環境・建設委員会速記録第十四号

平成十九年十一月十五日(木曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長谷村 孝彦君
副委員長石森たかゆき君
副委員長小沢 昌也君
理事原田 恭子君
理事山田 忠昭君
理事今村 るか君
村松みえ子君
橘  正剛君
吉田康一郎君
矢島 千秋君
こいそ 明君
ともとし春久君
高橋かずみ君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
参事浅川 英夫君
参事小山 哲司君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
事務事業について(質疑)

○谷村委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○吉川環境局長 大変申しわけございませんでしたが、去る十月十六日の当委員会の際、公務のため欠席をさせていただいておりました幹部職員を改めて紹介させていただきます。
 環境政策担当部長の長谷川明でございます。都市地球環境部長の大野輝之でございます。廃棄物対策部長の森浩志でございます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○谷村委員長 紹介は終わりました。

○谷村委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加藤環境政策部長 去る十月十六日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり十六項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、東京都環境科学研究所の主な研究実績でございます。
 平成九年度から十八年度までの各年度における主な研究実績を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成八年度から十七年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 なお、平成十四年度以降は、(注5)に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で二段書きとしております。
 三ページをお開き願います。3、過去十年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
 平成十年から十九年までの十年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、光化学スモッグ注意報等の発令状況の推移でございます。
 平成十年から十九年までの各年における発令日数、発令期間及びオキシダント最高濃度を記載してございます。
 五ページをお開き願います。5、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段に、一般環境大気測定局における過去五年間の測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を、下段に、自動車排出ガス測定局における状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 次の七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都の施設におけるアスベスト使用状況と対応状況でございます。
 (1)は、平成十七年度調査によりアスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。吹きつけ材、保温材別に、吹きつけ材はさらに対策の優先度別に、アスベストの使用箇所数と対策の実施状況を記載してございます。
 (2)は、平成十八年度調査によりアスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。(1)と同様の区分ごとに、アスベストの使用箇所数と今後の対応について記載してございます。
 九ページをお開き願います。8、都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 平成十三年度から十八年度までの各年度における調査件数、汚染が判明した件数及び処理が完了した件数を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、東京ガス株式会社が豊洲用地で実施した土壌汚染状況調査結果の概要でございます。
 豊洲用地の所在地、敷地面積、調査期間及び土壌への溶出が認められたシアン、ベンゼン、六価クロム、鉛、砒素、水銀につきまして、その測定値、基準値、倍率を、土壌への含有が認められた鉛、砒素、水銀につきまして、その測定値、参考値、倍率を、また、地下水におけるシアン、ベンゼン、鉛、砒素の測定値、基準値、倍率をそれぞれ記載してございます。
 なお、シアンにつきましては、(注1)に記載のとおり、その基準値は「検出されないこと」となっており、倍率を算出してございません。
 一一ページをお開き願います。10、緑被率、みどり率の推移でございます。
 まず、(1)、都内の緑被率とみどり率の推移でございますが、昭和四十七年から平成十年までに行った各調査における緑被率とみどり率を記載しております。
 次に、(2)、最新のみどり率でございますが、平成十五年度の暫定値を記載してございます。
 次に、(3)、緑被率の地域別推移でございますが、各調査年度における区部、多摩の地域別の緑被率とその経年変化を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、保全地域の指定状況と公有化率でございます。
 まず、(1)、保全地域の指定状況でございますが、一三ページの中段にかけて、現在指定済みの四十五地域の保全地域名、所在地、指定年月日、指定面積等を記載してございます。
 次に、一三ページをおめくりください。(2)、公有化率でございますが、本年十月末現在の保全地域指定面積、そのうちの公有地の面積、公有化率を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。12、保全地域の指定実績でございます。
 最近五年間に指定した保全地域名、指定年度、指定内容及び指定面積を記載してございます。
 一五ページをお開き願います。13、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成十年度から十九年度までの各年度における指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。14、産業廃棄物の排出量及び処分量の推移でございます。
 平成十三年度から十七年度までの各年度における、都内から排出された産業廃棄物の排出量及び最終処分量でございます。
 一七ページをお開き願います。15、過去五年の建設泥土の排出量と今後の見込み量でございます。
 (1)には過去五年間における建設泥土の排出量を、(2)には今後の見込み量について記載してございます。
 一八ページをお開き願います。16、都内から排出されるアスベスト廃棄物の量と処理方法でございます。
 まず、(1)でございますが、飛散性アスベストにつきまして、平成十四年度から十八年度までの各年度における排出量を記載しております。
 次に、(2)には非飛散性アスベストの年間推計排出量を、(3)にはアスベスト廃棄物の処理方法につきまして記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 最初に、私から、去る十月十六日に説明のあった事業概要三一ページ、地球温暖化対策に関して、実効性ある温暖化対策の取り組みについてお尋ねします。
 都は、ことしの六月にカーボンマイナス東京十年プロジェクトの基本方針を発表し、さまざまな分野でCO2の大幅な削減に取り組んでいくこととしております。省エネ対策の推進、再生可能エネルギーの普及拡大など、来年度の新規プロジェクトについては、現在、予算要求も含めて検討が進められていると思いますが、現在取り組まれているそれぞれの事業についても着実に進めていくことが重要であると考えます。
 そこでまず、中小規模の事業所の省エネ対策として行われている区市別の省エネ研修会についてお伺いいたします。
 私の地元練馬区でも、去る十一月八日に省エネ研修会が開催され、四十事業所ほどの参加があったと仄聞しております。区市と連携して地元の会場で開催しましたので、事業者はわざわざ遠くの会場まで足を運ばず、参加しやすかったと思います。中小の事業所においてCO2削減に向けた取り組みを進めていただくためには、この研修会により多くの事業者の方が参加して、対策技術を学んでいただくことが必要だと思います。そこで、これまでの開催状況と今後の取り組みについて伺います。

○大野都市地球環境部長 省エネ研修会につきましては、本年度は十五の区市で開催を予定しております。現在まで八つの区市で開催をいたしました。合計して百九十名の事業者の皆さんがご参加いただきましたが、区市によってはかなり参加者数にばらつきがございました。多くの事業者にご参加をいただいた区では、区の環境部門だけで取り組むのではなく、商工部門とも連携いたしまして、中小企業の経営者の皆さんが構成する組織である法人会などを通じまして参加を呼びかけるなどの工夫がされておりました。
 今後、区市に対しまして、こうした商工部門等との連携を働きかけるほか、都におきましても、東京都商工会議所等と協働するなど、より多くの事業者の皆さんが省エネ研修会に参加いただけるよう取り組みを進めてまいります。

○高橋委員 東京商工会議所ね、東京都じゃなくて。
 今伺ったとおり、適切な方法で呼びかけを行えば、より多くの事業者の参加を促すことができると思います。今後、都においてはさまざまな工夫をして、一層の働きかけを行っていただきたいと思います。
 次に、中小規模の事業所における省エネ現場相談についてでありますが、ことしで二年目になり、これまでの相談事例の積み重ねの中で、省エネ対策の状況が把握できるのではないかと思います。こうした現状を踏まえ、今後、中小の事業所のCO2削減について、どの程度の効果が期待されるのか伺います。

○大野都市地球環境部長 昨年度は二十件の省エネ現場相談を実施いたしましたが、本年度は五十件の実施を予定しておりまして、現在二十六件が実施済みでございます。
 現場相談の事例を見ますと、多くの中小企業では、みずからの事業所のエネルギー需要の実態把握もほとんど行われておらず、また、既に実用化された省エネ技術であっても十分に普及しておりません。したがいまして、ボイラーなどの機器の運転を見直すなど、運用対策を行うとともに、照明のインバーター化など、省エネ対策費用が比較的早く回収できる設備改善対策を行うだけでも、相当のCO2削減効果が期待できると考えております。
 ちなみに昨年度省エネ相談を実施しました二十件の事業所では、平均で約一〇%の削減が可能であると試算されております。

○高橋委員 中小の事業所においてはCO2削減に多くの余地があり、引き続き省エネ対策を一層推進していただきたいと思います。
 さて、温暖化対策は、これをやれば解決という決定打はなく、先ほど質問した中小企業対策や、現在検討が進められている大規模事業所のCO2削減義務化、さらには家庭や交通など、あらゆる分野で全面的に対策を進めていかなければならないと思います。特に日本は世界でも最先端の省エネルギー技術を有しております。また、太陽光熱電なども世界でトップレベルの技術を持っております。CO2削減に向けてこうした技術をしっかりと使っていくことが重要であります。
 また、これらに加えて、CO2削減には地底への封じ込めや大規模植林、都市緑化など、さまざまな技術があります。省エネルギー、再生可能エネルギーも当然に大切でありますが、その他の新しい技術や研究についても情報を収集し、検討することは大変に重要なことであると考えております。
 先日も我が東京都議会自由民主党の有志が集いまして、海洋生物学がご専門の東京大学名誉教授を講師としてお招きし、バイオテクノロジーを利用したリサイクルによるCO2削減をテーマに地球温暖化対策勉強会を開催いたしました。
 省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入、CO2削減技術など、それぞれの分野で新技術が次々に生まれております。こうした技術は完成度合いもさまざまで、一様の対応をとることは難しい面があると思います。しかし、都においても幅広く情報を収集し、対応をしていくことも必要であると考えます。都の見解をお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 民間企業などにおきましては、新しい省エネ技術等に関するさまざまな展示会などが頻繁に開催されておりまして、こうした機会等も通じまして情報収集を行うなど、最新の技術動向に注視していく必要があると認識しております。
 都におきましても、これまで、屋上緑化に関する技術情報の交換の場を設定するなど、技術の熟度や普及可能性などに応じた対応を行ってきております。
 また、民間から生まれるアイデアや技術につきましては、さらにその技術につきまして熟度を高めていただくことによって、実用の可能性が開かれてくるものがございますので、こうした場合には積極的に意見交換も行っていきたいと考えております。
 温暖化対策を本格的に展開するためには、民間から生まれるさまざまなアイデア、技術を有効に活用していく必要がございます。今後ともこうした各面から多面的に情報収集を行ってまいります。

○高橋委員 今後、さまざまな研究や技術のアイデアが民間やNPOなどから提案されてくることも多くなると思いますので、しっかりと対応していただきたいと強く要望しておきます。
 次に、事業概要の一〇二ページ、自動車部門の温室効果ガスの削減に関連してお尋ねします。
 都は、平成十五年十月にディーゼル車の走行規制を開始してから四年余りが経過しました。この間、東京都トラック協会やバス協会など、事業者団体の都施策への協力もあり、多くの事業者が粒子状物質減少装置を装置し、東京の大気環境の改善に努めてまいりました。今ではその成果も上がり、粒子状物質の排出は大幅に改善され、自動車排出ガスの測定局三十四局すべてで二年連続して環境基準を達成し、黒いすすに悩まされることもほとんどなくなってきましたことを仄聞しております。
 しかし、自動車から排出されるのは粒子状物質だけではないと思います。これからはNOxや温暖化の原因となるCO2の削減に力を入れていき、東京の環境をさらによくしていくことが重要であると思います。都内のCO2排出量のうち、約二割が自動車に起因しており、自動車から排出されるCO2の削減を図っていくためには、より性能のよい車の普及や、必要ない車の運転を控えるなど、さまざまな取り組みを進めていくことが必要であります。しかし、自動車は高価であり、白熱球を蛍光灯にかえるようにそうそう簡単に買いかえることはできないと思います。また、自動車は都民の生活や事業活動に不可欠であり、運転を控えるにしても限度があると思います。
 こうした状況の中、環境に優しい運転であるエコドライブが注目されております。急発進しない、車間距離を保って加減速の少ない運転をする、エンジンブレーキを使うなどにより、燃費が約一割向上するとも聞いております。このようにエコドライブはだれもがすぐにでも取り組めて、効率の高いCO2削減策であり、今後積極的に促進していくべきであると考えます。
 そこでまず、エコドライブの現状と課題についてお伺いいたします。

○井戸自動車公害対策部長 まず、エコドライブの現状と課題についてでございますけれども、マイカー利用者の大部分につきましては、エコドライブという考え方を知ってはおりますけれども、その具体的な運転方法ですとか効果が十分に浸透してはおりません。
 また、トラックやバスの事業者につきましては、アンケート調査などによりますと、多くの事業者の方がエコドライブを実践しているというふうにしてはおりますけれども、燃費削減等の具体的な効果を把握して、それを消化するというところまでは至っておりません。特に小規模な事業者では、エコドライブを組織的に推進するための仕組みの整備ですとか、あるいは新機器の導入が進んでいないという状況にございます。

○高橋委員 エコドライブは、考え方は広く知られているものの、企業内で具体的な燃費削減等の効果が十分に認知されておらず、それが事業者、ひいては社会全体にエコドライブに取り組む体制が浸透しない原因となっていることがわかりました。
 こうした状況を改善していかなければなりませんが、都内の自動車交通は、マイカーよりもトラック、バス、営業用乗用車などの事業活動に伴う自動車使用が多く見受けられる状況であり、まずは事業者のエコドライブへの取り組みを推進していくことが必要であります。その意味で、プロのドライバーへの浸透こそがエコドライブ普及のかぎになると考えられます。既に一部の先進的な事業者は、エコドライブを通じて自主的なCO2削減の取り組みを進めており、このような取り組みを多くの事業者や団体に広げていくことがCO2削減のためには重要であります。
 事業者へのエコドライブの普及に当たって留意すべきことは、エコドライブ支援機器の導入などのハード対策とともに、それを活用したドライバーへの指導というソフト対策が同時に行われることが必要だということであります。例えば急な加減速をしないということを実施するとしても、個々のドライバーによってブレーキやアクセルを踏むポイントにかなりの違いがあると考えられます。こうした個々のばらつきをなくし、エコドライブを着実に実施していくためには、エコドライブ機器による効果検証と教育指導の実施が不可欠であります。そのため、我が党はエコドライブを社会に定着させるよう、ハード及びソフト両面にわたる仕組みの構築を急ぐべきであると、予算特別委員会や第三回定例会本会議で主張してまいりました。
 このたび、都は、十一月初めにエコドライブ支援機器への補助を開始しましたが、この補助制度のねらいと効果について伺います。

○井戸自動車公害対策部長 まず、エコドライブ支援機器の補助制度のねらいでございますけれども、大規模事業者に比べまして、経営や運営の体制面で課題を抱えまして、エコドライブの取り組みがおくれています小規模な事業者の取り組みを促進することが目的でございます。
 また、効果でございますけれども、エコドライブ支援機器の自動車への装着に加えまして、走行データの解析ですとか、それを活用した教育指導などを事業者の方が実施することによりまして、CO2削減に役立ちますより効果的なエコドライブを行えるというふうに考えております。

○高橋委員 エコドライブの普及に当たって、エコドライブ装置の導入支援を行うだけではなく、補助制度の仕組みの中に実効性のある推進体制の構築を融合させていることは評価できると思います。
 また、エコドライブを普及させることは、燃費の向上を通じてCO2削減になるとともに、燃料が節約されてコスト縮減にもつながり、経営面での改善も期待されます。さらに、急発進など乱暴な運転をしなくなるので、安全運転にも寄与するともいわれております。
 このようにエコドライブの普及は社会に複合的な効果をもたらすものであり、業界や事業者などへも波及させ、社会全体にエコドライブを促進させていくことが重要であると考えます。今後、今回の助成制度をきっかけとして、都民や事業者のエコドライブの取り組みをさらに促進させ、社会全体に普及させるべきと考えますが、見解を伺います。

○井戸自動車公害対策部長 まず、エコドライブ機器の助成制度を契機としまして、事業活動に車を使用します事業者全体を対象にしまして、エコドライブの普及進展を図りまして、CO2削減の具体的な成果が発揮できるように取り組んでまいります。
 このようにエコドライブが事業者に幅広く定着いたしますれば、マイカードライバーに対しましても、エコドライブを実践できる走行環境が整うというふうに考えてございます。
 あわせて、トラックやバス等のプロドライバーのエコドライブのノウハウをマイカードライバーに対して提供する機会を設けるなど、普及啓発をしてまいりますとともに、八都県市とも連携いたしましてキャンペーンを行うなど、そのような場を活用してまいります。

○高橋委員 CO2削減は今や待ったなしの状況であります。先ほど述べたように、東京都トラック協会がCO2対策として自主的にグリーンエコプロジェクトに取り組み、成果を上げているなど、事業者の先進的な取り組みを全体に広げることが重要であります。手軽に取り組めるエコドライブの普及を通じて、都民や事業者が自動車と環境に関する意識を向上させ、みずからが主体的にさまざまな行動の実践に結びつけるなど、都がさまざまなCO2削減策に積極的に取り組むことを要望して、この質問を終わらせていただきます。
 最後に、事業概要一六七ページ、都の埋立処分場等への産業廃棄物の受け入れに関連して、都の廃棄物処分場における廃プラスチックの埋め立て抑制についてお尋ねいたします。
 平成十六年十一月の当委員会で、私は、循環型社会の実現に向け、また、かけがえのない埋立処分場を延命化するため、廃プラスチックはマテリアルリサイクルの推進を基本としつつ、サーマルリサイクルの導入に取り組むことが必要だと申し上げました。その後、都内二十三区内では、平成十八年七月の品川区を皮切りに、サーマルリサイクルのモデル収集が開始され、現在全区でモデル収集が行われております。また、あわせて、モデル収集した廃プラスチックの焼却実証確認も行い、いよいよ来年度には二十三区全域でサーマルリサイクルが本格的に実施されることとなりました。
 東京都は、昨年九月に策定した東京都廃棄物処理計画においてリサイクルを促進し、平成二十二年度中に廃プラスチックの埋立処分量をゼロにするとの目標を掲げております。
 本年一月に策定した都処分場の埋立処分計画でも、埋立量を段階的に削減していくとしており、このことは評価できると思います。
 しかし、肝心なのはそれをどうやって実現するかであります。一般廃棄物については、廃プラスチックのサーマルリサイクルの実施により、着実に埋立量を削減できるものと期待していますが、産業廃棄物の廃プラスチックの埋立量をどのようにして削減していくのか、いま一つ見えてこないのであります。
 都の処分場では、都から搬入を承認された産業廃棄物の中間処理業者などの廃プラスチックを受け入れておりますが、埋立処分量を削減するということは、すなわちこれらの搬入業者からの受け入れを抑制していくことであります。しかし、突然に受け入れ停止を打ち出すようなことがあると、中小企業である搬入業者は確実に混乱すると思います。
 そこで、まず最初に、都はどのようにして搬入業者からの受け入れを抑制していく方針なのかお伺いいたします。

○森廃棄物対策部長 都の埋立処分場へ産業廃棄物を搬入する業者に対しましては、これまで埋立処分計画を示しながら、産業廃棄物の埋め立て抑制を求めてまいりました。年内には新たに廃プラスチックについて年度ごとの削減割合を示した基本方針を策定し、公表してまいります。
 さらに、今年度中に業者ごとの搬入承認計画量を提示し、搬入業者に対するリサイクル指導を進めつつ、廃プラスチック類の受け入れ量を段階的に削減してまいります。

○高橋委員 廃プラスチックのリサイクル指導を進めるとのことでありますが、材質が明確で均質なものはマテリアルリサイクルが可能でしょうが、都内では汚れや異物の混入した廃プラスチックがオフィスビルや飲食店などから多量に排出されており、リサイクルは難しいのではないでしょうか。
 そこで、産業廃棄物の廃プラスチックのリサイクルルートは、現在どの程度整備されているのか伺います。

○森廃棄物対策部長 リサイクル技術の進展や石油価格の高騰などから、近年、廃プラスチックは、産業用エネルギー資源としてセメント産業での利用や石炭の代替燃料などの需要が旺盛になってございます。
 また、東京臨海部のスーパーエコタウン事業により整備したガス化溶融と発電施設などでのサーマルリサイクルも進んでおります。これらのリサイクル施設での処理量は、都内の廃プラスチックの排出量を上回っておりまして、十分なリサイクル能力があると認識しております。
 都は、汚れ、異物の少ない廃プラスチックは産業用の原料や燃料としてのリサイクルを促進し、その他の廃プラスチックについては廃棄物発電等へ誘導してまいります。

○高橋委員 リサイクルルートが整備されてきたことはわかりましたが、搬入業者にとっては、ほかと比較すると、安価な都の処分場での埋め立てから、リサイクルルートへの転換をすることは簡単ではないと思います。廃プラスチックのリサイクルを進めるためには、まずは廃プラスチックを排出する事業者による適正な費用負担や、分別排出が行われる必要があります。都が搬入承認量を減らしていくに当たっては、排出事業者へのリサイクルの周知や、搬入業者へのきめ細かな指導が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 これまで都は、産業界と連携し、分別排出の実施や必要な処理費用の負担などを内容とする排出事業者五原則を提唱してまいりました。また、昨年度には、廃プラスチックを効率的に回収、リサイクルするための小口巡回収集モデル事業を実施しており、引き続きこれらの普及、定着に努めてまいります。
 一方、搬入業者に対しましては、リサイクルルートに関する情報や選別工程の工夫などに関する情報をきめ細かく提供してまいります。
 こうした取り組みによりまして、廃プラスチックのリサイクルを促進し、処分場での受け入れ量を削減してまいります。

○高橋委員 廃プラスチックの埋め立ては資源のむだであり、埋め立て空間の消費であります。埋立処分空間は限りある再生不可能な資源であり、大きな容積を占める廃プラスチックにより埋め尽くされることがあってはなりません。そのためにも、都処分場での埋め立て抑制を強力に進めていただきたいと思います。廃プラスチックの埋め立てゼロに向け、不退転の気持ちで臨んでもらいたいと思います。
 一方、そのためには、埋立地に搬入する中小事業者の理解と協力が不可欠であります。あわせて、こうした事業者に対する配慮を怠ることのないよう要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大津委員 それでは、廃棄物対策と生物資源と植物系燃料と温泉法についてお伺いをしていきます。
 まずは廃棄物対策からです。
 東京から出す廃棄物は東京で処理しようということで臨海部に建設をしました東京スーパーエコタウン、これが誕生一年を迎えました。東京は全国二十六カ所あるエコタウンの中でも成功事業として高く評価をされております。今月二日、スーパーエコタウンシンポジウムが開催され、東京都からは森廃棄部長がパネリストをされ、私も幾つかの取り組み状況や最新技術についての講演を聞かせていただきました。
 平成十四年に参加企業を公募、選定、そして建物の解体廃棄物やテレビ、パソコンなどの廃家電などをリサイクルする施設が八つ竣工しまして、昨年、十八年八月に稼働しまして、丸一年を迎えたところでございます。この一年でどれだけ首都圏の廃棄物処理に貢献できたのか、都としての評価と、五年後、十年後を見据えての、今後どのように推進していこうとするのか、それについてお伺いをいたします。

○木村参事 スーパーエコタウン事業では、現在、建設混合廃棄物や廃情報機器などを合計で日量三千トン処理できる先進的なリサイクル施設が稼働しております。これにより、平成十六年度に六一%であった産業廃棄物の都内中間処理率が向上するとともに、最終処分量の削減が進んでいるものと評価しております。
 また、この一年間で、アジアやヨーロッパなど四十一カ国からの人を含め、事業者、都民など、延べ一万人以上の視察者があり、スーパーエコタウン事業への高い関心が寄せられております。
 今後についてでございますが、昨年の第二次公募で選定した、建設泥土や木くずなどをリサイクルする新たな四施設については、事業者により都市計画決定の手続や実施計画の策定が進められており、来年度以降順次施設が整備され、さらなるリサイクルが促進されるものと考えております。
 また、スーパーエコタウン事業の先進的な取り組みや技術等を全国に広く情報発信するなどにより、健全な廃棄物処理、リサイクルビジネスを育成し、循環型社会への構築に向け努めてまいります。

○大津委員 お話にありましたが、スーパーエコタウン事業というのは、今まででいえば、例えば建設廃材、瓦れきや木くずや、テレビやパソコンなどの要らない家電製品や、建設汚泥、はたまた金属くず、食べ残り、こうした廃棄物を都市活動に有用な資源、例えば電気、肥料、スラグ、そういったものに変える、夢のある大きな事業であると思います。廃棄物の処理業者やその従業員の方たちも、こういった快適な都市生活を提供する夢のある事業と誇りを持っておりますので、ぜひこの高効率の廃棄物のリサイクル促進を東京都としても引き続き進めていっていただきたいと思います。
 次に、そのスーパーエコタウンの中の処理能力と搬入量についてお伺いをいたします。
 施設の中には、廃棄物から熱エネルギーを回収するガス化溶融発電施設、これは二万三千キロワットの発電、そして食品廃棄物のバイオガス発電は千キロワット、合計二万四千キロワットの発電能力があります。これはわかりやすくいえば、家庭の電力にしますと、五万七千六百世帯の電力使用量に相当いたします。
 ところが、現在の発電量は発電能力に対して、ガス化溶融は五割、バイオガス発電は七割にとどまっておりまして、まだまだ余裕があります。施設能力に見合う発電をぜひ実現していただきたく、そのためにも廃棄物の搬入量を増加させる営業も必要になってくると思いますが、この二つの施設の廃棄物搬入量の見通しについて、どうなっているのかお伺いをいたします。

○木村参事 ガス化溶融発電施設につきましては、都が廃棄物処理計画で目標に掲げた廃プラスチックの埋め立てゼロの取り組みにより、その受け皿の一つとして搬入量は増加する見通しでございます。
 また、バイオガス発電施設については、この十二月から改正食品リサイクル法が施行され、食品関連事業者のリサイクル義務が現行の二〇%から強化されるとともに、実績報告が義務づけられること、また、来年四月からは二十三区の廃棄物処理手数料が四円値上げされ、この施設の処理料金との価格差が縮まることから、今後搬入量は増加する見通しであると考えております。
 都といたしましては、食品関連団体に働きかけ、食品関連事業者を対象とした研修会を開催することとしており、改正食品リサイクル法を周知し、食品廃棄物をリサイクル施設へ搬入するよう呼びかけてまいります。

○大津委員 二つのこの発電施設、エネルギー回収効率がとても高いので、本来の能力を十分発揮できるよう、都としても引き続き支援をお願いいたします。
 さらに、地球温暖化の防止の観点から、いわゆるバイオマス廃棄物、動植物に由来する再生可能な資源としての廃棄物でございますが、それについて加えて質問をいたします。
 バイオマスは化石燃料と異なりまして、燃やしても二酸化炭素が増加しない資源であります。バイオマス廃棄物には、食品廃棄物のほか、下水汚泥や解体工事から出るくず、そして木くずも挙げられます。地球温暖化を防止しながら都市の事業や都市生活を支えるエネルギーを確保できる、バイオマス廃棄物のエネルギー源利用を一層推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○木村参事 都内では年間約一千五百万トンのバイオマス廃棄物が排出されております。脱水前の重量比でその四分の三を占める下水汚泥につきましては、従来から下水処理施設においてメタンガス発電が行われております。また、最近では、木くずの高効率発電施設や紙くずに廃プラスチックをまぜ合わせて固形燃料をつくる施設が、産業廃棄物処理業者によって建設されてきております。
 家庭から排出されるごみの約三割を占める厨芥ごみは、都内で約八十万トン排出されており、貴重なバイオマスであることから、区市町村の一般廃棄物処理施設におけるバイオガス化技術や高効率発電の導入を技術的に支援するなど、エネルギー源としての利用を促進してまいります。

○大津委員 今のバイオマス、簡単にいえば人間が出す排出物、動物、生物、植物、ありとあらゆる生物系が排出するものはすべて資源となり、エネルギーとなり、燃料となるという意味でもありますその生物資源、バイオマス、これからも一層推進をお願いしておきます。
 そこで、地球温暖化の原因についてとその対策でございます。
 地球の温暖化現象の一つ、温室効果ガスとしまして、その原因の九七%が二酸化炭素、CO2といわれておりまして、二酸化炭素排出量の削減対策がとても重要となってきます。先ほどの資料にもございましたけれども、二〇〇五年度の都内温室効果ガス総排出量は、原子力発電の長期停止の要因を除外した場合、二酸化炭素換算で六千四百万トンとなっておりまして、京都議定書の規定による基準年である一九九〇年の総排出量六千百万トンに比べますと、五%の増加となってしまっております。
 増加の原因は、業務部門及び家庭部門ではありましたけれども、この二酸化炭素、一番対策をしなくてはいけない二酸化炭素の排出量、そのさらに内訳を都内で見ますと、約二割、五分の一が自動車からの排出となっております。その肝心な自動車の温暖化対策として、植物系のガソリンや植物系の軽油燃料などの二酸化炭素の削減に貢献できる植物系燃料、バイオマス燃料が期待できると思います。
 先月から、渋谷の駅から六本木経由新橋駅を走る東京都バスで、画期的にこの新植物系燃料、新バイオ燃料を利用、デモ走行を始めました。都バスへ使用されているこのバイオマス燃料、都バスへ導入する目的をまずは改めて確認をしておきます。

○井戸自動車公害対策部長 バイオマス燃料についてでございますけれども、都バスに使用されておりますバイオマス燃料は二種類ございます。ディーゼル車に使われておりますので、バイオディーゼル燃料と呼ばれております。一つは、今すぐに使えます軽油代替燃料としまして、第一世代燃料と呼ばれておりまして、植物油にメチルアルコールを加えましてつくったものでございます。植物油にはパームヤシの実から搾り取ったものなどが使われております。もう一つは、第二世代燃料と呼ばれておりまして、水素を使いまして、植物油を軽油にしたものでございます。
 これらにつきましては、自動車燃料として使用することによりまして、大気中に二酸化炭素を排出しますけれども、そのもとになります植物につきましては、成長過程で光合成によりまして大気中の二酸化炭素を吸収しておりますので、植物を原料とした燃料につきましては、大気中の二酸化炭素は増加させないという考え方が京都議定書で示されております。
 都バスへ導入する目的でございますけれども、第一世代の燃料につきましては、車体への影響に関するデータ収集を目的としまして、都バスの営業走行を行っております。また、第二世代の燃料につきましては、その実用化に向けて、最新の燃料技術をアピールするためのデモ走行を開始したところでございます。

○大津委員 自動車から排出される二酸化炭素の削減が一刻の猶予もない中で、燃料の実用化と普及促進に向けて、都は今後どのような取り組みを進めていくつもりなのかお伺いをいたします。

○井戸自動車公害対策部長 第一世代の燃料につきましては、原料の植物油が低温で固まりやすいという特性があることから、先駆的に導入しました都バス六十五台の営業走行を通じまして、燃料の管理方法などのノウハウを明らかにした上で、広く関係いたします事業者などに必要な情報を提供していくことを考えております。
 また、第二世代の燃料につきましては、二酸化炭素の削減に有効な燃料であることを広く周知するとともに、品質劣化のおそれがないという特性を生かしまして、廃食用油など、幅広い油脂を原料として活用することについても検討を行ってまいります。
 なお、今回のデモ走行におきましては、試験的にバイオディーゼル燃料を一〇%配合しておりますので、それに見合う一〇%の二酸化炭素削減を見込んでおります。
 こうした取り組みを通じまして、二酸化炭素削減に寄与しますバイオマス燃料の普及促進を図ってまいります。

○大津委員 一〇%配合により一〇%の二酸化炭素の削減が見込めるという、ある意味、すばらしい削減にもなりますので、引き続き頑張っていただきたいと存じます。
 バイオ燃料は、例えば今オイルパームなども使っていますが、それを見ましても、マレーシアやインドネシアからのどうしても輸入に頼っているようでもございます。自分の国の燃料は自分の国で採取できるように、例えば今アメリカならばトウモロコシにも力を入れていますけれども、また一方、石油ということを考えても、世界の力関係が変わってしまうほどの重要な燃料でもございますので、やはり日本ならではの燃料になるような、生物系、植物系資源の研究開発、実験をぜひ今から始めていくことを一たん要望をしておきます。一番エネルギーを消費します首都東京、その環境局が主導をとりまして、こういったことを、今から燃料系のことを十分研究されることは、いずれ将来大きな出来事になってくると思いますので、期待をしております。
 さて、最後に温泉法についてお伺いします。
 ことしの六月に、渋谷区で温泉施設で可燃性天然ガスの爆発事故が起こってしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、おけがをされた方々にも深くお見舞いを申し上げる次第でございます。
 悲惨な事故は二度と繰り返してはならない。可燃性天然ガスから都民の命と安全を守ることは、温泉法を所管する環境局の責務でもございます。そこで、六月の温泉爆発事故を踏まえまして、環境局はこのような事故を二度と起こさないためのどのような対策を行うのかお伺いをいたします。

○中島自然環境部長 環境局におきましては、事故の直後に職員を事故現場に派遣いたしまして、情報の収集等を行いました。
 また、都内のすべての温泉事業者に対しまして、電話により、まずは換気の徹底などの注意喚起を行うとともに、都庁において安全対策について緊急説明会を開催したほか、東京消防庁と合同の立入調査も実施いたしました。
 さらに、関係各局、警視庁、東京消防庁、それから外部の専門家などで構成する庁内の検討会を設置いたしまして、可燃性天然ガスの安全対策について精力的に検討を重ねまして、先月二十四日に、東京都可燃性天然ガスに係る温泉施設安全対策暫定指針を取りまとめ、公表したところでございます。この暫定指針には、密集市街地において温泉が掘削されているという東京の地域特性を踏まえまして、温泉の掘削から温泉の採取、そして廃止に至るまでの各段階における安全対策を定めております。例えば温泉を採取するときは、換気設備やガス漏れ警報設備の設置などハード面の対策と、それから温泉安全管理者の専任や安全対策マニュアルの作成などソフト面の対策の、両面の安全対策をとるべきことを規定しております。
 今後、私どもといたしましては、この暫定指針に基づきまして立入調査等を行い、事業者を指導してまいります。

○大津委員 一方、渋谷区内の事故を受けて、環境省は、温泉から発生する可燃性天然ガスによる災害を防止するため、温泉法改正案を今国会に上程をいたしました。本来でしたら、北区の爆発事故を受けまして、早く予防策を、法を見直すべきだったと存じますが、人が亡くなってから動くということは今後ないようにしたいと思います。
 この改正法案は衆議院で今月の二日に可決をされまして、十二日に参議院の環境委員会に付託をされました。現行の温泉法には可燃性天然ガスの安全対策に関する規定が全くなかったので、温泉法が改正され、可燃性天然ガスの安全対策が進められることは大きな進歩でありますし、この可決を心から望んでもおります。
 温泉法の改正をこれからも国任せにするのではなく、法が改正されれば、都知事に安全を確保する権限と責任が今度から得られることになります。都が改正される温泉法を有効に活用しまして、こういった事故から都民の命と安全をどうやって守っていくのか、この改正法案に合わせまして伺いますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 事故の再発防止には、一刻も早い取り組みが必要でございます。そのため、私どもでは温泉法の改正に先行いたしまして、暫定指針を策定いたしました。
 また、平成十七年の北区内の可燃性天然ガス爆発事故を受けまして、掘削時の安全対策指導要綱を策定したことや、今回の暫定指針の策定に向けて迅速に取り組んだことが、国の温泉法改正を促す一因になったと考えております。そのため、温泉の掘削から温泉の採取、廃止に至るまでの安全対策を規定した今回の暫定指針の趣旨が、温泉法の改正法案に反映されていると考えております。
 温泉法の改正によりまして、具体的な安全対策を定める技術基準に適合しない場合は、温泉の掘削や採取を不許可にしたり、一度与えた許可を取り消すことが可能になります。改正温泉法が施行された後は、法に基づく規制と地域特性を踏まえた私どもの都の指針とをあわせまして、都民の安全の確保を最優先に温泉対策を進めてまいります。

○大津委員 国より二年早かった、都のさまざまな指導要綱策定などの取り組みは非常に高く評価をしたいと思います。これからも安全対策は徹底して行っていただければと思います。
 安全だけでなく、今度は、最後になりますけれども、自然の恵みでもあります温泉、最近は乱掘をしております。昔は自然にわき上がってきたり、また、タヌキやキツネがけがを治しているのはなぜかなと見ると、そこに天然の温泉がわいていたり、またはよく夢まくらに立って、ここを掘りなさいと、そこを掘ったらとてもいいお湯が出てきたとか、そういった自然の天地の中からの導きによる温泉ということが歴史の中では起きてきたわけでありますが、最近、東京では千メートルを超える井戸をあちこちで掘り、強力なポンプでくみ上げております。都は内規で、一キロ以内には掘ってはいけないという食いとめ策をつくりましたけれども、本当は温泉の埋蔵量がなかなか調査をできない、難しいという点もありますけれども、多分、石油と同じで埋蔵量の限度というのはあると思います。そういった意味でも、環境局とされましては、この自然の恵みである温泉、乱掘をして枯渇させないよう、環境局は自然保護を所管する立場で、温泉対策をこれからも自然保護の立場で、掘削の位置とか、そういった自然保護温泉対策の意味でも、今から新しく検討をぜひ始めていただくことを最後に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○ともとし委員 最近感銘したことが幾つかあるわけですが、一番感銘したのは、日本から月への探査衛星が発射されまして、月から見たところの地球の映像でした。NHKのハイビジョンカメラによって映されているわけですが、本当に鮮明な、まさに真っ青のそういう地球の、そこに真っ白の雲が浮かんでいるような、すばらしい映像であったわけですけれども、一転、地球というそこに住んでいる我々が今課題としているのは、まさに地球温暖化でございまして、陸上を見れば、毎日のように砂漠化している、そうした状況が大きく広がっているわけでして、海に転じて見れば、温暖化によってこれまた海水が大きくふえてきている。そのためにそれこそ島が水没する、あるいは水の都といわれたようなところが、逆に水によって人の住む場所がなくなってきているというのが現状になるわけですね。
 遠目で見れば本当にきれいに見えたあの地球、しかし、現実はそういう厳しい内容があるわけでして、この東京を見た場合も、確かに「十年後の東京」、あるいはまたオリンピックの誘致を最大の目標に掲げている現状の東京、そのオリンピックの誘致にしても、「十年後の東京」にしても、これまた課題となるのは環境だというふうに思います。この東京における環境問題の解決というのは、オリンピックの誘致にもつながるし、同時に「十年後の東京」の一つの結果にもなってくるのかなというふうに思います。
 この環境問題をまさに主題としているところの環境局、そのリーダーである局長のそれらに対しての思いをまずお聞きしたいと思います。

○吉川環境局長 今、ともとし委員がおっしゃった探査機は「かぐや」といいますが、私も夕刊で見ましたが、ある新聞がタイトルで書いていたのは、沈み行く地球というんですね。探査機の方から見て地球を映したら、月の影に地球が沈んでいくと。これが私は非常に今の先生のお話を伺っていて、象徴しているかなと思います。
 というのは、環境局は、都民が健康で安全、快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保し、これを将来の世代へきちっと継承するとともに、自然と人が共生する、環境負荷の少ない、持続的な発展が可能な都市東京を構築し、地球環境を保全するため、基本的かつ総合的な施策を策定して実施するという極めて重要な役割を担っております。
 そういう意味で、ちょっと長くなりますが、先生からせっかく答弁する時間をいただきましたので、私、環境局長に六月一日になりましたが、五カ月半経過いたしました。最初に印象として持ったのは三つございまして、今申し上げたような、沈み行く地球ということに象徴されます、温暖化問題ではありませんが、極めて環境行政、とりわけ東京都の環境行政は、多くの期待とそれから重要な課題を与えられているなというのが一点目であります。二点目は、とはいえ、環境行政というのは非常に、先ほど高橋先生がマテリアル、サーマル等々の専門的なお言葉を質問の中でお使いになっていたわけですが、私の第一印象というのは、非常に環境行政というのは専門技術的な知識もしくは経験を踏まえて、きちっと行政展開していかなきゃいけないなというのが二点目でございます。それから三点目は、これは手前みそでありますが、私ども環境局の職員は全員で六百四十三名おりますけれども、大変有能で、かつ精力的に働く職員の多い局だなというのが、私の三つの感想でありました。
 いずれにしましても、先ほど申し上げましたような、環境局というのは極めて重要な役割を担っておりますので、私がモットーとしていきたいのは、攻めの姿勢を絶えず堅持をしていきたいなというふうに思っております。
 例えば今、先生引用されたオリンピックの問題でありますけれども、オリンピックでいいますと、文化とスポーツ、これに並んで環境がオリンピズムの第三の軸というふうに勉強しました。
 それからもう一点いいますと、北京のオリンピックの後はロンドンがオリンピックは来るわけですけれども、先般ロンドンの関係者とお会いしたときに、ロンドンというのはどういうふうないろいろな戦略を持って招致に成功したのかというふうに、アドバイスを受けるつもりで質問したんですが、そのとき、逆に東京の廃棄物処理技術というんでしょうか、東京から逆に学びたいんだというふうなお話がございました。ということは、東京というのはひょっとするとすごい都市なんだなというふうな、逆に、そういうコミュニケーションをしている中で学びました。
 ですので、いずれにしましても、オリンピズムである、第三の軸である環境、こういったものを、先生方のご指導も受けて、局の職員六百四十三名全員で一丸となって、攻めの姿勢を堅持しながら頑張っていきたいというふうに思っております。

○ともとし委員 今、局長からの思いを聞かせていただきました。どちらにしても、これからの東京を左右するところの環境局でございますので、攻めの姿勢、これもまた大事なことかというふうに思いますので、局長以下、全力を尽くして、都民のそれこそ環境確保のために頑張っていただきたいなというふうに思います。
 それらを前提にしながら質問をさせていただきますけれど、先ほど申し上げました探査衛星、あるいは飛行機産業、あるいは先端技術を擁するような、そうしたものづくり、これは東京の基幹産業の一つというふうにも思うんですね。なおかつ、それらを一つの仕事として一生懸命ご努力されているのは、中小零細企業なんです。必ずしも大企業じゃないんですね。その中小零細企業、東京の中にはたくさんあります。
 そのたくさんあるところの一つには、これらの部品をつくる、その部品の一つ一つは、最終的にはメッキをしなければいけないんですね。メッキをして一つの製品にして、あの探査衛星も飛ぶし、飛行機産業のああいう大きなものも飛ぶし、いろいろなものになっていくんじゃないかなというふうに思うんですね。このメッキ産業が抱えるところの問題点、いろいろあるかというふうに思うんですが、特に重金属等の有害な廃棄物、メッキ組合の方では、今、各工場から排出されました廃液の分解処理を大田区内で行っております。そこで発生したところの六価クロム、あるいはまたカドミウムですね、そういったものを含む有害汚泥は他県の非鉄精錬会社の方に委託しているわけですよね。
 最近、この非鉄精錬会社の方が、その処理施設で保管量が増大している。そのために稼働を一時停止しているというのもあるんです。メッキ組合の方では有害汚泥の処分先が見つからないで処理に困っている、そういう状況もあります。ものづくりを支えるところのメッキ産業、この事業運営に支障を来すということになると、これまたあってはならないことかなというふうに思います。その意味から、産業廃棄物を円滑に処理されるように、きめ細かい支援というのが必要かなというふうに思うんですが、その辺の見解を伺っておきたいと思います。

○森廃棄物対策部長 メッキ組合の施設から排出される汚泥につきましては、六価クロムなどの有害物質が含まれることから、その適正かつ円滑な処理の確保が重要でございます。これまでメッキ組合に対しましては、非鉄精錬会社が受け入れを再開するまでの間、組合の施設において安全に長期の保管が可能となるよう、法令の基準に適合した保管の方法や保管スペースの拡充など、具体的な指導を行ってまいりました。
 今後も都は、有害廃棄物の保管方法に関する技術的な助言を行うなど、きめ細かい指導に努めまして、メッキ産業の事業に支障が生じないよう、廃棄物の円滑な処理の確保に積極的に取り組んでまいります。

○ともとし委員 前向きなご答弁でございますけれど、安定した処理ルートが確保できるよう、きめ細かくご指導をお願いしたいと思います。
 また、このメッキ組合の例で見られるとおり、東京の産業廃棄物、ほかの県で、他県で処理されている例が非常に多い。産業廃棄物は法的には確かに広域処理というのが認められているわけですね。ですから、都内から排出される産業廃棄物のうち、他県で中間処理される量はおおむね四割というふうにもいわれているわけですね。同じように、他県で最終処分されている量は約六割ともいわれていまして、まさに他県頼み、これが現状だというふうに思います。この都内の地場産業を支えております、まさにこうしたものづくり産業ですね、まさに東京を環境型社会、そうしたものに変革させていかなければいけないのかなというふうに思うんですが、産業廃棄物の中間処理や最終処分、この他県依存の現状を転換していく必要があるかと思いますが、この辺についての見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 産業廃棄物の処理に対する都の役割を果たしていくためには、信頼性が高く、環境への負荷の少ない、先導的な処理施設を都内で整備し、都内処理体制を拡充させていくことが重要でございます。このため、都といたしましては、都有地を活用したスーパーエコタウン事業を推進し、建設混合廃棄物のリサイクル施設や有害なPCB廃棄物の処理施設を整備するとともに、飛散性アスベストの都処分場への受け入れ等も行ってございます。
 今後は、スーパーエコタウン事業の二次公募で選定した、建設泥土や木くず等の新たな四つのリサイクル施設を整備するなど、都内処理率の向上と最終処分量の削減に積極的に取り組んでまいります。

○ともとし委員 経済活動を支える重要な使命を持っている、ある意味でのこうした廃棄物処理の内容でございますので、リサイクル社会、そうしたものをしっかりつくりながら、都内で処理体制ができるようにこれからもご努力をお願いしたいと思います。
 続いて、かつて私も本会議の中で質問をさせていただきましたけれども、弗素、硼素の問題、これはあの当時質問をさせていただいた内容と何ら変わっていないんですね。本当にある意味での規制というものをつくるのは、それはそれで必要なんでしょうけれども、きちっとした処理ができるそういう内容をつくっておいて、それから規制するんだったらわかりますけれども、この弗素、硼素の問題についてはまるっきり変わっておりません。
 十三年の七月に水質汚濁防止法、排出基準というのが制定されたわけですね。電気メッキ業等二十業種についても暫定排出基準が決められたわけです。しかしながら、その処理方法が明確にならないために、十六年の七月、十九年の七月、二回にわたって暫定排出基準が延長されているという現状があります。いまだにその処理の方法が決まっていないという、国のそうした問題等もあるわけですが、しかし、これはこのままいくと、また二十二年に同じようなことになるのかなというふうに思うんですが、東京都についても、環境局、それから産業労働局、あるいは下水道局等がいろいろな意味で連携をとりながら頑張ってはいただいておりますけれども、都は今後、これらについての取り組みをどのように考えているのかお伺いしたいと思います。

○中島自然環境部長 今、委員からもご指摘がございましたけれども、排水処理技術の開発は、本来国の責任で開発するものでございまして、環境局、それから産業労働局、下水道局では、国に対しまして、中小企業が導入可能な排水処理技術を早期に開発するよう、毎年提案要求を行ってきております。
 しかしながら、都におきましても、産業労働局は平成十二年度に、硼素を使用しないクエン酸ニッケルメッキの開発に着手いたしまして、平成十七年度、十八年度には実証実験を行ってきたところでございます。ここで開発されましたクエン酸ニッケルメッキの性能でございますけれども、従来の硼素を使用したニッケルメッキと遜色ないレベルに達してございますけれども、発注者であるメーカーの認知が進んでいないのが現状というふうに聞いております。このため、環境局では、産業労働局や下水道局と連携いたしまして、発注者の認識を高め、有害物質である硼素を使用しない新技術が普及するよう、国や関係業界に対しまして積極的に働きかけてまいります。

○ともとし委員 部長の積極的に国や関係団体の方に働きかけをしていくという、強いそういう決意でございますので、全くそのまま信用するわけですが、本当だったら、スケジュールをある意味では明確にしてもらいたいなというような気持ちもあります。でも、気持ちですから結構でございます。
 続いて、土壌汚染についても質問をさせていただきたいと思います。
 これは土壌汚染は今一番有名になっているのは、市場移転のところの土壌汚染がいろいろな意味で注目されているわけでございますが、それはそれとして、メッキ業界も大変な思いをしているわけなんです。それこそ会社をもう終わりたい、やめたい、もう継いでいく子どもたちもいなくなった、と思って会社をやめようと思ったって、メッキ業界のその土地が汚染されているというところで、建物の建てかえはできないわ、転売もできないわ、そのまんまになってしまうというのが今のメッキ業界の内容なんですね。ですから、大変な思いをしております。中小企業の中核となっておりますものづくり産業、一方では環境の負荷が非常に大きな原材料を使用しているわけでございまして、排出規制、あるいはまた土壌汚染などの環境への配慮が強く求められているというのが現状です。
 今お話しさせていただいたように、廃業を契機にして、過去に引き起こされた汚染によって調査対策を実施しなければならないわけですが、これが大きな経済的な負担になっているわけですね。土壌汚染対策促進のための対策、それらについて何点か質問しておきたいと思うんですが、一つには、負担能力の低い中小企業者が土壌調査を円滑に実施するためには、低コストの簡易な、また迅速な調査方法が開発されていくべきではないかなというふうに思うのですが、都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○柿沼環境改善技術担当部長 土壌汚染の促進のためには、中小事業者が円滑に調査を、あるいは対策を行えるような環境づくりが非常に重要であるというふうに認識しております。このため、土壌調査については、東京都は、現在実用段階にある簡易で迅速な分析技術を募集いたしまして、実証試験により優秀な有用な技術を選定しております。選定した技術を条例に基づく調査に使用可能なものと位置づけるとともに、活用マニュアルの作成ですとかインターネットでの紹介など、普及の促進を図っているところでございます。

○ともとし委員 私が地盤とするところの足立区には、メッキ産業もたくさんあります。会社の大きさというのはごく小さいんですよ。それこそ家内産業にも近いような、そういう会社等もあります。そういう中小零細、そういった企業の土壌汚染対策、要するに狭い土地でも対応できる低コストの処理技術というのが必要かなというふうに思いますが、もう一度この辺についてお伺いします。

○柿沼環境改善技術担当部長 狭い土地でも低コストで処理できるような技術を募集しておりまして、平成十六年度からは土壌汚染処理技術フォーラムを毎年開催して、技術の普及を促進しているところでございます。このフォーラムでは、毎回多数の参加者のもとに効果的な情報を提供をしております。今後ともこの内容の充実を図って取り組んでまいりたいと思っております。

○ともとし委員 今私一つ相談を受けているところが、建て売り住宅を建てたいというんです。ところが、過去のそういう汚染状況があって、それを除去するためには全部掘るんですね、あれ。掘って、その土を処理していく、新たなきれいな土を入れかえていくという、そういう作業が必要になってくるわけですが、この費用というのがこれまた莫大なんです。それを転嫁して建て売り住宅なんて建てられるかといったら、これはとてもじゃないけど建てられない。いってみれば、そのまま塩漬けにしておいた方が、会社の命運をそれこそやるほどのそういう状況にないということで、塩漬けにして、何もやらないでそのまんま放置するという。放置すれば、そこは乾燥して、ある種土ぼこりとなって近隣に行くわけですよ。これまた近隣がいろいろな意味で何とかしろということになるわけですね。その対策も莫大な費用がかかる。そういう意味から、そういった掘ったりなんかするそういう状況じゃなくてもできる土地利用、適切な対策処理というのが、もうちょっとこういう面で考えるべきじゃないかなというふうに思うんですが、この辺についてはいかがでしょうか。

○柿沼環境改善技術担当部長 ご指摘のように、都内の土壌汚染対策におきましては、土地売買に伴って行われるものが多いことから、掘削による汚染土壌の完全除去が行われることは多くございます。さらに、狭隘な狭い土地では対策費は割高になるという傾向もございます。このようなことから非常に負担が大きくなるケースはあるんですが、土壌汚染の対策の目的が、汚染の拡散と人への健康リスクを防止するということにございますので、土地利用に応じて適切な対策が事業者によって選択されるよう、指導、相談には応じてまいります。

○ともとし委員 もう一歩深くお願いしたいんですが、こうした中小事業者が土壌の調査や対策、あるいは実施するその状況の中で、経済的に困難が伴う、こういう場合、この中小事業者に対して、調査、処理対策等を円滑に進めるに当たって、負担軽減措置あるいは融資、そうしたことを含めながら幅広く検討することが必要と思いますが、この点をお伺いして終わりにしたいと思います。

○柿沼環境改善技術担当部長 土壌汚染対策は、原因者が調査や対策の費用を負担するというのが原則ではございます。しかしながら、中小事業者にとっては対策費用が大きな負担となっておりますので、今後とも、狭い土地でも適用できる低コストな対策技術の開発ですとか、その普及の促進、あるいは事業者への幅広い情報の提供、基金の活用や新たな助成制度の創設等に関しまして、国への要求などを行ってまいりたいと考えております。
 また、ご指摘の趣旨を踏まえて、昨年度から設置しております土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会におきましても、検討を進めてまいりたいと考えております。

○村松委員 私は、東京都環境基本計画と豊洲の土壌汚染について伺います。
 最初に、東京都環境基本計画についてですが、東京都はことしの五月に、東京都環境基本計画のあり方についての中間まとめを発表しました。ここでは、策定後五年を経た現在、東京が直面する環境問題のとらえ方については新たな認識が必要となっているとして、これまでの環境基本計画は、策定時に、地球温暖化は多くの人々にとって将来世代への影響が懸念されるというレベルで、いわば予感的な危機意識であった、しかしながら、この五年間は現実に異常気象が頻発し、気候変動の危機はよりリアルで差し迫ったものとして多くの人々に受けとめられるよう大きく変化してきた、と基本計画改定に向けた意向が書かれております。
 私もこの危機的状況の認識は共通するものを持っております。しかし、この問題はこの五年間で起きたことなのでしょうか。この問題は世界的に早くから警鐘が鳴らされ、持続可能な開発という考え方は、一九八〇年に国際自然保護連盟、国際環境計画が取りまとめて報告書で既に掲げられているものです。我が党は、前の改正の見直しの前から、地球温暖化やヒートアイランド現象の問題を取り上げ、対策を求めてきました。しかし、この間、石原都政は、超高層ビルや大型開発など、幹線道路の建設を進めてきました。そのことの総括なしに、あたかも最近わかったようにいうのは間違いだと、大事なことは、これまでの基本計画に対しての取り組みの総括、そしてそれぞれの分野で目標があり、どこまでの到達なのか、これを見て次の基本計画の策定に生かしていくことが重要だと思います。
 まず、地球の温暖化問題です。
 気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第四次報告書は、今、百年当たり〇・七四度の速度で温暖化が起きていると述べ、第三次報告書の百年当たり〇・六度を上回っています。東京でも、気象庁の調査で百年間で三度も上昇していることが明らかになり、深刻な状況になっております。
 京都議定書では日本の温室効果ガスを一九九〇年比六%削減することが義務づけられ、既に実行に入っております。
 東京都の地球温暖化防止に向けたこれまでの取り組み、目標と、それから到達がどうなっているのか、まずお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 まず、地球温暖化対策に関する目標と成果でございますけれども、現行の環境基本計画におきましては、二〇一〇年、平成二十二年度における東京の温室効果ガスの排出量につきまして、一九九〇年、平成二年度対比で六%削減するという目標を掲げてございます。
 この現時点での実績でございますけれども、環境基本計画の中間まとめでもお示ししているとおり、二〇〇五年、平成十七年度の暫定値でございますけれども、五%の増加ということになっております。
 この間の取り組みでございますが、先ほど委員から、今初めてやっているような書きぶりであるというようなお話がございましたけれども、そういったことはございませんで、例えば環境確保条例によりまして、大規模な排出事業所に排出量の届け出と自主的な計画を求める温暖化対策計画書制度でございますとか、新築物の建築物に関する対策の計画書制度でございますとか、あるいは家庭電化製品に関する省エネのラベリング制度を全国でもトップを切って実施をするとか、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。

○村松委員 いろいろ答弁されたんですが、まだまだ小手先のことだと私は思うんです。実際問題、この環境基本計画が目標にしていた九〇年度対比で二〇一〇年まで削減すると、本来ならばそういうふうにやらなければいけないんだけれども、現実問題として、そのところから既に一五%増加していると、そういう中で約二〇%削減が必要になってくるという状況になっているというふうに思うんですね。
 この中で温室効果ガス、これが一番増加している部門というのはどこなのか、それがどうしてそうなっているのか、お伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 温室効果ガスの増加の状況でございますけれども、東京におきましては、業務部門において約三割の増ということで、この部分が大きな増を示しております。ただ、家庭部門あるいは運輸部門におきましても増加を示しておりまして、温暖化に対処していくためには、すべての部門において対策を打っていかなければならないというふうに考えてございます。

○村松委員 資料の二ページの中で書かれておりますけれども、まず、一番伸びているのはやはり営業部門が大きな比重を占めているかなというふうに思うんですね。その次が運輸部門ということなんですが、そもそも環境局は、ビルの建設によってCO2がどのくらい排出するのか、そういう計算はされたことはありますか。

○大野都市地球環境部長 ビルと一概にいわれても、いろいろな業務、用途も違いますし、大きさも違いますので、そういう抽象的な計算をしても余り意味がございませんので、そういうように一般的な計算はしておりません。

○村松委員 一般的とおっしゃいましたけれども、今、業務部門が一番温室効果ガスの排出が多いと。こういうふうになれば、削減するんだったらここのオフィスビルとか、いろいろな床面積なんかも比重して、百メートル以上の一つのビルができたならば、例えば十ヘクタール、百メートルのビルがつくられたら、どのくらいのCO2が排出されるんだろうか、こういうことではされていますか。

○大野都市地球環境部長 先ほどの環境政策担当部長のご答弁にもございましたけれども、東京都は二〇〇〇年に環境確保条例を改正いたしまして、その中で建築物環境計画書制度という制度と地球温暖化対策計画書制度を導入いたしました。これは二つともほとんど日本で初めての取り組みでございまして、非常に先駆的なものだと思っております。その中で、例えば地球温暖化対策計画書制度はその後強化をいたしましたが、現実に東京都内の大規模な事業所、これは約千三百事業所あるわけでございますが、ここからの毎年のCO2排出量を提出を受けております。その中で、具体的にどういうタイプの事業所であればどれくらいのCO2が出ているか、それが全体の中でどのような分布にあるかという詳細なデータを持っております。こういうデータを把握しているのは、日本の中では東京都だけであるというふうに考えておりまして、実際に現在、国の方で京都議定書目標達成計画の見直しの審議が進んでおりますが、そういう審議会の中でも東京都のデータを提供いたしまして、非常に注目をされているという状況でございます。

○村松委員 もっと率直に、こういう計算はしているんですとはっきりいえるんですか、さっきの私の質問に対して。一つのビルをつくることによって、十ヘクタール、百メートルのビルをつくることによってどのくらいのCO2の排出量があるのか、そのことについてどうなんですか。

○大野都市地球環境部長 先ほども申し上げたつもりだったんですけれども、ビルと申しましてもいろいろな用途がございます。例えば業務ビルといっても、いろいろな仕様によって全く違いますので、一般的、抽象的な計算をしても余り意味がないと思っていまして、そういうふうな試算はしておりません。ただ、実際に使われているビルが、どのようなビルであればどのようなCO2が出ているかというデータは把握をしております。

○村松委員 そういう結果でなくて、これから建てられようとするビルがどういうふうなビルで、どのくらいの環境負荷があるのか、こういうところまでしっかりと把握する必要があると思うんです。結果だけで、ああだのこうだのというんじゃなくて。
 私は、業務部門が削減されていないのは都市の活動のやり方、ここが問題であるというふうに思うんです。東京都はこれまでアセス条例を変えて、アセスの対象を高さ百メートル以上を百八十メートル以上に変えました。面積も十ヘクタールを十五ヘクタールに緩和したために、超高層ビルがこの十年間だけで、今年度までですが、石原都政になってから今年度までで百六十四棟も出ているんですね。私たちが計算した限りですと、この間の業務ビルから排出されたCO2、このCO2を吸収するのに日比谷公園の二千倍も必要だということをさきの第三回定例議会の中でいったんですが、こういう問題を野放しにしていていいんだろうかという問題が私は根本にあると思うんです。
 その問題と同時に、運輸部門、この問題でも、これ、さっきの資料ですが、運輸部門でもちょっとふえている--ふえたり減ったりというところですか、でもやはり全体の中では二番目の排出量になっているということも見なきゃいけないかなというふうに思うんです。
 都市再生の問題では、今、中央環状線、外かく環状線、圏央道の建設に夢中になっているわけですが、たまたまきょう朝日新聞の「声」の欄を見ましたら、高速道建設で自然破壊されたと、高速交通網はもう要らない、九日付に、自然環境保護の視点からも全く同感であると。ことしの夏、家族で八王子近くの遊園地に行く際、完成して間もない高速道路を利用した。そのとき目の前に広がる光景に衝撃を受けた。周辺の一帯は自然豊かで緑あふれる山々、この道路をつくるために一体どれだけの自然が、緑が失われてしまったのだろうか、そう思うと心が張り裂けそうになった。世界各地で進行中の地球温暖化の様子が連日のように報道されている、一方で、人間が便利さを求めて自然を破壊していく身近な現実に背筋が寒くなる思いがした。緑は光合成によって二酸化炭素を吸収し酸素をつくり出す。温暖化を本当に危惧するなら、緑を破壊し、そこへ排ガスをまき散らす高速道路の建設など考えられるはずがない。我々は祖先から引き継いだこのかけがえのない地球を次の世代にしっかりとバトンタッチすることが責任があり、改めていいたい、高速交通網はもう要らない。こういう投書が載っているんですね。
 東京都の方でも東京都気候変動対策方針、カーボンマイナス東京十年プロジェクト、ここの中でいっているんです。今後十年が地球の未来を決める、IPCC第四次報告書は、地球の平均気温の上昇が一九九〇年レベルから二度から三度以上になると、すべての地球で悪影響が出る可能性が非常に高いと指摘したと。そういう中で、これからの十年間は、今を生きる我々の世代がこの地球の環境を次の世代に残せるかどうかの分岐点である、我々に与えられている時間は長くない、今直ちに温暖化ガスの大幅な削減に向けた行動を開始しなければいけないと、ここまでいっているんですよね。
 ですから、一番の問題になっている高層ビル建設の都市再生、それから今道路を夢中でつくっている、そういう道路建設、これは根本から見直して方向転換する、そのことを、環境局が環境を守る、都民の健康や命を守る観点からそういう方向を打ち出すべきである、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○吉川環境局長 村松委員のお話を伺っていると、東京という都市特性を踏まえたいろいろな都市施策というものをどういうふうにとらえられているのか、私は甚だ疑問ですね。というのは、ビルであるとか道路であるとか、そういうものは現代の東京で暮らしていく上で極めて重要なものなんですね。一つの政策を進める、もしくは一つの事業をやるときには、いろいろな観点から総合的に判断されて事業というのは推進されていくわけです。私どもの立場は、先ほどともとし委員からもご質問がありましたから、局の役割という基本的な責務はいいましたが、環境にできるだけ負荷をかけないように、そういう環境に配慮された都市をつくっていくということはもちろん考えていきますが、いろいろな多様な角度で政策というのはつくられていくんだということをぜひご理解いただきたいと思います。
 それから先生、最初に、先ほどのご質問の中で、我が局のこれまでの環境施策の展開の中で、小手先だというふうにおっしゃいましたけれども、そういう評価をされたら甚だ私どもとしては心外であります。私どもは、国からも、それから国際的にもかなり今の東京都の環境行政というのは期待されているというふうに自負しております。いずれにしましても、そのような短絡的な評価は訂正いただきたいと思います。

○村松委員 私は生活道路を否定しているわけではないんです。今本当に高速道路など幹線道路、道路をつくれば車の走行量がふえる、そのことが環境への負荷を与える、このことをいっているんです。その問題をやはり見ていただきたいというふうに思うんです。確かに多少はやっているというのはあるかと思うんですが、でも、最初いったように、やはり抜本的な問題が抜本的になっていないから今の状況があるんじゃないですか。
 一つ一つの達成状況、この問題について私は思うんですが、さっきの道路建設の問題なんですが、いまだに自動車交通から発生する二酸化窒素というのは、当初の目標から達成できてないじゃないですか。それ、いかがでしょう。

○井戸自動車公害対策部長 二酸化窒素に関しましては、委員ご指摘のとおり、まだ全量達成はされておりませんけれども、数年前から大分環境が改善されておりまして、六割強の部分で測定局において環境基準を達成しております。
 それから先生、圏央道についての言及をされましたけれども、生活道路の問題でございます。先日、圏央道の八王子ジャンクションができまして、圏央道と中央道が結ばれました。これに伴いまして、今まで三多摩、八王子周辺で生活道路がかなり混雑しておりましたけれども、圏央道と中央道、それから関越道の結びつきによりまして大分渋滞が緩和されたというふうに思っております。これに伴いまして、CO2につきましても、大分総量が減っております。

○村松委員 自動車排気ガスの二酸化窒素の環境基準を二〇〇五年までにすべての測定局で達成すると、こういうふうにいっているんですね。だけれども、実際の達成率というのはまだそれこそ半分ちょっとじゃないですか。四七%なんですよ、達成状況。自動車の総量を規制することなしに二酸化窒素を減らすことはできないんだ、このように思うわけです。
 環境審議会の委員からも意見があります。大気汚染対策であれば、なるべくスムーズに交通を流す施策もあるが、一方で、交通量そのものに対してどこかで歯どめをかけておく必要がある、こういう意見もあります。私は、本気で地球環境の問題を考えたり取り組みを行うのなら、都市再生と三環状道路建設を中止して、都政の方向を転換することが大事であることを強く主張しておきます。
 さて、温暖化効果ガスを減らすために大きな役割を果たす緑地の役割は欠かせません……

○谷村委員長 村松委員、井戸自動車公害対策部長を指名しました。

○村松委員 まだ質問中です。ちょっと委員長、おかしいじゃないですか。質問中です。答弁のときにやってもらったらいいじゃないですか。そんな、おかしいですよ。

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○井戸自動車公害対策部長 先ほどの村松委員のいわゆる環境基準の達成状況でございますけれども、二酸化窒素でございます。例えば一般環境大気測定局につきましては、五ページに書いてございますけれども、二酸化窒素、一般環境大気測定局、平成十四年度九三%が平成十八年度は一〇〇%でございます。また、自動車排出ガス測定局、平成十四年度が三七%、これが十八年度は六二%になっております。また、浮遊粒子状物質につきましては、一般環境大気測定局、十四年度四〇%が十八年度九八%でございます。また、自動車排出ガス測定局、浮遊粒子状物質、十四年度ゼロ%が平成十八年度は一〇〇%でございます。

○村松委員 いずれにしても、四七%が六十数%になったといえども、当初の目標は二〇〇五年度までにすべての測定局で達成すると、そういう状況から見たらおくれているということは、何をどういったってこれは消せないですよね。そういう中で、温暖化効果ガスを減らすために大きな役割を果たす緑地の役割は欠かせません。
 緑地保全の問題で、東京都の環境基本計画では、人間は自然の一部であり、その生存には健全な大地、空気、植物、動物などの自然が必要である。自然は人間の生存基盤そのものであり、自然を守ることは、人間を守ることである。人間の健康、安全を確保するため、将来に引き継ぐべき財産として自然を保全して再生していかなければならない、と重要な位置づけをしております。そして緑の保全と再生では、荒廃する森林、消えつつある谷戸、減少する緑、変容する生態系、とまらない農地の減少と、表題を見るだけでその変化がうかがえます。
 東京都はこの現状に対して目標を持って回復を目指すとしておりますが、具体的には、多摩のみどり率を二〇一五年度までに現状の八〇%を維持していくとしております。区部でも二〇一五年までに現在の約、これは二九%、このときはちょうど五年前ですが、これを三二%までしていく、このように書かれているんですが、現在のみどり率、これはどうなっているでしょうか。

○浅川参事 最新のみどり率でございますが、暫定値といたしまして、平成十五年度で区部約二四%、多摩約七二%となっておりますが、これはデジタル航空写真画像データ等を用いて調査したものでございます。これに対しまして、環境基本計画の目標設定は平成十年のみどり率調査を前提としておりますが、その調査はランドサット衛星データ等により分析したものでございます。最新のみどり率調査の方が格段に精度の高いものとなっております。したがいまして、最新のみどり率と環境基本計画のみどり率の目標数値をそのまま比較することはできないということでございます。
 そこで、都市整備局が実施しております直近の土地利用現況調査で見ますと、区部におきましては、平成八年から平成十三年までの五年間で、公園、運動場等は約八十ヘクタール増加しておりますが、農用地が約百六十ヘクタール減少、多摩部におきましては、平成八年から平成十四年までの五年間で、公園、運動場等は約六十ヘクタール増加しておりますが、農用地が約五百八十ヘクタール、森林が約四百ヘクタール減少しておるということでございます。

○村松委員 はかり方がいろいろあるというふうにおっしゃっておりましたが、東京都の文書の中でも、それこそ減り続ける緑というふうに書かれているんですよ。そこはしっかりと、現実をしっかりと見ていただくということが大事だと思うんですよ。そこからどう出発していくかということなんですね。そういう中で、これまでの東京都の緑に対する取り組みはどうだったのか、これを見なきゃいけないというふうに思うんですね。これまで東京都は、都市公園が都市整備局だとか、建設局が都立自然公園とか、こういった問題は環境局とか、本当に緑の問題では、あっちの局、こっちの局ということで、本当に正確につかんでいない。この五年間で、あるいは一年間で東京の緑全体がどれだけ減っているのかということを正確につかんで、それでどういうふうに残していくかということなどもやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。
 市長会からの要望でも毎回重点要望の中に入っているんですよね。その辺は認識していただけますか、市長会からの緑に対する要望、いかがでしょう。

○浅川参事 平成二十年度に向けました市長会要望は、緑の保全に対する施策の充実ということで、まず、保全制度面積要件の緩和として、多摩川沿いの崖線樹林の指定拡大と公有化、公有化等に伴う市の財政負担に対する補助制度等の創設、優良な自然地等の保全のための相続税の軽減等についての国への要請などについて要望を受けてございます。

○村松委員 多摩の市長会は毎年重点要望でこういった問題が出されているんですね。市町村はそれぞれ本当に頑張って保全しているんですよ。つい最近も、淵の森ですか、トトロの森で有名な、あそこも地元自治体とそれから住民の皆さんが強い要望の中で保全をしている。こういうところが、あそこだけでなくて多摩地域いろいろなところであるんですね。私は東京都が、その実態を、今市町村でどのくらい要望があるのか、こういうことをつかんでいるんでしょうかね、いかがでしょう。

○中島自然環境部長 市町村とは日ごろからいろいろと情報交換しておりまして、具体的な要望書のようなものというのはないのでございますけれども、情報交換を通じまして、例えば保全地域の候補地というそのものずばりなものではないんですが、おおむね各自治体の状況などを把握しております。

○村松委員 非常に、おおむねというのは抽象的なんですが、では具体的に、どの市とまでいいませんけれども、何市から何カ所ぐらい保全の要望が出ているのか伺います。

○中島自然環境部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、地元の自治体との情報交換をやりまして、おおむね十の市から三十カ所程度の緑地について情報をいただいておりまして、それを把握しております。

○村松委員 それが情報というか要望、東京都にいうということはやはり要望につながっていると思うんです。これに対してこたえられない理由というのは、何かあるんでしょうか。

○中島自然環境部長 いろいろな情報交換の中では、それぞれ市町村の考え方と先ほども申しましたけれども、考え方がございます。内容的には、実態を、例えばある市の方が、全体をまず市としてはどういうふうにしたいのかという、詳細につかんでいるところもありますし、そういったレベルが、いろいろなレベルのものがございまして、そういうことからそれが直ちに要望というレベルまでにはなかなかならないし、我々も一番大事なのは、まずは地元の基礎的な自治体である市がどういうふうに考えているかということをまず知った上で、連携をする中で、こういった保護についても考えていきたいというふうに常々思っているところでございます。

○村松委員 東京都がいっているのと市町村がとらえているのと全く違っているかなという思いがあるんですよ。私は日野市なんですが、本当に日野市は緑と清流のまちといわれるくらいに緑を大事にするし、緑に対する要望が物すごく強いんですね。そういう要望にこたえて何とか取り組もうとしている、こういうことがこの間ずっとあるんですね。
 生活文化局が行った調査の中で、世論調査の中でも強い要求というのは、空気を浄化するために緑というのは大事だということとか、心を潤すために緑は大事だという人とか、多摩の方に行けば、本当に自分たちが緑基金してでもいいから緑を残したいというくらいに強い要求を持っているんですよ。
 それに対して、地元自治体というのは絶えずそういう強い要望を受けていて、これにこたえたいという思いがあるんですが、限られたお金の中で、それから東京都が、あれはだめ、これはだめというのが、一ヘクタール以上でなければだめだとか、大きくなけりゃだめだという、そういう規制があるからなかなか公有化できないというか、保全できないのかなというのがあるんです。私は、市長会の要望なども受けたり担当者等の要望も受けたりしてもっと密に連携をしていただきたいということと、今の東京全体の緑がこれでいいのかという、そういう問題に対してはどういう見解をお持ちですか。

○中島自然環境部長 先ほど委員おっしゃいました、規制とかそういうことではなくて、一定の役割分担の中で、私ども公益的な視点から、自然性豊かな緑の多く残っている多摩の丘陵地ですとか山地あるいは緑地を対象にいたしまして、連携してその保護に取り組んでいるところでございまして、こうした考え方はこれからも続けていきたいと思っております。
 それからもう一つは、先ほどちょっとお答えしたかもしれませんけれども、単に保全をするということではなくて、それが地域の方々に後々も愛着を持って親しんでいただけるようにしなければいけないということで、そういう中で地域の緑というものが守られていくんだというふうに認識しておりまして、そういう意味での連携をしながら今後ともこの仕事を進めていきたいと思っておるところでございます。

○村松委員 ぜひ今、環境問題をいうんだったら、二酸化炭素の排出を抑えて、緑をふやすことによって二酸化炭素の吸収を促進すると、そういう立場で頑張っていただきたいなというふうに思います。
 いずれにしても、この間の資料を見てもわかるんですが、東京都が本気になるかどうか、これはやはり公有化予算を見ればわかると思うんです。今のままの吹けば飛ぶような公有化予算じゃなくて、一けた、二けたふやした公有化予算をつくって、市町村が本当に残したい、そういう緑を孫子の代までつなげていく、こういう立場が大事じゃないでしょうか。この中間のまとめの中にも書いてあります。多摩の緑は都市化の進展や建設発生土による埋め立て等により依然として減少傾向に歯どめがかからない状況にある、そのため自然保護条例に基づく開発時の許可制度について、自然環境への負荷を最小限にとどめる観点から残存すべき緑地基準の強化を図るなど、制度全般にわたって必要な見直しを行う必要がある、こういう立場に立っていただきたいというふうに思います。
 東京都環境基本計画、この最後なんですが、この改定に当たっては、中間のまとめで目標設定の考え方の将来、将来どのような社会を描くのかというところから高い目標を掲げてバックキャスティングすることで現在に結びつけるとありますが、具体的にはこのバックキャスティング、どういうふうにお考えですか。

○中島自然環境部長 公有化につきましては、私ども十分地元の方の意向を聞きまして精力的に取り組んでおりまして、そしてこれは一方では、この公有化はやはり土地所有者の申し出に基づきまして公有化しておりますけれども、これは土地の所有者における強い利用制限に対する補償制度ということでございます。今後とも、例えば保全地域内の民有地につきましては、私ども従来からそうしておりますけれども、全体の施策の中で予算の効率的な執行に努めながら、今後とも適切に公有化を進めてまいります。

○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画の中間まとめで提示されておりますバックキャスティングの目標設定ということでございますけれども、環境施策の目標設定に当たりましては、五年、十年先を見て施策を着実に積み重ねていく部分と、二十年、五十年先を見据えた大きな施策展開が必要な部分とがあると認識してございます。特に気候変動のもたらす地球の危機の回避を目指すCO2の削減に関しましては、世界的にも二〇五〇年という長期的な視野での議論が行われております。このような長期間にわたる目標設定に当たっては、まず、望ましい将来像を描きまして、それを将来のある時期までに実現するため、段階的な経路を検討するということ、これがいわゆるバックキャスティングという考え方でございまして、このような考え方での目標設定の手法も必要と認識してございます。
 こういう考え方に基づいて、中間まとめにおきましても、CO2の削減につきましては、二〇二〇年までに二五%削減という目標設定を現実にしているところでございます。

○村松委員 世界で最も環境負荷の少ない都市を目指すといっておりますが、この間議論してきたように、本当に中間まとめからこれまでの到達状況を見てもわかるんですが、本当の意味で、十年、二十年、もっと先を見据えて、どう逆算をして一つ一つ取り組んでいくのかということが今求められております。私は、そういう意味からも、今後、この計画の中では、今年度あるいは来年度にもつくろうとする次の環境基本計画の中には、本当に今の地球の温暖化問題を解決できる方法の数値を明らかにする、そのことをしっかりと明記して取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、豊洲の土壌汚染について伺います。
 事業概要では、土壌は大気や水とともに環境を構成する重要な要素であり、人を初めとする生物の生存の基盤としても重要な役割を担っていると位置づけております。生鮮食品を扱う築地の市場を東京ガスの跡地である豊洲に移転させる計画に対し、土壌汚染が大きな問題になっております。東京ガスが行った土壌汚染調査では、ベンゼン、シアン、砒素、六価クロムなどの猛毒な有害物質が基準をはるかに超えて検出されました。四月の知事選挙で、石原知事は専門家会議で調査を実施すると表明し、専門家会議が行った調査でも、東京ガスが土壌を汚染したところから、出てはならないシアン、これが四十九ですか、ベンゼンが千五百倍、砒素四十九倍などの有害物質が検出されました。
 そこで、専門家会議が実施した土壌汚染調査ではどんな物質が基準の何倍超えたのか、また、東京ガスと専門家会議が土壌調査したところでダブって検出した土壌汚染、これは何で、どのくらいの倍率なのかお示しください。

○柿沼環境改善技術担当部長 ご指摘の本年度市場によって設置されました専門家会議でもって、豊洲の用地について土壌の調査及び地下水の調査がなされております。そのうち、土壌の調査からは、東京ガスが対策を行った区画のうち二区画で土壌汚染が確認され、検出された物質はシアンでございます。その二区画とも、いずれも〇・二ミリグラム・パー・リットルという値でございます。これは環境基準が、「検出されないこと」とされておりますけれども、環境省告示によります測定法をベースに置きますと、〇・一ミリグラム未満というのが事実上の基準となりますので、それに比べると二倍ということになります。
 それから、従前から東京ガスにおいて調査をされ検出された物質が、さらに今回もなお検出された箇所というところで申しますと、例えば、例でございますけれども、ある区画では、こちらは地下水調査でございますけれども、専門家会議による調査地点五十六地点のうち、十六カ所で環境基準の〇・〇一ミリグラム・パー・リットルというベンゼンの環境基準を超過してございます。そのうちの最大値は一〇ミリグラム・パー・リットルでございました。

○村松委員 随分数字を小さく見せようとしているんですが、あの石原知事でさえも、ぶったまげたというふうにいっているくらいの有害物質が出ているんです。しかも、土壌対策をした後のところから出ているんですから、シアンやベンゼンが。これを人ごとのように軽くいうというのは、本当にいかがなものかというふうに思うんです。
 この問題は、市場の土壌汚染の問題を本来は環境局が責任を持って出さなければならないものを、この間、都民や市場関係者が問題にして、都知事選挙で大問題にしなければ、当初の計画どおりに、つまり土壌が有害物質に汚染されたままに市場が開設されることになった、そういうふうに思うんですね。もしこのまま市場が開設され、ベンゼン、砒素の影響で被害があらわれたり、都民に被害があったら、一体だれが責任を持つんですか。

○柿沼環境改善技術担当部長 今ご指摘の中に、私のほうで数字を小さく見せるですとかいう表現がございましたけれども、そんなような意図は全然ございません。数字は数字でございまして、事実は事実ということですので、そういう意図はございません。そこは念のため申し添えておきたいと思います。
 それからもう一つ、土壌汚染の対策、あるいは法律、それから土壌汚染そのものの考え方について若干整理する必要があると思いますので、その部分からまずご説明をさせていただきます。
 一般に土壌汚染による環境リスクと申しますのは、汚染土壌を口などから直接摂取することによるリスク、それからもう一つは、土壌から地面の中で溶け出して地下水を汚染し、その汚染された地下水を飲むというリスクと、二つのリスクがございます。このため、汚染された土壌に触れることもなく、あるいは汚染された地下水を飲むこともないという場合には、土壌汚染による環境リスクは問題にならないという状況になります。法令におきましても、土壌汚染対策の手法として、汚染土壌から人への暴露経路の遮断による対策を位置づけておりまして、当該地周辺、豊洲用地周辺には飲用井戸が存在していないことから、汚染された地下水を飲むことによるリスクはございません。そのため、対策として、汚染された土壌を直接摂取することを防止するという対策のみが必要になります。
 そのようなことがベースになっておりまして、東京ガスは平成十年から十一年にかけて土壌地下水の調査を実施し、この調査は当時、環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針というものに基づいて適切に実施されたものでございます。その後、東京ガスは高濃度の汚染土壌を除去する一方で、地中の汚染物質を盛り土等により、土壌汚染によるリスクを管理する方法で対策を実施しております。これは当時及び現行法令の基準を満たす対策というふうになっています。
 一方、委員からご紹介ありました、市場が設置している専門家会議で行っております調査といいますのは、食の安全・安心を担保する観点から、都民の不安を解消し、万全の方策を検討するために、当該地に汚染物質が残った状況でのリスク評価、リスクの評価を行って、将来どのようなリスクの管理を行っていくかということを示すために行われている専門家会議でございます。法令に基づく調査とは目的が異なるものでございまして、専門家会議における土壌調査といいますのは、東京ガスが調査、対策を実施した深度よりも深い位置で行われております。結果として、東京ガスの出した数値と、あるいは対策と、それから今回の専門家会議の調査による数値というのは、そのような違う深さで行われていることからして、比較というのが非常に難しい、直接比較できないものでございます。こうした結果として、今申し上げましたような汚染の判明というものが今回明らかになったということでございます。

○村松委員 私の質問には全く答えてないじゃないですか。専門家会議が今やっている位置づけでのその調査は、本来環境局がやらなければならないんですよ。シアンとかベンゼンが、あるいは砒素とか鉛とか六価クロムとか、ああいうのがオンパレードで出ているところを生鮮食品が移動するかどうか、こういう重要な問題のときに、まるで人ごとのようにいっている。こんなこと絶対許せないですよ。
 環境局がさっき答弁したように、事実上安全宣言、こういうものをしたから、今大きな問題になっている。本当に今社会的に大きな問題になって、関心があるこの土壌汚染対策に対して、東京都の環境局がどういう態度をとるのか、これ注目されているんですよ。こんな状況でいいんですか。

○柿沼環境改善技術担当部長 また、今のご質問でも、事実上安全宣言をしたというふうにおっしゃいましたが、私ども、安全宣言という形での表現は一切しておりません。土壌汚染に対する対策の考え方、これを科学的な意味で説明をさせていただきましたし、法令の基準を説明をさせていただいたというにとどまります。
 それからもう一つ、東京都としてどうするのかというお話ですけれども、私ども、土壌汚染の根本の原因の物質というのはいわゆる化学物質でございますけれども、化学物質対策というのは非常に重要な側面を持っていると考えております。化学物質は日常生活の中でさまざまに便利に使われまして、生活を支えているわけですが、一たびその取り扱いを誤れば、例えば土壌汚染に見られるような健康への懸念というものも生じかねない物質でございます。そういうことから、そういった化学物質の適正な取り扱いというのを推進して、東京の生活環境を安全なものにしていくというのが我々の立場だというふうに考えております。
 そうした観点から申しますと、今回の豊洲の土壌汚染問題については、私ども、専門家会議のオブザーバーとして参加している立場でもございますが、一般的に事業者等からの土壌汚染の調査、対策ということについて問い合わせがあれば、相談等には随時応じております。当然、市場につきましてもそれと同様に、土壌汚染の調査、対策について、これまでも技術的な助言あるいは相談ということでは密接な連絡をとってきております。

○村松委員 安全宣言をしていないというふうにおっしゃっていましたが、だったら、やはり安全じゃないとはっきりいえますか。
 それからオブザーバーで参加しているということは、それだけやはり東京都も責任を感じている、だから参加しているわけでしょう。

○柿沼環境改善技術担当部長 安全宣言をしていないことが、危険であるということにはならないというふうに思いますし、今の論理はちょっと我々には受け入れがたい論理であろうというふうに思います。
 また、先ほどの土壌汚染の調査等について環境局がやるべきだというようなお話につきましても、土壌汚染対策、これは調査も含めて--当然、調査と対策は一体のものでございますので、調査も含め、事業者の責務でございます。環境局は事業者の行う、法令に基づく調査、対策、これらが適切に行われているかということを指導していく立場も当然ございますし、先ほど申し上げましたように、同じ都庁の一員として技術的な面から助言や相談に応じていくと、この二つの役割を果たしていく所存でございます。

○村松委員 東京都の役割というのは、土壌汚染の対策をしたからいいんだ、じゃないというのが、それから今度の豊洲の土壌汚染のことを見て、いかにこれまでの対策やそれから土壌汚染対策法が、これが不十分だったか、このことがいえると思うんですね。これまでも東京ガスが最初にやった調査、専門家会議も最初にやった調査よりも二回目にやった調査の方が高い倍率の汚染が出ているんです。そのこともしっかりと現実の問題として見て、ここから何を教訓にして次の行政の仕事に持っていくかということが、私、大事だと思うんです。そういう意味からも、環境局が本当に人ごとのようにとらえているというのはちょっといかがなものかというふうに思うんです。
 私も現地へ行ってまいりました。それまで東京ガスに働いていた人が、あそこの場所はということで、一番土壌汚染の高かった場所に行きまして、そこはもう本当にタールを垂れ流していたというふうにいっているんですよね。だから、私たちが行ったときも、本当にタールを燃やした跡が土にまじっていたりしました。
 この問題だらけの豊洲に、生鮮食品を扱う市場を移転することは無理だと、このことを環境局としてはっきりと市場の方にいうべきだ、こういうふうに思います。
 専門家会議の方では、再々調査を四千百カ所で実施するということですが、このやり方に対して疑問の声が上がっているんですね。土壌調査のやり方ですが、専門家会議が行おうとしている土壌調査というのは、不透水層の下まで行うようになっているんでしょうか。

○吉川環境局長 先生、先ほども小手先ということについて申し上げましたけれども、先生のお話を聞いていると、何か人ごとというふうに、何でうちの局の姿勢をそういうふうにいえるんですか。甚だ心外ですよ。私どもは土壌汚染対策について責任を持ってやっていますよ。そこを正しく理解してください。
 それから、今も、疑問の声があるというんですけれども、ちゃんと科学的にいってください。食の安全・安心のためには、事業者である中央卸売市場が専門家会議というのを設けて専門的に検討しているじゃないですか。そこについては私どもも土壌汚染対策法的な、いわゆる土壌汚染対策を所管している立場から、ちゃんとオブザーバーとして参加して助言しておりますよ。何をもって人ごとだとかいっているんですか。
 大体、先ほどだって、吹けば飛ぶようなお金とおっしゃいましたけれども、十五億円ですよ、あの公有地のお金。先生、大変な発言ですよ、都民の血税を吹けば飛ぶようなお金だなんて、ああいういい方をされたら--私ども環境局は一円たりともむだにしないように執行しております。

○村松委員 不透水層の下まで土壌汚染するのかということですが、さっき局長の方からもっと科学的にという質問をいっていましたけれども、不透水層というのは粘土層のところですよね。その下までやるんですかということなんですが、そのことについてどうですか。

○柿沼環境改善技術担当部長 専門家会議におきまして現在計画されております地下水の調査の深さというのは、不透水層の上端までということを原則にしております。

○村松委員 不透水層までですか、その下はやらないんですか。なぜやらないんでしょう。

○柿沼環境改善技術担当部長 調査の内容あるいは方法につきましては、市場が設置した専門家会議におきまして、食の安全・安心を確保する観点から、調査の方法等についても検討し、議論され、決められたことというふうに考えておりますので、適正な方法であろうと思います。なぜ調査しないのかということではなくて、専門家会議で検討され、決定された方法であるということでございます。

○村松委員 これまでいわれたような、不透水層というのは、不透水層がずれてある場合があるんですね。これまでの調査の中でも、汚染がどんどん下へ行ってたまる、それからそこの間を下へ行く、そういうこともあり得るんですね。現に東京ガスの田町工場、ここでは不透水層の下まで掘っているんです。そこの中で、最初に調査したときよりもはるかに、もうちょっと想像できないぐらいの汚染が出て、あそこの田町工場は港区が計画していた学校の建設をやめているんですよ。こういう経過があるんですね。それだけに私は、この豊洲の移転問題というのは、都民が本当に食の安全問題で注目をしているだけに、この問題については東京都の環境局が調査問題、そしてその問題をしっかりととらえていく必要があると思うんです。
 もう一点なんですが、まだ調査も始まっていないのに、何で六百七十億かけて対策というのが行われようとしているのか。これも新聞報道であったと思うんですが、その辺は環境局としてはどういう見解をお持ちですか。

○柿沼環境改善技術担当部長 ただいまのご質問については、我々申し上げる立場にもございませんし、十分な背景知識もございませんので、答えることはできません。

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 それでは、速記を再開してください。

○村松委員 最後に伺いますが、この土壌対策は一体だれの責任で行うんでしょうか。先ほどの答弁の中では、原因者が負担するのが原則というふうにありましたが、この土壌対策は東京ガスがやるというふうに確認してもよろしいですか。

○柿沼環境改善技術担当部長 現在、中央卸売市場が調査、対策について検討を進めているところでございます。負担のあり方については、私ども、先ほどの質問と同様に、答えることはできません。

○谷村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後三時二十八分休憩

   午後三時四十三分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 まず、森林事業についてお伺いします。
 東京の森林約八万ヘクタール、その中で民有林は七万ヘクタール、その四八%が人工林といわれ、杉、ヒノキがほとんどを占めています。この森林は、昨今の木材価格の下落により、伐採されずに荒廃が進んでいます。現在、この間伐の必要な人工林は約二万ヘクタールとされていて、その対策は喫緊の課題となっています。
 この状況を打破する対策として、環境局は、千八百ヘクタールの森林を五十年間で四回伐採の計画を現在遂行中と聞いています。この森林再生事業は豊かな水源の確保と涵養のために大変重要な事業と考え、まず、進捗状況と課題をお伺いします。

○中島自然環境部長 多摩の森林再生事業は一万八千ヘクタールを対象として行っておりますが、これは人工林の荒廃によりまして低下した森林の公益的機能を回復させるための事業でございまして、豊かな水源の確保と涵養のためには大きな役割を果たしております。平成十四年度から事業を開始いたしまして、これまでに約三千五百ヘクタールの森林に対して実施をしてまいりました。
 森林再生事業は本来所有者が管理すべき私有林を対象にしていることから、その方々に森林の公益的機能を回復させるというこの事業の意義を十分に理解していただきながら、その上で申請に至るということが、いかに進めていくかが重要な課題であると認識しております。

○原田委員 確かに森林事業を支援するに当たって、都と所有者の間に協定があるということで、事務事業の報告書にも書いてありましたけれども、二十五年間、杉、ヒノキの皆伐そして植栽の禁止が課せられている。(「間伐だ」と呼ぶ者あり)皆伐。全部抜いちゃったらいけない--植栽の禁止が課せられています。違反したときに、間伐の費用を返還しなければならないという制約がネックになっているようです。森林所有者に森林再生の意義を理解していただくしかないということだと思います。所管の粘り強い、誠意ある交渉をお願いします。
 東京都の森林管理事業は、水道局、そして産労局、環境局とで行っていますが、その範囲と役割分担はどのようになっているか、連携についてお聞きします。

○中島自然環境部長 水道局は、多摩川源流の水源涵養とそれから小河内ダムの保全を図るため、水道水源林を管理しております。その他の地域の私有林につきましては、産業労働局と環境局が事業を行っておりまして、産業労働局は林業振興の観点から森林管理を促進し、また、環境局では環境の観点から、林業経営が放棄された人工林に対しまして、公益的機能を回復させるための森林再生事業を実施しております。それぞれの事業を実施するに当たりましては、両局共同で策定いたしました、東京の豊かな森づくりを目指す地域的なプランでございます森づくり推進プランに基づき、連携して取り組んでおります。

○原田委員 奥多摩の森林はいろいろな立場の人で守られているということはよくわかりました。特に水道局は水源林ということで、保全ということでは結構しっかりと、それをなりわいとして頑張ってやっていますが、民間の人工林というところは大変課題が多いようでございます。産労局と環境局の連携が本当に大変だなと思うわけですが、そして森林事業を動かすためには多くの市民の方に理解してもらうというようなこともまず次の課題かなと思います。
 今後、緑の東京募金を広く市民に募っていくというような流れもございますから、森林再生の意義と森林事業を理解してもらうためのPRをもっと積極的に取り組む必要があると思いますが、特に森林ボランティアとの連携も含め、ご見解を伺います。

○中島自然環境部長 森林再生事業でございますけれども、森林の持つ水源涵養、生物多様性の維持向上、それから治山等の公益的機能を回復させる事業でございまして、多くの都民にこうした事業の意義を知ってもらうことは大変重要だと考えております。
 今後も森林事業について都民の理解を得るため、広報紙への掲載など、さまざまな機会をとらえてPRを進めてまいります。
 また、下草刈りですとか間伐などのボランティア活動への参加を通じまして、都民に森林事業の大切さを実感してもらう取り組みも行ってまいります。

○原田委員 私もこの質問をさせていただいたのは、森林再生の担い手が少なくなってきているかなという感じも、もちろんそれはいわれていることなんですけれども、その担い手づくりとして市民が参画することはできないかなという思いで、森林ボランティアの方々が力をつけて、NPOでも立ち上げてなどという、ちょっと自分なりのフローを考えてみたんですけれども、まだまだ森林ボランティアの方の育成ということでは時間がかかるなというような現場の方のお話でした。ですから、森林事業に触れていただいて理解してもらうということを積み重ねながら、担い手づくりの種まきをしなきゃいけないのかなとは思います。ぜひ森林の事業を皆さんに注目していただいて広がる、これからもっと豊かになることを望んでいます。
 さて、今度は河川の水質浄化についてお伺いします。
 河川は都民にとって安らぎをもたらし、豊かな情緒を育て、自然と接する大変身近な存在です。この河川をもっともっと身近な自然を考える機会にしたいということで、川と親しむさまざまなイベントが市民団体の中で仕掛けられ、その参加の輪も広がっています。このため、河川の水質改善というのは大変大きな課題であると考えます。例えば多摩川中流の水の五〇%は下水処理された水ということで、この処理方法をさらに、高度処理も始まっているようです。そしてこれを広げていくということが、今後、水質をよくする大きな要因であると考えます。
 さらに、合流式の下水道ではオーバーフローの問題も同時に解決しなければならないと考えます。昨年、決算時に、雨天時の水質の把握を検討するというご答弁がありました。その後の取り組みについてお伺いします。

○中島自然環境部長 私どもでは、水質汚濁防止法に基づきまして公共用水域の水質調査を実施しております。平成十八年度には、都内の河川のBOD環境基準達成率は過去最高の九六%となっております。しかしながら、法に基づく水質調査は晴天時に実施することとされておりまして、これまで雨天時の水質については調査をしておりません。このため、今年度、雨天時における水質調査を実施し、多量の降雨によって下水が越流した際に、その影響を大きく受けると考えられる河川及び運河につきまして、雨水吐きや下水処理場放流口等の近傍で河川等の水を採取、分析いたしまして、合流式下水道の雨天時排水の環境への影響を明らかにしていく予定でございます。

○原田委員 この雨天時における水質調査というのは、本当に水質を考える上で大変大事なことだと考えますし、この調査で現在の下水処理の限界も明らかになっていくと思います。そしてこの明らかになったことを踏まえて、またその対策を考えていくというふうなことになると思いますが、実態を知ること、このことのために調査が立ち上がったということをまず評価したいと思います。
 これからこの調査結果を明らかにしながら、さらなる対策を関係部局と一緒に進めていただきたいと思います。
 さて、都市化の進展により、雨水が地下に浸透しにくくなりました。豪雨のときなど、一気に雨水が河川に流れ込む一方、平常時は中小河川の水量は極めて少なくなっています。このため、河川の持つ浄化作用も大変低くなっているということです。この状況を打破するために、何といっても多くの木々の植栽というのが一番効果があるところでございますけれども、都市化が進んでいるところでは緑地の確保もままならない。そんな状況の中で、雨水浸透対策のさらなる推進が求められるところです。雨水浸透対策は中小河川の水量、水質の保全だけでなく、治水対策としても効果があります。関係各局の連携で対策に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いします。

○中島自然環境部長 良好な水の環境を保全するために、緑化を含めた幅広い雨水浸透対策を進めていくことが必要と考えております。現在、地表に降った雨のうち、どの程度が地下に浸透し、どの程度が浸透せずに蒸発したり、また下水道や河川に流出するか求める水収支調査を行っているところでございます。調査結果につきましては、関係局や市町村と連携いたしまして、多様な雨水浸透対策を検討するための基礎資料として活用してまいります。

○原田委員 雨水浸透対策ということは、私、今回公営企業会計の審議でも取り上げていまして、雨水浸透策に関しては大変前向きの答弁をいただいたところです。この雨水浸透とともに、もう一つ雨水の利用というのも課題に挙げられると思います。河川の水量確保、そして安定化、水質の向上をぜひ皆さんの知恵で、そしてまた市民も時には協働しながら、皆さんとともに身近な河川の水質向上をみんなで考えて実践していきたいと考えていますので、よろしくお願いします。
 次に、ごみ減量対策です。よろしいでしょうか。
 首都東京での廃棄物は他市に類を見ない数量です。都市生活から事業活動から出る大量のごみは一変してさまざまな資源になり得ます。特に食品リサイクル法により、食品廃棄物のリサイクルが今進んでおります。
 そこで、都内にどのような食品リサイクル施設が何軒あり、その処理能力はどのぐらいあるかお伺いいたします。

○木村参事 食品リサイクル法では、食品廃棄物の再生利用を行う事業者の認定、登録制度が設けられております。この登録再生利用事業者は都内には六事業者おり、処理能力の総量は日量で三百トンでございます。このうちの二社はスーパーエコタウン事業者の日量百十トンのバイオガス発電施設と、日量百四十トンの飼料化施設でございます。このほか、都内で排出される食品廃棄物は他県の登録再生利用事業者の施設でもリサイクルされております。

○原田委員 スーパーエコタウンにある二つの再利用施設が都内の主な施設ということですが、食品リサイクル法の対象となる食品関連事業者は都内に幾つあり、食品廃棄物の年間排出量はどのくらいになるでしょうか。
 また、この法律で多量発生業者とされている年間百トン以上の食品廃棄物を出す業者は、都内に何軒あるのでしょうか。
 また、多量発生事業者からは年間何トンの食品廃棄物が排出され、再利用等実施率の目標二〇%はどのぐらい達成しているのでしょうか、現状をお聞かせください。

○木村参事 食品リサイクル法の対象となる食品の製造、加工、販売業及び外食産業など、食品に関連する事業所は都内に約十五万軒ございます。これらの事業所からは合計年間約百二十万トンの食品廃棄物が発生しているものと推計しております。
 一方、年間百トン以上の食品廃棄物を発生させる多量発生事業者につきましては、全国に約一万六千の事業者がおり、食品廃棄物全体の約六割を排出しているとされておりますが、国は全国単位で推計し、都道府県別に推計していないため、都内の事業所数及び排出量については現在不明でございます。
 次に、再生利用等実施率の目標の達成状況につきましては、国が毎年約二万事業者を対象に排出実態を調査し、推計しております。平成十七年度の調査では、全国で再生利用等実施率の目標二〇%を達成した事業者の割合は、全体で約一八%、多量発生事業者では約二七%となっております。

○原田委員 まだまだこれからということですが、そしてまた、今のお話では、東京での廃棄量というのはまだ推計というようなレベルのようです。改正食品リサイクル法の施行に伴い、今後は対象事業者が報告を義務づけられていますので、食品廃棄物の総量が、全体量が把握されていくと考えます。この中で食品廃棄物対策を進めるべきと考えます。食品廃棄物のさらなる利用を促進し、メタンガスを生成し、地域へ電力や温水を提供していくことは、地域分散型エネルギーとして災害に強いまちづくりに寄与すると考えますが、見解をお伺いします。

○木村参事 エネルギー消費地に近接して食品廃棄物からメタンガス発電を行うことは、原料調達が容易なことや送電ロスが少ないことから有効だと認識しております。現在、東京スーパーエコタウン事業において、食品廃棄物からのバイオガス発電施設を整備し、電力供給を行っております。今後、スーパーエコタウン事業の成果を情報発信するなどにより、バイオガス化技術の導入を促してまいります。

○原田委員 食品廃棄物をエネルギー化することは、大都市東京に欠けているものをつくり出すという視点でも大変重要だと思います。ごみ減量とエネルギー確保の二つの役割を担う事業として、バイオガス化の推進を求めるものです。前向きの答弁もいただきましたので、ぜひ東京都もその視点で頑張っていただきたいと思います。
 そのためにも、東京全体の食品廃棄物の総量に見合った受け皿づくりが課題ではないかと考えます。環境局からバイオガス化技術の導入には、今いいましたとおり、導入を促すというような答弁もありましたので、具体的な誘導策など立ち上げに期待するものです。
 また、全体で排出される家庭系廃食用油十七万トンのうち、十三万トンはリサイクルされずに廃棄されているといわれております。廃食用油はさまざまな形で廃棄されていると考えますが、多くは下水管に流されているという可能性もあります。下水道ではダイエットレシピを作成し、油の使用量を減らす懸命な働きかけをしておりますが、廃食用油を回収すると、石けんやBDFへとさらなる用途が広がります。廃食用油は回収するものという市民啓発が必要であると考えますが、廃食用油の資源化について見解をお伺いします。

○木村参事 一般家庭からの廃食用油の多くは、紙にしみ込ませたり固形化した後、可燃ごみとして処理されております。都内の一部の区市では回収を行っており、年間約四十トンの廃食用油がバイオディーゼル燃料、石けん、インク原料などに再生されております。
 廃食用油の資源化のためには、市民のリサイクル意識とあわせて、リサイクルを担う回収業者や再生業者、再生した燃料を使用する運送業者など、循環の輪づくりが大切であると考えております。都といたしましては、廃食用油のリサイクルに係る情報を都民に提供し、普及啓発を図っていくとともに、廃食用油の燃料化など、資源化促進策について検討してまいります。

○原田委員 確かに廃油の回収というのは、小規模で行う自治体や町内会での仕事の範囲かなと思います。しかし、多くの市民が、瓶、缶、ペットボトルなどの回収と違って、廃油がリサイクル可能な廃棄物だということをまだまだ理解していないと考えます。実際、回収ルートのない地域も大変多いという現状もあります。これを踏まえて、自治体と連携しながら、廃油リサイクルの啓発活動とともに、廃油回収にかかわる市民団体の立ち上げ、その後の支援策も必要だと思います。ぜひ、東京都の立場でいろいろな支援ができると思いますけれども、特に全都的な啓発活動、そういうところに期待するものです。
 これをもって私の質問は終了します。

○こいそ委員 それでは、何点か質問をさせていただきたいと思いますが、これはさまざまに各委員からも質問等が、いわゆる意見も出ましたけれども、私、まず初めに、極めてこれはそれぞれ強い関心を持ち、東京都政の中においても喫緊の重要な施策であるところの地球温暖化ですね、先ほどありましたけれども。
 いわゆるアメリカの、前でしょうかね、アル・ゴア副大統領ですね、ノーベル賞を受賞すると。そしてまた、IPCCにおいても本年度ノーベル平和賞が受賞された。こういうことの中で、さらに関心が高まってきたということはいうまでもないわけなんですが、こういう中で、いよいよ来月十二日にはCOP13、ポスト京都議定書のいわゆるいろいろな話し合いが開始をされるという中、そして一九九〇年ですね、京都議定書から、いよいよ明年から、もういうまでもありませんけれども、約束期間が向こう五年間始まるという中、我が国は六%の削減目標ということが、議長国としても責任を持って対応していかなきゃいけないわけでありますが、その中でも、これはいうまでもありませんけれども--夜、ちょうどその機会があって、上空から、東海方面、東京ですね、また九州、関西、ずっと来て、その北側からもそうなんですけれども、そういう機会がありましたが、東京は極めて、近づけば近づくほどといっていいですかね、物すごいきれいであるけれども、これは大変だなと思わざるを得ない。それはいわゆるCO2の問題なんですね。これだけ放出しているのかなということなんですね。
 そういう中で、都としても二〇〇五年ですね、五%、一九九〇年対比で測定する中でふえておりますけれども、今後、二〇二〇年、さらなる目途の二五%ですか、これを想定する中、さっきのやりとりの中で原因関係ははっきりしておりますので、もう一段、環境基本計画も新たな見直しが今進められているところでございますけれども、戦略的な削減の構築を、いわゆる技術力が日本は極めて高い。そしてまた、日進月歩でさまざまな製品的なものも、太陽光のパネルもそうですし、風力もそうだし、燃料電池の実用化に向けてもある。先ほどバイオの話もありましたけれども、いずれにしても、こういうさまざまな技術開発の先導的な役割を果たしている、果たし続けなければいけないこの日本の中で、このまさに首都東京が、先ほど大野部長のお話にもありましたけれども、いわゆる事業所排出の統計的なものが東京だけにしかない。環境省にもないという中、これはまさに環境政策の先端的な役割を担っているという認識であります。その中で、この今申し上げたような戦略的削減対策をどう構築していかなきゃいけないのか、そのあたりにつきましてお話を聞かせていただきたいと思います。

○長谷川環境政策担当部長 二〇二〇年までに都内の温暖化ガスを二五%削減していくということは、ただいま委員からご指摘もございましたとおり、非常にハードルが高い目標でございます。しかしながら、成熟した持続可能な都市を実現していくためにはやり遂げなければならない課題だというふうに考えてございます。そのために、この六月に、この目標を達成するための方針として、気候変動対策方針を掲げたわけでございますけれども、ただいまご指摘もありましたけれども、我が国には最先端の省エネ技術、あるいは再生可能エネルギーの技術がございますけれども、こういった技術が、国の政策が不十分であるというような問題がございまして、せっかくの技術があっても生かされていないというような問題がございます。
 このため、東京都におきましては、太陽エネルギーにつきましては、この普及拡大を図るような検討会を実施してございまして、また、高効率な給湯器などの設備を普及拡大を検討するなど、省エネの技術についての活用方策を構築しているところでございます。
 また、今お話ございましたけれども、東京都が全国に先駆けて取り組みました地球温暖化対策計画書制度などの運用を通じまして、事業所などにおきますCO2の排出実態を把握してきたところでございまして、こうしたデータをもとに、実効性のあるCO2の削減策を講じてまいりたいというふうに考えてございます。

○こいそ委員 ぜひ戦略的な削減対策をこれからもしっかり構築していただきたい。その提案をこの委員会でも当然受けるところだと思いますけれども、十分議論も今後尽くしていきたいというふうに思っております。
 そして、地球温暖化対策のポイントの中で、今お話しのように高い環境開発技術力があるということ、これを活用していくということはまさにそのとおりかなと思いますが、もう一点は、都民一人一人、国民一人一人の内在するもの、この百年の間に〇・七四、日本は平均で一度、東京は三度と数字が明確に出ました。こういう気温の上昇、気候変動の中において、やはり私は、これは廃棄物のところで触れたかったのですけれども、百年前、もっとそれより百年以上前になれば、中世、江戸ですね。この東京が江戸であったとき、このときに世界で百万都市、これだけの都市は世界でも有数な大都市である。そういう中で、日本固有のはぐくまれた文化で、そしてまた日本人の持つ、当時の人々が持つ感性、感覚、自然に対する共生感というのですかね、まさに循環型の社会を構築してきたという事実が当然あるわけですね。
 アフリカの副大臣だったですかね、環境副大臣だったかな、もったいない、片仮名でモッタイナイといったら、何か後生大事にみんな、もったいない、もったいないと世界じゅうで、日本でもそうだけれども。もったいないなんていうのは、日本の、まさに我々の生活様式の中のそのままであって、物を大切にする、自然を大切にする、人と人とのつき合い、コミュニケーションを大切にするという、こういう連綿とした文化があったと思うのですよ。
 そして、ちょっと先へ進みますけれども、要するに何をいいたいかというと、地球温暖化対策、さまざまなことをいわれているけれども、人為的な内在する部分をしっかりと対応していかないと、これは効果というのはなかなか上がってこないのじゃないかと、みんな観念的には思っている。ゴアさんのあのビデオを見て、本を読んで、大体北極のクマがいなくなるのかな、氷が解けるのかな。いわゆる山岳氷河が解けてきて、水面上昇率が、若干数字が違うそうでありますけれども、いずれにしたって海面上昇がそういうふうに高くなってくると、中国の長江だって沈んでしまうし、東南アジアのデルタ地帯も沈んでしまうし、日本だって影響を受ける。ツバルは沈む。フィジーだって危ない。こういう世界の中、また日本の中を考えたときに、私はやはり、何がどうできるのか、何をどう実践しなきゃいけないのかという部分があると思うのですね。
 学生にもそう、家庭の主婦もそう、さまざまな地域で生活する人もそうですね。こういう中で、私は、倫理というか、内在する心というか、こういうものを今後やはりしっかりと、各局とも連携する中で、ぜひ対応していただきたい。これだけ優秀な皆さんですから、まさに知恵と能力があるわけなので、ぜひお願いしたいというふうに思っているのですね。
 それで、時間がありませんから次に進みますけれども、それはどういうことかというと、私たちは豊かな生活を享受している。豊かさの裏返しで、物質万能社会の中で、消費は美徳だと浮かれ切って物がどんとあふれた。自分の目の前にごみを積まれたら、早く片づけてくれよと、そして、怒る。自分がやればいいじゃないかといったって、やりはしない。そして、自分の近くに大変な中間的な、いわゆるごみだっていいし、処理場をつくる、大反対だ。総論賛成、各論反対。
 これは、電気だってそうでしょう。この間新潟沖地震があったけれども、ことしの夏は暑い、暑い。二十八度かな、にしなきゃいけないけれども、暑い、暑い。これは大変だ、死んじゃったら困るからね。熱帯夜が続く。この電気だってどうするのかな。本当にコンセントを抜いたのかなと、私自身もそうなんだけれども、自問自答するのだけれども、やるべきこと、やらなきゃいけないこと、こういうことを踏まえて、実は私はこんなことをずっと思いながら、地元の酒屋組合に行ったのですね。酒屋組合に行って、酒屋のおやじさんが、こいそさん、あなたたち、国も東京都もいろいろいっているけれども、気候温暖といっているけれども、何だよと。自動販売機の数、知ってるっていわれたのです。いや、わからないね、相当あるんでしょうね。百万台あるよと。調べたらもっとあったのだけれども、いずれにしても、全国規模では三百二十万台、全部入れれば六百万台ぐらいあるそうですよ。こういう中で大変な電力消費をしているということ、一つの起因的な原因要因として。そういう中でぜひ、これを全部撤去しろとか、使うなとか、そういう大上段でいっている話じゃなくて、やはり私たちが本当に豊かさ、便利さを享受する中、振り返ってみるといろいろあることにぱっと気がつかせてもらったことなんですよ。
 私もこれでちょっと興味を持ちまして、いろいろ調べましたけれども、約二百万トンCO2が排出されているということもわかりましたし、あとほかにいろいろわかったのだけれども、いずれにしても、これをだから、やはりこういうものを、ただ単に当たり前にして、当たり前の思いでどうなのかと思っている。しかし、これを何とかしていかなきゃいけない。じゃ、撤去するのがいいのか。使わなきゃいいのか。こういう直線的なことじゃなくて、そしていろいろ考えてみたら、努力している人がいるというのがわかったのですよ。三分の一、来年の六月からは減ると、自動販売機関係の電力が。そういうことが発表されるそうですよ。それからもう一点は、今度はコンセントを入れない。要するに電力を直接電源として引っ張らないということ。こういう技術がもう開発されているということ。私はすばらしいなというふうに思いました。これも技術力かもしれないけれども。
 ですから、私たちの身の回りを考えた中で、できること、やらなきゃいけないこと、意識が意外と、いわれるとはっとわかるけれども、こういうことはあるのだなとさまざま思いましたけれども、そういう中でぜひ、都が地球温暖化対策で、先ほどからるるお聞きしておりますので余り触れたくないのですけれども、都民の心、意識、実践、行動ですね。これは局だけでは当然、一局でというふうには私はいっていませんけれども、ぜひ何らかの形で啓発するようなことができないかな。
 世界が注目する、まさに世界が注目するすばらしい、あの石原知事が、すすで振って、いわゆるディーゼル車--それはそうですよ。私も、周辺国へ行って帰ってきたら、何と東京の空はきれいなのかなと。何と東京はすがすがしい、本当にきれいなのかなというのを再確認しましたよ。これは世界が注目している。ですから、我々はやれないことはないと思うのですね。
 そういう意味で、どうぞ二五%、二〇二〇年、この大目標があると思いますが、地球温暖化対策に対する、るるお話があったけれども、そのあたりの決意をもう一回、局長に聞かせていただければありがたいなと。この話を通じてのね。

○吉川環境局長 今先生のおっしゃっているお話を伺っていて頭の中をよぎったのは、実感をしていただいて行動していただくという言葉です。そういう意味で、私は環境局へ、先ほどともとし委員のお話で三つの感想をいいましたが、環境局長になったときに三つの大切さというのを思いまして、一つは、お話にもあった技術ですね。それからもう一つは意識、それからもう一つが仕組みだと思います。
 そういう意味で、二番目にいった意識の問題を先生はおっしゃったと思いますが、例えばの例でいいますと、白熱球の一掃作戦というのを私はこの局へ来まして知りましたので、私自身が実践しました。家の家内に、一緒に近くの電気店に行って、白熱球をかえようというふうにいったら、一個千四百十七円だったのですね。うちの女房にいわせると、何でお父さん、切れていない電球をかえなきゃいけないんだと。ここから始まって、それを説得するのは結構大変だったのですよ。それで、一個だけ今うちはかえているのですが、ある人にいわせると、おまえのところはまだ三つか四つあるのだから、全部かえろといわれているのですが、ただ私は、何というのですかね、大切にしたいなと。
 ですから、女房に地球温暖化の問題を、先生おっしゃるように、氷河が解けてという映像を幾ら見せても、それは恐ろしいというのはわかるのですけれども、自分の生活とどういうふうに地球温暖化というのはつながるのだというようなことを、僕は決して自分のうちの恥をさらしているだけじゃなくて、先生がおっしゃっているのは多分、本当に直接的に行動に結びつく取り組みというのですか、そういう何か努力をしなさいということのご指摘だったと思っております。ですのでもう一回結びに行くと、実感して行動がとれるような、そういう取り組みについて全力を尽くしたいと思っております。

○こいそ委員 よろしくお願いしたいと思います。
 まだまだ聞きたいところがあるのですが、ほかに移らせてもらいたいのですけれども、まず緑関係ですね。これについて、多摩の緑、生態系の連続性という観点から、これもるる前からいっていますけれども、西多摩地域、これは自然林が今のところ、いろいろな手当てをしなきゃいけないけれども、かなり森林源として自然の景観が一定的以上に確保されているというふうに思うのですが、その連檐性をやはりとっていかなきゃいけない、東京全体の。先ほど減少率のお話もあったけれども、私も非常に関心を持っておりまして、特に今申し上げた区部から多摩地域南北のこのあたりは、やはり相続税とか、まさにさまざまな要因関係で緑等々が失われているのですね。これはこれで、高橋さんなんかもそうだけれども、今、一生懸命国に向けても要請しているところなんですけれども、こういういろんな現象の中で、例えばレッドデータブックス、これも何回もいわせてもらっているけれども、タマノカンアオイという植生、これは私は何とも愛らしい、何とも、環境を考えるといつも出てきちゃうのです。よぎってくるというか、いろいろ思いを感じるところがあるのですよ。
 そういう中で、このタマノカンアオイが、これは何回もいわせてもらっているけれども、分布速度が一万年、一万年ですよ、一万年に一キロだというのですね。この一万年、今我々は、百年の気象のいろいろな変動的なもので異常気象等々の話をいっているけれども、一万年という時間的、空間的というか、その中でしっかりと、本当に根強いしっかりした、植物でも何でもない、もう道に咲く一輪の草花ですよ。非常に地味な花だと思うんだ。だけれども、その花がしっかり根づいていて、一万年の時間の中で一メーターきり移動ができないという、何というのかな、弱いといえば弱いのかな。強いといえば強いのかもしれないけれども、私みたいなものかもしれませんけれども、そういう中でこのタマノカンアオイを、ただ単に私は守れ、守れとただいっているだけじゃなくて、こういうものが自然に群生しているところ、これはできるだけ守ってほしいなと率直に思うところなんですよ。
 それで、このたび大変なご努力をいただいて、私も今までかかわりを持たせていただきましたけれども、九年ぶりに新たな緑地保全地域の指定に向けた取り組みが多摩市内で行われるということになりました。これはどのような経過と、現在どのような段階になっているか、教えていただきたいと思います。

○中島自然環境部長 緑地の保全につきましては、先ほどもご答弁いたしましたけれども、日ごろから各自治体と連携を図っておりまして、その一環といたしまして情報交換にも努めております。
 そうした中で、昨年の夏ですけれども、多摩市の東寺方の市街地に残されました約一・五ヘクタールの緑地を現地調査いたしまして、緑の状況などを把握いたしました。その後、当該緑地の一部でございますけれども、開発計画が持ち上がりまして、それに対しまして緑を守るため、多摩市が公有化をいたしました。都といたしましても、このような地元自治体の、みずから積極的な役割を担って貴重な緑を残すという取り組みと連携して、東京の緑を守るため、ことしの三月に保全地域指定の意向を固めたところでございます。先月末には自然環境保全審議会の中でも答申をいただきまして、現在、多摩東寺方緑地保全地域の指定案を公告縦覧しているところでございまして、来月初旬までには指定できる見込みでございます。

○こいそ委員 今回このような取り組みが現実に行われてきたといいましょうか、来るというか、来たのでしょうけれども、地元自治体と広域自治体である都が、まさに役割分担を踏まえた連携が極めてうまくとられたケースであると認識しております。地方分権の時代にあって、何から何まで都がやる、都がやるべきだということはいかがなものかという立場もありますけれども、まず地元自治体がどのような緑を守るかという主体的な意思を持つことが、私も極めて重要であるのではないのかなと思います。
 次に、保全地域制度の特徴である緑の質を守る取り組みについて伺いたいと思います。
 この保全地域の管理は、原則、ここでは地元市の多摩市が行うということになりますが、ここには貴重な、さっきいったような、タマノカンアオイだけじゃない、貴重な植物も生息をしておりますが、また緑の質を守るため、都はどのように地元市を今後支援されていくのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。

○中島自然環境部長 多摩の東寺方の緑地保全地域の管理でございますけれども、これは原則といたしまして、最も身近な多摩市が行うということでございますけれども、都といたしましても、タマノカンアオイなどの希少種の保護を含めた植生管理につきまして、専門的、技術的な側面から支援をしてまいります。
 また、この保全地域におきましては、東京都が都民の自然との触れ合いの場として活用するほか、多摩市が市民で構成するグリーンボランティアと連携した保全活動を予定しているところでございます。東京都といたしましては、必要に応じてボランティア指導者を紹介するなど、人材面からも積極的に多摩市を支援してまいります。

○こいそ委員 ぜひ、地元市も公有地の取得から入りましたけれども、極めて意欲的にこの事業に参画していきたいというところでありますので、意欲を酌んでもらって、十分な支援もお願いしたいと思います。
 次に、保全地域全般の活用策についてでありますけれども、保全地域は、都民の自然との触れ合いの場として活用することが大事である。そのような観点から、都と企業及びNPOが連携した保全活動である、今お話があったグリーンシップ・アクションは大変有意義な活動だと思いますけれども、最近の実績と今年度の計画について教えていただきたいと思います。
 そして、続けます。またこのような、冒頭に申し上げましたけれども、保全地域の新規指定、九年ぶりの指定でありますけれども、そしてその活用、具体的には今ご答弁いただきますけれども、これをあわせて最後に、大変たびたび申しわけないのですけれども、今後の保全地域制度の運用について、せっかくの機会といいましょうか、ぜひ局長からも、重要な政策、施策でございますので、お考えを聞かせていただければありがたいと思います。

○中島自然環境部長 まず東京グリーンシップ・アクションの実績でございますけれども、平成十六年度は五つの企業が参加しまして、延べ八回にわたる保全活動を行いました。また、十七年度は九つの企業で延べ十五回、そして、十八年度は十三企業で延べ二十四回の保全活動を実施しております。また、今年度でございますけれども、昨年度の約二倍の二十四企業が参加いたしておりまして、延べ四十四回の保全活動を計画しておりまして、既に制度開始以来、延べ千二百人以上の方が参加するなど、着実に実績を伸ばしております。
 また、この仕組みにつきましては、非常に参加企業からも高い評価をいただいておりまして、これを通じて、例えば社員の環境に対する向上につながったとか、ほとんどの企業がこれからも継続して参加したいという意向も示しております。

○吉川環境局長 私も東寺方は視察させていただきましたし、先生のお話にございましたタマノカンアオイは見させていただきました。
 保全地域の緑は、この大都市東京に残された貴重な緑が残念ながら失われつつある現在、生態系の保全などさまざまな観点からも貴重な緑であるというふうに認識をしております。今後とも、意欲ある地元自治体との連携のもと、保全地域制度を活用して、多摩地域などにおける緑の量と質の保全に一層積極的に取り組んでまいります。

○こいそ委員 それでは、次に移ります。
 東京都自然環境保全審議委員として一緒に出ていますけれども、その中で今温泉法の、先ほどお話がありましたけれども、温泉法の申請に対する審議を実質行っているわけであります。近ごろ温泉ブームの中で、都内の市街地において温泉掘削が増加している。事件なのか事故なのか、今解明中だそうでありますけれども、渋谷の事故もありました。限りある資源である温泉が浪費されているのではないかと、非常に危惧をしている実は一人でございまして、そういう中で今のような大深度温泉掘削がこのまま増加し続けると、限りある資源、そのような観点からも環境にはどのような影響を与えていくのだろうかな。そして、都内の温泉に対してこれらの問題を常に考えていかなければならないと思います。
 そこで、近年都内の市街地において大深度を中心に温泉の掘削が増加しておりますけれども、具体的にどの程度ふえているのか、現状を教えていただきたい。

○中島自然環境部長 都内の温泉掘削でございますけれども、平成五年ごろから増加を始めまして、平成五年度から現在までの間に、島しょ地域も含めました都内全域の温泉井戸の本数は、三十一本から百四十八本に増加しております。このうち深さ五百メーターを超えるいわゆる大深度温泉が、四本から五十二本に増加をいたしております。

○こいそ委員 温泉掘削が今のお話のように増加してきている。これは、資源保護だけではなくて、地盤沈下の面からも大きな問題であると思います。
 都内において、高度経済成長期に地下水の大量のくみ上げによって、区部の低地部を中心に激しい地盤の沈下を経験した。これにより、建物や道路の損壊、洪水や高潮の危険の増大など、都民の生活は大きな被害を受けたわけでありますけれども、都内の地盤沈下は鎮静化の傾向にあるとはいわれますけれども、地下水の一種である温泉のくみ上げ量が今後さらに増加していくならば、地盤沈下が再発するのではないか、このように思うわけでありますが、どうでしょうか。

○中島自然環境部長 過去に地下水の過剰なくみ上げで深刻な地盤沈下が発生した区部の低地部やその周辺部におきましても、先ほど申しました大深度温泉の掘削が進められております。これらの温泉は、かつて地盤沈下の大きな原因となりました、天然ガス採取のための大量の地下水くみ上げが行われていた地層と同一の地層からくみ上げられております。このため、温泉をくみ上げ過ぎると地盤沈下が再発するおそれがあると考えております。

○こいそ委員 温泉事業という、まさに商行為でもあるわけでありまして、貴重な資源である温泉がかれてきたり、地盤沈下が発生することがあっては当然ならないわけであります。温泉のくみ上げ量を適正なレベルに制限することは非常に重要ではないかと思いますけれども、都は現在、温泉に関する独自の規制を行っているとも聞いておりますが、これらの対策の経緯を教えていただきたいと思います。

○中島自然環境部長 過去の地下水の過剰なくみ上げによる激しい地盤沈下の発生を教訓といたしまして、大深度温泉掘削の増加による地盤沈下を防止するため、東京都自然環境保全審議会の答申を受けまして、平成十年七月に、くみ上げポンプの構造とくみ上げ量の基準を設けまして、指導を進めてきたところでございます。
 しかしながら、その後も温泉掘削が増加を続けるとともに、マンションとか個人住宅での利用するための温泉掘削が行われるようになりました。このため、平成十七年一月に、温泉を新たに掘削する場合、既存の温泉から掘削する深さに応じて一定の距離を離す距離制限ですとか、マンションなど温泉を個人的に利用する場合のくみ上げ量の制限を行っているところでございます。

○こいそ委員 東京の地下に存在する、限りあるといいましょうか、資源の一つである温泉をどのように保護し、利用していくかということを総合的に考えていかなきゃいけない時期に至っているのではないか。
 これは認識はそう違わないと思いますけれども、しかし、温泉の保護と利用のあり方を検討するに当たりましては、同じ都内の温泉といいましても、これも審議会でも出ていますが、二十三区や多摩地域の市街地の温泉と山間部や島しょ地域の温泉では、状況は当然異なります。講じるべき対策も当然異なることも考慮しなければならないことはわかりますけれども、しかし、現在の温泉法は、北海道--沖縄は温泉はありましたかね。いずれにしても、さまざまな遠隔地、地方の景勝地といいましょうかね、においても、またこのような大都市東京においても、全国一律規制で地域特性を考慮するような法体系には、いうまでもなくなっていないですね。
 これからは、地域特性に応じてきめ細かく温泉の掘削の規制を行って、温泉資源の保護、地盤沈下の防止を進めていくべきではないか。そこで、環境局は、地域特性を踏まえて温泉資源の保護や地盤沈下の防止対策を進められるよう国に働きかけをされているということも聞いておりますけれども、具体的にどうなのか、お願いしたいと思います。

○中島自然環境部長 東京都では、地域特性に応じた対策を進めていくために、都道府県が条例の制定を可能とするよう、国に対しまして既に提案要求を行っているところでございますけれども、今後も引き続き国に対して働きかけをしてまいります。
 また、環境省では、温泉資源保護ガイドライン検討会を設置いたしまして、都道府県が地域特性を踏まえた温泉対策を進められるよう、条例や要綱等を定めるに当たっての参考となるような技術的ガイドラインの検討も進めております。東京都もこの委員として参画していることから、今後もご指摘を踏まえまして、地域特性に応じた対策の必要性を主張してまいります。

○こいそ委員 東京の温泉の地域特性といえば、市街地の密集地において温泉が掘削されて利用されている現状であります。都は新たに温泉を掘削する場合に対して一定の制限を行ったという先ほどご答弁がありましたけれども、まさに多摩地域とか島しょ部ではない、区部の密集地、いわゆる大都会ですね。大都会東京における温泉の掘削は、これはもうまさに立地制限という最も厳しい規制を私はかけてもいいのではないか、こう思うのですね。
 都内の温泉掘削の状況から、市街地の密集地ではまさに温泉掘削を禁止するという、こういう段階に、私は一歩、一歩というか、そういう段階に入るべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 温泉の掘削時それからまた採取時の二度にわたります可燃性天然ガスの爆発火災事故の発生ですとか、これまで以上の温泉資源の保護を図るべきという意見などを考慮いたしますと、立地規制など大都市の特性に応じた規制のあり方につきましても、検討すべき課題だというふうに認識しております。
 しかしながら、今までの距離制限よりも厳しい立地規制となりますと、これを具体的に検討するに当たりましては、温泉関係法令との整合性を図ることですとか、あるいは地下の温泉の存在量、あるいは地質の状況等につきまして、さらに解明すべき部分がございまして、引き続き知見を集積することが必要であると考えております。今後、国の温泉法改正や先ほども申しましたガイドラインの策定等の動きを注意深く見守るとともに、科学的データの集積などに努めてまいります。

○こいそ委員 都民の安全、そして東京の環境を守る観点からも、都が進める温泉対策に対して、今後も強い関心を持って見守ってまいりたいと思っておりますが、都として地域特性を踏まえた温泉対策が進められるよう、今後ともに国に対して法制度の整備を強く働きかけていただくことを求めて、終わりたいと思います。
 最後にもう一点だけ質問させていただきたいと思いますが、廃棄物対策なんですね。
 これは極めて、先ほど温暖化のときにも触れさせていただきましたけれども、東京のいわゆる循環を確立した社会を達成した江戸時代ですが、以後、明治三十三年、一九〇〇年、その五年後に日露戦争が始まりましたけれども、その当時にいわゆる掃除法が我が国で初めて立法化されました。自来、昭和二十九年です、次の立法は。その時々、その時々、公衆衛生という観点からと、公害対策という観点からと、資源リサイクルという観点と、今容器リサイクル法だとか、十二年には循環型社会形成推進基本法が制定されましたね。二十一世紀の我が国の目指す循環型社会の理念が確立されたわけでありまして、日々の廃棄物処理のありようを見て、これの今申し上げたような法整備が、極めて私はこの十年間といいましょうか、公衆衛生的な観点、公害対策的観点、それから資源リサイクル的観点、これがそれぞれあると思うのですね。
 そういう中で、何をいいたいかというと、要するに、きょうはいろいろありましたけれども飛びまして、まず、多摩地域の各市町村で熱心に分別とリサイクルが行われております。その結果、昨年度のリサイクル率は三五%にも達しております。これは、平成十七年度の全国平均の一九%に比べて非常に高い数値ですよね。そして、多摩地域の市町村がここまでリサイクルを推進することができたのは、さっきの意識といいますか、環境的な倫理意識というか、さまざまなことがあるのですけれども、ごみの分別に対する高い意識がここにあったというふうに一面とらえることもできると思うのですね。
 そして、区部では来年からリサイクル対象外の廃プラスチックを可燃ごみに切りかえてサーマルリサイクルを行うという計画と、さっきやりとりもありましたけれども、聞いております。マテリアルリサイクルに適さない廃プラスチックをサーマルリサイクルして、埋立処分量の削減と資源の有効利用を進めていくことは、意義あることとは思います。しかし、その趣旨が市民に十二分に伝わらなければというふうに、大変私はここで危惧を持つのですよ。皆さんのご努力と、なぜそういうことをしなきゃいけないかという必然的なことは理解できる中でいっているのですけれども。
 そして、いわゆる燃やせばいい。これが、例えば多摩地域の各市町村、財政規模もはっきりいって大変厳しいですよ、それぞれ。そういう中でも、こういう今申し上げたようなリサイクル率も達成をしている。日々努力を重ねているということなんでありますけれども、ここでこのように区部がサーマルリサイクルを行うという中、やはり、せっかくこれだけ全国的な平均値からもリサイクル率が上がってきたこの廃プラスチックを、まさに単に燃やすだけという意識は今までなかったけれども、燃やせるのだ、燃やしてもいいのだということ、これで三Rの推進意識が弱くなってしまうのでは困る。
 廃プラスチックのサーマルリサイクルの趣旨が、伝わり方によってはそういう伝わり方もあるかなと思いますので危惧するわけでありますけれども、リサイクル率が下がってしまうおそれがある。マテリアルリサイクルの重要性を住民に至急啓発して、資源ごみ収集量、リサイクルを増加させるよう、私はここでしっかりとした、広域自治体として区市町村また多摩地域の市町村にしっかりと、私は意見集約なり指導なりをすべきだと思いますが、そのあたりはどうでしょうか。

○森廃棄物対策部長 廃プラスチックの処理につきましては、マテリアルリサイクルに適さないプラスチックをサーマルリサイクルするという考え方が基本でございます。
 マテリアルリサイクルを推進するためには、今年区市町村が定めた分別収集計画では、今後五年間でプラスチック製容器包装の回収量を都全体で二・八倍に増加させることとしてございます。都は、各区市町村の分別収集の状況を毎年把握いたしまして、廃プラのサーマルリサイクルの趣旨が伝わるよう、住民に対する普及啓発やリサイクル施設の整備などについて必要な指導を行ってまいります。

○こいそ委員 ぜひしっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 るるありますけれども、最後にこの一点だけ廃棄物対策について取り上げてお話を、要望もさせていただきましたけれども、初めに申し上げたように、何回もいって申しわけないけれども、日本人の、私たちの生活様式の中で、やはりきめ細かな心で環境面、環境の大切さと共生さと、さまざまな循環型というか、この思いがまさしく意識、実践、行動されてきた。社会が全体的に回ってきた。こういうような中から、私はもう一度、物を大切にする心、そしてまた環境倫理を基盤とする社会を構築していくべきだ、一面ね。環境行政を進展させるためにも、政策をより強力に推し進めていくためにも、私はこういう側面もやはり必要なのかなというふうに思えてならないのですね。二十一世紀の環境型社会の実現に向けて、ぜひ積極的な、きょうは事務事業の質疑でありますので、ぜひ積極的な取り組みを要望いたしまして、終わります。

○吉田委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まずいささか個人的な話から切り出させていただきたいと思います。
 私は、平成二年に経団連というところに入局をいたしまして、十一年奉職してまいりました。最初に、どこに君は配属を希望するといわれて、手を挙げて、地球環境問題と廃棄物対策をやる産業政策部というところにおりました。当時は、もうすぐ九〇年のリオデジャネイロの地球サミットというものの準備がそろそろ始まるころで、そして、私は当時、二十年ぶりという廃棄物処理、廃掃法の大改正といわれるものに、経団連の立場から携わらせていただきました。
 当時、温暖化という現象について、日本の経済界、産業界がいまだ懐疑的であったという時代に、これを、温暖化というのはあるのだ、対策をしなければいけないのだということで、一生懸命に使い走りをして、そして廃棄物対策につきましては、当時実は大変に及び腰であった厚生省に対して、大蔵省等と話し合いながら、ぜひ廃棄物処理に溶融処理というのを入れてくれということを強く働きかけをさせていただいた。そして、そのバックボーンとして、当時東京都が大田第二清掃工場というところで初めての溶融処理というのを始めていたころ、そういう時代でありました。
 そして、その大変先進的な取り組みもしていた東京都が、片や、私が企業の方々を無理やり引っ張っていって、中央防波堤外の処分場に視察をいたしますと、いろいろ鉄パイプに穴があいたものがほとんど死の林のように林立して、そこから煙が処分場じゅうから出ていた。こういう時代から問題意識を持って、この問題に取り組んでまいりたいと考えていた一人として、本日、委員の皆様から非常にすばらしい質疑が行われていることを、本当に心強く、ありがたく思っているという中で、まず本日最初の質問について、廃棄物対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 各、高橋委員、大津委員、そして原田理事、そしてこいそ委員から大変にすばらしい廃棄物対策に関するご質疑があった中で、もちろんリデュース、リユース、リサイクル、こういうことをきちんと徹底的にやった上で、しかしその上で終末に近い部分について質疑をさせていただきたいと思います。
 この十月から各区では、最終処分量の削減を目的に、プラスチックを資源ごみとして回収しリサイクルを進めている一方で、不燃ごみから可燃ごみに切りかえてサーマルリサイクルを進めることとなりました。このサーマルリサイクルの意義については、あえて重ねては申し上げません。しかし、さまざまなプラスチック、これが、モノマーだけではなくてポリマーがいろいろある、そしてあるいは汚れている、こういう中で、何を資源ごみに、何を可燃ごみに出したらいいのか、住民は大変に現実問題として混乱をしているという状況にございます。その区分が各区ばらばらでありまして、あるいは分別区分に関する情報もさまざまでありまして、住民に大変わかりづらい状況になっております。そして、他方、分別の効率ということを考えますと、分別の区分が多ければ多いほど、住民による分別作業というのが大変になるのは、時間的なコストがかかってしまうわけであります。
 各区がプラスチックの分別方法について住民に十分な周知を行うよう、都として区市町村に対して支援を行うべきと考えますが、まずご見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 家庭ごみの分別方法につきましては、一般廃棄物の処理責任に基づきまして、各区が地域の実情を踏まえ、主体的に決めているところでございます。このため、区ごとに相違がございます。
 リサイクルを徹底するためには、各区がその区の分別方法を住民にわかりやすく周知することが重要でございます。都は、今後とも各区に対しまして、住民が明確に分別できるよう、わかりやすいチラシやホームページ等で周知するよう指導してまいります。また、都といたしましても、各区の分別方法がわかるよう、ホームページ等で情報提供をしてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 プラスチックごみは、先ほど省略して申しましたが、サーマルリサイクルによりまして燃料として活用することによって、石油や天然ガスの輸入の削減にもなります。油は重油を燃やしてタンカーでわざわざ運んでくるということを考えると、発生するものを再生できない場合にはサーマルリサイクルするということは、国の安全保障にも、エネルギー安全保障にも一つ資するというふうに考えます。
 このサーマルリサイクルは大変重要でございますが、二十三区の清掃工場を見てみますと、発電効率は最大でも二〇%ほどであるというふうに伺っております。発電に加えて熱利用を行うコージェネレーションシステムを推進すれば、さらに効率が上がるということもございます。CO2対策の観点からも、区市町村の清掃工場のトータルエネルギー効率を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 コージェネレーションシステムは、エネルギー効率を高めるために非常に有効な方法であると考えております。都内では、発電だけではなく大規模なコージェネを導入し、地域冷暖房へ熱供給も実施している清掃工場が、光が丘、品川、有明の三工場ございます。
 一方、発電設備もない清掃工場が、多摩地域に十二工場ございます。これらの工場の多くが築二十年を超えていることから、今後都は、建てかえ・設備改修時期をとらえまして、各工場に発電設備が整備されるよう、また、熱の利用先などの条件が整えばコージェネを導入するよう、必要な技術支援を行ってまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 エネルギー効率の点で見ますと、二十三区の清掃工場では、焼却灰を溶融してスラグ化するために、大変残念ですが大量のエネルギーを使っておりまして、結果としてCO2が排出されるということになります。また、灰溶融はコストも高いのが現実でございます。
 従来のように焼却灰のまま埋めるのに比較して、スラグ化の意義というのをどう考えているか、改めてお伺いします。そしてまた、平成十七年度にはそのスラグの四分の三が有効利用されていますが、その他は埋め立てられております。今後ふえるスラグの積極的な活用が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○森廃棄物対策部長 スラグ化は、焼却灰中のダイオキシンなどを無害化するとともに、焼却灰に比べ埋立容積を二分の一にするという減容効果がございます。さらに、スラグは、埋め立てせず建設資材としてリサイクルすることが可能でございます。
 二十三区清掃一部事務組合におきましては、建設資材として利用促進を図るため、重金属の溶出試験を毎月実施することにより安全性を確認するとともに、ストックヤードを整備し、安定的な供給に努めております。都は、東京都環境物品等調達方針におきまして、スラグを公共工事において優先的に利用する特別品目として位置づけており、引き続き利用促進を図ってまいります。

○吉田委員 プラスチックのサーマルリサイクル及びスラグ化の目的について、よくわかりました。安全性を十分に確保しつつ、ぜひ有効利用を進めていただきたいと思います。
 さて、今回二十三区のプラスチックごみの分別区分の変更は、埋立処分量の削減ということが目的でございますが、都民にプラスチックごみの分別区分の変更、これは先ほどこいそ委員もご指摘になりましたが、この変更の意義、これを理解し協力してもらうためには、埋立量削減にどれだけ効果があるのか、この情報提供も必要だと考えます。プラスチックのサーマルリサイクルなどにより、都の埋立処分場はどれだけ延命できるのか、お伺いいたします。

○森廃棄物対策部長 都の埋立処分場の残余年数につきましては、これまでと同じ量を埋め立て続けると、おおむね三十年程度と見込まれておりました。廃プラスチックのマテリアルリサイクルやサーマルリサイクル、焼却灰のスラグ化などによりまして、埋立処分場の残余年数はおおむね五十年以上になると推計してございます。

○吉田委員 ありがとうございます。大幅な延命化が図れるということがわかりました。
 一方、多摩地域におきましても、最終処分場の延命化、これが深刻な問題であります。このため、昨年度から東京たま広域資源循環組合では、焼却灰をエコセメント化して埋立量の削減を図っております。これによりまして、当初平成二十五年で満杯になるといわれておりましたが、平成三十七年までの使用が可能になったと伺っております。しかし、製造されたエコセメントにつきましては、その安全性、安定的な利用を確保する必要があると考えますが、所見を伺います。

○森廃棄物対策部長 東京たま広域資源循環組合におきましては、エコセメントについては毎月、エコセメントを使用した製品については年に二回、重金属の溶出試験を行い、安全性を確認してございます。また、エコセメントの製品の利用促進を図るため、同組合では、エコセメントを一〇〇%使用している製品には認証マークを刻印できる制度を導入してございます。
 都は、東京都環境物品等調達方針におきまして、エコセメント製品を公共工事において優先的に使用することとしており、今後ともその利用拡大に取り組んでまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 区部、多摩地域いずれにおいても、まず最終処分場を一日でも長く使用できるように、このエコセメントあるいはスラグの有効利用の拡大、これが喫緊の課題であります。そして、長期的には廃棄物をすべて有効利用して、埋立処分しないで済むような循環型社会の実現、これが求められる、このように考えます。このため、ごみを排出する都民の協力を得て、わかりやすく効率のよいリサイクルを推進していただきたい。
 そして、都は今後とも、一般廃棄物の埋立処分量の削減に向けた区市町村の取り組みをぜひ積極的に推進していただくように、あるいは産業廃棄物につきましてもご指摘がありましたけれども、この有効利用、そして最終処分量の削減に取り組んでいただきたい、このように要望を申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、土壌汚染対策、特に中小事業者による土壌汚染対策についてお聞きをしようと思いまして、準備をしてまいりました。しかし、先ほどともとし委員より大変的確なご質疑が行われましたので、私からは要望のみにとどめさせていただきます。
 例えばメッキ業界あるいはクリーニング業界、こういうところが本当にこの土壌汚染対策に困っていらっしゃいます中で、東京都は、土壌調査における費用の低減化と期間の短縮を目指して、平成十七年度から、簡易で迅速な分析技術を、公募実証試験により優良技術を選定している。あるいは、狭い土地でも低コストで処理できる浄化技術の開発促進や技術情報の提供を図るために、十六年度から年に一回、土壌汚染処理技術フォーラムを開催して、ことしでもう四回目になる。あるいは、十六年度から、個別の事業者からの相談に適切に応じるために、総合相談窓口を設置して、業種に応じたきめ細かな指導助言を実施しているということがわかりました。
 そして、土壌汚染が、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというか、汚染原因者が調査、対策の費用を負担することが原則であるという原則はありますが、中小企業者が大変に財政的に脆弱であるということから、中小事業者が行う調査や対策に対して、都として支援を行うことが重要だという認識を持っておられる。そして、都は、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会において幅広い支援策を検討している。そして、今後とも国に対して、汚染原因者の負担能力が低い場合には助成対象とすることなど、土壌汚染対策基金の有効活用などを引き続き国に要求していく、こういうこともわかりました。
 こういうことを大変に評価をさせていただいた上で、それでもやはり、土壌汚染は大変に大きな費用のかかることであります。特に中小企業には、なかなかこの資金が出せなくて立ち往生している、あるいは夜逃げまで余儀なくされる、そういう方もいらっしゃる。そして、放置をしていると、その汚染された土壌がいつまでも都内において解消、浄化されない。こういう現実に都としては引き続き真剣に取り組んでいただきたい。処理費用をだれが負担するのか、こういう原則論の問題はございますが、とにかくどんな形でか、皆様が納得のいく新しい拡大した原理原則、こういうものに踏み出すような形で、ぜひ引き続き国とも連携しつつ、中小事業者に由来する土壌汚染、この対策を促すようなスキームづくりを進めていただきたい。重ねてご要望を申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、屋上緑化及び壁面緑化の推進について伺います。
 都市における緑は、潤いや安らぎを与えるのみならず、美しい都市景観を創出する上で欠くことができないものであります。そしてまた、温暖化対策やヒートアイランド対策といった観点からも極めて重要であります。本年六月に都が策定した緑の東京十年プロジェクト基本方針では、屋上、壁面などあらゆる都市空間を活用して緑化を進めるとしており、今後の取り組みに大いに期待をいたしております。都は、既に平成十三年から建築物の屋上や壁面等に対する緑化を義務づけておりますが、これまでの屋上緑化の成果について伺います。

○大野都市地球環境部長 東京都は、平成十三年から全国に先駆けまして屋上緑化制度を導入いたしました。この結果、新たな建築物に屋上緑化の義務づけを行う緑化計画制度の運用によりまして、屋上緑化面積は年々着実にふえております。これまでに約七十三ヘクタール、日比谷公園四・五個分の屋上等の緑化が行われてまいりました。
 さらに、こうした都の制度によりまして屋上緑化が普及するのに伴いまして、屋上の緑化に関する技術開発が進みまして、この結果、既存の建築物へも屋上緑化を施工する例も数多く見られるというふうに広がってきております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 屋上緑化が着実に進んでいるということがわかりました。そして同様に、都市における身近な緑として、壁面緑化も重要だと考えます。例えば、私は地元で西中野小学校というところを視察してまいったのでございますが、小学校等において、ヘチマやゴーヤなどで壁面に緑のカーテンをつくり、教室の高温化を防ぐとともに、植物を育て、実を収穫することなどを通じた環境教育にも使われる例がございます。
 壁面緑化は、目で見て緑を実感しやすい場所に設置されるということから、身近に感じられる緑として、事によったら屋上緑化よりも効果があるという部分もあろうかと思います。今後重点的に推進すべきであると考えますが、都の壁面緑化に対する認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 ヒートアイランド現象の緩和という観点から申し上げますと、建物の表面温度を低減する効果を比較しますと、屋上緑化の方が壁面緑化よりも大きいという効果がございます。一方、壁面緑化は、建物の窓など開口部を覆う場合には断熱効果がございまして、温暖化対策に資するともいえます。また、壁面緑化には、人の目に触れやすい場所に設置されるというメリットもございます。
 しかしながら、壁面緑化の施工事例はいまだ少なく、施工方法、緑化技術に関する情報も不足していることから、都民、事業者の皆さんが取り組みやすくなるように、昨年、壁面緑化ガイドラインを作成し、ホームページ等により公表するとともに、緑化計画書の提出事業者等に対する緑化指導において活用しております。今後とも、こうした取り組みを通じまして、壁面緑化についても普及に取り組んでまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 それでは次に、交通量対策についてお伺いをいたします。
 東京の道路渋滞は、依然として深刻な問題であります。いうまでもなく、自動車が過大に使われることは、環境に負荷を与え、交通事故の原因となり、渋滞による時間のロスが国民生活と経済に多大な損失を及ぼすなど、さまざまな問題を引き起こします。
 都は、渋滞を解消するため、さまざまな取り組みを進めてきました。三環状道路を初めとする道路の整備、来月には中央環状新宿線が新宿まで開通することになっており、特に都心部の自動車の流れがスムーズになり、渋滞緩和に役立つことが期待をされます。また、自動車の交通量を抑制するいわゆる交通需要マネジメント、TDMにも取り組んでいます。パーク・アンド・ライドなどマイカーから電車への転換を進めること、共通ICカード、駅エレベーターやノンステップバスの導入により、公共交通機関の利便性向上にも取り組んできました。来年には日暮里・舎人ライナーや地下鉄副都心線も開通予定であり、ますます公共交通機関が便利になり、電車やバスで移動できる環境がさらに充実されます。
 こうした中、自動車の利用状況がどうなっているかを見ますと、若者の自動車離れなどもあり、自動車販売の動向は低迷が続いており、都内のマイカー保有台数も横ばい傾向にあるとのことであります。しかし、現実に皮膚感覚で、東京はいまだにマイカー利用が非常に多いというのが私の実感であります。確かに、休日にマイカーに乗って買い物やレジャーに行くという人は多いでしょうし、平日の昼間には仕事で車を利用されている方がたくさん見られます。マイカーはドア・ツー・ドアの利便性があり、電車やバスが便利な東京でも、マイカー利用を好む人もまた大変多いという状況だと思います。
 そこで、都として、自動車交通の現状、自動車利用の抑制を進める上での課題をどのようにとらえているのかを伺います。

○井戸自動車公害対策部長 都内の自動車交通の状況でございますけれども、平成十年度に行われました道路交通センサスの調査によりますれば、区部の混雑時の平均速度は、時速十八・八キロメーター、前回六年前の調査よりも若干改善しております。また、都内全域におきます車の延べの走行量も約三%ほど減少しております。ただ、改善の兆しも見えますけれども、不十分だというふうに認識しております。また、走行量に占めます乗用車と貨物車の割合でございますけれども、乗用車が約六割を占めるようになってきております。
 先ほど委員お話しのとおり、日暮里・舎人ライナーですとか、あるいは地下鉄副都心線の開通も予定されておりますので、世界最高水準といわれております東京における公共交通機関網も充実してまいります。こうした機会をとらえまして、公共交通の移動の利便性や回遊性を活用することによりまして、自動車に過度に依存しないライフスタイルや企業活動の仕組み、こういったものを定着させることが重要でございます。こうした観点から、今後とも他局と連携を図りまして、交通需要マネジメント対策を進めてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 これまでの都の取り組みによりましていろいろと効果が上がっているけれども、まだまだ不十分であり、これからさらに進めていかなければいけない、こういうことがわかりました。
 この対策の中で、私は、マイカーの利用を抑制するために自転車の利用促進ということにもっと力を入れるべきではないだろうかと考えております。自転車を利用することは、マイカーの抑制につながり、交通渋滞の緩和に効果があります。さらに、都内のCO2の約二割は自動車部門から排出されており、これから都が全力を挙げて取り組んでいくCO2の大幅な削減にも有効な手段であると考えます。確かに、今でも自転車は通勤や通学の手段として、また商店街まで買い物に行く場合など、日常生活でよく使われていますが、自転車を安全かつより便利に活用できる環境が整えば、通勤で駅まで自転車を使うだけでなく、仕事の中でも会社から打ち合わせ先まで外出するときに自転車が使われるなど、自転車が活用される範囲がもっと広がっていく可能性があるのではないか、このように考えます。
 九州の熊本電鉄では、電車に自転車をそのまま持ち込めるようになっていて、買い物に行く人や旅行者の移動手段としてすっかり定着しているということを聞きます。自転車利用の可能性を大きく広げる利用方法として、私は注目をしてまいりました。東京では、この熊本のような自転車の利用は、現状では確かに難しいと思います。しかし、都は一方で、本年一月に策定した自転車の安全利用推進総合プランで、自転車は鉄道、自動車、徒歩などと並ぶ都市における主要な交通手段の一つであると位置づけております。都は今後、自転車の利用促進についてどのように取り組んでいくのか。また、自転車の利用を効率的、効果的に進めるために、取り組みの進捗状況について定期的にフォローアップをしていくことが必要であると考えますが、お伺いをいたします。

○井戸自動車公害対策部長 自転車につきましては、近距離の移動に適しました環境に優しい交通手段でございまして、都はこれまでも、交通需要マネジメント、TDM東京行動プランに基づきまして、自転車道の整備など自転車の活用対策を実施してまいりました。
 日常生活や企業活動で自転車の利用拡大をしますことは、自動車交通量の緩和につながりまして、CO2の削減に大きな効果がございます。今後、道路状況など地域の特性に応じて自転車利用を促進するため、他局と連携して検討してまいります。また、自転車利用の促進にかかわる取り組みの進捗状況などを適宜取りまとめ、周知に努めてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 本年十月からは世田谷区で、狭い道路でも自転車走行空間をどうやって確保していくかという社会実験が行われるなど、自転車を安心して使えるような試みが各地で行われております。自転車は環境に優しい交通手段として注目すべきものであり、CO2削減につながります。今後は、まちづくりにおいても自転車が安心して使えるような視点を盛り込んでいくことが必要であります。環境局には、関係各局との連携を強めて、さまざまな場面でより一層の自転車の安全な利用促進に取り組まれるように要望をいたしまして、次の質問に移ります。
 最後の質問であります。生物種多様性の保全についてお伺いをいたします。
 都は、平成十年三月に、都内の希少野生動植物のリストである東京都における保護上重要な野生動植物種、一般的に東京都版レッドデータブックといわれるものでございますが、これを発表しております。国においてはこれを種の分類ごとに策定しており、例えば哺乳類では平成十年に策定したものを平成十八年に改訂し、昆虫類については平成十二年に策定したものを平成十八年に、植物については平成九年に策定したものを平成十九年にそれぞれ改訂しております。
 自然環境もさまざまな要因で変化をしている中、都は平成十年三月にこれを発表して以来、十年間改訂していない状況にありますが、これはぜひ、そろそろ改訂をしなければいけないのではなかろうか。東京都における希少種、これをきちんと都として把握する、こういうことがバイオダイバーシティー、保全ということから必要ではないか、このように考えますが、見解を伺います。

○中島自然環境部長 東京都版のレッドデータブックでございますけれども、前回の策定から一定の年数が経過しておりまして、希少動植物の状況も変化していると思われます。したがいまして、レッドデータブックの改訂について、現在検討しているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 そして、この東京には、低地から台地、山地や島しょなど地域特性に応じて多種多様な動植物が生息しています。こうした動植物についてきめ細かく調べることが、希少動植物の保護、種の保全を図る上で大変重要であります。レッドデータブックを改訂する際には、文献調査だけでなくて現地調査も必要だと思いますけれども、ご見解を伺います。

○中島自然環境部長 レッドデータブックでございますけれども、広く一般に絶滅が危惧されております野生動植物種を周知したり、あるいは、開発許可制度ですとか環境アセス等の基礎資料とすることによりまして、希少野生動植物の保護に役立てるということを目的にしております。
 都内の希少野生動植物種は約二千二百種ございまして、これをすべての種レベルでその生息位置とかあるいは生息数を把握することは、かなり調査にかかる労力ですとか費用も膨大になるわけでございまして、そうしたことから、全数をくまなくということはなかなか困難というふうに考えております。そこで、費用対効果の観点から、我々は文献調査を中心に行いますが、その結果を踏まえまして、必要に応じて現地での確認調査も行っていくことを検討してございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 確かに、費用対効果を考えながら、最適な調査を検討していくことが必要だと思います。しかし、これを都がひとりですべて行うということでなくて、都民あるいは世界じゅうのというか、協力を得て取り組んでいくことが必要でありますし、今後は、現地調査を行った団体、研究者、さまざまな方々から希少野生動植物の生息情報が都に提供される仕組みをつくっていく、それをきちんと都が反映させていくということが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 レッドデータブックを改訂する際に、独自に現地調査を行った団体ですとか、あるいは研究者等が持つ希少野生動植物種の情報でございますけれども、これはレッドデータブックの精度を高めていく上で極めて有益なものであると考えております。また、このような情報の提供を広く都民の方にも呼びかけまして、協力していただくということは、野生動植物保護の機運を高めることにもつながると考えております。
 そこで、次回の改訂に向けまして、都民等からの情報提供の仕組みについても検討しているところでございます。

○吉田委員 これまでるる質問をさせていただきました。いずれも、いろいろとご苦労、ご困難の中で一生懸命取り組んでいただけるということで、あるいは、他の委員の皆様からの質問も本当にすばらしいものでありました。ぜひ環境局におかれては、これまで以上に力強い環境対策を進めていただくことを最後にお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。

○谷村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十三分休憩

   午後五時四十分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○橘委員 東京に残る貴重な緑の資源を生かし、都民の心身をいやすとともに健康増進にも役立てるという観点から、近年注目されておりますセラピーロードを中心とした森林セラピーについて質問いたします。
 人間の健康に対する森林の持つ効果については、従来から森林浴の持ついやし効果等が感覚的にいわれてきました。しかしながら、あくまでもそれは、気分が爽快になるであるとか、それからストレス解消に効果がありそうだと、主観的でまた感覚的な、そういったレベルにとどまっておりました。この一般的にいわれてきた森林浴の効果を科学的に解明し、心身の健康回復・維持、健康増進に活用していこうという試みが、森林療法ともいわれる森林セラピーであります。その中核的な役割を果たすのが、森林の中をゆったりとウオーキングができるような遊歩道、すなわちセラピーロードであり、専門家による科学的効果の検証がなされて認定されたものであります。
 日本ではまだなじみの薄い言葉であり、概念、効果等は広く浸透していないのが現状でありますが、ドイツではこの森林セラピーに保険が適用されているほか、フランス、イギリス、スイスなど欧州諸国では、古くからメンタルヘルスの予防医療の重要性が認識されております。これらの国々では、自然療法としてのガイドつき森林浴、エクササイズコースの整備、心臓病予防への活用等、保養施設の整備と相まって森林セラピーが定着しております。
 日本においては、近年になってようやく、森林の有するリラックス効果などについて科学的、医学的に解明されるとともに、その効果をセラピーロードのウオーキング、地元食材による食事療法、温泉浴などと組み合わせた森林セラピーとして実践で生かしていこうという動きが具体化しております。すなわち、平成十七年には、林野庁と連携して社団法人国土緑化推進機構により森林セラピー実行委員会が設立され、昨年四月には、生理・心理・物理実験などによる森林環境の有する科学的効果の検証と地域の自然・社会条件などの現地調査を経て、全国で十カ所の地域において日本最初のセラピーロードが認定されました。そして、ことし三月にはさらに十四カ所が新たに認定され、急速な広がりを見せており、今後一段と注目されてくると思います。
 そこで、まず都内におけるセラピーロードの整備状況について伺います。

○中島自然環境部長 都内での取り組み状況でございますけれども、平成十九年三月に都内で初めて、檜原村の檜原都民の森の大滝の路がセラピーロードとして認定されております。大滝の路は、ブナやケヤキの緑あふれる約一キロメートルのコースでございまして、ウッドチップ敷きの路面により足に負担が少なく、また勾配も穏やかなつくりでございまして、お子さんからお年寄りまで楽しんでいただける遊歩道でございます。
 また、現在奥多摩町におきましても、来年三月の認定に向け、申請を行っているところでございます。

○橘委員 現在、十四カ所も含めますと二十四カ所認定されているわけですけれども、当初の十カ所の地域を見ますと、これは日本地図に落として地域を見てみますと、かなり山間地といいますか、私も何カ所か行ったことがある、そういう地名でありましたけれども、これを実際に東京から行くとなると結構大変だなといった思いをしたことがあります。
 それで、そのセラピーロードを東京に整備することはまず難しいだろうなと。多摩地域には豊かな森林が残っておりますけれども、森林セラピーとして認定されるには、アップダウンの少ない遊歩道であるとか、それから健康にいい樹木であるとか、そういったさまざまな条件がありまして、多摩地域の状況を考えますと、これはある程度合致する。けれども、その上空に航空機が頻繁に行き交うような、音が響くような、そういった地域というのはやはり条件から外れるわけですね。そういったことを考えますと、このセラピーロードとして認定されるには厳しい条件があって、東京では難しいかなというふうに私は印象として持っておりました。
 しかし、今答弁にありましたように、檜原都民の森でセラピーロードが整備された、認定された、これは非常に意義が大きいと思います。つまり、都市化の進んだ区部から比較的近距離で行ける、そういったところに大滝の路がある。今後の展開にとって非常に意義があると思いますし、極めて注目されてくるだろうと。都市部におけるセラピーロードとして、すごく注目されてくるだろうと思います。
 この大滝の路というのは、まだことし三月に認定されたばかりでありますので、分析等は整理されていないと思いますけれども、また東京都が直接運営しているわけでもありませんので難しいかとは思いますけれども、現在聞いております反響とか、それから地元に対する波及効果、そういったものを今知っていれば、そのことを紹介していただきたいと思います。

○中島自然環境部長 檜原のこのセラピーロードでございますけれども、三月に認定されたのですが、本格利用は来年四月からになりまして、今はモニター利用という段階でございます。
 私は、六月に就任した後に行って歩いてみましたら、先ほどもご答弁いたしましたけれども、非常に歩きやすいところで、本当にいやしの効果があるなというふうに実感いたしまして、しばらくそこにとどまっていたかったのですけれども、ほかの視察のコースがありましたので残念でしたけれども、また、そのときに村長さんから伺ったのですが、村長さんは、やはりそのロードだけじゃなくて、あそこは陣馬のジャガイモが地元では有名だというふうに聞いておりまして、それを食材として生かして都民の方に提供するようなことも加えて、観光面でも役立てたいというようなこともおっしゃっておりまして、そういう意味では、自然の保護とあるいはいやしの効果とか、あるいは観光という面でも、地元にとってはいい効果が期待できるのじゃないかなというふうに考えております。

○橘委員 今答弁にございましたように、やはりいやしの効果というのは実感するものでありますし、それから地元の産業とも連動する、そういった二面性、三面性といいますか、かなり波及効果もあるなというふうに感じております。この東京にこうしたセラピーロードがふえるということは、都民の健康にとっても、また地元の産業振興にとっても有意義であると同時に、超高層ビルが林立する、そしてまた住宅が密集している、そういったイメージが強い東京にとって、新たな魅力の創出につながると考えます。
 森林セラピーは心身のリラックス効果が高いといわれておりまして、森林では都市部にいるときに比べて血圧や脈拍の低下、それからストレス時に高まる交感神経活動が抑制され、リラックス時に高まる副交感神経活動が高進するといった、そういった検証もされております。まさにセラピーロードの整備は、ストレスがたまっているビジネスマンに限らず、幅広い年代層や生活者に自然のすばらしさを再認識してもらうチャンスであると考えております。
 そこで、セラピーロード整備の意義について、東京においては特に意義があると思いますけれども、その辺の認識について伺っておきます。

○中島自然環境部長 今ご指摘いただきましたように、リラックス効果ですとか自己免疫向上の効果ですとか、そういうふうにいわれておりますこのセラピーロードでの森林ウオーキングを中心とした森林セラピーでございますけれども、これは、私どもの所管しております自然公園法の目的の一つでもございます、利用の増進を図り、国民の保健、休養に資することにもまさに合致しているわけでございます。
 また、訪れた都民の方々にとりましても、日ごろ接することができない豊かな自然に触れまして、心身をいやすことができるとともに、自然公園や自然そのものに対する理解を深め、緑への関心喚起へのそういうきっかけにもなるのじゃないかと考えております。
 さらには、先ほども申し上げましたけれども、森林セラピーを実施する地元自治体にとりましては、自然公園を活用した新たな地域振興の、そのための財産にもなり得るのじゃないかというふうに認識しております。

○橘委員 地域が持つ自然の力を生かしたセラピーロードを首都東京から育てていくということは、環境先進都市をうたう東京にとって大切なことであると考えております。
 森林セラピーは、都民の安らぎの機会であるばかりでなく、自然への理解を深め、ひいては緑のムーブメントにつながっていくことも期待されていることから、森林セラピーを展開している自治体の取り組みを都としても今後積極的に支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 西多摩の町村におきますセラピーロードでの森林ウオーキングなどによる森林セラピーでございますけれども、これはそれぞれの自治体ごとに、地元の自然の恵みを生かしまして、その中で創意工夫を加えて取り組んでおりまして、また、既存の遊歩道ですとか檜原都民の森、あるいは山のふるさと村といった都立の施設も活用してございます。
 このような地元町村の主体的な取り組みに対しまして、都といたしまして、側面支援をしていくという立場から、庁内の関係部署とも連携しながら、セラピーロードに関連する自然公園内の整備、維持補修に当たっては、地元自治体の動向を踏まえて対応していくとともに、ホームページを初めさまざまな媒体を用いまして、自然公園の新しい魅力の一つといたしまして、このセラピーロードを紹介してまいりたいと考えております。

○橘委員 最近の日本医科大学の研究チームによりますと、森林セラピーには抗がん能力、がんに対する力、それから自己免疫力が高まるという報告も出されております。こうした医学分野での関心が高まっているほか、知的障害者の療育に生かすという工夫も始まっていると聞いております。これまでの各種研究機関や専門家の研究成果を見ますと、こうした効果はさらに今後検証が進む、それに従って国民全体の関心が、ただ単に環境分野だけではなくて、そういった分野からも関心が高まっていくことは間違いない、そういった流れになっているなという感じがいたします。
 特に、本来の自然が失われつつある東京に暮らす都民に対しては、比較的近距離にあるセラピーロードの紹介、そしてまた整備の具体化は極めて大事であると思います。そこで、今後の課題として二点、私の意見として申し上げておきたいと思います。
 まず一点目は、将来的には福祉保健の分野と連動させていくことも、可能性として十分広がってくると思いますので、環境局としても関係分野との連携を今から模索し始めておくことも大事ではないかということ、これが一点目です。
 二点目は、身近なところで日常的にセラピーロードを利用できれば、これは理想的なんですけれども、東京という特殊事情から難しいという現実の問題もあります。しかしながら、セラピーというレベルには達していなくても、さまざまな今の研究を私なりに勉強しましたら、例えば都市公園であるとか、それから自然林であるとか、そういった身近なところにあるまとまった緑の中を散策する、これでも、セラピーというレベルまでは達しなくても、一定の健康に対する効果があると、そういった結果も出ているそうであります。したがって、このセラピー効果というものを念頭に置いた、都内においても身近なところにいやしの散策路ということも検討しておくべきであると考えます。
 この二点については、福祉保健分野からのアプローチであったり、または建設局マターの都市公園等の活用といった他の局にもまたがっておりますので、即座に答弁というのは難しいと思いますけれども、この私の意見をとどめておいていただきまして、今後環境局が中心となって、また他局に働きかけて、このセラピーロードもしくはセラピー効果のある整備、こういったものを工夫していっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、エコドライブについて伺います。
 今月は、八都県市合同のエコドライブ推進キャンペーン月間であります。今回初めて八都県市が連携して、地球温暖化防止のために首都圏という広域的な大規模なエコドライブキャンペーンを行っております。この広域にした、東京都単独の取り組みではなくて広域にしたというこの運動の展開は非常に大きいと思います。当然ながら、交通機関にしても人の流れにしても、首都圏は一体的に動いておりますので、そういった意味で非常に意義が大きいと思います。
 今回のキャンペーンでは、エコドライブを定着させるためにさまざまなイベントが展開されておりまして、私もこのチラシ、「Do!エコドライブ」というチラシを受け取りまして、ここに、裏側に十項目のチェック項目みたいなものが書いてあります。これをチェックしてくださいとありますけれども、実際に、エンジンブレーキを使いましょう、エアコンの使用は控え目に、ふんわりアクセルとか、それからウオームアップは適切に、計画的なドライブとか十項目ありまして、何げなしに私もこの十項目をチェックしてみました。そうしましたら、丸がついたのは六個だけでありました。つまり、四個は自分で実践していない。よく見ると当然じゃないかと思うような内容なんですけれども、実際、自分がやっているかどうかと頭の中で考えるのとは、やはりちょっと違うようであります。
 それで、チェックしてみてから自分でどういう行動をとったかというと、やはりこれが残っていました。思ってもいなかったときに、エンジンの吹かし、ああまずい、まずいと思ったり、そういうふうにして自分で注意をするようになりました。そういった効果は非常に大きいものがあると思います。こういう啓発の契機があるのとないのとでは随分違うかと思います。確かに、一人のドライバーにとって一人の取り組みは非常に小さいものでありますけれども、自分の行動から見直していく、これが非常に大事であると思います。
 今、CO2排出削減をどうするかといった議論がありますけれども、確かに、ビルを建設したら、また高速道路を建設したらこれだけのCO2が排出される、これは問題じゃないか、そういった議論も確かにあります。そうした大所高所の議論も大事であると思いますけれども、今大事なことは、一人の都民がどれだけ努力をしていくのか、工夫していくのか、そういった積み重ねが大きな削減効果を及ぼすのではないかと思います。
 先ほどの答弁で吉川局長が、家庭での白熱球一個を取りかえるためのてんまつ記みたいなことを紹介されておりましたけれども、局長自身が、東京全体のCO2削減をどうするかという大所高所からの工夫をされている一方で、家庭でも体を張って地球環境のために闘っておられる、そういう姿が目に浮かんできましたけれども、そういった一人一人の積み重ねが非常に大事ではないかと思います。
 そこで、具体的なことについてちょっと提案させていただきたいと思います。
 まず、都内では年間約十万人の方が自動車免許を新規に取得されております。それから、約百六十万人の方が免許更新をしております。この免許取得、免許更新のときにエコドライブ啓発の機会として活用する、これは非常に有効ではないかと思います。今までも都ではさまざま工夫されておると思いますけれども、東京都として、免許取得のとき、それから更新のとき、エコドライブの観点からどのような普及活動を行ってきたのか、また、今後どのような取り組みを展開していきたいと考えているのか、その点を伺いたいと思います。

○井戸自動車公害対策部長 エコドライブの普及についてでございますけれども、これまでも都は、ホームページにエコドライブ講習サイトを設けるほか、エコドライブの効果や具体的なポイントを記したリーフレットを作成し、警視庁と連携しまして、安全運転講習会などで活用しております。
 また、委員ご指摘の免許の新規取得者に対する普及啓発といたしまして、大部分の教習所で使用されております学科教本にエコドライブの記載を働きかけまして、本年六月から活用されております。また、免許の更新時に使用されます「人にやさしい安全運転」という冊子がございますけれども、その冊子の中にエコドライブの項目が本年七月から記載されるようになってございます。
 今後、他の学科教本にも記載を要請するとともに、内容につきましても、アクセル操作など個々の動作での燃費改善効果を記載に盛り込むよう働きかけるなど、エコドライブの効果的な普及啓発に努めてまいります。

○橘委員 今答弁の中で、他の学科教本にも盛り込んでいくように働きかけていきたいという答弁がございましたけれども、つまり、教習所で使っている学科教本の中には、エコドライブについて記述しているものもあれば、記述していないものも現状としてはあるということでしょうか。

○井戸自動車公害対策部長 先ほど申し上げました、新しく教習時に入り込めました教本につきましては、大部分の教習所で使われているものでございます。それ以外にも何割か、まだそういった記載がない教本もございます。

○橘委員 そちらの関係もやはり全部記載されて、この十項目であるとかそういったものは詳細に教えられるような、そういった体制に努力していただきたいと思います。
 二点目に、エコドライブをさらに啓発する機会、この二つ目は、車を購入するとき、あるいは新しく購入する場合もありますし、それから買いかえるとき、これも一つのエコドライブ意識を啓発するチャンスではないかと思います。そこで、自動車を販売するディーラーと連携した取り組み、すなわち、購入するときというのは、購入者に対して車の性能であるとかさまざまな説明をするわけですけれども、購入する段階でエコドライブという意識啓発をするというのは、非常に機会としては絶好の機会だと思いますし、このディーラーと連携するという、こうした取り組みも考えるべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。

○井戸自動車公害対策部長 自動車を販売いたしますディーラーとの連携でございますけれども、都はこれまで自動車の販売者に対しまして、自動車を販売する際には、排出ガスの量など車両の環境情報につきまして購入者の方に説明することを義務づけて、その指導を行ってまいりました。
 委員お話しのとおり、自動車を取得しようとする際には、車の性能ですとか構造などへの購入者の関心が高まりますし、そういった際に、燃費ですとか、あるいは環境に優しいエコドライブについても普及啓発を行う機会となり得るというふうに思っております。ご提案でございますので、今後、関係団体と連携いたしまして、普及啓発の方法などにつきまして検討を行ってまいります。

○橘委員 エコドライブという言葉の響きから、どうしてもドライバーが努力しなさいと、そういったふうに聞こえますけれども、これは全体的な課題なんですね。ドライバーも努力しなければならない。けれども、それを支えるメーカーであるとか、それからディーラーといったところの連携も非常に大事になってきますので、今答弁にありましたように、努力をお願いしたいと思います。
 さて、先週八日に東京都がトラック業者などに対して、エコドライブ支援機器の装着費用の助成を開始いたしました。このテーマにつきましては、先ほど高橋委員から詳細な質疑がございましたので、重ならない部分について質問をさせていただきます。
 この制度は、我が党も特に力を入れて実現を推進してきた施策であるだけに、大いに評価し、今後の成果を期待するものであります。今回の取り組みによって、小規模事業者にもドライブレコーダーなどの活用によってエコドライブの取り組みが広がっていけば、大きなCO2削減効果が期待できると思います。そこで、今年度、エコドライブ支援機器の装着はどの程度の規模を予定しているのか、それから燃料改善効果という観点からどう見ているのか、これについて伺います。

○井戸自動車公害対策部長 今年度のエコドライブ支援機器の規模につきましては、約四千五百台程度を予定しております。
 また、燃費の改善効果でございますけれども、先ほど委員お話しのとおり、どのようなエコドライブを行うかでカウントは異なってまいりますけれども、一般的には、ガソリンの乗用車で約一五%、トラックでは一三%、バスでは結構重量がございますので五%程度燃費が向上するという結果がございます。その分CO2の発生が抑制されるというふうに期待しております。
 また--以上でございます。済みません。

○橘委員 余韻を残した答弁で、ちょっと気にかかりますけれども。
 ドライブレコーダーというのは、自動車に装着しただけでは、エコドライブにとっては効果がないわけですね。安全面では効果がありますけれども、それだけでは効果がない。そのドライブレコーダーに記録されたデータを、それで運転状況を分析して、それをもとにして継続的に教育訓練であるとか指導を行う、これによって効果が出てくるわけであります。
 東京都の方としても、対象事業者に対して、ドライバーへの教育訓練、指導等の体制構築を補助条件としておりますけれども、問題は、小規模事業者、例えば数人程度の小規模事業者、こういったところではそういう訓練とか指導の体制を組めないというのが実態でもあります。そういう部分もカバーしていかないと、これは効果がやはり漏れてくるのかなという気がいたします。それで、小規模なタクシー事業者あるいはバス事業者、ここにも広げていくためには、そうした事業者団体に自主的な取り組みを促していくことも今後必要になるかと思いますけれども、所見を伺います。

○井戸自動車公害対策部長 委員ご指摘のように、小規模事業者等におきましても継続的な教育訓練ですとか指導等の体制が組まれることが重要というように考えてございます。しかし、その体制を単独で、企業のみで組むことは困難な実態もございますので、複数の小規模事業者が集まりまして取り組みを進めることが必要というように考えております。そのためには、事業者の団体の方がエコドライブへの組織的な取り組みを行いまして、それに小規模事業者が参加することが有効でございますので、CO2削減に大きな効果が上げられるよう、必要な情報ですとかノウハウの提供などによりまして、さまざまな事業者団体に自主的な取り組みを促進してまいります。

○橘委員 ドライブレコーダーというのは、自動車に標準装備されていれば、これはいいわけですけれども、実際には、やはり価格の問題等もございまして、標準装備されるまでにはまだ普及はされておりません。
 このドライブレコーダーというのは、安全面であるとか環境面であるとか、そういう面から装着は極めて有効になってくると思いますし、これからますますその必要性が出てくるかと思います。したがって、標準装備に対するメーカーの協力、ディーラーによるドライブレコーダーの分析協力、つまり、ドライブレコーダーに記録されたものをディーラーのところで、ディーラーのところに持っていけばそれを解析してくれて、そしてアドバイスしてくれる、そういった連動体制ができれば、これは効果が大きくなってくると思います。
 したがいまして、そうした役割分担も含めまして体制づくり、これについては、メーカー任せ、ドライバー任せではなくて、都としてもこうした体制づくりを働きかけていくように期待して、質問を終わります。

○石森委員 それでは私からは、もう既にさまざまな議論がございましたけれども、廃棄物対策、そして森林再生の二点についてお尋ねをしたいと思います。
 東京都は、平成十八年九月に策定した東京都廃棄物処理計画におきまして、廃プラスチックの埋め立てゼロ、有害廃棄物の都内処理体制の確保並びに優良な産業廃棄物処理業者の育成など六つの計画目標を定めて、循環型社会への変革に向けた先駆的な取り組みを東京から発信していくとしております。計画の策定から一年が経過いたしましたが、廃棄物処理計画の進捗状況並びに計画目標の達成の見通しについて、まずお尋ねをいたします。

○森廃棄物対策部長 昨年策定いたしました東京都廃棄物処理計画におきましては、循環型社会を実現していくために、平成二十二年度までの計画期間内に実現すべき施策を定めております。
 このうち、廃プラスチックの埋め立てゼロにつきましては、二十三区でサーマルリサイクルの実施に向けた取り組みが始まっており、今後産業廃棄物の廃プラスチックについても、都処分場への受け入れの段階的削減を進めてございます。また、有害廃棄物である感染性廃棄物につきましては、ICタグによる追跡管理システムの拡大を進め、不適正処理の防止を図っております。さらに、優良な産業廃棄物処理業者の育成につきましては、第三者評価制度の導入のため、現在制度の詳細設計を行ってございます。
 引き続き、発生抑制、リサイクルの推進、廃棄物処理に係る環境リスクの低減、健全な廃棄物処理、リサイクルビジネスの発展の促進に精力的に取り組み、計画で定めた目標の達成を目指してまいります。

○石森委員 ただいま廃棄物処理計画の計画目標の達成の見通しについてご答弁をいただきました。
 先ほど来よりたびたびお話がございましたように、本年十月から二十三区全区でサーマルリサイクルのモデル収集がスタートいたしました。このサーマルリサイクルの目的は、埋立処分場の延命化ということになっておりますけれども、廃プラスチックを焼却すれば、当然CO2が排出されることになります。これは、CO2を減らしていくという区民の意識に逆行しかねないと思われます。東京都は、都民にサーマルリサイクルとCO2の関係について十分説明するとともに、埋立地の延命化の重要性を正しく伝えていく必要があると思いますが、この見解をお伺いいたします。

○森廃棄物対策部長 今回二十三区で進めているサーマルリサイクルにつきましては、清掃工場で効率的な発電を行うことで、電力会社における化石燃料の使用が削減され、その分のCO2の発生が抑制されます。また、食品残渣が付着した廃プラスチックの埋め立てをやめることで、最終処分場から発生する温暖化係数の高いメタンガスの削減を図ることができます。これに加え、資源の有効利用と埋立処分量の削減という観点を含めますと、資源化できるものはマテリアルリサイクルを推進しつつ、サーマルリサイクルの取り組みを進めることは、環境負荷を総合的に軽減するものであると考えております。
 廃プラスチックのリサイクルなどにより、埋立処分場の残余年数が三十年から五十年以上に延命されることなどから、都は、今後とも引き続き、東京湾に残された貴重な処分場をできる限り長く使っていくことの重要性と廃プラスチックのリサイクルの意義について、わかりやすく都民に情報提供してまいります。

○石森委員 先ほども三十年から五十年以上に延命化される、そんなご答弁がございましたけれども、ぜひ埋立処分場の延命化の大切さを都民に今後ともよくPRしていただきたいと思います。
 さて、二十三区ではサーマルリサイクルが話題になっておりますけれども、多摩地域については、全国的に見てもマテリアルリサイクルの取り組みが進んでいる地域であります。マテリアルリサイクルを進めていくためには、圧縮こん包施設の整備が大変重要なものとなっております。多摩地域では、町田市の圧縮こん包施設が八王子市との市境近くに計画された時期がありましたけれども、一昨年、地域住民の反対に遭って、白紙撤回されました。
 しかしながら、今後とも区市町村は必要な圧縮こん包施設の整備を進めていくべきと考えますけれども、都内にはどのような整備計画があって、都はそれをどう支援していくのか、見解をお聞かせいただきたいと思います。

○森廃棄物対策部長 マテリアルリサイクルを進めていくためには圧縮こん包施設の整備が不可欠でございますが、それには施設の安全性や信頼性について地域住民の理解を得ることが必要でございます。現在、多摩地域におきましては、多摩市が新たな圧縮こん包設備の整備を計画しており、東京都市長会からも、安全性、信頼性に関して都に支援要請がございます。また、二十三区でも、新たに来年度稼働が予定される施設が一カ所ございます。
 今後とも都は、新たな施設の設置に当たりましては、地域住民に信頼される施設が整備されるよう、区市町村に対しまして、集じん設備や周辺環境の測定などに関する技術的支援を行ってまいります。

○石森委員 一般廃棄物に加え、多摩地域における産業廃棄物の課題として、廃棄物が山積みになるなどの不適正保管があります。この不適正保管発生に至る経緯はさまざまでありますけれども、多摩地域では、解体業者が自己の解体物を自社の敷地内にとめ置いたり、収集運搬業者が中間処理場に持ち込む廃棄物を一時的に保管することが半ば常態化して、結果的に事業者の処理能力を超えるような不適正保管へつながっていく、こんなケースが多々あるところでございます。
 不適正保管現場の発生をなくすためには、事業者が産業廃棄物の仮置きを始めた初期の段階から現場を把握して、適切に指導していくことが重要と考えられますけれども、都の見解をお尋ねいたします。

○森廃棄物対策部長 新たな不適正保管を未然に防止するためには、事業者が産業廃棄物の一時保管を始めた時点での現場での把握に努め、早い段階から指導を行うことが極めて重要であると認識しております。このため、都は、多摩地域で月に二回の早朝パトロールや、警察、消防、市町村の担当者を集めた情報交換などを実施し、産業廃棄物の不適正保管場所の早期発見に努めております。
 不適正保管される廃棄物は建設廃棄物が圧倒的に多いことから、本年度から重点事業の一つといたしまして、二千件の建物解体現場への立入調査を実施しております。既に九百件を行っているところでございますが、この立入検査を通じまして、建設廃棄物の処理の流れを把握し、不適正保管の防止に向け、指導を徹底してまいります。

○石森委員 廃プラスチックのリサイクルや産業廃棄物の不適正処理対策といった当面の大きな二つのテーマについてただいまお伺いいたしましたけれども、有害廃棄物の都内処理体制の確保や優良な産業廃棄物処理業者の育成など、廃棄物処理計画に定められている他の施策についても着実な推進を図っていただいて、循環型社会の実現を目指して先駆的に取り組んでいただきますよう要望して、次に移ります。
 続いて多摩の森林について、その現状と対策についてお伺いいたします。
 いうまでもなく森林は、木材の生産といった機能だけではなく、水源の涵養、土砂災害の防止、生物多様性の保全、二酸化炭素の吸収等さまざまな公益的機能を持っております。しかし、近年の木材価格の低迷や輸入材の流入などにより林業が衰退し、そのために間伐などの管理が放棄された人工林がふえ、どんどん森が荒れてきている現状にあります。
 そのような中、環境的な立場から森林を守るということでスタートしたのが多摩森林再生事業であると思います。多摩の森林再生事業は、森林所有者と二十五年の協定を締結して行う事業で、地元市町村との連携を進め、この五年間で約三千五百ヘクタールの森林を再生したことについては、一定の評価をするところであります。しかし、事業対象面積は一万八千ヘクタールでありますから、この達成に向けてはさらなる努力が必要となります。
 森林再生事業を進めていく中で事業実施面積が三千五百ヘクタールにとどまっている要因について、環境局としてはどのような分析をされているのか、この点についてお伺いいたします。

○中島自然環境部長 森林再生事業を推進する中で、相続などによりまして土地が分割され、現在の森林所有者が容易にわからない事例がございます。また、管理放棄され二十数年以上経過して、森林が荒れてしまった結果、境界が容易に確定できないという事例もございました。さらに、事業を申請したいという気持ちはあっても、二十五年の協定期間を考慮いたしますと締結までには踏み出せない、そういう森林所有者もいらっしゃいます。こうした要因につきまして一つ一つ解きほぐしながら、粘り強く対応していく必要があると認識しております。

○石森委員 かつて私はこの委員会で森林再生事業について触れまして、この二十五年という協定期間が余りにも長いのではないかといった指摘をいたしました。
 その後、十八年の四定で我が党の議員が、森林再生事業をさらに拡大発展していくためには、より地元に密着した工夫や地元に受け入れやすい工夫が必要であり、事業の再検討も望まれるのではないかと指摘いたしましたけれども、その際、環境局では、地元住民や学識経験者などを交えた検討会を立ち上げるとの答弁がありました。その後の経過についてお尋ねをいたします。

○中島自然環境部長 森林再生事業が開始されてから五年が経過いたしまして、事業を促進していく上での課題も少し見えてきたところでございます。そこで、事業の仕組み、施業内容、共有地や境界問題等の課題を洗い出しまして対応策を検討することを目的といたしまして、さまざまな立場の方から意見を伺うために、学識経験者、地元の林業家、NPOなどの方々を委員とする検討会をことしの八月に立ち上げたところでございます。
 この検討会におきまして、現在、協定期間や三〇%の樹木を間伐するといった間伐率ですとか、二十五年に二回実施するといった間伐間隔などの再検討を行っているところでございます。

○石森委員 この検討会では、事業の仕組みや実施方法など多岐にわたって検討されているようですけれども、現在のところは検討内容としては、事業を進めるためのいわば技術的な課題の改善について主に議論されているように思われます。
 そのような技術的課題の解決も大切でありますけれども、ただそれだけでは不十分であろうと思います。この事業は私有林を対象に行っており、多くの森林所有者に事業内容を理解してもらい、協力を得ることによって事業が進んでいくものであると考えております。森林所有者の理解と協力を得るためには、森林所有者の実情を把握した上で、森林所有者が事業に参加しやすくなるような新たな対策を講じていくべきと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

○中島自然環境部長 森林所有者の方の実情を把握することは重要であると考えております。さらに森林再生事業を推進していくため、森林所有者を直接訪問いたしまして、下草刈り、それから間伐、枝打ちなどの最近の実施状況ですとか、個々の森林所有者が森林を管理する上で今何が問題になっているかなど、きめ細かな聞き取り調査を実施してまいります。
 森林所有者意向調査というふうに称しておりますけれども、この森林所有者意向調査は、約一万人といわれております多摩の森林所有者の約一割に当たる千人を対象に行うものでございまして、都といたしましては初めて行う規模の調査でございます。調査結果につきましては、検討会の議論に反映させまして、森林所有者の実情に応じ必要な見直しを行ってまいりたいと考えてございます。

○石森委員 多摩の森林の持つ公益的機能の受益者は都民全体でありまして、その低下による被害者も都民全体となります。森林の公益的機能は、都市の生活環境や安全を守るとともに、都市生活の中で失いがちな心の豊かさや安らぎを提供する働きもあります。森林の荒廃は、その地域の住民ばかりでなく、都市の住民を含む流域全体に暮らす人々の生活環境に重大な影響を及ぼすといっても過言ではありません。
 私は、森林と都市は一体として考えなくてはならないものであると思います。多摩の森林面積は東京都の四分の一を占めており、東京都における緑の大きな部分を占めております。つまり、多摩の森林は東京都の緑のベースとなる部分であるといっても過言ではありません。多摩の森林を再生するということは、緑あふれる東京の再生にもつながるものと考えております。今後とも多摩の森林再生事業については、局を挙げてしっかり取り組んでいただきますよう強く要望して、質問を終わります。

○今村委員 大分時間が経過をしておりますけれども、しばらくのおつき合いをしていただきたいと思います。
 この四月に初当選させていただいたばかりの都議会民主党の今村るかでございますけれども、今回は質疑を五項目予定しておりますが、その前に、きょうの新聞に、国の中央環境審議会が生態系を守る対策を初めて数値目標とともに示した第三次生物多様性国家戦略を答申したということが書かれております。もう既に環境局の皆さんはご承知のことだとは思いますけれども、この中にトキ六十羽を野生へという項目があるそうでありますけれども、有名な話でありますけれども、トキは学名がニッポニアニッポンといいます。まさにこのトキが六十羽というのは大変厳しいのじゃないかなという印象を私は受けたわけでありますけれども、今回実は質疑の中では、この数値目標に幾つかこだわって質疑をさせていただきます。
 どうぞ、こういった国も、夢のような話といってはいけませんけれども、トキ保護センターからは多摩動物公園にトキが、鳥インフルエンザ対策等も含めて移送されて飼育をされるということがあるわけでありまして、公開はされませんけれども、大変私は期待をしているところでありますし、ぜひ吉川局長を筆頭に、きょうここにお集まりいただいている皆さんが、まさにチームでありますので、ぜひいい環境行政が築かれるよう願って、質疑を行ってまいりたいというふうに思います。
 まずは航空機騒音対策についてであります。
 東京都では、羽田国際空港を初め、横田基地、厚木基地、調布飛行場その他の騒音対策を行っております。神奈川県大和市、綾瀬市にある厚木基地の滑走路の延長上に我が町田市は位置しておりまして、さらには、相模原市との市境には相模補給廠という米軍の基地がございます。そのため、市民の基地や騒音問題に対する関心も大変高いものになっています。
 その中で、厚木基地の騒音問題は、NLP、夜間連続離着陸訓練が行われるために大変深刻であります。そこで、まず都が実施している厚木基地に関する騒音測定の状況についてお伺いしたいと思います。

○石渡環境改善部長 東京都は、航空機騒音から都民の生活環境を保全するため、環境基本法及び国の告示に基づいて環境基準を適用する地域の指定を行い、その地域内の環境基準の適合状況を把握してございます。
 厚木飛行場の航空機騒音につきましては、その地域指定区域内の町田市役所屋上など七カ所で測定を行ってございます。平成十八年度のその測定結果では、七地点中六地点で環境基準に適合してございません。なお、環境基準の適合率につきましては、ここ数年同様な状況が続いてございます。

○今村委員 今ご答弁いただいたとおり、環境基準が達成されていない状況が近年続いているという異常な状態でありますけれども、近年といっても、実際にはこれは何十年と続いていることは、東京都並びに町田市の調査結果を見れば明らかであります。
 私の住まいはまさにこの航空機騒音環境基準地域にありまして、厚木基地の滑走路のまさに延長線上に位置をしております。このNLPは夜の十時過ぎまで、遅いときには、記憶でありますけれども、十一時ぐらいまで一〇〇デシベルを超える騒音が、ジェット機による戦闘機でありますので、二分から五分の間隔で続いてきます。この一〇〇デシベルは、電車が通過をするガード下の騒音と同じレベルでありますから、実際にこのエリアに住んでいる方たちにとっては、航空機の騒音というよりもまさに戦闘機の爆音をなくしてほしいという、こういった切実な願いになっています。
 そこで、まずは現実の問題として、この爆音を低減するために都ではどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをしたいと思います。

○石渡環境改善部長 都は、大半の箇所で環境基準を超えている調査結果を示しながら、在日米海軍に対しまして、町田市と共同でNLP、夜間離着陸訓練の中止や飛行回数の減少などの航空機騒音防止対策の推進に関する要請を行ってございます。
 また、都として、国の関係省庁に対しまして、航空機騒音防止対策の推進の要請も行ってございます。特に防衛省に対しましては、住宅の防音工事の補助が行われる住宅防音工事対象区域の拡大などを求めてございます。その結果、平成十八年一月に住宅防音工事区域の拡大がなされてございます。

○今村委員 ますますの取り組みをお願いをしながら、さて、この厚木基地を離発着する戦闘機などは、飛行ルートの変更それから訓練空域の拡大など、その状況に変化があります。さらに、爆音の大きなスーパーホーネットと呼ばれている戦闘機が配備をされ、爆音の被害が広がっていると思いますけれども、そこで、今後基地にかかわる爆音を低減し、都民そして市民に良好な環境を確保していくために都としてはどのような対応を考えているのか、お伺いをいたします。

○石渡環境改善部長 都といたしましても、米軍機の機種や進入経路の変更など状況変化があることは承知してございます。この使用状況の変化に適切に対応するため、現在、厚木飛行場の環境基準指定地域の見直しに関する調査と専門家の意見を踏まえた検討を行っているところでございます。今後、この調査や検討の結果を踏まえまして、状況変化に応じた適切な地域指定を行うとともに、新たに組み入れた地域内において、環境基準の適合状況を適切に把握していく予定でございます。なお、将来新たに指定する地域につきましては、把握した環境基準の適合状況により、国に対し住宅防音工事区域に含めるよう要請していくこととなります。
 今後とも、米海軍を初め国の関係省庁に対し、航空機騒音の軽減措置を強く求めてまいります。

○今村委員 ありがとうございます。
 力強い決意を、また予定を語っていただきましたけれども、ぜひ環境基準の適合状況を反映するため、さらなる測定局の増設を行ったり、環境基準地域の早期拡大とともに、さきに述べましたけれども、相模補給廠を初め、横田基地に離発着する輸送機、特に近年はヘリの騒音が大変ふえている状況もありますので、このことについてもご紹介をしながら、ぜひ東京都の取り組みを要望をしておきたいと思います。
 それでは、二項目めに移りたいと思います。多摩の森林再生事業並びに保全地域に関して質疑を行います。
 既にこのことについては今質疑がされてきたところでありますけれども、改めて、この多摩の森林再生事業は、公益的な視点から環境問題として間伐を行うこととし、対象面積が千八百ヘクタールという答弁がございました。実際にこの対象地域は、一体どのあたりが対象になっているのかをお聞かせいただきたいと思います。
 続けて、これまでの事業面積が三千五百五ヘクタールで、十二・五年間隔で対象面積の間伐を行うという答弁も先ほどありましたけれども、そうしますと、一年に約千五百ヘクタール程度の事業を行わなければならないと思いますけれども、せっかくのよい事業でありますので、多くの森林が対象になった方がよいことは当然であります。そこで、対象地域があるわけでありますから、そこから外れるところがあるのではないかと想像をいたしますけれども、これら外れる地域について今後の範囲の拡大を行う考えがあるのかをあわせてお伺いいたします。

○中島自然環境部長 多摩の森林再生事業は対象面積を一万八千ヘクタールとしておりますが、これは、人工林の荒廃によりまして低下した森林の公益的機能を回復させるために都が間伐を行う事業でございまして、市町村森林整備計画を作成している八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町、檜原村、奥多摩町の六市町村で実施をしております。
 今ご指摘がございました対象区域外への森林再生事業の拡大につきましては、検討すべきさまざまな問題がございますけれども、今後の課題の一つであると受けとめさせていただきます。

○今村委員 ぜひ今後の課題としてよく検討をしていただきたいというふうに思います。
 次に、保全地域でありますけれども、このことも既に質疑がされておりますけれども、玉川上水の歴環の一部以外の四十五カ所すべてが多摩地域に所在をしております。九八年以降指定された保全地域はわずか四カ所にとどまっております。先ほどご答弁でありましたけれども、間もなく多摩市内で初めての東寺方保全地域が指定をされるというふうに答弁がございましたけれども、新規指定がこのように進まないのはなぜか、お伺いをしたいと思います。

○中島自然環境部長 お答えいたします。
 今先生から指摘がございましたけれども、来月初旬には多摩の東寺方緑地保全地域、これを東京都の四十六番目の保全地域として指定する予定でございます。また、昨年はあきる野市の大規模な谷戸群から成る横沢入地区約四十ヘクタールを里山保全地域に指定いたしまして、NPOですとかボランティアの皆さんと協働して、その自然の回復と保護に取り組んでいるところでございます。
 やはりこういった自然地を保護していくためには、何度もお答えしておりますけれども、地元市町村との本当に日ごろの情報交換ですとか、あるいはきちんと役割分担を踏まえて、公益的な視点からこの事業を進めていく必要があると考えておりまして、そういった面では、かなり地元の方もご苦労されますけれども、我々もそういった情報収集に努めるなどして、何とかこうした保全地域がふえるように進めていきたいなというふうに考えておるところでございます。

○今村委員 大切な緑の保全のために東京都のよき働きを期待しながら、さらにいえば、町田市も東京都の大変なご理解をいただきまして都市計画決定などをした、大変緑地のすばらしい公園もあるわけでありますから、何も保全地域だけではありませんけれども、期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
 それでは次に、その保全地域において今、竹がクヌギ、コナラなどの雑木林を侵食している状態がありますけれども、これに都はどのように対応しているのか、お伺いをしたいと思います。

○中島自然環境部長 保全地域の指定に際しましては、学識経験者ですとか都民代表などで構成しております自然環境保全審議会の意見などを踏まえまして、保全地域ごとにその目標とする植生を定めてございます。目標植生と異なる状況が見られるような場合には、是正すべく、必要に応じて間伐などを行い、対応してまいります。

○今村委員 多摩地域は、さきに質疑したように、森林再生事業地域のような森林を初め、多摩丘陵、武蔵野の屋敷林に見られるようなさまざまな緑の植生があります。こうした緑のうち、特に私有地であります里山とか、または谷戸山とも呼ばれますけれども、こういったところにあります広葉樹の手入れがされずに、竹林化が進行しているということもあります。こうした状況をどう認識しているのか、お伺いをしたいと思います。

○中島自然環境部長 ただいま理事がいわれましたように、里山は、農業あるいは林業などの方々の、そういった人々の営みがあって多様な自然が保たれているような場所でございます。しかしながら、多摩地域の多くの里山は、長らく人の手が入らなくなり、本来のあるべき姿をなくして荒れている状況にございます。
 その中で、私有地におきます植生の管理につきましては、まずは地権者の意向によるものでございますが、東京都といたしましては、必要に応じまして、地元の自治体などと連携いたしまして里山保全のためのボランティア紹介をするなど、支援を検討してまいりたいと考えてございます。

○今村委員 よく把握をしていただいているとおり、大変荒廃が進んでいる状況を多摩地域の皆さんは大変心配をしておりますので、ぜひいろいろな観点からサポートをしていただきたいというふうに要望させていただきまして、三項目めに移りたいと思います。
 次は、再生可能エネルギーについてお伺いをしたいと思います。
 事業概要三八ページに記載をされております二〇〇三年の都内再生可能エネルギー利用状況、これは〇・七%とありますけれども、これを見ますと、廃棄物発電がその半分を占めております。これは決して好ましい状況ではないと私は考えますが、既に東京都では、二〇二〇年までに再生可能エネルギーの割合を二〇%程度に高めるとし、さらに太陽エネルギーの利用については百万キロワットの数値目標を設けております。
 そこで、他の再生可能エネルギーについても数値目標を設けて利用拡大を図るべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 「十年後の東京」で示しました世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するためには、再生可能エネルギーの大胆な活用が必要でございます。
 このため、都は、エネルギーの大消費地であるという特性を生かしまして、再生可能エネルギーを需要の側から牽引しまして、特に普及が立ちおくれている太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを拡大するため、グリーン電力証書の普及に努めているところでございます。特に太陽エネルギーにつきましては、住宅用を初めといたしまして東京における導入の可能性が高く、技術的にも実用化されているため、具体的な導入目標を掲げて利用拡大を進めているものでございます。

○今村委員 太陽エネルギーの利用が大変しやすい、今ご説明などもありましたけれども、ほかの部分は逆にいうと導入をするのにさまざまなハードルがあるようでありますけれども、ぜひ他の再生可能エネルギーの利用拡大についても取り組みを進めていただきたいと思いますし、燃料電池なども一般家庭向けに定置型が既に販売をされておりますので、都の積極的な取り組みを要望をいたしまして、次の四項目めに移りたいと思います。
 自動車公害対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 これもいろいろと質疑がされてきておりますけれども、東京都はこれまでにPMについては、走行規制やPM減少装置の装着補助などさまざまな対策を複合的に行い、成果を上げてきました。一方、PMと同時に削減が課題となっているNOxについてでありますけれども、まさに知事のPM対策が大変注目を浴びたこともあり、余り知られておりません。ただし、先ほどの答弁の中には、このNOxも着実に低減をしてきている、こういった環境測定の数値が答弁でされたところでありますけれども、改めて、環境局としてどのような対策をこのNOxについて行ってきたのかをお伺いしたいと思います。
 続いて、国は、自動車NOx・PM法の基準に適合しなくなった自動車であっても、国が指定をするNOx・PM低減装置を装着すれば、引き続き東京都内でも車検更新ができる、つまり特定地域でも更新ができるという、こういった制度を設けております。この制度についても、あわせて東京都の評価をお伺いしたいと思います。

○井戸自動車公害対策部長 まず、車に関するNOx対策についてでございますけれども、NOxの排出量の削減につきましては、車両の代替が極めて有効な手法であるというふうに考えております。新車に対しまして、平成二十一年、二年後には、ポスト新長期規制といわれております、世界でも最も厳しいといわれております排出ガス基準が適用になります。
 東京都は、こうした観点から、平成十三年度から十八年度までに延べ一万四千台強の最新規制適合車への代替について融資あっせんを実施してまいりました。また、国の排出基準より一定以上排出量の少ない自動車を知事が指定低公害車として指定し、低公害車の普及啓発に努めてまいりました。またさらに、都内で二百台以上車を保有しております事業者に対しましては、その保有する車に対しまして、一定割合以上の台数の指定低公害車を導入することを義務づけてまいりました。今後とも、これまでの取り組みの充実を図ってまいります。
 また、次に国指定のNOx・PM減少装置の評価でございますけれども、現在都では、条例によりまして、走行規制の対象となる車両でございましても、知事の指定を受けましたPM減少装置を装着していれば、都内での走行が認められております。国のNOx・PM低減装置のうち、都の基準を満たしているものについては、申請があればPM減少装置として知事の指定を受けることができます。現在、国が指定しました八社十九型式のPM減少装置のうち、都知事の指定を受けたものは六社十二型式でございます。これらの装置を装着した車両につきましては、規制に適合した排出ガス性能を有していると評価しております。

○今村委員 ぜひこのことは、PMの低減、これは大変大切なことでありますけれども、国はNOxもあわせてこの後づけ装置で、東京都と少し違うわけですね。東京都内でもまさに車庫を置ける、車検が継続できるという、こういった観点があるということをぜひご理解をいただきながら、次の質問をさせていただきたいと思います。
 次は、庁用車における低公害車の導入をさらに進めるために、またでありますけれども、現在東京都は数値目標や計画というものを策定していないと聞いておりますけれども、この必要性があると思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
 また、先ほど出ましたポスト新長期以降の次世代ディーゼル、またはクリーンディーゼルとも呼ばれておりますけれども、これらについては、地球環境温暖化防止の対策の観点からも積極的に導入すべきと私は考えますけれども、特にさきの東京都知事の会見でも、知事自身がこれらの次世代ディーゼルに対してPRをしていく考えがある、このようなことを表明をしておりましたので、東京都の見解をお伺いしたいと思います。

○井戸自動車公害対策部長 初めに、都庁の庁用車における低公害車の導入についての数値目標でございますけれども、都庁が取得しましたISO一四〇〇一におきます短期目標の一つとしまして、平成十七年度末までに庁用車全体で、条例に基づく保有義務の基準でございます五%の二倍となります一〇%を目標としまして、達成したところでございます。今後とも、より高い目標を目指しまして、低公害車の導入をさらに進めてまいります。
 さらに、今後市場への投入が予定されておりますクリーンディーゼル車でございますけれども、ガソリン車に比べましてCO2排出が少ないなどの特性を有してございます。他方、NOxの排出基準を比較しますと、ポスト新長期規制でも依然として、ディーゼル車につきましては、ガソリン車より排出基準は高い状況にはございます。庁用車への導入に当たりましては、こうした要因を勘案しながら導入を検討してまいります。

○今村委員 東京都の低公害車は一〇%を目標にということで、聞くところによるともう既に一五%を超えているそうでありますから、十分に当初の目標をクリアしているわけでありますから、ぜひ次の高い目標がある程度数字が出てくると、私はさらにいいのではないかなというふうに思っております。
 それでは、最後の五項目めの質問に移りたいと思いますけれども、オゾン層破壊防止及び地球環境温暖化防止対策についてお伺いをしたいと思います。
 オゾン層の破壊はほぼ全地球的に進行しており、特に高緯度地域でオゾン層の減少率が高くなると聞いております。地球を取り巻くオゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を守っていることは周知の事実であります。オゾン層の破壊を防止するため、我が国ではフロン回収破壊法や自動車リサイクル法などの法令が施行されています。また、フロンは地球温暖化の原因物質でもあり、温暖化防止という観点からも、これらの法令により対策を推進していくことが重要であり、法令に定められた仕組みが確実に実行されて初めて、実効性のあるものとなります。
 そこで、温暖化対策の一環として、業務用冷凍空調機械からの冷媒フロンの回収率を現行の三〇%から六〇%という目標でありますけれども、六〇%に引き上げることをねらいとした本年十月の改正フロン回収破壊法が施行されました。この改正法では、フロン回収を書面で管理する行程管理制度が新たに導入され、本制度を実効性のあるものとしていくために、行程管理制度にのっとり、フロン回収にかかわるさまざまな事業者が適正にフロン回収を進めていくことが重要とされています。
 そこでまず、行程管理制度について関係事業者への周知徹底を図っていく必要があると思いますけれども、都はどのような取り組みを進めてきたのか、お伺いをいたします。

○大野都市地球環境部長 改正フロン回収破壊法によりましてフロン回収を確実に実施していくためには、建物の解体時などにおきまして業務用冷凍空調機器の廃棄に複数の事業者が関与するため、これらの事業者に対しまして、新たに導入される行程管理票の適正な取り扱い方法を周知徹底していくことが重要でございます。
 そこで、改正法の施行一年前より、東京都主催の説明会や、関係事業者団体の協力を得て事業者団体主催の説明会等を合計二十回実施いたしまして、事業者への周知徹底を図ったところでございます。

○今村委員 改正フロン回収破壊法が対象とする業務用冷凍空調機器はあらゆる建物に存在することから、東京都だけでは周知徹底を図っていくことに限界があるのではないかと思います。そこで、市区町村と連携を図っていく必要があると思われますけれども、都の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○大野都市地球環境部長 区市との連携につきましては、区市の環境主管課長会等を通じまして情報提供を行うとともに、普及啓発についての協力をお願いしてまいりました。これによりまして、都の広報紙とあわせて、区市の広報紙におきましても法改正についての普及啓発を行っていただくことができました。また、パンフレットの配布等についてもご協力をいただいておりまして、今後とも区市と連携をしながら、改正内容について周知を図ってまいります。

○今村委員 ぜひさまざまな事業者そして市区町村と連携をしていただいて、ますますの事業の徹底、数値目標というのでしょうか、六〇%回収を目標にしているということですから、いかにこれが難しいかということを物語っているのだというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、次にカーエアコンのフロン対策でありますけれども、二〇〇五年一月からいわゆる自動車リサイクル法がスタートをし、三年がたとうとしております。カーエアコンの中のフロンが確実に回収され、適正に破壊処理されることがこの法律の目的であります。東京都は、フロン回収業者、解体業者に対し指導監督する立場にありますけれども、これまでの指導監督状況はどのようになっているのか。確実にフロンが回収され、破壊処理されているのか、お伺いをしたいと思います。

○森廃棄物対策部長 使用済み自動車の処理は電子マニフェストが導入されており、フロンにつきましては、引き取り業者からフロン回収業者、自動車メーカー等に順次引き渡されることを逐一確認できるシステムとなってございます。
 都は、この電子マニフェストを随時チェックすることによりまして、フロンの回収及び破壊処理が確実に行われることを確認しております。これまで破壊処理が滞っていた回収業者につきましては、処理を進めるよう指導し、改善してきております。今後ともフロンが確実に回収破壊されるよう、フロン回収業者に対する監視指導を適切に行ってまいります。

○今村委員 先ほども触れられましたけれども、決められた仕組みが確実に実行されることが大切であります。ぜひ今後とも監視指導を適切に行い、使用済み自動車のフロンが確実に回収され、破壊処理されるよう、都の役割を果たしていただきたいと思います。
 さて、都内の使用済み自動車については、フロンが回収され、破壊処理されていることは理解をいたしました。しかし、中には古い車を大切に使用しているユーザーもおります。エアコン等の空調機器は、経年劣化によりまして自然にフロンが漏れ出すことがよくございます。代替フロン対応の新品に買いかえるのもよいことでありますけれども、カーエアコンについては、潤滑油や配管のシール剤、こういったものを交換するだけで代替フロンにかえられる、いわゆるレトロフィットという方法がございます。
 ちなみに私のマイカーも既にこの処理がされているところでありますけれども、そこで、長く使ったり、そして古い車を大切にするユーザーもいることから、都はレトロフィットについて、フロン対策の一つとして都民に周知するような方策をとるべきと考えます。特に古い車は、いわゆる自動車でいうR12というフロンを使っております。これは、さきに述べたオゾン層を破壊する元凶であります。業務用エアコン等は既に次世代の、こういった破壊のほぼ少ないものに変わっているわけでありますけれども、こうしたことをきちっと対策として行うことが大切と思いますけれども、都の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○森廃棄物対策部長 カーエアコンへの特定フロンの使用が中止されてから十年以上経過しておりまして、対象となる自動車の台数は少なくなっておりますが、オゾン層保護のためには、カーエアコンの経年劣化によるフロンの漏出を防止することも必要でございます。
 レトロフィットは、フロンを確実に回収し破壊処理する専門業者によって作業が行われれば、有効な対策の一つでございます。オゾン層の破壊防止のため都民ができる対策の一つとして、今後ホームページを活用し、レトロフィットに関する情報を提供してまいります。

○今村委員 ぜひフロンを確実に回収していくこと、オゾン層の破壊防止はもとより、地球温暖化防止も大変重要でありますので、都の役割を十分期待をしていきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、最近、フードマイレージとかウッドマイレージという言葉をよくお聞きするのではないかというふうに思います。局が違いますけれども、産労では、多摩産材の活用、これを一生懸命にPRしております。私ども多摩地域にいる議員も、この多摩産材の活用を応援しているわけでありますけれども、こういった海外から輸送コストをかける、つまりコストだけではなくて、まさにCO2を排出するという長い距離を移動すること、これが環境負荷を与えるという、こういった新しい考え方であります。
 食べ物についてもまさにそのとおりでありますけれども、こうした考え方は、今私が申し上げましたNOxやPM対策、そしてフロンの対策にも同じことがいえるのではないかというふうに思います。このことは、一カ月に一万キロ、年間十万キロ以上走る大型の長距離トラック、そして同じように日々稼働している業務用の冷媒装置のついた機械、これと個人用のユーザーが使っているもの、こういったエアコン等と、さらにいえば自動車もそうでありますけれども、大変古い車、特に趣味的要素になった車は、年間走行距離はほとんど走りません。同じ距離を走ったら、確実に環境に対して悪影響を与えます。しかし、実際にはこういった車はほとんど走行距離を、商用車のようには走りません。
 八王子市では、あれはいちょう祭りのときでしたかね、そういった古い車のパレードなどを行って観光のPRにもしているわけでありますけれども、こういった、確実に環境問題を進めていくのが環境局の仕事でありますけれども、今まさにマイレージという考え方が出てきているわけであります。
 どうでしょうか、局長、こういったマイレージという考え方、担当課の皆さんは、古い車だって同じように、または環境に負荷を与えるということですから、これは徹底的にやはり排除をしていくというか、NOxも買いかえが有効だということでありまして、まさにそのとおりだと私も認識をしておりますけれども、実際には、本当に排出をしている、環境に負荷を与えるNOxやまたはPMというものが、実際には一年間では少ないのではないかという考え方が成り立つのではないかと思いますけれども、いかがお考えか、所感をお聞かせいただければ大変ありがたいと思いますが。

○吉川環境局長 所感ということですので、今、頭へぱんというか、ぴんというか、思い浮かんだのは、実は先生がおっしゃったマイレージというよりも、走行距離というお話をされましたよね。走行距離でいうと、電気自動車の開発というのは、これは大きな環境テーマなわけですけれども、電気自動車で今ポイントは、ご案内のとおりリチウム電池なんですね。経産省が報告書の中で、たしか日本国家として五百キロ、一回の充電で五百キロをねらおうというので今やっているわけですね、いろんな企業が。ところが、先般あるテレビの番組を見ていたら、目からうろこじゃないのですけれども、何でリチウム電池をみんなでねらっているのだというところへ、こういう話がありました。
 ネパールだったか、カトマンズというところで、鉛電池でわずか三十キロか四十キロしか走行できない観光タクシーというのが、今やたらふえているのだそうです。これは、私は本当に驚いたのですけれども、要は最先端のリチウム電池を開発しなくても、旧来型の鉛電池で十分カトマンズという都市の、観光業というのでしょうかね、それは十分足りているのだというのですね。
 ですから、私が今先生のお話を伺っていて一つ思ったのは、その例ですが、そこから私が感じるのは、いろんな行政課題を解いていくときに、余り最先端というか、きわめ過ぎないで、一回は常識的な当たり前さというのですかね、そういったところから再考してみるというようなときも必要なのかなというのが、私の今の感想であります。

○矢島委員 去る十一月二日の日経新聞によりますと、東京都は環境税導入に向けた具体的検討に入ったと報道がありました。これは、主税局所管の東京都税制調査会で検討されて、十一月中に中間報告に盛り込まれるということでありましたが、まず、この議論に環境局はどのようにかかわっているか、あるいはかかわっていないか、お伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 この環境税の問題でございますけれども、環境局は、六月に公表しました気候変動対策方針の中で省エネ促進税制の検討を提起いたしましたが、その後の専門的な検討は、税に関する専門的な集まりである都税調の方にお願いをしているという状況でございます。
 したがいまして、東京都税制調査会で行われた環境税制の検討に際しましては、環境局は、都税調の事務局である主税局からの依頼を受けまして、国内の温暖化対策の状況やCO2の排出状況などに関する資料提供を行ってまいりました。

○矢島委員 今のお話からうかがえるのは、守備範囲の話であるというふうにとらせていただきました。
 報道によると、この税は法定外目的税ということでありますが、環境税の導入の意義については大変いろいろ、国の方に比べても議論のある問題ですが、環境局のお考えをお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 企業や家庭の省エネルギー対策を効果的に推進していくためには、経済的な手法の活用が非常に有効でございまして、その中でも税制の果たすべき役割は非常に大きいと考えております。課税による省エネ促進のインセンティブ効果、それから、安定的な財源を確保することによりまして中小企業部門や家庭部門の支援策を強化するなど、税手法の適切な活用によりまして、多くの施策効果が期待できると考えております。

○矢島委員 全体の一部、これだけですべてが解決するわけではありませんから、全体の一部ということになろうと思いますが、パリの例を見ることもなく、二百万人のあそこのところに環状道路を整備して、中は自動車を余り入れない。ですから、一ユーロで使える自転車、一ユーロだったと思いますが、各所にユーロのお金を入れて、どこでも乗り捨てられる。こういう政策の全体の中に一部があるように思います。
 税の有効な活用というのは、そのお金の使い方ではなくて、その目的も含めまして十分な検討を、今までそういう範囲にあったということは今のお話でわかりますけれども、具体的にそれを全体の計画の中にどういうふうに位置づけるか、今後しっかり検討していただきたい。答弁は必要ありません。
 次に、環境への負荷の少ないまちを目指す東京の環境行政の課題について、具体的にお伺いいたします。
 東京都は、延べ一万平米の建築物に建築物環境計画書の提出を義務づけております。この趣旨、内容をお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 建築物は、一たん建設されますと長期にわたって使用されるものでございます。特に大規模な建築物は環境に与える負荷も大きいことから、建築時に環境配慮の措置を講じることが重要でございます。
 このため、環境確保条例では、延べ床面積一万平米を超える大規模な新築建築物等の建築主に対しまして、省エネルギーや緑の確保、それからヒートアイランド対策等の環境配慮の措置とその評価を記載した建築物環境計画書の提出を義務づけまして、建築主の自主的な環境配慮への取り組みを求めているものでございます。

○矢島委員 建物に起因する環境への負荷の低減を図ることが目的の税ということになろうかと思います。
 実際上いろいろな問題がそこに発生すれば、既に課題があるわけですから、その意味でお聞きしたいのですが、現在の建築基準法の手順を追いますと、建築確認を出し、許可を得て建物を竣工させる。竣工検査を受けて使用を開始する。そうじゃないところも多いように聞いていますけれども、こういう手順になっていると思います。
 大型化、高層化するオフィスビルなど、竣工検査前にテナントが決まって工事が行われればよいのでありますけれども、そうでなければ標準仕様で事務所を仕上げなければならない。そして、竣工検査を受けなければならない。その後入居するオフィステナントは、自社に合わせた内装をやり直すことが多いと聞いております。特に外資系は、一つのイメージに合わせて内装を整備して、当然ながら外資系といわずとも、そういうことになっていこうと思います。
 ある調査によりますと約三〇%、こういう照明器具ですと五〇%という調査もありますが、新築のまま内装が廃棄されるそうであります。新築のまま産業廃棄物となってしまう。これはオフィスビルに限らない話と聞いておりますが、現在、建築構造とその他の部分の検査方法の分離検討が進められるとも聞いておりますが、環境行政をつかさどる環境局として、ないがしろにできない問題であると私は思います。積極的に制度改正を求めるか、あるいは、改善の方策があれば何らかの方法を考えるべきだと思いますが、見解をお伺いいたします。

○森廃棄物対策部長 新築ビルの竣工検査の問題につきましては、国の規制改革推進計画でも取り上げられ、さらに業界においても、建築基準法の建築確認手続のあり方について検討されていると聞いております。
 建設リサイクル法では、建設業者は工事の施工方法等を工夫し、廃棄物の発生抑制に努めなければならないと規定されておりまして、建設廃棄物の発生抑制は、環境局にとっても重要な課題であると認識しております。
 現在、都では、建設業界など関係業界の参加を得まして、産業廃棄物対策推進協議会を設置し、廃棄物のリサイクルや適正処理に取り組んでおります。今後は、この協議会を活用いたしまして、建設業界や解体業界とともに内装工事についての新たな手法を検討するなど、廃棄物の発生抑制に取り組んでいくとともに、所管する部局とも協議を行い、場合によっては国への要望につなげていくことも検討してまいります。

○矢島委員 国の先を行かなきゃいけない東京都の環境局としてはそういうふうになる。安心をいたしました。
 東京都では、環境局が中心になって都の率先行動に取り組んでおります。環境マネジメント、地球温暖化対策都庁プランなどがそうであります。しかし、都市と地球の持続可能性の確保がテーマであるだけに、省エネ技術で優位に立つ日本の多くの製品、工法、その立場から、広く東京都全体に活用を図ることも有効な手だてであります。例えば地中熱の空調への活用技術、これはもう既に、建設会社が開発したものですから、工事のときに既に導入しますので、東京都でもそういうところがあると聞いております。赤外線を五倍以上反射する黒色の塗料の開発、これはコストが従来と余り変わらないと聞いております。微生物の分解作用を活用した水を使わないトイレ、五人の家族で一年間、水は蒸発し、排せつ物は全部分解する、こういうものもあるように聞いております。セメント汚泥の無公害化など、製品新技術の開発は枚挙にいとまがありません。
 東京都が認定をし積極的に導入を図るなど、環境行政のすそ野を広げるべきだと思いますが、お考えをお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 温暖化対策を含めまして環境への負荷の低減を図るためには、すぐれた環境技術を活用していくことが極めて重要というふうに認識してございます。
 こうした観点から、技術の認定ということに関していいますれば、本日も話がございましたけれども、簡易で迅速な土壌汚染の分析方法の公募実証でございますとか、あるいはNOxの低減対策として、NOxの排出量の少ない燃焼機器を認定してその普及を図るでありますとか、あるいはディーゼル車規制、この場合も、それを実効性あるものにするために、八都県市と連携をいたしまして、独自にPM減少装置の認定制度を構築して技術開発を促進するというような取り組みを進めてまいりました。
 また、都の事業への率先の導入ということでございますけれども、本日も話がございました清掃工場での廃棄物発電のほか、あるいは下水汚泥によるバイオマス発電、またPM減少装置につきましても、その普及を図るために都バスなどで率先導入を図るでありますとか、現在もバイオディーゼル燃料の普及促進のために、都バスにおきまして試験走行を行っております。さらに、CO2削減のための断熱等の建物の省エネ仕様、これをトップクラスの省エネ仕様として、省エネ東京仕様二〇〇七というものを策定いたしまして、都の施設の新改築や大規模改修時に全面適用していくというふうな方針も明らかにしたところでございまして、今後積極的に最新の省エネあるいは再エネ技術を都施設に可能な限り導入していくことで、民間への普及についても資するようにしてまいりたいというふうに思ってございます。
 都といたしましては、今後ともすぐれた環境技術を普及拡大していくことは重要な課題というふうに認識してございますので、最新の省エネ技術の動向を注視いたしまして、かつ多面的に情報収集を行うとともに、環境技術の効果が最大限発揮できるようなさまざまな仕組みの構築、これに心がけてまいりたいというふうに考えてございます。

○矢島委員 全く質問と答弁がかみ合っていませんでしたが、いっていることはおわかりになっているでしょうから、これ以上お聞きしませんけれども、東京都だけではなくてもっとすそ野を広げるという議論でありますから、その点について新たな方策を発明していただきたい、このように思います。
 温暖化ガスの排出権の問題も大きな課題であります。東京では、省エネ技術の取引により温暖化ガスの減少を図ろうという会員制の東京環境取引所がようやく開設され、まだ積極的に動いているというわけではありませんが、と聞いております。ここでは、大企業ばかりではなく中小企業の参加も想定されているそうでありまして、省エネ技術・製品を売り、導入した中小企業の減少した排出権を、販売した大企業などが購入することが想定されているそうであります。確かに大小ではボリュームの差がありますけれども、省エネ技術導入の余力の少ない中小企業にとって、有効な手だての一つではないかと思いますが、そしてまた拡大の余地が、九九・九%が中小零細ですから、余地があると思いますので、東京都も積極的に推進、助力すべき課題ではないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。

○大野都市地球環境部長 中小企業におきます省エネ技術の活用は、残念ながら十分な状態にはございません。ご指摘のとおり、省エネ技術を広く普及させていくことは重要なことであると認識しております。
 東京都が導入を目指しております排出量取引制度を具体化する中でも、大企業の保有する省エネ技術が中小企業に円滑に移転されるような方途について検討してまいります。

○矢島委員 日本が大きくそのあり方を変えている中でも、日本人のあり方については、先ほどこいそ委員より見識ある発言がありましたが、しかし、それぞれの場面で新たな役割を求められている不安定の中にあるというのも事実であります。ただ、資源を持たない、エネルギーに頼ることができないゆえの磨かれた環境技術が、従来のままエネルギーに寄りかかっていてはいずれ限界の来る現実の世界にとって、安定した成長を主導する力となることは当然であり、さらに日本が進展させていかなきゃいけない責務を負っていると私は思います。
 このような時代背景の中、東京都の環境行政は本年度、五百億円の地球温暖化対策基金を含めてわずか七百六十四億円の予算規模、現員五百四十三名、全員でも六百四十三名、人口、業務の集中する東京の環境の保全向上と都民の生活への取り組みに対する責任は、生存がかかるだけに枢要な内容であります。広範に、そして積極的に取り組むべき環境局の役割は重くなるばかりと思います。今後の環境局の役割について、質問も最後でありますから、局長のお考えを伺って終わります。

○吉川環境局長 今矢島委員がおっしゃったお話を伺っていて、東京の環境を取り巻く現状を改めて、きょうの各先生方のご質問を伺っていて総括しますと、地球温暖化がもたらす異常気象などの危険な気候変動が顕在化してきておりますほか、二酸化窒素、光化学オキシダントなどの大気汚染、また土壌汚染などの負の遺産が残されておりますし、残念ながら緑の減少に歯どめがかかっていないなど、都民の生命、財産、健康に直接的な影響を与え得る環境危機が依然として存在をしております。
 そういう意味で、先ほど、ともとし委員に回答したような環境局の基本的な役割を担っているわけですが、ご指摘のとおり極めて重い役割だというふうに自覚をしております。東京都としては、先ほど矢島先生はすそ野というキーワードをおっしゃいましたけれども、そういう意味では、東京都だけではなくて、例えば都内というか国内でいえば八都県市、もちろん都内の六十二の区市町村とともにですが、八都県市や全国政令市等とも連携しつつ、またアジネットであるとか、そういう国際的なかかわりもあるわけでございまして、都としては、ただいま申し上げたような環境危機に対して果敢に挑みまして、都民の皆様はもちろんのこと、世界の多くの方々と共通の未来を開くために、日本を世界で最も環境負荷の少ない先進的な、また東京を先進的な環境都市として実現していくように頑張っていきたいなというふうに思っております。
 そういう東京都全体の中で、私ども環境局というのは、先ほどわずかというお話もございますが、七百六十四億円の予算をいただいておりますので、それらの資源を最大限活用することはもちろんのこと、全庁的な横断的戦略会議、二つの重点プロジェクトがございますけれども、そういう展開の中でのかなめの局として、各局と連携を図りながら、局職員六百四十三名一丸となって全力で職務を全うしていきたいのですが、何よりも大事なのは、足元を固めつつ、攻めの姿勢で展開していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十分散会

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