環境・建設委員会速記録第十号

平成十九年十月二日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長小磯 善彦君
副委員長斉藤あつし君
副委員長吉野 利明君
理事大西由紀子君
理事高橋かずみ君
理事相川  博君
きたしろ勝彦君
原田  大君
河野百合恵君
松葉多美子君
中山 信行君
高橋 信博君
くまき美奈子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
参事浅川 英夫君
参事小山 哲司君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第百七十四号議案 妙正寺川整備工事(激特-一)請負契約
・第百七十五号議案 妙正寺川整備工事(激特-二)請負契約
・第百七十六号議案 妙正寺川整備工事(激特-四)請負契約
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十六号議案 平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 環境局所管分
・第百六十八号議案 緑の東京募金基金条例
・第百六十九号議案 温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例

○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。議事課の小笠原勝彦君です。よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○小磯委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小磯委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり建設局関係の契約議案の調査及び環境局関係の付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十九年九月二十七日
東京都議会議長 比留間 敏夫
環境・建設委員長 小磯善彦殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百七十四号議案 妙正寺川整備工事(激特-一)請負契約
第百七十五号議案 妙正寺川整備工事(激特-二)請負契約
第百七十六号議案 妙正寺川整備工事(激特-四)請負契約
2 提出期限 平成十九年十月二日(火)

○小磯委員長 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第百七十四号議案から第百七十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 最後の質問です。一年間お世話になりました。ありがとうございました。
 それでは、妙正寺川の整備工事について質問いたします。平成十七年の九月の豪雨で妙正寺川の上流部で一時間当たり最大で一一二ミリ、総雨量で二六三ミリという記録的なものがございました。妙正川や善福寺川を中心に、約三千六百棟の家屋などが浸水被害をこうむったわけです。被害に遭われた多くの地域住民は、再びこのような災害が起こらないよう、河川の整備が一日も早く完了することを心から待ち望んでおり、私どもの会派の同地区の選出議員からも早期の着工を望む声を聞いております。
 東京都は、被災から二カ月後には、河川激甚災害対策特別緊急事業の採択を受けて、その後、順次工事を推進しているというふうに伺っています。妙正寺川の激特事業は通常の計画事業と比べて、短期間に四キロにもわたる大規模な河川整備工事を集中して行う大変条件の厳しい内容となっており、これまでにも増して、工事そのものについて創意工夫が求められるものではないかと考えます。
 そこで何点か伺うんですけども、まず、本事業においては、どのような課題があり、それらに対してどのように工夫をしていくのか伺います。

○高橋河川部長 本事業は、河川激甚災害対策特別緊急事業でありますことから、水害が発生した平成十七年度を含め、五カ年で工事を完成させる必要があります。本件工事は、施工期間が約三年にわたることから、出水地の洪水対策が特に重要でございます。また、施工箇所付近は住宅が密集し、道路が狭いため、工事期間中の搬入路の確保、住民の生活環境の保全が大切でございます。
 このため、洪水時に流下能力を確保でき、かつ施工速度が速く騒音振動が少ない回転圧入工法による鋼管杭護岸を採用いたしました。あわせまして、隣接公園の一部を工事搬入路として使用するなど、住民の生活環境の保全に努めております。
 一日も早い自浄効果の発現を目指し、さらに施工期間の短縮を図るため、技術提案型総合評価方式を導入いたしております。

○斉藤委員 今回の工事については、中野区の沼袋駅周辺などの大変狭隘な市街地が含まれております。こういったところの工事で、五年間という事業期間が限定されていることや、また通常工事に比べて工事規模が大きいことなどから、大変もろもろの工夫というものをされているということは理解できます。
 さて、そのことを踏まえて、今回の契約内容でありますが、いただいた資料を見ていますと、激特一の方は落札比率が九九・八%、激特二については九九・九%という、大変な高い落札比率であります。今回、技術提案型の総合評価方式をとっているということもあって、予定価格の公表がなされているということで、この予定価格に近づくということができるわけなんですが、この公表価格とほぼ同程度の金額で落札をされています。
 今回、このような中で、もちろん一般的な入札に比べて高い比率でとることは可能性としてあるということでありますが、そうはいっても、これだけ高くなりますと、やはりもう少し詳細な説明を聞かないと、なかなか都民の方にも疑問を持たれてしまうのではないかなという気がいたしますので、落札までの経過を詳しくお聞かせください。

○高橋河川部長 本件は、先生お話しのとおり、技術提案型総合評価方式を導入いたしております。この方式では施工期間の短縮を評価目的といたしました技術点と、入札価格に基づく価格点の合計で落札者が決定されます。
 技術提案は、三工事合わせまして二十件提案されました。これら提案の審査に当たりましては、学識経験者など外部委員を含めた技術審査委員会におきまして、施工方法の妥当性、水防上の安全の確保などを踏まえ、短縮日数を評価し、十九の提案を可といたしました。その後、防衛施設庁談合に伴う指名停止処分を受けた企業体が失格となり、八企業体が入札有資格者となりました。
 価格入札時には、激特一では二者が、激特二と激特四ではそれぞれ三者が応札いたしました。なお、開封いたしましたところ、激特一、激特二でそれぞれ一者、激特四で二者の計四者の辞退者があったことが判明いたしました。価格点では、先生お話しのような落札率となりましたが、技術提案型総合評価方式を採用いたしましたことにより、激特一では三カ月、激特二では二カ月半、激特四では一カ月半の施工工期の短縮を図ることができました。今後、これらの成果が確実に発揮されますよう、請負者を適切に指導監督してまいります。

○斉藤委員 大変細かい説明、ありがとうございました。
 ちょうど時期的に、防衛施設庁の談合のときに重なりということでありました。そういった、この工事単独の事情ばかりではなかったというふうに見受けられます。
 特に、その契約の結果の事業者の名前を見てみますと、いわゆるよく聞くスーパーゼネコンといったものではなくて、技術もあるしそこそこの規模はあるけれども、中堅といわれている業者が落札したことについては、やはり昨今の、いわゆる有名なところばかりがいい事業をとったり、公共事業とったりというような時流から見れば、やはりその企業の育成ということもあって、東京都としても悪いことではないんではないかなというふうに感じます。また、今後、東京都としてもしっかり監督をして、良好な施工となるように、ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 最後に、この本工事の推進によって地域住民の安全・安心への強い願いを実現していくことが大変重要と考えますが、治水上、具体的に地域の安全性というのはどの程度向上するのか確認をしたいと思います。

○高橋河川部長 妙正寺川では、再度災害の防止に向けまして、激特工事や環七地下調節池への出水を行っております。妙正寺川の激特事業完了時には、地域の安全性の指標である治水安全度が水害発生時の四七%から五六%へと向上いたします。また、同様に激特事業を実施している善福寺川におきましても、既に着工した護岸整備工事や、環七地下調節池第二期の供用開始などにより、治水安全度が五三%から六四%へ向上いたします。
 今後とも都民の命と暮らしを守るため、平成二十一年度の完了に向けまして、全力で激特事業を推進してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。最後にちょっと意見を付与したいと思います。
 激特事業の推進によって、妙正寺川の治水安全度が大幅に向上するなど、大変大きな効果が期待できることがよくわかりました。冒頭に申しましたように、こちらの地域、大変こういった河川の問題については大きな課題がございますので、ぜひとも地域住民の望む一日も早い着工と早期の工事完了をお願いいたします。
 また、今回その契約については、技術提案型の総合評価方式というものが、いわゆる単なる金額の問題だけではなくて、総合的な本当に評価であるということを示すいい事例になればと思います。今申しましたが、その談合の中で、談合とかそういうのにある程度かかわらず一生懸命技術を磨いている業者の育成という点も、大変今回この案件に関しては大きな課題であるし、またそれをいい形で実現できるようにという、そんな思いも答弁を伺う中で感じるものでありました。
 今後、請負業者の監督も、そしてまた、今後の工事契約において総合的によい業者を選んでいい結果を得るというところに、今後も一つの建設局の仕事が落ちつくように、ぜひともお願いするものであります。
 以上で質問を終わります。

○松葉委員 意見を述べます。本件工事を行う直接の契機となりました平成十七年九月四日の豪雨では、私の住む杉並区や隣の中野区が最も大きな被害を受けました。
 当日、私もすぐに現場に直行いたしましたけれども、道路が川のようになって水が濁流のようになって流れておりまして、私も腰まで水につかりながら救援活動をさせていただきました。翌日も翌々日も毎日被災された方のお見舞いに伺いましたけれども、どこに伺っても、どこにぶつけていいかわからない怒りや、悔しさや、悲しさや、苦しさを、私も全身で受けとめさせていただきました。
 平成十七年の第三回定例会におきまして、公明党の質問に対して、石原知事は、被害の大きかった善福寺川、妙正寺川の未整備区間の早期整備を指示したと答弁されまして、さらに十一月十八日には河川激甚災害対策特別緊急事業が採択をされました。被災直後で、災害復旧工事なども並行しながらでありましたけれども、大変に迅速な対応であったと感謝しております。
 また、この間、本年四月の環七地下調節池善福寺川取水施設の完成などにより、神田川流域の三つの河川すべてから取水が開始されました。また、善福寺川では和田堀第六調節池の貯留能力が倍増するなどの激特工事に着手され、事業の着実な進展を実感しております。一方、妙正寺川の激特事業におきましても、本日三件の大規模な河川整備工事が契約にかかったことは、意義深いと考えております。安全かつ着実に工事を進めていただくようお願いいたします。
 私は、地域住民の皆様の二度と再びあのような水害がないようにとのお声とともに、今回の激特事業に対する大きな期待を折に触れて聞いております。また、この間の河川部の皆様のご努力に、大変敬意を表しております。私も、事業の進展に向けて、地元選出の議員として、できるだけの応援を今後させていただきます。引き続き、善福寺川、妙正寺川の整備を推進し、一日も早く完了するとともに、さらに、激特事業区間の上流域についても早期に対策が可能となるよう、強く要望して意見の表明を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○小磯委員長 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案中、歳出、環境局所管分、第百六十八号議案及び第百六十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋(か)委員 私から、まず環境CBOについてお尋ねいたします。過日の本会議の代表質問で、我が党の吉野幹事長から知事に質問をし、その意義については理解したとこでありますが、本日は、それを受けて、さらに踏み込んだ質問をしたいと思います。
 都内に約六十万ある中小企業のCO2排出量は、都内の産業、業務部門の約五割を占めておりますが、全体としてのCO2削減に向けた取り組みは、大きなおくれをとっており、中小企業に対するCO2削減対策は、気候変動対策を進める上での重要な課題であります。こうした現状を踏まえ、中小企業のCO2削減対策の第一弾として、このたび、環境CBOを創設するということでありますが、そこでまず、今回この事業を構築したねらいについて伺います。

○長谷川環境政策担当部長 環境CBOでございますけれども、平成十五年三月から産業労働局が実施しております中小企業の資金調達手法でございますCBO、社債担保証券のスキームを活用いたしまして、企業がCO2削減対策を講じることを新たに参加要件とすることで、中小企業に対して省エネ対策に必要な資金を含めて、企業の事業活動を支える運転資金を供給する新たな手法でございます。
 時間と手間をかけてまで省エネ対策を実施する余裕がなかなかない中小企業のCO2削減を促進していくためには、企業の資金需要の機会をとらえて、省エネ対策の実施をしかけていくことが効果的な方法でございまして、環境CBOはこうした点に着目して事業構築したものでございます。
 このスキームは、企業にCO2削減を求めるかわりに、地球温暖化対策推進基金から五十億円を活用し、都が無利子で債権の一部を購入することによりまして企業の社債発行利率を下げるという、中小企業の参加意欲を促進しながら、CO2削減を図っていくというものでございまして、都の投入する資金につきましては、三年後の社債償還により、基本的には都に戻るものでございます。また、中小企業との接点が多い金融機関と連携することで、その営業力を有効に活用することができるという点からも、最少の経費で最大の効果を生む効率的、効果的なスキームの一つというふうに考えてございます。

○高橋(か)委員 環境CBO創設のねらいについてはよくわかりましたが、ところで、この施策はただいまの答弁にもありましたように、地球温暖化対策推進基金から五十億円を活用するということでありますが、この時期に予算を補正する意義について伺います。

○長谷川環境政策担当部長 CBOでございますけれども、従来、企業の資金需要が最も高まる三月に年一回実施しておりまして、今回は平成二十年三月の実施予定でございます。
 環境CBOをできる限り速やかに実施するために、直近の平成二十年三月実施を前提にスケジュールを逆算してまいりますと、遅くとも十一月から参加企業の募集が必要となりまして、募集の際には、企業に対しまして、社債発行利率の幅の提示が不可欠となります。今回の環境CBOにつきましては、この社債発行利率の低減に地球温暖化対策推進基金を活用するというものでございますので、この時期での予算補正が必要となったものでございます。

○高橋(か)委員 この施策は、参加企業に対して社債償還までの三年の間で一%以上、または四%以上のCO2削減を求めるということでありますが、こうした削減率を設定した考え方について説明を願いたいと思います。

○長谷川環境政策担当部長 削減率を二段階設定した意味についてでございますけれども、企業の実情によりましてCO2削減の対策への取り組みに相違があるというのが現状でございます。そのため、より多くの企業に、このCBOへの参加を促すには、個々の企業のニーズにこたえるメニューを立てるという必要があるものと判断いたしました。
 次に、一%以上、または四%以上という削減率そのものの意味でございますけれども、一%以上の削減と申しますのは、例えば空調の運転時間の見直しでありますとか不使用時の停止、あるいは温湿度の適正管理など、運用対策を徹底することで達成が可能なレベルでございます。一方、四%以上の削減と申しますのは、運用対策だけではなくて、例えば空調機の高効率型の機器への更新でありますとか、高効率照明への転換といったような設備更新を伴う対策を行う必要があるレベルでございます。
 なお、企業の社債発行利率の引き下げ幅につきましては、四%以上の削減をすると、対策を強く行うという方の企業について、より大きくするという予定でございます。

○高橋(か)委員 CO2の削減率が個々の企業の実情に応じて選択でき、かつ高いレベルの削減を行う場合には、資金調達面でより有利な条件が得られるという点で、この施策が企業のより積極的な取り組みを促す仕組みとなっているものと思います。
 そこで、ただいま説明のありましたCO2削減が、参加企業により確実に履行されることが重要と考えますが、どのようにして実効性を担保するのか伺います。

○長谷川環境政策担当部長 実効性の担保についてのご質問でございますけれども、基本的には企業がみずから進んでこのスキームへの参加意思を表明するというものでございますので、CO2の削減目標が未達成に終わるということはないと考えてございますけれども、都としても省エネ対策の事例の紹介でありますとか、あるいは対策実施へ誘導するということなど、目標達成に向けた側面的なフォローを実施してまいりたいと思っております。
 また、各企業のCO2の削減実績を東京都のホームページで公表し、優秀な取り組みについては表彰していくという予定でございます。環境対策を実施する企業は、企業のCSR、社会的責任の向上にも関心の高い企業であることが多いと思われますので、実績を公表することによりまして、実効性の担保は図れるものと考えてございます。
 また、仮に目標が達成できなかった場合でございますけれども、次回以降のCBOへの参加はできないということとする予定でございまして、CBOに関しては、いわゆるリファイナンス、資金の借りかえの需要が多いということになっておりますので、このことは履行の確保にも効果があるものと考えてございます。

○高橋(か)委員 いずれにしても、CO2を確実に削減することが重要であります。CO2を削減すれば光熱水費も下がりますので、企業にとってもメリットがあると思います。
 今回、中小企業対策の第一歩として環境CBOを実施することは大変意義があることでありますが、中小企業は都内に六十万余もあり、それぞれ実情が異なります。そのため、こうした企業の実情に応じた施策をきめ細やかに行うことが必要と考えます。そうした観点から、都は今後、今後の中小企業に対するCO2削減施策をどのように展開していくのか伺います。

○長谷川環境政策担当部長 中小企業におきましてCO2削減の取り組みがおくれている理由といたしましては、省エネ投資に必要な資金力の不足、あるいは省エネに関するノウハウや人材の不足ということが考えられます。
 資金力の不足に対しましては、今回発表いたしました環境CBOの創設を初めといたしまして、金融機関などと連携したさらなる資金支援の提供などによりまして、一層の充実を図ってまいります。また、省エネに関するノウハウや人材の不足に関しましては、都はこれまでも、相談窓口の設置や研修会の実施、あるいは業種別の省エネのテキストの作成などに取り組んできたところでございますけれども、今後は、こうした普及啓発の取り組みを一層強化していくなど、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの具体化を図る中で、ご指摘の中小企業の実情に応じた取り組みを積極的に進めてまいります。

○高橋(か)委員 よろしくお願い申し上げます。
 次に、緑の東京募金についてお尋ねいたします。緑の東京募金の意義と活動の進め方につきましても、この本会議で我が党の吉野幹事長が質問し、知事、局長にそれぞれご答弁をいただきましたが、さらに都民の理解を得るためにお伺いしたいと思います。都は、これまで緑の倍増計画や緑の東京計画を策定し、緑の創出や保全の取り組みを続けてまいりました。「十年後の東京」に掲げられた一千ヘクタールの緑の創出は、これまでの手法に習えば、行政が税金を使って実施していくことになると思うのでありますが、なぜ緑の東京募金を行うこととしたのか、改めて見解を伺います。

○小山参事 ただいま理事からお話がございましたとおり、東京都は、これまでいろいろな施策を進めてまいりましたが、「十年後の東京」におきましては、さらに進みまして、緑あふれる東京の再生を果たしていくために、ひとり東京都が取り組むだけではなく、都民や企業の皆様と協働して緑化を推進していくことが重要であると、こういった考え方をお示しいたしました。その具体的な方策の一つが、都民と企業など、幅広い層からの賛同を得て行う緑の東京募金の創設でございまして、今後、緑の東京募金の意義の積極的な周知に努めまして、緑のムーブメントの推進力としていきたいというふうに考えてございます。

○高橋(か)委員 東京の緑の再生のために、多くの都民や企業の賛同が得られるよう、より一層努力していただきたいと思います。
 ところで、募金活動を進めるに当たっては、募金の具体的な使い道や目標額を都の姿勢として明確に示していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小山参事 募金を充ててまいります事業は、海の森の整備、街路樹の倍増、校庭の芝生化、花粉症発生源対策の四事業を予定しているところでございます。例えば、海の森につきましては、総事業費を約百億円を見込んでございますが、このすべてを募金で賄うわけではございませんで、ここに植樹する苗木に充てていくというものでございます。
 東京都は、土づくりなど、基盤整備を担います一方で、緑の東京募金は、苗木や芝生など、具体的に目に見える緑をふやしていく部分に充てることとしておりまして、こうした考え方に基づきまして、目標額を鋭意検討中でございます。

○高橋(か)委員 本会議及び本委員会での質疑を通じ、今回の募金事業の概要はわかりました。この募金の成否は都民などの理解と賛同にかかっていると思います。そこで、この募金の周知方法や、賛同を得るための働きかけには相当な工夫が求められると思いますが、どのように取り組んでいくのか見解をお伺いいたします。

○小山参事 募金は、広く緑を植え、育てる意識を醸成いたしまして、都民や企業などの行動につなげていくことができる意義ある取り組みと考えてございます。都民の皆様の目に触れる機会の多いスポーツイベント、文化イベントなどとも積極的に連携を図りまして、緑の東京募金の趣旨を幅広く周知してまいります。また、企業に対しましても、例えば売り上げに連動する募金の仕組みの導入、こういったことを働きかけるなど、企業とのコラボレーションも視野に入れて進めてまいります。
 さまざまな取り組みを通じまして、都民や企業の皆様の意識を掘り起こしまして、緑を植え、育てる取り組みを強力に推進してまいります。

○高橋(か)委員 積極的に企業などと連携して募金活動を行うとともに、都民や企業の緑への関心をより一層高めていただくようお願いいたします。
 最後に、緑あふれる東京の実現に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○吉川環境局長 今回の緑の東京募金は、先ほど部長が答弁をいたしました四つの事業を募金対象といたしまして、緑あふれる東京を再生させていくものでございまして、「十年後の東京」の具体化に向けて、極めて重要な取り組みでございます。また、高橋理事のお話にもあったとおり、この募金は協力をいただいた都民の皆様や企業の方々の関心を、街路樹など貴重な緑という存在に向けていただくとともに、その緑を植え、育て、守る取り組みへの継続的な参加を促す仕組みでもございます。
 我々、環境行政を担い、緑施策を推進する環境局といたしましては、関係各局と十分に連携をいたしまして、今回の緑東京募金を行政と都民、企業との新しい協働の仕組みとしてはぐくみながら、緑のムーブメントを積極的に展開していく決意でございます。緑あふれる東京を実現させるというこの募金の趣旨に、都民を初め多くの方々のご賛同いただきたいと念願をしております。

○高橋(か)委員 改めていうまでもなく、緑は潤いをもたらし、人の心に安らぎを与える、都市になくてはならない大切なものであります。都民は、都市の緑化に強い期待を持っております。さまざまな取り組みにより、多くの都民、企業の賛同を得て、この期待にこたえていただくことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○原田委員 私からは、第百五十六号議案、いわゆる環境CBOの創設に係る、平成十九年度東京都一般会計補正予算案及び第百六十八号議案、緑の東京募金基金条例に関して質問をさせていただきます。
 これから持続可能な循環型の社会をつくっていくというためには、これまで社会の外部に置かれていたこの環境の要素というものを内部化していくということが必要なことであります。例えば、この金利という面でいえば、これまで環境リスクというものは、貸出金利あるいは社債の金利等の中にはなかなか反映されておりませんでした。これがきちんと金利の中に反映される、あるいは緑の持つ多面的な効能というものを考えれば、この緑の持つ効能を守るために、社会全体で広く、例えば税体系の中に組み込むといったような形でこの負担を考えていくといったことも、将来的には必要になってくるのではないかと思っております。
 そうした意味で、今回提出されている議案は、環境CBOにしましても、また緑の基金にしましても、この本来あるべき姿とは少し異なるような感じがいたします。まず、CBOについてでありますけれども、基本のCBOの中で、本来であれば、この環境リスクといったものが適切に評価されて金利が決定されるといったものが望ましいわけでありますし、また、緑づくりにつきましても、財源は募金といったようなものに頼るのではなくて、広く税金によって賄うといったことも考えていかなくてはならないというような性質のものだと思っております。
 もちろん、こうした今回の取り組みにつきましては、いわゆるマイノリティーの社会進出を助けるアファーマティブアクション的なものとして、一時的なものとして行うということについては評価できますけれども、本格的なその政策形成に向けてどのようにこの取り組みというものを発展させ、出口戦略をつくっていくかといったことが非常に重要になっていくのではないかと思っております。
 まず、そうした観点から、環境CBOについてお尋ねしますけれども、まず、現在のこのCBOの受け付けの審査の際に、そもそも環境の要素は、現在どのように扱われているのか伺います。

○長谷川環境政策担当部長 現在のCBOでございますけれども、中小企業に対する円滑な資金調達を行う一つの手法として実施しているものでございますので、現在のCBOを所管している産業労働局によりますと、環境の要素は審査要件には入ってございません。

○原田委員 現在、環境の要素は全く入っていないということですので、少なくとも今回の措置によりまして、この金融の制度の中に環境の側面というのが入ってくるといったことについては非常に画期的なもので、いいことだなと思っております。
 今回、この環境CBOの創設に当たって、都は五十億円という金額を予算に計上することとしておりますけれども、五十億円あれば、ほかにもいろいろなCO2の削減事業というものができるのではないかと思います。現在、ほかの事業で、都は幾ら予算を使っていて、何トンのCO2削減の成果を得ている、あるいは得る見込みであるのか伺います。あわせて、今回の五十億円で、実際に何トンのCO2削減を想定しているのか伺います。

○長谷川環境政策担当部長 十九年度予算におきます東京都全体のカーボンマイナス東京十年プロジェクトとして整理した予算額は、全体で七十六億円でございます。この中には、中小企業に対する技術支援などの各種の誘導策でございますとか、あるいは調査経費、あるいは普及啓発経費、都庁の率先行動など、さまざまな内容の政策を含んだものでございまして、都といたしましては、それらの取り組みを反映いたしました都内の温室効果ガスの排出状況を毎年調査によりまして把握していく予定でございます。
 なお、個別の施策の効果の事例としてでございますけれども、気候変動対策の一環として、平成十七年度から実施しております地球温暖化対策計画書制度による実績でございますが、平成十七年度提出の約千事業所の計画削減量、これは五年間の計画でございますけれども、約七十五万トンというようになっております。
 次に、今回CBOに投入する五十億円についてでございますが、まず、これは原則として社債償還時に戻る、東京都に戻るというものでございます。この五十億円を投入いたしまして環境CBOを創設するわけでございますけれども、一%以上、または四%以上という具体的な数値に基づきまして、中小企業に対しましては、事業所の単位でCO2削減を求めるということが可能となるものでございまして、こうした具体的な数値に基づく取り組みによりまして、直近の組成の規模から推計いたしますと、恐らく、少なくとも三百社程度の中小企業の参加を得て具体的にCO2の削減がなされ、都内全体のCO2排出量の約二割を占める中小企業のCO2排出の削減に寄与していくものと考えてございます。

○原田委員 今回、初めて中小企業に対してもこうした枠がはめられて取り組みがなされるといったようなことは非常に大きいと思いますし、また、そうした中で、これから具体的な取り組みをしていく中で、実際に経験則に基づいた削減の数値といったものが具体的には出てくるところかと思います。
 ただ、本当に当初予算七十六億円、全体で七十六億円というお答えありましたけれども、いずれ返ってくるものとはいえ、それに匹敵するような大きな金額を使うわけですから、しっかりと、どのような効果を見込み、また事後的にその効果がきちんと達成されたのか、成果が出たのかといったことを評価できる仕組みといったものが非常に大切になってくるかと思います。事業のスタートに当たって、そうしたことをきちんと考えておくということが、逆に、予算の段階でいろいろと絞るのではなくて、いろいろな創造的な取り組みを自由にやっていただくといったことにもつながってくるかと思いますので、こうした、しっかりと事前に計画を立てていくということについて、この政策ではもちろんですし、ほかのところでもご留意いただきたいなというふうに思っています。
 実際に、この通常のCBOの審査の際に、これまでは入っていなかったということですけども、社会情勢が変わって環境要素が考慮されてくるというような状況になってくれば、この環境CBOといったものは役目を終えるわけであります。というより、究極的な姿でいえば、企業が環境への配慮も含めて自前で持続可能な活動を展開していくようにしていく、そのための支援をしていくといったことが、本来必要なのではないかと思っておるんですけれども、この環境CBO、何年程度続けていく予定なのか、お伺いをいたします。あるいは企業によって、個別に利用年限を限るような措置は考えていらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 ただいま委員からご指摘のありましたとおり、中小企業を含めた企業全体が、自前で環境への配慮を含めた持続可能な活動を行っていくということが、いわば究極の姿であるというふうに考えてございますが、中小企業につきましては、省エネに対するノウハウ、あるいは設備投資に必要な資金の不足によりましてCO2削減が進んでいないという現状がございます。
 こうした中小企業に対しまして、具体的に省エネ対策を促進していく一手法として、このたび環境CBOを創設したところでございまして、この環境CBOの今後のあり方につきましては、今後、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの中で、中小企業におけるCO2削減対策を具体化して構築していく中で、そのあり方につきましても検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○原田委員 本当に総合的な取り組みというのが必要でございますので、さまざまな政策オプションの中で適切に最も効果が得られる、成果が得られる、そうした政策を選択していただきたいと思っております。
 次に、ちょっと具体的なことについてお伺いしますけれども、このCO2の削減を担保をしていくためには、事前の審査体制及び中間、事後のチェック体制の確立というものが非常に重要であると考えます。今回の環境CBOの創設に当たってはどのような審査体制で臨むのか、そして本来のCBOの審査とはどのような連携をとっていくのか伺います。

○長谷川環境政策担当部長 環境CBOの審査体制でございますけれども、従来からの企業の財務に関する審査のほか、CO2削減につきましては、事後のチェックにとどまらず、対策実施期間である三年間の間、環境CBOの取扱金融機関がCO2削減の履行がなされるよう、適切に参加企業に対しフォローしていくとともに、都といたしましても、現行の地球温暖化対策計画書制度などで培いましたノウハウによりまして、積極的に省エネ対策事例の紹介、あるいは対策実施への誘導などを実施することで、金融機関と適切に連携していくという所存でございます。

○原田委員 積極的な関与をしていただけるということで、実際に三年間の期間中、企業の活動の内容、あるいはCO2の排出が全く同じで推移する企業というのも中にはあるのかもしれませんけれども、例えばこのCBOによって得た資金というものをCO2が増加するような要因になるような事業に投資していくといった企業も出てくるでしょうし、途中ではいろんなことが想定されるかと思います。そうした中でも、きちんとこのCO2削減といった当初目標が担保されるように、これから具体的な取り組みに当たっては課題が多いかと思いますが、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 このCBOについてですけれども、産業労働局の方がアンケート調査をしております。二〇〇七年六月の東京都債券市場第八回債券発行政策効果測定報告書参加企業調査アンケート編というのがあるんですけれども、これについてCBOの条件面についてのネックとして、金利が高いと回答する企業が六六・七%で最も多いという結果になっておりました。そうした点では、この環境CBOということで金利が下がるということは、このCBOをこれまで使っていた企業にとってもネックを一つ解消するといったような働きがあるかと思います。逆にいうと、何でもかんでも環境ということでかこつけて、実際に成果が上がるのかどうか不安になってしまうといった懸念もされるわけでございます。
 また、さらにこれを詳しく見ていきますと、CBOの使途という部分で、何に使うかというところですけれども、手元の余裕資金にすると答えた企業が五六・三%と半分を超えております。適切な設備投資等が行われて、CO2削減がなされればよいのですけれども、環境CBOがまたこの余裕資金ということで手元に残っていては、なかなかその削減効果、高い効果を得るのは難しいかと思います。環境CBOと銘打つからには、適切に環境改善につながる投資がなされるよう誘導していかなくてはならないかと思います。
 こうしたことを考え合わせても、適切な審査体制の構築及び一定時間を経過した後になるかもしれませんけれども、この適切な事業全体の評価といったものが必要と考えますが、所見を伺います。

○長谷川環境政策担当部長 適切な審査と事後の事業評価ということでございますけれども、審査体制に関しましては、先ほどとちょっと重なる部分もございますけれども、参加企業のCO2の削減を確実に実施してもらうという観点から、企業との接点となる金融機関と東京都が連携いたしまして、参加企業に対しまして毎年エネルギー使用量を提出してもらうというような形でCO2削減の進捗状況を具体的に把握し、確認してまいりたいというふうに考えてございます。また、事業のあり方につきましても、成果の確認などを通じまして適切に検証してまいります。

○原田委員 多々課題はあるかと思いますけれども、初めて金融の中に環境という視点が入ったという意味では、画期的な仕組みだとは思いますので、しっかりとこの制度を育てて適切に運用していただけるように、これからさらにご努力を願いたいと思っております。
 次に、緑の基金条例に関してお伺いいたします。今回、また新たにその募金を始めるということですけれども、これまでも、この社会の中ではさまざまな募金活動があります。ちょうど今やっておりますけれども、赤い羽根の共同募金といったものもございます。これは平成十八年度で十四億九千八百九十九万余円、約十五億円、総額で集める規模の募金であります。こうした多くの金額を集める募金というものもある一方、募金というものは数少ない幾つかのものに集中してしまっていて、一般的に寄附の金額、募金の金額が多い社会とは日本は今なっていないのが現実でございます。
 実際、この東京都で緑化関係だけでも、東京都都市緑化基金、それから都立公園サポーター基金、花粉の少ない森づくり運動、そして緑の募金と四つの仕組みがあるわけでございます。都立公園サポーター基金に関しては、例えば平成十七年度では一千二百万円、それから花粉の少ない森づくり運動、これも私も花粉症議連の関係で参画をさせていただきましたが、二千二百万円、これは平成十八年度、こういった金額であります。赤い羽根の約十五億円という金額と比べると一%、それぞれ一%を下回る、あるいは少し上回る程度といった金額でございます。
 これらの仕組みもある中で今回新設されるわけですけれども、この既存の四つの緑関係の募金と今回の募金というのはどのような関係になるのでしょうか。特に、この募金の使途として海の森整備、街路樹倍増、校庭芝生化と並んでスギ花粉症対策を挙げておられますけれども、この花粉の少ない森づくり運動とはどのような関係として整理していかれるおつもりなのかお伺いいたします。

○小山参事 東京都に関連いたします緑の募金には、緑の東京募金以外にも、委員お話しの東京都都市緑化基金などがございまして、例えばこの基金では、東京都公園協会が民間企業や団体の緑化活動を助成するといいましたように、それぞれに実施主体や目的、募金の使途が異なっているところでございます。緑の東京募金の実施に当たりましては、都民、民間事業者の皆様にわかりやすい仕組みとするよう心がけてまいります。
 また、緑の東京募金のうち、スギ花粉発生源対策に寄せられました寄附につきましては、花粉の少ない苗木の購入に充ててまいります。

○原田委員 中では、所管する主体ですとか、あるいは使用目的においてさまざまな、あるいは厳密な区別がされているのかもしれませんけれども、一般の都民から見れば、緑関係ということで、その違いを理解するといったのもなかなか難しいことかと思います。わかりやすい広報活動をしていただきたいと思っております。
 この緑の募金の創設に当たりましては、額を集めるということも一つ大事なことでありますけれども、それ以外に、緑のムーブメントの展開が重要であるということをうたわれているかと思います。この緑のムーブメントを展開するためには、まさに都民や企業にとって、運動に参加しているということが実感しやすい仕組みとすることが大切であるかと思います。特に今回は、寄附を全額損金算入できるという法人税法上の優遇制度を活用するといったこともあって、企業、法人からの寄附といったもの、あるいは企業、法人に対する働きかけといったものが大きく取り上げられているかと思います。
 そうした中で、企業をターゲットにするのであれば、カーボンオフセットの取り組みなど、こうした企業の現在進めているさまざまな取り組みとの連動も考えていくべきかと思いますが、所見を伺います。

○小山参事 昨今、企業の社会的責任が強く叫ばれるようになってきてございます。企業の側にも、緑あふれる東京を再生するための緑の東京募金に賛同する背景が整ってきているというふうに考えてございます。募金の実施に当たりましては、都民、企業との幅広い協力が大切でございまして、カーボンオフセットなどの企業の取り組みを受けた連携も視野に入れて検討をしてまいります。

○原田委員 ぜひカーボンオフセットなどについても取り組みを進めていただければと思っております。
 この緑を守るために募金を活用するというわけでございますけれども、例えば他の都道府県では、和歌山県では紀の国森づくり税という名前で、森林を保全していくために県民全員で支えようといったような税金が出てきているかと思います。あるいは、ほかの県でも似たようなことをやっているところもあるかと思います。
 そうした中、都税調においても環境税制の導入についての検討が今なされているかと思いますが、この環境税制といったときには、いわゆるCO2の排出、温暖化にかかわる炭素税だけではなくて、こうした森林保護をするという意味での環境税制といったものも考え得るかと思います。
 仮に、こうした緑を守る、あるいは緑を育てるといった点での環境税制が導入された場合、既存の四つの緑関係の募金と、今回の募金というだけではなくて、この新しい環境税制ともまだ重複する部分というのも出てくるということも考えられます。あるいは今回のその緑の東京募金については、企業の寄附の損金算入を認める、全額認めるといったようなことで、非常に税法とも絡んでくる、税金の分野とも絡んでくるものとして、使いようによっては一つの大きな変化を起こすきっかけにもなり得るものでしょうし、また逆に扱いようによっては、これから議論されるであろう環境税制の行方といったものにもさまざまな影響を与えるものにもなるかと考えています。
 そうした点につきまして、今回の基金創設によって、この環境税制に関する議論についてはどのような配慮がなされているのか、いないのか、あるいはもし配慮がなされているのであれば、今回のその緑の募金運動といったものはどのぐらいの期間展開することを想定しているのか伺います。

○小山参事 環境税制につきましては、東京都税制調査会や、国におきまして税制全体の中で議論されることと考えてございまして、募金活動との関係につきましても、今後の検討の推移を十分見てまいりたいというふうに考えてございます。また、緑の東京募金を活用する緑の施策は、都民、民間事業者の方々との協働も視野に入れて進めてまいります息の長い取り組みでございます。期間を限定することにはなじまないというふうに考えてございます。

○原田委員 まさにムーブメントという意味での募金の持つ意味合いを考えれば、非常に息の長い取り組みとしてぜひ続けていただきたいと思いますけれども、既にある募金と違いまして、今回、全額損金算入を認めたといった画期的な部分がございます。そうした意味では、企業の納税行動にある種の選択権を与えるような仕組みにもなっているわけで、こうした点も踏まえつつ、この緑の基金というものを環境配慮型の東京をつくっていくいいきっかけにしていただければと思います。
 以上申し上げまして、私からの質問を終わります。

○松葉委員 緑の東京募金について質問いたします。私は、九月六日に行われましたビッグトーク「地球温暖化阻止!起こそう緑のムーブメント」を興味深く拝見いたしました。パネラーのニコルさんが、東京で緑をふやすということは、おしゃれでもなく格好いいことだけでもない、サバイバルです、生きるために緑をふやさなければだめですというふうにおっしゃっていましたけれども、大変に強い印象を受けました。東京都心部の平均気温は百年で三度上昇したといわれておりまして、ことしの夏もヒートアイランド現象そのままといった様相を呈しておりました。都市の緑をふやすのは、まさにこのサバイバル、生き残っていく、人類が生き残っていくためであると実感をしております。
 東京都がこれから始める緑の東京募金は、緑のムーブメントを起こしていくため、推進していくためにも有効な取り組みだと思っております。この募金が広がりを持つためには、わかりやすいこと、簡単に参加できること、皆さんが興味、関心を持ってもらうということが大事だと思います。自分のした募金の成果が目に見えるようになれば、緑の東京募金の周知も一層スピードアップすると思いますが、成果が見える取り組みとしてどのようなことを考えておられるのか伺います。

○小山参事 緑の東京募金の使途につきましては、寄附される方の意思を尊重いたしまして、募金を緑化事業ごとに管理し、指定された事業の実施と成果に結びつける仕組みとしてございます。また、緑の東京募金ホームページを開設いたしまして、募金の使い道と事業の成果をわかりやすく公表してまいります。

○松葉委員 本会議でも、吉川局長の答弁で、募金の対象事業を選択できるというお話がありましたけれども、これは都民の皆様が自分の意思を、緑化事業を選んで推進できるということで、賛同しやすいやり方であると思います。
 そこで、具体的に都民がどのような方法で使い道を指定するのか伺います。

○小山参事 緑の東京募金の募金方法でございますが、郵便振替を原則としてございまして、寄附される方には、その払込票を用いまして、募金を充てていく事業を指定していただくということを考えてございます。
 東京都は、こうした手続で収入いたしました募金を基金に積み立て、緑化事業ごとに管理し、事業実施の財源としていくものでございます。

○松葉委員 郵便振替の払込票で事業を指定するという、大変にわかりやすい方法だと思います。
 次に、募金に賛同していただくには、都の緑化の事業内容を理解していただくだけではなくて、東京都から、募金された方に何らかの感謝の意を表明するといいますか、顕彰することも大事ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○小山参事 この緑の東京募金に募金された方で、氏名公表にご同意いただけた方につきましては、緑の東京募金ホームページに氏名を公表させていただきまして、感謝の意を表するということを検討しているところでございます。

○松葉委員 東京都が感謝の意を表するということは、募金する側にとって、募金された方が、自分が、緑を植えて育てる取り組みに参加したという、そういうあかしにもなると思います。ぜひとも積極的なご検討をお願いしたいと思います。
 先ほどの答弁で、ホームページを使って募金の使い道、また、事業の成果を公表していくというお話がありましたけれども、一方的な情報発信をするだけではなくて、ホームページを活用して、募金をしていただける方とコミュニケーションを図っていくことも重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。所見を伺います。

○小山参事 都民や企業の皆様から広く募金への賛同を得るためには、わかりやすい説明が大事でございます。緑の東京募金に対する質問をメールなどで受け付けまして、ホームページで回答していくといった双方向のコミュニケーションにつきましても、ホームページの活用方策として考えてまいります。

○松葉委員 ホームページといいますと、インターネットを通じた募金活動も、最近では行われるようになってきております。
 先ほど、郵便振替の払込票ということでございましたけれども、いつでも、だれでも、どこでもということを考えますと、ネット募金の方法も、幅広い賛同を得るために有効な取り組みの一つと考えますが、所見を伺います。

○小山参事 インターネットを通じましたネット募金は、郵便局の営業時間などに制約されず、また、自宅からでも募金できるという、募金の入り口を広げる機能がございますことから、将来的に有効な募金方法と考えてございます。今後、募金活動を進める中でいただきます都民の皆様の声や、会計手続や、情報セキュリティー面などにつきましても念頭に置きまして、検討してまいります。

○松葉委員 具体的な募金の仕方についてやりとりをさせていただきましたけれども、こういった、細かいようですが、こういうやりやすく、わかりやすく、簡単に、またどなたでも参加できるという、そういう方法というものが、一つの運動を起こしていく、ムーブメントを起こしていく上では大変重要かと思います。そういう意味では、緑の東京募金を通して緑のムーブメントを起こしていくためには、共感ができて、わかりやすくて簡単で、そして一緒につくり上げていくという参加意識が大事だと思います。
 その意味から、都民や企業の多くの賛同を得られる、わかりやすく、受け入れやすい募金の仕組みづくりをしていただきますよう要望して、質問を終わります。

○河野委員 私は、付託議案三件について順次質問させていただきます。初めに、百五十六号議案、環境CBOについてお聞きします。
 まず初めに、三点お伺いします。第一です。環境CBOでは、利用企業のCO2削減目標を、一%以上の企業、四%以上の企業と二つ設定しております。この二つの削減数値をメニューに定めた背景についてご説明いただきたい。
 それから二つ目に、二酸化炭素、CO2削減を、京都議定書の削減目標とか、あるいは東京都のカーボンマイナス十年プロジェクトでは、二〇〇〇年比で二〇二〇年までに二五%削減、これを目標にしておりますが、この目標を実際に実現していくということであれば、CBOに参加してくる企業が、四%削減の目標を持ってもらうことが望ましいと思います。しかし、現実的に考えていくと、中小企業にとって四%削減というのはかなり厳しいものがあるのではないか、このように考えます。四%の削減目標を持つ企業がどのくらい見込まれるのか、この点についてお示しいただきたい。
 それから第三点、今回の環境CBOの事業によって、CO2の削減は、実際、どんな改善が図られるのか、環境CBOの実効性をどのように見通しておられるか、以上、三点についてお答えください。

○長谷川環境政策担当部長 削減率を二つ設定した背景ということでございますけれども、企業の実情によりまして、CO2削減への取り組みに相違があるというのが現状でございますので、より多くの企業に参加を促すには、個々の企業のニーズにこたえるメニュー立てを用意する必要があると判断いたしました。
 一%、または四%以上という削減率そのものについてでございますけれども、まず、一%以上の削減については、設備の運用対策を徹底するということで、達成が見込まれる数値でございます。また、四%以上の削減ということにつきましては、これを達成するために、運用対策に加えて、設備更新を伴う対策を講じる必要があるものと考えてございます。
 こうしたことから、四%以上の削減メニューを選択する企業、これが多いことに越したことはないわけでございますけれども、一%以上の削減メニューを選択した企業に比較いたしまして、社債発行利率の引き下げ幅を大きくするなどの誘導策を講じることとしてございます。
 それから、このCBOの導入により、どのような改善効果が図られるのかということと、実効性の担保でございますけれども、この改善効果につきましては、先ほど来、答弁いたしましたとおり、中小企業につきましては、大規模な事業所と比較いたしまして、なかなか自主的には、資金の問題、技術の問題等々で削減が進まないということがございますので、そうした中小企業につきまして、資金調達の機会をとらえて削減をしていただくという点で、具体的にCO2の削減を達成するという効果があるものと考えてございます。
 この実効性の担保についてでございますけれども、基本的には、参加企業みずから、このスキームへの参加意思を表明するというものでございますので、CO2の削減目標が未達成に終わるということはないものと考えてございますけれども、実績の確認を行うとともに、都としても、省エネ対策事例の紹介など、目標達成に向けた側面的なフォローを行ってまいります。

○河野委員 次に、デフォルトのことを伺います。制度融資などと比較した場合に、環境CBOも一定の割合で回収不能になる、そういうことが出てくるのは避けられないと思います。環境CBOでは償還不能、いわゆるデフォルト、これはどのように見込んでおられるのか、また、そのデフォルトが発生することについて、環境局としてはどのようなご見解をお持ちなのか、お答えください。

○長谷川環境政策担当部長 産業労働局に確認いたしましたところ、景気動向に左右されやすい中小企業のデフォルトの率を見込むということは非常に困難でございますけれども、直近の、この三月のCBOに関する格付会社のレポートによりますと、年率〇・三二%というふうにされているということでございます。
 これに対する見解ということでございますが、なかなか難しいご質問でございますけれども、このデフォルト率というのは、相当に低いものというふうに考えてございまして、今回の環境CBOにつきましても、同程度に低いものではないかというふうに見込んでございます。

○河野委員 年率〇・三二%ですね。だから、三年償還ということだから、三倍ということで、約一%ということになるのかなとは思います。
 CBOの利用企業についての問題なんですが、今、ほとんどが一定の経営力、資力を有している企業がCBOを利用されています。都の環境対策、この施策としては、CBOを利用できない、資本力が弱い中小企業への支援も求められるのではないかと私は考えます。環境局は、そういう問題については対策は進めておられるでしょうか。その検討方、お伺いします。

○長谷川環境政策担当部長 今回、環境CBOをできるだけ速やかに、二十年三月を目途に発効していくということで、補正予算を出させていただいたわけですけれども、中小企業は都内に六十万余りございまして、その経営力などもさまざまでございます。CO2削減についても、それぞれの実情に応じた対応策を構築していくことが重要であると考えてございまして、今後、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを具体化していく中で、施策を構築していくこととしております。

○河野委員 ぜひ、そういう資力が弱い事業所、経営者などへも支援を検討していっていただきたいというふうに要望しておきます。
 都の環境対策基金、五百億円の今後の活用、先ほども若干、ほかの委員からも質問がありましたが、私もお伺いいたします。「十年後の東京」では、二〇二〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比で二五%削減する、この目標があるわけですね。都の気候変動対策方針では、その実現に向けて五つの方針が示されています。大規模CO2排出事業所などへの削減の義務づけとか、再生可能エネルギーの積極的な活用などが掲げられています。
 こうした方針に基づいて、CO2削減、環境改善に、この五百億円の基金が有効に活用されていくことが望まれています。今後、五百億円の環境対策基金、環境CBOに五十億円と、今補正が組まれましたけれど、総体としてこの五百億円がどのように活用されるのか、対策を講じていかれる、その方向性についてご説明ください。

○長谷川環境政策担当部長 東京都気候変動対策方針は、現在、具体化を進めておりますカーボンマイナス東京十年プロジェクトの基本方針でございまして、これら提起した施策の中には、大規模CO2排出事業所に対します削減の義務化のように、条例に基づく制度として構築していくもの、あるいは今回の環境CBOのように、一定の予算措置が必要なものがございます。
 地球温暖化対策推進基金の活用につきましては、基金条例の地球温暖化に関連する施策の推進に要する資金に充てるという趣旨に沿いまして、今後、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの施策の具体化と並行して行われる予算編成過程の中で検討してまいります。

○河野委員 それでは次に、百六十八号議案、緑の東京募金基金条例についてお伺いします。条例案第二条に、基金として積み立てる額は予算で定めるとあります。基金の積立額が、現在の段階では、この条例案で明確になっていないわけですけれども、これから予算編成作業を進める中で、積立額、定められていくわけですが、どういう根拠で積立額が決まっていくのか、その根拠なるものをお示しいただきたいと思います。

○小山参事 具体的な歳入の見込みについてのお尋ねでございますけれども、寄附は都民、あるいは民間事業者の方々の意思による制度でございまして、その開始の前に募金額を的確に見込むことは難しいところでございます。今後、募金を開始してからの状況を見ながら、おおむねの見通しを立てていきたいと考えてございます。

○河野委員 それでは次の質問ですが、都が六月に発表しました緑の東京十年プロジェクトでは、東京に寄附文化をはぐくむ新たな緑の募金制度の創設が打ち出されています。その中に、都民、企業にとってわかりやすく、受け入れやすい制度として、税の優遇制度など、募金へのインセンティブをつけること、また、民間人の参加による実行委員会方式による推進体制、こういうことが掲げられています。
 先ほど、若干ご答弁もありましたが、税の優遇制度、あるいは実行委員会方式による寄附の募り方や募金基金の活用の仕組み、こういう問題について、この緑の東京十年プロジェクトとか条例を見ただけではなかなかわかりづらいんですが、具体的な構想についてこの場でお示しいただければと思います。

○小山参事 緑の東京募金は、寄附につきまして、全額損金算入できるなどの法人税法上の優遇措置を活用いたしまして、企業からも賛同を得やすくしてございます。また、今後、募金の実行委員会が中心となりまして、文化イベント、あるいはスポーツイベントなどとのタイアップなど、さまざまな工夫を凝らしまして、都民や企業の幅広い賛同を得ながら緑の東京募金を推進し、緑のムーブメントの展開に努めてまいります。

○河野委員 同じ緑の東京十年プロジェクトなんですが、その中に、今ある四十八万本の街路樹を、今後四年間で区市町村道の植栽も含めて七十万本にふやし、十年後には百万本にするとしています。それから都市公園も、区市町村の整備面積を合わせた目標値で、十年後に三百ヘクタールの公園ということで出ています。
 区市町村の施行する事業に基金を充当することになるか、これは今の段階で明確に示されていないわけですけども、都が現在の段階で、この募金基金を充てる事業はどのようなものを考えておられるのか、先ほど四種類ほどおっしゃっておられましたけれど、具体的に踏み込んでご説明いただきたい。
 それから、あわせて緑の東京十年プロジェクトを実現していく上では、これから区市町村、地元自治体との連携を強めていくことがとても大事になっていくと考えておりますけれども、その辺のご見解もお聞かせください。

○小山参事 募金を充ててまいります事業は、海の森の整備、街路樹の倍増、校庭の芝生化、スギ花粉発生源対策の四事業を予定しているところでございます。また、募金の充当の考え方は、苗木や芝生など、具体的に目に見える緑をふやしていくということでございまして、具体的な事業箇所等につきましては、こうした考え方を踏まえまして、「十年後の東京」の実現のための実行プログラムを策定していくという、この過程の中で検討を進めていくということとしているところでございます。

○河野委員 これから策定される、三年計画になるんですか、「十年後の東京」の実行プログラム、そこではもっと目に見えた形で、いろいろ今、私がお話を、お願いをいたしました市区町村との連携の問題なども明らかにされていく、そのように受けとめさせていただきたいと思います。
 それで、もう一点、緑の東京十年プロジェクトの関係で伺っておきます。プロジェクトでは、都市公園は、今後四年間で新たに百五十ヘクタール、これはさっきいいましたように、都立、区市町村合わせての面積ですが、さらに十年後には三百ヘクタールの公園整備となっています。緑をふやしていく全体像は、公園整備のほかに、校庭の芝生化で三百ヘクタール、民間の取り組みが恐らく主となるだろうと想定されます、屋上、壁面の緑化、それから、すき間緑化というんですか、駐車場などの都市空間緑化で四百ヘクタール、合計一千ヘクタールが目標に掲げられています。
 都民からの募金や屋上、壁面緑化など、民間の協力に頼る手法が大きくウエートを占めているような印象を受けるのですが、一方で、東京都自身が独自の努力による緑の増加目標をどのくらいに定めておられるのか、これがとてもわかりづらいんです。これから十年かけて一千ヘクタールの緑をふやす、この目標のうち、直接、都が責任を持とうとしている割合はどのくらいなんでしょうか、お答えください。

○浅川参事 緑あふれる東京を実現するためには、都のみならず、区市町村や都民、企業などの主体的な取り組みが不可欠でございます。緑の十年プロジェクトの基本方針では、都は区市町村と連携しながら、公園の整備を初め、街路樹の充実、都有施設の緑化、校庭の芝生化など、公共空間での取り組みをしっかり進めてまいります。また、公共空間以外の民間の敷地や建物につきましては、都民、企業が主体となって緑化計画書制度などに基づく緑化を進めるとともに、先進的な事業の紹介など、自主的な緑化の取り組みを促すこととしております。

○河野委員 先ほど、実行プログラムのお話もありましたので、きょうのご答弁は、そういうところで終わりなのかなということで、私もその答弁、この時点ではやむを得ないのかなと思ってお聞きしておきます。
 東京の緑が減少し続けている、これは周知の事実です。我が党は本会議でも、例えば臨海部のあの広大な空き地を、海の、森の構想と一体化して公園、緑地にするなどを初め、緑を増加させるための提言を行ってまいりました。
 東京都の現状を見ますと、都市公園整備費、また、保全緑地の公有化の予算、こういうものが年々減額になってきています。緑を守る、ふやす取り組みは、遅々として進まずといってもよい状況が続いているという感じです。緑を守り、ふやしていくために、都の財政支出を含めてもっと積極的に、具体的な事業の構築を都民に示すべきと考えているんですけども、これはいかがでしょうか。

○浅川参事 緑の東京十年プロジェクトは、緑あふれる東京の再生を目指した全庁横断的な戦略的取り組みでございまして、現在、基本方針に基づき、プロジェクトの具体化に向けて、全庁を挙げて検討を行っているところでございます。
 基本方針では、先ほどご答弁申し上げたように、都は区市町村と連携しながら公共空間緑化を進めるとともに、民間の意識等につきましては、規制や誘導策などにより、都民等が主体となって、緑の創出、保全に取り組むこととしております。
 都の具体的な事業展開につきましては、今後、年内に策定いたします「十年後の東京」実現に向けた実行プログラムなどに反映させまして、その中で明らかにすることになります。

○河野委員 ぜひご努力をお願いいたします。私として、この緑の東京募金基金条例ですか、この問題について意見を申し上げたいと思います。都民や企業が参加して緑をふやすことは大事なことだと思います。同時に、都の努力も重要です。区部、多摩地域ともに、大型幹線道路の建設などで緑が大きく失われています。これまでの東京の都市開発のあり方を見直すとともに、都が責任を持って緑を守り、ふやす取り組みを強化されていく、その努力を求めて、この質問を終わらせていただきます。
 最後に、百六十九号議案について意見を申し上げます。これまで、この条例改正の前の問題ですが、承継についての規定がありませんでしたから、承継の際、新規に申請するときと同じような手続が求められておりました。しかし、条例改正で、この手続が簡略化されることになります。今、温泉問題で求められているのは、掘削や利用についての安全確保、これが最大の関心になっています。東京都は先月十一日に、可燃性天然ガスに係る温泉施設安全対策指針を発表して、安全対策強化の方向を打ち出しました。
 その中で、例えばすべての温泉施設が、可燃性天然ガスの濃度を年一回以上測定しなければならないということが定められておりますが、これを報告する義務づけはうたわれておりません。安全確認の仕組みの不十分さは、まだ残されていると思います。
 きょう、新聞報道等がありましたが、国も温泉掘削や利用の安全対策強化に向けての法改正を予定しているとのことです。東京都として、国に対し、万全の安全対策を法に反映するよう、引き続き求めていただくとともに、都としても一層ご努力していただくことを求めて、意見とさせていただきます。
 以上です。

○大西委員 私からは、緑の東京募金条例について要望を述べさせていただきます。生活者ネットワークとしても、これまで年々減りゆく緑に対して危機感を持ち、何といっても緑の確保や、それから緑被率向上のために、そのための基金や、それから緑の都市再生債等の提案をしてきたわけですが、今回、緑の東京募金がこういう形でできたということを、募金という仕組みを使いながら、緑化に向けた都民の意思を受けとめ、都民との協働で緑の施策を推進していくということで、一応、期待しております。
 しかしながら、やはりこの事業の具体的な使い道が、緑の、海の森の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化、スギ花粉発生源対策等の四事業に限られているということでは、物足りなさを感じております。東京に住む者は、特に多摩地域に住んでおりますと、本当に、地域の鎮守の森や、それから身近な緑地の確保をどうやってやるかということを迫られているわけですので、そこにも多くの市民との協働の動きがあります。
 できればこの募金を、もっともっとそういう面にも使えるように育てていただいて、そういうところに、また、その募金の種になる資金として与えられるような、そういうふうにもっと事業を拡大していけるようなものになっていけばいいなということを思っております。ぜひそういうことが実現できるようにということを要望しておきたいと思います。
 以上です。

○中山委員 最後の質問をさせていただきます。環境CBOについてお伺いさせていただきます。
 もともと産業労働局に、制度融資の中で環境ということでの融資枠があるわけですけれども、なかなか利用されていないという実態がありまして、基本的には相隣関係を基本原因としているものが多くて、近所の新しくできたマンションとか、そういうところの対応のために環境対応しなくちゃいけないということで、そういう制度の枠があるわけです。それですらも、やはりそこに、わざわざ環境のためにお金を借りて制度を改善していく、設備を改善していくとかは難しくて--私のところは足立区ですけれども、それだったらもう埼玉に引っ越しちゃうとか、そうやって立ち退いていってしまう工場とか企業があるわけです。
 そういう面では、先ほど来、資金調達の機会をとらえて、環境対策というものを促進していくための、CBOというものを考案されたと、大変素晴らしいことだと思います。企業の基本的な行動というものをよく分析して、その資金調達の機会に環境というものを加味していけば、よりよい条件で資金を調達できますよということの中で、結果的に、環境に対する取り組みができる企業をふやしていくということにつながるということで、大変すばらしいことだと思います。
 また、気候変動対策というのはまさに待ったなしの課題でございますから、そういう意味におきましても、二十年三月の機会に間に合うために、今回補正予算を組んで、中小企業のCO2削減を加速していくということについても、迅速な対応として評価させていただきたいと考えております。
 そうした認識に立った上で、環境CBOの内容や効果について、少し掘り下げて質疑をさせていただきたいと思います。環境CBOは中小企業向けの事業ということでございますけれども、一言に中小企業といっても、先ほど来出ておりますように、都内には六十万余の企業が存在しており、規模や資金力、業種などさまざまでございますが、今回はどういった企業を対象としてとらえていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 環境CBOの対象となる企業でございますけれども、社債を発行する企業でございますので、中小企業の中でも中堅規模の経営力、財務体力のある企業が中心となるものと想定してございます。
 産業労働局が行いました参加企業の属性調査によりますと、直近の第八回の平均の資本金でございますけれども、約六千万ということになってございまして、小規模のところもございますけれども、やはり比較的大きい規模のところが多いということがうかがわれます。また、参加企業の業種についてでございますけれども、過去のCBOの実績から見ますと、サービス業、卸売業、製造業及び不動産業が比較的多いという状況でございますが、多岐にわたってございます。
 こういった企業、特に規模の面から見ますと、企業の社会貢献向上に対しましても強い関心を払っているという場合が多いということで、CO2削減に積極的に取り組む企業が集まる可能性が高いものと考えてございます。

○中山委員 今ご答弁によりまして、環境CBOにより、CO2の削減に取り組むであろう企業の具体的なイメージというものがよくわかった次第でございます。
 CBOに参加する企業は、投資家の興味、関心を引くような魅力ある社債を発行できる財務体質が求められるわけであります。当然、CBOの場合は、一社で社債を発行する場合に比較すれば、参加する側の企業としても、掛け値が低くて済むわけでありますけれども、発行するCBO全体の商品価値が余り落ちてしまっても困りますから、そういう面では、審査に合格して、参加して差し支えないという企業を選ばなくてはいけないということも確かでございます。
 財務体質という点では、通常の制度融資よりもCLOの方がより財務体質がよいものを求められる。さらにCBOはその上の水準を求められるという点がございまして、そういった意味では、残念ながら、CBOという形式をとる場合には、参加できる企業の数としては限られてしまう。
 しかし、中小企業全体としては、CO2の削減が大変おくれているわけでありますし、また、ある程度の大きな企業にとってみれば、CO2の削減ということについての意識もあるわけですから、そこの取り組みをより本格的に促していくという意味での、大変重要な役割でございます。
 ただ、参加できない企業に対して、環境CBOの対象外となる企業についても、今後とも積極的な支援策をご検討いただきたいというふうに要望させていただきます。私としましては、環境CBOにおける環境局の取り組みの経験、知見、ノウハウというものが、そういう環境CBOに参加できない企業が取り組んでいくCO2削減努力の業務評価ですかね、そういうようなことについて生かされていくんじゃないかという面で期待しておるところでございます。
 さて、今回の環境CBOでは、より多くの企業の参加を呼び込むため、地球温暖化対策推進基金から、五十億円を活用して参加企業の社債発行利率を引き下げるとのことでありますが、具体的にどの程度の利率低減が見込まれるのかについてお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 CBO参加企業が発行する社債の利率でございますけれども、投資家の利回りと金融機関の手数料及び証券化費用で構成されてございまして、今回の環境CBOでは、東京都が無利子で債権を引き受けるということで、投資家利回りを軽減して、企業の社債発行利率を引き下げるということになってございます。
 環境CBOの参加企業の数や、あるいは社債発行時点の社会経済情勢によりまして、金利動向は変動するため、利率の低減効果に関して精緻な値を示すということは困難でございますけれども、過去のCBOの実績から参加企業数を見込んで試算した場合、平均して約一%程度の利率低減が見込めるものと考えてございます。これは、金額に換算いたしますと、平均的な社債の発行規模、これは一企業当たり約七千万ということになりますので、この一%の三年分ということで、平均二百万円程度の低減効果があるものと想定してございます。
 この一%という数字は、参加しようとする企業にとりましてはかなり影響力のある数字というふうに考えてございまして、中小企業の積極的な参加を促すインセンティブとしては大きいものと考えております。また、より多くのCO2削減に取り組む意欲のある企業に対しましては、利率低減の幅をさらに大きくするように、現在、制度設計を行っているところでございます。

○中山委員 今お話がございまして、平均的な社債の規模からいって、大体二百万円程度の負担軽減効果というものがある。私もこれは大変企業にとりまして、魅力が大きいと感じております。その分だけ、金利負担を心配しなくて資金調達ができるわけでございますから、安心であります。
 先ほど、デフォルトという話がございましたけれども、投資家にとっても、その分だけある面で企業の負担が少なくて済むわけですから、そういう面では、きちっと安心した資金運営というものが回転していく仕組みになっていくんではないかというふうに思っております。
 こうしたインセンティブによりまして、具体的にCO2削減が進むことを期待しております。環境CBOは、こうした参加企業による直接的なCO2の排出削減のほかに、どのような効果が期待できるのかをお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 環境CBOは、これに参加する企業のみならず、企業に資金を拠出する役割を担う投資家、あるいはスキーム全体をコーディネートする金融機関と一体となって、CO2削減を推進する仕組みといえるものと考えております。
 環境CBOでは、これまでのCBOと同様、都民向けに債券を販売することを予定しておりまして、都民もCO2削減に取り組む中小企業への資金供給の担い手といたしまして、地球温暖化対策の一翼を形成することになるものでございます。
 また、金融機関においても、こうした取り組みに関与していくことによりまして、みずからのCSRの向上、社会的責任の向上につながるということだけではなくて、地球温暖化対策が新たなビジネスチャンスとしてとらえられることで、東京都が進めている環境投融資の拡大要請といった、環境金融の充実にもつながっていくものと考えております。
 こうして企業や個人など、社会全体を巻き込んだ広範なムーブメントを醸成することができるのではないかというふうに考えてございます。

○中山委員 ただいまスキーム全体をコーディネートする金融機関と一体となってCO2削減を推進するという答弁がございました。これは画期的な取り組みではないかと私は思います。環境局にかわって、金融機関の営業の方が、金融商品の販売促進の取り組みの中で、この環境CBOを推進してくださるということです。せっかくCO2削減の新規事業のメニューを整えてみても、参加してくださる中小企業の数が少なく終わってしまってはと心配しておりましたけれども、その促進舞台まで整えて、事業スキームを立ち上げたということは、大変立派な取り組みだと思います。
 ご協力をしてくださる金融機関の社員の方々の取り組みいかんで、今回の環境CBOの事業の実施効果が大きく左右されていく可能性があります。ぜひ中小企業の社長さんたちにとってわかりやすく、環境対策への意欲や興味、関心を引き出しやすい説明がなされますよう、心がけていただけるよう、お願いしたいと思います。中小企業の社長さんにとられては、一枚書かなくてはいけない書類がふえるだけでも、やろうかやるまいかということを選択する上では大きな要素になるんではないかと思います。取り組みのマニュアルの作成、改良、共同の研究会などを断続的に開催していただいて、意見の交換を図りつつ、また、金融機関から環境CBOの説明を実際に受けた社長さんたちからの反応や感想も踏まえつつ、より実効、効果の高い取り組みを目指してくださるよう要望させていただきます。
 ところで、都民が投資家という立場で環境CBOを購入する場合は、単なる資金の運用にとどまらず、環境にも貢献できるという役割を果たすことができることになります。したがって、環境CBOの販売は、参加する企業にとってみてももちろんそうなんですけれども、都民に対しても、地球温暖化対策をPRする絶好の機会となり、上手にPRしていけば、都民の間に広範な省エネルギーのムーブメントを巻き起こすことができると期待しております。
 そこで、こうしたムーブメントをより大きなものにしていくためにも、今回の環境CBOにより多くの中小企業が参加してもらうことが重要であります。そのため、中小企業の募集窓口となる金融機関や区市町村にも、積極的に協力を依頼していくことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○長谷川環境政策担当部長 委員ご指摘のとおり、CO2の排出削減に、より多くの都民や中小企業の参画を促していくためには、中小企業と密接なつながりを持つ金融機関や、あるいは地元の区市町村と連携していくということが有効なことと考えております。今後、環境CBOの実施を含め、さまざまな機会を通じまして、実際に企業との接点となる金融機関や、中小企業にとって最も身近な存在であります区市町村との連携に努めてまいります。

○中山委員 環境CBOへの参加を促す取り組みについて、ご答弁によりましてよくわかりました。本来であれば、投資家である都民にとっても、私は、普通の社債を購入する場合より、税制ですとかいろんな面で優遇を受けられることを実現していくべきではないかなと考えておりますけれども、この点につきましては、関係機関との検討も含めて、視野に入れておいていただきたいということを要望させていただきます。
 ともかく、環境に協力することが先進的であり、社会貢献的なライフスタイルとして、広く都民の関心を呼び、どうせ資金運用するなら、環境に貢献できる金融商品を買いたいと、そういう都民がふえていくことを期待しております。
 今回の環境CBOは、中小企業の省エネ行動を促す大変意義のある施策でございますが、これを含め、CO2削減は、多くの都民や事業者が強く意識して取り組まなければ、なかなか進むものではありません。今後の取り組みについて、最後に局長のお考えと決意をお伺いして、私の質問を終わります。

○吉川環境局長 私が環境行政を担当するようになりまして、四カ月経過したわけですが、担当するようになって常々考えることが三つございまして、一つは、効果的、効率的な仕組みづくり、それから技術開発、あと、意識改革というか、そういう三点を考えております。今、中山委員のお話を伺っていて、その意識改革に絡んで、私は、自覚して行動するということが極めて大切なんだなというふうに改めて思いました。
 そういう意味で、大幅なCO2削減を達成していくためには、我々行政は、直接的なCO2削減に寄与する個々の施策を着実に推進していくことは当然のことといいますか、もとよりでありますが、都民お一人お一人、また事業者の方々が自主的にCO2削減に取り組むという意識の高揚を図ることが、何よりも不可欠であるというふうに認識をいたしております。また、加えて、暮らしや仕事の中で、省エネや節電への気づきが得られるようなムーブメントの醸成も、非常に重要であるというふうに思います。
 こうした観点に立って、都は、企業の業種別の省エネ対策の普及などの従来からの取り組みを、もちろんのこと一層強化していくとともに、今回の中小企業の皆様に向けた環境CBOの創設を初め、また知事から記者会見でも発表していただきました--私も家に一個購入しましたけれども、家庭での白熱球の一掃作戦、ぜひ先生方もご協力いただきたいと思いますが、その白熱球の一掃作戦の全面展開、それから、今月十月は、皆様方ご案内だと思いますが、全国で三千団体、何と五百万人の方々が参加して展開されている、買い物に行ったときのレジ袋を断るグリーン購入一斉行動というムーブメントがありますが、これに都庁としても参画をすることとしております。
 これらいずれにいたしましても、今後とも、都民や事業者の皆様がCO2削減を強く意識し、効果を実感できる施策の構築並びに積極的な推進に努めてまいります。

○中山委員 今の吉川局長のお話を聞いて、大変感動いたしました。ますます環境局の皆様のご発展をお祈り申し上げますともに、二十一世紀環境都市としての東京の将来を切り開いていただくためにご尽力をお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十六分散会

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