環境・建設委員会速記録第十四号

平成二十一年十一月二十六日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長藤井  一君
副委員長矢島 千秋君
副委員長野上ゆきえ君
理事中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事いのつめまさみ君
野田かずさ君
吉倉 正美君
山下ようこ君
かち佳代子君
林田  武君
松下 玲子君
こいそ 明君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
理事都市地球環境部長事務取扱大野 輝之君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長大村 雅一君
緑化募金担当部長福田 良行君
参事木村 尊彦君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事谷川 哲男君
建設局東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
次長影山 竹夫君
道路監村尾 公一君
総務部長藤井 芳弘君
用地部長角南 国隆君
道路管理部長野口 宏幸君
道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務藤井 寛行君
三環状道路整備推進部長戸谷 有一君
公園緑地部長小口 健藏君
河川部長廣木 良司君
企画担当部長鈴木 昭利君
道路保全担当部長藤江 賢治君
公園管理担当部長三浦 紀子君
参事今村 保雄君
参事谷村 秀樹君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
・古川地下調節池工事(その一)請負契約
・東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
請願陳情の審査
(1)二一第一四号 京王線代田橋駅・仙川駅間の連続立体交差事業による開かずの踏切解消促進に関する請願
(2)二一第三一号 玉川上水の貴重な自然と歴史遺産を守るため、放射第五号線道路の計画変更に関する請願
(3)二一第四〇号 京王線の連続立体交差化を地下方式とすることに関する請願
(4)二一第二七号 中央通りの上野駅から上野広小路交差点の間に街路樹などを植えることに関する陳情
(5)二一第五九号 都市計画道路秋多三・三・九号線の築造工事の一時中断と事業の見直しに関する陳情
(6)二一第六〇号 都市計画道路青梅三・四・四号線の事業の見直しに関する陳情
 環境局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 環境局所管分
・東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例
・東京都地域グリーンニューディール基金条例
・土壌汚染対策法関係手数料条例
・東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
請願陳情の審査
(1)二一第三六号 八丈島の一般廃棄物管理型最終処分場建設計画の見直しに関する請願
(2)二一第三五号 八丈島一般廃棄物管理型最終処分場の建設地及び規模の見直しに関する陳情

○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の第四回定例会に提出を予定しております案件の説明聴取並びに請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、御了承願います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○道家東京都技監 第四回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明を申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)などの契約案二件、東京都立神代植物公園の指定管理者の指定についての事件案一件でございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○藤井総務部長 平成二十一年第四回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 まず、資料1をごらんいただきたいと存じます。
 契約案につきましてご説明申し上げます。表紙をおめくり願います。
 今回提出を予定しております契約案二件の件名は、目次のとおりでございます。
 一ページをお開き願います。件名は、中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)でございます。
 本工事は、中央環状品川線と首都高湾岸線との連絡路を延長二百三十メートルの橋梁形式により施工するものでございます。
 工事場所は、品川区八潮一丁目から同区八潮三丁目地内、契約の相手方は駒井鉄工株式会社、契約金額は十一億一千四百五万円、工期は平成二十三年三月十日までとする工事請負契約を一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。本件の施工場所の案内図でございます。案内図の下部に黒く実線で表示してあります箇所が工事場所でございます。
 三ページをお開き願います。構造物の形状は、平面図、横断面図のとおりでございます。
 次に、四ページをお開き願います。件名は、古川地下調節池工事(その一)でございます。
 本工事は、発進立て坑を設置して、古川直下に内径七・五メートルのトンネル式調節池三千三百メートルをシールド工法により施工するものでございます。
 工事場所は、港区三田一丁目地内から渋谷区恵比寿一丁目地内、契約の相手方は飛島・東鉄工業・ノバック建設共同企業体、契約金額は百十六億五千五百万円、工期は二十三年十二月二十日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 五ページをお開き願います。本件の案内図、平面図、標準断面図でございます。
 案内図、平面図の中ほどに黒い実線で表示してあります箇所が工事施工場所でございます。構造物の形状は、標準断面図のとおりでございます。
 以上で契約案の説明を終わらせていただきます。
 次に、資料2をごらんいただきたいと存じます。事件案につきましてご説明申し上げます。表紙をおめくり願います。
 今回提出を予定しております事件案の件名は、目次に記載してございますとおりでございます。
 一ページをお開き願います。事件案の概要をまとめたものでございます。事件案につきましては、本概要にてご説明いたします。
 東京都立神代植物公園の指定管理者の指定についてでございます。指定管理者による管理を行う施設は、公の施設の名称の欄にございますように、神代植物公園で、指定管理者の名称は財団法人東京都公園協会、指定の期間は平成二十二年四月一日から平成二十三年三月三十一日まででございます。指定管理者の指定にかかわる議案の提出は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づくものでございます。
 二ページ以降に議案を添付してございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上で平成二十一年第四回定例会提出予定案件につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 二点お願いします。
 最初に、契約案件のそれぞれの入札経過のわかるものを一つお願いします。
 それから、都立公園の指定管理導入の実績の一覧をお願いします。

○藤井委員長 ほかにいらっしゃいますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 ただいま、かち委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、提出願います。

○藤井委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 二一第一四号、京王線代田橋駅・仙川駅間の連続立体交差事業による開かずの踏切解消促進に関する請願及び二一第四〇号、京王線の連続立体交差化を地下方式とすることに関する請願は、関連がありますので、一括議題といたします。
 まず、理事者の説明を求めます。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 お手元に配布してございます資料3、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、整理番号1の請願二一第一四号と、三枚めくっていただきまして、整理番号3の請願二一第四〇号の二件につきましては、いずれも京王線の連続立体交差化に関する請願でございますので、一括してご説明申し上げます。
 まず、整理番号1の請願二一第一四号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、京王線代田橋駅・仙川駅間の連続立体交差事業による開かずの踏切解消促進に関する請願で、世田谷区の京王線立体化推進協議会会長、桑島俊彦さんから提出されたものでございます。
 請願の要旨は、京王線代田橋駅から仙川駅間の連続立体交差につきまして、新規着工準備箇所の代田橋駅から八幡山駅に引き続き、八幡山駅から仙川駅間の連続立体交差化を推進すること。また、代田橋駅から仙川駅間の連続立体交差に当たっては、あかずの踏切が解消できる高架式の連続立体交差事業を推進すること。こうしたことを実現していただきたいというものでございます。
 現在の状況ですが、整理番号3と同じ内容でございますので、後ほどあわせてご説明申し上げます。
 三枚おめくりください。整理番号3の請願二一第四〇号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、京王線の連続立体交差化を地下方式とすることに関する請願で、世田谷区の京王線地下化実現の会代表、沢村立彦さん外四千九百三十二名の方から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、京王線の連続立体交差化について、京王線の連続立体交差化は地下方式で行うこと。また、構造形式比較案を都の主導でつくり、都民が公正な判断ができるよう広く公開することを実現していただきたいというもので、その構造形式比較案は、今まで都が直接、間接に費用を負担した調査の詳細資料、連続地下方式と連続高架方式を比較対象とする、両方式に関する前提条件を明確にした費用概算と明細、各案における重要な問題点の取りまとめを内容とするというものでございます。
 現在の状況ですが、連続立体交差事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であります。
 現在、都では、京王線の代田橋駅から仙川駅付近につきまして、連続立体交差化を検討してございます。本区間には二十五カ所の踏切があり、そのすべてがピーク一時間当たりの遮断時間が四十分以上の、いわゆるあかずの踏切のため、交通渋滞や地域分断が極めて深刻な状況となっており、平成二十年五月に、国が代田橋駅から八幡山駅付近を新規着工準備箇所として採択いたしました。
 また、平成二十一年六月には、八幡山駅から仙川駅付近を事業候補区間に位置づけ、隣接する、代田橋駅から八幡山駅付近と一体的な都市計画手続などの実施に向けて、関係機関との調整に着手しました。
 本区間の立体化につきましては、都は、地形や沿線の土地利用、高架化されている笹塚駅や八幡山駅の状況などを踏まえ、高架式、地下式、在来線を高架にし線増線を地下式にする併用式の三案を検討いたしました。
 この結果、高架式、併用式の場合は二十五カ所のあかずの踏切すべてを解消し、交差道路の通行を確保できることがわかりました。一方、地下式の場合には、既に高架化されている笹塚駅や八幡山駅から地下に入る区間で交差道路の分断が三カ所で生じ、地域交通に支障を来すなどの問題があることがわかりました。
 これらに加えまして、事業費や工期、必要な用地の面積などを総合的に比較検討した結果、在来線を高架にし線増線を地下式にする併用式を最適案とする都市計画素案を取りまとめました。
 この都市計画素案につきましては、都は、本年十一月十一日から十一月二十日までの延べ八回、現地で説明会を開催し、パンフレットやスライドなどを用いて構造形式の比較及び検討経過などを、都民に広くご説明いたしました。
 以上でございます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○中村(ひ)委員 それでは質問をさせていただきます。
 まず、京王線の連続立体交差事業そのものについては、まちを分断している踏切をなくして交通渋滞を解消するという点で、早期実現をしていただきたいという立場から質問します。
 その中で、東京都が案として示す併用式と、請願として地下式、高架式の三つの方法が議論されています。私も何度か説明会が開かれたうちの一回に参加しました。中学校の体育館がいっぱいになるほど多くの方が参加されて、さまざまなご意見の違いはあるとは思いますが、連続立体交差への関心の高さがうかがわれます。
 そこでまず、都市計画素案説明会では、参加された住民の皆様からどのような意見が出されたのかを伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 都市計画素案説明会は、今月十一日から二十日までの八日間行い、延べ約三千人が参加し、八十七名から質問などがございました。
 その主な内容ですけれども、構造形式に関する要望、複々線の運行計画、環境への配慮、事業スケジュール、地元区が進めるまちづくりなどに関する質問や意見でございました。

○中村(ひ)委員 沿線に住んでいる方は特に関心が高いかと思いますが、特に京王線は、近くに並行して中央高速道路があって、地域の方にとっては、長年鉄道と道路の騒音や振動で二重に苦しんでいる方もいました。だからこそ、連続立体交差事業に対する期待も大きく、また不安も入りまじっているのが現状です。
 そこで、連続立体交差事業について、鉄道の騒音と振動についてはどのように対応するのか伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 本区間の連続立体交差化に当たりましては、今後、環境影響評価手続の中で、事業の実施による影響について、事前に調査、予測及び評価を行い、必要な対策を講じてまいります。
 なお、高架式で整備された小田急小田原線世田谷代田駅から喜多見駅間では、遮音壁の設置、ロングレールの採用、レールの重量化などの騒音振動対策を講じたことによりまして、事業実施前と同程度もしくは下回る結果となってございます。

○中村(ひ)委員 また、完成後に至るまでの工事を行う期間中には大きな騒音も伴い、その対応もしっかりとしていかなければなりません。また、場合によっては交通規制も発生をします。周辺にお住まいの方々にとっては、こうした問題についての不安があると思いますが、どのように対処するのかお伺いします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 工事中の騒音につきましては、低騒音、低振動の工法、機械を採用するとともに、敷地境界付近に仮囲いを設置することなどにより低減に努めてまいります。
 また、交通規制につきましては、地域住民の生活に配慮しながら、事前に交通管理者との調整を行った上で、適切な施行計画を検討してまいります。
 こうした工事の実施に当たっては、事前に工事説明会を開催するなど、地域住民の方に十分説明いたしまして、理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。

○中村(ひ)委員 連続立体交差事業は、長期的なまちづくりに重要な要素となるだけではなくて、また地域の住民の生活にも大きな影響を与える事業です。早期に事業を推進していただきたいのですが、同時に、近隣住民の意見もしっかりと聞いていただき、今後も丁寧な説明を行っていただきたいと思います。そこで、情報提供を求める住民の皆様の声に、どのようにこたえていくのかを伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 先ほどもご説明いたしましたが、今回都市計画素案説明会を八日間にわたり開催し、その中で計画の内容について説明するとともに、住民の皆様方の意見を伺いました。
 今後も、都市計画及び環境影響評価の手続などを進める中で、節目節目で説明会を開催し、適切に情報提供を行うとともに、住民の皆さんの意見を伺ってまいります。
 また、電話や窓口での問い合わせに対して丁寧な対応を進めてまいります。引き続き、住民の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。

○中村(ひ)委員 連続立体交差事業、大変大きなプロジェクトでありますから、住民の皆様のさまざまな意見などに対して、まだまだ慎重な対応も必要であることから、継続して調査をしていくことを主張しまして、質問を終わります。

○矢島委員 人と鉄道交通、自動車交通がともにその快適性、利便性を分かち合うことは、都市生活における主要な課題であるだけに、これまで踏切解消のための連続立体交差事業が進められてまいりました。
 にもかかわらず、東京にはいまだ千百六十カ所の踏切が残り、そのうち、一時間に四十分あかないあかずの踏切が二百七十カ所、全国の約半数が東京に集中しております。そして、東京の成長過程で生まれた、渋滞と事故の原因ともなっている、二十世紀の負の遺産であります。この現実のもと、鉄道の立体交差事業が多くの踏切の廃止と地域分断、交通渋滞解消に寄与したことは事実であります。
 また、東京全体の中で今後しなければならない都市計画道路整備や鉄道沿線まちづくりに効果の高い事業と認識をしております。
 そこで、鉄道立体交差化には高架と地下化がありますが、二十三区山手線の内側が地下化であり、郊外に至ると高架となりますが、その理由について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 東京における鉄道についてでございますけれども、東京における私鉄を中心とした鉄道の多くは、明治以降、当時の市街地の外周、外縁部を通過する山手線の内側におきましては路面電車が整備されるとともに、新宿、渋谷、池袋といったターミナルを起点に郊外方向へ鉄道網が整備されてまいりました。
 第二次世界大戦以降、モータリゼーションの進展に伴いまして自動車交通量が急増したため、山手線の内側につきましては、路面電車を逐次廃止する一方で、道路の地下空間を活用することにより、地下鉄網の整備を進めてまいりました。
 これに対しまして、私鉄を中心に郊外方向の鉄道網の整備が進められまして、大部分が地表を走る形式となり、多くの踏切が生まれることとなりました。
 このため、都は、逐次、連続立体交差事業を実施してきており、これまでに完了もしくは事業実施中箇所四十カ所のうち三十二カ所で、事業的条件などを勘案した結果、高架式を採用し、事業を推進してまいりました。

○矢島委員 現在進められております鉄道の立体交差化事業はほとんどが高架でありますが、地下化されている例と理由を伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 構造形式の選定でございますけれども、鉄道周辺の地形や既存線路の縦断勾配などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件を総合的に判断し、最適な構造形式を選定してございます。
 例えば、小田急小田原線代々木上原から梅ヶ丘駅間につきましては、下北沢駅で京王井の頭線が小田急線の上をまたいでおり、高架式を採用した場合、二重の高架構造となることなどから、先ほどの三つの条件を総合的に判断した結果、地下式を採用することとなりました。

○矢島委員 鉄道の高架化、地下化選択の理由は工事コストの面もあろうと思いますが、一般的にどの程度の違いとなり、現在の限られた予算のベースでは全体事業に何年のおくれとなるかお伺いいたします。
 また、鉄道高架化の財源の中心は国の負担金でありますが、今後増額が見込まれるか、あわせてお伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 まず、コストの違いでございますけれども、高架式と地下式の事業費の比較ですけれども、施行中の連続立体交差事業の事例では、一キロメートル当たり、高架式が約二百億円、地下式が約三百億円となっており、地下式の方が高い傾向にございます。
 それに伴う工事のおくれについてでございますけれども、地下式の事業費は高架式の約一・五倍となることから、現在の予算ベース、仮に同一金額で推移すると考えると、工事期間についても約一・五倍になるというふうに想定されます。
 連立事業は、国庫補助により道路整備の一環として実施されております。今後の見通しでございますけれども、今後の予算につきましては、不明確な部分はありますけれども、例えば国土交通省の平成二十二年度予算概算要求の見直しにおきましては、一律に道路関係予算を二割削減ということで、道路整備の財源は極めて厳しい状況にございます。このままでは、連続立体交差事業はもとより、国道、都道、区市町村道も含めた東京の道路整備のおくれが危惧されます。
 都は、これまで、都議会の先生方のご協力をいただきながら、区市町村と連携した国への要望活動などを通じ、道路整備の財源確保に取り組んでまいりました。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて、東京の道路整備の重要性を国に主張し、必要な財源を確実に配分するよう強く求めてまいります。

○矢島委員 過日、小田急線の高架化、地下化の裁判がありました。地下化容認との印象の判決が出されましたが、裁判の争点、判決の内容についてお伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 小田急線喜多見駅から梅ヶ丘駅間の連続立体交差事業に反対する沿線住民が、鉄道を高架化する都市計画は違法であると主張し、鉄道事業及び附属街路事業の認可の取り消しを求めていた訴訟でございます。
 最高裁判決では、本件事業に伴う騒音等によって周辺住民に著しい被害が発生することを防止するため、環境影響評価をするなど、環境の保全について適切な配慮をしたものであり、高架式の採用が周辺の環境に与える影響の点でも特段問題がないと判断され、事業認可は適法とする判決がいい渡されました。

○矢島委員 以上、確認をさせていただいた上で、今回の京王線の連続立体交差化についてお伺いをいたします。
 先ほどの説明では、この区間の踏切は二十五カ所、すべて開かずの踏切であり、連続立体交差が必要な区間であることは十分理解できますが、現在の事業の取り組み状況について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 都は、平成十六年六月、踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の検討対象区間として、代田橋駅から仙川駅の区間を選定いたしました。
 このうち、代田橋駅から八幡山駅間につきましては、平成二十年五月に連続立体交差事業の新規着工準備箇所として国に採択されました。
 また、八幡山駅から仙川駅間につきましても、世田谷区が施行する補助第二一六号線の整備計画が具体化したことから、平成二十一年六月に連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけまして、隣接する、代田橋駅から八幡山駅間と一体的な都市計画手続などの実施に向け、今月十一日から二十日までの都市計画素案説明会を八回開催いたしました。

○矢島委員 ご説明では、都は、在来線が高架、新たに建設される優等列車の線路が地下式を最適とする都市計画素案を取りまとめられました。そして、今月十一日から、今ご説明あったように、二十日までに八回、地元説明会を開催したとありましたが、なぜ高架と地下の併用式を選択したのか、考え方をお伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 比較設計におきまして、構造形式の選定に当たりましては、高架式、地下式、併用式の三つの構造形式につきまして、地形的条件、計画的条件、事業的条件の三つの観点から比較検討を行いました。
 まず、地形的条件では三案とも同等でございます。
 次に、計画的条件では、高架式と併用式では、いずれもすべての踏切を除却することができます。一方、地下式の場合には三カ所の交差道路の分断が生じることから、地下式に比べて高架式、併用式が優位でございます。
 また、事業的条件である事業費につきましては、高架式と併用式が約二千二百億円で同等でございまして、約三千億円となる地下式に比べて優位でございます。事業期間につきましても、併用式が十四年、高架式が十六年、地下式が十七年、地下式の十七年に比べまして、併用式、高架式が優位でございます。
 以上の三つの条件によれば、高架式、併用式の二案はほぼ同等であり、地下式に比べて優位でございます。
 さらに、都市計画として新たに定める面積を比較した結果、高架式では約一万二千平方メートル、併用方式では約四千平方メートルであり、拡幅する面積が小さいことなどから、総合的に判断し、併用式を都市計画素案の構造形式として採用することといたしました。

○矢島委員 これまでの説明で、除却される踏切の数、事業費ほか、さまざまな条件で併用式が最も有利であることは説明で理解できます。
 そこで、京王線代田橋駅-仙川駅間の連続立体交差事業のスケジュールについてお伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 スケジュールでございますけれども、今後、都市計画手続や環境影響評価手続を進め、平成二十四年度に都市計画決定、平成二十五年度に在来線の連続立体交差化の事業認可取得を目指してまいります。なお、事業認可取得後、連続立体交差に約十年間を見込んでございます。

○矢島委員 京王線は、開かずの踏切による地域分断や地域交通渋滞が深刻であり、早期の完成が極めて重要と考えます。
 そのためには、在来線が高架、新設される線路が地下式の併用式が最も有利な構造様式であることがよく理解できました。
 今後、住民の皆さんの意見を十分配慮しながら都市計画や環境アセスメントの手続を進め、早期事業化を進めなければならないと考えます。しかし、現段階では京王線の連続立体交差化は、先日、都から都市計画素案が提出されたばかりであり、十分な議論を重ねるためにも継続審議とされることを求めます。
 以上、終わります。

○吉倉委員 私からも、京王線の連続立体交差化に関する二件の請願についてお尋ねいたします。
 連続立体交差事業は、踏切遮断による交通渋滞を解消するとともに、鉄道により分断されていた市街地の一体化を図り地域の活性化にも資する、極めて効果の高い事業であると認識しております。今後とも事業を一層促進するべきであると、こういう立場で何点か質問させていただきます。
 先ほど、本区間には二十五カ所の踏切が連担し、そのすべてがピーク一時間当たりの遮断時間が四十分以上の、いわゆるあかずの踏切となっており、交通渋滞や地域分断は極めて深刻な状況であることをお聞きいたしました。
 こうした中、本区間のうち、代田橋駅から八幡山駅間については、平成二十年五月、新規着工準備箇所として採択されておりますが、八幡山から仙川駅間についても、同様に推進していく必要があると考えております。そこでまず、最初に、八幡山駅から仙川駅間の踏切の状況について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 八幡山駅から仙川駅間にある九カ所の踏切は、すべてあかずの踏切でございます。あかずの踏切とは、ピーク一時間当たりの遮断時間が四十分以上の踏切をいいますが、本区間では、すべての踏切が五十分以上遮断されています。中でも、千歳烏山駅の直近にある芦花公園五号踏切は、朝八時から九時までのピーク一時間において五十八分も遮断されており、人や車の行き来に支障を来しております。

○吉倉委員 地下式の場合、笹塚駅や八幡山駅から地下に入る区間で、交差道路の分断が三カ所で生じるとの説明が先ほどございました。地下式の場合、八幡山駅から仙川駅間においても交差道路の分断が生じるのではないかと思いますが、その具体的な影響について伺いたいと思います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 地下式の案では、本区間の九カ所の踏切のうち、八幡山二号踏切を除き八カ所の踏切が除却できます。
 一方、八幡山二号踏切につきましては、地上から地下への掘り割り区間に位置することから交差道路が分断されます。この道路は、芦花公園駅前の商店街と沿線の住宅地を結び、歩行者と自転車が一日約四千人も通行する、地域にとって欠かせない生活道路でございます。地下式におきましては、交差道路の分断により迂回が必要となり、地域の人や車の行き来に支障を来すなどの問題がございます。

○吉倉委員 今回の説明会では、新規着工準備箇所の代田橋駅から八幡山駅付近に加えて、八幡山駅から仙川駅間の連続立体交差化についても都市計画素案が示されたと聞いております。私は、この区間の連続立体交差化についても、新規着工準備箇所の代田橋駅から八幡山駅間と一体的に取り組んでいくべきと考えております。そこで、八幡山から仙川駅間について、今後どのように取り組んでいくのか、この件について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 八幡山駅から仙川駅間につきましては、世田谷区が施行する補助第二一六号線の整備計画が具体化したことから、連続立体交差事業の事業候補区間として位置づけ、隣接する、代田橋駅から八幡山駅間と一体的に都市計画素案の説明会を開催いたしました。
 引き続き、本区間についても、事業化に向けて、隣接する区間と一体的に都市計画や環境影響評価などの手続を進めてまいります。

○吉倉委員 本区間のあかずの踏切の状況を伺いまして、その解消のためには、地下式よりも併用式の連続立体交差化の方が有効であると、よくわかりました。
 それと同時に、京王線のあかずの踏切の状況は極めて深刻であり、八幡山駅から仙川駅間を含め、早期に鉄道を連続立体化することが必要であるというふうに強く感じました。
 しかし、京王線につきましては都市計画素案が示されたばかりであり、今後、都市計画手続などを通じて、住民の方々が意見を述べる機会も設けられておりますために、継続審査とすべきであると、こういうふうに意見を表明いたしまして、質問を終わります。

○かち委員 私からも、請願二一第一四号、請願二一第四〇号に関連して何点かお聞きします。重複は避けたいと思います。
 京王線代田橋駅から仙川駅付近までの連続立体交差の問題は、本区間には二十五カ所の踏切があり、あかずの踏切を解消してほしいというのは関係住民の共通した願望です。ピーク時には最大四十分待たされる踏切は、日常生活にも社会形成環境としても大きな支障となっています。昨年、国において本区間を新規着工準備区間として採択された経緯もあり、にわかに本区間の連続立体交差事業のあり方について検討を展開されてきたのが今日までの経過です。
 現在の都市計画決定は、複々線を含めて高架化となっていますが、今回の素案では併用型ということで示されました。この三案についての検討内容は、先ほどご質問がありましたけれども、事業費あるいは工期、条件などについて比較検討がされたようです。
 この問題を進めていく上での今後のスケジュールについては、おおむね二十四年度に都市計画決定、二十五年に事業化を取得し、事業化を目指すと。在来線の立体高架に約十年、引き続き複々線等を進めるというようなご答弁もありました。
 今後、さまざまな手続を経て、都市計画決定まで三年間はあるわけです。全長八キロにわたって沿線住民の皆さんの生活環境や財産権にもかかわる問題でありますので、十分な検討と理解と合意が欠かせない問題だと思います。
 いずれにしても、沿線住民の皆さんには、事業用地として立ち退きなどの家屋補償がかかってきます。その影響を受ける件数は、それぞれどのぐらいあるんでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 都市計画区域内の土地につきましては、事業実施に当たり、土地の取得や地上権の設定等を行い、必要に応じて家屋補償を行っていくこととなります。
 航空写真により作成した地図を用い、都市計画区域にかかると考えられる建物棟数を数え上げたところ、高架式約五百四十棟、地下式約三百五十棟、併用式約三百五十棟を想定してございます。

○かち委員 それぞれ五百数十軒から三百数十軒の影響を受けるということです。これまでの説明では、都としては、三案の中で、専ら工期と経費の最も少ない併用型を選択したとの印象ですけれども、総工費では、小田急の下北沢区間の地下化などの経験からしてもそれほど格差がないのではないかと思われます。半地下であっても、半分は高架ということでは、日差しが遮られ、景観がそがれ、圧迫感と騒音など、周辺環境に与える影響は免れません。世田谷区が進めている京王沿線のまちづくり基本方針では、京王線沿線の緑化を促進し、緑豊かで潤いのある住環境の整備に取り組むとあり、まちづくりとタイアップした連続立体化というものが必要ではないかと思われます。
 京王線とは首都高四号線の高架道路が並行して走っており、さらに京王線も高架になるとなれば、まちづくりの面でも多大な影響を受けることになります。既に高架となっている笹塚駅や八幡山駅の高架施設を利用するとなると、構造上、踏切が残ってしまうとの説明もありましたけれども、そうであれば、全面地下方式として、笹塚駅も八幡山も地下にすれば交差道路の分断はないと思うのですが、いかがでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 笹塚駅、八幡山駅も含めまして全線を地下化する場合、既に高架化している八幡山駅だけでも、高架施設を撤去し地下化するために約三百五十億円の費用が見込まれます。連続立体交差化に当たりましては、今回採用した併用式によって地域分断を解消することは十分可能でございます。

○かち委員 経費も大事でありますけれども、そこに住み続ける住民の生活環境への配慮も重要です。可能性の検討を求めておきます。
 十一日から二十日までの八回にわたって、延べ三千名の方が参加して都市計画素案の説明会を行われたということですけれども、そこに出された主な意見、質問、そしてそれらをどのように受けとめているのかお聞きします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 八日間の都市計画素案説明会ですけれども、説明会の中で、構造形式に関する要望、複々線の運行計画、環境への配慮、事業スケジュール、地元区が進めるまちづくりなどに関する質問や意見があり、それに対して答えてまいりました。
 今後とも、住民の意見を聞きながら、理解と協力が得られるよう努めてまいります。

○かち委員 その説明会に我が党の同僚議員も参加しておりましたけれども、全体として初耳という人に対して、専門用語が飛び交い、余計わかりにくくなっていた。説明では、併用型を選択した理由は経費面が中心で疑問は解けていない。八カ所の説明会で、到底住民意見を集約できたとは思えないという感想でした。開催した立場からも、まだまださまざまな意見があったといわれました。
 こうした住民の意見に十分耳を傾け、不十分な調査は再調査、再検討もするという立場に立っていただきたいと思います。
 そこで、連続立体交差化について、昭和四十五年、世田谷区議会から意見書が上がっていると思いますけれども、その内容はどういうものでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 世田谷区議会は、昭和四十五年十二月に、小田急線につきまして、高速鉄道地下化に関する意見書を議決してございます。その中に、世田谷区議会は、小田急線が地域的条件に配慮して地下化されるようお願いする次第でありますという記載があります。
 小田急線につきましては、地形的条件、計画的条件、事業的条件を比較検討し、東北沢から世田谷代田駅付近は地下式、梅ヶ丘から喜多見駅付近は高架式を採用してございます。
 京王線につきましても、同様に比較検討した上、最適な構造形式として併用式を選定し、都市計画素案を取りまとめたところでございます。

○かち委員 これは、具体的には小田急についてということですけれども、意見書全体からは、世田谷区においては、高速鉄道はそれ以前から地下化を要求してきた経緯があり、緑と太陽の文化都市世田谷区の実現のため、高速鉄道の地下化は重要な交通機関対策の一環だと述べています。これは区民の総意でもあります。
 このような状況を十分踏まえ、今後の連続立体交差事業を進めていただきたいと思い、本件は継続することを求めて質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一四号及び請願二一第四〇号は継続審査といたします。

○藤井委員長 次に、二一第三一号、玉川上水の貴重な自然と歴史遺産を守るため、放射第五号線道路の計画変更に関する請願を議題といたします。
 まず、理事者の説明を求めます。

○谷村参事 整理番号2、請願二一第三一号をお開き願います。
 本件は、玉川上水の貴重な自然と歴史遺産を守るため、放射第五号線道路の計画変更に関する請願で、杉並区の玉川上水の自然に守られる地域住民の会代表、関口公男さん外五千百九十八人の方から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、1、放射第五号線について、牟礼橋から浅間橋までの間は、シールド工法による全面地下トンネルとすること、2、シールド工法による地下トンネルにすることによって、暫定交通開放区間の問題が解決するよう、住民との話し合いを進めることというものでございます。
 現在の状況ですが、放射第五号線は、千代田区半蔵門を起点とし三鷹市内の東八道路に接続する延長約十五・一キロメートルの路線であり、甲州街道や地域の区境通りなどの渋滞解消に寄与する重要な骨格幹線道路であります。現在事業中の一・三キロメートル区間が唯一の未整備区間となっており、既に約七五%の用地を取得しております。
 本区間は、平成十六年に都と地元杉並区を含む特別区で策定した、区部における都市計画道路の整備方針において、活力、安全、環境、暮らしの道路整備の四つの基本目標を踏まえ、必要性を確認しております。
 道路構造については、補助第二一六、二一七号線等との道路ネットワークの形成、沿道利用及び防災機能の確保のため平面構造としており、本区間全線を地下トンネルとすると、これらの機能を十分に確保することができません。また、総合環境アセスメント制度の試行手続を経て、平成十六年五月に、地表式で幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行いました。
 玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区間については基本的に保全し、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その外側に七・五メートルずつの車道、さらに十メートルずつの環境施設帯を設置して緑豊かにすることで、沿道環境に配慮する計画としております。
 平成十六年に設置した都、杉並区、学識経験者、地域住民等で構成される放射第五号線事業推進のための検討協議会においては、地表式で決定された都市計画の範囲の中で一部トンネルとする案を協議会の報告とする意見と、平面案と一部トンネル案の両論を併記する意見がございました。協議会の報告では、一部トンネル案を基本的な道路構造としつつ、この案の採用に当たっては、構造物を構築することによる玉川上水への影響、土地の有効利用に及ぼす影響、トンネル坑口部における排気ガスの影響などの留意事項に配慮して事業を実施することが提言されました。
 都においては、現在、一部トンネル案の採用の可否を含め、留意事項や道路構造などの検討を行っております。また、環境施設帯のモデル工事を実施しており、モデル完成後に沿道地権者の意見を聞くなど、整備に向けた十分な検討を進めてまいります。
 なお、平成十三年の素案説明会の開催に当たって、渋滞緩和など、放射第五号線の整備効果に関するパンフレットを作成しました。渋滞解消の根拠である資料は現存しないとの主張ですが、このパンフレットに記載した渋滞緩和の根拠は、平成十二年度に実施した調査による渋滞長や交通量などの数値データであり、この調査報告書は公開しているものでございます。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら本路線の整備を進めてまいります。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○中村(ひ)委員 それでは質問をいたします。
 請願の審査のために実際に現地を見てきました。玉川上水のすばらしい自然も見ましたし、外からではありますが、岩通ガーデンも拝見をしてきました。
 一方では、整備中のモデル工事の部分であったりとか、既に買収が済んだ用地や、また放射五号線につながる三鷹三・三・二号線、いわゆる東八道路の整備状況や、また中央高速につながる区境通りの交通状況も見てきました。
 玉川上水は貴重な史跡であり、また自然環境保護が叫ばれる中で大変貴重な緑地帯でもあり、多くの方からその保存を求めるご意見をいただいています。一方、交通ネットワークの整備という観点から道路の整備が必要だという意見もあります。
 この委員会は、環境と建設の両方を扱う委員会であることは、まさに時代の要請から、両者は相互に関連性の深い事項であるからだと思います。
 そこで、最初の質問として、放射五号線の整備について、東京都が必要だと考える理由について、まずはお伺いしたいと思います。

○谷村参事 放射第五号線は、千代田区半蔵門を起点とし、三鷹市内の東八道路に接続する延長約十五・一キロメートルの骨格幹線道路であり、現在事業中の一・三キロメートルの区間が唯一の未整備区間となっております。
 本区間は、平成十六年に都と地元杉並区を含む特別区で策定した、区部における都市計画道路の整備方針において、活力、安全、環境、暮らしの道路整備の四つの基本目標を踏まえ、必要性を確認しております。本区間の整備によりまして、甲州街道や区境通りなどの渋滞緩和や、生活道路への通過交通の減少による歩行者の安全性の向上など、居住環境の改善、消防車や救急車など緊急車両の円滑な通行と、災害時の避難路の確保を図ることができます。

○中村(ひ)委員 今、東京都の方からは放射五号線の必要性を述べていただいたんですが、それでは一方で、この玉川上水の保存についてはどのように考えているのかについても伺いたいと思います。

○谷村参事 本区間は、計画線の中央に玉川上水があることから、玉川上水の保全など、地域の環境に配慮するため、全国初の総合環境アセスメント制度の試行手続を経まして、平成十六年五月に、地表式で幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行っております。
 幅員六十メートルのうち、玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区域については基本的に保全いたしまして、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その外側に七・五メートルずつの車道、さらに外側に十メートルずつの環境施設帯を設置して緑を豊かにすることで、沿道環境に配慮する計画としております。このように、総幅員六十メートルのうち約四分の三を緑地及び歩行者のための空間としております。

○中村(ひ)委員 道路の整備については、住んでいる場所であったりとか、また環境に対する考え方の違いなどもあり、どうしても関係者が、皆さんが一致するということはなかなか難しいという事情はあるとは思います。だからこそ、本件も、現在に至るまで、多くの方が、それぞれの事情の中で判断しながら議論を積み重ねてきたことだと思いますし、その経過についても尊重はされなければいけないとも思います。
 今回、関係者と行政が入った協議会がつくられ、長い議論の末に一部トンネル案が提言されたとありますが、地域住民の理解はどうなっているのか伺います。また、この一部トンネル案の採用の可否を含めて、道路構造はいつ決まるのか伺います。

○谷村参事 放射第五号線の事業推進のための検討協議会は、玉川上水及び沿道の環境に配慮した道づくりを検討するため、地域住民初め、都、杉並区、学識経験者で構成されております。協議会からは、一部トンネル案を基本的な道路構造としつつ、この案の採用に当たっては、構造物を構築することによる玉川上水への影響、土地の有効利用に及ぼす影響、トンネル坑口部における排気ガスの影響などの留意事項に配慮して事業を実施することが提言されております。
 協議会の提言内容は、地域住民約一万七千世帯に、「放5・協議会だより」を配布するなどしてお知らせしているところでございます。
 道路構造につきましては、協議会の留意事項などに対する検討を行うとともに、沿道地権者の意見を踏まえて決定してまいります。

○中村(ひ)委員 環境への配慮というのは大変重要です。今後、環境施設帯等のモデル工事を実施しているということもありますが、このモデルというのは、いつ完成して、どのように沿道地権者の意見を聞いていくのか伺います。

○谷村参事 現在実施中の道路の緑地のモデル整備は、玉川上水の両わきに整備される緑地のイメージや緑のボリュームを体験してもらうとともに、歩行空間や緑地副道などの環境施設帯の構造を理解してもらうために行っているものでございます。
 検討協議会の報告におきましても、平面構造となっている兵庫橋の西側でモデル整備を実施しておりまして、今年度末に完成する予定でございます。完成したモデルを現地でごらんいただきまして、街区ごとに環境施設帯のつくり方につきまして沿道地権者の意見を聞いてまいる予定でございます。

○中村(ひ)委員 今回の請願については、今の放射五号線の事業区間だけではなく、願意の2として暫定交通開放区間の問題についても記述があります。
 先ほども述べましたが、一般的に道路については住んでいる場所によって考え方が違うこともあるようです。暫定交通開放区間の方からは、今回のこの審査には間に合いませんでしたが、陳情を議会に出すというような話も聞いています。現状、この暫定交通開放区間の問題がどうなっているのかについてお伺いします。

○谷村参事 複数の住民団体と協定を結び、暫定的に二車線で供用しております浅間橋から環状第八号線までの本区間につきましては、久我山区間の整備に合わせた四車線化を計画しております。願意2にある本区間の地下トンネル化による整備は、中央自動車道の橋脚や水道管などが支障となるため困難でございます。
 現在、本区間の住民団体と、今後の整備に関して意見交換を行っているところでございますが、住民団体からは、中央自動車道と放射第五号線による騒音や排ガス、放射第五号線と交差する富士見ヶ丘通りの混雑による事故の危険性などの問題が指摘されております。
 なお、本区間の二十年度の測定結果によりますと、大気質は環境基準を満足しており、騒音は要請限度を下回っております。
 一方、一部トンネル案の留意事項に、久我山区間の道路構造が本区間に与える影響に関連して車が集中することの危惧や、トンネル坑口部周辺での排気ガスの増加が挙げられております。さらに全面地下トンネルとなれば、これらの影響が大きくなるものと考えられます。
 このため、平成二十一年九月、本区間の住民団体から都へ寄せられた意見では、久我山区間のトンネル案の実施は本区間への影響がはかり知れないこと、久我山区間の検討に際し、本区間へより一層の負担がかからないような道路構造とすることなどを求められております。

○中村(ひ)委員 さまざまな質問をさせていただきましたが、道路構造については、これから検討もしていくことになると思いますし、モデル工事をしながら沿線の地権者の意見を聞いていくこともあります。また、暫定交通開放区間の方の意見を聞いていくということもありますので、今後とも地域の皆様の意見を丁寧に聞きながら、環境保全についても最大限の配慮をしていただきたいということを述べて、質問を終わりたいと思います。

○矢島委員 重複している部分は割愛してご質問させていただきます。
 東京の道路整備は都市交通の最大の弱点であります慢性的な交通渋滞を解消し、快適で利便性の高い都市とする上で非常に重要な役割を担い、これからさらに進む国際都市間競争の強化にも資することであります。
 このうち、区部において重要な道路は、環状、放射の道路網でありますが、依然として整備がおくれておるため、慢性的な交通渋滞を惹起しております。特に、環状道路や区部と多摩を結ぶ東西方向の幹線道路など、いまだつながってない区間を整備することは重要な課題であります。
 その一翼を担う放射五号線は、区部と多摩を結ぶ重要な道路ネットワークを形成するとともに、地域にとって極めて重要な路線であります。先ほど、総合環境アセスメント制度の試行について説明がありましたが、放射五号線のこれまでの経過についてお伺いいたします。

○谷村参事 本区間は、計画線の中央に玉川上水があることから、玉川上水などの地域の環境に配慮するため、全国初の総合環境アセスメント制度の試行手続を経て、平成十六年五月に、地表式で幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行っております。
 平成十六年の都市計画変更の際に、杉並区長から、変更案に同意した上で、都知事あてに要望書が提出されております。その要望書に基づき、都、杉並区、学識経験者、地域住民等で構成される放射第五号線事業推進のための検討協議会を設置いたしました。
 協議会においては、道路部会、周辺まちづくり部会、緑地部会の三つの専門部会を設置し、道路構造、沿道の土地利用や環境、緑について、より専門的に検討を行ってまいりました。協議会は平成十六年十一月から平成十九年三月まで十二回開催するとともに、各専門部会におきまして、道路部会を二十回、周辺まちづくり部会を十九回、緑地部会を十四回実施し、住民の参加、協働によりまして、時間をかけて検討を行ってまいりました。
 協議会におきましては、地表式で決定された都市計画の範囲の中で、一部トンネルとするなどを協議会の報告とする意見と、平面案と一部トンネル案の両論を併記する意見がございました。
 協議会の報告では、放五と岩通ガーデンが平面交差しない一部トンネル案を基本的な道路構造としつつ、この案の採用に当たりましては、掘り割りや地下トンネルなど、構造物を構築することによる玉川上水への影響、土地の有効利用に及ぼす影響、トンネル坑口部における排気ガスの影響などの留意事項に配慮して事業を実施することが提言されております。
 現在、一部トンネル案の採用の可否を含め、留意事項や道路構造などの検討を行っているところでございます。

○矢島委員 これまで、全国初めての総合アセスメント手続を行うなど、玉川上水や地域の環境などに十分に配慮した計画となるよう検討を進め、また、検討協議会を設置し、住民の意見を考慮した計画とすべく検討を行っているという説明がありました。
 これまでの検討も踏まえた具体的計画と、現在、決定されている都市計画における道路構造を地表式、つまり、平面構造としている理由及び全面地下化の場合の課題についてお伺いいたします。

○谷村参事 都道などの一般道路は、沿道のアクセスや土地利用、防災機能の観点から、平面構造を基本としております。放射第五号線におきましても、補助第二一六、二一七号線等との道路ネットワークの形成、沿道利用及び防災機能の確保のため、平面構造としております。本区間全線を地下トンネルとすると、これらの機能を十分に確保することができないと考えております。
 協議会報告の一部トンネル案の留意事項として、構造物を構築することによる玉川上水への影響、土地の有効利用に及ぼす影響、トンネル坑口部における排気ガスの影響や隣接する暫定供用区間に車が集中することが危惧されることなどが挙げられております。全面地下トンネルとなると、これらの影響がさらに大きくなると考えられます。
 現在の計画は、玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区域については基本的に保全し、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その外側に七・五メートルずつの車道、さらに外側に十メートルずつの環境施設帯を設置して、緑を豊かにすることで、沿道環境に配慮を行っていくというものでございます。このように、総幅員六十メートルのうち、四分の三を緑地及び歩行者のための空間としております。

○矢島委員 放射第五号線の果たすべき役割を考えますと、今のご説明を聞きまして、全面地下化はなかなか困難であると理解できます。それだけに今後の進め方が重要となりますが、現在の状況をあわせてお伺いをいたします。

○谷村参事 平成十七年十二月に事業認可を取得しまして、用地買収を開始しております。平成二十一年十月末現在で約七五%の用地が取得済みとなっております。また、公共用地を含めますと、九三%の用地を取得しております。
 現在、協議会報告における留意事項や、道路構造などの検討を行っていくとともに、遊歩道を含む新たな緑地や環境施設帯を体感できるモデル整備を実施しておりまして、モデル完成後に沿道地権者の意見を聞くなど、整備に向けた十分な検討を進めてまいります。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、本路線の整備を進めてまいります。

○矢島委員 放射第五号線は、区部と多摩を結ぶ大変重要な路線であり、この点については、異論はないと思います。今後、地元の皆さんの理解を得ながら、放射五号線の早期完成に向け、しっかり取り組みを進めていくことを要望いたします。
 また、過日の事務事業の調査でもお伺いをいたしましたが、一人三平米以下のベルト地帯が杉並まで東西に続いておる地域でございますから、今のご説明によると、一般の道路に比べまして、史跡、玉川上水ということもありますが、十分配慮されている様子を伺いました。なおかつ、地域の住民の方のご心配のことが多くありますから、その点をしっかり耳を傾けて、必要な施策、そして、事業をしっかり進める。この両方のバランスはなかなか難しいと思いますけど、皆さんのご努力に期待をし、質問を終わります。

○かち委員 私からも請願二一第三一号、玉川上水の貴重な自然と歴史遺産を守るため、放射第五号線道路の計画変更に関する請願、五千百九十八名の方から寄せられた請願について、何点か質問させていただきます。
 この計画道路は、一・三キロ区間であり、玉川上水が位置しています。先日、請願者の方に現地を案内していただきましたが、江戸時代初期につくられた世界的にも珍しい高度な技術の土木遺構で、当該地域には当時の素掘りが今なお現存しております。終点地の牟礼橋の辺には、きれいなアーチ型でそれが浮き出ていました。国の史跡にも指定されているものです。今日まで続いてきたのも、地域の人々に愛され、見守られてきたからだと思います。
 都市化が進む中にあって、ここには、絶滅危惧種であるキンラン、ギンランを初め、数多くの動植物が生息する豊かな雑木林が残された貴重な自然がありました。これは、この地域だけにとどまらず、東京の史跡として後世に受け継がなければならないものだと強く実感してきたところです。
 しかし、いろいろな変遷を経て、昭和四十一年、現ルートに放射五号線の都市計画決定がされました。区部と多摩地域を結ぶ幹線道路として位置づけられたこの道路は、よりにもよって、この貴重な遺跡を縦断するルートになっているんです。
 そこで、環境アセスの発展段階として、環境影響調査を計画段階から行う手法が取り入れられ、その第一号となったのがこの計画案でした。平成七年から十一年まで、総合環境アセスメントが試行され、平成十六年に現在の計画が決定されたわけです。結局、玉川上水の史跡を残すために幾重にも緩衝帯をつくる。そのため一・三キロの道路に幅員を六十メートルに拡幅し、巨大な道路幅となるこの計画には、何か無理を重ねていると思わざるを得ません。
 そこで、お聞きしますが、平成十三年に、環境総合アセス試行審査会の答申が出されましたが、このときの審査会会長が、前文で今回の試行対象計画についてどのように述べているでしょうか。

○谷村参事 答申の前文の内容につきましては、今回、提案された複数の計画案は、いずれも既定都市計画ルート等を前提としたものであるため、可能な選択肢の幅が狭くならざるを得なかったこと、総合環境アセスメントといいながら法定都市計画で手続を進めてきたものを対象としても限界があるという見解でございました。
 それでも、事業実施段階における条例アセスの手続よりも、はるかに前の段階で複数の計画案の比較検討を行い、環境面から評価を明らかにすることを通じて、計画をより環境に配慮したものに調整していくことができれば、その意義は大きいと評価をいただいております。
 また、事業の必要性と効果につきましては、丁寧で説得力のある説明がなされることが極めて重要であるが、この点に関する実施主体の説明については不満の声が大きかったことなどが述べられております。このため、都は、この意見を踏まえ、基本計画及び都市計画変更素案についての説明会等の開催に当たりまして、役割や効果などを示すパンフレットを作成するなど、事業の必要性と効果について、丁寧に説明を行ってきたところでございます。

○かち委員 そうですね。中に書かれていましたけれども、今回、提案された複数の計画案は、いずれも既定都市計画ルート等を前提としたもの、既にもう決まっている、やることを前提としたものであって、可能な選択肢の幅が狭くならざるを得なかったと述べ、今回の試行審査会に際して、実施主体、建設局の説明については不満の声が多かった、また、この事業の及ぼす環境影響自体の評価の点で、データが十分とはいえない面もあったと書かれていました。
 それは、計画段階でのアセスの意味として、当該事業そのものが及ぼす影響についての評価がまずあって、後に選択方法について検討すべきところ、最初から事業実施を前提として、A、B、Cの選択肢から選ばせるという、ボタンのかけ違いがそこから生まれていると思います。
 ちなみに、A案は、幅員が五十メートル、B案は、六十メートル、C案は、玉川上水を暗渠にするというもので論外というものですが、この三つの中から選択せよということで、結果的にB案が選択されたわけです。
 平成十六年の杉並区計審では、この事業の決定についてどのような表決がなされたのでしょうか。

○谷村参事 放射第五号線の都市計画変更案に対しましては、平成十六年二月十七日の杉並区都市計画審議会で採決が行われておりまして、賛成多数で原案どおり承認されております。

○かち委員 賛成多数といわれましたけれども、この審議会では十対九という、世論を二分するような事態の中で、今日の計画が進められようとしているわけです。
 玉川上水を挟んで六十メートルの幅員を確保するため、何軒の用地買収を必要としたのでしょうか。
 また、総事業費は幾らですか。

○谷村参事 現在、事業中であります放射第五号線の事業費は、三百三十億円でございます。平成二十一年十月末までの用地取得率は、約七五%でありまして、百六十六棟を取得しております。また、公共用地を含めますと、約九三%の用地を取得しておる状況でございます。

○かち委員 七五%で百六十六棟。全部で何棟かと今お聞きしたんですけれども、それはわかりますか。
 わからなければいいですけれども、二百棟ぐらいいくんだろうと思いますけれども、結局、上水を残すために大きく緩衝帯をつくるということで、それだけ影響する住民が多くいるということをいいたかったわけですけれども、現道のないところに道路をつくるわけですが、そのための予測交通量はどれだけになっていますか。

○谷村参事 環境アセスメントにおけます将来交通量は、放射第五号線の供用開始予定年度において、一日当たり約三万九千台から四万四千台、周辺道路網がおおむね完成する年度においては、一日当たり約三万七千台と予測しております。

○かち委員 パンフレットなどを見ますと、大気汚染の影響評価についてはNO2もSPMもいずれも基準内だと示されていますけれども、車の排ガスがほとんどない中で、四万台という車がふえるわけですから、生息物に影響が出ないとはいいがたいものです。環境に配慮した手法や緩衝帯を十分とったといわれるでしょうが、国の史跡がたとえ残されたとしても、三百年以上にわたって自然をはぐくんできた上水をたとえ残したとしても、周りを造作し、車を引き込んできては、そこに生息する生物は、これまでのように残すことは難しいことです。
 玉川上水周辺には、陸生植物、百十六科、四百二十三種の植物が確認されていますけれども、その中で、環境省及び都のレッドデータブック登録種が具体的にどれだけ、種類と量はどれだけあるのでしょうか。

○谷村参事 先ほどのご質問の取得にかかわる建物の棟数ですが、二百四棟でございます。
 ただいまのご質問のレッドデータブックの対象となる植物の種類でございますけれども、事業範囲内に生息しております国のレッドデータブックに掲載されている陸上植物は、キンランなど、三種類でございます。いわゆる都のレッドデータブックにおいては、十六種類でございます。
 平成十八年度の調査によりますと、計画地内におけるキンラン等の生育個体数は、百十四個体でございます。キンランにつきましては、平成十八年から移植実験及びモニタリング調査を行っておりまして、今後、これらの実験等の調査結果を生かし、保存の手法や移植先の選定について検討を行ってまいります。

○かち委員 私も、この地域でよく生物を観察している方から伺いましたけれども、国の絶滅危惧種であるキンランなどは、その生態が十分解明されておらず、こういう開発のときには、移植して保存するといわれますけれども、一年目ぐらいは何とか息づくのですけれども、二年を過ぎると多くが絶えてしまうということがいわれております。こうしてデータ的にも三年以上というのはなかなかないんですよね。こうして一たんは成功したかに見えますが、三年以降の状況については確かにデータがないのが実態です。それがキンランの生態です。
 簡単に移植といわれますけれども、私は、現地を歩いたときに、他の地域で道路拡幅工事があるということで、この上水の川べりに十数本の樹木を移設したというのを見せてもらったんですけれども、そのほとんどが枯れているという状況を目の当たりにしました。そういうことでは、移植をすればすべてうまくという問題でもないというふうに感じます。
 先ほど、放射五号線の事業推進のための検討協議会で、一部トンネル案などが検討されているということでしたけれども、そういう中で、いろいろ懸案事項もあるということでした。確かに貴重な緑の森がある岩通ガーデンを残したいという願望から、一部地下化という提案も出されたのでしょうけれども、たとえ地下化しても、その掘削や構造物の埋め込みによって、玉川上水や地下水に影響が出るという結果は免れません。さらに検討を重ねているということを確認しました。
 それで、一部モデル事業として工事をしていますけれども、この工事と本体工事との関係はどうなのでしょうか。

○谷村参事 現在、施工中の道路と緑地のモデルは、玉川上水の史跡に指定された十メートルの区域については基本的に保全し、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その外側に七・五メートルずつの車道、さらに外側に十メートルずつの環境施設帯を設置して、幅員六十メートルのうち、四十五メートルが歩行空間や緑地となることから、緑のボリュームを体験していただくとともに、歩行空間や緑地、副道などの環境施設帯の構造を理解していただくために整備しているものでございます。
 完成したモデルは、現地でごらんいただいた上で、沿道地権者の意見をお聞きいたしまして、本整備に向けた検討に活用していきたいと考えております。

○かち委員 現在は協議会からの案を検討している段階でもあり、実感、体感ができるモデル事業だ、あくまでモデル事業だと。それを通して住民の意見を聞き、検討を進めるものだということであり、本体工事に直結するものではないというふうに受けとめました。
 私は、請願者である玉川上水の自然に守られる地域住民の会の方々にお会いし、請願の趣旨は、この計画道路の見直しを第一に求めているんだということを確認しました。地下化は苦肉の策で、どうしても道路をつくるのならという意味だと伺っています。
 三百四十年の歴史を刻む都内に残された貴重な素掘りの木工遺構である玉川上水と、それを囲む雑木林の自然は何にもかえがたいものであり、将来にわたって保存すべきものと考えます。そのためには、隣接して四万台もの自動車を通らせる道路をつくることは、残された上水周辺の自然の生態系にも影響を及ぼし、将来に禍根を残すことになりかねません。
 この計画道路は、いまだ検討中であるこの時期に見直しをすることを強く求めて質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異義なしと認めます。よって、請願二一第三一号は継続審査といたします。

○藤井委員長 次に、二一第二七号、中央通りの上野駅から上野広小路交差点の間に街路樹などを植えることに関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小口公園緑地部長 資料3、請願・陳情審査説明表の整理番号4、陳情二一第二七号をお開き願います。
 本件は、中央通りの上野駅から上野広小路交差点の間に街路樹などを植えることに関する陳情で、台東区の北畠啓行さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都において、上野・中央通りの上野駅側ガードから上野広小路交差点の間約四百メートルに、街路樹などを植えていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、中央通りの上野広小路交差点からJR線の上野大通架道橋までの約四百メートルの区間の整備は、上野地区における歩行者の安全性や利便性の向上と駐車場問題の改善を目的とした、上野中央通り地下歩道及び台東区施行の上野中央通り地下駐車場の整備工事に伴う復旧工事として実施し、平成二十一年四月に完了いたしました。
 地下歩道と地下駐車場の整備によって、中央通りの歩道に各施設の出入り口及びエレベーターが新設されることに伴い、歩道の復旧形態について、都は、台東区と、副都心上野まちづくり協議会等、地元関係者との間で協議を重ねてまいりました。
 街路樹についても、地元との協議の結果、現在の形態で整備したものでございます。
 以上のことから、本区間における新たな植栽は考えておりません。
 以上でございます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第二七号は不採択と決定いたしました。

○藤井委員長 次に、二一第五九号、都市計画道路秋多三・三・九号線の築造工事の一時中断と事業の見直しに関する陳情を議題といたします。
 まず、理事者の説明を求めます。

○谷村参事 整理番号5、陳情二一第五九号をお開き願います。
 本件は、都市計画道路秋多三・三・九号線の築造工事の一時中断と事業の見直しに関する陳情で、あきる野市の草花を考える会代表、小山睦子さん外二百七十四名の方から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都市計画道路三・三・九号線の氷沢橋交差点以南の築造工事を一時中断し、都市計画決定後四十年もたつ都市計画道路事業を見直すことというものでございます。
 現在の状況ですが、都市計画道路三・三・九号線は、あきる野市小川から同市草花に至る延長約四・六キロメートルの南北方向の路線でございます。
 本路線は、昭和四十四年に都市計画決定されており、平成十八年に都と地元あきる野市を含む二十八市町で策定した、多摩地域における都市計画道路の整備方針においても、活力、安全、環境、暮らしの道路整備の四つの基本目標を踏まえ、必要性を確認しております。
 また、氷沢橋交差点から五日市街道までの区間については、平成元年、平成八年に定めた事業化計画において、優先的に整備すべき路線に位置づけられており、平成九年度に事業着手いたしました。
 本地域では、東西方向に比べ、南北方向の道路の整備がおくれており、草花小学校などの通学路や通称公民館通りなど、幅員五メートル程度の生活道路に通過交通が進入しております。
 このため、本路線の整備は、混雑の緩和や通学路、生活道路における歩行者等の安全確保、地域の防災性向上を図る上で極めて重要であります。また、地域住民やあきる野市から整備促進を要望されており、あきる野市議会から整備促進を求める意見書も提出されております。
 本路線は、既に約一・五キロメートルの区間の整備が完了しており、現在、氷沢橋交差点から五日市街道までの約一・二キロメートルの区間が事業中であります。
 事業中区間につきましては、平成五年度に事業及び現況測量の説明会、平成八年度に用地測量説明会、平成九年度に用地説明会を開催するなど、節目節目に事業の必要性や進め方について地域住民に説明を行い、事業を進めてまいりました。現在、約九割の用地を取得しており、遺跡調査を完了しております。平成二十年度には、街路築造工事四百五十メートルと橋梁下部工事を実施いたしました。
 事業の実施に当たっては、東京における自然の保護と回復に関する条例などに基づき、十分な環境保全対策を講じるため、環境調査や施工方法等について、専門家の意見を聞きながら環境局と協議し、工事を実施しております。
 なお、オオタカについても、橋梁下部工事の完了後に、ひなの巣立ちを確認しております。
 引き続き、周辺の自然環境にも配慮しながら、混雑の緩和や歩行者等の安全確保、地域の防災性向上に寄与する本路線の整備を着実に推進してまいります。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野上委員 この陳情の都市計画道路秋多三・三・九号線の築造工事の一時中断と事業の見直しに関する陳情について、質問をさせていただきたいと思います。
 この件については、平成二十年九月十六日の環境・建設委員会でも、私ども所属の民主党の委員が詳しく質問をいたしておりますので、それについての重複は避けまして、基本的なことを伺いながら、今後、どのように事業を行っていくかについて伺わせていただきたいと思います。
 私ども民主党は、政権交代をした後、コンクリートから人へ、つまりは限られた予算をどのように配分していくか、そして、次世代に向けて環境保全をし、コンクリート、道路を--必要な道路はつくる、しかしながら、見直しも含めて、これからの次世代に向けての、政治運営についても政策立案をして、実行するところに来ております。
 そのような中で、あきる野につくられますこの道路、あきる野市というのは本当に多摩川の右側の岸に位置しておりまして、多摩川とその支流である秋川、平井川の三方に囲まれた秋留台地を中心とする豊かな自然に恵まれた地域でございます。
 私も幼少時、まさにこの平井川であったり、秋川であったり、自転車で遊びに行くというようなところでございましたので、非常にこの風景についても、もう何十年も前ですけれども、目に浮かぶところでございます。
 そして、先ほど私どもの中村委員からもお話がありましたけれども、環境・建設委員会ということで、道路をつくる一方で、環境をどのように保全していくか、環境局では、まさに今、水環境対策の推進、緑地保全策の推進と称しまして、六億、あるいは五十八億という予算をつけて環境保全に対策を打っているところですので、一方の道路の部門で環境を壊して、そして一方で、環境局で緑の保全をするという施策の整合性というのがこの先問われるところでございますので、この道路建設に当たっては非常に慎重にこれから事業を行っていかなくてはならないと私は考えております。
 そこで、改めて、この都市計画道路三・三・九号について、事業の目的と事業概要について、あわせて伺わせていただきます。

○谷村参事 あきる野市における本事業区間の周辺地域は、現在、東西方向に比べまして、南北方向の道路整備がおくれております。このため、小学校などの通学路や生活道路に通過交通が進入しております。
 本路線の整備は、道路の混雑緩和や通学路、生活道路における歩行者等の安全確保、地域の防災性向上などに効果があり、極めて重要でございます。
 また、事業の概要でございますが、現在、秋多三・四・六号線の氷沢橋交差点から、五日市街道までの約一・二キロメートル区間で、二車線の道路整備を行っております。一般部の歩道幅員は、車道六・五メートルの両側に、車の出入りや停車需要に対応する停車帯二メートル、それから、歩道三メートル、植樹帯二・七五メートルの構成となっておりまして、合わせて二十二メートルの道路幅員でございます。
 平井川を渡る橋梁部は、橋長百九十九メートルで、有効幅員は車道六・五メートルの両側に路肩一・二五メートル、歩道三・五メートルの構成となっておりまして、合わせて十六メートルの幅員構成でございます。
 以上でございます。

○野上委員 この全体の事業費と、これまでの執行額についても確認させてください。

○谷村参事 全体事業費は約五十二億円でございます。平成二十年度末までに約三十一億円を執行しております。

○野上委員 あわせて、事業の進捗状況についても伺わせていただきたいと思います。

○谷村参事 現在の事業の進捗状況でございますが、平成二十年度末までに約九割の用地を取得しております。平成二十年度から用地取得の完了した区間の工事に着手しまして、四百五十メートル区間の道路と橋台一基が完成しております。今年度は二百メートル区間の道路工事と橋台、橋脚工事を実施してまいります。

○野上委員 この陳情、平成二十年九月の委員会でも審議をされた、同様の内容で、また改めて、今回、ご要望としてこの委員会に議論してほしいということで上がったかと思いますけれども、この橋及び道路をつくるに当たって、やはりこの地域の特異性というものをきちんと改めて把握をしなくてはいけないと私は思っています。
 特にこの地域では、周辺の遺跡と自然と景観が破壊されないようにしてほしい。あるいは、このちょうど橋がかかるところ、中高瀬耕地はいわゆるきんちゃく田の姿を残しておりますし、いまだに地元の農家の人たちの努力によって水田が維持されております。つまりは、この周辺のわき水にも大きく影響を及ぼしているというエリアでございます。
 また、この対岸の平沢のがけ下には、先ほども水田のお話をしましたけれども、わき水の豊富なあきる野市の中でも一、二を争う豊かなわき水と湿地があるというふうに伺っております。
 こうしたことから、この道路をつくる、計画どおりにつくっていくのが本当にいいのか、あるいは、四十年前に、これ、計画された道路ですから、少なくとも私自身が育った当時とは大きく環境面でも変わっておりますし、あるいは、一六号線のバイパスの解消とか、あるいは、圏央道がつくられましたので、当時とは大きく様変わりして、渋滞なんかも、もちろん四十年かけてそういったご努力で渋滞も解消されているというふうに伺っております。
 そういった中で、計画地周辺の交通事情というのは四十年前とは大きく変わっており、平井川を渡って五日市街道に至る南北の道路は、少なくとも現状でもう三つも通っておりますので、そういったことから考えますと、この道路を本当につくり続けていいのか、あるいは、この道路をつくるに当たって一番優先しなくてはいけないのは何かということをきちんと改めて考えて、この事業を進めていかなくてはならないと考えております。
 そこで、この橋、橋というか、この道路をつくったことによって、渋滞が解消される、あるいは、南北の混雑が解消されるというふうに伺っておりますが、この計画交通量についてはいかがでしょうか。伺わせてください。

○谷村参事 交通量は、設計基準交通量を一日当たり一万二千台程度として計画しております。

○野上委員 この換算はいつ行われた、何年度の推計でしょうか。

○谷村参事 これにつきましては、道路を通る設計基準交通量を一日当たり一万二千台ということで考えております。

○野上委員 時期についても、平成何年、計算をしたというのがあればお知らせ願います。

○谷村参事 この一万二千台というのは時期ではございませんで、この道路が許容する、設計として通れる容量として一万二千台が一日として計画しているということでございます。

○野上委員 ということは、設計をして、その範囲内だと一日一万二千台限度として通れるということで理解してよろしいんでしょうか。

○谷村参事 そのとおりでございます。

○野上委員 ちょうどあきる野の住民の皆さんが出しているレポートの中に、圏央道日の出インターチェンジに通じる都道三・四・六号の事後調査報告書、これは、平成十八年三月に出ておりますけれども、その中で、交通量については、評価書予測値、平成三年ですね、これは。平成三年に予測値が出ているんですけれども、その予測値の一・四から二・四万台、日に対し、事後調査結果は一・〇から一・三万台、日ですけれども、一日一・〇から一・三万台と少ない。圏央道日の出インターチェンジの前後区間が開通していること、周辺地域の大規模開発が見込まれないことから交通量の増加は見込まれず、今後も現況交通量程度で推移すると考えるという調査が出ております。
 こういったことから、やはり、これまでいろいろな調査を都としてもやってきて、そして、計画を進めていらっしゃるかとは思いますが、ある程度、この交通量調査についても、いま一度、考える必要があると私は考えております。
 そして、一方で、この陳情者の方々から出ております自然環境への配慮もしかりでございますが、これまで環境調査をどのように実施してきたのか。年度と調査内容、調査会社、調査額も含めまして、お答えいただければと思います。

○谷村参事 これまでの環境調査についてでございますが、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づきまして、事業地周辺におきまして平成十九年度に事前調査として魚類、底生動物、鳥類、植物等の調査と湧水の水位調査を実施しております。その結果、千二百十四種の動植物の生息を確認しております。
 湧水につきましては、平成二十年度及び二十一年度に湧水量及び水質調査を実施しております。
 オオタカにつきましては、平成十九年度の事前調査において飛来が確認されましたが、営巣、あるいは繁殖に結びつく行動は確認されておりません。平成二十年十一月に新たなオオタカの情報が地元からありましたことから、平成二十年度から二十一年度にかけて専門家に意見を聞きながら、オオタカの行動圏範囲調査、営巣地確認調査、繁殖状況調査を実施しております。
 引き続きまして、調査の会社ですが、平成十九年度に事前調査を行いましたのが、ドリスジャパン株式会社でございます。平成二十年度のオオタカ調査は、株式会社地域環境計画でございます。二十一年度のオオタカ調査につきましては、同じく株式会社地域環境計画でございます。

○野上委員 調査額についても、あわせてお願いいたします。

○谷村参事 十九年度の調査額は、百八十六万九千円です。平成二十年度が、委託金額が二百三万七千円でございます。二十一年度の調査が、五百五十九万六千五百円。
 以上でございます。

○野上委員 ありがとうございました。
 今、手元に、この環境調査委託報告書、平成二十一年三月と平成二十一年九月、これは、九月の分は、最近、私も手にしたのでございますが、これを読み比べてみると、最終的な専門家の事務所へ行ってのヒアリング内容、そしてヒアリング結果、これから建設に当たってどのようなことをした方がよいのかということが非常に細かく書かれております。
 しかしながら、この中にも書かれておりますが、継続的な調査が必要であるというふうに書かれているんですね。というのは、やはり、例えば、ダムの建設に当たっても、これはちょっと、今、手元にあるのは、川上ダムのオオタカへの影響調査についてというのが手元にあるんですけれども、この調査、ダムともちろんこの道路の建設規模というのは違いますが、しかしながら、このダムの建設に当たっては、少なくとも八年のオオタカへの影響の調査について、専門家へ依頼をしているんですね。そして、年度によっては、もちろんつがいがいたり、あるいはいなかったり、ちゃんと繁殖ができていたり、これ、マル・バツで出ているんですけれども、それは状況によって定点である程度区切って、一年、二年ではわからないサイクルがありますから、それは天候とか、その年の状況によって多少なりとも影響はありますので、それは一年、二年ではどうしても生態観測、あるいはオオタカへの影響がわからないということで、恐らく長期間調査をして、そしてダムの建設に当たっているという報告が私の手元にあります。そういったことから、今、こうして、毎回、住民の皆さんがご不安に思っていて、そして、ましてこのあきる野地域は、自然を観光として、売り物として、東京都でも、ワンデートリップとして、東京都内でお金を落としていただこう、できれば県外に旅行に行かないで、都内で日帰り旅行していただく。できれば、奥多摩とかあきる野とか多摩地域に来ていただいて、日帰りで帰っていただくような観光地が幾らでも都内にあるんだよということを打ち出しておりますので、そういったことから非常にこの--もちろん道路を要望されている方々もいらっしゃると思いますが、一方で、東京都の資産というか、資源として、いかにこの自然を守って、そして観光地としてあきる野を発展させて、そして、ひいては多摩の観光につなげていくということを考えなくてはいけないと私は思っています。
 ですので、この環境への配慮も、もちろん建設局の皆さん、調査の依頼をして、平成二十一年三月と九月と、もう一年やっていただいたようですけれども、できればもう少し長いスパンできちんとした調査を行っていただいて、その上で、環境と道路の融合というか、どのように共生をしていくかということを探っていただいて、事業を進めていただければと思います。
 最後になりますが、この調査を踏まえて、今後、どのように事業を行っていくのか、進めていくのか、見解を伺いまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○谷村参事 事業を進めるに当たりましては、まず湧水につきましては、蛍や魚類、底生動物などへの保全を目的といたしまして、工事期間中に水質の計測管理を行い、必要に応じて湧水の濁水処理を実施することとしております。事業用地に生息する動物につきましては、あらかじめ保護するなどの対策を講じてまいります。
 オオタカについてでございますが、当事業箇所は、最大行動圏の外縁部に位置しておりまして、営巣期に主として利用する高利用域には含まれていないこと、また、行動範囲から事業箇所周辺を除いたといたしましても、オオタカのえさ資源量への影響は少ないということを確認しております。このことから事業がオオタカの繁殖に与える影響は少ないと考えております。
 今後もオオタカの調査を実施していくとともに、繁殖期の工事の施工に当たりましては、低騒音の機械を使用し、大型クレーンにつきましては、赤や黄色のオオタカの警戒色を避けるなどの専門家の意見を聞きながら対策を講じ、極力影響を少なくしてまいりたいと考えております。
 引き続き、自然環境に十分に配慮し、着実に事業を推進してまいります。

○林田委員 今回のこの三・三・九号線の問題につきましては、私の選挙区であり、私の地元でありますので、私からもご意見申し上げ、また、質問させていただきたいと思います。
 今、民主党の野上委員からお話が出ました。民主党であっても必要な道路はつくるんだと、そういうお話もいただいた中で、私は、この道路はどうしても必要だという、そういったご意見を申し上げたいと思います。
 当然、関係者の皆様には、多大なご理解と、そして、いろいろな、またお考えを受けとめながらの施行であると思いますけれども、必要な道路はどうしてもつくらなければならない。それが私の根本的な意見で、まず冒頭に申し上げておきます。
 この三・三・九号線、地元の人がおられませんから、余り細かいことは申し上げませんけれども、福生につながる永田橋通り、そして、また福生につながる多摩橋通りを結ぶ大きな、大事な道路であることは今さら申し上げるまでもございません。
 そして、先ほど谷村参事から、るるお話もいただいたとおり、この道路を着々と進めていく中で、ここに概要の説明もありますけれども、あきる野市そのものとも相談しながら進めていくというお話をいただきました。そして、また、この概要の中には、あきる野市議会も整備促進をしていかなければならないというような要望もいただいているというお話をお伺いする中で、この南北交通のかなめとなり、また、羽村、瑞穂につながるこの大事な道路周辺の地域の、先ほどお話がございましたように、拡幅をしていただければ、防災性も、そして、また、歩道の安全性もあるわけでございまして、大事な道路だと私は認識している中で、問題は、あきる野市そのものがどう考えているか。また、あきる野市長さん、臼井さんがどう考えているのか。そして、また、あきる野市議会がどう考えているのか。とても重要な、やはり尺度になるのではないかなと私は思います。あきる野市はどう考えているのかお伺いいたします。

○谷村参事 あきる野市長からは、市の基本方針であります自然と都市機能の調和した暮らしやすい都市の実現に向け、重要な都市基盤である道路交通網の骨格を形成する南北幹線道路として、本路線の早期整備が必要との要望書が出されております。
 また、市議会からも、本路線が近隣都市との交流促進や地域住民の利便性向上、渋滞による大気汚染防止等の環境対策、また歩行者の安全性向上及び安心・安全なまちづくりの観点から、道路整備と平井川に架設される橋梁の早期完成について、地方自治法に基づき議決した意見書が出されております。

○林田委員 西多摩は確かに自然に恵まれておりまして、自然を大事にしなければならないというのは私の議員としての姿勢でもありますが、しかし、道路はやはり生活のかなめであるということもとても大事なことでありまして、三・三・九号線につながるすぐ隣の、氷沢橋と先ほどから名前が出ておりますけど、氷沢橋から多摩橋通りまでの二百五十メートルの道路が昨年の五月に完成いたしました。私は、この道路を、陳情を受けまして、早く拡幅してもらいたい、そういうお話をずっと伺っておりました。しかし、やはり、道路一本広げるにはいろんな意見があって、私は困る、私は理解できない、いろいろな関係がありながら、あれが完成したわけであります。
 しかし、完成してみると、あきる野市の皆さんは、大いに利用して、もう多摩橋通りが込んじゃうというような、そういう状況になってくるわけであります。やはり道路というのは、私たちの生活にとって大事なものであるということを再度認識したところであります。
 その道路は秋多三・四・六号線というんですけれども、この供用開始による事業効果をお伺いいたします。

○谷村参事 この二百五十メートルの完成による効果でございますが、草花通りから氷沢橋交差点までの二百五十メートル区間の整備によりまして、奥多摩街道と圏央道日の出インターへのアクセス道路である秋多三・四・六号線が接続されました。
 また、地元からは、この区間の完成によりまして、周辺の狭隘な市道への通過交通の流入が減少し、地域住民の生活環境も向上したとの声が寄せられております。

○林田委員 ありがとうございます。
 先ほどから申し上げておりますように、私の選挙区は自然が豊富で、多摩川の流水、あるいは、秋川の清流が流れている大事な自然の宝庫であります。ですから、道路をつくるときはやはり自然に配慮して、そして、また、近隣の人にご理解を得ながらつくらなけりゃいけない。これは今さら申し上げるまでもありませんけれども、当然のことだと思っております。
 このような自然に恵まれた、湧水、多種多様な植物の生息がやはり確認されておりますこの三・三・九号線、この道路をつくるに当たっていろいろな配慮が必要だと思いますけれども、その配慮した点は何か。
 そして、また、先ほどから出ておりますオオタカのことについても少し質問させていただきたいと思います。オオタカはどうなっているんですか。

○谷村参事 本路線が平井川を渡る地域は、左岸に耕作地が存在いたしまして、右岸にはがけ地部に湧水が確認されております。また、河川内や湿地等では、動植物の生育が確認されておりまして、自然豊かな地域でございます。
 道路整備に当たりましては、平井川左岸の耕作地部分は、環境への影響を極力抑えるため、盛り土などによる築造ではなく、橋梁形式としております。橋梁形式につきましては、河川周辺に影響を極力及ぼさないように橋脚の本数を最小限にするとともに、周辺の山並みへの眺望を阻害しないけた橋を採用し、周辺環境との調和を図っております。
 平井川右岸側の橋台につきましては、がけ地部に存在します湧水を保全するため、橋台の基礎をくい基礎といたしております。
 橋梁の架設に当たりましては、河川への影響を考慮いたしまして、張り出し工法などを採用し、河川区域内に架設物などを設置しないため、橋梁工事による平井川への影響はないと考えております。
 オオタカを初めとします動植物への対応としては、条例に基づきまして、事前調査を十分に行った上で、各専門家の意見を聞きながら慎重に工事を行ってまいります。

○林田委員 谷村参事のお話をお伺いいたしました。やはり自然に配慮して工事を進めていくというお話をいただいたわけであります。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、この三・三・九号線は、あきる野市そのものにとっても、そして、近隣の市町村にとっても、とても大事な道路でありますので、ぜひ、その小山さんを初め、皆さんにご理解を賜りまして、促進をしていただきたいと思っております。
 また、地元の地権者の協議会があるそうでありますけれども、促進をしていただきたいという強い要望もあることは聞いております。そして、また、あきる野の市長さん、あるいは、あきる野市議会も、ぜひ促進していただきたい、こんなお話でございます。
 したがいまして、最後に、この事業に対する、ぜひ配慮しながらつくっていくという、そういうご決意をお伺いしたいと思います。

○谷村参事 先ほどもご答弁いたしましたとおり、本路線の整備は周辺道路の混雑の緩和や通学路、生活道路における歩行者等の安全確保、地域の防災性向上に寄与するものでございます。地元住民やあきる野市等からも整備促進が強く求められており、引き続き、自然環境に十分に配慮し、着実に事業を推進してまいります。

○かち委員 私からも、陳情二一第五九号、秋多三・三・九号線の築造工事の一時中断と事業の見直しに関する陳情について何点か伺います。
 この都市計画道路は、あきる野市小川から同草花に至る延長四・六キロの南北道路です。現在、事業中のこの地域は、平井川が蛇行しており、縄文時代の遺跡が出たり、豊かな湧水があったり、里山ときんちゃく田が存在しているという、東京の中でも貴重で豊かな自然が残された地域です。ここに幅員二十二メートルの、巨大な橋をかけ、道路をつくるという計画です。
 都は、本線整備の意義を混雑緩和や通学路、生活道路の安全確保、防災性向上などといっておりますけれども、それでは、この計画線増設によって、どのような計画交通量になるのかという点では、先ほど質疑がありましたけれども、そして、ご答弁が一万二千台だというふうに答えられましたけれども、聞いておりますと、設計上の数字だということであり、ここの実態状況から、実際の調査状況から予測量を計算したものではないというふうにいってよろしいでしょうか。

○谷村参事 ここにつきましては、設計交通量から検討しておりまして、一万二千台程度ということで計画しているものでございます。

○かち委員 設計交通量というのは、ワンルート何台という、もう基本パターンがあって、それをはめ込んだ数字だということなんですけれども、それでは周辺道路の現況や調査は行ったのでしょうか。

○谷村参事 東京都では、道路交通センサス等の調査によりまして、都道の交通量を把握しております。平成十七年度の調査によりますと、本路線に交差する五日市街道の多西橋付近では、一日当たり二万七千五百九十五台となっております。また、本路線に並行する国道四一一号線の瀬戸岡付近では、一万五千七百十七台となっております。

○かち委員 今のご答弁だと、この地図上でいうと、五日市の多西橋というのはここなんですね、計画道路が赤で。それで、国道四一一号線というのはここなんですね。ここが一番接続している道路なんですけれども、秋多三・四・六、ここの接続付近では調査をしていないんでしょうか。

○谷村参事 その路線につきましては、ことしの二月二十六日に現況調査をしておりまして、七時から十九時の十二時間交通での計測ですと、一万三千八百九十一台の通過が認められております。

○かち委員 やっていたんですね。やっていないというふうに事前には聞いていたんですけど、でも、先ほどの質疑で、この道路は、外環などの周辺の環境から、事後調査では現況とさしてふえていないという状況もあって、本当にこの南北道路が必要かどうかという点では、きちんと、実態調査に基づいた予測数字ではないという点からしても説得力に欠けるのではないかと思います。
 それは、なかった道路ができれば便利になる面も当然あります。しかし、限られた財源の中で費用対効果ということもあります。貴重な自然や環境に与えるリスクとの関係でも比較検討しなければならないことだと思います。昭和四十四年の都市計画決定でもあって、今日の経済環境や人口動態、環境保護の視点に立って積極的に見直すということがあってもよいと思われます。
 次に、絶滅危惧種に登録されているオオタカについてもお聞きします。
 環境省発行の猛禽類保護の進め方という手引書には、ディスプレー等の繁殖行動が確認された場合及び繁殖情報がある場合などで、周辺での繁殖の可能性が高いと判断された場合には、保護方策検討のための調査を行うよう明記しています。
 こういう営巣などが確認された場合には、それを保護する対策をとってから工事をしなさいということだと思うんですけれども、この周辺には小高い里山があり、オオタカの営巣などもこれまでにも確認されているところですけれども、当然、計画地域は、ハンティングなどで飛来する地域となっているわけです。
 このオオタカの生態についても調査をしているとのことですが、平成十九年度の高瀬橋水辺環境調査では、どれだけのオオタカの飛来を確認しているのでしょうか。

○谷村参事 平成十九年度に実施いたしました事前調査によりますと、春、夏、秋、冬それぞれ二日間ずつ、延べ八日間観測を行っております。そのうち七日間で、事業地周辺に合計二十回の飛来が確認されております。事業地周辺では、オオタカの営巣あるいは繁殖に結びつく行動は確認されておりません。

○かち委員 先ほど、調査料は幾らだったかというので、最初が百八十万円、その次、二百数十万、その次、五百万ということで、この調査そのものは大変不十分な調査だという点では、地域の皆さんからの声もありましたし、また昨年の委員会の中でも指摘をされて、改めて調査をしているというのが今の実態だと思うんですけれども、この不十分な調査の中であっても二十回の飛来を確認しているんですね。そして、よくよくその中身を調べますと、そのうち十五回は、この事業地域の中に飛来をしているということも資料の中で明らかになっています。今回九月に出された高瀬橋環境調査の結果、事業地内のオオタカの利用はどれだけだったのか、おわかりでしょうか。

○谷村参事 当事業箇所におきましては、オオタカの最大行動圏の外縁部に位置しておりまして、営巣期に主として利用する高利用域には含まれておりません。また、オオタカの行動範囲から事業箇所周辺を除いたといたしましても、オオタカのえさ資源量への影響が少ないことが確認されており、事業がオオタカの繁殖に与える影響は少ないと考えております。
 引き続き、自然環境に十分に配慮し、着実に事業を推進していきたいと考えております。

○かち委員 もう一度質問を繰り返しますけど、今回の調査の結果、この事業当該地に飛来はあったのかどうかということと、調査の結果、営巣の確認はされたのかどうか、このことをお聞きします。

○谷村参事 事業地への飛来はございます。平成十九年度の事前調査の後、新たなオオタカの情報が地元からあったことから、専門家に意見を聞きながらオオタカの行動や繁殖状況を確認する調査を実施しております。
 調査の結果、オオタカの繁殖が確認され、三月に巣づくり、四月に抱卵、七月に営巣箇所上空を飛ぶオオタカ幼鳥二個体を確認しております。

○かち委員 事業地への飛来があったとおっしゃいましたけれども、私も先ほどの報告書を読ませていただいたんですけれども、この中では、事業地への飛来はない、ほとんどないというふうに書かれているんです。その辺の認識はどうされているのかと思います。
 そして、確かに周辺の山で巣づくりをして、ひなの一体があったと。七月に営巣箇所上空を飛ぶオオタカ幼鳥二体、八月にはひなの巣立ちを確認しているということはあるわけです。周辺の山でそういうことがあったとしても、その事業地に飛来をしていないということが、この報告書には書かれているんですけど、確認したいと思います。

○谷村参事 事業地周辺には、二度の飛来を確認しております。

○かち委員 二十回、あるいは十五回が二回になったというのは、明らかな減少だと思います。
 それで、現在の平井川にかかる高瀬橋の工事、もうやっていますよね。橋げたかな。どんな工事をいつからいつまで行ったのでしょうか。

○谷村参事 橋梁に関します工事でございますが、平井川左岸側の橋台工事は、平成二十一年二月に着手し、六月に完了しております。

○かち委員 この八月いっぱいまでの環境調査というのは事前調査であったと思うんです。事前調査でオオタカなどの生態を確認したら、それを保護するための対策をとって工事にかかる必要があるというのが、環境省の手引書にも書いてあるわけですけれども、そうではなくて、工事をしながらこの調査をしたということが今のご答弁で明らかになったと思うんですけれども、専門家の助言を聞きながらやったといいますけれども、その専門家という方はどういう人で、どのような選任をされたのでしょうか。

○谷村参事 専門家はどのような方かというご質問ですけれども、オオタカの生態に詳しく、工事がオオタカの生態に与える影響の有無について多数の経験を踏まえた客観的な判断をいただける専門家の一人でございます。地域の状況にも精通しているアドバイザーでございます。

○かち委員 少なくとも公的な事業をやるための環境調査という、公的なものを報告して出しているわけですから、そこに、どこのどなたが助言をしているのかということを都民に明らかにするのは当たり前のことじゃないかと思うんですけど、今のお話はとても抽象的でわからないわけなんですけれども、そういうことを明らかにしていただくことはできないんでしょうか。

○谷村参事 専門家の名前は、情報公開条例第七条第六号、事業の性質上、当該事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当する非開示情報であるため、回答はできません。

○かち委員 こういう調査が何で非開示でなければならないかというのはちょっと理解に苦しむんですけれども、当初、建設局は、事前の不十分な調査によって、調査検討区域とその周辺には営巣地が存在する可能性は低いと考えられるという結論を出したんですけれども、その後、調査によって営巣地を確認することができました。周辺にはオオタカがいるということ、繁殖もするということが確認されているわけですけれども、その結論に対し、都として、工事がオオタカに与える影響をどのように考えているのでしょうか。

○谷村参事 先ほどもお答えいたしましたが、当事業箇所はオオタカの最大行動圏の外縁部に位置しておりまして、営巣期に主として利用する高利用域には含まれておりません。また、オオタカの行動範囲から事業箇所周辺を除いたといたしましても、オオタカのえさ資源量へ影響は少ないことを確認しております。事業がオオタカの繁殖に与える影響は少ないと考えております。引き続き、自然環境に十分に配慮し、着実に事業を推進してまいります。

○かち委員 不十分な調査であっても二十回の飛来を確認しているんですよね。しかも、工事と並行して行ったこの調査の結果では、事業地への飛来がほとんどないという結果から、どうして影響がないといえるでしょうか。オオタカの生息を保護するためにも、広範囲の狩り場が必要です。しかし、その狩り場に巨大な構造物ができて、車が一万台も走るということになれば、そこからも追われる状況となるのは明らかです。
 改めて、この事業化は一たん立ちどまり計画を見直す必要があるということを述べて質問を終わります。

○いのつめ委員 これまで、請願陳情の審査を行ってきたわけですけれども、やはり建設局の皆さんは、一生懸命これまで東京都の道路を整備されてきて、地域の方の利便性や、また通行する方の安全性や、また交通渋滞を緩和するために道路を一生懸命整備されてきて、そのご努力があってこの東京になっているんですけれども、しかしながら、最近になって、やはりダムもそうなんですが、自然を保全しながら、環境を保全しながら、保護しながら、なおかつそれとともに整備をしていくということが、やはり都民の皆さんが大きく、また国民の皆さんも大きく望んでいると。これまでのように、どんどんつくろうという機運と、少し、環境を大切にしていこうという声が、以前よりも徐々に大きくなってきているんじゃないかと。それが、やはりきょうの、この質疑を拝見してても、伺っていても、そういったものがあらわれてきているんだと思っています。
 そして、この今のオオタカのことですけれども、このオオタカというのがひなを育てていくところには、畑や水田や森林を含む広い環境があることと、そこに多種の、えさとなる生物が大量に生息していることが必要であるといわれています。
 オオタカが生態系ピラミッドの頂点に位置し、自然が豊かであることを示す指標の一つであると考えられています。オオタカの生息地を保全することは、生態系の健全性を守ることにつながるということでございまして、私どもの仲間が、前環境・建設委員会のときに、きちんとした調査を行うようにという要望をしましたが、その簡単な水辺調査、水辺環境調査という簡単な調査ではなくて、もっときちんとした調査をするようにということで調査をされたんですが、本当は、工事をしない段階での調査をした方がいいという提案をしてきたんですが、工事を進めながらの今回の調査であって、それが二十一年の九月に出された、この報告書になっております。
 これを情報開示していただくと、オオタカの確認状況というところは、やはり地図の中で、この事業をしてあるところが、本当はこの事業計画地、その周りにどれだけオオタカが飛んできたかということが見たいわけですけれども、それが真っ白になって出てきてない。肝心の見たいところが見れないような報告書になっている。
 例えば、この調査の実施場所は、こういうふうに、丸い中でここが、この今の道路をつくっていこうというところなんですけど、こう出ているにもかかわらず、どこにオオタカが飛んできたか、四月にどこに飛んだ、八月にどこに飛んだということになると、この行動確認になると、オオタカの確認状況、八月の分は地図もなければ飛んできた様子も、皆さんが見ることができないような状況になっている。専門家の名前は出せないということは今のご説明でわかりましたけれども、どこにどれだけ飛んできたかが、これじゃわからない。
 私どもが調べましたところ、やはり、音には十分配慮をしていただいているようですけれども、工事をしながらだと、やはり飛んでくるオオタカは少なくなっている。まさに工事をしたらオオタカが少なくなるんだということがわかった調査であると思っています。
 環境省が出しております自然環境局の野生生物課による、この猛禽類保護の進め方という、この本がありますけれども、この中には、猛禽類を保護をする中心的な役割を果たすのは各都道府県が担うべきと記されています。神奈川県や埼玉県では独自の保護指針を発行し実施していますが、残念ながら、東京都はまだ独自の指針を出していません。神奈川や埼玉はオオタカが多いからと、東京は少ないから指針を出さないんだというのでは、私は逆だと思っておりまして、これは建設局にいってもしようがない、環境局にいわなきゃいけないことかもしれませんが、まだ残念ながら、こういう状況です。
 そして、交通量の調査、今、野上副委員長からも質問がありましたけれども、この道路の幅が二十二メートルで、千二百メートルという事業であるために、アセスの案件、幅二十五メートル以上、千メートル延長以上というここにかからないために、交通量の調査がされていなかった。今の質疑の中では、ことしの二月に交通量調査を行われたといっておりますが、私は、道路というのは計画するときに交通量の調査をしなければいけないものだと思っています。
 計画して、もう今寸前に、工事に着工する間際に交通量の調査をするというのは、少し時期がおくれ過ぎてやしないかと。この道路がなぜ必要な道路なのかと。これだけ交通量が多いから、済みません、ここ、道路をつくるんです、協力してくださいという姿勢が、私は必要なんだろうと思っています。
 そして、未買収地が一〇%あるということですが、この氷沢橋交差点から約百五十メートルぐらいのところに未買収用地があるということですが、私聞きとったところによると、ここのまだ応じていない皆さんの中には、やはり自然を守りたいんだという強い意思のある方がここに多く土地をお持ちになってらっしゃるんじゃないだろうかというふうに聞いてもいます。そうしますと、このまま工事が進んでいっちゃうと、自然を守りたい、だから土地を手放したくないんだといっている方の、ここの土地が強制収用になってしまう可能性もあるわけです。私は、これは避けなければいけないことだと思います。
 道路が必要だとおっしゃる方もいる、自然を守りたいんだとおっしゃる方がいる。それを十分に東京都が考えながら、道路を進めていかなければいけない。そして、その時代の都民の声にも沿っていかなければいけないし、自然環境も守っていかなければいけない。こういった難しい時代に、そして必要な自然を守っていくことが必要な時代にもなってきています。
 どうぞ、この皆さんが守ろうと思っている自然、これに対しても十分注意を払われて、そしてなるべく情報は開示していただいて、オオタカを守ってもいかなければいけませんし、情報は誤解のないようにきちんと開示をしていただきたいと意見を述べさせていただきます。
 それともう一つ、この報告書なんですが、私が見たのが十一月の二十日以降でした。見たのは、本当は。これ、出たのが十一月二十日で、私が手にとったのはおとといでした。せっかく、こういった関係の陳情が出されて、お金をかけて調査をして報告書もつくっていただいたわけですから、せめてこういう報告書が出されましたということぐらいを教えていただいて、これだけの報告書、読み解いていくには、やはり時間が必要でございますので、その辺も、これからはちょっとお教えしていただきたかったなという意見もつけ加えさせていただいて、終わらせていただきます。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第五九号は継続審査といたします。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十三分休憩

   午後三時四十分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き会議に入ります。
 次に、二一第六〇号、都市計画道路青梅三・四・四号線の事業の見直しに関する陳情を議題といたします。
 まず、理事者の説明を求めます。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 資料3、請願・陳情審査説明表のうち、整理番号6、陳情二一第六〇号をお開き願います。
 本件は、都市計画道路青梅三・四・四号線の事業の見直しに関する陳情で、青梅市の青梅のくらしと道路を考える会代表、飛弾紀子さんから提出されたものでございます。
 要旨は、1、都市計画道路青梅三・四・四号線について、交通量調査を実施し社会の変化、将来予測などを合わせて再検討し道路建設を見直すこと。2、計画決定から四十八年たっている。説明会、公聴会、意見書募集などを行い、現在の住民の意見を反映させることというものでございます。
 現在の状況ですが、青梅都市計画道路三・四・四号線は、青梅市新町九丁目から日向和田三丁目に至る延長約十・一キロメートルの骨格幹線道路であり、多摩東西主要四路線のうちの一路線に位置づけられてございます。現在、青梅市滝ノ上町から日向和田一丁目までの約一・三キロメートルの区間において事業実施してございます。本区間に並行する青梅街道は、通学路に指定されている歩道が二メートル以下と狭隘で、また沿道は一部商店街となっており、停車需要があるにもかかわらず車道に停車スペースがございません。
 平成十五年度の交通量調査によれば、青梅街道の青梅坂下交差点付近で、一日一万四千台を超える交通量があり、朝夕の通勤、通学時間帯に渋滞が発生してございます。このため、青梅街道から迂回してきた車両が、通学路に指定されている通称天ヶ瀬通りに一日約二千台流入しております。本区間の整備は、青梅街道の混雑の緩和、生活道路における歩行者などの安全確保、及び地域の防災性向上を図る上で極めて重要であり、地元青梅市からも整備促進の要望を受けております。
 これまで、平成八年十月の事業説明会や、平成十四年から平成十五年にかけての用地測量説明会、その後の用地説明会などにおいて地域住民に説明し、地元の理解と協力を得ながら事業を進めてまいりました。
 事業実施に当たっては、滝ノ上町から天ヶ瀬町までの四百二十五メートルを一期区間、天ヶ瀬町から日向和田一丁目までの八百八十メートルを二期区間として、それぞれ平成十五年、十七年から事業に着手しており、一期区間については約五割、二期区間についても約三割の用地を取得してございます。なお、二期区間の都立多摩高校、青梅市立第一中学校の南側区間においては、地形が傾斜地であることから、道路の上り車線と下り車線で路面の高さを変え、市道とのアクセスを考慮した計画とし、沿道住民の利便性に配慮してございます。
 引き続き、緑豊かな道路空間の創出など周辺環境にも配慮し、地元の理解と協力を得ながら、渋滞の緩和や安全性、防災性の向上に寄与する本路線の整備を着実に推進してまいります。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○山下委員 それでは、伺います。青梅を初めとします西多摩地域は、自動車交通が住民の生活を支えているといっても過言ではなく、道路交通網の整備に対する住民の関心が非常に高い地域でございます。計画されている青梅三・四・四号線は、いわゆる青梅の旧市内と呼ばれる部分を通り、付近には狭い道や曲がった道が多く、さらに現地は多摩川に向かう傾斜地であることから、防災、安全などの面からも、広い道路を望む声が私のもとへも多く寄せられています。その一方で、道路建設に伴う環境の変化を予測して、それを検証するよう要望する声も届いています。
 そこでまず、この路線の位置づけと事業の必要性について、まとめてお答えください。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 青梅都市計画道路三・四・四号線は、広域的な道路ネットワークの形成を図るとともに、多摩地域の魅力と活力を高め、区部との連携を強化する多摩東西主要道路四路線の一つとなる重要な骨格幹線道路でございます。
 青梅市滝ノ上町から日向和田一丁目までの約一・三キロメートルの区間の整備は、青梅街道の混雑緩和や、通称天ヶ瀬通りなどの生活道路における歩行者などの安全確保、災害時の延焼遮断帯や緊急輸送路としての防災機能向上、これらを図る上でも極めて重要でございます。
 また、地元青梅市からも整備促進の要望があり、早期整備が必要であると考えてございます。

○山下委員 このうちの第一期の区間につきましては、お寺が計画線にかかっていますが、現在の状況はどのようになっているのでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 東光寺の敷地の一部に、本路線一期区間の計画線がかかってございます。このため、事業着手前から、東光寺が寺機能を分断させない条件を提示してきたことから、代替地の確保について、青梅市と調整を図ってまいりました。平成四年に青梅市が東光寺に近接する用地を取得したことから、この用地を活用し、東光寺の本堂や庫裏、墓地が一体的に利用できるような再建案を作成し、現在、東光寺に案の説明を行ってございます。

○山下委員 次に、第二期の区間は、緑地が計画線にかかっています。環境に関する調査はどのような予定になっているのでしょうか。また、そこで、もしも希少な動植物が見つかった場合はどのように対応するのでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 都は、これまでも道路整備による樹林地等の自然地を一定規模以上改変する場合は、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき環境局へ協議を行い、自然の保護と回復に努めてまいりました。
 本区間の整備につきましては、道路整備による改変面積が三千平方メートルを超えるため、この条例に基づいた協議が必要でございます。現在この協議に必要となる調査対象や実施方法などについて、環境局と事前調整を行っております。
 また、今後、希少動植物が確認された場合には、環境局と協議した上で、保全移植計画等を作成し適切に対応してまいります。引き続き、緑豊かな道路空間の創出など、周辺環境にも配慮しながら、地元の理解と協力を得ながら、また、本路線の整備を着実に進めてまいります。

○山下委員 わかりました。では、環境に十分配慮しながらルールにのっとった調査を行うようお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○かち委員 私からは意見を述べさせていただきます。陳情二一第六〇号、都市計画道路青梅三・四・四号線の見直しに関する陳情についてです。これも昭和三十六年に都市計画決定された青梅三・四・四号線の事業が進んでいるわけですが、既に五十年近くの月日がたっています。昨今の経済状況や環境、社会的変化等、大きく変わっている中で、このような計画道路の建設を見直してほしいということ、また今日の住民の意見を反映してほしいというものです。
 本計画は、青梅市新町九丁目から日向和田三丁目に至る、約一・三キロのバイパス道路です。青梅街道の混雑緩和、生活道路における安全確保、地域防災性向上のためとしていますが、本計画道路は傾斜地につくるため、一区間と二区間に分け、二区間八百八十メートルにおいては上下二段式の高低差六メートルという道路とせざるを得ない構造です。これでは人が歩いて横断することもできない道路です。このような道路が本当に必要なのかどうか、改めて検討し直すべきと考えます。よって、本陳情には採択を求めます。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第六〇号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○藤井委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者からの説明を求めます。

○有留環境局長 平成二十一年第四回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。お手元の資料1、平成二十一年第四回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 今回、提出を予定しております案件は、予算案一件、条例案三件、事件案一件の合計五件でございます。
 一ページをお開き願います。平成二十一年度一般会計補正予算案につきましてご説明を申し上げます。補正予算案として、地域グリーンニューディール基金事業や緊急雇用創出事業における歳入歳出予算に関しまして必要な補正を行うもので、歳出予算につきましては、約十二億七千万円を計上しております。
 続きまして、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 まず、(1)、東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例案についてでございます。これは迅速な紛争解決に資する仲裁制度の活用を図るため、調停打ち切り後一定期間以内に同一の事件につき仲裁の申請がされた場合における申請手数料の額を改める必要があるためでございます。
 次に、(2)、東京都地域グリーンニューディール基金条例案についてでございます。これは地球温暖化その他の環境問題に対する地域の取り組みの推進を図るため、東京都地域グリーンニューディール基金を設置する必要があるためでございます。
 次に、(3)、土壌汚染対策法関係手数料条例案についてでございます。これは、土壌汚染対策法の一部を改正する法律の施行に伴い、汚染土壌処理業の許可等の手数料に係る規定を設ける必要があるためでございます。
 最後に、事件案の概要につきましてご説明申し上げます。
 (1)、東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定についてでございます。これは、東京都奥多摩ビジターセンターに係る指定管理者を指定する必要があるためでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明を申し上げました。詳細につきましては、引き続き環境政策部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○森環境政策部長 平成二十一年度一般会計補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、平成二十一年度一般会計補正予算説明書を一枚おめくり願います。歳入予算総括表をごらんください。補正予算額十二億五千四百二十八万円につきましては、国庫支出金及び繰入金を充当いたします。
 次に、歳入の内訳についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。科目名は国庫補助金でございまして、補正予算額は十二億八百万円でございます。内容につきましては、右側の説明欄にございますとおり、1の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金及び2の地域環境保全対策費補助金は、地球温暖化その他の環境問題に対する地域の取り組みの推進等を図るため、地域グリーンニューディール基金事業として、国から十二億八百万円の補助金を受け入れるものでございます。
 次に、三ページをお開き願います。科目名は基金繰入金で、補正予算額は四千六百二十八万円でございます。内容につきましては、今年度中に実施される二酸化炭素排出抑制対策事業に要する歳出予算四千六百二十八万円に充当するため、地域グリーンニューディール基金繰入金を同額で計上しております。
 次に、四ページをお開き願います。歳出予算総括表をごらんください。補正する項は環境管理費、環境保全費、廃棄物費でございまして、十二億七千八万二千円を計上しております。
 次に、歳出の内訳についてご説明申し上げます。
 五ページをお開き願います。項は環境管理費、目は環境政策費でございまして、補正予算額は十二億五千四百二十八万円でございます。内容につきましては右側の説明欄にございますとおり、1として、地域グリーンニューディール基金積立金を十二億八百万円を計上しております。これは国から受け入れる補助金を新たに設置する基金に積み立てるものでございます。
 次に、2として、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金による区市町村に対する補助金、四千六百二十八万円を計上しております。これは、今年度中に区市町村で実施される地域グリーンニューディール基金事業に対して補助を行うものでございます。
 六ページから七ページにかけましては、厳しい雇用情勢において離職を余儀なくされた非正規労働者、中高年齢者の失業者に対して、一時的な雇用、就業機会を創出することを目的とした緊急雇用創出事業に要する経費を計上しております。
 六ページをごらん願います。項は環境保全費、目は環境改善費及び自動車公害対策費でございまして、補正予算額は九百六十二万二千円でございます。環境改善費の内容につきましては、1として、環境確保条例に基づきます届け出書類の電子化を行う事業に要する経費二百二万九千円を計上しております。次に、2として、土壌汚染対策法等に基づきます届け出書類の電子化を行う事業に要する経費三百五十万円を計上しております。次に、自動車公害対策費の内容につきましては、都内で使用される自家用乗用車につきまして、その用途を把握し、都内の乗用車の使用目的による比率を推察する調査に要する経費四百九万三千円を計上しております。
 七ページをお開き願います。項は廃棄物費、目は廃棄物対策費でございまして、補正予算額は六百十八万円でございます。内容につきましては、多摩地域及び島しょ部の浄化槽管理者を戸別訪問し、浄化槽の使用状況を調査するとともに、適正な維持管理について説明し、法定受験を促す事業に要する経費を計上しております。
 以上、平成二十一年度一般会計補正予算案につきましてご説明申し上げました。
 続きまして、条例案についてご説明させていただきます。
 資料3をごらんください。東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。一、改正理由でございますが、迅速な紛争解決に資する仲裁制度の活用を図るため、調停打ち切り後一定期間内に同一の事件につき仲裁の申請がされた場合における申請手数料の額を改める必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、公害紛争処理法に基づく調停が打ち切られた後、二週間以内に申請人または参加申立人からされた仲裁の申請手数料の額について、前の調停の申請について納めた手数料の額を控除した額に改めるものでございます。
 三、条例の施行日でございますが、公布の日からとしております。
 二ページ及び三ページは本条例案、四ページ及び五ページは新旧対照表でございます。
 続きまして、資料4をごらんください。東京都地域グリーンニューディール基金条例案についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。一、制定理由でございますが、地球温暖化その他の環境問題に対する地域の取り組みの推進等を図るため、東京都地域グリーンニューディール基金を設置する必要があるためでございます。
 二、制定案の内容でございますが、基金の設置について規定するほか、積立額、管理、運用益金の処理、処分及び繰りかえ運用等、基金の取り扱いに関する事項について規定してございます。
 三、条例の施行日でございますが、公布の日からとしております。
 四、条例の失効日でございますが、平成二十四年三月三十一日としております。
 三ページから五ページまでは本条例案でございます。
 続きまして、資料5をごらんください。土壌汚染対策法関係手数料条例案についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。一、制定理由でございますが、土壌汚染対策法の一部を改正する法律の施行に伴い、汚染土壌処理業の許可等の手数料に係る規定を設ける必要があるためでございます。
 二、制定案の内容でございますが、(一)、手数料の名称、額及び徴収時期につきましては、次のように規定しております。ア、汚染土壌処理業許可申請手数料につきましては、手数料の額は二十四万円、手数料の徴収時期は、許可申請のときでございます。イ、汚染土壌処理業許可更新申請手数料につきましては、手数料の額は二十二万円、手数料の徴収時期は更新申請のときでございます。ウ、汚染土壌処理業変更許可申請手数料につきましては、手数料の額は二十二万円、手数料の徴収時期は変更許可申請のときでございます。
 二ページをお開き願います。(二)と(三)にありますように、手数料の減免、不還付につきましても規定してございます。
 三、条例の施行日でございますが、(一)にありますように、土壌汚染対策法の一部を改正する法律附則第二条第一項の規定による汚染土壌処理業の許可の申請に対する審査手数料に係る部分につきましては、公布の日からとしております。(一)を除く部分につきましては、平成二十二年四月一日からとしております。
 三ページから五ページまでは本条例案でございます。
 最後に、事件案についてご説明させていただきます。
 資料6をごらんください。東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。一、提案理由でございますが、東京都奥多摩ビジターセンターに係る指定管理者を指定する必要があるためでございます。なお本議案は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出するものでございます。
 二、内容でございますが、公の施設の名称は東京都奥多摩ビジターセンター、指定管理者の名称は財団法人東京都公園協会、指定の期間は平成二十二年四月一日から平成二十七年三月三十一日までの五年間でございます。
 二ページ及び三ページは本事件案でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○藤井委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 二一第三六号、八丈島の一般廃棄物管理型最終処分場建設計画の見直しに関する請願、及び二一第三五号、八丈島一般廃棄物管理型最終処分場の建設地及び規模の見直しに関する陳情は、関連がありますので、一括議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○井戸廃棄物対策部長 それでは、お手元の資料7、請願・陳情審査説明表により、請願陳情案件についてご説明いたします。
 一ページをお開きください。整理番号1、請願番号二一第三六号、八丈島の一般廃棄物管理型最終処分場建設計画の見直しに関する請願についてご説明いたします。請願者は、八丈町、八丈島の未来を考える会代表、岩崎由美さん外百九十二人でございます。
 請願の要旨でございますが、都において、水源への重大な影響が懸念される立地に計画されている八丈島一般廃棄物管理型最終処分場の建設計画を見直すよう働きかけていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、平成十一年七月の厚生省通知によりまして、安定型処分場への焼却残渣の埋め立てが、公共の水域及び周辺地下水への汚染拡散防止の観点から禁止されました。これを受けまして、平成十三年十一月、島嶼町村一部事務組合では、議会の承認を経て、大島、八丈島に島しょ地域二町六村の焼却残渣
と不燃ごみを埋め立てるための管理型最終処分場の建設を決定いたしました。
 平成十八年三月には、大島の管理型処分場が完成し、また同年十二月には、一組の臨時議会において、八丈島の処分場建設について、末吉地区で進めることが協議され、了承されました。
 平成二十年四月、一組は八丈島の処分場整備事業の概要について、住民説明会を開催しました。処分場の規模は埋立地面積約七千平方メートル、埋立容積四万九千五百立方メートル、埋立対象廃棄物は焼却残渣と不燃ごみというものでございます。
 その後、一組では廃棄物処理法に基づきます生活環境影響調査を行い、その結果を平成二十年九月に縦覧するとともに、住民説明会を開催しております。
 平成二十年十一月に、地元の住民団体の方から一組の管理者に対しまして、処分場建設計画の凍結を求める要請書が提出されましたが、同十一月、一組は臨時議会で処分場について計画どおり進めることを決定いたしました。
 現在、一組では廃棄物処理法第九条の三に基づきます一般廃棄物処理施設の設置届を都に提出するための準備を行っているところと聞いております。
 続きまして、二ページをお開きください。整理番号2、陳情番号二一第三五号、八丈島一般廃棄物管理型最終処分場の建設地及び規模の見直しに関する陳情についてご説明いたします。陳情者は、八丈町、水海山の緑と水を守る会事務局長、長田隆弘さんでございます。
 陳情の要旨でございますが、都において、八丈島一般廃棄物管理型最終処分場の建設について、次のことを実現するよう働きかけていただきたい。1、第三者機関を設置し、建設地として、水と緑に影響が少ない低地で地盤の安定した場所を選定すること。2、処分場の規模を縮小する見直しを行うことというものでございます。
 現在の状況につきましては、先ほどの請願番号二一第三六号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○かち委員 それでは、意見だけ述べさせていただきます。
 二一、三五号と三六号は、いずれも八丈島の一般廃棄物管理型最終処分場建設計画などの見直しに関する請願陳情です。同趣旨の陳情が昨年六月にも出されており、四千名を超える署名が添えられていました。
 この請願趣旨は末吉地区に選定された八丈島における一般廃棄物の管理型最終処分場は、標高四百メートルと水源地よりも高く、地質と地盤の面から懸念があるため、十分なアセスを行うことや、環境確保の立場から建設計画を見直すことを求めているものです。
 経過の中では、十分な住民の合意が得られているとはいいがたい側面もあり、島民の命と安全が確保されなければならない課題でもあります。都としては直接的指導を行う立場ではないにしても、広域的な立場としてこの処分場の問題に対して、住民合意が十分図れるよう努力されることを求め、本請願陳情には継続を求めて意見といたします。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって請願二一第三六号及び陳情二一第三五号は継続審査といたします。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時九分散会

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