環境・建設委員会速記録第十四号

平成二十三年十一月一日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長上野 和彦君
副委員長桜井 浩之君
副委員長中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事笹本ひさし君
理事尾崎 大介君
松葉多美子君
かち佳代子君
山田 忠昭君
小宮あんり君
原田  大君
こいそ 明君
石毛しげる君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長藤原 正久君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市エネルギー推進担当部長坂巻政一郎君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長中村  豊君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長高橋 宏樹君
緑施策推進担当部長谷上  裕君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
事務事業について(質疑)

○上野委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、環境局長から紹介があります。

○大野環境局長 去る十月二十五日の当委員会を公務によりまして欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 次長の藤原正久でございます。廃棄物対策部長の木村尊彦でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○上野委員長 紹介は終わりました。

○上野委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 去る十月二十五日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、三項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、過去十年の真夏日、猛暑日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十四年から平成二十三年までの十年間の東京における真夏日、猛暑日、熱帯夜の状況を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十二年度から平成二十一年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、みどり率の計画と推移でございます。
 区部、多摩部及び全体のそれぞれについて、(1)では平成十五年及び平成二十年のみどり率の実績値を、(2)では平成十年のみどり率の実績値及び平成二十七年度のみどり率の目標値を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 一九九二年、ブラジルのリオデジャネイロで地球サミットが開催され、リオ行動宣言として、気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名され、その後の地球的規模での環境と開発の問題に大きな影響を与えてきました。この地球サミットから二十年目に当たる来年二〇一二年六月には、国連持続可能な開発会議、いわゆるリオプラス20が開催されます。
 ディーゼル車による自動車公害対策、CO2キャップ・アンド・トレード制度等、世界の都市の環境政策をリードしてきた東京都はこれまでの成果を踏まえ、持続可能な都市づくりに向け、次の一歩を踏み出す年ではないでしょうか。
 初めに、大野局長から抱負をお伺いいたします。

○大野環境局長 今週月曜日には、世界の人口が七十億人を超えたということが大きく報道されておりました。このますます多くが都市に居住をしているという状況でございます。
 二〇三〇年には、世界人口の約六割が都市人口となるということが予測されておりまして、地球規模の環境問題を解決するためには、これまで以上に都市レベルの政策が重要になると認識しております。
 都はこれまでも、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現に向けまして、独自のディーゼル車排ガス規制や、世界で初めてとなる都市型のキャップ・アンド・トレードなどの導入など、先駆的な取り組みを展開してまいりました。
 さらに現在は、東日本大震災の後の電力不足を踏まえまして、新たな取り組みとして、低炭素で災害に強い自立分散型エネルギー源の確保などについても積極的に取り組んでおります。
 さらに今後、都の生物多様性戦略としての役割も持つ新たな緑施策の方向性を、今年度中に取りまとめていく予定でございます。
 今後とも、このような先導的な環境施策を展開し、その成果を世界の大都市に発信してまいります。

○大津委員 これからも国際都市との交流を交えながら、アジアをリードしていっていただきたいと思います。
 そのリオ・サミットですが、ちょうど十九年前のリオ地球サミットで、十二歳の少女セヴァン・スズキさんが、絶滅をした森や生物はどうやってよみがえらせるのか、あなた方は知らないでしょう--そのように訴えた後世に残る伝説の演説を見て、涙を流した人たちが世界じゅうにおられました。
 そして、渋谷の桜丘にもいました。感動した佐藤さん、木津さん方は、自分たちも何か、この演説を聞いたのをきっかけに、環境持続可能な社会に貢献できる可能性はないのか、そう思って始めたのが渋谷ミツバチプロジェクトでした。
 渋谷駅から一分の桜丘のビルの屋上で、ことしの三月からミツバチの十二万匹飼育に成功し、百キロのハチみつを採取しました。ミツバチは半径三キロの範囲から、地元桜丘の桜や、都立代々木公園、明治神宮、新宿御苑から蜜を集めてきます。春の桜のハチみつは首都東京の香り高い味で絶品で、放射能検査もしましたところ、全く検出せずの結果が出たところです。ハチみつシュークリームを販売したり、地元イタリア料理店やホテルレストランで特製ハチみつ料理も創作したりなどしています。
 渋谷のど真ん中での成果は、地元桜丘の桜並木に例年より大きなサクランボがたくさん実ったり、メジロなどの小鳥が戻ったりと、生態系のよい循環が進んでいるとのことです。
 そして、渋谷ではもう一つ、原宿のケヤキの表参道のところにございます原宿コロンバンの企業の取り組みがあります。世界的に減少しているミツバチをふやして環境保護を実践しようという熱血な小澤社長の情熱で、もともとは社会貢献をしていたこともあり、昨年五月から二十万から三十万匹のミツバチを屋上で飼育しており、昨年は二百七十キロを採取し、お店の商品などに生かされています。
 飼育から通して得られた思いとしましては、ミツバチに必要なのは、蜜源、そしてきれいな水、清流、そして生き物だと。働きバチは三十日の命で、命を持続可能で次々つないでいる、そういった生物を飼うことで、人々の情緒も安定してきたということだそうです。
 ミツバチは、自然界の植物の受粉、農作物の受粉という、次に命をつなぐ花粉媒介の役割が大きいのです。首都東京の持続可能な生物多様性について考えたときに、もしかしたら、ミツバチなどの花粉媒介動物というものが生息していける自然環境づくりが決め手になるのではないでしょうか。
 そこで、生物多様性について質問します。
 昨年は名古屋で生物多様性条約締約国会議、いわゆるCOP10が開催されるに当たり、私は六月本会議で、東京の独自性を生かした地域戦略を策定するように要望させてもらいました。
 それではその後、東京都は生物多様性地域戦略の策定について、これまでどのように取り組み、今後どのように進めていくつもりなのか、現段階の進捗状況について伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、生物多様性地域戦略を平成二十三年度中に策定するべく準備を進めてまいりましたが、東日本大震災の発生により、環境政策全般の再検証が必要となっております。
 こうした状況を踏まえまして、現在、環境審議会において、震災後の東京のプレゼンスと国際競争力を回復向上させる観点から、環境政策のあり方を審議しており、この中で、緑の量だけではなく、生物多様性の視点も踏まえた、緑の質の確保に向けた対策の強化も議論されております。
 今後、環境審議会での議論も踏まえ、区部、多摩部、島しょ部など、地域ごとに異なる自然環境に配慮しながら、多様な生き物がいきいきと生息、生育できる空間を確保、創出できるよう、都の生物多様性地域戦略としての役割を持つ緑施策の新たな方向性を、今年度中に取りまとめてまいります。

○大津委員 今年度中に、生物多様性地域戦略の位置づけも備えた緑施策の新たな方向性を取りまとめていくとの答弁をちょうだいしました。
 東京は、鹿やツキノワグマが生息する奥多摩から、クジラの回遊する小笠原諸島まで広がる、本当に世界でもまれな都市です。我が国の首都として培ってきた歴史的、文化的な側面にも配慮し、ほかの自治体のお手本ともなるような、夢のある、希望の持てる戦略をぜひつくり上げていきたいと思います。
 ここで、まず首都東京全体の生物多様性を考える参考としまして、東京都レッドリストといわれる、東京都の保護上重要な野生生物種を取り上げてみます。
 都は希少種のリストであるレッドリストについて、二〇一〇年に本土部版を、そして二〇一一年に島しょ部版を改定しておりますが、直近のレッドリストのデータと過去のデータを比較して、東京の生物多様性がどのように変わって、どのような傾向が確認できるかについてお伺いをいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 直近のレッドリストと前回の一九九八年版レッドリストとは評価基準が異なるため単純な比較はできませんが、一例を挙げますと、ヒバリは、草地、畑が減少したことで同様に減少しております。またトウキョウダルマガエルは、田んぼの耕作放棄等が原因で減少しております。
 反面、魚類では、水質規制や下水道などの整備による河川の水質改善によって、カジカ、ハゼの一種のウキゴリが増加傾向にあります。

○大津委員 やはり、地球サミットでも議論された環境と開発の関係を思い知らされますが、水がきれいになれば水中の生物は復活をした一方、陸上の生物の生息環境が悪化していると考えられます。
 陸上では、農薬や殺虫剤の使用、また産業化により、世界のミツバチが減少傾向にある中、自然保護、社会貢献の熱い思いで都会のど真ん中で始めた渋谷と原宿のミツバチプロジェクトは、大いに戦略策定の参考になるのではないでしょうか。
 人の食べ物の三分の一は、野菜、果物、木の実等、実るものに頼っているといわれています。実るのは、ミツバチが花粉媒介動物の働きをするおかげなのです。ミツバチが絶滅して人が受粉作業をした場合、変形したイチゴになったりするばかりでなく、人件費も莫大になり、人工受粉が、持続可能な社会とは思えません。
 ミツバチについては近年、世界各地で大量死、大量失踪が報告されています。働きバチが巣から消えうせ、巣全体が機能しなくなる蜂群崩壊症候群、これはいまだ原因が究明されておりません。
 世界じゅうのミツバチが消失し、実を結ぶことができない植物がふえると、野菜、果物などの収穫高が大幅に減少し、人間の食生活に多大な影響を与えることになりかねません。こうしたことからも、ミツバチの機能を生かしたプロジェクトを首都東京で推進する意義は大きいと考えます。
 これらのプロジェクトは、地域の経済やコミュニティを活性化させ、ミツバチを介して動植物の命を次の世代につなぎ、生物多様性に対する都民の意識を向上させるなど、さまざまな効果を上げているのです。花粉を運び、種子の実りを助けるミツバチが生きることのできる自然というもので、人も元気に生きることができるからです。
 たくさんのプロジェクトができてきております。原宿、渋谷、恵比寿、銀座、自由が丘と、ミツバチプロジェクトは次々とふえており、ミツバチが飛べるこの半径三キロの円がどんどん円と円で結びついていったらどうなるでしょうか。こうした取り組みを通じ、東京全体が生物多様性のあふれる豊かなまちに変貌していくと思うと、本当に夢は広がります。
 そこで、こうしたミツバチの機能を活用する手法について、東京都はどのように認識しているのか見解をお伺いします。

○谷上緑施策推進担当部長 生物は相互に関係しながら生態系を織りなしており、さまざまな生き物とその生息空間を保全することは、東京における生態系のバランスを維持する上で重要な取り組みと考えます。
 先生のお話にありましたミツバチを活用する手法は、身近な自然を題材に自然の大切さを実感できる貴重な機会であり、行政だけでなく、地域住民、企業、NPOなど、多様な主体が参画できる自然環境保全活動であると認識しております。

○大津委員 プロジェクトの方々の話を伺うと、東京の緑にもっと花があると、ミツバチが生息できるのではないかと。特に夏の花が少ないようなので、夏は、ヒマワリ、サルスベリ、さまざまな花をつける木などの工夫をしていただけたら、元気で生きていけるのではないかとおっしゃっています。
 動物や植物の生命を次の世代に引き継いでいくための取り組みとしては、花や実をつける街路樹や、公園をふやすことも効果的であり、花や緑がふえれば小鳥や昆虫の生きる糧となり、地域の生態系がより豊かになっていくのではないでしょうか。
 そこで、首都東京の生物多様性を豊かにしていくために、生物多様性地域戦略の性格もあわせ持つ緑施策の新たな方向性の中に、地域の生態系に貢献する具体策を盛り込んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 東京の地域特性に着目し、その多様な生物と生育環境を守り、これを将来世代に引き継いでいくことは、人々が安心で快適に暮らし続ける基盤を確保する上で重要な取り組みと考えます。
 今年度実施しております東京の郷土種に配慮した植栽のあり方調査は、地域の生態系に寄与する植栽を開発事業者に誘導することを目的の一つとして検討を行っているところです。例えば、サンショウの木はアゲハチョウに産卵と成長の場を提供するように、昔から東京に生育する草木に注目すれば、本来そこに生息すべき動物が戻ってくると考えられます。
 自然が持つ潜在能力が十二分に発揮され、バランスのよい生態系が首都東京に回復し、持続可能な都市となるような緑施策の新たな方向性を今年度中に取りまとめるとともに、こうした生物多様性の保全に向けた都の考え方を、広く社会全体に発信してまいります。

○大津委員 この渋谷を流れていた川をモチーフにしますと、「春の小川」、この唱歌の歌詞には、岸にはスミレやレンゲが咲き誇り、水中にはエビやメダカが息づいていたといわれています。東京にかつて生息していた多様な生き物が、バランスのとれた東京の生態系を形づくっていたと思いますと、非常に感慨深い思いです。
 ミツバチの蜜源となる花は夏に不足します。一年を通じて蜜源が確保されるようになれば、東京の生態系はもっと豊かになるのではないでしょうか。ミツバチプロジェクトのような地域の生態系を改善する取り組みに、地域住民、企業、NPOが参加して大きなうねりを起こしていけば、東京はきっと変わると思います。
 そんな視点を都の生物多様性戦略の中に位置づけてもらい、首都東京にふさわしい生物多様性の保全に向けて、実り、繁栄し、次世代に命をつなげる、都市の自然を創出していこうという力強いメッセージを社会全体に発信していくことを要望します。
 次に、廃棄物対策についてお伺いをします。
 被災地支援として、岩手県の災害廃棄物に東京はいち早く手を挙げ、三年間で五十万トンを受け入れ処理していくことは大変評価のできることです。それだけ、東京はすぐれた廃棄物の焼却、溶融、ダイオキシン除去技術、リサイクル技術を保有しています。水道分野や下水道分野でも、都も力を入れて世界へ水ビジネスを展開し、技術移転が進んできました。同様に、廃棄物分野での優秀な技術を世界へ移転していくことは、アジアの発展にとっても意義があると考えます。
 アジア大都市ネットワークで実施してきた環境事業では、資源リサイクルの促進分野で、廃棄物リサイクルのノウハウの共有化、アジアの人材育成を実施し、九年が経過しました。
 それでは、これまでの成果と、廃棄物ビジネスの海外展開も含めた今後の国際協力の進め方についてお伺いをします。

○木村廃棄物対策部長 アジア大都市ネットワーク21共同事業では、アジネットに参加しております都市の廃棄物関係の政策担当者や技術職員を対象に、毎年五日間にわたって、日本や都のリサイクル制度の説明、清掃工場やスーパーエコタウン施設の視察などをプログラムといたしました研修を実施してまいりました。これまで六回にわたり、八カ国から毎回数名が参加し、研修の成果が各都市の廃棄物対策に生かされております。
 また、今年度から廃棄物分野における国際環境技術協力事業を開始し、東京の廃棄物処理3R技術をアピールするためのプロモーションツールとして、DVD等を作成中でございます。
 今後、これを、アジア大都市ネットワーク参加都市を中心にアジアの約二十都市に配布し、廃棄物ビジネスの海外展開に資するネットワークの構築など、国際協力事業を進めてまいります。

○大津委員 アジアの九都市を見ると、焼却工場があるのはシンガポールなど三都市のみで、バンコク、クアラルンプールなどほか六都市は、まだ埋立処分をしている現況です。ぜひ技術移転による海外都市交流を深めてほしいと思います。
 これからの技術立国日本は、製造、生産から廃棄処分までの一貫を考えて、ものづくりをしなくてはなりません。ものづくりのあり方を見直す社会を形成するために、都が積極的に区市町村、関係業界をリードできる廃棄物行政を担ってほしい、そう思う立場から質問します。
 最近の話題では、日本での子どもの火遊びによるライターのことです。子どもの火遊びの七割がライターで、それに起因して火災死亡事故が連続して起こりました。この危険の芽を摘み取るような安全強化を訴えて、都から国を動かし、今回ライターの安全基準の法施行がなされ、九月二十七日から、簡単に着火できるライターは販売禁止となりました。使い捨てライターは日本で年間六億四千万本が流通し、国民一人当たり六本所有している計算となります。ものづくりは製造から出口までが大切で、適正に廃棄していくことが必要であります。これらの適正基準に満たないライターを適正に廃棄処分するよう、東京都はこれらに対してどのような取り組みを行ってきたのかお伺いをいたします。

○木村廃棄物対策部長 環境局では、これまで生活文化局とともに、チャイルドレジスタンス機能のない使い捨てライターによります子どもの火遊び防止と、使い捨てライターの適正な廃棄方法を「広報東京都」などで繰り返し周知してまいりました。
 環境局では、特に今回の販売禁止の時期をとらえ、都内のたばこ店で売れ残った使い捨てライターや、家庭で不要となった使い捨てライターを回収することを目的としまして、社団法人東京産業廃棄物協会並びに東京都たばこ商業協同組合連合会と連携いたしまして、各たばこ店から短期集中的に無料で収集処分する仕組みをつくり、本年六月から九月末にかけて、都内たばこ店に回収ボックスの設置やポスターの掲示を行いました。十一月、十二月には、都内のたばこ店からその使い捨てライターを収集し、処分することとしております。

○大津委員 九月二十七日の販売禁止による、ごみステーションへのライターの排出状況はいかがでしょうか。
 また、法施行されたものの、都は都民に対し、使い捨てライターによる子どもの火遊びの危険性のみを周知するのではなく、家庭からのごみを収集している区市町村と連携し、積極的に使い捨てライターの廃棄方法を周知していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 使い捨てライターのごみステーションへの排出状況につきまして、十月以降、区市町村に確認いたしましたところ、排出量について特に変化はなかったとの報告を受けております。今回の法改正は販売を禁止したものであり、保有や使用が禁止されたものではないため、家庭から一度に多量のごみとして排出されるものではないと考えております。
 都民が使い捨てライターを廃棄する場合は、原則、使い切った状態で、他のごみとは別の透明なプラスチック袋に入れ、不燃ごみや有害ごみとして出すなど、各区市町村が定めたごみの出し方によって廃棄することとなります。
 また、多量に保有し、使い切れない場合は、区市町村に相談の上、「ライター中身あり」などと表示して廃棄する方法もあります。
 都は、これまで区市町村に対して、廃棄物行政連絡会議等の場で、使い捨てライターの廃棄方法を住民に周知するよう依頼してまいりました。引き続き、都は区市町村に対しまして、ライターの分別回収等に取り組むよう働きかけるとともに、都民に対しまして、区市町村と連携し、使い捨てライターの廃棄方法等について周知を図ってまいります。

○大津委員 渋谷区の方からも、法施行されたもののライターはすぐ大量には出回らず、少しずつ出てきているという報告が入っております。
 ごみは生き物であります。現場をよく見ながら、区市町村もそれぞれに苦労していると思いますので、東京都は先手を打って一歩踏み込んだ施策を早目早目に構築し、区市町村や関係業界と連携して、わかりやすく簡単な、迷わない廃棄ルートを実現していってほしいと思います。
 来年がリオプラス20ですが、東京都が同じく二十年前から取り組んできたのが、都市の悪臭、異臭等のまちの臭みの解消です。最後に、まちの悪臭対策についてお伺いをします。
 渋谷区内でも、地下室のある古いビルの多い一角からは、ビルの地下排水槽にたまった排水が腐敗するなど、平成二十二年度も悪臭苦情が十件入っております。原因は、建築基準法で昭和五十年に排水槽の設置を定められましたが、それ以前の古いビルの地下排水槽からの臭気、いわゆるビルピット臭気とされています。
 これまで東京都の関係局や区が連携して対応してきておりますけれども、二十一年に改めてビルピット臭気対策マニュアルを作成して、対策を強化したとのことです。
 このマニュアルを作成するに至った悪臭苦情の実態と、マニュアルを作成した目的をお伺いします。

○中村環境改善部長 都や区市町村の環境担当部署に寄せられた悪臭苦情は、この二十年間では半分程度に減少してございます。
 しかしながら直近のデータである平成二十一年度の苦情の件数を見ますと、総件数約七千百件のうち、騒音が約四二%、大気汚染が約二〇%でございまして、悪臭がこれらに次いで約一四%の千件程度と、依然多くを占めてございます。
 また、これとは別に、下水道局に寄せられた下水道に関する悪臭苦情では、ビルピット臭気による苦情の割合は全体の約六割で推移しております。ビルピット臭気は、ビルの中の汚水槽等の管理が不十分なときに、槽に滞留した汚水が腐敗し、増加した悪臭物質が、排水を下水道に排出する際に気体化して発生するものでございます。
 これまでも都の関係局や区市が連携して対応をとってまいりましたが、根本的な解決を図るには、関係する行政部署が連携して悪臭の発生源のビルを特定し、事業者に、排水の残留水量を減らす低水位運転や、排水の滞留時間を縮めるタイマー運転を行うなどの改善指導をすることが必要でございました。
 このため、平成二十一年三月にビルピット臭気対策マニュアルを、環境局が区及び下水道局、福祉保健局など関係局の協力を得て作成したものでございます。

○大津委員 では、このマニュアルの活用を含めまして、環境局としてはどのようなビルピット臭気対策を行っているのかお伺いします。

○中村環境改善部長 環境局といたしましては、関係局と連携して、このマニュアルについて説明会を開催するなど、区市の環境担当部署に周知し、連携した取り組みを促進しております。
 また、ビルのオーナーや管理会社等の関係業界団体に対しましても、周知、普及を行い、対策を促しております。
 マニュアルの配布先の区市からは、例えば渋谷区からは、マニュアルができたことにより、ビルピット臭気が発生しているビルの管理会社がビルピット臭気対策に関心を持つようになり、指導がやりやすくなったという声をいただいております。また、新宿区や武蔵野市からは、ビルピット臭気が発生している地区にあるビルのオーナーなどとの協議会でこのマニュアルを活用していると聞いてございます。
 さらに、都の関係局で構成するビルピット問題連絡協議会におきまして、各局の対応を情報共有するとともに、区市の環境担当部署に対しましてもその情報を提供し、一層の連携を図っております。
 今後とも関係局や区市と連携し、ビルピット臭気対策を推進してまいります。

○大津委員 ビル管理者が排水槽にたまった汚水を攪拌する設備は自己負担で設置するため、どうしてもなかなか進みませんが、これからも地道な改善を重ねていくことが一番であります。
 ぜひ、首都東京のまちの臭みを解消し、そして衛生的で、前半ずうっと申し上げてきました自然豊かな首都東京を願って、質問を終わらせていただきます。

○高橋委員 廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 事業概要の一七一ページにある、薬局による注射針の回収に関連してお伺いいたします。
 高齢化社会が進み、慢性疾患や、自宅で医療を受けたいという要望がふえ、例えば糖尿病の患者の方が医師の処方せんを持って薬局で注射針を購入し、自宅でインシュリン注射を行うなど、今まで医療機関で行われていた医療が一般家庭で行われるようになっております。
 このように、医療技術の進歩により、患者の方々にとっては便利になりましたが、一方で、使用した注射針が家庭からごみとして排出されることになり、区や市町村が実施するごみの収集作業でも安全面の問題があると聞いております。
 本来、家庭から排出される一般廃棄物の処理は区市町村の責務でありますが、そうした各自治体共通の課題がある中、都の働きかけをきっかけとして私の地元の練馬区薬剤師会と杉並区薬剤師会の皆さんが決断し、平成十四年十一月から、薬局が、患者さんから回収した注射針を専用の容器に詰めて廃棄物処理業者に引き渡し、適正処理をするという仕組みを構築いたしました。
 私は、平成十六年三月の当委員会でこの問題を初めて議会で取り上げ、薬局による使用済みの注射針の回収を都内全域で実施するべきと提言をして、その後、この回収事業は二十三区と多摩の全市町村に拡大したと仄聞しております。
 そこで、都はこれまで、この回収事業にどのような支援を行ってきたのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 家庭から排出されます使用済みの注射針については、東京都薬剤師会によります自主回収システムが平成十四年度にスタートし、平成十七年度には二十三区及び多摩地域の全域に拡大いたしました。現在、約四千店の薬局に参加いただいております。
 都は、薬剤師会と連携しながら、事業の立ち上げに要する経費の財政支援を平成十九年度まで行い、その後は、区市町村への働きかけなどシステムが円滑に進むよう支援してまいりました。
 その結果、平成二十二年度は、都内全域で専用回収容器約八万七千本が回収され、適切に処理されております。

○高橋委員 システムが円滑に進んでいるのは大変よいことだと思いますが、関係者の方からお聞きしたところでは、事業の立ち上げに関しては都から経費的な支援があったが、回収した注射針は廃棄物処理業者に委託処理することになるため、経常的なランニングコストが財政的に大きな負担になっているということであります。
 これについては、一部の区市町村で補助金が出ているという話も聞いておりますが、現在どのくらいの規模で補助が実施されているのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 現在、二十三区では二十区、多摩地域で二市、合計二十二の自治体が補助を行っております。
 補助は、各区市町村の廃棄物部署のほか福祉部署から支給されているところもあり、補助の内容は、専用容器の現物支給や、年間約十万円から六十万円の補助金が交付されております。

○高橋委員 回収事業に対する区市町村補助については、徐々に実施する団体がふえてきているようでありますが、今後とも都と薬剤師会とが連携し、未実施の区市町村に対して補助創設を促してほしいと思います。
 また、在宅医療廃棄物の適切な処理体制を実現するためには、薬剤師会の自主的取り組みを、東京都としても広域的な立場から積極的に技術支援していく必要があると思います。
 この点に関して平成二十一年の当委員会では、私の質問に答えて、在宅医療を担う医療機関、薬局、処理責任のある区市町村そして医療機器を生産するメーカーなど、すべての関係者が共同して取り組むよう、都としても積極的に働きかけるという答弁をいただきました。
 こうした関係者との連携については、その後どのように進んでいるのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 都は、薬剤師会の団体要望に基づき、在宅医療廃棄物の適切で持続可能な処理を実現することを目的といたしまして、平成二十二年四月に在宅医療廃棄物のあり方検討会を立ち上げました。構成員は、東京都と薬剤師会のほか、補助市町村数の少ない多摩地域の代表に参加いただいております。
 検討会では、薬剤師会事業の維持方策や拡大生産者責任に基づくメーカーからの支援のあり方などについて議論するとともに、注射針の取り扱いに関するアンケート調査を行ってまいりました。

○高橋委員 東京都、多摩の市町村、そして薬剤師会で構成する検討会が設置されているということでありますが、医療機関や医療機器を生産するメーカーはまだ参加されていないようであります。
 平成十四年度のモデル事業から始まったこの事業も、もう既に九年が経過しました。この間、医療機器も改良が進み、針刺し事故の少ない注射針の開発などに、メーカーも努めていると聞いております。
 このように、廃棄の段階への配慮は、メーカーの役割として大いに期待されております。製造メーカーも参加した新たな検討会を立ち上げ、関係者間の密接な連携のもとに今後の事業を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。

○木村廃棄物対策部長 ご指摘のとおり、今後とも在宅医療廃棄物の適切な処理を継続していくためには、薬剤師会や行政に加えまして製造メーカーも参加した新たな検討会を立ち上げ、議論していくことが必要と考えております。
 今後、製造メーカーに、検討会への参加を強く要請してまいります。

○高橋委員 今後、高齢化社会が進展する中、在宅医療廃棄物の適正処理はますます重要になっていきます。関係する各機関のそれぞれの立場での取り組みが重要でありますが、東京都としても関係機関を取りまとめて良好な協力関係を築くことを要望して、次の質問に移ります。
 引き続き、事業概要の三六ページの電力対策及び五一ページの再生可能エネルギーの利用拡大に関連して、電力エネルギー対策について伺います。
 東京電力管内のことしの冬の電力需給状況は、昨年の冬のピーク電力が五千百五十万キロワットであることや、都民に節電意識が定着してきていることなどにより、ことしの夏のような電力使用制限令発動や計画停電の実施は避けられそうな見通しであります。
 しかし、現在停止中の福島第一、第二原発や、柏崎刈羽原発の五基の再稼働の見通しが立っていないことに加え、現在稼働中の柏崎刈羽原発の二基が定期点検に入ると、来年春にはすべての原発が停止することになります。
 こうした中、首都圏のエネルギー供給において火力発電所が極めて重要な役割を担うものの、かなりの老朽化が進んでいます。特にこの夏の電力危機の際には、老朽化した火力発電所を稼働させ、計画外の停止も見られました。
 東京電力管内の火力発電所の発電設備の老朽化はどの程度なのか伺います。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 東京電力管内の火力発電所の出力は現在約四千万キロワットでございます。うち、運転期間が四十年を超える老朽火力が約八百四十七万キロワットでございます。さらに、五年以内に老朽火力となる発電設備が六百五十五万キロワットでございます。これらを合わせますと、東京電力の火力発電設備の約四割が運転期間三十五年を超えることになります。

○高橋委員 発電効率が悪く、型の古い火力発電所は、CO2の排出量が多く、故障のリスクがつきまとい、地球温暖化の面からも、安定供給の面からも、好ましい姿とはいえません。低炭素な燃料による、高効率で環境負荷の少ない火力発電設備への更新は、緊急かつ重点的に取り組むべき課題であると思います。
 天然ガスを使ったコンバインドサイクル発電は、環境性能が高く、高効率な発電といわれていますが、都の見解を伺います。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 コンバインドサイクル発電は、ガスタービンで発電した後の排熱で蒸気をつくり、蒸気タービンで再度発電させているため、発電効率は五〇%を超え、さらに高いものでは六〇%に近く、従来型の火力発電の約四五%と比較して、高効率でございます。
 また、石炭火力発電所と違い、燃焼による硫黄酸化物や、ばいじんの発生は全くなく、石炭や石油などの他の化石燃料と比べて二酸化炭素や窒素酸化物の発生が少なく、老朽火力発電の代替となる発電設備として更新を進めていくべきものと考えてございます。

○高橋委員 コンバインドサイクルの優位性は理解できましたが、東京電力の発電設備の更新計画が不透明である中、今後の東京の電力供給に不安があります。
 都民の命と経済活動を支えるライフライン施設等が確実に機能を維持していくためには、東京都としても、系統電力だけに頼らず、独自にエネルギーを確保することも重要であると思います。
 特に、災害時にも都市としての防災、危機管理機能を確保するためにも、省エネルギーや低炭素化にも配慮しながら、自立分散型電源の導入を推進するべきと考えますが、自立分散型エネルギーの推進に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 災害時に系統電源が途絶えても、機能維持が必要な都民生活を守る施設などへの分散型電源の設置を推進してまいります。特に、新宿都庁舎、病院や、ふ頭施設などの都施設への分散型発電を着実に進めてまいります。
 また、都市開発や住宅開発などのまちづくりにおいて、電気と発電に伴う排熱の両方を上手に活用してエネルギー効率を高め、二酸化炭素の削減と、エネルギーの有効利用を図るコージェネレーションシステムを使ったガス発電等を設置するなど、高効率発電機の導入を促し、災害時の都市機能の維持を図ってまいります。

○高橋委員 自立分散型エネルギーの推進には天然ガス発電も結構でありますが、都民一人一人が取り組めて、しかも環境負荷もない太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの活用も重要であると思います。
 都は今年度の補正予算で、平成二十三、二十四年度の二年間の創エネルギー機器の導入促進策として太陽光発電の補助を構築し、六月から受付を開始しております。
 約四カ月たった現時点での実績を確認するとともに、改めて、自立分散型電源である太陽光発電の、家庭における導入意義について伺います。

○和賀井都市地球環境部長 都内の住宅用太陽光発電は、過去二年間の平成二十一、二十二年度に実施いたしました補助事業によりまして、約一万九千件に上る申請を受け付け、既に、それまでと比較しまして五倍以上、導入が拡大したところでございます。今年度補正予算によります太陽光発電システム導入補助の申請状況は、十月三十一日現在、三千六百二十七件で、五倍以上に市場拡大しました昨年の同時期を、さらに四二%上回るペースで伸びてございます。
 太陽光発電は太陽が出ている日中に発電するため、夏場を中心に、電力のピーク対策に寄与するものでございます。特に住宅用太陽光発電は、家庭におけます消費電力量の相当程度を賄うとともに、余剰電力は電力会社に売電され、有効に活用されるなど有益なものであると考えております。

○高橋委員 昨年度の同時期に比べて四〇%を超える伸び率というのは、大変な成果だと思います。
 この春の計画停電や夏場の節電の取り組みが都民のエネルギーに対する関心を呼び起こしたことは、疑う余地のないところであります。
 夏場の節電に当たっては、都民に大きな負担をかけたと思いますが、同時に、都民の一人一人から、今までの生活を見直し、エネルギーについて考え直すよい機会になったという声を多く耳にしました。
 また、この八月に法律が成立した、いわゆる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が、さらに太陽光発電の導入を後押しするものと期待しております。
 この流れをさらに加速するためにも、都は、この二年間の補助の次の展開を早期に検討すべきと思いますが、今後の都の太陽光発電導入拡大の方向性について伺います。

○和賀井都市地球環境部長 今後二年間、緊急対策としての本事業を着実に実施するとともに、初期費用の軽減や特定の建築物におけます導入義務づけなどの、国内外の先進事例に関する環境審議会の議論なども踏まえまして、来年七月から開始されます固定価格買い取り制度を前提に、太陽光発電の一層の導入拡大に資する施策を構築してまいります。

○高橋委員 最後に、エネルギー政策に取り組む局長の決意をお伺いいたします。

○大野環境局長 東日本大震災の後、三月には計画停電がございまして、その後八月は、電力不足を経験したわけでございます。
 こうした経験は、我々に、これまでのように、国でありますとかあるいは特定の電気会社だけに依存していては、東京の都市活動を支える安定的な電力供給を実現することができないということも明らかにしたと思います。
 都は、こうした教訓を踏まえまして、電力の需要と供給の両面から、低炭素で高度な防災都市をつくるという目標の実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 まず需要面では、国が行ったような一律の電力使用制限ではなくて、企業や区市町村がいろんな工夫をしたわけでございますが、ことしの夏のこの取り組みを分析しまして、経済的にもメリットがあるような賢い節電を進めてまいりたいと思っております。
 それから供給面では、ご議論がございましたが、高効率の天然ガス発電とともに、再生可能エネルギーの大幅な導入促進を図ってまいりたいと思っております。
 こうした需要面、供給面の取り組みに加えまして、あわせて、電力使用量の見える化でありますとか、電力の需給の制御を行うエネルギーマネジメントシステムをつくるといった、都の独自の取り組みを進めまして、我が国の環境エネルギー政策を牽引してまいりたいと、このように思っております。

○松葉委員 四分野にわたりまして質問をさせていただきます。
 初めに、自動車公害対策について伺います。
 平成十五年度に開始しましたディーゼル車規制によりまして、東京の大気環境は目覚ましい改善を遂げました。規制以前は、大気中の浮遊粒子状物質の環境基準は全く未達成の状態であったものが、ここ数年間はすべての大気環境測定局で基準を達成いたしております。
 このような劇的な改善をなし得たのは、自動車メーカーや燃料メーカー、運送事業者など、多くの業界の協力があってこそ実現ができたものと承知をいたしております。また、この間の環境局のご努力に敬意を表したいと思います。
 今後は、大気汚染対策に加えまして、自動車から排出されるCO2などを削減する地球温暖化防止対策が重要な課題であると考えます。環境局はこの間、低公害だけでなく、低燃費な自動車の普及促進や物流の効率化、公共交通機関の利用促進などに取り組んできておりますが、運輸部門におけるCO2削減対策は、荷物の運搬を委託する荷主に対しての取り組みも重要であると聞いております。
 そこで、何点かお伺いいたします。
 まず、環境確保条例では、荷主に対してどのような規定があり、具体的に環境局はどのような施策を行ってきたのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 環境確保条例では、荷主のような自動車を利用する者に対して、自動車の効率的な利用や利用そのものの抑制に努めること、また低公害、低燃費な自動車を利用することに努めることを定めております。
 具体的な対策といたしまして、平成二十二年度に、物流効率化による経営改善と環境負荷の低減をテーマとした中小企業経営層向けセミナーを開催し、荷主などに対して、物流を合理化するための方策などを紹介いたしました。
 また、具体的事例を集めましたセミナー用のテキスト等を、社団法人東京都トラック協会、東京倉庫協会及び東京商工会議所等に配布するとともに、環境局ホームページにも掲載し、自動車からのCO2排出削減の取り組みが他の事業者にも広く進むよう、普及啓発を行っております。

○松葉委員 荷主に対しても、啓発を行っているということがわかりました。
 そこで重要なことは、荷主が実際に荷物の運搬を委託する際に、環境に対して積極的な取り組みを行っている運送事業者を選択するということがまた大切でもあると考えます。
 そのためにどのようなことを行っているのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 環境確保条例では、三十台以上の自動車を使用する者は、自動車の使用を合理化するための措置等の事項を記載した自動車環境管理計画書を知事に提出し、毎年その実績を報告することを義務づけております。
 これら提出された計画書等の中で、多くの自動車使用合理化の手法を取り入れ、環境への負荷軽減に直結するさまざまな対策を積極的に行っているとともに、CO2排出量を実際に削減した事業者の名称を、都は、荷主側の参考ともなるように都のホームページで公表しております。
 なお、他の事業者の参考となるような具体的取り組みについても、あわせて公表しております。

○松葉委員 環境への積極的な取り組みをした事業者が選ばれるということは重要であることから、さらに進めていただきたいと思います。
 さて、運送事業者が環境対策に取り組むに当たって、一方で荷物を受け取る側、これを着荷主というそうですが、この着荷主の環境配慮の視点も重要であると考えます。
 都は、着荷主に対しても取り組みを進めていくべきと考えますが、どのような対応をしていくのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 着荷主への対応でありますが、これまでの取り組みとしては、都は関東百貨店協会に共同配送の実施を要請し、同協会では働きかけに応じて、都内の百貨店すべてで共同配送を実施いたしました。その後、この取り組みは業界自身の行動として、現在全国で行われております。
 平成二十二年度からは、商業施設などの荷主事業者のうち地球温暖化対策計画書の対象事業者に対しまして、計画書の提出により、自動車利用合理化に関する取り組みを求めております。
 本年度は、約七十の事業者に対して直接訪問いたしまして、計画書に関するヒアリングの際に、荷物の納品回数の削減や共同配送など、物流の合理化を働きかけております。

○松葉委員 直接、着荷主の施設に行きまして物流合理化の働きかけを行っているということで、そういった地道な取り組みを評価するものであります。
 今後、現場におきましてはさまざまな取り組みが講じられていくと期待されますけれども、現在、実施しているヒアリングにおきまして、進んだ取り組みがあったのでしょうか。進んだ取り組みがあれば、広く取り組み事例も公表すべきと思いますが、どうでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 取り組みの進んでいる事例としまして、ある商業施設では、産地、工場からの商品を、東京近郊に物流拠点を設け、都内の店舗ごとに商品を混載して配送を行うことにより、配送トラックの積載率が向上し、台数の削減が実現できた事例がございました。
 また、テナントビルにおきましては、納品する際、低公害、低燃費車を利用することを条件に契約を行う事例がございました。
 このような有効な事例につきましても、他の事業者の参考となるよう積極的に公表してまいります。

○松葉委員 物流は都市のライフラインとして、環境と密接に関係しながら重要な役割を果たしています。
 荷主側も運送事業者側も、さまざま、環境に配慮する取り組みにはご苦労も多いと思いますが、ぜひとも環境局が双方に働きかけ、環境に優しい企業として事業全体が発展できるように支援をしていただくよう要望いたします。
 次に、大井火力発電所におけるガスタービン発電機の設置について質問をいたします。
 東日本大震災の影響によるこの夏の電力不足への対応は、大規模事業所の電力使用量の削減義務づけや、一般家庭においての節電の努力がなされたところであります。
 一方で東京電力は、被災した火力発電所の復旧や、既存の発電所内にガスタービン発電機を緊急的に設置するなど、供給能力の増強を図ったわけであります。その結果、この夏は停電等の不測の事態を回避できたわけであります。
 本年六月の環境・建設委員会にて質疑が行われておりますが、都内におきましても大井火力発電所内に、タイからの無償貸与などにより二基のガスタービン発電機が緊急的に設置されるために、東京都は、知事の専決処分によって環境確保条例の改正をしたと認識をしております。そして、東京電力には、四月二十二日から十月二十一日までの六カ月間、特例を認めたわけであります。
 我が党の木内議員が、さきの本委員会におきまして、環境確保条例の改正や環境への配慮等について何点か質問いたしております。そこで、特例措置は現時点では終了していますけれども、今回の大井火力発電所内に設置されましたガスタービン発電機の運転状況について何点か伺いたいと思います。
 この夏の二基のガスタービン発電機の運転はどのような状況だったのか、まず伺います。

○中村環境改善部長 二基のうち、出力十二・八万キロワットのガスタービン発電機につきましては、八月十日から十月十五日の間に九日間、運転されております。また、出力八・一万キロワットのガスタービン発電機につきましては、八月二十九日から十月十五日の間に十三日、運転されております。
 特に、この夏における最大使用電力となりました八月十八日及び、秋に入りまして他の火力発電所の点検と気温の上昇があった十月十五日につきましては、供給力不足が懸念される事態となりましたために、緊急設置のガスタービン発電機を運転することで供給力の不足を補ったとの報告を受けております。

○松葉委員 この夏の運転の状況はわかりました。
 次に、ガスタービン発電機の運転による環境への影響を把握するために、東京都や東京電力が環境モニタリングを実施するということでありましたけれども、その結果はどうであったのか伺います。

○中村環境改善部長 都は大井火力発電所の周辺に二カ所の測定地点を新たに設置しまして、既設の大気汚染常時測定局二カ所と合わせて四カ所において、二酸化窒素、有害化学物質等の測定を、ガスタービン発電機設置前の六月下旬から、運転中も含めまして九月上旬まで実施いたしました。その結果からは、周辺環境への影響は特に見られませんでした。
 また、東京電力はガスタービン発電機の排ガス中の窒素酸化物の測定を実施いたしましたが、二基ともおおむね二〇から五〇ppmの範囲でございまして、大気汚染防止法の規制基準である七〇ppmを遵守していることを確認しております。
 また、東京電力は、発電所の敷地境界におきまして二酸化窒素の測定や騒音振動の測定を実施しており、周辺環境への影響は少ないとの報告を受けております。その際、私ども都は窒素酸化物の測定に立ち会うとともに、測定結果について周辺環境に影響がないことを確認してございます。

○松葉委員 今のご答弁で、窒素酸化物が七〇ppmを遵守していることなどが確認できました。都は、測定結果につきまして、周辺環境に影響がないことを確認したということでございましたので、安心をいたしたところでございます。
 我が党の品川区選出の伊藤議員が地元の皆様のご心配の声を聞きまして、木内議員の質問の中でも、引き続き地域住民に対してきめ細やかな対応を行うことということを強く要請いたしましたけれども、この地元住民の方々などに対する情報提供また説明というものを、どのように行われたのか伺いたいと思います。

○中村環境改善部長 東京電力は、運転前の地域住民への説明会の開催に加えまして、運転に当たり、周辺の地元自治会や地元区に説明や情報提供を行ったと報告を受けてございます。
 また、私ども東京都といたしましても、地元区と情報交換を行いながら対応したところでございます。

○松葉委員 今回の特例措置は、私が冒頭でも申し上げましたように十月二十一日で終了いたしております。
 そこで、この冬の特例措置の適用について、どのような考え方をお持ちなのか見解を伺いたいと思います。

○中村環境改善部長 この夏の特例措置の適用につきましては、大幅な電力不足に対応するための緊急的な措置として行いました。東京電力はこの特例措置の期間中、二基のガスタービン発電機につきまして、周辺環境に配慮した運転を行ってございます。
 この冬の対応につきましては、まず東京電力は、全体の電力需要や供給力を踏まえまして、都内設置のガスタービン発電機を含めた今後の緊急電源運転の必要性を判断することとなります。
 都といたしましては、東京電力の判断や、国が示す電力需給見通し、東京電力の供給力の状況などを踏まえ、対応してまいります。

○松葉委員 ぜひとも、地元区や、また地元の住民の方々の意見を聞いていただきまして、丁寧に対応していただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、放射性物質の除染に関して伺いたいと思います。
 福島第一原発事故による放射性物質拡散の対応については、東京都は、三月二十三日の金町浄水場の水道水から、乳児向けの飲用基準の約二倍に当たる二百十ベクレルの放射性沃素131が検出された際の、乳幼児に対してのペットボトルの配布ということや、都内百カ所の放射線測定、また放射線測定器の区市町村への貸与、モニタリングポストの新たな設置、ゲルマニウム半導体核種分析装置の購入、食肉市場における肉牛の全頭検査へ向けた取り組みなど、これまでも取り組んでこられております。
 東京都緊急対策二〇一一でも、大きな柱の一つに、放射能の不安から都民や事業者を守るとありまして、取り組みを進めているところであると承知をいたしております。その中で、放射性物質の土壌汚染について、小さなお子様をお持ちのお母様方から心配するお声をたくさんいただいております。
 そこで、除染に関して何点か質問をさせていただきます。
 環境省は、来年一月に全面施行される放射性物質汚染対処特別措置法に基づきまして、十月十日、東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の除染などに関する基本方針案と関連省令案をまとめました。それによりますと、年間被曝線量が一ミリシーベルト以上の地域を除染対象に指定するということであります。
 東京都におきましては、福祉保健局や区市町村が行った調査や、文部科学省が航空モニタリング調査を発表するなど、いろいろなデータが出ております。これらの調査結果を見ると、都内でも区部東部の一部で比較的高いところが見受けられますが、環境局ではどのように考えているのかまず伺います。

○中村環境改善部長 本年八月三十日に放射性物質汚染対処特別措置法が公布されまして、現在、国では検討会を設置し、除染等の詳細に係る検討を進めております。詳細が定まっていない状況のため確定的にはいえませんが、この法では、面的な除染が必要な場合があると考えられる地域を汚染状況重点調査地域として指定することとなっておりまして、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを指定の基準としようとしております。この値を年間に換算すると一ミリシーベルトになります。
 これまでの福祉保健局の調査では、区部東部の一部で一時間当たり〇・二〇マイクロシーベルト以上が計測された地域がございますが、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトには至ってございません。
 また、文部科学省の航空機モニタリング調査の結果からは、ごくわずかに一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを超える箇所が見られる程度でございます。
 比較的線量が低い区域におきましては、放射性物質の物理的減衰及び風雨などの自然的要因によりまして、一定の期間で、追加的被曝線量は年間一ミリシーベルト以下になることが期待できるとされております。
 したがいまして、区部東部につきましては一部で高い区域があるものの、直ちに面的な除染が必要な状況にはないものと考えられます。

○松葉委員 区部東部の、一部、高い地域についてはわかりました。
 一方で、文部科学省の航空機モニタリング調査では、奥多摩山間部の都県境でも比較的高いところがあります。この調査結果から、奥多摩山間部の都県境の方についてはどのように考えているのか伺います。

○中村環境改善部長 ご質問のとおり、文部科学省の航空機モニタリング調査の結果から、奥多摩山間部の都県境に近い一部の地域で一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを超える箇所が見られました。
 国が示しております特別措置法に基づく基本方針案では、土壌等の除染等の措置の対象には、土壌、工作物、道路、河川、湖沼、海岸域、港湾、農用地、森林等が含まれますが、人の健康の保護の観点から必要である地域について、優先的に措置を実施することとされております。
 福祉保健局が先週公表いたしました、奥多摩町と檜原村と共同で行いました調査結果を見ますと、奥多摩町や檜原村の生活圏では、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを超える箇所は確認されておりません。
 したがいまして、奥多摩町や檜原村におきましては、直ちに面的な除染が必要な状況にはないものと考えられます。
 なお、IAEA国際原子力機関が政府に提出した調査結果では、森林地域の除染に多くの時間と努力を投資する前に、より多くの利点がある地域に投資するため、そのような除染が被曝線量の低下に利益があるかどうかを示すべく安全評価が行われるべきであるとの報告がなされております。

○松葉委員 都内では面的な除染は必要ないというご答弁でございますが、やはり都民の皆様の不安というのはぬぐい去れない状況があります。
 特にお子さんをお持ちのお母様、お父様のご心配は、心配してもし切れないというお気持ちでいらっしゃいます。多くの方がみずから測定器で計測し、汚染を探し、その結果、ホットスポット、局所的汚染が見つかっているのが現状だと思います。
 この局所的汚染と、先ほど質疑をいたしました面的汚染というのは、何が異なるのか確認をさせていただきたいと思います。

○中村環境改善部長 面的汚染は放射線に暴露される時間が長くなることから、追加被曝線量が多くなります。
 一方、局所的汚染は、そこに人が滞留する時間が短く、年間を通じての追加被曝線量は面的汚染に比べ少なく、健康への影響は面的汚染よりも少ないと考えられております。また、局所的汚染は一定の距離を置くことで、追加被曝線量は大幅に減衰いたします。
 したがいまして、局所的汚染に関しましては、その場所の状況に応じた対応をすることになると考えられます。

○松葉委員 それでも都内では、局所的に高濃度の放射性物質が見つかったりしておりまして、連日、マスコミの報道もあったところであります。
 国は、局所的汚染の測定ガイドラインというものを公表いたしましたが、このガイドラインの位置づけと特徴を伺います。

○中村環境改善部長 ご質問のガイドラインは、十月二十一日に文部科学省が、当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針を公表した際に、地域住民のニーズに応じて、人、特に子どもの集まる公的スペース等において放射線量を測定し、除染等の対応の必要性の有無を確認する際の参考となるように示されたものでございます。
 このガイドラインの特徴といたしまして、局所的汚染を見つけるためにはかる具体的な測定場所が示されており、雨水が集まるところ及びその出口、植物及びその根元、雨水、泥、土がたまりやすいところ等が例示されております。
 また、測定方法といたしましては、地上一メーターで幾つかの箇所を測定し、周辺より一マイクロシーベルト高い箇所が発見された場合は、文部科学省に連絡することとされております。
 また、その原因となっているポイントを特定するため、地上一センチメーターで測定した後に、再度地上一メーターで測定し、周辺より一マイクロシーベルト高い地点が観測された場合、そこを避ける、あるいは除染を計画することとされております。
 さらに、比較的高い放射線量の原因となっているポイントが特定された場合の対応といたしましては、簡易な除染、具体的には側溝の泥の除去、落ち葉の回収、樹木の剪定、水による洗浄等が示されております。
 あわせて、簡易な除染を実施し、それにより生じる土砂、汚泥等の廃棄物等を一時保管する場合につきましては、まとめて地下に置く方法、山積みする方法等が示されてございます。

○松葉委員 一メートルの高さの測定を基準とするということでありますので、具体的に、例えば今、局所的汚染が発見されております足立区や東村山市が報道されておりますが、この文部科学省のガイドラインの測定方法で示された地上一メートルで測定した数値というと、どうなるのか伺います。

○中村環境改善部長 足立区で確認されました一時間当たり三・九九マイクロシーベルトは地上五センチメーターでの計測値でございまして、地上一メーターでの計測値は一時間当たり〇・二四マイクロシーベルトでございました。
 また、東村山市の事例では、U字溝内部での計測値が一時間当たり二・一五マイクロシーベルトであったものが、地上一メーターでの計測値は、一時間当たり〇・五七マイクロシーベルトでございました。

○松葉委員 これは私の意見でありますけれども、放射能に対する感受性が強いといわれるのは子どもたちであります。地表面から、より粉じん等の影響を受ける可能性もあると思います。一メートルの高さの測定を基準としたガイドラインに沿った対応ということになるのでしょうけれども、子どもたちの生活に近い場所でホットスポットが見つかった場合、除染の考え方は、より安心していただける対応をしていただきたいというふうに考えております。
 今後、東京都として、除染についての取り組みについて、積極的に区市町村を支援していく必要があると思いますが、どうでしょうか。

○中村環境改善部長 これまで区市町村が独自に調査し除染を行ってきましたが、国によりまして測定評価の方法が示されたことで、区市町村においては統一的に判断が可能となった点は評価されるべきと考えます。都は、除染の実施主体である区市町村に直ちにお知らせしたところでございまして、区市町村が文部科学省に報告する場合には、都にも連絡いただくようお願いしてございます。
 都は、各区市町村の取り組みを把握することで、都内区市町村での取り組みが情報共有できるよう努めてまいります。また、特別措置法につきましては、今後も国の動向を注視し、地元の意向も確認しながら的確に対応してまいります。

○松葉委員 やはり国の方針が出る時期というのは非常に遅いと。本当に私は憤っております。
 その中で、区市町村は、地域の住民の方々から不安のお声がありまして、それを受けとめながら対応を求められているといった現状が続いてまいりました。そういった中で、除染についても、東京都がしっかりと区市町村を支援しながら対応していただきたいということを要望いたしておきます。
 最後に、緑施策について質問をいたします。
 初めに、東京の緑の現状について何点か質問をさせていただきます。
 東京の環境二〇一一によりますと、平成二十年のみどり率は、区部で一九・六%、多摩で六七・四%、都内全域で五〇・七%となっております。そして平成十五年から五年間の変化を見ますと、区部でほぼ横ばいでありますけれども、多摩部では約二ポイントの減と、減少傾向が続いております。
 そこで、このみどり率はいつからどのように把握しているのか伺いますとともに、過去の計画においてどのように位置づけられていたのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 みどり率の把握は平成十年から開始しておりまして、その後、五年ごとに調査を行っております。
 なお、平成十年のみどり率は、当時の技術的な限界から、衛星画像の判読による手法を用いて把握しておりまして、デジタル航空写真を判読した平成十五年、平成二十年の調査と比べ、画像の精度が劣っております。このため、平成十年の数値とその後の調査の数値をそのまま比較することはできません。
 また、過去の計画におけるみどり率の位置づけでありますが、平成十二年に策定した緑の東京計画では、平成十年のみどり率をもとに、平成二十七年における目標値を区部で約三二%、多摩部で約八〇%と設定しておりました。
 しかしながら緑の東京計画は、先ほどの平成十年のみどり率を基礎としていることから、その目標値と実績値を単純に比較することはできません。デジタル航空写真を活用したみどり率の調査手法が定着し、画像判読の精度が向上したことから、みどり率の調査結果を分析し、今後の緑施策の展開に役立てていく予定でございます。

○松葉委員 ただいま、みどり率の調査開始時点と、過去の計画における位置づけについてご答弁いただきましたけれども、平成十五年からの五年間の変化を見ますと、特に多摩部では、宅地造成などの開発による、樹林や農用地の減少傾向がうかがえます。
 それでは、こうした緑の減少傾向に対しまして、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、ご指摘のあった緑の減少傾向を踏まえ、新たな緑を創出するため、既に平成十九年度から緑の東京十年プロジェクトを展開し、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化などの取り組みを進めてまいりました。
 街路樹を百万本に倍増すること、また千ヘクタールの緑を新たに創出することを目標に、平成二十二年度までの四年間で街路樹を十九万本ふやすとともに、四百二十七ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 なお、緑の東京十年プロジェクトは平成十九年度から開始したため、その成果は平成二十年のみどり率にはほとんど反映されておらず、今後のみどり率の改善に寄与すると考えております。

○松葉委員 緑の東京十年プロジェクトに基づくこれまでの取り組みということを伺いましたけれども、引き続き、この緑の東京十年プロジェクトを推進していただきまして、新たな緑の創出に努めていただきたいと思います。
 ところで、緑の指標としては、一般的に緑被率で示されるということが多いと思いますけれども、このみどり率と緑被率の違いは何なのか。
 また、なぜ都はみどり率を採用しているのか、改めてお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 緑被率は、緑が地表を覆う部分が地域全体に占める割合をいい、みどり率は、緑被部分の面積に、公園内の緑で覆われていない区域と水面を加えた面積が地域全体に占める割合をいいます。
 平成二十年のみどり率では、河川等の水面の占める割合が二・四%、公園内の緑で覆われていない面積の割合が一・一%となっております。
 都がみどり率を採用する理由についてでありますが、緑には、生物の生存基盤、潤いや安らぎ、防災、都市環境の改善という多面的な機能があります。こうした多面的機能は、樹林や草地などの緑に覆われた地表だけではなく、緑に覆われていない部分も含めた公園全体や、河川等の水面においても発揮されております。このため都では、公園内の緑に覆われていない部分や、河川などの水面の面積を加えた指標であるみどり率を採用しております。
 都は、今回、明らかになったみどり率も踏まえ、緑の量の確保に取り組むとともに、先ほどの緑の多面的な機能を十二分に発揮できるように、緑の質にも着目した対策を進めてまいります。

○松葉委員 みどり率と緑被率の違いということや、都がみどり率を採用しているという理由につきまして答弁をいただきました。
 改めて東京の環境二〇一一を見ますと、平成十五年からの五年間の変化におけるみどり率の増減要因につきましては、樹林や草地や農用地が、宅地造成などの開発により減少しているというふうに分析がされております。
 そこで、これまで都は、こうした開発による緑の減少に対し、どのように取り組んできたのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、自然保護条例に基づく開発許可制度を通じ、自然地を含む土地を対象とする一定規模以上の開発行為に対し、一定割合の緑地面積の確保を義務づけております。また同じく、条例に基づく緑化計画書制度を通じ、一定規模以上の土地における建築物の新築、増改築に当たり、緑化計画書の提出を義務づけております。
 こうした取り組みを通じて、開発行為における緑の確保、創出を誘導しております。

○松葉委員 さまざまな取り組みをされているということは理解をいたしました。
 緑の量をふやすこと、拡大は必要でありまして、緑化の推進の手を緩めてはならないと考えます。さらなる取り組みを要望いたします。その上で、緑の質を確保する視点も重要となってくると考えます。
 我が党は、斉藤議員の一般質問や、予算特別委員会におきましても、大都市東京における生物多様性の取り組みを推進する立場から質問を行ってまいりました。
 そこで本日は、生物多様性の取り組みを具体的に進める手法について伺いたいと思います。
 先般の新聞報道によりますと、環境局が開発許可制度の運用で、より質の高い緑を確保するため、生態系評価手法の導入に関する情報収集に乗り出すとの記事が掲載されています。これによりますと、海外の環境アセスメントで導入が進む生態系評価手法の情報を集め、文献資料の分析も行い、その成果を都の政策判断に生かすとしております。
 そこで、まず、今回の調査の対象である生態系評価手法とはどのような手法であるのかということを伺いますとともに、今回の調査を通じて、都はどのような成果を得ようとしているのかについて伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 生態系評価手法は、アメリカ、EU、オーストラリアなどの環境アセスメントで実用化されている手法であり、これまで面積という量的な側面でしか把握できなかった自然環境を、そこに生息、生育する動植物の種類など、質の側面から数値化する手法であります。この手法によって、開発前の自然環境と開発行為がもたらす影響の双方について定量的な評価が可能となっています。
 これにより、自然環境の質の評価については、例えば樹木の本数だけではなく、その種類やあるいは外来種の侵入状況などについて評価の軸を設定し、数値化を図る手法を検討してまいります。今回の調査では、海外の生態系評価手法の現状と課題を整理するとともに、開発許可制度の運用において、生態系評価手法を活用する場合の有用性や課題を検証していきます。
 このような取り組みを通じまして、希少動植物の保全や周辺地域の生態系への配慮など、開発行為における生物多様性の保全に向けた具体策の検討に役立ててまいります。

○松葉委員 今回の生態系評価手法の調査を通じ、多くの成果が得られることを期待いたしております。
 東京は大都市でありながら、奥多摩の森林や小笠原の海まで豊かな自然に恵まれている一方、都心部にも、皇居や新宿御苑など大規模な緑地が存在いたしております。こうした空間は、多様な生き物が生息、生育する場所となっておりますほか、都市に暮らす私たちに、潤いや安らぎ、都市環境の改善、防災面での効果など、多面的な効果をもたらしております。
 一方、東京は、世界じゅうの食料や物資を大量に消費する都市でもありまして、私たちの暮らしや企業の活動は、すべて、世界じゅうの広範な地域にまたがる生物多様性によって支えられているといっても過言ではありません。
 こうした大都市東京における生物多様性の意義を踏まえまして、改めて、都独自の生物多様性地域戦略を策定すべきと考えますが、大野局長に見解を伺いたいと思います。

○大野環境局長 東京は世界有数の経済規模を誇る大都市でありますが、お話のように、その都市活動は国内のみならず、世界各地からの自然資源によって支えられております。このように、地球規模の多様な自然の恩恵を受けている東京が生物多様性の取り組みを進めること、この意義は極めて大きいと考えております。
 一方、東京自体の自然も都民の憩いの場でありますし、また多様な生き物が生息、生育する空間であり、さらには防災拠点としての意義を持っております。そういう意味で、都民の暮らしともさまざまなかかわりを持っております。
 現在、環境審議会では、東日本大震災の後の新たな局面を踏まえた環境施策などを検討しておりますが、その中でも、今回の震災によって東京のイメージ、日本のイメージが非常に大きく損なわれてしまったというようなご指摘もいただいております。
 東京を豊かな緑空間、多様な生物が生息できる環境にすることは、そういう意味で、東京のイメージを回復する上でも非常に大きな意味があろうかと思っております。この議論の中では、緑の量とともに質を確保する対策の重要性についても、どう強化していくかについても、議論が行われています。
 今後、環境審議会の議論も踏まえまして、緑の質と量の両面から施策を進化させるべく、新たな目標を設定して、都の生物多様性地域戦略としての役割も持つ緑施策の新たな方向性を、今年度じゅうに取りまとめてまいりたいと思っております。

○松葉委員 ただいま大野局長より、生物多様性地域戦略の性格も備えた緑施策の新たな方向性を年度内に取りまとめるとの答弁をいただきました。
 世界有数の都市でありながら、豊かな自然をたたえる東京の地域特性を踏まえた、東京ならではの緑施策の方向性を示していただくよう期待をいたしまして質問を終わります。

○かち委員 私からも、東京の緑施策についてと、放射線汚染問題についてお聞きいたします。
 まず、地球温暖化、ヒートアイランドは、世界の気象環境にも大きく影響を及ぼし、この日本での長時間集中豪雨や台風の進路をも変えつつあります。そして、東京も着実にヒートアップしているということが、いただいた資料の一ページからもうかがえます。特に、夜間の温度が下がらず、寝苦しい夜が年々ふえています。
 こうした中で、都市を冷やしてヒートアイランドを食いとめる、その対策として大きく貢献しているのが東京の緑です。このみどり率の増加に対する環境局の取り組みについてお聞きしたいと思います。
 先ほどもご質疑がありましたけれども、東京都は平成十年からみどり率という考え方に基づいて五年ごとに調査をしてまいりまして、直近では平成二十年ということです。先ほどのご答弁で、調査の仕方が違うので単純な比較はできないというものの、出ている数字を見るしか私たちにはありませんので、それを比較しますと、平成十年で二八・六%、平成二十年で一九・六%、十年間で九%の減です。多摩では、七九・九%が六七・四%と、一二%の減となっております。
 単純比較はできないとしても、かなりの緑の減少状況で、これをどのように環境局として認識しているのか。また、目標達成のためにどのような具体的な対策をとられているのかお聞きします。

○谷上緑施策推進担当部長 先ほど申し上げましたとおり、平成十年のみどり率は、当時の技術的な限界から、衛星画像の判読による調査でありまして、デジタル航空写真を判読した平成十五年、二十年の調査と比べまして精度が劣っております。このため、平成十年の数値とその後の調査の数値は、そのまま単純に比較することはできません。
 また、緑の東京計画で定めました平成二十七年度におけるみどり率の目標値につきましても、先ほどの平成十年のみどり率が基礎となっておりますことから、この計画の目標値と実績値との比較は単純に行うことはできません。
 次に、平成十五年から五年間のみどり率の変化を見ますと、区部ではほぼ横ばいとなっておりますが、多摩では約二ポイントの減と、減少傾向が続いていると認識しております。都は緑の減少傾向を踏まえ、新たな緑を創出するため、既に平成十九年度から緑の東京十年プロジェクトを展開し、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化などの取り組みを進め、平成二十二年度までの四年間で街路樹を十九万本ふやすとともに四百二十七ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 なお、緑の東京十年プロジェクトは平成十九年度から開始したため、その成果は平成二十年のみどり率にはほとんど反映されておらず、今後のみどり率の改善に寄与すると考えております。

○かち委員 お聞きしていると、平成十年とは調査方法が違うので単純に比較できない、また、平成二十七年の目標値は平成十年を基礎にしているので、実績値と目標値の比較は困難だなどとおっしゃっていますけれども、それでは、どれだけの誤差率があるのかということも出さなければならないんじゃないでしょうか。
 違う、困難だなどといっていますけれども、皆さんが掲げた目標が、二十七年度の三二%、八〇%維持です。これがどういう位置づけになっているのか、もう目標値は掲げないということなんですか。
 私は、調査方法が違うというなら補正をするなりして、実態を正確に認識できる数字、そして目標を明らかにすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 先ほども述べましたとおり、都は、全庁横断的な緑の東京十年プロジェクトの推進や開発許可制度、緑化計画書制度の強化など、現存する緑の保全と新たな緑の創出に向けたさまざまな取り組みを展開中でありまして、過去の計画に基づいた施策を進めるべきとの主張は意味のあるものとは考えておりません。
 先ほど答弁したとおり、今後、環境審議会での議論も踏まえ、緑の質と量の両面から施策を進化させるべく、新たな目標を設定し、新たな緑施策の方向性を取りまとめていきます。

○かち委員 みどり率については今は単純比較はできないから、年度内ですか、新しい緑の目標値を設定するということでよろしいんですね--はい。
 確かに、平成十年までは緑被率ということで、樹木や草地などに覆われた比率で算出していました。しかし、今はみどり率ということで、河川等の水面の占める割合と、公園内の緑で覆われていない面積の割合を含んだということで考え方を変えました。調査方法も、厳密に実態を反映するものにしたことは重要だと思います。確かに水面も、周辺の温度を下げたり自然環境を生かす上で、大事な要素であると思います。
 先ほど質疑にありましたが、みどり率の中で、河川等の水面の占める割合は二・四%、公園内で緑に覆われていない面積は一・一%ということでしたけれども、河川や湖沼などは経年的にそんなに増減する対象ではないと思うんですが、その減少率というのはどのぐらいでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 平成十五年と平成二十年を比較しますと、河川等の水面については四%程度面積が減少しております。また、公園内の非緑被地は一一・八%増加しております。

○かち委員 公園内の非緑被地が一一・八%はふえているけれども、河川面が四%、五年間で減っているという、その要因は何でしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 これは、平成十五年と平成二十年のデジタル航空写真の画像判読を客観的に行った結果、数値の変動が生じたものでございますが、変動の理由については詳細は承知していませんけれども、推測いたしますに、降雨等の状況による水量の変化などの要因もあると考えております。

○かち委員 詳細ははっきりしていないと。そこはぜひ分析をしていただきたいと思います。
 雨が降ったりして変化があるということですが、四%というのは、さっきの二%、三%という話の中では随分大きな変化要素になってしまいますので、そこはきちんと分析していただきたいというふうに思います。
 「十年後の東京」実行プログラム二〇一一では、緑化増進のために、公立小中学校の校庭の芝生化を三年間で五十ヘクタール、都立学校の校庭を八ヘクタールふやし、街路樹を二十万本ふやして八十八万本にするとか、都市公園の開園を百五十ヘクタールふやすなどを掲げて、これらを進めていますけれども、減る緑を食いとめる対策がないと、みどり率をふやすことは困難です。都市化が進んだ中でも、その空間のすき間を活用して緑をふやすことも重要です。
 実行プログラムでは、都市開発による諸制度で四十五ヘクタール、都有地施設緑化で二十四ヘクタール、企業等の自主的緑化で十五ヘクタールなどとなっていますが、まず都有地施設の緑化を三年間で二十四ヘクタールを目標としていますけれども、その中の一つが、建てかえをする都営住宅などを対象にしているとのことです。
 年間、限られた戸数でしかない屋上緑化は、直接的にヒートアイランドの抑制効果もかなりあります。都営住宅などの最上階では、かなり暑い、これを何とかしてほしいという訴えもされております。既存の公営住宅の屋上にも緑化対策を推進すれば、緑化効果を一層もたらすと思います。
 区市町村への支援で、公営住宅の屋上緑化を促進することを求めますけれども、いかがでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 都市における緑化は、都と区市町村がそれぞれの役割に基づき推進しているところでございます。
 区市町村の公営住宅の屋上緑化につきましては、事業主体の区市町村が進めるべきものであり、都が助成を行うことは今のところ考えておりません。

○かち委員 公立小中学校の芝生化については、環境局としても位置づけて市町村支援をやっているわけですから、そういう位置づけをすればできることだと思いますので、ぜひご検討をしていただきたいというふうに思います。芝生化はCO2削減効果はそれほど期待はできませんけれども、雨水の保水力を高め、加熱するアスファルトに比べ地表熱をクールダウンする効果があります。
 ヒートアイランドの抑制という点では、駐車場などの空間の芝生化も有効です。都立公園や都立施設の駐車場の芝生化とともに、民有地の芝生化も促進すべきと思いますが、局としてどのような具体策をとられているでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 民有地の芝生化につきましては、既存の緑化計画書制度等により事業者みずから行うことが原則となっております。
 都はヒートアイランド対策の一環として、平成二十一年度に駐車場緑化ガイドラインを作成いたしまして、ヒートアイランド現象の緩和について、芝生等を含む駐車場緑化の機能をわかりやすく示しております。
 都はこのガイドラインを活用し、平成二十二年度に民間事業者向けの説明会を開催するなど、駐車場の緑化につきましては普及啓発に取り組んでいるところでございます。

○かち委員 民間駐車場については、ガイドラインをつくって普及啓発に取り組んでおられるということでしたけれども、しかし、まだほとんど広がっているとはいいがたい状況です。
 明治大学農学部農学科教授の輿水肇氏はこんなことをいっていらっしゃいました--ヒートアイランド抑制は、加熱した都心部から離れた広大な敷地に緑を確保するということよりも、都市部の中で、ちょっとした空地などを小まめに緑化していくことの方が効果的だといわれていました。
 その意味で、まちの中のスーパーやファミレスや、あるいは事業所などの民間事業所の駐車場を含め、芝生化促進のための実効性のある誘導策を求めておきます。
 緑減少の最大の問題は、都市再生という名のもとで、再開発や多摩地域の開発によって宅地化が進んでいることでございます。民間の都市開発では容積率の割り増しなどによる誘導策で緑化を進めていますが、基準を緩めるのではなく、義務づけるぐらいにしなければ緑はふえていかない、現に、一方でふやしているのに失われている緑の方が多いというのが現状です。
 自然保護条例によって、一定規模以上の建築行為等に、屋上緑化、宅地内緑化を義務づけることになっておりますが、平成二十一年度には緑化基準が改定されたわけですけれども、従来の開発に伴う緑化基準が、一千平米以上について一般設計と総合設計の二区分で、空地の二〇から三〇%を確保することになっていたものですが、新しく改定されたものでは、一般設計では、五千平米以上と一千から五千平米の二つで、二五%、二〇%に、総合設計では、同じく三五%、三〇%に改定されました。五平方キロメートル以上の三区分にふやし、それぞれ空地の三〇から三五%を緑化することを基準としていますけれども、これはどの程度の拘束力を持つものなのか、あるいは罰則を伴う義務づけなのか、お聞きします。

○谷上緑施策推進担当部長 自然保護条例に基づく緑化計画書制度は、建築物の新築、改築、増築等を行う場合に緑化計画書の提出を義務づける仕組みでございます。
 緑化計画書制度では、事業者が作成する緑化計画書に敷地面積の一定割合の緑化を行うよう指導していますが、この指導に従わない場合の自然保護条例上の罰則規定はございません。

○かち委員 緑化計画書提出は一応義務になっているけれども、あくまでも、その緑を確保するのは努力義務だということなんですね。しかも敷地内の空地の何%であって、敷地に対する割合ではないということです。
 ですから、一千平方メートルの敷地を開発しようとしたとき、建ぺい率は、例えば防火地域であったり耐火構造であったりすれば、二〇%の割り増しがつきます。ですから、敷地の八割に建物を建てることができ、残った二割の空地の二〇%を緑化するだけでよくなります。本来の緑化面積の半分で済むことになってしまうんです。
 こういう規制緩和とセットで進める限り、必要な緑をふやすことは甚だ困難です。自然保護条例の緑化率の基準をもっと引き上げるとともに、より実効性のある義務化が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 緑化計画書制度に基づきます緑化完了届、これを提出いただきますが、提出後の事例を確認いたしましたところ、ほとんどの事例で計画書どおりの緑化が行われておりまして、こうしたことから、現行の緑化計画書制度は、開発行為における緑化に効果を上げていると考えております。
 また、緑化計画書制度における緑化基準の強化を行った際、対象案件の分析を行いましたところ、敷地面積が五千平米以上の大規模な案件につきましては、件数としては全体の四分の一でありながら、創出された緑化面積は全体の約九割を占めておりました。
 このような分析からもわかるように、大規模な開発案件がほとんどの緑を創出していることがわかります。

○かち委員 今の制度としてこういう規制緩和があるということからして、緑化を要する面積比率をもっと高めるという基準の見直しを、ぜひ求めておきます。
 そして今必要なことは、つくる緑とともに、ある緑を守り、いかに保全していくかということです。環境局としては、保全地域の公有化対策を市長会環境部会からも要請されているように、多摩川沿いの崖線樹林についての指定と公有化、市としての樹林地等の保全に対する補助制度の創設等に積極的にこたえ、緑をふやし守るために、そのリーダーシップを発揮されることを強く求めておきたいと思います。
 次に、放射線汚染対策について伺います。先ほどもご質疑がありましたけれども、三月の東電福島原発の事故以来、この東京でも放射能汚染の問題が深刻になっています。
 既に七カ月以上が経過しているにもかかわらず、放射能汚染問題は解決するどころか、その拡散の事態や、ホットスポットにおける放射線量の濃度の高さが、この東京都内でも、至るところで一マイクロシーベルトを超えるような驚くべき数値が次々と明らかにされています。
 放射線各種についても、今はセシウムさえチェックしていれば大丈夫だとか、ストロンチウムは重いので遠くへは飛ばないから問題ないなどといわれてきましたが、しかし現実には、東京を越えて横浜市でストロンチウムが検出されたり、福島から三百キロ以上離れた小田原で茶葉からセシウムが検出されたりしている事態からして、今、国民は相当広域的に放射能汚染を浴びている事態を免れません。また国から、原発事故発生時に放出された放射線各種のすべての線量がどのぐらいなのか、いまだに明らかにされていません。このことが一層不安と不審を大きくしているのです。
 都内の子どもたちの健康にも異変が起きています。区部の二人のお子さんの尿からセシウムが微量ながら検出されたり、都内の子どもたちの中では、原発事故以来、春から夏にかけて、鼻出血の量と回数がふえた、あるいは下痢が続くなど、見過ごせない症状の子どもがふえているという訴えもあります。これらを、低線量被曝の急性期症状だという専門家もおります。
 いずれにしても、原発事故による大量の放射線放出は、私たちの健康や環境に多大な負荷をもたらしており、緊急的、また今後も長期にわたって、対策、対応が迫られる重大課題となっているのです。国はこうした対応に大きく遅れてきたものの、ようやく十月二十一日には、当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針というガイドラインを、内閣府、文部科学省、そして環境省の連名で出されました。
 そこで、まず環境局としては、この問題にどの分野でどのようなかかわり方をしているのかお聞きします。

○中村環境改善部長 除染についてでございますけれども、放射性物質汚染対処特別措置法につきましては、現在、国で除染等の詳細に係る検討を進めてございます。
 都には、汚染状況重点調査地域の指定に当たりまして、国との協議など都道府県としての役割がございます。また局所的汚染につきましては、文部科学省の局所的汚染に関するガイドラインを除染の実施主体である区市町村にお知らせしたり、都内区市町村の情報を集約するなど、情報共有できるようにしていく役割がございます。

○かち委員 新しい問題が降ってわいてきて、東京都政として全体で放射線汚染問題をどう対処していくのか、どういう方針を持ってやるのかというのが、まだきちんと明確に出されていないと思うんです。各局ごとにこの問題に対応しながら、非常に困惑しているのが現状だとは思うんです。
 しかし、一番大変なのは最も身近な区市町村で、目の前に、お母さんやお子さんたちのそういういろいろな情報、困難があるわけです。ですから、上から方針が出されないまでも、みずから動き出さざるを得ないということで、測定器を購入したり、測定したりと、いろいろと動き出しているのが現状です。
 そういう区市町村の動きに対し、環境局として何らかの支援策をとっていただきたいというのが本当に私の切実な思いなんです。
 文部科学省が公表した局所的汚染の測定ガイドラインでは、その判定基準を、周辺より一マイクロシーベルト毎時となっています。今、区市町村が独自に設定している判定基準と比較しても、余りに乖離していると思います。
 この乖離を都はどのように判断しているのでしょうか。一マイクロシーベルト以下では除染をしなくてもいいということなのでしょうか。

○中村環境改善部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、面的汚染は放射線に暴露される時間が長くなることから、追加被曝線量が多くなります。
 一方、局所的汚染は、そこに人が滞留する時間が短く、年間を通じての追加被曝線量は面的汚染に比べ少なく、健康への影響は面的汚染よりも少ないと考えられております。また、局所的汚染は、一定の距離を置くことで追加被曝線量は大幅に減少いたします。したがいまして、局所的汚染に関しては、その場、その状況に応じた対応をすることとなると考えられます。
 文部科学省は、局所的汚染を発見する際の目安として、一時間当たり一マイクロシーベルトを設定したと聞いております。なお、文部科学省は、区市町村等が地域住民のニーズに応じて放射線量を測定するに際して参考となるよう、ガイドラインを取りまとめてございます。

○かち委員 国の考え方を今ご説明いただいたんです。だけど、区市町村で、今、対応しているやり方とは随分乖離がある、そのことに対して都としてはどういうふうにお考えになっているかというのを聞きたいんですけれども。

○中村環境改善部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、局所的汚染は面的汚染に比べると追加被曝量が非常に少ないということで、その場所に応じた対応をすることが重要になってまいります。
 文部科学省が出した基準は局所的汚染を発見する際の目安ということで、私どもは、共通した基準が出たことは評価できるものと考えております。

○かち委員 被曝線量については、いわゆる閾値というのはなく、低ければ低いほどいいというのが専門家の見解です。
 国の基準でも年間一ミリシーベルト以下を目指すということになっているわけですから、そこから換算して、都内の各自治体では独自の基準を設定し、足立区などでは毎時〇・二五マイクロシーベルト以上なら除染をすると。あるいは東村山市では毎時〇・一九マイクロシーベルトを超えれば除染をするということで動き出しているんです。二次汚染は大したことないからというようなニュアンスでしたけれども、(「そんなこといってないよ」と呼ぶ者あり)いや、だから除染の対象にはしていないということなんですけれども、しかし、子どもたちは本当にその場で生活をしているんですよ。
 ある保育園などでは、滑り台の下が異常に高くて、それこそ一マイクロシーベルトを超えるような状況もありました。それから雨どいの下、私たちは八月末にそれをはかったんですけれども、かなりの高線量が示されたんです。保育園などでは、子どもたちの中でも乳幼児がいるんです。その乳幼児はもう外をはいはいしたり、それから土をなめちゃったり、寝転んだり、いろんなことを--それは生活圏が本当にもう五十センチ程度のものなんです。そういう実態、場所、状況、そういうものを判断しないで、一律に一メートルの地点での測定値でよいというのは、やっぱり実態を見ていないんじゃないかというふうに思います。
 そこで、国の基準に任せるのではなく、都として独自基準を持つべきだと思うんです。そして側溝や水のたまりやすいところ、ミニホットスポットになりやすい場所など、公有地、民有地を含めて除染のためのマニュアルを作成し、区市町村と連携して必要な除染を行うべきですけれども、いかがでしょうか。

○中村環境改善部長 先ほど来、申し上げているように、十月二十一日に、文部科学省は局所的汚染の測定ガイドラインを公表いたしております。
 都は除染の実施主体である区市町村に直ちにお知らせしたところでございまして、区市町村が文部科学省に報告する場合には、都にも連絡いただくようお願いをしているところでございます。
 都は各区市町村の取り組みを把握することで、都内区市町村での取り組みを情報共有できるよう努めてまいります。

○かち委員 結局、都はこの問題で独自の対策に動くというよりも、区市町村と協力するという考えはなくて、情報収集と提供だということなんですね。しかし、東京の環境、子どもたちの命にかかわる問題なので、ぜひ具体的に動き出してほしい、マニュアルをつくってほしいというふうに思います。
 各地で除染してかき集めた土壌などはどこに運び出すのか、どう対処すべきか、対策指針を早急に出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○中村環境改善部長 文部科学省のガイドラインでは、周辺より一時間当たり一マイクロシーベルト高い箇所が発見され、その原因となっているポイントを特定した場合、そこを避ける、あるいは除染を計画することとしております。
 除染を行う場合には簡易な除染を、具体的には側溝の泥の除去等が示されております。あわせて、簡易な除染を実施し、それにより生じる土砂、汚泥等の廃棄物等を一時保管する場所につきましては、まとめて地下に置く方法、山積みする方法等が示されておりまして、かき集めた土壌などを搬出することは想定してございません。

○かち委員 ガイドラインが出るまでもなく、各自治体では既に除染し、敷地内の隅に集めてビニールシートをかぶせたり、穴を掘って埋めたりしていますけれども、それはとりあえずの対処です。その後、いつまでこの状態で置いておけばいいのか。経年変化のうちに風雨にさらされ、その山が崩れたり、土砂がしみ出したりしたらどうするのか。そういうきちんとした対策が示されるべきだと思うんです。
 落ち葉を含め、日常の一般ごみは集められ、焼却して、最終的に中央防波堤に埋め立てられるわけです。その焼却過程で出ている放射能汚染の排ガスは、バグフィルターなどでろ過されて排出されているわけですけれども、現在、下水道汚泥の焼却、一般ごみの焼却、民間産業廃棄物取り扱いの焼却炉など、五十カ所もの焼却施設から排ガスが排出されています。
 今回、新たに民間焼却場での、被災地の岩手、宮城の瓦れき焼却で大量に放射性物質を含む焼却が行われることになり、排ガスからの二次汚染を心配する都民の声も高まっているのも当然です。民間産業廃棄物事業者を含め、焼却炉での煙突の中で捕捉された放射性物質を含んだバグフィルターなどをどのように処理されているのでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 研究者の調査に基づき策定いたしました国の処理方針によりますと、ダイオキシン類対策の観点から設置いたしました活性炭吹き込み装置のついたバグフィルターなど、十分な能力を有する排ガス処理装置を有する処理施設では、放射性物質が拡散することがないとされております。
 都内の廃棄物焼却施設に設置されておりますバグフィルターの使用済みろ布については、みずからの焼却施設、またはこうした排ガス処理装置が設置された特別管理産業廃棄物処理業者の施設において、適正に焼却または溶融処理されております。
 都内の清掃工場での排ガス測定結果では、いずれも放射性物質は検出されておらず、放射性物質が拡散しているという事実はございません。

○かち委員 排ガスが出ていくときには不検出というのは、私もデータで見ておりますけれども、そこで捕捉されたものがバグフィルターの袋の中に入っているわけですよね。その袋をどう処理しているのかというのをお聞きしたんです。特別管理産業廃棄物処理業者の施設で適切に処理されているということでしたけれども、放射性物質を含む産業廃棄物の処理能力を検証したものではありませんよね。
 大体、日本の原発は、事故を起こさないという安全神話に裏打ちされてきた経過があって、放射能汚染などは想定していないわけです。現に、特別管理産業廃棄物処理業者の取扱廃棄物には、感染性の高いものとかダイオキシン、アスベストなどはありますけれども、放射性物質については明示されておりません。こういうことも含めて安全性を確認し、都民に明らかにすべきだと思います。
 中央防波堤埋立地には、一般ごみの焼却灰、上水汚泥、下水汚泥の混練り灰とともに、八千ベクレル以上の一般ごみ焼却灰中間処理、それから多摩地域の下水汚泥の焼却灰、それに加えて被災地からの瓦れきの焼却灰と不燃ごみの受け入れということになり、それぞれ基準以下とはいえ、絶対量で日々放射線量が着実に積み重なっているわけです。
 下水汚泥だけを見ても、焼却灰、いわゆる混練り灰ですけれども、それは現在三千ベクレルが百トンですので、三億ベクレルと。三千ベクレルというのはつい最近のことで、今までは四万ベクレルとか一万ベクレル出ているものが、あの中央防波堤に埋め立てられていたんです。三千ベクレルとしても、一日三億ベクレルのものが毎日運び込まれていて、年間にすれば八百八十億ベクレルがたまっているわけです。それで、汚泥は年間三万トン。こういう放射性汚泥焼却灰が積み重なっているという状況です。
 中央防波堤にはそれぞれの埋立地があって、環境局としてそれぞれの近接地で、地表一メートル五十センチの高さで空中線量を測定しています。それを見ますと、上水汚泥の埋め立てという、飲む水の汚泥の埋め立てのB地区というのがあるんですが、B地区では既に埋め立てが終了しているんですけれども、最近のデータの傾向を見ますと、にもかかわらずデータは上がりつつあるという状況があります。そしてそのB地区の中心部がそういうふうになっています。
 また、下水汚泥の埋立地の六点か八点を調べていますけれども、ある一点で、つい最近まで〇・五五とか〇・四五とか、かなり高目の空間線量が出ておりました。こういう事態についてどのようにお考えでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 使用済みのろ布を焼却した後は、それが灰となりまして、埋立処分をいたします。
 国の処理方針では、埋め立てる廃棄物の放射性セシウム濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下であれば、埋立作業者が受ける線量が年間一ミリシーベルトを下回るとされております。
 また、十万ベクレル以下という数値でありますれば、埋立処分場の跡地を居住等の用途に供しないこととした上で、跡地周辺住民の受ける線量が年間十マイクロシーベルトを下回る濃度と、低いレベルになるというふうに設定されたものでございます。
 都では、処分場内の空間放射線量率、及び排水処理場の処理水等の放射性物質濃度を毎週測定しております。これにより、処分場周辺への影響及び処分場作業従事者の安全を確認しております。また、放射線の影響を避けるためには、放射線源から距離をとることや、覆土などで遮へいすることが有効でございます。
 都の埋立処分場は周辺施設から十分離れており、一般の方は立ち入りできない場所であることや、頻繁に覆土を行っていることから、住民の健康、安全上の問題はございません。

○かち委員 当面、住民に安全上の問題はないということでしたけれども、当面は空間線量測定で監視、管理していくとしても、地中に蓄積され続ける放射能汚染土壌が今後どのような影響を与えることになるのか。また、直下型の巨大地震や津波が襲ったときに放射能汚染土壌の液状化や亀裂が生じたらどうなるのか。
 これだけの放射能汚染物質の埋め立てが環境にどのような影響をもたらすのか、リスク想定と対策を示していくことが重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 先ほど申し上げましたように、埋立地におきまして、空間放射線量率あるいは排水の測定等を行っております。このデータに基づきまして、必要な対策をとってまいります。

○かち委員 当面の状況管理だけではなくて、どんなことが起きても大丈夫という対策が今こそ必要だということを私はいいたいわけです。ぜひ、リスク想定に基づいた環境影響を調べていただきたいと思います。
 これまでに経験のない課題が迫っているわけです。緊急対策とともに、長期的な対策も計画的に取り入れて取り組んでいただきたい。各局ばらばらではなく、放射能対策本部を設置して、都民の命と健康を守るための都としての対策を、迅速、強力に推進することを強く求めて質問を終わります。

○上野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十二分開議

○上野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○尾崎委員 私は建設廃材の利用拡大方策について、まず最初にお伺いをいたします。
 東京都において、民間解体工事や公共工事等に伴って大量のコンクリート塊が発生をしております。ちなみに、国交省の平成二十年度建設副産物実態調査の建設廃棄物内訳によると、全建設廃棄物は六千三百八十万トンですが、そのうちコンクリート塊が三千百三十万トンと、ほぼ五〇%を占めております。
 このコンクリート塊は建設リサイクル法で、特定建設資材としての分別解体、再資源化が義務づけられておるのはご承知かと思います。これらのコンクリート塊は、建設廃棄物協同組合の調査によるとほぼ一〇〇%に近いリサイクル率となっており、再生砕石として、道路の路盤材等に利用されているようであります。
 ただ、ここに来て新たな問題が出ております。一つは古いビルなどの建てかえなど、民間解体工事に伴うコンクリート塊の大量発生と、これまでリサイクル品としての再生砕石の受け皿需要としての公共施設、基盤整備事業の、全体的な減少に伴う需要縮小により、再生砕石が余りぎみになっていることであります。
 特に、羽田の拡張工事が完了したことによって、この問題は顕在化をしてきております。ちなみに都内の建設廃材処理業者の敷地には、このような再利用されない再生砕石が、今もう山のように積まれておりまして、早急な対策が必要かと思われます。
 現在、この再生砕石が余りぎみになっているということを、まず東京都として把握をしているのか。また、建設廃材リサイクル品としてのコンクリート塊の、現在の排出量と再生量及びリサイクル率はどうなっているのか。またこのような状況に対して、具体的な対策を立てているのかお伺いをいたします。

○木村廃棄物対策部長 環境局では毎年度、産業廃棄物の実態調査を行っており、それによりますと、平成二十一年度のコンクリート塊の排出量二百八十九万トンに対しまして、再生利用量は二百七十五万トンで、リサイクル率は約九五%となっております。
 都はこれまで東京都建設リサイクル推進計画を策定し、再資源化目標値を定めますとともに、東京都建設リサイクルガイドラインあるいは東京都環境物品等調達方針を定めまして、再生砕石等の建設副産物の利用を促進してまいりました。
 しかしながら最近、一部のコンクリート塊の破砕処理業者からは、公共工事の減少に伴い、再生砕石の需要が減少していると聞いております。再生砕石は公共工事での使用量が多いことから、環境局では、建設部局を含めました関係部局で構成されます東京都建設副産物対策協議会等の場におきまして、再生砕石の需給バランスが崩れている状況について情報を共有するとともに、関係機関等に再生砕石の積極的な利用を働きかけてまいります。

○尾崎委員 これは、もちろん関係機関等に積極的に働きかけていくということは必要だと思うんですけれども、この再生砕石の今の余剰状況というのは、ちょっとやそっとじゃ解決をしない問題だと思います。これから先、何年もこうした状況は続いていくわけでありますし、東京都で今後、羽田の拡張工事レベルのインフラ整備が出るとも思えないんです。
 だったら、抜本的な対策を、環境局がやっぱり主体的に行っていくことが必要だということを僕はいいたいんですが、今般、東京都は東日本大震災の瓦れき処分の受け入れとして、岩手県と、九月三十日に災害廃棄物の処理基本協定を締結しました。十月十九日には先行事業分として、岩手県宮古市の災害廃棄物を処分する業者を決定しました。被災地の復興に向けた行動の一つとして、自治体連携という意味では、これは非常に評価をするものであります。
 ただ、現在岩手県でも、復旧、復興工事が急ピッチで進められております。特に地盤沈下や道路復旧に対する工事においては、この再生砕石の利用が促進されて、全体的に砕石の需要が増大していると聞いております。
 ちなみに、この「コンクリート工業新聞」の十月二十日号では、宮城県の砕石事業者は値上げに動いていると。今後、震災復興需要が本格化してくれば、選別出荷という事態も予想されるとの見通しも示しておりまして、再生砕石の需給逼迫が予想されるわけであります。
 このように、東京では再生砕石が余りぎみであり、一方、被災地では足りないという状況が生まれているわけであります。
 そこでお尋ねしたいんですが、東京の余りぎみの再生砕石を被災地において活用する方策を考えることも、自治体間被災地支援として大きな支援策になると思われるんですが、いかがでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 現在、岩手県及び宮城県と、災害廃棄物の都内への受け入れにつきまして調整を進めておりますが、被災地の両県に聞きましたところ、まだ具体的な復興計画の策定が進んでいないため、再生砕石の必要量や被災地での過不足量の把握などは、ほとんど進んでいないとのことでございました。
 被災地に対しましては、被災自治体のニーズに応じた支援を行っていくことが必要と考えております。

○尾崎委員 今ご答弁で、この再生砕石の必要量や被災地での過不足量の把握などはほとんど進んでいないということでありますけれども、これは僕がもらった資料で、財団法人の建設物価調査会というところが東日本大震災に関する建設資材情報というのを出しています。
 ここでは、釜石、大船渡周辺では道路障害や瓦れき撤去作業の本格化に伴う運搬車両不足等で出荷制限があると。被災瓦れき収集作業が本格化する中で通常の発生ガラの流通が減少し、再生砕石はほとんど在庫切れの状態ということを書いているのです。これは、別に僕もいいかげんなところから引っ張ってきた情報じゃないので、東京都がいっている話もわかるんですけれども、ぜひ、これの現地の話と、こうした情報の精査をしていただきたいなと思うんですけれども、どうでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 建設資材の需給に関します情報につきましては、現時点での需給バランスに関するものと、先ほど私が述べましたような将来の復興事業に関する見通しのものとがあるかと思います。
 今後、被災地でも、災害廃棄物のリサイクルの観点から再生砕石の生産が行われると思われます。被災地自身での供給も勘案しながら、情報を精査し、被災地におけます需給バランスを検討する必要があると考えております。

○尾崎委員 ぜひ、これは真剣に調べていただきたいと思うんです。
 東京都の話だと、今現在、被災地では、災害廃棄物の仮置き場の確保また搬出のための選別等が優先されていて、再生砕石を受け入れるような場所がなかなかないという話も聞いているんですけれども、実際、宮古市は、これから東京都に廃材を持ってくるわけですし、搬出はこれから着実に進んでいくと思うんです。
 これは単純な話かもしれないですけれども、実際、建設廃材が向こうの被災地で、これから東京都を含めていろいろなところ、各地域に運ばれると、その分そこがあくわけですから、そこに、東京で余剰状況にあるコンクリート塊を持っていくというのは、これも一つの考え方として、僕はぜひ検討していただきたいと思うんです。
 今回の岩手県の宮古市の瓦れきについては鉄道輸送になっているんですけれども、今後、これは鉄道輸送のみではなくて、トラックや船などの輸送手段も考えられます。
 一般的にこのロジスティクスコストを考えれば、輸送の往復で荷が運ばれることは物流効率を上げることになるわけですが、例えば、被災地から瓦れきを運搬してきたこの交通機関の帰り便に、再生砕石を積んで運搬をするということも考えられると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 災害廃棄物の受け入れをした際の帰り便に再生砕石を積み、運搬することにつきましては、被災地の現在の受け入れ状況から見まして、今のところ難しいと考えておりますが、復興事業の時期の情報等を収集しながら、今後考えていきたいと思います。

○尾崎委員 別に、あした、あさってに始めてくれっていってるわけじゃなくて、ぜひ、これは検討をしていただきたいと思うんです。
 コンクリート塊は、本来これは売買するものでありまして、売り買いをするものなんですけれども、例えばコンクリート塊を扱っている都内の事業組合からは、輸送コストさえ東京都が何とかしてくれれば、このコンクリート塊は被災地に寄附をしても構わないという話もあるんです。ですから、ぜひこのことを真剣に検討して、環境局主体の施策というものを考えていただきたいと思っております。
 建設廃材の話はこのくらいにしまして次の質問に移りたいんですけれども、私の一つの地元であります狛江市の話になるんですが、朝日新聞の、先月十月四日に記事が出まして、狛江市の第一小学校の校庭の井戸水が、砒素が環境基準値を二倍上回っている、こういう報道がなされました。
 この事実関係を、まず把握しているのかということをお聞きしたいのと、環境省がまとめている毎年の三千カ所以上の都道府県の調査では、砒素が環境基準値を上回るのは全国の二%程度でありまして、件数的には六十件程度とのことでありますけれども、都の調査では、どの程度の頻度で検出されるものなのかお伺いをいたします。

○島田環境改善技術担当部長 朝日新聞が報じました砒素のデータは、都が行っている地下水概況調査の暫定数値を引用したものでございます。
 地下水概況調査は、都内の地下水の汚染状況を把握するために、都内の約六十地点を対象に毎年調査地点を変えながら実施しているもので、結果につきましては、通例、翌年度の七月ごろに公表しております。
 調査の結果、環境基準を超過した場合は、井戸の所有者にその旨を通知し、飲用を避けるように働きかけております。今回、調査地点の一つである狛江市の井戸で砒素の暫定値が環境基準を超過したことから、データ確定前ではございますが、狛江市に情報を提供したものでございます。
 砒素につきましては、平成十八年度から二十二年度までの五年間を見ますと、平成十八年度に二件、平成十九年度に一件、それぞれ環境基準を超過した地点が新たに見つかっております。

○尾崎委員 今回、狛江市の井戸で砒素と一緒に環境基準超過が確認をされた1・2ジクロロエチレンという物質があるんですけれども、これは自然界には存在しない物質でありまして、隣接する旧東京航空計器跡地が汚染源だとする専門家の意見があります。
 この1・2ジクロロエチレンという物質が環境基準値を上回って検出されるケースというのは、都内ではどの程度あるのかお伺いをいたします。

○島田環境改善技術担当部長 今回、狛江市の井戸で砒素とともに環境基準超過が確認されました1・2ジクロロエチレンは、金属脱脂洗浄剤などとして使われるトリクロロエチレン、またドライクリーニング溶剤として用いられるテトラクロロエチレンが分解されて、生成されるものでございます。
 ここ五年ほどを見ますと、都内では、1・2ジクロロエチレンの環境基準を超えた地点が新たに見つかるケースはございませんでした。

○尾崎委員 やっぱり、砒素にしてもこの1・2ジクロロエチレンにしても、都内で検出されるケースはほとんどないということで、周辺の市民の方が、このえたいの知れない物質に非常に不安を抱いていることはご推察していただきたいと思うんです。
 今回、汚染が出た井戸は、一義的には災害対策井戸でありまして、ふだんはこれは飲用に使われているものではないんですけれども、狛江市では地下水を飲料水にブレンドして供給をしております。この点で、第一小学校の児童、保護者だけではなくて、広い範囲にわたって、市民の中には、この飲料水は大丈夫なのかという非常に差し迫った強い懸念があるわけであります。
 また、災害時には飲料とする可能性もないとはいえないことからも、この汚染源の特定を急ぐ必要があると思いますが、今後の調査の方針と方法、そしてスケジュールについて示していただきたいと思います。

○島田環境改善技術担当部長 東京都水道局では、狛江市内に水道水源井戸を持っております。そこで採水した水と河川水を水道水源として利用しております。
 水道原水の水質につきましては水道局が定期的に調査しており、これまでも、水質上問題ないことを確認してから、水道水として供給していると聞いております。
 今回、狛江市第一小学校の井戸で汚染が見つかったことを受け、水質汚濁防止法に基づき、汚染が判明した井戸の周辺におきまして、井戸の所有者と調整がつき次第、今年度、実態把握のために汚染井戸周辺地区調査を実施いたします。
 さらに、汚染井戸周辺地区調査の結果を踏まえ、必要な地点におきまして、来年度以降、継続監視調査を実施する予定でございます。

○尾崎委員 現在この狛江市では、小学校に隣接する土地、これは旧東京航空計器の跡地なんですけれど、ここに建設予定されている大規模マンションをめぐって、狛江市のまちづくり条例に基づく調整会が行われております。そしてこの環境問題については、この調整会の助言に基づいて、調整会とは別に、事業者と市民の皆さんと、そして行政が話し合う場が設けられております。
 東京都としては、水質汚濁防止法上、毎年、水質の測定計画を立てることとされておりまして、同計画にのっとり概況の調査を行っている立場から、現在進めているリスクコミュニケーションの情報提供をするのはもちろんであると思います。
 実際に調査に携わっている立場から、この会に職員をぜひ参加させていく必要があると考えるんですが、いかがでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 現在、狛江市で行われております話し合いの場につきましては、狛江市まちづくり条例に基づく、学識経験者と公募市民によって構成されます狛江市まちづくり委員会の調整会の助言に基づいて行われると聞いており、基本的に、まちづくり条例を所管する狛江市と事業者、住民との間で話し合いが行われる場と理解しております。
 都といたしましては、水質汚濁防止法に基づき行われている地下水概況調査の結果提供や技術支援など、必要に応じて円滑な対応に向けた協力を行ってまいります。

○尾崎委員 それはわかるんですけれど、やっぱり、今、構成されているまちづくり委員会の調整会の部分では、なかなか市民の皆さんも納得がいかない部分もあるので、適宜、情報を提供するなど協力はしてもらっているんですけれども、ぜひ求めがあれば参加をしていただきたいというようなことも考えているんですが、いかがですか。

○島田環境改善技術担当部長 本件につきましては、今後とも狛江市と情報を共有しながら、対応につきまして協力を進めてまいりたいと考えております。

○尾崎委員 ぜひお願いします。
 先ほどの砒素の件で、旧東京航空計器跡地の話をさせていただきましたけれども、この跡地は、先ほどもお話ししましたが、大規模マンションの建設が予定されております。
 ここから、数次にわたりかなりの高濃度でダイオキシン類が検出されていると聞いておりますけれども、この事実関係というのは、東京都として把握をしているかお伺いさせていただきます。

○島田環境改善技術担当部長 当該敷地につきましては、不特定多数の人が立ち入れない場所であるためダイオキシン類対策特別措置法の対象外となっておりますが、都は、狛江市から随時情報を得ており、事実関係を把握しております。
 具体的には、昨年十一月、事業者が工場を閉鎖するに当たりまして焼却灰が見つかり、その灰がダイオキシン類で汚染されていたことが判明したため、事業者が除去し、これが適正に処分されたことを産業廃棄物管理票により確認しております。
 また、本年三月から、土地の所有者により、国が示しているダイオキシン類に係る土壌調査マニュアルを参考にしつつ、住民説明会での意見等を踏まえながら調査が実施されました。
 その結果、一地点が環境基準千ピコグラムを超過したため、この部分を除去したことを確認しております。

○尾崎委員 これは、問題は、調査のたびにダイオキシンが検出されていることであります。
 先般の九月二十一日の朝日新聞によれば、地中で、表層部分より高濃度のダイオキシンが見つかっておりまして、人為的汚染の可能性が専門家により指摘されていることを紹介しております。そして、十月三日には事業者が追加調査を行って、先日出た結果では、さらに深さ一メートルのところから調査指標値二百五十ピコグラムを上回る値が出たと聞いております。
 まずは汚染土を、すべて撤去、入れかえをすべきではないかと考えるんですが、ご所見をお伺いします。

○島田環境改善技術担当部長 事業者によりまして八月に行われた追加調査によりますと、地表から深さ五センチメートルの値より、深さ五十センチメートルの値の方が高い結果となった地点がありましたが、すべて環境基準値の千ピコグラムを下回っていると聞いております。
 さらに、事業者により、十月に、これらの地点における深さ一メートル、一・五メートル、二メートル、三メートルでの追加調査を行ったところ、一地点のうち深さ一メートルにおきまして、追加的調査や継続的なモニタリングを行う指標となる調査指標値である二百五十ピコグラムを上回っておりますが、環境基準値である千ピコグラムを下回っていると聞いております。
 なお、調査指標値である二百五十ピコグラムを上回った地点につきましては、事業者が今後、除去する予定と聞いております。

○尾崎委員 環境基準値を下回っているというんですけれど、調査指標値である二百五十ピコグラムは上回っているわけであります。
 これ、住民の方々にしてみれば、環境基準値と調査指標値の違いっていうのは、なかなかわからない人が中にはいるんですよね。かなりそこで不安を持っている人たちが多いので、その中で、東京都はダイオキシン対策特別措置法において常時監視の義務を負っているわけでありますから、今回の狛江市の件でも、やっぱり部外者じゃないと僕は思っております。
 現在、このマンション計画をめぐって、狛江市まちづくり条例に基づいて事業者と住民の意見調整を図る調整会が行われておりますけれども、環境問題については、調整会の助言に基づいて、分科会が設けられて議論されていると聞いております。
 二十九日の新聞報道によれば、会は、地元狛江市の運営上の問題もあって、非常に住民の皆さんの不満が高まっておりますので、ぜひ事業者や狛江市の対応が円滑に進むよう、東京都も技術的な観点から積極的に助言をしていただくことを期待して、私の質問を終わります。

○こいそ委員 それでは、まず初めに、都市エネルギーの政策のあり方、また施策についてお聞きしたいと思います。
 都は、電気の地産地消の推進に向けて大規模な天然ガス発電所の検討を進めておりますけれども、エネルギーの大量消費地である東京が災害時にも機能し続けるためには、系統電力に依存しない、まさに自立分散型エネルギー源を確保することが極めて重要であることはいうまでもないと思います。
 私はかねてより、都が国の施策を先導する気概を持って、計画的に自立分散型エネルギーの創出に取り組むよう求めてきたところでもありますが、東日本大震災を踏まえて、今後、都は都市型のエネルギー源として何を位置づけて、普及また拡大を図っていくつもりなのか、まずその見解を伺いたいと思います。

○吉村環境政策担当部長 系統電力に頼らない自立分散型エネルギー源といたしましては、電気と熱の双方の有効活用が可能で、CO2削減にも資するコージェネレーションの設備の導入が最も有効と考えてございます。
 こうしたコージェネレーション設備については、病院や福祉施設、災害時の拠点となる公共施設、大規模民間施設等への導入を促進するほか、民間の都市開発にあわせた設備の導入を図ることが必要と認識しております。
 こうした取り組みの方向性を、年内に策定する「二〇二〇年の東京」、これは仮称でございますが、これに盛り込みまして、体系的に自立分散型エネルギー源の普及拡大を図っていく所存でございます。

○こいそ委員 自立分散型エネルギー源として、コージェネレーション設備の導入が有効であるということであります。
 それでは、大規模災害時でも、これは東日本大震災の教訓もありますが、中圧ガスが使用できるという前提での今のお話だと思いますけれども、確かに中圧ガス管は送電網に比べて地震に強いことは、今のような実証といいますか、発生状況後からも承知しているわけでありますけれども、他にもどのようなエネルギーを考えておられるのか、このあたりをお願いします。

○吉村環境政策担当部長 先ほど、コージェネレーション設備のご答弁を差し上げまして、中圧ガス管は、確かに今までの経験においてはなかなか強いということが実証されていると思いますが、こういったガスあるいは電気系統に依存しないものとして、低炭素で自立分散型のエネルギー源といたしましては、太陽光発電、太陽熱温水器などの、再生可能エネルギーの大幅な普及拡大が必要だと認識しております。
 また、区市町村の清掃工場において、廃棄物発電の増強や高効率化を図ることなども有効だと考えてございます。

○こいそ委員 ただいまのご答弁の区市町村の清掃工場、このいわゆる廃棄物での発電の現状というのは、どのような状況なのか教えてください。

○吉村環境政策担当部長 都内で見ますと、区部はすべての清掃工場で発電を行っておりまして、年間約十億キロワットアワーの発電を行ってございます。
 多摩地域では、十七の清掃工場中、発電設備があるのは七施設にとどまっておりまして、そのうち売電が可能な施設は五施設と少なく、売電量は区部の五%程度でございます。
 多摩地域では現在、ふじみ衛生組合と西秋川衛生組合、武蔵野市、日野市の、四つの清掃工場建設計画があり、そのすべてが発電設備を現在予定しているところでございます。
 都としては清掃工場の建てかえ時などをとらえまして、計画段階から、高効率発電の導入等を積極的に働きかけ、技術的な指導や助言をしてまいります。

○こいそ委員 区部ではそれぞれの清掃工場で発電機能があり、電気を起こしているということでありますけれども、多摩は、その機能を有するところが七カ所であると。
 その中において、比較しても、発電量が極めて低いです。こういう、まさに自立分散という中で、二十三区と、例えば今の清掃工場の話の中で、多摩地域の非常に広いエリアの中における清掃工場の発電というものは、私は、極めてしっかりと検討し、対応する必要性があるのではないかと思うんです。
 それからもう一点は、いわゆる下水道局の方のメタンガスです。環境局の所管する中防、あそこでもメタンの発電をしているそうでありますけれども、ほかにもさまざま検討をしているようにも聞いてるんですが、これのエネルギー政策を、これからこの環境局で取りまとめ、対応していくということ、要するに、ここで新たに担当セクションができたわけでありますから、これらのことを踏まえて、局間調整というのはどういうふうになされているのか、このあたりをちょっと教えてください。

○吉村環境政策担当部長 今、先生の方からお話がございましたとおり、下水道局では汚泥の有機物を熱分解してガスで発電するとか、あるいは環境局ではごみの埋立地から出るメタンガスで発電を行う、あるいは水道局や下水道局では小水力発電ということで、いろいろな取り組みをやっております。
 私ども、エネルギー所管セクションといたしまして、もちろん都内の公共施設等を預かる身として全体像を把握する、そういう中で横ぐしを通して、東京都全体として自立分散型を進めていくというふうな役割を担ってまいりたいというふうに考えてございます。

○こいそ委員 これは、いわゆる一つのセクションができたということで、まさにこの環境局が東京都政のエネルギー政策をやはりここでしっかりと責任を持って当たっていくんだと、こういうことが必要だと思うんです。
 ですから、今、各局の横ぐしというお話もあったけれども、私は全くそのとおりだと思うし、またそういうふうな方向でしっかりやっていただきたいなというふうに思っております。
 そして、またちょっと戻りますけれども、清掃工場について、これは前の委員会でも少し触れさせていただきましたけれども、清掃工場のデザインというか、形、デザインですね、特に屋上近くに上らせていただくと、比較的、清掃工場の全景がよく見える。その中でも、私はここを、いわゆるごみ発電で電力を起こしていくということも、私は極めて重要だと思います。
 それからもう一点は、清掃工場、ここに続くところの太陽光、再生可能エネルギー、これは都市風力がそこに入るかどうかとしても、いわゆる代替エネルギーとしてのさまざまな燃料電池、蓄電池等々がありますが、こういうことも、やはり考えてもいいんじゃないかなと。それこそ自立分散的な形の中で、地域のニーズというか、需要というものを賄っていくといいますか、改めてそういう検討をしていただきたいなと。
 それから、くどくて申しわけないけれども、多摩地域において、こういう発電機能が著しく低い状況があります、はっきりいって。一部事務組合含めてね。
 そういうことの中で、建てかえは確かにそうだと思います。建てかえ時はそうだと思うけれども、発電機能そのものははっきりいって弱いんです。そういうのは少なくないんですよ、実は。
 こういうことを、国の補助ということもあるかもしれないけども、しかし、東京都として、環境局として、やはり広域行政を担っているわけだから、このあたりをぜひ、発電機能がもう少し水準向上するように、もう一つの、もう一段の力を入れていただきたいなと思うんですが。

○吉村環境政策担当部長 今、先生のお話のありましたとおり、区市町村の清掃工場において、廃棄物発電の高効率化あるいはパワーアップを推進するとともに太陽光発電設備などの設置を図ることは、都市における自立分散型エネルギー源を確保する上で重要でございまして、かつ、地元の市民の皆さん、住民の皆さんに、そういったエネルギーの重要性を認識していただく上で大変重要だと思っております。
 そうした意味で、今後、清掃工場、特に多摩地域の問題でございますが、積極的に働きかけて指導助言を進めていきたいというふうに考えてございます。

○こいそ委員 それと、いわゆる自立分散型エネルギー、これもさまざま、先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、今後、コージェネレーション、または都市風力や地中熱や燃料電池や蓄電等々、技術を開発する中で、いかにして実用化していくかということだと思うんですが、その中で、今回の三・一一発災後の、これは一つの事例でありますけれども、都内におけるエネルギーインフラ、都市インフラの中におけるさらなるエネルギー供給拠点というか、この中で、いわゆるGS、このガソリンスタンドが、発災後、極めて混乱していたと思うんです。供給できないと。タンクローリーが来ないということもそうだったかもしれないけれど、それ以上に、かなり長蛇の、供給を待っている人たちが多かった。都市活動に影響を与えたということでしょうけれども、公的機関に対してもそう、それから産業、商工関係においてもそうだったと思うんです。こういうインフラネットワークというのでしょうか、いわゆる都市インフラが極めて弱かったということを露呈したと思うんです。
 その中で、もう一段、ガソリンスタンドというのは、一面、耐火性、耐震性が非常に強いと。震災時においても、これは東京都と協定を結んでいるそうでありますけれども、今回もやはり帰宅困難時におけるトイレだとか水だとか、いろんなことがある。
 私は、エネルギー拠点として、太陽光だとか燃料電池だとか、今後さまざまこういうものを加味していくのであるならば、これはやっぱり、自立分散型エネルギーの供給拠点にも、さらに、なっていくのではないかと思うんです。
 ところが、あの当時の混乱というのは、ただ単に、給油の車が余りに過剰に押し寄せて殺到したっていうだけじゃなくて、インフラが極めて弱くなっていると。激変しているんです。激変してるいるというのは、すなわち供給施設がなくなっているんです。
 もう、まさに今日的に、本当に下り坂を下るがごとくなくなっちゃっているんですよ。どんどんなくなっちゃっている。はっと気がついたとき、この三・一一後のような状況が出てくる。
 もう少し広がるかもしれないけれども、広い意味で、こういう地域分散型のエネルギーのネットワークというかエネルギーインフラ、今後もこれらのことを、もう少し環境局としても、もう一つの知恵だとか、もう一つの考え方を持っていただくといいますか、こういうことも必要ではないかと思うんですが、このあたりどうでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 ご指摘のとおり、ガソリンスタンドは災害時の緊急車両への燃料提供はもちろんのこと、地域住民への燃料供給拠点として極めて重要であるというふうに考えてございます。
 また、今お話にございましたが、帰宅困難者に対する一時休憩所、飲料水の提供、トイレの提供など、また負傷者への支援等を行う災害時のサポートステーションとしても、積極的な役割が期待されております。
 加えて、お話にありました太陽光発電、燃料電池車の、いわばショールームとしての位置づけに加え、今後普及が期待されます燃料電池車などの次世代自動車へのエネルギー供給拠点としても、最も利便性が高い場所であるというふうに認識しているところでございます。

○こいそ委員 いわゆるショーウインドー的な要素というのはいろいろな意味合いをとらえることができますけれども、今おっしゃるとおり、さまざまなエネルギー対応が可能になると。
 いずれ、わかりませんけれども、自動車燃料でも、水素をもととする燃料電池、一時これがありましたよね。通常の路線にその都営バスを走らせる。世界で初めて東京がやりました、いわゆる燃料電池バスを。さまざまな試みを東京はいち早くやってきたわけです。
 だけど相まって、日ごろの都市活動においては、燃料の安定的な拠点というものが必要だと思うんです。ところが、だんだん少なくなっていっているというのを、さっき私も話をさせていただきましたが、今後に向けて、こういう拠点ネットワーク的なものもぜひ考えていただきたいなと、これは強く要望させていただきたいと思います。
 それと、エネルギーの問題で、もうあと一点だけにさせていただきたいと思いますけれども、まさにさまざまなエネルギー資源があると。
 代替エネルギーをどういうふうにしていくか。これは、鋭意、研究開発がますます日常的に進められてきているわけでありますけれども、その中で、日本の海洋、すなわち世界第六位の海洋国家日本、その日本という海洋国家の位置づけの中の、特に伊豆七島、小笠原、日本の最南端、最東端の島。これは、我が国の排他的経済水域という全体的な日本の国益から見ても、極めて重要なことはいうまでもありません。
 何をいいたいかというと、やはり再生可能エネルギーという中で純国産資源の確保ということ--東京がやることではないよ、東京が考えることではないよというけれども、私はそうじゃないと思う。東京は大いに提言もしていかなきゃいけない、突き上げてもいかなきゃいけないし、それなりのいわゆる英知とさまざまな知恵があると思う。人材もそろっていると思うんです。
 そういうことの中で、あえてここでいわせていただくならば、その海洋の伊豆七島なり小笠原なり、この中で極めて有望だといわれる、それだけじゃありませんけれど、メタンハイドレート。このメタンハイドレートは天然ガスとはまた違って、なかなか採取しにくいというのは皆さんご案内のとおりだと思いますけれども、日本近海、恐らく小笠原近海にも、あそこは海溝が深いんだけれども、有望なメタンハイドレートがあると。日本近海全体では六兆立米、世界最大ですよ、これははっきりいって。世界最大の埋蔵量がある、世界が注目しているんです、このメタンハイドレートというのは。
 そんなことで、これの活用に向けた、国に向けてもいいんですが、この活用に向けた都の認識を、これもせっかくの機会ですから伺いたいと思います。

○吉村環境政策担当部長 ご指摘のとおり、メタンハイドレートは膨大な埋蔵量のある純国産資源として、日本のエネルギー政策上、期待は極めて大きいものというふうに認識しております。
 しかしながら、メタンハイドレートは氷状の結晶でございまして、普通の天然ガスと違いまして、掘削しただけではメタンは自然に噴出してまいりません。なので、減圧をしたりして、メタンだけを分離して取り出すといったような技術開発も必要でございます。
 また、海底面の下、五百メートル程度の比較的浅い層に存在するために、地層がもろく、掘削が困難というようなことがあるという、そういった課題が多いのも事実でございます。
 国は現在、メタンハイドレートの生産技術の開発に向けた実証試験を行っているほか、来年度には世界初となる海洋産出試験に着手する予定というふうに伺ってございます。こうした国の動きを注視していきたいというふうに考えてございます。

○こいそ委員 今、大変明るい、よいニュースというか情報をいただきましたけれども、いずれにいたしましても、このエネルギー問題は、とりわけ三・一一以後、極めて我々の身近な、重要な、そういうとらえ方になってきております。
 総合的エネルギー問題というのは、当然国だけの問題ではない。首都東京が、まさに正面から新たな取り組みをすることを求められている、これまた重要な課題であると思います。
 これまで東京は、キャップ・アンド・トレードの導入など、省エネ、低炭素に向けた施策に先導的に取り組んで国をリードしてきたわけでありますけれども、今後は、総合的なエネルギーの創出、安定供給の両面でも、まさに国を先導する対策を打ち出していくことが時代として強く求められていると思うんです。そういうことで、ぜひ頑張っていただきたい。ここで、局長に、というふうにいいたいんですけれど、また後ほどありますので、次に行きます。
 次に、自然環境における緑の創出と保全についてであります。
 各委員の方々からも、この緑に関するお話が出ておりましたが、まず新たに緑を創出する取り組み、具体的には公立小中学校の緑化について、すなわち平成十九年度から校庭の芝生化を推進してきたと。これは東京を緑あふれる都市へと再生させる極めて重要な施策であり、効果が出てきておることはいうまでもありません。
 聞くところによりますと、二十二年度末現在、二百二十八の公立小中学校で芝生化を実現したということでありますけれども、これは、都の区市町村への補助など、またその後の管理などの、手厚いさまざまな対応を通じて支援してきた成果でもあるというふうに思っております。
 私の地元も、小中学校で数校でありますけれども、都の補助を受けて校庭を芝生化してもらいましたが、子どもたちや地域の方々にも大変に好評で喜ばれているところであります。また、この小中学校でも、校庭の芝生はもとより、校舎屋上の緑化や壁面緑化にも、校庭緑化後に積極的に取り組みを進めていくということになってきているようであります。
 こうした学校の緑化を広く普及させていくためにも、都の役割、支援がより一層必要であると思いますが、そこで公立小中学校の緑化推進について、都の見解をお願いします。

○高橋自然環境部長 公立小中学校は都内各地域に配置されるとともに、樹木などが植栽され、地域における緑の拠点となっております。
 このため、公立小中学校の緑化を進めていくことは、地域の緑をふやしていく取り組みにつながります。
 都は現在、区市町村が取り組む校庭の芝生化を支援し、公立小中学校の緑化を推進しております。
 今後とも、区市町村や学校現場の状況などを踏まえて、公立小中学校の緑化について必要な支援を検討してまいります。

○こいそ委員 積極的な、より一層の支援があれば、小中学校の緑化に取り組む区市町村や学校はさらにさらにふえていくのではないかと思います。
 我が国の環境行政を牽引してきた東京都環境局として、ぜひ校庭の芝生化の取り組みをさらに一段と進め、学校の緑化について先進的な取り組みを今後も進めていただくことを要望させていただきまして、次に移らせてもらいます。
 またまた緑関係でありますけれども、都は豊かな自然を保全するために、多摩地域の丘陵に残る里山や雑木林、森林などを、保全地域や自然公園として保全しております。
 これまで私も議会で質問させていただいてきましたけれども、町田市にある七国山緑地保全地域、また、あきる野市には東京都環境局管理の小峰公園などがありまして、これは里山景観を保全する一つの象徴的なゾーンではないかと思っております。
 こうしたさまざまな自然環境の中で、里山では水田で耕作が当然行われ、畑では近くの雑木林から出る落ち葉を堆肥として利用しながら、野菜や果物などの作物がつくられてきた。里山は人と自然とが共存し、豊かな文化をはぐくむとともに、多くの植物や昆虫、動物など、豊かな自然環境がはぐくまれる場となってきております。現在では見かけることが少なくなったセンブリ、タマノカンアオイなどの希少な植物も、本当に絶滅寸前でありますが、まだしっかりしっかりと元気よく、それがあることでほっといたしますけれども、そういうところもまだあります。
 しかしながら、今ちょっと触れましたけれども、残念なことに、こうした二つの植物だけじゃありません、希少な植物が、さまざまな開発行為、そしてまた心ないといっていいんでしょうか、かなり関心が強い人もあるかもしれないけれども、そういう人々がそのような希少植物を持っていっちゃうと。いわゆる持ち去りによって消失する事態も現実にあります。貴重な自然を保全し、将来に引き継いでいくのは、我々もそうでありますけれども、私はやはり、都環境局の責務も高いのではないかと思うんです。
 そこで、希少な植物の保全を含め、保全地域における里山保全の基本的な考え方を、まずお願いしたいと思います。

○高橋自然環境部長 都は自然保護条例に基づき、里山保全地域を指定し、この保全地域には、ご指摘のようなセンブリやタマノカンアオイなどの希少な植物が生育しております。
 里山保全地域においては、都だけではなく、地域住民や企業などさまざまなボランティアの方々の協力も得て、間伐や下草刈りなどの伝統的な手法を採用し、自然環境の保全を行っております。
 希少な植物の保全につきましては、これまで地域住民の方々への周知や、持ち去りを防止するための地域ボランティア団体による見守りなどの取り組みが行われております。
 しかしながら、ご指摘のように、希少な植物が人為的に失われているという状況がございます。
 今後、都としては、保全地域における希少種の実態調査を実施し、この調査結果を踏まえて、実効性のある保護策について、地元の自治体や地域のボランティア団体とともに検討してまいります。

○こいそ委員 先ほど、小峰公園というお話に触れさせていただき、また保全地域というのがかなり今ふえておりますけれども、七国山という町田市の保全地域、これに触れさせていただきたいんですが、まず、保全地域である七国山という、東京都の保全地域指定されているところ。あわせていいましょう。
 ここは、地元の人のさまざまな、いわゆる自然環境を保全しましょうという会で、七国山の自然を考える会という方々が献身的にここの保全活動を行っており、極めて良好な環境になっているんですけれども。それと、後ほどいうグリーン・キャンパス・プログラムであるとか、グリーンシップ・アクション、いわゆる企業参加であるとか、こういうさまざまな組み合わせというのでしょうか、人の手によって、自然環境というもの、里山の自然が、より進化というか、保全されながら保たれていっているんです。
 さりとて、これの保全計画が昭和五十年であると。そしてその後、平成十四年に管理計画が立てられたと。少なくとも、昭和五十年っていうのはかなり前ですよね。それから、平成十四年が管理計画だと。約十年に近い年月がたっているという中で、これは、やっぱりそれぞれの人たちがそこに入って保全活動はしているんだけれども、もう一つ、もう一段、東京都としての、いわゆる保全計画そして管理計画という顔が見えない。これはどうしてかということ。
 もう一点は小峰公園、これは自然公園でありますけれども、これも平成十四年に建設局から環境局に移管されました。極めて自然景観豊かなところです。できれば委員長、一度視察に行ってもらいたいですね、この委員会で。とてもよい。
 ここは、峰が二つある、山が二つあるんです。そこに、まさに谷戸があって、小川が流れていて、若干、広場、田んぼがある。こういうふうな、非常に里山の古くからの景観というもの、それが残されているんですね。
 ところが、私はあえてお話をさせていただきたいのは、これだけよい公園、公園という名称よりかは愛称的なものがあって、もっと親しまれていくべきではないかということと、来れば必ず、あの自然の状況というのはほっとするというか、やっぱり本当に何か感ずるし、とてもよいと思うんだけれども、もっと近距離からも--アクセスがちょっと弱いですね。
 すなわち何かというと、自動車で来るにしても、バスで来るにしても、駐車場がほとんどないに等しい。それから、サインというか、状況がわからない。どこをどう入っていいかわからない。そんなこともあって、大変残念だという思いなんです。
 これらの小峰公園に対する環境局の、いわゆる建設から環境になったわけですから、環境行政の中における小峰、あえて公園とは余りいいたくないんだけれども、そのゾーンをどういうふうに、これからさらに、より進化というか、取り組んでいくのか、これを教えていただきたい。
 それから、さっきの七国山の件です。

○高橋自然環境部長 七国山の緑地保全地域につきましては、昭和五十年に保全地域の指定を行い、その際に、基本的な考え方を整理した保全計画を策定しております。
 こうした保全計画につきましては、策定後既に三十五年が経過しており、実情と合わない部分も出てきているところは事実でございます。
 ただ、植生自体について申し上げますと、一部、基本的には雑木林となっておりますけれども、一部には常緑樹がある。こうした常緑樹林は、自然遷移にゆだねて植生に戻していくという、当時の保全計画の方針があって、人の手を入れずに管理してきたところがございます。
 しかしながら、実情と合わないところも出てきておりますので、今後、保全地域内の希少種の実態調査、あるいは、専門家、地域住民の方々の意見も踏まえて、実情に合った保全計画の改定に向け、検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、小峰公園につきましては、平成十四年に建設局から当局に、緑行政の一元化という観点から移管されております。
 移管された後につきまして、環境局の立場から、都民のだれもが自然について学び、親しんでいけるよう、大人から子どもまで幅広い方々向けの環境学習講座を充実させるとともに、車いす用の施設整備を行うなど、利用者ニーズに配慮した取り組みを進めております。
 また、併設されているビジターセンターでは、地域の養蚕の歴史や文化、あるいは横沢入等の他の里山を保全する活動を紹介しているところでございます。
 小峰公園は、ご指摘のように里山の一部を形成しており、雑木林や水田などが整備されておりますが、今後できるだけ里山としての景観を保持するため、杉から、コナラやクヌギなどの雑木林への樹種の転換を図るとともに、地域住民の方々の意見なども踏まえて、山桜の植樹を行うなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○こいそ委員 七国山だと思いますけれども、常緑樹があるというけれども、それはそれでその話も全くわからないわけじゃないんですが、あそこはやはり、里山も里山、要するに非常に低い丘陵なんです。小峰と対照的で、小峰は自然公園といいますか、より奥多摩の方に近いですよね。しかしこの七国山は、本当の通常の里山ですよ。通常というか、いわゆる住宅地が近くにあるような里山です、里山形態。
 そこはかなり手が入ってきていて--常緑樹っていうけれども、樹木は樹木でわかるけれど、そこのあたりの見解はそれぞれあるだろうけれども、全く手つかずで、周辺は細い尾根伝いの、いわゆる旧鎌倉街道、昔の鎌倉街道で、その周りのうっそうとしていたところが、間伐したり、枝をおろしたり、下草を刈ったりしてすごくきれいになったから、地元の人もみんな喜んでいますよ。さまざま、計画的にやってるじゃないですか。
 今いった常緑樹だというところは極めてうっそうとしていて、要するに、里山はどういうふうにしなきゃいけないのか、また守らなきゃいけないかっていうと、適度に手を加えなきゃいけないわけでしょう。違うんですかね。であるならば、そのあたりが、実践的に行う中で非常に混乱しますね、あれは。自然といえば自然のままかもしれないけれど、全部放置しているのと同じですよ。これはどうかということ。
 それからもう一点、小峰についてでありますけれども、ぜひ、もう一度いわせていただきたいのは、やっぱり環境局でありますから、自然の生態、これを保持してもらいたい。
 昼間でも、あれはいつ行ったか、ことしの恐らく六月ぐらいだったですかね、ホタルが飛んいるんですよ。有名なドジョウ--野田さんがいってるわけじゃありませんけれど、ドジョウだとかメダカだとか、当然、蛇でも何でもそうだ、これはまさに自然なんですよ。田んぼがあって、手前の方に畑があって、奥の方に東電という会社の所有があるんだけれども、こういうことを含めて、もうちょっとトータルしてと。今お話ありましたけれども、ここの保全とともに、樹木についても、広葉樹林への植えかえを関係者の方は熱望しています。このように植えかえると、このゾーンはいいんだよと。そういう声を聞いてもらいたいと思うんです。
 さらに、これは当時、何十年前の話なんでしょうけれども、本来だったら、山桜ですよね。あそこは希少種がたくさんあるんですよ、ものすごい。びっくりしました。本当に大丈夫なのかなっていうぐらい、人の目測で、歩いていて観察できるんです。それはそれとしてすごくよいんだけれども、もう一段、こういうビジターセンターの運営、活用も含めて、ぜひにと。都民、多くの皆さんが、あそこに行くと素朴さを感じるんです。すごく空気もきれいだし、本当に昔の面影が残っているんです。
 そういうことを踏まえて、ぜひ環境局が、せっかく移管されて今しっかり管理されているわけでありますから、さらにさらにこの小峰公園に対しても対応していただきたいと思うんですが、どうでしょう。

○高橋自然環境部長 まず、七国山の緑地保全地域でございますが、先ほど申し上げましたように、昭和五十年に指定を行った際の保全計画書がございまして、現況の雑木林をそのまま保全することを基本とするというのが、当時の方針でございました。
 こうした保全計画につきましては、既に策定後三十五年が経過して実情と合わない部分も出てきております。このため今後、専門家や地域住民の方々の意見を踏まえ、実情に合った保全計画の改定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、小峰公園につきましても、地域の住民の方々からのいろいろな意見があるということでございますので、そういった意見を踏まえまして、あわせて、今、先生からもご提案いただきましたいろいろな点につきまして検討を進め、より一層、地域住民また東京都としても、里山にふさわしい、秋川丘陵に広がる里山としてまいりたいと思っております。

○こいそ委員 よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、自然環境を守っていく、次世代にわたって人材育成が必要だと思うんです。そこで、東京都環境局は二つのプロジェクトを立ち上げました。その一つが、グリーン・キャンパス・プログラムであります。
 都が大学と協定を結んで、大学生が保全活動を行うという取り組みでありますけれども、この事業により、緑地保全活動に対する学生の関心は向上してはいるものの、参加している学校はなかなかふえない。そして事業が停滞している。
 私は、せっかくいいプログラムが何かいま一つ浸透しないのはなぜかといろいろなことを考えるわけでありますけれども、今後、この事業を継続、発展させていくために、足かけ四年たって、もういよいよ五年目ですが、こういう中で次の対応をしていくときではないのかなと思うんですけれども、そのあたりどうでしょうか。

○高橋自然環境部長 東京グリーン・キャンパス・プログラムは、都が大学と協定を結び、大学生に、保全地域を活用した緑地保全活動に参加する機会を提供することで、緑の保全に対する関心の喚起や行動力の醸成を促すことを目的としております。
 平成二十二年度には延べ五回の保全活動が行われておりますが、実施校は三校にとどまっております。また、保全活動のプログラムが、間伐や下草刈りなどの作業に偏るなどの課題があると認識しております。
 今後、このプログラムの取り組みを充実するため、都とかかわりの深い首都大学東京も含め、保全地域の近隣大学への働きかけを行うとともに、選択制のメニューを導入するなど、プログラム内容の多様化を図ってまいります。

○こいそ委員 そうなんです。首都大学東京には、都市環境学部というのがありますよね。それはかなり高度な研究をしているということは理解しているわけでありますけれども、しかし、多くの学部において、要するに教育力が上がるというふうな評価もあるんです。こういうことを踏まえて、やはり東京の環境政策--首都大学に都市環境学部があって、いろんな活動をしているんだと、小笠原に行ったりいろいろやられていますけれども、やはり身近な多摩の、多摩に限らないと思うけれども、近くであれば丘陵ですよね、できるだけそういうところにぜひこういうよいプログラムを率先垂範してやってもらうというか、やるといいますか、実施する姿勢というのは必要だと思うんです。そういうあたり、この連携というのはどうやってとっているのかなというふうに思うんです。
 それとともに、もう一点、平成十九年度に開始したエコトップ・プログラム、これも同じく、大学、大学院に自然環境保全のための教育課程を設け、都がエコトップ・プログラムとして認定したということで、これはとてもよいプログラムであるということは内外ともの評価であります。
 授業やインターンシップなどを通じて、自然環境分野でアクティブに行動できる人材を育成して社会に送り出すということでありますけれども、しかしながら、これも仕組みができてから既に五年を経過、五年は一区切りとして考えた場合、五年たった。
 また、カリキュラム担当教員の変更とか、状況も変化しています。これは首都大が当然一番最初にやったわけなんですけれども、このため、インターンシップの状況を含め、五年たった中で制度の趣旨に合った運用が果たして行われているか、いま一度そういう検証が必要である、再検証が必要な時期ではないのかと思うんです。
 エコトップ・プログラムのこれまでの成果と今後の展開について、あわせて伺いたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 平成十九年度に首都大学東京を最初の認定大学として始まったエコトップ・プログラムは、玉川大学、千葉大学、東京農工大学、法政大学、桜美林大学を加え、現在までに認定大学を六校に拡大しております。
 プログラムの修了生の中には、民間企業や地方自治体の環境関連部門で働く人材も生まれており、徐々にその成果があらわれつつあります。
 しかしながら、先生ご指摘のように、既に五年が経過しており、再検証の時期に来ております。
 今後は、一定期間を経過したカリキュラムは認定時と同様の審査を行うとともに、インターンシップの実施状況については、大学から毎年報告を受ける体制を整えるなど、プログラムを再検証する仕組みを具体化してまいります。あわせて、現場の意見を制度の見直しに反映させるため、今後は、大学の担当教員や事務局職員との意見交換会を定期的に開催していきます。

○こいそ委員 ぜひお願いします。
 もう時間がありませんので、これは次回、次のこういう質疑のときにやらせていただきたいと思いますが、まず、レアメタル等の都市鉱山関係。来年はいよいよ法律制定をされるんじゃないかということも聞いているわけでありますけれども、やはりこれも貴重な資源です。まさに東京の場合、都市鉱山という相当のレアメタル、インジウムですか、さまざまある。もっともっといろいろ種類があるわけでありますけれども、こういうものを、ぜひこれは、しっかりとした仕組みというか、効果がある方法を、都としても考えていく必要性があるんじゃないか。
 それと、スーパーエコタウン事業、これも平成十四年、それから十八年に公募したということで、一定の時間が経過した。スーパーエコタウン、すばらしい、すばらしいと。それはすばらしいかもしれないけれど、私は、これで完結すべきじゃないと思うんです。東京こそが、東京全体がスーパーエコタウンであって、ですから、あそこですべてが、もうエコタウンで万歳、万歳、内外ともに評価がある、万歳、万歳と。こうじゃないと思う。次の打ち出しをすべきじゃないですかね、前段申し上げたことを踏まえても。これだけじゃないですけれども、そういうことです。
 最後に、災害廃棄物についてです。
 これはもう、いうまでもありません。大変困っているんです、被災者の方々は、被災地の方々は。
 これは、まず岩手ですよね。向こうで、よく放射能の測定をやるわけです。徹底的にやるわけです。そういう中において、東京にという話で、いよいよ今度は、木くずもいずれ来ます。ですから、私は正しい情報をタイムリーに提供すべきだと思います。ここだと思うんですよ。ここだと思う。
 それで、やはり、東日本大震災の、困ってる、あの悲惨な状況を見て、復興を支援するのはみんな日本人として同じだ、協力しなきゃ。うちはだめだ、うちはだめだ。そうじゃないと思いますよ、これ。しかし、はっきりいって安全は確保しなきゃいけない。だからタイムリーな、いわゆる測定をしなきゃだめなんです。それをお知らせしなきゃだめだ。これはもう当たり前の話だと思います。
 そういうことを踏まえて、被災地を復興させるためにも、私は、この災害廃棄物は東京都もやはり努力すべきだと。まだあるんだけれどもこれまでにして、最後に、局長、総括的にお願いします。

○大野環境局長 今お話の災害廃棄物の受け入れでございますけれども、私、十月の中旬に現地に行って、状況を見てまいりました。やはり、すごい瓦れきの山の大きさに唖然としたわけでございますが、同時に、その瓦れきの山にも、まだ行けないようなところがあると。
 つまり、市街地の中で遠くから見ると普通の住宅なんですけれども、近づいてみると、もう全壊をしていると。まだ取り壊しまでにもいっていないというものが相当残っているんですね。やはり現地に行ってみて、改めて、復興を支援していく、また復興のスピードアップをしていくためには、何としてもこの瓦れきの片づけをしなきゃならないということを、本当に痛感してきたわけであります。
 もちろん、これは宮城県も岩手県も現地で必死にやっていらっしゃるわけですが、あの膨大な量を早期に解決していくためには、何としても効率的な全国の支援が必要だということを痛感してまいりました。
 東京都は早くも、五月の段階でしたか、スキームをつくりまして、国にも提案し、地元の自治体にも提案をしてきたというところでございます。
 あしたから、岩手県宮古市の瓦れきが実際に現地を出発しまして、あさって東京に第一弾が来るということです。これは災害廃棄物、混合廃棄物でございますので、民間の処理施設で処理をするわけでございますが、今お話のように、この後の宮城県につきましては木くずが中心でございますので、現在、区市町村の施設での受け入れにつきまして、鋭意、区市町村清掃一部事務組合と連携をして調整しているところでございます。
 やはり全国的になかなか受け入れが進まない中で、おっしゃったように、安全にできるということを確認してその情報を発信していくことも、東京が果たすべき役割だというふうに考えております。
 きょうは、電力やエネルギーの問題でいろいろとご質疑がございましたが、電力対策について東京都が取り組んでいけるのも、これまで気候変動対策の中で省エネ対策をかなりやりまして、そのノウハウがある、この成果だと思っています。
 同じように、瓦れきの広域的な支援ができるのも、東京都環境局が、その前身が清掃局でございますので、ダイオキシン問題に取り組んで、非常に高性能な処理施設が都内の中で生まれているということもございますし、それから議会の皆さんと一緒になって、新海面処分場などをしっかりと整備をしてきた、こういった実績があるからこそ、今回の対応は可能なんだろうと思っております。
 そういう意味で、実際にこの宮城の場合は、処理をお願いするのは区市町村でありますので、区市町村の方々と一緒になって連携し、災害廃棄物の処理を進めて、被災地への支援を言葉だけではなくて実際に東京から支援をしてまいりたいと、このように思っております。

○笹本委員 既に発言をされ、質疑をされた方と一部重なることがあるかもしれません。また答弁も一部関連があるかもしれませんが、それを踏まえて質問していきたいと思います。
 先ほど来の答弁の中にも、エネルギーマネジメントシステムを構築していくという答弁がございました。恐らく、原子力発電に多くを依存してきたそのようなエネルギーのサプライシステムの構造変革を、今まさに求められているのかなというような印象で聞いていたんですが、今、こいそ委員も、電力の地産地消、自立分散型と。これからのエネルギーシステムということについて冒頭質問させていただきます。
 六月の第二回定例会の知事発言の中で、首都圏の電力自給能力を高めるためにも、天然ガス発電所の新規建設に向け、民間とも連携をして行動を起こすというような発言がありました。そしてこの都庁の中にもプロジェクトチームがつくられて、非常に発電効率も高いとされ、ほかの化石燃料と比べて環境への影響が少ないというふうにいわれる天然ガスを燃料とする百万キロワットの、これ、大変大きいんだと思いますが、この発電所の整備に向けた検討が開始をされていると。
 そして先ごろ、いろいろふるい分けをされて、五カ所の候補地も出てきたと。委員長も私も地元なんですが、その中には葛西水再生センターも入ってるということです。
 地元としては大変唐突感があり、ちょっと違和感というか戸惑いもあるのですが、東京湾などが中心になると思いますけれども、いろんな水が流れるとか、温かい水が流れるとかいろいろあるんでしょうけれど、きょうは環境局の質疑ですから、この天然ガス発電所の設置に伴う東京湾などの環境への影響について、まずお伺いしたいと思います。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 本年九月に公表された五カ所の都有地でございますが、面積、用途地域など一定の条件により、スクリーニングを行ったものでございます。
 今後は、事業スキームや技術的課題について詳細な調査を行っていく予定でございますので、本プロジェクトの環境への影響は現時点では確定的なことが申し上げられないところでございますけれども、一般的には、天然ガスコンバインドサイクルでは、ガスタービンで発電した後の排熱で蒸気をつくり、蒸気タービンで発電させて発電効率を高めてございます。この蒸気タービンの復水器の冷却のため、川や海から取水して温かい水を放流することになりますけれども、冷却水の量は、石炭あるいは石油発電所と比べて少なくなってございます。
 また、大気におきましても、石炭火力発電所と違い、燃焼による硫黄酸化物やばいじんの発生はなく、石炭や石油など、他の化石燃料と比べて二酸化炭素や窒素酸化物の発生が少ないと。こうしたことから、天然ガスコンバインドサイクルは、石炭、石油発電所と比べまして、環境への影響が少ないものといえると考えてございます。

○笹本委員 建設コストとあわせて、環境への影響が少ないというふうな答弁だと思います。
 アメリカにおいても、オバマ大統領は既に天然ガス発電に対して、日本の福島原発の事故がきっかけだと思いますが、前からあるとは思いますけれど、新しいエネルギー源の第一の選択肢を天然ガスにしているということもあると思いますし、既に知事も会見においては、土地、スペースもとらない、東京湾の埋立地につくってもいい、ということも発言されているわけです。GTCCガスタービンコンバインドサイクルというのでしょうか、川崎の天然ガス発電所、こちらを、猪瀬副知事も既に視察をしているということです。
 ちょっと気になるのは、先ほどのスクリーニングをされた五つの候補地で、私の、そして委員長も地元である葛西の水再生センター。これは葛西臨海公園のいわゆる北部側です。いろんなスクリーニングの条件はあるんでしょうけれど、五ヘクタール以上だとかがありますが、ここに関していうと、すぐ近くに東京臨海病院があったり、小中学校があるとかということもあったり、水はすぐ取れると。それ以外に、江東区が多いんでしょうか、砂町の再生センターが二カ所、それから旧清掃工場跡地、そしてもう一個は、このスクリーニングされた候補地の中では東京湾の最も沖側になる、中央防波堤の外側というか最南端、そういうところにある。
 よくいわれることは、東京湾の北部断層の、いわゆる東京湾北部地震、北部断層地震っていうのでしょうか、そういうことも考慮すると、どこもいわゆる低地帯ばかりです。非常に危険性もあるし、特に、面積でいうと中央防波堤は一番広いんですけれども、一番沖側にあるというふうに、いただいた資料から見ると印象を受けるわけです。江東区も低いところが多いので、万が一の津波とかがあった場合、どこも結構いろんな部分の危険があるのかなと。
 嫌みをいうわけではないんですが、いただいたこの地図を見ていると、有明コロシアムの後方というか、北部側に豊洲があって、かつてここはガス工場が稼働していたということから考えると、私なんかの素人考えにいうと、候補地としてはいいところかなと。環境への影響が少ないというふうに、今、答弁がありましたので、候補地としてなってもいいのかなと。別に、これは答弁を求めませんが、そういう印象を持ちました。
 どのみち、それぞれの地元への十分な説明だとかも必要だと思いますし、そもそも論を考えますと、民間と連携をしながらも、百万キロワット級の地産地消とか、自立分散型とか、いろんなことは今後検討されていくべきだとは思いますけれども、それを東京都が主体となってやるということについては、これからさまざま議論がなされるべきだと思います。環境局の質疑の中でということで、先ほどいいましたが、答弁は求めません。武士の商いなどということにならないように、しっかりとここいらも、これから議論をしていくことなのかなというふうに思います。
 続きまして、先ほど来お話が出ておりますが、東日本大震災に伴う瓦れき処理について質問をさせていただきます。
 九月の末に、東京都は岩手県からの災害廃棄物を受け入れるということを発表いたしました。本会議の際に、知事の発言の中にもありました。若干唐突感があるなという印象はありましたけれども、先ほど来ありましたが、被災地へは、全国すべてのところで、いろんな形で支援をしていくということが大変重要であり、意義があるということは異論がないというふうに思います。
 東京都民も、多くの人がそれに対しては理解を示すということはあると思いますが、一方で、恐らく局の方にも、多くの、不安だとかというメールあるいは意見、声がたくさん寄せられていると思います。ここにいるすべての同僚議員の皆様にも、少なからずそういう意見は届いているというふうに思います。
 風評被害ということでいうと、京都の送り火が中止になるとか、花火大会が中止になるとか、橋げたの材料が大丈夫かとか、いろんな風評被害があったりするわけですけれども、都民においては、この広域瓦れき処理ということについてはしっかりと理解をしていただくということが重要だというふうに思います。
 この受け入れの経緯ということについて、もう一度説明をいただきたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 本年五月に発表いたしました東京緊急対策二〇一一の中で受け入れの考えを示した後、本年第二回定例会におきまして、知事は所信表明で、被災地の復旧に立ちはだかる瓦れきについては区市町村や民間と共同して都内に受け入れ、処理に協力していくと述べ、都議会で、受け入れ支援のための補正予算を全会一致で議決いただきました。
 災害廃棄物に係る放射能につきましては、広域支援のための基準をつくるよう都が国に強く働きかけた結果、八月に国から広域処理推進ガイドラインが示され、これに従い広域処理を進めるよう要請がございました。
 これらを受けまして岩手県等と調整を進めました結果、第三回定例会で、知事は岩手県知事の依頼により岩手県の災害廃棄物を受け入れることを表明し、二十三年九月三十日に岩手県と処理協定を締結したところでございます。

○笹本委員 事業の意義、経緯はわかりました。
 放射性物質、放射能と聞くと、国の広域処理推進ガイドラインだけで本当に十分なのかなということで、私も、もちろん放射能の専門家でもなく、専門的に勉強した経験もありませんので、それはそれで不安を感じてしまうということは不自然ではないというふうには思いますが、この災害廃棄物の受け入れに当たり、先ほどもありましたけれども、都の対策、そして安全をいかに担保するかということについてご説明をお願いします。

○木村廃棄物対策部長 今回、東京都で受け入れますのは、国の広域処理推進ガイドラインで示されております、焼却灰の放射性物質濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下という基準を満たすものだけでございます。
 また焼却施設は、バグフィルターに加えまして、排ガス洗浄装置などを有したダイオキシン対策が強化されている施設を選ぶことにより、放射性物質が拡散することがないようにいたします。
 放射能測定につきましては、国のガイドラインでは仮置き場ごとの代表値で足りるとされておりますが、今回の作業に当たりましては、粗選別エリアにおいて作業時間の一時間ごとに空間線量率を測定するほか、搬出の際、コンテナごとに外部の放射線を遮へいし、その廃棄物そのものの発する放射線量率を測定するなど、国のガイドラインを超える対策を講じております。

○笹本委員 国の安全対策以上の対策をしていただくということで、これは絶対大丈夫なんだということを期待するしかないと思いますが、先ほど来、東京の端っこの話で恐縮なんですが、委員長と私の地元である江戸川区の清掃工場では、焼却灰から放射性セシウムの検出がとまらないんです。
 そういうことを含めると、恐らくこれを何段階かで処理をしていって、中央防波堤にまた埋めるとかということにすると思うんですけれど、その移動だとかいろんなところに、大丈夫かという不安を多くの普通の都民は持つと思いますので、そこいらの対策は十分だということを、今はインターネット等が中心になるのかもしれませんが、いろんな形で情報公開を徹底するということをぜひお願いしたいと思います。
 幸いというか、ちょっと複雑なんですが、モニタリングポストも江戸川区篠崎公園に設置されるということになり、これからモニタリングデータというか、スコアというか、それもいろんな形で、情報提供ということじゃなくて常に公開をしていくということになっていくと思いますので、十分な安全対策を施していただきたいというふうに思います。
 続きまして、少し内容が変わりまして、小笠原について質問したいと思います。
 六月にユネスコ本部で開催された世界遺産委員会において、小笠原諸島が日本で四番目ということで、世界遺産、自然遺産として登録決定されました。私も一九八五年以来、二十回ほど訪れております。
 ことしも七月の十六日に訪れましたが、今の船は二十五時間半ぐらいで行くんですけれど、台風接近のため、着岸後、東京に引き返すという信じられない船内アナウンスがあって、局の方もどなたか乗っていらした方がいるように私は聞いておるんですが、残念ながら、ゆっくりと世界遺産の島を十分に堪能せずに帰ってきたので、また機会をねらっているところでございます。
 将来にわたってこのすばらしい世界遺産としての登録をしっかりと守っていくということは、我々に課せられた使命かなというふうに思っております。
 一方、既に登録された世界遺産の屋久島、私、ここ屋久島も、非常にこの二つの島へはよく行っていまして、ここはもう三十回ぐらい行っています。土地まで買ってしまいました、屋久島に。原生林なんですけれど、石油でも出ないかなと思ったんですが、何も出ないそうです。
 世界遺産登録された屋久島は、実はすごく観光客が訪れて、かなりいろんな部分で荒れてしまったと。登山道とかが荒れてしまったり、縄文杉に行く道が崩れたりとかということで、同様なケースが白神山地にも、ここは残念ながら行ったことはないんですが、立ち入り制限区域に人が入っているというような状況があると。
 ことし、世界遺産登録後、例年に比べて三割ほど観光客がふえているということを、局の方からいただいた資料で聞いているんですが、今いいましたように、片道二十五時間半、週一本なんです。ということは、一回行って帰ってくるのに最低一週間かかるということで、非常に行きにくいんです。そこに対して、新聞でごらんになった方もいると思いますけれど、飛行機で行くのはどうしたらのいいのかだとか、船は一日何便あるんだとか、中には、父島まで行って、南島まで行ってほしいという人がいるらしいんです。南島というのは、一日、入島制限をして、よくポスターに出るところですが、ブルーの、あの大きなトンネルがあるところですけれど、そういう全くのニューカマーが訪れて混乱しているというような状況が一方であるということだと思います。
 そういう小笠原を、心ない人がいるということは考えたくないんですけれども、やっぱり自然が荒れてしまったり、いろいろな巻き貝のようなものがたくさんいると思いますけれども、希少動物を持ち帰るということが心配されるわけでございます。
 また、小笠原に生息しないものをうっかり持ち込んでしまう。おりると、靴底をしっかりと洗い流すということがあると思いますけれども、そういうことも含めまして、さまざまな対策をするべきだと思いますが、所見をお伺いしたいと思います。

○高橋自然環境部長 小笠原諸島が世界遺産に登録された後、増加すると見込まれる観光客に対して、小笠原の自然の価値とその保全の意味、保全の難しさを、わかりやすい方法で普及啓発することが重要でございます。
 これまでも、東京都レンジャーによる希少な動植物を保全するための巡回や指導、また、観光客が外来動植物を持ち込まないよう、船着き場での指導を行ってまいりました。
 今後は、父島二見港に隣接した都立大神山公園及び、そこに設置されたビジターセンターにおいて、解説員やビデオ等による普及啓発を強化してまいります。
 また、竹芝桟橋でのパネル展示、都内の都立公園、都立施設でのパンフレットの配布、修学旅行などの団体客を対象とした出前講座など、出発前の普及啓発をより強化いたします。
 こうした取り組みを進めて、小笠原の自然を将来にわたり保全してまいります。

○笹本委員 世界自然遺産登録をされたということですから、やはりこの東京にとって宝のような島を、ずっとこれから一緒になって守っていくということだなというふうに感じていますし、島に行く人も最低限のルールを守っていくということを徹底するように喚起していくということかなというふうに思います。
 あと、空港建設に対する知事の発言などにも私は注目をしたいなというふうに思っています。父島には、戦前、洲崎というところがあって、飛行場跡地みたいなところで、今、残土か何かを置くようになっていると思いますけれども、そして、かつては時雨山のところに建設をしようだとか、いろんなことがあったけれども、どうしても、ジェット機がおりられる恐らく千八百メーターぐらいの滑走路ができないと、今のままでは--という状況がわかっていると。
 そして、とんざしてしまったテクノスーパーライナーなんかの話もありましたけれども、こういうことを考えると、島にずっと住んでる人にとっては、飛行場というものはもう長年の願望だとは思いますけれども、今後、こういう部分にも影響はいろいろあるのかなというふうに思います。世界自然遺産登録になったということは、こういうことも含めて受け入れることなのかなと思っております。
 続きまして、羽田空港の国際化に伴いまして質問したいと思います。
 かつて、東京構想二〇〇〇、千客万来の世界都市を目指してということで、東京再生の重要施策ということで、この羽田空港の国際化ということはあったと。そして、四本目の二千六百メーターの滑走路ができたことによって、ソウル、香港、ニューヨーク、パリなどヘの直行便ができ、二十四時間空港ということになってきたのかなというふうに思います。昨年十月から、D滑走路の供用が開始され、発着便もふえているということです。
 ここで聞くことは、環境ですから、先ほど来からいいますように、私の住んでいます葛西水再生センターあたりをイメージすると、その上が、悪天候時に飛行の航路に入ったんですね。悪天候でなければ、いわゆる葛西沖を飛ぶんですが、悪天候になると、こっちの陸地側に来ると。いろんな環境基準の指定区域外とか何とかがあるんでしょうけれども、体感的に肌で感じる部分として、昨年の秋より特に夜間等がうるさくなった、飛行機の騒音が気になるよという声が私なんかに寄せられるということなので、このような航空機騒音についてはどのように把握されているでしょうか。

○中村環境改善部長 航空機騒音についてでございますが、平成二十五年度から、現在の評価指標が新しい評価指標に変わることとなっております。
 そのため、都は定期的な調査に加えまして、都内の飛行場周辺の騒音実態調査を昨年度から実施しておりまして、羽田空港につきましては、本年の調査対象空港として、現在、運行状況を踏まえた調査を進めているところでございます。

○笹本委員 先ほどもちょっと触れましたが、この江戸川区は航空機騒音の環境基準の指定区域外であることは承知をするわけですが、羽田空港の着陸便が、場合によっては、場合によってはというのは悪天候とかそういうときですが、江戸川区の上空を通過していくと。
 その際に、その騒音がうるさいということでの都の認識なんですが、江戸川区は、もう歴史的に多分四十年ぐらい、恐らく十期ぐらいやった区長が、これ、国と闘ったというのは結構有名な話なんですけれども、そういう部分も踏まえて私は質問をしているんですが、この都の認識という部分、江戸川区上空を通るということについて所見をお伺いいたします。

○中村環境改善部長 羽田空港の南風運用時の悪天候の場合に江戸川区上空を着陸便が通過する飛行ルートがございまして、江戸川区の測定結果によれば、環境基準値は超えておりませんけれども、悪天候時の運用により、通過便が多い場合には騒音レベルが比較的高いとされております。
 都といたしましては、今後の運行状況も踏まえまして、引き続き国に対して、航空機騒音の低減化について要望してまいりたいと考えております。

○笹本委員 引き続いて国に対して、騒音低減について要望していただくということかと思いますが、かといって、この滑走路が建設できて、うるさいから何とかしてくれという話にはなるものではないとは思います。住民、都民の生活環境にも影響を及ぼしているということもあったり、あるいは騒音の負担を強いられている、新たに強いられる場合もあるということを認識はしていただいていると思いますけれども、先ほどいいました東京再生の重要施策の中での羽田空港の国際化ということですが、そういう住民負担の上に成り立っているんだなということを私は思うわけです。
 最後に、東京を青い空に、ということで、先ほど来質問もありました、いわゆるディーゼルガスの規制に対して質問をしたいと思います。
 陸上を走る車両に対しては、このディーゼル規制は大変厳しいとも思えるような負担を課しているわけですけれども、同様に、東京湾の船舶についてもディーゼルがあると思いますが、排ガス規制、負担の公平ということも、率からいえば、車に比べれば格段に少ないと思いますけれども、これについて考え方をお伺いいたします。

○中村環境改善部長 東京の大気環境につきましては、大気汚染物質の排出寄与割合が非常に大きいディーゼル車の対策を先進的に進めるなどによりまして、大幅に改善してきております。
 平成二十二年度の大気環境モニタリング結果によれば、浮遊粒子状物質につきましては、四年連続で全測定局で環境基準を達成し、酸化窒素についても年々改善し、達成率は九六%を超えている状況でございます。
 船舶の排ガス対策につきましては、二〇一〇年に改正された、船舶による汚染の防止のための国際条約いわゆるマルポール条約の発効に合わせて、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律いわゆる海洋汚染防止法が改正されまして、船舶排ガスの大気汚染対策として、二〇一五年まで段階的に、船舶の窒素酸化物の基準及び燃料の品質基準が強化されております。それで一定規模以上の船舶につきましては、この海洋汚染防止法の対象となっております。
 また、海洋汚染防止法の対象外の船舶につきましては、社団法人日本舟艇工業会が中心となりまして製造事業者による自主規制に取り組み、排ガスに含まれる窒素酸化物等を段階的に引き下げる対応を進めております。
 このようなことから、都といたしましては、国や業界の取り組み、動向を注視してまいります。

○笹本委員 今、答弁にもございましたが、国の法律や業界の自主規制に期待をするという内容かなというふうに思います。
 この排ガス規制のときは、知事はペットボトルにすすの入ったものをしきりに--いろんなところでよく見た映像ですけれども、国がやらないから東京が率先してやるんだということをおっしゃって、それに先駆けてやっていったというふうに思います。
 ただ、この船舶に関しては、国の動向だとか、先ほどいいました海洋汚染防止法、こういうものの対象になってくるということで、国や業界の動向を注視するということで、本来なら東京湾の船舶についても、やる以上はしっかりと強い姿勢を見せて、やるというふうになれば、知事は、本当にこれは本気なんだなというふうに感じるのかなと私自身は思います。
 石原知事はクルーザーを所有されているというふうにお伺いしておりますけれども、その比率が多いとか少ないとかということはいってもしようがないんで、その姿勢という部分では、負担の公平ということで、そういう考えがあるのかなというふうに思いました。大きな船にはそれなりの規制がされているということは理解をいたしました。以上です。

○中村環境改善部長 先ほどご答弁しましたように、ディーゼル車は、船舶等に比べて大気汚染物質の排出寄与割合が非常に大きいということで、対策による削減効果が大きいことなどから、都は率先して対応したものでございます。
 また、船舶におきましては、現在、規制と自主的取り組みを組み合わせた対応がされておりまして、その効果を確認していくことが必要であるというふうに考えてございます。

○笹本委員 よくわかりましたが、車両のディーゼル規制のときは、本当に中小の、例えば小さな運送会社を一人でやってるような人はいろいろ一定の負担があったり、いろんな部分で、都民、事業者も含めて協力をしたというのは記憶に新しいところだと思います。
 そういう意味で、いろいろ、事業に対する負担の公平だとか理解を示すという部分は、僕はあってもいいのかなと思った発言なんです。
 ですから、やっぱり大型船舶は規制の対象になっているという部分もありますし、やはり船といえども、それはそれなりの排ガスはあるわけですから、そういう部分では、それに対して、率云々ということではなくて、あってもいいのかなという趣旨から質問したということでございます。
 以上です。

○山田委員 それでは私から、大きく分けて二点、そんなに時間はかけません。また、既に各委員からも質問がありまして、私の質問内容と重なる点もあるかと思うんですが、その点についてはご答弁の方で、それを踏まえてお答えをいただければと思う次第であります。
 一点は、今、笹本理事からもお話がありました、小笠原諸島の世界遺産登録についてであります。
 この小笠原諸島世界自然遺産登録については、平成十五年の五月に国内の世界自然遺産候補地に決定して以来、ことしの六月二十九日パリのユネスコ本部で開催されました世界遺産委員会において、日本で四番目の世界自然遺産として登録が決定され、八年間かかったわけであります。これまでの環境局のご努力には心から敬意を表したいと思います。
 私は、本年三月の二日に行われました環境・建設委員会におきまして、昨年七月に行われた、ユネスコの諮問機関であります国際自然保護連合といいますかIUCNの、現地調査及びその後の追加資料要請についての質疑を行わせていただきました。
 その際、その質疑を通しまして、世界遺産登録への手ごたえを感じておりましたけれども、改めてその登録の決定の知らせをお聞きしまして、大変うれしく思った次第であります。
 また、十月の十四日には、父島で遺産登録の記念式典が開催されました。私はその式典には参加しておりませんけれども、その式典におきまして、島民の方たちに認定証を披露された。そしてまた、それと同時に知事の方から、遺産登録に当たっていろいろご苦労された方たちに対する表彰もされたということであります。
 特に私が申し上げたいのは、東京都獣医師会の方たちが野生化した猫を捕獲して、これを都内に移送し、検査や治療を施した上で飼いならして、そしてその飼い主を探されたと。そのような努力、取り組みをされたということでありまして、大変これは称賛に値することであり、こういうことも遺産登録への大きな評価の一つになったのかなと思います。特に私の地元の西東京市からも、有志の方がこの式典に参加をされて、大変感動されておりました。私も大変よかったことだと思っております。
 そこでまず、小笠原の自然のどのような点が今回世界遺産に登録され、どういう点が評価をされたのか。その点についてお伺いいたしたいと思います。

○高橋自然環境部長 世界自然遺産には、景観、地形・地質、生態系、生物多様性の四つの遺産価値があり、このいずれかに合致すれば世界遺産として登録されます。
 本年六月の世界遺産委員会では、実際に現地調査に訪れたIUCNの調査員から、小笠原の自然の特徴や野ヤギの駆除などの取り組みが写真を使って紹介されました。
 小笠原諸島は、陸産貝類いわゆるカタツムリと、維管束植物、これはコケ類などを除く大部分の植物を指しますが、こういったものにおける並外れた高いレベルの固有性を示していることが評価され、生態系の遺産価値があるものとして世界遺産登録が決定いたしました。

○山田委員 小笠原諸島の陸産貝類や維管束植物が、並外れた高いレベルの固有性を有していることが高い評価を得たということであります。
 世界遺産登録は、一方で、これは小笠原の自然を将来にわたって保全していくことを、逆に世界に宣言するということにほかなりません。高い評価を得たこれらの生物を、いかにこれからしっかりと保全していくかということがこれからの大きな課題であると思います。
 登録に際して、ユネスコの世界遺産委員会からどのような要請事項があったのかをご説明いただきたいと思います。

○高橋自然環境部長 小笠原諸島の世界自然遺産登録に当たり、一つは、侵略的外来種対策を継続すること。もう一つは、観光や島々へのアクセスなどすべての重要なインフラ開発において、事前に厳格な環境影響評価を確実に実施することの二つの要請がございました。
 さらに、観光客の増加への対応について、注意深い観光客管理などが求められております。
 登録後、六年ごとに保全状況を世界遺産委員会に報告することになっていることから、国、村、島民と連携して、これらの要請事項等を確実に実施してまいります。

○山田委員 今のご説明で、一つは侵略的外来種対策を継続すること。二つ目に、観光あるいは島々へのアクセスのインフラ開発においては事前に厳格な環境影響評価を実施することという、重要な大きな要請があったということであります。
 そこで、二つの要請事項のうち、外来種対策の継続がなぜこれほど重要であるのかをご説明いただければと思います。

○高橋自然環境部長 小笠原諸島は、島の発生以来、一度も大陸とつながったことがない海洋島で、海を越えてたどり着いた生き物だけで生態系が構成され、生き物は独自の進化を遂げてまいりました。これらの生物は厳しい種間競争を生き抜いたわけではないので、他の生態系から外来種が入ってしまうと、そのバランスが容易に崩れてしまいます。
 小笠原固有の生物を将来にわたり保全していくためには、これらの生物の生存に大きな影響を及ぼす外来種を排除することが第一ですが、それには多くの年月と経費を必要とします。
 世界遺産委員会は、これまで実施してきた保全策を評価する一方で、将来にわたり継続していくことを求めております。

○山田委員 ご説明をお伺いいたしまして、小笠原の自然を将来にわたって保全していくためには、外来種対策の継続がいかに重要であるかということがよくわかりました。
 世界遺産に登録されることで、世界でここにしか見られないという、そういう自然を得るために、当然のことながら観光客がふえるということが予想されるわけであります。
 これに対してもIUCNの要請がありますように、都としてやっぱり対応していかなきゃいけないと思いますけれども、どのような対応をされていくのか、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

○高橋自然環境部長 小笠原諸島の貴重な自然を守るためには、今後、増加が見込まれる観光客への対応が重要でございます。
 現在、六人の東京都自然保護員、いわゆる都レンジャーでございますが、これを配置し、観光客や観光業者への指導、自然環境のモニタリング、普及啓発などに当たっております。
 また、東京都認定自然ガイドは約二百五十人おり、南島や母島の石門に入るにはこのガイドの同行を義務づけるとともに、利用経路の限定や利用時間の制限等の東京都版エコツーリズムを実施して、自然の保全に努めております。
 今後もこうした取り組みを強め、小笠原諸島の貴重な自然を保全しながら、観光客の増加に対応してまいります。

○山田委員 観光客が急増することに伴いまして、既に侵入した外来種の拡散や新たな外来種の侵入を許してしまっては、先ほどの貴重な陸産貝類等の遺産価値が損なわれてしまいますし、そのことが結果として世界遺産リストから抹消されてしまうということも予想されますので、ぜひ、この小笠原の自然も影響されないように取り組みをしていただきたいと思います。
 また、世界遺産登録、ぜひこれに浮かれることなく、外来種対策の継続など、世界遺産委員会から要請があった事項を確実に実行、実施していただいて、末永く小笠原の自然を保全していくことを要望しておきたいと思います。
 また先般、十月の十九日から二十五日にかけて、都庁の第一本庁舎の南展望室において、東京の自然公園展二〇一一というのが開催されました。「つたえよう! 世界へ、未来へ、東京の自然」と題しまして、世界遺産に登録されましたこの小笠原諸島につきましても掲載されておりました。
 小笠原の自然と人々の取り組み、あるいはたくさんの生き物、あるいは美しい風景写真など、小笠原の豊かな自然が紹介されておりました。
 こういうことの中に、新たに東京の国定公園、自然公園の説明もございまして、東京としての自然公園の魅力というものも紹介されておりました。ぜひ、小笠原の自然遺産についてもしっかりとお守りいただくと同時に、東京都の自然環境の保全に対する取り組みということもこれからしっかりとしていただければと思っております。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 次に、これも質疑がなされておりましたけれども、東京の緑施策について質問をいたしたいと思います。
 東京の緑の現状については事業概要にも記載をされておりますけれども、奥多摩の山地から丘陵地、あるいは台地、低地、そして東京湾と、また先ほど取り上げました小笠原諸島に至るまで、地形の上で、大変多様な緑がはぐくまれてまいりました。
 多摩地域の山間地や、島しょ地域に広がる豊かな森林、丘陵地を中心に点在する貴重な里山、あるいは武蔵野の面影を残す台地部の雑木林、あるいは神宮の森とか皇居といった都心のまとまった緑など、東京の緑の形態は実に多様であると思います。
 また、これまで我が党といたしましても、東京を緑豊かな都市として再生することが、東京をさらに魅力的で快適な環境都市へ発展させていくということを訴えており、震災後に低下した東京のプレゼンスや国際競争力を回復、あるいは向上させるためにも、引き続き積極的な施策の展開を大いに期待するところでもございます。
 そこで初めに、先般公表されました東京の環境二〇一一によりますと、区部、多摩部ともに、公園、緑地等が増加しているとの分析が行われておりました。西東京市、私の地元でありますけれども、そこにおいても、東京大学の原子核研究所の跡地が平成十七年に大規模公園いこいの森公園として、これは四・四ヘクタールありますが、開園いたしました。
 復元した緑の森といいますか、武蔵野の雑木林、あるいは自然観察ができる池とともに、緑豊かな憩いの場として大いに活用されておりまして、バーベキューができたり、あるいは市民祭りの会場としても利用され、市民が四季折々の緑を楽しんでいるところでもございます。
 こうした緑を創出する取り組みが、東京を魅力的で快適な環境都市へと発展させていく原動力になると考えますけれども、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのかをお伺いいたしたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、新たな緑の創出に向け、現在、緑の東京十年プロジェクトを展開し、この中では海の森や都市公園の整備などの取り組みを進め、新たな緑を創出してきております。
 あわせて、緑の東京募金や緑のボランティア活動、普及啓発活動などを通じた緑のムーブメントを推進し、都民、企業の意識を緑に向け、社会全体で緑の創出行動に結びつけてきたところでございます。

○山田委員 ただいま、緑の東京十年プロジェクトを展開する都の多角的な取り組みについてご答弁いただきました。
 緑の東京十年プロジェクトは、二〇一六年までに新たに千ヘクタールの緑を創出をする、あるいは街路樹を百万本に倍増するという、大変広大な、夢のようなプロジェクトでありますけれども、ぜひこの実現に向けて着実に推進していただくように要望をいたします。
 ご説明によりますと、平成二十二年までの四年間で、街路樹は十九万本ふやしたと。あるいは新たな緑を四百二十七・三ヘクタール創出したということでありますので、ぜひ着実に推進していただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、多摩部では、資料のみどり率の実績値ということでご説明がありましたけれども、六九・八%から六七・四%と、約二・二%ですか、二ポイント減少しております。これは、宅地造成などの開発によりまして、樹林や草地や、あるいは原野、農地が減少し、そのことがこういう二ポイントの減少につながっておると思います。
 地元西東京市でも、都市農地や屋敷林が、相続を契機に売却される、あるいは宅地に転用される例が多く見られます。都市農地は食料生産の場ではなく、都市環境の改善とか防災とか環境教育など多面的な機能を持っておりまして、屋敷林とあわせて、周辺地域と緑の連続性の確保のためにも貢献してくることが大事だと、また、これをできるだけ保全していくことが大事だと私は思っているところであります。
 そこで、都市農地や屋敷林の保全について、これまでどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 都市農地や屋敷林を保全するためには、農業の担い手を確保し、事業承継を円滑にする取り組みが重要であると考えます。
 このため、一定の条件のもとで生産緑地地区の指定に係る面積要件を引き下げることや、農業用施設用地や屋敷林等を農地と一体的に保全できるよう、一定の土地利用制限のもとに相続税評価額を減額するなどの相続税の軽減措置を講じるように、継続的に国に要望しているところです。
 また、各関係局の連携のもと、緑の東京十年プロジェクトに基づき、生産緑地の指定、特別緑地保全地区制度の活用や、区市との連携による農業、農地を生かしたまちづくり事業などの取り組みを推進しているところでございます。

○山田委員 ただいまご答弁をいただきました特別緑地保全地区制度でありますけれども、どのような制度内容であるのかをぜひご説明いただければと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 この制度は、都市緑地法に基づき、地区の指定を受けることにより一定の土地利用に対する制限を受ける一方で、税制上の優遇措置を受けることができるものでございます。
 指定により、土地の利用に著しい支障を来す場合には、所有者は土地の買い取りを、二十三区は各区に、市部は都に申し入れることができます。
 この制度を所管している都市整備局とも連携し、屋敷林など、維持の保全に努めてまいります。

○山田委員 この特別緑地保全地区制度は、先ほどもご説明ありました都市緑地法、あるいは都市計画法による制度ということだと思いますけれども、税制上の優遇措置を受けることができるなどいろんなメリットがあると思いますが、具体的に、指定されることによるメリットというものをぜひご説明いただければありがたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 この制度におけるメリットですが、主に税制優遇、それから管理協定制度、それから土地の買い取りに伴います補助等を受けることができます。
 税制優遇に際しましては、相続税については山林等の八割評価減。固定資産税、都市計画税の、最大二分の一までの評価減。それから維持管理につきましては、土地所有者みずからが緑地を良好に管理することができない場合におきまして、地方公共団体等が土地所有者と協定を締結し、かわりに緑地の管理を行うことができます。さらにこの場合、相続税につきましては二割減という制度になってございます。
 また、申し出のあった特別緑地保全地区を各区市が取得する際には、現在のところ、国から三分の一、都から三分の一の補助を受けることができます。

○山田委員 どうもありがとうございます。
 私の地元でも、この制度を活用、利用して、屋敷林の保全の手続を進めているということも聞いております。ぜひ各局が連携していただいて、しっかりと進めていただきたいと思っております。
 あわせて、相続税の負担が、農業における事業継承の障害になっているということもよく聞いておりますので、改めて国に強く働きかけていただきたいと思います。
 また、環境審議会では、現在、東日本大震災を踏まえた新たな環境政策のあり方が審議されているという、先ほどからのお話がありましたけれども、この中で、緑の持つ多面的な機能に着目をして、緑の量だけでなく、質の確保に向けた対策が議論になっているということも先ほどご説明がございました。
 そこで、都はこれまでの緑の確保についてどのような取り組みを進めてきたのか、それについてのご説明を、そして、環境審議会での議論を踏まえて、今後、緑施策をどのように展開していくのかについてご説明いただければと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 都はこれまでも、開発許可制度におきまして緑化基準の強化を行うなど、より質の高い緑の確保を進めてきているところでございます。
 今後は、規制、誘導、税制、都市計画など、さまざまな手法を活用し、緑の量を確保する取り組みを着実に進めていくとともに、多様な生き物が生息しやすい環境を整えていくことや、ヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止や都市水害の軽減を初めとする防災面での効果など、緑の持つ多面的な機能を十二分に発揮できるよう、環境審議会での議論も踏まえ、都の生物多様性地域戦略としての役割を持つ新たな緑施策の方向性を、今年度中に取りまとめてまいります。

○山田委員 新たな緑施策の方向性については今年度中にということでありますので、ぜひしっかりと取りまとめていただきたいと思います。
 新たな方向性に基づきまして、これまで進めてきた緑の量の確保に加え、緑の多面的な機能、いわゆる緑の質の確保に向けた取り組みを私からもぜひ積極的に進めていただきたいと。そして震災後の東京のプレゼンスと、また国際競争力の回復、向上につなげていくことを切望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○上野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩したいと思います。
   午後五時三十三分休憩

   午後五時五十二分開議

○上野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 私からは、エネルギー関係、自転車関係、そして環境局の事務事業の運営体制にかかわる事項につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、エネルギーの関係でございますけれども、先ほど来の質疑でもありますとおり、三・一一の大震災を経まして、この東京でもエネルギーの確保といったことに対する取り組みが非常に重要になってきているわけでございます。こうしたことも受けてということだと思いますけれども、ことしの八月一日付で都市エネルギー推進担当といったものも、この環境局の中に置かれたということでございます。
 先日、事務事業の概要説明の際にいただきました環境局の事業概要、当時、資料2ということでお配りいただきましたけれども、扉の見開きの部分を見てみますと、さまざま、環境局の機構図が載っているわけでございますが、この都市エネルギー推進担当といったものは、この機構図の中には出てきておらないわけでございます。これからの東京の重要な施策を担当される部所であるかと思いますので、ここで一度改めて、設置の背景、目的、規模についてお伺いをしておきたいと思います。
 そしてまた、環境局所管の事務事業のうち、何を所掌し、環境局が進める政策目的のうち、何の実現に寄与していくことがこの担当のミッションになるのかということを伺っておきたいと思います。

○紺野環境政策部長 都市型エネルギー施策の推進体制を強化するため、本年八月一日付で、環境政策部に担当部長及び担当課長を設置いたしました。
 これは、三月十一日の東日本大震災に伴う計画停電やこの夏の電力危機を踏まえ、主に電力対策を所管し、都市機能の維持に必要なエネルギーの確保と、エネルギー面から低炭素なまちづくりの両立を目指した施策を推進していくものでございます。

○原田委員 環境局ではこれまでも、低炭素型の社会というようなことで、昔風にいいなれた言葉でいえば省エネというんでしょうか、こうしたことの推進ということを進めてこられたわけでございます。
 そしてまた、これも従来から重要な課題であったことは確かですけれども、大きくクローズアップされた側面として、エネルギーの確保といったような側面が加わってきたのかなということをまた改めて感ずるところでございます。
 実際に、エネルギーに限らず、これはもう水にしても食料にしても、あるいは労働力にしても、こうした都市の維持に必要なもののほとんどを、東京という都市は、都市の中での自給自足ということではなくて、他都市からの供給に頼っているという部分はやはりあるわけでございます。
 そうした中で、今回、震災を受けて、このエネルギーの確保といったものが大きな課題となったわけでございますが、当然、膨大な需要を抱える立場として、エネルギーの確保というものを供給事業者任せにするのではなくて、しっかりとしたエネルギーの確保策というものを持つべきだというふうに思うわけでございます。
 水や食料が重要だということは生きていく上でだれでもわかることなわけでございますけれども、例えば古代の文明が滅んだ背景には、山の木を切り尽くしてまきにする、燃料がなくなった、エネルギーがなくなった、そのことによって滅んだといったような説もあるわけでございまして、また今日の世界情勢を見ましても、このエネルギーを確保するために、いかに熾烈な競争が行われているかということはいうまでもないことでございます。
 そうした中で、これまではこの供給が途切れるといったようなことに、都としてあるいは都民として、さほど心配をせずに済んだという幸せな事実があったわけではございますけれども、エネルギーの確保というものをきちんと進めていかなければならないということを、今、我々は改めて考えていかなければいけないわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、東京の維持に必要なエネルギーについて、中長期的な指針をしっかりと持ち、それに沿って行動していくといったような体制が必要かと思いますけれども、ご所見をお伺いいたします。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 都といたしましては、都市機能を維持すること、また低炭素なまちづくりを継続的に推進していくこと、この両立を図る上で今何が必要か、何ができるかということを考えて、需要と供給の両面から、実態に即した具体策を早急に実行に移していくことが重要であるというふうに考えてございます。
 需要面で申し上げますと、賢い節電を今後も継続していくことでありますし、供給面では、自立分散型の発電施設を設置していくこと、こういうふうに考えてございます。

○原田委員 今、具体策を早急にということで、当然これはやっていかなければならないことでございまして、そうした取り組みをぜひきちんとやっていただきたいと思うわけでございます。それに加えて、やはりエネルギー確保というのは非常に大きな問題ですので、短期的なところにとどまらず、また何かのおまけのような形ではなくて、しっかりとエネルギーを確保していくための方策を環境局が打ち出していくんだといったような意気込みで取り組んでいただきたいなというふうに思うわけでございます。
 先般、成立いたしました東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例というこの条例の中にも、長期的な総合計画をつくっていくという責務を東京都は負うのだというようなことも明記されているわけでございます。こうしたことも踏まえて、きちんと、このエネルギー確保について、東京都としての、そして環境局としてのあり方というものを示していっていただきたいなというふうに思うところでございます。
 電力の安定的な確保ということを考えた場合に、先ほどから分散型エネルギーといったような話も出ておりますけれども、電源の分散配置といったようなことと、またそれとあわせて、ネットワーク化したエネルギー網をつくっていくことが重要だといったようなこともいわれているわけでございます。
 スマートグリッドといったようなものもその一つではあろうかと思いますけれども、通信で例えますと、震災のときに電話はなかなかつながらなかったけれどもインターネットはつながったというようなことがあって、これも、アメリカが軍事的にしっかりとつながる通信網をつくろうということで出てきた中でのネットワークのあり方でございますが、エネルギー供給におきましても、こうした考え方というのは当然ながら必要だ、また重要だというような認識というのは、昨今高まっていることと思います。
 そこで、こうした電源の分散配置とネットワーク化された送電網というものが必要だというふうに私は思っているわけでございますけれども、これからの東京都の取り組みとして、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 都といたしまして、首都圏の防災性を高めるために、電力会社間の連携性に係る容量の拡大や運用方法を改善し、ネットワークを強化する、こういうことについて既に国に提案しているところでございます。
 また、都庁舎など都施設へ発電施設を導入するとともに、六本木ヒルズのように、個々の街区や建物などに、民間都市開発とも連携し、発電施設の設置について後押しする仕組みを具体的に構築することで分散型電源を配置してまいりたい、こういうふうに考えてございます。

○原田委員 前段のところで、電力会社間の相互の系統接続の話というのがありました。既に国に提案しているというようなお話でございました。
 実際、私が約二年ほど前に一般質問でこの問題を取り上げさせていただいたときも、既に国に提案要求しているといったようなことでございましたけれども、これは今でもまだ国に提案要求し続けているという段階だということになってくるんでございましょうから、今回本当に、この電力の問題、ネットワークの問題といったことは、いろんな問題を真正面から見据えて議論する大きなチャンスでございますので、この好機をとらえて、また一層の取り組みをしていただければなというふうに思うわけでございます。
 また、こうした電力会社間といったような大きな話だけではなくて、当然、地域の中で細かいネットワークができていれば、例えば不測の事態が起こっても、病院だとか、そうした重要な施設の電気が守れるといったようなことにもなりますので、より小さな地域の範囲のネットワーク化といったこともあわせて考えていかなければならないのではないかなということを申し添えておきたいと思います。
 今、電力ということでお話ししましたけれども、エネルギーというのは何も電力に限ったものだけではないわけでありまして、エネルギーのより安定的な確保ということを考えた場合に、電力に限らない形で総合的にエネルギーというものを考えていく、そして、供給網を整備していくといったようなことも必要かと思います。
 その中で一番現実味があるのは、恐らく熱エネルギーだろうと思うわけでございます。実際に海外の諸都市などを見ておりましても、例えばアムステルダムなどに私も調査に行きましたけれども、清掃工場の排熱を温熱の源とすると。それから、市内にあります湖の水温を冷熱の源とするといったような形で熱のネットワークをつくっていこうですとか、あるいはシドニーなんかでも、二〇三〇年に向けた持続可能なシドニーの計画というものをつくっていく中で、グリーン・インフラストラクチャー計画といったようなものをつくりまして、熱導管ネットワークをつくっていこうといったような提案も実際にされているわけでございます。
 また、例えば寒い地域では暖房の熱用にということで、いわゆるセントラルヒーティングの都市版といったようなものでございましょうけれども、こういったようなものが導入されているといったようなケースもあるわけでございます。
 こうしたことも踏まえて、この熱エネルギーの有効利用ということを考えていく場合に、東京都でも熱エネルギーの供給体制、そしてそのネットワーク化といったことの検討を始めるべきだと思いますけれども、どのように、今、されているのか所見を伺います。

○和賀井都市地球環境部長 都内の地域冷暖房区域におきましては、既に、清掃工場の排熱ですとか河川の熱など未利用エネルギーとのネットワークを図りまして、効率的な運用を行っている地域冷暖房区域がございます。
 都は、地域冷暖房事業者に対しまして、地域におけますエネルギーの有効利用計画制度に基づき、未利用エネルギーの利用検討を求めるなどして施設の効率化を促しており、今後もこの制度を活用し、より効率的なエネルギー利用を図ってまいります。

○原田委員 東京というのは非常に巨大な都市でありますので、それをくまなく全部というのはなかなか難しい部分もあろうかと思います。
 そうした中でこの熱エネルギーの導管ネットワークといったようなことを考えたときに、地域冷暖房といったものを皮切りに、またこれをどのように拡大していくか、つなげていくかといったような方法というのも、一つ現実的な方法としてあるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 東京都でも、例えば東京熱供給株式会社、これも報告団体ということで今議会にも報告をいただいているわけでございますけれども、こういった形でこれまでも精力的に取り組まれてきたことと思います。
 そこで改めてお尋ねしますけれども、現状、どういった取り組みをされているのか。また、今後どのような計画を持っていらっしゃるのかお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 都内の地域熱供給に関する取り組みでございますけれども、まず、大規模開発におきましては、地域におけますエネルギーの有効利用計画制度によりまして、計画策定の早い段階で、エネルギーの有効利用を図るため地域冷暖房の導入検討を義務づけております。
 また、既存の地域冷暖房事業者に対しましては、地域におけますエネルギー有効利用計画に基づき、熱効率に係る基準値を定めまして、施設の効率を改善させる取り組みなどを進めております。
 今後とも、この制度を生かしまして、エネルギーの有効利用を図ってまいります。

○原田委員 これまでもいろんな取り組みがなされてきたということは、しっかりと受けとめたいというふうに思うわけでございますけれども、今回の震災によるエネルギー問題を受けまして新たに関心を持たれる方というのも、きっとふえてきているんだろうというように思うわけでございます。
 その際、新規にということであれば、ある種、話はシンプルなところはあるかと思うんですけれども、既存の指定地域ですとか、あるいは既存の施設を拡大していこうとか、つなげていこうとかいったようなときに、いろいろな行政上の課題というものもあるというのは、今、確かなことだと思います。
 技術的な課題はもちろんですけれども、こうした行政上の課題につきましては、例えば、敷地を越えて熱供給の配管を公道に通すということになりますと、その関係でまたいろいろな手続が必要になったりですとかといったことで、こうした行政上の課題によってなかなか踏み込めないといったようなことも、きっとあろうかと思います。こういったものがより取り組みやすい形になっていけば、こうした新しいエネルギー供給の取り組みというものも進んでいこうというふうに思うわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、現在で、現状どのような課題があるというふうに認識しておられるか。また、東京都としてできること、あるいはできないことがあるかと思いますが、どういったことができるのか、どういったことができないのかといったことについて、具体的にお尋ねしたいと思います。

○和賀井都市地球環境部長 ただいまお話しの、例えば熱供給に係る導管が公道を横断するというような場合などにつきましては、道路管理者によります道路の占用許可というものが必要になってまいります。ただ、これは熱導管だけではなくて、上下水道ですとか、電線ですとか、すべての都市施設も同じ許可が必要だということでございます。
 こういうものに対しまして環境局では、これまで都市計画等の手続が円滑に進みますよう、条例に基づきます地域冷暖房区域を指定するということとともに、関係機関と連携を図りまして、事業者が適切に手続を進められるよう、必要な事務手続や助言を行ってきたところでございます。今後とも、必要に応じて助言等を行ってまいります。

○原田委員 ぜひ、そうした形で、事業者の方が取り組みやすい環境というのを今後ともつくっていっていただけるようにお願いしたいと思います。
 あと、やはりそうした取り組みをしようというときに気になるのは、コストの問題ということになってくるわけでございます。装置のコストということもかかってくるでしょうし、また最近では、既存の地冷に発電施設をつけ加えたいといったような希望もあるように聞いておりますけれども、そうすると、機械を設置するためのかなりの床面積が必要だったりとかということで、ビルの密集している地域では現実的に難しいといったようなこともあったりするわけでございます。
 こうした中で、いろんなインセンティブがこれまでもあるかと思うんですけれども、民間事業者に、さらに新しい取り組みやすいインセンティブというものをきちっと考えていくということが分散型エネルギー供給というものを普及させていく大きなポイントだと思いますけれども、この点についてどのようにお考えかお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 地域冷暖房施設に対しましては、国の補助制度が今現在ございます。また、地域熱供給施設が、いわゆる容積率の算入から除外されているということもございます。
 さらに、固定資産税の特例等、税制面での優遇など、既にさまざまなインセンティブを高める施策が設けられているというふうに考えております。

○原田委員 いろいろなインセンティブは実際あるんですけれども、例えば地冷の地域に隣接したところに新しいビルを建てたいといったときには、地冷の地域の中であれば容積率の割り増しといったこともあるんでしょうけれども、その隣接しているところだとストレートに割り増しというようなことにはならないといったことであるとか、あるいは先ほど来、緑の関係でこの容積の話も出てきておりますけれども、ほかの制度のところで、十分に容積が、必要な分を確保できているといったようなケースというのも、これは個別のケースを見ていかないとということになるかもわからないですけれども、あろうかと思います。
 そうした中で、より事業者にとって使いやすい魅力的なものにしていくような取り組みというのは、引き続き行っていっていただきたいなというふうに思うところでございます。
 この熱エネルギーの話というのは、今までさせていただきましたけれども、残念ながら、日本の中でも注目度が低いといったようなこともあります。
 例えば太陽エネルギーの中にあっても、環境局もこのCO2削減のプログラムの中で、太陽熱利用というものを大々的に打ち出していただいたわけでございますが、一般の方々の認知度という点でいいますと、太陽光発電といったものに対する認知度は非常に高くなっている、また需要も伸びているわけでございますけれども、太陽熱利用といったものは残念ながら、太陽光発電と比べると認知度も低いと。また、取り組まれている件数も低いといったようなことになろうかと思います。
 これは前回の説明のときに資料3ということで、監理団体であります東京都環境整備公社のものが配られておりましたが、この中で、平成二十二年度分ということで、住宅用太陽エネルギー利用機器導入促進事業、これは東京都の補助事業ということですけれども、年間受け付け件数が、太陽光は一万一千三百六十四件と。太陽熱はAとBに分かれておりますけれども、太陽熱Aが百三十九件、Bが四十二件ということで、二けた、三けた、実際に違ってきているわけでございます。
 これも、ある一例ではありますけれども、熱利用ということに関しては、まだまだこれから広報もしていかなければいけないし、後押しもしていかなければいけないという状況なんだろうなというふうに思っております。
 そこでお伺いしますけれども、こうした現状をどのようにとらえられていらっしゃるのか。そして今後、どのようにしていかれるのかお伺いします。

○和賀井都市地球環境部長 太陽熱利用は、家庭の給湯ですとか暖房の熱需要に対しまして、CO2ゼロの熱エネルギーをそのまま利用できる効率のよい非常に有効なエネルギー源だというふうに考えてございます。
 都は、太陽光発電と同様に、太陽熱利用を重視しまして、過去二年間、集中的な補助を実施いたしましたが、ただいまのお話のように、残念ながら太陽光発電と比較しまして認知度が低く、普及には不十分な状況にございます。
 これを踏まえまして、今年度、太陽熱普及に資するように、新技術の導入を補助する新規事業を構築したところでございます。
 具体的には、昨日プレス発表をしたところですが、今月中旬に、補助対象となります新技術及び補助制度を発表の上、受け付けを開始する予定でございます。
 また、電力対策緊急プログラムに基づきまして、既に受け付けを開始しております電気温水器から太陽熱機器への転換促進事業とあわせまして、今後、複合的に太陽熱利用の拡大を推進してまいります。

○原田委員 ぜひ、この太陽エネルギーに関しての対応を、熱エネルギーの方も、これからも引き続き取り組んでいただきたいと思いますし、また、それ以外の熱エネルギーの利用についても積極的に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 こうした新しい環境配慮型の機器を導入するときにCO2がどれだけ削減できるのかといったことも、最近では、意識の高い方々の間では関心があるところだと思います。東京都でも、この電力の関係も含め、CO2の削減についていろいろと決められていると。
 環境確保条例の中では、この電力由来のCO2排出量を算定するのに全電源平均係数ということで、あらゆる発電手段すべての平均の係数、原子力も、火力も、水力もすべて含んだ平均ということで、〇・三八二キログラムのCO2の排出量、キロワットアワー当たりというような数字を出しているわけでございます。
 一方、基本的にこの系統電力の削減によるCO2の削減効果を測定するのには、実際に新たな電源を入れたことによって、それで電気使用量が減ったことにより影響を受ける電源、これをマージナル電源というふうにいいますけれども、これは実際には、現状では火力発電ということになるかと思いますけれども、これを削減したんだといったような係数を用いるべきだといったような議論もあるわけであります。
 この係数ですと、例えば中央環境審議会に出てきた数字ですと〇・六九ということで、先ほどの〇・三八二という数字と比べて、電力削減に係るCO2排出の削減が大きく評価されると。したがって、CO2のことを考えれば、導入をしやすくなるといったようなことがあるのではないかというような議論があるわけでございます。
 こうしたことを考えたときに、CO2削減の取り組みの効果というものを適切に評価する仕組みというものも必要かなというふうに思うわけでございますけれども、それについてのお考えをお伺いいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 CO2の算定方法につきましてですが、大きく二つの方法がございます。まず、年間の排出量を算定する方法と、それから温暖化対策の対策効果として削減量を算定する方法の二つがございます。
 年間の排出量の算定につきましては、今お話がありましたすべての発電所の排出係数の平均、全電源の平均により算定することが、国際的なルールにおいても一般的というふうにされております。
 一方で、温暖化対策の効果として削減量を算定する場合につきましては、対策の実施により、発電量の影響を受けると想定される火力発電所の排出係数、いわゆるお話にありましたマージナル電源の係数を用いることもできるというふうになってございます。
 環境確保条例の都のキャップ・アンド・トレード制度におきましては、年間の排出総量により対象事業所の義務の履行状況を確認するということで行っておりますので、排出量の算定については、全電源平均で行うというのが適切な方法でございます。
 したがいまして、現在の都の制度においては、マージナル電源での係数による算定は、国際的なルールの観点からいいましても適切な方法ではないかなというふうに考えております。

○原田委員 環境局のやられている事業の中にも本当にいろんなものもありまして、その中でも、今お話しいただいた排出量取引制度というのは、日本の国の中でも先駆けてやっていただいたもので、これをシンプルでわかりやすいものに、かつ安定的な制度としてつくり上げていくというのは、本当に東京都に課せられた大きな使命だなと思っておりますので、その取り組みはぜひしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 その一方で、いろいろな手を尽くして、実際のエネルギー使用の削減といったようなことの、進みやすい環境をつくっていくというようなことも必要かなと思いますので、その辺、いろいろとバッティングするようなところ等もあるかもわからないですけれども、さらによい全体の制度設計に向けて、研究、取り組みを進めていっていただければなというふうに思うところでございます。
 今、マージナルといったようなお話もさせていただきましたけれども、原子力発電所からの電力というものが、そのベースの部分の大きな割合を担っているといったような現状がございます。
 しかし、先ほどもご指摘のあったように、十三カ月ごとに定期点検に入っていきますので、この運転が再開できないということになりますと、このベースの部分について何らかの形で代替をしていかなければならないといったようなことになるわけでございます。
 そうした流れの中で、大規模なLNG発電所といったものにも注目が集まってきているわけでございます。
 そうしますと、LNG発電というのは広い意味でいえば、これもやっぱり火力発電でありますので、そういった意味でこれを火力ととらえるのか、あるいは、従来型のほかの火力、石炭、石油等と比べると、よりよいので、それとは分けた形でこれの数値を計算していくのかといったようなことについても、検討をしていかなければいけないのではないかなというふうに思うわけでございます。
 現実論のところでいきますと、このLNGの大規模発電所は今すぐに計画を始めたとしても一朝一夕に建つものではなくて、やはり数年、三年、四年、五年といったスパンで考えていかなければいけないことになります。そうした状況等も踏まえて、これからの東京の、より環境に配慮したエネルギー体系を構築していくために、そのときそのときの状況に応じて、きちっとこうした係数の見直しといったものも行っていかなくてはならないのではないかなというふうに考えているところでございます。
 そこでお伺いしますけれども、現状で、こうした取り組みといったものは今どのようになっているのか。また、今後どのようにしていかれる予定なのかお伺いしたいと思います。

○山本環境都市づくり担当部長 環境確保条例の定めております電気の排出係数でございますが、これはキャップ・アンド・トレード制度で活用しております。
 この電気の排出係数につきましては、前の制度であります地球温暖化対策計画書制度からの移行に当たりまして、二〇〇五年度から二〇〇七年度までの都内の全電源平均により見直しを行っております。
 現行のキャップ・アンド・トレード制度につきましては、昨年の四月からスタートし、現在、二年目というところでございます。したがいまして、第一計画期間の中で排出係数の見直しをしてしまいますと、事業者の混乱を招くということがございますので、第一計画期間の中では見直しを行う予定は、今、ございません。
 なお、今後の第二計画期間、二〇一五年度からの五年間になりますが、こちらの第二計画期間の電気の排出係数につきましては、今後の電力の供給の実態等を踏まえまして、適切な時期に必要な見直しについて検討を行う予定でございます。

○原田委員 今、第二計画期間については、適切な時期に必要な見直しを行っていくというようにご答弁いただきました。
 実際、具体的なスケジュール感でいえば、これから検討していく新たな電源といったものが実際に目の前に具体的にあらわれてくる時期というのは、第二計画期間に重なってくるだろうというように思いますので、こうした全体の流れを踏まえて、これからもこの制度をしっかりと運営していっていただければなというふうに思うところでございます。
 今、この大規模LNG発電のお話をさせていただきました。現状、東京都では、この東京湾岸に新しい大規模なLNG発電所をつくろうといったような話もあるわけでございます。しかし、東京都という枠を外れて、もうちょっと視点を広く見てみますと、東電の火力発電所というものが、これ、ほとんどが東京湾内に置かれているわけでございます。
 そういうことを考えると、電力の安定供給と首都直下型地震というようなことに対する備えというものも、ずうっといわれているわけでございますけれども、リスク分散といったようなことを考えれば、東京湾岸ではない地域に設置するといったようなことも検討した上で、それでも東京湾がいいというのであれば、東京湾だというような形で、きちっと論を組み立てていくことが必要なのではないかと思うわけでございます。
 そうした意味で、より広い視野に立って、東京湾岸ではない地域での設置といったことも検討の対象としていくということが本来の姿ではないかなと思うわけですけれども、これについてご所見をお伺いします。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 蒸気タービンの復水器など、発電施設の冷却には豊富な水が必要になること、あるいは天然ガスや石油など、輸入に頼っている燃料の調達に適している、こういったことから、東京電力の火力発電所のすべてが海岸部に設置されているところでございます。
 東京電力の火力電源といたしましては、十九施設のうち十三施設が東京湾内に設置されておりますけれども、鹿島、広野、常陸那珂、こういったところは既に東京湾の外に設置されているところでございます。
 また、都のプロジェクトチームで検討しております天然ガスコンバインドサイクルによります百万キロワット級の発電所の整備に向けましては、今後の詳細な調査を行う中で、災害時のリスクなども検討していくものと考えてございます。

○原田委員 実際に、今後の詳細な調査の中で災害時のリスクも検討されるといったようなことでございますけれども、今、出てきているこのスクリーニングの結果の候補地というのは、いってみれば、あるキーワードを設定して絞り込み検索をかけて、その結果残ったといったような形で出てきているわけでありまして、逆にいえば、ここじゃなきゃだめなんだという、能動的な、積極的な理由というものによってその五カ所が選ばれているといったこととは、ちょっと性格が異なるのかなというふうに思うわけでございます。
 だからこそ地域の方々も、消去法的にここになるのかというようなことですと、いろんな疑問がわいてきたりといったことにもなるかと思いますので、きちっと立地の根拠というものを、立地を考える際には考えていくといったようなことが必要になってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 この立地のことを考えたときに、発電所そのものの立地というものも非常に大きな要素なんでございますけれども、送電線をきちんと整備するといったようなこともまた大事なことでございます。
 例えば百万キロワット級ということになりますと、細い線を一本引けばいいということではございませんので、送電線ということが大事になってくるわけでございますけれども、送電線を新設するというのは、発電所の新設並みに困難を伴うものだといったことも聞いております。
 その中で、現在、福島第一原子力発電所がとまっていると。逆にいえば、その発電所から来る電力、これまで東京に送っていた送電線があいているといったような状況が生じているわけでございます。
 当然、いろいろな新しいことを考えようという人たちにとっては、現状の仕組みを考えれば、この東電の託送料が高いというのは一つネックにはなるかと思いますけれども、この送電線のルート上に大規模発電所を設置しようと。これは民間事業者かもわからないし、そこの自治体かもわからないですし、こうした計画が今後出てきてもおかしくないわけでございます。
 こういったことを考えると、東京都が「東京が、東京が」ということで、東京湾岸に限定して東京がやるんだということで物を考えていると、将来的に、そうした計画と競合する可能性もあるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 だからこそ、こうしたことをやるときには、都内に限らず広域的なエネルギー供給網といったものをきちんと想定して、場合によっては近隣の自治体と協力しながら進めていくといったことが必要になってくるのではないかと思いますが、見解をお伺いします。

○坂巻都市エネルギー推進担当部長 本年十月に公表されました東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告では、IPP、いわゆる独立発電事業者の参入可能性を踏まえて、送電網整備計画を見直すことを求めてございます。
 こういった制度が構築された後は、多様な民間事業者が採算性を見据えて自由に参入でき、その中で、電力の供給を確保することが望ましいというふうに私どもは考えているところでございます。
 また、先日開かれました関東地方知事会議で、石原知事初め、各県の知事から発言があったとおり、電力の確保につきましてさまざまな手法を用いることについて、近隣自治体と協力しながら検討してまいるところでございます。

○原田委員 今お話のあった関東地方知事会議の中で、海のない県ではありますけれども、埼玉県の上田知事からも、各県でやらざるを得ないといったような趣旨のご発言もあったように聞いております。
 協力の仕方というのはさまざまあろうかと思いますけれども、これまでも東京都はさまざまな政策分野でこうした広域連携にも取り組んでいただいてきているわけでございまして、この分野でもしっかりと連携をとりながら、その中で東京がしっかりと都市機能を維持できるような方策というものを見出して、進めていっていただければなというふうに思うわけでございます。
 エネルギーに関しては以上にさせていただきまして、次に、自転車の関係について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 この自転車というものが、環境によい、あるいは健康によいというのは最近よくいわれることでございまして、実際に、自動車ですと排気ガスを出す、あるいは騒音が出るといったことがあるわけですけれども、そうした意味においては、自転車というのはクリーンな乗り物であります。
 特に今ヨーロッパの諸都市では、この自転車を都市の主要な交通手段として位置づけていくといったような取り組みが進んでいるわけでございますけれども、その中でやはり特徴的なのは、空気のきれいさでありますとか、静かな住環境でありますとか、こういった人間の暮らしの質の高さというものが国際競争力につながっていくんだと。いろんな騒音や排気ガスに悩まされるような都市ではなくて、きれいな空気の中で静かに暮らせるといったようなことが国際競争力の源なんだといったような考え方が、今、実際にとられているわけでございます。
 そうした意味におきましては、本当に、都市全体のあり方を踏まえて、しっかりとこの自転車という交通手段について位置づけをしていくという、東京もそういった方向に足を踏み出していく時期に来ているのではないかなと思うのであります。
 そこでお伺いしますけれども、この自転車というものをどのようにとらえていらっしゃるのか。そして、現在どのような取り組みをされているのかお伺いします。

○高橋自動車公害対策部長 地球温暖化対策を進めていくためには、自動車に過度に依存しない交通行動への転換を推進することが必要でございます。都ではこうした観点から、環境に優しく、身近で便利な交通手段であります自転車の利用を促進しております。
 具体的には、日本サイクリング協会と連携した環境交通キャンペーンの実施や、ホームページなどで先進的な自転車施策の実施状況などの情報発信を行い、環境面から自転車利用を啓発しております。
 また、この環境交通キャンペーンでは、警視庁とも連携いたしまして自転車安全教室を開催し、安全な自転車利用の方法も周知しております。

○原田委員 今、最後に、自転車の安全のお話をしていただきましたけれども、ここは本当に重要なポイントだと思うんです。
 昨今でも、いわゆるピストバイクという、ブレーキがついてない競技用の自転車が摘発されるといったようなことが新聞で大々的に報じられたりというようなことがあります。
 もちろん、そういった自転車の利用というのはやめなければならないわけでございますけれども、今、この自転車に関して日本の中でどういう状況かといえば、やはり多くの人の認識は、歩行の代替手段、歩いていくときにちょっと疲れるから、少し遠くまで行くときには自転車に乗っていこうかなというような形で考えていると。商店街などに歩いて買い物に行くかわりに、ちょっと自転車で買い物に行くとか、そんなような形で、だからこそ、実際に歩道を通る方が自然だったりといったような考え方で自転車がとらえられていることも多いのかなと思うわけでございます。
 現在、例えば通勤、通学に、この自転車を利用される方がだんだんだんだんとふえてきた。これは、そういったような比較的短距離の歩行の代替というよりも、むしろ自動車でありますとか、あるいは電車等も含めて、中長距離を移動する交通手段の代替として、この自転車というものがとらえられ始めているといったようなことに今なってきている、その変わり目なのかなというふうに思うわけでございます。
 実際、環境局ということで、環境面でいいますと、歩行の代替手段での自転車ということでは、例えばCO2の削減だとかいった効果は、余りというか、ないわけでございますけれども、自動車の代替手段といったような形になってきて、初めて環境面での効果をうたえるといったようなことではないかなというふうに思うわけでございます。
 したがって、自転車単体で取り組むといったようなことにとどまらず、自動車ですとかバスですとか電車ですとか、あと、余りないかもわからないですけれど、船舶ですとか、あるいはまた徒歩ですとか、こういったあらゆる交通手段を総合的に考える体系、計画を持って、それに沿って各局が行動していく体制をつくっていくと。
 そのために、環境局も訴えるべきことは訴えていくということが必要かと思いますけれども、どのようにされているか所見をお伺いします。

○高橋自動車公害対策部長 温暖化対策を進めていくためには、自動車本体の環境性能の向上と同時に、交通量の削減や公共交通機関の利用促進などを複合的に進めていくことが必要であります。そのためには、自動車からの転換先となる交通手段を対象として、交通手段や道路事情を踏まえたハード施策とソフト施策の両面を考慮して取り組みを進めていくことが重要でございます。
 これまでも各局や民間事業者と連携しまして、道路、橋梁の整備などを初めとし、パーク・アンド・バスライドや鉄道とカーシェアリングを組み合わせた公共交通機関の利用促進を行うとともに、共同配送などの物流対策、さらには高度道路交通システム、いわゆるITSの運用などさまざまな施策を展開してきたところでございます。
 今後も、さまざまな主体と連携しまして、環境負荷の少ない交通対策を総合的に推進してまいります。

○原田委員 ぜひしっかりと連携を進めて、これからも取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 この自転車に関して、ロンドンなんかも積極的に取り組んでいる都市の一つでございますけれども、ここではどういうことをやっているかというと、このロンドンを、都心の部分と、その少し外側になります市の中央部分と、さらに外側にあります市の外周部ということでドーナツ状に三つに分けましてゾーニングをし、それぞれの自転車施策というものを考えているわけでございます。
 例えば都心の中にあっては、どこでも借りられて、どこでも返せるようなレンタサイクル、自転車シェアリングといいますか、そういった仕組みを構築していくといったようなことがあったり、都心とその周辺の市の中央部を結ぶようなところに、自転車で高速に移動ができる道路網の整備といったものを進めていったりというようなことで、都市をそうした同心円上でゾーニングして、さまざまな取り組みをしているといったようなことがございます。
 東京でも、バスや電車の代替、都心に向かってくる交通手段の代替ということでこの自転車を考えていきますと、単に区市町村に自転車の扱いというものを任せるのではなくて、東京都としての広域的な取り組みというものが必要になってこようというふうに思うのであります。
 そこでお伺いしますけれども、東京都では、この自転車の行動範囲あるいは利用形態などをどのように把握し、計画を立てていこうとされているのかお伺いします。

○高橋自動車公害対策部長 環境局では、自転車施策を広域的に進めていくために、毎年、青少年・治安対策本部と連携し、区市町村の自転車施策担当者を対象とした研修会を実施しております。
 研修会の中では、各自治体の自転車施策の具体的な取り組み内容及びその成果などについて情報共有を図り、地域の特性に応じた自転車施策を推進できるよう、技術的な支援を実施しております。
 また、自転車の普及は安全面も重要であることから、交通法規の改正内容の周知など、自転車の利用時における安全対策について知識を習得する場としても活用しております。

○原田委員 この安全という中にあっては、単にヘルメットをつけてくださいとか、交通法規を守りましょうといったような、そういった利用者に対する教育だけではなくて、都市の構造としてきちんと安全が確保されるような取り組みというものも必要かと思います。
 ヨーロッパの都市では、例えばアムステルダムなんかでも、自動車の両側二方向通行だったところを、自動車は一方通行にすると。あいた部分で、自転車の方が必要な面積は狭いですから、自転車の相互通行の道路をつくっていくというような形で、自転車が安全に走行できる都市空間をつくっていったと。その結果、自転車の利用というものがどんどんどんどん伸びていったというような事例もあるわけでございます。
 こうしたことを考えましても、自転車の普及に関しましては安全というものをきちっと念頭に置いた上で、自転車専用道路あるいは専用レーンの設置だとか駐輪場の整備、先ほどもちょっとありましたけれど、公共交通機関との組み合わせ、あるいは自転車版の道の駅というのでしょうか、きちんと快く自転車が使えるようなサポート体制だとか、こういったものを整備するなどして、これまでの都市の設計そのものを、場合によっては見直すような形でしっかりと都市づくりを進めていかなければいけないと思うのです。
 そこで環境局としても、しっかりとイニシアチブをとって、各局にまたがる政策を提案し、取りまとめていくということが非常に大切になってこようかと思っております。どのようにお考えかお伺いします。

○高橋自動車公害対策部長 自転車の利用を促進していくためには、自転車道の整備や利用時の安全対策など、ハード施策とソフト施策の連携が重要でございます。
 現在、青少年・治安対策本部が事務局となりまして、環境局を含む庁内関係局、区市並びに民間事業者等を構成員とする東京都自転車総合対策検討会が設置されております。この検討会では、現在、走行空間の確保や安全対策等に関する検討が行われております。
 今後とも、この検討会などを通じまして、各局や区市町村等と連携を強化し、自転車の利用促進を図ってまいります。

○原田委員 現在行われている取り組みは、青少年・治安対策本部が事務局ということでございますけれども、ぜひ環境局としても、環境的な視点というものを訴え、そして盛り込んでいっていただければなというふうに思うわけでございます。
 東京でこの自転車の普及の取り組みをするときに、例えばパリなんかですと、まち中における広告物の規制というのが非常に厳しくて、それを一部緩和するかわりに、その広告事業者に、貸し自転車の設置をさせるといったような手法がとられていたりもするんですけれども、なかなか東京のような自由な都市ですと、そういったような手法は使えないと。
 ヨーロッパと同じようにはいかない部分というのはあるかと思いますけれども、いずれにせよ、さまざまな形で民間の事業者を巻き込んでいくといったようなことも含めて、取り組みをしていっていただきたいなというふうに思うわけでございます。今後のさらなる取り組みを期待させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、今まで事務事業について質疑をさせていただいたわけでございますけれども、一点、最後に基本的なところを確認させていただきたいと思いますが、こうした事業というのは、環境局のビジョンというものがあって、それを実現するために一つ一つの事業というものがあるというようなことだと思います。
 逆にいえば、場当たり的にいろんなことをやってみても、それが最終的に局としてやっていきたい方向につながらないというのであれば困ってしまうわけでありまして、きちんと局としての目標に事業をつなげていくということが大事だと思っております。
 そこでお伺いしますけれども、環境局としてどのようなビジョンに基づいて事務事業を実施しているのかお伺いします。

○吉村環境政策担当部長 ただいま、環境エネルギーの問題あるいは自転車環境交通の問題についてさまざまなお話、ご提案をいただきました。
 そうした中で、東京都環境局としてのビジョンというお尋ねでございますが、東京都の環境政策全般に関する基本的なビジョンあるいはスタンスといったものは環境基本計画の中で既に定めているところでございまして、環境局は、この環境基本計画にのっとって各種の政策を実施しているところでございます。
 東日本大震災を経験した今、東京都に求められることは、震災後の新たな課題に的確に対応した実効性ある対策を、この基本的なビジョンを具現化することにより、確実かつ早急に実行することであるというふうに考えてございます。
 例えば先ほどの環境エネルギー施策については、五月に策定した電力対策緊急プログラムに基づきまして電力不足に向けた緊急対策に直ちに取り組むとともに、合理的な省エネルギーのさらなる推進や、低炭素、自立分散型エネルギーの確保に向けた検討を進めているところでございます。
 また、環境交通の分野では、持続可能な環境交通の実現に向けた環境基本計画上の取り組みを基本に、自転車や電気自動車など低炭素型の交通のさらなる利用促進を図っていく考えでございまして、こうした取り組みの今後の具体化については、現在、環境審議会において議論、検討がなされているところでございます。

○原田委員 環境局が扱われている分野というのは、従来から歴史的に取り組まれているところでもあるでしょうけれども、特に新しい分野に取り組む、あるいは新しい技術開発に伴って新しい展開をしていくといったようなことも多い分野だと思いますので、そうした意味では、これをきちっとした体系にしていくというのはなかなか難しいところもあろうかと思いますけれども、ぜひ、どんどんどんどんいろんなことにチャレンジしていただきながら、それをきちっと環境局として一つの目標に向かってまとめ上げていけるように取り組んでいただきますことを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小宮委員 私からは、運輸部門における環境対策について幾つか質問をしたいと思います。
 まず、都としてその普及に取り組んでいるエコドライブについて伺います。
 東日本大震災では、その甚大な被害の影響から、発災当初より、食料品や燃料などさまざまな物資の需給バランスが崩れ、小売店などでも物資の不足に見舞われる状況になりました。
 自動車燃料についても、精油所などでの被害並びに被災地での燃料需要の高まりなどから、都内において、一時、燃料を供給できないスタンドが目立つなど、社会的な混乱も生じ、エネルギーの重要性が改めて認識されています。
 こうした中、燃費をよくする省エネルギーの運転手法であるエコドライブは、都民や事業者が容易に取り組める環境対策になると思います。
 そこで、まずエコドライブに対する都の認識を伺います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブは燃料消費量を抑えることから、環境負荷低減に資するだけでなく、経済的にも有効な運転手法でございます。
 具体的な運転手法は、ゆっくり速度を上げるふんわりアクセルや、エンジンブレーキを活用する早目のアクセルオフ、また運転前のタイヤ空気圧の測定や、不必要な荷物を車内に積まないなど、都民、事業者の一人一人が取り組める手法であります。
 さらに、その効果として、エネルギー消費量の削減効果も二割に達するという調査結果もあることから、運輸部門からのCO2を削減する上で有効であり、その普及は重要であると考えております。

○小宮委員 エコドライブが、二割という大きなCO2削減効果が見込めるということであれば、東京都が取り組む運輸部門からのCO2削減には欠かせない施策の一つだと思います。
 私も自動車を運転していますが、運転手法によって燃費の違いを感じることもあり、エコドライブの重要性を実感しています。しかしながら、運転者一人一人がその方法や効果についてまず認識をし、意識をして運転をしなければ、大きなCO2削減効果が見込める施策であっても、その効用には限界があると思います。
 そこで、エコドライブの普及に関して、これまで都はどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブは、すべての運転者が取り組むことのできる環境を整えることが重要であるため、まず、その知識、操作手法等を確実に普及するため、運転免許取得並びに免許更新時に配布される運転教習本についてエコドライブに関する事項の掲載を働きかけた結果、現在、都内で流通するすべての運転教習本の中にエコドライブが記述されております。
 また、エコドライブは実体験に基づく効果の認識が重要であることから、東京都教習所協会並びに財団法人省エネルギーセンターと連携しまして、運転免許取得時の教習課程でエコドライブを教えることができる、東京都エコドライブインストラクターを養成し、現在、東京都教習所協会傘下の四十七すべての運転免許試験場に配置しております。そしてインストラクターを活用し、区市町村とともにエコドライブ教習会を実施しておりまして、既に二十一区市町村で実施され、今年度も新たに、杉並区など八区市での実施を予定しております。
 都におきましても、エコドライブの体験型イベントを実施するなど、エコドライブ運転の実践に向けた動機づけを行うとともに、トラック運転手などの事業者に対しては自動車環境管理計画書を通じまして、エコドライブの促進を図っております。
 また今年度、ネット上に、システム化いたしました東京都燃費管理サイト、通称東京都版レクーと申しますけれども、これは、運転者みずからが自宅や職場のパソコンなどでドライブ記録や燃料補給量を入力することにより、自分のエコドライブの効果がわかるものでありまして、自動車環境管理計画書の対象者や都民に、広く普及拡大を図っております。
 なお、今回の震災時におきましては、東京都石油商業組合の協力を得まして、エコドライブの重要性を普及するパンフレット一万部を、ガソリンスタンドに給油に来たマイカー・ドライバーなどに配布するなども行っております。

○小宮委員 エコドライブの普及については、CO2の削減や安全運転の観点などから、さらに推進をしていただきたいと思います。
 また、そうしたソフトの取り組みとあわせて、例えば青少年・治安対策本部等で実施されております、ハイパースムーズ作戦という、需要予測信号に信号機を取りかえることで今ある道路をそのままに渋滞を解消し、CO2削減に資するというハード的な対策も、ぜひ引き続き関係各局と連携して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、低燃費車について伺います。
 エコドライブは手軽にできる取り組みですが、車両購入時に低燃費なものを選べば、さらに燃料消費を減らせます。特にトラック事業者のように、仕事柄、年間を通じて長距離を走り、燃料消費量の多い方にとっては、燃料消費の節減は大きな意義があります。
 ディーゼル車規制のころに買いかえられた新車も丸八年を経過したことになりますが、この八年間で、トラックについては三回も排ガス規制の強化が行われました。排ガス規制対応のためにさまざまな装置が新車に搭載されると、重量も重くなりますし、燃費は通常悪くなるものです。
 私はかつて素人ながら、簡単な自動車の整備をやりながら車を走らせていたということもあるので気になるのですが、この八年間の新車の燃費改善状況について伺います。

○高橋自動車公害対策部長 ご指摘のとおり、排ガス規制対応と燃費の向上を両立することは、技術的に非常に難しいことでございます。中でも重量車では、もともと燃費基準が設けられていなかったため、都は国に対し、重量車燃費基準を創設するよう提案要求をしてまいりました。
 これを受けて、国は、世界初の重量車燃費基準となりました、二〇一五年燃費基準を創設いたしました。ここでは一二%の燃費向上を求めておりまして、この基準に適合するトラックが、昨年二〇一〇年度からさまざまな車種に広がってきたところでございます。

○小宮委員 トラック事業者の方々は、そのほとんどが中小零細規模の事業者で、ディーゼル車規制への協力でも、大変な思いの中で車両の買いかえなどに取り組んでくださったと聞いています。
 その方々の多くが、これから車両更新の時期を迎えようとしています。次に買いかえる新車は八年前のものと比べてはっきりと燃費がよくなっているようでなければ、低燃費車といっても納得してもらえる性能とはいえません。国の燃費基準で一二%の燃費向上といいますが、メーカーが発表するカタログ値どおりの燃費というのは、実際の走行ではなかなか出せません。
 実走行時の燃費という点で注目をしているのが、最近、性能アップが顕著と聞いておりますハイブリッドトラックについてです。乗用車で先行したハイブリッド技術がトラック分野でも応用されて、最新のハイブリッドトラックでは目に見えて燃費が向上し、排ガス性能と両立してきたと聞いています。
 東京都はこういった新しい技術の実効性について、ユーザーの視点に立った評価を行い、真に効果のある技術の普及を図るべきではないでしょうか。その取り組みをお聞かせください。

○高橋自動車公害対策部長 東京都は、排ガス規制の強化時や、新たな技術を搭載した自動車が発売されたときには、その環境性能が実際の走行条件におきましてどの程度有効に機能するかを評価するため、東京都環境科学研究所において排ガス試験を行っております。
 最新の改良型ハイブリッドトラックにつきましては、メーカーがユーザーの協力を得て実際の走行時に評価した燃費の改善状況は、おおむね三割程度と聞いておりますが、都では、環境科学研究所におきまして来年の一月に試験を行う予定でありまして、発車と停車を繰り返す東京都内の実走行条件における、ハイブリッド化の効果を評価いたします。
 また、九都県市とも共同し、低公害、低燃費車の指定を行って普及に努めておりまして、評価結果についても普及策に反映してまいります。

○小宮委員 災害対応の観点からも、給油回数を減らして長距離を走れる低燃費車を、トラック物流の担い手として普及させることは重要です。
 しかし、中小零細規模のトラック事業者にとっては経済的負担が大きいことにも、留意が必要です。こういった事業者の方々が低燃費車を導入する際の支援策について、都はどのように取り組んでいるのでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 都は、中小規模事業者が車両を購入する際に、より環境性能の高い車両を購入できるように支援を行っております。
 まず、都が指定する低公害かつ低燃費なトラックの導入支援策といたしましては、購入費用の融資あっせん、及びこれに伴う信用保証料補助と利子補給を行っております。特にトラックの排ガス規制が新長期規制からポスト新長期規制に切りかわる時期に当たる今年度は、次期規制を先取りして購入する場合に、補助率の優遇措置を講じております。
 また、新しい技術であります電気自動車や優良ハイブリッドバスなど、環境性能の特に高い車両につきましては、購入費用の一部補助を行い、より手厚い支援策で中小企業の取り組みを後押しし、環境性能の高い自動車の普及に力を入れております。

○小宮委員 現状で、融資あっせんや補助などの支援策を講じているということですが、排ガス規制によって東京に青い空が戻ったと多くの都民が実感し、評価をしているこの都の取り組みを、新たな段階においてもぜひしっかりと継続して実施できるように、低燃費車導入への支援策の充実はどんどん強化していっていただきたいところです。
 次に、運輸部門、特に公共交通機関であります鉄道について伺います。
 東日本大震災では、首都圏において鉄道、バスなどの公共交通機関が麻痺をし、いわゆる帰宅困難者が多く出たこと、また、公共交通機関が利用できないことから、道路では自動車による大渋滞が引き起こされ、大きな混乱を招いたことは記憶に新しいところです。そして、この夏、電力不足による計画停電が懸念されていましたが、各界の取り組みによって、幸いにもそのような深刻な事態は回避されました。
 しかしながら、実際に公共交通機関がストップした場合には、通勤や通学において自動車へのシフトが起こり、環境への負荷が増大するといった可能性があったわけです。
 そこで、まず伺いますが、都は、電力不足の影響による交通需要についてどのように認識をしているのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 公共交通機関は、都市生活を支え、自動車からの転換先となる環境負荷の少ない交通手段でありまして、その輸送力を確保することは、環境面のみならず、都民生活の快適性を確保する面からも重要でございます。
 電力不足により、社会インフラである公共交通機関の利用が著しく不便になる場合、通勤、通学時において、自動車へのシフトなども懸念されます。また、必要以上に節電されることによりまして電車内の適温が確保されない場合は、体調への影響も懸念され、快適な輸送空間が確保できない可能性があるほか、移動手段としてエレベーターなどの設備を必要とする、いわゆる交通弱者への過度な負担も懸念されます。
 鉄道などの公共交通機関に対しましては、社会的混乱を招かないためにも、都民生活に支障を来すことのないよう、必要な車両本数を運行できる駆動力としての電力確保が重要であると認識しております。

○小宮委員 公共交通機関である鉄道に関しては、その駆動に係る電気使用量が都内全体の総電力消費量のうち約三%程度であり、節電努力によっても、その貢献度というのは、他の民間企業と比べても相対的には大きくありません。むしろ、公共交通機関がストップした場合の方がその社会的な影響が大きいわけです。
 そうした中、一部の鉄道会社では、節電努力をする中で、みずから始発時間を繰り上げたり、朝夕通勤ラッシュ時間帯の本数を増加するなど鉄道ダイヤを変更することで、社会的な混乱を未然に防止する取り組みを実施した会社もありました。先ほど答弁にもあったように、公共交通機関に対しては節電も重要ですが、必要な電力を確保していくということも重要です。
 そこで、この震災に対応して、都は、公共交通機関の電力確保についてどのように対応してきたのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 公共交通機関は社会インフラの一つであり、その停滞は環境負荷だけでなく社会的な影響も大きいことから、国に対しては、輸送部門である空港、港湾とともに、必要な電力確保に向けて特段の配慮を行うよう緊急要望を行いました。
 また、JR東日本及び社団法人日本民営鉄道協会に対して公共交通機関としての社会的使命を果たすよう要請を行うとともに、都内に乗り入れをしているすべての鉄道会社から、この夏の電力不足に対応した車両の運行計画や駅舎の蛍光灯などの、駆動力以外の対策についても情報収集に努め、都民、事業者の円滑な移動確保に向け、節電ダイヤや駅舎内の節電状況について、ホームページで都民に広く周知いたしました。
 今後も、電力需給の状況や、鉄道会社の取り組みを的確に把握し、自動車へのシフトを回避するため、円滑な移動の確保に努めてまいります。

○小宮委員 鉄道などの公共交通機関は、自動車に比べて環境負荷の少ない移動手段です。電力不足により公共交通機関がストップしてしまうということは、都民生活や事業活動に大きな打撃を与えることになり、また想定以上に自動車利用がふえるという可能性もあります。
 今後も、国や鉄道会社の情報を的確に把握していただいて、ぜひ公共交通機関の安定した利用促進に資する取り組みを図っていただきたい旨お願いをして、質問を終わります。

○中村委員 それでは、環境局の事務事業について質問します。
 環境への取り組みは大変重要ですが、まず震災以降、特に注目されるエネルギー政策について質問します。
 初めに、省エネ条例について伺います。
 六月の都議会定例会では、議員提案された東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例が可決し、七月十九日に施行されました。省エネについてはこれまでも都の取り組みはあったのですが、議会が都民の意思として規範となる条例を定め、行政がその趣旨に基づいて都政運営を行うという点で、大変重要な意義があります。省エネ条例について都がどのように受けとめ、どのように政策に反映させていくのか伺います。
 また、震災が起こるまでは、環境というと温室効果ガスの削減が大きな命題でしたが、エネルギーの確保も重要な課題になりました。エネルギー確保と地球温暖化の防止、さらには環境保全も並立しなければならないのですが、ご所見を伺います。

○吉村環境政策担当部長 大震災後の電力供給が不安定な状況の中で、今、東京都に求められることは、都民の生活と旺盛な経済活動を支える実効性あるエネルギー政策の具体策を確実に実行することであるというふうに考えてございます。
 そこで東京都は、ことし五月に東京都電力対策緊急プログラムを策定し、夏の大幅な電力不足に向けた緊急対策に直ちに取り組むとともに、合理的な省エネルギーのさらなる推進や、低炭素で自立分散型エネルギーの確保に向けた検討を進めております。こうした取り組みの方向性を、年内に策定する「二〇二〇年の東京」に盛り込む方針でございます。
 都は、これまでの気候変動対策の成果を生かしつつ、今後、高効率なコージェネレーション設備の導入や、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大など、こうしたことによる自立分散型エネルギーの確保に取り組み、CO2の削減とエネルギー確保の両立を図っていく考えでございます。

○中村委員 これまでも省エネ施策が推進されてきているのは承知をしていますが、条例の制定により、今後、だれが知事になり、どのような考えを持とうとも、行政が政策を実施する際の規範となっていきます。さらに条例では、都民にも、責務として省エネに取り組むことを定めていますが、まさに今、省エネへの取り組みが本当に必要であることを都民に示すことになります。より一層の施策の推進をお願いします。
 次に、製品の環境への負荷低減について伺います。
 製品の排出する二酸化炭素の削減については、使用する際のエネルギーの削減のため、製品の交換により、エネルギー使用量を削減できるとされているようです。ただ、製品は、消費する電力だけではなく、その製造過程においても大きなエネルギーを消費するため、製品のライフサイクル全体における排出量がどう考慮されているかも重要と考えます。
 もちろん、算定が大変難しく、そのことが企業の過度な負担増になったり、買い控えによる景気への影響も考慮に入れる必要がありますが、環境への影響を考慮すれば、こうしたことを検討する必要もあると考えますが、ご所見を伺います。

○吉村環境政策担当部長 これまでに行われているライフサイクルCO2の算定結果を見ますと、家電製品や自動車などの場合には、製品の使用段階から排出されるCO2が多くなっており、まずは、それらの低減に努めていく必要があるというふうに考えてございます。
 このため、都はこれまで、家電製品の省エネラベリング制度や、低公害、低燃費車に対する融資補助制度などを通じまして、製品の使用段階における省エネルギー、CO2削減の推進に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、省エネ家電製品や次世代自動車の普及が大きく進みますと、製品の製造段階から排出されるCO2の比率がふえてくる傾向もあることから、今後は、原材料や部品のサプライチェーンも含めました、製品のライフサイクル全体からのCO2削減を考えていく必要も出てくるのかなと、そういうふうに認識してございます。

○中村委員 製品をつくるのには膨大なエネルギーがかかるということを、都民の皆様にご理解いただくような政策も必要かと思います。今のご答弁では、必要性の認識についてはご答弁いただけたものですから、今後の検討課題としていただきたいと思います。
 次に、第二回定例会で成立した補正予算以降の節電対策について伺います。
 都は、予算案編成に際して、東京都電力対策緊急プログラムを策定しましたが、そのサブタイトルには、「過度の電力依存社会からの脱却を目指して」とありました。そこで、補正予算において、過度に電力に依存しない都市政策、都民生活のあり方の検討として三千万円の予算が計上されましたが、その検討状況はどのようになっているのか伺います。

○吉村環境政策担当部長 大都市東京におきまして過度に電力に依存しない都市づくりを進めるためには、特に、中でもエネルギー消費量の伸びの大きいオフィスビルなどの業務系施設におけるエネルギー使用量の抑制が極めて重要であると、こうした考えでございます。
 このため、補正予算を活用いたしまして、既に明らかにしておりますが、業務集積地域を対象とした電力使用量のリアルタイムでの見える化と、需給制御等を行うエネルギーマネジメントの事業化に向けた調査を、事業者の協力を得て行う予定でございます。

○中村委員 次の質問として、ことしの夏の節電の施策について伺います。
 震災後には多摩地域や二十三区でも、一部、計画停電があり、とりわけ特定の地域が何度か停電したため、負担の偏りへの不満の声が出されました。夏については、都民の協力によって計画停電は回避されましたが、無理のない節電を誘導していくことが必要と考えますけれども、ご所見を伺います。
 また、補正予算ではさまざまな施策が出されましたが、実際の効果はどうだったのか伺います。例えば、東京都認定節電アドバイザーが百万世帯を対象としたアドバイスを行うとする施策も実施されましたが、これは大変大きな数値目標ですので、その実施状況について伺います。

○和賀井都市地球環境部長 ことしの夏は、企業や家庭で創意工夫を凝らしまして電力削減に取り組み、昨年の夏に比べ、東京電力管内の最大電力、いわゆるピーク電力を約一八%削減したところでございます。
 都といたしましては九月末までに、大規模事業所及び中小規模事業所向けに節電セミナーを計三十八回開催し、また合計で約六百カ所に省エネの専門家を派遣するなど、企業の効果的な節電を促してまいりました。
 また、家庭の節電アドバイザーにつきましては、今年度末までの達成を目指すものでございますが、診断員を、当初予定の三千名を大きく上回ります約五千七百名に増員いたしまして、九月末現在、三十三万件以上の訪問実績を上げているところでございます。
 今後は、ことしの夏の節電の取り組みを分析いたしまして、無理のない賢い節電を呼びかけていくことが重要であると考えております。

○中村委員 ことしの夏の節電はかなり無理をした節電という部分もあったかと思いますので、無理のない節電が必要になりますが、どう取り組んでいくかが大切です。
 もちろん、省エネといっても、電気のない時代に戻すことはできませんが、一方で、効率や便利さだけが優先されるのではないという、価値観の転換も求められる場面が出てきます。社会全体の認識や生活様式の変化が避けられないと考えます。ご所見を伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 ことしの夏につきましては、大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度や、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度などを活用いたしまして、取り組みやすい効果的な節電対策を促してまいりました。
 この結果、多くの事業所で、比較的無理なく電力の削減を行うことができたという状況でございます。
 こうした中で、例えば明る過ぎる照明を見直す動きなど、過度な電気の使用を見直そうという動きが出てきております。こうした動きをとらえ、ビジネススタイルやライフスタイルの転換を図っていくことも重要だと考えてございます。
 一方、一部には、いわゆる我慢の節電もあったことは否めない状況でございます。今後、当分の間は、震災前のような電力供給力を見込めない状況でありますから、引き続き、無理のない賢い節電に継続して取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このため、現在、都は、事業者などに、この夏の節電対策についてアンケートを実施しておりまして、その結果を踏まえ、無理のない賢い節電について取りまとめ、その内容を広く周知を図ってまいります。

○中村委員 さて、既に報道でも、ことしの冬の暖房の時期に向けての節電対策についていわれ始めました。
 猛暑の夏ほどではないという説もありますが、夏はピークが午後一時から二時で、夕飯どきのピークとは、ずれていましたが、冬は暖房と夕食のピークが重なるため、その対応が必要ともいわれています。ことしの冬の節電対策はどのように進めていくのか、計画停電は回避できるのか伺います。
 また、来年の夏以降についてはどう考えるのでしょうか。ことしはかなり無理をした部分もあり、老朽化した火力発電所も稼働させました。また、震災直後ということで都民の意識もかなり高く、協力を得やすかったともいえます。
 危機は回避できたとはいえ、根本的な解決になったわけではないだけに、来年の夏以降の対策も大変重要ですが、どう対策するのか伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 ことしの冬の東京電力管内の電力需給につきましては、国は、四%から七%の供給余力があるという見通しを示してございます。もちろん、この供給余力は従来のような十分な余力というわけではありませんので、引き続き、賢い節電を推進していく必要がございます。
 この冬の電力消費につきましては夏場と異なりまして、朝や、夕方から夜にかけて電力消費が多くなる傾向がございます。夏と同様に、照明に関する対策の重要性については変わりませんが、暖房を電気からガス等の燃料に切りかえていくという、冬ならではの対策もございます。このように、冬の節電につきましては、その特徴に合わせて節電対策を推進していくことが必要であるというふうに考えております。
 また、国におきましては、計画停電や電力使用制限については、これを回避していくという基本方針を示してございます。来年の夏の電力供給見込みにつきましては、原子力発電がすべて停止する可能性がございますが、火力発電の増強などによりまして、この夏と同程度の供給力を見込めるものと考えてございます。
 ことしの夏は約五千五百万キロワットの供給力がございましたが、ことしの夏の最大電力需要としましては、八月十八日に約四千九百万キロワットが出てございますが、供給力に、ある程度の余裕がありました。こうしたことから、来年の夏の節電につきましては行き過ぎた取り組みをすることのないように、無理のない賢い節電を推進していくことが重要であると考えております。

○中村委員 冬の寒さというものも、どのくらいになるかわかりませんし、来年の夏ももっと厳しい暑さが来るかもしれませんので、常に緊張感を持って取り組んでいただきたいと思います。
 とりわけ、ことしは補正予算での対応ということになりましたけれども、来年の夏ということになれば、これから編成する予算の中にもいろいろと施策を盛り込んでいくことになるかと思いますので、改めてことしの夏の施策を総点検して、また来年度の政策に生かしていただきたいと思います。
 次に、地域グリーンニューディールの基金事業について伺います。
 先ほどからの質問でも、今後の社会は、環境や省エネ、節電などが大変重要になるということを伺いました。都においては、国の制度を受けて基金が設立されましたが、成熟した社会において、社会における課題の解決と、景気対策や産業育成の両面を図る政策となっています。
 そこで、この地域グリーンニューディール基金事業の実績と効果がどうなっているのか伺います。

○吉村環境政策担当部長 地域グリーンニューディール基金事業は、地球温暖化対策等の解決に向けた地域の取り組みを支援するとともに、環境投資による雇用創出を図ることを目的といたしました、国の補助事業でございます。
 東京都は、国から交付を受けました約十二億円で基金を造成いたしまして、平成二十一年度から二十三年度までの三カ年で、区市町村等における公共施設の省エネ改修事業等に活用してきたところでございます。
 二十三年度半ばの現時点で約十一億円を執行済みでございまして、事業全体によるCO2削減効果は、年間約一千百トンというふうに見込んでございます。

○中村委員 この制度は国の事業をもとに行われたため、期限が来れば終了してしまいます。しかし、環境産業の育成の考え方は残す必要があると思います。今後とも、市区町村との連携を深めて、環境産業の育成を継続的に図るべきだと考えますが、ご所見を伺います。

○吉村環境政策担当部長 東京都はこれまでも、さまざまな施策を通じまして企業の省エネ投資を促し、需要の拡大と技術革新による環境産業の育成を図ってきたところでございます。
 本事業は、温暖化防止に向けた地域の取り組みを支援するものであり、補助制度が終了した後は、区市町村がそれぞれの地域特性に合わせて独自の取り組みを継続して行っていくことが重要だというふうに認識してございます。
 東京都は今後とも、区市町村との連携を深めつつ、省エネ機器や再生可能エネルギーの普及促進等による環境産業の育成を図っていく考えでございます。

○中村委員 環境産業の育成を図っていくというご答弁をいただきましたが、それを推進するために、今後は都独自の新たな制度の創設も必要だと思いますので、ぜひご検討をお願いいたします。
 最後の大きな項目として、廃棄物行政について伺います。
 過度な景気の冷え込みには留意しつつも、節電対策や生活様式の見直しに加えて、ごみの削減ということも重要です。リサイクル社会の推進として、住民や事業者、行政が一体となって、ゼロコミュニティを目指しての持続可能な資源循環型社会を築く必要があります。
 都として、廃棄物の削減目標の数値を立てていますが、どう実施していくのか伺います。
 とりわけ、多摩地域に比べて、二十三区はリサイクル率が低い現状があります。参考資料としていただいた、東京の環境二〇一一によると、平成二十一年度の地域別リサイクル率は、多摩地域が三六・八%に対して、二十三区は一九・五%と二倍近い差があります。多摩地域で生活をして細かくごみの分別をしていると、二十三区での分別が余り厳しくないのには驚かされます。なぜこのような差が生じるのか、その理由を伺います。
 また、一般廃棄物の処理は市区町村の事務とはいえ、都としても削減目標を掲げているのですから、市区町村にどのような支援を行うことによって取り組むのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 本年六月に発表いたしました東京都廃棄物処理計画では、廃棄物の排出抑制や資源循環の仕組みづくり等を進め、平成二十七年度の廃棄物の最終処分量を、十九年度比で三〇%削減するという目標を掲げております。
 家庭から出されます一般廃棄物の排出を抑制するためには、容器包装の簡素化、軽量化や、容器包装の分別収集、リユース商品の普及、家庭ごみの有料化などが有効でございます。多摩地域では、容器包装の分別回収率が高いことや、家庭ごみを有料化している自治体が多いことなどがリサイクル率を高めている要因と考えられます。
 今後とも、区市町村と連携しながら、リデュース、リユース、リサイクルの3R施策を推進し、ごみを出さない循環型社会の実現を目指してまいります。

○中村委員 3R施策の推進とのご答弁がありましたが、省エネルギーの推進でも質問しましたけれども、製品の製造にもエネルギーを消費しますし、一度製品にしたものは完全にリサイクルできるものばかりでもないので、3Rの中でも、ごみの発生抑制であるリデュースが最も大切になります。
 今後も、市区町村への支援や国への提言などを含めて、さらなる取り組みをお願いします。
 さて、都として、家庭ごみなどの一般廃棄物のリサイクルを市区町村とともに推進していくことは重要です。一方、産業廃棄物においては、リサイクルの促進に加えて不法投棄防止など、適正処理を徹底してやっていかなければなりません。
 先日、工事現場で使った工具やヘルメット等が家の前に捨てられて困っているという住民からの相談を受けましたが、産業廃棄物も、山林への不法投棄だけではなく、そうした市街地における不法投棄を行うとんでもない事業者もいるようです。不法投棄は犯罪ですから、その対策においては警視庁や関係自治体と連携し迅速に対応するなど、より一層対策を強化しなければなりません。
 そこで、都としてどのようにして不法投棄対策を実施しているのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 東京都では、不法投棄等の不適正処理防止と早期発見等を一層強化するため、平成十四年度から警視庁からの派遣職員を含めた産廃Gメンを組織し、休日パトロールや、不法投棄現場の立入調査等を実施しております。
 また、産業廃棄物の不法投棄は都県域を越えて広域的に行われることから、関東甲信越、福島、静岡地区の三十自治体で構成する広域連絡協議会、通称、産廃スクラム三〇を設置し、産業廃棄物収集運搬車両の一斉路上調査や、不法投棄業者の情報交換等の取り組みを行っております。
 今後とも、産廃スクラム三〇や都内区市町村、警視庁とも連携し、不法投棄現場の確認や原因者の特定等を迅速に進め、厳正に行政処分を行うなど、不法投棄の撲滅に向け、取り組んでまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。
 環境の保護や静脈ビジネスとしての適正な事業者が育成されるためにも、不正に対する取り締まりの、より一層の強化をお願いします。
 今回の質問では、エネルギーや、環境産業の育成から廃棄物処理までを質問しました。消費生活を行う以上は、製造や廃棄の部分は見えていないだけですが、存在しています。エネルギー問題を考える上でも、上流から下流まで全体の流れを都民が認識し、生活様式を変えていくことが必要になります。
 今後ますます重要になる環境行政において、関係各位のより一層のご尽力をお願いして質問を終わります。

○桜井委員 最後の質問者でありますので、お疲れのところ済みませんが、よろしくお願いいたします。
 それでは私の方から、大きく二点について質問させていただきます。
 まず一点目はキャップ・アンド・トレード制度についてでありますが、現在、連日テレビ等でも報道されておりますとおり、タイでは大規模な洪水が発生して甚大な被害が生じております。
 また、ことしの夏でありますが、アメリカでは竜巻や巨大なハリケーンが都市を襲うなど、世界各地で異常気象が頻繁に起きているという状況であるというふうに考えます。
 これらの異常気象は温暖化の影響だとは必ずしも断定できませんが、温暖化が進めば、異常気象がふえていくということは間違いないというふうに思うわけであります。
 一方、来月南アフリカのダーバンにおいて、ポスト京都議定書の国際的な枠組みについて話し合われるCOP17が開催されますが、事前交渉の段階では、各国の利害が対立して大きな進展は見込めないというふうに思います。
 しかしながら、国レベルの議論が進まない中、今、期待されるのは、都市の役割ということであると思います。
 東京を初め、都市には経済活動が集中し、大量のエネルギーが消費されております。現在、エネルギー消費に由来する温室効果ガスの約七割は都市から排出されているともいわれておりますが、エネルギーの大消費地である都市として、東京が温暖化対策に取り組むことは大変大きな意義があるというふうに考えます。
 都が大規模事業所にCO2の排出削減を義務づけるキャップ・アンド・トレード制度が開始しまして二年目となっておりますが、本制度はオフィスビル等を対象とする世界初の都市型のキャップ・アンド・トレード制度であり、世界からも注目されております。
 そこで、CO2削減に向けた大規模事業所の現在の取り組み状況について、最初にお伺いいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 都のキャップ・アンド・トレード制度につきましては、大規模事業所に六%ないし八%の排出量の削減を義務づけておりますが、昨年度提出されました直近の排出量報告によりますと、二〇〇九年度は約六割の事業所で削減義務率以上に排出量を削減してございます。これは景気の影響もございますが、多くの事業所で積極的な削減対策が行われた成果といえると思います。
 また、多くの事業所が、今後計画している省エネ対策の実施により、順調に削減義務が履行できるとしております。
 さらに、こうした対象事業所のみならず、CO2の排出を通常の半分に抑える先進的な技術を活用したカーボンハーフビルが建設されるなど、キャップ・アンド・トレード制度は新たな経済波及効果も生み出しているという状況でございます。

○桜井委員 それでは続きまして、大規模事業所に対する節電の促進ということで質問させていただきます。
 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所は、削減義務履行に向けて順調に滑り出しているというふうに聞いておりますが、この制度が契機となり、新たな投資や技術開発が始まっていることは、都の先進的な温暖化対策が東京の都市としての競争力も生み出しているといってもいいというふうに思います。
 一方でことしの夏、東京は、東日本大震災の大きな影響を受けたわけでありますが、電力の需給が逼迫し、大口需要家は電力使用制限が課されたわけであります。
 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所となる大規模事業所のほとんどが大口需要家と考えられますが、都は大規模事業所に対し、どのように節電を促したのかお伺いをいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 夏を迎えるに当たりまして、事業所がすぐに取り組める効果の高い対策を節電重点十対策としてわかりやすく取りまとめ、緊急節電セミナーを開催し、周知を図ったところでございます。
 また、要請のありました大規模事業所に対して節電の専門家を派遣し、事業所の特徴に応じたアドバイスを行う、節電アドバイス事業も行ったところでございます。
 電力の使用制限の終了後に、大規模事業所に対し節電の取り組み状況についてアンケート調査を実施したところ、現在これについては集計中でございますが、昨年の電力使用の最大ピークに対して、約七割の事業所で二〇%以上の削減を実現している状況でございます。
 都では、キャップ・アンド・トレード制度の開始前の二〇〇五年度から、地球温暖化対策計画書制度において省エネ対策の指導助言を行ってまいりました。こうしたことから、大規模事業所においては既に省エネ対策に取り組む体制を整えており、この夏の電力制限にも比較的無理なく対応することが可能だったのではないかと考えております。

○桜井委員 わかりました。では引き続きまして、排出量取引について質問させていただきたいと思います。
 都のキャップ・アンド・トレード制度では、大規模事業所がみずからの事業所でCO2削減を行うことが基本であると思いますが、排出量取引によってCO2の削減量を取得して、義務を果たすということも可能であります。
 都の排出量取引では、中小規模事業所の省エネ努力によるCO2削減量を大規模事業所が取得しまして、その義務の履行に利用できる都内中小クレジットというすぐれた仕組みがあり、都の制度の特徴の一つというふうにいえると思います。
 今年度から、排出量取引制度、すなわちキャップ・アンド・トレード制度のうち、トレードの部分について運用が開始されましたが、都内中小クレジットなど、排出量取引に関する現在の事業者の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 排出量取引は、大規模事業所が他の事業所の削減量等を取得して、円滑に削減義務を履行するための重要な仕組みでございます。国においても排出量取引制度を運用しておりますが、企業の自主的な取り組みにすぎないものでありまして、都の制度は、削減義務に基づく我が国初の本格的な排出量取引制度であるといえます。
 現在、都の制度により取引を行うための事前申請を受け付けておりまして、中小規模事業所の削減量を取引するための都内中小クレジットにつきましては、既に二百八十九件の事前申請がございまして、約五万四千トンのクレジットの創出が見込まれております。
 このうち約半分の二万二千トンにつきましては、都が中小企業に対して設備更新費用を助成した結果、生み出されたクレジットであります。そのほか、再生可能エネルギーによるものなどを含め、合計で約二十二万トン分の事前申請がございます。
 今後、都の住宅用太陽光発電設備の助成から生み出されますクレジットの販売を一月に予定しておりますので、事業所に対して、排出量取引に関する情報を積極的に提供してまいります。

○桜井委員 ぜひ、今ご答弁ありましたように、積極的に推し進めていっていただきたいと思います。
 それでは、キャップ・アンド・トレードの最後の質問なんですが、埼玉連携について質問させていただきます。
 排出量取引が今後も本格化するに当たりまして、都は引き続き、適宜、情報提供を行うとともに、事業者が不安に思うことのないようにサポートしていただきたいというふうに思います。
 さて、冒頭、温暖化対策には都市の取り組みが重要である旨をお話しさせていただきましたが、ぜひ、都の大規模事業所に対する温暖化対策を他の自治体にも広めていただきたいと思います。
 都は昨年九月に、埼玉県と、キャップ・アンド・トレード制度について、首都圏への波及に向けた連携協定を締結いたしましたが、その後の進捗状況をお伺いをいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 昨年九月に連携協定を締結後、都は埼玉県の制度設計に協力し、本年四月、東京都に次いで、埼玉県がキャップ・アンド・トレード制度を開始いたしました。
 今年度につきましては埼玉県と協議し、中小クレジット等について、都県の垣根を越えた取引を可能とするための準備を進めているところでございます。また、事業者の負担を軽減するため、都と埼玉県で共通する事務手続につきまして簡素化を図ってまいります。
 このほか、埼玉県以外にも温暖化対策に積極的に取り組む自治体は多くございますことから、今後とも、全国の自治体に、都の大規模事業所に対する温暖化対策のノウハウを積極的に提供してまいりたいと思います。

○桜井委員 都はこれまで、大規模事業所に対しまして先進的な温暖化対策を進めてまいりました。これが素地となり、大規模事業所はこの夏を安定的に乗り切ることができたといえると思います。都のこのような仕組みは大いに普及拡大すべきであり、埼玉県にとどまらず、多くの自治体がこれに続くことを強く期待いたします。
 それでは二つ目でありますが、先ほどからもご質問等がありました除染についてでありますが、除染については特別措置法がまだ固まっておらず、今後しっかりとした対応が必要だというふうに思うわけであります。
 また、文部科学省の局所的汚染に関するガイドラインは、報道だけではガイドラインの趣旨が十分に伝わっておらず、区市町村だけではなく、都民にも理解を促していく必要があるだろうと考えます。
 会派を代表して改めて確認するために、除染に関する都の基本的な考え方をお伺いいたします。

○中村環境改善部長 福祉保健局が都内百カ所の地上一メーターの空間放射線量を測定した結果を見ますと、一時間当たり〇・〇三から〇・二〇マイクロシーベルトでございました。
 また、文部科学省が行った航空機モニタリングによる調査結果では、奥多摩山間部の都県境や区部東部の河川沿いなどの一部の地域を除き、東京の汚染レベルは低くなっております。
 国が現在検討中の、放射性物質汚染対処特別措置法の汚染状況重点調査地域の指定要件は、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを上回る地域となっておりまして、また原則、区市町村単位での指定とされていることから、都内で該当する地域はほとんどないものと推測されます。
 特別措置法につきましては、今後も国の動向を注視し、地元の意向を確認しながら的確に対応してまいります。
 局所的汚染につきましては、そこに人が滞在する時間が短いことから、年間を通じての追加被曝線量が面的汚染に比べて少なく、また一定の距離を置くことで、追加被曝線量は大幅に減衰するとされております。
 文部科学省の局所的汚染に関するガイドラインが除染等の判断基準として示しております、地上一メーターで周辺より一時間当たり一マイクロシーベルト以上高く、除染が必要となるケースは、都内では想定しにくいものと考えられます。
 都といたしましては、各区市町村の取り組みを把握することで、都内区市町村での取り組みが情報共有できるよう努めてまいります。また、都施設については、都内の汚染状況を踏まえて対応を検討してまいります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十九分散会

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