環境・建設委員会速記録第十二号

平成二十一年十月二十二日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長藤井  一君
副委員長矢島 千秋君
副委員長野上ゆきえ君
理事中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事いのつめまさみ君
野田かずさ君
吉倉 正美君
山下ようこ君
かち佳代子君
林田  武君
松下 玲子君
こいそ 明君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
理事都市地球環境部長事務取扱大野 輝之君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長大村 雅一君
緑化募金担当部長福田 良行君
参事木村 尊彦君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
事務事業について(質疑)

○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森環境政策部長 去る九月四日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり七項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、東京都環境科学研究所の主な研究実績でございます。
 平成十一年度から二十年度までの各年度における主な研究実績を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成十年度から十九年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 なお、平成十四年度以降は、注5に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で、二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、光化学スモッグ注意報等の発令状況の推移でございます。
 平成十二年から二十一年までの各年における発令日数、発令期間及びオキシダント最高濃度を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段に、一般環境大気測定局における過去五年間の測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を、下段に、自動車排出ガス測定局における状況を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 次の六ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 七ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 平成十三年度から二十年度までの各年度における調査件数、汚染が判明した件数及び処理が完了した件数を記載しております。
 八ページをお開き願います。7、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十二年度から二十一年度までの各年度における指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○いのつめ委員 まずは、地球温暖化対策について伺います。
 鳩山首相は、先月、ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットにおいて、我が国の新たな中期目標を打ち出し、温暖化防止に向けて、世界をリードする覚悟を示しました。新政権の中期目標は、我が国の温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減するという意欲的なものです。今や、気候変動対策は待ったなしであり、目標達成に向け、我が国の総力を挙げて取り組まなければなりません。
 そこで、国の新たな目標について、都のお考えを伺います。

○大野理事 国の新たな目標は、中国やアメリカなどの主要排出国が合意して参加することが前提とされております。
 また、純粋に国内での削減だけでなく、海外で削減した分も含むとされております。
 一方、都の削減目標は、一九九〇年比にしますと、二〇二〇年までに約二〇%となりますけれども、基本的に国内での削減だけを対象としておりまして、国内分については、国の新目標と余り大きな違いはないのではないかと考えております。
 いずれにしましても、重要なことは、高い目標の実現に向けた施策の具体化でございます。都は、三年前に削減目標を掲げて以来、キャップ・アンド・トレードの制度の構築を初め、着々と削減の具体策の準備を展開しております。

○いのつめ委員 国の目標はハードなものでありますが、都も二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減という高い目標を掲げています。
 いずれも、地球環境の保全のためには、ぜひクリアしていただかなければならないものです。国は世界というステージにおいて、都は日本の中で、先駆的に実現に向けて努力を尽くしていくべきであると思います。
 そこで、具体的な取り組みについて伺います。
 今月の十五日に、都は、エコ金融プロジェクトをスタートさせました。この事業は、都が七十億円を金融機関に預託し、その運用益をもとに、金融機関が環境に配慮した金融商品を都民に対して提供していくものですが、改めてこの事業のねらいを伺います。

○吉村環境政策担当部長 CO2は、日ごろの経済活動、都民生活に伴うエネルギー消費によって発生するものであることから、これを大幅に削減するためには、あらゆる機会をとらえて削減に取り組むことが重要でございます。
 金融は、経済活動の血液ともいわれており、都と金融機関が連携して金融商品に環境配慮の視点を取り組むことによりまして、都民や事業者のCO2削減の取り組みを支援していくことが本事業を進めるねらいでございます。

○いのつめ委員 都は、これまでも世界で初めてとなる都市型キャップ・アンド・トレードなど、先駆的な温暖化対策を進めていますが、私は、CO2を削減するには、規制的手法のみでは限界があると思います。本事業のように、経済的インセンティブを示しながら、多くの人々をCO2削減へ誘導していくことも必要だと思います。
 そこで、本事業によって、どのような効果が期待されているのか、所見をお伺いいたします。

○吉村環境政策担当部長 本事業は、一定の環境基準を満たします住宅や自動車の購入に係るローン利用者に対しまして、経済的インセンティブを与えることにより、省エネ住宅や低燃費車の普及を図り、またさらに、CO2削減に積極的に取り組む事業者に対し、金利を優遇することなどにより、中小企業における温暖化対策を支援していくものでございます。
 こうした省エネ型の住宅、自動車、その他設備の普及によりまして、CO2排出量の削減に資するものでございます。
 加えて、定期預金の利息の一部相当額を環境NPOに寄附するといった仕組みを設け、一般の都民が環境保全に貢献できる状況をつくり出していくものでございます。
 本事業を契機といたしまして、我が国の金融機関におきまして、環境金融が一層拡大され、環境配慮の機運が広く醸成されることを期待するものでございます。

○いのつめ委員 また、このエコ金融プロジェクトのように、新たなプロジェクトが東京都から発信されたということを私も評価をしたいと思っております。
 そして、この九月十九日に新宿区西新宿の都営住宅角筈住宅の跡地に住宅展示場がオープンいたしました。東京都が五年契約で土地を貸したものですが、近隣住民にとっては、住宅展示場になることを望んでいた方が多くいらっしゃったかというと、歓迎の声ばかりではなかったかとも思います。高齢者施設など、住民が必要としている施設を要望する声もありました。
 しかし、九月にオープンしたので私も伺ってみましたら、環境に配慮した住宅が十二棟建設されていました。屋上緑化で野菜栽培をしている住宅や、太陽光発電設置の住宅、また、駐車場も緑化されていたり、バリアフリー住宅など、本当に一つ一つの住宅を見ていると、我が家もこういう住宅になるといいなというような、本当に期待が、夢を持てるような住宅展示場でございまして、ホームページを拝見いたしますと、太陽光発電への東京都助成制度の特別セミナー開催の案内なども掲載されていました。
 環境に配慮した住宅を検討する方々に対し、情報としてエコ金融プロジェクトで二万円のギフト券がもらえるなどということを住宅展示場で広報していただいたらいかがでしょうか。
 ありとあらゆる機会をとらまえて、エコ金融プロジェクトを活用していただきたいと思います。そして、都民の皆さんの環境への意識を高める役割を果たしていっていただきたいと思っています。
 次に、食品廃棄物のリサイクルについて伺います。
 食料自給率がカロリーベースで四〇%であり、多くの食料を輸入に頼っている我が国において、食べ物をむだにしないことは大切なことです。
 しかし、残念なことに、農林水産省の統計によると、食べ残しや売れ残しが約二割となっており、それだけ食料がむだにされて廃棄物になっているということです。そのほか、食品メーカーやレストランなどからも、大量の食品廃棄物が発生しています。
 このように廃棄物になってしまった食品は、できる限りリサイクルされる必要があります。肥料や飼料などに再生利用することが可能であるにもかかわらず、いまだに廃棄処分されているものがあると聞きます。
 そこで、食品廃棄物の排出状況と処理の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○谷川参事 日本全国で、食料製造など関連事業者や一般家庭から排出される食品由来の廃棄物の排出量は、約千九百万トンとなっております。そのうち、食品製造から排出される残渣など約五百万トンが、肥料化や飼料化などに再生されております。
 また、焼却されている量につきましては、約千四百万トンとなっております。
 他方、東京都内におきましては、食品製造業が少ないことから、食品廃棄物の排出量は、家庭から排出される生ごみを中心といたしまして、約八十五万トンと推計をしております。

○いのつめ委員 食品廃棄物のリサイクルを一層推進していくことが必要だと改めて認識いたしました。
 市場関係者からのお話で、自分たちはリサイクルに協力したいと思っているが、焼却した方が安いので、そうしている。都がその差額を助成してほしいとのことを聞いたことがあります。
 民間のリサイクル施設の搬入料金よりも、区市町村のごみ処理手数料が安価なため、本来、リサイクルされるべきものが、経済的な理由から安易に焼却に回っている現状があります。
 都として、食品廃棄物のリサイクルにどう取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○谷川参事 都は、スーパーエコタウン事業におきまして、平成十八年四月から、バイオマス発電施設と飼料化施設を食品廃棄物のリサイクル施設として整備をしてまいりました。
 また、このうち、バイオマス発電施設では、食品廃棄物から発生したメタンガスを都市ガスとして供給するという新たな展開も見られております。
 一方、改正食品リサイクル法が平成十九年十二月に施行されまして、食品関連事業者に実績報告が義務づけられるなど、リサイクル義務が強化されてまいりました。
 また、二十三区の廃棄物処理手数料は、平成二十年四月から四円値上げになりまして、民間のリサイクル施設との処理料金の格差が縮まっている状況にあります。
 このような状況を踏まえまして、今後とも循環型社会形成のため、リサイクル産業の発展を図り、食品廃棄物をリサイクル施設で処理するよう働きかけてまいります。

○いのつめ委員 韓国のつまようじの材料は、木ではなく、でん粉でできているということで、残飯を飼料にするとき、つまようじで豚が傷つくことを避けるためのようですけれども、人間が食べ切れないものは豚に食べてもらって、豚が残したものは肥料にする流れで、一〇〇%再生が可能になるのではないかと思っています。
 新宿の淀橋市場では、食品廃棄物が平成二十年度で五百二十二トン出ていますが、再生利用量はわずか四十四トンで、八・六%でしかありません。
 淀橋市場からの食品廃棄物は、青果物だけですし、生ごみのように水分を含んでいないので、飼料化や肥料化は容易です。
 リニューアルが始まっているこの淀橋市場を環境に配慮した市場としていけるように、環境局も手を貸してあげていただきたいと思っています。
 また、食品廃棄物を搬出してリサイクルをするのではなく、施設内でリサイクルを行い、青果を搬入してきたトラックに飼料や肥料を積んで、農地に還元していくような完結型の施設になることが理想だと思います。
 また、二十三区内でも、廃プラスチックの扱いがさまざまです。廃プラスチックは、焼却か埋め立てかの選択ではなく、燃やしても埋めてもいけないものですから、リサイクルが必要です。まだまだ都民の皆様にご協力をいただき、廃棄物をごみにしない取り組みが必要です。
 環境先進地域になるよう、環境局も総力を挙げて取り組んでいただきたいとお願いをして、質問を終わります。

○高橋委員 まず、事業概要の二〇ページ、広域的な共通課題の取り組みに関連して、地域における地球温暖化対策についてお尋ねいたします。
 我が党は、かねがね、都内の地球温暖化対策をさらに推進するためには、都だけで取り組むのではなく、区市町村と連携して、都内全域の温暖化対策の底上げを図っていくことが必要であると主張してきました。
 都は、そうした主張を踏まえ、今年度から都民に身近な区市町村における地球温暖化対策等を推進するための補助制度を創設しましたが、私も、昨年、まさにこの事務事業質疑の場で、区市町村への財政支援の必要性を指摘した者として、この制度に大変注目しております。
 私の地元、練馬区でも、保育園や小学校において、触れ合い環境学習を行ったり、区民向けの環境イベントを開催するなど、地球温暖化対策に力を入れているため、今回の都の支援によって事業の幅が広がることに期待をしております。
 さて、練馬区では、この補助金により、練馬高野台駅前を利用して、LEDの省エネ効果を区民に紹介する取り組みを行うと聞いております。この取り組みは、多くの区民が利用する駅前において、LEDのCO2削減効果の見える化を図り、LEDという新たな技術に親しんでもらうことに加え、家庭などにもLED電球を普及させる効果があると思います。
 こうした先駆的な事例がほかでもいろいろ取り組まれていると思いますが、他の区市町村における補助金の活用状況や取り組み事例はどうなっているのか、お伺いをさせていただきます。

○吉村環境政策担当部長 活用状況でございますが、現在、第一次の交付手続を行ったところで、都の定める省エネ設備や緑化に関する支援策を区市町村が取り組んだ場合にその経費の一部を補助いたします、いわゆる選択メニューについては、二十五の区市町村が、また、区市町村が創意工夫に基づく取り組みを提案してもらい都が先駆性などを認めた場合にその経費の全額を補助いたします、いわゆる提案プロジェクトは、二十三の区市町村が活用しています。
 重複して活用している団体の数を整理いたしますと、現在までに三十四の区市町村がこの補助制度を活用しております。
 提案プロジェクトの取り組み事例といたしましては、自治体と住民による電気自動車カーシェアリング、地元大学との協力による中学生のソーラーカーづくり教室、温泉発電の導入に向けた取り組みなど、特色のあるものが多数ございまして、本制度の創設によりまして、地域の取り組みが着実に広がっていくものというふうに考えてございます。

○高橋委員 先駆的であったり、地元のポテンシャルを生かすなど、創意工夫が感じられるものばかりで興味深いと思います。
 ただ、せっかくの補助制度であるにもかかわらず、半分の区市町村しか活用していないのは残念でなりません。
 そういった団体の中には、最近、やっと地球温暖化対策に取り組み始めたところも多く、体制、知識、経験が乏しいのだと思われます。
 都は、そういった区市町村の実態に応じて、きめ細やかに相談に乗ることはもちろん、他団体の優良な事例を積極的に周知することにより、区市町村の刺激となり、さらなる取り組みにつながると考えますが、いかがでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 都は、これまでも区市町村からの事前の相談に応じまして、ノウハウの提供など、それぞれの取り組みの実現を支援してきたところでございますが、今後は、主管課長会を初め、あらゆる機会をとらえまして、優良事例の紹介や助言に一層努めてまいります。
 加えまして、ホームページや事例集などを作成、配布することによりまして、優良な取り組みをわかりやすく紹介することによりまして、区市町村の担当セクションにとどまらず、地域の環境活動に取り組む都民の方々などにも、本制度や各団体の取り組みを知っていただき、都内全域で先駆的な環境対策に取り組む機運をさらに高めてまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋委員 ぜひとも、さまざまな形で区市町村を支援していただきたいとお願いしておきます。
 ところで、練馬区は、環境学習や環境イベントなどで、区民に電気自動車を紹介するため、いわゆるEVを購入しましたが、単なる購入では補助対象にならないなど、この制度は、細かい補助条件があるという声が私にも届いております。
 もちろん、温暖化対策であれば何でも補助対象とするというのはいかがなものかと思いますが、さきに行われた第三回定例会の代表質問において、我が党から質問したように、この制度を区市町村の広範な環境施策を下支えする制度とするため、より幅広い取り組みを対象としていただきますよう重ねて要望し、次の質問に移らせていただきます。
 次に、廃棄物対策についてお尋ねいたします。事業概要の一六三ページにある、薬局による注射針の回収に関連してお伺いいたします。
 私は、平成十六年三月の当委員会で、在宅医療に関連した廃棄物の問題として、薬局による使用済み注射針の回収事業についての問題を初めて議会で取り上げさせていただきました。
 高齢化社会が進み、慢性疾患や、自宅で医療を受けたいという要望がふえ、例えば糖尿病の患者の方が医師の処方せんを持って薬局で注射針を購入し、自宅でインシュリン注射を行うなど、今まで医療機関で行われていた医療が一般家庭でも行われるようになっております。
 このように、医療技術の進歩により、患者の方々にとっては便利になりましたが、一方で、使用した注射針が家庭からごみとして排出されることになります。患者の方も、こうしたものを一般のごみと一緒に捨てるのは抵抗があるだろうし、区が実施するごみの収集作業でも、安全面の問題があると聞いております。
 本来、家庭から排出される一般廃棄物の処理は、区市町村の責務でありますが、そうした各自治体共通の課題がある中、都の働きかけをきっかけとして、私の地元の練馬区薬剤師会と、杉並区薬剤師会の皆さんが決断し、平成十四年十一月から、薬局が患者さんから回収した注射針を専用の容器に詰め、産業廃棄物処理業者に引き渡し、適正処理するという仕組みを構築いたしました。
 その後、翌年には、さらに九区三市で取り組みが始まり、平成十六年に、私が議会で取り上げた当時には、都内の十一区三市でこの回収事業が実施されておりました。
 私は、その際、こうした薬局による使用済み注射針の回収は大変よいことであり、都内全域で実施することが望ましいと提言したものであります。
 その後、平成十八年の当委員会で、再度質問したところ、この回収事業は、二十三区と多摩二十六市三町一村の全地域に拡大しておりました。
 都の働きかけにより、練馬区や杉並区のモデル事業を契機に、薬局による注射針の回収システムが都内全域に拡大したことは、進展する高齢化社会の中、在宅医療廃棄物の適正処理を推進する上で大変意義があることだと思います。
 そこで、伺います。その後、さらに数年が経過いたしましたが、現在、この回収事業は順調に運用されているのでしょうか。また、都はこれまでどのような支援を行ってきたのか伺います。

○井戸廃棄物対策部長 家庭から排出されます使用済みの注射針につきましては、理事ご指摘のとおり、練馬、杉並両区で始まりました東京都薬剤師会による自主回収システムが既に二十三区及び多摩地域の全域に拡大しておりまして、現在、約三千九百の薬局に参加いただいております。
 都としましても、薬剤師会と連携しながら、事業の立ち上げに要します経費の財政支援ですとか、あるいは、回収事業に対する技術的支援、並びに区市町村への働きかけなど、システムが円滑に進むよう支援してまいりました。
 その結果、現在では、都内全域で、毎月、使用済み注射針の専用回収容器、約六千個が回収されておりまして、適切に処理されております。

○高橋委員 システムが円滑に進んでいるのは大変よいことだと思いますが、今後、在宅医療の進展に伴い、家庭からの在宅医療廃棄物の量は増加し、種類も多様化していくことが予想されます。
 在宅医療廃棄物の適切な処理体制を実現するためには、在宅医療を担う医療機関、薬局、処理責任のある区市町村、そして、医療機器を生産するメーカー等、すべての関係者が共同して取り組む必要があります。
 東京都としても、在宅医療廃棄物の取り扱いに対して、広域的な立場から積極的に取り組む必要があると思いますが、所見を伺います。

○井戸廃棄物対策部長 都としましても、今後、増加します在宅医療廃棄物を将来にわたりまして、安定的かつ、安全に回収していくことは重要と認識しております。
 点滴バッグなど感染のおそれのない在宅医療廃棄物につきましては、家庭ごみとして区市町村が適正に処理することが基本でございまして、また、特に鋭利でございまして、慎重に扱うべき注射針につきましては、先ほどご答弁申し上げたとおり、薬剤師会による自主回収システムが引き続き円滑に運用されることが重要だというふうに考えております。
 今後とも安心して在宅で療養できます環境の整備を図るために、在宅医療を担う医療機関、薬局、処理責任のある区市町村、そして医療機器を生産するメーカー等、すべての関係者が共同して取り組む必要がありますことから、都としても積極的に働きかけてまいります。

○高橋委員 新型インフルエンザの流行など、今後、さらに自宅で医療を受ける患者さんがふえると予想される中で、安心して在宅で療養できる環境の整備を図れるよう、引き続き、東京都の適正な関与をお願いいたします。
 次に、事業概要の一八六ページにある、新たな3R戦略のための専門家会議に関連してお尋ねいたします。
 私は、本年三月の予算特別委員会において、これまでの都の施策では、循環型社会に向けた取り組みと低炭素社会を目指す取り組みとの統合がまだまだ不十分であるという印象をぬぐい得ないことから、二十一世紀にふさわしい、新しい施策を構築するよう要望いたしました。
 その際、局長からは、三月末に専門家会議を設置して、新たなリサイクルの促進策を、地球温暖化対策などの視点も盛り込んだ幅広い視野で検討する予定であるという趣旨の回答をいただきました。
 まずは、この専門家会議の検討経過についてお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 私どもの生活や産業に欠かせない資源の利用につきましては、地球温暖化問題や国際的な経済状況の動向などによりまして、ここ数年、大きく変化してきております。
 そのため、東京都では、新たな視点から3Rの施策につきまして、環境経済学ですとか、あるいは地球温暖化対策、製品のライフサイクルアセスメントなど、幅広い分野から専門家の方々の参画を得まして、ことし三月に専門家の会議を設置いたしまして、九月までの半年間、議論をしていただきました。
 この間、委員の方々以外にも、資源工学の専門家などを招きまして、資源の枯渇問題につきまして、意見の交換の機会を設けるなど精力的に議論を行い、問題の所在ですとか、解決に向けた一定の方向性を示していただきました。

○高橋委員 この専門家会議では、統合的な資源循環戦略として、先月に一定のまとめがなされたと聞き、私も一読させていただきました。
 その中で、東京に限らず、我が国が多大な資源を消費し、その約半分近くを海外からの輸入に依存している実態や、それを利用する過程で、温室効果ガスの排出など、環境に少なからぬ負荷を与えていることがわかりました。
 また、製品の生産から使用、廃棄までの資源利用のサイクルにおいて、我々の活動ができるだけ環境に負荷を与えないために考慮すべきものとして、資源利用サイクルのインプット側では天然資源採取の問題、アウトプット側では温室効果ガス排出と廃棄物最終処分の二つの問題、合わせて三つの問題を提起し、統合的な取り組みが必要であるとしています。
 これまで、リサイクルや廃棄物処理を資源の有効利用の観点から検討してきた事例は多く見受けられますが、さらに、これらの施策について、温室効果ガス削減や天然資源採取時の問題と結びつけた検討は余り行われていません。
 専門家会議で指摘された三つの問題のうち、まず初めに天然資源の採取や、その利用について、どのような問題があり、それに対してどのような取り組みが必要なのか伺います。

○井戸廃棄物対策部長 天然資源採取の問題でございますけれども、大きく分けて二点ございます。
 一点目につきましては、我々が日常利用しております製品に多く含まれております金属資源などにおきましては、その採掘や製錬の過程で、不要な岩石ですとかCO2を大量に排出している例が多く、環境に大きな負荷を与えてございます。
 二点目につきましては、資源が埋蔵されております地域ですとか国が偏っておりまして、資源が乏しい我が国では、今後、資源の不足ですとか、あるいは、その確保に大きな経済的な負担が生じる可能性があることでございます。
 今後は、天然資源を安易に利用するのではなく、一度採取された再生資源の利用に転換していくことが重要であり、天然資源と再生資源が環境に与える負荷の程度を比較できる仕組みが必要というふうに考えてございます。
 さらに、我が国で多く利用されております、家電などに含まれておりますレアメタルなどのリサイクルですとか、あるいは、リサイクルが容易な製品の設計思想の普及などの施策を構築することが重要であるというふうに専門家の会議では提言しております。

○高橋委員 金属資源に代表される天然資源採取の問題は、東京だけでなく、資源の乏しい我が国全体の問題であるといえます。
 石油、石炭などの、エネルギー資源だけでなく、日常にある製品の素材のほとんどは、海外からの購入に頼っているのが現状であります。
 今後、国際的にもその確保が困難となっていく中、天然資源ではなく、国内や、その地域における再生資源をできるだけ利用することが、持続可能な社会における資源戦略の上からも重要になってくると考えます。
 さて、三つの問題のうち、二点目の温室効果ガス排出量削減の問題でありますが、これについても、3Rに関連して、その内容と取り組みの方向性について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 温室効果ガス排出量削減の問題でございますけれども、近年、地球温暖化の影響は、人類の生存を脅かすほどの問題となっております。
 資源利用量がふえれば、各種素材の生産ですとか、移動等に伴う温室効果ガスの排出量も増加し、その危機はますます深刻化していくおそれがあります。
 こうした状況を回避する一つの手段としまして、リサイクルを促進しまして、温室効果ガス削減を図ることは重要でございまして、そのためには、リサイクルをした場合とを比較して、温室効果ガスの排出量の削減がどれくらい違うのかを評価することが重要というふうに考えてございます。
 しかしながら、温室効果ガス排出に関しまして、再生資源の利用やリサイクルによる削減効果を定量的に把握する仕組みが現在まだ確立されておりません。このため、これらに関する調査研究を進めまして、その算定ルールや評価方法などの仕組みを構築することが重要であるというふうに専門家の会議では提言しております。

○高橋委員 リサイクルすると環境に優しいなどとよくいわれます。感覚としてはわかりますが、例えば、実際にどれくらいの温室効果ガス削減の効果があるのかというのは、客観的なデータがなければ、社会的に理解を得て、実際の行動として促していくことはできないと思います。
 そのため、3R施策による温室効果ガスの削減効果をルール化することは、大きな意義があると私は考えます。
 また、リサイクルや廃棄物処理の事業者の皆さんにとっても、自分たちの行っている事業がどれくらいの貢献がなされているのか知ることは、事業をより一層展開していく上での大きな武器にもなると思います。
 ぜひ、だれにでもわかる計算方法やルールなどの検討を進め、リサイクルと温室効果ガス削減の関係を明確にしていただきたいと思います。
 次に、三つの問題のうち、最後の廃棄物最終処分の問題に関連して、その課題は何か伺います。

○井戸廃棄物対策部長 最終処分量の問題でございますけれども、都市の成熟化に伴いまして、ビルなどの建築物や道路などの構造物が更新時期を迎えることにより、建設廃棄物が大量に発生するおそれがございます。
 現在、これらの建設廃棄物はほとんどリサイクルされていますが、その受け入れ先の大半は、道路建設を初めとする公共工事でございます。
 しかしながら、公共工事の今後の動向によりましては、リサイクルの受け皿がなくなり、再び最終処分量が増加するのではないかというおそれが生じてまいります。
 これらを回避するため、専門家の会議では、建築物の長寿命化の促進や、現在、品質の関係から土木資材に使われておりますリサイクル品を、品質の向上を図って、建物などの建築資材などに再生する高度なリサイクル技術の促進が必要であることを提言しております。

○高橋委員 活力ある都市東京を維持していくためには、一定の機能更新は必要であると思います。
 同時に、持続可能な都市東京を築いていくためには、その際に発生する建設廃棄物を、環境に負荷を与えることなくリサイクルしていくことも当然必要になってきます。
 ほかの廃棄物に比べて、量的に多大なものとなる建設廃棄物については、今のうちから何らかの方策を検討していくことが重要ではないかと思いますし、ぜひ精力的な検討を進めていただきたいと思います。
 専門家会議のまとめでは、これまで明確でなかった資源利用に関する重要な問題について、統合的な資源循環戦略の構築に向け、新しい考え方を示しながら整理し、まずは明らかにしていただいたことに大きな意義があると思います。
 しかしながら、私がまとめを読む限り、その内容はまだ概念を整理した段階と見受けられ、具体的な施策を構築するためには、今後、十分な調査や議論を精力的にしていく必要があると考えます。
 都として、専門家の先生方からいただいたこれらの新たな3Rの考え方をどのように受けとめ、今後、施策の実現化を図っていくのか、局長の決意を伺います。

○有留環境局長 都は、環境基本計画の中で、目標の一つとして、気候危機と資源制約に立ち向かう新たな都市モデルの創出を掲げておりまして、その実現を図るためには、資源循環型社会と低炭素社会の統合は極めて重要な課題でございます。
 今回いただいた専門家会議の意見は、統合に向けた課題と、その実現に向けた新たな考え方を明確に示していただいたものと受けとめております。
 この専門家会議の意見を踏まえながら、これまでの廃棄物リサイクル施策を他の環境施策とさらに一体的に進め、環境局内はもとより、庁内や関係団体、都民の方々とも十分意見を交換しまして、新たな統合的3R戦略の構築を図ってまいります。

○高橋委員 専門家会議の中では、東京都は、新たな3R施策を大胆に提案できる立場にあり、対外的に与えるインパクトも非常に大きいと思います。
 ぜひ低炭素社会との統合など、新たな視点から検討を積極的に進めていってほしいという意見が出されたとも聞いております。
 私が三月に要望した新しい3R施策に向けた取り組みが、今後は確実に実を結ぶ施策となるために、都として十分な検討を進めていただくようお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○吉倉委員 環境局関係の事務事業について、三点質問いたします。
 最初に、運輸部門のCO2削減に関連して、公共交通機関としてのバス事業について伺います。
 私の地元、新宿では、先月から新たな公共交通機関として、新宿駅の東西を循環する「新宿WEバス」が運行を開始したところであります。地域の住民、事業者の願いであった駅の西口エリアと東口エリアを結び、地域全体の回遊性を高めることをねらいとした取り組みですが、それに加えて、マイカー依存を減らしていく契機になるものと私は期待をしております。
 地球温暖化対策を進めるためには、都内の二割を占める自動車からのCO2の削減は重要な課題であります。東京都は、運輸部門のCO2を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で四〇%削減するという目標を掲げておりますが、その実現のためには、自動車への過度の依存を減らし、鉄道やバスなど、環境に優しい公共交通機関へのシフトを進めていくことが必要です。
 そこで、まず、公共交通機関としてのバス利用の環境効果について伺いたいと思います。

○市川自動車公害対策部長 地球温暖化対策を進めていくためには、自動車への過度の依存をなくし、環境負荷の少ない交通手段への交通行動の転換を促進することが必要でございます。
 バスは、乗客一人を一キロメートル運ぶ際に排出されるCO2の量が、マイカーなどの乗用車の約三割程度と、環境負荷が少ない交通手段です。マイカーなどの乗用車から公共交通機関としてのバス利用への行動転換が進みますことで、環境負荷が低減するものと認識しております。

○吉倉委員 ハイブリッドバスの導入のような路線バスにおけるCO2削減の取り組みは、マイカー利用からの転換を促す受け皿として、単に導入された台数分のCO2削減量にとどまらず、公共交通機関利用の環境面での意義をわかりやすく都民に知らせる上で、重要な役割を持っているというふうに考えております。
 また、路線バスの一般的な使用年数が十年を超えることを踏まえますと、来年度、新規導入される車両が二〇二〇年には現役で活躍していることから、二〇二〇年のCO2削減目標達成に向けた直接的な手段としての意義もあると、このように考えております。
 路線バス事業者は、積極的にCO2削減の努力をすべきであり、二〇二〇年までに二五%のCO2削減を進めるためにも、導入車両は、原則的にハイブリッドバスにするなどの取り組みを早急に行うべきでありますが、都は、これらの取り組みに対してどのような支援策を講じているのか伺います。

○市川自動車公害対策部長 ハイブリッドバスの導入につきましては、平成二十年度より、路線バス事業者がこれを導入する際に、通常のバスの価格との差額から国の補助額を除いた額の半分につきまして、百万円を上限として補助してございます。
 平成二十年度には、都バスにおいて、都の補助を活用した三十三台を含めまして、四十三台のハイブリッドバスが導入され、また民間バス事業者においては、都の補助を活用して六台が導入されました。
 平成二十一年度は、六十台分の補助予算を計上しておりまして、都バスからは昨年度を上回る補助申請が既に寄せられ、また、現在、民間バス事業者からの申請も寄せられ始めてございます。

○吉倉委員 ご答弁いただきまして、公営企業である都バスが先導的な役割を果たして、ハイブリッドバスの導入が進んできたことはよくわかりますけれども、民間バス事業者における導入は、都バスに比べるとおくれてしまっております。
 ハイブリッドバスの導入が進まない理由についての認識をお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 一般のディーゼルバスと比べますと、ハイブリッドバスの価格は数百万程度高くなってございます。国及び都等の補助によりまして価格差は当然圧縮されますものの、バス導入の初期費用が若干ふえてしまうことがハイブリッドバスの導入が進まない理由の一つと考えております。
 また、最近のハイブリッドバスと異なりまして、一昔前に導入されましたハイブリッドバスは故障が多かったことから、現在でも事業者の中には、ハイブリッドバスの導入に対して不安感を覚えている方々もいらっしゃいます。
 こうした事業者に対しまして、現在のハイブリッドバスの信頼性の高さなどの技術情報が適切に提供されず、十分に現状が理解されていないことなどが、ハイブリッドバスの導入が進まない要因の大きなものであると考えております。

○吉倉委員 民間バス事業者が、経費節減に努めながら路線及び便数の維持に汗を流している中で、補助金により軽減されているとはいえ、自己負担のふえるハイブリッドバスの導入にちゅうちょするのは、昨今の経済状況を踏まえると理解できるところであります。
 しかし、東京バス協会は、団体要望においてハイブリッドバスの導入補助を要望されており、この要望は、苦しい中で悩みながらも路線バス事業者としての社会的責任を果たそうとしているというふうに私は受けとめ、高く評価しております。
 二十年度決算における民間バス事業者の補助申請状況を踏まえ、民間バス事業者が補助金を活用して、ハイブリッドバスを導入しやすくなるような工夫や仕組みづくりにも、都は取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○市川自動車公害対策部長 都といたしましては、既に都バスに導入されましたハイブリッドバスの運行状況から得られました実走行における使い勝手などの情報をメーカーにフィードバックして車両の改良を促し、それを知らしめることによりまして、民間バス事業者の導入に当たっての不安の払拭に努めてございます。
 また、東京都として公共交通機関の利用を促進する中で、ご指摘いただいたような路線バス利用が持つ環境面での大きな役割を広く周知することによりまして、積極的にハイブリッドバスを導入する路線バス事業者の企業としての社会的貢献や意義についても、都民が理解しやすい環境づくりを進めてまいります。

○吉倉委員 ただいま積極的にハイブリッドバスの導入を目指した環境づくりを進めていくと、こういう答弁をいただきました。
 私は、二〇一六年のオリンピック招致はなりませんでしたけれども、「十年後の東京」に掲げた都としてのCO2削減への取り組みを一歩も後退させることなく、しっかりと続けるべきだというふうに考えております。
 都バスでは、公営企業として、みずからの努力により、この間、積極的な導入を続けたハイブリッドバスに関して、導入ペースを落とすべきでないと、このように考えております。
 民間バスにおけるハイブリッドバスの導入が進むように、補助事業を含む支援策を充実するよう、都は、今後も一層努力をしていただきたいと、このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、産業廃棄物対策についてお伺いいたします。
 ご承知のとおり、産業廃棄物の場合、その排出者である事業者がみずから処理することが原則となっております。
 しかし、みずから処理している事業者はむしろ少なく、ほとんどの場合、産業廃棄物処理業者に委託され、処理が行われております。一般廃棄物の場合には、原則として区市町村が処理責任を負っているわけですから、そのことを考えますと、産業廃棄物の処理やリサイクルを行っている処理業者の役割は重く、循環型社会を実現していく原動力として極めて大きな期待が寄せられていると、このようにいえるというふうに考えております。
 このため、産業廃棄物の適正処理などの促進を図るために、環境への負荷の少ない優良な取り組みを行っている処理業者は、今以上に社会や市場から高く評価されるべきであると考えております。反面、不適正な処理を行うような悪質な業者に対しては、徹底的な対策を講じ、排除していくという強い取り組みが必要であります。
 東京都が今回導入されました優良な産業廃棄物処理業者の第三者評価制度は、このような考え方に基づいたものと認識しております。
 私ども都議会公明党は、平成十八年度から、本会議代表質問や常任委員会でこの問題を取り上げるなど、いち早くその必要性を主張してまいりました。今回、ようやく制度を立ち上げられたということについて、これを高く評価するものであります。
 この制度をよりよいものとして、広く定着させていきたいという、こういう観点から、何点かお伺いいたします。
 私は、このような認定制度においては、どこが認定主体となるのか、このことが制度の透明性や信頼性という点において非常に重要なポイントになると、このように考えております。
 都は、第三者評価機関として、東京都環境整備公社を指定いたしましたが、公社を指定した理由をまずご説明いただきたいというふうに思います。

○井戸廃棄物対策部長 今月の初めに立ち上げましたこの制度につきましては、健全な産業廃棄物処理、リサイクルビジネスの発展を目指しまして、産業廃棄物処理業者の任意の申請に基づきまして、適正処理ですとか、資源化ですとか、あるいは、環境に与える負荷の少ない行為を、取り組みを行っている優良な業者を第三者評価機関が評価、認定する制度でございます。
 本制度では、第三者評価機関に求める要件としまして、産業廃棄物処理に関する調査研究実績があること、公平、公正に認定できる体制を有していること及び公益法人であることなどを定めております。
 東京都は、これらの要件を踏まえまして、複数の団体と調整しました結果、東京都環境整備公社を第三者評価機関に決定したものでございます。
 なお、指定に当たりましては、局内の審査委員会で要件への適合性を審査してございます。

○吉倉委員 ご答弁ございましたとおり、確かに環境整備公社は、監理団体として長い期間にわたり、都の廃棄物行政を補完してきております。また、最近では、環境科学研究所や地球温暖化防止活動推進センターの運営など、所管事業も広がり、都の環境行政をサポートする法人へと衣がえをしてきているというふうに聞いております。
 こうしたことなどを勘案しますと、都が環境整備公社を第三者評価機関に指定したことについては、納得のいく選択だろうと、このように考えております。
 次に、今後の進め方についてでありますけれども、まずは、処理業者にこの制度を周知し、参加を促すことから始めるべきと思いますが、そうしたことを含めて、申請や認定の時期について具体的に伺いたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 本制度の進め方についてでございますけれども、ご指摘のとおり、まず、処理業者さんへの周知が重要でございますことから、業者さん向けの制度説明会を今月の十四、十五及び十九日の三回実施いたしました。
 その参加者数は、延べ四百十九社、五百三十八名でございました。
 次に、認定の申請期間につきましては、事前の周知期間などを考慮いたしまして、今月の二十六日から一カ月間程度、設けてございます。
 その後、公社によります書面審査及び現地審査などを踏まえまして、排出事業者が来年度の委託処理業者の選定に活用できますように、来年の二月には認定業者の公表を行う予定としております。

○吉倉委員 来年の二月には認定業者の公表を行うということでありますけれども、答弁にありましたように、排出事業者が来年度の契約相手を選定する上で活用できるようにしませんと、認定業者にとっては何のための認定なのかということになりかねません。その点は、ぜひとも早く認定できるように要望しておきたいと、このように思います。
 次に、この制度が、永続的、かつ円滑に運営されるためには、社会的に信頼されるものであるとともに、処理業者にとって魅力のあるものでなければなりません。処理業者にとっての効果について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 処理業者さんに対する効果としましては、認定されました事業者の方々に、それをあらわします産廃エキスパートという表現と、産廃プロフェッショナルという表現を用いまして、認定ロゴマークの使用などによりまして、排出事業者や関係業界などに幅広くアピールすることができ、ビジネスチャンスの拡大につながるというふうに思っております。
 また、認定をなす過程におきまして、社内体制の点検、整備を図りましたり、みずからの事業運営のステップアップを行うことによりまして、企業体制の強化を図ることができるというふうに考えてございます。
 なお、本制度をさらに魅力あるものにするために、さらなる方策につきましても、制度の運営状況を見ながら、業界などの意見も踏まえまして検討してまいります。

○吉倉委員 ビジネスチャンスの拡大が期待できると、こういう答弁でございます。
 私も何人かの処理業者の方々にお話を伺いましたが、最大のインセンティブは、仕事がふえることだと、このようにいっております。当然のことであります。
 その意味で、この制度のもう一つの、もう一方の利用者といえる排出事業者が、この制度を十分に認識していることが大事になります。
 都は、この制度を排出事業者に対して、いかに周知していくのか、その手法について伺います。

○井戸廃棄物対策部長 先生ご指摘のとおり、この制度が実効性あるものとして広く活用されるためには、仕事の委託先でございます排出事業者にこの制度の意義や目的が十分に理解されるとともに、認定された処理業者の情報が容易に得られることが必要でございます。
 このため、東京都としましては、PR用のリーフレットの配布などを行うとともに、経済団体や建設業界などを対象としました制度の説明会を、今年度は十二月から二月にかけまして六回ほど開催する予定でございます。
 また、制度の概要ですとか、認定された処理業者の情報につきましては、都のホームページで公表するなど、あらゆる機会をとらえまして、排出事業者に対しまして積極的な周知を図ってまいります。

○吉倉委員 ぜひとも十分なPRに努めていただきたいと、このように思います。
 私は、この制度は、これまでの産業廃棄物処理業界のイメージを大きく変える可能性を持ったものではないかというふうに考えております。将来的には、東京にとどまらず、より広域的にこの制度が広まっていくことを期待しております。
 一方、制度が広く活用されるためには、その実効性が重要となります。引き続き、処理業者にとって、魅力ある制度となるようなインセンティブが必要ではないかというふうに考えております。
 例えば、認定された処理事業者には、公共発注のときの入札要件で何らかの特典が与えられるなど、積極的な検討を今後とも要望しておきたいと、このように考えております。
 最後に、小笠原諸島の観光と自然について伺います。
 先月末、小笠原諸島世界自然遺産登録に向けて、ユネスコに推薦書類の仮提出が行われました。日本では、平成五年に、白神山地と屋久島、平成十七年に、知床が登録されて以後、世界自然遺産に登録される案件がありませんでした。かねてから一日も早い小笠原諸島の世界遺産登録を願ってきた一人として、大きな前進ととらえております。
 過去に、推薦書類を提出しても、保全措置が十分でないなどの理由から、世界遺産に登録されなかった案件もあるというふうに聞いております。過去の事例に学び、ぜひ登録をかち取ってほしいと、このように願っております。
 小笠原諸島では、外来種であるグリーンアノールの食害により、固有の昆虫が絶滅の危機に瀕していることや、外来植物であるアカギの繁茂により、固有の植物が育たなくなるなどの影響が出ております。
 小笠原諸島は、独自の進化を遂げた多くの固有種や、世界的な希少種が生息、生育し、特殊な島しょ生態系を形成していることから、世界遺産登録に当たっては、外来種対策は最大の課題であると考えております。
 小笠原諸島において、外来種対策を推進していることについて、その具体的な取り組みと成果について伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 小笠原での外来種対策といたしまして、まず、都としては、小笠原本来の植生の回復を図るために、植生への影響を与えるノヤギの排除や、固有植物の生育を妨げているギンネムや竹、ササなどの外来植物の排除を進めております。
 このほか、グリーンアノールやアカギなどについては、国や村など関係機関が連携をして取り組んでございます。
 これらの取り組みによりまして、ノヤギにつきましては、聟島列島と兄島で根絶することができまして、弟島につきましても年度内の根絶を目指しておりまして、希少固有植物が回復するなど、外来種対策について一定の成果を上げているところでございます。

○吉倉委員 外来種対策が進んだことにより、自然を保全する取り組みが整い、世界遺産登録の手続に踏み切ることができたと、このようなことだというふうに思います。
 今後、世界遺産登録ということになれば、それを見るために多くの観光客が訪れます。観光客がふえ過ぎると、小笠原諸島の自然にどういう影響を与えるのか、この点を伺いたいというふうに思います。

○大村自然環境部長 観光客が自然豊かな場所に自然が持つ許容範囲以上に多く入り込みますと、踏み固めによる植生の荒廃や動物へ与えるストレスの増加など、自然環境に対して悪影響を与えることとなります。
 また、人の移動に伴いまして、植物の種などが衣服や靴底に付着するなどしまして、新たな外来種が意図的でなく持ち込まれる可能性や、また、外来種が入っていない島へ外来種を拡散させる可能性が高まっていると、このように考えてございます。

○吉倉委員 ご答弁にありましたとおり、外来種が持ち込まれる可能性が高まるということですけれども、小笠原諸島のように独自に進化した生態系を持つ海洋島においては、外来生物が一度入ってしまうと、生態系のバランスが崩れ、非常に大変な問題になるというふうにも聞いております。
 そこで、観光客による新たな外来種の持ち込みや拡散という影響に対する取り組み内容について、具体的に伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 小笠原諸島での外来種の持ち込みや拡散を防ぐには、唯一の移動手段でございます船への乗りおりのときの対策が重要であるというふうに考えてございます。
 このため、父島では下船時に東京都レンジャーが立ち会いまして、動植物の持ち込みの確認を行ってございます。
 また、母島では、靴底の土に付着している可能性がありますプラナリアなど、外来種を持ち込まないように、下船時に海水マットによる靴底の洗浄の指導などを行いまして、外来種の拡散を防ぐ取り組みを行ってございます。

○吉倉委員 観光客が許容範囲以上に多く入ると、悪影響を及ぼすということであろうと思います。自然の保全と観光振興の間には適正なルールが必要だというふうに思います。
 自然と観光の両立を図る取り組みとして、小笠原諸島では、自然ガイドの同行や利用人数制限等を定めている東京都版エコツーリズムが平成十五年から行われておりますけれども、この点について、現状をお伺いしたいというふうに思います。

○大村自然環境部長 都は、要綱に基づきまして、自然環境保全促進地域に指定した南島と母島石門一帯におきまして、東京都版エコツーリズムを行ってございます。
 現在、南島では、一日当たり最大利用者数を百人に制限するなどのルールを設けておりまして、その適切な運用によりまして、過去に荒廃した植生が回復してきている状況になってございます。
 また、母島石門一帯におきましても、適正な運用によりまして、貴重な自然が昔と変わらず守られている状態となってございます。

○吉倉委員 東京都版エコツーリズムにより植生が回復してきたことは評価したいと思いますけれども、東京都版エコツーリズムは、小笠原諸島の中でも、南島と母島石門一帯の場所に限定されております。小笠原諸島にはそれ以外の場所にも森林や海域など多くの自然がありますが、それらの場所では、自然を守る利用のルールはないのかどうか、この点を伺いたいと思います。

○大村自然環境部長 小笠原諸島では、自然を守るために、南島や母島石門一帯以外でも行政機関や地元関係団体など、さまざまな主体が自主ルールを定めてございます。
 具体例を挙げますと、森林へ入る際の利用ルートの指定やガイド同行のルール、ホエールウオッチングの際の距離の制限、ウミガメを観察するときのガイドラインなどがございます。

○吉倉委員 ご答弁いただきまして、小笠原諸島では、行政によるさまざまな取り組みや地域の自主ルールなどにより、観光との両立が図られ、自然環境が守られているということがわかりました。
 しかしながら、今後も、自然環境の保全と観光との両立を図るためには、観光客に対して、より一層の普及啓発を行うべきと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○大村自然環境部長 外来種の持ち込み等に関しましては、来島前にあらかじめ注意喚起をすることが重要であり、小笠原諸島への出発地でございます竹芝桟橋や船の中などでの注意の呼びかけなどを充実強化していくことが必要と考えてございます。
 小笠原島内では、自然を守るルールを徹底するため、ガイドつきのツアーの利用の奨励も必要だと考えてございます。
 また、自然環境に関する理解を深めてもらうため、観光客による外来種駆除などのボランティア活動を推進することも有効であると考えてございまして、これらの取り組みにつきまして、関係機関と連携して進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○吉倉委員 小笠原諸島において、観光と自然環境の保全との共生は非常に大切であります。
 引き続き、さまざまなルールの運用などにより、世界自然遺産登録を目指している小笠原諸島の自然環境を守るために、今後の環境局には大いに期待しております。ぜひ頑張っていただきたいと、このように思います。
 最後に、世界自然遺産登録に向けた小笠原諸島の自然環境の保全について、局長のご決意をお聞きして、私の質問を終わります。

○有留環境局長 小笠原諸島は、海洋プレートの沈み込みと火山活動により形成された島々が発生の初期段階から順に観察できる世界で唯一の場所でございます。
 また、お話のように、一度も大陸と地続きになったことがないことから、独自の進化を遂げた生態系や、多くの固有動植物が見られる世界に誇る貴重な価値があるところとして、将来にわたり、その自然環境を保全していくことが重要でございます。
 世界自然遺産登録に向けまして、環境局はその先頭に立って、今後とも国や村など関係機関と連携して、観光と共生する自然環境の保全の推進や外来種対策などに取り組み、小笠原諸島の貴重な自然を守ってまいります。

○かち委員 私からも、地球温暖化対策について、まずお聞きします。
 今日、地球温暖化から人類の未来をいかに救うかが、世界でも、日本でも、東京でも、焦眉の課題となっています。
 既に一九九七年の京都議定書から、温室効果ガス削減目標達成に向けた第一約束期間、二〇〇八年から十二年に入っています。京都議定書の議長国である日本は、約束期間後の取り組みについて、地球環境を守る国際的責任を果たすことが強く求められているところです。
 本年九月に誕生した新政権は、日本のCO2削減を中間目標として二〇二〇年までに京都議定書の基準年である一九九〇年比二五%削減を宣言しました。それは当然のことでありますが、画期的なことでもあります。
 都は、二〇〇〇年比で二五%削減の取り組みを始めていますが、国全体のCO2削減効果を上げていく上でも、都としての目標を基準年対比に上げていくべきと思いますが、見解は先ほど、いのつめ理事の質問にお答えいただいたので省きますが、そのご答弁の中で、国は海外での削減分も含んでいる、東京都は国内分だけの目標だと。九〇年比換算にすれば二〇%、だから、国と比べても遜色ないんだというふうにお聞きしました。
 なぜ東京だけの削減目標といわなかったかといいますと、目標の三分の一は、都外との取引も含まれているとのことでした。重要なことは、基準年の値が実態を反映したものであるということです。
 ところが、きょういただいた資料にもありますが、この二ページのところの資料ですが、CO2排出量の推移の表では、基準年の値が五千四百四十万トンとなっています。ここには、空港や船舶からのCO2分は加味されていないんですね。それはどうしてなのでしょうか、まずお聞きします。

○大野理事 まず最初に、三分の一は都外分というお話がございましたけれども、これは二五%削減目標全体のことをいったわけではございませんで、かち委員がおっしゃっているのは、おそらく総量削減義務制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度の話だと思います。
 キャップ・アンド・トレード制度におきましては、対象事業所が削減義務を負いまして、その義務を履行するわけですが、その際に、その分に関しては、三分の一は都外分利用が可能であるということでございます。ですから、東京の二五%全体に関して、そういうルールをしているわけではないということをまずご理解願いたいと思います。
 それから、運輸部分の数字でございますけども、現在、排出量の算定のルールというのは、世界的には、京都議定書に基づいて決められております。この中では、各国の排出量を算定する際に、国際線の航空、船舶の排出量は対象になっておりません。また、国内の場合、地方自治体の温室効果ガスの排出の算定となるガイドラインも国がつくっておりますけれども、これにおきましても、そもそも運輸部分の対象は自動車に限定されておりまして、航空、船舶は一切対象になっておりません。
 こういう中でも、まさに都といたしましては、できるだけ正確に把握をするということを意図いたしまして、地域内の把握量を正確に算定するために、自動車だけでなくて航空、船舶についても都内の運航分を対象にして算定していると、こういうことでございます。

○かち委員 先ほどの三分の一の分は、別に二五%だと私もいっているわけではなくて、企業が、事業所が一番、今、排出量が多いわけですよね。その中のトレード分として、その三分の一は都外でもいいということは、それも影響しているんだということでいったわけです。
 それで、今の、船舶は入れていないということなんですけれども、環境基本計画、二〇〇八年につくられました、この中に、空港、船舶を入れなければ、五千四百万トン。これは、この資料に出された基準年と同じ値なんですよ。それで、空港や船舶も入れれば、五千七百万トンというふうになっているので、明らかにここで出されている、資料に出されている数値は、空港、船舶を入れない場合の数値で出していると思うんですね。
 先ほど部長がおっしゃられたように、実態を正確につかむことが何よりも大事だと思うんです。国際的にそういうものは入れなくなったんだということですけれども、じゃあ、そういうものは一体どこで掌握して、どう削っていくのかというのは全く見えなくなってしまうので、それは問題なんじゃないかというふうに思います。
 とりわけ、私は大田区選出ですので、羽田国際空港を抱えています。空港は、大変CO2の排出が多いわけですけれども、こういうものが反映されない。しかも、羽田空港は、来年十月には第四滑走路が供用開始となって、今、二十九万回ですけれども、四十万回に増便されるというふうになっているわけです。
 そういう状況の中で、一体その実態をどうやって把握していくのか。その辺が大変私は疑問に思っています。
 都としては、CO2削減対策を促進するために、昨年は、環境確保条例の制定を行い、環境基本計画に基づいて、来年度から企業への義務化を含めた新たな制度が始まろうとしています。
 しかし、現況は極めて厳しい状況にあります。船舶を入れない状況での比較をしても、CO2排出状況では、二〇〇〇年比で〇・五%削減ではありますけれども、基準年比では、いまだ二・六%増だという状況です。
 しかも、この間、原発事故や地震などで原子力発電の停止分が火力発電になった分、その影響などもあって、現状では、二〇〇〇年比でも一〇%ものCO2が増加しているのが現状です。
 部門別の推移を見ますと、業務部門が最も多く、二〇〇〇年比で一二%も伸びています。排出量の四割を占める業務部門対策が急務となっていると思います。
 都内には約千四百の大規模事業所が四割、七十万の中小事業所が六割を占めています。これらに対する有効な対策が急務となっているわけですが、都が来年度からスタートする業務部門の大規模及び中小規模事業所への対策と、その進捗状況はどうなっているでしょうか。

○大野理事 今のご質問にお答えする前に、その前のことについて若干の補足説明をさせていただきますけれども、この船舶や航空の都外分をどうカウントするかという話につきましては、昨年六月の環境・建設委員会で一回ご質疑をいただいております。公明党の当時の橘先生からご質疑をいただいておりますが、そのときにも私が明確にご答弁を申し上げておりますけれども、東京都の羽田空港とかから、大阪とか、あるいは世界に行くのもありますけれども、そこをどういうふうに算定するか、ルールがこれまで決まっていないんです。それがあるために、国の排出量についても、都内についても算定しようがないので、これは外してあるということでございます。
 ただ、もちろん、これも昨年申し上げましたが、今後の日本全体、あるいは世界全体のCO2削減の中で、こういう国際分も含めて、航空、船舶分が非常に重要であるということは間違いございませんので、これは現在、ポスト京都議定書の議論の中でも検討されております。
 したがって、その中で明確なルールが決まってくるというふうになっていきますでしょうし、そうしたもので全体にもルールが決まってくると思います。
 いずれにしましても、既に航空部門、船舶部門におきましても、対策が始まっておりますので、それについては都としても何ができるかは検討していくと、こういうことでございます。
 それから、業務部門の対策でございますけども、昨年の条例改正を受けまして、本年三月に規則改正を行い、六月には、東京都地球温暖化対策指針を策定いたしました。大規模事業所に対しましては、六月に制度説明会を開催し、七月には排出量の算定、検証のガイドラインを公表し、延べ十二回にわたりまして、具体的な算定方法についての説明会を開催いたしました。
 さらに、都庁内に事業者向けの相談窓口を設けまして、現在、個別の相談に当たっております。
 一方、中小規模事業所への温暖化報告書制度に関しましては、五月に説明会を行いまして、また、地球温暖化対策指針の中で、省エネ対策のメニューの提示などを行っております。
 今後とも、来年四月からの本格的な制度の開始に向けまして、制度の周知や相談の実施など、準備を進めてまいります。

○かち委員 ルールが決まっていないから入れないんだという、でも、実際、ここに、ちゃんと東京都としては測定して入れているわけですから、新しいルールができたら、それに合わせていけばいいと思うんです。
 だから、今のご答弁だと、その間は、数字的には見ていかないというふうなことなんですよね。対策はとっているという点ではあるんですけれども、私はこの基準に沿ってやっぱり見ていくべきだと思います、新しいルールができるまでは。
 それから、確かに、今のご説明で、トレードのことなんかありましたけれども、資本力の弱い企業が初期投資に使えるということは、省エネ投資を促進することになったり、削減対策に取り組むことが経済的メリットにつながるという面もあるとは思います。
 しかし、今も市場では、CO2削減取引が活発に展開されています。何か実態のないまま、空気の売り買いが行われているような状況さえ思えるんですけれども、その証券取引だけがひとり歩きして、マネーゲームの対象になっていきかねない。そんな思いもしているところです。
 さて、すべての中小企業を対象とした中小企業対策は、零細な事業所も対象であります。今日の厳しい経済環境のもとで対応するのは困難があると思われますが、ノウハウだけでなく、経済的支援も含めて、支援が必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大野理事 排出量取引に関するご答弁をまだ申し上げておりませんけれども、排出量取引、我々が導入します、キャップ・アンド・トレードというふうに申しておりますけれども、この制度は、総量削減義務という規制を図ることと同時に、排出量取引という経済的な手法を導入しまして、規制と経済的なメカニズム、この両方を使うことによって削減の効果を図っていこうということでございます。
 その規制の部分を見ないで、取引の部分だけを見まして、これでその空気のできたとかいうようなご批判は、我々が二〇〇七年に、東京都気候変動対策方針を出しました後に、一部の経済界からも同じようなご批判をいただきましたが、これはキャップ・アンド・トレードの本質を見ない議論だと私は思っております。
 それから、中小規模事業所の支援に関してでございましたが、中小規模事業所対策といたしましては、来年度から地球温暖化対策報告書制度を実施いたします。これは、中小規模事業所が取り組みやすい対策メニューを都が提示することによりまして、着実な省エネ対策の推進を図るものでございます。
 また、都は、中小規模事業所の省エネ支援策として、無料の省エネ診断を実施するとともに、この診断結果に基づきまして、設備投資等を対象とした制度融資を実施しております。
 さらに、省エネ型の機器の導入に対する環境減税も制度化をしております。
 これらの支援策の活用によりまして、中小規模事業所の省エネ対策を推進してまいります。

○かち委員 中小企業とともに、都内には商店街が二千七百本ほどあります。この商店街の街路灯のLED化や太陽光発電も省エネ対策に大きな効果をもたらすと思われます。
 現在、商店街振興支援策として、産業労働局の施策となっていますけれども、街路灯をそっくり交換するという点では大変負担も重くなっている、このような声も聞かれています。
 そういう意味では、環境対策の一環として、環境局からもこれらへの支援を位置づけてはどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大野理事 産業労働局が実施しております商店街事業の支援におきましては、LED街路灯の設置等に、都の施策に連携協力して実施していることから、補助率五分の四という高率な補助が実施をされております。
 この事業を利用したLED街路灯の設置などは、着実に進んでいるということでございまして、商店街のLED街路灯の設置等につきましては、環境局といたしましては、本事業が十分効果的な役割を果たしているものと認識をしております。

○かち委員 環境局がやらなくても進んでいくよというお話でしたけれども、私がまち場で聞いているのでは、やっぱり負担が重いという声も聞いております。
 そして、産労局とタイアップしてやろうと思えばできることですので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 緑の保全について伺います。温暖化対策の一環としても、市街地における豊かな緑の創出と保全も重要な課題です。緑の東京プロジェクトでは、十年間で、千ヘクタールの緑を創出する、街路樹を二倍の百万本にするという計画です。
 それでは、現況での緑の実態、街路樹はどうなっているんでしょうか。

○木村参事 「十年後の東京」を策定いたしました平成十八年度から平成二十年度末の見込みでは、都立公園の面積が七十七ヘクタールの増、街路樹が六万本の増、公立小中学校の校庭芝生化が八・三ヘクタールの増となってございます。

○かち委員 今がどのぐらいあって、そこからどうふやすかというのではなくて、とにかく今からふやすんだというお話なんですけれども、私は、何を起点にどうふやしていくかということが重要だというふうに思うんです。
 東京プロジェクトでは、起点が見えないんですね。現実問題、東京の緑地が一体どれだけあるのかを把握した上での創出ではないということなんけれども、そういう意味で、なぜ一千ヘクタールが必要なのか、なぜ街路樹が百万本必要なのかというところでの説明というか、説得力がないなというふうに思います。
 緑の千ヘクタール創出の中には、屋上緑化や校庭の芝生化なども含まれていますけれども、これらを否定するものではありませんけれども、芝生はCO2吸収をほとんどしませんので、削減効果にはそれほど期待できるものではありません。重要なことは、自然の緑地をどう確保、保全できるかだと思います。
 今ある自然林など貴重な自然を削って開発を進めること自身に規制を強化することをしなければ、緑を守ることはできないと思います。
 現在、環境局では、既存の緑地を保全するためにどのような取り組みをしているのでしょうか。

○大村自然環境部長 まず、本年三月に自然保護条例を改正していただきましたが、それによりまして、十月から開発許可制度の見直しによりまして、緑地基準の強化や既存樹木の保護、検討の義務化など、既存の緑地を守る取り組みを強化したところでございます。
 また、広域的な視点から、自然豊かな緑が多く残っている丘陵地や山地を主たる対象といたしまして、保全地域の指定を実施し、既存の緑地の保全に努めているところでございます。

○かち委員 自然保護条例の改正によって緑地基準を強化したとはいえ、広大な開発地の一部を緑化するんだということで、基準を見させていただいていますけれども、三%を一〇%にしたところで、失われる緑の面積にこたえられるものではありません。保全地域を幾ら指定したところで、民有地である限り、維持できなくなれば手放す、そして開発が進むということになるわけです。
 現に、資料の八ページにありますけれども、緑の保全地域における公有化予算、決算の推移を見ても、二〇〇〇年比で、決算で三十一億六千万円が、二〇〇八年には十四億円に半減以上しているという状況です。本当に心もとない限りです。
 それでは、この間、どれだけの緑地が保全指定されてきたのでしょうか。

○大村自然環境部長 平成十二年度末時点の保全地域の指定面積は六百五十八ヘクタールでございました。二十年度末現在、保全地域の指定面積は七百四十八ヘクタールでございまして、八年間で九十ヘクタールの緑地を保全してございます。また、保全地域のうちの約八割につきましては、既に公有地化をしてございます。

○かち委員 八年間で九十ヘクタールの指定をされてきたということですけれども、千ヘクタールふやすと、これだけではないんですけれども、ということになれば、八十年以上かかってしまうという状況です。確実に緑地をふやしていくためには、保全地域を指定し、公有化しなければ確実には保全できません。
 毎年、市長会や区長会からも、緑の保全、緑化対策に対する支援を求める要望書が東京都に出されています。来年度予算についても、市長会からは、多摩地域の緑の保全、オープンスペースの確保は最優先の課題である。そのため、各市とも保全に努めているところですが、保全地域の指定や公有化には多額の財政負担を要するため、それに対する補助制度等の支援を求めています。区長会からも、保全樹林、樹木の維持管理経費に対する税の優遇措置などを講ずることが求められています。区市町村への支援と連携で、毎年百ヘクタール規模で緑地の公有化、保全に尽くしていただくよう求めておきます。
 最後に、監理団体について伺います。
 先ほどもお話がありましたが、環境局の監理団体である財団法人環境整備公社は、いろんな事業をやっておりますが、その一つに、城南島エコプラントで廃プラスチックの中間処理を行っています。
 ここでプラントへの搬入、分別などを行う仕事として、受注契約会社の労働者が、昨年八月、組合を結成し、劣悪な労働環境や労働条件の改善を求めて、会社に団体交渉を求めました。私も現場に行ってみましたけれども、建設廃材などが直接持ち込まれますので、すごいほこりの中で、炎天下の中で仕事をするという、大変きつい仕事でありました。
 防じんマスクが支給されているんですけれども、一日に一個ではとても足りないと。二つにしてほしいというようなことを要望していたんですが、その労働環境は一定の改善をしたものの、会社は、団体交渉に一切応ずることなく、ことし三月、公社との契約不調との理由で、働いていた人全員が解雇されました。組合員は、不当労働行為として、賃金の不払い分の仮払いを求める裁判を起こしました。今月十三日に東京地裁でそれが認められ、不払い賃金の仮払い命令が出されました。環境局はこの事実経過を把握しているでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 財団法人東京都環境整備公社の自主事業でございます城南島エコプラントにおける廃棄物の選別処理委託業務につきまして、本年度より委託先がかわったことについては、公社から既に報告を受けておるところでございます。
 また、同エコプラントにおきます廃棄物の選別処理業務を、平成二十年度まで受託しておりましたエコスタッフ株式会社の再委託先でありましたエムズワーカース株式会社において労働争議が起こっていることも公社から報告を受けてございます。
 さらに、エムズワーカース株式会社の労働組合等からも、本都に対しまして、これに関連した要請が行われているところでございます。

○かち委員 今お話のありましたエコスタッフという会社は、城南島エコプラントの設立当初から、産廃協会の理事の方々がつくったような会社なんですね。会社の名前もころころ変わっているんですけれども、この間ずっと、昨年までは特命随意契約ということを重ねて続けてきたわけです。それが、会社が契約解消とともに会社を解散してしまい、判決が出ても仮払いするところがない。実際、当該の組合員は職を失い、死活問題となっているんです。
 この争議の中で、一人が自殺するということまで発生しています。管理監督者として、公社とも協議しながら、仮払いの立てかえ払いをするなど、救済対策を検討していただけないものかどうか、お聞きします。

○吉村環境政策担当部長 都は監理団体の適正かつ効率的な運営を確保し、自立的な経営を促進するため、必要な指導監督を行うこととされておりますが、今回の業務の委託先における純粋な民民にかかわることについて、介入指導できる立場にはございません。
 今回の労働争議は、財団法人東京都環境整備公社の委託先であったエコスタッフ株式会社の再委託先であるエムズワーカース株式会社にかかわることでございまして、都はもとより、公社もエムズワーカース株式会社とは直接の契約関係にはなく、都は公社に対し指導できる立場にはございません。

○かち委員 今、公共事業の請負、下請というのは、二次、三次、四次というふうにどんどん下に請負が行っているのが現実だと思うんですね。この公契約のダンピングや二次、三次の下請労働者が劣悪な労働実態にさらされているということが社会問題となって、公契約条例や法律を制定することを求める声が高まっています。
 東京都議会も含め、現在、全国三十九の都道府県、七百四十八議会で意見書が採択されているんです。本年九月には、千葉県野田市において、公契約条例が制定されました。こうした動向も含めて、局としても善処されることを強く求めて質問を終わります。

○中村(ひ)委員 それでは、環境局の事務事業報告について、大きく四つの視点から質問します。
 一つは環境政策全般について、次に、二酸化炭素削減について、三つ目に公害対策について、最後に廃棄物対策について質問しますので、ご答弁をよろしくお願いします。
 まず一つ目の質問として、環境対策全般について質問します。
 いうまでもなく、環境問題への対策は重要であり、民主党は八月三十日の衆議院議員選挙でも、二〇二〇年までに温暖化ガスの二五%削減を公約し、鳩山総理はその実行を国連で訴えました。厳しい目標ではありますが、地球環境を守り、未来の子どもへの責任として努力をしていかなければなりません。
 これまで東京都は、環境政策については、「十年後の東京」にもさまざま先導的な環境政策を掲げて取り組んできましたが、その記載を見ると、オリンピックの招致が念頭に置かれ、招致が実現しなかった今、実行されるのか不安にすらなります。環境を掲げたオリンピックの招致はできませんでしたが、オリンピックがなくても環境政策は進めなければなりません。
 そこで最初の質問として、「十年後の東京」に掲げた環境政策は、二〇一六年の東京オリンピックがなくても、着実に実施がされるかについて、東京都の認識を伺います。

○吉村環境政策担当部長 「十年後の東京」は、平成十八年十二月に、二〇一六年の東京の目指すべき姿と、環境を初めといたしますさまざまな政策展開の方向性を示す都市戦略として策定されたものでございます。
 環境政策としては、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現のため、再生可能エネルギーの積極的な利用や、都市の緑を千ヘクタール創出するといった具体的施策の方向性を明らかにしております。
 加えまして、この「十年後の東京」との整合性を図り、二〇一六年に向けた環境分野における目標を明らかにした東京都環境基本計画を平成二十年三月に策定し、環境施策の取り組みを一層強化することといたしたところでございます。
 オリンピック招致がかなわなかったことは、まことに残念ではございますが、都としては「十年後の東京」や、この環境基本計画に基づき、環境政策を着実に推進してまいります。

○中村(ひ)委員 次に、環境技術の育成について質問します。
 環境問題の改善には、技術の進歩による貢献は大きく、日本は環境技術で先行しています。今後さらにこの環境政策を進めるには、さらなる技術の発展が必要です。ただ大企業だけが開発しているわけではなく、中小企業の研究開発にもすぐれたものが多くありますが、経営的な問題から埋もれさせてはなりません。中小企業への積極的な支援が必要ではないかと考えますが、環境局の認識を伺います。

○吉村環境政策担当部長 環境への負荷を最小化し、持続可能な社会を構築していくためには、我が国の有するすぐれた環境技術の活用がかぎとなります。
 こうした考え方に基づきまして、都はこれまでも、日本の誇る高度な太陽光発電技術を活用した太陽エネルギー利用拡大プロジェクトなどを推進してまいりました。
 都内の中小企業には、すぐれた技術を有するものが少なくありませんが、こうした技術が広く活用され、そのポテンシャルが最大限発揮されるためには、公的機関によるさまざまな支援が必要であるとは認識しております。
 このため、環境局が事務局でございます全庁横断型戦略組織である、カーボンマイナス都市づくり推進本部の中で、中小企業対策を所管いたします産業労働局とも十分に協力しながら、それぞれの役割に応じた支援策を検討してまいります。

○中村(ひ)委員 全庁的な取り組みの中での支援策が行われているということはわかりました。今後、東京都にとって必要な技術を育成するという点では、さらに環境局としても積極的に掘り起こしをしていくことが必要であると思います。さらなる取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、環境に関する国際規格であるISO一四〇〇〇の効果と展開を伺います。
 ISOは最近取得している事業所もふえていますが、ISOそのものは目標を定めるものではなく、みずから定めた目標をどう実行し、改善していくかという仕組みについての規格です。そのため、比較的低い目標を設定することで、効果に疑問を抱かざるを得ないというところもあると聞いています。
 そこで、改めて都庁における効果はどうなっているのか伺います。また、本庁舎以外の事業所への取り組みはどのような状況になっているのかもあわせて伺います。

○吉村環境政策担当部長 都庁舎は、平成十二年二月にISO一四〇〇一を取得し、これまで三年ごとに三回の更新を行ってまいりました。
 当初から、庁舎内の紙の使用量を削減したり、廃棄物の減量を進めるなどの日常業務活動に関する目標のほか、大気汚染の低減といった都庁の行政活動に関する目標も設定し、環境配慮の徹底をしてまいりました。
 更新を重ねるに従いまして、認証機関からもより高い目標の設定が求められてきました。こうしたことから、現在では、地球温暖化対策計画書を提出する事業者のうち、計画書の評価がA以上となる事業所を八五%以上とするといった内容も一四〇〇一の内容に追加するなど、目標のレベルアップを図ってきているところでございます。
 また、事業所についてですが、警視庁や東京消防庁などについても、本庁舎に準ずる事業として扱い、紙類の使用やグリーン購入など、日常業務活動に関する目標を設定し、環境活動を行っております。さらに、廃棄物埋立管理事務所など、幾つかの事業所においても独自の認証を取得しております。

○中村(ひ)委員 次に、環境問題について取り組んでいる市民活動への支援について質問します。
 環境問題への取り組みは、公的機関だけではなく、市民が自立的な活動の中で、環境保全やごみの減量などの活動をしていくことで広がっていきます。しかし、そうした団体はまだまだ活動の場が足りないと感じます。
 今後、環境局は、NPOやNGOなどの市民活動の育成についてどのように考えるのか、所見を伺います。

○吉村環境政策担当部長 東京が持続可能な都市として発展していくためには、行政はもちろん、都民や企業、NPOなど、東京に集積いたしますあらゆる主体が相互に連携を図りつつ、自主的かつ積極的に環境対策を進めていくことが必要です。
 こうした認識のもと、これまでも都は、グリーン購入ネットワークと共同して環境に配慮した商品の店頭実験に取り組んだり、今年度から開始いたしました太陽エネルギー補助制度の創設に当たりましては、NPOの参加も得た検討会の中で議論を重ねるなど、さまざまな主体と連携した環境対策を進めてきたところでございます。
 今後とも、企業やNPOなどを、環境政策を進める上での重要なパートナーとしてとらえて、先進的な事業者等とともに、さまざまな連携プロジェクトを進めてまいります。

○中村(ひ)委員 二つ目の大きなテーマとして、二酸化炭素の削減について質問します。
 削減には緑地の創出が必要で、都議会民主党はマニフェストで、屋上緑化や都市公園の整備、校庭の芝生化などにより、三年間に四百ヘクタール以上の新たな緑の創出を訴え、今後その実現に向けて取り組みたいと思います。
 また、既存の緑地を保全するという点では、都市農地の保全が重要です。それは、都市農業を守るという観点だけではなく、都市における貴重な自然を保護することにもなります。税制などの多くの問題がある中、国への働きかけを含めて、都政においても対応が必要ですが、どう考えますか。

○木村参事 緑あふれる東京の再生を目指して策定いたしました緑の東京十年プロジェクトでは、農地の保全を主要な施策の一つと位置づけており、都市整備局や産業労働局がそれぞれ生産緑地の指定の促進、都と区市との連携による農業、農地を生かしたまちづくりなどの事業を展開しております。
 環境局では、八都県市が連携いたしまして、買い取り申請のあった生産緑地を区市町村が買い取るための財政支援策を国に要望しております。
 また、都として、生産緑地地区の指定に係る面積要件の引き下げ、相続税の軽減措置などについて、国に提案要求しております。

○中村(ひ)委員 次に、自転車利用の促進について質問します。
 自動車からのCO2排出を少なくしていくためには、自動車の環境性能を高めるだけではなく、環境基本計画にも示されているように、自動車から転換する受け皿である自転車の利用を促進することが必要です。
 近年、自転車専用レーンなどが設置をされ始めていますが、道路幅がとれる一部にしかすぎません。自転車は、交通事情が悪く、駐輪場も不足していますし、マナーの問題もあるとはいえ、事故が増加し、特に高齢者の事故も深刻です。
 最近では、レンタルサイクルから、各地にステーションを設置し乗り捨てられるコミュニティサイクルの取り組みも試験的に行われていますが、こうした仕組みも必要です。東京都がもっと積極的に、ハード、ソフトの両面で自転車利用の促進を図る必要があると思いますが、所見を伺います。

○市川自動車公害対策部長 自動車部門におきます地球温暖化対策を進めるに当たりましては、環境負荷の少ない交通行動への転換を推進することが必要でございます。
 このため、環境に優しい自転車の利用を促進することが重要であると考えておりまして、こうした観点から、都は、ハード、ソフトの両面で、身近で便利な交通手段であります自転車利用の促進を図っているところでございます。
 今後とも、自転車走行空間の整備や交通ルールの遵守などの取り組みとあわせまして、電動自転車も活用したコミュニティサイクルなど、先進的な自転車利用の取り組み事例の周知や、環境交通キャンペーンを通じました都民への普及啓発などを幅広く展開してまいります。

○中村(ひ)委員 自転車の促進には、青少年・治安対策本部や建設局、警視庁など複数の局にまたがりますが、だからこそ横断的に取り組み、環境局のリードが必要になります。環境対策にとどまらず、交通安全対策としても、健康福祉増進としても意義がありますので、ぜひとも積極的な取り組みを進めていただくよう要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、省エネ機器としてのLEDの導入について質問します。
 先ほども環境技術の育成という視点で質問しましたが、省エネ機器への切りかえで、CO2の削減が図れます。東京都は、白熱球から電球形蛍光灯へとしてきましたが、さらにLEDランプの導入へと時代が変わってきました。東京都の施設でも、切りかえをしていけば大きな省エネ効果が生み出せますが、どのようにお考えでしょうか。

○大野理事 電球形のLEDにつきましては、この春から多くのメーカーの参入が始まりまして、消費電力が小さいこと、それから、寿命が長いことなどのメリットが評価されて普及が始まっております。
 価格はまだ、電球形蛍光灯の数倍いたしますが、市場規模の拡大とともに低下をしてきておりまして、今後、用途に応じて適切に普及を進めていく必要があると考えております。
 一方、都の施設でございますとか、業務用オフィスビルの照明にこのLEDを活用する、このためには、現在多く使われております直管型の蛍光ランプ--このようなものでございますが、これにかわる直管型のLEDの導入が必要でございます。
 直管蛍光型のLEDにつきましては、この春、業界団体が調査を行いまして、その結果、現段階では、性能面、安全面とも、蛍光ランプ代替の省エネランプとしては未成熟であるという結果が出ております。
 地球温暖化対策都庁プランの改定を来年度は予定をしておりますので、LEDの性能や安全性、それから基準化の動向などを見ながら、都施設への導入に向けた検討を行ってまいります。

○中村(ひ)委員 LEDは新しい技術として期待されていますから、まず都庁で活用して、効果が上がれば、今後、民間への普及啓発ということも考えられます。今後積極的な活用をご検討願います。
 次に、大きな三つ目の質問として、公害対策について質問します。
 まずは大気汚染について質問します。
 大気汚染対策については、二十三区だけでなく、三多摩の地域でも大きな問題になっています。区部に比べて多摩地域の測定点の数がまだ少なく、光化学スモッグの測定についても、都心部に比べるとおくれています。多摩地域の観測体制の充実を図るべきですが、どうお考えでしょうか。

○柿沼環境改善部長 都は、大気汚染による人への健康を防止するために、大気汚染の状況の把握、あるいは各種施策効果の把握及び都民への情報提供ということを目的に、大気の常時監視を実施しております。
 住宅地域等に配置している一般環境大気測定局は環境濃度の状況、人口密度、市街化の程度などをもとに都内を区分し、その地域を代表させるように配置しております。
 一方、幹線道路の沿道などに設置している自動車排出ガス測定局については、交通量、大型車混入率、道路周辺の建物構造等から道路を類型化いたしまして、その類型ごとに設置をしております。
 このうち、一定の広がりがある地域を代表する一般環境大気測定局の配置につきましては、人が住むことができる土地であります可住地の面積ですとか、昼間人口等を加味して、区部も多摩地域も同等となるように配置してございます。
 このような大気の監視体制は、専門家を交えた検討会における科学的な検証を経て決定されたものでございまして、今後も適切な監視体制を維持できるように検討を進めてまいります。

○中村(ひ)委員 多摩地域の大気環境濃度は、今、区部に比べて相対的に低いとはいえ、他県に比べればまだ高いといえます。いわゆる三多摩格差という言葉は、二十三区と三多摩との制度の差によるマイナスのイメージの言葉として使われますが、環境に関しては、三多摩の豊かな自然環境が保全され、よい意味での格差が残るように、今後もしっかりと対応すべきです。多摩地域の環境をさらに改善するため、東京都はより一層の努力をすべきだと考えますが、どうでしょうか。

○柿沼環境改善部長 都は、大気環境の改善のために、都内の各地域のきめ細かな地域の実態を踏まえつつも、都内全体を視野に入れた対策をとってございます。
 毎年発表しております粒子状物質でありますとか二酸化窒素などの測定結果を見ても、区部と多摩地域というのは、同様な低下傾向を示してございます。
 今後も、多摩地域を担当いたします多摩環境事務所と一体となって、都内全体の環境が改善するよう、対策を講じてまいります。

○中村(ひ)委員 次に、土壌汚染の対策について質問します。
 土壌汚染については、過去には規制がなかった化学物質の地下浸透が原因であることが多く、工場などの空き地からは頻繁に見つかっています。処理に多額な費用がかかることから、中小企業では対応できなかったり、場合によっては放置されることもあります。
 土壌汚染対策を円滑に進めていくためには、中小企業の負担を軽減する支援策が必要ではないかと思いますが、取り組みを伺います。

○中村参事 中小事業者によります土壌汚染対策を円滑に進めていくためには、土壌汚染の調査や対策に係るコストの低減を図ることが重要でございます。
 都は、これまで低コストで実効性のある対策事例を紹介する、土壌汚染処理技術フォーラムの開催などによりまして、低コスト技術の開発や普及を促してまいりました。
 また、対策期間の短縮による費用の低減を図るため、土壌汚染調査の際に使用できる、簡易で迅速な分析技術の選定を進めてまいりました。
 さらに、対策費用の低減には、コストがかかる掘削除去に偏らず、汚染の実態や土地利用に応じた合理的な対策が選択されることが必要でございますことから、現在、こうした合理的な対策の普及を図るためのガイドラインの策定を進めているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、中小事業者の負担軽減を図りまして、土壌汚染対策の円滑な実施を促進してまいります。

○中村(ひ)委員 土壌汚染などが発覚した場合には、都に報告された情報が区市にうまく伝わっていないのではないでしょうか。広域行政の観点から都が事務を行っている土壌汚染対策についても、周辺住民から地元の自治体に問い合わせ等があることも多くあります。土壌汚染に関する情報連絡は、担当者間の人的つながりに頼るのではなく、必要な情報がシステマチックに区市に流れる仕組みを整えるべきだと考えますが、どうでしょうか。

○中村参事 環境確保条例によります土壌汚染対策の指導、相談につきましては、事務処理特例条例に基づきまして、都と区市との役割分担のもとに行っております。
 工場の廃止等のときに行われます土壌汚染対策、環境確保条例第百十六条に基づくものでございますけれども、これにつきましては区市で、大規模な土地で土地改変時に行われる対策、確保条例第百十七条に基づくものございますけれども、これにつきましては都で対応いたしております。
 都や区市に報告された土壌汚染の情報につきましては、定期的に情報交換を行ってございます。また、環境影響が懸念される事案につきましては、速やかに都と区市とで情報交換を行い、連携して健康被害を防止するための広報や調査を実施しているところでございます。
 こうした都と区市との連携につきましては、定期的に開催しております研修会等を通じまして、引き続き充実を図ってまいります。

○中村(ひ)委員 最後の大きな項目として、廃棄物対策について質問します。
 プラスチックのリサイクルの方法は自治体によって違います。二十三区では可燃ごみと一緒に焼却するところもありますが、多摩地域では多くの場合、リサイクルしています。勤務先と住居の地域が違う人が大半の中で、これではリサイクルへの意識が向上しません。
 また、リサイクルといっても、一般的だと思われているマテリアルリサイクルよりも、むしろサーマルリサイクルが行われていることは余り知られていないと思います。そのため、当然のことではありますが、リサイクルよりも発生抑制が最大の環境対策であるので、東京都としても十分な啓発等仕組みづくりを行うべきですが、どう考えますでしょうか。
 またあわせて、そうした点では自治体だけの取り組みでは限界があります。拡大生産者責任がより強く制度に反映される必要があります。東京都としても、国に対して積極的に求めるべきだと考えますが、その取り組みを伺います。

○井戸廃棄物対策部長 都では、平成十八年に策定しました東京都廃棄物処理計画の中で、廃棄物の発生そのものを抑制していくことを主要な施策の一つに掲げまして、循環型社会の形成に向けて取り組んでおります。
 具体的には、ごみの発生抑制を目的としました家庭ごみの有料化を区市町村に促すとともに、八都県市合同による容器包装ダイエットキャンペーンなどによる普及啓発事業を実施するなど、廃棄物の発生抑制を促進してまいりました。
 今後も、他の自治体や事業者、NPOなどと連携しまして、ホテルで提供されます使い捨てアメニティー等を削減する取り組みを検討していくとともに、毎年発行しております「東京の資源循環」という冊子の配布ですとかホームページを通じまして、都民にリデュースを初めとした3Rの促進を呼びかけるなど、廃棄物の発生抑制を促進してまいります。
 さらに、廃棄物の発生抑制につきましては、生産段階におきます事業者の取り組みが重要であることから、廃棄物リサイクル制度を拡大生産者責任と循環的利用を基調とするものにあらためるよう、国に要望してまいります。

○中村(ひ)委員 ご答弁ありがとうございました。今回の質問では、環境問題について広範に質問させていただきました。事業を行う他の局の仕事は、都民の利便性の向上を追求することが多いのに対して、環境局の仕事は、場合によってはそうした動きに対して抑制的な動きをとらなければならないこともあります。だからこそ、局ごとの縦割りではできないことを、局の間に横ぐしを刺せる特殊な局でもあります。
 今後、より一層環境行政が進展するよう要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、大きく二点、質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどからも出ておりますように、地球温暖化、これは我が国にとっても、世界全体にとっても、極めて大きな課題であることはいうまでもありません。その中で、CO2の削減をするという中で、エネルギー、当然にしてCO2が出るということなんですけれども、これだけこの東京がエネルギーを最大に消費をし続けている、しているというような観点から、東京の今後に向けての、エネルギーの、先導的な新しい、産業界とも、国等の動向も見据えながらも、当然そうでしょうけど、東京がやはり、東京におけるエネルギーのありよう、あり方、こういうことをぜひ一つの計画性を定めながらお示しをいただきたいなというふうに思うんです。
 その中で、とりわけ、きょうは、取り組みをされておられる、ディーゼル車規制から、または代替エネルギーとしてのCNGを初めとする、これらのクリーンエネルギー、これは車でありますけれども、こういうような普及促進を今までも促してきた、大気汚染の浄化、改善に非常に寄与してきたわけであります。こういうような中で、クリーンな燃料、エネルギーだけじゃありませんけども、とりわけ車の関係の普及の現状と、今後に向けた都の取り組み、これについてお願いしたいと思います。

○市川自動車公害対策部長 CNG車につきましては、ディーゼル車対策の一環といたしまして、車両の導入やCNGスタンドの設置について支援をしてまいりまして、その結果、現在都内で約八千六百台が普及し、トラックや路線バスなどで使用されてございます。
 燃料電池車につきまして、都は、平成十五年八月から十六年十二月まで燃料電池バスの運行試験を実施するとともに、平成十五年六月に事業者と連携して水素供給ステーションを開設するなど、普及に向けた取り組みを推進してまいりましたが、現在、国内で走行している台数は六十台にとどまるなど、いまだ実用化には至っていない状況でございます。
 電気自動車につきましては、ことしの七月に高性能の電池を搭載した次世代型の軽自動車タイプの販売が開始されたところでございまして、今後、各メーカーからの販売が予定されております。普及拡大に向けまして、東京都としまして、車両の導入や急速充電設備の設置の支援などを開始したところでございます。

○こいそ委員 取り組みがしっかりと行われているということは、我々も認識をしているところなんでありますけれども、その中で、今までにも、とりわけ燃料電池について、通常路線で都営バスを走らせた経緯がありました。これは、実際的に路線として走らせたことは、世界でまれに見る、初めてではないかというようなこともありましたが、いろんなコスト的なもの、技術的なさまざまな改良策、これは当然必要ではないかと思うんですが、いずれにしても、我が国の状況を考えた中で、やっぱり水素系、この燃料電池の、ハイクリーンな、このような燃料電池というのは、いずれかなり普及促進がなされていくべきではないかと、こういうことを思うんですね。
 しかし、それまでの間、今お話しのような、低公害、低燃費車の普及促進というのがやはりなされていかなきゃいけないということがありますけれども、その中でも、一定の現状を見据えた中で、CNGのときもそうでありましたけども、いわゆるサービス供給ステーションがなかなか進んでいかなかった。これは当然、ガスの供給化の問題もあるでしょうし、さまざまな普及促進をする中においてのインフラ整備、こういうようなことを考えた中で、私は今後とも少し段階がそれぞれあるかと思うんです。電気自動車についてもそうなんだけども、これはやはり、相まってのインフラの整備というか、供給ステーションというか、こういうこともひとつ、東京としても考えていくべき必要性ってあるんじゃないのかなと思うんです。そのあたりどうでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 ご指摘のとおり、電気自動車などにつきましては、航続距離の問題などから、安心して走行できるよう、急速充電器設備の設置といったインフラの整備が重要だと考えてございます。
 現在ございます給油サービスステーションなどは、現状でも日常点検など自動車に対するさまざまなサービスや、ガソリンの危険物の取り扱いのノウハウとか持たれた上で、あわせて広い敷地等を持ってございまして、電気自動車の次世代車の普及に向けて、急速充電設備の設置など、新たな機能が付加していくことを期待しているところでございます。
 こうした自動車メーカーとか燃料供給事業者を初め、産業界全体の動向を的確に見きわめまして、インフラ整備も含めまして、時宜に応じた次世代の低公害、低燃費車の普及策を幅広く展開している所存でございます。

○こいそ委員 要するに電気自動車、いろいろ改良されてきているということの中で、低燃費、低公害という観点からも普及させていかなきゃいけないということなんでしょうけども、ディーゼル車規制という、環境確保条例を制定して、いわゆるディーゼル車の規制ですね、初めね、取り組みをされてきた。このときも、関係団体も含めて、いろんなきめ細かい対応もされてきたと思うんです。いろんな配慮をしながら協力していただいて、より効果の上がる形で普及促進をしてきた。さっきの環境測定局じゃありませんけれども、全局、三十四局かな、全局が基準を達成したという、非常にすばらしい東京環境の中における成果が出たわけですよね。これはすばらしい、いろんな取り組みをやってきた。細かい配慮もあり、対応もしてきたということもあろうかと思うんです。
 その中で、私はさっきからいうように、電気自動車についても、または水素系の燃料電池車というか、家庭系では普及促進が始まっていますよね。車の場合は、どうしてもコストがまだまだかかってしまうということもあろうかと思いますし、まさにインフラの供給ステーション整備っていうのもなかなか難しい要素があるということもわかるんですけども、いずれにしても、これら促進を図っていく、効果を上げていくという中では、いろんなステーションも含めた、関係者との一定的な理解を持ってもらう、協力をしてもらう、こういうところも視点として考えていただきたいなと思うんですね。
 さらに続けますけれども、私は、今後に向けて、やはり燃料電池の社会っていうんですかね、これがなるべく早く到来すべきだと思うんですよ。させるべきだと思うんですね、いろんな中で。いろんなそれは、太陽光発電だとか、これは車に限りませんけれども、いろんな試みをしてますよね。太陽光発電パネルもそうだし、いろんな取り組み、打ち出し方をしていかなきゃいけないんでしょうけども、ひとつ私は、家庭においても会社においても、事業所においても、それから車においても、この水素系の燃料を持とうとする、これやはり普及というものを、ぜひ東京都の環境の施策としても、しっかりと取り組みを強めていただきたいなというふうに思うんですが、そのあたりどうでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 先ほどご答弁もさせていただきましたけれども、燃料電池車につきましては、平成十五年に燃料電池バスの実証実験を行うなど、性能については一定の効果が上がってございますが、やはり先生ご指摘のとおり、非常に高価な材料、材質を使っている等もございまして、コストの削減などが大きな課題となってございます。
 あわせて、水素のインフラ設備につきましても、安全性の確保とか水素の製造の問題等、さまざまな課題、法制度の整備等がございまして、こうした動向、自動車メーカーや燃料供給業者や、そうした開発の動向全体を見きわめまして、的確に見きわめて、東京都としても時宜に応じた形での普及策を幅広く展開してまいりたいと考えてございます。

○こいそ委員 ぜひこのハイクリーンエネルギーですかね、それとともにCO2の排出が、先ほど一九九〇年対比、または二〇〇〇年対比、二〇二〇年で二五%削減するんだと、こういうことですよね。ですから、いずれにしても、これらのCO2の削減についてもそうであろうし、それからやはり、この大都市東京が、これらのことにより積極的に、私は燃料電池という話をしましたけれども、より積極的に取り組むことによって、国のエネルギー政策っていうものを大いに押していけるっていうか、先導もしていけるんではないかなと思いますので、このあたりぜひひとつよろしくお願いしたいなと思います。
 それと、私は思うに、今、江戸時代の生活が極めて関心を持たれている。これはここの委員会でも前にちょっとだけ触れさせていただきましたけれども、百万都市で、極めて循環型社会形成がなされていて、清潔感があって、都市整備はしっかりなされていて、耐火、防火、これは世界の中ですごいですよね。
 それから、もったいないですよね。いわゆる物を大切にする。循環型、これをもう達成してきたわけですよね。そのときだれがどういうふうに、どのようにっていったら、人ですよね。仕組みもあったんだろうけども、循環型の仕組みは当然あったんでしょうけどね。
 それだけに対する思いや実践行動が織りなされていたということだと思うんですが、その中でやはり、我々はまさに便利さ、便利さ。こうやって外を歩けばコンビニが年がら年じゅう、それから数多く、二十四時間、非常に便利ですよね。のど渇いたなっていえば、大体そんな探さなくたって自動販売機、場所にもよるかもしれないけれども、ありますね。自動販売機。
 私はあるときですね、あるときというか酒屋さんの組合のある会合で、そこの役員の方が、こいそさん、今自動販売機って何台ぐらいあるかわかるかよという話だったんですね。いや、どのくらいあるんでしょうかねという話で、全国規模、東京都全体でどのくらいあるんだろうかなと。これは飲料関係とか、たばこだとか、さまざまそれはあるでしょう。でも、一概に、私もそのときは余りよくわかりませんでしたけども、これはそれこそ何百万台の世界だと、日本全国レベルではですね。
 ですから、そういう中で、例えば私は二十四時間--別に自動販売機が悪いとかいいとかいうことではなくて、例えばこの便利さの象徴、我々のライフスタイルの中におけるさまざまな見直しが、今後はやっぱりしていってもいいんじゃないのかなと思うんですよ。便利さ、物、物質万能的社会にずっと我々がひた走りに来たわけじゃないですか。そこで何かぱっと気がついたときに、内面的な豊かさって何か、精神的な豊かさって何かとか、いろんなことを少しずつ少しずつ気づき始めてきたと思うんです。
 その中で、ちょっと戻りますけども、この自動販売機をあえていわせていただくならば、都庁に七十九台ですかね、自動販売機が。という中で、確かにいろんな性能、そしていろんな省エネ機能がそれぞれ研究されて、具体的な話になっています。確かに夜表示される明かりが消えたりとか、なってはきているけども、私はこういう二十四時間--よく実践しましょうよと。簡単なところでは、コンセント抜きましたか、エコバック持ってきましたかとか、いろいろありますよね。
 ですから、でき得るならば、この東京が、やはり先ほどの二〇二〇年を目指して二五%という一つの大きな目標を設定しているわけだから、それがどう影響できるかどうかじゃなくて、これは意欲というか、示す実践的なわかりやすい取り組み状況というのかな、そういうところから思ったときに、私はこの自動販売機のことも少し考えてもいいんじゃないのかなと思えてならないんですね。あえてそれが悪いという前提でいっているわけではないんですけれども。このあたりどうでしょうかね。
 自動販売機がどうだっていうことじゃなくてね。まさしくそのようなライフスタイルというか、我々日常の中で、やっぱりこういう非常に便利であることは間違いないんだけども、こういうことをやはり一つ一つもう一度考えていって、検証していって、そしてできるところからやっていくと。東京は本気だぞ、東京はやる気だと、はっきりいって。やり遂げるんだと、国と違って。そういうような状況の中で、どうでしょうかね。

○大野理事 まず、先ほどからご答弁していますように、東京都は、例えば大規模事業所に対しましては、キャップ・アンド・トレードみたいなことを導入しましたが、それに加えまして、ご指摘のとおり、利便性のみを追求するライフスタイルでございますとか、それから、営業スタイルを見直すことというのも非常に大事な課題だというふうに思っています。
 例えば自動販売機のことで申し上げますと、昨年度は関係団体と協議をいたしまして、その結果もあって、清涼飲料自販機協議会というのがあるんですが、ここが初めて、単に一台一台の省エネ性能が向上するだけでなくて、日本に設置されています四百何十万台という全体の総排出量を減らすというような計画をつくりまして、ことしの一月から活動を初めております。
 そのように、事業者団体も活動を初めておりますけれども、我々もご指摘を踏まえまして、改めてライフスタイルを見直すという点で何ができるか、何をしなきゃならないかと、こういう点に立ち戻りまして、さらに対策の強化を進めてまいりたいと思っております。

○こいそ委員 今ご答弁いただきましたけども、今後のやはりライフスタイルのありようというんですかね、一概に、いろんな価値観だとか多様性を持った中で、一定的な方向性ってなかなか難しいかもしれないけども、しかし、少なからざるも、やはり人が人として、そしてまた、大気汚染だって土壌汚染だって水の問題でも、それから、森林、里山、さまざまなこういう自然環境ということを通じた中における我々の内在するものが、そこでいくと、何かこう違いますよね。非常に何か感ずるものがある。若い人たちが里山保全をする。地元の年配の方々と一緒になって汗をかく。そうすると、顔が全然違うね。もう喜々として、たった一日でも違うんですよ。
 そういう環境という視点は、科学的な知見は極めて大切であることはいうまでもないけども、そういうさまざまな人間全体社会の中におけるいろんな問題点というものも、この環境を通じて、ぜひよりよい社会、そしてまた、まさに循環型社会形成である、これからもさらなるいろんな面での、またさまざま我々の生活も、環境も経済も、両立していかなきゃいけないわけだけども、そしてそういう内面的、内在するものも含めたことがやはり求められていくんではないのかなと思えてならない。こういう話を持ち出していただきまして、答弁いただきましたので、これはこの辺で結構でございます。
 その次に、実はこれもいろんなところからもお話が我が党の方にもあったことでもありますけれども、実は昨年七月に最高裁で--これはちょっと全然違ってきましたけどね。今度は産業廃棄物対策ですね。昨年七月に最高裁は、世田谷区の集積場所から、これいわゆる廃棄物ですね、これは資源のことですね、無断で古紙を抜き取った十二業者に対して、罰金二十万の刑をいい渡しました。これは、区条例で禁止されているにもかかわらず、ごみ集積所から資源を抜き取った行為に対して、最高裁が初めて判断を下したということなんですね。これは評価できるんではないかと思うんですね。
 その中で、その地域で、地域地域でさまざまな形で集団回収を初め、リサイクルに関係する方々も含めた住民協力をいただいて集めてくるリサイクルをもととして、基本的なルールに従って進めてきている。ところが、このような不当、不法な行為が、かなり東京全体でもやはりあるのではないのかな。現実あるんですね、これ。そのあたり、局としてはどのように状況といいますか、把握をされているかお願いしたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 二十年度の実態を見ますと、区市町村によります資源の行政回収につきましては、住民からの抜き取りの苦情が出されている場合ですとか、指導を実際に行った件につきまして、把握している自治体の数は、区部で十四区、多摩地域で十八市町村でございました。
 また、抜き取りの苦情ですとか、指導の件数につきましては、トータルで、年間を通じまして、区部で二千九百二十一件、多摩地域で五百八十五件でございました。
 また、地域で実施しております集団回収につきましては、抜き取りの苦情ですとか指導を具体的に把握している自治体につきましては、区部で四区、多摩地域で二市、その件数は区部が五十二件、多摩地域が六件でございました。
 抜き取りの対象となりました品目につきましては、大部分が古紙で、次に多いのが缶でございました。

○こいそ委員 今のお話のように、区部と多摩地域ということでありますけれども、決して少ない数字ではないということがよくわかりました。また、この抜き取り行為の実態を、それぞれの各基礎自治体が、区市町村がそれぞれのとらえ方があるようなんですね、実態把握も含めた。そして、再生資源価格の回復に伴って--これも全国各地ですよね、行政による資源回収ルートから古紙を、とりわけ高いというのかな、資源古紙を抜き取る。再生資源のみの資源を抜き取ってしまう行為が横行している現状なんです。
 そして、古紙のリサイクルについて、これは当然、各市町村の処理責任であることはいうまでもないわけでありますけれども、先ほどの世田谷区のように、条例の中で抜き取り禁止の規定を設けて、積極的に対応したと。それは最高裁での判決につながってきたわけでありますけれども、そうした中で、各区市町村は、この抜き取り行為に対して、さっき件数はわかりましたけれども、それぞれどう対応しているのか。条例の制定等を含めた状況というのはどうなのか。

○井戸廃棄物対策部長 資源の抜き取りに対しまして、それを条例の規定で禁止していますのは、区部で十六区、多摩地域で四市でございました。そのうち、集団回収も対象としているのは、区部で五区、多摩地域で三市でございます。
 また、抜き取り行為の禁止の命令に従わなかった場合の罰則規定を条例に盛り込んでおりますのは、区部で十三区、多摩地域では一市でございました。
 罰則の内容としましては、罰金を科す場合と、氏名を公表するものがございます。

○こいそ委員 区部で十六区、多摩地域では四市ですね。罰則規定が今お話ありましたように、区部で十三で、市で一市だということですね。
 各区市町村の条例の制定状況について、非常に温度差があると思います、制定してないところもかなりあるようでありますし。こうした行為は、各区市町村にまたがって広域的に発生するわけでありますから、私は自治体ごとの対応は対応としながらも、これをいろいろ越境というか、またがって、それぞれ広域的にやっているところも聞いたこともあるんですけども、いわゆる関係者、役所の関係者の方からなんですけども、この制度のばらつきを改めて、各区市町村の条例、制度などを、より--罰則規定がないっていうのはいかがなものかなと。
 要するに、先ほどの十三、多摩で一市だと。ですから、広域的な各条例、制度を共通のものとするということの中では、広域行政体の東京都がやっぱりこれに取り組んで、しっかり対応するような状況っていうのは、もはやここで出てきているんではないのかなと思うんですね。
 ですから、条例制定のために、各自治体を支援するだけではなくて、都も広域的自治体の立場で、私はもう一段強いリーダーシップといいましょうか、しっかりとした取り組みを行うということ、これはまさに、重ねてでありますけども、重要ではないかと思うんですが、このあたりどうでしょう。

○井戸廃棄物対策部長 抜き取り行為に対しましては、それを禁止する条例が極めて強い抑止力を持つと思われますので、区市町村間で条例の内容や効果につきまして情報交換を行いまして、制度的な取り組みを強化できるよう、都としても広域的な立場から区市町村を支援してまいりたいと思っております。
 また、現在、各区市町村では、資源収集現場での抜き取り防止策としまして、パトロール、資源抜き取り禁止の張り紙の添付、それから現場での見張りなど、さまざまな取り組みが行われております。各地域におけるリサイクルルートの確保につきましては、都域全体のリサイクルの推進においても重要な意味を持つことから、都としましても、さらなる抜き取り防止策としまして、警察との連携、業界団体との連携などにつきまして、積極的に取り組んでまいります。

○こいそ委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いさせていただくわけなんでありますけれども、まさにせっかく資源の、先ほどの3R、今はもう3Rじゃなくて、4Rか5Rか、広がっていますよね。という中でも、やはりこういう循環のルートに乗りながら行われている、市民、いわゆる住民の皆さんもやはり回収にかかわって努力をされている。これは非常にいいと思うんですね。その中で、またまじめに資源回収業者の方々も、一定的なリサイクル循環という中で、これもやはりご苦労をされてきたところはいうまでもないと思うんですね。
 ですから、区市町村が一般廃棄物の処理責任をしっかり果たしていくんだということは、当然重要だということでありますけれども、やはり東京都、都自身も、各区市町村の条例制定を促す。待つだけじゃなくて、東京都版の--私はこれはいろいろ議論だとか、広域性だといいながらも検討の余地はあるんじゃないかと思うけども、あえていわせてもらえば、条例、要綱か、マニュアルなのかよくわかりません。いわゆる実効的、効果の上がる方向、とりわけ首都東京全体における、全国共通的なものであるんだけど、これは東京、まさに東京ルール--根絶させていく。しっかりとした、まじめに、そして地域の住民の皆さんが一生懸命かかわって、ルートを制定してきて、また、公共ルート、収集ルートを詰めた--こういうふうな根底的におかしくさせるような行為は、私は何としてもやはり東京がしっかりとこれを取り組んでやらせる必要性があると。
 ですから、東京の、今申し上げた、条例なのか、要綱なのか、どうでしょう、マニュアルなのか、それはわからないけれども、わからないというか、私は要望している立場なんだけども、ぜひこういうところ、強く検討していただきたい。お願いしたいと思います。
 それで、これはもう最後にさせていただきますけども、いわゆるごみ収集車は、収集をします、当然、都内全体的に。多摩地域も同じ、二十三区も同じ、それぞれありますよね。そうしたときに、どおんと発火するんですよね。発火するって、いわゆる火が出る、ばあんと。これはもういうまでもない。ボンベだとか、いろんなライターだとか、いわゆるカセットボンベかな。卓上のコンロに使うカセットボンベだとか、いろんな要素がある。それが残っているんですね。
 これも指導が違うんです。穴あけて出せとか、穴なんかあけちゃ危ないからよせとか、いろいろあるんです。これはもうばらばらなんですよ。そのような状況の中で、これは、あえていわせていただきますけども、これ、二百二十八件、全体的にある。全然減らない。季節によったら当然ふえる。危ないね、これ。ばあんとはねるわけだから、火がばっと出てくる。じゃ、通学路で、もし、通学路だって収集してるよね、どうなんでしょう。
 いろんな施設関係のところで収集して、それがばあんとはねる。例えばそのCNGだとか、さまざまな、それはディーゼルでもいいんだしガソリンでもいいんですけどもね、そういうところに、仮に、構造はしっかりしているといっても、何らかの要因でそこに引火する、発生するというようなことが、仮にですよ、仮にね、あっちゃいけないけども、これ、二次災害発生しますよね。周辺状況で、ぽんとはねるわけだから、ぽんと出るわけだ、当然、あいてるわけだからね、あれは作業中だから。でしょう。
 こういうような現状も、どのように把握されているかね、ちょっとこの際ですからお聞きしたいんですけども。

○井戸廃棄物対策部長 廃棄物収集車両の火災事故の現状でございますけれども、平成十八年度は区部で百四十五件、多摩地域で五十一件、合わせて百九十六件でございました。
 十九年度は、区部で百五十一件多摩地域で六十五件、合わせて二百十六件でございます。
 二十年度につきましては、区部で百七十五件、多摩地域で五十三件、合わせて二百二十八件の火災事故が発生してございます。

○こいそ委員 ですから、だんだんふえているんですね、実際にふえている。危ないんです、非常に危ない。
 ですから、例えばそこに携わる現場の職員というかも危ない、これ、はっきりいって。それから、周辺の、どういう状況か、そういうの、ありますよね、広い道路のところがあれば、狭い路地もあれば、いろいろだと思うんですよね。これ、危ないですね。
 ですから、私は、これははっきりいって、環境局だけの話じゃ当然ないと思うんですけども、廃棄物ということですから、あえてここでいわせてもらっているんですけども、ぜひ、これ、連携とっていただきたいと、各区市町村に。各区市町村はやはり、これ、状況をよく知っていると思うんですよ。毎年ふえているわけだから、その状況というのは、私は深刻だと思うんですよ、一面。
 ですから、ぜひこのあたりも、各自治体、さまざま対応もしておられるところでしょうけども、より一層、こうやってふえ続けちゃってるわけだから、ぜひ広域行政、これも共通なんです。ですから、そういうことで、消防庁との連携もそうでしょう。当然だと思います。各区市町村に対して、やはり東京都の皆さんのような優秀でノウハウもあって、さまざまなものがあるわけですよ、機動力もあるし。こういうものを、やはり各区市町村に、ぜひ、何ていうのかな、そういう面での支援、協力というものを私はすべきじゃないのかなと思うんですね。
 そういうことで、私も前段でのお話もさせていただきましたけども、広域行政体、東京都としての環境施策、環境行政、これらのことを、何ていうのかな、今後のしっかりとした、やはり取り組みといいますかね、こういうことの中でのご決意、お気持ちを、ぜひこの際、局長に聞かせていただきたいと思うんですね。

○有留環境局長 お話のように、各区市町村が、それぞれの地域におきまして円滑に廃棄物処理を進めていけるよう、都としては区市町村との連携をさらに強化しまして、区市町村の抱える問題解決にも都が持っている高いノウハウを十分に生かしながら、積極的に広域自治体としての役割を果たしていくことが重要と考えております。
 都としては、今後とも、各区市町村と緊密な連携のもと、循環型社会の実現に向けた取り組みを先導的に進めてまいります。

○野上委員 私からは、PM二・五の環境基準と今後の対策について、まず伺わせていただきます。
 ことしの九月に、国が微小粒子状物質、いわゆるPM二・五の環境基準を設定したという報道がありました。早速、私も中央環境審議会の答申を読んでみたところ、環境基準の設定に伴う課題として、PM二・五の発生源が多岐にわたり大気中の挙動が複雑であることなど、対策の困難性を示す指摘もなされております。都は、国の環境基準の設定に先んじてPM二・五対策に取り組んでいるということですが、そうした都の取り組みについて、具体的に幾つか質問をさせていただきます。
 まず、PM二・五は、どのような物質で、人の健康にどのような影響があるのか伺います。

○柿沼環境改善部長 大気中に浮遊している物質のうち、直径が十マイクロメートル、十ミクロン以下の粒子については、浮遊粒子状物質、いわゆるSPMとして、これまで環境基準が定められてきております。SPMのうちでさらに粒径の小さいものは、肺の奥の方まで達するために、その健康影響はこれまでも懸念されておりました。このため、直径が二・五ミクロン以下の微小粒子状物質についても、健康影響評価が行われまして、今回、SPMとは別に新たな環境基準が定められたものでございます。
 その健康影響でございますけれど、国の健康影響評価の結果によりますと、呼吸器系の健康影響のほかに循環器系への影響、あるいは肺がんの健康影響も見られたとされております。

○野上委員 事業概要によれば、都は既に四カ所でPM二・五の測定をしているようですが、都内の大気中のPM二・五の濃度は、新たに設定された環境基準と比べて、どのような状況なのか伺います。

○柿沼環境改善部長 今回設定されましたPM二・五に関する環境基準は、年平均値、そして日平均値の二つが定められております。一時間ごとの測定値を一年間分平均した年平均値が一五マイクログラムパー立方メートル以下と定めておりまして、また一時間ごとの測定値を二十四時間平均した日平均値が三五マイクログラム以下と定められております。
 都は、平成十三年度から大気中のPM二・五の測定を開始しておりまして、現在四カ所で測定をしております。この測定方法は、今回環境基準と同時に定められた公式の方法とは若干の違いはございますけれど、平成二十年度の四地点の平均濃度は、年平均値で一七マイクログラム、日平均値ですと四二マイクログラムということになりまして、これらは、いずれも新たに定められた環境基準の値を上回っている状況でございます。

○野上委員 SPMについては、ディーゼル対策などの効果で、ここ数年全局で環境基準を達成しているのに比べ、微小なPM二・五が環境基準を満たしていないというのは不思議なことだと思いますが、環境省が大気汚染観測点で採取したデータによりますと、幹線道路沿い、一般市街地とも、中央環境審議会が提示の年平均値の一五マイクログラムをクリアしている地点はほとんどないという状況です。
 そこで伺いますが、都は、PM二・五の実態解明に関する調査を実施しているとのことですが、現時点でどのようなことがわかったのか伺います。

○柿沼環境改善部長 PM二・五の生成の由来というものがさまざまなものがございまして、自動車や工場などから直接粒子として排出される一次粒子と、それから排出されたガス状の物質が大気中で粒子に変化してできた二次生成粒子というものがございます。
 こうしたPM二・五の由来を明らかにするために、昨年度から、都内十七地点におきまして、四十二項目にわたる詳細な成分調査を実施しております。その結果は既に公表したものもございますが、その調査結果と八年前のデータとを比較いたしますと、一次粒子の割合が減少しておりまして、二次生成粒子の割合が増加しているということが判明しております。

○野上委員 最近は、自動車や、あるいは工場等から直接排出される粒子より、大気中でガスから変化した粒子の割合が高くなっていたということから、今後は、先ほどご答弁にもありました、直接排出される一次粒子よりも、光化学反応や、あるいは中和反応などされた二次生成粒子の原因となっているガス状の汚染物質の削減が重要になると考えております。
 そこで伺いますが、そのような原因物質の発生源には、どのようなところが想定されるのでしょうか。

○柿沼環境改善部長 これまでの調査結果から見ますと、都内のPM二・五の成分としては、硫黄酸化物が粒子化した硫酸塩といわれる物質、あるいは揮発性有機化合物、いわゆるVOCが粒子化したと考えられる有機炭素といわれる物質などが多く含まれております。
 これらの二次生成粒子の原因物質の発生源といたしましては、例えば硫黄を含む燃料を燃焼する施設ですとか、VOCを含む塗料、あるいは燃料油を使用する施設などが想定されます。そうした発生源としては、かなり多岐にわたるものが考えられます。

○野上委員 今お答えいただいたとおり、PM二・五は、発生源が多岐にわたるとともに二次生成粒子の割合が多いということから、対策を講ずべき発生源の特定等には非常に困難を伴うと思われます。
 しかしながら、都民の健康への影響が懸念されている以上、一日も早く実態を解明し対策に結びつける必要があると考えます。
 そこで、都は、今後PM二・五対策にどのように取り組むのか伺います。

○柿沼環境改善部長 PM二・五の生成メカニズムですとか大気中の挙動に関しては、必ずしも知見が十分ではございませんので、その実態を解明するためには、専門的な知識ですとか特殊な分析機器ですとか、あるいは最新の解析手法などが必要となります。
 そのため、都は、昨年度から大気環境の専門家によって構成される微小粒子状物質検討会を設置して検討を行うとともに、環境科学研究所を初めといたします研究機関や大学、あるいは近隣自治体等と連携協力して、PM二・五の調査研究を進めてきております。
 今後、PM二・五の生成メカニズムや発生源の影響度合いなどを解明して、都としても効果的な対策を実施することによりまして、都民の健康リスクの低減と、より一層質の高い大気環境の実現を目指してまいります。

○野上委員 東京都は、都民の健康と安全の確保について非常に大きな責任を負っていると考えます。現状のPMの濃度、レベル、なかなかPMの濃度の測定も難しいというふうに伺っておりますけれども、現状では非常に人体に有害であるということは明らかです。国がこの基準を設定した過程においても、その背景には、やはり既に一九九七年、アメリカで新たなPM二・五の基準を導入して、そして翌年にもう実施している。そして、アメリカでは、微小粒子は暴露の健康影響を中心として優先されるべき十の分野の改良点というか、対策というのが示されておるようでございます。そういった意味では、非常に精力的に研究を行っているところのようです。
 もちろん、私たちのこの日本とアメリカ、そしてまた日本国内においても、東京と、あるいは地方都市、それぞれPM発生源の種類も寄与の程度も恐らく大きく異なりますので、対策もそれぞれかと思われますけれども、一層、このPM二・五の対策については取り組んでいただきたいと思います。
 また、こちらは要望でございますが、現在の環境局の中で進めております環境影響評価法では、例えば道路の事業にかかわる大気質の調査項目に、自動車の走行による影響を受ける環境要素として、二酸化窒素と浮遊粒子状物質、SPMが参考項目として挙げられております。現状、PM二・五の発生が自動車に起因することは、やはり明らかでありますし、PM二・五を道路事業における環境影響評価の調査対象に、将来的には加えていただきたいと思います。
 そして、PM二・五の低減に関する対策を、より一層充実、加速させて、世界に誇るクリーンな大気環境の実現を、この東京で目指していただけますように要望をいたします。
 続きまして、運輸部門の温暖化対策についてお尋ねいたします。先ほど、ほかの委員からも幾つか質問がありましたけれども、視点を変えて、私からも温暖化対策について幾つかお尋ねをさせていただきます。
 東京都は、国に先駆け、都市戦略、「十年後の東京」においては、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を定め、特に運輸部門については四〇%削減という高い目標を掲げております。その目標を達成するには、さまざまな取り組みを着実に、かつ効果的に行っていく必要があります。そのためには、車そのものの環境性能がよい低公害、低燃費車の普及を図っていくことも、目標達成に向けての大きな柱の一つと考えます。
 自動車を多く保有する事業者は、その営業活動などでより多くの環境負荷を与えておりますが、車を大量に保有する大規模事業者に対しては、義務づけなどの手法により、早期に低公害、低燃費車の導入促進を図っていくべきと考えますが、都のこれまでの取り組み状況はいかがかお尋ねいたします。

○市川自動車公害対策部長 東京都は、これまで環境確保条例におきまして、二百台以上の自動車を使用する大規模事業者に対して、東京都が指定する低公害車の導入義務を課してきたところでございますが、地球温暖化対策の強化を図りますため、ことし三月の第一回定例会におきまして条例等の改正を行いまして、大規模事業者に対しまして、平成二十三年四月から低公害に低燃費を加えた環境性能のよい自動車の導入を義務づけたところでございます。

○野上委員 温暖化対策を推進していくためには、義務づけなどの規制的な手法だけではなかなか進みません。何らかのインセンティブを付与する仕組みが重要であると考えます。
 特に中小企業事業者については、経営基盤が比較的脆弱である点などから、財政的支援などの対策が有効であると考えております。中小企業事業者については、個々の事業者が保有する車両台数は少ないのですが、その総数は、大規模事業者が有する自動車台数の総数に比べ圧倒的に数が多いことから、温暖化対策を講じていく必要があります。
 都におけるこれまでの中小事業者への低公害、低燃費車導入促進に関する財政的な支援策について伺います。

○市川自動車公害対策部長 温暖化対策を効果的に進めていく上では、中小事業者に配慮した取り組みも必要でございます。
 東京都は、これまで融資あっせん制度を設けておりまして、中小事業者が最新規制適合車への買いかえを行う場合に、その融資額にかかる利子及び信用保証料について一部補助を行ってきたところですが、平成二十年度からは、温暖化対策に向けて、中小事業者の支援の充実を図るため、本制度の対象に新たに低燃費車の購入も加えまして、その利子及び信用保証料の補助を行っているところでございます。

○野上委員 例えば、中小流通業者、東京都でも低公害車への融資、利子の補給ですが、そういった助成はありますけれども、補助金は圧縮天然ガス自動車と粒子状物質減少装置の装着補助だけでありますし、ハイブリッド貨物自動車は、現状は対象外となっております。
 もちろん、今、現状、ハイブリッド貨物自動車は、燃費とか、あるいはそういった面でまだまだ技術開発の途中であるといわざるを得ませんけれども、中小企業の皆さんにとっては選択肢がふえる、あるいは、ちょうど車両の買いかえ時にあっては購入を検討する企業も、少しずつではありますけれども、ふえてきております。
 こういった、もちろん先ほどご答弁いただいたように、そういった助成だけではなくて、例えば車両本体への買いかえ時の補助も私自身は必要だと思っております。
 自動車の温暖化対策を強化していくためには、現時点での状況を踏まえた対策も必要であると考えますが、将来への見通しなどを踏まえた取り組みも重要でございます。特に、環境対策は先手を打って取り組み、行っていくことが求められております。現在、自動車の技術革新が進み、その普及が進んでおります。
 その中で、最近、注目を浴びているのが電気自動車です。温暖化対策を進めていく上での電気自動車の有用性についての都の認識と、普及のための取り組み内容について伺います。

○市川自動車公害対策部長 運輸部門のCO2削減を効果的に図っていくためには、より燃費性能のよい自動車を早期に普及させていくことが重要でございます。中でも、電気自動車は、走行中CO2が排出をされないということから、温暖化対策を進める上で、その普及は効果的であると考えてございます。
 ことし七月に、実用性の高い電気自動車が、軽乗用車タイプでございますが、発売されましたが、その販売価格が高いため、その普及に向けまして、中小事業者が購入する場合には、その購入費用の一部を補助しているところでございます。
 また、電気自動車の走行環境を整備するため、急速充電設備の設置に関しても、その設置費用の一部を補助するなど、普及を図っております。

○野上委員 今のご説明でも、電気自動車は走行中にCO2の排出がなく、環境対策として重要な車であるということは理解いたしました。実際、東京モーターショーが昨日から行われておりますが、その場所で、特に電気自動車の開発を懸命に取り組んでいる自動車会社の社長が、ハイブリッド技術では温室効果ガスの排出の完全な解決策にはならないということで、非常に電気自動車への開発を力を入れているところでございます。
 私は、自動車の中で、特に公共交通機関として大きな役割を果たしているバスが電気化されることにより、さらに環境によい移動手段になると考えております。電気バスに関しては、先般、神奈川県で路線バスに電気自動車を導入するための検討会を設置し、そして、産学官共同による電気バスへの取り組みが始められたところでございます。また、韓国ソウルでは、この十一月にシャトルバスを試験運転して、そしてこれが実現すれば、来週には公共交通機関に導入される初の電磁誘導式の充電技術を使った電気バスというか電気シャトルバスがソウル市内に走ることになっております。
 そういった中で、東京都は、現状、どのような状況なのか伺わせてください。

○市川自動車公害対策部長 バスは、都民生活に欠かせない公共交通機関でございまして、温暖化対策を推進していく上で、それ自体の環境性能を向上させることが重要と考えておりまして、その動力に電気を活用することが効果的でございます。
 これまで、東京都は、ことしの四月でございますけれども、非接触給電ハイブリッドバスといわれます、車体に搭載したバッテリーに地上の給電設備から急速充電を行い、電気モーターのみで走行可能なバスにつきまして、公道で都営バスにおいて実証実験を行ったところでございます。しかしながら、こちらのバスはまだ試作車の段階でございまして、実用化、量産化できる段階には至っておりません。
 現時点で実用性の高い電気自動車につきましては小型のみということで、今後、車両の大型化や量産化に向けて、技術面やコスト面などのさまざまな課題の解決が必要と考えてございます。

○野上委員 今のお話でも、電気バスについての実用化はなかなか課題があるというのがわかりました。
 しかしながら、一方で、先ほども申し上げたとおり、韓国のソウルでも、あるいは神奈川県でも、非常に先駆的というか、非常に力を入れて取り組みを始めたところでございます。
 温暖化対策を国に先駆けて牽引している東京都が、やはりバイオ燃料、GTL、そういった燃料だけの対策にとどまっているということには、なかなかならないと思います。やはり車両本体、例えばある小さな地域、先ほども新宿区内のバスについてご質問の中でお話しされた委員がいらっしゃいましたけれども、例えば東京都のこの都庁の周辺だけでも電気バスを周回させてみる。それが新たな施策となり、あるいは環境事業への礎となるということも考えられます。
 また、オリンピックの招致でも、電気自動車についていろいろと取り組みがなされておりましたけれども、北京のオリンピックでは、電気バス、シャトルバスについても既に導入をしている状況でございました。
 そういった中で、やはり東京都が世界に先駆けて環境、公共交通機関、整備をしていくという、そういった気概を持っていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○市川自動車公害対策部長 温暖化対策を進めるに当たりましては、現在の施策を着実に実施するとともに、先導的な取り組みを実施していくことが重要と考えてございます。
 ご指摘にありましたように、運輸部門におけるCO2削減を効果的に進めるため、単体対策だけではなく、燃料対策としてバイオ燃料の実用化に向けた実験や、天然ガスを原料とした液体燃料として合成した次世代のディーゼル車燃料のGTLの実証実験なども幅広く展開してございます。
 今後とも、電気バス等のさまざまな技術開発の動向を踏まえまして、こうした先導的な取り組みも見据えて、運用における温暖化対策を着実に推進してまいりたいと考えてございます。

○野上委員 最後に、意見として申し上げさせていただきたいと思いますが、やはり、環境局として、これからの公共交通をどうしていくべきか、あるいは東京都の公道にはどういった車を走らせることが東京都全体のCO2削減、あるいは、先ほども質問をさせていただきましたが、PM二・五及び、あるいは大気汚染の対策になるのかという大きな、やはりグランドデザインがここで実は必要だと思っています。
 オリンピックの招致に、やはり夢を持っていたこの東京都でございますが、次は、やはりこの環境局が先導して、この東京に近未来的な新しい燃料を使った、あるいは電気自動車を張りめぐらせて、そして環境負荷のない東京の公共交通を実現させていただきたいという期待を持って、質問を終わらせていただきます。

○矢島委員 小笠原の自然遺産登録を、まず最初にお聞きをいたします。
 先ほどの質疑にもありましたが、海洋島であって固有種がある。これが自然遺産の登録の基本要件ということになろうかと思います。
 ご説明によりますと、まずヤギの話がよく出てまいりました。これは、東京都も八丈小島で既にヤギの駆除は経験をしておりまして、実際上、私も現地に自民党調査団の一員として伺ってまいりましたので見てまいっております。
 その中で、先ほどの説明で、グリーンアノールとアカギの件について、名前だけ出てまいりましたが、状況の説明がありませんでした。固有種という観点からいきますと、特にグリーンアノール、五百万とも六百万ともいわれておりまして、人口が二千五百ほどしかおりませんから、圧倒的な、固体の大きさは違いますけど、数ということになります。
 固有種の全体に考えますと、この駆除をしっかり、あるいはどういう方法でかしっかりやらないことには、本来、自然遺産への登録の固有種の問題、移入種に対する駆除を含めましての対応ということにはなりにくいことであろうかと思いますので、この点について、一点、先ほどの質疑を通して確認をさせていただきたいと思います。
 もう一度申し上げますと、現況、今のアカギ、そしてグリーンアノールの現況、そして移入種対策、これをどうしていって、いえば、一年に十万匹ずつつかまえて五十年かかるという話です。ですから、そういう観点から、ぜひお答えをいただきたいと思います。

○大村自然環境部長 これまで大陸と地続きになったことのない小笠原諸島では、独自の進化を遂げた多くの固有種が生息、生育しておりまして、特殊な生態系を形成しております。外来種が一度侵入いたしますと、生態系のバランスが崩れまして、その排除に多大な経費と年月を要するということになります。で、グリーンアノールにつきましては、ご指摘のとおり、現在、父島及び母島に、合わせて数百万匹生息しているといわれております。このグリーンアノールが固有の昆虫を食べてしまうことで、これらの昆虫が絶滅の危機に瀕している状況にございます。
 対策といたしましては、母島で固有の昆虫が繁殖する地域を保護区として侵入防止フェンスで覆いまして、その中でグリーンアノールを集中的に排除するとともに、現在生息しております父島や母島からほかの島へ、このグリーンアノールが拡大しないように、両方の島の港の周辺に、粘着トラップを集中的に設置いたしまして、排除を進めているところでございます。
 また、アカギという木につきましては、その繁茂により多くの固有植物が育たなくなるなどの影響が出てございます。この木は生命力が旺盛なために、単に伐採するだけでは排除は困難でございましたが、近年、幹に薬剤を注入して枯らす方法が確立されまして、現在、国が排除を進めております。アカギはかつて父島、母島、弟島では多く見られましたが、弟島では、現在、ほぼ根絶いたしまして、現在、母島で集中的に排除に取り組んでおります。このような形で、国、村、関連機関とも連携いたしまして、外来種対策を強化していきたいと思います。

○矢島委員 固有種に安全な植物園か昆虫園をつくるというように聞こえなくもありません。島全体が自然遺産として、海洋島として登録して、その実行を果たしていくためには必要な措置はしっかりやっていかなければいけない。その例は、聞くところによりますと、青ヶ島で、昆虫の駆除に利用した方法もあるそうでございますから、有償、無償を含めまして、ボランティアの皆さん、まあ、島民の皆さんということになりますが、ご協力を得ながら、少しでもその実を上げられるような努力をぜひしていただきたい。なかなか、今のヤギの問題しかいいにくいというところ、今のことでもよくわかりますが、実効ある対応を、ぜひ今後していただきたいと思います。
 次に、カラス対策についてお伺いいたします。東京都は、石原知事が就任した、平成十三年よりカラス対策に取り組んでおります。対策開始後、著しい減少を見ましたが、現在はあくまで数字だけ見ますと、漸増傾向にあるように見えます。そこで生息数、対策の内容、漸増の事由についてお伺いいたします。

○大村自然環境部長 カラス対策につきましては、平成十三年度から、トラップによるカラスの捕獲と、カラスのえさを断つという意味での、ごみに対する対策を柱といたしまして取り組んでまいりました。これらにつきましては、都と区市が連携して、現在、実施しております。
 都といたしましては、トラップによる捕獲を主に行っておりまして、捕獲実績は平成二十年度は一万二千二百十七羽ということで、前年度に比べまして三割の増加をしてございます。そして、これまでに延べ十万五千三百九十二羽のカラスを捕獲してまいりました。
 また各区市等では、ごみ対策といたしまして、防鳥ネットの設置、夜間、早朝収集や個別収集を行ってございます。また、公園などの管理者がカラスの攻撃から都民を守るために巣の撤去を行っているところでございます。
 これらの取り組みの結果、大規模ねぐらの生息数は、平成十三年度の対策開始時には都内全域で三万六千四百羽でございましたが、平成二十年度では二万一千二百羽と四割強、減少してございます。また、都庁に寄せられましたカラスに対する苦情相談件数も、ピーク時の平成十四年度には三千七百五十四件でございましたが、平成二十年度には七百十二件ということで、八割減少してございます。なお、平成二十年度の都内の生息数は、前年度の一万八千二百羽より、約三千羽、増加しているところでございます。
 これを詳細に分析いたしますと、区部は、平成十九年の一万三千二百羽から一万二千六百羽ということで五%ほど減少をしております。これに対しまして、多摩地区の方で、前年度の五千羽から八千六百羽ということで増加してございます。
 この増加をさらに詳しく見ますと、多摩地域の都県境のところで大規模ねぐらの生息数が急増しているという状況が見られます。隣接県でカラスのねぐらといわれている地域の開発が始まったようなところから、それらの隣接県から都内に流入してきて、生息数がふえたのではないかというふうに考えてございます。

○矢島委員 生き物を捕獲するわけですから、大変な仕事であろうかと思います。ただ、実際上、繁華街、私も商店街の役員をやっておりますが、繁華街の朝の実情を見てみますと、まだまだ、その生息の問題は大きな、地域の、あるいは通行する方々の迷惑であろうかと思います。これは地域としても、しっかり対応して、えさを与えないことが何よりだと思いますので、全体的な取り組みをこれからもぜひ進めていただいて、ご苦労もあろうと思いますが、努力を重ねていただきたいと思います。
 東京都のこれまでの取り組みはそのように評価いたしますが、専門家による研究も活用していると聞いております。その取り組みについてお伺いいたします。

○大村自然環境部長 平成二十一年度は、捕獲トラップを、前年度末八十二基でございましたものを、四割ふやしまして百十五基に増設いたしました。また、ごみに対する対策といたしましても、ことしから渋谷区内の繁華街や住宅地で、新たに開発した防鳥かごの実証実験を開始したところでございます。
 さらに、カラス対策の新商品を開発しようとする企業からご相談がございましたときには、大学の研究者を紹介いたしまして、企業の取り組みを後押ししているところでございます。直ちにこれらが、新商品に結びつくものは多くはないんでございますが、このような大学と企業との連携により開発させた商品の一つに、カラスが認識しにくい黄色いごみ袋というのがございまして、都では区市町村にこれらの情報提供を行いまして、杉並区や品川区を初め、各区で実証実験等を踏まえて導入されているところでございます。
 カラスの捕獲については、引き続き効果的、効率的な捕獲が行われるように、カラスの特性を踏まえましたトラップの設置を進めているところでございます。また、東京大学の附属植物園や、国立科学博物館附属自然教育園で、現在、調査をしてございまして、それらを踏まえまして、今後、効果的な捕獲方法などについて検討してまいりたいと思ってございます。
 引き続きまして、カラスの生態を含めた幅広い情報の収集に努めまして、カラス対策の取り組みを強化してまいりたいと思います。

○矢島委員 ぜひとも、都民の現実の近くの問題ですから、これからも努力を重ねていただいて、これまでの努力はしっかり評価させていただきます。
 次に、船舶の寄港対策についてお伺いいたします。東京都は、東京港寄港船舶の環境対策に取り組もうとしております。その内容と課題をお伺いいたします。

○柿沼環境改善部長 都内の大気環境は、以前に比べ大幅に改善してきております。しかし、臨海地域の硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質濃度は、区部の平均に比べますと、相対的に高い状況でございます。
 その原因の一つとして、停泊中の船舶で稼働させる発電用ディーゼルエンジンの排ガスの影響が挙げられます。これまで都は、海運業界、あるいは国交省、港湾局などの参画のもとに対策の検討会等で意見交換等を行ってまいりました。
 また、停泊中の船舶の排ガス対策としては、陸上から電力を供給しエンジンを停止させるという方法が最も効果的であるということから、これまで、陸上電力導入時の排ガス低減対策を把握することを目的に、独立行政法人航海訓練所の協力を得まして、その所有する船舶の排ガス等の実測調査等を行ってまいりました。
 また、陸上電力の供給設備の設置に向けたパイロット事業は、「十年後の東京」の実行プログラム二〇〇九に位置づけられました。今年度、港湾局が実施することとしております。
 陸上電力の導入に当たりましては、船側、陸側の設備改善に要する費用が高価であったり、五十サイクルの電力を六十サイクルに周波数変換しなければならないといったような課題もございまして、今年度、私ども環境局では、国内外の船舶や、あるいは港湾における陸上電力導入に関しての実情の調査を進めているところでございます。今後とも港湾局と連携しまして、停泊中の船舶の陸上電力の導入とその普及に取り組んでまいります。

○矢島委員 船舶の排ガス規制がない中では大変有効な問題であろうかと思いますが、先ほどありましたように、陸電につきましては、供給側、受け入れ側、両方の問題を解決していかなければいけない。船は世界に数多くある。こういう中で、ご苦労もあろうと思いますが、ぜひとも続けていただきたいと思います。
 船は、いわば自己完結のミニ都市でありますから、推進動力、発電機を備えていることになります。そして現実は、排ガス、環境汚染も深刻であります。そのような中、日本の船会社に所属している船自身のソーラー化など、船舶の環境対策が進められております。また、現在、船舶のCO2規制はありませんが、国際海事機構では検討中ともいわれております。現実の問題として、日本のある船会社のCO2排出規模は、日本のどこかの発電会社の規模に匹敵するほどと聞いております。
 そこで、環境施策を重要な柱とする東京都は、今後、東京港を母港とする離島航路など、船舶の新船建造時に、一部ソーラー化でも、それを進める助成を、それを進める施策を行うべきではないかと考えます。その場合は、助成なども考えなければならないと思いますが、先ほどご説明のありましたバスのハイブリッドの場合の購入の差額の補助、現実にそういう問題もあるわけですので、この問題はぜひ必要と思いますが、お考えをお伺いいたします。

○柿沼環境改善部長 停泊中の船舶の排ガスは、先ほど申しましたように、臨海部への影響ということで重要なんでございますけれども、航行中の排ガスにつきましても、沿岸あるいは島しょへの影響ということを考えますと、排ガス対策は、また必要ということがいえると考えております。
 しかしながら、航行中の船舶の排ガスの規制というのは国の所管でございましたので、都は国際海事機関、IMOにおけるマルポール条約改定に当たりまして、規制強化をするように国に働きかけてまいりました。
 その結果、昨年十月、新造船の窒素酸化物排出規制の強化に加えまして、既存船についても、規制が導入されました。また、燃料に含まれます硫黄含有量の規制強化も合意されております。
 ご指摘のソーラー船につきましては、現在一部の船舶に太陽光発電パネルが搭載されているということは承知しております。また、その規模から考えますと、船の全部の動力を賄うことはできずに、現状では補助電源という位置づけでございます。
 このため、こうした場合には発電をしない場合のバックアップ用の外部電源が必要になります。そうした意味でも、先ほど申し上げました停泊中の陸上電源供給というものは必要であり、かつ有効でございます。陸上電源供給施設などのインフラ整備というものを、まず先行的に促進していく必要があると思いますので、ご理解いただきたいと思います。

○矢島委員 私が申し上げたのは、日本じゅうの船舶をどうにかしてくれという話ではありませんで、東京港を母港とする離島航路というふうに指定をさせていただいております。東京都の領域を動く船ですから--常に何かやるときに先導的な役割を果たしていく東京都の環境局だという一方の発言があって、一方では、それは国の問題だと、これは適切な表現ではないと思います。
 物事は、例えば今のお話、ソーラー船があるといいましても、現実には、今ある一番日本のソーラー船で進んでおりますのは、車両の運搬船で、デッキがフラットですから、また状況は違います。それで、やはり補助電力を使わざるを得ないというような現実であります。
 しかし、その中で、今、研究を進めているのは、一部の部分の改良をすることによって効率も十分上がるという研究もあるようです。かなりのパーセントでソーラー化が進んでいくということがあります。
 客船ですから、なかなか今申し上げたように、その支援も難しいところがあろうと思いますが、せめて東京都の領域を母港として、離島を動く船だけでも、先導的な役割で、そういう検討もぜひされたい。できない理由をいうお気持ちもわかりますが、やる方法をぜひ考えていただきたいということを、意見だけ申し上げておきます。
 次に、公共交通機関、電車の効率化についてお伺いをいたします。電車など公共交通機関は、その効率性から利用が進められております。どのくらいの効率であるかをお伺いいたします。

○吉村環境政策担当部長 電車の効率性ということで、CO2の排出量で申し上げますが、交通エコロジー・モビリティ財団のまとめによりますと、我が国の運輸部門のCO2排出量に占める割合でございますが、国内旅客輸送に占める割合が約六割の自動車がCO2、八六%を排出しているのに対し、輸送割合が約三割である鉄道はわずか三%と非常に効率の高い輸送機関であるということがいえます。これは人一人を一キロメートル運ぶのに排出する二酸化炭素が、自家用乗用車の場合は約百七十二グラムということになるのに対して、鉄道は十八グラムというふうに極めて少ないためでございます。

○矢島委員 自動車等の交通機関と比べての、今、一人当たりの比較でありますが、その効率の、自動車交通なんかと比べて大変よい電車自身も、技術開発による効率化の進展が著しいそうです。二〇三〇年にはCO2五〇%削減を目指す鉄道会社もあると、日本の場合、日本で聞いております。
 そこで、このような効率化の取り組みの状況を受けて、都営地下鉄の効率化の取り組みについて、環境局としてどのように考え取り組んでいるかをお伺いいたします。

○吉村環境政策担当部長 鉄道車両の効率化の手法としては、回生ブレーキの導入と、VVVF化というものが有効とされております。まず回生ブレーキでございますが、ブレーキ作動時に発生いたします電気エネルギーを架線に戻してですね、他の電車に送り、再び利用することができる機能でございます。VVVFは、直流電流をインバーターで交流電流に変換いたしまして、軽量小型の交流モーターで駆動する方式で、電力使用量が約三〇%削減できるという報告がなされております。
 日本民営鉄道協会のまとめによりますと、二〇〇八年四月に、東京メトロを含む大手民鉄十六社の平均導入率でございますが、回生ブレーキは七六%、VVVFは四五%でございます。
 これに対しまして、都営地下鉄でございますが、回生ブレーキはすべての路線で既に導入されておりまして、VVVFについても、新宿線の一部車両を除くすべての路線で既に導入されております。
 今後も老朽化した車両の更新時にVVVFの導入をする予定であると聞いております。加えて都電荒川線の車両でございますが、これについては二十四年度末までにVVVF、十七両とする目標を掲げ、車両の更新を進めているというところを聞いております。

○矢島委員 技術開発が進んだ新しい車両に古い車両を乗りかえていく、これは当然のことだろうと思います。先ほど申し上げたように、日本の鉄道会社でもCO2の発生を五〇%に、二〇三〇年には落とすと、そういう目標を持って取り組んでいるところがあるわけですから、そういう観点からの取り組みが、環境局もそこは自動車交通と比べて効率がいいんだから、それで後は、その先は各都区が少しずつでも効率のいいものに変えていくだけではなくて、これ自身も目的を持って取り組んでいただきたい。これも例外ではないということを意見だけ申し上げます。
 次に、フロンあるいは代替フロンであるハイドロフルオロカーボン対策の現況、そして効果について伺います。

○大野理事 都は、二〇〇〇年に環境確保条例でフロン対策を定めまして、エアコンなどの廃棄時や整備時における冷媒フロンの回収及び分解処理を義務づけました。国におきましても、フロン回収破壊法や家電リサイクル法などで、冷媒フロンの回収を行ってきております。
 現状でございますが、都内におけるフロン回収破壊法の対象となっているフロンの回収量は、二〇〇三年度で約四万九千台、二百八十トンであったものが、二〇〇七年度には、約八万九千台、三百九十トンと増加をしてきております。家電リサイクル法は、これは全国ベースの数字しかございませんけれども、二〇〇三年度の回収は約一千百トンであったものが、二〇〇六年度は約一千三百トンに上昇をしております。

○矢島委員 フロン代替媒体、冷媒としてのハイドロフルオロカーボン、HFCは、CO2の二千倍の温暖化効果があるんだそうであります。
 これが充てんされたエアコン一億台が現在全国で稼働をしているといわれ、年間に新たに七百万台が販売されております。家電リサイクル法の対象でありますが、回収はわずか二百万台、またフロン回収破壊法で処理されなければならない、店舗で使用する冷蔵機器の回収も十分でないといわれています。
 実際、大きな温暖化効果の物質でありますから、HFC、物質であるのは確かです。HFCと別の物質を冷媒として、これはCO2と聞いておりますけれども、これを、一部売り出されているそうでありますが、HFCが蓄積されたボリュームは極めて大きく強力です。
 実効ある取り組みが実際上必要で、これに取り組まなければ、それ以外の問題も、かなりの割合で大きく残ってしまうこと、それ以外の問題というのは、温暖化対策の穴があいてしまうということを申し上げたいんですが、そこで、その対策と課題と対応策、今後どうしていくかお伺いいたします。

○大野理事 東京の温室効果ガス、いろいろと種類がございますが、温室効果ガスの全体の排出量で見ますと、九六・六%、大宗はCO2でございます。したがいまして、私どもは、このCO2対策を中心に対策の強化を進めてまいりました。しかし、ご指摘のように、確かにフロン対策も、今後さらにGHG、温室効果ガス全体の削減を進めるという意味では非常に重要であるというふうに考えております。
 現状でございますが、都は現在、東京都冷凍空調設備協会とともに、共催しまして、回収事業者に対する説明会を年に十数回開催をして、フロン回収率の向上に努めるとともに、回収事業者の営業所への立入検査や、廃棄物処理と合わせて建築物の解体現場への立入指導等も行っております。こうした取り組みは進めておりますが、確かに冷媒フロンの回収量が、まだ十分高くないという現状でございます。これも国全体の数字でございますが、国では六〇%という回収の目標を立てておりますけれども、二〇〇六年の現状では全国平均では推定約三六%にとどまっております。したがって、まだ大きな穴があいているというご指摘のとおりでございます。
 これにつきましては、国に対しても、フロン回収の向上に向けた取り組みの強化を求めてまいりますが、今後、都においてはどのような対応、対策強化が可能であるか、検討をしてまいりたいと思っております。

○矢島委員 フロン回収の問題は、国に先駆けての東京都の取り組みが先行しておりました。それだけにこの問題は、しっかりと、東京都もその実績があるわけですから、ないがしろにしないで、効果ある対策をとっていただきたい、このように思います。
 次に、環境税について伺います。東京都税調が諮問を受けて、審議が進められ、環境局でも、実務担当者が税調に出ているそうでありますが、東京都版環境税の進捗状況について、お伺いいたします。
 従来の議論の課題、従来というのは、この今回の諮問の前の議論の課題、また平成二十一年度の総会で知事の諮問を受けた諮問の内容、委員の構成と専門分野についてお伺いします。

○吉村環境政策担当部長 平成二十年十一月に出されました東京都税制調査会の答申においては、環境税の導入を積極的に検討すべきとありますが、導入の際には、既存の石油石炭税や揮発油税など化石燃料の消費に対して課税される税との関係整備が不可欠と指摘されており、将来的にはこうしたエネルギー関係諸税は貴重な資源の消費に対して負担を求める環境税へと再構築させていくことが望ましいとございます。
 また、この答申の中で、東京都版環境税については、化石燃料の消費に対する課税などが考えられるが、都単独の課税には、他の地域の住民との公平性や、都県境の販売事業者等への影響など、解決すべき課題が多いと指摘しており、今後は全国ベースでの課税と都の単独課税の両方を視野に入れ、具体的な制度設計、導入に至る道筋などについてさらに検討を進めていくとございます。
 こうした点を踏まえまして、平成二十一年度の知事の諮問の内容については、分権と環境の視点から、国、地方を通じた税制とこれに関連する諸制度のあり方について審議を求めておりまして、本年十一月を目途に中間報告が出されるというふうに聞いてございます。
 環境税については、今後国においても導入に向けた議論がなされることから、都としてもこうした動向を注視しつつ、さらに導入に向けた議論を進めていくべきものと考えてございます。
 なお委員の構成と専門分野についてでございますが、特別委員である六名の都議会議員のほか、十九名の委員と二名の専門委員から構成されておりまして、それぞれの専門分野でございますが、財政学を中心に、環境経済学、行政学、法学、あるいは税制実務の専門家、自治体の特別職など、多岐にわたってございます。

○矢島委員 議論は答申が出てからということに、議会での議論もなろうかと思います。それを差し控えさせていただきますが、環境税課税の、先ほど一部答弁もありましたから、現在の環境の、その環境の認識を伺います。

○吉村環境政策担当部長 環境税に対する認識でございますが、税のみで温暖化の問題がすべて解決できるわけでございませんが、企業や家庭の地球温暖化対策を効果的に推進していくためには、経済的手法の活用が非常に有効であり、その中でも税制の果たすべき役割は非常に大きいというふうに考えてございます。
 具体的には、課税による省エネ促進のインセンティブの効果や、安定的な財源を確保することによる支援策の強化など、税手法の適切な活用により、多くの施策効果が期待できると認識しております。
 さらに今後環境税が導入される場合には、地方自治体が環境政策に果たす責任と役割等を踏まえまして、地方税を主体としていくべきと認識してございまして、これまでも、国に対して提案要求を継続的に行っているところでございます。

○矢島委員 期待をしております。現在の東京都は一つのビジネスモデルを見ているような気がいたします。信念を持って環境施策に取り組む知事がおり、環境施策の仕組みをつくり上げようとしております。最終的には社会全体の方向性を地球環境へ向けなければならない、この目的があろうと思います。
 しかし、今、取り得る対策は規制と補助金であり、補助金は国の太陽光発電の補助金を普及の糸口をつかんだという判断から停止したことがありますが、この停止が普及の急停止になった。その間にドイツが売電まで進めて、大きな太陽光発電に対する力を振るった、こういうようなこともありました。ですから、今申し上げたように、規制と補助金だけではその限界は明らかということになります。また、単なる規制では持続した成長には資さない。
 その中で地球温暖化の阻止と経済成長の両立を目指すためには、技術的ブレークスルーが必要となりますが、東京都の認識と、それに導く制度設計、そのための支援はどのように取り組んでいるか、お伺いいたします。

○吉村環境政策担当部長 環境への負荷を最小化し、持続可能な社会を構築していくためには、我が国が誇る高度な環境技術の活用がかぎとなるというふうに考えてございます。
 すなわち二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量二五%を削減するという目標を達成するためには、現在ある技術の活用にとどまらず、新たな技術の育成とその活用が不可欠であるというふうに考えてございます。こうした最先端の技術をはぐくみ、地球温暖化の防止と経済成長の両立を目指すため、さまざまな支援を行っていくことが重要な課題であるというふうに認識してございます。
 実効性ある環境対策に取り組んでいくためには、お話しのとおり、規制と補助金の適切な組み合わせと先進的技術の活用という視点で取り組んで、制度を設計することが重要であり、今年度創設した住宅用太陽エネルギー利用機器導入補助や、来年度から始まるキャップ・アンド・トレードについても、いずれもそうした視点を取り込むよう努めてきたところでございます。
 また、例えば首都大学東京が複数の民間企業の技術を統合いたしまして、高い断熱性能を持ちますセラミック系材料等を活用し、建築物の省エネ性能に役立つ新技術の実用化を進めておりますが、環境局といたしましても、その応用実験等に対し支援を行っております。今後、研究開発の実態も踏まえ、こうした施策を多角的に展開していくということが必要であるというふうに考えてございます。
 今後とも最新の技術の動向を注視し、かつ多面的に情報収集を行いまして、環境技術の進展のため、さまざまな取り組みを進めていきたいというふうに考えてございます。

○矢島委員 世界の国々が、豊かな生活をしようということで、比較的に今、高いとはいえない状況ですから、ほかのものに比べて、化石燃料の使用に走る。そして、地球の規模で果たして何人の人口が養えて、環境が維持していくかというのは、一つの大きな重要な課題ということになろうと思います。それだけに、各国が経済成長を望みながら、豊かな生活をしていくためには、廉価なエネルギーをどうやって開発し、発明をしていくか、これが一番大きな課題になり、これは環境対策の根幹だと思います。
 一方、環境技術は通常の技術の積み重ねと洗練にあるともいわれています。それだけに環境技術対策は産業が--日本の産業をしっかり強化していくことが重要でありますから、専門部局である産業労働局の取り組みを環境局はしっかり支援をしていく、この観点が必要だと思います。屋上屋を重ねるような、あるいは似たような施策を至るところで展開させるようなむだを省いていただいて、ぜひ専門分野をしっかり支援をしていただいて、それが本来の、今の東京都の行政の全庁的な立場から横ぐしを通す、環境局のしっかりした必要な役割だと思いますので、今後のしっかりした取り組みを期待いたしまして、意見だけにとどめておきます。

○松下委員 東京都環境基本計画には、東京が直面する環境問題についての新たな認識が三つ書かれております。
 今そこにある危機として、気候変動の危機の顕在化などを認識しております。少ないエネルギー消費で快適に活動、生活できる都市を目指すという、目指すべき都市の姿に賛同しつつ、その目指すべき方向性と、実際の環境局を初めとした東京都の取り組みが合致しているかどうかという視点も含めて、二酸化炭素排出削減と、地下水の保全の大きく二つの課題について質問させていただきます。
 まず、二酸化炭素排出削減に関しては、自動車交通量対策とレジ袋削減、この二点について伺いたいと思います。
 今そこにある危機、気候変動の危機を防ぐためにも、地球温暖化対策が急務であります。ひいては将来の世代に良好な環境を引き継いでいくためにも重要であり、自動車からの環境負荷を低減することが非常に重要であると考えます。自動車に過度に依存しない社会の実現に向けて交通量を抑制することが必要であると考えますが、環境局として、交通量対策をどのように位置づけているのかお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 運輸部門のCO2排出量は都内全体の四分の一を占めておりまして、そのうち自動車からの排出が九割となってございます。地球温暖化対策を推進し、東京を持続可能な都市としていくためには、自動車からの環境負荷を低減する必要がございます。
 こうした観点から、公共交通機関や自転車の利用促進などの、自動車に過度に依存しない交通行動の転換や、渋滞の緩和、物流の効率化などの交通量対策が重要であると考えてございます。

○松下委員 今ご答弁いただきましたが、自動車依存社会から脱却するために、では、どのように実行していくのか、その自動車から公共交通機関への転換や自転車利用の促進が重要、かつ具体的にどう取り組んでいくのかが重要な課題と考えますが、環境局として具体的にどのように取り組んでいるのか、まずは公共交通機関の利用促進の取り組みについてお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 公共交通機関の利用を促進するため、東京都は、全国に先駆けまして、本年二月から公共交通機関と連携したカーシェアリングのモデル事業を開始してございます。最近では、民間事業者によります公共交通機関とカーシェアリングを連携した取り組みが多くの路線で始まっております。
 また、臨海副都心におきましては、自動車での来訪者に対してアンケートを実施するなどを通じまして公共交通機関への転換を促進するとともに、交通系のICカードを活用いたしまして、鉄道利用者に対して商業施設等でのインセンティブをすることや、鉄道利用に転換することによりまして、具体的にCO2削減効果がどの程度あるかを一人一人に示すことなどによりまして、公共交通機関の利用促進を図る取り組みを開始したところでございます。

○松下委員 公共交通機関の利用を促進するため、カーシェアリングのモデル事業を実施しているとのご答弁でありますが、そのモデル事業が実際どういった効果を上げたか、今後、しっかりと検証し、お示しをしていただきたいと思います。
 カーシェアリングというのは、最近非常に多く、民間のコインパーキングなどでも始まっているようでありますが、私の自宅の近くにもカーシェアリング用の車が置いてある民間のコインパーキングがあるんですけれども、実際には常にそこにとまっていて、動いているのを見たことがないというような現状もあります。カーシェアリングというのは、日本はまだまだ始まったばかりなのかな、認知度が低いのかな、それとも使い勝手が悪いのかな、いろいろと課題があると思いますので、ぜひしっかりと検証していただきたいと思います。
 また、利用者の意識に働きかける啓発というようなお答えもあったかと思いますけれども、実際には、公共交通機関、JRなどの安全対策というものが非常に私は急務であると思います。私自身、中央線を使って都庁に、こちらに来ておりますけれども、よくとまるので、(「自転車で」と呼ぶ者あり)いや、自転車で来れないです。よく人身事故でとまってしまう、そういう現状もありますので、安全対策というのは非常に重要であり、これまで私は自転車の安全対策や利用促進についても本会議や予算特別委員会で質問をしてきました。公共交通機関にしても自転車にしても、その利用を促進していく上では、あわせて安全対策というのを着実に講じていくことが重要と私自身は考えております。
 自転車については、自転車の安全利用推進総合プランにおいて、自転車を初めて都市における主要な交通手段の一つと、このプランの中で位置づけており、環境負荷の低減などの観点からも有効とされておりますが、自転車利用の促進について、環境局ではどのように考え、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 自動車からの環境負荷を低減するためには、都民に身近で便利な交通手段であります自転車利用の促進を図ることが必要でございます。
 このため、自転車走行空間の整備や交通ルール、マナーの遵守など、関係局の取り組みや地域特性に応じた区市町村との連携が重要と考えてございます。
 局として、環境交通キャンペーンにおきましては、NPOや地域の学校と協力し、子ども向け乗り方教室など、さまざまな自転車利用を体験する機会を提供するとともに、またホームページ等によりまして、自転車レーン整備等の区市などの先進的な取り組み事例を適宜取りまとめ、周知と普及を図っているところでございます。

○松下委員 普及啓発というのももちろん重要かとは思うんですけれども、普及啓発にとどまらない、より実効性の高い取り組みを環境局として取り組んでいただきたいというふうに思います。
 事業概要には、持続的発展が可能な都市としていくためには、既存の道路や公共交通機関などの社会基盤を有効活用していくとともに、自動車使用のあり方を抜本的に見直していくことが必要であるというふうに書かれております。この抜本的に見直すということをしっかりと実行していただきたいと思います。しかも、新たな道路の建設に過度な期待を寄せるのではなく、今ある既存の道路を抜本的に見直して有効活用していただきたい、環境を守る立場の環境局として、さらに努力をしていただきたいと要望をいたします。
 次いで、レジ袋削減に向けた取り組みについて伺います。
 ほとんどの人が食品や日用品など、買い物行動を日々しており、東京都でも、環境に配慮した買い物行動を推奨することにより、グリーンコンシューマー、環境への配慮を優先する消費者、こうしたグリーンコンシューマーの増加に努めており、毎年十月を環境に優しい買い物キャンペーン月間として、十月五日はレジ袋ノーデーとしていたようであります。レジ袋の削減は、二酸化炭素の排出削減のみならず、身近な消費者行動を通じた環境への意識づけとして有効であると思います。
 そこでまず、実態を把握するために、現在都内で使用されているレジ袋の量はどのくらいになるのか、またそのレジ袋を削減した場合に、二酸化炭素はどのくらい削減されるのかお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 都内でのレジ袋使用量を正確に把握することは困難でございますけれども、都民一人当たりの使用枚数を年間三百枚といたしますと、都内全体で約三十九億枚でございます。一枚十グラムというふうに換算しますと、重量にしますと約三万九千トンになります。
 これらのレジ袋を削減することによりまして、製造や使用後のレジ袋処理に伴いますCO2が削減されます。都内のレジ袋がゼロになったと仮定しますと、その場合のCO2の削減量は、年間約十八万トンになります。ただし、これにつきましてはレジ袋のリサイクルによりますもので、既にCO2が三割程度減少されていますので、それらを考慮しない単純計算でございます。

○松下委員 東京都のCO2の排出量の合計、平成十八年度が約五千七百九十万トンということですから、その全体量に対しては、全部仮に削減したとしても、十八万トンという数字は微々たるものであるかもしれませんが、一人当たりに換算すると年間約三百枚ものレジ袋を使用しているという数値は、これはやはり非常に多い数ではないかなという思いもいたします。
 一回使っただけでごみとして廃棄をしてしまうレジ袋、むだなレジ袋を削減していくことが重要であると思います。もちろん、その一部はごみ袋に再利用することもあるかもしれませんが、むだなレジ袋を削減し、ごみ発生抑制の観点からも取り組んでいかなければならないかと思います。
 実際には、都内の区市町村では、レジ袋の削減にどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 都内の区市町村におきましては、オール東京六十二市区町村共同事業の一環としまして、本年二月に、レジ袋削減に関する共同アピールを採択いたしました。この共同アピールに基づきまして、本年八月からは、共同でレジ袋削減キャンペーンを展開しておるところでございます。
 また、個別の区市町村の取り組みを見ますと、まず杉並区では、全国で唯一レジ袋の有料化等を推進する条例を制定してございます。また、町田市では、地元の事業者と共同提携し、有償無償を問わず、レジ袋を一切配布しないという全国初の実験を行っております。そのほか、日野市や八王子市、武蔵野市でも、地元の事業者と共同提携しまして、レジ袋の有料化などに取り組んでいるところでございます。

○松下委員 ことしから始まった都内の共同アピールやキャンペーンの取り組みをご紹介していただきましたが、オール東京六十二市区町村共同事業となっておりますが、この中には、でも、残念ながら東京都の言葉、東京都の取り組みというのは、具体的には入っていない、このオール東京の中には加わっていないように思われます。
 私の地元、今ご答弁でもありましたが、武蔵野市でも環境市民活動、市民団体がありまして、その活動は非常に熱心で、長年マイバッグキャンペーンというものに取り組んでおりまして、その間、紆余曲折を経て、今では市と本当に一緒になって、実際にはレジ袋を有料化、これからしていこうかというところまでも来ているところであります。
 各区市町村の取り組みというのは、非常にそれぞれ熱心なものがあるかと思いますが、東京都としては、レジ袋削減の取り組み、具体的には何を行っているのかお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 東京都のレジ袋削減の取り組みでございますけれども、今、武蔵野市のマイバッグキャンペーンというお話がございましたけども、マイバッグキャンペーンという言葉自体を全国的に定着させたのは東京都でございます。レジ袋を初めとしました容器包装の発生抑制を推進するには、広域的な取り組みが必要でございます。
 このため、近年では、平成十七年度から八都県市の連携によりまして、容器包装ダイエット宣言の仕組みを構築しまして、容器包装の削減に積極的に取り組み、事業者を登録しまして公表しております。
 現在、大手チェーンストアなどを含む首都圏六十二社が、この八都県市容器包装ダイエット宣言に参加いたしておりまして、レジ袋の無料配布の中止や、レジ袋に相当する消費者へのポイントの付与など、さまざまな取り組みを行っております。

○松下委員 今ご答弁でマイバッグキャンペーンの名前を最初に提唱したのは東京都であるというふうにございまして、私も地元のクリーン武蔵野を推進する会という市民環境団体の方にお話を伺いましたところ、かつて東京都は、とても熱心にレジ袋削減については取り組んでくれていたけれども、ここ最近は、ちょっとトーンが変わっているのかな、前は国にもよく一緒に要望に行ったりしたのだという。担当の局が変わったのか所管が変わったのか、ちょっと温度差が過去と現在ではあるように思われますし、広域で取り組んでいるというのも、八都県市の連携により取り組んでいらっしゃるというのも、オール東京六十二市区町村の取り組みとその八都県市の連携のようなものが少し見えてこないのかなという思いはいたします。
 レジ袋削減、全国ではどういった取り組みをしているのか、私もいろいろ調べてみましたところ、幾つかの県では、レジ袋削減協議会というのを県単位で設置をしているようでありますが、都としては、こうした取り組みは行わないのかお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 各区市町村の方からご要望があれば、即対応させていただきます。
 レジ袋削減につきましては、一般廃棄物処理の責任を担っております区市町村による取り組みが重要でございます。先ほど述べましたように、都内の区市町村では、レジ袋削減協議会に類した取り組みとしまして、オール東京六十二市区町村共同事業などによりまして、主体的にレジ袋削減に取り組んでおります。また、各自治体独自の、先ほどいいましたように、先進的な取り組みも広まりつつございます。
 都は、広域自治体としまして、一般廃棄物に関します区市町村の取り組みを支援する立場でございまして、今後とも、区市町村の取り組みを後押ししてまいります。

○松下委員 区市町村の取り組みを後押ししつつ、ぜひ一緒に力をあわせて取り組んでいただきたいと思います。
 そもそも、こうした区市の取り組みが広がっている背景には、平成十八年の容器包装リサイクル法の改正があるように私は思います。この改正法では、レジ袋対策に非常に重点が置かれております。市民団体は、この法改正の際に、レジ袋有料化の義務化を求めたようでありますが、有料化の義務化とはならずに、事業者には排出抑制を進める取り組みが求められ、同時に、容器包装を年間五十トン以上を用いる事業者には毎年の取り組み状況を報告することが義務づけられております。
 この改正容器包装リサイクル法では、このレジ袋削減の事業者の報告、努力義務が課せられておりますが、都は、どのように事業者を指導するのかお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 平成十八年の容器包装リサイクル法の改正によりまして、大量にレジ袋などの容器包装を使用する事業者には、経済産業大臣に容器包装の削減に向けた取り組みの状況を報告することが義務づけられております。
 この制度につきましては、都と都内の区市町村が共同で行った国への提案が実現したものでございます。この法律に基づきまして、具体的にレジ袋削減等の取り組みについて事業者を指導するのは経済産業省になっております。

○松下委員 国へ提案して制度が実現をした、それは非常に重要なことではあると思いますが、それでよしとするのではなく、報告を義務づけられているのは経済産業省であったとしても、都内にある事業者がどのように、実際にレジ袋の削減に向けて取り組んでいるのか、指導権限は仮になかったとしても把握をしていく必要があるのではないかと私は思います。
 都は、レジ袋削減にやや消極的な印象を受けますが、どのような方針で取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 天然資源採取量や温室効果ガスの排出量、それから廃棄物最終処分量の削減をするためには、まず資源の利用量そのものを削減する必要が重要でございます。
 このような観点から、先ほど述べましたように、十八年の容器包装リサイクル法改正に当たりましては、都と都内の全区市町村で容器包装リサイクル法に関連しての自治体連絡会を設置しまして、大量にレジ袋などの容器包装を利用する事業者につきまして、報告義務を課する制度を共同で提案しました。
 この提案が、容器包装リサイクルの改正に盛り込まれましたことをきっかけとしまして、レジ袋の有料化ですとか、あるいはレジ袋を断った消費者への値引き制度を導入するチェーンストアなどが増加し、レジ袋削減の取り組みが大きく前進しました。
 今後とも、このような観点に立ちまして、区市町村が連携しまして、レジ袋削減を初めとする容器包装の発生抑制に積極的に取り組んでまいります。

○松下委員 区市の独自性を尊重していただくというのはもちろん大切なことではありますが、では、実際にその区市の取り組みが具体的にどれぐらいレジ袋が削減されているのかどうか調査を行うですとか、そうした結果をまたフィードバック、しっかりと区市町村や都民に対してフィードバックをしていったりとか、東京都としての役割、まだまだほかにもたくさんあるかと思います。
 例えば、何か一つでも東京都全域で全く同じことに取り組めるように、例えば富山県では、昨年の四月から県下一斉主要スーパーマーケット二十五事業者でレジ袋の無料配布の取りやめを実施しており、またそうした中での削減として、レジ袋削減による事業者の収益金五百五十万円が、事業者から環境保全団体へ寄附をされているというような取り組みも富山県では行っているようであります。
 東京都としても、さらにレジ袋削減に区市とともに取り組んでいただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 次に、地下水の保全についてお伺いいたします。環境局が水環境の保全として取り組んでいる地下水の保全について何点かお伺いいたします。
 水は生命の源であり、人を含む生物が生きていく上で欠かすことはできません。毎年八月一日の水の日に合わせて国土交通省が公表している年次報告書である、日本の水資源、平成二十一年版の冒頭には、水はあらゆる生命の維持、環境や生態系の保全、そして社会経済活動など人類の発展にとって必要不可欠な資源であると書かれています。地球上で水は継続的に循環しており、太陽エネルギーと重力によって水循環が行われています。そのサイクルの中には地下流があり、地下の地下水の流れが地下流でありますが、地下水は、川や海の水のように直接そのものを見ることはできませんけれど、まさに貴重な資源、水源であります。
 都内でくみ上げられた地下水を用途別に見ますと、圧倒的比率の約七〇%が飲料用に使われており、水道水源として利用されています。特に多摩地域で利用されており、私の地元、武蔵野市の水道は、その約七〇%が、二百五十メートルの深井戸からくみ上げた地下水であり、私自身、地下水の恵みを受け日々生活をしております。
 また、地下水は、湧水や河川、池などの水源となっています。環境局のホームページにも、東京の名湧水五十七選があり、東京の湧水は人々にとって潤いと安らぎの場であるとともに、都内の中小河川の貴重な水源であること、動植物の生息空間ともなっている貴重な湧水を守っていきたいと考えていると書かれています。
 このような地下水を守ることは重要であると私も考えますが、まず初めに、地下水の位置づけと保全について、東京都はどのように考えているのかお伺いいたします。

○大村自然環境部長 地下水は、雨水を源といたしまして、自然の水循環を構成する重要な要素の一つに位置づけられております。
 地下水の保全は、この水循環をより自然に近い状態に回復させることでございまして、地下水を保全することにより、地盤沈下の防止、湧水の保全や復活、ヒートアイランド現象の緩和などが図られるところでございます。
 この自然の恵みである地下水を保全することは極めて重要であるというふうに考えてございます。

○松下委員 地下水の位置づけと重要性について、東京都としての認識はわかりました。私自身、地下水について調べている中で、その奥深さや自然環境の偉大さ、太古の昔から脈々と続いている地下水の流れに思いをめぐらせ、まさに地球や自然の神秘であると非常に強く感じました。
 その反面、湧水が減少している事実もあるように、都市化が進み、地表が道路の舗装やビルに覆われ、雨水がしみ込みにくく、直接河川に流れ込むようになり、自然の水循環が妨げられている現状に心が痛みもいたしました。
 水循環の回復のためには地下水の保全対策が必要であると考えますが、具体的にどのように保全対策に取り組んでいるのかお伺いいたします。

○大村自然環境部長 地下水の過剰なくみ上げによる地盤沈下を防止するために、環境確保条例に基づきまして、一定規模以上の井戸を新設する場合、井戸の深さやくみ上げポンプの出力、くみ上げ量を制限するくみ上げの規制を実施してございます。
 雨水を地下に浸透させ自然に近い水循環を回復させるために、環境確保条例に基づきまして、井戸の設置者に対しまして、雨水浸透ますなど、雨水を地下に浸透させるための設備の設置を求めてございます。
 また、都民や事業者の方に対しましては、パンフレットの配布などによりまして、雨水浸透ますや透水性舗装の敷設、緑地の確保など、雨水浸透と地下水の涵養についての普及啓発を行っているところでございます。
 また、区市町村と地下水保全に関する連絡会を設置しまして、情報の共有化を進め、連携して地下水保全に取り組んでいるところでございます。

○松下委員 地下水の保全のためには、地下水のくみ上げ規制だけではなく、雨水浸透により地下水を涵養する、こうした両面からの対策が重要であると考えます。
 私の地元の武蔵野市でも、家庭での雨水浸透ますの設置や、公園や学校の校庭に大規模な雨水浸透施設を設置するなどを行っておりまして、地下水をくみ上げるだけではなく、積極的な地下水の涵養を行っています。
 そもそも地下水とは、浸透量からくみ上げ量を引いたものであり、地下水が涵養されずに帯水層のすき間に、水で埋まらずに水位が下がることが地盤沈下を引き起こすようであります。積極的な地下水の涵養は、地盤沈下の防止のみならず、豪雨対策やヒートアイランド現象の緩和にもつながるため、重要であります。
 また、地下水の保全対策は、地下水のくみ上げ規制や雨水浸透による地下水涵養策のみならず、例えば、新たにトンネルやビルの地下室などの地下構築物を建設する場合、構造物により地下水の流れが妨げられ、地下水の枯渇や、目に見える形では付近の湧水や井戸が枯渇するような場合があり得ます。
 こうした状況は防がなければならないと思いますが、東京都としてどのように取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○大村自然環境部長 環境確保条例では、建築物及び工作物の新築等をしようとする者は、地下水の流れを妨げ、地下水の保全に支障を及ぼさないように必要な措置を講じるように努めなければならないと規定してございます。地下水の保全に支障を及ぼすような場合には、事業者に対しまして、地下水脈の分断を防ぐため、地下水の流れに沿ったバイパスの設置など、必要な措置を講じるように指導を行いたいと思います。

○松下委員 条例で地下水の流れを妨げ、保全に影響を及ばさないように定められていることはわかりましたが、罰則のない努力規定で、どこまで本当に実行力があるのかは、不安も感じます。構造物の建設との因果関係を証明することも難しいことかと思いますし、何より目には見えない地下での地下水の流れが、付近の湧水や池の水にどのように影響しているのか、工事によってかれてしまうことが決してないように、より実効力の高い地下水保全対策を要望いたします。
 例えば、私の地元、武蔵野市域での外環道路の計画地は、付近には善福寺池や井の頭池など自然環境が豊かであり、地元の人たちも地下水に与える影響というものを非常に強く懸念しており、地下水についての勉強会も何度も行っています。事業計画は決定してはおりますが、より詳細なデータにより、環境へ与える影響の調査報告は、今後も求めていきたいと思います。
 かつては、地下水の過剰なくみ上げによる激しい地盤沈下が発生し、都民の生活への大きな影響や対策のために経済的損失をこうむった時期もあったようであります。これまで、都において地下水保全の取り組みを行ってきてはおりますが、現在の地盤沈下の状況はどのようになっているのかお伺いいたします。

○大村自然環境部長 環境確保条例に基づきます地下水のくみ上げ規制など、さまざまな施策を進めてきました結果、現在、地盤沈下は鎮静化傾向にございます。
 平成七年以降、一年間に二センチ以上沈下した地域はございませんが、一年間の沈下量はわずかではございますが、多摩地域も含む多くの地点で地盤沈下は観測されている状況でございます。

○松下委員 現状では、地盤沈下はわずかではあるが鎮静化しているとのことであると思いますが、その一方では、地下水位が上昇し、地下構造物にさまざまな影響を与えているようでもあります。例えば、東京駅では、地下水位の上昇により駅が浮き上がるため、対策を講じているようであります。
 平成十八年五月に発表している東京都の地盤沈下と地下水の現況検証についてによりますと、地下水対策検討委員会による検討が行われており、その中でも、東京地下駅で平成十一年から十二年に、地下水位の上昇に伴う水圧の増大による構造物への影響を防止するための工事を行い、地下水位の上昇による予期せぬ状況も生じていると書かれています。
 過去の経緯の中で、地下水の取水制限や水源の転換が行われ、水資源は地表水に依存するようになっていますが、地盤沈下が鎮静化し、地下水位が上昇している現状においては、地下水を適正に管理しつつ有効に活用することができるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○大村自然環境部長 地下水位は上昇してまいりましたが、近年、その上昇が頭打ちの状況でございます。そして、以前の地下水位の状態に回復したとまではいえませんで、くみ上げを再開いたしますと、地盤沈下が再発するおそれがございます。
 東京駅の事例は、地下深く掘った地下駅の地下水位が設計時の想定より上昇したことが原因として考えられまして、それをもって直ちにくみ上げ規制を緩和するということにはつながらないというふうに考えてございます。
 平成十七年に、専門家で構成する地下水対策検討委員会におきまして、都内の地盤沈下と地下水の状況を検証いたしました。その結果、地下水のくみ上げ規制を継続し、くみ上げ量を現状程度に維持することが必要であるというふうに結論づけております。
 ちなみに、平成六年と八年は渇水年でございましたが、そのためか、平年に比べてくみ上げ量の増加が認められた地域がございます。そういった、例年よりくみ上げ量が増加した地域におきましては、例年以上に地盤沈下の進行が見られておりまして、多摩地域も含めて同様の傾向でございます。
 したがいまして、現在、くみ上げ規制によって行っていることによって微妙なバランスで地盤沈下が鎮静化しているんじゃないかというふうに考えてございます。地盤沈下が一度起こりますと、地盤はもとに戻らないことから、未然防止が極めて重要でございまして、ゼロメートル地帯を抱えます東京都におきましては、地盤沈下を再発させないため、環境確保条例に基づく地下水のくみ上げ規制を継続してまいりたいと考えております。

○松下委員 私は何も直ちに規制を解除するべきといっているわけではございません。平成十七年の検討委員会が、翌十八年に報告書を発表しており、間もなく検討からは五年が経過いたします。再度、最新のデータを用いて検討していただきたいと思います。
 また、直近の検討報告の中でも、地下水を保全し、地盤沈下の再発を防止するとともに、適切な地下水利用が将来にわたって継続できるような仕組みづくりが求められているとも書かれています。まさに、国交省も日本の水資源で指摘しております地下水の適切な管理、総合的な水資源マネジメントへの転換であるかと思いますが、私自身、エネルギーや水、自立都市東京を目指していくべきであると考えております。他県のダムに頼らず、水の安全保障を東京で確立すること、そのためにも、地下水を貴重な水道水源と位置づけ、適切に有効活用していくことを求めて、質問を終わります。

○山下委員 きょう、最後の質問者となりました。いましばらくおつき合いのほどよろしくお願い申し上げます。それでは、私からは、まず東京と緑という観点から、みどり率について質問をさせていただきます。
 東京における緑の量を表す指標として、都では現在、みどり率という指標を独自に設定して用いていますね。このみどり率は、従来、緑被率であらわされていた部分に、公園内の緑で覆われていない部分と、河川等の水面が占める割合を加えて算定するものと理解しております。
 私はかつて環境学習リーダーの研修などの場を通じて、みどり率という言葉に何度か触れる機会がありましたが、都民の方々にとっては、みどり率という言葉自体余りなじみがないのではないかと思います。そこできょうの事務事業質疑では、まず、このみどり率を取り上げ、その基本的な考え方などを改めて明らかにしてまいりたいと考えます。
 さて、このみどり率、いつ、どのような考え方で導入された指標なのか、また、みどり率を導入することのメリットは何か。まず、お聞かせください。

○木村参事 みどり率は、平成十二年度から導入した指標でございます。緑が持つ都市環境の改善、防災、生物の生存基盤などの機能を発揮させていく上では、水が持っている役割も重要でございます。また、公園は公園全体で緑が持つ機能を発揮しております。こうしたことから、都では従来の緑被率に河川等の水面の占める割合と、公園内の緑で覆われていない面積の割合を加えたみどり率を導入してございます。これにより、緑が有するさまざまな機能を踏まえて、水と緑を総合的に把握する指標を持つことになったと考えてございます。
 なお、都の環境の状況と施策を都民に紹介しております東京の環境二〇〇九等でみどり率を使って緑の現状を紹介しております。

○山下委員 わかりました。みどり率という概念には、緑で覆われた部分に加え、水面等の要素が含まれることから、水と緑の回廊で包まれた美しいまちを目指す東京の指標として、従来の緑被率に比べて、このみどり率の方がすぐれていると私は思っております。
 ただ、このみどり率という概念が、区市町村のレベルまで広く普及しているとはいいがたいのが現状です。私は以前、幾つかの自治体をピックアップして、みどり率の指標に対する問い合わせをしましたところ、緑被率を用いているケースの方が多数を占めただけではなく、自治体の中には、みどり率という言葉すら担当者が知らないといったケースも見られました。
 そこで伺います。都内の各自治体におけるみどり率の現在の普及状況はいかがでしょうか。

○木村参事 確かに区市町村では緑被率というのを使っておりますが、当方で調べた範囲内でございますけども、みどり率につきましても、現在、区部で十五区、多摩地域でも十二市がみどり率を算出し公表しております。このように、都内の各区市町村でもみどり率の使用が普及してきているものと認識しております。

○山下委員 みどり率が区市町村に徐々に浸透してきているのは喜ばしいことと思います。私は、かねてから緑被率の算定周期が自治体ごとにまちまちだったり、また指標の精度自体にもばらつきがあるなどの理由で、自治体間で緑の量を単純に比較できないといった状況を問題視してまいりました。緑の量をはかるには、まず、区市町村間で緑に関する、いわば共通の物差しを持つことが重要といえるでしょう。共通の尺度を持つことで、初めて緑の状況の比較が可能となり、それにより自治体間でよい意味での競争原理が働くことになれば、都内全体で一層の緑化を進める力になるはずです。都には、ぜひ今後、各区市町村に対して、指標としてのみどり率のさらなる普及を進めていただきたくお願いいたします。
 さて、現在、都は緑の東京十年プロジェクトを展開し、一千ヘクタールの新たな緑の創出を目標の一つに掲げて、海の森の整備や街路樹の倍増など、さまざまな施策に取り組んでいることと思います。環境局としても一千ヘクタールの緑の創出に向けて、屋上緑化や都内の公立小中学校等における校庭の芝生化を推進していますよね。
 このうち、屋上緑化につきましては、先日の各会計決算特別委員会第三分科会で、都は、緑化計画書制度により平成十三年度から昨年度末までの八年間で、およそ百三・九ヘクタールの新たな緑が屋上緑化で創出されたこと、また、既存の建築物の屋上緑化については、昨年度モデル事業を実施して、現在、施設整備の留意点や導入効果などについて検証中であることを確認しました。
 そこできょうは、屋上緑化については、都市空間に緑を創出する有効な手法であり、今後も積極的に進めていただきたいということを要望するにとどめまして、続きましては、校庭の芝生化について幾つか質問させていただきます。
 校庭の芝生化は、地表面の温度を低減させることから、ヒートアイランド現象の緩和が期待できるなど、意味のある取り組みだと思います。まず、現在、都内の公立小中学校ではどの程度校庭の芝生化が進んでいるのでしょうか、お答えください。

○大村自然環境部長 都は、東京を緑あふれる都市へ再生するとともに、子どもが体を動かす喜びを味わえる環境を創出するため、校庭の芝生化を推進しているところでございます。都内の公立小学校での校庭の芝生化は、補助を実施する前の平成十六年度では十七校でございましたが、平成二十年度末では百二十校となっております。

○山下委員 都内の公立小中学校で、校庭の芝生化が着実に進んでいることがよくわかりました。都内の公立小中学校では、環境に配慮した設備整備が進められていると聞いております。
 環境への配慮という点からいいますと、校庭の芝生化については、緑化の推進やヒートアイランド対策として評価できますが、芝生の生育と維持管理のためには、かなりの量の水が必要になりますよね。ですから、今後、全公立小中学校を対象に、校庭の芝生化を進めていくとしますと、水資源に配慮することも重要だと考えます。私は校庭の芝生化を図るなら、同時に雨水の利用などを推進する必要があると常々考えてまいりました。
 そこで、この校庭の芝生化と水対策につきまして、お考えを伺います。

○大村自然環境部長 都は区市町村に対しまして、校庭芝生化のための工事費や維持管理費を補助してございます。芝生への散水は上水道の利用、雨水の利用、またプールで使用した水の利用など、各学校のいろんな条件によりさまざまでございます。都はこれまでも芝生化の工事に合わせまして雨水タンクの設置等にも補助を行っているところでございます。
 今後、雨水の有効利用につきまして、区市町村に対し具体的な事例を紹介していくとともに、それぞれの学校の状況に応じた支援を行いまして、芝生化を推進してまいりたいと思います。

○山下委員 ありがとうございます。芝生化の推進では、ぜひ雨水利用を区市町村にPRするなど、水資源についても配慮して進めていただきたいと思います。
 ところで、校庭の芝生化は芝刈りなど維持管理作業に手間がかかるところがありますが、学校によっては、保護者や町会など、地域の方々が芝刈り作業を手伝っているといった話も耳にします。地域の方々が一緒になって芝生の維持管理作業を行うことで、地域の輪も生まれるのではないでしょうか。環境とコミュニティの一石二鳥といえるかもしれません。地域のこうした取り組みを促すことも踏まえた上での芝生の維持管理というのは、いかがでしょうか。

○大村自然環境部長 校庭の芝生化を推進するためには、地域の皆さんと連携して芝生の維持を、管理を行っていくことが非常に重要だというふうに考えてございます。都は校庭の芝生化にかかる整備工事費などにつきましては、通常、対象経費の二分の一を補助してございますが、芝生の管理を地域が共同して行う場合は全額補助をすることといたしておりまして、地域の連携を促しているところでございます。
 また、維持管理に携わる地域の方々を対象に講習会を開催するとともに、専門的なアドバイスを行う校庭芝生グリーンキーパーを派遣してございます。今後とも地域と連携した校庭の芝生化を支援してまいります。

○山下委員 ありがとうございます。校庭の芝生化を通して、地域における環境意識も高まると思います。今後とも、多くの地域で学校を核とした心の通う環境コミュニティを築けるよう、地域の取り組みを支援していただくことを要望いたします。
 さて、これまで都市と緑という観点で話を進めてまいりましたが、次は雄大な自然環境、その中にあるビジターセンターについて伺います。東京には、二千メートル級の山岳地帯から丘陵地、そして伊豆諸島や、亜熱帯気候の小笠原諸島まで豊かな自然があふれています。そこには国立公園や国定公園などの自然公園が広がっており、そこでの環境学習施設として、ビジターセンターが存在します。現在、どこにビジターセンターがあって、どのような活動をしているのか、まずお聞かせください。

○大村自然環境部長 自然公園を訪れる都民に、自然や歴史、文化などの情報をわかりやすく展示、解説することを目的といたしまして、御岳、奥多摩、山のふるさと村、高尾、小峰、八丈、小笠原の七つのビジターセンターが設置されております。
 各ビジターセンターはパネルや標本の展示、パンフレットの発行などによりまして、地域の特徴的な情報を提供するとともに、解説員によるガイドウオークや、各種自然教室の開催を通しまして、自然と触れ合う機会を提供しております。

○山下委員 わかりました。七つのビジターセンターのうち、小笠原ビジターセンターは、小笠原諸島の世界自然遺産登録に向けて、その普及啓発の場として重要な役割を担うものと思います。世界遺産登録に向けての小笠原のビジターセンターの取り組みなど、まず紹介してください。

○大村自然環境部長 世界自然遺産登録に向けましては、その自然環境を保全することが重要であるために、小笠原の地元の住民の方や観光客の理解を得ることが不可欠でございます。
 このため、小笠原ビジターセンターでは、世界的な価値がある小笠原諸島特有の自然環境を解説するパネルや標本の常設展示に加えまして、世界遺産に関する特別展や外来種の生態や対策に関する特別展を連続して実施しますとともに、国や村、各種団体と連携しまして、外来種対策や稀少種に関する講演会を開催してございます。

○山下委員 世界遺産登録に向けて、小笠原ビジターセンターが引き続き重要な役割を果たしていくことを期待しております。
 一方、目を山の方に転じまして、私の地元の青梅市には御岳山があります。今年度、山頂を取り巻くように、新たな回遊ルートが開設された御岳山には、四季を通じて多くの人が訪れています。私も春の新緑、夏を彩るレンゲショウマの群落、秋の紅葉と荘厳な神楽の舞、冬の雪景色などに御岳の魅力を感じております。
 この御岳山にあるビジターセンターでも、地域の魅力を生かした取り組みが行われていますね。具体的に幾つか紹介してください。

○大村自然環境部長 御岳ビジターセンターでは、御岳山の自然や地域特性を生かしまして、宿坊に宿泊して夜行性のムササビを観察する会、眺望のよい山頂付近で中秋の名月を観察しながら虫の音を聞く会、岩と水が織りなす美しい自然が見られますロックガーデンで地形や地質を学ぶ会、レンゲショウマの花を知る、見る、描く催しなど、各種の自然教室を開催してございます。

○山下委員 御岳山はこのところの朝晩の冷え込みで、山頂付近からそろそろ紅葉が始まってきています。御岳ビジターセンターの年間予定表によりますと、これからの時期、しっとり楽しむ御岳山の紅葉ですとか、カップルで楽しむ初めての冬のアウトドアなど、興味深い催しが幾つも企画されています。(「行かなくちゃ」と呼ぶ者あり)はい、ぜひいらしてください、お待ちしております。
 お子さんからカップル、定年退職を迎えた世代、そして年配の方まで、さまざまな世代が楽しめる催しを、さらに多く企画していただきたいと思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。

○大村自然環境部長 御岳山はケーブルカーを使うことで、小さなお子さんでも年配の方でも容易にアクセスできるところでございます。こうした恵まれた条件を生かしまして、四、五歳児とその保護者を対象とした山の幼稚園や、あるいは女性を対象に、自然散策のきっかけをつくる女性のためのスローウオークなどの、自然教室を今年度も新たに企画いたしております。今後とも幅広い世代に環境学習の機会を提供してまいりたいと考えてございます。

○山下委員 ありがとうございます。幅広い世代が御岳ビジターセンターを訪れて、環境について知識を深めるとともに、御岳山に来てよかったと実感していただけることを願っております。
 世界遺産を目指す小笠原や、ただいま取り上げました御岳だけでなく、東京のビジターセンター全体での地域の特徴を生かした環境学習活動の積み重ねが東京の環境を守っていく、ムーブメントにつながることと思います。大いに成果が上がりますことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これを持ちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十九分散会

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