環境・建設委員会速記録第四号

平成二十三年三月二日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長橘  正剛君
副委員長山田 忠昭君
副委員長野上ゆきえ君
理事島田 幸成君
理事石森たかゆき君
理事伊藤まさき君
野田かずさ君
山下ようこ君
興津 秀憲君
かち佳代子君
こいそ 明君
木内 良明君
高橋かずみ君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長森  浩志君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長山越 伸子君
環境改善技術担当部長中村  豊君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長長谷川 均君
緑施策推進担当部長鈴木 秀章君
緑化募金担当部長福田 良行君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十九号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第百六号議案 東京都廃棄物条例の一部を改正する条例

○橘委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第七十九号議案、第八十号議案及び第百六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 去る二月二日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、十項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の部門の二酸化炭素排出量でございます。
 なお、平成十四年度以降については、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で、二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、大気汚染濃度の高い測定局の推移でございます。
 まず、(1)、二酸化窒素について、一般環境大気測定局の状況を記載しております。平成十二年度から平成二十一年度までの各年度における都内の測定局の上位五局でございます。
 四ページをお開き願います。同様に、自動車排出ガス測定局の状況を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質について、一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。同様に、自動車排出ガス測定局の状況を記載しております。
 七ページをお開き願います。4、大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況(平成二十一年度)でございます。
 まず、(1)、大気汚染では、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況について、それぞれ表の上段に、自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 次に、(2)、騒音では、道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況を記載しております。
 八ページをお開き願います。5、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成十二年度から平成二十一年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局での年間騒音発生回数及び日最高の回数を記載しております。
 下の(注2)にございますとおり、日最高とは、一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数でございます。
 九ページをお開き願います。6、保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
 平成十四年度から平成二十三年度までの各年度における数値を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。7、保全地域の指定実績でございます。
 最近指定した保全地域名、指定年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
 一一ページをお開き願います。8、建設泥土の排出量等の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十年度までの各年度における建設泥土の排出量と、その処理の内訳でございます。
 一二ページをお開き願います。9、一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの各年度における区部、多摩地域及び区部と多摩地域を合わせた地域における一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率を記載しております。
 最後に、一三ページをお開き願います。10、事業系一般廃棄物の処理量の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの各年度における区部、多摩地域及び区部と多摩地域を合わせた地域における事業系一般廃棄物の処理量の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 私からは、まず、校庭の芝生化事業についてお尋ねをいたしたいと思います。
 都では、平成十九年度以降、公立の小中学校において校庭の芝生化を推進しております。この事業は、「十年後の東京」実行プログラムにも位置づけられており、緑施策の主要事業となっております。芝生化事業は、事業開始から来年度で五年目を迎えることもありますので、これまでの達成状況や事業実施における課題について、検証する立場から何点か質問をしたいと思います。
 まず、芝生化の効果及び実績についてお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 都では、平成十九年度以降、東京を緑あふれる都市へと再生するため、校庭の芝生化を推進しております。芝生化は、校庭を芝生で覆うことにより、夏場の地表面温度を下げるといった環境面での効果や、校庭で遊ぶ時間が長くなることから、子どもたちの体力向上にもつながるといった教育面での効果がございます。
 実績につきましては、平成二十二年度末には公立の小中学校二百二十七校の芝生化が見込まれており、制度開始以降、着実に学校数がふえてきております。

○伊藤委員 温暖化を下げるという効果と、あとは子どもたちが校庭で遊ぶようになって体力向上につながるという効果があるということは理解するところでありますけれども、しかしながら、東京都では、芝生化の最終目標を、都内の公立小中学校約千九百校あるようでありますけれども、その全部の学校にするとしておりまして、今年度末、二百二十七校の見込みでは、事業開始から三年目で目標の一二%しか達成をできていないという厳然たる事実があるわけでありますけれども、芝生化を進める上でどのような課題があったのでしょうか。

○長谷川自然環境部長 芝生化を進める上での課題でございますが、学校現場からは、芝生のよさがよくわからない、芝刈りなどの維持管理に手間がかかるのではないかといったような意見がございます。
 また、小中学校の校庭は、児童生徒の教育施設としてだけでなく、地域の方々による野球やサッカーの競技場所としても活用されております。地域の方々からは、芝生化すると校庭が利用できなくなるのではないかといった声もございます。
 このため、こうした学校現場や地域の方々のさまざまな意見に的確にこたえ、わかりやすい情報提供や丁寧な支援を行うなど、多くの関係者の方のご理解とご協力を得る取り組みを進めることが必要であると考えております。

○伊藤委員 ただいまの答弁の中で、芝生化については、学校現場での維持管理の負担や校庭の利用が制限をされるといったさまざまな意見があるということがわかりました。私自身も、地元の小学校、中学校から、やりたいんだけれども、ちょっとなかなか今の状況だとできないとか、校庭が余り大きくないから、芝生化してしまうと運動会をしたりするのにちょっと不便になるという意見を聞くことがよくございます。
 そうした中で、都では、来年度予算において、校庭の芝生化のために総額で三十六億円の予算を計上しておりますが、こうした意見を十分に生かして事業を進めていくべきと思います。この予算をどのように使い、公立の小中学校の芝生化を進めていくのか、お伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 公立小中学校の校庭の芝生化を推進していくためには、区市町村の教育委員会、学校現場の教職員、保護者や地域住民の方々など、多くの方々の理解と協力が必要でございます。
 これまで、都では、区市町村に対する整備費や維持管理費の補助、学校現場への芝生の専門家の派遣、芝生にかかわる保護者や地域住民の方々などに対する講習会の開催、芝生に関する情報誌の発行など、学校現場のニーズに合わせてさまざまな事業を実施してきております。
 あわせて、平成二十一年度には、小規模な面積の校庭でも芝生化ができるよう、面積要件の引き下げも行っております。
 平成二十三年度につきましても、こうした取り組みを引き続き実施し、学校現場へのきめ細かな情報提供や支援を行う取り組みを進めることで、校庭の芝生化を推進してまいります。

○伊藤委員 二十一年度には面積要件の緩和をしたり、きめ細かい支援をしていただいていると思います。引き続き、検証をしっかりと進めていただいて、この事業が進むように努力をしていただきたいというふうに思います。
 次に、太陽エネルギーの利用拡大についてお伺いをいたしたいと思います。
 都は、地球温暖化対策の一環として大規模事業所へのキャップ・アンド・トレード制度の導入など、先進的な省エネ対策に取り組むとともに、一方では、国に先んじた太陽エネルギー施策を展開するなど、再生可能エネルギーの利用拡大にも積極的に取り組んでおります。
 中でも、カーボンマイナス東京十年プロジェクトでは、再生可能エネルギーの大胆な活用策として、百万キロワット相当の太陽エネルギー創出を掲げて、その手始めとして、住宅用太陽エネルギー利用に関する補助事業に取り組まれておりますが、その取り組み内容について改めてお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 我が国の太陽光発電設備の生産量は、二〇〇四年当時は世界一を誇っておりましたが、二〇〇五年に国が補助事業を廃止して以降、国内市場の伸びは鈍化し、低迷した状況に陥ったところでございます。
 太陽熱利用に関しましても、一九八〇年に全国で八十三万台を販売したのをピークに、その後、石油価格の下落ですとかメンテナンスの不十分さなどにより減少しまして、ここ十年余りは五、六万台にとどまっているところでございます。
 こうした中、都は、二〇〇七年に太陽エネルギー利用拡大会議を設けまして、飛躍的な利用拡大に向けた課題抽出と方策の検討を行い、国に対しても補助の必要性を提言してきたところでございます。
 しかしながら、国は、将来に向けた技術開発を優先し、一向に補助再開を打ち出さないため、都は、太陽エネルギー市場の再生を目指しまして、二カ年で九十億円という大規模な補助制度を設け、二〇〇九年四月から住宅用太陽エネルギーの普及拡大に取り組んでいるところでございます。

○伊藤委員 国の補助事業が不十分なときに、東京都が一キロワット当たり十万円という非常に手厚い補助金制度を創出して、市場を拡大してきた。大変な実績だと私は思いますし、東京都が本当に真剣になれば、本気になれば、これらぐらいのことができるんだという、非常に、私は、いい例になったんじゃないかなというふうに思っております。
 このように都では、国や他の自治体に先駆けて、住宅用太陽エネルギー利用機器の設置補助を進めるに当たり、二年間で四万件という、先ほどご答弁をいただきましたけれども、とても大きな導入目標を掲げました。間もなくその事業期間が終わろうとしておりますけれども、直近の補助申請実績はどの程度でしょうか。太陽光発電、太陽熱利用、それぞれについてお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 先週末、二月二十五日時点での申請状況でございますが、太陽光発電が一万六千二百三十一件、太陽熱利用が三百八件でございます。
 太陽熱利用は残念ながら伸び悩んでおりますけれども、太陽光発電は一万六千件以上の導入が進みまして、これまでの約五倍の設置が進むなど、市場の活性化を達成し、また販売価格の低下にも寄与するなど、所期の目的をおおむね達成したと認識しております。

○伊藤委員 昨今は、太陽光発電については、テレビCM等で見ない日がないほど認知度が上がり、今後ますます市場が拡大していくと思います。
 しかし、我が国の太陽光発電の再生は緒についたばかりで、やっと息を吹き返したという状況にあり、そのような中で、都は、太陽光発電への補助を計画どおり今月末をもって終了するとしております。
 私は、かつて、国の補助制度廃止が太陽光発電市場の停滞を招いたように、都の補助事業の終了が都内の太陽光発電設置にブレーキをかけるのではないかと危惧をしております。この件については、既に我が党の代表質問でもご答弁をいただいておりますが、まだまだ危惧が残っております。いましばらく太陽光発電の補助を継続すべきと考えますけれども、都のご所見をお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 本会議でも局長がお答えしたとおり、都の太陽エネルギー補助制度の創設によりまして、国の補助制度が復活した、あるいは余剰電力買い取り制度の創設などにつながるなど、太陽光市場は活性化してきておりまして、太陽光発電に関しては所期の目的がおおむね達成されたと認識しておるところでございます。
 さらに、業務、産業系を含めました国の全量買い取り制度が予定どおり開始されれば、市場は一層拡大するものと考えてございます。
 今後は、家庭向けには、区市町村と連携しました太陽エネルギー見本市におきまして、実物展示や効果についてのわかりやすい説明を行うとともに、セミナー等の機会をとらえまして、太陽光発電の有効性について広く啓発を行ってまいります。
 さらに、新規の大規模建築物への太陽エネルギー利用設備の導入検討義務化ですとか、マンション環境性能表示の拡充、さらには中小企業向けの省エネ促進税制などの業務系施設対策ですとか、買い取り制度に関します国提案などを通じまして、太陽光発電の普及拡大に積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 確かにいつまでも補助金を出せばいいという話じゃないというふうに思います。太陽光から太陽熱へと、政策的に大きくシフトチェンジをされたものと思いますけれども、先ほどもいったように、この東京都の補助金がなくなることによって、がくっと減らないように、ぜひとも引き続き、さまざまな施策でこの太陽光発電については、支援をしていただければというふうに思います。
 しかし、急激に市場が拡大したのはいいことなんですけれども、その一方では幾つかのトラブルを招いているようです。生活文化局によりますと、都内でも訪問販売による契約トラブルや相談が、平成二十一年には約七十件、二十二年度十二月末の数字でも約四十九件あったというふうに伺っております。
 また、最近では、設置後の発電量に関する相談であったり、また、雨漏り等、施工に関するトラブルも問題視をされ始めていると聞いております。
 都は、来年度、太陽光発電に関する補助事業を行わないとしておりますけれども、こうしたトラブル防止に向け、どのような対策を講じていくのか、ご見解を伺います。

○和賀井都市地球環境部長 訪問販売によるトラブルに関しましては、東京都消費生活総合センターと連携しまして、トラブルの未然防止に向け、区市町村へ周知等を行うとともに、都のホームページで注意喚起に努めているところでございます。
 また、施工に関しましては、資格制度の創設を国に働きかけるとともに、都立職業能力開発センターにおきまして、今年度から太陽光発電工事に関するカリキュラムを本格的に開始するなど、人材育成に努めているところでございます。
 今後とも、都は、これらの取り組みに加えまして、区市町村と連携した太陽エネルギー見本市や各種セミナー等を通じまして、太陽光発電の有効性や各種トラブルの未然防止を、広く都民、事業者に対し広報をしてまいります。

○伊藤委員 引き続き、この問題については全庁挙げて対応していただきたいと思います。
 先ほど答弁の中で、太陽光は約一万六千件の導入があったけれども、太陽熱はたったの三百八件というご答弁をいただいたわけであります。
 もう一つ、太陽エネルギーであるこの太陽熱は、エネルギー効率が太陽光発電の四倍から五倍と大変高いにもかかわらず、補助申請の件数は伸びていないようであります。設置にかかわるコストも大体半分ぐらいと聞いておりますので、効率からいうと十倍の効率があるというふうに思うんですけれども、残念ながら伸びておりません。
 家庭のエネルギー消費の五〇%程度は給湯や暖房といった低温熱の利用であり、太陽熱はこれらに役立てられることから、家庭のCO2削減に向け、とても効果的であると思いますが、なぜ普及が進まないのでしょうか。普及しない現状については先ほどもご答弁をいただきましたが、その原因については都ではどう考えているのでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 太陽光発電につきましては、住宅供給事業者があらかじめ太陽光発電設備を搭載した住宅を販売したことなどに伴いまして、先ほどお話がありましたとおり、テレビCM等で広く宣伝されて、太陽光発電の認知度が向上したこともあり、普及が加速したものと考えております。
 一方、太陽熱機器はデザイン性など魅力ある商品が少なく、屋根への配管ですとか、あるいは施工技術などの課題もあることから、住宅供給事業者による積極的な取り組みが進んでこなかったのが現状ございます。
 このため、太陽熱機器は新築住宅への搭載が進まず、そのほとんどが既存の住宅による買いかえにとどまったため、認知度も上がらず、普及が進まなかったものと考えてございます。

○伊藤委員 メーカーで今いろいろ努力していただいて、例えば太陽光と太陽熱のハイブリッドの製品が出たり、業界でいろんな努力が進んでいるようでございます。
 我が国では、太陽光発電に比べ、太陽熱の利用の促進が著しくおくれております。こうした状況の中で、都がこれまでの経緯と課題を踏まえつつ対策を立てようとする姿勢は、本当にいつもながら環境施策は思うんですけれども、大変意欲的な高い目標を掲げておられると。これについては本当に高く評価をされるべきというふうに思っております。
 都は、来年度、二十億円の予算を立てて、五年間のスキームで太陽熱を普及拡大させる事業計画を立てておるようでありますけれども、具体的にはどのように取り組みを行うのでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 太陽熱機器の本格的な普及には、先ほど申し上げたとおり、住宅供給事業者による新築住宅への意欲的な取り組みが必要であると考えてございます。都は、都内の新築住宅の約七割を占めますマンションなど集合住宅に、設計段階から太陽熱機器の組み込みを促進するため、住宅供給事業者を主な対象とする新たな補助制度を設けることとしたところでございます。
 さらに、太陽熱市場を活性化させるためには、住宅供給事業者や太陽熱メーカーなど民間事業者の取り組みが重要であることから、先日、太陽熱テイクオフ大会を開催しまして、住宅供給事業者や太陽熱メーカーと普及拡大に向けた連携強化等を確認したところでございます。
 今後は、これらの事業者とともに太陽熱利用促進協議会を立ち上げまして、新たな製品開発の促進とともに、補助事業を通じて本格的な太陽熱の普及拡大に取り組んでまいります。

○伊藤委員 先ほど、都内の新築住宅の七割を集合住宅が占めるという話でありましたけれども、今ちょうど都営住宅の建てかえも進んでいますので、ぜひとも、民間にお願いをするということも、基本的なベースの考え方なんでしょうけれども、東京都でできる施策については、ほかの局とも協力をし合って導入を進めていただきたいなというふうに思いますし、また、先ほどもいったように、こうした環境の問題というものは高い目標を立てて、それに対して努力をするということが大切だと思います。
 その一方で、高い目標を立てたからには、それをきちんと一〇〇%クリアできるように、毎年毎年の予算編成に当たり、また決算が終わったらこの課題がどうだったのだろうかという検証を、今でもやっていただいていると思いますけれども、的確に検証していただいて、この高い目標を本当に一年でも早くクリアをできるように、引き続き努力をしていただきますようにお願いを申し上げまして質問を終わります。

○高橋委員 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算に関連して、地球温暖化対策と廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 初めに、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 本年度より、都は、都市レベルでは世界で初めてキャップ・アンド・トレード制度を開始いたしました。そして、この四月からは、いよいよ排出量取引制度が本格的にスタートしていくことになるわけでありますが、この排出量取引制度のスタートに向けて準備が進められていると思いますが、まず、ここで改めて都の排出量取引制度の意義を伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 都のキャップ・アンド・トレード制度につきましては、大規模事業所がみずからの事業所で総量削減を行うことを基本としつつ、排出量取引によっても義務履行を行うことができるものとしてございます。
 この排出量取引制度があることによりまして、例えば、二〇一〇年度からの五年間の第一計画期間に設備の更新の時期の来ない事業所は、排出量取引で削減量を調達して削減義務を達成しておき、二〇一五年度からの第二計画期間において、設備更新を行って総量削減を実現するといった選択が可能となります。
 このように排出量取引制度は、事業所における削減義務の履行に柔軟性を与えるとともに、事業者が長期的な投資計画の中で総量削減を計画し、実行する上で重要な仕組みになってございます。
 なお、国が現在行っております排出量取引制度につきましては、参加する企業の自主的な取り組みにすぎないものでございまして、都の制度は削減義務に基づくものであるという点で、我が国初の本格的な排出量取引制度であるといえると思います。

○高橋委員 都の排出量取引制度においては、大規模事業所が排出量取引制度を利用することによって、柔軟に義務履行を行えるとの答弁でありましたが、取引のできる削減量については、大規模事業所同士の取引だけではなく、中小規模事業所での省エネによる削減量を大規模事業所に売却することができる都内中小クレジットという仕組みがあることは、都の制度の特徴の一つであると思います。
 そもそも都の制度は、大規模事業所に総量削減義務を課すものでありますから、大規模事業所の削減量を取引の対象とするだけでよいとする考え方もあると思いますが、都は、都内中小クレジットのような仕組みを導入することにより、どのような効果を期待しているのか改めて伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 ご指摘のとおり、都の制度においては、中小規模事業所での総量削減による都内中小クレジットを大規模事業所が取引により取得して、みずからの義務履行に利用できる仕組みがございます。
 さらに、再生可能エネルギーの環境価値をもとにした再エネクレジットも同様に義務履行に利用できるものでございます。
 こうした仕組みを設けたねらいは大きく二つございます。まず一点目としましては、大規模事業所の削減義務を排出量取引制度を通じて、削減義務のない中小規模事業所での省エネ対策や再生可能エネルギーの活用に役立て、より広い分野でのCO2削減に波及させていくということでございます。
 次に、二つ目の点といたしましては、削減義務のある大規模事業所だけでなく、中小規模事業所においての省エネ設備の更新や、太陽エネルギーなど再生可能エネルギーの普及拡大に向けた新たな投資を呼び起こし、経済波及効果を誘導することにございます。

○高橋委員 都のキャップ・アンド・トレード制度は、温暖化対策のみならず、経済成長にも波及効果のある仕組みであり、画期的な制度であるといえます。この制度をぜひとも成功させていただきたい。そのためには入念な準備が必要でありますが、この排出量取引制度の開始に向け、都はどのように取り組んできたのか、その準備状況を伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 昨年の五月に排出量取引に関する説明会を三回開催いたしまして、延べ二千八百名を超える事業者の方に制度の概要をご説明させていただいております。
 さらに、昨年の九月には、排出量取引の運用上のルールや手続等を記載した排出量取引運用ガイドラインの案を公表いたしまして、事業者の方から意見やご質問をいただいてございます。ここでいただきました意見等を踏まえまして排出量取引運用ガイドラインを策定し、今月の二十三日から二十五日までの三日間で排出量取引の手続等に関する説明会の開催を予定してございます。
 また、排出量取引の円滑な運用のために、取引結果やクレジットの保有量、各種手続等の管理を行います排出量取引運用システムを構築中でありまして、この四月からの稼働に向けて、現在最終のテスト段階に入ってございます。今申し上げました取り組みを滞りなく進め、円滑な排出量取引の実施に向け、着実に準備を進めてまいりたいと思います。

○高橋委員 排出量取引の手続などについては説明会で周知を図ってきたとのことでありますが、多くの事業者にとって排出量取引というのは初めての経験であると思われます。ぜひわかりやすく丁寧に説明してほしいと思います。
 最後に、キャップ・アンド・トレード制度の本格実施に向けた局長の決意を伺います。

○大野環境局長 今のお話にありましたように、ことし四月から排出量取引のパートが始まりますので、四月から都のキャップ・アンド・トレード制度は完全実施ということになります。
 東京都がこの制度の導入の方針を発表しましたのは二〇〇七年六月でございました。その方針を発表した後、経済界でございますとか、それからさまざまな環境エネルギー事業の皆さんでございますとか、意見をいただくために、ステークホルダー会議というものを開催いたしました。二〇〇七年七月に第一回の会議を開いたわけでございますが、その第一回目の会議のときには、経済団体、企業、十四団体ご参加いただいたのですが、すべてのところから反対というふうなお話もいただきまして、非常に厳しい議論がございました。
 ただ、その後、東京都は一年間かけまして、特に東京の事業者団体、企業の皆さんといろんな意見交換をしまして、またご要望も伺いまして、制度の設計についても見直しを行ってまいりました。その結果、ご理解をいただきまして、一年後の二〇〇八年六月に開催されました都議会の第二回定例会でも熱心なご議論をいただき、全会一致で条例の改正をしていただいたという経緯でございます。
 振り返ってみますと、やはりステークホルダー会議でご理解をいただいたことも、都議会でもご理解をいただけた背景というのは、このキャップ・アンド・トレードというのが単にCO2の削減をするだけではなくて、新しい省エネ産業でございますとか、再生可能エネルギーでございますとか、こういうビジネスチャンスをつくっていって、新しい東京の成長も可能にするものだと、こういう点でのご理解をいただけたのではなかろうかと思っております。
 条例をご改正いただいてから既に三年間がたっておりまして、この三年間の間に、この間、さまざまな機会で申し上げたように、実際に制度の対象となる大規模事業所におきましても、あるいは中小規模事業所におきましても、いろんな新しい、今まで以上の省エネ投資が行われております。
 今後とも、東京の企業の皆さんと力を合わせまして、このキャップ・アンド・トレード制度を的確に運用して、CO2の削減とともに、これが東京の経済にもいい、新しい成長につながる制度なんだということを実例をもって示すことによって、東京の温暖化対策をさらに前に進めてまいりたいと思っております。

○高橋委員 ただいま局長から力強い決意をちょうだいいたしました。
 キャップ・アンド・トレード制度は、CO2の削減とともに、これからの東京を成長に導く重要な施策であります。万全を期して四月を迎えてほしいと要望をして、次の質問に移ります。
 次に、廃棄物対策について伺います。
 最近、年度末で引っ越しシーズンということもあり、郵便ポストへの投函や新聞折り込みなどで、家庭で不用になった家具、電化製品などを回収するという、いわゆる不用品回収のチラシをよく見かけます。不用品回収業は、そのチラシの中で、買い取りますや処分しますなどと表示し、希望する日時に引き取ってもらえたり、家の中から運び出してくれたりと、都民ニーズにこたえた廃棄物の処理方法の一つとして行われております。
 しかし、近年、この不用品回収業者の中には、回収品の処理料金として高額な請求を行い、依頼主とトラブルとなるなど、悪質な業者も見受けられると聞いております。
 そこで、まず、悪質な不用品回収業者の実態はどのようなものなのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 不用品回収業者の一部には、回収前に回収料金の見積もりを行わず、不用品を積み込んだ後に高額な料金を請求するなど悪質な事例が発生しており、都内の消費生活センターには、ここ数年、年間二百件から三百件の苦情や相談があると聞いております。
 特に悪質な業者一社に対しまして、一昨年、消費者行政を所管する生活文化局が消費生活条例に基づき営業停止命令を行い、その後、警視庁は、この業者を廃棄物処理法違反で逮捕し、有罪が確定しております。
 また昨年は、消費者庁が十六の県にまたがり回収事業を行っていた業者に対して、積み込んだ後に高額請求するだけではなく、暴力的な言動で契約撤回を妨げるなど、特定商取引法違反の行為があったとして業務停止命令を行い、四つの県の警察本部はこの業者を廃棄物処理法違反で逮捕しております。

○高橋委員 今の答弁では、高額な処理費用を請求するといった悪質な行為は、消費生活条例や特定商取引法により行政処分が行われていることと同時に、廃棄物処理法の違反行為としても警察が検挙したとのことであります。
 それでは、不用品回収事業というものは、廃棄物処理法上どのように位置づけられるものなのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 不用品回収業者が回収する際に、有価で買い取るのであれば、それは廃棄物に該当しません。したがって、廃棄物処理法の対象とはなりません。
 一方、回収する際に、無料または処理料金を徴収する場合には、廃棄物を扱っていることとなり、廃棄物処理法の対象となります。家庭から出されるものは一般廃棄物に当たり、区市町村が許可する一般廃棄物処理業の許可を持たないで回収いたしますと、無許可営業となります。この無許可営業には廃棄物処理法に基づき罰則もございます。

○高橋委員 家庭からの不用品を一般廃棄物の許可なく回収する業者に対しては、一般廃棄物の許可権限を持つ区市町村がしっかりと指導を行っていかなければならないと思います。そうした区市町村に対し、都は支援を行うべきだと思います。
 また、不用品回収のチラシなどを見ると、産業廃棄物処理業の許可番号を表示している業者も見受けられます。産業廃棄物処理業者が廃棄物処理法に従った業務を行うよう指導する責任は、産業廃棄物処理業の許可権者である東京都にあると考えます。
 そこで、都民の生活を守るため、不用品回収業者に廃棄物処理法を遵守させるよう、今後、都としてどのように対応していくのか見解を伺います。

○木村廃棄物対策部長 都は、無許可業者を取り締まっている警視庁とも連携いたしまして、一般廃棄物処理業の許可権限を持つ各区市町村に対しまして、行政連絡会等を通じまして、法違反の事例、その手口などの情報を提供するなど、情報共有を図っております。今後も引き続き、区市町村に対しまして、不用品回収業者を適切に指導するよう支援を行ってまいります。
 また、都は、産業廃棄物処理業の許可を有する不用品回収業者を対象といたしまして、だれから廃棄物を引き取ったのか、引き取った廃棄物が許可の内容に照らして適正なものか、引き取った廃棄物をどこでどのように処理しているかなどにつきまして、立入検査や報告聴取により調査し、必要な改善指導を行ってまいります。

○高橋委員 この夏には地デジへの移行も控えており、テレビの廃棄台数が相当ふえることが予想されます。家電リサイクルを進めるためにも、不適正な処理に対しては、区市町村とともに、東京都として毅然とした態度で臨んでもらうことを強く要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。

○木内委員 環境対策は、私は人類的課題であると、こうとらえているわけでありまして、しこうして、東京都の環境局の日ごろのご努力というものは、国を牽引し、あるいは世界の耳目を集める事業展開を懸命に進めておられるわけでありまして、大野局長、森次長を先頭に、本当に幹部職員、あるいは職員の方々が千軍万馬の力を発揮して、大きな成果を出しておられることに、まず、この議論の場を通じて心から敬意を申し上げたい、こう思うわけでございます。
 きょう、私は、行政の継続性という観点から、これまでの事業の成果と実績を確認するとともに、来年度予算、これは大変評価すべき内容になっておりますけれども、この執行に当たって、私が思うところの指摘、あるいは提案を申し上げながら、質疑を重ねてまいりたい、こう思います。主に、地球温暖化対策、VOC対策、自動車の環境対策、生物多様性パイロット事業の分野の問題、廃棄物対策、以上五分野についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、これまで同僚議員からも発言がございましたけれども、今年度から開始している都のキャップ・アンド・トレードであります。
 本会議での議論を前提にするまでもなく、キャップの部分、すなわち総量削減の義務づけについては、基準排出量の決定や地球温暖化対策計画書の提出など、順調に進んでいるということが今答弁であったわけでありますが、本年四月からトレードの部分、すなわち排出量取引が開始をされる。今議会に提案されている環境確保条例、この改正案を見ますと、排出量取引に関係する手数料の新設というものが盛り込まれているのであります。
 さっきどなたかが発言、小さな声でされておられましたけれども、排出量取引というなじみの薄い分野で、専門的な用語が用いられているので、これは都議会の委員会の場でありますから、私ども議員が理解をするということは、換言すれば、実は都民の理解を可能にするという図式でありますから、まずその辺の認識を明らかにしていきたいと思うのでありますけれども、この排出量取引を実際に行う場合の手続について明らかにしてください。

○山本環境都市づくり担当部長 まず、排出量取引の対象となるものでございますが、大規模事業所が削減義務量を超えて削減した超過削減量や、中小規模事業所の省エネ対策によって削減した削減量である中小クレジットなどの四つの種類がございます。
 排出量取引の手続についてでございますが、事業者は、まず、これらの削減量をもとにクレジットの発行を都に申請することになります。この発行申請は、原則といたしまして検証機関による削減量の検証結果を添えて行うことになっておりまして、この発行申請に基づき、都が整備します電子システム上の削減量口座簿に発行の記録が行われます。
 次に、削減量口座簿に発行されましたクレジットを、事業者間で売買等によって取引を行っていただき、その結果を東京都に申請をしていただくことになります。
 この申請に基づき、削減量口座簿にクレジットの移転が記録されまして、これによりまして、都における取引の手続が完了するという流れになってございます。

○木内委員 システムの概念としては理解できます。ただ、現実に、より深い理解を求めるご努力も必要だろうと、こう思うわけでありますけれども、特に発行されたクレジットを事業者間で取引して、その結果を都に申請して削減量口座簿における、口座間でクレジットの移転が記録されることで取引が完了すると、こういうご説明があった。
 ここで削減量口座簿という説明があったわけでありますけれども、こうはいってもこの言葉というのは、一般的にはイメージがわきにくいんじゃないか。具体的な仕組みについて、重ねてご説明願えますか。

○山本環境都市づくり担当部長 今ございました削減量口座簿につきましてですが、この口座簿には、主に二種類の口座がございます。
 まず、一つ目が指定管理口座というものでございます。この口座は、対象事業所における削減義務の履行に向けた削減量やクレジットの保有量を記録するための口座でございます。これは、対象事業所ごとに一つずつ開設されるものでございます。
 次に、もう一つとして、一般管理口座というのがございます。こちらは、排出量取引を希望する事業者ごとに一つずつ開設される口座でございまして、ここには、取引のための、保有するクレジットを記録するというものでございます。そして、事業者間のクレジットの移転、つまり取引の記録は、この一般管理口座の間で行われるものでございます。
 例えば、都内の中小規模事業所が一定の省エネ対策を実施いたしまして、創出した中小クレジットを、削減義務のある対象事業所に売却しようという場合には、その両者、大規模事業所と中小規模事業所の両者がともに一般管理口座を開設するということが必要になってまいります。

○木内委員 非常に明快な答弁だったと思うんですが、ここで、私は、一つの指摘、提案をしたいんです。
 削減量口座簿には、その中に大きく二種類の口座がある。それぞれ開設できるものや機能が特有のもの、これが定められているということであります。また、中小企業であっても、クレジットの取引をする際には一般管理口座を開設しなければならないということも今の説明でわかりました。
 さて、今議会提案の条例改正案を見ますと、一般管理口座の開設手数料というものがあるんですけれども、この基本的な考え方についても知る必要があるんですが、同時に、減免の規定もあるんですね。
 先ほどの答弁を踏まえれば、中小企業であっても、排出量取引を行うためには、一般管理口座の開設が必要になる、申し上げたとおりなんですが、ここで、私は、中小企業に対しては、これを減免の対象としていくべきではないかと、こういう指摘と提案を申し上げるんですが、どうでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 まず、手数料徴収の考え方についてでございますが、事業者は、一般管理口座の開設によりまして、削減量口座簿を利用して排出量取引が可能となるという利益が出てまいります。このため、一般管理口座の開設手数料は、受益者負担の原則にのっとりまして、事務手数料の徴収を行うものでございます。
 ただし、総量削減義務制度の義務対象であります指定地球温暖化対策事業者、これは条例での名称でございますが、この事業者は、みずからの義務の履行のために口座の開設を行いますので、手数料の徴収の対象とはしないというふうにしております。
 さらに、減免の措置につきましては、国や地方自治体のように、手数料の徴収になじまないものをその対象とするほか、ご指摘のありました中小企業につきましては、都内中小クレジットをもとにした省エネ対策を促進するという観点から、当初の五年間に限りまして免除する方向で考えてございます。

○木内委員 私は、議会の議論というのは本当に大事だと思うんですね。議論の中から一定の行政の方針というものを紡ぎ出していく。私の提案に対して、中小企業についても、都内中小クレジットをもとにした省エネを促進するという観点から、当初の五年間に限り免除する方向で考えているということでありますので、ぜひ、答弁のとおり実施されるよう、強く要望しておきたいと思うんです。
 都のキャップ・アンド・トレード制度におきましては、都内の中小企業の省エネ努力を大規模事業所の削減に充てることのできる都内中小クレジットという、すぐれた仕組みがあるので、あえて重複して議論は避けます。先ほど来、質疑がありましたので。
 せっかくのこの減免の制度でありますので、中小企業の方々にも十分理解をいただくために説明をして、中小クレジットが生み出されるよう省エネ施策を促進してほしいと、こう強く訴えたいと思います。
 今年度からは総量削減の義務づけが開始され、来月からは排出量取引制度が始まるというのは申し上げたとおりでありますけれども、いわば、これによって都のキャップ・アンド・トレード制度の車の両輪がそろったわけでありまして、先ほど同僚委員の質疑に対して局長の答弁が同じテーマでありましたから、重複するようであれば割愛していただいて結構。私が申し上げた角度も踏まえて、局長のご決意なり、感懐があれば、お述べをいただきたい。その前提でいいます。同じ内容であれば結構です。

○大野環境局長 今回の定例会の本会議でも、何人かの先生方からご質疑をいただきましたけれども、昨年は、世界各地で異常気象が本当に頻発いたしまして、まさに気候変動というのが遠い未来の問題ではなくて、まさに直近の日であるということが本当によくわかってきたというふうに思います。
 IPCCの報告によりますと、これ以上の危険な気候変動を回避しようと思うと、二〇二〇年までに世界全体の排出量を減少方向に持っていかなきゃならない。二十一世紀の半ばまでには、世界全体でCO2の発生量を半減する。そのためには、先進国は八〇%以上の大幅な削減をしなきゃならないということであります。
 都市、特に大都市というのは、エネルギーの大消費地でもありますから、こういう転換をやっぱり先導していく、低炭素型の都市に一番早く転換していく義務があるんだろうと思っております。
 そういう点で考えますと、東京は、世界でも最大の都市であるということでもありますし、世界でも初めての都市型のキャップ・アンド・トレードを導入した都市でもあります。そういう意味では、低炭素都市への転換という点で、まさに世界のトップランナーの位置を走っているということがいえると思います。
 昨年四月に、このキャップ・アンド・トレードのキャップの部分を開始してからだけでも、これまでに約三十の海外の都市、それから中央政府、国際機関の方が環境局にお見えになって、我々の経験についても学ばれていかれたというようなことがございます。
 今後とも、今まで以上に、東京の大企業、中小企業、大規模事業所、中小規模事業所の皆さんと力を合わせまして、東京で、実際に世界初の都市型キャップ・アンド・トレードというものの成果を上げまして、その実績をもって世界の気候変動対策に貢献してまいりたいと、このように思っております。

○木内委員 先ほどの答弁、同じテーマだったと思うんですが、若干異なる角度からお聞きしたところ、明快に答弁をいただいて大変恐縮いたしておりますし、さすがだなという感じがいたしております。
 ぜひ、今ご指摘のあったように、キャップ・アンド・トレード制度については、三十を超える海外都市、国家政府、国家機関等が都の制度を知るために訪れているという話もありました。その範となる施策の推進をぜひお願いしたいと思います。
 次に、揮発性有機化合物、いわゆるVOC対策についてであります。
 私は、昨年十一月の委員会での事務事業質疑の中で、光化学オキシダント対策の切り口から、VOC対策について何点かお尋ねをいたしました。局からは、塗装業や印刷業など、中小業者のVOC排出削減に向けた自主的取り組みの促進に加えて、私が委員会で指摘した視点を踏まえて、今後、光化学スモッグの発生が集中する夏場におけるVOC排出抑制に向け、事業所の自主的取り組みの促進や業界への働きかけを積極的に行っていく、こういう答弁があったわけでありまして、これについては、ぜひとも着実に、まず進めていただきたい、このことを申し上げます。
 議会の議論の継続性ということからいって、同じ問題について新たな視点を設けて、きょうは議論をしてみたい。都内のVOC対策を進める上で、事業所における取り組みというものは不可欠でありますけれども、さらに、それ以外の視点にも目を向ける必要があるんだ、こういうふうに思います。
 例えば、日曜大工に使う接着剤、あるいは車の洗車の際に使うワックスなどのように、私たちの身の回りを見渡してみても、有機溶剤特有のにおいがするようなそういう製品は数多くございますし、あるいは、たんすに入れる防虫剤にもVOCが使われているというふうに、実は聞いているわけであります。
 このように、VOCを含む製品というのは、我々の生活や職場にも、かなりの割合で使われているのではないかと思います。家庭やオフィスが集積する東京独自の、これは視点ということになるわけでありますが、今後、東京都がVOC対策を進めていくに当たっては、先回申し上げた事業所や業界などにとどまらず、家庭やオフィスなどでごく普通に使われている製品にも目を向けて、そして、この削減を図っていく必要があると考えますが、そうした製品からのVOCの排出実態がどのように局によって把握されているか、お尋ねします。

○中村環境改善技術担当部長 接着剤や防虫剤、車のワックスなど家庭で広く使われている製品や、マジックインキや修正液などオフィスで使われている製品から排出される揮発性有機化合物、VOCでございますけれども、これにつきましては、これまで我が国では余り着目されたことがございませんで、その排出実態もほとんど把握されておりませんでした。
 このため、都は、平成二十一年度に、それら身近な製品の使用に伴うVOCの排出実態を調査いたしまして、結果を取りまとめ公表しております。
 この調査では、家庭やオフィスなど、消費する側、いわゆる消費サイドからのVOC排出量が平成十七年度ベースでございますけれども、都内全体におけるVOC排出量の約一二%に上りまして、その中でも、特に防虫剤などの日用雑貨や化粧品、あるいは車用のワックス、エアゾール噴射剤などからの排出量が多いことが判明いたしました。

○木内委員 ご報告あったように、都が先行して実施をされた調査の結果が明らかになったわけであります。もとより、平成十七年度ベースでありますけれども、都内全体のVOC排出量の実に一二%が家庭やオフィスなどの消費サイドから排出されているということでありました。
 条例に基づいて、対象事業者から毎年報告されているVOCなどの排出量の集計結果が平成十四年度から平成二十年度までの間、約五割減少していることからうかがえるように、事業所におけるVOC排出対策が進んだ今日では、これら消費者サイドからの排出量の割合がさらに高くなっているということも考えられるのではないか、こう推測をするわけであります。これまで国内で排出実態が把握されてこなかった消費サイドから、このように大きな割合でVOCが排出されているという事実は、国や他の自治体などにも大きな、実は衝撃とインパクトを持って受けとめられたのではないかと思うんですね。
 例えば、私は、よく石原都政の今日的な成果を評価するときに、一つは環境対策、あるいは新公会計制度、複式簿記の導入による財政上の大きな前進などを挙げるわけでありますけれども、東京都は常に、新公会計制度にしても、大阪がそうであったり、あるいは基礎的自治体である町田がそうであったり、この会計制度の導入に、東京都を範として一生懸命指導を求めてきている実態があるわけでありますけれども、今いったVOCの東京都が行った調査に対する反応はどういうものがありましたか。

○中村環境改善技術担当部長 都が公表いたしました家庭やオフィスからのVOC排出量の調査結果を踏まえまして、環境省が毎年取りまとめておりますVOCの排出インベントリー、発生源別のVOCの排出量のことでございますけれども、これを作成するための国の検討委員会におきまして、今年度から、消費サイドからのVOC排出量を把握する必要性についての検討が始められております。
 また、都の調査結果につきましては、自治体や国の研究機関などからの問い合わせや、環境関連の専門誌の報道があるなど、各方面から反響がございました。

○木内委員 よく知事がいわれるんですが、国がやらなければ都がやる。結局、都が発信したこうした政策課題というものが、国の施策を動かす大きな牽引力になっているという、これは、私は象徴的、典型的な例じゃないか、こういうふうに思うのであります。
 いわば都が行った調査がきっかけとなって、国においても、あるいは全国的にも、VOC対策推進の機運が一層高まっていくということは非常に喜ばしいことである、こう思うんですね。
 さて、今後、この調査結果を踏まえて、家庭やオフィスなどにも、低VOCの商品を普及させていくことが重要な課題となってくるのではないかと思うんです。消費者や製造メーカー等への働きかけなども含めて、この具体的な方針を明らかにしてください、これがこの分野の質疑におけるポイントです。

○中村環境改善技術担当部長 委員ご指摘のとおり、家庭やオフィスでも低VOC商品を普及させていくことが重要であると考えてございます。家庭やオフィスで使われている商品は、多岐にわたる上、消費者側には使用時のVOCの排出について有用な情報は乏しく、ほとんど意識されていないという現状がございます。
 このため、都は、来年度、芳香剤や消臭剤、文具類などの品目別に、VOC含有量のより少ない商品の有無、あるいは今後の普及の可能性などについて調べる予定でございます。この調査で得られた結果に基づきまして、消費者や製造メーカーへの働きかけなどを進め、家庭やオフィスでの低VOC商品の普及につなげていきたいと考えております。

○木内委員 答弁を了としたいと思います。含有量の少ない商品の有無、今後の普及の可能性などについての調査、もう一つは、この調査結果に基づいて、消費者や製造メーカー等への働きかけを進め、低VOC商品の普及につなげていくと、こういう方針が明らかになったわけでございます。
 一般家庭やオフィスなどの消費サイドで低VOC商品の普及を進めることがメーカー側を刺激し、こうした製品の一層の開発促進につながる上、製品製造過程での排出抑制も期待できるのではないかと私は思います。
 VOC対策を進める上で、家庭やオフィスなど、消費する側からの視点は欠かせないと思いますので、この点にしっかり留意をしつつ、今後の施策展開を進めていただきたい、こう思うのでございます。
 さて、次に、自動車の環境対策についてであります。
 平成十五年から開始したディーゼル車規制によって、東京の大気環境が劇的に改善したことは周知のとおりであります。石原知事の三期十二年間の政策の中でも、さっきも申し上げましたけれども、特筆すべき成果であることは異論のないところだと思うのであります。
 ディーゼル車規制の根拠となる環境確保条例の中に、自動車環境管理計画書制度、長い名前の制度でありますが、これがあります。環境確保条例に基づいて、都内で三十台以上の自動車を使用する約千八百事業者に対して、環境性能の高い自動車の導入や、共同配送等の自動車使用の合理化などについて、事業者自身の自主的な取り組みを促すため、計画と実績の報告を義務づけた制度であります。これも物すごく画期的なことであります。
 ディーゼル車規制の陰に隠れて、余りなじみのない制度である感は否めないのでありますけれども、実は、この制度がディーゼル車規制への事業者の対応を促進し、東京の大気環境の浄化に大きな役割を果たしたと、私は心底実感をしているのであります。この制度が開始されて、今年度末で十年になります。
 そこで、この間、この計画書制度がどのように運用され、具体的な成果として何をもたらしたのか、これをまず明らかにしてください。

○高橋自動車公害対策部長 自動車環境管理計画書制度は、計画期間を五年間として、平成十三年度に開始し、今年度は、平成十八年度から始まりました二期目の計画期間の終了年度に当たります。
 本制度は、ディーゼル車規制を着実に推進するための役割を果たしてまいりました。対象事業者の取り組みが進んだこともございまして、大気中の浮遊粒子状物質が減少いたしまして、現在は、都内すべての大気環境測定局で環境基準を達成するとともに、窒素酸化物についても、九割以上の測定局で環境基準を達成するまでに改善されました。
 また、低公害車の導入率が、第二期開始の平成十八年度から現在までに約一七ポイント向上し五四%となり、自動車使用の合理化に取り組む事業者も年々ふえるなど、成果が見られます。
 なお、昨年度までに合計八百五十の事業者に対しまして、現場での自動車使用合理化に関する助言や指導を行い、今年度も二百五十の事業者に対して指導を行っております。

○木内委員 私は、都民から選ばれた都議会議員として感激を、実はきょうも新たにしているわけでありますけれども、目立たない、地味だ、しかし、着実にこの制度というものが、十年間たってみて、今、見事な成果を出している。繰り返すようでありますけれども、大気中の浮遊粒子状物質が減少し、今、都内すべての大気環境測定局で環境基準を達成している。窒素酸化物についても、九割以上の測定局で環境基準に適合するまで改善された。これはまさに刮目すべき、瞠目すべき成果であります。私は、この場でこのことをしっかり喧伝をさせていただきたいとも思います。高い評価を、実はさせていただきたいのであります。
 答弁いただいたように、この計画書制度の運用によるこれまでの成果は、十分、今の答弁で理解できました。ところで、今、喫緊の課題は、地球温暖化対策の推進であります。都の環境基本計画では、二〇二〇年までに、二〇〇〇年比で温室効果ガスを二五%削減する目標を掲げているんですね。この目標を達成するためには、運輸部門の排出量の約九割を占める自動車からのCO2排出量の削減対策が極めて重要であります。
 そこで、この計画書制度は、今後CO2削減の上でも、さらに大きな役割を果たしていかなければならないと私は考えております。この計画書制度が、平成二十三年度からちょうど第三期目に入る節目を、今、迎えているわけでありますけれども、特に、地球温暖化対策を重点とした今後五年間の方針を立てて、そして、この制度の運用をしていくべきである、こう考えるのですが、いかがでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 第三期の計画書制度の基本方針では、CO2削減を重点に置き、事業者に計画的削減を一層促してまいります。
 自動車からのCO2削減のためには燃費の向上が必須であることから、具体的には、低公害に加え、低燃費な車の導入とエコドライブの促進を事業者が取り組むべき基本対策といたします。低公害、低燃費車の導入によって約二三%、エコドライブによって一〇%以上のCO2削減効果が実証されておりまして、基本対策の推進により、事業者の計画的なCO2削減が進むと考えております。
 また、基本対策に加えまして、計画書上にさまざまな対策メニューを提示することにより、事業者が計画書を策定するに当たり、より実効性ある対策を選択できるように工夫をしてまいります。

○木内委員 具体的な方策を踏まえて、より実効性のある対策を選択できるように、次年度から工夫をしていくと、こういうことであります。
 第三期の計画書制度の重点が地球温暖化対策であることは十分わかったわけであります。基本対策としては、低公害、低燃費車の導入やエコドライブの促進などが挙げられていましたが、すべての事業者に対してCO2削減に向けた積極的な取り組みを促していくためには、的確な情報を提供するなど、事業者が効果的な手法を選択できるよう、都としてのサポートが今後必要だ、こういうふうに指摘をさせていただきます。
 そこで、この計画書の実効性を高めるために、都は、具体的な方策を講じていくべきと考えるのですが、ご答弁願います。

○高橋自動車公害対策部長 事業者の取り組みを促進するために、低公害、低燃費車の購入に対する支援策を積極的に紹介していくとともに、エコドライブの効果を高める方策としまして、効果的な燃費管理の手法を事業者に提供してまいります。
 また、事業者が新たな取り組みを講じる際、他の事業者の取り組みを参考にできるよう、全事業者の計画書の公表を行う予定であります。
 さらに、意欲的な事業者には、専門のコンサルタントを活用した診断により、CO2削減のための最適な取り組みを提案するとともに、その成果を他の対象事業者にフィードバックする仕組みを開始する予定でございます。
 加えて、こうした制度の円滑な運用には、関係機関との密接な連携が必要でありまして、トラックやバスなどの関係業界団体とも協力し、事業者説明などをきめ細かく行いまして、制度の実効性を高めてまいります。

○木内委員 極めて具体的で前向きな答弁がありましたので、あえて答弁の中身は繰り返しません。何項目かにわたって、極めて大事な答弁だったと、こういうふうに思います。
 運輸部門の地球温暖化対策を推進するためには、この計画書制度の運用について、事業者の理解と協力が不可欠でありますし、これまで以上に、きょうの質疑を踏まえてのきめ細かな指導、これが行われることは大変重要であると考えますので、理解を願いたいと思うのであります。都は、事業者に適切なアドバイスや情報提供を行って、円滑な事業者の取り組みを支援してもらいたいと思います。
 この制度運用は、都内の自動車全体からの環境負荷の低減のための試金石になっていくんだと、今後の施策の原点になっていくんだと。もっといえば、一点突破全面展開という言葉があるけれども、全域の全車両に対する大きなインセンティブを与えることになる、こんなふうにも考えているわけであります。
 新しく始まる第三期、五年間の計画書制度の運用によって、ディーゼル車規制が大きな成果を上げたことと同様に、地球温暖化対策へも大きな成果を導き出していくということを、この制度の中でも期待をしてまいりたい、こう思うのであります。
 さて、次に、生物多様性パイロット事業についてであります。
 先般の予算特別委員会におきまして、我が党の斉藤やすひろ議員が生物多様性についてただし、局長も答弁されておりましたが、東京が生物多様性への取り組みを進める意義は大きいとの認識は、まさにそのとおりでありまして、これについては、既に予特でも答弁があったところでありますので、割愛をさせていただきます。
 昨年十月、愛知県名古屋市において、生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10が開催をされました。これをきっかけに生物多様性の重要性はかなり、国内外ともに、また国内的にも認識をされるようになってきた、こう思います。
 東京は、世界にも類を見ない大都市でありながら、反面、皇居や明治神宮など、都市部のまとまった緑、多摩や小笠原の豊かな自然環境など、生物にとって多様な生息空間を有しています。
 例えば私は、何度かニューヨークへ参りました。あの巨大な世界を代表する都市のど真ん中にセントラルパークがあって、地図を鳥瞰、俯瞰するように見ると、物すごい緑地帯になっているわけでありますけれども、実はこれに劣らない緑地の実態というのが東京にはあるわけであります。東京は、まさに世界にも例を見ない大都市でありながら、申し上げたように、皇居、明治神宮など、まとまった緑、あるいは島しょ部や多摩における自然環境があるわけであります。
 こうした東京の生物多様性を保全することは非常に重要な課題だと、こう思います。東京都は、今後、生物多様性地域戦略、これを策定していくとしていますけれども、これに合わせて、二十三年度予算ではパイロット事業を実施する、このように聞いております。
 そこで、改めてまずパイロット事業の位置づけについて明らかにしてください。

○長谷川自然環境部長 生物多様性の取り組みを進める上では、東京の多様な自然に応じた施策が必要でございます。このパイロット事業につきましては、生物多様性の保全に向けまして、調査対象や地点を絞り込み、課題の洗い出しや効果的な取り組み手法の検証などを行うものでございます。
 また、このパイロット事業につきましては、水と緑のネットワーク形成や外来種対策などの観点から事業を選定しております。

○木内委員 パイロット事業の位置づけについて答弁がありましたので、十分理解させていただきました。
 ところで、予算にあるこのパイロット事業の中で、私は、東京の郷土種に配慮した植栽のあり方に関する調査、この項目に大きな関心があるわけであります。この調査の概要について、それから調査の結果に基づく方針について伺います。

○長谷川自然環境部長 東京の郷土種に配慮した植栽のあり方に関する調査につきましては、生物多様性に配慮した緑の空間を誘導して、緑の質の向上を図るために実施するものでございます。
 具体的には、東京の自然や風土にふさわしく、植栽に適した樹木や草本類、いわゆる東京の郷土種及びそれらを駆逐するおそれのある外来種について調査をいたします。その上で、望ましい植物の種類や組み合わせ方などのあり方を検討するとともに、モデル植栽を実施する予定でございます。

○木内委員 外来種の調査を行う、その上で望ましい植物の種類、組み合わせ方などのあり方を検討してモデル植栽を実施していく、こういうことでありました。
 現在、都内では、公園や街路樹、民間事業者が新たに創出した緑が目に見えてふえてきています。これも緑の東京十年プロジェクトの成果だと考えるわけでありますが、この緑化をよくよく見ると、種類が単一的であったり外国産の樹木だったりと、東京らしさに欠けているのではないかという指摘もせざるを得ない。東京の郷土種を生かすということは、生物多様性の観点や、あるいは子どもたちが郷土への歴史文化を理解することにも役立つと考えるわけであります。
 そこで、東京の郷土種について具体的に明らかにするとともに、この郷土種を明らかにした上で、具体的に進める事業といいますか、作業についても方針をお示しください。

○長谷川自然環境部長 東京の郷土種の例といたしましては、樹木では、ケヤキ、山桜、イロハモミジ、クヌギなどの樹種が挙げられます。また、草本類としては、ジャノヒゲやススキ、チガヤなどがございます。本調査では、こうした郷土種の中で緑化に適した種を明らかにしていく予定でございます。

○木内委員 今お述べいただいた郷土種の中から緑化に適した種を明らかにしていかれる、こういうことでありました。本調査は大変有意義なものでありまして、その結果を今後の施策展開に生かしていくべきである、こう思います。
 今後の事業展開についてでありますけれども、より幅広く周知され、より幅広くこの調査の結果というものが理解をされて、活用が各部面で行われていくように事業を進めるべきである、こう考えるのですが、どうでしょうか。

○長谷川自然環境部長 本調査の結果につきましては、区市町村や民間事業者等が、今後、東京の郷土種の導入に配慮した植栽を推進できるようにガイドラインの策定を検討いたします。
 あわせて、自然保護条例に基づいて行っております緑化計画書制度及び開発許可制度における緑化指導での活用についても検討いたします。

○木内委員 ガイドラインの作成、緑化指導での活用の検討、具体的な答弁でありました。今の答弁で、この調査の成果が緑化指導での活用が検討されるということで、ぜひそれは期待したいと思う。
 それから、都がみずから行う緑化事業でも、本調査の成果を生かすべきだと考えるのですが、見解を伺います。

○長谷川自然環境部長 本調査は、東京の郷土種に配慮した植栽を進めることによりまして、水と緑のネットワーク形成につなげていくものでございます。本調査結果については、都がみずから行う緑化事業にも活用できるものと考えております。環境局といたしましては、緑の都市づくり推進本部など、庁内の連携体制を通じまして、都全体での緑の質の確保に努めてまいります。

○木内委員 最後の廃棄物対策についてであります。
 来年度予算において、都は、静脈物流の効率化、高度化という事業を新規事業として盛り込んでいます。物の流れ、物流には、製造された製品が店舗を通して消費者に渡るまでの動脈側の物流と、消費者が物を廃棄し、収集、運搬、処分されるまでの静脈側の物流があります。
 動脈側の物流の工夫例を見てみると、例えば、コンビニエンスストアなどでは店の周辺で渋滞が起こらないよう、さまざまなメーカーの商品が一台の配送車に積まれて、効率的に配達されているところもあります。また、デパートでは納品代行という取り組みも進んでいます。
 一方で、業務商業活動が活発な東京における静脈側の物流を見てみますと、一棟のビルに一般廃棄物と産業廃棄物は別の車で、さらに資源ごみは品目別に集めるなど、何台ものごみ収集車が次から次へと収集を行っているのが見受けられ、動脈側に比べると、かなり効率化の今後への余地があるように感じられます。
 また、静脈物流の効率化を進めることは、廃棄物処理経費の合理化を図るというだけでなく、運搬車両の燃料消費を抑制し、CO2排出量の削減にもつながる大切な取り組みであると、こう思うんですね。
 オフィスビルや商業ビルが集積するという大都市の特性から見て、東京における静脈物流の効率化については、ビルなどから排出される廃棄物を中心に検討する必要がある、私はこう思うのであります。オフィスビルや商業ビルの現場で、今どのような課題があると都は認識をしておられますか。

○木村廃棄物対策部長 お話のとおり、オフィスビルや商業ビルから排出されます廃棄物につきましては、ビルごと、品目ごとに収集されているなど、静脈物流の視点から非効率な面が見られます。これは、リサイクルを促進するため、排出段階での分別が細分化され、小口化が進む一方で、ビル内での保管スペースが不足していることから、少量で廃棄物運搬を余儀なくされることなどが原因でございます。
 また、効率化を進める上で弊害となっているものに、廃棄物処理法の手続や運用上の課題があります。例えば、法律上、個々のテナントが排出事業者とみなされているために、処理委託契約の締結やマニフェストの交付などの事務手続が極めて煩雑であり、事務経費の負担が排出者、処理業者双方に生じております。

○木内委員 課題は明確に整理されているようでありまして、いかに今後この課題を克服していくかということがまた新たに課題になってくるだろうと思うんです。
 まず、排出現場からの運搬方法に係る実態上の問題があるということなのでお聞きをするわけであります。例えば、オフィスから排出される廃棄物の多くは、紙とプラスチック、こういうことがいえると思うんです。これが同じオフィスから排出されても、製紙原料としてリサイクルされない古紙、これは、区市町村の清掃工場に運ばれ、廃プラスチックは産業廃棄物として民間の焼却施設で処分されるなど、それぞれ別ルートに運搬されているという事例があります。
 ところが、これを紙とプラスチックをまとめてリサイクルするのであれば、一緒に回収をして運搬すればいいことになって、収集作業も運搬も効率化していくことができるんだ、こういう話も一方で聞くわけであります。
 しかし、いうはやすく行うはかたしだと思うんですけれども、これを実現するにはビル内での分別の変更や、あるいは運搬業者間での事前調整などが必要になります。このため、こうした効率的な運搬方法を実際にテナントビル等をモデルに使って課題を抽出をしていく。その経費削減効果などをできるだけ数値として示していくことが、実はビルオーナーや処理業者を誘導するのに有効だと私は思うんです。こうした取り組みも進めていくべきだと思うんですが、所見を伺います。

○木村廃棄物対策部長 これまで別々に運んでいました廃棄物を同一車両で回収し運搬する方法や、ビル単位であった保管場所を隣接のビルと共同利用する方法、一街区の複数のビルから同一のごみの種類をまとめて収集する共同運搬方法など、さまざまな効率化に向けた案が考えられます。
 これらを廃棄物の発生現場や収集運搬現場で実施した場合の問題解決のため、実際のオフィスビルを活用して社会実験を実施することを予定しております。この社会実験によりまして、処理経費や運搬により発生するCO2の削減効果などを定量的に把握し、その結果をもって、ビルオーナーやテナント、廃棄物処理業界に新たな静脈物流の効率化、高度化を提案していきたいと考えております。

○木内委員 具体的答弁で了としたいと思います。社会実験に基づいたさまざまなデータをビルオーナーやテナントなどに示して、効率化、高度化を提案していくということであります。二十三年度じゅうの事業ということで受けとめてまいります。
 テナントビルなどをモデルに使った社会実験によって、効率的な回収方法、これが発見できたとしても、今度、それを実際の事業活動の中で現実化を図ろうとすれば、先ほど答弁にあったようなさまざまな制度的な制約があると思うんですが、これに対して、こうした課題をクリアするための解決への方途、これを探ることも必要だと思うんですが、どうでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 オフィスビル等で静脈物流の効率化を図るためには、保管施設の共同利用策、複数の廃棄物処理業者の運搬車両を一体的に扱う配車計画の工夫などについて調査検討することに加えまして、委託契約や廃棄物管理の新たなあり方など、制度面の改善についても検討を行う必要がございます。
 このため、今後、テナントやビルのオーナーの代表、廃棄物処理業界、さらには法律分野と物流分野の学識経験者などをメンバーといたします検討会を設けまして、効率化についてのそれぞれの取り組み効果を評価し、制度面やシステム面での新たな仕組みを見出していきたいと考えております。

○木内委員 今答弁のあった、検討会を設けて検討を行っていく。そこで得られた成果については、ぜひ、静脈物流についての東京ルールとしてこれを確立して、処理業界の育成を図るとともに、他の都市へも発信し、効率的な物流のあり方というものを、さらに新しいテーマとして東京から構築をしていくということを期待をさせていただいて、長い質問になりましたけれども、これで終わりとさせていただきます。

○かち委員 私からは、東京の緑の確保と太陽エネルギーの利用についてお聞きします。
 まず、近年、都市再生政策のもとで、東京はアスファルトと高層ビル群に覆われ、ヒートアイランド、地球温暖化を加速させてきました。それらのことが異常気象を引き起こし、この東京でも、昨年の猛暑やゲリラ豪雨など、都民生活に重大な影響をもたらしています。東京のヒートアイランド化を抑制することが喫緊の課題となっています。
 その対策の一つが、緑の増加です。この間、緑は、樹木による緑だけではなく、河川や湖沼、屋上緑化、校庭の芝生化などもクールダウンする効果があるとして、環境局はみどり率の維持向上を一定の指標にしてきました。
 しかし、東京の緑の現状は、ここに緑確保の総合的な方針ということで、東京都と特別区、市町村が一緒になってつくったものがありますけれども、これを見ますと、東京の緑の現状は、樹林地は平成九年から十九年までの統計で約八百ヘクタール減少し、今も減少を続けている。また、貴重な農地も一千六百ヘクタール減少し、今も減り続けている。都内の農地は、現在、七千ヘクタールで、その七割が市街化区域の生産緑地であり、開発と後継者問題でどんどん喪失していると記されています。それは実感としても日々感じているところです。
 それで、お伺いしますが、九八年当時のみどり率の実態と計画目標はどのようになっていたでしょうか。

○鈴木緑施策推進担当部長 平成十年--一九九八年でございますが--のみどり率は、区部が約二九%、多摩が約八〇%でございました。平成十二年に策定いたしました緑の東京計画では、計画の目標を、区部では十五年後には約三二%へと一割ふやしていくこととし、多摩では現状の約八〇%を維持していくことといたしておりました。

○かち委員 区部で二九%、多摩が八〇%、そして十五年後には、区部で三二%へと一割増、多摩では現状の八〇%を維持するという目標を立ててこられたのですけれども、このみどり率は五年ごとに調査をしているとのことですけれども、それでは九八年時のみどり率と直近のみどり率の比較ではどのようになっているでしょうか。

○鈴木緑施策推進担当部長 直近のみどり率は平成十五年のみどり率でございます。これは暫定値でございまして、区部では約二四%、多摩では約七二%となってございます。この緑の状況を把握するために、平成十年の調査では衛星画像を利用してございます。平成十五年は航空写真を利用した調査でございまして、調査方法が異なるため、そのまま単純に数値を比較することはできないと考えております。

○かち委員 平成十年、五年後で、平成十五年、二〇〇三年で、このときのみどり率の状況ですけれども、多摩地域では八%減って七二%、区部では五%減って二四%、これは暫定値だと、航空写真と画像だから単純な比較はできないというご答弁でしたけれども、二〇〇三年というと今から八年前ですよね。八年前でいまだに暫定値というのはどういうことなんだろうかと、やっぱり単純に疑問に思います。
 そして、五年ごとですから、二〇〇八年にも測定していると思うんですけれども、この二〇〇八年の測定値、あるいは暫定値ではどのようになっていますか。

○鈴木緑施策推進担当部長 現在、平成二十年のみどり率状況調査は行っております。現在、十五年、先ほど説明しました十五年の暫定値の確定とあわせまして、双方の精査を行ってございます。
 調査に当たりまして、航空デジタル写真を使用しております。緑を解析、抽出した結果をベースにいたしまして、緑色の屋根を除く補正や建物の影に隠れている緑の補正、太陽光の加減による補正など、さまざまな補正を施す必要がございまして、その作業を行っております。
 また、あわせまして、増減の要因分析も行ってございます。これらの作業が終了後に、双方の公表をする予定でございます。

○かち委員 二〇〇三年のときには数字としてぱっと出ているにもかかわらず、暫定値ですけれども、二〇〇八年については、いろんな条件が入ってきてなかなか難しいんだということで、暫定値すらまだできていない。これを二〇〇三年と、いろいろ比較検討をしながら両方を出していくんだということですけれども、ちょっと、いろんな測定をして、今、状況はどんどん進んでいます。そういうことに対応する、政策展開をしていくという点でも、こういう基礎的なデータというのはもっと速やかに出していただかないと状況判断がやっぱり狂ってしまうと思うんです。そういう意味では、二〇〇八年の暫定値であってもやっぱり速やかに出すべきだと思いますけれども、それはもう、私も繰り返していっていますので、ぜひ速やかに出していただきたいというふうに思います。
 この状況、今は二〇〇三年のときの判断でしかできないということですけれども、これでも区部では五%減、多摩では八%減という状況。こういう状況で、緑の減少を食いとどめることができない。このことを局としてはどのように認識をされているでしょうか。

○鈴木緑施策推進担当部長 宅地化による市街化が進む中、都は、自然保護条例による緑化計画書制度や都市開発諸制度等を活用しました大規模開発の事業化に合わせた緑化に応じ、割り増し容積率を増減させることなどによりまして緑化を推進してきてございます。
 区が独自に調査した緑被率という数値を幾つか拾ってみましても、例えば千代田、中央、港区の都心三区では緑が増加しておりまして、このほかにも幾つかの区で緑が増加してきております。
 平成二十年には、緑の東京十年プロジェクトの基本方針を策定いたしまして、新たに千ヘクタールの緑の創出を目標に、海の森や都市公園の整備、校庭の芝生化、屋上緑化等を着実に進めてきてございます。このプロジェクトによりまして、三年間で三百ヘクタールを超える緑を創出しておりまして、こうした取り組みに成果があったと考えてございます。
 今後も引き続き、全庁一丸となりまして、緑の保全と創出に取り組んでいきたいと考えております。

○かち委員 宅地開発や市街化が進む中で、自然保護条例の緑化計画書や都市開発諸制度を活用して、大規模開発には割り増しをして緑を確保してきているといわれましたけれども、この大規模開発などによる割り増しの方が物すごく大きくて、緑確保というのは本当にわずかでしかないんですよね。だから、どんどんどんどん緑が失われていくというのが、これが現状だというふうに思うんです。
 環境局としては、緑創出の事業として、今後三年間で屋上緑化を百ヘクタール、校庭の芝生化など三百ヘクタールの緑を生み出すとしていますけれども、屋上緑化は十七年から二十一年の五年間で百十九ヘクタールとなっていますけれども、最近の傾向はやっぱり年々少なくなっているんですね。それで、三年間で百ヘクタールふやすとなると、年間三十三ヘクタールずつふやさなければなりませんけれども、現状の平均ペースでは十四ヘクタールです。とても目標に追いつくという状況ではないといえます。
 屋上緑化というのは、確かに航空写真で見れば緑の一部ではありますけれども、あくまでもこれは補完的な役割だというふうに思うんです。本来的には地面に根づいた樹木、緑地、こういう緑をどう確保していくかということが重要だと思います。まとまった緑を確保をするという点で、緑地保全地域の指定と公有化が重要です。
 資料にも出していただきました。九ページにありますけれども、緑地保全地域の公有化の予算が、かつて平成七年ごろは百億円の予算を確保した時期もありましたけれども、だんだんだんだん減ってきて、今では十四億円台となっています。公有化予算の先細りの実態をどのように認識されているでしょうか。

○長谷川自然環境部長 都では、自然の保護と回復を図るために、自然保護条例に基づき、貴重な自然地を保全地域として指定しております。保全地域の公有化は、この保全地域内の土地の所有者が受ける強い利用制限に対する補償制度でございまして、土地所有者の方からの申し出に基づき、その土地を都が買い入れるものでございます。
 これまで、都では、土地所有者から申し出があった場合には、相続税納付の緊急性などの諸条件を勘案し、速やかに手続を進めております。必要な予算を措置し、公有化を進めてきておると考えております。

○かち委員 保全地域を個人で維持し続けるということは大変重い負担になっています。相続などでやむなく手放さざるを得ないという現状もあります。自治体に買ってもらいたくても、自治体側の財政力がなくて購入できないという状況もあります。公有化が進まないということは、民間開発を許すことになり、緑の減少に拍車をかけることになるんです。
 市街化が進み、まとまった緑地にならなくても、保全地域であれば公有化を積極的に進めるべきだと思います。市区町村への支援も含めて強化すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○長谷川自然環境部長 先ほどもご答弁いたしましたけど、保全地域の公有化は、土地の所有者の方が受ける強い利用制限に対する補償制度でございまして、相続の際に所有者の方からの申し出に基づき、都が土地を買い入れるものでございます。都として、必要な予算を措置して、公有化は進めてきていると考えてございます。
 また、緑を保全していくためには、都と区市町村が連携して取り組みを進めていくことが重要でございます。区市町村においても、さまざまな制度を活用して身近な緑を守る取り組みを行ってございます。都では、区市町村からの緑地保全の方法や管理方法などの相談に協力するとともに、都が行った自然環境調査の結果を情報提供することなどを通じまして、今後とも区市町村の緑地保全の取り組みを支援してまいります。

○かち委員 市区町村からの相談にこたえてアドバイス等も必要だと思います。しかし、公有化を進める上で最も大きな課題は財政支援です。今年度から一部、都市整備局でも市区町村の公有化支援が始まりましたけれども、環境局としても連携して、東京の貴重な緑と緑地保全を進めるための抜本的強化を強く求めておきます。
 次に、太陽エネルギー利用拡大について、先ほども質疑がありましたので、なるべくダブらないようにお聞きしたいと思います。
 CO2削減対策の一つとして、自然エネルギーの活用があります。「十年後の東京」において、都は、平成二十八年までに百万キロワット相当の太陽エネルギーを都内に導入するとしました。この百万キロワットは発電所一個分の発電量に匹敵するものであり、温室効果ガス削減に大きく寄与するものと考えています。
 そして、環境整備公社において、二十一年、二十二年を事業期間として、四万世帯への太陽エネルギー利用機器の導入を図ってきました。その結果、当初の目標は十分に達成したとして、また、太陽光に対し、太陽熱の利用が進まなかったということで、来年度は太陽熱に特化した補助制度に切りかえるとのことですが、そこで何点かお聞きします。
 今日までの太陽光発電の利用実績、ことしもあと一カ月足らずになりましたので、推定も含めてでいいんですけれども、二十一年、二十二年に分けて件数と金額、これらの太陽エネルギー利用によって、どれくらいの新しいエネルギー転換ができるのか、お聞きします。

○和賀井都市地球環境部長 二十一年度の申請件数は七千四百七十件、補助交付額は約二十五億円、設備規模は約二万五千キロワットでございます。
 二十二年度は、まだ一月ほど残っておりますので、補助実績、設備規模は未確定でございますけれども、二月二十五日現在の申請件数は八千七百六十一件でございます。

○かち委員 二十一年度は約七千五百件で、二十五億円、二万五千キロワットということでした。今年度は八千七百件程度ということで、これらを推計するとどうなるかということですけれども、金額でいえば、一万七千件弱としても金額では四十八億円程度。エネルギーというのは余り伸びないものなんですね、四万八千六百キロワットということで、こういう状況です。
 だから、四万件に対して半分にも満ちていない、こういう状況なんですけれども、これで目標を達成したといえるのかということなんですが、太陽熱利用が伸びなかった理由というのは、先ほどのご答弁で、デザイン性や施工技術の困難性などがあるということがいわれました。
 太陽光に対して、太陽熱の伸びが著しく低いのは、マスコミによる宣伝効果などいろいろあるとは思いますけれども、太陽光は、国や都、自治体からの補助制度もあって、これだけ伸びたのではないかとも考えられます。
 太陽熱の利用価値としては、暖房や給湯に限られるわけですけれども、しかし、家庭での熱エネルギー利用の約五〇%は給湯と暖房だといわれていますから、そこのエネルギーを太陽熱で賄えるということは大変大きい意義があるとは思います。しかし、給湯に暖房の水量を確保するとなると、かなりの重量、大きさにもなりますし、配管設備も伴いますので、既存の家屋に適用するというのはそもそも無理があるものだったのではないかというふうに思います。
 それで、適用したのも買いかえ程度のものだったということが先ほどいわれました。環境局としては、おおむね四万件を目標としていたわけですけれども、これがエネルギー創出の目標からしても、まだまだ道半ばといえるのではないかと思います。
 今回の予算案では、太陽光は終了して太陽熱に切りかえるということで、太陽熱の利用拡大として、新築の集合住宅用として二十億円を環境整備公社に出捐金として計上されていますけれども、その対象件数と、具体的にはどのような補助制度になるのか、また、その期間はどれくらいを見込んでいるのか、お聞きします。

○和賀井都市地球環境部長 太陽熱利用につきましては、エネルギー効率が高いために小さな屋根スペースでも設置が可能なため、先ほどもおっしゃっていたように普及が進まないということはありましたけれども、今後は、効率的な熱利用機器だというふうに、我々の方としては認識しております。
 今回、予算で計上しておりますものは、予算規模としては、おおむね五千戸に導入を目標といたしまして、環境整備公社に二十億円の基金を創設するものでございます。
 太陽熱機器の本格的な普及には、住宅供給事業者によります新築住宅への意欲的な取り組みが必要でございまして、都内の新築住宅の約七割を占めますマンションと集合住宅に、設計段階から機器の組み込みを促進するために、住宅供給事業者を主な対象として、五年間の補助制度として設けたものでございます。

○かち委員 今回は集合住宅が対象になるということで、その件数は五千件と見込まれております。ハウスメーカーなどの事業者への補助が対象になるということですけれども、五年間で五千件ということになりますと、集合住宅ですので、五十件とか百件とかすると、本当に年間にすると百棟とか、五十棟とか、そういう対象規模になるのかなというふうに思いますけれども、非常に限られた対象ではないかと思いますが、これも否定するわけでありません。太陽エネルギーの利用拡大事業として、実績との関係でいえば、整備公社への出捐金は、先ほどの計算でいけば、どう考えたって四十億円以上の残額があると考えられるわけです。
 こういうものを二年たったから引き揚げると、新たにその二十億円でこの集合住宅への太陽熱に切りかえるんだということをおっしゃっておりますけれども、それはそれでやりながらも、まださらに残額が見込まれるわけですから、私は、四万件の目標に対して、それは今引き揚げないで、ある予算の中で継続をして行うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 住宅用太陽エネルギー利用機器の補助事業は、二十一、二十二年度の時限事業でございまして、当時、冷え切っていました太陽光発電市場を再び活性化させるべくその起爆剤として取り組んできたものでございます。
 都は、補助事業の実施に当たりまして、区市町村と連携した見本市の開催などの普及啓発等に努めまして、その結果、これまでのところ、太陽光発電は、一万六千件以上の申請を受け付け、従前の約五倍の設置が進むなど、市場の活性化を達成するとともに販売価格の低下にも寄与するなど、所期の目的はおおむね達成したため、当初の予定どおり今月末日をもって本事業は終了をいたすものでございます。
 なお、百万キロワット相当の太陽エネルギーの創出につきましては、住宅のみで達成するというものではございません。例えば、昨年九月に羽田空港旅客ターミナルビルには、千二百キロワットの発電能力、これは一般家庭の約四百戸分に相当しますが、これらの大規模な発電設備が稼働したということなどから、業務系ビルにおいても導入は進んでいるところでございます。
 今後とも、新規の大規模建築物への太陽エネルギー利用設備の導入検討義務化ですとか、マンション環境性能表示の拡充、中小企業向け省エネ促進税制などの業務系施設対策など、都の気候変動対策に関しますさまざまな施策を総合的に活用するとともに、買い取り制度に関する国提案などを通じまして、今後とも、太陽光発電の普及拡大に取り組んでまいります。

○紺野環境政策部長 太陽エネルギー利用機器導入対策事業にかかわる環境整備公社への出捐金の執行残にかかわるご質問でありますので、予算を所管している私の方からも、若干補足の答弁をさせていただきたいと思います。
 公社への出捐金に執行残が生じた場合については、公社との契約によりまして、公社から都に返還することになっております。
 都としては、先ほど来、都市地球環境部長が答弁しましたように、太陽エネルギー活用について事業を新たに再構築するという趣旨から、来年度から新たに集合住宅等太陽熱導入事業を実施することとしておりますが、この事業の予算、二十億円の財源として、公社からの返還金を充当することとしております。具体的には、出捐金返還収入として歳入予算に計上いたしまして、公社からの返還金を太陽エネルギーの利用拡大に向け、引き続き、その財源として有効に活用することとしております。
 なお、この歳入予算の考え方につきましては、平成二十二年度事業評価の中で、財務局からも示されているところでございます。

○かち委員 環境局が、この事業概要の中でしっかり書いているのは、二年間で四万件を実施するということが書かれているんです。それで、四万件という目標に対して、まだ半分以下しか進んでいないというような、これはもう厳然たる事実ですから、そのことに対して、五倍も進んだのだから目標を達成したとおっしゃいますけれども、当初から冷え切ってゼロに近い状況を四万件に引き上げようというので、計画を立てたと思うんです。それに見合った予算を出捐金として出したと思うんです。
 しかし、実態を見れば、こういう状況だということであれば、二年たって、この実績からすれば相当額が残るだろうと見越したから、もう予算を組む、かなり早い、昨年の十月とか十二月とか、そこら辺でもう二十億円を、出捐金を引き揚げて新たに積もうということを計画したと思うんです。そうではなくて、私は両方進めるべきだと。いろんな方策をして太陽エネルギーを使う制度を拡充していくというのは十分必要だと思うんですよ。でも、こんなことを、だからといって切っていいという状況にはならない。しかも、ある予算の中でやるんだから十分できるじゃないかというふうにいいたいわけです。
 それで、来年度から、国の予算がどうなっているかといえば、予算が通ったとしても、補助制度の予算を八〇%に削減されます。補助額も七万円から四万八千円に引き下げられます。これまで飛躍的に太陽光発電の利用が進んだのは、国や東京都、自治体によって独自補助があり、そうした効果のもとでパネル化が進んだんです。今、東京都が終了してしまうということは、国も大幅縮減をしてしまうということで、利用率がダウンすることは明らかです。百万キロワットの目標からしても、あらゆる手だてで太陽エネルギーを創出することは重要です。しかし、環境局の事業概要の趣旨からしても、今、終了をする必要はない。そういう意味で、予算の範囲で継続すべきだということを申し上げて質問を終わります。

○島田委員 私の方からは、次世代自動車の普及促進、そして静脈物流について、そして水銀の処理について、お伺いをしたいというふうに思います。
 まず初めに、次世代自動車の普及促進についてお伺いいたします。
 ことしになって納車が始まった日産のリーフという電気自動車が注目を集めております。同じ大きさのガソリン車と比べると二倍程度の価格で、まだまだ人気車種というにはほど遠い状況であると思います。同様に、トヨタが一九九七年に発売した世界初の量産型ハイブリッド車、プリウスも、当時は同じ大きさのガソリン車と比べると二倍を超える価格でありまして、きょうのように月間売り上げのトップになるとは夢にも思えない状況でありました。
 実は、私はその初代のプリウスのユーザーでありまして、環境ということで、緑色のプリウスに乗っておりました。そういう中、そのプリウスは、当時は速く走りたいタイプの方には向かない、ユーザーを選ぶたぐいの車でしたし、周囲の方からも、何でこんな高い車を買うのとよく尋ねられたものでした。まちに、その当時、本当にプリウスは少なかったと思います。もちろん、環境のことを考えて、二十一世紀を先取りするつもりで、プリウスのオーナーになったわけでありますが、そういう志がなければ買えないような車であったということは、現在の電気自動車と同じ状況であったといえるかもしれません。
 そんなハイブリッド車がこの十年余りの間に、日本で最も売れる自動車になったのですから、この電気自動車だって、十年後には売り上げトップを競うような自動車に育つことも夢ではありません。
 きょうの毎日新聞のニュースによりますと、東名高速道路の全サービスエリアで高速充電器が設置されるというような報道もありました。そういう中、二十三年度に実施する電気自動車タクシー実用性実証試験走行事業は、電気自動車の普及に向けた調査事業ということですが、その調査が十年後の電気自動車のブームのきっかけになってほしいという立場から、確認の意味を込めて、本調査の意義をお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、野上副委員長着席〕

○高橋自動車公害対策部長 本調査は、電気自動車の実用性を確認するためのものでございます。電気自動車の普及に向けた課題といたしましては、エアコンやカーナビを使用した実際の走行状況における走行可能距離など、実用上の不安感があることが挙げられます。
 そこで、本調査では、都内の道路事情に精通し、運転のプロでありますタクシー事業者の協力を得まして、実走行時の電気自動車に係るデータを収集するものでございます。データは分析を行いまして、現状の電気自動車で、実用的な用途及び運用方法を明らかにしてまいります。調査結果は公開することによりまして、適した用途での電気自動車の普及につなげてまいります。

○島田委員 確かに、現状の電気自動車を安心に買えるかといえば、不安感の方が先に立ち、普及につながりにくい状況があるというふうに思います。
 燃費に関する自動車メーカーからの情報は、実際の運行状況の中では再現できないようなカタログ数字で語られており、電気自動車の走行可能距離についても、メーカー発表をうのみにできないのが一般的なユーザーの気持ちではないでしょうか。したがって、不安感を解消し、電気自動車の普及につなげるためには、実際に使った人たちの生の声が極めて重要だというふうに思います。
 本調査の調査項目として、タクシーの運転者と乗客、それぞれの立場からの生の声を集めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○高橋自動車公害対策部長 本調査におきまして、調査項目につきましては、タクシーの営業に支障を来さないよう配慮し、原則として乗務日誌記載事項など、通常の営業活動の中で得られる情報を集める方針でございます。この原則を基礎としながらも、充電状況など、乗務日誌には記載されない情報を含め、調査結果が電気自動車の普及につながるようにするために必要な情報を集めます。
 お尋ねの運転者及び乗客の生の声につきましては、協力者でありますタクシー会社と、今後、調査項目を調整する中で検討してまいります。

○島田委員 ぜひ、生の声を聞いていただきたいというふうに思っております。運転手や乗客の声は、購買層となるユーザーに対するのと同様に、メーカーにとっても重要な情報だというふうに思います。
 初代のプリウスは、性能面で幅広いユーザーを得られるような自動車ではなく、環境に価値を見出せる人でなければ買えないものでした。それが、ユーザーや評論家からの声にこたえて改良を続けることで、きょうの一般受けする自動車に成長したというふうに思います。
 今回の調査については、このような情報も含めて、東京都としてメーカーに伝え、電気自動車の性能向上につなげるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○高橋自動車公害対策部長 電気自動車の普及を進めるためには、今後、さらに車両の性能向上が必要でございます。本調査は、現状の電気自動車が持つ性能面での課題を明らかにし、その課題が実用上の問題とならないような用途や運用方法について分析することによりまして、現状の車両性能でも、適した用途での電気自動車の普及につなげることを目的としております。
 したがいまして、車両性能の課題を含めた本調査結果については公開し、都民、事業者及び自動車メーカーなど、幅広い方々に対して知らせてまいります。

○島田委員 ぜひ、この事業を幅広く公開して、その性能向上につないで、電気自動車の普及につなげていただきたいというふうに思っております。
 今では、ハイブリッド車もプリウスだけでなく、メーカーも車種もふえました。乗用車ばかりでなく、トラックやバスでもハイブリッド車があります。中でも、路線バスは、ロンドンやニューヨークなど、海外の大都市でも景観の一部を担う都市の顔として目立つ存在であり、東京のバスはすべてがハイブリッドバスだという方針を明らかにすれば、東京の環境対策の先進性が世界に伝わるとも思っております。
 来年度事業でも、ハイブリッドバスの導入補助が予算計上されておりますが、乗合バス事業者が導入する際に、ハイブリッドバスなら通常バスとの差額について、国と東京都から合わせて四分の三程度の補助金がもらえるという制度があるというふうに聞いております。これは限度額があるので、自己負担の多少の差はあると思いますけれども、公共交通機関ですから、積極的にハイブリッドバスに切りかえ、環境面の先進性をアピールしていただきたいというふうに思っております。バス事業者がこの補助を活用し、東京の顔になるように、路線バスを世界の諸都市に負けないものとすることを期待したいというふうに思います。
 私、イギリスにいたことがありますけれども、イギリスはバスが二階建ての赤バスと、それと黒のロンドンタクシーということだったんですけれども、ぜひ、東京はハイブリッドバス、そして電気タクシーというふうになれば、環境都市東京をアピールできるのではないかなと、そんなふうに思っております。よろしくお願い申し上げます。
 さて、次は、廃棄物対策について、お伺いしたいと思います。
 循環型社会をつくっていく上では、廃棄物の処理やリサイクルを担う、いわゆる静脈産業が健全に発展していくことが必要だというふうに思います。そのためには、廃棄物処理に携わる収集運搬業者や、処分業者がそれぞれの社会的役割を果たすことは不可欠であります。
 中でも、広い地域に散らばったものを集めてくるという静脈物流には大変な労力を要しますが、静脈物流が適切に機能しなければ、リサイクルも適正処理も成り立ちません。そのような重要な役割を担う静脈物流を支えているのは中小企業なわけでありますが、苦しい経営を強いられている状況の中で、新たなビジネスチャンスを求めております。
 先ほど、東京都では、来年度予算案に新規事業として、静脈物流の効率化、高度化事業を盛り込んでいるという質問が先ほどありました。この事業の目的と内容はわかりましたが、この事業で、事業者から排出される廃棄物の物流に関しては、本来、排出事業者と処理業者による民民の委託契約によって成り立っている分野だと思います。そこに、東京都が官の立場で関与していくことは、これはなかなか難しい面もあるというふうに思うんですけれども、これはどのように関与していくのか、まず初めにお伺いしたいと思います。
   〔野上副委員長退席、委員長着席〕

○木村廃棄物対策部長 静脈物流の効率化、高度化事業の中では、よりすぐれた収集運搬方法などを提案するとともに、静脈物流の効率化などに伴うコストの低減効果や環境負荷の削減効果などを検証してまいります。また、処理委託契約の締結やマニフェストの交付などの事務手続の改善も検討してまいります。
 このように、ビルのオーナーやテナント等の排出事業者や処理業者、双方にとってメリットとなる情報を提供することにより、静脈物流の効率化、高度化を進めてまいります。

○島田委員 今、静脈物流の高度化、効率化ということがあったわけですけれども、一つ気になるのが、中小企業の処理業者の方々がいるわけですね、今まで一生懸命やってきた。そこに、合理化されると、大手の業者が入ってきて、そこでせっかく今までやってきた中小企業の処理業者が淘汰されるのではないかと、そういう心配も将来はあるかもしれません。ぜひ、そういうことでなくて、今まで一生懸命やってきた処理業者の方々に情報をしっかり提供して、静脈産業の健全な育成をお願いしたい、そんなふうに思っております。
 次に、水銀の適正処理についてお伺いいたします。
 私は昨年、当委員会において、多摩川衛生組合での水銀の不適正処理や、二十三区内の清掃工場に水銀を含む廃棄物が搬入されたことを取り上げ、水銀の適正処理の重要性を指摘いたしました。清掃工場への不適正搬入は、ごみ処理に影響を与え、都民生活にも支障を来すおそれもあり、未然に防止することが大切です。
 現在、東京二十三区清掃一部事務組合では、清掃工場への不適正搬入防止のため、搬入物のチェックを継続的に実施しております。また、先日、都は、東京都医師会並びに民間企業と連携して、水銀血圧計に廃棄時における注意を明記したラベルを添付する取り組みを開始いたしました。これは不適正搬入の芽を摘む取り組みとして評価できます。
 しかし、水銀は、血圧計以外でも蛍光灯やボタン電池など、身近なところでいまだに多く使用されており、収集、処分といった廃棄物処理の最前線の取り組みだけですべての不適正搬入を防止することは難しいというふうに思っております。
 そこで、廃棄段階での取り組みにとどまらず、製品の設計、製造の段階から、水銀を使用しない、使用量を減らすなどの上流にまでさかのぼったアプローチが重要だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 国内の水銀使用量を見てみますと、年間で血圧計に四・三トン、体温計〇・七トン、それからボタン電池二トン、蛍光管に四・六トンなどに使用されておりまして、これら四種で国内総使用量の約八割を占めております。
 これらの水銀含有製品の不適正処理を防止するためには、水銀を含む廃棄物の分別や回収の徹底のみならず、製造メーカーによります水銀使用量の削減や、水銀を使用しない代替製品の開発、普及などが必要であると認識しております。

○島田委員 水銀の不適正処理については、本会議において検討会を立ち上げる旨の答弁がありました。今、答弁にあったように、製造者責任を有するメーカーを交えた検討会を開催し、都が適正処理を積極的にリードしていくことは、大変よいことだというふうに考えております。
 検討会では、実効性のある策を打ち出すべきだと考えますが、どのような検討を行うのか、お伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 血圧計や体温計は、既に水銀を使用しない製品が流通しており、代替製品への転換が必要でございます。ボタン電池につきましては、近年、無水銀型の製品が発売されており、その普及が期待されます。蛍光管につきましては、一本当たりの水銀使用量が四十年前に比べまして七分の一にもなっておりますが、EUの含有量規制値は上回っており、水銀使用量の削減が求められます。また、蛍光管の処分方法につきましては、多摩地域では有害ごみとして処理される一方、区部では多くが不燃ごみとして埋立処分されており、蛍光管の処理のあり方などについての検討が必要であります。
 こうした検討を進めるためには、製造メーカーや廃棄物を収集している区市町村の理解と協力が不可欠でございます。そのため、水銀に関する専門家、製造メーカー、区部及び多摩地域の自治体など、さまざまな関係者から成る検討会を立ち上げ、具体的な施策を検討してまいります。

○島田委員 水銀の処理に関しましては、今、答弁ありましたが、さまざまな関連の方々の協力、そして製造者責任、非常に大切なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
 水銀の適正処理に関しましては、水銀条約の締結に向けた動きもあり、国のレベルでも、具体的な規制内容が検討され定まっていくというふうに思います。平成二十五年までに、国は、水銀によるリスク削減のための条約に向けて、今、国際交渉を始めたところでございます。環境行政をリードする日本と、そして、それをさらに一歩上回る東京でぜひあってもらいたいと、そういうふうに思っております。水銀対策を積極的に打ち出していくことを要望しまして、質問を終わります。

○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十一分開議

○橘委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山田委員 初めに、小笠原諸島の世界自然遺産登録についてお伺いをいたします。
 本年六月には、中東のバーレーンで開催されます第三十五回世界遺産委員会で、小笠原諸島の世界自然遺産登録の可否が決定されるわけであります。昨年の七月には、IUCN--これは世界遺産委員会の諮問機関であります、国際自然保護連合の略称でありますけれども--の専門家によります現地調査が行われておりまして、彼らの評価が世界遺産登録を大きく左右するのではないかと思われます。
 そこで、まず、IUCNの現地調査はどのようなものであったのか、お伺いをいたします。

○長谷川自然環境部長 昨年の七月四日から同十三日まで、国際自然保護連合、IUCNの調査員二名が小笠原諸島を訪れました。連日、好天に恵まれまして、予定どおりすべての調査を無事終了いたしました。
 調査員からは、小笠原の生態系を保全するための外来種対策として、ノヤギを各島で根絶することによりアホウドリがふえたことや、グリーンアノールが進入できない保護区を設定していることなどに対して評価を得ました。また、長いスパンで外来種対策に取り組んでいくようアドバイスもいただいたところでございます。

○山田委員 その現地調査で、調査員から一定の評価が得られたようでありまして、よかったと感じております。その後、九月には追加の資料要請があり、十一月には、その回答をしたと聞いております。追加資料を求められたということについては、その登録の手続に影響を及ぼすのではないかと思いますけれども、そこで、追加資料要請と、それへの対応についてお尋ねをいたします。

○長谷川自然環境部長 昨年九月に、IUCNから三点の追加の資料要請がございました。
 一点目は、既存の海域公園を推薦区域に含めること。二点目は、推薦区域を囲んでいる国立公園が遺産を守るための緩衝機能を果たしていることを確認すること。三点目は、外来植物の分布状況を提出することでございました。海域公園は既に国立公園として保全されているため、推薦区域に含めても影響はなく、その他は現状を確認するだけのものでございまして、現行の保全管理に何ら変更をもたらさないレベルの要請でございました。このため、十一月に要請どおりに回答をいたしております。
 また、平成十七年に、世界自然遺産に登録されました知床の場合は、二回にわたり規制強化などを求める追加資料要請がございましたが、小笠原の場合は、二回目の追加資料要請はないことを確認しております。

○山田委員 追加資料の要請については、軽微なレベルの内容であったということで、よかったと思いますけれども、本年六月の世界自然遺産登録への実現に近づいてきたものと考えます。
 さて、世界遺産の登録は、たぐいまれな価値を有する自然地域を人類全体のための世界の遺産として保全していくことが目的であると思います。小笠原の自然が持つ遺産の価値を将来にわたり確実に保全していくことを世界に約束するものであると私は認識をいたしております。
 登録が決まるでありましょう二十三年度、小笠原の自然を保全するために、都としてどのような取り組みを行うのかを改めてお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 小笠原の自然環境を守るためには、保全管理の基本的な方針を定めました管理計画に基づいて外来種対策などを推進していくことが重要でございます。現在実施している外来種対策や自然の保護と適正な利用を行うため設置している東京都レンジャーによる監視などを継続して実施してまいります。
 また、新たに二十三年度から、都有地におきまして、侵略的な外来植物でございますモクマオウやアカギなどの排除に着手するなど対策を強化してまいります。
 今後もこうした外来種対策などを着実に実施することによりまして、世界自然遺産としての価値を持つ小笠原の自然環境を保全してまいります。

○山田委員 アカギなどの外来植物対策を強化していくとのご答弁をいただきました。六月の世界自然遺産登録に向け、東京都としてしっかりと小笠原の自然を守っていただきたいと思います。
 それでは次に、多摩地域の自然公園について質問をいたしたいと思います。
 私が住んでおります西東京市の近くには都立狭山自然公園があります。ここは桜の名所といたしましても有名でありまして、開花期には多くの都民が訪れております。また、オオタカも生息しているなど、貴重な自然が残されているところでもあります。
 多摩の自然公園には、秩父多摩甲斐国立公園、明治の森高尾国定公園のほか、六カ所の都立自然公園があります。首都にこれだけの豊かな自然公園があることは、世界に誇れる財産ではないかと思います。この自然公園は、レクリエーションや休養、自然環境の学習など、大いに利用してもらうことが大切だと考えております。実際、ここのところ、平日の電車でも登山の装備をした乗客を見かけることが多くなっているようにも感じます。また、登山用品を取り扱う店もにぎわっているという話も聞いておるところであります。
 そこで、まず、多摩地域全体の自然公園の利用者数の動向についてお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 平成二十一年の多摩の自然公園の利用者数は、狭山自然公園の二百十万人を初めとして、計六カ所の都立自然公園の合計が六百九十万人、秩父多摩甲斐国立公園が六百万人、明治の森高尾国定公園が四百万人、合計で一千六百九十万人でございます。平成十八年の一千六百二十万人と比べますと、七十万人増加しております。

○山田委員 年間約一千七百万人もの利用者があるということでございますが、これは多摩地域の自然公園の魅力とともに、都心からも短時間で気楽に行けるという、その便利さを裏づけているものと思います。殊に最近は、女性の登山者、入門者もふえている傾向にあると聞いておりますし、こうした利用者を含めて、安全に自然公園を楽しんでもらいながら、貴重な自然を守っていく取り組みが必要であると考えております。
 都は、自然公園に東京都レンジャーを配置しておりますけれども、先ほど答弁にありましたように、世界遺産登録を目指している小笠原と同様に、多摩地域でも、東京都レンジャーの役割がますます重要になっていると考えています。
 そこで、増加しております利用者の安全確保や自然を守るため、どのような取り組みを行っているのかをお伺いいたしたいと思います。

○長谷川自然環境部長 都は、自然の保護と適正な利用を推進するために平成十六年度から、小笠原と多摩に都レンジャーを配置しております。多摩地域では現在、高尾、奥多摩、檜原、御岳に各三人、合計十二人を配置しております。その活動内容は、利用マナーの普及啓発と指導、植物の盗掘等の監視と是正指導、施設の点検と応急補修、動物の生息状況の観測と監視等でございます。都レンジャーは多摩地域の自然公園を巡回し、自然の保護と適正な利用に貢献していると考えております。

○山田委員 今、ご説明いただきましたけれども、都レンジャーの活動によりまして、自然が守られながら、また多くの利用者が安心して利用できることがわかりました。しかし、多摩地域の自然公園は広大な面積を有しておりますし、利用者も増加していることなどから、十二人の都レンジャーだけでは十分な取り組みを行うことは難しいのではないかと思います。そのためには、都レンジャーの活動を手助けする手だてが必要ではないかと思います。
 そこで、現在、都は多摩地域の自然公園において、どのような取り組みを行っているのかをお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 ご指摘のように、多摩地域の十二人の都レンジャーだけでは巡視活動等が行き届かないなどの制約があることも事実でございます。そのためボランティア制度を設けまして、都レンジャーの活動の補完などを図っております。現在ボランティアとして登録されている人数は二百八十八人でございます。その活動内容は、都レンジャー業務の補完のほか、動植物の調査、自然観察ガイド、登山道の清掃などでございます。
 都は、このような活動の充実に向けまして、救急法の講習や、動植物の生態に関する研修などを実施しております。こうした多くのボランティアの方々の協力を得て、多摩地域の自然公園を保全するとともに、利用者が気持ちよく安全に利用できるように努めてまいります。

○山田委員 多摩地域の自然公園では、多くのボランティアの方々が活動に参加をされ、都民が利用しやすい環境づくりに尽力をされております。多摩地域の自然公園は、豊かな自然とともに、地域の文化や歴史をあわせ持つ、後世に継承していくべき貴重な財産であると思います。この財産を広く活用していただくことが、健康の増進、あるいは自然への理解を深めることに役立ち、ひいては地域の振興にも貢献していくものと考えます。
 また、今お話がございましたように、都レンジャーに加え、多くのボランティアの方々の協力を得て、多摩地域の自然公園の保護と利用を一層進めていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○山下委員 それでは、私は自然エネルギーについて伺います。
 二十三年度予算書概要の中に、自然エネルギーを活用した自然公園施設整備という事業があります。まず、これについて説明をお願いします。

○長谷川自然環境部長 自然エネルギーを活用した自然公園施設整備事業は、ビジターセンターなど、自然公園施設に自然エネルギーの導入を図ることによりまして、都民への普及啓発を進める事業でございます。
 これまで八丈植物公園に風力発電施設を、奥多摩湖畔にございます山のふるさと村に太陽光及び風力発電施設を設置いたしました。二十三年度は、山のふるさと村に小型水力発電施設を整備する予定でございます。

○山下委員 来年度、二十三年度に奥多摩湖畔にある山のふるさと村で小型水力発電施設の整備を行うとのご答弁をいただきました。このところ自然エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、地熱などが話題に上ることが多くなり、私自身、これらを利用した施設を視察する機会も得ておりますが、今回、東京都が水力に着目したことに、私は非常に新鮮さを感じますし、自然エネルギー利用の原点に帰ったような気がいたします。水と森林に恵まれた奥多摩町の山のふるさと村で、水力を活用する理由を伺います。

○長谷川自然環境部長 山のふるさと村には、多くの方々に奥多摩の豊かな自然を紹介し、関心を深めてもらう役割がございます。この自然への理解を進める一環といたしまして、二十年度に太陽光及び風力発電施設を設置いたしました。
 二十三年度はこの太陽光発電、風力発電に加えて、奥多摩湖に流れ込む沢の水力を利用いたしました発電施設を整備することで、多様な自然エネルギーについて学習できる場として活用してまいります。

○山下委員 今のお話を伺い、水と緑が豊かな奥多摩にふさわしい取り組みであるということがよくわかりますが、それだけでなく、こうした豊かな水と急な勾配によって得られたエネルギーを活用しているということを、訪れた人にわかりやすく伝えることも重要と考えます。その取り組みについて伺います。

○長谷川自然環境部長 自然エネルギーの利用につきまして、多くの方々に理解していただくためには、まず太陽光、風力、水力による発電施設の案内表示を工夫することが必要でございます。
 次に、年間十万人以上の家族連れなどが訪れるビジターセンターの入り口付近に、太陽光、風力と並んで、水力発電の仕組みや発電量をわかりやすく説明するパネルを設置し、理解を深めてもらうようにいたします。
 今後とも、訪れる方々に自然エネルギー利用の大切さを広く伝えてまいります。

○山下委員 山のふるさと村は、開設からちょうど二十年を迎えたと記憶しております。山のふるさと村では、これまでも、先ほどのご答弁の中にあった太陽光や風力発電、それから広い意味での自然エネルギーともいえる森林の間伐材からつくった木材ペレットを使ったストーブの導入にも取り組んでいると聞いております。そして、今回、新たに水力発電を組み入れるということをただいま伺いました。施設全体で使う電気量に比べれば発電量は小さいかもしれませんが、東京都の施設が率先して自然エネルギー利用に努めている姿勢を都民に示すことは、大きな意義があると考えます。
 山のふるさと村に限らず、自然公園施設はいずれも大自然の懐に抱かれて、自然環境のすばらしさや、その保全の重要性を実感することのできる場所といえます。その意味では、自然の恵みを生かしたエネルギーの利用の普及啓発の場として最適と考えます。これからも、各地の自然公園施設が都民の憩いの場として、また環境教育の場として、そしてさらに自然エネルギー利用の普及啓発の場として、一層充実するよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○こいそ委員 ディーゼル車規制、そしてまた何点か、計四点につきまして、お尋ねをいたします。
 ディーゼル車規制、地球温暖化対策を初め、東京都は国内ではもちろんのこと、世界と比べても、先ほどお話ありましたけれども、最先端といえる環境政策を展開してきました。これは東京、そして日本の環境改善に極めて大きな成果を上げてきた。都と協力して、このような先進的な環境行政を推進してきた我が都議会自民党としても、大変にうれしく思っているところであります。
 ここでは、こうした都の取り組みを、さらに後押しをするという観点から何点か質問しますが、個別分野の質問に入る前に、まず環境政策の普及啓発について聞きたいと思います。
 私は長年といいましょうか、ある一定の期間、地域の方々とともに環境保全活動にかかわっておりまして、その中でも常に感じておりますのは、環境課題の解決にとって、いわゆる普及啓発が極めて重要ではないかなということを感ずるんです。そもそも、これはさかのぼれば歴史的に産業革命以来、我々人類が石炭、石油などの化石燃料を大量に消費をしてきた。これはいわゆる多量な消費的な社会システムの中で消費し続けてきたわけでありますけれども、その中で地球温暖化がやはり引き起こってきました。環境問題の原因が、私はこういう産業的な仕組み、化石燃料の消費、そういうこともそうでありますが、やはりもとを正して、根本的にいけば、これは人為的行為が起因するところがあるのではないのかなと思えてなりません。その解決には我々の生活、ライフスタイルや、生産活動のあり方を大きく変えていく必要性がそこにもあるのではないかと思うところであります。
 そして、そのためには、多くの人々が環境問題についてより正しく理解をして、意識改革を、より意識を高めながら具体的な行動につなげていくことが不可欠ではないかと。その契機として、普及啓発活動が極めて重要ではないかと、ここで考えるところなんです。
 そこで、まず、普及啓発活動に対する環境局の基本認識と、現状の取り組み、これをお願いします。

○紺野環境政策部長 環境問題の解決には、都民に環境問題を正しく理解していただくとともに、環境に配慮した生活や行動を心がけていただくことが不可欠でありますことから、委員ご指摘のとおり、その基礎となる普及啓発活動は極めて重要であると認識しております。
 このため、広報誌やホームページによる周知、さまざまな普及啓発パンフレット等の作成、シンポジウムの開催などのほか、環境フェアなど多くの都民が集まるイベントの場に、普及啓発用ブースを出展して、例えば太陽エネルギー機器に実際に触れていただくようにPRするなど、多様な手段を用いて積極的に普及、広報に取り組んでおります。
 さらに地球温暖化対策など、特に重要なテーマについて集中的に普及啓発することによりまして、都民の環境に配慮した行動を促していく、いわゆる環境ムーブメントを醸成するための取り組みなども行っております。

○こいそ委員 環境局におかれましても、当然いろんな工夫をされて、普及啓発活動に今までも取り組んできたと。これは私もそういう認識を持っておりますが、その中でも、続けさせていただくと、例えばビデオ、DVDなど、これがちょっといろいろお話を聞くと、またちょっと当然私も見せていただいているんですけれども、非常にいい、内容は物すごくいいんですけど、古いんですよね。
 例えば里山保全活動のビデオも、小野路というところで里山を復元させる活動されて、年代、時系列を追って、非常に貴重なビデオなんですけれども、これが非常に古くなっている。かなり前の、これはこれで価値があるんですけど、もったいないなと思うのは、ほかの所管にも、幾つかビデオの中でも、何かもう少し、いま一つ編集をするとか、そういうことが必要なのではないのかなと思うんです。
 特に強調したいのはDVDなどの、いわゆる映像媒体、インターネットの活用によるビジュアルな普及啓発活動の重要性も感ずるんです。改めていうまでもありませんけれども、環境課題といいましょうか、環境問題は全く一握りの専門家、または大変興味を持っている方、それぞれおられますけれど、一部の人だけでは到底解決できないものもあると思うんです。
 多くの都民の認識、理解があってこそ、初めて解決できるというものでもあるかと思います。まさに幅広い都民の理解と協力こそが現下の首都東京の環境課題、環境の問題解決、そして政策の遂行ということの真の原動力になってくるんじゃないかと私は思うんです。そして、都民に環境問題を正しく理解してもらうためにも、みずからの問題として受けとめて、行動につなげていくためには、環境破壊の実態、先ほどもちょっと触れましたけれども、東京の貴重な自然環境の現実というんですか、現況というんでしょうか、などの映像を、多くの方々にも見てもらうということは、私は非常に効果があるんじゃないかと。その一つとしてですよ。
 また、当然でありますけど、百聞は一見にしかずという言葉がありますけれども、映像には活字や言葉にはない--それは当然活字、言葉も大切です、伝えることが。わかりやすさとインパクトの強さ、私も少しの経験でありますけれど、その中からも映像には単に頭の中で考えているより、よりよい内容に編集をされたものであるならば、理解にとどまらず、行動の際、実践行動ということにつながっていくという力があるんじゃないかと私は思うんです。
 それで、最近はインターネットによって二十四時間いつでもどこからも映像を見ることができる時代です。そういうことの中で、ビジュアルな普及啓発活動の工夫をする、まさに最先端の日本の環境政策をリードしている、メガシティ東京として、世界の環境分野の中でも先導的な役割をしている東京都環境局としても、ぜひ工夫の余地は、私は大きいのではないかと思います。
 そこで、都もやはり、局でありますけれども、DVD、インターネットを活用してビジュアルな普及啓発活動に積極的に取り組むべきだということを思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。

○紺野環境政策部長 お話のとおり、都民に環境問題を理解していただき、行動へつなげていただくためには、映像を活用したビジュアルな普及啓発が大変効果的であると考えております。このため、現在、東京都地球温暖化防止活動推進センター、いわゆるクールネット東京において、地球温暖化関連のDVD貸し出しを行っているところでございますが、今後、他分野の新たなDVDの提供も含め、さらに充実してまいります。
 また、いつでもどこからでも、最新の情報を見ることができるというインターネットの特性を生かしまして、ユーチューブなどのいわゆる動画共有サイトの活用など、従来の枠にとらわれない新たな手法による情報発信に取り組んでまいります。こうした取り組みを通じまして、環境問題の解決に向けて、幅広い都民のご理解とご協力がいただけるよう、一層積極的な普及啓発活動を展開してまいります。

○こいそ委員 ぜひ、普及啓発用の--ここでなかなか予算上のことは当然出てくるわけでありますけれども、やはり内容が、そして行政効果があれば、それはクリアできていくと思うんです。DVDだけじゃありませんけれども、ぜひそのような都民が広く理解できる、こういうものを制作することも私は必要ではないのかと思います。東京都の環境政策のありようといいましょうか、現状というか、今、どういう取り組みをして、これからどういうような展開をしていくかという、こういうものをやはり制作をするということもぜひ検討していただきたいと思います。
 また、東京はいうまでもありません。世界有数の大都市であります。また、多摩地域には貴重な里山、後ほども触れますけれども、希少な動植物がまだまだ生息しております。また、先ほどもお話がありましたけれども、世界自然遺産登録を目指す小笠原諸島も擁するなど、また雲取山、二千メートル級、さまざまな景観があるわけでありますけれども、豊かで多様な自然を兼ね備えた、私は世界に数少ない、例を見ないかどうかはわかりませんけど、首都だと思うんですよね、この東京は。
 千三百万都民がこうした東京のかけがえのない魅力をより理解していただいて認識をしていただくと。そして、自分たちで東京の環境を守っていかないといけないということを、意識と、そしてまたいろんな行動につなげられる目覚めをしていただければ、その影響力、行動力の大きさははかり知れず、ひいては日本、この国のためにもなりますし、それで世界の環境を守っていくという力になっていくというふうにも考えています。
 先ほど、木内先生からいろいろお話がありましたし、高橋委員からもお話がありましたキャップ・アンド・トレード制度、これはやはり先駆的で極めていいと我々は理解しております。先ほどの説明でも、よりそういうことの認識を深めさせていただきましたけれども、こういうことも、できるだけ広報という形も含め、都民に周知する。関係の事業体には当然でありましょうけれども、そういうことをやられた方がいいのではないかと思いますし、効果的な普及啓発活動に、より積極的に取り組んでいただくことを期待いたしまして、これは終わらせていただきたいと思います。
 次に、自動車環境対策に関するエネルギー政策について伺います。
 東京都の調査によれば、都内におけるCO2、これはもう出ていると思いますけれども、排出量の四分の一が運輸部門、この資料からもわかりますけれども排出されており、そのほとんどが、やはり自動車から排出されたものだということがわかりました。
 運輸部門では、その自動車のCO2削減が必要とされており、走行中にCO2を排出しないからという理由で、これは私の私見もありますので、いろんな議論があっていいんですけど、電気自動車の、私はかねがね思うんですけど、ハイブリッド、結構だと思うんです。それから、やはり代替的なディーゼル車もいいと思うんです。それから、パームヤシ油を使った、あの努力も結構。いいんです。それぞれ結構だと思うんだけど、何か、後ほどいいますけれども、一貫性がどうかなということをお聞きしたいと思うんです。こういう言葉を使っていいかわかりませんが、電気自動車ブームが日本じゅうに広がっていきつつあるんじゃないかと。
 しかし、現在の電気自動車は車種が限られて、ガソリン車、ディーゼル車に取ってかわる存在とはまだまだ当然いえない。国や他県と同じように一過的なブームとはいいません、これはこれで必要だと思います。小型車とかね。そういういろいろな運用によって、タクシーだとかあるかもしれないけれども、やはり乗っていくのではなくて、東京都が冷静な政策を実行する上で、エコカーのあり方をやはり本来のあるべきエコカー、いわゆる代替エネルギー、そしてまたCO2削減策、これらのことを踏まえながら、東京都の政策方向を、ちょっとこれ考え過ぎですけど、方向のないようにしていただきたいなと、こういうことなんです。
 そして、東京都がリードしてきた自動車公害対策に協力して、ガソリン車や軽油では世界最高品質の製品が今、供給をされたんです。これは環境確保条例、ディーゼル車規制の中で世界で最高の高品質の製品が供給されることになったんです。これを実践するために製油所からガソリンスタンドまでの流通過程のすべてで投資が実は行われてきたんです。また、ディーゼル車の代替の主力として普及したCNG車、またはインフラとして、都内には約五十カ所のCNGスタンドも整備をされた。こういった環境に優しいエネルギーを供給するインフラを、東京都が先導して民間に整備させてきたということはあるわけでありまして、目立ちませんけれども、東京都のディーゼル車対策をもう一つ支えてきた現実が私はそこにあるのではないかと思っております。
 また、このようなエネルギーインフラを生かしつつ、私は一貫したエネルギー政策を持って、東京都環境局は、自動車環境対策を進めていただきたいと思うんです。
 そこで、本来のといいましょうか、あるべきといいましょうか、エコカーのあり方と今後の見通しについて見解を伺います。

○高橋自動車公害対策部長 自動車は用途の違いによりまして、乗用車と貨物車、あるいは小型車と大型車のように、さまざまな形態の違いがございます。そして、それぞれの形態ごとに適したエンジンの大きさや使用燃料は異なっております。したがいまして、エコカーのあり方については、その用途ごとに適切な車種の組み合わせを考えて、環境負荷が小さくなるようにすべきであります。
 普及段階に入りました電気自動車への代替につきましても、車両の大きさや動力源の特性を踏まえまして、都市内の近距離移動に用いる小型車など、電気自動車に適した用途で利用すべきものでございます。バッテリーの耐久性など、従来の自動車とは異なる課題への対応状況を冷静に見守りながら、適材適所の普及策を進める必要があると考えております。

○こいそ委員 基本的な自動車環境対策に対するエコカーのお話を今聞かせていただきましたけれども、自動車の用途、いいかえれば自動車が社会で果たす役割に応じて、それぞれ適したエコカーの姿がある。東京都が持つ、環境に優しいエネルギーインフラは、今後もそれぞれのエコカーを支えていく役割を担っていく必要性があるということだと思うんです。
 また、日本最大のエネルギー消費地である東京都から、長期的なビジョンを持って、ぜひ、これをしっかりと据え置いて、エネルギーインフラのあり方をさらに理解していただいて、日本のエネルギー政策をリードしていっていただきたいと思います。運輸部門にかかわるエネルギー政策と密接不可分な電気自動車の普及の進め方についても、そのあり方を明確にした上で具体化しなくてはならないと思います。
 そこで、電気自動車の普及のあり方について見解を伺います。

○高橋自動車公害対策部長 現状のバッテリー性能を前提といたしますと、電気自動車は毎日決まった時間に車庫で普通充電をしながら、一日当たりの走行距離が数十キロ程度走行する用途で使用するのであれば、その環境性能を生かして利用することが可能でございます。したがいまして、東京都の道路状況を踏まえて、一日当たりの走行距離が実際に何キロ程度なら電気自動車が実用的なのかを、タクシー事業者の協力を得ながら明らかにし、その実用的な用途の範囲での普及を進めてまいります。
 今後とも、自動車が担う多様な用途それぞれに適合する各種の自動車の普及状況を見きわめながら、環境性能の高い自動車の導入促進を進めますとともに、エネルギーの需給についても研究をしてまいります。

○こいそ委員 これは当然でありますけれども、自動車の環境対策が極めて重要であることは、もういうまでもないわけでありますが、昨今、今のような、さまざま、私は先ほどから何回かちょっと触れさせていただいているのは、やはり運輸部門の自動車の対応、対策というのは極めて重要である。その中におけるエコカーの普及、促進、これも重要です。
 平成十五年に、私も一部参加させていただきましたけれども、また乗車もさせていただいた、世界で初めての、路線をめぐる、実用する、燃料電池をエネルギーとする都バスが走りました。どこだったかな、近くにインフラ整備をしました。燃料電池の供給スタンドをつくった。そういうことで、平成十五年という段階から実用に踏み出した東京ですよ。私は、確かに電気自動車も、それからCNGも、先ほど申し上げたようなバイオディーゼルを初めとする多様な燃料が、それはあってしかるべきだし、それに対応できる自動車が普及されることは必要だと思います。
 しかし、今後の、これだけ大量に消費をし続け、二〇二〇年に二五%削減をする、非常に高いハードルを持っている東京としても、やはりこの部分の中におけるもう一段エネルギーに対する抜本的な--例えば局だけじゃ大変厳しい、難しいかもしれないけれども、まさに先導的な役割を担っていける局じゃないかと私は思うんです。そういう面からも。
 ですから、当然自動車だけじゃありませんけれども、大量にエネルギーを放出、消費する中におけるさまざまな燃料、特にきょうは自動車ですけれども、燃料を今後どういうような社会のシステム、社会のありよう、未来の東京のありよう、国家のありよう、世界の--こう考えたとき、私はやはり、これはまだもうちょっといろいろ異論があると思いますけれど、燃料電池だとか、代替的なものも、東京都もやはりしっかり据え置いてもいいんじゃないかと思うんです。もっとしっかりとしたエネルギー政策というものを、この東京におけるエネルギー政策を局の中に位置づけてもいいんじゃないかと私は思うんです。そういう上においてという中で検討していっていただきたいなと思うんですが、これ、局長、どうですか。

○大野環境局長 先ほどお答えしましたけれども、本当に気候変動の危機を回避しようと思うと、先進国は八〇%以上削減していかなきゃならないと。とてつもない目標でございます。もちろん一方で省エネルギー化を進めるということをやっているわけなんですが、同時にCO2を排出しない代替燃料に転換していくということもやらなければなりません。
 今、この分野では、本当にもう世界各地でこれが新しいビジネスチャンスになるということもございまして、いろんな競争が行われています。車の分野に限って見ましても、我々も自動車メーカーの人と話をするのですが、どれが一番将来的に有望な、大きな流れになる自動車の燃料なのかということはまだ確定していないという状況でございます。
 したがいまして、我々もいろいろなトライをやっておりますけれども、いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、東京は世界で最大規模の都市として、世界で最も早く低炭素化の都市に転換していかなきゃならないという、いわば使命を負っておりますので、そういう観点から都市におけるエネルギーのあり方についても研究をして、必ずどこのフロントでも東京がトップにいるような、そういう取り組みをしてまいりたいと、このように思っています。

○こいそ委員 まさに、先ほど木内委員のご答弁にもありましたように、そういう志高く、やはりそうあるべきだと、今の答弁のように、ぜひ私は--内容ともに、世界最大の都市ですよ、この都市が環境先進、環境優先、そして世界のどの都市よりも低炭素型の持続可能な社会形成に東京として進んでいくということは、極めて大切だと思いますので、どうぞよろしくお願いします。よろしくというか、そのとおりだと思いますので。
 それでは、次に行きます。
 次は、廃棄物対策でありますけれども、私、ちょっといつも冒頭まくらで江戸時代、江戸時代と。大変興味があるという個人的な理由もあるんですけれども、この江戸時代の当時の江戸のまち、町民文化も栄えて、当時百万人の都市というのはロンドンぐらいじゃないですかね。そういう中で極めて、内外ともの評価もそのときもあった、今もそうだけど。
 その中でまた一面リサイクルのまちだともいわれていたんです。まさに循環社会のまちであった江戸。こうしたリサイクルシステムを支えてきたのは今流にいえば民間のリサイクルの関係者、業者もそうであると。明治時代になってコレラ感染予防などの公衆衛生の面から、ごみ処理に関する最新の法律、汚物掃除法が初めて制定されたんですね、法的に。
 ごみ処理の主体はこれによって自治体、とりわけ、当時東京市だったんですけれど、市町村であるということが位置づけされました。また一九七〇年、これはもうまさに六〇年代からこの日本が大いに高度経済成長を遂げつつ、一九七〇年代の中で公害問題が発生し、排出者責任の概念がここで初めて導入されたわけです。これ以後、先ほどの汚物掃除法から、昭和二十八年だったですかね、二十九年にまたがったかな、ここまで法律がないんですよ、全然。驚くべきことに。これはどうでもいいですけど。
 その後において、昭和三十年代、一九六〇年代、これから七〇年に入って、さまざまな法律ができてきたんです。その後は清掃法もそうだけれども、循環型の社会形成に関する序盤的なものは入りました。当時は公害対策がありましたけれども、現在、廃棄物の処理を直接的に担っているのは、まさに区市町村だと。そしてまたそこの自治体から許可を受けた処理業者です。
 そこでまず、区市町村の清掃事業に関して伺いたいと思いますけれども、区市町村は家庭ごみと事業系一般廃棄物の処理が固有の事務ですから、これを行っている。これらを適正に処理するために廃棄物の排出実態に見合った処理方法を選択する必要性があると思うんです。
 私も驚いたんですけれども、例えば、マヨネーズ。マヨネーズのふたは捨てるわけですから、当然取れています。そして捨てて、まだ残が残っていますよね。残ってどうするか。それをまた切って水で洗って出してくださいと。出した人いますか。それから納豆の容器です、それを洗って出してくださいと指導している自治体があるんですよ。これだけじゃないんですけど。
 そうすると、いわれた方は、その指導にのっとってやっている人もいるでしょうけれども、何というんですか、わからなくなってしまいますよ。そういうような中で、私はやはり容器に汚れが付着して除去するのも大変なものは、サーマルリサイクルではないかと思うんです。二十三区ではもうサーマルリサイクルですよね。今の話は三多摩地域の話です。
 マテリアルリサイクルは優先であると、確かにマテリアルをした方がいいんです、これは当然。しかし、観念論といったら申しわけないけれども、そういうふうにした方がいいですよと。そうすべきだと。これはわかるんだけれども、それを広く、多くの皆さんに--いろいろな状況があります。そういう中でこれを、本当に何というかな、サーマルではないマテリアルリサイクルということの中で線引きしてやることが、果たしてどうだろう
か、住民の負担や環境負荷の低減という、実態を踏まえた中でも、私はやはり現実的な政策というものが実行されていくべきではないのかなと。
 ということは、二十三区と多摩地域の--当初は多摩地域はそれぞれの自治体ですから、なかなか小回りきいて分別だとか、いろんな取り組みをやってきました。十二分別というのも珍しくなかった。しかし、今まさに二十三区の実態を見た中で、非常にやはり思うところがあるんですよ。非常に進んでいるという、当然サーマルリサイクルというのを、私はやっぱり--後ほど森次長にお願いしたいと思いますけれども、こういう区部と多摩地域、例えばこれだけの話をさせていただくと、マテリアルなのかサーマルなのかというと、今、流れはサーマルですよね。サーマルはいけないんじゃないかということもあるわけで、こういうことを踏まえて、まさに東京都は広域自治体としてサーマルリサイクルを推進など、実態に見合った廃棄物処理について、私は区市町村を強くというか、いろんな話し合いをしながら指導をしていくべきではないかと考えているんですが、このあたりどうでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 廃プラスチックにつきましては、マテリアルリサイクルを促進するとともに、汚れ、異物が付着したマテリアルリサイクルできないものにつきましては、清掃工場で熱エネルギーを回収するというサーマルリサイクルへ誘導することが適切と考えております。このため、プラスチックのサーマルリサイクルなど、区市町村が行う一般廃棄物の適正な処理とリサイクルの考え方につきまして、多摩地域行政連絡会や、特別区清掃部長会等の場を利用いたしまして、十分に説明してまいります。
 また、五月には人事異動等により、新たに廃棄物行政を担当することとなった区市町村の職員を対象といたしました研修会を開催してまいります。

○こいそ委員 ぜひ、やはり広域行政体としたら、人材といいますか、相当的な政策立案能力と遂行能力を含めた中で、どうぞそういうような研修、または意思疎通を図りつつ指導をしていただきたいなと思います。それは丁重にといいますか、そういうことをいうまでもありませんけれども、ぜひお願いしたいなと思います。
 それと多くの区市町村では、一般廃棄物の収集運搬の業務を民間業者に委託しています。しかし、この委託料についてでありますけれども、経済性を重視する余り、例えば景気動向によって--多摩地域なんて極めて厳しい自治体が多いです。その中における、経済性というのかな、経済性だけじゃない、コスト的な面、財政的な面、これを踏まえて委託業務を遂行するに足りる額が極めて厳しいという声も聞くんです。
 ですから、何をいいたいかというと、要するに静脈産業の育成という観点から見たとき、環境ビジネスは領域が大変広いですから、しかし、その中の一つという部分から見ても、私はやはりこういう部分は--例えば、今、低価格入札というのが、低入札がありますよね。低入札で、例えば、A、B、わかりません、Dでもいいんだけれども、そういうあれが通ると。
 しかし、だんだんだんだんといわゆる子どもから孫にずっといったときに、一番ばさっとやられるのは、この静脈部分ですよ。安ければ安いほどいいんだから。だから、そこに競合が発生する。そうすると、まさに何をかいわんやであって、採算度外視というか、処理場に持っていく処理費までカットしちゃうこともあるかもしれない。そういった場合どうするかってなりますよ。
 例えば、多摩地域の中で、私もこの間見てきましたが、まだ現状として、今も現状回復されていない東京都の公共事業で、そこから出た残土だとか、いわゆる公共から排出された廃棄物が放置されている。それは倒産しちゃったからということだとか、だれがそうするんだとか、いろいろ責任の所在の問題が堂々めぐりしたこともあるでしょう。
 しかし、実際問題として、やはり私は環境ビジネス、静脈産業の育成というのであるならば、講演も結構、大切だと思います。研修会も大切だと思う。しかし、こういう実態に見合った適正な価格的なものがなければ、これは環境省とかも依命通達かな、出ていますよね。だけどみんなばらばらです。東京都の関係する施設から排出されているところも、私が調査した範囲では、分別を含めて極めて低廉です。低廉というか、かなり低い。
 多摩地域はそれぞれ県境、埼玉県だとか山梨県、それから神奈川県、隣接しています。例えばそれらの業者が来ると、南側のある市のところの清掃工場はキロ十五円だと。これは一般の、事業系の話です。十五円になる。ところが直近のところは、安くてもキロ二十五円以下ということはないです。もう当然みんなそれ以上です。それがキロ十何円で取られたら、都内業者はどうするんですかと、こういう話になる。それは都から、都の第三セクターから出ている。これは無理です。
 それからリサイクルという名のもとで持っていくというと、ほとんどスルー。オーケー、オーケー。リサイクルというとほとんどオーケーです。どこに持っていっても、本当は自区内処理の大原則があるんだけれども、もうほとんど壁はない。ほとんど持っていくわけです。そのときに、県外に行けば、そういう処理費が対応できるところが当然あるから有利ですよね。そういうこともある。
 そういうことを踏まえて、私はやはり--隗より始めよといったら大変申しわけない、じゃあ、みずからやれという話になるかもしれないけれども、とにかく公共のところから、やっぱり分別から含めて、排出から含めて、そういうことを含めてやっぱりやっていってもらわないと、いくら環境局が環境ビジネスを育成するんだと、静脈産業を育成するんだと、底上げしていくんだといったって、肝心かなめのところ、こういう実態で安ければいいんだと。悪くたって安ければ全然関係ないんだと。こういう実態論が現実的にあるならば、いかなるものかなと、こう思えてなりません。
 本当は二問やるつもりだった。もうあと、ここで集約してやりますので。
 そういうことで、ほとんどいっちゃったんですけどね。そういうことです。要するに、ぜひ民間のそういうようなさまざまな側面を照らし合わせて実態的なものを見ていただいて、やっぱり環境局が頼りだということも聞きます。
 それからもう一点だけいいます。例えば今、自区内処理の原則だって、持っていく人がいます。これは随分おかしい話もあるんだけれども、リサイクルじゃないなというものがあるわけです。だって、ごちゃごちゃになって汚れてるものは、リサイクルできるわけないでしょう、現実。それをリサイクルという名のもとに持ち出せるんです。どういうことか。
 どこの市とはいわないけれども、自分のところのごみ総量が減るんですよ。自区内処理ということは、みずからの清掃工場に持ち込んでいく。やるわけでしょう。それで量がわかるわけだ。ところが自分のところ、みずからの自治体の施設へ持っていかなければ、総量は下がる。
 それからもう一点は、例の抜き取り。持ち去り抜き取り、やりましたね。これもやはり、そういうところにつながってくるんです。だから、多摩地域の幾つかの市の中で、余り積極的ではないというところを間接的に聞いておりますけれども、それはすなわちそういうところもあるかもしれないということは、おかしい話ですよ。リサイクルでも何でもありゃしない。
 ごみ減量、ごみ減量っていったって、実際のごみ減量の基本的な減というのは、私はやはり、いろいろな対応といいますか、現状の取り組みの中でもされているわけだけれど、それより取り組みを強化していくことによって、減量化を進めていくと。ごみの総量を減らしていくということにつながってくると思うんです。ですから、そんなこともありますので、ぜひ広域自治体の東京都として、さらなる連携をそれぞれとっていただきたいなと思います。
 循環社会を構築するためには、廃棄物の排出者、処理を担う区市町村と処理業者が、それぞれのみずからの役割を自覚しながら、適切にその役割を果たしていくことが必要です。豊富な知識と現場感覚を有し、東京地域全体を見据えて、判断、行動できる東京都環境局が、関係主体間のコーディネーターとして循環型社会の変革を導く役割を積極的に担って、リーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、見解をお願いします。

○森次長 先ほど先生から、江戸時代からの変遷のお話がございましたように、現代の廃棄物の資源循環や適正処理に関しましても、その変化をきっちりととらえなきゃならないと考えております。例えば、現在、区市町村では地域の特性を生かした古紙や瓶のリサイクルが行われておりますけれども、最近のレアメタルの資源化への取り組みなどにつきましては、その地域を広く越えまして、企業との連携が不可避となるなど、広域循環としての取り組みが欠かせない状況も生まれております。
 また先生からも、適正なコストの負担の話もございました。古紙の不正な持ち去り対策、あるいはリサイクルの名をかりた不適正処理対策、適正処理対策につきましても、その地域だけでは当然解決できない案件も、実は増してるところでございます。このように、広域化が進展する今日におきまして、広域自治体である都の果たす役割は大きく、さらに高まっていると認識してございます。
 資源の広域循環を着実に実現し、排出事業者などにおける適正処理の徹底を図っていくためには、区市町村、企業、廃棄物業界などの各主体がそれぞれの役割を適正に果たしつつ、相互に連携し、計画的な取り組みが強く求められてきております。このため、今後とも広域自治体として、都は、区市町村や企業を初めとするさまざまな主体との連携や、仕組みづくりのコーディネーターとしてその役割を果たし、静脈産業の発展と循環型社会の構築に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。

○こいそ委員 ありがとうございました。森次長にご答弁いただきまして、ほんとにそのようにお願いしたいと思います。
 それでは希少種の保全について、これを最後にお聞きしたいのですが、東京都環境局では、自然環境条例に基づいて、自然の保護と回復を図るために、保全地域の指定を行いました。これまで八王子暁町、これは我が党の石森議員が質問して、これが新たな保全地域の指定を受けたということがあったわけでありますけれども、四十八カ所もの雑木林が、里山保全地域に指定されてきました。
 昨年は、先ほどからお話がありましたけれども、国際生物多様性年ということで、市民の暮らしに身近な、自然に対する人々の関心が非常に高まった年でもあったと思います。保全地域の量的な拡大とともに、保全地域の質的な向上にも、目を向けていくべき時期であると考えるところであります。保全地域には、都内の希少リストであります、いわゆる東京都版レッドリストに登録されている希少な動植物も数多く生息、生育しているところであります。
 こうした保全地域の希少な動植物を将来にわたって保全していくためには、まず正確な実態調査、把握をする必要性があると思うところであります。
 そこで、保全地域における希少な動植物の実態把握の現状についてお願いします。

○長谷川自然環境部長 保全地域におけます動植物の実態については、保全地域の指定の際に、自然環境調査を行っております。希少種につきましても、この調査を通じてその実態を把握しているところでございます。また、日常的に保全地域の管理を行っている地域のボランティア団体によって、自然環境の調査が行われているところもございまして、こうした調査結果を都としても共有をしているところでございます。
 しかしながら、生物多様性という観点から、保全地域の自然環境の実態につきまして、全体的な状況を把握する必要があるため、来年度から段階的に保全地域の自然環境調査を実施する予定でございます。この調査を通じまして、保全地域における希少種の最新の実態についても把握してまいる予定でございます。

○こいそ委員 ただいまの答弁で、来年度から、新たに保全地域の希少種の調査を実施していくとの答弁がありましたけれども、これまでも、事務事業質疑など、さまざまな場で、希少種の問題が取り上げられてきましたが、いわゆる実態調査がいよいよ行われるということは、大変評価するところであります。そしてまた、来年度から実施する保全地域における希少種の実態調査の具体的な内容について、お願いします。

○長谷川自然環境部長 来年度から実施いたします保全地域の自然環境調査についてでございますが、保全地域は里山、雑木林、遊水池などの特徴に注目いたしまして、町田市の図師小野路歴史環境保全地域や、東久留米市の南沢緑地保全地域など、六カ所を対象に実施する予定でございます。
 具体的な調査項目といたしましては、植物、哺乳類、鳥類などについて、季節に応じて年数回にわたり、現地での実態調査を行います。この調査の中で、保全地域内の希少な動植物の生育場所、周辺環境、個体数などの把握を行ってまいります。

○橘委員長 こいそ委員に申し上げます。予定時間がかなりオーバーしておりますので、まとめていただけますでしょうか。

○こいそ委員 これでまとめます。じゃ、最後。
 それでは、希少動植物でありますけれども、いずれにしても、タマノカンアオイという多摩丘陵に生息する植物。それからキンラン、ギンラン、これもそうです。こういうものが極めて減少している。まさにレッドデータ、絶滅危惧種であると。
 例えば、密猟で、小鳥を捕らえる。これは売れる、同じなんです。鳥類の場合は条例化されています。人為的行為によって、これもそうだけれども、捕られちゃうんです。盗掘される。こういうことがあるならば私はやはり、何ていうかな、限られた希少種、とりわけ人との、かかわりが非常に近い、里山、多摩丘陵の希少種が絶滅しないように、抜本的--多摩丘陵だけじゃないけれども、全体的に希少種をしっかりと保存するには、ぜひ私は条例化を検討していただきたい。条例化も視野に入れていただきたい。これは要望します。終わり。

○興津委員 本日も各委員から、各種ご議論のあったところでもありますが、CO2削減、そして地球温暖化対策というところの視点から、これはもう現代社会における喫緊の課題であるというふうに考えておるところであります。
 先ほど来、ありましたとおりに、CO2をやっぱり一番排出しているのは車両であるというところからスタートして考えていきますと、各種の化石燃料等に頼らない車両の開発というのも必要であろうと思いますし、現時点におきましては、電気車両というのも、検討していく材料であろうというふうに私は思っているところであります。そのCO2の削減、地球温暖化対策というその視点から、大きく二つだけ質問させていただきたいと思っております。
 ではまず、エコドライブについてお伺いいたします。
 エコドライブにつきましては、本委員会において何度か取り上げられていますけれども、環境への影響として、エコドライブをする前の運転技術にもよりますが、一般的に燃費は二〇%近く向上するといわれ、自動車などの運輸部門によるCO2排出量は全体の二一%を占めるため、すべての自動車がエコドライブを実践すると、全体の約四%と膨大なCO2排出量削減へとつながります。新技術を必要とせず、膨大なお金も必要としないエコドライブは、大きな可能性を秘めているというふうにもいえます。
 また、問題点としてですけれども、平成十八年度国土交通省行政インターネットモニターアンケート調査の結果によりますと、エコドライブを実践していて難しいと感じることについては、面倒くさいという意見、七・三%よりも、効果がわかりにくいという意見、五五・六%が多く、また、エコドライブを実践しない理由については、エコドライブに関する知識が不足しているが六五・一%、エコドライブを実践しても効果がわかりにくいが三三・九%の結果が出ています。つまり、エコドライブは大きな可能性を秘めているというものの、利用者にとっての効果が知られていませんで、よくわからないから実践していないという状況だと思われます。
 そこで、まず、概論としてですけれども、都民がエコドライブを実践するために、都としてこれまでどのようなことに取り組んできたのかを確認させていただきたいと思います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブへの取り組みについてでございますけれども、財団法人省エネルギーセンターや、社団法人東京指定自動車教習所協会並びに警視庁と連携いたしまして、エコドライブ教習マニュアルを作成しますとともに、都内にあります約五十カ所すべての指定自動車教習所の教官の代表者を対象に、東京都エコドライブインストラクター教習会を実践しまして、エコドライブ推進の核となる人材育成を行いました。
 また、区市町村が一般ドライバー向けに開催いたしますエコドライブ教習会、これに対しまして、平成二十一年度から技術的、財政的支援を行っており、本年度は、国立市、あるいは北区など、十一区市での実施を支援しております。
 加えて、広域的な連携が不可欠であるとの観点から、九都県市におきまして、十一月のエコドライブ推進月間にも、社団法人日本自動車連盟--これはJAFでございますが--並びに地域の自動車教習所等と連携しまして、エコドライブ講習会を実施しております。

○興津委員 ありがとうございます。技術的な、また財政的な支援をいただいているというところがわかりました。
 そこで、このエコドライブ実践は継続されてこそ初めて効果が出てくると思います。先ほどのアンケートにもありましたように、告知など、東京都としてどのような取り組みをしているのか、ここでお伺いします。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブ教習会で身につけた技術を発揮する場を提供し、継続的なエコドライブの実施を呼びかけることを目的に、全国の自治体初の取り組みとしまして、昨年十月に東京都エコドライビングコンテストを開催いたしました。
 コンテストでは、日ごろからエコドライブを実践している運送事業者といったいわゆるプロのドライバーや、一般都民ドライバーが、合わせて百三チーム、その技術を競いました。また、一般来場者を対象に、パネルやトークショーなどを織りまぜて、エコドライブの効果や継続実践することの意義などについて、紹介、情報提供いたしました。当日の来場者数は二千人を超えまして、アンケートによります意識調査にも多くの回答が寄せられるなど、都民の関心の高さがうかがえました。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。この講習会等を含めまして、告知をしているんだというところのご答弁だったというふうに思います。
 このコンテストの開催がエコドライブを継続する誘導策となることがわかりました。このような企画も含めまして、エコドライブの推進はまさしく東京都が発信し、ほかの地域、九都県市も含めてでしょうか、にも広げていくべきと考えていますけれども、その取り組みがありましたらお聞かせください。

○高橋自動車公害対策部長 このコンテストでございますが、テレビを初め、インターネット、新聞、広報誌など、さまざまなメディアに取り上げられました。都民の方から次回開催に関する問い合わせのほか、自治体や自動車関係団体からは、イベントのスキームや開催のノウハウといった実務的な問い合わせも受けております。
 今後とも東京都が、都内だけでなく、全国的なムーブメントとなっていくよう、エコドライブの普及に向けた情報発信を積極的に行ってまいります。

○興津委員 ありがとうございます。そのテレビ報道を、私も、去年だったかなと思いますけれども、見させていただきました。たしか全国放送でもありまして、エコドライブに対する関心の高さがわかります。このような取り組みは、引き続き関係機関との連携のもと続けていくべきだと思いますけれども、今後の対応策があったらお聞かせください。

○高橋自動車公害対策部長 今回のイベントには多くの企業、団体に、協力、協賛をいただきました。さらに、企業チームとして参加したケースも見受けられ、社内広報で自社チームの活躍を紹介したとの話も聞いており、大きな反響がございました。
 このように、企業、団体との連携はイベント自体に広がりを持たせることができるだけでなく、エコドライブのすそ野を広げ、都民や企業がより自主的、主体的に取り組む機運を醸成できることから、重要であると認識しております。今後も引き続き民間事業者や、業界団体、関係各機関と連携しながら、エコドライブの普及拡大に向けた取り組みを行ってまいります。

○興津委員 ありがとうございます。では、エコドライブのところを取りまとめますが、エコドライブの効果として燃料コストの削減によってCO2がほんとに削減できると。向上率平均が二四%もある。また、加えていい点が、交通事故も削減ができるというところの効果もあるというふうに承っておるところであります。
 これも繰り返しになってしまいますけれども、インターネットのアンケートによりますと、エコドライブはその効果がわかりにくい。エコドライブを実践しない理由については、エコドライブに関する知識不足、エコドライブを実践しても効果がわかりにくいという結果が指し示していますように、都民への普及啓蒙が現時点における最大の課題であると、私はそう思っております。地道な活動ではありますけれども、この活動がCO2削減につながり、環境負荷の削減につながると考えます。一〇%燃費が向上すれば、ガソリン代は約九%削減できる、あるいは二〇%燃費が向上すれば、ガソリン代は約一七%削減できるといわれているデータもあります。この経済的効果の告知も含めて、コンテストの実施とともに、また新たな効果の高い告知方法、普及啓蒙施策を検討して、力強く推進していただきたいということを最後に要望させていただきます。
 では次の質問に移らせていただきます。TDM、交通需要マネジメントについてお伺いいたします。
 TDMは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、交通行動の変更を促して、発生交通量の抑制や集中の標準化など、交通需要の調整を図ることにより、都市または地域レベルの道路交通混雑を緩和していく取り組みと伺っています。TDM東京行動プランの発表後十年が経過いたしまして、また、次年度の予算におきまして行う取り組みの総括並びに次の次への取り組みを考えていく時期になるのであろうと思います。
 自動車に過度に依存した社会の見直し、都市交通システムの総合的な整備、都民、事業者の行動様式の変換と住民参加の仕組みづくり、行動の牽引目標としての交通改善目標の設定など、さまざまな施策や取り組みが行われてまいりましたが、まず、その意義とこれまでの環境局の最近の取り組みについてお伺いさせていただきます。

○高橋自動車公害対策部長 世界でも有数の経済都市であります東京は、道路網の整備により、自動車を最大限に利用して発展してまいりました。しかし自動車の集中が、経済活動や環境に大きな影響を及ぼすようになり、それに対する取り組みとして、TDM東京行動プランが策定されました。具体的には、経済損失や、交通事故、大気汚染、地球温暖化という四つの課題への取り組みでございます。これらの課題に対して、ハード的な取り組みやソフト施策を組み合わせて、複合的に関係各局が連携協力して推進してまいりました。環境局としましても、さまざまな施策展開を行ってきましたが、最近の取り組みとしましては、パーク・アンド・バスライド及び物流効率化新宿地区社会実験がございます。
 まず、パーク・アンド・バスライドは、都庁第一本庁舎駐車場にマイカーを駐車して、循環型バス、これは新宿のWEバスでございますが、これを利用して、西口、東口の新宿エリアを回遊するというプロジェクトで、都と新宿区、東京都道路整備保全公社、新宿地区の百貨店などの商業施設が連携して、一昨年九月より実施しております。
 また、物流効率化新宿地区社会実験は、都庁の大型車駐車場を共同配送拠点として活用しまして、百貨店への納品物流を共同配送することで、地区内走行量を削減すること等を目的とした社会実験を行い、物流効率化モデルのメリットと課題を検討したものでございます。

○興津委員 はい、わかりました。各種施策が実行されているというところのご答弁だったと思いますが、またこのTDMは、当時、ディーゼル車規制とあわせて複合的に取り組むことで、大気汚染の改善がされてきたというふうに認識しております。その効果の確認と今後の複合的な進め方について、お伺いをさせていだきます。

○高橋自動車公害対策部長 大気汚染対策には、ディーゼル車対策やTDMなど、多様な施策をあわせて取り組んできております。平成二十一年度の大気測定結果では、浮遊粒子状物質は、自動車排出ガス測定局全局で環境基準を達成しておりまして、これは五年連続での達成となります。二酸化窒素は、大気測定局の九割以上で環境基準を達成しており、着実に成果が出てきております。
 今後とも、環境面における持続可能な交通を目指しまして、CO2削減の視点を踏まえた施策の再構築を検討してまいります。

○興津委員 ありがとうございました。この自動車の環境対策は、大気汚染の観点からは、このような多様な施策が効果を上げ改善されてきていると存じます。しかしながら、まだまだその取り組みは一〇〇%というわけではないのであろうというふうに思います。地球温暖化対策も重要な課題でありますし、自動車部門では現在、低公害、低燃費化の技術革新が急速に進んでいますが、まだまだ排出される温室効果ガスは大きなウエートを占めています。
 TDMについては、来年度その効果を測定し、翌々年度、来年度の次の年につなげていく重要な施策と考えています。しっかりとした検証を、局を横断的にはなると思いますが、多様な施策を展開することで着実に大気汚染対策と地球温暖化対策を推進していただきたいと要望させていただきます。
 先ほども局長からご答弁があったとおりに、局を横断化して、やっぱりこの環境局がリーダーシップをとっていただいて、各局と手を、それこそ力強くこの対策を進めていただきたいということをお願いさせていただきまして、質問を終わります。

○野田委員 それでは最初に、航空機騒音対策について伺います。
 航空機騒音につきましては、私の選挙区、地元にあります武蔵村山市が、米軍横田基地の周辺市ということもありますので、大変地元の方々も関心を強く持っているところであります。しかしながら、いろいろ東京都のこれまでの努力、もしくは日本国の努力、または米軍のこれまでの極東戦略のさまざまな変換等々によりまして、先ほども配られた資料にもありますけれども、この十年間で、騒音発生回数が半分以下に減っているということであります。軍用機ですから、民間機に比べて随分騒音は大きいんですけれども、米軍の方も、必死に地元に溶け込もうという努力が見られます。花火大会とかお祭りに協力をしてきたり、もしくは基地を開放して、中でお祭りをやって周辺の方々を招き入れて、溶け込もう、溶け込もうという努力をしておりますし、現在のところは地域とうまく連携をとっているのではないかなというふうに思っております。
 ところで、東京都におきましては、この横田飛行場を初めといたします都内飛行場の騒音測定を毎年実施されて、公表をされております。今回の当初予算案を見ますと、航空機騒音対策の推進についての予算が増額となっております。
 そこで、最初に、まずどのような事業内容かについて伺いたいと思います。

○山越環境改善部長 来年度予算案で、航空機騒音対策として増額している事業は、航空機騒音指定地域の見直しに関する調査でございます。
 航空機騒音につきましては、環境基本法により環境基準が定められ、その基準を適用する地域は、知事が指定することとなってございます。現在、東京国際空港、横田飛行場、厚木飛行場及び調布飛行場の四飛行場について、指定地域を定めてございます。この地域の指定は、飛行場周辺の騒音測定結果に基づいて行うものでございますが、平成二十五年度から、航空機騒音の新たな評価方法が採用されることとなっているため、その新たな評価方法により、飛行場周辺の騒音調査を行うものでございます。

○野田委員 今、ご答弁で、平成二十五年度から、新たな評価方法を導入するというご答弁でございましたが、この新たな評価方法というものは、一体全体、どのようなものなのか伺いたいと思います。

○山越環境改善部長 平成二十五年度から採用される新たな評価方法は、航空機騒音の評価指標が従来の加重等価平均感覚騒音レベルというものから、時間帯補正等価騒音レベルというものに変更され、また、騒音の評価対象も拡大されるものでございます。
 従来の評価方法は、航空機ごとの騒音の最大値と、その騒音発生回数をもとに評価しているのでございますが、新たな評価方法では、航空機騒音の影響をより的確に評価するため、騒音が聞こえてから聞こえなくなるまでのすべての騒音をもとに評価するということになっておりますほか、これまで評価していなかった飛行場内のエンジンテスト音などの地上音も対象とするなど、欧米を含む多くの国が採用している評価方法でございます。より人の感覚、実感に近い評価になると思います。

○野田委員 より人の感覚、実感に近い方法だということでご答弁をいただきました。この新たな評価方法の施行に対して、今後どのような調査を行っていくのか、さらに伺いたいと思います。

○山越環境改善部長 現在、先ほどの答弁で申し上げました四飛行場に、立川飛行場及び東京ヘリポートを加えた都内六飛行場について、この新たな評価方法による飛行場周辺の騒音調査を計画してございます。
 今年度は立川飛行場及び横田飛行場周辺での調査を既に実施しており、来年度は東京国際空港、東京ヘリポート、厚木飛行場、再来年度には調布飛行場と、順次調査を進めていく予定でございます。各飛行場周辺での騒音調査の結果を踏まえまして、平成二十五年度の新たな評価方法の施行までに、航空機騒音指定地域の見直しの必要性を検討するなど、適切に対応を図ってまいります。

○野田委員 今、ご答弁の中で、二つの飛行場については既に調査が行われており、残りの四つの飛行場の調査を二年間で行って評価を進めていくということでありました。
 私はこの飛行場の中で、東京国際空港、羽田につきましては、昨年の十月に行われました新たな滑走路の供用開始、これは二十一日だったと思いますが、また国際航空便の増便等により、運用や飛行ルートなどにも変更があり、そのような状況も踏まえた調査が必要と考えております。どのように対応していくのか伺いたいと思います。

○山越環境改善部長 東京国際空港周辺の騒音調査は来年度に実施する予定でございます。本調査の実施に当たりましては、委員からご指摘があった運用や飛行ルートの変更などの状況を踏まえまして、測定調査地点を設定しまして、周辺地域の航空機騒音の実態を的確に把握してまいります。

○野田委員 平成二十五年度の新しい評価方法の施行に向けて、都内の六飛行場についてしっかりと調査を実施し、その結果を踏まえた的確な対応を図っていただきたいと思います。
 次に、中小事業者への土壌汚染対策技術支援制度について伺います。
 土壌汚染対策は都民の健康と安全を確保する上で、重要な施策だと考えております。しかし、都内の中小事業者から、土壌汚染対策には多額の費用がかかる、具体的な調査や対策の方法がわからない、汚染をすべて掘削除去しなければいけないのかという不安の声をよく耳にします。こうした不安を払拭して、対策が行われるように支援していくことが大変重要と考えております。
 都は今年度、中小事業者のための土壌汚染対策ガイドラインを作成しました。まず、このガイドラインを作成した趣旨につきまして、確認の意味を含めて伺いたいと思います。

○中村環境改善技術担当部長 中小事業者による土壌汚染対策を円滑に進めていくためには、土壌汚染対策に関する基本的な知識や、低コストな対策の普及を図ることが重要でございます。このため都では、中小事業者が土壌汚染対策を行う場合、掘削除去に偏らず、汚染の状況や今後の土地の利用に応じた合理的な対策を選択するための具体的な手順などをわかりやすく示すことを目的に、昨年五月に中小事業者のための土壌汚染対策ガイドラインを作成いたしました。

○野田委員 ただいまのご答弁で、趣旨は確認させていただきました。実際に土壌汚染対策を進めていくためには、中小事業者がガイドラインの内容を実践できるよう、さらなる支援をしていくことが必要ではないかと考えております。
 そこで、中小事業者がガイドラインに沿った合理的な土壌汚染対策を進めるに当たって、都はどのような支援が必要と考えているのか伺います。

○中村環境改善技術担当部長 土壌汚染対策ガイドラインの普及を通じまして、法や条例の制度や、必要な対策の概要につきましては、一般的な知識の周知は進んできたと考えております。しかしながら、実際に中小事業者の皆様方が土壌汚染対策を行う際に、具体的にガイドラインに書かれたどの技術を使えばよいのか迷うなど、ガイドラインを見るだけでは対応できない場合が想定されます。土壌汚染対策技術を選定する条件は、個々の現場ごとに異なるため、それぞれの状況に応じまして、きめ細かな情報提供をすることなどの支援が必要と考えております。

○野田委員 ご答弁できめ細かな情報の提供などの支援が必要とのことでありましたが、今回の予算案の中にあります中小事業者への土壌汚染対策技術支援制度では、そのことを踏まえてどのような制度としていくのか、内容をお尋ねしたいと思います。

○中村環境改善技術担当部長 中小事業者への土壌汚染対策技術支援制度でございますけれども、まず、汚染土壌の処理技術を中心に、関連情報を含めまして、土壌汚染対策に関する情報の収集、整理を行うとともに、それらを的確に提供するためのマニュアル類を整備してまいります。
 次に、これらを活用して、専門的かつ総合的な助言を行えるアドバイザーを養成してまいります。このアドバイザーを実際に対策を実施しようとしている中小事業者の方々に対して派遣することで、中小事業者の土壌汚染対策が円滑に進むよう技術支援を行っていく予定でございます。

○野田委員 今答弁にありましたアドバイザーの派遣というのは、大変有意義だと思いますが、土壌汚染対策に関する専門知識のない中小事業者には、個々の事例に応じた具体的な対策まで踏み込んだアドバイスが必要だと思いますけれども、アドバイザーによる支援の内容は、具体的にどのようなものなのか、お尋ねしたいと思います。

○中村環境改善技術担当部長 アドバイザーは土壌汚染の調査や対策などの各段階ごとに現場を訪問し、きめ細かくアドバイスを行うことにしてございます。具体的には、法や条例の制度の説明のみならず、個々の現場の状況を確認し、土地利用の計画も踏まえて、どのような土壌汚染対策技術が適用可能なのか、またその工期や費用はどの程度かかるのかなど、中小事業者が土壌汚染対策を選択するに当たって必要な具体的な情報の提供を行ってまいります。

○野田委員 このアドバイザー制度を活用して、合理的な土壌汚染対策の実績を積み上げ、広く一般に知らせていくことは、掘削除去以外の合理的な対策の社会的な認知度、信頼度を高めることにつながるのではないかと考えます。中小事業者の土壌汚染対策を円滑に進めるため、ぜひ事業者に活用してもらえるよい制度を構築していただきますよう要望いたします。
 それでは最後に、花粉症対策について伺いたいと思います。
 ことしは大変、花粉の飛散が多いということもありまして、既に花粉症の方は苦しんでおりますし、まだ花粉症じゃない方も、かかるのではないかと戦々恐々といたしております。
 一月の二十日に福祉保健局が発表いたしました今年度の花粉の飛散の予想によりますと、量が最大で昨年の八・五倍、そして花粉飛散の多い日の予測も去年の三倍ということで、去年が花粉の飛散の量の多い日というものが十四日であったのに対して、今年はその三倍以上の四十八日というふうに予測が出されております。
 私は、東京都議会花粉症対策推進議員連盟の一員として、多分、議連の方、多いと思いますが、東京都が実施している花粉症対策について、非常に関心を抱いておりますし、都の取り組みに対して、大変大きな期待を寄せているところであります。議連で配布された資料によりますと、環境局、福祉保健局、そして産労局の三局が連携して花粉症対策を進めていると伺っております。
 環境局の花粉症対策の事業内容と、これまでの取り組み内容について、確認の意味を含めて伺いたいと思います。

○長谷川自然環境部長 東京都は、平成十八年度から副知事を本部長とする東京都花粉症対策本部を設置し、関係各局で総合的な花粉症対策を開始いたしました。環境局では、花粉の発生元対策として、枝打ち事業を行っております。この事業は、花粉の発生を抑制するために、枝を切り落とす事業でございます。これまでの実績につきましては、開始から二十二年度末の見込みで、約七百四十ヘクタール、百三十万本の枝打ちを実施しております。
 今後とも、関係局と連携いたしまして、花粉症対策を推進してまいります。

○野田委員 ただいまの自然環境部長のご答弁で、これまでに百三十万本以上もの枝打ちをされたということを伺いまして、安心をいたしました。これを地元の方にもしっかりとお伝えして、環境局がしっかりと働いているんだということをPRしてまいりたいと思いますし、また、引き続き花粉症で困っている都民及びこれから花粉症になるかもしれないということで心配をされている都民の皆さんに対してしっかりと事業を進めていただいて、着実に事業を進めていただきますよう要望いたしまして、質問を終えます。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時六分散会

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