環境・建設委員会速記録第九号

平成十九年九月十四日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小磯 善彦君
副委員長斉藤あつし君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事大西由紀子君
理事相川  博君
原田  大君
河野百合恵君
松葉多美子君
中山 信行君
きたしろ勝彦君
高橋 信博君
くまき美奈子君
臼井  孝君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
参事浅川 英夫君
参事小山 哲司君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)中 環境局所管分
・緑の東京募金基金条例
・温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・温泉の可燃性ガスに対する安全対策の検討状況について
 建設局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・妙正寺川整備工事(激特-一)請負契約
・妙正寺川整備工事(激特-二)請負契約
・妙正寺川整備工事(激特-四)請負契約
請願陳情の審査
(1)一九第一〇号 落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願
(2)一九第二〇号 ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地である砂ノ浜海岸での工事計画中止に関する陳情
(3)一九第二一号 西東京市の北原交差点東側の交差点へのスロープ式歩道橋設置に関する陳情
(4)一九第二三号 ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地に近接する道路新設工事等の中止に関する陳情

○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、環境局関係の報告事項の聴取並びに建設局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、また報告事項につきましては、本日説明聴取の後、質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、環境局長より紹介があります。

○吉川環境局長 八月十六日付の人事異動により、新たに説明員となりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 緑化募金担当参事の小山哲司でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○吉川環境局長 平成十九年第三回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成十九年第三回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 今回提出を予定しております案件は、予算案一件と条例案二件でございます。
 一枚おめくり願います。初めに、平成十九年度一般会計補正予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 補正予算計上額は五十億円でございます。補正事業は環境CBO(環境社債担保証券)でございます。
 中小企業のCO2削減を推進するため、環境CBOの創設に必要な経費といたしまして計上しております。
 続きまして、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 まず、(1)、緑の東京募金基金条例案についてでございます。
 緑あふれる都市東京を再生する施策の推進に要する資金に充てるため、都民を初め広く一般から募った寄附金を活用し、新たに緑の東京募金基金を設置するものでございます。
 次に(2)、温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 温泉法の一部改正により、土地の掘削、湧出路の増掘または動力の装置の許可を受けた地位の承継の規定が新設されたため、承継の承認申請に関する手数料に係る規定を定めるものでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き環境政策部長から説明をさせていただきます。よろしくご審議のほど、お願いを申し上げます。

○加藤環境政策部長 平成十九年第三回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、平成十九年度一般会計補正予算案でございます。
 お手元の横長の資料2をごらんください。平成十九年度一般会計補正予算説明書に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりください。歳入予算総括表でございます。
 補正する款は繰入金でございまして、地球温暖化対策推進基金繰入金五十億円を計上してございます。
 次に、二ページをお開き願います。歳出予算総括表でございます。
 補正する項は環境管理費、目は環境政策費でして、五十億円を計上してございます。
 次に、三ページをごらんください。歳出の内訳になっております。その右側の説明欄をごらんください。
 補正事業は環境CBO(環境社債担保証券)でございます。中小企業の資金調達を支えるこれまでのCBOにCO2削減の視点を取り入れて、環境CBOを創設するに当たり必要な経費を計上するものでございます。
 なお、補正の財源は、先ほどの地球温暖化対策推進基金からの繰入金でございます。
 以上、平成十九年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げました。
 次に、条例案につきましてご説明申し上げます。
 資料3をごらんください。緑の東京募金基金条例案についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 一、制定理由でございますが、緑あふれる都市東京を再生する施策の推進に要する資金に充てるため、都民を初め広く一般から募った寄附金を活用し、新たに緑の東京募金基金を設置する必要があるためでございます。
 二、制定案の内容でございますが、基金の設置について規定するほか、積立額、管理、恐縮ですが二ページをお開き願います、運用益金の処理、処分及び繰りかえ運用等、基金の取り扱いに関する事項について規定してございます。
 三ページをごらんください。三、条例の施行期日でございますが、東京都規則で定める日としております。
 四ページから七ページは本条例案でございます。
 続きまして、資料4をごらんください。
 温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、温泉法の一部改正により、土地の掘削、湧出路の増掘または動力の装置の許可を受けた地位の承継の規定が新設されたため、承継の承認申請に関する手数料に係る規定を定める必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、まず(一)、申請する手数料の名称についてでございます。
 土地掘削、湧出路増掘または動力装置の許可を受けた地位の承継の承認申請手数料でございます。
 次に(二)、手数料の額についてですが、九千七百円でございます。
 次に(三)、徴収時期についてですが、承認申請のときでございます。
 二ページをお開きください。
 三、条例の施行期日でございますが、平成十九年十月二十日からとしております。
 三ページから四ページは本条例案、五ページは新旧対照表でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○小磯委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中島自然環境部長 温泉の可燃性ガスに対する安全対策の検討状況につきまして、資料5に基づきご報告いたします。なお、資料6は、東京都可燃性天然ガスに係る温泉施設安全対策暫定指針(案)本文でございます。
 東京都は、去る六月十九日の渋谷区松濤の温泉施設における爆発事故の直後、温泉事業者に対する換気の徹底等の注意喚起や、東京消防庁と連携した温泉施設の現場調査などの緊急対応を行うとともに、庁内各局、警視庁、東京消防庁及び外部の専門家で構成する検討会を設置し、検討を重ね、このたび暫定指針案としてまとめたものでございます。
 まず、策定の趣旨でございます。
 現在、国は温泉法の改正を検討しておりますが、改正法の施行までにはなお時間を要すると聞いております。一方、事業者に対する事故の再発防止に向けた取り組みが一刻も早く必要なため、本暫定指針案を策定いたしました。
 なお、現在、警視庁及び東京消防庁が鋭意事故原因の究明を行っておりますが、現時点で事故原因の発表はなされておりません。
 したがいまして、今後、事故原因や温泉法などの関係法令の改正内容などを踏まえまして、本格的な指針を策定してまいります。
 次に、概要でございますが、本暫定指針案は現時点の知見をもとに、温泉施設の安全の確保に必要不可欠な対策を具体的に示したものでございまして、掘削から採取、廃止に至るまで、各段階の安全対策を規定してございます。
 まず、温泉井戸の掘削時の安全対策につきましては、平成十七年六月に策定いたしました現行の要綱を基本に、新たに井戸と敷地境界との間に一定の距離を確保することなどを規定いたしました。
 また、採取時の安全対策は、この暫定指針案で新たに規定したものでございますが、その内容は、換気設備の能力やガス漏れ警報設備の設置場所、定期的な可燃性天然ガス濃度の測定、温泉安全管理者の選任及び安全管理マニュアルの作成、温泉施設管理者の変更があった場合などの関係者間の情報の確実な引き継ぎなどを定めております。
 さらに、廃止時についても、安全に温泉井戸を埋め戻すことを新たに定めております。
 なお、暫定指針案につきましては、都民や事業者のご意見を聞きながら、十月中旬の施行を予定しております。
 次に、二ページをごらんください。関係機関及び庁内各局の連携による安全対策の推進についてでございますが、これは関係各局が、こちらの資料にも記載してございますように、各法令に基づき本来の目的に応じて行う指導や立入検査の際に、安全対策についても付加して指導啓発を行うものでございます。
 また、この取り組みを日常的かつ着実に機能させるため、関係各局による常設の連絡網を構築するものでございます。
 以上、ご説明いたしましたような暫定指針案による事業者指導の徹底に加えまして、関係機関が連携して事故の再発防止に努めてまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小磯委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対して、何かご質問がありましたら発言を願います。

○高橋(か)委員 私から、報告事項であります温泉施設の安全対策に関連してお尋ねいたします。
 去る六月十九日の事故発生以来、環境局が直ちに緊急対策を実施し、事故の再発防止に取り組んできたことは、大いに評価するところであります。事故原因は現在調査中とのことでありますが、報道によると、温泉のくみ上げに伴い流出する可燃性天然ガスに起因して発生した可能性が高いと指摘されております。
 現行の温泉法には、可燃性天然ガスに関する安全対策の規定がなく、法改正を含めた安全対策が喫緊の課題となっております。
 そこで、温泉施設の安全対策について国はどのような動きをしているのか、まずお伺いいたします。

○中島自然環境部長 国におきましては、六月二十九日に温泉に関する可燃性天然ガス等安全対策検討会を設置いたしまして、事故防止策の具体的内容について検討を進めておりまして、昨日第五回目の検討会が行われたわけでございますけれども、その中で中間報告が公表されたところでございます。
 この中で、温泉掘削時の安全対策につきましては、既に東京都が定めている温泉掘削等に係る可燃性天然ガス安全対策指導要綱を参考にすることなど、温泉の掘削時及び採取時における安全対策の基本的な考え方を述べ、国に対しまして早急に法制度の整備を行うことを促しております。
 今後、国は、この中間報告を踏まえまして、温泉法改正案を策定して、今般の臨時国会に上程していくと聞いております。

○高橋(か)委員 国では、ようやく温泉施設の安全対策の方向性がまとまり、温泉法の改正はこれからとのことでありますが、そうした中で、都が発表した可燃性天然ガスに係る温泉施設安全対策暫定指針案について、その意義を伺います。

○中島自然環境部長 先ほど申し上げましたように、臨時国会で温泉法が可決、成立したといたしましても、詳細な技術的基準というものにつきましては、今後さらに検討することとなっておりまして、改正温泉法の施行までにはまだ相当な時間を要するものと思われます。
 こうした状況におきまして、きめ細かく安全対策を規定いたしました東京都としての暫定指針案を策定、公表することによりまして、事業者に安全対策の重要性について認識をしていただき、一刻も早い事故の再発防止に向けた取り組みを促すことができるものと考えてございます。

○高橋(か)委員 都としては、先ほどの答弁にもあったように、引き続き国の動向を注視し、万全な安全対策が構築されるよう、この暫定指針などをもとに、国に対して積極的に働きかけてほしいと思います。
 さて、都内の温泉施設に目を向けますと、都内には現在百四十八カ所の温泉施設がありますが、暫定指針の対象となるのは、島しょ部にある施設を除く百九カ所とのことであります。
 このような既存の施設に対して、今後、暫定指針に示された取り組みをどのように促していくのか、伺います。

○中島自然環境部長 事業者がみずからの責任におきまして事故防止に取り組むことが基本でございますけれども、各温泉施設におきまして、安全対策に取り組む温泉安全管理者を育成するため、東京都が安全講習会を開催してまいります。
 緊急時の処置など、安全対策の基本的な事項を定める安全対策マニュアルにつきましても、東京都がひな形を作成し、安全講習会等で提供してまいります。
 また、暫定指針をもとにいたしまして、関係機関や庁内各局が連携をいたしまして、事業者に対して指導啓発を行ってまいります。

○高橋(か)委員 ただいまの答弁にもありました温泉施設の安全対策についての関係各局等の連携についてでありますが、私も、縦割り行政を乗り越え、横に連携して安全対策に取り組んでいくことが重要だと思います。
 そこで、関係各局等の連携をどう具体的に行っていくのか、伺います。

○中島自然環境部長 環境局からは、温泉法に基づく許可や指導の段階ごとに、関係各局に対しまして温泉施設の設置計画や可燃性天然ガスの安全対策に関する情報を通知することによりまして、これらの情報を共有してまいります。
 環境局、福祉保健局、東京消防庁、総務局及び都市整備局で、具体的な情報提供の方法や内容及び提供を行う時期などにつきまして覚書を取り交わし、常設の連絡網を構築して確実に情報を伝達し、効果的な指導啓発を行ってまいりたいと考えてございます。
 具体的には、環境局に事業者側から温泉掘削の事前相談があった場合は、関係各局等に情報提供を行いまして、例えば都市整備局では事前に温泉施設の建築計画を把握した上で、建築確認申請時において、本来の指導に加えまして、安全面の指導啓発も行うことが可能になるものと考えてございます。

○高橋(か)委員 温泉における爆発事故を防止するためには、関係各局等の連携も大切でありますが、それぞれがその役割をきちんと果たしていくことが基本となると思います。
 環境局は、これまでの温泉施設に係る安全対策の取り組みにおきまして重要な役割を果たしており、引き続き環境局には大いに期待しております。
 最後に、温泉施設の安全対策の推進につきまして、局長の決意を伺います。

○吉川環境局長 今回の事故におきましては、とうとい三名の方の命が失われ、また、通行されていた方を含めて八名の方々も負傷されております。その重大さを深く認識をいたしております。
 私どもが今回、今後の対応を進めるに当たりましては、こうした人命の大切さをまず第一に据えて取り組んでいきたいと考えております。
 また、都内で現に運営されている温泉施設の利用者の方々、その従業員の方々、そして、その温泉施設の周辺住民の皆様の不安を取り除くことが大切でございまして、そのために事業者に対しましてこれまでも呼びかけ、指導してまいりましたけれども、事故の再発防止に向けました安全対策の具体的な取り組みが一刻も早く徹底されるよう、今回策定をいたしました暫定指針によりまして、指導啓発を強化してまいりたいと思います。
 今後とも、高橋理事がお話しされたように、関係機関や庁内各局がそれぞれの役割をきちんと果たすとともに、私ども環境局が扇のかなめとなり、関係機関や各局と一丸となって事故防止に取り組んでまいる決意でございます。
 よろしくお願いいたします。

○高橋(か)委員 局長の答弁にもあったとおり、温泉施設の安全対策を推進するには、関係各局や東京消防庁が一丸となって取り組むことが不可欠だと思います。
 悲惨な事故が二度と繰り返されることのないよう、環境局が積極的な役割を果たすことを強くお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○斉藤委員 報告について、要望、意見を述べさせていただきます。
 今回配布された資料5の方を見ますと、今回、暫定指針の案の策定については、今後、事故原因の究明や温泉法等の改正内容などを踏まえ、本格的な指針を策定していくということです。
 ただ、冒頭の方の口頭説明で、事故原因の究明については現在東京消防庁並びに警視庁の方で調査をしている最中ということで、まだ最終的な発表はないという説明がありました。
 確かに、私も消防職員時代に火災調査、事故調査をやりましたけれども、特に死者が多数出たような事故の場合は、その調査についてはかなり克明に調べるために非常に手間がかかりますし、また同時に時間もかかります。恐らくそういった点で、なかなか最終的な原因の発表がないのではないかというふうに思われます。
 ただ一方で、そういった中で、今回環境局がそういった事故調査とはまた少し違った視点で、環境局ならではの手法で全体の概要をつかみ、また事故の原因を考えて、そしてその上で、暫定ながらも指針を早い時期に発表したことについては、策定にかかったことについては、大変評価できるところなんだと思います。
 今回、報道のレベルではありますけれども、非常に密集地の、狭隘な面積の中にこういった温泉施設をつくるという、大都市ならではの事情が入っていると思います。国レベルで温泉法を改正する場合に、全国一般的にいえば、どちらかといえば温泉というのはゆったりした場所でつくられているケースが多いですので、こういったものは、東京を中心とする大都市ならではの背景があったかと思われます。
 したがいまして、今後本格的な指針を策定する際に、こういった東京の事情を踏まえた上で、また、さらに今後出てくる警視庁及び東京消防庁の発表の事情を踏まえて、そういった結果を本格指針の方に生かしていただいて、策定に努力をしていただきたいと思います。
 私の方からは要望ということでお願いいたします。

○中山委員 私の方からも、今、高橋かずみ理事から詳細なお話ございました事情を踏まえて、追加でお伺いしたいと思います。
 六月十九日に松濤の温泉施設で、温泉に含まれる可燃性ガスによると思われる爆発事故が発生いたしました。この事故の発生時に、温泉施設の利用者の方を初め、周辺住民の皆様が大きな不安を抱かれて、温泉施設の安全対策に早急に対策を講じることが強く求められたところでございます。
 先ほどもお話ありましたように、環境局が局長以下率先して事に対処されましたことは、大変評価させていただきたいところでございます。
 そのような中、可燃性天然ガスの爆発事故を再発させないため、国の法改正を待たずに、都が独自に暫定指針案を策定したことは、大変すばらしいことだと思います。
 一方、国は七月二十四日に、温泉施設において発生する可燃性ガスに関する当面の暫定対策を公表しましたが、今回、都が策定した暫定指針案は、国の暫定対策と比べるとどう違うのか、その点をお伺いいたします。

○中島自然環境部長 環境省が示しております暫定対策でございますけれども、これは事業者が当面講じるべき安全対策につきまして、十分な換気、それからガス検知器の設置、火気の使用禁止、安全担当者の配置、新設施設の屋外設置の五つの対策を示してございますけれども、具体的な方法は事業者の判断にゆだねられたものでございます。
 これに対しまして、東京都の暫定指針案は、温泉井戸の掘削時から稼働時、廃止時まで、すべての段階におきまして事業者が速やかに安全対策を講じられるよう、具体的かつ詳細に規定した内容のものでございます。

○中山委員 今のお話がありましたように、事業者の方は当然、こういう事故が起きました直後ですから安全にやりたいと、だけどどうやったら安全なのかということがわからないというのが、正直なところじゃないかと思います。
 そういう点にこたえて、都が具体的にこうやることが安全のための手はずとして大事なことですよということを示された、すばらしいことだと思います。
 次に、暫定指針案の内容について、質問いたします。
 今回の暫定指針案では、新たに廃止時の措置として埋め戻しに関する規定が盛り込まれております。埋め戻しの方法によっては可燃性天然ガスが漏れてしまう可能性もありますため、都としてもしっかりと指導を行っていただきたいと思います。
 しかし、事業者が倒産などで必要な措置を講ぜずに事業を廃止してしまうということも考えられなくはありません。そういったことによって、埋め戻しがなかなか進まないケースも出てくるのではと、心配しております。
 そのような場合どう対応するのか、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 ただいま中山先生からご指摘いただいたケースにつきましては、現時点ではかなり難しい課題であるというふうに受けとめております。
 ただ、昨日示された国の安全対策検討会の中間報告におきまして、井戸を廃止する場合やあるいは過去に廃止された場合でも、必要な安全対策を講ずべきであるというふうにされておりまして、このことを法的に担保する制度を含めまして、私ども国の検討状況の推移について注意深く見守ってまいりたいと考えております。

○中山委員 都会で温泉施設が運営されている場合も、チェーン店とかでやはり引き続き事業を営むということがあって、夜逃げするとかいうことはないと思うのですけれども、場合によってはそういうことが発生しないとも限らず、そういったときにやはり法的な規制がないと、これは捜査機関とかの協力を得ませんと対応ができませんし、またそういう強制も行えないということになりますので、ぜひともこの点を強く要望、お願いしたいと思います。
 温泉法の許可につきましては、土地の掘削やポンプの設置は環境局の主管ですけれども、前回の質疑でも明らかになりましたように、温泉を公共の浴用などに利用する場合は福祉保健局が主管となります。
 温泉を公共の浴用などに利用している場合は、福祉保健局が年に一回くらいですかね、立入検査を実施し、事業者に対しての指導を行うことになりますが、マンションや住宅に--最近ではマンションとかでも温泉を掘削して、各居住者の方に温泉を提供していますよというようなことをうたい文句にしているところがありますけれども、そういうところに対しては、温泉を公共の浴用には利用しない施設ですから、立入検査の指導についてどこがどのように対応するのか、この点、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 マンションの場合でございますけれども、この場合でも、共同浴場を持つタイプのマンションにつきましては、現在、福祉保健局が立入調査を行っているということでございます。
 ただ、各世帯の浴槽に給湯するタイプのマンションですとか、あるいは戸建て住宅に対する可燃性天然ガスの安全対策につきましては、環境局がこの暫定指針案に基づきまして、指導を行ってまいりたいと考えております。

○中山委員 そういった点、どうしても既存の仕事分担の中でははっきりしなかったというところについて、今回環境局が積極的にお引き受けされたということは、大変ありがたいことだと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 都は、暫定指針案についての説明会を開催して、今後普及啓発を図っていくとのことでございますけれども、都内の温泉施設が都の取り組みにきちんと対応しているのかどうか、呼応しているのかどうかということは、都民の非常に高い関心が寄せられております。
 そこで、温泉施設の利用者や周辺住民の皆様の不安におこたえするためにも、事業者の積極的な取り組みを促すためにも、今後予定される説明会に参加した事業者名を公表してはいかがかと思いますけれども、所見をお伺いいたします。

○中島自然環境部長 私ども説明会におきましては、事業者の安全に関する意識を高めていくために開催するものでございまして、これに参加することが、まず事業者が主体的に安全対策の取り組みを進めていくための第一歩であると考えております。この中で事業者との意見交換も十分行いまして、東京都の取り組みに生かしてまいります。
 説明会の参加者の公表でございますけれども、事業者の自主的取り組みを促すための一つの有効な方法であると考えておりまして、今後検討してまいります。

○中山委員 次に、関係機関及び庁内各局の連携による安全対策の推進について、質問させていただきます。
 都は、各局連携の取り組みを行うため、常設の連絡網を構築するとしています。先ほど高橋かずみ理事からも、まずは各局それぞれの立場でしっかり取り組んでいただくことが大事だというお話がございました。私もそのとおりだと思います。今回のこういう仕組みを構築すること自体も大変すばらしいことなんですけれども、肝心なのは、形を整えたとしても、実際その連携の効果が機能するのかどうかという点が大事であります。
 そこで、この連携の手法についてどのように工夫されていくのか、お伺いいたします。

○中島自然環境部長 例えば関係局で共通の確認調査票を作成いたしまして、それぞれが所管の法令に基づく立入検査を行う際に、この調査票をもとにいたしまして、各温泉施設の安全対策の状況をチェックするとともに、事業者に対しまして安全対策を呼びかけてまいります。
 また、関係各局がこの結果を共有いたしまして、これをもとに重点的な立入検査を行ったり、あるいは関係機関とともに合同立入検査を行うことができると考えております。
 こうした取り組みによりまして、事故の未然防止に向けた迅速な対応を進めていくものでございます。

○中山委員 ぜひ、確認調査票等による情報の共有化ですとか、あるいはそういったことに基づいての合同立入検査等の判断を的確に行っていただいて、連携の効果を上げていっていただきたいと思います。
 我が党は、事故の翌日に、都に対し都内の温泉施設の総点検、温泉掘削時や営業時における安全対策に万全を期すことに加えて、法律等の不備についても十分検討していただくよう、緊急の申し入れをさせていただきました。
 都も、庁内検討会において、国への提案要求についても検討されたものと思いますが、昨日の国の安全対策検討会においても、温泉法改正の方向が示されました。
 しかしながら、今後も国における温泉法改正の検討状況や、安全対策検討会における技術的基準の検討状況も見きわめて、都も積極的に国に働きかけていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 東京都も、国におきます安全対策検討会のメンバーにもなっておりまして、これまでの安全対策につきまして、法的整備を求めてきたところでございます。
 この結果、昨日公表されました安全対策検討会の中間報告におきましても、相当程度東京都の主張が盛り込まれていると考えております。
 今後も、温泉法改正の動向につきましては十分情報収集に当たるとともに、技術的基準の検討などにおいても東京都の意見が反映されるよう、働きかけをしてまいります。
 また、さまざまな機会をとらえて、国に対する提案要求を行ってまいります。

○中山委員 都の職員の方が国の検討会に出席されて、実質的に国の改正論議をリードされていると、すばらしいことだと思います。都庁は一地方の役所ではなくて、いろいろな先輩方がいろいろな機会に強調されますけれども、首都公務員であると、そういう面では、国の重大問題についても大変大事な役割を担っているという面で、今後ともぜひ環境局が中心となって、温泉施設の対策の推進に積極的に取り組んでいただいて、このような事故が二度と起きないようにご努力をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○河野委員 六月に起きた渋谷区のシエスパの爆発事故は三名の方が死亡されて、衝撃を与えました。
 東京都は、平成十七年に起きた北区浮間の温泉掘削中の火災事故を契機にして、温泉掘削については可燃性ガス安全対策要綱を定めていましたけれども、加えて今回、温泉の採取、利用、そして廃止の各段階の安全対策を、まだ暫定ということではありますが、指針として定めることになったのは、貴重な対応だと思っています。
 この指針の内容に関して、幾つかの問題について質問をさせていただきます。
 まず、安全を強めていくということで二点、伺っていきたいと思っています。
 指針の段階では、工事安全対策管理責任者を選任すること、また、温泉施設においては温泉安全管理責任者を選任することとなっています。選任された人は、当然、研修や講習を受けるということでありますが、その内容についてはどうなのでしょうか。
 指針の目的には、温泉に含まれる可燃性天然ガスに起因する爆発等による事故の未然防止を図り、もって都民の生命、身体及び安全を保護するとなっていますから、本来なら、危険物取り扱いのように、国家試験で資格を取得するような重みを持っている、そういう安全管理責任者の位置にあると思うのです。
 そのような認識のもとで、こういう方々について東京都が研修や講習、その努力がされるのでしょうか。

○中島自然環境部長 ただいま河野先生がおっしゃいました国家資格でございますけれども、これにつきましては、現在のところ、そういった温泉に関しての資格というものはないわけでございます。
 ただ、私どもが考えております講習会におきましては、一般の防火管理の知識に加えまして、可燃性天然ガスの物理的、化学的特性ですとか、あるいは爆発のメカニズム、それから過去の爆発事故事例、それから安全設備の役割ですとか点検方法など、かなり理論と実際の両方向を知識として付与いたしまして、そして、現場において温泉安全管理者が実際に使えるものにしていきたいというふうに考えております。

○河野委員 次に、メタンガスの濃度測定について伺います。
 掘削時についてはメタンガスの濃度測定、毎日記録ということが書かれています。掘削の際、ガスの噴出の可能性が高くなる温泉井戸の坑内を洗浄する作業段階では、一時間に一回以上記録となっています。
 一方で、温泉採取開始後、すなわち温泉施設の稼働施設が始まった段階では、すべての温泉施設者は毎年一回以上測定、そして、ガス含有温泉を利用している温泉施設者は毎月一回以上測定となっています。
 シエスパの事故のことに照らしても、一カ月に一回程度の測定で安全が保証されるのか、心配に思うわけですけれども、どうして月一回以上という基準になるのでしょうか。
 いつの間にかガスが滞留するという可能性は十分にあるわけですから、ガス含有温泉利用施設の場合は常時測定を行う、このことをしてもらうのが望ましいと私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 ただいまご指摘がありましたように、営業時につきましては、可燃性ガスが発生するおそれがある場合、あるいは発生している場合につきましては、一カ月に一回以上ということで、最低限のレベルとして規定しております。
 一方、掘削作業の段階でございますけれども、この洗浄段階におきまして、可燃性天然ガスが大きく変動いたしまして、噴出ですとかあるいは引火するおそれが大きいことから、高頻度に測定することとして規定しております。
 ただ、月に一回以上ということで定めておりますけれども、実際には、可燃性天然ガスの発生するおそれのあるそうした設備を屋内に設けている場合につきましては、換気につきましては一定の能力以上の換気で、常に屋外の空気と交換するようにということで、事故防止対策については、そうしたものとあわせて安全が図られるように考えているところでございます。

○河野委員 この常時測定の問題については、これからまだ検討をする課題が残っているかなということを感じていることを申し上げておきます。
 次に、この指針の実効性に関連して、何点か伺いたいと思います。
 これまで掘削は要綱で安全対策が講じられてきましたが、今回示されているのは指針であります。指針は、法や条例と違って強制力を持ちません。掘削許可を申請する事業者や掘削工事事業者が指針どおりに安全対策を実施しない、その場合には罰則の規定はありません。
 六月の委員会で、私、発言いたしましたが、私の住む江戸川区で温泉つきのマンションが建設されて、掘削申請がされました。これまでの要綱では、掘削の許可申請をした者は、申請後速やかに工事現場に定められた事項を記した標識を設置するとなっていましたが、私が見たこのマンションの場合は、残念ながら標識が設置されたのは相当後になってからでありました。また、地元自治体に聞いたところ、温泉掘削計画が知らされていなかったということもありました。
 こうした状態に照らして考えると、今回示された指針で安全対策は大丈夫なのかという不安もわいてきます。
 そこでお伺いいたしますが、指針が示している安全対策を掘削、採取、廃止の各段階できちんと実施させる、その上でどのような方策が講じられるのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
 そして、地元自治体や周辺住民にも、その場所に温泉掘削の計画があることをできるだけ早く知らせる仕組みをつくり、安全対策を強めていく、そうしたことを進めていくことが望ましいと考えるのですが、いかがでしょうか。

○中島自然環境部長 これまでにも私ども掘削の事前相談があった段階で、地元自治体に対しまして情報提供を行ってきたところでございますけれども、今後につきましては、文書等で通知するなど、確実性を期してまいります。
 それから、現行の指導要綱におきまして、掘削の許可申請後速やかに標識を設置することと定めておりまして、環境局では申請後に現地調査を行い、標識の設置を指導しております。
 要するに、いろいろな、それぞれの情報提供を的確に行っていくことによりまして、また関係局が連携して事業者に対する指導啓発を重層的に行って、実効性を高めてまいります。

○河野委員 この点でも、努力をお願いしておきます。
 指針では、安全対策の指導に当たる東京都の責務が、私自身、ずっと全部最後まで目を通させていただきましたが、何か鮮明に浮かび上がってこないという感じを持っています。
 掘削、採取、廃止、この各段階で定める安全対策がきちんと取り組まれるか、これをチェックする責任が掘削許可をおろす東京都にあると思いますが、環境局として、この各段階でのチェック体制についてどんなふうな努力がされていくのか、伺っておきます。

○中島自然環境部長 各局がいろいろと連携して取り組んでいくことにつきましては、先ほど来申し上げているとおりでございます。
 その際に、環境局といたしましては、いわば情報の集約センターとしての役割を果たしていきたいというふうに考えておりまして、そうしたことによりまして、各局がそれぞれ本来的に行う、例えば立ち入り指導の際に安全指導についても積極的に行っていくというふうな体制にできると考えております。

○河野委員 ごめんなさい、もう一回確認させていただいていいですか。
 掘削、採取、廃止と、各段階に分かれていきますよね。そこにそれぞれ環境局として安全確認のさまざまな対策を講じていくと、そういうことでよろしいのですか。

○中島自然環境部長 先ほどもお答えいたしましたように、建築確認の際ですとか、段階段階で、例えば建物の完成時点にも情報を集約してそれに対しての情報を共有して、そして共同して安全確認といいますか、安全指導に当たっていきたいと考えております。

○河野委員 それで、この暫定指針の取りまとめは、検討会議が設けられて、知事本局や環境局など六つの局と警視庁、消防庁などが連携して論議がされてきたと聞いております。
 暫定指針の実施に当たっては、環境局、福祉保健局、消防庁、都市整備局が連携して取り組むということは、先ほど来ご答弁にもありました。この各局の連携を強めることが指針の確実な実施、安全対策に不可欠な問題だと思っています。
 そこで伺っておきますけれども、例えば都市整備局は建築確認の申請、完成検査の立ち入り、その役割を受け持っていくということがここに書いてありますけれども、今、建築確認の七割近いものが民間の機関で行われていると聞いております。
 そうした場合に、例えば施設を設置する人が都市整備局で建築確認などを行わないということは当然考えられることで、その場合は、都市整備局がかかわることが事実上はできないということになるのではないでしょうか。
 防爆構造の確認とか、いろいろ都が十分に点検しなくてはならないわけなんですけれども、そうしたいろいろな民間との関係とかも重ね合わせて考えて、関係局の連携はすべての分野、すべての施設に確実に取り組みがされていくのか、ここについてはどのようなお考えをお持ちですか。

○中島自然環境部長 私ども、今、暫定指針案を策定したばかりでございまして、これから都民の皆さんですとか事業者の皆さんにも十分意見を聞いて、そして来月中ごろには施行したいというふうに考えてございます。
 その検討会の中では、まずは足元からといいますか、そうしたところから確実に固めまして、そして民間のいろいろな機関に対しましても、今後協力を働きかけてまいりたいと考えております。

○河野委員 他の委員もおっしゃったので、ぜひご努力をお願いしておきたいと思っています。
 廃止について、一点伺っておきます。
 東京の温泉の掘削は、深さ五百メートル以上の大深度掘削がこのところかなりふえている、これは新聞報道でもいわれています。一千メートルを超える本当に深い掘削井戸もあるわけですが、こうした大深度の井戸を埋め戻す場合にどんな方法が講じられるのか、これもお示しいただきたいと思います。
 一千メートルは深いですから、しっかりとした万全の埋め戻しがなければ、さっきもお話がありましたように、ガスが噴出したり地盤に支障が起こったりすること、これは当然考えられるのですが、埋め戻しの際の安全の基準、あるいは工法、その考え方についてご説明を求めておきます。

○中島自然環境部長 井戸の埋め戻しにつきましては、現在、一定程度確立されております、そうした埋め戻しの方法に従って指導していきたいと考えております。
 例えば、上部の方はセメントですとか鉄板で覆うことになりますけれども、ただいま先生からご指摘がありましたように、相当深いところまでセメントを数百メートル下のところまで流し込んで、そして最後に地表のところで鉄板やコンクリートで密栓をするということを考えてございます。
 いずれにいたしましても、いろいろな専門家の方のご意見ですとか、あるいは現在の考え得る知見といいますか、得られている知見をもとにいたしまして、安全な埋め戻しを指導してまいります。

○河野委員 中越沖地震とか中越地震でも液状化現象とかが起こって、マンホールがポーンと地面から何十センチも浮き上がってきたりしているということも考え合わせると、この埋め戻し問題も、十分なやはり研究なり検証なりが必要だということを私は感じておりますので、ぜひ局のご努力をお願いしておきたいと思います。
 次に、メタンガスについて伺います。
 メタンガスは温室効果ガスの一つで、今問題になっているCO2などに比べると何十倍も温室効果の力が強いガスであると聞いています。
 指針は三メートル以上の高さでこのメタンガスを排出するとしているわけなんですけれども、そして、温泉とガスを分離するセパレーターを備えて、ガスを分けて、メタンガスは空気中に放出されるということになるわけですね。
 しかし、こうして発生して放出されるメタンガス、すべて空気中に拡散されていくわけですから、地球温暖化防止といわれている今の時代に温室効果ガスの排出抑制、この方向では逆にそうじゃない方向、逆に温暖化を進めてしまう、こんなことが想定されるのではないかと考えるのですが、これはいかがでしょうか。

○中島自然環境部長 可燃性の天然ガスの主成分であるメタンガスでございますけれども、これを大気中に放出しないで、例えばメタンガスを燃焼させるとすれば、これは二酸化炭素となるわけでございまして、温室効果の低減にはなるわけでございます。
 しかしながら、また新たな火種といいますか、そういったことにもなるわけでございまして、安全対策との両立にいかにバランスをとっていくかということが課題になってくるわけでございまして、そうした観点から、この温室効果対策と安全対策が両立できるようないろいろな技術の動向ですとか、そうしたものについても注意深く見守っていきたいと考えております。

○河野委員 今のお話と関連して最後に質問させていただくのですけれども、東京都は密集した市街地であるわけですね。シエスパも渋谷の繁華街の中に設置されていました。
 三人の職員の方が亡くなられた痛ましい事故でしたが、まかり間違えばさらに周辺住宅や通行人の方にも被害が及んだ、このことは、私も現地に行って痛感をいたしました。
 東京は、地下に南関東ガス田が存在して、百メートルに満たない、そういう浅い掘削でもメタンガスが出てくる場所が幾つもあると聞いています。
 この東京では、こうした中で、毎年相当の数の温泉掘削がされています。平成七年の温泉井戸の数は八十四ということでありましたが、うち、大深度という数は十六になっています。
 ことし六月二十日現在の数値、見せていただきましたが、温泉全体の井戸の数は百四十八、このうち大深度は五十二ということですから、三分の一が大深度ということになっていくわけですね。
 この大深度がなぜふえていくかということは、地下に行くほど温度が高くなるから、温泉法の規定によって二十五度以上の水温が必要だということで、どんどん大深度がふえているのが実態だと思うのです。この掘られた温泉が、温浴施設やマンションへの各戸給湯など、営利のため、利潤追求のための目的で使われるということも多くなっています。
 これまでもずっと要望してまいりましたが、東京での温泉の掘削を、今、見直していくべきときに来ているのではないかということを、私は感じているのです。公共の利用に供すると判断できるもの以外は温泉掘削は制限していく、こうした思い切った対策が、貴重な自然の資源である温泉を守る上でも、都政の課題として急がれていると思います。
 先ほどメタンガスのお話で申し上げましたように、地球温暖化防止の問題、そして東京のまちの特徴を考えた温泉の安全利用など、さまざまな角度から検討して、この温泉の掘削抑制について何らかの東京都の考え方を打ち出していただきたいと望むものなんですけれども、これはいかがでしょうか。

○中島自然環境部長 この問題につきましては、利潤追求ということよりも、自然と人間による利用のバランスの問題といいますか、ある意味では永遠の課題といいますか、そういった課題でもあるというふうに私は思っております。
 そうした中で、一方で実際に痛ましい事故ですとか、あるいは地下の資源、地盤沈下等が起こっておりまして、こうした観点から、こうした問題については幅広く検討を加えていくべきというふうに考えてございます。
 東京都といたしましても、新規に温泉を掘削する場合につきましては、平成十年に温泉くみ上げ量の制限ですとか、平成十七年には温泉間の距離制限、あるいは個人利用に関する一定の制限ということで、独自の対策を推進しております。
 現在、国におきましても、温泉の資源の保護対策につきましてガイドラインを策定中ということでありまして、そうした動向についても、見守ってまいりたいと考えております。

○河野委員 環境局として、この事故、また、北区の浮間の火災事故も踏まえて、いろいろ努力されていることはわかりますけれども、やはり私は、今、都内において温泉の掘削、おっしゃった自然環境保全の立場から見ても、やはり見直しというのですかね、改めて検討を加えるべきときに来ているということは、強く主張しておきたいと思います。
 国が温泉法を、今回開かれている臨時国会で改正する方針であるということは、答弁にもありました。セパレーターやガス検知器の義務づけや、また安全義務違反に罰則規定を設けることなど盛り込まれる、こういう新聞報道も見ております。
 都としても、引き続き法改正に向けて必要なことはどんどんと国に要望し続けていただくことを、この機会に求めておきたいと思います。
 そして、福祉保健局の東京の温泉施設一覧を見ますと、公衆浴場、銭湯がかなり多く温泉施設の中に入っております。今、公衆浴場はお客さんの利用が減り、経営に大変苦労されているわけですが、こうした公衆浴場が今後安全対策が必要になってくる、そのときに、都として必要な支援策が講じられる、このことについても検討をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
 それで、暫定指針は、これまでの要綱から採取、廃止までの全過程の安全対策を打ち出したものとして私たちも評価いたしますが、まだ不十分だと感じられる側面も残されています。今後とも改善の必要があると感じていることを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○小磯委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、建設局長から紹介があります。

○道家建設局長 七月九日付の人事異動に伴いまして、新たに説明員となりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 道路計画担当部長の藤森祥弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○道家建設局長 平成十九年第三回定例会に提出を予定しております案件につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、妙正寺川整備工事(激特-一)など、契約案三件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○影山総務部長 それでは引き続きまして、平成十九年第三回定例会提出予定案件の内容についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1をごらんいただきたいと存じます。契約案についてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定している契約案三件の件名は、目次に記載してあるとおりでございます。
 契約案三件は、いずれも平成十七年九月の記録的な集中豪雨により、甚大な溢水被害が発生した妙正寺川において、流下能力を向上させるため、護岸の整備や河床の掘削等を行う工事でございます。
 なお、妙正寺川につきましては、河川激甚災害対策特別緊急事業が国土交通省から採択されております。
 一ページをお開き願います。件名は、妙正寺川整備工事(激特-一)でございます。
 工事場所は中野区沼袋一丁目地内から同区新井三丁目地内、契約の相手方は奥村・長田・片倉建設共同企業体、契約金額は二十二億八千三百七十五万円、工期は平成二十二年二月十八日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。案内図でございます。
 三ページをお開き願いたいと思います。本案件は、新栄橋上流から千歳橋下流までの区間を整備する工事でございます。
 工事延長並びに形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 次に、四ページをお開き願います。件名は、妙正寺川整備工事(激特-二)でございます。
 工事場所は中野区沼袋三丁目地内から同区野方二丁目地内、契約の相手方は森本・北野・河本建設共同企業体、契約金額は二十一億六千八百二十五万円、工期は平成二十二年三月二十六日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 五ページは案内図でございます。
 六ページをお開き願います。本案件は、千歳橋下流から三谷橋下流までの区間を整備する工事でございます。
 工事延長並びに形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 七ページをお開き願います。件名は、妙正寺川整備工事(激特-四)でございます。
 工事場所は新宿区西落合二丁目地内、契約の相手方はライト・関口建設共同企業体、契約金額は十三億八千四百九十五万円、工期は平成二十一年十月二十一日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 八ページは案内図でございます。
 九ページをお開き願います。本案件は、北原橋上流から四村橋までの区間を整備する工事でございます。
 工事延長並びに形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 以上で、平成十九年第三回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。
 どうぞよろしくご審議のほど、お願いします。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○小磯委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 一九第一〇号、落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高橋河川部長 ご説明申し上げます。
 お手元にございます資料2の請願・陳情審査説明表をごらんいただきたく存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、整理番号1の請願一九第一〇号をごらんいただきたく存じます。
 本件は、落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願で、東久留米市の落合川の小渓谷を保全する会会長、山口久福さん外千六百六十七名の方から提出されたものでございます。
 要旨は、都が施工する落合川整備工事(その十七)の計画では、地蔵橋の上下流合わせて約三百メートルにおいて新たな直線的な河道をつくり、旧河道を埋め立てる計画になっている。
 この工事計画を変更して、現在の河道を保持する、埋め立てない護岸工事としていただきたいというものでございます。
 落合川は、計画延長三・四キロメートルの一級河川で、現在、一時間五〇ミリの降雨に対応する河川整備を進めており、平成十八年度末現在の護岸整備率は九四%でございます。
 落合川整備工事(その十七)は、平成十八年七月二十一日に着手したもので、工事延長約三百メートルのうち百九十メートル区間については新たに河道を掘削し、護岸を築造いたします。また、現河道は埋め立てた上で上部を管理用通路として整備するもので、工期は十九年十二月二十日でございます。
 現河道は、護岸が未整備のため、大雨のたびに民地の浸食が拡大し、隣接家屋が危険な状態になっております。また、周辺地盤と川底の高低差が大きいことから、現河道を残す場合には新たに深い掘り割り護岸を設置する必要が生じ、良好な自然環境の再生ができません。
 このため、新河道においては緩傾斜護岸の設置により親水性を高め、さらに水生動物の移動や湧水の確保を行った上で、現河道の埋め立てを含む早期整備を行うことで、地元市、自治会、沿川住民の理解を得て着工いたしました。
 その後、地蔵橋下流の現河道について、東久留米市長より、市の責任で管理するので、隣接住宅の安全を確保した上で、技術的に可能な範囲について埋め戻しをしない河川として整備するよう要望があったことから、地元住民の理解を得て、最下流部の約四十メートルについて埋め立てずに水面を残すことといたしました。
 以上のことから、現在の計画に基づき工事を実施してまいります。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○高橋(か)委員 私から、請願一九第一〇号、落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願についてお尋ねいたします。
 本請願は、落合川の整備事業で、現河川を埋め立てず、湧水や水生生物などの自然環境を保持してほしいとの願意でありますが、私の住む練馬区の白子川沿いにも、かつてはわき水や池が数多く見られ、自然豊かな情景を醸し出してきました。
 その湧水が集まって形成された白子川の清流で、私も子どものころ遊んでいた記憶があります。貴重なわき水の保全、再生など、本来の自然豊かな姿を取り戻していくことは、重要な課題であると考えます。
 一方で、近年、集中豪雨や台風による水害が頻発しており、記憶に新しいところでは、一昨年、平成十七年九月四日の集中豪雨では、都内で六千棟を超える家屋などが浸水被害をこうむるという大水害になりました。
 かくいう私も、このときの浸水の被害者であり、被害に遭われた都民の皆様のお気持ちを察するに、一体いつになったら首都東京の都民は水害から解放されるのかとの思いを抱くものであります。
 河川の整備を促進して、一日も早く水害の危険を取り除くことがまず重要でありますが、同時に湧水や緑など、河川の有する自然を保全、再生する取り組みも、可能な限り積極的に進めるべきというのが私の考えであり、これまで主張してまいりました。
 そこで、お伺いいたします。
 都が河川事業を進めるに当たっての基本的な姿勢について、お伺いいたします。

○高橋河川部長 河川行政の根幹は、都民の命と暮らしを守ることにあります。都は、水害に強い首都東京を実現するため、中小河川において、一時間五〇ミリの降雨に対応できる護岸や調節池、分水路の整備など、さまざまな工夫により護岸整備を進めております。
 一方、洪水時を除きまして、一年の大半は河川の流れは穏やかであり、都市の潤いの場として極めて貴重な空間であると認識いたしております。
 今後とも、命と暮らしを守る洪水対策と整合を図りながら、豊かな水辺空間の創出に努めてまいります。

○高橋(か)委員 都が河川事業に臨む基本姿勢について伺いましたが、安全の確保と環境保全に関して私も同じ考えであり、頼もしい答弁を聞いて安心いたしました。その上で、今回の落合川の整備についてお聞きしたいと思います。
 昨日、この請願について質問するに当たりまして、落合川を視察してまいりましたが、改めて落合川の現在の整備状況について伺います。

○高橋河川部長 落合川では昭和四十七年から、一時間五〇ミリの降雨に対する護岸整備に着手し、平成十八年度末で延長三・四キロメートルのうち、九四%の整備を完了いたしました。現在、残る二百九十メートルのうち、百五十メートルの整備を行っているところであります。
 引き続き、平成二十一年度の完成を目指し、残る百四十メートルの区間につきましても整備を進めてまいります。

○高橋(か)委員 私は、治水対策は最重要の課題であると考えます。落合川における未整備区間は残すところわずかとなりましたが、予定どおりに全川が完成するよう、引き続き全力で取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、先ほど述べたとおり、河川改修においては豊かな水辺空間の創出も積極的に図るべきであり、治水と環境は決して相入れないものではないと思います。
 そこで、落合川においては、豊かな水辺空間の創出にどのように取り組んできたのか伺います。

○高橋河川部長 落合川は湧水が豊富で、多様な生物が生息しているなど自然豊かな河川であることから、洪水に対する安全を確保した上で、豊かな川づくりに取り組んでまいりました。具体的には、都有地や旧川を活用し、子どもたちが水辺近くで遊べる緩い傾斜の護岸や、ホトケドジョウなどの生き物に優しいよどみ、いわゆるワンドなどで豊かな水辺環境を創出し、好評を得ております。
 また、工事に当たりましては、ホトケドジョウなどの貴重な生物を下流に移しており、都の継続的な調査におきまして、その生息が確認されております。
 このようなことから、川の清掃や川遊びの会など、さまざまな河川愛護活動が市民主導のもとで長年にわたって行われております。こうした取り組みが評価され、平成十八年度には、国土交通省が主催した関東のいい川づくりベストテンにも選ばれております。

○高橋(か)委員 私も機会あるごとに、都における川づくりの話を伺い、また、昨年つくられた環境に配慮した川づくり事例集--これですよね、事例集なども見て、これまでの取り組みを評価するものであります。
 説明では、過去の落合川の整備では旧川を残した事例もあるとのことであります。この場所ではなぜ現在の川を残すことができなかったのか、そのあたりを詳しく伺います。

○高橋河川部長 河川事業は地形や背後地の状況などを勘案しながら進めていかなければなりません。本区間は周辺地盤と川底までの間に四メートルの高低差があるにもかかわらず、護岸が未整備でございます。そのため、大雨のたびに川岸が侵食され、隣接する家屋が危険な状態になっております。したがいまして、現河道を残す場合には、新たに深い掘り割り構造となる護岸を設置する必要が生じます。これでは動植物の生育など、良好な自然環境の創出ができないだけでなく、水辺に親しむ観点からも、上からのぞき込まなければ水面が見えないような水路が残るにすぎなくなってしまいます。このため、現河道については、透水性のある集水管を埋設し、湧水を確保した上で埋め立て、遊歩道として活用することにいたしました。

○高橋(か)委員 現河川には護岸がなく、また現場条件から、必要な護岸を設置した場合、自然環境が保全、創出できないとのことであり、視察もさせていただきましたが、説明を聞いてこのような整備案とした理由がわかりました。それでも一部の方々からは理解が得られていないということでありますが、地元住民の理解を得るためにどのように説明をしてきたのか伺います。

○高橋河川部長 平成八年に、市民や東久留米市及び東京都から成る川の交流会を設置し、整備内容や手法について意見交換会をこれまで四十三回開催いたしてまいりました。これに加え、地元自治会や近隣住民への説明を繰り返し、合意を得た上で着手したものであります。こうした経過を経て現在の工事を進めているものであります。
 さらに、埋め立てに反対されている一部の方々に対しましても、これまで十回以上説明いたしてまいりましたが、現在までご理解いただけない状況にあります。
 なお、本工事に関しましては、埋め立てに反対する要望がある一方で、地元自治会や近隣住民の方々から、東京都の計画どおり工事を行い、一日も早く完了するよう要望書をいただいております。

○高橋(か)委員 住民への説明の経過についてはよくわかりました。
 本工事は、自治会や近隣住民の理解を得て着手したとのことであります。ところで、地元市の要望により、現河川の一部について水面を残すと聞いておりますが、どのような内容か伺います。

○高橋河川部長 本工事着手後、東久留米市長から、市による管理を前提として地蔵橋下流で護岸や通路が設置でき、安全が確保できる範囲において水面を残してほしいとの要望がありました。この市長要望を重く受け、全体延長二百メートルのうち、比較的地盤の高低差が小さく、安全を確保しつつ水面を残すことが可能な最下流の約四十メートルの区間について、護岸を設置して水面を残すことにいたしました。

○高橋(か)委員 説明をお伺いして、都が治水事業に全力で取り組んでいるとともに、潤いのある河川環境の整備についても積極的に取り組んでいることがわかりました。
 また、本件工事の近隣住民から、現河川を残すことにより、現河川ののり面崩壊の危険性や、人目につかない場所へのごみの不法投棄の実態について心配する声も上がっていると仄聞しております。本整備内容は、こうした地域住民の不安にもこたえられる整備内容になっていると思われます。
 さらに、埋立整備案に至る技術的な方法論から見ても、地元説明などの手続面からも、手順を踏んでいることが確認され、都側の対応は適切であると考えます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○斉藤委員 それでは、請願一九の第一〇号の落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願について発言させていただきます。
 これまで地元の我が会派の都議会議員の方も一年近くにわたって、この川の工事について、担当の建設事務所の方とも協議を繰り返して、また、住民の側の話、意見も何度も聞いているというふうに伺っております。そういった中である程度、過去の経緯の中で疑問点を担当建設事務所の方に投げかけてはいたわけですけれども、最終的にこの段に及んでもちょっと逆に疑問が残るということで、当該議員の方も紹介議員の方として名を連ねているという経緯と伺っております。
 これまでいろいろやりとりが地元の方であったということで、私の方からは、採決に先立ってちょっと意見ということでさせていただきます。今回、実際、私もすぐ隣の市でございますので、現地を見させていただいて、防災上の理由から新しい河道を直線にして構築していくということについては、整備していくということについては、非常に理解ができます。既に工事の方も中途まで進んでいるということも、大変理解ができます。
 ただ、今回、この工事によって、古い旧河道の方が大半埋め立てられるということで、その部分については一部は残るわけなんですが、ただ、落合川全体が非常に湧水の多い川だというふうにも聞いております。そういう点では、どこから水がわき出しても何ら不思議ではないということから、極力、旧河道の方を残していただきたいという住民の気持ちも大変わかるところであります。
 また同時に、今回埋め立てを予定している部分、ちょうど橋のところから見ると西側に当たりますけれども、その部分について、擁壁が、大分侵食、多少劣化して、また、民地の侵食もあるというふうなことで説明ありますけれども、これまでは大雨が降った場合に相当の水量がこの場所に流れて、それゆえにどうしても、川底が深いということも含めて、周辺の侵食があったというふうなことも理解できますが、一方で、今回工事をすることによって、当然、その大量の水は直線の方の新河道の方に流れるということが予想されます。そうしますと、当然、この場所に対する水圧など、水量についてもかなり減るわけですので、そういった点ではかなり状況は違うのかなというふうな疑問が、住民の方々の疑問として残っても、何ら不思議じゃないと私も思います。
 そういった中で、過去四十三回でしょうか、説明会があったんですが、住民の理解という点で全員の方に理解ができない、ちょっと疑問が残るという点があるのもむべなるかなというところであります。
 また、当該の紹介議員の方も、そういった疑問から今回紹介議員として参与したというふうにも聞いております。
 今回の工事の趣旨というものについては理解ができますけれども、やはり自然の形を残してほしいという地域住民の願いというのは、これは当然でありますし、また、なるべく余分に埋め立ててほしくないというのも、これも当然かと思います。そういった意味で、きちんと、今回古い擁壁の部分をつくることによって十分対応できるということも当然想定されることでありますので、しっかりと今後十分な理解をさらに深めるという点から見ても、本請願については趣旨採択をしたいというふうに考えております。
 以上で発言を終わります。

○河野委員 私も、請願、落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事について質問させていただきます。
 落合川は東久留米市内を流れる三・四キロの河川ということですが、都がこれまで、五〇ミリの降雨に耐える治水対策として整備を進めてきたその整備の経過と現状について、流域全体がどんなふうになっているかということも含めて、ご説明をお願いいたします。

○高橋河川部長 落合川では昭和四十七年から護岸整備に着手して、平成十八年度末で護岸整備率は九四%であります。
 整備に当たりましては、平成八年から、市民、市、都から成る川の交流会において意見交換をしながら、環境に配慮した川づくりを進めてまいりました。例えば、地形上安全で適切な河川管理が可能であったことから、南神明橋付近では新河川の整備後も旧川を残すことができました。
 繰り返しになりますが、本工事区間におきましては四メートルの高低差があるため、現河川を残すためには新たな深い掘り割りの構造の護岸が必要となります。良好な自然環境の創出ができないことから、地元の皆さんと話し合って、遊歩道として活用することにいたしました。

○河野委員 自然のままの流れのまま残した、地形上そういうことが可能だった地域もあるということで、私もこの落合川流域を少し歩かせていただきましたが、かなりきれいな流れとして、そして護岸の傾斜もそれほどなくて、親水的な意味も含めて、きれいな流れが残されているところもあるんだなというのを感じてきました。がちがちのコンクリートで護岸をつくるということではないところ、自然のままに残っているところがあるというのを感じて帰ってきました。
 請願者の方々は、現在工事をしている約二百メートルの部分を、東京都が計画しているように埋め立てなくても治水対策は進められると主張しておられます。私も現地に行ってみて同じ認識を持ちました。
 東久留米の市議会では、貴重な湧水を守りたいと、こうした市民の要望に基づいて、ことし三月の議会で、地蔵橋下流については埋め立てないで湧水をそのまま新河川に流れ込む落合川にしていこうとの決議があり、東久留米市長も議会の決議を受けて都に要望された経過がある、このように聞いております。市議会、市長の要望、先ほども一定ご答弁はありましたが、これについて、市民の意を受けた市議会、ここが上げた決議を中心に、東京都はこれをどのように受けとめたのか、そしてどんな努力をされたのか、もう一度わかりやすくお答えいただければと思います。

○高橋河川部長 本年三月、東久留米市議会において、地蔵橋より下流の現河川は湧水の保全を最優先とした整備を求める旨の決議がされたと聞いております。
 都としましては、透水性のある集水管を埋設し湧水の確保に努めてきておりますが、東久留米市長より、市による管理を前提として、地蔵橋下流で護岸や通路が設置でき、安全が確保できる範囲において水面を残してほしいとの要望がありました。都としましてはこの市長の要望を重く受け、比較的地盤の高低差が小さく、安全を確保しつつ水面を残すことが可能な最下流の約四十メートルの区間について、護岸を設置して水面を残すことといたしました。

○河野委員 東久留米の市議会では、今私がご紹介しましたように、地蔵橋下流については埋め立てないで湧水を最優先に考えてほしいという決議が上がったということですが、そのほかにも市議会の中ではいろいろな意見があって、今もう既に土がいっぱい入っている地蔵橋上流部分も含めて、約二百メートルを全部もとのまま残してもらいたいという意見も数多くあると聞いています。
 今部長のご答弁をずっと伺っておりますと、市長も合意されたということで進められている工事かもしれませんが、実際は、市民はこれでは納得できないと意見を上げて、今回の請願に至っているのではないでしょうか。
 きょう、八月二十八日号の「SPA!」という雑誌を持ってまいりましたが、ここの三二ページに、「これは事件だ」ということで見開きで紹介されています。「東京西部にあるありふれた街の底に太古の楽園があった」ということで、湧水の大切さ、人間と自然の共生がここで本当に長年にわたって守られてきているということで、こういうところこそ今大事にしていかなくちゃいけないということを紹介しているんですけれども、落合川の問題では、この記事では、住民の方々四人とともに、これまでかつてなかった形で訴訟が起こされて、原告に落合川とホトケドジョウが加わって裁判を起こしている、こんなことも紹介されて、まことに珍しい裁判だと筆者の方はいっているわけです。
 こうした事態が起こっているわけなんですけれども、先ほどるるご答弁がありましたように、四十数回にわたっての話し合いとか、あるいは反対の意見を表明されている方にも十回以上粘り強く説明をしているとか、そういうことがあるんですが、やはり基本的に合意が形成されていないという点では、もう一度、私、建設局の姿勢について振り返ってみる必要があるんじゃないかというふうに感じているんですが、そこの点のお考えはいかがでしょうか。

○高橋河川部長 先ほどお話しいたしましたが、川の交流会におきまして意見交換会を行ってきたほか、地元自治会や近隣住民への説明を繰り返し行い、合意を得た上で工事を進めております。さらに、埋め立てに反対されている一部の方々に対しましても、これまで十回以上説明してまいりましたが、残念ながらご理解いただけない状況にあります。十分話し合いはしたと、このように考えております。

○河野委員 もう一つ伺いたいんですが、地蔵橋下流、今ご説明では四十メートル水面を残すということをおっしゃっているわけですね。この水面がどう残るかというと、私たちがいただいているこの資料では、川が水が流れるところをV字型で川床をつくって、そこに水を、管を引いてきて湧水を集めてきて流し込むという構造であります。要するにコンクリートかブロックか、あるいは石積みなどで雨どいのようなものをつくって水を流すのと同じことなんじゃないかと思うんです。
 こういう方式は、私が住んでいる江戸川区では七〇年代に古川親水公園という親水河川ができまして、ここが下水道が入るときに上を川にした。そして川床は全部コンクリートで囲って、上を浄化した水を流したということで、都会の中の小川をつくったということで評価が高まった時期がありました。この構造と非常によく似ているんですが、江戸川区ではその後幾つかの親水型の河川の公園をつくりましたけれども、この考え方を発展させまして、コンクリートなどで川床を固めない、そしてかわりに砂や栗石を何層にも敷き詰めて、魚類、虫類などの水生動物や数多くの水生植物が生き続けられる、自然の野川へとつくり方を発展させてきたわけです。
 説明資料にあるようなこういう川床の形状になったら、落合川で希少種のホトケドジョウは生息できるのかと心配の市民の皆さんの声が上がっているのは、私は当然だと思います。
 地蔵橋上流にワンドをつくってホトケドジョウを保護する、このこともおっしゃっておりますが、それではここを流れる水温、水質はどうなるのか。
 そして、今までのもとどおりの落合川だったら人が入らないような状態だったのに、水辺環境をよくするということで、傾斜が緩やか、緩傾斜な緑地をつくって人間が水辺により近く入りやすくなると、環境の変化が起こるわけですね。その場合に、希少種のホトケドジョウとかその他の動植物にどんな影響を与えるのか、検討されているのでしょうか。ホトケドジョウやその他の希少種、動植物についての保護、影響について、お考え、建設局はどうお持ちになっておられるのか伺います。

○高橋河川部長 整備に当たりましては、当然のことながら、新川の残す四十メートルのところの河床は自然河床でございます。コンクリートで固めていることはありません。
 整備に当たりましては、さらに自然環境の保全、創出に加え、親水性の向上も図ることから、人々が水辺に近づくことも想定しております。既に緩傾斜護岸を整備した宮下橋下流におきましても、多くの人々が集う一方で、ホトケドジョウなどの希少な生物の生息も確認されております。

○河野委員 宮下橋下流は、私も行きましたけれども、自然のままで、本当にアシとかいっぱい生えて、水生植物もいっぱいあって、今東京都が地蔵橋下流の四十メートルでつくろうとしている川床とは全く違いますよね。だから、ホトケドジョウも生きていけるんだと思うんです。
 部長、自然の川床をつくりますといっておられますけれども、ちょっと最後に確認させていただきますが、この黄色くV字型になったこの川床で、建設局の方は自然河床というふうに認識されてつくられていくのでしょうか、その点お答えいただけますか。

○高橋河川部長 まず、新川の川床でございますが、先生現地をごらんになったとおり、自然河床でございます。
 それから四十メートルの区間につきましては、流水による潜掘や崩落防止のため、護岸は必要でございます。河床は自然河床にいたします。

○河野委員 時間の問題もありますから、部長が今、河床は自然河床にするとおっしゃったことは重く受けとめて、私もご答弁を聞かせていただいておきますし、請願者の方々もそういうふうな部長のご答弁を記憶すると思いますので、よろしくお願いします。
 それで私、最後に意見を申し上げたいと思います。
 冷たい湧水がかれるおそれがある、これはさっきご紹介した「SPA!」の記事も指摘しております。落合川は何カ所からも湧水が注ぎ込まれる、本当に清らかな流れが保たれて、住民に愛されている川です。都内でも数少ない貴重な清流であることを、私自身が訪れて実感してまいりました。この川だからこそホトケドジョウも生息し続けることができたと、そう思います。埋め立ててしまえば環境は一変してしまいます。治水はもちろん大切で進めていただきたい問題でありますが、自然環境の保全、多様な生物と人間との共生を大事にする、これが時代の要請でありますから、建設局はそういう認識のもとに事業を進めていただきたいということを申し上げ、そして請願は採択していただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

○大西委員 私の方からも、この落合川の小渓谷を埋め立てない河川整備工事の施工に関する請願について、幾つか尋ねたいと思います。
 平成九年の河川法の改正では、もちろん治水、利水が一番大切、それに加えて環境保全も目的に加えられました。請願が出されている落合川は、先ほどからいわれておりますように、湧水が本当に日量三万トン、その湧水の約二〇%がここから出ているという場所であります。ここだけでなく、本当に多摩地域は地下水が豊富ということで、現に多摩地域の私ども住民は、水道水に地下水をブレンドしたおいしい水を飲んでいる、そういう場所です。だから、多分、二十三区の人たちと多摩の地域に暮らす私たちにとっては、この水、そして特に湧水に関するとり方が違うのではないかということがあるんじゃないかとも思っております。
 特に東久留米は、前にもこの地域の下流の方の都営住宅の建てかえのあのときも、いろいろ住民の皆様から要望がありまして、地下水をなるたけ守るというような構想がとられたわけなんですけれども、本当に水がめの上にまちができているような地形だと思っております。その意味では、この落合川は残された貴重な自然環境で、請願者のみならず、だれもこの地域を訪れた人は残したいと思って帰るのではないかということで、この請願を理解するものであります。そこで、環境に配慮した、そして請願者も理解できる護岸整備ができないかということで、改めて私の方からも聞きます。
 まず、この請願提出者である落合川の小渓谷を保全する会の方たちは、新たな直線的な川を否定しているのではなく、もとの蛇行した小川を埋め立てないで護岸工事を要望しているわけなんですが、その要望が受け入れられず、埋め立てなければならない理由について、再度お答えいただきたいと思います。

○高橋河川部長 繰り返しの説明になりますが、河川事業は地形や背後地の状況を勘案しながら進めていかなければなりません。本区間は周辺地盤と川底までの間に四メートルの高低差があるにもかかわらず、護岸が未整備でございます。そのため、大雨のたびに川岸が侵食され、隣接する家屋が危険な状態になっております。したがいまして、現河川を残す場合には、新たに深い掘り割り構造となる護岸を設置する必要が生じます。これでは動植物の生育など、良好な自然環境の創出ができないだけでなく、水辺に親しむ観点からも、上からのぞき込まなければ水面が見えないような、親しみのない水路が残ることになります。このため、現河川については、透水性のある集水管を埋設し、湧水を確保した上で、埋め立てて遊歩道として活用することとしたわけでございます。

○大西委員 本当に再度の答弁ですが、いうなれば、ここでは良好な自然環境を創出することができないから埋め立てるということだと思います。そして一方で、これまで東京都もいろいろな人たちと話し合ってきた、そして最終的には、大方、この落合川全体のこの工事については、本当に市民の人たちも納得できる川のつくりがずっと続いてきているということを一定評価します。残ったこの部分については、自然な環境を創出できないから埋め立てるんだという説明ですよね。
 落合川の保全する会からは代替案が提出されているようですが、どのようなものなのか、そしてなぜこの市民案が採用できないのか、あわせてお願いします。

○高橋河川部長 代替案といたしまして、地蔵橋の上流では、民地擁壁の基礎を潜掘から防護するための蛇かごや、のり面の侵食防止として多段積みかごマットが提案され、地蔵橋の下流では、計画洪水に満たないコンクリート護岸が提案されております。蛇かごや多段積みかごマットは、いずれも仮設や補助工法として用いるものであり、河川構造物としての強度や耐久性が不十分でございます。また、提案されたコンクリート護岸は、洪水時に対応した高さが不足しており、基礎の根入れもなく、不安定な構造であることから、採用できないものでございます。
 もちろん、代替案は国が定める河川管理施設構造令に適合しておりません。したがいまして、採用できません。

○大西委員 ここの東久留米市には東久留米市の湧水等の保護と回復に関する条例というものが、平成十七年六月、議員立法で出され、十八年から施行されております。湧水を埋め立てることはこの条例の理念を生かせないのではないかということで、この工事に関しては再度もっときめ細かな対応を求めているんだと思うんですけれども、これが確かに治水が何よりも大事なので、たとえこの条例があっても、ここは埋め立てなければいけないとお考えなのか、整合性についてどのように考えていらっしゃいますか。

○高橋河川部長 先生ご指摘の東久留米市の条例は、事業者に対しまして積極的に湧水等の保護に努める責務を有するとの努力規定を定めてございます。本件工事につきましては、再三ご説明申し上げておりますように、透水性のある集水管等を設置し、落合川の豊富な湧水を新河川に流しまして保全することといたしており、同条例に合った整備を行っていると考えております。

○大西委員 同条例に合った整備かどうかは少し疑問が残りますが、確かに、先ほど河野委員からも指摘がありましたが、この工事に当たり、平成十八年十二月、市議会に埋め立てないということが請願に出され、採択されている。そして十九年三月には、東京都に対して要望書も出され、決議も行われている。そういう中で、先ほど市との合意ができたということだったんですが、それはある意味、ここの四十メートルを残すから埋め立てていいというような合意なのか、それとも違うのか、教えてください。

○高橋河川部長 現在の計画につきましては、先ほど来ご説明申し上げておりますように、市民と東久留米市と私どもが入りまして話し合いをし、現計画については納得して着工したものでございます。したがいまして、その段階で合意はできている、このように考えております。

○大西委員 合意ができているということで、今ここまで来ているわけなんですが、なおかつ、でもやはり一部の人たちが納得できないというのが現状だと思います。やはり行ってみると、本当になぜこんな小さな小川が残されないかというのが正直な気持ちなんですね。ここは落合川で一級河川だということですけれども、これは単に荒川に注ぐということで一級河川で、見たところ、本当に昔私たちが遊んでいた春の小川そのものなんです。そういう意味では本当に、先ほどこの川のことで、親水性と、それから親水性や自然が確保できないからとにかく埋め立てるんだということ、やはりどう見ても納得できない。
 落合川全部を考えたときに、確かにこの場所は親水性で、憩いの水辺広場とか、そういうことでできて、成功しているところもあります。しかし、ここがおっしゃるように自然な感じができないからというのであれば、ある意味、この四メートルの高さということがこの川の湧水を保護したりホトケドジョウを保護してきたわけですから、何もすべてを親水性にしなくても、この部分はホトケドジョウや湧水を保護するというような川のつくりだってあるんじゃないか。落合川全体にすれば、この部分は親水性を重視した川づくりが必要だ、ここに何も、親水性とホトケドジョウとすべて自然を保護するようなものを一個にここに持ってこなくてもいいんじゃないかということを、これまでの答弁を聞きながら考えているんです。
 そういう意味では、せっかく関東のいい川づくりベストテン、これまで積み重ねてきて表彰されているわけですが、ここを環境ができないから埋め立てるというふうに、自然環境を無視したあり方をすることは、私は画竜点睛を欠くというふうにいわれても仕方ないんじゃないかと思うんですけれども。もっと、確かに一級河川で治水が大事だということであれば、一定の基準があります。しかし、これからは自然環境を大切にしましょう、そういう工事のあり方が大切ですということで法も動く中で、もっと実態に合ったきめ細かな整備ができないのか。ある意味、市民が提案されるこのかごマットを使ってできるところ、いや、ここは本当に治水のためにしっかりと護岸を固めなければいけない部分というような部分があるんだと思うんです。本当にこれ--見ていると、せっかくのチャンス、今や地球温暖化というところで、もとあった道路をはがして川にしようとか、それから真っすぐした川を蛇行させようとかいう、そういう動きの中で、本当にこの工事が今の東京都の工事の水準というんですかね、もって最高の工法なんですか。

○高橋河川部長 先生お話がございましたとおり、落合川につきましては、治水上の安全と豊かな水辺環境の創出を目指しまして、市、それから各種市民団体の方々、それから私どもが本当に真摯に話し合いまして、情熱を持って現在の川をつくり上げてきたわけでございます。それは私どもはやはり命と暮らしを守り、安全を確保しなければなりません。そういう条件の中におきまして、やはり豊かな空間をつくろうかと。そしてあそこはかなり特殊な条件なわけです。こういう状態があるがどうだ、と代替案を出しまして、どちらを選択するか、こういうことでございます。それで川の交流会等を含めまして、皆さんの中で、じゃこれにしましょうということで合意した案が、現在私どもが提示されている案でございます。
 したがいまして、先ほど先生ございました、かごマット等、安全が確保できない工法はとるわけにはいきません。その辺のところはご理解賜りたいと思います。

○大西委員 もう一度お聞きします。
 いわゆる今の二十一世紀は、本当に環境と開発をいかに融合させるかということが大きな課題です。生物多様性国家戦略というのが日本においては採択されて、十八番目の締結国として条約を結んでいるわけで、そしてそういう意味では日本も二〇〇七年からいろいろな動きがあって、環境省は企業の環境報告書に記載することが望ましい項目として、生物多様性保全に関する方針、目標、計画、取り組み状況、実績の記載を新たに環境報告ガイドラインに盛り込む、こういう時代です。そういう中でのこの工事は、先ほど聞きましたけれども、東京都が持っている技術のすべてを出して、これしかできないということですか。

○高橋河川部長 先ほど来申し上げておりますが、先生ご指摘のとおり、平成九年に河川法に環境の項目が入り、それで私どもは、隅田川のスーパー堤防を初め現在の落合川など、この自然環境を豊かにしたい、水辺の環境を豊かにしたい、しかしながら、命と暮らしを守ることはゆるがせにはできない。ここでその二つのものを整合性よく実現していく、このことに対しまして一番情熱を傾けてきたのが、私ども先輩たちが情熱を傾けてきて成功しているのが、この落合川だと私は認識しております。
 そこで、この特殊な環境の中でこの安全と豊かさをどう整合させるかということで、皆さんが本当に真摯に話し合って、選択したものがこの工法でございます。したがいまして、私どもも技術方は技術方として懸命を尽くし、市民の方は市民の方として思いを語り、市は市として条例、湧水保護条例等の背景も踏まえまして参画して、結論を出したものでございます。何とぞ私どもの、命と暮らしを守るということと豊かな水辺空間を整合させていい川づくりをつくっていきたいという、その情熱を理解していただきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

○大西委員 もちろん私も議員ですので、市民の命と財産を守るという治水の面は重要なことだと思っております。その上で、この工法が今の東京都の技術をもってベストなんですね、ここまでしかできないんですねということを確認させていただいているんです。もう一度。

○高橋河川部長 私どもが考えているベストのことでございます。

○大西委員 今のこの時点では、この工法の技術しかないというのが東京都のご答弁だということがわかりました。
 それからもう一つ、管理道路なんですけれども、この茶色のところが管理道路ということですよね。ここは、今三メートルの道路をつくっているんですけれども、せっかく埋め立てるここを、三メートル必要ないんじゃないかという声があるんですけれども、それについてはどのようにお考えですか。

○高橋河川部長 今埋め立てるところは遊歩道としているところでございまして、管理道路の三メートルのことにつきましては、これは河川の維持管理上、実務として必要なわけでございますが、河川管理施設等構造令という政令がございます。ここに、この二十七条に、三メートル以上の適切な値とするという規定がございます。

○大西委員 この新しい川をつくった目的というのは、こっちに水が来ないように、ここで一時間五〇ミリの対応ができるという受け取りでいいんですよね。そうなれば、確かにここに対する管理道路というのは必要かもしれませんけれども、ここに三メートルが必要かどうかというのは、市民の方も必要ないんじゃないかということをいっていらっしゃるので、ぜひ、ここは私も--それを埋め立てるという前提の中であるので、その辺はこれからになるわけですが、一応そういう市民の声もあるということをいっておきたいと思います。
 それからホトケドジョウに関しては、本当に七月二十五日に引っ越しが行われましたけれども、やはりあそこの場所が一番生息地に適していたということをいわれております。というのは、湧水の場所が非常に豊かだということで、そこが水温も含めてホトケドジョウの適正な場所だった。それを人の都合で移したということで、これについても本当に、生息が確認されているということがありますけれども、おっしゃいましたけれども、今後どうなるのかということで危惧されておりますので、ぜひ今後も、継続的な調査を行っていただきたいということを要望しておきます。
 そしてもう一つ、やはり現場へ行ってみると、川の蛇行から考えれば、二軒残っている民家の影響は、埋め立てなくてもいいのではないかなということを再度思ってしまいます。
 そして、私はやはり、落合川、これは里川と市民の方がいっていらっしゃいますけれども、これは多分、里山に対する里海、里川という言葉が今使われるようになったんですが、人間の生活に近い川である。ある意味、人の手も加えつつ自然を残す川ということで、里川という認識があるんだと思いますけれども、ぜひこの里川の保護のあり方、やはり今の説明の中では、市民が本当にこれまで愛してきたこの小川を残せないということは、だれもが、何でこの技術の時代にこれが残せないかということは、どうしても残ってしまいます。そういう意味では、今これがベストだとおっしゃったので、そうかなと思っていますけれども、そうでないときには、はがしてでもやり直すくらいの、そういう発想の転換をぜひ建設局にもお願いしたいと思っております。
 まず忘れていただきたくないのは、やはり今の時代にこの小川を残せないのかというのが、どうしても今、説明を何度聞いても私も同じように思います。そしていろいろな工事の弊害になっておりました四メートルの擁壁とか--問題はこれまでの経緯がいろいろあったかに聞いてもおりますが、この四メートルの擁壁が、ある意味、ここの自然を守ってきたということ。
 それからもう一つ、先ほどいいましたけれども、落合川全体で何もすべてが親水性、それからすべてを盛り込む工事が必要でなくて、九・四キロの川の中にはそれで取り組んできた場所もいっぱいあるわけですから、ここぐらいはホトケドジョウや自然を守るために埋め立てないで、何せここは地下水ですから、埋め立てた後、その地下水の行き場が困って、いろいろ今後のまちに、民家に、今度は反対に水の被害が出るんじゃないかという指摘もあります。もうあえてここでそれについてはなんて聞きませんけれども、まだまだ解決が、ちゃんと納得できるような解決ができてない。
 そして、本当にもう少し、一級河川であれば、その一級河川の基準のままやっていくのか。こんな小川が、だれもが、これ一級河川なの、と最初は疑問に思うんですけれども、一級河川というそのつけ方が、そういう大きな川に注いでいるからだということもあります。もっともっとこの実態に合った川の整備、ぜひ、これがベストだという--今の技術においてベストだというのであれば、まだまだ住民の、それから市民の思いにこたえていらっしゃらないんじゃないかと思いますので、ぜひ研究も含めてお願いしておきたいと思います。
 私はやはりこの請願は、本当に残された川を、これぐらいの思いがなければ残せないという現状があるからこそ、ここに請願が出された。そしてこの請願に至るまでは、市議会へも動き、そしてホトケドジョウの原告団としての訴訟問題も今起こしていらっしゃいます。環境問題、環境保全というものは、本当にこれだけ市民が動かなければ残せないというこの現状をまずは知っていただいて、そして残された場所をなるたけ今の技術において保全するような形のあり方、そしてさらなる技術を要望して、質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、請願一九第一〇号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 一九第二〇号、ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地である砂ノ浜海岸での工事計画中止に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高橋河川部長 ご説明申し上げます。
 整理番号2の陳情一九第二〇号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地である砂ノ浜海岸での工事計画中止に関する陳情で、大島町のみどりの地球大好き会代表の村上博基さんから提出されたものでございます。
 要旨は、都は、大島町野増字間伏の砂の浜海岸に、コンクリート護岸と潜堤・人工リーフの設置工事を計画している。自然環境を一変させ、この貴重な生物の生息を脅かす工事計画を白紙に戻し、自然環境の保全に努めていただきたいというものでございます。
 砂の浜海岸(間伏海岸)については、多くの島民の要望を受け、波浪による侵食から海岸を守るため、人工リーフの設置を基本とした計画作成や、環境、測量調査等を実施し、現在も継続して調査を行っております。人工リーフは、波浪を減勢させ侵食を防止する目的で海中に設置するもので、都内においては確実に侵食を防止する効果があらわれており、全国的にも広く採用されている手法でございます。
 今後も、生物の生息にも配慮しながら、国土保全の観点から事業化を図っていく予定でございます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○臼井委員 このたび、首都圏を横断いたしました台風九号に関連した報道では、台風の進路に合わせ、小笠原諸島、八丈島、大島など、島しょの海岸での巨大な波が海岸の堤防や砂浜を飲み込む映像が何度も映し出されました。都の対策は十分なのだろうかと心配もし、国土保全の大切さを感じたわけであります。
 ふだん、島しょの海岸は美しい砂浜と緑豊かな山々、そして海が調和した環境があります。また、絶滅の危機にさらされているウミガメが、産卵のため、都心から最も近い大島の海岸に上陸しているなど、多様な生き物が生息しており、こうした環境は未来永劫残すべき財産であります。海岸が侵食されれば、砂浜もなくなるだけでなく、そこに生息する生き物や良好な環境までもが瞬く間に失われてしまうのであります。
 都は、これまでこうした海岸を保全する事業を実施しておりますが、治水対策などと異なり、なかなか効果が見えにくい事業でありますが、なくてはならない事業であります。そこでまず、都における海岸保全事業の内容と取り組み状況について伺います。

○高橋河川部長 東京都には、東京湾岸と伊豆諸島などを合わせまして、延長七百六十五キロメートルの海岸がございます。このうち、建設局は、台風や季節風などによる波浪から国土を守り、あわせて海岸環境を保全するため、波浪被害のおそれの高い地域や、海岸の侵食が著しい二十六海岸、延長約四十六キロメートルを海岸保全区域に指定し、護岸や人工リーフなどの海岸保全施設を整備しております。
 事業の実施に当たりましては、家屋や道路など、保全すべき施設が多く、かつ侵食が著しい海岸から順次実施しておりまして、大島の湯の浜海岸や新島の羽伏浦海岸など、延長約十八キロメートルの海岸保全施設が完成しており、その整備率は四〇%となっております。

○臼井委員 海岸の保全事業の目的については、背後地の家屋あるいは海岸そのものを守ることでありますが、可能な限り海岸環境の保全を図っていくことが重要と考えます。護岸や人工リーフといった施設の計画に当たっては、動植物の生息状況、砂浜や海域などの地形等を十分調査した上で、最良の施設を計画していくことが必要ではないかと思います。これまでの調査結果の知見と今後の見通しについて伺います。

○高橋河川部長 これまでに環境調査や潮流調査を行ってきております。
 動植物の種類や分布を把握する環境調査では、生物の多様性に富んだ海岸であることが確認されております。本海岸でのウミガメの上陸及び産卵は毎年のように確認されております。
 また、潮流調査では潮の流れや砂の移動方向等を調査しており、高波により砂が沖へ出される現象があると確認しております。
 今後は、おおむね二カ年をかけまして、砂の供給量と海岸からの流出量を把握する調査を行い、それらの調査結果を踏まえ、より侵食対策に効果的で自然にも優しい人工リーフの検討を行ってまいります。

○臼井委員 人間も地球上の生命体の一つであることを思えば、人間の英知で、できる限り他の生命体とともに生きられる環境をつくりたいものだと思うのであります。建設局が人工リーフの計画に当たり、動植物等の生息状況の調査や潮流による影響調査、砂の供給と流出量の関係など、必要な調査を行われるようでありますので、大変安心をいたしました。
 砂の浜海岸でのウミガメの産卵に対してどこまでの対策を講じれば十分なのかというのは、不明な点も多いかと思われますが、人工リーフの整備に当たっては、ウミガメの上陸や産卵時期など、特に配慮すべきと考えるのでありますが、いかがでしょうか。

○高橋河川部長 人工リーフは、波浪を減勢させ侵食を防止する目的で海中に設置する、いわゆる潜堤のことで、確実に侵食を防止する効果があり、景観や生物の移動に優しく、全国的にも広く採用されている工法でございます。さらに、その配置、延長、高さなどを工夫することにより、ウミガメの上陸と産卵行動に十分配慮することができると考えております。
 また、ウミガメの産卵時期は、調査結果によりますと一般的に五月から六月であり、人工リーフの施工に当たりましては、ウミガメの産卵に配慮してまいります。

○臼井委員 この海岸は過去五十年間で六十メートルもの砂浜が削られて、砂浜が大変狭くなってきており、非常に侵食が激しいと聞いているのでございます。砂の浜海岸における海岸保全事業は、国土を守り、海岸環境を保全して適切な利用を図る重要な事業と考えるものであります。都は今後どのようにこの事業に取り組んでいくのか伺います。

○高橋河川部長 砂の浜海岸の海岸保全事業は、台風や季節風などによる波浪から国土を保全する極めて重要な事業であります。したがいまして、今後実施する調査結果なども踏まえまして、財源などの課題の解決も含め、地元大島町と調整を図り、引き続き事業化の検討を進めてまいります。

○臼井委員 私たちの住んでいるまちを流れる秋川、ここではアユが遡上してきているわけであります。このアユの釣りを楽しむ人たちが大変多いし、これを食する人たちも最近多くなっているわけであります。そのときにアユが遡上できるように、建設局河川部では木工沈床というような工法を取り入れて、アユの上りやすい、また魚族の生息しやすい、そういう環境づくりに配慮してくださっておりまして、大変うれしく思っているわけでありますが、この海岸線においても、技術的にも、また景観や海岸利用といった観点からも、現時点では適した工法として考えられる、私は人工リーフ、これを基本として生物の生息にも配慮しながら事業化を図っていくことを強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○中山委員 私も引き続き、砂の浜海岸での工事計画中止に関する陳情について質疑をさせていただきます。
 アカウミガメが五月から六月にかけて産卵のために上陸する習性があるということが、今臼井議員の質疑で明らかになりまして、人工リーフの施工がこの産卵に配慮していくとのご説明がございました。
 一般的に海上での工事は、冬場の時期、十一月から三月というのは波が荒いそうで、その時期を避けて四月から九月ごろにかけて行うというふうに聞いております。このため、砂の浜海岸における工事期間は短くなって、施設全体が完了するまでには相当年数がかかると思われますけれども、アカウミガメが産卵する貴重な海岸環境であり、国土保全の観点からも砂の浜海岸を守っていただきたいと思います。
 その上で、まず、人工リーフを基本として計画をされているようでございますが、人工的なものではなく、陳情にあるような、海岸に砂を補充することで砂浜の侵食を防ぐ、養浜という手法があるそうですが、この養浜だけで砂の浜海岸の対策はできないものかお伺いいたします。

○高橋河川部長 養浜によって砂を補充するだけでは、侵食の砂の流出を防止する根本的な対策にはなりません。全国的な事例を調べましても、一般的に、養浜だけでなく、突堤や人工リーフなどとの併用で実施いたしております。
 なお、都内の事例では、神津島におきまして養浜と人工リーフとの併用で施工しており、砂浜の保全効果が確認されてございます。
 砂の浜海岸におきましては、今後おおむね二カ年をかけまして、砂の供給量と海岸からの流出量を把握する調査を行い、人工リーフとあわせまして養浜が必要かどうか検討いたしてまいります。

○中山委員 確かに考えてみれば、海岸に砂を補充するという手法は、そのたびにまた砂が流れ出ていくわけですから、永遠に続けていかなくてはなりませんし、また、砂を確保するといってもそう簡単なことではありませんし、運んでくることも大変ということを考えますと、何らかの工法、例えば人工リーフとか、そういうようなものをきちっとやった上で、さらに何か補充する意味で砂をまくとか、そういうようなことが必要な場合にやるということが妥当な手法ではないかと私も思います。
 私がそこで心配いたしますのは、今もご説明ありましたけれども、都が検討されている人工リーフというものは、アカウミガメを初めとする生物の成育に配慮した配置や構造になっているのかどうかということについて、お話をいただきたいと思います。

○高橋河川部長 人工リーフは干潮時にも常に海面下にあるよう設置するもので、連続的ではなく、適度な間隔をあけまして設置するのが一般的でございます。
 構造は、基礎部に比較的大きな自然石などを敷き詰めまして、その上にコンクリート製のブロックを敷き並べるものでございます。そのブロックは、海草などが根づきやすいように穴のあいた構造とするほか、テトラポッドのような突起状の構造ではなく、魚などが行き来できるように平たん性を確保することといたしております。
 このように、人工リーフは配置や材質、構造とも、生物の生息に配慮した工法となってございます。

○中山委員 今ご説明がありましたけれども、植物、海草等が根づきやすい材質を使われて、生物の生息に配慮された工法であることがわかりました。
 もう一つ心配な点は、でき上がる人工リーフは環境に優しい、生物にとっても適したものであるとしても、その工事のやり方次第によっては、その効果が発揮されないばかりか、生物の生息に影響を与えてしまうという可能性もあります。ウミガメに配慮した人工リーフなんだけれども、工事の仕方いかんによっては、ウミガメが来なくなってしまうというようなことがあるのではないかという心配があるのではないかと思います。
 そこで、今後、工事の実施段階になったときに影響を与えないようにするため、工事についてはどのような進め方をしていくのかお伺いいたします。

○高橋河川部長 人工リーフは短期間で一気に工事を進めるのではなく、ウミガメの産卵など、生物の生息に配慮し、その影響を検証しながら徐々に進めてまいります。
 さらに、五月から六月といわれておりますウミガメの産卵時期につきましては、工事の影響が出ないように十分配慮してまいります。

○中山委員 自然の環境というのは長い年月をかけてでき上がっているものですから、やはり工事という人の手が入る場合には、その影響をしっかりと確かめながら、確かに工事自体の年数がかかるということは大変なことではございますけれども、一たん自然環境を壊してしまえば、もとに戻ることはなかなか難しいことになりますので、私は、少しずつその工事を進めていく、また、その中でいろいろな影響等をきちっと判断していくということは大変大事なやり方であると思います。
 これまでのお話によりますと、一般的に人工リーフは侵食対策としてだけでなく、生物の生息環境や景観にも配慮された構造であること、また、産卵時期には施工にも工夫してさらに影響を少なくできるようにしているということを理解いたしました。
 人工リーフは東京都だけでなく、高知県室戸市や三重県紀宝町などでも採用されているとお伺いしております。こうした他県の施工例において、人工リーフの侵食防止効果、砂の流出防止効果がどの程度なのか、またウミガメの産卵に影響がなかったのかどうかなど、調査をすることが重要だと考えます。そこで、今後の砂の浜海岸の人工リーフの検討に当たりましては、他県の事例について、現地に出向いていただいて十分調査をすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○高橋河川部長 これまでも砂の浜海岸における人工リーフの計画に当たりましては、ウミガメ類の生態に詳しい専門家や、人工リーフを採用している自治体関係者の意見も参考にして検討してまいりました。先ほど先生が例示されました高知県や三重県の事例を聞き取り調査いたしましたところ、砂浜の回復やウミガメの上陸が確認されたと聞いております。
 今後、他県の事例調査につきましては、現地に行って実態を詳しく調査し、知見等も十分参考にしながら、人工リーフの計画へ反映してまいります。

○中山委員 今お話しいただきましたように、建設局では引き続き砂の供給量などの調査を進めるとともに、生物の生息に影響を与えず、侵食を防止するよりよい対策となるよう、こうした他県での事例を現地で確認されるということでございました。大変すばらしいことであります。ぜひ継続的に情報を収集するなどされて、砂の浜海岸の計画へ反映していただくようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○河野委員 私もこの陳情について質問いたします。
 ことし三月の当委員会で、間伏海岸砂の浜の保全について質問をいたしました。その際、河川部長は、先ほども答弁されておられますが、都としては、動植物などの環境調査、地形調査や潮流調査などについて、ずっと継続した調査を行っている旨のことを明らかにされています。
 こうした一連の調査結果があるわけなんですけれども、今陳情者も心配している希少動物のアカウミガメの産卵状況、こうしたものについては調査の結果はどのようなものだったのか伺います。

○高橋河川部長 砂の浜海岸でのウミガメの上陸及び産卵は、継続的にウミガメの産卵を調査している都の島しょ農林水産総合センター大島事業所の報告では、毎年のように確認されております。
 なお、今年につきましても三カ所でウミガメが産卵したことを確認されております。

○河野委員 今、五十年間で六十メートルの砂浜の侵食があって、みぎわ線が後退しているということがあるわけなんですが、現在では、平均的にことしも産卵があったということがご答弁の趣旨かと思います。
 その五十年で六十メートル海岸線が後退しているということなんですが、私もこの問題では少し資料を当たってみました。東京都などが行っている潮流調査ですね、これを見て思うんですが、波で運ばれた砂が、また波によって浜に寄せられてきている、こういうことが報告されています。そして高潮などの調査についても、ちょうど調査した時期に流砂計が砂に埋まって信頼できるデータが得られていない、こういう記述も何回か出てまいります。まだ、これまで東京都が中心になって行ってきた調査の結果で信頼できるデータが得られていないというようなことがある中で、このままの状態にしておくと、さっきもお話ありましたけれども、本当にこれまでのような速度で、五十年間で六十メートルの海岸線の後退、こういうことが引き続いてこの砂の浜海岸で起こってしまうのか、今の状態のままでとどめておくと、砂浜はどんな事態になることを予測されておられるのか、建設局のご見解を示していただきたいと思います。

○高橋河川部長 砂の浜海岸は台風や冬場の西風の影響が大きく、このまま侵食が進みますと、台風などにより高波が発生した場合、海岸付近の道路や民家が波浪により被害を受けるなどの影響があります。また、砂浜の幅が少なくなることでウミガメの産卵に支障を来すおそれもあります。
 今後は、おおむね二年間をかけまして、砂の供給量と海岸からの流出量を把握する調査を行い、それらの調査結果を踏まえ、より侵食対策に効果的で自然にも優しい人工リーフを検討してまいります。

○河野委員 これから二年間、砂の流出などの調査を行うということでありますので、ぜひ精密な調査結果をまた委員会等でもご報告いただければと思っています。
 三つ目の質問なんですが、さっきも出ました、都は人工リーフによって砂の浜を保存しようという、そういう案をお持ちだということはわかりました。これがアカウミガメの産卵などを妨げないことが本当に可能なのかどうか、自然環境に配慮した形で砂浜の侵食を防ぐことがきちんとできるのか。部長のご答弁だと、全国的な経験もあって大丈夫だとおっしゃっているんですが、本当にそうなんでしょうか、もう一度ご答弁をお願いします。

○高橋河川部長 既に整備を完了している新島や神津島などでは、侵食防止の効果が確認されております。砂の浜におきましても、人工リーフを基本にして検討しております。
 ウミガメの産卵が確認されている砂の浜海岸の保全対策といたしましては、国土保全と景観や生物の生息にも配慮できる人工リーフが適しております。

○河野委員 では、意見を申し上げておきます。
 砂の浜の浜辺は、日本の海岸の中でも本当に有数の貴重な自然の黒砂海岸だといわれています。前もお話ししましたが、都の産業労働局の観光プロデューサーの方の評価でも高い評価が与えられています。こうしたすばらしい砂浜ですから、ウミガメは産卵に来るのはもちろんのことなんですが、自然に親しみたいということでサーファーの人たちも多く訪れています。島の人たちは今の砂浜、砂の浜を自然のままで残してほしいと強く要望されておりますし、今回陳情されている陳情者の皆さんだけではなくて、多くの島民の方々、市民団体の方々が、大島町や都、国への働きかけを今後とも強めていきたい、自然の砂の浜を残してほしいという立場で、そういう行動を起こしたいということもいわれているようです。
 二年かけて潮流調査を実施されるという答弁がありましたが、砂の浜の保存に当たっては、自然の生態系を大切にすることを基本にして、島民の方々の要望などに十分配慮していただくよう求めて、質問を終わらせていただきます。
 陳情は採択をお願いしたいと思います。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一九第二〇号は不採択と決定いたしました。

○小磯委員長 次に、一九第二一号、西東京市の北原交差点東側の交差点へのスロープ式歩道橋設置に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○米田道路保全担当部長 ご説明いたします。
 整理番号3の陳情一九第二一号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、西東京市の北原交差点東側の交差点へのスロープ式歩道橋設置に関する陳情で、西東京市の駒井恵さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、都において、西東京市内の北原交差点東側の新青梅街道及び所沢街道と交差する武蔵境通り(旧バス通り)上にスロープ式の歩道橋を設置していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、北原交差点は、主要な幹線道路である新青梅街道と所沢街道が鋭角に交わる上、車線幅が狭く、交通量も多いなどの理由から渋滞が発生している箇所でございます。
 平成十二年五月、北原交差点の東側に位置する南北道路、都市計画道路西東京三・四・二〇号線の供用開始に伴い、新青梅街道及び所沢街道の交通量の円滑化を確保するため、武蔵境通り及びひばりヶ丘停車場線の横断歩道は廃止されました。これにより、歩行者及び自転車は、北原交差点の東西に隣接する北原町一丁目交差点または北原西交差点を横断することとなり、従来八百メートル程度であった北原住宅バス停付近から田無駅までの移動距離が、四十メートルないし八十メートル長くなっております。現在、歩行者及び自転車の安全確保を図るため、北原西交差点を通る経路に当たる新青梅街道北側において、歩道拡幅事業を実施中でございます。
 願意に基づくスロープ式横断歩道橋を設置した場合、新青梅街道及び所沢街道の横断部の延長七十メートルとスロープ部の延長片側百十四メートル、合わせて全長二百九十八メートルもの長大な構造物となります。所沢街道の南側に位置する武蔵境通りは歩道のない幅員七メートルの狭隘な道路であるため、スロープ式横断歩道橋を設置するためには、スロープの幅に加え、歩道設置のための道路拡幅が必要であります。仮に武蔵境通りの一方通行化が図られたとしても、七メートル程度の拡幅が必要となりますが、沿道にはマンションや店舗などが密に建ち並んでおり、新たな用地確保は非常に難しい状況でございます。
 さらに、スロープが面する土地は、構造物が設置されることにより、約七十メートルの区間で車両の出入りが遮断されるなど、土地利用に大きな制約を受けることが懸念されます。
 一方、所沢街道の北側に位置するひばりヶ丘停車場線においても、大型マンションが立地しており、南側と同様な問題が懸念されるため、願意のようなスロープ式歩道橋の設置は困難でございます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大西委員 陳情者がスロープの設置を希望している場所は、かつては人も車も横断していた箇所でした。しかし、今、西東京三・四・二〇号線の供用開始と同時に横断できなくなった。
 この地域はまた田無駅の近辺で、常時大勢の人が、徒歩、自転車でそれぞれこの新青梅街道、青梅街道を横断して、駅方向に向かっていきます。北原町一丁目という信号のところで横断しなければ、次は北原西の信号まで横断できません。その間二百メートル以上あります。往来する人、自転車の数も非常に多いということから、この陳情の箇所で横断したいところですが、やはりスロープですと、最も負担を感じている高齢者やそれから車いすの人たちは、ある意味使いにくいということも予想されると思います。地元では、スロープではなく、信号機、横断歩道を新青梅街道、青梅街道の両方に設置し、同時に信号を三つぐらい、この地図から見ると、私は、北原一丁目、北原、北原西のこの三つで同時に車をとめて、そしてその間、人や自転車を横断させるという方法もとってみていいんじゃないかなということを話したんですが、それはできませんということだったんです。そういう意味では、それほど確かにここは混雑しているというところも、車が多いというところも十分知っているつもりです。しかし、今後、この地域は道路建設、都道の計画もあるところでもありますので、ぜひ、やはり車優先ではない道路づくりをしっかりと実施していただきたいなと思っております。まず人が通る道を確保して、車をどうするのかということを考える、この発想の転換を求めたいと思います。
 説明の中にも、四十メートルから八十メートル遠くなるだけですよというようなことがあったんですけれども、もちろん健康な人は、メタボのこともあってどんどん歩くことはいいと思いますが、やはり高齢化社会ですので、何よりも先ほど申し上げましたように、道路については、車が回ることは時間も労力も要りませんけれども、そういう人たちのことを考えた道づくりへかじ取りをしていただきたいということを要望しておきます。
 この陳情については不採択です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一九第二一号は不採択と決定いたしました。

○小磯委員長 次に、一九第二三号、ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地に近接する道路新設工事等の中止に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山口道路建設部長 ご説明申し上げます。
 整理番号4、陳情一九第二三号をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、ウミガメ産卵地及びオカヤドカリ生息地に近接する道路新設工事等の中止に関する陳情で、大島町みどりの地球大好き会代表村上博基さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都は、都道大島循環線のうち、大島町野増字間伏砂の浜海岸に沿っている部分について、海岸側に寄せて新たな都道設置を計画している。自然環境を一変させ、貴重な生物であるウミガメ、オカヤドカリ類の生息を脅かすこの計画を白紙に戻し、自然環境の保全に努めていただきたいというものでございます。
 都道大島循環線は、集落間を結び、港湾、空港に連絡する主要な路線で、島民の日常生活はもとより、自然災害など緊急時の避難路となるなど、重要な役割を担っております。そのため、大島町の要望もあり、都は順次、整備を進めているところでございます。
 このうち間伏地区は、波浮港、元町方面に向かうバスやトラックなど大型車が多く通過する集落でありますが、一部の区間で幅員の狭いところや多くのカーブがございます。このため、新たな道路整備により、通過交通を新設道路に移すことで集落内の安全性が向上し、安全な避難路の確保、観光振興などの効果も期待されます。
 道路計画に当たっては、安全性、土地利用、環境保全、事業期間などを総合的に勘案してルートを選定しております。
 事業の実施に当たっては、平成十七年度に事業概要等の説明会、十八年度には用地補償等の説明会を開催し、地元の要望を踏まえ、防風、飛砂対策については、風況、飛砂調査を実施し、防風さくの設置など、対策を講じることとしております。
 また、環境省と調整し、橋梁延長を減じた部分については、盛り土として植栽するほか、海岸から見える橋梁部付近に道路照明を設置しないなど、周辺環境にもきめ細かく配慮しております。
 引き続き、防風、飛砂対策や植栽方法の検討を行い、地元関係者の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○河野委員 陳情二三号について意見を申し上げます。
 新設の道路はアカウミガメ産卵地のそばを通ります。また、新道にかかる橋の下は砂の浜に流れ込む沢があって、砂の供給源になっています。砂の浜保存のための要望が強い中、道路建設の工法や環境保全策などを含めて、地元住民の意見を受けとめていただくようお願いしておきたいと思います。
 以上です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一九第二三号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時散会

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