環境・建設委員会速記録第九号

平成二十年九月十六日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長谷村 孝彦君
副委員長石森たかゆき君
副委員長小沢 昌也君
理事原田 恭子君
理事山田 忠昭君
理事今村 るか君
村松みえ子君
橘  正剛君
吉田康一郎君
矢島 千秋君
こいそ 明君
ともとし春久君
高橋かずみ君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長有留 武司君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長中島  博君
緑化募金担当部長庄司 貞夫君
参事浅川 英夫君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事木村 尊彦君
建設局局長道家 孝行君
次長島  博文君
道路監村尾 公一君
総務部長藤井 芳弘君
用地部長角南 国隆君
道路管理部長野口 宏幸君
道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務山口  明君
公園緑地部長安藤 英二君
河川部長廣木 良司君
企画担当部長鈴木 昭利君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
公園計画担当部長小口 健藏君
参事三浦 紀子君

本日の会議に付した事件
 陳情の取り下げについて
 環境局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為 環境局所管分
・東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
・東京都自然公園条例の一部を改正する条例
 建設局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
陳情の審査
(1)二〇第一九号 中国から上野動物園へ貸与が予定されるパンダの受入れに反対することに関する陳情
(2)二〇第三四号 恩賜上野動物園へのパンダ受入れ促進に関する陳情
(3)二〇第二二号 都道秋多三・三・九号線建設計画の一時中断を求めることに関する陳情

○谷村委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、二〇第三〇号、調布保谷線の建設に伴う西武池袋線の保谷第五号踏切の閉鎖中止に関する陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨通知がありました。ご了承願います。

○谷村委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに建設局関係の陳情審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、環境局長に有留武司君が就任されました。
 また、幹部職員にも交代がありましたので、環境局長よりあいさつ並びに紹介があります。

○有留環境局長 去る七月一日付の人事異動により環境局長を拝命いたしました有留武司でございます。
 健康で安全な生活環境を確保するため、また持続可能な東京の発展を実現するため、環境行政は今日の都政において最も重要な課題の一つとなっております。人類の生存基盤の脅威に果敢に挑む地球温暖化対策を初めとする諸課題の解決に向け、環境局職員一同、全力を挙げて取り組んでまいります。何とぞ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 それでは、お手元の環境局理事者名簿に従いまして、異動となりました幹部職員をご紹介申し上げます。
 環境政策部長の森浩志でございます。環境改善部長の柿沼潤一でございます。環境改善技術担当参事の中村豊でございます。自動車公害対策部長の市川郁美子でございます。廃棄物対策部長の井戸秀寿でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○谷村委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○谷村委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○有留環境局長 平成二十年第三回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十年第三回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 今回提出を予定しております案件は、予算案一件と条例案二件でございます。
 一枚おめくり願います。
 初めに、平成二十年度一般会計補正予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 補正予算は、債務負担行為で、太陽エネルギー利用機器導入対策について、限度額九十億円を計上してございます。
 続きまして、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 まず、(1)、東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これは、公益法人制度改革に伴い、規定を整備する必要があるためでございます。
 次に、(2)、東京都自然公園条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これも、先ほどの条例と同様に、公益法人制度改革に伴い、規定を整備する必要があるためでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き環境政策部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○森環境政策部長 平成二十年第三回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、平成二十年度一般会計補正予算案でございます。
 お手元の資料2、平成二十年度一般会計補正予算説明書に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりください。
 債務負担行為でございますが、これは家庭部門における太陽エネルギー利用機器の導入拡大を図るに当たりまして、平成二十一年度当初から円滑に補助事業が実施できますよう、九十億円を限度額として計上するものでございます。
 以上、平成二十年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げました。
 次に、条例案につきましてご説明申し上げます。
 資料3をごらんください。東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、公益法人制度改革に伴い、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、公益法人制度改革に伴い、民法第三十四条の公益法人は、一般社団法人または一般財団法人に移行することになります。これに合わせて条文の文言を改めるものでございます。
 三、条例の施行日でございますが、公益法人制度改革関連三法の施行日に合わせ、平成二十年十二月一日からとしております。
 二ページ及び三ページは本条例案、四ページは新旧対照表でございます。
 続きまして、資料4をごらんください。東京都自然公園条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 本条例につきましても、先ほどの条例と同様に、公益法人制度改革に伴い、条文の文言を改めるものでございます。
 一ページは条例案の概要、二ページ及び三ページは本条例案、四ページは新旧対照表でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で環境局関係を終わります。

○谷村委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、建設局長から紹介があります。

○道家建設局長 去る七月一日付及び七月十六日付の人事異動に伴い、新たな説明員となりました幹部職員と職名の変更がありました幹部職員をご紹介させていただきます。
 道路監の村尾公一です。総務部長の藤井芳弘です。用地部長の角南国隆です。道路管理部長の野口宏幸です。道路建設部長で三環状道路整備推進担当部長を兼務しております山口明です。公園緑地部長の安藤英二です。河川部長の廣木良司です。企画担当部長の鈴木昭利です。公園計画担当部長の小口健藏です。参事で総合調整担当の三浦紀子です。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○谷村委員長 紹介は終わりました。

○谷村委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○道家建設局長 平成二十年第三回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問についてでございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○藤井総務部長 平成二十年第三回定例会提出予定案件についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1をごらんいただきたいと存じます。諮問について関係資料によりご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。
 本件は、土地使用許可処分に係る使用料の減額及び広範な営業活動を行うことを認めるよう求める異議申し立てでございまして、地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく諮問でございます。
 二ページから三ページまでは、異議申し立ての趣旨及び理由について記載したものでございます。
 四ページをお開き願います。
 諮問の詳細についてご説明申し上げます。
 一、異議申立人は、高橋良江さんでございます。
 二、異議申し立て日は、平成二十年五月二十一日でございます。
 三、異議申し立ての趣旨及び理由でございます。
 (一)の異議申し立ての趣旨は、東京都知事が異議申立人に対して行った土地の使用許可にかかわる使用料を適正な額まで減額するよう求めること、また本件土地において広範な営業活動を行うことを認めるよう求めることの二点でございます。
 (二)の異議申し立ての理由でございます。申立人は、東京都立青山霊園内にある土地に関し、知事から使用許可を受け休憩所を経営していることから、定められた使用料を支払わなければならないものでございます。しかし、本件使用料は不当に高額に設定されているとして、適正な額まで減額を求めているものでございます。
 五ページをお開き願います。
 行政財産を使用許可を受けて使用する場合、これにより定められた使用目的に従わなければならないとされております。本件においては、墓参者の接遇並びに生花、線香等の販売及び休憩所と定められておりますが、近年の消費者の買い控え傾向や安売り店の増加等、時代の変化のもと、時代に対応した営業内容や方法に変更し、広範な営業活動を行うことを認めるよう求めているものでございます。
 四、経緯でございます。
 本件処分を行った経緯を時系列に記載しております。
 五、異議申し立てに対する建設局の見解でございます。
 一点目の本件使用料の減額にかかわる部分でございますが、本件使用料は、申立人が本件土地において使用を希望する面積に、東京都霊園条例及び同条例施行規則で定める額の単位当たりの使用料を乗じて算定したものであり、適正な額であることから、本件使用料の減額を求める部分にかかわる申立人の主張には理由がございません。
 また、二点目の要求にかかわる部分でございますが、本件土地において広範な営業活動を行うことを認めるよう求める部分については、処分等の違法または不当を理由としてその取り消しまたは変更を求めるものではなく、単なる要求を述べたものであり、不適法なものでございます。
 以上によりまして、本件土地使用許可処分は内容的に適法かつ妥当な処分であり、本件異議申し立てにかかわる本件使用料の減額を求める部分は棄却し、本件要求にかかわる部分については却下することが相当であると考えております。
 以上で平成二十年第三回定例会提出予定案件についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。

○村松委員 一点だけお願いします。
 都立青山霊園内の当案件についての使用料の推移、わかる資料をお願いします。

○谷村委員長 ただいま村松委員より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○谷村委員長 次に、陳情の審査を行います。
 二〇第一九号、中国から上野動物園へ貸与が予定されるパンダの受入れに反対することに関する陳情及び二〇第三四号、恩賜上野動物園へのパンダ受入れ促進に関する陳情は、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小口公園計画担当部長 お手元にございます資料2の陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、整理番号1の陳情二〇第一九号及び次のページにございます整理番号2、陳情二〇第三四号の二件は、いずれもパンダの受け入れに関する陳情でございますので、一括してご説明申し上げます。
 まず、整理番号1の陳情二〇第一九号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、中国から上野動物園へ貸与が予定されるパンダの受入れに反対することに関する陳情で、世田谷区の金友隆幸さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都において、中華人民共和国から貸与が予定されている二頭のジャイアントパンダについて、受け入れに反対していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、次の整理番号2と同内容となっておりますので、後ほどご説明いたします。
 一枚おめくりください。
 整理番号2の陳情二〇第三四号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、恩賜上野動物園へのパンダ受入れ促進に関する陳情でございまして、台東区町会連合会代表北原達夫さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、日中首脳会談で合意された恩賜上野動物園へのパンダの受け入れを速やかに実現していただきたいというものでございます。
 それでは、現在の状況をご説明いたします。
 動物園の使命は、第一に、来園者が動物を身近に感じ、楽しい時間を過ごすレクリエーションの機能、第二に、動物に関する正しい知識を普及する教育機能、第三に、希少動物の保護、増殖を中心とする自然保護機能、第四に、動物の生態などに関する研究機能であります。
 恩賜上野動物園では、一九七二年の日中国交回復以来、三十六年にわたりパンダを飼育展示し、多くの都民に親しまれてまいりました。この間、恩賜上野動物園では、パンダ飼育及び繁殖技術の向上に努め、子どもが三頭生まれたほか、パンダミルクを開発し中国へ提供するなど、成果を上げてきたところでございます。
 本年五月に行われた日中首脳会談では、中国側から共同研究のためパンダ雌雄一対を恩賜上野動物園に提供する旨、表明がありました。
 パンダの移動に当たっては、一九九六年にワシントン条約事務局から締約国への通知により、パンダ提供の仕組みが貸与方式となり、貸与を受ける際は、繁殖などの共同研究や生息地の保全について支援することが国際的な取り決めになっております。
 パンダの飼育は、パンダの貸与を受けている動物園と中国との共同研究や、生息地保全の取り組みなど、支援の内容や意義などを十分吟味する必要があるため、今後検討してまいります。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○こいそ委員 今回のパンダの受け入れに関する陳情は、今の説明にもありましたけども、受け入れに反対だということと、上野動物園にジャイアントパンダをぜひ早く受け入れてほしいという二つの陳情が出たわけでありますけども、いずれにいたしましても、これ、ジャイアントパンダを私も直接見ておりますし、大変動物として希少な動物でありますけども、かわいい、愛らしいなという感じはいたします。
 しかし、さりとて、やはり国と国とのさまざまな問題の中で、例えばときにはどろどろした外交がそれぞれ展開されるというようなこと。そういう中で、世界じゅうにもパンダが友好の、いわゆる中国としては外向的に友好のあかしとして、研究として、さまざまな状況下の中でパンダを海外に出しているということであります。いずれにしても、昭和四十七年に、ここにありますけども、カンカン、ランラン、これがまさに無償で、これは昭和四十七年でありますから今ではありませんけども、田中角栄総理が訪中されたということ。この中で、まさに友好のしるし、こういうことでカンカン、ランランが日本の上野動物園に来たということであります。その中で、またユウユウが生まれ、そしてなかなか--これは雄ですかね。さりとて、これは繁殖していかなきゃいけない。さまざまな状況の中でユウユウとリンリンが交換をされましたよね、亡くなりましたリンリンですけども。
 そういういろんな過程の中で見たときには、やはり一つの政治的な良好関係の中における一定のしるしといいますか、は、あったと思うんですが、今回の場合は、巷間、我々が、マスコミからも伝わっているのは、百万ドル、一億円、これを年間にわたって払い続けていかなきゃいけないということ。それからこの陳情にもありますように、まだまだ解決していない我々の食の安全、脅かしているいろんな要因があります。この間の汚染米の問題がまだまだ広がっておりますけども、毒ギョーザ、この問題もやはり抜本解決がなされていない。それと、歴史的な状況下の中における、ここにもあるけども、尖閣諸島問題や相次ぐ領海侵犯が重ねられている。せんだっても、国籍不明ということでありましたけども、これが我が国の領海に侵犯していた記事が出ておりましたけども、さまざまな取り巻く状況下の中において、やはり国民全体として--それから三兆円のODA補助、プラス民間を含めたときに三兆円ですから六兆円の、このいわゆるODAといっていいんでしょうかね、これが流されている。
 しかし、これは、私もそれぞれ中国の方にもお話を聞きましたけども、ほとんど知らない。これだけの膨大な我が国の国民の税金の中から捻出された、このいわゆるODAがほとんど知られていないという現状もある。
 いろんな思いの中で私あえてお聞きしたいんですが、今回、両方の意見が、両方といいますか、このような陳情が二本出された中、やはりこれは慎重に対応することが必要ではないかと思いますし、また上野動物園の周辺の商店街の方々ですかね、地元の方々といいますか、そういう方々の声もわからないではない、こういうことを思うわけでありますが、実際としてこのような百万ドルの年間の有償貸与という声がさまざま出ている中で、実際的に上野動物園という話も出ておりますからね。これに対してどうなんでしょうかね、建設局としては。

○小口公園計画担当部長 さきの日中首脳会談におきまして、中国側首脳から、上野動物園に共同研究ということでパンダを雌雄一頭貸与すると、そういう表明をいただきました。
 それで、それまで、先ほど委員ご指摘のありましたように、昭和四十七年に最初に上野動物園にパンダが来たときには寄贈という方式で来たわけでございますけれども、今、パンダの貸与に関する、または移動に関する国際ルールが、このところ絶滅を防ぐという目的のために国際的な動物園の取り決めとして貸与方式に切りかわっております。その貸与方式がまた支援をする、中国におけるパンダの繁殖、または生息地の保全、それにつながるような支援をするということが取り決めになっておりまして、それを背景にして今回こういう話があったかというふうに考えておるものでございます。

○こいそ委員 動物園のありようといいますか、位置づけというか、やっぱり都民の動物園に対する思いといいますか、その中におけるパンダということもそうなんでしょうけども、とりわけこの上野動物園については、私、いうまでもございませんけども、昭和二十四年に当時のインドの首相であるネール首相から、インドからといっていいんでしょうか、インディラという象が寄贈された。これは極めて敗戦で打ちひしがれて、これからのやはり国の行く末、建国の思いの中で、多くの国民がインディラというインド象の寄贈に対して非常な思いを持った。それは私も子どもの--まだ生まれていなかったかな。
 いずれにしても、そういうことをいろいろ聞いております。こういう中で、こういう動物が友好のしるしという中で、私は、インド象のインディラのことは非常にやはり思うところがあるんですね。
 さて、私の思いもあり、ちょっと二、三また聞かせていただきたいと思いますけども、私は、かねがね動物園という場は、まさに生きた教材というべき野生動物を通じて、より自然環境を身近に感ずることができる場であると。要するに、環境教育のフィールドとしても最適な状況が備わっているのではないかと思うんですね。そういうふうに思うわけであります。
 また、最近では大変な集中的な豪雨がそれぞれ局地的に降っていると、起きていると。温暖化の影響なのか、気候変動の影響なのか、環境の変化を感じることが多くなってきているわけであります。また、開発によって多くの生物種の生存が脅かされているという話も聞く中で、まさにこのやはり喫緊の課題である地球環境というか、自然の保護保全といいますか、対応する動物ですね、この場では。こういうものをやはりしっかり守っていく、それから身近に感じていて、教育の場としてもさまざまな意味で私は動物園というのは極めて意義あるといいましょうか、重要な場であるというふうな認識を持っているわけであります。また、ことしの第一回都議会定例会の本委員会において、動物園の役割について質問させていただきました。その中で、自然環境や教育の役割が重要であると改めて認識をしたところであります。
 そこでまず、上野動物園における自然の保護と教育、この場合はさまざまな教育がありますから、環境教育も含めての教育でありますけども、教育の取り組み状況について教えていただきたいと思います。

○小口公園計画担当部長 上野動物園における自然保護ですとか、教育の取り組み状況についてですが、上野動物園は明治十五年の開園以来、日本を代表する動物園として、都民を初め多くの国民の皆様に愛されてきました。
 自然保護につきましては、野生動物の飼育方法や繁殖技術の確立などに実績を上げるとともに、絶滅のおそれのある、例えば小笠原のアカガシラカラスバトですとか、今回の陳情の対象になっておりますジャイアントパンダなど、野生動物の保全に取り組んでまいりました。
 また、教育については、学校の教員を対象とした研修会や都立高校への出張授業を行うなど、学校教育との連携を図っているほか、動物解説員によるガイドツアーの実施や生息地における動物観察会などに取り組んでおります。

○こいそ委員 さまざまに今取り組みが行われているということがわかりました。
 また、飼育方法、繁殖の技術の確立に貢献されてきたということも聞いております。これもまさにこの場をおかりして意見をいわせていただければ、飼育をされている職員の皆さん、これは日々たゆまないあらゆるお仕事に携わっておられて、研さんを積み重ねられて、その総合的ないわゆる結果がこのように高度な繁殖技術の確立に、種の保存を実現させてきたんだというふうなことで、このあたりも非常に今お話しのようによくわかりますけども。
 そして、ここでお聞きしたいのは、このいわゆる例えば有償で--今までは、昭和四十七年代ではこれはもう無償、寄贈ですね。ここに来てどうも有償だという話の中、研究目的としてもね。例えばこれだけ一生懸命皆さんが努力されて繁殖に成功されたということですね、世界的にも評価されたということでありますけども。そのいわゆる子どものパンダ、子パンダ、これは実際どういうあれなんですかね、それだけ努力して生まれたとしても。

○小口公園計画担当部長 上野動物園では昭和四十七年より中国からパンダの寄贈を受けて繁殖に取り組んでまいりました。その結果、三頭子どもが生まれたんですけども、大きく育ったもの二頭につきましては日本の所有ということになりまして、先ほど委員からお話しありましたように、ユウユウと--ユウユウというのは日本、上野動物園で生まれたパンダなんですけども、兄弟同士になってしまいましたので、繁殖をするために中国からリンリンを、ユウユウと交換した形になってございます。
 それで、貸与方式に変わったことによって生まれた子どもはどうなるのかということだと思いますけれども、貸与方式になりますと、先ほどちょっとご説明しましたけども、新たに貸与方式という国際ルールの中では、貸与するパンダの所有権は中国にある、それから貸与されたパンダから生まれた子どもについても所有権は中国にあるということになっております。

○こいそ委員 要するに、例えばこの話が現実的に進んでいって、首脳会談でこういう話が出たわけでありますから、決して軽々な扱いで報道されていると思わないんですけど、いわゆる有償貸与されると。漏れ伝わってくるところによれば、先ほどから出ている数字、百万ドルだということですね。一億円ですね。これは毎年毎年だと。さらに、努力して繁殖してもその子どもの所有権は中国であるということですね。これは、それはそれであれなんですけども。
 ところで、パンダは絶滅の、かなりふえていることも、世界じゅうこういった繁殖にそれぞれ成功しているわけであって、絶滅のおそれがあるというふうにいわれてきました。野生パンダの生息状況は、いろいろと話を我々もテレビだとか雑誌だとか、いろいろ媒体からも断片的にはわかってきておりますけども、実際的にどうなんでしょうかね。

○小口公園計画担当部長 野生のパンダの生息状況でございますけれども、生息地の開発などにより地域の分断が進みまして、個体数が減少しております。最も新しい個体数調査の結果では、パンダの野生生息数は約千六百頭と報告されております。
 パンダは、国際自然保護連合が発行するレッドデータブックにおいて絶滅危惧種に指定されておりまして、絶滅のおそれのある動物の一つでございます。
 この国際自然保護連合というのは、一九四八年に設立されまして、八十四の国々から百十一の政府機関、八百七十四の非政府機関などで構成されている世界最大の自然保護機関、そこが著したレッドデータブックでございます。

○こいそ委員 これはちょっといいですね。私の方でいわせていただきたいと思うんだけども、一九九八年以降の十年と一九九七年以前の十年と比較した場合、飼育施設におけるパンダの繁殖の成果は、出生数が二倍となるとともに、生存率も高まって、出生後一年以上生き延びているというんですかね、数は五十三頭から百四十六頭、三倍になっている。今、千六百頭。非常にふえていることは結構なことですね。そういうような状況ということのようであります。
 いずれにいたしましても、この二つの陳情が出たという中において、このパンダ議論といいますか、ジャイアントパンダ、いずれにしても上野動物園というようなことになっているんでしょうかね、まだよくわかりませんけど、その想定で今いろんなやりとりをさせてもらっていますけども。
 さらに、ちょっと確認も含めての話でありますが、今後、実際パンダを具体的に百万ドルの条件で受け入れるとした場合、どのような検討を進められていくのか、このあたりを教えてください。

○小口公園計画担当部長 さきの日中首脳会談では、恩賜上野動物園にパンダを提供するというふうに表明がされております。その上に立って私どもは考えておりますけれども、もし中国から百万ドルの支援費を求められたらどうするかということに関してなんですけども、先ほどお話ししましたように、現在、パンダの輸出入に関する国際ルールでは、貸与を受ける際は繁殖などの共同研究ですとか、生息地の保全について支援することが取り決めとなっております。中国からもし百万ドルという条件が示された場合には、求められる支援の内容について、支援費の支出と照らして妥当であるか、十分吟味して判断していく必要があろうかと考えております。
 また、パンダ保護に関する支援としては、これまで上野動物園では赤ちゃんパンダの保育のためのパンダミルクを開発し中国に提供したほか、人工授精での繁殖技術についても中国へ提供してきております。上野動物園がこれまで培った繁殖技術などの経験を踏まえ、どういう支援がふさわしいということについても検討する必要があろうかと考えております。

○こいそ委員 いずれにしても、話がかなり進んでいる、話だけが先行している部分と、いろいろあるのではないかとまだ思いますけども、いずれにいたしましても、それぞれのやはり都民の皆さんがいろんな思いを持たれていることはこの陳情からも読み取れるわけであって、その中で、先ごろ北京オリンピックが開催されました。その中で、急激な開発、また成長に伴って、これも報道から伝わる話でありますけども、大気汚染が非常に深刻化していると。また、これはもう心ある多くの皆さんが心配されていることでありますけども、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、これのいわゆる人権の弾圧が繰り返し繰り返し行われているということ。
 こういうようなさまざまなことも我々がいろんなところから聞いているという中で、今後、いわゆるグローバルな視点で物事というのを考えていかなきゃいけないと思うわけでありますけども、やはりジャイアントパンダを、先ほどいいましたけど、パンダそのものに対してだれもかわいいなという、いじらしいというか、愛らしいなという感じはみんなすると思うんですよ。じゃなくて、いろいろもろもろの状況下、いろいろな過程というんですかね、現在進行形を含めたことの中で思いがやはりそれぞれの皆さんがご心配の向きもあるのではないかと思うんですね。
 そういう中で、ジャイアントパンダの受け入れについて、詳細はまだ明らかではないようでありますけども、上野動物園のパンダの導入については、他の動物園の事例をより調べていただいて、申しわけないけども、相手国の一方的な主張やメリットに偏らないように、国民、都民のコンセンサス、視点を極めて重要視する中で対応、検討していただきたいと要望して終わります。

○吉田委員 私からもパンダの受け入れに関する陳情について若干質問し、意見を申し述べたいと思います。
 ただいまこいそ委員からも大変にうなずける点ばかりの質疑がございましたけれども、私も子どものころに親に連れられてパンダ、当時、カンカン、ランランですかね、見に参りました。もみくちゃな中で一生懸命背伸びをしてパンダが奥の方にいるのを、あっ、いたいたと見た記憶がございます。当時はハイビジョンもありませんでしたし、DVDもなくて、今は随分便利な時代になったなと、家の中で手にとるように見れるいい時代になったなと思うわけでありますけれども、この去る五月七日に福田首相と来日をした中国の胡首席との首脳会談においてパンダの貸与が合意されたとの発表があった後、都庁にも上野動物園にも抗議の電話が殺到し、上野動物園で直接抗議ポスターを張る人までいたということであります。
 また、産経新聞の調査によれば、一万人を超す回答の中で貸与を受けることに反対の人が九一%、毎年一億円ともいわれる高額の貸与料を支払うことに反対の人が九七%、つまりほぼ全員、ほぼすべての人が反対だということでありました。
 また、全く別のインターネット上の世論調査サイト、ここの調査結果を見てみましても、貸与に反対の意見が九五%、これもほぼすべての人が反対と、こういう結果が出ております。
 この反対の理由を調べてみますと、詳細に出ております。パンダの政治利用に反対という意見が圧倒的でありまして、次に、友好親善をうたいつつお金を取るということについての反発、さらにその金額が一年間で百万ドルと予想されるという点が反対の考えを決定的にしているように思われます。
 石原知事も五月十六日の記者会見において、何か友情のしるしとしてそれで金を取るというのはどんなものなのかなと。また、一億円といわれている金額について、随分法外な値段だと私は思いますねと述べています。
 この案件について適切な判断と評価を行うために、まず、関連の事実関係を正確に把握しなければならないと思いますので、いろいろと伺っていきたいと思います。
 まず、国際間において絶滅のおそれのある野生動植物の取引を行う場合にどのような制約があるのか、改めて伺います。

○小口公園計画担当部長 国際間の制約についてでありますけれども、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることを目的としてワシントン条約があります。ここで絶滅のおそれのある動植物を希少性、少なくてまれなことなんですけども、希少性に応じて取引を制限しています。例えば絶滅のおそれのあるジャイアントパンダやニシローランドゴリラなどは、商業取引が禁止されていますが、学術研究のための受け入れなどは可能となっております。

○吉田委員 これは絶滅危惧種、種の保存のために全く原則として当然のことだと思います。
 では、現在、上野動物園、多摩動物公園で学術研究を目的に支援費を支払って貸与を受けている動物の事例があるのか、ある場合にその金額は幾らなのかをお伺いします。

○小口公園計画担当部長 支援費の事例があるかというご質問でございます。
 上野動物園で、キリンの仲間であるオカピは貸与期間中、年間五千アメリカドル、日本円に換算して約五十四万円、ニシローランドゴリラは貸与開始から五年間で年間一万アメリカドル、約百八万円を、スマトラトラは二百万円を野生生物保護の取り組みとして支援しています。
 多摩動物公園には事例がございません。

○吉田委員 最も高額なローランドゴリラの場合で年間約百八万円になるわけでございます。
 次に、最近、上野動物園で購入した動物というのがあると思いますが、この価格は幾らなのか、お伺いいたします。

○小口公園計画担当部長 平成十九年度に上野動物園で購入した動物は、すべて絶滅危惧種ではございませんけれども、価格の高い順でいいますと、オオアリクイが二百七十五万円、ツチブタが百万円、コビトカバが九十万円となっております。

○吉田委員 どれも珍しいというか、大切な動物でありますが、一番高いものでもオオアリクイが二百七十五万円ということであります。
 それでは次に、現在、都立動物園にいる動物で価格の高いもの、この上位三つはどのような動物で幾らなのか、お伺いいたします。

○小口公園計画担当部長 現在、動物園にいる価格の高い動物の価格という質問でございます。
 インドサイが三千万円、オカピが三千万円、ニシローランドゴリラが二千五百万円でございます。
 この金額は東京都が購入、交換などをするために定めた価格でございまして、これらの動物は市場で流通してはおりませんので、この金額を支出すれば購入できるというものではございません。

○吉田委員 一番高い値段のサイとオカピでも三千万円と。これは持っているときのというか、あるいは管理しているときの価格が三千万円というわけです。
 先ほどご説明の中で、パンダの提供の仕組みが貸与方式となり、貸与を受ける際は繁殖などの共同研究や生息地の保全について支援することが国際的な取り組みになったというご説明がありました。一九九六年のワシントン条約の通達が出された背景は何なのか、お伺いいたします。

○小口公園計画担当部長 先ほどこいそ委員との質疑の中でも申し上げましたけども--この通達は、一九九三年、パンダ国際シンポジウムにおける合意を受けまして、ワシントン条約締約国での審議を経て出されたものでございます。

○吉田委員 公式にはそうですが、これは中国の働きかけによってこういう取り決めがなされたというふうに理解をしております。
 そして、ところで、我が国にとって大事な動物として、学名ニッポニアニッポン、トキですね。このトキについて、日本と中国の間でトキの保護、繁殖に関して協力が行われております。我が国で残念ながら絶滅してしまった日本のトキのかわりに、中国から発見されたトキ、日本が譲り受けていると。これに関して、日本は中国へODAでトキに関連した支援を行っているというふうに聞いております。
 このトキの方に関して、日本は中国にODAで幾ら拠出をしているのか。これは買うとか貸与とかということではありませんが、関係する経済上のやりとりというか、外交上のやりとりということでお聞きをしたいと思います。

○小口公園計画担当部長 トキの支援に関する中国へのODAについてのご質問でございますけれども、このODAは所管が外務省でございますので、内容については不明でございます。
 外務省のホームページによりますと、一九九九年、トキ救護飼育センター拡充計画に約九百万円支出しており、二〇〇七年にトキ野生復帰計画のために約九百五十万円支出していると掲載されております。

○吉田委員 いずれも過去二回ODAで支援している金額、一千万円に達さない金額ということであります。
 これに対して、巷間いわれているパンダの支援費百万ドルという金額は、これはどこから出てきた数字なのか、確認のためにお伺いいたしたいと思います。

○小口公園計画担当部長 五月の日中首脳会談後のマスコミ報道等で支援費が百万ドルという報道がされてきたことについて、どこから出てきたのかというご質問でございますけれども、その報道に関しましては、どこから出てきたのか、私ども、不明でございます。
 なお、兵庫県神戸市の王子動物園は、飼育繁殖にかかわる中国との共同研究のための支援として、百万ドルを支出していると聞いております。

○吉田委員 いろいろと希少な動物をお借りしたり、あるいは購入したり、こういう金額の相場観というか、こういうものをお伺いしてまいりました。
 つがい一組で年間百万ドルとすると、今の為替レートで一億八百万円、一頭では年間五千四百万円。ほかの動物で最も高い支援費を払うローランドゴリラの場合、年間約一万ドル、百八万円ということと比べても、五十倍、百倍ということで、日本にとって国を象徴するようなトキ、これに関しての支援費がODA二回で、九百万円と、九百五十万円と比べても一けた高い。そして、上野動物園におりますサイ、オカピ、こういった上野にいる最も高いというか、動物の金額三千万円よりも、毎年支払う支援費の方が高いと。
 貸与期間を十年に長期化して、繁殖等云々ということでございますので、十年払えば十億円。パンダの寿命は飼育をしている場合には二十年から二十五年ぐらい生きるということでございますので、すると、二十億円から二十五億円になると。非常に希少なほかの動物、サイとか、オカピとか、ゴリラとか、こういうものに比べていかにパンダが希少だといえども、この金額でならなければいけないというのはちょっといかにも高過ぎるのではなかろうかと、都民の感覚はあながちおかしくはないのではなかろうかという思いもいたします。
 中国以外の国でパンダを飼育している国は何カ国かあると聞いてますが、どこかお教えいただけますでしょうか。

○小口公園計画担当部長 中国からの貸与によりパンダを飼育している国は、アメリカ、ドイツ、スペイン、オーストリア、タイ、日本でございます。メキシコでは、一九九六年の通達以前に寄贈を受けまして、所有権を有しているパンダを飼育しています。

○吉田委員 これらの動物園で幾らでお借りをしているのか、まだご確認をされていないということのようでございます。中国から支援費が幾ら求められるのかまだはっきりしていないと。相手方のお申し出を待っているような状況かなというふうにも受けとめているんですが、相手のいい値を拝聴する前に、まず、世界の動物園が一体幾ら、この六カ国ですね、支援費を中国に支払っているのか、皆が皆、毎年一億円ずつ払っているのか、これを調べるということは、やはり都税でもってこれからされていく、都民の納税者のお金で払っていくということであれば、これは調べることがどうしても説明責任として必要だと思います。これは強くお願いを申し上げます。
 そして、冒頭に申し上げた世論調査などで示されている多くの国民、納税者の意見は、パンダの政治利用に乗っかって中国のチベット弾圧を初めとする少数民族圧殺、さまざまな人権じゅうりん、あるいは我が国への重大な国益侵害と不当な要求、異常な軍拡と膨張主義、覇権主義的な行為、これをあたかも我が国が問題視していないと、容認しているというような、中国にとって都合のよい誤ったメッセージを国際社会に与えることは望ましくないと、こういうご意見なのであります。
 そしてさらに、受け入れるに当たって毎年一億円というのを支払い続けていくことには、これだけ国民の生活が今疲弊している中で、上野動物園の周りに住んでいる方で常日ごろ行ける方以外は、今苦しい中で、なかなか納得がいかないのではなかろうかなと、こういう状況ではないかと思います。
 有名な旭山動物園、ここは、パンダはいませんけれども、非常に努力をされて、非常にすばらしい動物園と評価も高く、入場者もふえていると。
 都として、パンダに依存するのではなくて、やはりきちんと努力をすることでこの動物園行政をしっかりとやっていく。こういう努力と気概が当然に求められていると思います。
 私は地元で、おととい、きのうもみこしを担いで十何カ所か回ってきましたけれども、いろんな方にお会いする際に、最近はこのパンダの件についてもお伺いをしているんですけれども、一億円出しても来てほしいという方は一人もいらっしゃいませんでした。私がお会いした中で、一億円出しても上野にパンダが来てもらった方がいいんじゃないのと実際に私におっしゃったのは、この都庁で会った都議会議員の人だけでした。
 その中には、パンダと、中国が今行っているさまざまな非人道的あるいは国際紛争行為は関係がないから分けて考えなきゃいけないんだよとか、好き嫌いでいってはいけないよとか、そういう一見分別があるような、そういうことをおっしゃる方もいるんですけれども、これは大変不思議なことをおっしゃるというか、私も学生時代には国際関係論、国際政治経済学というのをかじらせていただきまして、ギルピンとか、コヘインとか、キンドルバーガーとか、ウォーラスティンとか、ポール・ケネディとか、ジョセフ・ナイとか、九八年になりましたらハンチントンが出てきましたけども、いろいろ勉強させていただきましたが、どういうテキストを読んでも、ある国で起きること、起こすこと、決めること、受け入れたこと、これはどんなことでもすべては外交と国際関係に影響を与えるんだと。当たり前でございますが、そしてそれが当事国同士のやりとりであれば歴然として影響を与えると。影響が及ばないわけがない。こういうわけであります。
 事は動物園行政の中で完結する話では今ない状態にあるんだということを都民も認識しているし、都にも認識していただかなければいけないんだと。それを切り分けて考えられるんだというのは、余りにもいいかげんなというか、考えなしなというか、そういう議論であろうかと思います。
 中国自身がパンダを政治のけもの、政獣と呼んで、最も外交に有効な資源だと位置づけているわけであります。この中国が非常に国際的に摩擦を起こしながら、しかし、それをなだめるために使っているパンダ外交。こういうものについて、我が国としてきちんとした判断と対応をするということは、これは我が国の存立、将来の世代への責務でもあります。
 中国、一党独裁政権の少数民族弾圧や人権侵害、こういうものを問題視するならば、ほかのそういった国から動物が入れられなくなるんじゃないのと、こういうご懸念をされる方もいらっしゃいました。
 そこで、私はそれも調べてみました。イギリスのザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット、エコノミスト誌の関連の研究機関ですが、ここが発表している世界民主主義度数、こういうランキング、あるいはイギリスの経済平和研究所、こういうところが発表しております世界平和度指数、こういうものを見ましても、局から示していただいた動物の輸入、導入元国として、中国ほどに問題のある行為を行っている、あるいはそこで行っていることを我が国として等閑視して悪影響が及ぶ、そういう国から上野にしても多摩にしても動物を入れている例は、私の判断するところ、ございませんでした。
 客観的な指標がさらに必要であれば、例えばアメリカは、世界の十大人権侵害国というのを毎年毎年発表しています。政治的に中国が外されました。これは大変不思議なことでもありますが、いろいろと判断の材料というのはそれぞれの状況で変わってくる、そういうこともあろうかと思いますけれども、私自身は、中国がきちんと民主化されて、今行われるような少数民族の弾圧とか、人権侵害とか、こういうことがないように一生懸命我が国として働きかけて、それが実現してから、あるいはチベットがきちんと民族自決権を行使できるような、そういう状況になってから正々堂々と国際社会に侮蔑を受けないような形でパンダの受け入れをする、こういうことが我が国にとって望ましいのではないかな、このように思いますし、この一億円、これはたかが一億円かもしれませんけれども、とても大きな一億円でもございます。
 我が国は、先ほどこいそ委員もおっしゃっていたとおり、政府開発援助、それから輸銀ローン、こういうものを合わせて六兆円を中国にずっと援助してまいりました。本で「中国ODA6兆円の闇」と、これは何に使われているかわからないんだと、こういう本も出ておりますが、あるいは、中国遺棄化学兵器、遺棄なんかしていなくてきちんと中国側に引き渡したんだという文書も出ておりますけれども、こういうことに使われているお金も大変な汚職やら腐敗やら、日本側にもある。あるいは、四川の地震のときに日本は義援金を五億円出しました。そのほかにもさまざまな方が支援をしましたけれども、テレビ映像で見ましたけれども、現地の市民の方が当局に援助物資を渡さないでくださいと。全部とられちゃうんですと。地方の共産党の中堅の幹部ですとか、あるいは軍ですとか、こういうところが流用しちゃう。ちゃんと人々に届かない。これがパンダだけ全額きちんと保護に使ってもらうようにしていくというのは、大変に日本として手の届かないというか、検証の難しい、そういう内容でもあるんじゃなかろうかなと、このようにも思います。
 これまで六兆円も出してきた。あるいは、今ご説明のあったとおり、パンダミルクとか、あるいは人工授精のやり方とか、日本側としてもパンダの保護のために一生懸命に努力してきて、中国側に技術を譲り渡してきたものもある。ここで、それはそれ、これはこれで一億円毎年もらっていきますよと。これは国民として、都民として、なかなか難しいんじゃなかろうか。
 中国側もああいう国ですから、そこは本当に友好のためであるので、そういうことはそういうこととして、何かきちんと行って来いで、結局ただにしていただけるような、ただで本当の友好を示すために譲っていただく、お貸しいただくということであれば、私もそれは本当のお気持ちなんだなと、あえてそれは反対はいたしませんけれども、ぜひ世論調査もきちんと都として都民に対して行っていただいて、都民の大切な税金をちょっと相場と外れたような印象も受ける、こういう使い方でパンダを受け入れるということについて、極めてタフな交渉を中国側にしていただきたい。このように申し上げて、私からの要望と意見を終えさせていただきます。

○ともとし委員 お二人のお話を聞いていますと、政治的に利用されちゃいけないよというようなお話なんですけれど、結論的にはお金が高いから、高いお金を払ってまでパンダに来てもらっちゃ困るよというのが結論なのかなと。ただだったらいいですよと、そうじゃなかったらだめですよなんていう論理は、前段の部分と後段の部分が全然つながらないなというふうに私は聞いておりました。
 政治的利用云々というのは、全部これはもう大人のいうなれば理論なんですよ。子どもから見れば、なぜ上野にパンダ舎があって、そこにパンダがいないのと、こういうような感じなんです。本にはパンダが出ている。テレビにもパンダが出ている。日本で一番大きいといわれているような上野動物園、なぜパンダがいないのと。そのときに大人の理論で、いや、政治的に利用されているから、人権だからと、そんなことをいったって子どもは全然わかりません。
 私は、やはり子どもに夢を与えるという、そういう部分が今の東京には必要かなというふうに思っています。
 その意味から若干お伺いしたいんですが、まず、初めてパンダが上野動物園に来た、このときの入園者数というのはどのぐらいですか。

○小口公園計画担当部長 初めてパンダが上野動物園に来園した昭和四十七年の入園者数は、年間五百一万人に達しております。

○ともとし委員 先ほどの話にもありました、長蛇の列でというような話もあったわけですが、ピークは大体どのくらいでしたか。

○小口公園計画担当部長 上野動物園の入園者のピークにつきましては、昭和四十七年のパンダが初来園して以降、二年目の昭和四十九年に七百六十五万人に達しております。

○ともとし委員 三十六年間長きにわたって、上野動物園にはパンダがいたと。通算してどのくらいの人数がこのパンダを見に来ていたんですかね。

○小口公園計画担当部長 昭和四十七年のパンダの来園以降、上野動物園の総入園者数は約一億九千万人でございます。上野動物園では、来園いただいた方がほとんど入り口の一番近いところにございますパンダを見ていただいていると、そのほとんどの方がパンダを見ていただいたと推測しております。

○ともとし委員 三十六年という長きにわたるわけですけれど、現に日本の人口をはるかに超えたような一億数千万という人がこの上野動物園に来て、なおかつ、パンダ舎に寄っていると。ある意味では、そうした方含めて、相当夢をそうした人たちに与えたのかなというふうに思います。
 四月三十日にリンリンが亡くなったと。それに基づいて都民のいろんな動きがあったかというふうに思いますけれど、このことについてどういうような動きがありましたか。

○小口公園計画担当部長 四月三十日にリンリンが亡くなりまして、新聞、テレビ等に大きく報道されました。その結果、四月三十日から五月六日までの一週間、パンダ舎の前に私ども記帳台を置きまして、多くの入園者の方に記帳をいただきました。
 記帳に訪れた方々がメッセージを残してくれたんですけれども、そのメッセージの枚数は一万一千八百枚に上ります。
 その内容としましては、リンリンへ、上野動物園の人気者として活躍してくれてありがとう、天国でも楽しく暮らしてねということや、久しぶりに動物園に来たのですが、リンリンに会えなくて残念です、天国に行ったら少しゆっくりしてもらうのもいいかもしれないね、ありがとうなど、リンリンの死を悼むものや、それからリンリンの姿のイラストを描かれたものなど、これまでの動物園でのリンリンの活躍に対する感謝の声が多くありました。

○ともとし委員 リンリンが亡くなったということについて、子どもは子どもなりに自分の悲しさを表現しているのかなと。大人も大人なりのそういう表現の仕方でこのリンリンの亡くなったことについて文言にしているのかなというふうに思います。
 いずれにしても、一つの動物が亡くなって命というのを明確にそこで感じる者が出ているのかなというふうに思います。
 今、人間同士でさえ簡単に殺し合う、そういう日本の風潮が最近のニュースを見ただけでもあるわけですよ。一つのパンダという動物が亡くなったという、それだけでも生命というものを、そこだけいろんな観点から波及ができるのかなと。そういう意味では非常に大事なことだなと。政治目的どうのこうのというよりもっと根幹に迫る、その生命という、そういう時点から考えれば、まさにこのことは大事かなというふうに思っております。その点についてはどうでしょうか。

○小口公園計画担当部長 先ほど現在の状況の中で動物園の役割についてご説明させていただきましたけれども、動物園の役割の中には四つございまして、楽しく動物を見たり、学んだりするレクリエーションの機能、自然保護、種の保全をする機能、それから教育をする機能、研究する機能とございます。今お話しの命の大切さですとか、親子の愛情ですとか、動物を見て子どもたち、または大人も含めて、そういったものに触れる機会として大変動物園は大切な役割を果たしております。
 今回のリンリンの死亡につきましても、これだけ多くのお客様がそういったメッセージを残してくださり、また新聞報道等も含めて大変リンリンが死んだことを皆さんが悼んでくださったということで、生命教育といいますか、命の大切さを勉強する機会にはなったかというふうに思っております。

○ともとし委員 ことしの八月に上野動物園についてのアンケート調査をやったというふうに聞いておりますけれど、この八月のアンケート調査では、この動物園に来て一番見たいと思われる動物は何なのかというのが出ているかと思うんですが、それは何になりますか。

○小口公園計画担当部長 上野動物園でことし八月に来ていただいたお客様にアンケートをとりました。そこで上野動物園で見たい動物は何ですかということをアンケートしました結果、五六%の方がパンダと回答いただきまして、第一位でございました。

○ともとし委員 都民の皆様というか、国民の皆様というか、どちらにしても上野動物園に来る方の今一番見たいものは、それはパンダなんですよ。その都民の、あるいは国民の要求にこたえていくのは、行政の一つの仕事じゃないですか。逆に、政治的に利用されて本来やるべき行政の仕事を左右されるということは、逆によくないんじゃないかなと私は思っております。子どもに夢を与え、都民が一番見たいと思うものを、それを見せてあげる。これは大事なことだというふうに思います。
 私はそういう観点から質問させていただきましたけれど、このワシントン条約というのは日本も加盟しているんでしょうか。

○小口公園計画担当部長 ワシントン条約に日本が締約国の一員になっているかどうかというご質問でございますけれども、一九八〇年に日本は加盟してございます。

○ともとし委員 国際条約のもとで貸与するときには一定の金額を払わなければならないというのは、これは国際的にみんなが認めて、その加盟国として日本も認めたことなんですよね。いかがですか。

○小口公園計画担当部長 先ほどご説明をしましたように、一九九六年のワシントン条約締結国会議事務局から締約国に対して、これからは貸与方式、それから貸与に当たってはパンダの保護、増殖、また生息地の保全等に関する支援をすると、それが国際取引のルールということで示されております。

○ともとし委員 この貸与する金額を決めたりなんかするのはどこでやるんですか。

○小口公園計画担当部長 貸与に当たっての支援費についてですけれども、基本的にはパンダを輸出する中国、それから貸与を受ける国の動物園の間で決めるということになっております。

○ともとし委員 貸与するところの中国のどの部分と交渉するんですか。

○小口公園計画担当部長 中国のどの部署とという話でございますけれども、まだ中国の方から具体的なお話が来てございません。ですので、今、どの部署とやりとりするかということについてはわかってございません。

○ともとし委員 ということは、上野動物園も、あるいはまた東京都としても、具体的に中国に対して何の打診もしていないというのが現実なんですね。

○小口公園計画担当部長 五月の日中首脳会談以降、中国のパンダを一番保護、増殖をしているところが四川の地震で壊滅的な被害を受けているというふうに聞いております。それでまた、現在もパラリンピックをやっておりますけども、その後もオリンピック、パラリンピックと中国も国家的な今事業をしておりまして、それらのことから、まだ体制について私どもに連絡する状況ではないというふうに理解してございます。

○ともとし委員 どちらにしても、四川の大地震があって、パンダの生息地帯も大変な状況にあるというふうにニュース等でも見させていただいております。集団疎開じゃないけれど、一定の地域に全部そこに集めてということも聞いております。その意味では、いろんな面で資金がかかっているというのもよく理解はできます。しかしながら、都民の税金を使ってそういう交渉をするのであれば、先ほど来お話があったように、これは一円でも安くというのは、そんなのは当然です。具体的に交渉に当たっては、都民を代表してやるわけですから、そういう意味ではきちっとやっていただきたいと。
 しかしながら、冒頭お話しさせていただいたように、これは一つの生命という問題と同時に、子どもに対して夢を与えるという、そういう大きな問題があるわけですから、ひとつ超越したそういう形の中で、決して政治に利用されることなくやっていただきたいということが私の意見でございまして、しかしながら、今の状況を見ると、こちらの方から急いでいろんな意味で仕かけていくということは、これは必ずしも得策ではないというふうに思いますので、そういうよき日にちというか、そういう期間を利用しながら、お互いに冷静に判断ができる、そういう状況を見て、東京の子どもたちに一日も早く夢を与えることができるような、そういう結果をもたらしていただきたいと思います。
 以上です。

○村松委員 二つの陳情、パンダの受け入れに関する日本共産党の意見を申し上げます。
 私たちは、動物園行政などについてはスポーツ、文化と同じく、国と国との平和と友好を主とするものであり、ここに政治的問題を持ち込むことには反対です。
 また、国と国との関係については、対等、平等、相互互恵、内部不干渉が原則であるべきと考えます。
 質疑の中でも出されましたが、パンダが今中国の中でも絶滅が危惧されている、こういう中で自然の中にあることがいいのではないか、こういった意見もあります。一方、日本でも、これまでのパンダの飼育の蓄積があり、パンダミルクの開発など、日本での飼育が困難ともいい切れない状況です。よって、関係者が細かいところまでよく相談して進めてくださることを期待いたします。
 なお、質疑の中で食の安全問題などが出されました。私は、日本の食糧自給率を高めることを初め、輸入時の検査体制の強化が求められていることも指摘しておきます。
 以上、意見です。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第一九号及び陳情二〇第三四号は、いずれも継続審査といたします。

○谷村委員長 次に、二〇第二二号、都道秋多三・三・九号線建設計画の一時中断を求めることに関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 整理番号3の陳情二〇第二二号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、都道秋多三・三・九号線建設計画の一時中断を求めることに関する陳情で、あきる野市の佐野泰道さん外千二百四十二名から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都道秋多三・三・九号線の氷沢橋交差点以南の建設計画を一時中断し、都市計画決定後四十年を経過した今日、本当に必要な道路かどうかもう一度検討していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、秋多都市計画道路三・三・九号線は、あきる野市小川から同市草花に至る延長四・五七キロメートルの南北方向の路線として、昭和四十四年に都市計画決定されております。
 都は、多摩地域における都市計画道路を計画的、効率的に整備するため、平成元年、平成八年の二度にわたり、優先的に整備すべき路線を定めた事業化計画を策定いたしましたが、本路線もこの計画に位置づけ、事業を推進してまいりました。
 さらに、平成十八年に都と地元あきる野市を含む二十八市町で策定した多摩地域における都市計画道路の整備方針においては、活力、安全、環境、暮らしの道路整備の四つの基本目標を踏まえ、本路線の必要性を確認しております。
 本地域では、東西方向に比べ、南北方向の道路の整備がおくれているため、草花小学校などの通学路や通称公民館通りなど、幅員五メートル程度の生活道路に通過交通が進入しております。
 このため、本路線の整備は、混雑の緩和や通学路、生活道路における歩行者等の安全確保、地域の防災性向上などに効果があり、極めて重要であります。また、あきる野市議会から整備促進を求める意見書も提出されております。
 本路線は、既に約一・五キロメートルの区間の整備が完了しており、現在、氷沢橋交差点から五日市街道までの約一・二キロメートルの区間が事業中で、約九割の用地を取得しております。
 整備に当たっては、幅の広い歩道と植栽帯を設け、歩行者の安全性、快適性を確保するとともに、橋梁部については、基礎をくい構造とし、橋台の規模を小さくするなど、湧水に極力影響を及ぼさない計画としております。
 引き続き、周辺の自然環境にも配慮しながら、混雑の緩和や歩行者等の安全確保、地域の防災性向上に寄与する本路線の整備を着実に推進してまいります。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○今村委員 それでは、私の方から質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 今、都からの説明もありました。私も現地を視察してまいりましたけども、大変自然環境豊かな地域でありますし、この三・三・九号線が通る場所は、平井川の右岸に湧水があったり、秋留台地の状況がわかるようながけのずっと見える景観があったり、またその平井川にはきんちゃく田といわれている田畑があるということでありまして、大変すばらしい景観であるわけでありまして、先ほど都もそういった湧水、環境などには十分配慮していきたいというお話がありましたけれども、具体的にそれではどのようにまず評価をされているのか、はっきりとお聞かせをいただきたいというふうに思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 事業地周辺の平井川左岸には、今お話しありました田や畑が存在いたしまして、耕作が営まれております。右岸には、高さ約十五メートルのがけ地と湧水による湿地が形成されております。また、河川内や湿地では希少な動植物の育成も確認されており、大変自然が豊かな地域であると認識しております。

○今村委員 それでは、大変湧水が豊富だというところであるそうでありまして、私もその場所も見ましたし、この周辺にも大変たくさんの湧水があるということでもまた有名だそうでありますから、その湧水をどう保全をしていくのか、お伺いしたいと思います。
 さらに、東京都が昨年の予算でつくりました高瀬橋(仮称)水辺環境調査委託、これの報告書ができておりますけれども、この報告書には、高瀬橋の施工に伴い、湧水量の変動が起こる可能性が考えられることから、湧水、湿地の基盤環境の変化とそれに伴う動植物相の状況について、今後、モニタリングを行うことが望ましい、このように書かれておりますけれども、これらの調査内容、費用はどの程度かかるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 湧水は、今回の橋梁整備箇所を含みまして、平井川右岸のがけ線約二百メートルの区間で確認されております。
 今回の橋台の施工に当たりましては、基礎をくい構造として、橋台の規模を小さくするなど、湧水に極力影響を及ぼさないような計画でございます。
 施工後の湧水に関する調査につきましては、今ご質問にもありましたように、実施する予定ではございますけれども、調査内容だとか期間、これについては今後検討していくため、費用等についてはまだ算出はしておりません。

○今村委員 それでは、がけの景観などはどう保全していくのかをお聞きしたいと思います。
 さらに、崩落の危険性がないのかどうかもあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 平井川の右岸のがけ地につきましては、今回の橋梁の施工箇所を除きまして、のり面の崩壊を防止するため、いわゆるのり面防護のためののり枠工が既に施工されております。
 今回の橋梁整備箇所につきましても、周辺と同様ののり枠を施工いたしまして、のり面の崩落、これについて防護していきたいというふうに考えております。

○今村委員 それでは、それらの方策をしていくということですけれども、保全に向けた検討で、専門家の意見などは取り入れられているのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、今後、そうした検討をする場合には、正式な委員会を庁内に設置して行っていくのかどうか、あわせてお聞きしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 概略検討の段階で、橋台をくい構造とする計画につきまして、専門家の意見を伺っております。施工計画を検討する上でも外部の意見を伺いながら事業を進めていきたいと考えております。
 なお、こういう計画につきまして、環境局と協議しながら保全対策の検討を進めておりまして、庁内にも技術者等がおるものですから、庁内の委員会等については設置する考えはございません。

○今村委員 今、専門家の意見をお聞きしているということでありましたけれども、ここには湧水のことに関して東京学芸大学の小泉先生でよろしいでしょうか、の解説が載っていまして、それを読むと、秋留台地がどのように形成されてきたのか、またその歴史をかいま見ることができるようでありまして、私も拝見をさせていただきました。
 聞くところによりますと、この専門家の意見はこの小泉先生にお伺いをしたということだというふうに思いますけれども、小泉先生の、ここは百年で大体数メートル後退をしている、こういった崖線になって、がけになっているわけでありまして、施工に伴って湧水には配慮するということでありますけれども、くい構造のものが打たれるということになれば、報告書にも湧水への影響が考えられるということですし、このがけの部分についてもどのようになるのかはまだ不確かではないかというふうに思いますし、東京都が行ったのり枠の施工部分についても既に浮きが出てきておりまして、東京都はいずれ、これらの工事とは別になるのかもしれませんけれども、工事をするというふうにお伺いしておりますので、大変慎重に進めるべきではないかというふうに思います。
 先ほど小泉先生に確認をしたところ、私、このような書面をいただいたんですけども、東京都の職員の方が研究所にいらしてこの工事の説明をされたそうですけれども、私も都の職員の皆さんからは小泉先生から何もご意見はございませんでしたということを確認いたしましたが、この小泉先生のお話というか、ペーパーに書いてあるのは、私は聞きましたけれども、意見は一切述べていませんということで、求められていないということで、これは意見を伺ったんじゃなくて報告をしただけではないかというふうに思いますので、庁内に専門の委員会を設置しないということでありますけれども、ぜひしっかりとこの辺は意見を聞く、またはそれら検討をしていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思いますけれども、きんちゃく田と呼ばれているこの田畑の部分ですけれども、これらはどう保全、営農してもらうのか、伺いたいと思います。この際、この平井川でも有数なきんちゃく田でありますので、希少な景観として公有地化して保全、営農することなどは考えられないのか、伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 きんちゃく田をどう保全するのか、あるいは保全の、営農の可能性はないのかというご質問でございますけれども、今回の道路区域以外の農地につきましては農業を継続することができます。道路整備の事業として取得した土地では、当然のことながら、公有地として営農することはできません。また、道路区域以外の土地を今回の事業、道路用地として取得することはできない。
 以上のような状況でございます。

○今村委員 ご答弁は、ある意味ではもっともだというふうに思いますけれども、何も道路事業や道路予算で営農を続けてもらう、または公有地化したらどうかといっているわけではありませんので、環境の問題については環境局とも当然協議という形でこれからも話し合いをするわけだと思いますし、きんちゃく田といいますと、高麗川のきんちゃく田が大変有名でありまして、大変な多くの観光客がいらっしゃいますし、入場料まで取るというところでありますので、ここは大変貴重なところだというふうに思いますし、先ほども少し話が出ていましたけれども、特に食糧自給率の問題は今大きな国民の関心事にもなっているわけでありまして、ここだけでどれほど改善するかという部分は甚だ疑問でありますけれども、日本の古来からの原風景ともいうべきこのきんちゃく田や谷戸の田んぼの景観、それから棚田など、こういったものはやはりこれから保全をしていこう。ある意味では、諸外国でもそうでありますけれども、公有地化をしていく。
 今、国の方でもそのような話が検討されているようでありますけれども、東京都だけではなかなか厳しいこともあるかと思いますので、検討は庁内でしっかりしていただきながら、必要があれば国にも働きかけるぐらいの積極的な検討をお願いしておきたいというふうに思います。
 それでは次に、オオタカについて伺いたいと思います。
 調査報告書では、春、夏、秋、冬、それぞれ二日間調査をされておりまして、合計二十回もの確認をしております。
 まず、このオオタカの生息状況について伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 オオタカに関する調査では、今回の事業地周辺に飛来が確認されております。
 なお、今回の事業地周辺では、オオタカの営巣地は確認されておりません。

○今村委員 調査報告書の中には、成鳥の雄と雌、それから若鳥も雄と雌が確認されているんですけれども、これらは通常考えるとつがいじゃないのかなというふうに考えてしまいますけれども、どうなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
 また、ことしのことですけれども、現地に調査に行ったところ、このエリアで地元の方から幼鳥の確認をしたというお話も聞いているんですけれども、こうしたこともあるようでありますので、これらオオタカの対策はどう今検討されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 調査の結果では、つがいは確認されておりません。事業地周辺では、オオタカの営巣、あるいは繁殖に結びつく行動が確認されていないことから、現時点では本事業がオオタカに与える影響はほとんどないというふうに考えております。

○今村委員 それでは、調査の中でオオタカの個体識別を行ったのか、確認をしたいと思います。それぞれつがいかどうかというものは、きちっと個体識別というものを行わないとわからないというふうにいわれていますけれども、お答えをいただきたいと思います。
 さらに、この調査報告書の一三五ページでは、オオタカが事業区域を回避して、回避する行動の変化が予測されるというふうに書いてありますけれども、このような繁殖の制限がされないのか、改めてもう一度お聞かせいただきたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 個体識別に役立つ情報につきましても、可能な限り収集しておるところでございますけれども、雄、雌の区別にとどまっているところでございます。
 従前から事業地周辺では繁殖のための営巣地とはなっていないわけでございますけれども、今後、周辺の山林で環境が整えばオオタカの営巣の可能性も考えられると思っております。

○今村委員 今ご答弁からも営巣の可能性はあるということで、調査報告書にもそのような記載がされておりますし、事実、ここから一キロ先のところでは過去には営巣されていたということが確認をされておりますけれども、それでは、そういった認識のもとに今後調査はどのように行うのか、お聞かせいただきたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほどもお答えしましたけれども、事業地の周辺でオオタカの飛来が確認されておりますことから、工事に着手した後もオオタカの飛来状況等について調査を行っていく予定でございます。

○今村委員 つまり、先ほどのご答弁からも明らかなように、今後もやるということですけれども、せっかくお金を払った調査報告書でも個体識別はできていないわけでありまして、可能性があるわけでありますから、きちっと個体識別の調査をした方がいいのではないかというふうに思います。
 ちなみに、環境局と協議を既にされて今までもいるわけでありまして、当然、種の保存法によって環境省の方がつくられた、これ、ちょっとコピーですけれども、猛禽類の保護の進め方というものを当然読んでいらっしゃるんだというふうに思いますけれども、ここにもあるように、主要なハンティングエリアだったり、高度利用地域といいましたでしょうか、こういったことに今回の地域もなる可能性があるということになりますので、しっかりと本調査をぜひしていただきたいというふうに思いますし、東京オオタカ保護連絡会から知事にこの要望書がきのうの時点で出ていますので、多分、まだ建設局の方には、お手元に届いていないかもしれませんけれども、この東京オオタカ保護連絡会の皆さんからもそのような要望が出ておりますことをご紹介し、お願いをしておきたいというふうに思います。
 それでは次に、環境省のレッドデータブックの準絶滅危惧種にも指定されているトウキョウダルマガエルについての生息について、平井川でも有数の繁殖地というふうにお聞きをしておりますけれども、東京都の見解を伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 認識ということで、東京都の確認状況でございますけれども、過去に実施いたしました生物調査によりますと、事業箇所だけではなくて、この平井川上流域でもトウキョウダルマガエルの生息が確認されております。

○今村委員 報告書には、トウキョウダルマガエルなどの両生類、爬虫類に対する保全策の例で、道路への侵入を防止するためのさくや道路による分断を解消するためのトンネルを設置するというふうに書いてありますけれども、これらは効果があるのかどうか、認識を伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 さくだとかトンネルの設置は、平面道路の構造における一般的な轢死、つまり車にひかれてしまうことに対する防止策であるというふうに認識しております。
 今回の工事、道路は、高架構造、橋形式でございますので、そういうことはないとは思いますけれども、それに応じた対策も検討してまいりたいと思います。

○今村委員 今ご答弁にもありましたけれども、この準絶滅危惧種に指定されているトウキョウダルマガエルの対策に、ロードキルを防止するために運転者に注意を喚起するとかいう対策が書いてあるんですね。これは、対策かどうかというのは大変、わざわざ書くほどのことではないのかなというふうに思いますし、聞くところによりますと、両生類の中でもトウキョウダルマガエルというのは、吸盤がないので、コンクリートなどの擁壁は登れないというふうにいわれているそうでありまして、アマガエルがこの中に出てきますけど、アマガエルは当然そういったところを移動することができるようでありますし、先ほど答弁にあったように、都が確認をしている平井川の中、または今回の報告書で見つかった田んぼの部分はすべて橋梁です。ですから、この対策は、今ご答弁にあったとおり、一般的な対策を載せているということでありますけれども、せっかくお金をかけているんだったら、今回の高瀬橋の橋梁の部分に対してどう対策をするのかということをきちっとやっぱり報告に入れるべきではないかというふうに思うんですね。
 例えば途中で設計が変わるのは大変わかります。くい構造の部分も後ろに、さらにがけから離して配慮するという東京都の設計変更があったようでありますけれども、この報告書の中には、今はもう予定にない橋脚のP2という記載があったりするわけでありまして、これらはやはり読んでいる方からすると誤解を招くのではないかというふうに思いますので、あえて指摘をさせていただきたいと思いますけれども、このように、せっかくお金を払って調査をしているわけでありますから、きちっとコンサル会社と調整をしていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 それから、今後、具体的な検討は行うといっているわけでありますので、改めてこれは、私ども会派の仲間からも強く要望されておりますけれども、東京の名のつく希少種のトウキョウダルマガエルを初め、希少種の保護保全には十分な対策をしていただきますように要望しておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移りますけれども、報告書にゲンジボタルが入っていないのはなぜでしょうか。都との事前調整や途中経過、報告が多分あってやりとりがあったと思うんですけれども、この中でなぜ気がつかなかったのかなというふうに疑問を持つわけでありますけれども、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
 それから、担当者によると、今年度追加で調査をしたということでありますが、施工までの事前の協議は十月までに済ませたいというお話を聞いておりますけれども、この調整は間に合うのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 昨年、十九年度調査におきまして、蛍のえさとなりますカワニナががけ下の湿地で確認されたため、この結果を受けまして、本年の六月から七月にかけまして、蛍の成虫の生息状況調査を行ったところでございます。
 がけ下湿地に生息しておりますカワニナについては、湧水の保全をすることによりまして、影響はないと考えております。
 間に合うのかということにつきましては、六月から七月に調査を行っておりますので、間に合うというふうに認識しております。

○今村委員 確かにカワニナの調査がされてということでありまして、その時期が蛍の時期を過ぎていたということでありますけれども、この報告書にも事前の調整をされているんですね。主な希少種等の予測がされ協議をしているわけでありまして、蛍が出るのはある意味ではこの地域では大変有名な話で、当然担当の西建も知っていたのではないかというふうに思われますけれども、ぜひ先ほども少し触れましたけれども、大切な税金を使っているわけですから、なるたけいい調査報告、または正確な調査をしていただきたいなというふうに思っています。
 それでは、次の質問に移りますけれども、そのほかにも希少種のヒバカリという、これは蛇の仲間だそうですけれども、またアブラコウモリなど、東京都版のレッドデータブックに記載されている種がありますけれども、これらの影響や対策は今どのように検討されているのか、お聞かせください。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 蛇の一種でございますヒバカリにつきましては、工事着手に際しまして、事前捕獲によりまして事業区域外に移動させた後、さくを設置いたしまして、施工箇所に侵入できないようにしたいというふうに考えております。
 また、アブラコウモリにつきましては、えさとなる小型の昆虫類が夜間照明に影響を受けないように、高圧ナトリウムランプなどの誘引性の低い道路照明の設置を考えております。

○今村委員 それでは次に、騒音、振動や排気ガスの影響を心配される地元の声がありますけれども、これらについてはどのように検討されているのか、お聞かせください。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 本道路の計画設計交通量は一日当たり一万二千台でございまして、沿道環境への負荷は小さいと考えております。
 また、当該地域におきましては、地形が平たんでございますので、騒音が反響するような山や壁がないというふうに認識しております。
 また、排気ガスにつきましては、川に沿った地形でございますので、排気ガスがその地点で滞留するということはないというふうに考えております。

○今村委員 ご答弁をいただきましたけれども、余り影響がないというお話でありましたが、聞くところによりますと、聞くところというか、この平井川が蛇行していることによりまして、この水田などのところではこだまが発生するというふうにいわれて、子どもたちが大きな声でしゃべったりしているようでありますし、排気ガスなどの逆転層が起こっている場合があって、NO2とかCO2など空気より重たいものが下に沈んで川沿いを流れるのではないかという、こういったご指摘がありますので、ぜひこの辺のことは十分に考慮していただきたいというふうに思います。
 それから、これら調査報告書にあります対策や今後のモニタリングなど、費用は大体どのぐらいになるのか、伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 環境対策の今後の対応につきましては、詳細の検討をこれから行ってまいりますので、対策費用につきましては現在のところまだ算出してございません。

○今村委員 わかりました。
 それでは次に、未買収地の地権者がいるそうでありますけれども、一体何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
 それから、橋梁工事は、ことしは二十年ですから、二十一年、二十二年で工事をするというふうにお聞きをしておりますけれども、それまでに買収の見込みがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 地権者の数についてのご質問でございますけれども、共有名義等もございまして、一敷地を一名としますと、関係権利者は十四名でございます。筆数については二十三筆というふうに認識しております。
 地区内には道路整備に反対のご意見をお持ちの方もいらっしゃいますので、敷地内民有地、いわゆる敷民というふうにいっておりますけれども、そこの境界が難しい状況にございますが、今後ともこの道路の事業計画に即して、市とも協力しながら、地元の方々と粘り強く折衝しまして、早期の用地取得に努めたいというふうに考えております。

○今村委員 今お話にもありましたけれども、平成九年からだったでしょうか、事業決定してから買収をされているようでありますが、ここの地域についてはなかなか厳しいようなお話も伺っているところでありますけれども、今年度、そうはいっても工事の発注が予定をされておりますけれども、この道路部分と、それから橋台の工事はどのように発注して、そしていつごろ契約をされるのか、伺いたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 工事は高瀬地区と平沢・二宮地区で別々に発注する予定でございます。今年度の当初に公表しております西多摩建設事務所の発注予定から多少ずれてはおりますけれども、両地区につきましても十月には契約したいというふうに考えております。
 また、橋台の工事につきましては、十二月を予定しております。

○今村委員 わかりました。
 それから、道路、橋梁、築造に伴う環境や動植物への影響は、今までの質疑の中で小さいというような都の見解というふうに理解をいたしておりますけれども、そうはいっても、影響があることは間違いがないわけでありますし、少なからず影響があることは報告書にも記載されているとおりであります。さらに、今明らかになったように、未買収地の買収見込みが不透明な中で全面開通することが先送りになるおそれがあるのではないかというふうに考えます。
 そうしたことを考えますと、環境への影響を少しでも先延ばしにするためにも、来年度以降も工事を予定しているわけでありますし、それらの工事費などは、この地域、まだまだ道路事業の要望も大変強いようでありますし、他の事業などに振りかえて整備率の向上に努めたほうが費用対効果、それから環境負荷の低減にもなるのではないかというふうに、素人考えかもしれませんけれども、単純に思うわけでありますけれども、そのような検討をすることはできないのか、お聞かせいただきたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 道路は、他の道路とつながってネットワークが形成されることによって、より大きな整備効果を発現するわけでございます。今、当該路線の整備を休止し、他の路線に着手することは、今までの投資を眠らせるということになりまして、非効率であると考えております。
 本路線は、既に全体の九割の用地取得が完了しておりまして、整備効果発現の寸前まで事業が進捗しているわけでございます。先ほどありました未取得の用地につきましては、今後も粘り強く地元に協力を要請しまして、早期の解決を図りたいと考えているところでございます。
 今後とも環境に十分配慮しながら本事業を進めていくとともに、他の第三次事業化計画路線につきましても順次整備を推進してまいりたいと考えております。

○今村委員 私は、別に今すぐ、例えば今年度の道路事業を中止しろとはいっていないんですよ。今年度、ご承知のとおり、道路が一部、五日市街道から途中まで、橋梁の手前半分でとまってしまいますし、その先の橋梁は次年度以降ですから、その先の部分が一部施工されると、こういう予定になっているわけですよね。ですから、それらは今年度やってもつながらないんですよね。旧道というか、今ある現道とはつながるわけでありまして、例えば、この設計図をいただきましたけれども、がけの上の部分ですけれども、くい構造にする部分はがけからそう実際は離れていないわけで、ここにすぐ市道の一一一号線っていうんでしょうかね、が走っていて、ここに接道するようになっているわけですね。そのために高低差がとれないからこういった事業になっているんだと思うんですけども、その先にも道路がありますね。ここまでは今回施工するわけでありますけれども、私が思うには、例えばここは生活道路みたいなもので、もちろん拡幅の予定は入っておりますけれども、ここの距離はわずか何メートルでしょうか--何もここから来た車ががけの部分の交差点から入らなくても、一つ手前から入れば随分交通量を回すことができるわけでありますし、何だったらここまで全部施工しても構わないんじゃないかと思うんですね。
 よりいうならば、くい構造の部分をもっと下げれば、ここが立体になって、交差をすることができるのではないかというふうに思いますから、せっかく予算をかけてやるならば、ぜひ道路をつなげていけるような構造にしてもいいのではないか。これは私の単なる私案でありますし、先ほどお話があったとおり、もし仮にですけれども、過去に--(三字削除)--で営巣していたオオタカが、報告書にも若鳥がいて、さらにいえば、東京都の報告にはないですけども、幼鳥がいたという話がありますから、これが出てくると確実に、環境省の指導にもあるように、工事をストップせざるを得なくなってくるわけでありますので、せっかくやるならばきちっと費用対効果を考えていただきたいということでありますし、そういった意味でちょっとお話をさせていただきましたので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
 それで、景観のことも大変今大切にされておりますけれども、このきんちゃく田のある景観や湧水のことなど初め、特に絶滅危惧種などの動植物が確認されている中では、環境影響についても、今後、環境局との協議やモニタリングを行うとする都の姿勢は一定の評価をいたします。しかし、さきに述べたように、オオタカの調査がまだ不十分ではないかというふうに考えられますし、東京都の環境影響評価条例には当たりませんけれども、この条例や環境省の猛禽類の保護の進め方などを十分に勘案し、影響がないことを確認して事業を進めたほうがいいのではないかと思いますけれども、都の見解をお聞きしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 本地域は、湧水や希少種が存在するなど、自然に恵まれた地域でございまして、それを十分認識しております。そのため、都の自然保護に関する条例等に基づきまして、これまで必要な環境調査を行うとともに、橋台の構造の検討によりまして湧水対策を実施するなど、環境に十分配慮して検討を進めてきたわけでございます。これに加えまして、工事を進めるに当たりまして、環境調査をさらに行っていくことを考えております。
 今後とも自然環境に配慮しながら必要な都市計画道路の整備を着実に推進してまいりたいと考えております。

○今村委員 ぜひ東京都のしっかりと環境に配慮した事業計画を私も望みたいというふうに思いますし、せっかくですから最後に局長からぜひ一言お話を、決意というんでしょうかね、お聞かせをいただきたいと思うんですが、環境・建設委員会でありますし、道路事業とオオタカの保護というのは大変難しい問題でもあるわけでありますけれども、それらをしなければいけない委員会でもあるわけでありますので、局長の決意をお聞かせいただきたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 今もお答えいたしましたけれども、東京都はこれまでも自然環境に配慮した道路づくりを進めてまいりました。道路整備に当たりましては、東京の自然の保護と回復に関する条例などに基づきまして、事前調査を実施しまして、環境保全対策を行ってきたわけでございます。
 当該の秋多三・三・九号線の事業箇所でございますけれども、オオタカも確認されていることから、引き続き必要な調査を行い、対策を講じていきたいと考えております。
 今後とも、自然環境に配慮しながら、都市計画道路初め、東京の道路整備を推進してまいりたいと考えております。

○今村委員 今、部長から答弁をいただきましたけれども、どうですかね、別に局長お話しされても、やるといっているわけでありますし、私はしっかりやってもらいたいなという気持ちであるわけでありますし、きょうは私ども都議会民主党の仲間の意見も踏まえて質疑をさせていただきましたので、ぜひいま一度局長にお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○村尾道路監 繰り返しになりますけど、これまでも自然環境に配慮した道路づくりというのは、これは東京都、例えば多摩だと、三十六メートルに、バッファゾーンにして、南北道路、整備を進めてきています。そういう意味では、日本の中でも先進的な道路づくりを進めてきているというふうに我々も自認しております。こうした道路づくりを条例に基づいてやるのは当たり前のことでございますが、環境保全対策を十分行った上で秋多三・三・九号線の事業箇所については引き続き必要な調査を行いながら対策を講じ、自然環境に配慮した都市計画道路づくり、もしくは東京の道路整備を推進していきたいというふうに考えております。

○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、私はきちっとそれをやってもらいたいといっているわけで、次年度は債務負担行為で工事をやるわけですよ。業者の皆さんもそれを見越して入札するわけですし、それがきちっと事前にオオタカなどの調査ができていれば、可能性が東京都もあるといっているわけですから、途中でとまるようなことは本来しちゃならないんですよ。
 ここは、そういった意味では、景観等も大変すぐれたところであるというのは、局長、うなずいていただいていますので、十分ご理解をいただいているというふうに思いますけれども、ぜひそういったことをきちっと調査して、どこでもそうですけども、多摩は南北道路の推進というのは大変大きな課題であるわけでありますから、ただ、東京の中での環境豊かな地域の中でしっかりと事業を進めていっていただきたいというふうに思っています。
 最後にですけれども、先ほどから今後調査や協議を進めていくというお話がありました。本来ならばその推移もしっかり見届けていきたいなというふうに思っておりますけれども、今年度の工事発注は既に十月に予定をされているということで、それは理解をいたしまして、私の質疑はこれで終わりたいと思います。

○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十一分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 審査を続行いたします。
 発言を願います。

○ともとし委員 冒頭に、今回質問するに当たって各委員のところに膨大な資料をコヤマさんに送っていただきまして、私もずっと読まさせていただきました。もう一々ごもっともという形と同時に、かなりいい写真が、高瀬水田のところですか、いい写真も送っていただいて、ほっとする風景と書いてありますけど、本当にほっとする、そんな感じなんですよね。本当に送っていただいたことに深く感謝をまずしておきたいというふうに思っております。
 我々資料を探すのが大変なんですけど、資料をこうやって送っていただくといろいろ我々も質問がしやすいなというふうに思っているんですが、ただ、この三・三・九については今までもかなりの論議がありました。特に三月十八日に行われた環境・建設委員会の質疑においても、この必要性というのが強調されて、なおかつ、我々もある意味では納得できたというふうに思っております。
 改めてこの本路線の必要性についてお伺いしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほど現在の状況でもご説明申し上げましたけれども、本路線が計画されておりますあきる野市では、東西方向に比べまして、南北方向の道路整備がおくれております。このため、小学校などの通学路や生活道路に通過交通が進入しております。
 本路線の整備は、道路の混雑緩和や通学路、生活道路における歩行者等の安全確保、地域の防災性の向上などに効果がありまして、大変重要でございます。
 東京都と地元あきる野市を含みます二十八市町が共同で策定いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針では、未着手の都市計画道路を対象としまして、交通処理機能の確保や都市間ネットワークの形成、こういった評価項目により検討いたしまして、本路線を含む都市計画道路の必要性を改めて確認しております。
 また、本年六月にあきる野市議会から整備促進を求める意見書も出されているところでございます。
 引き続き、地元の方々のご理解とご協力をいただきながら整備を促進してまいりたいと考えております。

○ともとし委員 先ほど来の質問の中にもありましたので、ある意味ではわかりました。要するに、この路線については、道路の混雑の緩和、あるいは通学路、生活道路、歩行者の安全確保、防災性、そういったいろんな意味で日常生活するにおいて極めて重要なそういう路線であると。同時に、地元のあきる野市、あるいはまた二十八市町等のそういったところからも要望されているという、そういうお話であります。
 確かにさっきの質問、あるいはご答弁の中にも、現状使われている五メートル道路、この中で通学路をやはり判断すると、きょうみたく雨が降ったりなんかしていると、傘差して、そこにそれこそダンプだとかトラックだとか、いろんなものが通れば、まさに命がけでその道路を通らなければならないという、そういう生活環境にあると。そういったものを抜本的に解決したいということになるのかなというふうに思っております。
 しかしながら、一方では、こういう道路整備については環境がついて回るといっても、それはそのとおりだと思っているんですね。いかにして自然環境を守りながらこうした事業を推進していくかというのは、これはまさに建設局としても頭の痛いところであるし、またそれをやりながら具体的に進めることによって行政能力が確かなものだというふうに判断されるんじゃないかなというふうに思うんですが、今回の事業に当たっての、先ほど写真お見せした、非常に自然豊かな地域であると。この自然環境を、あるいはまた湧水等のそういった保全を含めて、どうこの自然を考慮した上での橋梁整備になってきているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 この豊かな自然をはぐくむのは、やはりお話にありましたように、湧水というものが一つの大きな要因だろうというふうに思っております。
 この湧水は、今回の橋梁整備箇所を含みます平井川右岸のがけ線約二百メートルの区間で確認されております。
 今回の橋梁の整備に当たりましては、十分な湧水の保全対策を講じて進めることとしておりまして、施工方法だとか、環境調査等につきまして、東京都における自然の保護、回復に関する条例に基づきまして、環境局と協議してまいります。
 具体的には、湧水箇所の橋台の基礎形式を比較検討いたしまして、水が流れる水みず道みちの確保に最も有利なくい構造といたしました。さらに、くい基礎により橋台の規模を小さくすることができまして、施工時の湧水への影響を極力少なくしております。
 また、当該区間につきましては、のり面を防護するためののり枠が設置されております。橋台全面ののり枠につきましても、周辺と同様なのり枠を施工いたしまして、湧水を保全してまいりたいと考えております。

○ともとし委員 今、るる説明も受けましたし、先ほど今村さんのご質問に対する答弁の内容もいろいろあって、自然環境に対する配慮というものが十分になされているということも私なりにわかりました。
 しかしながら、十分に配慮されているとはいえ、そのときそのときの中でいろんな新しい工法も出てくるでしょうし、やはり最新の工法を用いて、そして自然環境に十分配慮したところの工事が大事かなというふうに思っております。
 この狭い東京に一千三百万も住んでいるんですから、それこそがけのすぐそばにうちを建てたり、そのためにのり面をわざわざいろんなコンクリだとか、あるいはまたそういう配筋をして自然環境をつぶさざるを得ないような、そういうがけののり面をつくって、そしてまたそこにうちをつくるという、そういうどっちかというとここにまでというふうに思われるような、人間が進出していくという、そういう状況にあるわけなんですね。
 しかしながら、そういう保護をしなければ、今度、人間のそういう生活環境が脅かされるというのもこれまた事実でして、ある種、共存共栄、そういう鳥の問題もカエルの問題も、いろんなものもあるかもしれないけど、まさに共存共栄ができるように十二分に配慮して、こうした自然環境のことを真剣に考えているコヤマさんたちのそういう要望にもこたえていけるような、そういう話し合いだとか、そういったものもやっていかなければいけないなというふうに思います。その辺についてしっかりやっていただけるということを確信して、質問は終わりたいと思います。

○村松委員 先日、熊本県知事がダムの建設に反対する住民や自治体の意向を受けて、川辺川ダム建設を中止する意向表明があったと報道されました。また、自民党の総裁選挙の報道でも、国の八百兆円を超える借金の主な原因が景気対策としての公共事業が挙げられています。私は、これらの報道を見て、むだな公共事業は見直すことが今の最大の課題になっていると思います。
 陳情の都秋多三・三・九号線も四十年前に都市計画決定された道路です。私は、地権者の納得の得られていないこの道路建設はやめるよう三月の委員会のときにも質問いたしました。きょうは別の角度から質問をいたします。
 初めに、氷沢橋交差点から五日市街道までの事業費の予算と現在までかかった費用をお示しください。
 また、仮称高瀬橋の予定工事費はどのくらいになるでしょうか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 現在、秋多三・四・六の氷沢橋交差点から五日市街道までの約一・二キロメートルの区間が事業中でございまして、車道が二車線で両側に歩道と植樹帯を有する幅員二十二メートルの道路を整備する予定でございます。先ほどもご答弁申し上げましたけども、これまで約九割の用地を取得してございまして、今年度から用地の取得の完了した区間で道路工事を行う予定でございます。事業費につきましては、全体で、概算でございますけれども、約五十二億円でございます。これまで執行しましたのは約二十七億円を執行いたしました。
 ご質問にあります橋の事業費でございますけれども、おおよそ十億円程度を想定しております。

○村松委員 昨年度事業が完成した草花地区の延長から、これは氷沢橋交差点から順番に工事が着工できない、その理由は何でしょうか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほど現在の事業中区間一・二キロメートルというふうにご説明申し上げました。この区間につきましては、順次用地買収を進めておりまして、約九割が取得したということもお答えしました。
 それで、氷沢橋交差点から順次工事ということでございますけれども、氷沢橋交差点付近につきましてはまだ未買収地が残っているわけでございます。それで、私どもとしましては、両側から事業を進めているということで、五日市街道側からの工事を今年度発注する予定でございます。
 それから、今回の橋梁の工事につきましても、ちょうど事業の真ん中のところでございますけれども、進めているということで、未買収のところが解決次第、順次整備を行っていく予定でございます。

○村松委員 未買収の理由というのはどういう理由なんですか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 未買収の、ご協力いただけない理由でございますけれども、本路線の事業に反対されておりまして、ご理解が得られないということだと認識しております。

○村松委員 未買収の土地の面積というか、土地はここに資料としていただきましたが、ここの地権者、いまだに買収できていない地権者は何名いて、主な反対理由といいますか、その辺はどういうことなんでしょうか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほどもお答えいたしましたけれども、共有名義等もございまして、一敷地を一名とすると、相手方の関係権利者は十四名でございます。筆数につきましては二十三筆でございます。
 地区に道路整備に反対するご意見をお持ちの方がおりまして、敷地内民有地、いわゆる敷民という市道の境界の立ち会いが難しい状況にございまして、なかなか用地買収が進まないというところでございます。
 今後とも、事業の重要性を十分説明するとともに、市とも協力いたしまして地元の方々と粘り強く折衝して、用地の取得に努めてまいりたいと考えております。

○村松委員 未買収用地が二十三筆と。境界が確定できないから買えないという理由ですよね。この中で反対者というのは何名いると認識していますか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 今回の事業につきまして、ご理解が得られないということで境界の立ち会いが難しくなっているところでございまして、具体的に何名という形については把握しておりません。

○村松委員 何名が反対しているかということもわからないまま買ったところだけどんどん工事を進めていく、これがどんなにひどいやり方かと、私は思うんですね。
 私、この前、現地を見ました。直接地権者にお会いしてこれまでの経過を伺ってきました。
 この地権者は、昭和五十五年の七月に開通した草花小学校の通学路を約五十坪提供した方なんです。この通学路の当初の案も次の案も土地の提供が得られずに、第三の案として、子どもたちの通学時の安全のためなら、そういって、車の通行はしないことを条件に秋川市の要請にこたえて通学路に協力してきた、こういう方なんですよね。
 ところが、こうした経過がある地権者を都道三・三・九号線対策協議会設立の際、協議会から排除しているんです。ここに、私、持ってまいりましたが、排除された地権者の意見書があります。
 この意見書を見ますと、この対策協議会設立の意味について一言いいたいと思います。私は、自分では対策協議会設立当初から呼びかけが来て当然と思われる地権者であるのに、呼びかけが来なかったことについて、今でも納得できないでおります。どこの土地を所有しているかというと、皆様のほとんどが利用しているオマタ商店の交差点から森山へ向かう道、その一部、交差点付近からミサワさん宅の山の下あたりまで、私及び私の兄弟九人が所有している土地だからです。今回、計画道路交差点から南のいずみ通り、そのところがその場所なんです。大正末期から昭和初期に高瀬・森山地域の人々のために庭を分筆して通せるようにしたのであります。この二百五十坪以上ある土地の所有者たちを対策協議会の設立当初から呼びかけないことは余りにもずさん過ぎる。こういうふうに書いてあるんですね。
 この対策協議会設立から三年近くしてから、東京都の西多摩建設事務所と市の担当者が謝罪に来て、ようやく対策協議会に参加するようになった。こうした経過について東京都は認識しておりますか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 当該地区の事業に当たりましては、平成五年度に事業説明会及び現況測量説明会、平成八年度に事業説明会及び用地測量説明会、同じく九年度に用地説明会を開催するなど、節目節目に事業の必要性や進め方などにつきまして地元の方々に説明してきております。
 今ご質問にありました対策協議会の設立等につきましては、東京都が関与しているものではございません。

○村松委員 だったら何で東京都の西多摩建設事務所が謝りに来るんですか。都道のこの道路をつくる、そういう話だから行ったんじゃないですか。
 この方の意見書の中には、私は、平成五年十月二十八日、説明会に初めて出席しましたと。そのときは地権者でなく沿道三十メートル以内とのことでしたと。そういう扱いをされてきたんですよ。その後、平成七年、二年たった後ですよ、秋川市都市開発部都市計画課と、それから西多摩建設事務所工事第一課道路建設担当者が来たといっているんです。
 こういう経過がある中で、私は、きのうやきょう始まったものじゃなくて、やっぱりこれまでの経過をしっかりと踏まえた上で、この地権者がどういう思いをしているのか、こういうことをしっかりと受けとめる必要があるというふうに思うんですね。
 余りにも地権者をないがしろにするやり方だと私は思います。こういうやり方をして本当にスムーズに道路建設が進むと思っているんでしょうか。私は、これまでの経過を踏まえて、これ以上の感情的もつれをつくらないためにも、やるべきことが今ある、このように思うんです。そういう点ではどうですか、今やるべきことは。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 今のご質問で、平成五年のときに除外されたというご趣旨のご質問でございましたけれども、先ほどもお答えしましたように、平成五年度に事業説明会及び現況測量説明会というのをやっております。
 これはどういう事業をやるのかと、あるいはどういう形で現況の地図をつくるのかということでございまして、具体的な地権者はまだ把握していないという状況でございます。
 地権者の説明等について十分でなかったところはございますけれども、先ほど答弁させていただいたように、この事業、大変重要な事業でございますので、事業の重要性につきまして説明するとともに、ご理解を賜るよう誠心誠意努力してまいりたいと考えております。

○村松委員 東京都がこの地権者がだれかわからないなんていうことで道路計画、始めるんですかね。ちょっと私には信用できないです。
 この人がまさかうそをいっているというふうに思わないんですよ。この人もいっているように、平成五年に説明会に初めて参加したと。同じ説明会ですよ。だけど、その前に対策協議会というのをやっているんです。平成七年にはちゃんと地権者として対策協議会に入ってほしいということで、謝罪しながらいってきているんですよね。そういう経過があるということをしっかりと私は踏まえた上でこの道路の問題は考えていかなきゃいけないというふうに思うんです。
 先ほど来からの質問を聞いていると、そういうことはそっちのけでまず買収したところからどんどん仕事をしていきますよということをやれば、これまでそういう思いをしてきた人が、逆に神経逆なでしているようなことをやっているんじゃないですか。本当にこれはひどいと思うんです。
 先ほど子どもたちの通学の安全というふうにおっしゃっておりました。最初、五十坪の土地を提供したという、その理由というのは、氷沢橋の交差点に子どもたちが行けば危ないから、だから五メートル道路の近くを車が通らないことを条件にしながらここの通学路を使ってもいいですよというふうに提供しているんですよ。これで二十二メートルの道路ができちゃったら、かえって通学路に危ないんじゃないですか、どうですか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 お答えする前に、地権者を事前に把握しているはずだということでございますけれども、東京都につきましては、土地の売買等もございますので、現況測量が終わった後、用地測量を実施するときに最終的に地権者等を確認しております。
 それから、この氷沢橋交差点のところの計画につきまして今ご質問いただいたわけでございますけれども、先ほどもお答えしたように、この道路は昭和四十四年に都市計画決定がされておりました。そのときにもう道路計画の都市計画としての計画線が定まっていたわけでございます。さらに、多摩の事業化計画等につきまして、段階を踏んで事業を進めていくということで、当該のところにつきましては第三次事業化計画に当てはめているわけでございます。
 最後の方に、通学路の分断ということで、児童の安全性のことについてご質問ございましたけれども、秋多三・三・九号線は、草花小学校などの通学路三本と交差しているわけでございますけれども、今回の本路線の整備によりまして、新たに五・七五メートルの歩道と植樹帯が両側に設置されます。したがいまして、歩道と車道が分離されるということになるわけでございます。また、信号機が設置されますので、通学路等におきましても安全な横断が可能になるというふうに考えております。

○村松委員 先ほどの答弁の中で、東京都は地権者、承知していないという話をしたんですが、ということは、この対策協議会に地権者を入れなかったということは市の責任だというふうにおっしゃりたいんですか。
 私は、この地権者が最初からそういうところに参加できていないと、そういうことに対するやっぱり怒りとして出ているんですよ。本当にそういう意味では神経逆なでしているというふうにいわざるを得ないというふうに思うんです。
 先ほど地権者の問題をいいましたけど、今、未買収の地権者が何人かわからないとおっしゃっておりましたが、私が聞いた範囲では二十名前後の地権者がまだ買収される意思がないという、そういう状況なんです。
 それから、関係住民が納得するために十分な話し合いをしていくと、そういうふうにおっしゃっておりました。そのためには、私は、本当に今この道路を進めるか進めないかということも含めてこの道路問題を考えたときに、今年度着工を予定している道路建設を中断してでも地権者の意見をしっかりと聞く努力をすべきだと、このように思います。地権者全員の同意が得られないまま用地が買収されたところから工事を始めるような卑劣なやり方は公が絶対やってはいけない、このように私は思うんです。その点ではこういう工事を進めるのに当たって地権者の同意というのは必要最小限の条件だと思うんですが、その点の認識をお伺いします。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほどからもお答えしておりますけれども、我々の事業を進めていく上で、用地をご提供いただきます地権者のご協力というのは不可欠でございます。地権者の方にこの事業をご理解いただきまして、一日も早く用地をご提供いただけるよう十分説明してまいりたいと考えております。
 対策協議会の参加につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、東京都がどのように関与したのかというのは把握しておりませんけれども、最初から参加できなかったということが一つの原因ということであれば、西多摩建設事務所が謝罪したということで、そういう認識があったのではないかというふうに思っているところでございます。

○村松委員 私は、何の仕事をするでも、地権者の同意とか、あるいは信頼関係というのは不可欠だというふうに思うんですね。そういう意味から、今、本当にボタンのかけ違いをしていると、そういうことを真摯に受けとめていただきたいと。
 次に、平井川を渡る橋について伺います。
 平井川を渡る橋で長さ二百メートルの橋、これはほかにもあるんでしょうか。
 また、この橋、仮称高瀬橋の高さ、これはどのくらいでしょうか。先ほどいっていた田畑を耕しているその耕地から、平井川と耕地、それぞれを示してください。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 平井川を渡る橋梁につきましてですが、圏央道の橋梁があるというふうに把握しておりますが、具体的な橋長だとか高さ等については現時点では資料等がございません。
 それから、今回の橋梁でございますけれども、先ほどもご説明申し上げたように、右岸側ががけ地になっておりまして、高さが約十五メートルでございます。それから、左岸側が農地と、田や畑ということで低くなっておりますので、地表面から橋梁の路面までの高さは最大で十六メートル程度であると今検討しているところでございます。

○村松委員 そのがけのところからどこまでが十五メートルなんですか。私が見た範囲では、がけの上の橋梁と、それから遊歩道までが十五メートルなのか、それとも川のところが十五メートルなのか、それから農地のところが十五メートル、ちょっと今の話だとつじつまが合わないんですが、もう一回ご答弁ください。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 先ほどお答えしましたように、右岸側ががけ地になっております。そこのがけ下から今回の橋梁の路面まで、これが最大で十六メートルでございます。
 左岸側につきましては、これは農地という形で平らになっておりますので、橋梁自体は右岸側から左岸側に下がってくると、こういう形式になります。
 したがいまして、左岸側の高さが約六メートルぐらいという形で、最大で十六メートルというふうにお答えいたします。

○村松委員 要は農地の話を私はしたかったんです。がけ下というふうにいえばやっぱり遊歩道かなと思っちゃうんですが、この長さというのは圏央道に次ぐ大きな橋がかけられるということになると思うんです。私も行ってみて、あの豊かな里山の風景、本当にそこにそぐわないな、二百メートルの大きな橋がかかるというのはちょっと風景を壊すなという思いがしております。
 その橋の下に田畑があるんですが、橋による日照問題もありますし、それから東京都が橋の下に買ってある農地、これを草ぼうぼうにしていた場合は、雑草の種がよその農地に飛んでしまう、そういうおそれがあるんですよね。それから、大気汚染が沈殿して作物への影響も心配されると思うんですよ。橋の下のこれまで田畑を耕していた土地を東京都としてはどのようにしようとしているのか、伺います。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 今回の橋梁は南北方向に架設されますので、日照による農作物への影響はないと考えております。
 ご質問の二番目に、橋下の管理につきまして、草ぼうぼうだと種が散っているということでございますけれども、橋下の管理につきましては、現在管理している橋も含めまして、そういうことのないような状況で管理をしております。
 作物に対する大気汚染等の影響につきましては、先ほども答弁しましたように、これ、道路が二車線の最大でも一万二千台程度ということでございますので、大きな影響ということはないというふうに考えております。

○村松委員 草ぼうぼうで作物への影響はないというふうにいったんですが、実際問題、行ってみれば草ぼうぼうになっているんですよ。そういうことがないようにしますなんていっても、実際今そういう状況なんですよね。やっぱり今貴重な田畑ですから、東京都の土地よって周りの作物に影響を与えるようなことが決してあってはいけない、このように私思うんです。
 東京都が今土地の買収が終わったという五日市街道、ありますが、この計画でいけば、五日市街道の先まで計画はありますよね。その計画の具体的な見通しというのはあるんですか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 事業で取得した用地の管理につきましては、私どもは年二回、三回、夏場の前に草を刈るとか、そういう形で適正に管理しているというふうに認識しておるわけでございますが、当該地につきまして、必要があるのであれば管理を一層的確にしてまいりたいと考えております。
 さらに、整備が終わった後の橋下につきましては、そういうことのないような形で現在きちっと管理しているところでございます。
 ご質問にありました五日市街道より南側の都市計画道路についてでございますけれども、これはもう何回も申し上げておりますが、都市計画道路の整備というのは、交通渋滞の緩和はもとより、快適な歩道空間の整備による安全性の向上、災害時における緊急車両の速達性の向上、また街路樹による恒久的な緑の確保など、安全で快適な都民生活を実現する上で極めて重要なものでございます。
 秋多三・三・九のうち、五日市街道より南側の区間につきましては、多摩地域における都市計画道路の整備状況や周辺のまちづくりの計画等を勘案し、今後、事業化を検討してまいりたいと考えております。

○村松委員 四十年前に都市計画決定したから何でもかんでも進めますという、そういう姿勢だけはやめてほしいということを主張しておきます。
 三月のこの委員会の中で私は質問したんですが、この道路の必要性について、五日市街道と多西橋付近が渋滞するために、生活道路への自動車の進入を避けるため、こういう答弁もありました。
 それでは、この生活道路、具体的に平高橋、新開橋、南小宮橋、代田橋のここを通過する、生活道路を通過する直近の交通量、これは調査されているんですか。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 本路線が都市計画決定されました昭和四十四年当時から周辺に四つの橋がございまして、この四つの橋のうち三つはかけかえ、拡幅されております。
 今ご質問にもございましたように、通学路だとか、幅員が狭いため、交通が流れ込んでいるということで、交通上の安全の課題があるわけでございます。具体的なその四カ所の交通量については現在把握しておりません。

○村松委員 結局、調査をしていなくてそういうことを理由にこの道路は必要だ必要だということをいっているんですよね。本当にこれは具体的じゃないというふうに思うんです。
 東京都、調査していないから、住民の皆さん、ことしの七月、調査しているんですよ。この計画道路の、いずみ通り、ここは一日当たりの交通量が千四百四台から二千六百十台、こういう状況なんですね。それほど交通量が多いとはいえないと。
 私も警察の調査した多摩地域の渋滞ベストテン、これをいただきました。五日市街道はこの十年間に一度もこのベストテンには入っていないんですよ。
 道路建設に当たって、生活道路が通り抜け道路になっているというのなら、きちんとした調査をして、こんなに多い交通量だから道路建設もやむを得ないと納得するものが全くないんですね。先ほど通学路のこともいいました。
 私は、やっぱりこの問題では、今度、千二百人の人が署名を提出されているんですが、署名をするに当たってどんなご意見がありましたかということで私も聞いてみました。そうしたら、道路建設でやってほしいことというのは、まず、生活道路の拡幅と歩道の整備と、これ以上の新たな道路建設は要らない、それから道路のむだ遣いをやめてほしい、こういって署名してくださったというんですね。
 それから、私、思うんです。私は日野市に住んでいるんですが、都道はそれなりに整備されていてきれいです。だけど、日野市の道路の路面というのがでこぼこなんですよ。私は、東京都がこういうところに使うお金があったんだったら、財政力の弱い区市町村にお金を渡して道路の舗装整備をやってもいいんじゃないか、こういうこともやられても私いいと思うんです。(「それとこれは違う」と呼ぶ者あり)そんなことないです。
 それから、青梅市が行った住民意識調査でも、草花地区を含む第一ブロックでは、満足度の高い項目の中で特色があるのは、市職員の対応の向上と、公園、緑地に対する満足度、これがあるんですね。不満度の高い項目の中の特色が、身近な生活道路の整備が際立って高い、このように書かれているんですよ。だから、私は、やっぱり今やってほしいことというのは、身近な生活道路の整備、ここに重点を置く必要がある。
 最初に私はいいました。今、本当に公共事業の見直し、これが大きな世論になっているときに、こういった道路、本当に住民の皆さんの了解も得ないような、こういう道路は、やっぱり中止するべきであるということで、この陳情は採択をお願いして、質問を終わります。

○山口道路建設部長三環状道路整備推進担当部長兼務 いろいろご意見、ご質問等をいただいたわけでございますけれども、四十年前の都市計画道路を整備する必要はないということにつきましては、もう既に明確に答弁させていただきましたので、省略させていただきます。
 それから、生活道路で二千台程度が交通量が少ないということにつきましては、私どもはそういうふうに思っておりません。狭い道路、五メートル道路ぐらいのところに一日二千台等が入ってきたら、これは危険な状況だということはおわかりいただけるというふうに思っております。
 それから、先ほど四カ所についてデータ把握していないという形で、周辺、込んでいないんじゃないかということもございましたけれども、この道路の混雑の程度を示す指標に混雑度というのがございまして、この混雑度というのは実際の交通量と道路の交通容量の比であらわされているものでございまして、周辺の五日市街道の多西橋付近では二・五三、つまり容量の二倍半以上が通っている。それから、国道四一一号線の瀬戸岡付近では一・四五ということで、周辺の渋滞が激しい状況だと私どもは認識しております。
 それから、いろいろなアンケート等につきましていただいたわけでございますけれども、先ほどからお答えしているように、関係する権利者の九割の方がご理解いただいている、それから地元からは早期整備の促進要望が出ておりますとともに市議会からも出ているということで、どのような調査に基づくものか承知しませんけれども、地元の多くの方が本路線の整備の必要性を理解されているというふうに認識しているわけでございます。
 先ほども答弁申し上げましたように、秋多三・三・九号線につきましては、多摩地域の整備に必要な重要な路線でございますので、地権者の方にご理解、ご協力を賜るよう努力しながら、一日も早く整備を進めてまいりたいと考えております。

○原田委員 二〇第二二号、都道秋多三・三・九号線建設計画の一時中断を求めることに関する陳情に対して、趣旨採択の立場で意見討論をします。
 昭和四十四年に都市計画決定されているこの道路は、今日までさまざまな経過を経て優先的に整備すべき道路と位置づけられ、地元を含め、多摩地域二十八市町村から早期整備の要望が出ている事業でもあります。
 しかし、市民の自然保護への関心が高まっていることに加え、道路建設事業が必ずしも地域振興に結びつかないこと、自然や景観、人々の暮らしにまで大きな影響を及ぼすことから、その建設を促進するためには今まで以上に住民の合意を得て進めていく必要があると考えています。
 東京都の環境評価制度は、計画段階からの影響評価も位置づけられ、この対象事業を進めるに当たっては都民の意見を聞く会や意見提出の機会が保障されています。また、複数案の提示義務もあり、全国的にも画期的なアセスといわれていますが、計画アセスの対象が施設建設に当たっての個別計画、三十ヘクタール以上の広域複合開発とされています。今まで計画アセスに該当した事業は二事業しかない現状です。
 都道秋多三・三・九号は、その事業規模から、計画アセスどころか、事業段階影響評価の対象にもなっていません。そもそも環境評価は環境を守るためにあるはずですが、事業の全体像ではなく対象範囲を狭めてアセスの手続を省略する傾向も見えています。加えて、環境評価の対象であった場合でも、一般的に事業を進めるための手続の一つとして行われ、結果、影響評価はいつも事業者に有利に動いている傾向は否めません。
 九月一日付で高瀬・平沢地区の景観と湧水を次世代に引き継ぐ会の方から石原知事あてに出された企画段階環境影響評価の実施を求める要望書では、市民の方々の調査した結果も掲載されて大変興味深いものです。きょうまたオオタカの生息に関する要望書もいただきました。
 平井川の豊かな生物が道路や橋の建設で失われるようでは将来に禍根を残します。事業を慎重に進めていくことはもちろんですが、きょうの委員会の質疑でもわかるように、保全に関する見解が分れるときがやっぱり多々あります。事業が進行していく過程で予想以上の不利益、自然破壊が出た場合、事業者はどのような責任のとり方をしていたのでしょうか。今まで環境評価を行った場合でもその責任のとり方は不十分であったと私たちはとらえております。
 今後、事前の環境への評価が大幅に違った場合、一度事業をとめて点検し直すような仕組みも必要と考えます。さらに、公開の場で専門家や市民の声を聞き、最善の方法が選択できる仕組みも求められているのです。
 この陳情は、東京の環境評価制度への問題提起と重く受けとめて、趣旨採択として、意見討論を終わります。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○谷村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二〇第二二号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

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