環境・建設委員会速記録第十号

平成二十三年十月四日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長橘  正剛君
副委員長山田 忠昭君
副委員長野上ゆきえ君
理事島田 幸成君
理事石森たかゆき君
理事伊藤まさき君
野田かずさ君
高橋かずみ君
山下ようこ君
興津 秀憲君
かち佳代子君
こいそ 明君
木内 良明君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長藤原 正久君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市エネルギー推進担当部長坂巻政一郎君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長中村  豊君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長高橋 宏樹君
緑施策推進担当部長谷上  裕君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君
建設局東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
次長野口 宏幸君
道路監横溝 良一君
総務部長東  了一君
用地部長四方 敏彦君
道路管理部長浅川 英夫君
道路建設部長吉原 一彦君
三環状道路整備推進部長戸谷 有一君
公園緑地部長上杉 俊和君
河川部長飯塚 政憲君
企画担当部長西倉 鉄也君
総合調整担当部長今村 保雄君
道路保全担当部長鈴木 昭利君
道路計画担当部長野崎 誠貴君
公園管理担当部長滝澤  達君
緑化推進担当部長町田  誠君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
 建設局関係
契約議案の調査
・第百四十号議案 中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約
・第百四十三号議案 黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約
・第百四十四号議案 国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北-国分寺三・二・八)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百四十七号議案 首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
報告事項(質疑)
・「都立動物園マスタープラン」の策定について

○橘委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十三年九月二十九日
東京都議会議長 和田 宗春
環境・建設委員長 橘  正剛殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百四十号議案 中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約
第百四十三号議案 黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約
第百四十四号議案 国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北-国分寺三・二・八)請負契約
2 提出期限 平成二十三年十月四日(火)

○橘委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の報告事項に対する質疑並びに建設局関係の付託議案の審査、契約議案の調査、報告事項に対する質疑を行いたいと思います。
 これより環境局関係に入ります。
 報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○橘委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百四十号議案、第百四十三号議案及び第百四十四号議案を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○東総務部長 去る九月十五日の当委員会におきまして、契約案に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北-国分寺三・二・八)請負契約における入札経過でございます。
 この資料は、国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北-国分寺三・二・八)請負契約につきまして、その落札者、落札金額、開札日、入札経過等をあらわしたものでございます。
 二ページをお開き願います。中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約における入札経過でございまして、一ページと同様に、本請負契約につきまして、その落札者等をあらわしたものでございます。
 三ページをお開き願います。黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約における入札経過でございまして、一ページと同様に、本請負契約につきまして、その落札者等をあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○石森委員 それでは私からは、第百四十号議案、中央環状品川線中目黒換気所建築工事について何点かお伺いいたします。
 東京の道路整備につきましては、渋滞解消はもとより、防災性の向上、環境改善、まちづくりの推進などのために不可欠でありまして、我が自民党といたしましても継続して、その必要性を訴えてまいりました。
 さきの大震災では、被災地への救援活動や迅速な救援物資輸送を可能とし、復旧、復興に資する道路ネットワークの重要性を改めて認識したところであります。震災時に首都機能を守るためにも、三環状道路の一つであるこの中央環状品川線の整備を一層推進すべきと考えております。
 そこで、品川線の必要性や整備効果について、改めてお伺いいたします。

○吉原道路建設部長 中央環状品川線は、首都圏三環状道路の一つとして高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、人と物の円滑な流れを実現するとともに、一般道路の渋滞緩和や環境改善にも大きく寄与する重要な路線でございます。
 平成二十二年三月に開通した中央環状新宿線では、都心環状線の渋滞長が約二六%減少しております。また、地上を走る山手通りの交通量が、国道二四六号との大坂橋交差点付近で、一日当たり約六千台、率にして一四%減少し、大坂橋交差点から初台交差点までの所要時間が十九分から十分に半減するなど、その整備効果が確認されております。
 品川線の整備によりまして中央環状線が完成すると、新宿から羽田空港までの所要時間が半減するなど、拠点間のアクセスが一層向上するとともに、震災時においても迂回路の選択肢がふえ、道路ネットワークの強化が図られます。
 このように、整備効果の高い品川線を早期に完成させるため、都みずからも事業者となり、首都高速道路株式会社と共同で事業を進めております。

○石森委員 ただいまの答弁にあったとおり、首都直下地震も見据えて、一刻も早く道路ネットワークの強化を図ることが重要でありますが、その意味でも、品川線整備の意義につきましては大変大きなものがあろうかと思います。
 そこで、現在の品川線事業の進捗状況と、今回提案されております工事の概要についてお聞かせいただきたいと思います。

○吉原道路建設部長 現在、品川区八潮から目黒区青葉台までの延長約八キロメートルの本線シールドトンネル工事、中目黒等四カ所の換気所工事のほか、大井地区のトンネル及びジャンクションの橋梁工事等を実施しております。
 主な工事の進捗としまして、本線シールドトンネルは、平成二十一年十一月に品川区八潮を発進し、本年九月末時点で約七キロメートル地点まで掘進しております。
 今回提案しています中目黒換気所建築工事は、現在工事中の下部工事に引き続き実施するもので、高さ約五十メートルの建物の建築と、地下部分を含めた内装工事等を行うものでございます。
 本換気所は目黒川散策路沿いに位置することから、建物形状や外装材により圧迫感の低減を図るなど、周辺環境との調和に努めております。

○石森委員 ただいまの答弁からも、工事がまさに最盛期を迎えておりまして、順調に進んでいるというような、そんな状況のようでございます。
 東日本大震災からの復興という大きな目標がある中で、財源的にも厳しい状況ではありますけれども、整備効果の極めて高い品川線の整備を着実に進めていく必要があると思います。
 そこで、品川線事業推進に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○吉原道路建設部長 予定しておりました主な工事のうち、残る大井北換気所の建築工事などにつきましても、今年度末までには着手する予定でございます。
 品川線の完成によりまして中央環状線のリングが形成され、三環状道路の一つが初めて全線開通を迎えます。これによりまして、渋滞緩和、環境改善、防災性の向上が図られるなど、その効果は極めて高く、早期完成が求められております。
 今後とも、必要な財源を確保しながら、平成二十五年度末の開通に向け全力で事業を推進してまいります。

○石森委員 ただいま部長から力強いご答弁がございましたけれども、東日本大震災では発生直後から、全国各地からの救援隊や物資輸送に、首都圏の高速道路が極めて重要な役割を果たしました。このことからも、三環状道路は首都直下地震などに備えた防災力強化のかぎとなることが、改めて明らかになったと思います。
 三環状道路のうち圏央道につきましても、今年度中には、私の地元の八王子ジャンクションから高尾山インターチェンジまでの区間が開通する予定となっております。高度防災都市の実現、そして東京の交通渋滞の解消や環境改善に向けて、引き続き、中央環状品川線の整備を着実に推進していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○かち委員 私からは、第百四十四号議案、国分寺陸橋鋼けた製作・架設工事契約について何点か伺います。
 本案件は、府中所沢線建設事業の中における都市計画道路三・二・八号線、府中市武蔵台から国分寺市戸倉間の二・五キロにわたる道路建設の一環で、その区間を横切るJR中央線をオーバーパスするための、国分寺陸橋鋼けた製作工事の契約に関する案件です。
 資料を出していただきましたが、本契約状況を見ますと、二十四社という多くの建設会社が入札をしているわけですけれども、そのうち二社が辞退ということで、二十二社で競ったわけです。
 お聞きしておりますと、今回も、七一%の落札率ということで低入札価格ではあるんですけれども、その中で都の基準額をクリアしていたのが、下の方にあります宇部興産とか、宇野ブリッジとか、北都鉄工などの四社ぐらいなんだそうです。それ以外はすべて低価格入札のためヒアリング等の調査を行ったということですけれども、都においては、この入札過程においてどのようなやり方で行っているのか、その検討経過について、まず伺います。

○東総務部長 本件は、低入札価格調査制度の対象案件となっておりまして、調査基準価格を設定しております。
 入札におきましてはこの価格を下回ったため、落札の決定を保留いたしまして、下位の宮地エンジニアリング株式会社及び株式会社IHIインフラシステムについて、当該契約の内容に適合した履行がなされるか否かについて調査を実施いたしました。
 調査に当たって、宮地エンジニアリング株式会社については、一般管理費等の規定により落札者としなかったものでございます。
 次に入札価格の低い株式会社IHIインフラシステムについては、提出された調査資料に基づき、低価格により入札した理由、積算内容及びヒアリング等の調査を行い、低入札価格審査委員会において審査の結果、契約の内容に適合した履行がなされると認められたので、落札者と決定したものでございます。

○かち委員 すべてが低入札の対象であったということで、一番低かった宮地がIHIに一番近いわけですけれども、それが、重点調査の結果、落札者としなかったということです。見ていますと、その中でも幾つか特別重点調査対象になっているわけですが、これらについては、都の基準額の中で直接工事費とか共通仮設とか一般管理など四項目について、都の決めた割合、比率がちゃんとできていないということでありまして、その比率に合っていたということで、一番低いところから二番目のIHIが落札をしたということです。だけれども、こういう決め方でいきますと、相変わらず低入札の脱皮はできない、都の基準額よりはるかに低い額でも落札をしてしまうという点では、ここで働く現場の、一次、二次、下請までの労務の賃金保障の担保という点で、できていないということだと思うんです。そういう意味では、低入札の改善を一層求めていきたいというふうに思います。
 それで今回、本線は府中市を起点として埼玉県に至る全長十三・六キロの都市計画道路であり、府中街道の渋滞解消のためとして、多摩地域の都市計画道路ネットワーク事業で、南北道路五路線の中の一本になっています。往復四車線、幅員平均三十六メートル、今回の陸橋部分は四十一メートルという大変幅の広い道路になっておりますが、本事業区間の総事業費は幾らでしょうか。
 また、用地買収面積、用地買収の対象地権者、関係住民などはどうなっているのか。そして、現在の進捗状況についてお聞きします。

○吉原道路建設部長 国分寺三・二・八号線は、多摩南北主要五路線の一つであります府中所沢線の一部で、多喜窪通りから五日市街道に至ります延長約二・五キロメートルの都市計画道路であり、交通の円滑化はもとより、多摩地域の自立性向上や都市間の連携強化を図る上でも重要な骨格幹線道路でございます。
 私は国分寺市に住んでおりますが、多摩部におけます都市計画道路の整備率約五七%に対しまして、国分寺市の整備率は二〇%に至っていない状況でございます。
 国分寺市内におけます南北方向の幹線道路は府中街道に限定されているため、例えば恋ケ窪交差点におきましては、渋滞長が最大三百七十メートルとなるなど渋滞が発生し、沿道環境への悪化を招いております。
 このため、四車線の車道部十六メートルの両側に、歩道や街路樹などの植樹帯で構成される十メートルの環境施設帯を設けた幅員三十六メートルの道路を整備し、府中街道を初め、周辺道路の交通渋滞の緩和と沿道環境の改善を図ってまいります。
 お尋ねの本事業の総事業費は約五百四十億円でありまして、用地取得規模は面積約八万四千七百平方メートル、棟数二百八十棟、関係権利者数は約七百五十人でございます。
 平成十九年に事業着手いたしまして、本年八月末までに約七六%の用地を取得しており、一部、工事にも着手しております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら早期完成を目指し、着実に整備を進めてまいります。

○かち委員 総額五百四十億円、用地取得は七六%、既にやっているということでしたけれども、当該地域というのは、低層の住宅と生産緑地などの広がる静かな緑地環境なんですね。で、現道がないんです。
 そこを、延長二・五キロ、三十六メートル幅の広域幹線道路が突き抜けると。そのために、二百八十棟、七百五十人の方々が立ち退かざるを得ないというこの道路は、まちのコミュニティが分断され、環境悪化は否めないというふうに思います。
 渋滞解消とのことですけれども、府中街道の交通量はどのぐらいでしょうか。また本線供用開始によって、どのぐらいの交通量が予測されているのでしょうか。

○吉原道路建設部長 府中街道の交通量でございますが、平成十七年センサスでは一日約一万七千台、平成二十二年センサスでは一日約二万一千台となっております。
 また、府中街道の交通量推計としましては、平成二十七年に、一日約一万二千台から一万八千台と推計しております。

○かち委員 本道路整備によって南北方向の利便性が増進するというようなお話もあったと思うんですけれども、十七年の交通センサス、トリップ調査では、町田から東村山への交通量はゼロに近い状況です。
 町田、多摩、府中が一つのグループ、また府中、小平、東村山が一つのグループであり、近距離を動いている車がほとんどだという状況ではないでしょうか。そうであれば、今の府中街道を部分的に拡幅すれば、交通渋滞を解消できるというふうにも思えます。
 今の現道の府中街道は二万台前後ですけれども、この新しい三十六メートル道路ができて一万二千台から一万八千台吸収すれば、かなりそちらの府中街道がすいてしまうという状況であり、むしろ今の現道を整備、拡幅するべきだと思います。
 平成十八年の、本線が二十八メートルから三十六メートルに、環境施設帯をつくるということで都市計画変更されたときの国分寺市民アンケート調査を見ましたら、一位が都市基盤整備で四一%、生活道路の整備です。幹線道路の整備は九・八%、少ないんです。住み続けたいという市民の意向は八〇%に上っています。国分寺の道路密度は多摩地域でも最も高い方でありながら、歩道が確保できて路線バスも通れる十六メートル幅の道路が、たった二キロ前後と極めて少ない状況にあります。今必要なのは、既存道路の拡幅整備こそではないかというふうに思います。
 以上で質問は終わります。

○こいそ委員 それでは、契約案件、黒目川黒目橋調節池工事(その十)についてお尋ねいたします。
 先月もそうでありましたが、大変な強い雨風の台風十五号が首都圏を直撃しましたけれども、激しい、まさに大変な台風でありました。また近年、都市部を中心に一時間一〇〇ミリを超える局地的な集中豪雨が頻発しております。
 八月は、当該黒目川流域の東久留米市でも一時間八〇ミリを超えるという集中豪雨が発生したと聞いておりますが、台風の大型化、そして集中豪雨が増加傾向にあることから、治水対策の推進はまさに急務であると、かねてより都議会の場において、都民の命と暮らしを守る治水対策の重要性について発言し、多摩地域全体を含めた中小河川整備の促進も強く望んできたところであります。
 都では、一時間五〇ミリの降雨に対する整備を積極的に進め、黒目川流域においても、護岸整備にあわせて下流域に調節池を設け、水害に備えることとしております。
 今回、黒目橋調節池の二期工事が着手されるということで、さらに多摩地域の治水対策が推進されていくのではないかと期待しておりますが、そこで、黒目橋調節池の目的と整備概要について伺いたいと思います。

○飯塚河川部長 黒目橋調節池は、黒目川流域におきまして、一時間五〇ミリの降雨に対応することを目的とした施設でありまして、黒目川と落合川の合流点付近の東久留米市の下水処理場跡地を利用して、地下に設置するものでございます。
 今回の整備概要は、平成十四年度から供用を開始しております第一期の地下式調節池に隣接して、深さ約二十五メートル、貯留量約六万二千立方メートルの地下式の調節池本体と、洪水時に黒目川から取水するための堰を構築するものでございます。
 この調節池が完成いたしますと、一期分の十五万九千立方メートルと合わせまして、合計二十二万一千立方メートルの調節池が完成することになり、流域の治水安全性が向上いたします。

○こいそ委員 黒目橋調節池は、黒目川流域の治水に対して極めて重要な役割を果たしていくということが理解はさせていただきました。
 また今回の工事では、いわゆる一般競争入札ではなくて技術提案型総合評価方式を採用されたということでありますが、当初、順巻き工法で計画され、いわゆる順巻き、逆巻き、両工法の対比検討をされていたと思うんです。その中で、順巻き工法という方向で決まったというふうにお聞きしているんですけれども、コンサルタントに、この順巻きで八千万円出されていますよね。
 その後において、この落札された企業との仮契約、整合的な都の方針、順巻きと、向こうは違いましたよね。そのあたりを教えてください。

○飯塚河川部長 都は、土どめを設置しながら底面まで掘削した後、調節池本体を下から上へ構築していく、いわゆる順巻き工法、それと、本体を土どめとしても利用して、掘削と本体構築を交互に行いながら上から下へ構築を進めていく、いわゆる逆巻き工法など、複数の案の中から、経済性、施工性等を総合的に判断いたしまして、順巻き工法を標準案といたしました。
 今回、仮契約では逆巻き工法ということで、現在、仮契約の状態でございますけれども、これにつきましては、設計の中で比較検討した経過はございます。

○こいそ委員 いわゆる順巻き工法から、逆巻きの提案があったということで、五者JVのうち一者だけだったですかね、これは--二者ですか。
 その中で、いわゆる順巻きから逆巻きに変わってきた。それから、さらにそれぞれの提案がなされたわけですが、そこで先ほどもありましたけれども、先ほどの契約では七一%の落札率。ここでは、何と五九・七%だというんですね。
 いや、五〇%のところもあるんだよという話も、中には出てきていることもよく聞いておりますけれども、しかし、現下のこの状況の中で五九・七三%と。要するに、順巻き、それから逆巻きは、価格的なことも検討されたんでしょうが、そのあたりの低入札について教えてください。

○飯塚河川部長 落札率五九・七%は、都が標準案として発注した金額に対して、仮契約した企業が入札した金額でございます。
 企業が提案いたしました工法は、本体構造を土どめとして利用することが可能となったため、土どめ支保工等の仮設材が大幅に変更できるというようなことでございます。
 そういうことから、都の標準案に対する、今回、仮契約した企業が入れた価格の率が、五九・七三%ということでございます。

○こいそ委員 土どめ、いわゆる仮設ですね、それから鋼材、逆巻きにしたと。いわゆる逆巻き工法にすることによって、今お話しのとおりなんでありますけれども、そうすると、実際、都の約五十億円強の積算がありましたよね、総体的な予算が。
 その中において、落札が五十一億七千三百万から三十億九千十五万円、今いう五九・七%でありますけれども、それであれば、この逆巻きでやった場合はどのくらい、独自に提案をしてきたわけでありましょうから、さらに金額的な細かいところを含めて、どの程度で提案があったのか教えてください。

○飯塚河川部長 東京都が標準案として考えた逆巻き工法につきましては、本体をくいで受けながら施工する、いわゆる通常的な工法を検討いたしました。
 これに対しまして、企業からの提案は、鋼鉄製のくいを本体に利用するというようなことで、仮設材が減ったことも工費が安くなった一因というふうに考えられます。
 あとの詳しい内容につきましては、現在、仮契約の状況ということで、現在の時点では、お答えは控えさせていただきたいと思います。

○こいそ委員 実際上、この逆巻き工法にしたとしても、さっきのコンサルの委託はちょっと置いておいて、仮設及び鋼材等々、これだけでどのくらいになるのか。
 さらには、この部分がいわゆるよい影響で、価格が下がるとかいろいろあると思うんですが、その基本的な積算的なものというのは、やっぱり都独自でやらなければ、相手任せ、すなわち提案者というんですか、果たしてこういうところの提案だけで、安くなったからいいんじゃないかという話にはならないと思うんです。
 なおかつ、今回の一者、それからほかの落札を見ても、七二%、七〇%。八六%が一者あるけれど、あとは六七%。国の国交省でありますけれども、やはり今、低入札を何とかしていかなきゃいけない、防止対応をしていかなきゃいけないと。八五から八七ですよね、低入札の。こういう中で、五者全体が、JVの提案も当然あったんでしょうけれど、極めて低いですね、押しなべて。
 今いった一つの仮契約の業者は、こういう三十億円台の金額の、三十億九千十五万円で落札したということでありますけれども、果たしてこれはよかったのか。よかったといえば価格的に安くなったから、といって、一面、やはり、安かろう、悪かろうでは困る。品質管理も含め、現場の安全、衛生、安全対策もそうです。このあたりはどうでしょうか。

○飯塚河川部長 落札価格につきましては、仮契約した企業に対しまして、低入札価格調査制度に基づきまして、積算内訳や施工体系図、配置予定技術者の実績などの資料を提出させた上で、低価格による入札をした理由、積算内容、品質確保等についてヒアリングを行い、確認しております。
 その中で、ヒアリングでは、まずこの仮契約した業者からは、第一に、本体構造物を土どめとしても利用することで、仮設材の施工数量や鉄筋の高強度化に伴う使用数量の大幅低減などにより工費の削減が図れたこと。それと第二に、大規模開発工事のノウハウを伝承し、人材育成するなど、技術競争力を高めるために企業の方針としてぜひとも受注したい工事であることという回答を得ております。
 そのヒアリングの中でいろんな資料を見まして、この辺の金額でできるということは確認はいたしております。

○こいそ委員 申しわけない。一方からの、落札側の方からの提案のヒアリングということでしょう、それは。ですから、私はさっきいったことをいわせていただいたんですよ。
 やっぱりこちら側の基準、東京都としての安全管理、品質管理、当初の施工的なものがしっかりできるか否か。だって、工法だって変えちゃったじゃないですか。八千万円もかけて一たん決めたことを。
 そういうような、方向を変えたとしても、これはよい選択肢なんだということであればいいですよ。しかし、少なからざる五九・七%の中で、ヒアリングしている、ヒアリングしているとよくいわれ、また技術審査委員会でやったんだ、低入札価格審査委員会にかけたんだというけれど、それはベストでベターで、一〇〇%間違いないんですか、はっきりいって。それよりは、しっかりした根拠性を示して、これだったらできるんだというのは、局でやらなきゃいけないんじゃないですか、それは。

○飯塚河川部長 現在の制度の中で建設局としてできることはやっているわけでございますけれども、ただいま、こいそ委員からご指摘のありました厳しい貴重なご意見、ご指摘につきましては、真摯に受けとめてまいりたいと思っております。

○こいそ委員 これはもうどこの会派もそうかもしれないけれど、都議会自民党でもヒアリングをする中で、いわゆる中小企業の協会、そういうところからもヒアリングを受ける中で、都内さまざまの、いわゆる三多摩のそういう代表者からいろんな意見聴取をする中でも、極めて低入札のことは非常に強くいわれているんですよね。
 私も、ヒアリングが終わって、役員の方に実情をもうちょっと教えてくださいといったら、もうこれは大変なことなんだと。時間もありましたので後日ということで、後日、私は連絡できませんでしたけれども、相当深刻ですよ、これははっきりいいまして。
 そういう中で、もうちょっと聞かせていただきたいのは、要するに、いつもしわ寄せを食うのは下請、現場なんですよね、はっきりいって。下請の、孫請の労務者、現場の職人もそうだね。こういう人たちが適正な価格で--実際にこれだけ圧縮されちゃって、この工法だから全部安いんだというわけじゃない。鋼材が少し安く購入できるから、全部、これだけできるというわけじゃないと思いますよ。そういう中において、とりわけ圧縮を、圧縮というか、しわ寄せだな、これを受けている。
 今回、これについてはもう一点いわせていただくならば、工期短縮がうたわれていますが、これは、建設業講習会いわゆる建設監理技術者講習、ここの中でも出ています。いわゆる統計的なものが出ている。
 低入札で受けたところの現場の安全面、これは極めて厳しい。生命にかかわる現場の事故も、これ、少なくないです。安全だ、安全だ、パトロールしているから安全だというだけじゃないと思うんです。しわ寄せが来る。要するに、一定の工期でと。しかし、そうじゃない。何とか落札しなきゃいけない。落札する。それには工期を縮める。場合によれば賃金的なものにも影響があるかもしれない。
 そういう総合的なものの中で、この低入札というものが、今回は五九・七三と特に目立ったので、私はこうやって聞かせてもらってるんだけれども、そういうさまざまな状況、事情があったとしても、実際上は厳しい。
 そういう中で、特に建設物価調査会、東京都標準単価。労働者に対する、いわゆる工賃、賃金。こういうものは妥当性があるか否かということの中で、あえて私はぜひお願いしたいのは、厚生労働省に賃金台帳というものを提出しなきゃいけない、どのくらい支払いました、どのくらいもらいましたかという賃金台帳があるはずだ。これは、下請、孫請、そういうところにまで、ぜひ義務づけていただけませんか。

○飯塚河川部長 まず工期につきましては、今回、仮契約した業者が、土どめを支える仮設材等の大幅削減や、取水施設と本体施設との並行作業が可能になったということも、工期短縮の一因というふうに考えております。
 それと、下請への影響でございますけれども、下請業者への影響につきましては、財務局と建設局で実施いたしました低入札価格調査のヒアリングにおきまして、まず元請業者の積算内訳が下請予定業者の見積書と整合していることを確認いたしております。そして、下請予定業者の見積もりどおり契約し、支払うことを、元請業者に確約させております。
 都は、工事着手後も、下請業者と元請業者の契約状況を確認した上で、下請契約書どおりに支払いが確実に行われていることを、例えば銀行口座への振り込み伝票等により確認いたします。それに加えまして、必要に応じて下請業者に対し直接ヒアリングを行うなど、履行状況を確認してまいります。
 なお、今回先生からご指摘のありましたように、今後は低入札価格調査時におきましても、必要に応じて、下請予定業者に対しましてヒアリングを行うことを関係局に働きかけてまいります。

○こいそ委員 そうやってご努力していただくということは大変結構なことだと思うんです。しかし、今お話しの中で、私がいったのは、一般の職人、職方、それから一般の労務に携わる人、この人たちに適正な賃金というものが支払われているか否かということを、やはり賃金台帳を提出させて、やるべきだと思うんですよ、はっきりいって。
 現状は現状として皆さんもお聞きしていると思うけれども、なかなか厳しいですよ、低入札でとったところというのは。元は元かもしれない。一番しわ寄せを食うのは下なんですよ、はっきりいって。この現状は全然変わっていない。景気が悪くなればなるほどそうなんです。元請はそんなに赤字を食わないかもしれない、わからないけれど。しかし、下なんですよ、下。下といったら大変申しわけないけれども、支えている方っていうか、現場ですよね。こういうところをぜひしっかりやってもらえば、極端な数字が出るようなことというのは、いかがなものかと。
 労賃、いわゆる俗にいうところの直接事務費というか直接工事費といいますか、これを六〇%にカットしなきゃいけないということだったんじゃないですか。これに人件費を払うわけですよ。工賃や人件費、そしていわゆる材料費というのが出るわけですよね、これ。
 実質、これは最低ですよ、六〇%にカットするのは。本当に守られているのかというところで問題が出てきて、我々にもいろんな声が出てくるわけであって、ですから、ぜひそのあたりもしっかりと、やはり適正に、さっきいった東京都のあるべき基準があるじゃないですか、国でもあるじゃないですか、物価調査会、東京都の標準単価が。
 これをしっかりと遵守できているか否かということも、申しわけないですけれども、これはやっぱり現下の状況がありますので、なされているならばなされているで、それは結構なんだけれども、なかなか厳しい声も聞きます。
 それと、ヒアリングということがあるけれども、ヒアリングも結構でしょうが、やはりもう一工夫された方がいいのかなと。これは一つの話です。
 最後になりますけれども、るる申し上げてきましたが、いずれにいたしましても、冒頭申し上げたことはまさに喫緊の課題であって、これはぜひやっていっていただかなきゃいけない。それとともに、やっぱり適正な価格、適正な単価でと。
 法外に高いとか、そんなものはもう言語道断だけれども、安かろう、悪かろうで、こんなことだったら本当に疲弊しちゃいますよ、はっきりいって。こんな、六〇%を割って、いや、こういう工法をしたから大丈夫なんだと。そうじゃないと思いますよ、はっきりいいまして。
 ほかも見てくださいよ。ほかだって、さっきいったけれど、五者JVだって、国が指導しているような低入札の中にみんな入っちゃっているじゃないですか。もう少し考えていかないと、しわ寄せの来るところはますますしわ寄せが来ちゃうということで、こういう環境を東京からやっぱり変えていかなきゃいけないんじゃないかと。特に建設局からですね。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 このあたりにしたいと思いますけれど、そういうことで、要するに、ぜひ、先ほどお話のありました独自の積算をやっぱり持つべきだと思います。だって変わっちゃったんだから。当初のコンサルに委託したものと変わっちゃったんだから。順巻きから逆巻きに変えちゃったわけだから。
 さらに、ヒアリングをするにも、私は相手の資料だけをチェックするだけじゃいかがなものかと、もう一回いわせていただこうと思います。自分のところでしっかりと積算をして、これは適正なんだ、これがやっぱり適正なんだというところがあると思うんです、皆さんプロなんだから。
 ぜひひとつ、そういう面で、極端な低入札、これはやっぱり社会的にも問題ですよ。ぜひよろしくお願いします。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○かち委員 それでは、二つの案件について意見を申し上げます。
 まず、第百四十号議案、中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約について述べます。
 中目黒の換気所建築は、建設中の中央環状品川線における換気所であり、高さ五十メートル、周辺の状況は私立の高校や病院があり、中高層マンションを初め集合住宅が十棟以上建ち並ぶ住宅地です。当然、数万台の交通車両から集中排出される排ガスがこの換気塔から出されることによる環境悪化に対して、周辺住民は大きな懸念を持っています。
 既に供用を開始している中央環状新宿線における、九カ所の換気塔についている低濃度脱硝装置入り口前での測定値では、NO2濃度が一日平均で〇・三から〇・五ppmと極めて高い値であることは明らかです。にもかかわらず、換気塔の機械装置と運営は首都高が行うことになっており、今なお周辺住民の強い要望である脱硝装置設置の確約もとれていない状況です。運用も首都高にゆだねるものであり、都の運用監視のシステムもないのです。
 都民の健康よりも環状道路優先の中央環状品川線のように、高額な財政負担を強いる高速道路建設はやめるべきです。
 よって、本契約案件には反対です。
 次に、第百四十四号、国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事請負契約について意見を述べます。
 本契約路線の周辺は、閑静な住宅地と緑が広がる東京のオアシスのようなところです。そこに五百四十億円をかけて三十六メートル幅の広域幹線道路が二・五キロにわたって突き抜け、七百五十名の関係者が立ち退きを迫られる計画道路です。将来、二万台近い車が流入し環境負荷をかけることに、住民合意が得られているとは思えません。現に、本計画の見直しを求めて住民訴訟が係争中でもあります。
 一本の計画道路ができたからといって、生活改善、防災対策になるものではありません。既存道路の整備こそ必要です。
 よって、今回の契約案件は、この都市計画道路事業にかかわる陸橋鋼けた製作・架設工事契約でありますので、反対です。
 以上です。

○橘委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○橘委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百四十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○東総務部長 付託議案に関しまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手数でございますが、先ほどもごらんいただきましたお手元の環境・建設委員会要求資料の四ページをお開き願います。首都高速道路の事業計画についてでございます。
 この資料は、首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の事業計画の変更箇所とその概要をあらわしたものでございます。
 五ページをお開き願います。首都高速道路の料金についてでございます。
 この資料は、首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の料金の変更と、主な割引等の内容をあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○興津委員 それでは、しばらくお時間をちょうだいいたしまして、首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について、何点か質疑をさせていただきたいと存じます。
 我々都議会民主党におきましては、今回の首都高速事業の変更に対しまして、国土交通副大臣及び担当課よりヒアリングを受けさせていただきました。その件に関しまして、何点か東京都に確認をさせていただきたいと存じます。
 この変更の内容は、現行の料金圏による、普通車で、埼玉料金圏四百円と神奈川料金圏六百円、東京料金圏七百円という均一料金制を撤廃し、五百円から九百円の対距離料金を基本とする上限料金制を導入するというものです。
 政権交代以前における平成十七年二月四日の国土交通省の、今後の有料道路のあり方研究会資料の中にある対距離料金制度の考え方には、はっきりと、収入の増加に資する料金制度の導入とあります。
 そもそも、なぜ首都高が均一料金から対距離料金制度に変更しなければいけないのか、まずはお伺いいたします。

○浅川道路管理部長 首都高速道路はこれまで、すべての出口に料金所スペースを確保することが困難な中で、大量の交通を効率よく処理する観点などから、均一料金制を採用してまいりました。
 しかし、首都高速道路網の拡充に伴い、利用距離にばらつきが生じ、負担の公平性などの課題が生じてきたことから、国において、対距離料金制の導入に向け、学識経験者による研究会等において料金策の検討がなされてまいりました。
 対距離料金制につきましては、東京、神奈川、埼玉の三つの料金圏を撤廃し、対距離料金制とすることによりまして、利用距離に応じた、より公平な料金体系となること、短距離利用の促進が期待されるなど利用者にとって使いやすい料金体系となること、またネクスコとの乗り継ぎ割引や、中央環状線迂回利用割引などの各種割引の導入により、首都高速道路ネットワークのより一層の利用促進を図ることなどから導入することとしているものでございます。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
 ただいまいわれたとおり、公平で使いやすい料金体系ということと、短距離利用の促進というところもあるのかとは思っておりますけれども、本年八月の首都高の通行台数は、一日当たり約百十五万五千台です。このうち、普通車が約百四万四千台、大型車が約十一万一千台となっています。
 料金圏別内訳は、全車合計で、東京線が約八十三万九千台、神奈川線は約二十七万一千台、埼玉線は約四万五千台です。
 対距離料金制に移行すれば、実質的な値上げになるのではないかという利用者の意見もあると思いますが、実態はどうなのか。利用料金が、実質値上げ、また実質値下げ、あるいは実質据え置きとなるのは、それぞれどの程度の割合なんでしょうか。その試算をお示しいただければと思います。
 また、首都高速道路株式会社は平成十七年に民営化されました。このときには、平成二十年度から距離別料金制を導入することを前提として、四十五年間で借入金の返済をするという計画になっていました。
 今回提案されている距離別料金制で、首都高速道路株式会社は四十五年間で借り入れを返済することという事業スキームでもありますが、現時点では、いつ償還が終わり、そして将来的には無料になるのでしょうか。お伺いさせていただきます。

○浅川道路管理部長 値上げ、値下げ等の割合につきましては、対距離料金制の導入により、首都高速道路の利用交通の走行距離分布をもとに試算した結果では、値下げになる利用者、値上げになる利用者ともに約三割となっており、残りの利用者につきましては現行料金と変わらないと聞いております。
 償還につきましては、道路整備特別措置法第二十三条第三項により、料金の徴収期間の満了の日は、当該会社管理高速道路に係る道路資産の貸付期間の満了の日と同一でなければならない、この場合において、当該満了の日は、会社の成立の日から起算して四十五年を超えてはならないと定められております。
 したがいまして、債務償還及び料金徴収の期間は、平成十七年十月から起算して、四十五年後の平成六十二年九月までとなるものでございます。
 なお、同法第五十二条により、料金徴収期間の満了後は、東京都内の首都高速道路資産は、本来道路管理者である都に帰属することとなっております。

○興津委員 ただいまお聞きかせいただきましたとおり、償還が終わるのは、これから試算しても約四十年後ということであります。
 したがいまして、私の年齢から考えてみても、その時点で果たして生きているのかなと思うのですが、こういうことも含めて、実は現時点でのことを先送りにしているように感じられてならないというのが、私の個人的な感想でもあります。
 とはいえ、料金徴収の期間の終了後には、その資産が東京都に帰属するということでお伺いいたしておりますので、その時点では通行料が無料になっているんだろうというふうに私は思っております。そのことを、また逆に期待しております。
 続きまして、質問させていただきます。
 また、今回提案されている五百円から九百円の距離別料金制では、長距離利用者にとって大幅な値下げになっていることになります。都心部を首都高で突っ切る方が安いということになりかねません。さらには、長距離が優遇されることにより、首都高は一たん乗ったら目的地までおりない傾向が強まり、長距離利用客の増加が予想され、その分、渋滞が悪化する懸念もあります。
 提案されている料金制度が首都高の渋滞を悪化させる要因となる可能性について、所見をお伺いいたします。
 また、今後、中央環状線が整備されていくと、目的地へ向かう道路の選択肢はふえます。都心環状線の渋滞を見越しまして、湾岸線などに入ることは現在でもあります。これが対距離料金制になれば、回り道をする車両もあると思います。回り道をして遠回りをすることになりますと、走行距離が伸びまして、その分、通行料が値上がることになるのでしょうか。
 ただ、おおよその場合は、上限九百円までの通行区間を走行することになるでしょうから、逆にいえば、渋滞緩和策として環状線への誘導策等が必要であるというふうに考えますけれども、ご見解をお伺いいたします。

○浅川道路管理部長 今回の同意申請につきましては、道路ネットワークとしての機能が十分に発揮されるよう、都心環状線の渋滞緩和を図る中央環状線迂回利用割引などの割引を活用しながら中央環状線への整備などを行うことで、渋滞緩和などの効果が期待できるものとなっております。
 また、出口までの経路が複数存在する場合の料金は、実際の走行経路にかかわらず最短経路で計算することになっておりますので、遠回りした場合でも、最短経路の距離で算出した料金となります。
 環状線への誘導策につきましては、都心へ流入する交通を中央環状線に誘導し、都心環状線の渋滞緩和、環境改善を図ることを目的といたしまして、中央環状線迂回利用割引の導入を予定してございます。

○興津委員 ともかく都心環状線が、もう渋滞状態が恒常化しているきょう現在において、中央環状線等々の建設によって都心環状線へ流入してくる車両をいかにして削減していくかということが、ある意味、私が思うには環境対策にもなるだろうし、渋滞対策そして経済効果も非常に高いだろうというふうに考えています。
 したがいまして、そのことの利便性を高めていただきたいということを踏まえ、これもまたお願いさせていただきたいと思います。
 次に、料金額の設定についてお伺いをさせていただきます。
 この料金別の検討当初は、上限を千二百円程度にというふうな案もあったと伺っております。今回、五百円の下限、そして九百円の上限設定ということに至った経過説明をお伺いいたします。
 また、今回の対象車はETC搭載車となっています。ETC未搭載車は、短距離で都心より放射する、例えば幡ヶ谷から中央道方面などへ向かう等の場合を除き、七百円から九百円となります。
 ETC搭載を全車両に義務づけることは難しいとの国土交通省の見解もありましたけれども、一方では、ETC搭載車と未搭載車との間には不公平が生じるというふうに感じられます。
 甚だ遺憾でありますし、この不公平感の解消策を示す必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○浅川道路管理部長 平成二十二年十二月二十四日に出されました国土交通省の基本方針の中で、五百円を下限とし九百円を上限とする、料金圏のない対距離料金制が示され、平成二十三年二月十六日の、高速道路の当面の新たな料金割引についてにおきまして、平成二十四年から導入することとされたものでございます。
 ETC未搭載車への対策につきましては、ETCの一層の普及を図るため、現在ETC宅配サービスを実施しており、今後ETC車載器購入支援策などを実施する予定であると聞いております。
 なお、ETC未搭載車につきましても、現在の複数料金圏を利用する場合は、料金圏を撤廃したことにより、現行料金を下回る区間もございます。
 なお現在、首都高速のETC利用率は約九割となっております。

○興津委員 きょう現在、ETCの利用率は約九割であるということから、残り一割をどうするんだというところがやはり残されているんだろうというふうに思いますし、その前に、平成二十二年十二月二十四日に、国土交通省と我が民主党との打ち合わせの場で了承された国土交通省の基本方針というものの中に、上限を千二百円から九百円にしようじゃないかという案件があったというふうに私は記憶をしております。
 したがいまして、現下の経済状況の悪化の中、一挙に--値上げという単語は今回私は使いません、条件等々がありますので、そこはまだ使いませんけれども、七百円から千二百円と一気に上がるところを九百円で、ある意味抑えることができてきたのかなというふうに私は考えております。
 そこで、神奈川料金圏、東京料金圏、埼玉料金圏が一体になりますと、南北を突っ切るとといいましょうか、そうしますと、最大で現在千七百円かかりますが、これが九百円と大幅な割引になります。ある意味ですけれども、埼玉県と神奈川県にとっては非常に有利になってくるのではないかというふうに思います。
 ただ、その一方、東京料金圏へつながる中央道の八王子-高井戸間並びに東名道の町田-東京間の料金は、別の料金体系となっています。これは、別会社であるということは理解した上ではありますけれども、以前からの大きな懸案であります。
 これは、東京都にありながら、あるいは東京都民でありながら、ある意味、不当に料金を徴収されていると感じてしまいます。まさしく、これはいびつな状態であるといわざるを得ない状況が続いてきている。
 今後、外環や圏央道の竣工等を見据えた対応を進めるべきであると考えておりますけれども、今後の東京都の対応策をお示しいただきたいと思います。

○浅川道路管理部長 現行の首都圏の高速道路の料金体系は、首都高、ネクスコ中日本、ネクスコ東日本の高速道路三社でそれぞれ別々の料金体系となっていることから、その入り組んだ料金体系を見直し、一体的で利用しやすい料金体系を構築する必要があると認識しております。
 都としてはこれまでも、外環を初めとした三環状道路などの完成を見据え、圏央道内側における一体的な料金体系を構築するよう、平成十五年に首都圏高速道路構想を提案して以来、九都県市首脳会議などにおいても繰り返し国に対し要望しております。
 今回の新料金案は、将来の一元化に向けての第一歩となるものと考えております。
 今後も、先般立ち上げた国と地方の検討会などにおきまして、他の自治体とも足並みをそろえて、引き続き国に強く求めてまいります。

○興津委員 中央道の高井戸から八王子インターまでの区間と、町田から東京料金所までという部分に関しましては、従前からこういった指摘というか議論というのは、ずうっと続いてきている問題だろうと思います。
 なぜこれが解決されていかないのか。確かに今ご説明のありましたとおりに、会社が違うからなかなか難しいよねということだけで終わっていっていいのかと思わざるを得ないですよね。これはもう、本当に私はそう思っております。
 したがいまして、もう一度申し上げます。八王子に住んでいる方も、町田に住んでいる方も、東京都民ですから。そうですよね、違うこといっていませんよね。
 ということで、東京都民の三分の一が多摩地域に住んでいらっしゃる。その方々の利便性を求めるためにも、先ほどご答弁いただきましたけれども、三環状線、圏央道等を踏まえた中で、今後とも東京都が力強くリーダーシップを発揮して、例えば圏央道の竣工は二〇一五年でしょうか。一五年度でしょうね。その暁には、圏内を距離別料金制度等に考えていっていただければというふうに私個人は思っております。
 それでは、最後に一言申し上げさせていただきます。まとめさせていただきますけれども、今回、首都高速道路株式会社は、対距離料金制度の導入を目指しているところであります。下限料金と上限料金の設定、各種割引制度を導入しながら、利用促進を図るとしております。
 平成十七年の、今後の有料道路のあり方研究会資料の中には、収入の増加に資する料金制の導入が求められていると明確に記載されています。まずは、首都高速道路株式会社の内部留保、経営状況並びに人事を含めた大幅な経営見直しをして、経営努力を求めます。
 また、東日本大震災以降の現在の経済状況は非常に厳しいところであります。都議会民主党にも、大きな影響を受けている都内の中小企業等から、二十四キロ走行超えの場合、七百円から九百円となる今回の対距離料金制度には、懸念を持つ意見が多く寄せられております。
 また、従前からの懸案である多摩地域へのアクセスは、首都高速道路株式会社と異なる会社であるがゆえに、中央高速八王子から高井戸料金所まで、あるいは東名高速町田から用賀料金所まで別料金が設定されており、同じ都民でありながら、受け取るサービスにはいびつで不公平な料金体系が残されています。
 この懸案事項等の解消等に向けて、圏央道、中央環状線が竣工になる二〇一五年を見据え、九都県市など関連団体とともに、国に対して綿密な交渉を、都が中心となって、一体となった改革を進めるべきであろうと考えております。
 さらに申し上げれば、償還期間が定められているとはいえ、一日も早く償還を済ませ、無料化を急ぐべきであると考えております。
 今回は、政府の出した方針でもあります。また本日、都議会民主党といたしまして政府・与党に、五項目にわたり、この件に関しまして申し入れを行っているところであります。
 しかし、将来的には道路会社の垣根を越えて、対距離別料金化を目途に入れ、渋滞緩和、利用改善を図るための第一歩であることにかんがみ、同意とさせていただき、質問を終わります。ありがとうございました。

○かち委員 私からも、首都高速道路株式会社の、同意について質問します。
 今回の案件は私としては初めてなので、ちょっと基本的なところで確認をしておきますけれども、現在、旧高速道路公団は民営化し、日本高速道路保有・債務返済機構と高速道路株式会社との間で締結した協定に基づいて、平成十八年度から四十五年間以内に債務を返済するという見通しのもとで立てられた計画を実行しているということです。
 その計画は、おおむね五年ごとに見直しを行うことになっており、計画を変更する場合には、管理団体である東京都及びその議会において同意の議決が求められ、最終的に国土交通大臣の認可を必要とするものだということです。
 それでまず、今回の料金改定における基本的な考え方についてお伺いします。

○浅川道路管理部長 料金改定に当たりましては、東京、神奈川、埼玉の三つの料金圏を撤廃し、対距離料金制とすることによりまして、利用距離に応じたより公平な料金体系となること。短距離利用の促進が期待されるなど、利用者にとって使いやすい料金体系となること。また、ネクスコとの乗り継ぎ割引や中央環状迂回利用割引など各種割引の導入により、首都高速道路ネットワークのより一層の利用促進を図ることなどを基本的な考え方としております。

○かち委員 対距離料金別にしたという点では前回もあったわけですけれども、前回は上限がなかったということで、特に長距離輸送、トラック関係者の皆さんからも大変批判の声が広がっていました。そういう意味で、今回は上限九百円ということでは、一定の配慮がされているとは思います。
 各種割引制度をそろえたといっておりますけれども、よく見ると二年間のみですよね。割引の二〇%が二年後に一二・五%にもなってしまう。そのほかのものは全部二年間で終了ということですので、本当にそれが円滑な運営になるのかどうかという点でも疑問があります。
 次の二つの質問は、先ほどありましたので省略しますけれども、結果的に、具体的に利用者にとって値上げ、値下げになる状況というのは、値下げが三割、値上げが三割、変わらないのが三割ということで、三、三、三、これで料金収入増というのが本当に見込めるのかなという点ではクエスチョンマークです。
 そして、ETCではなくて現金払いの利用者が一割いるということですけれども、この現金払いの方々にとっては、先ほどの質疑の中でも、やっぱり不利な要件があるということがわかりました。極端な例でいえば、五百円圏で済むところが九百円払わなければならないというようなことも出てくるかなというふうに思います。長距離の場合はその倍ということです。
 そうすると、同じ利用者でありながら、ETC搭載か現金払いかで負担の不公平が生ずるということは否めません。
 それで、道路整備特別措置法というのがありまして、そこを見ますと第六条二項の二号には、高速道路会社が料金を設定あるいは改定する場合、高速道路を通行し、または利用する特定の者に対し不当な差別的取り扱いをするものでないことが要件となっています。
 そういう意味でいうと、結果的に不公平な扱いになるこれらの現金払いの扱いについては、認めがたいということです。
 次に、今回の事業計画変更について、追加した工事の理由と、それに要する費用及び完成年次について伺います。

○吉原道路建設部長 今回の事業計画変更は、中央環状線の道路ネットワークとしての機能を十分に発揮させるため、ボトルネックとなっている二カ所のジャンクションの車線増設のほか、利用者の利便性向上のための出口や入り口の追加などを実施するものでございます。これら事業計画変更で追加する事業費は、首都高速道路株式会社では約六百六十億円と見込んでおります。
 また、今回の事業計画変更で行う工事がすべて完了するのは、平成三十一年度となっております。

○かち委員 資料も出していただきましたけれど、この中には防災・安全対策というものもありまして、それは必要なことだというふうにも思います。
 新設の堀切・小菅ジャンクションの百三十億円も合わせて、六百六十億円の支出増になるわけです。当初の収支見込計画書を見ると、新設、改良工事等では、現行では平成二十六年度で終了、一兆一千六十五億円余となっていますが、今回の事業変更によって事業費が膨らみ、事業期間も二十六年から三十一年へと延長することになるわけです。
 そこで、首都高速晴海線についてお伺いします。
 全体の工事計画と、それに要する事業費は幾らでしょうか。
 また、現在の進捗状況と、今後の事業費の総額についてお聞きします。

○吉原道路建設部長 首都高速晴海線は、都心部と臨海部との連携強化、都心部や臨海副都心で発生する交通の分散、臨海部における交通利便性の向上、臨海部の開発促進などに寄与する重要な路線でございます。
 本路線のうち、首都高速湾岸線の東雲ジャンクションから晴海三丁目交差点までの全長二・七キロメートルが事業化されており、首都高速道路株式会社では、事業費を約五百二十三億円と見込んでおります。
 このうち、東雲ジャンクションから豊洲までの約一・五キロメートルが、平成二十一年二月に開通しております。
 残りの豊洲から晴海三丁目交差点までの約一・二キロメートルの区間につきましては、現在、設計などを行っており、事業費は約二百三十九億円となっております。
 晴海地区では、開発の進展に伴う交通需要の増加が見込まれることから、本区間の早期整備が不可欠でございます。

○かち委員 資料にもありますが、〔4〕のところの高速晴海線(晴海-豊洲)の幅員拡大、大型車同士の追い越し線を確保するということで、今、豊洲までできているので、そこから晴海までの一・二キロの間を拡幅するということです。その事業費が二百三十九億円、今回の拡幅部分がプラスされるということです。
 これは二・七キロの高速道路ということですけれども、この晴海高速道路の下には既に一般道が、晴海通りというとちょっと違うらしいんですけれども、晴海通りの延伸が晴海から東雲まで、もう既にできているということなんです。
 そういった、道路の上にさらに高速道路を、たった二・七キロの高速道路をつくる必要が本当にあるのだろうかという点では甚だ疑問に思います。
 今、東雲から豊洲までは一・五キロまでできていて、もう二年前に完成して供用開始をしているわけですから、都心に入りたい、都心から湾岸に出たいという人たちは、今の一般道を通って豊洲から高速に乗れば、自由に出入りができるわけです。
 そういう意味で、さらにこの上に高速道路をつくる必要はないのではないかというふうに思いますけれども、首都高速晴海線の東雲ジャンクションから豊洲までの幅員、晴海通りの延伸の幅員、また、そのそれぞれの交通量について伺います。

○吉原道路建設部長 平成二十一年二月に開通しております首都高速晴海線の東雲ジャンクションから豊洲までの区間は、上下線が分離しておりまして、それぞれ、車道と路肩を合わせた幅員は六・五メートルでございます。また、同区間の晴海通り延伸部の標準幅員は五十メートルでございます。
 道路交通センサスによりますと、首都高速晴海線の交通量は、一日当たり約九千台でございます。
 また、晴海通り延伸部の晴海二丁目付近での交通量は、一日当たり約三万台でございます。

○かち委員 その高速道路の下には、幅員五十メートルで、三車線、三車線の六車線の一般道路が備わっているわけです。豊洲から銀座の方にも行ける、晴海まで行ける道路がもうできているわけですから、そこに高速道路をつくる必要は本当にないんじゃないかと思います。今の五十メートル道路では三万台ですから、優に消化できる状況だというふうに思います。
 そういう意味からも、この晴海線の豊洲-晴海間の事業計画は必要がないというふうに思います。
 この事業計画の変更と料金改定ということで、今回、二つ提案されているわけですけれども、この当初計画では、首都高速道路株式会社の料金収入は終年度の平成六十二年で十五兆九千四百五十億円余りとなっておりますけれども、今回の改定後の償還計画というのはどのようになるんでしょうか。

○浅川道路管理部長 償還につきましては、道路整備特別措置法第二十三条第三項により、料金の徴収期間の満了の日は、当該会社管理高速道路に係る道路資産の貸付期間の満了の日と同一でなければならない、この場合において、当該満了の日は、会社の成立の日から起算して四十五年を超えてはならないと定められております。
 したがいまして、債務償還及び料金徴収の期間は、平成十七年十月から起算して四十五年後の平成六十二年九月までとなるものでございます。
 今回の償還計画につきましても、交通量や事業費など、変動した要素を反映したものでございますが、四十五年で償還が完了すると所管局から聞いてございます。

○かち委員 一応、帳じりは合っているということなんですけれども、四十五年という半世紀近い期間にこれからどういう車の状況になるのか、人口動態になるのか、社会変化があるのか。いろんなことがありますので、それをきちんと見通すということはなかなか難しいことだとは思いますが、少なくとも今の高速道路は、とにかく四十五年以内に償還をして、最終的には都に移管されるということをやってもらわなければいけないんです。けれどもこの五年間、民営化が進んで、五年間の間だけを見ても既に料金収入は減っているんですね。二十二年度の実績だけを見ても、四百九十七億円の乖離があります。
 こういう状況からして今回の料金改定は、利用者をふやすんだといっておりますけれども、三、三、三ということで、ふえる見通しというのはなかなか見えない状況の中で、本当に料金収入アップにつながるのかどうかという大きな疑念がありますとともに、そういう中でこうした新たな晴海線などのような事業をふやしていくと、さらに負債を大きくすることになり、ますます見通しは暗いという状況になっています。
 そういう意味からしても、今やるべきことは、本当に必要があるかないかということを見きわめての事業の拡大、そして、コスト削減、効率化、合理化というものも必要ですけれども、最低やらなければならないこと、それを欠かすことはできないわけで、そういうことをきちんとやるという点でも、不要な事業拡大はすべきではないというふうに思います。
 そういう意味で、今回の同意には不同意という意見を申し上げまして、私の質問を終わります。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○橘委員長 次に、報告事項、都立動物園マスタープランの策定についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山下委員 それでは私からは、都立動物園マスタープランについて伺います。
 先日の都議会本会議の一般質問で、複数の議員から都立動物園マスタープランについての質問があり、村尾都技監からの、詳しくかつわかりやすい答弁を伺うことができました。
 そこできょうは、まず、改めてこのマスタープラン策定の目的について伺います。

○滝澤公園管理担当部長 マスタープラン策定目的でございますが、都は、都立動物園四園全体の入園者数が長期的に減少傾向にあること、世界の野生動物の生息環境が脅かされており、保全への取り組みを強化していく必要があること、都立動物園の管理に指定管理者制度を導入したことなど、都立動物園を取り巻く状況の変化に適切に対応し、より一層都民の期待にこたえていくため、今後の都立動物園が目指す姿と取り組みの方向を示す、都立動物園マスタープランを策定いたしました。

○山下委員 ただいまのご答弁の中で、野生動物の保全のための取り組み強化というお話がありました。その必要性は、いわれて久しい問題だと思います。
 実際には、絶滅の危機に瀕している野生動物の種類というのは、どのように推移しているのか伺います。

○滝澤公園管理担当部長 絶滅のおそれがある種の現状や原因をまとめた国際自然保護連合のレッドリストによれば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び魚類を合わせた絶滅危惧種の数は、レッドリストの分類基準が改訂された後の一九九六年と直近の二〇一一年を比較しますと、この十五年間で、三千三百十四種から六千九百五十九種と約二倍に増加しております。

○山下委員 わかりました。私たちの地元、東京ということでいいますと、やはり小笠原です。
 先ごろ世界自然遺産に登録された小笠原に生息している希少な野生動物の保全に、都立動物園が今後どのようにかかわっていくのか伺います。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園では、小笠原諸島の固有種でありますアカガシラカラスバトについて、平成十三年から恩賜上野動物園で、平成十九年からは多摩動物公園でも飼育繁殖を行い、現在二十五羽がそろっております。
 また、チョウの一種でありますオガサワラシジミについて、平成十七年から多摩動物公園で飼育繁殖に努め、羽化に成功したものの、継続的な繁殖にはまだ至っておりません。
 今後、都は、国や小笠原村、地元NPOなどと連携し、都立動物園の飼育繁殖技術を生かしまして、生息地の調査なども行いながら、その状況に応じて、野生復帰に向けた現地の環境づくりや動物園での飼育繁殖に取り組んでまいります。

○山下委員 私は以前、放送局でアナウンサーの仕事をしておりましたとき、番組の話題探しをする毎日でございました。そんな中、話題探しのコツとして、困ったときは動物園という言葉がございました。
 話題が見つからなくて困ったとき、動物園に電話一本かければ、赤ちゃん動物誕生や、鳥の羽や動物の毛が季節に応じて夏毛から冬毛に生えかわるといった心和む情報、ユーモラスな話題などを聞くことができました。
 地震、水害、それに景気、経済の状況など、さまざまな困難のあるこの世の中において、人々の心に明るさを届けてくれることも動物園の果たす役割の一つといえるかもしれません。
 今後、マスタープランを実現していくことにより都立動物園が進化して、ますます発展することに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。

○こいそ委員 それでは、マスタープランがここで策定されたわけでありますけれども、平成元年から開始した希少動物の保護繁殖--約二十年ぶり、二十三年ですね。都として策定した動物園に関する計画でありますけれども、この二十年の間、動物園のありようも変わってきているかもしれませんが、改めて都立動物園の存在の意義、これについて教えていただきたいと思います。

○滝澤公園管理担当部長 首都東京にあります都立動物園は、多くの来園者に憩いや安らぎの場を提供するだけでなく、野生動物保全の必要性を訴えている場ともなっております。
 また、日本では国立動物園が存在しないため、恩賜上野動物園を中核とする都立動物園が、事実上、日本の動物園の中心的な役割を果たしてまいりました。具体的には、国内外の動物園、水族館に対する支援のほか、飼育動物の寄贈あるいは受贈を通じまして、諸外国との国際親善にも寄与しております。
 都立動物園は、野生動物の絶滅の危機が深刻化する中、引き続き世界の野生動物の保全などにおいて、日本の動物園、水族館をリードしていくことが求められております。

○こいそ委員 私、この委員会で行ったんでありますけれども、以前、北海道の旭山動物園に行きました折に、名物といいますか、有名な旭山動物園の園長さんからいろんなお話を聞かせていただいたんです。
 その中で、上野動物園、特に多摩動物園、これに対して、大変に世話になっているんだ、いろいろ教えてもらっているんだ、園長もすばらしいとか、何ていうんですか、えらく褒めていただいて、我々も立場上うれしかったんですけれども、そんなにやはり上野ってすごいのかと。多摩動物園も、そんなに、動物の貸し借りといういい方が適切かどうかわからないけれども、そういうことをしてるのかということで、改めて認識を新たにさせてもらったんです。
 その中で、野生動物や生物多様性の保全への貢献がそれぞれ求められていると思いますけれども、都立動物園として、種の保存、それから今日的な環境に対する学習教育というんですか、この取り組みを、さらに動物園を中心とした中で発展させていく必要性があるのではないかと思うんです。
 そこで、今後、都として、希少な動物の保護繁殖を推進する今までのズーストック事業、そしてまた、今回のマスタープランにおいてどのように取り組んでいくのか。
 それともう一点、多摩動物園の中で、種の保存繁殖のトキ。これはすばらしい、特筆する、まさに繁殖が成功したという事例ではないかと思うんです。
 こういうことは、日本国内はもとより、世界全体から見て極めて評価が高いことだと思いますし、そこに携わる飼育員の努力もさることながら、そういう中で都立動物園の存在意義の一つ、またそういう重要性を私も感じたわけなのですが、それを含めてお願いしたいと思います。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園では、ズーストック計画事業により、それまで各園で分散飼育していた動物を、種ごとに一つの動物園に集中して飼育することで繁殖を推進してまいりました。
 これまでに、都立動物園において、希少動物として繁殖を推進する対象としておりますズーストック種五十種のうち、三十八種において繁殖実績を上げております。
 今後は、マスタープランに基づき、トキを含めました野生動物保全への取り組みを一層強化するため、これまでの繁殖実績や保全の必要性などを踏まえながら、ズーストック事業の見直しを行ってまいります。

○こいそ委員 まさに都立の各動物園は、単なる野生動物を展示する施設にとどまらないということだと思いますが、動物園では多様な野生生物の生態を、まさに目の当たりにさせていただくと。
 例えばライオンのおりの、中は絶対無理ですけれど、近くを通させていただいたとき、えさを与える直前だったんです。こういう一面が、やはりすごいなと。こういうものが、何ていうんですか、言葉じゃなく、やっぱり直接的に、そういう野生の生態の現実的な迫力を感じるし、当然それだけじゃありません。かわいい小動物を含め、さまざまあると思います。そういう生態を目の当たりにしたり、実際に体感することで、初めて、都立動物園が行っているさまざまな、また種の保存を通じて生物多様性の保全に取り組むことの重要性を、より多くの都民が今後も一層理解していくのではないかと思うんです。
 そのため、子どもだけではなくて、当然、大人まで、各世代幅広く都立動物園で憩い、安らぎ、そして学ぶといいますか、それができる環境をさらに提供していただくことが重要であると思います。
 今後、都として、先ほどもいいましたが、種の保存、野生の生態を含めた環境の教育実践の、感じるといいますか、教えていただくというか、こういうことは極めて大切でありますので、せんだっても、私もある機会で行かせていただきましたけれど、とてもいいですね。
 要するに何がいいかというと、展示的に見て歩くんじゃなくて、事前にレクチャーを受けるんです。そして、園長を初め課長ですか、すばらしい知識と、実体験の中における大変すばらしいお話を聞かせてもらったんです。
 私は若い人と行ったんだけれど、こういうことも、一体的な、何かの機会に広げることによって、こういう側面からの理解度というか、環境にとどまりませんけれど、そういうことをぜひ展開していただければありがたいと思います。
 その件について、どうでしょうか。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園ではこれまで、小学生を対象とした飼育体験などのサマースクール、中学生や高校生を対象としました職場体験、小学生から大学生までを対象としました、飼育職員が学校を訪問する出張事業を実施しているほか、大人を対象とした夜の観察会なども実施しております。
 今後は、野生動物への興味や関心を引き起こし、野生動物の保全の必要性を効果的に伝えていくため、動物舎から休憩所、レストランに至るまで、園内を統一的なコンセプトのもとで整備するとともに、子どもから大人までを対象とした多様な教育プログラムを展開することで、都立動物園を環境教育の拠点としてまいります。

○こいそ委員 よろしくどうぞお願いします。ただいまの、動物舎から休憩所、レストランに至るまで、園内を統一的なコンセプトのもとで、というのはいいと思いますね。今後の計画に生かすということですね。
 いわゆるこの多様な要求というのは、多少、いろいろあると思うんです、各世代にわたって。今、これを動物園協会に委託してますよね。それはそれで結構なことだと思うんですけれども、ぜひ、この休憩所だとかレストランの時間的なものを、これはその曜日によっても違うんでしょうけれども、やはり、できれば園が開園してる時間帯ぐらいは開放していただいて、まさに今いわれるような全体のコンセプトの中で、そこだけがということじゃなくて、ぜひそういうことも要望点としてお願いしたいと思います。
 それから都立動物園マスタープランでは、今後、都立動物園が目指す姿と取り組みの方向に加えて、四園の立地環境や特色に応じた目指す姿と取り組みの方向も示されているようであります。
 今後、各園の特色を最大限に生かしながら、都立動物園が一体となって新たな動物園を、東京発というか、東京がしっかり新たな動物園づくりというかコンセプトを、今のもありますけれど、これをつくり出していただき、日本の動物園、水族館を--私は日本だけじゃないと思います。世界ですよ、世界。世界の動物園、水族館をリードしていってほしいと要望して、終わります。

○木内委員 都立動物園を世界に誇れる動物園にという同僚委員の質疑の後でありますので、重複しないように、このこともよく念頭に置きながらお尋ねをしていきたいと思うんです。
 かつて、私はニューヨークを訪問いたしましたが、これは当時の三田議長を団長とする都議会の友好都市の派遣でありました。公式行事の日程を縫って、市内にございますブロンクス動物園、ここへ足を運びました。
 ご案内のように、ニューヨークというのは多くの民族出身の人が市民として生活をしていて、皮膚の色も違う、あるいは文化も違う、こういう、世界を代表する都市であったわけですけれども、当時訪問したとき、このブロンクス動物園というのは大勢の人々でいんしんをきわめておりました。
 余談ですけれども、かねて山崎豊子さんという作家の「沈まぬ太陽」という作品がございまして、これを読んでいるときに、実はそのブロンクス動物園のことが出てきたんです。
 何かといいますと、あの動物園の園地の中に類人猿舎の地域がある。モンキーがいたり、ゴリラがいたり、それこそチンパンジーがいるわけですけれども、観客が順番に見ていきますと、あるおりの中に大きな鏡が正面に向けてあるんです。動物がいないんです。観客はそれを見るんです。上に何て書いてあるかというと、「モスト デインジャラス アニマル イン ザ ワールド」と、こういうふうに書いてある。非常な諧謔とユーモアのある一角だということで訪ねましたが、残念ながらその施設は、行ったときには既に閉鎖されておりました。けれども、申し上げたように本当ににぎやかしく、人々は憩いと安らぎとそして夢を抱いて、市内のブロンクス動物園に集まっていたのが印象的でした。
 時に無機質で、あるいは鉄とコンクリートで包囲されるような近代都市にありまして、この動物園の存在というのは、実は都市の持つ財産であり宝物である、こういうふうに思っているわけであります。
 今回、建設局が動物園のマスタープランというのを出された。これは、恐らく都立動物園の長い歴史の中で大変エポックメーキングな、あるいは大きな転換点となる位置づけになるものであるし、きょうのように、それこそマスタープランを中心に集中審議が行われるようなことというのはこれまでも余りなかっただろうし、これからもないのではないか。
 したがって、このマスタープランの基本的なコンセプトというものを縦横に各分野に反映させて、いずれアクションプラン等が出て、具体的な環境整備等の作業が始まるということでございますので、きょうのこの委員会での質疑というのは非常に重要な意味を持っていると、こんなふうに認識をして、お聞きしてまいりたいと思います。
 申し上げたように、都民あるいは全国の人々に夢と希望を与え、世界の同種施設の模範となるような運営が行われているということは、先ほどのこいそ委員の指摘にもあったとおりでございますけれども、同時に、レクリエーションと観光の場として大変に重要な空間を提供しているわけでありまして、希少野生動物の保護繁殖を通じた種の保存と、それを支える調査研究においては、日本の動物園あるいは水族館では、基軸的、中心的役割を果たしているのであると。
 私は、きょうの質疑を聞いていて全く痛感したんですが、あれほどの革新的な環境整備を行って、全国の耳目を集めている旭山動物園。これが実は手本にしているのが、東京の都立動物園だと。指導的な立場、これが東京の都立動物園である、こう思うわけであります。
 先般、橘委員長を先頭に、本委員会で恩賜上野動物園を訪問させていただいて、園長を初め関係者の皆さんから、種の保存の取り組みとこれを支える調査研究の実績について、極めてわかりやすい詳細な説明を受けることができました。
 これまでの都立動物園における希少動物の保護繁殖を通じた種の保存への貢献というものを、あわせて私は高く評価しているものでありますが、一方で、動物病院を初めとするバックヤード施設の老朽化、失礼ないい方だけれども、決して使い勝手のよい、関係者の方々にとってよい環境ではない、そういう中でご苦労をされているという実態も目にしたわけでございまして、このバックヤード施設の老朽化や狭小さを目の当たりにして、施設環境の改善、これの必要性も改めて同僚委員の皆さんとともに痛感、認識をしたところであります。その意味で、非常に意味のある視察だったと思います。
 今回のマスタープランでは、都立動物園として、今後、飼育繁殖技術を世界に発信して、世界の野生動物の保全に貢献する動物園を目指すとしている。
 そこで、都立動物園における種の保存の取り組みを支えるバックヤードについて、集中的にお尋ねをしたいと思うんです。
 都立動物園ではこれまで、トキやコウノトリなど、希少動物の保護繁殖を通じた種の保存において、多くの実績を上げております。しかし、こうした実績を裏側から支えている施設については、残念ながら、都民や来園者には余り知られていない。大変残念なことだし、バックヤードがオープン化されることで、来園者あるいは都民の、動物や施設に対する関心と理解も、一層大きくなるのではないかと思うんです。
 日本の古い言葉に、秘すれば花というのがある。あるいは、見ぬ物清しという言葉もありますが、これを逆説的に考える……。実はこういう大きな都立動物園の存在と機能を支えているバックヤードの役割というものに、もっと私どもは注目する必要があるのではないか、このように思います。
 そこで、希少動物の保護繁殖や調査研究を支える施設の現状について、まず簡単にご報告を願いたいと思います。

○滝澤公園管理担当部長 希少動物の繁殖施設としましては、動物病院や検疫舎、産室があるほか、繁殖を支える調査研究施設としまして、多摩動物公園内に設置しております野生生物保全センターなどがございます。

○木内委員 今ご報告のあった動物病院それから検疫舎など、いずれも一般の方々にはなじみのない施設ですね。まさかこういう施設があるとは、知っている方は少ないんじゃないかと思いますし、実は私も初めて見させていただいて、理解することができたわけであります。
 こうした施設が具体的に、希少動物の保護繁殖において果たしている役割というものも大きいんだと思うんですが、この委員会の審議というものは、都民全体に伝播する力、発信力を持っているわけでありまして、ご報告を願いたいと思います。

○滝澤公園管理担当部長 動物病院では獣医師を中心としまして、動物の日常的な健康管理、病気やけがの治療、予防のための衛生管理などを行っております。検疫舎におきましては、感染症予防のため、繁殖のために新たに他の動物園からやってきた動物を一定期間隔離しまして、獣医師による検査を行っております。
 また、多摩動物公園内にある野生生物保全センターで行われておりますDNA解析は、遺伝子レベルでの多様性を維持しながら、飼育繁殖することに活用し、ホルモン分析は、動物の発情期や妊娠診断に活用しております。

○木内委員 非常に狭小といいますか、狭隘な施設の中で、本当にいろんな作業、ご努力を重ねておられることに、この場をかりて私は敬意を表したいと思います。実際、見てよかったと思う。
 動物病院や検疫舎などの役割については報告いただきましたけれども、何度も申し上げるように、決して使い勝手の最高水準の施設ではありません。そういう中で、ご苦労と工夫と知恵を発揮しながら一生懸命やっておられることに、何か私は、都議会議員の立場で申しわけない思いになりました。
 私なりに、今後改善すべき施設の側面的な課題、あるいは実質的な機能をさらに発展させていくためのテーマというものがあるんだと思うんですが、局としてはどう認識をしておられますか。

○滝澤公園管理担当部長 施設の課題といたしましては、先ほど木内委員ご指摘のとおり、手狭でありましたり、老朽化が進んでいるということがございます。
 例えば上野動物園では、動物病院が二階建てとなっておりますが、エレベーターが設置できないため、一階のレントゲン室と二階の治療室及び検査室の間を移動する際、動物に負担をかけることとなっております。
 また、多摩動物公園では、シマウマなどの大型動物のための検疫舎が狭小で、検疫スペースを確保できないため、やむを得ず動物舎の中で検疫をやらなければならない状況が生じております。
 野生生物保全センターでは、本来は別々の部屋で行うことが望ましい、DNA解析と、ふんや尿を扱うホルモン分析を、同じ部屋で行っております。

○木内委員 本当に不便を来している状況がよくわかるわけでありまして、本来はそれぞれのセパレートされたスペースで行われるべきDNA解析やホルモン分析が、全く同じ部屋で行われている。あるいは、動物の治療台といいますか、このすぐわきに、全く異種、異質の動物がおりの中に入っていたりする。天下のこいそ委員がいっておられたけれども、例えば世界に誇れる上野動物園にするためには、余りにもこれが貧弱で不便過ぎる。
 私は、これは金をかけるべきだと思う、はっきりいって。金をかけなきゃだめですよ。文化とか安らぎとか、人々のソフトパワーに訴える機能や施設というものに金をかけない社会、自治体、国家というものは、いずれ滅びてしまう。
 二十世紀は、まさにハードパワーの時代だといわれた。経済力や軍事力や政治力というものが幅をきかせて歴史をつくってきた。二十一世紀は、人の心が歴史を構築していくんだ、ソフトパワーの時代だ、こういわれているわけであります。
 また言葉をかえれば、そうした心の資産、心の糧というものも、実は行政責任によって幾らでも拡大、充実ができるわけであります。経済の顔は株価にあらわれる、政治の顔は予算の数字にあらわれるといいますけれども、私は、このマスタープランを大きな契機として、ここに予算をつぎ込むべきだと思いますし、ぜひ施設環境の改善等に具体的に取り組むべきだ、こういうふうに思うんですが、力強い答弁を求めます。

○滝澤公園管理担当部長 都といたしまして、都立動物園が長年にわたって培ってきました飼育繁殖技術を最大限発揮して、引き続き世界の野生動物の保全に貢献できるよう、現場の状況を十分に踏まえながら、施設環境の改善を図ってまいります。

○木内委員 私が熱意を込めてお聞きした割には淡々とお答えいただいたけれども、重要な文言がありますので、了としたいと思うんです。現場の状況を十分に踏まえながら施設環境の改善を図ってまいりますということでありますので、ぜひご努力をいただきたいと思うんです。
 都立動物園が長い歴史の中で培われてきた高度な飼育繁殖技術を生かし、日本や世界の野生動物の保全に貢献していくためには、施設の充実はもとより、それを支える技術の継承というものが極めて重要です。
 これは、世代を超えて、技術やさまざまな見識、この経験を継承していくということがなければ、長い将来にわたっての発展も望めないわけでありまして、都立動物園においては、いわゆるベテランから若手職員への技術の継承が円滑に行われていくべきと考えるんですが、現状がどうなっているか、今後への決意も込めて答弁をいただきたいと思います。淡々とした答弁でいいですけれども、中身があるものを。
 それから、技監。きょうはお聞きする予定ではなかったんですが、最後に、私のきょうの質疑を踏まえたご決意なり感想もいただきたいと思いますので、何問か前に通告をしておきたいと思います。それでは、部長答弁を。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園では、飼育繁殖技術を次世代に継承、発展させていくため、新人職員につきましてはベテランの指導のもとで基礎的な技術を習得させた上で、さらに若手からベテランまで職員全員が参加する飼育研究会を、毎月、各園で開催し、経験に裏打ちされた知識や技術を継承しております。

○木内委員 今後もこういう技術の継承を充実、拡大していただくように、強く求めておきます。
 現状の報告だけでありましたけれども、私がお尋ねしたのは今後の方針ということでもあったんですが、十分理解できますので了としたいと思うんです。
 技術の継承が、今報告のあったように円滑に行われているということでありますが、何度も申し上げますけれども、実績や成果について、例えば都立動物園における希少動物の保護繁殖などの取り組みというのは非常に重要だし、都民にもっと周知すべきだ、こういうふうに思うんです。実はそこまでの高い水準の技術の継承が行われて、繁殖技術等が恐らく日本を代表するレベルにあるということを都民の方は余りご存じないんじゃないかと思いますので、その具体的な取り組みをするべきだということを提案するんですが、お答え願います。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園の取り組みにつきましては、これまでも、各園における希少動物の繁殖実績や各種イベントなどのニュースをその都度発表するなどしてまいりました。
 今後は、各園の取り組みに加え、都立動物園四園全体の取り組みを効果的に伝えていくため、ホームページをリニューアルするなど、情報発信をさらに充実させてまいります。

○木内委員 淡々と具体的に熱意あふれる答弁でありましたので、ぜひ積極的に取り組んでいただくよう要望したいと思います。
 それから、都立動物園における情報発信の充実、これが必要なわけでありますけれども、やはり百聞は一見にしかずといわれるわけでありまして、さっきも申し上げたけれども、私も、この委員会視察で現場の実態を目の当たりにしたことで認識を改めました。
 そこで、動物園事業に対する都民や来園者の理解を深めてもらえるよう、来園者がふだん見ることのできないバックヤードも見学コースに入れるなり、あるいはバックヤードツアーということで、これを企画すること、実施することを、検討してみたらどうかと思うんです。
 そのために、さっきいったように施設環境の整備をして、見学コースもきちっとし、外国の賓客が来てもあるいは都民が来ても、上野動物園の近くの、例えば中村委員なんかは地元の同じ区内の区民でいらっしゃるわけであり、いろんな方が来て……。
 とにかく動物園というのは、動物を、ただ、おりの中に見るのではなくて、例えばバックヤードという、種の保存をしたり、さまざまな病気に対する手当てをする施設がこのように行われていて、保持されているんだということを理解してもらう。こういう機会またイベントを実施することは、非常に意味があると思うんです。提案をするんですが、どうでしょうか。

○滝澤公園管理担当部長 動物園のバックヤードなどの見学に当たっては、飼育動物への配慮や、来園者の安全確保のための施設整備が新たに必要となってまいります。そのため、今後、都立動物園における施設の再整備に当たっては、バックヤードなどの見学が可能となるよう検討してまいります。

○木内委員 だんだんだんだん答弁が具体的になってきて、非常に喜ばしいことだと思うし、都民の立場に立って、ご同慶の至りだというふうに思うわけであります。
 次に、都立動物園の運営を裏側で支えるために、園内では、動物園のスタッフの皆さんはもとよりでありますけれども、ボランティアの方々が大勢活躍をしておられる。ボランティアの皆様の休憩室あるいは打ち合わせの施設、プレハブみたいな本当に物悲しい建物でしたけれども、誤解を恐れずに申し上げれば。
 そのとき瞬間的に思ったのは、インドの詩聖タゴールが、タゴールってご存じだと思うんですが--この世はすばらしい、大地のちりさえ美しいといった人の、その人の人生は他者のためにどれだけ尽くしたかによって、亡くなって評価が定まるという、そういう言葉があるんですが、ボランティアの方々は本当に善良な、そしてまさに身を挺して、ご自分の生活があるのに、都民の財産である動物園の機能と実体を保持するために本当に頑張っておられる。
 規模も大変大きくて、例えば都立動物園四園では数百人を超えている。こういう方々の存在、それから日ごろのご努力に対して、私は深く敬意を表するし、都民を代表して心から感謝を申し上げたいと思うんです。
 しかし、だからといって、その善意に甘えてはいけない。その大変なご労苦に対して、動物園の側もやはり施設環境の整備を行って、ボランティア活動のしやすい環境に持っていくべきだ、こういうふうに思うんです。
 まず、前段のボランティア活動の現状についてご報告願います。

○滝澤公園管理担当部長 現在、ボランティアは、都立動物園四園で約七百名の方が登録されております。来園者の視点から、動物の解説や園内の案内などで活躍していただくとともに、都立動物園のよき理解者ともなっていただいております。

○木内委員 今の答弁で、都立動物園が大勢のボランティアの方のご活躍とご努力に支えられて運営されているということがよく理解できるわけです。
 さっきもちょっと触れましたけれども、本委員会で上野動物園を視察した際、こうした方々が実際に活動する控室も見学をし、中に入らせていただいて、ボランティアの方が日常使っておられる道具だとかあるいは衣類であるとか、こういったところまで見させていただきましたが、私が受けた印象は、非常に手狭であると。それから余りにも、何といいますか、エアコンを初めとして--季節の移り変わりの中でご苦労が多く、寒風の中で、仕事、ボランティア活動をしてきて戻って、果たして、こうした活動に対する感謝の思いが施設に反映されているだろうかということを感じたわけであります。
 四園におけるボランティア活動の参加人数というものが、それぞれの規模でどのくらいなのか。また、あわせて、ボランティア活動の方が活動する上で支障となることがあるということを、私が今申し上げたことも踏まえてご報告を願いたいと思うんです。

○滝澤公園管理担当部長 平成二十二年度の各園の、一日当たりの平均ボランティア活動人数を申し上げますと、上野動物園では、動物の解説に十七名、園内の案内に三十四名。多摩動物公園では、解説に三十名、案内に十二名。葛西臨海水族園では、解説に十三名。井の頭自然文化園では、解説に十九名、案内に二十六名となっております。
 土日などボランティアの参加者が多い日につきましては、控室のスペースが大変不足しております。そのため、ボランティア同士だけではなく、動物園職員との打ち合わせにも不便を来しております。これが一番大きな支障となっておることでございます。

○木内委員 例えば、上野動物園で五十一名という話でありました。
 それにしても思い起こしますのは、私、かつて石川県金沢市の兼六園に行きましたとき、例の雪つりの景色があって非常にきれいな庭園でありましたけれども、そこに足を運んだだけで景色を見るだけでは、絵はがきを前にしたような思いしか浮かばないんですが、実はあそこは、金沢市が兼六園のボランティアの解説員を何人か持っておられて、希望すると、その人とフェース・ツー・フェースで、まさに皮膚感覚で話ができて、対話ができて、これが例えば金沢の兼六園を訪ねたときの物すごい思い出の糧になっているという事実があります。
 上野動物園でも、無機質なテープあるいは説明の放送等があります。それはそれで私は大きな意味があると思いますけれども、この生身のボランティアの解説員の方が時に応じて、家族やあるいは団体に人の肉声でもって説明をして、自分の感懐、感想を添えながらそういう作業を行うということは、実は来園者に大きな思い出となるわけであります。
 それにしては、こうした存在価値のあるボランティアの方々が、打ち合わせだけでなく、園の職員との打ち合わせにも環境が悪くて不便を来しているということでありますから、このマスタープランの検討と具体的作業のスタートに当たって、いわゆるボランティアの方々のための施設の充実をしっかり進めていただくよう強く求めておきます。答弁は結構です。
 都が、今後このマスタープランを実現していく上では、多くの人たちの理解と協力を得ることが不可欠と考えます。都として、こうしたボランティア活動への目配り、気配りというものが重要だと思いますし、この点も充実をされるよう強く望むわけでありますけれども、答弁を願います。

○滝澤公園管理担当部長 都立動物園の施設の再整備に当たりまして、飼育繁殖施設だけではなく、ボランティアが活動しやすい環境を整備することにより、都民との協働事業を一層充実させてまいります。

○木内委員 部長は本当に淡々として物静かですけれども、答弁の中身は非常に充実しているので、私も納得しているわけであります。
 都立動物園が希少動物の保護繁殖などですばらしい実績を上げることができているのは、実はこうした多くの裏方の人たちによって支えられているからにほかなりません。こうした人たちが活躍できてこそ、すばらしい動物園とすることができると考えております。
 今後、都は都立動物園のマスタープランの実現に向けて、さまざまな取り組みを展開していくことになるわけでありますけれども、こうした施設の裏側にまで光を当てるような取り組みを行っていただきたいと思うのであります。
 きょうは予定をしておりませんでしたけれども、都技監建設局長がおられますので、私のきょうの質疑を踏まえての今後へのマスタープラン、さらにその先の作業についてのご決意、感想をお述べいただきたいと思います。

○村尾東京都技監 私、建設局に長くおりますが、動物園は、局長になって初めて携わりました。そういう意味で、先ほど来、山下委員、こいそ委員、木内委員からいろいろなご意見をいただきましたが、実は、私も初めて動物園、水族園に携わってみると、実にもったいないなと。むしろ、もっともっとPRしていくべきだというふうに、携わってみるとそういうふうに思います。
 いろいろなお褒めの言葉をいただきましたが、私どもとしましても、世界の野生動物の保護だけじゃなくて、レクリエーションだとか教育だとか、本会議でも答弁させていただきましたけれど、多様な機能を有しているというふうに認識しております。
 そういう意味で、動物園、水族園の話をすると、会派を超えて、皆さんにこにこしながら委員会が進むという面でも、いかに、動物園、水族園が持っている力というのが大きいかというふうに思っております。
 そういう意味で、今般、都立動物園のマスタープランを久しぶりにつくらせていただきました。これを具体化するに当たっては、先ほど来お話がありましたが、財源の確保であるとか、特に本委員会の先生方の強力なご支援をいただき、都議会皆様のご協力をいただきながら、私どもとしましても全力を挙げて、これまでの延長線にとどまらない新たな動物園、水族園をつくっていきたいと思っておりますので、そうした覚悟を持って事に当たりたいと思います。

○木内委員 もう質問はありませんが、今の技監の決意あふれる答弁を聞いて、私も意を強くいたしましたし、私は、今後、都立動物園の発展に向けて全力で取り組ませていただきたい、こう思います。勇将のもとに弱卒なしでありますので、ぜひ、局の皆さん、力を合わせて頑張っていただきたいと思います。
 きょうは、野口次長にはご答弁いただいていませんけれども、何かありますか。
 以上で私の質問を終わります。

○野上委員 私からも、都立動物園マスタープラン策定に当たって、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど来、山下委員、こいそ委員、そして木内委員からさまざまな質問がなされまして、技監のお答えも拝聴させていただいて、非常に期待を持てる答弁を伺い、重複はしないように、私からも人材育成など、これからの動物園を運営するに当たって、飼育員あるいはボランティアの方や、あるいはその他、動物園に関連する研究機関、調査機関も含めて、どういった担い手と共同していって、東京都の動物園を他府県の動物園よりもすぐれたものにするか。そしてひいては、世界、人類の繁栄にも貢献するような機関というか、園となるような、そういった観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 先ほども木内委員からお話がありましたけれども、当初、ヨーロッパでは、十八世紀、十九世紀は、恐らく博物館のような機能があったと思います。動物園は展示をすること、そして現在に至っては、娯楽施設、レクリエーション施設という機能が前面に出た、動物園の運営になっているように私からは思えます。
 しかしながら、一方で本来の動物園の機能を改めて見直してみると、飼育動物の展示を通して知的な娯楽を提供するレクリエーションの場でもあるとともに、動物野生復帰などの自然保護に貢献する場。そして三点目は、動物の知識に関する教育の場。そしてその三つの点から、その役割を円滑に進めるための研究の場とするのが、動物園の関係者の間、あるいは業界的には、定説となっているようです。
 そこで、今回策定に当たって、幾つか東京都が上野動物園の利用者の満足度アンケートを二十年に行っていますので、それをちょっと見てみますと、来園目的として、動物を見に、というのは四九%でした。子どもと遊びに来た、三六%。二つの回答数が八五%を占めています。
 この結果から、私たち都民というか来園者にとっての動物園の存在意義というのは、子どもと一緒に、珍しい、あるいは興味深い動物を見ることにあるというふうに考えられます。
 動物園のよい点としては、子どもと一緒に過ごすのに適している、これが二六%。楽しみながら学べる、二〇%。動物の生態や行動が観察できる、一九%。これらが回答の上位三位と、六五%を占めています。
 動物園が単なる娯楽施設から、学習や観察のための施設として、これからは少しずつ、機能、役割を担っていかなくてはいけないのであるなというふうな認識も、動物園利用者に根づきつつあるのではないかというふうに考えております。
 動物園の担い手には幾つかありますけれども、特に首都東京には、多くの獣医学系や水産系の大学が集中しております。これらの学生は何らかの形で、獣医師やあるいは動物を扱う職業につくものと思われますが、そういった学生を都立動物園が研修生として受け入れることで、将来の動物園を担う人材育成を行うことができると考えます。
 そこで、現在の受け入れ実績について伺います。
   〔委員長退席、山田副委員長着席〕

○滝澤公園管理担当部長 大学の実習生につきましては、平成二十二年度は恩賜上野動物園で五十名、多摩動物公園で四十六名、葛西臨海水族園で二十一名、井の頭自然文化園で十名、四園合計で百二十七名を受け入れております。
 各園で約二週間にわたって職員とともに実際の野生動物と接しながら、飼育や獣医の専門的な実習を行うことで、将来の動物園の担い手を育成しております。
   〔山田副委員長退席、委員長着席〕

○野上委員 済みません。実習生の受け入れ大学の内訳等はいかがでしょうか。

○滝澤公園管理担当部長 実習生の受け入れ大学を上から五校ばかり申し上げますが、北里大学それから日本獣医生命科学大学、日本大学、麻布大学、東京農業大学でございます。

○野上委員 なぜ伺ったかというと、先ほど木内委員からもお話がありましたけれども、私ども委員会で上野動物園に視察に行きました。そして、長崎のペンギンの水族園にも伺わせていただきました。
 そのときに、やはり職員の方がなかなかお忙しかったと思います。長崎のペンギン水族園でも、園長先生も兼任して、飼育係は五名以下でやっていました。あれだけ専門性が高いペンギンの飼育をしているにもかかわらず、その担い手が育っていないのではないか。あるいは、労働者的ないい方ですが、熟練した飼育の方が一たん離れてしまうと、また一からその技術を磨き上げるのが非常に時間がかかる。そういった中で、将来の担い手が何らかの形で、水族園なり動物園なりにかかわっていくということは、非常に私は重要だと思っています。
 今、部長からも人数を教えていただきましたけれども、上位の北里大学でも、獣医学科は百二十名の定員、そして関連して、動物資源科学科は百二十名の定員です。少なくとも北里大学でも、潜在的には二百四十名の学生の実習あるいは臨床の受け入れ先というものを求めているという、マーケットといったら変ですけれども、実習先の市場を探しているという大学側の要望もあるようです。
 また、獣医学術振興・普及のための社団法人日本獣医師会というものがありますが、この医師会の統計によると、毎年、獣医師国家試験に合格する獣医学生の数は約千名いるというふうに書かれています。学生定員では、全国、全校で九百三十人、うち国立大学十校の定員は三百三十人となっておりますので、本来、動物園側から、あるいは何らかの都立動物園のネットワークからすれば、この十七名、北里大学は十七名ですけれども、学生の受け入れ数が非常に少ないなというような印象を受けております。
 大学側も、臨床先というものは求めています。というのは、ワシントン条約では希少動物の輸出入は学術研究目的以外では禁止されている、反対にいえば、動物園はそれを許されている場所なんです。ですから、積極的に将来の担い手をつくるという、これ、本来の目的にしていいのかどうかわかりませんけれども、これだけの学生の方がいらっしゃって、何らかの形で動物に関係する仕事を目指している方がいらっしゃるということですから、ぜひ、動物園と産学官協働で、何らかの研究もしていかなくてはならないのではないかというふうに私は考えております。
 次に、大学生の受け入れの実績については、今、部長からご答弁があったとおりでございますが、それとは別に、都立の動物園が国内のほかの動物園、水族園の職員を受け入れることで、日本全体の動物園、水族園の人材育成にも貢献できるというふうに考えております。
 そこで、まず現在の都立動物園における、ほかの動物園の職員の受け入れ実績についても伺います。

○滝澤公園管理担当部長 国内の他の動物園、水族館などからの職員の研修受け入れ実績につきましては、平成二十二年度は、多摩動物公園で四件、井の頭自然文化園で三件、葛西臨海水族園で一件、恩賜上野動物園では実績がありませんでしたが、合計八件の受け入れを行い、希少野生動物の飼育繁殖や動物医療に関する研修を実施しております。

○野上委員 ぜひ今後も、職員の交流を、特に私ども長崎のペンギンの水族園にも行きましたけれども、特化して専門的にやっていらっしゃる方々の技術も、もちろん上野動物園あるいは東京都内の動物園全体に活用させていただきたいですし、反対に、これまで上野動物園がさまざまな取り組みをやってきたことが、全国の動物園に対して貢献できるようなことを進めていただきたいと思います。
 特に、動物園で働く方々だけで動物園動物を使った研究を行うということは、非常に難しいというふうに聞いています。それは、日常のルーチンの仕事もありますし、能力についても、本当に、研修やあるいは研究するような訓練の場があるのか。あるいは、先ほども木内委員がおっしゃっておりましたけれども、施設の問題があるのではないかとか、あるいは時間の制約からなかなか難しいのではないかと、そういったお声も聞いております。
 しかしながら一方で、かといって、せっかくこういった、特に東京の動物園には、希少な動物、そしてこれまで積み重ねてこられたノウハウあるいは蓄積がありますので、そういったいわゆる研究材料というものをそのままにしておくのはやはりもったいないと思います。
 そこで、やはり都立動物園が有する高度な飼育繁殖技術を、日本の動物園、水族園に共有できるような取り組みが必要と考えますが、ご所見を伺います。

○滝澤公園管理担当部長 現在、都立動物園を初め、国内の百五十三の動物園、水族館が加盟しております社団法人日本動物園水族館協会では、飼育繁殖技術の向上と情報の共有を図るため、動物園技術者研究会などを全国各地で開催しております。
 都立動物園は、これらの研究会で、飼育繁殖技術に関するノウハウや知見を惜しみなく提供してまいりました。
 今後も、日本動物園水族館協会などの関係機関と連携しながら、東京から全国に向けて飼育繁殖技術を発信し、日本の動物園、水族館全体の技術力の向上に貢献してまいります。

○野上委員 部長がおっしゃった動物園協会の冊子を、私も拝見させていただきました。非常に見やすくて、これを学校教材あるいは書店に並べても、本当に引けをとらないようなすばらしい研究の内容と見やすい紙面になっていると思います。(発言する者あり)なっております。
 先ほどから私がこのように質問しているのは、一方で、東京都内の都立動物園自体にきちんとした蓄積をして、飼育員の方やあるいは携わっている方たちが蓄積したものを学術的に発表し、後世に残していくということは、なかなか難しいことではあるとは思いますけれども、それをぜひやっていただきたいと思います。
 なぜここまで申し上げるかというと、旭山動物園をこれまで運営されてきた小菅園長さんが、これからの動物園のあり方というものを書いているんです。
 もちろん、娯楽施設として、娯楽というか、レクリエーション施設として来客数も世界に誇り、中国でも、そしてCNNでも報道され、一都市の動物園がこれまで報道された実績は、なかなかないと思います。
 しかしながら、一つのブームではなく、これから旭山動物園が生き残るためには今後は何に取り組んでいくかということが書かれたものがあるんですけれども、それは、これを一過性のブームに終わらせてしまえば、近い将来、客足が遠のくおそれがある、教育機関としての取り組みが充実してくれば、ブームではなく、旭山動物園が今後百年にわたって存在意義を発揮し続けられる施設になるはずだということなんです。
 これはまさに、例えば、医大生や大学院生が旭山動物園に来て研究できるレベルの環境を整えるとか、あるいは繁殖でもいい、あるいはタヌキの冬眠実験でもいい。さまざまなテーマを決めて、動物園と学生で共同の実験をさせたい。その拠点として多くの研究をして、こういった活動を通して社会に還元する。その、社会に還元したことを、市民の皆さんに提示をしていく。これこそが、レクリエーション施設にとどまらない、そして百年以降も続けられる動物園経営のあり方だというふうに述べておられます。
 これをすべて、都立動物園がこのとおりにしろとは私も申し上げませんけれども、ここに一つの、やはりキーがあると思います。
 今までの、来園者数やあるいは希少動物をいかに集め、収集して展示するかという時代から、今度は新たな動物園の経営のあり方というものが、一つはヒントになるのではないかなというふうに考えております。
 ぜひ、施設やあるいは動物園自体の改修も一方でやりつつ、人材の育成、特に飼育員の方、ボランティアの方、あるいは冒頭に申し上げました、それにかかわる関係各所、機関の方と共同して、力をかりて、都立動物園を今後も盛り上げていっていただきたいと思います。
 私からはそれを要望いたしまして、質問を終わります。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十分散会

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