委員長 | 橘 正剛君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
副委員長 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 島田 幸成君 |
理事 | 石森たかゆき君 |
理事 | 伊藤まさき君 |
野田かずさ君 | |
山下ようこ君 | |
興津 秀憲君 | |
かち佳代子君 | |
こいそ 明君 | |
木内 良明君 | |
高橋かずみ君 | |
中村 明彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 大野 輝之君 |
次長 | 森 浩志君 | |
環境政策部長 | 紺野 秀之君 | |
担当部長 | 久原 京子君 | |
都市地球環境部長 | 和賀井克夫君 | |
環境都市づくり担当部長 | 山本 明君 | |
環境改善部長 | 山越 伸子君 | |
環境改善技術担当部長 | 中村 豊君 | |
自動車公害対策部長 | 高橋 英次君 | |
自然環境部長 | 長谷川 均君 | |
緑施策推進担当部長 | 鈴木 秀章君 | |
緑化募金担当部長 | 福田 良行君 | |
廃棄物対策部長 | 木村 尊彦君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 谷川 哲男君 | |
建設局 | 局長 | 村尾 公一君 |
次長 | 影山 竹夫君 | |
道路監 | 山口 明君 | |
総務部長 | 野口 宏幸君 | |
用地部長 | 四方 敏彦君 | |
道路管理部長 | 東 了一君 | |
道路建設部長 | 吉原 一彦君 | |
三環状道路整備推進部長 | 戸谷 有一君 | |
公園緑地部長 | 上杉 俊和君 | |
河川部長 | 横溝 良一君 | |
企画担当部長 | 西倉 鉄也君 | |
総合調整担当部長 | 今村 保雄君 | |
道路保全担当部長 | 鈴木 昭利君 | |
道路計画担当部長 | 萩原 松博君 | |
公園管理担当部長 | 滝澤 達君 | |
緑化推進担当部長 | 町田 誠君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
建設局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 建設局所管分
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 環境局所管分
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
報告事項(質疑)
・東京都電力対策緊急プログラムについて
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第四号 東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例
○橘委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○橘委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより建設局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、建設局所管分を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○野口総務部長 去る六月十五日の当委員会におきまして、付託議案に関し要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
表紙をおめくりいただきますと、目次に二件の資料の件名が記載してございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。東日本大震災における都立公園の被災状況と復旧経過でございます。この資料は、主な公園及び庭園の被災状況と復旧経過につきまして、その内容をあらわしたものでございます。
二ページをお開きください。水門(建設局管理)における水位の状況でございます。この資料は、平成二十三年三月十一日の、建設局が管理する水門の水位の状況をあらわしたものでございます。
以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○橘委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤委員 今回の東日本大震災では、強く長い揺れのため、首都圏の広範囲で液状化現象が見られました。
過日の新聞記事によりますと、東京電機大学の安田進教授が東京・お台場から千葉県浦安市、千葉市にかけての東京湾沿岸を調査したところ、同エリアだけで、東京ドーム約九百個分に相当する四十二平方キロと推測をされました。過去最悪の液状化被害とされた、ことし二月のニュージーランド地震の被害面積は約三十四平方キロでありましたけれども、それを上回る世界最大規模の被害が出たということもいわれております。
浦安では、上下水道が分断され、多くの家屋も傾くなどの被害が出ております。都内でも葛飾区や江戸川区、江東区など、東部地区を中心に液状化現象の被害が見られました。
液状化現象は、我が国では一九六四年の新潟地震で初めて大きな被害があり、その後一九九五年の阪神・淡路大震災、さらには二〇〇四年の新潟県中越地震でも被害が出ておりますので、今回の被害を目の当たりにした都民が不安を感じております。
したがいまして、液状化予測図を見直し、都民への情報提供をすることは非常に重要と考えます。今回の震災を受けて、東京緊急対策二〇一一では、この予測図の見直しを検討することで六千万円の補正予算を計上しておりますけれども、具体的にどのようなことを行うのでしょうか、お伺いいたします。
○西倉企画担当部長 現在の液状化予測図は、関東大震災規模の地震を想定いたしまして、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示したものでございます。
予測に当たりましては、地質調査データに基づきまして、地表面から深さ六メートルまでの浅い部分と、地表面から深さ二十メートルまでの地層全体のそれぞれにつきまして地盤工学的な判定を行い、さらに液状化の履歴や田んぼなどの土地利用の変遷を加味いたしまして、液状化が発生しやすい地域、発生が少ない地域、ほとんど発生しない地域の三つに分類したものでございます。
今回の震災で液状化した地域は、地表面から深さ六メートルまでの浅い部分で発生しやすいが、深さ二十メートルまでの地層全体では液状化しにくい、いわゆる発生が少ない地域でございまして、おおむね浅い層で発生したものと認識してございます。見直しに当たりましては、東京都土木技術支援・人材育成センターを中心に、地盤の専門家などの意見も聞きながら検討を行ってまいります。
補正予算案として計上しています六千万円でございますけれども、現在所有しております地質調査データを補完するために、新たに実施するボーリングなどの地質調査の費用として約三千万円、この調査結果やこれまでに収集した地質調査データなどに基づき、液状化の可能性を検討、分析するための費用として約三千万円を予定してございます。
○伊藤委員 たしか現行の予測図は、昭和六十二年、一万二千カ所のデータに基づいてつくっていただいたものというふうに聞いております。
今回、地質調査を行うということでありますけれども、これまでのデータを補完し、予測の精度を高めるために、民間のデータも活用するべきと考えます。これは建築基準法で、たしか河川から八十メートルのところに家を建てるときには必ずボーリング調査をやらなければいけないというふうに義務づけられていますけれども、こういうふうに民間に膨大にデータが蓄積されていると思いますので、活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○西倉企画担当部長 平成十八年度より、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページにおきまして、広く一般の方にも地質調査報告書の情報提供をお願いしてございます。
液状化予測に活用できる地質調査データにつきましては、所有者の同意が得られれば提供を受けるなどによりまして、民間のデータも活用してまいります。
○伊藤委員 既にホームページで呼びかけをしていただいているということでありますが、なかなかデータが出づらいということもあるようです。ぜひとも積極的に働きかけて、多くのデータを集めて、より精度の高い予測図を作成していただければというふうに思います。
次は、河川についてお伺いをいたします。
今回の大震災では、東北地方を中心に広い範囲で、堤防や水門など河川施設が被災しております。関東地方整備局管内でも、九百二十カ所の河川施設で被害が発生したと聞いております。これは三月十一日の本震で七百十八カ所、その後、六度にわたる大きな余震がありまして、そのたびに被害が広がっております。
さらに、東北大学の教授だったと思いますけれども、今後数カ月間でマグニチュード八以上の余震が起こるのではないかと、こういうご指摘をされている専門家もおります。ですので、依然として警戒をしなければならない状態にあると考えております。
東京では東部低地帯が広がっておりまして、そこに人口が集中しております。一度震災が発生すれば、大きな被害も起こりかねません。この震災を教訓に、堤防や水門など構造物に対する検証が必要だと考えます。
巨大地震の発生などに備えた技術的検証を行うということでありますけれども、その内容とスケジュールについてお伺いをいたします。
○横溝河川部長 都はこれまで、防潮堤や水門などの耐震対策などを実施し、東部低地帯の安全性を高めてまいりました。しかし、予想を超える大地震が発生したことを踏まえまして、関係局が連携し、検討を開始するということにしたところでございます。
既に六月八日に、専門家から成る技術検証委員会を立ち上げておりまして、堤防や排水機場の耐震性、電気・機械設備の耐水性、陸閘--これは道路のところに設ける、堤防機能を持った扉みたいなものでございますが、こういうものの取り扱いなどにつきまして、必要となる検討を行うこととしております。
○伊藤委員 東部低地帯で生活をしている都民は、約三百万人であります。これらの人々は水門や防波堤などで守られていることから、河川構造物の耐震対策は大変重要であります。
そこで、河川構造物の耐震対策の取り組みの状況についてお伺いをいたします。また耐震対策の前倒しが必要と考えますが、いかがでしょうか。
○横溝河川部長 東部低地帯を守る、隅田川など三河川の外郭堤防につきましては、平成二十年度までに総延長五十五キロメーターの耐震対策がすべて完了しております。
また、中川や綾瀬川など外郭堤防以外の河川につきましては、十七年度から着手し、現在までに四・六キロメーターが完成してございます。さらに、水門などにつきましては二十五年度までに、残る二カ所の完成を予定しております。
お話の耐震対策の前倒しについてでございますけれども、技術検証委員会での新たな施策の実施などを総合的に勘案しながら、対応を考えてまいります。
○伊藤委員 ぜひとも、震災でさまざまな影響が出ているというふうに思いますけれども、万全の対策をしていただきたいというふうに思います。
続いて、都立公園についてお伺いをいたします。
今回の震災では、都内の交通機関にも大きな影響を与え、JRを初め鉄道の運行停止に伴い、駅周辺に多くの帰宅困難者が滞留することになりましたが、都立公園に受け入れた帰宅困難者はどれぐらいいたんでしょうか。また、その対応はどうしたんでしょうか、お伺いをいたします。
○上杉公園緑地部長 都は発災の当日、東京都公園協会など指定管理者と連携して、各公園にて、夕刻、滞留しております帰宅困難者に対しまして管理所や公園内施設を開放し、休憩場所として提供いたしました。
この際、帰宅困難者に開放した施設は、日比谷公園や上野恩賜公園など六公園の九施設で、その利用者は、各施設の最大時で合計五百五人でございました。
各施設では職員の判断で、飲料水や軽食の提供、テレビやラジオによる情報提供を行ったほか、テーブルクロスを毛布がわりに活用するなど、できる限りの対応に努めました。
○伊藤委員 あの日は本当に、三月にしては大変寒い日だったと思います。そういうふうに管理者が柔軟に対応していただいたこと、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。
施設管理者はそれぞれの工夫により、できる限りの対応をしていただいたというわけでありますけれども、物資であるとか、また多くの方に対応するための人員であるとか、先ほどラジオで情報をお伝えいただいたということでありますが、そういった体制であるとかといったものについては多くの課題があったというふうに思います。
都立公園として、今後の帰宅困難者対策はどのようになっているんでしょうか、お伺いいたします。
○上杉公園緑地部長 都立公園の今後の帰宅困難者対策でございますが、東京緊急対策二〇一一における「帰宅困難者支援の新たな展開」の結果、また今回の震災の教訓や体験を踏まえまして、関係部署と協議しながら、発災時における都立公園の役割を整理し、その対応を検討してまいります。
○伊藤委員 都庁内で役割分担をしていただくということでありましたけれども、全体の防災計画ということを考えれば、都だけではなくて国や区市と協議をしていかなければいけないというふうに思います。
その連携の中で、都立公園としての役割と機能がどうあるべきか、今後、協議されると思います。ぜひとも、都立公園、とりわけ防災公園の役割を十分果たせる体制を構築していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
○石森委員 それでは私の方から、何点か質問をさせていただきたいと思います。
未曾有の被害をもたらした大震災から三カ月半が経過したわけでありますけれども、私ども自民党では、震災直後におきまして、復旧・復興対策推進本部を立ち上げました。その一環といたしまして、過日、三班に分かれて現地視察を行ったところでございます。
私も、岩手県の陸前高田市そして大船渡市、この二市を視察いたしましたけれども、瓦れきの山でございまして、この世の光景とは思えない、そんな状況でございました。そういう意味では、一刻も早く復旧、復興に向けて、我々としてできることを進めていかなければいけない、そのように感じたところでございます。
この大地震の発生によりまして、首都直下地震や、プレートが連動する巨大地震の危険性が懸念されており、東京においても、今定例会での大きなテーマの一つであります高度防災都市づくりを一層推進していく必要があろうかと思います。特に、震災による延焼などから都民の生命、財産を守るとともに、首都の中枢機能を守るためには、震災時に交通や物流を確保する意味においても、道路整備などを早急に推進していくことが重要であろうと思います。
そこでまず、首都東京の防災性向上のための道路整備の進め方についてお伺いをいたします。
○吉原道路建設部長 震災時の救援、支援活動や、復興支援を支える、交通、物流ネットワークを強化するため、首都圏三環状道路を初めとする広域幹線道路や骨格幹線道路の整備、連続立体交差事業などを推進しております。また、延焼遮断帯の形成など防災性の向上を図るため、第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけた都市計画道路を、順次、事業化しております。
さらに今回の補正予算案では、災害に強い道路ネットワークの充実強化を図るため、特定緊急輸送道路と重なる都市計画道路についての調査費を計上しております。
○石森委員 これまでの都の防災性向上のための道路整備への取り組みはわかりましたけれども、ただいまの答弁の中にあった、今回の補正予算に計上されているこの調査の内容について、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
○吉原道路建設部長 今回の調査は、特定緊急輸送道路に指定された第三次事業化計画の優先整備路線におきまして、いわゆる概成区間を対象としております。
この対象区間におきまして、沿道建築物の耐震化状況の調査にあわせ、避難経路及び緊急輸送道路の確保や延焼遮断帯の形成などの観点から、災害時における道路機能の強化について検討いたします。
今後、交通の円滑化やまちづくりの支援などの観点にこの検討結果を加えて、整備の優先度を検討してまいります。
○石森委員 今回の大震災によりまして、都民の防災意識が高まっていることからも、災害に強い道路整備を着実に推進するよう要望しておきたいと思います。
一方、地域の隅々まで張りめぐらされている市町村道でありますが、避難場所等への避難路となるほか、国道や都道と一体となって道路網を形成し、緊急車両による救助活動、救援物資の輸送など、防災上大きな役割を果たすこととなります。このため、地域の防災力向上を実現するには、市町村道の整備も着実に進めていく必要があります。
私の地元、八王子市の地域防災計画においては、地域住民の円滑な避難を確保するため、狭隘な道路の拡幅整備や、避難路となる生活道路の整備などに努めるとしております。
そこで、市町村道の整備を支援する市町村土木補助事業について、現在の取り組み状況をお伺いいたします。
○萩原道路計画担当部長 市町村土木補助事業は、都が市町村への技術的、財政的支援を行うことにより、市町村道整備とまちづくりの促進を図るものであります。
平成二十三年度におきましては道路事業で約五十億円の予算を確保し、二十五市、五町、七村、二百十八カ所の市町村道に対しまして、設計内容の審査や助言など技術的な支援を行いながら、補助金を交付しております。
○石森委員 ただいまご答弁のありました五十億円という平成二十三年度の道路事業予算は、平成十八年度に我が党の要望を踏まえ大幅に増額されたことを契機にして、予算規模が拡大してきたものであります。現在、市町村が道路整備を進めていく上で大変大きな支えになっていると思います。
私は、平成十八年度以来、確保されたこの財源を各自治体が十分活用できるように、さらなる支援が必要であるということで働きかけをしてまいりました。また、市長会等からも、採択基準の見直しについて毎年要望が出されております。
そこで、市町村が災害に強い都市づくりを進めていく上でも、道路事業の採択基準を見直し、市町村が必要とする道路整備に対し、より一層支援すべきであると考えますけれども、所見をお伺いいたします。
○萩原道路計画担当部長 現行の採択基準では、道路を新設または改良する場合、総幅員七・五メートル以上で、少なくとも片側に歩道または準歩道を設置するものとしております。
市町村道の現在の状況は、幅員など一定の道路規格を満足していない割合が約四割ありまして、この多くは、車道幅員三・五メートル未満の道路であります。このため、防災上の観点などから、地域の実情に即した必要性の高い道路の早期整備を支援していく必要があり、市長会などからの要望も踏まえ採択基準を見直してまいります。これによりまして、緊急車両のすれ違いが可能な、歩道のない総幅員五メートルの道路整備などにも支援できるようになります。
今後とも、市町村道整備とまちづくりの促進を図るため、財政、技術の両面から積極的に支援してまいります。
○石森委員 防災の観点も含め、地域の期待に、より一層こたえられるような基準改定がなされるというご答弁をいただきました。都と市町村が連携して、道路整備に引き続き積極的に取り組んでいただくよう要望しておきます。
次に、土砂災害対策について質問をいたします。
今回の震災では、地震発生直後の津波による、沿岸部での被害が大きく取り上げられてまいりました。そこで、余り報道されてはおりませんけれども、今回の地震による被災地における土砂災害はどのような状況だったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○横溝河川部長 国土交通省によりますと、六月二十日時点で、今回の大地震による宮城県など東北五県と、千葉、茨城など関東四県における土砂災害は九十七件、死者は十九名となっております。その内訳は、がけ崩れが七十五件、地すべりが十六件、土石流などが六件でございまして、がけ崩れが全体の八割を占めているというところでございます。
特徴的なことといたしまして、震度六弱を記録した仙台市内の一般住宅地におきましても、がけ崩れなどの土砂災害が発生しているというところでございます。
○石森委員 地震発生後に土砂災害が発生しているということでありますが、今回の地震を受けて、都では補正予算案に、急傾斜地崩壊危険箇所における被害軽減検討を計上しておりますが、その内容についてお伺いをいたします。
○横溝河川部長 都はこれまで、土石流やがけ崩れの危険性が高く、対策が必要な箇所におきまして、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを実施してきております。
このような中で、今回の大地震で、仙台のような大都市の市街地におきましても土砂災害が発生したことを重視し、これまで多摩地域を中心として行ってまいりました土砂災害対策につきまして、区部におきましても、対策の前段となる調査を行うということとしたところでございます。
具体的には、二十三区の急傾斜地崩壊危険箇所のうち、対策がとられていない自然斜面を対象といたしまして、がけの表面の状況や湧水の有無などを調査し、それをもとに現在の危険性を把握し、対策を検討するための資料を収集していくことを考えてございます。
○石森委員 区部における対策も非常に重要でありますが、引き続き、危険箇所の多い多摩地域においても土砂災害対策を進めていく必要があると思います。
そこで、今年度の多摩地域における取り組みについてお伺いいたします。
○横溝河川部長 平成二十三年度は、八王子市の南浅川地区や初沢地区を初め多摩地域の十カ所で、のり枠や防護さくを設置するなど急傾斜地の崩壊防止工事を実施するとともに、二カ所で砂防工事を実施する予定でございます。
また、青梅市など八市町村の約千三百五十カ所におきまして土砂災害警戒区域の指定を行う予定でございまして、このうち八王子市では、恩方地区の約三百五十カ所で区域指定を開始いたします。
今後とも関係自治体と連携し、土砂災害対策を推進することで、都民の安全確保に努めてまいります。
○石森委員 私の地元、八王子市においても、南浅川地区そして初沢地区での急傾斜地崩壊対策事業の実施に加えて、今年度から土砂災害警戒区域等の指定を予定している、そんなお話でございました。
土砂災害の危険箇所は、区部ではがけ崩れの危険性がある箇所のみでありますけれども、多摩地域及び島しょ地域においては、地すべりや土石流の危険性がある箇所が加わるため、対象もはるかに多いと思われます。
これらすべての危険箇所で対策を行うことは非常に大変なことでありますけれども、都民の生命、財産にかかわることでありますから、土砂災害対策に今後とも積極的に取り組んでいくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○木内委員 今回の大震災というのは一千年に一度ともいわれているわけでありまして、未曾有のことでありますから、都としてもいろいろな問題、課題に直面しながらご苦労されてきた。
実は、私ども都議会公明党も、直後でありましたけれども、被災地の三県に視察団を派遣いたしまして、現地の復旧、復興に対する作業が懸命に行われているさなかでありましたから、決してご迷惑はかけてはならないという前提で、岩手、宮城、福島に、百聞は一見にしかずということでありますので、いかにして被災地の復興、復旧に東京都として役立つことができるかというのを探る、そういう思いで行ってまいりました。
きょう、珍しく我が会派の東村政調会長も見えていますが、東村さんは福島県の視察団のキャップで(発言する者あり)何かおかしいことをいいましたか。私は岩手へ行った、中嶋幹事長は宮城に、というぐあいに参りました。
私ども、よく申し上げるんですが、現場第一主義でありますから、現場で見聞すること、直接要望を受けること、本当に悩んでおられる方からさまざまな意見、さまざまな角度の意向というものを知るということは非常に重要であります。こうして、現場の、また公明党の地方議員の方からもつぶさに事情を聞いたわけでありまして、こうした情報をもとに政調会でこれを整理いたしまして、都知事に対して都議会公明党独自の施策の実現に向けての要求を行いました。
こうした要求を踏まえて、さきに緊急対策が発表されたと。五分野九十五項目にわたるものでありまして、予算規模で一千三百億、事業規模で三千億でありまして、さまざまな場面に、実は公明党の要求、提案というものが反映されているわけであります。既に実施されたものもある。
したがって、きょうは建設局に関する審議でありますので、こうした経過の中で実施されてきた施策、プラン・ドゥー・シーという言葉がありますから、それがどのように計画をされて、どのように実施をされて、これがどういう影響とまた反響をもたらしているかということをしっかり見ていきたいと。またこの事業に当たっては、執行機関の担当者の方々は目に見えないご苦労もされてきているわけでありまして、その、まず課題の第一でございます火葬場の提供ということを申し上げたいんです。
私どもが現地へ行きましたのは五月の頭でありましたけれども、実は三月十一日の発災直後、復旧に向けての作業が始まった中で、現地の市議会議員、県会議員から私のところに来た意見の一つが、発見されて、遺体がそのまま放置されていると。火葬場は壊滅状態だ、火葬不可能である。あるいは土葬しようにも土地がない、何とかならないかという要望があって、私はすぐ建設局の担当者に話をした。
そうこうするうちにまた関係の知事会等が行われて、この要請があった。東京都はいち早くこれを受け入れて、東京都直営の火葬場であります瑞江斎場において、この大変とうとい作業に臨まれた。こういうことであります。
その間、これが実施されるまで、私も担当者の方に再三申し上げた。ただ機械的に遺体を東京に搬送してきて、そして流れ作業のように火葬に付していくというようなことがあってはならない。あくまでも弔意を深く持って、そして犠牲となられた方々への哀悼、痛惜の思いがあらわれるような、そうした粛然とした火葬であるべきである。こういうふうにもその都度申し上げた。また、実施のありよう、態様についても、心を込めて行うべきだ、こういうふうに申し上げました。
いったとおり、きちっとこれは実施されたということでありまして、このご努力を高く評価したいと思うわけであります。報道によれば、火葬の協力は、山形県、秋田県など被災地の近県から始まったようでありますけれども、そうした状況の中で、今、言及いたしましたように、東京都の瑞江葬儀所が火葬協力を実施することになった経緯を、まずご報告願いたいと思います。
○滝澤公園管理担当部長 三月十一日の震災発生以後、被災地の被害拡大状況により、火葬協力が必要になるとの判断から、震災直後から都立瑞江葬儀所での火葬について検討を開始しました。三月十五日には、全国知事会からも協力要請があったところでございます。
これを受けまして、建設局としまして瑞江葬儀所で火葬受け入れが可能であることを、宮城県、岩手県、福島県に対して発信いたしました。その結果、宮城県から具体的な要請があり、火葬協力を行ったものでございます。
○木内委員 今のご報告によると、震災後みずからの判断で受け入れの検討を開始していたからこそ、いち早く全国知事会の要請にこたえることができたと。
私どものイメージポスターで、山口なつお代表の写真とともに、キャッチフレーズで「支えあう日本。」という標榜があるんですけれども、まさに東京都が一体何をできるか。しかし、地味だけれども、できることをやっていこう--いち早く建設局が滝澤部長を中心に本当にご努力をされたこと、敬意を新たにさせていただく次第であります。
そして私の記憶によると、全国知事会のこの要請にこたえて、三月二十九日から始まって四月の上旬まで、またがる期間やったと。三月二十九日は、準備やあるいは被災地の現場からの要請の整理が作業として行われて、実質的には四月に入ってから行われた。折しも都知事選の最中でありましたので、私も石原知事に、ぜひ瑞江の現場へ行って弔意をあらわしたらどうですかと申し上げたんですが、日程の関係で行けなかったということは非常に残念なわけでありますけれども、三月二十九日から火葬受け入れを開始するという発表をした。
震災による被災地のつまびらかな状況が明らかにならないこの時期に、これまでに経験したことのない火葬協力ということをどう具体的に実施するか、あるいは短期間で決定をするというのは、私はまさに英断だったと思うんです。私は、行政の命はスピードだと思います。その意味ではこれも評価をしたいと思うんです。
英断をされるに当たってご苦労も多かったと思うんです、簡単に運べる事業ではないわけでありますから。そのご苦労の内容についてもご報告いただけますか。
○滝澤公園管理担当部長 多くの身元不明のご遺体を受け入れることを想定しまして、瑞江葬儀所での体制や手順を決めるとともに、遺体の一時安置所として所内の駐車場にプレハブ建物九基を設置しまして、受け入れに万全を期したところでございます。
また、一般の火葬は中止し、被災者の心情に配慮いたしまして、瑞江葬儀所内には関係者以外立入禁止といたしました。
さらに、建設局としてトラックを購入しまして、被災地からの遺体搬送にも協力いたしました。
○木内委員 多くの犠牲者のご遺体を事故なく円滑に火葬にするため、いろいろ工夫をしたということでありまして、私は、今でも感謝しているのは、議会の議論を紡いでいく形でやりとりをして、事業の実施に、議会での提案を反映していくというのが基本的な形ですけれども、そのいとまがなかったから、電話でどんどん提案をした。
例えば、斎場の看板のつけ方から献花台のあり方、あるいは被災地の遺族の方が心から納得される、そういういわば気配りというものが必要だよと。その都度、写真やあるいはこの地図、見取り図を持ってきて報告いただきながら提案をしてきたわけでありますけれども、例えば今申し上げた看板と献花のあり方なんかも、機械的では決してなかった。
しめやかに故人の霊に手向ける献花のあり方等も工夫をされたと思うんですが、私が提案をして実施していただいたことも含めて、こういう分野における配慮の経過はいかがでしたか。
○滝澤公園管理担当部長 犠牲者への弔意を伝えたいと願う人々の気持ちにこたえるため、葬儀所正門に、東北地方・太平洋沖地震犠牲者火葬場の看板と献花台を設置いたしました。
献花台へは毎日たくさんの人々が訪れ、たくさんの花束が供えられました。これらの花を職員の手で犠牲者のひつぎの一つ一つに添えまして、ご遺体とともにだびに付しました。
ご遺族の控室としたロビーには、犠牲者を悼み祭壇を設けまして、ご遺族に献花やお焼香をしていただきました。また、地元の生花店からもたくさんの花が寄贈され、ご遺族への弔意が伝えられました。
○木内委員 今回の火葬協力を実施するに当たっては、葬儀所の近隣の町会やあるいは地元住民の方々の協力、これを得る必要があったんだと思うんですけれども、この具体的な対応についてご報告願います。
○滝澤公園管理担当部長 瑞江葬儀所が火葬協力することの意義について、江戸川区や地元町会に数回にわたり丁寧に説明することで理解を求め、地元の皆さんの協力を得られたところでございます。
また、地元警察と連携し、正門周辺の交通整理にご協力いただくなど、地域に混乱を招かないよう配慮いたしました。
○木内委員 答弁にあったように、近隣の方々のご協力なくしてこの事業は実施できなかったと思うわけでありまして、火葬の協力に際しての東京での状況について伺ってきましたけれども、さて被災地から、今回の火葬協力についてはどういう反応がありましたか。
○滝澤公園管理担当部長 被災地からは、いち早くだびに付すことができたと非常に感謝されております。中でも宮城県名取市からは、去る六月十八日に現地で行われました合同慰霊祭の折に、改めて都に対して感謝の意が表されました。
ご遺族からも丁寧なお礼の言葉をいただき、また市役所にも、ご遺族から瑞江葬儀所の対応に対してお礼の電話が入ったと聞いております。
○木内委員 こうした被災地支援を行うための必要な経費の内訳でありますけれども、搬送協力用のトラック、それから遺体安置所プレハブ建物に係る経費等々具体的な数字の、補正予算で計上している内容について伺います。
○滝澤公園管理担当部長 今回の火葬協力に要した主な経費は、搬送協力用のトラック、遺体安置所としてプレハブ建物に係る経費、警備や祭壇など、総額で約六千八百万円でございます。
そのうち四千四百万円は緊急性にかんがみ、平成二十二年度予算で対応済みでございます。残りの二千四百万円について、今回、補正予算として計上しているものでございます。
○木内委員 今お答えのあったトラックですとかあるいはプレハブの建物、現実的には一定の期間で、この葬儀所での事業、事業と申し上げていいと思うんだけれども、これが終了した時点で活用ということも、被災地の復旧、復興に向けて、資するべきだと思うんですけれども、どうされますか。
○滝澤公園管理担当部長 都での役割を終えたトラックは、宮城県において瓦れき処理などの輸送用として活用されており、プレハブの建物は、今後、復興作業に必要な資機材の保管倉庫として活用される予定でございます。
○木内委員 被災三県の中で、特定の県になろうかと思いますけれども、より具体的に効果的な活用方法を検討して実施をしていただきたい、このことを強く要請しておきたいと思います。
特に、今、東京都の火葬協力ということについてお尋ねをしたわけでありますけれども、実は被災地の復旧に当たっては、いわゆるノウハウも蓄積されていて、あるいは経験も豊富な建設局の存在というのは、非常に重要な立場である、こういうふうに私は思いますし、これからも期待がますます大きいわけでありまして、建設局に係る復興支援についての事業を精力的にお進めいただきたい。これをまず強く申し上げて、葬儀関係の質疑を終わります。
次に、液状化の問題でありますけれども、先ほど来、民主党、自民党の同僚委員から質疑があって、重複を避けて、関連部分についてお尋ねをしておきたいと思います。
今回の大震災では、地盤の液状化現象による被害が各地で発生いたしました。首都圏においては、道路、公園、港湾などの都市基盤施設や、水道、下水などのライフライン、あるいは民間住宅へも被害が及びました。
私も、さっき申し上げた視察の重要性ということから、党の調査団の一員として区東部地帯を中心に、液状化の現場をさきに視察してまいりました。いろいろな問題点があるけれども、きょうは環境・建設委員会でありますので、その所管にかかわる部分、補正予算の関係についてお尋ねをしたいと思うんです。
この液状化の問題、今回、俯瞰をいたしますと、東京では、江東区や江戸川区などの東京東部地域に被害が集中している。党としていち早く液状化の被害状況を調査したところ、道路の段差、あるいはマンホールなどが浮き上がって、住宅が傾くなどの被害が確認され、改めて問題の重要性を認識したわけであります。
個人の民家でありましたけれども、片一方が三十センチ、液状化の影響で沈んで、家が傾いている。民地であるために公的補助が出なかったり、あるいは集合住宅、マンション、何百世帯も入るマンションでありますけれども、この敷地が液状化のために大きく陥没してしまう。しかしながら、民間のマンションであるために管理組合の経費負担になって、手つかずのままこれが放置されていたり、あるいは区道において、長距離にわたって、液状化のために補修が必要な状態になりながら、地元自治体で予算が組めないために放置されている。こういう現状もあったわけであります。
今後、首都直下型地震や、東海、東南海あるいは南海地震が連動する巨大地震がいつ発生してもおかしくない状態があるわけでありまして、住民の不安はこれまでになく実は大きいものがあるわけであります。
液状化に強い都市づくりのためにも、いわゆる液状化予測図の見直し、これが重要であると。さっきも質疑がありました。今までいろんなところから液状化の地図、予測図が出ている。ところが、まちまちであったり、あるいは今回の液状化発生の実態と照合すると、どうも整合性のないマップというものが、今までずうっと存在をしてきていた。その意味から、液状化に強い都市づくりのためにも予測図の見直しが極めて重要である、こう思うわけであります。
聞くところによると、液状化というのは例えば広域的には三陸であったり、あるいは東京では利根川流域であったり、あるいは東京都内の内部河川を中心に、ほとんど広域的に液状化の可能性はある、こうもいわれているわけでありますけれども、信頼性と整合性に満ちた予測図を見直してつくることが必要でありまして、都議会公明党の私どもの仲間の谷村議員の代表質問の中で、土木技術支援・人材育成センターが中心となって予測図の見直しを行う、こうしているわけでありますけれども、私が申し上げた今の認識も含めて、改めて予測図の見直しの必要性を伺います。
○西倉企画担当部長 液状化予測図は、地域ごとの液状化の発生の可能性を目安として示したものでございまして、公共施設や民間建築物などの液状化対策を検討する上で基本となる情報の一つでございます。
現在の液状化予測図は、建設局が昭和六十二年に作成した東京低地の液状化予測図と、平成八年度に作成した多摩地域の液状化予測及び港湾局が平成二年度に作成いたしました東京港埋立地盤の液状化予測の三つの予測図を、平成九年度に一枚にまとめて作成したものでございます。
今回の震災で、各地で液状化現象が見られたことを受けまして、より精度を高めるため、この予測図につきまして、東日本大震災による新たな知見を反映する必要があると判断いたしました。
○木内委員 いわば建設局作成の昭和六十二年度の東京低地の予測図、平成八年度の多摩地域の予測図、それから平成二年度の港湾局作成の東京港埋立地盤の予測図を一枚にまとめて作成したもの、こういう話でありました。
この予測図は、今後、地域防災計画の見直しや、あるいは下水、水道などの液状化対策を検討する上で極めて重要な基礎となる情報になる、こう私は思っております。一方、都民は、今回の被害によって、自分の住む地域は液状化に対して大丈夫なのか、こういう関心が高まっておりまして、この予測図が液状化に関するハザードマップとして提供されることに大きな期待を寄せております。一部、既に本会議等で報告がありましたけれども、今回の見直しの今後の目途、手法、これについて明らかにしてください。
○西倉企画担当部長 見直しに当たりましては、東京都土木技術支援・人材育成センターを中心に、危険度の分類方法や情報提供のあり方などにつきまして検討を行うとともに、既存の地質データを加え、各区などから被害状況を把握した上で、液状化した箇所の近隣で新たに地質調査を実施し、その結果を活用することで一層の精度向上を図ってまいります。
また、液状化予測に活用できる地質調査データにつきましては、所有者の同意が得られれば提供を受けるなどして、民間のデータも活用してまいります。加えまして、関東大震災並びに今回の震災における液状化履歴、田んぼなどの土地利用の変遷も加味いたしまして、総合的に液状化の可能性を判定いたします。
なお、予測図の見直しには、本年五月に国土交通省が設置いたしました液状化対策技術検討会議での議論の結果を踏まえるとともに、地盤の専門家から意見を聞くこととしております。
見直しのスケジュールでございますけれども、年度内に、地質調査データに基づく地盤工学的な判定結果を関係各局に情報提供し、引き続き平成二十四年度末を目途に、新たな予測図を完成させ、ホームページなどによりまして広く都民へ情報提供することとしてございます。
○木内委員 基本的な方針と作成の時期については明らかになりましたけれども、これはお答えは結構ですけれども、課題についても、今、言及をされました。
例えば民地における地歴、あるいは民間のさまざまな所有者の協力と理解のもとに進めなければならない調査もあるなどでありまして、そうした課題を一つ一つ克服しながら、より都民が安心できるものにしていただきたい、このことを強く求めておきたいと思います。
さて、道路の液状化の問題でありますけれども、今回の東日本大震災では千葉県浦安市などで液状化が発生して、道路の陥没などによりまして甚大な被害が発生している。これはさっき申し上げたとおりであります。
そこで、端的にお答えいただければいいんですけれども、同じ地域、同じ形状、同じ環境の中で液状化の出方に差がある、被害の格差ということがよく指摘されるわけでありますけれども、都道、この部分についてお答えいただければいいんですが、都道では液状化による大きな問題がなかったと聞いていますけれども、確認の意味で、都道における被害の発生状況、これを明らかにしてください。
○鈴木道路保全担当部長 都道では江東区及び江戸川区内の歩道部におきまして、噴砂の跡や舗装ブロックのずれなど、液状化が発生したと思われる痕跡が数カ所確認されましたが、通行に支障はなく、大きな被害には至っておりません。
○木内委員 例えば江東区では新木場地区において、液状化で、車道の沈下や亀裂が相当な長距離にわたって発生していました。一方、都道ではなぜ液状化による被害が、今、報告にあったように、ほとんど発生しなかったのか、お答えください。
○鈴木道路保全担当部長 都道で大きな被害が生じなかった理由につきましては不明でございますが、広域的な観点から、今後の対応力をより高めていくため、他県も含め、液状化被害が起こった箇所について広く情報を収集するとともに、舗装構造との関連などについて調査検討を行いまして、平成二十四年度末までに調査結果をまとめる予定としております。このため、必要な経費をこのたびの補正予算に計上しております。
○木内委員 舗装構造との関連などについて調査検討を行って、平成二十四年度末までに調査結果をまとめると。これ、非常に重要なことだと思うのは、いわば区道に被害があって都道になかった。
私はあえて、都道になぜなかったかということを聞いたんだけれども、これが実は新しい研究によって、被害の出たところの原因というものが明らかになってくる。そういう意味で非常に重要でありますので、真剣に、これはぜひ取り組んでいただきたい、改めてお願いをしたいと思うんです。
さて、例えば江東区議会から意見書が出ています--本区議会は、東京都に対し、本区における社会経済活動の安定化に向け、下記事項の取り組みを強く求めるものである。
長くないのでそのまま読みます。一つ、臨海部において、液状化被害の大小に大きく違いがあることの原因を究明すること。二つ、道路・学校等公共施設の本格復旧に対し、経済的支援を行うこと。三つ、埋立地盤そのものの損傷であることを踏まえた、私有地の本格復旧に対し、経済的支援を行うこと。四つ、被災者の生活再建に向けた経済的支援を行うこと。以上、地方自治法第九十九条の規定に基づき、意見書を提出する。こういうことであります。
それで、私の手元に、基礎的自治体における災害復旧の財政補助、これを求めるスキームの表があるんですけれども、災害発生から被害報告、事前打ち合わせ、現地調査に始まって、工事の成功認定まで、実は九段階、十段階に及ぶ項目がある。これの全体のいわば指導助言というものが都の役割だと、こういうふうに私は思っているわけでありますけれども、地元区、基礎的自治体におけるこの切実な要求というものを、建設局としてもしっかり受けとめて、何をもってこの要望にこたえられるのかということを今後もぜひ検討していただきたい。このことを強く申し上げたいと思うんです。
例えば、東京都全体の機構に横ぐしを刺して議論するならば、例えば東京都区市町村振興基金条例というものがある。この中で、いわゆる振興基金の貸し付けに当たって--第六条、長期貸付の対象は、次に掲げる経費とする。第六条の三号に、区市町村が行う災害応急事業、災害復旧事業及び災害救助事業に要する経費、こういうものがあるんです。
これは、どうも聞いてみると所管が総務局のようでありますから、きょうはお答えは結構ですけれども、申し上げたこの基金事業等における国への一連の手続は、都は経由するだけでありますけれども、ぜひとも、災害復旧事業の経験、知見を持った建設局として、引き続き区へのきめ細かな助言指導を行っていくよう強く要望いたします。
なぜゆっくりいったかといえば、局長を初め道路監、それから担当部長によく聞いてもらいたいし、答弁は要らないけれども、うなずいてもらえば結構。どうでしょう。その辺がなかなかデリケートなんです。
河川の問題です。
今回、大震災では津波による被害が大きかった。東京湾にも津波警報が発令された。これも、液状化の問題、さっきの火葬協力の問題、今回の河川の問題、いずれも都議会公明党として視察を行い、現場の担当者からのじかの意見を聞き、地域の方々のさまざまな、いわば要望を受けとめた。そうした視察を踏まえての質疑でありますので、その認識もまず申し上げておきたいと思うんです。
まず、東京における今回の津波の状況及び河川の水位についてはどういう内容でしたか。
○横溝河川部長 気象庁によりますと、十四時四十六分に地震が発生いたしまして、東京港では、地震発生の約二時間後の十六時四十分に晴海において第一波を観測し、約四時間半後の十九時十六分に一・五メーターの最大津波高を記録しております。
また隅田川では、河口付近の亀島川水門におきまして、十九時十九分に最高水位APプラス二・九メーターを観測しており、これは津波高に換算いたしますと一・六メーターとなり、河川で観測した最大の津波高でございます。
なお、この付近の防潮堤の高さはAPプラス六・三メーターでございまして、津波高さ二・九メーターを差し引きましても、三・四メーターの余裕があったというところでございます。
○木内委員 今の答弁で、防潮堤によりまして東部の低地帯が守られていたというのは明らかなわけであります。
ただし、これで完璧というわけではない。今後も補修、メンテナンス等を含めて、管理上の課題等もあると思いますけれども、今回も非常に対応がスムーズで、さすがは建設局という感じがしたわけであります。こうした局としてのハード整備とともに、二十四時間体制をしいて水害に備えているということも実は現場で聞きました。
今回の地震時には、河川として対応した具体的な体制というものがあったと思うんですけれども、これについて明らかにされたいと思います。
○横溝河川部長 都は、十五時三十分に東京湾内湾に津波警報が発表されると同時に東京都水防本部を設置し、警戒配備態勢に入りました。
津波に対応するため、新小名木川水門など都が管理するすべての水門を、水門管理システムを活用して閉鎖するとともに、隅田川テラスにおきましては、所管する事務所の職員が直接現場に急行し、利用者などに対して声をかけ、津波に対する注意喚起を行いました。
さらに、当日から翌日にかけまして、河川を管理する全事務所で河川施設を歩いて点検して回り、大きな被害がなかったことを確認しております。
○木内委員 今の報告でも明らかなように、東部低地帯に住んでおります三百万都民にとっては、何といっても災害時に水門を確実に閉鎖するということが肝要だ、これがはっきりわかるわけであります。
そこで、私のきょうの質疑はもう旬日を経ずして地元への報告のプリントに全部配られるわけでありますから、それを念頭に置いて答弁を願いたいわけでありますが、当日の水門操作状況について、地元の都民もわかるように具体的に説明を願いたいと思います。
○横溝河川部長 水門操作を行っております江東治水事務所では、地震発生直後、地震で揺れている段階で震度計を確認し、水門閉鎖の指令を出しております。
当日は、清澄にある水門管理センターがまだ建設中でございまして、木下川バックアップセンターでシステムの遠隔操作を行い、地震発生後三十四分で全水門の閉鎖を完了いたしました。
水門の操作に当たりましては港湾局と連絡をとり、水門を管理する事務所同士で、それぞれの水門が閉鎖されたことを電話とファクスで確認いたしました。その上でそれぞれの局に報告し、最終的には、建設局長と港湾局長が電話ですべての水門が閉鎖されたことを連絡し合い、情報の伝達に間違いがないことを確認しております。
○木内委員 今の答弁で、水門閉鎖に三十分かかっている。こういうことでありまして、緊急時の対応で、普通もっと短時間で閉鎖できるんじゃないかと部外者は思うかもしれないけれども、三十分というのは、考え方にもよりますけれども、私は評価すべきだと、こう思うんですが、どうですか。
○横溝河川部長 水門の閉鎖に要する時間につきましては、相模トラフを震源とします、いわゆる関東地震を対象として設定しております。
具体的には、平成三年の東京都防災会議におきまして、津波の到達時間を荒川河口で四十六分、隅田川河口で五十分と予測していることから、四十分以内に水門を閉鎖できる態勢をとっているというところでございます。
○木内委員 したがって、四十分で水門閉鎖という基準といいますか、前提がある中で、今回の三十分、そのうちに建設局長と港湾局長とが電話で確認をし合ったということでありますから、評価すべきである、こういうふうに思いたいんです。
気象庁から津波警報が発表される前に態勢をとって、的確な水門操作を行ったということはわかった。そのとき、局長も電話で港湾局長とやったわけですよね。私も先日、水門管理センターを視察したことはさっき申し上げましたけれども、視察のグループで代表でボタンを押して、リモコンで、ある水門がずうっと閉鎖されるのをテレビ画面で見ることができました。本当にいい勉強をしたと思ったけれども、都民にはよく知られていないけれども、地味ではあるけれど極めて着実堅牢なこうしたシステムというものが整備されているということも感じたわけでありまして、今のように、行政の責任ある立場からの答弁というものは実は都民に大きな安心を与えるわけなんです。
この前も下水道局の汚泥の問題で、本会議でいろんな問題提起をしていた人がいるけれども、ひどい話でしたけれど、あれもやっぱり、いわゆる執行機関の行政の責任ある立場の人が理路整然とこの安全性について報告をすることで都民は安心をするわけでありまして、私はあの本会議でのある議員の質問を聞いていて、オオカミ少年は都議会にもいるんだなあと、こういうふうに思ったわけであります。私も先日、申し上げたように水門管理センターを見てきた。それで、新システムによって迅速な操作や安全性強化が図られていることは実感しているわけであります。
さて、今回の地震では、隅田川の防潮堤の高さまで三メートル以上の余裕があったということでありますけれども、東海、東南海、南海地震が連動して発生したときでも、この防潮堤の高さで安全なのか。これまで想定されていた津波について伺います。
○横溝河川部長 独立行政法人防災科学技術研究所の資料によりますと、東京湾は湾の入り口で幅が狭く、湾に入ってから湾奥が広がるいわゆる袋形になっておりまして、V字形ですとかU字形などの海岸と比べて、津波が最も起こりにくい形状をしているということになっております。
その関係で、これまでの中央防災会議などにおきましても、関東地震の津波高は一・二メーター、今お話のあった三連動については一メーター、首都直下型では五十センチ未満と予測しておりまして、東京湾では大きな津波が発生しないとされてきました。
しかし、今回はその予測を超える一・六メーターの津波が観測されておりまして、都といたしましては、東京における津波の発生などにつきまして今後の中央防災会議の動向などを注視するとともに、必要となる緊急対策について専門家を含む委員会で検討し、必要な施策を速やかに実施してまいります。
○木内委員 中央防災会議の動向等を踏まえて、護岸等の防災施設の安全性と必要な緊急対策に関して委員会で検証を開始しているということでありますので、これを見守ってまいりたいし、この報告が出た時点で、これはまたぜひ議論をしてまいりたい、こう思います。
今回のこの津波の高さというものは想定以上でありまして、引き続き今後の課題になっているわけでありますけれども、一方で、今回の地震の教訓の一つとして電気設備の耐水性、これに着目しなければいけない。福島第一原発でも、津波で電気設備が水没して冷却ポンプが稼働しなくなってしまった。きのう、きょうあたりも、現地からのいろんな報告に国民は一喜一憂をしている実態があります。
例えば、堤防を越えて浸水して排水機場が稼働できなくなった場合、その後の高潮への対応ができなくなって東部低地帯が水没する。こういう懸念もあるわけでありまして、したがって、排水機場の耐水対策については万全でなければならない、このことを指摘するわけでありますけれども、いかがでしょうか。
○横溝河川部長 排水機場とは、外郭堤防に囲まれた内側の低地の河川水をポンプで外側の河川に排水する施設のことでございまして、この排水機場の電気・機械設備は、国の揚排水ポンプ設備設計指針案に基づき設置しております。
この指針では、大雨が降っても水没しない対策を講じるため、内部河川の護岸よりも高い位置に設備を設置することや、防水扉による浸水防止対策などを実施することとなっております。
しかし、今回の地震では予測を超える事象が発生していることを踏まえまして、都といたしましては各施設の現状を点検した上で、先ほどお話しした検証委員会で、施設の耐水対策につきましても検討してまいります。
○木内委員 きょうは、多少、長時間になりましたけれども、新たな答弁も出た。あるいは議論を紡ぎ出して、これが施策に反映されていく。例えば最後の、各施設の現状を点検した上で、専門家を含む委員会でこの耐水対策について検討すると。
きょうが議論のスタートであり検討のスタートであると、私はこう受けとめてまいりたいし、議会の議論の重要性というものを、私自身がきょうは強く痛感をしているわけであります。
さて、そこで最後になりますけれども、現場を受け持つ局長の、きょうの質疑を踏まえての決意、感懐を伺いたいと思います。
○村尾建設局長 東日本大震災に際しましては、発災後五日目の三月十六日には、各局とも連携を図りながら、道路監を先頭に現地事務所開設準備に先遣隊を送りました。その後、各県に職員を応援に出し、局を挙げて被災地支援に当たってまいりました。
先日、私も被災地に入りまして、未曾有の地震と津波に見舞われた現地の被災状況を実際に確認してきました。
また、宮城県名取市の先ほどの合同慰霊祭でございますが、これにも呼んでいただきまして、瑞江葬儀所の対応に感謝されつつも、現地の深い悲しみとそれを超えるふるさと復興への熱い思いに、強い感銘を受けました。
まちの復興には相当の長期間を覚悟せざるを得ない状況というふうに見ましたが、大切なものを容赦なく奪われた被災地の方々の気持ちや無念の思いを肌で感じ、一日も早い復興に向け、建設局として惜しみなく支援をしてまいります。
今回の災害では、被災に遭われた方々の粛々とした整然たる避難生活や、最後まで半鐘を鳴らし続けた消防団員を初めとする自己を顧みず公に殉ずる日本人の姿に、世界が感動し称賛しております。同胞として大変誇りに感ずるとともに、都民、国民の安全を守る局として、改めて身の引き締まる思いでみずからを省みた次第でございます。
かねてより、二十四時間三百六十五日、都民の安心・安全を守る決意で、全職員を挙げて身を処してきておりますが、今回の大震災から得られた貴重な教訓を踏まえながら、東京の防災性の一層の強化と日々の万全の管理に、これまで以上に揺るがぬ強い覚悟で、みずから先頭に立ち、建設局すべての職員が一丸となって全力を傾注してまいります。
○かち委員 私も、津波と液状化について質問をしたいと思っているんですけれども、今までの質疑で重なるところは大胆にカットしたいと思います。
私どもも、この大震災からいかに救援、復旧、復興をするかという点で、都議団として、岩手、宮城、福島の現地事務所にもお邪魔をして、様子をお聞きしながら地方議員との懇談をし、また現地も見させていただきました。
私は、若林地区というところの現場を見てきたんですけれども、本来なら稲穂が実る田園地帯が津波の砂で埋もれ、そして電柱や大木がもう本当に根こそぎというか、根がひっくり返ってそこら辺に見られているとか、それから船が家の上に乗っかったままになっていたり、車も握りつぶしたような状況で折り重なっていると。そういう今まで見たことのない光景の中で、津波の恐ろしさというものを改めて実感してきたところです。
それで、津波が現地ばかりではなくて、遠く離れたこの東京近辺にも予想を超える被害をもたらしたと。被害というか、状況をもたらしたという点で、改めて津波対策の強化が求められているというふうに思います。
先ほど来お話がありますけれども、東部地域には隅田川を挟んで、ゼロメートル地帯が二十三区面積の五%を占めると。これらの地域に数メートルの津波が襲えば、その地帯は一面の海原になり、極めて甚大な被害をもたらすことは想像にかたくないわけです。
そこで、今、都が設定している防潮堤の高さ、六・三メートルといわれましたが、これは何をもとにして、この高さを決めているのかお聞きします。
○横溝河川部長 都では、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定し、これに対応できるよう防潮堤の高さを決定し、整備を進めてございます。
その高さは河川ごとに設定しておりまして、例えば今お話のあったように、隅田川ではAPプラス六・三メーターで、これは東京湾の満潮位と比べまして四・二メーター高い高さでございます。
また、津波による潮位の変化により、隅田川のテラスまで、今回、水位が上昇しましたけれども、被害は出ていないということでございます。
○かち委員 伊勢湾台風のときの高さを想定してつくっているということでしたけれども、台風による増水と津波による増水被害というのは、また格別に違うものだというふうにも聞いております。
津波の場合、しかもゼロメートル地帯であれば、一たんそこに水が入ってしまうと引いていかない。にもかかわらず次から次へとうねりが押し寄せてくるということで、東京湾の中には、特に船だとかいろんな海に関する構造物もありますけれども、そういうものがまた二次災害を引き起こすということで、大変な事態になるというふうにもいわれております。
そういう中で、今回資料を出していただきましたけれども、各支流の水門の防潮堤のところでの高さというものが示されておりますが、最高で、亀島川で二・九メートルということでした。これは大潮の干潮のときのということで伺っているんですけれども、これがもし大潮の満潮時だったとしたら、どういうことになるんでしょうか。
○横溝河川部長 今、委員からお話がございましたとおり、今回の地震では、隅田川の亀島川水門におきまして最高水位APプラス二・九を観測しておりまして、これは、津波高に換算いたしますと一・六メーターとなり、河川で観測した最大の津波高でございます。
大潮の満潮時の潮位といいますのはAPプラス二・一メーターになりますので、これに今の津波高の一・六メーターを加えますとAPプラス三・七メーターということになります。
この場合でも、堤防高さはAPプラス六・三でございますので、差し引きますと、まだ二・六メーターの余裕があるということでございます。
○かち委員 たとえ満潮時であったとしても、まだ二・六メートルの余裕はあるよというお話でしたけれども、今後それを乗り越える波が来ないとも限りませんので、今回、専門家を入れた検討会などをやるということでしたけれども、やはり東日本大震災の教訓をぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
当日の水門の開閉システム、実態については、先ほど詳しくお話がありましたのでカットいたしますけれども、二十四時間体制でコントロールセンターで遠隔操作をしているということで、一定の安心をしたところです。
今後、東京湾岸を襲う津波の想定に当たっては、東日本大震災の教訓を踏まえ、海溝型地震及び直下型地震の両タイプについて想定し、かつ、震源が東京湾北部、湾南、湾外のいずれの場合をも想定して対策を具体化することが必要だというふうに思いますけれども、答弁を一応伺います。
○横溝河川部長 先ほどもお答えしましたが、東京湾の津波高は、都のこれまでの予測では平成三年の東京都防災会議における一・二メーターが最大でございましたが、今回の地震では、隅田川河口におきまして、これを超える一・六メーターの津波高を観測いたしました。
都といたしましては、国の中央防災会議や東京都防災会議などにおける検討を注視しつつ、従来の施設の整備水準を上回る予測がなされた場合には、必要な対策を検討してまいります。
○かち委員 次に、液状化の問題です。
これもお話がありましたけれども、今回の関東地域、東京湾岸における液状化の被害というものも、予想を超える広がりでありました。東京湾岸では、百平方キロのうち四十二平方キロということで、世界最大級だったというふうにも聞いております。
現在の東京の液状化予測図というのは、関東大震災のときを想定してつくられたということですけれども、昭和六十二年に作成されたというんですが、その後も阪神・淡路大震災ほか、いろいろ大きな地震があったと思うんですけれども、そういうときに見直しは一度もされてこなかったのかどうかお聞きします。
○西倉企画担当部長 昭和六十二年に制定され現在使われている予測図は、先ほどもお話しいたしましたとおり、地質調査データに基づきまして、地表面から深さ六メートルまでの浅い部分と、地表面から深さ二十メートルまでの地層全体のそれぞれにつきまして地盤工学的な判定を行い、さらに液状化の履歴や田んぼなどの土地利用の変遷を加味いたしまして、液状化が発生しやすい地域、発生が少ない地域、ほとんど発生しない地域の三つに分類したものでございます。
今回の震災で液状化した地域は、予測図の分類では、地表面から深さ六メートルまでの浅い部分で発生しやすいが、深さ二十メートルまでの地層全体では液状化しにくい、いわゆる発生が少ない地域でございまして、おおむね浅い層で発生したものと認識しております。
今回、東日本大震災による新たな知見につきまして地盤の専門家などの意見も聞きながら、より精度を高めるための見直しを行ってまいります。
○かち委員 お話にありましたように、今回の地震の特徴というものがあったと思うんです。長時間にわたり、浅いところで繰り返し繰り返し揺すられることによっての液状化被害というものだったというふうに思いますけれども、液状化によって甚大な被害が出るという認識は一九六四年の新潟地震後からあったにもかかわらず、平地における液状化については法令上の定めもなく、国の対応策は阪神大震災後の九八年の宅地防災マニュアルの情報提供にとどまっていて、今日の事態になったのだといわれています。
国においても、五月十一日に液状化対策技術検討会を立ち上げ、我が党の国会質疑の中で大臣政務官が、現状をしっかりと認識する、同じ埋め立てであっても被害の出たところ、出なかったところなどあるので、そういうものをしっかりと調査研究し、再発防止のための技術的知見を深め、基準も深めて検討していくと述べています。
今回の地震で、都内での被害も相当ありました。資料にも出していただきましたけれども、幾つかの都立公園で見過ごしにできない被害も出ています。
都立夢の島公園では、階段の欄干と階段の間に一メートルの段差が生じてしまったり、有明テニスの森のテニスコートでも波打っているとか、潮風公園でも土どめの縁石が数十メートルにわたって完全に水没するなど、相当なものがありました。
注目すべきは、従来の液状化予測以外で、液状化が発生していることです。また、これまで液状化や地盤沈下対策をとってきたところでも被害が起きているということです。
それだけに、都において検討するに当たっては、都内の被害状況をつぶさに集約して、実態把握から検証すべきだと思いますけれども、その辺のお考えはどうでしょうか。
○西倉企画担当部長 被害状況の把握についてですけれども、先ほども答弁いたしましたとおり、各区などを通じまして被害状況のヒアリングを行うとともに、液状化が発生した箇所の近隣で新たに地質調査を行うなど、液状化した地盤構造を把握し、見直しに反映いたします。
○かち委員 予測図づくりには、地歴とか地形・地質調査とかボーリングなどが基礎的データとして必要なことですけれども、それに加えて、その被害の実態を重ね合わせてこそ実態に即した予測になると思うので、ぜひ被害の実態をつかんで生かしていただきたいというふうに思います。
また、今回の地震で、都道においては液状化被害はなかったと聞いておりますけれども、区道などでは被害が出ているわけです。その復旧には相当の年月と費用もかかると聞いております。その際、復旧事業に対する国からの支援策というのは、法的な整備がまだ不備、不十分な状況の中にありますので、区道における液状化被害、これは天災ともいえるものですので、ぜひ復旧支援策も今後検討することを求めて、質問を終えます。
○こいそ委員 それでは私の方から、二点だけ質問させていただきたいと思います。
本当に早いもので、三月の東日本大震災から百余日が経過いたしました。いまだマスコミでは連日、被災地の痛ましい状況が報道されているわけでありますけれども、仮設住宅、瓦れき処理、雇用対策、農地や漁場の荒廃、まちの復興など、被災地、被災者の生活再建に向けては、大変まだまだ困難な課題が山積していると思います。
先ほど局長からのお話もありまして、全くそのとおりだと思いますし、まさにいろんな面で、被災地復興に対する東京の支援の重要性というのを、私もまた改めて受けとめさせていただいた次第でもあります。
こうした被災地に対して、今回の補正においても、まさに首都としての役割、首都東京として積極的に被災地支援を、発生後からそうでありますけれども、さらに今回盛り込んだことは評価できるのではないかと思います。
また、今回の補正予算で防災公園関係がありますが、それに関連してお尋ねしますが、都立公園は都民に憩いや安らぎを与え、ヒートアイランド、都市特有のこの現象の緩和や都市環境の改善、生態系の保全などの役割とともに、今回の震災を経験して改めて都市の防災上の役割が大変重要になってきていると。
都の防災対策上の、特に都立公園の担うべき役割について伺いたいと思います。
○上杉公園緑地部長 都立公園は、その性格や立地ごとに、防災上さまざまな役割が想定されております。首都圏での災害発生時に基幹的広域防災拠点となる東京臨海広域防災公園のほか、その役割は大きく三つに分けられております。
第一は、大規模救出救助活動拠点として、自衛隊、警察、消防などの広域支援・救助部隊等のベースキャンプとなります。
第二は、ヘリコプター活動拠点として、迅速な救出・救助、消防活動、物資輸送等に資するために、ヘリコプターの緊急離着陸場所となります。
最後、第三に、避難場所としての役割でございます。これらの役割は、公園によって重複しております。
また、都立公園は貴重なオープンスペースとして、支援物資の集積・分別の場所、瓦れきの一時置き場、電気や水道といったライフラインの復旧活動拠点、また応急仮設住宅建設の用地などとしても活用される予定でございます。
○こいそ委員 都立公園は、今お話がありましたように、東京の防災を考える上で重要である、またその役割を果たしているということが改めて理解できましたが、都民の安全を守るべき防災公園の整備は、当然にして早急に進めていくべきではないかとも思います。
防災公園の整備は計画的に進められているというお話がありますけれども、まさにいつ起こるかわからないこの震災に対して、特に首都直下地震の危険性、まさに危険水域を超えているように予測される報道がありますが、この大地震に備えながら、計画を前倒ししてでも、この整備計画を進めていく必要性があるのではないかと思います。そのあたりどうでしょうか。
○上杉公園緑地部長 こいそ委員ご指摘のとおり、防災公園の整備につきましては喫緊の課題として認識しており、早急に進める必要があり、整備の前倒しを目指してまいります。
○こいそ委員 まさに、震災からしっかりと都民の安全・安心を守るという観点からも、防災公園の整備はさらに加速をさせていただきたい。
一方、今回のように首都直下型ではない地震でも、東京にさまざまな影響が出てきております。これまで想定もしていなかった事態も発生したのではないかと、さまざま聞くわけであります。
そこで伺いたいと思いますが、今回の地震により新たに明らかになった防災上の課題、これは何であったのか教えていただきたい。
○上杉公園緑地部長 今回明らかになりました課題として、停電や計画停電が発生した場合の、主要施設の機能維持のためのバックアップ電源の必要性。固定電話、携帯電話の使用が制限されるため、情報伝達手段を確保すること。また公園管理者として、帰宅困難者への対応策の必要性などが挙げられます。
○こいそ委員 この補正予算は、今回の震災で明らかになった、ただいまの課題を踏まえて計上されたものであるということがわかりましたが、しかし地震はいつどこで発生するかわからない。東京においても、いつどこで地震が起きてもおかしくないし、それなりの被害が想定されるわけでありますが、大地震が発生すれば、まさにこの密集東京は多大な被害が明らかになるものであると思うんです。
都市の防災対策を考える上で、一つの活動拠点が被災したりしたとしても、すぐに補完できる体制がやはり必要だろうと。防災公園においても、相互に補完機能を備えたネットワークといったことが防災上非常に重要ではないかと考えるところであります。
今回、被災施設の復旧、防災公園ネットワークの形成、帰宅困難者支援対策の三つの事業が補正予算として計上されていますけれども、具体的にはどのような取り組みを行おうと考えているのか、お伺いさせていただきたい。
○上杉公園緑地部長 まず、都立公園被災施設の復旧では、今回の震災により被害を受けました向島百花園の外周塀やあずまやの補修、戸山公園の箱根山広場の補修などの復旧を早急に実施いたします。
次に、防災公園ネットワークの形成では、被災後発生した停電や計画停電への対策として効果的な電源供給システムの検討、情報伝達の機能強化手法の対策として通信設備や放送設備の検討など、防災公園として充実すべき公園の機能について調査を行います。
帰宅困難者につきましては、都としての総合的な帰宅困難者対策を踏まえ、都立公園としての役割を整理し、対応を検討するなど、防災公園として防災機能の一層の充実に努めてまいります。
○こいそ委員 今回の補正予算に上げられている防災公園整備の施策が、ハードそしてソフトの両面から地域の防災力の向上につながり、さらなる高度防災都市づくりに大いに貢献するものと期待をするわけでありますけれども、これにつきまして、公園の重要性、さらなる防災公園の整備の促進方、これらのことを強く要望いたしまして、この一点は終わります。
次に、土砂災害対策についてお聞きしたいと思います。
今回の東日本大震災を受けて、国土交通省の通達に基づき、関係十四都県は土砂災害危険箇所の緊急点検を行ったと聞いております。東京の状況はどうであったのかお願いします。
○横溝河川部長 関係都県では、震度五強以上を観測した区市町村におきまして、全国で約三万一千カ所の土砂災害危険箇所の点検を実施いたしました。
このうち都では、千代田区、板橋区を初め五区におきまして、三十四カ所を対象として点検を行っております。点検に当たりましては、変状が大きく、緊急的な工事を行う必要がある危険度A。変状が軽微で、必要に応じて工事などを行う危険度B。変状がなく、当面、工事などを行う必要がない危険度Cの三つに区分して、調査を実施いたしました。
その結果、都では三十四カ所すべてで変状がなく、当面、工事などを行う必要がない危険度Cに該当するものだけでございました。
○こいそ委員 いわゆる危険度C、三十四カ所すべてで、工事を行う必要性がない危険度Cだという話でありますけれども、政府の地震調査委員会で新たに出ておりましたけれども、立川断層の地震発生確率が高く設定されたと。
多摩地域において、いわゆる大震災が発生し、土砂災害などの発生がそれぞれ危惧をされている中で、そこで伺いたいと思いますが、先ほどもありましたが、都における土砂災害対策として、現在どのような具体的な取り組みをされているのかお願いしたい。
○横溝河川部長 都は土砂災害から都民の生命と暮らしを守るため、土石流やがけ崩れなどの危険性が高い箇所、過去に災害が発生した箇所におきまして、ハード対策として砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを実施しております。
具体的には現在、八王子市の、中の沢など二カ所で、土石流をとめる砂防堰堤などの整備を実施しております。また、あきる野市の山田地区など十カ所で、がけ崩れを防ぐ、のり枠工の整備を進めております。
一方、ソフト対策といたしましては、土砂災害の危険箇所を住民に明らかにし、安全に避難行動がとれるよう、土砂災害警戒区域等の指定を西多摩地域から順次進めております。
都内には、区部も含め、現在、土砂災害の危険箇所が八千カ所以上あると推定されておりまして、そのすべてを平成二十六年度までに区域指定する予定でございます。
このうち二十二年度末までに二千六百九十一カ所の指定が完了しておりまして、二十三年度は、八王子市や青梅市などにおきまして、約千三百カ所の土砂災害警戒区域の指定を行う予定でございます。
○こいそ委員 先ほどからのやりとりもありましたが、いずれにしても全都的に、この際、土砂災害警戒区域等の指定をまさに計画前倒しして、いわゆる区域指定を行っていくべきではないかと思うんです。
その中で、平成十三年に危険箇所の調査を行いましたが、ちょっと進めますけれども、要するに、まだ土砂災害警戒区域の指定をしていないと。私の地元なんかもそうなんですが、十三年に危険箇所と指定して、もう少し詳しくお話しさせていただくならば、稲城市の南山北斜面、これは数十年以上にわたって、昭和三十九年の東京オリンピックのときに山砂をあそこで採取したんです。それによって形状が今のような状況、形状になった。
その後において区画整理事業というのが進められてきています。きていますって、つい最近始まりました。しかし、あの斜面を実際的に安全対策を講じるには、平成二十八年になります。昭和三十九年から--そして平成十三年に地元要望もあった。傾斜地に、家屋がかなり密集しているんです。いわゆるがけ下に、一定的な家屋、戸数がある。居住されている。土砂崩れ、こういうところが極めて危ない。さらには、降り続く雨の中で、一部、土砂が流入をした事実もある。
こういうような極めて危険な地域を、今、十年たちましたよね。そこで今回のこのような大震災がまた発生した中で、まだ指定もしていない、さらには具体的な対応策も示していない。これはどういうことなんでしょうか。
○横溝河川部長 都は、昭和四十二年から五年ごとに急傾斜地の斜面の危険性について調査を実施し、平成十三年度まで実施をいたしました。
しかしながら十三年に土砂災害防止法が制定されまして、法に基づき、土砂災害警戒区域を指定する区域、非常に危険な区域を調査するということになったために、十四年度以降は実施していないということでございます。
このような中で、今、委員からご指摘がありましたように十年経過し、大規模な斜面を抱えているようなところにつきましては、万が一に崩壊が起きますと地域に大きな影響があるということを考えておりまして、都といたしましては、広域的な視点から、高さが三十メートルを超えるようなそういう大斜面につきましては、がけの表面ですとか、湧水の状況ですとか、経年変化を確認するような調査を平成二十三年度に実施していきたいというふうに考えてございます。
○こいそ委員 ぜひ対応していただきたいということなのですが、先ほどからの、いわゆる土砂災害警戒区域を含めた対応についてもう一言いわせていただくならば、やはり本当に危険箇所は一体どこなのか。都内の中で、多摩地域で、区部でもそうです。その一番危険な、実際今までも、被害が想定じゃなく現実に起きたところがあるわけであって、こういうところに対して、十三年に法律改正になったから云々という話があったとしても、法律が改正されたんだったらなおさら対応すべきじゃないですか、反対に。
ということと、さらに、今の当該のがけのところじゃなくて、やはりまだ今後の予定にも入っていない、いわゆる二十三年度の本年度予算にも入っていない区域がかなりあります、はっきりいって。先ほど、全体的な戸数、箇所も示されたけれども、こういうことを踏まえて、なぜこういう補正の中でも、もっと予算をとって、区部、多摩地域を含めて、これを一層促進させないのか。これなんですが、どうでしょうか。
○横溝河川部長 今回の補正では、大地震により、仙台のような大都市の市街地におきましても土砂災害が発生したということを重視しまして、区部においてもそういう調査を開始するべきだということで補正を組んだところでございますが、今、委員お話しの、いわゆる急傾斜地の崩壊防止事業とか砂防などの工事、こういうものにつきましては、地元負担を伴うことでございまして、緊急を要する箇所を中心に、地元市からの申請に基づき実施をしているという実態にございます。
こういう中で今回の大地震が発生したわけでございますし、また、委員からも今お話をいただきましたので、都といたしましては、各自治体にきょうのことをよくご説明し、前倒しの可能性などを確認した上で、必要な対策を検討していくということにしたいと考えております。
○こいそ委員 いわゆる今回の震災だけじゃありません。先ほどからいろいろお話がございましたけれども、本当に発生しては困るけれども、やはり予測される地震が、いろいろ、一部、報告といいますか警告が発せられているということの中で、今回この大規模地震が発生して、来年度予算に組み込むんじゃなくて、ぜひ、やっぱりこういう補正の中で、私は、しっかり、しっかりと対応すべきだと、重ねてこれは強く要望させていただきたいなと思います。
それとともに、やはり、都はさまざまな施策を行って対応していることはよくわかります、それはそれで。ですからそれを引き続いて、さらなる積極的な、効果的な、そして、まさに実効効果が上がるような形の調査と、それから対応ですよ。
今、地元負担のお話もあったけれども、地元負担割合というのは、確かにそれは当然です。それはわかるけれどね。わかるというか、地元負担の割合というものはありますけれども、しかし、だって区民や市民、とりわけ市民の生命と財産を確保する、守るという観点から見たときに、これは少なくともこういう今日的な状況下から見れば、極めて説得性があるんじゃないかと。
それに対して、都が広域行政体としての立場の中で、やっぱりそれに対する働きかけをしていくと。そして、やはりあらゆる方策を講じながら、財政的に極めて厳しいところというのは確かにあるかもしれない、自治体においては。だけど、さまざまな支援策を考えて、それを踏まえて対応策を考えていただきたいと思います。これにつきましてご答弁願いたいんですが。
○横溝河川部長 今お話しいたしましたように、土砂災害の防止に関するような工事につきましては、委員からもお話がありましたように、人の命と暮らしを守るために非常に重要なことでございます。
ただ、やはり市町村の負担というものがございまして、その負担は市町村にとっては非常に大きなものでございますので、私どもといたしましては、各自治体によくきょうのお話をして、その可能性があるのかどうか、よく確認した上で対応させていただきたいというふうに考えてございます。
○高橋委員 私から、平成二十三年度補正予算説明書の五ページの高潮防御施設の整備についてお尋ねをいたします。
本年三月十一日の東日本大震災は、東北地方から関東地方に及ぶ広域な範囲で二万三千人余りの死者、行方不明者、河川や港湾、下水道等の各インフラ施設などにおきまして甚大な被害を受けました。
改めまして、このたびの地震におきましてお亡くなりになられた方々に対し、衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます。また、一日も早い被災地の復旧、復興を、心からお祈り申し上げたいと思っております。
さて、都におきましては、ゼロメートル地帯と呼ばれる東部低地帯には約三百万人が、そのうち満潮面以下の地域には約百五十万人の人々が生活を営んでおります。高潮や地震、津波に伴う水害に対するその備えを万全にしていくことが重要であることはいうまでもないと思います。
そこでまず、今回の大地震に伴う河川施設の被害状況についてお伺いいたします。
○横溝河川部長 都では東部低地帯のほぼ全域で、震度五強または震度五弱を記録いたしましたが、河川施設におきましては大きな被害はございませんでした。
隅田川や中川におきましては、管理用通路の一部にクラックなどが生じたものの、舗装の打ちかえにより、復旧は直ちに完了してございます。
また、津波による潮位の変化により、隅田川のテラスまで水位が上昇いたしましたが、被害は出ておりません。
○高橋委員 今回の地震や津波、潮位に対する安全性は確認できたものと考えます。まさにこれまで行ってきた高潮や地震、津波に対する対策が、効果を発揮したものであると評価をさせていただきます。高潮、耐震対策の一日も早い完成をお願いしておきます。
私自身、六月二日から三日にかけ、岩手県の陸前高田市と大船渡市の被災現場を視察してきましたが、言葉ではいいあらわすことのできないその悲惨さを痛感したところであります。
とりわけ、堤防が津波により消失したり、残っている箇所でも、地盤の沈下と相まって堤防裏がプール状態となっているなど、地震や津波に対する脆弱さを目の当たりにいたしました。このようになることを防ぐとともに、万が一、損壊があっても、復旧が容易なスーパー堤防整備の重要性を改めて認識させられたところであります。
そこで、都のスーパー堤防への取り組みと、昨年の事業仕分けで一たん廃止になった国のスーパー堤防の整備についての状況を伺います。
○横溝河川部長 都では、隅田川や中川などにおきまして、耐震性や親水性の向上を目的といたしまして、河川沿いの民間開発などと一体的にスーパー堤防事業を進めております。
隅田川では、新川・箱崎地区や白鬚西地区など、堤防延長の約三割に当たる十三キロメーターでスーパー堤防が完成しております。また前面のテラスにつきましては、約九割が設置済みでございます。
一方、国のスーパー堤防につきましては、先般の事業仕分けにおきまして一たん廃止との判定を受けましたが、六月に開催された国の高規格堤防の見直しに関する検討会で、多くの人命が失われることを回避するため、江東デルタ地域などにスーパー堤防を整備すべきとの考え方が示されたところでございます。
都といたしましてはこの考え方に基づき、国にスーパー堤防の整備を再開するよう、引き続き強く働きかけてまいります。
○高橋委員 首都の地震、水害やまちづくりに、大変有効であると思います。都のスーパー堤防を引き続き進めていただくとともに、国のスーパー堤防が一日でも早く再開されることをお願いしておきます。
一方、今回の地震は、国内観測史上最大となるマグニチュード九・〇とのことであります。ある意味、これまでの想定を超えるものといえます。
また、東京を含む関東地方では、今後三十年以内に発生する確率が、例えば東海地震が八七%、首都圏直下地震が七〇%などと高くなっておりまして、いつ地震が発生してもおかしくない状況といえます。今回の大地震を他山の石としてとらえ、今から次に備え、必要な対策を準備しておくことが重要であると考えます。
本定例会の我が党の代表質問におきましても、局長から所管を越えた力強い答弁をいただいたところでありますが、大変重要な点であることでもあり、改めて考え方を確認させていただきます。
そこで、今回の想定を超える大地震を踏まえ、都として講ずるべき取り組みについて伺います。
○横溝河川部長 都では今回の大地震の発生を踏まえ、関係局と連携のもと、防潮堤や水門、排水機場などのインフラの点検を行い、被害を受けやすいと考えられる箇所の洗い出しを開始しております。
さらに、都がとるべき緊急対策などについて検証するため、既に地震や津波などの専門家による技術検証委員会を立ち上げてございます。この検証委員会では、堤防や水門等の耐震性、電気・機械設備の耐水性、施設間をつなぐ光ファイバー通信網の強化などについて、必要となる対策を検討してまいります。
年内には委員会から提言を受けるとともに、この提言を踏まえまして、年度内に都としての対策の基本方針を取りまとめ、新たに必要となる対策を速やかに実施してまいります。
○高橋委員 緊急的な検討を開始したことは大いに評価をさせていただきます。現状をしっかり踏まえた上で、時宜を外すことなく、早急な対策を講じていただきたいと考えます。
これまで河川の対策について伺ってきましたが、地震発生直後に二十台のトラックを連ね、一昼夜をかけて被災地に支援物資を送り届けられた山口道路監に、ぜひ質問をさせていただきたいと思います。
そこで最後に、みずからも過酷な経験をし、また、現場を抱える建設局の道路監として、河川に限らず、都としてとるべき対応についてご見解を伺います。
○山口道路監 発言の機会をいただき、深く感謝申し上げます。多少答弁が長くなるかもしれませんが、橘委員長にはお許しをいただくようお願い申し上げます。
震災直後の三月十六日に、東京消防庁の先導により、東京都からの最初の支援物資を届けるとともに、被災地支援の最前線となる東京都現地事務所を仙台に開設するため、岩手、宮城両県に局の水防車で行ってまいりました。
岩手県庁所在地の盛岡市内は大きな被害がなかったわけでございますが、被災地との交通、通信手段がほとんど確保されていないため、現地の情報が十分入ってきていない様子でございました。
また、宮城県庁所在地の仙台では、電気、水道はかなり復旧していましたが、下水やガス等は全面復旧にはほど遠く、またガソリンなどの燃料や食料品を初めとする日常生活物資を求める市民の列が続き、市民生活が大きな障害を受けていることを物語っておりました。
また、先月の末には、技術職員の両県への長期派遣に備え、釜石、気仙沼等の被災地で勤務地となる、現地事務所へも行ってまいりました。被災地への道路による交通手段はほぼ復旧していましたが、まちとしての復旧、復興に取り組むまでにはまだ相当の時間を要する状況であり、声を出すこともできないような思いでございました。
今回の経験で思うことは、道路、河川等のインフラ整備及び維持管理、災害対応の重要性でございます。
災害は地震だけではございません。台風による豪雨、高潮、さらには一〇〇ミリを超える局地的豪雨、急傾斜地の斜面崩壊など、自然災害にも確実に対応する必要がございます。このため、日ごろから取り組んでいるインフラ整備を着実かつ迅速に進めることに加え、橋梁の長寿命化など、インフラの維持管理の強化が災害対策に重要な役割となってまいります。
高速道路の整備でいえば、東北道が発災後二十時間で復旧し、迅速な救援活動や緊急輸送において、高速道路の重要性が改めて明らかになりました。また、今回の震災支援では、東日本と西日本をつなぐかなめとしての首都圏の高速道路網は大きな役割を果たしました。
今後、仮に首都圏が被災した場合には、東西分断を避けるための三環状道路の重要性はいうに及びません。リダンダンシーを高めるためにも、圏央道に加え、現在進めている首都高速中央環状品川線の確実な完成とともに、関越道から東名高速までの外環を一日も早く着工する必要があります。
また、区部の環状、放射など、幹線道路や多摩南北道路などの着実な整備を進めることであります。あわせて、既存道路における電線類の地中化、歩道整備、連続立体交差事業、島しょ部の循環道路などを進めていかなければなりません。
次に、河川においては今回の大震災を踏まえ、緊急対応等の技術的な検証を行うとともに、防潮堤や水門を強化するなど、新たに必要となる対策を速やかに実施し、東部低地帯を水害から守る取り組みを強化しなければなりません。
また、中小河川においては、実施中の時間五〇ミリ対応のスピードアップを図ることはもとより、石神井川、白子川のような、異なる流域の河川から取水し、一つの調整池に貯留する新たな取り組みを実施するなど、効果的な治水対策を着実に進める必要があります。
さらに、今後は一〇〇ミリを超えるような局地的な集中豪雨を視野に入れ、効果的、効率的な河川整備を進め、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指さなければなりません。
建設局は、経験の積み重ねに加え、最新の知見、英知を集め、インフラ整備、維持管理を現地現場主義で進めてまいりました。また、今回の震災でも、局災害対策本部を立ち上げ、いち早く道路、橋梁、河川の護岸、水門等の点検を行いました。
少数精鋭の体制といっても、被災現地へ派遣できる職員の数も限られてきている中、災害への備えを充実するには、職員数を含め、真に機能する体制の強化が必要であり、検討すべきであります。
我々は後世に対し、権利はないが義務は負っていると私は思っております。一五〇〇年代の半ばに、戦国時代の武将、甲斐の武田信玄がつくった信玄堤は、四百五十年以上の年月を経ても、今も人々に安心・安全を与えております。
道路や河川施設など、インフラは後世の人々に世代を超えて引き続く財産であり、その整備は我々世代の義務であります。それをなし遂げるのが公共事業でございます。
今後とも、建設局は首都圏を視野に入れ、局が主体となって関係局と連携を図り、東京の安全で快適、利便性の高い都市づくりを進めていくので、都議会、特に環境・建設委員会の委員の皆様方の一層のご理解、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、答弁とさせていただきます。
○高橋委員 被災した現地を踏まえた、示唆に富んだ、貴重なきめ細かなお話をお伺いすることができました。
まさに道路監がいわれるとおり、現地を見てきた私にとっても、我が党にとっても、これまで議会などで訴えてきた治水対策や外環道の整備、促進などの重要性を改めて認識させていただくとともに、首都圏において、今回のような悲惨な状況になることだけは避けなければならないとの思いを一層強くするものであります。
ご答弁にもありましたとおり、今回の経験を教訓に、関係する機関が連携をとりながら、後々の人たちから、あのときの事業、対策はまさに平成の大偉業であったといわれるような対応をとっていただき、一刻も早く、安全で安心して暮らせる東京の実現をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で建設局関係を終わります。
○橘委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
吉村環境政策担当部長は、病気療養中のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
これより付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、環境局所管分、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について、及び報告事項、東京都電力対策緊急プログラムについてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○紺野環境政策部長 去る六月十五日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次のとおり、六項目ございます。
初めに、ご要求いただきました資料のうち、議案等にかかわる資料につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。1、都内における火力発電所の概要でございます。
大井火力発電所及び品川火力発電所の発電能力、窒素酸化物排出濃度及び温室効果ガス排出量を記載しております。
二ページをお開き願います。2、過去三年間の東電管内の電力消費量に対する東京都の比率と使用電力量の推移でございます。
平成十九年度から平成二十一年度までの各年度における、東京電力管内の総電力消費量に対する東京都の電力消費量及び比率を記載しております。
次に、ご要求いただきました資料のうち、報告事項にかかわる資料につきましてご説明申し上げます。
三ページをお開き願います。3、中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出プロジェクトの実施状況でございます。
第一回及び第二回の募集にかかわる募集期間、申請件数、交付決定件数、助成金交付総額、CO2削減見込み率及び都内中小クレジット創出見込み量の結果を記載しております。
四ページをお開き願います。4、未利用エネルギーを活用した地域冷暖房と今後の計画でございます。
ごみ焼却排熱、下水道汚泥焼却排熱、下水の熱、河川水熱、地下鉄排熱及び変電所排熱を活用した地域冷暖房区域を記載しております。
あわせて、今後の計画として、地中熱を活用した地域冷暖房区域を記載しております。
五ページをお開き願います。5、都施設における風力発電、太陽光発電、太陽熱利用機器及び水力発電の導入状況でございます。
都施設における風力発電等の設備容量及び主な施設を記載しております。
六ページをお開き願います。6、平成二十一、二十二年度の住宅用太陽エネルギー機器設置補助制度及び新たな制度の概要でございます。
平成二十一年度、二十二年度における太陽光発電システム及び太陽熱利用システムの設置補助制度の実績見込み及び補助単価を記載しております。あわせて、電力対策緊急プログラムにおける新たな制度の概要を記載しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○橘委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○野上委員 三月十一日に発生いたしました東日本大震災と津波、それによって福島第一原子力発電所事故が引き起こされましてから、はや三カ月がたちました。
原子力発電所事故による放射性物質の拡散は、被災地の近隣の住民のみならず、ここ二百五十キロ離れた東京でも、東京に住む住民の皆さんにも命や暮らしを脅かすものとなっており、非常に大きな影響を与えるものになりました。
また、今回の震災では、都内でも多くの家庭、中小企業が停電を余儀なくされました。これは、これまでの国の規制により、ほかの電力から、電気を買うことができないといったようなさまざまな要因が考えられますが、しかしながら今回のこういった事態を教訓としてさらなる省エネに取り組むことが必要であるし、また、これからの電力、エネルギー大量消費社会を、いま一度原点に立ち返って、この社会というものを見直していくということが必要になったというふうに感じております。
今回、議題になっております一般会計補正予算案の中の補正事項の中に、環境政策費そして都市地球環境費、これを合わせますと約百四十二億ございますが、こういった新たな環境エネルギー政策の構築を目指し、あるいは分散型電源の導入などの取り組みを図っていくということは非常に期待するところでございます。
例えば少し要望を申し上げますと、これはもちろん国との関係がございますが、一概に東京都がすべてできるといったことではございませんけれども、発電と送電事業の分離、電力事業者の小規模の分散化、あるいは消費者の電源の選択の保障、電力に関するエネルギーや環境のルール、そして再生可能なエネルギー優先の環境の規定などを重視した公のルールに基づいた受給契約など、電力供給事業のあり方の抜本的な改革への取り組みというものも、この補正予算の事項に入っている政策調査、あるいは、今、東京都内でも非常に議論が高まっておりますので、改めてこの取り組みについては期待したいというふうに思っております。
この再生可能エネルギーや、分散型発電に適した高性能の次世代送電網スマートグリッドであるとかマイクログリッドの開発、これはぜひともこの首都東京で先導して提言をしていただき、あるいは国に対して物申すということを東京都から発信していただきたいというふうにも思っております。
現内閣総理大臣である菅直人が既に言及をしておりますが、今後の再生可能エネルギーへの大幅なシフトが不可欠な中で、このような補正での取り組みというのは非常に価値のあることだと思っております。
さて今回、東京都は環境確保条例を四月二十一日付で改正いたしまして、窒素酸化物の排出基準に関する特例措置を新たに規定いたしました。
これは先ほど申し上げたとおり、東日本大震災の影響により、供給区域内における電力供給が極めて厳しい状況にあるという東京電力の要請--東京電力が供給力の確保に向けてガスタービン発電機二基の増設計画をし、そして特例措置の適用を申請したことによるものです。
これまで東京都は、窒素酸化物の濃度を一〇ppmまでとする、国の大気汚染防止法の七〇ppmの上乗せ基準の、非常に厳しい基準を設けておりました。
このガスタービン発電機の窒素酸化物の基準を当時設定いたしました社会的背景と、これまでの取り組みについて改めて伺います。
○山越環境改善部長 大気汚染防止法第四条で、都道府県は、国の定めた排出基準では、人の健康を保護し、または生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、条例でより厳しい排出基準を定めることができるとされてございます。
この規定に基づきまして、平成十二年に環境確保条例を制定した際、それまで指導要綱に基づきまして窒素酸化物の排出低減指導を行っておりましたガスタービンなどの定置型内燃機関を、条例による上乗せ規制対象施設として、基準を一部強化して規制することとしたものでございます。
この社会的背景でございますが、当時、二酸化窒素の環境基準が、一般環境大気測定局におきましても一〇〇%は達成されていない状況にあったことがございます。その後、この上乗せ規制のほか、工場や自動車などに対するさまざまな対策によりまして、平成十八年度以降は一般環境大気測定局の全局で、二酸化窒素の環境基準を達成してございます。
○野上委員 今の答弁からもよくわかりましたけれども、本当にこれまで東京都は、大気汚染の原因である固定発生源対策であるとかディーゼル車走行規制等の実施によって、浮遊粒子状物質による大気汚染にかかわる環境基準については非常に達成をしてきた、また非常によい取り組みをしてきたというふうに、内外からも評価を受けてきたところでございます。
しかしながら今回、法律より厳しい条例の基準を一時的に緩和することによって、周辺の皆さんやあるいは東京都民の方が、また大気汚染というか、私たちが暮らすこの東京都の中で何か環境への影響があるのではないかというふうに心配される方もいらっしゃいます。
そういった中で、このガスタービンの稼働に当たって、東京都は大気環境への影響をどのように認識しているのか伺います。
○山越環境改善部長 この夏、東京電力が新たに設置、稼働するガスタービン発電機の大気環境への影響につきましては、電力需要の大きい七月から九月に稼働をしても、発電所近傍における二酸化窒素濃度の増加分は一日平均にするとごくわずかであると推定してございます。
また、都内の二酸化窒素の環境基準達成率には影響しないと考えてございます。
○野上委員 それでは、東京都は東京電力に対して、この大気環境対策を今後どのように指導していくのか、具体的に伺います。
○山越環境改善部長 都といたしましては東京電力に対して、まず運転を必要最小限にすること、排出ガスの測定や定期的な報告、敷地境界でのモニタリングのほか、窒素酸化物の低減対策を行うことを指導してございます。
○野上委員 今お話しいただいたのは、東京都が、東京電力が行うことに対して指導していただくということでしたけれども、ごくわずかな窒素酸化物という値であっても、なければないほどいいわけでございます。
東京都としては、ガスタービンの稼働に伴う大気環境への影響について、今後どのように監視していくのか伺います。
○山越環境改善部長 都が設置しております常時監視測定局による大気監視に加えまして、発電所周辺でのモニタリングを実施して、大気環境の監視を強化していく予定でございます。
○野上委員 ありがとうございました。東京都が観測というか調査をしていただいた数値については、非常に都民の皆さんも信頼をして、安心して暮らせるよ、というふうにも伺っています。市区町村の発表する数値はもちろんですけれども、東京都が発している広報であるとか測定値については非常に皆さん興味を持っていて、もちろん震災後は特に関心を持っておられるようです。
ぜひとも定期的に、東京都独自で周辺のモニタリングを継続して行っていただき、その数値については広くお知らせできるような体制を整えていただきたいと思います。
今回、特例措置ということですので、六カ月の期間に限ってこの数値基準を認めておりますが、その後についてはどのような対応をしていくのか伺います。
○山越環境改善部長 今回の措置は、この夏の電力不足に対する緊急的な措置が必要なため、特例的に認めたものでございます。ただ現時点では、中長期的な電力需給が明らかではなく、今回設置される発電機を半年後に使用するかどうかについては明らかにされておりません。
期限満了後におけます発電機の運転の必要性があるかどうかにつきましては、まず東京電力が判断するものでございます。
都といたしましては、東京電力の判断や、その時点での需給状況などを踏まえまして対応してまいります。
○野上委員 最後になりましたけれども、このガスタービンの設置に関しての東京電力からの広報を見ますと、運転時間については、部長がおっしゃったように、電力の需給が逼迫した時間に限定して運転すると。そして設置期間については、東京電力の供給力が確保されて需給が緩和した段階で、設備の休止、撤去を検討していくということなので、うがったいい方をすると、東京電力主導で、これから六カ月に限らず、震災ですから、もしかしたら長期的にこのガスタービン発電機を運転しなくちゃならないという状況も一方では想定しなくてはいけない状況だと思っています。
ですので、先ほど冒頭にも申し上げました、こちらのガスタービン設備の稼働は稼働として、もちろん大気汚染の状況についてはモニタリングをしていただくと。一方では、この補正でも計上されております新たな再生可能エネルギーや、代替の、ほかにかわるようなエネルギーについても東京都が提言をできるように、あるいは少しずつスイッチできるような環境を整えていくためにも、ぜひともご尽力いただきたいと思います。
以上で私からの質問を終わります。
○高橋委員 報告事項、電力対策緊急プログラムについてお尋ねいたします。
私は、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの開催都市決定に向けた招致活動で、議員団の一員として、二〇〇九年九月末から十月にかけて、デンマークの首都コペンハーゲンを訪問いたしました。
その際、印象的だったのは、海岸から二キロから三キロメートルの浅瀬にどこまでも続く、風車の姿でありました。これはミドルグリン風力発電所で、合計発電量は四十メガワットと、コペンハーゲンで消費される電力の三%を供給する、デンマークの象徴的な施設でありました。
我が国でも、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及拡大は重要であり、都としても中長期的な視点を持ってしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。
しかし、石原知事の最近の発言にもあるとおり、ここ数年続くことが確実な、大幅な電力不足に対応するには、再生可能エネルギーの導入だけでは力不足であり、当面は火力発電所に依存せざるを得ない状況にあります。
そこでまずは、今夏に向けた東京電力の、首都圏における電力供給の見通しについてお伺いいたします。
○紺野環境政策部長 今夏の東京電力管内の電力の最大想定需要六千万キロワットに対しまして、七月末時点の供給見込みは五千三百八十万キロワットと、いまだ六百二十万キロワットの供給力が不足しております。
東京電力は、電力需要が増大する七月に向けて、被災した火力発電所の復旧など、電力供給力の確保に取り組んでいるところでございます。
一方、供給力の上積みには、老朽化した火力発電所の再稼働や、仮設の発電設備等が含まれておりまして、不安定な状況にあるのも事実でございます。
したがいまして、首都圏における大幅な電力不足の状態は解消されておりませんで、引き続き、事業者、都民による徹底した節電、省エネが必要な状況にあると認識しております。
○高橋委員 東京電力の供給力がいまだ不安定であることはわかりました。
東京電力は、老朽化した火力発電所の再稼働等を行っているとのことでありますが、古い設備であればあるほど発電効率が低く、環境性能も悪いと想定されることから、気候変動対策などの環境対策にいち早く取り組んできた都としては、しっかりと注視していく必要があると考えます。
そこで都として、今夏の電力供給力の増大に向けた動きをどのように評価し、今後どのように誘導しようとしているのか伺います。
○紺野環境政策部長 東京電力は、石炭や石油を燃料とした火力発電所の再稼働等を行っておりまして、CO2二酸化炭素や、窒素酸化物等の排出量の一時的な増加が避けられない状況にあります。今夏の大幅な電力不足を補うためには、こうした効率の悪い発電設備に頼ることも、緊急避難的な措置としてやむを得ないものと考えております。
しかし一方で、できる限り早期に、天然ガス発電など、同じ火力発電であっても、より低炭素かつクリーンで高効率な発電設備への更新を促していくことが重要と認識しております。
○高橋委員 火力発電の中でも、天然ガス発電の導入が望ましいとのことでありますが、実際に天然ガス発電は、石炭や石油など他の火力発電に比べ、どの程度環境性能がよいのか伺います。
○紺野環境政策部長 東京電力によりますと、使用電力量一キロワット時当たりのCO2排出量は、石炭火力の約千グラムに対して、最新鋭の天然ガス火力が五百二十グラムと約半分でありまして、より低炭素型となっております。
また、二〇〇九年度における東京電力の火力発電の熱効率の平均は約四七%でございますが、最も効率のよい天然ガス発電の熱効率は約六〇%となっております。
このように、最新鋭の天然ガス火力発電は、活用できる火力発電の中では最も高効率ということができると考えております。
○高橋委員 天然ガス発電も確かに一つの有力な選択肢であると思いますが、もう一つの手段として、東京電力からの受電にのみ依存するのではなく、エネルギーの地産地消を目指すこと、つまり東京におけるエネルギー源の自立化、分散化を進め、万が一の災害時にも、災害対策の拠点となる公共施設やライフライン機能が活動を停止することのないよう取り組みを進めていくことが重要と考えます。
そこで、どのような取り組みによって、エネルギー源の自立化、分散化を進めていくのか伺います。
○紺野環境政策部長 非常災害時におきましても、都民生活の安全・安心を守り、東京の旺盛な経済活動を維持するためには、医療機関等の人の生命にかかわる施設や、上下水道、コンテナふ頭などのライフライン施設が確実に事業を継続できるようにすることが必要であります。
そこで、都はこうした施設が保有している自家発電設備の優先使用を進めるとともに、自家発電やコージェネレーション設備の導入を支援するなど、自立、分散型エネルギー源の確保を進めてまいります。
また、家庭や中小事業者等に対しましては、太陽光発電等の再生可能エネルギーや、高効率のコージェネレーション機器、自家発電機の導入等による電力確保を支援してまいります。
こうした取り組みによりまして災害時におけるリスク分散を図り、低炭素・高度防災都市づくりを進めてまいります。
○高橋委員 ぜひとも、ライフライン機能を担う都有施設等だけでなく、民間の施設や家庭に対しても支援を行っていただきたいと思います。
自立、分散型エネルギー源の確保など、新たな取り組みを進めていくためには、東京におけるエネルギー問題全般を包含する政策が必要だと思います。
先日の我が党の代表質問では、エネルギー問題の専管組織を設置して全庁を挙げて取り組んでいくことを求めましたが、今後、どのようにして実効性ある政策を検討していくのか、局長に伺います。
○大野環境局長 東京都は、二〇〇六年の十二月に「十年後の東京」をつくりまして、その中で、二〇二〇年までに、二〇〇〇年比で二五%のCO2を削減するという目標を立てました。これを実現するために、キャップ・アンド・トレードでありますとか建築物環境計画書制度等、いろいろな制度を実現してまいりました。
この制度をつくる過程で、エネルギー問題の専門家でありますとか、先駆的に取り組む企業、あるいは環境NGO、そういう方たちといろいろなネットワークをつくってまいりました。このネットワークの中には、我が国におけるエネルギー分野での先端的な知見が集まっているといってもいいと思っています。
来月上旬には、環境審議会に、新たな環境エネルギー政策の構築に関して諮問をする予定でございまして、その中で検討を開始していきます。今後のこの検討の中でも、今まで培ってきたさまざまな専門的なノウハウを持つ人々の力を結集してまいりたいと思っております。
同時に、これまで全庁を挙げて温暖化対策、省エネ対策を進めてまいりましたので、都庁の中でも、都市づくりでありますとか都市施設の運営にかかわる部局の中で、相当いろいろな実践的なノウハウが蓄積されてきております。今後、都庁の外、中のいろいろなノウハウを結集しまして、エネルギー供給の確保と低炭素化を両立する新しい環境エネルギー政策の構築に努め、ことしの末に「二〇二〇年の東京」という新しい都市戦略をつくることになっておりますので、その中に反映してまいりたいと思っております。
○高橋委員 電力危機はこの夏だけの問題ではなく、当面続くことは避けられないと思います。
国は、企業や国民に対し節電の数値目標を示すのみで、具体性を持って対応策を示していないばかりか、日本の産業を支えるエネルギー問題の今後の方向性について明確な戦略を打ち出すことができていません。もはや、国の動きを待ってはいられません。
こうした状況の中、都に求められるのは、基本理念や、都、都民の責務など、枠組みを示すだけの条例を定めることではないはずであります。
都は、今夏の電力危機を乗り切るだけでなく、当面続く電力供給不足に対し確実に対応しながら、中長期的な視点を持って東京発の新たな環境エネルギー戦略をしっかりと取りまとめ、積極的に展開していくことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十九分休憩
午後三時五十五分開議
○橘委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○木内委員 今回の大震災に伴うこの電力危機というのは、首都圏における電力供給体制や、電力に過度に依存した社会の脆弱性というものを浮き彫りにしたと、こういうふうに私は実感しています。
首都圏への電気供給を担う東京電力では、管内の運転可能な火力発電所において最大限の電力供給を行うとともに、緊急対策として、老朽化した火力発電所の再稼働やあるいは火力発電所内へのガスタービン発電機等の設置、運転を進めて、電力供給能力の増強に、今、取り組んでいるわけであります。
もう、きょうのお二方の質疑の中でも明らかになっているわけでありますけれども、その結果、七月末時点の供給力は五千三百八十万キロワットを見込んでいるわけですけれども、この中には、都内の大井火力発電所への発電設備の設置分も含まれていることから、この夏の電力不足問題を取り上げるに当たっては、まず、大井火力発電所への発電設備の導入に係る専決処分による環境確保条例改正についてお尋ねをしたいと思うんです。今までのお二人、基本的なことでしたけれども、触れておられなかったものですから、あえてここで伺うわけであります。
大井火力発電所には、タイからの無償貸与などによりまして二基のガスタービン発電機が緊急的に設置されるため、東京都は専決処分によりまして環境確保条例を改正し、特例措置の規定を設けた、こう理解しております。そして東電からの申し出を認め、設置工事が進んでいる状況とのことであります。
何度もいうように、基本的なことでありますけれども、まず、本来遵守されるべき環境確保条例の規制基準を改正することの必要性と、また改正の内容についてお尋ねします。
○山越環境改善部長 今回、緊急に設置がなされておりますガスタービン発電機の排出ガスにつきましては、大気汚染防止法の窒素酸化物の排出基準七〇ppmには適合しておりますが、大気汚染防止法第四条に基づき環境確保条例で定めている、窒素酸化物のより厳しい排出基準一〇ppmには適合しておりません。
本来は排ガス処理装置の設置などの対策が必要でございますが、そうした場合は、この夏の電力確保という緊急の課題への対応が困難という状況でございました。
そのため、条例改正によりまして、今回のような非常災害、その他やむを得ない特段の事情があると認める場合に限りまして、期間を限定して、条例の上乗せ基準の適用を除外する特例措置の規定を設けたものでございます。
今回の東京電力のガスタービンにつきましては、期間は六カ月で、排出基準は七〇ppmとしているところでございます。
○木内委員 もう一つ、基本的なことです。
屋上屋を重ねるようですけれども、条例とか報告事項の審議というのは基本的なことも大事でして、条例改正が行われたり、法の施行があるときには、議会の議論で、その条例改正の背景をとどめておかなくてはならないわけであります、記録に。また、議会の議論を踏まえて、条例等の実施、施行ということもあるわけでありますので、もう一つ基本的なことを聞かせてください。
つまり、大気汚染防止法より厳しい基準を設けている環境確保条例を改正しないと設置できない、こういうふうに理解されるわけでありますけれども、そこで、知事が認める緊急な場合に設置ができるように条例を改正したということはよくわかりましたが、さて、それではなぜ専決で行う必要があったのか、ご報告願います。
○山越環境改善部長 ガスタービン発電機を緊急的に設置し七月に稼働するためには、設置場所の基礎工事や発電機の設置工事などの期間を考慮すると、四月下旬に基礎工事に着手することが必要でございました。
工事着手前に必要となる電気事業法などの手続の際には、窒素酸化物の排出基準への適合が必要条件となっていることから、これを満たすには、今回の条例改正について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかでございました。
そこで、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分を行い、平成二十三年四月二十一日に公布したものでございます。
○木内委員 ガスタービン発電機を緊急的に設置して、七月に稼働させる。そのためには、基礎工事や設置工事等の期間を考慮しなければいけない。そうすると、四月の下旬に基礎工事に着手することが必要である。したがって、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであったので専決処分としたと。こういうふうに理解をいたします。今回の大震災という緊急的な状況に迅速に対応したものであって、東京都がそのように判断したことを、私は評価させていただきます。
一方で、大井火力発電所に設置される二基のガスタービン発電機は約二十一万キロワットとなっておりまして、この規模になりますと、環境アセスの対象になるものと思うのであります。
そこで、この火力発電所の増強に関するアセス手続についてお尋ねします。
○和賀井都市地球環境部長 環境影響評価法では、十五万キロワット以上出力する火力発電所の設置をアセスの対象としておりますが、今回、東日本大震災を受けまして、国は四月四日に、東京電力が行います発電設備の増強を災害復旧事業として位置づけ、法アセスの適用除外とすることを決定しております。
この適用除外の要件は、既存の東京電力の発電所の敷地内であること、東京電力の復旧計画に定められる事業であること、発災の日から三年程度以内に供用開始する事業であることとされております。
東京都では国の決定を踏まえまして、環境への配慮の観点から、東京電力に対し、関係区や住民への説明、関係環境法令により求められる環境保全の措置の実施、適切なモニタリングの実施とその報告を行うよう文書で要請を行っております。
東京電力では、これを受けまして、既に関係区への説明を行うとともに、六月十一日に地元で住民説明会を開催し、百十三名の参加者があったとの報告を受けてございます。
今後とも引き続き、東京電力が環境に配慮した復旧事業を実施していくよう注視してまいります。
○木内委員 環境アセスの手続に関連した諸事業、説明会等をおやりになったと。東京電力のこうした説明会の開催等の経過がこれまであったわけでありますけれども、きょうの議論で大事なのは、形式的にこれを行ってよしとするのではなくて、できるだけきめ細かく、住民や地域関係者の方々の理解と納得を得られるように、丁寧なこうしたアセスメントを行うべきである。このことを、きょう私は強く申し上げたいと思います。
やはり、通常の環境アセスメントの手続がもし行われないと、付近住民の方々には、大気環境への影響やあるいは騒音を心配する声もあると聞いております。結果的には六カ月間基準が緩和されることになるわけですけれども、環境への影響についてはどういう認識を持っておられますか。
○山越環境改善部長 まず、大気環境への影響につきましては、設置予定のガスタービン発電機二基が電力需要の大きい七月から九月に一日十二時間稼働した場合を想定し、シミュレーションを行いました。
この想定により大気中に放出される窒素酸化物は三百四十二トンと推計されますが、この排出量は、一年間に都内で発生する窒素酸化物総量の約〇・六%に相当するものでございます。
シミュレーション結果から見ましても、稼働する七月から九月の発電所近傍における二酸化窒素濃度の増加分は一日平均にするとごくわずかでありまして、都内の二酸化窒素の環境基準達成率には影響しないと想定してございます。
また、騒音につきましては防音壁を設置するとともに、稼働中も基準を遵守し、原則として夜間は運転を行わないなどの対策を実施すると聞いております。
○木内委員 私のもとにも関係地域の方からのさまざまな不安の声がありますし、また、品川区選出の伊藤興一議員、公明党の議員でありますが、この人のもとにも、主に地元の方からのさまざまな不安、心配の声が届いていることもお伝えしたいと思います。特に高齢者の方を中心に心配の声があるようであります。
今の答弁によれば、大気環境への影響はほとんどなく、騒音対策も行われるということでありました。さらに万全を期すためには、都としても何らかの対応が必要と私は考えるわけでありまして、先ほどの野上副委員長の質疑の中でも若干触れられておりましたけれども、この点についての見通しをお聞きします。
○山越環境改善部長 都といたしましては、まず東京電力に対しまして、運転は必要最小限とすること、騒音及び排出ガスの測定や定期的な報告、敷地境界でのモニタリングなどを行うこと、さらには窒素酸化物の低減化のための対策の実施を指導してございます。
なお、東京電力は、この内容について対応する準備を進めているところでございます。
また、都が設置しております常時監視測定局による大気監視に加え、近傍に臨時的な測定場所を設けまして、発電所でのガスタービン発電機の、稼働前と稼働中のモニタリングを実施し、周辺の大気環境の監視を強化していく予定でございます。
○木内委員 今いわれた常時監視測定局による大気監視や、あるいは発電所周辺でのモニタリングの実施等という答弁があったんですが、大気環境の監視について、ぜひこういう結果についても、ホームページだけでなく、ほかの手法も駆使しながら、地域や関係者にこれが周知されるように、検討、工夫、ご努力をいただきたい。このことをまず求めておきたいと思います。
今の答弁の中で、運転は必要最小限とすること、こういうふうにありましたが、具体的にはどういう内容を意味しますか。運転は必要最小限ということは。
○山越環境改善部長 今回新設される二基のガスタービン発電機は、東京電力がピーク時の電力供給の不足を補うために設置するものでございます。
東京電力からは、当日の最大消費電力の予測に対しまして供給力が十分である場合は、終日運転しないと。また供給力が不足する場合であっても、供給力の不足する時間帯のみ運転するなど、需給状況に応じた最小限の運転を行うとの報告を受けております。
○木内委員 これ、確認ですから答弁は要らないですが、今の答弁の中で、当日の最大消費電力の予測に対して供給力が十分である場合には終日運転しないと答弁があった。ということは、朝の判断で、その日稼働するかどうかを決めるというふうに認識しました。間違いがあればご答弁いただきたいし、なければ答弁は不要です--はい。
それからあと、設置の条件として六カ月の期限、これはさっき質疑がありましたので割愛させていただきます。丸い卵も切りようで四角で、いい方によっては幾らでも質疑できるんだけれど、内容が同じですからやめます。
いずれにしても、今後も引き続き、地域住民に対してきめ細やかな対応を行うことを強く要請しておきたいと思います。
さて次に、さきの代表質問でも取り上げたんですけれども、この夏の電力危機に対応するためには、都は、キャップ・アンド・トレードや地球温暖化対策報告書制度など、これまでの気候変動対策のノウハウというものが蓄積されておりますので、これを生かして、企業や家庭などすべての当事者がこの夏に求められる一五%の節電を達成できるよう積極的に支援をしていくということ、そして分散型電源と再生可能エネルギーへの転換を図っていくことが必要であると、こう思います。
そこでまず、都や区市町村に積極的な役割が期待される、家庭の節電対策についてお尋ねするわけですけれども、まず節電アドバイザーの役割です。
東京都内の電力消費の約三割は、一般の家庭です。家庭における節電の取り組みはこの意味で非常に重要でありまして、国の方針では、家庭に対しては節電を具体化させていくための方策がなかなか見えてきません。その点では、石原知事も私どももよくいうんですけれども、東京都政というのは現場を持っている強みがあると。これがよく口の端に上るわけでありますけれども、都の取り組みが非常に重要であると、こう考えているわけであります。
今回の電力対策緊急プログラムでは、三千人の節電アドバイザーを育成して百万世帯の家庭に訪問をしていただくと。ちなみに百万世帯というのは、都内で六百万世帯のうちの百万世帯でありますから、これは実は大変な分量になるわけであります。この家庭に訪問をさせて、具体的な節電のアドバイスを行うという事業が盛り込まれておりまして、フェース・ツー・フェースといいますか、顔を合わせながら、節電の指導、アドバイスができるという点で大変期待をしているんであります。
どういう人がなるのかと思っていろいろお聞きしてみると、東京都家庭の節電アドバイザー事業についてという、こういう資料がありますけれども、例えば生活協同組合の方、あるいは東京ガスに働く方、東京電力の方、検針やいろいろな訪問の機会の多い、一般家庭を歩く方、こうした方々を中心に育成をして、お願いをすると。
問題は、これをどう実効性ある取り組みにするかということが大事でありまして、いろいろ勉強してみたんです。勉強したんです、そんな難しい勉強じゃないんですが。
それで、この節電アドバイザーの方が百万世帯の家を回るときに、これをツールにして回るという資料があるんです。委員長にお許しをいただいて、これをお配りさせていただきますので、委員の皆様にもご理解いただければと思います。(資料を配る)私はこれを見て、よくできてるなと思ったんです。東ガスや東電の検針の方や何かが家庭を訪問して、そうしてこれを中心にしていろんなアドバイス、話をするそうなんです。
例えば、まず一ページ目の一番上は、この夏の電力需給の状況について、平日の朝九時から夜八時までの長い時間帯で電力が不足すると。特に午後二時ごろが、首都圏の電気使用のピークであること。これを一ページ目で見やすく説明しているんです。
二ページ目に行きますと、そのため家庭では、この時間帯での家電製品の使い方を見直すことが必要ですよと、その方法を二ページ下半分に説明しているんです。いわゆる、減らす、ずらす、切りかえる。
三ページ目からの見開きでは、さらにそれを具体化して、個々の家電製品の節電対策が示してあるんです。
例えば左上の、リビング・居室では、エアコンの室温を過度に下げることなく、二十八度Cを心がけることで約一〇%の電力削減になる。また、なるべくリモコンじゃなくて本体の主電源を切ることが大事なんですよと。またサニタリーについても同じように出ておりまして、ドライヤーや掃除機など電気消費の大きい製品の使用は、朝九時から夜八時の時間帯を避けるのがよいですと。キッチンでは冷蔵庫の温度設定を強から中に変える、ちょっとした細かなこういう対応で電力削減ができるんだと。
五ページ目、家庭にある代表的な家電製品の消費電力の目安も示すとともに、消費電力の大きい家電製品は、さっきいった時間帯を避けて使うようにしてくださいなどなど、ぜひこうしてみたらどうでしょうかという、節電アドバイザーのツールなんです、これが。
私はこれを見て、はっきりいって人海作戦だと。これは効果があると。千里の道も一歩からですから、一人のアドバイザーが一軒の家に行って、これを三千人で一生懸命力を合わせて百万軒やる。これは大きな社会的効果がある、このように判断いたしたわけであります。
長々となりましたけれども、そこで、きょうの質問のポイントの一つであります。これは実効性のある取り組みにしたいと思うんです。私は一点提案したいんです。三千人の育成は大変だと思いますけれども、少しでも早く、また一軒でも多くの家庭に節電アドバイザーが訪問できるように、アドバイザーの数をさらにふやすべきと考えるのですが、所見を伺います。
○和賀井都市地球環境部長 ご指摘のとおり、直接ご家庭に出向きましてパンフレットにあるとおりの個別具体的な節電指導を行うことは、大変効果的で有意義なものだと考えております。
緊急プログラムでは、百万世帯の家庭を訪問する節電アドバイザー事業を開始するとしておりますが、この事業をより多くのご家庭に利用していただき、効果的な節電対策を促進していくため、節電アドバイザーの増員を図ってまいります。
この取り組みを通じ、家庭での節電対策はもとより、将来的なCO2削減にも実効あるものとしてまいります。
○木内委員 提案を踏まえてアドバイザーの増員を図っていくということでありますので、鋭意進めていただきたいと思います。どのぐらいの規模でふやすのか、具体的にどういう配置になるのか等については、きょうの段階ではお尋ねしませんのでご努力をお願いしたいと思います。
同じく、関連してでありますが、節電アクション月間というのを設けておられる。学校の児童生徒を対象にした節電アクション月間の実施についてお尋ねするわけでありますけれども、このプログラムでは、公立小中高、特別支援学校の児童生徒約百万人を対象とした節電教育を通じて家庭への啓発を行うと、こういうふうにしているわけでありますが、よく考えてみると、私立や国立の学校については言及されていません。
子どものころから、省エネ、節電の重要性を体験できる環境教育は極めて重要でありまして、この場合、教育の現場ということでとらえれば、公立、私立の分け隔てなく、都内の学校に通う児童生徒すべてに教材が行き渡るような、またそこで教育が行われるような配慮が必要と考えるわけであります。
そこで、本アクション月間は、私立や国立学校に対してもぜひ実施すべきことを提案したいと思うのですが、見解を伺います。
○紺野環境政策部長 節電アクション月間は、児童や生徒が節電への意識と意欲を高め、節電のための具体的な行動を理解、実践するために、極めて有効な施策であると考えております。
今回策定したプログラムでは、東京都教育委員会が都内区市町村の公立の小中学校や都立高校、特別支援学校の児童生徒約百万人を対象として行う取り組みを示したところでございます。
一方、都内の私立、国立学校に通う児童生徒は四十万人を超えていることから、ご指摘のとおり、都としても公立学校と同様の対応が必要と認識しているところでございます。
このため都は、私立、国立学校に対しましてもチェックシートやポスター等を用意いたしまして、七月早々にも配布を終える予定で準備を進めてまいります。
○木内委員 前向きの答弁を了としたいと思います。
家庭における節電対策はややもすれば、一方的、一方通行の広報や普及啓発になりがちでありますけれども、節電アドバイザーやアクション月間といった新たな取り組みが実際の節電行動に結びつくという実践的なプログラムとなるよう、積極的に展開されることを強く求めておきたいと思います。
次に、再生可能エネルギーについてであります。
この普及拡大について、東京都は平成二十一年度から二年間、太陽光発電設備に対する補助制度を導入して、大いに成果を上げてきております。そして、このたびの電力対策緊急プログラムでは、家庭における分散型電源の確保という観点から、太陽光発電システムなど創エネルギー機器等の導入補助を新たに導入することとしております。太陽光発電システムについては、六月二十一日から受け付けを開始したと聞いています。
そこでまずは、都のこれまでの再エネ普及拡大に向けた取り組みと、その経過、成果について伺います。
○和賀井都市地球環境部長 過去二年間の住宅用太陽エネルギー導入に対します集中的な補助事業や、大規模建築物の新築、増築における再エネ導入検討の義務化、キャップ・アンド・トレードにおける再エネクレジットの導入など、さまざまな取り組みを実施してきたところでございます。
その結果として、住宅用太陽光発電につきましては都内の市場を五倍以上に拡大し、二年間で約二万件、六万キロワット以上の発電能力を生み出すとともに、国の補助制度の復活や固定価格買い取り制度の導入を誘導し、全国的な市場拡大にも貢献してきたと思っております。
また、キャップ・アンド・トレードの導入に伴い、削減義務の対象となる大規模業務ビルへの設置や、羽田空港ターミナルにおけますメガワットソーラーの設置、さらにはスカイツリー建設に伴います地中熱ヒートポンプの導入など、再生可能エネルギーの都内における先進的な事例も生み出されてきたところでございます。
○木内委員 こうした取り組みによって、大きな成果が上がっていることが明らかになったわけでありますけれども、東京都は二〇〇六年三月策定の東京都再生可能エネルギー戦略において、再エネの導入目標として、二〇二〇年に二〇%という高い目標を掲げています。この目標に対する現在の進捗状況をご報告願います。
○和賀井都市地球環境部長 再生可能エネルギー戦略策定時点と比較しまして、大きな傾向といたしましては、集中的な補助事業の効果により太陽光が大きく伸びている一方で、ごみの減量によりまして廃棄物由来のバイオマス発電が減少傾向にございます。
一方で、キャップ・アンド・トレードの効果によりまして、グリーン電力証書の導入が相当進んでいるとも推測されるところでございます。
このように、一部、詳細が判明していないために、現時点ではトータルの進捗率といった数値をお示しできる状況にはございませんが、再生可能エネルギーが今後新たな環境エネルギー政策の柱ともなる重要性を踏まえまして、政策として反映します「二〇二〇年の東京」が策定される年末までに、導入状況の捕捉に努めてまいります。
○木内委員 年末までに導入状況の捕捉に努めるということですから、答弁を了としたいと思います。震災を機にこうした時期の設定になった、こういうふうに思うわけであります。
現状については理解できましたが、ぜひ、導入状況の捕捉に努めることには、もう真剣な取り組みをお願いしたいし、今回の電力緊急対策プログラムでは、再エネのさらなる普及拡大に積極的に取り組んでいくことが必要だと思いますが、この点について答弁願います。
○和賀井都市地球環境部長 再生可能エネルギーは、温暖化対策とともに電力確保にも大きく寄与するため、今回の電力緊急対策プログラムでも、太陽エネルギー利用機器を中心に百四十億円に上ります大規模な補助事業を予定してございます。
この補助事業によりまして、これまでの実績とあわせ、今後二年間で、家庭における二十万キロワットを超える電力の確保という高い目標を掲げているところでございます。
○木内委員 今回の補助事業で、対象メニューとして家庭用蓄電池も盛り込まれていますけれども、家庭用蓄電池は、太陽光発電と組み合わせることで夜間も電力を活用することが可能になるなど、再生可能エネルギーの活用可能性を広げることにも資する、こう考えられるんです。
きょうのポイントの三点目。今回の補助事業では複数の対象メニューが用意されておりまして、その中から一つ選択して補助を受けるのが通常のパターンだと思われるんです。例えば、補正予算額というこの表があるんですが、家庭における創エネルギー機器等の導入促進。区分として、太陽光発電システム、次に太陽熱利用システム、ガス発電給湯器、燃料電池、家庭用蓄電池、補正予算額百四十一億。ざっと見るだけで五区分あるわけであります。
それで、申し上げたように、今回の補助事業では複数の対象メニューが用意されていて、繰り返しになりますが、その中から一つ選択して補助を受けるのが通常のパターンと思われるんですけれども、太陽光と蓄電池という、申し上げたような、相乗効果といいますか、抱き合わせ、組み合わせで、効果の発揮できるようなケースも実は多々あるわけでありまして、あるいは全く別の用途であっても、二つを導入ということもあるかもしれない。
したがって、太陽光と蓄電池のような、メニューにある機器を複数導入する場合には重複して補助を受けられるようにすること、これを提案したいんですが、どうでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 今回の補助事業では、対象メニューごとに補助単価を整理しまして、その発電規模等に応じて補助金を支出する予定にしてございます。
対象メニューにあります機器を複数導入する場合でも、そのメニューごとに補助金を支出することになりますため、結果として補助が重複することも可能でございます。
○木内委員 今までもそうであったかのような表現だったと思いますが、実は実態としてそういう印象を与えていないですから、きょうの答弁を新たな理解の第一歩として、複数導入希望の場合には対応可能であるという認識のもとに新しい周知徹底をされるよう、強く要望しておきたいと思います。
複数のメニューを組み合わせることで重複して補助を受けられるようになれば、補助の効果が一層高まることがよくわかりました。太陽光発電については、受け付けを開始してちょうど一週間たったところでもありますし、相当問い合わせも今あると聞いています。聞くところによると、数百件とか千件とか千件以上とかいうふうに聞いているわけでありますけれども、太陽光の補助を受けた方が、他の機器の補助は受けられないと思ってしまうことなどのないように、重複して補助を受けることで、電力対策の効果が一層高まることを積極的に周知をされたい。しこうして、再生可能エネルギー等の一層の導入促進につなげていただくようお願いをしたいと思うんです。
再生可能エネルギーについては本会議においても、太陽光発電や風力発電など、いろいろな視点から質疑が行われましたけれども、私は、きょうのこの環境・建設委員会における質疑も非常に重要だったと思うんです。今申し上げた補助の併用、あるいは私立、国立学校に対する教材の配布、あるいは節電アドバイザーの動員など、具体的にきょうの議論から、事業が展開、拡大していくこともこのようにあるわけでありますから、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいし、私からは最後に、再生可能エネルギーの一層の導入促進に向けた局長の感懐を伺いたいと思います。
○大野環境局長 再生可能エネルギーについては最近非常に関心が高まっておりまして、毎日、新聞を見ても必ず、どこかの会社が新規に導入したとか、あるいはいろんな新製品の広告のようなものがあるわけでございます。
東京都が再生可能エネルギーの導入を本格的に開始いたしましたのは、先ほどもお話がありました二〇〇六年の東京都再生可能エネルギー戦略を策定してからでありました。もう五年前になるわけですが、思い返してみると、現在と全く状況が違いました。
あのとき、国はそれまで続けていた太陽光発電の補助制度を中止するというふうな方向になっておりまして、それまで、かなり世界でもトップレベルを行っていた太陽光発電のマーケットが、国内で非常に縮小するという状況がございました。
こうした状況を受けて、これではいけないと我々も認識はしましたし、我々だけではなくて、例えばシャープさんとか京セラさんというような太陽光発電のメーカーさん、それから積水さんとか幾つかの住宅メーカーさん、一緒に力を合わせて、東京から太陽光発電の後退を食いとめていこうというふうな議論になりまして、それで二〇〇七年の初めに、太陽エネルギー利用拡大会議というものを開始いたしました。
ここでの議論がベースになりまして、どんなふうに進めていくかという議論を踏まえ、先ほどから話が出ています、二〇〇九年、二〇一〇年の補助制度、環境価値の譲渡のかわりに補助をするという、こういう制度を開始したわけでございます。そのことについては、先ほど都市地球環境部長からご答弁申し上げたものでございます。
その後、震災後、現在の状況になっているわけでございますが、相当状況は変わってきたというふうに思っておりますけれども、まだまだ、特にヨーロッパなどに比べて一〇年おくれといわれている我が国の再生可能エネルギーの普及拡大への道筋が、これで整ったという状況にはないと思っております。
まず国に対しては、これはもう都からも、固定価格買い取り制度の導入を初めいろんな要望を出しておりますので、これを実現したいことが一つであります。
それから二つ目には、首都圏の取り組みも、今、非常に大事だと思っています。最近では神奈川県が非常に熱心な取り組みを始めております。それから川崎市は、もともと湾岸地域に大きな発電所があるものですから、そういうものを生かしましてバイオマスの発電所等に取り組んでいます。それから横浜市は、スマートグリッドとセットでの太陽光発電の普及に特に力を入れています。
それぞれいろんな取り組みをしておりますので、こういう首都圏の自治体ともネットワークを組んで、首都圏から再生可能エネルギーの普及に力を入れていきたいと思います。
何といっても、最後に、やっぱり東京都自身がこの分野で力を発揮することが必要と思っております。一つは、今回、補正を提案させていただきます予算をぜひ可決していただきまして、それに基づく、太陽光発電を初めとする補助事業を着実に実行していくというのが一つであります。
それから、もう一つ重要だと思っておりますのは太陽熱でございます。これは、国の方は、太陽光発電は都の取り組みも契機になってかなり力を入れてきたわけでございますが、一向に太陽熱の方になかなか力が入ってこないというのは、まだ変わっておりません。
もちろん太陽光発電も重要なわけでございますが、もう一方、太陽の熱をそのまま温水化する、あるいは暖房に使うというこの太陽熱は、非常に大きなポテンシャルを持っております。本当に、これを使わないことには、これ抜きには、例えば一千万戸レベルというような形での太陽エネルギーの利用は実現できないと思っておりますので、この太陽熱の利用ということについても、これはまた来月新しい取り組みを開始いたしますが、ぜひとも東京から、太陽熱についても新しいうねりをつくっていきたいと思っています。
三点目は風力でございます。風力は、東京都自身については二〇〇三年だったでしょうか、大都市部では日本で初めてということになるわけでございますが、東京臨海部に二本の風力発電機をつくりました。
ただ残念ながら、この前のご質疑にもございましたように、東京の中では、風力、風況がよい所はそんなにございません。やはり何といっても、日本で風力というと、北海道と東北でございます。ここが圧倒的に風況がよいと。
北海道と東北の、風況がよい所の風力発電と東京のエネルギー需要を結びつけるという、いわば地域間連携というものを考えまして、キャップ・アンド・トレードの導入と同時に、丸の内で一件実現したわけでございますが、残念ながらまだ続きが出ておりません。
ここをもう一回力を入れ直して、東京のエネルギー需要、電気需要を、東京以外の風況がよい所での風力発電の開発につなげていくという取り組みにも、改めて力を入れていきたいと思っています。
いろんな方法で力を尽くしまして、東京から再生可能エネルギー利用の大きな波をつくってまいりたいと、このように思っております。
○かち委員 それではまず、専決処分になりました大井火力発電における緊急対策について伺います。
東日本大震災福島第一原発事故によって、一時は六割まで東電の電力が落ちるという事態に見舞われ、東電の三割を利用している東京都においても、一部地域で計画停電に見舞われるという深刻な状況の中で、今回の特例措置をとるという対策がとられたわけです。
今回の電力不足の解決として、東京都で二十一万キロワットを新設するということですけれども、東電全体で不足しているのはどのぐらいかというのは先ほどご答弁がありましたが、六百二十万キロワットを生み出さなければいけないということで緊急対策がとられているわけですけれども、東京都大井発電所以外のところも含めて、全体としてどのような電力を生み出そうとしているのか、概要を伺います。
○紺野環境政策部長 今夏の電力の最大想定需要六千万キロワットに対しまして、七月末の供給見込みは五千三百八十万キロワットと、いまだ六百二十万キロワットの供給力が不足している状況でございます。
東京電力は、電力需要が増大する七月に向けて供給力の確保に取り組んでおりまして、大井火力発電所のガスタービン発電機二基の稼働も、このような取り組みの一環であります。東京電力によりますと、休止中の火力発電所の再稼働や新たなガスタービン発電機の設置などによりまして、八月末の供給力は五千四百八十万キロワットまで回復する見込みであると聞いております。
○かち委員 東京と同じように千葉、川崎などでも、火力発電所で緊急の火力発電を設置するというふうに聞いておりますけれども、それらの概要はわかりますか。
○山越環境改善部長 東京電力によりますと、川崎火力発電所については、LNGを燃料とする十二・八万キロワットのガスタービン発電機を本年八月に設置する予定であるとのことです。
また、千葉火力発電所につきましては、LNGを燃料とした三十三・四万キロワットのガスタービン発電機を、本年八月に二台、来年夏にもう一台設置する予定と聞いております。
○かち委員 十二・八万キロワット、三十三・四万キロワット、その他ということでした。私も東電に確認をしてみたんですけれども、こういう緊急のガスタービンなどを東京湾岸で七カ所に設置して、二百四万キロワットを創出する見込みだというふうに聞いております。
これらは大井火力発電所に設置するものと同じか、もっと効率の落ちるものということなんです。もちろん、ピーク時の対応ということではあるんですけれども、これらの稼働によって環境に与えるNOxやCO2などの大気汚染、環境問題を見過ごしにすることはできません。
資料を出していただきましたけれども、今回設置するものというのは大井火力発電の一号、二号で、十二・八万キロワット、八・一万キロワットですけれども、NOxの排出濃度は七〇ppm、五〇ppmということで、これを見ても、いかにも効率が悪いということがわかるわけです。
それに対して品川の火力発電というのは、ガスタービンですけれどもコンバインド方式ということで、これは効率がよいというふうに聞いております。それで排出濃度基準も一〇ppmですけれども、五ppmで済んでいるということです。
大井火力発電は都市ガスだと聞いていたんですが、ボイラー式ということで、排出濃度が九〇ppmのものもあるということで、決して環境的にはよいという状況ではないなというふうに思いました。
このような事態となって、緊急対策をとらなければならないということはわかるわけですけれども、二つのガスタービンは効率も悪いしNOxも大量に排出するものですので、大気汚染防止対策の視点から見ても、緊急的、短期ならやむを得ぬということもあるけれども、ずるずると引き延ばすようなことは認められないわけです。
その担保、保証はあるのかということなんですが、先ほど、今回の事態に対して、国の方で災害復旧緊急事業という位置づけのもとに対策をとったということで、おおむね三年程度というようなこともいわれました。
だとすると、最大三年までは行く可能性もあるのかなというふうに思うんですけれども、今回、この緩和措置をとるに当たって、東電側との間で協定書あるいは確認書などの交換というものはあったのでしょうか。
○山越環境改善部長 今回の措置は、この夏の電力不足に対する緊急的な措置として特例的に認めたものでございます。
先ほど、三年間というようなご指摘がありましたが、これはアセス法の適用の範囲の問題でございまして、我々が窒素酸化物の基準の適用除外をそこまで認めるという趣旨とは全く関係のないことでございます。
したがいまして、今回の窒素酸化物の基準の特例の適用期間につきましては、本年四月二十二日から十月二十一日までという期間限定で告示をしたものでございます。
ただ、先ほどもご答弁したとおり、その後の状況につきましては、現時点では、電力需給あるいは発電機の運転の必要性については不明であるという状況でございますので、中長期的な需給状況を明らかにされた上で、東京電力がまず判断するという部分はございます。
東京都といたしましては、東京電力の判断や、その時点での需給状況などを踏まえて対応していくことにしております。
○かち委員 いずれにしても、今の時点では、半年後の事態がどうなるのかというのは不明だということだったというふうに思うんです。
資料にあるように、大井火力発電所の現状は、ボイラー式でもNOx七〇から九〇ppmと高いわけですが、品川はガスタービンでコンバインド式とのことで、これは効率がよくて五ppmと大気環境にはすぐれているというわけですけれども、CO2の排出量は、先ほどのご答弁で、天然ガスなどの場合は石油に比べて半分ぐらいだというふうにお聞きしたんですけれども、このCO2の排出量を見ますと大井火力よりも品川の方が倍ぐらい多いというふうに読めるんですが、これはどういうことなのか。
それから、副知事も視察をされました世界一すぐれた技術といわれている品川のガスタービンコンバインド方式、これはコンバインドの中でもよりすぐれた方式だというふうに聞いておりますけれども、この発電所におけるCO2の排出量というのはどのようになっているのでしょうか。
○山本環境都市づくり担当部長 まず初めに、品川火力発電所と大井火力発電所の排出量の関係でございますが、品川火力発電所は、CO2排出量が、先ほどありましたように大井火力発電所の二倍となっております。しかし品川火力発電所は、お話がありましたように天然ガス発電を行っており、原油を燃料とする大井火力発電所よりエネルギー効率が高く、また電力一キロワットアワーをつくる際に排出するCO2の量も少ないことなどから、東京電力としては優先的に、発電を品川火力発電所で行っているものでございます。
したがいまして、NOxの点からもCO2の点からも、品川火力発電所は大井火力発電所に比べましてすぐれているものといえると思っております。
また、お尋ねのガスタービンでございますが、川崎天然ガス発電株式会社の施設ではないかと思われますが、同社のホームページによりますと、二〇〇九年度のCO2排出量としまして百三十七万トンというふうになってございます。
○かち委員 今のご説明で、川崎の排出量は百三十七万トンということですけれども、ここでの発電力は八十五万キロワットということですので、単純に割り返すと品川の次にCO2排出量が多いというふうになるわけですけれども、ガスを--生み出す効率が高いという意味で、そんなに使わないで済むというふうに解釈をすればよいのかなというふうにも思います。
今後、電力をどう確保するかという点では、先ほど来ありますように、地産地消、そして安全で防災にも強い電力をどうつくっていくかという点で、電力依存から切りかえていくということがどうしても今は求められていると思うんですけれども、すぐにはできない。そういう意味で、補完的な役割も果たすものではないかなというふうにも思います。
先ほどからいわれておりますように、期間中に窒素酸化物の低減化を、できるだけ短時間の運転で周辺の環境対策をとるというような要請をしているということではありますけれども、六カ月以上延長するということは認められないということをきちんと伝えていただきたい。そうしないと、ずるずるとまた延長される危険があるということで、そのことを申し上げておきます。(発言する者あり)対策をとるようにということです。
次に、電力対策緊急プログラムについて何点かお聞きします。
三・一一東日本大震災と福島原発事故により東電の電力不足が深刻な事態の中で、都としても電力対策緊急プログラムを策定し、緊急対策に取り組むことは重要です。東京産都市型電力によるエネルギー源の多様化、分散化に関連して何点かお聞きします。
補正予算の中でも、家庭における創エネルギー機器などの導入促進に当たって百四十一億円余りを補正につけて、太陽光発電の補助の再開を初め、いろいろメニューもふやしているわけですけれども、そこでお聞きします。
家庭や中小企業の分散型電源確保の支援策で、今後二年間で二十万キロワット以上を確保するとありますけれども、二十一年、二十二年の前回の制度では、目標を、太陽光発電の補助制度促進で百万キロワット以上確保するとありました。
これが前回のリーフレットであります。ここに、目指せ太陽エネルギー百万キロワット、住宅用太陽エネルギー利用機器の制度のご案内というふうに出ているわけですけれども、これをやってきて、今回また同じような対策になるわけですが、この結果はどうだったのか。また、目標を百万キロワットから二十万キロワットに引き下げた理由は何なのでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 都は、この二年間の集中的な補助事業の実施によりまして、都内の住宅用の太陽光市場を五倍以上に拡大し、六万キロワット以上の発電能力を生み出すとともに、この先駆的な取り組みにより国の補助制度の復活を誘導するなど、太陽光発電の全国的な普及拡大にも貢献してきたと考えております。
今お話の百万キロワットの目標でございますが、これは太陽光だけではなく、太陽エネルギー全体として、「十年後の東京」に掲げました二〇一六年を達成時期とするものでございまして、今回の緊急対策としての家庭における電力確保の目標とは全く別次元のものでございます。
○かち委員 全く別次元のものだとおっしゃいますけれど、これを見れば都民の皆さんは、百万キロワットつくるんだなと。住宅用太陽光の支援策ということで出ていますので……(「配らなくていいの」と呼ぶ者あり)配らなくてもいいんだけれど、こういうものが出ている以上は、やっぱり都の趣旨が伝わっていないというふうに思います。
それで、非常に伸びて六万キロワットになったよというお話でしたけれども、そもそも二〇〇六年に東京都再生可能エネルギー戦略を打ち立てたその当時、再生エネルギーは全体でも二・七%、その中での太陽光発電は一・八%という状況でしたから、そういう意味で伸びても当然だというふうに思うわけです。
確かに、前回は地球温暖化対策の一環での取り組みでした。しかし、再生エネルギーの創出で低炭素社会の構築という点では今現在も変わらないはずですし、太陽光発電の普及によってクリーンな電力を確保するという点では、同じ方向に向かっていると思うんです。
だから、今回もほとんど同じ条件で太陽光発電の補助制度を開始したという状況の中で、百万キロワットではなくて二十万キロワットを目指すということですけれども、前回は六万キロワットですから、これを倍にしても二十万キロワットには届かないわけです。そういう意味で、実行可能な目標にしたのかというふうに思います。
太陽光エネルギーの設置補助制度の、前回と今回の新たな制度の比較を出していただきました。これを見ますと、前回との違いは環境価値譲渡を条件としないということですけれども、具体的に、一戸当たりでそれをつけようとしたときにどれだけの負担軽減になるのか、あるいはメリットというのはどういうものでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 今回の補助は緊急的な電力対策を目的としておりまして、環境価値の譲渡を条件としないため、太陽光発電によります自家消費分を測定する総発電電力計の設置を要しないということになります。
なお、費用につきましては、工事費等もありますので、そのご家庭に応じましてケース・バイ・ケースということで、数万円程度の予算になるかというふうに思います。
○かち委員 要するに、総発電計の設置が不要ということで数万円程度は軽減されるということですが、そのことが、今度の制度でより発展するものになればよいというふうに期待はしたいところです。
住宅用太陽光発電は、昨年の事業仕分けの中で国の制度は引き下げられました。期限も年内ということで、現実的に補助制度条件がよくなっているとは思えません。今回の太陽光発電の補助対象目標は三万九千件ということですけれども、実現の可能性をどのように見込んでいるのでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 今回の電力危機によりまして、震災直後から、電源確保のための太陽光発電に関する都への問い合わせが殺到してございます。
また、補助単価が引き下げられながらも、国の補助制度の活用が昨年同時期と比較して大幅に伸びているということを踏まえまして、各家庭におけます太陽光発電の必要性はこれまで以上に高まっていると認識してございます。
このような状況を踏まえまして、今回の補助制度では、過去二年間の導入実績の約二倍程度の導入規模を見込んでいるところでございます。
○かち委員 前回は四万件に対して約半分という実績ですので、それを本当に飛躍的に伸ばしていく必要があると思うんですけれども、確かに災害時の自家発電の重要性や、原発に頼らない電力確保など、太陽光発電に対する関心や意識の高まり、機運があるということを私自身も感じています。
一方、経済環境は厳しい側面もあります。今回の危機を乗り切るための爆発的な普及を目指すという点において、もっと思い切った対策が必要だと思うんです。
住宅用太陽光発電の設置基数は、全国最多の愛知県でも、また八年連続で住宅用太陽光発電普及率トップの佐賀県でも、さらに神奈川、群馬県でも、普及のために昨年の予算の二倍あるいは四倍以上に補正を組んだりして意欲的に進めています。
四万件近く、前回の倍加を目指すのであれば、そのくらいの思い切った対策が必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 目標が低いのではないかというご指摘でございますけれども、再エネの導入は直線的に伸びていくというものではございませんで、普及のための条件整備が進めばコストも大幅に削減し、その後、飛躍的に導入が拡大するものというふうに考えてございます。その条件整備を進めるために、都は太陽光発電につきまして、これまで集中的な補助により大きな成果を生み出すとともに、キャップ・アンド・トレードの効果によりましてメガソーラーを初めとした大規模太陽光の導入事例が見られるなど、実効性の高い取り組みを実施してきたところでございます。
今回も、電力危機を踏まえました大規模な補助事業や、太陽熱利用の本格的な拡大に向けました新技術導入促進事業を実施しまして、普及のための条件整備を進めてまいります。
このように、都が市場拡大の先鞭をつけながら、国に対して必要な制度改正も求めていくことで、目標達成に向けた条件整備を着実に進め、再生可能エネルギーの一層の導入促進に取り組んでまいります。
○かち委員 今回だけじゃなく、前回もそうですね。補助対象を、戸建て、法人、マンション管理組合などとしていますけれども、前回の制度で戸建て以外の対象はそれぞれどのぐらいあったのか。もし少ないとすれば、その理由は何でしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 過去二年間の、戸建て以外の補助対象は約二千九百件程度と見込まれております。太陽光が、従来、戸建て住宅を主な導入対象としてきたにもかかわらず、一五%程度の割合を占めているところでございます。
さらに昨年、マンション環境性能表示に太陽光発電、太陽熱を評価項目として追加したことによりまして、もともと補助対象ではないのにもかかわらずディベロッパーへのインセンティブが働き、性能表示の対象となるマンションの約四分の一で、太陽光発電または太陽熱利用機器が導入されるなど、戸建て以外への普及も着実に進んでおります。
○かち委員 環境としては進んでいるよというお話でした。
国の中小企業への補助対象は、十キロワット以上の施設が対象であるけれども、小規模工場などで受けにくいという状況もあります。これらへの支援策も必要だと思いますけれども、いかがですか。
○和賀井都市地球環境部長 国の事業者向け補助は、全量買い取り制度への移行を前提といたしまして昨年度末に廃止されているかと思いますが、現状では全量買い取り制度への移行の見通しも立たず、補助金もないという状態が継続してございます。
このような状況も踏まえまして、これまでも本会議で局長が答弁しているとおり、何よりもまず全量買い取り制度が速やかに採算のとれる水準で開始されるよう、九都県市として国に対して要請を実施しているところでございます。
○かち委員 全量買い取り制度を制度化するということは非常に大きな意味を持つとは思いますけれども、だからできないというのではなくて、自治体としても対策をとるということも必要だというふうに思うんです。
戸建て以上に電力を使い、戸建て以上にスペースのある中小企業の自家発電装置という点でも、特別な位置づけが必要です。都として普及のための対策をとるように求めておきます。
福島原発事故以来、再生可能エネルギー、特に太陽エネルギーへの期待と技術革新の進歩は目覚ましいものがあります。
面積当たりの発電効率向上や、使用面積を抑え、発電効率を高める集光型太陽光発電などの研究も進んでいます。これに太陽追尾装置というものが併用されると、レンズに太陽光が真正面から当たるよう、パネルの傾斜と方角を動かして太陽の動きを追いかける仕組みになって、発電効率は約二倍。企業の駐車場や社員寮の庭などにも導入されていると聞いています。これなら日陰になる場所が固定されないというメリットもあります。今後、ショッピングセンターの駐車場などに設置し、電気自動車の充電などができるなど、可能性は広がっています。
都が今年度から補助を始める新築集合住宅への太陽熱利用についても、太陽光よりも熱効率が高く、太陽熱の熱変換率が一六%なのに対し四〇%、また設置面積が小さくて済み、屋根が狭い都市部の住宅には都合がよいというふうにソーラーシステム振興協会の方がおっしゃっています。既存の戸建て住宅、集合住宅への適用も今後進めていただきたいというふうに思います。
中小企業への支援で、自家発電設備費用の助成も重要ですけれども、中小企業が省エネに取り組むことも、節電と環境対策、CO2削減の取り組みとの関係でも重要です。
ある通信機メーカーでは、空調機や照明器具を高効率な最新型に交換したところ、月の電力使用量は導入前に比べて平均一八%減、料金も前年度比一五%の削減に結びついたといっていました。
この間、取り組んできた中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出プロジェクトの実施状況を資料に出していただきました。この現況を、局としてはどのように評価していますか。
○山本環境都市づくり担当部長 中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出プロジェクトの状況でございますが、本事業の対象である中小規模事業所は、これまで省エネ法の対象となってまいりませんでした。このため、地球温暖化対策への取り組みがおくれていたという状況がございます。
そこで、中小規模事業所の対策を推進するために、都内中小クレジットの創設を円滑にスタートさせるということを主なねらいとしまして、平成二十二年、二十三年の二カ年度で一定基準以上の省エネ設備の導入経費の助成等を行う本プロジェクトを、事業として開始したところでございます。
このプロジェクトの昨年度の実施状況につきましては、募集を二回行いまして、百三十四件の交付決定を行っております。これによりまして、クレジットの創出見込み量は二万五千トンを超える結果となっており、本プロジェクトは着実にその成果を上げつつあるというふうに考えております。
また、このプロジェクトを契機といたしまして、都が行っております省エネ診断の件数も飛躍的に伸びてございます。これによりまして、中小規模事業所における地球温暖化対策の活性化に大きく寄与しているものと考えてございます。
○かち委員 中小企業も一生懸命、環境対策、省エネに取り組んでいるという状況だというふうに思うんですけれども、本制度を利用してきた百三十四件ほどの事業所の規模の内訳はどうなっているでしょうか。
○山本環境都市づくり担当部長 利用しました百三十四件の事業所の規模でございますが、大部分が、資本金でいいまして一億円未満の中小企業でございます。
○かち委員 資本金一億円未満の中小企業の省エネ余地というのは、非常に大きいというふうにもいわれています。このクラスが利用しやすいよう条件整備を進めることが求められていると思うんですけれども、いかがですか。
○山本環境都市づくり担当部長 本年の第一回定例会予算特別委員会でもご答弁いたしましたが、都内中小クレジットの認定基準について、中小規模事業所からの要望等を踏まえまして昨年度改正を行ってございます。
内容としましては、対象設備の更新年限に関する要件の緩和とともに、毎年度必要としてまいりましたCO2削減量の検証手続を、原則として初年度だけで済むよう手続の簡素化を図るなど、中小規模事業所がより取り組みやすい仕組みとしてございます。
○かち委員 いろいろと条件緩和、取り組みをしてきたんだということでしたけれども、この制度がやっと定着し始めてきたところでありますが、今年度で終了ということです。
今日のように、節電、省エネに取り組まなければならないこういうときに、二年間で打ち切るというのはいかにももったいない。継続すべきだと思いますけれども、いかがですか。
○山本環境都市づくり担当部長 本プロジェクトにつきましては先ほど申し上げましたように、中小規模事業所の地球温暖化対策を推進する都内中小クレジットの創出を円滑にスタートさせようということが主なねらいになってございます。したがいまして、今夏の節電対策等を目的に本事業を継続するということは考えてございません。
○かち委員 都内の中小規模事業所の中で、資本金一億円以下の製造業だけでも一万五千件余りあります。その中でも最も多いのは、資本金一千万円から五千万円未満です。こういう中小規模の製造業が本格的に省エネを進めていくには、余りにも百三十四件というのは少ない件数です。同時に、ここが飛躍的に進めば、省エネ、環境対策が大きく前進します。一層の支援策を充実されることを求めておきます。
次に、プログラムの第三章にかかわってですけれども、今後の方向性にかかわって、先ほどもありましたが、東京都は二〇〇六年に東京都再生可能エネルギー戦略を打ち出して、東京における再生可能エネルギーの利用目標を全エネルギーの二〇%程度に高めると掲げました。
二〇%といえば約百六十万キロワットに当たると思うんですけれども、あれから五年たちます。半ばに来て、現在の進捗状況は、資料もお願いしたんですが、先ほどの質疑の中にもありましたように、まだ把握していない、今年度末までに現状把握をするということでした。
この二〇〇六年当初、都内の再生エネルギーの導入、利用状況というのは、都内の全電力に占める割合が〇・七%、都外からの水力発電も含めて二・七%ということで、まだまだ芽が出ていない、こういう状況だったと思います。
そういう意味で本当にその二〇%を達成するという構えに立つならば、今の現状をしっかりと把握して、どう実現していくかということを、きちんとタイムスケジュールをつくっていただきたいというふうに思います。
目標達成に向けて、太陽光、太陽熱に加え、バイオマス燃料の利用、転換、促進なども大きく掲げられているわけですけれども、このバイオマス燃料利用についてはどのように進めていくのかお聞きします。
○和賀井都市地球環境部長 木質ペレット等のバイオマス燃料は、原材料の運搬等にかかりますコストやCO2排出などの制約がございまして、活用可能な地域が、ある程度限定されるところでございます。
一方、昨年度から、城南島のスーパーエコタウンにおけます日本初の取り組みとして、食品残渣由来バイオガスを調製し、都市ガスに注入する事業が開始されており、今後ともバイオマスの活用可能性を検討してまいります。
○かち委員 今のご答弁にもありましたように、木質バイオマスについては多摩の森林の保全の関係で間伐材の利用というのが大変大きいわけですけれども、バイオ燃料の利用拡大につなげていけないのかと、こういうことは以前からいわれているんですが、なかなかシステムがうまくいっていない。
それはコストの問題だというふうにいわれたわけですけれども、多摩の森林の間伐材が利用されていないで放置されている実情もあります。ペレット利用のバイオマス発電に大きな期待が寄せられているのも事実です。ペレットは、形状、含水率、発熱量を調整できるために扱いやすく、運搬コストを軽減できることによりボイラーなどで利用されており、拡大されてきているんです。
ドイツでも、法律の整備によって、バイオマス電力買い取り価格の増額、対象拡大、新築建物の所有者に対し再生エネルギーの暖房義務づけなどにより、バイオマス暖房のさらなる普及が見込まれるとしております。
以前からこの問題は堂々めぐりの感があるんですが、都内の森林組合や、ペレットストーブを普及している団体からもお話を伺いました。搬出コストが高いことが運営を圧迫しているともいわれていました。そこで、いろいろな形で支援の手を差し伸べる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 先ほど申し上げましたとおり、木質ペレット等のバイオマス燃料は、間伐材等の利用も含めまして、原材料の運搬等に係るコストの制約もあり、活用が可能な地域が、ある程度限定されるものと考えてございます。
なお、暖房用といたしましては、今回、太陽熱の利用促進ということで大幅な補助制度を組み立てておりますので、そちらの方もご活用いただければというふうに思っております。
○かち委員 なかなか豊かな資源がある。それを利用すれば大きな力が出るにもかかわらず、ここのところがうまく進んでいないというふうに思います。
緊急的な電力確保にとどまらず、再生エネルギーの創出を本格的に取り組むためにも、環境局だけでは限界のあるものについては産労局ともタイアップしながら、協力体制を含めて今後一層取り組んでいただきたいというふうに思います。
奥多摩町などがバイオマスや小水力発電で利用している地球環境改善の区市町村包括支援事業、これは単年度単位のために、実際の区市町村の実情に即していないんじゃないか、せめて二年単位にするなど継続できるようにして、効果を上げるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○紺野環境政策部長 区市町村補助制度の運用に当たりましては、事前に区市町村との意見交換を十分に行っておりまして、複数年度にわたる支援が必要な事業につきましても、内容を精査した上で、事業の継続性に留意しながら補助金を交付しているところでございます。
ちなみに、今年度、補助金交付決定予定の提案プロジェクト全三十一事業のうち、七割に当たる二十二事業が複数年度にわたる継続事業となっておりまして、ご指摘は当たらないと考えております。
○かち委員 そうですか。単年度の補助金制度では、一年間でできる事業に偏りがちなんです。
ですからデータを見ると、環境学習とかイベントとか研修会など、単発で終わるものが非常に目立つんですけれども、発電事業を起こすなどということになると、計画立案から設計具体化など相当の期間と時間、労力もかかるわけで、しかも継続性が求められると。そういう意味で、複数年にわたる特別な支援が必要だと思います。
やっているよとおっしゃいますけれども、こういうバイオマスを含めた再生可能エネルギーを、地方自治体、基礎的自治体からも生み出していくという特別な位置づけで、さらなる支援策を強化していただきたいというふうに思います。
バイオマス発電については、森ヶ崎水再生センターで、汚泥処理の際に発生するメタンガスを利用してバイオマスエネルギー発電をしております。これは、センターで使う電力の二〇%を賄っているとも聞いております。
これも一種の未利用エネルギーではないかと思いますが、こうした利用を、他の再生センターやいろいろな施設でもふやしていく可能性があると思うのですけれども、いかがでしょうか。
○和賀井都市地球環境部長 都内では、地域冷暖房区域の中で、下水処理施設だけではなく、ごみ焼却や地下鉄の排熱、河川水の熱などの未利用エネルギーを活用した事例がございます。また今後、地中熱を活用した事例も予定されているところでございます。
昨年、都では、総量削減義務や地域におけるエネルギー有効活用計画制度を導入いたしまして、また建築物環境計画書制度を強化したところでございます。これらの制度によりまして、開発事業者に対し、未利用エネルギーを含めた利用可能エネルギーの活用を促す仕組みを既に用意したと考えてございます。
○かち委員 いろいろ聞いてまいりましたが、一見、非効率、コスト高などマイナスイメージがある再生可能エネルギーの可能性というのは、身近なところに無数に存在しているということを改めて実感しております。
今、世界では自然エネルギーが急速に伸びている一方、原発は〇八年以降、新たな建設開始はゼロです。そして昨年は、自然エネルギーが三億八千万キロワットに対し、原発が三億七千五百万キロワットということで、自然エネルギーが原発を超えました。これが世界の流れです。
今回の福島原発事故から、原発に依存したエネルギー社会は何よりも危険であるということ、一たん事故が起きれば、収拾にとてつもない時間とコストがかかることなども明らかになったのではないでしょうか。
災害に強い都市づくりの視点に立って、地産地消のエネルギー創出が大きく求められています。現況のエネルギー不足からの脱却とともに、将来にわたって持続可能な都市として発展するためにも、低炭素社会の実現とともに、再生可能エネルギーの可能性を飛躍的に開発、促進していくことが緊急に求められていると思いますので、この電力対策プログラムを契機として一層の推進を進めていくことを求めて、質問を終わります。
○島田委員 まず初めに、今も議論がありましたけれども、再生可能エネルギーの導入促進についてお伺いしたいというふうに思います。
私の選挙区、西多摩ですけれども、震災直後は計画停電が頻繁に実施されまして、私も初めての計画停電のときは、ちょうど義援金の募集を福生の駅前でやっておりまして、そしてその直後、終わったところで福生の駅前の喫茶店でくつろいでいたところ、突然、計画停電が起きたわけでありまして、その後はまちに人けがなくなるような状況で、特に西多摩では計画停電と、そして電車、JRが動かなくなりました。そしてまた、ガソリン不足で自動車の利用が制限されるということで、非常に大きな影響がありました。
羽村とか瑞穂には、日立だとか東芝、富士通、あるいは中小の工場地帯もあるわけでありますけれども、地域経済に非常に大きな影響を与えております。
そういうことで、この夏の電力不足、この問題、停電は何としても回避しなければいけないというふうに私も強く思っているところでございます。都議会民主党としても、省エネの条例を提出しております。そしてまた、きょう議論がございましたが、東京都としてもさまざまな節電の対策を行っているところでございます。ぜひ停電を回避したいということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、福島の原発の事故によりまして原子力エネルギーに対する不信が増しており、国はエネルギー基本計画の大幅な見直しを迫られております。こうした中、再生可能エネルギーの導入が望まれますが、設置に係るコスト負担が大きく、普及の阻害要因になっております。
国会では、再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案が議論されているところでございます。この法案は、再生可能エネルギーを用いて発電された電気について、国が定める一定の期間、価格で、電気事業者が買い取ることを義務づけるもので、再生可能エネルギー促進に向けて大きく前進するものというふうに考えております。
国のそういった動きの中、石原都知事も出席したそうでありますけれども、九都県市首脳会議で再生エネルギーについての普及拡大が議論されたそうでありますが、その内容について、まず初めにお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、野上副委員長着席〕
○和賀井都市地球環境部長 九都県市首脳会議では、太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの本格的な普及拡大に向け、国へ要請すべき条件整備について議論がなされたところでございます。
議論の結果、普及の阻害要因となっています導入コスト負担の問題を解決し、導入に向けた高い動機づけがなされるよう、国の全量買い取り制度に対して、採算が確実にとれる買い取り価格及び期間を設定することなどを九都県市として国へ要請することで、合意されたところでございます。
○島田委員 九都県市の首脳会議では、先ほど局長の方からもありましたけれども、神奈川県の黒岩知事さんとか、かなり積極的に活動しているということで、太陽光パネルを県内二百万世帯に設置するというような公約を掲げ、積極的に動いているわけでございます。
東京都としてもさまざまな施策を実施しているというふうに思いますけれども、日本の首都東京として、再生可能エネルギー推進について、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。
特に家庭用の太陽光でありますけれども、国は今、余剰買い取りという方向であります。先ほどもありましたように、九都県市首脳会議では全量買い取りでの働きかけを行っているということでございますが、都としても積極的に働きかけを行ってもらいたいというふうに思っております。
今回の補正予算では、家庭における創エネルギー機器等の導入促進として、太陽光発電を含め百四十一億円余の費用を計上しております。太陽光発電については、ことし計画について一たん補助金を打ち切って、そしてまたこの件については、昨年、継続を求める声が多々あったと思いますが、今回、補助を再開するということでございます。その理由についてお伺いしたいというふうに思います。
○和賀井都市地球環境部長 まず初めに、都のリーダーシップというお話がちょっと出ましたので、この間の都の再生可能エネルギーに対する取り組みについて、一言だけお話しさせてください。
首都東京としてのリーダーシップということなんですけれども、かつて世界一を誇りました日本の太陽光発電市場が、国の補助打ち切りに伴いまして低迷状態に陥ったということに危機感を覚え、都はいち早く、平成十九年三月に関連事業者や学識経験者などに呼びかけまして、太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしました。
この会議を通じまして、都は市場復活に向けて指導し、その成果として、二年間九十億円に上る太陽エネルギー導入補助を初めとして、関連事業者の具体的な取り組みをまとめたというところでございます。
都は、関連事業者と一丸となって、この二年間の集中的な補助事業を実施し、先ほども申し上げたとおり、都内の太陽光市場を五倍以上に拡大するとともに、この先駆的な取り組みによりまして、国の補助制度の復活を誘導したと。また、太陽光発電の全国的な普及拡大にも貢献したものというふうに考えてございます。
今回の震災もございまして、最近でこそ太陽エネルギーに対する各自治体の取り組みが非常に注目をされているということでございますけれども、日本全体の市場動向に関する歴史的認識を踏まえて、業界など関係者を巻き込み、全国的な市場活性化の潮流をつくり出す上で、都の果たした役割は大きなものがあったであろうと考えてございます。このように所期の目的を達したことから、昨年度末に太陽光発電の補助事業を予定どおり終了したというところでございます。
今回の補正予算におけます太陽光発電の補助事業は、緊急的な電力対策のために、家庭における創エネルギー機器等の導入支援策の一環として新たな視点で構築をしたものでございます。今回の補正予算による新たな補助を含めまして、都は今後とも、再生可能エネルギーを推進する首都東京としてリーダーシップを発揮してまいります。
○島田委員 都がかなり積極的に取り組んでいるということはわかっているつもりでございますけれども、太陽光に関しましては、そんな中でやって、一回打ち切ってそしてまた始めるというようなことで、一回やめてまたやるという、その辺のところの、受ける側としては政策の一貫性ということではどうなのかなというふうに、私個人、思っているところでございます。
国は、二〇二〇年には再生可能エネルギーの比率を今の五%から一〇%に上げたいとしております。経済産業省の資料によりますと、太陽光は、住宅、非住宅とも潜在的な導入量が多いと。経済効果としては、導入が進めば、現在の千五百億円から、二〇二〇年には九千五百億円もの売り上げが予想でき、この太陽光は産業のすそ野が非常に広く、関連の雇用も八・一倍に増加するという試算もございます。このように、太陽光発電市場はマーケットが広く、各国が技術開発を競っている重要な分野であり、国も成長戦略の一つに位置づけておるところでございます。
太陽光の今回の補助事業は二年間ということでございますけれど、私は、ぜひ中長期的に補助事業を継続し、普及促進することを望んでおきたいというふうに思います。
今回の補正予算では新たに、太陽光発電については一キロワット十万円の補助がなされるということでございます。国では昨年度から、太陽光発電について余剰買い取り制度が新設されております。また、太陽光発電については区市町村の補助もあります。一般の住宅での太陽光の設置費用は、その状況にもよりますけれども、大体、三キロワットで約二百万円程度かかるといわれております。そうすると、一般的にこれらの設置コストは約十年ぐらいで回収できるといわれているわけであります。
これらの補助事業の充実、そして今後の国の全量買い取り制度など、ますますの制度の充実を国にも働きかけて、そして普及に伴い、太陽光の技術革新といったことに期待し、設置コストが低減されて、例えば五年間でこのコストが回収されるとなれば、非常に太陽光の発電は日本でも大幅に進むのではないかなと、そんなふうに思っております。
ぜひ、東京都としても、再生可能エネルギーの普及に向けて積極的に施策を行うことを期待し、次の質問に移らせていただきます。
次は、被災地の災害廃棄物の受け入れについてお伺いしたいと思います。
今回の補正予算で、東京都は被災地の早期復興のための緊急対策として、災害廃棄物を都内自治体や民間と共同で、三年間で五十万トンを受け入れるという計画を打ち出しております。
東日本大震災で出た瓦れきの量は全体で推定二千三百万トンといわれていまして、阪神大震災でいいますと一・六倍。すべての処分を終えるのに早くても三年かかるというような報道もありまして、これは何とかしなくてはいけないというふうに思っております。
被災地の支援をするということはもちろん大賛成でありますけれども、しかし受け入れる都民の側からしますと、一番心配されるのが、福島第一原発からの放射性物質により汚染された廃棄物が持ち込まれるのではないかということであります。
震災後には、川崎市長が福島県内の瓦れきを受け入れると発言して大変な苦情が寄せられていることもあり、この問題は多くの方が心配しているところであるというふうに思います。
いうまでもなく、被災地の災害廃棄物を受け入れる場合には、国が責任を持って安全基準を明示し、その範囲内での受け入れを認めるべきだというふうに思っております。また、受け入れのそれぞれの過程でモニタリングを実施し、安全確認を行う必要があると考えております。それらの安全対策をしっかりとした上で、それらの災害物の受け入れを行うというふうに基本的に思っております。
このような観点から幾つか質問したいと思いますが、都は被災地から災害廃棄物を受け入れる計画でありますが、国の災害廃棄物の処理方針並びに放射能汚染された廃棄物の処理基準についてお伺いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 放射性物質への対応につきましては、すべての国民の健康、安全にかかわることであり、国において安全基準や対処方針を示すべきであります。
国は、福島第一原発事故の影響を受けた廃棄物について当面の考え方を示しており、その中で、廃棄物の処理等に伴い、周辺住民の受ける線量が年間一ミリシーベルトを超えないようにすることなどが示されております。
国はこの考え方をもとに、福島県内の災害廃棄物については当面の間、県内で処理するという方針を示しました。このため、福島県から都内へ、当面、災害廃棄物を受け入れることはございません。
一方、国は、岩手県、宮城県の災害廃棄物の処理について、全国の都道府県に対し広域的な支援を要請しております。
○島田委員 ありがとうございます。国の方針に従い、放射線量を年間一ミリシーベルト以内にとどめるということは非常に重要なことだというふうに思っておりますし、また、今回は福島県のものは受け入れられないというふうな国の方針でありまして、そして岩手、宮城県からの災害廃棄物を受け入れるわけであります。ただ、それでも私は、さまざまな課題があるというふうに思っております。
今回の災害廃棄物は焼却処理が主になると思われるんですけれども、もともと焼却施設は、放射性物質を含んだ廃棄物を想定したものではありません。放射性物質が含まれる廃棄物を仮に焼却炉で燃やした場合、放射性物質が大気中に放出しないのか。あるいは、災害廃棄物は広範囲な被災地から集められてくるわけでありますけれども、焼却後、焼却灰の主灰、これは焼却炉の中にたまるものであり、そしてまた飛灰は焼却時にフィルターに集められるものでありますけれども、それらの焼却灰に放射性物質が濃縮される可能性があるかもしれません。その場合、焼却灰の処理はどうするのか、処理場で働く方々の安全対策はどうするかなど、さまざまな課題があると思います。
国では、これらの課題に対応するため実証実験などをし、安全性の確認をしていると思いますけれども、それらの検証結果も含めてお伺いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 福島県の災害廃棄物の安全評価を検討しております国の検討会においては、一般廃棄物焼却施設では、バグフィルターから、排ガス処理装置全体でのセシウムの総合除去効率は九九・九九%になるという調査結果が紹介されております。セシウムは大気中に拡散せず、排ガス処理装置で捕捉されると考えられます。
また、焼却灰の処理については、国が定めた福島県内の災害廃棄物の処理の方針では、灰の種類や濃度に応じて、埋め立てまたは一時保管等の方法が定められており、例えば一キログラム当たり八千ベクレル以下の焼却灰は、埋立処分が可能とされております。
○島田委員 ありがとうございました。バグフィルターで九九%以上セシウムが除去されるということで、そのことについては安心しているところでありますけれども、そうであれば逆に、その除去されたセシウムは焼却灰の主灰、飛灰に、確実に残ってくるということであると思います。
私の選挙区、日の出町には最終処分場がありまして、今まで焼却灰はリサイクルに回されたり、あるいは埋め立てられたりしていると思います。
昨年は、多摩の清掃工場で水銀が焼却され、このことが日の出町に知らされず、大きな問題になりました。
放射性物質に汚染された焼却灰についての処理基準の明確化と同時に、最終処分場関係者、その近隣住民の理解が必要だというふうに思っております。働く方々の安全対策も含めて、しっかりと安全対策をお願いしたいというふうに思っております。
国には放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理方針というものがあるんですけれども、その方針は主に福島県の廃棄物に対するものであります。その中で、今後、国や県、市町村がそれぞれの立場でモニタリングを行うことが必要であるといっております。特に、処理の安全性を確認するために、焼却施設周辺の空間線量、施設周辺の地下水、処理施設から排出される排ガス、排水など、モニタリングを継続して行う必要があるといっております。
今回、東京都が受け入れるのは、福島県の廃棄物ではなく、宮城県や岩手県の廃棄物でありますけれども、それらのごみについても、この処理基準に準じて対応すべきだというふうに私は考えております。都はどのようにモニタリングを行うのかお伺いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 国が定めました福島県内の災害廃棄物の処理方針では、処理施設周辺の空間線量率や地下水、それから処理施設から排出される排ガス、排水等のモニタリングについてはできるだけ統一的な方法で行うことが望ましいとしており、このため、国が早急にモニタリング技術に関する知見を収集し、モニタリングの方法を検討するとしている状況でございます。まだ統一的なモニタリング方法は示されておりません。
岩手県、宮城県の災害廃棄物の処理については、国や被災自治体から放射線に関する情報を収集いたしまして、また受け入れ施設の管理者と意見交換をしながら、モニタリングの必要性、モニタリングの方法等について検討し、適切に対処してまいります。
○島田委員 当初は、現地で安全確認を行うのでモニタリングは必要ないというようなこともちらっとお伺いしておりましたけれども、都が責任を持ってモニタリングを行うよう各施設にお願いをするということでよろしいんでしょうか。もう一度確認をお願いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 モニタリングにつきましては、基本的に、まずは施設管理者のもとで行う必要もあるかと思います。そういう意味で、東京都としても指導等をしてまいりたいと思います。
○島田委員 モニタリングというものが必要だと私は思っております。東京都がやるというか、施設がやるにしても、これは確実にやって、それらの近隣住民の不安を取り除くということが大変重要であるというふうに思います。
基本的には、放射性物質に汚染された廃棄物を持ち込まないということ、これがまず重要であると思っておりまして、現地でのモニタリング、そういうものがまず必要と。しかしその上でなお、受け入れる東京の処理施設でのモニタリングを徹底していただきたいというふうに思っております。
そしてモニタリングについてですけれども、都の方では把握していなかったみたいですけれども本日報道がありまして、皆さんもご存じかと思いますが、六月十六日から二十四日までの期間、実は東京の二十三区清掃工場では独自に放射性濃度のモニタリングを行っていて、その結果が既に発表されております。
その結果を見ますと、江戸川の清掃工場は、既に現在の段階で、飛灰の中から基準値の一キログラム中八千ベクレルを超える九千七百四十ベクレルの放射線、セシウムが検出されております。工場では当面の間、焼却灰を保管するということでございますけれども、この調査について、東京都の対応、当局の対応、評価、分析、そして今後の災害廃棄物を受け入れるに当たっての影響についてお伺いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 今回の二十三区一部事務組合の灰の調査につきましては、東京都も事前に情報を聞いております。また、具体的な対処方法については調整をしてきたところでございます。
今回検出されました一キログラム当たり九千七百四十ベクレルの値というものは、これまで都内の下水汚泥焼却灰や浄水スラッジから検出されました放射能濃度と比較いたしましても、特に高い値ではないというふうに考えております。
今後の岩手県、宮城県からの災害廃棄物の受け入れにつきましては、国や自治体から放射線に関する情報を収集いたしまして、また受け入れ施設の管理者と意見交換しながら適切に対応してまいります。
○島田委員 今のその調査の対応なんですけれども、二十三区内では独自にやっているということでございまして、多摩地域の状況がわかりませんが、それについてお答えいただけますか。
○木村廃棄物対策部長 昨日、多摩地域の市町村、一部事務組合につきましても、調査を指示してございます。
○島田委員 もうこの結果というのは、今、重要で、高い数字ではないというふうな発言がございましたが、九千七百四十というのは、江戸川の方の清掃工場でございますけれども基準値より高いということで、これは最終処分場に持っていかずに当面保管していくという基準でございまして、それについては、ある程度重く、我々は見る必要があるのかなと、そんなふうに思っております。
また、多摩地域はまだやっていないということでございますので、東京都としても早急に多摩地域でのモニタリングを実施していくということが非常に重要だなというふうに思っておりますので、ぜひ、よろしくお願い申し上げます。
被災地からの災害廃棄物を東京のどの処理場で受け入れるかというのは、今まだ決まってないということでございます。決まった段階で、いつ、どの処理場で受け入れるのか、公表はどのような形で行うのか。処理施設の周辺住民に対してどのような形で情報公開を行うのか、お伺いいたします。
○木村廃棄物対策部長 先ほどの、一部事務組合から出ました放射線の灰の件につきましては昨日プレス発表いたしまして、都の対応といたしまして当面の焼却灰の取り扱いの方法、それから、国に対しまして福島県以外の焼却灰の処理に関する基準を早く示すよう要請しましたこと、また、多摩地域の市町村に対して焼却灰等の放射能濃度を測定するよう要請したことをプレス発表しております。
それから、どの施設で災害廃棄物を受け入れるかについてでございますが、まず二十三区一部事務組合につきましては、一部事務組合自身が決めることとなってございます。また、多摩地域の自治体の受け入れ施設につきましては、多摩の市町村一部事務組合に、都から現在照会中でございます。民間施設につきましては、都が公募して協力事業者を決める予定でございます。
このようにして決めました受け入れ先については、都としてホームページ等で公表いたします。また、施設周辺住民に対しましては、区市や一部事務組合などの各施設管理者の判断において行うことが適当と考えております。
○島田委員 情報公開のところでございますが、ぜひしっかりこれをしていただいて、都としても各施設にいっていただき、都民は非常にこの問題については不安に思っておりますので、この不安を取り除くためにも、その情報公開、そして都民の皆様方の理解を得るということが非常に大切だと思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
今回の災害では、津波の影響で家屋などが広範囲にわたって流されたために、海水の浸水により廃棄物の塩分濃度が高く、焼却するとダイオキシンや塩化水素の発生が懸念されております。また建材に含まれるアスベストなど、有害物質が瓦れきの中に混在している可能性があります。
今回の都の処理スキームでは、外郭団体の東京都環境整備公社に資金を貸し付け、都内の自治体や民間事業者と共同で受け入れを図るということでありますけれども、有害廃棄物の管理という意味で、どのように搬入物の安全性を確保するのか、最後にお伺いいたします。
〔野上副委員長退席、委員長着席〕
○木村廃棄物対策部長 今回の災害廃棄物は、一部海水につかり、塩素を微量に含むものがございます。できるだけ自然の降雨を利用して塩分を抜いた上で、高温焼却、排ガス処理を行うことが求められます。
今回の災害廃棄物の焼却処理に当たっては、ダイオキシンや塩化水素の発生状況を確認するため、事前に被災県が焼却実験を行う予定と聞いております。都は、この実験結果を受け、都内自治体や民間事業者に情報提供してまいります。
また、アスベストなど有害物質の混入を防止するには、現地での分別の徹底が何よりも重要でございます。東京都環境整備公社や民間事業者の協力を得て、現地での分別方法などについて技術的指導を行うとともに、受け入れる災害廃棄物の性状確認を行ってまいります。
○島田委員 今回の災害廃棄物の受け入れでありますが、先ほど来から議論がありますとおり、これは被災地を支援するという意味では、災害廃棄物を受け入れるということは重要であるというふうに私も認識しております。万が一、この東京地域で大震災が起こった場合には、今度は逆に他府県にお願いしなくてはいけないわけであります。
ただ今回の場合は、放射能汚染の問題あるいは廃棄物の塩分濃度などの課題がありまして、この安全対策、これはしっかりやらなくてはいけません。
都民の安全・安心を考え、都民にしっかり情報公開をしまして、万全の安全対策をした上で受け入れを実施すべきだということを最後に申し上げ、質問を終わります。
○こいそ委員 それでは、二点質問させていただきたいと思います。
先ほどからいろいろお話が出ておりますけれども、災害廃棄物の処理の関係について、これが一点。
まず初めに、いまだ七千四百人を超える人々が行方不明になっている被災地の悲しみは、百日以上経過した今日でもまさにいえるものではない、こういう状況だと思うんです。
先ほどもいいましたけれども、さまざまにお話がありますが、被災地の現状を見ても、まさに災害廃棄物の瓦れきがすごいです。こういう中で、何とかそれぞれの自治体が、なおかつ首都としての東京は、この大変困っているという中でしっかりと対応していこうということ、これ、私は大変結構だと思うんです。被災地や被災者への支援に全力で取り組んでいる東京都として、このあたり、やはり私はしっかりとさらに取り組んでいく必要性があろうかというふうに思っております。
阪神・淡路大震災の際に、発生の三カ月後には瓦れき処理が始まって、ほぼ一年後にはその処理が完了したというような記録がございます。そういう中で今回の震災に関しては、阪神・淡路大震災と比較しても複合的な災害が発生したわけでありますから一概にいえませんけれども、災害廃棄物の処理が大きくおくれているわけであり、またもう一度ここで確認をさせていただきたいと思いますが、その原因はどこにあるのか、このあたりもお聞かせいただきたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 今回の震災は、阪神・淡路大震災と比較しましても、津波の影響により被害が広範囲に及んでおり、かつてないほど大規模な災害廃棄物が発生しております。また、いまだに家族の方が行方不明となっており、遺体の捜索などが優先されるため、災害廃棄物の処理が進んでいない実態がございます。
さらに、本来災害廃棄物処理の役割を担う市町村の多くが、津波等により、物的、人的に多くの被害を受け、その市町村にかわって処理を行うべき県や国にも災害廃棄物処理についてのノウハウがなく、役割分担についても十分整理ができていないことなどが、災害廃棄物の処理がおくれている原因と考えられます。
○こいそ委員 今回、都においては、災害廃棄物の処理の加速化のために、都内自治体や民間業者とも共同して、この三年間で約五十万トンの災害廃棄物を受け入れるということを表明したわけでありますけれども、民間事業者にとって、この事業は被災地支援という社会貢献性を持つ一方、今後三年にわたり受け入れ処理をしていかなきゃならない、こういったわけであり、事業の継続性も必要になろうかと思うんです。
災害廃棄物の受け入れを開始するに当たり、信頼性そしてまた公平性を確保しながら、民間業者を選定する必要性もあろうかと思いますが、その見解を伺いたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 災害廃棄物の受け入れ処理は、発電設備を有します東京二十三区清掃一部事務組合と、多摩地域の市一部事務組合の清掃工場のほか、民間の産業廃棄物処理業者などの協力のもとで行います。
民間の産業廃棄物処理業者につきましては、可燃性廃棄物の焼却業者のほか、木くずをリサイクルできる業者、混合廃棄物を破砕後リサイクルできる業者を予定しております。これら業者の選定に当たっては公募を行うこととし、都の第三者評価制度であります産廃エキスパートまたは産廃プロフェッショナルを取得しているなど、信頼性が高く、一定規模以上の処理施設を有することなどを公募条件にする予定でございます。
○こいそ委員 このように膨大な災害廃棄物をこれから処理していこうと。これは官民一体となって対応していかなきゃいけないということでありますけれども、私はやっぱりこの中で、協調して、コスト的なものも含めてしっかりと対応すると。そして都民に対して、先ほどの放射能のこともそうでありますけれども、安全・安心をしっかりと与えるということが、いうまでもありませんが、極めて大切なことだと思います。
民間事業者の選定に当たっては、公募により信頼性の高い事業者を公平に選定する必要性があろうかということで、これは要望でありますが、先ほどの答弁は、中間処理業の選定があったと思いますけれど、もう一方、被災地からの運搬手段をどうするかという、こういう課題もあろうかと思うんです。効率的かつ安定的に災害廃棄物を運搬する必要性があると思いますが、この運搬についてはどのような方向で考えられているかお伺いします。
○木村廃棄物対策部長 被災地から都内への災害廃棄物の運搬につきましては、岩手県の三陸海岸など海沿いの地域は船舶による運搬、宮城県の平野部など鉄道利用が可能な地域は鉄道貨物による運搬、少量で臨時的な場合はトラックによる運搬など、被災地の立地条件や運搬量等を勘案して運搬手段を選択することが適当と考えております。
また、都内に持ち込まれました災害廃棄物を清掃工場などの中間処理施設にトラックによって運搬する業者は、公募を原則としつつ、区市や一部事務組合の受け入れ条件を聞きながら、産廃エキスパートまたは産廃プロフェッショナルを取得しているなど信頼性が高く、自治体の最終処分場などへの搬入実績がある業者の活用を検討してまいります。
○こいそ委員 円滑かつ安定的な運搬は、迅速な災害廃棄物処理には不可欠なものであると思います。今後、関係者との調整を進めて、被災地の早期復興につなげていただきたいと思います。
また、区市町村の清掃工場と民間の活力を活用して、円滑かつ迅速な災害廃棄物の処理を進めるという今回の都独自の処理スキームは、被災地の自治体にとっても、受け入れる自治体または民間事業者にとっても、負担が軽減される合理的なスキームではないかと、こういうような受けとめ方もしております。
都としても、このスキームを生かしていくため、二十三区部で唯一の最終処分場の活用を図ることや、受け入れる災害廃棄物の国との調整など、さまざまな役割を果たしていくべきではないかと思いますが、このあたりもお願いします。
○木村廃棄物対策部長 都では震災直後から、都内の区市町村や民間処理事業者、さらには国等との調整を進めて、負担の軽減や早期かつ効率的な処理が行われるように今回の処理スキームを構築してまいりました。
実際の災害廃棄物の処理に当たっては、都の埋立処分場も活用いたしまして、被災地から都内へ船舶で運ばれた災害廃棄物の一時仮置き場を設ける予定でございます。また、被災地で生じました焼却灰の一部を、都の埋立地で直接受け入れる計画もございます。
今後とも、処理促進に向け、被災地や国、関係者との情報交換を密にするなど、総合的な調整力を発揮してまいります。
○こいそ委員 次に、今後のスケジュールについて伺います。
一方、被災地では、まさに一刻も早くこの災害廃棄物の処理を望んでいる、こういうことは我々にも理解できるところでありますけれども、都は今回のスキームを活用して、具体的にはいつごろからこの受け入れを始めていくのか、このあたりはどうなんでしょうか。
○木村廃棄物対策部長 岩手、宮城両県及び環境省から、まず仮置き場などに山積みとなっている混合廃棄物を、早期に受け入れ処理してほしいとの要請を受けております。これにつきましては、広域処理体制を整えるための国の政令改正が行われる予定の七月以後、八月には受け入れが開始できるよう準備を進めております。
その他の災害廃棄物につきましては、現地での選別作業を進めた上で受け入れた方が、早く、安く、合理的でございますので、現地での選別作業が進む秋ごろに、受け入れが本格化する予定でございます。
○こいそ委員 先ほどからるる出ておりますけれども、被災地ではいまだに、まさに膨大な災害廃棄物がまちじゅう至るところを覆っているという現状でありますが、都は震災直後から被災地に出向いて、現地の状況を十分把握した上でこの事業スキームを構築したというふうに聞いています。今後、このスキームを活用して、早急に災害廃棄物の処理を進めていくべきだと考えるところであります。
もう一点。これは先ほどお話もありましたけれども、二十三区の清掃工場の放射能測定結果を受けた焼却灰の取り扱いについてプレスがありましたが、今後、災害廃棄物の受け入れを進めていく中で、放射能を心配する声も当然出ると思うんです。災害廃棄物の安全性をきちんと確認することは当然でありますけれども、災害廃棄物の処理を迅速に行っていくことにも当然つながっていくと。
要するに、危ないんだ、危ないんだというだけでみんなが単に不安に思うだけじゃだめだと思うんです。ですから、間違いのない正確な情報を伝えるということ。
それから、繰り返して申しわけないけれども、あれだけの、いわゆる未曾有のああいう状況、大震災。それから福島原発の事故もそうでありますけれども、あれだけの未曾有の状況下の中で発生している--大津波も当然そうでありますが、この災害の復旧に大きな支障を来している、その一つである災害廃棄物をどうにか除去していかなきゃいけない。どうにか処理していかなきゃいけない。こういうことはもういうまでもないと思うんです。
そんなことを含めながら、万全な、さまざまな対応をとることを今後要望していきたいと思います。ですから、速やかにやるべきだと。そして、さまざまな意見があったら、そうじゃないんだと。これはもう安全性は確保できるということをしっかりと伝えなきゃいけないし、そういうようなきめ細かな対応を含めて、いっているところであります。
災害廃棄物の処理に向けて、現地にも赴いて、さらには、この問題についても大変な思いとともに取り組んでおられる次長の決意をここで伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○森次長 三月末に、私自身も宮城県の仙台市そして石巻市に出向きまして、県や市の職員の方々とともに現地を回ってまいりました。テレビのニュースで、災害廃棄物いわゆる瓦れきの画像は見ておりましたけれども、実際に被災地の状況を目の当たりにいたしますと、先ほど先生からお話がございましたとおり、余りに膨大な廃棄物の量に唖然とせざるを得ませんでした。
しかしながら、何といたしましても、これを早期に撤去、処理しなければ、東北の復興は進みません。都といたしましても、できる限りの努力をしなければならないという思いを強く抱いたところでございます。
その後も、何度か職員を現地に派遣いたしまして、災害廃棄物の状況を確認させておりますが、多くの被災地ではようやく、撤去作業や仮置き場への運搬が始まったばかりでございます。
今後も、被災県に環境整備公社の現場事務所を設置するなどによりまして、現地の状況をしっかりと把握しながら、区市町村や都内の処理業者との連携を密にいたしまして、災害廃棄物の処理を全力で支援してまいります。
○こいそ委員 繰り返して申しわけありませんけれども、ともかく被災地の一日も早い復興を願い、なおかつそれに協力をしていくということのためにも、災害廃棄物の早期の処理を、首都東京として全力でこれを取り組んでいただきたい。これは要望させていただきます。
次に、これも何人かの方が取り上げておられましたけれども、エネルギー政策についてであります。
東京のエネルギー政策の方向性でありますけれども、今回の大震災によって原子力発電の推進の是非が、今、問われていると思うんです。先ほどもありましたけれども、天然ガス、それから再生可能エネルギーを含めたクリーンエネルギーをどう推進するかなど、我が国のエネルギー政策の根本がまさに問われている現状だと思います。
このような中で、まさに今の政府のていたらくを見ると、こんなときこそ、先ほどもありましたけれども、この首都東京が頑張らなきゃいけない。やはり、首都東京から新しい日本のありよう、あり方、いわゆるエネルギー政策をしっかりと方向性を確立していく、立ち上げていく、こういうことになろうかと思うんです。
その中では、東京だってやはりエネルギーの最大の消費をしている都市ですよね。まさに最大消費都市であります。このような中で、新しい環境エネルギー政策の方向性をしっかりと示しながら全国にこれを発信していくというミッションが、私はあるのではないかと思えてならないです。
その際、電力不足に対応するために、電力需要の抑制を図ることは確かに重要だと思います。これからことしの夏に向けて、それぞれ一五%だとか、そういう削減目標もあるけれども、私は確かにそれは大切、重要だと思いますが、そればかりではなくて、エネルギーをどうやって創出していくのか、どうやったら創出できるのか。このあたりにもっと比重を置いていく必要性、そういう観点でいく必要性があるのではないかと思うんです。
そういう中から何点か質問したいと思いますけれども、今回、都が策定した電力対策緊急プログラム、これは低炭素・高度防災都市を目指して多様なエネルギーを確保するということで、東京産都市型エネルギー源の確保に努めるということになっております。
先ほどと重複も若干あるかもしれませんが、それを避けつつお尋ねしていきたいと思いますけれど、どこでどのような都市型エネルギーを確保していくのか、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
○紺野環境政策部長 三月十一日の東日本大震災、その後の電力不足の状況、こういったことを踏まえますと、再生可能エネルギーやコージェネレーションなど多様なエネルギー源を都市の内部に確保しておくことは、電力供給に潜むリスクを軽減するために非常に重要であると考えております。
このため、今回の電力対策緊急プログラムでは、太陽エネルギーを初めとした家庭用の創エネルギー機器の導入に対する補助を初め、民間の医療機関や福祉施設あるいは中小企業における自家発電機の導入支援を盛り込んでいるところでございます。
あわせて、都みずからの事業におきましても、都民生活を支える都立病院や上下水道、交通、あるいは港湾のコンテナふ頭、さらに卸売市場等で自家発電設備等の整備を図りまして、自前の電源確保を進めていくこととしております。
このほか、区市を支援いたしまして、清掃工場における廃棄物発電の強化を図るなど、さまざまな種類の東京産都市型エネルギー源の確保に努めてまいります。
○こいそ委員 さまざまな施策を打ち出していくのは必要だと思いますけれども、これは後に続くんですけれど、実際にいろいろな取り組みをしていくことは全くもってそのとおりかなと思いますが、やはり、一つの基本的な東京のエネルギー政策を立ち上げるというこの体制、それからその仕組みもそうだと思うんです。東京でなければできない、東京だったらできる、このエネルギー政策は間違いなくあると思うんですよ。まさにこれを国に突き上げ、国全体の先導的役割を果たしていく、そういうふうにつながっていくと思うんです。
もうちょっと各論的にいわせていただくと、先ほどご答弁ありましたけれども、清掃工場における廃棄物発電、これは外部に電力が供給できる貴重な都市型エネルギー源だと私は思うんです。
今回の電力対策緊急プログラムでは、区市の清掃工場における廃棄物発電の強化を盛り込み、都は区市や一部事務組合に対して、清掃工場のごみ処理量を今夏のピーク時間帯に増量し、当該時間帯における廃棄物発電の強化を図るというふうに要望することを打ち出していますが、これは非常に重要だなと思うので、後に続けさせていただきます。
まず、この件に関する具体的な取り組み内容とその実績をお聞かせいただきたい。
○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 国が示しました夏期の電力需要対策では、夏の平日の九時から二十時までを電力使用の制限時間帯と設定し、大口需要家には一五%の削減義務を課しているところでございます。
この時間帯に東京電力への供給の増量を図るため、都からの要請により、東京二十三区清掃一部事務組合や多摩地域の清掃工場では、夏場のオーバーホール時期の変更や、この時間帯に集中してごみを焼却することにより、発電量をふやしていくこととしております。
二十三区の清掃工場の増量の効果におきましては約四万四千キロワットでありまして、従来の発電量を加えますと、二十三区の清掃工場全体では約九万六千キロワットの電力供給となり、今夏の電力不足に大きく貢献するものと考えております。
○こいそ委員 それでは、もう少し清掃工場関係でお聞きしたいと思いますが、特に多摩地域の関係に移らせていただきます。
十七の清掃工場中、発電設備がある工場は七施設であります。そのうち、売電が可能な施設は五施設と、少なくなっていくんです。売電量は、区部の五%程度であります。清掃工場の中間処理、当然、清掃工場は廃棄物の中間処理施設ですよね。ですけれど、私はここを、今のような売電的なことをもう少しふやすことも大切であると。これは置いておきますけれども。
もう一点は、清掃工場は立地的な状況から見て、例えば先ほど来から出ている太陽光発電パネル、太陽熱を含めたこういうような熱を、これをもう少しつくり上げると。熱というか電力もそうですけれど、こういうような機能及びその施設的な、全体的な--建物構造そのものもかなり広いです、太陽光パネルも結構並べられる。私、何カ所か見てきましたけれども、それとともに熱供給がもっとできるようなと。今、申し上げた多摩地域でも、十七あっても実際的に売電できるのは五施設ですよね。極めて少ないんです。
この中で、今夏の大変心配されている電力事情のことだけじゃなくて、今後、今いったようなことを踏まえて、既設、既存の清掃工場にもやはり発電機能、ハード的ないい方だけじゃない、やはりエコの--。
先ほど、木内先生が大変いいお話をされたけれども、学校に出向いて、家庭訪問するとか、はっきりいって、こういうことも大変結構だと思うんですよ。なおかつ、こういうような意識を啓発する。それから、そこで学ぶ。さまざまな年代が環境学習するとか、そういう施設としても十二分に使えるスペースはあるんですよね、これ、実際問題として。
ですから、私は、地域のエコ拠点という視点ももうちょっと必要じゃないかと。ただ単に中間施設としてごみを燃やすだけじゃない。そこにはやはりさまざまな環境事情に対応できるような、そういうものを付加する。こういうことが極めて私は大切ではないかなと思えてならないんです。
こういうことで、戻るわけではありませんが、電力のことも含めて、効率的な発電機を取りつける、電力供給をする、廃棄物の適正処理という本来的な環境対策と、都市型エネルギーを供給する、いわゆるエネルギー政策も含めて、こういう地域拠点の位置づけをもうちょっと明確にしてもいいんじゃないかと思うんです。これは当然にして全体的な話です。東京全体の中で可能な限り、いや、可能な限り以上の検討をぜひ加えていただきたいなと思うんですが、どうでしょうか。
○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 区市町村の清掃工場におきまして、廃棄物発電の高効率化を推進するとともに太陽光発電設備の設置などを図ることは、都市における自立型、分散型エネルギー源を確保する上で重要と考えております。
多摩地域では現在、ふじみ衛生組合と西秋川衛生組合、武蔵野市、日野市の、四つの清掃工場建設計画がありまして、そのすべてが発電設備を設置する予定になっております。都といたしましても、清掃工場の建設時をとらえまして、計画段階から高効率発電の導入を積極的に働きかけ、技術的な指導や助言を行ってきました。
あわせまして、既存の清掃工場におきましても、発電量の増量に向けた運転方法の改善や太陽光発電設備の設置など、技術的な指導や助言をしてまいります。
また、清掃工場が地域のエコの拠点としての性質をさらに高めていくため、都の埋立処分場に設置してあります環境学習施設の運営のノウハウなどを、積極的に市町村に提供してまいります。
○こいそ委員 ぜひ、先ほど申し上げたような点で、私が申し上げたことも踏まえて、ひとつご検討いただき、対応していただきたいなというふうに改めてまた要望させていただきたいと思います。
次に、変動の大きい再生可能エネルギーによる発電の、安定化に向けた取り組みついてということでお尋ねしたいと思います。
私は先般、日本の最西端、一番西ですね、南は東京の沖ノ鳥島ですが、沖縄県の与那国島に行ってきました。再生可能エネルギーと蓄電池の組み合わせによる離島におけるマイクログリッドシステム、この実証実験を視察してきました。
このプロジェクトは、離島といういわゆる電力網が閉じた空間で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを導入した際でも、蓄電池を併用することで、まさに天候が、雨の日もあれば風の日もある、曇りの日もある。こういうときでも熱を受けとめて、受けとめてというか、その電力、熱需要というものを一定的に蓄電していくと。そしてまた、それなりの応用ができるという実証実験をやっていたんです。
こういう、まさに電力網の安定化を図ろうという実験そのものを見てきたわけでありますけれども、その中で、離島という、置かれている状況も状況なんですが、いろんな試みがあるんだなということなんです。
広大かつ複雑多岐な電力網を抱える首都圏において、同様の取り組みをすぐに実践するというのは難しいと思いますが、しかし、こうした蓄電池による再生可能エネルギーの不安定性を解消する取り組みは、私は十分に参考になると思うんですね。
先ほどお話もあったけれども、太陽の光を角度だとかで可搬的に捕捉していくという、これも大変よいというか、技術的にも進んできましたよね。ですから、雨の日、曇りの日でもという技術的なものも、今、開発されているわけです。
都として、今後、こうしたさまざまな技術開発の動向を把握しながら、再生可能エネルギーについて幅広く、さらに検討を加えていく必要性があろうかと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○紺野環境政策部長 与那国島での実証実験は、離島という独立した電力系統で太陽光発電設備を大量導入した場合の影響を把握するとともに、蓄電池を設置することにより太陽光発電の不安定成分を吸収することで、電力系統に影響を与えない運用方法の確立を目指すものと聞いております。
与那国島での蓄電池を活用したこの実証実験の結果も含め、最新の技術動向を注視しながら、再生可能エネルギーについてさまざまな研究を加え、多様なエネルギーの活用を図ってまいります。
○こいそ委員 さまざまなクリーンエネルギー、代替、再生可能エネルギーを含めて、また廃棄物発電による売電など、うまく組み合わせをしていただいて、総合的に活用していくことがまさに重要だろうということ、これは理解するところだと思うんです。エネルギー問題はまさに大きな転換点に来ているんじゃないか、これはもう共通だと私は思うんです。
やはり原子力発電の、我々、特に首都圏は、福島原発もそうでありましたけれども、柏崎刈羽原発、この供給も忘れちゃいけないですね。こういう中において、新潟の中越震災--新潟沖地震も発生しましたよね。この中で一部稼働停止をした状況もあった。そういうような、原子力発電を即やめろなんていうのは、私は、現実問題としてこれはいかがなものかと実際思う立場でありますけれども、しかし、それはそれとして、やはり我が国のエネルギー政策の今後を踏まえて考えたときに、私はやはり、まさに日本は強いと。オバマ大統領が一般教書演説でも、何回も、日本のクリーンエネルギーを、この技術力を含め、称賛しているんですね。これはオバマ大統領だけじゃない。実は、世界じゅうそうですよ。太陽光についてはドイツに抜かれてしまったけれど、それはいろんな仕組み、事情がある。
しかし、こういう中で日本はこれから勝負をかけると。勝負をかけられるのはやっぱりクリーンエネルギーですよ。代替エネルギー、再生可能エネルギー、この分野だと思うんです。
そういう中において、先ほど申し上げたけれども、特にこの首都東京、よくいわれるダイナモであり心臓部であり、そして最大のエネルギーを放出し、最大のエネルギーを消費している都市。この責任は、まさにあると思うんです。これを各県に依存している体質というのを、これからどうするべきか。
自立、分散というお話は先ほどあったけれども、この中でまさに次の時代転換を見据えて、東京が、代替的な新しい環境エネルギー政策を確立する、しっかりと立ち上げていく、また環境政策をリードをしていくといいますか、こういうような首都東京であるべきじゃないかと私は思うんです。その思いの中から、局長の考えを改めて伺って、質問を終えたいと思います。
○大野環境局長 今回の震災と電力危機という事態を受けまして、国はエネルギー基本計画を来年度までに見直していくということをいわれております。今後における日本の電力供給あるいはエネルギー供給を考えますと、今後も起こり得る災害に対して強靱であるとともに、気候変動の危機の回避に向けた低炭素型の電力、エネルギー供給をやっていく、これが課題だと思います。
しかし率直に申し上げまして、これまでの国の実績から考えると、単にその検討を国だけに任せていてはとても実現できないだろうというふうに思わざるを得ないと思っております。
きょうは、再生可能エネルギーの普及拡大について、全量買い取り制度が必要だという議論が何回か行われましたが、実は、その再生可能エネルギーにしても分散型の電源にしても、これを普及拡大していく上では、固定価格買い取り制度だけでは不十分です。
もう一つ大きな問題があります。それは、電気事業法そのものを変えなきゃならない、こういう問題があります。現在の電気事業法は、全国を十のブロックに分けまして、その一般電気事業者が送電も配電も発電も行うというふうな体制でございます。そういう中で新しい事業者が入っていこうとしても、競争上なかなか不利になってしまうという参入障壁があるわけでございます。
例えば一つ例を申し上げると、どこか別の会社が発電して、それを例えばどこか都心のところに売ろうと思うと送電網を使わなきゃいけません。これに託送料というお金がかかるんです。これが非常に高いというふうな問題がございます。
もう一つは、三十分同時同量の原則というのがございまして、需要というのは変動するものですから、一つの発電事業者がそういう需要にぴったりと合うのは難しいんですが、三十分の間、こっちで使っている需要量とこっちの供給量を同じにしなきゃいけないという、こういうルールがあるんですね。これを三パーセント以上変動してしまうと、非常に高いペナルティーがかかってくる、こんなふうな問題もあります。
ですから、新しい事業者が、再生可能エネルギーであろうと何であろうと、参入しようと思ってもなかなか参入できないという話がございまして、この辺も変えていかないと、なかなか新しい電気やエネルギー供給の仕組みができてこないという問題がございます。
こういう安全で低炭素の電力供給を実現するということは、これは実は東京都自身にとっても非常に大きな問題でございます。先ほどもお話がございましたように、東京はこれから世界の中で、あるいはアジアの中で、新しい都市と競争して都市間競争に勝っていかなきゃならない。環境によいと同時に、経済的にもアジアのハブとして勝ち残っていかきなゃならないと。これを実現しようと思うと、まさに東京で、安全で低炭素な電気を実現していかなきゃならない。このことを国の検討だけにゆだねるわけには絶対いかないと私は思います。
石原都政の中で、これまで環境行政は、自動車公害対策において、あるいは気候変動対策においても、都議会の皆様と一緒になって国をリードする施策をつくってまいりました。
国を動かすためには、あるいは全国レベルの取り組みをするためには、もちろん一つは、切れ味のよい正しい政策にすることが必要ですが、単にこれを国に提案するだけでは不十分であるということがあるのだと思うんです。やはりまず東京でやって、その実績を示すことによってこそ初めて国が動くというのが、我々のこれまでの経験にあったものです。
私、今でも忘れられないんですが、都議会の皆さんと一緒に取り組んだディーゼル規制、このディーゼル規制で、東京都が要求する環境水準を満たすためには低硫黄軽油というのが必要だったんです。軽油中の硫黄分を相当低いレベルまで、五〇ppm以下にまで下げなきゃならないと。これを東京都は、当時、石油連盟に要請に参りました。そのとき、私、石油連盟の方のいった言葉が忘れられないんですが、そういう要請というのは、今までいろんなところから来ることはあるけれども、東京都は最初に条例を改正して、実際に規制をやるという仕組みをつくった、そういう実績がある東京都だから、その東京都の要請を受けましょうといって実現したという経緯がございます。
この経験も踏まえまして、我々は、まさに新しいテーマであるエネルギー政策の転換という点についても、まず東京で実際に施策を実現して、その実例をもって国全体を動かしていくと。そのために我々は、これまでディーゼル規制、あるいは気候変動施策の中で培ったノウハウでありますとか経験をすべてつぎ込んで、この課題に取り組んでいきたいと、このように思っております。
○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後六時二十三分休憩
午後六時四十五分開議
○橘委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山下委員 さて、今回の地震による発電所の被災に伴い電力危機を迎え、社会全体が省エネ、節電に取り組んでいる現状があります。この電力危機を克服するべく、東京都は電力対策緊急プログラムを策定し、そこには過度の電力依存社会からの脱却を目指すための取り組みが示されています。
私は、これらの省エネ、節電対策の中で、特に明るさという観点から、きょうは質問をさせていただきます。
東京都電力対策緊急プログラムでは、都の施設の省エネ、節電を推進するために、LED照明の導入を進めるとしています。民間のオフィスビル等の照明ではインバーター型蛍光灯がかなり普及しているようですが、一方、LED照明は着実に増加してはいるものの、コスト面などから、これまで急速な普及には至っていないと思われます。
そこで今回、都はオフィスビル等へのLED照明の導入についてどのように進めようと考えているのか、見解を伺います。
○山本環境都市づくり担当部長 オフィスビルにおけるエネルギー消費のうち、照明が占める割合は約三〇%と大きく、照明の高効率化は大変重要でございます。
近年、LED照明につきましては製品開発が積極的に行われ、効率が向上してきてございます。このため、環境確保条例において、中小規模事業所のCO2削減量を大規模事業所の削減義務に活用できる都内中小クレジットの認定基準を本年三月に改正いたしまして、オフィスビルの一般照明として利用されております高効率な直管型LED照明を対策項目として追加してございます。
この都内中小クレジットの認定基準の改正によりまして、中小規模事業所におけるLED照明の導入を促進していきますとともに、広く、高効率なLED照明の普及を図っていけるものと考えております。加えて、この夏の電力不足に向けて開催しております節電セミナーなどにおきまして、高効率なLED照明への更新を積極的に促しているところでございます。
○山下委員 今、太陽光や太陽熱をエネルギーに変換する技術が注目を浴びています。
都も、これらの取り組みに対して補助事業を実施するなど積極的に推進しており、これは評価されるべきことだと思います。
しかしそれに加えて、明るさの観点から、太陽の光そのものをこれまで以上に活用できないものかと考えます。例えば、オフィスビルそのものに太陽の光が差し込むような構造にしたり、あるいは自然の光を鏡のダクトに閉じ込めて運び、オフィス内の照明用光源として使う技術、光ダクトを備えたりすることなどが考えられます。
そこで、都内で太陽の明るさを活用している事例と、その状況について伺います。
○和賀井都市地球環境部長 都では、平成十四年から建築物環境計画書制度を導入しまして、建築主が太陽の光をそのまま執務室に取り入れる工夫や光ダクトを導入した場合に、再生可能エネルギーの直接利用として位置づけまして高く評価し、その内容をホームページで公表しております。
昨年四月からの総量削減義務の導入を契機に、都内では近年、環境配慮型オフィスビル、いわゆるグリーンビルディングの建設が盛んになってきております。
これらのオフィスビルでは、最上階に設けました天窓から低層階の執務室に太陽の光が届くよう光ダクトを導入している事例ですとか、太陽光の強さや向きに応じまして、シェード、いわゆるひさしの傾きを自動で制御したり、太陽の光の入ってくる量に応じて照明を制御したりするなど、太陽の光をより効果的に使うための工夫が凝らされている事例が出てきてございます。
○山下委員 実は私は、去年七月に都が開催した環境建築フォーラムに参加いたしました。今、ご答弁いただいたように、確かに都内で幾つかの事例はあるようですが、一年前のその時点では、まだまだ十分とはいい難いと感じました。
今回の電力危機に際し、今後、太陽の光をもっともっと活用して、執務室の明るさを確保するオフィスビルをふやすことが必要だと考えられ、そのためには建築主がその重要性を意識することが求められます。今後の都の基本的考え方を伺います。
○和賀井都市地球環境部長 建築物環境計画書制度や総量削減義務の導入を契機としまして、太陽の光を積極的に活用する技術を初めとした、環境配慮に関する民間の技術開発が活発化したものと認識しております。
都では昨年七月に、こうした環境建築技術を取り入れました環境性能にすぐれた建築物を広く紹介するため、オフィスビルを対象として環境建築フォーラムを開催いたしました。この中で、事業者から、太陽の光をそのまま使うための工夫や、光ダクトの整備の取り組み等についてもご報告をいただいたところでございます。
また、昨年一月から建築物環境計画書制度を強化して、一万平方メートルを超えるオフィスビルにつきましては、建築主がテナントに賃貸を行う際、省エネルギー性能評価書を交付することを義務づけました。この省エネルギー性能評価書では、太陽の光を活用する技術を導入したことを示し、テナントにアピールできるようになってございます。またテナントも、環境配慮型のビルを選びやすくなっていると思います。
今後も、これらの取り組みを複合的に進めることで普及啓発を進め、事業者が新築オフィスビルに太陽の光をそのまま使う工夫を導入する後押しをしてまいります。
○山下委員 今回の大震災を通じて改めて感じたのは、この電力危機が起こる前から、東京都が省エネを進めるために環境確保条例に基づくさまざまな施策に取り組んできており、だからこそ、こうした困難な場面でも的確に対処することができているということです。
環境局の力と頭脳が世の中の流れをつくったり、仕組みを変えたりすることにもなります。今回の電力危機は、太陽の光の明るさそのものを活用するオフィスビルをふやしていく契機とすべきと考えます。
環境確保条例があり、その中に建築物環境計画書制度があります。これを軸として、オフィスビルで太陽の光の明るさを取り入れることが当たり前となる社会につながっていくことを期待して、質問を終わらせていただきます。
○野田委員 それでは、もうこの時間になりますと随分質問がかぶっておりますので、重複しないように伺いたいと思います。
今回、創エネ機器の導入支援ということで、おおむね百四十億円の予算を組んでおられますが、補正予算全体の一割強と、大変、大きな額だと思っております。私の地元も、先ほど島田委員の質問でもあったように、やはり計画停電の該当地域でございました。
特に日にちまで覚えているわけじゃないんですけれども、薄暗い、天気の悪い日には警察官が交差点で手旗信号でやっていただいておるんですけれども、そんなのも余り見えないような状況でしたし、本当に電力というものに、いかにふだん頼って生活をしているかというのを改めて認識をいたしました。
同時に大変多くの中小企業の経営者の方ですとか、病院ですとか高齢者福祉施設もしくは重度心身障害児の施設の方から、今回の計画停電は大変困ったと、こういう相談といいますか、おしかり、お問い合わせをたくさんいただきました。
特に重度心身障害児の施設の方からは、計画停電の最中に、自家発電を自前で設置されておったものですから、それで何とか乗り切ったんだというお話を聞いたわけでありますけれども、これら病院等々は一五%の削減義務が、今回、免除されているわけですよね、国の指針では。ただ、こういうことが春先の計画停電の際にあったということで、かなり節電というものに対して意識を強くお持ちであります。それは危機感の裏返しだと思っております。
今回、要望といいますか、補正予算をここで組むんだという話をしたところ、今回は組まれておりませんけれども、病院さんですとか、重度心身障害児の施設とか高齢者の福祉施設、そういったところからも、ぜひ節電とか創電の補助制度というものをいつの日かつくっていただいたらありがたい、こういう多くの要望をいただいておりますので、ぜひとも将来的な検討課題にのせていただければありがたいと思います。
それでは本題に入りますが、一点、太陽熱の利用機器の導入促進について伺いたいと思います。既に、本年度二十三年度の当初予算におきまして、太陽熱の利用機器につきましては、集合住宅等々への導入ということで経費が計上されております。
今回の補正予算と当初予算の関連を含めて、今回の補正予算案における太陽熱導入促進事業の位置づけについて伺いたいと思います。
○和賀井都市地球環境部長 太陽熱の利用機器は消費電力量の削減に寄与し、家庭における電力確保につながるため、今回の補正予算案における導入補助の対象としたものでございます。特にエネルギー効率の低い電気温水器の利用からの転換と組み合わせることで、消費電力量の削減効果が高まるため、これを条件とした太陽熱導入促進事業の創設を予定してございます。
当初予算の集合住宅等への導入促進事業は、太陽熱普及に不可欠な新規需要を掘り起こすために新築住宅を補助の対象としてございますけれども、今回の補正では電力確保を目的として、電気温水器を利用している既築の住宅を補助の対象としたものでございます。
今後、新築住宅、既築住宅の両面で太陽熱の導入を促進し、家庭における電力確保にも貢献してまいります。
○野田委員 終わります。
○興津委員 こういう時間でもありますので、できるだけ端的に質問をさせていただこうかと思います。
まず最初に、三月の十一日の発災以来、警視庁、東京消防庁を初めとする東京都全体のさまざまな支援策に、感謝と敬意をあらわさせていただきたいと思います。
実は私も、都議三人、地元の市議三人と、東京都に届いていました救援、支援物資をお届けしつつ、瓦れきの撤去等のボランティア活動をさせていただきました。また、宮城県の石巻市なのですが、行かせていただきました。そして翌日は、宮城県に派遣されています東京都の出張事務所でしょうか、そちらの方にお伺いいたしまして、お話を伺ってきたところでもあります。現地の状況はまだまだ大変な現状でありますので、引き続きの支援をお願いさせていただきたいと思っております。
また、原発の問題もありまして、今議会におきましては、放射線量の計測について数々の議論があったところでもあります。都民の安心・安全の確立のためには、いろいろな対策を進めるべきであろうと思っております。
一般的になんですが、法律の世界では疑わしきは罰せずといいます。ところが、科学とか化学の、そちらの方の考え方では、世界では疑わしきは罰すると。つまり原因と結果を徹底的に検証するべきであります。
人間の生命と安全を守るためには、この放射線量への対策は強力に推し進めていくべきだろうと考えております。今後とも、環境局の皆様のご努力を期待しつつ、質問の方に移らせていただきます。
東京都の電力対策緊急プログラムでは、三点にわたりまして基本的な考え方が示されております。また、今夏以降、当面続くであろう電力危機を突破するための緊急対策として、契約電力五百キロワット以上の大口需要家、そしてそれ未満の小口需要家、家庭部門など、部門ごとの具体的な対策メニューを提示するとともに、低炭素・高度防災都市の実現のために四点にわたる視点も示されております。しっかりと検討の視点を定めまして、新たな環境政策を構築していくことが大変重要であると考えています。
そこで質問ですが、今回の補正予算に計上されている、新たな環境エネルギー政策の構築を目指すための調査等の事業につきましては、今後の新たな環境政策の構築に役立てるための予算要求であると考えております。改めまして、今後の施策についての趣旨と目指すべき方向性を、まずはお伺いいたします。
○紺野環境政策部長 都はこれまでも、世界で最も省エネルギー型の都市の実現を目指しまして、大規模事業所への総量削減義務と排出量取引制度、中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度など、東京を低炭素型の都市へ変容させる施策を積極的に展開してまいりました。
しかし、東日本大震災によって生じた未曾有の電力不足によりまして、遠隔地に依存した首都圏のエネルギー供給体制など、過度に電力に依存した社会の脆弱性が明らかになったところでございます。
こうした状況を踏まえまして、これまでの省エネルギー施策の成果を生かしつつ、災害時のリスクにも強く、同時にCO2排出量が少ないエネルギーを利用する都市のあり方について、検討を進めることが必要となっているところでございます。そのためには、自立型、分散型エネルギー源の確保など、電力の供給面からの対策も加え、エネルギーの需給両面にわたる政策の検討が必要となっております。
本事業では新たな環境エネルギー政策の構築に役立てるよう、専門的な見地から、必要な調査検討を行っていくものでございます。
○興津委員 ありがとうございました。調査費の計上ということであれば、それは将来的に施策に結びつくと考えておりますが、中長期的な視野に立って、実効性のある施策にぜひ結びつけていただきたいと思っております。
エネルギー需要の最適制御も必要でありましょうが、経済活動の停滞を招かないように見計りつつ、民間への過度な政策要求の発生を控えていただきたいとも思います。また、この緊急プログラムにもありますように、六本木ヒルズの事例などを参考に、創エネルギーの取り組みと、発送電分離と、再生可能エネルギー源の多数分散配置への考え方、そして知事所信表明にあります、天然ガス発電所の建設とセットの整合性を図りつつ、電源の分散化を図っていただきたいとも思っております。
また省エネルギーの観点からは、地域冷暖房システムDHCの普及促進、またこれに向けた規制緩和、有効活用の利用、そして情報提供等も必要であろうと思います。また提案でありますが、一定程度の面積を持つモデル地域を設定し、エネルギー源の配置をし、地域発電、地域消費、地域独立性を確立し、その地域をまるでインターネットの回線のように有機的に結びつけてエネルギー源の多極分散配置をし、災害に強い都市づくりを目指していくという視点が必要ではないかと考えております。ぜひ、ご検討いただければありがたいと思っております。
次に、我が党の代表質問におきまして、中小規模事業所の省エネ設備導入に関する諸施策の情報が各所管ごとに提供されております、情報提供及び相談窓口の一本化と、制度の周知徹底に向けた取り組みが必要であるとした質問に対しての答弁といたしまして、利用者の利便性に配慮することが必要である、東京都地球温暖化防止活動推進センターでは局をまたいだ制度の説明資料の作成や情報提供に努める、そしてこのセンターを都の地球温暖化対策の拠点とすると答弁をいただきました。
そもそも、この地球温暖化対策報告書制度による施策はCO2削減に向けた施策であると理解しておりますが、省電力対策へ向けた取り組みとの整合性をお伺いします。
また、推進センターでの施策は、財団法人東京都環境整備公社に対する東京都からの委託事業の範疇であると考えておりますが、東京都からの委託事業として、電力削減へ向けた事業の委託は明文化されているのでしょうか。その点を確認させていただきます。
○山本環境都市づくり担当部長 地球温暖化対策報告書制度につきましては、中小規模事業所にCO2排出量と地球温暖化対策の取り組み状況の報告を求め、CO2削減を推進する制度でございます。
この地球温暖化対策には、省エネルギー対策として節電対策が含まれており、したがいましてこの夏の節電対策では、本制度におきまして、これまで推進してまいりました省エネルギー対策のうち、即効性があり、だれもが取り組みやすい節電対策を、中小規模事業所が実施すべきものとして提示してございます。
また、中小規模事業所の地球温暖化対策を推進する事業につきましては財団法人東京都環境整備公社に委託しておりまして、本委託事業の中に、中小規模事業所の省エネ対策の推進も含まれてございます。
○興津委員 わかりました。しかしながら温暖化対策ということは、広く都民一般にはCO2削減という理解になっているのではなかろうかと拝察できます。
東京都の地球温暖化対策報告書制度のホームページには、その目的として、若干中略しますが--具体的な省エネルギー対策を実施していただき、実質的に事業活動を伴う二酸化炭素の排出抑制の推進をしていくことを目的としていますと、その目的が明確に記載されております。
今回、喫緊の課題であります消費電力一五%削減の目標に向けて都民の皆様のご協力をいただくためには、二酸化炭素排出抑制と同時に、明確に消費電力削減ということを目的に書き込んでいき、そして東京都から都民の皆様に周知徹底と啓蒙活動を進めていく、このことこそが今一番必要とされていると私は考えております。
次に、この報告書制度は、昨年度からの施策であると伺っております。現在の到達点と今後の進捗状況についての取り組み方をお伺いいたします。
○山本環境都市づくり担当部長 都は、昨年度から地球温暖化対策報告書制度を導入し、三万を超える中小規模事業所から、CO2排出量や、省エネ対策の実施状況に関する報告書の提出をいただいたところでございますが、多くの中小規模事業所につきましてはエネルギー使用量の把握といった初歩的な段階にあることから、今後、中小規模事業所がその実情に合わせて段階的に対策のレベルアップを図っていけるよう、今年度、中小規模事業所に示していきます対策メニューについて改定を行ったところでございます。
また、この夏の節電対策では事業者団体の協力をいただきまして、こうした団体を通じて、中小規模事業所に、報告書を活用した節電対策の計画づくりに取り組んでいただいているところでございます。
○興津委員 わかりました。政策の継続性というものも求められると思います。引き続き着実に推進していただきたいと思いますし、また先ほども議論がありましたけれども、環境確保条例を超える取り組みが、やっぱり今後とも必要ではなかろうかと私は思っております。
次の質問に移りますが、都内の中小規模事業所は、およそ六十九万あると伺っております。一方、導入後三年が経過した、東京都地球温暖化防止活動推進センターが実施する省エネ診断の実施推移をお伺いいたしますと、初年度の相談件数が二百七十件、次年度が三百八十三件、昨年度が七百件と、年々、着実に増加しているということでありました。
しかし、六十九万の事業所との対比では、残念ながら東京都としても、まだまだ満足のいく相談件数ではないのではないかと拝察しております。昨年比一五%の消費電力の削減を求められている節電対策を広め、浸透させていくのは、なかなか大変なことであろうと思います。
今後の都の節電対策の取り組みの状況についてお伺いいたします。
○山本環境都市づくり担当部長 節電対策を広く普及させていくためには、先ほど申し上げました地球温暖化対策報告書を活用した節電の取り組みとともに、事業者団体等と協力して行う中小規模事業所向けの節電セミナーや、区市等との連携による研修会を七月までに三十回程度実施して、節電対策の徹底を図ってまいります。
また省エネ診断は、これによってすべての中小規模事業所について、直接、省エネ対策を指導しようというものではございませんで、省エネ診断を通じて、中小規模事業所の省エネ対策の実態を把握し、業種別の対策の充実や、地球温暖化対策報告書制度の改善充実を図って、中小規模事業所全体の温暖化対策の推進に役立てていくというねらいがございます。
○興津委員 わかりました。中小企業者が具体的な省エネルギー施策を、各会社さんが実行するに当たりまして、センターさんの方の診断とか、報告書の作成、そして補助申請等々の業務が行われることになるんだろうと思います。その業務が、また逆に中小規模事業所さんへの過度な負担にもなってはいけないと思っておりますので、多少ご配慮をいただければよいかなというふうに思っております。
それでは最後の質問になりますが、例えば事業所の、今いいました補助申請等々でありますが、事業税の減免を行う、中小企業向け省エネ促進税制の実施というものもあります。この制度を利用できる中小企業は経常利益も出して納税をし、なおかつ設備投資に前向きになれるという、いわゆる優良企業しか利用できない事業ではないかというふうにも一方では考えられます。
つまり、キャッシュ・フローの高い優良企業は、新しい設備投資を行い、そして省エネを進め、経常経費の削減に結びつけ、事業効率を高め、利益の再生産に向かうことができるでしょう。現況の経済状況においては、なかなかここまでの設備投資に向かうことのできない中小企業が多いというのも、また一方では事実だろうと思います。
省エネ設備導入には、いずれにせよ、体力のない中小規模事業所に対しての何らかの費用の持ち出しが必要となるのも一方では事実でありますので、こういった現状を踏まえますと、中小規模事業所の実情を考慮した支援策も、また一方で必要であろうと思います。ご見解をいただきたいと思います。
○山本環境都市づくり担当部長 都では、中小規模事業所の経営状況等を踏まえ、制度融資や中小企業向け省エネ促進税制など、省エネ設備導入に関する支援策を提供してございます。
また、環境局が実施しております省エネ診断につきましては、中小規模事業所の実情を踏まえ、比較的費用がかからずコスト削減につながる運用改善、例えば空調機の冷水温度の設定ですとか、ボイラーの空気比の調整などでございますが、こうした運用改善を中心に省エネ診断を行ってございます。また、中小規模事業所の要望に応じまして運用改善の具体的な実施方法を、現場での指導も行っておるところでございます。
○興津委員 ありがとうございました。まとめますが、今夏の一五%の電力削減目標には、まずは中長期の視点に立って、中小事業所並びにご家庭を含めた都民の皆様に対しての省電力に向けた意識改革、そして啓蒙活動も、東京都には求められているのであろうと考えております。CO2削減と同時に、消費電力一五%削減目標に向けた、包括する形で省エネルギーを全面に立てた、今回提案されている条例案も、非常に重要な案件だろうと私は考えております。
以上、今後とも一五%の削減に向けまして、皆さんと一緒に努力をしていきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○山田委員 それでは、私、最後の質問者になりましたので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。それでは早速、質問に入らせていただきます。
電力危機への対応についてお伺いいたしたいと思います。電力需要のピークを迎えるこの夏場でありますけれども、この夏の電力危機を乗り切るためにどうしたらよいのか、あるいは何をしたらよいのかということが、今、問われているわけでありまして、抽象的な議論とかあるいは理念的な議論ではなくて、具体的な施策をどう実行するか、ということであると私は思っております。
東京都は、これまで排出量取引制度などの先導的な気候変動対策を展開して、省エネルギー政策を推進してまいりました。今こそ、これまでの施策を最大限に活用いたしまして、都民や事業者に具体的な節電行動を促すという、地に足のついた政策を実行する必要があると思います。
さて、都内の電力消費量の内訳を見ますと、国が電気事業法に基づいて電力の使用制限を課すという契約電力五百キロワット以上の大規模事業所の電力消費が全体の三四%、そして法規制の対象にはならないけれども、契約電力五百キロワット未満の小口の事業所の電力消費が三五%、そして残りの三一%が家庭での電力消費でございます。
そこで、まず大規模事業所についてお伺いいたしたいと思います。都内の場合には、特にオフィスビル、それもテナントビルが多いわけでありまして、このような場合、最大使用電力の一五%の使用制限が課せられるわけでありますけれども、これはビルのオーナーにそれが求められると思いますが、実際には、ビルの大半の電気を使用しているのはテナントの事業者であると思いますし、テナント事業者に節電を取り組んでもらわなければ、実質的な効果はないということになってしまいます。
ビルのオーナーがテナント事業者の協力を得て使用制限を遵守するということについては、これはCO2の削減にも資するものでありまして、都はこういうことについて適切に支援していくべきと思いますけれども、まず、見解をお伺いいたしたいと思います。
○山本環境都市づくり担当部長 今夏の節電対策と同様に、テナントビルにつきましては、昨年度スタートしましたキャップ・アンド・トレード制度においてもオーナーとテナントの協力が不可欠でございます。
このため、環境確保条例におきまして、すべてのテナント事業者に対しオーナーの実施する対策に協力する義務を課すとともに、大規模なテナント事業者には、省エネ対策の計画書作成と対策の推進を義務づけたところでございます。
制度導入後、大規模なテナントビルにつきましては、温暖化対策を推進するためのテナント協議会の設置や、テナント事業者によるCO2削減計画の作成、実施が着実に進んでおりまして、こうしたキャップ・アンド・トレード制度での取り組みが、この夏の節電対策においても大変有効に機能するものと考えております。
さらに、この夏の節電対策では、平成十七年度より約千三百の大規模事業所に対して行ってまいりました省エネ指導の実績を生かしまして、テナント事業者が節電に取り組むべき、節電重点十対策を取りまとめております。これを、六月七日、八日に開催しました緊急節電セミナーにおきまして説明するなど、広く情報発信を行っているところでございます。
また、大規模事業所に対しまして、省エネ専門家を派遣する節電アドバイス事業を実施しておりまして、この中でテナントビルにつきましては、テナント協議会等での説明会や、節電重点十対策に基づく個々のテナント事業者へのアドバイスも、あわせて実施しているところでございます。
○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、やはりビルのオーナーとテナントの事業者の信頼関係、あるいは協力関係というんでしょうか、大変大事なことになるかと思いますので、東京都としてもしっかりした支援策を取り組んでいただければと思います。
この夏の電力の危機を回避するためにも、契約電力五百キロワット未満の小口の需要家が多い中小規模事業所への対策が私は不可欠であると思います。都は昨年から、中小規模事業所の温暖化対策を促進するために地球温暖化対策報告書制度を導入して、中小規模事業所の省エネ対策に取り組んできたところでもございますが、中小規模事業所の節電対策を推進するためには、地球温暖化対策報告書制度等を有効活用する必要があると思います。現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○山本環境都市づくり担当部長 都では昨年度、地球温暖化対策報告書制度の導入に当たりまして、関係する事業者団体との協力関係を構築し、三万を超える中小規模事業所から報告書の提出をいただいているところでございます。この夏の節電対策では、こうした団体とのネットワークを活用しまして、節電対策を進めているところでございます。
具体的な例といたしましては、昨年三月に地球温暖化対策の推進に関する覚書を締結した社団法人東京法人会連合会では、会員企業に、地球温暖化対策報告書を活用して節電対策の計画づくりをすることや、報告書の前倒し提出を呼びかけていただいております。さらに、都の対策を紹介したチラシ十七万部、またポスター五千部を作成、配布していただきまして、節電対策の呼びかけを行っていただいております。
こうした取り組みの結果、既に節電対策を記載した報告書の提出が行われておりまして、今後とも、こうした団体との協力関係を生かして、節電対策を推進してまいりたいと思います。
○山田委員 関連団体と協力をして、そして節電対策を進めているということであります。こういう団体のネットワークをぜひ生かしていただきながら、より一層の節電対策に力を入れていただければと思います。
また、中小規模事業所の中には、今ご説明がありましたけれども、昨年度から、地球温暖化対策報告書の提出をきっかけにして省エネ対策に取り組み始めた事業所も多いと聞いております。
しかし一般的には、中小規模事業所の場合、具体的な実施方法がわからないとか、あるいは節電対策が十分でないところも多いと聞いております。
そこで、このような状況を踏まえて、東京都は中小規模事業所に対し、だれでもが取り組みやすい、実効性のある対策を提示する必要があると思いますが、どのような取り組みをされているのかお尋ねをいたします。
○山本環境都市づくり担当部長 東京都では、中小規模事業所の実情を踏まえまして、比較的取り組みやすく効果の大きい照明の間引きを中心に、節電対策の徹底を呼びかけているところでございます。
特に照明の間引きにつきましては、具体的な手順を示した手引書を作成し、事業者団体や節電セミナーを通じて説明を行うとともに、都のホームページなどさまざまな機会をとらえて、対策の周知を図っているところでございます。
また、政府が事業者に求めております節電行動計画につきましては、対策は列記されておりますが、具体的な実施方法については示されていないものでございます。そこで都としまして、中小規模事業所向けに作成しております地球温暖化対策ハンドブックを活用して節電対策の実施方法を紹介し、中小規模事業所が取り組みやすいよう、きめ細かい情報提供を行っております。
○山田委員 手引書を作成するとか、あるいはセミナーを実施するとかということで周知を徹底しているということでありますが、だれでもが取り組みやすい、実効性のある対策を進めていただければと思います。
次に、家庭における対策ということでお尋ねをいたしたいと思います。
大口、小口の需要家に次いで、電力消費の三割を占めるのが家庭であるわけでありますが、私は、家庭対策も、この夏の電力不足を乗り越えるためには大変大事なかぎを握っていると考えております。
例えば、電力の使用制限に対処するためには、夏休みをふやしたり、あるいは在宅勤務を始めたりという、そういう企業もふえているように聞いておりますけれども、確かにこうした取り組みについては、事業所としては実行に伴って電力使用は減るかもしれませんけれども、一方、家庭においては、家庭にいる時間が多くなるわけですから、それに伴って電力使用がふえるということにもなりかねません。
家庭ではどうすれば電力消費を減らせるかという、実質的には一五%の節電が求められているということでありますけれども、これも義務化されているわけではありませんし、個人の意志によってこれを達成するということになっておりますので、この夏の電力の需給の状況をわかりやすく伝えた上で、何をすればどのくらいの節電の効果が上がるのかを、都民に具体的に周知していく必要があると私は思います。それに対する都の見解をお聞かせください。
○久原担当部長 都民への節電の周知につきましては抽象的に行うのではなく、平日は、最も電力需給が逼迫する時間帯、いわゆるピークタイムを明確にいたしまして、節電の必要性を周知する必要があると考えております。
そのため、電気の使用を減らすことのほか、家電を利用する際はピークをずらすことが重要である旨をわかりやすく啓発するポスターを作成しまして、今月中旬から順次、都有施設、都営地下鉄、都営バスの全車両内、りんかい線、「ゆりかもめ」、多摩モノレールの全駅などで掲出を開始したところでございます。
また、都民向けの啓発用パンフレットやホームページには、節電の取り組みごとの電力削減効果をモデル化して掲載することによりまして、都民がみずからの取り組みの効果を実感しながら、継続的に節電ができるように工夫しております。このパンフレットは好評でございまして、多方面から追加送付依頼が寄せられております。
そのほかにも「広報東京都」はもちろん、消費生活センター発行の「東京くらしねっと」や、都営住宅に配布する「すまいのひろば」など、都民に身近なさまざまな広報媒体を通じて、広く都民への周知に努めてまいります。
○山田委員 東京都といたしましても、都民が節電効果を実感できるよう、具体的な節電対策を啓発していただけることを期待しております。また本来、家庭対策というのは身近な地元自治体が取り組みをするのが、進め方とすれば、その方が適当かなと思いますけれども、やはり地域住民と地域自治体、市区町村ということになると思うんですが、これは本当に地元の得意とするところだと思います。
既に一部の区市では、節電の取り組みに応じて商品券を発行するとか、あるいはLED電球の割引券を出すとか、そういうような事業が始まっている地域もあるやに聞いておりますけれども、広報紙などで節電を呼びかけていくことも大事でありますが、これが、一部の団体がそれぞれの工夫をされていると思うんですけれども、それにとどまっているという状況だといかにも中途半端でありまして、私は地に足のついた政策を実行しているとはいい難いと、そのように思います。
また、都が紹介しております節電の取り組みや効果につきましても、各市区町村が紹介しているものと異なっておりますと、やはり都民が混乱してくるということにもなりますので、ぜひ整合性のある啓発を行っていただきたい。それが大変大事だと私は思っております。
このように、区市町村の取り組みと、そしてまた東京都あるいはその他の団体がお互いに協力をすることによって、点が面になるといいますか、全体的な、統一的な運動に広がっていくと思いますので、ぜひこのように、区市町村と支援をするというような連携した節電対策を進めていくべきと考えますけれども、それについてのお考えをお聞かせください。
○久原担当部長 家庭の節電の効果を高めるためには、東京全体が一丸となって取り組むことが重要と認識しております。
そのため今月三日には、島しょ地域を除く都内すべての区市町村が一堂に会します東京都電力需給対策自治体会議を開催しまして、都の電力需給対策を説明したほか、先進的に節電対策事業を実施している区市からもそれぞれの事業内容を報告してもらい、活発に議論することによりまして十分な情報共有を図ったところでございます。この会議を契機に、都内区市町村では地域の住民や事業者に向けたさまざまな取り組みが開始されております。
また、この会議の最後には、都と区市町村が連携、協調して節電の啓発活動などに取り組むことについて参加者の意思統一も図れましたことから、先生お話しのとおり、東京を面でとらえた節電啓発などを積極的に展開してまいります。
○山田委員 ぜひ、東京全体が一丸となって取り組めるような内容になるように、東京都としても積極的に支援をしていただければと思います。
大口の需要家あるいは小口需要家、家庭のそれぞれに関して、都はこれまでの気候変動対策で培ったものを十分に生かしながら、地に足のついた政策、施策というんですか、それに取り組んでいただきたいと思いますし、今、具体的にそのような取り組みを推進しているということでございますので、それをこのまま積極的に進めていただければと思います。
単に節電に対する理念を語るだけではなくて、やはり今は具体的な行動というのが大変大事な時期であると思いますので、都としても引き続き区市町村と連携しながら、この夏の電力危機を乗り切るために全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○橘委員長 次に、議員提出議案第四号を議題といたします。
本案について、提出者の説明を求めます。
○山下委員 それでは、議員提出議案第四号、東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例案について提案理由を説明いたします。
東日本大震災の影響で、ことしの夏場の電力不足は五百万キロワットとも一千万キロワットともいわれており、早急に節電対策を進めていく必要があります。特に、先般実施されてさまざまな問題点が明らかになった計画停電と、それに加え、電力消費量が供給量を上回った場合の突発的な大規模停電はあらゆる手段を講じて回避しなければなりません。
こうしたことから、首都機能の維持及び発展のために欠かすことのできない電気を初めとするエネルギーの重要性を踏まえ、省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保のため、災害に強く環境負荷の少ない、省エネルギー型の都市づくりを推進する必要があります。
東京都は五月二十七日に東京都電力対策緊急プログラムを公表しましたが、こうした省エネ型の都市づくりへの取り組みには、東京都を初めとする行政機関の決定だけではなく、家庭、学校、会社、それぞれにおける議論と行動が不可欠であり、都民の代弁者である都議会において広く議論され、議会から都民へと強く働きかけがなされるべきと考えます。
このため本条例案は、東京都並びに都民、事業者の責務を明らかにするとともに、基本理念、その他必要な事項を定める内容とし、家庭、学校、会社、社会全般で省エネへの意識の向上を図ることを目的としたものです。
未曾有の災害に当たり、今、都民が求めているのは政局でも政争でもなく、震災以来都民を覆っている不安の払拭です。党派を超え、都民が求める議会のリーダーシップを今こそ発揮すべきではないでしょうか。都民が消費する電力確保のために建設された福島原発周辺の被災者の皆様に思いを寄せながら、今こそ、省エネに向けた確固たる理念を都議会から発信したいと考えます。
以上、提案の趣旨を申し述べさせていただきました。
本委員会において十分ご審議の上、議員の皆様のご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
○橘委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
午後七時三十七分散会
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