委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 矢島 千秋君 |
副委員長 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | いのつめまさみ君 |
野田かずさ君 | |
吉倉 正美君 | |
山下ようこ君 | |
かち佳代子君 | |
林田 武君 | |
松下 玲子君 | |
こいそ 明君 | |
中村 明彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 有留 武司君 |
理事都市地球環境部長事務取扱 | 大野 輝之君 | |
環境政策部長 | 森 浩志君 | |
環境政策担当部長 | 吉村 憲彦君 | |
環境改善部長 | 柿沼 潤一君 | |
参事 | 中村 豊君 | |
自動車公害対策部長 | 市川郁美子君 | |
自然環境部長 | 大村 雅一君 | |
緑化募金担当部長 | 福田 良行君 | |
参事 | 木村 尊彦君 | |
廃棄物対策部長 | 井戸 秀寿君 | |
参事 | 谷川 哲男君 | |
建設局 | 東京都技監建設局長兼務 | 道家 孝行君 |
次長 | 影山 竹夫君 | |
道路監 | 村尾 公一君 | |
総務部長 | 藤井 芳弘君 | |
用地部長 | 角南 国隆君 | |
道路管理部長 | 野口 宏幸君 | |
道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 | 藤井 寛行君 | |
三環状道路整備推進部長 | 戸谷 有一君 | |
公園緑地部長 | 小口 健藏君 | |
河川部長 | 廣木 良司君 | |
企画担当部長 | 鈴木 昭利君 | |
道路保全担当部長 | 藤江 賢治君 | |
公園管理担当部長 | 三浦 紀子君 | |
参事 | 今村 保雄君 | |
参事 | 谷村 秀樹君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 環境局所管分
・第百六十九号議案 東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例
・第百七十号議案 東京都地域グリーンニューディール基金条例
・第百七十一号議案 土壌汚染対策法関係手数料条例
・第百八十九号議案 東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
建設局関係
契約議案の調査
・第百八十一号議案 古川地下調節池工事(その一)請負契約
・第百八十二号議案 中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百九十号議案 東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の付託議案の審査並びに建設局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十一年十二月九日
東京都議会議長 田中 良
環境・建設委員長 藤井 一殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百八十一号議案 古川地下調節池工事(その一)請負契約
第百八十二号議案 中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
2 提出期限 平成二十一年十二月十一日(金)
○藤井委員長 これより環境局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、環境局所管分及び第百六十九号議案から第百七十一号議案まで並びに第百八十九号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○山下委員 私は、奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について質問いたします。
十月二十二日のこの環境・建設委員会で、私はビジターセンターについて質問し、東京のビジターセンター全体での環境学習活動の積み重ねが、東京の環境を守っていくムーブメントにつながることを指摘しました。環境を守るムーブメントの拠点として、ビジターセンターに寄せられる都民の期待は大きく、その業務を行う指定管理者の責任も大きいといえます。
平成二十二年度から奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度が導入されますが、指定管理者の候補者が適切な管理運営を行うかどうかという視点から、幾つか質問させていただきます。
まず、奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度を導入する目的を伺います。
○大村自然環境部長 奥多摩ビジターセンターの管理運営につきまして、指定管理者の創意工夫により、多くの人々に利用されるような質の高いサービスを提供するとともに、効率的な運営を図ることを目的に指定管理者制度を導入するものでございます。
○山下委員 今回の指定管理者の候補者選定については、ことし七月に、候補者を公募したところ、二者から応募がありましたね。指定管理者には、質の高いサービスの提供や効率的な運営が求められますが、それにふさわしい候補者を選考することが重要と考えます。
今回の指定管理者の候補者選定に当たり、どのように審査をしたのか伺います。
○大村自然環境部長 指定管理者の候補者選定に当たりましては、東京都指定管理者選定等に関する指針に基づきまして、外部の有識者が主体となって構成される選定委員会を設置し、利用の促進、地域連携、緊急体制の確保、業務の効率化などについて審査を行ったところでございます。
○山下委員 今、答弁いただいた審査によって、応募のあった二者のうち、東京都公園協会が奥多摩ビジターセンターの指定管理者の候補者として選定されましたが、東京都公園協会が選定された理由について伺います。
○大村自然環境部長 財団法人東京都公園協会は、奥多摩の自然と登山に関する事業をバランスよく実施すること、広報誌などを活用してPRを充実すること、組織を挙げたサポート体制による業務の効率化を図ることなどを提案してございまして、これらが評価されて指定管理者の候補に選定されたものでございます。
○山下委員 指定管理者は、ビジターセンターという公の施設を五年間、管理運営することになりますので、その選考は適切に行われなければなりません。そのためにも、選考過程や選考結果については、都民に情報公開されるべきと考えます。
今回、公募から候補者決定まで、審査項目等、選考に関する情報をどのように公開してきたのか伺います。
○大村自然環境部長 東京都指定管理者選定等に関する指針に基づきまして、本年七月に、指定管理者を公募する際に、選定基準や選定手順等を、さらに本年十月には、選定理由や選定経過、応募者の得点、選定委員の氏名、提案した事業の概要をそれぞれプレス発表いたしますとともに、ホームページで公開しているところでございます。
○山下委員 ぜひこれからも都民に情報を公開していくことを望みます。
ところで、指定管理者としての期間は五年間ですが、その間の指定管理者の事業実施についてのチェックが重要だと思います。チェック体制はどうなっているのか伺います。
○大村自然環境部長 指定管理者としての運営開始後、四半期ごとに業務報告を求めまして、運営状況を的確に把握してまいります。
さらに、毎年、外部の有識者を主体に構成いたします評価委員会を設置いたしまして、評価を行いまして、その結果を公表するとともに、評価内容に基づき、事業者を指導してまいります。
○山下委員 奥多摩ビジターセンターで、安全な管理体制のもと、環境学習が推進されるよう、環境局のきめ細かな気配りをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
○高橋委員 まず、第百七十一号議案、土壌汚染対策法関係手数料条例に関連してお尋ねいたします。
私は、土壌汚染対策というのは、都民の健康と安全の確保はもとより、都市づくりを進める上からも、極めて重要であると考えております。
先般、土壌汚染対策法が改正され、我が党も、先日の代表質問において、法改正を踏まえた今後の都の土壌汚染対策の取り組みについてお伺いしたところであります。
都は、法律に先駆けて、環境確保条例による土壌汚染対策に取り組んでおり、着実に成果を上げていると評価しております。
今回の法改正で汚染土壌処理業の許可制度が新設され、その審査に関する手数料条例案が提案されましたが、都の土壌汚染対策とのかかわりを中心にお伺いをさせていただきます。
そこで、今回の土壌汚染対策法の改正において、汚染土壌の処理業について許可制度が新設されたとのことでありますが、その背景はどのようなことであったのか、まずお伺いいたします。
○中村参事 土壌汚染対策法は平成十五年二月に施行されましたが、それ以降におきましても、掘削除去された汚染土壌が不適正処理される事例が見られるなど、汚染土壌の適正処理の確保が土壌汚染対策の課題の一つとなっておりました。
このため、今回の法改正におきまして、汚染土壌の不適正処理を防止する対策として、汚染土壌の搬出時の措置が規定されるとともに、処理業が許可制となったものでございます。
○高橋委員 汚染土壌の適正な処理を確保するために、汚染土壌処理業が許可制となったとのことでありますが、先進的な取り組みを進めてきた東京都においては、不適正な処理が発生することのないよう、しっかりとチェックしていくことが必要だと考えます。
さきの代表質問に対する答弁によると、今回の法改正で新たに導入された土地改変に対する規制については、都において、既に条例に基づき実施されているとのことでありますが、条例に基づく土壌汚染対策では、どのような手法がとられており、どのくらいの量の汚染土壌が搬出されているのか、また、都は、不適正処理を防止するためにこれまでどのような対策を行っているのか伺います。
○中村参事 まず、土壌汚染対策の手法でございますけれども、平成十六年度から二十年度までの事例が多い区部における直近の五年間で見てみますと、複数の対策が組み合わされているものも含めますと、約九割で掘削除去の手法がとられておりました。
また、条例に基づきまして、都内で掘削、搬出される汚染土壌は、昨年度実施いたしました汚染土壌の搬出実態調査によりますと、年間約五十万トンとなっておりまして、この中には法規制の対象となっているものも含まれてございます。
不適正処理を防止するための対策といたしましては、条例に基づく土壌汚染状況調査で汚染が発見された場合、その対策等を実施する際には、事前に汚染拡散防止計画書を提出していただきまして、その審査を通じまして適正処理の指導を行うとともに、対策完了後には、汚染拡散防止措置完了届出書によりまして適正処理の確認を行っております。
○高橋委員 土壌汚染対策の手法としては、依然として掘削除去が多いようでありますが、私は、平成二十年の予算特別委員会の総括質疑において、都が設置した総合支援対策検討委員会の報告について伺いました。
その報告では、掘削除去以外の合理的な対策を促進していくべきとの提言がなされたとのことでありました。
私は、掘削除去以外の対策を促進していくことは、汚染土壌の不適正処理の防止にもつながると考えていますが、都は、これについてどのように取り組んでいるのか伺います。
○中村参事 総合支援対策検討委員会の報告にありましたように、掘削除去に偏らない合理的な対策の促進は、中小事業者の負担軽減の観点のみならず、汚染土壌の不適正処理の防止を含めた搬出に伴う環境負荷の低減の観点からも重要だと考えてございます。
都は、これまで土壌汚染処理技術フォーラムを開催いたしまして、現場での浄化措置や覆土による措置など、掘削除去以外の低コストで実効性のある対策事例の紹介を行ってまいりました。
また、現在策定中でございます汚染土壌対策のガイドラインを用いまして、汚染の重篤度や地下水等の周辺の状況に応じた合理的対策を具体的に示すとともに、汚染土壌を搬出することなく、現場で有害物質の浄化を行う技術につきまして、具体的な事例などを通じまして、適用性を明らかにしながら、掘削除去以外の、より低コストで環境負荷の少ない対策の普及を図っていこうとしております。
○高橋委員 掘削除去以外の対策の普及については、中小事業者の対策費用低減のためにも、積極的に進めていただきたいと思っています。
しかしながら、二十年以上も前から土壌汚染対策に取り組み、掘削除去によらない対策が進んだアメリカにおいても、なお浄化対策事例の三六%において、掘削除去が選択されているとのデータもあり、合理的な対策が普及した場合でも、一定程度は掘削除去が必要なケースが残ると考えられます。
こうした場合においても、掘削除去された汚染土壌の処理については、汚染物質の拡散につながることのないようにしていく必要があると思いますが、これについて、都は、どのように取り組んでいくのか伺います。
○中村参事 都は、掘削除去偏重の是正に取り組んでおりますけれども、汚染の状態等によりまして、他の手法に比べ安価となる場合や、汚染のある場所に構造物を構築する場合などにつきましては、掘削除去が必要になると考えられます。こうした際に搬出される汚染土壌の処理に当たりましては、汚染物質が拡散することのないように適切に処理されることが必要でございます。
このため、新しい制度となる汚染土壌処理業の許可に当たりましては、事業者が設置する施設における処理の確実性等を厳正に審査することはもとより、処理に伴い周辺環境に与える影響が極力少なくなるように取り組んでまいります。
○高橋委員 汚染土壌を処理する際には、汚染が確実に処理されることとともに、できる限り、周辺の環境に影響を与えないようにすることが必要であります。
処理業の許可制度が導入されたことは意味のあることだと思います。特に、東京のように大勢の人々が暮らす大都市においては、単に、法令の基準を守って処理を行えばよいということではなく、事業者が周辺環境に最大限の配慮をするよう、しっかりと指導を行っていただくよう、要望しておきます。
次に、第百七十号議案、東京都地域グリーンニューディール基金条例に関連して、何点かお尋ねいたします。
地域グリーンニューディール基金事業について、一昨日の本会議のやりとりにおいても、この事業の本質を十分に理解されていなかったような質問がありましたので、この場をかりて、事業の意義や内容などに関して、改めて、確認の意味でお尋ねしたいと思います。
昨年秋以降、アメリカやEUを初めとする世界の主要国において、サブプライム問題やリーマンショックを契機とする世界同時不況から脱却するため、環境分野への集中、大型投資により、地球温暖化防止と景気浮揚の両立を目指す、いわゆるグリーンニューディール政策の相次いでの発表がありました。
我が国においても、今春、自公政権のもとで、環境を切り口とした経済社会構造の変革を通じて活力ある日本を取り戻すため、日本版グリーンニューディール構想を発表しております。今回の地域グリーンニューディール基金事業は、この日本版グリーンニューディール構想の中の一事業であり、国が創設する総額五百四十二億円の基金を原資として、地方自治体等が省エネ、グリーン化を図る事業などを実施するものであります。
政権交代後の補正予算見直しにおいても、本事業の執行が停止されなかったことから、現政権も、この事業の意義を認めているものと考えられます。
そこで、まず、本事業の目的と、対象とする事業範囲についてお伺いいたします。
○吉村環境政策担当部長 本事業は、地球温暖化等の喫緊の環境問題を解決するために不可欠である地域の取り組みを支援することによりまして、当面の雇用創出と、中長期的に持続可能な地域経済社会を構築することを目的として実施する事業でございまして、実施期間は今年度から平成二十三年度までとなっております。
対象となる事業でございますが、公共施設の省エネ、グリーン化推進を初めとする地球温暖化対策に係る事業を中心に、アスベストや不法投棄、散乱ごみ、PCBなどの廃棄物対策に関係する事業、海岸漂着物処理に係る事業などでございます。
○高橋委員 本事業の目的と対象範囲については、わかりました。
ところで、国の地域グリーンニューディール基金の規模が五百四十二億円という中で、都に対する交付内示額が十二億八百万円ということでありますが、この金額になった経緯について伺います。
○吉村環境政策担当部長 国の基金は、国の全体事業費五百四十二億円を四十七の都道府県と十八の政令指定都市に割り振るものでありまして、一都道府県当たりの要望額は十二億円程度とするようにあらかじめ国の通知の中で示されました。
環境局では、各区市町村及び庁内から事業計画案を募集いたしまして、二十六区市と庁内から提案のあった約二十七億円の事業案すべてを環境省に申請いたしましたが、環境省による事業選定や金額査定の結果、十二億八百万円にとどまったものでございます。
環境省による事業選定に関しては、全国から申請のあった事業案について、それぞれの事業の温室効果ガスの削減効果や、雇用効果などの観点から審査を行い、予算の範囲内で採択事業案を決定し、各都道府県及び政令指定都市に内示を実施したというふうに聞いてございます。
参考までに、都道府県の平均内示額は約十億二千万円、政令指定都市の平均内示額は約三億五千万円となってございます。
○高橋委員 交付内示額決定の経緯については理解しました。
ところで、本会議においても、事項のみを取り上げた簡単なやりとりがありましたが、そもそも行政が取り組む事業については、その具体的な内容、あるいは事業の実施によって期待される効果を、きちんとしんしゃくして議論すべきであります。
そこで、都と区市町村、それぞれにおける事業案の中で、主なものの内容と効果について、具体的に説明を願います。
○吉村環境政策担当部長 都の事業案の一つに、平成二十五年の東京国体のメーン会場でございます味の素スタジアムにおける改修工事、再エネ等導入事業がございます。これは、スタジアムのスタンド屋根に透過性の太陽光パネルを、また、スタジアム外周に風力発電つきハイブリッドLEDライトを設置するものでございます。
味の素スタジアムは、年間入場者数が百十五万人と集客能力が大きく、こうした施設におきまして、目に見える温暖化対策を実施することは、CO2の削減のみならず、来場者等の環境意識の向上にも大きく貢献するものというふうに考えております。
また、区部では十四の事業案が採択されましたが、その一つに、豊島区にあります健康プラザとしまにおける省エネ推進事業がございます。本施設は、豊島区の施設中で最もCO2の排出が多く、対策を講じることによる効果が非常に大きい点が、今回、採択されたポイントと考えております。具体的には、LED照明の交換やセンサーの取りつけといった省エネ設備の導入と、太陽光発電装置の設置でございます。
また、市部においては九つの事業案が採択されましたが、その一つに、多摩市の仮称唐木田コミュニティセンター建設に伴う省エネ、グリーン化推進事業がございます。この事業は、新たに建設されるコミュニティ施設に、太陽光発電設備や、約一千平方メートルに上ります屋上緑化を施すものでございます。
市民に身近で地域に密着した施設におきまして、積極的に温暖化対策を推進するということで、複合的な効果が大きいものというふうに認識しております。
○高橋委員 今いただいた主な事業案に関する説明からも、現在、採択されている事業案が温暖化対策の推進に資するとともに、地域経済への波及効果も大きく、ひいては、雇用創出なども期待できることがわかりました。
グリーンニューディールは、経済不況からの脱却と地球温暖化対策の両立を図る新たな政策構想であり、従来は相入れないものと考えられがちだった、経済活動の活性化と温暖化防止に代表される環境対策が、世界同時不況を契機として、思いもかけず手を結んだものといえるのではないでしょうか。
こうした観点も取り入れた複合的な取り組みこそが、今後の環境行政の立案、執行に当たって必要だと思いますが、最後に、局長の決意を伺わせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○有留環境局長 お話のとおり、いわゆるグリーンニューディール政策は、世界的な不況から脱却するため、景気浮揚と温暖化防止の両立を目指して取り組まれているものと理解しております。
私ども人類が、この地球上において、今後とも、健康で安全に暮らすことができ、かつ快適で質の高い生活を享受していくためには、経済活動の活性化と環境対策とが両立する持続可能な社会を構築していかなければならないと考えております。そのために重要なことは、我が国が誇る最先端の環境技術の活用と、これを促すための仕組みづくりでございます。
都は、こうした認識に立ちまして、都市型キャップ・アンド・トレードや、太陽エネルギーの利用拡大などを推進しております。
これらの取り組みや、今回ご提案しております地域グリーンニューディール基金事業などを加えまして、今後とも、産業政策や都市づくりなどの所管局とも連携しながら、複合的に環境行政を進め、持続可能な都市の実現に向け、力を尽くしてまいります。
○かち委員 私からも、まず、環境局の補正予算についてお聞きします。
最初に、雇用対策ですけれども、国は、昨今の不況、雇用悪化の深刻な状況から、六月対策に引き続き、緊急雇用創出事業の追加実施を行うこととしました。
そこで、平成二十一年度補正予算案として、緊急雇用創出事業の環境分として、環境確保条例に基づく工場、指定作業場にかかわる届け出書類の電子化等、四事業に予算額として千五百八十万二千円が計上されています。
これら四事業の実施により、新規雇用がどれくらい、また、期間はどれくらい見込まれているのでしょうか。
○森環境政策部長 緊急雇用創出事業は、離職を余儀なくされた方々に対する臨時的、一時的な雇用機会の創出を目的としております。
このため実施事業につきましては、事業費に占める人件費の割合が七〇%以上、雇用者に占める失業者の割合が七五%以上であること、雇用就業期間は原則六カ月未満とすることなどが要件として定められております。
環境局の今年度の四定で追加提案しております緊急雇用創出事業は、四事業で合計四十六名の新規雇用の創出を計画しております。
また、雇用期間といたしましては、おおむね一、二カ月を計画しております。
○かち委員 実態の深刻さから、雇用創出といっても、なかなか現実的にそれを当てはめて、各局が雇用創出事業を生み出すという点では、大変ご苦労もあったかとは思うんですけれども、結果的に延べ四十六名ということですので、その期間が一、二カ月であっても、丸々一、二カ月働けるというものでもないということですよね。しかも七割が人件費で、七五%以上を失業者に充てるという、この条件では、実際、限られた期間でぴったり当てはまる雇用が生まれるかどうかという点では、大変懸念されるところですが、雇用環境は昨年以上に厳しく、完全失業率は五%を超え、最悪の事態となっている中で、抜本的な雇用創出が緊急に求められています。
こうした中で出された国の緊急雇用対策でありますが、実態的に、余りにも一時しのぎ的であり、焼け石に水という感を否めません。環境局だけではありませんが、都全体として抜本的な雇用対策を国に求めるとともに、都としても、強化をされることを求めておきます。
次に、百七十号議案、地域グリーンニューディール基金事業について伺います。
この基金の目的は、雇用と環境をつなぐ持続可能な地域社会をつくるためとのことですが、この事業は前政権から継続しているもので、総額五百四十二億円ということでした。
経過的には、ことしの四月に事業の概要を都道府県に周知し、六月に事業内容説明があり、七月二十四日に事業計画の締め切りだったということで、非常に期間がタイトであったといわざるを得ません。こうした中で、対象自治体が十分に検討し、計画ができたかどうかが懸念されるところです。
そこで、都内ではこの基金で計画、申請した自治体の事業内容がどういうものであるかお聞きしようと思ったのですが、先ほど質疑で答弁がありましたので省きます。
これらの幅広い事業が、環境省から内示された金額は十二億八百万円で行われるというものですが、その中には都と区市町村の両方が含まれており、しかも三年間分の事業費ということでは、金額的にも大変少額といわざるを得ませんが、そこで、十二億八百万円の都と区市町村別の金額の内訳と、それぞれの事業数について伺います。
○吉村環境政策担当部長 十二億八百万の金額の内訳についてでございますが、都分が四億一千百万円、区市町村が七億九千七百万円でございます。
事業数についてでございますが、都が三事業、区市町村が二十二区市で二十三事業というふうになっております。
○かち委員 全金額の三割は都の事業で占め、残りの七億九千七百万円を二十二区市二十三事業に振り分けるというわけですから、それぞれの取り組みにも限界があったわけです。
この事業に至る手続の中で、環境省から査定され、落選したものもあると聞いていますが、環境省から採択されなかった区市町村と事業数はどのぐらいあるのでしょうか。
○吉村環境政策担当部長 私どもとしては、すべての事業を採択するよう、強く環境省に働きかけてきたところでございますが、残念ながら採択されなかった事業案は、十区市から提案のあった十二の事業でございまして、金額は約九億円というふうになっております。
○かち委員 十区市十二事業、約九億円というのが認められなかったということですけれども、これは応募のあった区市の事業案のうち、件数で三分の一、金額で二分の一強が不採択になっているということです。
新政権になり、地球温暖化対策に積極的に取り組む姿勢が打ち出されているわけですから、地域からのこうした取り組みを大いに支援すべきだと思います。都としてもこうした不採択の事業も含め、さらなる対応強化を国に求めるとともに、すべての区市町村が実施できるよう対策を講ずることを要望して、この項の質問を終わります。
続いて、奥多摩ビジターセンターの指定管理について伺います。
東京都には、現在、四つの国定公園と六つの都立自然公園があり、その総面積は七万九千三百五十二ヘクタールで、東京都総面積の三六%を占め、代表的な風景地のほとんど全部を網羅しています。豊かな自然と緑は都民の貴重な財産として保護するとともに、利用の増進を図り、都民、国民の健康、休養及び教化に資することが求められています。こうした自然公園の中にはビジターセンターが設置され、来訪者への啓発啓蒙活動が行われてきました。
現在、御岳、高尾など、七つのビジターセンターがありますが、それぞれの管理運営の現状と、今後の方針について伺います。
○大村自然環境部長 七つのビジターセンターのうち、山のふるさと村ビジターセンターと小峰ビジターセンターに指定管理者制度を導入しておりまして、管理運営業務を一体的に実施させております。
御岳ビジターセンターでは、解説業務と建物維持管理業務を一括して委託しております。その他の四つのビジターセンターでは、解説業務と建物維持管理業務を個別に委託してございます。
今回、奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度を導入しまして、残りの四つのビジターセンターについても、今後、指定管理者制度を導入することを予定してございます。
○かち委員 七つのうち、二つのセンターが既に指定管理者制度を導入している。一つは、解説と建物管理を一括委託、そのほか四つは、解説と建物管理は個別委託とのことでした。そして、残りすべてについても指定管理者制度導入を目指すというご答弁でしたけれども、今回、指定管理の対象となった奥多摩ビジターセンターの特色はどのようなものがあるのか。
また、指定管理の理由が四つ述べられていますけれども、季節に合わせた展示内容の更新や、登山家などへの情報提供、あるいは奥多摩塾の開講、あるいはホームページや広報誌などによるPR、地域イベントとのタイアップ、業務の効率化などとなっていますが、これらの理由であれば、あえて指定管理にしなくてもできると思うのですが、導入の目的は何でしょうか。
○大村自然環境部長 奥多摩ビジターセンターの特色といたしましては、自然環境学習の場に加えまして、奥多摩登山の情報提供という重要な役割がございます。
そして、指定管理者制度の導入でございますけれども、指定管理者制度は、指定管理者の創意工夫により、質の高いサービスの提供と効率的な運営を図ることを目的としてございます。
一方で、業務委託につきましては、東京都の仕様の範囲内で業務を履行するというものでございまして、自主事業もできない状況でございます。
したがいまして、指定管理者制度は、直営や委託に比べまして、都民サービスや効率の面でメリットがあるということで、今回、奥多摩のビジターセンターに取り入れたものでございまして、今回、財団法人東京都公園協会からは、これらに関する内容がバランスよく、先ほども述べました、二つの特色がバランスよく提案されてございまして、都民サービスの向上につながるものというふうに考えてございます。
○かち委員 効率的で質の高い都民サービス向上のためということですけれども、それでは、現在の管理運営の実態はどうなっているのか。また、委託前後の管理経費はどのようになるんでしょうか。
○大村自然環境部長 現在、奥多摩ビジターセンターの管理運営につきましては、解説業務と建物維持管理業務をそれぞれ委託してございまして、その直接の事業費は、過去三年間の平均で約一千八百万円でございます。
指定管理者制度を導入していくに当たり、今申し上げた直接の事業費を含む管理運営に必要な経費を現在予算要求をしているところでございます。
指定管理者制度の導入によりまして、一定の額の中で、指定管理者が創意工夫し、最大限に都民サービスの向上が図られるものというふうに考えてございます。
○かち委員 現在の管理経費が平均一千八百万円。今、明確な数字をお答えにならなかったんですけれども、公園協会の指定管理の応募の提示額は約二千万円というふうに聞いております。
そういう意味では、指定管理者制度は、本来、民間開放であり、効率的ということも大きな要素といわれているものです。しかし、今のご答弁ではそういうこともいえないということです。局が所管する貴重なフィールドをあえて指定管理しなければならない理由は認められません。
よって、直営を維持すべきであるということを述べて、質問を終わります。
○森環境政策部長 先ほど、かち先生から、緊急雇用創出事業の質問の中で、新規雇用が四十六名、延べ人数とのご発言がございましたけれど、実人員、四十六名でございます。延べで申しますと、人数では千百十一人日でございますので、私から補足させていただきます。
○大村自然環境部長 指定管理者の導入は、先ほど申しましたように、指定管理者の創意工夫によりまして、質の高いサービスの提供と効率的な運営を図ることを目的にしてございまして、直営に比べまして、都民サービスが効率的にされます。特に、一定の額の中で指定管理者が創意工夫して、最大限に都民サービスの向上を図れるというところが最大のメリットになってございますので、今後、非常にこの奥多摩ビジターセンターのサービスが向上するというふうに考えてございますので、直営に戻すということについては考えてございません。
○野上委員 私からは、第四回定例会に提出されました補正予算案に計上されている緊急雇用創出事業について、幾つか伺わせていただきます。
このたびの補正予算案には、環境局分としては、環境確保条例に基づく工場、指定作業場にかかわる届け出書類の電子化、土壌汚染対策法等届け出書類の電子化、都内乗用車にかかわる用途調査及び浄化槽維持管理適正化促進事業の四事業が計上されております。
まず初めに、これまで環境局が過去に実施してきました緊急雇用創出事業には、どのようなものがあったのか伺います。
○森環境政策部長 これまで環境局が実施した緊急雇用創出事業につきましては、平成十三年度から平成十六年度までの間、小型焼却炉等の実態調査事業、浄化槽維持管理促進事業、竹類被害対策事業など、四年間で延べ九事業、事業総額では、一億四千四百万円余りを執行しております。
また、本年第二回定例会におきましても、補正予算として、省エネラベル表示状況調査、建築物環境計画書制度の都民への普及啓発の二つの緊急雇用対策事業をご審議いただき、執行しております。
○野上委員 全国知事会緊急雇用対策本部等の資料、あるいは地方自治体でそれぞれやはり緊急雇用創出事業をやっておりますが、それぞれ知恵を出し合って、毎回、事業を行っているというふうにレポートでも拝見しているところですけれども、非常に難しい状況だと伺っておるところです。なぜなら、やはり要件も決まっておりますし、しかしながら、単純労働というか、単純作業にどうしてもなりがちで、この事業の設定自体、非常に各地方自治体が困っているというのも一方ではお聞きしているところでございます。
そこで、環境局のこれまでの緊急雇用対策事業の中で、雇用創出効果の大きかった事業は、どのようなものがあるのか伺います。
○森環境政策部長 過去の緊急雇用創出事業のうち、最も雇用創出規模が大きかった事業につきましては、保全地域内の竹やササ類の侵食被害に対応するため、刈り取り等を実施いたしました竹類被害対策事業でございまして、平成十四年度から平成十六年度の三カ年で、実人員で百三十四名、延べ人数で三千四百三十五人日の雇用を創出いたしました。
また、平成十三年度から平成十六年度の四年間に実施いたしました延べ九事業を合計いたしますと、実人員で二百七十四名、延べ人数で八千百五十四人日の雇用を創出しております。
○野上委員 それでは、第二回定例会において可決された事業について伺わせていただきたいと思いますが、先ほどご説明いただいた二つの事業のうち、省エネラベル表示状況調査につきましては、都が、家電製品の販売事業者に対して義務づけをしている統一省エネラベル表示について、店舗での表示状況の実態を調査するものです。事業実施に当たっては、都から委託契約として、指名競争入札にかけられ、四者が入札に参加しております。当然、競争入札ですから、最低価格で入札した業者さんが落札したわけです。発注に際して、都が仕様書作成の段階で想定した雇用規模が実際に確保されたのか伺います。
○森環境政策部長 省エネラベル表示状況調査委託につきましては、本年十月に入札を実施し、現在、事業を履行中でございます。
雇用規模についてでございますが、入札に際し、都が想定した雇用規模は、延べ人数四百七十一名、これに対して、落札業者から提出を受けました計画書に記載された雇用規模は、延べ人数で二百二十六名となっておりまして、およそ五割の規模となっております。これは、調査の履行に際し、調査員が店舗で実地調査を行う際の一日当たりの調査件数等につきまして、受託業者による創意工夫が行われたものと考えております。
緊急雇用創出事業は、新規雇用の機会を新たにつくり出すことを目的としておりますが、事業の性質によりましては、受託業者において効率化が図られるものもあると認識してございます。
なお、本調査は、受託事業者において、現在、適正な調査が実施されておるところでございます。
○野上委員 この緊急雇用創出事業は、事業の実施の要件として、事業費に占める人件費の割合が七〇%以上であることや、あるいは、新規雇用される人数が全労働者の七五%以上であることが定められております。雇用機会の確保、創出をねらいとしております。
しかしながら、今ご答弁をいただきましたように、事業の中には、委託事業として外部に発注されるものもあります。仕様書や緊急雇用創出事業の要件を満たしていても、入札結果によっては、計画した雇用規模が創出されないというケースもあり得ることです。
こうしたことを防ぐためには、より雇用機会が確保、創出されるような、仕様書の段階から、緊急雇用創出事業の趣旨にかんがみた配慮が必要であると考えます。
そこで、このたび環境局の四つの緊急雇用事業のうち、最も大きな雇用創出規模を予定している都内乗用車にかかわる用途調査について、具体的に内容を確認したいと思います。
この調査は、都内で使用される自家用乗用車について、その用途を把握し、都内の乗用車の使用目的による比率を推察するものだそうですが、具体的にどのようにして行われるのか伺います。
○市川自動車公害対策部長 この調査は、都内三十二カ所のガソリンスタンドにおきまして、延べ約四百人の調査員を活用いたしまして、一カ所当たり、土日を含めまして七日間にわたり現場調査を実施するとともに、あわせて延べ約十人の技術者がデータ整理と調査結果の取りまとめを行うものでございます。
現場調査の具体的なやり方についてでございますが、給油等を行っておりますいわゆる白ナンバーの自家用乗用車を対象といたしまして、会社名や店名の表示、運転手等の服装や、乗員、荷物の状況等の外観を目視するとともに、運転手等に対してヒアリングなどを実施するものでございます。
○野上委員 例えば、この調査では、平日と休日とでは、自家用乗用車の家庭用途、事業用途の比率が異なると思われます。もちろん、一般的に平日は事業用途の車が多いというふうに想定されますし、土日はマイカーでお使いの方が多いのではないかと、容易に想像できるところです。
この調査では、どのような方法で推察の結果が出されるものなのか、それについて伺わせてください。
○市川自動車公害対策部長 平日と休日では、家庭用途と事業用途で自家用乗用車の使用の比率が異なることが考えられますことから、まず、平日の五日間と休日の二日間について、それぞれの用途を把握、集計いたしまして、家庭用途と事業用途との比率を算出いたします。さらに、これにより得られた比率をサンプルといたしまして、年間の比率と休日の日数の案分比率を掛けることによりまして、都内の自家用乗用車の用途につきまして、全体的な割合を推察するものでございます。
○野上委員 調査について、どこの地方自治体でも予算を切るときに真っ先に調査費用が切られ、職員の方の手によってその事業の調査、あるいはその基礎データをつくらなくてはならないという状況がある中で、この緊急雇用創出事業を使って調査を行うということはある程度理解するところでございますが、一方で、この調査を行うことによって、やはり有用に活用できるデータとなるのかどうかということは確認しなくてはならないところだと思います。現場調査で、自家用自動車の用途実態を把握して、そして全体的な割合を推察していくとのことですが、こうして得られた調査の成果をどのように活用していくのか伺います。
○市川自動車公害対策部長 自動車から排出されますCO2のうち、約六割が乗用車からの排出で占められておりまして、その削減が重要と考えております。
このため、今後、乗用車からのCO2削減の取り組みを強化するに当たりまして、今回の調査で把握される都内における自家用乗用車の家庭用途と事業用途の都の割合を、バスや鉄道等の公共交通機関への利用展開や、都民や事業者へのエコドライブの普及拡大など施策の展開について検討する上での基礎資料として有効に活用してまいりたいと考えております。
○野上委員 最後に、意見としてですが、やはり緊急雇用創出事業をこれからも幾つか、恐らく事業としてあることかと思います。できましたら単純作業、今まではもちろん単純作業、労働が多いこの事業でございましたが、やはり雇用の機会創出、あるいは二次的、三次的な波及効果が出るような雇用の創出をお考えいただき、活用をしていただきたいと思います。
また、先ほども質問のやりとりで申し上げさせていただきましたけれども、やはり入札結果によって、計画した雇用の規模が創出されないというケースも、これは東京都だけではなくて、ほかの地方自治体でも起きているところです。そういったことも、より雇用のもともとの計画が実施されるように、創出されるように、仕様書の段階、あるいは調査でしたら、どのように調査をしたらよいのか、その方法の段階からお考えいただいて、この事業を有用に運営をしていただきたいと意見を申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○林田委員 私の地元であります奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定についてお伺いいたします。
今回、私は、大多摩観光連盟の会長職を引き受けることになりました。秩父多摩甲斐国立公園の玄関口であります奥多摩町や、西多摩四市三町一村、そして山梨県の丹波山村、小菅村を含めまして、東京都の大切な観光地であることは申し上げるまでもありません。
奥多摩駅から歩いて二、三分のところに奥多摩ビジターセンターがあります。奥多摩町を中心に秩父多摩甲斐国立公園を訪れる人たちに、解説や展示、自然ガイドなどを通じて、地形や動植物、歴史などを紹介するとともに、奥多摩地域への来訪を呼びかけて、地元の期待も大きいものがあります。
この奥多摩ビジターセンターが、来年四月から指定管理者制度が導入されることになりました。今回の指定管理者の候補者であります東京都公園協会の提案を見ますと、これまでの取り組みに加えて、さらに、サービスの向上や業務の効率化、地域と連携した取り組みなどが図られると思いますが、管理運営が指定管理者に切りかわる四月当初から、しっかりした取り組みがスタートできるよう準備されていることが必要であります。東京都公園協会による管理運営の開始まで、東京都としてどのように指導していくのか、お伺いいたします。
○大村自然環境部長 ご指摘のとおり、奥多摩ビジターセンターの管理運営が四月当初から確実に実施できますように、指定管理者に準備させることが必要でございます。
財団法人東京都公園協会が指定管理者に決定された後、管理運営が始まります平成二十二年四月一日までに事業計画書を作成させます。この事業計画書の作成に当たりましては、財団法人東京都公園協会の提案した内容が適切に盛り込まれるように指導いたしまして、より一層のサービス向上に向け、着実に準備を進めてまいります。
○林田委員 今、ご答弁ありましたように、東京都として、東京都公園協会に対し、適切な指導をお願いいたします。
さて、大多摩観光連盟としても、奥多摩ビジターセンターは大切だと思っております。恵まれた立地条件を生かして、環境学習や登山のみならず、広く観光で奥多摩を訪れる都民のためにも、もっと活用されるべきだと思っております。
そのためには、ビジターセンターの展示内容やイベント、広報活動など、より工夫して、より多くの人たちに奥多摩に来ていただくよう働きかけていただき、奥多摩の観光や歴史、文化を楽しまれる都民のために、より一層サービスの向上を図ってほしいと思っております。
候補者の選定に当たっての審査項目には、地域連携の取り組みという項目があります。東京都公園協会は、当然、地元のイベントと連携した企画や地元イベントの情報発信など、地域振興につながる提案をしております。この提案の実行を頼みますよというのが私の大きな期待であります。指定管理者制度を導入してよかったなといわれなければならないと思います。
この導入を契機として、奥多摩ビジターセンターが奥多摩地域の観光に、そして地域の振興に向けて貢献していただきたいと思っておりますが、都としてのご見解を伺います。
○大村自然環境部長 財団法人東京都公園協会は、地元イベントと連動した企画や地元イベントの情報発信を行いますほか、地域団体や有識者によるアドバイザリー会議の設置により、地元の声を事業に反映させるなど、地域振興につながる取り組みを提案しているところでございます。
指定管理者制度の導入を契機といたしまして、財団法人東京都公園協会が行っている市民カレッジでの奥多摩学講座などによりまして、奥多摩地域の自然と、そこにはぐくまれた歴史、文化など、さまざまな魅力を広く発信させるとともに、奥多摩森林セラピーツアーなど、地域や関連施設と連携した取り組みを推進させてまいりたいと思ってございます。
こうした取り組みは、奥多摩地域の観光と地域振興に寄与するものというふうに考えてございます。
○林田委員 申し上げるまでもなく、奥多摩町には小河内ダム、多摩川の清流、そして、緑豊かな山々、そして由緒ある寺や寺院、地元の木材を使った工房、地元の農産物を食材とした食堂など、都心では味わうことのできないさまざまな魅力があります。ぜひ奥多摩の観光や地域の振興に寄与してほしいという願いを組み入れた事業を早く実施していただきたいと思っております。
くどいようですが、奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度を導入することによって、都民に奥多摩地域の魅力がより多く発信され、奥多摩の自然を教材とした環境学習や観光が推進されていく。このビジターセンターが奥多摩全体の振興に寄与していく。こんなすばらしいことはないわけで、期待も大きいと思います。
最後に、改めて、局長の決意をお伺いいたします。
○有留環境局長 奥多摩は広大な森林と数多くの渓谷に恵まれた水と緑が豊かな地域でございます。私ごとでございますが、小中学校の時代の遠足とか、あるいは二十代に、この周辺のほとんどの山を登りまして、四季折々の奥多摩地域の魅力を体感してまいりました。
環境局といたしましても、森林再生事業を行って、森林の公益的機能を回復させるなど、地域の振興に努めているところでございます。
また、このような地域にある奥多摩ビジターセンター、山のふるさと村、奥多摩都民の森などを活用しまして、都民が自然や地域の文化に親しむことができますよう、取り組みを進めております。奥多摩ビジターセンターを初め、これらの施設が連携して奥多摩を訪れるリピーターをふやし、奥多摩の応援団ともいえる人たちをつくりまして、より一層、都民の自然への理解の増進と奥多摩地域の振興に寄与するよう努めてまいります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○藤井委員長 これより建設局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百八十一号議案及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○藤井総務部長 去る十一月二十六日の当委員会におきまして、契約案に関しましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
一ページをお開き願います。古川地下調節池工事(その一)請負契約における入札経過でございます。
この資料は、古川地下調節池工事(その一)請負契約につきまして、その落札者、落札金額、開札日、入札経過等をあらわしたものでございます。
二ページをお開き願います。中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約における入札経過でございます。
一ページと同様、本請負契約につきまして、その落札者等をあらわしたものでございます。
以上で要求のございました資料についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○野上委員 私からは、契約議案第百八十一号議案、古川地下調節池工事請負契約について、何点か伺わせていただきます。
現在、都市の中小河川流域では、都市化、市街化によりまして、地表面がコンクリートやアスファルトに覆われております。それによって、流出は早く、流出量というのも非常に大きくなってきているように思います。また、下水道の雨水排出施設の整備によって雨水の集中が早くなってきたことも、あるいは川のところの道自体も、高度の利用によって十分な川幅の確保がなかなか困難となっておりますし、狭く深いコンクリートなどで護岸されることが多く、洪水の流下や集中の早さを助長しているのではないかなというふうに考えております。
こうした市街化の進んだ都市の地域での中小河川については、流出実態に即した治水計画、洪水調整施設等の適正な管理、確実な水防活動等が必要であると考えます。
その中で、今回、この古川地下調節池工事、中小河川の局地的豪雨の対策を恐らく見据えたものだというふうに考えておりますが、確認も含めまして、この事業について何点か伺わせていただきます。
まず、この古川地下調節池工事の目的と概要について、あわせて伺わせてください。
○廣木河川部長 この事業の目的でございますが、古川は平成十六年十月に大きな浸水被害をこうむり、地元区から早期整備の要望が出されるなど、水害の危険性が高く、護岸の老朽化も進んでおります。大変治水対策が急がれる河川であります。しかしながら、お話にあったように、ビルや首都高速道路の橋脚が護岸に接して建ち並び、拡幅による早急な河川整備が困難でございます。
このため、古川では、まず地下調節池を整備することにより、一時間に五〇ミリの降雨に対応することを目的としております。
この概要でございますが、古川調節池事業は、古川の地下に内径七・五メートル、延長三・三キロにわたり貯留量十三万五千トンのトンネル式の地下調節池を整備し、港区白金五丁目の五之橋上流右岸に取水施設を設けるものでございます。
○野上委員 この工事、工法の概要と、その費用について伺います。
○廣木河川部長 この工事につきましては、シールドトンネルを発進するための立て坑の工事、洪水を貯留するトンネルの工事、洪水をトンネルに取り入れる取水施設の工事などから構成されております。
また、それぞれの工事の工法につきましては、市街地の工事であることから、周辺への影響を考慮し、立て坑は振動が生じにくい既成のコンクリート製品に圧力をかけて地下に押し込むケーソン工法としております。また、トンネルは、高速施工が可能なシールド工法を採用しております。
全体事業費は、約二百七十億円を予定しております。
○野上委員 この古川地下調節池は、当初、下水道と河川が一体となった多目的貯留施設を準備する計画だったと思いますが、その当時の報道によると、治水対策の緊急性などに配慮して、河川、下水道がそれぞれ単独で事業を進めることになったとありますが、なぜこの河川の単独施設になったのでしょうか。
と申しますのも、この事業概要にも、これから中小河川の整備に当たっては、より一層事業の重点化やコスト縮減に積極的に取り組むとともに、下水道などと、ほかの事業と連携を強化するということが書かれておりますので、なぜ単独の事業になったのかということを、改めて伺わせてください。
○廣木河川部長 古川調節池事業は、当初は浸水被害を軽減するための洪水の取水と、河川の水質改善を図るための初期雨水を貯留する多目的施設を下水道事業と連携して整備する計画でございました。
しかし、下水道は、施設の詳細設計を検討している段階で、古川調節池が、上を走る首都高速道路の基礎があることから地下約三十メートルと施設を深く設置しなければならず、既存の下水道管からの下水の取り入れそのものが技術的に困難で、コスト面からしても、単独事業として道路下に管渠を設けることにより合流改善に取り組むことが好ましいと判断されたものでございます。このため、連携事業として進めることは困難との結論に至ったものでございます。
そのため、浸水被害が多発する古川流域の水害の早期軽減を目指し、河川の治水単独施設として整備することといたしました。
○野上委員 この工事は、技術提案型総合評価方式で入札が行われたと伺っております。どのような入札経過でこの飛島・東鉄工業・ノバック建設共同企業体を選定したのか伺います。
○廣木河川部長 本工事では、技術提案型総合評価方式を採用しておりまして、企業から提案された技術提案の技術点と、入札価格の価格点を合わせた総合評価値が最も高い飛島・東鉄工業・ノバック建設共同企業体が落札者となりました。
公表している入札経過調書のとおり、この建設共同企業体は、技術点が第二位、価格点が第一位、総合評価値が第一位でございました。
○野上委員 この技術提案型総合評価方式の手続の行い方について、ちょっと要点をいただきまして、その中に、技術審査委員会、第三者と申しますが、建設局の担当の方が委員を選んで、この技術審査委員会にて、その企業が実際にこの工事を行えるかどうかなどの意見聴取を行うというふうに伺っております。この技術審査は、実際にはどのように行ったのか伺います。
○廣木河川部長 本工事では、工期の短縮と構造物の耐久性の向上につきまして技術提案を求め、各企業からは、それぞれが持つノウハウを活用した提案がなされました。
技術審査に当たっては、学識経験者を加えた技術審査委員会を設置いたしまして、提案された内容が技術的に実現可能かどうか、これまでの実績や知見をもとに妥当性を検証し、審査を行ってまいりました。
○野上委員 入札制度については、もちろん建設局の所管というか、建設局だけでは決められることでもないですし、あるいは国土交通省とも関係をしておりますので、一概には制度自体を変えるということは非常に難しい状況かと思います。
しかしながら、例えば工期の短縮について評価項目となっていると、容易に工程管理に追われて現場へのしわ寄せが生じていたり、あるいは騒音、濁水処理など、不必要なオーバースペックを求められるというような、業者からの意見も聞いております。評価項目の提案内容の明確化については、要求内容そのものが不明確でわかりにくい、あるいは標準案に関する考え方が不明確である、評価項目ごとの評価結果の公表は地方公共団体や関係機関で未実施のところが多いので、そういった意味では、なかなか建設局自体、この手続、入札して、そして実際に工事を行っていただく企業に対して、どういうふうに指導を行っていくかということが非常にこれから重要になっていくかと思いますが、できましたら、この古川地下調節池工事におきましても、建設後の検証という、評価というものもあわせて行っていただきたいと思います。
次に、この地下調節池工事に当たって、住民の皆さんとどのように合意形成をされてきたのか伺わせていただきます。
○廣木河川部長 この事業の着手に先立ちまして、古川に関する都市計画の変更及び事業の内容についての説明会を、平成二十年一月に、三つの地域に分けて実施いたしました。これには、約百名の住民の方々の参加を得ました。取水施設に敷地が直接かかる地権者に対しましては、別途、二回の全体説明会を行いまして、その後、個別の対応により理解を得てまいりました。また、現在実施中の準備工事に先立ち、平成二十一年三月には工事説明会を実施しております。さらに、今回契約を予定している発進立て坑とトンネル工事につきましても、着手に先立ち、地元住民への説明会を開催する予定でございます。
このように、計画、施工、それぞれの段階で説明会を開催するなど、住民の方々の理解と協力を得ながら、地元合意の形成に努め、事業を進めてまいります。
○野上委員 事業に当たって、住民の皆さんからは、具体的にどのような意見、要望が出ているのか伺います。
○廣木河川部長 沿川の住民の方々は、この地域は平成十一年や十六年の水害を経験していることから、積極的な事業の推進を望む意見や要望が大変多くございました。
具体的には、早く事業を実施してもらいたい、また、五〇ミリ対応でいいのか、最近の雨の降り方を見ますと七五ミリ対応はどうなっているのかと、そのような意見もございました。
その一方、工事に起因する騒音や振動、住宅への影響、また工事渋滞、私どもはトラックを使いますので、そのための工事渋滞などを心配される方についての意見もございました。また、取水施設を設ける予定地の地権者の方々からは、なぜこの位置なのかとの質問もございました。
○野上委員 この住民の意見、要望に対して、どのように対応してこられたのか伺います。
○廣木河川部長 河川の整備につきましては、段階的に整備水準を上げていく必要があることから、直ちに七五ミリ対応はできません。五〇ミリ対応を進めていく。また、これまでのシールドトンネルの施工実績などから、住宅への影響がないこと、また工事騒音や振動につきましても、できるだけ低騒音、低振動の工法を採用することなどを説明し、理解を得てまいりました。
地権者の方々につきましては、取水施設の予定地が、過去に浸水した一之橋や麻布十番の地域の水害解消に最適な位置であることなどを説明し理解を求め、誠心誠意対応に努めてまいりました。
今後とも、水害の被害を受けてきた地域住民の命と暮らしを守るため、地元の理解を得ながら合意形成に努め、工事の早期完成を目指し、全力で取り組んでまいります。
○野上委員 一般的に公共事業にありがちなことかと思いますけれども、住民への説明が事後承諾になるということは避けなくてはなりません。
以前、私の練馬区で富士見池の調節池がつくられた際も、非常に住民の皆さんから大きな疑問というか、貯水槽の変更設計であるとか、あるいは樹木を守るような設計をしていただきたいとか、ご要望の方は非常に多く出ておりました。こういったことから、計画がほとんど固まった段階で、行政側から、このようにやりますというふうに説明をされても、なかなか住民は容易に納得できるものではありません。今回の古川調節池工事については、そういった意味での住民の合意形成というものができているように思います。
住民の皆さんの話し合いの議事録を見せていただきましたけれども、ある程度合意形成ができた上で、区民との協働のまちづくりという観点から進められているように思いますが、今後、やはりこういった大きな大規模事業を行う際には、計画段階からの区民の参加も含め、皆さんがやはり一体となってまちづくりを進める、そして治水対策、いざとなったときに皆さんが協力し合えるようなことも踏まえて公共事業を進めていただきたいと思います。
私からの質問は以上でございます。
○高橋委員 契約案件、古川地下調節池工事(その一)について、私からもお尋ねいたします。
東京の中小河川では、五〇ミリ対策を早期に完成させるために、整備が鋭意進められております。今回の契約案件である古川調節池もその一つであると思います。
古川流域では、平成十一年八月に、集中豪雨で古川橋を中心に浸水被害を受け、また平成十六年十月に、台風で地下鉄南北線麻布十番駅のホームが冠水するなどの被害を受けています。
この沿川住民は、雨が降ると浸水被害を受けるかもしれないという不安をいつも抱えながら生活しており、古川地下調節池の完成を心待ちにしているのではないかと思います。我が党の地元のきたしろ議員も、都議会本会議や当委員会において幾度となく質問し、強く要望してきた調節池であります。
古川地下調節池は、環七地下調節池と同様なトンネル式の地下調節池のことでありますが、ことしの十月、全国的に浸水被害を発生させた台風十八号によって、東京のほぼ全域で総雨量一〇〇ミリ以上の雨が降り、環七地下調節池では、過去最大量の洪水を貯留して、河川からの溢水を防ぐことができたと聞いております。そこで、台風十八号における環七地下調節池の整備効果について伺います。
○廣木河川部長 環状七号線地下調節池は、水害が頻発している神田川中流域の治水安全度を早期に向上させるため、環状七号線の道路下に内径十二・五メートル、延長四・五キロのトンネルを設置し、ここに神田川、善福寺川、妙正寺川の洪水約五十四万トン貯留するものでございます。
台風十八号では、神田川流域でも時間雨量五〇ミリ、総雨量約一五〇ミリの降雨がございましたが、環状七号線地下調節池に貯留可能量の九四%である五十万五千トンを貯留いたしました。それにより、約二十ヘクタールに及ぶ浸水被害を免れたものと考えておりますし、またそれ以外にも、二十七ある調節池のうち二十の調節池に水が入りました。練馬区の富士見池についても、私どもが増強した量が満杯になったと聞いております。
○高橋委員 環七地下調節池がなかったら、相当な被害が発生していたことがわかりました。調節池を初めとしたこれまでの河川整備の効果といえるのではないかと思います。我が地元練馬区でも、平成二十年度に増強した富士見池調節池がほぼ満杯になり、被害はなかったと聞いております。古川調節池も早期の完成が待たれるところであります。
さて、今回の契約案件である古川調節池工事(その一)についてでありますが、一般的な競争入札ではなく、総合評価方式を採用しております。そこで、技術提案型総合評価方式を採用した理由について伺います。
○廣木河川部長 技術提案型総合評価方式とは、技術的課題や困難性が大きい工事を対象に、入札時に構造物の性能等に関する高度な技術提案を求め、入札価格と提案内容を総合的に評価し、落札者を決める入札方式でございます。
本工事は、技術的な進展が著しいシールドトンネルと、シールドトンネルを発進するための立て坑構築を行うものでございまして、各企業が持っています最新のすぐれた技術の活用を図ることから、工期短縮による浸水被害の早期軽減及び構造物の耐久性向上の観点で、技術提案型総合評価方式を採用したものでございます。
○高橋委員 工期短縮などを求める技術提案型総合評価方式を採用したということでありますが、仮契約を行った企業が提示した技術提案の内容及びその効果について伺います。
○廣木河川部長 この仮契約の企業から、これまでの実績から都が算出した工期よりも、日進月歩による技術革新によるシールド掘進の高速化、また、トンネルを構築するセグメントやインバートコンクリートの同時打設などにより、四百八十四日の工期短縮が提案されたものでございます。また、部材の改良などにより、耐久性についても五十年以上向上する提案がございました。
本提案を受け、今後予定している取水施設や設備工事につきましても、できる限り早期発注に努め、平成二十七年度末の完成予定を前倒しし、水害の早期軽減を図ってまいります。
○高橋委員 総合評価方式を採用し、大幅な工期短縮の提案により完成時期を早めていくとの前向きな答弁をいただきました。沿川に住む方々にとって、大変喜ばしいことだと思います。技術提案を含め、適切な施工がなされるよう、管理に万全を期し、品質の高い施設の整備をお願いしておきます。
また、古川調節池のみではなく、今後工事が始まる白子川調節池についても、早期完成を強く要望しておきます。
次に、第百八十二号議案、中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)についてお尋ねいたします。
現在、首都高速の都心環状線では、都心に用のない、通過するだけの交通が約六割を占めており、慢性的な渋滞を招く要因となっております。このため、都心部の渋滞緩和や環境改善を図る上で、中央環状線の一日も早い完成が期待されております。
そこで、中央環状品川線の整備目的について、改めてお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 中央環状品川線でございますけれども、首都圏三環状道路の一つとして、高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、人と物の円滑な流れを実現するとともに、一般道路の渋滞緩和にも大きく寄与する重要な路線でございます。本路線の整備により、都心に起終点を持たない自動車交通を迂回、分散させ、環境改善に大きな効果をもたらします。また、道路構造につきましては、沿道環境に配慮し、ほぼ全線をトンネル構造としております。
具体的な整備効果としては、年間約九万トンのCO2削減や、年間約一千二百億円の経済波及効果が期待されます。
このように、品川線は経済効果や環境改善に大きな効果をもたらすことから、早期に完成させるために、都みずからも事業者となることといたしました。総事業費四千億円のうち、二千億円を首都高速道路株式会社施行の有料道路事業、残りの二千億円を都施行の街路事業により、共同で整備を進めてございます。
○高橋委員 次に、現在の中央環状品川線事業の進捗状況と、今回提案されている工事の概要について伺います。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 中央環状品川線は、平成十七年度に事業着手いたしまして、用地についてはおおむね取得しております。
工事につきましては、品川線最初の工事として、平成十八年度に発注した大井北発進立て坑工事が昨年の六月に竣工しております。現在、シールドトンネル工事、四カ所の換気所下部工事につきまして、都議会の承認を得まして契約を締結し、工事を実施してございます。
このうち、最も大規模な工事であるシールドトンネル工事につきましては、大井北発進立て坑から大橋ジャンクションに向けて掘削する二本のシールドトンネルのうち、大橋方向に向かう車線のシールドトンネルは既に掘削を開始しており、また逆の大井方向に向かう車線のシールドトンネルについても、年内に掘削を開始する予定でございます。
今回提案いたしました中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)につきましては、品川区八潮一丁目から同区八潮三丁目地内において、中央環状品川線と首都高湾岸線を接続する大井ジャンクションの鋼けたの製作及び架設を行うものでございます。
○高橋委員 ただいまの答弁から、順調に工事が進んでいることがわかりました。
道路整備の財源については、平成二十二年度予算の国土交通省の概算要求で道路関係予算が二割削減されるなど、大変厳しい状況となっておりますが、このような厳しい状況の中でこそ、整備効果の極めて高い中央環状線の整備を着実に進めていく必要があると思います。そこで、品川線事業推進に向けた今後の取り組みについて伺います。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 今後の取り組みでございますけれども、中央環状線は、先ほど申し上げましたとおり、渋滞緩和や環境改善を図る上で極めて効果が高い路線であり、その機能を十全に発揮させるために、品川線の早期完成が求められてございます。
これまで、説明会や意見交換会など百十五回実施し、延べ四千八百人の参加がございます。事業について説明してきたほか、インフォメーションセンターの設置など、さまざまな形で情報提供し、地域住民の理解と協力を得ながら事業を進めてまいりました。今後とも、必要な財源を確保しながら、平成二十五年度開通に向け、全力で事業を推進してまいります。
○高橋委員 東京の交通渋滞の解消や環境改善に向けて、引き続き必要な財源を確保しながら中央環状品川線の整備を着実に推進していただくことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○吉倉委員 今回、第百八十一号議案、第百八十二号議案の二件の契約議案が提出されております。この二件を含めて、入札契約について建設局に質問いたします。
私ども公明党は、昨今の公共事業、公共工事において頻繁に発生する過度な低入札については、さまざまな弊害を生むことから、大変好ましくない、こうした過度の競争には歯どめをかける必要があると、このように考えております。
そこでまず、過去三年間において、建設局が低入札で契約した件数を伺いたいと思います。
○鈴木企画担当部長 建設局におけます低入札による契約件数でございますが、平成十九年度が十三件、二十年度が十一件、本年度につきましては、十一月末現在で九件でございます。
○吉倉委員 ただいまの答弁にありましたように、建設局における低入札の件数は約十件程度で推移していることがわかりました。ただ、今後の経営環境については、短期的には、発注量の減少で年度末に向けて受注競争が激しくなるのではないかというふうに心配しております。
こうした状況を踏まえて、本年十月一日に、特別重点調査の導入を初めとする低入札価格調査制度の改正が行われております。
そこで、改めて、今回改正された低入札価格調査制度の概要について確認しておきたいと思います。
○鈴木企画担当部長 今回改正いたしました低入札価格調査制度では、入札者が積算した内訳が合理的かつ現実的であることを、根拠のある資料等により説明すべきことを基本としてございます。
さらに、工事の品質確保を強化する観点から、従来より実施しております通常調査に加えまして、一定基準を下回る入札に対し、より詳細に内容を調査する特別重点調査を導入してございます。調査内容としましては、工事の品質確保、労働環境の確保、安全な施工環境の確保の観点から詳細な資料を求め、調査を行います。
また、特別重点調査では、調査対象者が提出した積算内訳書の一般管理費等が入札価格の五%を下回る場合は、原則として落札者としないこととしてございます。
○吉倉委員 低入札価格調査制度の内容についてはよくわかりました。
では、今回の二件の契約案件について、低入札価格調査の状況は実際にどうだったのか、具体的にお示しをいただきたいというふうに思います。
○鈴木企画担当部長 まず、古川地下調節池工事(その一)でございますが、積算内訳書の金額にかかわらず、技術提案型総合評価方式による契約案件であることから、通常調査のみが適用となりました。
一方、中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)の入札におきましては、二者が特別重点調査の対象となりまして、二者とも一般管理費等が入札価格の五%を下回りましたことから、先ほどご答弁させていただいた新たな規定によりまして、これらの二者を落札者としないこととし、残りの入札者のうちから、最低価格入札者に対して通常調査を行いました。
通常調査の経過といたしましては、二件の契約案件ともに、提出された積算内訳書や施工体系図、配置予定技術者の実績などの資料によりまして、低価格で入札した理由、積算内容、施工体制、品質確保等につきましてヒアリングを行いまして、問題がないことを確認いたしました。また、経営状況についても問題がないことを確認いたしました。
以上により、二件の契約案件の落札者につきましては、契約の適正な履行に必要な技術力、経営内容、意欲を十分に備えていることが認められると判断したものでございます。
○吉倉委員 大変詳しいご答弁をいただきまして、適正に調査が行われたということがよく確認できました。しかしながら、二つの案件とも低入札であることには変わりはありません。
そこで、低入札工事に対して、建設局として、現場においてどのように対応しているのかお伺いしたいと思います。
○鈴木企画担当部長 低入札の工事に対しましては、現場における監督体制を強化するとともに、施工体制、安全管理について厳格に確認を行います。
まず、監督体制の強化としましては、工事の品質確保のため、通常の工事以上に頻繁に施工段階での現場の確認を行います。また、施工体制や下請業者との契約内容の確認を厳密に行います。
さらに、安全管理につきましては、建設事務所で設置しております工事安全対策委員会において安全パトロールを重点的に実施しまして、作業員とともに、第三者の方に対しましても安全確保が図られているかなどの点検を厳格に行ってまいります。
○吉倉委員 ご答弁ありがとうございます。ただ、現実に、受注者は、施工管理や安全管理について厳格に監督されるとともに、利益が少ないという板挟みの状態にあります。このように、建設業界は、低入札により生み出されるさまざまな状況により、過度な価格競争にさらされ、疲弊をしております。
今後とも、低入札価格調査の厳格な運用により、低入札の抑止を図っていただきたいと、このことをお願いしておきたいというふうに思います。
ところで、こうした状況の中でも懸命に取り組んでいる優良企業については、工事成績をこれまで以上に適切に評定するなどの取り組みを通じて受注環境を整えるなど、公共工事の品質確保を図ることが必要であると、このように考えております。工事の品質確保のためには、工事を施工する業界の健全な発展が不可欠であります。企業の健全な育成と公共工事の品質確保について、都の見解を伺いたいと思います。
○鈴木企画担当部長 工事の品質確保のためには、工事を施工する業界の健全な発展が不可欠であると考えてございます。そのためには、工事成績評定を厳格に反映させることによりまして、優良企業の適正な評価、不良不適格業者の排除を行うことが必要と考えてございます。
このため、今年度から、優良な工事に対し実施しております建設局優良請負工事等表彰におきまして、元請業者に加え、品質確保に努めた優秀な下請業者の皆さんもあわせて表彰するとともに、優良な工事成績につきましては、総合評価方式による入札において、技術点で高い評価をしてございます。
こうしたことによりまして、今後とも、価格のみによる競争だけでなく、企業の持つ技術力を適正に評価しまして契約する総合評価方式を活用しながら、技術力にすぐれ、地域でまじめに努力している企業の皆さんの受注環境を整え、公共工事の品質確保を図る取り組みを行ってまいります。
○吉倉委員 今答弁いただきましたように、今回都が導入した低入札価格の特別重点調査の厳格な運用により、過度な低入札が減少をし、業界の健全な発展がなされることを期待するものであります。
東京建設業協会の山田恒太郎会長は、次のように述べております。すなわち、一番注目していた特別重点調査は厳格に運用されており、失格も出ている。今後、低価格入札が減少していくと期待していると、このように述べておりまして、さらに、これを契機に、入札契約制度がいい形で運用されることを願っていると、こういう内容でありました。私も全く同感であります。
過度な競争に歯どめをかけるためには、発注者と受注者の相当な努力が必要であることは当然であります。発注者である都の歯どめへの努力に対して、業界がそれに応じて過度な低入札を控える方向になることを期待いたしまして、質問を終わります。
○かち委員 私からも、第百八十一号議案、古川地下調節池工事(その一)について、同様の低価格入札について若干お聞きします。
近年、都においては、都市型集中豪雨によって時間五〇ミリを超える降雨が増加しており、平成十七年には最大、時間一一二ミリという記録的な集中豪雨が発生し、約六千人に及ぶ被害も発生しています。都民の命と財産を守るためにも、早急な豪雨対策が求められています。平成十九年には、東京都豪雨対策検討会の基本方針を受け、神田川を初めとした七流域が対策促進流域として選定され、具体化しつつあります。
今回提案の古川調節池工事は、渋谷川・古川流域豪雨対策の一環であり、賛成の立場から、低価格入札について若干お聞きします。
今回は、入札方法が技術提案型総合評価方式というものであり、低価格入札ではあるけれども通常調査に終わったということでした。この技術提案型総合評価というものについても、先ほど来のご答弁で、技術革新によって相当の工期の短縮が生まれるということによって価格を引き下げることができるんだというようなお話もありました。これらの、こういう入札方式、評価方式というのは、年間どのぐらいあるのでしょうか。
○鈴木企画担当部長 建設局では、この技術提案型総合評価方式による契約を、平成十四年度以降、昨年度まで八件締結してございまして、年に大体一、二件程度という勘定でございます。
○かち委員 まだそんなに数は多くないようですけれども、入札結果、情報を見ますと、一般的に都の積算価格、予定価格というのは--百七十六億円に対し百十六億円で見ると、落札率が六五%ということで、大変な低価格入札というふうに見えるんですけれども、これが評価の対象ではないというふうなことなんですね。
しかしながら、こういう場合においても、最低限度額基準というものは設けないのでしょうか。
また、品質確保はもちろんですが、安全性やその仕事にかかわる下請業者の末端まで正当な労賃、単価が行き届くかどうか懸念されるわけですけれども、下請への影響などはどのように見ているのか、その担保はあるのかどうかなどについてお聞きします。
○廣木河川部長 古川地下調節池工事(その一)は、落札率が六五・九%であったため、低入札価格の調査を行いました。
この調査の中で、入札価格の内訳書や配置予定技術者の実績などの資料を提出させた上、低価格により入札した理由、また積算内容、施工体制、品質確保等についてヒアリングを行い、確認いたしました。
さらに、下請業者への影響につきましてでございますが、下請予定金額、労務費及び下請業者からの見積書を提出させ、内容が適正であることを確認しております。
施工に当たりましては、現場の監督体制を強化し、品質や安全の確保に万全を期してまいります。
○かち委員 下請についても、ヒアリング等で見積書を提出させて確認をしているんだというお話でしたけれども、下請のチェックというのは、あくまで一次下請までの状況でありますよね。実際の仕事は二次、三次、四次ぐらいまで行くわけですから、そうした末端までの管理監督が発注者として把握できるのかどうか、この工事を発注者としてどのように点検、管理されていくのか、お聞きします。
○鈴木企画担当部長 恐れ入ります、先ほどご質問にございました最低額を設定していないのかというお尋ねに対してお答え申し上げます。
古川地下調節池工事(その一)につきましては、四億円を超える予定額でございますために、東京都における制限制度というものは適用になりません。そのために、低入札の調査を行うという制度になってございます。
○廣木河川部長 下請業者等、工事現場における対応についてでございますが、工事の施工段階におきましては、請負業者から下請契約書を提出させ、下請業者と契約していることを確認し、さらに、現場においても、その下請業者が作業していることを確認してまいります。
これらに加え、低入札案件につきましては、下請業者に対し直接契約内容の履行状況等のヒアリングを行い、下請業者への影響の有無を確認していきたいと考えております。
○かち委員 東京都としても努力をされているということですけれども、現場的にいいますと、下請の下請になればなるほど仕事に見合わない見積もり、あるいは契約不履行などというトラブルも発生しています。都の公共事業においてこのようなことが起きないよう、一層の管理監督を強化されるよう求めて、質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。
○かち委員 第百八十二号、中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)の契約案件について、意見を述べます。
都が進める三環状道路の一環である品川線について、私はさきの事務事業質疑においても質疑をし意見を述べましたが、今回提案されている工事契約についても、税金の使い方として、反対の立場から意見を述べます。
品川線の工事進捗状況は、まだシールド工事も始まったばかり、今後、国の動向も含め、どういう状況が起こるかわかりません。その見通しも見えない中で、ジャンクションの鋼けた製作・架設工事を今急いで契約する必要は認められません。今、アメリカ発の不況下で、都民の生活と営業は本当に深刻です。都税収入は、今年度五千億円、来年度一兆円も減収となる見込みです。こうしたもとで、不要不急の大型公共事業の見直しが緊急の課題となっています。国においても、八ッ場ダムの見直しや国道建設の見直しを進めています。
このようなときに、東京都だけは、決まったものは変えられないという姿勢で、見直しをすることもなく、巨額の税金を投入しようとしています。都は、オリンピックをてこに、三環状道路を初めとする道路建設を推進していますが、地球温暖化対策、とりわけ自動車による二酸化炭素の発生を抑制することは喫緊の課題であり、都市再生による東京一極集中の是正、公共交通機関への転換など、自動車依存型からの転換が不可欠となっています。また、都は福祉や教育、中小企業などの予算では計画どおりに事業を執行せず、未執行分を生み出す一方で、こうした幹線道路は予定どおりに推進しています。
巨額の投資は、例えば中小企業の役に立つ生活密着型公共事業を初め、都民の暮らしや福祉、医療の拡充のためにこそ振り向けるべきであり、税金の使い方を転換すべきです。
よって、今工事契約には反対であることを述べ、意見といたします。
○藤井委員長 お諮りいたします。
本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○藤井委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第百九十号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○藤井総務部長 付託議案に関しましての、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
お手数でございますが、先ほどもごらんいただきましたお手元の環境・建設委員会要求資料三ページをお開き願います。
都立公園における指定管理者制度の導入状況でございます。この資料は、指定管理者制度を導入いたしました年度別に、公園の名称、指定管理者及び指定期間をあらわしたものでございます。
以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○中村(ひ)委員 それでは、東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について質問します。
神代植物公園は、調布市の北部に位置し、私の地元の三鷹市からも近くにあり、多くの方が訪れています。私の自宅からも自転車で十分ほどで行けるために、この間、週末にも改めて訪れてみました。四季折々の花が咲き、多くの利用者が楽しんでいます。
植物公園として、他の都立公園とは違い、特殊な管理が必要にもなります。これまで多くの都立公園に指定管理者制度が導入される中、ここまで都の直営だったのにはそれなりの意義を東京都も見い出していたからではないかと推察します。
そこでまず、都における神代植物公園の役割をどのように考えているのか伺います。また、このタイミングで指定管理者を導入する理由を伺います。
○三浦公園管理担当部長 神代植物公園は、昭和三十六年に開園した、都立で唯一の植物公園で、多彩かつ貴重な植物コレクションを有し、来園者が豊かな花と緑を楽しみながら植物の知識を得ることができる公園でございます。
これまで、都民サービスの向上と効率的、効果的な管理の実現を目的に、順次、公園等に指定管理者制度を導入してまいりましたが、神代植物公園につきましては、植物公園という特性にかんがみ、管理要綱の検討に時間を要したため、今回導入することとなったものでございます。
○中村(ひ)委員 ただいまサービス向上ということもありましたので、都立公園におけるその考え方を伺いたいと思います。
都市における公園は、環境の改善や防災空間、レクリエーション、コミュニティ活動の場、動植物の生息、生育空間や地域活性化の拠点など、重要な役割を担っています。だれも来ないような公園ではいけませんが、ただ静かに植物を観賞したい人もいるので、いたずらにイベントをふやして来場者数をふやすことだけが公園の役割でもありません。
今回、指定管理者制度を導入する理由としてサービスの向上という話でしたが、神代植物公園におけるサービス向上として何が期待できるのか、また都はこれまで神代植物公園においてどのような取り組みをしてきたのかお伺いいたします。
○三浦公園管理担当部長 神代植物公園におきまして、これまで、都は、都民協働によるガイドボランティアの実施や、利用者ニーズにこたえて、桜の開花期や春と秋のバラフェスタの開催時には開園時間の延長やライトアップを行うなど、豊かな花と緑を楽しみながら植物の知識を得ることができる公園としてサービス向上の取り組みを実施してまいりました。
今回、東京都公園協会は、モーニングツアーなど、新たな鑑賞プログラムの提供や、周辺地域における諸行事と連携したイベントの開催、ガイドボランティアの拡充などを実施すると計画しております。
これまでも、文化財庭園グループにおいて、それぞれ庭園の植栽や立地を生かしたイベントを開催し、来園者数増加につなげるなど、創意工夫を発揮していることから、利用者満足度を高めるサービスの向上が期待できます。
○中村(ひ)委員 ただいま、これまでの都の取り組みと公園協会の取り組みについて伺いました。
一般的に、サービスは民間の方がよいといわれますが、公園協会は株式会社ではないため、インセンティブが十分に働かないため、公共的な使命感を持っていただくことが必要です。逆に、これまで指定管理者制度が導入された公園で、民間や公園協会が行ってきたサービスを東京都も学び、取り入れ、都の直営の公園にフィードバックをしていくことも必要です。さらなる相乗効果を出して、都立公園全体のサービス向上につなげていただくことを要望して、次の質問に移ります。
東京都は、これまで、ほとんどの都立公園に指定管理者制度を導入してきました。改めて、その導入の目的と、それによりどのような成果と課題があるのかを伺います。
○三浦公園管理担当部長 都立公園の指定管理者制度は、サービスの向上と効率的、効果的な管理の実現を目的として導入しております。
指定管理者の管理運営状況評価では、平成十九年度は十一の公園が優良、平成二十年度の管理運営状況評価では十六の公園が優良となるなど、都立公園の指定管理者制度導入は一定の成果を上げております。
今後、さらにそれぞれの都立公園の特性に応じた管理を行うために、効果的な選定方法や評価方法が課題と考えております。
○中村(ひ)委員 これまで公園協会を指定管理者として行った評価では、良好や優良と判断をしていますが、どういう判断に基づくかを伺います。特に、日常利用する方々の声こそが大切ですが、どのように聞いてきたのか、その上での評価なのかを伺います。
○三浦公園管理担当部長 指定管理者管理運営状況評価につきましては、全庁的な統一基準に基づき、学識経験者などの外部委員を含む評価委員会を設置して、施設、樹木等の管理状況と、利用者満足度調査の結果やサービス向上の取り組みなどの事業効果について評価し、それらを総合して決定しております。
評価に当たりましては、利用者からの苦情、要望への対応状況や、毎年、公園別に実施しております利用者満足度調査の結果を評価項目とするなど、利用者の声を反映したものとなるよう工夫しております。
○中村(ひ)委員 指定管理者からは定期的に書面等で業務の報告がなされると思いますが、書面だけの報告を受けるだけではなくて、また頻繁に都の職員もみずからが訪問して現場を見る必要もあると思います。指定管理者に対する指導監督や評価を行うに当たって、都は管理状況をどのように把握をされているのか伺います。
○三浦公園管理担当部長 指定管理者の指導監督や評価に当たりましては、指定管理者からの書面による報告だけではなく、毎月の履行状況の確認や利用者からの苦情、要望への対応など、さまざまな機会をとらえて現場の状況を確認しております。指定管理者管理運営状況評価における評価委員会におきましても、現場調査を実施してございます。
○中村(ひ)委員 公園事業は営利を追求する事業ではないため、今回、監理団体として公共的役割を担う財団法人の東京都公園協会が指定されることには理解します。ただ、東京都が公益目的を持って設置しているので、民間とはいえ、東京都と同様の透明性と公平性が必要です。
また、国の外郭団体のファミリー企業のようなものが形成されるようなことはあってはなりません。東京都公園協会が業務を発注する場合、都と同様の入札制度と情報公開の制度が必要だと考えますが、どうなっているのか伺います。
○三浦公園管理担当部長 東京都公園協会は、東京都の監理団体として、東京都指導監督要綱や東京都監理団体指導監督基準に基づき、公平公正な契約制度と透明性を確保する情報公開制度を整備してございます。
具体的には、業務の発注については東京都の契約規定に準じた会計に関する規程及び契約事務取扱要綱に基づき行われ、情報公開につきましては、東京都情報公開条例の趣旨に基づき、財団法人東京都公園協会情報公開要綱を定め、適正に運用しております。
○中村(ひ)委員 さて、また今回のこの神代植物公園の指定管理者の指名は特命による選定ですので、委託料はどのようにして決めるのでしょうか。
また、今回の神代植物公園について、公園協会が提案している管理費用の額と、その額が従来の管理費用と比較してどの程度縮減されているのか伺います。
○三浦公園管理担当部長 指定管理者への委託料は、特命、公募、いずれの場合も、申請者から提案された事業計画の内容と提案額の妥当性を確認し、この提案額を踏まえ、年度ごとに都の予算の範囲内で指定管理者と協議を行い、委託料を決定しております。今回、東京都公園協会の提案額は、約四億二千五百万円で、指定管理者導入前の経費と比較した縮減額は約二百万円でございます。
○中村(ひ)委員 今回、指定管理者として指定する期間は一年間だけという契約になっています。そのため、翌年は再度指定先が変わるという可能性もあるわけです。仕事というのは、なれるまでに時間もかかります。また、働く人のことを考えると、雇用の点からも疑問が残ります。今回、一年間という期間にしたことは効率的な運営といえるのでしょうか、お伺いします。また、雇用の点からも問題はないのか、お尋ねします。
○三浦公園管理担当部長 現在、公園、霊園、動物園等、公園緑地部所管で制度を導入しております九十一の施設中、八十六の施設の指定期間が平成二十三年三月末までとなってございます。神代植物公園につきましても、指定期間の終了時期を、これらの施設と一致させることといたしております。それにより指定期間が一年となりますが、既存のグループに編入することで、既に制度を導入している施設における指定管理者のノウハウ等の活用やスケールメリットを生かすことで効率化を図ることができます。また、指定期間一年という前提で事業計画書が提出されておることから、雇用の点については、財団法人東京都公園協会が適切に対応すると考えております。
○中村(ひ)委員 指定管理者制度が導入されて以来、公共施設の管理には、どの目的を重視するかなどで、さまざまな形態の管理が行われています。公益性を重視するなら直営が望ましく、競争性を重視するなら完全な民間の会社に、さらにその中で、さらに公平性を重視するなら、余り大きなグループにせず一つ一つの公園を別々に発注して、地域の中小規模の会社や団体が入札に参加する資格を得られるようにすることも考えられます。
また、それぞれの目的をバランスよく重視すれば、公益的な目的で設置された監理団体である公園協会という選択もあり、現在ではほとんどの公園を公園協会が管理しています。最適な運営を行うため、それぞれの手法をバランスをとって相乗効果を出すということも考えられます。そこで、公園の運営についての東京都の考え方をお伺いします。
○三浦公園管理担当部長 都立公園におきましては、平成十六年新規開園した小山内裏公園を初めとして、平成十八年度から本格的に指定管理者制度を導入いたしました。この指定管理者制度につきましては、公園の特性などを踏まえた上で、順次導入を図っております。
現在、公園緑地事務所の直営による公園、公募により監理団体である東京都公園協会が指定管理者となっている公園、民間企業が指定管理者となっている公園等があり、それぞれ特色ある管理運営を行ってまいりました。引き続き運営形態の特性も考慮して、それぞれの都立公園で効果的、効率的な管理運営が行われるよう取り組んでまいります。
○中村(ひ)委員 最後に、今後の都立公園の運営について伺います。今回の神代植物公園の指定管理者制度の導入で、東京都の直営の公園は二つだけになります。私の地元三鷹と松下議員の地元武蔵野市にまたがる井の頭恩賜公園と、中村明彦議員の地元の台東区の上野恩賜公園の二つだけです。
もし、仮に都の直営公園がなくなった場合、東京都に公園管理のノウハウがなくなってしまい、指定管理者に適切な指導をしたり、評価をすることもできなくなってしまいます。また、コストという点でも一時的に価格が下がっても、長期的に見ればブラックボックス化して事業者のいい値になってしまうおそれもあります。都は今後の公園管理にどのように取り組んでいくのか、考えを伺います。
○三浦公園管理担当部長 都立公園の管理におきましては、指定管理者制度の趣旨を生かしながら、都民本位の効率的で、かつ効果的な行政サービスの提供を図っていくことが必要であります。都は指定管理者の指導監督や、各都立公園の特性に応じた管理運営状況の評価方法を工夫するなど、的確に対応してまいります。今後も直営公園というフィールドを十分に活用し、これまで取り組んできた地域との連携事業を推進するとともに、公園管理のノウハウや技術の継承などを図ってまいります。
○中村(ひ)委員 管理方法がどのようであっても、都立公園の設置者は東京都にあり、都民にサービスを提供する責任も東京都にあることに何ら変わりはありません。また、長期的な人材の育成という点でも、そのノウハウの継承についても考えていく必要があります。指定管理者の導入後も、指定管理者の管理だけではなく、公園の大規模な改修は従来どおり東京都の業務になります。また一般的に、当初はコストが縮減できたとか効率的になったといっても、長期的に見て結局は割高になったり、管理状況が悪くなるということも想定されます。
来年度中には、ほとんどの公園の指定管理者の期限を迎えるため、その機会に改めて制度全般についてさらなる検証が必要になります。今後とも制度の趣旨を生かしながら、都が責任を持って都民の期待にこたえていただくよう要請して質問を終わります。
○こいそ委員 それでは、同じく神代植物公園の指定管理者の指定について、お聞きしたいと思います。神代植物公園は昭和三十六年、先ほどありましたけれども、開園から四十八年がたちました。そこに、園内に植えられている植物は大きく成長して、桜、ツバキ、梅など多くの園芸植物が四季折々に咲き誇って、植物園の中心的な施設であるバラ園では、春秋、バラフェスタ等が行われて大変な人気を博しているということも、さまざまなところから聞かせていただいているところであります。
また、来園者も年間七十万人を超えるというような、大変に多くの方々がこの植物公園に来場されていることも認識をしているところであります。まさに多摩地域全体の観光施設として、極めて重要であり期待ができるということでありますが、とりわけ、ここで東八道路、調布保谷線、三鷹通りの整備等々、さらには外環が整備されるということになってくれば、神代植物公園を取り巻く交通利便性、交通環境は格段に改善されてきます。
今後、今まで以上に多くの都民の皆さんが、また都民以外でも来場されると思いますけれども、訪れる。まさに今申し上げたけれども、観光の大きな、多摩地域全体、先ほどいいましたけれども、まさに観光拠点になるんじゃないかというふうなことも考えるところであります。
そこで、神代植物公園は、今後どのような植物園を目指して、今まで、またこれからですね、目指していくのか、このあたり、お願いします。
○小口公園緑地部長 神代植物公園は、約四千八百種、約十万本の木本植物を擁し、これまで培いました高い栽培技術を生かして、貴重な江戸園芸を代表するサクラソウや古典菊を栽培、展示するほか、ことし長年栽培してまいりましたバラが大株になって、それのコレクションですとか、バラの原種の保存が評価されまして、世界バラ会連合優秀庭園賞を受賞しました。この賞は、一九七一年から三年ごとに開催されている世界バラ会議におきまして、歴史的、教育的にもすぐれた景観のよいバラ園に贈られ、過去に十七カ国、二十八のバラ園が受賞しております。
ご質問で、今後どのような植物園を目指していくかについてでございますけれども、先ほどお話ししました世界的に評価されました実績を生かすとともに、社会環境の変化や都民ニーズをとらえ、神代植物公園を首都東京の植物園として、さらに発展させてまいります。
そのためには、先ほど委員からお話がありました周辺の交通環境の改善をよい機会としまして、神代植物公園のすばらしさをさらにPRし来園者をふやします。また、ガイドボランティアによるきめ細かいサービスの提供や、植物園に関するさまざまな参画機会をふやしまして、植物公園のファンの拡大をしてまいります。
それから、国内外の植物園などとさらに連携を強めまして、新たな植物の収集をするなど、より魅力的な植物園を目指して植物コレクションの充実を図ってまいります。さらに、生物多様性への取り組みを強め、社団法人日本植物園協会が設けた地域野生植物保全拠点園として、絶滅危惧植物を計画的に保護、増殖するを行うとともに、生物多様性の大切さを普及啓発してまいります。
○こいそ委員 ただいまさまざま、今後の神代植物公園の、現状とこれからというお話の中で、極めて、生物多様性のお話もありましたけれども、貴重な植物コレクションを有して高い評価を内外ともに受けていると。その神代植物公園に、先ほどからもこれに対する質疑がありましたけれども、今回、東京都公園協会を指定管理者として指定がなされていくと、こう提案がなされているわけでありますけれども、もう一度ちょっと聞きたいのは、いま一つお聞かせいただきたいのは、なぜ期間が一年であるのか。先ほどもお答えがあったかと思いますが、もう一度聞かせていただきたい。それから、なぜ特命なのかと、このあたりももう少し詳しくですね、お聞かせいただけないでしょうか。
○三浦公園管理担当部長 なぜ特命なのかというところと、指定期間一年のことでございますが、先ほども中村委員にお答えをいたしましたように、現在、都立公園等で大部分の施設の指定期間が、二十三年三月末に終了いたします。そのときの見直しを効率的に図るために神代植物公園については周期を合わせた結果、一年となったものでございます。
指定期間を一年とすることから、神代植物公園の特性を踏まえまして既存のグループに編入することといたしました。編入先は既存のグループの中で江戸園芸品種やバラ等、最も神代植物公園に近い植物管理を行うとともに、浜離宮恩賜庭園における三百年松の樹勢回復や旧古河庭園における春や秋のバラフェスタの開催等、高いレベルの植物育成管理、植栽技術をもとにした事業を展開している文化財庭園グループとし、現在の文化財庭園グループの指定管理者である東京都公園協会に特命することといたしたものでございます。
○こいそ委員 まず、二十三年度に合わせていくということの中で、当面一年間だということでありますけれども、私は、なぜこの一年を--二十三年に合わせてもいいじゃないかと。二十三年にスタートさせてもいいんじゃないかと思うことも一点あるんですよ。というのは、なぜここで一年に、どうしてもその理由というのがいま一つわからない、はっきりいって。
その中で、先ほどからお話あるように、利用者満足度調査及び今回の公園協会の指定管理者として指定する要件を示されました。だけど、これは現実、あれじゃないですか、植物公園でも、要するにこれだけ水準の高い、東京都初めての植物公園と特化して開園された公園ですよね。非常に、極めて先導的役割を、日本全体においても、観点でもある。これはほかの、もう三年、スタートしました制度、本格的にスタートさせてから三年たってきた。この中においても、私、一律的に考える必要性というのはあるのかなと、実はちょっとそう思ったんですよ。
ですから、なぜ、もう一段考えて整理をしたんでしょうけれども、このタイムラグというか、やはり一年というのは、私、極めて短いと思う、当然にして。であるならば準備期間も含めて、指定管理者として、それだけのグループに参加をするとしてもですよ、私はそのあたりの、もうちょっと説得性というのは示していただく必要性というのはあるんじゃないのかなと、そういうような感がいたします。
それとともに、続きますけれども、東京都公園協会は都の監理団体であると、これはもう当然のことでありますけれども、今回、競争でなく特命という選定方法をとることは、やはり私は、緊張感、こういうもの、要するに二十三年度に合わせていく過程の中でですよ、現在進行している中で、例えば、我が党はこれをかねがね公共事業運営委託、業務委託の正しいあり方報告書ということで、これをPTで示しています。それから、私どものそれぞれの議員の方からも、この制度の抜本的な、制度そのものの本格的な、制度自体についての検証も、見直しもしていくことが必要ではないかと、こういうこともうちの方では出しているんです、これ、はっきりいって。
そういう中で、本格スタートして三年たってという過程の中で、さっきいった話も、なぜここでやるのかということも一つだけれども、こういうあたりの検証とかですね、少なくとも、やっぱり公園協会というのは監理団体だと、それはもう今いったように承知していますけれども、やはり効率性、質の高い都民サービスの向上、これは基本的なところですよね。それから、やはり少なくたって、やはり委託料のコスト的なものもある。これは先ほど四億二千五百万といわれた。先ほどの話であれば、実質的には二百万の減額ですよね、これ。これは決して安い数字ではないです、これははっきりいって。じゃあ、どういうメリット、利便性と、要するにどういう公園にすることによって、局としては今回踏み出そうとしたのか、もう一つ説明ください。
○三浦公園管理担当部長 神代植物公園に指定管理者を導入する理由は、他の都立公園と同様に都民サービスの向上と効果的、効率的な公園管理ということでございます。神代植物公園につきましては、先生お話しのように重要な植物を擁していることから、その植物管理について、極めて詳しい管理要綱を定める。このための期間に相当期間を要したことから、この時期となったということでございまして、この管理要綱をもとにし公園協会に事業計画を求めており、これは十分果たせる内容となっているというふうに判断をしてございます。
指定期間が一年ということにつきましては、先ほどもご答弁で申し上げましたように、二十三年三月末に合わせまして、全体を見直していくということを考えておるということでございまして、この一年と短い期間であっても、文化財庭園グループで十分に実績を上げていることを見れば、実績を上げられるというふうに期待をしているところでございます。
○こいそ委員 いずれにしても、二十三年という一つの節目の年を迎えて、一斉に見直しをしていくわけでしょう。なぜ、こんな途中でやるのかというのがいま一つわかりません。今回、提案されたことの内容の中も、理解もしているところが多いんですけれども、神代植物公園の指定の、今後一年ということでありますけれども、来年度には都立公園の指定管理者の選定が一斉にまた行われると。そして六次、次回の都立公園の指定管理者選定に向けて、今回は、まさに神代植物公園という、植物の極めて水準の高い、先ほどお話がありましたけれども、全くそのとおりだと思います。七十万人の来場者があるような、大変そういういろいろな面で、この公園の持つ意義というのは、大変大きいものがあると思うんです。そういうことを認識のもととして、これを含めて、では、今いいましたけれども、都立公園の指定管理者選定に向けて、どのような方向で考えておられるのか、二十三年に向けてということなんでしょうけれどもね、そのあたりどうでしょうか。
○三浦公園管理担当部長 都立公園の中には、日常的な公園利用に加えまして、震災発生時など不測の事態への備えや、文化的、歴史的な価値を未来へ伝える管理技術の継承など、行政上重要な役割も有してございます。都立公園の指定管理者選定に当たりましては、こうした都立公園の有する行政上のさまざまな役割を的確に果たしていけるよう選定方法を検討する必要がございます。
次回、平成二十二年度の神代植物公園を含めた七十四公園の選定に向けましては、都立公園の特性や役割の発揮のために、効果的な選定の形態、グループ編成、指定の期間、指定管理者の業務内容等を十分検討し選定方法を取りまとめてまいります。グループ編成につきましては、指定管理者制度を順次拡大してきたことを踏まえまして、見直しを行ってまいります。
○こいそ委員 今、グループ編成の見直しを行っていくということがありました。極めて、これも大切なことだと思うんですが、それでは、どのように、グループ編成の見直しを、まずされていくのか、それをお願いします。
○三浦公園管理担当部長 これまで指定管理者の選定単位となりますグループにつきましては、スケールメリット、公園の機能や地理的条件を考慮して編成してまいりました。平成二十二年度、指定管理者選定に向けましては、都立公園の有するさまざまな役割を果たしていくという点で効果的なグループ編成になっているかどうか、再度検討するとともに、競争性の確保等にも配慮してまいります。
○こいそ委員 今後の公園行政を的確に、さらに進めるためにも、都直営公園も必要ではないかと私は考えております。特に本来だったら特色ある公園というのは、これはいろんな事情で、職員採用の件、そこに何というんですか、いろんな業種、業態の中で、業種というか、例えばバラの専門職だとか、いろいろありますよね、植物の。そういう方々が、なかなか採用条件が厳しくなってきているということもよくわかりますが、しかし、直営公園の必要性というのは極めてあると思います。少なくとも、この議論というのは、ここまでになってしまいますけども、これは総務局との議論といいますか、私も話をする中で、我が党が、先ほどいったように、ただ指定管理者のみ、指定管理者制度が発足したから、それで全部右向け右、流れは流れだということではないと思うんですよ、これははっきりいって。
もう一度、この時間的経過の中で検証していって、今グループということで、それはそれなんでしょうけれども、それぞれの公園の特性、特質的なものも当然あるわけであって、指定管理者そのものの制度自体の見直しだって、これはもうやるべきだと我々でいっているわけだから、はっきりいって。そういうことを踏まえて、包括的、総括的に、このありよう、あり方というのはぜひ考えていただきたいと思います。来年度、今こうやって提議されたこととして受けとめますので、次の、やはり二十二、二十三年に向けての一斉の見直しということになるわけでしょう。
そういうときに、やっぱりそのことを踏まえて、ぜひ考えていただきたいということは、もう一度繰り返しますけれども、都の、だんだん少なくなってきておりますけれども、残された直営公園の活用も、改めていいますけれども、含めて、公園行政に今後どのように取り組んで--これはもう当たり前の話だけど、マンパワーは必要ですよね。それはやはり知識が必要だ、経験が必要ですよ。そういうことなわけで、一朝一夕にできるわけないんだから、これははっきりいって。
管理、いわゆるその制度の発足に伴ってとか、そろそろ外注だ云々かんぬんじゃなくて、ここの指導監督も必要になってきますよね。当然セクションだって、今でもそうだけど、もっと必要になってくると、こういう意味で職員の育成、これをやっぱり計画的にどういうふうに進めていくか、育成をどう図っていくか、このあたりも重要だと思いますけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。
○小口公園緑地部長 よりよい公園緑地行政を行うためには、行政みずからが公園の現場において、公園と時代の今をつかみ対応することなしには本質的な行政の質の向上は望めません。残された二つの、井の頭恩賜公園、上野恩賜公園の直営公園は、その実践、検証の場であります。現在、指定管理者制度を導入しているわけですけれども、指定管理者の役割は、案内から都民協働や公園利用の促進、苦情対応など通常の運営管理と、植物管理や、施設の保守点検や補修などの施設の維持管理であります。
都の役割は、この指定管理者の指導監督を初め、公園の都民のニーズに応じた計画策定や建設、改修、また公園の公平かつ適正な管理に係る許認可等が役割としてあります。これらの役割を的確に果たすには、職員の現場経験を含む育成が重要であり、さまざまな場所を経験させ、直営公園のフィールドを使い育成を図ってまいります。
○こいそ委員 ぜひそういうことも必要ではないかというふうに思います。最後でありますけれども、これは先ほどからいっている話でありますが、効率性、より質の高い都民サービスのさらなる向上というこの観点、これは当然必要だと思います。前提としてこれはいつも出てきますけれども、その中で、まさにこの指定管理者制度の導入に当たって、これは先ほどから、何点かの中でいわせていただきましたけれども、この制度が本当にこの公園管理の中でどうであるのか、今後どのような対応というんですか、をしていくべきなのかと、こんなことを含めながらお考えをお聞きしたいと思うんですが、最後に。
○影山次長 公園緑地部を所管しておりますので、私の方から……。先生、るるご指摘ありましたけれども、神代植物公園は、四千八百種、十万本の植物を有しまして、貴重な植物を多く栽培、展示して、多くの都民に親しまれております重要な施設であります。これらの植物園の特徴を生かしつつ、その本来の役割をさらに発展させる、そういう視点で、指定管理者を仮に導入するにしても、そういう視点で指定管理者を導入していかなければいけないと思っています。
また、植物園には都の政策目的というのがあります。先生もおっしゃっていました観光施設での機能ですとか、環境教育の場と、そういう機能も持っておりますので、そういう機能がコスト削減をねらうばかりに、そういう機能が低下してはいけないと思っております。そういう機能をより発揮できるような指定管理者を選定して、その指導を通じて、よりよい植物園、都立公園をつくっていきたいと思っております。よろしくお願いします。
○かち委員 私からも百九十号、東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について、お伺いいたしますけれども、今、お二人の質疑を聞いていて、非常に共通するところがあるので、少し省きますけれども、東京都の建設局は、事業局として貴重な現場を持っているわけですよね。そして、東京の都立公園、緑を管理するという点でも、高い技術、技能、そういうものを培ってきた局だと思います。そういう部署として、今、都立公園、八十近い都立公園のそのほとんどを指定管理を進めてきているわけですけれども、一年後には五年目を迎えるということで、公園の管理のあり方、これは再選定に合わせるんだというお話がありましたけれども、私は、やはりこれまでの指定管理のあり方で本当にいいのかどうかということも含めて再検討をする必要があると思いますけれども、建設局としてどのような見解、そして方針を持っているのか、お聞きします。
○三浦公園管理担当部長 適切な指定管理者の運営というところにつきましてでございますが、先ほどもご答弁させていただきましたように、現在の指定管理者は、すべてが良好以上の評価を得ているということの評価を得てございます。優良の指定管理者につきましても、十九年度から二十年度にかけてふえているということでございまして、これは公園協会、民間を含めまして、指定管理者それぞれの真摯な努力と、本庁、公園緑地事務所相まっての指導監督が効果を奏してこういう状況になっているところでございます。ということで、指定管理者制度の導入についての都民サービスの向上と、効率的、効果的な管理ということにつきましては、十分成果を上げているというふうに考えてございます。ただ、次回の選定におきましては、これまで申し上げてきましたように、それぞれの都立公園の持つ特性に合わせた行政上の役割を果たすという観点からの見直しは一定、必要でございますので、そこについては十分検討してまいります。
以上でございます。
○かち委員 先ほど、神代植物公園は四千八百種、十万本のバラ等々、すぐれた植栽があるわけですよね。そういうものを、やはり育ててきて、次につなげていくという点でも、これまで培ってきた職員の高い技術、ノウハウを、やっぱり育成していかなければ、後輩に受け継いでいかなければいけない、教育していかなきゃいけない。そういうものがあると思うんです。それは、上野恩賜公園と井の頭公園でやるからいいんだというふうな、お話でもありましたけれども、都立公園にはそれぞれの特色があって、それぞれの、いろいろなよい点があると思いますので、そういうものを含めて根元から、もう一度管理のあり方というものを検討していただきたいと思います。
それで、効率的な管理運営ということで、先ほどちょっとあったんですけれども、現在の神代植物公園の管理体制というのはどういう体制になっているのか。またその管理経費はどうか。同様に指定管理後の経費、契約金や職員体制というのはどういうふうになるのか、お聞きします。
○三浦公園管理担当部長 現在、神代植物公園は職員数、十九人で管理をしてございます。経費につきましては、現在、四億二千七百万円で管理をしているところでございます。今回の公園協会の提案によりますと、職員数につきましては二十一人と提案されており、経費につきましては、四億二千五百万円という提案になってございます。
○かち委員 効率的なんだというふうにいわれますけれども、人数の上では三人ふえる。その中には、都からの派遣職員も入っているというふうにも聞いております。そして、差額は二百万円ということでは、いわれるほど効率的ではないのではないかというふうにも思われます。しかも指定期間がたった一年しかない中で、あえて今、指定管理しなければならない理由は見当たらないというふうに思います。
指定管理者制度そのものが公的事業への民間参入の機会拡大で、規制緩和の一環であり基本的に導入には反対です。都立公園は都民の貴重な財産です。神代植物公園のように、バラ園など多くの繊細、精密な植物の高度で継続的な植栽管理が求められる公園管理を、五年ごとの競争入札という不安定で営利企業も対象とする指定管理者制度の対象とすべきではないと考えます。しかも、全体の再選定時期にそろえるための理由として、一年の指定管理にあえてしなければならない理由も見当たりません。よって本案には反対です。
以上です。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で建設局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十四分散会
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