環境・建設委員会速記録第十号

平成二十二年九月三十日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長藤井  一君
副委員長野上ゆきえ君
理事中村ひろし君
理事いのつめまさみ君
理事高橋かずみ君
野田かずさ君
山下ようこ君
かち佳代子君
吉倉 正美君
こいそ 明君
松下 玲子君
林田  武君
中村 明彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
環境局局長大野 輝之君
次長森  浩志君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長山越 伸子君
環境改善技術担当部長中村  豊君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長長谷川 均君
緑施策推進担当部長鈴木 秀章君
緑化募金担当部長福田 良行君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君
建設局局長村尾 公一君
次長影山 竹夫君
道路監山口  明君
総務部長野口 宏幸君
用地部長四方 敏彦君
道路管理部長東  了一君
道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務吉原 一彦君
三環状道路整備推進部長戸谷 有一君
公園緑地部長上杉 俊和君
河川部長横溝 良一君
企画担当部長西倉 鉄也君
総合調整担当部長今村 保雄君
道路保全担当部長鈴木 昭利君
道路計画担当部長萩原 松博君
公園管理担当部長滝澤  達君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
 建設局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十五号議案 土地の買入れについて
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成二十二年七月五日の集中豪雨について

○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の報告事項に対する質疑並びに建設局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○藤井委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十五号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野口総務部長 去る九月十六日の当委員会におきまして、付託議案に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。都立井の頭恩賜公園(西園区域)の整備計画中間のまとめに係る意見交換会の開催状況及び都民意見の概要でございます。
 この資料は、1として、意見交換会の開催日時、開催場所、出席人数、意見の概要をあらわしたものでございます。
 二ページをお開き願います。2として、八月に行いました都民意見の募集の概要、応募総数、意見の概要をあらわしたものでございます。
 以上で付託議案に関する委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村(ひ)委員 それでは、第百五十五号議案の土地の買入れに関して質問します。
 都立井の頭恩賜公園は大正六年に開園した歴史のある公園で、都会の中に貴重な自然が残され、とりわけ休日には多くの方が来場されています。今回拡張される西園には、三鷹市立アニメーション美術館、通称ジブリ美術館があり、今や世界じゅうから多くの観光客が訪れる観光地にもなっています。今回用地を取得する予定の土地は、ジブリ美術館のすぐ南側に隣接する土地であり、企業の運営する運動施設があったのですが、この三月で閉鎖になりました。
 まずは、今回提案された公園用地の取得について、その経緯を伺います。

○四方用地部長 今回取得予定の用地は、約四・二ヘクタールという大規模なものであり、これまでは個人所有の土地を企業が借地し、会員制の運動施設として利用されてまいりました。既に開園している区域に隣接する大規模な用地の取得は、早期開園に結びつくことから、着実な事業効果の発現が可能となると考えております。
 このたび、関係権利者との協議の進展もあり、年度内取得が可能となりましたので、議決をいただいた後、速やかに取得する予定でございます。

○中村(ひ)委員 今回のように企業の運動施設の閉鎖の機会をとらえて、まとまった土地を取得して公園化を図ることは大いに評価します。近年、都内でも貴重な緑が失われているため、緑地の確保については、今後も注力をしていただきたいと思います。
 さて、ことしの三月に開かれた本委員会での予算審議でも、公園整備に当たっては、地元自治体や近隣住民の意見も取り入れていただきたいとの質問をさせていただきました。今回の事業には、都民や、とりわけ地元住民は、今後この場所がどのような公園になるのかについて非常に関心を寄せています。
 計画の策定に当たっては、都民の意見を聞くことが欠かせないと考えます。都民からの意見の募集にはさまざまな方法があります。既に今月開かれた東京都公園審議会で答申は出されましたが、整備計画を検討する上で、どのように都民や地元の意見を聴取したのか伺います。

○上杉公園緑地部長 東京都公園審議会では、原案作成や中間のまとめの段階で、地元自治体から意見の聴取を行いました。また、中間のまとめを行った後、東京都建設局ホームページや広報東京都及び地元自治体の広報紙に記事を掲載し、平成二十二年八月一日から八月十五日にかけて都民意見の募集を行い、二百六十四通の意見が寄せられました。
 なお、長年利用されておりました企業運営の運動施設が廃止され、その後のあり方について多くの地域住民の方々が関心を持っていたため、地元自治体と連携し、七月二十九日に意見交換会を開催しました。百五十三名の参加があり、多くの意見が出されました。
 東京都公園審議会は、これらの都民意見等も参考の上、審議を行い、九月十三日に答申を行いました。

○中村(ひ)委員 ありがとうございます。本当に地元の方の関心が高く、私のところにも本当に多くの方から意見が寄せられました。私もその意見交換会に出させていただいたので、百五十三人のうちの一人なんですけれども、多様な意見があって、それぞれの住民の方の思いの強さというのがうかがわれました。
 この間、先ほどお答えいただいたように、さまざまな方法で都民の声を得たわけですが、どのように反映をされたのか伺います。

○上杉公園緑地部長 今後とも都としては、都立公園の整備につきましては、東京都公園審議会に諮って策定してまいります。
 都民の方々の意見につきましては、計画策定の過程において、都は東京都公園審議会を通じて地元自治体の意見を聞くとともに、中間のまとめを行った後に、都民意見の募集を行い、広く都民の方々の意見を聴取してまいります。

○中村(ひ)委員 都立公園は広域的な利用に供する公園であり、計画策定の過程においては、近隣住民のみの意見を反映することは難しいと思われます。
 しかし、都民の意見を反映させることは重要であり、とりわけ近隣に住む方は高い関心を寄せるのはある意味当然のことですから、その求めもあり、地域住民の意見を聞く機会を設けたことはよかったと思います。
 昨今、市区町村の公園整備においては、地域住民とワークショップなどを行い、一緒になって公園づくりを行うケースもあり、またそうした中で、公園の清掃ボランティアなどのその後の管理運営や、一緒にイベントを行うなどの住民参加にもつながっています。東京都は広域自治体ということですから、地域住民だけではなく、都民全体を考え、その意見をどう反映させるかは難しい課題です。
 しかし、都立公園の規模を考えると、周辺住民に与える影響は市区町村の公園に比べてはるかに大きいだけに、さまざまな手法を用いて多様な意見聴取をし、反映させることは重要です。
 今後、都としてどのように都民の意見を聴取していくのか伺い、質問を終わります。

○上杉公園緑地部長 先ほど中村理事からのご質問の中で、中間のまとめの見直しをどのように行ったのかというご質問、私、答弁しませんで申しわけありませんでした。
 都民意見の募集や意見交換での意見を踏まえまして、東京都公園審議会では、既存の樹木を現在の位置で保全するとともに、緑地をできるだけ確保する観点から、野球場やテニスコートなどの施設廃止の見直しを行いました。
 今後とも、都としてどのように都民の意見を聴取していくかということでございますが、先ほど一部答弁させていただきましたが、都としては、都立公園の整備計画につきましては、東京都公園審議会に諮って策定してまいります。計画の策定の過程においては、都は、東京都公園審議会を通じて地元自治体の意見を聞くとともに、中間のまとめを行った後に都民意見の募集を行い、広く都民の方々の意見を聴取してまいります。

○かち委員 それでは、第百五十五号議案、土地の借入れについての意見を述べます。
 本案は、井の頭恩賜公園、西園区域の拡張と整備を進めるために土地を購入するものであります。都市の再開発が進み、地球温暖化、ヒートアイランド現象が深刻な事態となっている東京では、緑が減り続ける中で、クールダウンにも大きく貢献する公園整備は重要課題であります。
 東京の都市公園は、平成二十一年度で計画面積は一万七百四十四ヘクタールのうち、供用面積は四千八百五十七ヘクタールであり、計画の四五%で整備が急がれています。こうした中で、このたび井の頭恩賜公園、西園区域の土地の購入、整備は大いに賛成するものです。
 本公園は、緑の骨格軸を形成する公園として景観重要公共施設として位置づけられているものです。公園整備に当たって、公園審議会での中間のまとめに対するパブリックコメントでは八百七件、二百六十四通からの意見、要望が寄せられました。緑やスポーツに関する意見など、さまざまな都民の関心が高いことが示されました。また、地元での意見交換なども経て答申が出されたものです。
 この中で、従来から、公園の南側、明星通りの歩道が狭く危険という声にこたえ、安全な歩道の確保が示されたことは重要です。
 なお、高齢者や障害者の方々に配慮した公園内の駐車場は百台分とのことですが、排気ガスを抑え、緑を生かす観点から、規模の再考を求めます。
 また、五年前まであったプールですが、健康づくりの一環として復活してほしいという要望も根強くあります。スポーツ振興の都政の精神に照らして、運営形態なども含めて検討されるよう要望しておきます。
 引き続き、公園整備を推進されることを求めて意見とします。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○藤井委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について及び平成二十二年七月五日の集中豪雨についてに対する質疑を行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野口総務部長 報告事項に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 先ほどもごらんいただきましたこの環境・建設委員会要求資料の三ページをお開き願います。石神井川における首都高速道路株式会社作成の水防計画(平成十八年度と平成二十二年度の比較)でございます。
 この資料は、平成十八年度及び二十二年度作成の水防計画の各項目につきまして、その内容をあらわしたものでございます。
 四ページをお開き願います。石神井川における首都高速道路株式会社作成の水防計画に対する都の指導(平成十八年度)でございます。
 この資料は、平成十八年七月及び同十月に首都高速道路株式会社に対して行いました都の文書による指導の内容をあらわしたものでございます。
 五ページをお開き願います。石神井川における都が施工する護岸工事用仮設桟橋の概要と規模(北区豊島二丁目地内)でございます。
 この資料は、石神井川整備工事(新柳橋上流その2)におけます仮設桟橋の概要及び規模等をあらわしたものでございます。
 以上で報告事項に関する委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 建設局の平成二十二年第三回定例会環境・建設委員会の報告事項、平成二十二年七月五日の集中豪雨についてに関連して、中小河川整備についてお尋ねいたします。
 ことしは梅雨に入ると同時に、九州や中国地方を中心に土砂災害が多発し、多くのとうとい命が奪われるなど、災害が相次ぎました。今月の台風第九号の際にも、静岡県や神奈川県で甚大な災害が発生いたしました。都におきましても、報告のとおり、七月五日に局地的な集中豪雨により、石神井川の溝田橋付近で洪水があり、約四百六十世帯の浸水被害がありました。被災された皆様方には心からお見舞い申し上げます。
 また、すぐ上流では、平成十七年九月にも、首都高速道路株式会社の工事事故が原因で洪水被害が発生しております。理由は別にしても、五年間という短期間のうちに二度も浸水被害があったということを重く受けとめ、これらの対応に当たるべきものと考えます。
 そこで、まず、今回の洪水の原因についてお伺いいたします。

○横溝河川部長 まず、お答えの前に、今回の洪水につきまして、水害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 それでは、お答えをさせていただきます。
 洪水した箇所の近くにおきましては、現在、首都高速道路株式会社による石神井川のつけかえ工事と都の高潮対策工事を行っておりますが、中小河川の整備水準である一時間に五〇ミリの降雨対策は完了してございます。
 このような状況の中で、七月五日は、石神井川流域で一時間に五〇ミリ以上の降雨があり、また、中下流部では八〇ミリ以上の猛烈な雨が降りました。特に、板橋区内では、一一四ミリという記録的な豪雨でございました。このことから、今回の洪水は整備水準を大きく超える集中豪雨によるものというふうに考えてございます。

○高橋委員 今回の集中豪雨が流域の多くで猛烈な雨が降り、かつ整備水準の五〇ミリの二倍以上の降雨だったことはよくわかりました。今回の浸水被害を受け、東京都、北区、首都高の三者は、七月三十日に地元説明会を開催し、約三百名の住民が参加した中で、工事の内容や気象の状況等の説明を行ったと聞いています。
 その際に、住民から、首都高や東京都が施行している工事が原因との意見もあったようでありますので、細部にわたって質問したいと思います。
 そこで、今回の洪水において、東京都と首都高が行っている工事の影響について伺います。

○横溝河川部長 都と首都高速道路株式会社は、工事に先立ちまして、模型をつくった水利実験とかシミュレーションを行いまして、一時間に五〇ミリの降雨に対する安全性を確認してございます。また、この結果に基づきまして、現場におきましても、施工の各段階ごとに安全性をしっかり確保しながら工事を進めております。
 このことから、都といたしましては、これらの工事による洪水への影響はなかったものと考えてございます。

○高橋委員 工事に当たっては、詳細な検討を行いながら実施していることなど、都と首都高の工事が原因でないことは理解できました。しかし、仄聞によりますと、今回の洪水箇所の堤防の高さはAPプラス五・六メーターであり、隣接する堤防が五・八メーターであることに比べ二十センチ低かったとの指摘もあります。
 そこで、洪水箇所の堤防の高さとの関係について伺います。

○横溝河川部長 堤防の高さでございますけれども、大変複雑な話になりますので、できるだけ丁寧に説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず第一に、今回の洪水箇所は、高潮被害が発生するおそれのある区間に位置しておりまして、高潮対策に必要な堤防高さは五・八メーターでございます。
 第二に、洪水した溝田橋付近におきまして、高潮による影響を考えないで、いわゆる一時間に五〇ミリの降雨に対処できることを考えた場合には、計画高さは約五・五メーター必要でございまして、既設の堤防高さというのは今現在五・六メーターございますので、現状のままで安全性が確保されております。
 第三に、洪水した箇所につきましては、現在工事を実施中でございますけれども、先ほどお話しのように、水利実験などによって、工事期間中であっても現在の五・六メーターの堤防高さがあれば、一時間に五〇ミリの降雨を安全に流下できることを検証してございます。
 今お話ししました以上の三点から、一時間に五〇ミリの雨、この降雨に対しましては、高潮堤防の五・八メーターではなく、既設堤防の五・六メーターの高さがあれば、施工上、安全であると判断しておりまして、首都高速道路株式会社が工事を実施しているものでございます。

○高橋委員 既設の堤防の高さで、整備水準である五〇ミリの降雨を安全に流下できることも理解できました。今後も、現在実施中の工事を円滑かつ着実に行うようお願いしておきます。
 とはいいましても、五年間に二度も同じ地域で浸水被害があった事実は、先ほども申し上げましたけれども、重く受けとめる必要があります。一日も早く住民の皆さんが安心して生活できるような対策を講ずる必要がありますが、河川事業は長期間を要する事業であることも理解できます。
 そこで、当面の対策、いってみれば緊急の対策が重要となってきます。都の委員会への報告の中では、大型土のうなどによるかさ上げ工事を直ちに実施したとのことでありますが、このことについては高く評価できます。ただ、洪水時の水の勢いを侮ることはできないものと私は考えます。
 そこで、住民の皆さんが安心できる構造につくりかえる必要があると考えますが、見解を伺います。

○横溝河川部長 七月末から八月にかけまして実施いたしました大型土のうなどによるかさ上げは、地域住民の方々の不安を軽減するとともに、水防上の観点から、東京都、北区、首都高の三者が協力して緊急的に実施したものでございます。
 ご指摘のとおり、これは仮設構造でございまして、住民の方々にさらに安心感を高めていただくためには、H型鋼などでつくりかえることとしております。来月の中旬ごろから順次工事に着手する予定でございます。
 今後とも、事業を円滑に進め、さらなる安全性を確保してまいります。

○高橋委員 くれぐれも、住民の方々の気持ちを考えながら、着実に事業を推進するようお願いしておきます。
 今回の集中豪雨に限らず、特に、近年一〇〇ミリを超えるような局地的な集中豪雨が頻発しているものと思われます。私の地元練馬区でも、夏場の連日の猛暑に加え、集中豪雨が増加していることが実感としてもあります。
 今回の洪水箇所は、五〇ミリ整備が完了している区間であるとのことですが、練馬区内の石神井川と白子川は三〇ミリ対応を五〇ミリ対応の護岸に拡幅する整備を進めているところであり、さらに危険な状態にあるといえます。
 そういった意味で、護岸の拡幅に加え、調節池を設置することにより、早期に治水安全度を向上させることが重要であると考えております。
 私は、練馬区内で毎年のように浸水被害が発生し、特に平成十七年九月四日の時間最大雨量一一二ミリ、総雨量二六三ミリを記録した集中豪雨の際に、八十五棟の浸水被害があった武蔵関駅付近の被害軽減を目的に、一七年、その年ですね、一七年十二月に行った建設局長への要望活動や、翌十八年第一回定例会の文書質問などで、その上流にある既設の富士見池調節池の規模拡充などについて要望を行ってきました。
 その結果、公園利用者や地元住民との協議、調整を重ね、二十年八月に増強工事が完了しました。このことにより、昨年の台風十八号や本年七月五日の集中豪雨の際にも、洪水の一部を貯留するなど、その後の浸水対策に大いに寄与していることについては、大変喜ばしいことだと考えております。
 そこで、現在建設中の白子川地下調節池の現状と今後の見通しについて伺います。

○横溝河川部長 白子川地下調節池は、白子川流域における水害の早期軽減を図るため、目白通りの地下約三十五メーターに設置いたします内径十メーター、延長三・二キロ、貯留量二十一万二千立米のトンネル式の調節池でございます。
 既にシールドトンネルを発進するための白子川沿いの発進立て坑は完成しておりまして、石神井川沿いの到達立て坑につきましては、事業用地の取得を完了しております。
 また、現在、トンネル及び到達立て坑工事の入札手続を進めておりまして、年度内に工事に着工する予定でございます。
 引き続き、平成二十七年度の暫定取水を目指し、白子川地下調節池の整備に取り組んでまいります。

○高橋委員 着実な執行をお願いしておきます。
 一方、最近の異常ともいえる気象は地球温暖化が原因ともいわれており、これらによって引き起こされる災害から都民の命と財産を守るための対策は、喫緊の課題だと思います。
 しかし、現在の整備水準である時間五〇ミリ対応は、三年に一回発生する確率とのことでありますが、社会経済の中心である首都東京の安全度としては不十分であり、心もとない水準といわざるを得ません。
 私は、平成二十年第一回定例会予算特別委員会総括質疑や、翌年二十一年十月の決算特別委員会分科会質疑において、早期に次期整備水準に移行すべきと再三にわたり主張してきました。
 さらに、平成二十年第二回定例会一般質問や、二十一年十一月の事務事業質疑においても、現在建設中の白子川地下調節池と既設の環状七号線地下調節池を結ぶことで、交差する白子川、石神井川、妙正寺川、善福寺川及び神田川からの取水が可能となり、多発する局地的な集中豪雨に大変有効な方策になると意見表明も行ってまいりましたが、最近では、方々からの同様の声が聞こえてくることに関しまして、これまで自分の主張が間違っていなかったものと大変心強く感じているところであります。
 そんな中で、本年六月には、東京都技術会議において、既設の調節池を連結した広域調節池が提言されるとともに、七五ミリ降雨への対応を目指すべきとの最終報告がありました。まさに時宜を得た報告であるものと高く評価するものであります。
 そこで、最後に、白子川地下調節池への石神井川からの取水及び環状七号線地下調節池への連結について、都の考え方を伺います。

○横溝河川部長 白子川調節池は、白子川の五〇ミリ対策として整備するものでございます。同様のトンネル構造である環七地下調節池では、当初、計画で考えておりました神田川と善福寺川に加えまして、妙正寺川からも取水することで、下流の水害を軽減することができました。
 この事例を踏まえますと、白子川調節池においても、石神井川から取水することで下流の水害軽減が期待できることから、効果の検証などを進めてまいります。
 一方、技術会議で提言されました広域調節池は、複数の地下調節池を連結し、流域を越えて相互に活用できる施設でございまして、都といたしましては、近年増加している局地的かつ短時間の集中豪雨の際、特に有効な施設と考えております。
 また、お話の中にございました環七地下調節池との連携につきましては、昨年度から調査を進めております今後の河川整備のあり方、この中で検討してまいります。

○高橋委員 これまで我が党や私が繰り返し主張してきたように、より高い整備水準に移行するための取り組みが必要であると考えます。東京で最大の被害を発生させた狩野川台風級の七五ミリの降雨を視野に入れた具体的な対策の検討を進め、一日も早く実行に移すことで、台風性の降雨だけでなく、時間一〇〇ミリを超えるような局地的な集中豪雨に対しても、都民が安心して暮らせる東京の実現を図っていただくよう、強くお願いを申し上げまして質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○吉倉委員 私からも、今後の河川整備のあり方についてお尋ねいたします。
 七月五日に石神井川流域を中心に集中豪雨が襲い、各所で浸水被害が発生いたしました。北区の溝田橋付近では河川から洪水し、多くの住宅や事業所が浸水いたしました。被災された住民の皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 まず、確認の意味で、石神井川流域の降雨の状況、洪水に遭った北区内の被害の状況及び被害総額について、ご説明をいただきたいというふうに思います。

○横溝河川部長 七月五日には石神井川流域で一時間に五〇ミリ以上の降雨がございまして、また中下流部の広い範囲で八〇ミリ以上の猛烈な雨が降りました。特に板橋区内では、一一四ミリという記録的な豪雨でございました。
 洪水による被害状況でございますけれども、九月二十九日現在の総務局の調べによりますと、北区内の床上浸水は百七十三棟、床下浸水は二百六十七棟、合計四百四十棟でありまして、このほか、倉庫や事業所などの業務系の建物の浸水が九十七棟となってございます。
 なお、被害総額につきましては、今後、区が調査したものを都が国交省に提出いたしまして、その後、被害総額を確定して公表するということになってございます。

○吉倉委員 河川が洪水すると非常に大きな被害が生じてしまいます。このため、被害を防いだり軽減するためには、あらかじめ災害に対する体制を整備しておくことや、あるいは関係機関の連携等が非常に重要だというふうに考えております。
 そこで、建設局では、常時、水防に備えた体制をしいているとお聞きしておりますが、実際の災害に対応するものとしてどのような体制なのか、ご説明をいただきたいというふうに思います。
 また、七月五日当日はどのような対応をされたのかお聞きいたします。

○横溝河川部長 建設局では、三百六十五日、お盆も正月もなく二十四時間体制で職員を常駐させ、水防活動を行っております。
 具体的には、本庁の水防災総合情報システムや、消防庁とのホットラインを活用いたしまして、都内全域の気象情報、雨量や河川水位の観測及び監視を行うとともに、必要に応じて土砂災害警戒情報を発表するなど、迅速かつ確実な初動態勢を確立しております。
 また、河川を所管するすべての事務所において、巡回や現場への緊急出動など、現場の状況に応じた的確な対応がとれるよう情報連絡体制をとっております。
 七月五日の当日の体制でございますけれども、水防本部を設置いたしまして、本庁と事務所を合わせて総勢二百五十八名の職員が水防活動に従事いたしました。石神井川につきましては、洪水後、直ちに現地へ職員を派遣いたしまして、現場から緊急を要する事態であるという報告を受けまして、所管する第六建設事務所の排水ポンプ車はもとより、隣接する第三建設事務所、第四建設事務所の排水ポンプ車も応援に駆けつけるよう指示いたしまして、消防団やレスキュー隊などとも応急活動や被災者の支援に当たったところでございます。

○吉倉委員 大変丁寧なご説明いただきましてありがとうございます。また、今回洪水した箇所は、首都高速道路株式会社が首都高王子線の下りランプの建設に伴い、その橋脚の一部が護岸にかかるため、河川工事の一部を行っているというふうに聞いております。
 河川工事に当たっては、万全の体制をとることはいうまでもありません。工事を行っている首都高は、当日どのような対応をしたのか伺います。

○横溝河川部長 お答えの前に、先ほどのところで、消防庁とのホットラインというふうにいいましたが、気象庁とのホットラインでございましたので、済みません、訂正させていただきます。
 首都高速道路株式会社ではみずから作成した水防計画に基づきまして、日常的に、現場の安全確認のための巡回や資機材の点検、確認等を行っております。洪水当日も、現場の安全点検や巡回を実施したことはもちろんでございますが、大雨洪水注意報の発表後、直ちに水防体制に入りまして、河川水位の監視や現場状況の把握とともに、都、区などの関係機関への情報交換と水害関連情報の収集活動を行いました。
 洪水後は、直ちに現場の状況を都、区、警視庁に通報するとともに、水害対策本部を設置いたしまして、本社には十五名、現場には職員のほか、他の現場からの動員も含め六十八名の要員を確保いたしまして、情報収集と連絡体制をとる一方、高圧洗浄車や排水ポンプ車など五台の作業車によりまして、道路の排水機能の確保や清掃、被災地域の復旧活動を支援するとともに、堤防の破損状況の有無、現場の安全確認等を行ったと報告を受けてございます。

○吉倉委員 ただいまご答弁いただきまして、東京都あるいは首都高が被害軽減のために十分な対応をとってくださったということがよくわかりました。
 防災には、自助、共助、公助が必要というふうにいわれております。今お話しのあった水防活動に加えて、地域住民による自助、共助は大変重要でありますけれども、今回の時間八〇ミリを超える猛烈な降雨のように、近年の降雨の状況を見ると、やはり水害の基本対策には、河川の整備を基本とする公助の強化が必要であるというふうに考えております。
 都議会公明党は、発災直後から現場に駆けつけ、救援活動に加わるとともに、翌日には、知事に対しまして、五〇ミリ対応となっている現在の整備計画をはるかに上回る局地的集中豪雨にも対応できる効率的な河川の整備を推進すること等々、一層の対策強化について緊急の申し入れを行いました。
 また、我が党は、本定例会の代表質問において、今後の河川整備を進める上で、広域調節池は効果的な方策であるとの提言を行いました。建設局長からは、広域調節池は、局地的かつ短時間の集中豪雨の際に有効な施設と考え、今後の河川整備計画の策定に向け、さらに検討を深めていくと、こういうご答弁をいただきました。これらを踏まえまして、最後に、都は今後の中小河川の整備を具体的にどのように進めるのか、所見をお伺いいたします。

○横溝河川部長 都といたしましては、現在整備を進めております古川地下調節池や入間川分水路に加えまして、今年度新たに妙正寺川における鷺宮調節池の工事、善福寺川調節池の基本設計に着手することとしておりまして、これらの取り組みも含めまして、五〇ミリ降雨対策のさらなるスピードアップを図ってまいります。
 また、近年、局地的集中豪雨が増加していることなどを踏まえまして、昨年度から今後の河川整備のあり方について検討を進めておりまして、今年度は、調節池などの必要な施設の増設や、その効果などについて検討を行っております。
 お話しの広域調節池につきましては、近年多発している局地的かつ短時間の集中豪雨に対しましても、有効な施設と考えておりまして、さらに検討を深めてまいります。
 今後とも、さまざまな工夫を凝らしながら、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、河川整備に全力で取り組んでまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。ただいま答弁いただきました広域の調節池は、都の技術会議の提言でも触れられておりますとおり、複数の地下調節池をトンネルで連結をし、流域を越えて相互に活用できる施設であります。局地的集中豪雨に対して最も有効な施設であると考えておりまして、今後の実現を強く期待して質問を終わります。

○かち委員 私からも集中豪雨の報告に対する質問をいたします。
 近年、地球温暖化、ヒートアイランド現象を背景に、雨の降り方が大きく変化していっていることはだれもが実感しているところです。五〇ミリ以上の雨は、都市化が進む東京の区部で確実にふえています。二十年前には十数カ所の観測所で測定されていたんですが、それが五年前には六十六カ所で観測されています。この雨の降り方も、一部地域に偏在している傾向にある。しかも、今回のような局所的なゲリラ豪雨は、神田川や石神井川の上流など、区北西部に集中していると都自身が認めています。
 既に一時間一〇〇ミリを超える豪雨が散発している状況から、豪雨が集中している地域においては、まず、一〇〇ミリを想定した対策が喫緊の課題となっていると思います。
 今回洪水した石神井川の付近を私も現地を見てまいりましたが、これは人為的な問題が複合的に重なって起きているといわざるを得ません。
 そこで、具体的に何点かお聞きしたいと思います。
 ここは、中央環状線が川の上空を走り、今回洪水した場所付近は、高速道路からのランプを接続するための工事現場でした。そのため、この付近の河川整備の主体は首都高が行っているんです。また、今回の洪水場所から下流では、七十メートルにわたって高潮対策のための工事を、川の中に構造物を仮設して東京都が行っている流域で起きた水害でした。
 そこで、先ほどもお話がありましたが、この付近では五年前にも護岸の決壊という事故が起きております。この水害が起きた要因と概要についてお聞きします。

○横溝河川部長 洪水事故が発生した平成十七年九月四日は、石神井川流域におきまして、一時間に五〇ミリを超える集中豪雨があり、練馬区内の観測所では一〇九ミリの雨量を観測いたしました。
 このときの洪水の原因でございますけれども、第一に、想定した水位を超える状況が発生したこと。第二に、首都高速道路株式会社が都の承認した工事内容に違反をいたしまして、承認どおりの構造でかさ上げを行わず、アンカーボルトが破損して、設置していた仮設護岸が倒壊したことによるものでございます。

○かち委員 前回の護岸決壊の事故は二〇〇五年の九月で、このときは堀船一丁目を中心に約四百世帯に及ぶ床上床下浸水被害に見舞われたわけです。その原因が、首都高がコスト削減のために手抜き工事を行い、護岸かさ上げのため載せていたI型鋼が接続ボルトの腐食によって崩壊するというものだったわけです。
 洪水する前に、水圧で仮設護岸が決壊してしまったというずさんな管理状況が原因だったということを首都高自身も認めざるを得なかった事故でした。
 この事故を踏まえ、都は、首都高がつくっている水防計画上、首都高に対しどういう指導をされたのでしょうか。

○横溝河川部長 都は、首都高速道路株式会社から提出された、平成十七年九月四日石神井川水害に関する調査報告書や、平成十八年の水防計画の内容に対して、立入検査を行いまして、水防計画区域の拡大に応じた水防資材の確保、参集避難訓練などの実施、実効性のある水防計画の確立というようなことについて指示を行いまして、是正させました。
 立ち入り後の平成十八年十月以降は、指示した内容を加味いたしました水防計画書を毎年出水期前に出させまして、その年度ごとの施工計画書をつくらせております。それを見た上で、審査、現地調査を行いまして、必要な指導を行っております。

○かち委員 資料にも出していただきましたけれども、こういう首都高が出している水防計画書というのがあって、これが五年前に事故が起きる前につくったもので、これが十八年以降につくって今日まで続いているという計画書なんですね。今、お話があったように、これそのものは、大きな工事をやっていますので、そこで働いている人たちの安全を守る、機材を守るとか、いろんなそういうことが中心の計画書ではあるんですけれども、しかし、都の指導もあって、付近の住民の浸水予防のためにも、十分な機材、土のうなどを準備しなさいというようなこともあって、それが書き加えられているというのがわかりました。
 そのことについては後で述べますけれども、首都高が十二年前に行った水利実験で、五〇ミリの雨が降った場合、石神井川のこの地域は最も増水し、五年前に決壊した場所ですね。ここはかなり川幅も狭くなっていたと思うんですけれども、ここは最も水かさが上がる危険水域だということで、この区間は護岸を六・五メートルまでかさ上げをしているんですね。
 そして、その次に増水危険度の高い区域が、今回、洪水した溝田橋の直近の下流で、洪水したこの区域だったわけですけれども、しかし、ここは五〇ミリ対応だということで、護岸が五・六メートルまでのままになっているんですね。石神井川の下流においては高潮対策が必要だということで、下流の方から護岸を高くしている工事をやっています。この五・六メートルから下流のところ、新柳橋のところまでは七十メートルの構造物をつくって、都が直接、護岸工事をやっているわけですけれども、この洪水した場所だけが五・六メートルで残されていた。こういう危険性がわかっていながら、ここの箇所を五〇ミリ対応でいいんだということがいえるんでしょうか。ここもやはりかさ上げをしておくべきだったのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○横溝河川部長 先ほども詳しくご説明させていただきましたが、首都高の工事区間は高潮区間に位置しておりまして、計画の堤防高さは、お話しのように五・八メーターでございますが、しかし、洪水の影響だけを考えた場合は、既設の堤防高さは五・六メーターでございまして、工事期間中も含めまして安全性が確保されております。

○かち委員 それは五〇ミリ未満の雨が降ったときは安全性が確保されているということなんですけれども、さっき冒頭でいいましたように、既に、もう五〇ミリを超えている雨は頻繁に降っているわけです。一〇〇ミリを超える雨も、今回のように、二、三年に一回ぐらいはこの上流の方では降っているわけですよね。それを、五〇ミリに対応しているから安全性を確保している、こんなことはいえないんじゃないでしょうか。五〇ミリに対応しているからいいんだといっていたら、だって一〇〇ミリを超えたら想定外だから、それはしようがないんだと。それじゃあ住民の方は納得できませんよ。
 住民説明会が先ほどあったということでしたけれども、首都高がこの場で、ここの箇所をなぜかさ上げしていなかったのかということに対して、将来、ここの箇所は橋脚を建てるためにバイパスをつくって、川の流れをあっちへやったりこっちへやったり変える工事をしているんですね。ここは、間もなくバイパスをつくって、川でなくなる地域、そういうことなのでやらなかったという回答だったんですね。どうせこの区間は新しいバイパスにつけかえるんだから、将来なくす護岸にはかさ上げはしないという、まさにこれは防災よりも、コスト優先の姿勢があらわれているんではないでしょうか。都として、この指導監督責任が問われる問題だと思いますけれども、認識を伺います。

○横溝河川部長 今回の洪水の原因につきましては、整備水準を大きく超える集中豪雨による自然災害であると考えておりまして、都が責任を負うものではないというふうに考えてございます。

○かち委員 河川管理の本責任者は東京都ですよね。今、部分的に工事をやっているから首都高がやっているわけですけれども、しかし、整備計画に基づいてやっているから何ら問題はないといっている場合ではないというのは、皆さんからもいろいろ出ているわけですから、そういうことに見合った対応を指導強化するのが都の責任だというふうに思うんですね。
 この区間は、五〇ミリの降雨で行った首都高の水利実験でも、最高水位というのは五・五二メートルなんですね。五〇ミリの雨が降ったら五・五二まで上がりますよと。護岸は五・六メートルです。わずか八センチの余裕しかないんです。今、もう五〇ミリを超えている雨が降っているわけですよね。こういう状況で安全を確保しているなんていえるでしょうか。
 この川の上流、練馬や板橋地域では、毎年のように五〇ミリを超える豪雨があるのに、その対処を怠ってきたこと、また、高潮対策として、かさ上げすべき場所であった。ここは高潮対策の場所でもあったわけですよ、対象地域。だから、五・八にすべき場所であったのにやってなかった。こういう問題もあるんです。そういう意味では、リスクの高い箇所であったにもかかわらず、豪雨増水に対して対策をとる計画はなかったということです。
 あったとすれば、首都高が作成した防水計画で、近隣住宅への浸水を防止するための土のうの備蓄と配置場所がここに図解で載っています。しかし、今回のような急激な豪雨で護岸を洪水するような状況下では、土のうを一々運んで積み上げる余裕もありませんし、そんなことをしたって実効性もありません。実情に合わないものだったということです。
 一〇〇ミリ以上の豪雨だから仕方がないと繰り返されていますけれども、それでは五年に一回のペースで繰り返す水害に耐えろということにもなります。たとえそうであっても、被害を最小限に食いとめる対策、減災対策をやっていたのかどうかが問われるものです。
 現在、当該の護岸には、背後から補強もしながら、大きな土のうが並べられていますが、これが約四十センチ。ですから、六メートルになります。今回あふれた箇所にこれだけのかさ上げをしていたら、少なくとも減災をできたと思うんですけれども、どうでしょうか。

○横溝河川部長 先ほど来、ご説明をさせていただいているところでございますが、洪水箇所は、整備水準である一時間に五〇ミリの対策は完了してございます。七月五日は、石神井川流域で一時間に五〇ミリ以上の降雨がございまして、また、中下流部では八〇ミリ以上の猛烈な雨が降ってございます。特に、板橋区内では一一四ミリという記録的な雨が降ったわけでございます。このようなことから、今回の洪水は自然災害であるということで考えてございます。

○かち委員 私は、首都高がやるべきことを怠っていたと。そこには都の管理責任もあるというふうに思っているんですが、都自身が問題はなかったんだと。でも、現に問題は出ているんですよ。それを問題はなかったといっている姿勢では、これは本当に大きな問題があると思います。
 近隣住民の皆さんは、五年間に二度も浸水被害に遭って、本当に大変な思いをしているわけです。ラーメン屋さんも、機械屋さんも、もう展望がないと、どうしたらいいんだというふうにいっています。目の前の川から洪水を食いとめてほしい、これが切実な問題です。一〇〇ミリ以上の豪雨に、ここだけで対応できるものではないということはもちろんですけれども、せめて可能な高さまで護岸を上げて、減災に努めるべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

○横溝河川部長 先ほど来、お話ししているとおりに、洪水箇所では、整備水準である一時間に五〇ミリの降雨対策は完了してございます。

○かち委員 土のうを積んでいる高さが今は六メートルあるんですけれども、そこに、やはりきちんと、今、応急処置ですけれども、そこをH型鋼なりできちんとかさ上げをするということはできると思うんですけれども、それをやる意思はないですか。

○横溝河川部長 先ほどもお答えをしておりますが、現在の位置には、地域の住民の方々の不安を解消する、あるいは軽減するという観点から、緊急的に周辺の高さと同じ護岸のための土のうを積んでございます。これにつきましては、H型鋼に来月に変えていくというようなことは考えてございます。

○かち委員 六メートルの高さまでぜひ確保してやっていただきたいと思います。
 現在、石神井川の現在地ではバイパス工事が行われていますけれども、これが切りかわるのはいつなのか、その護岸の高さはどのぐらいなのか、本川の完成時期はいつの予定なのか、その護岸の高さは何メートルになるのか、お聞きします。

○横溝河川部長 バイパス水路の建設と切りかえは、平成二十三年三月までに完了いたしまして、その後、本川である新河道を建設いたしまして、その開通は二十六年八月を予定してございます。新堤防の高さは、高潮堤防の計画高であるAPプラス五・八でございます。

○かち委員 現在のバイパスの高さは六メートルでやっているわけですよね。だから、六メートルまではやっぱり確保すべきだというふうに思うんです。高潮は五・八だからという一律な考えではなくて、やはり局所的に危ない地域ということはもう皆さんわかっているわけですから、そこを少しでも減災するという立場に立って、六メートルまでぜひかさ上げしていただきたいというふうに思います。
 今回の洪水現場の下流では、高潮対策ということで、都が護岸整備工事を行っているんですけれども、これが現場の写真ですね。こういう川の真ん中ぐらいまで、桟橋の構造物で数十本のくいが打ちつけて、七十メートルにわたって工事をしているわけですけれども、これが、水害が起きたときに、地元の方が状況を見ていて、また、現場を視察した専門家の方々も、これが流れをせきとめて上流の水位を持ち上げたのではないかという疑念を持っています。
 水利計算を行ったとのことですけれども、水位の上昇や、その影響はどのように判断されているのでしょうか。

○横溝河川部長 東京都は、工事に先立ちまして、施工段階ごとに桟橋ぐい等による水位上昇を水利計算等により求めまして、一時間に五〇ミリの降雨による河川水位が既存の護岸高を超えないことを確認してございます。
 今回の工事施行に当たり、事前に行った水利計算によりますと、仮桟橋を設置する工事箇所での水位は、APプラス三・五から四・六メートルでございます。

○かち委員 水利実験をやったのではなくて、計算でやったということなんですけれども、そういうデータがあるならすべて明らかにしていただきたいというふうに思います。
 首都高が九八年に水利実験をやっています。川の中に数十本のくいを建てたときには、計算でも一メートル以上の上昇効果があるというふうに判断をして、模型実験ではさらにそれを上回る最大二メートル近い水位上昇があったというデータをこの水利実験の中で示しています。だから、くいをこうやって打つよりも、鉄板にした方が抵抗が弱いというふうなことをいっているわけです。そういうことも加味して、さらに北区議会では、我が党以外の議員からも、桟橋の影響の模型実験が必要だという声も出ています。これらも含めて、五年前と同様、専門家による第三者機関による検証を求めておきます。
 五年前の水害後も、水害場所を修理したけれども、次に危ない、このJTの倉庫前の護岸は五〇ミリ対応しているとのことで放置され、今回、そこから水害が起きたわけです。桟橋の影響については依然として疑問がぬぐえません。今回の水害も人災的側面が大きいといわざるを得ません。都の責任も問われています。首都高と東京都は、被災者、住民に納得の得られる対応を求めます。
 石神井川の下流では、現実的に五〇ミリ対応では間に合わず、それを超える対策が必要だということは明らかです。北区長からも、国と都に一〇〇ミリ対応を求める要請が出ていますけれども、都は、どう受けとめているでしょうか。

○横溝河川部長 北区長から、七月十五日付で要望書をいただいていることは認識してございます。都は、現在、多発する局地的集中豪雨の増加などを踏まえまして、今後の河川整備のあり方について検討を進めております。これまでに過去の水害の分析ですとか、河川整備の効果検証などを行っているところでございまして、引き続き、今後必要となる河川施設について検討を深めてまいります。

○かち委員 石神井川の流域は川幅が十数メートルほどと狭く、この十一年間で一〇〇ミリ以上の豪雨が、九九年の江古田と練馬、二〇〇五年の石神井、ことしの板橋というふうに観測されています。三回も発生しています。とても十年に一度などという状況ではありません。他の水域に比べても、典型的な都市型豪雨と都市型水害の矛盾が相乗的に集まっている特異な河川地域といえます。そういうところを考慮して、上流から下流まで、それぞれ可能なあらゆる対策を総合的、集中的にとることが求められていると思いますけれども、どうでしょうか。

○横溝河川部長 都内の中小河川の整備率、治水安全度といういい方でいいますが、七五%でございまして、現在、まだ三〇ミリの改修しかできてないところが残りの二五%あるということでございまして、こういう地域で大変な水害に苦しんでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。そういうことでございまして、五〇ミリ対策はまだ道半ばでございます。そういう中にありまして、東京都といたしましては、引き続き、五〇ミリ対策の整備を積極的に推進するということが、まず第一に重要だというふうに考えてございます。
 そういう中で、今までもお話をしてまいりましたとおり、今後の河川整備のあり方について、広い視点から検討を行っているところでございまして、この中で、今後必要となる河川施設について検討を深めてまいります。

○かち委員 本当に皆さんがご苦労されていることはよくわかるんですけれども、しかし、五〇ミリを一律にやらなければ前に進めないといっていると、事態の方はどんどん進んでいますので、その人たちがいつも水害に遭うことを免れないということではなく、降り方の状況をいろいろ分析されていると思いますので、そういうところには可及的速やかな対応をぜひとっていただきたいと思います。
 総合治水対策としては、浸水機能の抜本的強化のための個人宅も含めた雨水浸透ますや、雨水貯留槽への助成や拡充、下水道ポンプ場の整備や貯留機能アップなど、可能な方法を全面的に取り組む必要があります。
 さらに、すぐには完成できない一〇〇ミリ対策まで被害が出た場合、想定されているにもかかわらず、被害が出てしまうことは当然これからもあると思うんですけれども、そういう場合には、想定される雨量に対する対策が間に合わず、被害に遭ってしまった住民には補償も実施するなどの制度も検討すべきだということを申し上げて質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時九分散会

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