環境・建設委員会速記録第六号

平成十九年六月六日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長小磯 善彦君
副委員長斉藤あつし君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事大西由紀子君
理事相川  博君
原田  大君
河野百合恵君
松葉多美子君
中山 信行君
きたしろ勝彦君
高橋 信博君
くまき美奈子君
臼井  孝君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長吉川 和夫君
環境政策部長加藤 英夫君
環境政策担当部長長谷川 明君
都市地球環境部長大野 輝之君
環境改善部長石渡 秀雄君
環境改善技術担当部長柿沼 潤一君
自動車公害対策部長井戸 秀寿君
自然環境部長中島  博君
参事浅川 英夫君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事木村 尊彦君
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長桐越  信君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・東京都自然公園条例の一部を改正する条例
報告事項
・平成十八年度東京都一般会計予算(環境局所管分)の繰越しについて(説明・質疑)
・東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)(説明)
・「東京都気候変動対策方針」の策定について(説明)
 建設局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・中央環状品川線シールドトンネル工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・平成十八年度東京都一般会計予算(建設局所管分)の繰越しについて
請願の審査
(1)一九第三号 都市計画道路補助第二六号線(三宿・池尻・代沢地域)の建設計画中止に関する請願
(2)一九第七号の一 調布市中心市街地における旧甲州街道の電線類地中化にかかわる社会実験に関する請願

○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の村上さえ子さんです。よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○小磯委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局、建設局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、予算の繰り越しに関する報告の聴取、環境局関係の東京都環境基本計画のあり方について外一件の報告の説明聴取並びに建設局関係の請願の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項の東京都環境基本計画のあり方について外一件の報告は、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、また、予算の繰り越しに関する報告につきましては、説明聴取の後、質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の組織改正及び人事異動に伴い、幹部職員の交代等がありましたので、環境局長から紹介があります。

○吉川環境局長 去る六月一日付の人事異動により、環境局長を拝命いたしました吉川和夫でございます。
 健康で安全な生活環境を確保するため、また、持続可能な東京の発展を実現するため、環境行政は今日の都政において最も重要な課題の一つとなっております。人類の生存基盤の脅威に果敢に挑む地球温暖化対策を初めとする諸課題の解決に向け、環境局職員一同、全力を挙げて取り組んでまいります。何とぞ、小磯委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 それでは、お手元の環境局理事者名簿に従いまして、異動となりました幹部職員をご紹介申し上げます。
 環境政策部長の加藤英夫でございます。環境政策担当部長の長谷川明でございます。都市地球環境部長の大野輝之でございます。環境改善技術担当部長の柿沼潤一でございます。自動車公害対策部長の井戸秀寿でございます。自然環境部長の中島博でございます。緑施策推進担当参事の浅川英夫でございます。調整担当参事、スーパーエコタウン担当参事兼務の木村尊彦でございます。
 以上でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○吉川環境局長 平成十九年第二回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件につきまして概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成十九年第二回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんください。
 今回、提出を予定しております案件は、条例案二件でございます。
 一枚おめくり願います。条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 まず、(1)都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これは、水質汚濁防止法に基づく排出基準を定める省令の一部を改正する省令の改正に伴い、東京都における公共用水域に排出する排水の、硼素、弗素の排出基準に係る条例の規定を整備するものでございます。
 次に、(2)東京都自然公園条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 これは、指定管理者により管理を行わせることができる自然公園施設の範囲を拡大するほか、規定を整備するものでございます。
 以上が今定例会に提出を予定しております条例案の概要でございます。
 詳細につきましては、引き続き環境政策部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤環境政策部長 それでは、平成十九年第二回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 資料2をごらんください。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める省令の一部を改正する省令の改正により、公共用水域に排出される硼素素及び弗素の暫定排水基準が改められたことに伴い、条例の規定を整備するものでございます。
 二、改正(案)の内容でございますが、まず(一)条例附則第二項に定める暫定許容限度の適用期限を平成十九年六月三十日から平成二十二年六月三十日に改めるものでございます。
 次に、(二)条例附則別表に定める暫定許容限度の一部を改め、硼素及びその化合物の暫定許容限度を設けている業種のうち、硼酸製造業について暫定許容限度を改めるものでございます。
 二ページをお開き願います。
 また、弗素及びその化合物の暫定許容限度を設けている業種のうち、非鉄金属精錬・精製業等、二業種について暫定許容限度を改めるものでございます。
 同じく、弗素及びその化合物の暫定許容限度を設けている業種のうち、貴金属製造・再生業等、三業種について暫定措置を廃止して、本則の許容限度を適用するものでございます。
 三、条例の施行期日でございますが、平成十九年七月一日としております。
 三ページから六ページは本条例案、七ページから一三ページは新旧対照表でございます。
 続きまして、資料3をごらんください。東京都自然公園条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、指定管理者により管理を行わせることができる自然公園施設の範囲を拡大するほか、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正(案)の内容でございますが、まず(一)指定管理者により管理を行わせることができる自然公園施設の範囲の拡大についてでございます。
 指定管理者により管理を行わせることができる自然公園施設を三施設のみに限定した別表第五を削除し、自然ふれあい公園及び利用施設について指定管理者に管理を行わせることができることに改めるものでございます。
 次に、(二)規定の整備についてでございます。
 条例別表第四の項中にある「小学部及びこれらに」を「小学部及びこれに」に改めるものでございます。
 二ページをお開き願います。
 条例の施行期日でございますが、公布の日からとしております。
 三ページから五ページは本条例案、六ページから八ページは新旧対照表でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○小磯委員長 次に、理事者から予算の繰り越しについての報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○加藤環境政策部長 平成十八年度一般会計予算のうち、環境局所管分の繰り越しについてご報告申し上げます。
 それでは、お手元の資料4、平成十八年度一般会計予算繰越説明書によりましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きください。
 繰り越しは、明許繰越で、繰越額は百三十五万四千円でございます。
 繰越財源内訳は、繰越金でございます。
 二ページをお開きください。
 事業名は、ディーゼル車対策融資あっせん事業でございます。
 繰越明許費予算議決額は、二億一千五百万円でございます。
 繰り越しの内容につきましては、資料右側の説明欄に記載しておりますように、ディーゼル車を最新規制適合車へ買いかえるための融資制度におきまして、年度内に支出が終わらなかったため、百三十五万四千円を翌年度に繰り越して支出するものでございます。
 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小磯委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対して何かご質問がありましたら発言を願います。

○斉藤委員 それでは、ただいまの一般会計の予算繰り越しについて伺います。
 今回の繰り越しの事業はディーゼル車の対策融資あっせんでありますが、昨年度末で終了して今回繰り越しになります、もう少し細かくいいますと、自動車NOx・PM法買いかえ特別融資あっせん制度でございますが、これと並行して制度が存在して、今後も継続されます自動車低公害化促進資金がございます。この二つの制度、それぞれの申し込みの実績を伺います。

○井戸自動車公害対策部長 二つの融資あっせんについての実績でございますけれども、まず今回、予算の繰り越しにつきましてご報告させていただきました自動車NOx・PM法の規制に対応しましてディーゼル車を買いかえる場合の特別融資あっせんの制度でございますけれども、平成十八年度の申込実績につきましては約六十件、平成十七年度は約百十件でございました。
 また、従来から実施しております一般的な自動車低公害化促進資金につきましての十八年度の申込件数につきましては、約七百三十件でございます。平成十七年度は約七百九十件でございました。

○斉藤委員 伺いますと、この二つの制度については、ともにディーゼル車の規制に対して、ある程度車両を買いかえていく際の事業者支援というふうになっております。
 今回終了するこの特別融資あっせんの方は、継続されております低公害化促進資金の七分の一から八分の一程度の申込件数ということでありますが、それでも実際に申し込まれている方がいらっしゃいます。
 そして、ディーゼル車規制にかかわらず、環境局の方からは、CO2削減など環境に関する課題の解決のために、都民や事業者へ直接負担をお願いすることが今後もあるかというような状況でございます。
 このような局面において、今回、昨年度末で終了する買いかえ特別融資あっせん制度と自動車低公害化促進資金のこの二つの制度の関係のように、時には負担をお願いする際に、より事業者の状況に合った、そしてなるべく負担が小さくなるようにという配慮をして、なるべくその上でルールを守っていただこうという二つの二段階の制度、対応策を持つということは、私個人としては大変適切で、また、協力を仰ぐには必要な手だてかと思います。
 実際、今回終了いたします制度においては、経営状態がなかなか厳しい事業者にとっても融資が受けられる、そういった条件を持っている制度ということで、もう一方の低公害化促進資金の融資対象にならない事業者も、これによってディーゼル車規制に協力ができるということであります。
 今回の二種類の中小企業向け融資制度が、これまでどのように運用されてきたのか、そこを伺います。

○井戸自動車公害対策部長 二つの融資制度につきましての運用状況でございますけれども、従来から実施しております自動車低公害化促進資金制度につきましては、あっせんの対象をトラックのみならず、営業用ですとか、あるいは事業用の乗用車もその対象としてございます。
 一方、今回のディーゼル車の特別融資あっせん制度につきましては、国のNOx・PM法の適用によりますトラック、バス等のディーゼル車の買いかえ需要がピークを迎えることから、第三者の保証を不要とするなどの利用者の利便性に配慮しつつ、平成十七年度、十八年度に限って設けたものでございます。
 一般的な融資あっせん制度と、期間を限りました特別なあっせん制度、これら二つの制度の運用を通じまして、幅広く中小企業の方々の自動車の低公害化に向けたニーズや期待にこたえられるよう取り組んできたところでございます。

○斉藤委員 このような今回のいわゆる買いかえの促進策は、全都民が協力していかなければならないことはもちろんであります。そして、今回終了いたしました自動車NOx・PM法買いかえ特別融資あっせん制度については、信用保証協会等の保証条件がそろわないという理由で若干でも高利、高い金利にはなりますけれども、しかしながら、このあっせん制度を使ってルールを守るという事業者が実際にいる、そしてその受け皿になったということであります。
 このような、自分たちの資金繰りの中で多少厳しい、また、融資も金利部分では若干厳しいけれどもルールを守っていこうといった申請者に対して、手段は限られるかもしれませんけれども、ぜひ今後もできる限りの温かい支援、配慮をお願いしたいと思います。
 そこで、最後の質問として、東京都の環境施策に協力しようという中小零細企業の方々に配慮して、今後東京都はどのような対応を考えているのか伺います。

○井戸自動車公害対策部長 中小企業の事業者の方々への対応でございますけれども、東京都はこれまで大気汚染の早期改善を図るため、排出ガス性能のすぐれた低公害車等の早期の普及促進を図ってまいりました。
 都のこうした施策を進めるためには、委員ご指摘のように、中小企業事業者の協力が不可欠であることから、融資あっせん制度をわかりやすく周知するなど、環境負荷の低減に積極的に取り組んでいらっしゃる中小企業の事業者の方々が、より利用しやすいように施策として取り組んでまいります。
 なお、平成十九年度には、排出ガス性能がよりすぐれた最新規制適合車の購入に際しましては、従来よりも利子補助等を拡大するなどの措置も講じているところでございます。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、ただいまの報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○小磯委員長 次に、東京都環境基本計画のあり方について外一件について理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○長谷川環境政策担当部長 去る五月三十一日に東京都環境審議会より東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)の報告がありましたので、ご説明いたします。
 本件につきましては、昨年五月三十日に諮問いたしまして、一年間にわたりご議論いただいたものでございます。
 それでは、お手元の資料5の概要版、A3横の大きなものでございますが、これに基づいて説明させていただきます。
 一ページの左側、Ⅱの東京が目指すべき持続可能な都市のあり方におきましては、まず、東京の直面する環境問題についての新たな認識として、気候変動の危機の顕在化、環境汚染に対する予見的かつ継続的な対応の必要性、より質の高い都市環境の形成による都市の魅力の向上の三つを挙げております。
 その上で、今後東京が目指すべき都市の姿と果たすべき役割として、少ないエネルギー消費で快適に活動、生活できる都市を目指す必要があるとしております。
 右上の方にイメージ図がございますけれども、目指すべき都市へのステップとして、下から、人類・生物の生存基盤が確保されている都市、健康で安全に生活できる都市、より快適で質の高い生活を享受する都市の三つを示しており、これに沿って以下に施策のあり方をまとめております。
 なお、右側中段には、高い目標設定と戦略的施策展開により、国や他の自治体をリードするなど、環境基本計画の改定に当たりまして必要な目標設定のあり方について考え方が示されております。
 次に、二ページをごらんいただきたいと思います。分野別の施策のあり方のうち、まず、人類・生物の生存基盤の確保でございます。
 左側〔1〕気候変動に向けた施策の展開につきましては、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減することを目標に掲げ、主な施策のあり方として、大規模事業所対策の強化、経済的手法の活用、家庭での省エネの本格的推進、再生可能エネルギーの利用拡大、都市づくりの中での二酸化炭素削減などが必要としております。
 真ん中の〔2〕でございますが、持続可能な環境交通の実現として、自動車由来の二酸化炭素排出量削減のため、自動車への過度の依存から転換する交通行動の変革、環境負荷の少ない自動車使用への転換・誘導、低燃費な車の普及促進などが必要としております。
 また、右側〔3〕でございます。省資源化と資源の循環利用の促進につきましては、都内から発生する廃棄物の最終処分量を二〇一六年度までに二〇〇〇年度対比五五%削減することを目標として、発生抑制、リサイクルの推進等の施策が必要としております。
 三ページをお開きください。分野別の施策のあり方の二つ目、健康で安全な生活環境の確保でございます。
 左側〔1〕の大気汚染物質のさらなる排出削減につきましては、現状として浮遊粒子状物質(SPM)は、二〇〇五年度に都内のすべての測定局で環境基準を達成するなど大きな改善を果たしてきておりますが、二酸化窒素や光化学オキシダントなど、さらなる取り組みが必要となっております。このため、自動車に起因するものしないものを含め、大気汚染対策をさらに進めていく必要があるとしております。
 また、真ん中〔2〕として、化学物質等の適正管理と環境リスクの低減、土壌・地下水対策などの環境の負の遺産を残さない取り組み。
 また、右側〔3〕として、騒音、振動、悪臭等、生活環境問題の解決について、それぞれ目標等と主な施策のあり方をお示ししております。
 次に、四ページをお開きください。より快適で質の高い都市環境の創出でございます。
 東京を緑と水にあふれた快適な都市としていくため、市街地における豊かな緑の創出、水環境の再生と潤いのある水辺環境の回復、熱環境の改善--いわゆるヒートアイランド対策による快適な都市空間の創出、そして森林や丘陵地、島しょにおける自然の保全の四つの面から目標等と主な施策のあり方を掲げ、水と緑の回復や創出を目指す施策をこれまで以上に強化すべきとしております。
 五ページをお開きください。課題に対応していくための横断的・総合的な施策のあり方でございます。
 第一に、環境配慮・環境対応が内在化された都市づくりの推進といたしまして、都市づくり、都市活動全般において環境配慮を組み込むことが必要としております。
 第二には、経済的手法のあり方として、これまで市場経済の外にありました環境対策コストを、市場内部のコストとする仕組みづくりなどが必要としております。
 また、第三に、持続可能な都市づくりを促進する仕組みの構築といたしまして、再生可能エネルギーの利用拡大や環境金融におきまして、金融機関やNPOとの連携を戦略的に進めていくことや、八都県市など他の自治体との連携、最新技術の開発促進や環境ビジネスの創出などが必要とされております。
 さらに、「十年後の東京」に基づきますカーボンマイナス東京十年プロジェクト及び緑の東京十年プロジェクトにより、重層的、複合的な施策展開を図っていくべきとしております。
 以上が中間のまとめの概要でございます。これにつきましては、今後、都民意見を募集いたしまして、最終のまとめに向けてさらに議論を重ねていくこととしております。
 また、この中間まとめを受けて、五月三十一日、知事より同審議会に対しまして環境確保条例の改正についてあわせて諮問いたしましたところです。
 以上、簡単ではございますが、環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)の説明をさせていただきました。
 続きまして、六月一日に発表いたしました東京都気候変動対策方針についてご報告いたします。
 お手元の資料7の概要版をごらんだきたいと思います。昨年末に発表しました「十年後の東京」で掲げました、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するという目標を実現するため、東京都では現在、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを庁内一丸となって推進しております。
 本方針は、このプロジェクトの基本方針に位置づけられるものでありまして、今後十年間の都の気候変動対策の基本姿勢を明確化するとともに、代表的な施策を先行的に提起したものでございます。
 資料左上には、気候変動に対する基本認識と方針策定の意義を掲げてございます。地球温暖化がもたらす気候変動は、人類の活動により引き起こされた最も深刻な環境問題であり、また、都民の生命、財産、健康にも直接的な影響を与える、今そこにある危機として、ぜひとも回避しなければならないものでございます。そのためにも、いまだ増加傾向にある東京の二酸化炭素排出量を速やかに減少に転じさせる必要があり、また、東京都が先駆的な施策を提起することにより、日本の気候変動対策をリードしていくこととしております。
 資料左下には、この対策の四つの基本的な考え方をお示ししております。
 第一に、我が国には世界に誇るべきすぐれた環境技術がありますが、現状においてこれが十分に生かされてはおりません。東京都は、日本の環境技術を二酸化炭素削減に向け最大限発揮する仕組みをつくってまいります。
 第二に、大企業、中小企業、家庭のそれぞれが、その役割と責任に応じて二酸化炭素を削減する仕組みをつくるというものでございます。このため、右側の方針でも出てまいりますけれども、都といたしましては、中小企業や家庭における二酸化炭素削減の取り組みに対しまして適切に支援してまいりたいと考えております。
 基本的な考え方の第三でございますが、気候変動対策は今後の十年間の取り組みが重要でございます。「十年後の東京」で掲げました、二〇二〇年までに二〇〇〇年対比で東京の温暖化ガス排出量を二五%削減するという目標を確実に達成するためにも、当初の三、四年を低CO2型社会への転換始動期と位置づけまして、戦略的、集中的に対策を実行してまいります。
 第四は、経費に対する考え方でございます。気候変動対策には一定のコストがかかります。都といたしましては、都民、事業者の省エネ努力を支えるため、民間資金や地球温暖化対策推進基金、さらには税制の活用を図り、必要な投資は大胆に実行してまいりたいと考えております。
 次に、資料の右側でございます。対策の五つの方針と主な取り組みについてでございます。
 方針の一つ目は、企業の二酸化炭素削減を強力に推進、でございます。ここでは、主な取り組みとして、大規模な二酸化炭素排出事業所に対する総量削減義務と、あわせて排出量取引制度の導入を目指してまいります。また、新たに創設する環境CBOなどにより、中小企業の省エネ対策を促進支援してまいります。
 方針の二点目は、家庭の二酸化炭素削減を本格化、でございます。主な取り組みといたしまして、白熱球を電球型蛍光ランプに交換するだけで大きな省エネ効果がありますことから、関連団体などと連携し、白熱球一掃作戦と称した大規模なキャンペーンを展開してまいります。また、太陽光発電や高効率給湯器などが普及するような仕組みづくりを進めてまいります。
 方針の三つ目、都市づくりでの二酸化炭素削減をルール化、でございます。このたび都は、世界でもトップクラスの建物省エネ仕様を策定したところでございます。これを都の施設に全面的に適用してまいります。また、条例に基づく建築物環境計画書制度の対象拡大や新築建築物等への一定レベル以上の省エネ性能の義務づけを目指してまいります。
 方針の四つ目は、自動車交通での二酸化炭素削減を加速、でございます。ハイブリッド車などの大量普及を図るため、自動車の生産、販売、購入、利用のすべての段階におきまして、低燃費車が優先的に扱われるような低燃費車利用ルールを策定いたします。さらに、燃料対策を進めるほか、事業者団体などによるエコドライブ推進の自主的な取り組みを支援する仕組みを構築してまいります。
 方針の五つ目は、以上申し上げた各部門の取り組みを支える都独自の仕組みを構築するということでございます。中小企業、家庭の省エネ努力を促進、支援する制度を構築していくとともに、こうした支援策などの下支えとして、都独自の省エネルギー促進税制の導入につきまして、東京都税制調査会において減税、課税の両面での検討を開始いたします。
 以上ご説明申し上げました方針のもと、都庁みずからも率先して二酸化炭素の削減に取り組んでまいります。
 なお、本方針で提起いたしました内容につきましては、都議会における議論はもとより、都民、NGO、企業などの利害関係者の意見もお聞きいたしまして、今後、全庁的な取り組みでございますカーボンマイナス東京十年プロジェクトの具体化を図ることによりまして着実に実施してまいります。また、条例改正が必要なものにつきましては、平成二十年度の条例改正を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で環境局関係を終わります。

○小磯委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、建設局長から紹介があります。

○道家建設局長 六月一日付で建設局長を拝命いたしました道家孝行でございます。道路監を兼務いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 小磯委員長を初め委員の皆様方には、建設局の事業につきまして日ごろからご理解とご支援を賜り、まことにありがとうございます。
 建設局は、「十年後の東京」の実現を目指し、東京の都市基盤整備と施設の良好な維持管理に局一丸となって取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の名簿に従いまして、異動のございました当局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 次長の島博文でございます。総務部長の影山竹夫でございます。用地部長の谷島明彦でございます。道路管理部長の藤井芳弘でございます。道路建設部長の山口明でございます。公園緑地部長の北村俊文でございます。総合調整担当参事の安藤英二でございます。公園計画担当参事の小口健藏でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○道家建設局長 平成十九年第二回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料建設局所管分をごらんいただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、中央環状品川線シールドトンネル工事の契約案件一件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 なお、詳細につきましては総務部長よりご説明いたします。

○影山総務部長 引き続きまして、平成十九年第二回定例会提出予定案件の内容についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1をごらんいただきたいと存じます。契約案についてご説明申し上げます。
 表紙と目次をおめくり願います。
 一ページ目でございます。件名は、中央環状品川線シールドトンネル工事でございます。
 本案件は、慢性的な渋滞の緩和や沿道環境の改善のために整備される中央環状品川線の道路トンネルを、大井北立て坑から大橋までシールド工法にて構築する工事でございます。
 工事場所は東京都品川区八潮一丁目地内から目黒区青葉台四丁目地内、契約の相手方は大成・東急・大豊・錢高・みらい建設共同企業体、契約金額は四百三十一億五千五百万円、工期は平成二十五年三月十五日までとする工事請負契約を、技術提案型総合評価方式で一般競争入札によりまして締結しようとするものでございます。
 二ページ目をお開き願います。トンネルの全長は、案内図・平面図のとおりでございます。
 形状については、断面図のとおりでございます。
 以上で平成十九年第二回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○河野委員 過去三年の各契約ごとの予定価格、契約価格、契約業者の一覧をお願いします。

○小磯委員長 ただいま河野委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○小磯委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○影山総務部長 平成十八年度予算の繰り越しにつきましてご報告申し上げます。
 予算を翌年度に繰り越して使用する場合は、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条の第三項の規定により、議会に報告することとされております。
 お手元の資料2、平成十八年度繰越説明書の一ページをお開き願います。平成十八年度繰越明許費総括表でございます。
 表の一般会計、土木費の行をごらんください。予算現額は、三千四百三十六億二千七百七十八万二千円のうち、繰越明許費の予算議決額は四百七十九億五千五百四十六万四千円で、今回、そのうち四百七億八千七百八十二万三千円を翌年度へ繰り越しするものでございます。
 財源は、分担金及び負担金、国庫支出金、都債及び繰越金でございます。
 次に、用地会計の行をごらんください。この会計は財務局の所管でございますが、当局が執行委任を受けて執行したものでございます。翌年度繰越額は二億四千四百五十八万二千円でございます。一般会計と用地会計を合わせた翌年度繰越額の合計は四百十億三千二百四十万五千円でございます。
 なお、表の下に注書きがございますように、予算現額及び繰越明許費予算議決額は、繰り越しを生じた事業の分だけを記載してございます。
 次に、三ページをお開き願います。繰越明許費につきましてご説明申し上げます。
 番号の1番は、土木補助でございます。繰り越しの理由は、説明欄に記載してございますとおり、市及び町が道路工事に伴う関係機関との調整や用地買収に伴う関係人との折衝等に日時を要したため、補助事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 次の2番の生活再建資金貸付でございますが、繰り越しの理由は、資金借り受け者が建物再建等に日時を要したことによるものでございます。
 次に、四ページをお開き願います。3番の道路補修から六ページの8番の橋梁整備までは、道路橋梁費でございます。主な繰り越しの理由は、道路工事に伴う関係機関及び地元住民との調整や用地買収に伴う関係人との折衝等に日時を要したことによるものでございます。
 次に、七ページをお開き願います。9番の河川防災から九ページの13番の河川災害復旧までは、河川海岸費でございます。主な繰り越しの理由は、河川工事に伴う関係機関及び地権者との調整や支障物件の撤去及び用地買収に伴う関係人との折衝等に日時を要したことによるものでございます。
 次の14番の公園整備と一〇ページの15番の霊園葬儀所整備は、公園霊園費でございます。主な繰り越しの理由は、公園整備工事に伴う地下水の処理や用地買収に伴う関係人との折衝に日時を要したことによるものでございます。
 次に、一二ページをお開き願います。用地会計による公共用地先行取得でございます。繰り越しの理由は、用地買収に伴う関係人との折衝に日時を要したことによるものでございます。
 次に、一三ページをお開き願います。平成十八年度事故繰越総括表でございます。
 予算の繰り越しは繰越明許費の議決をいただいて行うのが原則でございますが、契約等の支出負担行為の後に、避けがたい事故のため年度内に支出が終わらなかった経費につきましては、地方自治法第二百二十条第三項のただし書きの規定に基づき、事故繰越として翌年度に繰り越して使用することができることになっております。
 表の一般会計、土木費の行をごらんください。支出負担行為八億二千四百八十七万九千円のうち、翌年度繰越額は六億三千五十七万九千円で、財源は国庫支出金と繰越金でございます。用地会計の翌年度繰越額は、一億八千八百四十四万一千円で、財源はすべて繰越金でございます。翌年度繰越額の合計は、八億一千九百二万円でございます。
 次に、一五ページをお開き願います。一般会計の事項について説明いたします。
 1番の交通安全施設から一六ページの3番の街路整備までは、道路橋梁費でございます。繰り越しの理由は、道路整備工事に伴う工法の再検討や用地買収に伴う物件移転に日時を要したため、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 次の4番は、公園霊園費の公園整備でございます。繰り越しの理由は、用地買収に伴う物件移転に日時を要したことによるものでございます。
 次に、一八ページをお開き願います。用地会計による公共用地先行取得でございます。繰り越しの理由は、用地買収に伴う物件移転に日時を要したことによるものでございます。
 以上で平成十八年度予算の繰り越しにつきましてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○小磯委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対して何かご質問がありましたら、発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○小磯委員長 次に、請願の審査を行います。
 一九第三号、都市計画道路補助第二六号線(三宿・池尻・代沢地域)の建設計画中止に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山口道路建設部長 ご説明申し上げます。
 お手元にございます資料3の請願審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりください。整理番号1、請願一九第三号をごらんください。
 本件は、都市計画道路補助第二六号線(三宿・池尻・代沢地域)の建設計画中止に関する請願で、世田谷区の三宿・池尻・代沢大型道路問題の会代表世話人川原芳子さん外二千二百四十五名の方から提出されたものでございます。
 要旨は、世田谷区三宿、池尻、代沢の住宅地内における都市計画道路補助第二六号線の建設計画を中止していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、補助第二六号線は、環状第六号線と環状第七号線の間に位置し、起点を品川区東大井一丁目、終点を板橋区氷川町とする計画延長約二十二キロメートルの道路でございます。
 本路線は、広域的な道路ネットワークの形成により、周辺地域の渋滞解消に資するほか、防災都市づくり推進計画における四カ所の重点整備地域に沿って計画されておりますことから、延焼遮断帯や緊急避難路としての役割を持つなど、防災面からも重要な道路となっております。
 計画延長約二十二キロメートルのうち約十五キロメートルが完成または概成、約三キロメートルが事業中でございます。残り約四キロメートルの未整備区間につきましては、平成二十七年度までに優先的に整備すべき路線として、区部における第三次事業化計画に位置づけられております。
 本件区間は、世田谷区三宿二丁目から淡島通りまでの約四百四十メートルでございまして、この区間の整備により地域の円滑な交通機能が確保されるほか、木造住宅密集地域の防災性の向上にも寄与することから、地元世田谷区も早期整備を要望しております。
 都は、事業化に向け平成十八年七月に事業説明会を実施しまして、現況測量に着手し、作業を完了いたしました。引き続き用地測量に向け、道路構造の検討などを進めているところでございます。
 これまで、都が開催した説明会のほか、地元からの要請による説明会への出席、地元町会への個別説明などを通じまして、事業の進め方、用地補償に関する要望や相談に対し、丁寧な対応を行ってまいりました。
 今後とも、用地測量の着手前など、事業の節目節目で説明会を開催するなど、引き続き地元の理解と協力を得ながら、補助第二六号線全線の早期整備に向けまして積極的に事業を推進してまいります。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○吉野委員 ただいま、補助第二六号線につきまして、現在の状況についての説明がありましたが、道路は単に交通渋滞の解消のみならず、防災性の向上にとっても必要不可欠でありまして、都民が安全に安心して暮らせる都市を構築するという意味でも、最も基本となるインフラであります。
 そこで、補助第二六号線は早期に整備を図るという観点から、一つずつ確認しながら質問してまいりたいと思います。
 補助第二六号線は、区部環状方向の重要な路線であるというふうに考えますけれども、事業の必要性につきまして、改めて伺いたいと思います。

○山口道路建設部長 お答えいたします。
 補助第二六号線は、環状第六号線と環状第七号線の間に位置する環状方向の骨格幹線道路でございます。その整備により、より広域的な道路ネットワークの形成が図られ、周辺の交通渋滞の緩和に資する道路でございます。
 また、木造住宅密集地域に沿って計画されていることから、延焼遮断帯や緊急避難路としての役割を持つなど、防災面からも重要な道路であり、本路線の早期整備が必要であると認識しております。

○吉野委員 まさにそのとおりですね。非常に重要な役割を担っているということです。
 それで、今、お話ありましたけれども、路線全体の整備がかなり進んでいるという状況でありますが、整備状況について、ほかの区間も含めて少し詳しく教えていただきたいと思います。

○山口道路建設部長 本路線の整備状況についてでございますけれども、計画延長約二十二キロメートルのうち、約十五キロメートルが完成または概成でございます。また、約三キロが事業中でございます。
 残りの約四キロの未整備区間につきましては、区部における第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけられております。未整備区間約四キロのうち、現道のある区間は約一キロ、本請願の区間を含めまして現道のない区間は約三キロでございます。現道のない区間のうち、南側の目黒区の未整備区間約七百五十メートルにつきましては、平成十七年度から用地測量を実施し、事業化に向けての準備を行っております。

○吉野委員 目黒区の区間については、事業化の準備が進んでいるというお話でありました。三宿より南側の区間については、先が見えてきたということだろうと思います。
 道路はつながっていることに意味がありまして、都市計画幅員に満たなくても、現道があれば道路としての一定の機能は確保されます。しかし、途切れてしまっては役割を果たしていかれないということであります。渋滞解消や防災性向上などの機能をより効果的に発揮するためにも、現道のない区間を整備して、広域的な道路ネットワークを形成することが必要であるというふうに思います。
 そこで、現道のない未整備区間である三宿区間の整備の必要性と、これまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○山口道路建設部長 本請願の三宿地区は、世田谷区三宿二丁目から淡島通りまでの約四百四十メートルでございます。この区間の整備により、淡島通りなどから生活道路に侵入している通過交通を本路線に適切に誘導し、地域の円滑な交通と安全が確保されると考えております。
 また、沿道の不燃化を促進するとともに消防活動を円滑にさせ、木造住宅密集地域の防災性の向上にも寄与すると考えております。
 都は、事業化に向け平成十八年七月に事業説明会を実施した後、現況測量に着手し、作業を完了いたしました。現在、現況測量の成果に基づき、道路構造の検討などを進めているところでございます。
 引き続き準備が整い次第、用地測量へ着手してまいりたいと考えております。

○吉野委員 現在の状況につきましては、わかりました。
 先ほどから、当路線は防災上非常に重要で、延焼遮断帯としての役割を持つというふうにいわれておりますけれども、調べましたところによりますと、阪神・淡路大震災では、幅員十二メートル以上の道路では延焼がなかったということであります。本路線の幅員は二十メートルであり、十分に延焼を防止することができるというふうに考えられます。いつ起こるとも知れない震災から都民の生命、財産を守るためには、延焼遮断帯としての機能を持つ道路の整備が不可欠であります。
 防災都市づくり推進計画において、世田谷区役所周辺、三宿・太子堂地区が重点整備地域に指定されております。このうち、本路線の計画されている三宿・太子堂地区における延焼遮断帯を形成する道路の整備状況について伺いたいと思います。

○山口道路建設部長 この三宿・太子堂地区には、延焼遮断帯としての機能を持つ道路といたしまして、南に玉川通り、北に淡島通り、西に茶沢通りがございまして、これらの道路の整備は既に完了しております。
 東に位置します補助第二六号線につきましては、南側の約五百メートルが完成及び概成でございまして、残るは北側の当該路線であります約四百四十メートルの区間のみでございます。本路線の整備によりまして、延焼遮断帯としての機能が確保されることから、この地域の防災性がさらに向上するものと考えております。

○吉野委員 周辺地区で未整備なのはこの補助第二六号線のみとのことであり、延焼遮断帯を形成するためにも、道路整備をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 また、道路は、延焼遮断帯としての機能はもちろんのこと、緊急避難路あるいは緊急車両の通り道などさまざまな機能を持っており、周辺住民の安全確保のために早期に整備すべきであるということを申し上げさせていただいて、質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、私の方からも補助第二六号線について伺います。
 今回の請願に出ている案件に関しては、もともとの計画の始まりが昭和二十一年ごろという大変古いスタート地点でございますので、当然、現在住まわれている方というのは、世代がわりをしたり、また、当時の状況等の部分を記憶されていないという方も多いかと思います。こういった道路築造に関しては、やはり丁寧な説明というものが住民と地域との合意の中で重要な位置を占めると考えます。
 そしてまた、今回、いろいろな課題が住民側から提示されているようですが、伺いたいのは、昨年七月の事業説明会を開催する際に、この計画の説明対象となる案内のビラを配った範囲の考え方とその枚数、その結果、事業説明会に参加した人数について教えていただければと思います。

○山口道路建設部長 お答えいたします。
 事業説明会のお知らせを配った範囲の考え方についてでございますけれども、現況の高低差や周囲の状況を的確に把握するために、幅広に測量する必要がございました。このため、計画線内と計画線の外側、両側ですが、三十メートルを含めました地域を対象といたしました。
 昨年七月に実施しました事業説明会では、都市計画図及び登記簿から拾ったおおむね二百名の地権者と隣接者にお知らせを郵送いたしました。また、地権者などへの案内漏れを防ぐため、当該範囲において約合計四百枚を各戸に配布しております。その結果、事業説明会当日の出席者は約百三十名でございました。

○斉藤委員 伺うと、漏れがないように郵送の方もしっかりやっているということです。
 今回、買収等でこの計画線の中に入っているお宅が八十軒程度というふうに伺ってはいるのですが、極端にすごい数、物すごく多い数という気もいたしませんので、そういう意味では、きめ細かく一軒一軒に対応していただいて、やはり基本である住民説明と疑問への対応というものについて、念入りにやっていただきたいということを要望いたします。
 そして、もう一点伺います。
 今回の計画線については、北沢川緑道を三宿二丁目の七番付近で交差する形で道路が入ると思います。こちらの部分についての整備は、世田谷区の方に伺ったら、平成十一年度のころに整備をしている部分ではないかなということでした。当然、交差する以上は、若干なりとも緑地が減る部分はあると思います。ただ一方で、道路をつくる上で、また沿道の部分で緑地整備、歩道部分の緑地整備なんかもあるかと思います。こういうことにかんがみて、この地域の緑地への影響についてどのように考えているか、伺います。

○山口道路建設部長 今、副委員長のお話にもございましたけれども、北沢川緑道は平成十一年に整備されまして、区民に親しまれた緑道でございます。この補助第二六号線は平面の街路でございまして、この北沢川緑道と交差することになっております。その整備に当たっては、植樹帯の整備による緑の連続性や緑の量の確保に配慮するとともに、横断歩道の設置など、北沢川緑道と連続した歩行者動線の確保に努めてまいりたいと考えております。
 今後、設計段階において地元世田谷区や交通管理者などと協議をいたしまして、交差部の具体的な整備形態を決めてまいりたいと考えております。

○斉藤委員 最後に要望ですけれども、今現在道路の方の設計をやっている最中というふうに先ほどの答弁の中にございました。ぜひとも緑地面積に関しては、以前よりも減るということではなくて、やはり一定程度の確保をしていただきたいというふうに思いますし、そういった設計をしていただきたいというふうに思います。最後は要望として述べさせていただきます。
 以上です。

○中山委員 本請願にかかわります都市計画道路補助第二六号線におきまして、三宿区間の周辺は木造住宅が密集し、細い道路や行きどまりの道路が数多くあります。災害時に消防活動も困難な状況であると伺っております。補助第二六号線の整備により、延焼遮断帯や緊急車両の通り道、住民の避難路としての機能が確保されますほか、沿道の不燃化も促進されることから、地域の防災性が著しく向上すると期待されております。
 また、本路線は大型道路ではなく、二車線の生活道路であります。図面を見ますと、標準の断面で二十メートルございますけれども、その半分近い九メートルが四・五メートルずつの歩道ということで、これは、電線の地中化ですとか歩行者と自転車の安全な走行ですとか、そういう面で良好な歩道を形成していると思います。こういう生活道路であり、既に供用されている区間を見てもわかるとおり、地域に密着した道路でございます。
 このため、地域のためにも早期に整備すべきでありますが、事業を進めるに当たっては、地元の皆さんが間違った情報等に惑わされないよう、行政が丁寧な対応を行うということが必要不可欠であると考えます。そこで、地元対応について幾つか質問を行わせていただきます。
 地元への対応状況でございますが、これまでも地元説明会などの機会を通じて地元に説明していると伺っておりますが、具体的にどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。

○山口道路建設部長 平成十八年の七月に、事業の内容やこの必要性、今後のスケジュールなどについて説明するための事業説明会を開催いたしました。その後も、地元から要請のあった説明会への出席、地元町会への個別説明、また電話や来庁による個別相談など、さまざまな形で地元住民の要望や相談に対し丁寧な対応を行ってきております。

○中山委員 今、地元への丁寧な対応を行っていただいたというふうにご答弁をいただきました。こうした地元への対応の中で、地元住民の皆さんが具体的にどのようなことをいわれているのか、お伺いいたします。

○山口道路建設部長 お答えいたします。
 地元の方々は、この道路整備の内容あるいは必要性、環境対策、事業の時期など、計画に関するさまざまなご質問のほか、用地取得に当たっての用地補償の考え方や代替地、あるいは公営住宅のあっせん、税制の優遇措置など、生活再建に関する質問や要望も多く出されております。

○中山委員 補助第二六号線の整備におきましては、先ほどお話がございましたように、既に完成、概成しているところが全体の七〇%を占めておりまして、工事中の区間を除けば、残りは全区間の一五%にすぎません。概成区間や事業実施中の区間の周辺の住民の皆さんは、補助第二六号線の全区間完成により利便性向上という社会全般の利益に理解をしてくださり、道路整備に伴うさまざまな不都合を我慢して、今日まで工事の進捗にご協力をいただいていると思います。
 一方、今ご答弁として伺いました本件にかかわります住民の皆さんの要望の内容は、環境への懸念ですとか生活再建への不安といった課題であり、道路整備におきましてはごく一般的な悩みではないかと思います。全区間の開通、供用開始に向け、ようやく最終の仕上げ段階に差しかかった今日におきまして、それでも道路の建設を見送らなければならないような、この地域だけに限った何か特殊な事情が存在しているようには感じられません。また、補助二六号線の開通によって得られるはずの公共的な利益がその根拠的な裏づけを失ったという新たなデータが提示されたわけでもありません。
 さらに、この三宿区間に限らず、これ以上の道路整備工事の進展をあきらめなければならないような新たな危険性ですとか工事の誤謬が指摘されているわけでもありません。むしろ、都に寄せられた要望の大半は、道路整備事業を今後も進めていくことを前提とした上で配慮を求める内容であると思います。そうした意味では、地元住民が求める配慮に今回的確に都側がこたえているかどうかという点が重要になります。
 そこでまず、地元からは事業化に当たっての環境対策について意見があるということでございますけれども、具体的にどのように環境への配慮を行っているのか、お伺いいたします。

○山口道路建設部長 本区間の整備に当たりましては、現存する緑や地形など地域環境に考慮しつつ、歩道部への透水性舗装の採用や植樹帯の設置、また車道部への低騒音舗装の採用などを行うことによって、沿道の環境に十分配慮してまいりたいと考えております。
 また、玉川通りや淡島通りから生活道路に流入してまいります通過交通を本路線に適切に誘導することにより、交通の安全性など地域環境の向上が図られると考えております。

○中山委員 植樹帯ですとか低騒音舗装などにより環境改善を図っていくということでございますし、また、通過交通を適切に誘導することで地域全体の安全性の向上にも努めているということで、安心いたしました。
 さらに、地元の皆様の意見の中で生活再建に関する質問があるとのことでございますが、地権者にとりましては、生活のかかった非常に重要な事柄であります。そういった地権者の皆さんの不安を解消するためにも、個々の地権者に対する十分な情報提供や真摯な対応を行っていくべきと考えます。引き続き丁寧な地元への対応を行いながら、早期に事業を進めてほしいと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○山口道路建設部長 今後の取り組みについてでございますけれども、本年度中に開催する用地測量説明会など、事業の節目節目の機会をとらえ、説明会を開催してまいります。また、町会などを通じた地元からの意向に対しては、適切に説明を行ってまいります。さらに、用地補償などに対する個別の相談に対し、より一層丁寧な対応を行っていきたいと考えております。引き続き地元の理解と協力を得ながら、本区間の早期整備に向け、積極的に事業を推進してまいります。

○中山委員 今のご答弁によりますと、先ほどの答弁ともあわせまして、環境対策や生活再建に関する対応についても適切に行われてきており、全く問題はないと考えます。
 本請願に関係された方々の中でも反対の論拠はさまざまに分かれているのかもしれませんが、今までの質疑を踏まえれば、道路整備に反対する声は、単に比率の上で全体の一部であるというだけでなく、内容の上でも広く都民の理解を得られるような論拠を提示できていないと私は判断しております。
 今日まで整備事業の進展にご協力くださった概成区間や事業進捗中の区間の皆さんのご協力や、補助二六号線の全面開通、供用開始がもたらすであろう利便性や防災面での社会的な利益を考えれば、少なくとも、道路の建設そのものに反対だから反対するという立場のご意見には賛同できませんし、ましてや、ただ反対のために反対しているとしか思えない一部の動きには深い憤りを覚えるものであります。
 本路線の整備状況をかんがみますと、交通の円滑化、防災性の向上等の効果を発揮するためにも、当該区間のみならず、他の区間も含め早期に事業化し、一日も早く全線開通させることが必要であり、事業推進に向けてさらに努力をお願いしたいと思います。
 以上です。

○河野委員 私も、請願が出されておりますので、現地に行ってみました。現地は、自然環境に恵まれた良好な住宅地でありました。
 そこで、幾つかの問題について質問をさせていただきます。
 先ほどから質疑、答弁がありましたが、この二六号線全体の中で未整備区間、約四キロですか、そのうち現道がない未整備区間があるわけですけれども、その中で、請願が出ております三宿、池尻、代沢の四百四十メートル区間については、全く現道というものがないという地域になっているわけです。東京都が予定しているこの地域へのこの路線についての事業認可取得の予定年度など、整備スケジュールについてはどのような見通しを持っておられるのか、まず最初にお伺いをしておきます。

○山口道路建設部長 本事業の事業スケジュールについてのお尋ねだと思いますが、先ほどもお答えしましたように、平成十八年七月に事業説明会を実施いたしまして、その後現況測量を行い、完了してございます。
 本年度は用地測量を行い、その後事業認可を取得し、事業に着手する予定でございます。事業着手後は、地元のご理解とご協力を得ることが大切でございまして、ご理解とご協力を得ながら、早期完成に向けて事業を進めてまいりたいと考えております。

○河野委員 そうすると、整備に着手して、用地測量をやって整備に入っていきますね、用地買収の交渉も。大体この四百四十メートルの区間について、どれくらいの期間で整備を終了させようというお考えなんですか。

○山口道路建設部長 今お答えしましたように、まだ現況測量が終わった段階でございまして、これから用地測量を行うところでございます。また、お答えしましたように、地元のご理解とご協力が不可欠でございまして、用地買収等々につきましては丁寧に対応してまいりますけれども、具体的な取得予定年次、あるいは具体的に何年ということについては、これから検討してまいりたいと考えております。

○河野委員 大体都市計画道路をつくるときには、何年度から始まって何年度に終了させますというのが施行者の側から示されるのが一般的だと思うのですが、この区間についてはこれから検討していくということで答弁を受けとめさせていただきましたので、その点は間違いないかどうか、後でお答えください。
 それから、この区間で移転対象になる棟数、建物の数ですね、先ほど少しお話があったようですけれども、実際に現況測量をやられた結果どういう状況にあるのか、これも改めて伺っておきます。

○山口道路建設部長 まず、移転の対象となる戸数でございますけれども、昨年実施しました現況測量の結果、移転を含め補償対象となる棟数はおおむね八十棟ぐらいというふうに考えております。
 それから、事業認可等々の質問がございましたけれども、まだ用地測量等々を行っていないということで、事業認可取得までには事業スケジュール等について確定していきたいと考えております。

○河野委員 それでは、補助二六号線の道路構造がどのようなものになるのか、ご説明をお願いします。
 あわせて伺いますけれども、この四百四十メートルの区間につながる先、淡島通りから北側の未整備部分について、周辺住民の方々は、いつの時期に整備するよという方針が打ち出されるのかと心配をされております。淡島通りから北の未整備の区間の事業について、今後の方針をお持ちであればお示しをいただきたいと思います。

○山口道路建設部長 道路構造でございますけれども、本路線は、計画幅員二十メートルでございまして、両側に四・五メートルずつの歩道と十一メートルの車道を持つ二車線の道路でございます。
 淡島通りより北側区間の整備につきましても事業の必要性が高いことから、本請願区間であります三宿区間の事業の進捗状況に応じまして、測量などの着手時期について検討してまいりたいと考えております。

○河野委員 三宿から淡島通りまでの区間を私も歩きました。段丘を越えるように坂道をずっと上り詰めていくような地形になっていて、そこに住宅が張りついているという町になっています。実際に歩いた感想なんですけれども、この場所になぜ幅員二十メートルの道路をつくるのかという点では疑問に感じました。
 移転対象になる住民の方々が影響を受けるだけではなくて、道路の計画線の外にある周辺家屋などにも道路工事による影響は甚大だと想像いたしました。素人の私が考えただけでも相当難しい工事になると推測しましたが、今の時点で都は具体的な工事方法などの検討に入られているのでしょうか。

○山口道路建設部長 この地域は大変高低差が大きいということは把握しておりまして、昨年度実施いたしました現況測量において、現地の地形については把握しております。その結果に基づきまして、その高低差のある地形を考慮して、擁壁など道路構造の検討を進めているところでございます。

○河野委員 今お話ししましたように、大変複雑な地形である、その上に現道がないというところに住宅地を突き抜けて道路をつくるわけですから、素直に考えて、建設費、事業費はその分かさんでいくことになるというふうに思います。事業費の見込みについては、具体的なものをお持ちなんでしょうか。

○山口道路建設部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、現況測量に基づく概略の検討を実施しているところでございまして、現時点においては事業費は算出しておりません。今後行います用地測量等の成果に基づいて算出してまいりたいと考えております。

○河野委員 ずっと答弁を伺っていると、事業期間もわからない、工法もこれから、事業費も委員会で示せないと、何かわからないことだらけで答弁が終始しているのですが、これで住民の方が納得するのかなというふうに私は思ってしまいます。
 その肝心の、住民の方々への生活に及ぼす影響について伺いたいのです。
 事業予定地に行きましたときに、高齢の女性の方のお話を聞きました。自宅の隣にアパートを持っていて、その家賃収入で生計を立てているという女性でした。アパートが道路予定地にあるので、用地買収をされてそのアパートが取り壊されてしまったら、家賃の収入がなくなって生活ができなくなってしまうととても心配されていました。また、ある美容院の経営者の方は、お店が立ち退きになったらお客が離れてしまって、営業上大変な損失をこうむると訴えておられました。計画地域内には、三宿・池尻・代沢大型道路問題の会という名前が刷り込まれたステッカーがたくさん張ってありまして、そこには、用地測量拒否とか空気を汚さないでとか、いろいろ思い思いの言葉が書かれたステッカーがたくさん張ってあったわけです。住宅地を分断する道路になる補助二六号線の計画は、今でも住民の方々の生活や営業にさまざまな意味で大変な不安と影響を与えているということを実感して帰ってまいりました。
 都は、このような住民の皆さんの不安について、どう認識され、理解されようとしておりますか。

○山口道路建設部長 地権者を初め地域の方のご理解、ご協力を得ることが大変重要であると認識しているところでございます。
 地権者の方々などからは、今ご質問にありましたように、生活再建などに関する個別の問い合わせに対して、東京都として丁寧に対応しているところでございます。さらに、用地取得の段階においても、個別の事情などを考慮しながら、真摯に対応してまいりたいと考えております。また、補償に当たっては、都の損失補償基準などに基づきまして、適切に対応してまいります。引き続き地元のご理解とご協力を得ながら、事業を推進してまいります。

○河野委員 今のご答弁は、多分住民説明会でも事業者の都としてそのようなお話をされていると思いますが、こういうお話を聞いても住民の皆さんの不安はなかなか払拭されないことを、やはり認識していただきたいということを私は申し上げておきたいと思います。
 先ほどの説明では、この道路整備は周辺地域の渋滞解消や防災対策になるということですが、実際にそうなのかという点でも伺っておきたいと思います。住民の方々は、今の町の状態のままでも特に交通渋滞はない、それから火災などが起きた場合でも消防ホースは十分に届くし、災害上不安、問題を感じていないと住んでいる地域の方が述べておられました。むしろ、新しい道路をつくるということによって、区の防災避難場所になっている区立児童公園などがなくなることの方が納得がいかない、どうしてそういうところをなくしてしまうのかという意見が出されておりました。
 都は防災上の必要性や交通渋滞対策を強調されておりますけれども、地域住民の方々の思い、認識と都の考え方、ここにずれがあるのではないかと私は考えるのですが、どうでしょうか。

○山口道路建設部長 先ほどからもこの補助第二六号線の必要性等々についてはお答えさせていただきましたけれども、この木造住宅密集地域に計画されております本路線は、延焼遮断帯や避難路としての役割を持つなど、防災面からも重要な道路でございます。
 さらに、消防活動という観点から見ると、本地域は狭隘な道路が多くて、消防車が入れないような地域が存在いたします。本路線の整備は、円滑な消防活動を支える起点となる空間が確保されるという面からも非常に重要な意義を持つと考えております。引き続き地元の方といろいろお話をしながら、ご理解、ご協力を得て事業を進めてまいりたいと考えております。

○河野委員 もちろん私も町を歩いたわけですから、町の状況を見て、地域の方、通りがかりの方に聞きました。道も細いですよね、防災上心配ないのですかといったら、さっきいったようなお答えが返ってきたのですね。だから、今部長がご答弁になった円滑な消防活動とか道が狭いための災害対策上の問題点とか、そういうのはもっともっと地域の方と詰めた話をされていかないと、やはり納得のいかないものが残ってしまうというふうに考えます。
 もう一点、道路の建設の目標にかかわって伺います。
 補助二六号線は、環状六号線、山手通りと環状七号線の間に位置している道路で、板橋、豊島、中野、世田谷、目黒、品川、地図を見ただけでざっとこういう区を縦断する大きな環状線として、道路が全部通ったらそういう路線になっていくわけです。周辺の大きな幹線道路との関係で見ますと、平成二十一年度の末には、首都高速三号線と中央環状新宿線がつながる大橋ジャンクションが供用になる予定です。昨年十一月に工事が始まった中央環状品川線も、大橋ジャンクションに接続することになります。これらの高速道路網の入り口になる、地域でいえば富ヶ谷が予定されているようですが、ここの場所は二六号線のところから極めて近い場所にあるわけですね。
 補助二六号線の計画は、六十年以上前に決定されていたのに、今日まで本当に長い長い年月、着手されてこなかったわけです。今になって整備を急ぐのは、高速道路網にアクセスする役割を目的としているのではないか、こういう疑問も住民の中にはあるわけです。この点についてはどのようなお考えをお持ちですか。

○山口道路建設部長 この補助第二六号線など都市計画道路は、都市活動や都民生活を支えるとともに、良好な都市空間の形成を図る上で重要な社会基盤でございます。また、高速道路や一般道路とネットワークを形成し、周辺の交通渋滞の緩和という大きな役割を持っております。本路線を初めといたします都市計画道路の整備により交通渋滞が緩和されまして、走行速度の向上により排出ガスの低減が図られまして、結果として、この地域のみならず都内全体の環境への負荷が軽減されると考えております。
 さらに、木造住宅密集地域に計画されている本路線は、延焼遮断帯や避難路としての役割を持つなど、防災面からも重要な道路であり、早期整備が必要であると認識しております。

○河野委員 ここでちょっと伺っておきますけれども、先ほどの説明で、二六号線は片側一車線、計二車線の道路になるということでした。一般的な場合に、二車線の道路では一日当たりの平均的な車両通行量、これは何台ぐらいになるのでしょうか。

○山口道路建設部長 本路線は道路ネットワーク上、二車線で計画されております。一般的な二車線道路の交通量は、一日に約一万二千台程度と見込んでおります。

○河野委員 初めに申し上げましたけれども、三宿、池尻、代沢の地域は本当に落ちついた住宅街になっています。そして、緑と水にも恵まれた町です。地域内にある北沢川緑道は、東京都の補助金を入れて、水辺再生事業のモデル地域として整備されたことも伺いました。緑の木立に覆われた区立児童遊園がすぐそばにあって、住民の方々の本当に大切な憩いの場となっています。住民、地域全体でまちづくりを進めてきたモデル地であると近くの住民の方からお話を聞きました。
 東京都は、昨年末に発表した「十年後の東京」などで、世界一環境負荷の少ない都市東京にする、緑と水の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるとうたっております。大変望ましいまちづくりの方向を示していると思うのですけれども、一方で、この二六号線のように、道路をつくるために貴重な水辺環境や緑を失っていく、これでは意味をなさないのではないかと私は考えます。「十年後の東京」、この都市像に逆行するような建設計画だと考えるのですが、建設局はこの「十年後の東京」と照らして、今の事業の進め方をどのようにお考えですか。

○山口道路建設部長 先ほども申し上げましたけれども、この補助二六号線は平面の街路でございまして、北沢川緑道と交差しております。こういう部分的に緑地あるいは水辺空間との交差ということがこの地域ではあるわけでございますけれども、これは先ほどもお答えしましたように、これから地元の世田谷区あるいは地元の方々と十分協議して、設計等を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 緑ということについて、今ご質問がありましたように、東京都ではその十年の話の中で大変重要な位置づけをしているわけでございます。道路というのは都市の空間として大変重要な空間でございまして、街路樹等々でも緑の確保というのは大変重要な役割を担っていると考えておりますので、街路整備を進めると同時に、街路樹等を豊富に植えまして、緑等の確保を進めていきたいと考えております。

○河野委員 今回の予定の整備路線は四百四十メートルですけれども、二六号線全体がつながって環状道路になった場合は、大変大きな長いスパンの道路になります。
 この地域に二十メートル幅員の道路が建設されると、一日一万二千台の自動車交通が予測されるということが答弁でありました。私は先ほどもいいましたが、近い場所には首都高速道路三号線があり、中央環状品川線そして新宿線、その建設が進められていますから、かなりの数の自動車交通が集中して、周辺住宅街の生活環境は大きく変わることが予想されます。幹線道路建設による車両交通の増加に伴う大気汚染、騒音被害、こうした問題で生活環境にどう影響があらわれるのか、この点で建設局は検討されているのかどうか、大変心配しております。二六号線整備に当たって、住民の方々の生活環境への影響について、きちんとその実態を調査し、予測も示して住民の方々との意見交換を進めていくべきと考えますが、この点では努力の方向をお持ちでしょうか。

○山口道路建設部長 ご質問の趣旨は、環境影響評価を行わないのかということかと思いますけれども、本路線は環境影響評価条例の対象外であることから、条例に基づく調査は行いません。
 しかし、道路を整備していく上で、環境への配慮、これについて重要だということは都としても十分認識しているところでございます。先ほどからもお答えいたしましたように、周辺環境への影響を極力少なくするため、歩道部への透水性舗装の採用や植樹帯の設置、また車道部への低騒音舗装の採用などを行っていくことなどにより、沿道環境に十分配慮していきたい、こういうふうに考えております。

○河野委員 前の委員会で、環状八号線のときにもそういう植樹帯、低騒音舗装のことはお話がありました。しかし、環八が、板橋、練馬のあたりが開通した後、また地域の方からいろいろなプリントも配られてきますけれども、それだけではやはり環境が守られているとはいえないという状況も私たちのところに届きます。そういう点では、植樹帯、低騒音舗装をいろいろおっしゃっていますけれども、やはり今の状況とどう変わるのかということについては、住民の皆さんが納得のいくような建設局、事業者としての取り組みを進めていくことが私は必要だと思っていますので、この場で申し上げておきます。
 私は、現地を歩いていろいろな方にお会いしました。ほとんどの方が、二六号線の整備については疑問、納得がいかない、そういう声を上げておられました。六十数年前の計画をどうして今になって事業化するのか、その必要性についても理解できないという声が多く寄せられました。それにもかかわらず、都は、第三次都市計画道路整備方針を決めたから工事に入っていく、こういうことでここの部分も着手していくわけですけれども、こういう方向では、住民参加が保証されたまちづくりといえないのではないかと私は考えます。
 建設局の道路整備の手法がこれでよいのかと疑問を持っている、これが私の現状の思いなんですが、請願文にありますように、住民説明会のその場で住民の合意を求める決議も上がっているという状況があります。地域の皆さんの理解、合意がないまま建設を進めていくのは大変問題が大きいと思います。関係住民の方々の声を受けとめて、二六号線の整備は中止を含めて再検討することを求めるものですが、お考えを伺っておきます。

○山口道路建設部長 道路整備に当たっては、東京都としましては、事業者として、この路線だけではなく、いろいろな路線で真摯に対応してきたつもりでございます。
 この路線につきましては、先ほどから何度も答弁しておりますように、交通渋滞の緩和に資することはもちろん、延焼遮断帯や緊急避難路としての役割を持つなど、地域の防災性の向上等の観点からも非常に重要な道路でございます。昨年の七月に事業説明会を行って以来、地元からの要請による説明会への出席や地元町会への個別説明、電話や来庁による個別相談など、さまざまな形で地元住民の要望や相談に丁寧に対応してきているところでございます。
 今後も、用地測量説明会などの機会を通じまして、引き続き地元のご理解とご協力が得られるよう努めるとともに、地元世田谷区などと計画内容に関する協議、調整を進めながら、本区間を含め補助第二六号線の早期整備に向け、積極的に事業を推進してまいります。

○河野委員 地元の方々、地元住民と部長はおっしゃいましたが、その地元住民の理解と協力を得ながらというスタンスはきちんと守っていただきたいと思います。
 それで、私はいろいろなまちづくりを見てきましたけれども、やはり道路の建設にしても再開発にしても区画整理にしても、まちづくりは住民合意が大前提に据えられなくてはならないと思っています。今回請願が出されましたが、署名の数は二千二百四十五筆ですか、こんなにたくさんの署名が寄せられているわけです。この数に示されているように、周辺地域では二六号線の整備計画は認められないという声が多数あることを都に認識していただきたいと思います。本請願は採択していただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、請願一九第三号は不採択と決定いたしました。

○小磯委員長 次に、一九第七号の一、調布市中心市街地における旧甲州街道の電線類地中化にかかわる社会実験に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○米田道路保全担当部長 整理番号2の請願一九第七号の一をごらんいただきたいと存じます。
 本件は、調布市中心市街地における旧甲州街道の電線類地中化にかかわる社会実験に関する請願で、調布市の旧甲州街道の活性化を考える商店会代表上別府義嗣さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、調布市中心市街地区域における一般都道第一一九号北浦上石原線、以下旧甲州街道というとございますが、この道路の電線類の地中化の実現に向け、次の二点を実施していただきたいというものでございます。一点目は、地元で検討を重ね、今後実施しようとしている旧甲州街道の一方通行の社会実験の検討に道路管理者として参加すること、二点目は、一方通行化により電線類の地中化が可能となるか調査することでございます。
 現在の状況でございます。
 現在、都におきましては、道路景観の向上、安全で快適な歩行空間の確保、都市防災機能の向上を目的に、緊急輸送路や主要駅周辺等の幅員二・五メートル以上の歩道を有する都道で電線類の地中化を行っております。また、都道を新設する際には、電線類の地中化を同時に実施することとしております。
 請願箇所の一般都道第一一九号北浦上石原線は、主要駅でございます調布駅の北側に位置し、調布市国領町二丁目から同市上石原一丁目に至る延長約二・七キロメートルの道路であり、旧甲州街道の一部でございます。このうち、西側約二・四キロメートルは、幅員六・五メートルの車道と両側に幅員一・一メートルから一・九メートル程度の歩道を有する道路であり、残り約〇・三キロメートルは、歩道がない幅員約十メートルの道路でございます。このため、現在の歩道幅員等では電線類の地中化は困難な状況でございます。
 今後、商店会と調布市が実施する社会実験により当該都道が一方通行化される際には、道路の幅員構成などの変更を伴う可能性があるため、その検討に道路管理者として参加したいと考えております。
 また、社会実験の検討状況を十分踏まえまして、一方通行化により歩道が拡幅できる場合には、既設の埋設物の位置や地上機器の設置場所など、電線類の地中化に関する調査を行ってまいります。
 以上でございます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○斉藤委員 請願一九第七号の一については、私どもの会派の議員も紹介議員に名を連ねております。そして、当該地については私も大変よく存じ上げているところでありますが、大変道路幅が狭くて、割と買い物客等が多いのですが、大変歩道が狭いというところでもあります。
 一言申し述べさせていただきますが、今回、実際に一方通行の社会実験を実施するというふうなことになれば、どちらかといえば、一方通行等を管理します交通管理者の方が、道路管理者よりも大変大きな判断を迫られる部分なのかなと思っております。また、それ以上に、地元の自治体であります調布市、そしてまた地域の皆さんの努力と判断がこの実施については重要になるのではないかと思います。
 恐らく、東京都の管理する幹線道路--幹線道路といっても多分過言ではないと思うのですが、この幹線道路での一方通行実験というのは余り先例がないかと思います。もしも、地元関係者の努力の結果、この実験の条件が整って、実際に実施の運びとなった暁には、ぜひとも道路を管理します建設局として、余りちゅうちょすることなく、ぜひ前向きに協力をしていただきたいというふうに思います。
 なかなか実際には、かなり地元の調整が難しいと思います。そういったふうにまだ少し、すぐにできるという印象を私は持ちませんけれども、ぜひ、その時期が来ましたら、建設局の努力を求めるものであります。
 以上です。

○河野委員 私も意見を述べさせていただきます。
 商店街活性化を願って、旧甲州街道の電線の地下埋設及び道路の一方通行の社会的実験を実施してほしいとの請願の願意は理解できます。
 一方で、旧甲州街道は路線バスが通っている主要な幹線道路であることから、一方通行の社会的実験については、地域住民の方々の意見は一様ではありません。また、電線の地下埋設が商店街活性化の力になるかどうかは疑問との意見も呈されております。
 安全円滑な交通の確保と地域の活性化に向けて、東京都が総合的な検討を行って、住民全体の意見に基づいた努力をされるように要望しておきます。
 以上です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認めます。よって、請願一九第七号の一は趣旨採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十九分散会

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