環境・建設委員会速記録第十六号

平成十八年十二月十一日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小磯 善彦君
副委員長斉藤あつし君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事大西由紀子君
理事相川  博君
河野百合恵君
きたしろ勝彦君
原田  大君
松葉多美子君
中山 信行君
高橋 信博君
臼井  孝君
くまき美奈子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長村山 寛司君
総務部長加藤 英夫君
建設局局長依田 俊治君
次長矢口 貴行君
道路監道家 孝行君
総務部長島  博文君
用地部長藤井 芳弘君
道路管理部長内海 正彰君
道路建設部長林 健一郎君
公園緑地部長伊藤 精美君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長桐越  信君
公園管理担当部長北村 俊文君
参事吉原 一彦君
参事小田 昭治君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
契約議案の調査
・第二百四十二号議案 街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(十八北南-府中三・四・七清水が丘)請負契約
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○小磯委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十八年十二月八日
東京都議会議長 川島 忠一
環境・建設委員長 小磯 善彦殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第二百四十二号議案 街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(十八北南-府中三・四・七清水が丘)請負契約
2 提出期限 平成十八年十二月十一日(月)

○小磯委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百四十二号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 新聞等にも出ているんですけれども、国交省が公共工事の入札評価に品質の加味だとか、競争激化で安値防止策、あるいは技術力重視へということを発表しているところですけれども、東京都も同じようにこれからやろうとしているんだと思うんですけれども、その件に関して、今回の入札についても安値だというふうに私は思っているわけです。
 そこで、この件についてお伺いするんですけれども、我が党の吉野議員が本委員会において、三定で、低入札価格について、工事の品質確保や現場の安全管理については大丈夫なんだろうかとか、あるいは下請業者への影響はないかなど、厳しく追及したと聞いているんですけれども、今回の四定の契約案件についても、同様に低入札価格となっているわけです。
 そこで、本案件が確実に施行されるか、下請業者がしわ寄せを受けるようなことがないのかなどを確認するため、質問をさせていただきます。
 まず最初に、本路線は多摩の南北幹線道路の一つ、府中清瀬線という重要な路線であるわけですが、今回の工事概要を簡単に教えていただきたい。また、工事の特徴は何かをお伺いいたします。

○林道路建設部長 府中清瀬線は、多摩川にかかる是政橋から清瀬市下清戸の埼玉県境に至る延長十七・六キロメートルの骨格幹線道路であり、そのうち清水下通りから旧甲州街道までの約五百五十メートルが唯一の未着工区間でございます。
 本件工事は、このうち清水下通りから約二百九十メートルの区間において道路を築造するために、工場製作による大型ボックスカルバート及び擁壁の設置を行うものでございます。
 工事の一部の区間において、道路下に直径約七・六メートルの下水シールド管が二本通っており、ボックスカルバートなどの設置に当たっては、シールド管とのすき間が最小約九十センチメートルという近接施工となるため、シールド管に影響を与えないよう施工する、難易度の高い工事でございます。

○きたしろ委員 今、お話をお伺いしますと、下水シールド管の上に構造物を設置するという難易度の高い工事ということですよね。
 では、低価格で落札した場合は、調査制度があるとお伺いしているんですけれども、どのような工事に対してその調査制度が適用されるのか、お伺いをいたします。

○林道路建設部長 地方自治法施行令及び東京都契約事務規則は、良質な工事と確実な履行を確保するため、極端な低価格による入札を対象として、低入札価格調査制度と最低制限価格制度を設けております。
 東京都では、土木工事につきまして、予定価格四億円以上のものを低入札価格調査制度の対象とし、四億円未満につきましては最低制限価格制度の対象としております。
 本件工事は、予定価格が四億円以上であることから、低入札価格調査制度の対象となっております。

○きたしろ委員 今回の工事は、下水シールド管に近接してボックスカルバートを設置する工事ということですけれども、具体的にはどのような課題があるのでしょうか。

○林道路建設部長 ボックスカルバートなどを設置する際、シールド管の上を掘削することにより管の上部の荷重が減少し、シールド管が変形することが懸念されました。このため、シールド管に影響を与えずに施工する方法を検討し、その結果、シールド管の上の掘削範囲を必要最小限にして、掘削とカルバートなどの設置を順次繰り返す工法を採用することといたしました。

○きたしろ委員 非常に難易度の高い工事だと思うんですけれども、このような工事が低入札工事となると、技術面においても心配であるところですけれども、低入札価格調査はどのような目的で、どのようなことを確認されているのでしょうか。

○林道路建設部長 低入札価格調査制度は、最低の価格により入札した者が当該契約内容に適合した履行ができるかどうかを調査、確認するために行うものでございます。
 調査方法は、積算内訳書や施工体系図、配置予定技術者の実績などの資料を提出させた上、低価格により入札した理由、積算内容、施工体制、品質確保等についてヒアリングを行うものでございます。

○きたしろ委員 そのヒアリングを行った結果、どのような理由で、今回、このような低い落札価格となったのか、お伺いをいたします。

○林道路建設部長 入札予定価格と落札金額とで最も大きな差額が生じている項目は、ボックスカルバート購入費でございます。
 コスト削減の具体的な理由といたしましては、素材となるセメント、骨材などの材料の請負者による一括購入、ボックスカルバート及び擁壁の購入予定先である子会社の工場経費等の削減によるものと聞いております。
 また、現場管理費、一般管理費等についても、必要最小限の経費のみを計上することにより、コスト削減を図っております。

○きたしろ委員 工場製品のボックスカルバートの購入費が低入札の原因の一つということですけれども、ボックスカルバートの積算はどのように行ったのか、また、その積算は適切であったのか、お伺いをいたします。

○林道路建設部長 本件工事の予定価格の積算は、建設局積算基準などに基づき算出いたしました。局の積算基準は、現場条件などを考慮し、標準的な工事費を算出するために、国土交通省の積算基準を参考にして作成しております。
 国土交通省では、毎年継続的に工事の施工状況を調査し、必要に応じて基準の改定を行っており、これに合わせて、局でも適切に基準の改定を行っておるところでございます。
 一方、請負者が入札価格の算出に当たり採用した材料の大量一括購入によるコスト縮減や工場経費の削減、管理費等の最低限度の見積もりなどについては、請負者独自の理由によるものでございます。
 したがって、積算基準に基づき標準的な場合の積算を行った本件工事の予定価格は、普遍性のある妥当なものと考えております。

○きたしろ委員 ボックスカルバート購入費が低価格になったのは、請負者独自の理由によるということですけれども、では、請負者が現場管理費や一般管理費等を削減してまでも今回工事を受注したのは、どのような背景によるものだと思いますか。

○林道路建設部長 今回の応札に当たっては、子会社の工場も含めた継続的な受注の確保、困難度の高い工事の受注実績の確保や施工技術の伝承、技術者の育成等の目的から受注することを最優先しております。
 採算につきましては、当工事単体で考えるのではなく、会社全体での経営判断により入札価格を決定していると聞いております。
 また、建設共同企業体の第二グループの構成員である会社も、受注実績の確保や技術力向上を目的に受注を優先していると聞いております。

○きたしろ委員 請負者の困難工事に対する受注意欲が高かったということだと思いますけれども、もちろん公共工事というのは税金を投入して行うものであり、安くできるのであれば、それはそれでいいことだと思うんです。また、その方がいいという考えもあるでしょう。しかし、でき上がる施設は五十年、百年というスパンで都民が利用するものでありますから、そういって安かろう悪かろうということでは困るわけです。良質な品質を確保して安全に工事が施工されることが重要であると思います。
 そこで、品質確保及び安全管理に関してどのような方法で確認していくのか、お伺いをいたします。

○林道路建設部長 工事の品質確保や現場の安全管理に関しては、現場における対応方法につきましてヒアリングで確認をしております。
 契約後の監督体制について、監督基準に決められている頻度以上に確認を行うなど、強化していくこととしており、請負者に通告をしてございます。その際、監督員に外部委託による監督補助者をつけることにより、監督体制強化の一助といたします。
 品質管理については、通常の工事以上に施工段階での確認を監督員の立ち会いによって行い、品質確保を図ることとしております。
 具体的には、工場製作のボックスカルバートの材料検査、鉄筋の背筋検査、コンクリート強度の確認などを行ってまいります。
 また、現場での出来形管理については、通常以上の頻度で行ってまいります。
 安全管理につきましては、施工計画書の安全管理に関する計画が現場において確実に履行されているのかを監督員が確認いたします。
 あわせて、建設事務所で設置している工事安全対策委員会において安全パトロールを重点的に実施し、作業員とともに第三者に対しても安全確保が図られているかなどの点検を厳格に行ってまいります。

○きたしろ委員 先ほどもいいましたけれども、会社全体でこの案件を落札したということなんですけれども、こういったときにやっぱり心配なのは、低入札工事によって下請業者へのしわ寄せがあると思うんです。先ほど会社全体で判断するという話があったんですけれども、これは赤字覚悟で入札しているというふうにとらえられるわけですよ。そこで、もし赤字覚悟ということであれば、下請業者への確実な支払いが行われていない可能性があるのではないのかなという心配があるわけです。
 今回、工事が適正な価格で下請されているのか、都としてどのようにチェックしていくのかをお伺いいたします。

○林道路建設部長 下請への影響につきましては、低入札価格調査ヒアリングにおきまして、下請予定業者及び下請予定金額を確認し、履行が可能と判断したところでございます。
 また、施工段階におきましては、実際の下請金額について、下請契約書による確認を厳密に行ってまいります。それに加え、下請業者に対し、支払い状況等を直接ヒアリングし、影響の有無を確認いたします。
 これらの実施につきましては、低入札価格調査ヒアリングにおいて請負者に通告をしてございます。
 なお、既に着工している他の低入札案件において下請業者からヒアリングを実施しておりますが、現在のところ、下請業者からの苦情などについては、特に聞いてはおりません。
 今後とも、下請業者へのしわ寄せが生じないように引き続き確認を行ってまいります。

○きたしろ委員 そのようにチェックをしていくということなんですけれども、やはりこれだけの低入札価格が続いていくと、下請業者への影響がないとはいい切れないのではないのかなというふうに考えるわけです。価格競争ばかりが先行して、下請が元請との関係でやはり不利な立場に置かれているというのではいけないというふうに私は思います。
 さらにまた、つけ加えて申し述べれば、地元でまじめに汗をかいている会社が適正に評価されなければならないと考えているところです。これについてはどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。

○林道路建設部長 公共施設は、将来にわたる社会資本として都民が安心して安全に利用できるよう整備、維持管理されなければならないものでございます。
 委員のご指摘のように、価格のみの入札制度は過度の価格競争になっている面もあるかと思われ、発注者としても長期的な施設として良好な品質の確保の重要性を改めて認識しているところでございます。
 そこで、価格のみではなく技術力を適正に評価して契約に反映できる総合評価方式について、昨年度から中小規模工事を対象とした入札価格と企業の工事成績などを総合的に評価する施工能力審査型総合評価方式を試行しており、今年度につきましては、九十件程度に拡大して行う予定でございます。
 さらに、より技術力や施工実績の評価のウエートを高める新たな総合評価方式を検討するため、現場の困難性のある工事などを対象とし、企業の工事成績のほか、施工計画の内容や災害協定などの地域貢献実績などを評価項目に加えて総合的に評価する方式を今年度十件程度試行する予定であり、既に一件入札したところでございます。
 また、低入札工事につきましては、今後とも品質管理、工程管理、安全管理などへの監督を強化、徹底するとともに、現場の施工体制や下請業者への影響の有無についても十分確認をしてまいります。そして、その結果を工事成績評定に厳格に反映させることで優良企業の適正な評価、不良不適格業者の排除をしてまいります。
 さらに、総合評価方式の積極的な導入を行い、真に技術力にすぐれた企業が適切に評価されて工事が受注できるような仕組みを整えてまいります。

○きたしろ委員 ことしに入ってから低入札の多発している現状があるわけですけれども、一月からの罰則を大幅に強化した改正独占禁止法の施行や、あるいは大手建設業による談合との決別宣言などが背景にあると指摘されているわけです。
 低入札が今後さらに多くなってくるようだと、本格的な高齢社会に向けて良質な社会資本のストックに支障を来すおそれが生じると思います。これはひとえに都民の安全にかかわる問題になってくるわけです。それだけではなくて、下請業者へのしわ寄せや労働条件が悪化するなどの問題もあると思われます。
 このようなことがないよう、これまでもさまざまな取り組みを行っているという答弁をいただいたわけですけれども、今後もしっかりと実情を把握して、価格競争だけの入札だけではなく、日々、都道の維持管理に地道に取り組み、また、風水害や雪害、そして地震時の災害対応に率先して取り組んでくれる、地場のまじめで優良な業者が報われるような仕組みや、あるいは、今答弁にあった総合評価方式の積極的な導入を切に願っているところです。
 吉野理事のご指示に従って、質問を終わらせていただきます。

○斉藤委員 それでは、きたしろ委員の質問と関連するところが多分にありますけれども、その中で少し伺いたいところを質問いたします。
 今回、もとの予定価格の五四・三%という大変低価格な契約になりまして、今、質疑のやりとりがありましたように、事後の業者のヒアリング等も行って、さかのぼった調査をしているということです。
 主な低価格の理由ということで、ボックスカルバートの話が出ておりましたが、それ以外の部分にも幾つか要素があったということですので、その辺をもう少し具体的に、低価格の根拠になった理由について確認をしたいと思います。

○林道路建設部長 今回、低価格入札になった理由としては、大きく二つございます。
 一つ目は、副委員長ご指摘のとおり、大型ボックスカルバート等の購入費の縮減でございます。その理由としては、請負者による材料一括購入によるコスト縮減や子会社の工場経費等の削減でございます。
 二つ目は、管理費の縮減でございます。
 現場管理費につきましては、主に企業の監督員の人件費を計上し、その他の管理費については、通常よりも大幅に縮減してございます。
 また、一般管理費等については、本社の品質、安全を管理する部署の経費のみ計上しており、調査研究費や役員報酬費等については削減をしてございます。
 なお、これらの管理費の本件工事の積算に当たって縮減した分につきましては、会社全体で補てんすると聞いております。

○斉藤委員 伺うと、確かに役員報酬費とか、一般的な工事からすると、その場ではなかなか目に見えない部分の縮減というのを行っているようですし、また、先ほど、きたしろ委員からの質問の中でもちょっとありましたけれども、会社全体の方である程度、多少無理をできるような感じで、会社全体で今回の入札価格を支えている感じがあります。結果的には、会社の規模--もちろん会社の規模というものは、工事の中身にも、また価格にも、ある程度影響を及ぼすことは仕方がないところだと思いますけれども、そうはいっても、大きなところだけが会社全体でそれを支えてしまって、そこばかりが取ってしまうというふうになりますと、それこそ先ほど話がありましたように、地元の業者さんやこれから伸びていくような会社については、大変怖いところであります。
 基準の改定の話も先ほど出ましたけれども、この低い価格というものが、今後、同様の工事の標準となるようなことはないのか、確認をしたいと思います。特に、今いったように、少し今回は、一般的な工事単体以上の理由がありますので、余りこれが基準になってしまって、健全な入札ということの中で差しさわりがあるんじゃないかと感じますので、そこを質問いたします。

○林道路建設部長 東京都におきます予定価格の積算は、建設局積算基準などに基づき算出をしております。
 今回の請負者の入札価格は、材料の大量一括購入によるコスト縮減や子会社の工場経費等の削減、管理費等の最低限度の見積もりにより算出したものでございます。その価格は、請負者独自の理由により本件工事のみにおいて適用されるものであり、普遍性はございません。
 したがって、このように低い価格は、今後の標準価格にはならないものと考えております。

○斉藤委員 今、伺った中で、子会社との関連という話も若干出ました。また、最初の方の質問の中では、本社の品質、安全を管理する部署の経費は計上するけれども、調査研究費などはかなり削減しているということでした。
 そういった意味では、かなりぎりぎりまで削りに削ったという感じを受けます。ですから、やはりこういったものが今後の--予定価格そのものの基準の中ではすぐに反映されずに、本当に今回、普遍性のない個別のものだというふうな答弁でありましたけれども、結果的に全体の雰囲気が、そこまでやらなきゃ取れないんだというような雰囲気にならないように注意をしていただきたいと思います。
 今回の工事、個人的には、私の住んでいるところからちょうど真南に当たりまして、南多摩に抜けるのに、私も多分使う道路じゃないかと思います。本当に地域の方々の安全ということも含めて、沿道の方々の安全ということも含めて、削りに削ったけれども、最初の予定ではこうだったけれども、何か不測の事態が起こったときに、予算がないということで、変なところに無理がかからないように、しっかりと途中途中チェックをしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○中山委員 新聞報道によりますと、大手ゼネコンが脱談合を申し合わせた昨年末以降、全国的に低価格入札、いわゆる低入札が増加しているというふうにいわれております。低入札は、契約履行内容、工事内容の粗雑化という点での品質の確保で不安がございますし、事故を招きやすいという点でも安全性に課題があると思います。
 また、先ほど来お話がございますように、下請業者へのしわ寄せといった点でも、景気の下支えをくじく懸念材料になりかねないという面で心配でございます。
 契約履行内容の粗雑化は、安全性の危惧に加えて、環境面でも影響が懸念されております。国土交通省の資料によりますと、平成十六年の低入札の道路工事で、産業廃棄物である伐採木が使われたといった例もあったようでありますし、低入札における事故の発生率を比較しますと、平成十八年度は平成十七年度に比べ約三倍に悪化しているとの報告もあります。
 工事完成後に発注者が工事内容の評価を行う工事成績評定と落札率との関係を調べますと、明らかに落札率が下がるほど評定は低くなっており、六五%未満の落札率の工事では、ほぼ一〇〇%の工事が平均点以下の評定となっております。
 都においても、今回提案の工事が低価格入札であるなど、低入札がふえているとお伺いしております。近年の建設局における低価格入札の状況をお伺いいたします。

○吉原参事 低入札価格調査制度に基づきまして調査を実施した件数は、平成十六年度十件、十七年度二十一件、十八年度が十一月末までで十六件でございます。

○中山委員 今年度はまだ十一月末までの数字でございますけれども、やはり全体的に増加傾向にあるということでございます。
 ところで、東京都、建設局は、低入札対策に前向きに取り組むというようなことで、低価格入札への対応策を検討するため、業界との意見交換にも取り組んでいらっしゃるとお伺いしておりますけれども、どのようなことが今わかっていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

○吉原参事 都では財務局など関係各局が連携して、建設業界と、本年十月下旬から順次、低入札に関する意見交換を実施してきております。
 低入札が起きている背景としましては、公共工事の減少により、公共工事と建設業者の数のバランスがとれてないとの意見がありました。
 低入札をしてでも工事を受注する理由としましては、工場の稼働率の確保、工事の受注実績の取得、社員の土木技術の継承などのためとのことでございました。
 低入札への対策としましては、低入札価格調査制度の厳格な適用など、発注者側の対応を期待するといった意見が多くございました。

○中山委員 今、業界の方々の声をよく聞いていただいているようで、分析に一生懸命取り組んでいらっしゃる様子がわかりました。
 今、ご答弁がありましたように、業界側からは、発注者である行政側の対応を期待する声が上がっているようでございます。
 国においては、先ほどのご質問にもありましたように、この十二月八日に新たな低価格入札対策を打ち出しました。その主な内容としては、例えば低入札価格調査において、予定価格の内訳である直接工事費などが一定の基準を下回ると、特別重点調査を実施し、施工体制や下請契約状況などを徹底調査するということでございます。
 安値の根拠を資料等で合理的に説明できないと失格にするほか、公共工事の目先の実績の獲得のために低入札に走る傾向を是正するため、入札参加資格に係る過去の公共工事実績の範囲を現行の十年から十五年に改めるともしております。
 また、総合評価方式において技術力をより重視する新評価方式を導入し、入札価格は低くても技術点が高くなければ落札できない仕組みにするとのことでもございます。
 さらに、不当廉売に当たるとして低入札情報を公正取引委員会に通報するとの対策も講じるようでございます。
 こうした国の動きを受け、都におかれましては、この低価格入札に対し、どのように今後取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

○吉原参事 都では、財務局を中心としまして関係各局から成る契約事務協議会の中に低入札等検討PTを本年十一月に設置し、対応策の検討を行っております。
 一方、技術的な側面から、副知事を座長とする東京都技術会議の中に公共工事の品質確保部会を設置し、建設局が事務局として、入札、契約段階から工事の施工完了段階まで、幅広く低価格入札への対応策の検討を進めております。
 建設局では、契約段階での低入札価格調査の厳格な実施、工事実施段階での工事監督の強化に取り組んでいるところでございます。
 現在、低入札価格調査制度におきます適正な履行基準の設定や、チェックリストを活用した下請業者からのヒアリングなどの対応策を検討しているところでございまして、関係各局とも協議してまいります。
 今後、総合評価方式を拡大するとともに、実現可能な対策を確実に実施していくことによりまして下請業者へのしわ寄せなどの防止に努め、公共工事の品質確保、工事の安全確保を図ってまいります。

○中山委員 今後とも、低価格入札に対しましては、入札、契約段階、施工段階などさまざまな機会においてきちんとご対応いただき、下請として参加した地元で頑張っている中小企業へのしわ寄せが行かないよう、また、業界が適切な競争のもとで健全に発展していけるように、しっかりとお取り組みをお願いしたいと思います。
 と同時に、都におかれましても、低入札を防止しようとするせっかくのご努力が、暗に談合を黙認しようとしているんじゃないかというふうに疑われたりとか、あるいは、契約額の高どまりを招くんじゃないかとか、そういう批判を受けないように、さらに公共工事契約に関する信頼性を高めるご努力を並行してお取り組みいただきたいと思います。
 建設局におかれましては、ことし四月一日に、従来の土木技術研究所を新たに土木技術センターに改編されたとお伺いしております。より一層、公共工事、公共事業の円滑化、高品質化を進める上で必要な技術的サポートを強化されていると聞いております。土木技術センターでは、新たな製品や技術の開発を試験して数値データを評価するなど、企業努力を応援する積極的な取り組みも行われてきたと了解しております。私ども、機会があればぜひ拝見させていただきたいと願っております。
 こうした企業努力を後押しする東京都の姿勢が、先行企業と同程度の技術を持ちながら実績を得られない、または新たな技術開発を行っても受注実績に結びつかないといった、都民の目から見れば不可解な状態を招かない、未然の防止策になると思います。
 結果的に公共工事に伴う機具や機械、施工技術において、一部の企業が独占したり寡占したりするという状態を防ぐことにもつながりますし、企業努力の高まりが受注価格の適正化に柔軟に直結していくという関係性を確保することにも役立つと思います。
 私は、低入札対策等、こうした入札、契約環境の公正化は、都の公共工事に関する都民の信頼と理解を深める車の両輪であるというふうに思います。行政に対する信頼の強化は、建設局のような、地味かもしれませんけれども、まじめに取り組んでいらっしゃるセクションの姿が都民の目に正しく伝わっていくということによって深まっていくと信ずるものであります。
 さらなるご努力をお願いして、質問を終わります。

○河野委員 本議案は、入札価格に対して落札率が五四・三%の低価格入札になっています。各委員からも既に質問がありましたが、私もこれまで、建設局発注の工事契約で低入札案件が増加しており、工事の品質低下の懸念や下請業者の営業、労働者の賃金低下等に問題が起きている、こういう問題について建設局の見解をお聞きしてまいりました。
 低価格入札受注は、最近は不良不適格業者にとどまらず、大手のゼネコンも予定価格を大幅に下回る落札をして下請の中小業者に厳しい対応を求めることから、今や中小企業にとっては死活にかかわる大問題ともなっています。私たちにも多くの切実な声が寄せられています。
 今回は、項目を絞ってお伺いをいたします。
 都政関係のある新聞に、依田建設局長の発言が紹介されております。第三回定例会で低価格入札が問題になったがとの問いに対して、局長は、非常に心配していますと答えています。
 局長のご発言を要約しますと、一つは、安かろう悪かろうになる可能性が十分にある、二つは、安全確保の問題、そして三つは、法令遵守に関する問題、下請にしわ寄せが及び、労働基準法を守らない、最低賃金を守らないということになりかねないというご発言です。
 局長ご自身がこうした発言をされるような問題が低価格入札の工事現場で具体的に起きているのでしょうか、建設局が把握されている状況についてご説明をお願いいたします。

○林道路建設部長 公共工事は、将来にわたる社会資本を整備するとともに、都民が安心して安全に利用できるよう適切に維持管理するために実施するものでございます。
 公共工事の品質を維持するためには、工事を実施する業界の健全な発展が不可欠でございます。昨今の長期的視点を欠いたかのような低入札がふえていることは、会社に個別の事情があるとはいえ、発注者である建設局として危機感を持っているところでございます。
 低入札に当たり、受注者は、工事単体で採算を考えるのではなく会社全体として判断しているとヒアリングで述べているところでございますが、そのようなことを続けていると、企業経営としても体力が低下し、工事の品質の面で安かろう悪かろうという事態に陥ることが懸念されるところでございます。
 また、予定価格の五割、六割という金額で落札するに当たり、受注者は、将来に対する投資である人材育成費や研究技術開発費などを削減しており、このままでは日本の技術力の低下を招き、やがては次世代における国際競争力の低下につながることが心配されるところでございます。そのようなことが結果として都民共通の財産である社会資本の良好な整備や適切な維持管理に支障を来すことが危惧されるところでございます。

○河野委員 ご答弁をいただきまして感じるんですけれども、今の部長のご答弁、これまでもこの委員会で答弁されてきた局のご見解とほぼ一致しているという感じかなという思いをしています。
 局長は、先ほど紹介した新聞のご発言で、安全確保の問題や法令遵守、すなわち下請や労働者へのしわ寄せ、賃金への影響などについても述べておられるんです。
 低価格入札については、東京都として、この間、業界との意見交換を行っていること、また、来年度に向けて対策の方向性をまとめるとのことも報道されていますから、今いただいたご答弁は、主に受注業者--元請ですね、そういう企業に対してのご見解が中心的な問題だったと思うんですが、先ほどから出ておりますような下請あるいは労働者、工事の品質の問題、こうした問題についてもさらに実態を把握していただきまして、委員会にも報告していただくなどの努力について、私は強く要望しておきたいと思います。
 局長のご発言に関して、もう一点伺っておきます。
 低入札案件については、一件一件調査を行った上で約束を取り交わしているが、現場で実際に約束どおり履行するのか、しっかり監督しなければならないと述べられ、続けて、しかし、今後、これらの案件では、相当な費用と労力を要しますが、監督員が現場に張りつくくらいの体制をとらなければならないと考えているとおっしゃっています。
 土木技術の専門家である局長のこのご発言は、大変印象深いものがあります。監督員の配置を初めとして、今後どのような対応策を講じる必要があるとお考えになっておられるのか、ご見解をお聞かせください。

○林道路建設部長 まず、下請業者への影響に関してでございますが、先ほどご答弁申し上げましたように、低入札案件につきましては、下請業者に対して支払いの状況等を、直接、工事現場においてヒアリングをする、それで影響の有無の確認を今年度から実施しておるところでございます。
 先ほどご答弁申し上げたように、下請業者から、個別具体の案件につきまして、苦情等については、現在のところ、特には聞いてはございません。
 今後とも下請業者へのしわ寄せが生じないように、引き続き確認を行ってまいります。
 続きまして、工事の品質管理や現場の安全管理を図るため、監督体制の強化でございますが、通常の工事以上に監督員の立ち会い回数をふやすなど、監督体制の強化を行ってまいります。
 このため、監督員に外部委託による監督補助者をつけることにより、監督体制強化の一助としておるところでございます。
 低入札そのものの発生を防ぐため、単に価格のみでなく、技術力や実績をあわせて評価し、まじめに汗をかいて地道に努力している会社が適正に評価され、受注機会が確保できるような総合評価方式を積極的に導入してまいります。

○河野委員 この機会に要望を改めて申し上げたいと思います。
 建設局が発注する工事契約によって整えられていく都市基盤は、先ほどもご答弁にありましたように、都民の生活の安全に深くかかわって、また、貴重な都民財産でもあります。そのことを踏まえて低価格入札についての要望を述べます。
 今月四日、国土交通省が建設業百一団体に対して、下請業者への代金支払いの適正化を通知したと報道されました。この通知は、資金需要が拡大する八月、十二月に、下請に対する適正な代金支払いを確保することが目的のもので、都道府県にも同様の内容で参考通知されていると報道されています。
 こうした通知にも沿って、下請業者にしわ寄せが起こらないように受注業者に対して適切な指導を徹底すること、また、労働者への賃金抑制が実際に起きているということが私たちのところに寄せられておりますので、建設関連の現場の声をしっかりととらえていただきまして、賃金対策についても都の努力を求めておきたいと思います。
 それから、低価格入札案件は、財務局が中心の審査委員会で評価する仕組みになっていると聞いています。発注者の都側だけでなく、専門性を持った第三者的な委員、メンバーを加えることも必要であると考えます。
 都としては、総合評価方式の拡充の方向などを明らかにしていますが、全庁的な取り組みで品質の確保、工事の安全施工など、さまざまな問題点について効果的な対策を講じていただきますように求めまして、質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○小磯委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小磯委員長 この際、所管局を代表いたしまして、依田建設局長より発言を求められておりますので、これを許します。

○依田建設局長 お許しをいただき、両局を代表いたしまして、お礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会に提案いたしました議案につきましてご調査、ご審議をいただき、まことにありがとうございました。
 委員会審議を通じまして皆様からちょうだいいたしました貴重なご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事業執行に反映させてまいりたいと存じます。
 引き続き、小磯委員長初め皆様方のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お礼のごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○小磯委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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