環境・建設委員会速記録第六号

平成二十年六月五日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長谷村 孝彦君
副委員長石森たかゆき君
副委員長小沢 昌也君
理事原田 恭子君
理事山田 忠昭君
理事今村 るか君
村松みえ子君
橘  正剛君
吉田康一郎君
矢島 千秋君
こいそ 明君
ともとし春久君
高橋かずみ君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
緑化募金担当部長庄司 貞夫君
参事浅川 英夫君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・中央環状品川線大井地区トンネル工事請負契約
・中央環状品川線シールドトンネル工事-二請負契約
報告事項(説明・質疑)
・平成十九年度東京都一般会計予算(建設局所管分)の繰越しについて
請願陳情の審査
(1)二〇第六号  築地川における不法係留船舶の取締りに関する請願
(2)一九第八三号 都立小山内裏公園内におけるドッグランの運営に関する陳情
 環境局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
報告事項
・東京都環境基本計画の策定について(説明)
・平成十九年度東京都一般会計予算(環境局所管分)の繰越しについて(説明・質疑)
陳情の審査
(1)二〇第五号 自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス試験に関する陳情
(2)二〇第六号 東京都環境影響評価技術指針の早期改定に関する陳情

○谷村委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動により、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の谷口陽子さんです。よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○谷村委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、予算の繰り越しに関する報告の聴取、請願陳情の審査並びに環境局関係の報告事項の説明聴取を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項、東京都環境基本計画の策定についてにつきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、また、予算の繰り越しに関する報告につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思います。ご了承願います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○道家建設局長 平成二十年第二回定例会に提出を予定しております案件につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料、建設局所管分をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、中央環状品川線大井地区トンネル工事外一件の契約案二件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明いたします。

○影山総務部長 それでは引き続き、提出予定案件の内容についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1をごらんいただきたいと存じます。
 契約案についてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。
 今回、提出を予定している契約案二件の件名は、目次に記載してあるとおりでございます。
 一ページをお開き願います。件名は、中央環状品川線大井地区トンネル工事でございます。
 本案件は、大井北換気所の地下構造部と、この換気所から大井ジャンクションへと向かう道路トンネルを、品川区八潮一丁目地内において構築する工事でございます。
 工事場所は東京都品川区八潮一丁目地内、契約の相手方は大林・西武・京急建設共同企業体、契約金額は百三十億二千万円、工期は平成二十三年六月三十日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で、一般競争入札によりまして、締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。トンネルの工事場所は、案内図のとおりでございます。
 三ページをお開き願います。トンネルの形状については、平面図、側面図のとおりでございます。
 次に、四ページをお開き願います。件名は、中央環状品川線シールドトンネル工事-二でございます。
 本案件は、慢性的な渋滞緩和や沿道環境の改善のために整備される中央環状品川線の道路トンネルを、大井北立て坑から大橋まで、シールド工法にて構築する工事でございます。
 工事場所は東京都品川区八潮一丁目地内から目黒区青葉台四丁目地内、契約の相手方は大成・大豊・錢高建設共同企業体、契約金額は四百七十二億五千万円、工期は平成二十五年三月十五日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で、一般競争入札によりまして、締結しようとするものでございます。
 五ページをお開き願います。トンネルの全長は、案内図、平面図のとおりでございます。形状につきましては、断面図のとおりでございます。
 以上で、平成二十年第二回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○谷村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○影山総務部長 十九年度予算の繰り越しについてご報告申し上げます。
 予算を翌年度に繰り越して使用する場合は、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条第三項の規定によりまして、議会に報告することとされております。
 お手元の資料2、平成十九年度繰越説明書の一ページをお開き願いたいと思います。平成十九年度繰越明許費総括表でございます。
 表の一般会計、土木費の行をごらんください。
 土木費のうち、今回、明許繰越を生じた事業の予算現額は三千四百六十億八千七百六十二万八千円で、繰越明許費の予算議決額は四百四十六億六千四百六十万円、その中から三百八十二億一千二十九万四千円を翌年度へ繰り越しするものでございます。
 財源は、分担金及び負担金、国庫支出金、都債及び繰越金でございます。
 次に、用地会計の行をごらんください。
 この会計は、財務局の所管でございますが、当局が執行委任を受けて、執行したものでございます。
 翌年度繰越額は一億八千九百六十三万九千円でございます。
 一般会計と用地会計を合わせた翌年度繰越額の合計は、三百八十三億九千九百九十三万三千円でございます。
 三ページをお開き願います。繰越明許費についてご説明申し上げます。
 番号1の土木補助、2の生活再建資金貸付は、土木管理費でございます。
 繰り越しの理由は、それぞれ説明欄に記載してございますとおり、市及び町の道路工事に伴う関係機関との調整や用地取得に伴う関係人との折衝、及び生活再建資金借受者の建物再建等に日時を要したことによるものでございます。
 次に、四ページをお開き願います。
 3、道路補修から七ページの9、道路災害復旧までは、道路橋梁費に係る繰越明許費の詳細を掲げてございます。それから七ページ下の欄、10、河川防災から九ページの14、河川災害復旧までは河川海岸費の詳細を、それから一〇ページの15、公園整備と16、霊園葬儀所整備は、公園霊園費の詳細をそれぞれ記載してございます。
 それぞれの主な繰り越しの理由でございますが、工事に伴う関係機関及び地元住民との調整、降雪による工事の一時中止、杭の打設工法再検討、及び用地取得に伴う関係人との折衝等に日時を要したことなどによるものでございます。
 一二ページをお開き願います。用地会計による公共用地先行取得でございます。
 繰り越しの理由は、用地取得に伴う関係人との折衝に日時を要したことによるものでございます。
 次に、一三ページをお開き願います。平成十九年度事故繰越総括表でございます。
 予算の繰り越しは、繰越明許費の議決をいただいて行うのが原則でございますが、避けがたい事故のため、年度内に支出が終わらなかった経費につきましては、地方自治法第二百二十条第三項のただし書きの規定に基づき、事故繰越として翌年度に繰り越して、使用することができることになっております。
 表の一般会計、土木費の行をごらんください。
 翌年度繰越額は七億六百二十三万二千円で、財源は国庫支出金と繰越金でございます。
 用地会計の翌年度繰越額は二千四百九十二万四千円で、財源はすべて繰越金でございます。
 翌年度繰越額の合計は七億三千百十五万六千円でございます。
 一般会計の事項について説明いたします。
 一五ページをお開き願います。
 1、生活再建資金貸付は土木管理費に係る事故繰越の詳細を、一五ページの下の欄、2、交通安全施設から、一六ページの4、街路整備までは道路橋梁費の詳細を、一七ページの5、公園整備は公園霊園費の詳細を、それぞれ記載してございます。
 繰り越しの理由でございますが、それぞれ生活再建資金借受者の建物再建、あるいは先行工事の遅延及び用地取得に伴う物件移転に日時を要したため、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 一九ページをお開き願います。用地会計による公共用地先行取得でございます。
 繰り越しの理由は、用地取得に伴う物件移転に日時を要したことによるものでございます。
 以上で、十九年度予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○谷村委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○谷村委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、二〇第六号、築地川における不法係留船舶の取締りに関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高橋河川部長 お手元にございます資料3の請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、整理番号1の請願二〇第六号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、築地川における不法係留船舶の取締りに関する請願で、中央区の築地浜離宮地区自治会会長関口敏幸さんから提出されたものでございます。
 要旨は、国の特別名勝・史跡に指定されている浜離宮恩賜庭園に隣接する築地川に多くの船舶が係留されているが、そのほとんどが許可を得ていない不法係留である。浜離宮恩賜庭園の文化財保全及び環境の悪化につながるこれらの不法行為を取り締まり、浜離宮恩賜庭園にふさわしい安全で快適な街並みを実現できるよう改善していただきたいというものでございます。
 安全で秩序ある河川利用を実現するためには、川の流れを阻害し、景観を損ね、船舶航行の支障となっている不法係留船の適正化が極めて重要であります。このうち、プレジャーボートにつきましては、都はその受け皿となる係留保管施設を整備するとともに、指導、警告に努めてまいりました。
 さらに、平成十四年に船舶の係留保管の適正化に関する条例を定め、旧江戸川、新中川など六河川におきまして、順次区域指定をするなど取り締まりを強化し、これまで不法係留船の六割に当たる約六百隻を適正化してまいりました。
 しかし、築地川には、二十年四月現在、いまだ約七十隻の不法係留船があります。中には、電力線を引き、事務所として使用するなど容易に移動できない状態の船もあり、他の船舶の航行の支障となっております。
 また、国の特別名勝・史跡に指定されている浜離宮恩賜庭園の文化財保護区域内にも十隻を超える船舶が不法に係留され、景観を損ねております。当地区の景観の回復は、築地川左岸の築地市場がオリンピック開催時のプレスセンターの予定地であることからも、喫緊の課題となっております。
 このため、十九年七月から、築地川を管理する中央区とともに是正措置を行い、これまで所有者への指導、指導書の送付及び警告書の掲示をそれぞれ三回実施したところであります。
 今後は、本請願も踏まえ、法的措置も視野に入れながら、指導警告等の取り組みを強化し、不法係留船を適正化してまいります。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○高橋委員 私から、請願二〇第六号、築地川における不法係留船舶の取締まりに関する請願についてお尋ねいたします。
 今、部長から詳細な説明をお受けいたしましたけれども、秩序ある河川利用につきましては、私がさきの予算特別委員会で質問し、知事答弁をちょうだいしたところでございますけれども、かつて江戸時代の東京の町は、葛飾北斎の浮世絵にあるように、川や運河が縦横に流れる水の都だったといわれております。「十年後の東京」で描かれたとおり、緑に囲まれ、水辺と共存した都市空間をつくり出し、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を再生することが強く求められております。
 この点、昨今、隅田川のスーパー堤防など、緑化され眺望の開けた魅力ある水辺空間がつくられ、東京の新しい顔として人々の憩いの場になりつつあることは、大変喜ばしいことだと思います。
 都がこれまで積極的に取り組んできた不法係留船の取り締まりは、秩序なく係留された船舶を適正な場所に移動させることで、こうした水辺の都市景観の向上に大いに貢献しております。
 まず最初に、本件築地川周辺地区は、文化財である緑深い浜離宮恩賜庭園に隣接し、水と緑の共存した都市景観を考える上で、特に配慮すべき場所であると考えます。
 そこで、このような築地川に約七十隻の不法係留船があるということでありますが、これはどのようなものなのか、まずお伺いいたします。

○高橋河川部長 築地川は延長七百五十メートルの二級河川であり、日常の維持管理は中央区が行っております。しかしながら、約七十隻のヨットやプレジャーボートなどの船舶が許可なく無秩序に係留され、河川管理上支障があるばかりでなく、この地域の環境を著しく損なっていることから、都も中央区と連携し、適正化に努めております。
 区とともに実施した調査により、その大半の船舶は、許可がないにもかかわらず係留施設を自主管理していると主張している団体に関係していると判断しております。この団体は、係留船舶に事務所を構え、有料で船舶を係留させるとともに、クルーザーの貸し出しなどを行っております。また、この団体の代表者は、ここを拠点として船舶の販売及び管理の会社も経営しております。
 なお、本年四月現在、不法係留されている船舶約七十隻のうち、半数以上の船舶が、例えば自動車でいう車検証に当たる有効な船舶検査証書を有しておらず、適法に航行できないものでございます。

○高橋委員 次に、都民の貴重な水辺景観や環境が損なわれている上、不法に、今お伺いしたように、このような利用をしているという状態は到底見過ごせるものではないと考えます。
 そこで、こうした築地川の不法係留者に対し、都はこれまでどのように対応してきたのか、伺います。

○高橋河川部長 都は、不法係留船の受け皿となる係留保管施設を整備するとともに、平成十四年には東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例を定め、六河川におきまして順次区域指定し、船舶の適正化を進めてまいりました。この結果、不法係留船のプレジャーボートの六割に当たる約六百隻を適正化いたしました。
 築地川におきましては、平成元年三月に、不法に桟橋、店舗の工作物を設置した、先ほどの団体とは異なる会社でございますが、株式会社ジィー・エム・シーに対し、行政代執行を実施いたしました。その後、この代執行などをめぐり、訴訟が提訴されました。しかしながら、平成六年に都側が全面勝訴しております。
 近年では、十七年九月に中央区が不法係留船の所有者に警告したのを皮切りに、十八年度からは都も加わり、体制を強化し、船舶へ警告文書の貼付など、これまで九回の指導、警告を行ったほか、二十年三月には所有者不明の八隻の沈没船を撤去処分いたしました。

○高橋委員 最後に、これまで都が不法係留船舶を移動させる努力をしてきたことはわかりましたが、それでもまだ多くの不法係留船が残っている現状があります。今後はさらに強い態度で臨むべきではないかと考えます。
 そこで、今後の都の取り組みについて伺います。

○高橋河川部長 今後は係留施設を管理していると主張している団体や、それぞれの船舶所有者に対し、期限を設定し警告するなど指導を強化し、移動を促進してまいります。
 さらに、本年十二月を目途に、東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例の適用区域に指定し、自主的に移動しないものにつきましては、法的な措置も視野に入れ、断固たる決意を持って不法係留船舶を適正化してまいります。
 なお、適正化後は、本区域の特性を踏まえ、関係機関や地域住民の幅広い意見を聞きながら、人々に豊かさと潤いのある水辺空間となるよう努めてまいります。

○高橋委員 浜離宮恩賜庭園には、外国人観光客を含め年間六十二万人の利用者が訪れると仄聞しております。築地川の不法係留船舶を一掃し、築地浜離宮地区にふさわしい、東京が内外に誇れる水辺環境を早く、スピードアップして実現するよう強く要望しておきたいと思います。
 以上です。

○吉田委員 私からも、築地川の不法係留についてお伺いをいたします。
 ただいま高橋委員から非常に適切な質疑を拝聴いたしましたけれども、都の説明によりますと、この団体は許可がないにもかかわらず、この築地川で船舶で事務所を構えて、会員を募集し、営利事業、営業行為を行っているということであり、都民の目からして、このような不法占有の状態は、もう一刻もこれは適正化されなければいけない、許されるものではないと私も考えます。都民の都政に対する信頼を裏切らないためにも、早期の取り締まりを行うべきであると考えます。
 そこで、まず確認でありますが、聞くところによりますと、これらの船舶の中には二十年近くも不法係留を続けているものがあるとのことでありますけれども、このような長期間の占有を続けていることによって時効が成立するなどして、何らかの権利を取得してしまうようなことがないのかどうか懸念されるのですが、そのような問題がないのか、確認をいたします。

○高橋河川部長 一般に民法では、他人の物や権利を長期間継続して占拠して使用する状態が続くと、その事実をもって他人の物の所有権やその他の権利があるものと認める時効取得という制度があります。しかし、本件の場合、船舶が係留されている水面には、河川法の規定により、そもそも権利の設定ができないため、占用を続けても時効によって所有権を初め何らかの権利が取得されることはありません。
 また、工作物が設置してある本件土地につきましても、国有財産法の規定により、許可しない限り権利設定はできないとともに、河川としての機能や形態をなくすなどの特別な事情があるとき以外は、時効により所有権を取得することはありません。したがって、本件におきまして、何らの権利を取得することはありません。

○吉田委員 ただいまのご答弁を聞いて安心をしましたけれども、やはり権利が発生しないからずっとほっておくわけにはもちろんいかないわけで、一刻も早い適正化が求められます。
 そこで、都の取り締まりの状況についてお伺いしますけれども、この係留施設を管理しているとする団体は、そのホームページの中で係留施設の宣伝を行い、楽しそうなプレジャーボートの写真を掲載して、これが合法であれば非常に魅力的なホームページなんですが、利用者を募っております。
 都は、この団体に築地川を占有することの違法性を通告し、事業を継続する意図を断念させるために、そしてまた、関係者や都民に都の取り締まりの姿勢を明確に示すためにも、この団体に対してホームページの閉鎖を要請すべきではないかと考えます。
 また、この船には警告書を張っているということでございますけれども、道路の通行人や、この施設の利用者に、この係留施設に行く際に必ず目につくように、ここが違法な係留施設であるということがわかるように、紙を張るというだけでなくて、固定した、例えばプラスチック製の、例えばここは危険だから入らないでくださいというようなのが、よく工事現場にプラスチックの二ミリぐらいの厚さの物がありますけれども、ああいう固定した警告看板を目立つところに設置して、明確に意思を示すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋河川部長 都は、中央区と連携いたしまして、築地川のこのような不法で無秩序な状態を是正するため、この団体に対しまして、これまで指導、警告を繰り返してきました。今後は、先生のお話しのホームページの閉鎖要請や、警告看板の設置なども含め、航路を管理している海上保安庁などの関係機関と連携を強化し、さまざまな方策を講じて適正化に努めてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。私からも、都は、一刻も早い適正化に向けて、最終的には代執行といった法的措置も含めて、毅然として対応していただくことをお願いいたしまして、これで質問を終わります。

○矢島委員 私の方から、先ほどお二人の方から質問がありましたので、その内側の話をちょっとお聞きしたいんですが、河川管理上の問題の条例上の権限はどこにあって、そして今回お話を聞いていますと、中央区の所管が担当しているということでしたが、その関係はどうなっているのか、お伺いいたします。

○高橋河川部長 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例によりますと、まず、通常の維持管理でございますが、日常点検、河川監察、占用の許認可及び料金徴収など、平常的な管理につきましては、区が行うこととなっています。
 また、不法行為に対する代執行、それから法的措置及び所有者不明の沈没船の処理など、いわゆる特殊事例につきましては、東京都が行うこととしております。
 また、維持修繕でございますが、除草、清掃、水質対策など日常的なもの、あるいはフェンス、護岸補修などの修繕につきましては、区が行うこととなっています。
 河川改修、それから水門等の耐震強化、船団によるしゅんせつやごみ清掃など、あるいは災害復旧など大規模な事業につきましては、都が行うこととなっております。

○矢島委員 先ほどの説明で、六年に勝訴をしたということは、その時点で一応撤去をされているというふうに想像しますが、この件に関して同じ事業者が同じことを再びやっているのか、次にこれを伺います。

○高橋河川部長 先ほど申し上げましたように、撤去した事業者と現在の事業者は違っております。経過がございまして、向こうの主張で定かには確認できないんですが、昔あった占用許可物を転々と売買したと、ない権利を売買して今日に来ているということを主張しております。でも、権利がありませんので、そんなことはない。
 ただ、代執行した相手と、この代執行の訴訟は最高裁までいったわけですが、今、私たちが取り組んでいる相手は別人でございます。

○矢島委員 かつてモノレールに乗ると見える位置だろうと思いますけれども、大変興味深くモノレールに乗るたびごとに見ておりました。どうしてああいう形が許されるのか。かつてのときは多分、堤防の上に建物なる物があったような気がいたしますけれども、そういうことを含めまして、一度撤去をして、ある程度の年限を置いて、同じ事業者がどうであるかは別にして、ああいう形の物がいっとき許されていたのであれば、それに対して何らかの、それを知っている人間は対応の方法を考えてくることは大いに考えられるわけです。
 そうなると、中央区と東京都の関係で、その管理の問題、そして最終責任の問題、この辺で十分取り組みを東京都が責任を持ってやっていかなければいけない、この課題が出てくるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○高橋河川部長 まず、取り組みにつきましては、先ほど来ご説明申し上げておりますように、一千隻ぐらい不法船があったところ、広いところから代執行を繰り返しながら今日の六百隻までもってきました。
 それから今、先生お尋ねの区と私たちの役割分担のところでございますが、築地川の是正指導は中央区がやっているんですが、指導に従わない者の法的措置は都の役割となっています。このように一つの河川を複数の管理者が役割を分担しております。そこで、すき間が生じないようにして管理していかなければ、この管理は適正にできません。私どもはこのことを強く意識いたしまして、区への事情説明はもとより、定期的な連絡会議、それからホームレスや不法船対策の個別問題の調整会議など、きめ細かに、かつ緊密に区と連携するよう、これまで努めてまいりました。今後もこの努力を引き続き、続けて頑張ってまいりたいと考えております。

○矢島委員 今のご説明で、それぞれの役割の中でしっかりやっているというのは認識をしていますし、また、河川行政の不法係留の船に対していろいろな形で努力をしている、簡易係留所を設けたり、積み立てるというのは、少ない人員の中で努力しているのは、私も非常に評価するところです。けれども、やはりこういう問題が起きたときには最終責任者が積極的に動かなければ、担当の管理、要するに通常の所管をしているところはなかなかその先に行きにくいところがあろうと思いますので、東京都がほかの場所の管理をやっていると同じように、積極的に区が動きやすくなるように、最終的な責任をとる役割をとっていただければと思います。
 今までの、それから、これからの動きに対していろいろな課題が出てくると思いますから、一つ一つつぶしながら、ぜひよい河川管理になりますように、また、水辺は東京にとりまして、江戸の時代はすべて水辺にあって、山の手に広がって行ったから、山の手が中心だったような印象がありますけれども、やはり水辺とともに江戸の町から始まる東京があったわけですから、その親水性をさらに増して、単に管理だけではなくて、都民、区民の皆さん方のDNAの中にそういう部分があると私は信じておりますけれども、それに対する提供の場を考えて、対応していっていただければと思います。
 ご承知のように、中古艇というのは中古の自動車より安いです。安いですから、管理もしっかりして、本当にそれが身近な物になれば、多くの人が利用されるようなことになろうと思いますので、そういうことの底辺の広がりは、今あるかどうかではなくて、この先に対するしっかりした展望を持って初めてできることですから、含めてお願いをして、私は終わります。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第六号は採択と決定いたしました。

○谷村委員長 次に、一九第八三号、都立小山内裏公園内におけるドッグランの運営に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○北村公園緑地部長 整理番号2、陳情一九第八三号をお開き願います。
 本件は、都立小山内裏公園内におけるドッグランの運営に関する陳情で、八王子市の仮称ドッグラン建設推進協議会発起人の山田博さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都立小山内裏公園内に平成十八年六月に開設されたドッグラン及び当該公園において、次の二点を実現していただきたいというものでございます。
 第一に、当該ドッグランを、公を担う団体の活動拠点、都民協働の拠点として位置づけること。第二に、上記の活動を継続的に推進するため、原則徒歩で来園することなど、十一項目のドッグランの利用登録条件を設定することでございます。
 この要旨に対する現在の状況でございますが、ドッグランは、囲まれたスペースの中で、飼い主がマナーを守り、犬を自由に遊ばせる場所であり、公園利用者と犬との共存及び分離策として有効であります。
 ドッグランの設置に当たりましては、一般の公園利用者への影響が少ないなど、設置可能な場所が確保できること、管理運営についてボランティア団体の協力が得られることなどを条件としております。
 今回陳情が提出されました都立小山内裏公園では、平成十八年六月一日に約二千六百平方メートルの広さのドッグランを開設いたしました。
 ドッグランは、ボランティア団体との協働により管理運営を行っておりますが、特定団体がドッグラン以外の活動拠点とすることはふさわしくございません。
 次に、都立公園のドッグランは、犬に一年以内に予防接種を受けさせていること、ふんなどは持ち帰ることなど、利用規約を遵守すればだれでもが利用できる施設であり、徒歩での来園に限定したり、管理サポート組織への加入を義務づけるなどの条件を設定することは認められません。
 なお、現在の利用規約は、平成十九年十二月の利用登録制度導入に当たり、公園管理者とボランティア団体とが協議し、合意の上設定したものであり、この利用規約により現在、ドッグランはおおむね円滑に運営が行われております。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○今村委員 それでは、小山内裏公園のドッグランについて質疑をさせていただきたいと思います。
 ご承知のとおり、私の町田市と、また八王子市にまたがる小山内裏公園であります。
 お聞きするところによると、東京都がドッグランを設置をする意義というのは、近年のペットブームを背景に、犬を自由に遊ばせる場所を求める都民の声が高まる一方、公園内での放し飼いなどの苦情も増大していることから、その対策として設置をしていること、また、囲まれたスペースの中で、飼い主がマナーを守り、犬を自由に遊ばせる場所であり、公園利用者との共存及び分離策として有効であるというふうに聞いております。
 現在、都立公園にドッグランが九カ所、多摩地域には三カ所あるというふうにお聞きをしております。
 この陳情には、さまざまな十一項目などの要望が入っておりますけれども、その幾つかは陳情者もいっているように、既に取り入れられているということでありますけれども、まだまだこのドッグランの設置を求める声は多数あるというふうに思います。
 それぞれの地域で、今九カ所で活動しているボランティア団体などがあるわけでありますので、さらにそうしたドッグランなどを設置をしていくのか、まず確認をさせていただきたいというふうに思います。
 さらに、公園内や、公園に限らず、地域で犬を散歩させながら防犯や安心・安全に貢献しようという、いわゆるパトロールの取り組みが町田市内を初め、東京都内でも多数行われていると聞いておりますけれども、こうした取り組みも一つの大変有効な手段ではないかというふうには認識をいたしますので、こうした取り組みについての意義を東京都はどうとらえていらっしゃるのか、このことについてお聞きをしたいと思います。

○北村公園緑地部長 都立公園におけるドッグランの設置に当たりましては、一般の公園利用者に影響がないよう必要な場所を確保できること、公園周辺道路の違法駐車を防止するため、駐車場が確保されていること、施設の運営にボランティア団体の協力が得られること、さらに、公園利用者や公園周辺の住民への影響が考えられますことから、近隣住民の理解が得られることを条件としております。
 今後とも、これらの条件を満たす場合には、地域の実情を考慮しつつ、ドッグランを設置してまいります。
 また、幾つかの都立公園では、都民の方たちがボランティアとして公園内や、その周辺を自主的にパトロールしていただいており、安全な公園づくりに貢献いただいていると認識しております。

○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、より身近な場所にこうしたドッグランができれば、車の問題の改善にも貢献をするでしょうし、また、義務づけはなくても既にパトロール等がされていて、その意義も認めていただいておりますので、こうしたことが広がることを期待をして、なかなか義務づけは難しいということも理解をいたしましたので、質疑をこれで終了いたします。

○原田委員 都立小山内裏公園内におけるドッグランの運営に対する陳情に対して、不採択の立場で討論します。
 人間関係が希薄になっている現代において、ペットとの暮らしは人生に潤いや安らぎをもたらしている大きな要因になっています。そのペットとの暮らしの中で、新たな都民要望として出てきたのがドッグランです。現在、九カ所の都立公園に設置され、管理運営は都とボランティア団体との協働で行われているということです。東京都という大都会の中で思い切って走ることが許される場所で、ペットにとっても飼い主にとってもうれしい施設で、事実多くの都民に利用されています。
 さまざまな価値観の人、立場の違う人がいる中で、公立の施設は緩やかな規則の中で、だれもが気持ちよく利用できることが第一の条件ではないでしょうか。
 この陳情内容は、まさに多くの愛犬家に守っていただきたい事項でもありますが、ほかのドッグラン利用者はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
 現実を見て、このようなルールが本当に必要と考えるならば、まず、小山内裏公園の利用者の話し合いの中で、総意としてまとめていくことが求められると思います。議会の力をかりて決める範囲ではありません。行政は、このような問題について、市民同士の話し合いをコーディネートすることが役割ではないかと考えております。
 今後、市民が主体となって決めていくためのサポートが行政の重要な仕事になってくると考えます。
 以上、意見を申し上げて、不採択の討論とします。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一九第八三号は不採択と決定いたしました。
 これをもって陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○谷村委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動により、幹部職員に交代がありましたので、環境局長から紹介があります。

○吉川環境局長 四月一日付の人事異動によりまして、新たに説明員となりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 緑化募金担当部長の庄司貞夫でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○谷村委員長 紹介は終わりました。

○谷村委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○吉川環境局長 平成二十年第二回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十年第二回都議会定例会提出予定案件の概要をごらん願います。
 今回、提出を予定しております案件は、条例案二件でございます。
 一枚おめくり願います。
 条例案の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これは、現在及び将来の都民の健康で安全かつ快適な生活環境に支障を及ぼす問題である気候変動の危機を回避し、東京を低炭素型都市へ移行させるため、これまで以上に地球温暖化の対策の推進を図るための規定を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 次に、温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これは、温泉法の一部を改正する法律の施行に伴い、温泉の採取の許可等に係る手数料の規定を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 以上が、今定例会に提出を予定しております条例案の概要でございます。
 詳細につきましては、引き続き、環境政策部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤環境政策部長 それでは、平成二十年第二回定例会提出予定案件の詳細につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、資料2をごらんください。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をめくって、一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、現在及び将来の都民の健康で安全かつ快適な生活環境に支障を及ぼす問題である気候変動の危機を回避し、東京を低炭素型都市へ移行させるため、これまで以上に地球温暖化の対策の推進を図るための規定を設けるほか、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、まず、(一)、地球温暖化の対策の推進でございます。
 この節におきましては、温室効果ガス排出事業者に対し、地球温暖化の対策の推進等を義務づけております。
 次に、(二)、大規模事業所からの温室効果ガス排出量の削減でございます。
 この節におきましては、ア、指定地球温暖化対策事業所及び特定地球温暖化対策事業所の指定手続等を規定しております。
 イ、特定地球温暖化対策事業者に対し、みずからの削減または他者の削減量の取得(排出量取引)による温室効果ガス排出量の削減を義務づけております。
 ウ、排出量取引に必要な削減量口座簿に関する申請手続等を規定しております。
 エ、指定地球温暖化対策事業者に対し、地球温暖化対策計画書の作成、提出、公表、統括管理者等の選任、テナント等事業者との地球温暖化対策の協力推進体制の整備等を義務づけております。
 オ、特定テナント等事業者に対し、特定テナント等地球温暖化対策計画書の作成、提出、地球温暖化の対策の推進等を義務づけております。
 カ、登録検証機関の登録手続等を規定しております。
 次に、(三)、中小規模事業所からの温室効果ガス排出量の削減でございます。
 この節におきましては、ア、地球温暖化対策事業者に対し、当該事業所等ごとの地球温暖化対策報告書の作成、提出、公表、地球温暖化の対策の推進を義務づけております。
 イ、温室効果ガス排出事業者について、アにより地球温暖化対策報告書が提出された事業所以外の中小規模事業所における地球温暖化対策報告書の任意提出を規定しております。
 次に、(四)、地域におけるエネルギーの有効利用でございます。
 この節におきましては、ア、特定開発事業者に対し、省エネルギー性能目標値の設定、有効利用が可能なエネルギーを利用するための設備の導入検討、地域冷暖房の導入検討、エネルギー有効利用計画書の作成、提出、公表、地域冷暖房を導入する場合の地域エネルギー供給計画書の作成、提出、公表等を義務づけております。
 イ、地域エネルギー供給事業者に対し、エネルギーの有効利用に必要な措置の実施、地域エネルギー供給実績報告書の作成、提出、公表等を義務づけております。
 ウ、エネルギーの有効利用にかかわるその他事業者に対し、特定開発事業者への協力等を義務づけております。
 エ、地域冷暖房区域の指定手続等を規定し、指定された地域冷暖房区域内の建築主等に対し、熱供給の受け入れについての検討を義務づけております。
 次に、(五)、建築物に係る環境配慮の措置でございます。
 この節におきましては、ア、特定建築主について、建築物環境計画書の任意提出等を規定しております。
 イ、大規模特定建築主に対し、環境配慮の措置の実施、再生可能エネルギーを利用するための設備の導入検討、建築物環境計画書の提出等を義務づけております。
 ウ、特別大規模特定建築主に対し、省エネルギー性能基準の遵守、建築物環境計画書の提出等を義務づけております。
 エ、特定マンション建築主に対し、現行の販売広告に加え、賃貸広告にもマンション環境性能表示の表示を義務づけております。
 四ページをお開き願います。
 オ、特別大規模特定建築主に対し、省エネルギー性能評価書の作成及び特別大規模特定建築物の売却・賃貸・信託の受益権の譲渡時の交付等を義務づけております。
 次に、(六)、家庭用電気機器等に係る温室効果ガスの排出の削減でございます。
 この節におきましては、ア、家庭用電気機器等を設置しようとする者等について、省エネルギー性能及び再生可能エネルギーの利用による地球温暖化の防止に係る性能のすぐれた機器の設置等の努力義務を規定しております。
 イ、知事について、地球温暖化の防止に係る性能のすぐれた家庭用電気機器等の情報提供の努力義務を規定しております。
 ウ、家庭用電気機器等の販売事業者・製造事業者・輸入事業者について、現行の省エネルギー性能に加え、再生可能エネルギーの利用による地球温暖化の防止に係る性能の情報提供の努力義務を規定しております。
 エ、家庭用電気機器等の製造事業者について、省エネルギー性能及び再生可能エネルギーの利用による地球温暖化の防止に係る性能のすぐれた機器の開発の努力義務を規定しております。
 次に、(七)、小規模燃焼機器に係る二酸化炭素の削減でございます。
 ここでは、ア、小規模燃焼機器を設置しようとする者について、現行の窒素酸化物の排出量の少ない機器の設置努力義務を、窒素酸化物及び二酸化炭素の排出量の少ない機器の設置努力義務に改正します。
 イ、知事について、現行の窒素酸化物の排出量の少ない機器の情報提供努力義務を、窒素酸化物及び二酸化炭素の排出量の少ない機器の情報提供努力義務に改正します。
 次に、(八)、実効性の確保に係る規定でございます。
 制度の実効性を確保するため、ア、特定テナント等事業者、地球温暖化対策事業者、特定開発事業者、特定建築主等に対する指導助言を規定しております。
 イ、指定地球温暖化対策事業者、特定テナント等事業者、地球温暖化対策事業者、特定開発事業者、特定建築主等に対する勧告を規定しております。
 ウ、特定地球温暖化対策事業者等に対する措置命令を規定しております。
 エ、立入検査、立入調査、報告の徴収、違反者の公表の規定について、(一)から(七)までの改正に合わせて改正しております。
 オ、罰則の規定について、(二)の改正に合わせて改正しております。例といたしましては、特定地球温暖化対策事業者等に対する措置命令違反に対して、五十万円以下の罰金に処する旨を規定しております。
 次に、(九)、その他規定整備についてでございます。
 揚水規制及び汚水の基準に関し、所要の規定を整備しております。
 三、条例の施行日でございますが、(一)、地球温暖化の対策の推進から、次の六ページにわたりまして、(九)、その他規定整備までの各規定につきまして、それぞれの規定の内容に応じて、資料に記載のとおりとしております。
 次の七ページから四四ページまでは本条例案、四五ページから九七ページまでは新旧対照表でございます。
 資料2の説明は以上でございまして、続きまして、資料3をごらんください。
 温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をめくって、一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、温泉法の一部を改正する法律の施行に伴い、温泉の採取の許可等に係る手数料の規定を設けるほか、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、まず、(一)、手数料を徴収する事務並びにその手数料の名称、額及び徴収時期を規定する別表に、次の事務に関するものを規定しております。
 まず、ア、温泉の採取の許可の申請に対する審査でございます。
 次に、イ、温泉の採取の許可を受けた地位の承継の承認の申請に対する審査でございます。
 ウ、可燃性天然ガスの濃度の確認の申請に対する審査でございます。
 エ、土地の掘削、湧出路の増掘、または温泉の採取のための施設等の変更の許可の申請に対する審査でございます。
 二ページをお開き願います。
 (二)、温泉法の目的に、可燃性天然ガスによる災害の防止が追加されたため、それに伴い条例の題名を、次のとおり変更しております。
 温泉法に基づく温泉の保護等に係る手数料に関する条例でございます。
 三、条例の施行日でございますが、(一)、温泉法の一部を改正する法律附則第六条の規定による確認の申請に対する審査手数料に係る部分につきましては、平成二十年八月一日からとしております。
 (二)、(一)を除く部分につきましては、平成二十年十月一日からとしております。
 三ページから六ページまでは本条例案、七ページ及び八ページは新旧対照表でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○村松委員 八点お願いします。
 一点目、高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況の推移。
 二点目、自動車から排出されるCO2削減対策の進んでいる大都市の取り組み状況。国内、国外を含んで。
 三点目、地球温暖化対策で進んでいる事例を、国内、国外を含めてお願いします。
 四点目、世界の主要都市の一人当たりのCO2の排出量。
 五点目が、東京における自動車保有台数の推移、過去三十年間。
 六点目が、世界の主要都市のCO2排出削減を九〇年比でお願いします。
 七点目が、東京における航空、船舶のCO2排出量。これは十五年間お願いします。
 最後、太陽光パネルの普及状況を三十年間お願いします。
 以上です。

○谷村委員長 ただいま村松委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○谷村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、東京都環境基本計画の策定についての報告を聴取いたします。

○長谷川環境政策担当部長 東京都は、本年三月三十一日に、新たな東京都環境基本計画を策定いたしましたので、ご報告いたします。
 この新たな環境基本計画につきましては、東京都環境審議会におきまして、一昨年五月から二年近くにわたり審議を重ね、都民の皆様や区市町村のご意見もちょうだいし、本年二月二十九日に審議会からそのあり方についてご答申をいただきまして、答申への議会でのご議論もいただきまして、これを踏まえて策定したものでございます。
 計画の本編は、資料5のとおりでございますけれども、お手元の資料4の概要版に基づきまして、説明させていただきます。
 資料4の四ページをごらんください。
 従来の東京都環境基本計画は、平成九年に策定し、平成十四年に改定して以来、六年が経過しておりましたが、この間に策定いたしました「十年後の東京」や気候変動対策方針など、これまでの取り組みの成果や課題、国内外の社会状況の変化も踏まえて、新たな計画を策定したものでございます。
 次に、六ページをお開きください。
 まず、計画の策定に当たっての東京都が直面する環境問題についての認識及び目指すべき都市の姿と果たすべき役割でございますが、左側にありますとおり、気候変動の危機の顕在化、環境汚染に対する予見的かつ継続的な対応の必要性、より質の高い都市環境の形成による都市の魅力の向上の三点を新たな認識として踏まえた上で、真ん中のあたりにございますとおり、少ないエネルギー消費で、快適に活動、生活できる都市を目指しまして、成熟した持続可能な都市モデルの創出と世界への発信を行っていくこととしております。
 こうした考え方に立ちまして、本計画では、左側にございますが、人類・生物の生存基盤の確保、健康で安全な生活環境の確保、より快適で質の高い都市環境の創出の三つの分野に分けまして、それぞれ分野別の目標と施策の方向をお示ししております。
 第一に、人類・生物の生存基盤の確保でございますけれども、ここでは気候の危機と資源制約の時代に立ち向かう新たな都市モデルを創出するため、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年比で二五%削減するなどの目標を掲げまして、事業所や家庭などでの温暖化対策の強化、太陽エネルギーの飛躍的な利用の拡大、自動車への過度の依存からの転換、廃プラスチックのリサイクル促進などの施策の方向をお示ししてございます。
 第二に、健康で安全な生活環境の確保でございますが、環境汚染の完全解消と未然防止などに基づく取り組みを推進するため、SPM及びNO2の環境基準を二〇一〇年度までに全測定局で達成し、より低濃度で安定した状態にするなどの目標を掲げ、低公害車への代替促進、VOC削減対策の拡充、土壌・地下水汚染や東京湾の水質改善の取り組み強化などの施策の方向をお示ししております。
 第三に、より快適で質の高い都市環境の創出でございますが、緑と水にあふれた快適な都市を目指す取り組みを推進するため、二〇一六年に向けて新たに一千ヘクタールの緑を創出し、街路樹を百万本に倍増するなどの目標を掲げ、緑化計画書制度の強化、校庭芝生化などによる緑の創出、水循環の再生と潤いのある水辺環境の創出などの施策の方向をお示ししております。
 次に、八ページをお開きください。
 ちょっと小さい字ではございますが、八ページから九ページに、計画の中に掲げました分野別の施策の方向と目標を一覧にまとめております。
 次に、一〇ページをお開きください。
 一〇ページ以降につきましては、分野別の施策のあり方につきまして、それぞれ左の上に目標、その下に現状を示しまして、目標と現状とをつなぐ施策として主なものを、図表などを活用してお示ししております。
 一〇ページから一七ページにかけては、人類・生物の生存基盤の確保の分野に関する主な施策でございますが、この一〇ページ、一一ページにおきましては、気候変動の危機に向けた施策の展開といたしまして、本定例会で条例改正を提案させていただく予定の大規模事業所への総量削減義務の導入や中小規模事業所対策、家庭部門対策などの主な施策を、一枚めくっていただきまして、一二ページ、一三ページにおきましては、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大や都市づくりの中でのCO2削減に係る主な施策を、その次の一四ページ、一五ページにおきましては、持続可能な環境交通の実現のための運輸部門のCO2排出削減にかかる主な施策を、次の一六ページ、一七ページにおきましては、省資源化と資源の循環利用の促進のための主な施策を、それぞれお示ししております。
 次いで、一八ページをお開きください。
 一八ページから二三ページにかけましては、二つ目の分野でございます健康で安全な生活環境の確保に関する主な施策をお示ししております。
 この一八ページ、一九ページにおきましては、自動車や工場・事業場等から排出される大気汚染物質のさらなる削減に関する対策を、次の二〇ページ、二一ページにおきましては、環境の負の遺産を残さないための化学物質等の適正管理や土壌・地下水対策、東京湾の水質改善に係る主な施策を、その次の二二ページ、二三ページにおきましては、騒音、振動、悪臭などの生活環境問題の解決に向けた主な施策の方向をお示ししております。
 それでは、次の二四ページをお開きください。
 二四ページから三一ページにおきましては、三つ目の分野でございます、より快適で質の高い都市環境の創出に関する主な施策をお示ししてございます。
 二四ページ、二五ページにおきましては、市街地における豊かな緑の創出に関するさまざまな取り組みを、次いで二六ページ、二七ページにおきましては、水循環の再生と潤いのある水辺環境の回復についての取り組みを、次いで二八ページ、二九ページにおきましては、ヒートアイランド対策などの熱環境の改善による快適な都市空間の創出に関する施策を、次いで三〇ページ、三一ページにおきましては、森林や丘陵地、島しょにおける自然の保全に関する主な施策の方向についてお示ししてございます。
 それでは、三二ページをお開きください。
 環境基本計画におきましては、これまでご説明申し上げました各分野別の施策のあり方とあわせまして、いわば横断的、総合的な施策のあり方についてもお示ししております。
 まず、左側でございますけれども、社会や経済を動かす基本的なルールにおいて環境配慮を内在化させる必要があるという観点から、このための基本的な事項を環境の確保に関する配慮の指針としてお示しするとともに、環境に配慮するルールの確立及び実効ある取り組みの推進を図るために、規制的な手法の活用や、市場の活用などによる環境対策コストの内部化を図るべきとしております。
 なお、環境の確保に関する配慮の指針につきましては、右側三三ページにありますとおり、都市づくりにおける配慮の指針、事業活動における配慮の指針、日常生活における配慮の指針から成ってございます。
 次に、三四ページをお開きください。
 ここでは、持続可能な都市づくりを促進する仕組みの構築といたしまして、一つ、都民、国民、世界の人々との連携、協働による取り組みの推進、二つ目として、最先端の科学技術力を駆使した施策の展開、さらに、東京の環境を引き継いでいく次世代の人材育成の三つの観点からの横断的な、総合的な施策のあり方をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますけれども、新たな東京都環境基本計画の策定に関するご報告をさせていただきました。今後、この基本計画を基軸といたしまして、環境先進都市創出に向けた施策を積極的に展開してまいりますので、よろしくお願いいたします。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○谷村委員長 次に、平成十九年度東京都一般会計予算(環境局所管分)の繰り越しについての報告を聴取いたします。

○加藤環境政策部長 平成十九年度一般会計予算のうち、環境局所管分の繰り越しについてご報告申し上げます。
 それでは、お手元の横版になります資料6、平成十九年度一般会計予算繰越説明書によりまして、ご説明申し上げます。
 一ページをお開きください。
 繰り越しは、繰越明許費及び事故繰越で、繰越明許費の繰越額は九百五十一万一千円、事故繰越の繰越額は一億四千七百三万六千円で、合計で一億五千六百五十四万七千円でございます。
 繰越財源内訳は繰越金でございます。
 二ページをお開きください。繰越明許費についてでございます。
 事業名は自然公園整備事業でございます。繰越明許費予算議決額は八千八百万円でございます。
 繰り越しの内容につきましては、資料右側の説明欄に記載しておりますように、物件移転補償金について年度内に支出が終わらなかったため、九百五十一万一千円を翌年度に繰り越して支出するものでございます。
 三ページをお開きください。事故繰越についてでございます。
 事業名は、同じく自然公園整備事業でございます。支出負担行為額は二億七千二百五十八万八千円でございます。
 繰り越しの内容につきましては、資料右側の説明欄に記載しておりますように、大島公園再整備事業のサル島展望橋の工事において、橋を支える地盤が安定しなかったことから、当初予定していた工法を変更せざるを得なくなり、年度内に工事が終了しなかったため、一億四千七百三万六千円を翌年度に繰り越して支出するものでございます。
 以上をもちまして、平成十九年度一般会計予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○谷村委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○谷村委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、二〇第五号、自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス試験に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○長谷川環境政策担当部長 お手元の資料7、陳情審査説明表に基づきまして、ご説明申し上げます。
 一ページをお開きください。
 整理番号1、陳情番号二〇第五号、自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス試験に関する陳情についてでございます。
 陳情者は江戸川区の加藤広昭さんでございます。
 陳情の要旨は、都において、自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス試験を行うときは、迅速に実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございます。
 自動車NOx・PM法が規定いたします対策地域を使用の本拠としている指定自動車で、法が定める排出基準に適合しないものは、一定期間を経過した後は、対策地域内での車検登録ができなくなります。
 ただし、排出ガス低減対策などを施し、国が認める公的な試験機関において自動車排出ガス試験を実施いたしまして、排出基準に適合した場合には車検証の交付を受けることができます。
 2でございますが、国内の四つの機関が排出ガス試験の公的な試験機関として認められておりまして、財団法人東京都環境整備公社東京都環境科学研究所もその一つでございます。
 研究所は、環境に係る調査研究を行う機関でございまして、都は、都の環境施策に必要な調査研究などの業務を研究所に委託しておりますため、研究所は調査研究などの業務を確実に実施することを第一に設備を使用いたしまして、その上で、試験設備の保守点検などの日程も踏まえまして、可能な限り排出ガス試験を実施しております。
 平成十九年五月十日付で、陳情者の所属いたします運輸会社の車両一台につきまして、運輸会社から委任を受けた会社である依頼者から試験依頼書が研究所に提出されました。依頼者から、複数台の車両の試験依頼書が同時期に提出されていることから、研究所は試験実施の順番について依頼者と調整をいたしまして、当該車両につきましては、九月二十六日に依頼者と面接をいたしまして、十一月九日に排出ガス試験を実施する旨を依頼者と確認いたしました。
 二ページをお開きください。
 十一月九日に研究所が排出ガス試験を実施いたしまして、排出ガス試験の結果、国の定める基準に不適合でございましたので、東京都は試験結果を依頼者に通知をいたしました。
 その後、十一月二十八日付で、当該車両の試験依頼書が再度、依頼者から提出されましたが、研究所は、他の依頼者からの依頼も多かったことから、平成十九年度中の排出ガス試験の実施は難しい旨を依頼者にお伝えいたしました。
 そして、四月八日に依頼者と面接をいたしまして、五月二十日に排出ガス試験を実施する旨を依頼者と確認し、試験を実施したところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○矢島委員 この件に関して、基本的認識について若干お伺いをいたします。
 東京というか、江戸の時代は日本全国で数千万の人口でありましたから、簡潔的な環境生活の中で、むだを省いてやっていくということは当然の道になってきたと思いますが、工業化に伴って人口がふえ、そして生活スタイルも変わってきましたから、いろんなものの条件が変わってきました。
 しかし、今の状況からいきますと、東京都がオリンピック招致の大きなてこになったと思われる環境施策もありますが、我々の生活そのもの、そして環境に対する姿勢そのものは、東京都の施策であろうとも、国の政策であろうとも、基本的にはそれを第一に考えて対応していく。
 東京都のつくった条例であるから、東京都が積極的にやって、国の条例については、東京都の余暇の仕事と果たしていえるかどうか。このように私は思いますので、その点の認識をお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 基本認識に関するご質問ということでございます。
 環境科学研究所の役割でございますけれども、東京の環境、その中でも大気環境の改善を図るために、施策の立案の裏づけとなる科学的知見を得るというものが、最大のものと考えてございます。
 こうした本務を確実に実施することを第一に設備を使用いたしまして、その上で設備の保守点検などの日程を踏まえまして、可能な限り排出ガス試験などの依頼試験を行ってございます。
 この排出ガス試験につきましては、NOx・PM法に基づくものではございますけれども、都の目指す大気汚染の改善は、国の法による規制と東京都の条例による独自の規制などが相まって達成できるものというふうに考えてございますので、その意味で都としては、国の制度の運用に必要なこうした試験につきましても、可能な限り対応していくというふうに思ってございます。

○矢島委員 今のお話で、環境科学研究所のことについてお聞きをしておりませんで、環境施策については国も都も境目がないだろう。都民の産業化の一番進んでいる、その結果の生活を、いわばその中にいますのは東京都ですから、そういう問題に対しては国も都もなく、施策として積極的に認識し、進めていくべきものではないか。この認識をまずお伺いしています。

○長谷川環境政策担当部長 東京都の独自のいろんな地域性に基づくやらなければいけないことというようなことはございますし、また、国がおくれていることに関して、いろいろな形で政策を提案し、実施していくということも必要かと思いますが、基本的に国の制度、それから都としての取り組み、これらが相まって私どもの目標を達成できるものというふうに考えてございます。

○矢島委員 まさにだれが考えても、そのとおりでありますけれども、例えば今回のようなことの中でありますけど、相手は民間業者で、そして、なおかつ車検を取るためにはそれが必要で、新車を買うような誘導をしているのは、東京都が施策はそういう形で、いろんな手当てをされていると思います。しかし、現実の問題としては、経済性の中で各事業者の経営状況を考えて、それは我々が考えるものではなくて、事業者が判断するものでありますけれども、それでやっていくとした場合に、事業者は事業者の判断が出てくるとしたら、その現実の中に東京都は積極的に取り組んでいく必要があるのではないか。
 東京都の施策でない、国の政策の中で、こういう課題が出てくるのであれば、国に対してどういう形でか意見をいい、そして対応を求めることが必要と思いますが、この二点に関してどう思いますか。

○長谷川環境政策担当部長 まさに自動車公害対策を進めていく上では、事業者の皆様方の協力なくしてはできないということでございますので、法律なり条例の規制にさまざまな形で対応されるということに対して、東京都は積極的にこれをサポートしていかなければならないというふうに考えてございます。
 それから、都としての積極的取り組みということでございますけれども、これにつきましては、いろいろなあり方がございますが、このNOx・PM法の規制対象そのものに関していえば、規制対象そのものが今後減少していくという見込みもございますので、こうした申し込みの減少傾向でありますとか、そういったことを踏まえまして、対応していく必要があると思ってございますが、いずれにせよ、現員体制の中でも依頼者の実情を踏まえまして、きめ細かな対応をしていかなければならないというふうに考えております。

○矢島委員 今のお話の中で、積極的に取り組んで、国に必要なことを求めているというお話があるかと思ったんですが、具体的な話がありませんでしたけれども……。

○長谷川環境政策担当部長 失礼いたしました。
 国へのことでございます。この試験自体が国の認定を受けた公的な試験機関としての試験ということがございますので、国に対しては実施状況については報告してございますし、また、この試験の状況の中で必要なことに対しては、国に対して物を申してまいりたいというふうに思っております。

○矢島委員 報告は、何台ありましたという報告というふうに私は聞こえたんですが、やはり都民の事業者の方の立場からいえば、それに対して東京都が四分の三と聞いていますけれども、四分の三の部分については本来の研究機能、四分の一については対応しているということになれば、余暇でやっておるということになる一方で、事業者がいるということになりますから、事業者に対する積極的な事業者の立場からの対応が必要だと思います。
 どうしても今のご説明の話を聞いていますと、行政は行政の中のできる時間帯の中で対応しているとしか聞こえないし、報告しているんだから、台数の報告であれば、時間帯の中での台数の報告でしょうから、どちらの立場に立つかによって、その取り組みの仕方が違ってくるのではないかと思います。
 九時から五時までの仕事であれば、その時間で決まってありますし、民間であれば、残業だって何だってやることになるでしょうし、都民の立場に立ったことで、行政のあり方が違ってくると思います。
 しばらく前に、都環といいました都市・環境委員会のときに、ちょうどディーゼル車規制の話が終わるときでしたので、もうそろそろ事業は、少ない人数が、一遍で四十何名、五十名に膨らんできましたから、縮小する時期に来ているんじゃないか。ルーチンに入ったら、そうすべきじゃないかといいましたら、当時の小池局長が、いや、これから対策はしっかり進めていかなければいけないから、これは何とか維持していきたいんだというお話がありました。それは、今いった事務職だけではなくて、いろんな組織の強化の問題も出てきますし、今のお話がありました縮小していくのは当然としても、今が多ければ前倒しで対応していくのは、私は予算の問題があったとしても、当然だろうと思います。需要があるところに施策がありますので、どっちが優先かという問題ではありませんから、そのことだけ。
 その基本的な状況というのは、今までの仕組みと、研究所の使命とか、いろいろおありになるでしょうから、考え方として意見だけ申し上げて、これは答弁、必要ありません。答弁していただいたら、またいわなければいけないから。それだけ申し上げて、私は終わります。

○今村委員 それでは、引き続き、質疑をしたいと思いますけれども、まず、検査料が七十万という高額であるということが触れられておりますけれども、聞くところによりますと、この費用の算定は、人件費、それから、この機械の保守点検のほかに、減価償却が含まれているということでありました。
 この減価償却費にはシャシーダイナモと分析装置が含まれているということでありますけれども、さらに実験棟、建物まで加えているというふうにお聞きをいたしました。受益者負担は当然かと思いますが、もともとこれは研究機関でもあるわけであって、その研究機関として使っている中で、この建物まで含めてしまうことが本当に正しいのかどうかという疑問を持たざるを得ませんけれども、このことについて都が適正と考える根拠をお答えをいただきたいと思います。

○長谷川環境政策担当部長 手数料のことでございますけれども、行政サービスを利用することによって利益を受ける特定の方々に、この受益の範囲内でサービスの対価としての手数料などを負担していただくという受益者負担の適正化の考えを前提に、料額を算出してございます。
 このNOx・PM法に基づく排出ガス試験の手数料につきましては、試験を実施するに当たって直接かかわるものの費用を計上し、これに試験を使用する割合を乗じて算出しているものでございます。
 排出ガス試験の実施に当たりましては、実験棟によって温度、湿度、風量などを管理し、一定の試験環境をつくり出すなどいたしまして、精密に実験を行う必要がございます。いってみれば、実験棟とその設備は一体のものというふうにいえると思いますので、実験棟につきましては、試験実施に直接必要な設備と考えてございまして、その減価償却費を積算根拠に算出することといたしております。

○今村委員 環境整備公社に今、移っておりますけれども、東京都が、以前は東京都の公害研究所として、その研究をされてきたことの実績は十分理解をいたしますし、温度、湿度などの管理をして実験をすることは大変必要でありますけれども、じゃ、果たしてトラック業者がNOx・PMをクリアするために、そこまでの厳密なものが本当に必要なのかどうかということであります。
 ご承知のとおり、陸運局などに行けば、試験を受けた後の継続のNOx・PMの検査は通常の屋外に近いところでやっているわけでありますし、この試験と通常の研究とはあくまで別な状況で、そこまで厳密なものをすべて求めているのかどうかという気がしてなりません。
 そういった気がしますので、その辺のことは見解の相違かもしれませんけれども、あえて指摘をしておきたいというふうに思います。
 それから、試験の申し込みに大変時間がかかるということであります。聞くところによりますと、昨年は五十八台中三十台しか試験が実施できず、二十八台が今年度に繰り越しているということでありますけれども、このシャシーダイナモメーターなどのあいている時間が全くないのかどうか、疑問に思うわけでありますけれども、この辺の実態はどうなっているのか、改めてお聞きしたいと思います。

○長谷川環境政策担当部長 本来業務でございます試験研究と点検などの設備整備に、年間のうち日数にいたしましておよそ四分の三程度がかかってございまして、依頼試験の実施につきましては、年間の四分の一程度というふうになってございます。一回の試験に二日かかるということも踏まえまして、年度当初のスケジュールの組み立てに当たりましては、より多くの試験を実施するよう日程を調整しております。
 一日でもあきがないのかというお話でございますれば、研究の都合でございますとか、試験の依頼のキャンセルなどが直前にあったなどの理由によりまして、結果として設備が稼働しない日も発生しているというところはございますけれども、キャンセルが直前でなければそれを埋めていくというような努力もしてきてございます。また、最近では、三日で二台の試験を実施するなどの工夫もしてございまして、今後ともより多くの試験を受けられるように努力をしてまいりたいと思います。
 なお、二十八台が今年度に繰り越したのは、これはいってみれば三月三十一日現在の状況でございますけれども、この状況につきましては、他の試験機関の紹介でありますとか、その後のキャンセルなどによりまして、現時点では試験待ち車両はほとんどない状況となってございます。

○今村委員 今、ご答弁にありましたとおり、試験の仕方を工夫して、三日で二台ということで大変努力をされて、キャンセル待ちなどもなるべく不効率のないようにされていることは大いに評価をするところでありますが、先ほど矢島委員からもお話がありましたけれども、陳情者以外にも運送業にかかわる多くの方たちにとっては切実な問題でありますし、昨今のガソリンの価格の高騰など、運賃に費用を転嫁できない状況もあるということでありますから、先ほどの受益者負担の適正なあり方とも関係をいたしますけれども、ぜひこうしたことを考慮をしていただきたいということを述べて、質疑を終えたいと思います。

○吉田委員 私からも一言、意見表明を申し上げたいと思います。
 ただいまの矢島委員、今村理事の質疑におきまして、なるべく数多くの試験を実施できるように努力するとのご答弁がありましたので、本当にお願いしたいんですけれども、本陳情の趣旨は、試験を迅速に実施してほしいということであります。
 こういうことになりましたのは、陳情者の所属する運輸会社が直接試験申請をしたのではなくて、その運輸会社から委託された者が介在し、その者の意向によって当初、申請が昨年五月だったのに対して試験の実施が十一月に認定され、試験に至るまでの期間が長引いたと。加えて、試験結果が不適合となって再試験を余儀なくされて、その次の試験は本年の五月ということで、もう一年にもわたってトラックが使用できないということで業務に支障を来していると。これは本当にお気の毒なことでありまして、大変な不利益をこの陳情者がこうむっているということが問題なんだと思います。
 なるべく試験は努力して進めていただきたいんですが、今回不適合になったということにつきましては、車両の整備状況が悪くていろいろと工夫を施しても国が定める排出ガス基準をクリアできない場合や、車両と排出ガス軽減装置の相性が悪い場合もあるなど、原因はケース・バイ・ケースでいたし方ない面があろうかと思います。
 しかし、一点、ちょっとご提案というか、私が申し上げたいのは、こうした適合、不適合になった事実というものを可能な限り公表していくということが必要なのではないかと思います。これは、頼む業者さんによってうまく全部適合で送り出せるところと、なかなかうまくいかないところとか、そういう業者さんのノウハウとか腕、そういうものもあって、この車は得意なんだけどこの車は苦手だとか、いろいろあろうかと思うんですね。車両の所有者も、どういう場合に不適合になる可能性があるのかということが事前に認識することができれば、いろいろと、これはなかなか難しい車を自分が頼もうとしているんだとか、この業者さんはなかなかいつもうまくいっているんだとか、そういうことを事前に認識できることは大事じゃないかなと。そして、そういうことを頼む側が知っているという前提であれば、排出ガス低減装置等の開発会社も緊張感を持ってというか、そうした事例を踏まえてさらなる技術開発とかいうことに努めていける、要するに競争状態に入るということになろうと思います。
 もちろん、環境科学研究所は国が定めた枠組みの中の一試験機関という位置づけでございますので、この試験結果を公表できるかどうかということは法律を所管する国の判断が必要でございます。したがいまして、こうした適合、不適合の事例を、個人や企業の情報管理に配慮を講じた上で各試験機関から少なくとも国が情報を収集し、これを研究、検討して、必要に応じて関係者に情報を提供するなどの取り組みを行うことが求められるのではないかと考えます。そして、試験機関の側も国にこうした取り組みを行うように要請するとともに、その持てる科学的知見を活用して国の取り組みに協力していくべきであろうとご意見を申し上げ、意見表明といたします。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○谷村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二〇第五号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十八分休憩

   午後二時五十五分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 審査を続行いたします。
 二〇第六号、東京都環境影響評価技術指針の早期改定に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○大野都市地球環境部長 それでは、お手元にお配りしてございます資料7、陳情審査説明表の三ページをお開きください。
 整理番号2、陳情番号二〇第六号、東京都環境影響評価技術指針の早期改定に関する陳情につきましてご説明を申し上げます。
 陳情者は、環境影響評価条例技術指針改定運動推進委員会代表藤田敏夫さん外十二名でございます。
 陳情の要旨でございますが、環境影響評価書案の作成の際に必要となります調査、予測及び評価の項目、方法等を定めた技術指針につきまして、現況調査のやり方や予測のやり方など八項目の早期改定を求めるものでございます。
 現在の状況でございますが、技術指針につきましては、科学的知見の進展等に応じまして、常に適切な判断を加えて所定の改定を行ってございます。
 四ページをごらんください。現在の技術指針は平成十五年二月に改定されたものでございます。陳情の要旨1から7までにつきましては、現行の技術指針で対応可能でございます。また、要旨8につきましては、環境影響評価制度で採用するにふさわしい十分な知見が確立されていない状況でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審査をお願いいたします。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○ともとし委員 それでは何点かお聞きしたいんですが、昨日深夜、オリンピックが東京誘致ということで、一応四カ国の中の一つに残ったという明るい話題が出てまいりました。その最大のもの、それは環境に属するそういった部分で評価されているというようにも聞いているわけなんですが、今回のこの環境問題に対しては、きょうのNHKを初め、テレビ等でも学校の校庭の芝生化、非常にこれが子どもたちにとってすばらしい環境になるということで、これまた評価が高いものがありました。
 環境というものにここまで一般の皆さん方が本当に関心を持っていられるということについてはすばらしいことだというふうに思いますし、そういう中で、今度はお金の問題で、余り集まらない募金を一生懸命集めなきゃいけないと。そこのところを担当部長が決まって、庄司さんだったら少しは集まるのかなというふうに思いますけれども、その辺のことも考えて新しい人事を考えていらっしゃるのかな、そんなふうに思うわけです。
 それだけ注目されている環境ですので、技術指針の早期改定ということについても、必然的にやっぱり、いろんなそういったことを専門的に研究されたり運動されている方たちから見れば、そういうようなことをぜひとも検討してみてはどうかというふうに提案されるのもある意味ではわかるわけですが、この改定というのは、具体的には時期というものがあるんでしょうか。例えば何年に一回はこれは考えてそういう方向性でやるようになっていますとか、そういう五年に一回とか十年に一回とかというふうなものがあるんでしょうか。それとも、その都度改定するような状況にあるという内容なんでしょうか。その辺をまずお聞きしたいと思います。

○大野都市地球環境部長 この技術指針でございますが、技術指針は環境影響評価が科学的かつ適正に行われることを目的といたしまして、これに関するさまざまな事項をおさめた技術上の指針でございます。
 技術指針につきましては、環境影響評価条例の中で常に適切な科学的判断が加えられて必要な改定が行われるべきことを定めております。これまでも最新の知見を得て随時改正を行っておりますが、定期的に何年に一回ということが決まっているわけではございませんで、知見の進歩等に応じまして、必要な場合に適宜判断をして行うということでございます。また、その改定に当たりましては、環境影響評価審議会の意見を聞いて行うということになっております。

○ともとし委員 ぜひとも早く改定していただきたいというふうに陳情しているところの藤田さんたちは、築地の市場移転問題を初めとして、さまざまなことを研究されてから出されているのかなというふうに思うんですが、この内容から、理由のところを見ていくと、例えば築地の市場も、あくまでも資料に基づいて机上の調査の中でやったものであって、それが問題なんだ、こういうようないい方もされているのかなというふうに思うんですが、現実、この市場の問題等については机上だけの調査だったんでしょうか。それとも、現地調査みたいなものは何かあったんでしょうか、この辺についてお伺いします。

○大野都市地球環境部長 現況の把握でございますけれども、これは二つの話が少し混同していることがあるかなというふうに思っておるわけでございますが、まず、地域の概況の把握、調査というのをアセスの手続の中で行います。これは環境影響評価の項目選定に当たって必要なものでございますが、これは地域の概況の把握でございますので、人口、土地利用、気象、環境状況の経年変化など、既存資料の整理や解析を中心に行います。ただ、これにつきましても、それで不十分な場合には現地調査を行うというふうに技術指針にもなっております。また、一方、評価項目ごとの予測、評価の前提となる現況調査につきましては、技術指針においてそれぞれ既存の資料の整理も行いますし、実際の調査も行うということでございます。
 それで、これは市場の話でございますけれども、これに関しましては、土壌汚染項目に関しましては、東京都の土壌汚染対策指針に基づく調査ということが技術指針で定められておりまして、市場に関しましては、その技術指針に基づく、環境確保条例百十七条に基づく調査が行われておりますので、これを利用するということになっております。

○ともとし委員 そうすると、ここの理由にあるように、二十年前に東京ガスで行った土壌汚染調査の資料をそっくり使用したための大騒ぎ、そういう内容とは違うんだというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 予測、評価の際にどういう方法で行うかということにつきましては、評価書案を提出する前に調査計画書というものを出しまして、その調査計画書の中でどういう予測、評価、調査を行うかということが記載されております。環境影響評価審議会でご審議をいただいて、その調査の方法が妥当かどうかについて検討するということでございます。
 今回の豊洲の場合は、先ほど申し上げましたように、平成十四年十月に環境確保条例百十七条に基づきまして提出された土壌汚染状況調査報告書、これが使用されております。この中でやられている調査につきましては、重金属については平成十年から十一年、また、揮発性有機化合物につきましては平成十一年から十四年でございますので、二十年前ということはございません。

○ともとし委員 たまたま今回の市場の問題は、地域住民の方たちがいろんな観点から問題視をして、調査する内容を、大まかなそういう全体像からいって数カ所とか数十カ所ということじゃなくて、大幅に小さな単位の中でやっていって、そしていろんな問題が出てきたと。そういった問題であって、本来やるべきことについては条例に基づいてやってきたんであって、現状問題のないそういうやり方で環境局としてはあったんだというふうに解釈していいんですか。

○大野都市地球環境部長 豊洲の土壌汚染に関するアセスに関しましては、昨年の一月に評価書案が提出されたわけでございます。その評価書案に記載されている土壌汚染の中身につきましては、先ほど申し上げましたように、調査計画書の中で出された土壌汚染対策書、環境確保条例に基づく内容について記載されております。ただ、この評価書が提出された後に専門家会議が設置されまして、その中で新たに検討が行われるということになりましたので、その調査を踏まえまして新たな変更届が出されるということになっております。
 したがいまして、現在では、この土壌汚染等に関する今後については審査を中断しておりますので、現状では、環境影響評価の立場からは少しコメントができないという状況でございます。

○ともとし委員 総体的にいって、今の技術指針、その中でもこの豊洲の問題については十分に技術的にも評価していけるんだ、そう解釈していいという内容ですね。

○大野都市地球環境部長 調査計画書の中では土壌汚染対策調査報告書に基づいて記載がされているわけでございますが、その後、事情が変更すれば、事情の変更に応じて変更届が出されて、それから審査されますので、現状の制度のままでも十分審査が可能であるというふうに考えております。

○ともとし委員 一項目めの部分で、現況の技術指針であっても把握が不十分であった場合は現地調査が可能ですよとこうおっしゃっているんですが、この豊洲の場合は、これはどういうふうに当たりますか。現地調査をやるべきだという内容のものだというふうに判断すべきですか。

○大野都市地球環境部長 先ほど申し上げましたように、土壌汚染に関する部分については、現在、評価書案が提出されたわけでございますが、これについては市場の方から申し出がございまして、専門家会議を設けて検討を行っているので、その検討結果を踏まえた変更届が出てから審査をしてほしいという要望が出ております。
 したがいまして、現状では、土壌汚染対策の中身でありますとか汚染の状況について私の方から申し上げることはちょっとできないわけでございますけれども、変更届が出た段階におきましては、現在の指針に基づいて十分な検討が行われるというふうに考えております。

○ともとし委員 単純に考えてみて、これだけ大きな問題になっている、しかも、あれだけ細かく調査した内容でそういう専門家の人たちが一つの方向性を出すわけですので、よもや机上のそういったことじゃなくて、現地調査をきちっとした形の中で結論が出されてくるのかなと。そうじゃないと、せっかく環境問題をこれだけ大きく皆さんに認識していただいて、それが机上の中だけで終わっちゃったなんていったら、これはもう大変大きな問題になってくるかと思いますので、都民が関心を持って、都民が心配していることに対しては、都民が心配している内容できちっとやってあげる、これは大事なことだと思うんで、これは、現地調査をやるべきというふうに局で考えたときにはちゃんとやるようにお願いしたいと思います。
 この件については局長から答弁いただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 専門家会議におきまして現地調査が行われておりますので、当然、変更届の中身につきましては現地調査を踏まえたものが変更届に出てくると思いますので、本件につきましても、机上の調査ということではなくて、現況調査を踏まえた変更届が出されて審査が行われるということになるわけでございます。

○吉川環境局長 ともとし委員がおっしゃっている現地調査ということについての必要性については、今回用意させていただいている現在の状況欄の中の1のところに書いてあるものが現在のアセス制度での仕組みなわけでございます。
 先生のおっしゃった趣旨は、いずれにしましても、私も、今回の新豊洲の問題については、大変多くの都民の方々が、食の安全といいますか、安心・安全のためという観点で大きな注目を浴びているというのは十分認識しておりますので、そういう意味では、先生のおっしゃった都民の目線でといいますか、都民の立場に立ってというふうなことについては十分踏まえて、環境局としての立場で適切に対応していく考えでございます。

○ともとし委員 全く、局長、大事なんですよ。環境局としての立場で、同じ東京都という枠内かもしれないけれども、しかし環境については環境局が専門なんですから、あらゆる観点から都民の立場に立ってきちっと調査すべきものは調査をする、そしてきちっとした指針に基づいて結果を公表していく、これが大事であり、このことが環境局がいってみれば信用されることだというふうに思いますので、その辺についてはよろしくお願いしたいと思います。
 それで、この市場についてのアセスなんですが、手続というのはどこまで進んでいるのか、そしてまた進捗状況がどうなのか、この辺についてお伺いします。

○大野都市地球環境部長 豊洲新市場建設事業の環境影響評価手続につきましては、評価書案を昨年一月に受理いたしました。その後、公示縦覧等の手続を経まして、環境影響評価審議会によりまして昨年六月から審議を開始しております。
 一方、先ほど申し上げました豊洲の土壌汚染対策に関しましては、昨年五月に専門家会議が設けられまして、その管理や改善の方法等についての検討が行われております。中央卸売市場からの申し出がありまして、この専門家会議における土壌汚染対策の提言が行われまして、変更届が提出されるまでの間、土壌汚染にかかわる項目については審議を中断しているという状況でございます。
 なお、この事業におきましては、環境影響評価を行う項目が十一項目ございまして、土壌汚染とは関係のない悪臭、生物・生態系、日影、風環境、景観の五項目につきましては、既に昨年三回の審議会を開催いたしまして、審議を終えているという状況でございます。

○ともとし委員 専門家会議から提言が出されようとしているわけですが、その内容を受けてアセスの手続をやり直す、そういったこともあるのかどうか、その辺についてもお伺いしておきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 環境影響評価条例の規定によりますと、事業内容に変更を生じた場合には事業者はその旨を知事に届けねばならないとしておりまして、その変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときには、審議会の意見を聞いた上で、事業者に対しまして既に完了している手続の全部または一部の再度実施を求めるということになっております。
 したがいまして、豊洲新市場建設事業につきましても、専門家会議の提言を踏まえて事業者である中央卸売市場が変更届を提出してきた場合には、この規定に基づきまして審議会の意見を伺い、手続の全部または一部の再実施など、適切な手続を行うことになると考えております。

○ともとし委員 よろしくお願いしたいと思います。冒頭、局長の方から、環境局としてやるべきことがあるならば、別に豊洲にかかわらず、環境局として都民の目線に立ったそういう状況の中でやっていただけるものというふうに確信をさせていただきました。
 どちらにしても、都民の健康を守るのは、別に病気とかいったことじゃなくて、それ以前の問題としてまさに環境局の大きな一つの使命かなというのと同時に、やっぱり快適な生活を確保するというのがまさに環境ですから、この辺についてもしっかりお願いしたいというふうに思います。
 東京都の全体の予算からいくと、局だけの予算というと物すごく小さくなるんだけれども、やっていることは東京で一番大きな局なんですから、オリンピックもこれで決まってしまうし、豊洲の問題もこれで決まってしまうし、都民の環境に対する意識もこれで決まってしまうし、局長の責任は重大であると同時に、皆さんの責任も重大だなというふうに思いますので、期待して、答弁はいただきません。

○村松委員 東京都環境影響評価技術指針の早期見直しを求める陳情、八項目出されておりますが、私の方からは、1の、技術指針の現況調査は現行の既存資料の整理、解析から実地調査を基本にするよう改めること、それから、8の温室効果ガスの予測、評価は、現行のように事業完了後の施設から排出される温室効果ガスだけを対象とするのではなく、事業計画の実施の過程及び建設資材の製造過程で排出される温室効果ガスのすべてを予測、評価する仕組みに改めること、この二点に絞って質問をいたします。
 陳情者は、豊洲の土壌汚染問題について、東京ガスが行った土壌調査を使ったために大騒ぎになっている、このようにいっております。そこで、豊洲の土壌汚染問題にかかわりながら、技術指針について質問いたします。
 初めに、環境影響評価制度、この全体の流れを簡単に説明していただき、そして、築地市場を移転させようとする豊洲のアセス、これはいつから始まって、現在どういう段階でとまっているのか、この問題についてご説明願います。

○大野都市地球環境部長 アセスのまず全体の流れでございますが、先ほどご答弁申し上げましたが、最初に調査計画書というものが提出されます。これは、調査の予測、評価に関する手法をどういうふうな手法でやるか、あるいは評価項目をどうするかというふうなことを記載したものでございまして、提出されますと、これについても公示縦覧がされまして、関係の区市町村でございますとか都民の方から意見をいただくとなっております。これを踏まえまして環境影響審議会が開かれまして、審議会諮問をした後に答申が行われるということです。
 それで、その調査計画書で出されております方法に従いまして、今度は評価書案が作成されます。評価書案が提出されますと、これが受け付けされまして、やはり同じように公示縦覧がされるということでございます。この公示縦覧を踏まえまして、同じように関係の区市町村でございますとか、都民の皆さんから意見をいただく、その間には事業者が説明会を行うということがございます。それらを踏まえまして、各項目についての審査が行われるということでございます。その後、提出されました都民意見に関する見解書が事業者から提出されると。それで、私どもの方は都民の意見を聞く会というのを開催するということをやりまして、最終的に環境審議会の方から意見書が出まして、それを受けて事業者が最終の環境影響評価書を提出する、こういうふうな流れでございます。
 この豊洲の新市場のアセスの流れでございますけれども、調査計画書は平成十八年の十月三十日に提出されました。その後、これに関します公示縦覧等々を行いまして、調査計画書にかかわる審議会答申は十二月二十六日に提出されております。評価書案の方は、昨年、平成十九年一月二十五日に受け付け、受理をいたしまして、その後、公示縦覧をいたしまして、二月に審議会に諮問をいたしました。その後、先ほど申しましたように、五月に豊洲の場合には専門家会議が開かれまして、同じく五月に中央市場の方から変更届が出るのでそれまで関連する項目については配慮願いたいというのが出ましたので、十九年の六月、七月、九月に部会を開きまして、それ以外の五項目について審査を行ったというところでございます。
 現在、こういう状況でございます。

○村松委員 全体の流れで、環境配慮書というのが事業者から提出されていますよね、これが平成十六年の九月十五日に東京都が受け付けて、現在は、先ほどお話ありましたが、環境影響評価書案が出て、都民の意見を聞くということで、昨年の三月十九日ということになっていますよね。この東京都の環境影響評価技術指針で、ここに書いてあるんですけれども、「現況調査は、既存の資料・文献の収集を基本とし、対象計画に基づき実施される」というふうになっているんですが、なぜこれを基本として位置づけなければならないのか、その理由をお示しください。

○大野都市地球環境部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、少し混同があるようなんですけれども、現況調査と申しますのは二つございまして、一つは、まず地域の概況を把握するための調査というのがございます。これは、調査計画書の段階におきまして、環境影響評価項目を選定するために当該地区の特性を把握する必要があるということで、そのために、地域の概況を事前に調査いたします。これらは概況でございますので、人口、土地利用、気象、環境条件の経年変化など、既存資料の整理解析で基本的には把握が可能ということで、そういう方向になっております。ただ、これももちろん先ほど申し上げましたけれども、それでは不十分な場合には現地で調査を行うということでございます。
 一方、実際の環境影響評価書案の審査になりますと、今度は評価項目ごとにやるわけでございますが、この場合にはどういうふうな調査が必要かにつきましては技術指針でそれぞれ定めておりまして、既存資料の整理、解析を原則とはしておりませんで、それぞれの調査項目の内容に応じて、現地調査についてはこれこれの方法等々について記載をしているということでございます。

○村松委員 現地調査を基本にするというふうに書きかえた場合には、何か不都合があるんですか。先ほどのお話ですと、現況調査はその地域の大体の状況を、というお話に聞こえたんですが、そうじゃなくて、私はやっぱり現地調査を基本にするということが大事じゃないのかなというふうに思うんです。
 特にこの豊洲問題というのは、この間の東京ガスの調査だけでも結構な土壌汚染が検出されているという経過があるだけに、私は、現況調査は既存の資料を基本にするんじゃなくて、やっぱり現地調査をきちっとしておけば今みたいな状況というのはまた別の形になっていたかなというふうに思うんですが、その辺はどうですか、もし基本にするということになった場合。

○大野都市地球環境部長 繰り返しになりますけれども、評価書案をつくって調査、予測、評価をするときに、どんなふうな項目をやるかという方法を検討するのが調査計画書でございます。この調査計画書の段階では、概況の把握でございますから、ここは基本的に既存の資料でも可能であるということで、不十分な場合には現地調査をするということになります。
 ただ、実際に予測、評価をする場合には、別に既存調査の把握、解析をすることを基本としているわけではございませんで、実際に評価項目ごとに現地調査をやる場合には、こういうふうな方法等がとられているということでございます。

○村松委員 東京ガスが行った調査を基本にというのですが、事業者である中央市場の調査でこのアセスは進んでいるんですか。

○大野都市地球環境部長 先ほど申しましたように、予測、評価に係る現況調査については、これは技術指針でどういうふうにやるべきかというふうになってございますが、技術指針におきましては、土壌汚染の予測、評価に関します現況調査は、東京都の土壌汚染対策指針に定める方法に準拠して行うというふうになっております。
 豊洲市場の場合には、平成十四年十月に環境確保条例によりまして土壌汚染状況調査報告書が、これは東京ガスによりまして提出されております。この土壌汚染状況調査報告書は、当然のことながら環境確保条例によって出ているものでございますので、都の土壌汚染対策指針に基づいて行われているということでございます。したがいまして、これを使って予測、評価をするという評価書になっているわけでございます。
 ただ、これに関しましては、先ほど申し上げましたが、その後専門家会議が行われておりますので、実際には専門家会議による現地調査等々も含まれたものが変更届として提出されてくるということになるわけでございます。

○村松委員 東京ガスが平成十年から十一年にかけて調査を行い、その中で環境基準を大きく超える有害物質が検出されているわけです。ベンゼンが千五百倍、シアン四百九十倍、砒素四十九倍、水銀二十四倍、鉛九・三倍、六価クロムが一・四倍と、まさに猛毒な有害物質が検出されております。その後、東京ガスが東京都の土壌対策法とか東京都の条例に基づいて土壌汚染対策を実施しているようなんですが、東京都に出されている豊洲の新市場建設事業環境影響評価書案、これがあるんですけれども、昨年一月発表されたものですけれども、これは、東京ガスが行った既存資料によるものなんでしょうか。それとも事業主である中央市場が行った調査なんでしょうか。

○大野都市地球環境部長 再三お答えをしておりますけれども、現在、評価書案につきましては、調査計画書の中で妥当というふうに環境審議会で評価された方法によりまして行われております。これにつきましては、平成十四年十月に東京ガスが環境確保条例に基づきまして提示された土壌汚染状況調査報告書、これを活用するということになっておりますので、これが使われております。ただ、これにつきましては、今後については変更されるということでございます。

○村松委員 東京ガスが行った調査資料をもとに豊洲の新市場建設事業の環境影響評価書案が出されたということなんですが、豊洲の土壌汚染問題は、昨年から専門家会議が設置されて、その専門家会議も土壌汚染調査を行っております。この東京ガスが行った調査と専門家会議が行った調査のやり方、その違いを具体的に説明してください。

○柿沼環境改善技術担当部長 東京ガスが平成十年から十一年にかけて行いました調査は、当時、法、条例等の整備がございませんで、国が出しました重金属等に係る土壌汚染の調査対策指針というものに基づいて実施されております。この対策の指針は、調査の方法として主として三十メートルメッシュの調査というのを基本にしております。その後、条例ができまして、そこにおいても指針とほぼ同様の内容で都の土壌汚染対策指針を整備いたしました。また、平成十五年以降は、法改正にあわせてその指針も改正をしております。
 専門家会議は、専門家会議の委員の方々の指導に基づいて調査方法等を決定しているわけですけれども、これは基本的には十メートルメッシュの土壌調査、そのほかに十メートルメッシュで地下水調査、これは法令等の定めはございませんけれども、そういう法令以上の調査を実施しているところでございます。

○村松委員 答弁にありましたけれども、東京ガスが行った調査は、東京都の土壌汚染対策指針、これで、三十メートルメッシュで一カ所を調査したんですが、ボーリングをした深さというのが原則三メートル、それから汚染物質が見つかったところでは七メートル掘っている、まさに東京ガスが行ったのはあらあらだったんだなということをつくづく感じます。
 一方、専門家会議の調査というのは、土壌汚染対策法に基づいて十メートルメッシュで四千百二十二カ所ですか、そういうふうな調査を行っております。
 (パネルを示す)それで、きょう、パネルを用意してきたんですが、これは専門家会議に出された資料を大きく広げたんですね、右の方、これが東京ガスが行った調査なんですね、左の方、これが専門家会議が行った調査なんです。
 それで、東京ガスが--マスコミでも報道されておりますけれども、ベンゼンやらたくさんの汚染物質が出ているということはもう既にご承知のとおりだと思うんです。問題は、昨年の都知事選挙で生鮮食品を扱う市場を汚染だらけの豊洲に移転させていいのか、こういう都民の声や市場関係者の声が高まって、これが都知事選挙の大きな争点になって、ついに知事が再調査を約束する、その後、専門家会議が設置されて再調査が始まり、ことし二月に四千百二十二カ所の詳細調査を行ったところ、発がん性物質のベンゼンが土壌から四万三千倍、青酸カリのもとになるシアンが八百六十倍、地下水から百三十倍のシアン、環境基準を上回る有害物質が検出されております。
 その検出された箇所数というのも非常に広い範囲なんですが、土壌汚染では砒素が三百七カ所、シアンは九十カ所、ベンゼン三十五カ所、地下水ではシアンが九百六十六カ所、ベンゼン五百六十一カ所、砒素百七十七カ所で検出されております。この世論の動きがなければ、再調査もなく市場移転が強行される状況になったんではないでしょうか。環境局としてこういう状況をどういうふうに認識されているでしょうか。

○柿沼環境改善技術担当部長 豊洲に係る専門家会議で調査結果というのは、今、公表されているわけですけれども、先日五月三十一日に開催されました第七回の専門家会議におきまして、専門家会議で中央卸売市場が当初予定していた対策の計画内容について評価がなされております。
 その評価の内容をご紹介いたしますと、まず一点目として、市場用地のすべての場所で旧地盤面、これはAP四メートルという高さですが、旧地盤面の上に二・五メートルの盛り土が計画されていることから、汚染土壌の直接暴露によるリスクは生じないとしております。
 また、二点目として、計画地内において地下水の飲用利用は予定されておらず、地下水の飲用によるリスクはないと考えられるというふうに、現在、高濃度のベンゼンの存在が明らかになっておりますけれども、対策を講じることによって人の健康の被害を生ずるリスクというのは生じないというのを評価しております。
 なお、専門家会議におきましては、それだけではなくて、食の安全・安心の観点から万全を期すという趣旨で、ベンゼン等の気化、気化というのはガス化ですけれども、気化に関するリスク評価を行って、中央卸売市場が当初予定していた対策の計画内容をさらに上回る対策の基本方針というものが示されております。

○村松委員 私が聞いているのは、あの都知事選挙のときに本当に多くの都民が食の安全の問題で心配をして、市場を豊洲に移転していいのか、そういう世論が高まる中で都知事選の争点になったんだ、そういうところから専門家サイドの調査が始まっているんですよね。それでなければ、このまま進んじゃう可能性があったんですね。
 去年の予算特別委員会の中でこういう質疑があるんですが、これはまだ専門家会議の深刻な状況の調査結果が出る前の段階なんですけれども、曽根委員の質問に対して、「土壌汚染対策法や環境確保条例を所管している立場から申し上げれば、中央市場の計画における新市場用地の土壌汚染対策の内容は、現行の法律や条例が求める対策の水準を大きく上回るレベルの安全対策を講じる計画でございまして、したがいまして、この計画が確実に実行された暁には、法律や条例が求める安全を十分確保できていると宣言できる状況になると考えております。」というさっきと全く同じような認識なんですけれども、本当にこれが都民の命や安全を担わなきゃならないそういう環境局の認識なのか、このことを私は感じるんですが、もう一度お答えください。

○柿沼環境改善技術担当部長 土壌汚染対策の基本的な考え方というのは、直接土壌を食べたり汚染された地下水を飲んだりすることによって健康被害が生ずることを防止する、このことが目的になっています。このため、土壌中の汚染物質がどういった形でコントロールされるかということが非常に重要になります。
 委員ご指摘のように、昨年の予算特別委員会で当時の環境局長が答弁したのは、そのとおりでございます。この考え方は、高濃度のベンゼンやシアンが検出された現段階におきましても、対策が確実に講ぜられることによって当初予定していた計画内容が講じられれば、現行の法律あるいは条例が求める対策の水準を大きく上回るレベルの対策となりまして、現行においても当時の環境局長の認識とはいささかも異なるものではございません。
 さらに申し上げますと、五月三十一日に専門家会議で評価されたとおり、対策というのは基本的に人の健康被害を防ぐのに十分であろうという見解でございます。ただし、さらに食の安全・安心という心配があるために、念のためにベンゼン等のガス化という法令の規定のない事項にも評価を加えて対策の基本的な方針を提言しているということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

○村松委員 今の答弁は、本当にとんでもない答弁だというふうに思うんです。先ほど都民の目線でというお話がありましたけれども、都民の目線といえば、あの専門家会議が行った調査の結果を見て、発がん性物質のベンゼンが四万三千倍というとてつもない数値が検出されたことで、まさかあんなところに築地は移転しないだろう、こう思っている人が大多数なんですよ。そういう目で何で見られないんですか。条例どおりやればいい、法律どおりやれば安全だなんていうことは、だれがそんなことを信じられると思いますか。本当に私は、そんなものはとても納得できないというふうに思います。
 問題は、築地市場の移転が前提になるこの豊洲地域のアセスをこのまま進めることが本当にいいのか、こういう問題なんです。築地市場はいうまでもなく、生鮮食料品、私たちの命と健康にとってとても大事な食料品を扱う場所なんです。多くの消費者は、発がん性物質のベンゼンがあんなところに四万三千倍、そういうことを、まさかやらないというのが多くの都民の見方だと思うんです。
 この豊洲は、調査をすればするほど環境基準を大きく上回る有害物質が次々検出されているんですよね。しかもこの調査方法には大きな問題点が指摘されているんです。
 例えば調査期間です。汚染物質は地下水によって移動しているので、本来なら四季を通じて調査する必要がある、こういうふうにもいっているんです。東京ガスの田町工場、ここでは、東京ガスの跡地が港区の小学校の建設に予定されておりました。そこでも、土壌汚染対策をしたところからも地下水からベンゼンが検出されて、小学校の建設を断念している、こういう経過があるんです。
 それから、ボーリングの問題でも、粘土層、有楽町層といわれているようですが、この粘土層の下まで汚染が広がっているというのが大阪の方でもいわれているんですね。こういう調査の方法というのも今、問題視されているんです。
 そこで、都民の健康で安心かつ快適な生活を営む権利を保障する責務を負う環境局として、ベンゼンが環境基準を四万三千倍も、汚染されているこの豊洲に市場を移転させることを是とお考えでしょうか。

○谷村委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○村松委員 都民の健康で安心かつ快適な生活を営む権利を保障する、こういう責務を負う環境局として、ベンゼンが環境基準を四万三千倍も超えているこの豊洲に市場を移転させることを是と考えているかどうか、どうでしょう。
   〔発言する者多し〕

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○村松委員 これまでのこういう私の質問に対して、先ほどもお話がありましたが、条例や法律に基づいて土壌対策をするから大丈夫だ、こういうふうに東京都はいっているんですよね。実際に東京ガスが行った土壌対策地からも、それこそたくさんのベンゼンやシアン、砒素、鉛、六価クロムという有毒な物質が検出されております。どんなにお金をかけた対策をとったとしても、安全を保障することはだれもできない、なぜなら、さっきもいったように、東京ガスが土壌対策を行った後からどんどん猛毒な有害物質が検出されている、この現実があるからなんですね。
 私は、東京都の環境影響評価制度がどんな背景からつくられたのか、このことを考えることが大事だと思っております。この背景には、経済活動が優先されたことによる被害が増大し、深刻な公害が発生し、多くの犠牲者を生み出した、こういう経過の中から、それらに対応する環境対策、これから学んで、環境破壊の後追い行政から環境破壊を未然に防止する、こういう観点から環境影響評価制度がつくられた、こういう経過があります。そこには、都民の健康で安全かつ快適な生活を営む権利が全うされるよう最大限度の努力を払うと書かれているんですね。その立場に立つならば、有害、猛毒物質のオンパレードのこの土地に食料品を扱う築地市場を移転させることは、環境局の使命としても中止させる必要があります。
 豊洲の土壌汚染問題を考えたときに、たった四名の専門家の意見を聞くだけで事足れりと考えるのもどうかと問われるものです。環境問題の専門家の環境学会で、四名の専門家会議に対して公開討論を持ちかけたんですが、拒否された、こういう問題があります。これだけ大きな土壌汚染の問題を四名だけに任せるということは余りにもいかがなものか、そのことを私は強く申し述べておきたいと思います。
 それから、調査のやり方の問題でも、私たちが現地を視察したりしたときに……

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○村松委員 第三者の調査すら東京都が認めようとしていない、こんな閉鎖的なやり方で市場を無理やり移転させることは断じて認められません。この技術指針に書かれている現況調査は既存資料を基本とする、こういうことからこの問題が出ているんですよ。だから、ここをやっぱり現況調査は現地調査を基本にし、とこれに書きかえるということが私は本当に大事だなということを主張したいと思います。
 最後ですけれども、少なくとも今の状況を見た場合には、この豊洲のアセス問題、前提が大きく違ってきているわけですから、当然最初からやり直すべきだ、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○大野都市地球環境部長 再三お答えしておりますけれども、現地調査に関しましては二種類ございまして、一つは調査計画書の段階で概況を把握するための調査ということでございます。これは、既存資料を主に使いますけれども、必要に応じて現地調査もするということでございます。
 一方、評価項目ごとに実際に予測、評価をする場合には、既存資料を基本というようなことは定められておりませんで、項目ごとにそれにふさわしい方法が技術指針で定められております。例えば大気に関しましては現地調査または既存資料ということでございますし、悪臭、騒音・振動、水質汚濁もそうでございます。それから、土壌汚染につきましては、土壌汚染対策指針で定める方法に準拠ということでございまして、既存資料を基本にするとは書いてございません。生物につきましても現地調査ということでございますし、日影に関しましても天空図の作成等々ということでございます。電波障害も現地調査ということでございまして、すべては申し上げられませんが、環境影響評価の実際の予測、評価をする場合には、既存資料を原則というふうにはしないということでございます。
 それから、豊洲の環境影響評価手続に関しましては、このまま進めるということではございませんで、これも再三再四申し上げておりますけれども、専門家会議の検討が行われまして、提言を受けた後に変更届が出てくる、それを踏まえた手続が必要に応じて行われるということでございます。

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○村松委員 先ほどの答弁のように、アセスの前提が崩れたから事業者が変更を申し出た場合ということなんですが、局の方としても私は判断してもいいんじゃないかというふうに思うんですが、それは私の要望として強く求めておきます。
 それから、陳情1の指針の見直しについては、東京ガスが行った不十分な資料をもとに事業者である中央市場が机上で環境影響評価を進めたことによる問題があったのでこういう問題になってきている、現地調査を基本にすべきという陳情はごく当然のことですので、以上の理由から、私は採択を主張いたします。
 次に陳情8の温室効果ガスの予測、評価は、現行のように事業終了後の施設から排出される温室効果ガスだけを対象にするのではなく、事業計画の実施過程及び建設資材の製造の過程で排出される温室効果ガスのすべてを予測、評価する仕組みに改めること、この問題は、私はごく当たり前だというふうに思うんですが、この辺で、なぜ、どこに問題があるのか、その認識をお示しください。

○大野都市地球環境部長 技術指針の中では自動車から排出される温室効果ガスを算定しないというふうに書いてあるわけじゃございませんで、技術指針の解説によりますと、道路の供用に伴う自動車交通から排出される二酸化炭素が対象外となるということでございます。つまりこれは、対象車両全般であるということではございませんで、道路の整備事業に関する部分についての記載でございます。
 では、どうしてそういう場合は二酸化炭素が対象外だということになりますけれども、道路の供用に伴いまして、つまり道路の整備に伴います環境の負荷といたしましては、これ以外に大気汚染、騒音・振動、これらが典型的でございます。これらが対象となる事業地の近傍で直接的に環境への負荷が生じます。したがいまして、事業者の責任におきまして環境施設帯の設置でございますとか、低騒音舗装の実施でございますとか、道路事業者側が環境負荷の軽減をする措置の実施が可能という特徴がございます。
 これに対しまして、二酸化炭素の問題、CO2の削減はもちろんこれは非常に重要な問題でございまして、今回、議案を提出するように、我々は全力で取り組んだわけでございますが、地域的な環境負荷がありませんので、道路騒音や大気汚染のように環境施設帯の設置等々、道路事業者側が直接実施する措置では対策が困難ということでございます。こうした事情を考慮いたしまして、技術指針の解説では道路の供用に伴う二酸化炭素の発生につきましては対象外としているということでございます。
 また、もう一つご質問いただきましたビルの建設等々の問題でございますけれども、これに関しましても、環境影響評価制度の予測、評価の対象と位置づけるためには、環境負荷の大きさの算定や評価につきまして、合理的で客観的な知見が確立しているという必要がございます。建築物の建設でございますと、解体、それから資材の製造に関しましては、これは算定方法の検討が始まっておりますけれども、環境影響評価制度に導入できる段階には至っていないというふうに判断をしております。
 また、環境影響評価制度につきましては、事業の建設ですとか実施、それから施設の稼働に伴う環境影響評価を対象としておりまして、大気汚染や騒音・振動など、他の評価項目につきましても、建設資材の製造でございますとか解体の過程までは環境影響評価の対象としておりません。したがいまして、温室効果ガスについてだけこのような範囲まで含めることは合理的ではないというふうに考えております。

○村松委員 現実問題として、資材を製造する過程、それから運搬する過程、それから今ある建物を壊すときも実際にはCO2を排出しているんですよね、こういうのも含めてやっぱり対象にしないと、どんどん膨らんでしまうんじゃないか、環境影響評価に入れないと。今、これだけ温暖化ガスの問題がいわれているときに、こういうところもやっぱり、その段階、細かい科学的な知見というところで証明がされていないというお話なんですが、だったらどの程度まで今、進んでいるのか、そういうことはいえるんですか。

○大野都市地球環境部長 建物の建設過程に関しますCO2の算定等々につきましては、例えば一つ例を申し上げますと、CASBEEという国の制度がございますが、このCASBEEの中に位置づけようという検討は進んでおります。また、さまざまな建設会社が独自の算定方法等々を検討してもございますけれども、まだこれで必ず全員が納得するというふうなところまで至っていないというふうに認識をしております。

○村松委員 一応局としては、こういったところに問題はあるという認識は持っているということはわかるんですが、やっぱり陳情者がいうように、建物ができ上がって、でき上がったところだけから排出する、こういうことだけじゃなくて、その過程もやはり環境影響評価に入れるべきだというのは、私は当然のことだと思うんです。それから、車を必ず使うわけですから、商業施設にしろ、そこへいろんなビルをつくる場合、車を使うわけですから、車から出るCO2なんかもあるわけですから、こういうのもやっぱり反映すべきだというふうに思います。
 今、大きな問題として国際的にも地球問題というのはいわれている中で、やっぱりどんな小さいことでも私たちは気をつけられるものは気をつけていく、そういう中でこの環境影響評価の果たす役割というのは大きいんじゃないかというふうに思うんです。
 そういう意味で、私は、この八項目全部採択、この立場で質問を終わります。

○大野都市地球環境部長 CO2の削減が東京にとって、また世界にとって非常に重要な課題であることはいうまでもございません。今回、都議会におきまして、大規模CO2排出事業者に対する総量削減義務でございますとか、あるいは都市づくりに関連しましても、地域のエネルギーの有効利用でございますとか、あるいは建築物環境計画制度の改正等々についても提出をさせていただいております。これらを全体として、東京の業務・商業活動、あるいは家庭でございますとか交通でございますとか、さまざまな局面から出てくるCO2の全体的な削減を目指す抜本的で総合的な施策であるというふうに考えております。
 環境影響評価制度はもちろん非常に重要な制度でございますけれども、本制度だけでCO2の削減ができるということでは決してございません。我々といたしましては、今回、議会に提出しております制度の構築あるいはさまざまな事業の実施によりまして、全般的に温室効果ガスの削減を目指す中で環境影響評価制度につきましても有効な活用を図ってまいりたい、このように思っております。

○原田委員 では、質問させていただきます。
 一九八〇年、東京都環境影響評価条例が成立し、最終改正が二〇〇二年に行われ、今日に至っています。この条例は、事業者が事業を進めるに当たって都民の健康と生活を守るために環境への配慮を制度化したもので、多くの都民の合意と理解の上に進めていく使命を持っていると思います。今後、この環境への取り組みが温暖化対策のように地球全体の存亡にかかっていく大きなテーマとなっていく中で、環境アセスの役割は大変重要になってくると考えます。
 陳情者の主張は、アセス自身の科学性、公平性をどう担保できるかということ、すなわち市民に信頼される結論を導くための根幹にかかわる提案ととらえています。陳情趣旨は、今まで生活者ネットワークが主張してきた点と通じることがあるということで、陳情の趣旨を私なりに理解し、何点か質問させていただきます。
 東京都の環境評価制度は、計画段階のアセスや事後調査の充実など、国の制度に先んじている点は評価したいと思います。しかし、例えば計画段階のアセスの対象事業、その運用となると、まだまだ十分とはいえない現状ではないでしょうか。
 事業の計画段階での環境評価は、二〇〇二年、制度の中に位置づけられ、都民への説明会開催、市民、事業者の意見を聞く会などがそこでも設立されているわけなんですけれども、計画段階での市民参加も保障されているとするには少し物足りないなと考えております。この制度が創立された後、全体のアセス件数、これと、計画段階でのアセスの適用数はどのぐらいだったのでしょうか。複数案の選択ということが計画段階のアセスにうたわれていますけれども、選択プロセスの透明化は保障されているのでしょうか、お伺いします。

○大野都市地球環境部長 平成十四年に計画アセスが導入されてからでございますが、十五年度以降で申し上げますと、事業アセスが二十五件でございまして、計画アセスが二件でございます。それから、透明性の問題でございますけれども、計画アセスに関しましては、事業者は、その対象計画を策定しようとするときに、社会的、経済的要素を踏まえまして採用可能なものとして複数の対象計画の案を作成し、環境配慮書を作成するとなっております。
 この環境配慮書の中には、複数の対象計画案の策定に当たっての考え方を記載することになっておりまして、この内容は、広く都民に公開されるとともに、事業者の意見を聞く会を開催し、公開で事業者の見解を聞くことができるとなっております。したがいまして、選択過程の透明性に関しましては、一定程度確保されているのではないかというふうに考えております。

○原田委員 計画アセスが実施されている件数というのは二件ということで、鳴り物入りで評価されている割には随分少ないなというふうに考えます。加えて説明会などというと、利害関係者以外の市民の参加も極めて少ない、複数案提示と、その選択プロセスを多くの市民の人たちと共有して市民参加の意欲を高める工夫が必要だと考えています。
 そういう意味では、いろいろ手法があると思いますけれども、いわゆる素案を絞るプロセスに市民参加をさせていくということがまず考えられると思いますが、これは、アメリカなどでよく、A案、B案、C案それぞれのうちわみたいなものを持って、A案賛成の人なんていってこうやって手を挙げたりして、そういう簡単な工夫で参加させていく、そういうことが、問題点を自分のものとして受けとめて参加の意欲を持たせるという意味では大変必要な手法ではないかと考えております。必ずしもそういう方法じゃない方がいいということもいえますが、工夫は要ると思います。いろんな意見を聞いて、このA案に決定した、それは意見を聞く側の主観が入るわけですから、なるほどあそこに落ちついたのは、そういうことではこの前のやりとりを聞いたら納得するなというような仕掛け方が必要ではないかと考えます。
 また、一たび手続が始まると後戻りができない、これはいろんな方が指摘しているところですけれども、事業の白紙撤回の選択肢がないことは、事業を進めるのを前提としている、この現状は、市民参加の意欲をそぐ大きな原因となっているということもいえます。今後の検討課題として、ぜひ環境評価のあり方、説明会のあり方を考えていただきたいと思います。
 また、この計画段階での影響評価制度を適用するのは東京都の事業に限定されているということですけれども、多くの事業が計画段階での影響手続を踏むようにする方が望ましいと考えています。この事前アセスの件に関して、広く適用を広げるということに関してはどうお考えでしょうか。

○大野都市地球環境部長 東京都は平成十四年に計画アセスメント制度を導入したわけでございますが、東京都は条例でこの制度を導入したわけでございますが、それ以降、全国では、埼玉県でございますとか広島市、京都市等、幾つかの自治体がこれは要綱で制度を導入しております。これらを見ましても、東京都と同様にやはり民間の事業者については対象にしておりません。
 現時点におきましては、まだこの計画アセスメント制度を民間事業者にまで適用するだけの十分な知見が確立していないと思っておりまして、現時点といたしましては、まだ民間までを対象にするような状況には至っていないんじゃなかろうかというふうに考えております。

○原田委員 いろいろ理由があるとは思いますけれども、計画アセスの拡大は今後の大きな課題であると私はとらえております。環境への関心が高まっていくことを考えれば、決して早急な提案ではないと考えています。
 さて、計画段階での市民、事業者との話し合いを丁寧に進めることが、その後の事業段階の環境影響評価手続のプロセスをスムーズに進めるポイントだと考えております。アセス評価への市民参加を広げることは時代の要請ではないでしょうか。
 そこで、環境局が温暖化対策関連の政策を進めるに当たって、利害関係者の話し合い、ステークホルダーを開催しました。この手法は内外から注目を受け、参加していなかった人からもさまざまなメッセージが届いていると聞いています。環境アセスの計画段階でのさまざまな説明会を一括してこの手法を使って、お互いの意見交換、今後のプロセスも確認していくことが、市民の主体性を導くいわゆる反対だけでない構造をつくることにつながっていくと考えますが、ご見解を伺います。

○大野都市地球環境部長 お話のステークホルダー会議は、昨年六月一日に東京都気候変動対策方針を発表いたしまして、その中で、大規模CO2排出事業者への総量削減義務と排出取引制度の導入提起をいたしました。これは日本では全く初めての提案でございまして、さまざまな意見があったものでございますので、これに関し、幅広くさまざまな利害関係者のご意見を伺うために、昨年七月から三回実施をしたものでございます。これは実は非常に大事な会議だったというふうに考えております。
 しかしながら、このステークホルダー会議は、新しい制度そのものを構築するということでこうした手法をとったものでございます。これに対しまして、計画アセスは個別の事業計画について実施するものでございまして、公示縦覧、住民説明会、意見書提出、都民の意見を聞く会など、明確な手続が既に制度の中に盛り込まれております。したがいまして、計画アセスに関しましては、今後ともこうした手法によって実施をしてまいりたいと考えております。

○原田委員 今おっしゃった住民説明会、意見提出、都民の意見を聞く会などの会がなかなか濶達な意見交換の場になっていないという現実もあるので、手法を考えたらどうかという提案なんですけれども、最初から、はい、やりますというようなお答えは期待はしていませんが、これが環境アセスだけでなく、例えば東京都が実施している都民の意見を聞くパブリックコメントなんかにもいえることですが、市民の意見がいえる制度ができても、どうもその制度自身が何というか、他人事のように血肉がついてこないというか、本当に市民のものになっているかとか、政策を進める一つの力になっているかというと、どうもそうじゃないと。
 制度ができたんだから、その制度を絶えず検証しながら参加者をふやすとか、もっと有効な方法はないかということを考えるのが私は行政の責任だと思うし、技術指針というのは行政がつくれる範囲のものですから、そういう現状を受けて、指針の改正というのは前向きに考えてやっていただける仕事なのかなと考えております。
 とにかく参加意欲をかき立てるということは、その場がおもしろいということが大事だと思います。自由に物をいえる、意見交換ができるということは大変意欲をかき立てる手法として大事な視点だと考えておりますから、ご検討ください。
 また、より市民に開かれたアセスにするためにも、公告縦覧、資料は提出していますというようなことですが、資料も分厚くて持ち運びできない、その場で見てください、その場にいても立ち読みするぐらいしかない、ゆっくり閲覧する場所がなかったりするわけなんです。評価書案も分厚く用語がわかりにくい、市民にしてみれば、そんなの読みこなさないうちにわけのわからないまま進んでいくというような実感も、いろんなところでいわれています。用語の説明、ダイジェスト版の製作など、市民に親切な資料を提示する必要があると考えますが、この点についてご見解を伺います。

○大野都市地球環境部長 評価書案等の作成に当たりましては、簡潔かつ平易な文章で表現するとともに、写真や図、グラフ等を用いて十分にわかりやすい内容にするということが技術指針に記載されております。また、事業者には、住民向けの説明会を開催するほか、アセスとしての概要書やわかりやすいパンフレットの配布などを働きかけておりまして、今後ともより一層の周知と理解を深めるように必要な措置を講じるよう、事業者に対しても指導をしてまいります。

○原田委員 一層の工夫、心配りをお願いします。
 環境アセスの予測値は大変難しいということは陳情者もおっしゃっていますし、それに関しては多くの皆さんが同感することと考えています。事業に対する未来への不安、懸念を払拭するためにも、現行の事後アセス、事後報告書ですか、そういうもののあり方が重要になってくると考えます。現条例でいうと、事業終了後に一回という実施になっていると解釈していますが、何年か後の定期的点検が必要と考えますが、見解をお伺いします。

○大野都市地球環境部長 事後調査でございますが、これは工事中及び完了後に事業ごとに評価書に記載した予測事項に応じまして、複数回実施をするものでございまして、一回だけというわけではございません。予測事項の状況や環境保全措置の実施状況などを調査報告しているというものでございます。特に道路工事など、予測条件に道路ネットワークの整備が入っている場合には、ネットワークの完成時までに十年以上を要しますので、十年以上にわたりまして事後調査が実施されて予測事項をフォローアップしているということでございます。
 なお、国のアセスメント制度におきましては、事後調査を必ず実施するという規定になっておりませんで、すべての事業で事後調査を行うというのは東京都のアセス制度の特色であるというふうに考えております。

○原田委員 私がいいたいのは、長い間かかって行う事業は何期か目に中間で事後アセスのようなものが行われているということなんですけれども、大きな事業が終了した後、予測した影響が予想どおりなのか、それ以上なのか以下なのか点検する必要があるんではないかと考えています。想像以上の事態が発生したときに、事業者としての責任をしっかりとってもらう体制が必要なのではないでしょうか。その義務を課すことで、アセス評価の基礎調査、現況調査もしっかりした実地調査も実施しなくてはという土壌が生まれてくるのではないでしょうか。これは大変大事な視点だと考えています。とにかく、事業終了した後の点検と事業者責任というのはこれからぜひご検討いただきたいと思います。
 環境影響評価条例が成立して二十八年経過しています。時代の要請はまさに市民が環境を自分の問題としてとらえる施策にあります。環境影響評価制度がお上の仕事でなく、市民の生活、今は人間だけでなく、地球上にすむすべての動植物にとってすみよい環境を守るための制度であることをお互いに確認して進めることが極めて重要な課題ではないでしょうか。
 現在、環境影響評価制度が日本の中でも先駆的な制度であることは誇れることですが、時代とともに進化させる役割も私たち都民にあります。前進させるための一つの方法として、技術指針の見直しは緊急の課題だととらえています。
 以上、意見をいいまして質疑を終わらせていただきます。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○谷村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二〇第六号は不採択と決定いたしました。
 これをもって陳情の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十五分散会

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