委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 斉藤あつし君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 相川 博君 |
河野百合恵君 | |
きたしろ勝彦君 | |
原田 大君 | |
松葉多美子君 | |
中山 信行君 | |
高橋 信博君 | |
臼井 孝君 | |
くまき美奈子君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 村山 寛司君 |
総務部長 | 加藤 英夫君 | |
企画担当部長 | 大野 輝之君 | |
都市地球環境部長 | 小山 利夫君 | |
環境改善部長 | 石渡 秀雄君 | |
参事 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 中島 博君 | |
参事 | 平林 宣広君 | |
自然環境部長 | 福島 章人君 | |
廃棄物対策部長 | 森 浩志君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 井戸 秀寿君 | |
局務担当部長 | 月川 憲次君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十九号議案 東京都地球温暖化対策推進基金条例
・第九十号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案 東京都環境科学研究所手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・廃棄物等の埋立処分計画について
○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第八十九号議案から第九十二号議案まで及び報告事項を一括して議題といたします。
本案については既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○加藤総務部長 去る二月二日の当委員会におきましてご要求のありました資料についてご説明を申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり十五項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
平成七年度から十六年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
下の(注3)にございますように、表の最上段は、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成七年度から十六年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
表の最上段には、先ほどと同じく京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
なお、平成十四年度以降は、(注5)に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で、二段書きとしております。
三ページをお開き願います。3、過去五年の真夏日、熱帯夜の状況でございます。
平成十四年から十八年までの五年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数でございます。
四ページをお開きください。4、屋上緑化の実績でございます。
平成十二年度から十七年度までの各年度における屋上緑化実績の件数及び面積でございます。
五ページをお開き願います。5、大気汚染濃度の高い測定局の推移でございます。
まず、二酸化窒素について一般環境大気測定局の状況を記載しております。
平成八年度から十七年度までの各年度における都内の測定局の上位五局でございます。
六ページをお開き願います。自動車排出ガス測定局の状況でございます。
続きまして七ページは、浮遊粒子状物質について一般環境大気測定局の状況を、次の八ページに自動車排出ガス測定局の状況を記載しております。
九ページをお開き願います。6、大気汚染濃度の高い測定局周辺の道路状況でございます。
平成十七年度における二酸化窒素濃度の高い自動車排出ガス測定局上位十局の名称、設置場所及び周辺道路の状況を記載しております。
一〇ページをお開き願います。同じく浮遊粒子状物質濃度の高い測定局に関する状況を記載しております。
一一ページをお開き願います。7、大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
(1)、大気汚染では、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況につきまして、それぞれの表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局の状況をお示ししております。
次に、(2)、騒音では、道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準達成状況をお示ししております。
一二ページをお開き願います。8、二酸化窒素に係る環境基準の達成状況でございます。
上段の(1)が一般環境大気測定局、下段の(2)が自動車排出ガス測定局のおのおのの測定局の設置場所を示しており、環境基準を達成しなかった測定局を黒丸であらわしてございます。
一三ページをお開き願います。9、米軍横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
平成八年度から十七年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局での年間騒音発生回数及び日最高の回数でございます。
下の(注2)にございますとおり、日最高とは一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数でございます。
一四ページをお開き願います。10、都の施設におけるアスベスト使用状況と対応状況でございます。
(1)は、設計図書によりアスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。吹きつけ材、保温材別に、吹きつけ材はさらに対策の優先度別に、アスベスト使用箇所数と対策の実施状況を記載しております。
(2)は、材質分析を行った結果アスベストの使用が判明した施設の対応状況でございます。(1)と同様に、アスベスト使用箇所数と今後の対応を記載しております。
一五ページをお開き願います。11、自動車のNOx・PM法の規制対象台数でございます。
平成十八年三月末時点の自動車登録データにより、平成十九年度以降の各年度において、都内登録ディーゼル車のうちNOx・PM法の規制対象となる台数の推計値を記載してございます。
一六ページをお開き願います。12、緑被率、みどり率の推移でございます。
まず、(1)、都内の緑被率とみどり率の推移でございますが、昭和四十七年から平成十年までに行った各調査における緑被率とみどり率を記載しております。
次に、(2)、最新のみどり率でございますが、平成十五年調査の暫定値を記載しております。
次に、(3)、緑被率の地域別推移でございます。各調査年度における区部、多摩の地域別の緑被率とその経年変化でございます。
一七ページをお開き願います。13、保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの各年度における数値を記載してございます。
一八ページをお開き願います。14、保全地域の指定実績でございます。
最近指定した保全地域名、指定年度、指定内容及び指定面積を記載しております。
最後に、一九ページをお開き願います。15、建設泥土の排出量等の推移でございます。
平成九年度から十六年度までの各年度における建設泥土の排出量とその処理の内訳でございます。
以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小磯委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋(か)委員 まず最初に、先日説明がありました平成十九年度予算の概要にあります化学物質対策についてお尋ねいたします。
私は一昨年の本委員会におきまして、塗料などの溶剤やガソリンなどに含まれる揮発性有機化合物、いわゆるVOCの対策について質問をいたしました。当時、石原知事も、施政方針の中で、これからは残された課題であるVOC排出量削減の取り組みに着手しますと発言されておりました。
私はかねてから、VOCを含めた化学物質の対策全体について関心を持ってきております。さまざまな化学物質は、便利で快適な毎日の生活を維持する上で欠かせないものとなっております。現在、いろいろな形で流通している化学物質は十万種類ともいわれておりますが、その中には人の健康や生態系などに支障を及ぼすものもあると仄聞しております。
有害性の高い幾つかの化学物質については、昭和四十年代から法律や都の公害防止条例で規制がなされてきましたが、さまざまな化学物質をすべて規制で対応することは不可能であると思います。
そのため、平成十一年に法律が制定されて、特定の化学物質については、排出量などの把握や報告を通じて適正な管理を求めた制度が開始されております。
また、同じ時期に、都も独自の制度として、環境確保条例に基づいて化学物質の適正管理の制度が実施されるようになったと認識しております。
そこで伺いますが、都が独自の制度として条例により化学物質の適正管理を求めているものは、どのような制度でしょうか。法律による制度との違いを含めてお伺いいたします。
○石渡環境改善部長 国におきましては、いわゆる化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度がございます。この制度は、人や生態系への有害性があり、かつ環境中に広く存在する三百五十四種類の化学物質について、事業者による自主的な管理の改善を促進するために、環境への排出量と事業所外への移動量をみずから把握し、届け出ることを義務づけたものでございます。
これに対しまして、都が設けている環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度は、人の健康への障害があるなど、性状及び使用状況等から特に適正な管理が必要とされる五十八種類の化学物質を対象として、環境への排出の抑制や有害性の少ない代替物質への転換などを図るため、事業者に対して排出量などをみずから把握し、報告することを求めたものでございます。
都の制度の対象事業者は、法律よりも小規模の事業者に範囲を拡大しているとともに、報告の項目は、法律項目に加え、管理上必要な使用量、製造量、製品としての出荷量も求めております。
○高橋(か)委員 今の答弁で、ただ単純に条例が法律の上乗せをするのではなく、特に適正管理が必要な化学物質に限っており、また、把握し報告する義務のある項目について、管理上必要な項目である化学物質の使用量なども含めていることがわかりました。
先日、二月二十日に、環境局は、事業者からの化学物質の排出削減状況について発表を行いました。これによりますと、条例に基づく化学物質適正管理制度を開始してから五年を経過したことから、平成十七年度までの事業者からの報告結果を業種ごとに分析し、化学物質の排出削減の状況について明らかにしたことであります。
そこで、この間の排出削減状況について伺います。
○石渡環境改善部長 都内全体での化学物質の環境への排出量は、これは対象となる約三千の事業所からの排出量でございますが、制度開始から連続して減少傾向にあり、平成十七年度の年間排出量は五千九百トンで、平成十四年度に比べて二六%減少しております。
環境への排出量の多い業種についてその削減状況を見てみますと、印刷業の取り組みが特に顕著で、環境への排出量は三年間でほぼ半減してございます。
事業者の排出削減努力の指標の一つとなる排出率、すなわち使用量に対する環境への排出量の比率についても、印刷業は年々減少しております。
このほか、化学工業、電気メッキ業、金属製品塗装業などについても、排出量や排出率の減少傾向が明らかになっております。
○高橋(か)委員 条例による化学物質の適正管理制度によって、排出削減が着実に進んでいることがわかりました。
条例では、法律にはない使用量なども把握し、報告を求めていることから、排出率、すなわち使用量に対する環境への排出量の比率についても、対象の事業者がみずから把握することができ、排出削減に取り組む目安となっていることは、効果的な制度であると思います。
ところで、条例対象の化学物質の中でも、光化学スモッグの原因ともなるVOCが排出量の大半を占めていると聞いております。都内における光化学スモッグ注意報の発令は、昨年も十七日と多く、我が地元の練馬区があります区部の西のブロックに限っても、十二日の発令があったと聞いております。
一昨年に石原知事が施政方針表明された後、都のVOC排出削減の取り組みは進んだものと思われますが、先ほどの条例による制度以外に、具体的にどのようなVOC対策を進めてきているのか、伺います。
○石渡環境改善部長 先ほどの都の化学物質適正管理制度に基づく環境への排出量のうち、九九%はVOCでございます。
この制度で対象にしておりますVOCは三十五種類でございますが、工業などにおいて使用されている代表的なVOCだけでも約二百種類あるといわれてございます。
このため、平成十七年度からは、条例の制度に加えまして、さまざまなVOC対策を実施してきております。工場や事業所に対しましては、具体的なVOC排出抑制手法をまとめた工場向けのVOC対策ガイドを作成し、周知するなど、自主的なVOC排出抑制を促進させております。
特に中小企業のVOC排出削減に向けた自主的な取り組みを支援するため、現地に専門家を派遣して工程の改善や原材料の転換などの助言を行うVOC対策アドバイザー制度を設けております。
ちなみに、この制度は無料でございます。
また、VOC排出量の約三割は屋外塗装が占めていることから、VOCの排出の少ない塗料に転換するため、屋外塗装のVOC対策ガイドを作成し、事業者の自主的な取り組みを促しております。
特に東京タワーや高速道路など公共性の高い構造物等につきましては、管理者に低VOC塗料、いわゆるVOCの少ない塗料の使用を要請し、その率先した取り組みを公表することによって重要性をアピールしながら、低VOC塗料の一層の普及を図っております。
○高橋(か)委員 VOCは、工場や事業所から排出されるだけではなく、建築物の外壁塗装や橋梁などの塗装といった屋外での塗装などからも排出され、そういったさまざまな対象に対してきめ細かなVOC対策が行われていることがわかりました。
さて、本定例会の施政方針表明では、石原知事が、十年後の東京の姿を一言でいいあらわせば、緑と澄んだ空気の快適な大都市東京であると述べておられました。
これまでの都の化学物質対策は、国と比べて適正管理の制度が充実しているだけでなく、VOC対策についても具体的なものを進めていますけれども、光化学スモッグなどの問題はまだ残っております。そのため、VOC対策を初めとした化学物質対策について、さらに強化、充実を図っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○石渡環境改善部長 対策の充実強化についてでございますが、VOCの屋外塗装対策におきましては、公共性の高い事業者として、現在、民間鉄道事業者に対してもセミナーを開催するなど、低VOC塗料の使用の促進を図っているところでございます。
また、新たな取り組みといたしましては、化学物質の排出量が地域によって大きく異なることから、都内全体での排出量の低減とともに、地域の特性に応じた環境リスクの低減策も検討しているところでございます。
具体的には、複数の事業者と地域住民がコミュニケーションを図り、環境配慮のまちづくりを進める中で、環境リスクを低減していくモデル事業の実施を予定してございます。
しかしながら、ご指摘のように、十年後における快適な大気環境を実現するためには、VOC対策の充実や化学物質による環境リスクの一層の低減が必要であることから、今後、化学物質対策のさらなる強化充実に向けた検討を進めてまいります。
なお、その内容につきましては、来年度改定を予定しております東京都環境基本計画の中で示していきたいと考えております。
○高橋(か)委員 オリンピックを東京に招致して十年後に大会を実現する上でも、澄んだ空気の快適な東京としていくことはとても重要なことでありますし、都民がそれを実感できることが何よりも大切であります。ぜひ改定される東京都環境基本計画の中で、十年後の快適な大気環境の実現が確実に図れるようしっかりとした施策を示していただくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、地球温暖化対策推進基金条例に関連してお尋ねいたします。
さきの本会議の一般質問で、私は、環境の視点から農地を保全することについて、この新たに設置される基金の活用について取り上げましたが、改めてお聞きいたしたいと思います。
そこで、まず伺いますが、地球温暖化対策推進基金を設置する意義についてお伺いいたします。
○大野企画担当部長 都は、「十年後の東京」で示しました世界に誇れる先進的な環境都市の実現に向けまして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトと緑の東京十年プロジェクトの二つのプロジェクトを、都の総力を挙げて展開していくことにいたしました。
この基金は、これらのプロジェクトに対しまして安定的な財源投入を行うことによりまして効果的な施策展開を可能とするために設置されたものでございます。
○高橋(か)委員 これまで以上に積極的な地球温暖化対策を行うことに期待しております。
さて、この地球温暖化対策として取り組む事業としては、省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの導入拡大といったCO2の排出削減に直接寄与する施策もそうでありますが、私が本会議でも指摘したとおり、屋上や壁面緑化、校庭芝生化に加え、農地の保全という取り組みによって緑をふやすことも、ヒートアイランド現象の緩和という観点から、地球温暖化対策として大きな意義があると思います。
考えてみると、都庁の各局が行う事業の中には、非常に広い分野の多種多様の事業があると思います。そこで、この基金をどのような事業に充当するのか、伺います。
○大野企画担当部長 都は、本年一月末に二つの推進本部を設置いたしまして、この二つの十年プロジェクトの具体化を今後進めていくことにしております。
地球温暖化対策推進基金につきましては、集中的、重点的な財源投入によりまして、積極的な施策展開が見込まれる事業に活用してまいります。
○高橋(か)委員 今後、具体化されるということでありますが、スピード感を持ってぜひとも積極的に施策を展開していただきたいと思います。
しかし、これらの事業の展開には非常に多くの経費がかかるのではないかと思います。例えば、来年度から都内の全小中学校を対象に実施する校庭芝生化だけをとっても、私がちょっと計算してみるだけでも、びっくりするような金額になるわけであります。
基金は五百億円ということでありますが、校庭芝生化も対象となると、これだけで基金を使い切ってしまうのではないかと危惧していますが、見解をお伺いいたします。
○大野企画担当部長 十年プロジェクトの全体像は、今後、各局からの事業提案なども踏まえまして、来年度予定をしております環境基本計画の改定とあわせて取りまとめることになっております。
十年プロジェクトの具体化に伴いまして必要になる事業費につきましては、適切に予算措置がされるものと考えております。
○高橋(か)委員 ぜひ温暖化対策の着実な推進のために適切に予算措置をしていただきたいと思います。
しかし、温暖化対策の取り組みというのは緒についたばかりであり、全庁一丸となって、また都民、企業も巻き込んで進めていくためには、まさに安定的な財源として必要であり、この地球温暖化対策推進基金の積み増しも必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
○大野企画担当部長 基金の今後の積み増しでございますけれども、これにつきましては、必要性が生じまして条件が整えば、その段階で積み増しが行われるものと、環境局としては大いに期待をしているところでございます。
○高橋(か)委員 最後に、医療廃棄物の不法投棄対策についてお尋ねいたします。
医療廃棄物、特に感染性廃棄物は、不適正処理や不法投棄などが行われると、環境に対し重大な影響を及ぼしかねないと思います。
このため、私は、昨年十一月の当委員会の事務事業概要質疑において、廃棄物の処理業者が動物病院や診療所などから収集した注射針などの感染性廃棄物を都内のコンテナボックスに長期間放置した事件を取り上げました。そこで、感染性廃棄物の不適正処理は、あってはならないことであり、都としても的確な対策をとるべきだと強く要望をいたしました。
その後、都は十二月に、廃棄物の適正処理を図る観点から、この業者に処理を委託していた動物病院や診療所を対象に、緊急に現場に出向き、確認調査を実施したと聞いております。実際に医療機関への調査を行って、廃棄物の処理の実態はどうだったのか、まず、お伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 この事件につきましては、廃棄物の適正処理の観点から迅速に対応する必要がありましたことから、直ちに十二月に臨時の調査チームをつくりまして、当該業者に処理を委託した動物病院や診療所など、小規模な約三百の医療機関を対象に調査を開始いたしました。
これまでに約百八十件の調査を実施し、三月末までにはすべての調査を終了する予定でございます。
現地での調査からわかりました廃棄物の管理状況につきましては、昨年の事件の当時、法で義務づけられている書面での契約をしていたのは当該医療機関の約三割、マニフェストの戻りを確認していたのは約一割にすぎませんでした。
しかし、調査の時点では既に処理業者も変わっておりまして、書面での契約をしていたのは約九割、マニフェストの戻りを確認していたのは約八割と、大幅に改善されていました。
なお、改善が不十分でありました医療機関につきましては、現地においてきめ細かく是正指導を行ってまいりました。
○高橋(か)委員 今回の事件は、動物病院や診療所など小規模な医療機関が不適正な処理業者とはわからずに委託したため、いつの間にか不法投棄事件に巻き込まれてしまったというのが実情だと思います。しかし、ただいまの調査の結果を伺うと、事件の背景には、これらの医療機関に危険な感染性廃棄物を排出しているという認識が薄かったという状況があることもわかりました。
今回のリストに掲載されていた医療機関については、都の指導などにより改善されたようでありますが、都内の医療機関は、診療所、歯科診療所、動物病院、約二万五千近くもあると聞いております。
これまで都は、廃棄物の適正処理に関する啓発活動については、パンフレットの配布などのほかは、医師会と共同で、年一回、会員を対象とした講習会を開いてきたのみと仄聞しております。
私は、書面での契約の意義やマニフェストによる適正な管理の必要性など、排出者としての責任と役割について、今まで対象としてこなかった動物病院や歯科診療所に対しても講習会を実施していくべきだと思います。
また、講習会の実施に当たっては、東京都全域を幅広くカバーするため、都内の医師会、歯科医師会、獣医師会のすべての地区、ブロックごとに行うことが極めて重要だと考えます。
ぜひこれまで以上の取り組みを行っていただきたいと思いますが、都の考え方をお伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 今回の事件につきましては、表面にあらわれた処理業者の違法行為だけではなく、医療機関が排出者に求められている責任を十分に果たしていなかったという背景がございます。このため、事件後直ちに、三医師会に対しまして、会員に排出者責任を徹底するよう文書で通知いたしました。
また、今年一月には、三医師会等の代表者を招集して不法投棄対策会議を開催し、より一層適正処理の確保に向けて連携して取り組むことを確認いたしました。
直接、医療機関に対しましては、排出者としての責任と適正処理を徹底するため、新たに動物病院や歯科診療所を対象に加え、本年夏ごろまでに、ご指摘のとおり、都内に約百三十あります三医師会のすべての地区ブロックにおいて講習会を実施し、法令の遵守や排出者責任の徹底を図ってまいります。
○高橋(か)委員 排出者としての責任や役割の周知徹底について引き続き努力し、しっかりと定着させていただきたいと思います。
これとともに、感染性廃棄物の適正処理を持続させていくためには、排出から輸送、処理の過程の中で、不法投棄につながらないような仕組みを導入する必要があると私は考えます。
都と東京都医師会は、廃棄物の容器にICタグを張りつけ、医療機関から処理施設まで、感染性廃棄物の容器を個々に追跡管理する先駆的なシステムの普及を進めていると聞いております。この追跡管理システムが都の全医療機関に普及していれば、今回の事件のような不法投棄事件は起きなかったのではないかと思います。
感染性廃棄物の不法投棄事件についての記憶が新しく、各医療機関の適正処理に対する関心が高まっているこの時期こそ絶好の機会でもあります。関係団体や医療機関数も多いため、実現に向けてはさまざまな課題があると思いますが、都は、三医師会とも連携し、この追跡管理システムの普及にこれまで以上に積極的に取り組むべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 感染性廃棄物の適正処理を確保していくためには、関係団体ごとの状況に対応いたしまして、追跡管理システムを導入し、普及させることが極めて有効な手段であると考えております。
このため、先行して取り組んでいる医師会におきましては、追跡管理システムを全四十五地区のうち既に葛飾区など七地区で導入をしておりますが、引き続き医師会と協力いたしまして、都内全域への早期拡大に取り組んでまいります。
また、現在未実施の歯科医師会、獣医師会におきましては、地区ごとに行う講習会を活用いたしまして、追跡管理システムの効果、利便性についても強く訴えまして、このシステムの導入を積極的に促してまいります。
なお、大規模病院におきましては、臨海部におけるスーパーエコタウンの処理施設などを通しまして、現在六十病院で追跡管理システムによる管理が行われておりますが、今後さらに拡充を図ってまいります。
このシステムの構築を進めるためには、必要な調整などいろいろな課題もございますが、三医師会との対策会議の場や、四月に策定予定の適正処理を目指したガイドラインを活用することなどによりまして、追跡管理システムの普及拡大に積極的に取り組んでまいります。
○高橋(か)委員 私は、二万五千の医療機関を対象に追跡管理システムのような新しい取り組みを普及拡大していくためには、排出者としての自覚が高まりつつあるこの時期を失してはならないと思います。全国に先駆けて都がこのような取り組みを積極的に進めていくことは、感染性廃棄物の適正処理の一層の推進に極めて重要な意義があると考えます。
都の今後の取り組みに期待しつつ、最後に局長の決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
○村山環境局長 循環型社会を形成していく上では、廃棄物の発生の抑制やリサイクルを促進するのが大事なわけですが、それとともに、処理の過程における環境に対するリスクをできる限り低減させることが重要でございます。
中でも不適正に処理された場合の影響がとりわけ大きい感染性廃棄物につきましては、排出の段階から廃棄物を追跡し、管理する仕組みを普及させ、処理の流れを透明化させることが、環境リスク低減の上から有効な手法になると思っております。
今、るるご指摘をいただきました今回の不法投棄事件については、非常に残念な事件ではありますけれども、ご指摘いただいたように感染性廃棄物に対する社会の関心が高まっているこの時期にこそ、新たなシステムの普及に向けた取り組みを一段とステップアップさせる機会として生かしていくという観点で臨む必要があるというふうに、私どもも考えてございます。
昨年末、「十年後の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない都市東京を実現するという目標を掲げているわけでございますけれども、これを目指して、全国に先駆けて、できるだけ早い時期に、都内全域にこの感染性廃棄物の追跡管理システムが構築されますよう、当局としては積極的に取り組んでまいります。
○原田委員 まず、都のディーゼル規制について質問いたします。
この規制が導入されました当時、東京都の大気汚染の状況は、確かに深刻なものがございました。私も自転車に乗って道路を走っておりますと、トラックから、すれ違いざまにもわもわもわっと黒煙を吹き出され、思わずむせてしまうといったようなことがあったことも記憶しております。そうした状況が改善の方向に向かっているということについては、大変いいことだと思っております。
その過程の中で、これまでディーゼルエンジンというものについては規制すべきものだということで、ずっと話が来たわけでございますけれども、それぞれエンジンには特徴がありまして、ご存じのように、ディーゼルエンジンには、燃費がよく、温暖化の原因となるCO2の排出量についても比較的少ないといった特徴もあります。
こうしたいい面もあるということで、さまざまな技術開発も続けられておりますし、また、各方面で議論も続けられているところだと思います。
この温暖化の問題といいますのは、ディーゼル規制の直接の原因になっております大気汚染のように、直接肌で感じるというところへはなかなか至らずに、じわじわと知らないうちに近づいてきて、気づいたときにはもう手おくれになってくるといったような問題かと思いますけれども、であるからこそ、問題が顕在化してから取り組むということではなくて、その前にしっかりとした取り組みが必要となってくるという問題かと思います。
こうしたことも含めまして、東京には、大気汚染ですとか、今問題の温暖化の問題ですとか、さまざまな問題がありますけれども、将来を見据えて複合的に、総合的に取り組みを進めていかなければならないかと考えております。
そこで、これまで都の行ってきましたディーゼル規制について、幾つかお伺いいたします。
まず、確認なんですけれども、ディーゼル規制、ディーゼル規制というふうにいっておりますけれども、ディーゼル車の規制の中で、対象の車種というのはどういったものになるわけでございますでしょうか。
○中島自動車公害対策部長 ディーゼル車規制で対象としている車種でございますけれども、ディーゼル車のうち、トラック、バスのほか、冷蔵冷凍車などの特殊用途自動車でございまして、ディーゼル乗用車は対象外となっております。
○原田委員 今お答えいただきましたとおりに、すべてのディーゼル車が都の規制の対象となっているというわけじゃなくて、乗用車については対象外ということになっているというお話でございます。しかし、日常、都民の方とお話しをさせていただいておりますと、そういったことが余り知られていない。ディーゼル車が全部規制されているのではないかといったような印象をお持ちになっている方というのが少なからずいるように感じます。
実際、東京都のポスターですとかさまざまな広報物を見てみますと、やはりディーゼル車ということで一般的に訴えられているということもあって、乗用車については規制の対象外ということについては、必ずしもわかりやすいものではないという印象を持たれる方がいたとしてもおかしくないような状況なのではないかなと思います。
そこでお尋ねいたしますけれども、ディーゼル乗用車については規制の対象外であるということについて、これまできちんと伝えてきたのかどうか、どういったような伝え方をしてきたのかということについて伺います。
○中島自動車公害対策部長 東京都におきましては、ディーゼル車規制の実施に当たりまして、パンフレットの配布あるいは専用ホームページの開設、それから相談窓口の設置などによる広報活動、また、いわゆる自動車Gメンによる約四千社への立ち入り指導、それから、事業者団体と連携しました会員個々への広報など、幅広い周知活動を実施してまいりました。
さらに、都内すべての自動車ユーザーに対しまして、ディーゼル乗用車が対象にならないことも明記いたしましたチラシを送付するなど、十分な周知に努めてまいりました。
○原田委員 ディーゼル車につきましては、確かにトップレベルのガソリン車と比べれば、冒頭申し上げましたとおり、排気ガスの面では若干考えなければならない点もある。逆に燃費についてはいいというような特徴があるかと思います。このいい部分ということについてはきちんと注目していくべきでありまして、そうしたことが今後の各メーカーの取り組みということにもつながってくるかと思いますし、また、そうした取り組みを進める社会の雰囲気にもなっていくのではないかなと思っております。
今まで、確かにいろいろな広報の中で、乗用車は対象外ということは記載されていたということでございますけれども、なかなか、単に部分的に記載していたということだけでは、新聞等の報道なんかでもディーゼル車、ディーゼル車と大々的に出るわけでございまして、ディーゼル乗用車については、これからまた温暖化について考えたいという人が選択して乗っていくということを考えたときに、肩身の狭い思いをせずに済むような状況になっているというようなぐあいでもないかと思います。そうした意味では、ディーゼル車全体が必要以上に低い評価を受けているような状況になっているのではないかなと思っております。
結果的に、今、印象としてはそのような状況になっていると思うわけですけれども、東京都としてどのようにとらえていらっしゃるのか、見解を伺います。
○中島自動車公害対策部長 東京都では、東京の深刻な大気汚染の改善に向けまして、平成十一年から十二年にかけまして、ディーゼル車対策に関して都民、事業者の方と広範な議論を行いまして、また、寄せられた意見を踏まえ、その後のディーゼル車対策に関する東京の基本的な考え方でございます、ディーゼル車対策東京の選択というものをまとめてございます。
その中では、都民の健康を守るためディーゼル車利用のあり方を抜本的に改める必要があること、また、東京では地球温暖化対策を理由に排出ガス性能の悪いディーゼル車を増加させるべきではないというふうにしながらも、ディーゼル車の将来の可能性は否定しないというふうにしておりまして、ディーゼル車そのものを否定する考え方はとってございません。
また、環境確保条例に基づくディーゼル車規制におきましても、一台当たりの汚染物質の排出量が多い旧式のトラック、バスを規制する一方で、先ほどもご答弁いたしましたけれども、ディーゼル乗用車につきましては規制の対象としていないところでございます。
こうしたことから、都のディーゼル車規制によりディーゼル乗用車が不当な評価を受けているというふうにはならないのかなと考えております。
○原田委員 自動車の世界におきましても技術革新というものが日々進んでおりまして、数年前の技術における車というものと最新の技術における車というもの自体でも、大分、環境性能についても変わってきているというところもございます。そうした点で、可能性については排除しないということもございましたけれども、今後いろいろと検討していく上で、このディーゼル車についても考えていかなければならないかと思いますけれども、この「十年後の東京」の中でも、エネルギー問題あるいは温暖化の問題というものが、今回改めてまた大きく打ち出されてきたわけでございます。
そうしたことで、これからいろいろと温暖化の問題についても取り組んでいかなければならないということになったときに、このディーゼル車について、これから評価についてもいろいろと考え直していかなくてはならないという場面にも来ているのかなというふうに感じますけれども、そのことについてご見解を伺います。
○中島自動車公害対策部長 ディーゼル乗用車でございますけれども、先ほども委員の方からもご指摘ありましたように、燃費ですとか、あるいは耐久性の点では、ガソリン乗用車よりもすぐれている点がございます。ただ、国の排出ガス規制の不徹底等によりまして、最新の新長期規制適合車でも、ガソリン車よりもNOxですとかPMを多く排出するという点はまだ残っております。
都内の大気環境測定結果は、平成十七年度、私どもが進めてきましたこのディーゼル車規制によりまして、初めて都内のすべての測定局でSPMの環境基準を達成するなど、大幅な改善が進んでおりますが、一方で、NO2、二酸化窒素の改善はまだでございます。
こうした中で、自動車部門におきましても温暖化対策を進めることは、私ども、大変重要と考えておりますけれども、今、ガソリン乗用車を、明らかに排出ガス性能の劣るディーゼル乗用車に積極的に置きかえていくということは、適当ではないというふうに考えております。
今後、ディーゼル乗用車の普及が図られるためには、まず、ガソリン車並みに排出ガス性能が改善されることが必要かというふうに考えております。
○原田委員 技術開発等の動向も見きわめながら、適切なタイミングで適切な判断をしていただければと思っております。
今までずっと自動車部門の中ということでお答えをいただいていたかと思うんですけれども、現在のところ、そうした意味では、ディーゼル車についてはまだまだいろいろと課題が残っているということでございました。
しかし、その一方で、やはり温暖化問題というものにも、今すぐにでも取り組んでいかなければならないということでございます。そうした意味で、ディーゼル車の検討以外のものについても、自動車部門としてできることを早急に進めていくべきだと思いますけれども、そうした部分についてはこれまでどのような取り組みをされてきて、また、これからどのような取り組みを検討されているのかということについてお伺いいたします。
○中島自動車公害対策部長 自動車部門の温暖化対策を進めていくためには、自動車単体の燃費の向上ですとか、あるいは自動車交通量の抑制、それから環境に配慮した自動車仕様のあり方などに取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
都はこれまでにも、国や自動車メーカーに対しまして低燃費な自動車の開発普及を求めるとともに、公共交通機関の利便性の向上、共同配送など物流の効率化、それから自動車環境管理計画書制度による自動車仕様の見直しなどに取り組んできております。
今後とも自動車部門のCO2削減に向けまして、本年一月に設置いたしましたカーボンマイナス都市づくり推進本部におきまして、各局と連携を図りながら総合的に対策を推進してまいります。
○原田委員 今おっしゃられたように、単体での部分というものと、それから、本当に都庁全体を挙げて取り組んでいかなければならないところというのもございます。当然いろいろな関係調整は必要かと思いますけれども、今後も引き続き問題解決に向けて努力されるようお願いしておきたいと思います。
続きまして、カーボンマイナスのプロジェクトについてお伺いをいたします。
このたび東京都では、カーボンマイナス都市づくり推進本部が設置されることとなりました。これまで日本全体でも、京都議定書のところで一九九〇年比六%のCO2削減を決めておきながら、実際にはCO2排出量がふえ続けるといったような状況で、取り組みはしているんですけれども、結果から見るとなかなか取り組みが進んでいないように見えるという状況が続いております。
そうした中で、東京都の中にもようやく全庁的な体制でこのCO2削減、温暖化の問題に取り組むといった体制が本当に組織的にもできたということは、これを機に、今度こそCO2の削減というものが本当に実施され、また実感としても、ああ、よくなっているなということが感じられるような取り組みというのを進めなければならないところだと思っております。
この東京都におけるCO2削減ですけれども、東京都といったときに、都内の最大の事業者としての東京都というものと、それから、東京という都市全体を考えた場合のCO2の削減について、それぞれ考えていかなければならないのかなと思っております。
まず、事業者としての東京都という立場でございますけれども、東京都は、例えば都営交通ですとか、あるいは建設局における道路の建設ですとか、さまざまな事業を行っておりまして、その過程の中でCO2が排出されるといったようなこともあるかと思います。まずはこうした現場においてできるだけCO2削減を進めていくということが必要でありますし、また必要であれば、削減の努力だけにとどまらずに、さまざまな代替手法を用いまして、この排出されるCO2をオフセットしていく、相殺していくといったことも必要かと思います。
例えば、以前私も本委員会で、建設局関係の方で取り上げさせていただきましたけれども、ブリティッシュ・エアウエーズ、イギリスの航空会社ですが、ここでは既に二〇〇五年の九月からカーボンオフセット、飛行機の運航によって排出されるCO2を相殺していくプロジェクトというものを開始しているところでございます。
こうした事業者としての東京という観点から見た場合の取り組み方を考えた場合に、現業部門での取り組みというものが欠かせないところだと思います。そうしたところで、カーボンマイナス都市づくり推進本部を中心に、局の枠にとらわれない取り組みというものを都庁全体で進めていくことが重要だと考えております。
そこでお伺いいたしますけれども、事業者として東京都がCO2を削減していくといった場合にどのような取り組みが行われていくのか、お伺いいたします。
○小山都市地球環境部長 都は都内最大規模のCO2排出事業者であり、都みずからが積極的にCO2削減に向けた取り組みを実践していくことが大切であると認識をしております。
都といたしましては、平成十七年八月に地球温暖化対策都庁プランを策定いたしまして、民間事業者に率先して温暖化対策に取り組むことといたしました。
この地球温暖化対策都庁プランでは、エネルギー消費量の多い大規模施設におけるESCO事業の推進や下水汚泥の高温焼却、浄水場での太陽光発電の設置などを進めていくこととしております。
今後とも、各局連携し、都庁一丸となりまして、民間事業者の範となるような地球温暖化対策に取り組んでまいる所存でございます。
○原田委員 続けて、都市としての東京全体での取り組みについてお伺いいたします。
これは海外の例なんですけれども、イギリスのニューカッスルアポンタインという市では、二〇〇〇年ごろから準備を始めまして、二〇〇三年の十月から、これは世界初の取り組みということだそうでございますけれども、CO2排出ゼロの都市づくりというものに取り組んでいるというふうに聞いております。もちろん日本の首都でもあり、千二百万の人口を抱える東京と、人口二十六万、面積百十三・四四平方キロメートルのニューカッスルアポンタイン市を同列に比較することはできませんけれども、CO2の排出をゼロにしていくというような都市づくりを目指すというこの積極的な姿勢と取り組みというものには、やはり見るべきものはあるのじゃないかなと思います。
そうした中で、ここでは、例えば市が、市民や企業に対しましてどれだけ自分がCO2を排出しているのかといったものを簡単に測定する方法を提供いたしまして、具体的なCO2の削減方法についての助言も行っているということだそうでございます。
そしてまた、削減が不可能なCO2の排出部分につきましては、オフセットすることを助言しているということだそうでございます。具体的には、CO2換算一トン当たり十六ポンド寄付してもらって基金をつくりまして、これをもとに、住宅の熱効率の向上ですとか、太陽光発電装置の設置、植林といった事業を行っております。
さらに、こうした基金への寄付につきましては、市民はウエブサイト上で簡単に計算できるばかりでなく、また、その結果に基づきまして、カード払いで簡単にそのオフセットのための支払いができるといったようなことも進んでいるわけでございます。
さらに、この支払いに関しましては、税金の控除というものを受けられるようでございます。
もちろん、これらの事業によりまして、もうゼロになっているとか、すぐに排出量がゼロになるというわけではありませんけれども、市民、企業を巻き込んだ取り組みとしては、こうしたことも参考になるのではないかなと思っております。
こうした都市全体としてのCO2削減を図っていくために、都は、市民や企業に対しましてどのようなサービスを提供していくのか、また、都民や企業がどのような取り組みを進めていくことを促していくのかといったことについてお伺いいたします。
○大野企画担当部長 東京のCO2排出量を削減していくためには、省エネルギー化の推進とともに、再生可能エネルギーの利用促進の両方を進めていく必要があると考えております。
カーボンマイナス十年プロジェクトにおきましては、都庁の各局が連携をしまして、民間企業や都民を巻き込むCO2削減の取り組みを構築していくこととしておりまして、このプロジェクトの具体化を図る中で、省エネ対策や再生可能エネルギーの導入の取り組みを推進してまいります。
○原田委員 次に「十年後の東京」における具体的な数値目標についてお伺いいたしますけれども、この「十年後の東京」におきましては、二〇〇〇年比で二五%の削減といった目標が示されております。今おっしゃっていただきましたさまざまな取り組みを通じまして、これは実現していただかなくてはならないというふうに思っているわけでございますけれども、その前段といたしまして、二五%という数字はどのような考え方に基づいて設定されたのか、伺います。
○大野企画担当部長 地球温暖化がもたらします気候変動の危機を回避しますためには、今世紀の半ばまでに、世界全体でCO2の排出量を少なくとも半減する必要があるといわれております。こうした長期的な展望に立ちまして、二〇二〇年までの中期的な目標として二五%の削減目標を設定したものでございます。
○原田委員 この二五%という数字、ご答弁からしますと、都としてできる取り組みを積み上げていった結果ということよりも、本当に世界全体を見たときに必要な数字、その必要性を満たすための数字ということで設定されたということと理解しております。
ただ、そういう数字となりますと、実際に京都議定書のときでも、一九九〇年比ということで決めても、ふえたりしているわけでございまして、よほど本気に取り組んでいかないと、この二五%という数字にしても、達成が困難になってきてしまうのかなということを、これまでのことを考えますと、実感として感じてしまうわけでございます。
そこで、省エネ関連ですとか再生可能エネルギー関連といったものを、都として、これまでの取り組みの延長上で、できることは最大限やっていかなければならないかと思いますけれども、実際にこの数値目標を達成しようという観点に立った場合は、例えば排出権取引ですとか、あるいは国のレベルでは論議されておりますCDM、クリーン開発メカニズムと、これは、例えば東京都あるいは日本のようなコストの高いところで事業を行いますと、幾らお金があっても足りないということなので、より安価に、効果的にCO2削減事業ができるところで事業を行うことも考えていこうということでございますけれども、こうした経済的手法と一般的にいわれるものも含めまして考えていかないと、二五%という数字の目標というのはなかなか達成が困難ではないのかなというふうにも感じているところでございます。
いろいろな取り組みを、できることを全部やっていかなければならないというのは、確かにそのとおりだと思いますけれども、現段階で、東京都といたしまして二五%という削減目標を達成するために、実際にどのように行動を進めていくのか、お伺いいたします。
○大野企画担当部長 一月末に設置いたしましたカーボンマイナス都市づくり推進本部におきましては、省エネ技術の活用、それから再生可能エネルギーの大量普及、さらに環境ビジネスの創出など五つの柱を中心にしまして、都政のあらゆる分野でCO2削減の取り組みを強化していくことといたしました。
これらの柱に基づきまして、各局の事業の中にCO2削減の視点を取り入れまして、企業と都民を巻き込むプロジェクトを展開してまいります。
○原田委員 本当に壮大な目標でありまして、でも、壮大といってはおられずに、実現していかなければいけない目標でもございますので、これからしっかりと議論を重ねて、実効性のある対策というものをとっていっていただきたいと思っております。
大気汚染から温暖化まで質問させていただきましたけれども、こうした都市ならではの問題から、本当に地球にかかわる問題まで、すべての面において東京の環境問題というものを総合的にとらえて解決していかなければならないと、本当に今、そうしたせっぱ詰まった状況の中に東京という都市は置かれていると思います。そうした意味で、さらなる今後の取り組みを期待させていただきまして、質問を終わります。
○中山委員 廃プラスチックのリサイクルについて質問させていただきます。
東京の持続可能な発展のためには、できる限り廃棄物を資源として有効活用し、石油を初めとする天然資源の消費を抑制していくことが重要であります。
特に廃プラスチック類は、一般廃棄物、産業廃棄物とも、都内では多くが埋立処分されておりまして、マテリアルまたはサーマルによるリサイクルは進んでおりません。
そこで、本日は、廃プラスチック類を一般廃棄物と産業廃棄物とに分けて、それぞれの課題と今後の方向性について検証していきたいと思います。
まず、一般廃棄物についてでございますが、可能な限り発生抑制やリユース、再使用に努めるとともに、マテリアルリサイクルに適したものについては、マテリアルリサイクルの徹底を図ることが大原則であります。
マテリアルリサイクルにおきましては、ペット・ツー・ペットというんでしょうか、製品状態のまま再利用、リユースする方法と、細かく裁断してペットボトルなどに再生利用する方法とがあります。各区ではそれぞれの創意工夫により廃プラスチックの資源回収を推進しております。
私の地元足立区におきましても、リユースとリサイクルの原資になりますペットボトルについての従来のスーパー等の店頭回収に加えまして、ICカードの使える自動回収機を、区内四系統、十六店舗のスーパーに設置して事業を行っております。ペットボトルを回収機に入れますとICカードにポイントがたまる方式で、エコネットポイントシステムと呼ばれております。回収率の向上のためのユニークな取り組みであります。一本のペットボトルで四ポイントがたまり、千ポイントたまると百円の買い物が可能になる、これも随分壮大な話ですけれども、そういうことで取り組みをさせていただいているようであります。
全国のペットボトルの回収率は、二〇〇三年をピークに年々減少し、二〇〇五年の回収率は四五・四%、足立区は現在七〇%弱だそうですが、今後、スーパーの協力などをふやすなどして、八五%を目指すとしております。
しかしながら、例えばお弁当の器など有機物で汚れたプラスチックなどにつきましては、可燃ごみとして焼却し、その過程から生じる熱エネルギーとして有効利用する、いわゆるサーマルリサイクルを行うことで、新たな化石燃料の消費を抑制するとともに埋立量の削減を図っていく必要もあります。
二十三区におきましても、この考え方に立って、昨年七月から、足立、品川、大田、杉並の計四区におきまして、廃プラスチックのサーマルリサイクルの先行的な取り組みとしてのモデル収集を開始しております。
サーマルリサイクルの実施に当たりましては、二つの問題点があるといわれております。一つは、清掃工場で廃プラスチックを燃やすことに対する安全性への不安感、これは後で論議させていただきますけれども。もう一つは、従来は、廃プラは不燃ごみに分別していたわけでありますけれども、廃プラスチックを可燃ごみとまぜても排出できるということになりますと、マテリアルリサイクルに回すべきものまで一緒に可燃ごみにまぜてしまう、面倒くさいなということで、そういう気持ちに流れやすいということから、ごみ減量のインセンティブが働かないというような点が問題点であるといわれております。しかし、私の知る限りでは、四区のモデル事業では、大きな混乱もなく順調に進捗していると聞いております。都としてモデル収集の実施状況をどのように把握しているのか、お伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 四区におきますモデル収集につきましては、平成十八年七月以降、合わせて約三万四千世帯を対象に実施されており、これまで不燃ごみとして収集していました廃プラスチック類を可燃ごみとして週二回収集し、清掃工場でサーマルリサイクルするとともに、ごみ量やごみ組成の変化、清掃工場での焼却データなどを分析しております。
二十三区清掃一部事務組合の報告によりますと、モデル収集の結果、不燃ごみ量がモデル収集実施前と比べて、重量ベースで約七割減少しており、サーマルリサイクルの実施により、埋立処分量の大幅な削減が期待できるものと認識しております。
焼却により、実証結果につきましては、これまで三工場の報告が公表され、排ガスや排水などの測定項目はいずれも法規制値を大幅に下回っており、都といたしましては、廃プラスチックのサーマルリサイクルを実施した場合でも、清掃工場で安全に焼却可能であり、大気など周辺環境への特段の影響はないと考えております。
これまでのところ、モデル収集は大きな混乱もなく順調に進捗し、モデル収集にあわせて実施されたアンケート調査では、おおむね住民の理解が得られたとの結果が出されてございます。
○中山委員 モデル収集は順調に進んでおり、不燃ごみについての重量ベースでの七割減少のほか、廃プラスチックの焼却処理についての安全性も問題はないという数値だそうで、大変安心いたしました。
かつて、プラスチックを燃やすといいますと、有毒ガスの問題やダイオキシンの問題などが課題になっておりました。しかし、今ではそれを克服する技術革新が進み、住民の不安を解消できる新たなステージを迎えたということではないかと思います。
確かに、今後はサーマルリサイクルを進めていかないと、処分場が幾らあっても足りないという状況を迎えます。二十三区では、平成十九年十月までにモデル収集を全区に拡大することとしており、今後、より一層都民への周知を図ることが必要であります。
また、今のご報告により、安全性については問題ないと考えますが、円滑に実施するためには、都民の一部にある不安を払拭していくことも非常に重要であります。
都は二十三区のサーマルリサイクル本格実施に向けての取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 廃プラスチックのサーマルリサイクルの導入に当たりましては、安全性や環境負荷への影響につきまして都民の理解を得ることが重要でございます。
このため、都が策定した一般廃棄物処理施設向けの環境報告書ガイドラインによりまして、清掃工場が環境報告書により安全性や環境負荷について広く社会に情報発信を行えるよう支援してまいります。
また、都は、広域自治体といたしまして、十九年度のモデル収集の全区展開及び二十年度の本格実施に向けまして、二十三区及び清掃一部事務組合と連携を密にいたしまして、実証試験に伴う環境調査への技術的な支援を行うとともに、サーマルリサイクルの有効性や埋立処分場の延命化の必要性などに関する情報をわかりやすく都民に提供してまいります。
○中山委員 サーマルリサイクルに向けましての都の支援内容につきまして、理解させていただきました。
埋立処分場の延命化による効果も、ぜひ金額ベースで都民にわかりやすく示していただきたいと思います。
ただいまのご答弁の中で、都民に対する情報提供について説明がありましたが、この点について、重ねて具体的にお聞きいたします。
都は、サーマルリサイクルやマテリアルリサイクルを行うことによるCO2排出量への影響や環境面でのメリットについて、都民にわかりやすく、きめ細やかな情報提供を行い、アピールするべきと考えます。見解を伺います。
○森廃棄物対策部長 マテリアルリサイクルすることによりましてプラスチックを繰り返し利用すれば、新たなプラスチックの生産や廃プラスチックの処分に要するエネルギー消費量が抑えられ、それに相当する温室効果ガスが削減されます。
また、単に廃プラスチック類を焼却した場合にはCO2が増加するだけでありますが、サーマルリサイクルにより効率的な発電を行えば、その分、電力会社における化石燃料の使用が抑制され、CO2の発生も抑制されます。
また、食品残渣が付着した廃プラスチックの埋め立てをやめることで、最終処分場から発生する温室効果の高いメタンガスの削減が図られます。
資源の有効利用と最終処分量の削減という観点も含めまして総合的に考えますと、サーマルリサイクルの実施は環境負荷を軽減することとなると考えております。
都はこのようなことにつきまして、二十三区清掃一部事務組合や二十三区と連携を密にしながら、ホームページなどを通じまして都民にわかりやすくアピールしてまいります。
○中山委員 都は、広域行政の立場から、ぜひ引き続き区市町村をサポートして、一般廃棄物の廃プラスチックのマテリアル、サーマル両面にわたるリサイクルを推進していっていただきたいと思います。
何といっても直接住民の不安や苦情を受けますのは区市でございますので、区市が取り組みやすいように、情報提供について積極的にご協力をお願いいたします。
また、CO2の削減効果につきましては、樹木何本分でありますとか、トラック何台分でありますとか、本当にわかりやすくお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、産業廃棄物についてお伺いいたします。
事業所から排出される産業廃棄物の廃プラスチック類について見ますと、都内排出量五十万トンの約八割が埋立処分されております。リサイクルされているのは一割にすぎません。そもそも中央防波堤外側埋立処分場における産業廃棄物のほとんどが廃プラスチックであるといわれております。東京には全国の約三割に当たる五千棟ものオフィスビルが集中しております。これらのオフィスビルから排出されるプラスチック製品の包装材やこん包材などは、うまく回収されれば産業用のエネルギー資源として活用することができます。しかしながら、廃プラスチックを分別して保管するためのスペースが足りない、分別したプラスチックを収集するコストがかかるなどの事情から、リサイクルへの取り組みが進まず、多くは埋立処分されている現状となっております。
都は本年度、関係業界と連携して、オフィスビルなどから排出される廃プラスチック類を分別回収し、プラスチックの原材料や産業用のエネルギーとして再資源化する実証モデル事業を実施していると聞いております。この実証モデル事業によりどのようなことがわかってきたのか、お伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 今回の実証モデル事業につきましては、社団法人プラスチック処理促進協会や東京産業廃棄物協会などと連携いたしまして、平成十八年十一月から本年一月までの間、都内六カ所のオフィスビルなどから排出された廃プラスチックについて、それを効率的に分別回収し、原材料や固形燃料に再資源化するという実証を行ったものでございます。
オフィスビルからの回収の方法につきましては、実際にリサイクルに先進的に取り組む産業廃棄物処理業者の方々から、さまざまなアイデアを出していただきました。その結果、分別した廃プラスチックを保管するときに、色の違うポリ袋を使うことにより、別の保管スペースを用意しなくても、分別した状態で保管できることが確認できました。
また、運搬のときには、分別排出された廃プラスチックを専用の網袋に入れてから、他の廃棄物と同じ運搬車両に積み込み、後から処理施設で仕分けする方法を採用することによりまして、一定のコストダウンが可能であることも確認できました。
○中山委員 私も色の違うポリ袋を見させていただきましたけれども、ポリ袋の色を違えることで、ちょっとした工夫でやりやすくなるというのは大変な発見で、これはやはり広めていただけるように、やり方等を工夫していただきたいと思います。
最近、廃棄物関連業界では、新たなビジネスに挑戦しようとする若手経営者がふえております。マテリアルリサイクルの場合、一定量の廃プラスチックの確保が安定化していきませんと、事業ベースでの採算が合いません。したがいまして、産業廃棄物における都の実証モデル事業は大変重要であります。「十年後の東京」に描かれております環境モデル都市への取り組みを具体的に実現していく有効な方法であると考えます。
都は、先進的にリサイクルに取り組む処理業者などと連携して、新たな分別回収のビジネスモデルをつくり上げていっていただきたい。もちろん、こうした分別回収の仕組みを実際に広めていくためには、まず排出事業者である個々のオフィスビルの側で従業員の方々に分別を徹底していただくとともに、適正なコスト負担の責任があることを認識してもらう必要があります。
このコスト負担の認識というのは、私は大事だと思うんですね。単なるコスト競争になれば、マテリアルリサイクルの部分のお金がかかるわけですから、結局サーマルでまぜて出しちゃえばいいとか、いろいろな形で、安かろう悪かろう的に処理する、先ほども高橋理事から医療廃棄物についての悪徳業者の話が出ておりましたけれども、結局、うちだったら安くできますよというようなところに仕事が集中しちゃうとかということが起きます。
また、分別するという手間が排出事業者側でコストの面でも問題になるかもしれませんけれども、分別していけばマテリアルリサイクルに回せる廃プラスチックがふえるわけですから、全体的には処理のコストが減っていくという面で、排出事業者の意識によっても全体のコストが変わるかもしれないという点があります。
都は今後、産業廃棄物の廃プラスチック類のリサイクルについて、排出事業者にどのように働きかけていこうとしているのか、お伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 排出事業者には、みずからが排出する廃棄物のリサイクルを進める責任がございます。このため、都は、産業界と連携いたしまして、排出事業者が取り組むべきスリーR推進ルールとして、廃プラスチックの分別排出、従業員の啓発、適正な費用負担などの原則を提唱してございます。
今後、今年度のモデル事業の成果を踏まえながら、区市や関係業界と協力いたしまして普及啓発を進めながら、スリーR推進ルールに基づく取り組みを排出事業者に求めてまいります。
○中山委員 廃プラスチック類は貴重な資源であります。一般廃棄物、産業廃棄物ともに、これまでの埋立処分を見直して清掃工場でのエネルギー回収や産業用エネルギー資源などに活用していくことは、未来に向けた重要な一歩となります。
限られた天然資源を次世代に引き継ぐことは、現代の我々の責任であります。特にこうした新しいリサイクルの流れ、それを産業界として協力してつくり上げていくということは、それ自体がこれからの中国やアジアなどの新しい先進国に対する環境モデルとしてアピールできるものだと思いますので、引き続き資源の有効利用に取り組んでいっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
○河野委員 それではお伺いいたします。
最初に、埋立処分計画について質問します。
今回の埋立処分計画は、平成十九年度から十五年先の平成三十三年度までの計画ということですが、示された処分量は、一般廃棄物が四五%の減、産業廃棄物が二八%減となっています。計画では、廃棄物等の発生予測量、こちらの方は、十五年間で、一般廃棄物も産業廃棄物も増加の傾向を示しています。発生量はふえるという予測のもとで、どのような方法を講じて埋立処分量を減らしていくのか、そのことについてお聞きいたします。
○井戸調整担当部長 埋立処分量の削減の取り組みでございますけれども、まず一般廃棄物につきましては、現在、二十三区におきます廃プラスチックの資源化・リサイクルの取り組みとしまして、資源ごみ収集の実施によりますマテリアルリサイクルの動きが各区に広まってございます。
また、平成二十年度には、サーマルリサイクルの本格実施が二十三区全体で予定されております。
清掃工場の焼却灰につきましては、建設資材としての有効利用の推進を目指して、平成十九年度中に焼却灰を全量溶融スラグ化するという体制が整います。
次に、産業廃棄物につきましても、廃プラスチックの資源化や化石燃料のかわりに利用するというエネルギー有効利用の取り組みが活発になってきております。
都としましては、今年度、廃プラスチックの小口収集モデル事業を、関係業界と連携し、実施しておりますけれども、今後、その成果などを踏まえまして、より一層廃プラスチックの資源化及びリサイクルを徹底させてまいります。
こういうことによりまして、一般廃棄物と産業廃棄物のそれぞれにつきまして、計画で掲げました埋立処分量の削減を目指してまいります。
○河野委員 先ほどもお話がありましたサーマルリサイクルについては、昨年、廃棄物処理計画の質疑をしたときに、私もちょっと質問させていただきました。きょうは、その問題は触れませんけれども、二十三区一部事務組合の管轄とはいっても、やはり都としてもサーマルリサイクルの安全性などについては十分な関心を払っていただきますように、この機会にお願いをしておきます。
埋立処分量の減量について、ご答弁では、焼却灰のスラグ化など、いろいろな減量の取り組みをしていくということでした。しかし、一番大事なのは、廃棄物の発生そのものを減らしていくことではないかと思います。特に企業の生産活動段階での発生抑制の努力が重要だと考えます。私たちの日々の消費活動とあわせて、社会全体のあり方を見直していかないと、廃棄物の発生抑制につながらないと考えます。
さきの容器リサイクル法の改正では、企業の生産段階での発生抑制の責任があいまいになったとの声もありますが、東京都は都民や事業者に、廃棄物の発生を抑える具体的な働きかけを、今、やはり強めていく必要があると思います。
廃棄物の発生抑制に対して、環境局として今後どのように取り組んでいかれるのか、改めて伺っておきます。
○井戸調整担当部長 廃棄物の発生抑制の促進についてでございますけれども、容器包装廃棄物につきましては、都は昨年の容器包装リサイクル法の改正に際しまして、都内の全区市町村とともに、発生抑制と再使用を優先した制度とすることを国に提案しまして、その結果、事業者に容器包装の削減についての報告義務を課すなどの枢要な点が盛り込まれました。
また、事業者への働きかけでございますけれども、事業者の発生抑制に向けての取り組みをホームページで広く紹介します八都県市の容器包装ダイエット宣言などを通じまして、その取り組みを促進しているところでございます。
さらに、消費者への働きかけでございますけれども、消費者のライフスタイルを環境に配慮したものへ変換するため、さまざまな機会をとらえまして、マイバッグの持参ですとか、あるいはレジ袋を断ることの呼びかけを行ってございます。
また、意識啓発の観点から、埋立処分場ですとか、あるいは臨海部にございますスーパーエコタウンの民間施設の見学会、また、環境学習への支援等を行っております。
こうした取り組みによりまして、引き続き廃棄物の発生抑制を進めてまいります。
○河野委員 ご努力の方向はわかりました。埋立処分量を減らして処分場の延命化を図るということは、本当に重要な課題です。その点で、日本は使い捨て文化といわれていて、大量消費、大量廃棄の状況が続いていて、この改善に向けての変化は、徐々にしか見えていません。
ドイツなどのごみ減量対策の先進例がよく知られていますが、お隣の韓国でも、例えばつまようじをでん粉でつくって土に返す、ごみにしないなどのことが行われていますし、航空会社の機内の使用容器も再利用できるものになっていて、日本の使い捨てカップのようなことはできるだけやめています。
マイバッグを推進していくというご答弁もありましたが、マイカップ--きょうもここに私、この紙のカップを使わせていただいておりますが、マイカップの取り組みなどの啓発も強めていただきたい問題の一つです。燃やしたり埋め立てたりするのではなくて、土に返せる植物性繊維などを材質にしたカップの普及などに日本の環境団体も努力していますので、こうした取り組みへの支援もぜひ心がけていただきたいとお願いしておきます。
もう一点、発生抑制の問題では、建設廃材を減らすことも課題だと思います。都市再生の方針で、都内には超高層ビルの建設が進められておりますが、そこに存在していた古い建物は解体され、これが大量の建設廃棄物となっています。環境負荷をできるだけ少なくする、そのためには、まちづくりのあり方についても廃棄物減量化の方向で検討すべき問題であることを申し上げておきます。
次に、環境確保条例の改正に関連して、亜鉛の排水許容限度強化について質問をいたします。
水質汚濁防止法との関連で、都の条例も、亜鉛の排水含有量の許容限度、これをこれまでの五ミリグラム・パー・リットルから二ミリグラム・パー・リットルに規制強化するとのことでありますが、その理由と背景についてご説明をお願いいたします。
○福島自然環境部長 まず、条例改正に至ります、その背景からご説明いたします。
亜鉛は、一部の魚介類やえさとなる生物に対しまして成長阻害等の影響を与えることから、水生生物保全のために、平成十五年、環境基準が設定されました。例えば、河川における環境基準値は〇・〇三ミリグラム・パー・リットルとなってございます。
この環境基準を達成して汚染を防止するため、昨年十一月に水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める省令が改正され、亜鉛の排水基準が強化されました。今回の環境確保条例の改正は、この国の省令改正に合わせまして行うものでございます。
次に、現行の基準、五ミリグラム・パー・リットルから二ミリグラム・パー・リットルに強化するというその理由でございますが、先ほど申しました条例改正のもととなります省令におきましては、環境基準達成のため、二ミリグラム・パー・リットルという排水基準値が定められました。これは、現在の排水処理技術により事業者が現実的に対応可能なレベルとして設定されたものでございます。
○河野委員 亜鉛が含まれた排水は、工場、そして事業所から下水道に入るものと、河川など公共用の水域に入るものに分かれて、今回の環境確保条例改正の規制対象になるのは、公共用水域に排出する事業排水であると聞いています。
そこで伺いますが、今回の条例改正で、汚水を公共用水域に排出する工場、事業所などについての影響はどのようになりますか。
○福島自然環境部長 現在、環境局が水質汚濁防止法及び環境確保条例に基づきまして排水規制の対象としている工場、事業所の数は、約七百カ所ほどございます。
改正予定の二ミリグラム・パー・リットルという排水基準を超えているところは、今のところございません。しかしながら、なお今後も、工場、事業所に対しまして排水の監視を続けていく所存でございます。
○河野委員 条例の改正によって許容限度の強化で影響を受ける十業種が挙げられています。五年後、平成二十三年十二月十日までに、暫定許容限度の適用期間ということが定められておりますが、この十業種の中には、中小あるいは零細な事業所が含まれています。亜鉛の含有を二ミリグラム・パー・リットルの許容限度にしていくのは、技術的に相当難しい問題だということも聞いております。基準に合わせられる装置が開発されても、装置への設備投資の経費が負担できるかどうか心配だという声も聞かれます。
ご答弁によれば、現在のところ、中小零細規模の事業所への影響は心配ないというような状況のようですけれども、今後も中小零細業者の方々の営業の問題、そして、今回の規制強化の最大の根拠となっている水生生物の保全のため排出基準を守っていく、この問題で環境局としての努力をお願いしておきたいと思っています。
次に、地球温暖化対策推進基金についてお伺いをいたします。
新年度、五百億円の基金積み立てとなります。東京都が直面している二つの温暖化に、いかに効果ある対策が講じられるか、これが問題だと思います。
基金は、二〇〇七年度に課題の検討をし、そして二〇〇八年度から活用を始めるということでありますけれども、基金を活用する事業はどういうふうに選定されていくのか、その取り組み方、検討の方法などについてご説明をお願いいたします。
○大野企画担当部長 都は今回、二つの本部を設置しましたけれども、この場を通しまして「十年プロジェクト」の具体化を進めていくことにしております。
基金につきましては、この具体化を進める中で、集中的、重点的な財源投入によりまして、積極的な施策展開が見込まれる事業につきまして活用してまいります。
○河野委員 今回の基金額五百億円というのは本当に大きな金額だと思います。環境局の年間の予算の約倍近くに匹敵する金額であります。都民は環境保全を願って、東京都の取り組みにたくさんのことを期待しています。このたび基金が設けられたことは大変重要だと思いますが、私は環境局の予算そのものをもっとふやして、温暖化の問題や大気汚染改善対策などを初めとしたさまざまな施策の充実に努めるべき、そのように考えるんですが、環境局の予算との関係でご説明をお願いいたします。
○大野企画担当部長 十九年度の予算案につきましては、「十年後の東京」の策定を踏まえまして、施策を一層強化する初年度と位置づけております。今後十年間を見据えた環境施策の新たな展開に必要な経費を計上いたしまして、充実を図っているところでございます。
○河野委員 これはほんの一つの例なんですけれども、ご承知のとおり、昨年、環境局がヒートアイランド対策として募集した商店街へのドライミスト設置、これの応募に約十の商店街が希望したと聞いています。しかし、予算は二千万円ということで、実際に設置が可能になったのは、秋葉原と品川の二つの商店街にとどまりました。
都内の大気汚染も大変深刻で、二酸化窒素の環境基準値がクリアできない自動車排出ガスの測定局は、まだ半数近く残されています。環境対策でも、緊急、切実な課題は数多くあります。もちろん、温暖化、ヒートアイランド対策のことは待ったなしの課題で、ここに基金が使われていくというのは、それはそれとして歓迎すべきでありますが、あわせて、私は、今申し上げたことを含めて、環境局の事業をもっともっと積極的に展開していくことが都民の要望にこたえるものであると、そのように感じておりますので、意見として申し上げておきます。
次に、昨年十二月発表されました「十年後の東京」と、温暖化防止のカーボンマイナス、この問題について伺います。
二月二日に、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCが地球温暖化に対する第四次報告を出しました。この報告の最大の特徴は、温暖化の原因を人為的起源の温室効果ガスの増加とほぼ断定したことにあるといわれています。
IPCCの第四次報告は、地球温暖化の深刻さを改めて浮き彫りにしましたし、温暖化を引き起こす最大の要因、二酸化炭素の排出をいかに削減していくかを私たちに迫っています。
東京都は京都議定書に基づいて、基準年の一九九〇年比で二酸化炭素を六%削減するという目標を掲げてきました。そして、新たに「十年後の東京」では、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの推進を明らかにし、二酸化炭素の削減目標を二〇〇〇年比で二〇二〇年までに二五%削減、この目標を示しました。
「十年後の東京」には海外諸都市の削減目標の比較が載せられております。ロンドンは二〇一〇年までに九〇年比で二〇%削減、ベルリンは九〇年比で二五%削減との目標が載っております。
海外のいずれの都市も、削減目標は京都議定書の基準年、一九九〇年との比較で定めてあります。東京は二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減しますということになっていますけれども、先ほども環境確保条例との話もご答弁でありましたけれども、私は、どうして一九九〇年、京都議定書の基準年を東京の基準にしないのか、理解が十分にできていませんので、ご説明をお願いいたします。
○大野企画担当部長 東京都は平成十二年の十二月、二〇〇〇年の十二月に環境確保条例を制定しまして、この中で大規模事業者のエネルギー消費量やCO2の排出量を具体的に把握するようになりました。このため「十年後の東京」におきましては、今後の具体的な施策の効果検証を的確に行うという観点からも、二〇〇〇年を基準として設定したものでございます。
○河野委員 資料を出していただきましたよね、この委員会の資料。この資料を見ますと、二〇〇〇年は東京でCO2の排出量が一番多かった年に当たります。例えば東京がロンドンのように九〇年比で二〇%の削減目標を定めたとしたら、どのような数値になるでしょうか、計算してみました。東京の九〇年のCO2排出量は五千七百七十万トン、ロンドン並みの二〇%削減で計算いたしますと千百五十四万トンの削減になって、排出量は四千六百十六万トンという数字になります。
今回「十年後の東京」の新しい排出削減目標では、二〇〇〇年の排出量六千三百万トンの二五%に当たる数字になりますから、千五百七十五万トンの削減で、総排出量は四千七百二十五万トン、比較いたしますと、ロンドンのように九〇年比で二〇%削減目標を定めた方が、百九万トン多くCO2の排出が減ることになります。今よりも環境負荷が少ない東京にしていく、そういう意味ではやはりロンドン並みの削減目標というんですか、九〇年比ということが基準じゃないかと思うんです。
きょう、新聞の報道でちょっと見たんですけれども、二月の二十七日に、ロンドンのリビングストン市長が新しい行動計画を発表しまして、二〇二五年までに九〇年比六〇%の削減をしていくということを市民に明らかにしたということが報道されています。
都は、今お話しになったように、二〇〇〇年からデータが出てきて、そこからきちんと大規模事業者などにどのように削減してもらえるかということを示していけるということも理由にされていますが、「十年後の東京」でうたっている、世界で最も環境負荷が少ない都市にするというのなら、やはり他の海外の主要都市と同じように九〇年を基準年に置くべきではないかと、きょうのこの新聞報道なども見まして改めて感じているところなんですが、これはいかがでしょうか。
○大野企画担当部長 東京都は大ロンドン市との間で政策提携を結んでおりまして、昨年末には、ロンドン市長の呼びかけにこたえまして大都市気候変動先導グループに参加いたしました。
東京都も大ロンドン市も、気候変動がもたらす危機を回避するためには、二十一世紀の半ばまでに、先ほど申し上げましたが、大幅なCO2の削減が必要でありまして、そのために世界の大都市が先導役を務める必要があるという認識で全く一致をしております。
具体的に何年を基準年にしまして何年を目標に何%の目標を掲げるかということは、その都市の社会的な状況、経済的な状況の違いによりました戦略の立て方の違いということかと思いまして、数字の高い、低いだけを議論するのは、余り有効ではないと考えております。
当然、ロンドン市の施策にも学ぶところがございますし、逆に東京都の方が一歩先を行っているところもございます。相互に情報交換をいたしまして、ともに世界全体の地球温暖化対策をリードしてまいります。
○河野委員 世界をリードするという決意、よろしくお願いいたします。
いずれにしましても、「十年後の東京」で二〇〇〇年の六千三百万トンから二五%を二〇二〇年までに削減する、このことを目標にした東京が、では、その達成をどうするかが問われると思います。千五百七十五万トンの削減は、本当に容易な課題ではないとだれしもが考えます。東京では、九〇年比で排出量が増加しているのは業務部門が大きくて、その次に家庭とか運輸が一定割合で増加しています。二五%の削減を現実性のあるものにしていくには、各部門別の削減計画、具体的な対策が必要ではないでしょうか。環境局としては、この問題では、どのような立場で取り組んでいかれますか。
○大野企画担当部長 都は「十年後の東京」で示しました目標の達成に向けまして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを推進していくことにしておりまして、その具体化を図る中で、省エネ化の推進でございますとか再生可能エネルギーの利用拡大など、あらゆる部門におきましてCO2の排出削減を進めていくこととしております。
○河野委員 すごい簡単なご答弁で、私としては、ああ、そうですか、わかりましたと、なかなか申し上げられないという感じもしますけれども、次の質問に移ります。
東京ではヒートアイランド現象も深刻です。都が総力を挙げて取り組んでいく緊急の課題です。
新年度の予算では、ヒートアイランド対策として、学校の校庭の芝生化、屋上、壁面緑化などの事業が進められることになっています。
こうした一つ一つのヒートアイランド対策で一体どのような効果が期待できるのか、これも明確にしていただきたいと考えます。都が進めているヒートアイランド対策について、その効果の把握を含めて、今後の対策、お考えをお示しください。
○小山都市地球環境部長 都は、平成十五年三月にヒートアイランド対策取り組み方針を策定して以来、屋上緑化や壁面緑化、保水性舗装など、さまざまなヒートアイランド対策を講じてまいりました。
また昨年度は、集中的にヒートアイランド対策を推進するヒートアイランド推進対策エリアを設定いたしまして、対策を推進しております。
こうしたこれまでの取り組みは、ヒートアイランド対策の第一段階でございまして、これまでの成果を踏まえ、中長期的な視点から新たに施策を展開していく段階にあると認識しております。
今後、ヒートアイランド対策を講じたときの気温低減効果などについて把握しながら、新たな段階のヒートアイランド対策を構築していくこととしております。
○河野委員 もう一つ「十年後の東京」の問題で伺っておきますが、水と緑の回廊、カーボンマイナスで環境負荷を少なくしていく、これは本当に重要なことだと思いますが、実現に向けて有効な手だてを尽くすことが大事です。
その一つとして、CO2を吸収する緑をいかに減らさないで守っていくか、この課題があります。私は、環境局にこの分野での取り組みにもぜひ力点を置いてほしいと考えています。面的にも量的にも緑をふやしていかなければなりませんが、環境局としてこれまで努力されてきたこととあわせて、これからの取り組み方についてお考えをお聞かせください。
○福島自然環境部長 環境局では、緑地を拡大し、樹木をふやす方策といたしまして、これまで事業者に対する緑化計画書制度や開発許可制度を初めとしまして、良好な緑を指定する保全地域制度、さらには、荒廃した森を間伐によりよみがえらせる森林再生事業など、多様な事業を行ってまいりました。
今後とも、これらの緑施策を着実に実施するとともに、新たに設置された緑の都市づくり推進本部におきまして、各局と連携を図りながら、緑の保全、創出に向けた対策を推進してまいります。
○河野委員 では、意見を述べさせていただきたいんですが、今、部長のご答弁で、緑を守っていくということではさまざまな方策を講じてき、努力をしてきたということでありましたけれども、資料では、やはり保全緑地の公有化予算などは、十年前に比べて減額になっています。
「十年後の東京」を見ますと、多摩地域にシリコンバレーの拠点をつくる構想も挙げられています。こうしたことが進められると、貴重な自然や緑が残されている多摩の開発が進んでしまって、緑のムーブメントなどという構想で区部に芝生や屋上緑化で緑をふやしても、都内全域では差し引きマイナスの状態になってしまうのではないでしょうか。こうしたことも関心を払っていただきたい問題の一つです。
それから、やはり業務系のCO2排出を減らすことが大事だと考えます。それは、温暖化防止対策とあわせて、ヒートアイランド現象の有効な緩和策にもなっていくと考えます。開発問題との関連でも、緑の保全、拡大に環境局の特段の努力を求めておきます。
そして、きょうは質問しませんでしたが、環境局は、二酸化窒素などの大気汚染、アスベスト、有害化学物質、土壌汚染問題を初め、都民の健康、生命に大きな影響を及ぼす事業を所管しています。都民の健康を守り、環境の保全に一層努力していただくことを求めて、私の質問を終わります。
○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十分休憩
午後三時開議
○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大西委員 「十年後の東京」について少しお聞きしたいと思います。
長期計画がようやく出たわけで、興味深く見せていただきました。一読して思ったのは、本当に「十年後の東京」は、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるとか、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するということで、非常に環境優先の東京というものを目指すという意味で、心強く思ったりしておりました。
しかし、一方で、よく見ると、これは一般質問でも使わせていただいたんですけれども、道路という言葉が非常に多く出てくるという意味では、知事の思い入れが強い政策だなということを改めて感じております。そういう意味では、これが本当にこのようにいくのかということを少し疑問に思ったり、それから、もう一つ思ったのは、非常に東京がリードしなければいけないということが力説されておりまして、アジアの機動力となってとか、先駆的であるという言葉が踊っている、そういう長期計画だなという感想を持ちました。
そこで、少しお聞きしたいんですけれども、やはり環境優先を強調しておりますが、先ほど私、申し上げましたように、道路整備というものを非常に強調する余り、交通政策や、それと密接に関連した環境政策がゆがんだものになっているのじゃないかという感想をどうしても持ってしまうんですけれども、その辺を払拭するような回答をいただきたいと思います。
○大野企画担当部長 東京の渋滞を解消するためには、三環状道路などの整備を進めることが必要でございます。
また、「十年後の東京」でも述べられておりますけれども、三環状道路の整備による渋滞解消などを契機としまして一層円滑で安全な自動車交通を実現するためには、環境負荷の少ない交通手段の導入なども必要でございます。
都ではカーボンマイナス推進本部を設置いたしましたが、この中でも、快適で環境負荷の少ない交通システムなどについても検討してまいります。
○大西委員 三千三百万人の方が住むこの巨大都市東京圏は、世界でも類例がない規模です。そして、その一方でエネルギー効率や一人当たりの温室効果ガスの排出量が少ないという、環境への負荷の点ではすぐれた特質を持っているといわれております。これは東京の発達した鉄道網のおかげであります。
これは私たち、本当に毎日通勤していると感じるんですけれども、東京区部への通勤は四分の三の人が鉄道を利用しております。そういう結果、この東京圏は、一人当たりが交通で消費するエネルギー、あるいはそれに伴って排出する温室効果ガスが工業国の中でも最も低い水準にあるということなんです。今のお答えだと、三環状が何よりも渋滞解消のためには必要だということをおっしゃっていますけれども、そういう意味では、いろいろなところに割に網羅して書いてありますので、この「十年後の東京」も、四四ページ、四五ページには、交通インフラのゆとりを生かし、快適で環境に負荷をかけない都市を実現するということで、鉄道のことが少し載っておりますけれども、やはり十年後という長期計画を見たときに、ちょっとその辺が薄いので、ぜひこの部分をもっともっと広げていただきたいなと思っております。
そして、道路をふやして渋滞を少なくし、環境への負荷を下げるという環境局あるいは東京都の説は、世界や学会の説に真っ向から反しているといわれております。世界の常識は、道路がふえれば自動車がふえ、NOx等の公害物質、それからCO2が増加する。ぜひ公共交通を重視し、自動車型の都市にしないという原則を堅持したまちづくりを、この十年後、長期計画の中に、しっかりと環境局も提案をし続けて実現していただきたいなということを要望したいと思います。
それからもう一つ、国際連携ということなんですけれども、これは非常にいい方向だと思います。「十年後の東京」では、三つの視点として、科学技術、人材育成とともに東アジアを挙げ、東京が中心となって技術革新や先進的な環境政策を展開するということと、それから、環境局でも、今回の十九年度の予算案に、アジア大都市ネットワーク共同事業として、都市と地球の温暖化阻止など三事業を計上しております。そういう意味で、アジアの国や都市に対して、これまでは主に情報発信が行われていたと思うんですけれども、さらに今回、こういう長期計画をもとに連携を深めていくということなんですが、その具体的な方法等をお聞かせいただければと思います。
○大野企画担当部長 アジアの諸都市では、人口の増加などによりまして公害問題が深刻化しております。東京の経験を還元していくことは、アジアへの貢献になるものと考えております。
このため、本会議の答弁でも既に触れられておりますけれども、発展途上国での環境保全等に豊富な経験を持つ国際協力銀行とも連携するなど、取り組みの方法を検討してまいります。
○大西委員 アジアに限らず、世界の都市では多くの環境問題を抱えています。特にお隣であります中国は、今、発展途上というところでもあり、何年か前の日本に行きつつあるのじゃないかということで、それなりに東京の役割というものが求められているわけですけれども、地球環境に関する北京、ソウルなどとの交流実績というのはあるんでしょうか。
○大野企画担当部長 北京、ソウルとは、自動車公害対策におきましてさまざまな交流をしております。ソウルからの視察団などを受け入れまして、東京都の環境技術、ノウハウを提供する等やっておりますけれども、私の知る限りでは、地球温暖化対策については、具体的にまだ提携を行っていないと思います。
○大西委員 ありがとうございます。特にアジアの近隣大都市と連携を深めていっていただきたいと思っております。
ちょっとホームページで見ましたら、国際交流というところでは、環境局の部分、余りなかったんですね。そして、それも、情報交換ということかもしれませんけれども、短い間の、一泊二日の出張とかそういうものがあったんですけれども、やはり長期的な研修員制度とか、そういうものを再度また復活していただいて、ぜひ本当に役に立つ、このとおりリードする日本に、東京になっていただきたいなということを要望して、質問を終わります。
○高橋(信)委員 低公害車について、新長期規制適合車の普及促進について、一項目に絞って五問程度質問いたします。
本日の委員会冒頭の報告にありましたように、昨年九月にまとめられました都内の平成十七年度の大気環境測定結果によりますと、ディーゼル車規制の効果によりまして、初めて都内すべての測定局で、浮遊粒子状物質、SPMの環境基準を達成するなど、規制開始前に比べて東京の大気環境の大幅な改善が進んできております。こうした改善は、経営環境の極めて厳しい中で、粒子状物質減少装置の装着や低公害車の買いかえなど、多くの事業者が真摯に取り組んだことによって実現したものであります。
しかし、その一方で、二酸化窒素、NO2の環境基準の達成状況については、改善傾向にあるとはいえ、自動車排出ガス測定局において、三十四局中十九局の達成にとどまっております。
そこで、二酸化窒素の環境基準の早期達成を図るため、排出ガス性能のすぐれた、より低公害な自動車の普及と利用を都が積極的にリードしていくべきと考えます。都は、中小企業の方が低公害車等を購入する際の支援策として、環境保全資金融資あっせん制度を十九年度に改正すると伺っておりますが、まず、その具体的内容と今回の改正のねらいについて、改めて伺います。
○中島自動車公害対策部長 環境保全資金融資あっせん制度の今回の改正内容とねらいについてでございますけれども、中小事業者が最新規制適合車でございます新長期規制適合車を購入する場合、補助割合を、利子につきましては現行の二分の一から四分の三に、信用保証料につきましては三分の二から五分の四に引き上げまして、一方、条例には適合してございますけれども、一段階前の基準の新短期規制適合車の場合、利子につきましては二分の一から四分の一に、信用保証料につきましては三分の二から三分の一へ引き下げるものでございます。
こうした差を設けることによりまして、新短期規制適合車の購入を抑制し、排出ガス性能のすぐれた新長期規制適合車を選択しやすくいたしまして、その早期普及を進めて、大気環境の一層の改善を図るものでございます。
○高橋(信)委員 東京都は新長期と新短期で補助割合に差を設け、新長期規制適合車の早期普及を進めるとのことでございますが、事業者がこの制度を活用するにしても、最新規制の新長期規制適合車が市場に十分供給されているのでしょうか。市場の状況について伺います。
○中島自動車公害対策部長 国は新車の排出ガス基準を改定いたしまして、平成十七年十月から最新の新長期規制を適用してございますけれども、一段階前の基準でございます新短期規制適合車の継続生産を約二年間も認めておりまして、在庫がある限り販売できるものとしております。
こうしたことから、メーカーによる新長期規制適合車の市場投入がおくれておりましたけれども、都などの働きかけによりまして、ようやく、メーカーを限定しなければすべての車種にわたって新長期規制適合車を選択できる状況でございます。
○高橋(信)委員 一段階前の基準の新短期規制適合車を今なお市場に流通させている国の不十分な対応は、まことに遺憾なことでございます。本来、自動車排出ガス対策にも責任を持つべき国がこのような状態を放置したことは怠慢であります。このような不十分な国の対応に対しまして、十九年度予算案の中に新長期規制適合車の早期普及促進の取り組みを盛り込んでいることは、大変評価するものであります。
ところで、この予算案は、既に新長期規制適合車を購入している事業者に対しても、制度改正後の利子の補助割合を適用していくことが盛り込まれています。そこで、こうした事業者に対しても制度改正後の補助割合を適用していくことのねらいについて伺います。
○中島自動車公害対策部長 既にこの制度を利用しまして新長期規制適合車を購入した事業者につきましても、平成十九年度以降新たに発生する利子負担の軽減を図るため、制度改正後の利子補助割合を適用することといたしております。これは、必ずしも新長期規制適合車のラインナップが十分でなかった時期にもかかわらず早期に購入した事業者と、十九年度の新規購入者との均衡を図るとともに、早期に購入した方々が、今後さらにこの制度を活用しまして、他の購入予定車両がある場合にも新長期規制適合車の方を選択していただくことも期待しております。
○高橋(信)委員 今回の都の対応は、環境に配慮し、率先して新長期規制適合車を購入した事業者にとっても、十九年度以降の利子負担が軽減されるものであり、評価できるものであります。
しかし、このように既に購入した事業者にも配慮するなど、よく工夫された制度であっても、多くの事業者にこの仕組みを知ってもらい、利用してもらわなくては何の意味もありません。そこで、事業者に確実に知ってもらえるよう、行政の広報媒体のほかにもさまざまな方法を用いて周知するべきと考えますが、東京都の見解を伺います。
○中島自動車公害対策部長 制度の周知に当たりましては、東京都の広報媒体はもとより、区や市の広報紙などにも掲載をお願いするとともに、金融機関等でのポスター掲出、窓口でのチラシ配布や関係団体との連携による周知など、さまざまな方法により行ってまいります。
特に、既に融資あっせんを受け、新長期規制適合車を購入された事業者に対しましては、個々にダイレクトメールを送るなど、十九年度以降の利子優遇についてお知らせをしてまいります。
○高橋(信)委員 事業者への周知につきましては、ぜひ丁寧な対応をお願いいたします。
さらに、事業者への周知に関しましては、自動車メーカーなども積極的な取り組みをすべきと考えます。答弁にありましたとおり、今まで環境にすぐれた新長期規制適合車の市場投入をおくらせたことについては、メーカー側などにも当然の責任もあります。新長期規制適合車がより環境にすぐれたものとして事業者が率先して選択できるよう、積極的な周知活動に取り組むことをメーカーなどに求めていくべきと考えますが、都としての見解を伺います。
○中島自動車公害対策部長 自動車販売事業者が環境情報の説明に努めるべきことにつきましては、環境確保条例でも定められておりまして、今ご提案いただきましたことを踏まえまして、メーカーや販売事業者がユーザーに対し、新長期規制適合車の排出ガス性能のすぐれた点について適切に説明するよう、都として要請してまいります。
○高橋(信)委員 事業者の方々が環境問題に意識を持ち、環境負荷の少ない車が普及していくことで東京の空気がさらによくなり、東京の大気環境改善につながるものであります。都の取り組みとして、今後とも、事業者団体とも十分な連携を図りながら、多くの事業者がこの制度を利用し、新長期規制適合車の普及拡大が促進されることを大いに期待いたしまして、質問を終わります。
○斉藤委員 大変皆さんペースが早いので、ちょっとプレッシャーを受けている感じです。
それでは、大気中の二酸化炭素の削減策について何点か伺います。
資料の二番目の方にもありますが、都内の二酸化炭素の排出量は年々ふえております。それで、京都議定書の批准の話を持ち出すまでもなく、大気中の二酸化炭素の削減は非常に大きな課題です。しかしながら、企業レベル、特に中小の企業、そしてまた家庭レベルでの二酸化炭素の削減については、個人個人が、やり方についてある程度浸透していなくては、国全体の取り組みというふうにつながっていかないのじゃないかと思います。
ただ、節水とか節電というのは以前からいわれているので、何となくエアコンの設定温度などでは自然に覚えているわけですけれども、二酸化炭素の削減というのをどういうふうに、どこからやっていくかというのは、まだまだこれからかなというふうに思います。
ただ、このような一般の方に対する浸透のための広報活動というのは、なかなか市区町村レベルでは広域にできないということで、難しいかと思います。やはり東京都もしくは国の方で広報活動をきちんとやっていくようにして、その上で地域の自治体などが協力をしていくという感じになるのではないかというふうに思います。
そこで、企業に対する二酸化炭素の排出削減のための広報活動については、今後、東京都はどのような展開をしていこうと考えているのか、伺います。
○小山都市地球環境部長 企業に対する広報活動についてでございますが、大規模事業所に対しましては、都の地球温暖化対策計画書制度についての説明会の開催やマニュアルの配布を通じて、省エネの具体的な取り組みについて周知するとともに、個別事業所に応じた指導助言や省エネ情報の提供を通じて、事業所における取り組みを促しております。
また、ただいま申し上げました地球温暖化対策計画書制度の対象外である中小規模事業所につきましては、ポスターを作成をいたしまして、都庁に開設をしている相談窓口のアナウンスを行うとともに、省エネ研修会を区市町村と連携して開催しておりまして、今後とも中小規模事業所における省エネ行動を促す情報の提供を行ってまいります。
○斉藤委員 区市町村を通じて、連携して省エネ研修会ということなので、区市町村の方も本当に初めてのことですので、ぜひとも上手にその辺は、各自治体の方に趣旨とやり方についてアドバイスしていってほしいと思います。
では、そのほかに、家庭に対する広報活動というのもまた難しいと思います。これについて東京都はどのように今後展開していく予定なのか、伺います。
○小山都市地球環境部長 家庭部門における地球温暖化対策といたしまして、都はこれまで、省エネラベリング制度やマンション環境性能表示制度の創設、運用などを通じて、地球温暖化対策の取り組みを都民に身近にとらえてもらうように工夫を行ってまいりました。これらの制度につきましては、リーフレットやポスターの作成、シンポジウムの開催などによりまして、広く都民や事業者に対する普及を図ってきております。
今後とも、「広報東京都」を初めあらゆる媒体を活用いたしまして、地球温暖化対策に関する広報活動に努めるとともに、区市町村等とも連携しながら都民の省エネ行動を促進してまいります。
○斉藤委員 それでは、今回、十九年度予算の方にも入っております二酸化炭素の削減、そしてまた温暖化対策の一つであります校庭の芝生化について伺います。
この委員会の高橋委員も、一般質問で校庭の芝生化について取り上げておりましたけれども、小平の十三小というところなんですが、私の方、以前ゆっくり見させていただいたときに、もともと小平の十三小の方で芝生化の話が持ち上がったときに、一般の校庭開放の利用者の方とかが野球とかサッカーをやる中で、今回の芝生化のプランが、ちょうど陸上の、校庭を一周するようなトラックのところだけ今までどおり砂地で、あとは芝生というふうな感じだったものですから、球技をする中で、ちょっとほかの競技をやるときに、段ができたりしてやりにくいんではないかとか、いろいろ大変ご心配を受けて、最初に余り歓迎される向きではなかったときがあったんですね。
今は、実際にはもう芝生化が進んでおりまして、また若干やってみた感じとは違うと思うんですけれども、それでもたまたまこの地域、ボランティアの方が大変多かったので、ボランティアの方なんかも随分協力して、また一方では、養生シートをかなり使うんですけれども、この物置なんかも別につくったりして、前向きに取り組んでいると同時に、かなり手間と時間をかけているというのもまた事実かなというところであります。
特にうちの方は多摩地域の中で、しかも緑が残っているところでございますので、なかなかヒートアイランド現象に対しての対策というふうにいわれても、校庭から出ても緑がいっぱい残っているから、何となく、すごい手間をかけて校庭を芝生化しなくても、涼しいところは涼しいよというようなことも、あるといえばあるんですね。
そういった中で、逆に今回、予算づけの中で、多摩の方から見れば、やはりビルが多くて緑地が少ないという地域の方が緊急度が高いんではないかなというような感じがしております。やはりこのようにヒートアイランド対策に対して、そういった対策をとる必要がある緑地の少ない都市部と、緑地が多い、畑や公園も多い多摩地域では、この必要度合いというものや、そしてまた、その必要度合いに伴って地域の協力、あれはいいことだからやろうというのと、そんなに慌ててやらなくてもいいじゃないかというような、そういった感覚も地域によって違うんじゃないかと思いますので、やはり支援の優先度合いも、東京都全体の中では一律ではなくて、若干異なってくるんではないかなという気がするんですけれども、その辺について東京都の所見を伺います。
○小山都市地球環境部長 校庭の芝生化は、ヒートアイランド対策という観点だけではなく、身近に緑あふれる空間を創出し、子どもの環境学習の場を創造していくといったことも目的としております。このような観点から、地域に優先度を設けるということではなく、校庭芝生化を希望する学校に対してひとしく、それぞれの特性を生かした芝生化ができるよう支援していきたいと考えております。
○斉藤委員 それでは、校庭の芝生化のほかに、たびたび出ております屋上緑化があります。屋上緑化についても、区部と多摩ではヒートアイランド対策の緊急度というものも異なるでしょうし、また、もちろん建物の数みたいなものも大分違うとは思いますけれども、そういう意味では、屋上緑化の推進についても、多少やっぱり地域によって、緊急度という意味で違いが出てしまうのではないかと思いますが、これについてもどのように考えているか、所見を伺います。
○小山都市地球環境部長 多摩地域におきましても、区部と同様に、都市化の進展とともに緑が失われてきておりまして、アスファルトやコンクリートにより地表の人工化が進んでいる状況がございます。多摩の市街地でも、人工化した地表面が日射を受け、気温上昇に影響を与えております。このような状況から、多摩地域においても、一定規模の建築物の新築等に際し、緑化計画書の提出を義務づけ、その中で屋上緑化を推進している次第でございます。
○斉藤委員 多摩の方でも緑被率が地域によってかなり違うので、一概に多摩全体をいえないと思いますけれども、そういう場所もありますということで、よろしくお願いします。
それでは、ちょっとテーマを変えまして、中小事業者の工場の土壌汚染対策について伺います。
先ほど化学物質の話も随分出ましたけれども、化学物質を用いる工場の場合、その工場が移転、廃業する際に、土壌汚染対策法や環境確保条例に基づいて、まず土壌汚染の有無を調査する義務があります。事業の種類によって使用される化学物質は随分異なりますけれども、調査の結果によって基準以上の汚染が確認されれば、汚染土壌のいわゆる掘削、除去、さらには表層を覆土することによって対策を講じるという流れになります。
とりわけ、その土地を売却しようとする場合、売る人、そしてまた、それを買い取る民民の取引の中で、汚染土壌全体の掘削を求められる場合が多いというふうに聞いております。その作業を行うとなると経費が高額になる、場合によっては不動産売却益がかなり少ない、なかなか自分で思っているとおりに売却益が出ないということも想定されます。そうなると、現実問題として移転や廃業をちゅうちょするということも十分考えられます。
実際に、こういった試算を現業やられている方が先々の心配として考えても、実際に幾らぐらいかかるのかとか悩んで、本当に先が見えなくなってしまうということも、ご意見を伺っております。
規模が大変小さい事業でありますクリーニング業、そしてまた逆に、都議会の方にもいろんなご意見を寄せておりますいろいろな化学物質を使うメッキ業、この二つなどを比較しても、随分その対応というのは異なると思います。特に、前者のクリーニング業については、住宅地に囲まれた場所で営業する場合が多いために、開業時には特に規制がなくて業務を始められたけれども、実際、廃業や移転するときには周辺が住宅地になっていて、また用途地域も変わって、全く周りと同じような売却可能な、土壌汚染が全くないような不動産にするというのは大変なことであるというようなことも聞いております。
また、メッキ業については、クリーニング業に比べて、いろいろな種類の化学物質を扱っておりますので、浄化対策が必要なのですけれども、なかなかそのレベルも、クリーニング業程度では済まない難しさがあるというふうにも聞いております。
そこで、それぞれどのような特徴が実際にあるのか、クリーニング業とメッキ業を例にとって説明いただければと思います。
○柿沼参事 ご指摘のように、有害物質を使用した工場などが廃業、移転する場合などには、そこで使用された有害物質による土壌汚染の調査が必要になりますが、クリーニング業の場合には、テトラクロロエチレンのようなドライクリーニング用の有機溶剤、いわゆるVOCが使用されるために、まず土壌中のVOCを調査することになります。VOCは土壌に浸透しやすいため、汚染の拡散が起こりやすい特徴があります。このため、汚染が深い位置にまで到達しがちであるとともに、敷地面積が百平方メートル程度と狭い場合も多く、処理作業に困難が伴うことから、対策の費用が高額になりやすい傾向がございます。
一方のメッキ業ですが、クロムやシアンなどの重金属類を使用しているために、これらが調査対象となります。また、生産工程によっては、クリーニング業と同様にVOCを使用している場合もあるために、調査対象項目が多くなる傾向もあります。メッキ業の場合も敷地が狭い場合が多くて、汚染土壌の処理費用は、クリーニング業と同様、割高になりやすいという特徴がございます。
○斉藤委員 それでは、そのような土壌汚染の可能性がある業務をやられている方が実際にそういった売却などを考えた場合に、どのような行政指導をしているのか、伺います。特にクリーニング業やメッキ業では、そんなすごい大きな工場というわけではない場合も多いですし、今いいましたように、そういったところはどうしても住宅地の中で除去作業をしたりというようなことで、費用が高額になるというふうなことになります。高額になるという部分での相談の上に、実際にその処理費用が用意できないかもしれないということも、多分悩みの種かと思います。このような場合、事業者からの相談があった場合、東京都はどのような指導を行っているか、伺います。
○柿沼参事 ご指摘のような小規模な事業者さんについては、法律とか技術的なことをなかなかご理解いただけない部分もあるかと思いますので、都では、クリーニング業あるいはメッキ業を対象に、そこで発生する土壌汚染やその対策の特徴を踏まえて、おのおのの業種別に、調査対象となる物質についての解説、あるいは調査地点の決め方など、わかりやすく説明したパンフレットを作成しておりまして、中小企業者の方が法律的に土壌汚染対策を行うことができるよう指導を行っております。
また、中小企業者の方々が土壌汚染対策を行う際のさまざまな相談に応じることができますように、総合相談窓口を設置して対応いたしております。
○斉藤委員 それでは、なかなか例を挙げるのは難しいかと思うんですけれども、汚染浄化処理についてどの程度の費用がかかるのか、事例があればぜひ教えてください。
○柿沼参事 実際の土壌汚染の対策費用といいますのは、汚染の広がり方や敷地の状況などによってかなり幅があるようでございまして、一概にいうことは難しいんですけれども、東京都では平成十六年度から、土壌汚染処理事業者に対しましてモデルケースを提示して、モデルケースを処理した場合に必要な技術の提案、そして、その費用を公開してもらう取り組みを行ってまいりました。
この結果によれば、汚染が深さ七メーター、深い位置にまで達しており、百四十立方メートルの汚染土壌を処理するという、小規模な工場としては比較的重篤な汚染があるケースで見ますと、その費用は、提案された中の技術の平均で約八百万円となっております。
○斉藤委員 今、平均的な処理の費用が八百万円ということで、もちろんこれは廃業されるときの状態によっては、安い人もいれば高い人もいるということで、これは数字は一つの目安にした上で考えていただくにはいいのかなというふうに思います。
最後に、都として、こういった特に中小の事業者の方のケースが多いわけですから、この負担を軽減するために何らかの取り組みを行っていれば、ぜひともそれをご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○柿沼参事 土壌汚染対策は、ご指摘のように、一般に調査や対策に多額の費用がかかるといわれておりまして、敷地が狭い中小事業者の方の場合にはさらに割高になる傾向もあります。このため都では、汚染の調査技術と対策技術の両面から、低コスト化に向けた取り組みを行っています。
まず、対策技術の面ですが、さきの答弁でもご説明いたしましたけれども、都が提示したモデルケースに対して、処理事業者から対策技術の提案とその費用を公開してもらい、競争原理により費用を低減化することを目指しまして、土壌汚染処理技術フォーラムという催しを平成十六年度から毎年開催してまいりました。
次に、調査技術の面ですけれども、法令に定められた分析方法、これをいわゆる公定法というふうにいいますけれども、この方法では、分析の結果が出るまでに一般に二週間程度を要するといったことがございまして、対策工事の期間を長期化するようなことがございます。
その対策工事の期間短縮を図るということは、対策費用全体の費用の低減につながるということから、平成十年度から、現場ですぐに汚染状況がわかるような簡易で迅速な分析法の開発と普及を促進するために実証試験を開始いたしました。平成十八年三月には、環境確保条例に基づく対策において用いることができる重金属類を対象にした簡易で迅速な分析技術を選定いたしました。
また、公定法にかわるそうした簡易な分析方法について採用するよう、国に提案要求も行っております。
都は今後とも、中小事業者の土壌汚染対策にかかる費用が低減されるよう、こうした取り組みを進めてまいりたいと思います。
○斉藤委員 ありがとうございます。東京都の方で、国が決めている調査方法よりも簡単にできる分析技術を推進しているということで、ぜひともそのあたりを頑張って、なるべく低予算で、小さな事業者が売却する際に支援をしていただければと思いますし、また、なかなかそういったことに取り組んでいることがわからない小さな事業者の方も多いですので、広報活動も引き続き頑張っていただきたいと思います。
では、最後に、ちょっと簡単に、もう一点、経済誌などで今現在注目を集めておりますトウモロコシ、芋、米などでつくるバイオエタノールについて伺います。
私ども、都議会民主党の海外視察のメンバーも、ブラジルでかなり実用化が進んでいるバイオエタノールの工場を視察しておりました。早晩、日本の研究技術ならより身近な代替燃料として実用可能になるかと思いますが、このバイオエタノールについて、東京都では今後どのような研究とか活用、支援、推進といった展開をする可能性があるのか、ぜひとも展望を教えてください。
○大野企画担当部長 バイオエタノールの利用に関しましては、その利用の方法につきまして、そのままガソリンに混合する方法と、化学的に変化をさせまして、それから混合する方法と二つがございます。どちらの方法を選択していくかについて、国においてもまだ統一的な方針が定まっておりません。
今後、この二つの方法の課題につきまして、環境省や経済産業省が検討を行うことになっておりますので、都では国の検討状況に関する情報の収集などをしながら、バイオエタノールの今後の利用方法を検討していくこととしております。
○松葉委員 まず初めに、アスベスト対策について伺います。
アスベストにつきましては、平成十七年の夏以降大きな社会問題となったことは、記憶に新しいところでございます。私も一昨年の第三回定例会の厚生委員会におきまして、都立病院でのアスベスト専門外来の設置を提案いたしました。そして、都立広尾病院でアスベスト専門外来が平成十七年十一月からスタートいたしたところでございます。
また、法整備や民間企業における自主的な取り組みなども進みまして、一時、社会的に大きな不安がございましたが、ようやく落ちつきが見られるようになった、そういうような状態になったかと思っております。
しかし、輸入されたアスベストの大半が建材として使われており、この建材を使用した建築物の解体がこれからピークを迎えることを考えると、飛散防止対策は今後とも徹底していかなければいけない課題であります。
これまで飛散防止対策として注目されてきたのは、吹きつけアスベストに代表される飛散性の高いアスベスト建材でした。もちろんこれは大変重要なことですけれども、加えて注意していかなければならないのが、成形板と呼ばれます非飛散性のアスベスト含有建材です。成形板は屋根のスレートや壁、床、天井材など、極めて幅広く使用されていますけれど、傷つけたりしない限りは、日常的にアスベストが飛散するおそれは少ないといわれております。しかし、建築物の解体時などに切断したり破断したりした場合は、飛散する可能性があります。したがって、成形板の飛散防止対策も徹底をしていかなければいけない課題でございます。
昨年の第一回都議会定例会の本会議の一般質問で、我が党の大松成議員がアスベストの成形板対策について質問いたしました。環境局からは、十八年度中に調査の実施や専門家等による検討を行い、マニュアルを作成するとの答弁がありました。
そこで、まず、このマニュアルの作成につきまして、現在どのような状況なのか、伺います。
○石渡環境改善部長 アスベストによる健康被害を防止するためには、お話しのとおり、非飛散性のアスベスト成形板につきましても、建築物の解体時等においては適切な飛散防止対策を徹底することが重要でございます。成形板の対策方法につきましては、これまでまとまったマニュアルなどがなかった状況でございまして、このため、環境局では昨年六月に、専門家や関係業界の方々により構成するアスベスト成形板対策検討会を設置し、検討を重ねてきております。
一方、成形板からのアスベストの飛散実態を把握するために、建築物の解体現場における測定や実験施設における各種実験も行っております。この検討会では、実験結果等を参考にしながら、去る二月二十三日に、アスベスト成形板にかかわる飛散防止対策についての報告書を取りまとめております。都といたしましては、この報告書に基づき、今月中にマニュアルを作成する予定でございます。
なお、アスベスト成形板の飛散防止について行政が総合的に取りまとめたマニュアルは、都が初めてつくるということになると思っております。
○松葉委員 都が初めてということで、大変にすばらしいということで、大いに期待をしたいと思います。
アスベスト成形板の除去には、中小規模の解体業者や、また経験の少ない業者などが作業を行うことも想定されます。マニュアルは、現場で解体作業を行うこれらの業者が使いやすく、また実施が可能なものでなければならないと思います。また、成形板には非常に多くの種類がありますので、一律のマニュアルというのは難しいと思います。そこで、このマニュアルに盛り込もうとしている主な内容と工夫について伺います。
○石渡環境改善部長 アスベスト成形板の対策マニュアルの策定に当たりましては、建築物の解体事業者などが使いやすいものにする必要がございますので、その内容は、現場に即した実用的なものにしたいと考えております。
この対策マニュアルは、種類と用途などの基礎知識、解体時におけるアスベスト飛散防止対策、関係法令の概要等で構成する予定でございまして、例えば成形板の除去時において、飛散防止のため極力原形のまま手作業で行うことや、飛散を少なくするため噴霧や散水により湿潤化させることなどの具体的な方法につきまして、天井、床などの内装材と屋根、壁などの外装材ごとにまとめていきたいと考えております。
取りまとめに当たりましては、成形板の種類が非常に多いことから、ご指摘のとおり一律のルールを必ずしも定めるのではなく、現場の状況に応じた湿潤化の方法や飛散防止対策などを選択できるようにすること、作業者があらかじめ湿潤剤等の浸透性試験を行うことなど、現場で効果的な方法を採用できる工夫をしてまいります。
○松葉委員 このマニュアルが策定された後は、広く普及をし、現場で役立ててもらうことが重要だと思います。環境局としてこのマニュアルをどのように普及していくのか、伺います。
○石渡環境改善部長 先ほどご説明したアスベスト成形板対策検討会には、多くの業界団体に参加をいただいており、随時情報交換してきておりますが、今後、これら関係業界に対しましても、随時説明会を開かせていただきます。
また、区市町村の担当部署とも十分な連携を図って、このマニュアルの活用と普及を図ってまいります。
さらに、インターネット上でも公開し、だれでも入手が容易なようにするなど、広くマニュアルの普及を図り、飛散防止対策の徹底に努めてまいります。
○松葉委員 このアスベストによります疾病は、潜伏期間が数十年ともいわれておりまして、アスベストが原因で健康を害された方々への対策も、長期にわたる大変な重要な課題でございます。
また、新たなアスベストの含有製品の使用は、既に原則禁止となっておりますけれど、建築物などに残っているアスベスト建材からの飛散防止対策も、長期間の対応が必要になります。今回でき上がる成形板マニュアルにとどまらないで、今後とも新たな知見を常に収集し、広く情報提供することによって、新たな被害者の方が出ませんように、都民の安心を確保するよう不断の努力をお願いさせていただきたいと思っております。
次の質問に移ります。
次に、校庭の芝生化について伺います。
都は、さきに発表した「十年後の東京」において、都内の小中学校等の校庭芝生化により、三百ヘクタールの緑をつくり、はぐくむということでしております。校庭の芝生化は、緑化とともに、子どもたちの環境学習という視点からも意義の高い施策であり、積極的に進めていただきたいと思っております。
私の地元の杉並区立の桃井第五小学校では、平成十六年から校庭の芝生化に取り組んでまいりました。この取り組んでこられた保護者の方々からお話を伺いましたけれど、桃井第五小学校の芝生化に当たりましては、当初から、学校校庭の芝生には、児童生徒一人当たりが確保すべき芝生面積が七・四平米から十五・八平米程度という見解が一般的だということでありますけれども、桃五小の場合は児童数が六百九人ということで、一人当たりの芝生面積は三・七平米と非常に少ないということで、当初から、芝生を長持ちさせるのが大変ではないか、もともと維持管理が大変だろうという専門家の指摘がありましたけれども、そういった中でスタートいたしました。
体制も、もともとは学校が中心の、学校で管理をするというだけでスタートしておりましたので、芝生が完成した平成十七年四月から七月ごろまでは緑の美しいグラウンドでございましたが、雨が降った中で実施をしました盆踊り大会のときに、雨が降っておりましたが、普通に実施をして、多くの方がげたを履いていらっしゃって、そして、屋台の前にたくさんの行列が並んだりしました結果、その一日の盆踊り大会が終わったら、かなり芝生が傷んで、ほとんど土が出てしまったという状況に一日でなってしまったそうでございまして、その後、傷んだ芝の養生がうまくできず、一年間、最終的に三月には土になってしまった、そういうことになってしまったそうです。
この一年を経て、芝生への取り組みをどうしようかというふうに考えたときに、やはり学校だけでは困難なことを実感したことで、芝生化に成功している杉並区の和泉小等の事例を参考にしまして、再度、桃五小芝生を育てる会というのを開きまして、組織、取り組みを新たにスタートいたしました。
組織には、やはりPTAの役員は一年一年かわってしまいますので、この桃五小芝生を育てる会の会長には町会長になっていただきまして、副会長にPTAが入り、また学校関係者が入り、そしてグリーンキーパー等のオブザーバーが入りという形でやりました。
そして、一番最初にしましたことは、やはり子どもたちが芝生を育てていくという意識を培おうということで、一年間芝生がなくなってしまったときは、子どもですので、土いじりと一緒で、芝生に入ると芝を抜いてしまうというか、そういうことも当然あったようでございまして、そうでなくて、芝生を育てるという意味ということから、まず芝生のイメージキャラクターを学校で募集しまして、桃五小でしたので、シバナーとか、シバオーとか、モモシバ君とかということで、さまざまかわいいキャラクターの応募が五十八通ありまして、そのうち四つがキャラクターに決まりまして、表彰式も持って、そして、保護者の方にも芝生を愛していただこうということで、広報活動も積極的に行って、「ももしばらんど」という通信も発行するようになりました。
そしてまた、ペットボトル大作戦ということで、ペットボトルに芝生を育てて、教室でそれぞれ育てましたし、また、さまざまな行事のときには、ご家庭でもペットボトルで育てていただいて、その育てた芝生を補植する、そういう形でマイ芝生をつくるということもやりまして、そうやって児童みずから芝生を育てることをこの十八年度やってまいりました。そういった中で、今年度はそういった状況で、緑豊かな芝を維持するという状況になっております。
そういう意味では、こうした桃五小等の取り組みなどを考えますと、やはり反省点や、努力といいますか、学校や地域や、また保護者の方や児童の方、すべてが芝生を大事に育てながら、環境学習をしながら、また緑化を進めていく、そういう視点が大事だと、大変に私もお話を伺いながら痛感をしております。そのことを踏まえまして、現在の芝生化の取り組み状況と今後の予定について質問させていただきます。
まず初めに、都は校庭芝生化を実施した各学校から、施工や維持管理に当たっての課題などさまざまな声を聞いていると思いますけれども、具体的にどのような声が上がっているのか、伺いたいと思います。
○小山都市地球環境部長 昨年の秋以降、既に芝生化を実施した小中学校を訪問いたしまして、校長先生や実際に管理をされている先生方などから、芝生化の効果や課題などについてお話を伺いました。
芝生化をしてよかった点として、子どもが外で遊ぶようになった、けがが少なくなった、昆虫や鳥が来るようになり自然とのかかわりを感じられるようになったなどなど、子どもの教育環境の向上に大きく貢献しているとの声が多数ございました。
一方、芝生の状態を正しく把握できずに使用を続けたために一部が枯れてしまったなどのことから、専門家の協力なしで難しいという声もございました。また、養生期間中の代替地の確保など、各学校において試行錯誤しながら維持管理に取り組まれている様子も伺うことができました。
○松葉委員 そういった一つ一つの実際やった学校の声というのは、とても参考になってくるというふうに思っております。
芝生の維持管理については、先ほど申し上げましたけれども、学校だけではなくて、地域や保護者の理解と協力がなければ対応ができません。その際に、維持管理にかかわる仕事内容や仕事量、また、養生期間に対する代替地の対応等について、各学校が地域に説明をしていく必要があると思います。桃井第五小学校では、初年度に、全体の作業内容や作業量がよくわからないので、維持管理のための人員を確保できなかったことがうまくいかなかった原因の一つと考えられると思います。
学校の規模によって異なると思いますけれども、この維持管理に当たって、どういった作業があってどの程度の人員が必要なのか、こうした点についても、これから取り組む学校に周知していくべきだと思います。今後どのような対応を図っていくのか、伺います。
○小山都市地球環境部長 芝生は、気象条件や校庭の使用条件に応じて適切に手当てを行うことが大切でございます。また、管理を担当する教職員やPTAの役員等が毎年かわっても芝を維持していかなくてはならないことから、地域を中心とした維持管理のための組織づくりが重要であると考えております。
こうした点を含め、来週三月六日に、各学校や教育委員会を対象に実践的な経験交流の会を開催いたします。その中で、既に芝生化に取り組んだ学校の貴重な経験や取り組みを盛り込んだ事例集や技術マニュアルをもとにいたしまして、維持管理を適切に行う上での望ましい組織のあり方や実際の作業内容などについてお話しをさせていただきます。
また、既に芝生化に取り組んでいる学校の体験談もお聞かせいただく予定でございます。
○松葉委員 今ご答弁がありましたけれども、三月六日開催の経験交流会や、またマニュアルの作成、重要な取り組みと評価しております。その上で、現実に芝生の状況なんですが、雨が降ったときに入っていいのか入って悪いのかというふうな細かいところからも含めた、芝生の状態、問題が生じたときに、専門家の知識、またその助言、アドバイスというものが大変重要かと思っております。
桃井第五小学校では、現在、和泉小学校で維持管理と経験をお持ちのグリーンキーパーの方がオブザーバーとして参加をしていただいて、大変助かっていると聞いております。
そのように専門家に対して気軽に相談できる仕組みを用意しておくべきと考えますが、都はどのような支援を考えているのか、伺います。
○小山都市地球環境部長 まず、先ほど申し上げました経験交流の会におきまして、芝生化の設計、施工、維持管理について専門家の協力を得て、困ったときに役立つ技術的な説明を行う予定にしております。
さらに、各学校や地域からの要望に応じて、技術的な相談のできる専門家を紹介したり、実践事例などの情報提供を行う仕組みについて、現在、検討を進めているところでございます。
今後とも、各学校において校庭芝生化が円滑に進むよう、維持管理についての支援を積極的に行ってまいります。
○松葉委員 ぜひとも学校の芝生化を積極的に進めていただくためにも、また、成功させるためにも、この芝生の維持管理に対する都の支援を強化していただきたいと強く要望いたしまして、質問を終わります。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、予算、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時散会
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