委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 斉藤あつし君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 相川 博君 |
原田 大君 | |
河野百合恵君 | |
松葉多美子君 | |
中山 信行君 | |
きたしろ勝彦君 | |
高橋 信博君 | |
くまき美奈子君 | |
臼井 孝君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 吉川 和夫君 |
環境政策部長 | 加藤 英夫君 | |
環境政策担当部長 | 長谷川 明君 | |
都市地球環境部長 | 大野 輝之君 | |
環境改善部長 | 石渡 秀雄君 | |
環境改善技術担当部長 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 井戸 秀寿君 | |
自然環境部長 | 中島 博君 | |
参事 | 浅川 英夫君 | |
廃棄物対策部長 | 森 浩志君 | |
参事 | 木村 尊彦君 | |
建設局 | 局長道路監兼務 | 道家 孝行君 |
次長 | 島 博文君 | |
総務部長 | 影山 竹夫君 | |
用地部長 | 谷島 明彦君 | |
道路管理部長 | 藤井 芳弘君 | |
道路建設部長 | 山口 明君 | |
公園緑地部長 | 北村 俊文君 | |
河川部長 | 高橋 興一君 | |
道路保全担当部長 | 米田 秀男君 | |
道路計画担当部長 | 桐越 信君 | |
参事 | 吉原 一彦君 | |
参事 | 安藤 英二君 | |
参事 | 小口 健藏君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
報告事項(説明)
・議案の撤回について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十八号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第百五十五号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
報告事項
・「緑の東京十年プロジェクト」基本方針の策定について(説明・質疑)
・温泉施設における爆発事故について(説明・質疑)
・東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)(質疑)
・「東京都気候変動対策方針」の策定について(質疑)
○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小磯委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の報告事項の説明聴取及び環境局関係の付託議案の審査、報告事項の聴取を行います。
これより建設局関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを許します。
○道家建設局長 去る六月六日の当委員会におきましてご説明申し上げました契約議案第百五十二号、中央環状品川線シールドトンネル工事請負契約についてご説明申し上げます。
仮契約の相手方でございます大成・東急・大豊・錢高・みらい建設共同企業体の代表者、大成建設株式会社ほかが、指名停止等取扱要綱、別表各号に掲げる取扱要件の一に該当するため、仮契約を解除し、本議案を撤回させていただくことになる旨、財政委員会で報告があると聞いております。ご了承のほどお願い申し上げます。
なお、撤回いたしました本工事案件につきましては、改めて起工を行い、財務局における契約手続を経た上で、再度ご提案申し上げたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○小磯委員長 報告は終わりました。
以上で建設局関係を終わります。
○小磯委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百四十八号議案及び第百五十五号議案を一括して議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○河野委員 自然公園条例の改正について質問をいたします。
今回の条例改正で、新たに八つのビジターセンターや公園に指定管理者制度を導入するということが記されております。小峰公園は比較的早い時期に指定管理者制度を選定するという説明も受けておりますが、今度加えられる八つのセンター、公園の指定管理者制度、これを選定するに当たって環境局がどういう方針をお持ちになって臨まれるのか、伺っておきます。
○中島自然環境部長 指定管理者制度でございますけれども、これは業務委託とは異なりまして、管理運営及び開設展示、維持管理業務を一体的に行わせることによりまして、事業者の裁量の範囲を広げ、都民サービスの向上を目指すものでございます。
今回の条例改正によりまして、小峰公園を初め、ビジターセンター等に一般公募により指定管理者制度を導入することを予定しておりますけれども、多様なニーズにこたえた質の高い情報提供ですとか、あるいは専門性の高いスタッフによる内容を充実した自然ガイドの実施等、都民サービスの向上、あるいは施設運営の効率化を図ろうとする事業者からの応募を期待しているものでございます。
○河野委員 たしか、二〇〇五年の三月に自然公園条例が改正になって、奥多摩公園、大島公園、多幸湾公園が、昨年の四月から、奥多摩町、大島町、神津島村が三年間の特命で指定管理者に選定されております。この三つの公園施設の指定管理者は、村、町、それぞれ自治体が受けたわけです。ですから、現在、公の責任ということで公園の管理運営が行われております。この一年、指定管理者制度に移行して、その実績とか評価について、環境局がお持ちのご見解をお示しください。
○中島自然環境部長 平成十八年度にこの指定管理者制度を導入しました三つの施設でございますけれども、これは従前から地元町村が管理委託を担ってきたこと、また、山間、島しょ地域に存しておりまして、民間事業者の参入が見込めないこと、一方、自然災害に迅速または柔軟に対応できる等の理由によりまして、特命で地元の町村を指定管理者として指定することといたしました。
導入後でございますが、それぞれの施設におきまして、利用者をふやすための創意工夫、あるいは利用者の要望を踏まえたサービス改善といたしまして、例えば冬期の、冬の間のシーズンオフの料金制の導入ですとか、あるいは地元団体との連携を図っての公園利用のPR、それから地元資源を活用したいそ遊び体験の企画など、サービスの向上に向けた取り組みを積極的に展開しているというふうに認識しております。
○河野委員 従前から地元で運営に携わっていたということと、指定管理者になっていろいろ多様なサービスの向上にも努めているというご答弁だというふうに思います。
それで、私は、今回、公募の対象にしますよという小峰公園について伺っておきたいと思います。
小峰公園は比較的小さな公園で、私も直接行きましたけれども、都市公園ともまた違って、丘陵とか小川がありまして、また、湿生花園なども自然のままの姿で残されていて、動植物も数多く生息している場でありました。ビジターセンターでは、子どもたちが先生に連れられて自然学習をしておりましたし、公園内は親子連れの人たちがザリガニとかオタマジャクシとか、そういうものをとったり、バードウオッチングを楽しむ人も数多く見受けられました。林の中を吹き渡る風はとてもさわやかで、東京の、私は江戸川ですけれども、都市公園と違った自然公園のすばらしさを実感して帰ってきたところです。
数多い動植物の姿を通して命の大切さを学ぶ場であるということで、自然公園はとても大切な役割を果たしているということを実感いたしましたけれど、ここを管理するには大変な専門性も必要になってくると思います。そういう場所だけに、市場原理、競争原理が基本的に持ち込まれるというような性格を持つ指定管理者制度はなじまない制度なのではないかと率直に思っております。
今回の条例改正案に載っている新島の羽伏浦公園はサーフィンのメッカともいわれている場所でありまして、海で楽しむ利用者の安全を守っていくことも求められております。高尾ビジターセンターは年間二百五十万の利用者がいるということも、環境局のホームページに載せられております。こうした都民のスポーツや自然学習に大切な役割を果たしている自然公園に、指定管理者制度という、参入する法人、事業体によっては営利もきちんと追求しなくてはならないという、そういう側面を持つ運営主体が入ってくるということについては、環境局はどういうご見解をお持ちでしょうか。
○中島自然環境部長 自然公園施設への指定管理者制度の導入でございますけれども、これは自然公園を保全し、生かしていくということが前提でございまして、その上で、都民に対しまして提供するサービス水準の向上を目指そうとするものでございまして、より多くの都民の方にそこに親しんで利用していただきたいというふうに我々は考えております。
また、この採算性ということもございまして、指定管理者制度の導入、この有無にかかわらず、公の施設のあり方といたしましてより効率的な業務運営を行いまして、限られた資源を最大限に生かしていくという観点は必要なものであるというふうに基本的に認識しております。
○河野委員 限られた豊かな自然環境を最大限生かすという立場は同じなんです。
昨年、二〇〇六年度から指定管理者制度が導入になりました三つの施設、大島のふるさと村とか、そういう三つの施設の運営委託費を指定管理者導入前の二〇〇五年度と比較いたしますと、三つの施設とも、東京都からの運営委託費の額は下がっております。大島の海のふるさと村は、八八・九%の金額ということで、一割以上の減額になっています。指定管理者制度は官から民への流れの中で、公の施設にも民間が参入できる仕組みとしてつくられたものでありますけれども、効率的管理運営という名のもとに導入されたこの制度がどういう影響を及ぼすのか、自然公園の管理運営に果たしてふさわしい制度なのか、私は検証が必要であるということを申し上げまして、きょうはこの問題での質問を終わらせていただきます。
以上です。
○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○小磯委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○浅川参事 六月八日に発表いたしました緑の東京十年プロジェクト基本方針につきましてご報告いたします。
お手元の資料1が基本方針の概要、資料2が本文となっております。説明は、資料1の概要版に基づきましてご説明申し上げます。
それでは、資料1をごらんください。
まず、資料左上、基本方針策定の背景でございます。
東京の緑は、残念ながら依然として減少が続いておりますが、都市における緑の役割は、都民に潤いと安らぎを与えるだけでなく、ヒートアイランド対策等の都市環境の改善、美しい都市景観の創出など、これまで以上に多様かつ重要となっております。こうしたことから、都が昨年末に策定した「十年後の東京」で第一の柱として掲げました、水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させるという目標を実現するため、現在、緑の東京十年プロジェクトを全庁横断的な戦略的取り組みとして推進しております。今般策定いたしました緑の東京十年プロジェクト基本方針は、緑あふれる東京の再生を目指したものでございまして、今後取り組んでいく緑施策の基本的考え方や方向性などをお示ししたものでございます。
その下に、緑の東京十年プロジェクトが目指す「十年後の東京」の姿をお示ししてございます。グリーンロードネットワークの形成、海の森を整備、新たに千ヘクタールの緑を創出などを目指しております。
次に、基本方針の基本的考え方でございます。三点ございまして、その第一は、都民一人一人が主体的に、緑に関心を持ち、緑を育て、緑を守っていくことができる仕組みを構築、でございます。東京を成熟都市にふさわしいまちとしていくためには、都民一人一人が主人公となり、東京に緑を取り戻し、守っていくことが必要でございまして、そのための仕組みを構築してまいります。
第二は、緑の創出・保全に向けて、誘導や規制など、多様な手法を展開、でございます。量だけではなく質の高い緑の創出を図り、また、貴重な既存の緑を保全するため、区市町村と連携しながら誘導や規制など多様な手法を展開してまいります。
第三は、募金などの民間資金、基金等の財政的手法を効果的に活用して、緑のネットワークを充実、でございます。新たな募金を創設し、都民や企業など多くの主体の参加を得て、その民間資金を最大限活用するとともに、都みずからも地球温暖化対策推進基金などにより、必要な投資を実行してまいります。
次に、資料の右側、四つの方針と主な取り組みでございます。
方針の一つ目は、都民・企業が主人公である緑のムーブメントを展開、でございます。主な取り組みとして、都民や企業などと協力しながら海の森の整備を進めるほか、本年秋には、都民や企業などにとってわかりやすく参加しやすい、新たな緑の募金制度を創設いたします。また、民間事業者による自主的緑化の取り組みを促してまいります。
方針の二つ目は、街路樹の倍増などによる緑のネットワークの充実、でございます。街路樹は、今後四年間でおおむね七十万本まで整備し、平成二十七年度末には百万本に倍増いたします。また、公園につきましては、今後の四年間で新たに百八十ヘクタール以上を創出してまいります。
方針の三つ目は、校庭芝生化を核とした地域における緑の拠点づくり、でございます。校庭芝生化のポイントは、維持管理などにおける仕組みづくりや地域の力の活用です。そこで、芝生維持管理のまとめ役として、芝生リーダーの育成や、校庭芝生化に関する専門家を派遣する仕組みの構築、地域等の支援策を現場に反映させる芝生応援団の結成などを進めてまいります。また、今後は、公立小中学校にとどまらず、幼稚園や保育所、私立学校等への展開も積極的に進めてまいります。
方針の四つ目は、あらゆる工夫による緑の創出と保全、でございます。屋上や壁面、鉄道敷地、駐車場など、あらゆる都市空間の緑化を都民、企業、行政が一体となって進めるほか、既にある市街地の緑や森林、丘陵地の緑についてもさまざまな手法を用いて保全してまいります。
以上ご説明いたしました基本方針に基づき、今後、緑の東京十年プロジェクトの具体化を図り、事業展開を加速してまいります。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中島自然環境部長 六月十九日に発生いたしました温泉施設における爆発事故についてご報告をさせていただきます。
その前に、今回の事故で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
では、説明に移らせていただきます。
お手元の資料3をごらんください。
まず、1、事故の概要でございます。渋谷区松濤一丁目にございます温泉施設、渋谷松濤温泉シエスパで、六月十九日、十四時三十分ころ、爆発事故がございました。東京消防庁によりますと、この事故により三名の方が亡くなられ、八名の方が負傷されたとの発表がございました。翌六月二十日から警視庁、東京消防庁が現場検証を行い、現在、原因を究明中でございます。
次に、2、環境局の事故への対応でございますが、六月十九日、事故発生後、直ちに現地に当局職員を二名派遣いたしまして、情報収集を行い、警視庁、東京消防庁との情報ルートを確保いたしました。翌六月二十日及び本日でございますけれども、二十一日に、警視庁、東京消防庁による現場検証が行われておりますが、ここでも当局職員を現地に二名派遣しまして、現場の状況を調査させております。
また、都内には、現在百四十八カ所の温泉井戸がございますが、そこでの換気対策、メタンガス調査状況、あるいは温泉水とガスを分留させるガスセパレーター、あるいはガスセンサーの設置状況につきまして、温泉井戸設置者に対して電話による聞き取り調査を実施しているところでございます。結果がまとまりましたら、適宜報告をさせていただきたいというふうに考えております。
次に、参考として、これまでの温泉法に係る、本施設に係る手続の状況を記載してございます。
ページをおめくりいただきたいと思います。左のページは事故現場の地図でございます。右ページからその裏面までが、事故当日、十九日に、当局の職員が事故現場で撮影した写真でございます。今後、警視庁や東京消防庁によります事故原因の究明が進められる中で、適切な対応を図ってまいります。また、今後、状況に変化がございましたら、その都度、適宜ご報告をさせていただきたいと思っております。
以上、簡単ではございますが、温泉施設における爆発事故について説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○小磯委員長 報告は終わりました。
ただいまの報告及び東京都環境基本計画のあり方について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○吉野委員 まず、一昨日、渋谷松濤の温泉施設でメタンガスによると思われる爆発が発生したことについて伺います。
この事故は、三名の方が亡くなられ、八名の方が負傷されるという、今ご報告がありましたような大変痛ましいものでありました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
環境局が所管している温泉法は、温泉を保護し、その利用の適正を図ることを目的としておりますけれども、その中には、温泉の利用開始後の温泉くみ上げ設備の安全対策については規定がございません。このようなことから、今回の事故対応の所管が明らかになっていない中、事故後、現場に職員を派遣したり、電話による緊急聞き取り調査を実施するなど、環境局が速やかに、かつ積極的に対応したことは大変評価をいたしております。
とはいえ、これだけの重大事故が起きたことは極めて重く受けとめるべきであり、二度とこのような事故が繰り返されないように、行政として再発防止に万全を期すべきであります。今後、都は、このような事故の再発防止のため、どのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 今回の事故では、とうとい三名の方の命が失われました。私どもは今後の対応を進めるに当たりましては、こうした命の大切さをまず第一に据えて考えたいというふうに考えております。
また、今回の事故は、大都市という密集した市街地の施設で起こった事故でございまして、そこの利用を楽しみにしていらっしゃる多くの方々、あるいはそこで働く従業員の皆さん、さらには周辺の住民の方々の不安を取り除くということも大切だというふうに考えてございます。そのために、事故を未然に防ぐ対策を進めるに当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、警視庁、あるいは東京消防庁による原因究明ということが必要でございますけれども、現在私どもでできることといたしまして、関係者の協力を得ながら、都内温泉施設の運営の実態について電話での聞き取り調査を進めているところでございます。これにつきましては、さらに正確に把握をしてまいりたいと考えております。
現時点で、事故防止策について環境行政の範囲だけで担えるのかどうか、はっきりしていない点もございますけれども、庁内関係各局との連携はもとより、さまざまな専門家の方々の協力を得まして、しっかりとした対策を確立していきたいというふうに考えてございます。
さらに、国に対しましては、新たな法整備の提案を行うなど、あらゆる手だてを用いて迅速かつ的確に対応していきたいというふうに考えてございます。
○吉野委員 ぜひ警察や消防と連携を密にいたしまして、きちんと事故原因が究明され、速やかに再発防止策が確立されることを強く要望いたしておきます。
次に、地球温暖化がもたらす気候変動についてお伺いをいたします。
台風のたび重なる襲来などの危険な気候変動は、人類の活動により引き起こされた最も深刻な環境問題であります。国連の報告では、二〇二〇年までに世界のCO2排出量を減少に転じさせる必要があるというふうに指摘をしております。これからの十年間は、総論賛成、各論反対ということでは済まされない、まさに正念場にあるというふうに考えております。
そうした中、都は先般、気候変動対策方針を策定いたしまして、世界最高水準の対策を提起いたしました。その中で最も注目されるのは、大規模事業所のCO2削減義務化と、排出量取引制度の導入であります。社会に影響が大きい取り組みであればあるほど、実現に向けての課題も少なくないというふうに思いますけれども、今後の取り組みについての見解をお伺いいたします。
○長谷川環境政策担当部長 このたび策定いたしました気候変動対策方針は、「十年後の東京」で提起いたしました世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するため、今後十年間の東京都の気候変動対策の基本姿勢を明確にするとともに、代表的な施策を先行的に提起したものでございます。今後この方針に基づきまして、全庁でカーボンマイナス東京十年プロジェクトの施策を具体化し、都民、企業、NGOと行政が一体となりまして、東京全体で展開していく必要があると考えております。そのため、都議会におけるご議論はもとより、利害関係者を招いたステークホルダー会議の開催など、広く都民、関係者の理解を得て意見を聞きながら、施策の実現を図ってまいります。
また、お話のございました大規模事業所に対するCO2排出削減義務や排出量取引制度の導入につきましては、環境確保条例の改正が必要でございます。環境基本計画の中間のまとめを受けて、先月末に同審議会に対しまして条例改正の諮問を行っておりますので、今後、審議会の議論を踏まえまして適切に検討を進めてまいります。
○吉野委員 ぜひ頑張って実現をしていただきたいというふうに思います。
さて、都の今回の提起には、都市づくりでのCO2削減をルール化という方針が示されております。東京の特徴として、都心部を中心に活発な都市開発が進んでいるわけですけれども、開発の中で建設されるオフィスビルなどは、今後数十年にわたって存続をするということから、これらのビルの環境性能のレベルが、長期的に東京における環境負荷の大きさを規定していくということになってまいります。そうした意味において、都市づくりにCO2削減の視点を入れることは非常に重要であります。
都は、平成十四年度から全国に先駆けて建築物環境計画書制度を実施いたしまして、建築主の環境配慮を誘導してきており、高く評価をしているところであります。しかし、地球温暖化が喫緊の課題となっている現状を踏まえますと、現状の取り組みをもっと強化していく必要があるのではないかというふうに思いますが、所見を伺います。
○大野都市地球環境部長 ただいまご指摘をいただきましたとおり、新築建築物等のCO2削減対策につきましても、今までの取り組みをより一層強化していく必要があると考えております。そのため、建築物環境計画書制度の対象となる建築物を拡大するとともに、新築建築物等の省エネ性能の底上げを図るために、一定のレベルにつきましては、省エネ性能を義務化していくことが必要と考えております。また、省エネ性能にすぐれました建築物を普及させるために、建築物の流通段階で省エネ技術性能証書の提示を義務づけ、建築物のユーザーに省エネ性能に関する情報提供を行ってまいります。
○吉野委員 ぜひその方向で具体化を図っていってもらいたいというふうに思います。また、環境負荷のより少ない持続可能な都市の実現につきまして、ただいま答弁のあった建築物単体に対する取り組み強化とともに、さらに一歩進めて、都市機能の更新、この時期をとらえて省エネ化を促進する都市づくり全体における取り組みも必要であるというふうに思います。そういったさまざまな角度からの視点に立って、都市計画を所管する部局とも連携して、最大限のCO2削減が行われる仕組みづくりを構築していく必要があるというふうに思いますけれども、所見を伺います。
○長谷川環境政策担当部長 東京が低エネルギー、低CO2型の都市に転換するためには、ご指摘のとおり、建築物単体への対策強化を含めまして、都市づくりにおいてできる限りのCO2削減が行われる仕組みづくりが必要でございます。今後こうした観点から、最新の高効率機器による省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの利用、地域におけるエネルギーの有効活用など、都市更新などの都市づくりの機会をとらえたCO2削減対策の強化について、全庁横断的なカーボンマイナス都市づくり推進本部を活用いたしまして、都市整備局などとよく連携して、実効性のある仕組みを構築してまいります。
○吉野委員 このことにつきましても、ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
ただ、気候変動対策の難しいところは、ディーゼル車規制と違って、単一の特効薬というものがないということだと思います。都市づくりのCO2削減は非常に重要でありますけれども、これだけで解決できるものではございません。大企業、中小企業、家庭など、社会を構成するさまざまな主体が、それぞれの役割と責任に応じてCO2を削減する必要があります。その中でも都内の産業、業務部門のCO2排出量の約五割を占める中小企業における取り組みが重要であることはいうまでもございません。
しかし、CO2の削減は光熱費の削減につながるので、省エネ設備の導入には関心はあるのだけれども、必要な初期投資費用が調達できない、こういうふうな声を中小企業の方々からよく耳にいたします。都は、中小企業対策として、環境CBOを導入するとのことでありますが、改めてお伺いしますけれども、環境CBOを導入するねらいは何なのか、そして、これをいつごろ実施する予定なのか、そうしたことも含めて、今後どのような考え方で中小企業に対する支援策を展開していくのか、お伺いをいたします。
○長谷川環境政策担当部長 ご指摘のとおり、CO2の削減を進めていく上で、東京の約六十万事業所に上る中小企業の取り組みを推進することは極めて重要でございます。しかしながら、中小企業では、省エネ設備の導入によりましてその後の光熱水費が削減できるにもかかわらず、導入に必要な初期投資費用の調達が課題となりまして、対策が進まないということが少なくないと認識してございます。
そのため、気候変動対策方針に基づきまして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを具体化する中で、今後、中小企業の省エネ対策を促進する金融商品の開発など、金融面での支援を一層強化してまいります。また、地球温暖化対策推進基金や税制を活用したさまざまな工夫を行いまして、省エネ設備の設置など、中小企業のCO2削減に向けた取り組みを促進、支援してまいります。
今般、そのための新たな具体的施策の一つとして、お尋ねのございました環境CBOを導入することとしてございます。環境CBOは、東京都債券市場構想に基づきまして、中小企業の新たな資金調達手法として、平成十五年から実施している社債担保証券、いわゆるCBOの仕組みに省エネ対策などを講じることを新たに参加要件とするものでございまして、これにより、従来からの目的であります円滑な資金調達の支援に加えまして、中小企業のCO2削減を一層促進することをねらいとしております。今後、関係局と連携して早期に具体化を進め、本年度中の実施を目指してまいりたいと考えております。
○吉野委員 さらに中小企業の方々からは、資金面での支援だけではなく、そもそも省エネについての専門的な知識が不足しており、また、日常の仕事に追われていて、どのような対策を行えばいいのかを検討する余裕すらない、こういう声も寄せられております。そうした現状を踏まえまして、中小企業へのきめ細やかな支援をすべきであるというふうに思いますが、見解を伺います。
○大野都市地球環境部長 中小企業での省エネを進めるためには、経営や操業の実態に即した取り組みが必要であると考えております。このため、平成十八年度から、中小企業の皆さんが参加しやすいように各区市ごとに省エネ技術研修会を開催しておりまして、現場で活用できる具体的な省エネのノウハウを織り込んだテキストなどを使用しまして、省エネの指導を行っております。
また、希望する事業所に対しましては、無償で専門家を派遣しまして、事業所の特色に応じた省エネ対策を助言する現場相談を実施しております。今後とも、ご指摘を踏まえまして、中小企業の省エネをさらに促進していくため、相談体制の一層の充実など、きめ細やかな支援を行ってまいります。
○吉野委員 中小企業対策というのは非常に重要でございますので、ぜひ頑張って取り組んでいただきたいと思います。
東京都は、ディーゼル車対策で、日本、そして世界をリードしてまいりました。今回の気候変動対策におきましても、ぜひ世界のトップランナーの役割を果たしていただきたいというふうに願っております。
今後、都独自の取り組みを実現していくに当たって、最後に局長の決意をお伺いして、質問を終わります。
○吉川環境局長 近年の異常気象に見られる地球全体の気候変動は、都民の生命、財産、健康にも直接的な影響を与え得る深刻な環境問題でございます。こうした認識に立ち、今般、都は気候変動対策方針を策定し、この問題に対する今後十年間における基本姿勢を明確にして、地球温暖化の原因である温暖化ガスを着実に削減していくことといたしました。
この方針に基づき、まず、都庁みずからが率先して省エネ対策を実施していくとともに、都民の皆様や中小企業等の省エネ意識を高め、あわせて省エネ技術の開発促進を図り、さらに都市づくりの面も含めて省エネ行動が広がるような仕組みを構築するなど、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現に向けて、私ども東京都環境局が気候変動対策の一番バッターの役割を果たせるよう、最善の努力を着実に積み重ねていきたいと思います。
○斉藤委員 それでは、報告事項の中から何点か伺います。
報告事項の(1)の緑の東京十年プロジェクト基本方針の策定について伺います。
今回、四つの方針と主な取り組みという中で、方針のⅢにおいて、校庭の芝生化が柱として掲げられています。校庭の芝生化については、温暖化対策だけではなくて、児童の情緒面に対しても非常によい効果があるというふうに伺っています。
しかしながら、この芝生づくりは大変難しいという声も伺っています。今回のプロジェクトの推進の資料の中では、杉並区立の和泉小学校の例が挙げられておりますが、この和泉小学校でも本当に芝生が安定して、これを維持管理できる体制ができたというふうに感じるまでには二年間はかかったというふうに聞いております。資料の中では、成功までの失敗、そしてまた苦労については余り触れられておりませんが、これは紙面の関係もあったと思いますが、多くの実例から今回の提案が出されたということはうかがえます。
そこで質問なのですが、基本方針の中では芝生リーダーの育成や校庭グリーンキーパーの登録など、人材の重要性が挙げられております。東京都はどのような人材をリーダーやグリーンキーパーとして想定しているのでしょうか。そして、人数や報酬の予算についてはどのように考えているんでしょうか、そこを伺います。
○大野都市地球環境部長 校庭の芝生化を円滑に進めていくためには、地域の協力や学校ぐるみの取り組み、これに加えまして専門家のサポートが重要でありますので、基本方針では、芝生リーダーの育成、校庭グリーンキーパーの登録、紹介、派遣の仕組みの構築に取り組むことといたしました。
芝生リーダーは維持管理のまとめ役でございまして、保護者や地域のボランティアなどから選ばれることを想定しております。また、校庭グリーンキーパーは、芝生の養生期間のとり方などにつきまして技術的なアドバイスを行える専門家でございまして、ゴルフ場やサッカー場などで芝生の管理を行ってきた経験者などを想定しております。芝生リーダーや校庭グリーンキーパーは、芝生化を実施する学校に最低一人は必要であるというふうに考えております。
また、グリーンキーパーの派遣に必要な経費などにつきましては、今後、十年プロジェクトを具体化する中で検討してまいります。
○斉藤委員 多摩の中では、私の地元の小平の方でも二年前にこの取り組みを始めて、なかなか芝生の安定にたどり着かず、残念ながら枯れてしまったというふうなことがございました。今回、継続して、失敗を生かしてやり直しをしていこうという中で、市内に練習場を持っておりますFC東京のグリーンキーパーの方にご協力をいただくということで、今その再生の準備に入っているそうです。
そして、今回、成功例を区の担当者に聞いてみましたところ、管理を行う業者については、ただ単に芝生をつくることができるというだけではだめであるというふうにいっています。学校に上手にアプローチをかけて、そして、組織をその中でつくっていって、児童や関係者の様子を見ながら学校生活の中に芝生育成という作業を取り込んでいって、芝生を使う側、児童や学校関係者に対して、芝生そのものを理解させることができるような業者でなければ成功しないというふうにいっています。
また、実際、軌道に乗るまで二年間かかったということでありますが、その間、本当に少ない--今回、補助の最低面積は二百五十平米程度であるというふうに聞いておりますが、この最低の面積から始めて、芝生のよさと、またノウハウを実感して、その上で前に進んだ方がいいのではないかというふうに感じているということでした。そして同時に、業者については、二年間は腰を据えてやってくれる業者でなくてはならない、そういうふうな業者になってくると、単純に競争入札で値段で決めるというものでもないであろうというふうな意見を伺っております。
今回、資料の中には書かれていない苦労や難しさがあること、それをまた環境局側の方もよく存じ上げているとは思うんですけれども、今回、学校のみならず、幼稚園、保育所などにも拡大していくということであれば、この辺、大変難しい課題はたくさんあると思います。また、それぞれ受け手側の方の技術や気持ちの温度差というものは若干なりともあるとは思いますけれども、やはり大きな予算を使う以上、失敗するわけにはいきませんので、そこはきっちりと都の方から各施設の方に目を配っていただきたいと思います。また、その当事者の負担が過剰なものになり過ぎないように、きちんと配慮していただきたいと思います。
それでは、今のを要望としまして、次の質問に移ります。
環境基本計画の方について質問します。
この計画の1の〔3〕では、一般廃棄物及び産業廃棄物の循環利用が挙げられています。現在、多摩地域のごみ最終処分組織のたま広域資源循環組合は、平成十八年七月にエコセメントプラントを稼働させたことで、現在の予測では、平成三十八年度までの処分、埋立地の延命が可能だというふうにいっています。そして、この組織の前の組織であります当時の東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合、この前任の組合管理者であります当時の武蔵野市長は、処分組合議会で、新たな最終処分場を探す予定はないというふうに、質問に対して答弁しておりました。現在も同循環組合、今の循環組合は、新たな予定地の調査を行っておりません。
五月に私ども環境・建設委員会は、香川県直島町の三菱マテリアル工場内の廃棄物再処理事業直島プラントを視察いたしました。ここでは不燃ごみを金やアルミ、鋼鉄合金といった有用な金属と、また、セメント原料となる銅スラグやコンクリート用骨材となる溶融スラグに徹底的に分別処理をして、発生する燃焼ガスの中の塩素まで低公害で取り出して再資源化を実現しておりました。
実際に視察して再資源化技術が進んでいることを実感し、大変驚いたわけです。さらに驚いたことには、騒音も、また振動も少ないため、決して島や山の中でなくても都市部でも稼働することができるというふうに考えていると、プラントの職員の方より説明を受けました。
そこで、ある程度人が住んでいるところでも稼働できるのであれば、多摩地域でも導入が可能なのではないかというふうに思うわけですが、東京都の方としてはどのように考えるのでしょうか。
また、東京たま資源循環組合では、エコセメント導入時に比べて、各市のごみ分別や回収以降の処理技術の進歩で、不燃ごみの埋立量は、ピーク時の平成十一年度の年間四万五千トンから、この十八年度の実績では七千トン弱にまで埋立量が下がっているというふうに聞いております。各市の努力に今後も期待していく一方で、なおこれ以上埋め立てに頼らないためにも、ほかの進んだ技術を検討しなければならないというふうに考えておりますが、東京都はどのように考えているでしょうか、考えをお聞かせください。
○森廃棄物対策部長 限りある貴重な埋立空間を将来にわたりまして有効に使用していくためには、廃棄物の埋立処分量を限りなくゼロに近づけていくことが重要でございます。エコセメント化施設の稼働に加えまして、最近の各市町村のごみ減量リサイクルの努力によりまして、二ツ塚処分場の埋立期間は、平成三十八年度からさらに延長されるものと考えております。
今後とも、都は広域自治体の立場から、多摩地域の各市町村が創意工夫のもとで行いますごみ減量リサイクルの取り組みに対しまして支援を行ってまいります。
また、直島のプラントにつきましては、金属製錬所と一体となって運営されておりまして、これを、同様のものを都内に立地することにつきましては慎重な検討が必要でございますが、将来を見据えまして、再資源化に関するさまざまな先端技術の動向を把握いたしまして、市町村が廃棄物処理施設を計画する段階から、きめ細かな技術的な助言や指導を行ってまいります。
○斉藤委員 以前に私もこの委員会で発言させていただきましたけれども、各市に比べて東京都の方の情報収集能力や研究能力はやはり高いと思いますので、ぜひとも今後多摩の埋立地のごみ処理について助言をしていただけるようご努力をお願いするところであります。
それでは、次の質問です。VOC対策について伺います。
この基本計画の中に、中小事業者のVOC対策が挙げられております。VOC削減の対策ガイドやアドバイザー派遣を行うということで、大変期待をしております。実際、既にある程度実績を持っていると聞いております。このアドバイザーについてどのような資格や経歴を持って、そして今現在何人ぐらい配置をしているのでしょうか、伺います。
○石渡環境改善部長 揮発性有機化合物、いわゆるVOCは、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因になることから、都ではVOC削減に向けた各種の対策を進めております。お話のVOC対策アドバイザー派遣制度は、この対策の一つでございます中小事業者の実質的な取り組みを支援するために設けたもので、現場実態に応じた効果的なVOC対策が実施できるよう専門家を派遣いたしまして、現場において無料でアドバイスするものでございます。平成十七年十一月から運用してございます。
このアドバイザーには、塗装、印刷、洗浄、例えば洗浄ですとメッキ業やクリーニング業などの洗浄の場面でVOCが使われてございますので、こうした分野における高度な技術力を持つ経験豊かな人材を業界団体から推薦していただき、現在六名の方に委嘱してございます。これまでのところ、VOCの蒸発防止や原材料の転換など、比較的低コストで実施しやすい効果的な対策をアドバイスしており、依頼者からも好評を博してございます。
今後とも、都のホームページでの紹介、都や区市の窓口での周知、環境業界団体への周知依頼などPRを通じまして、本制度のより一層の活用に努めてまいります。
○斉藤委員 先ほど吉野副委員長からも、中小企業の方で排出ガスの削減など、気が回らない、なかなか手が回らない、そしてまたお金が回らないということで、二の足を踏まれる企業も多いんじゃないかという話がありました。伺ってみると、環境負荷の削減というものについては、結果的にむだなエネルギーのカットにつながるために、環境負荷の少ない設備に早目に切りかえていくことによって、企業としての長期のコストカット、むだなエネルギーをカットすることによってコストを結果的にカットできるというふうな、大変大きなメリットがあるそうです。
先日も新聞で、私の地元にございますブリヂストンの東京工場は、排出ガスが大きいということで第四位に上がっておりましたが、少し前の十七年度あたりの決算ということで、現在は設備の更新を進めて、順次、排出ガスの削減に計画どおり進んでいるということであります。そういった大きな企業でも、そしてまた中小企業であっても、経営面でVOCの削減のアドバイザーを呼んで活用していくことで、結果的にはコストカットでメリットが大きいというふうになっています。地球全体のことでもありますけれども、企業そのものに対しても非常に有益ですよというふうにぜひPRを強くしていただいて、多くの企業に参加していただけるよう努力を求めるものであります。よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、土壌汚染対策について伺います。
環境基本計画の2の〔2〕の中で、化学物質等の適正管理と環境リスクの低減、そして環境の負の遺産を残さない取り組みというものが挙げられています。当然、今、土壌汚染の心配がされておりまして、話題にもなっております豊洲の新市場予定地についても、しっかりとした調査、対策を立てていただけるだろうというふうに期待をしております。
そこで、確認とでも申しましょうか、伺うんですけれども、環境局は、たとえ東京都の事業であろうとも環境局独自の姿勢を貫いて、その対象のよしあしを判断し、そして、的確な利用に関する指導をしていくというふうに考えているのだろうと思いますが、そのように理解をしてよろしいでしょうか。
○柿沼環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法、あるいは環境確保条例に基づく手続や土壌汚染対策の内容については、実施する事業者が民間であってもあるいは公共であっても、何ら変わるところはございません。都といたしましては、都民の健康と安全を確保するために、土壌汚染対策が適切に実施されますように、今後とも法令、条例を厳格に執行してまいります。
○斉藤委員 環境局の方の、自分たちの姿勢を貫くという姿勢に期待をしています。
そして、土壌汚染対策を実施しようとしている事業者、これは場合によっては、ひょっとしたら東京都の中の別の局ということもあるのかもしれませんが、例えばその中でそういったところから技術的なアドバイスを求められたときに、例えば調査とか、もしくは処理ということになるんでしょうけれども、その技術的なアドバイスを求められたときには、環境局として適切な指導、助言を行っているのか、それを伺います。
○柿沼環境改善技術担当部長 一般に土壌汚染対策を実施する事業者にとっては、法令の手続はもとより、調査、あるいは汚染処理の方法に関する適切な情報というのは非常に重要でありまして、必要とされているところでございます。都は、効果的な土壌汚染対策が実施できるように、これまでもこうした事業者からのさまざまな相談に応じるために、総合相談窓口を設置して対応してまいりました。今後とも、事業者からの求めに応じて技術的なアドバイスなどを的確に行ってまいりたいと思います。
○斉藤委員 ぜひとも技術的な的確なアドバイスをお願いいたします。
豊洲の新市場の予定地も含めて、都民の安心のために環境局が専門家集団としてしっかりと対策手法について目を光らせてアドバイスしていただいて、そしてまた同時に各事業の透明性を確保することを期待しております。
それでは最後に、今回、報告に急遽入りました温泉施設における爆発事故について一言申し述べさせていただきます。
三名の方が亡くなられたということで、本当にご冥福をお祈りいたします。そして、今回の事故では、環境局が、直接の管轄が少し違うということでありますが、任意ではありますが、事故当日に現地に駆けつけて、なおかつ現在、全都の百四十八の施設に電話をして、状況確認と注意喚起をしているということで、大変迅速な活動を評価いたします。
そして、詳しく伺えば、本来の環境局の管轄としては、温泉については掘削時の部分が環境局の担当であり、運営が始まって運営している間は直接の管轄ではないというふうに伺っております。ただ、今回のことを受けまして、事業を始めた以降の管理の重要性ということは認識が新たになったわけです。ぜひともその際に、ガスというものについての危険物としての取り扱いを考えれば、当然東京消防庁あたりが担当する部分、局かと思いますが、しかしながら、掘削時、スタート時の関係もございます。ぜひとも各局連携をして、例えば事業者側、施設側から見て、これは環境局、こっちは消防庁とか窓口が分散して、結局、管理の連携が悪くなって一本化した相談が十分できないというふうになってしまいますと、施設側にとってもどうしても一貫性というものが崩れてまいりますので、ぜひとも局を超えて連携をしていただきたいと思います。
特に私の個人的な意見といたしましては、温泉施設は全都に広がっておりますので、東京消防庁は消防署という拠点を持っております。東京消防庁あたりに相談窓口を持っていただいて、そしてまた、内容によっては環境局の方に相談をつないでいくというようなことも必要かと思います。また同時に、温泉法には安全管理の基準がなくて、また、ガス検知器の設置義務などもはっきりしていないということで、今後、法整備、さらには基準整備についても東京都の方から国に働きかけるなど、尽力されることを期待しております。もしも何かコメントがございましたら伺いたいと思います。
以上です。
○中島自然環境部長 先ほども申し上げましたとおり、全庁一丸となって、人命尊重という観点に立って、しっかりとした対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
○中山委員 一昨日、渋谷区の温泉で三名が死亡するという爆発事故が発生しました。まずは、お亡くなりになられました方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、おけがをされた皆様の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
我が党は昨日、石原知事あての申し入れ書、原因究明と、そして再発防止、また、国に対する安全基準等の新たな制度設定への要望を含めて、山口副知事、そして、吉川局長あてに出させていただきました。できることをきちっとやって、再発防止をきちっとやっていくという立場から質問させていただきたいと思います。
先ほど来いろいろご報告がございまして、環境局が率先して緊急的な対応を行っていただいていることはよくわかりました。我が党の高倉議員も夜十一時ごろ駆けつけましたけれども、私も翌日、朝、環境局の皆様と一般質問の打ち合わせをさせていただきながら、大変ひげを蓄えていらっしゃったお姿、徹夜で本当に当たってきたんだなということをよく感じた次第でございます。吉野副委員長からもお話がございましたけれども、縦割行政という批判を受けがちな中で、みずからの守備範囲云々という論議を超えて、まずは率先して取り組んでいただいたということに感謝申し上げたいと思います。
ところで、国の環境省が東京都の事故後の取り組みの対応につきまして、その情報提供を環境局に求めて、昨日、それを参考に全道府県に通知を出したというふうにお伺いしておりますけれども、それは事実でしょうか。具体的に東京都の環境局のどのような取り組みを国の環境省は参考としたいということなんでしょうか、お聞かせください。
○中島自然環境部長 環境省は、昨日でございますけれども、温泉の採掘場所等における可燃性ガスによる事故防止のための緊急対応についてという通知を出したところでございます。その中で、調査項目の参考として、私ども東京都が用いた調査票を添付する旨の記載がございます。
私ども環境局の取り組み内容といたしましては、現在、都内百四十八本の温泉くみ上げ井戸のすべての設置者に対しまして、先ほど来ご説明させていただいておりますように、電話で、どのような換気対策を行っているのか、あるいは具体的に井戸周辺のメタンガスを定期的に調査しているか、また、ガスセパレーター及びガスセンサーを設置しているかなどにつきまして、聞き取り調査を実施するとともに、まずはそういった調査自体を通じまして、温泉井戸を設置している場所の換気を十分に行うように注意喚起を促しているというところでございます。
○中山委員 環境局のきめ細やかな対応が国の環境省にとっても非常に参考になって、ぜひこれを東京都内の取り組みにとどめずに、全国できちっと再発防止に向けて取り組みを指示したいということにつながったというふうに思います。
この問題につきましては、まずは環境局といたしましては、先ほどのお話のように、温泉の掘削許可に関することが本業でございますので、そこのところから本事故の背景を理解するという意味でお伺いしたいと思います。
温泉の掘削の許可に当たりましては、何らかの危険とか、被害とか、そういうものを引き起こすことのないように基準を設けたり、あるいは指導を加えられたりということがあると思いますけれども、これまで東京都が温泉法に基づき、掘削を許可するに当たって配慮してきたことはどういうことなのかをお伺いしたいと思います。
平成十七年に北区の浮間一丁目の温泉掘削現場で天然ガスの爆発事故が発生しました。大変長い間火事が起きたということで、記憶に新しいところでございますけれども、そういったことも含めて、東京都の対応が状況に応じてどのように指導を加えてこられたのか、お伺いしたいと思います。
○中島自然環境部長 平成十年七月に、地盤沈下防止の観点から、温泉動力の装置の許可に係る審査基準を定めまして、地域を指定して当該地域における吐出口断面積と一日の揚湯量についての基準を設けてございます。また、平成十七年一月には、温泉に係る地盤沈下防止対策及びその適正利用を図るために、温泉動力装置の許可に係る掘削深度に応じまして、源泉からの距離制限を設けたところでございます。北区で発生いたしました爆発火災事故の後、平成十七年六月、東京都温泉掘削等に係る可燃性ガス安全対策指導要綱を定めてございます。要綱に基づきまして、掘削許可に当たりまして、可燃性ガスの噴出への対応、火気への対応、可燃性ガスの管理体制など、可燃性ガス噴出等による事故防止につきまして指導を行ってきたところでございます。
○中山委員 そもそも温泉法、これは私もすべて把握しているわけではございませんけれども、当初の目的というのは、温泉資源を確保するということが目的で制度が整えられてきて、先ほどのお話のように平成十年の対応がございましたように、東京都におきましては地盤沈下という問題があって、それを引き起こすことがないようにということで、重ねて指導を加えてこられてきた。さらに北区の事故を受けて、今度は天然ガスということが温泉と同時に地上に噴き出されるきっかけとなるということで、それへの対応というものを講じられてきた。こういう国の制度に先んじて東京都としてこの温泉の掘削に関する対応をとってきたというところが、今回も国の環境省が参考としたいという流れになったのではないかと思います。
近年では、温泉施設の人気が高まって都内でも数が急増しております。そのような中、環境局が所管している温泉法は、温泉を保護し、その利用の適正を図ることを目的としており、今回問題となった温泉利用開始後のくみ上げ設備の安全対策については、現在のところは規定がございません。しかし、このような事態、重大な事故が発生したときに、法の規定がないからといって、行政として手をこまねいているわけにはまいりませんし、環境局みずから各事業者に対して調査をされているところであります。
ただ、私は、規定がないからといって、温泉業を営まれる事業者の皆様に全く責任がないということではないと認識しております。これは善管義務といいますか、少なくともガスが出てきているという状況を把握している以上、それに対してどういう設備をとらなきゃいけないというような法の規定がないから全くやらなくていいんだということではなくて、むしろ法の規定というのは、ある一定水準以上の安全的な取り組みというものを最低限させなければいけないというときに、行政の誘導措置としてやるわけですので、そのためにもこれからは環境局の今までのいろいろな知見というものを生かして、東京都の各局の連携のもとに対応を考えていかなくてはいけないというふうに思います。
東京における温泉法に係る許可につきましては、掘削やポンプ装置の許可は環境局ですね。そして、温泉の利用許可自体につきましては、区を除いて福祉保健局で行っているという二重構造になっております。こうした中で、温泉の利用開始後の施設や設備の安全対策にかかわっていきますのは、天然ガスをずっと出されていくという状況がありますから、環境局も当然関係してくると思いますけれども、先ほど来お話がありましたように消防庁、これは機器の性能ですとか、あるいは機器を正しくユーザー側が使っているかどうかというような問題のチェックですとか、そして、都市整備局、今回、特に地下に施設があったということが問題視されておりますけれども、比重の軽い天然ガスだそうですが、必ずしも自然状態で放っておいて上の方から換気されていくというわけではなくて、空気との、入り関係といいますか、非常に薄くてまざりやすい、まざった状態では爆発というものを引き起こしやすいという指摘もございますし、そういう面で、建築上の配慮というのはどうあるべきかという問題は、都市整備局は関係してくるかもしれないと思います。
そのほか幾つかの局が考えられますけれども、このような事故の再発防止のため、東京都として対策を十分に検討し、各局が連携して取り組んでいくことが必要だと思います。環境局としての所見をお伺いいたします。
○中島自然環境部長 再発防止策の検討でございますけれども、これには設備自体に係る問題、それから、管理の問題等、今先生がおっしゃったようないろいろな視点が考えられます。そこで、建設、消防等によります事故原因の究明ということが必要なわけでございますけれども、その上で、先ほども申しましたように、国に対しまして新たな法整備を求めるなど、また、関係局が密接に連携いたしまして、必要な対策を迅速に行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○中山委員 繰り返しになりますけれども、今回、環境局が役所的な守備範囲のお互いのなすりつけ合いみたいなことを最初から取り払って、率先して対応してきたということは高く評価できます。ただ、これからは東京都全体としてやることをやってくれているかどうかということを都民は見ますし、そういう面では、掘削に関する知見というのをいろいろな各局にお伝えしていくと、例えば今回の問題につきましても、温泉法上は温泉資源の確保とか、そういうことしか問題にしていなかったかもしれませんけれども、東京都としては、地盤沈下への対応ですとか、天然ガスへの対応ですとか、そういうことを環境局としてやってきた。そういうふうに何が安全かという基準につきましては、いろいろな社会的な変化でありますとか、求められてくるものの変化とか、そういうことによって変わってくると思うんですね。これはだんだん緩やかになるというよりは、むしろ高い難度のハードルを超えていかなければいけない傾向にあると思いますけれども、そういうものがいわゆる温泉としての営業許可になった以降の段階の関係部局にもきちっと伝わって、お互いにどうやったらいいかということを検討し合って、そして、都民に安心していただけるような、そういう姿というものを講じていける模範としていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○河野委員 私も初めに、おとといの渋谷区の温泉のガス爆発事故にかかわって質問を何点かさせていただきます。
亡くなられた三人の皆様のご冥福をお祈りするとともに、おけがをされた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
いろいろお話もありました。そして、この問題は質問をしていきたい項目はたくさんあります。温泉法の見直しの必要性の問題であるとか、あるいは施設を設置し管理している会社の問題、それから、メンテナンスを引き受けた会社、子会社の方々のあり方がどうだったかとか、それぞれの責任がどう問われるべきかとか、いろいろな問題点がありますが、今警察、消防などで調査中ということもありますので、その点はまた別の機会に取り上げさせていただきたいと思っています。
私は、実はこの温泉掘削の議案を審議する東京都自然環境保全審議会の委員を平成十七年の半ばごろから務めさせていただいております。一年半ぐらいですか、約二年近くになるんでしょうか、この保全審議会の議論に参加して感じたことを中心に、東京都にお願いすること、あるいは国に要望していただきたいこと、そういうことについて三点ほどお伺いをしておきたいと思います。
一つは、先ほど、百四十八カ所の掘削をし、今使われている温泉施設に対して電話などでヒアリングを行っているというご報告が自然環境部長からありました。これは毎日、利用者の方は入浴の施設を使っているわけですよね。果たして自分が毎日通っているところが大丈夫なのかということでは、一定の不安感が伴う問題でもあると思うんですが、この調査の結果については速やかに都民に結果の報告が求められていると思うんですが、これはいつぐらいの時期にまとめてどういう形で都民に明らかにされるのか、その点、お考えがあったらお伺いをしておきます。
○中島自然環境部長 先ほども申し上げましたけれども、現在調査をしておりまして、なお電話調査等のフォローもしておるところでございまして、まとまり次第、ご報告をさせていただきたいというふうに考えております。
○河野委員 次の質問のときに、もし答えていただければお願いします。まとまり次第というのはどれくらいの期間を見ているのかというのは、百数十カ所というたくさんの数の聞き取りなので大変かとは思いますけれども、大体どこのところでまとめていこうとされているのか、ちょっとお答えいただきたいと思っています。
それから、審議会で議案を審議するときに、私も多摩の方とか、二十三区とか、いろいろここの温泉掘削はどうなのかと現地に行ったりするんですね。たまたま最近、私が住んでおります江戸川区でも、マンションを建てるとそこに温泉を掘って、各戸に給湯というんですか、お湯を配るというような構想の温泉掘削がありました。そこは自宅のすぐ近くでありましたので行ってみたのと、地元の自治体にも聞いてみました。議案が出ますよということで、環境局の方からお知らせがあった時点で聞きましたら、地元の自治体はそういう情報は何も受けていないというんですね。それから、近隣の皆さんに聞いても、一度もそういう話は聞いたことがないと。
審議会の議事録などを読みますと、温泉掘削にかかわっては、近隣の方々に、掘りますよということで、情報を提供するための看板の設置とかが、掘削する業者なりマンションを建てる事業者に義務づけられているというようなことをご説明の発言があるわけなんですけれども、こういう自治体とか近隣住民に対して、温泉がここに掘削されるということを一定の時期にもっと知らせて、そして、地元からも意見を寄せてもらうという仕組みづくりが当然あってしかるべきではないかというふうに考えるんです。その点は、この仕組みは今存在しているのか、それとも実際には存在しているけれども、なかなか機能していないのか、その辺を教えてください。
○中島自然環境部長 土地の掘削の申請をしていただいた後、速やかに掘削地点に申請者のお名前ですとか、あるいは工事の概要等を示した看板等を掲示するよう、申請者に対して指導してございます。また、申請者に対しまして、温泉掘削の申請をする前に、当該掘削計画が他の関係法令上問題はないのかどうか、関係部局や地元の区市町村に問い合わせをして、そして確認するように指導いたしております。このように都と区市町村が連携を図りながら、今後も引き続きまして情報の共有化を努力していきたいと考えております。
なお、先ほどの調査の件でございますけれども、今回の調査につきましては、ある意味では私どもからすれば抜き打ち的な調査でございまして、何回も繰り返し電話でお尋ねしているといったこともございまして、まずは区部の方をかなり優先してやっているということがございます。実は百四十八の中には、島しょ部、島の方の部分もありまして、そういったことを含めますと、若干時間を要しているということは事実でございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、速やかに、まとまり次第、ご報告をさせていただきたいというふうに考えてございます。
○河野委員 それで、もう一点、この問題なんですが、私たち、東京都内の温泉の掘削の問題では、温泉自体が限りある自然資源だということで、大変大切にしなくてはならないものだということをいってまいりました。それで、審議会の委員の皆さんも、温泉を掘ることで、掘る場所によっては自然の湧水がかれてしまうとか、地盤沈下が起こるとか、さまざまな環境に影響があるので、いろいろな抑制の方向も含めて取り決めが必要なんじゃないかという意見も長年にわたって論議されてきたということを聞いています。
その中で、先ほど部長がお答えになりました平成十七年一月十七日の温泉に係る地盤沈下防止対策及び適正利用についてということで、掘削する深さによって別の温泉を掘っていいかどうかとか決めていく、そういう基準が定められたというふうに私は聞いているんです。この基準が、温泉資源を大事にしていこうということで、十七年の一月に決められたんですけれども、その後どうだったかというと、自然環境保全審議会にかかる温泉掘削の議案というのは、それほど減少しないんですよね。抑制、規制というよりも、むしろ温泉ブームであるとか、それから、さっきお話ししましたマンション業者が温泉という付加価値をつけてお部屋を販売するとか、あるいは介護保険施設にも温泉を引くとか、用途はさまざまですけれども、貴重な温泉資源が、ある意味でいえば商業的な商品として価値を生み出すという形で、どんどんと掘削が進んでいっているという状況が実際に起こっているというのが、自然環境保全審議会の中でも意見として出されています。
このまま掘っていけば早い者勝ちで、先に掘っちゃった方が勝ちで、それで、後から規制がかかった人たちは掘れないよとなって、今どんどんどんどん、都内を中心に温泉掘削が進んでいるんじゃないかということが、都議会から出ている委員の方からも、私以外の方々からも出ていて、この十七年の一月に決められた適正利用ということについては、もっときちんとした、地盤沈下を防ぐ、限りある温泉資源を大切にする、そういうことから見直しが必要なんじゃないかという論議もことしの初めに起こったことを私は記憶しています。
こういう審議会の意見が出て、大方の方向が、それは本当にあるべきだという都民委員の方の意見なんかもあったんです。環境局としては、今度の事件は一つのきっかけではあるんですけれども、その前に自然環境保全審議会からそういう意見が議論の中で出ているわけなんですが、その適正利用について改めて見直していくということについては何かお考えをお持ちですか。
○中島自然環境部長 今先生お話しのように、私ども東京都におきましては、平成十年から温泉くみ上げ量の制限、それから、十七年から新たに掘削する温泉と既存の温泉の間の距離制限など、独自の対策を進めてまいりまして、温泉くみ上げの抑制と地盤沈下の防止というものを図ってきたところでございます。
また、平成十七年には、全国で初めて温泉の個人的な利用に対しまして、くみ上げ量の制限も課したところでございます。内容的には、マンションで各世帯の浴槽に温泉を給湯する場合に、一日に一世帯当たり〇・五立方メートル、あるいは戸建て住宅に給湯する場合には、一日当たり十立方メートルを上限といたしまして、浴槽の大きさ等を踏まえた適正なくみ上げ量とするなど、温泉の個人的な利用をする場合にもくみ上げ量を最小限にするということで指導しておりまして、引き続きこうした観点から指導をしっかりとしていきたいというふうに考えてございます。
○河野委員 きょうも、テレビ、朝の報道番組で、シエスパの社長さんとかがお出になられていましたけれども、やっぱりそういうガスが温泉にまじり込んで出てきて沈殿するとか充満してしまうということを十分に認識していなかったとか、そういう発言もされていて、部長がおっしゃったように、業者に対してのきちんとした指導というのは本当に欠かせないことになってきていると思いますので、その辺のご努力をお願いしたいのと、やはり温泉法について改めてきちんと安全性を確保する、それから、自然環境保全の立場からどのような見直しが必要なのかというのを東京都も精査していただきまして、国に求めていっていただきたいし、都が対応していただける可能なことはすべてご努力をいただきたいと、もちろん私たち議会の者もそういう立場にあるわけですけれども、そのことを改めてお願いして、この問題の質問は終わらせていただきます。
それで、三つの報告、環境基本計画改定の中間まとめ、気候対策変動方針、それと緑の東京十年プロジェクト、この問題を一括してまとめてということで質問をさせていただきます。
質問の初めに確認をさせていただきます。今回、五月三十一日から六月八日に、ぱんぱんぱんとこの三つの問題が中間まとめから始まって、方針が二つ出されて、環境の六月だという感じがいたしました。私もいろいろ努力して読んでみたんですが、率直にいって、環境基本計画の中間まとめを中心にして読ませていただきましたが、私のレベルでは大変難しいかなと難解な思いがして読んだんです。特に引用されている資料についていいますと、環境問題にかなり知識のある人でないと、一読しただけでは理解できないことが少なからずあると感じています。略語が使われていることも多いですし、横文字も多いです。
温暖化防止についていえば、一人一人の都民の意識変革、ライフスタイルの見直しの必要性が強調されているわけですから、都民の多数、どなたが読んでもわかりやすいものにしていくことが大事だというふうに考えます。本計画がまとまっていくときには、よりわかりやすい方向で記述というんですか、資料の選択も含めて改善されるのかどうかということを初めにお聞かせいただきたいと思います。
○長谷川環境政策担当部長 環境行政は大変に多様化あるいは複雑化してございまして、そういう中で、環境基本計画の中間まとめにおきましては、施策の分野ごとに現状と施策のあるべき姿を示しまして、あるいは目標を示しまして、その上で施策のあり方、方向性を記載するというようなスタイルをとりますなど、多様化、複雑化する環境行政のあり方について、知事の諮問を踏まえた詳細かつ熱心に行われた議論の内容をできる限りわかりやすくあらわすように工夫がされているものと受けとめてございます。
基本計画の改定に当たりましては、今後、現在行っているパブリックコメントでの都民の意見を踏まえて、環境審議会でさらにご審議いただくわけでございますけれども、都民や事業者、あるいはNPOなど多くの方々にご理解いただいて、主体的な行動により、相互に連携を図りながら環境政策を進めていくということが重要でありますので、できる限りわかりやすいものとするよう努めてまいります。
○河野委員 東京都は去年の十二月に「十年後の東京」を発表して、そして、世界一環境負荷の少ない都市にすると宣言しています。温暖化防止に向けては、二酸化炭素の排出を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減する、これも明らかにいたしました。そして、ことしの五月三十一日に環境基本計画改定に向けて、東京都環境審議会が中間まとめを発表して、六月一日には知事が記者会見で気候変動対策方針、カーボンマイナス東京十年プロジェクト、続いて六月八日に緑の東京十年プロジェクトを発表して、東京が直面している二つの温暖化、地球温暖化とヒートアイランド現象の改善に向けての都の取り組み方針を示しております。ことし二月から五月まで、IPCCの三つの部会が地球温暖化の第四次報告を出して、六月にドイツのハイリゲンダム・サミットでも地球温暖化が最重要課題となって、まさに今、CO2排出を減らして温暖化の進行を食いとめることは世界じゅうで待ったなしの課題という認識になっています。
東京都がこの時期に発表した一連の方針は、まさに注目を集めていると思います。環境基本計画改定の中間まとめは、昨年の五月から審議会の部会、調査会で議論が進められ、これに携わった審議委員の皆様も、本当に多岐にわたる環境問題を都の基本計画にまとめ上げていく、この作業に大変ご苦労をされたと私は推察しています。
お伺いしたいのは、昨年の末に出た「十年後の東京」と、最近相次いで発表された地球温暖化防止に関連しての三つの中間まとめや方針、これはどのような関連を持つのでしょうか。環境局が中心になって都の環境行政の中心に据えていくというのは、今年度中に改定になるという環境基本計画、これであると考えていいのでしょうか、それぞれの関連についてご説明を求めます。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画は、環境基本条例によって位置づけられているものでございまして、その規定によりまして、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する目標、施策の方向、配慮の指針、その他の重要事項を定めるものとされております。さらに、条例では、東京都が環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たりましては、環境基本計画との整合を図るものとされてございます。そうしたことから、環境基本計画は、東京都の環境基本行政における、いわば軸ともいうべきものと考えております。
また、昨年末に策定された「十年後の東京」につきましては、二〇一六年の東京の目指すべき姿と、それに向けた政策展開の方向性を示す都市戦略でございまして、これに掲げた目標を達成するため、カーボンマイナス東京十年プロジェクト及び緑の東京十年プロジェクトを展開していくこととしております。
今般策定し、ご報告申し上げております二つのカーボンと緑に関する方針につきましては、「十年後の東京」に基づきますそれぞれの十年プロジェクトを進める上での基本方針でございまして、これについては、昨年来、環境審議会が行ってまいりました環境基本計画の改定に向けた検討の内容を踏まえまして、東京都としてそれぞれの対策の方向性の具体化を図ったものでございます。
なお、今後具体化してまいります二つの十年プロジェクトの事業につきましては、今後策定いたします新たな環境基本計画の実行プログラムにも位置づけてまいります。
○河野委員 三つの環境問題の中間まとめや方針に関連して、本当に待ったなしの課題となっている温暖化とヒートアイランド現象について質問をしていきたいと思うんです。
京都議定書が発効しまして二年余りが過ぎました。東京のCO2の削減は九〇年比で六%削減目標ということになっています。東京でCO2排出削減のかぎを握っているのは業務系のCO2排出だと思います。この分野の排出量は二千百万トンですか、全体の三三%ぐらいを占めています。都は来年度から業務系削減のために大規模事業所に数値目標を設けて排出削減を義務づけ、中小事業所と排出取引ができる制度を創設する条例づくりを予定しているといっています。現在都が実施している地球温暖化対策計画書制度で計画書を提出している大規模事業所は、私が聞くところによりますと約千三百余りということになっているわけですけれども、削減目標を義務づけることで、この大規模事業所との合意は可能なのか。
それからもう一点、都が中間まとめなどで書いておりますように、温暖化防止について知識や資本ともに不十分な中小事業所が、大規模事業所に排出減分、中小事業所が排出を減らした分を買い取ってもらえるほど排出削減を中小事業所が実行できるのか、この点疑問に感じるんです。この大規模事業所への排出の義務づけと、それから、中小事業所との排出取引の条例化、これについて実現に向けて都が準備している努力についてお伺いをしたいと思います。
○大野都市地球環境部長 東京都は現在、平成十七年度から地球温暖化対策計画書制度を実施しております。この制度によりまして、都内の約千三百の事業所が削減計画書を提出する、こういう制度になっております。私たちはこの提出された削減計画書につきまして内容を審査いたしまして、どのような環境配慮がなされているか、どのようなCO2の削減対策がされたか審査をいたしまして、不十分な場合にはそれについて指導をするということをやっております。これによって、これまで不十分だった取り組みについても大分底上げを図っていきたいということでございますので、こうした現行制度の運用の成果をベースにいたしまして新しい制度にステップを進めてまいりたい、このように考えております。
それから、中小企業の方でございますけれども、これにつきましては先ほどのご答弁とも重複をいたしますが、中小企業の省エネを進めるためには、環境CBOでございますとか、金融商品の開発、こうした金融面、資金面の支援をするほか、省エネ技術研修会の開催でありますとか、相談体制の充実、こうしたきめ細やかな支援をいたしまして、中小企業につきましても省エネ対策を推進していく、このように準備を進めてまいりたいと思っております。
○河野委員 義務づけの問題なんですけれども、さっきも話がありましたけれども、ディーゼルの排ガス規制のときもいろいろと中小業者の方々もご苦労されたり、混乱もありました。そういう点では、来年度に条例化しますよという都の方針はありますけれども、部長がお答えになられたように、きめ細かな対応で混乱のないような、だれもがやっぱり今必要な、みんな一人一人が意識変革をして待ったなしの課題で取り組まなくてはならないんだというところで、意思統一がされるような取り組みを進めていただきたいということを改めて申し述べておきます。
業務系の排出CO2は、今いいましたように、全体排出量の三割を超えておりまして、そのうちの六割は事務所系からの分です。オフィスの排出は千二百四十六万トンという数字が出ておりますが、今、都市再生のまちづくりで、東京都内、都心部を中心にオフィスはふえ続けています。この状況に照らせば、削減どころではないのではないかと率直に思ってしまいます。
都市再生によって、東京は超高層ビルの建設が急激にふえています。昭和三十八年から平成十八年までの間に、百メートルの高さを超える高層ビルは三百一棟建ち上がり、石原知事が就任してからの数で数えますと、平成十二年からの数ですが、平成十八年まで百三十五棟、平成十九、二十にはさらに四十二棟の建設が予定されているといわれていますから、小泉政権時代にできた都市再生特別措置法以後、物すごいスピードで都内に超高層ビルが建設されているわけです。これまでにないスピードだと思います。
超高層ビルは、建築時に膨大な土砂を排出すること、そして、建築後のビル排熱やCO2の排出など、環境負荷が極めて大きい、これは多くの方が認めている問題です。世界一環境負荷が少ない東京にするということであれば結構なことなんですけれども、CO2の排出を減らします、負荷をなくしますといっても、この巨大開発に言及がないと、このことは説得力を持たないのではないかというのが私の率直な思いですが、いかがでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 都市開発によります都市の機能更新を行うことは、CO2排出量の削減など、環境負荷のより少ない都市づくりを目指すことと対立するものではなく、ともに重要であると認識してございます。これは気候変動対策方針にもお示ししているところでございますけれども、都市開発の中で新改築されますオフィスビルやマンションなどの建築物は、今後数十年にわたって存続するものでございまして、その環境性能の程度が長期的に都市の環境負荷を規定することとなります。
そうした観点から、都市開発を契機といたしまして、エネルギー需要やCO2排出量の抑制を積極的に進める観点から、最新の高効率機器による省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの利用、地域におけるエネルギーの有効活用など、都市づくりにおいて最大限のCO2削減が行われる仕組みを構築してまいるつもりです。
○河野委員 もう一つ、都市づくりのあり方で、自動車交通の問題を伺っておきます。
三環状道路の建設、そして、都市計画道路がどんどんと建設される、こういうことで都内の緑が失われてきています。昨年全面開通になりました環状八号線、それから今後事業に入るといわれている放射五号線と玉川上水の問題、それから先日委員会で請願が出されてまいりました世田谷区の補助二六号線と緑の問題、そのほかにも東村山とか都内各地で緑と道路建設の問題で矛盾が起きている、そして住民運動が起きているということがあります。都内各地のこういう都民の皆さんは、大きな道路をつくるよりも、緑や自然を大切にしてほしいと声を上げておられます。
自動車自身の性能をよくしてCO2の排出を少なくするとか、道路建設と車の集中についていえば、道路をつくれば時速が上がって渋滞がなくなって、CO2の排出が少なくなるんですとか、都の方はずっとそういうご説明なんですけれども、私たちはCO2を減らしていく上でこれは抜本的な対策にならないと考えます。中間まとめには、自動車交通との関連で、随所に三環状道路の建設の問題が出てまいります。三環状道路を今つくっていくことが東京の環境をよい方向に導いていく、このことについては私は大変疑問を持つものなんですけれども、いかがでしょうか。
○井戸自動車公害対策部長 三環状道路の整備につきましてのご質問でございます。
三環状道路の一つでございます圏央道整備につきましては、今週、明後日、二十三日に八王子ジャンクションとあきる野インターチェンジ間がいよいよ開通しまして、関越道と中央道が接続いたします。東京の環状道路整備が一歩大きく前進いたします。
申し上げるまでもなく、東京の交通ですとか、あるいは都市機能の最大の弱点につきましては、放射方向に比べまして環状方向の道路整備が著しくおくれている、それによりまして慢性的な交通渋滞が起きているということがございます。こうした中で三環状道路の整備につきましては、首都圏の広域的な高速道路ネットワークを構築し、都心を通過する交通を迂回させるなど、東京の最大の弱点でございます渋滞を解消する重要な道路でございます。三環状道路の整備によりまして、渋滞解消で旅行速度の向上が図られ、CO2ですとか、あるいは大気汚染の原因でございますNOxの削減など、環境面でも大きな効果が期待されております。また、三環状道路の整備で生まれる交通インフラのゆとりを生かすことによりまして、快適で環境に負荷をかけない都市生活を実現できると考えてございます。
また、先ほどの緑と道路の問題でございますけれども、今回お示ししました緑の東京十年プロジェクトにおきましても、街路につきましては倍増する、あるいはまた道路整備にあわせまして、厚みと広がりを持った緑の存する空間が連続する環境軸を形成するといいまして、緑と道路整備につきましては、二者択一の問題ではないというふうに認識しております。
○河野委員 環境局はそういうご答弁をしなくてはならない立場だとは思いますが、私は、三環状道路とか大型の都市計画道路をどんどん通して、道路のネットワークをつくるというよりも、もっと違った東京の都市づくりのあり方、そして交通問題の解決があると思います。環境局も、TDM、交通需要マネジメントを進めていくとか、いろいろ自動車交通に頼らない方策をつくっていこうとか、特に公共交通機関の充実で車に依存しない社会をつくろうとか、そういうことを大きく掲げているわけです。
私は知事の本会議での所信表明演説を聞いておりまして、今後、羽田の再拡張で便利さは一・四倍になるということを知事はおっしゃいました。だけれども、航空機から出されるCO2の排出は物すごく大きなものがあるということは、皆さんも映画や本をごらんになったかもしれないんですが、アル・ゴアさんの「不都合な真実」、あそこの中にも航空機のCO2の排出は極めて大きいということが書かれているわけですね。そうすると、羽田の再拡張で一・四倍便利になっても、逆に環境の負荷、その点では大変大きな都民への環境負荷がかかってくるという問題も起こってくるということも指摘しておきたいと思います。
そして、都市の快適さとは何かということでは、局が中心になってまとめていただいております環境基本計画中間まとめの七ページにも出ておりますけれども、楽しく気持ちよく歩けるコンパクトなまちが真に快適なように、低エネルギーで質の高いまちが快適な都市生活を実現する、私は、東京都はこの立場で、ぜひ都市の開発の問題、道路の建設の問題、改めてまちづくりについて取り組んでいく方向性を探ってほしいということを、この機会をかりて申し上げておきたいと思います。
次の質問に移ります。京都議定書の削減目標と都の示す削減目標との関係です。
この中間まとめを論議されてきた審議会の委員の方の意見を、インターネットから議事録をとりまして読ませていただきました。その中には、京都議定書が九〇年比で何%の削減目標を持ちましょうということで、東京は二〇一〇年までですか、六%ですけれども、そういうふうに書かれている中で、これから東京は二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%減という目標になると。
その委員の方は、EUとかロンドンとか他の海外都市は、九〇年比で削減目標を設定していこうという流れの中で、なぜ東京が二〇〇〇年比で目標を出すのかという点では、これは一考を要するんじゃないかというような意見を出されているようですけれども、前にも一度お伺いしたことはありますが、二〇〇〇年比で二五%減という目標よりも、京都議定書で決められた九〇年比で基準年を定めて、そして二五%なら二五%という削減目標を東京都が設定する方が、より積極的な環境負荷の少ない東京づくりになるのではないかと思っているんですけれども、どうでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画中間まとめの基準年次二〇〇〇年の設定の考え方につきましてのご質問でございますが、これにつきましては、環境確保条例の制定など、東京都が自治体として本格的に温暖化対策を開始しましたのが平成十二年、二〇〇〇年であるということから、実効ある目標設定として、これを基準年次として設定したものでございます。
なお、具体的に何年を基準として、何年を目標に、何%の目標を掲げるかということについて、ロンドンやEUとの比較というお話もございましたけれども、これは、その都市や国の社会状況、経済的な状況の違いなどによりました戦略の立て方の違いということもあると思いますので、参考にすべきとは思いますけれども、数字の高い低いだけを議論するのは有効ではないのではないかというふうに考えてございます。
○河野委員 一つ伺うのを忘れちゃったんですが、長期目標、二〇五〇年五〇%削減、この二〇五〇年に五〇%を減らしますよという、ここもかなり長いスパンの問題なので、なかなかこうしますという具体的なお話は私たちに見えづらい形で、ご説明は無理なのかもしれませんが、今の時点で長期目標五〇%削減ということで定められた都のお考えを伺っておきます。
○長谷川環境政策担当部長 長期目標の設定についての考え方でございますけれども、危険な気候変動を回避するために、世界全体の温室効果ガス排出量を半分以下に削減する必要があるという認識に立ちまして、世界的にもポスト京都議定書に向けて、G8の議論もきっかけに枠組みづくりが始まってございます。
東京都といたしましては、こうした世界や国の動きを視野に入れつつ、それに先立って気候変動対策方針で先駆的な施策を具体的に提起しておりまして、長期的な目標を視野に置いた着実な取り組みを展開してまいります。
○河野委員 それでは、今年度積み立てられました地球温暖化対策基金五百億円、これはカーボンマイナスのプロジェクトの方には効果的に活用するというような記述があります。中間まとめ、基本計画の方には、地球温暖化対策基金について東京都がどのようなスタンスで臨むのかというのは明確にされていないという感じなんですけれども、基本計画との関係で、これはどうなっていくのでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 本年度設置いただきました地球温暖化対策推進基金につきましては、カーボンマイナス東京十年プロジェクト及び緑の東京十年プロジェクトを推進していくに当たりまして、安定的な財源投入を行うことにより、効果的な施策展開を可能とするために設置したものでございます。本基金につきましては、今後の予算編成過程などにおいてプロジェクトを具体化し、個々の事業を構築していく中で、その活用方法を検討、整理すべきものと考えております。
なお、環境基本計画との関係というお話もございましたけれども、この具体的な使途などについて、環境基本計画の中に具体的に位置づける考えはございません。
○河野委員 具体的に位置づける考えはないということなんですが、五百億の基金は大変大きな基金なので、ちょうど今、基金が積み立てられた年に基本計画が改定になるわけですから、基本計画に何らかの形でのらないとおかしいんじゃないですか。
○長谷川環境政策担当部長 先ほどのご質問にもございましたけれども、カーボンマイナス十年プロジェクト、緑の東京十年プロジェクト、これらが基金の活用の施策ということになるわけでございますが、これらにつきましては、環境行政の軸でございます環境基本計画に基づいて策定していくということがございますので、そういう意味で環境基本計画と整合をとりながら活用していくということになろうかと思います。
○河野委員 推移を見ていきたいと思っています。
次に、緑の問題について伺います。
この三つの文書を読みますと、東京都の緑の減少はどんどん進んでいるということがどれにも大体書いてあるわけなんですね。私もずっと東京都が緑についてどういうスタンスで臨んできたのかということで見てみました。一九七四年ごろから緑のネットワーク構想とか、八一年には都の緑のマスタープラン、八四年には緑の倍増計画、八九年にはみどりのフィンガープラン、九五年には緑のマスタープランの改定、二〇〇〇年には緑の東京計画と、緑を倍増したり、守っていこう、ふやしていこうという方向は、都の方は環境局中心にずっと出されてきていると思うんです。それにもかかわらず、どうして減ってしまったのでしょうかというところでは、この三つの文書を見る限り、その分析というのでしょうか、原因の究明とか、では、具体的にどうすればいいのかというところは、私たちから見るとなかなか見えてこないものがあるんですが、努力したのに一連の緑の減少がなぜ起こっているのかという点では、どのように分析されておられますか。
○浅川参事 東京は、高度経済成長期などにおきます都市化の進行に伴いまして緑が減少してまいりました。そうした状況に対し、先ほど先生お話しのように、東京都は緑の倍増計画、緑の東京計画などを策定し、緑の創出や保全の取り組み、努力を続けてまいりました。しかしながら、平成十年と平成十五年の五年間のみどり率の変化というのを見てみますと、区部で約一ポイント、多摩部で約二ポイント減少していると推計されておりまして、残念ながら東京の緑の減少傾向は続いております。
その減少した要因でございますけれども、さまざまな緑創出、保全の努力にもかかわらず、相続などに伴う農地の減少、また宅地の開発などによるものと考えてございます。
○河野委員 ご苦労はされているようで、余りどうして、どうしてというのもお気の毒な感じなんですが、この緑の東京十年プロジェクトとかを見ますと、東京都はこれから良質な緑をふやしていくということが一つうたわれています。
それから、緑を守っていくということもうたわれています。緑を守っていく上で目立つのは、民間の力、寄附の文化を育てるというようなこともかなり強力に打ち出されておりますが、やはりこれまでの経過も見ますと、公の責任できちんと緑対策をしていくことが必要じゃないかと思います。環境局がその緑を守り、育てていくという点で見れば、保全地域の公有化、今度もまた局の方で努力があるようですけれども、そういう保全地域の公有化について、どういうふうに取り組んでいかれるのか。
委員会で毎年私たちは資料を出してもらっていますけれども、保全緑地の公有化についてはなかなか大きな予算上の変化もないですし、積極的な取り組みを求めたいと考えますけれども、緑の問題で二点ご答弁ください。
○中島自然環境部長 まず、保全地域の公有化でございますけれども、これは土地の所有者からの申し出に基づきまして公有化を図るものでございまして、これに対しましては、土地の所有者が受ける強い利用制限に対します補償制度でございます。今後とも保全地域内の民有地につきまして、予算の効率的な執行を図るということに最大限努めながら、適切に公有化を進めてまいります。
また、さまざまな努力をしまして、都市の中に良質な緑をつくっていくという努力も、我々は今般、十年プロジェクトもつくりまして積極的に取り組んでまいりますけれども、そうした中にありましても、さまざまに生物の生息空間ですとか、あるいは景観との関連も含めまして、最大限努力して良好な緑をつくり出してまいりたいと考えております。
○河野委員 もう一つ、CO2削減との関係で伺っておきます。
再生可能エネルギーの利用拡大ということで方針が出されています。化石燃料から脱却していくということでは、本当にこの方向を切り開いていかないといけないと思うんですが、太陽光など再生可能エネルギーの利用拡大の方策についてどう強力に推し進めていくのか、その見通しについてお示しください。
○大野都市地球環境部長 再生可能エネルギーの普及拡大に関しましては、現在取り組んでおりますのは、この三月に太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしまして、現在、各分野の専門家の協力を得ながら、太陽光発電、太陽熱の供給拡大策について検討を進めているところでございます。
今後、こうしたさまざまな方向によりまして、設備機器メーカーでございますとか住宅メーカー、エネルギー事業者などとも連携しながら、再生可能エネルギーの利用拡大を図ってまいります。
○河野委員 ドイツの例が基本計画中間まとめか何かに出ていましたけれども、日本の優秀な技術が追い越されて、ドイツの方が太陽エネルギーは大きく利用がふえているというような状況も生まれているようですので、私たちも、首都東京であるからこそ、こういう分野にも力を入れていただきたいなと思っています。
最後の質問になりますけれども、廃棄物の問題です。
これまでリデュース、リユース、リサイクルと三Rをセットにして廃棄物の発生抑制とか、資源を有効に活用するということで、ずっと市民的にも取り組まれてきました。今回、中間まとめを見ますと、発生抑制という言葉はあります。その次にリユース、リサイクルとなっていて、これはどうしてリデュースを入れて三Rにしないのかなと思ったんです。
私は、感想的な問題なんですけれども、発生抑制の問題についていえば、企業が生産段階から使い捨て容器をどんどん減らしていくとか、発生抑制について企業の責任をもっともっときちんと明らかにしていくことが必要じゃないかと考えているんですけれども、中間まとめを読む限りは企業にももちろん責任がある、しかし、消費者も使い捨て容器を使わない、こういうようなスタンスで、企業責任がちょっとぼけた形になっているような印象を受けたんですけれども、この辺は今まで東京都が三R推進ということで考えてこられた方向と変化がないのかどうか、その点、確認の意味でご質問をします。
○森廃棄物対策部長 循環型社会への変革を進めるためには、まず廃棄物の発生そのものを抑制することが重要でございます。今回の東京都環境基本計画のあり方についての中間のまとめにおきましても、製品の製造事業者が当該製品のリサイクルや処理について一定の責任を負う拡大生産者責任の考え方に基づきまして、できるだけ廃棄物を発生させないなど、環境に配慮した製品の開発、提供を促すべきとしてございます。
都は今後とも、八都県市で取り組む容器包装ダイエット宣言などによりまして、発生抑制、リサイクルに係る事業者の責任の徹底を図ってまいります。
○河野委員 ずっと伺ってきましたけれども、これまで日本の社会が進んできた使い捨て文化とか、そういうことから抜け出て、社会のあり方も、持続可能な経済成長の方向に向かう日本とか東京ではなくて、省資源、省エネを進めて生態学的にも持続可能な社会づくり、これはヨーロッパのスウェーデンなんかでうたわれているようですが、そういう方向に社会のあり方、消費活動のあり方、企業活動のあり方、行政のあり方が切りかわる必要があるというふうに考えています。環境基本計画は、生態学的に持続可能な社会づくりの方向に向けて、よりよい方向での指針になるように願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
以上です。
○小磯委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時十九分開議
○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大西委員 私からも、十九日の午後に起きました都内の温泉施設での爆発事故、これについてちょっとお聞きしたいと思います。
この質問に先立ちまして、突然亡くなられた三人の方、けがをなさった方、何よりもけがをなさった方の回復を願うとともに、三人の方のご冥福を心よりお祈りしたいと思っております。
今、実態調査ということなので、詳しくはと思っておりましたけれども、きのうの夕刊でちょっと気になる記事が出ておりました。そこで、このことについて伺いたいと思います。
これは多分、毎日だと思うんですが、平成五年の二月に温泉掘削中のガス爆発事故が北区で起こった後に、東京都はそれを契機に、掘削中についての安全対策ガイドラインをつくりました。その後、国交省の関東地方整備局は、都や千葉県と連携し、二年かけて施設整備から管理までを対象にした天然ガス対策ガイドブックを作成し、ことしの三月にそれを公表したが、末端の都内の温泉管理者にまでは行き渡っていなかった。ガイドブックを作成した担当の人は、直接編集したのは国交省で、都に配布する義務はないと考えているということ等の発言が載っておりました。この記事に対する東京都の見解を伺えますか。
○中島自然環境部長 新聞記事の詳細につきましては、私も全文を読んだわけではございませんけれども、そこで示されておりますガイドブックについては、こちらにあります天然ガス対策ガイドブック、このことだろうと思います。これにつきましては、国土交通省の関東地方整備局東京第二営繕事務所というところが東京都ですとかの意見を聞いてつくったものでございまして、どちらかといいますと、これは設備、施設の整備ですとか、あるいは管理にかかわることにつきまして、安全といったことで注意を促すということで、ウエブ上とかインターネット上にこういうものを掲載しているところでございます。これにつきまして、直接私どもの所管ではございませんけれども、こういうものがあるということを承知しております。
そして、その記事の中で、もう一つでございますけれども、九割という記載がございましたけれども、これにつきましても、安全対策の要綱以降の掘削が一割ということから、そうした表現になっているのではないかなというふうに考えられます。
○大西委員 私も新聞記事だけなので、そのガイドラインの中身等もまだ見ておりませんので、これ以上のことはなかなかいえないんですけれども、東京都は必要だと思っているから二年間かけてガイドラインづくりをやっていたということと、それから今回、何よりも問題だったのは、運営管理というんですか、それに対するいろんな対策がなかったということが大きな問題で、今後もそこが問題になってくると思っております。
それともう一つは、千葉は非常に広いガス田が広がって、天然ガスが出るという危機感があったということ、東京都も、浅いところであればそういう問題はないかもしれませんが、ほとんどが非常に深いところから温泉を出しているということであれば、常にこのような問題が、危険性があるともいえますので、やはり感度をよくして、そして危機感を持って今後の対策に取り組んでいただきたいと思っております。
そして、国がということではなくて、もし国がやることだけで満足しなければ、都独自でやっていただくことでいいわけですので、何よりも早く天然ガスに対する保安対策を制度化する条例や、それから国に対しての要求等を要望しておきたいと思っております。
○中島自然環境部長 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、基本的には、国の法整備というところについて、これは事故原因の究明等を待つ必要があるわけでございますけれども。そういったことは基本的には必要だというふうに考えております、まず何よりも、先ほど来申し上げておりますように、人命を尊重しなきゃいけないという立場に立って、我々が今できることから手をつけているわけでございまして、そうした観点から、今後、全庁的なさまざまな部署がございますけれども、そこと協力いたしまして、速やかに対策確立に向けて最大限努力をしてまいります。
○大西委員 ぜひお願いします。爆発の映像を見ましたけれども、ああいう住宅密集地の中であのようなことが起きるというのは、私どもも日常生活の中で考えてもいなかったことが起きたということで、ぜひこれを重大に考えて対策をお願いしたいと思っております。
それでは、用意しております質問に移りたいと思います。
まず、環境基本計画のあり方について伺います。
都は、この環境基本計画を定期的に点検し、社会状況や自然環境の変化を反映させて改定し、さらに実行を図っていくというサイクルで環境行政の推進を図っており、一回目の改定が二〇〇二年、今回は二回目の見直し、サイクルの二回り目を行っているところです。まさに点検のサイクルの確立がなされようとしていることを評価したいと思っております。
点検及び計画づくりには、主体者たる市民が位置づくことが何よりも重要だとずっといい続けております私どもですが、一回目の策定時にも、パブコメの制度の先駆けとして、市民意見の聴取や講習会などが盛んに行われました。これは環境確保条例がつくられたときです。そして、参加する市民をふやすという観点に立って、見直しへの市民参加を一層進めるべきであると思うんですが、いかがでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 今回の東京都環境基本計画の見直しに当たりましては、環境審議会において昨年五月から一年間のご議論をいただきまして、このたび中間のまとめとしてご報告いただきましたが、これを現在、六月六日から七月五日までの一カ月間、パブリックコメントで都民意見を募集してございます。
今後、都議会でのご議論を初めといたしまして、パブリックコメントでの都民意見などを踏まえまして、環境審議会でさらにご議論いただいて、最終答申を得た上で十九年度中に改定してまいりたいというふうに思ってございます。
○大西委員 他のパブコメがほとんど割に短い間しか募集しないのに比べまして、今回も一カ月という期間をとってパブコメを集めようとしている努力には、やはり環境局だなということで評価しているんですけれども、一回の意見聴取にとどまらず、市民が計画の進行管理、そして点検と見直しにも主体的に位置づけられる仕組みづくりが必要と考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画の見直しに当たりましては、ただいまご答弁申し上げた審議会での審議、議会でのご議論、パブリックコメントというような形で幅広い意見を募集しているわけでございますけれども、見直しに先立ちまして、東京都として行いました現行計画の点検結果につきましても環境審議会にご報告をして、議論いただいているところでございます。
また、環境審議会におきましては、地球環境、自然環境、都市づくりなど環境施策に係る専門家のほか、法律家やNGOの方、あるいは一般都民などの幅広い分野からご参加いただいてございます。こうしたことから、環境基本計画の見直しなどに当たりまして、幅広い方々に参画いただいていると認識しておりまして、今後とも努力してまいりたいと思っております。
○大西委員 審議会には幅広い都民の意見が反映されていると思っているということなんですけれども、先ほど河野委員からも、非常にこの環境の一冊の本を読みこなすだけでもなかなか大変だということがありましたし、本当に私もそう思っています。ましてや、前回の、今までの環境基本計画を見直すための、検証するための報告書というのがホームページにも出ておりますが、一〇〇ページを超えるものであり、本当に市民が読みこなすには大変だなということを感じました。
そういう意味では、審議会にそういうNGOの人たちも入っているといっておられますし、一見、非常に文句のつけようはないわけなんですけれども、特に地球温暖化対策も含めていろんな環境問題は、何よりも、審議会で立派なものができても、それを実行する市民を置き去りにしては何にもならないわけですし、そして環境問題そのものが多様な取り組みといういろんな切り口があるわけですので、ぜひ市民が置き去りにならないように、実施するのは市民一人一人ですので、その辺の参画というんですか、それをもっともっと開かれた形でリードしていただきたいなということを要望しておきたいと思います。
次に、目標設定の考え方として、長期的な計画を持つとともに、計画を着実に実行することが必要ということで、当面の目標を十年後の二〇一六年に置き、さらに、国においても温暖化対策の半減目標年次と位置づけた二〇五〇年を長期目標としています。これは適切な考え方だとも考えております。
個別の分野について、緑、交通、エネルギーなどさまざまな計画がつくられておりますが、それぞれ基準年と目標年次がばらばらであっては市民にわかりにくい面があります。環境基本計画が各個別計画の相互の整合性を図る横断的な目標指標となることが望ましいと考えるんですが、その辺はどうでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画につきましては、環境基本条例にも、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する目標、施策の方向を定めるものということで、都の環境行政における軸ともいうべきものと考えております。
個別の環境分野ごとの施策につきましては、東京都の環境施策の総合計画でございます環境基本計画に基づきまして、それと整合をとりながら、施策の方向性や目標を定めて推進してまいります。
○大西委員 これは先ほどの質問にもかぶるところがあるんですけれども、温暖化の目標について、二〇五〇年までに半減という長期的な高い目標を持つことはわかるんですが、単に長期に引き延ばして進捗状況の把握がわかりにくいということを避けなければなりません。長期目標を達成するための具体的な対策を持って、一里塚を刻むことも大切です。
また、基準年は横断的に統一し、わかりやすくしてほしいし、一六ページには二〇二〇年に二〇〇〇年比で二五%削減とあるんですが、これまでは一九九九年対比で目標を掲げておりました。そして世界的には、京都議定書との関係から、一九九〇年を基準にしているところも多いわけです。目標をわかりやすくするために、例えば一九九〇年と二〇〇〇年の併記など、表現を工夫すべきだと思います。
また、達成が危ぶまれている京都議定書での目標を日本が遵守するために、東京都としての責任を果たすことにまずは全力を挙げるべきではないかと考えるんですが、二つあわせてお聞きします。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画の中間のまとめに掲げられた東京の温室効果ガスを二〇二〇年までに二〇〇〇年対比で二五%削減するという目標につきましては、環境確保条例の制定など東京都が自治体として本格的に温暖化対策を開始したのが平成十二年度、二〇〇〇年度でありますため、実効ある目標設定ということで、これを基準年次として策定、設定したものでございます。
それから、京都議定書の目標との関係でございますけれども、現実化する温暖化の危機を回避するという観点から、G8のサミットにおきましても、二〇五〇年までに世界全体でCO2の排出量を半減するという長期目標が真剣に検討されるということが合意されて、世界の多くの大都市におきましても、長期的な目標設定のもとでの取り組みを始めてございます。
こうした中で、今回の中間まとめにおきましては、CO2削減には長期的な視野での施策展開が不可欠であるということで、二十年、五十年先を見据えた展開と、着実に五年、十年を見て施策を積み重ねるということを目標設定としてございます。
特に気候変動対策は、今後十年の取り組みは極めて重要という認識のもとで、当初は三、四年を低CO2型社会への転換始動期と位置づけまして、戦略的、集中的に対策を実行していくこととしておりまして、これは現行の目標設定とも矛盾したものではないと考えてございます。
○大西委員 確かにもう数字が出てきて、何年比というのも、私はこの委員会ですから、かなり追っているつもりですけれども、なかなか、うんというふうにもう一回見直さなきゃいけないというようなことがたびたびありますので、ぜひこれをもっともっとわかりやすくして、みんなでやろうというような意識につながるような取り組みをお願いしたいと思っております。
また、東京が直面する環境問題についての新たな認識として、予見的かつ継続的な対応の必要性が述べられていました。環境行政のトップランナーであるとの自覚のもとに、現在確立された環境問題だけでなく、未知の、また、今後顕在化する問題をも積極的に視野に入れる姿勢は評価できます。
環境基本計画を改定するに当たって、改めて環境行政における予防原則についてどのような認識を持っていらっしゃるのか伺います。
○長谷川環境政策担当部長 環境問題は、ディーゼル車から排出される粒子物質のような健康を直接に脅かす危機だけでございませんで、科学的知見が不十分な膨大な数の化学物質による環境汚染や健康影響など、今後新たに発生し、顕在化することが懸念されるものもございます。
今回の中間まとめにおきましては、このような環境汚染への対応は、汚染が深刻化し、都民の健康と安全を脅かす直接的な危機となってしまう前に、予見的、継続的に行われるべきという新たな認識が示されておりまして、こうした点も重要と考えてございます。
○大西委員 そこで、新たに浮上した課題に対して迅速な対策を行うために、環境基本計画に随時こういうものを追加できるような仕組みをつくるべきではないかと考えるんですが、それについてはいかがでしょう。
○長谷川環境政策担当部長 環境基本計画につきましては、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する目標、施策の方向等の重要事項を定める、いわば環境行政の軸ともいうべきものという位置づけがございます。
現在、気候変動問題の顕在化などの状況変化を踏まえまして、新たな課題への対応も図る観点から見直しを進めているところでございますけれども、個別課題につきましては、環境基本計画との整合を図りつつ、迅速かつ的確に対応してまいります。
○大西委員 基本計画の中間まとめに加えまして、地球温暖化対策では気候変動対策方針が策定され、その中でも具体的な対策の強化が挙げられています。大規模事業所への排出削減の義務づけは、ネットがこれまでも主張してきたことでもあり、一歩前進と評価をしております。しかし、これから温暖化対策の一層の推進を図っていくためには、義務の対象とならない中小規模の事業所に対してもさまざまな省エネ対策を講じていくことが必要になります。
都は、業界団体や省エネビジネス事業者、自治体等とも連携して、東京都地球温暖化対策推進ネットワークを立ち上げ、中小の事業所も含め支援を行っていると聞いております。こうした連携を生かし、ESCO事業など民民での相談や支援が事業として成り立つように普及を図るとともに、中小規模の事業所の省エネ対策が広がるような取り組みを進めていくべきと考えるんですが、見解を伺います。
○大野都市地球環境部長 都が平成十七年度に東京商工会議所でございますとかエネルギー事業者とともに立ち上げました東京都地球温暖化対策推進ネットワークにおきましては、相談窓口を開設するとともに、省エネ対策を実施しようとする事業所に対して、省エネビジネス事業者を紹介するなどの取り組みを行っております。また、業界団体と連携しまして、業種に応じた対策を取りまとめたパンフレットも作成しておりまして、昨年度は印刷や製麺など三業種で作成をいたしました。今後ともこうした取り組みを引き続き進めてまいります。
○大西委員 中小企業への支援に加え、温暖化対策で重要なポイントは家庭部門での省エネ対策の推進です。これからは市民の省エネ活動に対しても相談窓口が必要となってくると考えます。杉並ではエネカフェという名前で、アットホームな雰囲気での窓口相談の開設を実践しつつ提言している市民団体もあります。また、省エネをすることは電気を使わないという点で、私たちはこれを家庭、地域の節電所づくりと呼んで提言しています。先進的な市民団体はこうした取り組みをみずから展開してきておりますが、実際にはまだまだ電気やガスを使わないということが直ちにCO2の削減につながるということが、各家庭レベルでは理解が十分に浸透していないともいえるのではないでしょうか。
基本計画の中間のまとめでは、各家庭におけるエネルギー消費量や二酸化炭素排出量がわかりやすく把握できる仕組みを提言しており、こうしたものをエネルギー供給事業者に求めることも必要と思います。
こうしたさまざまな手法で、市民、家庭レベルの省エネの取り組みが目に見えるような形でやっているなということが実感できるような、そういう仕組みをつくるべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。
○大野都市地球環境部長 家庭部門の取り組みにつきましては、本会議でもご答弁申し上げましたけれども、この夏から白熱球一掃作戦というものを展開しようと思っております。この取り組みをきっかけといたしまして、省エネ、節電が直ちにCO2の削減に結びつくということを明確に示すために、さまざまな広報媒体の活用でございますとか、エネルギー供給者との連携でございますとか、そうした方法で家庭におけるCO2削減の取り組みをさらに展開してまいります。
○大西委員 この六月は環境月間ということで、テレビをつけてもいろんなところでそういう地球温暖化対策に向けての報道やイメージ広告があるので、それを見ながらみずからの生活を省みるという機会はあるんですけれども、これをずっと継続していくということは非常に難しいなと思っております。
私自身は、ツバルの島が沈んでいくことや、それからホッキョクグマの親子がそこで生活できないような報道を見るたびに、何よりもこの問題は、自分たちが暮らしているところが暮らせなくなるということ、これは大きな問題ですし、それが人間だったらまた移動できることもあるんですけれども、ホッキョクグマはそこしか暮らせないということもあるので、やはりそれをイメージしながら、ちょっと疲れていて、ああ、電気を消さなきゃいけないなと思うときに、クマのイメージを思い浮かべて、よいしょと節電をするとか、そういうことも考えられるわけです。
本当にそれが継続できるように、そして、地球規模で考えたとき、ここで、東京で自分の節電が、地球全体を考えたときは一方で戦争をやっているところもあるというふうに考えたときに、大体この小さなあれがどこまでという疑問を多くの人が持っているわけですが、そういう思いや小さな行為がむだにならないよということをいかに示していけるかということが今後の課題なのかなと思っておりますので、環境局は、ぜひそのような取り組みも、みんなで知恵を出し合っていけるような窓口になっていただきたいなと思っております。
同時に、自治体のエネルギーのグリーン購入の推進がその中に掲げられておりました。国に先駆けて、自治体がグリーン電力証書も活用して積極的に自然エネルギーの推進に寄与しようという試みは評価します。現在は、企業の自主取り組みとしてグリーン電力証書の取引が行われており、取引量は微々たるものでしかありません。社会運動に高めていくには、グリーン電力の売り手も買い手も、企業を大きく巻き込んで飛躍的にふやさなければならないと思うのですが、東京都としての具体的な取り組みを伺います。
○大野都市地球環境部長 今回、都などの呼びかけによりまして電気のグリーン購入を多くの自治体が共同して進めるグリーンエネルギー購入フォーラムが発足いたしましたけれども、再生可能エネルギーの導入に積極的な企業に対しましてもこのフォーラムへの参加を呼びかけておりまして、これまでの活動を通じまして企業における電気のグリーン購入の拡大を進めてまいります。
○大西委員 現在の会計上では、グリーン電力証書の購入はエネルギーの購入費には入れられず、寄附金扱いとなっています。購入費用が損金処理できるように国に対して働きかけることが必要だと思うんですが、その見通しはあるのでしょうか。
○大野都市地球環境部長 グリーンエネルギー購入フォーラムの取り組みに対しましては、国の省庁も協力の意向を表明しておりますので、こうした省庁とも連携しまして、損金化の実現に向けまして引き続き取り組みを行ってまいります。
○大西委員 強くお願いいたします。
昨年策定されました再生可能エネルギー戦略の二〇二〇年までに二〇%の高い目標について、このたびの環境基本計画にも同じ目標値が載っています。志は評価するんですが、戦略も具体的な施策に欠けるという印象があります。環境基本計画に載せるに当たっては、実効性のある具体的な推進策の策定を希望します。そういう意味で、ちょっとイメージする中で、まずは公共施設や小中学校への導入を早急に進めるべきと考えるんですが、いかがでしょうか。
○長谷川環境政策担当部長 このたびの気候変動対策方針に基づきまして、都は都内最大規模のCO2排出事業者といたしまして、みずから着実に削減行動に取り組むことといたしまして、東京都の施設の新改築や大規模改修時には、世界でもトップクラスの建物省エネ仕様として策定いたしました省エネ東京仕様二〇〇七を全面適用いたしますとともに、自然の光や熱の直接利用を含みます再生可能エネルギー設備の導入を進めていくつもりでございます。
今後、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを具体化する中で、個々の施設におきます再生可能エネルギーの導入についても検討してまいります。また、都の監理団体あるいは区市町村の施設等への普及拡大にも努めてまいります。
○大西委員 この環境基本計画を読んでいるときにちょっと気になったのが目標の設定方法なんですけれども、これは高い目標値を、目標とすべき社会を想定して、将来から現在の対策を考えるという、いわゆるバックキャスティングの手法でつくられております。それは、一方で私どもも、高い目標があって、それに向けて着実にということで評価するんですけれども、これが本当に実行できるのというところを考えたときに、もう一つ、現状から考えられて、今のままだと将来このようになりますよというフォアキャスティング手法というのがあるんです。その指標というものも同時にやっていかないと、高い目標だけがあって、そこにどうやって到達するという具体的なものに--じゃ、どういう施策が必要という、一里塚じゃないですが、そういう形の取り組みが、バックキャスティングだけでは非常に難しいなというふうに思っております。
だから、この温暖化対策はダイエットで考えるとすごくわかりやすいんですけれども、我が身のダイエットを考えるときに、何キロになりたいという目標だけではなかなか進まない。このままいくと自分がこのような姿になるよということを意識しながら、初めて毎日の努力ができるということもあるわけですので、そういう意味では、フォアキャストとバックキャストのこの辺の指標というんですか、そういうものももっと有効に使いながら私たちに示していただくと、より頑張ろうというような気がすると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、この中の二四ページにアジアとの協力という一項目が出ております。これは非常に大切な項目で、ここから具体的に何をするんですかとお聞きしたいところもあるんですけれども、今どうも国際交流というのが、東京都の方向を私は余り評価していないんですけれども、ぜひ、これまでのように長期にわたって職員の交流等も含めながら、お互いにアジアの温暖化対策、そして東京の--東京だけが進んでいると思いません。いろんなところに行くと、その分野分野で頑張るところも結構あるので、そういういいところをちゃんとみんなで共有できて、地球全体で取り組むというような気持ちにするためにも、ぜひこれを次回の計画にはもっとたくさん書けるような項目になるといいなと思っております。
それから、土壌汚染について伺います。
土壌汚染対策については、東京都環境確保条例において国に先駆けて取り組んだことを評価しております。この確保条例がどのように機能してきたのかということと、それから今後、環境確保条例の改正に向けては、この土壌汚染対策について強化する点があれば、これを伺いたいと思います。
○石渡環境改善部長 最初に、環境確保条例がどのように機能してきているのかという点でございます。
環境確保条例に基づく土壌汚染対策の規定は、先生おっしゃったとおり、平成十三年十月から施行しており、これは土壌汚染対策法の施行が十五年二月でございますから、かなり先んじているということ、また、全国的に見ても先駆的な取り組みをしてきております。
しかも、土壌汚染対策法が有害物質を使用している工場の廃止時だけを調査、対策の対象としているのに対しまして、環境確保条例は、工場廃止時を調査、対策の対象にするだけではなく、加えまして三千平米以上の土地改変時も対象にするなど、法よりも対象を幅広く定めてございます。
この結果、施行後丸五年の条例対象になった件数は四千百件を超え、このうち約八百件で土壌汚染が確認され、必要な対策が適切かつ着実に進められてきております。こうしたことから、環境確保条例に基づく土壌汚染対策は、都民の健康と安全を確保する上で大きな役割を果たしてきていると考えております。
次に、強化する点につきましてでございますが、今回、環境審議会が取りまとめました環境基本計画のあり方についての中間のまとめでは、土壌は生物の育成、水環境に重要な役割を果たすとともに都市基盤そのものであり、健全な土壌の確保は都市の円滑な更新のために非常に重要であるという認識が示されてございます。
また、今後も都市再開発等に伴い土壌汚染の顕在化が増大することが予想されることや、狭隘な土地が多い中小事業者による土壌汚染対策では技術的、コスト的に困難な場合も多く、環境の負の遺産として残される懸念もある。そのため、将来にわたる都民の健康被害を予防するために、新たな土壌汚染を発生させない仕組みや土地利用に応じた適切な対策が迅速に行われるよう取り組むべきと記述されてございます。こうした環境審議会における議論を踏まえ、今後、土壌汚染対策の方向性について鋭意検討してまいります。
○大西委員 これは環境省もブラウンフィールド問題として検討が進んでおりますので、その方向としては、科学的知識がない一般市民としたら、やはり土壌汚染はしっかりとなくして、ちゃんと安全なものにしてほしいという希望がどうしてもあるんですけれども、方向としては、それをすべてするということよりも、ある意味、リスクコミュニケーションの中で取り組むという方向も一方であるわけです。この辺はこの短い時間では議論できないんですけれども、何よりも、負の遺産にならないという先ほどの部長のお答えがありましたけれども、ぜひその方向でしっかりと国と一緒に検討していただきたいと思っております。
最後に、財務局から今後の財産利活用の指針というものが出ました。この中に都有地の売却--私どもネットとしては、かねてから、都有地の売却をするよりも、そこをしっかりと緑地保全に使うようにということをずっと要望し続けていたわけなんですけれども、その中に、そういう意味では、都有地も緑地保全に考えるというような一項が入っておりました。これは財務局が出しているんですけれども、当然、環境局としてもご存じだと思うんですが、局間の連携で具体的にどのように進めていこうと思っていらっしゃるのか、最後に伺います。
○浅川参事 都民が緑をより身近なものとして実感するためには、あらゆる空間で緑を創出していくことが重要でございます。今回、理事お話しのように、財務局が策定いたしました今後の財産利活用の指針におきまして、未利用の都有財産等について、売却するだけではなくて、緑化推進などのさまざまな施策に連動して活用するという方針が示されました。
未利用都有地の緑化施策への活用は、全庁横断型の戦略的組織でございます緑の都市づくり推進本部においても検討してきた内容でございまして、今回の緑の東京十年プロジェクト基本方針の中にも、あらゆる工夫による緑の創出と保全として反映させてございます。今後、緑の都市づくり推進本部におきまして財務局を初め関係各局と連携を図りながら、未利用都有財産等を有効活用し、緑の創出に努めてまいります。
○きたしろ委員 私は、水と緑についてお話をお伺いいたしたいと思います。
これからの時代というのは、キーワードは環境だということだと思います。まさに皆さん方の職責というのは、今、大西先生がおっしゃったように、本当にこれから地球規模で考えなきゃいけない。東京から日本を変えるだけでなくて地球も変えよう、それぐらいの意気込みで皆さんのそれぞれの役割を果たしてもらいたいなというふうに思っています。
その中でもこれから一番大事なのは、水と緑が重要な要素だろうというふうに私は思っています。東京都では皇居の広さに匹敵するような巨大な海の森を検討しているようですけれども、こうした広大な緑だけではなく、都民が緑の価値を直接実感できるような街路樹などの身近な緑を数多くつくり出していくことも非常に大切なことだと私は思います。
また、地域の中に親しまれてきた既存の緑を守ることもますます重要になってきます。渋谷の表参道のケヤキや港区の絵画館前のイチョウなどは、だれもが楽しめる、東京を代表する緑だといえます。
こうした緑は、観光や商店街の活性化などに資するばかりでなく、都市の魅力ある景観を形成するものだと思います。例えば、パリが花の都と呼ばれるように、公園の中に東京という都市があるということをイメージして、ガーデンシティー東京といったスローガンを示して、緑があふれ、魅力ある東京を目指していくことは、オリンピック招致を考えても大切なことだと思います。
今出ている緑の東京十年プロジェクトとか、あるいは水と緑が回廊になっているようなとか、いろいろなことがいわれているんですけれども、十年後の東京をイメージできるようなキーワードをつくることも非常に大切なことなんじゃないかなというふうに思うんです。
そしてまた、緑には地球温暖化の原因となるCO2の削減や、深刻化するヒートアイランド現象を緩和する効果もあることから、緑のネットワーク化を図るとともに、都民が憩い、そこで楽しめる緑を都市のあらゆる空間に取り戻していく必要があると考えております。
そこで、まず東京の緑についての認識をお伺いいたします。
○浅川参事 都市における緑は、都民に潤いや安らぎを与えるだけでなく、都市防災やヒートアイランド対策などの都市環境の改善、美しい都市景観の創出、生態系の保全への寄与など、その役割がますます多様に、かつ重要となってございます。
しかしながら、東京の緑は、これまでのさまざまな緑の創出、保全の取り組みにもかかわらず、減少傾向にあるのが現状でございます。東京の緑を次世代に引き継いでいくには、緑あふれる東京の再生を目指す策をこれまで以上に強化していくことが必要であると考えてございます。
○きたしろ委員 容積がボーナスとしてもらえて、再開発事業や、あるいはまた市街地住宅総合設計制度などでもって生み出される公開空地というのが非常にありますよね。私は区議会の時代から、その公開空地は緑をネットワーク化する、緑の散歩道にするべきだというような考えを持っていたんですけれども、総合設計や都市開発制度で出てくる公開空地などは、事業者の自分たちのプランの中、あるいは事業者の思惑だけで、そうした全体の緑を考えないで公開空地を出してきているんじゃないかなと常々思っていたんです。だからそういう意味では、公開空地等の緑についても、それらをまちの中で孤立させるというミニパークみたいな、そういうことではなくて、公開空地相互の緑や街路樹などもネットワーク化する、緑の散歩道をつくり出して、ガーデンシティー東京というような緑豊かな東京の実現を図るべきだと考えておる。
こうした点からも、そうした事業者に対して、公開空地はこういうふうにしなさいよ、緑はこういうふうにしなさいよというような行政の指導が必要じゃないのかなと思っているんですけれども、緑の東京十年プロジェクト基本方針ではこうした点への取り組みをどう考えているのか、お伺いをいたします。
○浅川参事 都民に緑をより身近なものとして実感してもらうためには、あらゆる空間において緑を創出していくだけではなく、緑の配置や質についても十分に配慮することが重要でございます。緑の東京十年プロジェクト基本方針では、これらを踏まえまして、あらゆる工夫による緑の創出と保全という方針を掲げ、建築物につきましては、緑化計画書制度の基準強化を図るだけでなく、開発の構想段階で緑のネットワーク等に十分配慮してもらう仕組みである公開空地等のみどりづくり指針とを連携させ、景観や周辺の街並みに配慮した良質の緑の創出や連続性の確保を図っていくこととしてございます。
先般、都市整備局におきまして公開空地等のみどりづくり指針が策定され、本年七月一日より施行される予定となってございます。こうした取り組みによりまして、良質で身近なものとして実感できる緑がふえ、より美しく快適な都市空間に改善されていくものと考えてございます。
○きたしろ委員 今ご答弁があったように、緑の東京十年プロジェクト基本方針では緑のネットワークの充実などが示され、また景観や周辺の街並みに配慮した、良質な緑の創出やネットワークの形成を図るための公開空地等のみどりづくり指針が策定されるなど、かねてから私が主張してきた公開空地における緑のあり方や、緑の散歩道といった緑のネットワーク化について、都が組織的、横断的な対応を行っており、大いに評価できるものだと私は思っている。
ただ、東京都がこういう指針を出しました。でも、二十三区にも同じような考えを持ってもらって、やはり二十三区の協働、協力も求めなきゃいけないものだと思うんです。そうしたことに対しては、環境局からいえるわけではないと思うんですけれども、二十三区では建築主事の会議とか、いろいろあると思うんですよね。そういうものに対して、例えば都市整備局を通じて、東京都のこういうまちづくり、みどりづくり指針が出されたよ、これを徹底してくださいよというふうな協力を求めるということも必要だと思うんですけれども、その辺について都市整備局を通じてお願いしてもらえますか。
○浅川参事 都市整備局にもその趣旨を十分伝えまして、区市町村の協力も得て進めてまいりたいと思っております。
○きたしろ委員 やはり東京都だけではなくて二十三区も含めて、全体として緑をふやすんだということが、東京都の、あるいは二十三区の職員の一致した目的でなければ、こうしたことはより充実していくことにならないと思うので、それはぜひお願いをしておきたいなと思います。
そして、今後はこうした公共施設の敷地や接道部に緑化を施す、いわば公共施設のグリーンフェンス化などの取り組みについても、緑の創出という点では非常に重要であり、ぜひ推進してもらいたいと思っているわけです。この緑の東京十年プロジェクト基本方針の具体化に向け、環境局として今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○浅川参事 環境局といたしましては、まずは所管事業でございます校庭の芝生化、森林、丘陵等の再生、保全等の取り組みについて着実に推進してまいります。
さらに、全庁横断型の戦略的組織である緑の都市づくり推進事務局といたしまして、各局相互の連携強化と組織横断的な取り組みを推進することによりまして、緑の東京十年プロジェクト基本方針に基づき、集中的、本格的な取り組みを開始し、事業展開を加速してまいりたいと考えてございます。
○きたしろ委員 ぜひそういう形で全庁的に、そしてまた二十三区も巻き込んで、すばらしい緑の東京をつくってもらいたいなというふうに思うんです。
そういった中で、さっきいったように、十年後の東京はこんなまちですよという一つのキーワードで、私はガーデンシティーといっているんだけれども、これは個人の勝手だけれども、そうしたガーデンシティー東京をつくるという意味では、あと一つ、水辺空間もすごく大切な要素だと思うんです。
私の地元である港区の芝浦地区の運河についても、運河ルネッサンス、あれは港湾局も一生懸命やってくれているんですけれども、運河ルネッサンスとして住民も巻き込んだ運河利用の、あるいは運河のイベントをやっているわけです。しかしながら、芝浦地区の運河は奥まったところにあるために水の流れが少なく、その水質は決して良好なレベルであるといえないというような現実があるんです。
港区の古川などは、淀橋の浄水場の高度処理した水を流していただいて、清流復活にまだいっていないけれども、流れとしては清流といえるような水が流れるようになったわけです。運河においても同様のことを行えば運河の水が流れるようになり、水質も改善し、住民の親しめる水辺空間になると考えるわけです。
私が常々申し上げている緑の散歩道といった緑のネットワーク化においても、良質な水辺空間は非常に重要な構成要素となると思います。環境局として、水辺空間の再生についてどのように考えるのか、お伺いをいたします。
○中島自然環境部長 水辺空間でございますけれども、これは人々に美しい景観ですとか、あるいは憩いの場を提供いたしまして、生活に潤いを与えるものでございます。きれいで豊かな水が流れる水辺は、多様な生命をはぐくむ、いわば命の揺りかごともいうべきものでございます。先生お話しの運河を含めまして、都民が親しめる水辺空間を実現するためには、都市づくりと連動させた取り組みが極めて重要であると考えております。今後、これまで以上に関係局との連携を密にいたしまして、潤いある豊かな水辺空間の回復を図ってまいります。
○きたしろ委員 緑があるすばらしい東京、ガーデンシティーをつくってもらいたいという思いがいっぱいなものですから。
そこで、水と緑に包まれた美しい都市ガーデンシティー東京を再生させるため、さまざまな方策を総合的に推進していくべきと考えておりますけれども、最後に、局長の決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○吉川環境局長 今、きたしろ委員のキーワードというお話を承って、多分委員もご存じだと思うんですけれども、「東京都歌」というのがございまして、一番はよく歌われるんですね。ところが、三番はなかなか歌わないんですね。その三番が「うつくしき われらのみやこ ゆたかなる みどりのそのに」というのが歌詞なんですね。ですから、「東京都歌」の中には緑という言葉がありまして、私的にいえば、ガーデンシティーもすばらしいんですが、パリが花の都ならば東京は緑の都がいいかなというような感じはしましたけれども、いずれにしましても、私どものふるさと東京を、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京として復活させる、もしくはきたしろ委員がおっしゃっているガーデンシティー東京として再生させるということは、東京に住み、また働くすべての人々の生活の質の向上だけではなくて、成熟都市東京としての品格を高めるためにも極めて重要だというふうに思っております。
六月八日に公表いたしました緑の東京十年プロジェクト基本方針の具体化に向け、環境局の所管事業の推進、強化を図ることはもとより、全庁横断的な仕組みを活用して都庁のポテンシャルを最大限に引き出すなど、これらの展開の中で、私ども環境局が積極的な役割を果たしていきたいというふうに思っております。
もちろん、このような取り組みを進める上で、都民の皆様、企業、NPO、地元自治体などとの連携、協働が極めて重要だというふうにも思っておりまして、この面にも先ほどのお話、例えば都市整備局の協力もいただきながらというお話がございましたけれども、こういう面にも十分配慮をしてまいりたいと思っております。今後、本委員会の先生方のさらなるご指導、ご支援を賜りながら頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○きたしろ委員 仙台は杜の都といわれるんですよね。だから、そういった意味で、東京都全体がイメージできるような、そういうようなキーワードをつくってもらった方がよりよいんじゃないかなと。その一つの候補にガーデンシティーを入れてもらいたい。
都市における失われた緑の再生については、だれもが大切だと感じて、だれもが欲しながらも、なかなか具体的に実効性ある処方せんを描き切れなかったというのが現実だと思うんです。難しい問題だと思います。東京都がこれに真正面から向き合い、環境局を中心に都庁が一丸となって緑あふれる都市を実現していくことを宣言したのが、先般出された緑の東京十年プロジェクト基本方針であると私も認識しております。そしてまた、私自身、その意気込みと内容を大いに評価しているところであります。
そうした事業だけじゃなくて、半面、私たち自身の生活も、やはり反省することもあるんじゃないのかなというふうに私は思っているんです。それは、利便性や快適性ばかり追っかけてきて今の現状があるわけです。そういった意味での利便性、快適性を追っかけるがゆえに、人間が環境を破壊してきたというのも事実だと思うんです。
そういう中で、今の私たちのライフスタイルも変えなきゃいけない時期に来ているのかな。子どもたちに我慢しろ、我慢しろといっていても、今まで大人が我慢しなくて、こういう快適性や利便性ばかり追っかけてきた結果が今の現実にあるわけですから、そういった意味で、私たち自身がライフスタイルもいま一度見詰め直す必要があるのかな。大西先生がいっていた電気のスイッチも同じことだと思うんです。自然との共生を考える上で、やはり我慢するということも非常に大切なことだと私は思うんです。
そういった中で、東京を緑に包まれた美しい都市ガーデンシティー東京として再生するためには、各局が連携してオール都庁で取り組んでいくことが不可欠であると考えています。今後、この基本方針の具体化に向けて、環境局を中心に全庁挙げて幅広い施策が展開されていくことを期待したいと思います。
そして、環境局というのはすべての事業局のトップにいるぐらいの気概を持って、すべての事業に対して、環境という視点からはこうだよと物がいえるように、全庁というか環境局長を中心に、環境局の皆さんには奮闘努力をお願いして、私の質問は終わります。
○原田委員 質問に先立ちまして一言申し上げます。一昨日、六月十九日、渋谷区の温泉施設におきまして爆発事故が起こりました。まず、犠牲者となられました皆様のご冥福をお祈り申し上げます。また、負傷をされた方の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。これに対しましても、事業者の真摯な対応というものもこれから望まれるところであると思いますので、この場でも改めて申し上げておきたいと思います。
そしてまた、これまでも事故発生直後から警察、消防等々とも連携しながら、都においてもさまざまな対応がとられてきたことかと思いますけれども、まず、今回の件について、かかわられた方が今後本当に納得できるような対応というものをしていく、そして、その上で、現在都内にある施設において同様の悲劇を起こさないということにまずは取り組んでいただきたいと思っております。
その上で、今回の事件に関しまして、私の地元の北区でも二年前、二〇〇五年に赤羽自動車学校の跡地における温泉掘削事業におきまして、二十四時間以上に及ぶ火災が起きたという事故がございました。こうした教訓というものが本当の意味で生かされる体制には今までなっていなかったなというのが、改めて今回の事故を受けまして実感されるところでございます。実際に北区の事故を受けての制度改正というものも、温泉の掘削時というものにとどまっていたということがございます。
また、古くさかのぼってみれば、この東京でも昭和四十年代、業として天然ガスの採掘というものが江戸川、江東地域で行われていた。地下水をくみ上げまして、今回もガスセパレーターというものが話題となっておりますが、温泉の水の方を利用するのではなくて、ガスの方を利用するといった業としての天然ガス採掘というものが、この東京でも過去行われてきたわけでございます。そうした経緯を考えますと、温泉を掘るといったときに、天然ガスの問題というのもあるといったようなこともあるいは思い起こすこともできなかったのかなと、今になってかもしれませんけれども、そうしたことも思うわけでございます。
そうしたことも含め、今まで東京の環境対策、あるいはほかの対策にしましても、東京の地上部分、目に見える部分というものに集中していた感がありますけれども、改めて今回の事件をきっかけに、地下の部分、目に見えない部分についての取り組みというものをしっかりと進めていかなければならないのかなと思っております。
それは、この温泉の問題もしかり、また天然ガスの問題もしかり、また土壌汚染の問題も出てきましたけれども、土壌汚染も、今、本当に土壌の表層だけの議論になっておりますけれども、これが地下深くまでしみ込んでいって、関東地域全体の水循環にどういった影響を与えてくるのかといったことまで含めますと、本当に地下の見えない部分に対してもしっかりとした認識を持って、知見をもとに都としての取り組み方針というものを考えていかなければならない、まさに今そういう時期に来ているのではないかと思っております。これからの対応を要望しておきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
今回、東京都でも気候変動対策方針といったものが出されました。こうしたものの中でさまざまな取り組みが挙げられているわけですけれども、その中の一つに排出量取引といったものも挙げられております。この排出量取引といったもので思い起こされる中で、いわゆる京都メカニズム、京都議定書の議論の際に出てきたものの中で排出量取引というものが挙げられてきた。それと同時に、共同実施、あるいはクリーン開発メカニズム、CDMといったものも京都メカニズムとして規定されているわけでございます。
これら排出量取引を含め、共同実施を含め、クリーン開発メカニズムを含め、こうした京都メカニズムの根本的発想には、国境等にかかわらず、地球の温暖化対策ということでありますので、最もコストパフォーマンスのいい、そうした方法を地球レベルで実現していこうといったことがあったのかと思っております。
今回、東京都が排出量取引の制度というものを導入することになったわけですけれども、こうした京都メカニズムの出てきた発想からしますと、範囲を何も都に限る必要はないのではないか、それよりももっとコストパフォーマンスを上げようということを考えるのであれば、逆にもっともっと広くしていった方がいいのではないかといったことが考えられるわけであります。
しかしながら、東京都はあくまで自治体でありまして、そうした中で、自治体の行う事業というものは、原則的には自治体の地域内に限られてくるのかなというところもあるんですけれども、そこでお伺いいたしますけれども、実際にこの排出量取引というものを実現していこうといった際に、都の枠を超えた取り組みというものは想定されているのか、お伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 都が今回発表しました気候変動対策方針の基本的な考え方は、東京を低CO2型の都市に転換していくということでございまして、そのためには、東京の排出量自体を確実に削減していくということが必要でございます。排出量取引制度の構築は今後の課題でございますけれども、この考え方の基本として制度設計を行ってまいりたいと思っております。
○原田委員 今お答えいただいたように、京都メカニズムの議論の中でも、自分のところでやらないで、ほかのところに逃げるといった態度ではなくて、自分のところでまずやるといったことが基本だよということは出てきたわけでありまして、そういった意味で、こうしたものを利用するにしても、あるいはほかの制度を利用するにしても、まずは都が取り組むということは確かに重要な観点ではあります。
ただ、こうしたいわゆる京都メカニズムにも規定されるような取り組みを行うのであれば、その議論の背景といったものを十分考えながら取り組んでいかなければならないのではないかなといったことも思うわけでございます。
続きまして、大都市との連携、あるいはアジア都市との連携についてお伺いをいたします。
この冊子の中でもカーボンマイナスムーブメントの展開ということで、大都市との連携、あるいはアジア都市との連携といったことがうたわれております。京都メカニズムとの関連で考えてみますと、例えば大都市との連携といった場合には、先進国との共同削減事業である共同実施といったものと何らか絡められないのかといったことが想起されます。
また、アジア都市との協力といったところで、アジアの発展途上国と一緒に事業を行っていく。これはクリーン開発メカニズムそのものになってくるかもしれませんけれども、こうしたことも考えられると思うんですね。
実際、アジア都市との協力の中には、国際協力銀行、JBICとの連携みたいなことも書かれているわけでございますけれども、JBICも実際これまでODA事業を各地で実施しておりまして、今、ODA事業については、なかなかCDMの枠としてこれまで認められてこなかったんですけれども、今後認められてくる可能性があるといった報道もなされているところでございます。
そうしたことからすると、今回の取り組みにおきましても、海外との協力というところについては、情報発信といったところに今とどまっているわけでございますけれども、これをただ単に情報発信ということで終わらせてしまうのであってはもったいない。国家的に考えたときにも、これをきちんと国なりほかの機関と連携して、東京あるいは日本全体の利益となるようにも活用していくべきではないかと思っております。
そこで、海外都市との連携、協力のためには、京都メカニズムの中にも規定されている共同実施、あるいはCDMといったものを活用できる方法がないのかといったことも探りながら進めていくべきではないかと考えておりますが、見解を伺います。
○大野都市地球環境部長 東京からは、スウェーデンやデンマークなど北欧一国並みの大量のCO2が排出されております。今回の方針は、このように大量にCO2を排出する東京自身が低CO2型の都市に転換していく、新しい都市モデルをつくりまして、その姿を東京から発信することによりまして世界に貢献するという考え方に立っております。
こうした観点に立ちまして、今回の方針で提起した趣旨の施策を着実に実現いたしまして、その成果を世界に発信するということを通しまして海外の都市との連携を図ってまいりたいと思っております。
○原田委員 成果を海外に発信するということで、美談としては、それでいいのかもしれませんけれども、実際にこれから日本はかなり厳しい努力が世界各国からも求められるわけでございます。そうした意味では、単なる美談に終わらせていられるだけの余裕ある削減努力というものが都においてできるかどうかということもあわせながら、その辺は考えていかなければならないのかなと思っております。
実際、都は気候変動方針の中で、二〇二〇年までに東京の温暖化ガスの排出量を二〇〇〇年比で二五%、こういった目標を掲げているわけでございます。しかし、現状で見てみますと、日本全体で見てみても、これは九〇年比になりますけれども、二〇〇五年度の段階で七・八%増と、前年と比べてもふえているといった状況でございます。この資料によれば、都でも五%増といったところで、これも前年と比べてもふえているといった状況でございます。そうした厳しい状況の中で、この削減努力をしていかなければならないわけでございます。
そうした観点からしますと、排出量取引も含め、あるいはその他の手法も含め、これを活用していかなければならないと思っております。と同時に、今までご答弁いただいていたように、都自身の取り組みというものもかなりの努力をもってやっていかなければならないわけでございます。
数字がひとり歩きしますと、数字を達成するために、急にまた排出権取引にシフトするであるとかいったこともあり、また、都独自の取り組みといったことに固執しますと、結果的にこの数字が達成できないといった悩ましい状況にもあるわけでございます。
そうした中で、都内の大規模事業者にも削減義務といったものを課していくわけでございますけれども、例えば、都においては何割程度みずから都内の努力で削減すべきであるといったような目標でありますとか、目に見える到達点というものを都内の事業者に対しても示していくといったことが、安心して、あるいは本格的に取り組むといった上でも重要なことになっていくのではないかと考えますが、実際に都内の事業者に対して全体の枠の中でどの程度削減すべきだというふうにお考えなのか、その辺の目標があるのかどうか、お伺いをいたします。
○大野都市地球環境部長 二〇二〇年までに二五%の削減と非常に高い目標でございます。ただ、我々が確認しなければならないのは、実際には日本には、こうした大幅な削減を可能にするような技術が既にあるということだと思います。これは再生可能エネルギーにつきましても省エネルギーにつきましても、相当進んだ技術がございます。問題は、こうした技術がなかなか現状では社会の隅々までに使われないというふうなことでございまして、我々の目的は、こうしたさまざまな技術が活用できる仕組みをつくっていくということにあろうかと思っています。
こうした考え方に立ちまして、削減義務の対象となる大規模事業者につきましても、まずみずからの削減をするなど都内での削減を進めていくということを基本としまして制度を構築したいと思っております。具体的な内容につきましては、今後の制度設計の中で定めてまいりたいと思っております。
○原田委員 まさに今後の制度設計の中で、本当にこれは大きな取り組みであります。これまで経済システムの中では負担しなくてよかった費用を新たに負担する、社会経済システムの中に組み込んでいくといった取り組みであって、これに関しては都庁自身も大きな決断をしていかなければならないですし、また、事業者もかなりの取り組みをしていかなければならないという問題でございます。しかし、本当に地球の未来を考えれば、また東京の未来を考えれば取り組まなければならない課題でございますので、本腰を入れて取り組まれることを最後に要望いたしまして、質問を終わります。
○松葉委員 東京都気候変動対策方針の中で、具体的な取り組みが進みつつある電気のグリーン購入について質問をいたします。何よりも一つ一つの具体的な対策の積み重ねが大事だと思うからでございます。
電気のグリーン購入は、再生可能エネルギーの利用を拡大するために、需要側から供給量の増加を促す取り組みでございまして、東京都が電気の大消費地としての特性を生かして取り組むべき政策であります。昨年の予算特別委員会でも公明党が取り上げ、ことし二月の予算特別委員会では、中嶋政調会長の代表質問に答えて、電気のグリーン購入を全国の自治体に広げるために、電気のグリーン購入普及のセミナーを三月に実施し、これを契機として、電気のグリーン購入に取り組む全国の自治体等のネットワークを構築していく旨の答弁がありました。
そこで、三月に実施されたセミナーは、全国の自治体に電気のグリーン購入を広げるために効果があったかどうか、また、今月発足したグリーンエネルギー購入フォーラムに全国の自治体の参加を得るため、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。
○大野都市地球環境部長 三月二十三日に電気のグリーン購入普及セミナーを開催いたしまして、全国の自治体から約五十名、企業やNGOを含めて総勢二百五十名の参加者がございました。
その後、東京都とこのセミナーを共催しましたNGOの呼びかけによりまして、電気のグリーン購入に取り組む全国的な自治体のネットワーク組織として、グリーンエネルギー購入フォーラムが六月五日に発足いたしました。
このフォーラムには現在、岩手県、神奈川県、長野県、香川県、横浜市、北九州市など十一の自治体が参加しております。また、都内の自治体としては中野区が参加をしております。
今後は、グリーンエネルギー購入の取り組みに賛意を表しております環境省や資源エネルギー庁の協力も得まして、関東、近畿、九州など地域ブロックごとの会議の場なども活用して参加自治体を拡大してまいります。
○松葉委員 六月五日に発足いたしましたグリーンエネルギー購入フォーラムが東北地方から九州地方まで、ほぼ日本全国からの参加があり、今後の拡大に期待をしております。
また、五月に開催されました八都県市サミットでは、石原都知事も八都県市共同の取り組みとして、我が党が推進しております電気のグリーン購入を提案されました。
そこで、八都県市として今後、電気のグリーン購入をどのように推進していくのか伺います。
○大野都市地球環境部長 八都県市では、それぞれの省庁における電気のグリーン購入の推進や、首都圏の他の自治体、民間企業等への普及を進めるため、環境部局に加えまして契約担当部局や庁舎管理部局も参加した共同の検討組織を発足させることとしております。この組織での検討を進めまして、十一月に予定されている次のサミットまでに八都県市共同の取り組みの進め方を取りまとめてまいります。
○松葉委員 この八都県市共同の取り組みがディーゼル車規制のように大きな成果をおさめることを期待しております。
また、取り組みの拡大を外に広げるのと同様に、都内の区市町村の電気のグリーン購入の普及も重要なテーマであります。グリーンエネルギー購入フォーラムには都内から中野区が参加されておりますけれども、ほかの区市町村においては、東京都が取り組んでいる電気のグリーン購入が広く知られているとはいいがたいと思います。
そこで、都内のより多くの区市町村が東京都と同じように電気のグリーン購入に取り組むように都は働きかけるべきと考えます。所見を伺います。
○大野都市地球環境部長 都内の自治体を初め、八都県市以外の区市町村における電気のグリーン購入を進めるために、実務担当者を対象としましたグリーン購入実務セミナーを昨日、六月二十日に開催いたしました。このセミナーには四十四の自治体から参加がございましたけれども、そのうち二十七が都内からの参加でございました。
このセミナーでは、都がこれまでの取り組みの経験を踏まえまして作成した電気のグリーン購入マニュアルに基づきまして、再生可能エネルギーの導入方法に関する実践的な解説を行いました。今後ともこうした取り組みを進めまして、グリーン購入を実施する意欲を持った自治体に対して詳しい情報提供を行い、都内を初めとして再生可能エネルギーの普及拡大を進めてまいります。
○松葉委員 電気のグリーン購入の拡大を着実に進めているということがわかり、大変に期待をしております。このグリーンエネルギー購入フォーラムを日本全国に拡大していくために、今後も継続してこの運動を後押ししていきたいと思っております。都としても、国からの支援も含めて、あらゆる方法を用いて今後の活動の強化を図ることを期待して、この質問は終わります。
次に、緑の東京十年プロジェクトの基本方針の中で、校庭芝生化について質問をいたします。
私は、前回三月の環境・建設委員会で、一度地面の土が露出した杉並区の区立桃井第五小学校の校庭芝生化の再生の取り組みを事例に挙げながら質疑をさせていただきました。学校、地域や保護者の方や児童の方、すべての方々が芝生を大事に育てて、環境学習をしながら緑化を進めていく、そういう視点が大事であることを述べました。
また、維持管理の経験を持った専門家の方がオブザーバーで参加して、いろいろアドバイスをしていただいていることが大きな力になったという現場の声も紹介させていただきまして、芝生の維持管理に対する都の支援強化を主張いたしました。
また、さきの委員会では、担当の部長から、三月六日に各学校や区市町村の教育委員会関係者を対象に実践的な経験交流の会を開き、維持管理を行う上での望ましい組織のあり方など情報提供するという答弁がありました。
まず、この経験交流会の状況をお伺いいたします。
○大野都市地球環境部長 お話の経験交流会は、十七年度に芝生化を実施しました世田谷区立烏山北小学校で開催いたしまして、百十名の区市町村の関係者の参加がございました。当日は直接校庭を視察するとともに、維持管理方法などにつきまして専門家の講演や烏山北小学校の校長の体験談を聞くなど、実践的な情報提供を行いました。
○松葉委員 校庭の芝生化では、全国的にも杉並区の和泉小学校が模範例としてよく紹介をされております。しかし、芝生の管理は、その学校の立地環境や、また児童数の規模による一人当たりの校庭の面積であったり、教育方針や地域のかかわり方によって千差万別であると思います。
今回交流会場となった烏山北小学校では、子どもたちをしっかり遊ばせ、少しぐらい地面が露出しても、その後しっかり補修等の管理を行えばよいという考えであると伺いました。そういう意味では、いろいろな事例や取り組みを現場で直接紹介することが区市町村にとって大変有益であり、このような交流会の取り組みを高く評価したいと思います。
実際に実施のための計画をつくり、維持管理を行うのは区市町村、また小中学校の現場でございます。できるだけ個々の状況に応じた芝生化の計画をある程度時間をかけてしっかりとつくることができるように、現場の声をよく聞いて、都としても事業化をお願いしたいと思います。
今年度から事業を開始するに当たって、現場に配慮した措置はどのようになっているのか伺います。
○大野都市地球環境部長 今年度の事業実施に当たりまして、既に校庭芝生化を実施している学校の教職員や保護者の方々などから実施の課題も伺ってまいりました。その中で、工事期間中など校庭の使用ができないことによりまして、体育などの授業に影響を与えているという課題が指摘されました。
こうした影響を避けるためには、夏休みに合わせて工事期間をとるというのが最も合理的でございますけれども、そうすると、四月の年度初めから取り組んでも、なかなか十分な検討や設計の時間がとりづらいという実情がわかってまいりました。
これを踏まえまして、今年度から開始する補助事業におきましては、初年度に調査、設計を行って、じっくりと計画を練り上げまして、次年度に夏休み期間を使って工事を行うといったことが可能になるように、複数年度の事業実施を可能とするという措置をとったところでございます。
○松葉委員 今ご答弁がございましたが、複数年度の事業実施を可能にしたということでございまして、このことは本当に高く評価いたしたいと思います。
次に、専門家の支援についてでありますけれども、調査、設計、工事の段階から維持管理まで、専門家の意見は貴重でございます。校庭の芝生化の技術は十分な実績が少なくて、これから研究を積んでいく分野であるとも聞いております。予算特別委員会で我が党は、維持管理の面でグリーンキーパーを活用することを強く主張いたしまして、答弁でも、グリーンキーパーの方々を登録いただき、アドバイスを求める仕組みをつくるというようなご答弁をいただきましたけれども、今回発表いたしました緑の東京十年プロジェクト基本方針では、専門家等による支援という点ではどのような強化が行われたのか伺います。
○大野都市地球環境部長 校庭芝生化を進める上で大きなポイントの一つとなりますのは、専門家によるサポートが学校の現場で得られるという仕組みを構築することであります。今回の基本方針では、学校現場に専門的なアドバイスを行う校庭グリーンキーパーの登録、紹介の仕組みの構築と、これらのアドバイスを実際に活用して維持管理組織を取りまとめる芝生リーダーの育成を行うことといたしました。
○松葉委員 グリーンキーパーにつきましては、PTAの方々からお話を伺いましても、芝生の専門家であるということと同時に、学校の校庭であるので、子どもたちを育てるという意味で、子どもたちの視点に立てる人である、そういう両面を持った方にぜひお願いしたいという声も伺っておりますので、その辺も含めて要望させていただきます。
芝生化をなぜ学校の校庭にするのかということを考えますと、ヒートアイランド対策にとどまらずに子どもの健康づくりや環境学習への素材提供など、教育の中で活用していく仕組みづくりが必要かと思います。今後、確実に事業を進めていくには、教育現場や地域活動とも連携し、関係を密にしていくことが大事と考えますが、その点について伺います。
○大野都市地球環境部長 都におきましては、緑の都市づくり推進本部に校庭芝生化部会というのを設けておりまして、この中で教育庁とも連携しながら校庭の芝生化を進めております。こうした取り組みの中で、教育庁は、学校関係者や芝生の専門家等によります校庭芝生化促進協議会をこの五月に設置いたしました。この中で校庭芝生化による子どもの心身への影響や効果、啓発方法、さらには校庭芝生化のさまざまな課題がございますので、校庭芝生化に向けたそれらの課題解決の方向性などを検討して、その成果を広く学校現場に普及していくとなっております。
また、同じく五月には、企業、NPO、大学などの力を活用して、学校教育に貢献することを目指しております地域教育推進ネットワーク東京都協議会、この場におきましても、教育環境整備の一環としてフォーラムの開催や関係者の活動交流促進などにより校庭芝生化への支援を行うこととなりました。環境局といたしましても、これらの活動と密接に連携して校庭芝生化を推進してまいります。
○松葉委員 今、校庭芝生化促進協議会というのを設置されたという話がございましたけれども、その中でさまざまな課題も含めて検討されるということでございまして、校庭芝生化の多角的な課題、また子どもたちへのいい環境を提供すること、環境学習のこと、さまざま検討していただくことを期待しております。
また、今回の基本方針では、公立小中学校だけでなく、幼稚園や私立学校、保育園などにも芝生化を展開していくとしておられますけれども、将来的に芝生化を大きく展開していくためには、ここ二、三年の間で、地域や学校、幼稚園や保育園等も含めて、モデルとなる学校、幼稚園を着実につくっていくことが大事だと思います。そのためには、それに対するしっかりとした支援体制を構築していただきたい。そのことを申し上げて、質問を終わります。
○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十三分散会
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