環境・建設委員会速記録第十号

平成二十一年九月十七日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長藤井  一君
副委員長矢島 千秋君
副委員長野上ゆきえ君
理事中村ひろし君
理事高橋かずみ君
理事いのつめまさみ君
野田かずさ君
吉倉 正美君
山下ようこ君
かち佳代子君
林田  武君
松下 玲子君
こいそ 明君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
理事都市地球環境部長事務取扱大野 輝之君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長大村 雅一君
参事木村 尊彦君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事谷川 哲男君
建設局東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
次長影山 竹夫君
道路監村尾 公一君
総務部長藤井 芳弘君
用地部長角南 国隆君
道路管理部長野口 宏幸君
道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務藤井 寛行君
三環状道路整備推進部長戸谷 有一君
公園緑地部長小口 健藏君
河川部長廣木 良司君
企画担当部長鈴木 昭利君
道路保全担当部長藤江 賢治君
公園管理担当部長三浦 紀子君
参事今村 保雄君
参事谷村 秀樹君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 環境局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
 建設局関係
契約議案の調査
・第百四十号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一 一-環二新橋第二工区)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百四十五号議案 東京都道路公社が行う第二多摩川原橋有料道路事業の変更に対する同意について
・第百四十六号議案 東京都道路公社解散に係る設立団体の同意について

○藤井委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の報告事項に対する質疑並びに建設局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十一年九月十五日
東京都議会議長 田中  良
環境・建設委員長 藤井  一殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百四十号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一 一-環二新橋第二工区)請負契約
2 提出期限 平成二十一年九月十七日(木)

○藤井委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福田緑化募金担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
 発言がなければお諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○藤井委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百四十号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤井総務部長 去る九月四日の当委員会におきまして契約議案に関し要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんください。
 一ページをお開き願います。環二地下トンネルの総事業費及び事業中区間建設局発注工事の契約金額、落札率及び契約相手方でございます。
 この資料は、環状第二号線新橋・虎ノ門間の地下トンネルにおける総事業費及び事業中区間において当局が発注した工事の契約金額等をあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○かち委員 それでは、第百四十号議案、環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一 一-環二新橋第二工区)請負契約の件について、質問させていただきます。
 環状二号線という幹線道路計画は、もともと終戦直後に都市計画決定された、新橋から神田佐久間町までの九・二キロメートルのものが、負の遺産ともいえる臨海部へのアクセスのために延伸して、環状三号線をも突き抜けて、有明までつなげる総延長十四キロの幹線道路計画であり、膨大な税金投入となるこのような整備計画に日本共産党は一貫して反対をしてきているものです。
 今回の契約案件は、都施行による環状二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業の一環として、立体道路制度を活用して行う道路整備です。その地下トンネル一・四キロについての道路事業を、建設局所管ということで、その一区間の築造工事の契約案件として提出されているものです。
 したがって、市街地再開発事業全体との関係に言及しなければなりません。
 その点でいうなら、この再開発事業、計画は、都市整備局管轄ですけれども、総額二千二百四十億円の投資計画であり、それに地下道路部分の、今回、建設局関係の部分を入れると四百七十億円、計二千九百十億円の事業となるわけです。全長一・四キロメートルの道路と開発事業ですから、一メートル二億円規模の道路と開発事業になるということです。
 先日、ご協力いただきまして、現地を視察させていただきました。この一・四キロの区間、虎ノ門から新橋までずっと歩いてみたんですけれども、二〇〇二年ごろにも一度行ったんですが、そのころはまだ本当にまばらに住宅が抜けていましたけれども、あそこは現道のない地域で、ほとんどが住宅と商店などが密集している地域だったんですけれども、今はほとんど、もう建物はなくなって、工事用の重機などが作業しておりました。
 そこに住んでいた方々は約千人、九百四十数人いたわけですけれども、この方々が一体どこへ行ったのかなというふうに、ちょっと都市整備の方に聞いてみたんですけれども、そうしますと、地権者と借家人合わせて九百四十二人のうち、地権者で残る人は二四%、借家人においては四百八十四人のうち、たった七人ということでした。従前住民で、中にはこれを機に転出したという人もいるでしょうけれども、多くの住民が住み続けたり、営業を続けることができなかったというまちづくりだということです。
 そして、道路整備と一体の再開発計画、これは、住み続けられることがメリットだとか、それから効率的な土地活用ということで、立体道路制度を導入しているわけですけれども、ここにできる建物が容積率九四〇%、二百五十メートルという、超高層ビルと一体の道路建設だということなんですね。
 本当にこういうことが、地域の住みなれた、住み続けられるまちではなく、変貌してしまう。また、巨額の投資をする。環境問題でも非常に問題があると思います。
 環境面でいえば、この地下トンネルの開通によって、日量六万台の車が発生すると聞いておりますが、これまでは現道がなかったわけですから、ほとんどNO2などの環境基準が超えていなかったわけですけれども、そこに車を呼び込むということで、悪化することは目に見えているわけです。
 昨今、地球温暖化対策からCO2削減、これも大きな課題になっておりますけれども、このような超高層ビル、このビルの分のCO2の計算だけでも、年間二万四千トンを超える排出量が推計されているわけです。このような税金の使い方は改めて見直すべきだと申し上げておきます。
 その上で、今回の契約案件について若干伺います。
 今回、環二地下トンネル築造工事、この入札は、契約の相手方は鹿島・鉄建・泉建設のJVで、三十一億円であり、落札率は五四%ということです。近年続いている低入札のあり方が、これまでにも当委員会でも議論されてきているところですが、共通して危惧されることは、こういう低入札が、結局、工事の品質確保、安全性や下請業者の営業、労働者の賃金低下等の懸念が指摘されているところです。
 実際、私自身もこの間、二件の公共工事に携わった四次下請の方が未払いということで、いろいろ相談も受けております。これまでの当委員会でも、低価格入札問題がかなり議論され、その中では、建設業界とも意見交換をしたり、また、国からも新たな低入札対策が打ち出されてきているとのことですけれども、今日、一向に改善していないというのが現状だと思います。
 そこで伺いますが、公共工事の契約における予定価格の出し方の根拠は、原材料とか燃料とか工賃などが積算されて決められていくと思うんですけれども、ここ十年、十五年の間の動向というものはどういうふうになっているでしょうか。

○鈴木企画担当部長 本契約案件におけます代表的な資材でございます鋼材と生コンクリートの動向についてご説明申し上げますと、鋼材類の単価は、先生のご要望、十年ということでございましたが、昨年四月から急騰いたしまして、昨年の十月にピークを迎えました。その後、世界経済の急速な減速の影響を受けまして、下落を続けてございましたが、ここ数カ月は、例えば鉄筋でご説明申し上げますと、一トン当たり六万円程度となってございます。
 また、生コンクリートにつきましては、鋼材類の動きとは異なりまして、一立米、一立方メートル当たりですね、一万一千円程度で安定してございます。
 さらに、労務単価についてでございますが、例えば、土砂の掘削や資材の積み込みなどの仕事を行います普通作業員でございますが、一万四千円程度で過去五年間推移するなど、安定している状況でございます。

○かち委員 今のご説明では、工事費の多くを占める鋼材費、また生コンとか、労賃コストも、相場ではそれほど下落をしているという状況ではないということですよね。
 こういう中で、落札率五割を引き出すということがどうしてできるのかということなんですけれども、鹿島という大手ゼネコン企業がこういう入札の仕方をすれば、中小の建設業者にも大きな影響をもたらすことは否めません。
 今回の入札経過調書によると、八つのJVが応札して、一JVが辞退、七つのうち、一つが八〇%、あとはほとんど、この鹿島とドングリの背比べというような状況だったわけですけれども、その経過の中で、備考に、低入札のため低入札価格調査制度に基づいて調査をした結果、契約の内容に履行がなされると確認したので落札者として決定したとありますけれども、どのような調査を行い、何によって確認できたのかお聞きします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 まず、環状二号線についてでございますけれども、環状二号線は、都心に集中する交通を適切に分散し道路交通の円滑化を図る上で重要な役割を担う区部の環状道路の一つでございます。今回の臨海部から虎ノ門に至る区間の整備につきましては、都心部と臨海部との連絡強化や、地域交通の円滑化を図るとともに、緑豊かな都市空間のネットワークを形成する上でも、極めて重要でございます。そうしたことから、今回、契約に至った次第でございます。
 低入札価格調査内容についてでございますけれども、公共工事は、完成後、数十年の長期にわたり、その機能が維持される必要があり、工事品質の確保は極めて重要な課題でございます。そのため、一定水準を下回る価格が入札であった場合、大規模な工事では低入札価格調査制度を適用し、当該工事契約の履行が可能かどうかを判断しております。低入札価格調査は、入札価格の内訳書や配置予定技術者の実績などの資料を提出させた上、低価格により入札した理由、積算内容、施工体制、品質確保等についてヒアリングを行うものでございます。
 今回工事において、会社の利益を極端に抑えることで、諸経費の削減を図り、低入札としていること。また、あわせて低入札で積算されている主な項目といたしましては、地盤改良でございます。さらに、下請への影響についても、下請予定金額、労務費及び下請会社からの見積書及び同意書を提出させ、問題がないことを確認しています。
 以上によりまして、確実な施工が可能であることを判断いたしました。

○かち委員 今お聞きしましても、適格かどうかの確認というのは、第一の落札者としかやらないということなんですね。本当にドングリの背比べでどうなんだということで、相対判断はできないということだとか、それから、特に調査するについても、その当事者からのヒアリング、主なヒアリングでしかないということからすると、その担保になるようなものは、その時点ではないということがいえると思うんです。
 実際、資料を出していただきましたけれども、同じ地下トンネル工事、十六の環二東新橋区間のときには、同じ鹿島JVでとっているわけですけれども、これは九六・七%で落札しているわけです。四年前のことです。
 同じ鹿島のJVで、どうしてこの四年間でこんなに落差が出るのかという点でも非常に納得がいかないんですけれども、努力や工夫でもっと、だからこの時点で、努力や工夫でもっと引き下げられたんじゃないかというふうにも思えるわけです。その辺の確認はされたのでしょうか。また、局としての見解はどうでしょうか。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 前回工事は平成十六年、今回は平成二十一年と、その間、五年間あるわけですけれども、今回契約に当たって、入札者にヒアリングをしたところ、昨今の経済情勢の急激な悪化による厳しい受注環境の中において、受注を確保し、技術者の育成、技術の伝承を図る目的で入札したというふうに聞いてございます。

○かち委員 建設局としては、これまでも予定価格の五割、六割という金額で落札するに当たって、受注者は将来に対する投資である人材育成費や研究技術開発費などを削減しており、このままでは日本の技術力の低下を招き、結果として都民共通の財産である社会資本の良好な整備や、適切な維持管理に支障を来すことが危惧されるなどと、これまでにも述べておられるわけです。いろいろ努力はされているようですけれども、なかなか改善が見られません。引き続き、総合評価方式の拡充、あるいは品質確保、安全施工など、早期に実効ある対策を講ずることを求めて質問を終わります。
 以上です。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言願います。

○かち委員 それでは、第百四十号議案、環状二号線地下トンネル築造工事について、意見を述べます。反対意見を述べます。
 本契約案件は、環状二号線幹線道路計画に基づく一区間の地下トンネル工事契約ですが、これは、バブル期の負の遺産ともいえる臨海部へのアクセス道路として、当初の計画から大きく逸脱して延伸を重ね、膨大な税金投入となる都市再開発と一体の道路計画であります。
 とりわけ、新橋・虎ノ門区間においては、従前住民の多くが居住、営業を継続できない問題や、環境負荷の面からしても、この整備計画には、我が党は一貫して反対しているものです。
 今回は、新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業の一環で、環二道路の道路事業の一区間、新橋第二工区の工事契約であります。再開発事業、二千四百億円に加え、一・四キロメートルの地下トンネル、四百七十億円もの都民の税金を投資して整備するものであり、税金の使い方が問われている今日、改めて反対するものです。
 あわせて、大手ゼネコンが筆頭JVの契約落札でありますが、予定価格の五四%という低価格入札であり、工事の品質確保、安全性、下請業者の営業、賃金低下等の懸念が払拭できません。大手企業の社会的影響、責任という観点からしても、このような低価格入札には問題があることを指摘して、意見とします。
 以上です。

○藤井委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○藤井委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百四十五号議案及び第百四十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤井総務部長 付託議案に関して要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にございます、先ほどごらんいただきました環境・建設委員会要求資料、二ページをお開き願います。
 稲城大橋有料道路の事業費及び交通量と料金収入の実績でございます。
 この資料は、稲城大橋有料道路につきまして、その事業費及び平成七年度から平成二十年度までの交通量と料金収入をあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○いのつめ委員 それでは、稲城大橋有料道路無料化と、東京都道路公社の解散についてお伺いいたします。
 東京都道路公社の有料道路事業については、最近では、平成十九年六月に、ひよどり山有料道路を無料化し、八王子市に移管しました。これによって、稲城大橋有料道路が東京都道路公社の唯一の有料道路事業となりました。
 ひよどり山有料道路を無料化した平成十九年度において、稲城大橋有料道路の収支の状況と、その見通しはどうだったのでしょうか、お伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成十九年度につきましては、料金収入が六億六千万円、支出は、維持管理費と支払い利息で三億五千万円となってございます。その差額、三億一千万円につきましては、建設元金の償還に充ててございます。
 しかし、交通量が計画を下回ったことや、建設元金の返済がピークを迎えることなどから、平成二十年度に資金ショートが発生することが見込まれてございました。

○いのつめ委員 稲城大橋有料道路は、平成七年の開通以来、一度も計画台数を達成したことが残念ながらありません。累積収入は、予定収入額とどんどん乖離し続け、十九年度のこの時点でも、事実上、破綻していたといっていいと思います。
 ひよどり山有料道路の無料化と同時に、稲城大橋有料道路の無料化はできなかったのでしょうか、お伺いいたします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋有料道路につきましては、料金収入で維持管理費が賄えていましたが、建設元金の返済がピークを迎えたことから、一時的な資金ショートが見込まれ、事業のあり方について検討いたしました。
 その結果、地元市の要望なども踏まえまして、平成十九年度に早期無料化の方針を決定するとともに、平成二十年度には、無料化による周辺交通への影響を検討した上で、平成二十一年度をもって有料道路事業を終了することといたしました。

○いのつめ委員 稲城大橋の無料化が方針決定された時期についてはわかりました。
 東京都道路公社は、平成十五年から二十三年まで、用地を東京都に分割して譲渡する協定を結び、都から資金調達を受けていたが、平成二十年度には資金不足になり、借金返済できなくなるというようなことだったと私は聞いていますが、我が党の田中良議長は、著書の中で、東京の道路公団という本の中なんですが、破綻国家の断面の章で、稲城大橋有料道路について、次のように述べられています。高度成長期的な発想で整備された。東京の橋梁計画の誤算。計画段階での見通しの甘さが災いした。国家計画としての道路整備五カ年計画や多摩ニュータウン開発の限界。それらが絡み合って、稲城大橋有料道路は瀕死の状況に陥っている。この本が書かれたのは平成十六年ですから、このときから今日が来ることはわかっていたと。そして、東京都道路公社は解散することになったわけです。
 東京都道路公社が解散するとなると、現在、働いている職員の雇用が心配です。そこで、現在の東京都道路公社の職員数と職員構成について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 道路公社におきましてはこれまで、経営改善の取り組みとして、財団法人東京都道路整備保全公社との管理部門の統合などによりまして、人員削減に努めてまいりました。
 現在、道路公社の職員は、二十二名でございます。このうち、総務や経理などの管理部門につきましては、財団法人東京都道路整備保全公社の職員が兼務しておりまして、道路公社固有の職員としては、七名でございます。この七名のうち、五名が都からの派遣職員で、二名が都OBの常勤嘱託員でございます。

○いのつめ委員 東京都道路公社の解散によって職員の雇用に大きな問題が生じないということはわかりました。
 今回の稲城大橋有料道路の無料化については、基本的に賛成ですが、交通量が計画を下回っていたということは事実です。私たちの社会生活で、幹に当たるのが道路です。道路建設により、まちがつくられていきます。ですから、地域が本当に必要としている道路はつくっていかなければなりません。
 しかし、これまでの道路建設すべてが必要な道路であったかというと、首をかしげたくなる点もあります。また、道路建設が政治や行政に対する不信を募らせた部分もあると考えます。
 道路公社の有料道路事業は、道路整備特別措置法により、国土交通省の許可が要ります。申請書には、支出の内容や料金、計画交通量などを提出します。そして、国土交通省が認める条件に、三十年間で償還することが重要案件です。だから、三十年でペイできる計画交通量や料金収入を算定し、数字を合わせるケースがあるとも聞いています。この三十年という期間が問題であろうと私は考えます。地方によって、本当に必要な有料道路であるなら、地方独自の基準が持てるようにしなければなりません。有料道路に限らず、道路整備に当たっては、将来の交通量や人口の動きなどを十分に見きわめるように要望をして、質問を終わります。

○こいそ委員 それでは、稲城大橋有料道路、この件につきまして、私は、このいわゆる有料橋を無料化に、これはもう早く、早急にすべきだという立場で、幾度となく、これは委員会でも要望してまいりました。
 その中で、関係者の皆さんのご努力によって、いよいよ無料化になってくるということになってきたわけでありますけれども、ここでちょっと触れたいのは、この当時の稲城大橋有料道路ですね、有料橋、ちょうどその計画策定段階直後というか前といいますか、この時点では、多摩川中流部の架橋整備が圧倒的におくれていたんですね。ところが多摩ニュータウンの建設整備、入居がどんどん進んでくる、周辺のまち並み整備も進んでくると。道路整備もするんだけれども、対岸に向かう橋梁が、もう圧倒的に少ないということで、慢性的な渋滞をしていた。この環境的な面からも、まさに浮遊粒子状物質、SPMだってそうでしょうけどね、極めて環境的にもよくなかった。こういうような現状が日常的に展開していて、何とか早く架橋してもらいたい。
 それともう一つは、今まで既設の橋梁についても、拡幅整備してもらいたいと。この要望を地元として強くお願いをしてきた。ところが、なかなかできない。
 そこで対案として、有料だったらどうかという話が来たわけですね。これは、地元、反対したんです、はっきりいって。それはないだろうと。国や東京都の責任のもとで進められている大規模な住宅整備、多摩ニュータウン整備というのが、当然にして予測されるわけであってね、施行三者の一つである国や東京都、これ、予測されますよね。南多摩地域、当時だと二百万ぐらいいたわけだから、いや、二百万になろうとしていたわけですからね、そこを、だって、昭和三十年代のような橋梁で対応できるわけないんです、これ、はっきりいって。それが、計画が後手後手だったことによって、今申し上げたような状況があったということですね。
 そういう中で、我々、今いいましたけども、何とか早く無料化してくれと。しようがない有料で、どうしてもそれしなければ、橋は、だって双方とも渡れないぐらい、ひどいときは二時間もかかる、これ、はっきりいって。そんなばかなことはない。
 そしてまた、連続立体交差事業の、今やっていただいていますね、JR南武線、あかずの踏切ですね、これ、相まって、大変な状況だった。苦渋の選択といいましょうか、ご努力もあったんでしょうけど、架橋していただいた。
 ですけど、そういう経緯、経過から見て、これはもう、まさに、私はやはり基本的に、有料化を、今申し上げたように、一刻も早く無料化していただきたいと、こういうことにつながっていくわけでありますけれども、この稲城大橋有料橋を整備した経緯について、ここで改めて伺いたいと思います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 昭和五十年代の多摩川中流部地域は、上流部、下流部に比べまして、橋梁間隔が四・四キロメートルと広く、既設の橋梁への交通の集中により、恒常的な渋滞や環境悪化が発生してございました。
 また、多摩ニュータウンの開発などによりまして交通量が増加傾向にございまして、ボトルネック解消に向けた橋梁整備が緊急の課題となってございました。
 稲城大橋は、当時、構想段階の橋でございましたけれども、知事の諮問を受けた多摩川中流部架橋検討委員会の昭和六十二年の答申を踏まえまして、有料道路制度を活用して早期整備を図ることといたしました。
 これによりまして、集中的な財源調達が可能となりまして、平成元年に事業着手いたしましたが、短期間で整備を行い、平成七年には開通いたしました。

○こいそ委員 まさに、今ご答弁をいただいたとおりの状況でありました、当時はですね。
 そういう中で、この橋梁がなされたと。多摩ニュータウン初め、その周辺の開発整備が進む中で、まさに一刻も早い橋梁整備が望まれていたという中での有料道路、有料橋という対応だった、まさにそのとおりでありますけれども、しかしさりとて、この稲城大橋の整備効果ということも、これは当然あったわけでありまして、このあたりも少し検証しなきゃいけないと思いますので、お願いします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋は、開通以来、六千四百万台が通行し、現在でも一日平均一万台の利用がございます。
 稲城大橋の開通によりまして、既設の橋梁から交通が転換いたしまして、稲城大橋に隣接する是政橋や多摩川原橋では、混雑時の旅行速度が、開通前の時速六キロから、開通後には十三キロになるなど、周辺道路の混雑緩和に大きく貢献をいたしました。
 また、中央道の都心方向へ直結したことによりまして、周辺地域の利便性も大きく向上しております。

○こいそ委員 この有料道路、供用開始をされまして十四年が経過をしてきたと。その中では、南北道路や周辺の橋梁を初め、多摩地域の道路整備が、今、着々と進められている、インフラ整備が促進されていることでありますけれども、稲城大橋、稲城有料橋、建設当時と比べて、周辺の交通状況というのは、まさに皆さんのご努力によって変わってきた。今、是政の拡幅整備があるし、多摩川原橋の四車線化も完成いたしました。府中四谷橋もですね、これも長年の懸案だったところは上流部でありますけれども、この架橋がね、完成したということ、こういう、その周辺の交通状況も変化する中、稲城有料橋の現在の状況と無料化実施に当たっての、もうこれは何回かお聞きしてますけど、最後でありますけれども、基本的な考えですね、これをお願いをいたしたいと思います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋の開通以降も、都は、平成十年に府中四谷橋を新設し、平成十三年に多摩水道橋、平成十八年に多摩川原橋を四車線に拡幅するなど、多摩川中流部橋梁の整備や周辺道路の整備、連続立体交差事業を着実に進めてまいりました。
 昭和五十五年には、五橋十二車線でございました多摩川中流部の橋梁が、現在は九橋三十二車線となり、委員ご指摘のとおり、多摩川中流部の道路状況は大きく改善される中で、稲城大橋の交通量は減少傾向となるなど、稲城大橋を取り巻く環境は大きく変化してございます。
 また、地元市や東京都市長会などから、地域の利便性を高めるため、稲城大橋の早期無料化を強く要望されてございます。
 これらを踏まえまして、既存ストックを最大限に活用し、多摩川中流部橋梁のバランスのよい利用を促進するため、今年度末をもって有料道路事業を終了し、無料化を実施することといたしました。

○こいそ委員 無料化にいよいよ大きく踏み出してきたわけでありますけれども、その中で、この稲城有料橋につきましては、過去の経緯、経過をご理解いただいて、また財政的にも四十億投入をする中で対応していただいているということでありますが、もう一つ、稲城インターチェンジ、これはもうご案内のように都心方向、アクセスはできますけれども、しかし、八王子、山梨方向は依然として--これは片側ですよね、ハーフインターなんですね。ですから、これをぜひフルインターにしてもらいたいというのが、あわせて、やはり長年の要望でありまして、その中で、これもご努力をいただいているところは非常によく理解もしておりますし感謝もしておるんですけれども、この府中の、いわゆる中央自動車道府中バス停付近、一般道から中央道八王子方面に出入りする、いわゆるスマートインターチェンジの整備が、計画が示されたと、計画が進められていると。これ、許可もおりましたよね。一時、大変心配しました、このことについては。しかし、これはもうまさに多摩川中流部架橋のことだけじゃなくて、やはり長年の多摩地域の、特にこの南多摩地域、府中は北多摩に入りますけれども、そのいわゆる中流部地域の、これはやはり悲願なんですね。片側通行では、これ、ちょっと不便、乗りおりできませんからね。
 ですから、そういうことの中で、何とかやはりフルインターチェンジ化してもらいたいという中でありましたけれども、このスマートインターチェンジについて、環境・建設委員会、昨年ですけどね、取り上げてご答弁もいただいておりますけれども、府中スマートインターチェンジの現在の状況と、今後どうなっていくのか、このあたりを、今現状としてね、どうなっていくのか教えていただきたい。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 スマートインターチェンジは、高速道路のバス停やサービスエリアなどから、ETCを搭載した車両が乗りおりできる施設で、従来のインターチェンジに比べて低コストでの整備が可能となります。
 府中スマートインターチェンジにつきましては、中央自動車道府中バス停を活用して八王子方面の出入り口を整備するもので、これによりまして高速道路へのアクセス性が向上し、地域の利便性を高め、周辺道路の渋滞緩和が期待されます。
 整備に向けた手続として、都は、中央自動車道と都道との連結の申請を本年三月に国土交通大臣に行い、六月に許可を受けました。また、中日本高速道路株式会社の事業計画の変更等の手続も八月に完了してございます。

○こいそ委員 この当該スマートインターチェンジが整備されるならば、今申し上げたように中央道、山梨、八王子方向ですね、アクセスがもうしっかりと確保されていくと。稲城大橋の利便性も、これまた格段に向上するということだと思うんですよね。車両も当然ふえてくる。
 また、今後、どのようにこのスマートインターチェンジを整備をされていくのか、このあたりを。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 まず、施行の役割分担でございますけれども、高速道路部分の施行につきましては、中日本高速道路株式会社が行いまして、関連する都道、市道の接続部分につきましては、それぞれ都、府中市が施行いたします。現在、中日本高速道路株式会社を初めとする関係機関と早期着工に向けて準備を進めてございます。
 今後とも、関係機関と連携し、平成二十三年度供用を目指し、地元の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。

○こいそ委員 稲城大橋無料化と、今申し上げているスマートインターチェンジの整備は、多摩川中流部地域の交通の利便性向上に圧倒的にやはり寄与するものだということでありまして、これはもう関係する地元、都民住民含めて大きな期待を寄せているところであります。
 ぜひとも、もうここまでこういうお話が進んでいるわけでありますから、一日千秋の思いで、やはり待ち望んできた、有料橋が無料化になろうとしている、この点も一点。
 それから、フルインター、アクセスが非常に悪かった、厳しかったといいますかね、このスマートインターチェンジの早期の実現、ここまで来たら、ぜひ一刻も早く、一日も早く整備していただきたい。それで、開放していただきたい。稲城有料橋も無料にしていただきたい。こういう要望を、ぜひ、ここで改めて強くお願いいたしまして、そして最後に、稲城有料橋の無料化、今申し上げたスマートインターチェンジの早期整備に向けた東京都技監の、今後の決意、これをぜひお願いします。

○道家東京都技監 川は、まちを分かって、その川のあるところでは人々の交流がなかなかしにくかったというのが歴史の示すところでございます。我々は、そういうところに橋をかけ、そして人々の交流がしやすいようにという、安全で快適に交流できるようにということで整備をしてまいりました。
 多摩川中流部につきましても、同じように、多摩川の左右岸の両地域の交流がさらに進むようにということで、中流部の橋梁を計画的に整備を進めてきたわけでございます。
 先ほども部長が答弁いたしましたが、昭和五十五年には五橋十二車線であったものが、その後計画的に整備を進めることで、現在は九橋三十二車線ということで、車線数でいくと三倍近くにふえてきたということでございます。大きく道路状況が改善されて、交通混雑の緩和に寄与したものというふうに考えております。
 稲城大橋に当たりましては、ここは橋がございませんでしたので、いわばゼロ車線から現在の四車線になったということでございまして、当然、多摩川中流部の交通混雑緩和に大きな役割を果たしたということというふうに思っておりますし、その後、周辺状況の変化などを踏まえまして、今年度末をもって有料道路事業を終了し無料化するということにいたしたわけでございます。
 無料化によりまして、今後、稲城大橋は、多摩川中流部地域の交通の円滑化や利便性の向上に、これまで以上に寄与していくものと考えております。
 そしてまた、府中インターチェンジでございますけども、府中インターチェンジは高速道路の利便性を高めるために大変効果的な施設でございます。既存の府中バス停の施設を活用することによって整備を進めていくことで、早期供用開始ができるものと考え、建設を進めてまいります。
 いずれにしても、既存ストックを活用し、利用者の利便性向上を図るものでございまして、関係機関とも連携をして、実施に向けて精力的に取り組んでまいります。今後とも、財源の確保に努めながら、東京の道路整備を着実に進めてまいります。

○かち委員 私からも、稲城大橋有料道路の無料化についてお聞きします。
 ひよどり山有料道路に続いて、今回、道路公社による稲城大橋有料道路事業の破綻処理ということになるわけですけれども、もともと生活道路の早期建設をもって有料化するということを公共事業として位置づけることがそぐわなかったということを示していると思うんです。
 我が党は、ひよどり山道路も稲城大橋有料化についても、国と公営企業金融公庫から借り入れてまでして、生活道路を有料化して、三十年ローンで返済する計画自身も成り立たないことを指摘し、反対してきましたが、結果としてそのようになりました。
 稲城大橋、この道路は、平成七年、九五年から供用開始になった一・九キロメートルの四車線の有料道路ですけれども、本来一・六キロのところだったんですけれども、わざわざ中央自動車道まで接続するために三百メートルを延伸したわけです。
 しかし、この稲城大橋有料道路は、先ほどもありましたけれども、中央自動車道の稲城インターに接続はしているんですけれどもフルインターではないということで、新宿方向にしか行けない道路だということなんです。
 高速道路でもなく生活道路にもつながらない、極めて不十分な道路なんですが、この高速道路でもない有料道路にするというものが、そもそも無理な返済計画の設定だったのではないかと思いますけれども、改めてご見解をお伺いします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋有料道路は、多摩川中流部の交通混雑緩和が急がれる中、有料道路制度を活用し、早期整備を図り、短期間で整備し、平成七年に開通することができました。
 事業に当たりましては、国が策定した第十次道路整備五カ年計画をもとに計画交通量を設定いたしまして、適切に事業計画を策定いたしました。ただ、景気の低迷や周辺開発のおくれなどの影響により、交通量の伸び率が当初見込みより低かったことなど、計画段階では予測しがたい要因によりまして、交通量の実績が計画を下回ってございます。昭和五十五年には五橋十二車線であった多摩川中流部の橋梁が、現在九橋三十二車線となるなど、稲城大橋を取り巻く環境は大きく変化してございます。
 このため、地元などからの強い要望も踏まえ、今年度末をもって有料道路事業を終了し、無料化を実施することとしたものでございます。

○かち委員 当時の有料化を決める当委員会での議事録などを見ますと、料金の基礎となる根拠、それがガソリン代やタイヤの摩耗、時間の節約などであるという説明をされているんですけれども、都民の交通の便宜を図る、混雑解消を図るために有料化するなどということは、本来生活道路としては成り立たない話だと思うんです。周辺にできている橋との公平性からも問題があり、建設先にありきで進めてきた矛盾のあらわれではないでしょうか。(発言する者あり)だから、つくるときから反対をしてきたんです。
 今回、交通量の低迷などで道路公社の運営の行き詰まりを来したことにより、この事業に終止符を打ち、都道として無料化することは当然のこととして賛成するものですが、若干この間の経過についてお聞きします。
 国の新道路計画貸付制度により、交通量計算も推計されて、三十年間の返済計画を立てたわけですけれども、なぜこのような状況になったのかということで資料を出していただいたのですが、十四年間の計画の中で最もピーク時の平成九年の交通量、これが計画交通量の何%だったのか。それを超えるものはないんですけれども、直近の平成二十年、ここでは何%なのか。この経過の中で、計画交通量の七〇%を超えた年はほかにあるのかどうか、お聞きします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成九年度の年間計画交通量は七百二十七万台でございまして、計画比七三%でございます。
 平成二十年度の年間計画交通量は八百十一万台で、計画比四三%でございます。
 七〇%を超えた年度は、平成九年度のみでございます。

○かち委員 最高時でも計画の七三%、最近では四三%ということで大体その辺を低迷しているというのが実態です。これでは計画推計そのものの見通しが甘かったといわざるを得ませんし、あるいはまともに推計したら料金設定をもっと高くしなければならない、そんなことをすればますます交通量が減るということになり、どちらにしてもこの事業の先に展望はなかったということだと思うんです。
 改めて、道路公社運営によるひよどり山、稲城大橋の有料道路事業の破綻処理のためにどれだけの税金投入になるのか、お聞きします。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 ひよどり山有料道路につきましては、平成十九年度に無料化に必要な経費として六十八億六千万円を支出してございます。
 稲城大橋有料道路につきましては、料金収入で維持管理費が賄えておりましたが、建設元金の返済がピークを迎えたことから、一時的な資金ショートが発生してございます。平成二十年度に、資金ショート対策として十四億六千万円を支出いたしております。平成二十一年度に、無料化に必要な経費といたしまして四十一億一千万円を予算措置としてございます。
 これらの合計は百二十四億三千万円となります。
 今回無料化する稲城大橋有料道路は、平成七年四月に開通して以来、多摩川中流部地域の交通混雑の緩和や都民の生活を支える大きな役割を果たしてきましたが、周辺状況の変化などを踏まえ、今年度末をもって有料道路事業を終了することといたしました。無料化によりまして、今後、稲城大橋は、多摩川中流部地域の交通の円滑化や利便性向上に、これまで以上に寄与していくものと考えてございます。

○かち委員 当時のバブル期という社会的背景もあったでしょうけれども、建設先にありきで生活道路の負担を都民に押しつけてきた結果、合計百二十五億円もの都の税金投入をせざるを得なかったということをしっかり教訓として今後に生かすことを求めて、質問を終わります。

○中村(ひ)委員 それでは、第二多摩川原橋有料道路、いわゆる稲城大橋の無料化と、それに伴う東京都道路公社の解散について質問します。
 まず最初の質問は、当初の事業計画と実際の交通量の実績が当初計画を下回った理由について伺います。
 稲城大橋は、私も先日実際に通行してきましたが、交通量が少なく、かなりすいているという印象を受けました。交通量が当初の計画を下回ったことから、より積極的に活用したいということで、地域から無料化の要請もあったことから、今回の判断につながったとのことです。
 ただし、なぜこうした結果になったのかについては、きちんと検証されなければなりません。三十年間有料化することで早期着工を実現させたわけですが、結果的には十五年で変更し、東京都、つまりは東京都民がその負債である四十一億円を負うことになったからです。
 以前は、下流にある多摩川原橋は、調布保谷線という幹線道路につながっているにもかかわらず二車線しかなく、その南側の南武線の踏切などもあり、常に渋滞していました。そのため、多摩川原橋が渋滞するため、二百円を払ってでも稲城大橋を渡るということもありました。
 しかし、現在では橋が四車線に拡幅され、南武線も高架化したため、かなり渋滞が緩和され、迂回する必要がなくなりました。
 また、上流には、これも幹線道路である府中街道に是政橋があり渋滞していましたが、こちらも拡幅され、渋滞の緩和が見込まれます。ただ、これらの周辺道路の事情が変わったという理由は、不測の事態というわけではなく、東京都みずからが計画し着工するわけですから、不測の事態とはいえません。これはわからなかったのでしょうか。
 こうしたことも踏まえ、交通量への影響はさまざまな要因があることが考えられますが、当初の事業計画と実際の交通量の実績が当初計画を下回った理由について伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋有料道路事業に当たりましては、国が策定いたしました第十次道路整備五カ年計画をもとに計画交通量を設定いたしましたが、景気の低迷や周辺開発のおくれなどの影響によりまして、交通量の伸び率が当初の見込みより低かったことなど、計画段階では予測しがたい要因によって交通量の実績が計画を下回ってございます。

○中村(ひ)委員 次に、無料化によって稲城、府中や周辺道路にどのように影響があるのか質問します。
 今後、無料化して交通量がふえることが想定されます。それにより、府中や、特に稲城のまちづくりに寄与するというプラス面もあるかと思います。ただ、逆に騒音や振動等の周辺環境が悪化する懸念もあります。建設する際には、予想した交通量をもとに環境への影響を調査し、その対応をし、地域の住民にも説明をしてきたはずです。もちろん無料化しても建設当初の予想より交通量が上回らなければその範囲内ということにはなりますが、有料道路として想定した交通量が、今回無料化した場合を超えるようでしたら、環境対策を講ずる必要も生じます。無料化によって、稲城、府中や周辺道路にどのように影響があるのか伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成二十年度に無料化による周辺道路の交通への影響を検討したところ、府中市、稲城市市内の道路におきまして、交通処理上大きな影響がないことが確認されました。
 また、地元市や東京都市長会などからは、地域の利便性を高めるため、稲城大橋の早期無料化を強く要望されてございます。

○中村(ひ)委員 それでは、三点目の質問です。無料化に際して、稲城大橋有料道路事業をどのように評価されているのかを伺いたいと思います。
 道路や橋梁などの建設においては交通量の予想を立てて計画されますが、例えば他の道路でも予想を下回って赤字になるという事例が、報道などでは見られます。事業を進める際には住民との信頼関係が必要ですが、こうした事例がふえてくると、着工についてもめた場合に、どうせ役所の予想は道路をつくりたいから多目に交通量を見積もるのだろうといわれてしまいます。道路や橋は、地域だけではなく広域的に影響をもたらすとはいうものの、交通量や事業の収支は建設の判断に大きな影響を与えます。
 今回無料化し、事業形態を大きく変えるに際して、改めて事業を総括し、今後の都市計画行政や建設行政に生かしていかなければなりません。無料化に際して、稲城大橋有料道路事業をどのように評価しているのか伺います。

○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 稲城大橋は、当時、構想段階の橋でございましたけれども、多摩川中流部地域の渋滞を緩和するため、有料道路制度の活用により、早期整備を図り、短期間で整備を行いました。他の橋梁に先駆けまして、平成七年四月に開通させることができました。開通以来、これまで六千四百万台の利用がございまして、多摩川中流部地域の交通混雑緩和に大きく貢献したものと考えてございます。昭和五十五年には五橋十二車線であった多摩川中流部の橋梁が、現在九橋三十二車線となり、多摩川中流部の道路状況は大きく改善されるなど、稲城大橋を取り巻く環境は大きく変化してございます。
 また、地元市や東京都市長会などから、地域の利便性を高めるため、稲城大橋の早期無料化を強く要望されてございます。
 これらを踏まえまして、既存ストックを最大限に活用し、多摩中流部橋梁のバランスのよい利用を促進するため、今年度末をもって有料道路事業を終了し、無料化を実施することといたしました。

○中村(ひ)委員 四点目の質問は、建設局長である東京都技監に質問します。東京都は、道路公社の設立をしました。東京都は、公社を管理する立場から、今回の稲城大橋の無料化に至る経過、公社の経営と解散をどのように総括をするのでしょうか。
 また、こうした経過をどのように今後の建設行政に生かしていきますか。建設行政ではなく、そもそも着工を決める都市計画行政へのフィードバックも必要です。こうしたことを踏まえて、技監のご答弁を求めます。

○道家東京都技監 稲城大橋有料道路は、平成七年の開通以来、約六千四百万台の利用がございまして、多摩川中流部地域の交通混雑の緩和に大きく貢献してきたものと考えております。
 また、東京都道路公社は昭和六十三年に設立され、これまで稲城大橋有料道路、練馬駅北口駐車場、そしてひよどり山有料道路の三事業を実施するなど、東京の道路整備の一翼を担ってきたものというふうに思っております。これらの事業は、いずれも交通渋滞の緩和や地域の利便性に大きく貢献してまいりました。
 このうち、練馬駅北口の駐車場とひよどり山有料道路につきましては、それぞれ地元の練馬区、あるいは地元の八王子市に移管をして、現在でも有効に活用されているわけでございます。
 稲城大橋の有料道路事業終了によりまして東京都道路公社は解散をすることになりますが、稲城大橋は、今後、交通の円滑化や地域の利便性の向上に、これまでにも増して寄与していくものというふうに考えております。
 道路整備につきましては、都内ほとんどの自治体から強い要望があるのが現状でございます。東京の道路整備はいまだに道半ばであり、引き続き財源の確保に努め、東京の道路整備を着実に進めてまいります。

○中村(ひ)委員 ご答弁ありがとうございました。最後に、一言述べさせていただきます。
 民主党は、都議選や衆議院選挙を通じてさまざま政策を提案しましたが、その根本は、都民、国民の税金を決してむだにはせず有効に使っていくことです。民主党は、むだな公共工事は必要ないとしていますが、必要なものは当然推進します。そのためには、必要かどうかの判断をするためにも、事前の計画をきちんと立てて、予想が変わればきちんと情報公開をして住民に説明をし、教訓があれば次に生かしていくことも必要です。それには、都民との信頼関係を築き、理解を求めることが必要です。
 私たちも、第一党としての責任を果たすべく、しっかりと取り組んでまいりますので、都民から期待される建設行政になることを要望して、私の質問を終わります。

○矢島委員 今までの質疑の中で、大概の内容はご説明いただきましたので、意見だけ申し上げさせていただきます。
 多摩の地域の稲城大橋のつながりの件につきましては、地域の需要がそれを求めて、そして選択肢としてそれは仕方がなかった。建設予算については、どうしても限りあるものですから、その中でやっていく場合に、いわば今回の決着の状況ついては、一つの流れの中の柔軟な判断の結果だというふうに理解をしております。
 ただ問題なのは、この件につきまして、十三年の外部監査のときに、既に事業収支の問題で指摘を受けてますし、また十五年度の財政援助団体報告等の監査によると、将来の資金収支悪化への懸念などの意見が述べられております。
 ですから、物事については、やはり設置をした人間がその問題に常に引っ張られるばかりではなくて、その問題に常に、申し上げたように、柔軟に対応して、そして必要な道路をでき得る手段でとったということが何よりも重要だと思いますので、その点については、しっかりこれからの対応をお願いしたいと思います。
 今PFIという言葉がありますが、プライベートじゃなくてパブリック・ファイナンス・イニシアチブの、いわば公社の、今回のPFIのパブリックのPですから、そういうようにやゆされることのないように、ぜひとも有効な道路建設全部に、信頼にかかわっている問題でありますので、その対応をよろしくお願い申し上げて、意見を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三分散会

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