委員長 | 石川 芳昭君 |
副委員長 | 宇田川聡史君 |
副委員長 | 中村 明彦君 |
理事 | 原田 恭子君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 小沢 昌也君 |
村松みえ子君 | |
吉倉 正美君 | |
石森たかゆき君 | |
矢島 千秋君 | |
吉田康一郎君 | |
小磯 善彦君 | |
山田 忠昭君 | |
大津 浩子君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 有留 武司君 |
環境政策部長 | 森 浩志君 | |
環境政策担当部長 | 長谷川 明君 | |
都市地球環境部長 | 大野 輝之君 | |
環境改善部長 | 柿沼 潤一君 | |
参事 | 中村 豊君 | |
自動車公害対策部長 | 市川郁美子君 | |
自然環境部長 | 中島 博君 | |
緑化募金担当部長 | 庄司 貞夫君 | |
参事 | 浅川 英夫君 | |
廃棄物対策部長 | 井戸 秀寿君 | |
参事 | 木村 尊彦君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)
○石川委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○森環境政策部長 去る十月九日の当委員会におきましてご要求がありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり十二項目ございます。
まず一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成九年度から十八年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
なお、平成十四年度以降は、(注5)に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で、二段書きとしております。
二ページをお開き願います。2、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
平成十一年から二十年までの十年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数を記載しております。
三ページをお開き願います。3、光化学スモッグ注意報等の発令状況の推移でございます。
平成十一年から二十年までの各年における発令日数、発令期間及びオキシダント最高濃度を記載しております。
四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
(1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段に一般環境大気測定局における過去五年間の測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を、下段に自動車排出ガス測定局における状況を記載しております。
五ページをお開き願います。5、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
次の六ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載してございます。
七ページをお開き願います。6、都の施設におけるアスベスト使用状況と対応状況でございます。
(1)は、平成十七、十八年度調査によりアスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。吹きつけ材、保温材別に、吹きつけ材はさらに対策の優先度別に、アスベストの使用箇所数と対策の実施状況を記載しております。
(2)は、平成十九年度調査によりアスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。(1)と同様の区分ごとに、アスベストの使用箇所数と今後の対応について記載してございます。
八ページをお開き願います。7、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
平成十三年度から十九年度までの各年度における調査件数、汚染が判明した件数及び処理が完了した件数を記載しております。
九ページをお開き願います。8、緑被率、みどり率の推移でございます。
まず、(1)、都内の緑被率とみどり率の推移でございますが、昭和四十七年から平成十年までに行った各調査における緑被率とみどり率を記載しております。
次に、(2)、最新のみどり率でございますが、平成十五年の暫定値を記載しております。
次に、(3)、緑被率の地域別推移でございますが、各調査年度における区部、多摩の地域別の緑被率とその経年変化を記載しております。
一〇ページをお開き願います。9、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
平成十一年度から二十年度までの各年度における指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載してございます。
一一ページをお開き願います。10、保全地域の指定実績及び今後の指定予定でございます。
まず、(1)、過去五年間の指定実績についてでございますが、最近五年間に指定した保全地域名、指定年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
次に、(2)は、今後の指定予定について記載してございます。
一二ページをお開き願います。11、産業廃棄物の排出量及び処分量の推移でございます。
平成十四年度から十八年度までの各年度における都内から排出された産業廃棄物の排出量及び最終処分量でございます。
一三ページをお開き願います。12、過去五年の建設泥土の排出量と今後の見込み量でございます。
(1)には過去五年間における建設泥土の排出量を、(2)には今後の見込み量について記載しております。
以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○石川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 私から、事業概要の一八六ページにある廃プラスチックの発生抑制、リサイクルの促進の中の廃プラスチックの埋立処分量ゼロに関連してお尋ねいたします。
産業廃棄物の廃プラスチックは、平成十八年度の推計では都内で年間約五十七万トン排出されておりますが、そのうちリサイクルされた量は二五%、約十五万トンであるのに対し、埋め立てされた量は四七%、二十七万トンと、リサイクル量を大幅に上回っております。全国の廃プラスチックのリサイクル率は六一%であり、これから見ても、都内でリサイクルされる量がいかに少なく、その分、限りある貴重な埋立空間に大きな負荷をかけている現状がよくわかると思います。
私は、平成十九年十一月の当委員会で、このような状況を打開するため、廃棄物処理計画で目標として掲げた産業廃棄物の廃プラスチックの埋め立てをゼロにする方針について質問し、都の処分場に搬入する事業者が混乱なく埋め立てからリサイクルへ転換できるよう、きめ細かな指導が必要であると主張をさせていただきました。その際、環境局からは、年度ごとの削減割合を示した基本方針を策定し、受け入れ量を段階的に削減していくという回答がありました。
そこでお伺いいたします。処分場に搬入する事業者への対応等について、その後の進捗状況についてお聞かせください。
○井戸廃棄物対策部長 廃プラスチックの埋立処分につきましては、処分場に大きな負荷をかけて貴重な空間を消費してございます。このような状況を踏まえまして、廃プラスチックの埋立処分量を平成二十三年度にはゼロとするため、ことしの一月に基本方針を策定しまして、その中で廃プラスチックの埋立処分量の削減計画を示しました。平成十九年度の処分量を基準としまして、二十年度には一二%減、二十一年度には三六%減、二十二年度は六五%減と段階的な削減を行いまして、二十三年度には目標とするゼロを達成する計画としております。
本年二月には、百十七者の搬入事業者を集めて説明会を開催しまして、東京都の廃プラスチック埋め立てゼロの考え方の周知やリサイクル業者の紹介を行いました。また、現在、適正なリサイクルが行われるよう、中間処理業者への個別要請等を行っているところでございます。
○高橋委員 今の答弁によれば、平成十九年度から二十年度にかけては、埋立処分量の削減幅は一二%減と緩やかであるが、今後ゼロに近づけていくにつれ、さらに削減する割合は高くなっていくということであります。
削減率が高くなってくると、搬入している処理業者の努力だけでは目標に達しない事態も想定できるわけであります。廃プラスチックを埋め立てずに、より一層のリサイクルの徹底を図っていくには、搬入やリサイクルを行っている処理業者だけではなく、もともとの廃棄物を排出している事務所や事業所などの排出事業者による分別排出の徹底を今から行っていくことが重要であると考えます。
先ほど、全国の状況に比べ東京都内の廃プラスチックのリサイクル率は低いと指摘しましたが、その理由としては、都内にはオフィスビル等が多数存在していることが挙げられます。こうした事業所からは、種類が雑多で異物の混入があり、さらに汚れの付着が多いことや、一事業所当たりの排出量が少量で効率が悪いことなどがリサイクルを阻害している要因と考えられます。
一方、都内の一般廃棄物処理行政を担っている区市町村においては、延べ床面積三千平方メートル以上の事業用大規模建築物に、廃棄物管理責任者の設置とごみ減量やリサイクルの計画書の提出を義務づけております。この廃棄物管理責任者を対象とした講習会が区市町村により定期的に開催されており、このような機会をとらえて、区市町村と連携しながら、廃プラスチックの分別の徹底とリサイクルの推進を排出事業者に指導することもできるのではないかと考えられます。
そこで、排出事業者に対して今後どのように指導していくのか伺います。
○井戸廃棄物対策部長 廃プラスチックのリサイクルにつきましては、今年度、都内の事務所、事業所などの排出事業者におきまして分別を徹底しているところなどの成功事例等の調査を行ってございます。今後、それらを紹介しましたパンフレットを作成しまして広く配布するなど、関係事業者の廃プラスチック分別、リサイクルの普及指導を図ってまいります。
また、ご指摘の区市町村が行っております講習会を活用することにつきましては、極めて有効な手法というふうに考えておりますので、区市町村と実施に向けた調整を行っていくとともに、東京商工会議所ですとか、あるいは東京ビルヂング協会などの関係団体とも密接に連携しまして、排出事業者へのリサイクルの徹底を指導してまいります。
○高橋委員 今まで埋め立てられていた都内の廃プラスチックを埋め立てゼロにするためには、その全量をマテリアルもしくはサーマルリサイクルする必要があります。一方で、他の道府県で埋め立てられたり、最悪の場合は不法投棄される事態も、あってはならないことでありますが、危惧される面でもあります。
私は、昨年の事務事業質疑でも、廃プラスチックのリサイクルルートの整備の必要性について強く指摘をさせていただきました。そのときの環境局の答弁では、都内やその近県のリサイクル施設の処理量は都内の排出量を上回っているということなので、処理能力の面での心配はないようでありますが、より盤石なリサイクル体制を確立するには、選別などのリサイクル技術の高度化を図る努力が事業者に必要になってくると思います。
都は、このような事業者に対してどのような支援を行っていくのか、伺います。
○井戸廃棄物対策部長 廃棄物のリサイクルや適正な処理のシステムを確立するには、委員ご指摘のとおり、処理を行う事業者の技術の向上が重要でございます。
都は本年八月から、廃棄物処理業者などの処理技術やリサイクル技術の高度化を図るために、無料の技術相談事業を開始しまして、現在、廃プラスチックのリサイクル方法などにつきまして相談を受けているところでございます。
また、同じく本年九月には、次世代における廃棄物処理、リサイクル技術の開発に資するため、環境科学研究所の実験用スペースの無償貸与などを行う実証研究の支援事業を開始しているところでございます。これまでに五件の応募がございまして、現在審査を行っているところでございます。
来年度からは、これらの事業に加えまして、廃棄物処理ビジネスの幅広い技術向上を図っていくため、新たな情報発信の事業を予定してございます。
今後とも、環境への負荷の少ない廃棄物処理、リサイクル技術の開発促進や先進的な事業者の育成を図ってまいります。
○高橋委員 オリンピック招致に向け、世界に誇る環境に配慮した都市東京を構築するためには、地球温暖化対策や緑化推進とともに、廃棄物、リサイクル対策も世界のトップレベルとする必要があると思います。
特に昨今では、古紙や金属類、今回質問した廃プラスチックなどのリサイクルについては、中国などのアジア圏を中心に国際的な取引が活発になってきております。その一方で、アジアの幾つかの国のリサイクル施設において、技術の未熟さや環境に対する意識の低さゆえの環境被害が問題になっている例もあると仄聞しております。廃棄物処理、リサイクル技術や環境防止技術の向上など、世界のトップランナーとして独自の促進策を東京都が展開し、世界の都市の見本となるよう要望して、これに関する質問を終わらせていただきます。
次に、地球温暖化対策など区市町村の取り組み支援についてお尋ねいたします。
東京都気候変動対策方針や本年三月に策定した東京都環境基本計画でも示されておりますように、気候変動の危惧が顕在化し、そして、その危機が遠い将来の問題ではなく、直ちに行動を起こすべき現在の環境問題として認識されたのは、ようやく最近のことであります。
そうした中、都はこれまで、大規模事業所に対するCO2削減義務の導入や、家庭における太陽光発電機等の設置補助に乗り出すなど、低炭素型社会の実現に向け、温暖化対策を戦略的、集中的に実施しております。
今後、温暖化対策、特に家庭部門や中小規模事業者の省エネを促進する上では、都民に身近な区市町村の役割が重要となりますが、区市町村においては、温暖化対策が比較的新しい施策分野ということからなのか、それぞれの取り組みには温度差があり、より充実した主体的な施策展開が望まれるところであります。都がカーボンマイナス都市づくり推進本部を立ち上げ、全庁横断的に温暖化対策を全面展開しているように、都内区市町村とも連携を強化し、地域の取り組みの一層の充実を図るべきだと思います。
我が党では、この点に関し、地球温暖化対策等の都内全域での取り組みの充実、底上げのためには、区市町村への財政的な面の促進策も必要であると、予算特別委員会や本会議代表質問の場で繰り返し繰り返し指摘してまいりましたが、ここで改めて現在の検討状況についてお伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 東京都が目指しております、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%の温室効果ガスを削減するという目標を確実に達成するためには、早期に低炭素型社会への転換を進めていくことが必要であると認識しております。そのためには、大規模事業所に対するCO2排出総量の削減義務の導入や、建築物環境計画書制度の強化などの都がこれまで進めてきた仕組みづくりに加えまして、家庭、中小事業所での省エネ対策の充実、あるいはライフスタイルの見直しなど、温暖化対策全体の底上げが喫緊の課題と考えておりまして、都民、事業者に身近な区市町村におきまして、地域特性に即した積極的な取り組みが行われることが効果的と考えます。
こうした観点から、先進的、先駆的な温暖化対策等の事業で他の区市町村への波及が期待できるような取り組みや、あるいは都の環境政策の方向性に沿った区市町村の取り組みに対しまして、都として支援する仕組みについて新規予算要求をしているところでございます。
○高橋委員 今後一層、温暖化対策等を推進していくため、地域での取り組みの着実な展開を目指していくならば、住民、事業者に身近な区市町村の取り組み促進が重要となるわけであります。新たな仕組みづくりに向けては、区市町村のニーズを把握し、より使いやすい制度として実現するよう強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大津委員 先週十二日に地元渋谷区の神宮前で起きました爆発火災におきましては、風や煙やにおいが隣の港区の住宅地にまで流れるほどでございました。亡くなられた方々とそのご遺族の方々に対しましては、深く哀悼の意を表したいと存じます。
火薬類は、産業や娯楽、スポーツ、救命用など広く使用をされております。火薬類の製造や販売、保管等の取り扱いに当たりましては、厳正な安全管理が必要と考えますが、火薬類を取り扱う場合のまずは法的な規制はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
○柿沼環境改善部長 答弁の前に、この災害でお亡くなりになられましたお二人のご冥福をお祈りしたいと思います。
火薬類の取り扱いにつきましては、その種類や量によって違いがございますけれども、製造や販売、貯蔵などが、火薬類取締法に基づきまして原則的に許可制度により厳しく規制されております。
具体的に申しますと、火薬類の製造という面では、子ども用の花火の一部の製造を除きましてすべてが許可制でございます。また、販売につきましては、子ども用の花火や爆竹、モデルガンの火薬などのいわゆる玩具煙火、これはおもちゃの花火という意味でございますが、玩具煙火と呼ばれる火薬類を除きまして、これもすべて販売の許可が必要でございます。また、貯蔵につきましては、例えば玩具煙火を二十五キログラムを超えて貯蔵する場合などには、許可等がこれも必要になります。
○大津委員 それでは、今回の事故に対して環境局といたしましてはどのように対応されたのか、お答えを願います。
○柿沼環境改善部長 私どもも、事故発生の知らせを受けまして、直ちに担当職員を現場に派遣して実態の把握に努めました。また、この段階で、当該事業所が火薬類取締法に基づく許可等を受けていない施設であることも判明いたしております。
こうした事態の発生を受けまして、その翌日、火薬類を取り扱う事業者あるいは事業者団体に対しまして、火薬類に係る安全確保の徹底について、文書により注意喚起をするとともに、市街地の建物の中にあります火薬類の貯蔵施設に対する緊急の立入調査を開始しております。さらに、法の規制の対象外となっている事業者に対しましても、その実態調査に着手したところでございます。
○大津委員 事故の翌日から施設に対する緊急立入調査に入るなど、都民の安全・安心を確保する上から迅速な対応を行ったことは評価をいたします。
そこで、お伺いしますが、渋谷区内には立入検査対象の貯蔵施設を含め、文書により注意喚起を行った火薬類を取り扱う施設は、それぞれ幾つあるのかお教えいただくとともに、それぞれの施設ごとにその数が多い区市町村を示していただきたいと思います。
○柿沼環境改善部長 渋谷区内では、該当する十三の施設に注意喚起の文書を送付いたしております。その内訳でございますが、火薬類の販売所が九件、緊急立入検査の対象となる貯蔵施設が四施設でございます。なお、火薬庫は設置されておりません。
また、都内におきますそれぞれの施設の分布状況というお尋ねでございますが、販売所、販売所というのは書類上の売買だけでありましてもその販売行為には許可が必要になりますので、これは商社などが集中する都心部の港区、千代田区、中央区などが多くなっております。
また、建物内にある貯蔵施設で見ますと、花火問屋さんの多い台東区、墨田区などのほか、航空機用信号灯という、これも火薬類でございますので、そういった保管場所が集中する大田区などが多く分布しております。
また、火薬庫につきましては、採石場などで多用されるということから、あきる野市、八王子市、青梅市などが多く分布してございます。
○大津委員 関係する施設の状況について、理解しました。
しかし、法に定める貯蔵量に満たないといたしましても、住宅が密集をしている市街地の建物の中で大量の火薬が貯蔵されているということについては、都民の不安がそこにあるかと推測します。
既に許可や申請を行っている施設については、規制や指導が行き届きやすいのですが、法の規制がない事業者に対しても安全確保を徹底させることが重要と考えます。火薬類を取り扱っていても、法の許可、届け出の対象とならないのはどういうところでしょうか。
○柿沼環境改善部長 火薬類取締法では、比較的危険性の低い火薬類あるいは火薬量が少ない場合に、許可や届け出の対象外となっているものがございます。
具体的に申しますと、使用する火薬の量が一日当たり二キログラムを超えない一部の子ども用花火の製造の場合ですとか、火薬量に換算して二十五キログラムを超えない子ども玩具煙火の貯蔵の場合、あるいは玩具煙火のみの販売という場合などには、許可を要しないこととなっております。
○大津委員 それでは、緊急立入検査はいつごろまでに実施をするのか。また、実態調査に着手したといいますけれども、法規制の対象外の火薬類を取り扱う施設の実態把握はどのように進めるのか、教えてください。
○柿沼環境改善部長 緊急の立入検査でございますけれども、市街地の建物の中にある貯蔵施設七十施設を対象に、その構造や消火設備などの点検を現在行っております。十一月末の完了を目指しております。一方で、法の適用が除外されている火薬類の取扱施設についてですけれども、その実態を把握するために、火薬類を取り扱う問屋さんや関係団体等への聞き取りなどを開始しております。今後、さらに区市などの協力を得まして、実態の調査をしてまいる所存でございます。
○大津委員 実態把握の結果どのような対策を講じるのか、お答えをお願いします。
○柿沼環境改善部長 火薬類による事故や災害の防止のためには、法対象の事業所はもとよりでございますが、法対象とならない事業所におきましても、安全の確保が徹底されることが必要でございます。このため、緊急立入検査や、法の規制の対象とならない貯蔵施設などの実態調査の結果を踏まえまして、今後、必要な対策について検討してまいります。
○大津委員 それでは次に、廃棄物関係の質問に移らせていただきます。
ちょうど先月、十月から、二十三区では一区を除き合計二十二区によるサーマルリサイクルが本格的に始まりました。サーマルリサイクルは、廃プラスチックから熱エネルギーを回収してリサイクルをすることにより、最終処分されるごみの量を大幅に減らせるものです。特に、食品が付着したビニールやプラスチックは再使用やリサイクルが困難でありまして、サーマルリサイクルがスタートした平成二十年度は、二十三区ごみ対策の大きな転換の年となりました。
一方、3Rという言葉は、いい尽くされてもいますけれども、3Rがあって初めてサーマルリサイクルが成立をするのです。リデュース、発生抑制、ごみ減量化、リユース、再使用、繰り返して使う、リサイクル、原料に戻しリサイクルのプロセスに入れる、この3Rの原点に立ち、さらにこの3Rを押し上げていくことが、サーマルリサイクルと並行して、東京都民の財産である最終埋立処分場の延命につながります。
八年前の平成十二年、国が循環型社会形成推進基本法を制定し、容器包装や食品などの品目ごとにリサイクル法を施行し、いわゆる3Rの推進と廃棄物ゼロ社会をつくってきて八年となっております。これらの法制度を見ますと、容器包装のリサイクルは区市町村、食品、建設、自動車、家電のリサイクルは事業者が役割を担うことになります。しかし、東京都も平成十二年に二十三区に清掃事業を移す前まで、レジ袋削減やペットボトル回収やごみ減量、リサイクルへの取り組みに全国でもいち早く携わってきました。
この点から、初めに環境局長にお伺いをします。3R推進について、区市町村との関係も含め、都としての今後の廃棄物行政の基本的姿勢を伺います。
○有留環境局長 循環型社会への変革に向けて、東京都が果たすべき役割は、清掃事業の区移管後もいささかも減じておらず、環境の危機が進行する中で、むしろより一層重要な責任を担っているものと認識しております。
今、私たちが取り組まなければならないのは、製品の生産段階から消費、廃棄物処理に至るまで、これまでの一方通行的な物の流れをリデュース、リユース、リサイクルの3Rを基本とした物の流れへと大きく転換させていくことでございます。そのためには、産業界の各分野、廃棄物処理、リサイクル業界、環境NGO、区市町村など、さまざまなセクターの関係者に対し、東京都が積極的に働きかけて、新たな資源循環の仕組みを構築することが必要でございます。
とりわけ、地域の住民や事業者に身近な基礎的自治体であり、一般廃棄物の処理の責任を担っている区市町村との連携は重要でございます。今後とも区市町村と密接に連携しながら、循環型社会への変革に向け、3Rの取り組みを東京から全国へ発信してまいります。
○大津委員 都の3R推進、廃棄物の減量化、資源循環型社会の形成の意気込みがわかりました。
それでは、3Rの推進にどのように都がかかわっているのか、リデュース、リユース、リサイクルの分野に分けて具体的に答弁を願います。
○井戸廃棄物対策部長 まず、リデュース、発生抑制でございますけども、容器包装が家庭ごみ処理の割合が高いことから、今年度、八都県市共同で容器包装の削減に積極的に取り組んだ企業を一般投票で選びます容器包装ダイエット大賞を実施しておりまして、容器包装の減量化等を促進しております。
次に、リユース、再使用でございますけども、広く関心を高めていくため、食育フェアなど首都圏の九つのイベント会場などで、リユース食器を使用しまして使い捨て製品の削減に取り組んでおります。
さらに、リサイクルについてでございますけども、リサイクル施設の整備等につきましては、区市町村を技術支援するほか、希少金属のリサイクル促進に向けまして、事業者や区市町村と協議会を立ち上げ、本年度、全国に先駆けまして携帯電話のリサイクルのモデル実験に取り組んでおります。今後、携帯電話以外の小型電子機器につきましても、リサイクルの促進に向け積極的に取り組んでいくこととしております。また、スーパーエコタウン事業におきまして、食品廃棄物のリサイクル施設などを整備しまして、先進的なリサイクルを促進しております。
今後とも、循環型社会の実現を目指しまして3Rを推進してまいります。
○大津委員 これからも事業者、都民、ほかの自治体と連携をして、我が国の3R推進活動に大きな影響を与える事業を進めていっていただきたいと考えます。
そして、首都東京ならではのファーストフード店から毎日排出をされる廃棄物や企業からの廃棄物についても、東京都がもっとリーダーシップを持って強く3Rの協力を求めていくべきであります。
そこで、最終埋立処分場についてお伺いをいたします。
清掃事業は二十三区に移しましたが、東京港に位置する埋立処分場は、今も東京都が管理運営をしております。この処分場では、リサイクルや環境対策の観点から、受け入れ基準をどのように設けて持ち込まれる廃棄物への指導をされているのか。また、指導により持ち帰ってもらった件数は年間どのくらいあるのか、お答えください。
○井戸廃棄物対策部長 都の処分場におきましては、有害的な物質はもちろんでございますけども、小さく破砕されていないものを受け入れないなどの基準を設けましたり、あるいはペットボトルなどリサイクルできるものが混入されていた場合には、それを持ち帰らせるなどの指導を行っております。
平成十九年度におきまして、受け入れ基準に適合しない等の理由で持ち帰らせた指導の件数は、約八十件ございました。
○大津委員 それでは、実際の東京のリサイクル率に着目をしてみます。
平成十八年度の二十三区のリサイクル率は一六・四%であったのに対し、多摩地域のリサイクル率はこの二倍以上の三五・三%と、全国的に見ても非常に高い水準にあります。なぜ多摩地域のリサイクル率が高いのか、どのような背景と事情があるのか、見解をお伺いします。
○井戸廃棄物対策部長 多摩地域のリサイクル率が高いというような背景でございますけども、多摩地域におきましては、かつて埋立処分場の確保に苦慮した経験から、住民の間にごみ減量ですとかリサイクルの意識が浸透してございます。また、現在でも、各自治体が分別の徹底ですとか、あるいは家庭ごみの有料化などに努めておりまして、そのような努力の結果としてリサイクル率が高くなっているものと認識してございます。
○大津委員 多摩地域の埋立処分場である二ツ塚処分場では、厳しい搬入規制が行われていると聞いています。
区市から持ち込まれるごみの内訳を見てみますと、例えば二十三区では、家庭ごみが約七割、事業系ごみが約三割。一方、多摩地域では、家庭ごみが約八割、事業系ごみは約二割でありました。リサイクル率に影響しているのが事業系ごみかと最初は私は思ったんですけれども、どうやら家庭ごみだとのことです。
しかし、同じくらいのリサイクル率かもしれない、例えば事業系ごみにしてみても、多摩地域の努力の事例といたしまして、けさ、たまたま日経新聞の朝刊の記事を見ました。これは町田市の例ですが、資源ごみなど回収、事業者可燃ごみ点検を徹底ということで、町田の方では、来年の春を目安に、事業者が排出をしてきた可燃ごみを事前にベルトコンベアの上に出して詳しく点検をし、紙や瓶や缶など資源ごみを取り除く。市は、実際サンプルした調査では、事業系可燃ごみの中に約三割の資源ごみがまざっていたということから、こういったことを決めたようであります。
そういう意味では、これだけリサイクルの高い多摩地区で、さらにまだ努力をしているということですので、東京都の二十三区におきましては、そういう意味では、埋立処分場という川下の立場から、循環型社会形成のための貴重な施設ととらえて、二十三区のリサイクル率をもっと高めるために、二十三区に強く協力を求めていく検討を始めたらどうでしょうか。
さて、二十三区の方では、この十月からサーマルリサイクルが実施されたわけです。
早速ですが、埋立処分場の状況は以前と比べどのように変化したのか。また、今後の埋立処分場のあり方をどう考えるのかの見解をお伺いします。
○井戸廃棄物対策部長 今後の埋立処分場についてのあり方でございますけども、都は、区部の清掃事業を担っていた時代から、埋立処分場の確保と延命化は大きな課題でございました。
平成九年に区部の可燃ごみの全量焼却、その後、焼却灰の溶融スラグ化を推進しますことで、処分場への負荷は大きく軽減してまいりました。
また、サーマルリサイクルにつきましては、平成十六年の東京都の廃棄物審議会答申で、廃プラスチックは埋立不適物との方向を示しました。これを受けまして、二十三区ではサーマルリサイクルの実施方針を立てられまして、十八年のモデル実施から始まりまして、ことし四月から十区、十月からは十二区が全区展開してございます。これによりまして、二十三区からの不燃ごみの埋立処分量が前年よりも約六割減少いたしました。
しかしながら、まだ不燃ごみの中にはリサイクルできるものも残ってございます。現在の中央防波堤外側処分場及び新海面処分場は、東京港に残された最後の貴重な空間でございます。この都民の貴重な財産でございます処分場の可能な限りの延命化を図るため、こうした処分場の実態などを十分に踏まえまして、さらなる施策の推進に努めてまいります。
○大津委員 先週、東京港の廃棄物埋立処分場を見てまいりました。不燃ごみの埋立処分量が約六割減というほど、確かに現場を拝見いたしますと、目に見える形ではっきりとわかりました。都の廃棄物最終処分場では、台風や風が強く、強風のときには搬入禁止となったり、そんなご苦労もあるとのことでした。また、真夏は五十度なので、氷と塩を常備して働くという自然環境の厳しさがわかりました。
働く皆さんにいろんなことを聞いてみたのですが、サーマルリサイクルは悲願であったということや、そういう中においても、さらにプラも産廃ももっと排出を減らし、二十三区にはもう一頑張りしてもらいたい、リサイクルできるものの工場への持ち込みを減らしてもらいたいなどという声や、もともとごみを出さないリサイクルできる生産過程などの声も拝聴しました。
このような過酷な現場を支えて苦労をされている方々のためにも、事業系は区市町村であるとはいえ、こうした不燃ごみの受け入れ先として東京都は、最終処分場という現場を持つ強みから、もっともっと川下から川上へと、埋立地を延命する観点から東京都として二十三区へもっと強く協力を求めていく時期と考えますし、そのための技術支援も必要であることから、環境局としては検討に入るべきだと考えます。事務事業の質疑のときだからこそ、原点に立ち返り、触れさせていただきました。
そして次に、CO2削減の一環でもあります太陽光発電の本起動についてお伺いをいたします。
太陽光発電の普及に向けた補助事業では、従来の普及状況に対しまして、およそ五倍の規模の年間二万件という目標を置いて事業実施が予定されています。この規模で太陽光発電が普及していけば、二十年たちますと、新たに太陽光発電の廃棄物問題が、先ほどと関連しますが、発生するのではと懸念をしております。
補助制度がスタートしようというこの時期こそをとらえて、メーカーには、最初からリサイクルしやすい素材や構造の研究開発を東京都として求めるとともに、補助金に頼ることのないコストダウンなど適切な働きかけを行うべきと考えております。この点について東京都はどのような働きかけを行っているのか、お伺いをいたします。
○大野都市地球環境部長 太陽光発電装置の中には、シリコンなど汎用性が高く高価な金属原材料が使われております。そのため、国際的に太陽光発電装置の生産量がふえる中で、原材料の確保はメーカー各社にとっても重要な課題となっておりまして、一部のメーカーでは、既にリサイクルについての検討も始まっております。
太陽光パネルの耐用年数は二十年以上ございますが、回収ルートやリサイクル技術の確立にはある程度の時間が必要でありますので、メーカーとも連携いたしまして、適切なタイミングをとらえまして必要な対応を進めてまいります。
また、コストダウンでございますが、コストダウンにつきましては、都が設置しました太陽エネルギー利用拡大会議におきまして、機器メーカー及び住宅メーカーなど関連する各社に対しまして、従来を大きく上回る普及規模を前提にコストの見直しを行い、導入者の初期負担などを大幅に軽減するよう働きかけを行っているところでございます。
○大津委員 従来の太陽光発電装置についていえば、例えば装置が壊れて発電しなくなったり、施工が悪くて屋根が雨漏りをしたり、近隣にマンションが建って日陰になって発電量が減少してしまったりという問題がありました。
このため、東京都の補助を活用して太陽光発電を購入しようと考えている人もたくさんおりますが、都民にとってこれらが不安材料ともいえます。このままでは、予定どおりの四万件に速やかに購入決断していけるかどうか多少の心配がありますが、補助制度を実施する以上、環境局としてこうした課題を解決しておく必要があると思いますけれども、見解を伺います。
○大野都市地球環境部長 今回の補助制度の実施に当たりましては、機器メーカーや実際に施工する工務店等と昨年の三月から普及方策の検討を進めてまいりました。この中で、故障や破損など、ご指摘をいただいた課題につきましても対応を検討してまいりました。
この検討を踏まえまして、破損や故障の問題に対しましては、メーカーを中心に工務店を巻き込んだサポート体制の充実を行うことを補助対象機器の条件としていくことにしております。この方針を受けまして、既にメーカーでは、関連の工務店等を対象とした施工講習などが実施されているなど、来年度からの補助制度開始に向けた準備が進んでおります。この結果、おおむね新品の導入時から十年間は導入時の性能が維持される、そういうサポート体制が整備される見通しとなっております。
それから、近隣に高層建築物等が建設されて日陰になるような場合でございますけども、こういう場合には、太陽光発電を導入した家庭では、従来からのものに加えまして、発電量の減少という経済的な損害も発生することになります。日影問題、日影の問題というのは、自体の解決は地域のまちづくりの課題でございますけども、太陽光発電の普及に際しましては、住宅の立地でございますとか周辺の用途地域など、将来に向けてのリスクの低減に関する重要な情報があらかじめ住民にも周知されるよう、関係機関とも連携して必要な対応を進めてまいります。
○大津委員 次に売電ですが、太陽光発電を導入する家庭にとっては、電気代が節約できるというだけではなく、使い切れなかった電力を東京電力が買い取ってくれるという余剰電力買い取り制度がありますが、そういったことも導入の一つの判断になっていると思います。
しかし、この余剰電力買い取り制度は、あくまで電力会社の取り組みであり、ずっと続く保証がないと聞いております。今回補助の実施に当たり、補助金を得て太陽光発電を導入しようと考える人にとって、余剰電力買い取りがいつ終わってしまうかわからないということでは、その不安が解決されない限りは普及が進みませんが、この点については都はどのような対策を講じているのか、お伺いします。
○大野都市地球環境部長 都では昨年、太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしまして、この中に東京電力の参加も得まして、太陽光発電の普及策のあり方を検討してまいりました。
この会議での検討の中では、二〇〇五年度に国が補助金を廃止して以来、電力会社による余剰電力買い取りに頼った普及策になっていると、こういう現状を改めまして、機器メーカーから工務店、金融機関など、太陽光発電の導入に関連するあらゆる企業や主体がそれぞれの役割を果たしまして、おおむね十年間程度で初期投資の費用が回収できるようにするという目標が共有されております。
その中で、電力会社の役割といたしましては、本普及事業の中で余剰電力の購入を行うということが位置づけられております。したがいまして、本補助事業の対象となる装置につきましては、今後も継続的に余剰電力の買い取りが行われると考えております。
○大津委員 二年間とはいえ、四万世帯への普及を実現するということになりますと、メーカーや工務店などの営業販売体制についても早急にめどを立てる必要があります。各企業の本格的な取り組みに先立ち、都は、簡素でわかりやすい補助金交付手続を整備するとともに、きめ細かく、あらゆる手段を通じて周知徹底を、そして周知活動を行っていく必要があると思いますが、その準備状況についていかがなものか、お伺いをいたします。
○大野都市地球環境部長 各区市町村等と連携いたしまして、市民祭りなど地域に密着したイベントにおきまして、新たな補助制度に関する周知活動を既に開始しております。
また、都による太陽エネルギー導入支援の実施を契機といたしまして、今回、国においても太陽光発電の導入補助金を復活させるということが決まりましたけども、現在、都の補助制度の窓口で国の補助金についても手続ができるように、国と都の制度と調整を進めております。これらの調整を踏まえまして、来年四月からの実施に備え、なるべく早い時期に東京都の補助金交付手続を明確化いたしまして、パンフレットを作成するなど周知活動を進めてまいります。
こうした取り組みによりまして、来年度から二年間で四万世帯への太陽エネルギー利用機器の普及活動を図りまして、さらには、都の目標でございます二〇一六年までの百万キロワット相当の太陽エネルギーの導入拡大に向けて、取り組みを推進してまいります。
○小磯委員 ただいまございました太陽エネルギーについて質問をさせていただきます。
今ございました、仮に四万世帯に太陽光発電が拡大をいたしますとエネルギーの何%に相当するのか、お伺いをしたいと思います。
○大野都市地球環境部長 標準的な住宅用の太陽光発電装置は、設備容量が三キロワットのものでございます。これは一年間に約三千キロワット時の電力を発電することができます。また一方、標準的な住宅の一年間における使用量は三千六百キロワットでございますので、今回の補助事業の対象としております、住宅の太陽光発電装置の導入の対象としております家庭と比べますと、年間の電力消費量の約八三%に相当するということになります。
また、平成二十二年度までの四万世帯への普及を初めとしまして、本制度を通じた太陽エネルギー利用機器の爆発的な普及と、これによりもたらされる機器価格の低減などによりまして、二〇一六年までに百万キロワット相当の目標を達成しますと、二十六万トンのCO2削減効果があるということになっております。
○小磯委員 今年度改定されました東京都環境基本計画では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用目標について、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度に高めることを目指すと、このようになっております。世界をリードする目標設定として高く評価をしておりますが、どのようにしてこれを実現させるのか、その姿をお伺いしたいと思います。
○大野都市地球環境部長 再生可能エネルギーの利用目標の実現に向けましては、その前提といたしまして、まず節電の徹底などエネルギー需要の見直しと省エネルギー技術の全面展開によりまして、消費するエネルギー自体の削減を進めてまいります。さらに、自然の風や光、熱をそのまま活用するパッシブな再生可能エネルギーを進めまして、それでもなお必要なエネルギーにつきましては、太陽光発電や太陽熱利用、あるいは都外も含めました風力発電などの再生可能エネルギーを活用していくということで、再生可能エネルギーの利用目標の達成を図ってまいります。
特に、再生可能エネルギーの供給量をふやす方法といたしましては、先ほどご答弁申し上げました太陽エネルギーの導入普及拡大策などに加えまして、エネルギーの大消費地である東京の特性を生かすために、使用するエネルギーをグリーン化するエネルギーのグリーン購入を都として率先して進めるとともに、同様の取り組みを行う自治体や企業をふやす活動に力を入れております。
○小磯委員 二〇二〇年までに二〇%程度に再生可能エネルギーの割合を高めるというのは、本当に並大抵のことではないと思いますので、いろいろと知恵を出しながら政策を進めていただきたいと、こんなふうに思っております。
この再生可能エネルギーの中で、バイオマスエネルギーについては、食料との競合など、単純に利用拡大を進められない問題点が顕在化しております。古くから利用が進められている木質ペレットを燃料とするペレットストーブのように、食料と競合しないバイオマス利用は、森林地域を中心として日本各地で見られるところでございますが、東京においても、非食料系のバイオマス利用に積極的に取り組むべきであると思いますが、見解を伺います。
○大野都市地球環境部長 都におきます非食料系のバイオマス利用としましては、下水道局の森ヶ崎水再生センターにおきまして、下水汚泥の処理過程で発生するバイオガスを利用して発電を行う事業を平成十六年四月から行っております。また、多摩産材の木質系バイオマスを下水道局の多摩川上流水再生センターで、下水汚泥の焼却時に使用する都市ガス等の代替エネルギーとして有効活用する事業を今年度より開始しております。
○小磯委員 先日は、八丈島にジャトロファ油という、いわゆる食料にならない食物の種子から油をとりまして、これの漁船での走行試験というのが行われました。八丈支庁長もおいでになりまして、また町長も来て、我々もそれを見させてもらいましたけども、漁船が走ると煙が煙突から出てくるんですけど、そのにおいというのは、漁船の独特の嫌なにおいじゃなくて、どちらかというとてんぷらのようなにおいでございまして、価格がどうなんだという面もありますけども、こういういろいろなものを使いながら、バイオマスエネルギーの普及、拡大にもぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。
次に、業務部門におけますCO2削減に関連して質問をいたします。
テナントビルにおきますテナントが使用する電力料金などを共益費として一定額を徴収している例があると聞いております。過去には、家主がテナントを借りているテナント事業者に電力料金を水増し請求していて、それで借りている方が、これは電力料金が高過ぎるんじゃないかということで訴訟もありまして、家主の方が裁判で敗れたと、そんな新聞報道もあったと聞いております。そのときの基準が、いわゆる通常の電気料金の一・三倍までは許容できるけど、それ以上の電気料金というのは違法じゃないか、こんな判例が出ております。
テナントビルの中には、個々のテナントの使用量を計測するメーターがついていないところもあるようでございます。いうまでもなく、テナントビルでのCO2削減を効果的に進めていくためには、オーナーとテナントとの連携が不可欠であり、例えばテナントが削減に努力した分は還元されるような仕組みが必要だと思います。都の削減義務の制度においても、このようなテナントビルの実態を踏まえた仕組みとする必要があると考えますが、所見を伺います。
○大野都市地球環境部長 テナントビルにおきまして効果的なCO2削減を進めるためには、オーナーとテナントとの協力連携が不可欠でございます。東京都の制度は、この観点から、テナントに対しまして、オーナーの実施する削減対策に協力する義務を課しております。この協力関係を有効に機能させるためには、テナントビルの実態を踏まえることが必要でございますので、現在行っておりますテナントビルの実態調査などを踏まえまして、有効な方策を検討してまいります。
○小磯委員 ぜひともこの実態調査を実のあるものにしていただきたい、こんなふうに思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、産業廃棄物の不法投棄対策についてお伺いをいたします。
本年の八月十二日、私を含め石川委員長、吉倉委員など都議会公明党の議員五名が、国内で発生した不法投棄事件の中でも最大級の規模として知られる青森・岩手県境の不法投棄事件の現場を訪れ、その現状をつぶさに視察をしたところでございます。
現場は二十七ヘクタールにもわたる原野で、そのような広大な土地に平成三年ごろから平成十一年までの間、首都圏の中間処理業者などから持ち込まれた汚泥や廃油、廃プラスチック、医療廃棄物など、実に約八十七万六千立方メートルにも及ぶ産業廃棄物が不法投棄されていた場所でございます。
現場で県の担当者から聞いた話では、これまで判明しているだけでも、問題の中間処理業者に処理を委託した都内の事業者は四千二百者近くにも上り、全体の三五%を占めているとのことであります。現場では、原状回復に向けた工事が着実に進められており、跡地利用に向けた検討も行われているとの説明を受け、心強く感じたところでありますが、同時に、これだけ広い範囲にわたって環境に深刻な被害をもたらす不法投棄がいかに罪深いものであるかも、改めて実感をしたわけでございます。
青森・岩手不法投棄事件について、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをいたします。
○井戸廃棄物対策部長 青森・岩手両県にまたがります不法投棄事件につきましては、全国最大級の事件でございました。事件発覚後、青森・岩手両県につきましては、直接不法投棄を実行しました処理業者に対しまして、廃棄物撤去等の措置命令を行いましたけども、同時に、廃棄物の排出元の事業者につきましては、関係者が全国に及びますことから、調査を進めて事業者を特定し、責任を追及することが重要な課題になりました。
こうしたことから、都は両県の要請を受けまして、都内における当該事業に関連した排出事業者の状況を調査し、両県が行う説明会の開催ですとか、あるいは立入検査に積極的に協力してまいりました。
○小磯委員 不法投棄が発生いたしますと、生活環境へ深刻な被害を生じさせるだけでなく、その原状回復にも甚大な経費を要することとなります。今回視察を行った現場でも、担当者の話では、原状回復に要する事業費は、岩手県側だけでも実に二百二十一億円にも上るということであります。
青森・岩手県境の不法投棄事件における原状回復への費用負担に関する責任の所在について、お伺いをいたします。
○井戸廃棄物対策部長 不法投棄に関します費用負担でございますけども、第一義的には不法投棄を行った者に責任がございまして、青森、岩手の両県が財産の差し押さえを実施しました。また、法令に違反して委託を行った排出事業者にも責任がございまして、両県では、都内の十三事業者を含みます二十五者に対しまして廃棄物の撤去を命令し、各事業者もこれを履行したところでございます。
また、この事件を契機としまして、平成十五年に国は特別措置法を制定しまして、原状回復に係る費用を助成するためのスキームも整備いたしました。
○小磯委員 事後的な対応もさることながら、まず不法投棄そのものを発生させないといった発想が何よりも重要でございます。全国的に見れば、依然として年間約十三万トンの不法投棄が新たに発覚しており、周囲の環境に甚大な影響を与え続けているわけであります。また、今後、高度経済成長期に整備された社会インフラが一斉に更新期を迎え、建設廃棄物の発生量の急増が予想されるなど、新たな不法投棄を発生させるおそれも懸念されているところであります。
このことについて、最近の不法投棄の現状についてお伺いをいたします。
○井戸廃棄物対策部長 最近の不法投棄の現状でございますけども、平成十八年度の全国の産業廃棄物の不法投棄につきましては十三万一千トンでございまして、平成十二年度の、六年前の四十万トンに比較しまして約三分の一に減少してはおります。ただ、依然として大量の産業廃棄物が不法投棄されているという実態には変わりはありません。
最近では、不法投棄が発覚しづらいように規模を小口化するですとか、あるいは有価物と偽ったり、あるいは廃棄物と断定できないように土とまぜて投棄するというような手口の巧妙化などの傾向が見られます。不法投棄される産廃の約七割につきましては、解体工事などから生じる建設廃棄物となってございますので、ご指摘のとおり、今後、建設廃棄物などの増加も予想されますことから、引き続き監視の目を強めてまいります。
○小磯委員 青森・岩手県境の不法投棄現場に限らず、東京都の排出事業者が排出した産業廃棄物が他県へと流れて不法投棄される事例が後を絶たないのは事実であります。加えて、青森・岩手県境の不法投棄事件からもわかるとおり、事後的には処理に大変な経費を要するわけでございます。
不法投棄の未然防止に向けた取り組みが何よりも求められると考えますが、この見解をお伺いいたします。
○井戸廃棄物対策部長 委員ご指摘のように、産業廃棄物が都外へと流れて不法投棄されることを未然に防止することが何よりも重要というふうに認識しております。昨年度から、不法投棄の主な原因となっております建設廃棄物の発生現場でございます建物解体現場二千件に立ち入りまして、マニフェストですとか、あるいは委託契約書を検査するなどの指導を実施してございまして、引き続き現場でのきめ細かな立ち入り指導を実施していきます。
また、広域的な産業廃棄物の不法投棄対応のため、都の呼びかけで設立しました、福島県から静岡県にわたります二十八の自治体で構成されます産廃スクラムと申しますけども、そこで、悪質、巧妙化する不法投棄に対処するため、本年十月から新たに不法投棄撲滅強化月間を設けまして、パトロールの強化ですとか、あるいは広報啓発活動を展開しております。東京都も期間中の取り組みといたしまして、陸上、海上、それから空の合同パトロールなどを実施しております。
今後、都としましては、未然防止の観点から、廃棄物の排出元と処分先の自治体間での迅速な情報共有化の促進ですとか、あるいは協力体制の確保など、自治体間の連携をより強化するために、率先して行動してまいります。
○小磯委員 答弁にありましたとおり、不法投棄防止のためには未然防止や自治体間の連携強化が必要であります。そのような取り組みに加えまして、排出元での現場指導、また、講習会などを通じた排出事業者の教育も重要であります。例えば、青森・岩手県境では跡地利用の計画も進んでいるようでございますが、この事件を教訓として語り継いでいくために、都内の排出事業者が現場を訪れることのできる機会をつくるという方法も考えられるわけであります。不法投棄をしない、させない、許さない、そうした社会づくりに向け、さらなる施策の展開に取り組んでいただきたいと、このように思っております。
続きまして、厚木基地の航空機騒音対策についてお伺いをいたします。
町田市の南約八キロ、神奈川県の大和市と綾瀬市にまたがる地域に米軍の厚木飛行場がございます。米軍軍用機の訓練飛行のために、町田市は大きな迷惑をこうむっているわけであります。
昭和六十年に東京都は航空機騒音に係る環境基準の地域指定を行い、以来、固定測定局や移動測定局を設置して航空機騒音を測定しております。
そこで、初めに環境基準の指定地域内で航空機騒音を測定する目的についてお伺いをいたします。
○柿沼環境改善部長 航空機騒音に係る環境基準は、飛行場周辺における航空機騒音から生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持することが望ましい基準として定められており、航空機騒音から生活環境を保全する必要がある地域を指定してございます。都は指定地域内におきまして、環境基準の達成状況を把握するための騒音の測定を行っておりまして、環境基準を超える場合には、関係機関に対して、航空機からの騒音発生の防止ですとか、住宅防音工事の推進などを要請しているところでございます。
○小磯委員 平成十六年十一月の事務事業質疑におきましても、厚木基地の騒音問題で質問をいたしました。そのとき、航空機騒音に係る環境基準の指定地域の見直しが必要と、そういう観点で質問をいたしました。当時の環境改善部長は、指定地域の見直しについては、現在直ちに必要とは考えていないが、これまで以上に広い範囲の実測データの収集と解析に努めるという答弁がございました。その後どのような調査を行い、どのようなことがわかったのか、お伺いをいたします。
○柿沼環境改善部長 委員の指摘がありまして、町田市の測定結果ですとか、騒音苦情の地域的な分布等を考慮いたしましたところ、現行の指定地域の外側におきましても航空機騒音の影響があるというふうに想定されましたので、指定地域を見直すことを前提に、平成十八年度、平成十九年度の二カ年度に本格的な調査を行いました。
指定地域を見直すに当たりましては、騒音の現場測定のほかに、航空機の飛行経路や機種ごとの飛行回数を把握して、騒音の広がりを予測計算するなど、詳細な調査を行っております。この結果、現行の指定地域の外側におきましても、航空機騒音に係る環境基準、航空機騒音の評価単位でございますW値というのであらわしますと七〇という数字でございますが、その環境基準七〇を超える地域が広がりを持って存在することが判明いたしました。
○小磯委員 当時、私が主張したことが裏づけられた調査結果が出たものと思っております。
そこで、都はいつ環境基準の指定地域の見直しを行うのか、また、新しい指定地域の面積は現行の指定地域と比べどの程度拡大するのか。ともかく速やかな指定地域の見直しを行うべきでありますが、考えを伺います。
○柿沼環境改善部長 現在、新指定地域の範囲を確定する作業をしておりまして、今後、地元の町田市の意見を聞くなどいたしまして、年内の改正を目指しております。
見直し後の指定面積は、現行の指定地域の面積と比べまして約五倍大きくなると考えられます。
○小磯委員 私が主張してきた指定地域の拡大は、測定、監視体制の見直しと不即不離の関係にあります。指定地域が拡大すると騒音の監視体制はどうなるのか、また、騒音被害の低減にどのような効果が期待されるのか、お伺いをいたします。
○柿沼環境改善部長 指定地域の見直しと測定体制の見直しは密接な関係がございます。このため、今回の指定地域の見直しに合わせまして、都は今年度、固定測定局を二局増設したほか、今後、効果的な騒音の把握が可能となりますように、移動測定局を再配置するなどによって、新指定地域における騒音の測定、監視体制を充実させてまいります。その測定結果によりましては、関係機関に対し、騒音被害の低減に向けて必要な措置をとるよう要請していくことになります。
○小磯委員 防衛施設庁は三年前に、住宅防音工事の対象地域を、町田市におきまして約八十戸から四万七千戸に拡大をしております。これが三年前であります。本来は、都が指定地域を見直して、そして、その見直した指定地域の中で騒音を測定して、やっぱり国の住宅防音工事の対象地域は見直すべきだと、こういうふうに都が国に提案をして、そして、国がやっぱり見直そうということで、住宅の防音工事の対象地域の見直しがされたというのが本来のあるべき姿じゃないかな、こんなふうに思っておりますが、ともかく、今後、五倍に拡大する指定地域内の航空機騒音の実態を的確に把握していただきまして、新指定地域内で環境基準を超えることがわかれば、しっかりした対策をとるように、また国に申し入れをしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。
最後に、先ほど質問がございました火薬類の取り扱いの安全確保について、質問をさせていただきます。
渋谷区内で起きた爆発火災事故によりまして、二名の方が亡くなるという大変悲惨な事故がございました。このことにつきまして深く哀悼の意を表する次第でございます。
先ほど環境局の方からは、この実態を把握していくと。市街地にある法対象の貯蔵所七十カ所を緊急に立ち入りをするということと、また、業界団体、区などを通じて関連情報を把握していくという答弁がございましたので、この質問は割愛をいたします。
そういった実態把握をするということで、ぜひとも綿密にやってほしいわけでございますが、その結果に基づいて、安全が一層確保できる制度などを構築することが重要であります。
一口に火薬といっても、工事現場で使うダイナマイト、また、隅田川の花火から子どもたちが遊ぶおもちゃの花火など、生活の隅々にまで行き渡っている火薬のすべてを一律に規制することということではございません。しかし、とはいえ、法規制の対象にはなっていなくても、一たび取り扱いを誤ると人に危害を生ずる規模の火薬を貯蔵するような施設に対しては、登録などの方法で都が常に実態を把握して指導を行い、適正な取り扱いを徹底し、周辺環境の安全を確保することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
○柿沼環境改善部長 ご指摘のように、火薬類による事故や災害を防止するということについては、法対象の施設だけでなくて、法対象とならない事業所においても、安全確保の徹底ということが何よりも大切になります。このため、現在、緊急立入調査及び法対象以外の貯蔵施設などの実態調査を行っております。
今後、こうした結果を踏まえまして、必要な対策について検討し、幅広く社会で利用されている火薬による事故や災害のない、安心・安全な都市の環境というものの形成に努めてまいりたいと思います。
○村松委員 東京に残された貴重な緑地について、初めに伺います。
地球の温暖化問題を考えたとき、緑地の果たす役割が今ほど求められているときはありません。緑地はCO2の吸収や大気の気温を下げる力を持ち、都民の心に安らぎと潤いを与える役割を果たしております。その心の安らぎを求めて、老後を元気に送りたいと、ハイキングコースなどとして今利用されております。
東京都では、東京都の事業として、かたらいの路という事業がありますが、この事業の内容について最初に伺います。
○中島自然環境部長 かたらいの路でございますけども、これは、都立自然公園あるいはその周辺におきまして、比較的展望のよい場所が連続するような箇所を、既存の道を活用いたしまして、都民の方がピクニックあるいはハイキングなどで手軽に楽しめるような日帰りのコースとして計画されたものでございまして、昭和六十三年から標識などの整備を順次行ったものでございます。
こうしたかたらいの路でございますけども、高幡不動から多摩動物公園、平山城址公園、長沼公園などをめぐる多摩丘陵コースを初めといたしまして、全九コース、総延長では百キロございます。
○村松委員 答弁にありましたが、私の地元日野市でも、高幡不動から多摩動物園の裏を通って、平山城址公園を尾根伝いに歩く、本当に適当なハイキングコースになっております。
最近では、この多摩丘陵コース、ここのコースにバリケードが置かれて通行どめになっているんですね。ここを利用しているリタイアされた元気な高齢者が、健康で老後が送れるようにと好んで朝に昼に晩に利用されているんですが、この多摩丘陵コースのこれまでの経過と問題点についてどう認識されているでしょうか。
○中島自然環境部長 かたらいの路でございますけども、これは民有地を通過する道を含めまして、先ほどもご答弁いたしましたけども、既存の道を活用して整備を行うということで、地権者の方のご協力を得ながら、必要な標識等の設置を進めているものでございます。
この多摩丘陵コースにつきましては、今、委員ご質問がありましたように、高幡不動から尾根を通るコースとして計画いたしました。ただ、平成元年の段階におきまして、このコースの一部において地権者のご協力をいただけなかったということで、その方のご意向を尊重いたしまして、現在に至っているという状況でございます。
○村松委員 私も行ってみたんですが、途中でバリケードがあって中に入れないようにしてあって、四十メーターくらいだと思うんですが、その向こうには車が置いてあって、そこも通行できないという状況です。
そういう中で、私はそこを、入り口のところに犬がいたんですが、バリケードをよけながら、犬にほえられながら行って、その地主さんにお話を伺ってきました。こういうわけで、何で通れないようにされているんでしょうか、何の理由なんでしょうかというお話をしたら、相手の方は、私は今留守番だからということで断られてしまったんですが、これまでこういうふうに地主さんに、あるいは地主さんがだめだったら--そこのコースの左側の方に農工大の土地があるんですね。その農工大の土地がちょうど二メーターくらい草が刈ってあって、その向こうが雑木林で、それこそ人が入れないような状況になっていたんですが、農工大の土地とか、あるいは地主さんに対する働きかけはされてきたんでしょうか。
○中島自然環境部長 やはりこれは、いずれにいたしましても強制的にそこを通せというわけにはいきません。したがいまして、我々といたしまして、あくまでも地権者の方のご協力を得るという立場でございまして、これまでも、今ありましたお宅に伺うとかして働きかけをしてまいりましたし、また、大学に対しても、かわりのコースを設定できないかということで相談をさせていただきました。
ただ、両者ともご協力をいただくには至っていないというのが現状でございまして、そうはいっても、やはりこうしたことにつきましては、そこを利用される方のマナーの問題もあると思うんです。したがって、我々といたしましては、広くここに限らずそうした方のマナーの向上などに努めまして、条件整備をする中で、引き続きご協力を得るということはしていきたいというふうに思っております。
○村松委員 引き続いて地主さんや大学側のご協力を得るために努力していきたいということですので、もうこれ以上はいいませんが、ぜひ、余り時間を置かないで、もう二十年たっているし、その間にそれぞれに、一回働きかけたのか二回働きかけたのか、それとも一年置きに働きかけたのかよくわかりませんが、時間を置かないで、やっぱり皆さんが気持ちよく利用しているわけですから、ぜひ強力に進めていただきたい。この要望をしておきます。
次に、東京の緑なんですが、事務事業の中でも書かれておりますが、毎回毎回、東京の緑は減少するばかりだと、そういう記事はあるんですが、その原因である相続税の発生に伴う税金対策なのか。そういう意味では政治と行政の責任を痛感しております。
東京都は、これまで国への要望には、相続税対策の改善などを要望しているんですが、東京都としても、この貴重な東京の緑、緑地保全対策を強化する必要があると思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○浅川参事 東京都におきましても、緑の東京十年プロジェクトを推進いたしまして、緑の創出、保全につきまして積極的に今現在取り組んでいるというところでございます。
○村松委員 緑のリーディングプロジェクトですか。(「緑の十年プロジェクトです」と呼ぶ者あり)十年プロジェクトね。そういうふうにいわれておりましたが、やっぱり東京都と一般都民の間の距離を、私、すごく感じるんですね。
私、この間、日野市や八王子市や立川市の公園緑地担当者からお話を聞いてきました。例えば日野市では、二十年前から緑地信託制度というのをつくって、固定資産税を減免し、市が緑地を管理する、こういうふうに取り組んでいるんですね。その目的の中には--日野市緑地信託等に関する条例です。この条例を二十年前につくって、この目的の中には、「この条例は、良好な都市環境の形成を図る一環として、市内の緑地を保全し、これによって市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。」、こういうふうに位置づけ、市の責務としては、「市は、緑地の保全のために講ずべき基本計画を策定し、これに基づき施策を積極的に推進するものとする。」というふうにきちんと位置づけております。緑地保全等の方策、その方策についても、「市長は、この条例の目的を達成するために、緑地所有者が委託者となって別に市長が指定する公益法人を受託者とする信託法による緑地の不動産信託契約を締結し、又は市長が緑地所有者との間で緑地につき地上権の設定、賃貸借、使用貸借若しくは土地管理の委託等の契約を締結することにより、緑地の保全を図っていくものとする。」、こういうふうにしっかりと位置づけて、緑地を保全するために取り組んでいるんです。
どのくらいの仕事をしてきたのかなと思って、私、具体的に資料をいただきました。例えば昨年度ですが、昨年度は日野緑地と南平緑地を買収、公有化しました。日野緑地は六百六十六平米、南平緑地が千五百五十八平米で、合わせて二千二百二十四平米に対して三億九千万円で公有化しているんです。
それから、これは百草・倉沢地区での公有化の取り組み状況なんですが、ここでも八万八千平米を、この資料は平成五年から十八年間で、八万八千平米、これを公有化しているんです。
また、立川市でも、立川市と七名の地主さんが契約をして、固定資産税と都市計画税を免除して、保全樹林地として一・七ヘクタール、約十カ所の幸町の貴重な緑地を後世に残したいと、開発されないように毎年少しずつ購入していると、こういうふうに努力されていると聞きました。
八王子でも、平成十七年に丘陵地保全に関する条例をつくって、昨年度、平成十九年には約五千平米を、これも約一・三億円出して購入したそうです。八王子市に聞いたんですが、八王子の場合は、東京都には現在、堀之内の緑地保全の指定に動いてもらっているが、今後もぜひ指定していただきたい、このようにいっておりました。
こういった区市町村がどういうふうに努力して取り組んでいるのか、この問題について東京都は認識をしているのか。それから、私は、区市町村がどんな取り組みをしているのか調査して、そこから学ぶ必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○中島自然環境部長 東京の緑でございますけども、これはさまざまにさまざまな主体が努力していく必要がございます。そのため、当然ながらそれぞれの自治体が、まずもって身近なところの緑をどうするかということは非常に大切なことでございまして、我々はさまざまな機会をとらえまして、例えば連絡会とかそういう中でいろんな情報を得ておりまして、そういった取り組みについては承知しております。
ただ、やはり身近な緑につきましては、それはまずは地元がどうするかということが大切でございまして、そうした観点から、きちんと都と区市町村の間で役割分担をいたしまして、それぞれに取り組んでおるものでございまして、地元のそうした動きについては、大変貴重な動きであるというふうに認識をいたしております。
○村松委員 貴重な動きだという答弁ですが、日野市の場合、年間予算が昨年度の決算で五百三十七億円なんですね。そのうちの三億九千万円、緑地の公有化に使っているんです。東京都の一般会計、何兆円ですか。七兆円近い一般会計からして、環境局の公有化予算はわずか十四億円ちょっとですよね。私はそこを見ただけでも、東京都は緑地保全は環境局だけじゃないよというかもしれないけど、でもやっぱりこれは姿勢が問われているというふうに思うんです。そういう意味で、もっと身を乗り出して緑地保全のために取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
それぞれの市町村からも、東京都に対して要望はありますかと聞きましたら、いろんな機会があるたびに自分たちは要望していると。例えば日野市なんかは、新都市建設公社が保有している緑地、これをぜひ保存したいと。そこだけだと面積が少ないから、あの崖線、豊田崖線、東豊田の崖線から続いて、旭が丘の方の崖線に通じるんですが、そこをまとめて東京都で、東京都も一緒になって何とか力を入れてくれないかなというお話もありました。
それから、立川の担当者からは、立川崖線に沿って帯状に残された緑地を、緑を残したいと思っていると。これまでも国の補助金を使ったり、東京都の保全緑地として指定してもらったりしているが、さらにここの立川崖線も保全のために働いてほしいと。
八王子市からは、市街化調整区域が今どんどん開発が進んでいるために、緑地保全が追いつかないと。このようにどの自治体も、相続の問題や緑地が減少する場合の対策が追いつかない、四苦八苦している、こういうふうにいっておりました。
私は、これだけ地球温暖化の問題がいわれているときに、東京全体の緑地がどうなっているのか、東京の緑地は毎年毎年ふえているのか減っているのか、その辺の調査はされているんですか。
○浅川参事 定期的に、みどり率というような考え方で調査を行っております。
○村松委員 定期的にというのは、どの程度の間隔ですか。
○浅川参事 みどり率の関係でございますが、平成十年、あと平成十五年、その以前は緑被率という形で、おおむね四年ないし五年の間隔で調査を行っております。
○村松委員 特に多摩地域の私たちは、身近な緑がどんどん減少していくということで、非常に不安を持っているんです。そういう意味で、五年に一度しか緑地について調査をされていないと、こういうことでは本当に困るんです。私は、やっぱり市町村の担当者と定期的に連絡会なんか開いて、これも定期的にって、一年に一回や五年に一回なんていわないで、できるだけ回数を重ねて、やっぱりそれぞれのところでどんな工夫をしながら頑張っているのかということで、お互いの経験を聞きながら、それで東京都も身を乗り出して支援できるような、そういう体制をつくる必要があるというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょう。
○中島自然環境部長 当然、そうした地域の自治体といいますか、身近なところの緑に一番関心がある自治体と、我々はさまざまに情報収集しておりますし、また意見交換もしております。ですから、定期的なというよりも日常的な仕事の中でそういうことをやっておりますので、改めて形式的なそういうことよりも、私は、実質的にいかに連携をし合うかということが大切であるというふうに考えておりますし、また、うちの職員も現場に出向いて、実際に土地を所有している方にじかに当たって、いろんな情報をいろんなお話をする中で聞いて、可能な限り公有地化というものを図っているんですね。ですから、あくまでも地権者の同意をいかに得ていくかということが大切でありますし、そうした点について今後とも努力していきたいと思っております。
また、先ほどちょっと委員からご発言がありましたけども、私どもの予算は、前にも前局長もお答えいたしましたけども、決してわずかな予算ではありませんで、可能な限り公有化に向けた予算を組んでいるところでございまして、何とぞご理解をいただきたいと思っております。
○村松委員 予算の話が出ました。かつては公有化予算、年間百億を超えたときもあるんです。それが今の十四億で多いというふうにいい切れますか。そんなことないと思うんです。
それで、現場の職員が現地に行ってというふうにおっしゃっておりましたが、現場の職員というのは多摩地域には何人ぐらいおられますか、各市町村を回れる担当者。
○中島自然環境部長 多摩地域には多摩地域の職員がおりますが、何も多摩環境事務所の職員だけが回っているんじゃありませんで、私どもの緑環境課の職員も含めて、緑環境課担当直接には四人なんですが、課長を含めても五人ということですけども、あらゆる機会を通じて接触しているということでございます。(村松委員「多摩は」と呼ぶ)具体的な数字は把握しておりません。
○村松委員 この広い東京の中で、都庁の中の緑関係の担当者がたった四名と。多摩の方の事務所に何人いるかわかりませんが、そこでそんなにまめに連絡ができるのかどうなのかという思いがあるんです。
それで、毎年、市長会から重点要望として、一ヘクタール未満でも都の予算で購入できるように、そういう要望が出ているんですが、これにこたえていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○中島自然環境部長 先ほどの多摩環境事務所で、自然環境に関する職員で申しますと三十一名おりますので、あらゆる機会を通じて、その他の職員も、何か情報があれば所長の方に上げているということでございますので、そういったことは必要かと考えております。
ただいまの質問でございますけども、保全地域の指定につきましては、東京都と区市町村との役割分担などを踏まえまして、広域的な視点から、自然性豊かな緑が多く残っている丘陵地や山地の緑地を指定対象としております。今後とも、こうした考え方に基づき適切に対応してまいります。
○村松委員 今の答弁、非常に抽象的なんですが、もうちょっとはっきりと、一ヘクタール未満でも都の予算で購入できるようにしていただけないかと。例えば八千、九千平米と、一ヘクタールいかなければ東京都がお金を出してくれないと。これまでの経過を見ても、確かに一ヘクタール未満は指定されていませんよね。だから、やっぱり市長会からは毎年重点要望で出ているんです。
もう一度、抽象的でなくて答弁してください。
○中島自然環境部長 何回もお答えしておりますけども、区市町村と役割分担に基づきまして適切に対応してまいります。
○村松委員 役割分担、役割分担といって、市町村の場合は直接都民、住民と接しているから、住民の皆さんが、うちの近くのあのがけがとか、うちの近くのあの緑がなくなりそうだということになると、一番先に市へ行くんです。だから、市は東京都に何とかしてもらいたいと思っていっても、一ヘクタール未満がどうでのといわれちゃうと。そうすれば、ないお金でも対応せざるを得ないという、そういう状況だから、毎回市長会は重点要望で出してくるんです。
だから、まず市町村が身近なところで対応しろというんじゃなくて、さっきいったように、もっと東京都が市町村に行って現状をしっかりと、お互いが情報交換して、それを受けとめてほしいと、そのことだけ要望しておきます。
次に、稲城市の南山開発について伺います。
私はこれまで、稲城市の南山開発の問題について、文書質問や委員会質問で取り上げてきました。
南山開発が計画されている場所というのは約八十七ヘクタール、多摩動物公園の一・七倍の広さです。ここには豊かな生態系の象徴といわれるオオタカの営巣が確認され、タマノカンアオイ、キンラン、ギンラン等が生息する、東京近郊では高尾山に次ぐ自然の宝庫といわれているところです。東京都が四十七億円、地元稲城市が二十億円の補助金を出して、二千五百五十世帯、七千六百人が住む住宅を建設するという計画です。
南山の開発によって公園、緑地がどのくらい残るんでしょうか。
○中島自然環境部長 ただいまのご質問でございますけども、開発前の緑地面積は約七十六ヘクタールでございまして、竣工後の緑地面積というのは約十三ヘクタールになります。
○村松委員 これは開発予定面積の何%に当たりますか。
○中島自然環境部長 私ども自然保護条例上の緑地基準といたしましては、この事業の場合、区域面積の五%以上の緑地、そしてそのうち三%以上の公共的緑地を求めております。こうした基準に対しまして、本事業の区域面積の一五%の緑地、そのうち一二・二%の公共的緑地を確保するという内容になっております。
○村松委員 たった十数%しか緑が残らなくなるんですよね。この南山地域というのは、東京都がフィンガープランの計画をしていた都立多摩丘陵自然公園、ここに入っているんです。その緑が無残に十数%しか残らないように開発されてしまうと。だから、地元の人たちは何とかならないかということで運動しているというふうに私は思うんです。
昨年六月に南山東部土地区画整理事業造成検討委員会から答申が出されました。これは、南山が稲城砂層といって水を含みやすく、中越地震で大きな被害を受けた新興団地と同じ危険が指摘されたために、答申の中で土地基盤の大きな変更がされたと聞きました。これをもとに事業計画の大幅な変更がされたと伺いましたが、ことし九月二十九日に第一回事業計画の変更の認可が東京都から出されたそうですけれども、変更された中身と、そのことによるアセスの影響はあるんでしょうか。
○大野都市地球環境部長 本年度は、区域の一部編入でございますとか、道路等の位置変更に伴う土地区画整理事業の変更申請が都市整備局に提出されております。九月二十九日に都市整備局の方で認可の告示が出ていると聞いております。
東京都環境影響評価条例、アセス条例では、軽微な変更等を除きまして、対象事業の内容の変更等を行おうとするときには、事業者は変更の届け出を行うとなっておりますので、今後、変更届が提出されると思われますけども、まだ提出されておりませんので、詳細な内容は把握しておりません。
○村松委員 アセスの影響はどこにどういうふうにあるのかということも、つかんではいないでしょうか。
○大野都市地球環境部長 今申し上げましたように、このアセスメントは、もともとは、平成十三年三月十三日に評価書案が提出されまして、その後、環境影響評価審議会で審議を経て、平成十四年九月に評価書が提出されたということでございます。その後の変更でございますので、現在まだ提出されておりませんので、細かい中身については承知をしておりません。
○村松委員 土地基盤の整備ということで、これまでの整備よりも相当厳しく土地を固めていかなきゃならないと。私も、高松町団地という、中越地震のときに大きな被害を受けた、その場所を見てきたんですが、そこの土地というのは、谷を埋めて、そこの土砂が崩れてきたという、そういう経験の中から、稲城砂層というところは同じような条件があるということで、非常に厳しい条件のもとで今度の変更が出されているんです。
その中身をちょっと、私もいただいたので見たら、何と、整備費なんですが、これまでは九十六億九千二百九十一万二千円の整地費だったんですが、百四十億一千六十万円、このように本当にこれだけでもふえているし、それから、調査設計費というのが新たにまた四十一億七千六百万円ふえているんです。こういうふうに、現地では土地基盤整備を進める、そのためにお金がうんとふえてきているという状況が出ております。
具体的にどういうふうになるかというと、これまであそこの土地は、開発地区内で残土処理をするというふうに計画していたんですが、この残土処理を地区外に持っていくというふうに変わったんです。どのくらいの残土が発生するかというと、約三十万立米が発生して、それを持ち出すことになるんですが、それは十トントラックで何台が必要になるのか、もしわかっていたらお示しください。
○大野都市地球環境部長 再々申し上げますけども、まだ変更届が出ておりませんので、変更の中身については私は答弁する立場にございません。
ただ、今の委員のご質問の中で、従前は区域の中で残土を処理するというお話でしたが、これはもう既に出ているアセスの内容ですのでお答えしますけども、現行の、変更前につきましても区域外に出すという前提でありまして、それに基づく影響評価を行っております。
○村松委員 この一番大きな変更というのは、三十万立米外へ出る、この土を運ぶためにダンプが、それこそ十トントラックで約五万台というふうにいわれているんですが、それの騒音や大気汚染、そういった問題もやっぱり見直さなきゃいけないという問題になってきているというふうに思うんです。
それで、この結果はいつごろ出るのか、大体の予測はされているんでしょうか。
○大野都市地球環境部長 まず内容につきましても、再三申し上げますけども、まだ提出されておりませんので、答弁する立場にございません。
時期につきましても、まだ業者からいつ提出するというお話は伺っておりません。
○村松委員 ということは、今、業者は予測評価をやっているということですよね。予測評価をやって、それに基づいて東京都がどういう指導をするかというのが決まるわけですよね。そのことは現地で結果が出ない中での作業というのは認められるんですか。
○大野都市地球環境部長 現地の作業というのはどういう作業かわからないので、何ともご答弁しづらいんですけども、既に一回アセスメントは終わっておりますので、それに基づくものについては、着工届も出ておりますから、当然それは実施は可能でございます。
○村松委員 現地の状況がわかりませんというふうにおっしゃっていますけど、現地ではもう既に墓地の整備ということで、四・三ヘクタールの工事を進めているんです。その工事の前段階かもしれないんですが、そういう中で周りの人たちが、ほこりが飛ぶとか、それから子どもたちが心配だということなんかも出ているんです。そういうふうに、今の状況はわかりませんなんていわないで、ぜひ現地に行って調べてきてほしいんです。
○大野都市地球環境部長 私が申し上げたのは、私が現地の状況を把握していないと申し上げたのではなくて、委員がどういうふうなものをいっているかがわからないと申し上げたんですけども、アセスメントに関する着工届は昨年十月に提出されておりまして、現在、仮囲いの設置でございますとか樹木の伐採などの準備工が行われております。
アセスメント上は、工事に伴うほこりの発生でございますとか、それに対する苦情の有無につきましては、工事施行中の事後調査報告というのが出ますので、それを通じて把握をしております。これは一般論でございますが、知事は、必要があると認めるときには、事業者に対しまして環境の保全に必要な措置を講じることができるという規定になっております。
○村松委員 規定は規定でいいんですが、それを実際に現場に行ってみて指導できるようでなければ、その規定は全くなきに等しいんじゃないでしょうか。私はその辺で、まず現地に行って、どんな事業をしているのかということをぜひ調査していただきたいと、そのことを申しておきます。
ところで、環境局として、南山開発の同意に当たって条件を南山東部土地区画整理組合の方に出しました。この特別条件ではどんな条件を出したのか、伺います。
○中島自然環境部長 南山東部土地区画整理組合設立準備会に対しまして、私どもは同意するに当たりまして、特記条件といたしまして幾つか課しておりますが、そのうちの主なものといたしましては、各工区の造成を行いながら、オオタカの生息行動調査を継続して、オオタカに関する状況及び工事の実施状況について二カ月ごとに報告することですとか、オオタカの繁殖期におきましては、作業について施工前に猛禽類専門家の意見を聞き、確実な保護対策を講じた上で実施することなどを付しております。
○村松委員 その特記条件の中で、オオタカが、本来地名をいえればいいんですが、地名をいわないでNとします。Nで引き続き繁殖に執着するような状況にあった場合は、猛禽類専門家の意見を聞いて、事業の計画変更を含めて検討を行うこと、こういう条件をつけています。この条件が出されたのが平成十八年三月三十一日です。その後、この場所でオオタカが確認されたんでしょうか。
○中島自然環境部長 今、委員が挙げましたNという箇所につきましてですけども、ここはその時点ではございませんでした。その後につきましては、これを具体的に日時、場所とか、そういうことを特定いたしますと、やはりそうしたことがオオタカの保護上、非常に重大な結果をもたらすことになるので、その後のことについてはお答えできない状況でございます。
○村松委員 オオタカ問題は、東京都からいただいた資料もあるんですけど、この資料を見ますと、これまで計画区域でオオタカの繁殖状況が確認されていますか。
○中島自然環境部長 この区域におきましては、過去に何カ所か造巣とか繁殖、そうしたことが確認されております。
○村松委員 答弁にありましたけれども、オオタカの営巣や、あるいは繁殖状況が確認されていると。この計画区域では、平成十七年、いただいた資料があるんです。平成十八年に東京都が特記事項を出しているわけですから、平成十八年もそれはいたということになると思うんです。
それで、私、現地の区画整理組合の人たちと一緒に調査をしている方たちのニュースを見させていただきました。この中には、さっき私が紹介した東部地区のNは、稲城市でも最大級の谷戸地で、豊かな自然を残しており、オオタカの営巣には非常に適した場所であると考えます。オオタカ生息地保全のためには、本来ならばこのN地を保全するべきであると私たちは考えましたと。しかし、ここは軟弱な地質のために、過去に大きな災害があって、東部地区を残すためには事業費が非常に多くなることや、また、せっかく保全しようと考えたN地区もコンクリートで固めなければならないことがわかって、私たちは市民プランを実現困難であると断念したと。そこで、実際に過去にオオタカが繁殖に成功した--次はOです--O地区の西地区を保全することを目標として、保全する地域を縮小した最終提案を準備会に提出したと、こういうふうにいっているんです。
要は、N地区もO地区も計画地の中なんです。ここの方たちは、N地区はがけがあったりして、そこに生息するようにすればいろいろ弊害があると。だから同じ計画地のO地区に移転できるように、そこの条件整備しようということがこのニュースで書いてあるんです。O地区エリアで営巣していた、樹木は杉であって、営巣樹林としては枝ぶりがそれほどよくないことから、エリア内の杉等樹木に営巣しやすいように人工的な枝を取りつけるなどの対策を講じる。そういうふうにいって、具体的にどうするかということで、N地区の巣づくりが確認された樹林の状況を調査して、その結果を踏まえて、Oエリアが再度利用できる樹林地の適切な管理計画を立案すると、こういう動きをしているんです、実際に。
こういう動きをしているわけですから、私は、オオタカがすんでいるようなO地区やらN地区やらというところは、やっぱりきちっと残す必要があるというふうに思うんです。オオタカを保護するという環境問題では、最大限これは、特記事項でわざわざ残しているわけですから、これは開発すべきじゃないというふうに思うんですが、再度お願いいたします。
○中島自然環境部長 そのために私どもも、先ほどもご答弁申し上げましたが、設立準備組合に対しまして特記条件ということを付しまして、仮にある地区に引き続き繁殖に執着するような条件があった場合には、専門家の意見を聞いて、そして事業の計画変更を含めて検討するということを付しておりますので、これに従ってやっていただくことになります。
○村松委員 答弁はそれに尽きるんですが、私が最初に聞いた十八年度に生息していたと。準備会と一緒に調査をやっている人たちがいろんな手を打ってオオタカを守りたいと、だけどそれは計画地内だという問題があるんですね。そういうのがあるだけに、オオタカをきちっと守っていくという立場に立つ、その答弁に尽きるんですが。
それから、この問題では、現在、住民団体の皆さんが一緒に進めているというふうに思うんですが、やっぱり多くの稲城の市民の皆さんは、南山の緑を守ってほしいんだと、貴重なオオタカやら、それからさっき紹介したキンラン、ギンランとか、タマノカンアオイという、そういう動植物を守ってほしいんだという思いがあるんです。
東京都は、住宅が世帯数を上回っている、こういうふうにいって都営住宅を新規に建設しないのに、貴重な緑地をつぶして二千五百五十戸の住宅をつくると。しかも、都立多摩丘陵自然公園に位置づけられているところに住宅開発を許すと。本当に許せないというふうに思うんです。今でも多摩ニュータウン事業の住宅部門というのは、稲城エリアだけでもURの未利用地がたくさん残っている。本当にこういう問題も含めて環境局として、こうした整合性のとれない環境壊しの開発、これをもっともっと注視しながら、私は中止をしていただきたいというふうに、これは環境局に中止を求めても仕方がないんですが、本当にそういう意味で都立多摩丘陵自然公園を守っていくという立場に立っていただきたいというふうに思います。
計画地区内のオオタカの営巣状況についても、引き続きしっかりと調査を組合の方にさせるようにということで、要望をしておきます。
次に、環境確保条例の改正について伺いますが、自動車から排出されるCO2の削減対策強化が打ち出されました。答申では、自動車から排出されるCO2の削減対策強化が打ち出されて、制度強化の必要性と背景では、都内のCO2排出量が業務部門三六・四%、家庭部門二六・二%、運輸部門二六%等、高い排出量であることがこの答申の中には書かれております。
この答申の中には、さらに現行条例では、自動車から排出されるCO2削減を主目的とした構成になっているとはいえない、こういうふうに述べているんです。そういいながら、今後は、二酸化窒素の環境基準の早期達成を目指して、引き続き自動車排ガス対策を進めるとともに、地球温暖化対策から自動車全体をターゲットとしたCO2削減策を含めた施策を推進していく必要があると、必要性まで明らかにしました。
ところが、今回の条例改正には、自動車からのCO2排出削減の取り組みは除外されております。この問題で、我が党は条例改正の委員会のときも、それから昨年度の決算をした十月の決算委員会においても取り上げました。
条例に自動車から排出されるCO2の削減対策の強化をなぜ入れなかったかという理由に対して、東京都は、CO2削減対策としては、都県域を越えて移動する自動車という特性を考えた、それを踏まえた広域的な視点からの検討が必要と。また、物流における事業者の自動車利用状況などについてヒアリングが必要などの意見もいただいたと、実態把握が求められているとしております。この観点を踏まえて、CO2削減対策の強化を目指して、条例化を含めて施策の展開を図っていると答弁をされたのですが、いつからどのように具体的に進めていくのか、こういった答弁がありませんでした。
都県域問題をいうのならば、ディーゼル車の規制のときには、その都県域の同意をされなかったんじゃないんでしょうか。
それから、自動車からのCO2排出量は、業務部門、家庭部門に次ぐ二六%の排出量ですから、早期に条例化に踏み出すべきだ、このことをもう一度ただしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○市川自動車公害対策部長 環境確保条例に関するご質問にお答えさせていただきます。
まず、ディーゼル車規制につきまして、都県域を越えた連携をしなかったのではないかとのご質問がございましたけれども、ディーゼル車規制につきましては、八都県市と連携して現在も取り組んでございまして、今も規制等の取り組みは、八都県市で取り締まりを合同で行うなどを行っているところでございます。
続きまして、CO2削減対策を進めるに当たっての条例改正についてでございますが、委員ご発言のとおり、都県域を越えて移動する自動車の特性を踏まえた広域的な視点からの検討、あわせまして、環境審議会におきましても、物流における事業者の自動車利用状況についてヒアリングが必要などの意見もいただいているところでございます。
また、中でも自動車管理計画書制度の拡充というのをご答申いただいてございますが、こちらは自動車を所有している事業者を対象としている現行の計画書とは異なりまして、自動車で荷を運ぶ荷主の立場での働きかけを求めている新しい制度でございますので、そのため、運送事業者のみならず、荷主側の状況につきましても、きめ細かな実態把握が必要だと考えてございます。
こうした観点から、自動車から排出されるCO2削減対策の強化を目指し、さまざまな施策に取り組んでおりますとともに、答申をいただいた内容につきまして、現在検討を進めているところでございます。
○村松委員 東京都のCO2排出量の三番目ですよね。二番目が家庭部門の二六・二%。家庭部門と大して変わらない排出量を出している自動車対策、これはやっぱり待ったなしだというふうに思うんです。
先ほど、ディーゼル車対策の問題で都県域の問題がいわれましたが、まず東京都が率先してやったというのが、私はこの問題では実態にあるんじゃないかというふうに思うんです。
それから、確かに流入している車の物流における自動車利用状況の実態把握あるいはヒアリング、これは必要だというふうに思うんです。だけど、余りもたもたしてられないというのも、これまた現実だというふうに思うんです。
私は、一刻も早く条例化して、条例化するとしないではうんと違うと思うんです。目的意識的に東京都の責任あるいは事業者の責任というのが明確になりますので、そういう条例化を進めていただきたいと思うんですが、それと同時に、やれることにはすぐ手をつけていけるということもあると思うんです。
この答申の中では、自動車単体対策、低燃費車の普及拡大とか、環境に配慮した自動車運転、エコドライブの推進、燃料対策など、ドライバー一人一人の行動や事業者、荷主等のビジネススタイルの変革を推進するための規定を設ける必要があるとまで提案がされております。
自動車からは、CO2の排出だけでなく、NOxやPM二・五など、健康被害をもたらす大気汚染の問題もあります。
昨年八月に和解が成立した東京大気汚染訴訟でも、自動車交通の総量削減対策が打ち出されました。
そこで伺いますが、都内の乗用車登録台数は増加しているのか減少しているのか、環境局で把握していたらお答えください。
○市川自動車公害対策部長 都内の乗用車登録台数でございますが、二〇〇五年度の乗用車でございますが、約三百二十二万台をピークに減少傾向にございまして、毎年およそ一万台ずつ減少してございます。二〇〇七年度における乗用車の登録台数は約三百二十万台となってございます。
○村松委員 その内訳についてはわかりませんか。軽自動車とか、あるいはこれが個人の乗用車なのか、あるいは営業車なのかということも、もしわかっていたらお示しください。
○市川自動車公害対策部長 大変恐縮ですけど、所有関係、個人、事業者については、現在、手元に把握してございません。
小型自動車、軽自動車というところでは押さえてございますので、二〇〇五年と二〇〇七年度で比較させていただきますと、まず軽乗用車につきましては三十万台から三十四万台に増加をしてございます。普通乗用車につきましては百四十四万台から百四十五万台ということでございます。小型乗用車につきましては百四十八万台から百三十九万台ということで減少しているところでございます。
○村松委員 今、車の台数が二〇〇五年度をピークに減り続けているというお話がありました。二日前の新聞でも、国交省が道路需要予測を引き下げるというような方針を打ち出したことが報道されました。
車種別CO2排出量が最も多いのが乗用車で五五%ですから、この対策を優先させて取り組んで、乗用車を利用しなくても済む方法を考えることが私は重要だと思います。大気汚染訴訟の和解にもあります交通需要マネジメント、TDMの実施を早急に取り組む必要があると考えますが、その辺についてはいかがでしょう。
○市川自動車公害対策部長 自動車の関係の環境対策の一環として、自動車交通量の抑制を図っていくことは重要な役割であるというふうに考えてございます。TDM対策の中で、パーク・アンド・ライドの実施による自動車利用から公共交通への転換、あるいは、物流の効率化によりまして、トラックの台数の削減によります交通量の削減などに取り組んでいるところでございまして、年々、交通量とともに渋滞の距離の減少などに効果があらわれているところでございます。
今後とも、こういったTDM施策につきましては、自転車利用の促進も含めまして幅広い展開を図っていきたいと考えてございます。
○村松委員 交通需要マネジメント、TDM、この取り組みは、まさに環境局の仕事だと思うんですが、自動車の効率的な使用や公共交通機関の利用促進など、自動車交通の抑制を図るため、駐車マネジメントや道路交通システムの高度情報化による既存道路容量の回復、乗りかえの利便性の向上や自転車の活用、パーク・アンド・ライドによる自動車利用からの転換、物流の効率化など、TDM施策をより一層充実していくというふうなことが和解で出されているんです。
私たちの身の回りでも、これは結構やればできるということがあると思うんです。それも行政の姿勢によってできるということがあると思うんです。
例えば、私たちが今アンケート調査をやっているんですが、アンケート調査の中には、高齢化している人たちがいるんです。本当は車を使いたくないけれども、今の市がやっているミニバス、市内循環バスとか、あとワゴンタクシーなんですが、これをもっと、一時間に一本といわず二本、三本、それから朝夕の時間を延ばしてくれれば、そうすれば車を使わないでまちに出られる、買い物に行ったり、病院に行ったり、いろんな社会活動に参加できると、アンケートの中でそういうふうな書き込みがあるんです。そのことによってこれをみんなが心がけたら、これはすごい大きな成果になるというふうに思うんです。
もちろん、交通の便の悪いところもあると思うんです。まだそこまで自治体が細かい手を打っていないというところはあると思うんですが、本当に行政が細かいところに目を向けて、できるだけ公共交通を拡充していくと、そういうふうにすれば自動車総量の抑制をすることができるというふうに思うんです。ぜひこれを強化していただきたいと思います。
それで、八月の和解条項の中で、交通需要マネジメント以外の環境局所管分、そこの進捗状況というのは今どうなっているんでしょうか。
○市川自動車公害対策部長 東京大気汚染訴訟の和解事項として、環境局にかかわる事項としましては、委員ご指摘のTDM施策以外に、低公害車等の導入促進、エコドライブの普及推進、微小粒子状物質の常時測定体制の強化というのがございます。
低公害車の導入促進につきましては、今年度から、中小事業者を対象とした融資あっせん制度において、最新の排出ガス規制適合車の買いかえに加えまして、低燃費車等の購入も対象にするなど施策の充実を図るとともに、より低公害、低燃費な庁有車の導入も促進することとしてございます。
エコドライブの普及促進につきましては、先日、六月にも自動車教習所の教官の講師養成などを行いまして、あわせてリーフレットなどエコドライブ普及啓発資料の配布など、ホームページの活用ともあわせまして幅広く普及啓発を行ってございます。
なお、微小粒子状物質の常時測定体制の強化につきましては、微小粒子状物質については、都内における実態を解明していくために、大気環境中の濃度や成分の測定、発生源や生成の仕組み等の調査研究、将来濃度の推計等を行いまして、目標値の設定と都独自の対策を検討していくこととしているところでございます。
○村松委員 ぜひそれらの対策を強化して、こういった公害患者を一人もこれ以上ふやさないという対策を強めていただきたいと思います。
以上で質問を終わるんですが、先ほど来からの答弁の中で、私は、今の地球温暖化問題を考えたときに、今、都庁挙げて地球温暖化防止に取り組まなければいけないと。そのためには、残された多摩地域の貴重な緑を残す、それから環境をしっかりと守り抜くということと、私は前の環境確保条例のときにもいいました。東京の一番のCO2の排出である業務部門、ここにやっぱり手をつけなければどうにもならないと。そういう意味では、都市の成長管理というところで、今後も東京都に私たちは求めていきたい。
以上で質問を終わります。
○石川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十三分休憩
午後三時四十分開議
○石川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原田委員 大きく四点質問したいと思います。
初めに、東京都マンション環境性能表示制度についてお伺いします。
平成十七年度環境確保条例の中で位置づけられた東京都マンション環境性能表示制度は、延べ床面積一万平米超で、かつ住宅用途面積二千平米以上の新築、増築の分譲マンションに限られ、その対象件数は百二十三件と大変少ない状況です。このマンション数は、東京都全体の何%に匹敵するか、対象外への誘導はどのように考えているか、まずお伺いします。
○大野都市地球環境部長 最新の統計データがございますが、平成十八年でございますので、これでお答えを申し上げますと、この一年間に都内で着工いたしました共同住宅用途の建築物の総延べ床面積は七百五十六万平方メートルでございます。このうち、マンション環境性能表示の対象となっている大規模分譲マンションは八十件ございまして、その合計は二百八十四万平方メートルでございます。したがいまして、全体の約三八%、四割近くを対象にしているということでございます。
これも決して小さくはないわけでございますが、今後、さらに中規模の新築等のマンションに対しても環境配慮を求めていくために、本年の第二回定例会において可決をいただきました環境確保条例の改正の中でそうした方策を含めております。さらに、この条例改正におきましては、これまで分譲マンションだけだった本制度を賃貸マンションにも適用するということにしたものでございます。
○原田委員 賃貸マンションに拡大し、さらに一万平米から対象の範囲を拡大していくとの対応ということは歓迎するものです。どのぐらいに範囲を拡大するか、まだ検討中のようですが、思い切った拡大を要望します。
この制度は、基本的に建築主が環境計画書提出の際に届け出するということですが、この対象外マンションも、自主的な届け出を認めることは有効な誘導策と考えますが、この点に関してはどうお考えでしょうか。
○大野都市地球環境部長 同じく六月の条例改正におきまして、小規模な新築等のマンションにつきましても、建築主が環境性能表示を希望する場合には、任意の届け出をいただきまして、当該表示を行える任意届出制度を条例上の制度として位置づけたところでございます。
○原田委員 聞くところによりますと実施は二十二年度ということですが、この環境性能評価制度が、多くの建築主が任意届け出を行うような状況をつくって、評価が一つのステータスになっていくように期待するものです。
さて、都内に建築済みのマンションが多く存在します。このマンションは、節目節目に修繕をしながら、丁寧にメンテナンスを自主的に行っています。そこで、大規模修繕の際も、環境に配慮した対策誘導のために同じ届け出で認めていくということは考えられないでしょうか、お伺いします。
○大野都市地球環境部長 マンション環境性能表示制度は、新築時に対象とする建築物環境計画書制度の評価を広告で表示をするものでございます。評価対象の断熱性能でございますとか、給湯器の効率でございますけども、これは新築時であれば、マンションすべての住戸を通じて共通でございますので、そういう表示は可能なわけでございますが、大規模修繕の場合は、修繕の範囲でございますとか、経年劣化の程度によって、住戸ごとに一律の評価ができないということがございます。したがいまして、大規模修繕の際にこれを適用するのはなかなか困難と思っております。
大規模修繕において環境性能を向上させていくためには、開口部の断熱性の強化とか、高効率給湯器の更新等について、別途普及啓発を図っていくことが必要と考えております。
○原田委員 確かに、大規模改修といっても範囲がまちまちであると思いますが、ある一定の要件を満たした大規模改修は、環境評価の対象にしていくことで、改修時の環境対策の内容が大幅にアップしていくだろうと考えます。ぜひ検討していただきたいと思います。
さて、今後、太陽光パネル設置を大々的にふやしていく政策が進行する中で、太陽光パネル設置も評価の対象にしていくのはいかがでしょうか、お伺いします。
○大野都市地球環境部長 改正前の、現在の建築物環境計画書制度におきましても、再生可能エネルギーの利用について評価を行っておりますけども、今回の条例改正におきましては、再生可能エネルギーの利用をさらに誘導していくために、建築主に再生可能エネルギーの利用設備の導入の検討の義務というのを課したところでございます。今後は、こうした措置によりまして、マンションにおきましても太陽エネルギーの利用拡大を図ってまいります。
○原田委員 今まで住宅政策の視点からいいますと、スクラップ・アンド・ビルドで、そういう住宅政策の流れの転換ということで、長寿命住宅の視点が大変重視されてきております。これは、もちろん廃棄物の問題もあったり、いろいろ既存の施設を丁寧に長く使おうというような視点から、この流れが出てきていると思いますけれども、この流れの中で考えると、品確法に基づく評価だけでなく、定期的なメンテナンスや管理組合の長期計画の有無など、重要なポイントとされているわけです。長寿命住宅の誘導も考えれば、中古市場の活性化も大変大きな課題であると考えます。環境性能表示の対象として中古マンションをも対象にすることはいかがかと考えます。
特に、ニュータウンの中は、大きな敷地面積を抱え、のり面も含む敷地内の緑は大変大規模なものになっています。売買時に評価される対象となっていないのが残念です。このような状況を加味し、中古マンションへの環境性能表示の拡大に関しての見解をお伺いします。
○大野都市地球環境部長 先ほどご答弁いたしましたように、現在でも四割ぐらいはカバーをしております。こういう環境に配慮した新築マンションが評価される市場が生まれることによりまして、中古マンション市場においても環境整備が重視されるようになるというふうに考えております。
また、こうした取り組みとともに、大規模修繕におきましても、先ほど申し上げましたような環境性能を向上させる手法を普及啓発しまして、中古マンションの環境性能の向上を図っていくことも重要であるというふうに考えております。
○原田委員 いただいた資料に、東京都優良マンション登録表示制度という概要をいただきましたけれども、この制度は新築、中古すべてのマンションが対象で、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが、中古マンション、新築マンションの評価を、主に防災上、建築上の評価をしています。特に、中古マンションに関しては、管理組合の有無、管理規程の有無、また、長期修繕計画や修繕積立金の現状も評価の対象にしているわけですが、残念ながら環境の評価がないわけです。住民で管理して育てた樹木など、緑資源を東京都が評価していくことを今後強く求めるものです。
次に、環境物質対策についてお伺いします。
現在、化学物質を利用した商品は十万種類を超えるといわれ、私たちの身の回りには、望む、望まないにかかわらず化学物質があふれています。製品をつくる際にも使う際にも、さまざまな化学物質が環境に排出されているということはいうまでもありません。
国は、平成十三年四月からPRTR法を導入し、化学物質排出把握管理促進法の取扱業者への化学物質排出報告を義務づけました。都では、それに先立った平成十二年十二月、環境確保条例において化学物質適正管理制度を設け、五十八物質の使用量も含めて五項目の報告を義務づけ、化学物質の把握に努めています。
そこで、国のPRTR法制度の対象化学物質三百五十四に対して、条例では五十八物質を指定していますが、どのような理由で選定しているのかをお伺いします。
○中村参事 環境確保条例におきましては、工場、指定作業場から排出されます人の健康に障害を及ぼす気体状物質などを有害ガスとして、また、水質または土壌を汚染する物質を有害物質として基準を定め、規制をしております。
これらの物質につきましては、規制基準の遵守に加えまして、使用量の削減や排出量の抑制などの自主的取り組みを促進するため、適正管理化学物質として、事業者に使用量、排出量などを把握し報告していただくこととしております。このため、適正管理化学物資の対象といたしましては、有害ガスの四十二物質、有害物質の二十五物質から、重複を勘案いたしまして五十八物質としております。
なお、対象物質につきましては、光化学オキシダントの生成等も考慮いたしまして、法で対象となっておりませんメタノール、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコールなどの揮発性有機化合物など十六物質も含んでおります。
○原田委員 全体の選択の中で、東京都特有の物質も含めて精査したというような形のようですが、この制度の実施後の報告件数と環境への化学物質の排出量の推移について、お伺いします。
○中村参事 化学物質適正管理制度による報告でございますけれども、制度開始当初の平成十四年度に約二千八百件ございまして、その後は三千件前後で推移をしております。
環境への排出量は、制度開始年度から連続して減少しておりまして、平成十八年度の年間排出量は約五千二百トンでございまして、制度開始当初の平成十四年度に比べまして、割合で約三五%減になりますけれども、約二千八百トン減少しております。特に最近では、従業員二十人以下の中小規模の事業所の排出削減も進んでいることが明らかとなっております。
○原田委員 国のPRTR制度は、環境への排出量と事業所外への移動量ということで報告義務がありますけれども、環境確保条例によると、化学物質適正管理制度の中で、国が取扱量一トンの製造業者を対象にしたのに対して、都は百キログラムと大変小規模な事業所も対象にした。そしてまた、利用量、製造量、製品としての出荷量も報告するようになっており、より排出抑制を図るための制度設計になっていると評価するものです。環境への排出量も、制度開始から連続して減少し、また、中小規模の事業者の排出削減も進んでいます。
そこで、さらなる化学物質の排出抑制に向け、対象化学物質をふやしていくなど化学物質の適正管理制度の拡充が必要と考えますが、見解をお伺いします。
○中村参事 環境確保条例に基づきます化学物質適正管理制度につきましては、制度開始から一定の期間が経過いたしましたので、今年度、対象事業者等に対しまして、適正管理化学物質対策の推進体制、製造工程等での使用実態及び排出抑制に関する取り組み状況を確認するための調査を行っております。この調査結果に基づきまして、適正管理化学物質のさらなる削減を図るための検討を行っていく予定でございます。
○原田委員 冒頭にも述べましたように、化学物質の量というのは本当に数知れない、どんどんどんどん新しい物質がつくられ、使われ、そして、市民が自覚する、しないにかかわらず、状況的にはどんどん利用して摂取していくような構造になっています。ぜひその中での東京都の管理制度をしっかりと広げて、拡充していただきたいと思います。東京都の取り組み、特にトルエン、イソプロピルアルコールなど、物を製造する過程で使用する物質は削減され、かなり功を奏しているというふうに評価するものです。
しかし、私たちの周りの化学物質は余りにも多く、その用途も広く、形状も多岐にわたっています。最近はナノ物質という、一ナノメートル、十億分の一メートル、髪の毛の径の約五万から十万分の一という大変厄介な物質が多方面で使われています。市民生活を守るために、化学物質を規制する国際的動向や国内の化学物質政策基本法制定の提案を働きかける運動も始まっています。多くの課題は国内法の整備を待つ部分が多いと思いますが、環境のトップランナー東京都が規制する対象をふやしていくことなど、化学物質の適正管理、排出削減に向けてさらなる努力を求めるものです。
次に、河川、東京湾水質汚濁対策についてお伺いします。
市民にとって身近な河川は、環境に触れ、環境を考える入り口と考えています。昨今、河川の水質は、下水道施設の整備と相まって大変向上していることは、喜ばしい現状だと考えています。
しかし、私が再三取り上げている大腸菌群数は、多くの観察地点で環境基準値を超過している現状が続いていることも事実です。この状況をどのように考え、対応していこうとしているのか、お伺いします。
○中島自然環境部長 大腸菌自体は、一般には病原性を持たないということでございますけども、水質汚濁の指標といたしまして、生活環境の保全に関する環境基準が設定されております。
都内河川におけます大腸菌群数は、ご指摘のように、下水道の普及に伴い、ピーク時に比べますとほぼ十分の一のレベルに下がってはおりますけれども、なお多くの地点で環境基準値を超過しております。
その原因といたしまして、大雨の際の下水道からの汚水の流出や、多摩地域における下水道未普及地域内のし尿や生活排水の処理の不十分なことなどが考えられます。
また、大腸菌群の発生源は、こうした下水道やし尿由来のほか、自然由来のものもございます。都といたしまして、今後、雨天時の水質を調査する中で、大腸菌群数の実態を把握するとともに、市町村と協力いたしまして、合併処理浄化槽の普及などを進めてまいります。
○原田委員 今ご答弁いただいた中にある雨天時の水質調査、これは今までずっと水質調査は晴天時に行っているということがございましたけれども、オーバーフローの問題ですか、そういうものもあるので、雨の日にはかるということは、実態を知る上で大変重要なことだと思っております。
雨天時の水質調査は、昨年度の事務事業質疑でも伺いましたが、改めて調査のねらいについてお伺いします。
○中島自然環境部長 水質汚濁防止法に基づきまして、都内の公共用水域の水質調査を実施しておりますけれども、この調査は晴天時などの安定した状況で行うこととされております。このため、これまで雨天時の水質調査は行ってございませんけども、昨年度から雨天時水質調査を進めております。
この調査によりまして、多量の降雨によって下水が溢流したときの河川や運河の大腸菌群数等の水質を把握し、その結果を水質汚濁の改善の検討に活用してまいります。
○原田委員 十九年度からの調査で、二十年度はまだ調査はできていないということのようですが、雨天時の調査は本当に難しいようです。雨が降ったときにばっと行かなきゃならないということがあって、予測がつかないというようなご苦労の話をお聞きしましたけれども、これまで調査がなかった視点での調査が始まったということは、大腸菌群対策が一歩進むと期待したいと思います。次の質問の東京湾での水質改善にもつながる問題なので、今後、測定箇所をふやすなどして取り組むことを要望したいと思います。
さて、今年度初めて東京湾水質一斉調査を、七月二日を中心に環境省、国土交通省関東地方整備局、海上保安庁、八都県市、大学、研究機関、企業、それに小学校などの協力で行っていました。このような多くの団体の参加のもとに行われる水質調査は、大変意義深いものだと評価したいと思います。今後、一丸となって取り組む体制ができるということに期待します。
さて、東京湾の水質は大分よくなったということですが、窒素、燐についても数年前から環境基準を達しているようです。しかし依然、夏の時期を中心に赤潮が発生していると聞いておりますが、赤潮の発生件数と推移、その原因についてお伺いします。
○中島自然環境部長 赤潮の延べ発生日数でございますけども、これは年によって変動はございますものの、ここ数年は年間八十日前後で推移しております。
赤潮は、プランクトンの異常発生による現象でございますが、東京湾は閉鎖性水域のため、汚濁物質が蓄積しやすいことから富栄養化しておりまして、このため赤潮が発生しております。
○原田委員 そこで、今後、東京湾の水質をより改善し、赤潮の発生を抑制するために、どのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いします。
○中島自然環境部長 赤潮の発生を抑制するためには、窒素及び燐の削減が必要でございます。このため、第六次の総量削減計画に基づきまして、総量規制基準の強化を図り、平成十九年九月から新設の施設に適用し、指導を行ってまいりました。平成二十一年四月からは、既設事業所に対しましても厳しい基準を適用し、規制指導を開始いたします。
また、第六次総量削減計画におきましては、下水処理場において高度処理施設の整備の促進を図るほか、雨天時貯留池の整備など合流式下水道の改善や、しゅんせつ等の底質対策をあわせて進めていくこととしております。
○原田委員 平成十八年十一月、環境大臣から通知のあった化学的酸素要求量、窒素含有量及び燐含有量にかかわる総量削減基本方針(東京湾)に定められた削減目標を達成するために、東京都は第六次総量削減計画を策定しています。この削減目標量は、すべての項目において家庭排水の対策が必要だとされているようです。下水処理での窒素、燐除去施設の設備は、まだまだ三〇%台ということで、この普及がまずは課題でしょう。そして、実行プランに計上された東京湾の海底の栄養塩流出などの調査が行われるようですが、その後の対策に期待する部分もあります。
しかし、調査なくして対策なしという言葉もございますけれども、家庭排水の状況を調査し、対策を立てる必要性もあるのではないかと考えます。これはぜひ取り組んでいただきたいと要望するものです。
さて、最後にエコツーリズムについてお伺いします。
二〇〇七年、エコツーリズム推進法が成立しました。ここで示されたエコツーリズムは、観光振興、地域振興、環境保全の三つの要素のバランスと、そこに共通した視点として地域という視点がございます。持続可能な観光、自立的な観光を地域の人たちとつくり上げていくこと、それが求められています。
そこで、これまで都内に三カ所のツーリズムを設定した経緯についてお伺いします。
○中島自然環境部長 東京都におけますエコツーリズムの取り組みでございますけれども、小笠原諸島の南島、ここが観光客がルールなく利用したことなどが原因となりまして、植生が荒廃したということが契機になってございます。
この南島のほかにも、母島の石門一帯、それから御蔵島につきまして、エコツーリズム法施行前から国に先駆けまして、自然の保護と適正な利用を図る仕組みとして、ここを自然環境保全促進地域というふうに位置づけまして、平成十五年四月以降、順次、利用ルールを定めた東京都版エコツーリズムを開始しております。
いずれの地域におきましても、観光利用するに当たりましては、自然ガイドの同行や利用経路、それから利用時期、利用人数等に制限を設けたルールを運用しております。この利用ルールを適切に運用した結果、例えば南島では植生が回復するなど、成果が上がっているところでございます。
○原田委員 特に、小笠原におけるエコツーリズムということでいいますと、東京都が、これは自然保護という立場で、利用観光範囲を何とか規制しなければならないというような視点で、指定しながら一つのルールをつくっていった。エコツアーのルールを規定してきたということがあると思います。それはそれで、環境保全という立場で東京都が頑張って指定して、その結果、南島も、私も見てまいりましたけれども、緑が回復して赤い地肌が見えなくなったということは、大変よかったことだと思っております。
冒頭でいいましたように、今後、エコツーリズムというのはどういう視点で展開されるかというと、やっぱり地域を軸にいろんな関係者が積み上げながら、地域の振興、観光をどうするかということが軸に展開されるのかと思いますけれども、そこの中で、やっぱり環境を守る視点というのをしっかり入れていくという東京都の役割もあるとは思います。
そして、エコツーリズムの一つの、成功するかしないかというと変ですけれども、自然保護と観光振興を両立させていくために、エコツーリズムに参加した方がどのような学習をして持ち帰るか、自分たちの問題として環境の問題を持ち帰るかということになると、ガイドさんの質というのが大変重要になってくるのかと考えます。
そこで、ガイドとなるための要件について、どのようなルールをつくって対応しているのか、お伺いします。
○中島自然環境部長 やはりこうしたところの利用につきましては、きちっとした自然ガイドというものが必要でございまして、それぞれの地域の自然環境について十分な解説を行いながら、利用上のルールを適切に指導するために必要な知識と技術をこうしたガイドする方々に習得をしていただいて、そのために東京都といたしまして、自然ガイド養成講習会というものを実施しております。この講習会では、地域ごとの動植物の特徴を踏まえた自然環境を守るためのルール、ガイド技術、それから安全管理など、自然環境の保護と観光振興の両面から幅広い内容の講義、それから実習を受講していただきまして、履修度合いをチェックし、自然ガイドとして認定をいたしております。
なお、最新の知識や技術を身につけていただくために、自然ガイドにつきましては二年ごとに講習を受講していただいております。
○原田委員 二年ごとの講習というのは、一度ガイドの資格をとった方がさらに新しい知識を得るためということだと思いますが、絶えず新たな情報を伝え、対応できるようにするということは大変大事なことだと思います。
エコツーリズムは、市民にとって環境を理解し、共生していく喜びを体験する機会でもあります。ガイドさんの役割は大変大きいものと考えるので、東京都の役割をしっかり果たしていただきたいと思うものです。
ちょっと話が外れるかもしれませんが、私はことしの夏に小笠原に行ってまいりました。小笠原の船の中、一日、二十四時間、二十五時間でしたか船に乗っているわけなんですけれども、市民の企画で世界一周するピースボートの企画がございますけれども、その船の中でさまざまな学習をするわけです。次に行く国の状況、また、どういう問題が起きているかとか、いろんな研修をする場があるんです。
もちろん、一日と何カ月もという航海の中では違うと思いますが、その船の中で、今度行く小笠原ってどんな環境のどんな島なんだろうというようなことをイメージをめぐらせて、わくわくしながら行くわけなんですけれども、そのときに、何か一つ、小笠原の学習みたいなメニューもあっていいかな。ガイド、もちろん、日がな一日のんびり昼寝でもしたいという方は別なんですけれども、若い方もいらっしゃるし、お年を召して、リタイアした後の楽しみとしていらっしゃる方もいますけれども、そこでちょっとそういう企画があったら、乗船している方の交流にもつながりますし、今度行く小笠原の一つの自然を前もって知りながら、ルールも頭の中に入れていくような、そんな講座もあってもいいなと思います。これはどこの方に提案したらいいかわかりませんが、一つのアイデアとして受けとめていただきたいと思います。
その次ですが、東京都版エコツーリズムは、先ほども申しましたように、都が主導的な形で進めてまいりました。また、エコツーリズム推進法では、地元市区町村からの提案による取り組みを想定しています。いかなる主体が提案して進めていくにせよ、自然環境を生かしていく取り組みが大変重要です。新たな環境保全、環境との共生という視点で、エコツーリズムの可能性について見解をお伺いします。
○中島自然環境部長 地域の豊かな自然と環境、それから産業等の連携の中で、地域の資産をいかに活用していくかという視点でございますけども、これは地元の市町村を初めといたしまして、当該地域にかかわるさまざまな主体が連携して、そして、そこの地域が有する豊かな自然環境を保全しながら、適切な利用ルールのもとで資源として活用しまして、観光振興などを図っていくということは、今後の地域振興の一つの方向性であるというふうに認識をいたしております。
ただ、私どもが国に先駆けまして実施いたしました東京都のエコツーリズム、これはかなり厳格なものでございまして、今後とも参加者においてこれを的確に展開してまいりますが、エコツーリズム法に基づきまして、市町村がそのみずから有する自然環境を最大限生かすような取り組みを推進していく場合には、東京都としても必要な支援等を行ってまいりたいと考えております。
○原田委員 東京都など公が、そして民間も含めて、保有する環境資源の保全、整備などの課題は、大変大きなものがあると思います。一方で市民側で見れば、自然と共生するということがどういうことなのか、具体的にイメージできないというような課題もあります。環境の活動をしている市民団体やリタイアした団塊の世代などの人材、そして地域振興などの課題に取り組んでいる市区町村との連携をしながら、エコツーリズムという手段を有効に活用して、自然を守る流れにつなげていくという試みがこれから重要になってくるのかなと思っております。
以上申し上げて、私の質問を終わります。
○山田委員 それでは、私から大きく二点について質問いたしたいと思います。
まず初めに、都内におきます大気汚染の現状と今後の対策についてお伺いをいたします。
大気環境は、年齢や生活パターンなどによらず、すべての都民の健康に影響を及ぼすために、極めて重要な課題であると思います。
この事業概要によりますと、二酸化窒素につきましては、すべての一般環境大気測定局で環境基準を達成しております。また、自動車排ガス測定局についても、昨年度に比べ達成局が四局ふえまして、三十四局中二十五局で達成をしております。また、浮遊粒子状物質については、一般局と自排局のすべての局、八十局で達成しているということでございます。
私の地元の西東京市では、下保谷と田無町に一般局が設置されています。下保谷局の浮遊粒子状物質を見ますと、環境基準は達成はしているんですが、多摩地域では最も高い数値になっております。これは三年連続上昇しているということでありまして、浮遊粒子状物質、これはディーゼル排出ガス規制の効果もあり、大幅に改善されていますけれども、高い数値が示されているわけでありまして、ぜひこの点については、なぜこういう高い数値が出るのか調査をして、報告をいただければと思いますし、引き続き一層の削減の努力をしてほしいことを要望いたしておきます。
さて、六三ページにあります環境基準適合状況を見ますと、光化学オキシダントの結果というのが、測定している四十局すべての局で環境基準を達成しておりません。これはゼロと書いてありますね。適合率ゼロということでございます。確かにこの夏、私も地元で、防災行政無線とか、あるいはFM西東京で、このような光化学スモッグの注意報をたびたび耳にいたしました。
そこで、お尋ねをしたいんですが、都内全体の光化学スモッグの状況はどうなっているのか、まずお伺いをいたします。
〔委員長退席、宇田川副委員長着席〕
○柿沼環境改善部長 東京都はこれまで、都民の健康と安全を守るため、大気汚染物質の削減に取り組んでまいりました。その結果、二酸化窒素や浮遊粒子状物質は、ディーゼル車排出ガス規制などの効果もございまして、着実に改善してきております。
しかし、光化学スモッグ注意報の発令日は、天候により影響を受けるものの、年間二十日前後と高い水準で推移しております。また、注意報発令レベルの高濃度の光化学オキシダントが出現する地域が現在広がっている傾向にございます。
なお、委員ご指摘の下保谷局の浮遊粒子状物質に関してでございますけれども、私ども大気汚染の測定データについては、常日ごろ解析をしております。その中でご指摘の測定局の物質についても解析をしてみたいというふうに考えております。
○山田委員 工場、事業所に対するばい煙の排出規制、あるいはディーゼル車排出ガスの規制など、このようなことによりまして、浮遊粒子状物質あるいは二酸化窒素が着実に改善されてきたにもかかわらず、光化学オキシダントについては、年平均濃度が増加をしておりますし、高濃度地域も広がっているということでありまして、どうもその点がよくわからないわけであります。
光化学オキシダントについては、これまでの対策では改善が見られないというのはなぜなのか、その原因をお伺いいたしたいと思います。
○柿沼環境改善部長 光化学オキシダントは、窒素酸化物ですとか揮発性有機化合物などが大気中で太陽の紫外線を受けて、光化学反応により生成される大気汚染物質でございます。揮発性有機化合物というのは、VOCというふうに略されますけれど、蒸発しやすく、大気中で気体となる有機化合物でございまして、代表的な物質としては、塗料に使われますシンナーなどがございます。
光化学オキシダント対策として、都は、平成十五年度から平成十六年度に光化学オキシダント対策検討会を設置しまして、オキシダントの濃度上昇の要因を解析し、原因を検討いたしました。その結果、光化学オキシダントを削減するためには、窒素酸化物の削減以上の割合でVOCの削減が必要であるということが明らかになっております。
○山田委員 原因物質でありますVOC、揮発性有機化合物というのは、どのような場所からどのくらい発生しているのでしょうか。
○柿沼環境改善部長 VOCは、塗料、印刷、接着剤、インク等に溶剤として含まれているほか、金属部品の洗浄ですとかドライクリーニングなどのさまざまな分野で使用されております。また、自動車やボイラーなどで燃料を燃焼する際にも排出されます。
都内におけるVOCの排出量は、平成十二年度は年間十四万トンでございましたが、平成十七年度では十一万トンに減少しております。この平成十七年度の排出の内訳を見ますと、塗料、印刷、給油、クリーニングなど固定発生源が七五%、自動車の排気ガスなど移動発生源からのものが二五%を占めております。
○山田委員 今のご答弁で、VOCはさまざまなところから排出されていることはわかりました。しかし、多摩北部地域につきましては緑地や住宅地が多いわけであります。印刷工場などの発生源は少ないと思われるわけでありますが、普通に考えますと、このようなところでの光化学スモッグは発生しにくいと、私はそう思います。
そこで、お伺いしますけれども、なぜ西東京市など多摩北部地域、こちらに資料をいただきましたけれども、多摩北部地域が光化学スモッグ注意報の発令が多いわけですが、なぜそうなのか、そちらの方でのご答弁があればお願いいたします。
○柿沼環境改善部長 都内に配置した測定局のデータあるいは気象データ等から見ますと、光化学オキシダントの原因物質であるVOCや窒素酸化物などは、海風に乗って発生地域から内陸部に移動していくということがございます。その過程で太陽の紫外線を受けながら、時間とともに光化学オキシダントが生成されるということのために、多摩北部地域のように、VOCなどの発生源が比較的少ないというふうに思われる地域であっても、光化学オキシダントの濃度は高くなるということが考えられております。
○山田委員 今、光化学スモッグにつきましては、原因汚染物質が発生する場所と大気汚染の被害を受ける場所が離れているなどのそういう特徴があるため、発生メカニズムは複雑で対策は困難であるということが多いと思います。
しかしながら、都民の健康と安全な生活環境を確保するためには、一日も早くその原因を究明していただいて、有効な対策を講じることが必要だと考えます。
そこで、今後、光化学オキシダント削減にどのように取り組むのか、お尋ねをいたします。
〔宇田川副委員長退席、委員長着席〕
○柿沼環境改善部長 光化学スモッグ注意報の発令日数を低減するためには、光化学オキシダントの生成の仕組みを解明して、それに基づく対策の構築というのが必要になります。このため、原因物質であるVOCの低減を進めるということをこれまで実施してまいりましたけれども、事業者のVOC排出削減への自主的な取り組みの促進、低VOC製品の普及促進をより一層充実、強化してまいります。また、オキシダントの生成メカニズムを解明することにより、例えば、大気中で光化学オキシダントを生成しやすいVOCの成分、それに着目した排出削減を行うなど、新たな対策を構築するための調査を進めてまいります。
今後、こうした調査の結果を踏まえた光化学オキシダント対策を推進することによりまして、健康で安全に生活できる都市の確立を目指して、東京の大気環境の一層の改善を図ってまいります。
○山田委員 ぜひ、すべての都民がより質の高い生活環境を享受できるように、光化学オキシダントを初めとしまして大気汚染対策をより一層強く進めていただきますように求めまして、私の次の質問に移りたいと思います。
次に、緑についてお尋ねをいたしたいと思います。
これは他の委員からもご質問されておりますが、私の地元西東京市につきましては、皆さんもご存じかと思うんですが、東大農場と呼ばれる地域がございまして、これは正式名称では東京大学大学院農学生命科学研究科附属農場という東大農場であります。面積は東京ドーム約五個分で約二十二ヘクタールという、そしてまた、演習林も九・一二ヘクタールの面積を有している場所でもございます。また、これは周辺住民の憩いの場としても大いに利用されている場所でもあります。
東大農場は研究農場であるという性格上、一般の公園のように樹木が統一してあるとか、そういうものではありませんけれども、逆に、さまざまな樹木や農作物の緑が混在しているのであります。これは市の都市計画プランでも、緑の拠点として位置づけられているところでもございます。
春には桜並木、あるいは夏には青々としたトウモロコシとか、秋には色づき始めるハナミズキ、あるいは冬にはポプラ並木など、四季折々の緑を楽しむことができる東大農場でもあります。特に、春は満開の桜の下で子どもたちが遊ぶ姿は、本当に楽しそうでありまして、ぜひこの東大農場を地域の憩いの場として、地域の中で活用したいと思っております。
そして、東京全体の緑に目を向けてみますと、多摩部あるいは島しょ部につきましては、森林が豊かに広がっておりますし、貴重な里山も丘陵地を中心に点在しております。台地部には武蔵野の面影を残す雑木林が残りまして、また都心には、神宮の森とか、あるいは皇居周辺にまとまった緑も存在するなど、その形態は多様であるわけであります。こうした東京の緑は、都市化の波とともに、残念ながら総体として減少傾向にあるのが事実であります。
東京都は、平成十八年十二月に「十年後の東京」を策定して、オリンピックが開催される二〇一六年に向けまして、東京の目指すべき姿とそれに向けた政策展開を都市戦略として行っております。その第一に掲げられているのが水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるという目標であります。
目標を実現するためにも、都は、各局が連携をしながら、緑の東京十年プロジェクトに向け、今年度から本格的に取り組んでおるわけでありますが、私は、この取り組みがぜひ実現して、緑豊かな東京が実現されることを強く期待しているところであります。こうした観点から何点かお尋ねをいたします。
先ほど、人は緑から季節を感じることが大切だと私は思っておりますが、緑が大切だということでありますけれども、緑は東京にとって、またそこに住む私たちにとって、どのような役割を果たしているのか、そのご認識をお尋ねいたしたいと思います。
○浅川参事 緑の果たす役割は多岐にわたっております。まず、緑は東京に住み働く人へ潤いや安らぎを与えるとともに、美しい町並みなど都市景観の向上に寄与いたします。震災時には、避難場所となる貴重なオープンスペースとしての役割を果たすとともに、火災の延焼防止効果を発揮したことも、阪神・淡路大震災で確かめられております。また、屋上や壁面などの緑による被覆や立ち木の日陰などは、大都市特有の課題でございますヒートアイランド現象の緩和に有効であるとともに、多摩の森林などは二酸化炭素を吸着、固定し、地球温暖化対策にも寄与いたします。生物にとりましても、その生息、生育場所として緑は欠かせないものでございます。
このように、緑の役割は、都市にとっても人にとっても、また生物にとっても、大変重要なものであると認識しております。
○山田委員 先ほど述べたわけでありますが、都市化の波によりまして緑は減少傾向にあります。そうした中においても、都民は日々の暮らしにおいて緑から大変大きな恩恵を享受していると思います。身近なレクリエーションの場とか、あるいは公園、私たちの食を支える畑や水田、あるいは水源林があってこそ水道水が確保される。そしてそこには、落ち葉を掃きまして田畑を耕し、森深く分け入って水源林の枝打ちをする人々がいるという、そういう姿もございます。
都民はもっと緑に目を向けるべきだと考えますし、とりわけ東京の農地は、新鮮で安全性の高い農産物の生産はもとより、都市の環境保全や防災、コミュニティあるいは教育機能などの多面的な機能を持っておりまして、地域のまちづくりにおいては、ますますその重要性が高まっていると思います。
こうした点も踏まえまして、東京都は今ある緑の保全についてどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
○浅川参事 緑あふれる東京の実現のためには、新たな緑づくりとともに、今ある緑を保全し、次世代に引き継いでいく取り組みが重要でございます。そのため、緑の東京十年プロジェクトにおきましても、緑の保全を施策に位置づけ、自然保護条例による保全地域の指定などにより緑を保全していくこととしております。
また、委員ご指摘のように、多面的な機能を持つ都市農地につきましても、その保全に必要な相続税制度や生産緑地制度の改善などを引き続き国に強く求めるとともに、農業者や地域住民、地元自治体などが一体となって、農地を生かしたまちづくりに取り組む緑を守る都市と農業の共生プロジェクトなどを積極的に推進していくこととしております。
○山田委員 私の地元であります西東京市では、市の総合計画におきまして、都が指定いたしました二カ所の緑地保全地域や東伏見公園などの緑を核とした市内における緑のネットワークづくり、公共施設の緑化とか生け垣設置への補助、あるいは不要樹木をあっせんいたしますグリーンバンク制度などに取り組んでおります。
先ほどの答弁にありましたように、都民や企業との協働や、区市町村におけます取り組みなども連携すれば、プロジェクト事業もより効果の高いものになると考えます。
そこで、お伺いいたしますが、緑施策を推進していく上で、都民や企業、区市町村との連携をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
○浅川参事 緑施策の推進に当たりましては、骨格的な緑づくりを行う都と、身近な緑を守り育てる区市町村との適切な役割分担と、都民や企業などと連携した取り組みが重要でございます。
緑の東京十年プロジェクトでは、保全地域で行っております都民や企業と協働した積極的な緑の保全活動でございますグリーンシップ・アクションなどの実施や、現在残されております緑を将来に向けて引き継ぐべき資産として保全していくために、都と区市町村の共同により、緑確保の総合的な方針の策定に向けた準備を進めるなど、より効果の高い緑施策の推進に向けまして、都民や企業、区市町村との連携した取り組みを積極的に進めていくこととしてございます。
○山田委員 役割分担とさまざまな主体との連携の重要性については、理解をいたしました。
そして、ただいまの答弁の中で、都の役割として骨格的な緑づくりとありましたけれども、具体的に何を行っていくのか、お伺いいたします。
○浅川参事 「十年後の東京」では、今後の施策展開といたしまして、川と緑で東京を大きく包み込む海からの風を呼び込むために、皇居、神宮外苑などの大規模緑地を幹線道路の街路樹で結びますグリーンロードネットワークを形成していくこととしてございます。このため、海の森の整備や都市公園の整備、拡張などによりまして、緑の拠点づくりを行うとともに、その緑の拠点をつなぐ幹線道路における街路樹を倍増するなど、広域的な水と緑のネットワークを構築してまいります。
また、幹線道路などで整備する緑とその周辺における新たなまちづくりなどによって生まれる緑を組み合わせ、厚みと広がりを持つ連続した緑空間の創出を誘導いたします環境軸の創造に向けた取り組みを行ってまいります。
さらに、今ある緑につきましては、広域的な視点から、自然性豊かな緑が多く残っている丘陵地や山地の緑を主な対象といたしまして、保全地域に指定し、自然のつながりを確保する上でかなめとなる緑を保全していくこととしてございます。
○山田委員 現在、東京都は、二〇一六年のオリンピックの招致に向けまして全庁挙げて取り組んでおります。この東京オリンピックは、人を育て、そして都市を躍動させ、緑を守ることを目指しておるわけでありまして、緑は人間にとっても、都市にとっても、また地球環境を守る上でも、欠かせない重要なものであると思いますし、それが目標の一つになっているものと私は考えております。
東京都は、緑の東京十年プロジェクトを、今お話がありましたように、市区町村や都民、企業などと連携しながら、知恵を絞り、あらゆる工夫を凝らしまして着実に実行し、この東京を緑豊かな都市に再生することを望み、私の質問を終わりたいと思います。
○吉田委員 皆様、お疲れさまでございます。私は、昨年からこの委員会に所属をさせていただきまして、昨年一年、環境局の事業について勉強させていただきまして、東京都の環境局というのは、日本をというか、全国の自治体を牽引するしっかりした環境に関する行政をやっていただいているんだなということを感じている次第であります。本日の各委員の皆様の質疑をお聞きしても、大変深い見識と問題意識に敬意を表すると同時に、引き続き行政と議会が両輪でしっかりと、この東京をすばらしい都市にしていかなければいけない、こういう思いを新たにしているところであります。
カーボンマイナス東京十年プロジェクトで提案しております世界で最も環境負荷の少ない都市の実現、あるいは東京都の環境基本計画にございます世界の諸都市の範となる持続可能な都市モデルを発信していくと。そして、より質の高い都市環境の形成による都市の魅力の向上と、都市間競争の中で人や企業を引きつけ、選択され続ける都市、こういうものをつくっていくという観点で、例えば昨年、日本で先駆けて排出量の取引の制度を取り入れたり、大変なことをやっていただいております。
私は、昨年は、地球温暖化防止あるいは廃棄物対策などを中心に質疑をさせていただいたわけでございますけども、本日は、今の時点でぜひお聞きをしたいという点について、何点か質問をさせていただいてまいります。
まず、小笠原諸島の外来種の対策、この問題から質問させていただきます。
改めて申し上げることもないかもしれませんが、小笠原諸島は生物の種の起源が非常に多様であって、独自の進化の過程で多くの固有種を生み出してきたばかりか、今なお進化中の過程を見ることのできる、こういう世界でもまれな地域であります。
中でも、陸産の貝類九十五種の固有種率は九三%と、ほとんどと極めて高く、現在も新種の発見が続いております。そしてまた、小さな海洋島でありながら植物の種類も多く、小笠原の特徴的な植生である乾性低木林を構成する植物では、六十九種の固有種が確認をされ、固有種率は六七%となっております。そして、世界じゅうのさまざまな中で、この小笠原ほど変わった種が混合している地域もないという、世界でほかに例がない地域だということが、学者の間で評価が定まっているということであります。
このようなたぐいまれな自然環境を後世に残していくべく、東京都では世界自然遺産の登録を目指しているところであります。
そこで、まず遺産登録に向けたスケジュールがどのようになっているかお伺いをいたします。
○中島自然環境部長 小笠原諸島でございますけれども、世界自然遺産登録を目指しまして、平成十九年一月に政府がユネスコに世界遺産条約暫定リスト、いわゆる暫定リストでございますけども、これを提出いたしております。
現在、小笠原固有の生態系を駆逐しております外来種の排除や、登録に必要な推薦書、それから管理計画の策定を行っております。今後、平成二十二年一月の推薦書提出を目指しておりまして、その後、ユネスコの諮問機関による評価を受けまして、平成二十三年七月ごろ登録の可否が決定される見込みでございます。
○吉田委員 二十三年の七月ごろ登録の可否が決定という大事な状況なんでありますけれども、この世界自然遺産の登録に向けましては、外来種対策の実績を上げることが最大の課題であるということであります。関係機関がそれぞれに対策を講じているところでありますけれども、都においても精力的に外来種対策を推進しているという状況だというふうに認識をしておりますが、都はどのような事業を実施して、そしてどのような事業の成果が出ているのか、お伺いします。
○中島自然環境部長 東京都といたしましても、これまでノヤギの排除、これを平成九年以降、聟島列島の媒島から順次行ってきておりまして、希少固有植物の回復などの成果を上げてきております。平成十六年から排除を始めました兄島におきましても、根絶に近い状況となったことから、当初予定を一年前倒しをいたしまして、弟島でのノヤギ排除を今年度から着手いたしまして、そこでも早期の根絶を目指しております。
また、聟島列島や南島では、固有植物を駆逐しておりますギンネムや竹、ササなどの外来植物の排除を行いまして、小笠原本来の植生の回復を図っております。
また、東京都レンジャーを配置いたしておりますけれども、母島へ渡航する際に、靴底洗浄の指導を行いまして、外来種拡散防止を図り、陸産貝類を保全しているところでございます。
来年度以降も、これらの外来種対策を着実に推進してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。着実に成果も上がっているというところだと思いますけれども、私も小笠原へ参りまして、実際にグリーンアノールとかアカギとか、さまざまな外来種の状況を見ておりまして、自然遺産としてしっかりと価値があるというふうに認められて、登録してもらって、そして小笠原の価値が守られていくためには、行政機関による外来種の対策にとどまらず、本当に島を挙げて、島民も、あるいはこれを楽しみにいらっしゃる観光客も、小笠原の貴重な自然を保護するために、皆さんで協力して取り組んでいく、こういう思いを一つにするということが不可欠なはずであります。
先ほどエコツーリズムについてもご議論がございましたけれども、島を挙げてというか、そのためにどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 ただいま委員からご指摘がございましたように、小笠原の自然環境を保全していくためには、行政による外来種対策だけではなくて、島民や観光客が小笠原の自然について十分理解をし、新たに外来種を持ち込まないなど、そうした環境に負荷を与えない行動をとることが大切でございます。
そのため、小笠原のビジターセンターでの企画展示ですとか、あるいは今年度作成を予定しておりますけれども、小笠原の自然のすばらしさ、それから外来種対策の必要性を紹介するDVDを、島内の学校で活用したり、あるいは先ほどありましたように、「おがさわら丸」ですね、船の中で放映することはもとより、あらゆる機会を通じまして、島民、それから観光客に対する普及啓発を幅広く実施いたしまして、理解を深めていきたいというふうに考えております。
それから、さらに遺産を守っていくための具体的な方策を示す管理計画におきまして、島民、それから観光客が遵守すべき事項を盛り込みまして、それらについて理解を求め、行動を促してまいります。
こうしたことを展開することによりまして、小笠原全体、そして都民も巻き込んで、小笠原の自然環境を保全してまいりたいと考えております。
○吉田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
新聞、テレビなどでも、屋久島では、自然遺産に登録をされてその価値がわかったために、逆に観光客が殺到して、島の自然遺産が傷んでいるというような状況が起きることに、どうやって管理をしていったらいいか、こういうことも課題になっているというふうにも伺っております。
いわば小笠原ルールというか、そういうものをしっかりと、島の方だけでなくて、来島される方にもきちんと理解をいただいて、グリーンアノールも飼っていたものが逃げたのがここまでふえてしまったんだということでありますので、島全体で、あるいは入島者全体がその価値を守ることは大変に努力が要ることで、そのためにみんなで努力しなきゃいけないんだということを、ぜひ東京都も一生懸命普及啓発に引き続き努めていただいて、小笠原の自然環境保全と、そして世界自然遺産登録に向けて、お取り組みを引き続き続けていただきたいと思います。
続きまして、自然保護条例に基づく開発の許可に関して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
冒頭申し上げましたとおり、自然環境の保全というのは、小笠原のような貴重な種が残っているところだけでなくて、私どもが生活をしているすぐ近くの東京都内におきましても、この保全は非常に重要でありますし、次の世代のためにもそれを残していく、維持保全に可能な限りの努力をしてまいらなければなりません。
その一方で、持続可能な、世界の中で魅力のある都市づくり、こういうことへの、いろいろな自然に改変を加える作用を働かせていくということも、これまた必要なことであります。
私は先般、自然環境保全審議会の委員になりまして、開発案件における希少植物への配慮に関して審議会で議論をさせていただきました。その際に植物の専門家の方々とも意見交換をさせていただいて、初めて知ることなどもありまして、適切な都市開発に関して、希少な植物の保護、この面で一層取り組まなければいけない点があるという思いを強くしたところであります。こうした認識に立ってお伺いをいたします。
まず、都内で一定規模以上の自然地を含む土地を開発しようとした場合の自然保護条例に基づく開発許可、これを受けることが義務づけられているわけですが、過去五年間、都内で開発許可をした案件はどのくらいあるのでありましょうか。そしてまた、それらの許可案件のうち、過去三年間に絞りまして、都のレッドデータブックなどに掲載されている希少な植物を移植した事例は、年度ごとにそれぞれ何件あるのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 過去五年で開発許可した案件でございますけれども、四百八十五件でございます。
このうち、過去三年間で東京都のレッドデータブックなどに掲載されている希少な植物の移植事例でございますけれども、平成十七年度が三件、十八年度が五件、十九年度が四件でございます。
○吉田委員 五年で四百八十五件と。つまり年百件ほどの許可の案件があり、そのうち希少な植物の移植の事例は年に四、五件ずつあるということでございます。
開発の許可に際して、希少な植物を移植するなどの配慮措置がとられたことは大変重要な措置でありますが、せっかくというか、措置をしていただいた希少植物の移植後の状況、すなわちその後の生育の状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 十七年度につきましては、三件の案件において六種を移植しております。そのうち二件、三種は、移植後の状況が把握できておりませんで不明でございます。そして、残り一件の三種は良好な状態にあります。また、十八年度でございますが、五件、十三種を移植いたしまして、一種が移植後の状況が不明、そしてその他はおおむね良好な状態にございます。また、十九年度は四件、十一種を移植いたしまして、一種は移植後の状況が不明ですが、その他はおおむね良好というような状況となってございます。
○吉田委員 ありがとうございます。おおむね良好というものが大勢であるということで、ひとまずは安心をいたしました。細かなデータもいただいているところでありますけれども、確かにそのとおりだと思います。
しかし、ただ一つ懸念というか、気にかかりますのは、中には移植後の状況が不明という案件もあるということであります。貴重だからせっかく移植をした、そしてその後の状況を把握していく、こういうデータを集積していくこと自身、今後の保護に向けて非常に参考になるというか、価値のあることだと思います。ということからして、不明なものもあるということでありますが、都は、移植後の状況を的確に把握する必要がそもそもあるというふうに考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○中島自然環境部長 開発に伴います希少植物の移植後の状況把握についてでございますが、いわゆる植物の専門家でも、移植後のモニタリングによりまして状況の把握を始めたのは、わずか三、四年前からというふうにいわれております。東京都といたしましても、平成十八年度に自然環境保全審議会規制部会の指摘を受けまして、それ以降、開発面積が三ヘクタール以上の案件の移植については、すべて事業者にモニタリングを義務づけております。
今後でございますけれども、開発面積にかかわらず、すべての移植事例について、許可条件の中で事業者にモニタリングの義務づけをいたします。こうした移植に係るデータを蓄積し、また活用することによりまして、希少植物の一層の保護に努めてまいります。
○吉田委員 大変前向きなご答弁をいただきましてありがとうございます。移植後の状況について、今後、すべての許可案件について事業者にモニタリングを義務づけていただいて、そのデータを蓄積して、今後のさらなる知見の向上というか、そしてさらに良好に、きちんと移植して生育できるようにしていただけるという踏み込んだご対応をいただけるということで、大変にうれしく思います。
鳥のトキも、日本産のものは絶滅してしまったわけでありまして、気づいたときには手おくれであったということが二度とあってはならないわけで、今から手を打ってあれば幾らでもというか、間に合うという絶滅危惧種、絶滅の危険のある動植物がたくさんあるわけであります。環境局におかれては、これまで以上に、今ご答弁いただいたように、適切に事業者を指導していただいて、貴重な自然の保護に努めていただきたいと思います。
そして、同じく条例に関しまして、今度は具体的な個別の案件について質問を続けさせていただきます。
都道秋多三・三・九号線の建設事業に関してであります。
現在、この案件は、あきる野市の氷沢橋交差点から五日市街道の区間の整備事業、こういう中で、平井川に橋梁を建設するという計画、こういうことになっております。私も去る十六日、この日、日曜日朝だったんですが、現地を見てまいりましたが、大変すばらしい豊かな自然が広がっているきんちゃく田というような状況でありまして、ちょっと私はよくわかりませんが、都内に残された最後のというふうにおっしゃる方もいるきんちゃく田だそうでありまして、多くの動植物の生育の場である、そういう大切な場所だというところを見てまいりました。
この事業地の周辺には、希少動物も生育が多数確認されておりまして、また、地元の自然環境に関するいろいろな団体の方々などから、多数の意見が寄せられているという状況もございまして、事業を進めるに当たっては、こうした自然環境の希少性などに十分配慮する必要があるというふうに考えております。こうした観点から何点かお伺いします。
まず、自然保護条例では、国の機関もしくは地方公共団体等が一定規模以上の自然地を含む土地を開発しようとする場合、開発の許可に関して知事に協議しなければならないとされております。
そこで伺いますが、本件事業は、多摩環境事務所で協議をされていると思いますけれども、協議の状況と今後の見通しはどのようになっているのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 本件でございますけれども、これはことしの十月三日付で、西多摩建設事務所長から東京都知事あての協議書を多摩環境事務所で受理しております。現在、協議書に添付されました計画概要書、計画図、自然環境調査結果に基づく自然環境保全計画書などをもとにいたしまして、自然の保護と回復について十分配慮されているものであるかどうかなどの事項について審査をされております。
しかし、この間、地元の自然保護団体から、オオタカの生息状況につきまして、西多摩建設事務所が委託して実施した自然環境調査結果と異なる見解が寄せられていることなどから、自然環境調査の精査とオオタカの行動圏調査等の実施を求めているところでございます。
○吉田委員 現在、自然環境調査の精査を求めておられるというところでありますが、これは西多摩建設事務所が委託をして行った自然環境調査の結果、私も拝見をいたしました。そうしますと、現地調査で、成鳥の雄、雌の飛しょうを確認しているにもかかわらず--調査結果に書いてあるんですね。にもかかわらず、つがいと判別していないわけであります。このことについて、私、環境省に問い合わせましたところ、雄と雌が飛んでいて、つがいではないというのは、つがいでないことを証拠づけなければ、証明しなければ、一般的にはつがいと判別するべきだろうというご回答でありました。
実はこの報告書、私もちょっと見ていて、オオタカの繁殖期についても誤認があるというものでありまして、これも私は環境省に確認しましたけれども、基本的な事実関係についても、これは都民の税金で都が委託調査を行って、調査をされた会社の報告書が基本的なことで何点も認識が違う点があると。非常に厳しいいい方をすれば、これはちょっと不備があると思いますけれども、多摩環境事務所ではどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。
○中島自然環境部長 先ほどもお答えをいたしましたけれども、これは相互に見解が異なっていることなどから、さらに精査が必要という観点から、オオタカの行動圏調査等の実施を求めておりまして、なお補うべき点があるというふうに考えております。
○吉田委員 ありがとうございます。なお補うべき点、私もあろうと思います。
この平井川周辺というところで、長く観察や調査を行っている自然保護団体では、繁殖期のディスプレーフライトですね、繁殖行為や、幼鳥、要するにひながかえった幼鳥の飛しょうなども確認をしているところでありまして、その団体として、オオタカが繁殖をして生息しているという見解を示しております。
こうなりますと、環境省の猛禽類保護の進め方、これを見ますと、きちんとした調査を実施して、その結果に基づいて審査し、判断するべきであるというふうに思いますけれども、環境省の猛禽類保護の進め方、これに基づいてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 私どもも、環境省の猛禽類保護の進め方、これに基づくものだというふうに考えております。その上で、事業地周辺のオオタカにつきましては、多摩環境事務所に現在幾つかの情報が寄せられております。このため、西多摩建設事務所に対しまして、委託した自然環境調査内容の精査、自然保護団体等の調査結果の整理、また、これまでに得られたさまざまな情報を提供した上で、しかるべき専門家の意見聴取等を行うよう指示しております。
今後、こうした専門家の意見等を踏まえ、適切に対応してまいります。
○吉田委員 ぜひ適切に対応していただきたいわけであります。
そもそも、東京都など、非常に奥の方までというか、山の方まで人も住み、開発が進んでいるようなところでは、そうでないところに比べて、オオタカなど猛禽類の生態の形態も大きく変わっているというか、営巣の中心域の近くだけを保全すれば、それで事足りるというような状況ではなくて、例えば主要なえさ場とか、ちょっと遠いところにでも、開発から残っているところに、ちょっと遠いところでも行かなければその生態を維持できないというような生態の状況というのが観察されるので、保護の仕方というのも、人の開発の進んだところでは、そうじゃないところよりも、より厳密にというか、生態を踏まえてやらなければいけないんだという考え方が、最近、保護を考える方々の中で主流になっているようであります。
そうした中で、例えば埼玉県や神奈川県などでは、独自の、環境省と別途の、もうちょっと綿密な指針というものもつくって、自分の自治体内の保護に活用しているという状況でありまして、例えば、一点だけご紹介をすれば、東京都の場合は、開発許可の手引におきまして、オオタカの生息に関する調査及び解析を実施しとしながらも、特例というか例外として、調査に基づく営巣中心域が策定されない場合は云々と。その後は、三百五十メートルまでの範囲をみなすとか。しかし、そもそも営巣中心域を策定しないということ自身が、ちょっと綿密さを欠くというか、そういう点について、例えば埼玉県の保護指針では、営巣中心域の判定という項目を設けまして、ずらずら読み上げませんけれども、詳細に、だれから見てもわかりやすく、その地域を、区域を判定する、こういうことを定めて記載をして運用しているわけであります。
ぜひ、少なくとも環境省の指針、これの手続、決まりに基づいて保護のあり方をしっかりと進めていただくということを重ねてお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
最後に、自転車の利用の促進という観点についてお伺いいたします。
昨年の四定の一般質問でも、あるいは事務事業でも質問させていただきましたけれども、自転車活用対策、これについて、まずこの意義につきまして都の見解をお伺いいたします。
○市川自動車公害対策部長 自転車は、環境に優しく、都民に身近で便利な交通手段でございます。移動に当たりまして自転車の利用を図ることは、自動車交通量の抑制にもつながりまして、CO2削減にも効果があることから、日常生活などさまざまな場面におきまして自転車の利用促進を図っていくことは、環境の観点からも重要であると認識しております。
○吉田委員 ありがとうございます。おっしゃるとおり、都内からの二酸化炭素の排出量の約二割が自動車から排出をされていて、この利用を抑制するためにも、自動車から公共交通機関や、そして自転車などへの交通行動の転換をぜひ促進するよう、都としても啓発、普及に努めていただきたいと思うわけであります。
中でも身近な交通手段、自転車の利用促進、これについては局をまたがったというか、さまざまな局にご協力をいただきながら、安全で便利に利用できる環境を整えていくという必要があるわけでございます。
昨年のご答弁で、利用促進にかかわる取り組みの進捗状況などを適宜取りまとめて、周知に努めていただくというご答弁をいただいたわけでありますので、その後の自転車利用促進に関するお取り組みの状況、そしてその成果についてお伺いいたします。
○市川自動車公害対策部長 東京都はこれまでも、自転車道の整備などを始めまして、自転車の活用対策を実施してきたところでございますが、今年度から新たに自転車利用促進の普及啓発という観点で、庁内各局や関係機関と連携しまして、九月に環境交通キャンペーンを開催いたしまして、環境に優しい自転車の特性、自転車の交通安全、自転車の乗り方教室などのPRを行ったところでございます。また、荒川区などが開催する環境イベントなどにも参画いたしまして、環境に優しい自転車利用のPRに関係機関と連携して取り組んでおります。
さらに、ホームページも活用いたしまして、関係区市等機関でやってございます自転車走行空間整備に関します社会実験の情報なども掲載をするなど、都民等への周知の拡大も図ってきてございます。
こうした取り組みを通じまして、都民等に対しまして自転車利用促進の意識浸透を図っているところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。いろいろとお取り組みを進めていただいているということでありますけれども、このキャンペーンとかホームページとか、一生懸命お聞きをさせていただいていて、やっぱり初めは産みの苦しみというか、大変ご苦労されながらキャンペーンを打っていただいて、ただちょっと、各局の連携というところで、本年度のというか、お取り組みで、もうちょっと頑張ってほしいなという思いもないわけではありません。
というのは、例えばオリンピックの招致などについては、町連、商店街も巻き込んで、さまざまな啓発というか、招致の機運を盛り上げる活動をしていただいていることに比べて、私のおります中野では、年に一度、中野祭りというのがありまして、オリンピックの招致のブースはちゃんと来たんですけども、環境関係のが残念ながら、小さな区だからなのか来なかったんですけども、他局の行っているいろんなイベントがありますよね。いっぱいあります。そういうものにも連携を、そして各区市町村、こういうところの事業にも、具体例も、既にやっていらっしゃると思いますけども、もっとやっていただく。そして、関係の団体、組織、こういうところとも連携をして、自分の局、課の事業だけでなくて、人の場所も借りてどんどん啓発を進めるということをやっていただきたいわけでありますが、二十一年度以降のお取り組みについて伺います。
○市川自動車公害対策部長 今年度の取り組みも踏まえまして、来年度はさらに普及啓発を促進するという一環から、例えば先ほど申し上げました環境交通キャンペーンにおきましても、連携して参加する団体の拡充を図ってまいりますとともに、庁内各局や区市町村等の関係機関が行っておりますさまざまな環境イベントへの参加の拡大も図ってまいりたいと思っております。
また、イベント時に限らず、通年にわたっての広報も重要だと考えておりますので、広報紙やリーフレットを初めまして多様な広報手段を用いまして、自転車利用促進の普及啓発のための広報活動を行っていきたいと考えてございます。
また、先ほど連携というご指摘をいただいてございますが、自転車関係の庁内各局あるいは区市との連絡会なども活用いたしまして、関係機関の連携を一層強めまして、情報の充実等を図ることによりまして、都民等への普及啓発、意識啓発を推進してまいりたいと考えております。
○吉田委員 非常に積極的なご答弁、ありがとうございます。
ホームページにつきましても、各局連携の状況というか、社会実験のところのみならず、他局のお取り組みにもわかりやすくリンクをしていただいたり、見ていて、非常に重いというんですけど、なかなかあかないPDFファイルがあったり、お忙しいとは存じますけど、エコドライブとか共同配送とかお忙しいと存じますが、自転車のところもより都民に働きかけを進めていただきたいと思います。
本日は、非常に限られた分野をご質問申し上げましたけれども、冒頭申し上げたとおり、地球環境保全あるいは地域の環境改善、さまざまな、全幅の信頼を置いておりますが、引き続き都政の進捗に邁進していただくように改めてお願いして、質問を終わります。
○吉倉委員 私は、自動車部門における地球温暖化対策、特に、都が現在取り組んでいる環境交通モデル事業についてお伺いしたいと思います。
運輸部門のCO2排出量の九割、千三百三十三万トンは自動車に起因するものであり、その中でも乗用車からの排出量は五五%を占めております。こうした状況に対し、都はカーボンマイナス東京十年プロジェクトとして、低燃費な自動車使用の促進や、エコドライブなど低CO2型で安全な自動車運行の実現、交通量抑制に加え、交通流の円滑化推進など、自動車からのCO2排出量削減に取り組んでおります。
とりわけ都は、自動車交通量の抑制と交通流の円滑化の施策として、新宿地域において、ことし七月から環境交通モデル事業に取り組んでいるようでありますが、このように地域に着目して環境交通施策に取り組む意義について伺います。
○市川自動車公害対策部長 都内には、ターミナル駅を中心といたしまして、業務・商業エリアが広がる地域、業務、居住、物流などが複合的に広がっている地域、また、市街地などの居住地を中心とする地域など、さまざまな地域がございます。
また、これらの地域活動、地域の活動を支える都市基盤でございます公共交通機関や道路の整備状況につきましては、地域によって異なるものがあります。このように、異なる地域特性を持つエリアにおきまして、効果的にCO2の排出量を削減していくためには、公共交通機関への利用促進や自動車の効率的利用など、それぞれの地域特性にふさわしい施策を組み合わせて取り組んでいくことが必要であります。こうしたことから、地域に着目して環境交通施策を展開することにしたものでございます。
こうしたことによりまして、都内の代表的な地域特性に着目した環境交通施策を実施いたしまして、それを都内の他地域への施策展開に拡大することを目指しております。
○吉倉委員 地域特性に着目した環境交通施策をお聞きいたしました。
ご案内のとおり、新宿区は商業施設が多く、年間小売販売額が約一兆五千億円にも及ぶ日本一の商業のまちであります。また、新宿駅は、一日当たりの乗降客が約三百五十万人と全国最大級のターミナル駅であり、ことし六月の東京メトロ副都心線の開業で、新宿地域はさらに人、物、車が高度に集中し、活発に移動する地域となっております。
こうしたことから、この新宿地域での物流の効率化の取り組みは非常に重要であると、このように考えております。特に、共同配送等による物流の効率化によって、地域内の貨物車両の交通量削減による交通混雑の緩和が大きく図られると聞いております。加えて、地域のまちづくりにも貢献できるものと期待されております。
そこで、このような地域特性のある新宿地域でモデル事業を展開する意義について、伺いたいと思います。
○市川自動車公害対策部長 新宿エリアは、新宿というターミナル駅の周辺に業務・商業地区が広がる日本有数の人、物、車が集まるにぎわいに満ちた交通結節点でございます。このような地域特性を持つ新宿エリアにおきまして、活発なまちの活動を支えつつ、地域の環境負荷の低減や交通混雑の緩和を図るには、環境交通施策として、物流の効率化により貨物車両の交通量の抑制を図ること、公共交通機関の利用促進並びに幹線道路の交通流の円滑化を図ることなどが有効であると考えております。こうした施策を総合的に実施することによりまして、相乗効果によりまして、さらに効果的に環境負荷の低減が図られるものと見込んでございます。
また、このモデル事業を実施することで、同様な地域特性を有する他の地域にも施策展開を進めることが期待できますので、先行的に新宿エリアでモデル事業に取り組むこととしたものでございます。
○吉倉委員 次に、モデル事業の取り組み内容と新宿区との連携、その施策効果について、ご説明いただきたいというふうに思います。
○市川自動車公害対策部長 モデル事業の実施、推進に当たりましては、地元区や関係機関によるまちづくりとの連携が重要であると考えてございますことから、事業の構想段階から新宿区等と連携し、事業の実施に取り組んできているところでございます。
取り組み内容といたしましては、先ほどご説明いたしました貨物車の交通量抑制等、地域の交通混雑緩和を図るという目的で、ことし七月から、比較的自動車交通量の少ない深夜、早朝の時間帯を活用いたしまして、都庁大型車駐車場を共同配送拠点とした物流効率化を目指しまして、現在、関係者による事業調整を行っているところでございます。
今後は、商業地区の乗用車による交通混雑緩和のため、パーク・アンド・バスライドの仕組みを構築いたしまして、現在、新宿区が導入を予定しております循環バスの利用促進を図ってまいります。同時に、エリア内の幹線道路におきましても、貨物車や乗用車の交通流円滑化対策もあわせて実施していく考えでございます。
こうしたモデル事業の施策効果についてでございますが、エリア内の貨物車の交通量の抑制により、CO2排出量の削減が図られますとともに、あわせて地元区等と連携しまして、まちのにぎわい空間の創出にもつなげてまいりたいと考えております。
○吉倉委員 ありがとうございます。今、答弁にもありましたとおり、このモデル事業は共同配送拠点を利用して配送の共同化を図り、車両の走行量を削減し、CO2削減を目指すものであります。こうした取り組みは非常に斬新であり、評価できるものというふうに考えております。この事業の取り組みは、何よりも新宿区や関係者等との十分な連携が不可欠であり、今後ともぜひ密接な連携をお願いしておきたいというふうに思います。
ところで、今回の新宿での事業は先行モデル事業と聞いておりますが、今後、このように地域に着目したモデル事業をどのように進めていくのか、所見をお伺いしたいと思います。
○市川自動車公害対策部長 新宿エリアでのこのモデル事業の成果を検証いたしまして、新宿エリアと同様に、大規模ターミナル駅を中心に業務・商業地区が広がる地域でも、環境交通施策の展開を検討していく予定でございます。
また、新宿エリアとは異なる地域特性を持つエリアについても、環境交通施策の展開を検討しているところであります。具体的には、鉄道やバス等公共交通機関が発達し、にぎわい施設が多く、大規模イベントの開催等で人、物、車が短期間に集中する臨海エリアにおきまして、環境モデル事業の実施を目指しておりまして、オリンピック招致もにらみつつ、環境負荷の少ない環境先進モデルの構築を図ってまいりたいと考えてございます。
○吉倉委員 新宿における環境交通モデル事業についてお聞きいたしましたけども、今後、臨海地域においても積極的に取り組むという答弁をいただきました。配送車両の走行量抑制とパーク・アンド・ライドによるマイカーの抑制、さらに交通流の円滑化の三位一体により、効果的で総合的な環境交通施策となり得るものというふうに理解いたしました。今後の取り組みに期待したいと思います。
最後に、パーク・アンド・ライドによるマイカー抑制の取り組みについて、一つ提案をしておきたいというふうに思います。
それは、ドライバーが積極的にこの事業に参加できるよう、何らかの特典、例えば駐車料金の割引などを工夫すべきだと、このように考えております。こうしたインセンティブを加えることにより、ドライバーがこの事業により参加しやすくなるというふうに考えております。ぜひ今後の課題として検討していただきたい旨申し上げ、質問を終わります。
○石川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時二十四分休憩
午後五時四十分開議
○石川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○石森委員 それでは、地元の問題を中心にいたしまして、大きく二つの項目についてお尋ねをしたいと思います。
まず、残土処理についてでありますが、多摩地域におきましては、都市部に隣接した多くの森が残されていることから、残土埋め立てを目的とした開発行為が数多く行われている状況にあります。この残土埋め立ての場合は、貴重な谷戸を失うと同時に、ともすると土砂、濁水の流出といった自然保護上、また住民の生活安全上、大きな問題となるケースがあります。そして、この業界には、残念ながら警察や行政も一筋縄では対応できない、遵法意識の乏しい事業者が少なからず存在いたします。
こうした状況の中で、日々対応されている現場の職員の皆さんのご苦労は大変なものがあろうかと思いますが、自然保護、そして都民生活の安全・安心を守るため、都の対応などについてお伺いいたします。
まず、実態を把握する上で確認いたしますが、これまでに許可した残土埋立案件は何件で、現在事業中の現場は何カ所あるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○中島自然環境部長 土砂の埋め立てが自然保護条例の許可対象となったのは平成十三年度からでございますが、これの現在までの許可件数は四十七件でございまして、また、現在事業中の案件といたしましては十件ございます。
○石森委員 ことしの八月末に記録的な豪雨がありまして、先日の建設局事務事業質疑でも土砂災害について取り上げましたけども、今ご答弁のあった事業中の一つになります私の地元八王子市高月町の残土埋立現場では、その際、土砂と濁水が調整池や擁壁を乗り越えて、都道を挟んだ向かい側のビニールハウスまで流れ込むという事故が発生いたしました。一時都道が通行どめとなりましたが、幸い人的な被害はなく、深刻な事態には至りませんでしたが、こうしたことは、近隣の住民からすれば、いつまたそのような事態が起こりかねないといった不安の中での生活を強いられることになります。
そこで、お伺いいたしますが、ことしこのような流出事故が何件発生をして、その際、都としてはどのような対応をされたのか、お尋ねをいたします。
○中島自然環境部長 ことしの八月末に、八王子市高月町のほかに、八王子市の上川町の事業所の現場におきまして、豪雨により小規模な濁水の流出案件一件がございました。
土砂の埋立現場におきましては、こうした土砂等が流出した場合には、直ちに地元市町村、それから都の関係機関などと連携いたしまして、状況に応じた適切な対応をとるよう事業者を指導しております。
○石森委員 流出事故の状況についてご答弁いただきましたけども、こうした事故などを起こす事業者は、何かしら許可した内容と異なる残土処理を行っている場合が多いと思われます。
冒頭述べたとおり、遵法精神の乏しい事業者が存在するところでありますが、このようなルールを守らない事業者に対して都としてはどのような対応をされているのか、お尋ねいたします。
○中島自然環境部長 東京都といたしましては、日ごろから地元市町村と連携し、現場調査を行うなどによりまして、適正な土砂等の埋立事業の執行が図られるように努めているところでございます。
そうした中で、不適正な状況がある場合には、口頭による指導などを行うとともに、必要に応じて文書による指示などを行っております。またさらに、状況が改善しない場合や悪質な場合は、自然保護条例に基づく中止命令等を出して対応することにしております。
今後とも、不適正な事業者に対しましては、地元市町村などと連携し、迅速かつ的確に対応してまいります。
○石森委員 残土の問題につきましては、零細な経営基盤であるがために違法行為に走る事業者や、利益最優先のため安全施工を怠る事業者など、対応に苦慮する場面が多いと思います。
ただ、今回お尋ねした事業地については、既に以前から、当初の計画から乖離した事業内容が地元八王子市から伝えられていたにもかかわらず、都の対応がおくれたために発生した事故でありますから、人災といってもいい過ぎではないと思います。現在、調整池の工事が進められておりますが、既に計画を大きく上回る残土が搬入されているわけですから、引き続き許可権者としてしっかり監視して指導していただきますよう、これは要望しておきたいと思います。
次に、産業廃棄物対策についてでありますが、これまでにも質疑がありましたけれども、多摩地域を中心にお尋ねをしたいと思います。
産業廃棄物の適正処理については、最近の廃棄物処理法の改正による排出事業者責任の厳格化や、不法投棄防止に向けた自治体の監視体制の強化などによりまして、一定の効果が上がっているとお聞きしておりますが、依然として産業廃棄物の不適正な処理についての苦情が寄せられている状況にあります。
特に、私の住む多摩地域では、不法投棄とまではいえないまでも、従来から、中小の事業者が自社の敷地内に解体廃棄物などをため置き、処理が滞った結果、適正保管量を大きく超えてしまうというような事例が従来から見受けられるところでありまして、そのことによって住民からの苦情につながるケースが多いように思われます。
そこで、産業廃棄物の不適正処理対策について、都が実施している対策と効果について、まずお尋ねしたいと思います。
○井戸廃棄物対策部長 多摩地区のいわゆる不適正保管の問題に対しましては、地域できめ細かなパトロールを展開することで、あらかじめ不適正保管につながりそうな現場の把握に努めますとともに、保管量を超過し生活環境に影響を与えるおそれのある現場を継続的に監視しまして、保管量の適正化に向けて粘り強い指導を展開しております。その結果、平成十五年度に多摩地区全体で二十八カ所ありました不適正保管等の現場が、現時点では十五カ所にまで減少するなど、大きな効果を上げてまいりました。
このような不適正保管や不法投棄が行われないよう、未然防止の観点から、都は昨年度から、多摩地区も含めまして、都内全域で建物解体工事現場への立ち入り指導等を展開してございます。
○石森委員 今ご答弁いただきました建物解体工事現場への立ち入り指導においても、無許可の処理場に廃棄物を持ち込むなど悪質な事例が見つかることがあると聞いております。そのような事例に対しては都としてどのような対応をされているのか、お伺いいたします。
○井戸廃棄物対策部長 法違反を重ねる事業者の場合には、定期的な立ち入りですとか、あるいは指示書の交付など行政指導を粘り強く継続するとともに、違反の度合いが重い廃棄物処理業者に対しましては、許可の取り消しも含め厳正に対処しております。
また、先ほどの建物解体工事現場への立ち入り指導にかかわる事例でも、立ち入りを始めた昨年度から現在までの間に十件の産業廃棄物処理業の許可取り消し処分を行っております。無許可業者が絡む事案などにつきましては、必要に応じ、警視庁など関係機関と連携をとりまして、悪質事業者の排除に努めております。
○石森委員 不法投棄の撲滅に向けて、都ではいろんな形で取り組んでいることはよくわかりましたけども、引き続き不法投棄の撲滅に向けた施策の展開に鋭意努めていただきたいと思います。
一方で、産業廃棄物対策としては、処理施設、リサイクル施設の整備も重要な課題であります。
現在、八王子市では、民間事業者による産業廃棄物の最終処分場整備計画が持ち上がっておりますが、聞くところによりますと、この処理場は大規模な施設で、環境への影響も大きいことが懸念されるところであります。これまでこの計画に関して事業者側からどのような相談があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○井戸廃棄物対策部長 廃棄物処理施設の設置に当たりましては、廃棄物処理法に基づきまして、施設の構造、設備に関する技術上の基準、あるいは維持管理に関する基準などを満たすことが必要でございます。また、大規模な施設の場合には、環境影響評価条例に基づきまして、施設の設置許可に先立ちまして環境アセスメントの手続が必要となっております。
お話の事業者の方につきましては、これまで都に対しまして、産業廃棄物の最終処分場を整備していくに当たって必要な廃棄物処理法や環境アセスメント等の関係諸法令の手続につきまして、事前の相談を行ってきております。
○石森委員 この処理施設の建設に関しては、法令に基づき厳格な手続が行われることがわかりましたけども、地元では、周辺住民などによる反対運動が起きている状況にあります。また、都に対しても地域として反対の意向を示しているところでありますが、都としては、この建設計画について事業者をどのように指導していくのか、お伺いをいたします。
○井戸廃棄物対策部長 廃棄物処理法におきましては、先ほど述べさせていただきました基準に加えまして、施設の計画が周辺地域の生活環境の保全、また、周辺の施設について適当な配慮がなされるものであることという規定もございます。都としましては、事業者が施設整備の事業計画につきまして、地域住民、地元に対して十分な説明をし、理解を求めることが重要というふうに考えておりまして、事業者に対しまして今後とも強く指導してまいります。
○石森委員 今ご答弁あったように、処理施設の設置に当たっては、地域住民の意向が適切に反映されて、その周辺地域の生活環境の保全に十二分配慮されたものでなければならないと思います。都としても、このような観点から、地元自治体、住民の意見を今後できる限り尊重していただきますよう要望して、質問を終わらせていただきます。
○宇田川委員 都民の安全・安心の確保が重要視されております。先ほども火薬取り扱いについて質疑がなされたところですが、私からは、都民の身近な場所で幅広く使用されている高圧ガスの安全の確保についてお尋ねをいたします。
昨年、江戸川区内の住宅でLPガスの爆発がありまして、住民の方が亡くなるという痛ましい事故がありました。ことし七月には、江東区内のガラス工場で高圧ガスが爆発して、施設が壊れるという事故もありました。高圧ガスは広く利用されているところですが、取り扱いを誤ると爆発事故などを起こしやすいと聞いております。
ことしも、十月十七日に東京都高圧ガス防災訓練が行われました。開催に当たって、高圧ガスは利便性に富み、産業や生活関連分野で多岐にわたり広く利用されているが、反面、内在する危険性も大きく、特に過密都市東京における高圧ガスの保安の確保については関係者の努力が必要です。このような実情を踏まえ、東京都と東京都高圧ガス地域防災協議会は、関係機関の協力を得て、高圧ガスを取り扱う事業所等における防災意識の高揚、緊急措置技術の向上並びに自主防災組織及び関係機関等との連携の強化などを目的として、高圧ガス訓練、防災訓練を実施するとありました。
こうした取り組みを行っているにもかかわらず、事業概要によりますと、高圧ガス関係の事故が増加しているようです。
初めに、LPガスや産業用の高圧ガスの最近の事故の発生状況についてお伺いをいたします。
○柿沼環境改善部長 圧縮ガスは、委員ご指摘のように、産業界、交通機関あるいは住宅などで幅広く使用されておりますけど、法律上、一般のガスは高圧ガスというふうに分類されております。また、いわゆるプロパンガスなどの液化石油ガスという二つの分類で法令上の分類がなされております。
全国の事故件数でございますけれど、高圧ガス関係の事故は毎年増加してきておりまして、平成十九年度は七百三十一件の事故が報告されております。また、液化石油ガス関係でございますが、平成十五年に百件を超えた後は横ばいでございましたけれども、平成十八年、十九年と二百件を超える状況でございます。
一方、都内の事故件数でございますけれど、高圧ガス関係は、平成十六年度に十件となった後、横ばいでありましたけれども、平成十九年度には三十二件と急増いたしております。また、液化石油ガス関係の事故につきましても、平成十八年度までは一けた台で推移しておりましたけれど、平成十九年度には十五件と増加の傾向にございます。
○宇田川委員 さまざまなところで高圧ガスが使用されることによって、都民の生活は便利になってきておりますが、一方、今のお話で事故も多いということで、危険性が高いという高圧ガスの特性を考えますと、さまざまな施設が密集している大都市東京においては、その取り扱いには細心の注意が必要であると考えます。
危険性の高い高圧ガスは、その種類、性質によってどんな事故が起こるのか、お示しをいただきたいと思います。
○柿沼環境改善部長 高圧ガスは種類によらず危険性がございます。ただ、ガスの性質によって、その危険性の内容というものは変わってまいります。例えば、それは大きく五つに分けられると思いますけれども、高圧であることによって容器が破裂するといった破裂事故。それから、可燃性である水素、液化石油ガスなどでございますと爆発、燃焼事故。それから、支燃性ガスという酸素ガスの場合でも、やはり燃焼事故による火事などが発生しがちでございます。また、毒性を有する塩素、アンモニアなどによる中毒事故や、不燃性ガスではあっても窒素、炭酸ガスなどによって酸欠を起こすという酸欠事故などがございます。
○宇田川委員 いろんな種類があるということで、聞くところによると、溶接によって火花が散って、そこから火事になる事故も多いというふうなことを聞いております。事故が起こった場合、時には人命が失われる可能性もある高圧ガスでありますが、その取り扱いに対する規制についてはどのようになっているのか、お伺いをさせていただきます。
○柿沼環境改善部長 一般の高圧ガスの規制につきましては、高圧ガス保安法によりまして、その製造、貯蔵、販売、移動等について、危害予防の見地から許可、届け出の義務が課されております。それによりまして必要な規制、指導を行っております。
また、いわゆるプロパンガスなどの液化石油ガスにつきましては、高圧ガス保安法とは別に、一般家庭等へのガスの販売や燃焼器、メーター等の設備機器の点検調査のほかに、配管工事等に関する定めを、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律によりまして、規制指導を行っているところでございます。
○宇田川委員 LPガスは、都内六百万世帯の約一割、六十万世帯で使用されているそうで、実は私の事務所もLPガスなんですが、都民生活の安全・安心の確保を図る上で、高圧ガスの安全の確保は大変重要な問題でもあります。
こうした状況において、事故の増加の原因はどこにあるのか、また、都はどのような対応を考えているのか、お尋ねをいたします。
○柿沼環境改善部長 事故の増加の原因として、その事故の報告などから分析いたしますと、事業者の保安業務の軽視の傾向、あるいは熟練技術者の減少等による技術レベルの低下などが主な要因となって、自主保安の機能が十分に機能していないということも考えられると思います。
このため、東京都は五月に、高圧ガス関係団体の参画を得まして、東京都高圧ガス等安全対策会議を設置いたしました。この会議におきまして、事故発生防止のための具体的な対応策を検討してきております。
○宇田川委員 今のお話で、安全対策会議を設置して事故防止を図る対策を検討してきていると、こういうご答弁ですが、いつごろ報告が出される予定なんでしょうか。また、その報告をどのように活用していくのかを教えてください。
○柿沼環境改善部長 高圧ガス等安全対策会議は、一般高圧ガスと液化石油ガスの二つの部会で、具体的に、かつ効果的な安全対策について、これまで検討を重ねていただいております。十一月中には最終の報告をいただく予定でございます。
都といたしましては、その提言をもとに、高圧ガス等事故防止のための安全対策指針、これは仮称でございますけれど、そういった指針を策定していく予定でありまして、策定をした後には、関係団体と連携、協力して、関係事業者の保安確保の徹底に向けて一層の努力をしてまいる所存でございます。
○宇田川委員 冒頭で申し上げた訓練の場において次のようなごあいさつがありました。高圧ガスは、工業原料やエネルギー源として、産業分野のみならず、都民生活の幅広い分野で利用され、大都市の活動全般を支える上で大きな役割を担っており、その安全性の確保は先進環境都市東京をつくる上で欠かせないものの一つといえます。しかし、残念なことに、昨年度は高圧ガス事故の発生件数がそれまでの倍以上に増加してしまいました。そのため、今年度は昨年度より事故の発生が一件でも少なくなるよう、関係団体と東京都が連携し、保安確保の一層の徹底を皆様に呼びかけているところです。本日の実践的な訓練を通じて、事業者の皆様方が事故の危険性について再確認されるとともに、適切に処置するための技術の取得や、警察、消防など関係機関との連携の強化にもあわせて取り組んでいただきたいと思います。これは、ほかならぬ有留局長のごあいさつでございます。
お話がありましたように、環境局も各事業者、警察、消防等と連携をして、今後とも安全確保に向けた取り組みを推進していただくよう申し上げまして、次の質問に移ります。
地下水対策についてお尋ねをいたします。
地下水の汚染対策は、積極的に推進しているところでありますが、安全・安心が叫ばれる昨今、重要な課題となっております。
先月も、都内ではなかったのですが、柏市のハム工場で使用していた地下水にシアン化合物が検出され、食の安全確保に対する問題行動がありました。地下水汚染について、なお一層慎重な対応が求められると考えますが、環境局はどのような取り組みを行っているのかをまずお尋ねいたします。
○中島自然環境部長 地下水の汚染対策でございますけども、水質汚濁防止法に基づきまして、有害物質を含む汚水の地下浸透を未然に防止するため、対象事業所に対しまして定期的に立入検査等の指導を行っております。
また、地下水汚染の実態につきましては、都内全域においてモニタリング調査を実施しておりまして、引き続き、都民の安全・安心の確保のため地下水汚染の防止に努めてまいります。
○宇田川委員 次に、地盤沈下対策についてお尋ねをいたします。
戦前から発生していた地盤沈下ですが、戦後の高度成長期には著しく進行したと聞いております。区部東部低地帯では特に深刻化いたしまして、いわゆるゼロメートル地帯が拡大したところです。私もそこに居住している一人でありまして、日々、水害に対して大きな危機感を抱いております。
余談ではあるんですが、来月には海抜ゼロメートル世界都市サミットという会議が江戸川区で開催をされまして、バンコク、アムステルダム、ニューオリンズ、それからベネチアといった世界の各都市によるディスカッションなどが行われる予定でありまして、地球温暖化による海面上昇も考え合わせれば、我々にとって大変重要な課題であります。
本題に戻りますが、地盤沈下の進行を抑制するために、地下水の揚水規制の強化を行い、その代替策としての工業用水道事業の開始などによって、昭和五十年代からは安定し、現在の地下水位は横ばい、微増と聞いております。
そこで改めて、現在の地下水の状況についてお伺いをいたします。
○中島自然環境部長 ただいまご指摘ございましたように、昭和四十六年からの公害防止条例など、さまざまな施策によりまして地下水の揚水規制を進めた結果、現在は地盤沈下が沈静化傾向にございまして、平成七年以降、一年間に二センチメーター以上沈下した地域はございません。また、平成十九年には都内三カ所の地域で一センチメーター台の沈下量が観測されております。
地下水位でございますけども、こちらの方は微増から横ばい傾向にございまして、地下水の揚水規制の効果があらわれていると考えております。
○宇田川委員 今のご答弁で、地盤沈下自体は現在沈静化しているということです。だとすれば、一定の規制はかけるとしても、地下水を再び利用することもできるのではないかという意見も出てきております。今後も地下水の揚水規制を変わらず継続していかれるのか、検討した上でくみ上げを許す動きをするのか、地下水利用の可能性の判断はいかにしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○中島自然環境部長 平成十七年に専門家によります地下水対策検討委員会を私ども設置いたしまして、都内の地盤沈下と地下水の状況を検証いたしました。その結果、地下水のくみ上げ規制を継続し、くみ上げ量を現状程度に維持することが必要であると結論づけております。
地盤沈下は、やはり一度起こりますと取り返しのつかないことになりまして、未然防止が重要であることから、地盤沈下を再発させないため、環境確保条例に基づきまして、地下水の揚水規制を継続して行ってまいります。
○宇田川委員 地盤沈下再発抑止のために、地下水の揚水規制を行う必要があることは十分に理解をしているところです。一方で、城北、城東地区においては、工業用水法に基づき井戸を廃止して、工水に切りかえて地場産業を支えてきたことも事実です。工業用水道事業そのものについては所轄ではありませんので、そのこと自体については触れませんけども、揚水規制の代替施策として始められたという相関性は否定できない事実だと思っております。
工業用水道事業は、地下水の揚水規制のあり方を踏まえた上で、事業廃止を含めた検討を全庁的に進めるとも聞いております。環境局もその一翼を担っているわけで、工業用水道が今後、仮にではありますが廃止に至った際には、当然に責任を持って対応すべきことはいうまでもないと思っております。
現在、関係各局と調整を進めているようですが、環境局の今後の対応についてお尋ねをいたします。
○中島自然環境部長 工業用水道のあり方につきましては、現在、当局を含めた関係局におきまして、庁内横断的に検討を行っております。私ども環境局といたしましても、これまでの地下水の揚水規制を踏まえ、都民の安全を守る観点から、この検討に積極的にかかわってまいります。
○宇田川委員 雑用水の利用は別にしても、今なお五百を超える事業者が工業用水道を利用しておりまして、中には月額百万円以上の使用料を支払っているところもあります。上水に切りかえると六倍から七倍の利用料がかかると聞いているので、仮に廃止に至って上水に切りかえざるを得なくなった場合に、年間で数千万の影響を受ける事業者も出てきます。まさに死活問題です。一翼を担うと申し上げましたが、環境局もご答弁いただいたように積極的に対応に努めていただくようお願いをさせていただきます。
以上です。
○矢島委員 全体にわたる事務事業調査ですので、まずは施策を進める上での基本的なことについて少しお伺いいたします。
多様な意見により科学は進みますし、いずれその結果は事実としてあらわれ出ます。そこで、その一つが、温暖化対策で進められている根拠に対する別の意見が現実にあるということであります。いろいろな科学者により多々ありまして、この温暖化対策を進める東京都としてどのように認識しているか、まずお伺いをいたします。
地球温暖化対策は、一九八八年、アメリカ上院の公聴会で発言したジェームス・ハンセン博士の地球温暖化説に始まるとされておりますが、気候変動に関する政府間パネルで最終的に決着を得たことによります。その一方で、局所のデータではなく、比較的正確に地球大気温の状況をあらわしているといわれる地球観測衛星の対流圏中層の観測データでは、気温の上昇はコンマ以下であり、むしろ地球は寒冷化の大きな流れの中にあると指摘する科学者もおります。さらに、大気に二酸化炭素は〇・〇三九%しかない貴重な生命連鎖の基本であり、どのような燃料よりも効率のよい、将来の可能性を秘めているともいわれております。
そこで、東京都環境局はこの見解についてどのように考えるか。また、現在立っているスタンスについて、その根拠をお伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 ただいまの矢島委員のお話の中の地球の寒冷化という考え方につきましては、氷河期の周期性などの論点を踏まえ、長期的には地球が寒冷化していくという一つの説というふうに承知しております。また、CO2の将来的な活用の可能性についてもさまざまな知見があろうかというふうに思います。
しかしながら、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第四次報告書では、今、現実に気候システムに温暖化が起こっているということを断定するとともに、温暖化のスピードが加速していることを明確に指摘しておりまして、こうした科学的根拠に基づいて、世界は温暖化防止に向けて大きく動き始めてございます。
都は、こうした世界の動きを踏まえまして、温暖化に伴い地球規模の気候危機が現実に進んでいることは、もやは疑いようがないとの認識を、本年三月に改定いたしました東京都環境基本計画に明記いたしまして、この危機の克服のために、CO2を早期に、かつ大幅に減少させていくよう、実効性ある温暖化対策に取り組んでいるというところでございます。
○矢島委員 私が申し上げたのは、全体として三十年にわたる中層の観測の中で、コンマ以下しか上がっていない。今いっておられる根拠というのは、いわば局所データが中心だという意見もあるわけです。それとは別に、一方ではまた寒冷化の大きな流れの中にあると、こういう意見もあるわけですから、そのことで申し上げておりますので、ちゃんとわかっていると思いますが、答えやすいところを答えたのは仕方ないということで、次の質問に移ります。
排出権取引制度の効果は、少ないコストによる省エネ技術企業に資金の流れを向けるところにあると私は認識しています。しかし、炭素リーケージの問題を抱え、また金融業者が主要プレーヤーとなり、利益トレードの具になっているとの意見もあります。実際、発行済み京都クレジット市場規模も十数倍となり、その売買が拡大しているセカンダリー市場として、各業者を巻き込んで成長しているそうであります。
その一方、強い決意で温暖化効果ガスの削減に取り組み、キャップ・アンド・トレードを推進しているEUの自治体では、EU-ETS第一ステージでキャップについて八百件の訴訟が提起され、第二ステージで八カ国が提起しているそうであります。
このような現実の中、東京都では、本年七月の環境確保条例の改正でキャップ・アンド・トレードを導入し、排出量、排出削減量を知事の登録を受けた認証機関の検証を受けることとしています。EUの例から見ると、制度導入に当たっての問題は、金融取引とキャップということになります。
そこで、賛成した立場でありますけれども、確認の意味で改めて、排出権取引制度の意義と課題、東京方式の取り組みについて認識をお伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 排出量取引制度は、削減に積極的な事業者に経済的なメリットを与えるとともに、削減義務の履行者につきまして、みずからの事業所で削減するか、あるいは削減量を調達してくるかという事業者の選択の余地をふやし、柔軟な対応を可能にするという意義を有するものでございます。
一方、課題でございますが、EUの排出量取引制度の第一期--これは二〇〇五年から二〇〇七年まで行われたわけでございますが--におきましては、削減義務が緩いものであったために、排出量取引を行う必要自体が余り大きくなかったというふうにいわれております。また、こうした排出権の削減義務の緩さが第一期の途中でわかりまして、排出権の価格が急落したという問題点も指摘されております。本年から第二期が始まっておりますけども、第二期におきましては、こうした問題点については改善をされているといわれております。
最後に、東京都の制度の特徴でございますが、東京都の制度は、排出量取引の先ほど申し上げたメリットを生かすとともに、やはりみずからの事業所での実際の省エネ投資などによって排出量の削減が進むことを重視しております。このため、削減義務の履行期間が、EUは一年でございますけども、東京都の場合には五年間という長い削減期間を設けたことによりまして、一定の期間をかけて計画的な省エネに取り組むことを促進すると、こういう制度になっております。
なお、お話の中にありましたEUにおける訴訟でございますけども、我々も、これは制度を検討している過程でいろいろと議論がございまして、調査させていただきました。その多くはドイツで提起をされております。これはドイツの制度が、義務量の設定につきまして約六十という例外のルールを、非常に大きなルールをつくったと、たくさんのルールをつくったという複雑なものであったこと。それから、一回決定しました排出量の割当量、削減の義務量を途中で変更したことが大きな原因であるというふうにいわれております。我々としては、こうした経験も踏まえまして、できるだけ簡潔で明瞭な制度設計を進めているというところでございます。
○矢島委員 ドイツでの厳しいキャップは、電力セクターだけだといわれています。その中での提訴であるだけに、説明があった例外の多さと数多い提訴は、産業界における想像以上の重大さを秘めているという面から考えるべきで、先進国の問題を一面的にとらえるべきではないと私は思います。その部分の認識も大変重要だと思いますので、ぜひお考えいただきたいと、こういうふうに思います。
また、日本の産業エネルギーの効率はEUをはるかに超えておりまして、まして中国とは比べものにならないほどの効率のよさであります。いわばかなりのところまで省エネ技術が進んでいるわけでありますが、その技術をもってすれば、ある試算によれば、環太平洋諸国の技術協力だけで、現在検討されているCO2削減より莫大な数、億トン単位で削減効果があるという試算もあります。つまり、東京都としてできるアジア都市間省エネについての政策協力と日本の省エネ技術のブレークスルーの多様な推進が重要ということになります。意見だけ申し上げておきます。
次に、販売促進に使われるほど身近になっている小規模のカーボンオフセットの意義と東京都の今後の対応について、お考えをお伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 温暖化対策の基本は、先ほども申し上げましたように、日常の生活や経済活動を見直すことによりまして、みずから排出するCO2の削減に取り組むことでございます。
一方、カーボンオフセットと申しますのは、日常の活動等で排出されますCO2につきまして、その排出量に見合った他の事業者等のCO2削減活動の費用を負担することによって相殺すると、比較的取り組みやすい方法でございますので、CO2削減に有効な手段の一つと考えております。
ただ、この手法には統一されたルールがまだ確立されておりませんで、現在、環境省におきまして、そのあり方につきまして検討されております。カーボンオフセットにはグリーン電力証書を使うことが多いわけでございますが、この分野では東京都が先行しておりますので、環境省、国の求めに応じまして、東京都もこの検討に協力をしております。
都といたしましては、こうした国の検討に協力するだけではなく、既に都庁舎のライトアップでございますとか、先日開かれましたC40、気候変動対策大都市グループの会議でございましたが、こうしたカーボンオフセットの取り組みを進めております。引き続きましてこうした有効な活用を図ってまいりたいと思っております。
○矢島委員 大変な大消費地であるのは東京でありますから、ぜひ、国の制度を待つことなく、東京都もその認識を深めながら活用していただきたい。先ほど申し上げたように、販売促進に使うほどのことでありますから、大変身近でありますので、これをお願いいたします。
東京都の建築廃材、木くずなどのボリューム、その処理についてお伺いいたします。
○井戸廃棄物対策部長 木くず等の建設廃材でございますけども、都内で排出されます木くずや廃コンクリートなどの建設資材廃棄物は、平成十八年度実績で年間六百九十万トンでございまして、その九割がリサイクルされております。残りが埋立処分とされております。そのうち木くずは二十八万トンございまして、その中の七割がリサイクルされまして、残りは埋立処分や搬入焼却されてございます。
○矢島委員 全体の廃棄物からいうとわずか一%の水準でありますが、またそれだけに、非常に可能性のある原料という見方もできます。木くずなど、グリーン電力を生産するバイオ発電の原料でありますセルロース系のバイオ燃料としても注目されております。実際、地球の環境負荷が低い、地球に優しい燃料として推奨されているバイオ燃料は、そのほとんどが穀物から生産されておりまして、現在、世界の穀物価格が上昇し、食糧が不足するなど、生産規制が検討されるという大きな問題となっておりますが、生産拡大の流れは実際上大きいというふうに思います。
しかし、その地球に優しいはずのバイオ燃料も、この夏の初め、ドイツでは、エタノール混入一〇%のE10、ディーゼル八%混入のD8など、バイオ燃料による自動車部品の腐食が発生し、大きな問題となったと聞いております。それに対してトヨタは、実際上具体的に、一九九七年以降の生産車は利用可能としましたが、それでもそれ以外の中古車は莫大な数になると思います。
これまでも日本車メーカーは、穀類から生産するバイオ燃料ではなく、セルロース系など木質系からの生産を主張してきたと聞いておりますが、ここで問題となるのは、コストを低減する生産技術と生産原料の確保であります。技術革新は近い将来、必ず商業ベースに乗せることができるというメーカーも現実にあるそうで、次なる課題は原料確保ということになりますが、幸運なことに、その原料を確保できる廃棄物処理のネットワークが東京都にあります。現在どのような状況で、今後どのように生かしていくのか、お伺いいたします。
○井戸廃棄物対策部長 木質系廃棄物のリサイクルでございますけども、東京都は、建設リサイクル法に基づきまして、解体業者に対しまして木くずの再資源化に向けた指導を行っております。木くずは、主として木質ボードの原料ですとか、あるいはバイオマス発電用のチップ燃料などにリサイクルされております。原油価格の状況などを考えますと、バイオマス資源でございます木くずに対する需要は、これからも高まるものというふうに考えております。
木くずは、エタノールの原料として利用する場合には、エネルギー効率ですとか、あるいはコストの面などで、技術的に克服しなければならない課題もあると認識しておりますけども、バイオマス利用の観点から、今後とも木質廃棄物のリサイクルを促進してまいります。
○矢島委員 同時にネットワークの観点から申し上げますと、廃棄物リサイクルの取り組みを促すための仕組みづくりに東京都は取り組んでおります。そのうち、パソコン、小型電子機器、携帯電話は貴金属の原石とも比喩されておりますが、現在は、レアメタルは都市鉱山の鉱石でもあります。
話に聞きますと、どこかの埋立地は鉄鉱石で埋め立てて、もう既にそういう形で、鉄鋼の製造工場だそうでありますが、かつてそれで埋め立てて、緊急の場合に対応されているということもあるように聞いております。同じように、もし輸入がとまった場合に、都市鉱山であることは大変大きな重要なことになりますので、非常に期待するところです。
しかし、これまで業界でいつしか回収目標も語られなくなったといわれる携帯電話などの回収を資源として活用の取り組みは、東京都の努力でにわかに緒についております。そして、回収ボックスの設置など見える形になっておりますが、仕組みづくりの現況と将来方向について、検討状況をお伺いいたします。
○井戸廃棄物対策部長 携帯電話等に含まれますレアメタルのリサイクルを促進し、東京の都市鉱山を活用していくことは、資源循環の観点から重要な課題であると思っております。
このため、本年十月から、全国でも初めての試みでございます事業者回収の仕組みを活用した携帯電話の回収実験を実施してございます。今回の実験を契機に、レアメタルのリサイクルについての関心が高まっておりまして、国もようやく携帯電話の回収目標設定の検討を開始したところでございます。
今後、都におきましては、今回の回収実験の結果等を参考にしながら、携帯電話の事業者回収の拡充、強化を図るとともに、携帯電話以外の小型電子機器につきましても、排出実態等の把握やリサイクルの推進に向けて積極的に取り組んでまいります。
○矢島委員 日本の環境施策は、新技術のブレークスルーとその活用にかぎの一つがあると思います。しかし、一方で、環境対策は細かな要素の積み重ねでありますし、東京都は、有効となる製品の推奨を積極的に進めなければ、目に見える効果は絵にかいたもちということになります。
例えば、初期コストとして問題があるとしても長期的に十分ペイするであろう、住宅で使用されるエネルギーの四分の一を消費する冷暖房費を二割以上削減する断熱材、直射太陽の温度を三度程度下げる効果のある塗料、年間標準家族で一万三千円程度、水道料、下水道料を含めて料金を削減するハイブリッドトイレ、また一万年コンクリート、水道料を下げる地下水浄化システム、循環式マルチエレベーター、大気汚染を浄化する環境浄化植物の種、実用間近の日本の省エネ技術の金の卵の家庭用燃料電池、実験段階でありますが、走行時消費電力がゼロのジェットコースター式の新交通システムなど、枚挙にいとまがありません。
そこで、省エネ技術がもたらす期待される新製品の評価と推奨について、東京都はどのように取り組むのか、お伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 東京都が目指します、二〇二〇年までに東京の温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するという目標の達成や、あるいは長期的にさらに大幅な削減、こういったことを実現していくためには、ただいまのお話にありましたように、先進的な省エネ技術、再エネ技術を活用した製品の実用化と普及促進が重要と認識してございます。
東京は、世界でも最先端の科学技術が集積しておりまして、加えて、多くの中小企業が高い技術力を持ち、先進的な技術を活用した省エネ商品の製品化、実用化に向けて努力をしております。また、製品化、実用化された場合でも、一方では省エネ効果の評価などが定まらず、一般的な普及までに至らないものもございます。
こうしたことから、都といたしましては、先進的な技術を活用した製品の技術的な評価や紹介、環境科学研究所などの研究機関や大学と連携した研究支援などによりまして、先進的な省エネ、再エネ技術の普及促進、実用化を図るための仕組みづくりに向けまして、来年度、所要の予算要求をしております。
○矢島委員 東京都は、旧公害研究所を改編して東京都環境科学研究所として、その後、平成十九年には財団法人東京都環境整備公社に移管をしております。その基本的方向を明らかにするため、平成十八年に環境局調査研究等基本方針を策定しております。その内容をまずお伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 環境施策の展開に当たりましては、科学的な知見の集積や技術の開発が不可欠でございます。このため、環境科学研究所の活用も含めた調査研究なども一層の充実を図るべく、平成十八年度に、調査研究等の目的、対象などについての環境局調査研究等の基本方針を定めました。
この方針におきましては、調査研究等は、環境実態の把握、新たな環境施策の検討、環境施策の効果検証、見直し、環境施策の実施における技術的信頼性の確保などに必要となる科学的、専門技術的な裏づけをすることを目的として実施することとしております。
また、調査研究等の対象としては、環境基本計画などを踏まえまして、自動車公害対策、ヒートアイランド対策、廃棄物対策、有害化学物質対策など、環境施策に関する必要な調査研究等を実施することとしております。
○矢島委員 今、環境科学研究所の目的についてご説明がありました。主要テーマについても資料でいただいているとおりでありますが、環境科学研究所の調査研究は、それを保障するのは人員の確保と事業予算ということになります。
そこで、十年前、五年前と比較し、予算規模、研究員の実員数についてどういう変化があるか、お伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 まず、調査研究の予算でございますけれども、二十年度は一億一千三十九万余となっております。これに対しまして、五年前の平成十五年度予算は一億百万余でございまして、また、十年前の平成十一年度予算は九千二百八十八万円でございます。
次に、人員についてでございますけれども、平成二十年度の研究所職員の定数は三十七名、五年前の平成十五年度は五十名、十年前の平成十一年度は五十九名でございます。
○矢島委員 先ほどから質疑をずっと進めておりまして、多様な形で環境局の役割が増大をしております。新規事業についても同じでありますが、拡大する分母を支えなければならない環境科学研究所の役割は、増すことはあっても減ずることはないところで、現在、ご説明があったように、予算規模も横ばい、それから人員は削減されている。この位置づけが全く十分ではないというふうに思います。この点については、何年か前の都環の委員会のころにもお願い申し上げておりますが、この点についてしっかり組み立てて、人員、予算など、事業の高度化に伴う拡充を図るべきと思いますので、重ねて申し上げておきます。
東京都は、今回の補正予算で、来年度分債務負担行為による住宅用太陽電池購入の補助に取り組んでおります。現在、基本的にEU方式のグリーン電力としてのフィールド・イン・タリフの位置づけが望ましいんでありますが、国全体に係ることだけに、東京都だけの導入は現実的でないのは確かであります。
そこで、今後の方向として、フィールド・イン・タリフの評価についてお伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 フィールド・イン・タリフでございますが、これは日本語で申し上げますと、いわゆる固定価格買い取り制度ということでございます。これは、電気事業者に再生可能エネルギーによります電力を一定価格で購入を義務づける、そのコストを最終的には電力の最終消費者が負担すると、こういう制度でございます。この制度の導入によりまして、ドイツでは住宅用太陽光発電が飛躍的に普及をしておりまして、再生可能エネルギーの導入を促進する上では非常に有効な制度であるというふうに評価をしております。
しかし、我が国におきましては、家庭向けの電力料金は、電気事業法に基づきまして国の認可によって決められております。都の制度として固定価格買い取り制度そのものを導入することは困難であるというふうに考えております。
そうした状況を踏まえまして、都におきましては、今回、家庭において保有されたままの太陽光発電の自家消費分の環境価値に着目しまして、この環境価値の譲渡を条件に機器の設置補助を行う都独自の制度を構築し、住宅用太陽光発電の普及拡大を図ることとしたものでございます。
○矢島委員 今ご説明のありましたように、国の認可で、要するにそれを導入すれば電気料が上がるよと、簡単にいえば。それは電気事業者のいい分であるというふうにも聞いております。これは直接聞いたわけではありませんが、報道によるとそういうことになります。
しかし、ここを超えるのは理念ということになりますので、それを理由にやるのは仕組み上の話ですから、環境行政を進めるためには、基本、唯一の心の支えは理念でありましょうから、そういう観点を忘れないでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
縛りはありますが、現在ご説明のありました二〇〇六年度に終了した国の補助金が復活し、これは太陽電池の購入補助金でありますが、東京都の発電能力による新たな助成と合わせ、ある程度の金額になると思います。
しかし逆は、住宅着工件数の減少と今後見込まれる購入価格の低下、今、技術革新で、しばらくの間、購入電池価格が下がっていくんではないかという見込みがある。消費者としては、下がっていくであろうものを高いままに買うかという一つの問題がありますので、それだけに、そういう状況がありますから、東京都としても軸の座った施策の対応が重要ということになります。
そこで、住宅用太陽電池の置かれている現況と見通し、その決意についてお伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 住宅におきます太陽光発電の設置の状況を見ますと、約八割が既存の住宅に設置されております。したがいまして、我々といたしましては、新築住宅についても普及に取り組むとともに、既存住宅をターゲットとした普及活動にも強力に取り組んでまいりたいと思っております。
現在、この設置のための初期投資費用の回収には二十年程度を要しておりますけども、普及拡大を図るためにはこれを十年程度にすることが重要でございます。そのために、東京都の補助制度と同時に、国の補助制度、さらにはメーカーによるコストダウン、電気事業者、金融機関等々の支援によりまして、さまざまな関係機関と連携して、来年度から二年間で四万世帯への太陽光エネルギーの利用機器の普及拡大を促進してまいります。
こうした二年間の集中的な取り組みによりまして、需要を喚起し、大幅な価格低下を現実のものといたしまして、事実的な普及が可能な状況を一刻も早くつくってまいりたいと思っております。
○矢島委員 量産ばかりではなく、技術的な面での価格低下が見込まれるというふうに聞いておりますので、そういうことになりますと、二年間の間にどれだけの実績を上げるかということは、大変厳しい中でやることになりますので、ぜひ二年間にこだわらずに、状況を見ながらしっかり、先ほど申し上げたように、その状況の中では困難なこともあるでしょうけども、取り組んでいただきたいと、このように思います。
東京のたたずまいは、再開発などで大きく改変される一方で、これまでどおりの人と環境の自然な共同の中にあります。その施策の一つといえるのが環境局の清流復活事業であります。野火止用水、玉川上水、千川上水に高度処理水の浄水を導入しております。この事業は、道路を建設局、下水の高度処理をし浄水を提供している下水道局との共同事業という面もあります。工事の予算は建設局が持っておりますし、高度処理水の生産プラントを稼働させているのは下水道局でありますので、大変つらいところであろうと思いますが、環境局の未来に橋をかけるという役割は重要であります。
実際、千川上水は一部大山で途切れているとの先日の建設局の大津委員の質問に対する答弁がありましたが、その処理水は練馬の関町まで来ているそうであります。ぜひ、旧千川上水の経路であり、優先着工路線でたまたま補助二六号線の整備がありますので、その整備に当たって、東京の中にそういう部分が可能であれば、再生することを考える。そしてそのことによって、地域とそこを訪れる人々に潤いと安らぎを与える千載一遇の局のチャンスであるというふうに私は思いますので、努力していただきたいと思います。
先ほど申し上げたように、大変つらいところでありますが、どうするんだと聞きませんで、意見だけ申し上げて、終わります。
○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石川委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時三十六散会
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