環境・建設委員会速記録第四号

平成二十一年三月十八日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長石川 芳昭君
副委員長宇田川聡史君
副委員長中村 明彦君
理事原田 恭子君
理事高橋かずみ君
理事小沢 昌也君
村松みえ子君
吉倉 正美君
石森たかゆき君
矢島 千秋君
吉田康一郎君
小磯 善彦君
山田 忠昭君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長中島  博君
緑化募金担当部長庄司 貞夫君
参事浅川 英夫君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事木村 尊彦君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第七十号議案  鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十九号議案 清掃工場建設工事に係る損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件に関する和解について
報告事項(質疑)
・森づくり推進プラン(中間まとめ)について

○石川委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第六十七号議案から第七十三号議案まで及び第八十九号議案並びに報告事項、森づくり推進プラン(中間まとめ)についてを一括して議題といたします。
 予算、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森環境政策部長 去る二月十三日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、環境・建設委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次のとおり十七項目ございます。
 まず一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成九年度から十八年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。表の最上段は、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成九年度から十八年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 なお、平成十四年度以降は、(注5)に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、過去五年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十六年から二十年までの五年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、屋上等緑化の実績及び校庭芝生化の実績でございます。
 まず、(1)屋上等緑化の実績について、平成十五年度から十九年度までの各年度における屋上等緑化の実績件数及び面積を記載しております。
 次に、(2)校庭芝生化の実績では、都内公立小中学校数及び校庭を芝生化した公立小中学校数を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、大気汚染濃度の高い測定局の推移でございます。
 まず、(1)二酸化窒素について、一般環境大気測定局の状況を記載しております。平成十年度から十九年度までの各年度における都内測定局の上位五局でございます。
 六ページをお開き願います。同様に自動車排出ガス測定局の状況でございます。
 続きまして、七ページは浮遊粒子状物質について一般環境大気測定局の状況を、次の八ページは自動車排出ガス測定局の状況を記載しております。
 九ページをお開き願います。6、大気汚染濃度の高い測定局周辺の道路状況でございます。
 まず、(1)平成十九年度における二酸化窒素濃度の高い自動車排出ガス測定局上位十局について、測定局の名称、設置場所及び周辺道路の状況を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。同様に、浮遊粒子状物質濃度の高い自動車排出ガス測定局上位十局について記載しております。
 一一ページをお開き願います。7、大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
 まず、(1)大気汚染では、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況について、それぞれ表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況を記載しております。
 次に、(2)騒音では、道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況を記載しております。
 一二ページをお開き願います。8、二酸化窒素に係る環境基準の達成状況でございます。
 上段の(1)が一般環境大気測定局、下段の(2)が自動車排出ガス測定局のそれぞれの設置場所を示しており、環境基準を達成しなかった測定局を黒丸であらわしてございます。
 一三ページをお開き願います。9、米軍横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成十年度から十九年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局での年間騒音発生回数及び日最高の回数を記載しております。下の(注2)にございますとおり、日最高とは、一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数でございます。
 一四ページをお開き願います。10、東京ガス工場跡地の土壌汚染状況調査結果と跡地利用の状況でございます。
 豊洲用地を除く大森、深川及び田町の各跡地における土壌汚染状況調査結果及び跡地利用の状況を記載しております。一四ページには大森用地、次の一五ページには深川用地、次の一六ページには田町用地について、それぞれ記載しております。
 一七ページをお開き願います。11、自動車NOx・PM法の規制対象台数でございます。
 平成二十年三月末現在の自動車登録データにより、平成二十一年度以降の各年度において、都内登録ディーゼル車のうち、NOx・PM法の規制対象となる台数の推計値を記載しております。
 一八ページをお開き願います。12、緑被率、みどり率の推移でございます。
 まず、(1)都内の緑被率とみどり率の推移でございますが、昭和四十七年から平成十年までに行った各調査における緑被率とみどり率を記載しております。
 次に、(2)最新のみどり率でございますが、平成十五年の暫定値を記載しております。
 次に、(3)緑被率の地域別推移でございますが、各調査年度における区部、多摩の地域別の緑被率とその経年変化を記載しております。
 一九ページをお開き願います。13、保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
 平成十二年度から二十一年度までの各年度における数値を記載しております。
 二〇ページをお開き願います。14、保全地域の指定実績でございます。
 最近指定した保全地域名、指定の年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
 二一ページをお開き願います。15、建設泥土の排出量等の推移でございます。
 平成十四年度から十八年度までの各年度における建設泥土の排出量とその処理の内訳でございます。
 二二ページをお開き願います。16、一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率の推移でございます。
 平成十五年度から十九年度までの各年度における区部、多摩地域別及び区部と多摩地域を合わせた一般廃棄物の廃プラスチック類資源化率を記載しております。
 最後に、二三ページをお開き願います。17、事業系一般廃棄物の処理量の推移でございます。
 平成十五年度から十九年度までの各年度における区部、多摩地域別、区部と多摩地域を合わせた事業系一般廃棄物の処理量の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより予算、付託議案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、まず温暖化対策についてお伺いいたします。
 我が党がこれまで、予算特別委員会での代表質問を初め、本会議や委員会での質疑を通じ繰り返し訴えてきたとおり、地球温暖化対策はまさに待ったなしの状況であります。
 そういう中で、東京都は二〇二〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガス排出量を二五%削減するという高い目標のもと、歩みの遅い国に先んじる数々の施策を展開しており、環境政策の分野でもまさに日本の牽引車の役割を果たしてきております。
 中でも、大規模事業者に対する総量削減義務の制度は都の温暖化対策の柱ともいうべきものでありまして、昨年の第二回定例会で条例改正以来、事業者に対する説明会の開催とか、あるいは排出量算定ルールの作成など、着々と準備作業を進めていると聞いております。
 また、今回都は、こうした準備作業の上に立って、制度の重要事項についてパブリックコメントを実施したと聞いておりますが、そこで、パブリックコメントでどのような意見が寄せられてきたのか、事業者にとって最も関心が高いと思われます削減義務率についての意見の状況も含めてお伺いいたしたいと思います。

○大野都市地球環境部長 大規模事業所に対します総量削減義務と排出量取引制度など、昨年の条例改正で条例が決まりました地球温暖化対策の諸制度に関する重要事項につきまして、二月十日から二月末日までパブリックコメントを実施いたしました。
 合計いたしまして九十九の企業、団体、個人からご意見をいただきましたけども、大規模事業所に対する削減義務率に関しましては、特にその緩和や引き下げを求める意見は全体の二割程度でございました。全体的には、制度の実施や運営に関します実務的な意見や質問、確認を行うものが多数を占めていた状況でございます。
 詳しい内容は、現在、集計と分析を行っておりまして、寄せられたご意見に対する都の見解や対応もまとめまして、三月末までに発表できるよう鋭意作業を進めております。

○山田委員 詳細な内容については現在整理を進めているということでございます。また、三月末の発表を待ちたいと思いますけれども、特に重要な点であります削減義務率につきましては、あえてこの席で確認をさせていただきたいと思います。
 先ほどのお話で、削減義務率については全体で二割程度だったと、それで余り多くなかったということでございますけれども、そうした状況も踏まえまして、都としてパブリックコメントの募集時に示されました削減義務率については、最終的にどのようにしようというお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 予算特別委員会の質疑でもお答えしましたように、今回お示ししました削減義務率の案は、二〇二〇年の目標の達成のために必要となる削減量から算定したものであるとともに、現在利用可能な技術の活用によりまして、おおむね達成可能であることを検討した目標値でございます。
 今回のパブリックコメントでは、都民やNGOよりも事業者からいただいたご意見が多数を占めておりましたが、その中でも、削減義務率の引き下げなどを求める意見をご提出されたのは全体の二割程度ということでございました。
 こうした状況も踏まえまして、都としては、パブリックコメントで提示をいたしました業種等に応じまして、八%または六%という削減義務率の数値で最終的にも決定をしていく予定でございます。
 既に多くの事業者におかれまして来年四月からの開始に向けた準備をされておりまして、いろんな削減方法に関する相談もいただいております。こうした相談に対しまして優秀事例の紹介など支援も進めまして、対象事業所の皆さんと力を合わせて削減目標の達成に努めてまいりたいと考えております。

○山田委員 ぜひその努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、地球温暖化対策で区市町村の取り組み状況についてお尋ねをいたしたいと思います。
 この問題につきましては、我が党の高橋かずみ議員も先般の事務事業質疑におきまして都側の考えをただしたところでもございますけれども、家庭や中小企業のCO2削減を推進するということについては、都民生活に最も身近な区市町村あるいは家庭においてCO2削減を推進するということが大事だと思います。それがかぎになると思います。
 こうした我が党の主張に沿って、東京都は来年度から区市町村に対する補助制度を実施するとしております。この制度については二つの補助対象がありまして、そのうちの一つが選択メニュー事業補助でありまして、都が掲げるメニューについて区市町村と協調して補助を行うというものでありますが、そのメニューとはどういうような考えに基づいて設定をしているのか。また、ことしの五月にも発売されるといわれております家庭用の燃料電池システムのような最先端の設備も対象にして、普及を後押しすべきだと考えますけれども、具体的なお答えをいただければと思います。

○長谷川環境政策担当部長 家庭や中小企業におけるCO2削減を推進するためには、これらの部門において省エネ効果が高い設備機器を普及させることが重要でございます。
 こうした考えに基づきまして、新たな制度の選択メニュー事業補助におきまして都が掲げるメニューといたしましては、高効率給湯器、省エネ型ボイラー、燃料電池などを想定してございます。これらの機器は省エネ効果が高いもののいまだ初期費用が高いものが多く、普及拡大が課題となっておりまして、都といたしましては、補助により導入に弾みをつける必要があると考えております。
 また、本補助制度は緑の創出も対象としておりまして、具体的なメニューとしては、屋上緑化や壁面緑化などを設定してございます。

○山田委員 都と区市町村がともに手を携えて省エネ機器の普及拡大あるいは緑の創出を図るということで取り組んでいくことが、非常に重要であると私は思いますけれども、区市町村によってはそれぞれ財政事情が違いますし、その取り組みの度合いはおのずと相違があると思います。
 しかし、多くの区市町村には都民に接する最先端ならではの先進的な発想もあると思いますし、その発想を施策化できれば、その影響は周辺の自治体にも波及をし、ひいては東京都全体によい影響をもたらすと思います。そうしたことをねらったのがもう一つの補助事業であります提案プロジェクトであります。我が党も高く評価するものでございますけれども、都としても、区市町村からどのような提案がなされるのか、またその取り組みによってどのような効果がもたらされるということを期待しているのか、その点についての所見をお伺いいたしたいと思います。

○長谷川環境政策担当部長 この制度の提案プロジェクト補助につきましては、区市町村が独自の創意工夫により取り組む先駆的な事業であって、地域内外に波及効果をもたらすものにつきまして、都として積極的に支援するものでございます。
 お尋ねの区市町村からの提案を期待する取り組みといたしましては、今後、さらに本格的に取り組んでいくべき事業のモデルケースとなるような取り組みや、地域の持つポテンシャルを生かす独自の取り組みなどが挙げられます。また、都が期待する効果といたしましては、実際にCO2が削減されたり緑がふえるといったような直接的な効果とともに、省エネや緑をふやすことに関し都民や事業者の皆さんの意識が高まり、一人一人の具体的な行動につながっていくようなことを期待してございます。

○山田委員 今後一層温暖化対策を推進していくためにも、都としても区市町村のニーズをしっかりと把握をしていただきまして、より使いやすい制度としていただきたいと思います。
 次の質問に移りたいと思います。次に自動車からの温暖化対策についてお伺いいたしたいと思います。
 我が党の代表質問でもお尋ねをいたしましたように、自動車部門の温暖化対策の強化を図っていかなければなりませんが、中でも車の環境性能を高めていくことは重要な柱でもあります。そのためには、中小事業者に対する融資のあっせんを高めていくことが重要な柱であります。そのためには中小企業に対する融資のあっせん、あるいはあっせん制度の拡充、あるいは次世代車の導入支援などによりまして、中小事業者における低公害あるいは低燃費車の一層の普及を図っていくことが必要でありますけれども、一方で大規模事業者などへの普及拡大を図ることも重要であると考えます。
 都は今回、これまで大規模事業者に課してきました低公害車の導入義務を、今回、低公害、低燃費車に改める条例改正案を提案いたしておりますけれども、どのような対象にどの程度の義務を課すことを考えているのか、お伺いをいたします。

○市川自動車公害対策部長 自動車からの地球温暖化対策を進める上で、都内の自動車全体の環境性能を向上させることは重要でございまして、そのためには低公害、低燃費車を継続的に普及させていかなければなりません。
 今回、条例案を提案させていただいております低公害、低燃費車の導入義務の対象につきましては、今後、規則で定める予定でございますけれども、これまでの低公害車導入義務の対象と同様に、都内に二百台以上の自動車を使用している大規模な事業者を考えてございます。
 また、平成二十三年四月から二十八年三月までの五年間に五%までの導入を義務づけまして、低公害、低燃費車の導入促進を図ってまいる予定でございます。

○山田委員 こうした大規模事業者の低公害、低燃費車普及の取り組みがさらに他の事業者へも広がって、導入促進が図られますことを期待いたしたいと思います。
 次に、自動車公害対策の観点からもう一点お尋ねをいたしたいと思います。
 ディーゼル車規制の実施によりまして、浮遊粒子状物質については三年連続で都内の自動車排出ガス測定局の全局で環境基準達成となっておりますけれども、窒素酸化物、NOxについては、徐々に改善されたとは聞いておりますけれども、環境基準達成率は七割程度にとどまっております。都内を走っている車の中には都外から流入してくる環境性能の余りよくない車もありますし、先ほど質問した低公害、低燃費車の普及促進は、環境負荷の低減に有効であるものの、その効果は都内の車に限られてしまうという課題もございます。
 都は、今回の条例改正案で環境性能の悪い車の利用抑制を内容といたしました努力義務の創設を提案いたしておりますが、どのように環境性能の悪い車の利用を抑制して、そして環境負荷の低減を図っていくのかをお尋ねいたしたいと思います。

○市川自動車公害対策部長 環境性能の悪い車の利用抑制についてでございますが、自動車NOx・PM法によりまして都内では車検の更新ができない環境性能の悪い車が、一部都内に流入してございます。
 今回創設しました新たな努力義務に基づきまして、都外から入ってくる環境性能の悪い車の利用抑制に向けて、まずは都庁内で率先行動をとっていきますとともに、荷主などの事業者団体等に対する働きかけを行いまして、自主的な取り組みを促してまいります。
 また、環境性能のよい車にステッカーを貼付いたしまして、車を利用する側が環境性能の悪い車を一目で識別できるようにすることによりまして、事業者団体等の取り組みを実効性のあるものとし、さらなる環境負荷の低減を図ってまいる予定でございます。

○山田委員 自動車部門に関しましては、温暖化対策とともに大気環境改善に関しても新たな取り組みを進めていくということでございますので、一層の取り組みを期待いたしたいと思います。
 次に、緑の保全と創出に関してお伺いをいたします。
 先般、自然環境保全審議会より、自然保護条例における緑化計画書制度及び開発許可制度の強化についての答申が出されました。これを受けまして今定例会に自然保護条例の改正が提案されております。本日はこの条例改正に関しまして何点かの質問をいたしたいと思います。
 まず、建築行為を行うに際しまして緑化基準に基づく緑化計画の届け出を義務づけております緑化計画書制度についてお尋ねをいたします。
 昨年の第四回定例会の環境・建設委員会では、緑化基準の見直しの考え方について私が質問いたしましたけれども、その私の質問に対しまして、自然環境部長でございましょうか、審議会の最終答申等を踏まえ、事業者の取り組み事例などの実態、事業者等の負担なども総合的に考慮しながら緑化基準を設定していくとの答弁をいただいておりました。
 そこで、そうした考え方に基づきまして、緑化基準を具体的にどの程度強化するのか、現時点での方向性についてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 本年一月に自然環境保全審議会から答申をいただいておりますが、そこでは、五千平米以上の大規模な案件では、既に約半数がさまざまな創意工夫によりまして、現行基準を五ポイント以上上回る緑化を行っているということが指摘されております。
 都といたしましては、こうした事業者の緑化の創意工夫について具体的な取り組み事例を提示するなどのきめ細かな対応によりまして、緑化余地の大きい大規模な案件について底上げを図れるものと考えております。こうしたことから、新たな緑化基準は、敷地面積五千平米以上の案件について、現行基準よりも五ポイント引き上げる方向で検討いたしております。

○山田委員 緑化計画書制度におきます緑化基準の上げ幅につきましては、事業者の取り組み実態を十分に考慮した上で、全体的な底上げを図るものであることがわかりました。
 次に、自然地を一定規模以上含む敷地において開発を行う場合の許可制度であります開発許可制度についてお尋ねをいたしたいと思います。
 自然環境保全審議会の答申におきまして、開発許可制度におけます緑地基準の強化ということも提言されておりますけれども、これについて、どのような考え方によりましてどの程度アップしていくのか、現時点での方向性についてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 同じく自然環境保全審議会答申におきまして、マンションなど共同住宅系の開発では緑地面積の確保が緑化計画書制度による場合に比べて十分でないというふうな指摘がされておりますことから、共同住宅系の開発につきまして、緑化計画書制度との整合性を図るという観点で緑化基準の見直しをしております。
 具体的には、開発許可制度における共同住宅系の開発に係る緑化基準につきまして、敷地規模の区分を現行制度より細かく設定するとともに、確保される緑地面積が緑化計画書制度による場合と同等以上となるよう検討を進めております。
 緑化基準については、敷地規模の区分によって異なりますが、例えば敷地面積が三千平米以上五千平米未満の開発案件につきましては七ポイント引き上げ、敷地面積の一〇%とする方向で検討しております。

○山田委員 自然保護条例におきます開発許可制度と緑化計画書制度では、開発に際して確保する緑地面積についてきちんと整合性を図るよう、開発許可制度の緑地基準を見直すということはわかりました。
 ここまでは緑の量について質問いたしてまいりましたけれども、次に緑の質を高めるための取り組みについてお伺いをいたします。
 開発許可制度では、良好な既存樹木等の保存検討について条例で義務づけることが提案されております。開発許可制度では、良好な既存樹木等の保存検討について条例で義務づけることが提案されておりますけれども、第四回定例会の環境・建設委員会で、私は、緑化計画書制度においても緑の質的な面について配慮することが大切だということを申し上げたところ、自然環境部長から、良好な既存樹木が保全されるなど良質な緑の確保がより一層図られるよう、具体的な仕組みについて検討していくとの答弁をいただきました。
 そこで、緑化計画書制度において具体的にどのように緑の質を高めていこうとしているのか、まず所見をお伺いいたしたいと思います。

○中島自然環境部長 自然環境保全審議会答申におきましては、緑化計画書制度においても既存樹木等の保全など緑の質的な面についても配慮することが大切であり、そうした良好な緑の増加が図られるように誘導する仕組みを検討することが望ましいとの提言をいただいております。
 これを踏まえまして、緑化計画書制度における緑化面積の算定方法につきましては、良好な既存樹木を保護する場合には、新たに植樹する場合よりも緑化面積を大きく算出する方向で見直し、良好な既存樹木がより一層残るよう事業者の取り組みを誘導してまいります。

○山田委員 緑は、東京に住み、働く人々に潤いや安らぎを与えるとともに、都市の環境向上のためにはなくてはならない大切なものであります。都民の緑化への期待は非常に大きなものがありまして、環境局はぜひこうした期待にこたえていただき、今後ともより一層の緑の保全について、それと創出に向けた取り組みを推進していただきたいと思います。
 さて、これまで温暖化対策と緑施策を促進する等、幾つかの仕組みについて都側の考え方をただしてまいりました。これらの質疑を通じまして改めて私が思いを強くいたしましたのは、行政というものは、どのような分野でもそうでありますけれども、都民や事業者の理解と協力なしには立ち行かないということであります。そして、特に環境行政には都民との協働ということが強く求められると思うのであります。
 そこで、都民、事業者とともに世界に誇る環境先進都市の実現を目指します環境局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○有留環境局長 東京の環境を取り巻く現状は、地球温暖化がもたらす気候変動の危機が顕在してきているほか、いわゆる都市公害とされる環境の負の遺産がいまだ残されているとともに、緑の減少にも歯どめがかかっていない状況でございます。
 都は、これら都民の生命、財産を直接的に脅かす環境の危機に対しまして、大胆でかつ戦略的な取り組みを着実に展開することによりまして、都民、事業者とともに、世界で最も環境負荷の少ない都市という共通の未来を開いていきたいと考えております。
 こうした認識に立ちまして、これまで都は、我が国で初めてとなるCO2削減義務の導入などに取り組んでまいりましたが、今後とも都民、事業者の声を聞きまして、その意見とともに、社会経済の大きな流れを的確に把握しまして、あらゆる主体を巻き込んだ具体的で実効性ある施策の構築と推進に努めてまいります。

○小沢委員 私からは、東京都における土壌対策についてお伺いをいたします。
 昨年の第一回定例会一般質問におきまして、土壌汚染があるために土地の取引や土地利用が進まない、いわゆるブラウンフィールド、この問題について、また土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会の検討状況等、都の対策全般に関して質問をさせていただきました。本日は、その後の施策の進捗状況、また二十一年度に向けた取り組みについて、二、三お伺いをいたします。
 まず、昨年、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会の報告が取りまとめられましたが、そこで明らかにされた課題には、昨年私が質問させていただきました、一般質問の上で指摘させていただきました、届け出の情報がデータベース化されていないために情報承継が確保されず土地の再調査をしてしまう可能性があること、また、条例で定める対象外の三千平方メートル以下の土地において搬出土壌の処理実態の把握が不足していること、汚染調査対策に対する経済的支援が不足していることなどが挙げられております。
 そこで、この報告書を受けて都はどのような施策を講じようと考えているのか、また今予算案に反映されているのかをお伺いいたします。

○中村参事 さまざまな立場の学識経験者によりまして幅広い視点から検討されてまいりました土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会の報告でございますけれども、土壌汚染に関する情報の整備、公開の不足のほか、掘削除去への偏重によりまして対策が円滑に進まないことや、搬出される汚染土壌の不適正処理が懸念されることなどの課題が挙げられ、その課題解決のため取り組むべき施策の方向性が示されております。
 都はこの提言を受けまして、現在、汚染土壌の搬出実態調査を実施するとともに、円滑な土壌汚染対策を促進するための方策を検討しているところでございます。
 来年度予算案でございますけれども、土壌汚染対策を実施する事業者を支援するための情報の整備を初めとする土壌汚染対策促進のための基盤整備調査を計上いたしております。

○小沢委員 また事業状況によれば、都内では多くの土壌汚染が認識され、対策が講じられております。委員会報告書によりますと、工場廃止時に適用される環境確保条例第百十六条、これによる調査報告件数は年々増加する傾向にありまして、条例が施行されました平成十三年十月から十九年九月までの六年間、この間に土壌汚染状況調査は一千五百九十六件実施され、その結果、三四%に当たる五百四十九件で汚染が見つかっております。また、土地改変時に適用される条例の第百十七条、土地利用履歴等調査届出書は、同期間に三千三百八十三件提出され、二八%に当たる九百四十三件が汚染のおそれがあると判断され、全体の一二%に当たる四百十四件で汚染が見つかっております。このように、多くの土壌汚染の調査や対策に関する情報は、今後の土壌汚染対策を行う上で極めて有用なものであると考えます。
 委員会報告でも同様の提言がなされておりますが、国土交通省でも、土地の有効利用のための土壌汚染情報等に関する検討会、この場で、お隣の市川市や札幌をモデルとした土壌汚染マップや土壌汚染地の有効利用促進策などを検討しており、先般、国交省に問い合わせをいたしましたところ、取りまとめの検討会がちょうどきょう、十八日に開催される予定と聞いておるところであります。
 そこで、改めて土壌汚染調査や対策の情報収集、そしてその保存、都民に対して情報提供できる仕組みづくりに取り組んでいくべきと考えますが、都の今後の対策をお伺いいたします。

○中村参事 検討委員会報告は、調査対策の重複を避けまして、地域の実情に応じた対策を選択するために、過去に実施された調査、対策の内容などに関する情報についてデータベース化するとともに、より積極的な情報の提供を行うことが重要であるとしております。
 都といたしましては、この提言を踏まえまして、個人情報の取り扱いや資産価値への影響などに留意しながら、都条例による届け出内容などを整備いたしまして、また適切に提供することで、事業者が過去の対策情報を踏まえて効率的な調査や対策を実施できるようにしていくとともに、汚染の封じ込めなどの対策を行った土地がその後適切にリスク管理される仕組みを検討してまいります。

○小沢委員 それでは、次に中小企業の負担についてお伺いいたします。
 都内に多くありますメッキ業やクリーニング業など狭隘な土地で事業をされている中小企業の方からは、調査や対策にかかる費用が非常に高額で負担感が大きいと聞いております。また、土地価格と対策費用の分析によりますと、掘削除去や原位置浄化等の対策で浄化する場合、特にクリーニング業の約五〇%、メッキ業の二五%と、多くのケースで対策費用が土地価格を上回ってしまう、このように聞いております。これまでも都は中小企業の負担軽減のために取り組みを進めてきたと思いますが、一層の努力が必要と考えます。
 そこで、今後の中小企業の負担低減に向けた取り組みについて都の見解をお伺いいたします。

○中村参事 都はこれまで、土壌汚染処理技術フォーラムの中で現場での浄化を初めとする低コストで実効性のある対策事例を紹介いたしまして、低コスト技術の開発や普及を促してまいりました。また、調査の面でも対策期間の短縮による費用の低コスト化を図るため、簡易で迅速な分析技術の選定を進めるなど、事業者の負担軽減に取り組んでまいりました。
 さらに、国の土壌汚染対策基金の助成対象も、法対象の案件だけでなく、都条例対象の案件につきましても拡大するよう、国に提案要求しているところでございます。
 今後、低コスト技術の開発促進や簡易分析法の実用化に向けた取り組みを進めるとともに、事業者にとって過度の負担にならないよう、汚染状況や地質状況に応じて合理的な対策を選択できるような土壌汚染対策のガイドラインづくりを検討してまいります。
 これらの取り組みを進めることによりまして中小事業者の負担軽減を図りまして、土壌汚染対策の円滑な実施を促進してまいります。

○小沢委員 本日、都は汚染土壌の自主的な対策に係る実態調査を行っていること、また土壌汚染対策のガイドラインの策定など土壌汚染対策を合理的に促進する旨、ご答弁をいただきました。
 一方、ほかの調査によりますと、土壌汚染対策のうち約八割が法や条例に基づかない自主的な対策であること、都内で実施される法、条例に基づく対策の約九割が掘削除去とされていること、全国の法定区域の約三割が東京都に当たる、東京都が約三割を占めている、しかしながら都内には法に基づく汚染土壌の認定浄化施設がない、このようなことが示されております。これらのことから、汚染土壌の多くが都外に搬出されて処理をされているのではないかと推察されるところであります。掘削除去処理以外の原位置の浄化、覆土、不溶化などの処理方法の転換の検討、そしてその情報提供が必要と考えるところであります。また、どうしても搬出が必要な場合でも、私は、都内で汚染土壌の処理施設の整備、検討も含めた、都内で発生した汚染土壌は都内で処理するという原則でこの問題に取り組んでいかれたいと要望いたします。
 また、環境省もブラウンフィールド問題について、土壌汚染対策費が土地価格に対して、これは場所によって違いますけれども、二〇%から四〇%を超えると土地売買が不成立になることが多いとしております。
 委員会報告にもありますが、汚染土壌問題については、都市再生や地域活性化など経済社会問題として、都の関係各局とも連携して取り組んでいただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○小磯委員 まず、自然環境分野における人材育成についてお伺いをいたします。
 私の地元町田市は豊かな緑が多く残っておりますが、こうした豊かな緑を可能な限り後世に引き継いでいくことも、我々に課せられた大切な務めでございます。こうした緑を守り育て、緑あふれる東京を実現するために、都だけでなく、都民、企業、NPO、区市町村などさまざまな主体が協働して、緑の保全や創出に取り組んでいくことが重要であります。
 こうした中、都は昨年度、自然環境分野における人材育成の仕組みとしてエコトップ・プログラムを創設いたしました。まず、このプログラムはどのようなものなのか改めてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 エコトップ・プログラムでございますけれども、これは自然環境の保全を推進するために、自然環境分野で幅広い知識を有しアクティブに行動できる人材を大学、企業、NPO、行政が連携して育成し、社会に送り出していくための仕組みでございます。
 具体的には、大学や大学院が自然環境保全のための教育課程を設けまして、それを都がエコトップ・プログラムとして認定し、授業やインターンシップなどを通じて、大学、企業、NPO、行政が連携して人材を育成するとともに、都は、プログラムの修了者を登録し、自然環境に関する最新の知識、情報を得る機会を提供するなど、継続的な支援を行っていくものでございます。

○小磯委員 このエコトップ・プログラムにより、都はどのような人材を育成しようと考えているのか。また、エコトップ・プログラムが目指す人材像についてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 目指しております人材像でございますけれども、これは一言でいえば、自然環境に軸足を置いたゼネラリストでございます。つまり、特定分野に特化した専門家ではなくて、分野をまたぐ視点を持って仕事ができる人材でございます。
 具体的には、自然環境保全に向けてさまざまな主体と協働できる、それから、将来にわたって自然環境を見据え、一地域の現場の活動をグローバルな視野に立って考えることができる、また、現場感覚を持ってアクティブに行動できるといった能力を有する人材を育成していきたいと考えております。

○小磯委員 今のご答弁にありましたように、自然環境分野に関する現場実践に必要な幅広い知識を備えた行動力のある人材を育成していくために、大学、そして大学院はどのような教育課程を設ければエコトップ・プログラムとして都の認定が受けられるのか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 エコトップ・プログラムでございますけども、これは三十単位以上のカリキュラムと四単位以上のインターンシップで構成されております。カリキュラムは自然環境に関する自然科学、社会科学、人文科学の各分野でそれぞれ六単位以上、演習や実習が六単位以上、そのほかに野外の救急救命を実践的に行う科目などを必修科目とするとともに、インターンシップにつきましては、企業、NPO、行政のそれぞれにおいて実施することを求めております。
 都は、大学から申請された教育課程を学識経験者で構成される認定審査会において審査し、その結果を受けて認定をいたしております。大学のエコトップ・プログラム教育課程は、これは三十四単位以上取得し、卒業修了要件を満たした者をプログラムの修了者として都が登録をするものでございます。

○小磯委員 今の答弁によりますと、エコトップ・プログラムの修了者となるためにはかなりの単位を取得しなければならず、学生も腰を据えてしっかり取り組まなければならないものだということがわかったわけでございますが、しかし、このプログラムが学生にとって魅力がないものであれば履修者が集まらず、結局、このプログラムは絵にかいたもちになってしまうわけでございます。
 学生にとってこのプログラムの魅力について、所見をお伺いいたします。

○中島自然環境部長 エコトップ・プログラムは、自然環境系の企業や一般企業のCSR部門などはもちろんのこと、より幅広くさまざまな自然環境保全にかかわる人材の輩出を目指しております。そのため、このような輩出先を念頭に置いた実践的な教育課程に加えまして、修了後のフォローアップにより、知識等のレベルアップや人的ネットワークの拡充が可能となることが大きな魅力となると考えております。
 例えば、インターンシップにつきましては、現在、企業ではイオン、積水化学工業、富士通の三社が、またNPOなどでは世界自然保護基金ジャパン、日本エコツーリズム協会、生態教育センターの三団体がこの取り組みに参加をしておりまして、こうした著名な団体においてさまざまな業務を実践的に体験できることは、学生にとって貴重な経験になるとともに、将来に生かせる人的なつながりを持つこともでき、そうしたことが学生にとって魅力となると考えております。

○小磯委員 これまでの答弁にありましたように、エコトップ・プログラムは、大学のキャンパス内での授業だけでなく、企業、NPO、行政が協働して人材を育成するという点が非常にユニークな仕組みであり、さらに修了後も見据えた取り組みということで、大学の関心も非常に高いのではないかと思います。
 そこで、エコトップ・プログラムのこれまでの実績と今後の申請の見込みについてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 昨年度は首都大学東京を認定いたしました。そして、今年度につきましては玉川大学、千葉大学、東京農工大学、法政大学の四つの大学を新たに認定いたしました。
 また、このプログラムにおける具体的な人材育成につきましては、今年度、首都大学東京の大学院の修士一年生が大学でのカリキュラムを受講するとともに、行政、企業、NPOのそれぞれにおけるインターンシップを行ったところでございます。
 現在、複数の大学から来年度の認定を目指した具体的な相談が寄せられておりまして、今後、大学からの申請が審査基準を満たしている場合には、エコトップ・プログラムとして広く認定をしてまいります。

○小磯委員 私も今お話のありました大学にエコトップ・プログラムを紹介した者の一人として、大いに期待するものでございます。
 大学では、今後一層の少子化が進むことから、入学者を確保するため、さまざまな特徴を打ち出していかなければならないと聞いております。今の答弁によりますと、既に複数の大学から来年度の認定に向けた相談が寄せられているとのことでございますが、大学や学生にとって魅力のある人材育成制度であることから、これからも申請大学が多く出てくることが予想されます。
 そこで、今後のエコトップ・プログラムの具体的な展開策についてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 エコトップ・プログラムの特徴の一つは、行政、企業、NPOのそれぞれにおけるインターンシップでございますが、その効果的かつ円滑な実施に向けまして、今年度、本プログラムを紹介するパンフレットを作成したところでございます。また、今月末までに専用のホームページも立ち上げることとしております。
 今後、インターンシップの円滑な実施に向けまして、日本経団連や東京商工会議所などの協力を得まして各企業等へのPRを行ってまいります。
 また、大学、企業、NPO、行政が一堂に会した交流会を開催しまして、さまざまな主体のネットワーク化を図ってまいります。
 さらに、二十一年度末から輩出するプログラム修了者を登録するとともに、ホームページの会員専用サイトや交流会など、プログラム修了者が社会に出た後も継続的な支援を行ってまいります。

○小磯委員 人づくりはまさに一朝一夕でできるものではございません。そうした観点からも、中長期的な視点で制度を構築しているこのプログラムは大いに評価できるものであります。今後、大学や大学院に在学している期間だけでなく、プログラムの修了者についてもしっかりサポートし、自然環境分野に軸足を置いた実践的なゼネラリストを東京から輩出していっていただきたいと思うわけでございます。
 また、せっかく東京都環境局のアイデアでできているものでありますので、ぜひとも都の環境局から都のこうした自然環境の現状、また東京都の取り組み、また東京都の条例、そして計画等についてしっかり説明ができる、そういう授業を設けてもいいんじゃないかな、こう思いますので、ご検討をいただければというふうに思います。
 次に、都市づくりにおける環境への配慮に関して、環境影響評価、いわゆる環境アセスメントについてお伺いをいたします。
 これまでも環境局では、環境に配慮した都市づくりの観点から、建築物環境計画書制度や環境アセスメント制度などが運用されてまいりましたが、二十一年度には組織改正が行われ、総量削減課とともに環境都市づくり課も設置されます。今後は、環境配慮の都市づくりにおいて、温暖化対策とも一層連動した施策の推進が期待されます。
 都の環境影響評価制度は、昭和五十六年、国よりも十五年ほど早く導入され、約三十年が経過をしております。この間、環境保全にかかわる多くの知見が蓄積されてきているものと考えております。
 また、今回の組織改正を機に、事業の早い段階から環境保全の措置を求めていく環境アセスについて、建築物環境計画書制度や排出量削減など他の環境配慮の制度とも連携を図ることで、計画の早い段階から環境に配慮した事業の実施をこれまで以上に事業者に求めていくことが可能になると思われます。
 そこで、これまでの多くの知見も生かしながら、環境アセスメント制度の充実を図るとともに、同時に制度の運用に当たって事業者をよりわかりやすく誘導していく上でも、環境アセスに関する技術指針について改定を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 今後、一層効果的に環境に配慮した都市づくりを進めていくためには、環境アセスメント制度や、現在制度の強化を進めております建築物環境計画書制度など、さまざまな制度の連携を図っていくことが重要と考えております。
 一方、環境アセスメント制度におきましては、これまで三百件近くの事業にかかわる環境影響評価を行い、環境保全の措置にかかわる多くの知見等が集積をされております。こうした状況を踏まえまして、各制度の連携を視野に入れるとともに、これまでのアセスメントの実施事例に係る知見や資料の整理等を行い、来年度から技術指針の改定に向けた検討作業を行ってまいります。

○小磯委員 ただいまの答弁で、技術指針の改定について、今後の内容の見直し作業などが進められていくものと理解をしたところでございます。
 現時点で想定しているスケジュールについてお伺いをしたいと思います。

○大野都市地球環境部長 技術指針の改定に当たりましては、環境影響評価条例の規定によりまして環境影響評価審議会の意見を聞くことになっております。この規定を踏まえまして、来年度、二十一年度半ばから審議会での審議を開始いたしまして、平成二十二年度中に技術指針の改定を行ってまいりたいと考えております。

○小磯委員 新たな体制のもと、十分な審議を踏まえ、環境配慮の都市づくりに向け、一層邁進されることを強く要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、地球温暖化の適応策について、その調査についてお伺いをしたいと思います。
 平成十九年第四回都議会定例会において、我が党は、CO2の削減について、その削減はもとより、温暖化被害から都民生活を守るためのいわゆる適応策についても、東京が世界をリードすべきである、このような主張を本会議でさせていただきました。
 都は昨年十月、気候変動東京会議を開催し、世界の都市間で初めて適応策について議論をいたしました。また、来年度には、温暖化がもたらす東京の影響について本格的な調査、分析を行うと。二億円の予算がついているわけでございますが、こうした取り組みは大変評価できるものであります。なかなかほかの局にこういうことをいっても、温暖化が影響しているという明確な答弁はないんですけども、そこで環境局としてしっかりとこうした調査をしていくというのは大事なことだと思います。
 調査の対象として、集中豪雨、高潮などの自然災害、水不足、熱中症、感染症などの健康被害、また農作物への影響など考えられますが、こうした分野は都民生活の安全・安心に深くかかわり、相互に密接に関連することから、所管局ばかりでなく、関係各局が連携して調査、分析していくことが重要であります。
 調査に当たっては、例えば農作物については、全国レベルでは温暖化が米などの穀物や野菜、果実などの栽培適地や発育時期などに変化をもたらし、品質や収穫量に少なからぬ影響を及ぼすことが指摘されております。したがって、多方面からの的確な調査、分析が必要となってまいります。
 このように、世界全体、日本全国レベルで展開されている事象について、今回、東京という地域的なレベルで温暖化のもたらす影響を調査、分析する試みは極めて重要であると考えますが、調査の意義、また関係各局との連携について、所見をお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 適応調査についてでございますけれども、温暖化がもたらす影響は今後の東京の都市活動や都民生活に深くかかわる問題でございますことから、まず温暖化が今後東京においてどのような現象をもたらし、いかなる影響を及ぼすのかなどにつきまして、可能な限り地域的なレベルでの把握、分析をすることが重要であると考えており、それがこの調査の意義であると考えてございます。
 調査に当たりましては、自然災害、水不足、健康被害、農作物を含む生態系への影響など、さまざまな分野が想定されることから、関係局の実務者による適応状況に関する調査チームをつくりまして、科学的、専門的な見地から調査を進めてまいります。

○小磯委員 今の質問の中で、この調査というのはどれぐらいかけて行って、どういうふうにまとめてというのは、スケジュール的にはどんな感じかいえますか。

○長谷川環境政策担当部長 先ほどご答弁申し上げました全庁的な調査チームでこれから検討してまいりますけれども、来年度の予算として調査経費は計上してございますので、その予算を活用する範囲でまずは調査を進めていくというふうに考えてございます。

○小磯委員 今後につながる大事な調査でございますので、しっかりと調査を実施してほしいと思います。
 次に、家庭部門の温暖化対策について伺います。
 太陽光発電については、都の住宅向けの太陽エネルギーの利用機器の設置補助を契機に、国の補助制度が復活したり、固定価格買い取り制度の導入が決まったりと、普及拡大に向けた道筋が明らかになりつつあります。
 一方、今後普及が期待されるものとして家庭用の燃料電池があります。この燃料電池は、都市ガスなどから水素を取り出して発電し、その際生じる排熱を利用して給湯を行うシステムであります。
 まず、この家庭用燃料電池の開発状況など、現状がどうなっているのかお伺いをいたします。

○大野都市地球環境部長 家庭用の燃料電池につきましては、一九九〇年代から研究開発が進められてまいりまして、二〇〇五年からは国の実証事業が行われております。現在では都市ガス事業者等によりまして製品化が進んでおりまして、今年度末までには全国で約三千台の家庭用燃料電池が設置されるというふうに聞いております。
 国は、来年度から百四十万円を上限に設置費用の二分の一を補助する予定ということでございますが、まだ初期費用が三百四十万円前後と非常に高い状況でございますので、国の補助を受けてもなお二百万円程度の自己負担が必要という状況でございます。

○小磯委員 家庭用燃料電池についても国が補助を行うということでありますが、都としても普及拡大に向けた支援策を講ずるべきと思いますが、いかがでございましょうか。

○大野都市地球環境部長 ただいまご答弁申し上げましたように、国はこれまでの実証事業の段階を経まして、大幅な価格低下の実現によって、より幅広い支援を創設するということで、来年度以降、支援策を実施いたしまして、毎年、年間四千台から五千台の普及を図るという計画を立てております。また、各機器メーカーもこれを受けまして、早期に本格普及が行われるような市場確保を目指して製品開発を進めております。
 したがいまして、燃料電池に対します都の支援の必要性に関しましては、こうした動向を見きわめていくことが重要であると考えております。
 なお、来年度から事業開始をいたします地球温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度におきましては、区市町村が先進的に燃料電池に対する補助を実施する場合には、協調して補助できるようメニューの一つに位置づけております。

○小磯委員 都が本格的に家庭用燃料電池を支援していくかについては、国やメーカーの取り組みの状況を見きわめていく必要があるという状況がわかりました。
 さて、続いて中小企業に対する支援策について伺います。
 先ほど申し上げましたように、太陽光発電については、住宅用は都も国も積極的に支援策を講じるものとしておりますが、中小企業についても、太陽光発電を積極的に導入しようとする事業者に対して、その取り組みを支援するために税制上の優遇措置を講ずべきと思いますが、いかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 一月中旬に主税局が発表いたしましたように、中小企業者向けの省エネ促進税制を来年度から導入するということになっております。
 この環境減税の実施に当たりましては、環境局が認定しました省エネ設備等について減税の対象とするということになっておりまして、認定設備に関しましては、一つは、どの業種であってもほぼ共通して導入の対象となる空調でございますとか照明などの設備を考えております。これに加えまして、今後、普及が特に重要な太陽光発電についても対象とすることを考えております。

○小磯委員 ただいまの中小企業向け省エネ促進税制の中に太陽光発電を入れていただくと、中小規模事業所等においてこうした設置が促進されるものと大変期待をされておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 さて、次に自動車からのCO2削減についてでございますが、自動車は人々の移動手段として利便性を向上させる一方で、その排ガスなどにより環境に負荷を与えてまいりました。近年、自動車メーカーの積極的な技術開発によって、排出ガス性能や燃費が向上した自動車が開発をされてまいりました。ことしの夏、国内の複数のメーカーから、鉛電池より電池性能の高いリチウムイオン電池などを搭載した、より実用性の高い電気自動車が販売される予定であります。
 電気自動車には、ガソリン車に比べてエネルギー効率が高く、また、走行時には二酸化炭素を排出しないという利点があり、環境負荷の低い次世代の移動手段として期待されているものであります。この自動車を広めていくことはCO2削減に有効と考えます。
 他の自治体でも、公用車へ導入すると表明しているところもございますが、東京都においてもこうした公用車へ導入を図るべきだと考えますが、考えをお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 都内における自動車部門からのCO2を削減するためには、公共交通機関の利用促進や物流効率化などを図りますとともに、環境性能のよい自動車の導入促進を図っていくことは重要でございます。
 特に、走行時に排出ガスがなく、CO2の削減効果が高い電気自動車を普及させていくことは効果的でございます。そのため、ことし新たに発売される予定の電気自動車につきましては、生産台数に限りがある中ではございますが、幅広い普及を目指しまして、中小事業者等への支援により導入を促進してまいりますとともに、都の庁有車への導入も図ってまいります。

○小磯委員 ぜひ都においても、ガソリン車だけではなく電気自動車などを積極的に活用してほしいと思います。都の庁有車ということで、環境局の庁有車にぜひ導入してもらいたいというふうに思います。
 電気自動車を一般に広く普及、浸透していくためには、減税などのインセンティブももちろん重要でございますが、より利用しやすい環境を整えることが必要でございます。電気自動車の利用方法としては、通常、夜間に事業者や自宅などでコンセントにつないで充電し、昼間に使用するということになると思いますが、電気自動車を普及していくためには、万が一のときにも備え、外出先等でも充電できる設備が必要であります。例えば、京都市では公共施設へ無料の充電用コンセントを設置するなどの普及促進策を行うと聞いております。
 私も、あるタクシードライバーとお話をしていたときに、電気自動車が例えば首都高速道路を走っているときに電気がなくなったらどうしようかという、そんなことで、こうした急速充電の設備というのはあちこち必要だというふうに思いました。
 そんなことで、都においても電気自動車を普及させるために、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアを含めて公共施設などに充電設備を設置することなども重要と考えますが、都としてどのように考えているか、お伺いをいたします。

○市川自動車公害対策部長 ことし発売予定の電気自動車は、自宅や事務所などでも充電することができますが、ガソリン車に比べますと一回の充電当たりの走行距離がまだ短いことなどから、ユーザーに安心して利用していただくためには、外出先でも充電できることが重要と考えてございます。
 そのために、ご指摘の公共駐車場等を活用した充電設備の設置について検討してまいりますとともに、民間事業者に対しましてもその設置を促してまいります。

○小磯委員 ではよろしくお願いします。

○村松委員 環境確保条例の改正について、初めに伺います。
 昨年七月に開かれた北海道洞爺湖サミットでは、世界が注目していた先進国の温室効果ガス削減のための中長期削減目標について具体的に示されず、地球温暖化を憂えている人々を失望させる結果になりました。
 地球温暖化対策は一刻の猶予も許されない状況にもかかわらず、総排出量の大半を占める産業界の削減を自主努力任せにしていることは重大です。
 東京都においては、昨年、環境確保条例を改正し、大規模事業所におけるCO2排出削減の義務化が決まりました。日本共産党は、条例の目的に地球の温暖化防止を位置づけること、大量のCO2を排出する超高層ビルの乱立を防ぐために都市の成長管理に踏み出すこと、CO2排出削減義務率は議会の承認を得て実効性を確保できるよう修正案を提案いたしました。
 この条例が真に地球温暖化防止の先陣を切れるようにするために、大規模事業所へのCO2排出削減が義務化された、その後の取り組みについて何点か伺います。
 初めに、昨年の条例改正以後どのように進められてきたのか、伺います。

○大野都市地球環境部長 昨年六月に条例改正をいただきました直後に、七月末と八月の初めに、対象事業所に対しまして条例改正の第一回の説明会を実施いたしました。その後、事業所の排出量を適正に算定できますよう算定のルールづくりに取り組んでおりまして、試みの案を作成した上で、幾つかの事業所の協力を得まして試験的に適用し、現在、その妥当性を確認してきております。
 また、昨年十月からは、削減義務率に関する専門的事項検討会を開催いたしまして、削減義務率などの検討を進めてまいりました。
 これらの検討を踏まえまして、先ほどもご答弁申し上げましたように、二月十日から二月末日までパブリックコメントを実施したという状況でございます。

○村松委員 昨年十月から専門家による検討会が開かれたというんですが、何人ぐらいの専門家で、何回開かれたんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 この検討会の内容に関しましては、開催後に環境局のホームページにその状況を公表しております。また、委員の名簿についてもそこで公表しておりますけども、委員は省エネの専門家などで六名で構成されておりまして、五回の開催をいたしました。

○村松委員 そういう経過があって今回パブリックコメントを行ったと。先ほど来の質疑の中で、パブコメでどんな意見があったかというのはお話がありましたが、その中で、大規模事業所の削減義務率、高いところで八%に設定しようということでパブコメにかけられているんですが、この八%の設定の根拠をお示しください。

○大野都市地球環境部長 これも予算特別委員会等々でご答弁申し上げておりますけども、今回の削減義務率は、一つは二〇二〇年のCO2の削減目標の達成ということと、もう一つは事業所の削減余地、この二つの観点から検討するというふうにしております。
 まず、二〇二〇年の二五%削減目標達成の観点から必要な削減量を算出いたしまして、今回決めます最初の五年間をその後の大幅削減に向けた始動期と位置づけまして、第一削減期間の削減義務率を算出しております。また、具体的な削減義務率の設定に当たりましては、事業所によります用途の特徴などを考慮いたしまして、ボイラー等の自己熱源を有するオフィスビル等につきましては、地域冷暖房を利用して自己熱源がない施設よりも削減余地が総体的に大きいという点を考慮しまして、八%という削減義務率を設定することにしたものでございます。

○村松委員 大規模事業所への設定の仕方なんですが、私も昨年の条例改正のときに、業務系のCO2排出量が一番多いここの部門で二〇二五年までの目標がこれでいいのかということから、都市の成長管理、こういうことを提案させていただいたんですが、やはりこの問題では、目標が低過ぎるんじゃないかなというふうに思います。本来、九〇年比で削減目標を決めて取り組まなければいけない一番の部署だというふうに思うんですが、改めてそのことは指摘しておきます。
 ところで、パブコメに掲載されておりますトップレベル事業所についてなんですが、ここでは、削減義務率をトップレベル事業所には二分の一の義務目標というふうに書かれているんですが、このトップレベルとはどのくらいの排出を削減した事業所のことをいうんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 トップレベル事業所でございますが、これは条例改正のときにもお答え申し上げましたけども、これまで非常に先進的な取り組みを進めており、かつ新たに建設された施設等で最高効率の省エネ設備が入っているということで、余り今後の削減余地がないというところを対象に導入しているものでございます。
 具体的な内容につきましては、現在検討を進めておりまして、まだ一律に何%削減したところはこうであるとか、そういうような基準は現在のところはございません。

○村松委員 トップレベル事業所ということで、パブコメの中にも書かれているのがこの間の削減ですよね。平成十八年度までの削減実績の分布状況という表があるんですが、平成十四年から平成十八年まで排出削減したところ、この実績は、二%以上削減したところが対象の全体の、例えば一の一、九百六事業所があるうちの六〇・四%、四%以上削減したところが四四・七%。この数字だけ見たのではちょっとわかりにくいんですが、このパブリックコメントの中でも余り具体的なところがよく見えてこないというふうに思うんです。
 トップレベル事業所、トップレベル事業所の削減義務率は、それぞれの区分に応じて上記削減義務率の二分の一と。それから、トップレベル事業所の認定は、その削減計画期間中有効。認定した年度の翌年度以降、運用対策の実施が基準不適合になったと判断された場合は、削減計画期間内であっても認定を取り消すと、こういうふうに書かれていて、それで、じゃいつそれを決めるのかなというふうに思ったら、知事が定める基準で二〇〇九年度中に決定というふうに書かれているんです。実際この義務化が始まるのは二〇一〇年四月からですよね。その辺のことはどうなんでしょう。

○大野都市地球環境部長 トップレベル事業所でございますけども、これに関しましても、現在考えておりますのは、管理事項、一般的な管理の仕組みがどのように整っているか、それからどのような省エネ設備が入っているか、あるいはどのような運用対策が行われているか、この点について基準をつくりまして、これでその状況に応じて認定をしていくという方法を考えております。これにつきましても認定の案をつくりまして、昨年の末から試験実施をして、現在いろいろと調整をしているところでございます。
 ですから、我々としてもできるだけ早くこの基準をつくりたいと思っておりまして、来年の四月から削減義務が始まりますので、それに間に合うように設定をしていくという考え方でございます。

○村松委員 トップレベル事業所、ここの削減義務率を半分にしてしまうということになれば、私は全体の削減というのがさらに後退してしまうんじゃないかなというふうに思うんです。本当に先陣を切って取り組んでいる事業者は、さらに工夫をしながら取り組みを強めていく、このことが大事じゃないかなというふうに思うんです。
 家庭部門でのCO2削減に向けての太陽エネルギー、この問題については先ほど質問されたので、この問題について私は省略をいたします。
 さて、今定例会で提案されております自動車部門のCO2排出削減の問題ですが、東京都においては、CO2排出量全体の四分の一を運輸部門が占めている。条例の審議に入る前に、自動車全体の取り組みについて伺いたいと思います。
 昨年三月に発表いたしました東京都の環境基本計画では、持続可能な環境交通の実現、このように位置づけまして、これまでの自動車が社会に与えたプラス面、マイナス面を取り上げて、現状分析を行いながら、あるべき目標を示しています。
 そこには、一つ目に交通行動の変革ということで、自動車への過度の依存からの転換、これが入っております。その中で公共交通の利用促進とか曜日、時間帯、交通状況に応じたパーク・アンド・バスライドの導入とか、バス専用レーン、リバーシブルレーンの設置による自動車の抑制を図るとか、あるいは新しい都市交通システムの導入として、LRTの導入や連結バス、自転車利用の促進のための自転車道の整備などが記入されております。
 この環境基本計画でこうした方向性を打ち出しておりますが、これまでどんな取り組みをしてきたのか、伺います。

○市川自動車公害対策部長 地球温暖化防止に向けまして、自動車部門からのCO2排出を削減するために、交通量削減等さまざまな施策を推進してきてございますが、三環状道路等の整備を促進するとともに、環境基本計画に基づきまして、ハイブリッド車などの低燃費車の普及促進、あるいはエコドライブの推進、公共交通機関の利用促進といたしまして、現在、モデル事業としてカーシェアとのリンクなども検討して進めてございますし、あわせまして物流の効率化によります自動車交通量の抑制など、幅広く取り組んでいるところでございます。

○村松委員 公共交通をもう少し充実させようということで、今、自動車への過度の依存から公共交通への転換ということで、ここが位置づけられているんです。この自動車部門では、あるべき姿、目標のイの一番に公共交通の変革、自動車への過度の依存からの転換、このことが一番先にうたわれていて、それでその具体的なところということで、今、私が紹介いたしました、例えばLRTとか、それからパーク・アンド・バスライドというようなこととか、それから連結バス、こういったものも書かれているんですが、こういうことに対する具体的な取り組みというのはこれまでされていますか。

○市川自動車公害対策部長 パーク・アンド・ライドにつきましては、建設局と連携して進めているところでありまして、またパーク・アンド・バスライドにつきましては、今回、新宿区の取り組みの中で、新宿区と連携してパーク・アンド・バスライドに取り組むべく調整を進めているところでございます。
 また、バスの優先レーンの設置など警視庁と連携いたしまして、バスの運行を円滑にすることによりまして、公共交通の利用促進を図るといった取り組みもあわせて進めてございます。

○村松委員 部分的には取り組んでいるというお話でした。
 昨日、都市整備委員会がありまして、都市整備局の中で、うちの会派でなくてよその会派なんですが、LRTを東京都としては取り組んでもいいんじゃないかと、そういう質問をいたしましたら、それぞれ区市が行うならば東京都もそれに協力してもいいような、そういう答弁だったというふうに聞いているんですが、その辺は環境局と都市整備局と、場合によっては建設局、連携してLRTなんかは方向性を出すということも大事だと思うんですが、その辺の見解はいかがでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 昨日の都市整備委員会の答弁でどのようなものがあったかは承知してございませんので、この場で不用意なことを発言するのは適当でないかと思いますので、現時点で環境局で各局とLRTに関しての検討を進めている状況はございません。

○村松委員 ぜひ各局、関係する局と連携しながら、自動車に過度に頼り過ぎる、そういうことから脱出するためには、LRTの検討、連結バスの検討、そういったことも進めていくことが大事だというふうに思います。
 私は、自分の住むまちを見ていて、高齢化が大分進んでいるんですね。日野もそうですけど、多摩の地域は山坂が多い、そういう地域で、身近なところに商店がなくなったり、あるいは病院がなくなっているという状況の中で、高齢者が結構高齢になっても車を使わざるを得ない、そういう状況が生まれているんです。ですから、そういうところには、やっぱり地域のミニバスとかワゴンタクシー、コミュニティバス、そういったことを充実させていくことが、自動車への過度の依存からの転換にもつながるんじゃないだろうかというふうに思うんですが、こういう問題もぜひ検討していただきたいと思います。
 自動車交通量の抑制の問題も、この環境基本計画の中ではいわれております。これは二番目に環境基本計画の中でいわれておりますが、自動車部門からのCO2排出削減の決定打は何といっても自動車交通量の抑制だと、私も思います。
 この環境基本計画の図を見ましたら、一トンの荷物を一キロ運ぶのに排出するCO2の比較というのが出ているんですが、自家用貨物車が運ぶ場合には千四十六トンのCO2を排出するというふうに書いてあって、鉄道は二十一トンなんです。これは本当に、こんなにいい表だし、わかりやすい表はないなというふうに思うんですが、都の政策として貨物の輸送に鉄道利用を促進する、そういう方策を積極的に打ち出すことも必要じゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 ご指摘のとおり、モーダルシフトというのは一つ、交通量の抑制ということで重要な施策だと考えてございますので、建設局、港湾局等と連携してさまざまに検討を進めているところでございます。

○村松委員 いろんなところと連携しながらということですが、鉄道がこれだけ環境に優しいというのを環境局もしっかりここに載せているわけですから、ぜひ利用していただきたいと思います。
 今、私もよく前に使っていたんですが、JRの方で夜行列車というのを廃止していますよね。ですから、そういう廃止したダイヤなんかを利用して、鉄道を使っての遠距離の輸送なんかに使えばどうかなと、そういうふうに思います。
 東京都としてというか環境局として、自動車交通量の抑制のために定期的に交通量の測定というのはされているんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 自動車交通量の測定というのは非常に大変なことで、非常に予算もかかりまして、環境局としてはやってございませんで、道路交通センサスという国と警視庁とか連携してやっているものを施策の参考にさせていただいてございます。

○村松委員 三百六十五日毎日やってほしいといっているわけじゃないんですが、自動車交通を抑制しようというふうにいっているわけですから、やっぱりきちっと年に何日かとか、それを決めて自動車交通量を削減するということは私は大事だというふうに思うんです。車が多いの少ないのということをあっちでもこっちでもいうわけですから、それはきちっとした根拠に基づいて調査をしっかりした上で、これだけCO2が減ってきたなとか、あるいは今の車の車種がどうのという、そういうことも含めて調査は大事だというふうに思います。ぜひこの調査はしていただきたいと思います。さまざまな工夫を凝らしながら自動車交通の総量を減らすことが必要だと思います。
 以上、環境基本計画に示されていて今回の条例改正に示されていない部分について質問させていただきました。
 私は、自動車からの排気ガスやCO2排出などを削減するために、社会全体の構図を公共交通の充実や鉄道を使った物流、運送事業者の共同配送など工夫し、なおかつ自動車の性能を低燃費、低公害に導入を進めることが今必要と考えております。
 そこで、今回の条例改正についてですけれども、今度の条例改正では、一定台数を保有する事業者への低燃費、低公害車の義務づけを提案しておりますが、この一定規模の台数を保有する事業者というのはどのくらいの台数で、それから削減する義務率はどのくらいとしているんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 対象事業者につきましては、二百台以上の車を所有する事業者を考えてございまして、導入義務については五年間で五%を検討しているところでございます。

○村松委員 その二百台以上の事業者数はどのくらいでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 都内で現状で約百八十社程度と想定してございます。

○村松委員 そういう数字が示されました。
 昨年の答申を見ますと、まず低公害車の基準を見直すというふうにも書かれておるんですが、今度の条例改正に伴って、この低公害車の基準というのは見直しはされているんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 低公害車等の基準と申しましても、国の排出ガス基準をもとに考えてございまして、今年十月より新たな国の最新規制が始まりますことから、そちらについての基準の見直しを予定してございます。

○村松委員 国の見直しに合わせて、それと同じにするというふうに理解していいんですか。

○市川自動車公害対策部長 国の排出ガス基準の見直しを踏まえて対応していくことでございます。

○村松委員 今度の条例改正の中では、低公害に低燃費の自動車の使用ということが書かれているわけですが、一般的に、今答弁いただきました二百台以上保有する事業者で百八十事業者数があるということなんですが、私はその辺の理解がよくわからないんですが、想像がつかないんですが、その事業の内容でも違ってくると思うんですが、車種別に車を買いかえるサイクルってあると思うんです。その車種別平均使用年数がわかったら教えてください。

○市川自動車公害対策部長 委員ご指摘のとおり、車の買いかえ年数は車の使い方や車種に応じて大きく異なっておりますので、一律にはいえませんけれども、社団法人日本自動車工業会で発表しております平均使用年数でまいりますと、乗用車で約十二年、トラックでも約十二年、バスで約十五年というふうに聞いてございます。

○村松委員 そういう計算になってきますと、今回東京都が義務づけをする低公害車、低燃費車の義務づけ、例えば二百台以上自動車を保有している事業者に五年間で五%の義務づけをするということになると、単純計算で一事業者十台ですよね。全部の車を低燃費、低公害にする、そこに必要な年数というのは相当長くかかっちゃうんじゃないかなというふうに思うんです。
 ですから私は、そんな気の長くなるような話じゃなくて、やっぱりこれだけ地球温暖化問題がいわれているし、性能がよくなったといえどもまだまだ、買う方が買えないという状況があると思うんです。そういう中で私は思うんですが、自動車を購入し、かつ使用する中小事業者を含めて、全体が早期に低公害、低燃費車に切りかえるようにするために、東京都として低燃費、低公害車への融資、それを購入するときの融資や補助をすることなどが必要だと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 現在、都におきましても、中小事業者に対する環境保全資金の融資あっせん並びに利子補助や信用保証料の補助を行っております。また、来年度から電気自動車の次世代自動車に対する補助制度を設けることを予算案に盛り込ませていただいてございまして、今後ともより一層の低公害、低燃費車の普及促進を図ってまいります。

○村松委員 ぜひ低燃費、低公害車へ切りかえられるように、それは中小事業者を含めて補助あるいは融資をしていただきたいと思います。
 今回の条例の中で、答申にあって入れられていないものがあると思うんです。答申の中の四三ページ、買い主、売り主等の事業者の自動車利用合理化にかかわる努力義務の新設という、ここの部分に関してですけれども、自動車環境管理計画書の拡充、これが提案されて答申にはあるんですが、今回の条例の中には書かれていないんですが、その理由というのは、条例に生かされていない理由は何なんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 東京都におきましては、昨年三月の環境審議会答申におきまして、そちらに盛り込まれておりました新たな計画書についての対象者や規模等について検討を行ってまいりました。その結果、対象となる事業所の業種、業態、規模などについて検討を進めた結果でございますけれども、地球温暖化対策制度の対象としておりました大規模な事業者と重複することが見えてまいりました。あわせて、事業者の皆様からは、環境局として同一の事業者に対して複数の計画書や報告書の提出を課すのは、事務負担という点でも問題ではないかというご意見も寄せられてございましたことから、都といたしましては、条例改正によりまして新たな計画書を創設するのではなく、既存の地球温暖化対策計画書制度並びに報告書制度の中で対応することとしたものでございます。

○村松委員 地球温暖化対策計画書制度の中と、それから報告書制度の中で対応していくということなんですが、地球温暖化対策計画書制度の中で対応するというふうにいうんですが、制度の目的が違えば効果も異なるんじゃないだろうかというふうに思うんです。低公害かつ低燃費な車の利用割合や共同輸配送など、答申が計画書に盛り込むべきこととしていた内容に、温暖化計画書制度の中で対応していけるのか、その辺はいかがでしょう。

○市川自動車公害対策部長 答申にございます新たな環境管理計画書の目的は、貨物の到着地となります事務所を有する事業者を対象といたしまして、低公害、低燃費車の使用やエコドライブ、物流効率化など買い主等の立場から取り組みを求めるものでございます。答申が計画書で目的とした内容につきましては、先ほどご答弁さしあげました二つの制度の活用により対応を図るなどとともに、今回の条例改正を踏まえまして、自動車からのCO2削減の取り組みを促進してまいります。

○村松委員 答申の中には、新たな環境管理計画書の主な内容というところで法適合車の利用というのがあるんですが、今いわれた制度の中でこれも対象になるんでしょうか。対応できるんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 委員ご指摘の法適合車につきましては、公害対策の観点のところでございまして、今回の条例改正の中に環境性能の悪い車の使用抑制を内容とした努力義務を創設しております。そのため、この計画書ではなく、この努力義務規定に基づきまして、都内へ入ってくる環境性能の悪い車の利用抑制に向けて、荷主などの事業者団体等に対する働きかけなどを行うことによりまして環境負荷の低減を図ってまいります。

○村松委員 環境性能の悪い車の出入りに対して対応していくというお話でした。
 この問題の最後なんですが、今度、自動車のCO2排出削減の義務が課せられるということになるんですが、事業者の削減義務率がこれから決まっていくと思うんです。具体的にどのような手続で、先ほど案としては二百台以上のところに五%、五年間でという、そういうお話があったんですが、これは三月末にほぼこういう形で決まるというふうにとってもいいんでしょうか。それとも、この後一定の方向を出してパブリックコメントなんかをして進めていくのか、その辺について伺います。

○市川自動車公害対策部長 低公害、低燃費車の導入義務の率、台数の割合等につきましてでございますが、条例改正案では規則で定めることとしておりまして、本条例改正案可決後、速やかに規則改正を行う予定でございます。

○村松委員 都民の意見は聞かないで、ここで可決されたら即実施していくということなんですが、私はさっき最初の方で主張させていただきましたが、環境基本計画の中にある自動車の位置づけ、こういった全体の公共交通の充実、あるいは過度な車への依存の転換、そういったものを含めて今度の自動車からのCO2排出削減義務、これらが合わさって実効性あるものにしていただきたい、このことを述べさせていただきます。
 同じCO2削減の問題に入るんですが、今回の自然保護条例の改正があります。CO2を吸収する方で削減していく、こういう大きな役割を持っていると思うんです。
 東京都の都市整備局が五年に一度調査する東京の土地利用計画を見ますと、平成十八年度の調査では、五年前に比べて二十三区の農地が百六十三・九ヘクタール減少しております。原野も二十五・六ヘクタールの減少、森林がわずか一・六ヘクタールふえている、こういう状況なんです。まさに東京の緑は危機的な状況にあるといえると思うんです。今後、多摩地域のその調査結果が出されるわけですが、もう目に見えて大きく減少しているというのはわかるというふうに思うんです。
 都として減少する緑をどのようにしたら保全することができると思うか、認識を伺います。

○浅川参事 いかにして緑を保全していくかというお話でございますが、都は現在、緑あふれる東京を実現するために全庁挙げまして、緑の東京十年プロジェクトというものを都民、企業と協働しながら積極的に推進しておりまして、まさに緑の保全、また緑の創出に多角的に取り組んでおります。
 その中で、特に緑の保全ということについて申し上げますと、一つは丘陵地公園を拡大していく。また、特別緑地保全地区や自然保護条例に基づく保全地域の指定を行っていくと。また開発の許可、また多摩の森林再生というようなもののほかに、区市による農業、農地を生かしたまちづくりに対する支援を行っております。また、来年度は、先ほど来出ております開発許可制度の強化というようなものも今現在検討しております。また、区市町村と合同で、今後十年で守るべき緑を明確化し、その保全策について検討し、緑確保の総合的な方針の取りまとめを行うというような予定でございます。
 さらに、農地ということでございますと、やはり相続などを契機といたしまして減少していくというようなことがございますので、国に対しまして相続税の軽減措置などの重点対応要求を引き続き実施いたしました。こうした取り組みを着実に行いまして、緑あふれる多摩の実現を目指したいというふうに考えております。

○村松委員 今答弁されたことは、きのうやきょういっているんじゃなくて、かなり前からいっているけれども、それでも緑の減少をとめることができなかった、これが現実だと私は思うんです。
 そういう中で、今回条例改正が出ているんですが、開発するときに緑を削る部分を多少減らす内容にはなっているんですが、結局は開発が前提なんですね。開発をするときに、これまで緑を残したものよりももうちょっと率を上げて緑を残そうという、そういう中身だというふうに思うんです。
 私は前回の委員会でも、答申の最後に記載されている今後の取り組みに期待するという部分を取り上げさせていただきました。私はここは本当に重要だというふうに思うんです。自然環境保全審議会で計画部会の委員長さんに、今回の改正で開発許可制度を強化すれば、開発の際に失われる緑の量を減少させることは可能となるが、開発許可制度は保全の切り札ではないと、その答申に書かれていると、これも含めた条例改正をしていただきたいのではないかということで委員長に質問をさせていただきました。部会長さんは、確かに部会の中では、諮問内容だけではなくほかの意見がたくさん出されたと。これだけを解決すれば東京の緑の危機的状況が救えるというふうには議論がまとまったわけではないということでした。そして、検討の過程で皆さんのご議論で出てきたものについては、いつかまたご諮問いただくなり、あるいは都の方で進んで解決していただくような機会がくればいいというふうに判断した、こういうお答えをいただいたんです。
 私も全く同感だなというふうに思ったんですが、もちろん緑地を持っている持ち主さんがいるわけですから、規制だけを強化して保全すべきだとは思っておりません。しかし、今や東京の緑地を保全することは、公共の福祉に相当する重要な役割を持っているんじゃないかというふうに思うんですが、どんな方法があるかを含めて早急に諮問するなり、東京都で対応を行う必要があると思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。

○中島自然環境部長 現在、緑の保全ということで、開発許可制度を今条例をお願いしているところでございまして、私どもは現時点におきまして直ちにそうした諮問をするということは考えてございません。

○村松委員 現時点では直ちに諮問することは考えていないと。一方では東京の緑は危機的な状況だと、それを嫌というほどあっちでもこっちでも書いておきながら、じゃ早急に何をしようか、そういうことになると一歩も二歩も腰が引けて、やる気のないような答弁をされるというふうに私は今受け取ったんです。
 私は、今、環境局が本当に頑張らなければ、東京の緑というのはどんどん失われていくというふうに思うんです。
 私も委員会のたびに、あるいは審議会のたびにお話しさせていただくんですが、例えば稲城市の南山の開発、八十七ヘクタールの貴重な緑があります。こういうところを守らないで、一方で、さっき答弁いただきました緑の何とか計画というのをやっていても、片方では膨大な緑地を開発しておいて、片方では街路樹がどうでの、百万本の緑がどうでのというふうにいっていますけど、これでは整合性がとれないと思うんです。
 私は、今、本当に地球環境を考えた場合には、緑がどれだけ大事か、そのことをもっともっと認識をして、環境局は都市整備局なり建設局なりにいって、何とか方法を考えてほしいと、そういうことこそ私はやるべきだというふうに思うんです。その辺についてはどうですか。

○中島自然環境部長 まさに一本の街路樹が大切なんです。したがって、私どもは一本植えるというところからやっているわけでございまして、先生、先ほどおっしゃられたような、街路樹がどうのこうのということを余り軽く見ないでほしいんです。したがいまして、私どもは、先ほど参事が答えたとおり、全力をもって緑の創出と保全に努めてまいります。

○村松委員 緑の創出、これも大事ですけど、今ある貴重な緑も削らないでほしいと、そこなんです。
 特に私は、今育っている、今あるところ、一回これが開発されて壊されちゃったら、もとに戻すということは大変なことなんです。だからこそ緑の問題、特に稲城の南山の問題では私はこだわっているんです。特に東京都が四十億円のお金を出す、稲城市も二十億円のお金を出す。市民や都民の税金を出して片方では緑を削る、そういうことを私たちが黙って見ているということは、これは許されないというふうに思うんです。
 それで、南山の開発の問題なんですが、アセスのことについてちょっと伺いたいんですが、稲城市の南山開発は、南山東部土地区画整理事業造成工事検討委員会の答申書が一昨年の六月に出されました。稲城砂層での造成は危険なために工事の手法を大きく変更して排水ブランケットを三十センチごとに設置する、そういう方法にしたために、これまでは稲城の南山の開発区域内で土壌の整理をしてきたんですが、その検討会の答申が出された以降、工事方法を変えて外に持ち出すという、それも三十万立米持ち出すというふうにいわれているんです。こうした場合、当然アセスの見直しの対象になるというふうに思うんですが、この辺についてはいかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 南山東部土地区画整理事業の環境影響評価書案は平成十三年三月に提出されまして、その後、環境影響評価審議会での審議を経まして、知事の審査意見書を踏まえた環境影響評価書が平成十四年九月三十日に提出されております。その後、都市計画道路のルート変更などがございましたので、平成十九年九月に変更届が出されまして、これも環境影響評価審議会において見直しの結果について報告されまして、評価の結論は変わらないということで了承されております。
 お話の部分につきましてはその後の事情でございますので、現在、事業者から報告を受けております。ただ、我々が理解している範囲では、ちょっと先生のご指摘とは事実関係が違うんじゃないかという印象も受けておりますけども、いずれにしましても、土壌の搬出量がふえるという方向ではあるようでございまして、それはアセス上、手続上も必要な対応を図ってまいります。

○村松委員 私の認識とどこがどう違うのかな。私もこの南山東部土地区画整理事業造成工事検討委員会の答申書を見させていただいて、その後、排水ブランケット--あそこは、特に稲城砂層というところは、中越沖地震の教訓の中から、流動性があると、そういうことからあそこの土は基本的には使わないんだというふうに変わってきているんです。だから、基本的には最初は、当初は中で済ませていた土壌が、今度は三十万立米外へ出すと、そういうことになれば、近隣への影響というのが、近隣への騒音とか工事車両の粉じん、そういった影響というのは出てくると思うんです。そういう中で、アセスの見直しというのはしなくていいんですかということなんです。

○大野都市地球環境部長 当然、開発でございますので切り土、盛り土をするわけでございます。それで、最初の評価書案の中でも、今、数字を私、手元に持っていないんですけども、基本的には中で再利用で三百万立米ぐらいを処理するということでございまして、当初の計画では、三百万立米の切り土、盛り土が発生する中で十七万立米を区域外に搬出すると、こういう予定でございました。それが、盛り土の高さを見直すとか幾つかのことがございまして、それが三十万立米、全体の三百万は変わらないんですが、十七万が三十万にふえたというふうに聞いております。
 この実際の搬出が行われますのは、来年の年明け以降というふうに聞いておりますので、当然、その前には事業者の方から変更届を提出させまして、その中で、それに伴う騒音、振動等の影響、これは運ぶ車がふえますので、どのような影響があるかという予測評価をさせます。予測評価をさせまして、その内容によって環境保全の措置が必要ならば、これは当然指導していくということでございまして、きちんとアセス上の手続に基づいて対応しております。

○村松委員 私もアセスができたときの議事録を読ませていただいたんですが、結局、アセスを実施するのが事業者で、第三者機関が入っていないから、東京都が早くアセスを出してほしいといってもなかなか出してくれないという状況が生まれてきているというふうに思うんです。先ほど、アセスの技術指針を見直すというふうにいっておりましたが、私はやっぱり、もっと本当の意味で周りの人たちに対する環境影響をしっかりと打ち出せるような、そういう条例に変えていただきたいと思います。
 それから、緑の問題なんですが、私は日野市の緑をこの間ずっと、日野市内でどれだけ緑を確保するのに頑張ってきているのかなということで見てみたんですが、百草の地区緑地公有化というところ、百草地区というところがあるんですが、ここではそれこそ相続の危機ということで、物すごくいい緑があるところなんですが、そこで住民の皆さんが緑を残してほしいと、そういう取り組みをずっとしていて、市の方も東京都の方にもお願いをしながら緑地を保全すると、そういう立場で取り組んできたんですが、東京都がなかなかここには入ってきてくれないという状況があるのかなというふうに私は思うんです。
 例えば、平成八年から日野市の方が合計八万八千八百三十三平方メーター、八ヘクタール以上の緑地を保全しているんです。それも十カ所なんです。直接市が買収しているのと、それから寄附をしているところ。それから、今問題になっているのが、二年前に相続が発生をして、半分寄附したんだけれども半分は物納したと、その物納のときに、市が二年後には買い取るから、ちょうど平成二十年度、市が買い取るからということで条件つきで物納したと。ところが、市の方では一億円の買収のお金がないという、そういう状況が生まれて、それで住民の方や物納された方が話が違うんじゃないのということで、市の、立川の管財課の方に行ったらしいんですが、そのときに、一億円一遍に払えなければ分割でもいいよというふうに話があったみたいなんですが、それぞれの市では身近な緑がどんどん削られるというところに、やっぱり市民の声を無視できなくて、大変な思いをしながら緑を確保しているんです。
 平成八年からもう十カ所の緑を大事に大事に保有する、そういうこともやっているんだけれども、私はこういうときに、まとまれば確かに八・八ヘクタールというふうになるんですが、小さいところが次々にそういう状況になってきているという中で、東京都はもっと保全のために前へ足を出してほしいというふうに思うんです。
 それからもう一つ、所管が違うんですが、新都市建設公社が持っている緑地があるんです。それは豊田駅の五百メーターくらいあるところなんですが、その新都市建設公社の緑地のところには、ここはいずれ宅地になりますという看板があるんです。そういうところを、その看板を見て、住民の人たちはここも緑が切られたら困るというふうにいっているんですが、そういうことに対しても、所管が違うからとか、あるいは東京都が責任を持つべきところではないからなんていわないで、一つ一つ丁寧に対応していただきたいんですが、その辺についてはいかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 先ほどのご質問の中で、アセスについては第三者機関が関与していないというようなご指摘がございましたので、事実関係についてご説明させていただきます。
 現在のアセスメント制度は、事業者が評価書案をつくりますけども、それに対して公示、縦覧の期間が設けられておりまして、当然、都民でありますとか、意見を持つ方についてはどなたでも意見を出されるということで、第三者の意見が入ります。同時に、学識経験者で構成をしています環境影響評価審議会がございまして、そこで審議をしているわけでございまして、これは明確な第三者機関ということでございますので、正確にご理解をいただければというふうに思います。
 それから、それとの関連で、変更届が提出されないのはそのせいであるかのようなご発言もあったんですが、これは一切関係ないことでございまして、本件に関しましても、申し上げましたように、実際に土壌の搬出が行われる前に提出をさせまして、必要な指導をするということでございます。

○中島自然環境部長 区市町村との連携、役割分担につきましては、毎回申し上げていることでございますが、そうしたことに加えまして、来年度、庁内的にも都市整備局などと協力、連携いたしまして、まさに緑の確保の総合的な方針を取りまとめるというふうな予定でおりまして、ご指摘されるまでもなく連携を図ってまいります。

○村松委員 先ほどのアセスの問題なんですが、結局、事業者の方がアセスが必要か必要でないかというようなことを判断して進めていくという、そういう状況じゃないんですか。
 それから、東京都のこの間のアセスの中で、やり直したアセスというのはあるんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 アセスの条例は都議会でご審議をいただいてつくったものでございますが、アセスの対象要件、どういう案件がアセスをしなきゃならないかということは、明確に条例及び規則で決まっておりますので、事業者が判断するものでは当然ありません。まず非常に基本的なことでございますけども、ご認識願いたいと思います。
 それから、事業の変更に伴うやり直しでございますけども、これは条例によって、その変更に伴う環境への影響の程度を勘案しまして、必要な段階からやり直しをすることになっておりまして、これまでも、ちょっと今、手元に資料がございませんけども、部分的にやり直しした事例はございます。

○村松委員 部分的なやり直しというお話だったんですが、本当に都民の目から見て客観的に敏速に東京都がアセスのために動いているかどうなのかということがいわれているんです。
 それだったら私は思うんですが、今、南山の問題では、住民の皆さんが、あそこはこういうふうに工事の手法が変わったんだから、このために土を持ち出すと、その影響というのがあるはずだから、だから東京都はすぐにアセスの方の問題でやってほしいという申し入れにも何度も来ているんです。それに対して、事業者から上がってきていない、上がってきていないという話があるものですから、だから、じゃ東京都は事業者のいいなりになっているのというふうに思われるんです。だったら、事業者に対して今こういう手続をしておりますということをもっときちんと住民の皆さんにもいえるようにすればいいというふうに思うんです。そういう話にならないものですから、私もたまたま住民の皆さんと一緒に立ち会って、アセスの問題では立ち会ってお話を聞いているんですけれども、そういう説明がなくて、事業者の方が出すからいつ出すかわからない、出す必要はあると思うけれどもいつ出すかわからないという、そういうことが返ってくるんです。ですから、住民の方は本当のことを知りたいと、今どうなっているのと。
 それから、あそこの現状は、幅七メーターの道路に大きな車が出入りしていると。一回にカーブを切れないために生け垣を壊しちゃったという、そんな話も聞いているものですから、今こういう作業をしておりますということと、アセスの問題は今こういう状況ですよということを住民の方にわかりやすく説明すれば、さっきのような話はないというふうに思うんです。
 話は戻りますけど、やっぱり緑が原点なんですね。アセスの問題もあるんですが、南山の緑を残す、それから多摩地域の貴重な緑を残す。それは私たちの後世に大事なものを残すという大きな役割を果たすということで、稲城市の南山を残す問題や多摩地域の緑を残す、そのために都としても全力で取り組んでいただきたい、このことをお願いして私の質問とします。

○石川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十七分開議

○石川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 まず、環境確保条例の改正に向けてを質問いたします。
 環境確保条例の今回の改正は、低炭素社会に向けて新たに自動車対策、そして大規模事業者CO2削減義務、排出量取引などに関する規定が主なものといえます。対象にオフィスビルを含め、事業者自身の削減を補てんするものとする世界で初めての試みである排出量取引など、一つの制度を構築するために多くの規定が要るということを改めて認識させられました。
 さて、今回、前回の改正で示されなかった自動車対策が新たに明らかになりました。運輸部門のCO2排出の九割は自動車に起因するといわれていますが、主な改正内容は、一定規模の事業者に対する低公害かつ低燃費の車の導入義務のほかは、物流の効率化や低公害、低燃費車の利用、エコドライブ、燃料施策の推進、環境性能の悪い車の利用抑制などの努力義務を規定しています。条例でこれらの努力義務を設けることによって都は今後どのような施策を進めていくか、まずお伺いします。

○市川自動車公害対策部長 都はこれまでも、物流の効率化やエコドライブの推進などさまざまな施策を展開してまいりましたが、今回の条例改正で、例えば物流の合理化につきましては、これまでの事業者団体等に対する働きかけだけでなく、新たに努力義務を設けることによりまして、物流に大きな影響力を持つ買い主等がみずからの社会的責務を認識し、自主的に取り組んでいく状況をつくり出すことによりまして、さらに取り組みを促進してまいります。
 また、エコドライブでは、努力義務を創設することによりまして、すべてのドライバーが効果的なエコドライブの実践に努めなければならないことを明確にいたしまして、都民への周知の徹底を図ることでエコドライブの定着を図っていくなど、条例改正による努力義務規定の創設を機に、さらにCO2の削減に向けて施策の強化を図ってまいります。

○原田委員 前回の議会の中で、自動車対策は次にということで、今回上げられるのを期待して待っていたわけなんですけれども、結局、最初に示された改正内容というフローを見ると、ちょっと冒頭でいいましたけれども、全部努力義務。一カ所だけはちゃんと義務化されたんですけれども、一般論として努力義務規定がどのような効力を持つかというのは大変心配でした。
 今のご答弁を聞くと、大きな影響力を持つ事業者の社会的責任を認識させ、自主的に取り組んでいく状況をつくっていくというねらいを持っているということで、安心すると同時に、今後の取り組みの重さというか、その義務規定を設けたところの重さというのを大変痛感するところです。今後、所管の取り組みがどのような展開を見せていくか大変期待するところです。頑張ってください。
 次に、この事業には低公害かつ低燃費の車の導入の義務づけということで、義務づける一定規模の事業者とかという内容をお聞きしようかと思いましたが、もう既に二人の委員の方への答弁があるようで、了解しています。二百台の車を持つところと五年間で五%の削減というところは、わかりました。
 次の質問にいかせていただきます。
 自動車対策の大きな課題は、交通手段として、車から公共交通機関、自転車などへの誘導が一番大事ではないかと思います。皆さんもいろんな方がご指摘あるとおりだと思います。
 運輸部門の自動車CO2排出の約五割を占める乗用車に対する対策が欠かせないと考えておりますけれども、この所見をお伺いします。

○市川自動車公害対策部長 乗用車等を使います都民がライフスタイルやビジネススタイルとして自動車に過度に依存しない交通行動への転換をさせ、さらに定着をさせていくことは、自動車から排出されるCO2を削減するために重要なことだと考えてございます。
 都はこれまで、パーク・アンド・ライド等によりまして、公共交通機関の利用促進を進めるとともに、環境負荷の低減や交通渋滞の緩和などの観点からも、自転車の利用促進を図るため、自転車道の整備などのほか、今年度からは新たに環境交通キャンペーンの開催やホームページ等を活用した情報提供などを行ってございます。
 さらに、これまでの取り組みに加えまして、現在、都営地下鉄と組み合わせたカーシェアリングの活用や、鉄道だけでなくバスも活用したパーク・アンド・ライドの実施など、公共交通機関の利用促進をさらに拡充してまいります。また、関係機関との連携を強化いたしまして、より一層自転車利用の促進のための普及啓発を図ってまいります。

○原田委員 るるご説明を所管の方からいただいたわけですが、私も、今どんな事業が動いているかということで確認するためにホームページ等を拝見させていただきました。アクセスが下手なので時間はかかりましたけれども、いろんな試みを拝見することができました。特に、都営浅草線の十駅に駐車場を設置してのカーシェアリングというのは、日本初の試みということで、やっとこの規模の仕掛けができたのかなという感じがします。
 都庁の駐車場を利用しての新宿区と連動した、お買い物客をバスで運んでいくようなパーク・アンド・ライドも注目したいと思いますし、また都庁の駐車場を利用しての物流の、大きなトラックから小さなトラックに荷分けして都心まで運ぶというか、新宿近辺のようですけれども、このようにさまざまな試みをすることで有効なものが出てくるはずですし、失敗を恐れず、自治体との連携を密にして、ぜひいろいろな試みをやってもらいたいと思いますし、その結果、都心への車の乗り入れというものを規制する有効な方法が出てくると思います。その方法を共有化して自治体にまた返すというような作業をぜひ重ねていただきたいと思っております。
 さて、大規模事業者の総量規制の概要が少しずつ明らかになっています。排出量が決定し、具体的に二十二年度から五年かけて削減体制に入っていくことになりますが、再生エネルギー削減量は電気の使用の一・五倍に換算するなど、自然エネルギー利用の誘導もあり、今後の展開に期待するものです。
 削減義務率の区分を三区分にした根拠をまず伺います。

○大野都市地球環境部長 何回かご答弁申し上げましたように、今回の削減義務率は、二〇二〇年のCO2削減目標の達成という観点と、もう一つは事業所の削減余地という二つの観点でございます。
 後者の削減余地に関しまして、対象事業所の用途等の種類によりまして違いがございますので、それで三区分にしております。一つはボイラーや冷凍機などの熱源を持っているオフィスビル等、もう一つは、都庁もそうなわけですが、地域冷暖房を利用しまして自己の熱源を持っていないオフィスビル等がございます。さらに、工場等につきましては、生産設備でのエネルギー使用量が大きいという特徴がございますので、これらに着目をいたしまして、具体的な削減義務率の設定に当たりましては三つの区分に設定したということでございます。

○原田委員 地域冷暖房の利用が分け目になっているようでございますけれども、都内における地域冷暖房のエリアというのは何カ所ぐらいで、どのぐらいの規模でしょうか。そして、今後地域冷暖房施設の可能性についてどれぐらい見込めるのか、誘導策は何かあるのか、その辺のお話を聞かせてください。

○大野都市地球環境部長 現在、都内の地域冷暖房計画区域は七十六カ所でございまして、全国の半分ぐらいが東京にあるという状況でございます。
 その規模でございますけども、直近の平成十九年度の販売熱量で申し上げますと、最大は、これは都庁も含む西新宿の地区でございまして、これが百五十七万六千ギガジュールということでございます。ここは約十棟ぐらいの超高層ビルが入っているということでございまして、区域面積は三十三・二ヘクタールでございます。一方、最小は京橋二丁目地区でございまして、九千五百ギガジュール、区域面積は四・八ヘクタールとなっております。
 昨年の環境確保条例の改正におきまして、地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度を創設いたしました。来年一月以降、一定規模以上の開発を行う事業者には地域冷暖房の導入を検討する義務づけが行われましたので、この制度を活用しまして、地域冷暖房についても適切な推進を図ってまいりたいと思っております。

○原田委員 次に、トップレベル事業者についてお伺いします。
 トップレベル事業者については義務率二分の一になるということですが、トップレベル事業者になる要件、認定、また五年間有効ということですが、認定取り消しもあり得るということで、その手続はどのようになるのか、お伺いします。

○大野都市地球環境部長 いわゆるトップレベル事業所を認定する要件につきましては、組織体制の整備など一般管理に関する事項、設備の性能や運用に関する事項におきまして、項目ごとにチェックのポイントをつくりまして判断をしていくことと想定しております。
 認定の手続に関しましては、事業者が検証機関による検証結果を添えまして都に申請し、都では、専門家の意見を踏まえまして審査を行い認定していくという流れを想定しております。
 その他トップレベル事業所の認定の基準や手続など詳細に関しましては、来年度、ガイドラインを策定する予定でございます。

○原田委員 大規模事業者のCO2削減の制度が本当にいろいろなところの規則を決めていくというような、やっぱりすごい手続があるんだなというふうな実感がします。だんだんその手順がはっきりしていっているようです。今後の展開にも期待したいと思いますので、頑張ってください。
 次に、太陽光エネルギーの利用拡大と省エネの取り組みについてお伺いします。
 来年度からいよいよ、二年間で四万世帯の太陽エネルギー利用機器設置に向け動きます。景気の冷え込みで購買力がどのぐらい期待できるか大変未知数です。とりあえず公共の事業として設置していくことが大きな誘導になります。都市整備局では今年度、都営住宅の建てかえ時に太陽光発電設備を二十基ほど設置するとしていますが、都営住宅の場合は共有部分の光熱費を賄う程度の設備と想像します。
 東京都内では集合住宅への個別設置の普及が課題と思っております。戸建てとは違って屋上は太陽熱、太陽光の摂取率が大変いい。太陽エネルギー利用機器、太陽光発電システムの集合住宅対策についてお伺いします。

○大野都市地球環境部長 今回の補助制度では集合住宅も対象にしております。昨年十二月に策定いたしました補助要綱の中におきまして、申請者にはマンションの管理組合など法人格のない団体も含めるとともに、例えば新築マンションのように管理組合が発足する前には、管理会社が発足前の管理組合にかわって補助金の申請ができるというふうな柔軟な規定もされておりまして、これらによりまして促進を図ってまいりたいと思っております。

○原田委員 デベロッパーがマンション建設が完成する前に設置して売れるというような状況に門戸を開いたということだと思います。
 さて、市民にとっては高い買い物である太陽光パネル設置への疑問を解消するために、相談窓口を設置して対応すべきと考えます。これは太陽光パネルを設置するということと、その後のメンテナンスも含めて相談窓口ということを考えています。
 例えば、CELC、クリーンエネルギーライフクラブでは、太陽光発電モニター事業に参加した人たちの協力を得て、長期的にわたりデータを収集、分析した結果をまとめ、大変高い評価を受けています。具体的な解決事例をよく知っているこのようなNPOとの連携が信頼を深めていくと考えていますが、太陽エネルギー利用にかかわる相談窓口はどのような組織、連携で展開しようとしているのか、お伺いします。

○大野都市地球環境部長 東京都の補助制度を契機といたしまして、太陽光発電の導入を検討される都民の方々のご疑問にお答えするために、まず環境局のホームページにおきまして、よくある質問とその答えを掲載しております。また、メーカーとの連携によりまして、メーカーのお客様相談窓口の一覧を環境局のホームページでも紹介しておりまして、都民の購入希望に対する受け付け体制の充実を図っております。
 これらに加えまして、昨年八月に発足しました太陽エネルギー利用拡大連携プロジェクトにおきましては、メーカーのほかに十七団体のNGO、NPOも参加をしています。これらのNGO団体の中には都民の相談を行っているところもございます。都は、これらのNGO団体も含めまして、連携プロジェクトの参加団体に対し補助要綱の説明会を行いました。また、その後も最新の情報をメール等で配信しておりまして、それぞれの役割に応じた取り組みが進むように連携を進めております。

○原田委員 家庭部門のCO2削減がなかなか進まない現状、太陽エネルギー利用事業を契機に飛躍的に進むことに期待したいものです。地域でCO2削減を実践しているNPOとの連携が重要なポイントと考えますし、ご答弁でもありました、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大に向けての最終取りまとめでも、NGOとの連携は重要な連携団体ということで位置づけられています。連携を進めて太陽エネルギーが全都的に利用できるような体制を進めていただきたいと思っています。
 さて、このような市民との連携というようなことを進める中で、省エネアドバイザー制度について少し申し上げたいことがあります。
 企業、団体と連携した家庭部門における省エネアドバイザーの制度は、ことし打ち上げた制度ですけれども、主に地域の家電店やエネルギー事業者がアドバイザーになるという制度です。業者がアドバイザーとして家庭に入り込むことの警戒感が市民にはあるのではないかと危惧します。どうしても自分にかかわる機材のコマーシャルをしてしまうのではないかという懸念です。
 既に消費者団体やNEDOなどで省エネアドバイザーが地域で活動しています。このような人材やNPOの活用が市民の普及への担い手としてふさわしいのではないかと考えますが、ご見解を伺います。

○大野都市地球環境部長 昨年でございますが、東京商工会議所が会員の企業にアンケートを実施いたしまして、その結果、約九割の企業が地球温暖化対策が重要であるという認識を示しまして、さらにその八割が地球温暖化対策にかかる負担は事業活動に必要なコストであるという答えが出ております。このように、都内の企業の温暖化対策への意識は大変高くなっていると思っております。
 こうした意識の高まりを背景にいたしまして、既に、例えばエネルギー事業者などが都内の小学校に出前授業に行って、温暖化対策について授業をするというふうなことが社会貢献活動として始まっておりまして、企業のノウハウを生かした温暖化への取り組みを行っております。
 来年度から開始をいたします省エネアドバイザー制度におきましては、こうした環境意識の高い企業や団体の省エネに関する知見を活用することで各家庭における省エネの促進を図ってまいりたいと、このように思っております。

○原田委員 いろんな分野の人材を活用するという点では否定するものではありませんけれども、いわゆる利用者側の立場に立つと--企業の意識が大変高揚して、すごく取り組む姿勢が出てきたというのは歓迎すべきです。そのパワーをどう生かすかということの視点でいうと、家庭へのアドバイザーとしては、市民の方々の今ある人材を使った方がいいのではないかという提案です。今後、エネルギー業者の方とか地元の家電の人たちのアドバイザー制度がどう展開するかわかりませんけれども、その推移を見てまた検討していただければと思います。
 その次に、地球温暖化対策等推進のための市区町村の取り組み促進制度についてお伺いします。
 温暖化対策の推進のためには、市民に密着した市区町村との連携がまさに重要です。来年度に向けて市区町村の取り組み促進の制度は、まさにそれを喚起する施策として大変期待したいと思います。
 この制度に対しては十八億六千万円の予算がついています。また、内容としては二つの補助制度から成っています。
 そこで、十八億六千万円という予算額の積算の考え方、そして二つの補助制度ごとに内訳として限界があるのか、それぞれお伺いします。

○長谷川環境政策担当部長 温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度でございますが、来年度予算案に計上いたしました十八億六千万円、これにつきましては、都内六十二区市町村に対しまして一団体当たり三千万円を目安に積算したものでございます。
 実際にこの制度を運用するに当たりましては、選択メニュー事業と提案プロジェクト事業の二つの補助対象、この二つについてはそれぞれ補助の上限は設けずに、予算の範囲で区市町村の施策に応じた利用を可能としてまいりたいというふうに考えております。

○原田委員 提案プロジェクト補助については自治体の提案能力が問われていることになります。この事業の適用要件、ねらいはどのようなものでしょうか。

○長谷川環境政策担当部長 提案プロジェクト補助につきましては、区市町村が独自の創意工夫により取り組む先駆的な事業で、地域内外に波及効果をもたらすものにつきまして、都として支援するものでございます。
 補助対象でございますが、区市町村において、例えば今後の本格的な事業実施に向けたモデル事業となるような取り組み、あるいは他の地域との協働や異業種との連携といった多くの主体を巻き込んだ取り組みなど、区市町村がみずからの発想力を生かした独自の取り組みを対象としてまいりたいというふうに考えております。幅広い都民や事業者の省エネ意識の向上や環境に配慮した具体的な行動につながるような提案を期待してございます。

○原田委員 提案プロジェクト事業を実際執行していく市区町村の立場から見ると、創意工夫をして先駆的事業をつくり上げていくということは容易なことではありません。実はこれは分権社会の中で一番大事なことなんですけれども、まだまだ都からとか国からおりてくるノウハウを頼りにしているというような現状もあるわけです。特に、事業開始の初年度となる新年度は、四月に入ってすぐ都に対しての事業提案をしていくということは、現実問題として大変難しいのではないかと感じています。
 今後、提案プロジェクトの補助をどのように周知していくか、また提案プロジェクトの申請、決定までのプロセスをどのように考えているか、お伺いします。

○長谷川環境政策担当部長 本制度でございますが、これは全く新たな仕組みでございますので、制度の構築を検討しておりました昨年の早い段階から区市町村と実務的な意見交換を重ねてきておりまして、本年二月には、これは当然、予算の成立が前提ではございますけれども、区市町村の担当者に対する説明会を開催いたしまして、本事業の事業案の概要を説明しております。二十一年度予算成立の後、改めて説明会を開催いたしまして、事業の内容の周知を図ってまいります。
 次に、区市町村からの補助申請の受け付け時期でございますけれども、確かにそういうようなこともあるかと思いますので、例えば申請時期を複数に分けるなど、区市町村における検討時間の確保、あるいは可能な限りの早期の事業の立ち上げという両方の面を考慮して設定してまいりたいと思っております。
 また、区市町村が提案プロジェクトをよりよいものとしていく、そうやって構築できるうに、都としても今年度中から随時積極的に相談に応じるというふうにしております。

○原田委員 自治体でも、東京都と相談するのはもちろんですけれども、地域では環境活動に大変熱心に取り組んでいる市民団体があるわけです。ですから、当然の流れとして、自治体も市民の方々に相談しながらやっていくという構造もしっかり生まれてくるのではないか、もっとしっかり連携が進んでくるのではないかという期待もあります。これからの温暖化対策、都と基礎自治体、市区町村と市民との連携というところを念頭に入れると、まさにこの事業は一つのきっかけになって連携が進む事業だと考えます。ぜひこの事業は単年度にとどまらず広げていくように、この場で要望しておきます。
 最後に、PCB廃棄物対策についてお伺いします。
 有害な化学物質による地球規模での汚染を防止するために、ストックホルム条約が二〇〇四年に発効したPCB、DDT、ダイオキシンといった分解しにくい毒性の強い十二種類の化学物質規制が始まりました。一方、国内でもばらばらな化学物質管理を一本化して規制していこうと、化学物質基本法の制定を求める運動も始まっています。
 人類がつくり出した猛毒、PCBに関しての管理状況を伺います。
 まず、平成二十一年度の予算に計上された二億三百八十万二千円の内訳はどのようになっているのでしょうか、お伺いします。

○木村参事 PCB廃棄物対策費の内訳でございますが、次の二点を計上しております。
 一点目は、中小企業のPCB処理経費を補助する国の基金への拠出金でございます。PCB廃棄物の処理は高額であることから、中小企業の負担軽減のため処理費の一部を補助する基金が創設されており、都は平成十三年度からこの基金に都道府県で最高額の一億九千万円を毎年拠出しております。
 二点目は、適正保管にかかる経費千三百八十万二千円であります。PCBは処理されるまでの間、環境中に飛散、流出しないよう事業者により適正に保管される必要があるため、都は毎年、法及び都の要綱に基づき事業者から提出された保管量などをチェックするとともに、立入検査を実施し、PCBの適正保管の徹底とPCB量の把握に努めております。

○原田委員 PCBの保管把握というのは、都道府県の仕事ということで位置づけられているようですが、現在、東京都内にあるPCBの量というのはどのくらいでしょうか、またその処理計画はどのようになっているのでしょうか、お伺いします。

○木村参事 都内のPCB量は全国の一割程度でございまして、平成二十年三月末現在、PCBが含まれております高圧トランスの保管台数は千五百八十五台、また高圧コンデンサは二万二千百二十三台などとなっております。
 都内のPCBは、国が一〇〇%出資して設立した日本環境安全事業株式会社が中央防波堤内側埋立地の処理施設で処理する体制となっております。
 都は、PCBの確実かつ適正な処理を計画的に推進するため、平成十七年にPCB廃棄物処理計画を定めておりまして、平成二十七年三月までに処理を終了することとしております。

○原田委員 国の一〇〇%出資で設立した東京PCB廃棄物処理施設の処理能力は日量二トンとされているようです。平成二十七年三月までに処理を完了するとされているようですが、その見通しは大丈夫なのでしょうか。

○木村参事 日本環境安全事業株式会社の処理施設では、平成十八年にPCB漏えい事故を起こしたことや、トランスなどの処理対象物の形状が当初の想定より複雑なため解体に時間を要していることなどから、これまでの処理実績は計画値を下回っております。都は国に対し、日本環境安全事業株式会社への指導強化を要請するとともに、会社に対し処理能力を早期に向上するよう要請しております。現在、当社では、処理施設の設備改善や休日にも操業するなど運転体制の強化に努め、処理能力のアップを図っております。

○原田委員 今議会に提出された行政監査報告では、庁内のPCBのずさんな管理保管の状況が指摘されています。環境局としての対応についてお伺いします。

○木村参事 環境局ではこれまで、各局に対しましてPCBの適正保管について指導してまいりました。昨年は保管状況が適正かどうかをみずから確認するためのチェックシートを各局に配布するなど新たな取り組みを行っております。
 しかしながら、今回の行政監査では、十一部局で容器の腐食や掲示板の未設置など保管基準を満たしていないことが指摘されました。今回の監査を受け、環境局は直ちに各局に対し保管基準に関する説明会を開催しております。
 今後、担当者の人事異動の時期に合わせて、再度各局の担当者を集め、チェックシートをより一層わかりやすくした資料により保管管理の方法を具体的に説明するとともに、必要に応じて立入検査を行うなど、PCBが適正に保管されるよう指導してまいります。

○原田委員 PCBは内分泌攪乱化学物質の疑いがあるため、被害者の子ども、その孫にも実質的に被害が及んでいる可能性があるといわれています。
 福祉保健局では、食品などのPCB汚染調査を昭和五十三年から行っています。この結果を見ると、遠洋沖合魚介類で昭和五十三年の数値が〇・〇三ppm、汚染値ですけれども、平成十八年で〇・〇五。昭和五十三年のとき〇・〇三ppmだったのが平成十八年で〇・〇五。内海内湾魚介類が、昭和五十三年で〇・〇六ppmが平成十八年で〇・〇九ppmという結果が出ています。これは経年で少し上がったり少し下がったりしている状況があるわけですけれども、昭和五十三年と平成十八年に区切っていうと、このような少しふえているという状況が出ています。
 食品中に残留するPCBの暫定規制値が三・〇ppmと、結果は基準値をはるかに下回っているんですけれども、PCBが使用されなくなった現在でも微増の傾向を示しているのは大変不気味です。
 今後、PCBの汚染状況に関してはしっかり追跡していく必要があります。都内の管理はもちろん、庁内でのPCBをしっかり把握して、無害化処理を速やかに進めていくようにお願いして、質問を終わります。

○石森委員 それでは、私から保全地域につきまして何点かお尋ねをしたいと思います。
 都はこれまで、自然保護条例に基づいて、四十六カ所、約七百四十ヘクタールの保全地域を指定して、開発などから貴重な自然を守ってきております。このことは、例えば海の森などの新たな緑をつくる事業などと比べると、地道な取り組みであり、派手さはありませんが、緑の重要性が増している現在、大変意義深い取り組みであるといえます。
 保全地域制度のほかに、既存の緑を守る制度は幾つかありまして、中でも都市緑地法による特別緑地保全地区制度は、最終的には公有地化するという点では保全地域制度に類似しています。しかしながら、都の担当局である建設局が所管し、運用しているのはわずか五カ所で約六ヘクタールにすぎません。丘陵地の都市公園を除けば、都がみずから主体となって既存の緑を守っている制度としては、実質的に保全地域しかないといわざるを得ない状況にあります。このようなことからも、都においては、ぜひとも保全地域指定の取り組みを今後も一層進めていただきたいと思います。
 特に、奥山と台地部との間にある丘陵地の里山は、長い間の人間の営みとともに守られてきた自然であり、日本の原風景ともいえる貴重なものであります。また、生物の多様性を保全するという面からも、その保全の重要性は一層増しております。
 そこで、まず伺いますが、私は昨年の第二回定例会一般質問で、地元八王子の堀之内の里山について、保全地域に指定すべきとの質問をいたしました。それに対して環境局長からは、指定に向け諸手続を進めていくという答弁をいただいております。あれから約九カ月が経過しておりますが、堀之内の保全地域の指定手続の進捗状況はどうなっているのか、また指定はいつごろの予定となっているのか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 八王子堀之内の里山でございますが、これは開発が進む多摩ニュータウンにございまして、トウキョウサンショウウオなどの貴重な動植物も生息、生育するなど、東京に残された貴重な自然でございます。
 都は、地元八王子と連携いたしまして、里山保全地域に指定すべく昨年九月に東京都自然環境保全審議会に諮問をいたしました。その後、この一月に同審議会から指定が適当であるとの答申を得まして、二月中旬から今月上旬にかけまして、条例に基づく公告縦覧を行ったところでございます。
 地元で先生にも大変お骨折りをいただきましたが、今月中には四十七カ所目の保全地域に指定する予定でございまして、里山保全地域としては、横沢入に続き二番目の指定となります。

○石森委員 今月中には指定されるということでありまして、この問題に足かけ四年取り組んできた私としては、苦労がやっと実を結ぶわけで、大変うれしく受けとめているところでございます。そして何より、十年以上にわたって地元で一生懸命にボランティア活動に取り組んできたNPOやボランティアの皆さんの喜びはひとしおと推測いたします。貴重な約八ヘクタールの里山が失われるのと、今回のように保全地域として永久に残されていくというのでは、天と地ほどの違いといえます。
 次に、保全地域は指定されればそれでよしというものではありません。指定によって新たな保全のステージに移行いたしますが、指定された後の取り組みが大変重要となります。
 そこで、堀之内里山保全地域の利活用についてお伺いいたしますが、現地ではNPOなどによって耕作されている田んぼがある一方、人の手が入らずに暗い雑木林となっている部分などもあります。都は、指定後に具体的にどのようにしてこの保全地域の保護と回復を図っていくのか、お尋ねをいたします。

○中島自然環境部長 堀之内の里山でございますけども、ここには、全体面積約七万六千平米のうち、現在、約三千六百平米の田んぼがございまして、農家あるいはNPOなどによりまして良好な状態で稲作が行われております。こうした田んぼは地元の小学校の環境学習の場などとしても活用されております。
 今後でございますが、NPOなどと連携いたしまして、さらに多くの都民や東京グリーンシップ・アクションにより、企業などに環境学習の場として提供できるように検討してまいります。
 一方、下刈りなどが行われていないために荒れた雑木林となっている部分につきましては、これは地権者の理解を得た上で、ボランティア団体などと連携し、保全活動によりその回復を図ってまいります。
 里山は、農業などの人間の営みの中で維持されてきた自然でございまして、指定後は、地元八王子市やNPOなど多くの主体との協働によりまして、積極的に利活用を図り、里山景観の保護と回復に努めてまいります。

○石森委員 指定後については、NPOなどの多様な主体と連携して積極的に保護と回復に努めていくとのことですので、ぜひ多くの都民などに環境学習の場として提供するなど、広く愛される里山を目指していただきたいと思います。
 次に、積極的な利活用を図っていく上での進め方についてでありますが、先ほどから触れているように、この里山ではNPOやボランティア団体など複数の団体が保全活動を行ってきております。今回、都の保全地域に指定されたということになりますと、それぞれの団体がおのおの思いのままに活動するということでは、都が目指す里山保全地域とするためにはふさわしくない活動が行われないとも限りません。
 そういう意味では、これまで以上にこうした団体に対する都の主体的な働きかけが必要になってくると思いますが、都は今後どのようにして各団体と協議体制を構築していくおつもりか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 保全地域におきましては、ボランティア団体などが保全活動を行う場合は、保全地域ごとに定めてございます保全計画との整合性を確保するため、事前に活動計画の提出を求めております。
 堀之内の里山では、従前からNPOを初め六つの団体が保全活動を行っておりまして、保全地域に指定されることによりまして、これらの団体には保全計画に沿った活動を行ってもらうことになります。
 また、複数の団体の活動が円滑かつ効果的に行われるようにするためには、相互の連絡調整が不可欠でございます。そのため都は、地元八王子市とともに、各団体をメンバーとした連絡会を設置いたしまして、良好な保全活動が行われるよう調整をしてまいります。

○石森委員 堀之内の里山については、保全地域に指定されるという状況になっているわけですけども、都内にはまだ貴重な自然地が残されております。しかし、こうしたところの保全については、財政的な裏づけであるとか、地元自治体との調整など、一朝一夕に対応できる問題ではありません。重要なのは一歩ずつでも着実に取り組んでいくということであります。
 ここ最近では、十八年の横沢入、十九年の多摩東寺方、そして今回の堀之内が新たに指定されるわけでありますけども、環境局にはぜひともこうした着実な取り組みを今後も続けていただきたいと要望しておきます。
 そこで、最後の質問となりますけども、今後の保全地域指定に向けた環境局長の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

○有留環境局長 私もこれまで数カ所の保全地域を見させていただきまして、大都市東京に残された貴重な緑、里山のすばらしさを実感しております。
 保全地域は、都民の自然との触れ合いの場やボランティア活動、小中学校など環境学習、企業の社会貢献活動などの場として活用されております。また、生態系の保全などさまざまな観点からも、ぜひとも後世に引き継いでいくべき都民共通の大事な財産であると認識しております。
 都はこれまでも、用地取得や維持管理などについて、みずから役割を担って地域の緑を守ろうという自治体と連携しまして、保全地域制度を活用しての東京の緑を守る取り組みを行ってまいりました。今後とも地元自治体などと連携しながら、緑の保全について着実に取り組んでまいります。

○石森委員 局長の力強いご答弁をいただきました。
 冒頭にも申し上げましたけども、既存の緑を守る上で保全地域制度は重要な役割を担っております。今後とも一層の取り組みに大いに期待して、質問を終わります。

○中村委員 CO2削減について質問させていただきます。
 私どもは一昨年の十月、都議会民主党として地球温暖化防止対策のために、グリーンランド、そしてまたアイスランドを訪問してまいりました。その中で……(発言するものあり)ちゃんと報告書が出ていますから大丈夫なんですけど、自信を持って話ができるので、今こうやってお話をしているわけですけれども、その中で、グリーンランドの方々、いわゆる先住民族という方々がいらっしゃいまして、イヌイットという方々なんですけど、その方々にお話を伺ったところ、最近五年間の傾向としてやはり気温が上昇していると。それによって、今までグリーンランドという土地は雨が降らなかったんですけれども、雨が降るようになってしまったと。そうすると自然形態が変わっていくというんですね。今までの雪しか降らない、氷が張っているところに雨が降ると氷が解けてくる。それによってジャコウウシだとかそこの土地の牛たちが食べるものが違ってきてしまう。また、氷の上に建っていた建物、これが地盤が緩んでしまって建物自体も崩壊していくという、そういうような状態になってきていると。この現状をぜひとも先進国の人たちにはわかってもらいたいというような話を受けたわけです。
 これは何が原因しているのかというと、やはり二酸化炭素、CO2の排出量がふえている、それによって地球が温暖化しているというようなことを理解してきたわけなんでございまして、それをぜひとも東京都でもしっかりと踏まえていただきたいと思うわけでございまして、昨年の都議会の本会議でも知事に質問をさせていただいているわけでございます。このCO2の削減、京都議定書にありましたこともそうですけど、CO2の削減、早急に実施していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 その中で、昨年の六月、日本で初めての温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度の導入など、地球温暖化対策の抜本的強化を目指す東京都環境確保条例の改正を行うなど、業務、産業部門における対策というものは非常に進んできているわけでございます。
 しかし、その一方では、家庭での対策といいますか、家庭での意識というのはまだまだ、CO2の排出規制、削減について意識が余り強くないというふうに感じるわけでございます。
 そこで、都としては、これまでの家庭部門における温暖化対策の取り組み、そして今現在の家庭部門での排出量というものはどうなっているのか、まずお尋ねいたすわけでございます。

○大野都市地球環境部長 都は、平成十四年に全国に先駆けまして、家電製品の省エネ性能をわかりやすく表示しますラベリング制度を創設いたしました。この活用によりまして、省エネ性能の高いエアコンとか冷蔵庫などの選択が進むように都民への普及活動を行ってきております。また、一昨年からは白熱球一掃作戦を展開いたしまして、電球形蛍光灯の普及を図るなど、家庭部門における温暖化対策に取り組んでまいりました。
 つけ加えますれば、きょうもいろいろとご質疑いただきましたように、来年度からは太陽光、太陽熱の普及についても取り組んでまいります。
 こうした取り組みを進めておりますけども、都内の家庭部門の二〇〇六年度のCO2排出量は東京都全体の二五・八%を占めております。これは全国平均で見ますと約一三%ですから、東京の場合、家庭部門のウエートが非常に大きいという特徴がございます。したがいまして、家庭部門の削減に向けましてさらなる取り組みが必要であるというふうに考えております。

○中村委員 今、家庭部門の排出量二五%強ですね。といいますと約四分の一が家庭からCO2が排出されているということで、改めて家庭の対策というのは大事ではないかというふうに考えるわけでございまして、その家庭から出ていくCO2を削減するために、省エネ、また節電、蛍光灯に取りかえたりとか、そういうようなのを意識させていかなければいけないんですね。その意識をさせていくために、先ほどほかの委員から出たように、学校でのアドバイザーをやっているとか、企業、団体に対しての省エネアドバイザーだとか、いろいろ制度を立ち上げているわけでございますけれども、その省エネアドバイザー制度というのは、今まで行ってきたのとこれから行おうとしているのと、普及啓発活動というんですか、これはどういうふうに違っていくのか、これを説明をお願いいたします。

○大野都市地球環境部長 都は来年度、省エネに関するノウハウをもちましてまた業務の中で家庭との接点を有する企業や団体と連携して、省エネアドバイザーの育成及び登録等を行いまして、各家庭の状況に応じたアドバイスのできる仕組みづくりを行ってまいります。
 これまでの普及啓発活動との違いでございますが、省エネアドバイザーは個々の家庭を実際に訪問するということがございまして、従来より一歩踏み込んで、家庭の内部から、その実情を踏まえたアドバイスをするということができます。こうした方法で、より実態に合った省エネの具体的なポイントや個々の状況に応じた適切な助言が可能になるというふうに考えております。

○中村委員 家庭の中に一歩踏み込んでアドバイスしていくというのは、非常に大事なことであるわけですけれども、世帯数も多いことですので大変なことだなというふうに感じるわけですが、ぜひとも率先してやっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 冷蔵庫一つとっても、あける回数を少なくするとかいろんな方法があって、余り物を詰め込まない方がいいとか、そういうのも一つ一つの積み重ねが大事になり、また家庭からの排出量が減っていくのではないかというふうに感じるわけでございます。
 そういうような東京都としての取り組みの中で、やはり一番身近な区市町村の役割が重要なこととなってまいるわけでございまして、今、四万世帯への普及活動を目標とした太陽エネルギー利用機器の利用拡大、それでは都の補助事業開始と歩調を合わせ、新たに補助制度を立ち上げたり、前年度の補助件数を引き上げるなど、施策の充実を図ろうとする区市町村も多いと聞いております。このことは太陽光パネルなどを導入したいという都民のさらなる後押しとなると思います。
 都では、温暖化対策等推進のための区市町村支援制度を立ち上げることといたしました。先ほども質問されておりましたけど、私は、この支援制度を活用して、これまでの行政の支援が行き届かなかった家庭部門のCO2の削減施策の一層の充実を図るべきと考えるわけでございますが、温暖化対策推進のための区市町村支援制度では、区市町村の意欲的取り組み、幅広く対象事業としていくべきと考えております。見解をお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 若干重なる部分もございますけれども、温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度におきましては、区市町村の意欲ある取り組みを幅広く支援するために、都があらかじめ区市町村に対して補助対象メニューを示す選択メニュー事業補助と、区市町村からの積極的な提案を補助対象といたします提案プロジェクト補助の二つの補助制度を用意してございます。
 選択メニュー事業における家庭部門に対する補助につきましては、区市町村が実施する家庭への設備機器の導入補助に都が協調して補助をする、同額を一緒に補助するという仕組みでございますけれども、区市町村の意見も聞きまして、具体的なメニューといたしましては、エコキュートあるいはエコジョーズ、エコウィルといった商品名で販売されておりますCO2冷媒ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型給湯器、ガス発電給湯器などのいわゆる高効率給湯器、それから燃料電池といったCO2削減効果の高い省エネルギー設備機器を対象とする予定でございます。
 一方、提案プロジェクト補助につきましては、区市町村が独自の創意工夫により行う先駆的な事業で、地域内外に波及効果をもたらす事業を想定しておりまして、都民の意識の向上や家庭での省エネなど、都民一人一人の環境に配慮した具体的な行動につながるような新たな提案を期待しております。
 こうした二つの補助を活用いたしまして、区市町村の意欲的な取り組みを促してまいりたいと考えております。

○中村委員 今、具体的な提案というのと、それから、身近な区市町村がもっともっと家庭に対しての提案、そしてまた支援、こういうものをやっていかなければいけないんではないかと思うわけです。それには東京都も全面的な支援、そういう体制をとっていけたら、家庭からのCO2の削減というのはもっと進んでいくのではないかと思うわけでございます。
 そういう意味では、来年度が家庭対策元年というべきような年となるよう、それぞれの施策が実を結ぶことを期待しているわけでございまして、家庭での省エネを進めるためには、家庭の省エネ設備への転換や都民一人一人のライフスタイルの見直し、さまざまなチャンネルを使っての普及啓発を図るなど、地道な、そして着実な取り組みによって底上げを図ることが必要であります。
 今後、なお一層、区市町村などの自治体や企業、団体と連携を図り、省エネ対策を進めるとともに、機器の買いかえなどを促進するため、今後さらなるインセンティブの付与の検討を行うことを求めて、質問を終わります。

○矢島委員 地球温暖化対策は、東京都の施策として強力に取り組まれてまいりましたが、いわば時代を画するともいうべき考え方を基とする新規事業が、平成二十一年度、生物多様性地域戦略推進予算として計上されており、これまで待望久しく、また大いに期待する者の一人です。
 この事業は、昨年六月十日に成立しました生物多様性基本法案に努力義務として規定されておりますが、地方版生物多様性戦略策定が規定されていることによるものです。この法案の原点は、平成五年に発効し、現在百九十一カ国が締結している生物多様性条約として知られておりますが、この成立時には、同時に温暖化防止の国連気候変動枠組条約が成立しており、両条約は持続可能性と多様性を一体としてとらえる、呼応する関係にあることは、この事実からも明らかです。だからこそ生物多様性条約は、人と自然との新しい関係を全体として構築する、現代文明のパラダイムを変えるともいえる大変重要な要素を含み、CO2対策など気候変動枠組条約にも深くかかわることになります。
 私は、この点が大変重要な観点だと考えますが、これまで先鋭的にCO2対策を進めてきました東京都はこの点についてどのように考えているか、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 私たち人類は、化石燃料がもたらす非常に大きなエネルギーを消費するとともに、水資源、森林資源、鉱物資源、水産資源など、いわば大地の恵みに依存いたしまして、そして豊かな文明を築き上げてきております。この生物多様性問題は、広くとらえますと、生物の絶滅や生息、生育地の消失の背景にある、こうした天然資源の大量消費などを生み出している現代の社会システムの問題など、私たちの社会と自然をめぐる幅広い問題であるというふうに考えております。
 気候変動対策につきましては、東京都は国に先駆けまして、大規模事業所に対する温室効果ガスの総量削減義務など先進的な取り組みを進めておりますけれども、この気候変動対策と生物多様性の保全は、地球環境の保全という観点から密接不可分なものである、人類、生物の生存基盤の確保のためには並行して取り組んでいかなければならないものであると考えております。

○矢島委員 両条約は、地球環境サミットのときに成立をしているということになりますが、このうちの生物多様性条約は、自然生態系の全存在が気候の安定と深くかかわり、相互に補完関係にあることを前提としております。だからこそ、個別の種の保護を目的とするワシントン条約とはスケールの違う内容を持つものということになります。
 そこで、都の生物多様性についての認識とこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 生物多様性条約の前文でも述べられておりますけれども、生物多様性には生態学上、遺伝上、社会上、経済上などさまざまな面からその価値があるといえます。生物多様性は、地球上に生命が誕生して以来、進化と分化を続けながらつくり出されてきたものでございまして、生物多様性の確保は、食物連鎖あるいは生態系など生き物同士のつながりや世代を超えた命のつながりを維持する上で重要なものでございます。また、生物多様性の保全は、野生動植物のみならず、食料を含めて生物資源をさまざまな形で持続的に活用する私たちにとりましても、非常に重要であると考えております。
 こうしたことから、都はこれまで、生物多様性の保全に関する取り組みといたしまして、野生生物種やその生息、生育環境を守り育てるために、行政、都民、事業者など各主体に望まれる行動や対策等を明示した東京都野生生物保護育成指針の策定、多様な生物が生息、生育する地域そのものを保全する保全地域の指定、森林における生物の生息、生育環境を回復させる森林再生事業など、さまざまな施策を実施してきたところでございます。
 ただ、生物種につきましてはまだまだ未知の部分もございまして、そうしたことからも、私たち自身がさらに生物多様性についての認識を深めていく必要があるというふうに感じております。

○矢島委員 人類の知り得ている種は百万とも二百万ともいわれて、そして、まだ知り得ていないところがその十倍あるという意見もあるようなことになります。基本的にはその姿勢がなければ、これからのいろんな可能性も含めて全体を見ることができなくなっていくと思いますので、今の視点はぜひ大事にしていただきたいと、このように思います。
 国は、平成五年五月の生物多様性条約締結後、生物多様性国家戦略、そしてその後、新生物多様性国家戦略を経て、平成十九年十一月、第三次生物多様性国家戦略が閣議決定されましたが、都は生物多様性地域戦略の策定をどのように考えているか、お伺いいたします。また、今後その策定に向けていかなるスケジュールでどのように取り組んでいくのか、この点についてもあわせてご説明をいただきます。

○中島自然環境部長 東京は、市街地や多摩の丘陵地、山地、それから小笠原諸島までの島しょ地域ということで、非常に多様な地域で構成されておりまして、多種多様な生態系を有しております。生物多様性の確保には、こうした生態系をはぐくむ野生生物の生息、生育地の保全が重要でございまして、地域特性を踏まえた生態系の保全に向けた取り組みを適切に実施していく必要がございます。
 そこで、今後、都は、平成十一年度に策定をしております東京都野生生物保護育成指針、それから現在国が作成しております生物多様性地域戦略策定の手引きなどを踏まえまして、二十二年度の生物多様性地域戦略の策定に向けた取り組みを行ってまいります。
 まず、来年度には都内の生物多様性に関する基礎的な調査に着手いたしまして、また有識者による検討会も立ち上げたいというふうに考えております。

○矢島委員 都にとって、生物多様性の都民への啓発、普及は重要な責務となります。今後の取り組みをお伺いいたします。

○中島自然環境部長 生物多様性ということで、一見しますと非常に難しく聞こえる面もございますけれども、要は、生き物やそれが生息、生育している環境を大切にしていくということが自然に身につき、またそれが家庭や学校、それから地域の中で受け継がれていくようにしていきたいというふうに考えております。
 そこで、生物多様性地域戦略の策定過程におきましても、さまざまな機会をとらえて都民に生物多様性の大切さをわかりやすく伝えるとともに、自然公園で生物調査を行っている研究者あるいはそういったグループの方々、また地域で緑地保全活動を行っているNPO、さまざまな関係団体の協力を得ながら都民への周知を行っていくなど、都民等への情報発信に努めてまいります。
 また、平成二十二年度には第十回の生物多様性条約締約国会議が日本で開催されることを契機といたしまして、国や他県とも連携した普及啓発について検討してまいります。

○矢島委員 最初に申し上げましたように、持続可能性維持、生物多様性保全のためには、人の経済活動と生物多様性を結ぶ新たな価値関係の構築が必要となります。それだけに極めて重い問題ともいえます。
 そこで、この重要な課題に取り組む局長の決意をお伺いいたします。

○有留環境局長 私は東京の下町で育ちましたけれども、三十年代は、近所の空き地とかお寺の境内に大きな木がありまして、非常に木が茂って、虫なんかもいっぱい、鳥とかいまして、あと隅田川とその支流にはメダカとかザリガニがいて、またハゼなんかも釣れたりして、そういう環境で育ちました。
 私たちは、生存だとか健康あるいは幸福、いわば生きる喜びを生物の多様性に託してきたと思います。生物の多様性が失われることは私たちの生存そのものを脅かすことになると考えております。こうした多様な生物の生息、生育地が都内のそこかしこにあったと思いますが、今後、残された貴重な自然を守り回復させる取り組みを積極的に進め、生物の生息、生育地を保全することにより生物多様性を維持し、次世代に引き継いでいくのは、私たちの重要な責務であると考えております。人が活動する際には、地域の特性や生物の生態特性に配慮した適切な手法を選択し、生物への影響を極力少なくしながら、ともに地球という有限な世界に生きていく、あるいは人と自然とのよりよいバランスが確保され人と自然が共生していく、そういうことを目指しまして、今後、生物多様性地域戦略の策定に向けて着実に取り組んでまいります。

○矢島委員 東京の中でもメダカという大変弱い生き物を身近に見ているということは、まことにすばらしい経験をされたと思います。水道局の水質確認の最後の押さえはメダカというふうに聞いておりますので、その観点をぜひ今後とも大事にしていただきたいと思います。
 生物多様性条約には、今申し上げましたこれらの課題ばかりでなく、自然生態系の成長、持続を前提とした利用と得た利益の公平な分配など難しい問題もありますが、来年は、先ほどお話がありましたように、二年に一度の第十回生物多様性条約締約国会議が名古屋で開催される節目の年でありますし、今後、ぜひとも重要な課題と積極的に取り組み、東京都の先導的な姿を日本ばかりではなく世界に示していただく、このよい機会にまさに予算を組んでいただいて取り組まれると、この機会を大切にしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○大津委員 今定例会の一般質問におきましては、都民の命と安全を守るというテーマで、首都高速道路の安全、そして渋谷駅周辺の盛り場対策、食べ物による窒息事故や介護ベッドで命を落とす、いわば生活の中で起きている事故、それらについての未然防止について質問をいたしました。きょうの委員会では、首都東京型ともいえますまちの中の事故を取り上げて、環境局の取り組みと都民の命と安全について検証してまいりたいと存じます。
 私の地元であります渋谷区では、平成十九年六月、松濤の住宅街で突然温泉の爆発事故が起き、また平成二十年十一月、神宮前の住宅街ではこれまた突然火薬爆発事故が起こりました。同じ神宮前では、マンションで違法な猛毒蛇を大量に飼っていた人が飼っていた蛇にかまれて運び込まれるという事件も起き、いざ大地震が発生をしたら、逃げ出した爬虫類に人が刺されるというような都市型二次被害も起きかねません。
 環境局におきましては、温泉爆発事故、火薬爆発事故直後から迅速で適切な対応を行い、消防庁とも連携したことを高く評価いたしております。
 したがって、一つ目には、事故が二度と繰り返されないためにも、記憶から遠ざかる前に予防策を施しておくこと、そして二つ目には、次なる攻めの情報収集を日ごろからできるような体制を施しておくことが必要と考えます。世の中は一般的に、事故が発生をして、死亡者が出て初めて予防策や安全対策が講じられます。しかし、都庁内外、各業界、各機関と連携をして、日常の仕事を通して攻めの情報収集をしながら、少しでもまちの中の危険の芽を摘んでいくこと、日常の点検業務をしていくことなど、日ごろの地道な取り組みを着実に行っていくことが必要と考えます。
 そこで、まちの安全を守る観点から、渋谷区で起きた事故後のきょうまでの取り組みについて確認をいたします。
 一つ目としましては、一昨年六月に、大切な命が犠牲となりました、決して忘れてはいけない渋谷区の温泉施設における可燃性天然ガスによる爆発事故が挙げられます。その年の十一月の環境・建設委員会で温泉施設の安全対策について質問しましたが、東京都は事業者に対して事故の再発防止の取り組みを促すため、国に先駆けて速やかに温泉施設安全対策暫定指針を策定し、安全指導を行ってきたとの答弁があります。国においても温泉法を改正し、可燃性天然ガスの安全対策の規定を追加し、昨年十月に施行されました。
 そこで、以前に比べて温泉施設の安全対策は進んできていると思いますが、改めて温泉法の改正と東京都の暫定指針による安全対策についてお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 改正されました温泉法でございますけども、その目的に、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害防止が追加されまして、都道府県知事による温泉の採取許可の制度が新設されるとともに、具体的な災害防止対策を温泉事業者に義務づけをしております。
 東京都の暫定指針につきましては、温泉法の改正により、法において定められた規定は法の方に移行しまして、法に定められなかった規定については引き続き暫定指針により指導するように改正を行い、改正温泉法の施行に合わせて昨年十月一日に施行いたしました。法に基づく規制と都の暫定指針とあわせまして、都民の安全を確保するため、温泉対策を行っているところでございます。

○大津委員 温泉施設の安全を確保するためには、温泉法や都の暫定指針の改正内容について、温泉施設の管理者に対して周知徹底、お知らせをしておくことが必要であると考えますが、どのような対応をしていらっしゃったのか伺います。

○中島自然環境部長 法の改正によりまして新たに規定された温泉採取許可制度、それから暫定指針の改正内容について、この周知を図るため、改正温泉法の施行前の昨年七月と九月に温泉施設の管理者を対象に説明会を開催いたしました。
 また、本年二月には、暫定指針に規定している温泉安全管理者講習会を開催しまして、温泉安全管理者に対し施設の安全対策及び温泉採取許可制度についての講習を行いました。受講した温泉安全管理者は、今後、各施設の従業員に対しまして安全対策に関する教育を行うこととしております。

○大津委員 温泉施設の管理者を対象とした説明会や温泉安全管理者講習会を行い、既に法や指針の改正内容については周知を徹底しているということで、まずは安心をいたしました。平成二十年度、三月末の東京都全部の、島も含めて全部の温泉施設は百五十五カ所あるとのことですので、これからもよろしくお願いしたいと思います。
 今後は、温泉の採取許可制度がしっかりと機能し、温泉施設の安全が一層確保されることが必要と考えますけれども、温泉施設に対してどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 温泉法の規定によりまして、施設の事業者は三月末までに、可燃性天然ガスが検出しないか、法で定めた基準濃度以下の場合は可燃性天然ガス濃度確認の申請を、可燃性天然ガスが基準濃度を超える場合は温泉採取の許可を申請することになっております。現在、温泉法に基づく期日までに申請が行われるよう、各温泉施設の管理者に対しまして指導の徹底を図っているところでございます。
 採取許可の申請を受けたすべての温泉施設に対しまして、速やかに立入検査を行い、法及び暫定指針の規定に適合するかの確認を行った上で許可の判断を行います。可燃性天然ガスの濃度確認を行った温泉施設に対しましても、安全を確認するため順次立入検査を行います。
 今後とも、温泉施設に対する安全対策の指導を徹底し、温泉施設の安全に努めてまいります。

○大津委員 それでは、温泉爆発事故の次の二つ目としましては、昨年十一月に渋谷区の神宮前で発生をしました火薬爆発火災です。事故原因の詳細は、現在も警視庁が捜査中ということでまだ明らかになっておりませんが、火薬類取締法の許可の取得がされていなかった施設で、危険性の高い火薬類が不適切に取り扱われたことによる可能性が高いとはされています。
 環境局は、事故発生直後に現場の実態把握を行うとともに、事故の翌日から市街地にある火薬類の貯蔵施設に対して緊急立入検査を開始するなど、迅速な対応で都民の安全・安心の確保を適切に図ってくれたとは思います。
 事故直後のこの委員会で私が質問しましたところ、環境局としては、市街地の建物の中にある火薬類の貯蔵施設に対する緊急の立入検査を行うほか、許可の対象外となっている事業者の実態を調査するとの答弁がありましたが、こうした立入検査や調査の結果どのようなことがわかったのでしょうか、お伺いします。

○柿沼環境改善部長 まず、立入調査についてでございますけれども、昨年の事故を受けまして直ちに、市街地での同様な火薬類の事故を防ぐために、火薬類取締法の対象となっている貯蔵施設に対しまして、火薬類の保管方法、消火設備の設置、注意事項の掲示等が適正になされているかどうか、緊急の立入調査を実施いたしました。
 その結果、保管方法や消火設備の設置等については、ほとんどの施設で適正に管理されておりましたが、注意事項の掲示等については一部の施設において改善すべき点もございました。これらは直ちに危険が及ぶというものではございませんけれども、こうしたわずかな不備であっても、その積み重ねが大きな事故につながりかねないということから、改善指導を行い、安全確保の徹底を図っております。
 また、許可対象外の事業者についてでございますけれども、関係業界団体を初めとしまして、警視庁、東京消防庁等から情報収集を行いますとともに、火薬類の製造、販売等の事業者に対して聞き取り調査を行いました。その結果、法の許可要件には至らないものの、劇場、映画制作あるいはイベント等で比較的まとまった量を消費する演出効果用の煙火について、煙火というのは花火などのことでございますけれど、その流通ルートですとか、特別に加工された煙火を取り扱う事業者等の概況が明らかになってまいりました。

○大津委員 環境局が立入検査による安全確認の徹底を両事故ともに行ったことは評価しますので、今後、さらにまちに潜む危険な芽を早目に摘むという観点から、火薬類取締法の許可の対象外となっている事業者に対しても、火薬類の安全な取り扱いの徹底について指導していくべきと考えますが、今後の取り組みについて所見を伺います。

○柿沼環境改善部長 火薬類に関する事故を未然に防止するためには、許可対象とならない事業者に対する保安意識の啓発も極めて重要でございます。しかし、演出効果用の煙火を使用する事業者は、火薬類の使用量が基準以下でございまして許可対象となっていないことから、これまで保管ですとか使用時の安全に関する啓発指導というのを直接行う機会がございませんでした。
 このため、関係業界団体や警視庁、東京消防庁と連携して、演出効果用煙火を取り扱う事業者等を対象にした講習会を新年度の早い時期に開催いたしまして、このような事故が起こることのないように、火薬類の取り扱いに係る安全確保の徹底を図ってまいります。

○大津委員 このように、まちの中の安心・安全についても環境局は大きく関係、寄与をしているわけでありますが、さらには都市づくりや防災やほかの公共工事にも、また企業や商店も都民も、あらゆる事業に環境というものを配慮していかなければ、なかなか社会では生き残れない、そんな時代になってまいりました。
 都庁の他局の事業も環境配慮抜きでは決して済まされません。環境局は全庁横断的な検討組織という仕掛けをつくりましたが、仕掛けという肉体の中に魂を入れ、血となり肉とならなければなりません。
 環境局では、CO2削減義務に対しても、太陽光発電パネルや次世代自動車や、そして蛍光電球の普及、さまざま推し進めてまいりましたけれども、知事が常々口にする、あした、世界が滅びるとも、きょう、あなたはリンゴの木を植えるという言葉のとおり、また、先ほど中村副委員長からもありました積み重ねの言葉のとおり、小さいけれども一つ一つの環境に配慮する意識や行動を積み重ねていくことが、ひいては美しい地球を持続させるのではないかと思います。
 東京都の環境基本計画九九ページにもありましたが、都民の行動、企業の行動のいずれもが、環境配慮をごく当たり前のものとする、いいかえれば環境に配慮していくことを習慣化することが大切です。あらゆる施策における環境配慮の内在化とでもいいましょうか、局長のお考え、意気込みをお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。

○有留環境局長 お話の環境配慮を社会の基本的ルールとしていくためには、都政のあらゆる施策におきまして環境配慮の視点を当然のこととして内在化し、これらの施策を通じて、都民、事業者の皆さんに環境配慮の働きかけを行っていくことが重要でございます。そうした認識のもとで、環境局が事務局であるカーボンマイナス都市づくり推進本部で全庁的な議論を重ねまして、三年目を迎えましたカーボンマイナス東京十年プロジェクトでは、百七事業、三百六十五億円の施策化を果たしまして、全庁的にCO2削減という視点での環境配慮がかなり浸透してきたと考えております。
 このプロジェクトにおける取り組みの具体例を申し上げれば、例えば都民の省エネ意識の醸成という点では、教育庁が本年六月に取り組む都内全公立小学校で環境学習として省エネを学ぶCO2削減アクション月間が挙げられます。また、都市づくりにおける行動促進という点では、事業者が都市開発諸制度を活用して開発を行う場合には、建築物のCO2削減の取り組みを求める仕組みを都市整備局において講じたことが挙げられます。
 今後とも、環境局が積極的にイニシアチブを発揮しまして、庁内各局のあらゆる行動に環境配慮を組み込みまして、具体的で実効性ある取り組みの実施を通じ、都民、事業者とともに持続可能な都市東京の実現に努めてまいります。

○吉田委員 お疲れさまでございます。私、ラストバッターですけれども、てきぱきとやらせていただきます。
 まず平成二十一年度予算、それから今回の環境確保条例改正案、それから自然保護条例の改正案を初めとする議案でございますけれども、私もこの委員会でこれまでいろいろと要望申し上げていた内容も含めて、さまざまな配慮をして反映していただいているものと思いまして、大変感謝をいたしております。
 この中で、本日は何点かご質問させていただきますが、まず廃棄物対策の中で、不法投棄に関することについてお伺いを始めたいと思います。
 去る二月二日に、品川区の産業廃棄物処理業者が無許可業者などから収集した産業廃棄物約四十立方メートルを自社の敷地内に不法に埋め立てたとして、関係者四名が警視庁に逮捕された事件がマスコミで報じられました。
 まず、この事件について東京都はどのように調査を行い対応したのか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 この事件につきましては、昨年の七月、処理業者が自社の敷地内に産業廃棄物を不法投棄しているという情報がありましたため、不法投棄対策係の職員、いわゆる産廃Gメンが張り込み調査や現場の試掘を行いまして、コンクリートがら等の廃棄物が違法に埋め立てられていることを確認いたしました。さらに、帳簿類の調査ですとか、あるいは会社の役員からの事情聴取などを行いまして、行政処分に向けた手続を進めておりました。
 二月二日に警視庁が同社の役員など関係者を不法投棄の容疑で逮捕いたしました。都としましても、それまでの調査内容に基づきまして、当該処理業者の許可を同日付で取り消したところでございます。

○吉田委員 都の産廃Gメンが日ごろから監視活動によって不法投棄の防止や早期発見の強化に努めておられて、このように社会を騒がすような事件においてもしっかりと活躍をしていただいているというのは、非常に心強い限りでございます。
 ただ、我々都民はこのような事件でもない限り、産廃Gメンという方々の活動の実態をなかなか知る機会がございません。そもそも東京都の産廃Gメンとはどのような組織なのか、我々都民にはほとんど知られておりません。また、近年、不法投棄の手口は年々巧妙化する傾向にありまして、警察などとも連携をとらなければ、効果的な摘発は大変難しいだろうというふうに推察するわけであります。さらに、広域的に発生する不法投棄に対応するためには、他の県や自治体との協力関係の強化も欠かせないと思います。
 こうした点について、都の産廃Gメンがどのような体制をしいて監視活動や調査活動に当たっているのか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 都の産廃Gメンは、都庁のプロパー職員のほか、警視庁から派遣を受けております現役の警察官や警視庁OBの非常勤職員、総勢十五名で構成されております。
 産廃Gメンは、不法投棄の疑いのある事案につきまして、事実確認のための調査や産廃処理場の立ち入りなどの活動を行っておりまして、その活動範囲は都内にとどまらず関東全域に及んでおります。他の自治体とも日ごろから緊密な情報交換や合同立ち入りなどを行っておりますほか、暴力団などが絡む悪質な事案の場合には、警視庁や他の県警などとも連絡をとり合って対応しております。

○吉田委員 だんだんと勉強させていただいておりますが、悪質、巧妙化する不適正処理に対して、東京都が強力な布陣をしいて不適正処理の摘発に臨んでいただいているということがわかってまいりました。
 その産廃Gメンの活動につきまして、私の方で入手した資料を見ておりますと、この産廃Gメンの年間の立入調査件数は、平成十七年度では約百四十件、他方、平成十九年度では約二千百件と、数字で見る限り、年によって相当のばらつきがあるということで、これはつまり内容も随分といろんなことをやっていらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、どのような理由でというか、内容でこのようなばらつきが生じる件数になっているのか、調査の具体的な内容について差し支えない範囲でお教えいただきたいと思います。
 また、先ほども触れた品川区の不法投棄事案でもわかりますとおり、都が一生懸命監視活動を強めてもなかなか後を絶たない悪質業者による不法投棄事案について、許可取り消しなどの行政処分の発動を行うなど毅然とした対応で臨んでいただいて、産廃処理業界から確実にそういう不適正な方々を排除していくということが非常に重要であります。
 産廃Gメンの発足からこれまでに何件程度の行政処分を行ってきたのか、伺います。

○井戸廃棄物対策部長 産廃Gメンの活動につきましては、廃棄物処理の状況ですとか、あるいは課題に対応しまして、何を重点的に取り扱うかによって立入検査などが異なってまいります。
 例えば平成十七年度につきましては、問題があります現場での廃棄物の搬入監視ですとか追跡調査などに力を入れていたため、年間の立入件数は百四十件前後となってございます。一方、平成十九年度は、建設廃棄物の不法投棄の未然防止を図るため、建物解体工事現場への立ち入り指導などを強化した結果、全体で二千百件程度の立入検査になってございます。
 お尋ねの行政処分でございますけども、先ほどお答えしたような不法投棄に関する事案のほか、複数の無許可業者にみずからの会社名を使わせていた悪質な名義貸しの事案などにつきまして、それぞれ数カ月から半年近くの時間をかけまして事実関係を調査し、確認の上、許可取り消しや営業停止などを行っております。
 このように、産廃Gメンが直接にかかわった行政処分の件数は、平成十四年度の産廃Gメン発足以来これまで三十三件となっております。

○吉田委員 許可取り消しや営業停止という形で具体的に実績が上がっているわけでございます。
 ただ、これが単に産廃Gメンとしての実績にとどまるのではなくて、本来の目的でございます東京都も含めた周辺自治体の不法投棄の抑制ということにつながってこそ、大変に意味があるというわけであります。
 現場調査や広域監視、あるいは行政処分の発動など、日ごろの産廃Gメンの活動が具体的にどのように都や周辺自治体の不法投棄の減少につながっているのか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 産廃スクラム28を構成しております関東甲信越などの自治体のエリア内では、産廃Gメン発足前の平成十三年度に六百二件でございました不法投棄の件数が、平成十九年度には百二十八件と五分の一近くまで大きく減少しております。同じ時期の他の地域での不法投棄の件数の減少幅は二分の一程度でございますので、産廃スクラム28区域内の減少は他の地域と比べても顕著でございます。これら不法投棄件数の減少には、都の産廃Gメンの活動も大きく寄与していると認識してございます。

○吉田委員 産廃Gメン発足前の平成十三年、六百二件であった不法投棄の件数が、平成十九年には百二十八件と五分の一近くまで減少したというのは、本当に大きな成果であると私は認識いたします。私も、前にいた職場でも不法投棄の事案というのは非常に頭を悩ましておりましたので、こういう数字を見て、驚きとともに、本当にすばらしい業績だというふうに改めて認識をする次第でございます。
 これまでの質疑、やりとりをさせていただいて、産廃Gメンの活動が都やその周辺自治体の不法投棄の減少に大きく寄与していることがよくわかりました。このような不法投棄撲滅に向けた東京都の取り組みがもっと広く都民に知られてもよいのではないかと思います。この産廃Gメンの活動を都民や周辺自治体の住民にもっと知っていただくことで、また不法投棄に対する取り組み、そして不法投棄自体に対する社会の関心が高まれば、こういうことをする、不適正なことを行う業者あるいは事案のさらなる抑制にもつながるはずであります。今後、局のホームページなどの媒体をより有効に使っていただいて、産廃Gメンの活動をより効果的に都民にアピール、PRしていくことで、不法投棄の撲滅への一助となるようにしていただくことを私からも提案をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 二つ目に、CO2の削減対策の中での運輸部門における削減策でございます。
 二酸化炭素削減に関して、運輸部門における抑制は大変重要でございまして、今回も条例案が出ておりますけれども、一定規模以上の事業者に低燃費、低公害車の導入義務づけ、こういうことも行われるわけでございますが、マイカーも含めた普通の多くのドライバーの方の日々の取り組みというのがまた、地球環境問題の取り組みには大変必要でございます。なかなか決定打というものはないわけでございますけれども、今回、エコドライブということについて取り上げさせていただきます。
 エコドライブというのは、平成十五年に国において、警察庁、国土交通省などの関係省庁で構成するエコドライブ普及連絡会におきましてリーフレットを配布するなど、エコドライブという運転方法の普及促進に努めて、国民一人一人のレベルで簡単に取り組むことができる地球温暖化防止の重要な対策として期待をされているわけでございます。
 これは、地球環境に配慮した運転方法であるとともに、個人にとっても燃費がよいという運転方法としても注目できるわけでございますが、温暖化対策におけるエコドライブの意義や効果、そしてこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○市川自動車公害対策部長 エコドライブは、急発進、急減速を行わないなどによりまして、それを多くの都民が実践することでCO2削減などの地球温暖化対策に大きな効果が期待できるとともに、燃費向上や安全運転にもつながるものと考えてございます。
 これまで、エコドライブをわかりやすく都民等に幅広く周知するため、都といたしましてもリーフレットを作成するとともに、映像媒体なども警視庁や区市等の自治体に配布するほか、運転免許の更新時等に使用する講習のテキストにもエコドライブの掲載を関係機関に働きかけるなど、さまざまな機会をとらえてエコドライブの普及に取り組んできたところでございます。
 また、今年度から新たに、都内の自動車教習所と連携いたしまして、都が養成しましたエコドライブインストラクターを活用しまして、荒川区や郵便事業株式会社などと連携して、区民や事業者を対象としてエコドライブ教習会を実施してまいりました。
 エコドライブの燃費改善効果としましては、これはCO2の削減効果にも同様のものと考えてございますが、一般的に一〇%程度といわれてございますが、荒川区の講習会の実施には平均約二〇%の燃費改善効果が見られておりました。また、今後、教習会の実技講習によりまして、エコドライブによる燃費の改善効果を都民の皆さんが体感することによりまして、さらなるエコドライブの実践の動機づけになると考えてございます。

○吉田委員 エコドライブの燃費改善効果は一般的に一〇%と目されているけれども、実際に教習会がやってみたら平均二〇%の改善効果がある場合もあったということで、これは私にとっても予想以上のというか、五分の一の改善ということで大きな削減効果でございます。京都議定書で六%をひいひいとやっているときに、二〇%というのはすばらしいことでございまして、こういう取り組み、これは実際にやってみるとさらに、本当に減るんだと体感していただけるというのは本当に大事なことだなと。そういう実際の体験を通じてさらにエコドライブの普及に努めていくということが大事だと思います。
 今回、エコドライブ推進の努力義務を条例化するという機会をとらえて、今後、エコドライブの普及に向けてどういうふうに取り組んでいただくのか、お伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 今回、エコドライブによるCO2削減に向けまして、エコドライブ推進の努力義務の条例化を図ったところですが、こちらにより、すべての自動車の運転手や自動車を使用する事業者の皆様にエコドライブを推進する責務を明確にし、自主的な取り組みをさらに促進してまいります。
 これまでのエコドライブ教習会の成果を生かしまして、自動車教習所が自主的にエコドライブの教習会を行う仕組みづくりに向けまして、教習所が教習会の中で使います指導マニュアルの作成、配布などによりまして働きかけを行ってまいります。
 また、今年度の荒川区等の取り組みをさらに広げまして、他の区市等や財団法人省エネルギーセンターなどとも連携を強化いたしまして、教習会の実施日を拡大し、普及拡大を図ってまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。自動車の教習所などで普通にこの教習が受けられるといいなと思います。私も、あるいはうちのスタッフもぜひ教習を受けさせていただきたいと思っております。
 次に、また別の問題で、東京湾の水質汚濁の問題についてお伺いをいたします。
 閉鎖性水域でございます東京湾の水質は、昭和四十年代ごろと比較をすれば大変に改善されてはおりますけれども、いまだに夏季を中心に赤潮が多発するなど、今後一層の水質の改善の取り組みが必要な状況にあると私は認識しております。
 まず初めに、都内の東京湾における赤潮、そして青潮の発生件数についてお伺いいたします。

○中島自然環境部長 赤潮の発生件数でございますけれども、これは以前にも当委員会でご答弁をさせていただきましたが、年によって変動はありますけれども、ここ数年は年間約八十日前後で推移しております。一方、青潮は都内ではほとんど発生しておらず、最近では平成十六年に一件発生したのみでございます。
 なお、千葉県内におきましては、青潮が毎年数件程度発生をしております。

○吉田委員 東京都内でも年間八十日はコンスタントに赤潮が起きていると。そして、東京では十六年に一件起きただけだけど、青潮は千葉県などで年間二件から六件ぐらい、やっぱりゼロ件という年はないと。必ず毎年青潮も東京湾においては起きてしまっているという状況でありまして、改善が必要なわけであります。
 東京湾の赤潮の発生件数は減っていないわけですから、この発生抑制を目指して東京都はどのような取り組みを進めているのか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 赤潮の発生を抑制するためには窒素及び燐の削減が必要でございます。こうしたことから、第六次の総量削減計画に基づきまして総量規制基準の強化を図り、平成十九年九月からは新規の施設に適用いたしまして、指導を行っているところでございます。
 また、来月からは、既設の事業場に対しましても厳しい基準を適用し、規制指導を開始いたします。
 さらに、第六次総量削減計画におきましては、水再生センターにおいて高度処理施設の整備の促進を図るほか、雨水を一時貯留する施設の整備など合流式下水道の改善やしゅんせつ等の底質対策をあわせて進めていくこととしております。

○吉田委員 東京都の現在の取り組み、わかりました。まだいろいろ課題が残っているということがわかります。そして、東京湾の全体の水質改善ということがなければ赤潮、青潮というのは減らせないわけで、都の取り組みだけでは効果がないと。東京湾岸の他の自治体においても取り組みが必要なわけですが、この総量削減計画の策定など他の自治体における取り組みについてお伺いいたします。

○中島自然環境部長 東京湾に流入する河川の流域に当たります神奈川県、千葉県、埼玉県におきましても、第六次総量削減計画を策定いたしまして、窒素及び燐の削減目標を定めて計画の推進を図っているところでございます。

○吉田委員 各県で計画を策定していることはわかりましたが、各自治体が連携して水質改善を進めることが必要と考えます。どのような連携の取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 東京都は、東京湾岸の県、それから政令指定都市とともに構成しております八都県市首脳会議水質改善専門部会におきまして、第六次総量削減計画の円滑な推進手法などの情報交換を定期的に行っております。
 また、東京湾の水質改善に関する一斉行動といたしまして、啓発活動を行うとともに、国、大学、企業などと協働いたしまして、昨年七月に初めて東京湾水質一斉調査を実施いたしまして、汚濁メカニズムの解明に努めております。

○吉田委員 連携の取り組みについてもわかりました。
 第六次総量規制、都あるいは近県で連携して取り組んでいる。この取り組み自身が絶対に必要であります。ただ、一次、昭和五十四年から六次まで営々とこういう取り組みをやってきて、しかし残念ながら赤潮の発生件数は減っていないということでございます。抜本的な水質改善、このアプローチだけで本当に赤潮ゼロ、青潮ゼロという日が来るのかというふうに心配するわけでございます。
 今までのこういう施策、総量規制などの施策に加えて、新しいアプローチも考える必要があるのではないか。私は、その一つとして干潟による水質改善というものを評価しているんですけれども、都として干潟の機能についてどういうふうに認識していらっしゃるのか、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 干潟におきましては、潮の満ち引きによりまして酸素が供給されて、生物の生息の場として重要でございます。ゴカイ、それからカニ、貝などの干潟の生物は、陸上の方から流れ込みます有機物、それからプランクトンなどをえさとして取り込みまして、それがまた魚、鳥に食べられることによりまして、有機物や窒素、燐が海側から外に運ばれております。一般的に干潟の生態系は海を浄化する、いわば自然のフィルターでございまして、水質浄化に一定の役割を果たしております。

○吉田委員 今ご答弁あったとおり、干潟には水質浄化の機能、役割があるということで、私もいろんな本を読んでいて、干潟の浄化能力というのは大きな下水処理施設に匹敵するんだということをよく目にするわけでございます。
 この干潟について、現在の第六次総量削減計画の中に干潟に関連した記載というのはあるのかどうか、お伺いをいたします。

○中島自然環境部長 第六次総量削減計画の中では、水辺の自然環境の保全、再生、この事項の中で、海浜や浅場等の整備を実施し、自然の浄化機能を生かして水環境を保全、改善すること、それからまた多様な生態系の維持に配慮した護岸整備の実施を行うこと、これが挙げられております。例えば、港湾局が行っている中央防波堤沖での磯浜の造成ですとか、運河部での緩傾斜護岸、ここの整備がございます。

○吉田委員 この六次の計画においても若干記載もあって取り組みも行われていると。
 都内の湾岸地域におきましては、都市機能の多くのいろんな機能を維持するためのさまざまな施設が必要でございますので、干潟をふやしていくという上では多くの困難があろうかと思いますけれども、東京都のみならず東京湾沿岸のすべての自治体の中で可能な限り、東京都も含めて、東京都でも干潟を初め水辺の自然環境の保全、再生について全庁で推進していただくことに加えて、先ほどのような枠組みを活用して湾岸の自治体と協力をして、東京湾全体として昔あったような東京湾の姿を再生するというか、東京湾全体の干潟など水辺の自然環境の保全、再生の取り組みを、これは大変困難なというか、長期的な課題でございますけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。
 この委員会の視察で北海道の釧路に行きましたときにも、直線にした釧路川を再蛇行させるような自然の景観に戻すと、こういうような事業も私も視察に加えさせていただいて、ヨーロッパなどの例を見ても、コンクリートで覆い尽くした自然をもとの姿に戻して、自然の浄化機能というのはメンテフリーですから、これからどんどん財政が圧迫されて、人口も厳しい状況になっていく日本において、自然を生かして人間と自然の共存というか、そういうことを東京湾でも少しずつ回復していく、こういうことが必要だと思います。
 東京湾も非常に海底がいじられて、昔、埋め立てのために深い穴を掘って、何十メートルもの深い穴が突然あいているので、そこが貧酸素水塊ができる発生源になって青潮が生まれるとか、自然をおかしくいじったために人間の環境にもいろいろな不便を来す状況、赤潮、青潮、いろんなことが起きますので、こういうことを含めて、東京湾の再生ということを一つのアプローチとして取り組んでいただくようにお願いいたしまして、そして最後に、例の排出量の取引を初めとして非常に精力的な東京都の環境問題に関するさまざまな施策に敬意を表して、私の質問を終わらせていただきます。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 予算、付託議案及び報告事項に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、予算、付託議案及び報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十分散会

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