環境・建設委員会速記録第八号

平成二十三年六月二十九日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長橘  正剛君
副委員長山田 忠昭君
副委員長野上ゆきえ君
理事島田 幸成君
理事石森たかゆき君
理事伊藤まさき君
野田かずさ君
山下ようこ君
興津 秀憲君
かち佳代子君
こいそ 明君
木内 良明君
高橋かずみ君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長森  浩志君
環境政策部長紺野 秀之君
建設局局長村尾 公一君
次長影山 竹夫君
道路監山口  明君
総務部長野口 宏幸君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
付託議案の審査(決定)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 環境・建設委員会所管分
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
・議員提出議案第四号 東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○橘委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 過日の委員会で、理事会にご一任をいただきました意見書一件、決議一件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○橘委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、環境・建設委員会所管分、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について、及び議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。

○島田委員 私からは、今回提出されております議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例について意見を申し上げます。
 私たちは、東日本大震災の経験を踏まえ、今後の東京の都市づくりにおいては、平常時は省エネ、CO2削減を図りながら、非常時には独立型のエネルギー源を確保することが必要不可欠であると考えております。そのため、本条例案を提出いたしました。
 環境分野では、既に環境基本条例や環境確保条例が制定されておりますが、環境基本条例は、環境の保全を目的とした環境政策全般に関する基本条例であります。また、環境確保条例は、環境への負荷軽減、公害の防止を目的に、公害防止条例を全面改正した環境政策全般に関する条例となっております。本条例案は、省エネルギーとエネルギーの安定的な確保を目的とした初めての分野別条例となっており、そもそもの目的が違います。そのため、新設条例として提案したものであります。
 なお、本条例案は、東京都に対して、省エネルギーの推進とエネルギーの安定的な供給の確保に関する短期的な行動計画と長期的な総合計画の策定を義務づけており、この短期的な行動計画が、五月二十七日に都が公表した東京都電力対策緊急プログラムに該当いたします。つまり、本条例案は緊急プログラムの裏づけとなる性格があり、都民全体を巻き込んだ施策の実現に欠くことのできないものと考えております。
 ちなみに、東京都環境基本計画には環境基本条例があり、東京都景観計画には景観条例などがあるなど、私たちの調査で明らかになったものだけでも、九つの計画に、都の責務を規定した九つの条例が用意されております。
 こうした観点からも、行動計画には都の責務を規定した条例が必要であると認識しております。また、これによって行動計画の実効性も担保されるものと考えております。
 ショー・ザ・フラッグという言葉がありますが、この条例を高々と掲げ、首都東京がリーダーシップを発揮し、官民一丸となって、省エネ、エネルギーの供給確保に取り組もうではありませんか。
 以上のことから、本条例案は制定するべきと考えております。
 以上でございます。

○野田委員 議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例案に関連して、都議会自由民主党は反対の立場を表明し、意見を申し上げます。
 この夏の電力危機を乗り越えるためには、我が党が五月二十五日に提出した緊急要望でも示したとおり、都民や事業者による自発的、具体的な行動を促し、実際に節電行動につながる政策をつくること、そして、本格的な夏が到来する梅雨明け早々には企業や都民が速やかに行動できるよう万全の準備をしていくことが重要と考えます。今回、都が策定した電力対策緊急プログラムは、我が党の要望を受け、直ちに行動に移すことが可能な実践的なメニューを多数盛り込んでおり、大いに評価いたします。
 一方、提案された条例案の規定は、基本理念や、都や都民の責務、指導助言などは一般論であり、この電力危機を克服するためのツールとしては十分ではないと考えます。また、個々の規定を見ると、基本理念、都の役割、技術的支援など、どの条文を見ても、すべて環境基本条例や環境確保条例で規定済みの内容が並んでおり、あえて屋上屋を架す必要はないのではないかと思います。
 今夏の電力危機を乗り越えるだけでなく、中長期的な視点を持って低炭素・高度防災都市づくりを進めていくためにも、条例をつくるのではなく具体的な政策提言によって、省エネ、節電を達成するべきと考えます。
 本条例案に対して反対である旨を申し上げて、意見表明を終了いたします。

○木内委員 議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例について、反対の立場から意見を申し上げます。
 民主党政権のもとで示された国の電力危機への対応方針は、節電の目標数値は定めているものの、数値目標達成のための裏づけとなる政策はほとんど示していません。
 また国は、最近、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論の中で、再生可能エネルギーの大胆な導入と原子力の発電比率の大幅な下方修正を打ち出していますけれども、固定価格買い取り制度導入法案の成立のめどはいまだ立っていないことに加えて、基幹的な代替電源を何で補うのかという大切な議論が欠落しているなど、裏づけとなる政策が何ら担保されていないのが現状であります。
 レベルは大分落ちるものの、今回の条例案も、こうした国政の動きにどこか似てはいないだろうかと思われます。基本理念や抽象的な目標をまずは打ち上げる。しかし、それを実現するための政策がついてこない、つくれない。これでは、売名目的のパフォーマンスといわれても仕方がないといわざるを得ません。したがって、今回提案されているこの形だけの理念条例では、議論の俎上にも乗らないといわざるを得ません。
 民主党のアクションプランにあるメニューは、省エネ、節電だけではなく、省エネ型都市づくりに向けたアイデアが盛り込まれています。しかし、本当に政策を実行したいのなら、アクションプランの中でアイデアを紹介するだけではなく、条例案の中にこれを書き込むなり、補正予算の組み替えを提案するなり、具体的な行動に移すべきではないかと思うのであります。実効性を担保する政策面、予算面での裏づけがなければ、何も前には進みません。
 仮に、この条例が本定例会で七月一日に可決成立したとしても、それから規則等に手をつけるのでは間に合わないことは明らかであり、この夏の電力危機への対応として役に立つ根拠規定にならないのは火を見るより明らかであります。
 以上、条例案は形だけの理念条例で、内容に何の意味もないこと、この夏の対策としても何の役にも立たない条例であることを申し上げまして、都議会公明党が五月二十五日の緊急要望で示したとおり、まずは今夏の電力危機を乗り越え、加えて、中長期的な視点を持って、大量に電力を消費することに頼ってきた都市の根源的なあり方を検討し、実行に移すこと、これこそが今後、都に求められる視点であると考えます。
 本条例案には反対である旨を強く申し上げて、意見表明を終わります。

○かち委員 私からも、議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例について意見を述べます。
 省エネルギーの推進とエネルギーの安定的供給の確保ということ自体は重要です。しかし、民主党が提出した条例案は多分に理念的要素が強く実効性に乏しいものですが、基本的に賛成の立場から、本条例案の不十分な点について、以下意見を述べます。
 第一に、福島原発事故から起きた、現在、エネルギーの安定的な供給を考える場合、原子力エネルギー依存からの脱却、自然エネルギー都市への転換の問題を抜きにすることはできません。本質的に未完成で危険な技術である原子力発電を、世界でも有数の地震、津波国である日本に集中立地している危険を取り除くことは極めて重要です。ひとたび原子力発電所で事故が起きれば、その危害は広大かつ長期にわたり及ぼされ、地域社会の存在すら危うくします。
 また、事故に至らなくとも、柏崎刈羽を初めとする原子力発電所のふぐあいによる停止は、火力発電所の稼働を増加させ、地球温暖化ガスの排出量を大幅に増加させる要因になっています。このため、エネルギーの安定的供給確保を目的とする条例では、原発からの撤退と自然エネルギーの大規模な導入を宣言し、都と都民、事業者が連携してそれを推進することの、実効性あるものにすべきです。
 第二に、第三条の基本理念で、災害時においてもエネルギーの安定的な供給を確保する体制の構築として、エネルギーの安定的確保について、災害対策の問題に限定してしまっていることです。そのため、具体的対策等については、災害に備えた自家発電機能の検証、整備を行うほか、必要な施策を実施すること、としている程度にすぎず、極めて不十分です。
 第三に、都民等の責務として、都民と事業者を一くくりにしてしまっていることです。都民と事業者、その事業者の中でも大規模事業者と中小事業者では、おのずと差異ある責任が生じます。このため多くの条例ではこの区別を踏まえ、それぞれの性格に応じた責務を明確にしています。
 この責務の差異は、施策を実施していくときに重要になります。例えば、地球温暖化対策では、都は大規模排出事業者に対しては義務を課し、命令違反には罰則を科すという厳しい措置をとる一方、中小事業者や都民に対しては、財政支援など応援するやり方をとっています。省エネルギーの推進とエネルギーの安定的な供給に当たっても、責務の差異を明確にし、それぞれふさわしい施策を設けてこそ実効性が確保できるものです。
 第四に、地域冷暖房システムとコージェネレーションのみを取り出して、都に、検証や情報提供、排熱の有効利用の促進を求めていることです。エネルギーの効率的利用については、何もこの二つの技術を奨励するのみならず、スマートグリッドの普及や蓄電池の活用など、さまざまな技術の総合的かつ全面的な活用が求められます。
 今後、研究、開発の発展により新しい技術が開発されることも十分予想されます。こうしたときに二つの技術に特別な光を当てるのは、都の施策を現在と未来において縛ることになり、条例としてふさわしいやり方とはいえません。
 以上のように、本条例案は、内容的にも実効性においても不十分です。しかし、省エネルギーの推進、エネルギーの安定的供給の確保ということ自体は重要であり、都民や事業者にとってマイナスになるような内容でもないため、日本共産党都議団としては基本的に賛成するものです。
 以上で終わります。

○橘委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○橘委員長 起立多数と認めます。よって、議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例は、原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、環境・建設委員会所管分を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認めます。よって、第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、環境・建設委員会所管分は、原案のとおり決定いたしました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを採決いたします。
 お諮りいたします。
 本件は、報告のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認めます。よって、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認については、報告のとおり承認することに決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○橘委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○橘委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。

○橘委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、大野環境局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○大野環境局長 発言のお許しをいただきまして、両局を代表し御礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 橘委員長を初め各委員の皆様方には一方ならぬご指導を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 また、今定例会においてちょうだいいたしました多くの貴重なご意見、ご提言につきましては、今後の施策に十分反映させてまいります。
 今後とも、一層のご指導、ご教示を賜りますようお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○橘委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十七分散会

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