環境・建設委員会速記録第七号

平成二十年六月二十日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長谷村 孝彦君
副委員長石森たかゆき君
副委員長小沢 昌也君
理事原田 恭子君
理事山田 忠昭君
理事今村 るか君
村松みえ子君
橘  正剛君
吉田康一郎君
矢島 千秋君
こいそ 明君
ともとし春久君
高橋かずみ君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
緑化募金担当部長庄司 貞夫君
参事浅川 英夫君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
  契約議案の調査
・第百五十二号議案 中央環状品川線大井地区トンネル工事請負契約
・第百五十三号議案 中央環状品川線シールドトンネル工事-二請負契約
 環境局関係
  付託議案の審査(質疑)
・第百四十六号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十七号議案 温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
・東京都環境基本計画の策定について

○谷村委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案調査並びに環境局関係の付託議案審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十年六月十八日
東京都議会議長 比留間敏夫
環境・建設委員長 谷村 孝彦殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百五十二号議案 中央環状品川線大井地区トンネル工事請負契約
第百五十三号議案 中央環状品川線シールドトンネル工事-二請負契約
2 提出期限 平成二十年六月二十日(金)

○谷村委員長 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第百五十二号議案及び第百五十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 昨年の十二月に中央環状新宿線の池袋-新宿間が開通し、首都高全体ではピーク時の渋滞の総延長は約二〇%減少したそうであります。私の住む中野区でも、中央道や東北道とのアクセスが便利になりました。さらに今後、新宿線の新宿以南と今回の契約議案の品川線が開通し、中央環状線のリングが完成をすると、首都高の渋滞の解消に向け、大きく前進すると思われます。
 現在、私が住む中野区から羽田空港まで、首都高に乗っていく場合、四号線を使い、一度都心を経由し、湾岸線を通って羽田という経路となります。安心して行くには、少なくとも一時間ではちょっと心配で、一時間半は見込まなければなりません。一時間半といえば、飛行機に乗れば、沖縄以外であれば、国内大抵のところに着いてしまう、そういう時間であります。
 中央環状線の新宿線と品川線が開通をすれば、新宿-羽田間は約二十分に短縮をされます。このような時間の短縮などにより、年間約一千二百億円という膨大な経済効果がもたらされるとのことです。さらに、渋滞が減少し、車の流れがスムーズになることで、NOxは年間で約百トン、CO2は年間で約九万トンが削減され、環境改善にも大きな効果があると聞いております。これらの効果を早く発現させるためにも、中央環状線の早期整備が強く望まれます。
 しかし、事業を急ぐ余り、不適切な発注が行われ、手抜き工事や割高な契約が行われるなどして、税金がむだ遣いされることは、都民から見て決して許されることではありません。今回の品川線の契約案件二件は、品川線の骨格をなす大規模な工事であり、発注に当たっては適正な契約とコストの縮減への取り組みが特に重要と考えます。
 そのような観点から、数問をご質問いたします。
 まず、シールド工事その二について質問いたします。
 この工事は、昨年の二定に契約案件として提出したところ、仮契約の相手方が、例の昨年六月の防衛施設庁談合事件の影響ということで、指名停止によりまして仮契約が解除となり、再発注を行ったものであります。配布資料によりますと、今回の入札の予定価格は四百九十七億六千二百三十三万五千円、落札価格は四百七十二億五千万円であります。
 一方、前回の入札の予定価格は七〇七億四千六百三十七万五千円、落札価格が四百三十一億五千五百万円と聞いております。今回の予定価格は、前回に比べて著しく下がりました。その理由を伺います。
 一方、落札価格は前回よりも上がったわけでありますが、その理由もあわせてお伺いいたします。

○山口道路建設部長 都は、中央環状品川線につきまして、首都高速道路株式会社と共同で事業を進めているところでございます。このシールド工事の再発注に当たっては、さきに契約いたしました首都高速道路株式会社の構造との整合性を図るとともに、工期の短縮とコスト縮減のため、設計の見直しを行ったところでございます。
 この見直しにより、トンネル外径の縮小やセグメントの耐火仕様の見直しなどにより大幅にコストを縮減し、あわせて工期も短縮することができます。その結果、予定価格が下がったことにつながったわけでございます。
 また、落札価格が前回より上がったのは、鋼材を初めとする建設資材の高騰や、工期短縮のための設備投資などと推測することができます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 首都高の工事を見て、設計を見直したことによりまして、コストの縮減を図り、予定価格が下がったということは、一定の評価ができると思います。
 しかしながら、前回の工事の仮契約が解除されてから、今回の契約案件として再提案されるまで、一年がかかっております。これは、大変に一年というのは長いような気もするんですけれども、この一年間、どのような作業をしていたのか、ここをちょっと詳しくご説明をいただきたいと思うんです。
 といいますのは、これは結果としてでございますけれども、今回の仮契約解除の原因となった防衛施設庁の談合事件で指名の停止となりました五十六社、この最後の一社が指名停止が解除されたのが、昨年十二月の二十一日であったわけでありまして、今回の手続は、結果として喪が明けたというか、すべての企業が指名停止期間から外れた、解除されてからということになりますので、そういうことと関係なく、この一年間というのは必要な期間であったんだということを、少し丁寧にご説明をいただければと思います。

○山口道路建設部長 再発注に当たりましては、今お答えしましたように、トンネルの構造見直しを行いまして、さらに設計、積算をやり直した。これに要した期間が五カ月ほどかかりました。
 具体的な構造の見直しにつきましては、首都高の構造を参考にいたしまして、トンネルの外径を、十二・五メートルだったものを十二・三メートルに縮小いたしました。それから、セグメントの耐火仕様につきまして、現場でトンネルの内側に耐火モルタルを吹きつける仕様から、工場で製作する段階でセグメント自体にポリプロピレン繊維を混入することで耐火性を持たせる構造に変更したためでございます。それにかかったのが、先ほど申し上げましたように、約五カ月ぐらいということです。
 その後、昨年の十二月より総合評価の技術審査委員会を開催、さらには工事を起工し、入札公告などを順次進めてまいりまして、四月には入札を行いました。今回の議会に改めて契約案件として提案しているわけでございます。
 技術提案型の総合評価方式で契約を行う場合、これらの契約手続に、一般的に約七カ月ほどを要しているわけでございまして、指名解除とは全く関係があるわけではございません。

○吉田委員 大変よくわかりました。
 私の地元の中野区で昨年度契約した妙正寺川の整備工事、激特事業ですね。激特の一という工事につきましても、今回と同じ技術提案型総合評価で行われたわけであります。この工事につきましても、契約の手続が七カ月程度かかったものと確認をいたしております。こういうことからしても、ご説明は大変納得のいくものであります。
 そして、先ほどご説明のあったポリプロピレンの繊維を混入したセグメントの導入という、これは本当に非常に最新の技術を導入したものであること、それから外径の縮小その他、本当に新たに設計をし直したんだということで、やはり大変に膨大な作業をされたということが大変によくわかりましたので、了承いたします。
 次に、大井地区のトンネルについて質問をいたします。
 この工事は、設計つきの技術提案型総合評価方式という契約方式によって技術提案を募ったということでございますが、仮契約を行った企業が提示をした技術提案の内容についてお聞かせください。

○山口道路建設部長 大井地区のトンネル工事は、品川区八潮において大井発進立て坑から地上までの区間に、二層構造のトンネルなどを建設するものでございます。
 この地区は、地盤が大変軟弱でございまして、地下には東京電力の十五万ボルトの高圧ケーブルが収納されたトンネルがあるなど、大変重要な構造物が複数埋設されておりまして、厳しい条件のもとで工事を行わなければなりません。
 この技術提案に当たりましては、これら埋設物への影響を軽減するのと、搬出残土の縮減、このような観点から、開削面積を、掘る面積をなるべく減らして、搬出土量をできるだけ減らすさまざまな工夫というか工法を求めたわけでございます。
 仮契約企業の提案は、地上から直接発進するシールド工法でございまして、トンネル区間の約八割を非開削工法で施工することにより、開削工法で施工した場合に比べまして、発生土量が約十三万立方メートル減少するということが見込まれております。

○吉田委員 わかりました。
 ただいまのご説明でありますと、大井トンネルについてもシールド工法が採用されたということであります。
 素人目にというか、素人が考えますと、両方ともシールド工法で結局は落札されたんだ、そういう工法が採用されたんだということになりますと、じゃ二件のトンネル工事を一括発注して、一件のシールド工事として発注すれば、二つシールドを組み立てなくてよくて、さらに経済的ではなかったのかなと素人的には思う向きが多いと思うんです。これ、二本の工事に分けなければいけないんだという理由を聞かせていただければと思います。

○山口道路建設部長 シールドトンネル工事の二の方は、途中に一切立て坑を設けず、約八キロメートルを一気に掘削するものでございまして、大断面シールドとしては国内最長の工事となります。工期的にも四年から五年かかるということで、品川線全体の工程を左右することから、昨年度契約を予定しておりました。施工方法につきましては、現場条件などから、もうシールド工法ということに限定されていたため、この工法で技術提案を募ったわけでございます。
 一方、大井トンネル工事は、先ほどもご説明したように、複雑で困難な現場条件でありますけれども、それだけではなくて、そこの場合は開削工法も可能であるということから、企業がおのおの技術力を柔軟に提案しやすいように、大井北換気所下部工事も含めまして、設計つき技術提案として幅広く技術提案を募ったところでございます。
 このように、二件の工事は工期も異なりますし、技術提案に当たって要求項目も違うことから、二つの工区に分けたわけでございます。結果的に、大井トンネルもシールド工法になったということでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。そういう理由はよくわかりました。
 ただ、結局、大井トンネルを施工するシールドマシンで延長八キロメートルの方のシールドトンネルも続けて掘った場合には、工費はより安くなるのではないかという疑問もあるわけでありますが、それについては見解をお聞かせください。

○山口道路建設部長 大井トンネルの方は地下から上がってくるということで、湾岸道路との接続部でありますジャンクションに近いということでございます。したがいまして、道路に案内標識を設置するため、空間をトンネル内に確保しなければなりません。このため、今回提案されたトンネルの外径がシールドトンネル工事の二の方と比べまして、約一メートルほど大きくなっております。
 ご質問にありましたように、仮に大井トンネルのシールドマシンで八キロ全部を掘削した場合、全線にわたってトンネルの断面が広がってしまいまして、試算では、掘削残土が約二十万立方メートルふえるということで、不経済となることでございます。

○吉田委員 大変わかりましたというか、私も実はこの大井トンネルの仮契約をした企業に直接ヒアリングをさせていただきました。そうしましたところ、やはり、まず両者は、岩盤、八キロの方は非常にかたい岩をくりぬいていくので、やわらかい地上の部分をやるものとは同じものは使えない。地上のやつでやると、八キロメートルのトンネルの方まで持っていくとなると、工期もおくれてしまうし、さまざまな理由で、仮に一括で発注があっても、やはり二つのシールドを使わざるを得なかっただろう。そして、一つのやつでやれば、工期もおくれ、そして割高にもなるだろうということでありました。
 また、この延長八キロのシールドというのも、これまでは三キロぐらいの発注が多かった中で、非常に地上が住宅等があってなかなか立て坑をつくりにくい、付近に迷惑がかかるという制約もあって、非常に長い延長のものを今回発注された。最新の技術に対応した、細切れ発注じゃなくて大きな発注であって、これも実は従来にない発注の形態を採用されたんだ。
 そして、今回の大井の方も、設計つきの技術提案ということも、非常に柔軟な、事業者さんに、いろんなメーカーの新しい技術を採択できるというか、そういう発注の仕方であった。いろいろ勉強させていただいて、都の今回の発注は非常に合理的なものであったのではないかなと、素人ながら、私もそう思いました。
 ただ、今後とも、事業推進に当たって、大切な都民の税金を使ってやることですから、コスト縮減や民間のさらなる最新の技術の導入などによって、さらに経済的で品質にすぐれた工事ができるように、そういう発注の仕方に努めるべきだと一般的には思うわけで、ぜひこの辺の所見を伺います。

○山口道路建設部長 民間のすぐれた技術力を有効に活用いたしまして、より経済的で、より高品質な構造物を築造するために、今回実施しました総合評価方式は大変有効だと考えております。
 今後とも、コスト縮減に努めながら、中央環状品川線の平成二十五年度開通に向けて、着実に事業を進めてまいりたいと考えております。

○村松委員 二つの契約議案に関連して伺います。
 石原知事は、首都高速中央環状品川線を東京都が街路事業として財政負担して建設すると発言し、二〇〇五年度予算で目黒区青葉台大橋ジャンクションから品川に向けて九・四キロの延伸を決めました。
 街路事業で建設に手をつける理由として、当時、道路公団の民営化がなかなか進まず、このまま待っていたら、中央環状品川線はいつになったら着手されるかめどが立たないというものでした。その後、知事は二〇一六年オリンピックの東京招致を実現するために、中央環状品川線を含めた三環状道路の整備が必要という名目で工事を促進しています。
 しかしながら、品川線建設の当該地域の品川区や目黒区の住民を初め、都民の合意がいまだ得られていません。何よりの証拠に、換気所建設予定地の品川区五反田地域では、地元町会がこぞって生活環境が悪化する、品川線建設は問題が大き過ぎるとの懸念の声を上げ、石原知事に直接換気所計画の見直しを求める要請行動を起こしました。五反田地域は、五反田換気塔絶対反対の大看板やステッカーが町全体に張りめぐらされています。
 中央環状品川線は、本来首都高速道路株式会社と国の責任で整備、建設するべき高速道路です。にもかかわらず、東京都がわざわざ街路事業と位置づけて建設に手を出したことで、都の財政負担は五百億から千二百五十億と、七百五十億円も増大してしまいました。
 諸外国では、地球温暖化防止のために、車依存型社会のあり方を見直して、CO2排出を抑制し、NOxなどによる大気汚染をなくそうとの方向に努力が強まっています。大型幹線道路建設優先の東京都の姿勢は世界の流れに逆行するものであり、税金の使い方の面から見ても疑問があります。
 まず、中央環状品川線建設の現在の進捗状況について説明を求めます。

○山口道路建設部長 品川線の進捗状況についてのご質問でございまして、中央環状品川線につきましては、平成十七年度に事業着手をいたしまして、事業用地につきましてはおおむね取得しております。
 工事につきましては、品川線最初の工事といたしまして、平成十八年度に発注いたしました大井北発進立て坑工事が今月末に竣工する予定でございます。中目黒換気所下部工事及び南品川換気所下部工事につきましては、ことしの三月の都議会でご承認を得まして、工事に着手したところでございます。

○村松委員 大井地区の工事では、膨大な量の建設泥土が発生しております。地面を掘ることによって発生する建設泥土、いわゆる産業廃棄物がどのように処理処分されるのかという問題も、地域住民は重大な関心を持っております。
 契約の内容についてお聞きします。
 シールド工事の契約は、昨年の第二回定例議会で議案が出ることになっていましたが、契約の相手方に談合疑惑に関係した業者がいたために取り下げになっていました。
 そのときに予定した価格が、先ほど紹介がありました約七百七億円、入札価格は四百三十二億円で、約六一%の低入札でした。今回の議案は、予定価格四百九十七億円、入札価格は四百七十三億円です。一年前に比較して、今は原油高騰の影響で、ガソリンや建材が値上げになっているのに、なぜ都の予定価格が引き下げられたんでしょうか。
 また、契約価格は昨年より四十億余り高いんですが、それぞれ価格決定に至る経過などについてご説明ください。

○山口道路建設部長 先ほど吉田委員のご質問にもお答えしたとおりでございますけれども、もう一度お答えしますと、再発注に当たりましては、さきに契約いたしました首都高速道路株式会社の構造との整合を図るとともに、工期の短縮、コスト縮減のため、設計を見直したわけでございます。
 その結果、トンネル外径の縮小やセグメントの耐火仕様の見直しなど、大幅にコストを縮減して、あわせて工期も短縮いたしました。
 落札価格が前回より上がったのは、鋼材を初めとする建設資材の高騰や、工期短縮のための設備投資などと推測することができます。

○村松委員 当初の予定価格が、前回よりも約二百億円下がっているということですよね。それで、シールドマシンの十二・五メートルから十二・三メートルと二十センチ縮小したことで、作業量とかあるいは排出土量が少なくなった、そういうことだけで果たしてそんなに差があるのかしらという疑問があります。
 それと、今度の契約の相手は、昨年の第二回定例議会の中での契約するところ、会社とのダブりというのはあるんでしょうか。

○山口道路建設部長 トンネルの外径は、十二・五メートルを十二・三メートルに縮小したわけでございます。面積というのは半径の自乗に比例するわけで、二十センチの差でございますけれども、掘削土量の影響というのは大変大きいというふうに考えております。
 それから、セグメントにつきましても、できたものに吹きつけるということになりますと二重に作業を行わなくちゃいけないわけですが、セグメント自体に耐火性を持たせればそれだけで済むわけでございまして、工期短縮、手間、大幅に削減することができました。
 最後の方に、構成員の話でございますけれども、今回の落札者、大成・大豊・錢高建設共同企業体におきましては、前回の仮契約とダブっているところは、大成建設と錢高建設でございます。失礼、大豊建設も同じでございました。三社がダブっているということでございます。

○村松委員 防衛省の談合にかかわった大成建設が前回の契約予定者でもあり、今回の契約予定者にもかかわったということですね。
 それで、大井トンネル工事の議案が予定価格に比べて六三%の低入札案件だということですが、私、この低入札による工事、この工事の場合、品質とか、現場の安全対策とか、下請業者や労働者への単価、労賃の切り下げなど、問題点が多いというのが今指摘されているんじゃないかと思うんです。
 私たちのところにも、大手ゼネコンなんかが、請け負った業者が、下請やら孫請やら、その孫請やらということで、どんどんどんどん仕事を回して、結果的には、仕事をしたけれども、働いたけれどもお金がもらえないというような、そういう相談って結構来ているんですよね。私はそういうことをやっぱり防ぐべきではないかというふうに思うんです。
 そこで、東京都は、総合評価制度などを導入して対応していると聞いていますが、二つの契約議案による工事は、これまで指摘してきた問題について十分な対応がなされるのかどうなのか。都民の安全と雇用、営業にかかわる大切なことですから、具体的にお示しください。

○山口道路建設部長 二件の工事でございますけれども、シールドトンネル工事の二につきましては、低入札の案件ではございません。シールドトンネル工事、大井の方のことでございますけれども、そちらの方は低入札ということで、調査をいたしました。
 特に、ご質問にありましたような下請への影響につきましては、低入札価格調査ヒアリングにおきまして、下請予定企業に見積書を提出させ、予定価格を確認するとともに、この企業が承諾していることを確認しております。
 また、工事の施工段階におきましては、実際にどのような下請金額で契約しているのか、あるいは下請契約者の確認を厳格に行ってまいります。さらに、それに加えまして、下請企業に対し直接ヒアリングを行うことにより、影響の有無を確認していきたいと考えております。
 これらを実施することについては、ヒアリング時に請負業者に通告しているところでございますので、そういうようなご心配はないというふうに考えているところでございます。

○村松委員 対応しているからそんな心配要らないよという答弁かと思うんですが、ここに都政新聞があるんですけれども、これは二〇〇六年の十一月二十三日号で、東京都の建設局長、当時の建設局長の依田氏に聞くというところがあるんです。ここで何て書いてあるかというと、工事現場監督体制を徹底する、安かろう悪かろうを防がなきゃいけないということが書かれているんですね。
 この依田さんは、都政新聞の前建設局長の依田さんへのインタビューの中では、低入札問題について非常に心配している。安かろう悪かろうになる可能性が十分にある。安全確保の問題でも、工事現場の安全確保だけでなく、安いアルバイトを使うことで、都民を含めた第三者事故の問題もある。さらに、結局下請にしわ寄せが及び、労働基準法を守らない、最低賃金を守らないということになりかねない、このように述べているんですね。
 高速道路などの都市基盤は、長い年月にわたって管理しなくてはならない都民の財産ですから、施行者である都の責任が問われます。品川線建設工事については、低入札による問題点が払拭されていないことを指摘しておきます。
 次に、今行われている品川線の工事が周辺住民の生活環境にどんな影響を及ぼしているのかについて、都の認識を伺いたいと思います。
 五月十七日に南品川換気所下部工事についての住民説明会が行われました。住民の皆さんの意見が集中したのは、南品川換気所から排出される自動車排ガスの問題だったということですが、建設局は、換気所から出る排ガスについて、住民の要求もあり、風洞実験という予測を行ったとのことですが、その結果はどうだったんでしょうか。NOxなどの拡散について、具体的なシミュレーションの結果を報告してください。

○山口道路建設部長 まず、お答えする前に、先ほどの低入札についてでございますけれども、東京都が責任を持って工事監督をするということは、もう当然の話でございましたので、先ほどお答えをしませんでしたが、それは大前提ということでございます。ですから、我々は工事監督業務を強化し、適切な品質のものをつくるよう指導監督を強めていきたいと考えております。
 それから、南品川換気所につきましては、これは先ほども申し上げましたように、さきの第一定例会でご審議をいただいた工事で、現在工事を進めているところでございまして、このご質問いただきました風洞実験の結果については、品川線そのものが地下道路ということで建設するものですから、換気所が必要でございます。これは、沿道環境に配慮して地下道路としたわけでございますけれども。そこで、品川線では、地域の環境対策といたしまして、トンネルの空気を換気所内で除じん、いわゆるちりなどを除いて換気塔から上空約百メートルのところまで吹き上げまして、大気に拡散させる計画でございます。
 南品川換気所の風洞実験は、このような仕組みを換気所周辺の住民の方に目に見える形でわかりやすく理解していただくために、模型を作製して換気所から排出される空気の流れを再現したものでございます。
 その結果、風速が、換気所周辺の平均風速であります一・九メートルの場合、空気が広く大気中に拡散することが確認できました。また、強風のときにも空気は換気塔の先端から横にたなびく状態になるわけでございますけれども、風力によって瞬時に拡散されて、滞留しないことが確認されたわけでございます。

○村松委員 部長の答弁の中で、東京都がやる工事だから心配ない、そういうふうにおっしゃっていましたが、じゃもう一個確認させていただきたいんですけれども、そこで働く人たちの安全問題、安全問題は当然なんですが、安いアルバイトで使うという問題やら、それから都民を含めた第三者事故の問題、下請にしわ寄せが及んで労働基準法を守らない、最低賃金を守らない、こういうことはやらせないということは確認できるんですか。

○山口道路建設部長 これも先ほどお答えしたとおりでございまして、工事の施工段階におきまして、実際にどのような下請金額で契約しているのか、下請契約者の確認を厳格に行ってまいります。さらに、それに加えまして、下請企業に対し、直接ヒアリングを行うことによって影響の有無を確認することができるというふうに考えております。
 したがいまして、我々は構造物そのものの工事監督に努めるとともに、そういう下請業者の指導等についても責任を持って進めていきたいと考えているところでございます。

○村松委員 はっきりと責任を持って最低賃金を守らせるとか、労働基準法を守らせるとかということは、確認してよろしいですね。(「そんなの当たり前じゃないか」と呼ぶ者あり)はい、当たり前です。
 それで、先ほどの粉じん問題ですけれども、建設工事が始まっている南品川換気所のすぐ隣はかいじゅう公園という児童公園や、そこでは幼い子どもたちが毎日遊びに行っている。また、近くに古くからのお寺さん、寺院も多くあって、住宅やマンションも建ち並んでいる。山手通りを渡ったところには、区立の小学校、中学校もある。現在、三十階を超えると思われる高層マンションも建設中です。
 この場所に四十数メートルの高さの換気所が立ち上がり、そこから百メートルの高さで吹き上げるNOxなどを含んだ自動車排ガスは、間違いなく児童公園、学校、住宅、マンション、そして古木が生い茂っている寺院の上に舞い落ちてくるという不安の声が出ております。
 住民の皆さんは、今行っている南品川換気所の工事現場は、山手通りから入ってすぐの場所ですけれども、道路が二車線で児童公園がすぐ隣にあるこの場所に、毎日約六百台の工事車両が入ってきて、出ていく台数も合わせると千二百台になる。近隣の人たちは、工事車両の走行音や、工事用重機の打設音がうるさくて夜眠れない、何とかしてほしいという訴えなどが出ております。工事によるこうした被害について、建設局は把握しているでしょうか。

○山口道路建設部長 まず、換気所から出る空気の話でございますけれども、住民の方のご心配ということに対して丁寧に説明したい、また理解を深めたいということで、先ほど申し上げたように風洞実験を行いまして、その結果、確認ができたということでございます。
 それから、近くの学校等に対しての影響、公園等のことでございますけれども、近くの学校等、特に小学校の通学時間帯となっております七時半から八時半の間につきましては、工事用車両の出入りを行わないなど、安全性を確保しております。また、他の時間帯におきましても、ガードマンを配置いたしまして、通学児童だけではなく、一般の通行者の安全対策も図っているところでございます。
 それから、工事中のダンプの台数だとか、そういう環境への影響でございますけれども、今大体一日六十台ぐらいということを予測しておりまして、この結果、建設機械の稼働による騒音、こういうのについても、環境基準の中の規制基準の中に入っているということで、予測しているところでございます。

○村松委員 この工事の騒音とか重機の音がうるさくて夜眠れないというような、そういうことについては余り把握していないということなんですか。答弁なかったんですよね。それで、住民が工事で迷惑しているとか被害を受けているこの事実は否めないんですよね。被害を受けている住民の声を真剣に受けとめて、対応することを求めます。
 都は、品川線の工事を急いでいますが、その一方で置き去りにされているのが、品川線沿線の住民です。住民が訴えている環境悪化の不安に都はこたえず、合意のないまま事業を進めているのではないでしょうか。
 南品川換気所近くの品川保健所がある交差点で、NOxの測定値は区内ではワースト二位の状況で、今でも大気汚染がひどいところです。今後は、さらに南品川換気所から自動車排ガスが吹き上げてくるのですから、ますます大変な状態になることが予測されます。
 また、五反田地域では、これ以上の大気汚染は認められないと、何年にもわたって住民から中央環状品川線の工事見直しについて、住民運動が続いております。住民との合意形成ができていないうちに強引に事業を進めている都の姿勢は、住民生活重視の姿勢ではありません。これを、住民を重視した、そういう姿勢に改めるべきだ、そのことを意見を申し上げて、質問を終わります。

○山口道路建設部長 南換気所周辺の騒音等についてのご質問があったわけでございますけれども、工事には着手いたしましたけれども、まだ本格的な工事に入っているわけではございませんので、私がお答えしたのは、そういう形で予測しているという形でございます。ただ、ガードマン等の配置については、もう既に実施しているところでございます。
 それともう一つ、南品川換気所につきましても、説明会につきましても、私ども、できる限り丁寧に対応いたしておりまして、これまで約二十回ほどの説明会等を行っているところでございます。その中で、先ほど申し上げたように、風洞実験を行った後、実際に昨年開業いたしました新宿線の換気所の現場を視察するということも行ったわけで、周辺住民の方の理解とご協力を得るよう努力しているところでございます。
 今後とも、中央環状品川線の平成二十五年度開通に向けまして、着実に事業を進めてまいりたいと考えております。
   〔村松委員「委員長」と呼ぶ〕

○谷村委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。(村松委員「異議あり。何で質問させてくれないのよ」と呼ぶ)終わりますっていったじゃない。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○村松委員 中央環状品川線は、沿線住民の皆さんの十分なご理解がないということは、先ほどの委員会質疑の中でも説明しました。町会こぞって反対の看板を出していたり、五反田地域では換気塔絶対反対の大看板やステッカーが町全体に張りめぐらされている、こういう状況もあったり、都の財政負担が増大している、そして大気汚染、騒音、振動など、生活環境悪化が深刻、都民はオリンピックを口実にした急ぐ必要のない品川線建設に使うお金があるのなら、暮らしや雇用対策、福祉、医療、介護などに予算を使ってほしいとの声を強くしている。こういう立場から、中央環状品川線の本契約には反対です。
 以上です。

○谷村委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○谷村委員長 これより環境局関係に入ります。
 これより付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百四十六号議案、第百四十七号議案及び報告事項、東京都環境基本計画の策定についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加藤環境政策部長 去る六月五日の当委員会におきましてご要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。
 目次のとおり、五項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、自動車から排出される二酸化炭素削減対策の進んでいる大都市の取り組み状況でございます。
 海外では、自転車専用道路の整備などに取り組んでいるパリの事例を、国内では体系的な道路ネットワークの整備などに取り組んでいる名古屋市の事例と、バス専用レーンの設置などに取り組んでいる京都市の事例を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、地球温暖化対策の先進事例でございます。
 ここでは、環境確保条例改正に関連する義務的な温室効果ガス排出削減や排出量取引制度に関する先進事例について記載しております。
 EUの事例では、域内排出量取引制度について、概要と対象施設を記載しております。また、アメリカでは、各州による削減義務と排出量取引制度について、三つのエリアの事例を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都内の自動車保有台数の推移でございます。
 昭和五十二年度から平成十八年度までの三十年間の都内の自動車保有台数の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、世界の主要都市における二酸化炭素削減目標でございます。
 大ロンドン市、ベルリン市、ニューヨーク州、カリフォルニア州における二酸化炭素の削減目標を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、運輸部門の二酸化炭素排出量でございます。
 平成二年度から十七度までの十六年間の運輸部門の二酸化炭素排出量の推移を自動車、鉄道、船舶、航空ごとに示してございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 今回、都議会第二定例会は、地球温暖化問題が最大の焦点である。その最大の焦点となる、洞爺湖サミットの直前に開会されているわけでありますけれども、上程されている環境確保条例の改正案には、我が国初のCO2総量削減義務と、排出量取引制度の導入という画期的な内容が含まれております。
 総量削減義務を実際に開始するまでには、さらに詳細な検討やさまざまな課題をクリアしなければならない必要性があるということでありますけれども、東京における大幅なCO2の削減を実現するためには、ぜひともこのような必要な制度をつくらなきゃいけないということだと認識をしております。
 さらに、本会議において何人かの議員からも質疑が行われてまいりました。環境・建設委員会における審議の冒頭に、改めて削減義務と排出量取引制度について、その導入の意義、条例の内容の詳細に関して、本会議での質疑では明らかにならなかった幾つかの重要なポイントを絞って質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、総量削減義務と排出量取引制度の世界的な動向及び日本の状況について確認をしておきたいと思います。
 今回、都が導入を目指している削減義務制度などは、世界的規模ではどの程度導入が進んでいるのか。また、我が国においてはどのような状況であり、東京においての導入はまさにどのような意義があるのか。このあたりをお伺いしたいと思います。

○大野都市地球環境部長 温暖化ガスの総量削減義務制度と排出量取引制度でございますが、二〇〇五年にEUにおいて初めて導入されました。今日では、オーストラリアとニュージーランドでも国全体での導入を決定しております。
 また、これまで取り組みがおくれておりましたアメリカでございますが、現在全米五十州のうち二十四の州で導入されるか、あるいは導入方針が決まっております。これらの二十四州の総人口を合計いたしますと、一億六千万人ということで、アメリカの総人口の半分と伺っております。
 また、さらに大統領選挙が十一月に行われますが、その候補に決まりましたマケイン、オバマ両議員とも、公約の中で削減義務と排出量取引制度の導入を明確に掲げておりまして、米国におきましても、近い将来に全国レベルの制度が導入されることは確実といわれております。
 これに対しまして我が国でございますけれども、我が国では、国におきましてさまざまな検討会で検討が行われておりますけれども、いまだ何らかの実験が行われるという段階でございまして、いつからどのような制度が導入されるか、全く不明確な状況でございます。
 こうした状況の中で、日本の首都である東京都が明確な総量削減義務と排出量取引制度を導入するという方針は、世界的にも非常に大きな注目を集めておりまして、東京の環境政策の先進性を明らかにするということだけではなくて、日本全体の国際社会における地位を高める意味も有するものと考えております。

○こいそ委員 まさに取り組みのおくれている国に先んじて東京で導入する意義は非常に大きいということはわかりました。
 国のレベルで排出量取引制度の導入の是非について、まさにかんかんがくがくの議論が行われながら、なかなか方向性が定まらない。その理由の一つとしては、先行して排出量取引を導入しているEUの制度について、これを賛美する議論と全面的に否定をする、両論の議論の不毛な対立が続いているところにあると思うところであります。
 マネーゲームになっているとか、削減義務をめぐって訴訟が多いとの批判もあるようでありますけれども、都はEUの制度をどのように評価をして、どのような教訓を得ているのか、伺いたいと思います。

○大野都市地球環境部長 EUが二〇〇五年の時点で世界に先駆けまして総量削減義務と排出量取引制度を導入したことは、気候変動の深刻さを認識しました非常に戦略的な取り組みであったというふうにいえると考えております。
 ただし、二〇〇五年から二〇〇七年まで、第一期、三年間取り組みが行われたわけでございますが、当初、導入時におきましては、対象事業所のデータを把握できていなかったというふうな限界がございまして、そういう不十分さがあったと思っております。
 マネーゲームという批判でございますけれども、確かに一部投機的な行為も行われておりまして、改善すべき点があると考えておりますけれども、最も活発に排出量取引を行っておりますのは、実際に規制対象になっている電力会社やエネルギー企業であるということもわかっておりまして、EUの排出量取引全体がマネーゲームであるという批判は、余り正確ではないのではなかろうかと思っております。
 次に、削減義務に関する訴訟でございますが、これも事実確認を行ったわけでございますが、多くの訴訟が行われているのはドイツでございます。ドイツは約八百件の訴訟があったというふうにいわれておりますけれども、実際、これは訴訟ではなくて行政不服審査であったわけなんですが、これはドイツの制度が、実は六十もの例外ルールがありまして、非常に複雑であるという事情もあったということもわかっております。
 都におきましては、これから得る教訓でございますが、これまで地球温暖化対策計画書制度を六年間運用してきておりまして、対象事業所に関するデータも持っております。このデータをしっかりと踏まえた制度設計を進めているという点で、EUとは大きな違いがあると考えております。
 また、教訓でございますけれども、やはり投機対象とされにくい設計にするということでありますとか、制度の安定的な運用を図るためには、できるだけシンプルでわかりやすい制度にしていくということが必要と考えております。

○こいそ委員 東京都がEUの制度の運用や実態についても、よく調査して把握した上で制度設計を進めているんだということが理解できたわけでありますけれども、さて、都は、昨年六月に策定した東京都気候変動対策方針、その中で、削減義務の導入を公表以降、多くの経済界の代表の参加も得て、ステークホルダー会議を三回にわたって開催をしてきております。
 この会議の中では、当初ほとんどの経済界が反対の意見を表明していたと聞いているわけでありますけれども、その後、本年の五月に東商が都の条例改正を評価する意見書を提出されたわけでありますけれども、それ以外の団体も含めて、全体として東京の経済界との合意形成はどう進められてきているのか、状況を教えていただきたい。

○大野都市地球環境部長 ステークホルダー会議の場以外でも、多くの団体、事業者の皆さんと意見交換を行ってまいりました。その結果、今日におきましては、東京商工会議所以外にも、日本百貨店協会、日本ホテル協会、不動産協会、太陽光発電協会加盟の電機メーカー各社、東京ガス等々、都内の多くの主要な経済団体、企業から、反対という立場はとらない、削減に向けて都とともに具体的な取り組みを進めていきたいというふうな意向を伺っておりまして、ステークホルダー会議にご参加いただきましたほとんどの東京の経済団体の方々とは、導入に関する基本的な合意が形成されてきているというふうに考えております。
 なお、六月三十日には、これらの団体、企業の協賛を得まして、環境都市づくりシンポジウムを開催するという予定になっております。

○こいそ委員 東京の多くの企業、そして事業者との合意形成が進んできているという説明でありますけれども、大変結構なことだと思います。しかし、かといって、事業者の皆さんの心配がすべて解消されているとは、これまた一面、思いません。
 特に、制度の導入に当たって、対象事業者の一番の関心事は、削減義務率ではないか。都はこれまで、削減義務率の水準は対象事業所の削減余地がどのぐらいあるのかというミクロの視点と、二〇二〇年度に東京全体で二〇〇〇年度比二五%削減するというマクロの視点の二つの視点から決めるといっておられます。
 実際の削減義務率の大きさは、今後設置する検討会で検討していくということのようでありますけれども、この環境・建設委員会において、削減義務制度の審議をするのに、数値が全く示されないというのは、十分な審議にならない、審議ができない。
 そこで、あえてお聞きしたいわけでありますけれども、設定された削減義務率はどの程度のものになると考えられているのか、お答えいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 削減義務率につきましては、ステークホルダー会議などの中で、多くの事業者の皆さんから、省エネ、設備投資などによる対応を可能とするために、短期的な削減目標だけではなくて、中長期的な目標を示してほしいという意見が出されました。
 このため、規則で制定いたしますのは、まず五年間程度の削減義務でございますが、その前提として、二〇二〇年までの削減の目安を示すことが必要と考えております。
 二つの視点のうち、まず対象事業所の削減余地でございますが、これに関して一例を挙げますと、オフィスビルなど業務系の施設で最もエネルギー使用率の大きい冷暖房機器、熱源機器でございますが、これでは、最新の省エネ型の機器に更新することで、最大約四割のエネルギーが節減できる。ビル全体でも、約一〇%の削減が可能であると思われます。その他の照明機器等の更新や運用対策なども合わせまして、一五%程度の削減余地があると考えております。
 一方、二〇二〇年までに二五%削減するという目標の達成のために、業務・産業部門などエネルギーの需要側に必要な削減率につきましては、環境基本計画の検討の中で、約二〇%という試算が行われております。これらは、あくまで二〇二〇年までのものでございますので、五年間程度の削減義務期間に設定される義務率とは期間が異なりますが、これらの試算を中長期的な目安の数値といたしまして、具体的な第一期の削減義務率を、この秋に設置します検討会で検討を行ってまいります。

○こいそ委員 ただいまの答弁で、削減余地の視点からは一五%、東京全体の目標達成という視点からは、二〇%という数字が示された。これは大事なポイントだと思うんですけれども、二点確認しておきたいと思います。
 まず、この二つの数字にギャップがあるのではないか。この差をどのように埋めて、これからいかれるのか。次に、この一五%から二〇%という数字と、規則で定める削減義務率の関係はどうなのか、まずそこを伺いたいと思います。

○大野都市地球環境部長 まず、一五%と二〇%の差でございますけれども、削減余地の一五%という試算は、現在既に市場で販売されております製品の中で最も省エネ効率のよい製品を利用した場合の試算でございます。
 実際には、二〇二〇年までにはさらなるエネルギー効率の改善など、省エネ技術の開発を見込むことができますし、また再生可能エネルギーの利用が一層容易になることも考えられます。したがいまして、二〇二〇年までを展望しますと、削減余地の積み上げと全体的な削減目標達成に必要な削減率の差とは、それほど大きくならないのではないかと考えております。
 次に、この一五%から二〇%という数字と、規則で定めます削減義務率の関係でございますが、三点考慮すべき点がございます。
 第一点は、規則で定めますのは、先ほども申し上げましたが、五年間程度の削減計画期間の義務率であるために、二〇二〇年までを前提とする一五%から二〇%とは異なるということでございます。
 第二に、二〇二〇年までを前半、後半と分けるといたしましても、これを均等に同じペースでいくのか、前半は削減率を小さくして、後半は大きくするのかとか、あるいはそれの反対にするかどうか。事業所の対応のしやすさなども考慮いたしまして検討する必要があると考えております。
 第三に、ここが大事なポイントでございますけれども、都が目指す二五%削減という目標は、二〇〇〇年比で二〇二〇年までに達成すべき数値でございます。これに対しまして、条例上の削減義務は、五年間程度の削減期間の排出量の平均値で削減すべき数値というふうに定めることとしております。
 したがいまして、二〇二〇年までの最終目標を前提とした数値は、この平均削減率とは違いがありますので、その点を考慮する必要があるということでございます。
 いずれにしましても、これらの点を考慮し、この秋に設ける検討会の検討を行い、本会議でもお答えしましたように、今年度末を目途に、最初の削減計画期間の削減義務率を決めてまいりたいと思っております。

○こいそ委員 ただいま答弁で、二〇二〇年までを視野に入れた場合の削減率の目安が示されたわけでありますけれども、対象となる事業所には、オフィスビルあり、工場、そして百貨店ありと、さまざまな形態があるわけでありまして、条例改正案を見ると、削減義務率は事業所の特性を勘案して、規則で定める区分ごとに定めるとされております。
 そこで伺いたいと思いますけれども、ここでいう区分とは、どの程度の分類を考えているのか、教えていただきたい。

○大野都市地球環境部長 削減義務の対象となるのは、約千三百カ所の大規模事業所でございますけれども、事業所数では都内全事業所の〇・二%以下でございますが、業務・産業部門の総排出量の約四割を占めておりまして、業種のいかんにかかわりなく東京のCO2の削減に大きな役割を果たしていただく必要があると考えております。
 その上で、具体的な削減義務率の設定でございますが、設定に当たりましては、事業所のエネルギー量の特性を考慮する必要があると考えておりまして、オフィスなどの業務系の事業所と工場などの産業系の事業所では異なる取り扱い、区分にする必要があると考えております。
 業務系の対象事業所は約千カ所でございますが、その大半を占めるオフィス、ホテル、百貨店などの業種を見ましても、冷暖房設備、照明による消費が全体の半分ぐらいを占めておりまして、エネルギー消費構造に大きな差はないと思っております。
 このため、業務系の施設につきましては、地域冷暖房を導入しまして、ボイラーや冷凍機などの熱源がない、この場合を除きまして、業種により区分を変える必要はないものと考えております。
 こうした区分のあり方につきましても、今後さらに検討を進めていきますが、基本的には余り細かい区分にはならないのではないかと考えております。

○こいそ委員 確かに、削減義務率の区分全体は余り細かく区分の間の違いの妥当性などに対して、反対に公平を損なうこともあるかもしれない。要するに、余り細かい区分は必要ないかもしれないということだと思いますけれども、しかし、対象事業所の中には、例えば研究、教育の場である大学などのように、営利を目的としない、すなわち学校法人の施設があるわけでありまして、こうした施設では、削減の技術的なポテンシャルは同じかもしれないけれども、オフィス等営利目的の事業所とは置かれている状況はまさに全く違うのではないか。
 また、今後、この制度の施行までに、対象施設の省エネ促進策についてはさまざまな検討が当然行われていくべきではないかと思うわけでありますけれども、今後、大学の施設関係においての削減義務への着実な対応をする中でも、きめ細かい、現状に即応したというのですか、検討を行って、対応していただきたいと思います。
 これは要望にとどめておきたいなと思いますけれども、やはりその区分といいますか、状況はやはり違うのではないかということなんです。
 それから、対象事業所の特質に合わせたきめ細かい対応ということに関してもう一つ、大きな問題はテナントビルの問題だというふうにご答弁でありましたけれども、そのように思います。
 東京の特徴は、オフィスビルを初めとする業務部門の施設が多いこと。中でも、都心部を中心に多数のテナントビルがあり、こうしたテナントビルでは、建物を所有するのはオーナーでありますが、実際ビルを利用するのはテナントに入っている事業所というんですか、ということでありまして、ビルの所有者と利用者は異なっている。
 このため、テナントビルに対して削減を進めていくには、まさに実効性を高めるための特段の仕組みづくりが必要と考えるところでありますけれども、そこで、都は、テナントビルへの削減義務の設定に当たってどのような工夫を行って、これからいくのか、このあたりですね。

○大野都市地球環境部長 テナントビルは、約千三百の対象事業所の四分の一を占めておりまして、テナントビルにおけるCO2削減を着実に進めることは、非常に重要な課題と考えております。
 今回の条例改正におきましては、入居しているすべてのテナントに、オーナーが進める削減対策への協力義務を課するとともに、大規模なテナントには、対策計画書の提出を義務づけることとしております。

○こいそ委員 今回の改正案で、削減義務とともに排出量取引制度を導入されていくことになるわけでありますけれども、本会議での質疑でもやりとりがありました。幾ら取引が行われても、それ自体は対象事業所全体の排出削減には寄与しない、あえて排出量取引を導入する意義をここで改めてお聞きしたいところなんですけれども、お願いします。

○大野都市地球環境部長 排出量の削減を目指します省エネ投資は、光熱費の節減につながるメリットを得るものでございますが、大規模な省エネ投資をしようと思いますと、それだけ初期投資が高くなる。そのために、回収にかかる期間が非常に長期化するという傾向がございます。このため、現状では、投資回収に三年ないし五年以上かかる投資はなかなか行われづらいというのが実情でございます。
 これに対しまして、排出量取引を導入いたしますと、大規模な省エネ投資によってCO2の大幅な削減が実現した場合、その削減分を排出量取引で売却することによりまして、初期投資の回収を早めることが可能になるという効果がございます。排出量取引は、このように、これまで行われづらかった大規模な省エネ投資を促進する効果があるものと考えられます。
 一方、設備更新の計画があっても、それが数年後である。今すぐにみずからで大幅な省エネ投資をして削減するよりも、当面はほかの事業所から削減量の不足分を調達した方が、その企業にとっては有利であるというふうに判断する事業所の場合もございまして、この場合には、当面は排出量取引を利用して削減義務に対応するという選択も可能になるわけでございます。
 このように、排出量取引制度の導入は、削減対策に率先して積極的に取り組む事業所に経済的なメリットを与える一方、削減義務の対応の方法につきましては、事業所に選択の余地をふやして柔軟な対応を可能にするという意義を有するものと考えております。

○こいそ委員 排出量取引を導入することの意義については理解はできますけれども、しようとする場合に、実際に調達することができないとか、購入する量が減って価格が高騰してしまったという状態が出た場合、というようなさまざまな問題が発生することが、まさに想定されるのではないか。こうした事態が生じないようにするためにも、どのような対応が実際的に可能であるのか。

○大野都市地球環境部長 排出量取引の問題点として指摘されているような事態を生じないようにしますための最大の方策は、やはり各事業所自身による削減を着実に進めることでありまして、都としても、省エネ研修会の開催等々によりまして、事業者の技術的な支援を行ってまいりたいと思っております。
 さらに、今回提案している制度では、中小企業の削減量や自然エネルギー消費の利用も可能としているほか、一定の制限は設けますが、都外で削減量を取得して義務の履行に充てることも可能にしておりまして、一層柔軟な対応が可能なような配慮を行っているところでございます。

○こいそ委員 削減義務、そして排出量取引の制度を設けても、実効性の確保、担保の措置がなければ、真に有効な制度とは当然ならないと思うんです。熱心に削減義務の履行に取り組んだ事業者が一方いれば、これはもう想定ですから、あえてあれなんですけれども、義務を果たさなかった事業者が場合によって放置される状況があれば、まじめな事業者がばかを見るというか、こういうことにもとらえられないわけはないわけであって、そういう意味で、都の制度は、削減義務を履行しなかった場合には罰金という措置が用意されています。
 それと、改正案を見ると、実効性を担保するための措置として、罰金だけでなくて、事業者が措置命令を受けても削減をしなかった分について、知事がかわって調達して、その費用を事業者に請求するという仕組みが用意されてあります。
 そのねらいについて伺いたいと思うんですが、また一方、そのような罰則だ、義務だという中においても、私は信賞必罰も考えられるべきではないかと思うんです。まさに削減義務の履行に積極的に取り組んだ事業者に対して、税制面を含めて何らかの具体的な施策対応の検討も、これは一方、すべきじゃないかと思うんです。そのあたり、どうでしょうか。

○大野都市地球環境部長 まず、知事によります代行執行の制度でございますが、これは、削減義務の制度は、本来、排出量の削減を目指すものでございます。罰金を適用いたしましても、それだけでは実際に未達成分の削減がなされるわけではございません。このために、実際に未達成分を確実に削減するために、知事がかわって調達して義務を充当し、その費用を請求するという代行執行の制度を設けるものでございます。
 また、新しい削減義務制度を効果的に運用していくためには、積極的に削減に取り組む事業者の努力が報われるということも必要でございます。このため、今後、金融、税制面なども含めまして、どのような施策が可能か、検討してまいります。

○こいそ委員 これまで十点にわたって排出量取引制度をめぐる世界の状況、東京都における導入の意義、削減義務率や排出量取引の内容、さらに実効性の確保策まで、重要なポイントをお聞きしてまいりました。
 都の今回の提案は、EUの教訓を踏まえるとともに、東京でのこれまでの地球温暖化対策計画書制度の実績、さらには東京の特質を考慮してつくり込まれてきた制度であるんだということは受けとめることができました。
 東京のCO2削減のかなめをなす重要な制度であり、これほど大きな事業をやろうということでありますから、我が国で初めて重要な意義を持つ事業であるからして、執行体制を初め、予算にも万全な十分な配慮をする、要するに万全を期してスタートしてもらいたい、取り組んでもらいたいということであります。
 最後に、我が国初の削減義務と排出量取引制度の導入に取り組む環境局局長の決意を伺いたいと思います。

○吉川環境局長 今こいそ先生から、平成十四年度から始まった現在の地球温暖化対策計画書制度の積み重ねに対する評価をいただいて、大変うれしく思っております。
 私は、平成二十年度の年度初めの日、四月一日に、私どもの環境局の職員全員に対して、平成二十年度を歴史に残る年度としようというふうに話をしました。それは、今申し上げた平成十四年度からの地球温暖化対策計画書制度、これは正直いって、今から六年も前に、都内の千を超える事業者の方々が、東京都の提案した新しい計画書制度にご協力をいただいた、まさに努力をいただいたということで、その積み重ねがあったからこそ、今回の世界での、多分都市部としては世界初めてのキャップ・アンド・トレードが条例に負託ができるというふうになったと思っております。
 そういう意味で、平成二十年度を歴史に残る年度にしようというふうに呼びかけて、年度に入ってまさに最初の、第二回定例会にこういう形で条例が提案できたというのも、私どもの局の職員の地道な努力の成果もあって、こういう形で提案できたのかなというふうにしみじみ思っております。
 いずれにしましても、東京都は、この東京を低炭素型の都市に変革して、新しい都市モデルを世界に発信していくということを目指しまして、今回の削減義務の制度導入に関する条例提案を行いました。
 来るべき炭素制約社会の中では、この制度を初めとする今回提案をしているもろもろの制度をきちっと導入して、実施していくということで、新しい環境技術であるとかエコ商品等の開発を進めまして、東京の経済的成長を継続させるための大きな力になるものとも考えております。
 繰り返して申し上げますが、私どもとしては、今回の削減義務と排出量取引制度の導入を、着実な削減、成長との両立、この二つの旗印に留意しつつ、地球温暖化対策に局を挙げて引き続き全力を尽くしていきたいと思っております。
 こいそ先生からは、執行体制を初め、予算面なども整備しておく必要があるという、私は多分応援の気持ちでのご発言だと思いますが、今回の制度の導入はゴールではなくて、スタートでございます。そういう意味で、谷村委員長初め、環境・建設委員の各先生方には、今後とも変わらぬご指導、ご支援を賜りたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○吉田委員 私からも、環境確保条例の改正についてお伺いをいたします。
 代表質問、一般質問、そして本日こいそ委員から、この制度の根幹にかかわる大変重要な質疑を拝聴しておりまして、本当に大きな事業が始まるんだなというふうに思っております。
 気候変動の危機回避に向けて、温室効果ガスの総量削減を早期に実現するため、削減義務制度と排出量取引制度の導入を初め、もろもろの制度の創設や対策の強化を行う今回の条例改正の内容は、国内においては初となる制度を構築しようという先駆的、かつ野心的なものでありながら、実にまじめに積み上げられたというか、地に足のついた制度設計になっているように思います。公会計制度の導入の際にも感じたんですが、非常に都庁の皆さんの能力というか、こういうものに敬意を表する次第であります。
 しかし、まだ制度の詳細についてはこれから詰めていくところが多々あると思いますので、引き続きしっかりと有効に機能する制度につくり上げていただきたいと思うわけでありますが、本日は、その中でお答えいただける範囲で、いろいろとお教えをいただきたいと思います。
 まず、削減義務制度の開始の後、新しく建設されたビルや新たに事業を始めた企業あるいは事業が拡大している企業など、新たに制度の対象となる事業所、こういうところは直ちに削減義務を負うとすると、基準排出量や削減義務量が確定できないように思われるわけでありますが、新規の対象事業所はどのような流れで削減の義務を受けるようになるのか、お伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 削減義務制度の対象は、年間で原油換算にいたしまして千五百キロリットル以上を消費する事業者を予定しております。現行制度と同じでございます。前年度に、前の年に千五百キロリットル以上という要求を満たせば、まず指定地球温暖化対策事業所として指定をいたします。この段階では、温暖化対策計画書の作成、提出の義務は課しますが、まだ削減義務は課さないという仕組みになっております。
 その後、規則で定める数年間、連続してその基準を超えた場合に、特定地球温暖化対策事業所というふうになりまして、この段階で削減義務の対象となるという仕組みでございます。
 この場合に、対象事業所の削減義務の基礎になる基準排出量は、指定地球温暖化対策事業所であった期間中における排出量の平均から算定することなどを想定しております。

○吉田委員 急に削減義務を課すというのではなくて、新しいところでも、過去の実績というか、そういうものをきちんと把握してから考えるんだということはわかりました。
 削減義務につきまして、削減余地と二〇二〇年までの目標という二つの視点から決めていくということでありますが、この削減義務が事業者にとって技術的に難しいものであってはならないわけでありますが、こういう見方について所見を伺います。

○大野都市地球環境部長 オフィスビルなど業務系の施設を例にとりますと、ボイラーなどを最新の省エネ機器に更新することで、最大でビル全体の約一〇%程度のエネルギーを節減できるほか、例えば照明につきましても、インバーターの非常に性能のいい機器が出ております。こうしたものや、あるいは小まめな節電等によりまして、かなりの節減が可能と考えております。
 二〇二〇年度までには対象事業所の多くがこうしたボイラーや照明の法定耐用年数を超えますので、現在の技術だけを前提にいたしましても、比較的大きな削減余地があるものと考えております。

○吉田委員 技術的に企業として実現可能というか、対応可能な義務の内容になるということだと理解いたしました。
 そして、この排出量や削減量の算定に関しましては、検証機関のあり方が大変重要だと思いますが、この問題については、この後、今村理事の質疑に譲ることといたしまして、削減義務を履行するには、排出量を買い取ることによっても可能となるわけでありますが、そもそもこの取引はいつから開始されることになるのか。また、実際に取引が活発になされるという状況になるのはいつごろからと想定しておられるか、伺います。

○大野都市地球環境部長 都の今回提案させていただいている制度では、削減を検証された量を取引することにしておりまして、二〇一〇年度の制度開始から一年後、削減実績がわかる二〇一一年度からの取引が可能となるように設計をしております。条例上も、取引に必要な口座簿につきましての規定に関しましては、同年度から、二〇一一年度からの施行を予定しております。
 現時点で取引の量でございますとか、活発な時期につきまして明確にすることは困難でございますけれども、一般的にいえば、削減義務の履行期間に近づくにつれまして取引が増加するものと想定できると考えております。具体的には、削減義務期間は五年間程度を想定しておりますので、この場合には導入後四年ないし五年目あたりから増加をしていくことが考えられると考えております。

○吉田委員 わかりました。
 それでは次に、排出量の取引価格と需給のあり方というか見通しというか、こういうものについて伺いたいと思います。
 日本では、京都議定書上のCDMや環境省の自主取引しか例がございませんので、企業に義務を課している例で、EUを見ますと、一トン約四千三百円程度、六月十七日時点で二十六・七七ユーロと聞いております。既に省エネが進んでいる日本の場合、いろいろなコストを勘案して、もう少し高くなるかもしれません。
 そして、例えば省エネをして削減量を売却しようと思った中小の事業者は、大体そのような価格を念頭に置いて削減に取り組むと思うわけでありますが、ここで、日本の企業というのは、大企業を含めて非常にまじめでありますので、仮にすべての大規模事業所がみずから削減を達成したという場合には、せっかく中小企業が頑張って削減をしても、買わなきゃいけない人がいないという状態が、これは杞憂かどうか。
 仮にそのような状態が続けば、削減の努力をする中小事業者がいなくなってしまうおそれがあるわけでございますが、都はこのような懸念というか、このような状態について何か考えていらっしゃるか、伺います。

○大野都市地球環境部長 本会議でもご答弁を申し上げましたけれども、中小企業の省エネ促進策といたしましては、中小企業の省エネ対策を適正に評価いたしまして、CO2の削減量が確実に買い取られる仕組みを考えることも有効と認識しております。こうした方法を含めまして、今後さまざまな省エネ支援策の具体化につきまして検討を進めてまいります。

○吉田委員 ただいまご答弁ありましたが、それが、都が買い取りを行うことを念頭にというか、想定しているというのであれば、実はこれは慎重な検討も必要であろうと思うわけです。
 というのは、都が買うということは、都民が税金で負担をするということでありまして、どのような価格でどこまでの量を買うのか。見方によっては市場に公的部門が介入したということになるとの考え方、あるいは事業者への一種の補助金となるんだという見方もあり得るわけであります。
 この買い取りの価格の妥当性や公正性、それから取得する量の上限など、適切さ。それから、取得した削減量を行使するのかしないのか。行使する場合、その目的など、税金を負担する都民に説明責任を果たさなければいけないという部分がございますので、非常によく論理構成をというか、検討していただきたいと、これは要望申し上げます。
 例えば、都だけでなくて、民間のNPO等が排出を行使しないけれどもボランタリーに買うとか、いろいろなことが考えられるかと思いますので、いろいろご検討いただきたいと思います。
 そして、次に実際の取引についてでございますが、仲介業者としてだれが参加できるのかということが大変重要な問題だと思います。EU等では、銀行がいろいろ仲介したり、こういうことがあるようでございますが、今回の条例案では、取引に用いられる削減量口座簿の開設について、削減義務対象事業者以外の人は、規則で定める者に限り開設を受けることができるとなっております。この削減義務を負わないけれどもみずから排出の削減を行う中小事業者がこの対象になるんだろうと考えますが、排出事業者でない仲介業者もこの条項の対象になるのでありましょう。
 私は、この新しく導入される都の制度での取引が、トラブルや混乱なく安定的に始められ、事例が重ねられ、制度が定着し、発展していくためには、口座開設の資格を、仲介を行おうとする者については、少なくとも制度の開始から一定期間は、信頼性のある者、例えば銀行業の免許を受けた者であるとか、金融商品取引法の定める金融商品取引の参加資格を有する者などに限るなどして、ある一定の制限をすべきだと考えるのでございますが、この点はいかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 削減量口座簿の口座開設資格の設定は、制度を安定的に運用していく上で重要なものであると認識しております。
 今後、制度の詳細を決定していく上でも、安全に取引ができ、かつ投機防止策としても機能するように、国内外の事例も参考にいたしまして検討してまいります。

○吉田委員 次に、制度の広域化ということに関して、我が党の代表質問に対して、知事からは、都の施策を全国に向け発信していく、既に埼玉県においても排出量取引制度を導入し、都と連携していくことを検討していると聞いているとの答弁がございました。
 そこで、全国に取り組みを求めていく第一歩として、埼玉県の検討の状況、そして都として埼玉県との連携についてお伺いをいたします。

○大野都市地球環境部長 埼玉県では、今月十六日に開催されました地球温暖化対策の検討に関する専門委員会の場におきまして、今後の地球温暖化対策の基本的方向性の素案が提出されております。この中で、埼玉県独自の排出量取引制度の導入の検討がうたわれておりまして、検討に当たっては、近隣自治体との広域的な実施が可能となる制度づくりに配慮するとされております。
 埼玉県の制度の内容の詳細は、現時点では不明でございますけれども、伺っている話では、罰則は設けないものの、対象事業所への排出基準は設けるということでございます。
 埼玉県の事務局とは情報交換を始めておりますけれども、埼玉県といたしましても、東京都の制度と連携したいという意向を伺っております。
 都といたしましては、まずは東京でしっかりと機能する制度を構築するのが最も重要な課題と認識しておりますが、埼玉県との連携の方法につきましても検討して、協議をしてまいりたいと思っております。

○吉田委員 ぜひやっていただければと思います。
 本年四月に開催されました八都県市首脳の会議におきましても、地球温暖化防止に向けて効果的な対策に今後共同して取り組んでいくことを決定したということでございますので、ぜひこの本制度も広がっていくようにお取り組みを頑張っていただきたいと思います。
 そして、ここまで大規模事業所への削減義務と排出量取引について伺ってまいりましたが、中小規模事業所の地球温暖化対策報告書の届け出制度については、代表、一般質問でもほとんど取り上げられていなかったようでありますので、幾つか質問をさせていただき、確認をいたしたいと思います。
 まず、この中小規模事業所の届け出制度は、全く新しい制度として創設されるものであります。仕組みそのものは複雑ではありませんが、確認の意味も含めて、本制度の趣旨、ねらいについて改めてお伺いをいたします。

○大野都市地球環境部長 この届け出制度は、都内で事業活動を行う中小規模事業所に対しまして、温暖化ガス排出量の把握や地球温暖化対策の取り組みを推進していくとともに、その排出量や取り組み状況等を地球温暖化対策報告書に記載し、任意に提出をしていただくものでございます。
 都は、中小規模事業所が取り組みやすい省エネ対策を標準化して提示をいたしまして、この標準的な省エネ対策を毎年順次追加していくということによりまして、削減対策のレベルアップを促していきたいと考えております。
 さらに、都内に多数の中小規模事業所を設置する企業等につきましては、本社などで取りまとめての届け出と公表を義務づけるものでございます。

○吉田委員 まず、みずからの二酸化炭素の排出量を把握し、標準的な取り組みを進めてもらうというのがこの制度のねらいであるということは改めて確認ができました。こういう趣旨で創設をする制度であれば、できる限り多くの事業者の方に届け出をしていただいて、取り組みを進めていただく必要があると思います。
 今回の制度では、多数の事業所を設置する企業に対して届け出を義務づける、そういう制度だと認識しておりますが、多くの事業所に届け出てもらうためには、条例の答申にありました三千キロリットル以上ではなくて、削減義務対象の事業所の場合と同様に、千五百キロリットル以上とすれば、より広い範囲の事業所に届け出を求められるのではないかと考えるわけであります。
 しかし、一方では全く新たな制度ということもあり、届け出義務対象となる企業には、新たな事務、負担が生じることでもありますので、実際に運用を進めていく中で、制度の改善を図りつつ、対象を拡大していくというやり方も必要なのだろうなと考えます。
 こうした観点から、義務対象の規模は、当初は高目に設定してスタートするとしても、任意提出の状況なども勘案しながら、段階的にでも、規模要件は見直して、より多くの事業所に取り組んでいただけるようにしていくのがよいのではないか。これは意見として申し上げます。
 そして、他方、この制度のまた別の大きなねらいでございます義務対象でない中小企業の事業者の方に、どうやって任意の提出をしていただくかという点が非常に重要な課題だと思います。
 中小企業の方にとっては、日々の事業活動の中でこうした取り組みを行うのは、やはりなかなか大変なのが実情だと思います。やはり、届け出たことで何かメリットがある、そういうものがなければ、実際に届け出をするというアクションをしていただくのは難しいのではないかと思います。
 そこで、現時点で任意に届け出た事業所に対して、何かインセンティブとなるような仕組みが考えられているのか、お伺いをいたします。

○大野都市地球環境部長 本制度は、省エネの取り組みがおくれております中小規模事業所がみずからのCO2排出量の把握と省エネ対策が推進されるように創設するものでございまして、多数の任意の提出が行われることを期待しております。
 この任意の届け出事業者につきましても、これは任意の届け出事業者の方は公表は義務ではございませんが、東京都のホームページでは公表を想定しておりますので、温暖化対策に積極的に取り組む事業所としてPRする効果があるものと考えております。

○吉田委員 わかりました。確かに、都のホームページで公表されるということは、事業者にとっても広く環境への取り組みが認知されるということになりますので、一定のインセンティブにはなると思います。
 しかし、中小企業の事業主さんなどにとっては、例えば本年度から都が指定する省エネ診断に基づいて設備投資等を図る事業者の方には低利融資が行われるということでありますが、届け出の提出事業者に対しても何かこのような支援策があれば、非常に大きなインセンティブになるというふうに考えます。
 また、例えばエコ事業所というような形での登録や認証ということを行って、証書を発行する。そういうことをやって、手にとって見える、形のあるもの、こういうものを差し上げる。そういうことがあると、事業主さんにとって非常に励みになるというようなことを、私も地元を歩き回ったりして、いろいろな方と接していて、感じるわけであります。
 都として、ぜひホームページでの公表にとどまらず、中小企業の皆様の届け出を促すようなインセンティブをさらに検討していただいて、せっかくの制度の取り組みの拡大を図っていただきたいと思うわけですが、ご見解を伺います。

○大野都市地球環境部長 本会議でもご答弁申し上げましたが、中小企業の皆さんに省エネに取り組んでいただくためのいろんな策については今後検討していくということでございまして、報告書の提出を促すことができるように、さまざまな方策について検討してまいりたいと思っております。

○吉田委員 ぜひお願いします。
 そして、制度の運用が始まれば、義務対象となる事業所数に任意に届け出ていただける方を含めると、数万単位の事業所になると思われます。仮に報告書が簡易なものであったとしても、その届け出の受け付け事務などは非常に膨大なものになることが予想されます。
 届け出事業者の利便性を確保することはもちろんのこと、都においても着実な制度運用を図るとともに、効率的に政策の目的を達成し、業務を運営できるようにするために、例えば建築確認申請では、民間の審査機関で受け付けがごく当たり前に行われているわけであります。
 本制度の届け出の受け付けにつきましても、どのような機関が適しているのかなど、さまざまな検討が必要だろうとは思いますけれども、こうした面でも工夫を凝らしていただいて、いろいろ民間の力を生かすというか、そういうことをご検討いただいて、中小規模事業所の二酸化炭素の排出の削減に向けた取り組みをぜひ推進をしていただきたいと思います。
 とにかく、この排出量の取引を初め、今回の条例案、非常に東京の取り組み、大変に進むものと期待をしておりますが、しっかりと進めていただくように改めてお願いをいたしまして、質問を終わります。

○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時七分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○橘委員 ことし三月に全面改定されました環境基本計画について伺います。
 東京都の環境政策の柱となります環境基本計画は、いうまでもなくその時々の時代背景、環境課題を的確にとらえ、どういう手を打たなければならないのかを明確にして、それに対する政策、施策、事業等を策定したものであります。
 その観点から今回改定された基本計画を見ますと、近年多発傾向にある都市型集中豪雨、猛暑や台風の来襲頻度の増加といった異常気象に見られる地球温暖化の顕在化という問題意識を明確にしております。そしてその対策に本腰を入れて取り組む具体策が基本に据えられているように思います。
 また、私が今手に持っているのは「気候変動+2℃」という本ですけれども、これは実は吉川局長が紹介してくださったものであります。私も何度もこれを読み返しました。この中に貫かれている視点というのはポイント・オブ・ノー・リターンという危機感であると考えます。つまり、温暖化が進行していくと、地球の気候システムの巨大な熱的慣性のために、ある時点を超えると、地球の平均気温上昇を定められた目標値以下にしようとしても、それが不可能になってしまう。つまり、歯どめがもうかからなくなってしまう。今、現時点、この時点で地球上のCO2をすべて一挙に、この瞬間に排出量をゼロにしたとしても、気温はしばらくの間、上昇し続ける。それがある一定のところでは歯どめはかかるけれども、一定の限度を超えると、もう歯どめがかからなくなる。それがこういう概念だというふうに理解いたしました。
 このポイント・オブ・ノー・リターンが間近に迫りつつあることに対し、人類、そしてCO2を大量に排出する世界の諸都市が、今本気で取り組まないと、手おくれになるという警鐘を鳴らすこと、これを主テーマとしているのがこの本であると私は感じました。
 今回、全面改定されました環境基本計画も同様の認識、それから危機感に立脚しているということを私は感じましたし、画期的なCO2削減義務制度など、数々の政策や制度、施策に、この基本計画に盛り込まれた中には具体的にあらわれているように思います。
 ただし、どんなに緻密な政策や施策を講じたとしても、その運用と成否を握るのは個々の事業者であり、突き詰めていえば個人であると思います。したがって、何のためのCO2削減対策なのか、何のための緑化対策なのか、だれのための温暖化防止対策なのか。これは事業者も含めて都民に浸透し、あくまでも理解と納得が得られるようにしなければ、推進は難しいかと思います。といいますのは、温暖化対策というのは、これから次世代、また次々世代という幾世代にもわたるであろう取り組みになるからであります。
 そこで、温暖化の危機に対する認識、それを踏まえた東京の長期的な環境政策の方向性を初め、都民の理解と納得を得るためのこの重要性に対する局長の認識について、最初に伺います。

○吉川環境局長 今、橘委員がおっしゃったお話を伺っていて、私、昨年の六月一日に環境局長に就任いたしましたが、環境行政を担当してから思っていることは、三つのキーワードがありまして、一つは、今回のキャップ・アンド・トレードではありませんが、きちっとした実効性のある仕組みが第一で、それからもう一つは、環境の世界でいうと、環境技術というのをどう使うかということなんですが、三つ目に大事なのは、その仕組みと技術に加えて、意識だと思っております。
 それは都民の皆様方が環境問題もしくは地球温暖化問題についてのきちっとした問題認識というんでしょうか、そういった理解を深めていただくことが、多分先生がおっしゃられた都民、事業者の理解と納得をいただいた上での努力という行動につながるのかなというふうに思っております。
 そういう意味では、知事が常々いろんな場で申しておりますが、きょうもたまたまお昼の時間帯に、新宿駅の西口のところで、東京商工会議所との共催で、温暖化対策についての語りかけを知事がされておりました。そういう意味では、きちっとした、環境に対する正しい認識というんでしょうか、それに基づいた、ああいう知事の立場での都民に対する語りかけというんでしょうか、そういうことが、多分先生がおっしゃっていらっしゃる、今回の環境基本計画で三つの事項で認識を整理しましたけれども、それから体系立った施策も今回国に負けないできちっと東京都は施策化したと思っておりますが、そういうことを広く、知事を初め、私もそうかもしれません、それから環境局の一人一人の職員が、熱意を持って、わかりやすい資料で、いとわないで説明をしていくというようなことが重なっていけば、先生がおっしゃっているような意味の環境問題についての理解が深まっていくのかなというふうにちょっと思っております。

○橘委員 今、直接語りかけることの重要性とか、そういったことをお話しなさいましたけれども、実は私、個人的な経験でありますけれども、都政の重要な課題に関するテーマであるとか、それから政策課題に関すること、これは都民の方々に少しでも理解していただければといった思いで、さまざまな機会に対話であるとか、それから懇談会であるとか、説明会であるとか、さまざまな機会がございますけれども、どうしたら理解していただけるか、納得していただけるか、そういった観点で、これまで何度も、ビデオを使ってみたり、それからイラスト入りの資料をつくってみたり、そうして工夫してまいりました。
 ある程度一定の効果はあるんですけれども、結局どういった方法が一番納得してくれるか、すとんと落ちるかというと、生の声が届く範囲で直接語りかけたときに、これがやっぱし一番すとんと落ちるというのが私の経験であります。そして聞いた方、納得した方--大体男性の方は二、三人の方にお話しします。女性の方は五、六人の方にお話しします。そんなのが大体の私の経験則でございまして、これがアナウンス効果なんですね。このアナウンス効果も生の声で伝えますので、これがまたその人に伝わっていく、そういったことがございます。これはあくまでも私の経験則でございます。
 したがって、この地球温暖化対策、CO2排出削減、さまざまな施策、政策が盛り込まれておりますけれども、東京都はこういう都市にしたいんだ、低炭素型都市にしたいんだといった思いを、皆さん方職員を初め--それから仮の名前ですけれども、地球温暖化防止アドバイザーでも結構です。そのアドバイザーというのは、例えば環境行政に長く携わってきた都庁のOBの方のボランティア活動としてもいいかもしれません。いろんな工夫があると思いますけれども、そういった形で生の声で都民の方にお伝えする、説明する。
 その単位というのは町会単位でも結構だと思います。商店街単位でも結構だと思います。産業連合会の一つの単位でも結構だと思います。そういったところに要望があれば、喜んでそこに出かけていって、三十分でも二十分でもいいから説明させていただく、お話をさせていただく。そういう生の声が届く範囲での話をしていくところに、東京都が本当に低炭素型都市にしていきたいんだという情熱というのが感じると思います。その聞いている人はわずかかもしれないけれども、それがアナウンス効果で広がっていくと思います。
 こういったことをどうかと思いますけれども、それに対する正式な答弁でなくても、感想でも結構ですので、局長、お聞かせいただければと思います。

○吉川環境局長 今ご提案というか、OBの活用も含めてというようなお話は、なるほどというか、その辺はすぐ取り入れていきたいと思います。
 生の声のコミュニケーションというのは、先ほども私、申し上げましたが、実は私もあした、ある場所へ行って、そういう七百名ぐらいの場へ行って話しますが、先生おっしゃったように、いろんな書物で説明をしても、それよりも、つたない話かもしれないんですけれども、私のような肩書で直接お話をして、温暖化対策の緊急性というんでしょうか、大切さというんですか、そういうことをきちっと真っ正面からお話しするということが一番効果があるというのは、私もつくづく実感しております。
 もう一点だけ足したいのは、先ほどもいいました、わかりやすい工夫された資料でといったんですが、先生方に、橘先生、環境基本計画を今取り上げていただいていますので、今先生のお手元、赤い本の下にあるのが、正式な環境基本計画なんですね。これはたしか百七十三ページあって、私も正直いって、これは厚過ぎて読むの大変なんですね。
 ところが、これは(資料を示す)先生方に委員会の資料としてきちっとお出ししておりますが、これは私どもの局の職員が一人で本当に心血注いで、忙しい中、私の無理な注文で、三十五ページでつくってくれた資料なんですが、これだけ膨大な環境問題、これを絵解きというんでしょうか、いともわかりやすく図解をした。
 ですから、私はやっぱり先生おっしゃった直接コミュニケーションなんですけれども、そのときに、こういうわかりやすい、理解しやすいツールを武器に使いながら、いとわないでいろんな場へ出ていって、やっぱり環境問題を私どもの職員一人一人が、みんな実践をしていくということで、環境問題というのは解けていくかなというふうに思っております。ぜひとも今後ともご指導いただきたいと思います。

○橘委員 局長の思いは十分理解できました。今、皆様方、政策については、かなりもう知恵を絞られて工夫をされてこられたわけですから、今度これを都民の理解、納得につながる工夫、知恵を絞っていただきたいと思います。
 それでは次に、基本計画の中身について何点か伺います。
 まず一点目は、昨年の第四回定例会の代表質問を初め、我が党が取り上げてきました、地球温暖化対策の視点から見たCO2排出削減だけではなくて、想定される温暖化被害を抑制して、都民の生活を守るための適応策、これも非常に重要であると思います。
 昨年十一月に出されたIPCCの報告書で明確に示されておりますように、仮に温室効果ガスの大気中濃度が安定したとしても、今後の気温上昇は避けられないのが現状であります。したがって、温暖化被害への適応策はこれまた非常に重要になってくるということも明確になってまいりました。
 一昨日、環境省の地球温暖化影響・適応研究委員会から、地球温暖化の日本への影響とその被害を抑える適応策をまとめた報告書が発表されました。この中で、例えば温暖化の進展によって、我が国においても、特にどういう分野に影響を及ぼすかというと、そこに指摘されているのは、豪雨の頻発化によって土砂災害等の被害が増加するということ、それから熱中症、感染症等の増加、それから農作物の品質低下や収穫量の減少、動植物の生態系の変化等に広い影響が出るというふうに指摘されておりました。
 今回改定された環境基本計画の中では、都においても気候変動に伴うリスクを低減するために、いわゆる緩和策とともに、都内で起こり得る直接的なリスクを想定して、適応策を講じることの重要性が指摘されております。その点においては的確に対応しているというふうに私は評価したいと思います。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、温暖化が加速しつつあるといわれ、またその影響が極めて広範囲の分野に及ぶことが明らかになっている今、気候変動の影響を受けやすい沿岸都市である東京が、未来に向けて、都民の生命や財産を守り、日本の中枢機能を維持していくためには、適応策についても、都が率先して取り組んでいく必要があろうかと思います。
 そこで伺いますけれども、有効な適応策を進めていくためには、もとより全庁的な連携が必要でありますけれども、温暖化対策を先頭になって進める環境局として、適応策に関する今後の進め方について、どのように考えているか、見解を伺います。

○長谷川環境政策担当部長 ただいま橘委員からお話がございましたとおり、気候変動に伴うリスクを低減するためには、排出削減などの緩和策と、それから被害への適応策、これが、両者が補完し合うことが必要でございまして、環境基本計画におきましても、東京都においても温暖化への被害の適応策を強化していくということとしたところでございます。
 温暖化被害への適応策につきましては、既に災害対策などとして、東京都において実施されております各局の既存事業とも密接に関連してございますけれども、今後は、温暖化が東京に及ぼす影響を、さまざまな条件も考慮して把握した上で、都として具体的に現在の取り組みで十分であるのか、新たに何が必要なのか、十分に検討いたしまして、その結果を踏まえて対応していく必要があるものと考えます。
 本年十月には、世界の大都市が東京に集いまして、C40気候変動東京会議が開催されます。ここでは、地球温暖化の防止策に加えまして、適応策についても世界の大都市間で初めて重点的に議論するという予定でございます。会議では高い見識を持つ専門家を招きまして、現に直面する危機について共有いたしますとともに、各都市の間で技術や知恵、経験を分かち合う予定でございます。
 こうした会議の成果も踏まえながら、環境局といたしましては、環境に係る専門部署として、知事本局などと連携して全庁の取り組みを進めてまいります。

○橘委員 この緩和策と適応策というのは、両方とも、確かに今答弁にあったように大事な両輪であります。ただし、今まで地球温暖化を考えた場合に、適応策というのは、これに力を入れると、どうしても今までの温暖化対策を進めてきた以上、適応策を途中に導入しますと、今までの温暖化対策がややギブアップしたのかといった見方もなされまして、適応策がちょっと力が入らなかったという面もあるようでございます。
 しかし、都民の暮らしから見てみれば、この適応策をきちっとしておかなければ、将来的な課題だけではなくて、現実に自分たちが被害をこうむったら、これは危険が命にかかわる問題でもございますので、この適応策というのは、そういう面で、今ある現実の目の前に起こり得る災害、それから被害、そういったものに対応するためには非常に大事かと思います。
 そのためには、先ほど申し上げましたように、分野が多岐にわたっておりますので、環境局だけで対応することは、これは困難なわけであります。分散するがゆえに、なかなか焦点が絞れないということもあると思いますし、分野分野ごとに任せなきゃならない、そういうジレンマもあるかと思いますけれども、こういう事態のときには、やはり環境局が旗振り役として、常に旗を振り続けている、そういった姿勢を示すことによって、全庁的な集約、そしてまた対策の進展があろうかと思いますので、その点で旗振り役としての環境局の今後の適応策に対する真剣な取り組み、本腰を入れた取り組みを期待したいと思います。
 もう一点、この内容についてでありますけれども、二点目としてはエコドライブの普及について質問いたします。
 エコドライブは地球環境に優しい運転として、CO2の排出を抑えるとともに、ドライバー自身のお財布にも、いうなればお財布にも優しい経済的な運転方法であります。これによって一割以上の燃費向上の効果があるといわれております。
 今ガソリン価格が高騰して切実な問題となっている時期に、地球環境にもよく、かつ経済的な運転手法であるエコドライブの普及というのは、都民、事業者が、エコドライブの知識を習得し、実践できる環境を整える、これが今大事になってきているかと思います。
 昨年、私は、この委員会でエコドライブの普及に関して、免許取得時、または更新時だけではなくて、ドライバーが実際に車を購入するとき、あるいは買いかえるときに、ディーラーとの接点を持つ、そういった場面で、エコドライブを普及させることも一つのチャンスとしてとらえるべきだという提案をいたしました。その後のディーラーなどとの連携についてどうなっているのか、説明をお願いします。

○井戸自動車公害対策部長 エコドライブにつきましては、あらゆる機会をとらえまして、都民、事業者に対して普及していくことが重要でございます。委員ご指摘のとおり、ディーラーを通じた普及につきましては、車の新規購入ですとか、買いかえ車、買いかえで接する重要なポイントというふうに考えております。
 昨年来、ディーラーで組織いたします自動車販売協会連合会と連携しまして、都内に約五万枚のエコドライブに関するパンフレット等を配布し、備え置きを実施しました。
 今後も、ディーラーなど車に関係します団体等と連携いたしまして、普及に努めるとともに、イベント、講習会など、あわせまして、幅広く機会をとらえて、普及に努めてまいります。

○橘委員 今お話の出ましたエコドライブパンフレットというものでしょうか。こういうものでありますね。これは実は私も局の方からちょうだいしまして、持ち歩いておりました。それで、あるときたまたまですけれども、私の友人で車を買いかえようと思ってディーラーのところへ行きましたら、ああ、同じものを見たよ、もらったよといった話がありまして、ああ、これは定着しつつあるなというふうに感じたんですけれども、そこで出たのは、じゃ、これで自分でやってみたかといったら、いや、見るだけで、やってみてない。それで、ディーラーのところで何か説明あったのかって聞きましたら、いや、これをお持ち帰りくださいという一言だけだったと。
 今、置いていただくだけでも、これは非常に大きな前進だと思いますけれども、これから努力として、これを今度ディーラーのところでこういった効果がありますよ、燃費向上にも役立ちますよといったことを一言添えるような要請も、都の方からしていただくと、これがもっと普及し、実際に使われていくのかなということを感じましたので、要望として申し上げておきます。
 それから、同じく関連ですけれども、ディーラーとの連携は、車の購入予定者、それから買いかえ予定者との関係から重要であります。引き続き連携を継続して取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、エコドライブを浸透させるためには、こういったパンフレット類の普及だけでは、今、私が実例として申し上げましたように、一定の効果はあるけれども、やっぱり不十分な面もあります。都民や事業者はどのようにエコドライブに取り組めば、最も効果的な運転になるかわからないという状況もあると思いますので、エコドライブに関しては、正確な内容、効果に関する知識などが習得できる受け皿、仕組みなどを構築していくことが重要であると思います。
 こうした中で、先週、東京都は、東京都エコドライブインストラクターを育成すると発表いたしました。発表した内容によりますと、東京指定自動車教習所協会並びに省エネルギーセンターと連携して、明日、二十一日でありますけれども、府中運転免許試験場において、エコドライブを教える人材を育成するということでありますが、その目的とか、それから実施内容及び今後の展開について伺います。

○井戸自動車公害対策部長 明日、府中の運転免許試験場で実施を予定しております東京都エコドライブインストラクター講習会がございますけれども、これは都内全域を対象に、エコドライブの進展を図るため、東京都が、東京指定自動車教習所協会並びに省エネルギーセンターと連携いたしまして実施する教習会でございまして、エコドライブの知識、経験並びに教え方の技法などを兼ね備えた人材を育成するために行います。また、普及のためのDVD等も作成いたします。区部、多摩部のすべての教習所を対象に実施してまいります。
 実施内容につきましては、講師でございます省エネルギーセンターの職員が、受講者である教習所の教官に対しまして、エコドライブに関する知識を付与するほか、実際にエコドライブの効果を測定することができる機器を搭載した車に搭乗し、エコドライブの効果を実体験することを予定してございます。さらに、エコドライブを第三者に教える技法についても習得いたします。
 今後、講習会を通じまして、東京都エコドライブインストラクターを育成した後、都内各地の教習所などをエコドライブ普及の拠点、核として、地元区市町村と連携いたしまして、エコドライブ講習会の普及に努めるなど、さらなる普及に努めてまいります。

○橘委員 わかりました。
 もう一点、内容的なものに関して、CO2排出削減に関する質問でございます。
 都内の運輸部門から排出されるCO2、これはウエートが小さいとはいえ、飛行機や船舶からのCO2の排出も少なからずあります。都内の排出量には、都内での運航分のみが計上されておりますけれども、東京から世界へ発着する飛行機、船舶が数多くあることを考えますと、都内での対策にとどまらず、幅広い対策を検討していく必要があろうかと思いますけれども、この点について見解を伺います。

○大野都市地球環境部長 まず最初に、算定のルールについて少しお話をさせていただきますと、京都議定書におきましても、現在国際線の航空、船舶のCO2排出量は対象になっておりません。地方自治体の温室効果ガスの排出量の算定のもとになりますのは、国が地方自治体用に算定したガイドラインでございますが、この中においては、運輸部門につきましては、対象は自動車に限定されておりまして、航空、船舶については、そもそも対象から外しております。こうした事情は日本だけではございませんで、ニューヨーク市と大ロンドン市の計画を見ましても、航空については対象に入っておりません。
 こうした中でございますけれども、東京都は地域内の排出量をより正確に算定するために、自動車と同様に、航空、船舶についても、都内の運航分について算定をしたものでございます。
 こうした状況でございますが、一方、ポスト京都議定書に向けまして、航空機につきましても、さまざまな検討が開始されております。世界的に航空部門のCO2排出量は、今後とも伸びが高いというふうに予想されておりまして、既にカーボンオフセットなどを利用しまして、例えば社員の方が海外出張するときには、カーボンオフセットをするとか、そうした取り組みも開始されております。
 今後、都におきましても、こうした手法も含めまして、航空、船舶のCO2削減策についても検討を行ってまいりたいと思っております。

○橘委員 次に、環境確保条例の改正案に関連しまして、何点かお聞きします。
 まず一点目でありますけれども、削減義務制度については、我が党の代表質問で、削減義務率の設定方法などについて質問いたしました。
 削減義務率については、もう一点、これまで余り議論がなされてこなかったと思われますけれども、一つの論点があると思います。それは、トップランナー事業所に対する配慮であります。条例改正案では、優良特定地球温暖化対策事業所、いわゆるトップランナーと認められた事業所に対しては、削減義務率を軽減するとしております。
 これは事業所の削減意欲を促進させる仕組みだと思いますけれども、性悪説に立ってみれば、性能の悪い劣るものを最初から建てて、その後に削減すれば、大幅に削減したように見える、そういった動きをするということもなきにしもあらずとの可能性もあるわけです。したがって、改めて今の制度の趣旨、その認定基準、そういったことも想定しまして、どのように設定していくのか、これについて伺います。

○大野都市地球環境部長 いわゆるトップランナー事業所に対しまして、削減義務率を軽減する趣旨でございますが、二点ございます。
 第一は、建物や設備の省エネ性能や運用面の取り組みが特にすぐれた事業所に対しましては、既につくる段階で相当の努力がされておりますので、それに対する公平性、公正性の配慮ということが必要と考えております。
 第二は、新しく建設される事業所の省エネ性能の向上を促すということでございます。
 この仕組みがあることによりまして、建築物を新しく建設しようとする事業者は、省エネ性能のより高い設備を導入するなど、建物自身の性能を向上させる意欲が働く効果があると考えております。逆に、この仕組みがございませんと、性能の余りよくない建築物を建てまして、その後削減を図るというふうな動きを誘うおそれもあるということも考えております。
 次に、認定基準の設定方法でございますけれども、これは今後、建物、設備やエネルギー管理に関する専門的知見を有する方々の意見を聞きまして、認定のガイドラインを作成してまいります。

○橘委員 削減義務とともに導入される排出量取引について、一点質問します。
 これも我が党の本会議代表質問で出した内容でありますけれども、排出量取引については、これが自主的なCO2の削減につながらず、投機の手段になるのではないかという懸念を指摘する意見も依然としてございます。本会議では、環境局長から、EUの制度と異なって、削減が確認された量のみを義務履行の手段とするため、投機対象とはなりにくい設計になっているといった趣旨の答弁がございました。
 しかし、この点以外にも、投機を防止する配慮、幾重にもやっていく必要があるんじゃないかと私は思いますけれども、どういう配慮がなされているのか、この点について伺います。

○大野都市地球環境部長 本会議でお答えした点に加えまして、二点で投機対象になりづらい制度になっていると考えております。
 第一に、EUの制度は、義務の履行期限が一年ごとでございます。これに対しまして、都の制度は、五年間程度という比較的長い期間を想定しておりますので、このため、削減義務の対象となる事業所は、一定の期間をかけまして、みずから省エネ投資を行うなど、自分の事業所で実際に削減を行うという選択をとりやすいものと考えております。
 この結果、短期間の義務履行期限に対応するために頻繁に取引に依存するということにならず、それだけ投機には利用されづらい構造になっているのではないかと考えております。
 第二に、取引の参加者でございますけれども、先ほどのご答弁と少しかぶりますが、今回の条例案では、取引に用いられます削減量口座簿は、申請に基づき知事が開設するということになっておりまして、削減義務対象者以外が開設いたします一般管理口座は、規則で定める者に限り開設を受けることができるとしておりまして、規則の制定に当たって、開設できる対象の範囲を、投機防止の観点も含めて検討してまいります。

○橘委員 次に、排出量取引、これを拡大するという観点からの質問になりますけれども、先ほど埼玉県との連携については、吉田委員からも質問がございましたので、これは重複を避けます。
 ただ、排出量取引は、例えば首都圏域など、なるべく広域で行うことが望ましいと私は考えます。これは単独でやるとやはり限定的な取引になってしまいますし、それもそれで最初の段階ではいいかと思いますけれども、これが地域が広範に広がっていきますと、可能性というのは随分大きくなっていきますし、それだけ効果も期待できるかと思います。
 そこで、なるべく広域で行うという観点から、排出量取引の広域連携の意義について、それからもう一点、条例改正案では、制度設計として、広域連携に対応できるような仕組みとなっているのか。例えば、今現在は埼玉県では可能性があるという先ほど答弁がございましたけれども、これが首都圏であるとか、また関東全域であるとか、そういったところに拡大していっても、制度設計上は、これは対応できる、そういった設計になっているのかどうか、この点について伺います。

○大野都市地球環境部長 まず、広域的な連携の意義でございますけれども、埼玉県を初めとしまして、首都圏は、ご存じのように一体的な経済圏を構成しております。このため、本社は東京にあるけれども、支社や事業所は近接する埼玉、神奈川、千葉にある、でありますとか、あるいはその反対のケースもございます。
 東京都の企業だけに削減義務がございまして、都内の企業は、他県の企業が省エネした部分を一方的に買ってくるというだけでありますと、都内企業に余りメリットがございませんで、かつ、ほかの県で、全体的にCO2削減に貢献できるかどうかも不明でございます。
 しかしながら、東京都と同様な削減義務制度がかかった自治体でありますれば、お互いに対等の立場で排出量取引を行うことが可能になりまして、特に相互の自治体にまたがって事業所のある企業にとっては、一層柔軟な対応が可能になるというメリットがございます。
 冒頭、米国において、州レベルで広がっているお話をさせていただきましたが、アメリカにおきましても、例えば西部では、カリフォルニア州を中心として、西部の諸州で広域的な排出量取引の導入を進めている、あるいは北東部でございますれば、ニューヨーク州を中心として進めているというふうな状況もございます。
 本来、国が取り組むべき課題でございますけれども、我が国におきましても、国における制度の導入がおくれる場合には、首都圏を対象とした総量削減義務等、排出量取引制度の構築を進めることも大きな意義があると思っています。
 ちなみに、一都三県を合計しますと、その排出量が二億五千万トンということでございまして、全国の二〇%を占めるということでございます。
 次に、東京都の条例案の規定でございますけれども、都の条例案では、都外での削減量につきましても、一定の量的な制限はつけるものの、削減義務の履行に当たりまして、利用可能としておりますので、この規定によりまして、ほかの自治体で排出量取引が導入された場合には連携をすることが可能でございます。

○橘委員 今の答弁で、柔軟な対応ができるような制度設計がされているという、その配慮というのは大変重要なことであるかと思います。
 もう一点申し上げておきたいのですが、温暖化防止のためには、経済活動や大規模な都市開発を規制してでも、排出量を抑えるべきという、そういった極端な議論も一部にはございます。けれども、私は都市の活力を維持しながら、なおかつ温暖化防止に取り組んでいく、低炭素型都市にしていくということが大事だと思います。
 なぜならば、都市というのは、そこに暮らす住民がいるわけでして、その住民の生活の向上、暮らしやすい環境、そういったものを維持しつつ、さらに都市の発展に伴って享受する住民の福祉というもの、これも非常に私は大事であろうと思います。
 極端な経済活動とか大規模開発の規制というのは、これによって、確かにある一面ではCO2削減に役立つかもしれない。けれども、これはかえって住民にとってはどうかなという点もあるかと思います。したがって、これは両面があると思いますけれども、都市の活力をあくまでも維持しながら、環境との両立を図っていく、こういう視点が、東京にとっては極めて重要であると私は考えております。この姿勢を東京都は貫いていただきたいと思います。
 今回の条例改正案では、都市づくりに関連する二つの制度強化が提案されておりますけれども、都市機能の更新とバランスを図りながら、どう対策を講じていくのか、最後にこの見解を伺って、質問を終わります。

○大野都市地球環境部長 都内におきましては、都心部を中心として、活発な都市開発が行われております。これらは市街地環境の改善に寄与し得るものでございますが、一方で、特に大規模開発の場合には、大量かつ高密度なエネルギー需要が生じますために、開発の機をとらえまして、エネルギーの有効利用を進めて、低エネルギー化を図ることが非常に重要でございます。
 今回の条例改正で創設いたしますエネルギー有効利用計画制度では、大規模開発の計画策定の早い段階から、未利用エネルギーの導入検討を義務づけまして、あわせて清掃工場などの未利用エネルギーを提供できる可能性のある事業者にも協力を義務づけるものでございます。
 さらに、こうした大規模開発で建設する建築物には、早期の計画段階で、省エネ性能の目標値の設定を義務づけまして、建築確認の段階におきましては、今度は建築物環境計画書制度において設定された目標値に基づく指導を行うという複合的な制度を構築いたします。
 こうした環境確保条例の制度に加えまして、都市整備局の所管いたします特定街区などの都市開発諸制度の活用におきましても、一定の省エネ性能を確保することを、制度利用の条件とするという新しい制度の試行がスタートしております。今年度からは、これらの案件につきましても、環境局が直接事業者を省エネ施策について指導するとなっております。
 これらの手段を駆使することによりまして、都市開発における地球温暖化対策を都市の活力の活性化と両立させまして、強力に推進していくことが可能になるものと考えております。

○村松委員 IPCC、気候変動に関する政府間パネル第四次評価報告書は、これからの十年間は、今を生きる我々の世代が、この地球の環境を次の世代に残せるかどうかの分岐点であり、直ちに温室効果ガス排出総量の大幅な削減に向けた行動を開始しなければならないことを改めて強調しております。
 低炭素社会、低炭素都市を目指すという場合に、どんな社会、都市を目指すのか、京都議定書の議長国、日本の首都として、東京はどんな役割を世界の中で果たすのかが今こそ問われています。
 気候変動に関する国際連合枠組条約、京都議定書では、過去及び現在における世界全体の温室効果ガスの排出量の最大の部分を占めるのは先進国において排出されたものであること、開発途上国における一人当たりの排出量は依然として比較的少ないこと、並びに、世界全体の排出量において、開発途上国における排出量が占める割合は、これらの国の社会的な及び開発のためのニーズに応じて増加していくことに留意し、現在及び将来の世代のために気候系を保護することを決意して、次のとおり協定したとしております。
 私たちに課せられた課題は、やれることをやればよいというのではなく、近い将来に人間の活動が生み出す二酸化炭素の量を、自然界が吸収できる量まで削減するということです。この視点から見れば、いつまでに、どれだけ削減するのかという目標を設定し、そのために必要なことは先送りせずに行う、このことが大前提だと思いますが、お答えください。

○大野都市地球環境部長 危険な気候変動の危機から地球を守るために、二十一世紀の半ばまでに、世界全体でCO2を半減していかなければならない。そのために、共通だが差異のある責任という原則に基づいて先進国が大きな役割を果たす。これは気候変動対策にかかわるすべてのものが認識をしている当然の前提でありまして、当然東京都もそういう認識に立って施策を進めております。

○村松委員 当面の目標である二〇五〇年までの世界の排出量半減のためには、日本やアメリカ、EUなどの先進国が率先して、排出削減の大きな責任を果たしてこそ可能です。だからこそ、EU諸国やヨーロッパの大都市は、二〇五〇年までに六〇%から八〇%削減する長期目標を掲げているのです。
 日本は京都議定書の議長国であり、洞爺湖サミットを主催する国であるにもかかわらず、先行して削減してきたから、これ以上の削減は困難だなどという姿勢をとっています。そのため日本は、世界に約束した一九九〇年比六%削減という目標に近づくどころか、逆に六・四%以上も温室効果ガスを、ガス排出量をふやしています。省エネルギー化が進んでいるとして日本経団連の自主行動計画に任せてきた政治の責任が問われています。
 東京は、一九九〇年比で一四%以上の二酸化炭素の排出をふやし、日本における温室効果ガス排出量増加の一因となっているんです。
 そこで伺います。
 世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するというのなら、先進国日本の経済の中心都市として、温室効果ガスを大量に排出する開発の利益を享受してきた東京こそ、先進諸国の各都市をリードする取り組みと、二〇五〇年までの長期目標の設定が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 ロンドンやニューヨークなどの世界の主要な大都市と東京都は、ともに世界気候変動対策先導グループ、いわゆるC40に参加しておりまして、地球温暖化対策を大都市から牽引するために、ともに連携して取り組みを進めております。
 それぞれの都市の置かれる状況等が違いますので、抱える目標の大きさでございますとか、重点的に進める施策の内容については、違いがあるのは当然でございます。
 ロンドンに関していえば、二〇二五年までに、一九九〇年比で六〇%削減という非常に意欲的な目標を掲げております。これはロンドンの一つの見識であるというふうに考えております。ただし、実際の排出量の動向を見ますと、二〇〇〇年以降は数%増加傾向にあるということでございまして、大ロンドン市としても、特に増加の大きい業務部門対策については、なかなか苦慮をしているという状況かと考えております。
 ロンドンの地球温暖化対策の中身は、本年二月に策定されましたロンドン気候変動アクションプランという中に示されておりますけれども、その内容を見ますと、建物のオーナーとテナントの協力の奨励による削減の促進でありますとか、比較的緩やかな取り組みとなっております。
 東京都が現在実施をしているようなオフィス部門を含む、業務部門を含む削減計画の策定、あるいは今回の条例で提案させていただいていますような削減率の義務などは入っておりません。これはニューヨークも全く同様でございます。
 今回オフィスなどの業務部門に対しまして、削減対策としては、東京都が今回提案をしている施策が、世界の大都市の中でも最も積極的で建設的なものであると考えております。また、二十一世紀半ばまでの目標については、その基本的な考え方を東京都の基本計画の中にも掲げております。

○村松委員 イギリスやロンドンが今苦労しているというような話ありましたが、既にイギリスもロンドンも、九〇年比ではマイナス八%の削減目標に対して、一四・八%減らしているんですね、イギリスでは。ドイツは八%の目標に対して、一八・四%減らしているんです。
 確かにいろんなところで、そんなにすいすいいかないということはあるんですが、現実問題として、しっかり減らす方向で取り組んでいるし、政府が、それから各自治体が、もうその気になって取り組んでいる、この現実を私は見る必要があると思うんです。
 九〇年から東京の場合は、先ほど私、紹介いたしましたけれども、一四・三%以上ふやしているという現実をしっかり見ながら、次の議題に移っていきたいと思っているんですが、知事は先日の一般質問の中で、東京のCO2は、九〇年と比べると一四・三%もふえている、このことについての認識を日本共産党が求めたら、その質問に対して、CO2の排出量が増加していることに対して正面からまともに答えようとしていないんですね。
 改めて伺いますが、東京では、石原都政の都市再生による大規模開発が優先され、二酸化炭素がふえ続けて、九〇年比で一四%もふえている。この現状をどのように認識されるでしょうか。

○大野都市地球環境部長 一四・七%ですか、とおっしゃるのは、これはCO2を計算する場合に大宗を占める電気の使用量があるわけでございますが、電気につきましては、電気を発生するときに、一キロワットアワーつくるときに、どれぐらいCO2が出るかという排出係数を掛けて行うということになっています。
 電気をつくるときには、火力発電、水力発電、原子力といろいろございまして、これがどの程度の割合で使えるかによって排出係数が変わってございます。それで、東京の場合も、東京電力が電力をほとんど供給しているわけでございますが、二〇〇一年にデータ管理の問題がございまして、これはご記憶だと思いますが、原子力発電所の利用が停止をしたということがございます。このために、二〇〇二年度以降ですか、排出係数が非常に上がってしまったという状況がございます。
 この排出係数の上昇分をカウントすると、実に一九九〇年比で二〇%も上がっているということでございます。これは、東京都内で活動する、生活する、都民とか事業者の努力と全くかかわりない、この同じ期間に、エネルギーの使用は一四%でございますが、排出係数だけで二〇%も上がってしまった。
 したがいまして、この排出係数の変化をそのまま使ってしまいますと、東京の事業者というものがいかに頑張っても、その努力が反映されないということでございます。逆にいえば、事業者などの努力がなくても、排出係数が東電側の事情で改善されてしまいますと、それでよくなったように見えてしまう。
 こういうふうな方法をとりますと、一体何が大事で、何が大事でないか、全くわかりません。したがいまして、東京都では排出係数の固定ということで、東京の努力がわかるように、東京の事業者、都民の努力がわかるようにしているということでございます。その数字を使いますと、六%の増加と七%の増加というふうになります。
 ですから、そういう意味で使っているわけでございまして、ということをご理解願いたいというふうに思います。

○長谷川環境政策担当部長 ただいまのご説明に加えまして、東京都は平成十二年、二〇〇〇年に環境確保条例を制定いたしまして、全国に先駆けて地球温暖化対策計画書制度、現行の制度でございます、あるいは建築物環境計画書制度を導入いたしました。
 さらに十七年度に、これらの計画書制度を充実強化するとともに、家電の省エネラベルやマンションの環境性能表示などを、国や他の自治体に先駆けて導入してまいりました。
 こうした取り組みと相まって、設備機器等の省エネが進んだ結果、東京は既に先進国の大都市の中ではエネルギー効率の高い都市になっております。
 東京都はCO2削減をさらに大幅に削減するために、国に先駆けて掲げました、二〇二〇年までに二五%削減の具体的な中期目標の達成に向けて、今回条例を改正するなどの実効性ある施策を着実に推進するということにしております。

○村松委員 いろいろいろいろいいわけめいたお話がありましたが、現実問題として実績を示したこの資料は環境審議会にきちっと出しているんですよね。九〇年比ではふえているという状況なんですよね。
 だから、さっきの質問なんですけれども、それこそ現実問題としてきちっとふえていることを認めた上で、それから話を進めていかなければいけないんじゃないか。いいわけよりも、まず、そこのところ辺の今の実態が、東京はふえ続けているんだ、そのことをぜひ認めていただきたいなというふうに思います。
 その中で具体的に伺いますけれども、東京におけるCO2排出量の構成比、部門別にお示しください。また、業務部門での二酸化炭素排出量は、九〇年と二〇〇五年を比べた場合、伸び率はどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 数字のご答弁を申し上げる前に、一言申し上げますけれども、いいわけをしているわけではございませんで、これは状況についてしっかりと説明をしているということでございます。
 なぜこういう説明をしているかと申し上げますと、なぜふえているかということについて、科学的な分析をしなければ的確な対策が出てこないということでやっているわけでございまして、いいわけというようないい方は非常に適切ではないと考えております。
 それから、業務部門の東京の構成比でございますが、これも先ほど申し上げましたように、電力の排出係数を固定した場合と固定しなかった場合というふうに二つございますが、固定した場合で申し上げますと、これは二〇〇五年度の数字でございますが、産業部門が一〇%、業務部門が三六%、家庭部門が二六%、運輸部門が二六%という数字になっております。
 それから、業務部門の伸びでございますけれども、一九九〇年と二〇〇五年を比較いたしますと、業務部門の伸び率は、固定をした場合が三三%、固定をしなかった場合は四九%という伸びになっております。

○村松委員 東京の中で二酸化炭素を一番排出しているのは業務部門である、このことが今答弁されました。九〇年から二〇〇五年までの東京の中では、都市再生の中で事務所、店舗などの床面積が四千八百十四ヘクタール、一・六倍もふえているんですね。最も排出量の多い業務部門の削減が決め手になるというふうに私は思うんです。
 業務部門の二酸化炭素排出量の削減目標は、環境基本計画の中では、二〇〇〇年比で七%しか削減しないことになっているんですが、二〇〇七年比で七%削減というのは、九〇年比に置きかえたら、削減されることになるんでしょうか。マイナス何%になるんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 二〇二〇年程度を目標としました削減の部門別の計画をつくる場合には、現状の各部門の活動、産業部門の活動、業務部門の活動、家庭、交通の活動がどのように変化をして、二〇二〇年、どうなっていくんだろうということを、そういう経済社会のトレンドを踏まえまして、それを踏まえて削減目標を立てる必要がございます。我々が環境基本計画の中で設定しました目標は、そういう考え方で設定したものでございます。
 二〇二〇年度の削減目標は、二〇〇〇年比七%減程度でございますが、既に二〇〇五年までに、一九九〇年から大幅に業務部門が増加をしておりますために、一九九〇年と比べると、プラス一二%になっております。
 ただ、これは先ほど申し上げましたように、そもそも実際の排出量を見ますと、このままいきますと、二〇二〇年度に業務部門が二千三百万トンまで増加するということがございますので、これを千八百万トン程度に削減するという目標で、こうした目標を設定しているということでございます。

○村松委員 業務部門は削減されるどころか、九〇年比で一二%プラスになる、そういうことが答弁されました。どうして二酸化炭素を一番排出している業務部門を聖域扱いにするんでしょうか。都市再生で超高層ビルの建設を野放しで進めていることを前提にしているのでは、CO2排出量を削減することは困難じゃないんでしょうか。ここにメスを入れることが、今一番求められていると思うんです。
 ちなみに、業務系はマイナス七%の目標ですけれども、家庭部門は二〇%の削減、それから運輸部門が四〇%の削減なんですね。この家庭部門と運輸部門は、ふえているのは一五%ぐらいのふえではないかと思うんですが、その中で業務部門が一番ふえているのに、七%マイナスというのは、私は納得できないなと思います。
 そこで、今こそ都市の成長を管理し、CO2排出総量規制の削減目標を、九〇年比で中期、長期目標を持つ必要があると思うんですが、その辺の見解をお示しください。

○大野都市地球環境部長 先ほども申し上げましたけれども、本当に効果的な実効性のある対策を構築するためには、排出量がどのようにふえていて、そのために、どういう分野で、どういう対策をするかということを検討した上で立てる必要があると考えております。
 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、二〇二〇年には業務部門の排出量が九〇年比で約五〇%ふえて、二千三百トンになるという推計がございますので、これを千八百万トンにするということでございます。
 二〇〇五年は既に変動で排出係数を使いますと、二千三百万トンになっておりますし、固定で見ても二千百万トンでございますから、これと比べましても、いかに大きな目標であるかということがおわかりいただけるかと思います。
 我々としては、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、都市の開発関係に関しましても、環境確保条例の中でもさまざまな新しい制度を設けておりますし、それから都市整備局とも連携をいたしまして、都市開発諸制度の活用についても新しい試みをしております。
 これはまさしく都市の活力を維持しながら、都市開発の環境への影響を緩和するための方策でございまして、村松委員がおっしゃったような成長の管理というのは、成長の一面的な規制と全く違うものでございまして、その点、よくご認識をいただきたいと思います。

○村松委員 東京の現実を全く無視しているのかなって思うんですね。だれが考えたって、一番CO2、二酸化炭素を排出しているのが業務部門ですから。業務部門のふえているのが、都市再生で超高層ビルがどんどんできる。床面積をさっき私、紹介しましたけれども、四千ヘクタールを超える、四千八百十四ヘクタールもふやしているんですね。だから、こういうところをやっぱり方向転換しなければ、二酸化炭素排出削減というのは難しいのではないかというふうに思います。
 CO2排出量は増加をたどっているのが現実だ。ロンドンでは超高層ビルの建設は限られた地域に限定されている。ニューヨークでも新規建設を抑制し、大規模改修による長寿命化など、修復型に切りかえております。東京の姿勢は、全体を減らす方向がないから、このように思うのですね。都市再生の方針を見直して、都市の成長を管理する方向に転換することを強く求めます。

○大野都市地球環境部長 先ほど業務部門に対して非常に甘いというようなお話がございましたけれども、申し上げましたように、二〇二〇年の削減目標の設定の仕方は、このままほっておけば、各部門がどの程度伸びていくかという推計をいたしまして、そこから各部門に同じような努力を求めるということでございます。
 その結果、実際に二〇二〇年の段階で、このままいってしまったら、こうなってしまうという推計からの削減量の目標は、全体が四百三十万トンでございますが、業務部門が百七十万トン、百七十六万トンと一番大きいとなっております。
 これに続きまして、家庭部門が百十五万トン、運輸部門が百万トンでございまして、お話のような、業務部門を甘くしているということは全くございません。

○長谷川環境政策担当部長 それともう一点、業務にメスを入れてないというようなご発言がございましたけれども、先ほど都市地球環境部長がご答弁申し上げましたとおり、ロンドンで困っている業務に関するもの、これについて、東京都は、オフィスビルなども含めた世界初めての制度を入れるというふうに提案申し上げているわけでございまして、実態に即した適切な施策を提言しているということでございます。

○村松委員 その辺は見解の相違といえば相違なんですが、現実の問題として、都市再生を進めて、超高層ビルをどんどん建てれば、床面積がふえる。確かに幾らか機器がよくなっているというところでは、今までよりは率は減るかもしれない。でも、全体としてはふえていくというのがやっぱり現実であって、これは想定している数でも、二〇二〇年にふえていく、そういう想定ですよね、二〇二〇年まで。
 その辺は、やっぱり私は都市再生の今のやり方を見直して、都市の成長を管理する、そういう方向に転換するべきだと、改めて強く主張しておきます。
 次に、条例について幾つか伺います。
 まず、大規模事業所の排出量義務化について伺います。
 今回、大規模事業所に排出量義務化をされたことは、これまで委員会や代表質問でも取り上げてきましたので、歓迎します。同時に、排出総量で確実に削減するにはふさわしい取り組みにいかにするかという立場で、具体化することが重要だと思います。
 条例では、義務率や義務量について、専門家の意見を聴取して、定めて、規則にゆだねるとしておりますが、具体的にはどのような方々に、どのような手順で決めていくと考えているのか、お示しください。

○大野都市地球環境部長 この点につきましては、本会議でご答弁申し上げましたけれども、削減義務率につきましては、CO2削減対策に専門的な知見を持つ方々にもお集まりいただきまして、この秋に検討会を設置いたしまして、今年度末を目途に決定するということでございます。

○村松委員 検討会というのは、第三者機関という形で設置されるんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 第三者機関というのは、どういう意味で委員が使っているかわかりませんけれども、東京都の職員ではない人間が参加するという意味では、第三者の参加した検討会がつくられるということでございます。

○村松委員 私たちは、検討会の中にも、それから第三者機関をきちっと設置して進めていただきたいというふうに思うんですが、例えば答申では、事業者や都民に加えて、環境NGOやNPOの方々との連携がうたわれているんですが、こういう人たちもその検討会、専門家の会議の中に入るんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 これは、申し上げておりますように、省エネなどに関します専門的な知見を有している方の参加を考えておりますので、その切り口といたしましては、その方が学識経験者であるとかないとか、そういう切り口ではございませんで、専門的な知見を有する方にご参加をいただくということでございます。

○村松委員 実行の先頭に立ってもらう、そういう程度ではなくて、世界的な会議でも環境NGOやNPOが大きな役割を果たしている状況、それから事業者などとの利害関係のない、こうした団体を入れた第三者機関を設けることで、より客観性を持たせることを提案するものです。そもそも都庁内の担当者だけで決める性質のものではないと私は考えております。
 次に、優良特定地球温暖化対策事業所にかかわる削減義務率についてですが、排出量の多い状況を改善した場合と、新規に建てかえて、都市再生特別地区のように、超高層で最新の省エネ機械を導入した場合とありますが、環境審議会答申の中でイメージが出ておりますけれども、市場で販売されているもののうち、エネルギー効率がトップレベルにある設備を導入しているなど設備面だけでなく、運用面も含めてすぐれた対策を実施している事業所といっておりますが、都市再生特別地区のように、超高層で最新のビルは、これに当たって、新たな削減義務量はほとんどなくなるのではないでしょうか。

○大野都市地球環境部長 どのような事業所がトップランナー事業所に該当するかにつきましては、条例を制定していただけますれば、その後に専門的な検討会を設けまして、検討してまいります。

○村松委員 答弁のとおりで、確かにまだ知事が別に定める基準、そういうのは決まっておりませんから、どうするのかということは、条例文だけではわかりません。トップランナーですから、新たな削減は配慮されるというふうなこともいわれておりますが、しかし、最新の超高層ビルといっても、建てかえでいえば、もともとの建物よりも、一部を除いて大半が、建てかえ前の建物に比べて二酸化炭素排出量は確実にふえるのではないでしょうか。
 また、都市計画審議会で、都市再生特別区として、清水建設の建設計画が決定されました。この建物は、環境の最新技術を使って、ビルのガラス部分を全部太陽光パネルで覆うなど、最新の技術を生かした環境先進ビルと宣伝されております。
 ところが、このビルは建設されてからわずか十四年しかたっていないビルなんです。解体でも千四百トン、建設で五万三千トンCO2の排出をします。本当にもったいないと思うんですね。もう古くなって使えないからというならわかるんですけれども、とんでもないことだと思うんですね。この清水建設のように、どんどん建てかえて、優良特定地球温暖化対策事業所ということでいいんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 先ほどご答弁申し上げましたけれども、トップランナー事業所に対する削減義務率の軽減につきましては、一つは、既につくる段階におきまして、最新の省エネ性能の機器、装備を入れた事業所に対する公平性の確保ということがございますし、もう一つは、こうした制度を設けませんと、新しく建設するビルの省エネ性能の向上を促すことができないということによるものでございます。
 したがいまして、その基準については今後検討してまいりますけれども、あくまでも新たに建設される事業所の省エネ性能でございますとか、それから、そのビルにおいて、その省エネ性能が生かせるように、しっかりとした運営がされてるかどうかという点に着目するものでございまして、たまたまその場所に古いビルがありまして、それとの比較でどうこうとか、そういう観点から設定するものではございません。

○村松委員 これだけ二酸化炭素の排出を削減しようというふうにいっているのに、片方でまだ十四年しかたっていないのに、壊して新しく建てる。こういうことを進めていって本当にいいんだろうか。
 これは私だけがいっているんじゃなくて、環境審議会の中でも、委員の方、いっていますよね。この方、何といっているかといいますと、どんどんよくなっていると思っていると、実は排出量がふえたことにならないようにする必要があるといっているんです。
 新築が多いということは、壊しているものも多いと思うんですが、そういうところが、この中にどう反映しているのかわからないので、そういうものにも配慮する、建物が壊されたものは、排出としては、どこが例えば解体事業者の排出になるのか、捨てることによって出てくる、燃やすとしたら、そこでCO2が出るんでしょうけれども、その辺のことが見えないので、どんどん新しく建てましょうということだけでは見落とされてしまって、よくなっているはずが実はふえているというようなことにならないよう、配慮を基本的考え方の中に入れていただきたい、こういうこともいわれているんですね。
 私もこの間、この問題については、この委員会の中でも紹介してきたんですけれども、清水建設のビルの建設にかかわる二酸化炭素排出量では、解体で千四百トン、建設資材に五万三千トン、工事では五千トン、合計約六万トンになるんですね。こういうスクラップ・アンド・ビルド、こういうのでいいんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 建築物の建設の段階、あるいはその廃棄の段階においても、当然その環境配慮が必要であるということは当たり前でございまして、これはこれで推進する必要がございます。
 ただし、その建築物の建設から使用、解体の段階を通しまして、そのほとんどの部分を占めるのは運用段階でございますので、これに着目した制度を我々は構築しているということでございます。

○村松委員 私は現実の問題として、やっぱり一度うんと大きなものを建てたら、超高層ビルを建てたら、今建っているのもそうなんですけれども、もう最低限、六十年とか七十年とか、きちっと決めなければ、次から次に建てかえるようだったら、本当に今これだけみんなが環境問題を考えているときに、締めるところがなくなっちゃうんじゃないか、こういうふうに思うんです。だから、そういう意味で、きちっとそこの中に、建築年数がこういう短いものは許すべきではないと、そういう思いでおります。
 次に、排出量取引の問題ですが、二つの問題があります。
 一つは、審議会答申で示されているように、あくまでも削減義務ができない場合の補完的な役割であるということを明確にしなければなりません。ところが、条例では、削減は努力義務になっているのはおかしいのではないでしょうか。なぜ義務規定でないんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 削減は努力義務ではございませんで、強制的な義務でございます。

○村松委員 補完的な役割という排出量取引の問題なんですね。排出量取引の問題で、審議会の中に、きちっと審議会の中でも答申が出ているのが、排出量取引は補完的な役割だということを、条例に私、明記すべきだ、こういうふうに思うんですが、いかがでしょう。

○大野都市地球環境部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、排出量取引を使う場合、いろんな場合が想定されると思うんですけれども、一つのケースといたしましては、そのビルにおいて、対象事業所におきまして、削減計画が、省エネの改善計画があるんだけれども、例えば資金調達の問題その他によりまして、当面は削減量を調達して、少したってから、自分のところで回収するという場合も当然あろうかと思います。
 これは、ステークホルダーミーティングなどの中でも、東京において本当に実効性のある削減義務、排出量取引制度を導入する場合、長期のスパンでの対策が可能な制度にしてほしいという意見が非常に強うございました。
 そういう観点から考えますと、五年間程度を想定している削減計画期間の中に、ここまでは自分の量で減らしなさい、排出量取引については、これだけしか使ってはいけませんというふうな規定を置くことは、全体の柔軟性を損ないますし、全体としての東京のCO2削減に反するものであるというふうに考えております。

○村松委員 私は、排出量取引の場合は、やっぱり基本はみずからの事業所がしっかりとCO2削減義務を果たして、どうしても困難があって取引をしなければならない、そういうとき、だから補完だというふうに思うんですね。そのことをいっているんです。これもやっぱり私は条例で明記すべきだというふうにいっているわけです。
 それから、都外取引についてなんですが、まだ国内で取引制度がない中で、他県の排出量はどうやって検出するのか。そういう問題が明らかにされてない中で、都内の削減に貢献する保証はあるんだろうかというふうに思うんですが、この辺についてのご見解はいかがでしょう。

○大野都市地球環境部長 これは先ほどもご答弁申し上げましたけれども、現実に埼玉県の方で、排出量取引制度を導入するという動きが広がっております。したがいまして、広域的な、あるいは他県との連携ということを考えますと、都外からの削減量を、一定の制限は設けますけれども、必要なものとして規定する必要があると考えております。

○村松委員 都内の削減に貢献する、そういう保証は、やっぱり私は大前提だというふうに思います。国の方が、まだ今その辺を進めてない、明らかにされてない、そういう中で、この問題は、都外での取引条項は、私は削除することを提案します。
 いずれにしても、よりよい地球温暖化対策のために、環境確保条例について修正案を提案いたします。今後もよりよい対策の実現に向けて提案していきたいと思います。
 次に、自動車からのCO2排出削減について伺います。
 東京都の交通政策を、これまでの自動車依存から脱却し、公共交通をもっと充実させ、特にバスレーンの拡充やLRT導入に力を入れるべきです。
 ところが、東京都は、三環状道路建設ばかり進めてきました。専用道、高速道をつくれば、自動車走行総量がCO2を排出することは目に見えております。
 フランスでは、新たな道路建設や空港の建設を凍結する方向を打ち出しました。超高速鉄道を新しく二千キロ建設し、不要となる旅客船を貨物船として利用して、二〇二〇年までに国内のトラック交通量を二百万台減らし、河川交通網の整備に投資し、二〇二〇年までにトラック交通量を百万台減らすとしています。
 こうした取り組みから学んで、三環状道路建設を見直す必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○井戸自動車公害対策部長 何点かのご質問にお答えいたします。
 まず、バスレーンでございますけれども、バスレーンの延長は、東京とロンドンとかパリと比較しますと、東京の方が長いというふうな実績が出てございます。
 また、パリでございますけれども、いわゆるパリとかロンドンにつきましては、環状道路が整備されておりまして、ロンドンが一〇〇%、パリが八四%、しかし東京は四〇%でございます。これが基本的に交通ですとか、あるいは都市の構造を考える上での一番大きなものになっているというふうに考えてございます。
 前々から申し上げさせていただいていますけれども、東京におきましては、放射方向に比べて環状方向の道路整備が途上であるため、例えば首都高速道路では、都心に目的のない通過交通でも、そのほとんどが都心環状線を経由することになりまして、都心部に交通が集中して渋滞を引き起こすとともに、並行している一般道路への影響も与えてございます。
 そのため、三環状道路など道路ネットワークを完成させ、道路交通の分散を図ることが重要であり、それが渋滞緩和、それからCO2削減につながるというふうに思っております。

○村松委員 渋滞の緩和とか、あるいはCO2の削減というふうなお話がありましたけれども、三環状道路の建設では、CO2の削減というのは期待できないんじゃないんですかね。これは国土交通省の資料でもはっきりしているんですね。十キロ台の渋滞、そのときのCO2排出と、それから高速道路、これの百キロ以上のところと、ほぼ同じなんですね。
 そういう面で、この三環状道路というのは高速道路ですよね。一番排出量が少ない六十キロでとろとろ走っているような高速道路はないと思うんです。そういう意味でも、私は三環状道路、この建設は見直すべきだ、このように思います。
 それよりも、環境確保条例に自動車対策を位置づけてCO2削減に取り組むべきだと思います。

○井戸自動車公害対策部長 高速道路が速いのは当然当たり前の話でございまして、都内の都心部で高速道路が渋滞しているがために、それが生活道路にも影響して、生活道路が混雑する。だから、三環状を含めて、高速道路網を整備して、その中で、いわゆる通過交通を迂回させるということでございます。
 それから、CO2でございますけれども、自動車の走行速度が、これも前にいいましたけれども、二十キロメートルから三十キロメートルに向上しますと、それぞれCO2の排出量が約二割減少いたします。

○村松委員 私も前からいっているんですが、道路ができればできるほど、車の走行台数、これがふえるんですよ。それはもう私もずうっと前からいっている話なんですね。
 それで、さっき私、質問しました環境確保条例のこの対策の中で、自動車対策、この問題について早急に入れるべきだと思うんですが、その辺についての答弁はいかがでしょうか。

○井戸自動車公害対策部長 三環状道路について車対策を入れろというふうなお話でございますか。その三環状道路についての……(村松委員「いえ、違います」と呼ぶ)何をご指摘……。ちょっと論点をいっていただければ……。

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○村松委員 答申の中でも、自動車から排出されるCO2削減対策の強化というところで五点にわたって提案されているんですね。これらについての対策を、早急にこの条例の中で取り込むべきだと、そういうふうに思うんですが、見解をお示しください。

○井戸自動車公害対策部長 条例に関しての答申に基づく取り組みでございますけれども、東京都は、車からのCO2排出量を削減するために、これまでもハイブリッド車などの低燃費車の普及、エコドライブの推進、公共交通機関への転換促進によります車の交通量の抑制など、さまざまな施策に取り組んでまいりました。
 今後、さらに取り組みをするに当たりましては、都圏域を越えて移動する車の特性を踏まえました広域的な視点からの検討が重要でございます。
 また、環境審議会におきましても、自動車環境管理計画書の拡充に当たりましては、物流における事業者の車の利用状況についての十分なヒアリングが必要との意見もございましたので、よりきめ細かな実態把握などが求められております。
 こうした視点を踏まえまして、条例化を含めまして、さまざまな施策に取り組み、CO2削減対策の強化を図ってまいります。

○村松委員 要望として早急な対策をお願いしたいと思います。
 最後なんですが、CO2を吸収する緑の保全について伺います。
 CO2の排出量を減らす対策として、排出量を抑えて減らす対策と、吸収して減らす対策があります。
 東京都はこれまで緑の倍増計画で、二十一世紀初頭には、一億六千八百万本の植樹をする、そういう計画がありました。一人当たりの公園面積も拡大する、こういう計画があったんですね。しかし、今、東京の緑はどんな状況かといえば、残念ながら減少する一方だ、こういう状況だと思うんですね。
 そこで、この間、開発で失われた東京の緑地はどのくらいあるんでしょうか。

○浅川参事 現時点でのみどり率は、二〇〇三年の暫定値で、区部約二四%、多摩約七二%となっております。
 一九九八年のみどり率は、区部約二九%、多摩部約八〇%ございますが、二〇〇三年とは調査方法の違いから制度が異なるため、そのままの数値を比較することはできません。
 そのため、都市整備局が実施しております土地利用現況調査で見てみますと、区部におきましては、一九九六年から二〇〇一年までの五年間で、公園、運動場等は、約八十ヘクタール増加しておりますが、農用地が約百六十ヘクタール減少、多摩部におきましては、一九九七年から二〇〇二年までの五年間で、公園、運動場等は約六十ヘクタール増加しておりますが、農用地が約五百八十ヘクタール減少しているなど、緑系の土地利用は減少しております。
 このように緑が減少している現状を踏まえまして、都としては、全庁、横断的な緑の都市づくり推進本部を設置し、現在、緑の東京十年プロジェクトを都民、企業等と協働しながら推進しており、できる限りの緑の創出、保全に多角的に取り組んでいるところでございます。

○村松委員 今の答弁で明らかになったことが、環境基本計画の目標が、二〇一五年までに、区部で三二%を目標にしたいといっていたのが、今二四%、それから多摩の方が八〇%を維持したいといっていたのが、現状は七四%というふうに答弁がありました。
 この委員会の中でも、超党派の方が、特に多摩地域を含めて緑がどんどん減っていくということをいわれているんですが、やっぱり今、緑の果たす役割というのは二酸化炭素を吸収するということがとりわけ重要になってきているというふうに私、思うんですね。
 そういう意味で、今、開発の危機にある、とりわけ稲城市の南山開発、約八十七ヘクタールなんですが、その緑地を守ること、これも大事なんだなというふうに思うんですね。
 今、南山開発は、当初の施工方式と大きな変化があったために、必要経費が約四十三億円近くふえるという問題が出て、事業計画の変更について、都知事の許可を得る必要が生じてきております。南山の緑はどうしても残したいと、地元では超党派の議員を中心に運動が繰り広げられております。私は、こうした緑の開発はぜひやめてほしい、中止してほしいというふうに思います。
 この環境基本計画の中には、緑地保全地域を積極的に指定していくということが書かれておりますけれども、この緑地保全地域を積極的に確保するというところには、目的というか、どのくらい残そうという目的があるんでしょうか。

○中島自然環境部長 ただいまのお尋ねでございますけれども、保全地域は、都と区市町村が役割分担など踏まえまして、そして自然性豊かな緑が多く残っている丘陵地や山地の緑地を対象としております。
 そして、保全地域の指定をいたしますと、これは民有地、公有地を問わず土地の改変ができなくなるなど、特に強い行為制限がございます。このために、土地の所有者の方々の理解等が必要でございまして、行政が一方的にできるというものではございませんけれども、私ども「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八の中で、二十年度から三カ年で八ヘクタールの指定を目標に掲げておりまして、これまでにも十九年度までに、最近では多摩市の保全地域がございましたけれども、既に四十六カ所、七百四十ヘクタールを確保してきているところでございます。

○村松委員 環境基本計画の中でも、緑を保全していく上では、地元自治体の参画が重要であるとか、それから一定の役割分担が必要だとかいわれておりますが、里山保全地域を初めとした緑地保全は、新規指定に積極的に取り組んでいくというふうにいうわけですから、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、緑の取り組みの問題ですけれども、この間、緑被率といういい方と、みどり率といういい方があって、系統的にどのくらい、東京の緑が今どういう状況なのかというのがなかなかわからないんですね。系統的にやっぱり緑の問題については同じ基準でわかるような方法はとられないんでしょうか。

○浅川参事 ただいまのご質問に答える前に、先ほど平成十四年の環境基本計画の目標数値と、二〇〇三年度のみどり率、それを単純に比較したようなお話があったかと思いますが、平成十四年の環境基本計画の目標数値は、一九九八年のみどり率でございまして、先ほど申し上げましたとおり、調査方法の違いから、制度が異なるため、そのままの数値を比較することはできないということでございますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。
 それから、ただいまの質問でございますが、緑の指標につきましては、街路樹、樹林地、草地など、緑で覆われた部分の面積の割合を示す緑被率、現在使用しているみどり率、また例えば人の視界に映る緑の割合を示す緑視率とか、さまざまなものが概念として考えられますが、緑の量とか質、機能をすべてあらわす万能の指標というのはございません。
 その中でも、都民にわかりやすく、計測が容易である、広範な状況が把握できる指標として、現在、みどり率を用いているということでございます。
 緑被率をみどり率に変えた考え方でございますが、緑の持つ都市環境の改善、防災、潤い、安らぎ、生物の生存基盤といった機能を最大限発揮させていく上で、緑の持つ役割が重要だということ。また、公園は樹林や草地などの緑だけではなくて、公園全体で緑が持つ機能を発揮している、そういうことから、従前の緑被に加えまして、河川等の水面、公園内の緑に覆われていない部分の面積を加えたみどり率ということを指標として用いたものでございます。

○村松委員 先ほどの答弁の中で、二〇〇三年から二四%とか、それから、区部が二四%、多摩が七四%という、その辺の違いが出てきたから、見方が変わってきたから、単純に比較できない。
 だから、一本化してほしいというわけなんですよ。緑被率があって、みどり率があって、今度は何だっけ、「十年後の東京」で千ヘクタールの緑とか、それから街路樹を百万本、こういうふうにころころ、ころころ変わられると、一体どうなっているのか、ふえているのか減っているのか、減っているのは明らかなんですけれども、どのくらい減ってるのかというのがわからないんですよ。
 そのために、ぜひ一本化してくれ、系統的にわかるようにしてほしいという、その要望なんですが、そのことだけ答弁してください。

○浅川参事 みどり率に反映する要素といたしましては、先ほど委員お話しの、新たに創出千ヘクタールの緑とか、街路樹百万本の倍増とか、そういうものに加えまして、さまざまな区市町村での取り組みなど、また、家庭や民間施設での取り組みなど、さまざまな要素がございます。
 そのようなさまざまな取り組みで、総合的に緑を創出するというのが都の考え方でございまして、緑、千ヘクタール、街路樹百万本に倍増というような目標の立て方は、今回、都民にわかりやすく、具体的なものとしてお示ししたというものでございます。

○村松委員 わかりやすいようでわからないのが今の説明なんですね。やっぱり多くの人が、私なんかも特にそうなんですが、決められた目標がきちっと定められていて、それに対してどうなんだということが一番わかるんですよ。途中でころころ変わらないでほしい、そのことを強く要望しておきます。
 以上で私の質問を終わります。

○原田委員 私は、環境確保条例と環境基本計画について質問させていただきます。
 まず環境確保条例ですけれども、環境確保条例の改正は、今までの経済活動を大きく規制していく面を持っていると同時に、新たな持続可能な経済構造の構築を目指すという大きなかじ取りを、具体的な仕組みを通して示したという点で評価します。
 条例案の細目なルールに関しては、これから決めていくというようなお話がずっとありましたので、この細かなルール、ガイドライン等を決定するときには、ぜひ委員会にお示しいただきたい。これを要望しておきます。
 私は環境確保条例の運用について、少し質問させていただきたいと思います。
 この改正の大きな目玉であります、皆さんが再三質問しています大規模事業者への削減義務化ということで、世界的な取り組みということで、いろんな方がさまざまな評価の中で質問していらっしゃいますけれども、大規模事業者がこれから積極的な対応をしていくということは、社会的な責任ももちろん、大規模事業者の社会的貢献ということもあって、市民の方々がしっかりと見届けながらいろいろいっていくということも、これから必要なのではないかと思いますけれども、この範囲の事業者、いわゆる千五百キロリットルの事業者は、都内で千三百事業者といわれていますけれども、その中で、公的な施設は何件あって、他の大規模事業者と同等に扱われるのか、まずこれを確認したいと思います。

○大野都市地球環境部長 現行の地球温暖化対策計画書制度では、温暖化対策の計画書の作成、提出を義務づけておりますのは、原油換算千五百キロリットル以上のものでございますので、これでお答えいたします。
 この中で、例えば東京都の施設は、都庁の本庁舎や都立病院など、七十二カ所が対象であるほか、国の施設は、霞が関の合同庁舎等が対象となっております。
 新制度におきましても、この基準に該当する公的な施設は当然制度の対象となりまして、民間など、その他の事業者と同じ扱いがなされます。

○原田委員 ぜひこれは大事な視点だと思います。
 それで、大規模事業者、中小企業、ビルのオーナーとテナントなど、都内の事業所挙げての取り組みが進んでいくわけですから、特に公の施設は、より自覚的にCO2の削減を、数値目標等を立てて取り組むべきだと思います。
 もう既に自治体では実施しているところもございますけれども、CO2削減の市区町村の取り組みに対して、都はどのようなリーダーシップをとっていくのか、また、公の施設でもあります学校、大学での取り組みも促進すべきと考えますが、見解を伺います。

○長谷川環境政策担当部長 昨年度から取り組みを開始いたしましたカーボンマイナス東京十年プロジェクトにおきまして、都の建築物につきましては、学校なども含めまして、省エネ東京仕様二〇〇七の全面適用を図るなど、都は率先して、みずから大胆なCO2の削減に取り組むこととしております。
 ただいまお話のございました市区町村によるCO2の削減につきましては、二〇二〇年までに、二〇〇〇年比で二五%の温暖化ガスを削減するという東京全体の削減目標に向けまして、既に取り組んでいるところも多くございますが、それぞれが率先して取り組んでいただきたいというふうに考えてございます。
 具体的には、各自治体がそれぞれの状況に応じて計画などを定めて推進することになりますけれども、都といたしましては、省エネ東京仕様二〇〇七などを、市区町村にお示しいたしますとともに、このたびの条例による計画書制度の活用を呼びかけるなど、技術的、専門的な支援を積極的に行って、目標の達成に向けて、都と区市町村が一体となって温暖化対策に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○原田委員 ぜひ自治体に対しても、都がリーダーシップをとって、基準値の設定と、それに伴って、目標をしっかり立てて削減をさせるというようなことの中で、リーダーシップをとっていただきたいと思うし、その実績をやっぱり自治体は公表していく。ホームページ等で公表していって、市民の目に触れるということが大事かなと思っております。
 あと、学校での取り組みですけれども、特にことしからでしたか、都立高校に冷房が入ったということもあります。学校の省エネなどの温暖化の取り組みで、取り組み効果を、学校での温暖化の取り組みで、予定より予算が浮いた部分、学校に戻すいわゆるフィフティー・フィフティーという制度なんですけれども、これはもう既に自治体の小中学校で実施している面もありますけれども、学校の省エネ努力を評価する方法として、その省エネの取り組みで浮いた分の半分を学校の裁量で使えるような仕組みをぜひ実施していただいたらどうかなという提案をします。
 このことが、学校の省エネ活動の、また温暖化対策の励みになると思いますし、今ちょっと前にいいましたけれども、既に実施している自治体もありますから、実施例を調べながら検討していただきたい。これは要望しておきます。
 一九九八年に成立した温暖化対策の推進に関する法律に基づいて設置された地球温暖化防止活動推進センターは、CO2削減に向けて、どのような役割をこれから担おうとしているのか。特に中小企業、家庭、市区町村への普及の拠点、窓口とされており、重要な役割と考えますが、今後の展開を具体的にお示しください。

○大野都市地球環境部長 地球温暖化防止活動推進センターでございますけれども、これは地球温暖化対策の推進に関する法律、温対法といっておりますが、温対法で規定されております普及啓発事業や、温暖化対策に係る情報収集提供に加えまして、東京都独自の取り組みといたしまして、省エネ相談窓口の開設や、区市との連携による研修会の開催、それから、事業者の負担を求めることなく実施する省エネ診断など、CO2削減に向けた多様な活動を行っております。
 今後も、都の中小企業、家庭部門の温暖化対策の拠点といたしまして、区市やNPO、事業者団体等と連携を図りまして、引き続き取り組みを進めてまいります。

○原田委員 中小企業への設備投資は産業労働局、環境教育は教育庁というように、各局の連携もこれからより強く求められていくと思います。また、地域での省エネ家電購入の際に融資を行うNPOや、不用品のリサイクルなどの売り上げを太陽光パネルの設置につなげているNPOなど、温暖化対策に取り組んでいるNPOも都内には数多くあります。この情報も収集し、紹介していくことで、家庭部門の温暖化対策も多様に広がると考えます。
 このようなNPOも含めた民間との連携が重要になると考えますが、見解を伺います。

○長谷川環境政策担当部長 東京都は、企業やNPOなどが、現在非常に積極的に環境に対して取り組んでいるというような現状にかんがみまして、環境政策を進める重要なパートナーとしてとらえまして、例えばエネルギーのグリーン購入の拡大プロジェクトといった取り組みを連結して推進してまいりました。
 こうした認識に立ちまして、本年三月に策定いたしました環境基本計画においても、企業、NPO、都民との連携の仕組みづくりについて明記したところでございまして、例えば太陽エネルギーの利用拡大プロジェクトなど、連携による取り組みを推進してまいります。
 また、先ほど局間連携というお話もございましたが、これについてもカーボンマイナス東京十年プロジェクトについて、全庁的に取り組んでいるというところでございますので、さらに連携を深めてまいります。

○原田委員 ぜひ縦割りを乗り越えて全庁的に取り組めるようによろしくお願いします。
 それで、NPOとの連携の話があったんですけれども、地域で地球温暖化対策を具体的に実践しているNPOは、現在たくさん存在します。また、その実践の取り組みは結構長い間行われて、さまざまな困難を乗り越えて今日に至っています。
 市民間のCO2削減の実践例は、これからの政策を進めていくのに、特に家庭部門へのCO2削減に向けてのたくさんのヒントがひそんでいると考えております。このNPOを初めとする民間の情報を集める仕事、さきにいいました温暖化防止活動推進センターが担ってほしいと考えています。
 この情報を市区町村、また家庭へ発信して、温暖化防止推進を重層に広げていただきたいと考えております。これは要望です。
 それから、これから環境基本計画の策定についてお伺いします。
 一九九四年に環境基本条例が制定され、義務づけられた環境基本計画が一九九七年に策定され、二〇〇二年に改正、そして今回と、三回目の環境基本計画の策定でございます。今回の基本計画のねらい、また今までの環境行政の到達点、これからの課題についてお伺いします。

○長谷川環境政策担当部長 東京はこれまでも都市の成長過程におきますさまざまな環境問題に直面いたしまして、これを克服してまいりました。例えば都民の健康を脅かす大気汚染問題では、多くの事業者や都民の皆様の協力を得まして、ディーゼル車排出ガス対策を実施いたしまして、浮遊粒子状物質を中心とした大気汚染の大幅な改善を実現しております。
 東京の環境の現状を顧みますと、地球温暖化の顕在化によりまして、気候変動のもたらす危機への不安がかつてなく高まってございます。また、光化学オキシダントや微小粒子PM二・五への対応など、未解決の課題もあり、またさらに、東京を豊かな緑と水に包まれた都市として再生していく施策を、これまで以上に強化していくことが必要となってございます。
 新たな環境基本計画におきましては、気候変動対策の取り組みを初めといたしまして、緑の減少への取り組み、資源の循環利用、より良質な大気環境の創出、土壌汚染などの環境の負の遺産の解消などに果敢に取り組み、人類、生物の生存基盤が確保され、健康で安全に生活でき、さらに少ないエネルギーで、快適で質の高い生活が享受できる都市を目指すということにしております。

○原田委員 環境基本計画も年を重ねるにつれ、ねらいがはっきりしてきたかなというふうな感じがします。
 環境基本計画の中に掲げられています項目について、少し質問したいと思います。
 まず、持続可能な環境交通の実現についてでございますけれども、環境基本計画では、運輸部門の温室効果ガスの排出の削減目標は、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で四〇%としています。運輸部門は、都内全体の総排出量は五千七百四十七万トン。比較すると、全体の約四分の一を占め、運輸部門のCO2排出量の九割は自動車に起因し、そのうち五五%は乗用車と聞いています。
 都内から排出される運輸部門のCO2排出量は、環境基本計画では、道路交通センサスの交通量を基本に算出され、センサスは、これは国土交通省が策定しているということですが、五年に一回の調査です。中間年は、統計資料を参考に計算していると聞いておりますが、運輸部門のCO2排出量はどのように算出されているのでしょうか、お伺いします。

○井戸自動車公害対策部長 自動車のCO2排出量につきましては、自動車の車種ごとに走行距離と台数を掛けまして、全体の走行量を出します。それに、その車種の一キロ当たり走行当たりのCO2排出量を掛けまして、算出いたします。
 走行量につきましては、五年ごとに国が実施します道路交通センサスですとか、あるいは警視庁等が定期的に行う交通統計調査等をもとにやっております。

○原田委員 自動車のCO2排出量というのは、走行量というもののデータが基本になっているということは聞いておりますけれども、基本的に五年に一回の道路交通センサスというのは大変充実したデータだということがあって、それを基本にするということは、あるデータを有効に使うということでは大変重要なことだとは思いますけれども、結構これからCO2の排出というのがリアルタイムに出ていかなければならないというのも、現状を知らせなきゃならないというような現状もありますから、警視庁が定期的に行う交通統計調査などというのもご答弁にありましたけれども、ぜひきめ細かな対応ができるような体制をもう少し努力してもらえればなという感じがします。
 このCO2の現在の排出量の計算方法はわかりました。計算のベースになる走行量の把握というのは、CO2を削減するためばかりでもなく、交通マネジメントを考える基礎データになると考えています。環境交通を考えるときに、公共交通の利用促進や自動車交通量の抑制がまず必要だと考えます。
 そこで、お伺いします。環境基本計画では、建設局の事業と思いますが、パーク・アンド・ライドの導入や、民間の事業者が行っているカーシェアリングの導入を検討するとしています。過去に議論されたと思いますが、ロードプライシングの導入も含め、これらの政策の意義と現在の到達点、今後の展開についてお聞きします。

○井戸自動車公害対策部長 まず、パーク・アンド・ライドでございますけれども、都心部周辺ですとか郊外に駐車場を整備しまして、そこでマイカーから鉄道等の公共交通機関に乗り継ぐことで、都心部の交通混雑の緩和等を目的としております。
 現在、建設局では、東京都道路整備保全公社等の駐車場を活用したパーク・アンド・ライドを推進しておりまして、二十年の二月現在で五十五カ所、約五千台確保している状況でございます。
 今後、建設局と連携しまして、民間駐車場も含めましてパーク・アンド・ライドの導入をさらに進めてまいります。
 カーシェアリングでございますけれども、実は平成十八年の規制緩和によりまして、それまでは有人でしか車の貸し出しができなかったものが、無人での車の貸し出しが可能となりまして、民間事業者の取り組みが始まっております。しかし、事業採算性ですとか、あるいは自動車の保有志向が強いということで、かなり普及に向けた課題が残っております。
 これにつきましては、カーシェアリングは、車への過度の依存からの転換が期待されておりますので、今後、普及やその可能性も含めて検討してまいります。
 ロードプライシングにつきましては、車の交通量を抑制する手段でございまして、環境基本計画で示す、経済的手法による自動車交通量の抑制策の一つでございます。
 ロードプライシングの導入に当たりましては、迂回交通の確保など難しい課題がありますので、引き続き検討を行ってまいります。

○原田委員 これらの政策というのは大変先進的な政策ということで、政策の名称は随分前から耳にしているわけですが、なかなか地域での展開が大胆に見られないように感じます。政策の点検が必要ではないかと思います。それは、先ほどご答弁にいただいた、走行量の現状に裏づけられる点検が必要だと思っております。走行量が政策を実践したときにどう変化していくかを検証することで、この例えばロードプライシングとかパーク・アンド・ライドが具体的に展開するための課題が具体的になっていくと考えます。
 新しい政策を東京の事情に合わせて進化させていくということは、大変大事な公の仕事だと考えておりますので、ぜひこの政策の点検をやっていただきたい。それが次につながると思いますので、よろしくお願いします。
 次に、自転車利用促進についてお伺いします。
 自転車を新たな交通手段として評価しようとする方向性は、大変歓迎します。しかし、自転車道路の整備について所管の建設局に聞きますと、自転車道路の整備目標は、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八で二十二年度までとしており、大変短いと思います。そして、示された距離も大変少ない距離が示されているということで、自転車道の整備には長期的な目標が必要だと思います。環境局が建設局に強く働きかける必要があると考えますが、見解をお伺いします。

○井戸自動車公害対策部長 自転車利用の促進のためには、安全な走行区間の確保ですとか、あるいは公共交通ルールの遵守、マナーの向上が必要でございます。また、健康増進の観点からも注目されております。この機運をとらえまして、身近で便利な交通手段としての普及啓発を図ることも重要だというふうに考えております。
 ただ、自転車道の整備につきましては、お尋ねのように、道路管理者である建設局において、地元自治体と警視庁が調整を図りながら計画的に整備を進めております。また、自転車の交通安全につきましては、青少年・治安対策本部と警視庁において、その啓発に積極的に取り組んでおります。
 環境局といたしましては、関係機関との適切な役割分担のもとに連携しながら、都民等が自動車から自転車への転換を促進するための取り組みを進めてまいります。

○原田委員 本当に縦割りを乗り越えることが難しいという現状は、これも、道路建設は建設局だ、この先に、ロードプライシングも建設局の話だというようなことがあって、まだまだ連携の課題は大きいなというふうには思いますけれども、ちょっと古い話ですが、川崎の環境基本条例は、すべての政策は環境を基底にして考えようというような文言も入っております。まさに、それは今の時代にまで通用するし、これからも大変大きな意味を持っていると考えますので、環境局が音頭をとって、すべての事業を展開させるときに、環境にとってどうなのかという点検をしろと、ぜひいっていただきたいと思います。
 その次は、省資源化と資源循環利用の促進についてです。廃プラスチックのサーマルリサイクルとCO2削減の関係について、改めて伺います。
 事業者にCO2削減の義務を課そうとしている中で、二十三区は、ことし十月の廃プラスチックのサーマルリサイクル本格実施に向け、モデル事業等を展開しています。プラスチックを燃やして、熱エネルギーを資源として回収するということですが、プラスチックを燃やせば、当然CO2の発生量が増加します。CO2の排出抑制を唱えながら、一方でCO2の排出がふえる施策を後押しするというのでは、矛盾を感じざるを得ません。
 CO2の排出抑制は、二十一世紀の人類に課せられた課題です。この矛盾について見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 二十三区で進めているサーマルリサイクルにつきましては、清掃工場で効率的な発電を行うことで、電力会社における化石燃料の使用が削減され、その分のCO2の発生が抑制されます。
 また、食品残滓が付着した廃プラスチックの埋め立てをやめることで、埋立処分場から発生する温暖化係数の高いメタンガスの削減を図るなど、温暖化ガスの削減にも効果がございます。
 廃プラスチックのリサイクルにつきましては、資源の有効利用と貴重な埋立処分場の延命化のためにも、できる限り分別収集し、原材料として活用した上で、汚れの付着など再利用に適さないものは、サーマルリサイクルを行うことで環境負荷を総合的に軽減するものであると考えております。

○原田委員 これは、自治体での分別の中で汚れの付着した再利用できないものはサーマルリサイクルというような話は、ルールとして市民に対して話がされています。こういう判断が大変難しい分別を地域に強いている。汚れの付着して再利用できないものという判断は、大変主観が入ってくるわけです。ですから、条件の分別というのは、かなり地域の分別そのものを混乱させているとしか思えない一面があります。
 元来、プラスチックは使い捨てを前提につくられた容器です。このような使用後の扱いが難しい容器の使用は、抑制する方向に働きかけるのが筋だと思います。国へのさらなる働きかけが必要でしょう。私たちも国への働きかけ、そして地域での課題の解決について、これから努力していかなければならないと思うわけです。
 その次の課題ですけれども、今後の資源循環型社会をイメージするときに、リユースの視点が欠かせません。容器包装リサイクル法に基づくリサイクルの仕組みは、自治体の費用負担をふやすばかりで、ごみの有料化が進んでいます。企業が製品を売るための包装で、市民の負担がふえる構造になっています。使い捨て文化が続く限り、その処理費の負担はふえ続けます。この使い捨て文化を使い回す文化に転換することが大きな課題です。
 リユースは、まさに容器の使い回しの仕組みで、その効果は、新たな容器をつくるためのエネルギーが要らない、CO2の排出量を低く抑えることができるなど、多くの人が認めるところです。しかし、現実はリユースの仕組みはどんどん後退しています。
 これ以上後退させないためにも、広域自治体である東京都の前向きな取り組みを求めるものです。リユースの推進に向けた東京都の取り組みについてお伺いします。

○森廃棄物対策部長 廃棄物の排出を抑制するためには、リユースは大変重要であると認識しております。環境基本計画においても、循環型社会形成のために、リデュース、リユース、リサイクルを推進していくこととしております。
 これまで、Jリーグのクラブと連携いたしまして、サッカースタジアムでのリユースカップ利用などに取り組み、都民の意識向上に努めてまいりました。
 今年度は、東京都食育フェアにおきましてリユース食器を使用するほか、スリーR推進団体や業界団体と共催するフォーラムでリユースに関する議論を進めるなど、引き続きリユースを促進してまいります。

○原田委員 都議会に送られて二度ほど、環境委員会の中でリユースの質問をさせていただきました。最初、牛乳の容器、牛乳瓶を何とか存続させるために、学校給食に継続的に取り組んでもらいたいという視点から質問しましたし、また、使い捨ての象徴であるプラスチック、いわゆるペットボトルのリユースも、何度も使って再利用というような仕組みはないかと。そのペットボトルは、必ずしも最善ではないのですけれども、何度も使う仕組みを市民団体の方が一生懸命模索しているということもあって、その話もさせていただきました。
 しかし、なかなか壁は厚いなという実感です。地域に行くと、ビール瓶の瓶で購入する方も大変少なくなっていますし、しょうゆの一升瓶のリサイクルはもうなくなっています。
 こんな中で、東京都が本当にこのリユースを大事だと位置づけるならば、ぜひどこでも、どこでもいいというと変ですけれども、とにかく実現できる切り口を見つけて、ぜひ前進させていただきたいと強く要望します。前回より前向きの答弁になったという点では、ちょっとうれしいことですが、ぜひ実現ができるところを模索していただきたいと考えます。
 そこで、この次、化学物質等の適正管理と環境リスクの軽減という項目で質問させていただきます。
 環境基本計画では、化学物質等の適正管理と環境リスクの低減の中で、地域ぐるみによるリスクコミュニケーションの推進が掲げられています。工業製品などに使われている化学物質は非常に多種多様であります。
 そこで、化学物質による将来的な健康影響を未然に防止するためには、これらの化学物質を排出している事業者が多い地域において、事業者と周辺住民の間のコミュニケーションにより、化学物質に対する環境リスクの情報を共有しながら環境リスクの軽減を図るリスクコミュニケーションの推進は、極めて重要な取り組みとなります。
 既に昨年度から、東京都では、リスクコミュニケーション推進地域モデル事業を進めていると伺っております。これまでの経過と、モデル事業で企画された学習会はどんな内容なのか、また、これからの取り組みについてお伺いします。

○石渡環境改善部長 化学物質についてのリスクコミュニケーションについてですが、都内における化学物質の大気中への排出量は、地域によって大きく異なっていることや、中小事業者からの排出量が多くの割合を占めているという特徴がございます。
 このため、都は、平成十八年度に学識経験者や専門家による検討会を設置して、地域性を考慮した化学物質対策のあり方について検討を進めてございます。この中で、地域内の複数の事業者や住民が連携して、環境リスクを低減するために協働して取り組みを進める体制づくりが重要であるとの報告を受けており、その実践として、リスクコミュニケーションモデル事業を行っているものでございます。
 お話のモデル事業は、日野市の一部地域において、地元市の協力を得て昨年度から実施しており、これまで、環境学習会を四回開催してございます。環境学習会では、生活の中で使用されている化学物質や地域で排出されている化学物質をテーマにするとともに、都で調査した大気中の化学物質の濃度測定結果も環境学習の材料として提供し、意見交換なども行ってございます。
 今後、さらに情報の共有化を充実させ、合意形成を図りながら、事業者が化学物質の排出削減に取り組むだけではなく、地域の住民も環境配慮の活動に参加するような、いわゆる地域自主行動計画の作成づくりに発展させていきたいと考えている次第でございます。

○原田委員 地域自主行動計画の策定というのは、当然のことながら、市民も一緒になってつくっていく計画だと考えています。このような計画を事業者も含めた地域で立てていくというのは、大変意味のあることではないかと考えます。都内には工場の密集している地域が多く存在しますので、モデル事業を区部にも広げるなど、環境基本計画にあるように、リスクコミュニケーションの取り組みを他の地域にも拡大していくよう要望します。
 特に家庭の中での化学物質を、市民も大変認識を深める必要があると思います。洗剤、殺虫剤など、何げなく使っている化学物質がたくさんあることに驚きます。これからハエや蚊などの殺虫剤も頻繁に使われてきますし、最近の若者は抗菌グッズをよく使います。前にも委員会で紹介させていただきましたけど、環境省がホームページでアップしているPRTRのデータを読み解くための市民ガイドブックがとてもわかりやすく、参考になります。市民向けの学習会で活用していくといいと思います。ご提案させていただきます。
 その次、森林、丘陵、島しょにおける自然保護についてお伺いします。
 小笠原諸島の世界遺産に向けての手続が着々と進んでいるようです。二〇〇七年一月にユネスコへの暫定リストの提出、約三年かけて検討作業、手続など実施、二〇一〇年、推薦書がユネスコに提出され、評価を受けて、二〇一一年、可否が決定するというお話でした。
 さまざまな専門家の方々、関係者の方と議論を重ね、進んでいるということですが、今回、知床の自然遺産を視察したり、あのガラパゴス諸島の様子を報道で見ると、そこに住んでいる人と自然保護との折り合いをどうつけていくか、大変大きな課題だと考えています。つまり、これからの生活を、地域に住んでいる人たちがどう描けるかということです。
 小笠原では、世界自然遺産登録に向けて、自然とのかかわり方について、住民との話し合いはどのような形で、どのようになされているか、お伺いします。

○中島自然環境部長 小笠原の世界自然遺産登録に向けてでございますけれども、外来種対策などの管理の仕組みを構築するとともに、やはり地元住民と一体となった必要な取り組みを推進していくことが、お話のように大切であるというふうに考えております。
 そのために、これまでも説明会の開催ですとかリーフレット配布など、さまざまな機会をとらえまして、世界遺産について情報発信を行ってまいりました。
 さらに平成十八年度からは、国や小笠原村と協働いたしまして、行政機関、商工会、観光協会、地元の漁業協同組合など、十の団体の関係者を構成メンバーとします地域連絡会を立ち上げてございます。この連絡会でございますけれども、これまでに五回、公開で開催をいたしまして、外来種の排除など遺産登録に向けた課題に対する具体的な取り組み等について検討をしてきておるところでございます。

○原田委員 財団法人小笠原協会がことし三月三十一日に出した小笠原諸島に関する意向調査によりますと、世界遺産登録に賛成の人は五二%と、半分以上はいらっしゃるようですが、意外と少ないように感じます。賛成と答えた人々で、島で暮らしている人の割合が少ないとの指摘もありました。反対の理由としては、規制が強まるのではないかと心配と答えた方が三〇%いるということです。世界遺産登録ができても、島の自然を守るのは島民が主体です。島民の方の理解、協力なしでは続きません。
 この現実をしっかり受けとめ、住民の方々の理解、協力を得るための取り組みをもっと丁寧に行うべきと考えますが、見解をお伺いします。

○中島自然環境部長 小笠原諸島が世界自然遺産になりまして、また存続していくためには、まず地元の方々が、小笠原の自然に対しましてその価値を認識し、誇りを持つということが何よりも大切だというふうに考えております。
 そのために、学校教育、社会教育などを含めまして、あらゆる場面で、子どもから大人までが小笠原の自然の持つ世界的な価値を意識しまして、みずからの島を慈しんでいくというふうな息の長い取り組みが必要でございます。
 このため、都といたしましても、この夏、小笠原のビジターセンターにおきまして、世界自然遺産の特別展を開催するほか、父島、母島での、これは四半世紀ぶりに調査を行ったものでございますけれども、南硫黄島の自然環境調査のシンポジウム開催ですとか、あるいは小笠原の自然のすばらしさと、また、その自然を保全するための課題などを紹介しておりますDVDを活用した普及啓発など、多様な取り組みを展開することによりまして、世界自然遺産登録に向けた機運を盛り上げていきたいというふうに考えております。
 また、当然のことながら、村自身が実施するさまざまな取り組みに対しましても、可能な限り支援をしてまいります。

○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十三分休憩

   午後五時四十一分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私は、都が先ごろ策定をいたしました東京都環境基本計画につきまして、それに示されております施策、内容について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 この基本計画でも触れていますように、世界で最も環境負荷の少ない都市を目指し、持続可能な環境交通を実現していくには、都内から排出されるCO2の約二割を占めている自動車からのCO2排出を削減していくことが、極めて重要であると思います。中でも、今後、自動車に起因する大気汚染やCO2排出を削減していくためには、これまで都が進めてきた低公害車普及のための取り組みに低燃費性を加味し、ハイブリッド車に代表される低公害かつ低燃費な車の大量普及を図っていくことが重要であると考えます。
 そこで、まず、都がこれまで取り組んできました低公害車普及のための制度はどのような効果をねらったもので、その内容はどのようなものなのかをお尋ねいたします。

○井戸自動車公害対策部長 都はこれまで、環境確保条例に基づきまして、低公害車の指定ですとか、あるいは低公害車導入義務等による普及拡大に取り組んでまいりました。中でも、低公害車普及の核となります指定低公害車制度につきましては、それまで低公害車といわれてきました電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車などのほか、一定の排出ガス基準を満足しております、ガソリンですとかあるいはLPG車等を指定低公害車として指定することによりまして、車のメーカーに対しましては低公害車の開発、自動車を購入するユーザーにとりましては低公害車の選択を促進するという効果をねらったものでございます。
 また、この制度を踏まえまして、指定低公害車を購入する事業者に対しましては、融資あっせんの対象とするなどの措置を設けてまいりました。

○山田委員 ただいまの答弁にありました東京都が始めました低公害車の指定制度は、その後、国の政策に対しましても大変大きな影響を与えまして、国の低排出ガス車認定制度が設けられることになったわけであります。今、東京の町の中でも、低公害車のステッカーを張った車をよく見かけるまでになりましたが、それは東京都の指定低公害車制度の成果であるといってもよいと思います。
 そこで、これまで都の指定を受けた低公害車が都内でどのくらい普及しているのか、その状況についてお伺いいたします。

○井戸自動車公害対策部長 昨年度行いました調査によりますと、平成十八年度末で、東京都指定低公害車が都内に約二百万台登録されております。これは都内の登録車の約半数に当たる数でございます。車種別の内訳を見ますと、乗用車が約百六十八万台で、乗用車全体の約五二%を占めております。同様に、トラック等の貨物車が約三十四万台で約四四%、バス等の乗合車が約四千台で、約二八%となっております。
 なお、現在、新車で販売されております乗用車につきましては、そのほとんどが指定低公害車となっております。

○山田委員 ただいまのご答弁で、かなりの数の低公害車が都内に普及していることがわかりました。都はこれまで、このような低公害車の普及促進やディーゼル車規制などに取り組んできた結果、浮遊物質の環境基準については、平成十七年度から二年連続して都内のすべての自動車排出ガス測定局で達成するなど、劇的な成果を上げてきております。
 他方、乗用車であれば、新車のほとんどが、現在の基準でいう低公害車に該当することになることから、少なくとも乗用車に関しては、低公害車の普及の段階から次のステップへ進むべきではないかと思います。
 また、地球温暖化対策の観点からいいますと、燃料消費の削減がますます重要な課題となってきておりまして、低公害車に低燃費の視点を加えまして、さらなる自動車の環境性能向上を図っていくことが、これからは重要ではないかと思います。
 これまでの成果から見て、都の指定制度はメーカーやユーザーにも大きな影響を与えることは必至でありまして、基本計画にあるように、都が低公害、低燃費な車の指定制度を設けることは、大きな意味を持つものであると思います。
 しかしながら、都内には窒素酸化物の基準が未達成な場所もまだありますので、低公害、低燃費に指定するに当たっては、排出ガス性能と低燃費性に留意をして検討していくことが必要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○井戸自動車公害対策部長 新たに低公害かつ低燃費な車の指定制度を設けるに当たりましては、低公害性に関しましては、平成二十一年十月から始まります、ポスト新長期規制といわれております排出ガスの最新基準を視野に入れたものとしてまいります。
 また、低燃費性に関しましては、燃費の基準値に対しまして一定のレベルを上回っているものとする予定でございます。
 具体的には、既に排出ガス性能の高いガソリン乗用車等につきましては、より高い低燃費性能を求め、排出ガス性能の比較的低いディーゼル大型車につきましては、排出ガス等の低公害性を重視していく方向で検討しております。

○山田委員 できるだけ速やかに、新たな低公害かつ低燃費な車の指定制度を設けられることを望みたいと思います。
 ところで、低公害かつ低燃費な車を普及させていくためには、事業者の協力も必要であります。現在の制度では、都内で二百台以上の自動車を使用する事業者に対して、低公害車を五%以上導入することが義務づけられており、これによって一定の成果が上がっていると思います。
 今後、都は新しい制度においても、低公害かつ低燃費な車の導入を、以前の低公害車のときと同様に、しっかりと義務づけることが重要であると思います。しかしながら、制度は変わったからといっても、事業者に対し性急に車の更新を求めては、事業者の理解が得られないと思います。
 そのため、都はこれらの事業者に対し、低公害かつ低燃費な車の導入を段階的に進めるべきと考えますが、都の考えをお尋ねいたします。

○井戸自動車公害対策部長 低公害かつ低燃費な車の導入をどのようにするのかというようなご質問でございます。自動車の保有期間を見ますと、平成十九年度の自動車検査登録協会の発表によりますと、自動車が新規登録されてから抹消登録されるまでの平均年数は、おおむね十一年から十三年でございます。
 一定規模以上の事業所に対しまして、低公害かつ低燃費の車の導入を図っていくに当たりましては、この平均使用年数なども考慮しまして、導入時の設定とあわせまして、導入につきましては段階的な対応も考えてまいります。

○山田委員 低公害かつ低燃費な車の普及につきましては、これまで同様、今後もしっかりとやっていただきたいと思います。
 次に、先ほど橘委員からも若干質疑がございましたけれども、エコドライバーの普及について、私からもお伺いいたしたいと思います。
 低燃費の普及とともに重要なものがエコドライブであると思います。自動車の環境性能がよくなっても、それを運転する人々が環境に優しい運転を実践しなければ、CO2の大幅な削減は期待できないと思います。エコドライブは、個人個人の運転技術あるいはノウハウによるところが大変大きく、それぞれの運転によりまして、削減できるCO2にも大きな差が出てくるのが事実であります。都民にエコドライブに対しての知識や理解を広く普及することは重要なことでありますけれども、実際の運転をサポートして、だれが運転しても最適なエコドライブ運転となるように誘導する技術開発、研究も重要であると考えます。
 そこでお伺いいたしますけれども、都はこれまで、エコドライブに関してどのように取り組みを、普及促進を図ってきたのか、お尋ねをいたします。

○井戸自動車公害対策部長 都はこれまで、ホームページにエコドライブ講習サイトを設けるほか、エコドライブの効果や具体的なポイントを記したリーフレットを作成し、都民、関係団体などに配布するとともに、警視庁と連携しまして、安全運転講習会などで活用しております。
 今後も、あらゆる機会をとらえまして、エコドライブの普及を図ってまいります。

○山田委員 東京都は先週、先ほど橘委員からも質疑がありましたけれども、東京都エコドライブインストラクター養成講習会を実施すると、明日ということでしたけれども。その中で、東京都環境科学研究所で現在開発中の、エコドライブの効果を測定できるエコドライブの評価支援システムという機器を自動車に初めて搭載をした試乗会を実施するとありました。開発段階にあるとはいえ、今回、自動車に搭載できるまでに至ったことは、実用化に向けた大きな第一歩であり、大いに評価するものであります。
 一部の民間事業者でも、このエコドライブの効果を測定できる機器を開発していると聞いておりますけれども、こうした機器が広まり、都民一人一人に、エコドライブが最も有効なものへと誘導されていくことが重要であると思います。都民のエコドライブをサポートする機器の普及は、CO2の削減に大きく寄与するものと思います。
 そこで、今回、東京都環境科学研究所で開発中のエコドライブ評価・支援システムとはどのようなものなのか、具体的な特徴などについてご説明いただければと思います。

○井戸自動車公害対策部長 エコドライブの普及のためには、運転者自身がエコドライブのレベルを客観的に知ることが重要でございます。東京都環境科学研究所で開発中のエコドライブ評価・支援システムにつきましては、自動車の走行データを記録する装置を取りつけまして、それをパソコンで解析処理するものでございます。
 エコドライブを簡便かつ客観的に評価しまして、運転するごとにエコドライブのレベルを点数などで知らせることですとか、あるいは、急加速に気をつけましょうなどのメッセージが表示されるアドバイス機能などを持っておりまして、運転者にとりまして効果がわかりやすいシステムとなっております。
 加えて、このエコドライブ評価システムにつきましては、数多くの車両の燃費データをもとに作成したモデル式を用いて開発されておりまして、性能の異なる自動車に乗っておりましても同じ基準で適切に評価できることから、車種にかかわらず機器を搭載し、評価することができます。

○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、車種にかかわらずエコドライブを評価できるシステムということであれば、多くの車に搭載することも可能となるため、実用化されますと、エコドライブの普及がより一層加速されることが期待されると思います。
 この機器は、自動車に搭載することが今回初めてということでもあり、今後は機器の改良を重ね、性能の信頼性を向上させていくことが必要となっていくと思いますが、この機器の今後の開発あるいは改良、普及の予定についてお伺いいたします。

○井戸自動車公害対策部長 エコドライブ評価システムの実用化を図るためには、産業界などとも連携していくことが重要というふうに考えております。
 このため、環境科学研究所では、環境省の資金を得まして、カーナビゲーションのメーカーや大学を含めた産学官の連携によりまして実施しており、これまで研究所が蓄積してきた車に関する知見ですとか数多くの計測データ、メーカーの持つシステム開発のノウハウなどを結集して開発しております。
 現在、エコドライブの評価を行うための基本システムが完成した段階でございまして、今後は、区市町村等と連携したエコドライブ講習会などで、システムを搭載した車の試乗を重ね、試乗者などから幅広く意見、要望を聞いていく予定でございます。そして、これにより得た情報を開発にフィードバックさせまして、実効性の高い評価システムを開発し、その上で、実用化に向けた検討を行ってまいります。

○山田委員 改めてエコドライブを広める前提として、こうした科学技術に裏づけされた機器を持って、ユーザーの声を反映したこのような機器が開発されることが重要であると感じた次第でもあります。機器の早期実用化をお願いいたしまして、この点については終わりたいと思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 東京都は、少ないエネルギー消費で快適に活動、生活できる都市を目指した新たな環境計画を羅針盤として、「十年後の東京」を着実に実現するとしております。新たな計画では、より快適で質の高い都市環境の創出のため、市街地における豊かな緑の創出に向けた取り組みとして、千ヘクタールの緑の創出やヒートアイランドの改善、既存の緑の保全などを目標に掲げまして、着実に実施していくとしております。緑は、東京に住む、働く人々に潤いや安らぎを与えるとともに、都市の環境向上のためにも、その役割は多岐にわたっておりますし、ますます重要となっております。
 こうした観点に立って、緑の施策について幾つか質問をいたしたいと思います。
 一つは、都市農地の保全についてお伺いいたしたいと思います。
 都市の農地は、大規模災害における貴重なオープンスペースとしての役割のほか、ヒートアイランド現象の緩和、地下水の涵養など、環境面においても多大な貢献をしております。
 さらに地球温暖化対策におきましても、地産地消の取り組みは、食料の輸送距離の短縮によりフードマイレージに寄与いたしまして、また、国におきましても二酸化炭素の吸収源としての農地の活用について検討が行われているなど、都市農地は、ますますその重要性が高まっております。
 そうした中、都市農業を取り巻く状況は依然として厳しいものがあり、農地の減少が続いております。私の地元の西東京市でも、平成八年、約二百二十八ヘクタールあった農地が、平成十八年度までの十年間で約二十八ヘクタール、率にいたしまして一二%の農地が失われておりまして、この面積は東京ドームの約六個分に当たる数値でございます。
 こうした状況の中で、私ども西東京市の農業者のグループの皆さんは、いろいろな工夫をして、新たにJAと提携しながら大手スーパーに直接新鮮な野菜を出荷したりいたしまして、消費者に好評を得ております。
 こういうような取り組みは、農業の活性化を図る上で非常に有効なものと思っておりますが、都市農地の果たす役割を考えますと、さまざまな工夫によりまして都市農地の減少を食いとめる農地保全をしていくことが、大変重要であると考えます。
 そこで、緑の施策におきます都市農地のあり方、考え方について、まず、その見解をお伺いいたしたいと思います。

○中島自然環境部長 都市農地の保全についてでございますけれども、都市農地は、理事ご指摘のとおり、防災面あるいは環境面など多面的な機能を持っておりまして、良好な都市環境には欠かせない空間でございます。これまで農地は、当然のことながら、農業を営む方々によりまして維持されておりまして、区部の周辺ですとか、あるいは多摩におきましては、なれ親しんだ農の風景でございましたが、さまざまな条件の中で、近年、減少してきております。
 今後、この貴重な農地を残していくためには、農業を営む方々の自助努力はもちろんのこと、地域全体で都市農地を支える新たな取り組みも有効であると考えております。
 例えば産業労働局におきましては、これまでの保全策から一歩踏み込みまして、地元自治体、市民、農業者などさまざまな主体が連携いたしまして、農業、農地をまちづくりに生かすという、緑を守る都市と農業の共生プロジェクトというものに取り組んでおります。
 今後とも、緑施策の重要な課題といたしまして、各局と連携しながら、東京に残された貴重な都市農地の保全に取り組んでまいります。

○山田委員 ただいま自然環境部長からご答弁いただきましたけれども、私も都市農地の保全には、今まで以上に多面的な取り組みが必要であると思っております。今後とも、引き続きこうした取り組みを積極的に推進していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、校庭の芝生化について、何点かお尋ねをいたします。
 東京都は、二〇一六年までに都内すべての公立小中学校の校庭芝生化を進めるとしております。校庭の芝生化の意義や効果につきましては、一昨日の本会議でも我が党の石森副委員長から触れられておりまして、私が改めて申し上げることはございませんけれども、私もこの事業は、環境を改善する観点から、また子どもたちの教育環境の向上の観点からも、ぜひともなし遂げていただくべき大変大事な施策であると思っております。
 私の地元の西東京市には、十九の小学校、九つの中学校がございますが、その中で今年度は、東伏見小学校という東伏見稲荷神社の近くにあります小学校で、約二百七十平米の芝生化を予定しております。学校やPTAなど、どうしても初めての事業であり、正直なところ、漠然としたものでありますが--教育環境の向上の観点からも、ぜひともなし遂げていくべき大事な施策であると思っております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、この芝生化につきましては、学校やPTAなどとしても初めての事業でありまして、いろいろと不安感があることは確かなようであります。私は、地元の小学校のように計画段階にある学校への支援はもちろんのことでございますけれども、それに加えて、これから芝生化を考えていこうという段階の学校に対しても、都が積極的に支援していくことが非常に重要なことではないかと思います。
 これまでに芝生化した学校というのは、どちらかといいますと、いろいろな条件が整ったところではないかと思います。都は、目的達成のために、区市町村や学校現場などで芝生化に向けた検討初期段階で不安を払拭してあげることが不可欠であると思います。そうした状況を一つ一つ打破しなければ、全校芝生化は絵にかいたもちになってしまいかねません。そのためにも、ぜひとも検討段階からの支援体制を整えていただきたいと、私から強く要望いたしたいと思いますけれども、これについては強い要望ということでとどめまして、ご答弁は求めないことにいたします。
 次に、こうした区市町村や学校現場などを支える制度の周知についてお伺いいたしますが、私は、都の全額負担で相談窓口を設置したり、専門家を派遣するという現在の支援体制は、かなり充実したものであると一定の評価をいたしております。しかしながら、せっかくこのような区市町村や学校現場などを支える有意義な支援策を行っていても、それが対象となる相手に知られていなければ、意味がありません。何かと維持管理が課題といわれております芝生化ですが、このような支援策があることを区市町村や学校現場などが知っているのかというと、そうでないのではないかと思います。
 今後の芝生化の促進に大いに影響があると思いますので、都は、これまでも支援制度の周知には努めてきていると思いますけれども、こうした支援策について、より一層、区市町村や学校現場などにPRすべきだと考えますが、いかがでございましょうか。

○中島自然環境部長 校庭芝生化につきましては、学校現場などを支える支援制度の周知につきまして、四月に開催されました全区市町村の教育委員、教育長を対象とした会議ですとか、あるいは全公立学校長を対象とした会議におきましてリーフレット等の配布を行っております。
 また、今月初めには、全区市町村の教育委員会に対しまして、校庭芝生化に関する技術的相談に応じる窓口の開設、それから専門家派遣事業の開始などを周知したところでございます。
 今後とも、さまざまな機会をとらえまして、区市町村や学校現場などに対しまして支援制度の周知に努めてまいります。

○山田委員 支援策につきましては、しっかりPRしていただきたいと思います。
 そして、次の段階として、芝生化をした後の維持管理の問題であります。
 学校現場などの不安に対しては、専門家の派遣など支援体制がありますけれども、先ほど申し上げたとおり、今後さらに充実していくことが必要であります。
 さらに、もう一つの問題として、財政的なものもあります。日常的な維持管理費については、芝生化がもたらす効用や初期整備費を補助するという都の努力などを考えれば、事業主体である地元自治体が負担するのは納得のいくところでありますけれども、芝生を維持管理していく上で、年一、二回、専門業者によります維持管理作業が不可欠であると聞いております。
 そこで、この専門業者を使う専門的維持管理に対しては、都はどのような支援を行っていくのかお尋ねいたします。

○中島自然環境部長 校庭の芝生の維持管理につきましては、日常的な管理に加えまして、お話のとおり、専門業者が特殊な機械などを使用いたしまして、土壌の通気性ですとか透水性を改善するなどの専門的な維持管理が必要でございます。
 都は維持管理につきまして、区市町村を財政的に支援するため、今年度から新たに三年間にわたり、こうした専門的維持管理に要する費用の二分の一を補助することとしております。

○山田委員 専門的維持管理についても、都の二分の一の補助という手厚い支援制度があるということ、これは区市町村も大変大きな安心材料であると思います。
 これまでの質疑を通じまして、一部にまだ十分といえない点もありますが、一定の支援体制が構築されていることがわかりました。いま一度、改めて都の今年度の執行目標であります七十五校の校庭芝生化を実現するために、なお一層の努力をしていただきたいと思います。
 そして、校庭芝生化を推進していくためには、都として財政的にも技術的にも相当しっかりとした支援体制を構じることが必要だと考えるものであります。
 そこで、最後になりますが、都内のすべての公立小中学校の校庭を芝生化することは、今後さまざまな課題を解決していくことが必要となると思います。そんな簡単に進められる楽なことではないと思いますが、局長以下、担当部署の皆さんのご苦労もあるとは推察いたしますけれども、私ども自民党といたしましても、石原知事が掲げた重要な施策でもありますし、また何よりも次の世代を担う子どもたちの育成に深くかかわる大事な問題でありますので、今後全面的にバックアップしていくという立場でお伺いいたしますけれども、今後の校庭芝生化の推進に向け、局長のご決意をお聞かせいただきたいと思います。

○吉川環境局長 校庭の芝生化は、私としてもぜひともというか、何としてもなし遂げたい課題だと思っておりますが、既に幾つかの区市の、僕は小学校が中心ですけれども、現場へ行って、二つ非常に印象に残ったのは、杉並区の小学校へ行ったときに校長先生がおっしゃるには、閉じこもりといいますか、どちらかというと登校拒否系のお子様が教室までは来た。ところが、今まで教室から出られなかったんだけれども、校庭の芝生化をしたらば、その子が校庭へ出てきたというふうな、本当の実例の話を聞かせてもらいました。
 私、昔、足立区の教育委員会にいたときに登校拒否問題をやっていたものですから、非常にこれは感銘を受けましたし、そのとき思ったのは、二千五百年前に、これはいろいろな場でいっておりますけれども、ギリシャの医学の祖といわれたヒポクラテスが、自然というのはすべての病をいやすといったんですね。自然はすべての病をいやす。
 だから、校庭の芝生化というのは、子どもの心にも体にも極めて有意義なものなんだというふうなことをその場で実感いたしましたので、そういう意義の面でも、十分先生のおっしゃっている、また先生は全力を尽くして自民党として応援していただけるということでありますので、頑張りたいなというのが一点と。(発言する者あり)こいそ先生にもぜひ応援していただきたいんですが。それから、もう一点は、小平市の学校へ行ったときに、日本サッカー協会の川淵キャプテンもおいでになっていたんですが、お話をしていて、FC東京の芝生の維持管理の本当のプロ、プロ中のプロが、その小学校のメンテナンスについてサポートスタッフに入っていたんですね。
 ですから、先生おっしゃったような維持管理についての財政支援等々の仕組みは講じましたけれども、やはり学校の維持管理をきちっとうまく機能させるというためには、そのFC東京のスタッフをどの学校にもというわけにいきませんが、そういう熱意と専門的な知識のある方と学校現場とうまくつなぎ合わせていくというような、そういった工夫も私は必要かなというふうな実感をつくづくしております。
 いずれにしましても、私はこの校庭芝生化は、最初に申し上げましたように極めて意義があると思っておりますので、全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

○山田委員 大変ありがとうございました。局長の力強い決意をお伺いいたしました。
 緑は、非常に重要な貴重なものでありますし、ぜひ区市町村や学校などが安心して芝生化に取り組めるよう、一層の条件整備をお願いいたしまして私の質問を終わります。

○今村委員 それでは、私の方からは、環境確保条例の中で検証機関についてお聞きしたいと思います。
 先ほど吉田委員から排出量取引についての質疑をさせていただきましたけれども、今回の条例改正に当たって、最も注目される義務化と、それから排出量取引では、排出量をいかに正確に算定するか、公正公平に実施されるかが実施後の最も重要な部分の一つになると考えます。
 まさに検査機関の公正公平性が担保されていなければ成り立たないともいえると思いますけれども、この検査機関、東京都は一体どのような機関を想定されているのか伺いたいと思います。
 また、条例改正案では、検査機関は都内にあることとなっていますけれども、身近なところにあることは、大規模事業者はもちろんそうでありますけれども、これから自主的な取り組みを進める中小事業者にとっても利便性が高まるというふうに考えますが、何カ所ぐらい、また何カ所程度予定しているのか。逆にいえば、数を制限したりすることがあるのかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。

○大野都市地球環境部長 検証機関でございますけれども、今後導入を予定しております都の制度におきましては、エネルギー管理の専門的な知見を有します検証主任者を置くことなどの要件を想定しております。
 その検証機関の具体的な参考例、イメージといたしましては、京都議定書上のCDMの検証を実施している機関でございますとか、あるいは環境省において、これは削減義務はございませんが、自主参加型の排出量取引制度がございまして、これの検証を行っている機関などがありますので、こうしたところを想定しているということでございます。
 それから、検証機関の登録要件などは今後決定してまいりますけれども、登録要件に合致するものは検証機関として登録を認めていく予定でございまして、基本的に数の制限をするつもりはございません。

○今村委員 排出量の検証を、電気、ガス、または燃料消費量など、簡素で客観性のあるものとして、実削減量などを検証するものというふうに今までの質疑で明らかになっておりますけれども、そうすると、高度な専門性はどの程度必要なものなのかというふうな疑問を持ちますけれども、都はどのように考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 確かに東京の場合、電気とガスの消費がエネルギー発生の大宗を占めておりますので、この電気とガスの消費量はおおむね購入伝票で確認できるということであるわけでございますが、その伝票で事業所内のすべての電気、ガスの消費量が把握できているのかという確認が必要になります。
 具体的に申し上げますと、電気消費量の場合には、事業所における電力購入伝票がその事業所内で消費されているすべての消費量をあらわしているかなど、電気系統図を見まして確認することのできる能力が必要だということになります。
 このためには、検証機関にはエネルギー管理の専門的な知識を有する者の設置を登録要件としていく予定でございまして、こうしたことによりまして、効率的な検証を行うことができて、かつ対象事業者にとってもより負担の少ない方法で検証ができるものと考えております。

○今村委員 それでは、検証機関が大切だということは、先ほども申し上げたとおりでありますし、公正公平な検証をしていただかなければならないわけであります。検証機関が第三者性があるとはいえ、マンション耐震偽装問題のように、必ず正しいと、またはそういった機関が不誠実な行為をする可能性を全く考えないというわけにはいかないというふうに思います。
 条例改正案では、改善命令を出したり、登録の取り消しなど、大変厳しい措置をできるようにされておりますけれども、こうした検証機関の正確性の担保をどのようにとっていくのか、東京都の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 検証機関につきましては、検証方法に関する講習会を行うことを予定しております。それから、条例の規定の中で、登録の有効期間については三年間といたしまして、更新ごとに資格要件の確認を行うというふうにいたしたいと思っております。
 また、検証機関が、都が規定しました検証ルールに即して公正に業務を執行しない場合でありますとか、登録時の状況と異なって、実態として検証主任者設置などの検証の信頼性を確保するための措置に違反していた場合には、都は検証機関に対して立入検査等を行いまして改善命令などを行うことになります。
 この命令に違反したときには、登録の抹消または業務停止を行うこととしておりまして、またこの検証機関が業務停止命令に違反したときには、さらに罰金五十万円を課す仕組みも制度化しております。こうした方法によりまして、適正な検証を担保できるものと考えております。

○今村委員 大切な役割を担う検証機関でありますので、また義務化を負った事業所など、また中小の事業所の取り組みを現場で把握することのできる機関になるわけでありますから、先ほどからも議論がされておりますけれども、日進月歩、新しくなるこういった環境の技術、こういったものを正確に、また削減量の把握ができるように、都ともきちっと意見交換などをしていただくように要望しておきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと局長に聞いていただきたいと、またお答えいただけたらというふうに思うんですけれども、京都議定書では日本の森林吸収分が入っているというふうにも聞いております。三・八%ぐらいになるんでしょうか、はっきりと確かめたわけではありませんけれども、こうした緑の吸収の部分というのは、今、東京都が緑の十年プロジェクトなど、さまざまに、屋上緑化を初め、今の校庭の芝生化の問題もそうでありますけれども、また森林の適正な保全などもそうでありますが、取り組みをしてきたことにつながるかというふうに思います。
 こうした部分というのは大切な視点であると思いますが、今回の排出量取引で何が大きいのかといえば、私はやはり数値化をしていくことによって、よりわかりやすくしていくこと、このことが義務化を負った事業者だけではなくて、東京都民が客観的に判断できるということが大きなメリットになるかと思います。
 既に条例などにも--後ほど小沢副委員長からもこうした家庭部門や建物に対しての質疑を予定しておりますけれども、底辺の家庭部門などの取り組みなども、やはりきちっとした評価をされるべきであるというふうに思います。例えば広島市などは、各家庭の削減量を取引しようなどということを考えているようであります。こうした吸収分などは大変あいまいであるわけでありますけれども、将来的にはよりダウンサイジングをして対象を小さなところに目を向けていく必要があるかというふうに思いますので、こうした取り組みの展望について、局長から決意を込めてご答弁いただけたらと思います。

○吉川環境局長 今村先生のお話は、多分決意というか、感想でいいのかな、申しわけないんですけれども、突然のご質問で。
 今のお話を伺っていて、まず冒頭、三・八という話は間違いないわけでして、京都議定書の六%は、皆様方案内のとおり、三・八が森林吸収分で、一・六がCDMで、残りの〇・六が削減をしていくというふうなことでございますけれども、意外とこういうことというのはきちっとマスコミが書いてなくて、六%、六%と走っていますけれども、実は〇・六だという話です。
 今、先生のおっしゃった広島のお話は、私、つまびらかにしておりませんが、多分先生がおっしゃった数値化というのがキーワードだとして、今回我々はキャップ・アンド・トレードということで、大規模排出事業所に対して一つの仕組みを講じるわけです。
 これはなぜかといえば、六千万トン、東京都の年間の総排出量の中で、わずか千三百社で極めて多くの排出をしているから、そこには今回義務化をかけましょうということで、今、先生おっしゃったのは、そうはいえ、家庭部門であるとか中小企業であるとか、多くのすそ野というんでしょうか、多くの参画があった方が、地球温暖化というか、CO2の削減にはいいだろうと。その意味で、数値化というものを工夫したらどうかというご提案だったんだと思うんですね。
 そういう意味では、東京都のレベルは、まず大規模排出事業所へのキャップ・アンド・トレードをきちっと入れて、二〇二〇年までの二五%の中期的な目標をきちっと着実に削減する、これは極めて大事だというふうには思っておりますが、先生のおっしゃっている意味でいえば、例えばドイツの太陽光パネルについて、先々週の日曜日のNHKでスペシャル番組で流していましたけれども、あれをごらんになった何人かの、例えば都議会議員の先生であるとか都の幹部連中からも、私にあの番組についての、取り上げていたドイツの固定価格買い取り制度というのはどういう仕組みなんだというような問い合わせが来ました。
 あれは今村先生もごらんになったかもしれませんが、あれは極めてドイツとしては工夫した仕組みで、多くのドイツ国民がどんどん自宅に太陽光パネルを敷設すれば、自分の屋根でできた電気を高く売れて、また、少し値は高くなりますけれども、自分の家も電気を買う。それで循環していくと、どんどん再生可能エネルギーの導入率が高くなっていくという、僕はベストではないと思いますけれども、幾つかの欠点はあるかなと思いますけれども、ドイツというのはそういう取り組みを国を挙げてきちっと仕組みを工夫したと。
 多分、先生おっしゃっているのは、そういう意味で数値化をして、多くのすそ野がマイナスカーボンに向かうように努力しろということだと思います。そういう意味では、例えば環境税の問題であるとか、日本でもいろいろな仕組みをもっと検討しなきゃいけないんだと思いますが、一点だけ申し上げたいのは、私どもの局で今回提案している中で、太陽エネルギーについて今ドイツの例をいいましたけれども、東京都でもこの二年間で四万世帯について九十億円投入して太陽光パネルをどんどん敷設していくと。
 これも、十年分の環境価値について東京都がそこを先に買うという仕組みを、うちの職員たちが研究会をつくって、民間の有識者の意見も入れてつくった、それで創出したという意味ですから、ぜひこれも先生に今後ともいろいろなところで十分PRしていただいて、東京都の挑戦的な取り組みだというふうに評価していただければありがたいなと。
 先生のおっしゃった点については、広島の件も含めて、私も今後勉強したいと思っております。

○今村委員 ありがとうございます。
 地球温暖化防止の取り組みは、そういう意味ではまだまだ息の長い取り組みが必要でありますし、東京都内の建物の屋上などに緑化または太陽光、太陽熱の機器が設置され尽くすようなことを目指して、ともに私どもも頑張っていきたいというふうに思いますので、これからも職員あわせて、皆さんのご活躍を期待して質問を終わりたいと思います。

○矢島委員 今まで長い議論が重ねられておりますので、重なる部分は省いて質問させていただきます。
 今いろいろお話を聞いておりまして、輪郭がもう一つはっきりしない。行政がこの形で条例を出す限りは、もう少しその間を埋めるべきではないかという印象を受けました。ただ、走りながら考える方が新しい状況に対応できるという意味で、よく考えればそういうこともあろうと思いますので、ぜひきっちり固めながらも、変転していく状況に対して対応していただきたい、このように思います。
 まず最初に、今回の環境に対する東京都の取り組みは、先進的な取り組み、また石原知事の環境に対する集大成というような印象を受けています。一方で、国ではこの間、省エネ法の改正案が成立いたしましたが、東京都の今回の環境確保の条例と改正案と、どこがどういうふうに違うのか、それを確認させていただきます。

○大野都市地球環境部長 省エネ法も環境確保条例も非常に多岐にわたっておりますので、特に大規模事業所に対する対策についてお答え申し上げます。
 省エネ法の対象とします事業所も、環境確保条例に基づく削減義務の対象も、基本的に規模要件は双方とも同じ方法でございまして、燃料、熱、電気の年間の合計使用量が原油換算で千五百キロリットル以上のものを対象とするということでございます。
 ただ、一番大きな違いと我々が考えておりますのは、省エネ法はエネルギー消費原単位を毎年一%低減させることを努力目標としております。これに対しまして、私どもの方は、先ほどからご議論いただいておりますように、対象事業所に対する総量の明白な削減義務を課していると、この点が全く大きく違うところでございます。

○矢島委員 国の施策の主軸は、やはり産業・業務部門への規制が中心で、東京都はそれより多岐にわたっていると、私の方ではそういうふうに印象を持っております。
 二五%の削減を目指すわけですが、その内容がどうも見込み期待値がちょっと強い。いや、目標を定めるとなるとそうなるとしても、やはりそこには間を埋める何かの工夫と知恵がなくてはいけないというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○長谷川環境政策担当部長 二五%の、これは東京都全体の削減目標でございますけれども、これは今お話しありましたとおり、将来あるべき姿を見据えまして、現在何をしていけばいいのかという観点から、バックキャスティングの手法によって設定いたしたということでございます。
 この削減の目標の達成には、まずは産業、業務、それから家庭、運輸、それぞれの各部門で最大の削減の努力が必要であろうというふうに考えております。より具体的に申し上げれば、先ほどこいそ先生にご答弁いたしましたとおり、例えば産業・業務部門におきましては、最も省エネ性能のよい機器への更新でありますとか、あるいは照明機器の更新、運用対策なども含めて相当のポテンシャルが見込まれると思っております。
 またほかの部門におきましても、ハイブリッド車など低燃費車の普及、あるいは家庭での高効率給湯機器の普及などが進むことによりまして、一定の削減が見込まれると思っております。
 なお、積み上げではございませんので、現時点の製品の活用のみでは、目標に対してすき間もある場合もあろうかと思いますけれども、二〇二〇年までにはさらなるエネルギー効率の改善、省エネルギー技術の開発を見込むということが可能と思われてございまして、再生可能エネルギーの利用がさらに容易になることも見込まれます。
 こうした意味におきましては、各部門の重層的な取り組みとともに、総量削減を促す施策とさらなる環境技術の開発普及、これが重要になるものと考えてございます。

○矢島委員 そのような説明が行政のとこでしょうけれども、国のエネルギー施策では、例えば家庭用の燃料電池、既に八年間で二千億円を投下して実用化を間近にしていて、かなり効率が高いと、このように聞いています。
 やはり温暖化防止は、自助努力ではどうしても限界があると思うんです。一番うまいのがやはり炭素税。ただ、大変難しい政治的マターですから、この問題の判断は厳しいものがあると思います。
 一方で、もう一つ方法が出てくるのは、技術のブレークスルーだと思います。ブレークスルーに対して、効率技術の何らかの施策を東京都が持たなきゃいけない。出てきたものを待って、それをカウントするのでは、環境政策というのは規制官庁になっちゃう。やはりそれに対して積極的に取り組んでいくためには、環境技術に対する何らかの促進策を考えていかなければいけないなと思います。
 環境研究所を持っているんですし、委託もできるし、あるいは民間のいい方法について何らかの活用で自主的に誘導して下げていくということが必要だと思いますが、この点についていかがでしょう。

○長谷川環境政策担当部長 大幅なCO2の削減に向けてということでございますけれども、企業や家庭における省エネルギー対策を効果的に促進していくというために、一つはまず経済的な手法の活用が有効でございまして、このたび削減義務と排出量取引制度ということを導入するわけでございますが、さらに税制の果たすべき役割は大きいものというふうに考えてございます。
 このことは、昨年六月に策定いたしました気候変動対策方針におきましても示してございまして、現在、都税調で具体的な検討が行われているところでございます。
 また、もう一点、技術のブレークスルーということでございますけれども、この新たな基本計画におきましても、東京都が掲げる高い目標を達成していくというためには、世界に誇る日本の技術力を生かした革新的な最新技術の開発、普及が不可欠というふうな認識を示してございまして、都としてこれに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○矢島委員 ここでどういうふうに取り組むのかというのを聞きたいところですけれども、今後の課題として、ぜひよい形で、生きる形で検討していただいて、この今回のメニューに入っていないものですから、その点については特にお願いしたい。技術開発の誘導、促進に対する何らかの対策、東京都としての独自の対策で誘導していただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、今回の中でステークホルダーの皆さんがおいでになりまして、ご了解いただいた。特に、東京商工会議所については意見書が出ておりまして、新聞でも報道されております。これ、そういう形に行くまでには大変な努力があったと思います。各種団体、産業、国との関係、国全体の問題とか、いろいろある中で、随分ご努力されたんだな。これは見えない部分であるだけに評価をさせていただきたいと思います。
 その中で、先ほども何回か議論がありました削減量の排出権の取引の件ですけれども、日本の温暖化ガス対策は、原子力と森林吸収と事業者と家庭の削減に頼っております。万が一これが実現できない場合にはどうなるかというと、国が税金でもってどこかから買わなきゃいけない。そういう構造になってくると、中小の削減に対する排出権の問題が大変重い問題になってくると思います。よその国から買うなら、日本の国で何らかの対応をしていく、その中心である東京がしっかりこの問題を認識して取り組んでいただいて--確かに先ほど説明があって、これも不十分だと思います。なぜ金融商品化しないか。
 気候と排出権が金融デリバティブの対象になっていて、これが高い取引に今なりつつあるような状況ですから、日本の国のトレードとして、知事が指定する。五年間の期間だから違うんだということは、逆にいい得ない。その価値が上がれば上がるほど、知事が指定するというのは五年間動かないわけですから、毎年変えるわけにはいかない。だから、非常に柔軟性が欠けてくることも少し心配だなということがないことはないんです。
 ですから、この問題を含めて、排出権の問題については、ぜひもう一度見直していただいて、その重要性、今後の可能性、中小の問題も含めまして、しっかり認識していただきたいと思います。
 最後、これは意見だけにさせていただいて終わります。

○小沢委員 私からは、まず建築物環境計画書の制度について伺います。
 建築物環境計画書制度は、環境に配慮した建築物が評価される市場の形成を目的としていると認識しております。
 本制度の対象となる延べ床面積一万平方メートルを超える大規模な新築マンションの環境性能表示については、販売広告にその表示を義務づけ、マンション環境性能の向上に一定の成果を上げているところであります。その意味でも、本制度の対象を拡大して、環境に配慮した建築物が市場に与える影響力を高める意義は非常に大きいと思います。
 これまでも都議会民主党としまして、再三、対象範囲の拡大を求めてきましたが、昨年の予算特別委員会における私の質問に対し、環境局長より、平成十九年度に当制度の市場での波及効果等を検証するとともに、最も効果的な対象範囲について調査を行う旨の答弁をいただいております。
 そこで、調査の結果、この対象床面積をどこまで引き下げる予定なのか、お伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 建築物環境計画書制度を今回改正いたしまして、またこれを機に対象の拡大を予定しておりますが、基本的な考え方は、対象を大規模建築物から中規模の建築まで拡大していくということでございます。
 現行制度の対象でございます延べ床面積一万平米超、超えるということになりますと、新築建築物は年間二百件弱でございまして、これは都内で一年間に着工される建築物の総延べ床面積の約三〇%を占めております。一方、延べ床面積で五千平米を超えるものというふうに計算いたしますと、件数は四百件と倍になりまして、総延べ床面積の方で見ますと約四〇%ということで、一〇ポイントの増加というふうになります。
 こうした状況を踏まえまして、中規模建築物を中心に供給します事業者にも、建築に当たっての環境配慮の行動を誘導する。そのためには、どの程度の規模拡大が妥当かということにつきまして、事業者の負担、審査体制の整備等も考慮し、現在検討を進めているところでございます。

○小沢委員 おおむね床面積が半分の五千平米以上を目指しておると理解させていただきます。
 次に、今回の改正で省エネ性能も最低基準に適合する措置を義務づけるとのことでありますが、大規模建築物省エネ性能の現状はどうなっておるのか、またその状況を踏まえて、どのような水準を最低基準として設定していくのかをお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 建築物環境計画書制度におきましては、大規模建築物の断熱性と設備の省エネルギー性能につきまして、段階一から段階三という三段階で評価を行っております。
 断熱性と設備の省エネ性能の両方が最も低い段階である段階一にとどまっている建築物は、これまでの実績では、全体の件数の約二〇%、二割でございます。したがいまして、こうした一番低い段階の建築物の省エネ性能を向上させまして、全体におきましても底上げが図れるように最低基準の設定をしたいと考えております。

○小沢委員 現実的に有効な基準を設定していただきたいとお願いを申し上げます。
 そこで、建築物環境計画書制度は、中規模までマンションが対象になっておりますが、個別住宅の省エネ性能に向けて、今後都はどのように取り組んでいくか、お伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 現在、住宅設備の省エネ化を図るために、太陽光発電や太陽熱利用の飛躍的な拡大を図る仕組みづくりを進めております。また、高効率の給湯器の導入を促すための認定制度の構築と支援策の検討にも取り組んでいるところでございます。
 こうしたものに加えまして、今年度、都市整備局におきましては、既存住宅の省エネ改修を促進するため、設計手法や工法を募集、評価し、リフォーム業者向けのガイドをつくることを予定しております。戸建て住宅の省エネにつきましては、これら関係各局と連携を図りまして、都民や関係事業者に対する普及啓発などに努めてまいります。

○小沢委員 ありがとうございます。
 今、個別住宅の省エネの件でもご答弁いただきましたけれども、続いて家庭部門の温室効果ガスの削減対策についてお伺いいたします。
 家庭部門において、エネルギーの消費の約三割を占めるのが給湯です。現在、エネルギー消費率の高い待機熱回収型や潜熱回収型などの新しい技術が開発され、たしかエコキュートとかエコジョーズというような商品名で市場に出回っていると思います。
 経済産業省では、このような省エネ型の給湯器について、二〇一〇年までに五百二十万台の普及を図るとしていましたが、普及は十分に進捗していないように思われます。
 私は以前、都市整備委員会の場におきまして、二十六万戸ある都営住宅にこの設置の検討を求めたことがありますが、コストやスペースの課題がありまして、今後の検討事項ということになっております。
 そこで、家庭部門のCO2削減として、電気やガスを利用した家庭用の省エネ型小型給湯器を創設する認証制度、これをどのように普及させていくのかをお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 今回の条例改正案におきましては、電気やガスを利用しました家庭用の小型給湯器につきまして、CO2削減の観点から知事の情報提供努力義務というものを新設することとしております。
 この知事の努力義務に基づきまして、家庭用の低CO2型の高効率給湯器の認定制度を創設いたします。その情報の提供を行うことによりまして、都民が省エネ機器を選択しやすくなるようにしてまいります。
 あわせまして、本年二月にカーボンマイナス東京十年プロジェクトの施策といたしまして示しているとおりに、この高効率給湯器につきましては、その促進を図るために今年度、初期投資費用にかかる低利融資などの支援策の導入について検討を行うことになっておりまして、具体化を図っているところでございます。

○小沢委員 ぜひ普及が促進されるように努力をお願いしたいと思います。
 次に、ちょっと角度を変えまして、水循環という観点から雨水利用の推進について一点お伺いいたします。
 今、地球規模で異常気象が発生しております。東京都は都市化が進み、多くの地面がビルや舗装道路で覆われることから、集中的に降った雨のほとんどが地中に浸透することなく一挙に下水道に流れ込み、マンホールから逆流するなど、都市型水害を引き起こす原因の一つになっております。
 私の地元の墨田区ですが、長い水との闘いの歴史があります。雨と都市との共生を目指しまして、昭和五十八年に区立の児童館において本格的な雨水利用施設を設置したのを皮切りに、大型施設ですと、国技館ですとか江戸東京博物館、これらを含めまして、新設の施設には原則として雨水利用施設を導入するなど、積極的に雨水利用に取り組んでおるところです。
 区内には、ミニダムといわれまして、いわゆる雨水の貯水槽が、区の助成制度もありまして、現在大小合わせて三百基、総貯水量は一万一千トンを上回っております。これは、区民一人当たり約五十リットルに相当する量です。
 地元区のことを一部ご紹介いたしましたけれども、先ほど来からお話にもありました、今、東京都で進めております校庭の芝生化という大きな事業がございますけれども、芝生の上に降った雨--芝生の下というのはやはり砂地が多いんですね。芝生と砂を雨水が通ることによって、水が非常に浄化されます。その水を集めて貯蔵するということも非常に有効な手段の一つではないかと思っております。
 ただ、コストの面、そのほか課題もあるかと思いますけれども、環境局さんの方としても今後検討をしていただきたいとつけ加えさせていただきます。
 そこで、このように都市の中での雨水の利用を推進することが重要と考えておりますが、都の見解をお伺いいたします。

○中島自然環境部長 水資源は限りあるものでございまして、自然の恵みである雨水を大切に使うことは、特に東京のような大都市におきまして、健全な水循環を守る上でも重要なことであると認識しております。
 都の施設では、江戸東京博物館、それから都立の墨田川高校などにおきまして雨水利用施設が設置されております。環境局といたしましても、建築物環境計画書制度におきまして、大規模新築建築物に対しまして雨水等の利用による環境配慮を求めております。
 また、水循環に関する基礎的な調査を実施いたしまして、今後その結果を関係機関に提供するなど、環境と調和した雨水利用の推進を図ってまいります。

○小沢委員 今や、洪水対策に限らず、渇水、そして地震を初めとする災害、環境対策上、雨水利用の推進が欠かせないと思います。
 建物に降った雨は、集めてためる。地上に降った雨は、浸透させる。都市に降った雨水というのは、天からの恵みの産物として、フードマイレージではありませんけれども、地産地消と同様の発想で取り組んでいく必要があるのではないか、このように私は考えております。
 先ほど、墨田区の雨水の貯水槽をミニダムという表現をさせていただきましたけれども、都内全域にこのミニダムを増設するということが、この問題とは直接関係ないんですけれども、大きな八ッ場ダムの建設などよりも、もっと重要視して進めていくべきであると最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○大津委員 本日は、環境確保条例の改定等、活発な議論がされたところですけれども、そのCO2を吸ってくれる緑について、これも大きな問題であります。
 新たな環境基本計画では、「十年後の東京」などを踏まえて、緑が大きなテーマとなっておりますし、また今月、オリンピック候補都市として第一位で通過いたしましたが、緑と水のエコ都市ということも大きな誘致のキーワードになってくるかと思います。
 暑い都市空間での緑の創出というのは、大きな発展を遂げたきょうの首都東京において重要な意義のある取り組みであります。きょうは、屋上緑化や壁面緑化についてを中心にお伺いいたします。
 どうやら高度経済成長期で非常に水や緑を忘れたまちづくりをしてしまったようであります。渋谷区は、全体で千五百十一ヘクタールの面積がありますが、そのうち緑や水に覆われている面積は三百三十九ヘクタールであります。代々木公園や明治神宮などのまとまりのある緑の空間がある一方、残りの千百七十二ヘクタールは、つまり全体の七七%は、業務・商業ビル等のコンクリートに覆われている状態であります。
 ヒートアイランドや雨水浸透などのことを考えると、私はなるべく地面は覆うべきではないと思います。一般質問でも入れました川底においても、地面は覆うべきではないと思います。
 学校の校庭なども、土ぼこりの問題もあることはわかりますが、それは散水などで対応すれば解決することができます。簡単に人工芝やゴムチップの舗装などをすることは、疑問がないわけではありません。
 例えば運動会に行けばわかるように、土だったときと、それが例えば人工芝になったとき、またはダスト舗装のグラウンドとなったときでは、こうしたグラウンドと以前の土のグラウンドとを比較しますと、真夏の表面温度が八度も違うという都の実験データもありました。渋谷など、既にコンクリートで大部分が覆われておりまして、現実的に新しい緑の空間をまとめてつくり出すことが非常に困難な都市部では、ビルを緑で覆う屋上緑化、壁面緑化は有効な緑化の手段であります。
 渋谷駅周辺でいえば、戦争の後の焼け野原になったときが大きなまちづくりの、ある意味チャンスではありましたが、あのときには戦後の復興で一生懸命で、緑だとか水だとかは後手後手に回ってしまいました。
 今、副都心線が十四日に開通しまして、四年後に横浜まで一本化する、この四年間、緊急再生地域に指定されております。この四年間が、戦後初の、そして最初で最後のまちづくりの変革へのチャンスの時期。この時期を逃したら、またまちというのは五十年、百年、今のままで続いてしまうと思っています。
 渋谷などの緑化もそうですが、屋上緑化、壁面緑化を行う上でもう一つのポイントは、経費がかからない、手間がかからない、そして自然の摂理に逆らわない、この三点が大事であると考えております。壁面緑化であれば、地面に置いた植木鉢といいますか、プランターに植物を植えて壁面緑化をするくらいであれば、コンクリートを一部はがしてまでも、地面から大地から自然に植物を生育させて、壁に生やすべきであります。そうすれば、維持管理の手間も省けますし、また屋上緑化にしても、水の問題にしても、基本的には雨水で対応できるようなものが望ましいと思います。
 余り経費がかかる工法と手間がかかる方法は、広く普及させるためには障害となってしまいます。例えば、先日、遺産相続等で空き地になる敷地が一戸建て住宅で大変ふえていますが、そこを公有地にいたしました。一部花壇にもしたんですけれども、下をコンクリートで覆った上に巨大な植木鉢をつくり、町会に管理、生育を任せるということをしました。
 しかし、町会としましては、婦人部を中心に、手間がかかるし、赤れんが状の大きな植木鉢はすぐに水が出てしまうので、手間が大変であるという声も聞いております。そういう意味で、手間のかからない視点から何点か質問もしてまいりたいと思います。
 まず、東京都は緑化策として、自然保護条例に基づく緑化計画書制度で、一千平方メートル以上の敷地での建築行為に対しては、屋上などの緑化を義務づけております。そこで、これまでの成果として、どれぐらいの面積の緑が新たに創出されているのかをお伺いいたします。

○中島自然環境部長 屋上緑化等の成果でございますけれども、平成十三年から緑化推進のために、先生お話のように、自然保護条例によりまして、緑化計画書制度で一千平米以上の敷地での建築行為に対して、屋上等の緑化を義務づけてまいりました。
 条例施行から昨年度末までの七年間で、日比谷公園の五・五倍の広さに相当する約八十九ヘクタールの新たな緑が生み出されております。

○大津委員 八十九ヘクタールの緑が実現できたということであり、これは大変評価すべきことであると思います。
 そして、これに満足することなく、さらに一歩進めて、都民等がみずから進んで緑化に取り組んでいくことが、本当は望ましい姿であると思いますので、これも意見として申し上げておきます。
 次に、平成十五年夏、少し前のデータではありますけれども、東京都の環境科学研究所の実験によりますと、屋上緑化した部分と屋上緑化していない部分では、その表面温度が約三十度と約五十五度と、実に二十五度も差がありました。ヒートアイランド対策の効果があることが明確に実証されています。
 どうやら、暑い夏であれば、人は頭に帽子をかぶり遮断をするのですけれども、まちづくりの中で、ビルの頭に帽子をかぶせるということをどうも忘れてきてしまったようであります。ビルの帽子という意味であれば、太陽光発電装置を反射もしない熱くない装置として乗せるか、または緑の帽子をビルに乗せるか、もっとほかにいい方法があるかはこれから大いに考えていただきたいと思います。
 また、壁面緑化の効果としましても、都内のある中学校での実験では、ヘチマなどで緑化をした教室と、そうではない教室とでは、温度が〇・六度違うというデータもありました。
 都内の屋上緑化といいますと、渋谷でいえば、表参道ヒルズに建てかえられておりますけれども、一部、まだ今も残してあります表参道には、地面から生えたツタの絡まる同潤会アパートというのがあり、これはケヤキの並木、そして明治神宮に続く表参道の風格を一段と上げておりまして、観光ビジネス、訪れる人々にも潤いと安らぎを与えてまいりました。
 最近では、デパートの屋上なども緑化をされ、憩いの場として親しまれております。緑化には、このようにさまざまな効果があるかと存じます。
 最近、多くの区市町村においても、ヒートアイランド対策などを目的として屋上緑化や壁面緑化などを進める動きがあり、その取り組みとして、庁舎や学校などの公の施設の緑化を行う事例もふえつつございます。
 加えて、小規模な身近な緑化にみずから取り組む住民を支援する財政補助も行われております。渋谷区では、屋上緑化について見ると、一平方メートル当たり四千円の補助を行っております。
 現状では、屋上緑化、壁面緑化自体がまだまだ都民に広く知られていないと思います。そのため、屋上等の緑化のよさも十分に認識されるには、まだ至っていないかと存じます。
 そこで、東京都は広域的自治体として、住民みずからが取り組んでいる屋上緑化や壁面緑化の成果を広く都民に知らしめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 現在、都内の二十の区と一つの市におきまして、みずから緑化に取り組む住民を支援するため、屋上または壁面の緑化に対する財政支援制度が運用されておりまして、住民の方々による自主的な緑化が見られております。
 都は、広域的自治体である特性を生かしまして、関係区市と情報の共有化を図りまして、住民みずからが取り組む身近な緑化の事例を、例えば東京都のホームページなどで紹介することによりまして、屋上等の緑化の効果をわかりやすく都民に周知してまいります。

○大津委員 緑化分野では、日進月歩で、簡単な新規工法などが開発されると聞いております。東京都がこうした屋上などの緑化の効果や新しい簡単な工法などについて都民に広く紹介していくことは、緑化の普及を図る上で意義深いことであります。
 次に、現在の東京都の緑化計画書制度は、新しい建築物を建てる行為が対象となっており、緑化義務が課せられています。しかし、既にあります既存の建築物は、この制度の対象となっておりません。都内にある既存の非木造建築物は二百万棟以上あるといわれておりますが、今後新しい緑を創出する上で、これら既存建築物は大きな可能性があると考えます。新たな建築行為に対しては義務化をされているのに比べ、既存建築物に対する取り組みは少々おくれていると感じられます。
 東京都もこうしたことを踏まえてのことと存じますけれども、既存の建築物に対する屋上緑化を推進するため、今年度、モデル事業として、既存建築物の屋上緑化に対する補助事業を実施すると伺っておりますが、私としては、これからということではなく、もっと早く取り組んでもよかったのかなとも感じてはおります。いずれにしても、今年度モデル事業を実施するということであります。その意義、目的をお伺いします。
 また、今後の既存建築物の屋上緑化の普及にどのように取り組んでいくのかもあわせてお伺いいたします。

○中島自然環境部長 既存の建築物の屋上緑化につきましては、建物の荷重の問題を初めといたしまして、実施上のさまざまな課題がございます。そのため、現状では一律に制度として義務づけをすることは困難な状況にございます。
 今回のモデル事業は、既存建築物にも広く対応できる施工方法ですとか、あるいは緑化による効果などを検証することとともに、先導的なモデルとして広くムーブメントとして醸成していくことを目的としております。都といたしましては、今回のモデル事業を踏まえまして、その効果などを東京都のホームページや施工施設の一般公開などを通じまして、広く都民の方に周知することによりまして、既存建築物の屋上緑化の普及拡大に努めてまいります。

○大津委員 それでは最後に、先ほど局長も自然が万物をいやすといいますか、治すような発言をしてくださいましたけれども、局長の最後の結びの言葉も、思いもいただきながら終わりたいと思いますが、私たちの周りは、本当にコンクリートの建物が林立しております。また、無機質で潤いに欠けているところがあります。
 例えば、たまたま羽田から飛行機に乗って移動したところ、関東平野をずっと見おろしていますと、羽田から何と富士山のすそ野までずっと灰色の土地が一面に広がっているのを見て、よくぞここまで緑を忘れて日本をつくってきたものだと、いろいろな複雑な気持ちを持ちました。
 これらの建築物をいかにして緑化をし、景観的にも成熟した首都東京を形づくっていくかは、今後の都の緑政策、そして景観政策の中で大きな課題となると思われます。世界に誇れる品格、風格のある首都東京にしていくため、東京都はモデル事業などといわずに、もっと積極的にこれらの緑化に取り組んでいくことを要望し、また局長の結びの言葉をいただき、質問を終えたいと思います。

○吉川環境局長 きょうは、こいそ明先生が冒頭口火を切られて、今、大津先生が締められたわけですけれども、こいそ先生の最初のトップランナーのとき、最後に今後とも引き続きご指導、ご支援よろしくお願いしますといいましたが、重ねてその気持ちで申し上げたいと思います。
 ただ、多分、先生がおっしゃった緑の話でいうと、先ほど、ヒポクラテスがいった、すべての病を自然はいやすといったんですが、去年、私は六月一日に庁議室で環境局長の自己紹介というのをやるわけですね。あのとき私、いったのは、クリーンでグリーンな東京をつくりたい。環境行政の最適解を私どもの局の六百四十三名の全員ときわめていきたいというふうにいいました。そういう意味で決意を改めてしたところであります。
 引き続きよろしくお願いします。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項、東京都環境基本計画の策定についてに対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時五分散会

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