委員長 | ともとし春久君 |
副委員長 | 林田 武君 |
副委員長 | 大津 浩子君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 西岡真一郎君 |
理事 | 近藤やよい君 |
伊藤 興一君 | |
原田 大君 | |
河野百合恵君 | |
石森たかゆき君 | |
くまき美奈子君 | |
東野 秀平君 | |
吉野 利明君 | |
こいそ 明君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 村山 寛司君 |
総務部長 | 加藤 英夫君 | |
企画担当部長 | 大野 輝之君 | |
都市地球環境部長 | 小山 利夫君 | |
環境改善部長 | 石渡 秀雄君 | |
参事 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 中島 博君 | |
参事 | 平林 宣広君 | |
自然環境部長 | 福島 章人君 | |
廃棄物対策部長 | 森 浩志君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 井戸 秀寿君 | |
局務担当部長 | 月川 憲次君 | |
建設局 | 局長 | 依田 俊治君 |
次長 | 矢口 貴行君 | |
道路監 | 道家 孝行君 | |
総務部長 | 島 博文君 | |
用地部長 | 藤井 芳弘君 | |
道路管理部長 | 内海 正彰君 | |
道路建設部長 | 林 健一郎君 | |
公園緑地部長 | 伊藤 精美君 | |
河川部長 | 高橋 興一君 | |
道路保全担当部長 | 米田 秀男君 | |
道路計画担当部長 | 桐越 信君 | |
公園管理担当部長 | 北村 俊文君 | |
参事 | 吉原 一彦君 | |
参事 | 小田 昭治君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
報告事項(説明・質疑)
・PCB廃棄物処理施設の事故に対する都の指導結果と今後の対応について
建設局関係
契約議案の調査
・第百九十九号議案 たつみ橋交差点立体化工事(十七 五-放十四東新小岩)請負契約
・第二百二号議案 晴豊二号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十八 五-環二)請負契約
・第二百三号議案 是政橋二期鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
・第二百四号議案 中央環状品川線大井北発進立坑設置工事請負契約
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○ともとし委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
本件につきましては、先ほどの理事会において協議した結果、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
お諮りいたします。
本件は、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○ともとし委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の報告事項の聴取、建設局関係の契約議案の調査並びに請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成十八年九月二十七日
東京都議会議長 川島 忠一
環境・建設委員長 ともとし春久殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百九十九号議案 たつみ橋交差点立体化工事(十七 五-放十四東新小岩)請負契約
第二百二号議案 晴豊二号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十八 五-環二)請負契約
第二百三号議案 是政橋二期鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第二百四号議案 中央環状品川線大井北発進立坑設置工事請負契約
2 提出期限 平成十八年十月二日(月)
○ともとし委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○森廃棄物対策部長 日本環境安全事業株式会社のPCB廃棄物処理施設での事故につきましては、委員の皆様方に大変ご心配をおかけいたしました。
当該会社の安全管理体制全体の再構築に向けて、都がこれまで行ってきた指導と今後の対応についてご報告申し上げます。
お手元の資料1が、PCB廃棄物処理施設の事故に対する都の指導結果と今後の対応についてでございます。
そして、資料2から4が、当該会社から提出されました施設稼働に係る安全確認試験結果報告書の概要と、その報告書及び改善実施状況報告書となっております。
資料1に基づきましてご説明させていただきます。
一ページをごらんください。
Ⅰの事故の概要は、三月と五月の事故の概要でございます。
Ⅱの指導の経緯は、事故発生直後から現在に至るまで、都が行ってきた指導監督の経緯を示しております。
都といたしましては、当該会社の組織や運営の構造的な原因分析に基づき、安全管理体制全般の抜本的な対策を講ずるよう指導してまいりました。
また、これまで週一回以上継続して立入検査を行ってきたことのほか、直近では、安全確認試験に立ち会い、総合的な緊急時の対応訓練も行わせました。
二ページをお開きください。
二から四ページにかけましては、改善指導の内容を具体的に記載しております。
二ページの1は、事故の直接原因と改善指導でございます。
廃水流出事故と排気排出事故につきましては、それぞれの直接的な原因を分析し、それに対応した設備や運転面での具体的な対策をとらせました。
三ページをごらんください。2の事故の構造的原因と改善指導でございます。
事故の直接的な原因のほか、当該会社には、安全に対する意識の欠如や責任所在の不明確など基本的な安全管理体制が不十分でありましたので、これに対して改善指導を行いました。
その内容は、(2)の〔1〕でございますが、事業を実施する上での責任の明確化や人事の刷新のほか、経験豊富な人材を補強させました。
また、〔2〕では、安全総点検を実施させ、第三者機関を活用させながら、作業手順や設備の改善を行わせました。
〔3〕では、異常時に周辺環境に影響を及ぼす可能性のあるすべての設備でのフェールセーフ機能を点検し、機能を強化させました。
さらに、〔4〕のとおり、安全意識の欠如や訓練不足があったことに対しまして、全職員を対象に教育、訓練を徹底させました。
四ページをごらんください。3の施設稼働に係る安全確認試験の立ち会いと審査でございます。
設備の安全確認試験では、都が立ち会い、実際にPCB廃棄物が確実に無害化されたこと、周辺大気濃度も基準を満たしていることを確認いたしました。
安全管理に係る対応能力の審査につきましては、職員の知識、技能が一定の水準に達していることを審査させるとともに、緊急時対応訓練の実施では、都の立ち会いのもと、機器故障発生時などを想定して実地に訓練をさせ、職員の緊急時対応能力の向上を図らせました。
Ⅳの今後の対応ですが、施設再開の条件につきまして、今後、都は、地元区と協議し、条件を付した上で施設の再開を決定したいと考えております。
条件といたしましては、施設再開に当たり、安全性を確認しながら、施設の処理量を段階的に増加させること、安全管理の状況や緊急時訓練の結果を都に定期的に報告させることといたしております。
また、施設再開後の都の対応でございますが、地元区と連携し、再開に当たり付した条件を厳正に守らせるなど指導監督を徹底してまいります。
なお、参考といたしまして、参考1では安全確認試験の体系図を、参考2では施設全体の処理の流れ図をつけてございます。
以上、簡単でございますが、都の指導結果と今後の対応についてご説明させていただきました。
○ともとし委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○こいそ委員 それでは、質問をさせていただきます。
ただいま、国策会社、日本環境安全事業株式会社が運営する東京PCB廃棄物処理施設の事故に対する都の指導結果と今後の対応についてご報告がなされましたが、この施設については、極めて短期間に、三月と五月、二度にわたる事故を発生させました。
当環境委員会におきましても、七月十三日に現地を視察いたしまして、この会社から事故発生、事故に対する対応、その後の改善計画の説明を一定的に受け、質問もさせていただいたところでありますけれども、視察の際の質疑で、操業を開始したばかりで、人的機能を含めてチェックに不足があった、本社はさまざまな事故の発生原因関係を含めて関知していないといいますか、そういう話がありました。
例えば、私も大変驚いたんですが、屋外に、本来設置してはいけない、一つの円形のプールというのかな、これが五か六、かなり大きなものであったといわれておりますけれども、我々が行ったときはほとんど撤去されておりました。そして、これは明らかに地元区との話し合いも当然のごとく、設置してはいけないんだ、屋外設置はいけないんだということ。さらに、それだけじゃなく、これはいうまでもありませんけれども、廃液を漏らしている。廃液が流れていってしまったということですね。
その後、この件とともに、先ほど短期間で二回あったといわれる、要するにヒーターですか、これは人為的に極めて単純だといわれますけれども、これを切らなかったことによって異常が発生してしまったということが続いたわけであります。
その中で、私たちも質疑の中で、会社のトップと、また担当する責任ある立場の方々とのやりとりをする中で、本来社会が求めている会社の重要な使命という中で、会社が本来しっかりと社会責任を果たしていかなきゃいけないところが、安全管理上も、さまざまなチェックも、運転委託会社ですか、運転委託をしている会社の従業員等との責任なんだということです。先ほどいった裏の駐車場、廃液が流れてしまった。置いてはいけないものから外部に流れてしまった。しかし、それも、驚きましたけれども、自分たちは表玄関の方の駐車場にとめているので、裏にとめたことがないから知らなかったという、本当に何と理解していいかわからないぐらいのご答弁もいただきましたけれども、とにかく当事者意識というか、本来あってはならない事故が短期間で二度も起きてしまったという中で、根本的な責任の所在、社会に対する反省、地域、地元に対することもそうでしょう、こういうものは極めて感じ得なかったですね、このあたりについては。
そもそもPCB廃棄物は、毒性があり、特別管理廃棄物に位置づけされ、約三十年にも及ぶ長期保管が余儀なくされている。いわば負の遺産といえるものだというふうに思いますが、PCB廃棄物の処理に当たっては、まさに国策として、処理方針を定めて、特別立法によって法律を制定して、そしてこの国策会社、日本環境安全事業株式会社が設立された、こういう経緯があるわけであります。
この極めて高い社会性と重要なミッションを持つ会社が続けざまに、先ほどからるる申し上げておりますけれども、連続して事故を起こし、しかも事故の内容も、都民の信頼を著しく損なうといいますか、こういうことが起きている。損なってしまっている。
この会社のこれまでの安全管理体制に対してあえて厳しくいわせていただくならば、会社の管理監督体制や職員の安全に対する知識など事故の構造的原因に対し、都は安全管理体制の改善などこれまでどのように指導してきたのか。本社の安全管理に対する責任が当然明確となったわけでありますけれども、安全管理に対する姿勢は、本当に抜本的に、この会社のミドル、トップについて改善されるといえるのか、改めてここでお伺いしたいと思います。
○森廃棄物対策部長 施設の安全管理体制を徹底させていくためには、本社が安全管理に対する全責任を負うことを明確にするとともに、関係者が一丸となって安全管理責任を遂行していくことが極めて重要と考えております。
日本環境安全事業株式会社では、都の指導を受け、事故の構造的原因を認め、本社に安全管理に関する全責任があること、また、安全管理責任の遂行に当たりましては、本社、事業所、運転委託会社が一体となって遂行していくことを改めて強く認識するに至ったところでございます。
この認識を社員全員に徹底させるため、事業所及び運転委託会社社員全員を集めた安全大会におきまして、社長が直接、関係者全員が一体となって安全管理体制を強化することを伝えるとともに、全国の事業所の全社員にも伝えるなど安全意識の浸透に努めているところでございます。
今後とも、安全管理に対する責任体制が引き続き維持されるよう、都といたしましても強く指導を徹底してまいります。
○こいそ委員 このような都からの指導、要請に対して、一たん改善されたとしても、その改善内容を継続して安全管理体制をさらにしっかりとしたものにしていくためにも、今後の指導がさまざまな面で極めて重要になってくると思うんです。
また、PCB廃棄物処理業者、これは会社でありますけれども、この事業は、先ほどもいっておりますけれども、国策で開始がされたわけであります。当然国にも指導監督の責任があるのではないか。このPCB処理施設は、国からPCB廃棄物の広域処理の要請を受けて、安全の確保などの受け入れ条件の遵守を前提として、東京都は、PCB廃棄物処理施設の整備を受け入れたということだと思います。
そこで、国の指導監督責任について、都は国に対して具体的にどのような要請を行ってきたのか、伺いたいと思います。
○森廃棄物対策部長 PCB廃棄物の処理施設整備につきましては、国が事業者に対して安全性の確保について責任を持って監督指導するとした条件を前提に都として受け入れたところでございます。
日本環境安全事業株式会社につきましては、PCB特別措置法に基づき、国は事業者を直接監督指導する責任があることから、事故発生後、都は国に対し適切な改善対策をとるよう強く要請してきたところでございます。
また、六月に都議会で議決いただきました意見書の趣旨を踏まえまして、改めて国に対し事業所への厳正な監督指導の実施を文書で強く要請したところでございます。
今後とも、国に対し、事業者を適切に指導して、受け入れ条件を遵守し、安全管理体制を維持、向上していくよう引き続き働きかけてまいります。
○こいそ委員 こういういい方は極めて適切ではないと思いますけれども、まさに一度発生した事故、二度また発生してしまった。一度あることは二度あり、二度あることは三度あっては、こういうことは全くあってはならないことであります。
この会社が、このようなというか、関連する大変な社会的な使命や重要な廃棄物処理をしっかりとこれからも担って操業もし、処理も円滑にやって、安全性にも配慮しながら進めていっていただくためにも、このようなことが二度と起こらないようにと願わずにいられないわけであります。
私たちはまだ、今回起きたこと、人為的なミスもそうでありますけれども、こういうことをいったら大変失礼かと思いますが、会社の何か構造的な問題がありはしないかと思えてならないところも、まだ払拭されてないんですね。
仮に三度目となるようなまさに事故が発生しないように、重ねて東京都はどのような指導をこれからも行っていくのか、伺いたいと思います。
○森廃棄物対策部長 三度目の事故を起こすことは絶対にあってはならないと考えております。日本環境安全事業株式会社に対しましては、今後とも安全管理体制を維持、向上していくよう、地元区と連携しながら厳しく指導を徹底してまいります。
しかしながら、万が一今後同様な事故が発生した場合におきましては、施設の使用停止や改善命令など廃棄物処理法に基づく行政処分を含めて厳しく対処してまいります。
○こいそ委員 ぜひひとつ、毅然たる姿勢と効果的な指導も行っていただきたいと思うところであります。健康で安心できる都市環境を確保するためにも、負の遺産であるPCB廃棄物をいつまでも保管していくわけにはいかない状況であります。安全確実な処理をしっかりと進めていかなければならないところはよく理解するところでありまして、安全性、信頼性の高い施設としていくためには、特に安全性に今後もさらに十分配慮した上で施設の再開をしなければならないと強く感じますが、所見を伺います。
○森廃棄物対策部長 施設の再開に当たりましては、地元住民を初め都民の施設に対する不安感、不信感を払拭することが必要であり、段階的な稼働など一定の条件を付すことが必要と認識しております。
施設の処理量につきましては、安全性を確認しながら六カ月かけて段階的に増加させる条件を付することといたします。具体的には、再開当初は施設処理能力の三分の一の運転とし、二カ月ごとに処理量を増加させ、最終的に施設のPCB処理能力の二トンまで増加させるといたします。
また、施設の再開後におきましても、安全管理の状況等引き続き厳しく見守る必要がありますことから、安全管理に対する詳細な取り組み状況の報告と緊急時訓練の実施を求めてまいります。
安全性を十分に確認しながら、失われた信頼を回復できるよう慎重に施設の再開を行ってまいります。
○こいそ委員 今お話もございましたけれども、かかる事故のため施設が停止してから半年となるわけでありますが、東京都のみならず、周辺の県である埼玉、千葉、神奈川のPCB廃棄物の処理がその後進まない状況も出ているわけであります。この状況を打開するということも当然必要でありますし、これもまた現実に対応していかなければいけない、まさに必然的なところがあろうかと思います。
東京都は依然として都内から排出される多くの産業廃棄物の処理を他県に依存している状況にある中で、この東京PCB廃棄物処理施設は、埼玉、千葉、神奈川のPCB廃棄物を逆に都内で受け入れ、処理をしている。そういう面で近隣県のためにも意義あることでもあるわけであります。
ぜひとも安全性や信頼性の確保を実現させて、安全操業をしっかりと実現させていかなければならないと考えるところであります。
最後に、改めて環境局長の決意を伺いたいと思います。
○村山環境局長 ただいまご指摘をいただきました今回の事故でございますが、日本環境安全事業株式会社が、昨年の十一月に開業いたしました同社の東京事業所におきましてたび重なる事故を発生させましたことは、都民の信頼を深く損なうものであり、極めて遺憾でございます。
都といたしましては、この間同社に対し、まず事故の原因を、直接原因、構造的原因、両面について根本から明らかにすること。これに基づき改善策を、設備全体にわたる改善、安全管理に係る対応能力の向上、そして緊急時の対応能力の向上、この三つの柱ごとに、設備面と、それを運用する人的な体制、能力、意識に及ぶ面まで、この両面にわたり徹底した改善策を策定すること。そして、その改善策が机上のものとならないように、確認試験、そして実践的な訓練によって裏打ちをすることなどにつきまして、厳しく会社に対しまして指導をしてまいりました。その内容につきましては、先ほど部長からご説明申し上げたとおりでございます。
PCB廃棄物は、首都圏全体、さらには日本全体の負の遺産ともいえるものでございまして、しかも、お話のございましたように、東京の産業廃棄物の多くが他県に依存して処理をされている状況ということを考えますと、一都三県のPCB廃棄物を東京で安全かつ確実に処理していくことは喫緊の課題でございます。
この課題を達成するためには、東京におけるPCB廃棄物の処理について、安全かつ確実な施設の稼働と信頼性の高い事業運営を継続的に実現することがぜひとも必要でございます。
都といたしましては、この点を十分踏まえまして、施設の再開に当たっては、日本環境安全事業株式会社に対しまして再開の条件を付することといたしまして、以後これを厳正に守らせるとともに、安全管理体制が継続的に維持、向上されるよう、徹底した指導を実施していく決意でございます。
○大津委員 どんな事件、事故や災害でも、先ほどこいそ委員の言葉の中にも出ましたが、一度あることは二度ある、二度あることは三度ある、しっかりと気を引き締めない限り続くわけでありまして、そういう気持ちを持って、環境・建設委員会といたしましては、七月の十三日に日本環境安全事業株式会社の東京事業所を視察させていただきました。
直接現場で働く社員の方々ともお話をしながら、一番感じたことは、廃棄物の最先端の現場で働いているという誇りや危険への認識、そういったところが本当に腹に性根が座っているのかどうかというのを一番痛切に感じたわけであります。
今回の事故の分析は、二つ要因がありまして、一つは機械の故障、ふぐあい、二つ目には、単純な、忘れた、勝手にタンクを置いた、そういう勝手、忘れたという人的な単純なミスを二回繰り広げてきたわけであります。
改善策としましては、先ほど報告の内容にもありました事故の原因となった設備だけでなくて、新たに洗浄液タンクのフェールセーフ機能を強化したとか設備改善を実施させた、ヒーターの消し忘れでPCBの水が減って漏れたわけですが、減ったらお知らせするような、そういった追加の装置をつけて、機械は機械で改善策をとったということであります。まずは、社員の方一人一人に現場をよく見るということを徹底してほしいと思っております。
今回の事故は、同社の運転会社任せで処理を行っていた無責任な体制にも原因がありますが、やはりほとんど現場に行かないトップの姿勢も変わるべきであると思っております。昨年十一月に創業して、私たちも開設式、竣工式に出させていただきましたけれども、それから事故が起こるまで、本社の方の社長、役員などの上層部が、実際に現場に行って、顔を出したり、現場をよく見たり、社員に声がけをしたりなど、そんな現場をよく回るような陣頭指揮を実際にとっていたのかどうか。今回の改善策の中で、そうした体制がもしとられていなければ、きちんととられるようになったのか、そのご報告をお願いしたいと思います。
○森廃棄物対策部長 日本環境安全事業株式会社におきましては、これまで社長や役員による現場の陣頭指揮が不足していた感は否めない状況でございました。改善実施状況報告書によりますと、社長みずからが現場に出向き、朝礼などにおいて、事故の責任は社長みずからにあること、PCB漏えい事故は絶対に起こさないという背水の陣で一丸となって臨もうと直接社員に呼びかけるなど、安全管理意識の浸透に努めてきました。
都は、今後とも引き続き社長を中心とした安全管理体制が確立されるよう、指導を徹底してまいります。
○大津委員 安全対策を築く努力と実績を積んでいらしたということであります。東京都としては、これからも社長を中心として安全管理体制を維持し、指導監督するとともに、現場で働く一人一人が廃棄物最先端の場で働く誇りや危険への認識をもっともっと持っていただけますよう、指導監督をお願いいたします。
次に、問題点は、やはり働く人たちの構成、構造改革にあると思います。プラントのどうしても弱点でもありますけれども、最近はリストラも進み、事故を起こしたようなこういった会社の場合に、大規模なプラントでは、社員がいろいろなところから、派遣会社の方とかも複合的に入っている、そんな中で仕事を行っている構造にあると思います。
まず、日本環境安全事業株式会社から二十六人、実際は厚生省のOBの方とか、関係省庁の方々が役員を占めて、この工場とは違うところに本社機能として存在されているわけです。そして、派遣会社でもあります運転委託会社から百七十四名、総勢二百名で構成しておりますけれども、本当に経験が豊かで知識のある社員、正しい知識を持って的確に判断できる人が余りにもバランス的にも少なかったと思っております。
派遣会社から来る場合に、派遣会社でも教育してから出すと思いますけれども、やっぱり現場で、一に教育、二に教育、三に教育、それをしていかないと、機能が動かなかったのではないかと感ずる点です。この二回の事故を受けて、経験豊かな人材、正しい知識を持ってちゃんと判断、指示できる体制を具体的にどのようにポスト配置もしながら改善をされたのか、お伺いいたします。
○森廃棄物対策部長 プラントのような施設におきましては、会社の核となる、経験が豊富で、プラント経験が豊かな人材の配置が不可欠でございます。こうした事故を踏まえまして、都の指導により事業所のトップと運転委託会社の統括管理責任者を更迭するとともに、施設運営の中核的なポストについて新たに増員を行ったところでございます。
具体的には、事業所の運転管理部門及び安全管理部門にプラント経験者や安全管理の経験豊富な社員を配置するとともに、運転管理会社の運転スタッフ長や当直長にプラントのマネジメント経験のある社員を配置し、人数といたしましては、更迭を含め二名を交代し、十名を増員したところでございます。
○大津委員 責任ポストの交代、増員を行ったということでありました。一人一人現場で働く社員までこの意識改革を浸透して、改革を指導していただきたいと思います。
まず、現場なんですけれども、必ず事故も事件も、天災でさえも前兆というのがあるといわれております。現場をまずよく見ること。見ただけじゃなくて、毎日働いていれば、そこで、ここで足が転びそうだとか、この装置がちょっと最近調子がおかしいとか、ここら辺で転落事故が起きそうだとか、簡単にいえば、いろいろと日常的におかしいなという部分があるはずであります。そういった声をちゃんと事前に吸収することで、事故を未然に防げるはずであります。
そうした意味で、プラントの現場で日常的にひやっとするような経験や、はっとしたような作業など、よくヒヤリ・ハット事例、そういわれますけれども、そういったことが発生していたはずでもあります。こうした個人の経験や体験を、みんなでその声を共有し、事前に防ぐことによってプラント全体の改善、事故、事件に結びつけていくことにも、このヒヤリ・ハットの運動を徹底していきたいと思います。二回の事故を踏まえまして、都が今度、設備改善等にこうしたヒヤリ・ハットを結びつけるよう、事業者を指導してください。見解をお伺いします。
○森廃棄物対策部長 高い安全性が求められるPCB廃棄物処理施設におきましては、安全性の向上や事故を防止する観点からヒヤリ・ハットの運動は重要であると認識しております。当該会社は今回の事故に係る改善計画の重要な課題として見直し、ヒヤリ・ハット運動に取り組んできました。
その結果、例えば実際に作業している社員から、現在の窒素配管の色では他の配管と間違えやすく、事故につながるとの指摘があり改善したことや、複雑な作業を確実に実施するため作業手順を現場に大きく掲示するなど、施設の改善や運用面での見直しに効果がございました。
今後とも、こうした手法は社員の意欲や安全意識の高揚にも効果があることから、この運動のさらなる活用を図るよう、指導を徹底してまいります。
○大津委員 今回、二回の事故を受けて、東京都としましても、許可権者としましても、一生懸命徹底的に改善策を実際施して、今後も抜き打ち検査などもするということで、かなりやってくれたことに関しては非常に評価したいと思います。
最後になりますけれども、PCBやアスベストの問題もありますが、こうした負の遺産を解消するためには、安全や確実に処理がなされることが不可欠であります。東京都が産業廃棄物処理の許可を与えていた一事業者ではありますけれども、ほかの産廃業者と同じような指導を行っているだけでは、負の遺産はなかなか解消されない。そういった中で、今後、東京都は自信をもっと持って、昔清掃局を持っていたわけですから、もっともっと強いリーダーシップ性を発揮しまして、局内だけではなく、関係部署とも連携を図りながら、また国や各自治体とも連携をとりながら、さらに一歩踏み込んで当該事業者を指導監督をし、負の遺産解消に積極的に取り組むことが引き続き重要であります。その見解をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○森廃棄物対策部長 今回の事故に当たりましては、都の具体的な取り組みといたしましては、改善計画の策定に当たって、数十回の打ち合わせを行い、さらに数度にわたる抜き打ち検査や、週一回以上の継続した立入検査などを行ってまいりました。
PCB廃棄物など有害廃棄物の処理に当たりましては、通常の廃棄物処理施設以上に安全かつ確実な運用が求められておりますことから、今後とも、地元区や関係部署と連携を密にしながら、地元住民との協議機関である環境安全委員会の場なども活用いたしまして、事業運営の細部にわたり厳しく指導してまいります。
○伊藤委員 先ほどPCB廃棄物処理施設の事故に対する都の指導結果と今後の対応について報告を受けましたけれども、負の遺産を解決するため、都民、国民の期待の施設であることにもかかわらず、このような事故を二度も起こしたということは重大な問題であると認識しております。
私からは、事業者から提出された改善実施状況報告書をよく見させていただきましたけれども、処理施設の安全管理体制の早期の確立を願う観点から何点か質問をさせていただきます。
まず第一の問題点として、三月に発生した廃水流出事故の原因は、本来は認められていない仮設タンクが設置されたことであります。この常識では考えられないタンクの設置はどの法律に違反をしているのか、また、法違反をしているとすれば、都は事業者に対しどのように厳正に対処してきたのか、伺います。
○森廃棄物対策部長 ふたがないなど漏えい防止装置がなされていない仮設タンクを設置し、廃水を流出させたことにつきましては、廃棄物処理法の技術上の基準に違反し、維持管理計画に違反しているところでございます。
都は、事業者に対しまして、事故後施設を停止させるとともに、改善が認められない場合には行政処分または告発を行う旨の警告書を交付するなど、厳しく指導してまいりました。
また、事故に対する責任を明確化するため、社長以下取締役の減給処分、所長の更迭が実施されたことも確認してございます。
○伊藤委員 認められていない仮設タンクの設置は、この新しい企業、新しい会社であるがゆえの体質の危うさと、また未熟さをあらわしていると私は考えます。都としても、そうした観点から厳しく会社を指導していただきたいと思います。
また、廃水流出事故の設備面での原因として、再処理が必要な廃水の送水能力が不足していたこと、つまり初期設計段階でのプラントの仕組みに問題があったことが指摘をされているわけでございます。この問題に対し、都は、この施設の設計に当たりどのようにチェックをしてきたのか。また、事故後の改善に当たりどのように指導してきたのか、伺います。
○森廃棄物対策部長 都は、この施設の建設前に行う設置許可に際しまして、PCBの漏えい防止対策などにつきまして、廃棄物処理法の技術上の基準に適合しているか、維持管理計画が適正なものか、厳格に審査してまいりました。
しかし、運用上の問題から、想定を超える廃水の発生が事故の要因となりました。この事故の教訓を生かし、運用の適正化を図るとともに、施設を改善して、再処理水の送水能力を向上させ、安定した施設の稼働ができるよう、指導してまいりました。
○伊藤委員 想定を超える廃水の発生、また施設の建設時にはまだ稼働していなかったということは理解できますけれども、今後は十分に送水能力が確保されるよう、運営に当たり厳しくチェックをしていただきたいと思います。
次に、重ねて五月に発生した排気の排出事故について伺います。
三月の事故の後、都の指導のもと、設備及び作業手順について安全点検を実施していたということでございますけれども、なぜ事業者は二度目となる事故の発生を未然に防げなかったのか、伺います。
○森廃棄物対策部長 事業者は三月の事故を受け、施設の再稼働を目指し、改善計画を提出し、稼働時における作業手順や設備について点検するなど事故の対策を検討しておりましたが、長期停止にどのような対策をとるべきかという点についての検討や点検が不十分でありました。このような安全点検が不十分であったことから、都は客観的かつ厳正な点検を行うため、事業者みずからの点検に加えまして、第三者機関による点検を実施させたところでございます。
○伊藤委員 当該の三月の事故のみにとらわれて次の事故を未然に防止できなかったことはまことに遺憾であります。事業者として広い視野で問題を解決するよう、都は指導していただきたいと思います。
また、今後事故を未然に防止するには、この施設の指導監督について、国と都がその役割を果たすことも重要であります。このPCB廃棄物処理施設は、国が策定したPCB廃棄物処理基本計画に基づき建設されたものであり、国の責任も重いものがあると考えます。
先ほどの答弁でもありましたけれども、五月の事故の後、都は七月に国へ文書要請を行ったということでありますけれども、事業者への指導監督の面で国と都はどのような役割分担を果たしているのか、伺います。
○森廃棄物対策部長 国は、PCB特別措置法に基づきまして、PCB廃棄物の処理事業を推進する立場から、事業者を直接指導監督する責任がございます。また、日本環境安全事業株式会社法に基づいて、出資者としての立場から、役員の人事の認可や事業の基本計画の認可を行うなど会社の経営を監督する責任がございます。
都は、廃棄物処理法に基づき、この施設の設置や処分業の許可を行っている立場から、法令に従い、安全に処理されるよう、事業者への指導監督を行っているところでございます。
このような基本的な役割分担がありますことから、都といたしましても、改めて七月に、国がその責任を適切に果たすよう、文書で要請したところでございます。
○伊藤委員 国と都が、それぞれの立場を踏まえた適切な役割分担のもと、厳しく指導監督するよう、改めて要請いたします。
最後に、この施設の指導監督に係る都の役割について質問します。
地元の江東区の区議会が八月に現地視察を行いました。その際、施設の安全管理体制に万全を期すようにと、厳しい意見がたくさん出たと聞いております。
私としては、再発防止を図るために、施設の改善はもとより必要でありますけれども、安全に一番重要な役割を担うのは人であると思います。施設の運営を支える職員の教育や訓練、作業手順の遵守などソフト面での改善と、その維持、強化が重要だと考えますが、今後都はどのように取り組むのか、伺います。
○森廃棄物対策部長 施設の運営に当たりましては、職員の知識、技能の向上を図らせることが重要でございます。都は、これまで事業者に対し、新たに改定した作業手順などによる再教育、訓練の実施や緊急時対応訓練の実施などを指導してまいりました。
今後、この水準を維持、強化するためには、事業者みずからの努力によるソフト面の改善が重要でありますことから、安全意識が希薄とならないよう、みずから教育、訓練に取り組むなど、都は事業者の継続的な自己改革努力が発揮されるよう、指導してまいります。
都は、再開に付す条件にある報告期間一年間を過ぎましても、この施設の重要性、特殊性にかんがみまして、抜き打ち立ち入りや定期的な都への報告などを実施し、さらに自己改革努力を促す観点から、事業者への安全管理体制の維持と強化を指導してまいります。
○伊藤委員 都の今後の対応の中にも、今後一カ月に一回、一年間都に報告をさせるというふうにありますけれども、今の答弁にありましたとおり、その一年後もしっかりと報告をさせて、また抜き打ち検査等をやっていただきたいというふうに思います。
事故の後、しばらくは職員の安全についての認識も高い水準にあると思いますけれども、次第に緊張感も薄れ、なれが出てくるようになってしまうのが世の常であります。そうした事態に陥れば、また事故につながる危険性も十分に考えられます。都としても二度とこのような事故が起きないよう厳重に指導するよう期待し、私の質問を終わります。
○河野委員 法に基づいて国が一〇〇%出資して日本環境安全事業会社を設立し、JESCOといっておりますけれども、PCB処理を始めて数カ月しかたたないうちに二回も連続して事故を起こしたことは重大です。PCBが極めて強い毒性を持つ物質であることに照らして、三たびという事故の発生は絶対に許されないことです。
初めに、お伺いをします。PCB処理の技術的な問題です。
二〇〇一年にPCB処理の特別措置法ができたときに、PCBは処理しなくてはならないけれども、無害化の技術は非常に難しいということで、技術的な到達は大丈夫なのかという意見があったと聞いています。
そこで、伺いますが、PCBの化学処理方法はどのようなものがあるのでしょうか。日本環境安全事業会社、JESCOの東京事務所では、水熱酸化方式という処理法を採用したようですが、その理由をお聞きいたします。
また、JESCOは、他の方式との比較を行ったのかどうかもお聞かせを願いたいと思います。
○森廃棄物対策部長 PCBの処理方法としては、廃棄物処理法において、水熱酸化分解方式、脱塩素化分解方式等の五つの方式が定められております。東京事業所では、東京電力の柱上トランスは脱塩素化分解方式により処理しておりますが、それ以外については、水熱酸化分解方式で処理をしております。同事業所では、都内に多量に保管されている蛍光灯安定器の処理を施設稼働の当初から行うこととしており、この蛍光灯安定器の処理に適している水熱酸化分解方式を選定しているところでございます。
○河野委員 水熱酸化方式はJESCOでは東京事業所が初めて採用したと聞いております。プラントをつくった三菱重工は長崎県の自社工場で水熱酸化方式でPCB処理をしていた実績があるようですが、私が調べた資料では、ここは一日当たりの処理能力は十二キログラムです。東京事業所の処理能力は一日当たり二トンということですから、全く規模が違います。三月の廃水流出事故の原因が、施設の処理能力を超えてしまって、無届けで仮設タンク設置に至った、このことを見ましても、技術的な到達に問題があったのではないか、プラントの完成度合いはどうだったのかという疑問が消えません。
先ほども若干ご答弁はありましたけれど、環境局はこの点でどのような判断を下しておられるのか、伺っておきます。
○森廃棄物対策部長 廃水流出事故の主たる原因は、運用上の問題から当初の想定を超える廃水が発生したこと、及び処理後の廃水が低濃度であったため通常の廃アルカリとして屋外に保管してもよいと事業者が誤った判断をしたところによるものでございます。
水熱酸化分解方式そのものは、国の審査機関の認定を受け、またメーカーが実証プラントで処理の確認を行っていることから、都といたしましては、確立した処理方式であると考えております。
○河野委員 JESCO東京事業所は、三菱重工関連の東京環境オペレーションですか、ここが稼働させている水熱酸化方式のほかに、東京電力関係の会社が脱塩素方式を採用しているということです。もう一つの脱塩素方式についての安全確認はいかがなんでしょうか。
○森廃棄物対策部長 東京電力からの柱上トランスにつきましては、低濃度のPCB廃棄物でございます。日本環境安全事業株式会社では、これを脱塩素化分解方式で処理しております。この脱塩素化分解による処理は、昨年十一月から本年三月までの約四カ月間、計画どおり稼働してございます。
○河野委員 それでは、安全性が確認されたということで受けとめてよいわけですね。
PCBを含む廃液をためていた仮設タンクについて関連してお伺いをします。
昨年十一月半ばにこの施設が竣工になり、仮設タンクが設置されたのは約一カ月後で、記録を見ますと、十二月二十一日となっております。廃水漏れの事故は三月末ですが、設置してあった仮設タンクは、数が六カ所、大きさは想像以上だったことが、私たちが赴きました委員会視察でよくわかりました。数えてみますと、約三カ月水を送っていたことになりますけれども、どのくらいの量が仮設タンクにためられたのか。そして、そのためられた廃水は、JESCOが外部の業者を頼んで外で処理させたということも聞きましたけれど、PCBが含まれた廃液を施設外に持ち出したことは、施設内処理という最大の原則を守らなかったということになるのではないでしょうか。幾重にも誤りがあったということになってしまうと思います。
環境局は、こうした事実をいつ承知されたのか。そして、このことの重大性についてはどう認識されておられますか。
○森廃棄物対策部長 外部に委託処理した量は九百五十七トンでございます。仮設タンクの廃水の処理につきましては、日本環境安全事業株式会社が活性炭処理を行い、無害化した後で廃棄物処理法に基づき通常の廃棄物として扱える廃アルカリとして処理しており、環境上問題はございませんでした。
ただし、会社の独自の判断で行った外部への委託につきましては、施設の維持管理計画に反しており、問題であったと考えております。
なお、この流出事故をいつ知ったかということでございますが、都におきましては事故後でございました。
○河野委員 九百五十七トン、約一千トンで、あそこの六個の仮設タンクには合計四百五十立法メートルですか、四百五十トン、約倍以上の水があそこにためられていたということがわかると思います。これは大変なことだと思います。
連続してPCB排出の事故が起きたのは、私は、JESCOの企業体質に根差した問題があると思います。JESCOの前身は環境事業団です。環境事業団は、廃棄物関連の仕事はしておりましたが、難しい化学処理技術を要するPCB処理についての経験の蓄積、ノウハウは持っていないと専門分野の方はいっておられました。
青海に処理施設を受け入れた東京都としては、このことについてはどのような評価をされていたのでしょうか。
○森廃棄物対策部長 日本環境安全事業株式会社は、平成十六年四月に旧環境事業団からPCB廃棄物処理事業を継承し、一〇〇%国の出資により設立されたものでございます。同社は全国五カ所の事業所で一体となってPCB処理を行う会社でございまして、旧環境事業団が具体的に進めていたPCB処理技術の研究や施設の計画、建設などを引き継いでおり、PCBの化学的処理についてのノウハウは有しているものと考えております。
○河野委員 そうおっしゃいますけれども、結局のところ今回のような結果も起きているわけですので、改めて東京都としてはご認識を深められるように求めておきたいと思います。
三月に仮設タンクから廃液が漏れる事故があったとき、環境局からご報告をいただきました。そして、そのときに私は、なるべく早い時期に現地の視察をさせてほしいと要望いたしました。でも、四月、五月、六月と、その時々に、待っていてくださいということで延び延びになりました。JESCOの方が受け入れ態勢が整わないというような理由でありました。江東区議会の議員の人たちも、同じような理由で視察を断わられたということでありました。
JESCOのホームページを開きますと、プリントを持ってきましたけれども、一番最初に、私たちは環境と安全を優先します、私たちは隠し事をしません、私たちはルールを守ります、このようなことが大きくうたわれているんです。隠し事をしませんとか書いてありますけれども、重大な事故を起こしたときに、都議会や区議会の視察、調査活動を受け入れないというのは、JESCOがいっていることと実際にやっていることとが違うという印象を受けてしまいます。情報の提供について閉鎖性があるのではないかと思いますけれども、局はどのようにお考えですか。
○森廃棄物対策部長 事故後の現場視察につきましては、施設の改善などの対応が最優先であり、設備改善のための現場作業などもありましたことから、安全性の面から見て現地視察は難しいとの事業者側の判断があったと聞いております。
情報公開につきましては、地元区住民等が入っております環境安全委員会は公開されており、また日本環境安全事業株式会社のホームページにおきましては、事故の経緯や稼働の状況等が詳しく掲載されております。このことから十分機能しているものと考えております。
○河野委員 ご答弁はそうなんですけれども、実際は、ホームページで公開するといっても、非常に限られた人しか見ることはできないわけで、安全委員会についてもメンバーは限られているということでは、私は情報が十分提供されているというふうには受けとめておりません。
JESCOに対する都の指導についても伺っておきます。
三月の仮設タンクからの廃水漏れ事故のとき、東京環境オペレーションが無許可で設置した仮設タンクについて、私は、その大きさや材質、個数などがわかるように、現状のまま、そのままの状態で残しておいてほしい、そうするべきだと要望しました。しかし、報告書を見ると、早い時期に既に撤去されていたことになります。どのような状況のもとで事故が起きたのか、原因をあらゆる角度から正確に把握する上でも、事故の状況はそのまま残しておくべきだったと私は今でも思っております。
あのように大きなタンクが、ブルーシートもかけず、廃水で満タンになって、野ざらしになっていたのですから、まさに驚きであります。情報は議会にも都民にも正確に伝える、このことからも、都は、JESCOや東京環境オペレーションに指導することはその時点でできなかったのでしょうか。
○森廃棄物対策部長 事故の発端となった仮設タンクにつきましては、ふたもなく、法律による技術上の基準に違反していましたことから、緊急に撤去する必要がございました。仮設タンクの撤去につきましては、住民の安全確保や地域の環境など安全管理面での最優先の課題であり、都といたしましても、当然不可欠なものであったと認識しております。
○河野委員 次にお伺いしますけれど、都がPCB処理施設を受け入れる条件に、フェールセーフ機能の実施がうたわれております。江東区との協定書にもそのことはきちんと出てきます。東京都や江東区の要望は、結果的には、今回の事故の結果を見ると、守られなかったということになります。都は、施設の稼働前、そして稼働後の審査、点検に当たり、さっきご答弁で厳密なチェックを行ったということは述べられていたように思いますけれども、本当にフェールセーフ機能、しっかりしたものであるかどうか、厳重な点検があったのでしょうか。
○森廃棄物対策部長 有害廃棄物であるPCBの処理に当たって、フェールセーフ機能の充実は重要であると認識しております。日本環境安全事業株式会社の東京事業所においても、当初よりフェールセーフ機能がつけられており、都も法律に基づく施設の設置許可の際、水熱酸化分解方式でのフェールセーフ機能をチェックしてございます。
なお、今回の事故は当初から設置されていたフェールセーフ機能を超えたヒューマンエラーが重なったことが原因であり、このため事故後に新たなフェールセーフ機能を追加しているところでございます。
○河野委員 この改善実施状況報告書ですか、きょうもいただきましたけれど、フェールセーフ機能の強化措置ということで、二十四カ所対策箇所が書かれています。その中で問題の水熱分解設備のところには半分以上の十五カ所、対策箇所があるわけですね。こういう状況を見ますと、稼働の前、稼働後の点検が本当にどうだったのかということは、納得がいくものではないということを改めて申し上げておきたいと思います。
九月の初めにですか、性能試験が終わって、きょうも都議会で報告がありましたけれども、これからこのPCB処理施設は再開に向かうわけだと思うんです。この時点に当たって、都としてはきちんと厳しい条件をつけるべきだと思います。今回事故があったことで、第三者機関のチェックが行われたけれども、一回のみのチェックではなくて、今後も第三者機関の定期的な点検が必要ではないかという問題を私は伺っておきたいと思います。
プラントは、PCB処理作業を進める中で、劣化することも起こり得るだろうし、フェールセーフ機能についても万全の作動体制になっているのかどうか、専門的な目を行き届かせるべきだと考えるからです。その点で都の指導性が本当に重要になってきていると思うんですけれども、都のご姿勢を伺っておきたいと思います。
○森廃棄物対策部長 事故の再発防止に万全を期すには、事故に対する改善策の実施に当たって第三者機関による客観的かつ厳正な審査が重要と考えております。
日本環境安全事業株式会社では、安全総点検や安全教育の徹底などの取り組みにおいて、外部の第三者機関による点検を実施し、より適切な改善措置を講じてきました。今後も日本環境安全事業株式会社に対して、必要に応じて第三者機関を活用しながら設備改善などを進めるよう、都といたしましても指導してまいります。
○河野委員 ぜひご努力をお願いいたします。
施設の再開の条件として、都は処理量を六カ月かけて段階的にふやしていくということを挙げておられます。安全に確実にPCBを処理する上では必要なことだと思います。
東京都の処理計画では、高圧トランス、コンデンサーなど水熱酸化方式で処理するものは平成二十三年、二〇一一年、そして柱上トランスなどの脱塩素方式のものは二〇一五年までに終了させると書かれています。この計画期間内に無理なく処理を進めることは今の時点で可能なのかどうか、その見通しもお聞きしておきたいと思います。
○森廃棄物対策部長 住民の信頼を回復していくためには、まず安全性を最優先として、施設の安全を確認しながら、段階的に施設の稼働を再開させることが重要であると考えております。今回の事故による施設の停止のため、今年度のPCBの処理予定量について、その一部を次年度に繰り越すこととなりますが、内部努力により平成二十七年三月までとする処理完了目標の達成は可能であると聞いております。
○河野委員 JESCO東京事業所は、国際的な環境マネジメントシステム、ISO一四〇〇一はまだ取得していないということでありました。申請はしているという話もありましたけれども、できるだけ早い時期に国際認証をとるべき性格の施設と考えます。
東京都としてもISO取得についてJESCOに指導を強めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○森廃棄物対策部長 環境マネジメントシステムである一四〇〇一は、操業の実績を踏まえて認定されるものでございます。日本環境安全事業株式会社は、順次、各事業所で取得する予定としており、現在では北九州事業所で取得しているところでございます。東京事業所につきましては、まず安全かつ安定的に稼働させることが直近の重要課題と考えておりますが、次のステップとして、ISOの取得について、都といたしまして、早期に取得するよう、今後指導、要請してまいります。
○河野委員 今までご答弁いただいたように、安全、確実にPCBの処理が進められるような、そういう施設になっていけば、ISOの取得もきちんと進んでいくんだろうと思いますので、それは車の両輪という形である問題でもあるかと思いますので、東京都としてもぜひご努力をお願いしておきたいと思います。
私は、今回のPCBの処理施設の事故について、意見を申し上げておきたいと思います。
PCBの処理は、自社処理の力を持っている企業が幾つもありますのに、特別措置法の成立で、税金を投入して処理することになりました。これは企業責任をあいまいにするということで、法の成立時に疑問が出された問題です。
三十年にわたって処理できなかったPCBの処理のために国が会社を設立し、全国五カ所で実施に入ったわけですけれども、化学処理の技術的到達が未完成との意見も少なからずありました。国が化学処理での無害化を急ぎ過ぎた、作業の安全に対しての作業員の教育などもあいまいにされてきたということもいわれています。東京事業所では今回の事故を最大の教訓にして、施設の運営に当たるとともに、周辺環境の安全と施設内で働く労働者の健康安全対策に万全を尽くすべきだと考えます。
東京都は国に厳格な対応を求めるとともに、JESCOへの指導監督も強められるように要望いたしまして、質問を終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○ともとし委員長 これより建設局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百九十九号議案、第二百二号議案、第二百三号議案及び第二百四号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○島総務部長 去る九月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。
表紙をお開きいただきますと、目次がございまして、要求のありました二件の資料名の件名が記載してございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
一ページ目をお開き願います。建設局発注低入札価格調査案件の推移でございます。
この表は、平成十六年度から平成十八年度までに建設局が発注した契約案件のうち、低入札価格調査を行った案件について、件名、予定価格、契約金額、落札率、契約業者を年度別にあらわしたものでございます。
続きまして、四ページをお開き願います。中央環状品川線の地元説明会の開催状況及び住民の主な意見でございます。
この表は、中央環状品川線の地元説明会について、地元説明会等の開催状況と説明会等で住民から出された主な意見をあらわしてございます。
この資料に関連いたしまして、なお回数につきましては、去る平成十八年三月二十日に開催されました当委員会の中央環状品川線住民説明会の回数に関します質疑におきまして、品川線の相談コーナーの開催回数について、実際の回数を誤って開催箇所数を乗じてお答えをしてしまいました。このことは議会答弁の信頼性を損ねるものであり、かつ、建設局の姿勢を問われかねない行為として、深く反省しております。
今後二度とこのようなことがないよう、答弁に際しましては、厳重なチェックを行い、十分精査してお答えをしてまいる所存でございます。ここでおわびした上、資料の記載どおりの回数に訂正させていただきたいと存じます。
以上、要求のございました資料の説明は終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ともとし委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉野委員 四つの契約案件についてお伺いをいたします。
最初に、晴豊二号橋鋼けた製作・架設工事、是政橋二期鋼けた製作・架設工事及び中央環状品川線大井北発進立て坑工事の三件についてであります。
この件につきましては、我が党の大西議員が財政委員会におきましても厳しく追及をしてきているというふうに聞いております。これらの案件は、豊洲・晴海地区を結ぶ幹線道路である環状二号線、多摩川中流部橋梁の一つである是政橋、さらには中央環状品川線の最初の工事である立て坑設置と、どれもが大変重要な事業であるわけですが、いずれも低い落札率となっています。
公共工事は、税金を投入して都市機能を高めるのが目的ですから、かかる費用は安い方がいい。少ない費用で高い効果が得られることが善であります。しかし、一方で、昨今頻発する極端な安値受注、いわゆるダンピング受注については、下請企業の経営圧迫、粗雑工事や手抜き工事の誘発、安全、環境対策の不徹底などが心配されるといわれております。
現に、これまでも低入札で行われた工事がいろいろと障害が出ているという話も聞いておりますし、一方で、業界の中にあっても、このダンピング受注ということが大変大きな問題になってきているということも伺っております。つまり、安かろう悪かろうでは困るわけですし、あわせて適切な価格競争こそが将来にわたって企業と社会の健全な発展を維持していかれるものというふうに考えております。
そこで、これらの事業が問題なく施行されるかを確認する意味で、これから幾つかの点について質問をさせていただきます。
まず、確認ですが、予定価格の積算、これは適切だったのでしょうか。
○林道路建設部長 予定価格の積算におきまして、建設局の積算基準や設計単価表などに基づき適切に算出しておりまして、妥当なものと考えております。
○吉野委員 今回の予定価格の積算は適切であったということですが、落札者ばかりでなく、入札参加者全社が低い入札価格であったと聞いています。積算が適切に行われたのであれば、積算基準などに問題があったのではないかとも考えられるわけですが、この基準はどのように定められているのでしょうか。
○吉原参事 建設局の積算基準は、現場条件などを考慮いたしまして、標準的な工事費を算出するために、国土交通省の積算基準を参考にして作成しております。国土交通省では、毎年継続的に工事の施工状況を調査し、必要に応じて積算基準の改定を行っております。建設局におきましても、これに合わせて適切に基準の改定を行っております。
また、積算に用いる設計単価のうち、例えば労務費につきましては、毎年賃金の実態調査を行いまして設定しております。コンクリートや鉄筋などの資材単価におきましても、国や都が実施した価格調査結果や財団法人が発行している定期刊行物などによりまして、市場取引の実態を反映した価格を設定しております。
したがいまして、積算基準や設計単価は適切に市場の実態を反映していると考えております。
○吉野委員 積算の基準も適正とのことであります。
では、低入札への対応という面から、制度的なことをお聞きしたいと思います。
入札制度には最低制限価格制度というのがありますけれども、今回の案件には適用されていないようです。なぜでしょうか。
○林道路建設部長 地方自治法施行令及び東京都契約事務規則は、良質な工事と確実な履行を確保するため、極端な低価格による入札を対象として、最低制限価格制度と低入札価格調査制度を設けております。
東京都では、土木工事につきまして、予定価格四億円以上のものを低入札価格調査制度の対象とし、四億円未満につきましては、最低制限価格制度の対象としております。
今回の案件は、いずれも予定価格は四億円以上であることから、最低制限価格制度は適用しなかったものでございます。
○吉野委員 ということは、今回の場合は低入札価格調査制度が適用されたということですね。
では、この低入札価格調査制度の目的を伺います。
○林道路建設部長 低入札価格調査制度は、最低の価格により入札したものの、入札価格が調査基準価格を下回る場合、その者が当該契約内容に適合した履行を行えるかどうかを調査、確認するために行うものでございます。
調査方法は、積算内訳書や施工体系図、配置予定技術者の実績などの資料を提出させた上、低価格により入札した理由、積算内容、施工体制、品質確保等についてヒアリングを行うものでございます。
○吉野委員 それでは、その調査内容について何点かお伺いをいたします。
落札企業からヒアリングをしたとのことでありますけれども、どのような理由で今回のような低い価格の入札となったのでしょうか。
○林道路建設部長 まず、晴豊二号橋につきましては、工場で行うけたの製作につきまして、大型物件を受注して工場の稼働率を確保したいということで、工場製作費の削減を図っております。
また、自社保有の機材の活用により、現場架設費の削減を図ることとしております。これらにより低価格での応札が可能になったと聞いております。
是政橋につきましては、工場で行うけたの製作につきまして、大型物件を受注して工場の稼働率を確保するとともに、斜張橋という特殊な形態でございますが、その工事実績を継続したいということで、工場製作費の削減を図っております。
また、現場で行うけたの架設において、自社保有の機材の活用により、現場架設費の削減を図ることとしております。これらにより低価格での応札が可能となったと聞いております。
品川線立て坑工事につきましては、会社の経営戦略として、大断面、高い気圧のもとでの困難度の高いニューマチックケーソン工事の実績を確保したいことや、ケーソン設備工に自社保有の機械を活用することで、直接工事費及び一般管理費等の削減を図ることとして、低価格での応札が可能となったと聞いております。
○吉野委員 今の答弁をお聞きしますと、一般管理費等の削減や工事実績の確保などを理由として挙げていますけれども、赤字覚悟の受注というふうにも受け取れます。あるいは、これまでがもうけ過ぎていたのかもしれません。これは、どのような背景によるものとお考えでしょうか。
○林道路建設部長 今回のヒアリングなどを通じましての推察となりますが、一つ目といたしまして、団塊世代の大量退職は、企業におきましても切実な課題であり、技術の伝承を図り、技術力を維持向上させていくために、大型物件や困難案件の受注実績を確保するねらいがあったものと考えられます。
二つ目は、工場発注量が減る傾向にある中、従業員の雇用や工場稼働率を確保しておく方が得策と判断したものと推察されます。
○吉野委員 それぞれの企業なりに事情があるようですけれども、おのおのの現場条件の理解や施工体制の確保などについては、どうでしょう。
○林道路建設部長 まず、晴豊二号橋につきましては、海上工事等の現場条件を十分に理解しており、施工体系図などにより、配置予定技術者の同規模の施工実績や、JVを構成する企業間での役割分担について確認をし、確実な施工が可能と判断いたしました。
是政橋では、現場条件や斜張ケーブルの張力管理等につきまして十分に理解しており、施工体系図等により、配置予定技術者の同規模の施工実績について確認をし、確実な施工が可能と判断いたしました。
品川線立て坑工事につきましては、現場条件を十分に理解しており、高い気圧のもとでの作業についても熟知していることや、施工体系図などにより配置予定技術者の同規模の実績について確認をし、確実な施工が可能と判断いたしました。
○吉野委員 わかりました。
ところで、我々が気になりますのは、下請企業などへの影響です。都は、ヒアリングを通じ何を確認し、また、今後どのようにチェックをするのでしょうか。伺います。
○林道路建設部長 下請などへの影響につきましては、低入札価格調査ヒアリングにおきまして、下請予定金額を確認し、さらに工事の施工段階におきまして、実際にどのような下請金額で契約しているのか、下請契約者の確認を厳密に行います。
また、それに加えまして、下請業者に対し直接ヒアリングなどを行うことにより、影響の有無を確認してまいります。
これらを実施することにつきましては、ヒアリングにおいて請負者に通告をしてございます。
○吉野委員 それでは、工事の品質確保や現場の安全管理についてはどうでしょうか。
○林道路建設部長 工事の品質確保や現場の安全管理につきまして、各現場における対応方法について、ヒアリングで確認をしております。
さらに、低価格入札となることから、契約後の監督体制の強化につきまして、請負者に通告をしております。
監督体制の強化といたしましては、まず、工事の品質を確保するため、通常の工事以上に施工段階での確認を、監督員の立ち会いによって行うこととしております。
例えば、今回の契約案件でございます二件の橋梁工事においては、工場製作における材料検査、それから現場塗装における塗装の膜圧の検査などを行い、品質が確保されるように監督を行ってまいります。
また、安全管理につきましては、施工計画書の安全管理に関する計画が現場において確実に実行されているのかを監督員が確認するとともに、各事務所におきまして設置しております工事安全対策委員会において、安全パトロールを重点的に実施し、作業員とともに、第三者に対しても安全確保が図られているかなどの点検を厳格に行います。
○吉野委員 ヒアリングを通して、契約の内容に適合した履行を行えると確認をし、監督体制の強化などをするとのことですので、安心できるようしっかりとした監督をお願いしたいと思います。
また、下請保護の観点や工事品質の確保の面から、厳しいチェックを行っていただき、安かろう悪かろうではなく、だれもが納得できる立派な工事となることを、議会としてもこれから見守っていかなければというふうに思っております。
次に、総合評価方式についての質問をさせていただきます。
私は、総合評価方式など多様な入札方式を早期に導入し、技術力や能力のある企業が受注できる機会をふやしていくことは、企業を健全に育成することにつながり、日本の将来にとっても大変よいことだと思っております。その意味から、昨年十月、本委員会で質疑を行わせていただいたわけでございます。
ところで、今回の契約案件の中では、たつみ橋交差点立体化工事の入札が、技術提案型総合評価方式という方法で行われておりますけれども、まず、総合評価方式による入札としたねらいをお聞かせください。
○林道路建設部長 たつみ橋交差点は、蔵前橋通りと平和橋通りが交差する箇所で、交通量が多いことから、朝夕の渋滞が慢性化しており、地域住民の日常生活や経済活動に大きな影響を及ぼしております。
今回の工事は、自動車交通量が平和橋通りの二・五倍である蔵前橋通りにおきまして、現道の幅員二十五メートルの中で、その交差点部を立体化するものでございます。そのため、工事期間中も、現在ある四車線の確保が必要不可欠であり、工事に伴うさらなる渋滞を発生させることなく、短期間で工事を完了させる必要がございます。
また、交差点部を短期間で立体化させる手法につきまして、近年、各企業でさまざまな工法が開発されており、施工方法や工期に大きな差異が生じる可能性がございます。このような状況から、単に価格のみではなく、民間企業の最新技術を、都にとりまして最も有利となる方法で活用するため、総合評価方式を採用したものでございます。
○吉野委員 今回の案件につきましては、当初十一者の申し込みがあったけれども、結果として九者が辞退をしたというふうに聞いていますが、その理由についてお聞かせください。
○林道路建設部長 辞退届には、辞退理由を記載する欄もないなど、特段の定めがなく、辞退理由につきましては把握をしてございません。
ただ、推測になりますが、工事費及び工期などにつきまして、東京都が提示した条件と各者の判断とが折り合わなかったものと思われます。
○吉野委員 それでは、今回、技術提案を求めた結果、価格のみの入札に比べてどのようなメリットがあったのか、伺います。
○林道路建設部長 今回、価格評価に加えまして、技術力の評価を行っております。
評価項目は、施工実績、配置予定技術者の実績、施工計画等であり、特に工期短縮に主眼を置いております。
総合評価方式を採用したことによりまして、新技術工法や工期の大幅な短縮が提案されており、単に価格のみの入札に比べてメリットがあったと考えております。
○吉野委員 昨年の質問で、私は、建設局として、総合評価方式についてどのように取り組んでいくのかを伺いました。
今年度、これからどのように進めていくのかを改めてお聞かせいただきたいと思います。
○吉原参事 今回、契約案件として提案しております技術提案型総合評価方式のほか、中小規模工事を対象としました入札価格と企業の工事成績などを総合的に評価いたします施工能力審査型総合評価方式につきまして、九十件程度に拡大して試行を行う予定でございます。
さらに、この二つの総合評価方式の中間的なもので、企業の持つ技術力をより評価する新たな総合評価方式の導入が必要と考えております。
このため、現場の困難性のある工事などを対象としまして、評価項目をふやして、企業の工事成績などに加え、施工計画の内容や災害協定などの地域貢献実績などから技術力を評価し、入札価格とあわせて総合的に評価する新たな方式を検討するため、十件程度、先行的に試行する予定でございます。
今後とも、工事の規模や技術的な課題、現場での困難性に応じまして、総合評価方式を積極的に導入し、技術力にすぐれた企業の健全な育成と公共工事の品質確保を図ってまいります。
○吉野委員 わかりました。ぜひこれからも、総合評価方式の導入に積極的に取り組むことをお願いしておきます。
さて、いろいろと説明をいただきましたけれども、今回、特に三件の低入札、このことにつきましては、率直な感想として、本当に大丈夫なのという思いをいまだに持っております。計算をしてみますと、三件で百四十六億の予定価格が八十三億、実に六十三億も不用額が出てくる。ある意味ではいいのかもしれませんけれども、心配でならないというのが、我が党の中での議論であります。
新しい橋をかけたけど、バイクと自転車と人しか渡っちゃならないような橋になったんでは困る。こんなふうなこともありますし、下請の業者の人たちも、今回は泣いてくれといって、いつかそれを取り戻せる機会をつくるからといいながら、五年待っているけれども何の音さたもないというふうな話も聞いております。
こういう状況の中で、私たちは都民の皆さんに、安心して通行できる公共工事、橋、道路といったものをきちんと担保していかなければならないという思い、本当にしっかりとしたチェック、管理というものを行っていただかなければというふうな思いを、今も強く持っております。
では最後に、低入札価格への対応や、総合評価方式の取り組みについて、局長の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○依田建設局長 道路、橋梁あるいは河川など公共施設の工事は、将来にわたる社会資本を整備するとともに、都民が安心して、安全に、いつも利用できるよう適切に維持管理するために実施するものでございます。
このため、工事の実施におきましては、長期的な施設として、良好な品質を確保することがまず強く求められております。
今回のような入札、落札の結果は、委員ご指摘のように、品質の確保はもとより工事中の安全対策、あるいは環境対策、また法令遵守、あるいは下請へのしわ寄せなどといった面で、懸念もあるのも事実でございます。
しかし、現実に低入札が行われておりまして、東京都としては、まず契約する前に、法令遵守は前提のことで、求める品質の施設が確実に施工できるということをまず確認をして、さらに現場においては、重点的な管理を徹底することで確実な施工を担保するなど、今まで的確に取り組んでまいったところでございます。
今回、この低入札案件につきましては、委員おっしゃるように、環状二号線あるいは多摩川にかかる橋梁、中央環状品川線、さらに渋滞解消のたつみ橋、これ、どれもが建設局が推し進めています都市基盤の重要な施設として事業を行っているものでございます。これが、安かろう悪かろうであっていいはずがございません。したがって、私どもは、さらに品質の管理、工程管理、安全管理など監督を強化し、徹底してまいる所存でございます。
公共工事の品質を維持するためには、実際には工事を施工する業界の健全な発展も不可欠であろうというふうに考えております。昨今の長期的視点を欠いたかのような低入札がふえることは、会社に個別の事情があるとはいえ、発注者側としても大変危機感を持っております。
品質の問題だけではなく、業界においては、世界のトップレベルにあります土木技術の将来に向けた継承や新たな開発、さらに人材の育成といったものがおろそかになるんではないかということで、私は土木技術者としても憂慮しているところでございます。
ただ、現在の価格のみの入札制度が、過度な価格競争となっている面もあることから、それに対する対策として、単に価格による競争ではなくて、企業の持つ技術力を適正に評価して契約に反映できるような総合評価方式がありますので、こうした方法を建設局が先頭に立って積極的に導入していき、真に技術力にすぐれた企業が適切に評価されて工事受注できるような仕組みを整えていく考えでございます。
本来、公共工事におきましては、建設業法あるいは適正化法、あるいは品確法等がございます。こういった法律を、しっかり発注者、受注者ともに遵守することが基本であると思っております。
局としては、こうしたことによりまして、低入札工事に限らず、局全体の発注工事につきまして、安全かつ適正な工事を実施し、公共工事において良好な品質を確保するよう、今後とも局一丸となってしっかり取り組んでまいります。
○吉野委員 局長の決意、そして認識を今伺わせていただきまして、少し安心いたしました。我々も、この工事が完成をするまで、しっかりと見守っていかなければというふうに思っております。ぜひ局のしっかりとした対応をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○伊藤委員 今回、契約案件として、私の地元である品川区八潮一丁目地内においての中央環状品川線の立て坑工事が出されております。
私から、まず初めに、改めて品川線の全体の計画と事業費、そして整備の効果についてお伺いします。
○林道路建設部長 首都高速中央環状線は、都心環状線に集中する交通の迂回、分散を図ることで、慢性的に発生している渋滞を大幅に緩和させるものでございます。このうちの南側部分を形成する品川線は、中央環状線最後の整備区間として、昨年度から事業を進めております。
計画の概要は、環状第六号線と目黒川を主たる導入空間とし、高速三号渋谷線から高速湾岸線までの延長九・四キロの整備区間のうち八・四キロを、沿道の環境に配慮してトンネル構造としております。
また、中目黒、五反田、南品川、大井北の四カ所に換気所を設置するとともに、五反田地区に出入り口を一カ所設置するものでございます。
全体の事業費は四千億円でございまして、東京都と首都高速道路株式会社が共同で事業を実施しております。
整備の効果につきましては、品川線の完成により、都心環状線を初めとする首都高速道路の渋滞がほぼ解消するとともに、走行時間短縮による年間約一千二百億円に及ぶ経済効果、また一都三県におきましてCO2排出量が年間約九万トン減少するなど、環境面でも大きな効果が期待されております。
○伊藤委員 今回のこの工事は、品川線の建設事業として一番最初の工事であり、事業の第一歩として重要な工事であると認識しております。
そこで、今回の工事の概要について伺います。
○林道路建設部長 本工事は、延長約八キロの国内最大級となるシールドトンネルの発進立て坑を建設するものでございます。
縦約三十七メートル、横約三十メートル、深さ約四十七メートル、壁厚三・五メートルの箱状の鉄筋コンクリート構造物で、施工はニューマチックケーソン工法で行います。
ちなみに、ニューマチックケーソン工法とは、地上に鉄筋コンクリート製の箱を築造いたしまして、その下側を掘りながら沈下させて、所定の深さに設置する工法であり、その際、地下水が噴出しないように気圧をかけながら施工するものでございます。
断面積約一千百平方メートル、かける気圧は約四気圧ということで、この工法といたしましては国内屈指の規模となる難易度の高い工事でございます。
○伊藤委員 先ほども今回の契約案件の低入札について全体的な話がありましたけれども、私からは、品川線に絞って質問させていただきます。
今回の工事は、予定価格が約四十億、そして契約金額が約二十三億と、落札率が大変低かったようでございますけれども、どのような理由から低入札となったのか、伺います。
○林道路建設部長 低入札価格調査制度に基づきましてヒアリングを行っておりますが、その中で、会社の経営戦略として、先ほどご答弁申し上げたように、難易度が高いニューマチックケーソン工事の実績を確保したいということで、低価格での応札をしたと聞いております。
コスト削減につきましては、ケーソン設備工に自社保有の機械を活用することによる直接工事費の減額と、主に本社経費でございます一般管理費等の減額により行うと聞いております。
○伊藤委員 北側前国土交通大臣は、先日、国が発注する工事で低価格入札が続いていることについて、十分な品質が保たれない社会資本が形成されれば、国民の安全にかかわる問題になると警告をしております。このような低入札の工事では、品質の安全性の確保、また下請企業へのしわ寄せが懸念されるところですが、都は、これらの対策をどうするのか、伺います。
○林道路建設部長 低入札案件の品質確保や安全管理などにつきましては、ヒアリングを実施して請負者の対応策をしっかり確認するとともに、それらが現場において担保されるように、契約後の監督体制を強化いたします。
まず、工事の品質確保につきましては、通常の工事以上に施工段階での確認を、監督員の立ち会い回数をふやすことで対応いたします。
本工事におきましては、鉄筋の配筋状況の現場立ち会いやコンクリートの品質検査を行い、品質が確保されるように監督を強化いたします。
安全管理につきましては、本工事が高い気圧のもとでの作業となることから、作業員の安全確保など施工計画書の安全管理に関する計画が現場において確実に実行されているのかを、監督員により特に丁寧に確認することといたしております。
加えまして、所管事務所の工事安全対策委員会の安全パトロールを重点的に実施し、点検を厳格に行ってまいります。
下請などへの影響につきましては、下請契約書の確認を厳格に行うことに加えまして、下請業者に対しまして直接ヒアリングなどを行うことにより、影響の有無を確認してまいります。
これらの監督体制の強化につきましては、ヒアリングの際に請負者に通告をしてございます。
○伊藤委員 下請業者に対しても、大切に、また絶対事故のないように、低入札でありましたけれども、取り組んでいただきたいというふうに思います。
ことしの六月には、品川線の事業全般について説明会が行われて、地域の多くの方々が参加したと聞いております。このことからも、品川線に対する沿道住民の方々の関心はとても高いと考えられます。今回の工事に関して、地域住民への説明はどのようにしていくのか、伺います。
○林道路建設部長 本工事につきましては、議会のご承認をいただいた後、直ちに八潮団地におきまして工事説明会を予定しております。
工事内容や工事スケジュールについて詳細にご説明をし、住民の方々の疑問に答えることで理解を得たいと考えております。
○伊藤委員 工事箇所に近い八潮団地というところがあります。この八潮団地では、工事車両、特に残土を搬出するダンプが団地内の周辺道路を走行するんではないかという危惧の声があります。今回の工事で発生する残土量は、かなりの量になると思いますけれども、その土量と残土の搬出はどういうルートをとるのか、伺います。
○林道路建設部長 本工事で発生いたします土量は、約五万立方メートルでございまして、十トンダンプに換算いたしますと、約一万台分になります。残土は、大井ふ頭から城南島を経由して臨海トンネルを通り、新海面処分場への搬出を予定しております。
このルートは、沿道に住宅がなく、お尋ねの八潮団地の外周からは直線距離にして五百メートル以上離れていることから、住民の方々への影響はほとんどないと想定をしております。
○伊藤委員 ぜひとも、この八潮団地の方々の不安が現実にならないようにお願いをしたいと要望するものでございます。
都主催のこの品川線の事業の説明会、あるいは地元の要請による住民団体との意見交換会など、都は重ねておりますけれども、まだまだ皆が納得したとはいえない状況であると思います。都からの情報が少ないと不満に思う住民がいるのも事実であります。常に情報を住民へ知らせることが大切であると考えますけれども、都の考えを伺います。
○林道路建設部長 都と首都高速株式会社は、共同で、四月十日より品川線のインフォメーションセンターを五反田で開設をしております。
現在は、都や会社の職員により対応しておりますが、本工事契約後は、工事内容の詳細な説明もできるように、請負業者にも対応をさせることといたしております。
インフォメーションセンターは、品川線の整備効果や工事方法などのパネルと、シールドマシンの模型を展示するなど、沿道の住民の方々への情報提供の場として、また住民の方々と都との意見交換の場として活用を図ってまいります。
今後とも、この場を通じ、きめ細かい情報提供と住民対応に努め、事業への理解と協力を得ていきたいと考えております。
○伊藤委員 今回の契約を受けて、いよいよ品川線の工事に着手するわけでありますけれども、今後、この立て坑設置工事に引き続いてどのような工事が行われるのか、伺います。
○林道路建設部長 本件工事に引き続き、来年度からシールドトンネル工事や換気所工事の発注を予定しております。
住民の方々の理解と協力を得るとともに、スケジュール管理に努め、平成二十五年度開通に向けて事業を実施してまいります。
○伊藤委員 品川区の五反田地域の方々は、換気所が設置されることに対して、大変な不安を抱えております。私は、この立て坑工事の契約について、例えば今回のように低落札が続くようであれば、これによって生じた契約差金を何らかの形で担保するなどして、沿道の環境対策に充てるということも一案ではないかというふうに考えております。
地元では、今、住民独自の手で、換気塔にかわる代替設備のアイデアを自腹で懸賞金を用意して募集するなど一生懸命に努力をしております。このような住民の方々の気持ちを裏切ることのないように、トンネル内の大気システムの技術革新に注視し、低濃度脱硝装置などの設置の可能性を模索するとともに、地域住民の声を真摯に受けとめながら事業を進めてほしいと望むものでございます。
最後に、今回の工事は、品川線最初の記念すべき工事であります。くれぐれも事故のないように、また住民が不安なく過ごせるように、そして都と地域住民の間で歯車がかみ合わないということがないように、しっかりと事業を進めていただきたいと要望して、私の質問を終わります。
○河野委員 私は、百九十九号議案と二百二号、二百四号議案について質問をいたします。
最初に、百九十九号議案について伺います。
たつみ橋交差点立体工事ということですが、この立体工事の進んだ状況の中で、今、たつみ橋交差点には歩道橋が設置されておりますが、これが撤去されることになります。平和橋通り、蔵前橋通りの大きな交差に加えて、新小岩駅や蔵前橋通りから斜め北に入っていく道路がありまして、複雑な交差点の構造となっています。歩道橋がなくなった場合に、歩行者や自転車の通行の安全対策はどうなるのか。
それから、道路が高架になると、蔵前橋通りに沿ってずっと沿道に集合住宅が建ち並んでおりますので、道路の走行音とか大気汚染防止さく、このことがどういうふうになるのかということが住民の皆さんの大きな心配になっておりますので、この二点について、建設局のお考えを伺っておきます。
○林道路建設部長 たつみ橋交差点では、先ほどご答弁申し上げました自動車交通量とは反対に、歩行者では蔵前橋通りより平和橋通りの方が六割ほど多くなってございます。
立体交差化によりまして、平面部の自動車交通量が減少するとともに、既存の横断歩道を拡幅することにより、歩行者などの主たる方向でございます蔵前橋通りの横断がしやすくなると考えております。
また、歩道橋の撤去に伴いまして、歩道上から階段や柱がなくなることで、歩行者の滞留スペースが広がり、十分な安全性と利便性を確保できると考えております。
騒音対策につきましては、低騒音舗装の採用や、高架部への遮音壁の設置などの対策を考えております。
また、立体化に伴いまして、蔵前橋通りでは、朝夕のピーク時には、この交差点を通過する時間が、現在の十五分程度から二、三分程度に大幅に短縮されると予測をしております。そのため、交通渋滞の緩和が図られ、自動車の排出ガスが減少し、沿道環境が現在よりも改善されると考えております。
○河野委員 住民の方への説明会では、沿線の住宅街に住む人たちから、どうしても夜間の車の走行音とか、あるいは車が通り抜けていくことでの大気汚染問題、心配だという意見が出されていると聞いております。
地元葛飾区や近隣住民の皆さんの意見、要望を受けとめて局としての事業を進められるように、この機会に求めておきたいと思います。
次に、二百二号議案について質問をいたします。
今回出されました議案四本のうち三本は低価格入札で、この問題は、それぞれ皆さんからお話がありましたが、私も、若干角度が違いますので、まずここで、低入札価格についてお伺いをしておきます。
この三年間、東京都建設局が発注いたしました低価格入札契約数の推移、それから低価格入札の平均落札率、この状況について、数字でお示しください。
○吉原参事 低入札価格調査制度により調査を行った件数でございますが、平成十六年度が十件、十七年度二十一件、平成十八年度は、八月末までで八件でございます。
調査を実施しました工事の平均落札率は、平成十六年度が六七・二%、平成十七年度六六・三%、平成十八年度は六二・二%でございます。
○河野委員 低入札価格の件数は年ごとに増加し、そして落札率については、平均ですけれども、毎年下がっているというのが、ここ三年の推移で今示されたと思います。
国土交通省は、この数年間増加している低価格入札の国の直轄工事などを対象にして、幾つかの調査結果や傾向について分析をしております。二〇〇五年度、昨年度は、国土交通省によりますと、低価格入札の調査対象案件が過去最高になったということが報道されています。
推移を見ますと、九九年度が二百五十四件で一・五%であったもの、これ、途中省略しますけれども、二〇〇三年度が四百七十六件、三・九%、二〇〇四年度が四百七十三件、四・一%と、件数、それから占める率ともに増加傾向ということが明らかになっています。東京都も増加傾向ですから、同じ方向だと思います。
国や自治体が発注する公共工事が安い金額で施工されることは、工事の質が守られ、そして安全な施工がされ、下請企業や労働者の手間賃などが保証されれば問題ない、これは、それぞれ皆さん、委員の方もおっしゃったことです。
しかし、実際は、何も問題がない状態でないことが、国土交通省の調査から推測できるのです。二〇〇三年度に完成した国土交通省の直轄工事における低価格入札の工事の成績評定の分析では、落札率が低くなるほど評定点が悪くなる傾向が明らかになったとされています。
一方で、中間技術検査を実施した工事ほど評定点が高いということもわかったといわれています。この調査結果では、低価格入札がふえれば、工事品質の低下の懸念が強まると分析もされております。
そこで伺いますけれども、建設局発注の工事では、工事の品質について、国のような問題は起こっていないのでしょうか。伺っておきます。
○吉原参事 平成十六年度に入札を行いました低入札調査実施工事の平均点は、七十・四点でございます。十七年度の低入札工事のうち、これまでに完了いたしました工事の平均点は、六十九・一点でございます。
これまでのところ、低入札工事であっても品質が確保されるなど、確実に工事は行われていると考えております。
○河野委員 現時点で、十七年度が十六年度より若干低まっているということが、完成の数がまだ全部じゃないということではありますけれども、若干気になるところであります。
もう一つ伺います。
国の分析では、落札率が低下するほど、仕事を受けた企業が赤字になっているとなっております。そのしわ寄せは、一般管理費の圧縮や請負者の持ち出しによる補てんになっているようであります。下請も赤字が拡大しているということで、それを何とか乗り越えていこうということで、交通誘導員の人数を減らす、あるいは無理な工法を採用してみる、工期を短縮するなどのことが起こっているということです。
こうしたことが工事評定にも影響しているのではないかと私は考えるのですが、建設局は、発注した契約工事に対して、監督指導、強められているということではありますが、こうした現場の実態については把握されておられますか。
○吉原参事 これまで答弁してきましたとおり、低入札工事にかかわる工事の安全管理への対応につきましては、監督体制を強化することによりまして、交通整理員の適切な配置の確認など、工事の安全確保に取り組んできたところでございます。
また、下請への影響防止につきましては、下請契約書の確認を行うことにより対応してまいりました。その結果、低入札工事におきまして、特段の問題は生じていないと考えております。
○河野委員 現時点では、建設局のご認識はそうなんですけれども、低価格入札工事について、下請への不払い問題などは、現実に私たちにも建設関連の方々から相談が寄せられているのであります。低入札価格の契約は、今、財務局がその審査委員会の中心ということで、建設局自身が直接何らかの方策を講じるものではないということは承知しております。
しかし、いろいろな方の要望を伺いながら、審査会に第三者的な立場のメンバーを入れるなどの改善を求める要望もあります。そしてまた、労務費などは社会保険に加入して算出されているかどうかなども審査の対象にしてほしいという要望もあります。建設現場で働く人の処遇が低まることがないような対策を講じることが大事でありますし、建設局としても、安全で、そして品質のよい工事の施工が実施されますように、さらに現場の実態把握に努力して、適正な工事が保証されるよう、財務局とも協力した取り組みをされることを、私はこの機会に求めておきたいと思います。
続いて、晴豊二号橋の工事契約について伺います。
晴豊二号橋は、都市計画道路環状二号線の一部です。環状二号線は、先日の都市整備委員会で、都市計画変更案が質疑されております。環状二号線の臨海部の全体計画、そして構造について、都市計画変更案が出されている現段階でどのような状況にあるのか、その説明をお願いいたします。
○林道路建設部長 環状第二号線は、江東区有明から新橋、四谷を経て、千代田区神田佐久間町に至る延長約十四キロの骨格幹線道路でございます。このうち、晴豊二号橋を含む臨海部の区間は、臨海副都心と都心部を結ぶ生命線となる道路でございます。
本区間は、河川や運河により隔てられた有明北、豊洲、晴海、勝どきなど各地区を本定例会の契約案件でございます晴豊二号橋などの橋梁で結ぶこととしております。
唯一の未着手区間でございます築地-晴海間約二キロにつきましては、地下構造から平面及び高架構造へ変更する内容で、今後、都市計画変更手続を進め、早期に事業着手し、豊洲新市場の開場に合わせて暫定整備を行うとともに、平成二十七年度の全面開通に向けて、全力で取り組んでまいります。
○河野委員 それでは、晴豊二号橋建設費の国と都の財源負担内訳、このご説明をお願いいたします。
○林道路建設部長 予定事業費は、百六十五億円でございまして、そのうち国費はおおむね二分の一を予定しております。
○河野委員 大変な金額の建設になるわけなんですが、先ほど環状二号線の路線について大体のご説明をいただきました。環状二号線は、都市計画変更案が出ている築地部分の地上化問題については、地元から異論が出ております。
また、九月二十一日の中央区議会本会議では、月島連合町会から出された晴豊二号橋建設は、このときは豊洲大橋という仮称の名前で請願が出ているようですが、これは凍結してほしいとの請願が、全会一致で採択されております。
晴豊二号橋、現地では、ほかの未整備部分がずっと続いてきているのだから今の段階で急いでやらなくてもいいということで、住民の皆さんが凍結を要望しているわけですが、築地部分は、中央卸売市場問題の移転絡みで、相当しばらくの間、道路の整備はできないともいわれています。こうした月島の人たちの声、そして築地市場の周辺の人たちの声、こうしたことが東京都にも当然届いていると思うんですけれども、こうした声が上がっているのに、都は、その意見をそのまま見過ごしにして晴豊二号橋の建設に入っていくのかという点では、私は疑問があるんですが、住民の方々の意見についてのご見解、そして、なぜ今、晴豊二号橋を建設しなくてはならないのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○林道路建設部長 晴豊二号橋開通の凍結を求める請願が、中央区の議会に提出され、所管の委員会で採択されたことにつきましては、承知をしてございます。
臨海部の環状第二号線周辺では、各地区におきまして、区画整理事業や大規模民間開発事業などのまちづくりが進められております。
これらのまちづくりや、豊洲新市場の開場を支えるためには、道路ネットワークの拡充が不可欠でございます。本路線のほか、晴海通り延伸部、補助第三一五号線など、これらの路線を着実に整備を進めてきたところでございます。
本年三月には、晴豊一号橋、晴海大橋でございますが、これらなどが一部開通したところであり、引き続きこれらの路線の整備を進めてまいります。
今後とも地元区と連携を図りながら、地元の理解と協力が得られるように努めてまいります。
○河野委員 この晴豊二号橋については、地元、直近の地域の人たちから大きな異論の声が上がっているということを、改めて申し上げておきます。
次に、二百四号、中央環状品川線大井立て坑工事について伺います。
この中央環状品川線は、東京都が初めて高速道路建設に乗り出すというもので、私は、都が街路事業という名目で有料道路の中央環状品川線の施行を分担するというのは、やはり納得ができないということを初めに申し上げておきます。
伺いたいのは、まず一つ、都が施行を負担する部分と、首都高速道路株式会社の負担する部分についての、その分担がどうなるのか。これを実施するに当たっての協議事項などは明確にされていて工事に入っていくのでしょうか。お示しください。
○林道路建設部長 都が施行いたします街路事業と、首都高速道路株式会社が施行する有料道路事業の区分につきましては、本年六月に東京都と会社との間で締結した、都道首都高速品川・目黒線建設事業の施行等に関する基本協定において、施行区分を定めてございます。
東京都は、内回りのシールドトンネル本体と、四カ所の換気所の構造物などを都の街路事業で施行いたします。
一方、会社では、外回りのシールドトンネル本体、出入り口、換気所やトンネル内の設備、さらに舗装や照明などを施行いたします。
○河野委員 私は以前に、東京都が、今回の品川線と同じように街路事業ということで取り組むということで施行を始めた地下鉄十三号線の問題で質問をしたことがあります。そのときに、都が施行するインフラ部などは都の財産になると、当時の道路建設部長が答弁をされております。
今回も品川線を街路事業ということで、都が財政負担もして進めていくわけですが、十三号線と同じように、換気所や街路として整備するトンネル部の道路などは都の財産ということになるのですか。説明のときに、こういうのをいただきました、赤とブルーで塗ったの。(資料を示す)わかりづらいので、改めてご丁寧に説明をいただきたいと思います。
○林道路建設部長 東京都が街路事業で施行いたしますシールドトンネルなどの構造物などの財産は、すべて東京都に帰属いたします。
○河野委員 そうしたら、都の負担で整備する換気所、そして街路などについて、都の財産であるんだから、その管理責任はどうなるのかということが気になります。
都民の財産であるものを、有料道路事業を行っている首都高速株式会社に提供するわけなんですけれども、首都高速株式会社は、利用する人たちに通行料を払ってもらうわけですね。そこから建設費を生み出していくわけなんですが、東京都は無償で首都高速道路株式会社に街路や換気所、いわゆる東京都の財産を提供する、そういうことになるのでしょうか。
東京都としては、どういう権利が守られていくのか、その点をご説明ください。
○林道路建設部長 品川線は、先ほど申し上げたような経済効果やCO2排出量削減などの環境改善効果が期待されるなど、都民に多大な利益をもたらすものでございます。
これらの効果は、都が街路事業を導入したことによって得られるものであり、導入がなければ、現行の料金を値上げしない限り事業着手のめどすら立たない状況となっていたものでございます。
○河野委員 また別の機会に、この問題は詳しく伺いたいと思います。
工事に関連して伺っておきます。
大井の立て坑工事によって排出される土砂の量、先ほど五万立米ですか、というお答えがありました。そして十トン車にして一万台ということでありましたけれども、この工事で、一日当たりどのくらいの車両がここに、大井の立て坑工事の現場周辺に集中してくるのか、そういう一日当たりの台数についてお示しをいただきたいと思います。
そして、あわせて、立て坑ができた後、シールドで掘り進んでいくトンネルの道路部分から排出される土砂の見込み量はどれくらいになるのでしょうか。
○林道路建設部長 本工事で発生する土量を運搬するダンプ、十トンダンプに換算して一万台ということでございます。工事期間としては、二百五十日程度を予定しておりますので、一日当たり四十台の通行になる見込みでございます。
また、シールド工事でこの立て坑から搬出される土量は、合計約二百万立方メートルでございます。
○河野委員 一日四十台の車が、土砂の搬出用だけでも集中してきて、そのほかに工事用の車両とか作業員の人たちの車とか、いろいろ考えると、果たしてどれくらいの車がここに集中してくるのかというのが、私としては、地元の皆さんの不安の一つじゃないかと思っています。
きょうはご答弁いただけないかもしれないんですが、今後、詳細にこの問題については調査もしていただきまして、何らかの形で都民や議会に明らかにしていただきたいと思います。
ことしの二月の委員会で、五反田地域の住民の方から、換気所の設置について見直しを求める請願が出されまして、これが継続審議になりました。委員会で道路建設部長は、これからも住民との合意形成に努力する旨の答弁をされております。
私は、その後、六月に開かれましたこの中央環状品川線の事業説明会、五カ所開かれたうちの二カ所に参加をしてみました。この参加した中で聞いた意見では、資料を出していただきました、説明会における住民の主な意見ということで、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕とありますけれども、品川線そのものについて、反対であるということを、健康上の問題、ぜんそくが非常に深刻になって大気汚染これ以上悪くなってほしくない、騒音が心配である、換気塔について、本当に四十五メートルの高さで五反田に建ち上がったときに生活環境はどうするのかと、そういういろいろな意味で心配や反対の声が出されているんですけれども、このまとめていただいた〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕の中には、余り正確にそのことが書かれていないのが非常に残念であるというふうに感じております。
私が聞いたそういう説明会での住民の方々の意見、かなりの方が手を挙げ、八時半で終了しますという説明会でしたけれども、八時半を過ぎても手を挙げている方がいらっしゃるというような状況で、説明会は終わりました。そして、あれから三カ月たちましたけれども、本当に地域住民との合意が形成された中で今回の大井立て坑の工事の契約議案がここにかかっているのか、契約が発注されたのか、そのことが私は非常に気になります。
住民との合意形成について、東京都はどのように努力されてきたのか。今のままでは、私の印象では、東京都の見切り発車といわざるを得ないという状況ではないのかと判断いたしますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○林道路建設部長 まず、立て坑工事の工事用車両の通行に関してでございますが、ダンプの通行ルートについては、先ほどご答弁を申し上げたところでございます。
その他の関係の工事用車両につきましては、例えば、八潮団地内を通行させない等、適切な対応で業者を指導してまいります。
続きまして、地元対応に関してのお答えを申し上げます。
東京都は、これまでに都主催による説明会や相談コーナーの開催、地元要請による住民団体等との意見交換や自治会への説明など、さまざまな形での話し合いを積み重ねてきております。
また、品川線の都市計画決定に対する意見照会への回答におきまして、品川、目黒両区長からは、都市計画決定については差し支えないが、環境対策や地域住民への説明に十分配慮してほしい旨の意見をいただいております。
また、先ほどご答弁申し上げましたように、ことし七月にはインフォメーションセンターを五反田に開設するなど、情報の提供に努めておるところでございます。引き続き沿道環境に配慮しながら、地元の住民の理解と協力を得ながら、平成二十五年度の完成に向け、事業に取り組んでまいります。
○大西委員 私も、この四件の説明を伺ったときに思いましたのは、一般に公共事業の予定価格は高目に設定されているのではないかと思われている中、低い価格で落札されたのであれば、いいのではないかということなんですが、やはり、これが半額というところになれば、それぞれの技術面での不安とかいうものが出てまいりました。私が聞きたかったことはほとんど聞いてありますので、そこの中で不安も解消された部分もあります。
その中で、聞いておりまして、一つ、中央環状品川線の工事、これはとても大きな、そして技術的にも大変な工事になりそうなんですけれども、これは事前に聞き忘れたことなんですけれども、この一般競争入札に応募してきた会社はどれくらいあったのか、そして、なぜここに決まったのかということ。
その中で一つ、既定方針とか、それからこの工法ですね、ニューマチックケーソン工事、これを技術を保持したいためということは聞いたんですけれども、本当にこの大きな工事がここに決まったということは、まずは、この工事、工法をやれるような会社がどれくらいあったのか、そしてここに決まったのは、決め手は何だったのかということをお聞きしたい。
○林道路建設部長 立て坑工事につきましては、発注に当たりまして、応募の条件を求めてございます。
例えば、面積につきましては、七百平方メートル以上のケーソンの経験がある者、あるいは深度、深さにつきましては、三十メートル以上の経験がある者、そういうふうな条件を付してございます。それに対しまして、八者の応募がございました。
○大西委員 急に聞きまして済みません。
そういうことで、こここそ、何ですかね、素人から考えると、技術的なところをしっかりとチェックしてほしいという思いがありました。
それで、今でも東京都では総合評価方式というものを新しく打ち出して、そしてそういう技術的なものが、そういうところに保証としてあるようにとられているようですし、それから新たな取り組みも、先ほど説明を聞きましたが、こういう低入札価格がどんどん進んでいきそうな事態ですので、ぜひこういうものをちゃんと充実してほしいなということを、今の質疑を聞きながら感じていたところです。
そういう意味では、今回のこの四件の契約案件は、東京都としては、こういう私たちの素朴な質問、つまり安くていいんじゃないかということ、それから、それはやはり技術が伴わなければだめじゃないかという、こういう思いがあるんですけれども、そういう不安を解消してくれるという案件で、適正な契約であったということで受け取ってよろしいですか。
○林道路建設部長 今回の、いわゆる低入札案件につきましては、ヒアリング等を実施する中で、業者の施工が確実に確保されるということの確認を行っております。
さらに、たびたびご答弁申し上げておりますように、実際の施工に当たりましては、監督体制を強化することによりまして、確実な施工、品質の確保、安全管理等を実施させる、そういうふうな対応を行ってまいります。
○大西委員 管理監督、それから後のフォローまで、ぜひよろしくやっていただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
○こいそ委員 先ほど、吉野委員の質問に対して、理事者側の答弁によって、今回提出された低価格入札契約事案について、発注者へのしっかりとした監督体制、品質管理のもと、適切に施工されるとの説明がありましたけれども、いずれにいたしましても、今回、橋では三橋ですかね、中で一番札の業者が落札予定となったということでありますけれども、私は、とりわけ稲城市と府中市にまたがる是政橋についてちょっとお聞きしたい。
同様の、是政橋ばかりじゃありませんけれども、今回の鋼製橋梁工事の入札において、最近というか、六月でありますけれども、首都高速道路株式会社で、品質確保、施工の現実性に懸念があるということから、一番札の業者を落札者とせず、ここでは二番札の業者を落札者とした事例が報道されておりますが、このあたりの、いわゆる建設局が把握されているところですね、どうしてこのようなことになったかということをちょっとお知らせいただきたい。
それと、先ほどからいわれておりますけれども、品質の確保の問題だとか、しわ寄せの問題だとか、先ほどからるるお話が確かにございましたし、しっかりやっていただけるんだなという受けとめ方もさせてもらっているわけでありますけれども、ちょっと前後いたしますが、やはりヒアリングだけでこのような低価格入札の現状というのは果たして対応できていけるのかどうなのかですね、このあたり、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○林道路建設部長 まず、首都高からは、一番札の業者を落札者としなかったということについて、次のように聞いております。
一つは、鋼製橋梁の品質確保に関して、極めて重要な要素でございます現場溶接について、一番札の業者では、良好な品質を確保するために十分な費用が見積もられていないため、品質が確保されないおそれがあること。
また、当該工事は中央環状新宿線全体の工程を左右するかなめの工事であり、不慮の事態の発生により工程のおくれなどが生じた場合、工程確保への十分な措置が講じられるか懸念されることなどを理由として、落札者としなかったとのことでございます。
ところで、是政橋についてでございますが、低入札価格調査のヒアリングの中で、主塔、斜めに張るケーブルのもととなる柱でございますが、主塔については、現場溶接による建設となっているため、請負者は特に精度を上げた管理を行いたいとしております。
また、見積もりも確認をしてございますが、現場溶接工については、都の見積もりとほぼ同等となっております。
これらにより確実な施工が可能と判断をしてございますが、単にヒアリングの段階だけにとどめることなく、工事の実施に当たりましても、監督体制を強化することによって、品質確保、安全管理等について、確実に業者に、請負者に施工させるように、監督体制を強化してまいります。
○こいそ委員 ただいま申し上げた首都高速道路の、この会社におけるいわゆる一番札から二番札にかえたという件についてもお聞かせいただいたわけでありますけれども、その中で、入札価格調査というものを、この時点で行われているようなんですね。
というのは、これも先ほどからお話がありますけれども、国においても、頻繁に低入札が、これはいわゆる全国的なんでしょう、東京だけじゃありませんけれども、相当危機感を持ってきているという中、この低入札に関する動きを見ると、直轄工事においてダンピング対策として、先ほどからありますけど、品質の確保のため、監督、技術体制の強化という中で、発注者の指定する不可視部分のビデオ撮影等ですね、これは写真もそうなんでしょうけれど、ビデオ撮影等々、発注者に提出することを契約上の義務づけとしているというようなこともあるそうであります。いろんな対応をそれぞれが工夫しながら、苦慮しながらされているんだなと思いますけれども、このあたり、これは是政だけじゃありませんけどね、とりわけこのような国の動き、それからチェックの対応ですね、これらについてはどのように生かされていくお考えなのか、お知らせください。
○林道路建設部長 是政橋につきまして、低入札に関するヒアリングにおいて、現場における品質を確保するため、後からは見えなくなってしまう不可視部分をビデオ撮影により確認することを請負者に要求し、請負者からは、対応するとの回答を得てございます。
工事の施工におきましても、確実に履行させ、品質確保を図るため監督体制を強化してまいります。
○こいそ委員 いずれにいたしましても、先ほどからいろいろなお話で、今回、今私が取り上げさせていただきましたのは、是政橋第二期鋼けた製作の架設工事その一、約十九億一千万、これが約十二億九千六百万ですね。六七・八%というその落札率ですよね。
こういう中でも、やはり先ほどからの品質管理もそうだし、安全もそうだし、それからやはり下請関連に相当なしわ寄せが来るんではないか。
例えば、このいわゆる橋梁の関係工事だけじゃなくて、さまざまな工事をやっていますけれども、その中で、中小企業は、極めて倒産率が高くなってきているようなんですね。率というか、倒産件数がふえてきているような感がいたします。これは東京都の工事を受注した中小企業だけを限定しても、どうも近ごろ、数年前というか、どのくらい前を指したらいいのかわかりませんけれども、そのような話を聞くし、それに伴って、工事が予定どおり当然進まないですね。
こういう弊害が相当都民生活上というか、さまざまなところで、まちづくりの観点から見ても支障が来されてきているということもありますんで、私はやはり、いわゆる首都高速道路のこの会社が、どのような入札価格調査をきめ細かくやったかというところまではわかりませんけれども、少なくとも現行の価格調査で、果たしていかなるものかという感がしてならないんですね。
これをぜひとも、今後やはりしっかり品質管理を初め管理監督を徹底をしていくんだと、そのお話は私は全くそのとおり受けとめます。しっかりやっていただきたいなと。これはもう強く我々、全員だと思いますけれどね、思うところなんであります。
しかし、それだけで果たして現状というものが、全体的なものというのが捕捉できて、有効な対応というのはとれるのかなと。
先ほど三カ年のお話がありましたけれども、だんだんと、いわゆる低価格入札の件数がふえてきて、または落札率が下がってきて、先ほどご答弁ありましたけれども、こういうような状況から見たときに、やはり私は、ぜひ抜本的な、何か東京都がこの問題をさらに入札価格調査というか、大変大きな問題になってきていますので、ぜひ局を中心に、建設局だけじゃなかなか難しいと思いますけれども、ぜひひとつ強力に取り組んでいただきたいなというふうに要望をさせていただくところであります。
もう一点あったんだけれど、要望でいいです。終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。
○河野委員 第二百二号議案、第二百四号議案について、反対の立場から意見を述べます。
第二百二号議案、晴豊二号橋がかかる都市計画道路環状二号線は、臨海部開発と一体の道路です。中央区議会では、晴豊二号橋の凍結を求める請願が、九月二十一日の本会議で全会一致で採択、また東京都が提案している環状二号線の築地-月島-晴海間の都市計画変更案に対しても、住民から反対の意見が出されています。このような状況のもとで、建設を急ぐ必要は認められません。
第二百四号議案は、首都高速道路中央環状品川線建設のために、品川区大井に立て坑を設置する契約議案です。中央環状品川線は、本来は国と首都高速道路株式会社が責任を負うべき有料道路事業であるにもかかわらず、東京都は、二〇一六年のオリンピックを目指して整備を急ぐ三環状道路の一つとして、工事を促進しようとしています。建設費四千億円のうち、東京都が千二百五十億の財政負担をするということに、地元住民からは、都の予算の使い方に疑問が表明され、また、自動車排ガスによる大気汚染の悪化など環境への負荷が大きい事業であると、強い反対の声が上がっています。
したがって、二百二号、二百四号、二つの議案に反対の態度を表明します。
以上です。
○ともとし委員長 発言は終わりました。
お諮りいたします。
第二百二号議案、第二百四号議案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、また第百九十九号議案、第二百三号議案につきましては異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
以上で建設局関係を終わります。
○ともとし委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○ともとし委員長 この際、所管局を代表いたしまして、依田建設局長より発言を求められておりますので、これを許します。
○依田建設局長 お許しをいただき、両局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
今定例会に提案いたしました議案などにつきまして熱心なご調査、ご審議をいただき、まことにありがとうございました。
また、一年間を通じて、さまざまなご指導、ご鞭撻を賜り、ありがとうございました。
これまでに委員長を初め委員皆様からちょうだいいたしました貴重なご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事業執行に反映させ、万全を期してまいります。
今後とも環境・建設行政の発展のためご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
○ともとし委員長 発言は終わりました。
この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
今お話がありましたように、早いもので一年がたちました。大幅に委員の方も変更されるやということも聞いております。この一年、副委員長を初め理事あるいは各委員につきましては、ご協力を賜りまして、本当にありがとうございました。すべてがスムーズにこの一年間終わったのかというふうに思っております。
特に、環境、建設両局とも、局長がかわり、主要な幹部の方もかわられました。そうした中で、都政にとって大事な環境・建設、順調に進められているかと思います。
ただ、この一年間の中であった委員会の中のさまざまな指摘の点については、どうか今後の課題にしていただいて、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。(拍手)
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十分散会
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