環境・建設委員会速記録第十六号

平成二十三年十一月二十四日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長上野 和彦君
副委員長桜井 浩之君
副委員長中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事笹本ひさし君
理事尾崎 大介君
松葉多美子君
かち佳代子君
山田 忠昭君
小宮あんり君
原田  大君
こいそ 明君
石毛しげる君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長藤原 正久君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市エネルギー推進担当部長坂巻政一郎君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長中村  豊君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長高橋 宏樹君
緑施策推進担当部長谷上  裕君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君
建設局東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
次長野口 宏幸君
道路監横溝 良一君
総務部長東  了一君
用地部長四方 敏彦君
道路管理部長浅川 英夫君
道路建設部長吉原 一彦君
三環状道路整備推進部長戸谷 有一君
公園緑地部長上杉 俊和君
河川部長飯塚 政憲君
企画担当部長西倉 鉄也君
総合調整担当部長今村 保雄君
道路保全担当部長鈴木 昭利君
道路計画担当部長野崎 誠貴君
公園管理担当部長滝澤  達君
緑化推進担当部長町田  誠君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都風致地区条例の一部を改正する条例
・東京都水防条例の一部を改正する条例
・環状第二号線隅田川橋りょう(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三 五-環二)請負契約
・環二朝潮運河橋りょう(仮称)PCけた製作・架設工事(二十三 一-環二築地)請負契約
陳情の審査
(1)二三第四六号 都立公園の安全性向上に関する陳情
(2)二三第六二号 放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情
 環境局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
・東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
・東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
・東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
・東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
報告事項(説明・質疑)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案について
陳情の審査
(1)二三第四一号 騒音被害を一軒だけで受けているため困っている人たちを救う制度に関する陳情
(2)二三第四七号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(3)二三第四八号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(4)二三第四九号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(5)二三第五〇号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(6)二三第五一号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(7)二三第五二号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情
(8)二三第五三号 外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情

○上野委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び陳情の審査並びに環境局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお本日は、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は付託後の委員会で行い、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○村尾東京都技監 第四回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、東京都風致地区条例の一部を改正する条例など、条例案二件、環状第二号線隅田川橋りょう(仮称)綱けた製作・架設工事(二十三 五-環二)など、契約案二件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○東総務部長 引き続きまして、第四回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 資料1をごらんいただきたいと存じます。条例案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております条例案二件の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開き願います。条例案二件の概要をまとめたものでございます。条例案につきましては、本概要にて順次ご説明申し上げたいと存じます。最初に、整理番号1の、東京都風致地区条例の一部を改正する条例でございます。
 こちらは、放送法等の一部改正による関係政令の改正等に伴い、規定を整備するものでございます。改正案の内容ですが、第四条第二号中の、電気通信事業、有線放送電話業務若しくは放送事業を、認定電気通信事業若しくは基幹放送に改めるものでございます。
 次に、整理番号2の、東京都水防条例の一部を改正する条例でございます。
 こちらは、水防法の改正等に伴い、規定を整備するものでございます。改正案の内容ですが、第五条第一項の文言を改め、また第八条を削除するものでございます。
 なお、二ページ以降に、議案及び新旧対照表を添付してございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。
 次に、資料2をごらんいただきたいと存じます。契約案についてご説明申し上げます。今回提出を予定している契約案二件の件名は、目次に記載してあるとおりでございます。
 一ページをお開きください。環状第二号線隅田川橋りょう(仮称)綱けた製作・架設工事(二十三 五-環二)でございます。
 本工事は、隅田川にかかる橋梁の上部工事として、延長二百四十五メートルの橋梁の綱けたを製作し架設するものでございます。
 工事場所は中央区勝どき五丁目地内から同区築地五丁目地内。契約の相手方はIHI・川田建設共同企業体。契約金額は三十六億四千六百六十五万円。工期は平成二十六年三月三十一日までとする工事請負契約を、一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページをお開きください。本件の施工場所の案内図でございます。案内図の中ほどに、網かけで表示してあります箇所が工事場所でございます。
 三ページをお開きください。構造物の形状は平面図、側面図並びに断面図のとおりでございます。
 四ページをお開きください。環二朝潮運河橋りょう(仮称)PCけた製作・架設工事(二十三 一-環二築地)でございます。
 本工事は、朝潮運河にかかる橋梁の上部工事として、延長九十四・五メートルの橋梁のPCけたを製作し架設するものでございます。
 工事場所は中央区晴海五丁目地内から同区勝どき六丁目地内。契約の相手方は極東興和株式会社。契約金額は十一億四千九百七十五万円。工期は平成二十六年三月二十日までとする工事請負契約を、一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 五ページをお開きください。本件の施工場所の案内図でございます。案内図の中ほど右下に、網かけで表示してあります箇所が工事場所でございます。
 六ページをお開きください。構造物の形状は平面図、側面図並びに断面図のとおりでございます。
 以上で契約案の説明を終わらせていただきます。
 以上で平成二十三年第四回定例会提出予定案件についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 それでは、契約案件について二点お願いします。
 環状第二号線隅田川橋りょう(仮称)綱けた製作・架設工事の入札経過について、環二朝潮運河橋りょう(仮称)PCけた製作・架設工事の入札経過について、それぞれわかるものをお願いします。以上です。

○上野委員長 ほか、ございませんか。--ただいま、かち委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「わかるものって何、わかるものって」と呼ぶ者あり〕

○かち委員 経過についてお願いします。以前にもお願いしておりますので。
   〔「わかった」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 理事者の方、よろしいですか。--ほかにありませんね。--では、異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○上野委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二三第四六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○上杉公園緑地部長 それでは、資料3、陳情審査説明表の、整理番号1の陳情二三第四六号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、都立公園の安全性向上に関する陳情で、杉並区の中桐敬二さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都において、都立公園への自転車乗り入れを、各公園の実情に応じて部分的に規制する方策を講じていただきたいというものでございます。
 この要旨に対する現在の状況をご説明いたします。
 都立公園は広い面積を有し、来園者は、公園への来園手段としてだけではなく、園内の移動手段としても自転車を利用する場合が多く、マナーを守って公園内を自転車で走行することは、都立公園で一般的に見られるレクリエーションの一つでございます。
 また、自転車は、公園を訪れる子ども連れや高齢者の方などにとっても、貴重な公園利用の手段でございます。このため、陳情の願意である都立公園への自転車の乗り入れの規制は特にしておりません。
 公園内では、例えば石神井公園の三宝寺池周辺といった、一部、徒歩での利用を前提とした自然観察用の木道など、自転車の走行を制限している箇所はございますが、基本的には、都立公園内への自転車の乗り入れを前提に、道路への飛び出しのおそれがある箇所に、減速を促す車どめを設置するなど事故防止対策を行うとともに、自転車の危険運転や他利用者への迷惑行為に対する、管理所職員や警備員による注意喚起やマナー啓発を行い、安全確保を図っております。
 引き続き、都立公園が安全で快適に利用されるよう、マナー啓発等の安全対策を行うとともに、利用者のニーズも踏まえた適切な管理に努めてまいります。

○上野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○かち委員 それでは、陳情二三第四六号、都立公園の安全性向上に関する陳情について意見を述べます。
 本陳情の願意は、安全で快適な空間を提供している都立公園内において自転車走行が規制されておらず、場所によっては危険な状況があるので、各公園の実情に応じて部分的に規制する方策を講ずることを求めているものです。
 都の考え方として、広い園内を自由に移動する手段として、自転車の乗り入れは規制していないということですが、その対応も必要だと思いますけれど、今や自転車は車道走行を求められるほど危険性の高い移動手段でもあります。公園には、特に低年齢の子どもたちや体の不自由な方、また高齢者の方々も多く入園したり散歩したりしているわけです。こうした方々の安全確保ということも、非常に重要な課題だと思います。
 陳情者も、自転車の走行すべてを規制してほしいというのではなく、各公園の実情に応じて部分的に対策をとってほしいと望んでいるのですから、実態を調査し安全確保対策をとることは、公園管理者として当然のことと思います。よって、本陳情は趣旨採択を求めて意見とします。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○上野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二三第四六号は不採択と決定いたしました。

○上野委員長 次に、陳情二三第六二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○野崎道路計画担当部長 続きまして、資料3、整理番号2の陳情二三第六二号をお開き願います。
 本件は、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情で、杉並区の、玉川上水・すぎなみの会代表、国井喜章さん外二百八十六人の方から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造を平面で整備するとの決定を撤回していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、放射第五号線は、千代田区半蔵門を起点とし、三鷹市内の東八道路に接続する延長約十五・一キロメートルの路線であり、甲州街道や区域の区境通りなどの渋滞解消に寄与する重要な骨格幹線道路であります。現在事業中である延長約一・三キロメートルの久我山区間が唯一の未整備区間となっており、平成十七年に事業着手し、既に八割の用地を取得しております。
 地元杉並区の要望により平成十六年に設置した放射第五号線事業推進のための検討協議会から、一部トンネル案について、次の三点の留意事項に十分配慮して事業を実施するよう平成十九年に提言されました。
 一点目は、掘り割り部やトンネル部では放射第五号線への直接出入りができなくなるなど、土地の有効利用に影響を及ぼすため、沿道関係者に本案の趣旨を十分に説明し、理解と協力を得ること。
 二点目は、トンネル坑口部の周辺では排気ガスが増加するため、沿道関係者に本案の趣旨を十分に説明し、理解と協力を得ること。
 三点目は、構造物を構築することにより、玉川上水等への影響が懸念される。そのため、最新の工法を含めて検討し、最適な工法を採用して、影響を最小限にするよう努めることでございます。
 この提言を受け、都は、一部トンネル案留意事項の検証を行いました。土地の有効利用に及ぼす影響と、トンネル坑口部における排気ガスの影響については、放射第五号線に直接面する土地建物所有者、及び坑口からの排気ガスの増加が予測されるエリア内の土地建物所有者を一軒ごとに訪問し、一部トンネル案についての意向を確認しました。
 土地の有効利用に及ぼす影響については、一部トンネル案を評価できるが五〇%、評価できないが四〇%、その他一〇%であり、放射第五号線にアクセスできないなどの理由により、回答をいただいたうちの四割の方の評価を得られませんでした。このため、一部トンネル案では、沿道関係者の大方の理解と協力を得ることは困難と判断し、協議会で検討されていた平面案を含め、道路構造を再検討することといたしました。
 なお、トンネル坑口部における排気ガスの影響については、排気ガスの増加ぐあいは小さいものの、一部トンネル案を評価できるが四三%、評価できないが四五%、その他一二%でありました。
 また、玉川上水等への影響については、検討の結果、予測される玉川上水のり面の変位量は微小であり、学識経験者を含む検討委員会においても、掘削により問題となるような影響を生じる可能性は小さいとの結論を得ております。
 再検討に当たりましては、防災性、経済性等についても考慮いたしました。一部トンネル案の防災性については、災害時に冠水の可能性があり、トンネル部に側道もない放射第五号線では、緊急輸送道路としての機能を果たせないなどの課題があります。また、一部トンネル案の工事費は六十五億円であり、平面案の三十億円に対し、経済性で劣ります。
 以上を踏まえまして、都として、放射第五号線岩崎橋付近を平面案で整備することを決定いたしました。
 道路構造の決定については、放射第五号線の広報誌である「放5ニュース」に、平面案で決定するに至るまでの検討経過や内容を掲載し、八月末に沿道の約三千五百戸に個別配布するとともに、杉並区の広報誌である「広報すぎなみ」にも平面案で整備することを掲載し、地元への周知に努めました。
 また、九月末には道路構造の説明会を二回行い、地元の理解を求めたところであります。今年度内には、事業区間起点の浅間橋付近で搬入路設置工事に着手する予定であり、引き続き、個別説明や工事説明会等で地元の理解と協力を得ながら、本路線の整備を進めてまいります。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○中村委員 陳情二三第六二号、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情について質問をします。
 本件については、これまでもたびたび陳情が出され、私も、当時もこの委員会にいましたのでその都度質問をしてきました。当該道路は杉並区にあり、選出の委員もおられますが、この道路の終点は三鷹市との境にある牟礼橋であり、また、三鷹駅は玉川上水の真上に建っていますので上水沿いに通勤や散歩をする方も多く、三鷹市民からも、放射第五号線については多くの声をこれまでいただいてきました。
 私自身も頻繁に訪れるんですが、陳情審査に当たり改めて現地を見て、沿道や岩通ガーデンを歩いてきました。すばらしい自然が残り、これをそのまま残したいという思いを抱くのは十分理解できるものです。
 はるか以前に、もっと南側の住宅街を通すことになっていた道路の計画が、恐らく当時は自然が多く、その重要性が今ほどいわれなかったであろう時代だったがゆえに、玉川上水に都市計画線が引かれたのではないかと思いますが、今の担当者はその計画に従って事業を進めることになるため、できるだけ自然を残すために道路幅を変えるなど、苦労されたんだとは思います。
 また三鷹の側から高井戸インターチェンジに向かうために、東八道路が途中でとまっているため、下本宿通り、いわゆる区境通りを通るのですが、幅の狭い道路で渋滞が頻発しており、その解消を求める声もいただいています。
 現在、用地の買収が進んでいますが、住民の方にも、あくまで反対の方、工夫をすれば受け入れるという方などさまざまで、これまで議論を積み重ねてきました。また一方では、隣接する富士見ケ丘地区の方からは、中央高速道路の負担があり、これ以上負担をふやさないでほしいという陳情が出され、この委員会でも全会一致で趣旨採択をしているという経過もあります。都市整備と環境保全をいかに両立させていくのかという難しい課題の解消を図っていかなければならないわけですが、そういう視点で幾つか質問をします。
 まず、今回陳情が新たに出されたのは、道路構造が平面案に決まったことを受けてです。
 そこで改めて伺いますが、これまでは協議会の最終報告書で、道路専門部会の最終報告として一部トンネル案と平面案の両案が併記されていましたが、両案のメリットとデメリットを伺います。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線事業推進のための検討協議会の最終報告における道路専門部会の最終報告によりますと、一部トンネル案のメリットは、放射第五号線と岩通通りが平面交差しないため地域への通過交通の流入を抑制することができる、岩通通りの歩行者は放射第五号線を横断する必要がないため安全で快適、などでございます。デメリットは、掘り割り部やトンネル部で土地の有効利用に影響を及ぼす構造物を構築することにより、平面案より玉川上水へ影響を与える可能性が高いなどでございます。
 平面案のメリットは、沿道土地利用に制約を与えない、玉川上水の保全・施工上の配慮の点から有利、などでございまして、デメリットは、地域内への通過交通の流入が懸念される、岩通通りの歩行者は放射第五号線を横断することになるため安全が懸念される、等でございます。

○中村委員 両案ともメリット、デメリットがありますので、この間いろいろなご意見があったかと思います。
 今回、沿道の方の意向調査の方を都が行い、平面案に決まったとのことですが、陳情では、一部の沿道関係者の意向調査だけが重視されたとして、限られた範囲の方にしか行わなかったとの記載があります。確かに、この第三建設事務所が発行している「三建・放5ニュース」の第六号も拝見しましたが、配布は三千五百戸にしているんですけれど、調査件数は二百八十一名が対象となっています。
 多くの方が関心を持つ事業ですが、どうしてこのようにしたのか伺います。

○野崎道路計画担当部長 協議会の提言では、留意事項といたしまして、掘り割り部やトンネル部では放射第五号線への直接出入りができなくなるなど、土地の有効利用に影響を受ける沿道関係者や、排気ガスが増加するトンネル坑口部周辺の沿道関係者に、本案の趣旨を十分説明し、理解と協力を得ることとされておりました。
 この提言を踏まえまして、意向調査は、放射第五号線に直接面する土地建物所有者、及び坑口からの排気ガスの増加が予測される範囲内の土地建物所有者、合わせまして二百八十一名の方々の沿道関係者を対象として行ったものでございます。

○中村委員 道路そのものは、沿道の方だけではなく、いろいろ安全や環境の面など含めて多くの方が関心があるかと思いますので、その点についても確認したいと思います。
 まず陳情にあるように、この近くには拠点病院である久我山病院や、盲学校である都立久我山青光学園、大規模私立学校である國學院久我山中学校、高校が近くにあります。目の不自由な方、病院に通う方、学生など、交通安全上配慮することが必要ですが、冒頭の質問への答弁でも、平面案のデメリットとして歩行者の安全への懸念が挙げられています。安全対策についてはどのように考えているのか伺います。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線を横断する歩行者の安全対策につきましては、だれもが安全に横断できるよう、歩道や玉川上水の両側に設ける新たな緑地内に十分な滞留スペースを設けるとともに、信号機の設置などについて、交通管理者と協議を進めてまいります。

○中村委員 安全の面では、いろいろな方々がいらっしゃると思いますので、本当にこれは留意していただきたいと思います。学校や病院等も含めていろいろな方から意見を聞いていただくなどして、今後取り組んでいただきたいと思います。
 今度は環境面について質問します。
 玉川上水を初め、できるだけ自然環境を保全してほしいという声もあります。岩通ガーデンは、平面案では、一部トンネル案より狭くなってしまいます。こうしたことも含めて、環境保全についてどう取り組むのか伺います。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線は玉川上水の保全と沿道環境に配慮するため、幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行ってございます。
 幅員六十メートルのうち、玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区間、区域については基本的に保全し、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その両側に七・五メートルずつの車道、さらに外側十メートルずつの環境施設帯を設置し、緑を豊かにすることで沿道環境に配慮する計画としております。
 また、岩通ガーデンの樹木を街路樹として取り込みながら歩道を整備するなど、できる限り既存樹木の保全にも努めてまいります。

○中村委員 自然環境というのは一度失われるとなかなかもとに戻すのは難しいところではありますけれども、できる限り保全をということですので、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 これまでの道路事業については、平面案に決定してから既に周辺住民に二回説明会を行っているということですけれども、周辺への説明は丁寧にしなければならないと思います。今後どのように行うのか伺います。

○野崎道路計画担当部長 工事着手に当たりまして、工事説明会を開催するとともに、沿道からの求めに応じて個別説明も行ってまいります。また、環境施設帯の整備に当たりましては、副道の有無や緑地帯の構造などについて、計画線内に構築した環境施設帯モデルも活用し、沿道の方々との話し合いを始めることとしております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、本路線の整備を進めてまいります。

○中村委員 冒頭にも述べましたけれども、都市整備と環境保全は矛盾する部分はありつつも、その中でどう両立を図るかが重要です。何もないところに道路をつくるのではなく、家があれば、そこには人が住んでいるのですから丁寧な対応が必要ですし、緑地があれば、それに手を加えていくことになりますので、影響を最小限にしていく取り組みが必要です。
 多様な意見がある中で、議会では一定の判断をすることにはなるのですけれども、引き続き周辺住民や自然環境に配慮することを申し述べまして、質問の方は終わります。

○山田委員 私も、陳情二三第六二号、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情について質問させていただきたいと存じます。
 私は、多摩地域の発展には幹線道路の整備が必要不可欠であると考えております。
 中でも、多摩南北道路及び東西主要道路の整備は喫緊の課題であります。私の地元西東京市でも、多摩南北道路の一つであります調布保谷線が、今、事業が進められております。
 一方、東西道路を考えてみますと、現在、多摩地域と区部を結ぶ幹線道路は、甲州街道や青梅街道などに限られておりまして、一部の道路には交通が集中しているというのが実情、現状であります。
 今回、陳情がありました放射第五号線は、東八道路と接続し、区部と多摩地域を結ぶ大変重要な主要幹線道路でありまして、私は道路を、一日も早く整備を推進する必要があると思っているところであります。
 そこで、まず改めて、放射第五号線の整備の必要性についてお伺いをいたしたいと思います。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線は、多摩東西主要路線でございます東八道路に接続する延長約十五キロメートルの骨格幹線道路でございまして、現在事業中の一・三キロメートルの区間が唯一の未整備区間となっております。このため、周辺道路の混雑が激しく、放射第五号線と並行する甲州街道は、朝の通勤時間帯には環状第八号線との交差点で渋滞が発生しております。また、放射第五号線の久我山区間に近接する区境通り等の生活道路にも、通過交通が集中しております。
 本区間の整備により、道路ネットワークが強化されて甲州街道等の幹線道路の渋滞緩和が図れること、区境通り等の生活道路への通過交通の流入減少によるこの地域全体の安全性の向上と居住環境の改善が図られること、緊急車両の円滑な通行と災害時の避難路の確保が図れることなどから、早期整備が必要でございます。

○山田委員 ただいまのご説明で、改めて、放射第五号線整備の必要性については確認できたと思っております。
 今の陳情書によりますと、放射第五号線の道路構造の決定に当たっては一部の沿道関係者の意向調査だけが重視されたとのことでありますけれども、私は、重要なことについてはいかに沿道関係者の声を反映した道路整備を進めるかであると考えております。
 これまでのご説明をいただきますと、地域関係者との協議、話し合いを重ねながら、さまざまな検討、調査がされてきたということでありまして、私はその努力を評価するものでございますけれども、そこで都が行った意向調査の内容について、改めてお伺いいたします。

○野崎道路計画担当部長 検討協議会から、一部トンネル案について三点の留意事項に十分配慮して事業を実施するよう、平成十九年に提言されております。
 一つ目は、掘り割り部やトンネル部では、放射第五号線への直接出入りができなくなるなど土地の有効利用に影響を及ぼすため、沿道関係者に本案の趣旨を十分に説明し、理解と協力を得ること。
 二つ目は、トンネル坑口部の周辺では排気ガスが増加するため、沿道関係者に本案の趣旨を十分に説明し、理解と協力を得ること。
 三つ目は、構造物を構築することにより玉川上水等への影響が懸念される。そのため、最適な工法を採用して、影響を最小限にするように努めることの三点でございます。この提言を受けまして、都として意向調査を行うことといたしました。
 調査の内容は、沿道関係者を一軒ごとに個別に訪問いたしまして、一部トンネル案の模型と図面を用いながら特徴を詳細に説明するとともに、土地の有効利用に及ぼす影響等の留意事項について説明し、道路構造をご理解いただいた上で、一部トンネル案が評価できるか否かを確認してございます。

○山田委員 東京都として、検討協議会の提言を尊重し、直接の影響を受ける沿道関係者の皆さんのお宅を一軒ごとに訪問して、きめ細かい意向調査を行ったということでございます。また道路構造が複雑になるということで、一般の方々がなるべく理解がしやすいようにということで、今のご説明にありましたように、模型等をつくり、図面を用いながら一軒一軒ご説明に上がったということでありまして、その工夫をされていらっしゃるということについては改めて評価もしたいと思います。
 そこで、意向調査の結果はどうであったのか。そして岩崎橋付近の道路構造を一部トンネル案から平面に見直すことにした、その経過についてお伺いいたしたいと思います。

○野崎道路計画担当部長 意向調査の結果、土地の有効利用に及ぼす影響につきましては、放射第五号線にアクセスできないなどの理由によりまして、回答をいただいた方々のうち四割の理解を得られませんでした。道路の基本的な機能は、通行機能に加えましてアクセス機能などがございますけれども、掘り割り部やトンネル部で放射第五号線にアクセスできない一部トンネル案では、土地の利用に直接制約を受ける沿道関係者の--土地や建物をお持ちの方でございますけれども、理解を得ることは困難であると判断いたしまして、道路構造を見直すことといたしました。
 再検討に当たりましては、防災性、経済性等についても客観的に評価いたしまして、都として放射第五号線岩崎橋付近を平面で整備することを決定いたしました。

○山田委員 当然のことなんですが、新しい道路が整備されるに当たって、土地利用に制約を受けることに対する不安を覚えるということは私も理解できるものでありますし、沿道関係者の権利を尊重し、土地利用に制約を与えないように道路構造を見直すこととし、経済性あるいは防災性等についても客観的に評価し、道路構造を決定したということが今のご説明でもわかりました。それだけに道路構造を決定した以上は、私は一日も早く整備をすべきだと思っております。
 そこで、放射第五号線整備の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○野崎道路計画担当部長 既に、約八割の用地を取得しておりまして、今年度内には事業区間起点の浅間橋付近で搬入路設置工事に着手する予定でございます。また、環境施設帯の整備に当たりましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、沿道の方々との話し合いを始めることとしております。
 今後とも、節目節目で説明会を行うとともに、放射第五号線の広報誌である「放5ニュース」なども活用するなど、地元の理解と協力を得ながら本路線の整備を着実に進めてまいります。

○山田委員 冒頭にもお話を申し上げましたけれども、放射第五号線は東八道路にも接続して、区部と多摩地域を結ぶ主要な東西方向の道路であります。この区間だけが、今のところ未整備の部分があるということでありまして、ぜひ早期整備を私はお願いいたしたい。
 また、本路線でも環境施設帯を整備するということでございますが、先ほど申し上げました多摩南北道路の一つであります調布保谷線についても、住民の意見を聞きながら環境施設帯の整備が進められているわけでありますので、この地域でもぜひそれを行っていただきたいと思います。
 また、都は沿道の方々の意見を聞きながら放射第五号線の道路構造を決定したということでありますけれども、これからも、地域の方々の意見を十分聞きながら、よりよい沿道環境と、安全性や快適性に配慮した道路整備を推進するようぜひお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

○かち委員 私からも、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情について質疑をいたします。
 本計画道路の事業区間は、杉並区久我山二丁目の中央自動車道との合流点から、三丁目の現在事業中である、いわゆる東八道路との接続部分までを流れる国指定の史跡玉川上水を挟んで、往復四車線と、歩道や緑地帯などを盛り込んだ幅六十メートル、長さ一・三キロメートルの巨大な都市計画道路を整備するものです。
 この放射第五号線の整備に当たっては、過去三年足らずの間に三回にわたり、さまざまな方々から請願陳情が出されました。私も現地に二度ほど訪れ、その地域を歩いてきまして、当委員会でも質疑をしてまいりました。
 振り返ってみれば、それぞれ立場や考え方が異なっても、東京という大都会の中でわずかに残された希少生物の生息する自然と、歴史的な史跡玉川上水を保全し、環境と住民の健康を守りたいという点では共通するものでした。
 この都市計画道路を事業化するに当たっては新しい環境影響評価方法が導入され、計画段階から検討するという、総合環境アセスメントの試行第一号でありました。そして、平成十七年度から二十四年度までの予定で事業化され、今日に至っているものです。
 しかし、計画段階からのアセスの取り組みでありながら、当該事業そのものの及ぼす影響についての評価なしに、最初から道路構造について、A、B、Cの選択肢から選ばせるというやり方で、本来の総合アセスの意味からして限界があったこと、また実施主体の建設局の説明が不十分であったということも、当環境総合アセス試行審査会の審査会長から指摘されていたことは以前の請願審査の中で確認したものです。
 さらに、平成十六年の杉並区都市計画審議会では、今日の放射第五号線の事業化に対し、賛成十、反対九という極めて僅差での決定ということになりました。現道のない、しかも守るべき史跡を縦断するという無理な計画で、環境保全も求められることから幾重にも緩衝帯をつくるということになり、そのために、わずか一・三キロメートルの距離にもかかわらず、二百軒以上の用地買収、立ち退きが迫られることになったのです。
 本陳情の趣旨は、都が平成二十三年八月末に発表した放射第五号線岩崎橋付近の道路を平面で整備するのではなく、これまで鋭意検討を重ねてきた放射第五号線事業推進のための検討協議会の提言どおり、一部トンネル案の採用を求めるものです。
 そこで、改めて、この放射第五号線開通によって将来交通量はどれくらいを予測しているのか。また、このような道路を新設するのであれば、交通安全上、防災の観点からも、自転車走行レーンや無電柱化も計画に入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○野崎道路計画担当部長 環境アセスメントにおける将来交通量は、一日当たり約三万九千台から四万四千台でございます。放射第五号線の整備に当たりましては、交通管理者等の関係機関と協議しながら、自転車走行空間の整備や無電柱化に取り組んでまいります。

○かち委員 現道のなかったところへ四万台以上の車を引き込むことになりますので、騒音、振動、大気汚染の影響は、人への影響もさることながら、希少生物の生息に多大な環境変化と影響をもたらすことは免れません。歩行者の安全や自転車走行の安全確保という点からしても、これだけの幅広い道路を新設するのであれば、当然、この二つは実現すべきだと申し上げておきます。
 さて、平成十六年に放射第五号線事業推進のための検討協議会が設置されましたけれども、どのような経緯で設置されたのでしょうか。また、メンバーは何人で、どのようにして選ばれたのかお聞きします。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線事業推進のための検討協議会は、放射第五号線の都市計画変更を行った際に、地元杉並区から出された要望に基づき設置したものでございます。
 検討協議会は、都と杉並区で調整の上、学識経験者、地域学校関係者、環境団体、沿道地権者等を委員といたしまして、三十二名で発足いたしております。

○かち委員 先ほどの経緯から、放射第五号線の計画変更を行った際、平成十六年に杉並区から、住民参加、協働による協議会を設けることという要望が出され、その年の十一月に放射第五号線事業推進のための検討協議会というものが設置されたわけですね。
 都と区の協議の上、構成メンバーは幅広い関係者から組織されているというふうに思います、今のご説明によって。学識経験者、警察、消防、地域学校関係者、地元商店会、公募による環境団体と、また公募区民、町会、自治会、沿道地権者、東京都杉並区の行政関係者で計三十二名ということなのですが、大変広い、各界からの構成になっているというふうに思います。
 提言が平成十九年に出されるまで、どのくらいの検討が重ねてこられたのか。また提言に対して、局としてはどのように受けとめているのかお聞きます。

○野崎道路計画担当部長 協議会は、平成十六年十一月から平成十九年三月まで、十二回開催しております。また、三つの専門部会を設けまして、道路部会を二十回、周辺まちづくり部会を十九回、緑地部会を十四回開催しております。
 都といたしましては検討協議会報告書の内容を尊重しつつ、報告書が示す技術的課題や、沿道地権者との合意形成などの諸課題の解決に向け、検討を進めてまいりました。

○かち委員 二年四カ月ほどの間に十二回もの検討を重ね、また、今のご説明のようにその下に専門部会を三つ設けて、それぞれ実践的、精力的に検討を重ねてこられたというふうに推察いたします。
 その経緯については、ここに一号から六号までの「放5・協議会だより」というものがありますが、最終報告の六号まで含めて、ここにそれぞれの検討経過が詳細に書かれています。先ほどの協議会メンバーの構成を見ても、ともすれば利害が対立する関係が生まれてもおかしくない状況の中で、よくここまでまとめ上げたと思います。都としては提言を尊重しつつ検討を進めてきた、とのご答弁を確認しました。
 平成十九年五月に発行された協議会の最終号六号は、協議会からの提言として、岩崎橋は一部トンネル案として、三つの留意点を配慮して事業を実施するようにとのことであり、留意点について検証せよといっているわけではないわけですけれども、なぜまた意向調査を行ったのかお聞きします。

○野崎道路計画担当部長 協議会の提言におきましては、留意事項のうち、土地の有効利用に影響を及ぼすことと、トンネル抗口部の周辺で排気ガスが増加することについては、沿道関係者に一部トンネル案の趣旨を十分説明し、理解と協力を得ることとされておりました。掘り割り部やトンネル部では放射第五号線にアクセスできないなど、土地の利用に直接制約を受ける沿道関係者の意向を確認する必要があったことから調査を実施したものでございます。

○かち委員 先ほど来の質疑を聞いておりましても、意向調査をしたことが、決定する上で非常に大きなウエートを占めているというふうに伺ったわけです。しかし、とった対象は、直近の沿道の二百八十一名だということです。
 ここに「三建・放5ニュース」が出ているんですけれども、ナンバー五で、平成二十年十一月六日に出ているんですね。先ほどから、調査内容の結果はどうだったかという点で、きちんと全容のご説明がなかったというふうに思うんですけれども、これを見ますと先ほどの意向調査の結果が報告されていて、その中を見ると、問い一は、一部トンネル案の趣旨についてご理解いただけましたでしょうかという問いです。これについては、理解できた、ほぼ理解できたというのを合わせると八〇%を占めているんですね。
 さらに、土地の有効利用に影響することについてご理解いただきましたか--これは沿道の方々が直接計画道路に出入りできなくなることについての問いですが、これについても、理解できた、ほぼ理解できた、合わせると八三%なんです。だから、この一部トンネル案について、沿道の方々も含めて理解できているというのは、普通に考えれば当然のことだというふうに思うんです。このことを踏まえて一部トンネル案を評価できますかについては、ここだけはなぜか、できると、できないと、その他の三択しかないんですけれども、それでも、できるが五〇%、できないが四〇%あるわけです。その他が一〇%。はっきりここに有意差が出ているではありませんか。
 にもかかわらず、三日後に発行された同じ「三建・放5ニュース」では、協議会からの提言を受けてこれまでさまざまな検討や調査を行ってきましたが、その結果、平面で整備することにしましたと書いてあるんですね。意向調査のこの実態と、その決定したことへの理由がつながらないわけですよ。本当に、どうしてそういう結果に結びつくのかということが理解できないわけです。
 意向調査の対象とした二百八十一名というのは、どういう抽出をしたのでしょうか。それともう一つ、トンネル案にした場合、環境への影響や玉川上水の護岸に与える影響はどのような検証結果が得られているのか、もう一度お聞きします。

○野崎道路計画担当部長 対象者は、放射第五号線に直接面する土地建物所有者、及び坑口からの排気ガスの増加が予測されるエリア内の土地建物所有者の、合わせて二百八十一名でございます。やはり、道路ができて沿道の利用ができないということに対して大方の理解を得ることとされておりましたけれども、それでもなお、四割の方が評価できないということを都としては重く受けとめております。
 環境への影響につきましては、トンネル坑口部の周辺でごくわずかに排気ガスが増加するものの、環境基準を大きく下回っております。また玉川上水への影響につきましては、検討の結果、予測される玉川上水のり面の変位量は微少であるなど、学識経験者を含む検討委員会においても、掘削により問題となるような影響を生じる可能性は小さいとの結論を得ております。

○かち委員 そういう結果からすると、平面にしなければならないという理由には全然結びつかないわけで、ここが理解しがたいところなんです。
 二百八十一名の方の意向調査を行って、回答者は百六十六名、回収率は五〇%とかなり低いわけです。こういう意向調査をとることを否定するものではないんですけれども、これが最も大きな変更の理由というのでは--理由にしたとしても、皆さんの調査結果からは五〇%の人は評価しているわけですからね。それを、四〇%が評価ができないということでひっくり返すという理由にはならないんじゃないでしょうか。
 そして、大体、質問の設定が、理解できたとした上で、評価するか、しないかを聞いているんですけれども、たとえ評価しないと答えたところで、それが協力できないと解釈するのは飛躍があるのではないでしょうか。既にこのことは一定の負担を余儀なくされることがわかっているからこそ、協議会ではこうした直接関係者について十分に理解と協力を求める努力を事業者に求めていたものです。
 そのことからしても、都がみずから行った意向調査の結果を客観的に判断しても、その結論を引き出すことは歪曲しているとしかいいようがありません。平面案とした最大の理由は何ですか。

○野崎道路計画担当部長 意向調査の結果、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、土地の有効利用に及ぼす影響について回答をいただいた方々のうち、四割の理解を得られなかったということでございます。
 説明に当たりましては、図面や模型を用いて詳細にご説明を差し上げ、その後に評価を伺っておりますけれども、その結果で、四割の方の理解をなお得られなかったということでございます。
 掘り割り部やトンネル部で放射第五号線にアクセスできないなど、一部トンネル案では、土地の利用に直接制約を受ける沿道関係者の方々の大方の理解を得ることは困難であるというふうに判断いたしまして、道路構造を見直すことといたしました。
 再検討に当たりましては、防災性、経済性等についても客観的に評価し、都として、災害時においても、冠水のおそれがなく、緊急車両の通行が可能で、経済性にもすぐれる等の理由から、放射第五号線岩崎橋付近を平面で整備するということに決定したものでございます。

○かち委員 沿道住民の方の四割が理解できなかったとおっしゃいましたけれども、八割以上の方が理解しているんですよ。その中の、評価をするという点で、したいというけれども、評価というのはかなりアバウトな状況ですよね。評価していないから協力しないというふうには結びつかない話であって、協力することを求めていたんですけれども、協力への努力をしないで、その四割の結果を見てこれは無理だという判断をしたとしたら、余りにも、今までの検討は何だったんだろうということになるじゃありませんか。
 四割の方の理解が得られなかったといわれましたけれども、八割の方が理解し、五割の方が評価しているというこの結果については、どのようにとらえているんですか。

○野崎道路計画担当部長 意向調査についてでございますけれども、理解していただけましたかということについて、理解できた、ほぼ理解できたで、約八割の方ということでございまして、一部トンネル案がこういうものですよということについてご説明差し上げて、それが理解できましたという方々が約八割ということでございます。その上で、さらにこの一部トンネル案が評価できるかどうかということを確認させいただきましたところ、評価できないというご回答をいただいたのが四割ということでございます。

○かち委員 もう一度お聞きしますが、四割の人が理解できない--評価しないという結果が出たというのはわかりました。しかし、五割の方は評価しているんです。そして八割の方が理解できているといっている。このことに対してはどういう見解なんですか。

○野崎道路計画担当部長 沿道の方々の土地利用に影響を及ぼすという一部トンネル案につきましては、やはり、周辺で土地建物を所有される方々の、なお四割の数の方々が評価できないと。将来にわたって、みずからの資産の利用について制約を受けるということに不安を覚えているということがこの結果だと、我々としては理解しております。
 そういうことで、五割の方が評価できているとおっしゃっておりますけれども、四割の方々が評価できないということをもって、我々としては再検討することといたしたものでございます。

○かち委員 都市計画道路をつくるというときには、本当に立ち退きもしてもらわなければいけない、いろんな困難もありますけれども、そういう理解と協力を得るためには、かなりのことをやるじゃないですか。にもかかわらず、この面については、協力ではなくて調査だけを行ったと。で、四割はできていないと。しかし、統計処理からしても、五割の人が理解しているにもかかわらずこういう結論になるというのは、皆さん方がとった調査結果からしても無理な結論を引いているというふうにしか思えません。
 経済性や樹林の移設の問題などは既に協議会の中で十分検討されてきたことであり、今、初めてのことではありません。防災性で、豪雨などによってトンネル内に雨水がたまり、停電によって配水ポンプが動かなくなるおそれがあるなどというならば、停電にも強い自家発電対策をとっておけば済む話です。
 大気汚染の問題では、岩崎橋を平面交差にすれば、あの広くない商店街に通じる道路に放射五号からも自由に車の出入りができることになり、すぐわきにある岩通ガーデンの自然樹林の保存のためにも、大気環境の悪化は明らかです。
 さらに、この地域の周辺環境は、久我山駅、岩崎橋を渡って、幼稚園や中学校、高校、そして久我山盲学校もあり、久我山病院もあります。交通弱者の方々が平面交差では六十メートルの横断をしなければならないという点でも、危険性の高い、つらい交差点ということになります。この平面交差は、協議会の提言に基づいて一部トンネル案とすべきだと考えます。
 ところで、東八道路と放射第五号線の接続部、牟礼橋付近の道路構造はどのようになるのか。平面接続なら、国指定の史跡である玉川上水の上を横断することになりますけれども、どうでしょうか。

○野崎道路計画担当部長 放射第五号線は、玉川上水の保全や沿道環境に配慮するため、幅員を五十メートルから六十メートルに変更いたしまして、玉川上水を挟んで上下二車線ずつの車道と幅員十メートルの環境施設帯を設置する計画でございます。
 都市計画上は、放射第五号線と東八道路は平面で接続することになっておりまして、放射第五号線と東八道路の接続部である現在の牟礼橋付近で、上り線が玉川上水の上を横断することになります。
 交通管理者や文化庁など関係機関と協議の上で、道路構造の検討を進めてまいります。

○かち委員 こういう国指定の史跡の上を高架交差するというようなことは、景観上からも、文化庁としては認めていないというふうにも伺っています。しかし、高架にしなければ歩道は行き詰まってしまいます。ここでも難題を抱えることになります。
 それから、ここの一・三キロの部分が開通しても、その先、暫定区間のところは、今、暫定利用で一車線ずつになっておりますけれども、ここに四車線が入る構造にはなっていますが、その構造を使えるかどうかという点でも協議会と検討しなければならない、さまざまな課題がまだまだあるわけです。もともと無理な都市計画道路であったということがここでも明らかです。
 最後に、改めて、この都市計画道路の岩崎橋付近は協議会の提言に基づき一部トンネル案に切りかえるよう強く求めて、質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○上野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二三第六二号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上をもちまして建設局関係を終わります。

○上野委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○大野環境局長 今定例会に提出を予定しております環境局関係の案件は、条例案一件及び事件案五件でございます。このうち、環境・建設委員会に付託される予定の案件は事件案五件でございます。
 それでは、付託予定案件の概要につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十三年第四回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 一ページをお開き願います。東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定についてなど、指定管理者の指定にかかわる事件案五件でございます。これらは、各施設に係る指定管理者を指定するものでございます。
 以上、付託予定案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き、環境政策部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○紺野環境政策部長 今定例会に提出を予定しております案件のうち、環境・建設委員会に付託される予定の案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について、ほか事件案四件をごらんください。
 一ページをお開き願います。概要を表にまとめてございます。整理番号1から順次ご説明申し上げます。
 整理番号1、東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定についてでございます。公の施設の名称は東京都立大島公園海のふるさと村、指定管理者の名称は大島町、指定の期間は平成二十四年四月一日から平成二十七年三月三十一日まででございます。
 なお、ほかの四件につきましても、指定の期間は同じでございます。
 次に、整理番号2、東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定についてでございます。公の施設の名称は東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村、指定管理者の名称は奥多摩町でございます。
 整理番号3、東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定についてでございます。公の施設の名称は東京都立多幸湾公園、指定管理者の名称は神津島村でございます。
 整理番号4、東京都檜原都民の森の指定管理者の指定についてでございます。公の施設の名称は東京都檜原都民の森、指定管理者の名称は檜原村でございます。
 最後に、整理番号5、東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定についてでございます。公の施設の名称は東京都奥多摩都民の森、指定管理者の名称は奥多摩町でございます。
 なお、これらの事件案は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出するものでございます。
 二ページ以降に議案を添付してございますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上で付託予定案件のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 都立大島公園海のふるさと村、同奥多摩湖畔公園山のふるさと村、同多幸湾公園、同檜原都民の森、同奥多摩都民の森の、過去六年間の管理費及び指定管理委託費の推移と人員体制の推移についてお願いします。

○上野委員長 かち委員から資料要求がただいまございました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○上野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○紺野環境政策部長 今定例会に提出を予定しております案件のうち、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料3をごらんください。
 一ページをお開き願います。一、改正理由でございますが、水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令の施行による排水基準を定める省令等の改正に伴い、公共用水域に排出する汚水の規制基準等を改めるほか、規定を整備するものでございます。
 二、改正案の内容でございますが、まず、(一)、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部改正についてでございます。
 ア、1・1ジクロロエチレンに係る公共用水域に排出される汚水の規制基準を、水道水源水域に汚水を排出する新設の工場につきましては〇・〇二を〇・一に、その他の工場・指定作業場につきましては〇・二を一に、それぞれ改めるものでございます。
 二ページをお開き願います。イ、その他の規定整備といたしまして、両罰規定に関し、所要の規定を整備するものでございます。
 次に、(二)、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部改正についてでございます。
 ア、附則第二項に定める亜鉛の暫定基準の適用期限を、平成二十三年十二月十日から平成二十八年十二月十日に改めるものでございます。
 イ、附則別表に定める亜鉛の暫定の規制基準につきまして、(ア)に記載の無機顔料製造業等の七業種及び下水道業のうち(ア)の七業種に属する特定事業場から排出される汚水を受け入れているものであって、一定の条件に該当するものにつき、暫定基準を廃止して一律基準を適用するものでございます。
 なお、その他の暫定基準につきましては、引き続き同じ基準値としております。
 三、条例の施行日でございますが、平成二十三年十二月十一日としております。
 四ページ及び五ページは本条例案、六ページから一〇ページまでは新旧対照表でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 それでは、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例に関して質問させていただきます。
 まず初めに、亜鉛についてお伺いをしたいと思います。
 今回、亜鉛の排水基準において暫定基準の延長が提案されておりますが、中小企業、特に電気メッキ業にとって、この排水基準は事業の継続や健全な経営に大きく影響する非常に重要な問題であるというふうに考えるわけです。
 また、この亜鉛に関する排水基準の取り扱いについて、我が都議会自民党は、電気メッキ業の実態を踏まえた要望を今まで行ってきたわけであります。東京の電気メッキ業は東京のものづくりを支える代表的な地場産業であり、東京のハイテク産業を支える基盤ともなっておりますが、多くの事業者は中小零細企業であるわけです。
 さらに、電気メッキ業は、先行き不透明な経済状況下においても、排水基準への対応や土壌汚染防止への取り組みなど、環境に関する事業者責任を果たすために今までさまざまな工夫や経営努力を重ねながら事業を継続してこられたわけです。
 ゆえに、亜鉛の排水基準については暫定基準が適用されたことから、これまで現実的に対応は可能であったものと考えるわけでありますが、このような状況の中で、今回亜鉛の排水基準において暫定基準を五年間延長することとしているのは、極めて妥当であると評価したいと思います。
 まず初めに、今回の条例改正の提案について、その経緯と条例改正の内容についてお伺いしたいと思います。

○高橋自然環境部長 亜鉛は、平成十八年の基準値改定時に、一律排水基準が一リットルにつき五ミリグラムであったものが、一リットルにつき二ミリグラムに強化されました。その際、無機顔料製造業や金属工業などの十業種が、平成二十三年十二月十日まで、暫定基準として一リットルにつき五ミリグラムが適用されることとなりました。
 今回、暫定基準適用の期限を迎えるに当たり、環境省における検討では、電気メッキ業については業界として一律排水基準の移行に向けた取り組みを行っているものの、排水処理施設の設置スペースや費用の点で、一部の事業者が直ちに対応できない現状にあるなどとされました。
 こうした現状を、中央環境審議会の報告さらに検討などを経まして、一部業種の暫定基準の適用延長を骨子とする省令改正が平成二十三年十月二十八日に公布されました。
 これを受けて、都においても、都内事業者の現状を踏まえ、暫定基準が適用されていた十業種のうち電気メッキ業を含む三業種について、環境確保条例の暫定排水基準を五年間延長し、平成二十八年十二月十日までとする内容の改正案を提案させていただきました。

○桜井委員 今回の省令改正並びに条例改正に至る検討については、都内の電気メッキ業の現状を反映し、対応したものと理解いたしました。
 次に、電気メッキ業の現状についてお伺いをしたいと思います。
 今回の条例改正により、暫定基準の延長が実施されることとなりましたが、電気メッキ業の事業場における排水の実態がどのような状況にあるのか心配であるわけです。都内の電気メッキ業の事業場数と、排水基準の達成状況についてお伺いをしたいと思います。

○高橋自然環境部長 河川等公共用水域に排水している電気メッキ業の事業場で、環境確保条例の対象となるのは二事業場でございます。排水の濃度につきましては、基準を大幅に下回っております。
 一方、二十三区内には約四百六十の電気メッキ業の事業場があり、これらは下水道に排水しており、下水道局によれば、約九割の事業場において一律排水基準を達成していると聞いております。

○桜井委員 公共用水域に直接排水する事業場数は二事業場のみで、排水の基準を満たしているとの答弁がありました。亜鉛に関する環境への心配はないものと理解いたしたわけです。
 しかし、下水道に排水する事業場では、一律排水基準が適用された場合には約一割が超過し、基準が守られない状況であることがわかりました。今回の省令及び条例の改正はあくまでも暫定基準の延長であり、五年後に一律基準に移行されることも考えられます。
 こうしたことから、都は五年後を見据えて、どのような対応を行っていくのかお伺いをしたいと思います。

○高橋自然環境部長 ご指摘のとおり、今回の暫定基準の期限は平成二十八年十二月十日までであり、その後は一律基準への移行もあり得るものでございます。
 排水処理技術の開発は、本来、国が主体となって行うものであり、都は毎年度、国に対して、大都市に立地する中小企業者が導入できる、より廉価で確実な処理方法を早期に実用化し、普及に努めるよう要望してまいりました。
 今後も引き続き、庁内関係局と連携し、国に対し強く要望してまいります。

○桜井委員 冒頭でも発言いたしましたが、東京のものづくりの代表といえる電気メッキ業を衰退させることは避けなければなりません。引き続き国に強く働きかけを行っていただき、一日も早く環境保全と健全な経営が両立するよう要望いたしたいと思います。
 それでは、次の質問に移らさせていただきます。
 次に、1・1ジクロロエチレンの排水基準の変更についてお伺いします。
 この物質は、日常生活においてはほとんどなじみがないので少し調べてみますと、食品ラップの合成原料として用いられるなど、意外に身近な物質だということがわかりました。
 一方、1・1ジクロロエチレンは、環境確保条例において有害物質に位置づけられ、特に水道水源水域では厳しい規制値が設けられております。
 まず、1・1ジクロロエチレンに関する条例改正の内容についてお伺いをいたします。

○高橋自然環境部長 今回の省令改正と整合性をとるため、環境確保条例の排水基準を、一リットルにつき〇・二ミリグラムから、一リットルにつき一ミリグラムに変更し、ご指摘の上乗せの基準値が適用される水道水源水域の新設工場については、一リットルにつき〇・〇二ミリグラムから、一リットルにつき〇・一ミリグラムにそれぞれ変更するものでございます。

○桜井委員 今の答弁を伺いますと、1・1ジクロロエチレンの排水基準は緩和するようにも聞こえますが、なぜ今回、省令改正で基準の変更が行われるのか。また、その基準値の内容についてお伺いをいたします。

○高橋自然環境部長 1・1ジクロロエチレンについては、世界保健機構WHOが飲料水のガイドライン値を設定しておりましたが、平成十七年度には、新たな信頼性の高い毒性情報により、この物質がこれまで考えられていたより毒性が低いとされました。
 また、日本を含む世界の飲料水からの検出状況がガイドライン値より著しく小さいといった状況から、ガイドライン値の設定の必要がないこととされました。
 こうした動きを受け、厚生労働省は平成二十年四月一日、1・1ジクロロエチレンを、水道法により検査及び遵守が求められる水道水質基準値から、遵守義務はなく、水質管理において留意する必要があるとされる水質管理目標設定項目へ移行するとともに、水質管理目標値を一リットルにつき〇・一ミリグラムとしました。これらを踏まえ、環境省は中央環境審議会による議論等を経て、平成二十一年十一月三十日、この物質の環境基準を水道水と同じ値に変更いたしました。
 今回の省令改正では、1・1ジクロロエチレンの排水基準を、他の物質の排水基準の設定方法と同様の考え方により、一リットルにつき一ミリグラムに変更したものでございます。

○桜井委員 WHOや国において最新の知見と世界の飲料水の状況を踏まえた科学的根拠に基づく改正であるということは、今の答弁で理解をさせていただきました。
 では、実際、都において、1・1ジクロロエチレンの使用や排出の実態が気になるところであります。この物質が都内においてどのような事業場で使用され、排出実態はどのようであるのか。また、基準変更により、環境への影響がないのかどうかお伺いをしたいと思います。

○高橋自然環境部長 1・1ジクロロエチレンは試験研究機関等で使用されますが、都内には、この物質を使用し公共用水域に排水する事業場はございません。
 また、この物質は、曝気や活性炭吸着等、有機塩素系物質に一般的な処理技術によって除去できるため、既存の処理設備で引き続き排水基準の遵守が期待できるとともに、河川等の水質監視の結果においても過去五年以上検出されていないため、基準の変更による環境への影響はないと考えております。

○桜井委員 都における1・1ジクロロエチレンに関する状況は、今の答弁でよく理解いたしました。
 現代社会は、利便性と引きかえにさまざまな物質を使うことで成り立っているわけでありますが、時にはこうした物質が環境に悪影響を及ぼすこともあるため、水質のモニタリングや事業者への指導を今後もしっかり続けていただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○松葉委員 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案に賛成する立場から意見を述べます。
 亜鉛については、平成十八年の排水基準の改正時に、処理技術が確立されていないなどの理由から、一部の業種に対して暫定基準が設定された経緯があります。今般その期限を迎えるに当たり、電気メッキ業を含む三業種についてさらに平成二十八年十二月十日までの五年間の延長を内容とする条例改正案を評価するものであります。
 都内の電気メッキ業の多くは中小零細企業であり、その多くが凝集沈殿法によって排水を処理しております。しかしながら、亜鉛の処理は、他の金属成分などが含有されている場合、排水処理が困難となり、一律基準を遵守するためには処理施設の増設が必要となるわけであります。
 こうしたことから、電気メッキ業にとって暫定基準の延長は非常に重要な問題であり、この問題について、都議会公明党としても一貫して要望してまいりました。今回の暫定基準の延長により、電気メッキ業界はひとまず安堵の気持ちを持たれるものと考えております。と同時に、早くも五年後の暫定基準の取り扱いが大きな関心事ともなり、課題であります。
 電気メッキ事業者が排水基準に一喜一憂することなく安定した経営ができるよう、都として国に対し、中小零細企業でも導入が可能な安価で効果の高い処理技術を早期に開発し、普及を図るよう強く要求していただくことを要望し、意見表明といたします。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○上野委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二三第四一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 お手元の資料4、陳情審査説明表の一ページをお開きください。整理番号1、陳情番号二三第四一号、騒音被害を一軒だけで受けているため困っている人たちを救う制度に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、練馬区の方でございます。
 まず、陳情の要旨でございます。都において、孤立して騒音被害を長年にわたって受けている者同士が情報を出し合い、困っている人たちを救う制度をつくっていただきたいというものでございます。
 次に、現在の状況でございます。
 まず、1でございますが、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例第百三十六条では、何人も地域ごとに規定された規制基準を超える騒音を、隣戸との敷地境界線で発生させてはならないと規定しております。
 2でございますが、第百三十八条では、第百三十六条の規定に違反することにより、周辺生活環境に支障を及ぼしていると認めるときは、その違反行為をしている者に対し、期限を定めて、生活環境に及ぼす支障を解消するために必要な限度において、騒音防止のための方法等必要な措置をとることを勧告することができると規定しております。
 3でございますが、第百三十九条では、勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて生活環境に及ぼす支障を防止するために必要な限度において、当該違反行為の停止等の必要な措置を命ずることができると規定しております。
 4でございますが、第百五十八条では、停止命令に違反した者は、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処すると規定しております。
 5でございますが、第百三十六条の違反者に対する、第百三十八条の勧告及び第百三十九条の停止命令等の事務は、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例により、特別区が処理することとなっております。
 最後に6でございますが、騒音等の公害紛争を解決していくための一つの手段として、東京都には、公害紛争処理法及び東京都公害紛争処理条例に基づき設置される公害審査会による調停等の制度が既に設けられております。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第四一号は不採択と決定いたしました。

○上野委員長 次に、陳情二三第四七号から陳情二三第五三号までを一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○和賀井都市地球環境部長 それでは引き続きまして、お手元の資料4、陳情審査説明表の二ページをお開きください。整理番号2、陳情番号二三第四七号から五三号、外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しに関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 本陳情は、次の三ページに記載しておりますとおり、練馬区の、大泉ジャンクション周辺地域を考える会代表、中川寿子さん外六団体の方からそれぞれ提出されたものでございます。
 恐れ入りますが、二ページにお戻りください。陳情の要旨でございますが、平成二十三年三月十一日の東北地方太平洋沖地震とそれに伴います福島原発事故の発生を境に、私たちの社会は大きく変わったことから、その影響を深刻に受けとめ、外環道(世田谷区宇奈根から練馬区大泉町間)の環境影響評価のやり直しを関係機関に強く求めることを都に求めるものでございます。
 現在の状況でございますが、本事業は環境影響評価法の対象事業でございまして、法等の規定に基づき、次のとおり環境影響評価手続が行われてきております。
 まず、事業者は、環境影響評価方法書を平成十五年七月二十五日に公告し、八月二十五日までの間、縦覧を実施しております。
 2でございますが、都は、平成十五年十二月三日に、環境影響評価方法書に対し、関係区市長や都民、東京都環境影響評価審議会の意見等を聞いた上で、大気質や地盤等に係る環境保全の見地からの知事の意見書を作成し、事業者へ送付しております。
 3でございますが、事業者は、環境影響評価準備書を平成十八年六月二日に公告し、七月三日までの間、縦覧を実施しております。
 4ですが、都は、平成十八年十一月十六日に、環境影響評価準備書に対し、関係区市長や都民、都民の意見を聴く会で公述された意見及び審議会の意見等を聞いた上で、大気質や地盤等に係る環境保全の見地からの知事の意見書を作成し、事業者へ送付しております。
 5でございますが、事業者は、環境影響評価書を平成十九年四月六日に公告し、五月七日までの間、縦覧を実施しております。
 最後の6ですが、事業者は、現在、用地の取得などを進めているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○かち委員 二三第四七から五三号の外環道の環境影響評価のやり直しに関する陳情について意見を述べます。
 本陳情は、練馬区内の七団体の代表から同趣旨で出されたものです。願意は、三・一一の東日本大震災及び東電福島原発事故の発生から社会環境が大きく変わり、深刻な影響も受けているから、外環の現在事業中の区間のアセスのやり直しを関係機関に求めてほしいというものです。
 願意は、手続上の問題ではなく、外環のような大規模な事業において安全をどう確保すべきかという観点から出されたものと解釈します。陳情者の文中にもあるように、これまでの地震の想定の耐震強度対策は見直すべきだということです。
 十一月一日に開かれた東京都防災会議地震部会では、従来の首都直下型地震に加え、新たに海溝型地震の関東地震、さらには立川断層帯地震を加えることになりました。こうした地震にも耐え得る構造が求められているわけです。これまでアセス評価で大丈夫とされてきたことが、実際にはそうではなかったということが事後評価の中で明らかになることは多々ありました。しかし、もうできてしまってからでは遅いということや、想定外ということでは済まされない問題でもあります。
 福島原発事故から放出された放射性物質と排気ガスの化学物質との関係はまだ未知数ではありますが、大いに研究、検討すべきことでもありますし、新たにPM二・五の基準ができたのですから、こういうものもアセスに加えるべきだと私は主張してきました。
 よって、本陳情は、一つの問題提起としてその願意を受けとめ、趣旨採択を求めて意見とします。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○上野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二三第四七号から陳情二三第五三号までは、いずれも不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上をもちまして環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十一分散会

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