調査ということらしいですけれども、二・四%減していますよね。ますます減少傾向にある。
 こういう中で、とりわけ東京都全体の中における緑の、やはり復元していかなきゃいけない、再生していかなきゃいけない、保全していかなきゃいけない、それぞれあろうけれども、面的に、ベルト的にがっさりはぎ取られるがごとく、よくいわれる急坂をもろに転がりおりるような速度でなくなっちゃっているわけですね、はっきりいって。
 このあたりについて、いろいろな要因がここに絡まっているわけであって、当然、環境局だけのあれじゃないんですけど、これに対する認識をもう一回聞かせていただきたいなということと、先ほどの民有地の緑の保全については、とりわけ、これにも関連しますが、屋敷林だとか住宅地の生け垣、多様な緑が展開していますよね。今いったところだけじゃありませんけれども。全体的な緑の少ない東京、緑の少ない住宅地で、生き物も、先ほど大津委員からもお話がありましたけれども、やはり生き物の生息状況になかなか貢献している場所もある、通行人の目も楽しませてくれる。
 しかしながら、こういった緑は、これまで民有地にある緑ということで余り、どうなんでしょうかね、これが十分カウントというか、この緑はやはり民有地なんだから、より踏み込んだ形で、この緑に対するカウントというんですかね、評価というのか、それはなされていなかったのではないかと。
 改めて、緑が減少している状況を踏まえて、こうした多様な緑にも着目する必要性があるんじゃないかと思いますが、環境局として、民有地の緑の保全について基本的な考えを伺いたい。

○谷上緑施策推進担当部長 委員ご指摘のとおり、みどり率は、本文六ページに記載がございますとおり、農用地、樹林地などを中心に、平成十五年から二十年にかけて減少しております。これは宅地造成などに伴うものと考えられてございます。
 民有地の緑の保全についての基本的な考え方についてでございますが、市街地に点在している屋敷林や生け垣などの私有地の緑は、都市に残された貴重な緑でございまして、良好な都市景観として、また地域の住民に安らぎや潤いを与える存在として多くの方々に親しまれております。
 都では、自然保護条例に基づく開発許可制度により、一定規模以上の開発を行う事業者に対し、緑地保全を義務づけ、民有地の緑の保全に取り組んでおります。
 また、区市町村におきましても、生け垣の維持のための補助制度や保存樹木、保存樹林の補助制度などにより、住民に身近な緑の保全の取り組みを行っております。
 今後とも、こうした区市町村の施策とも連携を図り、重層的に施策を展開することにより、民有地の緑の保全を推進していきたいと思います。

○こいそ委員 区市町村とも当然連携を強めていただきながら、環境局として、より効果的、重層的な、今ご答弁がありましたけど、施策展開をしながら、積極的に民有地の緑の保全にも何らかの対応といいましょうか、していただきたいなと思っております。取り組んでいってほしいと思います。
 次に、緑施策の新展開の中で、利用すると表現しておりますけれども、緑の持続可能な利用の促進に関して、前にもちょっと触れたかもしれませんが、改めて聞きます。
 特に、あきる野市の都立小峰公園について聞きたい。昨今、里山などの農村生活を通じて連綿として守られてきたその自然の意義、大切さが、今、今日の時代の中で、よりクローズアップされてきているのではないかと。小峰公園は、秋川丘陵のいわゆる里山に立地しています。里山景観や、多くの生き物たちの生息空間として、私は貴重な場であると思います。
 しかしながら、この小峰には、手入れが不十分な杉やヒノキ林、ソメイヨシノが尾根沿いに覆いかぶさって、入って歩いていくと、左側には芝というんだろうか、草の広場がある。そして、ど真ん中には、何と舗装道路が走っている。そして、本来の里山とは違ったとはいわないけども、やはり我々が抱いていた里山状況というんですかね、景観というか、風景というか、そのものが若干の違和感を感じると思うんですね、行った人は。そういう印象を私も持ちました。
 平成十四年度の建設局からの移管から十年が経過をしている。里山環境を保全する取り組みが、私は環境局の所管のときの--やっているのは確かに公園協会かもしれないけれども、所管局は建設局であった、しかし十年たった。今、環境局だ。里山保全、里山に対するとか、いろいろあるわけじゃないですか、コンセプトが。その中で、環境局として、いわゆるその場として、らしいというんですかね、環境局が所管して十年たった、要するに、建設局との違いもあってもいいと思うんだよ。それに対して、管理運営を含めた局の見解を伺いたいと思うんですね。

○高橋自然環境部長 小峰公園では、平成十四年度に環境局に移管後、平成二十年度から指定管理者制度を導入し、現在、指定管理者と連携して、多摩の里山見本園をコンセプトに、里地、里山の管理による秋川丘陵自然公園の代表的な里山景観、動植物を楽しめる公園を目指して取り組んでいるところでございます。
 本公園では、稲作体験や草木染め、自然ガイドウオークなど、さまざまな自然体験を都民に提供してまいりました。
 昨年度は、杉、ヒノキの植林地におきまして数十本の間伐を行い、現在は、伐採地に植えるクヌギ、コナラの苗をボランティアの方々とともに育成しており、来年度、植樹する予定でございます。
 まだ小面積ではございますが、五日市かいわいで行われてきた小麦や地野菜のノラボウなどの畑作も始めております。
 多摩の里山見本園の完成には、まだ入り口、まだ道半ばでございますけれども、小峰公園の貴重な自然や里山らしい景観を守り育てていくために、保全地域の管理を通じて蓄積したノウハウを生かし、植林地や雑木林の手入れや、田畑など耕作地の維持管理、里山らしいあぜ道づくりなど、指定管理者、ボランティアとの連携を強め、良好な里山空間を築いてまいります。

○こいそ委員 ぜひそういう取り組みをより強めて具体的な形であらわしていただきたいというふうに思います。
 その中で、多摩の里山見本園だというようなコンセプト、これは五年前ですかね、ちょうど五年たつわけですけれども、大変結構なコンセプトだと思うんですけれども、その中で、基本的に、そのときに初めてこの公園を指定管理者が受けたんですね。
 今いったような一つのコンセプトがあるわけだけれども、これを選定またはその後の評価、選定委員会はどういうふうにこれを評価しましたか。

○高橋自然環境部長 小峰公園は、里山の風景を残して整備された自然ふれあい公園で、体験型の自然教室の開催などを通じ、都民に広く親しまれているという状況の中で、さらにより一層質の高いサービス提供を目指して指定管理者制度を導入したところでございます。
 その中で、これまでの評価としては、導入前に行われていなかったさまざまな自然教室などのイベント等を開催し、多くの参加者を集めた、あるいは二十五年ぶりにさくら祭り等を復活させ、また自主的に施設清掃を地域住民にお願いする等、地域貢献の観点からも効果があらわれていると評価しているところでございます。

○こいそ委員 これは第三者評価をして指定管理者を選定するという作業のために選定委員会を設置したのでしょうけれども、ほかにどういうところが手を挙げてきたのですか。そして、その選定の評価というのはどうなっていたか、それを聞かせてください。

○高橋自然環境部長 平成十九年に申請を受け付けた際には、現在、請けております東京都公園協会以外に三者の申請がございまして、その中で公園協会が指定管理者として指定されたというところでございます。
 選定の理由としては、都民により質の高いサービスが提供されるということでございますが、例えば、障害者や子ども、高齢者など対象者に合わせたオーダーメードプログラムの提供、バリアフリールートの設置やオフロード用車いすの導入などユニバーサルデザインの導入、ビジターセンターの年末年始を除く通年開館化、地域の恒例行事とのタイアップ、地域の観光資源等を盛り込んだ地域周遊マップの作成など地域との連携、候補者の実績等を生かした多様なPR等が選定の理由でございます。

○こいそ委員 ほかに二者あったわけでしょう。その評価というのはどうなっていたのか。まあ、いいです。計三つあったと、公園協会を入れて。その中で今のような評価をしたんだと。本当は比較対照的なことを聞きたかったけれども。
 その中で、選定されたということで幾つかお話がありましたけれども、五年たつんですかね。この中で、もう一度、やはり選定作業が行われるわけでしょう。
 それともう一点、今の話の中で、私も冒頭申し上げたけれども、要するに、バリアフリーは結構なんだよね。車いすで園内を回るというのも結構な話だよ。だけども、園内のど真ん中に、何であれだけのアスファルトがなきゃいけないの。
 それから、年末年始の話もあったけれども、本来、ビジターセンターの機能というのはどうなの。事務室が割合として多くて、例えば環境教育、環境学習はどこでやるの。環境教育、環境学習は、だって、本来は二階でしょう。全然入れないじゃない。開放していないじゃないですか、全然。ほとんどといっていいよね、完全じゃないかもしれないけど。ビジターセンターで何をどうやっているの。
 それとともに、この場所を知っている人、都民は少ないんじゃないかというか、多くないんじゃないかというか、要するに場所がわかりません。それから、サインがほとんど見えない、申しわけないけど。それから、車で行かなければ行けませんね。自転車という手もあるけど、なかなか遠いですよね。駅からも相当遠い。そうすると、バスで行くか、車で行くか、自転車で行くか、それぞれあるけれども、今、あの駐車のスペースと駐輪スペースから見たときに、遠くから来られないよね。だって、駐車場が整備されていないじゃないですか。バスなんかほとんど入れないじゃないですか。
 この公園というのは、どこに向けて、どの範囲に向けて、いわゆる運営基準というか、落とし込んだわけですか。

○高橋自然環境部長 この小峰公園についてでございますけれども、もともとが地元の方々の共有の草刈り場として古くから利用されてきた山林につくられた公園だということ、昭和三年に地域の方々によって桜の苗木等が植樹され、桜山と呼ばれ、地元で親しまれてきたといった歴史的な背景もございます。
 そういった中で、確かに委員おっしゃるように、駐車場の狭さでございますとか、幾つか、まだまだ改善をしていかなければならない問題があるだろうということは、私どもも強く認識していることでございます。
 今年度、また来年度以降の指定管理者を募集することになるわけでございますけれども、その際には、そういった点を踏まえながら、より一層、この小峰公園が里山として親しまれるよう、強くアピールできるよう、そういった形での対応をしてまいりたいと考えます。

○こいそ委員 ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。
 最後に一点だけ。桜の名所として、昭和三年に地元の青年団の方が植えられた桜の木も一定的に大きくなっていますね、結構な話だと思うんですが。であるならば、でき得るならば環境局として、こう山があって、山道沿いに、そのところに、山にはやっぱり山桜じゃないかとか、山道を上がっていくときに、これはいいといえばいいんだよね、決してそれに対して異論じゃない、ちょっと不安だなと思うだけであって、希少種も結構あるんですね。とてもいいことだと思うんだけれども、さっきのようなことをちょっと心配するだけなんだけれども。
 ですから、管理をもうちょっとしっかりとやっていただくか、今、部長にご答弁いただいたような、ぜひそういう、基本的なコンセプトは明確ではあるんだけれども、よりらしさというんですか、環境局所管らしさというか、それから、今、こういう農村風景というか、里地、里山というか、これを保全しようということもそうだし、散策しようというか、自然と触れ合いたいというか、物すごく多いと思うんですよ、はっきりいって。ですから、そういう思いを持っている都民が、よりよくそこでいろんな思いを共有する、自然と向き合っていくということの場にぜひしていただきたいなと思うんです。
 それとともに、小さいお子さんからそれぞれシニアに至るまで、今、いろんなグループがありますよね。そういう人たちのいろんな活動がある程度一定的に、一定的ですよ、確保、保障されるような、そういう機能もぜひつくってもらえませんかね。これは要望とさせていただきたいと思います。
 次に、緑を利用するという方針の中で聞きたいと思うんですけれども、やはりこれは人材育成だと思うんですね。よりよい環境人材育成と私は関連していると思います。
 そういう中で、これまでのさまざまな活動についても、東京の緑を保全する意識を若い世代に、より醸成していくことがいかに大切であるかということは、いろんな場面、活動、そして報告、さまざまなところで強く思うところなんですね。
 そのような中から、昨年の当委員会の事務事業質疑でエコトップ・プログラム--まさに環境人材育成プログラムだと思いますね--につきまして、幾つか質問をさせていただきました。
 そこで、改めて伺いたいと思いますけれども、エコトップ・プログラムで、インターンシップをどうしてもとらなきゃいけないことになっているんですね。そこで、企業、行政、NPO、三カ所を経験しなきゃならないことになっております。このインターンシップについて、実際に学生を派遣した場合、しっかり受けとめて、環境人材育成的観点からプログラムメニューをつくってもらってやっていただいている企業も、それは頑張っていて、大変感謝といいますか、ありがたいことなんですけれども、その反面、平たくいって、パソコンの単純なデータ打ち込みだとか、それからいわゆる雑用だとか、平たい言葉でいえば使い走りだとか、そういうようなものに大半の時間を費やしてしまっているところもあるようなんですね。
 ですから、趣旨にそぐわない事例が生じることのないように、このような事例が起きることのないように、都は、どのようにこういうあたりを現状把握されているのか。改善の余地があれば、改善しようという思いがあるのか、そのあたりを……。

○谷上緑施策推進担当部長 昨年の委員会での委員からのご指摘を踏まえ、昨年度の実施分から、各大学がインターンシップ実施状況報告書を作成し、毎年度、都に提出することをルール化しまして、その実施内容を都の方で確認することといたしました。
 委員からご指摘のあったような問題事例を確認した場合につきましては、直ちに事実関係を把握するとともに、大学からの働きかけと並行いたしまして、都からも、受け入れ先に対する研修内容の改善を促してまいります。

○こいそ委員 これもやはり、一方の主体である学校、大学のインターンシップ状況との、また東京都との、環境局との意思疎通的なものが必要だと思いますので、問題があるならば、速やかに双方で是正改善に努められたらよろしいんじゃないかなと思います。
 そして、一方で、主体の各大学に話を聞く中で、企業、NPO、行政のすべての職場でインターンシップ先を確保することは、それぞれ教員だとか職員、人脈を通じて確保している実態は当然あるわけですけれども、一面、相当数の学生を抱えている場合、これも限界点がやっぱりあるのではないかというふうに思うんですね。学校側の対応姿勢、協力姿勢、これに対する思いというんですかね、こういうことがいろいろあると思うんですけど、その中で、エコトップ・プログラムの存在が、そもそも社会に、企業にどのように浸透しているのかなと、こういうところもやっぱりあるのではないかと思うんですね。
 やっぱり企業だって大変ですよ。お願いします、お願いしますといわれて受けた。忙しい、さまざま繁忙期を含めていろいろあると思うんですけど、そのときに来られて、これも大変かもしれない。
 ですから、そういうことも、相手側のことも踏まえてということもあるんですけど、ぜひ都は、エコトップ・プログラムを所管する立場から、プログラムの普及啓発、インターンシップ受け入れ先の確保に、これまで以上に相互の連携というんですかね、理解を求める中で積極的に取り組んでいただきたいと思うところでありますけれども、どうでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 エコトップ・プログラムの普及啓発につきましては、ホームページを通じた情報発信のほか、昨年度までは、有識者による講演会を主な内容とする環境経営セミナーの実施に取り組んでまいりました。しかし、企業、NPO等における認知度はいまだ十分とはいえないと認識しております。
 今年度は、年末に行われる日本最大級の環境展示会にエコトップ・プログラムの紹介ブースを設置する予定でございます。具体的には、事業内容を紹介する動画放映や、学生によるインターンシップの成果発表に加え、展示会に出展している企業、NPOのブースを訪問し、インターンシップの受け入れを直接働きかけてまいります。
 今後は、大学、企業、NPOとの連携を一層強化し、エコトップ・プログラムを通じた自然環境分野の人材育成を推進してまいります。

○こいそ委員 ぜひ若い世代、環境人材育成策のプログラムをより推進してもらいたいわけでありますけど、都がしっかりと扇のかなめになって--だって、実際、最後の修了証は東京都の都知事から出すわけですよね。ですから、それだけの東京都の思いもあるだろうし、受けた側だって、それだけの思いを持って、そして企業においても、環境人材が、例えば就業、就労というか、何というかな、入社というか、そういうふうにしてもらえばいいわけであって、だから、何とか扇のかなめになっていただいて、制度全体が円滑に機能するよう対応、調整をお願いしたいと思います。
 また、都はこのほかにも、東京グリーン・キャンパス・プログラム、東京グリーンシップ・アクション、横文字は常に多いですけど、こういうことをやっていますね。取り組みを行っています。こういうような取り組みにおいても、大学などの教育機関や企業、NPOなどの連携が欠かせないというのは当たり前ですけれども、こうした取り組みを大きく展開していこうとすれば、さまざまな主体を有機的に結びつける役割、先ほど扇のかなめというのがありましたけれども、制度そのものを活性化する役割がやはり環境局に求められていると思います。
 そこで、これまで区市町村行政や港湾行政などの幅広い経験を通じて数多くの環境保全の現場を見続けてきた、責任を持って対応してきた藤原次長に、環境保全に貢献できる人材の育成に向けた都の決意、このあたりをお伺いさせていただきたいと思います。

○藤原次長 環境保全に貢献できる人材の育成に関してでございますけれども、私自身、かつて港湾局におきまして海の森の整備を担当しておりました。この海の森の整備におきましては、企業や市民団体、小学校と連携をして、苗木づくり、それから堆肥づくり、こうしたことから植樹、育樹まで一連の整備作業を進めているとともに、ボランティアの植樹リーダーのもとで、一般公募による都民、企業、団体の皆さんが植樹に参加できるようにしてまいりました。こうした結果、これまでに延べ一万人を超える皆さんが海の森づくりに参加してきたところでございます。
 この経験から、自然保護活動を推進するためには、企業やボランティア団体などとの連携や、各団体の自然保護活動を担う人材の育成がいかに重要であるかということを痛感してきたところでございます。将来にわたり東京の自然環境を守り続けていく上で、このような環境保全の現場を支える人材を育成し、輩出していくことが重要でございます。
 このため、東京都は、中核的なリーダーの育成と人々が集う自然保護活動の場の創出に継続的に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えてございます。
 今後、企業、NPO、区市町村など、さまざまな主体との連携をより一層強化しながら、自然環境分野の人材育成に積極的に取り組んでまいります。

○松葉委員 緑施策の新展開について、何点か質問をさせていただきます。
 先ほど大津委員からもお話がありましたけれども、リオデジャネイロで今月二十日から国連持続可能な開発会議の本会合が始まります。先ほど大野局長から、東京都がワークショップを開かれるといったお話や、また今後の施策について、熱い思いや決意をお伺いいたしまして、私も賛同させていただくものです。
 世界の都市の面積を合わせても、地球の表面の二%にすぎませんけれども、その都市が地球の資源消費の七五%を占め、大気や水の汚染物質と廃棄物の七五%を排出をしていることから、世界の都市がどう行動するかが地球の命運を決めるとまでいわれております。
 そうしたことからも、東京が世界の諸都市の範となる持続可能な都市のモデルを示すことは非常に重要であると考えております。
 そこで、緑施策の新展開につきまして質疑をさせていただきますけれども、この緑施策の新展開は、副題が生物多様性の保全に向けた基本戦略となっていることからも、生物多様性基本法が定める都の生物多様性地域戦略の性格を持つものとなっております。
 我が党はこれまでも、首都東京における生物多様性の保全を推進する立場から質問を行ってまいりました。ここで改めて、首都東京が生物多様性の保全に取り組む意義について、まずお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 人類や生物の生存基盤である地球環境は、食料、水、燃料などの供給、気温や湿度の安定、大気や水質の浄化など、さまざまな自然の恵みをもたらしており、これらは地球規模の生物多様性の絶妙なバランスの上に成り立っております。
 東京は、世界有数の経済規模を誇る大都市であり、一方で、世界じゅうの生物資源を大量に消費する都市でもあります。東京で暮らす人々の生活や、東京で行われる経済活動は、地球規模の生物多様性の恩恵を受けております。このため、生物多様性の保全に向けた先駆的な政策を展開することは、大都市東京の使命であると考えております。

○松葉委員 都が生物多様性の保全に取り組む意義についてご答弁をいただきました。
 この緑施策の新展開では、生物多様性の保全など緑の質を高める視点を重視し、新たな施策を展開するとしておりますが、質を重視するということで、相対的に緑の量を確保する取り組みの意義が薄れてしまうのではないかという心配もございます。
 そこで、今後の緑施策における緑の量を確保する取り組みの意義について伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都はこれまでも、緑の減少傾向を踏まえまして、新たな緑を創出するため、平成十九年度から緑の東京十年プロジェクトを展開し、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化などの取り組みを進めてまいりました。これによって、平成二十二年度までの四年間で四百二十四ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 緑施策の新展開では、二〇一六年までの十年間で千ヘクタールの新たな緑が創出されることや、二〇二〇年までに新たな都市公園等四百三十三ヘクタールの整備が進むこと、また荒川から石神井川、調布保谷線を通じて多摩川へとつながる直径三十キロメートルの緑のリングが形成されることなど、緑の量に関する目標を設定し、全庁的に取り組んでいくこととしております。
 これらの取り組みに加え、生物多様性の保全など緑の質も重視する考えを示したものであり、緑施策の新展開におきましては、緑の量を確保する取り組みの重要性はいささかも変わっておりません。

○松葉委員 今のご答弁で、緑の量を確保する取り組みの重要性は従来と変わっていないということでありましたけれども、それでは、都は、このみどり率の推移から読み取れる緑の減少の要因をどのようにとらえて、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 委員ご指摘のとおり、みどり率は、農用地や樹林地などを中心に、平成十五年から平成二十年にかけて減少をしております。これは、宅地造成などに伴うものと考えられます。
 都は、自然保護条例に基づく開発許可制度や緑化計画書制度、全庁横断的な緑の東京十年プロジェクトを着実に推進することにより、今後も開発における現存する緑の保全や新たな緑の創出を図ってまいります。
 さらに、緑施策の新展開では、緑の量を確保する従来の取り組みに加え、生物多様性の保全など緑の質をも高める視点も重視した新たな施策の方向性を示しております。
 この中で、東京にふさわしい生態系評価手法を作成するとともに、将来的には、開発による緑の減少や、開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな仕組みなども検討することとしております。

○松葉委員 緑施策の新展開で示された理念や施策の方向性を具体化いたしまして、生物多様性などの緑の質とともに、緑の量の確保も視野に入れて、緑豊かな都市東京を実現をしていただくように要望いたします。
 ただいまの答弁で、生態系評価手法の作成や、開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな仕組みの検討について言及がありました。この点に関連いたしまして、都は昨年度、海外の生態系評価手法について調査を行っておりまして、私は、昨年秋の当委員会の質疑でも、この点について質問を行いました。
 その際の答弁の趣旨は、生態系評価手法とは、面積という量的な側面でしか把握ができなかった自然環境を、そこに生息、生育する動植物の種類など質の側面から数値化する手法であり、この手法を用いると、開発前の自然環境と開発行為がもたらす影響の双方について、定量的な評価が可能になるということでありました。
 そこで、昨年度行ったこの調査の結果も踏まえて、今後どのように生態系評価手法を作成していくのか、見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 生態系評価手法は、開発行為の影響を事前に評価する手段であり、地域特性を踏まえた生態系評価手法をつくるには、対象地域の自然環境や土地利用状況などを反映させる必要があります。
 昨年度は、海外の複数の生態系評価手法を対象に調査を行いましたが、首都東京と海外の都市とは、地理的な条件や経済活動のありようが異なるため、自然環境や土地利用状況も大きく異なっております。
 今後は、東京の自然環境や土地利用状況の分析を進めるとともに、文献調査や学識経験者からの意見聴取も踏まえ、東京ならではの生態系評価手法を検討してまいります。

○松葉委員 自然環境や土地の利用の状況が大きく異なるために、海外の手法をそのまま導入できないということを理解いたしました。
 開発行為が生態系に与える影響を定量的に評価できるようになれば、生物多様性に配慮した開発事業者の取り組みが高く評価され、社会全体に広がっていくきっかけになるものと考えます。今後の検討を期待しております。
 ところで、緑施策の新展開では、生き物の生息状況の把握や生息可能性の評価を行い、開発事業者による生き物の生息空間に配慮した緑化を誘導するという方向性も示されております。これもまた、生物多様性に配慮した緑化を促す取り組みとして期待ができます。
 都は、ここで示した取り組みの方向性を今後どのように具体化をしていくのか、見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、美しい景観の形成、潤いと安らぎのある快適なまちづくり、ヒートアイランド現象の緩和、大気の浄化などを推進するため、一定規模以上の土地における建築物の新築、増改築に対し、緑化計画書の提出を義務づけております。
 しかしながら、周辺地域との連続性のある緑の確保や、生物の生息状況や生息可能性の情報に基づいた指導は、まだ十分とはいえません。このため、緑施策の新展開では、地域ごとにこれらの情報を把握し、緑化指導に生かす取り組みの重要性を明らかにいたしました。
 今後、大学、研究機関、区市町村などと連携し、情報の共有化や相互融通を図り、生物多様性に配慮した緑化指導を行うための情報の収集、蓄積に努めてまいりたいと思います。

○松葉委員 今ご答弁いただきましたが、これもまた、開発事業者による生物多様性に配慮した取り組みが進むきっかけになるものと考えます。具体的な検討を進めていただくよう要望いたします。
 最後に、緑施策の新展開の今後の進め方についてお伺いいたします。
 今回の新展開では、将来的な緑施策の方向性を明らかにしておりますが、具体策の検討はこれからであるということであります。
 新展開は、環境局が中心となって、関係各局との調整を行い、取りまとめたものと聞いております。パブリックコメントを行い、都民や事業者の方々の意見も聞きながら取りまとめたことは評価をいたします。
 その上で、今後の具体策の検討に当たりましては、緑施策や生物多様性の保全の現場を持つ区市町村や、学識経験者などの意見も聞きながら進めることが望ましいと考えますが、都の見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 新たな緑施策の具体化についてでありますが、学識経験者を構成員とする自然環境行政のあり方を検討する懇談会を近日中に立ち上げる予定でございます。ここでは、東京の自然環境や生物多様性を取り巻く状況を踏まえ、現行制度の課題の検証と新たな取り組みについて、専門的な見地から検討してまいります。
 また、区市町村の緑施策や生物多様性保全策を担当する部署との連携を強化するため、環境局として、区市町村との意見交換の場を設置していく予定でございます。
 今後、民間企業やNPOなど、緑施策や生物多様性の保全に取り組むあらゆる主体と連携しながら、新たな緑施策の具体化を図ってまいります。

○松葉委員 今回の緑施策の新展開をもとに、今ご答弁ありましたが、あらゆる主体の英知を結集し、気候変動対策の分野におけるキャップ・アンド・トレード制度にも負けないような、緑施策や生物多様性の保全を推進する世界の諸都市の範となる持続可能な都市モデルを構築されるよう念願をいたしまして、私の質問を終わります。

○かち委員 私からも、緑施策の新展開-生物多様性の保全に向けた基本戦略について、何点かお聞きします。資料も用意していただきましたので、それにも触れてお聞きします。
 この地球上で多様な生物が生育循環できる環境を保全することは、地球温暖化や気候変動を抑制し、持続可能な社会を形成することができます。しかし、人間活動が与える環境の負荷によって、年間四万種の生き物が絶滅しているといわれています。このような生物多様性の損失が続けば、将来、地球規模の生態系に重大な変化をもたらしかねません。
 二〇一〇年十月、生物多様性条約国際会議、COP10が名古屋で開かれました。ここで採択された愛知ターゲットに基づいて、日本は本年まで、議長国として生物多様性の保全に向けて一層の努力が求められてきました。
 そして、短期目標の一つとして、二〇二〇年までに、我が国に生息、生育する種の絶滅のおそれが新たに生じないようにすると同時に、現に絶滅の危機に瀕した種の個体数や生息、生育環境の維持、回復を図るということが閣議決定されました。
 都においても生物多様性の保全に向けた実効性の高い施策を展開することが、生物資源を大量に消費する大都市東京に課せられた使命でもあります。
 生物多様性の都のこれまでの施策と将来の方向性を示したとする、この緑施策の新展開の基本戦略について、何点かお聞きします。
 生物多様性の保全にとっては、何よりも、人類、生物の生存基盤である緑の確保であると考えます。開発行為などによって失われていく緑をいかに食いとめるかが課題です。
 そこで、東京の緑の現状はどうなっているかということですが、資料を出していただきました。一ページ、緑確保の指標について、東京都は、それまでの緑被率からみどり率、緑被率に河川等の水面の割合と公園などの緑で覆われていない面積の割合も含むものに変えました。
 みどり率の目標は、緑の東京計画で、平成十年を起点として、平成二十七年までに区部では三%増、多摩では八〇%を維持するものでした。
 現状では、調査方法が異なるので、単純比較はできないというものの、平成十年と二十年の比較では、区部では二九%から一九・六%へと一〇%弱の減、多摩地域では八〇%から六七・四%へと一二・六%の減であります。
 この現状と、みどり率減少の要因をどのように認識しているのか、まずお聞きします。

○谷上緑施策推進担当部長 ご質問のみどり率の目標は、平成十二年に都が策定した緑の東京計画に記載されているものだと思いますが、緑の東京計画で定めた平成二十七年度における緑の目標値は、平成十年のみどり率が基礎となっております。
 昨年の委員会でも答弁申し上げておりますとおり、平成十年のみどり率は、当時の技術的限界から、衛星画像の判読による調査であり、平成十五年、平成二十年の調査と比較し、精度が劣っております。平成十年のみどり率を基礎とした計画の目標値と実績値の比較を単純に行うことはできないと考えております。
 しかしながら、先ほどご答弁いたしましたとおり、本文六ページの記載に見られるように、みどり率の用地は、樹林地などを中心に、平成十五年から平成二十年にかけて減少しております。これは、宅地造成などに伴うものと考えられます。

○かち委員 五年間の数%の減というだけではなくて、資料の一ページに出ていますように、二十年間の経過を見てみれば、緑被率で、川や水面の面積を含めない緑の緑被率に比べても、現状ではさらに減っているということを強く認識しなければならないというふうに思います。
 現在、東京には、自然環境保全地域、歴史環境保全地域、緑地保全地域、森林環境保全地域、里山保全地域と各種の保全地域が指定されていますが、その面積は、現在四十八カ所、計七百五十一ヘクタールが指定されています。
 資料によると、その中で公有化されていくわけですけれども、公有化の予算、決算も、十年間の経緯を見ると半減しています。公有化面積は十年間で何ヘクタールになったのか、また、トータルではどのぐらいになっているのでしょうか。

○高橋自然環境部長 平成十三年度からの十年間で、約二十七・四ヘクタールの緑地を購入し、平成二十二年度末の公有化面積は約六百二十ヘクタールとなってございます。

○かち委員 保全地域指定の面積に対して、十年間で二十七・四ヘクタールを公有化したわけですが、このペースでは、現在指定されている地域だけでも、公有化にあと四十年以上かかることになります。
 緑を守るための大きな有効性を果たすものの一つが、保全地域の指定をふやすことですけれども、規制がかかる指定には、公有化と並行して取り組まなければ進まないのではないでしょうか。
 公有化の予算、決算の推移を見ると、ここ数年、その取り組みが弱まっているといわざるを得ません。開発行為によって失われる緑地をどう食いとめ、確保していくのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、全庁横断的な緑の東京十年プロジェクトの推進や自然保護条例による開発許可制度、緑化計画書制度の強化など、現存する緑の保全と新たな緑の創出に向け、さまざまな取り組みを展開し、現在も展開中でございます。
 緑施策の新展開で示した、生物多様性の保全など質の確保も重視しながら、今後も着実に取り組みを推進してまいります。

○かち委員 この本書では、平成二十年から二十二年までの三カ年の開発許可件数が百三十一件、その中で確保された緑地は五十七ヘクタールだと記載されていますが、同じこの本書によれば、開発行為に伴う緑地面積の合計値は、開発前の自然地の三割にも満たない水準になっていると書かれています。
 開発によって失われる緑を食いとめるためには、先ほど質疑もありましたけれども、環境アセスに開発行為が生態系に与える影響を定量的に評価する生態系評価手法の導入で、開発そのものを回避したり、開発による緑の減少に対する代償措置を開発事業者に義務づけるなどの仕組みづくりが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 生態系評価手法の導入につきましては、先ほど答弁しましたとおり、今後は東京にふさわしい評価手法を作成するため、文献調査や学識経験者からの意見聴取を踏まえ、検討していく予定でございます。
 また、開発行為が生態系に与える影響を緩和する仕組みづくりにつきましては、まずは海外の先進的な取り組み事例等を研究していく予定でございます。

○かち委員 実際、例えば絶滅危惧種や希少生物をどう守り、生息、生育環境の維持回復を図るかという問題ですけれども、開発しようとする場所に絶滅危惧種のオオタカやトウキョウサンショウウオなどが生息している場合、どのような対策がとられているのでしょうか。

○高橋自然環境部長 開発行為地がオオタカなど希少な猛禽類の生育地あるいは周辺である場合は、原則として生育に関する調査及び解析を実施する必要がございます。その調査を踏まえ、原則として、営巣中心域での土地の改変等は行わないこと、その周辺で土地の改変等を行う場合は、影響を低減または緩和するよう配慮することなどが必要であり、工事の時期につきましても、原則、繁殖期は避ける必要がございます。
 また、トウキョウサンショウウオなど希少種につきましては、行為地の面積に応じて、春夏秋のうち一時期または二時期に自然環境調査を行う必要がございます。その調査を踏まえ、改変範囲の最小化の検討、新たな生息地となる調整池などの創出、移植等の代替措置などを講じる必要がございます。

○かち委員 今の段階では、できるだけ改変の範囲を狭めたり、影響を少なくするということと、新たな生息地の創出または移植の代替措置を行うということがよく行われていると思うんですけれども、代替措置が適切に行われたかどうかは、移設、移植後、数年たたなければ検証できないのではないかと思います。結果的に生育しなかった場合、だれがどのように責任をとるのでしょうか。

○高橋自然環境部長 自然環境保全計画書や許可条件におきまして、継続的なモニタリングを行うことが一般的であり、都に定期的な報告がなされるため、そうした機会をとらえ、ご指摘のような状況を未然に防ぐよう努めております。

○かち委員 私もこの間、絶滅危惧種のキンランが開発のために移植されたけれども、結局根づかなかったという経緯を見てきました。キンランなどは、菌根菌という特殊な菌類と共生する特殊な生育形態があって、また、林の下などの特殊な土壌にのみ生息するものですから、採掘をして移植してもなかなか育たないというのが現状です。
 結局、代替措置として移設や移植はモニタリングをするけれど、そこでうまくいかなくてもそれまでのことなんですよね。こうして希少種は減っていく運命にあるというのが実態だろうと思います。
 先ほどもいいました定量的生態系評価手法は、一九七〇年代にアメリカで湿地帯の減少に対処するために導入された制度ですが、改良が重ねられつつ今日に至っています。定量的生態系評価は、個々の野生生物の専門家による高度な判断を必要としますし、検証方法も大変手間暇のかかる方法ともいわれていますが、開発がある以上、生態系の喪失、消失は続きます。
 開発行為に伴い、安易に代替措置によるのではなく、実質的な回避、あるいは最小化、あるいは代替措置をとるために、開発事業者によるプラスとマイナスを定量的に評価することは不可欠なものではないかと思います。東京版定量的生態系評価手法を検討、導入されることを求めておきます。
 緑の減少の中でも大きく減少しているのが農地です。東京の農地の区域別の生産緑地と宅地農家の現在の面積はどのようになっているんでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 平成二十四年三月に改定された東京農業振興プランによりますと、平成二十二年の市街化区域内の生産緑地面積は三千五百二十二ヘクタール、宅地化農地面積は千六十一ヘクタール、全体で四千五百八十三ヘクタールでございます。平成二十二年の東京全体の農地面積は七千六百七十ヘクタールであり、市街化区域以外の農地面積は、差し引き三千八十七ヘクタールとなっております。

○かち委員 この本書にも触れられているもので、緑確保の総合的な方針、これは二〇一〇年に東京都や特別区、市町村でつくられたもので、この中に出てくるんですけれども、平成九年から十九年の十年間で、統計年鑑データによると、千六百ヘクタールの農地が減少しているとあります。この間だけでも一八%の農地が減少しておりますし、また、今なお減り続けているわけです。
 とりわけ市街地における生産緑地などは貴重な緑であり、オアシスであり、また、防災の観点からも非常に重要な緑です。しかし、所有者の高齢化や経済状況、五百平方メートル以上という規定の厳しさなどで、やむなく手放し、売却せざるを得ない、こういうケースが後を絶ちません。
 都市化の中で、こうした貴重な緑の農地を保存、継続するための手だてをとる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、一定条件のもとで、生産緑地地区の指定に係る面積要件を引き下げることや、農業用施設用地や屋敷林等を農地と一体的に保全できるよう、一定の土地利用制限のもとに相続税評価額を減額するなど、相続税の軽減措置を講じるように継続的に国に要望しているところでございます。

○かち委員 いろいろ聞いてきましたが、緑施策の新展開では、守る、つくる、利用するの三分野にわたって方針が掲げられていますが、今回は守る緑について質問させていただきました。
 守るべき緑の中でも、東京の山間部と市街地をつなぐ丘陵地、ここは里山や谷戸、湧水、稲田など恵みの宝庫であり、多様な生物の命が輝く地域でもあります。限られた東京のこの緑を守り、生物多様性の保全が実効性ある戦略になることを期待し、質問を終わります。

○原田委員 私からも、緑施策の新展開についてお伺いをしたいと思います。
 まず、校庭の芝生化事業についてお伺いしたいと思うんですけれども、特に二十三区といいますか、都市化された中にあっては、広い面積を持つ学校、あるいは幼稚園、保育園等々の持つ役割というのは非常に大きくなってきているんだろうというふうに思っております。
 校庭の芝生化事業についても、平成十九年度から、一番の目的としてはヒートアイランド対策ということではあったかと思うんですけれども、東京都の方でも進めていただいております。
 今回の緑施策の新展開の中においても、学校を地域の緑の拠点として、生物多様性の視点からも重要なスポットというふうに位置づけていただいているというふうに思っておりますけれども、生き物の立ち寄りの場にもなるということで、単にヒートアイランドというだけではなく、重要な空間として、しっかり見ていかなければいけないということになっているのではないかなと思っております。
 実際に公立の小中学校から始まったわけでございますけれども、私立学校、あるいは幼稚園、保育園等にも広がっておりまして、昨年度末で三百五十校、百二十三園、七十八カ所、面積で合計しまして約六十七ヘクタールが芝生化されたというふうにお伺いをしています。
 しかし、これまで順調にできたかといえば、必ずしもそうともいい切れないところでありまして、なかなかうまくいかないという事例があった。そして、そこでうまくいかないというだけではなくて、特に幼稚園や保育園なんかは、公立の学校と比べても自前の負担も大きいものですから、近所のところに、先にやったところに聞くわけですよね。そこでうまくいっていないという話になると、じゃ、自分のところもやめておこうかなというような話になってしまって、関心は持っていただいたんですけれども、なかなか広まらないというか、二の足を踏んでしまうといったような事例があるというようなことも耳にしております。
 この背景の一つには、時期の問題があると。やっぱり自然のものでございますから、それに適した時期に施工をしていかなければいけないわけでございますけれども、必ずしも校庭芝生化ということについて知見がしっかりと蓄積されていなかったときにあって、なかなか施工の時期によって、その後の生育状態が悪くなっているのではないか。これによって、二の足を踏むところもふえているんじゃないかといったような話も聞いているところでございます。
 隣の芝生は青く見えるともいいますけれども、逆に、茶色くなってしまった芝生はより茶色く見えるというようなことで、こういったことをとらえると、芝生化についていろいろと考えて、そして、適切に進めていく方策を考えていかなければいけないんじゃないかなと思うのでございます。
 それで、まず最初に、確認も込めてお伺いしますが、芝生化の施工に適した時期はいつなのか。また、そうした時期にきちっとすべての工事が行われているのかどうか、お伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 芝生には、夏芝と冬芝、西洋芝と日本芝など、さまざまな種類がありますが、基本的に、夏芝であれば春から夏にかけての季節が一年で最も生育するため、この時期に施工することが望ましい時期といわれております。
 また、芝生が根づくまで二カ月程度は園庭などを使わずに養生する期間を設けることが、その後の生育に重要となっていることから、現在は説明会などで周知を図っております。
 しかしながら、幼稚園、保育園の園庭芝生化事業開始当初は、園の行事その他の理由により、必ずしも、すべてがこの時期に施工されているとはいい切れない状況にあったようでございます。

○原田委員 今お答えいただいて、夏芝であれば春から夏というところでございます。これは行政のスケジュールと比べてみますと、ちょうど春先から夏にかけてというのは年度の変わり目ということもあって、なかなか事業の展開上、ある種、大変な時期でもあるというようなことでもございます。
 園の行事その他の理由によりというのがありましたけれども、聞いている話だと、例えば夏休み、ここは園児が来ないとか、あるいは生徒が来ないということで施工しやすいということで、先ほど春先から夏にかけてということですが、この夏休み、夏から秋にかけての時期に植えてみて、やっぱり育たなかっただとか、その背景には、先ほど年度の話をしましたけれども、これは申請する側も、あるいは申請を受ける側もひょっとしたらそうかもわからないんですけれども、三月に予算が決まる、四月から新年度が始まると。いろいろな計画を立てていく、準備をしてということをやると、どうしても夏になっちゃう。
 その時期に施工して、ちょっと遅くなっちゃってうまく育たないなんていうことがあるんじゃないかというような声もあったりということでございます。やっぱり自然に対する施策というのは、自然のサイクルにきちっと合わせた形で、我々の方が手を打っていかないとうまくいかないものでありまして、本来であれば、そうしたことは、我々この日本にあっては昔から当然のごとくやってきたわけで、きょうは晴れておりますけど、今、梅雨どきで、梅の雨と書きますけれども、梅の実がちょうど熟するころだからというようなことで、自然に寄り添って、そういった季節感を持って暮らしているということは当たり前でございますし、また、都会におりますと、なかなかそうした季節を感じることというのは近年少なくなってきたかもわからないですけれども、多少、田舎の方といいますか、自然が残されているところへ行けば、まだまだそうした自然の感覚に寄り添って生きているというのは普通な状況ではあろうかと思います。
 逆にいえば、特に都会において、野菜にしても、旬は一応あるわけではございますけれども、ハウスもので、いつでも手に入るといったような季節感覚を多少なくしていく中で、例えば芝生化の施工といったものに関しても、こういった自然の時期的感覚というのを失ってしまっていた部分はないだろうかといったようなことについてもきちっと改めて、自然そのもののありようというのに寄り添って施策を展開していくやり方というのをきちんと考えていかなければいけないんじゃないかなと、改めて思う次第でございます。
 時期だけにとどまらず、芝生がうまく育たなかったという理由には、さまざまな理由があろうかと思うわけですけれども、都として、芝生化実施後の状況というものをどのように把握していただいて、その問題に関してはどのように対処されているのかお伺いしたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 幼稚園や保育園の園庭芝生化は平成二十年度から事業を開始しておりますが、委員のお話のとおり、当初は芝生の生育状況が芳しくない事例が見受けられました。
 そのため、専門機関に依頼して、芝生化を実施した園の調査をその後行いまして、原因分析をしたところ、園児一人当たりの園庭面積が六平米未満であると生育状況がよくないこと、日照が平均一日六時間以下の場合もよくないこと、園の出入り口付近、遊具下、大型の乳母車を使う場所などは、踏圧が高いため生育しづらいことなどの課題が明らかとなりました。
 こうした結果を踏まえまして、事業を行っております生活文化局や福祉保健局と連携して、実施予定園を対象に開催している事前説明会におきまして、さきにご指摘のありました工事施工時期も含めまして、注意点をしっかり説明するようにしたほか、二十三年度からは、新たに日照条件などに基準を設けて要綱に明記するなど、培った知見を生かしながら、芝生の生育が順調に進むように改善しながら取り組んでいるところでございます。

○原田委員 いろいろと調査をしていただいて、それに応じて対策を進めていただいているというのはわかったわけでございますけれども、ただ、今のお答えですと、施工の時期とその後の生育状況との関係といったところまでは、まだこれからといったところのようですので、こうしたところも、ぜひきちっと把握していただきたいなというふうに思うわけでございます。
 これは、例えば兼業農家でも、忙しいから夏休みに田植えをしようなんていうところはないわけであって、田植えには田植えの、きちんとそれに適した時期にやるというのは、ある意味、当たり前の話でありますので、特に施工の時期ということに関しては、八割方その範囲内におさまっているというようなことじゃなくて、きちっと全部が適した時期に行われるように、ぜひその辺も調査をして対応を進めていただければなというふうに思うわけでございます。
 このようにきちっと知見を深めまして、それをPRしていただくことで、先ほど、隣の茶色い芝生がより茶色く見えてしまった園に対しても、きちっとそうした情報を発信することで、適切にやれば育つんだと、よりよい環境がつくれるんだということをアピールしていただいて、これからも事業を進めていただければなというふうに思う次第でございます。
 次に、都会の中にあっては、こうした芝生の部分も含めて、いろいろなネットワークをきちっとつくっていくと。都市公園、街路樹、それから河川沿いの河川敷も含めて、そうしたところで緑化を進めるというふうにしているわけでございます。
 都会にあっては、また一つ大事なところで、街路樹がございます。表参道のケヤキ並木とか神宮外苑のイチョウ並木のように本当にすばらしい景観を形成していて、それを目当てに人が集まるようなところもある一方で、中には、特にイチョウの木なんか、強剪定ということで枝を強く打ち払っておりまして、冬前なんかだと、街路樹なんだか電信柱なんだかわからぬような形の街路樹があったりして、必ずしも生物の多様性ということで今回やっていただいたわけでございますが、その生物の生育環境として適切な緑が形成されているのかなというところは感じてしまうわけでございます。
 そうした意味で、今回の中でも、単に量だけではなくて、質というところを挙げていただいているわけでございますけれども、ここのところをぜひ、より着目して政策を進めていただければなと思うところでございます。
 例えば、私の地元の北区の方で、西ヶ原の外語大の跡地があるんですけれども、そこが数年前に再整備されまして、公園と特別養護老人ホームと、それからマンションができたわけでございますけれども、公園の一角にビオトープがつくられたんです。
 そんなに広い面積じゃなくて、もう本当にこじんまりとしたところなんですけれども、オタマジャクシなんかが生まれて、池で泳いでいたりといった風情があって、それだけじゃなくてサギが飛来するようになりまして、新しく開発されたマンションのベランダの手すりなんかに、この間行ったときもサギがとまってたりといったようなことで、そういった大型の鳥類も含めた生態系というんですかね、こういったものが復活したといいますか、できたといいますか、そういったようなところもありました。
 小さくても、こういったきちっとしたといいますか、生態系の核となり得る自然があると、これがつながっていって豊かな自然の一つの源になっていくわけですよね。こういったものを、ぜひどんどん整備していただきたいなというふうに思う次第でございます。
 それに際しましては、やはり定量的な把握というのは確かに大事なことでございますけれども、もうちょっと、人間の感覚的な、ここはいい自然だなと感じられるような緑をふやすと。そして、ひいては、それが実際に生きている生き物にとって本当にいい緑、いい緑地、いい場所といったものをつくっていくというような形で、そういった整備といいますか、管理を進めていただければなと思う次第でございます。
 特に地元の区市町さんなんかですと、そうしたところで細かな調査なんかもしているところもあったりしまして、北区でも、北区生物マップというのを三地域に分けて発行したりといったようなことで、いろんな整備もし、調査もしというようなことでやっておりますので、こうしたところともぜひ連携しながら、いろいろと進めていっていただけると、より一層質の高い緑の形成ということにつながっていくのかなというふうに思う次第でございます。
 そうしたことも含めましてお伺いしたいと思うんですけれども、今回の緑施策の新展開において、緑のネットワークということもうたわれているわけでございますが、この緑のネットワークの考え方についてお伺いをいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 緑施策の新展開では、緑あふれる都市東京の実現に向け、緑の拠点となる都市公園を整備し、公園、緑地などの緑をつなぐ幹線道路の街路樹の整備、河川沿いの緑化等を進め、グリーンロードネットワークの形成、充実を図っていくこととしております。
 お話のとおり、生き物の生息空間を確保する視点で、緑のネットワークを築くためには、緑を多く植えるだけではなく、緑をふやす場所に応じて、例えば日照、周辺の生物、剪定の時期などに配慮していく必要があると考えております。
 そのため、今後は、都立公園等を管理する建設局など関係局と連携し、生物多様性の視点からの緑のネットワーク化に取り組んでいきたいと思います。
 また、スポット的な緑が生き物にとって快適な空間となるよう、区市町村、NPOなどと連携し、地域が一体となってその貴重な生息維持、環境の維持に努めてまいりたいと思います。

○原田委員 ぜひいろいろな、その場所その場所に根づいて活動していただける団体などとも連携しながら、本当の意味で、質の高い緑の形成といったところに取り組んでいただければなというふうに思っております。
 実際にこうした緑の形成というのは、人間の側からすれば、何というんですか、生活感の充実だとか、より豊かな暮らしを実感する一要素といったところにもなるでしょうし、多少、大上段にいえば、それが東京のほかの都市と比べたときの優位性、国際競争力の一要素にもなってくるかと思いますので、本当の意味で豊かな緑をつくっていくというようなところを、ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思うわけでございます。
 それから、これは若干局をまたがることなので、申し上げておくだけにしておきますけれども、特に都心部においては、ただ単に緑というだけではなくて、ヒートアイランド現象のための芝生化というのもありましたけれども、であるならば、例えば芝生が生育しないところにおいては、遮熱効果を持つ舗装であるとか、あるいは屋上緑化なんかでも、緑化できるところは緑化するけれども、そうじゃないところは遮熱性を持つようなことを、仮に緑化ができないよと相談を受けたときにそういう答えになったとしても、進めていくと。人工的な手段とはなるんでしょうけれども、そうしたものと連携するような形で提言をしていくといったようなことも、これからやっていっていただきたいなというふうに思う次第でございます。
 そうした一事業者とか個人だけではなくて、都市全体としてどのようなヒートアイランド対策あるいは温暖化対策、昨今の喫緊の課題でいえば節電対策といったようなところにつなげていくかといったようなところを描くことこそ、ぜひ東京都にやっていただきたいなというふうに思っておりますので、そうしたところにも力を入れていただきたいと思っております。
 それで、そうしたことも含めて、今回の緑施策の新展開の中で中心にうたっていただいている生物多様性ということも含めて、なかなかなじみもないというようなところもあったり、あるいは、いろんな取り組みを、例えば地元のNPOの方々がやっているんだけれども、ただただ植木に花をやってうれしいなというところにとどまっていて、それが実際に東京の生物多様性だとか、都市全体の生態系だとかにつながっているんだといったような意識なくやっていただいているといったことも、逆にいえばあろうかと思います。
 そうしたところで、それぞれの主体が自分の行っている行動の意味をしっかりとわかった上で行動していくようになると、より東京全体として施策の効果といったものが有機的につながって、より高い効果が発揮されるのではないかなというふうに思う次第でございます。
 そういう意味で、アピールする機会ということでいうと、ことし、主には建設局の方でご担当されているんでしょうけれども、全国都市緑化フェアがございます。ここで、緑の風が吹き抜ける東京というテーマで、東京から全国に発信をしていこうというようなことで、もちろん環境局も携わっていただいて取り組んでいただいているというふうに聞いております。
 そうした中で、質から量への転換ですとか、生物多様性といったものをきちっと認識してやっていくですとか、こうしたことを発信していく。
 さらには、都民全体でどういうふうに力を合わせて、どういうふうにやっていけば、よりよい東京ができるんだといったことを発信していただくといったことも大変重要なことであり、また意義深いことになってくるのかなというふうに思う次第でございます。
 そこでお伺いしたいと思いますけれども、今回の全国規模のイベントであります全国都市緑化フェアにおいて、この機会を生かして、生物多様性の保全に向けた普及啓発などに積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、ご所見を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 緑施策の新展開でも明らかにしているとおり、生物多様性なくしては、人々の生活や経済活動も成り立ち得ないものの、いまだ生物多様性の意義やその取り組みの重要性についての認識が、広く社会に浸透しているとはいえません。都がその普及啓発に取り組む意義は大きいものと考えております。
 このため、本年秋に開催される全国都市緑化フェアでは、環境局として、同会場の一部で生物多様性に関する普及啓発を行います。
 例えば、東京に生息、生育する希少な動植物に関する情報や、奥多摩、多摩地域の植生の状況など、写真、イラストを用いたわかりやすいパネル展示を設ける予定でございます。
 また、同時期に都庁で開催予定の自然公園展でも、小笠原諸島の外来種対策や希少動植物の保護増殖など、生物多様性の保全に関する普及啓発を実施する予定でございます。
 今後もさまざまな機会をとらえて、企業、NPO、区市町村などとも連携しながら、生物多様性の重要性に関する理解が広がるよう、普及啓発活動に努めてまいります。

○原田委員 ぜひ、積極的にPRをしていただいて、ブースの中にとどまっているということのみならず、どんどんどんどん外に出てアピールをしていただきたいなと。
 また、これは今回に限らず、イベント全般にいえることですけれども、それが一過性の取り組みにとどまることなく、今回が新たなスタートとなると。また、東京都自身が生物多様性を保全するために、ただただ展示とか情報提供にとどまらず、具体的にこういうことやっていくんだという、まさにスタートになるように位置づけていただいて、さまざまな質を高める具体的な行動につなげていっていただければなというふうに思う次第でございます。
 もちろんその際には、他局との連携ということはもとより、都民、あるいは企業、それから区市町村、NPO団体等、さまざまな観点からさまざまな行動に取り組んでいただいている団体がございますけれども、ここの連携も緊密にとっていただいて、都全体として施策の効果がより発揮されるよう取り組んでいただければなというふうに思っている次第でございます。
 これらのことを、ぜひ今回のこの計画の発表を機に取り組んでいただくことを願いまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○上野委員長 ここで、議事の都合によりまして、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時四十一分開議

○上野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、緑施策の新展開についてお尋ねいたします。
 一千三百万人の人々が住む東京には、奥多摩や島しょ部など、豊かな自然が残されています。
 一方、こうした自然だけでなく、私が住む練馬区のように、住宅、商店、学校などが整備され、都市化が進んだ地域においても貴重な自然は残っております。
 具体的な事例で申し上げますと、練馬区には都立石神井公園があります。園内にある三宝寺池は、井の頭池、善福寺池と並び、武蔵野三大遊水池として知られており、その一部の植物群は国の天然記念物に指定されています。周囲の雑木林なども含めて緑豊かな武蔵野の面影を残している場所です。
 そこで、区部における石神井公園などの公園や緑地について、生物多様性の視点からどのように評価できるのか、お伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 住宅地や業務機能が集積した都市部において、都市公園などの公園、緑地の緑は貴重であります。こうした公園や緑地は、鳥類、昆虫類、哺乳類などの多様な生き物の生息場所となっております。
 また、多くの住民が多様な生物に触れ合い、自然環境や生物多様性に対する理解を深める場でもあります。
 さらに、公園や緑地は、街路樹や校庭の芝生化などとあわせて、緑あふれる都市東京の実現に向けてのグリーンロードネットワークを形成する、緑の重要な拠点ともなっていると評価しております。

○高橋委員 公園、緑地の重要性について、ただいま答弁がありました。先ほど石神井公園を例に話をしましたが、この公園では、カワラヒワやシジュウカラ、都のレッドリストでは区部の絶滅危惧種となっているカワセミなどの野鳥が見られ、冬にはコガモやマガモ、オシドリなどの水鳥も飛来します。住宅地の中にあって、石神井公園は鳥の楽園ともいえるところであります。
 都立公園の施設整備については建設局が行っていくものですが、今回、緑施策の新展開を策定した環境局として、鳥たちにとって生息しやすい場所としていくために、生物多様性の観点から、公園や緑地をどのように整備していくべきであるのか、その基本的な考え方についてお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 生物多様性とは、さまざまな自然があり、そこに特有の個性を持つ生き物がいて、それぞれの命がつながり合っていることをいいます。
 お尋ねの公園や緑地において鳥類が生息しやすい場所とするためには、生物多様性という考え方をもとに、鳥類だけではなく、そのえさとなる昆虫や植物など、多様な種類の生き物が共存できる環境を整備していくことが必要であります。
 このため、公園や緑地では、草地や樹林地など多様な自然環境を整備し、樹木や樹林の成長に合わせた緑の質を確保するなど、鳥類にとって生息しやすい環境を整備していく必要があると考えております。

○高橋委員 公園や緑地が鳥たちにとって生息しやすい環境となるよう、庁内連携を図り、環境局としても取り組んでいってほしいと思います。
 一方、都立公園は豊かな自然が残っている場所でありますが、飼えなくなったペットを野外に逃がすような意図的な人間の行為により、本来その地域に生息していなかった動物などの外来種が持ち込まれ、本来の地域の生態系を乱してしまう場合があります。
 石神井公園についていえば、国の天然記念物に指定されている植物群も、水環境の変化もあり、種類が大幅に減ってしまったと聞いております。
 そこで、現在の都立公園における動物などの外来種の対策について伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 地域に固有の豊かな自然環境を維持していくためには、継続的な管理が必要であります。
 都立公園では施設管理者において、植物や動物について日常的な管理作業の中で、公園の生態系に与える影響が大きな種である、北米原産の魚の一種でありますブルーギルや、またはカミツキガメなどの外来種の駆除等が行われております。
 また、こうした取り組みは、施設管理者だけではなく、地元のボランティア団体などとも連携して継続的に取り組みが行われ、良好な自然が保持されております。

○高橋委員 ただいま都立公園についての外来種の対策について答弁がありました。生物多様性を維持するためには、生態系を脅かす外来種の排除が重要でありますが、一度侵入してしまった外来種の排除には、多様な主体との連携などが必要であることを改めて実感します。
 先月、神奈川県海老名市の住宅街にアライグマの親子六匹があらわれ、警察や市の職員による捕獲が行われたと新聞が報じていましたが、最近では、都市部の住宅地でも外来種のアライグマが問題になっていると仄聞しております。本来その地域に生息していなかったアライグマが、人によって持ち込まれ、地域の生態系を乱してしまう一例といわれております。
 まず、アライグマの被害や都内での捕獲数について伺います。

○高橋自然環境部長 アライグマは元来北米原産の野生動物であり、日本ではペットや動物園で飼われていたものが野生化し、全国で、神社仏閣などの文化財を初め、農作物や固有生物の捕食などの被害を生じております。また、狂犬病予防法の対象動物に指定されるなど、人の健康や生活への影響もございます。
 都内の生息数は不明でございますが、杉並区やあきる野市などが捕獲に取り組んでおり、平成十六年、都内全域で捕獲されたアライグマは三十六頭でしたが、五年後の同二十一年には百六十頭にふえております。

○高橋委員 既に、住民からの要望にこたえて排除に取り組んでいる自治体もあるとのことであります。行政には自治体という境界があっても、生物の移動には境界がありません。
 こうした先駆的に取り組んでいる区市の事例を、同じような悩みを抱えている周囲の自治体に紹介して、取り組みの輪を広げていく具体策が必要と考えますが、所見を伺います。

○高橋自然環境部長 地域に固有の自然を守るためには、地域の自然に詳しい区市町村が、住民や地域で活動するNPO等と連携して外来種を排除していくことが重要でございます。
 都では昨年度、あきる野市の保全地域において、アライグマの生息状況の調査を行うとともに、本年度から、地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助金を活用して、区市町村が行う被害状況の調査や捕獲の取り組みを支援してまいります。本年度、六区市町村が実施予定でございます。その成果を周囲の自治体にも紹介して、取り組みを広げていきたいと考えております。
 あわせて、飼えなくなったペットを野外に逃がすような意図的な外来種の放逐が生態系に及ぼす影響について注意を喚起してまいります。

○高橋委員 ぜひ、捕獲の成果を上げて、周囲の自治体にも広げていってほしいと思います。
 今回報告された緑施策の新展開は、緑施策の今後の方向性を示したものであり、施策としてまだ明確になっていない部分もあります。
 東京都は、環境政策において、これまでにも、我が国初の都市型キャップ・アンド・トレード制度を初めとする取り組みを、他の自治体に先駆けて取り組んできています。自然環境分野についても、ぜひとも先進的な取り組みを進めていただくよう強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○石毛委員 それでは、緑施策の新展開に関連いたしまして、まずカラス対策について質問させていただきます。
 私たちの生活の中ではよく見る動物でありまして、大変迷惑な場面が多いわけでありますが、生態系に悪影響を及ぼす場面もあろうかと思います。
 さて、私はよく海外から来た方、あるいは国内にいる方の観光案内というか、ボランティアでさせていただいているところでありますが、皇居あるいは日比谷公園を案内いたしまして、そして、そういった方々に東京の印象はどうだと聞くと、緑豊かで整然としたまちだと。高度な都市機能を集約する中、大規模な緑は、世界都市東京の顔として大変貴重であると実感するところであります。
 先日、そんな大規模な緑の一つ、都立庭園美術館へ行きまして、その隣、白金の自然教育園、こちらにアラブの男性と訪れた次第であります。目黒から歩いて五分、水戸光圀公のお兄さんにあたる、かつて高松藩主松平頼重の下屋敷があって、六万坪、敷地内にはうっそうとした森林や水生植物の池が広がっております。
 目黒駅周辺の繁華街は暑くても、庭園に一歩踏み入れると涼しい空気に包まれている、そんな庭園でありますが、水彩、あるいは写真、中には愛を語らうそんなカップルも、この都会の中のオアシスにはいっぱいいるわけでございます。
 入り口の施設にある、園内に見られる野鳥のコーナーには、オシドリ、カワセミ、二十四種類の野鳥の剥製が展示してあります。今何が見れるかななんて期待をしながら園内を散歩し、出発したものの、うっそうとした森林の中では、周辺から聞こえるのは、ともかくカー、カー、カーでありまして、カラスの声ばかりです。池、それから水生植物の近くに行っても、水鳥が余りいなかったり、奥に進んでいっても、なかなかほかの鳥を探すのは大変であります。
 ともかく威圧されて、住みつかないのかななんていうふうに思いますが、せっかくの都会のオアシスでありますが、野鳥の安住の場がカラスに占領されている、こんな状況であります。
 そのアラブの男性が一緒に歩いていて、おいしそうというんですよ、おいしそう。そうです、アラブは豚を食べないんですね。しかし、なるほどカラスは食べるのかと、いろいろ話しておりまして、そういえば石原さんも、カラスの肉をミートパイで食べたらいいと、これを名物にしたらいいということで、MXテレビに出て、テリー伊藤さんがどうぞといって、結局食べたようです。
 これ、軌を一にして、仙台でも、牛タンと並んで名物でカラスの肉を売ろうとやったわけでありますが、しかし、残念ながらどちらも……(「石毛さん、食べたの」と呼ぶ者あり)いえ、まだ食べてないんです。それで銘打ってやったんですが、だめだったんですね、どっちも。東京もだめ、仙台もだめだったんです。
 最終的に話を聞いてみたら、ハトだったんですけれども、指さしたのは、どうもカラスかななんて思ったんですが、ハトでありました。
 その彼が私にいったんです。最近つき合っている女性がいて、日本人なんだけど、歩いていて、歩いて歩いて、そして、その彼女に、さわってもいいですかと。彼女は回りを見て、もう一度、彼はさわりましょうというと、いやあといって逃げちゃったというんですね。
 それじゃまずいよと、よく話を聞いたら、お金もないんでしょう、ぐるぐる歩いてベンチがあったと。そこにベンチがあって、さわりましょうといったわけですね。
 それは座りましょうでしょう。座ってもいいですかと、さわってもいいですか、やっぱり難しいな。日本語は、病院と美容院が外国人は非常に難しいらしいですね。
 そんなような中で、この自然教育園のカラスの生息数及び対策についてお伺いいたします。

○高橋自然環境部長 自然教育園におけるカラスの生息数は、カラス対策開始時の平成十三年には五千五百十七羽で、平成二十二年には千三百十七羽となっております。
 カラス対策としては、トラップ捕獲を平成二十一年度から開始し、これまでに累計で二百八羽を捕獲してまいりました。
 なお、自然教育園は旧白金御料地という名称で、文化財保護法に基づく天然記念物及び史跡に指定されているため、捕獲トラップの設置及びひなの捕獲などにつきましては、文化庁の許可が必要となっており、許可をもらいながら実施しているところでございます。

○石毛委員 このトラップですけれども、うちの近所にも、水道の施設がございまして、昔から設置されています。
 よくこの横っちょを通るんですけど、なかなか捕まらないんですね。やっぱりカラスはなかなか頭がよさそうで、繁殖能力のないカラスはまぬけガラスという名前がついているらしいんですが、そういったまぬけガラスは捕まるらしいんですよ。一匹捕まると結構類を呼ぶんですが、その一匹目がなかなか……。だから、どこかでまぬけガラスをまず入れて捕まえると大分捕まるんじゃないかなと思うんです。
 さて、カラスですが、皆さんご承知のように、ハシブトガラス、そしてハシボソガラス、これが東京の大体のカラスの種類で、カーカーと鳴くのは東京に住む肉を好むどうもうなカラスで、ガーガーと鳴くのが田舎で木の実を好むそうですね。この違いがあるそうです。
 私は、カラスは全部黒かなと思ったら、白黒のコクマルガラス、こんなのもあるんですね。いろいろ種類があるんだなと。
 ともかく頭がいいと。例えば、瓶なんかに入っていて、中のものを食べたいと思ったら石をポッチョンポッチョンと入れて、だんだんものを浮かせて食べてみたり、カラスの種類によって、木の枝を使って木の穴の中の昆虫をつっついて食べてみたりと、大変頭がよさそうであります。
 特に遊戯行為といって、遊ぶんですね。電線をくるくる回ってみたり、滑り台を滑ってみたり、それから雪のところに、逆になってつるつるとやっぱり滑り台のように滑る、そういう行為が見られると。大変頭いいんです。
 特に識別をできると。色を人間と同じようにRGB、それに紫も識別できると。どの人が巣を落としたとか、いじめたとかという顔の識別が分かるそうです。
 一方、私たちはカラスが十匹いたら、どれがどのカラスだかわからない。よっぽどカラスの方が頭がいいんだなあなんて、感心したりするわけであります。
 また、装飾品、ガラスなんかも集めるそうです。だから、カラスの巣にはルビーだとかダイヤモンドの指輪があったりするかもしれないですね。だが、普通はないそうです。繁殖や生命維持に無関係なものは置かないとか集めないと。カラスはちょっと変わっていますね。
 ともかくいろんな形で、これは日本テレビの特命リサーチというところでは、神社のさい銭を盗み、自動販売機でハトのえさを購入したと、こんなような報道も。すごいんですよね。
 ひなから人間が育てると、九官鳥と同じように人間の言葉、犬の声をまねすると。
 寿命は十年から二十年、繁殖はちょうど今ごろ、五月から七月だそうです。(「カラスは人間の言葉しゃべるからね」と呼ぶ者あり)しゃべるんだって。二歳から三歳で生殖可能ということで、ふえる可能性が非常に高いわけですね。
 ともかくこの頭のいいカラスをどうやって捕まえていくのか、いろんな苦労をされたと思います。
 そこで、文化財保護法により天然記念物及び史跡に指定されていることもあり、国の施設であるが、そこに生息する動植物の多様性維持にも今後関与していってほしいと思います。
 カラスに限らずふえ過ぎた生き物は、その他の動物や植物に対してさまざまな影響を及ぼします。適正な生息数となるよう努める必要があると思いますが、そこで、東京都全体のカラスの生息数と対策についてお伺いいたします。

○高橋自然環境部長 夜間人の出入りが少ない、天敵である猛禽類が少ない、近くに繁華街があって栄養価の高い生ごみが容易に得られるなどの理由により、都市部の大規模な樹林地はカラスのねぐらとなっております。
 東京都では、平成十三年度から、大規模ねぐら四十カ所において生息数の調査を実施するとともに、ねぐら及びその周辺でのトラップによる捕獲、巣の撤去、周辺自治体でのごみ対策により、生息数の減少を図ってまいりました。平成二十二年におけるカラスの生息数は約二万八百羽となっており、調査を始めた平成十三年の三万六千四百羽の半分近くまで減少しております。
 引き続き捕獲を進めるとともに、区市町村へは、カラスがごみに近づけないようにする防鳥かごの活用などのごみ対策を要請して、生息数の減少に取り組んでまいります。

○石毛委員 減っているということで、大変努力されているんじゃないかな。景気が悪いなんていう話もあったり、ごみが本当に少なくなってきて、分別がされて、そういったことによるんだと思いますが、東京都の努力に対しまして敬意を表したいと思います。
 引き続きまして、東日本大震災によって引き起こされた電力不足に伴い、昨年は多くの家庭や企業でさまざまな節電対策を実施いたしました。その中で、一般家庭におきまして身近に取り組める節電対策として、緑のカーテンの取り組みがありました。
 昨年もゴーヤ、アサガオなど、つる性植物を育て、猛暑をしのぐ光景が各所で見られました。ゴーヤにおいては、野菜づくりの楽しみ、健康や、また家計が助かるという副産物もあるようであります。
 そこで、家庭部門で行われている緑のカーテンについて、行政としてどのように認識しているのかお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 緑のカーテンは、建物の壁面や窓をアサガオやゴーヤなどのつる性植物で覆い、夏の日差しを遮ることで室内温度の上昇を抑制する取り組みです。
 横浜市の調査では、緑のカーテンのある部屋は、ない部屋と比べて、最大一・七度気温が低下したという結果もございます。
 昨年は、家庭の節電ムーブメントの一環として、五月中旬に都立庭園などでアサガオの種を配布し、緑のカーテンの普及啓発を行いました。
 今後は、ホームページや体験型イベントなどさまざまな機会をとらえて、緑化の推進と省エネ対策に有効な緑のカーテンの効果を発信してまいりたいと思います。

○石毛委員 都としても緑のカーテンの普及に取り組んでいるということがよくわかりました。
 ことしも電力の問題は大変頭が痛いところでありますので、この暑い夏をどのように過ごすか、こういった課題も懸念されるところでありますが、できる限り多くの家庭が緑のカーテンに取り組めるよう、都としても、引き続き普及啓発に努めていただきたいと思います。
 引き続きまして、生物多様性の保全に向けた環境学習について質問いたします。
 緑施策の新展開は、都の生物多様性地域戦略の性質を持つものと聞いています。この戦略でも普及しているとおり、生物多様性という言葉の意味を理解している人は、決して多いとはいえません。生物多様性の重要性を社会全体に普及させるためには、次世代を担う子どもたちを対象とした、環境学習の取り組みが必要であると考えます。
 一九九三年の環境基本法の制定、二〇〇三年の環境保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の制定により、環境教育の推進のための施策が行われております。現在では、自然保護に限らず、持続可能性についての議論など、広い意味で含んでおります。
 欧米では、十九世紀の後半から自然保護教育が行われております。これが今日の環境教育の根源ともいわれております。
 さて、今後、生物多様性の保全に向け、環境学習をどのように取り組み、進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 将来にわたり自然環境保全の担い手を確保していくためには、幼少期から動植物と触れ合い、生物多様性の重要性を体感できる環境学習が重要と考えております。
 都はこれまでも、夏休みに開催される児童を対象とした体験型イベントに出展するなど、緑のムーブメントを展開してまいりました。
 また、山のふるさと村、高尾、御岳などのビジターセンターを初め、都民の森において、子どもたちを対象に、自然に親しみ自然に学ぶことをテーマとした自然体験教室を通年で実施しております。
 今後、これらの体験型イベントなどを活用し、生物多様性についてわかりやすく解説する展示や、クイズ、アンケートなどの実施を展開し、子どもたちが楽しみながら生物多様性の意義やその取り組みの重要性について学べる機会を提供していきたいと考えております。

○石毛委員 生物多様性の普及啓発に向けて、環境学習は大変重要な取り組みであります。今クイズやアンケートといわれましたけれども、今後とも、子どもたちが家族と一緒に楽しみながら生物多様性について学べる機会を提供していくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○山田委員 それでは、私から、緑施策の新展開につきまして質問をさせていただきます。
 これまでの緑施策の取り組みや、また、この中に書かれております三つの行動指針、緑を守る、つくる、利用するの中で、緑を守る方針に関連をいたしまして、何点か質問をいたしたいと思います。
 私の地元西東京市は、ベッドタウン、住宅都市でありますけれども、今なお、武蔵野の雑木林あるいは畑などもありますし、緑豊かに憩いの場を、緑ということで形成をしていただいておりまして、四季折々の緑を市民が楽しんでいるというところでもあります。
 我が党は、こうした緑を守る取り組みを推進し、そして、東京を緑豊かな環境都市として再生させる、さらに魅力的で快適な都市へと発展させるべきであるということをこれまでも主張し、意見を申し述べてきたところでもございます。
 今回、緑施策の新展開は、このような我が党の主張を踏まえ、これまでの緑施策の取り組みを継承するとともに、多様な生き物が生息、生育しやすい環境を整えていくということなど、緑の蒸散作用によりますヒートアイランド現象の緩和とか、あるいは、火災の延焼防止や都市水害の軽減を初めとする防災面での効果など、緑の多面的な機能を改めて確認するとともに、生物多様性の要素を取り入れた方向性をまとめられておりまして、評価できるものであると思います。
 そこでまず、これまでの緑施策は、緑の東京十年プロジェクトに基づいて取り組んできたわけでありますけれども、この施策の中に、四ページにいろいろとこれまでの行ってきた施策について述べられておりますけれども、改めて、これまでどのような成果があったのかをお聞きさせていただきたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 平成十九年度から開始した緑の東京十年プロジェクトは、街路樹の倍増、校庭芝生化など、新たな緑の創出に重点を置いたものですが、これらの取り組みを中心に、平成十九年度から二十二年度までの四年間で四百二十四ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 一方、緑の保全に関しましては、平成二十一年に条例改正を行い、開発許可制度において既存の樹木等を保護する検討を行うことを義務化するなど、緑地基準の強化を行うとともに、大規模な開発案件では、民間事業者の指導において希少種の生息環境や周辺緑地との緑の連続性の配慮など、より質の高い緑の確保を進めてきているところでございます。

○山田委員 今回の緑施策の新展開は、これらの成果を踏まえて、そして、これ以上に、今後の展開の方向性を示されたと思いますけれども、その今後の展開の方向性についてお尋ねをいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 これまでの取り組みの成果も踏まえ、緑施策の新展開では、生物多様性に配慮した質の高い緑化を開発事業者に促す仕組みの検討などを中心に、緑の量を確保する従来の取り組みに加え、生物多様性の保全など緑の質をも高める視点も重視した方向性を示しております。
 今後は、緑の持つ多面的な機能を十二分に発揮できるよう、緑施策の新展開の考え方をもとに、施策の具体化をさまざまな主体と連携し、図ってまいります。

○山田委員 ただいま新たな緑施策の方向性についての説明をお聞きいたしました。ぜひこの新たな方向性に基づきまして、これまで進めてきた緑の量の確保に加えて、緑の多面的な機能、いわゆる緑の質の確保に向けた取り組みを積極的に進めていただいて、国際都市東京の魅力の向上、あるいは、自然環境の保全促進につなげていくことを切望するものであります。
 さて、私は、昨年の環境・建設委員会の事務事業の質疑におきまして、都市農地や屋敷林が相続を契機に売却をされ、あるいは、宅地に転用されて緑が減少する問題を取り上げさせていただきました。
 都市農地あるいは屋敷林は、都市環境の改善や防災とか環境教育などに多面的な機能を持っておりまして、周辺地域との緑の連続性の確保にも貢献をしていることから、これらをできるだけ保全していくことが重要であると考えております。
 そこで、都市農地あるいは屋敷林の保全について、これまでどのように取り組んできたのかをお尋ねいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 都市農地や屋敷林を保全するためには、農業の担い手を確保し、事業承継を円滑にする取り組みが重要です。
 このため、一定の条件のもとで生産緑地地区の指定に係る面積要件を引き下げることや、農業用施設用地や屋敷林等を農地と一体的に保全できるよう、一定の土地利用制限のもとに相続税評価額を減額するなど、相続税の軽減措置を講じるよう継続的に国に要望しているところです。
 また、関係局との連携のもと、生産緑地の指定や特別緑地保全地区制度などにより、区市との連携による都市農地や屋敷林の保全の取り組みを推進してきているところでございます。

○山田委員 私の地元でも、都市整備局の所管いたします特別緑地保全地区制度を活用し、市内の屋敷林の保全の手続を進めていると聞いております。
 また、今年度には都市計画決定をして公有化を図るということでありますけれども、昨年の委員会質疑では、この制度のメリットについても質問をし、主に税制優遇とか、あるいは、自治体が地権者にかわって管理を行うという協定制度の利用、あるいは、土地の買い取りに際しての補助制度があるということもお聞きいたしております。
 そこで、改めて、土地の買い取り制度の補助制度の内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 特別緑地保全地区は、屋敷林や崖線などの民有地の緑を保全する地域地区の一つでありますが、開発行為が規制される一方、区市町村は、地権者から土地の買い取り請求があった場合にはこれに応じる義務が生じることから、その指定が進まない状況にありました。
 このため、平成二十二年度から五年間、用地取得費の三分の一を上限とする国の補助に加え、都も三分の一を上限として区市町村に補助する制度を実施し、特別緑地保全地区の指定の促進を行っていると、制度を所管する都市整備局からは聞いております。

○山田委員 この特別緑地保全地区制度によりまして、こちらの一四ページにも記載されておりますけれども、二十六地区、二百六十ヘクタールが指定されているということであります。
 この制度を活用して緑の保全に努めていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、私たちの西東京市でも、これに伴う用地の確保の準備を進めておりますが、いろいろと課題があると聞いております。
 一つは、五年間の限られた補助制度であるとか、そうしますと二十六年度でこの制度が終了するということであります。こういう制度を活用するといっても、やはり調整の作業とか、あるいは予算の問題も係ってきますので、こういう点についても、ぜひ、緑地等の保全に関する施策に関して、この問題に対して、緑施策の新展開ではどのような方向性を示しているのかをお尋ねをいたしたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 今回の緑施策の新展開につきましては、全庁的な緑施策の取り組みについてまとめたものでございまして、都市整備局など他局の事業についても調整を図って、各事業の方向性を示しております。
 お話の特別緑地保全地区制度につきましては、今後の展開の方向性として、区市町村と連携し特別緑地保全地区の指定を促進することにより、屋敷林や崖線など都市の良好な自然的環境となる緑地を着実に保全していくとしております。
 このような緑地等の保全を推進するに当たっては、環境局としても、都市整備局や区市との情報交換をさらに密にするなどして積極的に連携を図り、屋敷林等の保全に努めてまいりたいと思っております。

○山田委員 民有地の緑を保全していく上で、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区は、都市の緑を保全するための有効な制度であると思います。
 その特別緑地保全地区において、相続等の諸事情により緑地の維持が困難となって、土地所有者が買い取りを申し出た場合は、市が緑地を買い取り、保全していくことになるわけでありますけれども、しかしながら、先ほど申し上げたように、市の財源のみで取得は難しいわけでありまして、その費用にかかわる東京都補助制度として特別緑地保全地区指定促進補助金があるわけでありますが、それを活用して購入すると。
 やはり都、市町村が連携をして緑を保全していくことが、私は必要であると思います。取得の際には、多額な資金と調整期間を必要とするわけでありまして、ぜひ、その制度の予算の拡充と平成二十七年度以降の継続を要望いたしたいと思いますし、また、国に対しても引き続き、財政支援を働きかけていただきたいと思います。
 したがいまして、緑施策をまとめている環境局として、各局連携の方向性をより強く打ち出すとともに、区市町村へのさまざまな支援の充実を、各局に対してより一層働きかけていただきたいということを要望し、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○中村委員 緑施策の新展開について、緑地の確保の観点等から質問します。
 都内では、緑地を確保するために、用地買収を行うなどして都市計画公園を整備している一方で、開発等により多くの緑が失われている現状があります。事業所が移転をしたり、農地に相続が発生した場合など、ある程度まとまった土地が発生したときに、市区町村などと連携して、都市公園化できるような制度が必要ではないかと考えます。
 また、緑の減少の大きな要因の一つには、農用地の減少があり、その原因として、農地や農業用施設用地に宅地並みの相続税が課せられているため、その支払いのために農地を売却せざるを得ない状況が発生していることなどが書かれています。これについては同感であり、毎年行っている税制改正の国への要望など、これまで以上に都として力を入れてほしいと思います。
 私の地元の三鷹市でも、ことし策定された基本計画の中に、都市農地保全条例の制定を検討すると明記され、今後取り組んでいくことになると思いますが、都としてもこのような動きを支援すると同時に、農地保全の施策の積極的な展開を求めます。
 これらの事業や制度は、環境局以外の局が所管をしていますが、今回の緑施策の展開の中では、他局の事業が多く記述されているように、まさに緑行政のかなめを環境局が担っていると思います。
 そこで、他局の事業についても、環境局としてどのようなスタンスで今後推進を図っていくのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 東京都の緑施策に関する事業は幅が広く、今回の緑施策の新展開の作成に当たりましては、約二十の局と調整を行い、東京都の総意として環境局がまとめたものでございます。
 他局の事業への関与でございますが、例えば、幾つかの局におきましては、緑施策に関する連絡会や検討会が設置されており、それに環境局として参画し、政策形成や事業構築などに関与しております。
 今後は、緑施策の新展開でまとめた各局の現行施策につきまして、進捗状況を把握するなど、情報交換を密に行っていくとともに、ご指摘のあった都市公園の整備や農用地の保全に関する事業につきましても、関係各局と必要に応じた調整を適宜行い、事業推進を図ってまいりたいと思います。

○中村委員 都市部においては、利便性と効率を追求した結果、大切な自然が失われてしまいました。多くの関係局が事業を進める際、場合によっては環境局の主張とぶつかる場面もあるとは思いますが、都市部における緑地の保全のためには、他局と調整というよりも、環境局がリードするくらいの意気込みで取り組んでいただきたいと思います。
 また、今回の緑施策の新展開では、緑の質の観点もより高めていく必要性が随所に書かれています。緑の質を高めるという点では、公園などを整備する際にもっと土や緑をふやす必要があります。コンクリートが敷きつめられた公園では、環境によくないのではないかと考えますが、所見を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 土や緑の持つ機能には、生き物の生息場所の確保、ヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止、潤いや安らぎの提供、食料や燃料の人間生活に必要な物資の提供など多面的であり、コンクリートやアスファルトにはない機能も有してございます。
 公園における緑化の基準につきましては、例えば都市計画法に基づく民間事業者の整備する都市公園、いわゆる民設公園の整備に当たりましては、五〇%以上の緑地を確保する基準の例などがあり、その公園の設置目的に沿って、公園の設置者が適切に緑を確保していると認識しております。

○中村委員 公園というと土と緑のイメージがあるのですが、最近では、近隣への砂ぼこりの影響や歩行空間整備のためのコンクリートの割合が高い公園も見られます。そうしたことへの配慮はもちろん大切ですが、できるだけ土と緑が多くなるよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、公園や緑地を街路樹や緑化された河川で結ぶグリーンロードネットワークの充実も書かれています。しかし、必ずしも緑化された河川ばかりではなく、河川敷もないコンクリート三面張りの河川は景観的にも余りよくありません。
 そこで、例えば上からツタをたらしたりするなどの壁面緑化を河川にもすることで、住宅密集地における緑の帯ができます。既に取り組んでいる事業者もあるようですので、都としても研究をしていただきたいと思います。
 さて、既存の緑を残したり、公園の中の緑の割合をふやすことも大切ですが、都市部においては多くの開発行為が行われています。適法な開発をとめることはできませんが、開発行為が生態系に与える影響を緩和するには、都市計画行政と連携して、開発行為における緑の確保の義務づけを強化する必要があります。これまでの開発許可制度の取り組みと今後の方向性について伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都はこれまでも、自然保護条例による開発許可制度などにおいて、一定規模以上の開発を行う場合、一定量の緑地を確保することを義務づけるなどして、良好な自然環境の保全に努めてまいりました。
 平成二十一年には、緑化計画書制度や開発許可制度の緑地確保に関する基準を強化し、緑の量を一層確保する措置を講じたほか、開発許可制度において既存樹木の保全検討を義務化するなど、緑の質を確保する措置も強化しております。
 今後は、緑施策の新展開の方向性に基づき、的確に制度の運用を図ってまいります。

○中村委員 また、都内の緑地の確保については、小中学校の校庭芝生化の事業があります。既に事業開始から五年程度がたち、平成十九年度から平成二十二年度まで五十三・三ヘクタールの芝生化を実施したとあります。
 校庭の芝生化については、子どもたちがはだしで元気に走り回っている姿を見ると、自然環境の保全だけではなく、教育的な効果もあるという評価もできます。
 一方では、芝生の手入れが大変だったり、枯れたりするところも出てくるのではないでしょうか。
 都が施策として進めるのであれば、継続的に市区町村を支援する必要があると考えますが、所見を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 これまで都は、区市町村に対する整備費や維持管理費の補助、学校現場への専門家派遣、芝生にかかわる保護者や地域住民の方々などに対する講習会の開催、芝生に関する情報誌の発行など、区市町村の学校現場のニーズに合わせて、さまざまな事業を展開してきております。
 今後もさらに、校庭のみならず、校舎の屋上や壁面の緑化を推進する拠点として、多様な生物の生息、立ち入り場所を創出する緑の学び舎事業を展開するなどして区市町村を支援してまいります。

○中村委員 効果だけを見れば校庭の芝生化も緑地がふえることではよいのですが、その手入れを含めた手間や負担をだれが負うのかという課題は残ります。
 多くの方が便利さを求めて東京に集まり、都市が発展してきました。そのため、過密した都市の中では、失われた緑を取り戻すには相当な努力と費用が必要になるという認識は、都民の皆様にも共有していただかなければなりません。
 先ほど質問した開発行為における緑の確保の義務づけを強化することも、所有権の制限になりますし、芝生の手入れも負担がかかるので、都民にもご理解とご協力をいただき、施策が進められるようにするには、自然環境保護の必要性について、より一層の普及啓発を図ることが大切です。
 環境局は開発行為が生態系に与える影響を緩和する手法の研究に取り組むことも書かれています。今年度になって、都立神代植物公園に広く植物に関する知識や生物多様性を学べる場として新たに植物多様性センターが設置され、私も見学をしてきました。これは武蔵野、奥多摩、島しょの三つのゾーンに分かれていて、いい施設ではあるのですが、駐車場から正門に向かうわきの方にあるので、余り目立たないのでもう少しPRをすることがよいかと思います。
 いずれにしても、このような取り組みや普及啓発を積極的に進めて実効性のある施策を構築し、将来的に東京の緑を確保することが今まで以上に進むことを期待しまして、私の質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十九分散会

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