環境・建設委員会速記録第三号

平成二十二年三月十六日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十二名
委員長藤井  一君
副委員長野上ゆきえ君
理事中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事いのつめまさみ君
野田かずさ君
吉倉 正美君
山下ようこ君
林田  武君
松下 玲子君
こいそ 明君
中村 明彦君

 欠席委員 二名

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
理事都市地球環境部長事務取扱大野 輝之君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長大村 雅一君
緑化募金担当部長福田 良行君
参事木村 尊彦君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分

○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成二十二年度予算については予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年三月十五日
東京都議会議長 田中  良
環境・建設委員長 藤井  一殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(金)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為
環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の平成二十二年度予算の調査を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 これより予算の調査を行いたいと思います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森環境政策部長 去る二月十八日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、環境・建設委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次のとおり十四項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。平成十年度から十九年度までの各年度における、産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。表の最上段は、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。平成十年度から十九年度までの各年度における、産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。なお、平成十四年度以降は、注5に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、過去五年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。平成十七年から二十一年までの五年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、屋上等緑化の実績及び校庭芝生化の実績でございます。
 まず、(1)、屋上等緑化の実績について、平成十六年度から二十年度までの各年度における屋上等緑化の実績件数及び面積を記載しております。
 次に、(2)、校庭芝生化の実績では、都内公立小中学校数及び校庭を芝生化した公立小中学校数を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、大気汚染濃度の高い測定局の推移でございます。
 まず、(1)、二酸化窒素について、一般環境大気測定局の状況を記載しております。平成十一年度から二十年度までの各年度における都内の測定局の上位五局でございます。
 六ページをお開き願います。同様に、自動車排出ガス測定局の状況でございます。
 続きまして、七ページは浮遊粒子状物質について一般環境大気測定局の状況を、次の八ページは自動車排出ガス測定局の状況を記載しております。
 九ページをお開き願います。6、大気汚染濃度の高い測定局周辺の道路状況でございます。
 まず、(1)、平成二十年度における二酸化窒素濃度の高い自動車排出ガス測定局上位十局について、測定局の名称、設置場所及び周辺道路の状況を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。同様に、浮遊粒子状物質濃度の高い自動車排出ガス測定局の上位十局について記載しております。
 一一ページをお開き願います。7、大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
 まず、(1)、大気汚染では、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況について、それぞれの表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 次に、(2)、騒音では、道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況を記載しております。
 一二ページをお開き願います。8、二酸化窒素に係る環境基準の達成状況でございます。上段の(1)が一般環境大気測定局、下段の(2)が自動車排出ガス測定局のそれぞれの設置場所を示しており、環境基準を達成しなかった測定局を黒丸であらわしてございます。
 一三ページをお開き願います。9、米軍横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。平成十一年度から二十年度までの各年度における、昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局での年間騒音発生回数及び日最高の回数を記載しております。
 下の注2にございますとおり、日最高とは、一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数でございます。
 一四ページをお開き願います。10、保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。平成十三年度から二十二年度までの各年度における数値を記載しております。
 一五ページをお開き願います。11、保全地域の指定実績でございます。最近指定した保全地域名、指定の年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
 一六ページをお開き願います。12、建設泥土の排出量等の推移でございます。平成十五年度から十九年度までの各年度における建設泥土の排出量とその処理の内訳でございます。
 一七ページをお開き願います。13、一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率の推移でございます。平成十六年度から二十年度までの各年度における、区部、多摩地域別、及び区部と多摩地域を合わせた一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率を記載しております。
 最後に、一八ページをお開き願います。14、事業系一般廃棄物の処理量の推移でございます。平成十六年度から二十年度までの各年度における、区部、多摩地域別、及び区部と多摩地域を合わせた事業系一般廃棄物の処理量の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございましたが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野上委員 まず初めに、レアメタルのリサイクルについて伺わせていただきます。
 本年一月の二十八日にちょうど日経の新聞に出たのが、東京証券取引所が、次世代自動車や電子機器などの生産に不可欠な希少金属、いわゆるレアメタルに投資する上場投資信託の売買を認める方針ということを発表いたしました。
 そして、ちょうど二月ですか、二月の二十四日、これも日経にも報道されておりましたけれども、経済産業省と中国の商務部が定期の協議を行って、これからのレアメタルなどの鉱物資源の輸出管理をどうしていこうかという、輸出管理を求めるような協議が始まったというような、ちょうど年明けからそういった記事が出始めました。
 そういった中で、世界的な資源の浪費によりまして、石油など燃料資源はもとより、金属などの資源もその量の確保が非常に困難な時代が近い将来に来ているというふうにいわれております。
 資源を浪費しないことも大切ではございますが、今ある資源を有効に活用するということも大切です。特に我が国でも多く製造されている携帯電話などの小型電子機器類や、ハイブリッド車などの電子制御装置等に多く使われているレアメタルは、その製品に使われている量を換算すると、世界でも有数の埋蔵量に匹敵し、いわゆる都市鉱山を形成しております。
 この都市鉱山という言葉は、一九八七年に東北大学の南条教授らが提唱されたものですが、東京都でも、このレアメタルのリサイクルについていろいろと検討しているようでございますが、これまでの取り組み状況について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 レアメタルのリサイクルにつきましては、昨年度、都は事業者や大学、区市町村と連携しまして、携帯電話の回収実験を実施しまして、二カ月間で約二千台の携帯電話を回収するとともに、レアメタルのリサイクルの重要性につきまして、広く都民の参加を呼びかけたところでございます。
 また、あわせまして、都民のレアメタルの意識につきましてのアンケート等を実施したところでございます。
 今年度は、江東区と八王子市におきまして、携帯電話を含みます使用済み小型家電の回収モデル事業を実施してございます。このモデル事業では、区市内約百二十カ所に回収ボックスを設置し、三カ月間で約九千五百台を回収するなど成果を上げてございます。

○野上委員 携帯電話のリサイクルの都民の意識に関するアンケートを東京都が行っているというふうに伺いました、昨年度でございますが。どのような意見が出たのでしょうか。例えば貴重な金属資源であれば、都民の多くの方はリサイクルに協力すると思います。しかしながら、何が今現状ネックになっているような原因があるんでしょうか。
 また、昨年度は、通信事業者などの協力を得て実験を行い、今年度は自治体との連携のもとモデル事業を行うなど、いろいろな回収方法を試行しているようにも感じられます。
 これまでの取り組みから見えてきた今後の課題について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 昨年度行いましたアンケートでは、携帯電話のリサイクルに今後協力したいという人が多かった反面、個人情報の漏えいに不安を持つ人ですとか、あるいは、回収拠点がふえることを望むとの意見も多くございました。
 現在、江東区と八王子市で行っておりますモデル事業につきましては、来年度も継続して行う予定でございまして、その中で多くの知見を得たいというふうに考えてございます。
 課題といたしましては、電子機器内の個人情報の漏えい対策や、効率的な回収方法の構築、それからレアメタルの精錬技術の開発などがございます。

○野上委員 今ご答弁いただきましたとおり、まだまだちょっといろんな課題があるということでございますが、さらにさまざまな検証を行うため、来年度も、区市で行っているモデル事業を引き続き進めていくということでございますが、都としてレアメタルリサイクルをどのように促進していくのか、伺います。

○井戸廃棄物対策部長 都は、これまでの回収実験や、来年度も継続して行いますモデル事業の成果や分析をもとに、来年度、レアメタルの事業の事業性の評価を行う予定でございます。
 レアメタルのリサイクルにつきましては、資源循環社会の確立の面からも重要な事業の一つであるというふうに認識してございます。
 そのリサイクルシステムの構築に当たりましては、来年度の検討結果を踏まえ、課題を整理して、さらにレアメタルリサイクルの促進に努めてまいります。

○野上委員 先ほども課題等をお知らせいただいたとおり、ベースメタルというのは、電力や構造物などの都市インフラを構築するものとして利用されていますので、資源の再生も比較的楽だと思いますが、レアメタルに関しては、携帯や小型の電子デバイスといった、多くは個人の消費財の中に部品として広く社会に普及されている状況ですので、こうした拡散した元素というんでしょうか、この資源を回収して、そして、かつ経済性を持って循環させるということは非常に、個人レベルではもちろん、この仕組みをつくっていくというのも非常に難しいと思います。
 しかしながら、今、現状としては、このレアメタルに関していえば、廃棄物として廃棄されてしまうか、あるいは環境規制が厳しくない近隣諸国にどこか捨ててしまうというか、流出させるかというような現状でございます。回収システムがうまく機能すればこの問題を解決できるというふうに期待するところでございます。
 まだまだ取り組みとしては、モデル事業ということで、始まったばかりというふうに認識しておりますが、ゆくゆくは、できれば東京都が主導して、このレアメタルの回収システムのモデルを考えていただいて、それを現場の区市町村の皆さんにご提示できるぐらいになっていただければなというふうに思っておりますので、非常に期待している事業でございますので、ぜひ取り組み、頑張っていただきたいと思います。
 続きまして、産業廃棄物処理業者の第三者評価制度について伺いたいと思います。
 先ごろ、東京都が創設した産業廃棄物処理業者の第三者評価制度についてなんですが、この優良性認定制度としては、これまで処理業者団体が評価機関となった岩手県の例や、あるいはまた、県が評価機関となった徳島県の例があります。東京都のように純粋な第三者機関が評価する制度というのは全国で初めてとのことでございますが、そういった中で何点か伺わせていただきます。
 まず、認定制度の信頼性という観点からいうと、民間の第三者評価機関が行うよりも、むしろ行政である東京都が直接認定する方が高いのではないかというふうに思います。
 なぜ東京都ではなく第三者評価機関が行う制度にしたのか、伺います。

○井戸廃棄物対策部長 産業廃棄物の処理ですとかリサイクルにつきましては、廃棄物を排出する事業者と処理業者との契約によりまして、民間ビジネスとして市場で行っているものでございまして、処理業者の評価を行う事業につきましても、市場において行うことが望ましいというふうに考えてございます。
 そのため、都の制度におきましては、許可権者である行政が直接、評価の主体となるのではなくて、廃棄物処理、リサイクルビジネスの一環としまして、被評価者と直接の関係がございません中立的な第三者機関が評価の主体となることとしたものでございます。
 なお、第三者機関が主体となることによりまして、機動的、弾力的な事業運営が行われ、排出事業者と処理業者のさまざまなニーズが的確に把握されまして、利便性の高い制度となることを期待しております。

○野上委員 認定の可否については第三者評価機関が決定するわけでございますが、そうなると、第三者評価機関というのはこの制度の中で非常に重要な位置を占めることとなります。
 制度の中核というべきこの第三者評価機関をどのように選定したのでしょうか、伺います。

○井戸廃棄物対策部長 第三者評価機関の選定でございますけれども、本制度におきましては、評価、認定の主体となります第三者評価機関につきまして、産業廃棄物の処理に関する調査及び研究の実績を有していること、それから、評価及び認定の業務を円滑に、かつ継続的に実施し得る経理的基礎を有していること、そして公平かつ公正に専門的な評価及び認定ができる体制を有していることが求められております。
 また、経営の安定性の観点からは、第三者評価機関につきましては、公益的な法人とすることとしたものでございます。
 これらの要件を満たしております団体につきましては非常に限定されるため、要件を満たすであろうと考えられます複数の団体に働きかけをしまして、その結果として、環境整備公社の申し出に基づきまして、第三者評価機関に指定したものでございます。

○野上委員 次に、第三者評価機関である環境整備公社は産業廃棄物の処理も行っており、都知事の許可を持った処理業者という一面もあります。評価される側である処理業者と同じような立場にあるこの公社が行う認定の公平性や、あるいは公正性はどのようにして担保されるのでしょうか。

○井戸廃棄物対策部長 本制度におきまして、評価及び認定の公平性及び公正性を担保するため、評価項目や評価基準などの基本的な枠組みにつきましては都が定めてございます。さらに、認定に際しましては、専門的な知識を十分に有しております外部の学識経験者等から成ります評価委員会を設置いたしまして、処理業者の評価基準への適合の可否の判定を行う体制をつくってございます。
 このようなことから、公社が行う認定の公平性、公正性は十分に担保されていると考えております。

○野上委員 さて、この第三者評価の実施主体である東京都環境整備公社自体についても伺わせていただきたいと思います。
 公社はもともと廃棄物の収集運搬や処理を行ってきた団体ではありますが、最近では、都から東京都地球温暖化防止活動推進センターの指定を受け、住宅用太陽エネルギー利用機器導入補助事業などの実施主体として、東京における家庭や、あるいは中小企業に対する温暖化対策の拠点としての役割も担ってきております。
 このように、公社そのもののあり方が環境保全をめぐる社会の変化に伴って変化してきているというふうに考えておりますが、今後都は公社をどのように活用していくのか、所見を伺います。

○吉村環境政策担当部長 財団法人東京都環境整備公社でございますが、昭和三十七年に東京都の廃棄物収集運搬事業を補完することを目的として設立され、その後、廃棄物を取り巻く時代のニーズに合わせまして、リサイクルや廃棄物の中間処理などの事業に取り組んでまいりました。
 平成十八年に策定された行財政改革実行プログラムにおきましては、同公社の廃棄物関連事業などにつきましては、社会経済情勢の変化や民間事業者との適切な役割分担を踏まえまして、そのあり方を見直すこととされました。
 また公社は、都から環境科学研究所の移管を受け、さらには都の温暖化対策の充実強化に伴い、平成二十年に東京都地球温暖化防止活動推進センターの指定を受けるなど、都の環境施策の推進に貢献してきているというふうに考えてございます。
 今後とも都は、公社を東京都の環境施策全般を補完いたします団体として位置づけまして、都が地球温暖化防止や廃棄物対策等の環境保全に取り組んでいく中で、適切に活用していきたいというふうに考えてございます。

○野上委員 この産業廃棄物処理業者の第三者評価制度について、公社についても伺わせていただきましたが、この評価制度、現状では、他の委員からもご指摘があったように、審査項目が多いということに加えて、審査手数料が最低十万円からということですので、気軽に審査を受けるという状況にはなかなかない状況です。
 公社が自主的な取り組みで今やっているところでございますが、なかなか気軽には業者さんが審査を受けられないなというふうにも伺っております。国の制度に則した評価の場合であれば、こちらは無料ですので、そういった観点からいくと、少し東京都のこの審査というのはお金がかかるなというふうなお声もいただいております。
 また、現状では、まだ--もちろん認定制度が始まったばかりですから、そういった意味での、優良と認定された業者さんとほかの業者さんとの、またメリットもなかなか見出せないような状況ですが、とはいえ、今までは産廃業者というと、非常に産廃業者というのは閉鎖性がありまして、やっぱり一番の問題は、廃棄物の処理工程を外部になかなか明かさない、そして業界全体が非常にブラックボックス化しているということで、排出業者が優良な処理業者を選定するに当たっても非常に目安となるものがなかった。そういったところで、この第三者評価制度を都が全国で初めて設置をして、ある基準を設けて取り組みをされたということは非常に評価ができると思います。
 今後、この認定制度が軌道というか、これから継続されて、多くの業者さんが審査を受け、そしてその中からきちんとした評価を受け、業界全体が活性化できればと私自身も思っております。まずはやっぱり安心して事業を任せられる事業者の基準を明確にしたということは非常に有効なことだと思いますので、今後も継続をしていただいて、多くの業者さんの認定をしていただいて、できれば認定を受けた業者さんが、多少なりともきちんと経済ベースに乗るようなメリットというか、メリットというとちょっと変ですけれども、多少なりとも優位性があるような取り組みにつなげていけたらというふうに思っておりますので、引き続きご努力をいただきますようにお願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。

○野田委員 先日の我が党の本会議の代表質問では、生物多様性地域戦略について取り上げました。多様な生物と、その生息、生育環境を守り、これを将来の世代まで伝えていくことが重要であり、とりわけ希少種の生息、生育環境を保全することが喫緊の課題となっております。
 本日、私からは、東京の生物多様性を語る上で不可欠な、都内の希少種のリストである、いわゆる東京版レッドデータブックと、世界自然遺産登録を目指しております小笠原諸島の希少種の保護の点で重要な外来種対策について質問をいたします。
 まず初めに、現在改定作業を進めております東京都版レッドデータブックについて何点か伺います。
 私の地元であります北多摩地域は、都心部とは至近の距離にありながら、東京の原風景である武蔵野の面影をとどめた自然豊かな土地柄であります。例えば、狭山丘陵などを初めとして豊かな自然環境が数多く残されており、都内で絶滅が危惧されております希少な生物のトウキョウサンショウウオ、またムカシヤンマ、ホトケドジョウ、こういった希少な動物の貴重な生息地域となっております。
 近年都市化が進行する中にあって良好な自然環境を保全し、絶滅のおそれのある希少種の保護を図り、次世代へと確実に引き継いでいくことが、今、切に求められております。そのためにも、都内の自然環境の変化を受けやすい、絶滅が危惧される希少種が今どのような状況に置かれているかを、現状をしっかりと把握することが不可欠であろうと考えております。
 都では平成十年に、都内の希少種のリストである、東京都の保護上重要な野生生物種、いわゆる東京都版レッドデータブックを策定し、希少種の保護に努めてきました。初版の発行から十年余りたっているわけでございますが、都内の自然環境が変化していることから、現在、東京都版レッドデータブックについて、都民に情報提供を求めるなど新たな手法も加味しながら改定作業を進めていると聞いております。
 そこで、新たなレッドデータブックの改定作業、この進捗状況について伺います。

○大村自然環境部長 東京都版レッドデータブックの改定につきましては、平成二十年度から作業に着手しているところでございます。
 今回の改定では、お話のように、初めてヤマトタマムシやムササビ、ニホントカゲなど二十種類の動植物について都民に情報提供の依頼を行いましたところ、延べ一万件にわたる情報が寄せられたところでございます。改定に携わった専門家の方々からは、減少が著しいとされている地域から比較的多くの情報が寄せられ、生息地の維持が確認されるなど、今回調査の対象に取り上げた希少種の現状を把握する上で一定の成果があったというふうに聞いてございまして、また、普及啓発の面でも効果があったと認識してございます。
 改定作業は本土分と島しょ部に分けて作業していますが、本土分の東京都版レッドデータブックにつきましては、現在取りまとめ作業の最終作業を行っており、来年度早々には公表できる予定でございます。
 なお、島しょ部につきましても、今年度既に着手しておりまして、順調に作業を進めているところでございます。

○野田委員 約十年ぶりということで、その改定作業が当初の予定どおり現在進んでおるということで、大変心強い限りでございます。区部に比べましてまだ自然が大変豊かに残っております北多摩地域であるわけでありますが、その一方で、随分、宅地化の波が押し寄せてきているわけでございます。本当にこの十年、二十年見ていましても、農地や雑木林、こういったものが本当に急激に減っておりますし、まち並みが随分変わってきたなという認識をいたしておるわけでございます。
 この地域が発展する上で、もちろん都市開発というものは大変不可欠なものであると理解をしているわけでございますが、一方で、やはり緑の保全、これをどのように調和を図っていくか、そして持続可能な都市を、やはり緑と調和を図りながらこの持続可能な都市を実現していくということが、これは切に求められているのではないかなと思っております。
 そういった中で、この開発と緑の保全をどのようにバランスをとっていくのか、これが大変不可欠なことであろうと思っております。環境に配慮した都市開発を進めていく上で、この東京都版レッドデータブックの情報は、最も基礎的な資料の一つになると考えておりますけれども、今後この東京都版レッドデータブックをどのように活用をされていくのか、見解を伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 現在改定中の東京都版レッドデータブックでは、約二千種類の希少な動植物をリストアップしまして、本土を区部、北多摩など四地域に区分いたしまして、地域ごとに絶滅のおそれの度合いに応じてランクづけをいたしまして、分類、整理をしているところでございます。
 東京都版レッドデータブックは、環境アセスメントや自然保護条例に基づく開発許可の際に活用しております。具体的には、開発予定地に東京都版レッドデータブックに記載された希少種が生息しているかどうかを事業者に調査させまして、生息している場合には、それを保護あるいは移植などの措置をとらせたり、場合によっては開発計画の変更を促し、開発と自然環境保護との両立を図るよう事業者を指導しているところでございます。
 また、保全地域の指定やその維持管理に当たりましても、参考資料として活用しているところでございます。

○野田委員 ご答弁から、東京都版のレッドデータブックが、これが十分に活用されるということは大変理解できました。今後、都の環境行政の場面だけではなく、広く都内で希少種の保護、回復を図っていくためには、これは区市町村や公園などの施設管理者、あるいは都民一人一人がその意義を十分に理解し行動する必要があろうかと思っております。
 そのためにも、東京都版レッドデータブックのより一層の普及が欠かせないと考えておりますが、この点について都の所見を伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 都内に生息する希少種の情報をわかりやすい形で都民に提供し、希少種の保護に向けて普及啓発を進めていくことは大変重要であると考えてございます。
 そこで、区市町村を初めとする関係機関に広く新たな東京都版レッドデータブックについて情報提供いたしまして、その意義について理解を深めてもらい、公園の管理、生き物調査など、各種の事業での活用を通じまして、地域での希少種保護に向けた取り組みの促進を図ってまいりたいと思ってございます。
 さらに、ホームページなどの媒体を通じまして広く都民に伝えていきますとともに、今後、レッドデータブックの改定で得られました情報を、希少種の写真なども加えてより詳細に紹介いたしましたレッドデータブック解説版の作成にも取り組んでまいりたいと思ってございます。
 これらの取り組みを通じまして、都民一人一人が希少種保護の意義を理解し、取り組みに参加していくような機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。

○野田委員 今後、新たな東京都版レッドデータブックのデータを有効に活用することで、希少種の保護に向けたさらなる取り組みをぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。
 それでは次に、希少種保護に取り組んでおります象徴的な地域であります小笠原諸島についてお伺いいたしたいと思います。
 現在、世界自然遺産登録を目指しております小笠原諸島においては、独自の固有種や希少種が生息、生育していることが、世界遺産に値する価値があるといわれております。しかし、アカガシラカラスバト、オガサワラシジミ、オガサワラトンボ、ムニンツツジなど小笠原固有の動植物は、外来種の侵入や人間活動により絶滅の危機に瀕しており、世界遺産登録に向けても希少種を保護していくことが急務であろうと考えております。
 例えば、外来種であるノヤギは希少な固有植物を食べてしまうとともに、植生を破壊し、生物の生息基盤である土壌を流出させる原因になっていると聞いております。そうしたことから、都がノヤギ対策を進め、聟島列島でも根絶してきたと聞いており、このことは大いに評価するものでございます。都の取り組みの結果、小笠原諸島でノヤギが残る島は、父島と弟島だけと聞いております。
 世界遺産の価値でもある希少種の保護に向け、父島と弟島におけるノヤギ対策も含め、都として外来種対策をどのように進めていくのか、伺います。

○大村自然環境部長 世界遺産の価値でございます小笠原の希少種を守ることは、現在の我々に課せられました責務であり、外来種対策は極めて重要な課題でございます。
 このため、関係機関と連携いたしまして、世界遺産登録の推薦書の提出に合わせまして、本年一月に、外来種対策の行動計画である小笠原諸島生態系保全アクションプランを策定いたしました。これに基づきまして、都は、各島に生息していたノヤギ排除や、聟島列島のギンネムの除去など外来種対策を進めておりまして、ノヤギについては、弟島でも今年中には根絶する見込みでございます。
 来年度から、人が生活し、ノヤギの生息数も最大である父島でもノヤギ排除の作業に着手いたしまして、小笠原諸島におきますノヤギの根絶を目指してまいりたいというふうに考えてございます。

○野田委員 大変な作業であろうかと思いますが、希少種の保護をするためにも重要な取り組みであろうかと思いますので、引き続き取り組みを進めていただきたい、このように思うわけでございます。
 ところで、先日の朝日新聞だったでしょうか、ウシガエルが根絶できたという記事を読んだわけでございますが、小笠原にはそのほかも本当に多様な外来種がいると思います。その対策の進捗状況を伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 小笠原諸島生態系保全アクションプランに基づきまして、関係機関が分担して各外来種の対策を実施してございます。弟島に生息しておりますノブタにつきましては、お話のウシガエルとともに、駆除作業の結果、根絶することができました。
 クマネズミは、聟島や兄島での駆除作業を行っているところでございます。
 それから、グリーンアノールにつきましては、母島の自然保護上重要な地域に侵入防止フェンスなどの設置を行いまして、グリーンアノールの侵入を防ぐとともに、排除作業を実施しております。
 また、父島の港周辺において、他の島へグリーンアノールの拡散を防止するために駆除を行いますとともに、監視、普及啓発を実施してございます。
 アカギやモクマオウなどの外来植物につきましても、現在、駆除作業を行ってございます。

○野田委員 引き続き早期の根絶を目指してしっかりと取り組んでいただきますことを要望いたします。
 さて、世界自然遺産にこれを登録するということは、小笠原のすばらしい自然を世界にアピールするとともに、それを将来にわたり守っていくことを世界に向けて宣言することとなるわけであります。登録がゴールではなく、登録後も遺産の価値である希少種を守っていくことが必要ではないかと思っております。そのために、今いる外来種対策だけではなく、将来新たに外来種が侵入してこないような対策や、また、ほかの島に拡散することを防ぐ、こういった対策が重要と考えますが、所見を伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 お話のように、小笠原の希少種を将来にわたって守るためには、既存の外来種対策に加えまして、新たな外来種の侵入や拡散を防ぐことが重要でございます。都ではこれまでも、小笠原諸島の公共事業における環境配慮指針や、小笠原諸島における建設作業の手引きを作成しまして、外来種の侵入、拡散防止対策を実施してまいりました。また、カタツムリを食べるプラナリアの拡散防止などを目的に、都レンジャーが母島下船時に靴底洗浄などを指導してきてございます。
 今後、新たに小笠原への玄関口でございます竹芝ふ頭において、外来種持ち込み防止についてのパネルを設置しての注意喚起を行ったり、また、小笠原到着時の東京都レンジャーによる指導などを強化いたしまして、関係機関と連携して、新たな外来種の侵入、拡散防止にも取り組んでまいります。

○野田委員 東京には、奥多摩の山地、また多摩の丘陵地、そして世界遺産を目指す小笠原などの島しょまで、実に多様な自然があるわけでございます。そのそれぞれの環境に適応したさまざまな希少種が、生活、生息、生育をしているわけでございます。これらの希少種を守り次世代に引き継いでいくことは、我々の責務であろうと考えております。ぜひとも東京全体で希少種の保護について引き続き精力的に取り組んでいただきますことを要望申し上げ、質問を終了いたします。

○吉倉委員 最初に、オフィスビルの環境対策について伺います。
 近年新たに建設されているオフィスビルの多くは、先進的環境技術が取り入れられてきており、省エネ化が進んでいるものと思います。東京都は平成十四年から建築物の環境計画書制度を導入しており、社会的関心の高まりも加わる中で、先進的な環境技術を導入した建築物がふえてきております。
 都が詳細にホームページに紹介していることは承知しておりますけれども、都の制度の特色と、東京には環境性能の評価が高い建築物はどの程度あるのか、実績を伺いたいと思います。
 その上で、都の取り組みをさらに広げるためには、建築学会との連携に加え、国に都の成果を情報提供し、国の温暖化対策を実効あるものに導くことが効果的であると、このように考えております。あわせて見解を伺います。

○大野理事 本制度は平成十四年六月に施行したものでございまして、本年二月までの間に、オフィスビルでは合計二百六十件の届け出が出ております。
 東京都の制度の特色でございますが、建築主の環境への配慮の取り組みを評価項目ごとに段階一から段階三というわかりやすい手法で示すとともに、評価項目を構成する要素につきまして、環境性能をあらわします具体的な数値をも示しているという点が特徴でございます。
 環境性能のうち、例えば建物の断熱性能でございますが、二百六十件のうち約三分の二が省エネ法の定める基準を大きく上回る取り組みを行っております。
 昨年、これらの取り組み成果を、日本建築学会のシンポジウムや産業経済省が設置しました研究会で報告してまいりました。経済産業省の研究会報告では、都の取り組みの成果などをもとにしまして、省エネ法の基準改正の必要性が提起されております。
 今後とも都の取り組みを積極的に紹介していくことで、他の地方自治体や国の実効性ある対策の前進に寄与してまいります。

○吉倉委員 ご答弁お聞きいたしまして、環境性能の高い建物が多いということ、また、積極的に情報を公表していらっしゃるということがよくわかりました。
 ところで、大規模建築物においては工事中に費用がかさんでいく場合が多く、環境設備のコストが計画時点よりも抑えられると、こういう傾向にあります。
 こうした事態を防ぐためには、効果的な環境貢献技術を基本設計に組み込むことや、あるいは設備設計での環境貢献を高く評価することが効果的だろうと、このように考えております。
 すなわち、建物配置計画において、エレベーターシャフトなどの非空調部分の位置の工夫、あるいは自然換気を取り入れること、あるいはまた、方角に応じてひさしの形状を変えること、こうしたことが省エネ技術として考えられるというふうに思っております。
 また、オフィスビルに入るテナントに対しても、都が既に実施をしておりますマンション環境評価制度を通じてオフィスビルの省エネ性能を見える化し、テナントの入居段階から省エネ性能に着目した選択機能を強化することが効果的と考えますけれども、あわせて見解を伺います。

○大野理事 基本設計段階で組み込む省エネ対策は、建物の省エネ性能に重要な影響を与えるものでございます。また、スペースや動線を確保した平面計画は長寿命化の点で不可欠なことでございますので、建築物環境計画書制度におきまして評価項目に位置づけております。
 現在改訂作業を進めております制度マニュアルの中で、これらの対策の効果や重要性を明記しまして、環境性能の向上を促進してまいります。
 また、オフィスビルの省エネ性能の見える化でございますが、本年一月の環境計画書制度の改正の中で導入しました省エネルギー性能評価書を活用してまいります。この評価書は、建築主が大規模なテナントに賃貸などを行う際に交付を義務づけたものでございまして、オフィスビルの省エネ性能が一目でわかるように、グラフでございますとか、チェックリストで表示いたしまして、環境性能の高いオフィスをテナントが容易に選択できるようになっているものでございます。

○吉倉委員 今、お聞きいたしまして、建築主に対して省エネルギー性能評価書、これをテナントに交付することを義務づけ、環境性能の高いビルがテナントから選択されるような市場の形成を推進していくということはよくわかりました。今後も、環境性能に対する配慮への取り組みを強化することが必要だと、このように考えております。
 例えば、学識経験者や民間団体、企業と協働して、環境性能にすぐれた建築物を表彰する制度を創設することが効果的じゃないかと、このようにも考えております。すぐれた取り組みをたたえることで、都が目指す市場の形成を促すべきと、このように考えておりますが、見解を伺います。

○大野理事 今回、一万平方メートルを超えるオフィスビルを対象とした強化策の一つといたしまして、省エネルギー性能状況報告書の規定を設けました。この報告書は、運用段階におけます省エネルギーのための設備機器等の調整や、省エネルギー性能の検証内容について、建築主に報告を求めるものでございます。この報告書と建築物環境計画書をあわせまして、設計段階から運用段階までの省エネルギーに関する取り組みを一貫して把握することが可能になります。
 今後、この報告書を集計、分析しまして活用方策を検討するとともに、関係学会や事業者等と協働しまして、運用段階におきまして、すぐれた取り組みを行っている建築物について、広く社会に紹介する機会を設けてまいります。

○吉倉委員 ぜひ、今後とも、すぐれた取り組みをたたえていくという方向で進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 次に、産業廃棄物、特に最近の産業廃棄物処理を取り巻く問題について、何点か伺います。
 大量生産、大量消費の社会経済システムは、私たちに物質的な豊かさをもたらした反面、大量の天然資源を消費し、膨大な量の産業廃棄物を発生させてきました。その結果、最終処分場の逼迫や不法投棄など、環境に深刻な影響を及ぼしてきております。
 こうした状況に対して、都は、廃プラ埋め立てゼロ協定や、あるいは条例に基づく報告・公表制度など、この分野においても国をリードするような産業廃棄物の適正処理と資源化に向けて、さまざまな施策を展開してきているところであります。
 そこで、まず、一昨年秋のいわゆるリーマンショック以降、景気低迷の影響から、産業廃棄物の発生量が減少しているといわれております。私も処理業を営む知人から、かつてないほど厳しい状況だと、このように聞いております。
 廃棄物が減少することは、社会的には歓迎すべきことでありますけれども、しかし、反面、困った問題も発生をしております。今、処理業界では、少なくなった産業廃棄物をめぐって激しい価格競争が起きております。そのため、不適正な処理、さらに最悪の場合には不法投棄も心配をされております。
 まず、こうした状況に対する環境局の認識と対処について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 景気の低迷に伴いまして、ご指摘のとおり、現在、産業廃棄物市場では厳しい価格競争が行われていることにつきましては、よく承知してございます。
 都としましても、不適正処理防止の観点から、細心の注意を払っているところでございます。具体的には、この一月から二月にかけまして、廃棄物を排出する事業者に対しまして、その責任の履行についての説明会を七回開催しまして、約千二百社の参加者に対しまして、著しく低廉な価格での委託契約に対する注意喚起ですとか、あるいは、不法投棄事案の紹介などによりまして意識啓発を図ってまいりました。
 また、処理業者に対しましては、業界団体とともに、今年度、講習会を四回開催しまして、適正な処理方法に関する知識ですとか、情報の提供を行いました。
 さらに、処理施設ですとか、あるいは解体現場等に対しまして、年間約三千七百件ほど行ってございますけれども、立入検査の際に、法令の遵守等について厳しく指導させていただくとともに、適正処理に関するリーフレット等を配布するなど、個別的な支援も行ってございます。

○吉倉委員 ご答弁いただきましたとおり、不適正処理防止のためには、まずはこうしたしっかりとした監視指導が不可欠であると、このように思っております。
 さらに、一方では、優良な処理業者を育成していくことも重要な取り組みであります。
 このため、私は、昨年の事務事業質疑の中で、優良な処理業者の育成などを目的として、都が昨年十月に創設をした産業廃棄物処理業者の第三者評価制度について、しっかりとした制度運営をしていただくことが大切である、このように主張してまいりました。
 それ以降、この制度も、さまざまな動きがありましたので、最近の取り組みを伺いたいと思います。
 まず、先月行われた第一回目の認定について、状況をご説明いただきたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 産業廃棄物処理業者の優良性認定制度につきましては、第三者評価機関が昨年の十月下旬から十二月上旬にかけて募集を行いまして、その後、書類審査ですとか、現地調査を経まして、去る二月の十日に第一回目の認定業者の公表をいたしました。
 この制度には、処理業者の取り組みの状況に応じまして、二つの認定区分がございますけれども、業界のトップランナーとして位置づけられる、いわゆる産廃エキスパートといわれる区分でございますけれども、それが百七社、そして、業界の中核的な優良業者と位置づけられます産廃プロフェッショナルが七十七社と認定されました。
 また、地域的な分布を見ますと、認定業者の本社の所在地につきましては、一都二府九県で、東京以外に本社がある業者は四十六社と、広範な地域にわたってございます。

○吉倉委員 制度を立ち上げる際には、百社程度ではないかと聞いておりましたけれども、実際には二倍近い業者が認定されたということで、この制度に対する処理業界の関心の高さがうかがえるというふうに思っております。
 次に、この制度は、処理業界の底上げなどを図り、社会全体として適正処理を進めようというものでありますけれども、しかし、処理業者のビジネスとしては、排出事業者に委託先として選定されないと、その実効性は上がりません。そのためには、まず、排出事業者にこの制度を知ってもらう、この必要があろうかと思います。この制度の周知について、環境局の取り組み状況を伺います。

○井戸廃棄物対策部長 本制度につきましては、処理業者さんにとりましては、ビジネスチャンスの拡大、また排出事業者にとりましては、優良な処理業者に関する情報が得られるなど、相互にメリットがございまして、この制度の普及によりまして、制度の目的でございます産業廃棄物の適正処理が促進されるものと認識してございます。
 制度の周知につきましては、経済界ですとか、あるいは建設業界など、約五十団体を訪問しまして説明するとともに、先ほど述べました排出事業者向けの説明会で制度説明を行うなど、その徹底を図ってございます。
 また、新聞ですとか、あるいは各業界紙などに情報を提供しまして、掲載していただくことにより、広く制度の周知に努めたところでございます。
 その結果、経済団体ですとか、あるいは建設業界団体の中には、その会員企業に本制度の活用を推奨する団体も出てきているところでございます。
 今後とも、説明会など、あらゆる機会をとらえまして排出事業者への制度周知を図ってまいります。

○吉倉委員 ご答弁いただきまして、職員の皆様が業界団体などを足で回り、PRに努めたということであります。こうした努力により、経済団体や大手ゼネコンなどの建設業界や団体が制度の活用を推奨しているということで、排出事業者側にこの制度が相当に浸透しているというふうに、よくわかりました。
 一方、環境局は、みずからの足元であり、多数の公共工事を発注している都庁内の各局に対して、この制度の周知をどのように図っているのか、これも伺いたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 東京都が発注する工事などからは大量の産業廃棄物が排出されております。廃棄物処理法上の排出事業者は、工事の元請ですとか、あるいは下請業者となりますけれども、適正処理の推進に向けまして、行政が率先するという意味からでも、都の各局に本制度を認識してもらうことは、大変重要であるというふうに考えてございます。
 そのため、都庁内の主な工事発注局で構成しております東京都工事関係基準協議会の幹事会におきまして、二回にわたり関係局に対しまして情報提供を行うとともに、各局から請負業者さんに対しまして、直接、制度の有効活用を促す文書を配布されるよう要請しているところでございます。
 また、あわせて、工事の発注件数が多い都の監理団体及び区市町村に対しましても、制度の周知徹底を図っております。
 今後とも各局等との連携を図りながら、制度の周知に努めてまいります。

○吉倉委員 都が発注する工事であっても、工事の元請や下請業者が産業廃棄物の排出者になるということですが、一方、行政として適正処理を促進するという観点から、都に全く責任がないとはいえないというふうに思います。工事を発注する各局は、この制度を積極的に活用すべきであると思いますので、強く意見表明をしておきたいというふうに思います。
 今、処理業界は不況の中、厳しい状況にあります。そうした中で、環境局は、不適正処理の未然防止にも大変な努力をしておられる。そして、さらに一歩進めて、第三者評価制度により、優良な業者の育成を通じて業界全体の底上げを図ろうとしており、こうした取り組みは高く評価できるものであります。
 産業廃棄物の処理は、私たちが持続可能な社会を築いていく上で、非常に重要な位置を占めるものであります。環境局には、第三者評価制度のさらなる充実など、各種施策の展開により、ぜひ環境先進都市東京、これを実現していただきますことをお願いし、私の質問を終わります。

○山下委員 それでは、私からは、初めに小笠原諸島の世界自然遺産登録に関して質問させていただきます。
 ことし一月二十六日、小笠原諸島の世界自然遺産登録の推薦書が、ユネスコ、国連教育科学文化機関に提出されました。今後は、ことしの夏、ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合による現地調査などを経て、来年夏には、登録の可否が決まる予定と聞いております。
 小笠原諸島は、東京の南およそ千キロの太平洋上、大小三十余りの島々から成り、これまで大陸と地続きになったことがない海洋島であることから、固有の動植物が生息、生育して独自の生態系をつくり上げていることは、ここにいる皆様、ご存じのとおりです。
 東京といえば世界的な大都市ですが、その一方で、小笠原諸島のように世界でも類を見ない自然があることは、東京都民として誇らしいことと思います。世界遺産登録をきっかけとして、小笠原諸島の知名度が上がることは喜ばしいことと思いますが、観光客が増加して、自然環境に悪影響を及ぼすことも想定されます。こうした影響を予測して、今から対策を講じておくことが必要と考えます。
 そこで、まず、ガラパゴス諸島など、既に登録されている世界自然遺産について、登録後に生じた自然へのマイナスの影響を伺います。

○大村自然環境部長 昭和五十三年、一九七八年でございますが、世界で最初に世界自然遺産に登録されましたガラパゴス諸島につきましては、ユネスコが平成十九年に世界危機遺産リストに登録を行いました。ユネスコによりますと、その理由は、観光客増加と、それに伴う移住者の増加に伴いまして、ガラパゴス独自の生態系が脅威にさらされているからということでございます。

○山下委員 ガラパゴス諸島では、観光客の増加による生態系の変化によって、生物多様性などの遺産価値が危険な状態にさらされていることを示す世界危機遺産リストに登録されたとのことですから、東洋のガラパゴスと呼ばれる小笠原諸島でも同じようなことが起こりかねません。
 例えば、観光客の増加によって、歩道際の踏み固めや、ごみ捨てなどの不適切な行為がふえることも懸念されます。また、世界自然遺産に登録されることによって、オガサワラシジミやアサヒエビネなどの固有種が広く知れ渡り、密猟や盗堀などがふえたりしないか気がかりです。小笠原諸島では、何としてもこのようなことが起こらないようにしていただきたいものです。
 そこで、小笠原諸島では、観光客の増加が自然環境に悪影響を及ぼさないようにするために、登録を見据えてどのような対策を講じているのか。また、今後、講じていくのか伺います。

○大村自然環境部長 世界遺産の推薦に当たりましては、ほかの事例を参考に対策を検討いたしまして、国立公園における特別保護地区の拡張など、保全策を強化いたしますとともに、小笠原全体の自然環境を保全するための管理計画を策定いたしました。
 観光客の増加に対しましては、観光と自然環境の保全の両立を図るために、利用人数や利用ルートを定めました東京都版エコツーリズムの推進や、自然観察ルールの徹底などに取り組んでおります。
 また、動植物の密猟対策といたしまして、希少動植物の捕獲や採取の禁止などの観光客への注意喚起と、都レンジャーによります巡回や指導を実施しております。
 世界遺産に登録されました後も、引き続き関係機関と連携しまして、自然環境の保全に取り組んでまいります。

○山下委員 ほかの事例を踏まえて対策を講じていることは理解いたしました。
 小笠原諸島の自然を将来にわたって保全していくためには、ただいま答弁いただいたような対策を着実に進めることが重要と考えます。
 平成二十二年度予算案を見ますと、世界遺産登録推進事業として、およそ二億五千万円が計上されています。具体的にはどのような事業を行うのか伺います。

○大村自然環境部長 平成二十二年度の事業でございますが、植生回復事業、外来種対策、自然環境の変化を把握するモニタリング調査、普及啓発用の案内板の設置などを実施する予定でございます。

○山下委員 引き続き、しっかりと対策に取り組んでいただくことを要望するとともに、小笠原諸島が来年の夏、世界自然遺産に登録されることを期待して、次の質問に移ります。
 続いては、キャップ・アンド・トレード制度について伺います。
 東京都では、いよいよ四月一日、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度がスタートします。全国に先駆けた罰則を伴う制度であり、産業界に対しては、これまでのように自主的な削減対策から、総量削減という新たな政策への発想の転換を促す契機になるものとして、その先見性を高く評価させていただきます。
 一方、世界に目を転じますと、二〇〇五年に先陣を切ってEU諸国で導入されたEU-ETSや、去年、アメリカ北東部十州に導入されたRGGI、いわゆるレッジが実際に運用されているほか、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などでも導入に向けた検討が始まっていると聞いております。
 今回、東京都が国の制度導入に先駆けて始めるキャップ・アンド・トレードは、諸外国の先行事例と比較して、どのような特徴を持つのか。また、国内外におけるキャップ・アンド・トレードの導入に向けた検討の中で、都の制度導入はどのような意義があるのか、まず伺います。

○大野理事 都制度は、オフィスビルなどの業務系施設をも対象とするものでございまして、この点では世界で初めての都市型のキャップ・アンド・トレードであるという特徴を持っております。
 先般、今国会に提出される予定の温暖化対策基本法案が閣議決定されましたが、排出量取引の導入については規定がございますが、肝心の総量削減義務を導入するかについては、極めてあいまいなままになっていると思っております。
 都は、都内の事業者の皆さんと連携いたしまして、都のキャップ・アンド・トレード制度が効果を示すことを通しまして、国における実効性のある制度の実現を促進していきたいと考えております。

○山下委員 日本国内だけでなく、世界的に見ても、東京がキャップ・アンド・トレード制度を導入する意義が非常に大きいということがよくわかりました。
 次に、都のキャップ・アンド・トレードにおける対象事業所について伺います。
 都の制度で義務の対象となるのは、前年度のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の大規模事業所であり、オフィスビル、工場など、個々の事業所単位ごとにCO2排出量を把握し、毎年報告を求める仕組みとなっています。
 一方、国の試行排出量取引スキームは、事業所単位だけでなく、企業や業界団体を単位とする参加が認められており、参加者が選択できる仕組みとなっています。
 都のキャップ・アンド・トレード制度が事業所単位を採用するメリットは何かを伺います。

○大野理事 実効性のある制度を実現する上で最も大切なことの一つは、CO2の排出量と削減量を正確に把握することでございます。省エネ法でございますとか、改正された地球温暖化対策推進法など、あるいはその試行スキームなどでは、企業単位の集計方法を認めているわけですが、こうしますと、小規模な多数の事業所の排出量もカウントしなければ企業全体の排出量が出ないということになります。そうしますと、なかなか正確な排出量が把握できないということになります。
 このため、都の制度では、排出量のモニタリング、報告、検証を最も確実に行うことができる大規模な事業所単位というふうにしております。
 また、事業所単位の把握方法は、個々の事業所ごとの排出削減に向けた取り組み状況が明らかになるという点でもすぐれていると考えております。

○山下委員 事業所単位で取り組み状況を把握するメリットがよくわかりました。
 続いては、排出量取引について伺います。
 今回の制度は、五年間の経過期間の中で、中期的な視点を持って、まずはみずからの削減対策を行い、総量削減義務を達成できない場合には、義務の履行手段として排出量取引制度を活用できる仕組みとなっています。
 しかし、都内のCO2排出量を大幅に削減するためには、過度に排出量取引に依存するのではなく、できる限り、みずからの省エネ対策で義務を履行するよう誘導する必要があると考えます。
 そこで、排出量取引を導入する意義を改めて伺います。

○大野理事 排出量取引制度を導入するに関しましては、条例改正時の当委員会のご審議でも答弁させていただいておりますけれども、改めてお答えをさせていただきます。
 排出量の削減対策としての設備改修は、事業所にとりまして光熱費の削減というメリットを得るものでございますが、大規模な設備改修はそれだけ初期投資が高くなるために、回収にかかる期間が長期化するという傾向がございます。
 排出量取引を導入しますと、大規模な設備改修によってCO2の総量削減が実現した場合、その削減分を排出量取引で売却することが可能になります。これによって、初期投資の回収を早めることが可能になるということでございます。つまり、排出量取引は、これまで行われづらかった大規模な省エネ改修を促進する効果があると考えております。
 このように排出量取引制度の導入は、事業所に削減対策に率先して積極的に取り組むインセンティブを与えるものでございます。また、削減義務の履行の方法につきまして、事業所に選択の余地をふやし、柔軟な対応を可能にするという意味も有するものと考えております。

○山下委員 以上、都のキャップ・アンド・トレードの特徴と、その導入意義について、改めて確認させていただきました。
 排出量取引については、隣の埼玉県でも導入に向けた検討が進んでいると聞いております。ぜひ今後は、ほかの自治体との連携も図っていただきたいと思います。
 東京都が世界初の都市型キャップ・アンド・トレードとして確実に削減実績を上げ、成功事例として、国内はもとより、世界の大都市にも積極的に貢献していきますことを心より期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○こいそ委員 それでは、大きく三問お聞きしたいと思いますが、まず第一点といたしましては廃棄物対策であります。
 これは特に資源の抜き取りですね、この関係、そして産廃と事業系一般廃棄物について、若干、聞かせていただきたいなと思います。
 まず、東京都の資源循環の歴史、これ、私、何回もいわせていただいておりますけれども、江戸時代の庶民文化といいましょうか、町民文化、この中ではぐくまれてきた、もったいない。すなわち、かまどの灰も、極端にいって、いろいろこれ、歌舞伎だったか何かありますよね、そういう場面が。このかまどの灰もすべてきょうから私のもんだという、おれのもんだという、高利貸しの話で。
 そういう中で、いずれにしてもそのかまどの灰も、これ、回収業者がいて、循環型にまさにされていて、販売も当然されていたんですね。ろうそくのろうなんでしょうかね、菜種油なんかもそうだけれども、これ、最後、回収して、これもやはり販売ルートに乗っていましたよね。さまざまありました。
 そうした中から、今いいましたように、もったいないということも基本的にありますけれども、やはりいかにして物を大切に、そしていかにして物を再生産させていくか。3Rですよね、いってみれば。こういうことの中で、日本人特有の、私は概念が形成されてきていると思うんですね。
 こういう基本的なところから、こうした歴史的にも高い環境意識というのがあるというふうに思いたいし、認識しているわけでありますけれども、例えば今日の、行政、各区市、多摩だけでありませんね、区市町村、リサイクル率の高さが極めて上がってきていますよね。これは大変結構なことでありますけれども、ところが、区市町村が実施している古紙の行政回収において、これは触れたことがありますけれども、特に、ごみ集積所にあらかじめ出された資源、これが、組織的に今現在も持ち去っていってしまう、こういう業者が、それぞれ東京都内であるということなんですね。これ、社会問題化しましたよね、犯罪であるということで。これ、後を絶たないんですね、現実問題として。こういうことがどんどんどんどん起きていても。
 私は、昨年十月の事務事業質疑においても、ご答弁もいただいておりますけれども、この問題を取り上げる中で、各区市町村の条例、それから制度、これもご答弁いただいておりますから結構なんでありますけれども、やはり東京都全体的に起きている問題、社会問題です、犯罪です。こういうことがあるならば、広域行政体としての東京都が、より一層力を入れて、このようなことがないようにという指導なり、抜本的対策を講ずる必要性があるのではないかというふうなことも、指摘も要望もさせていただきました。
 その後、具体的にどのように--私はあのときに、一律的な、例えば条例化、これもそうでありますけれども、どういう具体的な対応、取り組みがされてきたのか教えていただきたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 地域におけます資源回収は、委員お話しのように、高い環境意識に支えられまして、地域の住民が協力しまして資源を集め、それを区市町村ですとか、あるいは指定の業者が回収してリサイクルをするという基本的なルートがございます。無関係の業者の抜き取り行為を容認してしまいますれば、本来のルートが断ち切られまして、地域のリサイクルシステムの崩壊につながりかねません。
 抜き取り行為に対しましては、それを禁止する条例が強い抑止力を持ちますので、都としまして、区市町村間の情報交換に努めまして、制度的な取り組みを強化できるよう、広域的な立場から区市町村の支援をしてまいりました。
 区部では本年二月に、二十三区全体で資源持ち去り対策情報交換会が発足しましたけれども、都としましても、積極的に連携し、情報交換を行い、各区の取り組みを強化してまいります。
 多摩地区では、東京都が三月に開催し、全市町村が参加します多摩行政連絡会におきまして、資源抜き取り問題を取り上げ、条例化に向けた事例紹介などを通じまして、各市町村の取り組みを誘導してまいります。

○こいそ委員 要するに、しっかりと、その行政連絡会等々も通じながら連携しているということでありますけれども、私ちょっと、申しわけないけど、実効的効果が上がっているか否か。要するに、多発しているわけですね。実際問題として、この抜き取り行為というような犯罪行為、これが多発している現状。そういうこともそうでしょう、連絡会を通じながらということも、情報交換するのも結構だけれども、後を絶たないですね、これ。せっかく環境意識が高まってきて、リサイクルということで率が上がってきているにもかかわらず、こういうことが横行しているんです、東京じゅうで。
 こういうことに対して、環境局として抜本的対策をどうやって講じていかなきゃいけないのかということを、私は事務事業質疑の中でもいわせていただいた。その後においても、関係者の方々からも、ある行政担当者もそうでありますけれども、このような携わっている関係者の方々からも意見をいただく中で、やはり改善されていないんですよ、現状として。ですから、今までの取り組みで果たしていいのかどうなのかと、このあたり、部長、どうですか。

○井戸廃棄物対策部長 前回の委員のご指摘を受けまして、この間、都におきましても、広域的な対応が必要と考えまして、東京都の区市町村を対象としました広域的な条例制定の可否につきまして、法務部門や他県との意見交換を行いました。
 そうした中で、区市町村の事務でございます一般廃棄物処理に対しましては、都道府県の立場で広域的な条例を制定することにつきましては、立法技術的な制約の面から難しい面があることがわかりました。
 しかしながら、この抜き取りの問題につきましては、各区市町村のレベルを超えまして、都全体で取り組むべき問題と認識してございまして、今後とも区市町村と連携しまして、全都的な取り組みとして展開していきたいというふうに思っております。

○こいそ委員 立法技術的に難しい面があるんだということで立ちどまっちゃったら、その先に行けないですね、これ、はっきりいって。立法だって、立法する、法律をつくり上げる。これだって、実態的にそぐわなければ法改正だってするわけでしょう。東京だって、今までやってきたじゃないですか、国に向けて。法改正を迫ってきたり、国を、先導的な役割を果たしてきたじゃないですか、今まで。環境的な面ではまさにそうじゃない。何でこれでいくと、立法技術的に難しい面がありますと。ありますでとまっちゃっているんだよ、これ、はっきりいって。そうじゃないでしょう。
 実効的な効果を、じゃあどうやったら上げられるんだと。連絡協議会で連絡調整して、これ、上がれば結構な話。上がらないから困っているわけです、はっきりいって。困っている人がいるんですよ、都民の中で。意識の問題だって、これがまたさまざま出てくれば、やはりいろんな問題が出てくる。いろんな認識を持たれる方、多いと思うけれども、こういうのをしっかりと東京都が据え置いて抜本対策を講じていかなければ、私はやっぱり東京都の環境局の責務ってそこなんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうか。

○井戸廃棄物対策部長 今の委員ご指摘のとおり、基本的には区市町村の方の事務でございます。ただ、その区市町村の方の事務の中で、いわゆる不十分というような面とか、あるいは実効が上がらないという面が見られた場合には、当然、廃棄物対策事業を所管しております都としましては、都の観点から、広域的な実効性のご要請に基づきまして、支援する観点から、きちんと対応してまいりたいと思っています。

○こいそ委員 これ、私、単なる区市町村だけの話じゃないと思いますよ。というのは広域性があるじゃないですか、現実。買い取る問屋があるじゃないですか、いろいろ。組織的に、それぞれの車両を出すところだってあるじゃないですか。それは自区内だけじゃないですよ。広域的じゃないですか。東京全域じゃないですか。だから困るんですよということをいっているんじゃないですか。
 こういうところの抜本的対策が--例えば区なら区、市なら市、自分のところにそういうところがある。抜本的に対応して、指導かけて、いろいろできるでしょう、それはそれで。いろいろ広範囲にわたっちゃっているわけだから、この場合はどうも。しっかり我々も調査をしている中でもそうですよ。
 そういうことですから、変な広域的なんだけれども、またがっているわけですからね、こういうところをぜひ--東京都の広域行政というのはやっぱりそこに存在するんじゃないかと。これは区市町村の話だとこれは区市町村だと。それは、私、おかしいと思いますよ、極めて。広域行政体としてのやるべき役割は、まさにここに存在しているんじゃないですか。
 それと、もう一点、今申し上げさせていただきましたけれども、抜き取りされたもの、資源を承知の上で買い取る古紙問屋や製紙メーカーがやはり存在していると。これ、現実のようであります。これら抜き取り行為が、変な形での一定のルートというんですかね、こういうものが存在していることが一面やはり問題でもあろうかと思うんですね。
 ですから、東京都はこういうようなことを、さらに、もう一段、まさに区市町村や業界団体と一丸となって、製紙メーカー、抜き取り古紙の買い上げを何かとめるような強力な要請を行うとか、ちょっと繰り返して申しわけありませんけれども、資源抜き取り根絶に向けた、しっかりとした対応姿勢を、もう一段、示していただきたいなと思うんですが、ご答弁をいただきたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 委員ご指摘のとおり、資源抜き取りを防止するには、くどくなりますけれども、区市町村ですとか関係業界、警察等と連携しまして、抜き取り行為自体をとめさせるよう取り組むとともに、委員お話しのとおり、リサイクルの入り口があって、それからそれを回収して、それをメーカー等に持っていく出口もございます。そうした流通ルートの遮断が大きな効果が上がるというふうに考えてございます。
 都としましても、今後、区市町村や業界団体等と十分な情報交換を行いまして、他県とも連携を図りまして、製紙メーカー等に対して、抜き取り古紙の買い入れをやめるように申し入れを行うことなどを含めまして、資源抜き取りの根絶に向けまして積極的に取り組んでまいります。

○こいそ委員 ぜひ、そういう変な--変なといういい方はおかしいかもしれないけれども、変なルートがあると、販売するね。これは根本的におかしいですよね。だって、脱法行為でしょう。犯罪でしょう。そこから得たものを買うと。それから、さらにまた流れていくと。こういうことを根絶しなけりゃ、これはもう、まさにそういう面での変ななれ合いになってくるわけであって、これはぜひ根絶を、区市町村とも一緒になって、関係者とも一緒になって、これは強力に取り組んでいただきたい。
 それから戻りますけど、先ほども法的技術的な面で非常に難しいといわれた。これは区市町村の業務だからといわれた。私は、もうちょっと検討していただきたいな、環境局として。広域行政のあり方は何だと、どうあるべきなのか。そういうことをぜひ--変な面での垣根はつくる必要性はないと思いますよ。それをぜひ要望いたします。
 そして、最後に、先ほどいろいろなやりとりがございました、産業廃棄物の関係で。私はあえていわせていただくと、産業廃棄物と事業系一般廃棄物、少なくとも排出業者の責任は、私は非常に重いと思うんです。何か、処理料が安くなればいいんだと。これは元請もあるかもしれない。さまざま、孫請、いやいや、子どもか孫か、だんだんこういくかどうかわからないけれども、そこから発注されるものが極めて適正な価格ではないということ。
 ここも、先ほどのお話と若干違うかもしれませんけど、私は、この排出する責任、それから一律的な価格、このぐらいも検討していただきたいと。あえてきょうはいわせていただきたいんだけれど、ばらつきが余りにも多い。東京都からの発注だって、最終的には--こんなのでどこに処理料払えるんだと。そうでしょう。東京都のいろんな、各ほかの部局で出たものが不法投棄されているでしょう。現実に今だってあるじゃないですか。不法投棄された、何カ所も。どうしてそういう不法投棄になるんだ。処理料が極端に安過ぎるんですよ、これも。脱法するのが一番悪いことなんだけれども。
 ですから、私、あえていわせていただければ、業界全体の、アメリカなんかでは、こういう産業育成をしっかりアメリカもやってきた。連邦も州もやってきたんですよ。州法も変えたり、連邦法も変えたりして育成してきた。行政が育成してきたところもあるんですよ。それで、それぞれの事業者が努力に努力を積み重ねたこともあるかもしれない。だけど、少なくとも現実的な話として、処理料が極端に少な過ぎる。価格がいつもアンバランス性がある。こうやって少なくなってくるから、みんな集中しちゃう、そこに。そうすると、さらに価格は下げて、下げて、下がってくる。こういう悪循環があるわけですね、現実問題として。
 私はそういうことこそ、価格を一定--これはそれぞれの関係者がおられるから、あえて、なかなか断定できないかもしれないけれども、少なくとも中間処理、最終処理ができるようなマニフェストがありますよね。そういう価格的なものをしっかりやって、それを遵守できないところは罰則規定を出したらいいんじゃないですか、行政で。少なくても、東京都から出ているところだってあるじゃないですか、幾らも。どうでしょうか。

○井戸廃棄物対策部長 確かに委員ご指摘のとおり、東京都は、事業としまして、発注者という観点でございますし、また、その発注者の中で、事業の中で、発注者として、元請さんですとか、あるいは下請業者さんの方が廃棄物を大量に出しているような場合がございます。
 また、東京都が、例えば病院の医療系廃棄物みたいに直接廃棄物を出すような場合もございます。
 そうした点におきまして、産業的な、技術的な部分に関して、契約というような面に関して、どういった形で取り組めるのか、いろいろ今後、検討してまいりますけれども、現在置かれている厳しい状況についての認識をもとにして、さまざまな創意工夫を行って、この問題が解決できるように取り組んでいきたいと思っています。

○こいそ委員 ひとつ価格面も、少し今後、視野に入れていただいて、ご検討をぜひお願いしたい。どうやったら可能になるかということを、ひとつご検討いただきたい。要望いたします。
 それと、次に、環境対応車、これについてお話ししたいと思いますが、特に電気自動車が今いろいろ普及促進ということをいわれておりますけれども、走行中のCO2が極めて少なくなると、低減されると、次世代車であるといわれておりますけれども、私は、究極的な環境対応車は、水素系燃料を使った燃料電池車だと思うんです。特に電気自動車は、結局のところ、そのエネルギーを火力電力などに頼る部分も当然あるわけでありまして、本当の意味で環境対策を進めていくには、やはり水素、水。最終的に水ですよ。水が出るわけですね。我が国にも非常に合う、この燃料電池の普及促進こそが極めて望ましいのではないかと思うんですね。
 いずれにいたしましても、世界的に、次世代のクリーンエネルギーへの転換が今、大きく進展をされようとしている中で、こうした時代の潮流を踏まえて、自動車、環境対応車施策を推進することはもう極めて大切だと。これは認識が一致しておりますけれども、そこで、東京として、クリーンエネルギーを活用した環境対応車について、都は、具体的にどのような認識と普及に向けた取り組みをされているのか、この点、お伺いします。

○市川自動車公害対策部長 電気や水素等のクリーンエネルギーを活用いたしました電気自動車や燃料電池車などの環境対応車は、走行中に排出ガスやCO2を排出しないため、環境負荷の低減を図る上で重要なものであると認識しております。
 電気自動車につきましては、昨年から軽乗用車が発売され、ことしの、年内には小型乗用車の販売が予定されるなど、普及の拡大が見込まれてございますが、ガソリン車に比べて、一回の充電で走行できる航続距離が短いなどの課題もございます。
 このため、都は、昨年から車両の購入補助とあわせまして、安心、快適な走行環境づくりに向けて、急速充電設備の設置を支援するなどの取り組みを開始いたしまして、現在までに都内において急速充電設備が二十八カ所、普通充電設備が六十一カ所設置されるに至っております。
 都は、今後とも車両の購入や急速充電設備の設置の支援を強化していくとともに、事業者等とも連携しながら電気自動車の普及に取り組んでまいります。
 また、燃料電池車についてでございますが、燃料電池車につきましては、委員ご指摘のとおり、化石燃料に代替が可能なものであり、かつ、水しか排出しない水素という、まさにクリーンなエネルギーを燃料としております。
 あわせて、ガソリン車と同等の航続距離を走ることが可能であるなどのすぐれた特性を備えておりますところから、普及がなされていくことの意義は大変大きいものと認識しております。
 しかしながら、燃料電池車につきましては、製造コストや水素の供給設備の整備など、普及に向けて大きな課題を持ってございます。
 一方、非常に高価な形でございますが、一部の民間企業等へのリース販売も開始されるなど、最近では普及に向けた動きも進展してきております。
 都といたしましては、こうした車両の技術開発や普及の状況、インフラ整備の動向などを的確に見据えまして、CO2削減を図るという観点から、クリーンエネルギーを活用した環境対応車の普及に向けて、時宜に応じた施策を展開してまいりたいと考えてございます。

○こいそ委員 クリーンエネルギー、いわゆる環境対応車の普及発展というのはもう今日的であると、これは全くそのとおりだと思っております。
 しかし、さりとて、私が申し上げたように、家庭系にも今普及をされ始めてきている燃料電池、これはぜひ、世界のメガシティーといわれる東京で、それから環境の先進都市、環境をまさに大きな政策に据え置いている東京として、この次世代、すなわち燃料電池の普及発展というものをもう少し、東京都としても、当然環境局としても、私はやはりこれを、検討はされているかもしれないけど、もっと発信をしてもらいたいと思うんですね。これ、はっきりいいまして。まさに国を先導する役割をしていただきたい。
 これはドイツにおいてだって、アメリカにおいてだって、国家戦略で取り組んでいる。まさに国家のプロジェクトの中でやっておりますけれども、しかし、私は、これは国家ぐるみでやっていかなきゃいけないかもしれないけれども、この首都東京で--一番最初に、通常のルートのバスを東京都が初めて燃料電池車を走らせました。我々も乗車させていただいたけれども。それだけ意気込みと決意があったわけですね、東京都としても。
 ですから、それをこれからも、電気自動車も結構かもしれないけれども、私は、ぜひ取り組みを強めていただきたいと、これを要望します。
 それとともに、インフラの整備。充電設備のお話がありましたけれども、もう一点、考えていかなきゃいけないのは、ディーゼル車の排出ガスのときも、極めて関係する諸団体、業種、それぞれの団体に対して、きめ細かい対応、配慮しましたよね。このインフラをこれからどういうふうに展開するかということを含めて、既存既設のインフラ、すなわち今、ガソリン、軽油、LPG、CNGなど、地域の地場のスタンドありますね。こういうところとも、私はしっかりと、導入を促進させるには、このあたりの理解といいましょうか、協力というのかな、こういうものをやっぱり一段としていただきたいと思います。
 でないと、いろいろな、余りにも急激にさまざまに打ち出されてくることによって、なかなか業界団体としても厳しい面があるかもしれない。防犯、防火、環境、特に耐震の中での耐震性がありますよね、各地場のガソリンスタンド。それから耐火、耐火建築になっているし。相対的に考えて、地域の中でということもそうなんだけれども、環境面でも非常に強い指導がありますよね。ですから、そういうことを踏まえた中で、ぜひ理解と協力を、今後とも導入を促進する中でお願いしたいなというふうに思います。
 それで、最後に、自然の水循環を回復するということでありますけれども、山地に降った雨ですね。森林等から地下に浸透して、時間を経て湧水となって、河川の流れとなって東京湾に注がれる。豊富な山のミネラルが運ばれてくる。山地に降った雨は、森林等から地下に浸透して、時間を経て湧水となり、河川の流れとなってと今申し上げたようになりますね。
 水の流れに沿って考えてみると、近年、東京の山地は、手入れが行われず、放置されていたために、今、手当てが始まってきておりますけれども、水源涵養能力が低下してきております。これだけじゃありませんけれども。その回復のためには、放置された森林を整備する必要性は当然ある。
 続けますけれども、丘陵及び台地では開発が進んできて、舗装道路や建築物で覆われ、地下水及び湧水の減少や河川の水量の減少が見られています。そのため、多摩川の支流である野川や残堀川などで水枯れが問題となってきておりますし、魚などが生息する場や、都民が親しめる水辺が極端に少なくなってきております。
 降った雨は、下水道に流さずに、徹底的にこの地下にしみ込ませるよう、雨水浸透施策を推進して、雨水浸透能力をこれまで以上に高めることが必要であると思います。ちょっとこれ、時間あれだから進めますけどね。
 また、東京ではビルや交通機関が集積して、膨大な排熱などからヒートアイランド現象が進行して、湿度は依然として下がり続け、東京の砂漠化が進んでいると。砂漠化が進んでいるということですね。
 これは水源林でもそうなんです、実は。東京を冷やすのは水なんだという話がありますけれども、都内において、雨水浸透を推進することにより、身近な地下水や湧水をふやすことができ、こうして得られた湧水を池や河川、水路に流すことで、都市部の気温を下げることにもつながる。
 現在、都心にある皇居のお堀の水は、水量が少ない。都心を冷やす役割を果たしておりません。また、見た目にもアオコがまだ発生していますよね。濃い青緑色であるアオコが発生している。このお堀の水を、昭和三十年代の水量と透明度の高い美しい水に回復することができれば、都心を冷やしながら、ヒートアイランド現象が抜本改善されるとともに、景観的にもすばらしくなってくるのではないかということですね。
 都がこれまで取り組んできた地下水のくみ上げ規制を今後も継続することは、地下水の涵養において必要でありますけれども、また、現在、下水高度処理水を流している玉川上水に、山からの水源涵養能力を高めることによって得られた清流の水を流し、都心のお堀まで導水をすることができれば、お堀の水質の回復は十分に可能ではないかと。ぜひこうした事業を推進していただきたいと考えるわけであります。
 乗り越えなきゃいけないさまざまな問題があることはもう当然承知しながらこんなこといっているわけでありますけれども、全庁を挙げて取り組んでいただく大きなテーマでもあります。
 そこで、まず、環境局の所管ということであります、環境局が所管する玉川上水清流復活事業において、皇居のお堀まで導水することができないのかどうなのか、このあたり、ちょっとお願いします。

○大村自然環境部長 玉川上水の清流復活事業は、昭和五十七年の東京都長期計画によりまして、快適環境を目指して水と緑のネットワークの形成を図るべく盛り込まれました事業でございまして、昭和五十九年の野火止用水に続きまして、昭和六十一年、空堀だった玉川上水に下水高度処理水を放流したものでございます。
 一方、昭和六十年、皇居のお堀を管理しております環境庁から、皇居外苑堀の浄化のために、東京都がその当時計画しておりました玉川上水の清流復活事業の水を、皇居の外苑堀に導入することができないかどうかということで東京都に要請がございました。昭和六十二年、環境庁からお堀の導入水の水質基準が提示されましたが、実は玉川上水に通水しておりました下水高度処理水には、窒素、燐が多量に含まれているために導入水の水質基準と大きな隔たりがあることがわかりまして、都と環境庁が協議いたしました結果、昭和六十三年、環境庁は玉川上水からの導入の実施を見送ったと、このような記録が残ってございます。

○こいそ委員 もう少し聞かせていただきたいと思います。
 要するに、昭和六十三年に環境庁は玉川上水からの導水の実施を見送ったということですね。前にはその要望があったということでありますけど、六十三年から今どのぐらいたちますか。その間にどういうことをやってきましたか。
 それともう一点は、多摩川の水を皇居に導水するという基本的な考えはどうなのか。そうした場合、現在の多摩川の水質等々、昭和六十三年、これから時間経過の間にどういう検討をされてきたのか。そのあたりどうでしょう。

○大村自然環境部長 まず、現在の玉川上水につきましては、当時と同様、下水の高度処理水を活用しておりまして、現在の水質基準では、当時、環境庁から示されました水質基準をまだ満たしてございません。この環境庁が六十二年に設定したお堀の導入水の水質基準には、浮遊粒子状物質、化学的酸素要求量、全窒素、全燐などがございますけれども、この基準値と、現在の多摩川の平成二十年度の年間平均値とを比較しますと、例えば玉川上水の取水付近である羽村堰では、すべての項目で基準を満たしてございます。しかし、その下流の拝島原水補給点及びそれより下流では、お堀の導入水の水質基準には適合していないという状況でございます。
 したがいまして、現在の玉川上水である下水高度処理水はまだまだちょっと、十分な環境基準は満たしてございませんけれども、多摩川の水の中の上流の方であれば、可能性があるということでございます。

○こいそ委員 まさに、昭和六十三年以後の水質の浄化、この今お話もありました多摩川の羽村堰の水質が、お堀の導入水の水質基準以内であること、こうなったわけですね。それから、羽村堰から玉川上水により多くの多摩川の水を流すことができれば、お堀までその水を持っていける可能性が出ると。その場合、まず多摩川の十分な水量を確保しなきゃいけないということがいわれるわけでありますけれども、そこで、多摩川の水量を確保するためには、多摩川上流の森林の水源涵養能力を一層高めなきゃいけないということですね。
 そして、現在、環境局が所管している森林再生事業は、水源涵養も目的となっていると思いますけれども、森林再生事業が水源の涵養に果たす効果を実地に調べて、より効果的に実施することが重要であると思いますけれども、そのあたりどうでしょうか。

○大村自然環境部長 多摩川上流の森林の水源涵養能力を高めるためには、荒廃した森林を豊かな下草の生えた健全な森林へと再生し、雨水を土壌へ浸透させることが必要でございまして、間伐、枝打ちなどの森林の整備が欠かせないと考えてございます。
 平成十四年度から開始いたしました森林再生事業は、荒廃したスギ、ヒノキの人工林を対象にして間伐を行うことによりまして、五十年をかけて針葉樹と広葉樹がまじった針広混交林化を目指す長期的な事業でございまして、荒廃した人工林が、下草も生え豊かな森林になりますことから、水源の涵養を初めとする公益的機能の高い森林へと再生することができると考えてございます。
 これまでも森林再生事業での手入れされた森林におきまして、下草の回復状況は調査しておりますが、今後、それに加えまして、雨水の浸透能力も測定をすることにいたしまして、より森林の持つ水源涵養機能を高めるような方向の検討も加えまして、そういった間伐方法の工夫などに努めて、多摩の森林がより水源涵養能力の高い機能を持つように持っていければと思ってございます。そのような努力を続けまして、森林再生事業の効果が着実に上がるように実施してまいりたいと考えてございます。

○こいそ委員 まさに東京において、いわゆる水環境、そして自然環境を取り戻して、快適に過ごせる都市にしていく。自然の水が回復されること、今のお話のように極めて重要なことだと思うんですけれども、自然の水循環の回復、これは全庁的な取り組みだなという認識を持っておりますけれども、しかし、少なくとも水源地といいましょうか、山地、山から清流水が注いでくる。今、多摩川と玉川上水、これがまた循環して、砂漠化をし始めているといわれるこの中でも、その清流が流れていって、それがやはり象徴である皇居のお堀に注いでいくと。それが循環する。それからは、さらに東京湾に注ぐと。こういうことですね。
 これ、私は、一面、東京の水循環という観点から見ても、東京の環境というものを訴えるとき、東京の環境ということを前面に押し出したときにも、これ、極めて有意な施策になってくるんじゃないかと思うんですね。どこに問題があるかというと、各局の縦系列のところもあるし、それから一つのそれぞれの国の絡みもあるかもしれないけれども、クリアできないことはないんですね、これ、はっきりいって。
 ですから、ぜひ清流を復活させて、これを水循環させて、そして象徴的なもの、アオコなんか生やすことがないように、清らかな水にして、そして東京湾に注いでいくという、この循環機能をぜひ回復するような、こういう施策をぜひ取り組んでいただきたいと思いますけれども、局長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○有留環境局長 先生お話しのように、自然の水循環は、生物をはぐくみ、生態系を支え、また、潤いや、やすらぎの提供や、ヒートアイランド現象を緩和するなど、大変重要な役割を持っております。しかし、東京では現在、市街地の拡大等によりまして、地表の雨水の浸透能力が低下しておりまして地下水が減少するなど、本来、自然の水循環が持つ機能は低下してきており、今後、自然の水循環を回復することが非常に重要な課題であると認識しております。東京における自然の水循環の回復に向けまして、これまで以上に、関係局はもとより、区市町村とも連携を密にして積極的に取り組んでまいります。

○中村(ひ)委員 それでは、平成二十二年度予算案について、新規事業である中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出プロジェクトを中心に質問します。
 政府は温室効果ガスの二五%削減に向けて、先般、地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、今後、国会での議論が始まりますので、世間的にも大きく関心があるところです。
 四月から始まる大企業向けのキャップ・アンド・トレードについては、先ほど山下ようこ議員から質問がありましたので、私は中小規模の事業所の対策について質問します。
 都内には、全国の一割強を占める六十九万の中小規模事業所があり、都における業務、産業部門の六割の二酸化炭素を排出しています。東京都の二酸化炭素排出量の削減を図るためには、削減義務のかかる大規模事業所だけではなく、中小規模事業所においても削減を図っていくことが重要と考えます。
 平成二十年七月の環境確保条例の改正によって、中小規模事業所を対象に地球温暖化対策報告書制度が創設されました。この制度では、規模によって義務提出と任意提出の会社があるかと思いますが、義務になる会社が何社くらいあるのか、お伺いします。

○大野理事 報告書制度におきましては、同一事業者が都内に設置する中小規模事業所などのエネルギー使用量が年間で三千キロリットル以上の場合に報告書の提出が義務づけられております。こうした中小規模の事業所は、これまで、都のみならず国の制度の対象になってございませんでした。このため、義務対象が何社になるか、正確な推計は非常に困難でございます。都が各企業のホームページなどを見まして行った推計によれば、義務対象はおおむね、これは非常に大まかな推計でございますけども、二百社から三百社程度、事業所数にしますと、二万から三万程度になるのではないかと思っております。

○中村(ひ)委員 まだ制度の実施前で、実態把握が困難という状況はありますが、今後は義務となる事業所の把握に努めて、対象の事業者にはきちんと取り組んでいただくことが必要になります。
 また、報告書の提出は四月から開始されるということを聞いています。義務対象者は当然のこととして、広く環境への意識を高めるためには、数でいえば圧倒的に多い義務対象外の事業者にも、任意での提出を進めていただけるような取り組みが重要です。このためには、制度について、十分な周知を図ることが必要と考えます。そこで、これまでの周知の状況についてお伺いします。

○大野理事 本制度につきましては、昨年の春から説明会の開催などで周知を図ってまいりました。二月には、報告書に関するハンドブックでございますとか、エネルギーの使用量を算定するツールなどを作成した上で、報告書作成説明会を開催しまして、約千八百人の事業者の皆さんにご参加をいただいております。また、このほか、主税局や産業労働局などとともに、制度を説明するリーフレットの配布などを行っております。

○中村(ひ)委員 報告書を提出すると、省エネ促進税制の対象となり、税の減免が行われるなどのメリットもあります。ただ、特に景気が厳しい昨今、赤字の会社では法人事業税や個人事業税を支払っていない会社もあり、余りメリットがあるということもいえないのかもしれません。そうした会社は、税の減免だけでは報告書を提出するインセンティブという点では少し弱いのかもしれないです。任意提出を促進させて制度の趣旨を生かすためには、報告書制度に取り組む事業者のメリットについて、よりよく周知を図ることや、また工夫が大切になっていくと思いますが、いかがでしょうか。

○大野理事 多くの中小規模事業所におきましては、エネルギーの使用量などの実態が正確に把握されていないという状況がございます。報告書制度に取り組んでいただきまして、都の提供する算定ツールを使っていただきまして、エネルギー使用量を把握し、さらにハンドブックなどでお示しする対策メニューを実践することで、光熱費の削減を図ることができると考えております。
 また、提出されました報告書は、都のホームページでも公開をいたしますので、温暖化対策に取り組む企業としてのイメージアップを図ることも可能であると考えております。さらに、都の省エネ促進税制や、排出量取引制度への参加の前提になると、こういうメリットもございます。
 こうしたメリットを周知しまして、中小企業事業所の対策の推進に努めてまいりたいと思っております。

○中村(ひ)委員 今後、より多くの事業者が積極的に取り組めるようなインセンティブについて、さらに工夫をしていただきたいと思います。
 環境に関する国際規格でもあるISO一四〇〇〇の取得は、特にヨーロッパで取得を取引の条件とする企業もあることから、取得がビジネスチャンスの広がりにつながって、大変な労力はかかるんですけれども、多くの会社が取得をしました。今回、報告書の作成にはISOほどの労力はかかりませんが、多くの事業所に取り組んでいただく以上は、この取り組む事業所にとってプラスとなるように、この制度そのものが知られていなければ、取り組んでいることをPRしても意味がなくなってしまいますから、この制度の設計者である東京都がより広くこの制度の周知を図ることが必要になりますので、さらなる取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
 次は、新たに創設される中小規模事業所の省エネ促進・クレジット創出プロジェクトについて伺います。
 来年度の予算では、八十億三千七百万円が計上されています。スキームの図を見ると、東京都地球温暖化防止活動推進センターの名前があります。法令で各都道府県に一カ所設置されることになっておりまして、先ほどの野上副委員長の質問の中に対する答弁にもありましたが、東京都では財団法人東京都環境整備公社に設置されているとのことです。そこで、このセンターがどのような役割を行うのか、お伺いします。

○大野理事 都からの出捐によりまして、センターに基金を造成し、委託事業として、対象事業所の募集や選定などを行っていくこととしております。本プロジェクトの前提となります省エネ診断もセンターで実施しておりますので、センターが実施しますことで効率的な執行が図れると考えております。

○中村(ひ)委員 このセンターを中心としまして、このプロジェクトが二年間の事業ということで行われることになるかと思います。八十億円の基金をつくって、二年間で何件ぐらいの助成を見込んでいるのでしょうか。また、二年間ということですから、このプロジェクトを実施した後にどのような将来像を考えているのか、お伺いします。

○大野理事 省エネ設備の導入は、本来は、先ほど申し上げました光熱費の節減というメリットがございます。また、総量削減義務における中小クレジットの創出も可能であるというメリットもございますが、これらの点は、必ずしも十分に知られておりません。今回、実施しますプロジェクトで、こうしたメリットを明らかにしまして、中小規模事業所で省エネ投資を行うことが、経済的にも大きなメリットがあるということを示すことによりまして、中小規模事業所におきます今後の自主的な省エネ対策を推進していくことができると考えおります。
 なお、件数も、まだ確定的に申し上げられませんけれども、年間二百五十件程度、二年間で五百件程度を想定しております。

○中村(ひ)委員 この報告書制度のインセンティブとは別の枠として、こういった新しいインセンティブをつくったわけですけれども、八十億円を使って行うわけですから、ぜひその効果を最大限PRして、より広がりができるように工夫をしていただきたいと思います。
 また、政府の方でも、成長戦略としてこの環境という問題を挙げています。この制度は中小規模事業所が環境関連設備を導入する助成を行うことから、関連産業の振興にもつながると思います。産業労働局とも協力して、環境関係の産業育成にもこれを機に力を入れるべきであり、経済効果の試算を行うこともあってもよいかと思います。
 いずれにせよ、公共事業といっても土木工事だけが景気対策や雇用対策につながるわけではなく、環境のような新しい分野を切り開いていくきっかけをつくっていただきたいと思います。さらにいえば、こうした取り組みを広げることで、会社の事業主だけでなく、従業員まで多くの方の意識を高め、会社のことということだけではなく、家庭生活にまで環境の意識の高まりが広がるような取り組みであることを願っています。
 以上、意見を述べて質問を終わります。

○高橋委員 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算に関連して、廃棄物対策とエネルギー対策についてお尋ねいたします。
 初めに、清掃工場の建てかえ、運営についてお伺いいたします。
 私の地元である練馬区では、現在、平成二十七年度の竣工に向け、練馬清掃工場の建てかえ事業が進められております。また、練馬区内には、もう一つ、光が丘清掃工場があり、こちらの工場も、既に稼働後二十五年以上が経過し、数年後に建てかえ計画があると聞いております。
 今後の清掃工場の建てかえに際しては、ただ老朽化したから建てかえるのではなく、近年、住民の皆様のご協力により、ごみの減量や資源化が進んでいる中、ごみ量の変動に対応した柔軟な施設計画とするべきではないかと思います。
 二十三区内の清掃工場の建てかえについては、二十三区清掃一部事務組合が計画を立案することは承知しておりますが、東京都として広域行政の観点から、どのような考えで技術的支援を行っていくのか、まず見解を伺います。

○谷川参事 この二月二十六日付で改定いたしました二十三区清掃一部事務組合の一般廃棄物処理基本計画では、人口や経済成長率に加え、各家庭での発生抑制や資源化の向上を見込みまして、前回の計画と比べまして、計画最終年度の平成三十二年度におきましては、一八%程度のごみ量が減少すると予測をしております。清掃工場等の施設の整備計画におきまして、委員のご指摘のとおり、こうしたごみ量の減少予測に合わせまして、計画の見直しを行っております。
 東京都といたしましても、今回の一般廃棄物処理基本計画の改定におきまして、検討委員会や作業部会の委員として都の職員が加わり、中長期的なごみ量予測を踏まえて整備計画を見直すほか、熱エネルギーの有効利用など、地球温暖化対策にも考慮するようアドバイスするなど、広域的な視点から技術支援を行ってまいりました。
 今後とも、清掃工場整備計画の見直しに際しましては、東京都は広域的な立場から技術支援を行ってまいります。

○高橋委員 引き続き、東京都による広域的な視点からの適正な支援をお願いしておきます。
 さて、練馬清掃工場は、昭和四十四年に石神井清掃工場として発足以来、その後、練馬清掃工場へと改称し、さらに平成四年の大規模改修を経ながら、四十年以上の長きにわたり、練馬区内のごみ処理を担ってきた工場であります。当工場は住宅街の中にあり、敷地が、一部でありますが、直接民家と接するなど、一般住居と近接した立地となっております。そうした中で、工場周辺には、環境意識の高い住民の方々も多くおられ、これまでも清掃工場の運営にご理解とご協力をしていただいております。
 今回の建てかえに際しても、東京二十三区清掃一部事務組合では、事業の節目ごとに住民の皆さんの出席しやすい日程で説明会を開催するなど、住民の方の意見を反映できるよう、工夫したと聞いております。
 その結果、敷地面積に対する建ぺい率や容積率も十分余裕を持った数値となり、工場棟の高さを既存工場より低くするほか、周辺の歩道の拡幅、防音壁をセットバックしての緑地の確保など、周辺の緑化や景観の確保に配慮した施設計画が策定されたと仄聞しております。
 また、今回の計画には含まれておりませんが、工場周辺には、現在、事業用の駐車場や、公開された空き地として活用している用地があります。今後も、機会があれば用地の確保に努め、緑地などとして整備し、住民の方々から親しまれる環境に優しい清掃工場となることを願っておきます。
 ところで、先月二月二十四日、練馬清掃工場の運営協議会において、平成二十年度における練馬工場の雨水排水ダイオキシン類の測定結果が、二十三区内の他の工場と比べ高い数値だったことが報告されました。まず、この数値について、都はどのように認識しているのか伺います。

○谷川参事 二十三区清掃一部事務組合が平成二十一年一月に測定いたしました練馬清掃工場の雨水排水中のダイオキシン類の測定値は、一リットル当たり六・八ピコグラムでありました。清掃工場などの特定施設から排出される雨水は、ダイオキシン類対策特別措置法で一リットル当たり十ピコグラムが排出の基準となっておりますので、今回の値は、排出基準の範囲内でした。
 しかし、この値が他の工場と比べると高い数値であったことが、昨年九月に一部の新聞で報道されたため、一部事務組合では、十一月に測定箇所を追加して再測定したところ、同じく結果はすべての箇所で排出基準を下回り、さらに他の清掃工場における測定結果と比べましても、同程度の結果となっておりました。この結果が先月の練馬清掃工場運営協議会で報告されたものでございます。東京都といたしましても、問題のない数値と認識しております。
 清掃工場の焼却炉の設備は、構造上密閉されているため、焼却灰で建物外部が汚染されることはなく、また、焼却灰の搬出に際しましても、施設の運営管理を行う一部事務組合において、その都度、搬出車両の洗浄を行うなど、細心の注意を払い、飛散の防止に努めており、安全管理されているものと理解しております。

○高橋委員 二十三区清掃一部事務組合が適正な施設管理、運営管理をしているとのことでありますが、こうした数値がひとり歩きすると、不安を感じる住民の方も私はいると思います。
 ごみの焼却については、現在、二十三区の仕事であることは承知しておりますが、一般廃棄物処理施設を監督する権限を持つ東京都として、今回の測定結果を受け、一部事務組合に対して、万一にも事故のないよう適正に指導していくべきと考えますが、見解を伺います。

○谷川参事 東京都は、区市町村や一部事務組合等に対して、一般廃棄物処理施設の適正な維持管理をするよう従前から指導をしております。
 今回の件に関しましても、東京都では、昨年、報道があった後、直ちに現場調査を実施の上、改善策について協議、指導をいたしました。それを受け、一部事務組合では、雨水排水系統の改良、測定箇所を二カ所追加した上での再測定の実施、日常的な施設構内清掃の徹底、さらにすべての清掃工場における測定値の公表などを対応策として実施をしております。
 東京都としては、今後とも、清掃工場の円滑な運営、工場周辺の環境保全について、万全を期するよう厳正に指導をしてまいります。

○高橋委員 今後とも、東京都による適正な指導をお願いしておきます。
 また、過日、清掃工場等の配管バルブの整備を請け負っている川崎市の会社、株式会社京浜バルブ工業が、アスベスト含有パッキンを不正使用していたことがテレビで放送されました。これも、清掃工場の近くに住む住民の方々にとっては関心のある内容でありました。その後、調査も進んでいると思いますが、どこの清掃工場に該当品が使われているのかも含めて、現在、把握している範囲で、この間の経緯について伺います。

○谷川参事 本年一月二十九日の報道で、清掃工場等の配管バルブの整備を請け負っている川崎市の会社、株式会社京浜バルブ工業は、十八年九月からアスベスト製品の製造、使用が禁止されたにもかかわらず、アスベスト含有パッキンを使用していることが判明いたしました。該当する清掃工場の施設は全国で約九十カ所といわれています。
 問題となっているパッキンは、成形された非飛散性の製品であり、また密閉状態のバルブの内部で使用されていることから、通常の使用において、アスベストが飛散することはなく、工場の操業や周辺環境に影響を与えることはございません。
 念のため、東京都内の清掃工場に関し都が調査したところ、二十三区では練馬清掃工場など十四の清掃工場で、また、多摩地域では四つの清掃工場で使用の可能性があることがわかりました。(発言する者あり)
 今後、当該清掃工場におきまして、オーバーホールなどに合わせて、安全性に留意し、適切に部品を交換するよう指導してまいります。
 多摩地域につきましては、多摩川衛生組合、西多摩衛生組合、八王子市、日野市でございます。

○高橋委員 問題のパッキンは非飛散性の製品ということでありますが、適正に交換したとしても、該当製品はアスベストを含んだ廃棄物という位置づけになると思います。産業廃棄物処理の過程でアスベストが飛散することのないよう、今後、東京都としては、東京二十三区清掃一部事務組合も含め、当該部品を使用していた清掃工場を有する自治体に対して、廃棄物としての適正な処分方法を指導していくべきと考えます。見解を伺います。

○谷川参事 これまでに使用していると回答のあった自治体には、バルブからアスベスト含有パッキンを除去する方法、及び石綿含有産業廃棄物としてプラスチック袋等にこん包し適正に処理するよう、文書により指導をいたしました。
 今後、他の市町村や一部事務組合から新たな当該部品の使用の報告があった場合にも、適正な処理方法について指導をしてまいります。

○高橋委員 清掃工場の円滑な運営は、周辺住民の方々の日常的なご理解とご協力があって、初めて可能なものであると思います。工場周辺の住民の方々との信頼関係を損なわないよう、ダイオキシンやアスベストの取り扱いに関しては十分な注意が必要であります。
 東京都には、区市町村の清掃事業への技術的な支援を行うという役割があり、こうした清掃工場の運営、周辺住民の方々との信頼関係の構築についてアドバイスするのも、広い意味での技術的支援と私は考えます。今後とも、区市町村や一部事務組合が円滑な清掃事業を遂行できるよう、東京都の適正な指導をお願いいたします。
 次に、埋立処分場におけるランドフィルガスの有効利用についてお尋ねいたします。
 廃棄物の埋立処分場では、過去に埋め立てられた生ごみや木くず等が発酵し、メタンガスなど、いわゆるランドフィルガスが発生しています。メタンガスは大気に放出されると二酸化炭素の二十一倍の温室効果があります。このため、都はカーボンマイナス東京十年プロジェクトにおいて、地球温暖化防止のため、都庁の率先行動の一つとして、ランドフィルガスの有効利用に取り組んでおります。
 既に都では、埋め立てが完了した中央防波堤内側処分場において、このランドフィルガスを燃料とした発電事業を昭和六十二年から実施していると聞いております。
 まず、埋立処分場におけるこれまでのランドフィルガスを有効利用した発電事業の現状と、温室効果ガス削減の効果についてお伺いいたします。

○谷川参事 内側処分場のランドフィルガスの発電事業では、平成二十年度に約百十六万立方メートルのランドフィルガスを回収し、約百十九万キロワットアワーの発電量を上げることができました。また、メタンガスの分解と、バイオマスエネルギーとしての利用により、合わせると約五千九百トン相当の温室効果ガス削減の効果を上げることができました。
 今後も引き続き、ガス有効利用施設の維持管理を適切に行い、効率的にエネルギーの有効利用に努めるとともに、温室効果の高いガスの排出量削減に取り組んでまいります。

○高橋委員 今、お伺いしたことから、ランドフィルガスの有効利用が、メタンガスの分解と未利用エネルギーの有効利用という二つの点で地球温暖化防止に貢献することがわかりました。しかし、内側処分場の次に廃棄物の埋め立てが始められた中央防波堤外側埋立処分場については、現在も埋め立てが続いており、ランドフィルガスが今後、長期にわたり発生する可能性があります。このため、まず、私は、この処分場から発生するガスが、ガス発電の燃料として有効利用が可能な成分や量であるかどうかを見きわめることが必要であり、それを踏まえて、この処分場においても、早期にランドフィルガス対策を確立することが重要であると考えております。
 外側埋立処分場については、昨年度はガス利用のための基礎調査を行い、今年度は十月から三月にかけて、試験井戸を設置し調査を行ったと聞いておりますが、その結果はどうなったのでしょうか。また、その調査結果を踏まえて、平成二十二年度以降、どのように取り組んでいくのか伺います。

○谷川参事 埋め立てを完了した区域を中心に試験井戸を設置し調査をした結果、発生するランドフィルガスについて、ガス量、メタン濃度、酸素濃度といった評価項目において、すべて基準に適合し、ガス発電の燃料として有効利用が可能であることを、この三月に確認をいたしました。
 今後、平成二十二年度には、発電を具体的に実施するため、パイプラインや発電設備などの詳細設計を実施いたします。また、その後、施設整備を行って、平成二十四年度から発電事業を開始できるよう取り組んでまいります。

○高橋委員 埋立処分場という循環社会を支える基幹的施設において、地球温暖化防止に貢献するランドフィルガスの有効利用を、今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、こうした未利用エネルギーのほか、再生可能エネルギーの利用拡大も喫緊の課題であると考えます。都は平成十八年三月に東京都再生可能エネルギー戦略を策定し、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度に高めることを目指すと、高いレベルの目標を掲げています。その後の「十年後の東京」では、二〇一六年までに都内に百万キロワット相当の太陽エネルギーを導入することを目指すとし、飛躍的に太陽エネルギーを普及拡大させるため、昨年四月から補助制度にも取り組まれています。
 一方、都は、東京の膨大なエネルギー消費を、都内のみならず、日本全国の再生可能エネルギーの利用拡大に結びつける取り組みも進めており、昨年十二月には、青森県と再生可能エネルギー地域間連携に係る協定を締結し、自然エネルギーの豊かな地域がつくり出す再生可能エネルギー供給と、都市における再生可能エネルギー需要を結びつける施策を開始しました。東京駅の駅前にある日本を代表するような業務施設である新丸ビルがこのスキームを活用するという報道もありましたが、こうした取り組みや実績をさらに拡大させていく必要があると思います。
 例えば、青森県だけでなく、北海道や他の東北地方にも自然エネルギー資源が豊かに存在していると思います。このような地域、自治体とも連携し、さらなる施策を展開していくことが望ましいと考えますが、都の見解を伺います。

○大野理事 都が昨年十二月に、青森県と再生可能エネルギー地域間連携に係る協定を締結した後、ほかの県からの問い合わせも大変ふえております。また、都内の総量削減義務事業者や、エネルギー関係事業者からの高い関心をいただいております。
 自然エネルギーの豊かな地域との地域間連携の取り組みによりまして、風力発電などのエネルギー供給を拡大することは、今後、都内の事業者の総量削減義務の履行手段の一つとしても、ますます重要性を増していくと考えております。そういう意味で非常に大事な取り組みだと考えております。このため、都は現在、青森県以外の複数の自治体との協議、協定の締結に関する協議を進めておりまして、こうした取り組みを進めることで、再生可能エネルギーのさらなる供給と利用の拡大を図ってまいりたいと思っております。

○高橋委員 ただいまの答弁から、都の取り組みが、東京都の区域を越えて全国的にも、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた大きな影響を発揮しつつあることがわかりました。再生可能エネルギーへの転換は、地球温暖化の危機回避に向けた低炭素型社会を実現するかぎとなる極めて重要な課題であると思います。この分野でも、都がさらに積極的な取り組みを進めるよう強く要望いたします。
 本日は、都の環境政策のうち、廃棄物対策とエネルギー対策について質疑してまいりました。本年四月から開始されるキャップ・アンド・トレードだけでなく、地球温暖化対策の観点を盛り込んだ新たな廃棄物対策の構築、未利用エネルギーや再生可能エネルギーでの先駆的な取り組みなど、石原知事が先頭に立って進めてきた東京都の環境政策は、まさに知事が東京から日本を変えるとおっしゃるとおり、日本全体を動かしつつあるといえます。最後に、東京のこうした先駆的な取り組みをさらに推し進める決意を局長に伺って、私の質問を終わらせていただきます。

○有留環境局長 ご案内のとおり、昨年末にコペンハーゲンで開催されたCOP15では、残念ながら京都議定書以降の新たな枠組みを決めることができませんでした。また政府におきましても、さきに温暖化対策法案が閣議決定されましたけれども、まだ全体像とか目標実現に向けた工程表が不透明でございます。
 こうした状況の中で、世界じゅうで、国家間の合意を待たずに都市政府や州政府、地域などが率先して気候変動対策を強化していこうという動きが急速に広まってきております。
 気候変動の危機、資源供給の制約を打開する新たな施策は、国家レベルではなく、地方政府あるいは州など準国家政府から開始されております。東京都の総量削減義務制度、再生可能エネルギー政策なども、まさしく国家レベルの政策を先導するものであります。
 東京都は、我が国最大の地方政府として、CO2の総量削減、再生可能エネルギーの拡大などの喫緊の課題につきまして確実な実績を上げることを通し、また、アメリカのカリフォルニア州や、カナダのケベック州など、それぞれの国で最も先駆的な対策を進める地方政府との連携を強化することなどを通じまして、国や他の自治体など日本全体、さらには世界の環境対策、とりわけ地球温暖化対策の前進に貢献してまいりたいと考えております。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十分散会

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