環境・建設委員会速記録第十五号

平成二十二年十一月十一日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長橘  正剛君
副委員長山田 忠昭君
副委員長野上ゆきえ君
理事島田 幸成君
理事石森たかゆき君
理事伊藤まさき君
野田かずさ君
山下ようこ君
興津 秀憲君
かち佳代子君
こいそ 明君
木内 良明君
高橋かずみ君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長森  浩志君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長山越 伸子君
環境改善技術担当部長中村  豊君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長長谷川 均君
緑施策推進担当部長鈴木 秀章君
緑化募金担当部長福田 良行君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
事務事業について(質疑)

○橘委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 去る十月十九日の当委員会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり七項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、過去十年間の真夏日、猛暑日、熱帯夜発生の推移でございます。
 平成十三年から平成二十二年までの十年間の東京における真夏日、猛暑日、熱帯夜の発生の推移を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 なお、平成十四年度以降につきましては、(注5)に記載してございますように、原子力発電の長期停止などがありました関係で、二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。5、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 平成十三年度から平成二十一年度までの各年度における土壌汚染の有無を調査した件数、土壌汚染が判明した件数及び処理が完了した件数を記載しております。
 七ページをお開き願います。6、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十三年度から平成二十二年度までの各年度における指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
 八ページをお開き願います。7、赤潮発生回数と日数の推移でございます。
 平成十二年度から平成二十一年度までの各年度における赤潮発生回数と日数の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 私からは、有害ごみについてお伺いしたいというふうに思います。
 稲城、府中、狛江、国立の四市で構成される多摩川衛生組合がありますが、これのごみ処理施設、クリーンセンター多摩川、これは稲城市にあるわけでありますが、ここでは、昨年の十二月とことし二月に乾電池、蛍光灯など有害ごみ八・一トンの焼却実験を行っております。
 これは報道等もされていますので、皆さんもご承知だと思いますが、通常、この組合では、有害ごみはリサイクル業者に処分を委託し、焼却しないこととなっております。しかも、この焼却実験は稲城市以外の構成市に事前報告はなく、試験を行う上での手続上、非常に大きな問題があったというふうに思います。
 焼却灰は、これは私の選挙区でありますが、西多摩郡日の出町にある東京たま広域資源循環組合に持ち込まれ、エコセメント化されてしまいました。
 なお、一連の問題の責任をとり、同衛生組合の管理者で循環組合の管理者でもある石川稲城市長は、陳謝するとともに二つの管理者を辞任するという非常に大きな問題となっております。
 焼却試験をやる前、起案する段階で、この焼却実験を行うというような、東京都に事前の報告はなかったのか、まずお伺いしたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 今回の焼却試験は、都に対して全く事前報告はなく、焼却試験の実施が八月に発覚するまでは、都も全く承知していませんでした。

○島田委員 都が、事前に許可をしていたということであれば大変なことでありまして、そういうことはないということで確認はとれましたが、東京都は、この団体の管理、監督する立場にあるわけであります。その立場にある東京都に何も連絡がなく、無断でこの焼却実験を行ったということは非常に大きな問題であるということは、ここで我々は認識できると思います。
 循環組合は、日の出町と地元自治会と公害防止協定を結んでおります。その前提である有害ごみの分別処理の原則に反して、本来、日の出町に搬入されるべきではない焼却灰を搬入してしまったと、このことは循環組合の安全に関する信頼性を損ねる行為であります。多摩川衛生組合は、しっかりと反省すべきことだというふうに思っております。
 多摩川衛生組合からの焼却試験の経緯を見ると、試験が行われた後、八月、九月に、東京都は数回、同組合から説明を受けておりますけども、東京都はどう対応したのか、お伺いしたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 今回の焼却試験に当たり、関係自治体等に対する事前報告がなかったことは配慮に欠けたものと考えております。
 また、リサイクルするために集めたものを焼却処理するということは、循環型社会の基本であるリサイクル優先の原則に反しております。
 この夏に焼却試験の実施が判明した後、直ちに都は多摩川衛生組合に対してこうした都の認識を伝え、焼却試験の結果をきちんと検証し公表するよう指導をいたしました。これを受け、多摩川衛生組合は廃蛍光管等の焼却処理は適正ではなく、このような処理は行わないこととしております。
 ところが、本年九月一日に、廃蛍光管を有害ごみとして適正処理せず、粗大ごみ受け入れホッパーに投入するという不適正処理を行ったことが、一昨日、明らかになりました。焼却試験の発覚した後にもかかわらず不適正処理を行ったことは極めて遺憾であります。
 今回の件で、都は直ちに多摩川衛生組合から事情聴取をいたしました。原因究明と対応策を検討し報告するよう指示しております。また、立入検査を行い多摩川衛生組合の管理体制を調査いたします。

○島田委員 焼却試験が行われて、東京都がその後監督して、もうやるなといったにもかかわらず、また最近になって九月一日に焼却を行ったということは、これまたさらに問題で、反省しているのかということで非常に大きな問題であるわけなんでございますけども、九月一日の件は、まだ非常にわかっていないことが多いということでございます。
 昨日、都の方に呼んで九月一日の件についてお伺いしているということでございますけども、その件に関して、現状どう把握しているのか、お伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 多摩川衛生組合によりますと、九月一日に管理運営業者が蛍光管を粗大ごみホッパーに持ち込んでいるところを、組合職員が目撃していたとのことであります。蛍光管は破砕後、焼却処分されています。組合では、このような処分が三トン程度行われたようだといっております。
 詳細につきましては、引き続き調査してまいります。

○島田委員 きょう明らかになったことですけども、三トンも焼却が行われたということで、しかも、この件は組合職員の目撃にして発覚したということで、管理者である側がどれだけ認識しているのかというのもわからない。
 本当に、先ほどありましたけども、ずさんな多摩川衛生組合の管理体制が非常に問われているということでございまして、この衛生組合が地域にある住民も、あるいは焼却灰が搬入される日の出町の住民も、非常に不安を感じているというふうに思います。
 この事態を知った東京たま広域資源循環組合は、現在、多摩川衛生組合の焼却灰の受け入れを停止しているというふうに聞いておりますが、これは当然のことだというふうに思います。
 日の出町は非常に怒っていると、憤慨しているという状況であります。
 東京都としては、今後、多摩川衛生組合を徹底的に指導監督していただきたいというふうに思います。立入検査、今、やるということでございますけども、あしたからでも行うよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 一方、水銀の問題でございますが、二十三区では、ことし六月以降、四カ所の清掃工場で排ガスの自己規制を超える水銀の検出がされ、焼却炉が停止、ごみ処理に深刻な影響が出ました。私の調べたところによると、清掃工場の被害額は足立で二億八千万円、その他、板橋、光が丘、千歳の被害額を合計すると七百万程度ですから、総計で、この水銀による被害、三億近い損害となっているということでございます。
 二十三区の清掃工場では、水銀を測定する装置が取りつけられています。一方、多摩地域の多くの清掃工場では水銀の測定装置もなく、工場で働く方々や清掃工場近隣住民への環境対策が問われているところでございます。
 また、多摩川衛生組合は今回、焼却試験を行い問題になりましたが、これらのごみを北海道の水銀処理施設に持ち込むと高額な費用がかかり、これを節約するために自分のところで焼却したといわれております。
 東京二十三区清掃一部事務組合と多摩川衛生組合の二つの事案を通じて、有害物質を含む一般廃棄物の処理をどのように進めていくのか、有害物質による環境汚染をどのように防いでいくのか、改めて問われることとなっていると思います。
 日本における有害金属の法律を見てみますと、ここに、きょうフリップをお持ちしましたけども、丸のついているところが、規制が既にあるところでございまして、一般廃棄物に含まれる水銀は、大気汚染防止法や農用地土壌汚染防止法でも対象となっておりません。二十三区清掃工場の排ガス中の、維持管理項目として自主基準を設定しているだけであります。国際基準は水銀などを規制する方向の中で、日本でも法整備を整えなくてはいけないというふうに思っております。ご承知のとおり、日本は水俣病が発生した地域でございますので、水銀に対する規制は今後していかなくてはいけないと私も思っております。
 東京都は、第三回定例会の一般質問で、製造事業者による回収等の仕組みづくりについて、有害物を含め、廃棄物については製品の生産、使用、廃棄までを一貫したサイクルとしてとらえ、拡大生産者責任の考えに基づく対策を進めることが重要である、このため、都はこれまでも国や関係業界に働きかけ、環境に配慮した製品開発や、製造事業者等による自己回収を推進してきたと答えておりますが、改めまして、東京都の有害ごみについての対応をお伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 清掃工場では、清掃局時代の技術開発やダイオキシン対策を通しまして、バグフィルターや洗煙装置などを設置し、排ガス中の水銀などの有害物質を除去しております。排ガス中の水銀濃度を測定する装置のない多摩地域の清掃工場では、年に一回から六回、排ガス中の水銀測定を実施しております。
 また、製品メーカーの取り組みといたしましては、乾電池の無水銀化や蛍光管の水銀使用量の削減、ニッケルカドミウム電池等の店頭回収が行われております。
 都は、今後も一般廃棄物の処理を担う区市町村と連携いたしまして、国や業界に働きかけ、環境と安全に配慮した製品開発や、製造事業者等による自己回収を推進してまいります。

○島田委員 東京都の対応はわかりました。しかし私は、そうはいっても拡大生産者責任による取り組みを強化していただきたい、そういうふうに思っております。各市町村では、適正処理困難物の規定を盛り込み、オートバイ、ピアノ、消火器、ガスボンベなどを事業者に回収させてきております。都は、広域自治体として、これらの品目と同じように蛍光灯等の有害廃棄物についても、拡大生産者責任の観点から、区市町村の要望もよく聞いて、今後も国への要望等を積極的に取り組むべきであると考えております。
 ぜひ、拡大生産者責任に基づく循環型社会を目指して、都民が安心して暮らせる、環境に配慮した東京にしていただきたいと思っております。
 今、ご説明申し上げましたけども、資源の中には有害な資源もあります。そしてまた有用な資源もあると考えております。
 多摩地域は戸建ての住宅も多く、剪定枝は家庭からも多量に排出されます。また、森林整備により発生した間伐材の有効利用も求められております。近年、多摩の市町村では、剪定枝や間伐材を粉砕し、リサイクルセンター等でチップ化した後、活性炭や遊歩道のウッドミックス舗装などへの有効活用が検討されております。こうした取り組みは、資源循環や環境保全の推進の面からも、意義ある試みと考えております。都としても、このような取り組みを支援すべきだと考えますが、都の考えをお伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 多摩地域は多くの森林資源を持つ地域であり、間伐材や剪定枝等については、バイオマス資源として有効活用が望まれます。既に多摩地域の約四分の一の市町村では資源ごみとして収集し、堆肥や土壌改良材として再生利用されております。中でも、町田市では大規模な剪定枝資源化センターを建設し、堆肥化事業を実施しております。
 都は、市町村の資源化施設について、これまでも技術的指導を行ってまいりました。活性炭製造やウッドミックス舗装は、バイオマス資源を活用する新たな用途ではございますが、こうした新たな再生利用の方法につきましては、耐久性やコストなどから、利用先の確保など課題もあると考えております。引き続き、バイオマス資源の活用については、新たな技術の動向を注視しながら利用促進を検討してまいります。

○島田委員 ぜひ資源の有効活用、特に西多摩地域は森林資源など有効な資源もあると思います。それらを有効利用できるように、そしてまた有害な物質は、しっかりこれを取り除くように、ぜひ東京都の方で指導をよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移りますが、最近、クマの出没等も、ニュースでされております。調べましたら、私の地域、西多摩でもクマの目撃情報が、ことし八月から十月で十一件クマが目撃されたということで、これは非常に、西多摩地域にはすばらしい自然がまだまだ残っているということだと思います。この大切な自然を守っていかなくてはいけないのが我々の使命であります。
 私は特に、初めて里山保全地域に指定されている横沢入に絞って、何点か質問いたします。平成十七年に、あきる野市のほぼ中央に位置する横沢入の地区が、自然保護条例に基づく里山保全地域に指定されました。かつては荒廃していたところでございますが、ことしの稲刈りのシーズンには、刈り取られた稲が干され、人の活動と自然が調和した美しい風景を見ることができました。また、昆虫、トウキョウサンショウウオ、あるいはモリアオガエルだとか、野鳥の姿も見ることができました。
 横沢入里山保全地域の特色と、これまで行ってきた保全の取り組みについて、お伺いしたいと思います。

○長谷川自然環境部長 横沢入里山保全地域は、都内でも有数の規模の谷戸に七つの沢が配置されるなど、多様な環境に生息、生育する多くの動植物種が見られる貴重な場所でございます。指定当初は、この地域は土地の改変は少ないものの、水田では耕作が放棄されるとともに、谷戸や雑木林は適切な管理がなされていない状況でございました。保全地域に指定した後、自然を積極的に回復、保護することによりまして、さらに多様な生物の生息、生育が可能となる環境に変わってきております。

○島田委員 自然を積極的に回復し、これを保護することは大切だと思いますけども、回復作業に当たって、都民が活動を通じて人と自然とのかかわりについて理解を深めるということも、非常に大切なことであるというふうに思っております。また、幅広い層の都民が自然を保全する活動に参加することで、横沢入里山保全地域の自然の回復が期待できるところだと思います。
 横沢入里山保全地域でのボランティアなど、これまでの活動状況をお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 横沢入里山保全地域では、都民のボランティア、地域住民の方々、地元のあきる野市などから成ります横沢入里山保全地域運営協議会を設置いたしまして、協議会で植生管理などについて検討した上で、さまざまな主体がそれぞれ下草刈りや田植えなどの保全活動を行っております。
 また、企業の社員による保全活動も行われておりまして、多くの都民の方々に保全活動に参加していただくことにより、横沢入里山保全地域の自然の回復が図られておると考えております。

○島田委員 こうした、今お伺いしましたけども、地元の方々、それから企業による保全活動、これが実施されているということは非常に好ましいことでありまして、今後もこうした取り組みを積極的に推進してもらいたいわけであります。地域住民、ボランティアや企業など、さまざまな主体に保全活動をしてもらいつつ、自然を良好な状態に保つためには、都としてしっかりとした保全の方向性を持っている必要があると思います。
 今後、横沢入里山保全地域をどのように保全していくのか、お伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 都は、横沢入里山保全地域の指定に当たりまして保全計画書を策定し、自然の保護と回復のための方針を定めております。この方針では、耕作が放棄された水田では、水路等の基盤整備を行い復田を進めていくことなど、自然を豊かにしていくことを規定しております。これまでの取り組みによりまして、水田の復田等は順調に進んでおり、今後はコナラ林等の雑木林にも手を入れ、自然の保全を行っていく予定でございます。

○島田委員 先ほど申し上げたとおり、すばらしい自然があるわけでありまして、ぜひ、その自然、特に今は里山ということで人と自然が共生するということが全世界的にも注目されている今日だと思いますので、ぜひ東京にあるすばらしい自然を保全計画に基づきしっかりと管理しながら、都民の環境学習の場としても積極的に活用するよう切にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○高橋委員 事業概要の七一ページにあるアスベスト対策及び一七六ページにあるアスベスト廃棄物対策に関連して、お尋ねいたします。
 第三回定例会で、我が党の鈴木章浩都議より、アスベストを含んでいるスレート等が再生砕石に混入している問題について、解体現場でのアスベストの適正処理の徹底と、再生砕石製造事業者による再生砕石の安全性を継続的に確保するための品質管理の徹底について質問をいたしました。
 私からは、その後の取り組み状況などについて幾つか伺いたいと思います。
 まず、解体工事業者に対し、環境局としては、その後どのような指導を行ったのか、お伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 都に登録のある解体工事業者を対象にいたしまして、十月の一日と五日に説明会を開催し、改めて廃棄物処理法や環境確保条例など、関係法令等の内容を説明し、除去作業や分別における注意事項などについて周知いたしました。説明会に参加できなかった業者もいることから、今後、解体工事現場でも産廃Gメンがアスベスト廃棄物の適正処理の指導を厳しく行ってまいります。

○高橋委員 わかりました。解体工事業者に対し周知を図ったこと、また説明会に参加しなかった業者に対しては、今後、解体工事現場で厳しく指導していくこともわかりました。
 一方、再生砕石製造業者についてでありますが、立入調査のときに、再生砕石から採取したサンプルの成分分析を行っているとのことでありますが、先日の発表によると、今回、四検体からアスベストが検出されました。この結果を受け、都はどう対応しているのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 八月から九月にかけまして、四十カ所の再生砕石製造施設に立ち入り、その際に再生砕石の中の異物をサンプルとして採取しました。そのうち、スレート片らしきもの四十一個を成分分析にかけたところ、三社四検体からアスベストが検出されました。その三社に対しましては、アスベストの飛散状況を把握するため、早急に大気濃度を測定させました。測定結果は、大気一リットル当たり〇・五本未満で、大気汚染防止法の敷地境界基準である大気一リットル当たり十本を大きく下回っており、健康被害のリスクは極めて低いことを確認いたしました。
 十月二十二日には、瓦れき類の破砕処理許可を持つ処理業者すべてを対象に指導説明会を開催しました。この中で、施設にアスベストを含むスレート等が持ち込まれないための予防策として、スレート等の搬入禁止の運搬業者などへの周知、搬入物検査の徹底、スレート等が搬入された場合の都への通報ルールなどの対策を指導しております。

○高橋委員 再生砕石製造事業者の信頼性を確保するには、施設周辺の住民からアスベストが飛散しているのではないかという疑問を持たれないようにすることが重要であると思います。そのためには、三社に限らずすべての業者が施設の敷地境界で大気測定を行うことが必要と考えますが、都の考えを伺います。

○木村廃棄物対策部長 再生砕石製造施設の信頼性を確保するためには、施設周辺にアスベストが飛散していないことを確認することが必要でございます。このため、十月二十二日に開催した指導説明会の中で、瓦れき類の破砕処理許可を持つ処理業者すべてに対しまして、敷地境界で大気測定を実施し、その測定結果を都に提出するよう指示しております。今後、その大気測定結果を都が取りまとめて、公表してまいります。

○高橋委員 再生砕石製造事業者に大気測定を実施させるよう、厳格な指導をお願いしておきます。
 また、新聞報道では、駐車場や工事現場など再生砕石が敷きならされた場所でのアスベスト混入が、これまでクローズアップされてまいりました。再生砕石が敷きならされた場所としては、一般の人が日常的に立ち入るような場所もあると思われます。都民の中には、健康への影響を心配する方もいらっしゃるかもしれません。そのような再生砕石が敷きならされた場所での安全性について伺います。

○木村廃棄物対策部長 アスベストを含むスレート等はセメントなどで固められており、飛散のおそれは極めて低いものであります。
 アスベストが混入した再生砕石が敷かれた現場での大気測定を、埼玉県やさいたま市、川崎市が行っており、その調査結果は、いずれも大気一リットル当たり一本以下であり、大気汚染防止法の敷地境界基準である十本を大きく下回っております。国も、複数の専門家に行ったヒアリングに基づき、アスベストが混入した再生砕石が敷かれた駐車場等について、その利用者や周辺住民のアスベスト暴露による健康への影響、健康リスクは極めて低いとの見解を示しております。

○高橋委員 再生砕石にスレートなどの破片が混入されることは、都民に不安を与えるとともに再生砕石への信頼性も失わせてしまいます。その結果、解体工事現場から排出される廃コンクリートのリサイクルを滞らせかねませんので、その辺は十分注意しなくちゃいけないと思っております。
 産業廃棄物の中で、建設廃棄物はその大半を占めるものであり、建設廃棄物のリサイクルの流れをとめずに、より一層リサイクルの促進を図ることが循環型社会の形成には不可欠であります。
 そのためには解体工事現場、再生砕石製造施設という各現場で活動する事業者が、廃コンクリートのリサイクルの流れの重要性を認識し、リサイクルが進むよう自分たちの役割をしっかりと果たしていくことが大切であると思います。そのように努めていくことを事業者に指導し、再生砕石の信頼性を高め、リサイクルの促進を図ることを都にお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、事業概要の一七五ページにある、ポリ塩化ビフェニル、PCB廃棄物の処理に関連して、お尋ねいたします。
 PCBは、土壌、地下水、大気等の環境に影響を及ぼすだけではなく、健康被害も起こす有害物質であり、安全で確実な処理が求められております。現在、高濃度PCB廃棄物は、国が設立した日本環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOが全国五カ所に整備した処理施設で処理されており、都内の高濃度PCB廃棄物は、JESCO東京事業所が処理をしております。
 このPCBとは別に、事業概要には微量PCBについての記述があります。まず、そもそも微量PCBとはどのようなもので、都内にどのくらいあるのか、お伺いいたします。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 微量PCBは、工場やビルなどの受変電設備のトランス等に利用されている絶縁油が、意図せず微量のPCBに汚染されたものであり、平成十四年に、その存在が報告されました。汚染の原因として、トランスなどの古くなった絶縁油はリサイクルをしておりましたが、PCB絶縁油をそれと気づかずにリサイクルしたことから、リサイクル絶縁油にPCBが混入したことなどが考えられます。
 高濃度PCBは、PCBが約六〇%も含まれるものに対しまして、微量PCBはPCB濃度が〇・〇〇五%以下、つまり五〇ppm以下と低いものの法基準の〇・五ppmを超えるものでありまして、有害物として適正に処理する必要があります。
 国は生産台数をもとにした推計から、微量PCBに汚染されたトランスなどが全国に百二十万台あると推定をしております。このデータから、都内には約十万台程度あると考えております。

○高橋委員 都内には、微量PCBに汚染されたトランスなどが、今お伺いしましたところ、十万台程度あるとのことでありますが、PCB汚染の有無は、実際にPCB濃度を分析しないとわからないため、自分が使用しているトランスなどがPCBに汚染されていることを知らない事業者が多いと考えられます。
 このことから、微量PCBを確実に処理するためには、すべてのトランスなどの使用者に対し、微量PCBの適正処理についての周知を徹底するとともに、PCBに汚染されたトランスなどの使用者をしっかりと把握することが大切であると考えます。所見を伺います。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 PCB特別措置法では、トランスなどが廃棄物になった段階で届け出を義務づけております。使用中の届け出の義務はありません。
 このため、都は独自に要綱を制定いたしまして、トランスなどの使用者は、PCB汚染を確認した場合には都に届け出ることとしております。都はこれまでトランスなどの保守点検業務を行っている関東電気保安協会などに対し、微量PCBの適正処理について、トランスなどの使用者に周知するよう協力を要請してまいりました。
 加えまして、PCB汚染を確認するためPCB濃度の分析が必要なことから、これを促進するため、都は平成二十二年度から、中小企業に対しましてPCB濃度分析費の二分の一を補助しており、この制度につきましても、関東電気保安協会などに対し周知の協力を要請してまいりました。
 今後とも関係団体との連携を強めながら、微量PCBに汚染されたトランスなどの使用者の把握に努めてまいります。

○高橋委員 微量PCBに汚染されたトランスなどは、現在使用中のものが多いわけでありますが、今後は老朽化に伴い保管されるものがふえていくと思います。トランスなどの保管が長期化すると、トランス本体の腐食等により微量PCBが漏えいし、土壌や地下水の汚染等の環境影響が懸念されます。このため、安全かつ確実な無害化処理の促進が急務と考えます。
 事業概要では、平成二十一年、国が微量PCB処理施設を認定する制度を創設したとの記述がありますが、都内の微量PCBの無害化処理施設の整備状況はどうなっているのか伺います。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都内では、中央防波堤内側埋立地にあります、スーパーエコタウン事業者であります東京臨海リサイクルパワー株式会社、いわゆるTRPが無害化処理認定を受けるため、十月下旬に国に申請をいたしました。TRPは、既設のガス化溶融炉の中に微量PCBを吹き込み、千百度以上の高温で分解し無害化処理する計画としております。

○高橋委員 TRPが十月下旬に国に無害化処理認定を申請したとのことでありますが、TRPの親会社は東京電力であります。
 このため、TRPは親会社の東京電力分の微量PCBの処理を優先してしまうのではないかと心配するわけでありますが、微量PCBに汚染されたトランス等は、東京電力や大規模工場だけではなく、中小企業の工場や事務所ビル、マンション等と、私たちのごく身近でも使用されております。これらの微量PCBの処理を円滑に進めていくためには、TRPという民間の焼却処理施設を国が認定し、単にここで処理できますよと用意するだけでは不十分だと考えられます。
 中小企業者等が保管、使用している微量PCBが計画的に処理されるよう、都内の産業廃棄物対策をつかさどっている東京都が主体となって、都内の微量PCBの回収から運搬、処分に至るまで、トータルの処理の仕組みを構築することが必要と考えますが、関係局としての見解を伺います。

○森次長 都内にございます微量PCBを計画的に処理していくためには、保管、使用する中小企業等が微量PCBを処理しやすい仕組みを構築することが重要でございます。TRPは、東京電力分の微量PCBだけでなく、あわせて都内事業者の微量PCBも計画的に処理することとしております。中小企業事業者等が微量PCBを処理しやすい仕組みを構築するためには、ご指摘のとおり、トランス等の微量PCBの濃度分析から油を抜き取る抜油、運搬、そして処理に至る一連の流れを整備することが不可欠でございます。
 このため、今後TRPや東京電力と調整いたしまして、都内の微量PCBが円滑かつ適正に処理されるよう早急に仕組みづくりに取り組んでまいります。

○高橋委員 TRPでは、東京電力分だけではなく、都内事業者分の微量PCBも処理されると聞いて安心をいたしました。
 都内に大量にある微量PCBが早期に処理されるよう、都が主体的に取り組むことを強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○木内委員 きのうから始まった産業交流展、きょう二日目、午前中、私は行ってまいりました。八百を超えるブースが出展しておりまして、その中で特にいんしんをきわめていたのが、今回、特別企画でありました全国低炭素社会推進ゾーンと、こういうのがありまして、ここはもう大変人が引きも切らずで、大変強い印象を受けると同時に、出展ブースの一つ一つを見ますと、一定の特徴が感じられたのは、やはり環境問題という、この意識を度外視しては考えられない産業技術の発展と技術開発というものがあったように思うんです。
 きのう午前中、石原知事も会場に参りまして、東京都のベンチャー技術大賞の授与を行ったりしたわけですけれども、この授賞対象になったのが文京区にありますユーグレナという会社なんです。ユーグレナというのは日本語でいうとミドリムシということでありまして、ミドリムシの大量培養に成功した会社で、ミドリムシを原料にしてサプリメントや薬品をつくっていて、この展示物を見ると、可能性としてCO2の削減やジェット燃料への応用にも、このミドリムシの利用というものがつながるんだということでありまして、都内にはとんでもない発想でとんでもない開発をする人がいるんだという知事のいみじくもコメントだったんですけれども、これも実は環境ということを視野に入れているわけです。
 もとより、たしか数年前は、糖尿病の患部にウジ虫をはわせて、その部分を蚕食させるというか、ウジ虫に食べさせるという治療方法を開発した会社が、実はこれもベンチャー技術大賞をとってたわけであります。
 今、どの分野においても環境問題というのは極めて重要な、都民、国民の関心を持つ対象でありまして、その意味から東京都の環境局が行ってきた事業、これから進めようとしている施策、これは極めて重要でありまして、局の持つ役割と今日的使命というものの重大さを私は痛感をしているわけでありまして、これを踏まえて、きょうは事務事業の新編成初めての質疑でありますので、後ほど微量PCBの問題にも触れますけれども、高橋委員が質問をされた、懸念を表明された部分等々は重複しないようにお聞きをしてまいりたいと、こういうふうに思うわけであります。
 初めに、自動車関連の環境政策であります。
 これまで、私ども都議会公明党が後押しをしてまいりましたディーゼル車規制が実施をされました。大気汚染状況というのは大幅に改善をされてきました。中でも、ディーゼル車が主な排出源であった浮遊粒子状物質については、平成十五年の規制開始から状況が改善して、平成十七年度以降、五年連続で環境基準を達成してきているというのは、これは大きく高く評価をしたいと思うのであります。
 東京都は、この成果に安住することなく、自動車に起因する二酸化炭素の削減ということに強力に取り組んでいく必要があると思うんです。
 一昨年でありましたけれども、私は都議会公明党の視察団を組みまして、沖縄にございます宮古島市を訪れました。ここでバイオエタノールの製造施設などの視察をしてきたわけでありますけれども、この宮古島というところは、隆起サンゴ礁でできた平らな島でありまして、意外だったんですけれども、水源はすべて地下水に頼っている。このことから、環境保全ということについては、これを島の生命線であるというふうに位置づけて、懸命に循環型社会の構築などに取り組んできて、当時、エコアイランド宮古島ということを標榜をしながら、各種事業を進めていたさなかの私どもの訪問であったわけであります。
 バイオ・エコシステム研究センターというのがありまして、これを見たりいたしましたときに、メタンガスを回収して、バイオマスエネルギーに転化するプラントを視察をいたしました。さらには、ある製糖会社で、サトウキビの糖みつから抽出するバイオエタノール燃料の製造工程というのを見学してきました。ガソリンに三%のエタノールをまぜたE3というものの全島化に向けた取り組みを懸命に行っているところでもありました。
 こうして生産されたバイオエタノールを混入したガソリンが島内複数箇所あるガソリンスタンドのうち、農協の経営するガソリンスタンドで市販をされていたわけで、その現場も見まして、懸命な取り組みの姿勢に敬意を深くしたわけであります。
 私がその場で痛感したのは、小さな自治体で全国に先駆けた先進的な取り組みが行われている。これは、規模は小さいけれども、東京都政にとっては大きな刺激であるというようなことも感じたわけであります。
 このバイオ燃料の問題、これは新型と旧型があるわけでありますが、今申し上げた宮古島型のバイオエタノールは旧型だと思いますけれども、きょうはこの新型についてお尋ねをしていきます。
 バイオ燃料は、使った分だけ二酸化炭素が削減されたものとして扱われる。車両の改良による燃費の改善やエコドライブによる燃料消費の節約も重要でありますけれども、混入率の高い高濃度バイオ燃料の普及によって、今までどおりに自動車を走らせても、数十%の二酸化炭素削減ができるということでありますから、その実用化の意味というものは極めて大きいものと私は思うものであります。
 そこで、高濃度バイオ燃料の実用化に向けた都の基本的な考え方をまずお尋ねします。

○高橋自動車公害対策部長 バイオ燃料でございます。既に、ガソリンスタンドで市販されていますバイオガソリン、それと一部の供給事業者から小規模での供給が行われております従来型のバイオディーゼル燃料につきましては、車両走行の安全性の観点から、バイオ成分の混入率について、法律で上限がそれぞれ三%、ご指摘もございましたE3、及び五%と定められております。
 しかし、従来型のバイオディーゼル燃料と異なり、原料となる植物油から軽油の成分そのものをつくる新型バイオディーゼル燃料では、混入率についての五%の上限規定が適用されませんので、混入率の高い高濃度バイオディーゼル燃料として使用することができます。
 二〇二〇年に向けた二酸化炭素の排出削減目標は、運輸部門では四〇%でありまして、法律の上限を超える高濃度バイオ燃料の実用化は、東京都の目標水準に対して大きな意義を持っていると考えております。

○木内委員 答弁で明らかなように、高濃度バイオ燃料の実用化ということは、都政の事業の中でも非常に大きな意味を持っていると、私はこう思うわけでありまして、二〇二〇年に向けた排出削減目標が運輸部門で四〇%でありまして、あと約十年の間に、運輸部門におけるこの数値は何とか達成をしなければならないわけであります。したがって、今お尋ねをしている高濃度バイオ燃料のさらに精力的な推進の取り組みというのが局にも求められるわけであります。
 さて、高濃度バイオ燃料に関しては、東京都は平成十九年度から実用化に向けた実証走行というのを都バスで繰り返して行ってきているわけであります。バイオ燃料の利用をこの間一貫して推進してまいりました都議会公明党としても、その取り組みに注目をしてきているところでありますけれども、これまでの間の実証走行の概要と、また成果についてご報告を願います。

○高橋自動車公害対策部長 ご指摘のとおり、都は高濃度バイオディーゼル燃料の実用化に向けまして、都バスにおける実証走行を平成十九年度から続けてまいりました。
 まず、平成十九年度及び平成二十年度には、新日本石油からの供給を受けた新型バイオディーゼル燃料を一〇%、通常の軽油にまぜて使用し、走行上、問題のないことを実証いたしました。
 平成二十一年度には、新型バイオディーゼル燃料とほぼ同じ性状の合成燃料一〇〇%を用いまして、都バスにおいて走行上、問題ないことを実証いたしました。
 そして、今年度は、昭和シェル石油の供給を受けまして、新型バイオディーゼル燃料を二〇%、二十一年度に用いた合成燃料にまぜて使用し、円滑な走行ができることを都バスで確認いたしました。
 また、新型バイオディーゼル燃料と合成燃料の混合燃料が持つ環境面での特性を引き出して、燃費をさらによくする専用車両の開発を目指します国のプロジェクトにも協力いたしまして、新型バイオディーゼル燃料の実用化に向けた幅広い取り組みを進めております。

○木内委員 今の答弁を要約しますと、一つは、都バスにおいて走行上、問題のないことが実証された。それから、もう一つは、新型バイオディーゼル燃料を二〇%、平成二十一年度に用いた合成燃料にまぜて円滑な走行ができることを都バスで確認をしたということであります。
 こうした実証実験、走行結果を踏まえて、試験結果を踏まえて、国のプロジェクトにも協力して、この新型バイオディーゼル燃料の実用化に向けた幅広い取り組みを進めていくということでありますので、ぜひしっかりとご努力を願いたいと、こう思うわけであります。
 そして、これまでの都バスで実施された実証走行を通じて、新型バイオディーゼル燃料を高濃度で使用することに関する技術的な課題は、ほぼ解決をされてきたというふうに今わかったわけでありますけれども、しかし、高濃度での利用が可能な新型バイオディーゼル燃料の普及に向けた課題は、実は技術面だけではないんですね。派生的なさまざまな要素があって、これらの要件をクリアしていかなければならないわけであります。
 そこで、都として、この新型バイオディーゼル燃料の普及に向けた課題をどう認識しているのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 これまで都が実証走行で用いてきた新型バイオディーゼル燃料は、原料となる植物油を水素で化学反応させることにより製造されております。
 この原料となる植物油の調達に当たっては、原料植物栽培のための熱帯雨林伐採の防止や食料資源との競合問題など、慎重な対応をする必要があることから、調達できる産地などが限られております。このため、原料油の安定的な確保や価格の低減といった点が普及に向けた課題でございます。

○木内委員 食料資源との競合問題など、実は真摯に解決をしなければならない課題もあるわけでありますが、私はそこは知恵と工夫の出しどころだというふうに思うわけであります。
 さっき申し上げた宮古島市における燃料の話でありますけれども、これもサトウキビの糖分を全部抽出した後、残ったかす、バガスというんですか、これから燃料をとるわけでありまして、いわば食料資源との競合問題をクリアした形で宮古島では生産が可能になっているという事実がある。
 確かに今いわれたように、原料となる植物油の調達というのは、熱帯雨林の伐採など問題になっている。例えば中南米であったり、東南アジア、インドネシアであったり、さまざまな産地があるわけでありますけれども、これは何とかそうした問題を克服しながら、生産のスケジュールというもの、ノウハウというものを進めていかなければならない、こう思うわけであります。
 確かに温暖化対策等の重要性を考えると、まだ課題が残っております。かといって、二酸化炭素削減効果の大きい新型バイオディーゼル燃料が普及していない状態をそのまま続けさせるということは、またこれも避けなければならない。二律背反のように思いますけれども、必ず知恵がある。先ほどのミドリ虫の話、糖尿病のウジ虫の話、これらはとんでもない発想から知恵が出てくる、このように思うわけであります。
 特に路線バスなど、その業務上、ディーゼル燃料を大量に消費する事業者にあっては、バイオ燃料への切りかえによる二酸化炭素の削減量が多いという点から、大量消費事業者へのバイオ燃料の普及を現実のものとする方策を都は早急に講ずるべきだ、このことを私は訴えるものであります。どうですか、その点。

○高橋自動車公害対策部長 新型バイオディーゼル燃料の普及につきましては、今年度の実証走行結果を踏まえまして、中小企業が多い民間バス事業者における導入拡大を念頭に置いた仕組みづくりに取り組んでまいります。

○木内委員 今の答弁がこの項目のポイントなんです。この答弁を得るためにるる申し上げてきたわけであります。供給側と需要側、この両者がしっかりと意思の疎通を行い、東京都は、こうした推進に向けて具体的なインセンティブを与えるような、そういう努力をしていかれるということ、それが具体的に、民間バス事業者における導入拡大を念頭に置いた仕組みづくりに取り組んでいくという今の答弁でありますので、ぜひ、きょうの質疑から紡ぎ出された一定の施策の方針というものを重要視して取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 我が国の環境政策において東京都が果たしてきた国を先導する役割は、バイオ燃料の分野においても大きな意義を持っているわけであります。東京都が進めていく事業、これが他府県に影響をし、国政にまで実は大きな影響を与えていくという事例は、今までも枚挙にいとまがないわけでありまして、バイオ燃料への切りかえという事業上の戦いもぜひ勝利をおさめるよう強く要望していきたいと思います。
 二酸化炭素の削減が経済活動の停滞をもたらすということではなく、新たな産業の芽を育てるということも、都の具体的な取り組みを通じて世界に発信されるであろうと、こう思うわけであります。地球規模で考えて、足元から活動をすることこそ、温暖化対策の私は王道であると、こう思いますし、東京都がこれからも地球規模の視点を持って、この課題に取り組んでいかれることを期待をしてまいりたいと思います。
 次に、環境問題に配慮する消費行動促進支援事業、聞きなれない言葉でありますけれども、地味でありますが、大きな意味を持った事業であります。
 東京都は、地球温暖化阻止に向け、国に先駆け、申し上げたようにさまざまな政策を実施してきました。本年四月から開始した大規模事業所に対するCO2排出削減の義務化、いわゆるキャップ・アンド・トレードはその代表的な事業であります。まさしく東京都が国をリードする形で政策づくりを進め、業務ビルをも対象とした都市型キャップ・アンド・トレードを世界で初めて開始したわけであります。これは人類の歴史上、私は特筆すべきことだぐらいに思っているわけであります。
 一方で、温暖化対策をより強力に進めていくためには、企業の努力だけでなく、都民、行政などあらゆる主体が社会全体でCO2削減に向けた行動を起こさなければならない。都民一人一人がみずからの行動を見詰め直し、行動を変革する必要があるのであります。
 申し上げておりますこの事業の開始に当たっては、平成二十年八月に都議会公明党が知事あてに、都民の環境配慮行動を喚起するため、エコポイント制度の活用に関する要望を行い、それを受けて事業化されたものであるとも聞いております。
 そこで、まずこの事業の目的について報告を求めます。

○吉村環境政策担当部長 CO2の削減を初めとした環境対策を進めていくためには、一人一人の生活の中に環境配慮行動を内在化していくことが重要でございます。都民それぞれが消費者となって消費行動する際に、果たして環境に配慮した行動となっているのかどうかということがわかりにくい現状があり、消費者に対して身近でわかりやすい形で環境配慮を伝える仕組みの構築が急務でございました。
 このため東京都では、平成二十一年、平成二十二年の二カ年間のモデル事業として、企業、行政とともにグリーン購入の取り組みを促進している団体でございますグリーン購入ネットワークという団体と協働いたしまして、商品の環境配慮に関する表示を行う店頭実験を実施したところでございます。

○木内委員 グリーン購入ネットワークと協働して、商品の環境配慮に関する表示を行い、店頭実験を実施したということですけれども、これがまだよく知られてない点があるんですけれども、この店頭実験における対象商品並びに表示内容等、具体的に明らかにしてください。

○吉村環境政策担当部長 店頭実験では、消費者にとって身近な消費財でございます加工食品や衣服を対象に実施いたしました。表示の内容でございますが、加工食品では、原材料について化学肥料の使用を抑制していることや、容器包装について、形状を変更することなどによりまして軽量化を進めている商品であることなど、また衣服では、リサイクル素材を使用していることなどについて、商品の販売の陳列棚などに説明のポップを作成し、消費者にわかりやすく表示したところでございます。

○木内委員 非常にいいシステムだと思いますし、わかりやすい表示だということは部分的な意見として聞いておりますし、これはぜひ拡大、継続をしていく必要もまたあると思うんですね。
 その前にちょっと確認したいんですけれども、協力してくれた販売店、消費者あるいは店頭実験、最も中心になるのは販売店だと思うんです。ここの反応はどうでしたか。

○吉村環境政策担当部長 昨年度二十一年度の店頭実験に際しまして、買い物客を対象とした意識調査を実施いたしました。おおむねグリーン購入に対して肯定的な評価を得られたとともに、環境配慮のポップ表示については、内容のわかりやすさや表示位置の改善が必要との声もいただきました。この点については、ポップ表示については、翌年度になります今年度に見やすいものに変更したり、表示位置については、事業者にフィードバックして直しております。
 また、ご質問の販売店側の受けとめ方も極めて肯定的でございまして、対象商品の拡大やキャンペーンの継続を求める声が大きくございました。

○木内委員 そこで、この質問のポイントにいよいよ入っていくわけであります。
 平成二十一年度、二十二年度の二カ年、モデル事業としての間は、立ち上げに当たっての店頭実験や意識調査など、行政の支援も必要だと思う。しかし、事業本来の目的である環境配慮行動の内在化ということを考えれば、事業が終了した後の平成二十三年度以降においても、モデル事業で構築した仕組みが引き続き機能していくものとすべきだと思うんです。これはいわゆる内容の充実、あるいは普遍性の拡大といいますか、それから仕組みの改善も含めて、引き続き継続実施をすべきだと思うんですが、どうでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 本事業は、東京都とグリーン購入ネットワークの協働のもと、販売、製造などさまざまな業界団体、事業者、学識経験者の方々にも協議会に参画をいただき、環境配慮を消費者にわかりやすく伝える仕組みの構築を目指し、二カ年のモデル事業として実施してきたところでございます。
 今年度で、都が事業費を負担するモデル事業としては終了することとなりますが、グリーン購入ネットワークや事業者の方々からは、継続して実施していくというお話を伺っております。このため都といたしましても、引き続き協働事業に参画することとし、モデル事業を実施していく中で得た知見などを今後の取り組みの中で生かし、委員ご提案のとおり引き続き環境に配慮した消費行動促進を目指していきたいというふうに考えてございます。

○木内委員 事業費を負担するモデル事業としては終了するけれども、まず、グリーン購入ネットワークや事業者の方からは、継続して実施していくということを確認されている。もう一つは、都としても引き続き協議会に参加をすることとして、知見などを生かして今後の消費行動の促進を目指す。いわゆる継続をしていくということが今明らかになったわけであります。
 これは部長、答弁要りませんけれども、例えば事業費を負担するモデル事業という位置づけできたわけだけど、予算がどうしても必要な、都としてのそういう役割が改めて課題であるというような場合には、議会として私どもは、既に内示されている一般会計には反映されていないけれども、復活予算であったり、さまざまな形がありますから、これ、応援させていただきますので、ぜひ継続実施、きょう、幾つか芽出しの答弁をいただく中で重要な点でありますので、このことは申し上げておきます。答弁は要りません。
 次に、VOC、揮発性有機化合物対策についてであります。
 大気環境保全のための取り組みである揮発性有機化合物、いわゆるVOCの対策についてお聞きします。
 東京の大気汚染は、工場や事業所への排出抑制対策や、国に先駆けたディーゼル車走行規制などによって確実に改善しています。一方で、光化学オキシダントは、すべての測定局で環境基準を達成しておりません。依然として光化学スモッグ注意報の発令が見られるなど、さらなる対策が必要になっています。
 世界に誇るクリーンな都市環境の実現に向け、光化学オキシダント対策を確実に進めていくことが都に求められているんだと、こう考えるわけであります。VOCは、光化学オキシダントや大気中の浮遊粒子状物質、いわゆるSPMの生成原因物質であり、それ自体が有害な物質である場合もあることから、削減が強く求められています。
 そこで、都におけるこれまでのVOCの対策の概要についてご報告を願います。

○中村環境改善技術担当部長 都は、大気中に排出される揮発性有機化合物、VOCと称しておりますけれども、このVOCを削減するため、大気汚染防止法に基づく一定規模以上の施設に対する排出規制、あるいは環境確保条例に基づく燃料の貯蔵出荷施設における排出防止設備の設置などを進めるとともに、VOC削減に向けた事業者の自主的な取り組みを促進しております。
 特に、都内で多い中小事業者の自主的な取り組みを進めるため、事業所の実態に即した対策を助言するためのアドバイザーの派遣、あるいは中小事業者が選択しやすい対策手法を具体的に記載したVOC対策ガイドの普及などの取り組みを行ってございます。
 都は、VOCを効果的に削減するため、このように規制的手法と自主的な取り組みを促す手法を組み合わせて対策を進めてまいりました。

○木内委員 規制的手法と自主的取り組みを促す両面にわたる対応というのは、まことに私は的確な事業推進の方法だと、こういうふうに思うわけであります。
 都内のVOC排出量の削減を今お聞きしたような方針で進めているということでありますが、その結果、都内におけるVOCの排出量削減、これはどんな経過をたどりましたか。

○中村環境改善技術担当部長 VOCでございますけれども、塗料とか印刷インキ、接着剤等に含まれているほか、金属部品の洗浄やドライクリーニングなどさまざまな分野で使用され、排出されております。
 都の推計でございますけれども、平成二十年度の都内事業所からのVOC排出量でございますけれども、速報値で、平成十二年度に比べ約三割削減しております。このように削減が進んできてございますのは、規制に加えまして、VOCを主要排出するこれらさまざまな業種の事業者におきまして、中小規模の事業所を中心に、排出削減に向けた自主的な取り組みが進められてきた結果であるというふうに考えてございます。

○木内委員 これまで中小規模の事業所を中心に自主的な取り組みを進めることで、都内のVOC排出量の着実な削減を達成しているということについては、大いに評価をさせていただきます。
 ただし、都市環境が変わってくる、あるいは産業構造が激変してくる、あるいは自然現象といいますか、温暖化の他律的要因といっていいのかどうか、要するに、環境要件というものが実は年を追うごとに変わってきているという実態もあるわけでありまして、これにしっかりと着目をして、変化に対応する施策を展開していく必要がある。
 何も今さらダーウィンの進化論の言葉を引くわけじゃありませんけれども、生き残ってきた動物の特徴、それは体の大きなものでもなければ、力のあるものでもなかった、変化に対応する力を持ったものであるというのが今思い出されるわけでありますけれども、余りに、申し上げたようなさまざまな分野の形態というものが変化を遂げてきている。このことを十分知っておかなければならないと思うんです。
 VOCが主な原因物質の一つである光化学オキシダントについて見ると、ことしも光化学スモッグ注意報が発令されるなど、VOCの削減効果が必ずしも光化学オキシダントの低減につながっていないような、一見そんな印象で見受けられるわけでありますが、これ、私だけの印象なのか、あるいは執行機関のお立場でそういう認識があるのか、率直なご意見をお聞かせください。

○中村環境改善技術担当部長 ことしは例年に比べまして、光化学スモッグ注意報発令日がふえておりますけれども、これは夏季に猛暑日が続きまして、記録的な暑さになったことなどの気象要因が大きく影響しているものと考えてございます。
 また、光化学オキシダントにつきましては、その原因物質の一つである窒素酸化物の低減に比べまして、VOCの低減が十分でないと発生しやすくなることがわかってございます。
 これまでのVOCの削減で光化学オキシダントの最高濃度につきましては、ここ数年、低減傾向を示すなど一定の改善効果は見られるということでございますけれども、今後さらなるVOCの削減対策を進めて、光化学オキシダント濃度を一層低減していく必要があるというふうに考えてございます。

○木内委員 いみじくも、光化学スモッグ注意報発令日がふえている。夏に猛暑日が続いて、記録的な暑さになったという気象要因が影響していると考えられると、こういうわけでありますね。ことしも多いんですね、この真夏日というのが七十一日、猛暑日が十三日、熱帯夜が五十六日というのがどこかの資料にさっきあったような気がするんです。
 こういう実は実態を背景に、都内における光化学スモッグ注意報の発令を減らしていくためには、今の答弁にあった因果関係というものを念頭に置くと、VOC削減に向けたさらなる対策を着実に進めていく必要があるだろう、こう思うわけでありまして、VOCが、光化学オキシダントが高濃度となる主な原因の一つであるということであれば、光化学オキシダント濃度が高くなる夏場の対策を強化するといった視点も考えられるのではないか。
 今るるご説明いただきましたけれども、因果関係というものがこの答弁の中で明らかになった。これを足場にして、夏場の対策の強化ということは新たな視点として実は位置づけていいのではないでしょうか。夏にVOCの削減対策を徹底して行うことで、より効果的な形で光化学オキシダントの低減が結果的に図れることになるのではないかと考えますが、見解はどうですか。

○中村環境改善技術担当部長 ご指摘のように、光化学スモッグの発生が集中する夏場にVOCの削減を図ることは重要な視点であるというふうに考えてございます。これまで都は、光化学スモッグ注意報発令時でございますけれども、緊急時の措置として、大規模な事業者などに原因物質の排出抑制の取り組みを要請するなどの対応をとってまいりました。
 今後、VOC対策につきましては、年間を通じた対策はもとより、夏季における事業所の自主的な取り組みをより促進するとともに、業界団体に取り組みの強化を要請してまいろうかと思っております。
 また、VOC排出量が多い屋外で行う塗装でございますけれども、天候が安定し、水性塗料などの低VOC塗料が使用しやすい夏季におきまして、低VOC塗料の一層の使用を促進してまいります。
 光化学オキシダントの低減に向けまして、夏季の対策を初め、VOC削減対策に積極的に取り組んでまいります。

○木内委員 いわゆる夏季の対策を中心にVOC削減対策に取り組む。例えば緊急時の措置として、大規模な事業者などに、原因物質の排出抑制の取り組みを要請するなどの対応を行ってきた、これをさらに拡大もしていく、充実をする、また喚気指導の頻度というものを高めていくとか、いろいろ具体的なまた方針もあろうかと思います。きょうは答弁を求めませんけれども、今お答えの内容に従って、ぜひ来年の夏に向けての準備を今から進めていただきたい。ぜひ強く要望して、次の問題に移ります。
 いよいよさっきも申し上げた微量PCBの処理についての問題であります。
 中央防波堤内側にある東京臨海リサイクルパワー株式会社、いわゆるTRPで微量PCBを処理する計画というのが今進んでいる。実は、このTRPの近くには、高濃度PCBを処理している日本環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOがあります。私は、ここの起工式、それから竣工式等々、一定の行事には全部参加しています。地元自治体の山崎区長を初め、自治体執行機関の皆さんもお見えになっていたのでありますが、一方で、この社会貢献性の高いこうした施設の区内建設を歓迎すると同時に、やはり事故のないようにという、内心じくじたる思いでの出席であったのも、今にして思えば印象的でありました。
 実は、このJESCOは、稼働開始後すぐの平成十八年三月と五月の二度にわたって、PCBを含む廃水の流出と排気の排出事故を起こしているんですね。事故の原因は、無届けの仮設タンクからの廃水の流出であり、ずさんな管理体制が原因であった。私も現場を見たり、事故の状況をつぶさに見分をしまして、これは構造上の問題じゃない。メカじゃないんだと、システムじゃないんだと。結局、二件ともヒューマンエラーだったんですね、残念なことに。
 これは、もう二度にわたってこういう事故が続いたということで、大変に実は今後のこの種の施設の運営のあり方に懸念を抱くのは当然だと思うのでありますけれども、しかし一方で、環境対応の事業としては重要な、大切な事業でありますから、これをしっかりと認識をして、応援もし、同時に事故がないような配慮というものを、こうした議会における議論の中からやはり構築をしていかなければならない。その意味でお尋ねをしたいのであります。
 今申し上げたJESCOにおける事故につきましては、その後は東京都の指導によりまして、安全管理体制全般の抜本的な対策が講じられて、今は安全第一の操業が続いていると、こういうふうに聞いています。TRPでの微量PCB処理も、安全が第一であることに絶対変わりはないわけでありまして、このため安全確保という観点から幾つか伺います。
 TRPは、スーパーエコタウンの事業者として平成十七年十一月に操業を開始して五年が経過しています。まず、これまでのTRPの操業状況はいかなるものであったか伺います。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 TRPはガス化溶融施設で、廃プラスチック、木くずなどの産業廃棄物を焼却し、得られた熱エネルギーを利用いたしまして、一日当たり五十五万二千キロワット時の発電をしております。これは約五万五千世帯の電気使用量に相当し、エネルギーの有効利用に貢献しているところでございます。
 また、別の専用焼却炉で感染性廃棄物を焼却し、東京都廃棄物処理計画で定めた感染性廃棄物の都内処理体制にも貢献しているところです。
 これまで環境に影響するような事故はなく、安全に操業しているところでございます。

○木内委員 確かに答弁のように、これまでの廃プラ等の産業廃棄物や感染性廃棄物の処理では、安全に操業が行われてきていて、この意味では安心ではありますけれども、今まで安全だからといって、これからも大丈夫だという保証はどこにもないわけであって、何だ、とんでもないことをいうというかもしれないけれども、私どもは都民の代表として、懸念材料はさまざまな形で払拭して、問題はクリアをして、そうして安全な仕組みというものをつくっていかなければならないということからお尋ねをしているわけであります。
 微量PCBの処理に当たり、国の処理基準やガイドラインの遵守というのは当たり前のことであります。当然でありますけれども、この地域住民の理解を得るため、それを上回る対策をとるべきだと、これが重要だと思うんです、こういう施設については。先ほども高橋委員からいろんなご質問があって、答弁も聞いて、全部それを聞いた上でさらに申し上げるわけでありますけれども、それを上回る対策をとるべきであります。
 そこで、TRPでは、この点から安全対策をとっていると思うんですが、どういう内容ですか。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 受け入れタンクの周囲には防御堤を設置したり、万一、炉内温度が基準の千百度Cを下回るおそれがあるときは、自動で微量PCBの炉内の吹き込みを停止する装置など、法基準やガイドラインを遵守しているところでございます。
 加えまして、排ガス等の自己規制値を設定したり、敷地境界の大気中のダイオキシン類の測定頻度をふやすなど、法基準を上回る対策を講じております。
 また、地域住民の方々の理解を得るため、地域環境委員会を設置することとしております。
 これらの対策につきましては、TRPによる微量のPCBを含む絶縁油が安全及び環境保全を確保しつつ適正に行われるよう、東京都、区、TRP、親会社の東京電力の四者で協定を締結することとしております。

○木内委員 法基準やガイドラインを遵守し、さらに排ガス等の自主規制値を設定する、敷地境界のダイオキシン類の測定頻度をふやすなど、法定基準を上回る対策を講じている。また、地域住民の理解を得るための地域環境委員会を設置すると、これは非常に大事なポイントであります、この質問のポイントだから。こういう対策については、都、区、TRP、親会社の東京電力の四者で協定を締結することとしているということでありますね。
 これが実行されるように強く要望するわけでありますけれども、TRPで微量PCBを処理するに当たって、地域環境委員会を設置するとのことでありますけれども、この仕組みは、地域住民の理解を得るには非常にいい形だというふうに思うのでありまして、この地域住民の理解を得るため、この委員会には当然、地域住民や区の関係者が加わって、排ガス等の測定結果の報告だけではなくて、施設の故障やトラブル等の情報もしっかりと公表することが大切であると考えます。
 そこで、この地域環境委員会の委員の構成や、あるいはその作業の内容について明らかにしてください。

○谷川調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 TRPで微量PCBを処理するためには、施設の安全面はもとよりですが、地域住民の方々の理解を得ることが重要であります。地域環境委員会の委員は、学識経験者や都、区担当者に加えまして、地域住民の代表を構成員といたしまして、年二回の定例会を開催する予定としております。
 また、この委員会では、地域住民の方々の理解を得るため、施設の操業状況や排ガスの測定結果の報告に加えまして、施設の故障やトラブル等の情報も公開していく予定でございます。

○木内委員 極めて具体的、明快な答弁でありまして、それを多としたいと思います。ぜひ答弁した内容に沿って着実にこれを進めてもらいたい、これを強く求めておきたいと思います。
 次に、地球温暖化対策についてであります。
 今月末から京都議定書後の国際的な気候変動対策の枠組みを議論するCOP16がメキシコ・カンクンで開催される。都はこれまでキャップ・アンド・トレードの導入など、世界をリードする先駆的な取り組みを行ってきていますが、COP16の開催を目前に控え、温暖化対策に対する都の基本的な認識、スタンスというものを改めて確認をさせてください。

○山本環境都市づくり担当部長 地球温暖化は人類が引き起こした最も深刻な環境問題であります。大都市東京は、北欧の一国に相当するエネルギー消費をしており、エネルギーの大消費地としての責務を有しているものといえます。また、長期的には、世界全体で温室効果ガスの排出量を半減しなければなりません。こうした炭素制約時代に、東京の成長を可能にしていくためには、東京自身をいち早く低炭素型都市に転換していくことが不可欠であります。
 そこで、東京都は、温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%削減するという目標を掲げ、キャップ・アンド・トレード制度を初めとする先駆的な取り組みを打ち出してまいりました。
 このように、都において真にCO2削減に効果的な施策を具体化し、我が国における温暖化対策をリードしていくことが重要であると認識しております。

○木内委員 国の地球温暖化対策基本法案、依然として成立の見通しが立っておりません。国内排出量取引制度の導入に向けた議論は、まさに迷走しているといっても過言ではない。
 温暖化対策の推進には、自治体の役割が極めて重要であります。さきに我が党が提出しております気候変動対策基本法案では、国が執行する国内排出量取引制度の創設にあわせて、地方自治体を実施主体とする地域排出量取引制度を創設すべきことを提唱しております。都として、この地域の役割を、今申し上げたことを前提にどのように考えているのか伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 地方自治体は、これまでも我が国の環境行政において先駆的な役割を果たしてまいりました。現在、三十を超える都道府県、政令市におきまして、事業所を対象とする計画書制度を導入して、地域の特性に応じた温暖化対策を展開しております。
 地球温暖化対策を実効性あるものとするためには、地域、特に都道府県、政令指定都市の役割が極めて重要であります。また、国と地方の適切な役割分担により、温暖化対策を推進していくことが、地方分権時代において当然に求められるものであると考えております。
 そこで、東京都は、昨年十一月に発表いたしましたキャップ・アンド・トレードの全国導入についての提言の中で、国家キャップ・アンド・トレード制度と地域キャップ・アンド・トレード制度による役割分担を提案し、真に実効性あるキャップ・アンド・トレード制度の実現を国に求めております。

○木内委員 そうなんですよね。冒頭いったけれども、東京都の先導的役割、施策の提唱、あるいはイニシアチブをとって国政をリードしていくという、まさにその一つが私はこれであると思うわけでありまして、キャップ・アンド・トレードの全国導入についての提言、国家と地域のキャップ・アンド・トレードの役割分担の提案というものがある。また、制度の構築や運営のノウハウを提供している。ぜひ東京都は、その大いなる役割に対する自覚を持って進めていってもらいたい、国の今後の検討をリードしていってほしい、こう思うんです。
 私どもはいろんな機会を通じて、例えば各会派の人がいるけれども、都知事から国への予算要望、政策要求をするときには会派を通じて行う。こういう都議会における議論を踏まえて、会派によってどんどん意見の提案、顕在化というものが行われていくわけで、我が会派は、こうした議論を踏まえてしっかり皆さんのご努力が実るような応援をさせていただきたい、こうも思っていることをここに伝えさせていただきたいものであり、何回もいいますけれども、ぜひとも国の検討、施策のリードをしてもらいたい、こう思います。
 東京都のキャップ・アンド・トレードの次の展開として、東京発のディーゼル車規制が首都圏共通の取り組みとなったように、首都圏全体へのまず展開を図ることが重要だと考えるわけであります。
 このディーゼル車規制のときにもいろんな議論があったけれども、結局、東京都が全軍を引っ張って今日的な成果を上げたんだと、こういう自負はお互いに、議会と執行機関、両輪ですからあるわけであります。
 そこで、首都圏九都県市の温暖化対策の現状についての認識をお尋ねします。

○山本環境都市づくり担当部長 埼玉県、さいたま市につきましては、従来、東京都が大規模事業所対策として実施してまいりました地球温暖化対策計画書制度と同様の制度を実施しております。また、本年四月からは新たに神奈川県、横浜市、川崎市が同様の計画書制度をスタートさせております。
 さらに、東京都のキャップ・アンド・トレード制度に続きまして、埼玉県が来年四月から、東京都の制度のスキームを参考としまして、目標設定型排出量取引制度を導入することとなっており、そこで都として、ことし九月に埼玉県と協定を締結しまして、両者がキャップ・アンド・トレード制度の制度設計と運用を連携して行うとともに、首都圏への波及に向けた取り組みを拡大していくこととしております。

○木内委員 何度もいうように、東京都が引っ張ってきた、先導的に役割を果たしてきたということがいえるわけであります。計画書制度については埼玉県、さいたま市、神奈川県、横浜市、川崎市、ことしの四月から新たな計画書制度の運用を開始をしているわけであります。
 東京都が我が国の地球温暖化対策の推進に大きな役割を果たしていることが改めて確認できたわけでありまして、最後になりますけれども、こうした都の先駆的な取り組みが首都圏だけでなくて、全国の自治体へと広げていくことが重要だと思うんですけれども、千軍万馬の大野局長の見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。

○大野環境局長 地球温暖化の問題、気候変動の問題は世界全体の問題でございますから、本来は国家政府が最も大事な役割を果たすというのは当然であります。
 ところが、現実には、日本だけでなくて、アメリカでありますとかカナダなどを見ましても、なかなか中央政府が十分な役割を果たさずに、動きが遅い国家政府にかわって地方政府、準国家政府が動きをリードしていると、こういう状況がございます。
 東京都はことしの九月、埼玉県と協定を結びまして、首都圏キャップ・アンド・トレード・イニシアチブというのを開始をいたしました。この両者が連携をしてほかの自治体への波及に向けた取り組みを進めていこうと、こういうような取り決めをしております。
 今後ともさまざまな機会をとらえまして、東京都の施策の取り組みの経験を全国に発信しまして、我が国におけるCO2の総量削減に寄与してまいりたいと、このように思っております。

○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

   午後二時五十六分再開

○橘委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○かち委員 初めに、地球温暖化対策について伺います。
 先ほどもありましたけれども、今月二十九日から気候変動枠組み条約第十六回締約国会議がメキシコで開かれます。地球温暖化の影響は、猛暑の長期化、竜巻やゲリラ豪雨など、異常気象が全世界的に深刻な被害をもたらしています。こうした中で、温室効果ガスの削減対策が待ったなしの課題として突きつけられています。日本は、昨年二〇二〇年までに温室効果ガスの九〇年比二五%削減を世界に宣言しましたが、その対策は遅々として進んでいないのが現状です。
 私は先日、つくば市にある産業技術総合研究所のエネルギー技術研究部門を訪ねて、今の日本のCO2排出の実態と対策の可能性などについて伺ってきました。
 そこで、先ほど、東京の排出量は北欧一国に値する大量排出をしているというお話がありましたが、その日本は東京の二十三倍ぐらいに当たる十二億八千二百万トンのCO2を排しているという実態を新たにしました。そしてまた、国の排出量の構成比は、発電所と大口産業で約五割を占めるのに対し、東京の場合は、業務部門と家庭からの排出率が高いということも再認識しました。
 都としては、国に先駆けてキャップ・アンド・トレードを制度化し、ことし四月から大規模事業所における総量削減計画書提出を義務化してきたところでありますが、実効性をもたらす上で大変意義あることと思います。
 計画では、ことし九月までに約千三百の事業所からの提出を予定していたところ、約七割にとどまったとの報道もありますが、その理由と今後の見通しはどうでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 基準排出量の決定申請につきましては、都に登録した検証機関による検証を経て提出するという初めての手続でありましたため、提出に時間を要した事業所が見られました。しかし、現在、順調に提出の方はされてございます。
 また、時間がかかりました主な理由としましては、検証機関の指摘を受けまして、ガスの使用量証明等の証拠書類の取得などに時間を要したためであります。間もなく、ほぼすべての事業者から提出がされる見込みでございます。

○かち委員 都の排出量割合の変化を見ますと、全体では九〇年比で八%の増を示した二〇〇〇年をピークに、二〇〇八年には四百万トンの減となる一方、二〇〇〇年と二〇〇八年の比較では、業務部門で一〇・三%の大幅増に対し、産業と運輸が減っているという状況ですが、その要因はどのように分析しているでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 一九九〇年度と比較しました都内のCO2排出量の部門別推移の長期的な要因でございますが、業務部門の増加につきましては、オフィスなどの延べ床面積の増加、それからIT機器やデータセンターでのエネルギー消費量の増加などがその要因として挙げられております。
 また、産業部門につきましては、製造業が減少傾向にあることや、省エネ対策の進展が寄与しているというふうに考えられております。
 また、運輸部門の減少につきましては、低燃費車の普及や旅客自動車の走行量が減少傾向にあるといったことが挙げられております。
 都内の排出量につきましては、業務部門が最も多くなっていることから、都としましては、業務部門対策が最も重要な対策として、二〇〇二年から地球温暖化対策計画書制度を創設するとともに、本年四月から、世界初のオフィス等も対応しました都市型キャップ・アンド・トレード制度を施行させるなど、業務部門の温暖化対策に積極的に取り組んでいるところでございます。

○かち委員 産業構造の変化というようなことで、オフィスの延べ床面積がふえていると、IT機器などもふえているという状況だと思いますが、運輸の現状については、不況などの影響もあるのではないかなというふうに思われます。
 業務部門の中では、計画書提出義務のある大規模事業所とそれ以外の中小規模事業所の数の内訳と排出量比率はどういうふうになっているでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 業務部門のうち大規模事業所の数は約千事業所ほどになります。中小規模事業所につきましては、業務、産業別の集計は行っておりませんが、都内には約六十九万事業所がございまして、そのほとんどが中小規模事業所でございます。
 また、排出量につきましては、業務部門全体で約二千万トンでありまして、このうち大規模事業所からの排出が約九百万トン程度ということになってございます。

○かち委員 約千の大規模事業所が排出する割合は、二千万トンの九百万ということで約四割を占め、七十万近くの中小規模事業所で六割ということですから、大規模事業所の削減目標を定めたことは、排出削減効果をもたらす上で重要だと思います。
 都の削減計画では、二〇〇〇年比、一〇年から一四年までに八%から六%削減、後半の一五年から二〇年までに一七%削減を目指すとありますが、当初は空調や照明を変えたり、一定の節電努力で数%の削減は可能だと思いますけれども、五年後にどの企業も一七%の削減という一律の設定は、その推進にかなりの困難を伴うと思われますが、どのような削減の可能性があると判断しているでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 都のキャップ・アンド・トレード制度につきましては、二〇二〇年二五%削減という総量削減の目標に向けて、第一計画期間を大幅な削減に向けた転換始動期と位置づけ、六%ないし八%という削減義務率を設定しております。
 また、第二計画期間につきましては、目標達成に向けて一七%という削減義務率の見通しを示しているところでございます。
 一方、先般、経済産業省所管の産業構造審議会のワーキングで取りまとめられました国内排出量取引制度の原案においては、我が国における総量削減の実現という重要な視点が欠落しております。事業者の個別の事情を考慮して、事業者ごとに削減目標を定めるということとしており、極めて実効性に疑いのある内容となっております。
 都の制度におきましては、総量削減の実現という観点に立ちながら、事業所のこれまでの削減努力が反映できるよう、基準排出量の決定に際して柔軟な仕組みを取り入れているとともに、特にすぐれた削減対策を実施している事業所につきましては、削減義務率が軽減されるトップレベル事業所の認定制度を設けるなど、事業所の取り組み状況を適切に反映できる仕組みとなっております。
 第二計画期間における削減義務率につきましては、第一計画期間でのこうした仕組みの取り扱いも含めて、第一計画期間での排出量や削減対策の進展などを考慮して、第二計画期間の開始時に決定していくこととしております。

○かち委員 国のやり方では、事業所ごとのやり方では実効性はないよということで、東京都は非常にきめ細かい対応で、表彰制度なども設けて自主的にできるような工夫をしているから大丈夫だというようなお話だったと思うんですけれども、なかなか一定の努力をした後、どうやって削減するかという点では、実際的にはいろいろな困難があるかと思います。
 そういう意味では、国の場合には、かなり大規模事業所、火力発電所、こういうものが排出量の約半分を占めているわけですから、そこをきちんと規制すれば、一〇%、二〇%の削減は優に可能だということがいえると思います。
 例えば火力発電所では、石炭、石油、天然ガスなどの種類があるわけですけれども、発電時の省エネ投資や燃料の選択によって、発電量当たりの排出量は、再生可能エネルギーを用いればゼロになり、火力発電所でも最新の天然ガス火力と旧式の石炭火力は約三倍違うといわれています。まだまだ多くの発電所で低コストの石炭火力発電を行っている現状です。
 例えば排出量の最も多い中部電力碧南火力発電所というところがありますが、ここでもし天然ガスに切りかえれば千五百万トン、一五%の削減が可能になり、それは八千事業所で一億トン排出している事業所の削減管理に匹敵するという試算もあります。
 その意味で、日本での二五%削減の可能性は、大口事業所の削減義務化で可能性は大いにあるということですけれども、しかし、現状はなかなか進んでいないという状況です。都の場合は、こうした特殊な大口排出事業者はありませんけれども、都内に火力発電所があります。その現状はどうなっているでしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 先ほどの第二計画期間の一七%の見込みということで少し補足をさせていただきます。
 第一計画期間は、先ほど申し上げましたように、大幅削減に向けた転換始動期ということで位置づけております。そういう位置づけをする中で、今年度から都市開発などで積極的な取り組みや、省エネ投資が事業者において積極的に出てきているという現状でございます。
 そういった現状を踏まえていきますと、第二計画期間に向けては、今までにない革新的な取り組みや技術開発が進んでくるというふうに予想しておりまして、そういった見込みを立てて第二計画期間一七%の見通しを立てております。
 実際には、先ほど申し上げたように、第二計画期間の開始前に、削減義務率は決定してまいりますし、さまざまな柔軟な仕組みも講じていこうというふうに考えております。
 それから、都内の発電所の状況でございますが、都内には大井と品川に二つの火力発電所がございます。大井火力発電所につきましては原油を、それから品川火力発電所につきましては都市ガスを使用してございます。

○かち委員 大井は原油で品川は都市ガスということですけれども、原油を都市ガスに切りかえるということでも相当な削減にもなると思うんですけれども、こうした発電所を削減計画の提出対象にしていないのはどういう理由でしょうか。

○山本環境都市づくり担当部長 東京は、エネルギーの大消費地でありまして、都内のCO2排出量を削減するためには、やはり需要側でのエネルギー消費を低減させていくことが施策として大変効果があると考えております。
 このため、オフィスや工場など、産業、業務部門の大規模事業所への削減義務を導入しているところでございます。
 また、大井と品川の二つの火力発電所の発電量は、都内の電力消費量のおよそ一割程度でございます。残りの九割につきましては、都外の発電所からの供給になっております。
 したがいまして、都内で消費される電気のCO2排出係数を改善していくためには、都内に電力供給を行うすべての電気事業者の取り組みが必要であることから、エネルギー環境計画書及び報告書の作成、提出を条例で義務づけまして、対策の推進を求めております。

○かち委員 報告書を提出することを求めているということなんですけれども、削減計画の対象ではないということなんですね。しかし、都内の一割しか供給していないということですけれども、発電所は一基百万キロワットの電力を発電するということでは、かなりのCO2排出の状況でもありますので、こうしたものも視野に入れる必要があると思うんです。
 もう一つは、航空燃料についてカウントしていないという問題です。昨年、私はこの委員会でもやりましたけれども、なぜやらないのかという点では、国際線において、締約国間での基準が決まっていないからだというご答弁でしたけれども、これまで国内線の拠点空港の一つであった羽田空港、ここでは確実にジェット燃料が排出されているわけですよね。
 羽田空港では、三十万回から既に三十七万回、さらに再国際化によって四十四・七万回まで離発着をふやす計画があります。また、二十四時間化に伴って、不夜城の空港は、温室効果ガス排出の大規模事業所の一つとも考えられます。
 改めて、これらの排出量を見過ごしにせず、都としての国内線については、排出量を把握すべきだと思うのですけれども、見解を伺います。

○和賀井都市地球環境部長 国別の排出量を定めました京都議定書におきましては、国際線の航空機などからの排出量につきましては、国別の割り当てにそぐわないことから、算定の対象外というふうにされております。国際的な航空機からの算定ルールにつきましては、国際民間航空機関、ICAO、イカオと呼んでいますが、こちらで検討しているところでございまして、その動向を注視しているところではございます。
 このように、世界的な算定ルールはいまだ定まっていない中ではございますけれども、都におきましては、できる限り正確に都内の排出量を算定するために、都内域におけます航空機の運航分につきましては、排出量の算定をしてございます。

○かち委員 都内域においてはというのは、島に行っている飛行機の分だと思うんですけれども、それだけではなくて、やっぱり離発着という点では、そこの地域に落としていくわけですから、相当な量というのははかれると思うんですよね。
 国においては、国際線については、国際間の協定が決まっていないということではありますけれども、国内線においては、自治体として算出をするマニュアルも出していますよね。平成十四年にも計算式が出ていましたし、昨年の六月にも、環境省から地球温暖化対策地方公共団体実行計画区域施策編というので、このマニュアルがありまして、ここで航空燃料については、都道府県が算出をするようにということで、その計算の仕方も出ているわけです。
 こういうふうに、やっぱり実態をつぶさに把握するという点では、その問題についてもやっぱりきちんと検証する必要があると思うんですけれども、こういうものが出ていることに対してはどのようなご見解でしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 お話のマニュアルは、地方自治体に対します技術的な助言の性格を有するものでございまして、その冒頭でも、各地方公共団体が地球温暖化対策を推進する上で、またその地域の実情にかんがみ、内容が合理的と判断されるならばという留保条件つきで、本マニュアルを活用していただきたいというふうに記されてございまして、このマニュアルの活用は各自治体の判断にゆだねられていると考えております。
 また、このマニュアルで示されております航空機からの排出量の取り扱いは、空港への着陸回数と航空機の消費エネルギー量から計算して算出した量を当該空港からの排出量とすることを推奨しておりますが、国際航空機からの排出量をどの国の排出量とするかの国際ルールが確立していない中で、国内便とはいえ、航空機からの排出量の帰属地域を決めてしまうというのは、現行の環境基本計画の策定に当たり諮問されました東京都環境審議会で示されております、今後の都域外との運航や国際間の航空機からのCO2排出量への対策については、今後の国際的な枠組みの構築などを中心として進められるべきであるという考え方とは立場を大きく異にするものでございます。
 したがいまして、当面、航空機からの排出量の算定、範囲を変えることは考えておりません。

○かち委員 国際的な基準が決まっていない、国際線について決まっていない中で決めるのはどうかというようなことをおっしゃいましたけれども、国内についていえば、別に外国との関係では問題がないんじゃないかと思うんですけれどもね。
 しかし、出ているものは出ているわけで、問題があるならどういう計算をすべきだということは、もっと積極的に国なり何なりに働きかけていく必要があると思うんです。ただ、それはまた別格よということでずっと置き去りにしておくことは問題じゃないかというふうに思うんです。
 十四年には、ちょっとこの計算式とは違う離発着で計算をしておりまして、それに当てはめて計算しますと、羽田の場合で三十七万回の離発着ならば、約十万八千トンの排出量というふうにも推計されるわけです。こういうものを見過ごしにしない、一日も早くその実態をつかんだ上での削減計画とすることを強く求めておきます。
 次に、排出比率の高い家庭における削減対策の一つとして太陽光発電があります。都は、平成二十一年、二十二年の二年間の補助事業として取り組んできましたけれども、その普及目標と実績はどうなっているでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 太陽エネルギー利用機器の普及目標は、二年間で四万件でございます。平成二十一年度の補助申請受付数は、太陽光発電が七千四百九十三件、太陽熱利用が百八十二件でございます。

○かち委員 今のお答えでは、二年間で四万件を目標にして、一年目で七千四百九十三件だったということでしたね。都会の住宅事情から積極的に取り組もうとしても、ビルの谷間で日陰になってしまい、十分な電力が活用できないとか、マンション比率の高い中で、既存のものには適用困難など、さまざまな課題もありますけれども、一般家庭では平均二百万円の投資に対し、現在、都から三十万円、国から二十一万円の補助と買い取り制度があり、自治体の独自補助などもあって、ある程度の普及が進んだと思いますけれども、今後、都の補助制度がなくなる中で、普及目標を達していくことができるのかどうかという懸念があります。
 都としては、最終的にどの程度の普及を図っていくつもりなのか、また、その根拠はどういうものでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 住宅用太陽エネルギー利用機器の補助事業は、二十一年度、二十二年度の時限事業でございまして、当時、冷え切っていました太陽光発電市場を再び活性化させるべく、その起爆剤として取り組んだものでございます。
 都は、補助事業の実施に当たりまして、区市町村と連携しました見本市の開催などの普及啓発にも努めまして、その結果、太陽光発電は七千四百九十三件とおおむね当初想定した補助申請を受け付けたものでございます。
 太陽光発電の大幅導入、市場の活性化という所期の目標はおおむね達成しつつありまして、また業務部門におきましても、大規模な太陽光発電設備を備えた事例も出てきておりまして、こうした中、今後は買い取り制度に関する国提案ですとか、太陽エネルギー見本市などを通じまして、区市町村と連携した普及啓発に積極的に取り組んでまいります。

○かち委員 今答弁がなかったように思うんですけれども、都として太陽光発電をどの程度普及していく目標を持っていたのかということです。

○和賀井都市地球環境部長 都としては、太陽エネルギーの百万キロワット相当の設備を設置することを目標としてございます。

○かち委員 百万キロを目標にして、今四万件で約二十万キロワットぐらいだというふうに伺っておりますけれども、経済環境の厳しい中で、今後もこの目標達成に向けて普及していくためには、引き続き都の支援が必要だということを申し上げておきます。
 地球温暖化対策事業の一環として、都は、区市町村への支援を平成二十一年から二十三年までの包括事業として行っていますけれども、これまでの実績と主な内容についてお聞きします。

○吉村環境政策担当部長 区市町村に対する包括補助でございますが、平成二十一年度に創設いたしまして、二年間の実績についてですが、平成二十一年度につきましては、区部二十一、市部十二、町村部五の合計三十八の自治体にご活用いただいております。
 平成二十二年度、まだ途中でございますが、申請状況として、九月に決定いたしました一次交付の段階でございますけれども、区部で二十二、市部で二十一、町村部七の合計五十の自治体、全体の約八割の自治体にご活用いただいております。
 中では、例えば電気自動車を活用したカーシェアリング事業であるとか、中小事業者に対するCO2対策の推進の地域でのモデル事業といったさまざまな創意工夫を生かした取り組みがなされております。

○かち委員 自治体の創意工夫でさまざまな取り組みがされているということもわかりますし、そういう包括的な支援というのは必要だというふうに思うんですけれども、中でも地域の自然エネルギーの利用が進んでいるところに着目をしたわけですけれども、CO2削減のために、太陽光を初め再生可能エネルギーの活用が大いに期待されるところです。
 その一つとして、檜原村や奥多摩町、青梅市などでの間伐材を利用しての木質バイオマスエネルギーの活用、普及は、森林再生事業の推進にとっても有効です。東京の面積の四〇%を占める多摩の森林を生かし、活性化を図る上でも大いに進めるべきだと思っていますが、局としてこの木質バイオマスエネルギーの普及をどのように位置づけているでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 木質バイオマスの関連の区市町村事業でございますが、檜原村と奥多摩町におきまして、間伐材を木質バイオマスとして活用し、温浴施設のバイオマスボイラーや家庭用ストーブの燃料に活用している事業を実施しておりまして、私どもとして支援をさせていただいております。こういった事業は、森林保全とエネルギー削減の両方を促進する事業として評価できるものというふうに考えてございます。
 こうした地域の特色、特に西多摩地域の特色ということを生かした事業を推進することは、望ましいことであるというふうに考えてございます。

○かち委員 財政事情の厳しい市町村の中で、こういうものを町村の活性化の一つの起爆剤としてとらえている地域もあるわけです。しかし、今の実施状況を見ますと、二十一年度からの取り組みとしては、今年度から新たに取り組むとかいうところもあり、なかなか、単発のものなら別ですけれども、こうして継続的に取り組んでいく事業に対して三年で終わるというのは、市町村にとってみれば、非常に、これからやろうとすることに対して足踏みをさせることになりかねません。
 そういう意味で、こうした市町村の多様な温暖化対策推進のために、今後も継続的に包括支援が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 本事業、東京都地球温暖化対策等推進のための区市町村補助金制度は、平成二十一年度から二十三年度までの三カ年事業でございます。これは、地球温暖化対策等の取り組みが区市町村レベルでほとんど進んでいなかった状況の中で、三カ年に集中的に財政的支援や必要なノウハウを東京都から提供することによりまして、区市町村が新しい施策を初めて取り組む際のハードルを下げて、区市町村レベルでの温暖化対策等を推進しようという考えでございます。
 こうした取り組みを区市町村レベルで動かしていただくことによりまして、地球温暖化対策といった施策実施の重要性を区市町村の中で認識していただいて、またノウハウを職員の方に身につけていただくことによりまして、その後は、各区市町村の創意工夫を生かして、おのおのの責任において事業を実施していただくことを私どもとしては期待していることでございます。
 確かに、財政の問題とかいろいろご議論があろうかとは思いますが、今お話ししたように、補助制度の創設の目的というのはそういう考えでございますので、今後の区市町村の取り組み状況といったものを吟味する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、現在、事業二年目の折り返しを過ぎた時点でございますので、二十二年度の二回目の補助金の交付、これから予定しておりますが、また二十三年の区市町村での取り組みを我々としてはさらに拡大、充実させる、そういうことが目下の課題だというふうに認識しております。

○かち委員 大いにしっかりやっていただきたいと思いますけれども、動機づけになるというのはよくわかるんですね。それをきっかけに取り組むけれども、しかし、物によっては継続しなければならない、そういう意味で支援の強化というのも必要ですので、ぜひそのことは訴えておきたいと思います。
 次に、自動車公害と大気汚染について伺います。
 東京の大気汚染裁判の和解から三年になります。先日、年一回行われている話し合いの中で、原告団は、和解条項を果たし、大気汚染を改善するよう東京都、国、道路公団に要請し、大気汚染物質の削減への総合的な対策を求めてきたところです。
 都の二酸化窒素の経年的な変化を見ますと、一般局においては確かに排出基準を達成し、改善しているものの、自排局におけるNO2は依然として松原橋、中山道大和町、玉川通り上馬がワーストスリーに全国的に見て必ずランクされるという実態です。この事態を局としてはどのように認識しているでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 都内の大気汚染状況は、浮遊粒子状物質、いわゆるSPMが五年連続してすべての自動車排ガス測定局で環境基準をクリアし、二酸化窒素、NO2でございますが、これも環境基準達成率が年々上昇するなど改善が大幅に進んでおります。
 松原橋、大和町、上馬の三つの自動車排出ガス測定局は、NO2の環境基準を達成しておりません。これら三局はいずれも自動車交通が集中する国道と環状七号線の交差点に位置しまして、その上、松原橋は掘り割り構造、大和町と上馬は、首都高速道路がふたをするように上部が通る重層構造になっております。こうしたことから、汚染物質の拡散が進まず、局地的に高濃度になっていると考えております。

○かち委員 それぞれが地域的な特性によってこういう状況にあるんだというお話でしたけれども、NO2の大気汚染の基準については、三十二年ほど前に基準が緩和されているんですね。だから、今の基準に到達した、到達したということで、それでよしとはできない。健康上からすれば、もっと高いレベルで対策を考えていかなければいけない問題だということをいっておきたいと思います。
 そして、これらの三局について、いつまでにNO2の基準達成をする計画なのか。また、その対策をどのように考えているのでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 都は、平成二十年三月に策定した環境基本計画におきまして、SPM及びNO2の環境基準を平成二十二年度までに都内すべての測定局で達成することを目標としております。
 先ほど答弁いたしましたとおり、平成二十一年度時点では、SPMはすべての測定局、NO2も九五%の測定局で既に達成しておりまして、都内の大気環境の改善は大幅に進んでおります。
 先ほどの三局においても、ディーゼル車規制の成果や新車への代替が進んでいることなどから、NO2の濃度は低下してきております。この三局は、交通の集中や道路の多層構造など厳しい条件下にあるため、個別の対策として、国土交通省及び東京都建設局など、道路管理者がその責務において、換気施設の設置、交差点角地のオープンスペース化、大気浄化施設の設置などを行っております。

○かち委員 それぞれ大気汚染浄化装置、土壌汚染装置も松原橋ではついていますけれども、それでも状況はよくなっていないというのが現状なんです。
 局所対策については、道路管理者の責任といってしまえばそれまでになってしまうんですけれども、各局の連携によって総合的な対策が今求められていると思います。そういう意味では、TDMやロードプライシングなどについての取り組み、こういうことがどうしても必要だと思うんですけれども、その辺の取り組みはどうなっているでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 既に都においては、関係各局が連携して交通量の抑制対策に取り組んでおります。例えば民間事業者とも連携しまして、乗りかえ利便性の向上やパーク・アンド・ライドの推進などにより、公共交通機関の利用促進を図っております。
 ロードプライシングは、経済的手法による自動車交通量の抑制策の一つでございますけれども、迂回交通の確保など難しい課題がございますので、引き続き検討を行っております。

○かち委員 いろいろ取り組んでいるんですよというお話でしたけれども、これは首都高が出している雑誌なんですけれども、ここに東京大学大学院の清水准教授が書いていますけれども、首都高の中央環状新宿線が開通したこととリーマンショックの影響などで、流入交通量は大幅に減っているにもかかわらず、渋滞量は平成二十年より二十一年の方がふえてしまっているという調査報告をしております。それは、首都高の渋滞をコントロールするには、時空間的な需要を操作したり、いわゆるTDMを実施する必要があるといっているんです。
 経路の所要時間情報の提供や、オフピーク通勤の依頼、ETC限定のオフピーク時間帯の割引社会実験などいろいろやってきたけれども、いずれも大きな効果をもたらしてこなかった。首都高においても、時間帯によって料金に変化をつけるなど、新たな試みなどが必要だというふうに述べています。
 ロンドンを初め世界的にも今や道路建設推進ではなく、コントロールによって渋滞解消、大気汚染対策を進める流れになっています。国においても、本年三月にロードプライシング制度のあり方に関する報告書が出され、ようやく動き始めています。都がイニシアチブをとって推進することを求めておきます。
 次に、先月、都の環境局と環境省、環境学会共催でPM二・五に関するシンポジウムが開かれました。私も参加して学んできたところです。そこでさまざまな角度からPM二・五に関する調査結果が報告されていましたけれども、そこで、PM二・五のような微小粒子物質が人の健康に一定の影響を与えていること、また疫学的検証から呼吸器系肺がん、循環器系疾患との関連性があるということが明らかにされました。また、そこでPM二・五の二次生成において、光化学オキシダントとの関係が深いということなども聞いてまいりました。
 PM二・五については、国においてようやく新基準が昨年示されたところでありますが、環境省はこれまでにも全国二十八カ所において、暫定的にPM二・五の測定を行ってきました。その結果、都市部、非都市部、自排局の三分類で見ると、二〇〇一年から八年にかけてほとんど変化ない非都市部を除き、二〇〇一年当初は基準値よりかなり高値であった自排局においても、だんだん減りつつあるという状況ですけれども、基準値には達していない状況です。
 環境局においても、都内四カ所でこれまで測定をしてきましたけれども、その傾向と要因はどのようになっているでしょうか。

○山越環境改善部長 都は他の自治体に先駆けまして、平成二十一年度に環境基準を設定する前の平成十三年度から大気中の微小粒子状物質、いわゆるPM二・五の連続測定を開始しておりまして、現在四カ所で測定しております。
 この測定方法は、昨年国の設定した測定方法とは若干違いがありますが、環境基準が年平均で一五マイクログラム・パー・立方メートルという水準であるのに対しまして、都内の平成十三年度のPM二・五濃度は、同じ単位、マイクログラム・パー・立方メートルでいいますと、二六から三四という値であったものが、平成二十一年度には一四から一八という水準に低下したものでございます。
 このように、これまでの粒子状物質全体の対策によりまして、この八年間で五割弱の低減という大幅な改善が進んでおるところでございまして、その主な要因は、ディーゼル車規制、廃棄物焼却炉対策及び揮発性有機化合物対策等の効果であるということでございます。

○かち委員 平成十三年度時点よりも五割近く減っているという状況でありましたけれども、しかし、まだ一四から一八ということでは、基準を超えている状況にあります。その基準値も、新測定器できちんとはかっていないということもあるし、たった四カ所ということもありますので、これはやっぱり全測定局ではかっていく必要がどうしてもあるだろうというふうに思います。
 PM二・五の生成過程とオキシダントはどのようにかかわっているのか、また都内におけるオキシダントの測定状況、傾向はどのようになっているでしょうか。

○山越環境改善部長 オキシダントの最近の傾向でございますが、平成二十一年度の都内の大気環境中のオキシダントの年平均値は〇・〇三ppmで、前年度から横ばいでございまして、ここ十年間を見るとやや増加傾向にある状況にございます。
 また、PM二・五の二次生成でございますが、硫黄酸化物、窒素酸化物等のガスが主原因となって粒子化するものでございまして、その過程ではオキシダントが関与すると言われてございます。しかしながら、このPM二・五の生成メカニズムについては、いまだ解明されてない部分も多く、調査研究を進めているところでございます。

○かち委員 年平均では〇・〇三ppmということでしたけれども、先ほどのご質問でもありましたけれども、しかし夏に集中していて、そして基準値は過去に一度もクリアしたことがないという、こういう特殊なオキシダントの状況があって、これが今また少しずつふえているということは、やはり注目をしなければならないと思います。
 そして、PM二・五の生成に、そのメカニズムがどうなっているかというのは、解明がまだできていないということですけれども、深くかかわっているという点では、このオキシダントの削減ということも大変重要だと思いますし、PM二・五の一次生成に深くかかわってきたNOxや二酸化硫黄など、ディーゼル車対策やNOx・PM法などで改善はしてきたものの、新たな課題に今直面しているんだというふうに思います。
 二次生成とも深くかかわりのある光化学オキシダントを含めたPM二・五に対する今後の取り組みを伺います。

○山越環境改善部長 先ほど申し上げましたとおり、PM二・五の濃度は、これまで取り組んできました粒子状物質全体に係る対策により大きく改善してきております。そのことから、今後もこれらの対策を着実に推進していくことにより、一層の低減を図ってまいります。
 また、「十年後の東京」の実行プログラム二〇一〇に記載していますとおり、今年度から三カ年で都の七十八測定局すべてにPM二・五の測定器を設置する予定でございます。これにより、削減の状況を把握しながら効果的な対策を進めていきます。

○かち委員 米国などでは、一九八〇年代に微小粒子物質の健康影響に関する疫学的知見が蓄積されてきています。九七年にはPM二・五の環境基準を定め、二〇〇六年にはその環境基準を厳しくする改定を行っており、現在さらに厳しいレベルの基準改定が検討されているとのことです。
 こうした動きに対し、日本における対策はまだまだおくれているといわざるを得ません。その意味でも、まだまだ未解明な点が多いPM二・五などのモニタリングと生成メカニズムの解明など、調査、分析が不可欠です。「十年後の東京」に掲げた計画、全測定局で新基準に対応した測定を三年間で着実に推進、実行されることを求めて、質問を終わります。

○興津委員 それでは、総括的な環境局に対する質疑が続いていますが、私は、この事業概要にあります、その中から個別事業について何点かお伺いさせていただきたいと存じます。
 まず一点目といたしまして、屋上緑化についてお伺いいたします。
 屋上緑化は、事業概要にもありますとおり、平成十九年六百四十五件、二十万五千九百七十平方メーターから、平成二十一年には四百五十二件、十七万六千五百二十七平方メーター、残念ながら減少しつつあります。申し上げるまでもなく、屋上緑化は、温暖化対策、ヒートアイランド対策として、その有用性はあると思います。
 まず、東京都といたしまして、屋上緑化の有用性について科学的検証を踏まえ、効果をどのように判定しているか、お伺いします。

○長谷川自然環境部長 屋上緑化は、建物の上部を、樹木や草花などを植えることで緑化を行う取り組みでございまして、ヒートアイランド現象の緩和、ビルの省エネ等の効果がございます。
 ヒートアイランド現象の緩和につきましては、環境局の調査では、夏場の日中、屋上緑化をした区画としない区画を比較しますと、屋上緑化をした区画の表面温度の方が、しない区画に比べまして、二十五度程度低くなるという結果が出ております。
 また、ビルの省エネ効果につきましては、環境局、民間団体などによる調査では、屋上緑化した建物におきまして、夏場のエネルギー消費量が減り、その効果が見られました。

○興津委員 ご答弁ありがとうございます。温度という部分に関しましては、これだけいい効果が出ているということがわかりました。そのほか、例えばクーラー等を使うのであれば、消費電気量ですとか、その辺の科学的な検証も、ぜひ踏まえていっていただきたいと思います。多少、検証も、難しい方程式があるようなんですけれども、ぜひ、その辺も今後の施策に生かしていただきたいと思います。
 次に、市区町村において、独自に屋上緑化に対して補助しているところもあると伺いました。私の地元である国分寺市も対応を進めているところでありますが、その有用性があるのであれば、東京都として積極的にこの施策推進を図るべきというふうに考えています。今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○長谷川自然環境部長 都は、平成十三年度から、自然保護条例に基づく緑化計画書制度によりまして、一定面積以上の敷地において建築物の新築等を行う場合に、屋上緑化等を義務づけております。
 屋上緑化を推進していくためには、こうした義務づけにあわせまして、制度についての継続的な周知も必要でございます。これまでも屋上緑化についての普及啓発を行ってきているところでございますが、今後も引き続き、屋上緑化の必要性や効果、緑化計画書制度の手続などにつきまして、事業者に対してPRを行ってまいります。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。そうですね、義務づけをしているということから、その推進をということで図っていらっしゃるということでありますが、これも民間業者さんを中心にこの義務づけをされても、建築許可等々に関しましては、これが必要であるということになるでしょうから、それは推進されるということに一方ではなると思いますが、ただ、きょう現在ある、もう既に建っているような小さなビル等々に関して、これは屋上緑化、もし本当に有用性が高く、これを東京都として推進していくんだという立場に立つのであるならば、東京都として新しい補助制度の創設とでもいいましょうか、そのような方向性も考えていくべきではなかろうかと、私は思っております。
 屋上に土を載せるということになりますと、防水工事ですとか、非常に費用もかかるんだろうというように拝察もいたしますので、その辺も視野に入れて考えていかれればいいのではなかろうかなというふうに、私は思っております。検討していただければと思います。
 では次に、校庭芝生化についてお伺いいたします。
 (資料を示す)手元にいただきました、この資料なんですけれども、大田区の新宿小学校というところの写真が掲載されています。この表紙には、はだしで走り回っている子どもたちの写真やら、芝生に寝そべっているお子さんたちの写真がありまして、子どもたちの生き生きとした表情があります。すばらしい環境であるなということが一目でもって感じることができます。
 また、校庭芝生化のメリットといたしまして、この中に、都市環境を改善します、子どもの遊びが変わります、子どもの心に落ちつきと潤いを与えます、地域の教育力が上がりますと、まさしくこの施策のねらいが掲げてあります。非常によい施策であると私は感じているところであります。
 積極的に、この事業に関しては推進すべきであるというふうに私は感じていますが、残念ながら、平成二十一年度実績において、予算額二十億二千二百五十万五千円のところ、決定額は八億七千七百九十六万三千円、半分にも至っていないということであります。芝生化実施校は三十四校、面積にして四万一千百四十七平方メーターにとどまっているのが現状です。
 この施策がなかなか進んでいない現状を打破すべきというふうに考えています。この事業が思いのほか進捗していないのは、何か抜本的な取り組みの難しさがあるのではないかと私は感じますが、市区町村と地元の皆様との協力を仰ぎつつ、推進に向けての取り組みは強化すべきであろうと考えておりますが、今後の東京都の取り組み及びその目標をお聞かせいただきたいと思います。

○長谷川自然環境部長 校庭の芝生化は、都市の緑化や子どもたちへの教育効果など、さまざまな効果がございます。都では、これまで学校現場や地域からの要望を踏まえまして、面積要件の引き下げなど補助制度の拡充を図りました。また、芝生の専門家の学校への派遣や芝生リーダーの養成などの取り組みを行いまして、昨年度末までで、都内の公立小中学校百七十五校を芝生化しているところでございます。
 今後の目標につきましては、「十年後の東京」実行プログラム二〇一〇におきまして、平成二十二年度から二十四年度の三カ年で、三百三十校の公立小中学校を芝生化するとしております。
 校庭の芝生化をさらに進めるためには、区市町村や学校、地域の方々の理解と協力が必要でございます。都としましては、これらの方々に対する情報提供や、芝生の維持管理への支援を引き続き実施してまいります。

○興津委員 わかりました。取り組みと進捗状況、あるいはその目標をお聞かせいただきました。まさに、ここで、三年間で三百三十校ということで、環境局さんの方は、今、目標を掲げられたわけでありますが、ということは、これ、一年間で平均で百校を一応進められるということになるんでしょう。といいましても、平成二十一年度に関しまして三十四校という実績でもありますので、これはなかなか、いうはやすく行うはかたしというところもあるのかもしれません。
 つまり、先ほども申し上げましたとおり、二十億あるところでもって決定額が九億円弱ということですので、半分に至っていない。ある意味もったいないと私は思うんですね。ですので、せっかくあります、この予算を実体につなげていただいて、子どもたちの教育環境を整えていただきたいということを--教育環境を整えると同時に、環境環境を整えていただきたいというふうに思っているところでありますが、なかなか進捗しないというのは、何か制度設計もちょっと難しいところがあるのかなというような感じもいたします。その辺も含め、使いやすい施策をぜひ検討していただきたいというふうに、これもまた要望させていただいて、次に参りたいと思います。
 次に、産業廃棄物処理業者への規制、指導等についてということで、ご質問させていただきます。
 先ほども、島田委員の方からも指摘がありましたけれども、産廃物に対する指摘でありましたが、私の質問は産業廃棄物についてでありますが、産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物であり、都内では年間約二千四百万トンの排出量があります。かつて産業廃棄物といえば、悪質業者による不法投棄事件や不適正処理が社会問題化した時代もありました。こうした不適正な処理を未然に防止し、あるいは再発を防止するためには、実際に産業廃棄物の処理を行う処理業者に対する適切な指導が欠かせないと、私は思います。
 そこで、まず、現在の不法投棄の状況についてお伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 不法投棄などの不適正処理をなくすことは、良好な生活環境を確保する上で重要でございます。都は、広域的な不法投棄対策としまして、福島県から静岡県にわたる二十九の自治体で構成される産廃スクラムにおいて、パトロールの強化や、廃棄物運搬車両の一斉路上調査を実施しております。
 また、平成十九年度から、不法投棄につながりやすい建設廃棄物について、その発生場所である建物解体現場に対し、産廃Gメンを活用いたしまして、年間一千件を超える立入指導を行っております。
 これらの結果、関東一都六県での不法投棄件数は、平成十五年度の三百九十一件から、二十一年度では九十一件と、四分の一以下に減少しております。

○興津委員 わかりました。ただいまご答弁いただきましたように、不法投棄は減少傾向にあると。ということは、環境負荷の低減の視点からもいいことであると思いますし、東京都の取り組みは、処理業者の適正処理に関する意識の向上などに、その要因があったのかなというふうにも受けとめております。
 また、業者自身の意識も向上しているとは思いますが、都は昨年度より、処理業者の取り組みや処理施設などを評価する第三者評価制度をスタートさせました。優良な処理業者を評価する制度というふうに承っていますが、改めてその目的をお聞かせいただきたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 持続可能な循環型社会を発展させていくためには、その担い手であります産業廃棄物処理業者を育成し、処理業界の信頼性の向上を図っていく必要がございます。第三者評価制度は、健全な産業廃棄物処理、リサイクルビジネスの発展を目指し、処理業者の任意の申請に基づきまして、産業廃棄物の適正処理、資源化、さらには環境に与える負荷の少ない取り組みを行っている優良な業者を評価、認定する制度でございます。

○興津委員 ただいまご答弁いただきましたとおり、この制度は、健全な産業廃棄物処理の発展を目指す制度であると思います。また、循環型社会を構築する上では、より一層の普及を図っていくことが大事だろうというふうに思います。
 そのためには、廃棄物を排出する事業者が優良な処理業者を選定する必要があります。優良業者が多く選定されることは、産業廃棄物の適正処理の促進にもつながっていきます。こうした意味で、制度普及に向けては、処理業者だけでなく、排出事業者への働きかけも必要だと思いますが、その辺いかがでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 第三者評価制度が有効に機能するためには、排出事業者に対する働きかけも重要であり、都はことし初めから、排出事業者向けの制度説明会を七回にわたって実施し、一千を超える参加者を得ました。排出事業者の間では、産業廃棄物処理の委託に当たって、第三者評価制度の認定業者を活用したいという声も多く聞かれました。今後も引き続き、排出事業者への説明会を開催するなど、各種業界団体と連携を図り周知してまいります。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。そうですね、排出業者さんの方に、第三者評価の評価を得たという会社さんが選定されるということは非常にいいことなんだろうというふうに私も思っていますが、排出業者さんへの働きかけはわかりました。
 この制度を普及していくためには、さまざまなツールを使って第三者評価の活用を促進していくことも重要だと思います。例えば、都が事業者として廃棄物を排出する場合には、認定業者を優先的に活用していくというのも一つの手ではなかろうかと、私は思っております。この制度は始まったばかりであり、認定業者をふやしていくということが重要であるとも思いますので、こうしたインセンティブの構築も含めて検討をしていただければと思います。
 入札等々に関してですけれども、こういった優良な業者さんというのは、それなりに、事業執行するときには費用もかかることになるんだろうと思いますので、そういったことも含めまして、そういったような、インセンティブのような点があればいいかなと思いますので、それもまた、ぜひ検討していただきたいと思いまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○山田委員 それでは、私は、環境局に事務事業について何点か質問をさせていただきたいと存じます。
 まず初めに、緑施策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今、興津委員からもお話が、若干触れられておりますけれども、私もちょっと重なる点があろうかと思いますが、その点についてはお許しいただいてお答えいただければと思います。
 都市における緑は、都民に潤い、あるいは安らぎを与えるだけでなく、都市防災やヒートアイランド対策などの都市環境の改善、あるいは美しい景観の創出、あるいは生態系の保全への寄与など、その役割はますます重要であり、多様であると思っております。
 みどり率を見てみますと、区部では約二四%、多摩部では七二%であり、平成十年からの五年間のみどり率の変化を見てみますと、区部では一ポイント、多摩部では二ポイント減少しているということでありまして、東京の緑については、依然、減少の傾向にあると思います。東京の緑を少しでもよみがえらせるためにも、東京でも、緑の保全あるいは創出に関する取り組みは大事でありますし、積極的に取り組んでいただければと思う次第であります。
 私の地元、西東京市は、平成十三年に田無と保谷市が合併をいたしまして、西東京市が誕生いたしました。その際、新市建設計画の中で重点事業として、その当時、東京大学原子核研究所というのがあったんですが、それの跡地を買収いたしまして、いこいの森公園という公園を開設いたしました。面積約四・四ヘクタール、約百億円の予算をつくりましたけれども、この公園によりまして、自然観察のできる池とか、あるいは武蔵野の雑木林とか、これは隣に東京大学の東大農場がありますので、その東大農場、あるいは演習林もありますので、その演習林と相まって西東京市民の憩いの場として大いに活用されております。
 私ども西東京市では、こうした緑に触れさせていただいておりますけれども、東京全体の緑に目を向けてみますと、都心でも明治神宮とか皇居などのまとまった緑があります。また、区部周辺から多摩東部にかけての台地部には、武蔵野の面影を残す雑木林も残っておりますし、さらに、多摩地域には貴重な里山が丘陵地を中心に存在するなど、東京には多様な緑がございます。
 都は、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるため、オール東京、各局連携によりまして、緑の東京十年プロジェクトを平成十九年度から積極的に推進しておりますが、これは都の取り組みだけでは限界があると思いますし、やはり、都民、企業あるいはNPOなど、さまざまな主体の協力なしにはなし得ないのではないかと考えるものであります。
 そこで、何点か質問をさせていただきますが、まず、緑の創出と保全に向けての、これまでの緑の東京十年プロジェクトの中で、行政として具体的にどのような取り組みがなされたのかをお尋ねいたします。

○鈴木緑施策推進担当部長 都は、緑の創出と保全に向け、全庁横断的に、緑の東京十年プロジェクトを展開しております。このプロジェクトの中で、あらゆる都市空間において積極的に緑を創出するため、海の森の整備、校庭の芝生化、街路樹の倍増や都市公園、海上公園の整備など、公共施設等の緑化に取り組んでおりまして、二十一年度までの三カ年で、新たに三百ヘクタールを超える緑を創出しております。
 また、開発に際しての緑の創出などにより、質の高い緑を確保していくために、平成二十一年三月に自然保護条例を改正いたしまして、大規模建築物の緑化基準を定めています緑化計画書制度を強化するなどの取り組みを行っております。

○山田委員 緑の創出についての取り組み、あるいは成果について、今、ご答弁いただきましたけれども、かなりの成果を上げていることは評価いたしますが、東京を緑あふれるまちに再生して、次世代に生きる子どもたちに緑を引き継ぐためにも、ひとり東京都が頑張って取り組むだけでは、なかなかその実現は難しいと思いますし、やはり、都民や企業などの社会のさまざまな主体が協働をして、緑のムーブメントを起こしていくことが重要であると思います。
 そこで、企業の公共的な活動として、緑化事業への取り組みを行っている企業も多く、緑を守り育てるためには、都民一人一人の努力はもとより、こうした企業との連携が必要であると思います。企業との連携については、さまざまな手法があるかと思いますが、緑の東京十年プロジェクトでは、募金などの民間資金を効果的に活用することを基本的な考え方として挙げております。平成十九年十月に緑の東京募金を創設して、その活動をしておると思いますが、そこで、緑の東京募金におきます企業との連携の状況についてお伺いをいたします。

○鈴木緑施策推進担当部長 緑の東京募金は、今お話にありました緑のムーブメントを具体化し、都民や企業などの幅広い賛同を得まして、緑あふれる東京を再生するために、平成十九年十月に創設されました。
 この募金には、本年十月末までに約六億六千五百万円を超える寄附をいただいております。この内訳を見ますと、約八割が企業のCSR活動の一環としての寄附でございまして、そうした視点を持つ多くの企業は、緑の東京募金に協力をしていただいております。
 企業からの寄附の方法を見ますと、通常の寄附のほかに、販売利益やイベント参加費用の一部の寄附、チャリティーオークション、金融機関におきましては、定期預貯金残高の一定割合を寄附するエコ定期など、都民などのお客様が商品を購入することや金融機関へ預貯金をすることなどが寄附につながるといった、さまざまな工夫を凝らした募金の取り組みが行われております。最近ではこうした方法の募金の取り組みは大きく増加しておりまして、企業からの寄附を通じまして、間接的にも、都民も、緑の東京募金へ貢献していただいている状況となっております。

○山田委員 ただいま寄附などの連携について、寄附が、都民と協働して、連携して、募金という形で緑化の推進にかかわっているというお話をいただきました。こうした企業の積極的な姿勢は大きく評価するところでもございます。
 企業の社会的な責任、公共的な社会活動に貢献するという、こういう活動は、金銭面の活動、協力のほかに、人的な資源の活用もあると思います。こうした人材を緑のために活用していくということができると考えるわけでありますけれども、都におきましても、こうした企業の人材をNPOなどと連携させる仕組みとして東京グリーンシップ・アクションがありますが、この仕組みの内容についてお伺いをいたしたいと思います。

○長谷川自然環境部長 東京に残されました貴重な自然環境を回復するためには、行政だけでなく、企業や都民の方々などと連携していくことが重要でございます。都では、平成十五年度から東京グリーンシップ・アクションとして、企業、NPO、都が協定を結びまして、連携して保全地域の下草刈りや間伐作業などを行っております。
 この仕組みにおける各主体の役割といたしましては、企業は、活動のための資金を提供するとともに、実際に活動を行う社員ボランティアを参加させております。また、NPOは、企業が提供する資金を活用して、プログラムの作成や現場での指導を行っております。これに対して、都は、保全地域をフィールドとして提供するとともに、企業とNPOとの橋渡しを行うなど、各主体がそれぞれの役割を果たし、この事業が円滑に進むよう調整を図っております。

○山田委員 今ご説明によって、東京グリーンシップ・アクションの内容、企業とNPOと連携をするという、こういう活動はよくわかりました。この仕組みの実績、実際に、その実績についてはどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。

○長谷川自然環境部長 東京グリーンシップ・アクションは、平成十五年度から事業を開始しております。事業開始時には、一つの企業が一カ所で活動していただけでございましたが、平成二十一年度には、二十九の企業、団体が十カ所で活動を行うまでになっております。自然環境に対する企業の関心の高まりを受けまして、この仕組みに参加する企業や団体が開始時に比べて大きく拡大いたしております。また、参加した企業につきましては、ほとんどの企業が、この活動に継続して参加していただいております。

○山田委員 平成十五年度の事業開始時のときには、一つの企業が一カ所だったのが、二十一年度には、二十九の企業、団体が十カ所で活動しているということでございます。これだけの企業や団体が自然環境の回復のために参加するということは、社会的な大きな戦力になると思います。また、この活動に参加した企業の社員の自然環境に対する関心を高めるという効果もあるのではないかと思います。
 自然環境創出のために、行政だけでなく、NPOや都民の協力が必要であり、とりわけ社会的存在としての企業の役割に注目をして、募金や、あるいは人材の点から、このような活動をしているということに対しての、今、質問をさせていただいたところであります。
 東京グリーンシップ・アクションの実績などからも、今後ますます、企業の社会的貢献活動に対する意欲は向上していくことと、私は考えております。こうした中で、都として、自然環境の創出のために企業との連携をどのように展開しているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○長谷川自然環境部長 都は、都内に残されました貴重な緑を保全するとともに、緑化計画書制度や校庭の芝生化などの事業を展開することによりまして、新たな緑を創出し、自然を回復する取り組みを進めております。
 こうした取り組みに加えまして、自然環境の保全活動に関心を持っていただいている都民の方々、NPOや企業と連携する仕組みを整えていくことが都の役割として重要でございます。現在、都では、緑の東京募金や東京グリーンシップ・アクションなどを通じまして、企業などと連携する取り組みを積極的に展開しているところでございます。
 今後とも、情報提供や活動の支援を行うことによりまして、こうした自然環境に対する都民の方々、NPOや企業の参加意欲を高め、緑の創出に参加する主体をふやす取り組みを引き続き推進してまいります。

○山田委員 これで、今、緑の施策については質問を終わらせてもらいますけれども、ぜひ、こういう施策を積極的に推進していただくと同時に、都民の皆様に多く周知をしていただくように、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、地球温暖化対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 この質問についても、他の委員の方からご質問ございましたけれども、また私の方からも、あわせて何点かご質問させていただきたいと思います。
 都は、ことしの四月から国に先駆けて、大規模事業者に対するキャップ・アンド・トレード制度を導入いたしました。これまで、国や都制度の対象となっていなかった中小規模事業者に対しても、本格的に温暖化対策の取り組みを開始したところでもあります。中小企業事業者は、業務、産業部門の約六割のCO2を排出しておるということでありますし、その対策が重要であると思っております。
 我が党は、さきの第三回定例会の代表質問の中で、中小規模事業所の省エネ設備の導入費用を助成する省エネ促進プロジェクトについて取り上げさせていただき、このプロジェクトが温暖化対策の推進とか、あるいは中小企業の設備更新の拡大にもつながりますし、あるいは経済波及効果も生み出すという、三方よしの取り組みであるということで高く評価をいたしております。
 そこで、改めて、この事業のねらいをお伺いいたしたいと思います。

○山本環境都市づくり担当部長 省エネ促進プロジェクトのねらいでございますが、このプロジェクトは、CO2削減とコスト節減につながる省エネ対策が十分でない中小規模事業所に対して、省エネ設備の導入のきっかけをつくり、自主的な省エネ対策を促進するものでございます。
 また、このプロジェクトで実現されましたCO2削減量を都内の中小クレジットとして認定いたしまして、キャップ・アンド・トレード制度における大規模事業所の削減義務に充てることができるものでございます。
 このように、省エネ促進プロジェクトと都内中小クレジットは、キャップ・アンド・トレードという規制的な手法を活用して、削減義務のない中小規模事業所の温暖化対策を誘導する仕組みでございます。

○山田委員 このプロジェクトによりまして創出されるCO2削減量が、都内の中小クレジットとして、大規模事業所の総量削減義務の履行に活用されるということでありますが、先日、このプロジェクトの第一回の募集の結果が公表されました。このクレジットの創出状況、募集結果について、都の評価についてお尋ねをいたします。

○山本環境都市づくり担当部長 第一回の募集結果でございますが、最終的に、四十一件に対して約十三億円の助成金の交付を決定いたしました。交付決定の案件につきましてですが、CO2削減率の見込みについては平均で一四・一%、削減見込み量としまして五十七・二トンと、申請条件でありますCO2削減率六%、削減見込み量十トン以上という条件を大きく上回った結果になってございます。
 また、都内の中小クレジット創出見込み量につきましては、五年間で合計約八千六百トンでございます。これはおおむね都立大塚病院で排出します一年間のCO2排出量に相当するものでございます。
 こうした結果から、第一回の募集につきましては、順調なスタートを切ることができたというふうに考えております。

○山田委員 今、順調なスタートを切ったということでございますけれども、今後、省エネ促進プロジェクトを初め、中小規模事業所に対する温暖化対策を一層推進していただくためにも、都内に約六十九万、先ほど説明もありましたけれども、六十九万といわれます中小規模事業者に対して、着実に制度の周知を図っていくことが重要だと考えておりますが、今後どのような取り組みを進めていくのか、見解をお伺いいたしたいと思います。

○山本環境都市づくり担当部長 中小規模事業所に対する制度周知についてでございますが、これまで、東京商工会議所や東京法人会連合会と連携して取り組んでまいりました。この結果、先日、省エネ促進プロジェクトの第二回の募集説明会を開催したところ、三日間で千名を超える参加者がございました。
 また、このプロジェクトの申請の前提となります省エネ診断の受け付けにつきましても順調に伸びていますことから、十二月から始まる第二回の募集申請につきましては、前回を上回ることが予想されております。
 今後とも、セミナーの開催など、中小企業関係団体との連携を密にし、都の制度周知を図り、中小規模事業所の温暖化対策の推進に努めてまいります。

○山田委員 私は、このプロジェクトは、経済成長あるいは環境対策の両立を目指すものとして、施策の効果の高い取り組みであると思っております。今後とも都は、先駆的な取り組みを進めていただいて、低炭素型の都市づくりのモデルとして、この事業をしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 それでは最後に、地球温暖化対策の今後の取り組みについて、大野局長の方から決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○大野環境局長 都が本年四月から導入しましたキャップ・アンド・トレードは、もちろん、これは東京のCO2削減に非常に大きな役割を果たすものでございますが、同時に、我が国の環境技術の利用を促進しまして、新しい経済成長を生み出す契機になるものであるというふうに考えております。
 実際、この制度は四月から始まったばかりでございますが、従来の自主的な取り組みの枠を超えて、今まで見られなかったレベルの省エネ投資が都市開発で進んでおります。一例を申し上げますれば、カーボンハーフビルというふうに呼んでおりますけれども、自然採光を使ったり、輻射式の新しい冷暖房システムを導入するというふうにやりまして、今まで以上、半分以上のCO2を削減するというビルが、多くのディベロッパーによって建設が進んでおります。
 また、先ほどご質疑いただきましたように、省エネ促進プロジェクトにおきましては、今までESCO事業者というのは、大規模事業所に対しては昨年提案をしておったんですけれども、ESCO事業者が中小規模事業所に対しても取り組みを開始すると、こういう新しいビジネスの展開も始まっております。
 このように、都のCO2削減の取り組みが、新しい環境技術の開発やビジネスの拡大に結びついていると考えております。今後とも、都は、大規模なCO2削減を目指しまして、温暖化対策に積極的に取り組むことで、東京の活力を維持し、さらなる発展にも寄与してまいります。また、こうした環境と経済が両立するというモデルを、その成果を、他の道府県でございますとか、大都市にも示すことによりまして、地方発の日本の気候変動対策の展開にも貢献してまいりたいと、このように考えております。

○山下委員 それでは私からは、まず環境局の広報の取り組みについて伺います。
 東京都は、世界一環境負荷の少ない都市の実現に向けて、世界で初めて都市型のキャップ・アンド・トレード制度を導入するなど、日本国内はもとより、世界に向けて大きなニュースを発信しています。また、小笠原の世界自然遺産登録に関する動きも注目されています。かつて、環境行政といえば、公害問題を解決するための各種の規制が主な事業であったと考えられますが、環境の世紀といわれる二十一世紀の今、行政は理想を高く掲げ、そこに向かって社会を誘導していく、いわば戦略が非常に重要になっていると感じます。そして、その社会の誘導に大きな役割を果たすのが広報の業務であると考えます。
 そこで、環境局の広報に取り組む基本方針について伺います。

○紺野環境政策部長 環境問題は、都民生活や事業活動と密接に結びついておりまして、その解決には都民の理解と協力をいただくことが不可欠でございます。このため、広報は非常に重要なものと認識しております。実際の広報に当たりましては、東京の環境の現状や課題、東京都の取り組みなどを、さまざまな分野や対象に応じまして、都民にわかりやすく、かつ正確に伝えていくことが重要であると考えております。
 また、一方的に情報提供するだけでなく、都民や事業者の方々にも課題を共有していただくことによりまして、環境に配慮した主体的な行動へとつなげていくことが重要であり、こうしたことを基本に広報を展開するものでございます。

○山下委員 確かに環境局は、都民にわかりやすいセミナーやイベントなどを数多く開催していますね。私自身、放送局でニュース報道に携わっていた者として、高い理想を掲げながらも、さまざまな世代や立場の人々に身近なものとして、環境への理解を促す東京都環境局の事業展開と広報活動は評価できると考えております。
 環境局のセミナーやイベント開催のプレス発表を見ますと、そこには目標や施策に関する分類の数字が記載されていて、環境都市へと社会を誘導するための戦略が感じられます。どのような体系に基づき広報を行っているのか伺います。

○紺野環境政策部長 環境局では、先ほど述べた基本的な考え方に基づきまして、さまざまな形の広報活動を行っております。
 具体的には、キャップ・アンド・トレードに関するセミナーなど、幅広い関係者に説明会などによって先進的な取り組みの理解を深めてもらい協力してもらうような、いわゆる普及啓発型の広報、また、親子で参加できる生きもの観察会など、都民に実際の体験をしていただくことで現状の課題や今後の取り組みを学んでもらうような参加型の広報、さらに、企業による募金協力など、企業や大学に協力や参画を呼びかけることで、環境に配慮した主体的な行動を促していくような連携型の広報などに大きく分類しまして、広報を展開しております。
 また、それらに加えまして、毎年、重点テーマを定めまして、環境に配慮した行動の実践を集中的に啓発する取り組みも実施しているところでございます。

○山下委員 よくわかりました。普及啓発型の広報、参加型の広報、連携型の広報、それに加えて、毎年、重点テーマを決めての集中的な広報、どれも非常に重要で、その中でも、最後の重点テーマを決めての集中的な広報というのは、理想の社会に向かって人々をリードしていくための大事なポイントといえそうです。この重点テーマを決めての集中的な広報について、もう少し詳しくお話しください。

○紺野環境政策部長 環境に配慮した行動を促していくためには、より多くの都民にさまざまな機会を通じて啓発することが有効であるため、昨年度から、特に重要なテーマについて、雑誌、生活情報誌、あるいはラジオ、インターネットなどの多様な媒体を組み合わせまして、集中的に広報しているものでございます。
 重点テーマにつきましては、局の事業展開と連動した効果的な広報としていくために、各部が参画して全局的な見地から検討、選定しているところでございます。今年度は、家庭における地球温暖化対策を一層促していくという視点から、昨年度に引き続きまして、太陽エネルギー機器の利用促進、環境に配慮した商品の購入、公共交通機関の利用促進などを重点テーマとして広報を展開しております。

○山下委員 時代をどうとらえるか、先をどう読むか、今後も環境局の頭脳を結集して、毎年の重点テーマを選んでいただきたいと思います。
 そして、それと同時に、毎年継続して行う事業などについても、広報をさらに充実させていただくことを望みます。
 例えば、平成十九年度に創設した人材育成・認証制度、都は現在、首都大学東京、玉川大学、千葉大学、東京農工大学、法政大学、桜美林大学の六つの大学の特定の学科や専攻コースを認定して、自然環境を保全するための人材育成を推進しています。
 大学の教育現場からは、非常に人気のあるプログラムだ、インターンシップのボリュームがあり社会で役割を果たせそうだ、大企業とのネットワークもでき卒業後の進路にも役立ちそうだといった、この制度を高く評価する声が私のもとに届いています。
 東京都の認証制度のもとに学んだ学生たちが、これから順に社会に出ていきます。環境の世紀を担う人材の活動、活躍にも注目して、ニュースを発信していただきたいものと思います。
 さて、続いては、近い将来の広報の重点テーマにしていただきたいとも思う森林の育成について伺います。
 森林は、酸素を生み出すという人間にとって必要不可欠な機能を有するとともに、CO2吸収、地球温暖化防止という今日の環境問題の根幹を左右する重要な役目を担っています。その一方で、林業という産業の枠組みの中で管理されてきたがために、手入れが行き届かなく、荒廃、衰退というピンチにさらされることにもなりました。森林の問題は、現在の地球環境の縮図といってもいいのかもしれません。
 私は先日、西多摩、地元の青梅を中心にあきる野、日の出まで足を延ばし、森林を歩いてまいりました。手入れが行き届いていないと思われる地域がある一方で、所有者にかわって企業や自治体が管理をしたり、花粉の少ない杉の苗に植えかえられるなど、再生を試みる動きも見られます。また、多摩産材の割りばしを使おうとか、ペレットストーブのように木質バイオマスを用いようといった普及啓発に努めたり、みずから人工林の間伐ボランティアとして活動するなど、森林を守り育てるために頑張る人々の話題も多く聞かれるようになりました。
 このような都民目線、都民参加の取り組みは、多くの人が森林の重要性を再認識する上で大切なことといえますが、それだけでは森林が抱える問題の根本的な解決には、なかなか至らないのではないかと私は常々考えております。森林再生は、林業の振興という視点だけでは解決できない重要な課題であり、環境という観点、切り口こそが事態打開のための大きな突破口になるのではないかと考えます。
 東京都の森林、林業行政を見てみますと、環境局、産業労働局、それに水道局の三つの局が関係しています。私は、環境局が森林行政において他局をリードしていくことが重要と考えます。環境局は、どのような方針で、森林の保全、再生に取り組んでいるのか伺います。

○長谷川自然環境部長 水道局は、多摩川源流域の水源涵養等、小河内貯水池の保全を図るため、多摩川上流におきまして、公有化した森林を中心に、水道水源林として管理しております。
 その他の地域にある個人等が所有している森林への対策につきましては、産業労働局と環境局とが担っております。そのうち産業労働局は産業の観点から、林業の振興を図るため、補助金や林道の整備等の事業を実施しており、環境局は環境の観点から、森林の持つ公益的機能の保全と回復を図るため、森林再生事業を実施しております。

○山下委員 三つの局の役割についてお話しいただきましたが、環境局は三局連携のもと、環境の観点から全体をリードするという重要な役割を担っていると、私は理解しております。
 そこで改めて、環境局が森林再生事業を進めるに至った経緯を伺います。

○長谷川自然環境部長 環境局では、木材価格の低迷などによりまして、林業として経済的に引き合わなくなった結果、これまでのように森林所有者による森林の整備が行われなくなり、放置され荒廃している事態を放置できないと考えました。
 このため、森林の整備を産業面のみでとらえるのでなくて、環境の観点からとらえ直し、森林の持つ公益的機能の回復を目指して、森林の整備を行うという新たな施策を構築したものでございます。
 平成十四年度を初年度として、多摩の個人等が所有している荒廃した人工林に的を絞り事業を開始いたしました。この事業は、五十年をかけて間伐を繰り返し、森林の持つ公益的機能を再生するという長期的な事業でございます。この事業の実施に当たりましては、都は、地域の実情に明るい地元の市町村が、これからの森林行政におきまして主体的な役割を果たしていけるように、森林所有者との交渉や伐採などの作業を地元の市町村にゆだねることといたしました。

○山下委員 森林再生事業は、産業という切り口とは別に、新たに環境という切り口を前面に出して、全国に先駆けて開始された先進的な事業と認識しております。これまでの成果と、今後の進め方について伺います。

○長谷川自然環境部長 事業開始以来、これまでに約四千九百ヘクタールの森林を整備いたしました。間伐などの整備が行われました森林は、太陽の光が林内に入るようになり、例えばムラサキシキブのような植物が生育するなど、林内環境に変化が見られております。引き続き、地元の市町村の主体的な取り組みを促すとともに、連携を図りながら事業を推進し、人工林の公益的機能の回復を進めてまいります。
 また、杉やヒノキの人工林が放置され荒廃し、林業が産業として成り立たずに山間地域が疲弊していることは、東京都のみならず、全国的な問題であると認識しております。全国の自治体が個人等の所有している荒廃した森林を対象に間伐などを行い、森林の再生に取り組み、この問題の解決を図っていけるよう、先導的な役割を続けていきたいと考えております。

○山下委員 林業という産業のための森林から、環境のための森林へ、東京の森林の課題は地球環境問題である、環境局は、森林に対する価値観を変革させるべく、大きくかじを切ったといえるでしょう。世界で注目される大都市東京だからこそ、一つ一つの施策が日本各地や海外に大きなインパクトを与えます。森林を含めた東京の緑、都市と植物との共存共栄は、人類の、地球の永遠のテーマかもしれません。
 行政と都民が協力し合って緑化を進めていくという、現在展開中の緑のムーブメントも、今後なお一層推進していただきたいものと思います。高層ビル街の屋上緑化、壁面緑化、そして、私が昨年来、提案しておりますオフィスビルの室内緑化など、あらゆる都市空間の緑化を進めて、世界一環境負荷の少ない都市東京を実現していただきたいと考えます。東京から世界を変える、東京発信の緑のムーブメントが世界を駆けめぐることに期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○石森委員 それでは、私からは、少しローカルな質問になりますけれども、大きく二つのテーマについてお尋ねをしたいと思います。
 最初に、島田委員からツキノワグマのお話がございましたけれども、ツキノワグマあるいはニホンジカの野生鳥獣についてお伺いいたします。
 私の住む八王子市は、豊かな自然が残されておりまして、タヌキ、猿、アライグマなどの野生鳥獣を見かけることがたびたびございます。貴重な自然が残されているあかしかもしれませんけれども、地域に暮らす住民にとっては、農作物への被害を与え、天井裏にすみついてしまって生活が脅かされるという厄介な生き物でもございます。
 そういった中、都では平成二十年四月に、第十次鳥獣保護事業計画を策定して、人と野生鳥獣との共生を図ることを基本としながら、野生鳥獣を適切に保護、管理するためにさまざまな事業を実施しております。しかし、多摩地域西部では依然として、猿やイノシシによる農作物被害が続いておりまして、計画に示されている人と野生鳥獣との共生を図ることが困難な状況にあると思われます。
 そこで、農林業被害を初めとする野生鳥獣による被害に関する問題に、都としてはどのような対応をしているのか、まず、お尋ねしたいと思います。

○長谷川自然環境部長 野生鳥獣による農林業被害につきましては、産業労働局が第二次東京都獣害対策基本計画を平成十八年度に策定しまして、農林業従事者などの理解と協力を得ながら、環境局や市町村と連携をしまして、獣害防止ネットの設置補助などの対策を進めております。
 環境局におきましては、市町村からの有害鳥獣捕獲申請について、不必要な捕獲が行えないよう指導するとともに、農業被害の拡大に合わせまして、事務手続の円滑化や、わな捕獲に関する技術的な指導を行っております。
 また、ツキノワグマにつきましては、個体数の減少が危惧されており保護策が必要とされたため、平成二十年四月一日から狩猟禁止といたしましたが、都民の安全を最優先し、クマが人を襲ったり、襲うおそれがあるときには直ちに対応がとれるよう、事前に多摩の市町村に対し捕獲許可をしております。

○石森委員 環境局といたしましては、保護する立場でありますから、踏み込んだ対応というのは限界があろうかと思いますけれども、人と野生鳥獣との共生を目指して、農林業被害についても産労と連携して対応しているといった、そんなご答弁もいただきました。
 さらに、全国的に大きな被害を発生させているシカについてお伺いをしたいと思います。東京におきましてもシカの生息数が増加していて、奥多摩町では、近年、食害によって土砂が流失し水道水源に大きな被害が生じたほか、農林業にも深刻な被害が発生している状況にあります。このような現状を踏まえまして、都ではシカ保護管理計画を策定して、本格的にシカ対策を進めておりますが、現在の被害状況並びに被害のあった地域の復旧作業はどの程度進んでいるのか、お伺いをいたします。

○長谷川自然環境部長 奥多摩町で発生しました平成十六年の土砂の流失により、水道の取水施設が被災したことから、平成十七年九月に東京都シカ保護管理計画を策定いたしました。その後、平成二十年三月に第二期シカ保護管理計画を策定し、環境局、産業労働局、水道局などが連携して、シカ対策を継続実施しております。
 シカの食害により水道の取水施設が被災したような深刻な被害は、治山事業などにより復旧しております。ただ、減少傾向にはございますが、ワサビなどの農業被害はなくなっておらず、森林被害も、苗木の食害や樹木の皮はぎ等の被害が見られているため、防護さくなどの対策を引き続き実施しております。
 今後とも、他局と連携いたしまして、シカ対策を継続して行ってまいります。

○石森委員 引き続き、シカ対策につきましては、他局あるいは他県と連携しながら進めていただきたいと思います。
 また、テレビなどでもたびたび放映されておりますが、猫や鳥へのえさやりによって大きな社会問題となるケースも見受けられます。鳥獣保護事業計画には、野生鳥獣への安易なえづけを禁止する取り組みが盛り込まれております。公園などにおけるハトやカモなどへのえさやり防止については、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 えづけによる被害は、地域の生活環境の問題でございます。このため、住民から苦情が寄せられた区市町村では、状況の確認とえづけに対する注意を行っております。都では、都民から野生鳥獣へのえづけで困っているというような相談があった場合には、鳥獣保護員を派遣し、安易なえづけをやめるように説得をいたしております。さらに、ホームページで野生動物へのえづけ防止のお願いを掲載するとともに、区市町村と連携いたしまして、安易なえづけは、野生鳥獣が人の与えるえさに依存するようになるなどの悪影響が生じるということを啓発しております。

○石森委員 人と野生鳥獣との共生を実現するために、さまざまな取り組みが行われているのは理解できますけれども、しかしながら、現実問題として、八王子市内ではシカによる被害というのはほとんどないんですけれども、猿やイノシシ、そして外来種のハクビシン、アライグマによる農作物への被害が拡大しつつあります。既に一部の地域では、農業被害が続いているために営農意欲がなくなり、農業をやめる方も存在いたします。そんな中、八王子市では、獣害対策の一つとして、ボランティア団体である追い払い駆除隊を結成して野生鳥獣の駆除を行っておりますけれども、いまだ被害の軽減には至っておりません。
 このような状況をきちんと踏まえて、産業労働局を初めとした庁内各局や区市町村との連携とともに、ボランティア等も活用して、猿などによる被害を軽減し、ハクビシンやアライグマなどの外来種の駆除に積極的に取り組んでいただきますよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、高尾山について何点か質問をいたします。
 ここのところ、朝晩の冷え込みによって高尾山でも紅葉が始まりつつあります。高尾山を訪れる人も紅葉とともにふえ、例年、紅葉がピークを迎える十一月下旬には、人出もピークを迎えることになります。また、最近の話題では、完成すれば高尾山より三十メーターほど高くなる東京スカイツリーが、晴れた日には高尾山からはっきりと見ることができます。
 高尾山を訪れる人が安全で快適に、発展していく都心の眺望や紅葉を楽しめるよう願う者の一人として質問をしたいと思いますが、私は、ことしの第一回定例会一般質問におきまして、都民や国内外の多くの観光客により一層愛される高尾山を目指して、下水道管の延伸など、常設トイレをふやすための具体的な取り組みを一刻も早く行うべきと申し上げました。
 これに対して、平成二十二年度には、自然の保全を図りながら、下水道管を敷設するための調査を実施するといった、そんなご答弁がありましたけれども、現在の進捗状況について、まず、お伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 高尾山のトイレの関係でございますけれども、山頂にあるトイレから排水管を敷設する経路につきましては、職員が何度も斜面を歩いて調査を行いまして、敷設する経費、メンテナンスのしやすさ、景観への影響等を比較検討いたしまして、最も工期の短い、一部国有林を通過するコースを選定いたしました。それに基づきまして、現在、排水管とトイレの基本設計を行っているところでございます。

○石森委員 念願でありました山頂付近のトイレ増設に向けまして、取り組みが進んでいるといったご答弁でございました。今後は、二十三年度には詳細設計を行い、二十四年度にはトイレの増設というスケジュールになろうかと思います。ただ、これまでの進め方にこだわらないで、一刻も早く工事に取り組むべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 現在行っております基本設計は、年内には完了する予定でございます。今月には詳細設計に着手する予定でございます。通常であれば、調査から基本設計、詳細設計を経て、工事完了まで三カ年はかかるところでございますが、迅速な現地調査や排水路ルートの決定などによりまして、工期の短縮化を図ってまいりました。
 高尾山は、豊かな自然や美しい景色が楽しめるなど、都民の方々だけでなく、国内外の多くの観光客に親しまれている場所でございます。訪れた方々に高尾山の自然を満喫していただけるよう、可能な限り早く工事に着手できるよう準備を進めてまいります。

○石森委員 部長から、可能な限り早く工事に着手できるよう準備を進めていくというようなご答弁でございました。排水管設置にあわせて、いよいよトイレ増設も進められることと思いますけれども、単にトイレの数をふやすだけではなくて、その質も配慮すべきであると思います。
 ミシュラン効果で外国人観光客も増加しておりますから、高尾山に行ったが、トイレが使いにくかったというような声が出ないようにしてほしいと思います。お年寄りや子どもたち、また外国人観光客にも快適に使用してもらえるよう、使いやすいトイレとすべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 理事ご指摘のお年寄りや子どもたち、また外国人観光客の利用を考慮いたしまして、洋式のトイレの割合をふやすことが大切であると考えております。また、体の不自由な方の利用も考慮いたしまして、障害者用トイレも設置したいと考えております。量的にも質的にも、高尾山を訪れる方々が快適に使えるような環境整備を行ってまいりたいと思っております。

○石森委員 ぜひ、そのように整備を進めていただきたいと思います。
 次に、ことしは例年に比べて雪が多く、桜の花が散り始める四月の半ば過ぎにも雪が降るほどでございました。三月には湿った重たい雪が降ったために、モミの大木が折れまして、自然研究路四号路にかかるつり橋に倒れかかり、つり橋を通行できない状況が今現在も続いております。この四号路のつり橋は、高尾山のガイドブックや鉄道会社のポスターを見ると、必ずといっていいほど取り上げられている人気のスポットでありまして、若葉や紅葉の季節には、つり橋のところで記念撮影をする観光客もたくさんおります。遠くからこのつり橋を目当てに訪れても、今なお通行できないために残念に思う人も多いようでありますが、このつり橋の破損状況及び現在の復旧状況についてお伺いをいたします。

○長谷川自然環境部長 三月の降雪によりまして、モミの大木が折れて、つり橋に倒れかかり、つり橋を支える柱がねじれるとともに、つり橋を横から支えるワイヤの一部が切断されました。橋の専門家に破損状況の調査及び復旧のための設計を依頼しましたところ、橋のかけかえまでには至らずに、柱を取りかえることにより、今後も利用可能であることが判明いたしました。そこで、夏から既に柱の取りかえ工事に取りかかり、現在、年内復旧を目指して急ピッチで工事を進めているところでございます。

○石森委員 当初、今年度中なんていう話もございましたけれども、かなり急ピッチに進められているということでございまして、非常に早く完成ができるといった、そんなお話でございました。安全施工が第一でありますけれども、ぜひ、多くのお客さんが訪れる初もうで前には、何としても完成できるようにお願いをさせていただいて、質問を終わります。

○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十八分休憩

   午後五時六分開議

○橘委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤委員 私からは、レアメタルのリサイクルについてお伺いいたしたいと思います。
 レアメタルは、我々の便利な生活を支えている電子機器やIT機器の製造に必要不可欠の素材でありますが、昨今、レアメタルの一種であるレアアースの輸出を中国が規制強化するなど、にわかに資源制約の問題がクローズアップされてきております。レアメタルは、我が国の家電製品等に使われている量を換算しますと、世界でも有数の埋蔵量に匹敵するといわれ、いわゆる都市鉱山を形成いたしております。国の機関である独立行政法人物質・材料研究機構の算出によりますと、金は全世界量の埋蔵量の一六%、銀は二三%、インジウムといって、液晶やプラズマディスプレーの電極に使われているインジウムという物質は、埋蔵量の三八%と、膨大な量のレアメタルが蓄積をされているわけであります。
 現在、都は、循環型社会の構築に向けたさまざまな施策を展開しているところでありますが、これからは貴重な資源であるレアメタルについても、積極的にリサイクルすることが求められていると考えられますが、都のご見解を伺います。

○木村廃棄物対策部長 レアメタルは、電子機器の基板や液晶、モーターなどに多く使われております。これらの部品が使われますテレビなどにつきましては家電リサイクル法、パソコンなどにつきましては資源有効利用促進法により、それぞれリサイクルのシステムが整備されているほか、法の対象となっていない携帯電話につきましては、関連事業者の自主的取り組みにより店頭回収が行われております。
 一方、その他の多くの小型家電は、現状では不燃ごみとして処理され、貴重なレアメタルが十分に回収されておりません。これら電子機器などに含まれる希少資源であるレアメタルの回収を促進することが循環型社会形成の上から重要と認識しております。

○伊藤委員 先ほど、ご答弁に、不燃ごみとして処理をされているという話がありましたけれども、それだけじゃなくて、安価に海外に流出してしまっているという問題提起をする専門家もおられます。
 ぜひとも、レアメタルを回収することは非常に重要であると認識をしていただいているということでございますので、取り組みをこれからも強化していただきたいなと思いますが、使用済み小型家電は、一般廃棄物に該当するケースが多いため、回収については、一義的には区市町村の義務かと了解をしておりますが、都は、広域自治体として、これまでレアメタルの回収について、どのような取り組みを進めてきたのか、具体的な成果をお伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 平成二十年三月、都は、携帯電話などに含まれる希少資源のリサイクルを促進するため、事業者団体、区市町村代表とともに、希少金属等含有製品回収促進協議会を設置し、平成二十年十月から二カ月間、回収実験を実施いたしました。
 平成二十一年度からは、環境省及び経済産業省が実施します使用済み小型家電の回収モデル事業に、江東区と八王子市とともに参画しております。このモデル事業では、平成二十一年十一月から二十二年十二月まで、江東区及び八王子市において、ボックス回収、イベント回収、集団回収により、携帯電話、デジタルカメラを初め十一品目の使用済み小型家電を回収しており、これまでの九カ月間で約二万四千台を回収いたしております。
 都は、これらのモデル事業の成果をもとに、都内における効率的な回収方法を検討してまいります。

○伊藤委員 国の制度を使っていただいて、既に二万四千台の携帯電話が収集をされたと。かなりの量が集まったものというふうに私は考えます。今後とも、こうした事業で得られた知見を生かして、都全域に新たな小型家電リサイクルの仕組みを拡大できるよう、都の積極的な支援をお願いしたいと思います。
 一方、大型家電製品については、家電リサイクル法の中で回収されているということでありますが、来年のアナログ放送終了に伴って、多くの不用となったテレビが破棄されることが予想されます。きちんとしたルートで処理されれば問題ないが、不法投棄がふえる場合もございます。
 テレビの不法投棄防止について、都はどのように対応するのか、お伺いいたします。

○木村廃棄物対策部長 アナログ放送終了に伴いますテレビの不法投棄は、全国的な問題でもあることから、都は国に対し、家電リサイクルの徹底及びデジタルチューナーの活用等の広報を強化するよう、昨年、提案要求をしてございます。今年度は、九都県市の取り組みで廃テレビ適正リサイクル宣言として、首都圏の駅や電車内の広告を使ってキャンペーンを実施いたしました。
 引き続き都としては、一般廃棄物を所管する区市町村と連携を図りながら、テレビの不法投棄防止、適正なリサイクルの推進について計画的な周知徹底を図ってまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、今後とも国や市区町村と連携をして、レアメタルのリサイクルに取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。

○野田委員 それでは、自動車の環境対策の一つとして、エコドライブの推進について伺います。
 二〇〇七年度、都における温室効果ガス排出量総合調査によると、運輸部門におけるCO2の排出量は全体の約二五%を占めており、その約九割が自動車からの排出となっております。地球温暖化防止のため、自動車からのCO2の削減が求められております。東京都は、自動車の性能の向上や利用のあり方、環境に優しい自動車の走り方を推進していく必要があり、エコカーの普及促進に加え、より低燃費かつ安全な運転手法であるエコドライブの普及を図っていく必要があると思います。
 まず最初に、確認の意味を含めまして、エコドライブの実践による効果はどのようなものなのか伺いたいと思います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブの効果でございますが、財団法人省エネルギーセンターの調べによるエコドライブ教習会走行データによりますと、エコドライブを実践すると燃費が二〇%向上いたします。これにより、少ないガソリンでより多くの走行ができ経済的でもございます。また、交通事故について、実施前と実施後では四九%減少したというデータもあり、安全面においても効果がございます。
 このようにエコドライブは、大気汚染物質やCO2の削減といった環境面に加えまして、燃費向上や安全運転による事故防止といった経済面及び安全面へのメリットも期待できるものでございます。

○野田委員 エコドライブは、特別の経費をかけなくても燃費の向上が達成でき、だれにでも取り組めるエコであります。しかし、燃費を意識する余り、ゆっくり、のろのろ運転するということになれば渋滞を引き起こし、社会全体から見れば、かえって環境への負荷をふやしてしまうことになりかねません。
 都民へのエコドライブについての正しい知識の普及が必要とされますが、都の取り組みを伺います。

○高橋自動車公害対策部長 国が取りまとめました、いわゆるエコドライブ十カ条、これを活用しまして、あらゆる機会をとらえ都民への普及啓発を行っております。例えばアイドリングストップや、エアコンの使用を控え目にするなどはよく知れたところでございます。この十カ条の中で特に強調したいのは、発進時のアクセルの踏み方、ふんわりアクセル、例えば最初の五秒で時速二十キロを目安とすれば、燃料消費が約一〇%削減できるとされております。そのほか、不要な荷物を積まない、タイヤの空気圧を小まめにチェックすることなどがございますが、ご指摘の他の自動車の迷惑や交通渋滞を引き起こさないことも重要であり、違法駐車をしないことや、道路交通情報を活用して渋滞を避けるといった計画的な運転もエコドライブと位置づけられます。
 したがいまして、エコドライブは、単にゆっくり、のろのろ運転することではございません。

○野田委員 今、具体的な答弁がありましたので、エコドライブの方法についてはよく理解できました。自分もふんわりアクセルを心がけようと思うとともに、のろのろ運転がエコドライブではないということを都民によく知っていただくことが大切だと感じました。
 そこで、では実際に、東京を走るドライバーたちがエコドライブを実践しているのかということが問題になってまいります。私が調べたところ、運送事業者は、エコドライブの推進について社内研修等を活用し積極的に取り組んでいるようであります。しかし、自動車起源のCO2の排出量に占める車種別内訳では、乗用車が六二%を占めているとのデータもあります。
 そこで、乗用車ドライバーを対象としたエコドライブの推進が必要であると考えますが、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのかを伺います。

○高橋自動車公害対策部長 財団法人省エネルギーセンターや社団法人東京都指定自動車教習所協会、警視庁、これらと連携しまして、都内すべての指定自動車教習所、これは五十二校でございますが、その教官の代表者に東京都エコドライブインストラクター教習会を実施し、エコドライブ推進の核となる人材育成を行いました。さらに、東京都エコドライブインストラクターを活用して、区市町村及び指定自動車教習所協会が開催いたします一般ドライバー向けのエコドライブ教習会を平成二十一年度から支援をしております。二十一年度では十区市での教習会の開催を支援し、二十二年度も同様の十区市での開催を支援することとしております。

○野田委員 市区町村等との連携した取り組みは重要であり、今後も継続していってもらいたいと思いますが、国土交通省による全国道路交通情勢調査の取りまとめによりますと、都内を走っている自動車の二〇%は、都外、すなわち近隣県からの流入であるとのことです。
 そこで、エコドライブについては、より広域的な取り組みが必要であると考えますが、ご見解を伺います。

○高橋自動車公害対策部長 ご指摘のとおり、エコドライブにつきましては、広域的な連携が不可欠でございます。九都県市では、十一月をエコドライブ推進月間と定め、本年度は十一月十五日から二十九日にかけまして、エコドライブ講習会を各地で開催する予定でございます。東京都では、十一月十九日、東京都あきる野市の東京サマーランドで開催をいたします。

○野田委員 市区町村や教習所との連携のみならず、九都県市でも一般ドライバー向けの教習会が実施されているとのことであります。都民がエコドライブをしっかりと学ぶ機会があることが確認でき安心しました。これからも着実に進めていただきたいと思います。
 しかし、教習所では、キャパシティー上の制約から受講できる人数にも限りがあり、また、一度教習を受けただけでは、ドライバーが継続的にエコドライブを実践していこうという意欲を維持するのにも限界があります。教習会のみでは、大きなエコドライブのムーブメントにまで至るのは難しいかと思われます。より多くの都民への周知を図るとともに、エコドライブ教習会で身につけた技術が発揮される場の提供や、継続的なエコドライブの実施を呼びかける啓発活動などが重要であります。
 都民、事業者を巻き込んだ広範かつ効果的なムーブメントを起こしていく仕掛けが必要だと思いますが、見解を伺います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブを、都民ひいては全国に広げていきたいと考え、その起爆剤となるよう、去る十月二十四日、自治体の主催では全国初めての試みとして、東京都エコドライビングコンテストを開催いたしました。参加百三チーム、約二百十名がプロ部門、一般部門に分かれて、それぞれエコドライブの技術を競いました。また来場者数は二千名に上り、ステージでのトークショーやブース展示などにより、エコドライブの知識を深めていただきました。
 さらに、事前事後でのテレビ等での放送や参加企業内外への広報活動も積極的に行っていただきました。他の自治体等からのコンテスト実施に向けた問い合わせもございます。本コンテストに対して、都民や企業等からの好意的な反応も多く、非常に効果的かつ広範なムーブメントを起こしていくきっかけとなりました。

○野田委員 この種のイベントで二千人もの来場者があることは珍しく、また全国に先駆けて、東京がこのようなコンテストを開催したことを素直に評価いたしたいと思います。
 さて、答弁では、コンテストへの参加企業もあったということでありましたが、企業や区市などの関係者と、どのような連携を行ったのか。ムーブメントに広がりを持たせる上で重要と考えるので、伺いたいと思います。

○高橋自動車公害対策部長 各方面から注目されるような成果を上げられたのも、このコンテストが、国や地元区、事業者団体、企業など、三十二に及ぶ関係者との連携と協力のもとに実施されたことが大きな要因となっております。
 具体的には、ドライビングコンテストに当たり、日本自動車工業会や、全日本学生自動車連盟関東支部、警視庁などの協力を得て、コース設計や競技会運営を行うとともに、東京指定自動車教習所協会による、競技参加者を対象としたエコドライブ診断なども実施いたしました。
 また、地元区や協賛企業と連携してブース展開を行い、環境行政等の普及啓発を図りました。さらに当日は、各自動車メーカーの協力による最新エコカーの展示、エコカーエキスポと銘を打ちましたが、それを開催し、多くの関心を集めました。
 今後も、エコドライブを一層推進していくに当たりまして、関係団体等と連携しつつ、都民、事業者を巻き込んだ効果的な施策を実施してまいります。

○野田委員 都民や事業者とともにつくり上げた今回のエコドライブのムーブメントのきっかけを大切にし、よりしっかりとしたものに育てていっていただきたいと思います。今後とも東京都が中心となって、さまざまな関係団体との連携や協力を一層強化するとともに、さらには、九都県市との連携も強め、エコドライブの推進に取り組むことを強く要望いたしまして、質問を終了いたします。

○野上委員 私からは、まず初めに、森林の整備について伺いたいと思います。先ほど、山下委員から総論的な質問がございましたので、私からは、土地所有の情報収集について伺わせていただきたいと思います。
 昨今、外資に買収されている水道の水源地を、地方公共団体が公有地にするために買収交渉を進めているという動きが報道されております。
 この自治体の水道は簡易水道で、十五の水源のうち五つの水源が民間所有となっておりました。このうち二つの水源が転売を繰り返され、現在では、外国の資本企業が所有しているというふうに伺っております。水道水源林のような森林は、都民の安心・安全に直接かかわりのある土地であり、だれが所有しているかわからないことに対して、大きな不安を抱いておるところでございます。所有権がだれに移転され、そしてそれが繰り返されると、開発されることにもつながります。きちんとした土地の情報を収集していることが大切であると考えます。
 環境局の事業のうち、緑の保全と再生に関する事業は、土地所有者とのかかわりが非常に大きい事業であります。このうち五十年という長い時間をかけて、森林の持つ公益的機能の回復を目指している森林再生事業は、特に土地所有者の理解が必要な事業であり、所有権が簡単に移転しては、東京都としても非常に困る事業だと認識しております。
 そこで、森林再生事業の進め方について伺います。

○長谷川自然環境部長 森林再生事業は、杉、ヒノキの荒廃した人工林を対象に、都が直接、森林所有者と協定を締結いたしまして、公益的機能の回復を進めるために間伐を行っている事業でございます。事業の実施に当たりましては、都が多摩の市町村と委託契約を締結いたしまして、森林所有者の意向確認や、権利関係調査などの事務を委託しております。その事業の候補地については、事業を実施した森林所有者の方から紹介を受けたり、市町村が現場調査によって、荒廃した人工林を探し出したりしております。
 この森林の所有者の情報につきましては、森林の状況に詳しい森林組合などから入手するほか、土地登記簿謄本などの調査により、慎重に確認しております。

○野上委員 続けて質問ですが、これまで多くの協定を締結したとのことでございますが、協定の内容と、土地の転売の際の取り扱いについて伺わせてください。

○長谷川自然環境部長 この森林再生事業の協定は、協定期間を二十五年間として、事業期間中は、杉、ヒノキの皆伐及び植栽、土地の形質の変更や工作物の設置を禁止しております。加えて原則として、協定の解除ができない内容となっております。
 また、事業期間中に土地の承継があった場合、その承継者に協定の承継を義務づけております。さらに、途中譲り受け、または借り受けた者が承継を拒んだときには、間伐に要した費用を、もとの所有者の方が都に支払うことを義務づけております。このため、万が一土地が転売されたとしても、協定はきちんと承継され、森林の保全が図られる仕組みとなっております。

○野上委員 ありがとうございました。大変安心いたしましたといっていいんでしょうか、安心できる仕組みであるということがわかりました。森林再生事業のように、私有地に対し、間伐費用という税金が投入される事業においては、たとえ土地の所有権が転売されたとしても、東京都にとっては損失を出さない仕組みであるということが、よくわかりました。今後とも、土地にかかわる情報を正確に収集して、事業を行っていただきたいと思います。
 続きまして、生物資源、バイオマスの利用、普及について伺わせていただきたいと思います。環境局の事業概要の一七ページにもありますとおり、東京都はカーボンマイナス東京十年プロジェクトを掲げて、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年比で二五%削減するという目標達成に向け、施策が運営されているというふうに認識をしております。
 このためには、循環型の社会をどういうふうに構築していくか。あるいは産業面、企業の面では、グリーンニューディール政策など、そういった政策についてもいわれているところです。直近では、低炭素社会の構築が大きくクローズアップされており、世界的にも、掲げている温室効果ガス削減効果が、主要な、重要な流れとして、政策や、あるいは企業の技術開発の推進力となりつつあります。
 低炭素社会を進めるための技術には、先ほどから、ほかの委員からもいろいろな質問がありましたけれども、エコカーであるとか、あるいはバイオ燃料の導入など、既に何らかの形で、税金を投入してといったら変でしょうか、公的支援を受けて東京都内でも推進しているところだというふうに認識しております。
 その低炭素、循環型、あるいは自然との共生、この三つを統合した社会のシステムの構築が、繰り返しますけれども、その構築が非常に叫ばれている中で、その実現に向け、かぎとなる一つに、バイオマスというものがあると思います。このバイオマスは、木材、紙、食品などのバイオマス資源ですが、森林などを大切に育てることで繰り返し再生される再生可能資源です。また、もともと大気中のCO2を吸収して育ったものなので、これを燃焼させても、大気中のCO2がふえることはなく、カーボンニュートラルなエネルギーとして活用することができます。
 東京都は、世界で最も環境負荷の少ない都市を目標にしておりますが、そのためには、このような特徴を持つバイオマス資源の有効活用を図ることが重要と考えております。
 そこで、まず都は、これまでバイオマス資源の有効活用のためにどのような取り組みを進めてきたのか伺います。

○木村廃棄物対策部長 都はこれまで、再生可能エネルギーであるバイオマス発電の促進や、バイオマス資源のリサイクルに取り組んできております。具体的には、臨海部のスーパーエコタウン事業において、食品廃棄物の飼料化施設と、メタン発酵発電施設の整備を行い、食品リサイクルの推進を図ってきております。
 また、建設リサイクル法に基づき、建築物の解体工事から生ずる木くずのリサイクルを推進しております。さらに、水再生センターでは、バイオマス発電を実施するなど、さまざまな形でバイオマス資源の有効活用を図っております。

○野上委員 今、幾つかのバイオマスの資源の取り組みについて伺いましたが、バイオマス資源の有効活用の方法の一つに、バイオプラスチックというものがあります。これは主に、でん粉や糖の含有量の多いトウモロコシやサトウキビなどからつくられ、ひまし油を原料とするものなど、さまざまな種類があります。技術的には、木や米、生ごみ、あるいは牛乳からも製造可能であるとされております。
 例えば、今、日常的に普及されているといっても、まだまだコスト的に非常に高いですから、それでも流通をされている中では、日用品や医療、あるいは化粧品はもちろんのこと、最近では高機能なバイオプラスチックが開発をされております。
 例えばことし、ある電子機器メーカーで、非食用の植物原料を用いて、世界で初めて日本で安定した供給性、七〇%以上の高い植物成分率を持ったバイオプラスチックが開発されました。これは電子機器に必要な耐久性を同時に実現したバイオプラスチックであり、この原料は、カシューナッツの生産時に大量に発生するというか出る、殻から抽出される油状の物質を化学結合してバイオプラスチックに開発したというふうに伺っております。
 また、今までバイオプラスチックは、例えば化粧品であるとか整髪料などによる、白く変わってしまって、非常に使いづらいと。耐熱性の不足による、変形してしまうとか、肌にさわったときにかぶれてしまうとか、品質面で多少なりとも課題が、多少というか、課題があったのですが、今回、国内の眼鏡のプラスチックパーツの生産販売で、六〇%のシエアを持つ企業が、あるメーカーが開発したバイオプラスチックを採用して、眼鏡パーツ市場で流通をさせるというふうに決定をしたところだというふうに伺っております。
 そういった中で、東京都として、バイオプラスチックの利用の現状や課題について、どのように認識しているか伺いたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 我が国では、バイオプラスチックが年間九千五百トン程度、利用されております。最近では、サトウキビを原料に石油由来のものと変わらないポリエチレンをつくる技術も開発されており、今後、バイオプラスチックの利用拡大が期待されます。
 しかしながら、現状では、通常のプラスチックよりコストがかかるという課題がございます。また、バイオマス資源の開発によって、食料、飼料の供給に影響が出ないか、生態系への影響が生じないかなどについても確認することが必要でございます。

○野上委員 ありがとうございます。石油からつくられるプラスチックは、繰り返しリサイクルをしたとしても、最後は燃焼させてエネルギー源として使うことになりますので、その段階でCO2が発生いたします。これをバイオプラスチックに切りかえていけば、CO2を削減することができます。
 今ご答弁いただきましたが、例えば我が国では、バイオプラスチックが年間九千五百トンというふうに利用されているということですけれども、ちょっと年度がわかりませんでしたが、日本バイオマス製品推進協議会の試算によると、我が国におけるプラスチックの一〇%程度ですから、これは多分、年間一千二百万トンで計算しているのですが、そのプラスチックの一〇%の百二十万トンをバイオプラスチックに置きかえると、年間約二百四十万トンのCO2の削減が見込まれると。クリーンエネルギー自動車普及促進施策で、今、いわれている年間二百二十万トンに匹敵するにもかかわらず、バイオマスプラスチック製品の導入は、国でも、東京都でも、まだまだ公的支援がなされていないというふうに伺っております。
 例えば、この現行のバイオエタノール並み、例えば一リットル当たり五十三・八円の優遇策が講じられるならば、この一〇%の代替も現実味を帯びてきて、その際の補助、一万円当たりの削減効果は二百七十キログラムとなり、太陽光発電の七十四・六キログラムよりも、費用対効果がかなり大きくなるというふうに試算をしております。
 こうした観点から、東京都としてもバイオプラスチックの利用の促進を図っていくべきだと考えますが、その見解を伺います。

○木村廃棄物対策部長 使用済みプラスチック製品の燃焼から生ずるCO2の排出量は、現在、焼却時点での排出量にカウントされておりますが、これをプラスチック製品の製造事業者みずからの排出量として算定して、国に報告することを義務づけることにより、石油由来プラスチックの使用量の削減を促す新たな制度を導入するよう、本年三月、国に提案要求しております。
 あわせて、カーボンニュートラルであるバイオプラスチックの利用に、経済的なインセンティブが働く仕組みを導入することも、国に求めております。引き続き、バイオプラスチックに係る新たな技術の動向を注視しながら利用促進について検討してまいります。

○野上委員 ぜひ、国の動向も、非常に注視しなくてはいけませんが、一方で、環境の政策については国内で一番の東京都が、やはり率先して何か打ち出すことも私は必要だと思います。
 優良なバイオマス利用技術と、その製品を社会に定着、あるいは根づかせて、未利用のバイオマス資源の利用を図る、例えば技術や製品の性能や商業面などでは、まだまだハンディキャップがあるところです。バイオマス製品普及啓発とともに、初期市場形成のため、これは産業労働局とも一緒に連携してほしいところですけれども、ぜひともCO2削減のために、バイオマス資源の利活用、普及の施策を進めていただきたいと思います。
 以上です。

○こいそ委員 それでは、何点かお聞きをさせていただきたいと思いますけれども、まず初めに、自然環境保全につきましてお伺いいたします。
 多摩地域ですね、多摩地域といっても非常に広いわけでありますけども、多摩東部ですね、これは狭山丘陵というのがございます。それから多摩南部、ここは多摩丘陵という、連続しての里山並びに丘陵地帯でありますけれども、いわゆる開発行為によって景観は変わってきておりますが、まだまだかなりの自然の緑、保全環境は残されているという状況もあります。大変貴重な空間でありまして、これはぜひとも保全していかなきゃいけないなという思いが非常に強くまたするわけでありますけれども、このように開発行為等々によって緑が失われつつある状況の中で、緑を保全するために、都は保全地域指定、開発許可制度の導入を行ってこられました。
 このうち、開発許可制度については、昨年十月から自然保護条例を改正して、制度を強化する取り組みを行ってこられました。制度改正が行われてからちょうど一年を経過したという中で、今回の開発許可制度の強化の内容、改正制度に伴う保全の効果について伺いたいと思います。

○長谷川自然環境部長 人々に安らぎや潤いを与えるなど、多様な機能を持つ緑を保存していくことは、都として重要な責務であると認識しております。これまで都では、樹林地や農地等において一定規模の開発行為を行う場合、自然保護条例による許可制度を導入して、一定量の緑地確保などを事業者に義務づけております。
 昨年三月には、自然保護条例を改正いたしまして、開発を行う事業者に対して、保存樹木や保存樹林がある場合は、調査を行い、残存や移植についての検討を行うことを義務づけるなどの、制度の強化を昨年十月から施行しております。制度改正後に申請があった開発案件のうち、保存樹木等がある開発案件は三件と、まだ少ない状況ですが、伐採せずにそのまま保存するなど、樹木等の保全に一定の成果を上げております。
 また、三月の条例改正後、十月に条例を施行するまでの間に申請のあった案件につきましても、条例改正の趣旨を踏まえまして、例えば町田市のグラウンド整備案件では、事業者に対して伐採をせずに保存をする樹木の移植本数をふやすなど、緑を保全するための指導を行ってまいりました。

○こいそ委員 ただいまご答弁をいただきましたけれども、環境局として貴重な緑を守るために、このように開発許可制度を強化したと。樹木の保存等に鋭意取り組んで強化をしてきたということでありますけど、私は、緑を守るのは、先ほどからいろいろなお話が出ておりますけれども、当然にして行政だけではないと。取り組む第一義的な仕組みをつくったり、誘導していくというんですか、それは当然あると思いますけれども、行政だけではないという感じがいたします。
 丘陵地に点在している雑木林は、里山ですよね、かつては下草刈り、間伐などの作業が日常的に行われておりましたが、最近では、十分な手入れがされていないところがかなり多く出てきております。放置をされた雑木林、里山を再生させることは、都だけでは一定の範囲があるんではないかと思いますし、地域をより知り、保全活動に意欲のある地域住民、また広範な意識を持っているNPOを初め、各団体の方々の理解と協力を得なきゃいけませんし、また、得る中で、保全活動をより推進していかなきゃいけないと、当然考えております。
 私自身も、これまで里山の自然を守ろうということで、緑を保全するための自然環境保全の活動に参加してまいりました。今月も、今、当該のこれからもお話しさせていただくような緑地保全地域でもさせていただきたいと思っておりますけれども、その中でも、町田市にある七国山緑地保全地域については、地域の住民による七国山自然を考える会というのがあるんですね。大変熱心に、意欲的に、この里山、丘陵をしっかりと保全活動を行っている団体がおります。継続的に活動しているわけでありますけれども、そこで、その七国山緑地保全地域における、これらの団体の方々を初め、地域住民による保全活動のその成果をどのように受けとめられているか、そのあたりをお願いします。

○長谷川自然環境部長 多摩地域に残る貴重な自然を保全していくためには、行政だけでなく、地元の自治体や地域住民の方々などと連携していくことが重要でございます。ご指摘の町田市の七国山緑地保全地域は、昭和五十年に、自然保護条例に基づく緑地保全地域に指定されました面積約十ヘクタールの緑地でございます。
 以前は、アズマネザサや竹が生い茂るやぶがあちこちに見られ、昼でも暗く、地域の方々が自然に親しむという状況ではございませんでしたが、地域のボランティア団体、今ほどございます七国山自然を考える会などの活動によりまして、保全活動を継続的に行っていただくことによりまして、見通しのよい明るい雑木林となりまして、タマノカンアオイやギンランなどが育成する、良好な自然が回復してきております。
 こうして自然を再生させることにより、地域住民の方々の憩いの場として、また地域の子どもたちの自然観察の場としても広く利用されるようになってきております。今後も、こうした地域の住民の方々の理解と協力を得ながら、多摩地域に残る貴重な自然を保全していくための取り組みを継続してまいります。

○こいそ委員 ただいまお話しいただきました七国山緑地保全地域でありますけれども、それらの保全活動を活発にしっかりとやっていただいていることによって、良好な自然が回復をしてきている。これは全くそのとおりだと思うんですが、しかし一方、この丘陵一帯、この多摩丘陵の中に、限定して生息している、今お話ありました植物が今はレッドデータブックというんですか、極めて希少な植物として消滅しかかっている。ギンランもそうですけどね。また特に今申し上げた固有というんですかね、こういう植物がもう消滅をしかかっている。しかかってるというか、もう風前のともしびみたいな状況になっている。
 この中で、これはどういうことかというと、開発その他あったとしても、人為的行為が、やはり直接的な要因関係になるんではないかと思うんです。そういう人為的行為の中において、このような希少な植生、植物が喪失してしまう。この事態に対して私は前々から指摘をさせていただいておりますけど、また、貴重な植物、昆虫、鳥類、魚類、ホトケドジョウ等もそうですよね。あそこにはちょっとおりませんが、近くには確認しておりますけど。そういうような貴重なこれらの、特に動植物に対して、もはや今言ったような状況であると。
 これに対して都環境局としてはどういうような状況を把握されているのか、対応をしようとしたのか、対応されているのか、このあたりお願いします。

○長谷川自然環境部長 多摩丘陵に残ります貴重な動植物を保全することは、多様な自然環境を維持していくために非常に重要な取り組みでございます。
 都はこれまで、都内の希少種のリストである東京都の保護上重要な野生動植物種、いわゆる東京都版レッドリストを作成するとともに、これを自然保護条例に基づく開発許可の際に活用しまして、開発行為によって貴重な動植物が失われないよう取り組みを進めてきております。
 また、保全地域内の貴重な動植物については、その保護について地域の住民の方々に掲示板等で周知するとともに、地域の団体などによる見回りなどの取り組みも行っております。
 しかしながら、委員ご指摘のように、貴重な植物が人為的に失われているという状況がございます。そういう意味で、これまで以上に多くの方々に貴重な動植物の保全の必要性や手法について理解と協力を得ていかなければならないというふうに考えております。
 そのため、住民の方々や事業者だけではなくて、子どもたちの自然観察会や大学生による東京グリーン・キャンパス・プログラムなどさまざまな活動を通じて、より多くの方々に、多摩の豊かな自然を体験していただくことを通じて、貴重な動植物に対する保護意識を高めていきたいというふうに考えております。
 今後とも、地元の自治体の協力を得ながら、多摩の貴重な植物等の保全になお一層取り組んでまいります。

○こいそ委員 まさに、極めて希少な動植物が、もってこの丘陵に、一万年以上前でしょうかね、どうなんでしょうか、悠久のときですね、生息してきた、群生してきた。これは前にもちょっと触れたこともありますけども、私たちが生きている時代で、これがもうなくなってくると。完璧に消滅するという事態がもう目の前に来ているわけです。
 今のお話はお話として、やはり大いに意識を盛り上げていくんだと、いろんなお話もあったけども。これはもう意見でいいですよ。私は果たしてそれだけで、本当に今のような危機的状況の中において、これが本当に守れるのかという非常な思いを持つんです。
 先ほどいいましたけど、今月も行きますけれども、その時期によって、タマノカンアオイも花を咲かせる。非常に地味な花ですよ。ところが、それが、何というのかな、群生率がほとんどないですね。これはもう、本当に消滅しかかっているなと。また、盗掘、人為的行為というか、そういうことも現実、本当に我々は何ともいえない思いもあるんだけども、そういう実態があるんです。
 ですから、そういうことを踏まえて、私はもっと、より実効的効果を上げないと--いわゆる啓発行為をすること、意識を持っていただくということは大切かもしれないけども、まさに風前のともしびということになるならば、一刻の時間と猶予はないと思うんです。であるならば、どうするかといったら、私は申しわけないけども、やっぱり罰則規定を設けるぐらいの一定の強い行政側の姿勢も示して、やはりそこの立て看板だけではちょっとどうなのかなと。まあ、それも必要ですよ、率直にいってね。それも必要なんだけど。警告的な面だとか、それを思いとどまらせるというか、いろんな思いがあると思うけども。しかし、もうここまで来ると、やはり条例の中に何か食い込んでいかなきゃいけないんじゃないかという思いもするんですよ。
 ですから、ぜひこれらのことを踏まえながら、多摩の自然、そして、そこの固有的な植物がもう喪失寸前であるということ--まあ、それだけじゃないかもしれませんけどね。そういうような状況に対して、東京環境として、より実効効果の上がる方法をぜひご検討いただいて、速やかなる対応をどれがいいかと。どれがすべてそれでいいかということはなかなか難しいかもしれないけども、ぜひそういう意識、危機感を持っていただいて、共有していただいて対応していただきたいなと、これを強く要望させていただきます。
 そして、次に移りますけれども、今度は廃棄物対策について何点か伺います。
 区市町村では、廃棄物処理法に基づいて一般廃棄物処理基本計画を策定しています。適正処理に日々努めておりますけども、昨今の一般廃棄物処理をめぐっては、基礎的な自治体である区市町村において、さまざま苦慮をしている課題が出てきているというふうに聞いております。
 これは前の委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、特に資源の持ち去りという不適正な処理が、現在も区市町村の枠を超えて、都内共通の大きな課題になってきているということです。
 私は、ことしの三月の環境・建設委員会の場においても、古紙の資源の持ち去りの問題について取り上げさせていただきました。東京都、環境局に対して、資源の持ち去り根絶に向けた区市町村のさまざまな取り組みを、いわゆる広域的な広域行政という立場から、しっかりと支援、対応をしていかなければならないんではないかと要望させていただきました。
 そこで、古紙等の資源の持ち去り問題に関して、区市町村に対してどのような取り組みを今までされてこられたのか、まず伺いたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 古紙等の資源の持ち去り行為を容認してしまえば、本来の資源ルートが断ち切られまして、地域のリサイクルシステムの崩壊につながりかねません。
 資源の持ち去り行為に対しては、それを禁止する条例が強い抑止力を持つことから、東京都は平成二十年度から随時、行政連絡会を通じて区市町村間の情報交換に努め、制度的な取り組みを強化できるよう、他都市の制定条例を紹介し、制定の効果を説明するなど、広域的な立場から区市町村を支援、指導しております。
 さらに直近では、八月に開催した多摩行政連絡会においても、資源の持ち去り問題を取り上げ、新たに条例制定を行い、パトロールも強化した市での抑止力効果が見られた実例を具体的に紹介し、各区市町村のさらなる取り組みを促しております。

○こいそ委員 ただいまお話しいただきましたそのような取り組みも、確かに重要だというふうに思います。しかし、残念なことに、持ち去りについての抜本的、いわゆる根絶にはいまだかつて至ってないですね。行政回収、集団回収において、古紙の持ち去りはまだまだ後を絶たない状況なんです。
 そこで、持ち去り問題にこれまで取り組んできた資源回収業者や問屋などの業界だけではなくて、まさに東京都、環境局でしょうけど、東京都が先導して区市町村と業界とを、きめ細かい連絡をとりながら連携をしていくと。一丸となった取り組みを、まさに実効性ある対応策もここで打ち出していかなきゃいけないのではないかと思うんです。製紙メーカーに対して、持ち去り古紙の買い上げをとめるよう、強力な要請を行う。
 買うから、当然それは持っていきますよね。こんなことを、やはり強力な要請を行うといいますか、有効手段で対応して、具体的に強力にそのようなことも防止していく、とめていく。
 それから、資源の持ち去りの根絶に向けて、まさに今後、都はどのような取り組みを行っていかれるか、このあたりを。

○木村廃棄物対策部長 行政回収や集団回収において集められた古紙が集積場所から持ち去られてしまう問題に適切に対応するため、都は、区市町村、製紙メーカー、リサイクル業界代表などと連携し、持ち去り防止対策を検討する協議会を今月中に立ち上げます。
 この検討会では、古紙の回収業者から製紙メーカーへの納品までの流通に関与するそれぞれの関係者が、不正な持ち去り行為を行っている業者を排除するなどの持ち去り防止策も含め、関係者の連携によって実効性ある防止策を検討してまいります。

○こいそ委員 古紙の持ち去り行為をなくせば、行政回収の効率化はもっと上がるんではないかといわれておりますけども、決められた日に集積所に出してくれる、それぞれの区民、市民の方々の協力を得ている中で、その努力には、関係者はより報いていくべきではないかなと。協力してくれる区民や市民の方々に対しても。
 それから、資源の市況の上下によって左右されることなく、古紙の回収、リサイクルを安定的に進めていくためには、行政とその業界が一丸となって、この問題に対して真っ正面から取り組む必要性があると。これはもういろんなお話の中で当然のことなのでありますけども。今後は、関係者による持ち去り問題の検討協議会を立ち上げるとただいまお話がありました。こうした立場で真摯に対応策を検討して、それを確実に実践していくことが持ち去り問題の早期解決につながるものと思いますし、そのためにも東京都の果たすべき役割は極めて大きいと思います。
 ぜひ、他の自治体を先導するような--これは東京に限らないと思いますので、先導するような取り組みをより一層進めていただきたいとお願いをいたします。
 次に、廃棄物の区分について伺います。
 いうまでもありませんけども、廃棄物には大きく分けて一般廃棄物、すなわち家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物と産業廃棄物があります。この区分は、昭和四十五年の廃棄物処理法制定時に定められたわけでありますけども、処理責任者や処理方法の違いによって設けられたものであります。しかし、この区分が極めてわかりにくいものになってる現状もあります。なぜなら、事業活動に伴って生ずる廃棄物は、すべて産業廃棄物ではないかという話があるんです。
 そこでまず、その確認の意味で、飲食店の例を挙げて聞きたいと思いますけども、いろんな食べ物屋さんがありますよね。排出される調理くず。一般廃棄物の、いわゆる事業系一般廃棄物なのか、それとも産業廃棄物なのか、このあたりお願いします。

○木村廃棄物対策部長 廃棄物の区分でございますが、まず、産業廃棄物は法律で二十種類が定められておりまして、廃プラスチックなど、業種にかかわらず産業廃棄物になるものと、出版業の紙くずなど特定の業種から排出されたもののみを産業廃棄物とするものがあります。
 調理くずは、食料品製造業など特定の業種から排出された場合に限って産業廃棄物となりますが、飲食店、ホテルなどから排出された場合には一般廃棄物となります。
 なぜこのようになっているかと申しますと、廃棄物処理法が四十五年に制定されましたけども、このときに、ごみを市町村が処理責任を有する一般廃棄物と事業者に処理責任を負わせる産業廃棄物に区分いたしました。しかしながら、事業者の負担が大きくなり過ぎないように、市町村の処理施設で処理できるものは、事業系のものでも一般廃棄物として残したためでございます。
 したがって、実態的な区分といたしましては、家庭系一般廃棄物、事業系一般廃棄物、産業廃棄物という三区分になってございます。

○こいそ委員 まさに法律的にはそうだと思いますし、そのとおりなんですけども、しかし、処理実態としてはどうなのかというと、例えば今申し上げた飲食店の調理くずを事業系一般廃棄物と見ないで、事業系、すなわち商業活動を含めた、そういう行為から発生したものがイコール産業廃棄物ではないかという理由で、産廃許可を持つ処理業者が収集、運搬している例が見受けられますが、このあたりはどうなんでしょうか。
 それから、本来、一般廃棄物処理業の許可を持っていなければ、飲食店の調理くず等々の収集、運搬はどうなのか。それからまた、一般廃棄物処理業の許可を持たない産廃業者が一般廃棄物を扱わないように--これはちょっといいです。今何点かありましたけども、そのあたり聞かせていただきたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 一般廃棄物を収集する場合には、区市町村から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けなければ無許可営業となります。
 都といたしましては、事業者、処理業者、区市町村に、こうした基本的な廃棄物の区分や取り扱いに必要な許可の種類を十分周知し、混乱のないよう、事業者や区市町村を指導してまいります。

○こいそ委員 廃棄物の種類は、先ほどお話ありました、家庭系一般、事業系一般、産業廃棄物とあるわけでありますけれども、今、あわせ産廃だとか、それから、みなし産廃だとか、これが殊、行政的な立場の方々からもこういう話を聞くんです。そういう言葉は言葉なんだけども、いわゆるあわせ産廃って、聞いてみれば、すなわち産廃ですよね。みなし産廃、これも産廃っていう言葉がつく。こういう言葉が、要するに行政の立場の方々から話があった場合、非常にわかりにくい状況が生じているということも聞くんです。廃棄物行政を円滑に進めていくためにも、これらのこともそうでありますけども、処理の実態も踏まえつつ、排出事業者、処理事業者、区市町村の担当者に、この明快な区分、これがやはり統一見解といいますか、統一的な、言葉もそうだけども、実際的に現状も統一していかなきゃだめですよね。
 例えば区ではそうだ、多摩地域でもA市、B市、C市がまた違うというような、処理のこともそうなんですけどもね。ですから、これであってはいけないんではないかという観点からちょっと聞かせていただきましたけども、今後、区市町村の担当者に、実際上相談するのはそこだと思うんですよ。多摩環境事務所に以前に行って、私も聞いたことあるんですが、見解違いますよね。それはみなし産廃、いや、いわゆるあわせ産廃だと。あわせ産廃って何ですか、いや、産業廃棄物ですというけども、実際、事業系一般廃棄物です。ある役所で聞いてもそういう見解ですよね。今の部長の話でいけば、これはもう事業系一般廃棄物だと。私の質問の中でご答弁いただいたけども。
 ですから、そういうことは非常に現場は混乱するというんですかね、現状はいろんな言葉が出ていくことによって、本来的な法律上定められた今の項目ありますよね、家庭系なり一般系なり、いわゆる事業系なり。こういうことをはっきりすっきりと、このあたりでしていくべきじゃないかと思うんです。最後にそのあたりをお聞きして、これは終わりたいと思いますけども。

○木村廃棄物対策部長 廃棄物の区分や取り扱いに必要な許可の種類は、全国共通で、各都市共通でございますので、混乱のないよう、事業者や区市町村を引き続き指導してまいります。

○こいそ委員 それじゃ、済みません。最後にもう一点お聞きします。時間もあれですから。
 次に、産業廃棄物対策、先ほど質疑がありましたけども、特に第三者評価制度。
 東京都は昨年、産業廃棄物処理業者を評価する、いわゆる第三者評価制度をスタートしたと。一方、国においては、廃棄物処理法の改正により、産業廃棄物処理業者の優良性を評価する基準が盛り込まれました。来年度から法定受託事業として実施するということになっているそうでありますけれども、優良性の評価制度は、評価される処理業者にとってメリットがなければ、これは現状としてどうなのかと思うんです。活用されていかないと思うんです。
 それからまず、国の優良性評価制度と比較して、都の第三者評価制度の違いはどこにあるのか、このあたりお願いします。

○木村廃棄物対策部長 産業廃棄物処理業者を評価する制度は、健全な廃棄物処理ビジネスの発展を目指し、適正処理や環境負荷の少ない取り組みを行っている優良な業者を評価、認定する制度でございます。
 国の制度は、ISO一四〇〇〇の取得などが必須であることに対しまして、都の制度は、処理業者の事業運営の実情に応じて評価項目を選択可能なものとしております。また、評価区分をエキスパートとプロフェッショナルの二区分とすることで、業者の能力水準などに応じてチャレンジできる制度であり、処理業者の質をステップアップさせることが可能となっております。
 また、申請に当たっての事業実績についても、国の制度は五年以上を必要としているのに比べ、都の制度は一年以上の事業実績で足りるとしており、早期にチャレンジすることが可能となっています。
 さらに、都の第三者評価制度は、書面審査に加えて、必ず現場審査を実施することで評価の信頼性を高めております。

○こいそ委員 産業廃棄物処理業者の多くを占める中小零細事業者にとって、ISO一四〇〇〇の取得は、現実、極めて厳しいと思うんです。国の制度を取得することは、こういう観点からも、こういった見方からも厳しいと思うんです。
 私は、国というのはやはり現場というのを知らないんだなと。実態、実情というのを本当によくわかっていないんだなというふうに、このあたりで思うんですけれども、都の制度は、実情によって段階的にステップアップしていけるんだ、こういう話でありますよね。
 しかしながら、都の制度も、この制度が開始されて、審査項目、認定有効期間、審査申請料など、これ極めて、私も聞くところによると--中小零細企業者が多い、こういう業界分野というんですか、ここでは例えば審査項目、私も実際上見たわけじゃないから、よくわからないけども、申請に当たってどのぐらいの時間を要するか。これ、コンサルタントに頼まなきゃ本当にできないんじゃないかと。実際上ね。それから、担当職員、担当社員が何人かいないとできないんじゃないかと。かなりの物すごい量であると。それをまずやりなさいと。項目数も三十項目だったかな。それぞれランクもあるけども。それから、認定有効期間はわずか二年であると。それだけ苦労して二年であると。さらには、審査申請料というんですかね、取得料っていうのかな、これがランク一番上の方が十八万ですよね。こういう実態的なものをいろんな形でいろいろお聞きする中で、これ実際どうなのかなと。大変これも厳しいなということを思うんでありますけども、このあたりをどういうふうに考えられておられるのか。
 それから、今後、申請者をふやしていくというお話でありますけども、処理業者などの実態を踏まえて、やっぱり不断の現実的な見直しも必要ではないかと。その制度の充実をより図って、利用しやすい制度に改善していくことこそが、本来の趣旨に近づいていくんじゃないかと思うんですが、そのあたりどうですかね。

○木村廃棄物対策部長 第三者評価制度を処理業者にとって利用しやすく、ステップアップ可能なものとし、また一方で、排出事業者にとって優良な処理業者を的確に選択可能なものとしていくためには、産業廃棄物処理業界の実情を踏まえたものとする必要があることを十分認識しております。
 そのため、引き続き処理業者、排出事業者、評価機関からの意見などを十分に聞き、利用しやすい仕組みに改善するよう検討してまいります。

○こいそ委員 東京都の産業廃棄物処理許可業者数は、約一万三千社であるというふうに聞いております。その日々の産廃処理は、この約一万三千社の処理業者の、いろいろな問題指摘も当然出ておりますけども、日夜の努力によって支えていることも、一面、事実でありますよね。この事業者が、現在の厳しい経営環境の中にあっても安心して取り組んでいけるような、まず環境を整備しなきゃいけないんではないかと。人材を育成するなり、さまざまな技術向上もそうでありましょうけども、産業廃棄物業界の本来の処理レベルや環境の質の向上に、本来つなげていかなきゃいけないんじゃないかと。
 今回、環境局で示した三つの柱がありましたよね。我が党に示してもらったものがありましたよね。そういうところでもどうなのかなと。それから、より多くの処理業者を視野に入れて、産業廃棄物全体の、本来は底上げしていかなきゃいけないんではないかと。今の先ほどいった数字もあるけども、本来どういう育成策というか、いわゆる向上策というか、レベルアップを図っていく方向性を示すのか、仕組みをつくっていくのか、こういうあたりを考えたとき、私は全体的な底上げに資する施策を実施していくことこそが、まず必要ではないかと思うんですが、そのあたりどうでしょうか。

○木村廃棄物対策部長 産業廃棄物処理業は、環境負荷の少ない循環型社会を形成する上で重要な役割を果たしておりまして、産業廃棄物処理のレベルアップが必要であることは十分認識しております。
 すべての処理業者は五年ごとの許可更新時に法定講習を受けることになっており、新たな処理やリサイクル技術情報の習得も可能になっております。加えまして、都としては、毎年、産業廃棄物の処理量を把握するために実施します処理業者への個別通知などの機会をとらえまして、すべての処理業者に対し、法改正事項や産業廃棄物業界の動向など、事業活動を行う上で重要な情報なども発信するほか、講習会等も随時開催しております。
 今後も、産業廃棄物処理業者全体を視野に入れ、処理業者の実情に応じた育成を行い、適正処理の確保や業界の質の向上を図ってまいります。

○こいそ委員 さまざまな関係者のご努力もあって、多くの処理業者も適正処理の方向、しっかりと適正処理やリサイクルを認識、意識して、まさに適正処理がしっかりとできるような時代にもなってきたと思うんですね。今までも努力されてこられたわけですけども。
 しかし、そういう中で、リーマンショック以降、廃棄物処理量は激変しているようです。それから、処理価格もまさに半減する。量と価格が半減してる。それから、多くの産業廃棄物処理業者は、そのような状況に対して、危機的な状況を抱いていると思うんです。排出事業者の中には、その処理責任の希薄さから、廃棄物処理の委託料金を安く、いわゆる排出する側が委託料金なり安く買いたたいているというんですか、安かろう、悪かろうだけど、安い方がいいんだということで、安く契約しているっていうんですか、依頼をしている状況も見受けられるようであります。
 また、公共施設から排出される廃棄物についても、区市町村によってはかなり常識では考えられない、通常処理料以下の状況で受けてるケースも実際あるようであります。処理業者が適正な処理料金を確保できなければ、私はまず、ここが大切だと思うんですよ。安かろう、悪かろう。だけど悪かろう、安かろう。こういう認識が処理業者の中に根づいていることであるならば、私はこれ、本当の意味で、果たして--この業界全体の底上げという話もあったけども、適正処理をしていかなきゃいけないという中においては、適正な処理料というのは、これはやっぱり当然だと思うんです。ここのあたりを東京都の環境局もしっかりその状況をつぶさに把握していただきたい。適宜適切な対応をしていただきたいというふうに思うんです。
 そうしなければ、そんなこといったらいけませんけども、適正処理やリサイクルがまずできない。最悪の事態でありますけれども、これがこのためということではないんですけどね。しかし、仮の仮の仮で、不法投棄の温床にでもなったら大変でありますから、このような観点からも、ぜひこの部分っていうのは、私は極めて大切じゃないのかなと。そして、産業廃棄物を委託する排出事業者がより意識を持つ。高める。排出事業者が意識を変えていただく。それから、適正処理の対価として必要なコストが支払われてこそ、循環型社会は、私はしっかりと構築されていくと思います。口ではいろんなこといったって、実際上は、静脈産業というか、この部分が物すごく弱いんです。それからさらに、これまだ続きますけども、この構築につながっていくという認識を持つんです。
 都は、その排出事業者や区市町村に対して、どのようにこれから、この観点からも対応していかれるのか、これをお聞きしたいと思います。

○木村廃棄物対策部長 廃棄物処理法では、排出事業者は、委託契約書において、処理業者に支払う料金を明示しなければならないとされております。また、産業廃棄物の処理基準に適合しない不適正な処理が行われ、生活環境上支障が生じた場合で、排出事業者が、その適正な処理料金を負担していないときは、その排出事業者にも支障の除去等の措置を命ずることができるとされております。
 都はこれまで、排出事業者に対する講習会や個別相談の機会、市町村との連絡会において、排出者の責任や適正な処理料金の支払いなどについて指導、周知を図ってまいりました。
 今後も引き続き立入指導や講習会等の場を通じ、排出事業者、区市町村がその責任を全うするよう指導してまいります。

○こいそ委員 それをやはり命ずることはできるんだと。幾つか今お話しの点は、非常に心強いところだと思うんです。ですから、ぜひそういう実情をよく調査していただいて、そのような可能な、また、しっかりとした強い対応をそこで示していただきたいということを要望します。
 そして、排出者の対応は今のお話で理解しますとともに、また要望いたしましたけども、やはり廃棄物処理の実態を把握した上で、処理業者のきめ細かい指導育成を進めていくことが、これまた循環型社会の形成に極めて重要であろうと思います。
 都は、環境局は、処理業者がまさに夢と希望を持てるような時代をつくり上げていかなけりゃいけないんじゃないかと。そして、もって循環型社会形成の一翼をしっかり担っているのだと、この認識を持って、廃棄物処理業で働き続けていけるような政策を打ち出していただきたいと思います。
 長年にわたって廃棄物処理業界並びに廃棄物行政全般をしっかりと担ってこられた森次長に、私が今申し上げた何点かでありますけれども、その中における人材育成を含めて、どのような廃棄物行政を進めていくのか、森次長のご見解を伺って質問を終わらせていただきたいと思います。

○森次長 先生からお話がございましたように、循環型社会を構築する上で、健全な廃棄物業界の発展は必要不可欠でございます。その業界を支えます処理業者は、静脈産業としての重要な担い手であり、また、原動力でもございます。そのためには、廃棄物業界がステータスの高い業界として発展し、廃棄物処理やリサイクルの環境産業として健全に機能し、役割を果たしていくことが不可欠であると認識してございます。
 また、業界を支え、成長させていくためには、ご指摘のとおり、人材の育成は大変重要でございまして、中小零細企業を含めた業者の育成指導を行うための環境整備が重要であると考えております。
 しかし、最近の経済状況を反映いたしまして、業者の不適正処理も懸念され、業界全体の社会的な信用失墜も危惧されているところでございます。このようなことから、今後も業界の実情をしっかりと把握いたしまして、業界のスキルに応じたきめの細かい人材の育成に取り組みますとともに、適正処理の対価を含めました排出事業者責任の周知徹底、それから、不適正処理業者の取り締まりの強化や新科学技術の共同研究など適正処理、リサイクルに向けたさまざまな施策を展開いたしまして、廃棄物行政全体を活性化し、その信頼性を高め、そして底上げを図りながら循環型社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十六分散会

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