環境・建設委員会速記録第十二号

平成十七年十月十八日(火曜日)
第九委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長ともとし春久君
副委員長林田  武君
副委員長大津 浩子君
理事大西由紀子君
理事西岡真一郎君
理事近藤やよい君
伊藤 興一君
原田  大君
河野百合恵君
石森たかゆき君
くまき美奈子君
東野 秀平君
こいそ 明君
吉野 利明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長大橋 久夫君
総務部長白石弥生子君
企画担当部長大野 輝之君
都市地球環境部長小山 利夫君
環境改善部長梶原 秀起君
参事柿沼 潤一君
自動車公害対策部長中島  博君
参事前田 敏宣君
自然環境部長福島 章人君
廃棄物対策部長森  浩志君
参事長嶋 博宣君
局務担当部長月川 憲次君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○ともとし委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○白石総務部長 去る九月十四日の当委員会におきましてご要求のありました資料についてご説明を申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次のとおり、十八項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成六年度から十五年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。ことしの夏の都区部の気温分布の特徴と過去十年の真夏日、熱帯夜の日数でございます。
 まず、(1)、都区部における気温分布でございます。二つの分布図は、平成十七年夏季における真夏日の日数及び熱帯夜の日数を等高線であらわしております。
 下の(2)は、過去十年間の東京における真夏日及び熱帯夜の日数でございます。
 三ページをお開き願います。世界の異常気象の状況でございます。
 過去十年間に起きた世界の異常気象の主なものを記載してございます。
 四ページをお開き願います。新エネルギー対策等における都のこれまでの取り組みと今後の取り組みでございます。
 (1)は、新エネルギーについての基本的考え方、これまでの取り組み、今後の取り組み、(2)では、そのうちの燃料電池自動車について記載してございます。
 五ページをお開き願います。環境影響評価条例の改正に伴い環境影響評価書の提出が不要となった高層建築物でございます。
 対象事業は二件ありまして、おのおのその名称、位置を記載しております。
 六ページをお開き願います。光化学スモッグ注意報等の発令状況の推移でございます。
 平成八年から十七年までの各年における光化学スモッグ注意報等の発令日数、注意報発令の期間及び当該年のオキシダント最高濃度を記載しております。
 七ページをお開き願います。二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表において、上段に一般環境大気測定局における平成十二年度から十六年度までの測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を、下段に自動車排出ガス測定局における状況を記載しております。
 八ページをお開き願います。二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 まず、(1)、二酸化窒素について、平成十二年度から十六年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 次の九ページは、(2)、浮遊粒子状物質について同様に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。都内環境中のダイオキシン類調査結果でございます。
 (1)は、大気中のダイオキシン類調査結果でございます。アでは、調査地点二十地点の位置を地図に落とし込んでおります。イでは、その二十地点の平成十二年度から十六年度までの各年度における測定値を記載しております。
 一一ページをお開き願います。(2)、公共用水域のダイオキシン類調査結果でございます。アでは、平成十六年度の調査地点五十九地点を、調査対象別に、その環境基準と測定の地点数を記載しております。イでは、調査地点のうち平成十二年度から十六年度までの間で一回でも環境基準を超過したことのある調査地点を取り出し、各年度における値を記載しております。網かけの部分が環境基準を超過した値でございます。
 なお、中段の地図は、五十九の調査地点をあらわし、丸つき数字はそのうち環境基準を超過した地点を示しております。
 一二ページをお開き願います。都の施設におけるアスベスト使用状況と処理状況でございます。
 (1)は、平成元年度調査で判明したアスベスト使用施設数及びその面積を対策のランク別に記載してございます。
 (2)は、そのうち本年七月現在の未処理の施設数及びその面積を記載してございます。
 一三ページをお開き願います。都内の土壌汚染の発生件数と対応状況でございます。
 環境確保条例が施行された平成十三年十月一日以降の各年度における土壌汚染調査件数、汚染が判明した件数及び処理が完了した件数を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。緑被率・みどり率の推移でございます。
 まず、(1)、都内の緑被率とみどり率の推移ですが、昭和四十七年から平成十年までに行った各調査における緑被率とみどり率を記載しております。
 次に、緑被率の地域別推移でございます。各調査年度における区部、多摩の地域別の緑被率とその経年変化でございます。
 一五ページをお開き願います。保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成八年度から十七年度までの各年度における保全地域の指定面積、公有化面積、公有化の予算額及び決算額でございます。
 一六ページをお開き願います。保全地域の指定実績でございます。
 平成十二年度から十六年度までの各年度において指定した保全地域名、指定内容、指定面積及び保全の方針を記載しております。
 一七ページをお開き願います。野生動植物の状況と対応でございます。
 まず、(1)、主な移入種の現状と対策でございますが、都内に見られる主な移入種の生息・生育地、影響及びその対策について記載しております。
 次に、一八ページをお開き願います。絶滅の危機に瀕している主な野生動植物の現状と対策でございます。
 都内の絶滅の危機に瀕している主な種の生息・生育地、危機の状況及びその対策について記載しております。
 一九ページをお開き願います。多摩地域の市町村の清掃事業への財政的支援の実施状況でございます。環境局所管分のみ記載しております。
 (1)は、ごみ減量化促進対策事業と廃棄物処理施設整備事業の平成十二年度から十六年度までの各年度における補助金額及び件数でございます。
 (2)は、平成十六年度の実施内容を記載しております。
 二〇ページをお開き願います。産業廃棄物の排出量及び処分量の推移でございます。
 平成十一年度から十五年度までの各年度における都内から排出された産業廃棄物の排出量及び最終処分量でございます。
 なお、下段に産業廃棄物の種類別排出量を平成十五年度実績に基づき円グラフであらわしております。
 二一ページをお開き願います。都内の不法投棄等不適正処分の状況でございます。
 平成十三年度末の状況及び平成十四年度から十七年度までの各年度における不適正処分の発生、処理、年度末残の状況を区部、多摩地域別に記載してございます。括弧書きの件数はそのうちの不法投棄の件数でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ともとし委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、資料もいただいておりますが、三点お聞きをしたいと思います。
 まず、多摩地域における自然の保護、保全、また、より市街地に近い緑の保全についてお聞きしたいと思いますが、三多摩地域も大変広いわけでありまして、その中で、多摩南部ですね、八王子、町田、日野、多摩、稲城、この五市あるわけでありますけれども、この保全地域の、過去、各市にどのような保全指定をしてきているのか、そのあたりからお願いします。

○福島自然環境部長 多摩南部の五市における保全地域の箇所数でございますが、八王子市が十一カ所、町田市が五カ所、日野市が二カ所でございまして、多摩、稲城両市はいずれも保全地域の指定はございません。

○こいそ委員 当然、この保全地域指定の一定の基準があると思うんですが、その中で、どのような基準をもととして今まで指定をしてきたのか。そして、これからどのような状況に対して、基準ですね、これから指定をしていく計画があるかどうか、そのあたりをお願いします、この南多摩で。

○福島自然環境部長 保全地域の指定でございますが、平成十二年度の自然保護条例改正の際に、緑地保全地域と類似した制度でございます、現行都市緑地法による特別緑地保全地区との役割分担を整理いたしました。都が保全地域の指定をするに当たりましては、広域的な視点から、自然性豊かな緑が多く残っている丘陵地や山地の緑地を主たる対象とすることといたしました。

○こいそ委員 今、特別緑地指定地区を含めた東京都の保全地区指定の中で、南多摩、今申し上げた五市があって、そのうち二市が未指定という状況なわけでありますけれども、どのような理由があってこの二市については指定されてこなかったのか。また、今後計画はどうなっているのか。そのあたりをお願いします。

○福島自然環境部長 保全地域の指定に当たりましては、予算の面だけではなくて、その地域の土地所有の形態、あるいは地元自治体の状況、それから、地元のそういった保全活動を支える住民の状況、そういったものを加味して指定をしております。そういった関係上から、残念ながら、必ずしも貴重な緑が残っているところが全部保全地域として指定されているわけではございませんので、現在のところ、多摩、稲城の二市については指定がないということになっております。

○こいそ委員 ただいま部長から、今までの緑地保全指定、一、二お話がありましたけれども、地元市の意向、土地所有形態ですか、いろいろな諸条件、当然あるわけでありますけれども、その中でも、かねてから、一定の面積を有していて、これは一部公有地も入っているんですが、先ほどの前段のご答弁の中で、一定規模の自然緑地帯--丘陵だとか山間森林ですね、一定の面積を有しているところ、そして、極めて、地元からも指定の希望を出されている中で、これは私、実は、前々の委員会でもこの質問をさせていただいた経緯があるんですね。その中で、その後、一定の時間が経過していますけれども、私は、地元から見た見方なので一方的かもしれませんけれども、諸条件がクリアできるんじゃないかというところが何カ所かあるように思うんですね。そのあたりは今までご検討された経緯があるのかどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 続きまして、例えば、丘陵もそうでありますけれども、山林、森林、または、多摩地域だけではありませんけれども、多摩川が流れてますね、水辺空間。水辺の大変よい環境というものをそれぞれ我々も見ておりますけれども、その中で、例えば、これ、大変申しわけないんですけれども、やはり私の地元で、多摩川と中小河川が合流しているところがあるんですね。大栗川という中小河川なんですが、何本かの川が合流して、さらに多摩川に合流しているんですね。そこの崖線ですね。これは極めて、いわゆる多自然的であり、そして水辺空間であり、それから崖線が、保存されているといういい方がどうかわからない、自然にさまざまな形態が織りなされているんですね。この水辺及び崖線及びさまざまな自然が創出されている、保存されているというんですかね。
 その中でもとりわけ私も驚きましたのは、多摩というと、カワセミというと当たり前じゃないかという感覚がするかもしれませんけれども、副委員長の方の奥多摩とか檜原の方の上流であれば、比較的こういう話は珍しくないかもしれませんが、多摩川中流部、それも周辺を見ればかなり開発の進んでいるところなんですね。ここのところに、今、そういう自然が保存されているんだけれども、カワセミも生息しているんですね。それだけじゃないですね。さまざまな鳥類だとか、魚類もそうでしょう、そういう自然があるんですね。
 こういうところこそ、私は、東京都環境局として、余り崖線でも短くありませんけど、そういうところを何らかの形で保存していく。保存してないと、もうそこまでマンションがうわあっと押し寄せてきてますのでね。ですから、我々率直にそういう思いがするわけでありますけれども、広域行政体としての東京都が、そして環境局がそのような自然環境というのをどう保全をしていくのかなということをこの際お聞きしたいと思うんですが、いかがでしょう。

○福島自然環境部長 まず、前段の、これまでの指定されていなかったという経緯でございますけれども、多摩の中でも自然公園の区域というものは、平成十三年度以前につきましては、保全地域に二重に指定はしないということを考えておりまして、そういった関係で、過去、ここのエリアにつきましては保全地域という指定がなかったという経緯がございます。
 さらに、後段の、連光寺崖線緑地のことだと思いますが、ここにつきましては、傾斜地にまとまった緑を形成している地域でございまして、この地域は、多摩市の緑の基本計画の中において、崖線に沿った緑のつながりを保全していくという方針が示されてございます。今後、多摩市と連携を密にしながら、崖線緑地の保全について協力をしていこうと存じております。

○こいそ委員 確かに都市計画上の網かけの地域もありますね。しかし、私がこの委員会も通してお話しさせていただいているところは、都市計画の網から外れているところも当然あるんですね。ですから、そういうところの対象というのはどう考えられていくのか。指定というものをどう検討されていくのか。そのあたり、かねてからお話しさせていただいて、それが現実、先ほどからいっておりますように、地元からの話というのは、割と、いいじゃないか、いいじゃないかという部分が多いんだけれども、私は冷静、客観的な検討をぜひしていただきたいなと。
 残せる自然環境、緑、これはやはり地元市との連携は確かに必要だと思います。当然だと思うんですね。基礎自治体、地元としての連携は大変必要だと思います。さりとて、東京都は広い。いろんなことをやらなきゃしょうがないんだ。金もかかる。大変だ。これはわかるんですね。そんなこといったら何もできないんでね。ですから、この貴重な自然というものを、都民共有の財産という観点から見ても、どうしても守っていかなきゃしょうがないんじゃないか、地元からのそういう声が強いんだということであるならば、もっと検討に値できる部分というのはあるんじゃないかと思うんですね。ぜひこれは要望で、そのあたり、まさに今お話がございましたけれども、地元市との話し合いをしていただければというふうに思います。
 続きまして、一問目はあと一、二お聞きして終わりにさせていただきたいと思いますけれども、もう一点は、今、連光寺の崖線のお話をしていただきました。私はまさにそこの話をしているんですけれども、それからさらに連なって、多摩丘陵の一隅なんですね。多摩丘陵といったって大変広いんですけれども、まさにそこの本当の一カ所のところでありますが、この丘陵が、余り起伏には富んでおりませんけれども、なだらかな丘陵だと。ここのところが、今申し上げた崖線から連綿として続いているんですよ。一部都道が真ん中に入っておりますけど、連担しているんですね。
 ここのところが、先ほどのカワセミじゃありませんけど、多摩には極めて珍しい、また消滅しかかっている植生、植物があるんですね。その一つが、タマノカンアオイという植物があるんです。これがかなり群生をしているというところは珍しいんですね。これも消滅してしまうんじゃないかという植物なんですけれども、それが自然の中で群生をしているんですね。
 ですから、こういうところを都としてもぜひ何らかの形で保存してもらえないかというやりとりもさせていただいた経緯がありますけど、残念ながら、ここのところは丸裸。なおかつ、要するになだらかなんだけれども、さらにもっとなだらか。平地にはなりませんけどね。極めてもう、これ開発なんですよ。万やむを得ないという中でやったんでしょう、我々はちょっと疑問を持つんだけれども。
 そこには、河川沿いの方では先ほどいったような景観がありますね。それから、植生があり、カワセミも生息しているという話をさせていただきましたけれども、こちら側の丘陵の方も、今いった植物や小動物や、比較的市街地に近いところにもこんな豊富な自然の営みがあるんですよね。ところが、一つ一つつぶされていっちゃうんですね。つぶされた後というのは、ある程度開発が始まったときに見にいっていただいて、おっ、なるほどなと。これは残しておいた方がよかったなというのが歴代の局長さんなんですよ。局長さんということはないけれども、局長さんも見にきていただいた経緯がある。
 ですから、何をいいたいかというと、地元で最大限やらなければいけない。地元市も最大限、環境保全だとかさまざまな観点から施策をやっていかなきゃいけない。しかし、どうしても回らないところもあるかもしれないし、それはわかりませんけどね。市民団体も絡みはあるかもしれないけれども、少なくとも東京都の環境局として、多くの都民が、なるほど、これはやっぱり守るべきじゃないか、これは守ってほしいよ、一緒になってその空間というものを保全していこうじゃないかという部分は、ああ、やっぱり残しておけばよかったなということではなくて、ぜひ積極的に--今いってる場所ということじゃないですよ。もっと広い意味で、そういう箇所についてはよく調査していただいて、そして、貴重な、多摩といったっていろいろありますけれども、相当広い面積ですし、いろいろ分布しているわけでありますけれども、多摩だけではありません、小笠原もそうでしょうけれども、全体的な、そしてまた、より身近なところにもきめ細かい行政施策というものが示される、また打ち出されるべきじゃないかなと思うんですが、環境局長、そのあたりの思いをお話しいただければありがたいと思います。

○大橋環境局長 自然は人間の生存の基盤でありまして、人類が生活を営む上で欠くことができないものであるというふうに思っております。開発を行う場合においても、自然環境との調和を最大限に配慮する必要がございます。とりわけ多摩地域には、多摩丘陵を中心とする幅広い緑豊かな丘陵地帯が存在し、多様な動植物が生息、生育しております。こうした自然環境の保全に努めるとともに、市街地に残された貴重な緑や自然遺産についてもでき得る限り保存の方策をとることが重要だと認識しております。
 今後とも、都市と自然が調和した豊かな東京を実現するため、土地所有者や市町村を初め、ボランティアやNPO、企業など、広く理解と協力を求めながら、自然の保護と回復に全力で取り組んでまいります。

○こいそ委員 ぜひお願いしたいと思います。
 それでは、二点目の産業廃棄物の不適正処分の関係について、一、二お聞きしたいと思います。
 これは資料もいただきました。とりわけ、私、多摩の方の選出なものですから、これまた多摩地域に限定させていただきますけれども、産廃の不適正保管がなかなか後を絶たないという中で、その不適正な保管は現状としてどういう状況で発生するのか。どういう状況でこのようなことが起きてしまうのか、局から見たところの現状認識といいますか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。

○森廃棄物対策部長 多摩地域におけます不適正な保管につきましては、主に解体業者などが、借地または自己の土地に、家屋の解体等から発生した建設廃棄物を、自社物と称しまして、法令の基準を超えた搬入、堆積をしているものでございます。
 その要因は、長引く不況や建設業界における過当競争などを背景に、家屋等解体業者が正規の処理料金よりも安く解体処分を請け負わされたり、正規の処理料金を得ていながら、廃棄物処理費を他に流用するなどにより、処理せず堆積させていることによります。
 さらに、野焼きの原則禁止や小型焼却炉の使用制限によりまして、自社用地で安易に廃棄物の処理ができなくなったことなどもその要因の一つでございます。

○こいそ委員 今ご答弁いただきましたが、不適正処分がなかなか後を絶たない。この中で、排出事業者が、この長引く不況下もあるでしょう、さまざまな状況があると思いますけれども、極めて低コスト、低価格で、そして排出をする中で処理を委託している。受けたところも、どういう理由か、現実はわかりません、しかし、極めて低価格、低料金で、これも競争は当然あると思いますね、当然あってしかるべきだと思いますけれども、受けている。中には、不心得な業者が不適正な処分を行ってしまう。こういう側面もあるのではないかというふうに思うんですね。一方、まさに故意で、初めからいわゆる悪質業者は不法処分というか不適正処分を行っているという現状も現実的にあると思うんですね。
 ですから、こういう総体的な中で、私は取り締まりの強化は当然必要だと思います。当然にして、法の遵守を行っていく。法に基づいて指導、監督を行っていくというのは当然だと思うんですね。しかし、その中で、コスト縮減をどうしても図らなきゃいけない業種、業態だから、その事業者の中で、このような発注の中で受けて--経営的なさまざまなことで受けるわけですね。そして、不適正処分を行ってしまうということ。これらのことをぜひ現状認識をしていただいて、より適正な処分形態になるような、全体の仕組みづくりまでいかないまでも、何らかの指導というもの、マニフェストだってあるわけですから、これを行っていく必要性があるんじゃないかなと思うんですね。
 それともう一点は、東京都の発注する工事から発生するいわゆる産業廃棄物、これが、マニフェストは確かにありますけれども、不適正処分がなされているところは現状としてどうなのかなということですね。私はそれを一、二聞いたこともありますし、東京都の発注のもとから、最終的にはどういうルートで流れたかわからないけれども、最終的に野外というか、かなり広い面積のところに不法に不適正処分がなされてしまうということも一、二ありますよ。聞いたことがあるんだけども、そのあたりの現状というのはどうなんでしょうかね。

○森廃棄物対策部長 産業廃棄物の適正処理を推進するためには、不法投棄やそれにつながる行為などに対し規制、監視を一層強化するとともに、排出事業者の社会的責任も徹底させることが重要でございます。
 このため都は、本年三月に東京都廃棄物条例を改正いたしまして、今後、産業廃棄物の排出者に対しまして、法令の遵守の状況や委託した廃棄物の適正な処理を確認する具体的な方法等につきまして報告を求め、速やかに公表することとしております。この制度の着実な実施によりまして、排出事業者の適正処理に対する意識の向上と取り組みの促進を図ってまいります。
 それから、都の発注工事についての不適正処理の件でございますけれど、公共工事におけます発注者につきましては、廃棄物を排出する事業者に該当しませんで、法令に基づく適正処理の義務は課せられておりませんけれど、廃棄物の処理費用の確保など、適正処理を確保する上で重要な役割があると認識しております。このため、公共工事の発注者に対しましては、社会的な責任を持ち、適正処理を確保するために、法令の要件ではございませんけれど、排出事業者から産業廃棄物が最終処分されたことを産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストの写しによりまして確認するよう、強く指導しているところでございます。
 引き続き適正処理が徹底されるよう、関係部署に対して周知し、指導してまいります。

○こいそ委員 ぜひこれは、局がそれぞれまたがっていると思いますけれども、自主的に、前段からいっている話とちょっと違うかもしれませんけれども、都発注のことについては、かなり住民や都民の目も厳しいわけでありますから、どういう経過でそのような流れにいったかわかりませんけど、管理票は確かにあるでしょう、なかったら大変なことになりますけれども、現実は現実ということもあるようでありますから、ぜひひとつそのようなことが起こらないような対処方を求めたいと思います。
 それと、これはもういうまでもなくて、法的にも、法の趣旨ということなんでしょうけど、産廃は排出者の責任により広域的な処理が認められているということは認識をしておるところなんですけれども、東京都内で発生するさまざまな産廃が、その多く、百四十九万トンが都外で処分されている状況があると。これは大変大きな数字ですよね。東京という大きな都市の中での排出という数字から見たとしても、都外処理というのは少なくないですね。
 そのようなことから見たときに、この処理の状況実態というのを、東京都としてもどのように把握に努め、それに対する一定の--先ほどのような不適正処分がなされたら大変なことになりますけれども、そのようなことを含めながら、どのように現状というものを把握されているのか、そのあたりをお願いします。

○森廃棄物対策部長 都内から発生いたします産業廃棄物の量につきましては、平成十五年度推計で見ますと、約二千四百万トンでございます。最終処分されている量につきましては、約百四十九万トンでございまして、その約七割が都外で処分されております。最終処分されています廃棄物の多くは、建設泥土や建設混合廃棄物でございます。

○こいそ委員 実際都内から排出される産廃が都外で処理、処分される量が七〇%だというお話だと思うんですね。しかし、先ほどいいましたように、法の趣旨に基づけば問題はないんじゃないかというようなお話も一部あるわけでありますけれども、しかし、少なからざるも排出量の七〇%が都外ですよね。それは現実的ないろいろなお話もわからないではないわけでありますけれども、明らかにこの現状でいいんだという話ではないですよね。中間処理、最終処分が今のような処理体制というか、処理現状がこれでいいんだということでは全くないと思います。
 いずれにいたしましても、東京都の産業廃棄物の処理に対して、東京の果たすべき役割というのが、首都圏を見たとき--首都圏だけじゃないと思いますけど、相当広域的に、東京都内から排出された産廃が流出していることもあるかもしれませんけれども、それらを含めまして、東京都の産廃処理に対する果たすべき役割についてお聞きをしたいと思います。

○森廃棄物対策部長 産業廃棄物処理に対する都の役割を果たしていくためには、都内におきまして、信頼性が高く、環境への負荷が小さい先導的な処理施設の整備を促進するとともに、最終処分量を削減していくことが重要でございます。
 このため都はこれまで、都有地を活用したスーパーエコタウン事業におきまして、建設混合廃棄物や感染性廃棄物、PCB廃棄物の都内処理体制を確保するとともに、廃プラスチック類のサーマルリサイクルを促進しているところでございます。
 また、今後は、他県で多くが最終処分されている建設泥土の有効利用を図ることなどによりまして、都外での最終処分量の削減に努めてまいります。

○こいそ委員 ぜひこの取り組みもよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後に、三点目の燃料電池の関係について一、二質疑させていただいて、ご答弁いただきたいと思います。
 京都議定書が本年二月に発効して、我が国は、京都議定書の基準年の一九九〇年と比較いたしまして、温室効果ガスを六%削減をしていかなければならない。しかし、環境局が先ごろ発表いたしました二〇〇三年度の都内の温室効果ガス発生量は、二三・一%に増加しているという現状です。その中で、温室効果ガスが日本全体でも増加しているのはいうまでもない。地域温暖化を防止するため、二酸化炭素排出量の削減がいうまでもなく急務である、こういう認識ですね。
 また、将来、原油の枯渇が懸念される中、代替エネルギーとして、また究極のエコエネルギーとして、まさにこれから代替的エネルギーだ、エコエネルギーだということで、燃料電池が各国ともに注目されているわけですね。とりわけ、我が国の首都である東京の中で、日本国内の都市の中で最大のエネルギー消費をしている都市としても、私はまずそこで燃料電池に非常に着目をするところなんですが、そもそも燃料電池とはどのようなものなのか。また、東京都の取り組みについてお聞きをしたいと思います。

○小山都市地球環境部長 燃料電池でございますけれども、燃料電池は水素と酸素を化学反応させまして、直接電気を発電する装置でございます。燃料となる水素は、石油などを使わずに、水から自然エネルギーを利用して製造することが可能でございます。究極のエコエネルギーといわれております。
 燃料電池自動車は、走行時に二酸化炭素や窒素廃棄物などを排出しないクリーンな車でございまして、また、家庭やビルなどに据え置く燃料電池は、発電効率が高く、送電ロスもなく、廃熱も利用することができる、地球温暖化防止に寄与するシステムでございます。
 東京都は、このような燃料電池自動車、あるいは家庭で据え置く燃料電池等の実証研究等に寄与してございます。

○こいそ委員 燃料電池の活用の方法について、今さまざまに研究開発されておるようでありますが、その中でも、燃料電池自動車についてまずお聞きをしたいと思います。
 地球温暖化対策、大気汚染対策にもつながる燃料電池自動車の普及促進のために、東京都は都営バスで試験的な運行を開始しましたね。その中で、このパイロット事業を行ってきた中で、実際運行させてみて、どのような検証がなされたのか。また、その成果はどうであったのか、お聞きしたいと思います。

○小山都市地球環境部長 東京都では、平成十五年八月から十六年十二月まで、走行データの収集と燃料電池自動車の普及啓発を目的といたしまして、燃料電池バスの全国初の営業運行をいたしました。この間、延べ約一万七千キロメーター走行をいたしました。
 乗客の皆様からは、音が静か、走りがスムーズなどの声が寄せられたところでございます。また、乗務員からは、発進、加速性やアクセルの応答性などについて、非常によいとの評価を得たところでございます。
 この事業によりまして、燃料電池バスの実用性等について普及啓発が図られたものと考えております。
 なお、燃料電池バスと江東区有明に設置した水素供給ステーション、この両方とも国の補助事業として実施している水素・燃料電池実証プロジェクトにも位置づけられておるものでございます。

○こいそ委員 ただいまご答弁ございましたように、国が実施している水素・燃料電池実証プロジェクト、そのプロジェクトそのものがどういうものであるのかお聞かせいただきたいとともに、国が現在、庁有車に燃料電池自動車を導入するというようなことを行っておりますね。その中で、車の安全基準、水素を保管するときの基準などの整備がより具体的な形で進められている。燃料電池自動車の開発が今後どのように進んでいくのか、普及がどのように図られていくのか、このあたりをお願いします。

○小山都市地球環境部長 国の水素・燃料電池実証プロジェクトは、平成十四年度から、自動車メーカーと燃料供給メーカーが、国の補助を受けまして、各種のデータ収集を目的に、燃料電池自動車の走行と水素供給ステーションの実証研究を行っているものでございます。来年度以降も引き続いて実証研究が進められていくというふうに聞いております。
 燃料電池自動車の現状といたしまして、リース価格が月百万円前後と、かなり高額なものであること、また、耐久性や走行距離等の技術的課題があることなどから、全国の登録台数は、本年三月末現在五十九台にとどまっております。燃料電池自動車については、このような多くの課題がございまして、いまだ実証研究段階にあると認識しております。

○こいそ委員 現状では五十九台の燃料電池自動車が走行しているということでありますが、いずれにいたしましても、現状として、コスト、耐久性の課題がどうしてもあるということだと思いますが、今後、この課題を克服する中で、まさに地球温暖化の防止、ハイクリーンな自動車の燃料である燃料電池自動車の普及は間違いなくいくと思うんですね。ですから、私どもも強く期待をするところでありますけれども、今後とも東京都の取り組みを求めるところであります。
 次に、家庭やビルに据え置く燃料電池についてお聞きしたいと思いますが、都市ガス、プロパンガスを原料とした家庭に設置する燃料電池の大規模な実証事業が今年度から始まったと聞いておりますが、据置型の燃料電池について、開発の現状をどのように認識をされているのか。また、家庭、ビルの据え置きに対する東京都の環境局の取り組みはどうなっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。

○小山都市地球環境部長 据置型の燃料電池の家庭への普及に向けて、本年度からメーカーなどが国の補助を受けて、全国に四百台の家庭用の燃料電池を設置いたしまして、試験検証を行っております。現在、技術レベルや問題点を把握し、今後の技術開発の課題を抽出するために、運転データなどの収集がなされております。
 また、東京都では、環境科学研究所と三園浄水場にそれぞれ二百キロワットの燃料電池を既に導入してございます。据置型の燃料電池につきましても、今後これらの実証事業の成果を踏まえた開発が順次進められていくものと考えております。

○こいそ委員 燃料電池については、さまざまに課題があり、それを解決していかなければいけないということは理解できるわけであります。当然、今のご答弁を聞きながらも理解しますが、大量の温室効果ガスを排出する、まさに先ほどいいましたけれども、私どものこの首都東京が次世代のエネルギー政策をしっかりと確立していかなければいけないのではないか、こういうことを思うんですね。
 国では、燃料電池自動車の導入目標を、二〇一〇年で五万台、二〇二〇年で五百万台、二〇三〇年で一千五百万台という計画が示されてきておりますけれども、水素は地球上に多く存在する水からつくり出すことでありますし、燃料電池は持続可能な、まさに将来を支える極めて重要なエネルギーであると。東京都は、燃料電池の研究開発、普及促進に今まで以上の積極的なかかわりをぜひしていただいて、水素社会の実現を積極的に、先導的な役割を果たせるぐらい頑張っていただきたいなと、こういうふうに思うわけであります。その使命もまたこの東京にあるんじゃないかと思うんですけれども、最後に局長のお考えをお尋ねをさせていただいて、終わらせていただきたいと思います。

○大橋環境局長 先ほどもお話がございましたが、東京都ではこれまで、全国初の都営バスによる燃料電池バスの試験運行、それから水素ステーションの開設、据置型燃料電池の設置により、耐久性の検証を行ってまいりました。
 そこで、現在の燃料電池については、コストや耐久性などの面で、いまだ解決すべき多くの課題があることがわかりました。しかしながら、燃料電池は低公害で高効率な発電システムであり、化石燃料への依存から脱却する温暖化防止技術として今世紀に最も期待されるエネルギーであるというふうに思っております。
 都といたしましては、メーカーの開発状況などを見据えつつ、燃料電池の導入、普及策について今後とも積極的に検討してまいります。

○西岡委員 私は、雨水浸透ますに絞りましてご質問をさせていただきたいと思っております。
 事務事業、それから事務概要、事業概要、環境白書二〇〇四にも掲載されている東京都の事業でございますが、質問の趣旨といたしましては、全都に雨水浸透ますを拡大して、何とかさらにさらに設置数がふえていく、そういった取り組みをぜひともお願いをさせていただきたいというのが質問の趣旨でございます。
 まず、雨水浸透ますを設置するということは、地下水の枯渇の対策。今、三多摩地域でも地下水が大変枯渇をして、市民の方々が大変問題点を指摘しているところでもあります。また、地球温暖化やヒートアイランド対策、都市部の水害対策、九月四日の都内での水害対策の一環としても、この雨水浸透ますの必要性が何人かの議員の方々から指摘をされてもおりました。また、流域雨水の抑制や、河川はんらんや、浸水の防止、あるいは、発展的には、雨水浸透ますを拡大させることが、緑の創出などの環境の保全、あるいは雨水浸透ますを活用することによって子どもたちへの環境教育の推進、さらには都市部での地盤沈下の抑制といったように、東京都が抱えている環境問題の多くの分野に大変大きな効果がある事業だと私は考えております。
 また、この雨水浸透ますというものは、莫大な経費を必要といたしませんし、いわゆるメンテナンスにつきましても、設置者の方々の軽微なメンテナンスでこの雨水浸透ますが維持をしていけるという利点もございます。
 特に、水害対策やヒートアイランド、温暖化、さらには地下水の枯渇対策には大変有効な手段であろうかと思っています。もちろん、水害対策として、いわゆる一〇〇ミリ対応の下水対策の必要性なども挙げられておりましたけれども、今アスファルトで覆われつつある都市部においては、治水対策などと同様に、雨水浸透機能も充実をさせていくことが大変に重要であろうと認識をしているところであります。
 そこで、お伺いをさせていただきますが、環境局は、この雨水浸透ますの効果や意義について、今現在どのように考えていらっしゃるでしょうか。

○福島自然環境部長 雨水浸透ますは、より多くの雨水を地下に浸透させることができるため、設置によりまして、雨水が集中して河川や下水道に流出することを抑制できるというふうに考えております。

○西岡委員 雨水浸透ますについての意義につきましては、同様の認識を持たせていただいております。
 雨水浸透ますは、東京都小金井市が非常に有名でありまして、実は東京都の事業では、現在まで約二万基の雨水浸透ますを設置していただいておりますが、小金井市では、ことしの九月末現在で、何と五万基もの雨水浸透ますが設置をされておりまして、設置の率も世界一といわれているところであります。設置率四七%、市民の方々の大変に大きな理解と、下水道指定店の方々の協力のもと、設置がずっと継続的に行われておりまして、この事業は、日本水大賞、土木学会の環境賞、あるいは毎日新聞社の地方自治大賞なども受賞された事業でございます。
 その結果、小金井市から見ますと、地下水の流れのいわば下流側に位置する湧水が非常に元気になってきている、復活をしてきているというお話も聞いているところですが、これは地下のことですので、検証がなかなか難しい部分でもあります。
 しかし、この雨水浸透というものは、一市で頑張っているものではございません。野川の流域自治体、さらには全都で雨水浸透を進めていかなければならないと考えているところであります。
 そこで、一つの資料を改めてご紹介させていただきたいと思いますが、環境局の方に、このような資料がありますかということを質問させていただきましたら、資料がありましたので、紹介をさせていただきますが、一体東京でどれほどアスファルト化が進んでいるのかという資料がありますかと調べましたら、東京都の環境局の調査で、昭和四十三年、昭和六十一年、平成三年と、過去三回ですが、不浸透率と雨水浸透率という資料を見せていただきました。
 二十三区では、昭和四十三年、建物や舗装された道路に覆われており地表面から雨水が浸透してない割合が七三・九%でした。雨水が浸透している地表面というのが逆に一五・七%でした。これが平成三年には、雨水が浸透してないところが八一・八%、雨水が浸透している地表面が九・五%ということで、意外にも高い数字なんだなと。つまり、降った雨は地中に戻ることなく下水に流されていくということで、雨が地中に戻らないという現象がこれを見てもわかります。
 また、多摩地域の資料では、日の出町、旧五日市町、奥多摩町、檜原村を除いておりますが、やはり多摩地域は非常に雨水が浸透する地表が多いわけですけれども、昭和四十三年は、不浸透率が二九・六%、雨水が浸透している地表面積が四五・二%ということでしたが、平成三年には逆転をいたしまして、多摩地域でも、不浸透率の地域が五二・五%、そして雨水が浸透しているところが二四・九%ということで、一部の地域が除いてありますけれども、三多摩地域も雨水がなかなか地中に還元されなくなってきているということが見てわかりますし、恐らく、今この調査をやってみると、さらに不浸透率が進んでいるものと理解をしています。
 そこで、お伺いをしますが、環境局が現在行っている雨水浸透ますの設置の取り組みと実施状況について伺います。

○福島自然環境部長 環境局での雨水浸透ますの設置の取り組みと実施状況でございますが、環境局では、雨水の地下への浸透を推進するために、主に野川流域でございますが、雨水浸透ますの設置事業を行っている区市に対して補助金を交付しております。平成二年度から十六年度末までの十五年間の設置補助数は、一万九千九百七十二基でございます。

○西岡委員 約二万基の事業をこの間続けてきていただきました。ありがとうございます。
 区市別の設置補助数が記載されている環境局の資料を見せていただきましたが、東京都の環境局が進めてきた事業の実績としては、国分寺で約三千基、小金井市は三百七十基、三鷹市は千百基などであります。また、野川流域以外でも、板橋区などが大変努力をしているというお話も聞かせていただきました。今後さらに、私としましては、多くの雨水浸透ますの設置を継続して進めていく必要があると考えております。
 資料によりますと、毎年千四百、千五百基ということで進めてきていただいた事業が、十五年、十六年、十七年とやや減少していく状況もありまして、今後のこの事業を大変心配をしているところでございますが、雨水浸透ますの設置をさらに全都に拡大していくためには、一体どんな課題があり、そしてどのような対応が必要だと環境局としてはお考えでしょうか。ご所見を伺います。

○福島自然環境部長 雨水浸透ますを設置いたしましても、設置者は直接的な利益を受けないものでございます。そのため、都民が自発的に設置することは余り期待できません。このため環境局は、補助制度によって雨水浸透ますの設置を進めてまいりましたが、設置する数や地域にはおのずから限界がございます。そのため、今後、点から面へと雨水浸透施策の展開を図るなど、補助事業にかわりまして、まちづくりと連携した広域的な雨水浸透対策を推進していく必要があると思います。
 また、都民、事業者、行政のおのおのが雨水浸透対策を実践できるような仕組みづくりを検討してまいります。

○西岡委員 ぜひとも雨水浸透対策の充実のためのご検討をお願いしたいと思っているところでございます。
 そこで、お伺いをいたしますが、地下水の保全や治水対策を効果的に進めるためには、環境局は、関係する部局などと連携をした雨水浸透対策の取り組みが大変必要だろうと思っております。多くの関係部局と連携をとった雨水浸透ますの推進が求められていると思いますが、環境局のお考えを伺いたいと思います。

○福島自然環境部長 雨水の地下浸透をさらに推進するために、雨水浸透ますの設置のほか、透水性舗装の敷設、緑地の確保など、多様な取り組みについて関係局や関係自治体と連携して検討を行っております。
 また、対策の推進には都民や事業者の協力が欠かせないため、積極的に雨水浸透対策に取り組んでもらえるよう、地下水保全の重要性や雨水浸透の方法などに関する普及啓発に努めてまいります。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。
 平成十五年度に行われた地下水保全対策、雨水浸透ます設置補助事業が行政評価をされておりまして、この行政評価の資料を読ませていただきました。この行政評価の趣旨は、事業のあり方はいろいろと見直しつつも、つまり補助事業にはやっぱり限界があると。私もそう思っております。しかし、事業のあり方はいろいろと見直しつつも、雨水浸透ますの設置数をふやしていく努力は求められているのではないか。こういうことがこの行政評価に記載されているんだろうなと私なりには理解をさせていただいているところでございまして、今後、環境局が関係局などと雨水浸透ますの設置拡大策を検討するに当たって、二つのご提案をさせていただいて、質問を終わりたいと思っております。
 一つは、この間にも各市区町村といろいろなお話があったと思いますが、補助金を増額するには限界がありますので、各区市町村の宅地開発指導関係の要綱に雨水浸透ますを設置するという努力義務などを規定していく、あるいは東京都として宅地指導における雨水浸透ますの設置の努力義務を明確に打ち出すなどの方針を確立していく必要があるのではないかと思っております。
 二点目のご提案としましては、実は各区市町村が、雨水浸透ますの設置を一生懸命努力をしている自治体があるわけですけれども、下水道負担金というものを各自治体は東京都に支払っておりますが、この雨水浸透ますに一生懸命取り組んでいる自治体に対しましては、雨水浸透事業の努力というものを負担金に反映をしていくことができないか。つまり、これをやることによって、各自治体も、頑張れば、下水道負担金などのいわば自治体負担が軽減をされていく。そういう軽減をすることによって雨水浸透ますの努力がさらに一層進むのではないかと思っておりまして、そういったこともご検討いただきたいと思います。
 さらに追加でございますが、東京都環境局といたしまして、ぜひ都庁の建物への雨水浸透ますの設置や、あるいは、東京都が行っている鉄道高架事業などさまざまな建設事業におきましても、少しでも雨水を地下に還元していくというご努力をお願いをさせていただき、最後に、雨水浸透ますの効果や意義にかんがみまして、積極的な東京都環境局としての施策の展開を求めまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○伊藤委員 私からは、三宅島の災害廃棄物の処理について質問をさせていただきたいと思います。
 私は、都議会議員に初当選をさせていただきまして、早速、七月の二十日から三日間、都議会公明党議員団の一員として三宅島視察に参加してまいりました。
 本年二月の全島避難解除から半年を超え、三宅島の方々は、打撃的な自然災害から、生活の立て直し、また漁業を初めとする産業の立て直し、とりわけ自然を目玉にした観光復興へ向け、島一丸となって取り組みを始めておられました。その姿は、どんなことがあっても必ず島をよみがえらせるんだという、島の方々の人間の底力みたいな迫力を感じ取ってまいりました。
 一方、泥流で倒壊した家屋や、あるいは高濃度火山ガスのため航空機発着のめどが立たない三宅島空港の早期再開の問題のほか、自然の再生や保護など、解決しなければならない課題が三宅島には山積している。こんな現実を目の当たりにしてまいりました。
 その一つが、五年間、手が全く行き届かず、増加し続けた災害廃棄物の処理であります。島内に五カ所設置をされた災害廃棄物の仮保管所の一つである坪田中学校の校庭を見て、私は目を疑いました。使用不能となった家具、また畳、冷蔵庫、電化製品で、一中学校の校庭がそれこそ廃棄物の山でございました。観光復興に島の再生をかける三宅島の環境面から見ても、一刻も早くこれらの大量の災害廃棄物を処理しなければならないと私は思うのですが、三宅村だけでは限界があると、このように地元の村議もおっしゃっておりました。
 まず初めに、三宅村の災害廃棄物の処理に関し、これまで都はどのような支援を行ってきたのかを伺いたいと思います。

○森廃棄物対策部長 三宅村が災害廃棄物を島内だけで処理することにつきましては、災害状況などから見まして、困難であると想定されました。このため都は、島外での搬入先の確保など、処理体制の整備につきまして支援を行ってまいりました。
 この結果、村民の帰島に伴って排出される家具類等の粗大ごみにつきましては、特別区の協力によりまして、粗大ごみ破砕処理施設で処理が行われ、その残渣物は都の最終処分場で受け入れております。
 また、冷蔵庫等の廃家電や廃自動車につきましては、島外搬出の後、民間業者によりリサイクルされております。
 三宅村が処理する災害廃棄物のうち廃自動車につきましては、国に働きかけた結果、国庫補助対象として認められたところでございます。

○伊藤委員 三宅村の村民の方が避難の際に、港近くまで車に乗ってまいりまして、そこに残していかれた自動車でございますが、火山ガスの影響等もあり、腐食が激しく、私も指でボディーを押してみましたけれど、押すだけでボディーに穴があく、あるいは指でつぶしただけで粉々になってしまう、こんな状況でございました。
 こうした廃自動車や、あるいはまた廃家電は島外搬出をしているというご答弁でございましたけれど、廃自動車にはバッテリーも積んである。また、オイル類も入っている。また、坪田中学校の校庭に山積みになっておりました冷蔵庫やエアコンにはフロンガスが使用されている。これらの環境上問題を生じるおそれのあるものについてはどのように対処をされていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

○森廃棄物対策部長 三宅村が処理する災害廃棄物につきましては、家屋の廃材や廃自動車、廃家電など、多様でございます。ご指摘の自動車のバッテリーや冷蔵庫等に使用されておりますフロンガスなども、適正に処理する必要がございます。
 このため、廃自動車のバッテリー、オイル類やフロンガスにつきましては、島内で簡易解体する際に回収を行っております。また、冷蔵庫やエアコンのフロンガスにつきましては、島外搬出の後、民間のリサイクル施設で回収等の処理を行っております。

○伊藤委員 都は、今いったような環境上問題を生じるおそれのある物質について、適正に処理されるよう、引き続き三宅村を支援していただきたいと思います。
 さて、私が行った視察より三カ月が経過をいたしましたけれど、三宅島の生活環境の保全の上からも、これらの災害廃棄物を迅速に処理することが重要であると考えます。七月には未処理であった坪田中学校の校庭を初め、大量の災害廃棄物の処理は、現在どの程度進められているのかを伺いたいと思います。

○森廃棄物対策部長 九月末現在の災害廃棄物の処理の状況は、廃自動車につきましては、処理すべき約二千四百台中、約千九百台の処理が終了しております。冷蔵庫等の廃家電につきましては、おおむね半分の処理が終了しております。また、島内に五カ所ありました災害廃棄物の仮保管場所も、三カ所については処理が終了いたしました。現在、坪田中学校、伊豆老人福祉会館の二カ所が使用されておりますが、処理のおくれています坪田中学校でも、校庭の半分程度まで処理が進んでいることを確認しております。

○伊藤委員 環境局が積極的に支援してこられたことは評価いたします。また、順調に処理が進んできたものと理解いたしますけれど、未処理の残された災害廃棄物について、今後の見通しと都の支援についてお伺いをしたいと思います。

○森廃棄物対策部長 廃家電を中心に未処理のものがございますけれど、これまでの処理の状況を勘案いたしますと、都といたしましては、年末までには処理ができるものと考えております。年内処理に向けまして、三宅村が災害廃棄物を着実に処理できるよう、都は、特別区などと連携しながら、引き続き支援を行ってまいります。

○伊藤委員 先ほども申し上げさせていただきましたけれど、三宅島の復興には観光産業の復活が不可欠であります。また、村民の期待するところでもございます。そのためには、災害廃棄物が三宅島の環境に影響を与えることのないよう、迅速かつ適正に処理されることが必要でございます。今後も環境面から三宅島復興に全力で支援されることを要望して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○河野委員 順次質問させていただきます。
 最初に、ディーゼル車規制とDPF問題について質問いたします。
 おととしの十月のディーゼル車規制から二年がたちまして、三井物産のDPF性能データ捏造事件が明らかになってから、来月でちょうど一年になります。三井のDPFは全国で二万一千五百台、そして、そのうち東京で五千台が販売されました。データ捏造が明らかになって、三井物産は国、都へ補助金を返還する。そして、DPFを取りつけたユーザーへの補償を約束いたしました。都内で販売されましたDPF五千台を交換するなど、当時の三井物産と都が確認した事項がどのように遂行されているのか、節目のときにも当たりますので、その状況を伺っておきます。

○中島自動車公害対策部長 三井物産がホームページ上でも明らかにしておりますけれども、全国約二万一千五百台のうち、対応済みのものは十月十四日現在で約七割の一万四千四百台となっております。都内の状況につきましても、ほぼ同様でございます。残りにつきましても、運送事業者などの協力を得まして、早期に対応を詰めるよう、引き続き厳しく監視してまいります。

○河野委員 ことしの三月三十一日に、環境科学研究所で、三井物産以外の製品、八社八型式を検査して、その全部がPM除去率七〇%以上だということで局が発表された資料を見ました。二年前のスタートのときに申請があったDPFを、当時から環境科学研究所が責任を持って検査していれば、こうした三井の不正が起こることはなかったのではないか。そして、どうして三井物産の製品について東京都の職員が同行して長崎で性能試験を行わなくてはならなかったのかとか、今も疑問の問題はたくさんありますけれども、きょうはそのことには触れません。
 私は、東京都が一年前約束しました、再発防止対策に全力を注ぐと。この問題で東京都がこの一年間どのような努力をされてきたのか、ご説明をいただきたいと思います。

○中島自動車公害対策部長 再発防止策でございますけれども、ことし六月に、東京都粒子状物質減少装置指定要綱等を改正いたしまして、新たに指定申請されるDPF装置について、環境科学研究所において性能確認試験を行うことといたしました。
 また、排出ガス試験等について、専門的な知識、経験を有する委員を増員し、審査機能を拡充強化したところでございます。

○河野委員 当時もそういうご説明はいただきましたけれど、六月から指導要綱が改正されたとか、努力はされているということなので、受けとめておきます。
 国が定めたNOx・PM法で今規制がかかるというディーゼルトラック、バスの台数は約十九万台に及ぶということで、ことしがその規制対象になる車の最大の台数になるということも聞いています。
 私は、昨年十一月の委員会で、NOx・PM法の規制によって車の買いかえを余儀なくされる都民のために、都が融資制度などを実施するように求めました。その後、都民の要望の強まりもあって、都は今年度からNOx・PM法の規制のために車を買いかえるという人のために、特別融資あっせんと利子補給を実施しております。これは、ディーゼル車を使用する中小業者にとっては一歩前進の都の対応であると思います。
 しかし、私は、本当に心にとどめていただきたいと思うことが一点あるんですが、二年前の都のディーゼル車排ガス規制に備えて、DPF装置など取りつけの協力、そして車の買いかえなどで、都民と中小業者の方々が、東京の環境をよくしよう、空気をきれいにしようということで、大変な努力をされました。こういう都民の力を今後とも都は十分に心にとどめて環境行政に生かしていただくことを、今回節目のときに当たりまして、改めて要望しておきたいと思います。
 次に、地球温暖化問題について何点かお伺いいたします。
 ことし二月十六日から京都議定書が発効しました。日本は、一九九〇年比で六%の削減目標を掲げております。温室効果ガスの一つ、二酸化炭素は、委員会の資料で出していただきましたものを見ますと、一九九〇年比で、二〇〇三年度は約二三%増ということでありますが、京都議定書による削減目標は、基準年の一九九〇年比で六%減らすということになっていますから、合計すると、東京都は二九%の削減が必要になるということだと思うんです。
 温室効果ガスの増加については、資料の二酸化炭素排出量の部門別推移で見ますと、業務、運輸、家庭の順に高くなって、そして増加の傾向にあります。この比率が高い分野に減少をさせるという対策を講じなくては、京都議定書の目標の達成は大変難しいと思うんですけれども、この排出を減少させるために環境局がこれまで講じてきた対策について、ご説明を求めます。

○小山都市地球環境部長 東京都はこれまで、業務部門対策といたしまして、地球温暖化対策計画書制度や、建築物環境計画書制度を実施してまいりました。これを強化するために、本年三月に、環境確保条例を改正いたしまして、事業者のさらなる温室効果ガス削減努力を求めることといたしました。
 また、家庭部門対策といたしましては、新たに省エネラベリング制度や、マンション環境性能表示制度を創設いたしました。
 このほか、物流対策などについての企業との連携プロジェクトなどを進めまして、温室効果ガス削減対策を進めております。
 なお、東京都環境基本計画では、二〇一〇年度までに温室効果ガス一九九〇年度比で六%削減することを目標としておりまして、先ほどお話のありましたとおり、大変な努力が必要とされております。

○河野委員 努力はいろんな形でされているというのは、今ご説明にありました。私は問題意識を持っているんですが、二酸化炭素排出の割合が、この資料を見ましても、一番大きいのは業務系になっています。一九九〇年に比べて、計算をしますと、業務系は五六・六%の増、そして家庭は三六・六%増、運輸は一八・四%と、本当に計算すると業務系が突出して増加しているという数値が出ています。ここに抜本的なメスを加えないと、これから先、目標に掲げられた二〇一〇年、東京都の削減計画に向けての実現というのはかなり厳しいものがあると思うんですが、この点では、今、業務系の二酸化炭素の排出について、環境局はどのような分析をしておられるのでしょうか。

○小山都市地球環境部長 業務部門の二酸化炭素排出量の増加理由分析でございますけれども、オフィス床面積の増加のみならず、OA機器の増加など、オフィスのIT化や、営業活動等の活発化、多様化などに対応した業務ビルの二十四時間稼働などが影響しているものと思われます。

○河野委員 そういう経済活動の中での業務系の増加ということなんですが、私、いつも申し上げる機会が多いんですが、業務系からの排出が多いのは、今、東京都内でいえば、都心部を中心に超高層ビルがどんどん建ち上がってきている、これも大きな要因になっているのではないかと思うんです。
 昨年のこの委員会の質疑で、局が、東京では平成十三年から十七年の五年間で、百メートルを超える高さのビルが九十三棟建設されると答弁されておられます。また、ことし三月の予算特別委員会では、二〇〇〇年から二〇〇六年の間に、二十三区内で高さ百メートルを超えるビルが百三十八件建設された、そういうことが明らかにされています。
 先ほどご説明がありましたように、エネルギーをたくさん排出する事業者に対して、いわゆるホテル、病院、オフィスなどに排出ガス規制のための計画書を提出してもらうとか、建築物に対しても温暖化対策計画書を提出してもらう、こういうことを行っても、今、さらに温暖化効果ガスを多量に排出する、こうした巨大建築物がふえ続けていくのでは、削減目標に達することは大変厳しいのではないかと思わざるを得ません。
 まちづくりのあり方が、東京都が直面しているもう一つの温暖化、ヒートアイランド現象の原因になっていることも指摘されておりますが、このまま都市再生ということで進められている今の東京都の巨大開発中心の政治が続くのであれば、温暖化を阻止するどころか、さらに促進させてしまうと考えてしまうんですが、いかがでしょうか。

○小山都市地球環境部長 東京におきましては、高度経済成長期前後に建設をされました大量のオフィスやマンションなどの更新期を迎えている。このため、環境に配慮した都市機能の更新や都市居住の推進などが求められているというふうに認識をしてございます。
 環境局では、開発事業については、条例に基づく環境アセスメントの手続や、今、先生のお話にございました建築物環境計画書制度、そのほか屋上等の緑化計画書制度などによりまして指導をしてきております。都民の良好な環境の確保に努めているところでございます。
 今後とも、建築物の更新期を地球温暖化対策推進の好機ととらえまして、環境に配慮した都市づくりを推進してまいります。

○河野委員 屋上緑化とか、きょうもテレビでやっていました、学校の校庭の芝生の緑化の問題も、環境対策、温暖化防止対策として、都も各区市町村も力を入れているというようなことがNHKのニュースでも報道されていましたけれど、私は今、東京がこのまま巨大開発を続けていけば、ビルからの排熱や排出ガスがふえるだけで、そして、そのことによって車も膨大に呼び込んで、いわゆる温室効果ガスが増大してしまうということは明らかではないかと思っています。
 二年前のデータなんですけれども、二十三区内の七十五地区の開発だけで、一日当たり二十五万台の車がふえて、この七十五地区の開発と相まって、二酸化炭素の排出増は百十万トン、都内の二酸化炭素を六・七%押し上げると推定されているという数字もあります。
 私は今、屋上緑化、壁面緑化、学校の芝生化、透水性舗装、雨水浸透ますのお話もありましたけど、いろいろやる中で、抜本的に東京のまちの環境をどうするかということで、やはり環境局が中心になってまちづくりにもかかわっていかないと、なかなか温暖化防止、そしてヒートアイランド対策などについても対策が講じにくいのではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、アスベスト対策についてお伺いをいたします。
 去る六月三十日、大手の機械メーカー、株式会社クボタが、アスベストによる健康被害の実態を発表いたしましてから、次々と深刻な被害の状況が明らかになってきています。十月十一日に環境省がアスベスト被害の推計を発表しております。アスベストが原因と見られる中皮腫をこれから先発症する人が最大で約五万人、肺がんの患者は約三万五千人で、合計八万五千人の被害者が出ると、そういう予測が発表されました。
 しかし、一方で、この発表では、肺がんの方よりも中皮腫の方の方が多く出るという数字ですが、逆に、肺がんが中皮腫の方の二倍発症するという説もありまして、どれだけの方がこのアスベストによって病にかかっていくかわからない、これが今の現実なんじゃないかというふうに思います。
 既に一万人の人が亡くなっておられまして、アスベスト対策をおくらせてきたこれまでの国の責任、そして企業の責任が重く問われているところですが、この問題はまさに人災、公害問題であると強く感じております。
 現在、国は、来年の国会に向けまして、大気汚染防止法の改正を行う予定で作業を進めていると聞いていますけれども、このときだからこそ、都民から切実に実現が求められている具体的な問題について東京都が国に意見を上げていく、そういうアクションを起こすことが必要だというふうに私は認識しております。
 特に法改正に当たって最も緊急な課題は被害者の救済なんですが、この環境局の委員会は、医療の問題とか労働の問題とかとは所管が違いますけれども、東京都のアスベスト対策推進会議の取りまとめ局でありますから、私は今この時期を逃さずに東京都がきちんと国に意見を上げていくということで、この場をおかりして幾つかの提言をしておきたいと思います。
 国の動きでは、肺がんなどの疾病とアスベストの因果関係が明確でない場合は救済から外されるかもしれないなど、きちんとしたすき間のない制度が設けられるかどうか、これが一つ疑問があります。それから、労災認定された人がまだ三百人足らずといわれている中で、死亡した人は多数に上っております。被害者と家族の救済について、医療、生活、そして遺族への年金の問題など、補償についても確実に要望がくみ上げられるように、法改正に当たって国に強く働きかけていただきたい。
 それから、東京都の全庁的な問題なんですが、平成元年から都が大綱をつくってアスベスト対策推進会議を設けて、全庁的な取り組みがされてきました。私は、環境局がこの推進会議のまとめ役であるということでありますから、都のアスベスト対策に反映させるべき課題についてここで論議に付していただきたいということも提言をしておきたいと思います。
 それは、今いろいろな関係者の方に伺いますと、アスベストによる疾病について、患者さんを診て、具体的にそれがアスベストによる発症なのかどうかということを見分けられる専門的な知識を持つお医者さんが非常に少ないといわれています。その中で、東京都でも、東京労災病院とか、幾つかの医療機関があるようですけれども、全国でもそういう専門知識を持つお医者さんは五十人ぐらいしかいないという説もありまして、私は、都立病院の中に、アスベスト専門にきちんとした都民への対応をできる、そうした専門性を持つ都立病院を位置づけていただきたいということを申し上げておきたいと思います。これからさまざまなところで都民からの相談が各局にも、今も寄せられていると思いますし、これからも寄せられてくると思います。そういう各局に都民からの相談などに正確に対応できる専門性を有する人材を養成して体制を整えていくことが大事だと思いますので、その対策推進会議の場でぜひ十分に環境局を中心に論議を深めていただくように要望しておきたいと思います。
 それでは、具体的な問題について質問をさせていただきます。
 最初に、大気汚染防止法。都の環境確保条例では、建築物の解体に際しては、アスベストが飛散しないように防止対策を行い、そして届け出をすることが義務づけられております。都条例は、吹きつけアスベスト使用面積が十五平米、そして、大気汚染防止法ではこの吹きつけアスベストの使用面積が五十平米以上ということになっております。都の基準の方が今は国の基準よりも厳しいわけなんですけれども、現在、国の段階で、この法改正に当たって、面積要件の撤廃などを検討していると伺っています。都の条例についても同様に、どんな小さな場所においてもアスベストが発見され--危険なものは除去されるという立場で、この面積要件についても国と同様な対策が講じられることが必要ではないかと考えますけれども、検討されていることがありましたら、お示しをいただきたいと思います。

○梶原環境改善部長 ただいまお話のありましたとおり、国におきましては、大気汚染防止法の面積要件、それから対象材質について、現在改正に向けた検討が行われておりますので、都としても、具体的にその動向がわかる必要がございますので、その動向を見守ってまいりたいというふうに考えてございます。

○河野委員 ごめんなさい、確認させていただいていいですか。国がそういう動きをつくって、法改正が行われたら、都もそれに準じて対応していくということで受けとめておいてよろしいでしょうか。

○梶原環境改善部長 国の現在の議論は、完全に撤廃するのか、具体的にどういう形で新しいルールをつくっていくのか、具体的な議論に入ったばかりでございますので、それに合わせて私どもの条例をどういう形で決めていくかという具体的な作業は、全貌が明らかになった時点で検討していくということになろうかと思います。

○河野委員 十五平米以上、五十平米以上、どれくらいのものかと想像すると、十五平米というと三メートル掛ける五メートルで、結構大きい面積になりますよね。アスベストはいろんな場所に使われているということが今明らかになりつつありますから、私は、やはり吹きつけアスベストについては非常に有害性が指摘されているわけですから、小さな面積のところにもきちんと法と条例の網がかけられるように対策が講じられるべきであると思いますので、東京都の努力を求めておきます。
 吹きつけアスベストについて、昭和五十年に使用が禁止されました。それから、茶石綿、青石綿は平成七年から製造禁止ということで、白石綿については去年の十月までは製造されていた、これが実態だと思います。現在も、配管の接続シールなどに限っては使用が許可されているアスベストもあります。
 アスベスト被害が広がる中で、平成二十年に予定されていた全面禁止の予定を前倒ししようということがいわれていますけれど、今なお在庫品は存在するわけです。これらの在庫品がまだ使用されるということはあり得ると予測されるんですが、問題は、これまでに製品化された九百六十万トンといわれているアスベストがどのように扱われてきたのか。製造、流通、販売、使用、そして在庫の実態などを企業の責任において情報公開をきちんとさせることが今重要になっていると思います。
 東京都が、都民の健康と安全のために、そして不安の解消のために、企業への働きかけを行って、万全の対策を講じていただきたいと私は望んでいるんですが、この点はいかがでしょうか。

○梶原環境改善部長 今お話のございましたとおり、アスベストの大半は建材に使用されてまいりましたので、国は、民間建築物の使用実態調査を自治体に実施させておる段階でございます。あわせて、建物に使われておりますアスベスト建材に関する情報も公開するよう建設業界に通知したというふうにお聞きしています。
 私どもといたしましては、こうした情報を含め、具体的に都としてもアスベストがどのようなところに使われているかなど、さまざまな情報につきまして収集し、都民に適切な情報提供をしていくように努めてまいります。

○河野委員 在庫が残っていて、駆け込み販売、使用などが起こるんじゃないかという不安も都民の方から寄せられてきておりますので、ぜひそういう不安のないように十分な対応を都としても企業に働きかけを行って努力していただきたいと申し上げておきます。
 それで、公共建築物の問題について伺います。今月の十三日に、都立学校や日比谷図書館などにアスベストが使用されていたことが都の教育庁から発表されました。教育庁が発表した五施設については、これから飛散防止状況は調べるということで報道されております。
 委員会で出していただいた資料があります。都の施設におけるアスベスト使用状況と処理状況ということで一覧にしていただきました。未処理の施設はCランクに書かれてありまして、三十六施設とあります。教育庁所管の五施設は、環境局が把握していた未処理の施設三十六施設に入っていたのかどうか、これ、私ちょっと疑問を持っているんですが、きょうはこの問題はまず外しまして、公共施設についていいますと、国の各省がこの間、アスベスト使用の状況についていろいろな調査を自治体に要請したということです。その各省が出した調査要請は、いずれも基準、調査方法とか、使用状態とか、年次、あるいは調査をしていついつまでに出しなさいという期限などがばらばらで、調査をするように指示された自治体自身に大変な当惑があったということも聞いています。
 また、学校に関していえば、既に一九八七年に行われました一斉調査が、そのときは職員の目視ということでよかった、こういうことなどで極めて不十分であったとの指摘もあります。
 こうした中で、今、都内の各区市町村では、いろいろなところで条例や要綱を定めて、独自の取り組みを次々に始めております。都民全体の命と健康にかかわる重大なことですから、東京都は、都有の公共施設については統一した基準を都独自につくって調査をし、その結果を都民に発表することが、都民が抱えている不安を取り除いていくためにも大事ではないかと考えますが、その統一した基準に基づいての都の独自調査という点ではどんなご見解をお持ちになっておられるか、伺います。

○梶原環境改善部長 国の各省庁が自治体に実施させておりますアスベストの実態調査でございますけれども、調査対象が不統一、具体的には建物の年次ですとか、そういったとり方が不統一であることなど、縦割りの弊害が出ておるところでございます。
 都といたしましては、都有施設のアスベスト使用調査を平成元年に、今お話のありましたように実施しておるんですが、今回改めて、調査対象とする建材の範囲を、使用されている年代に合わせて範囲を拡大するなど、全都有施設のフォロー調査を実施しておるところでございます。

○河野委員 ぜひくまなく調査をして、都民にしっかりとした情報を公開していただきたいと思います。
 次に、民間の建築物について伺います。都のアスベスト対策推進会議が出しました窓口対応マニュアル、私はこれはとてもよくできているなと、見せていただきながら思いましたけれども、この一一ページに、都内にあるビルのアスベストの使用状況はということでクエスチョンが出されています。その答えとして、アスベストは建材として大量に使用されていて、使用建築物を把握することは不可能というような一文があるんです。
 一方で、吹きつけアスベストが禁止される前の時代の昭和三十年代からその後の年代に建設された民間建築物は、先ほど、高度成長期にたくさんの建築物が建ち上がったというお話がありますが、その当時の建物がどんどんと老朽化して、建てかえの時期に来ています。二〇一〇年から二〇二〇年にこの建てかえのピークを迎えるといわれていますから、もう本当に数年先にはどんどんと民間建築物が建てかえに入っていくわけですね。
 建てかえのためには当然解体することになるわけですけれども、どのくらいのビルにどのように使用されているか、これを見る限りでは使用状況は把握するのが不可能ということがある現実で、その現実を前にして、飛散防止対策をどう徹底させるか、このことが問われると思うんです。新たな被害を生まないために、これは本当に重要な課題なんですが、民間建築物の解体に対して都が飛散防止対策を徹底して強めていくように求めるものですが、いかがでしょうか。

○梶原環境改善部長 アスベストによります被害を防止するためには、建物の解体時の飛散防止対策の徹底が重要であるということだと思います。そこで、都としましては、本年七月、関連業界に対しまして、法や条例での作業基準の徹底、それから近隣住民への事前説明について要請をしたところでございます。また、解体現場の立入調査ですとか周辺環境調査を実施するなど、飛散防止対策が確実に行われるよう対策を強化したところでございます。

○河野委員 それでは、その除去工事の問題なんですが、アスベストは耐火性と耐熱性があって、そして価格も安くて、すぐれた建材だということで、九百六十万トンの輸入量の約八割以上が建設資材に活用されたといわれています。吹きつけアスベストは、耐火構造の建築物をつくるという必要から、半ば義務づけられたともいえるものだったと思います。
 この吹きつけアスベストを除去するためには、今、大変大きなお金がかかることから、問題になっています。飛散してしまうアスベスト、繊維が吹き散ってしまうアスベストですから、当然除去しなくてはならないんですが、経済的に負担が重いというのが実態で、吹きつけ材、そしてもう一つの特別管理廃棄物に位置づけられております保温材などの飛散性アスベスト製品の除去は、空気の減圧、エアシャワーの設置、作業衣やマスクも特別仕様と、まさに特別なやり方で作業が進められなくてはなりません。そういうことも考え、そして最終処分の経費も含めると、大変な経済的な負担が伴うということで、こういう実態の中で、建物を所有する方々への経費の負担を軽減してほしいということが要望として強まっておりますけれども、これは、適切なアスベスト処理を進める上で必要な問題と考えるんですけれども、東京都はこうしたことについての対応について、ご見解をお持ちでしょうか。

○梶原環境改善部長 吹きつけアスベストの除去等の対策工事費用の支援につきましては、中小企業の融資制度等を設けておるところでございます。また、地元の各自治体におきましても、さまざまな支援策を実施しているというふうにお聞きしております。都としましては、国に対し必要な支援の実施を引き続き要望してまいります。

○河野委員 ぜひ国にも要望してほしいですし、東京都は中小企業支援の融資制度についてはきのうも新聞発表されて、私も存じ上げておりますが、関係各局や国にも相談をかけながら、ぜひ皆さんの経済的な負担が少ない中で安全な生活環境が守られるという施策を展開していただきたいと思います。
 アスベストの廃材の問題、処理の問題について、二点ほどお伺いをしておきます。
 吹きつけと保温材として使用したアスベストは、国が、レベル一、レベル二の特別管理廃棄物として、その処理、処分については厳重なやり方でしなくてはならないということを決めています。成形板、波形のスレートなどですね、ここに使用されたアスベストはレベル三という位置づけで、今、廃棄物としてどうするのかという問題になっているのは、このレベル三のものであります。
 都の窓口対応マニュアルは、レベル三のものは破砕しない状態で安定型処分場に運ぶとなっています。しかし、実際の解体や処理の現場では、この波形スレートなどが破砕されて、コンクリート殻などと一緒にされて処分場に運ばれているケースが幾つかあるといわれています。都自身は、破砕してはいけないということでこういう資料も出して、各方面に指導と監督を強めていると思うんですが、一方で、私は国が関係している建設業労働災害防止協会というところが出したパンフレットを読んでみたんですが、このパンフレットはことし七月に出されております、レベル三は、破砕する場合は、やむを得ず油圧式の圧砕機などで破砕する場合があるんだけれども、水をかけ湿潤化して破砕すると書いてあって、東京都は破砕しちゃいけないよとレベル三のものについて位置づけているけれども、実際の現場では破砕があるということも現実だと思うんです。
 このパンフレットには、多くの人がアスベストについての基礎知識を持っていないということも冒頭で書かれているんですね。そういう実態があって、東京都のこういう窓口マニュアルなんかでの指導はあっても、実際には、波形スレートなどの成形板が破砕されていて、ミンチ状になって、いろんな建材と一緒に処分場に運ばれていく、そういう実態があるんじゃないかと思うわけです。これは破砕すれば危険な飛散が起こるということは明らかですから、環境局として、こういうことが起こっているのかどうか、実態を把握されているのか、そしてどういう認識をお持ちになっておられるのか、伺っておきます。

○森廃棄物対策部長 アスベスト成形板などの非飛散性アスベスト廃棄物につきましては、破砕や切断しない限り飛散のおそれがないため、解体現場における手作業での撤去や、中間処理施設で破砕処理を行わないことが重要であると認識しております。
 このため都は、建設業者等に対しまして、解体工事に係るアスベスト成形板の取り扱いについて説明会を開催するとともに、解体現場で分別して排出するよう指導を行ってきたところでございます。
 また、処理業者に対しましても、アスベスト成形板を、専用の破砕処理施設で処理する場合を除きまして、破砕はしないよう指導してきたところでございます。

○河野委員 都はそういう努力をされてきたんですが、現実には、私はいろんな解体現場の方とか、処理業者の方とか、各自治体の関係者の方に聞きましたけれど、さっきいいましたように、コンクリート殻などとまじり合って破砕された成形板などが混入してくることは十分あるということがいわれているんですね。そういう意味でも、指導を強められているようですけれども、実態も今後十分把握していただきまして、さらに一層の監督と指導を強めていただきたいと思います。
 もう一問なんですが、解体後に出た成形板などは、中間処理施設に多く持ち込まれてくる場合があります。破砕してはいけないということで、大変取り扱いに困って、また、処分するにも、ほかの産業の一般廃棄物よりもお金がかかるという状態の中で、破砕しないまま出てくる成形板をどうしようかと、扱いに困っている処理業者の方もいらっしゃるのが現実なんです。破砕しない成形板を一時的に保管する場所などをぜひ確保してほしいという要望も出ておりますが、解体工事を行えば、今アスベストを使っている建材、ほとんどの建築物で使用されているということですから、成形板などのアスベスト廃材が出てくるのは確実です。この問題で、東京都が今後保存場所を含めてこうした成形板などのアスベスト廃材について、確実に安全に処分されるような対応をどのようにされていくのか、お考えを伺っておきます。

○森廃棄物対策部長 アスベスト成形板が分別されないまま破砕処理施設に持ち込まれ保管されることがないよう、都は、本年七月に指導指針を改定いたしまして、解体現場において原則手作業でアスベスト成形板を原形のまま撤去し、他の廃棄物と分別して、速やかに直接埋立処分場に運搬させることといたしました。
 また、破砕処理施設に分別して持ち込まれる小口のアスベスト成形板につきましては、施設内で一時保管の後、直接埋立処分するよう指導しております。今後とも関係部署と連携をいたしまして、解体現場における立入検査などの指導や関係団体を通じた周知の徹底を図ってまいります。

○河野委員 アスベストは伺うと限りなく質問がありますので、極めて絞った形で伺いましたけれども、とにかく課題がたくさんありまして、発症するまで二十年から四十年という、時限爆弾と呼ばれている、大変に毒性の強いものでありますから、ぜひ局が中心になって全庁挙げての対応を進めていくことを改めて求めておきたいと思います。
 最後に、私は、東京都の環境公害行政について、東京都の姿勢についてお伺いをしておきます。
 二〇〇二年、おととしの十月、東京地裁で、大気汚染公害患者の会の提訴によりまして、自動車排ガスでぜんそくなどを発症しているという裁判があったわけですが、ここで、東京地裁が国と都の責任を明確にした判決を下しました。患者たちは、国や都に対して実情を訴え、救済を求めたいといっていて、特に知事に対しては、要望を聞いてほしいと直接会見を求めているということも聞いております。
 大気汚染の改善を初め、健康で安心して生活できる環境改善は都民全体の要望になっています。裁判の判決で都の責任も明らかになっているんですから、知事は、患者の人たちの気持ちを酌んで要望を聞く場を設けるべきだと思うんですが、そこで伺っておきたいことは、環境や公害対策の情報を都民に丁寧に提供し、都民との協働の取り組みを強めることが都政の環境行政の基本に据えられなくてはならないのではないかということです。知事が都民に会うことを拒んでいるのは大変残念な問題だと思いますけれども、環境行政を直接担当する環境局が、都民への門戸を広げた取り組みを局長を先頭に強めていただきたいと私は強く要望するものですが、このことにお答えをいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○大野企画担当部長 東京の直面します環境問題は極めて多様で複雑でございまして、東京都だけの力で解決することはできません。このため、これまでも都民、企業、NPOなど広範な関係者の参加と協力が必要であると認識しております。
 都はこうした観点から、これまでも環境白書の作成、局のホームページの充実など、都民や事業者への情報提供を進めてまいりました。今後ともこれまでと同様に、都民に対して、あるいは事業者に対して適切な情報提供を進めてまいります。

○ともとし委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十分開議

○ともとし委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大西委員 まず、市民との協働について伺いたいと思います。
 環境問題に取り組むに当たっては、事業者や市民の理解という意味では、この連携が欠かせないわけなんですけれども、市民参加の一つの方法として、パブリックコメント、これは本当にようやく都庁の中に位置づいてき、各局がこのパブリックコメント制度を利用しているようなんですけれども、環境局の各事業でパブリックコメントを実施するかどうか、また、この募集期間や方法についてどうするかというような何らかの基準や方針があるんではないかと思いますが、その辺はどうなっているんでしょうか。

○大野企画担当部長 環境局におきましては、いわゆるパブリックコメントを広報広聴活動の一環として実施をしております。この対象でございますけれども、環境行政を進める上で、都民から積極的に意見や提案を求めることの意義が大きく、かつその内容が意見を求めるにふさわしいものを対象にしております。
 募集期間や方法でございますが、これは個々の事業ごとに適切に設定をしております。

○大西委員 各事業ごとにそこの中で検討しているということで、ちょっと見せていただいた資料の中には、パブリックコメント期間も、二週間とかいうのが大体普通ですが、長期にわたるものもありますし、いろんな形でこれからその事業に合った形で取り組まれることを望むわけなんですが、ここへ寄せてきた市民の方からは、自分が出した意見が単に聞きおくだけになっているんじゃないか、自分の意見が生かされたという認識がなかなか持てないという不満もあるようなんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○大野企画担当部長 いただきました意見につきましては、内容を整理いたしまして、その対応を取りまとめまして、公表するように努めております。対象となりました事業や計画に反映させるほか、以降の行政運営の参考として有益に活用しております。

○大西委員 確かにまとめの中に、最後の方にとか、都民の意見からこのようなものが寄せられたということも書いてあるんですけれども、環境問題というのはそれで済むということではなくて、どうやって市民と協働して努力していくかということが新たな課題としてあるわけで、そういう意味では、私は印象に残っているのは、環境確保条例の改正に当たって、その審議会の先生方とともに市民が区、それから多摩地域という場所をちゃんと設定した中で、ちゃんと市民の意見を受け入れるような、そういう場をつくりました。これは高く評価しているんですけれども、本当にこのような機会をめり張りをつけてやっていただければいいかなと思っております。
 そういう意味では、環境行政は市民の関心の高い分野であるし、ましてや協力なしでは完成していかないということがありますので、その取り組みを進めていただきたいんですが、特にこのパブコメの状況を見ますと、温暖化対策とかディーゼル車対策には本当に多くの意見が寄せてあります。そして、先日も温室効果ガス排出量のまとめが発表されて、業務部門、家庭部門での排出量が前年比よりもふえているというような結果も出ております。こういうような地球規模での対策が必要なテーマなどは、事業者、自治体はもちろんのこと、市民の意見の反映が重要であるので、先ほどいいましたように、やはりこの市民の意見がセットとして担保される仕組みというものを検討していただくことが必要だと思うんですが、その辺、このパブリックコメントをもっと生かした形でやっていただきたいんですが、どうでしょうか。

○大野企画担当部長 地球環境問題を初めといたしまして、都が直面する環境問題に対処するためには、環境行政に対します企業や都民、NPOなど、多様な主体の理解と協力が必要であると考えております。これまでも重要な施策の実施や立案におきましては、きめ細かな広報広聴活動等によりまして民意の反映に努めてまいりました。
 今後とも、各事業の推進に当たりましては、都民、事業者の皆さんの声を踏まえまして、さまざまな主体との連携、協力を重視してまいります。

○大西委員 ぜひお願いしたいと思います。環境問題は、確かに市民団体など、本当に専門家と同等のレベルを持つ、そういう人たちもおります。そして、審議会のあり方も含めて、今後、市民参加というか、市民との協働という視点でぜひ取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、地下水保全について伺います。
 先ほども雨水浸透ますの補助事業についての質問がありましたし、すごくそれを望んでいるという声がありまして、うれしく思っているんですけれども、環境局が行っております雨水浸透ます補助事業、これは都市整備局が同等に行っていた事業から早々に手を引いた中で、環境局が非常に頑張ってやっている事業だと思って評価しているわけなんですけれども、平成十五年度の行政評価で、雨水浸透ますの設置補助事業は抜本的見直しの評価を受けているわけですけれども、当局としてこの事業に対してどのような評価をしているのか、伺います。

○福島自然環境部長 雨水浸透ます設置補助事業は、雨水浸透ますが雨水の地下浸透効果を持つことや、雨水浸透の必要性や地下水の大切さを都民に啓発するという点で先導的な役割を果たしてきたと思っております。今後は、補助事業にかわりまして、都民や事業者に対して雨水浸透ますの普及啓発を行うほか、親水性舗装の敷設や緑地の確保など、多様な取り組みを広域的に進めてまいります。

○大西委員 広域的にこの事業を進めると。お答えを聞いておりますと、補助事業にかわりということなので、この補助事業はそろそろあきらめなきゃいけないのかなというようなニュアンスで受けとめたんですけれども、これで本当にいいのかという思いがあります。
 確かに先ほど、いろんな困難もあるということは聞きましたけれども、これが果たした役割というものは非常に大きいものがある、しかし一方で、地下水を評価という点で、実態調査も含めて非常に難しいものもあるということは重々承知しているんですが、都市整備局が雨水浸透ますの補助事業をやめても、地域の中では必要と思ったところが頑張ってやっているということは、やはりこの事業が非常に重要な事業だということがあるからだと思っております。
 そういう意味で、今のお答えの中でもっと聞きたいのは、今後というところなんですけれども、地下水を保全し、東京の水循環を再生するためには、どのような認識を持って、かつ、それにかわるもの、それ以上の効果を上げるためにどのように取り組んでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

○福島自然環境部長 地下水を保全することは、水循環をより自然に近い状態に回復させることでありまして、地盤沈下の防止、地下水の水質の保全や回復、湧水の保全や復活が図られ、水辺環境が改善されることになります。
 地下水を保全し、水循環を再生するためには、多様な取り組みを都内全域で進めていくことが必要でありまして、都の雨水浸透対策のモデルケースとして、本年一月、野川流域の関係自治体との連絡会において連携した施策の検討を始めております。

○大西委員 多様な取り組みを都内全域で進めていくことが必要というふうにお答えにあるんですけれども、それであれば、多様な取り組みの一つとして、雨水浸透ますの補助事業を今やめていいのかどうかも再度考えていただきたいなと思っております。
 そして、ことし一月から野川流域の関係自治体との連絡会において連携していくということがいわれておりますが、建設局所管でも住民ベースの流域連絡会が継続的に活動しておりますので、ぜひその成果を生かして連携して取り組んでいただきたいと思っております。
 近年の洪水は、都市化により雨水の浸透ができなくなったことが原因であるということがいわれておりますし、それは事実だと思います。水循環の促進がやはり重要ですので、ぜひこの雨水浸透ます、せっかくの事業を、ちゃんとした評価もなく、今回の政策評価の中でこういう結果が出たからといって、環境局で手放すのではなく、もう一度しぶとく取り組んでいただきたいなと思っております。
 それから、同じように地下水と湧水というところでもう一つお聞きしたいんですけれども、平成十四年の三月に、東京都湧水等の保護と回復に関する指針を策定しました。これは、全国に先駆けて湧水を取り上げた点で私は非常に高く評価しているんですが、この指針は、都と市区町村との役割分担等を中心に定めているんですが、指針ですので、強い規制がもう一つ不足しております。
 そういう意味では、せっかくの指針が生かされてないのかというような心配をしているわけなんですが、その結果、十五年度の湧水調査結果によりますと、七百七カ所の湧水が確認されておりましたけれども、平成十二年度の調査結果と比較すると、やはり湧水は完全に減っていっているんですね。
 そういう意味で、現在確認されている湧水をこれ以上消失させないためにも、環境局として対策を強化していくべきだと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○福島自然環境部長 湧水の保全には、地元の区市町村や土地の所有者等の取り組みが不可欠でございます。区市町村が湧水の保全活動を推進できるよう、環境局は、平成十四年度に湧水保全連絡会を設置いたしまして、情報提供や意見交換を実施してまいりました。また、区市の担当部署に対しましては、建築確認申請の際には、地下水の流れの確保及び湧水保全の指導を行うよう協力を求めております。
 今後も、都が所有する湧水に関する資料や、他の地域におけるすぐれた湧水保全の取り組み事例など、情報の共有化を進めまして、区市町村と連携して湧水保全の取り組みを推進してまいります。

○大西委員 今のお答えの中に、平成十四年度に湧水保全連絡会を設置し、情報提供や意見交換を実施してきたということで、この間、この中で特に報告しておきたいようなこととかありますか。こういう効果があったとか、何かがこれによってこういうふうな変化があったというようなことありますでしょうか。

○福島自然環境部長 この湧水保全連絡会と申しますのは、区市町村、それから島しょまで含めまして、ほとんどすべての自治体が参加している会でございまして、その中で、情報の共有化、それから取り組み事例の紹介、そういったものを互いに共通の情報として持っておるところでございまして、その効果は非常に大きいものだと思っております。

○大西委員 この指針は非常に貴重な指針なんですが、残念ながら、先ほど申し上げましたように、常に開発との中でなかなかこの指針が生かされないということがあります。そういう意味では、小金井市が東京都に先駆けて地下水や湧水を保全するための条例をつくったということを高く評価していますし、それから、多摩地域は、やはり地下水を飲んでいるという関係上もありまして、この湧水保全というものに非常に積極的に取り組もうという自治体が多いわけです。そして、それと同じようにして、地域の中のまちづくり条例とか、そういうものができつつあるんですが、環境をどうやってその中に入れ込むかということが大きな課題となっております。
 そういう意味では、この東京都の湧水等の保護と回復に関する指針を条例化するなり、もっと格上げをすることによって、市町村の独自の取り組みの条例が元気づきますので、環境局としては地下水の保全に対する指針や条例を前向きに検討していただきたいということを要望しておきたいと思っております。
 最後に、有害化学物質対策について伺いたいと思います。
 私たちの身の回りには、年間約四億トン、十万種類を超える化学物質が市場に出回り、また、毎年、千から二千種類の新しい化学物質が製造されるなど、化学物質による健康や環境への影響が懸念されております。
 化学物質汚染は国境を越えて自由に広がっていくので、一国では対処できないという認識のもとに、一九七二年、世界で初めて環境保護をテーマにした国連人権環境会議がストックホルムで開催され、そこでストックホルム宣言が提案され、その後、環境汚染に対する多くの国際条約が結ばれました。
 今、欧州では、既存の化学物質の評価や登録を製造者の責任で行うことを義務づける、REACHという化学物質規制政策が議論されております。欧州での規制とはいえ、輸出品が対象となることから、EU以外の日本も無関係ではなく、また、地球規模の化学物質の汚染という意味でも無関心ではいられません。
 このせっかくのREACHなんですが、この施策については、アメリカ、そして日本もこの制度の弱体化を図っているというのがちょっと心配です。しかし、企業は、既にREACHの導入は前提とし、その準備が企業内部では急がれているとも聞いております。化学物質製品を製造することを考えれば、輸出用と国内用を分けるわけにもいかないわけで、こうした先進的な施策は日本でもすぐ取り入れるべきだと考えますが、国が今そのような状況ですので、ぜひ東京都で頑張ってほしいなということを思っております。
 東京都には、化学物質による環境保全上の支障を未然に防止することを目的として、平成十三年四月に、PRTR、環境汚染物質排出・移動登録制度が導入されました。環境への排出量データは公開されており、これにより全国に比較して東京はどうなのかなど、さまざまなことがわかります。このPRTR制度は、施行後既に四年半が経過しているんですが、これによってどのような効果があるのか、この辺を伺いたいと思います、東京都の様子を。

○梶原環境改善部長 今お話のございましたPRTRでございますが、これは化学物質の排出量、移動量の登録制度という名称でいわれておる制度でございまして、どのような化学物質がどこからどれだけ排出されているかを知るための仕組みということでございます。
 具体的には、化学物質を使用しております事業者みずからが有害な化学物質の排出量等を把握し、報告する制度でございます。この制度に基づきまして、環境への排出量、平成十三年度の実績から報告を受けているところでございます。
 最近の集計でございます平成十五年度の排出量は四千トンでございまして、制度の始まりました平成十三年度排出量五千五百トンに比べまして、排出量が二八%減少しているところでございます。

○大西委員 確かにいただいた資料からも減っているということを見せていただいたわけですけれども、本当に排出量が減少しているということがわかったわけなんですが、公開の資料によりますと、環境への排出量は板橋区や羽村市が多い一方、台東区や狛江市などが少ないなど、地域によって偏りが見られます。地域の排出量が多いということは、地域の健康リスクが多いということになります。このため、化学物質排出抑制に関する課題も地域ごとに異なっているといえるわけなんですが、地域の健康リスクを減らしていくには、国の一律の施策では限界があり、そこに地方自治体の役割があると思います。
 そこで伺いますが、地域住民の健康リスクを減少させるため、都はどのような取り組みを行っていくのでしょうか。

○梶原環境改善部長 PRTRですとか、それから私どもの環境確保条例の化学物質適正管理制度がございますが、これらに基づきます排出量の報告に基づきまして、地域ごとの化学物質の排出実態が明らかになってきているところでございます。
 地域の環境リスクを低減していくためには、事業者、都民、行政が相互にこれらの情報を交換、共有し、意思疎通を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。

○大西委員 この有害化学物質からの一番の被害は子どもたちということで、東京都は、弱者である子どもを守るということなんですけど、平成十四年度から子どもガイドラインを策定するなど、地域レベルの有害化学物質政策について先端を切ってきております。都の子どもにかかわる化学物質対策については、市民団体からも高い評価を受けておりますが、子どものガイドラインは全国的にも反響がある、先駆的な試みで、大いに普及させていくべきです。
 かなり持ち上げましたが、そこで伺いますが、都における子どもガイドラインの普及状況はどのようになっているのか、伺いたいと思います。

○梶原環境改善部長 今お話のございましたように、環境局子どもガイドラインといたしまして、鉛ガイドライン、これは塗装編と称しておりますが、主に塗料の鉛の使われ状況、それから殺虫剤樹木散布編の二つを策定しておるところでございます。
 前者の鉛ガイドラインに基づきまして、日本塗料工業会に鉛を使わない塗料の開発と普及を要請した結果、現在までに、塗料に含まれる鉛はほぼなくなっているという状況でございます。
 後者の殺虫剤樹木散布編につきましては、各区市町村の教育委員会等に周知を図ってきました結果、殺虫剤を散布する際の事前周知ですとか、立入禁止措置といったことで、害虫の発生状況に合わせた適正な使用が図られてきているというふうにお聞きしておるところでございます。
 また、今お話にございましたとおり、子どもガイドラインは環境局のホームページでも既に公開しておりまして、他県からもお問い合わせをいただいているところでございます。
 今後も、機会をとらえまして普及の拡大を図ってまいりたいと考えております。

○大西委員 化学物質問題市民研究会というところのホームページを見てみますと、子どもの環境健康、都道府県別ということで、いろんな調べた項目が出ているんですけれども、確かに子どもガイドラインは東京都がつくり、そして埼玉県がつくり、二カ所しかつくっておりません。そして、Aランクということで評価されております。
 その中でちょっと気になったのは、学校での禁煙対策というものが東京都では環境局の中で調べられておりません。子どもと禁煙対策というのは、ある意味教育庁とかの連携が必要なんですけれども、有害化学物質ということで一番象徴的なものがたばこの害だともいわれておりますので、ぜひ環境局としても、そういうものを前向きに連携しながら取り組んでいただきたいなと思っております。
 先ほども申し上げましたが、化学物質による影響を最も受けやすいのは、特に胎児、子ども、そして女性です。都が国に先駆けて取り組んだガイドラインを評価するとともに、改めて、今後はREACHとの動きも前向きに連携しながら取り組んでいただきたいと思っております。
 REACHの基本理念の中に、予防原則、有害性が科学的に十分に立証されていなくても、合理的な懸念があれば事前に予防措置をとるということや、それから世代目標、有害化学物質から一世代以内に脱却する、次の世代に残さないという基本理念というのは私たちにとって非常に力強い理念でもありますので、国が後退しているのであれば、東京都がそれを刺激させながら取り組んでいただけるように要望して、質問を終わりたいと思います。

○林田委員 事業概要一五五ページに、七行ばかり、簡単にシカ対策が載っているわけでございますけれども、局長も大橋局長に新しくかわりましたので、奥多摩町を中心に、西多摩の森林に大変な被害をもたらしておりますシカの食害対策について、検証を深めて、幾つかご質問させていただきたいと思います。
 平成十六年の七月二十一日に、奥多摩町河村町長から東京都へシカの食害について要望書が出され、テレビでも大々的に放送され、以来、東京都としてもほうってはおけない重要な問題として取り組んでいただいております。
 平成五年のころには三百頭から四百頭であったシカの数が、平成十四年には二千五百頭となり、十年で二千頭もふえたわけであります。
 実は、奥多摩町では平成六年五月に、既にシカの食害の抜本施策を講じてほしいと東京都に陳情を出していたわけであります。当時は鈴木知事ではございましたけれども、東京都に専門的な知識がなかったことと、将来の見通しができなかったことは、返す返すも残念なことでありますけれども、はっきり申し上げまして、東京都が手をこまねいている間にシカがどんどんふえてしまって、今の奥多摩町の山々を侵食してしまったというのが実態でございます。
 それでも、平成十六年から、仕方ないということで、東京都としてシカの食害対策を、知事を初めとしてこれは大変だということで緊急施策を進めていただいておりますことは、地元の議員として心から感謝を申し上げたいと思います。
 シカの食害対策として、まず第一に、シカそのものの頭数を減らすということであります。昨年は、当初予定四百頭に加え、緊急対策として二百頭の特別捕獲を実施したと伺っております。その結果、約六百頭のシカを捕獲したということであります。
 東京都といたしましては、さきの七月七日、シカ保護管理計画案を発表し、九月十二日には東京都自然環境保全審議会に計画を答申したわけであります。その間、結局、実施する予定がおくれてしまって、奥多摩町ではやきもきしたわけでありますけれども、具体的に本年度の捕獲予定数について、どのくらい見ているのか。そして、行政による捕獲と一般捕獲とに分けてどのような数になるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

○福島自然環境部長 まず、行政による捕獲でございますが、奥多摩町を初め市町村が捕獲する予定頭数は四百五十頭でございます。また、一般のハンターが捕獲いたします一般狩猟は、二百から三百頭を見込んでおります。合計で六百五十から七百五十頭の捕獲を予定しております。

○林田委員 シカの捕獲管理計画がおくれたために、管理計画ができるまでの暫定捕獲として、本年度当初から有害捕獲を進めてきたわけでございますが、シカの捕獲実績を教えていただきたいと思います。

○福島自然環境部長 今年度九月末までの数字でございますが、奥多摩町で百五十八頭、青梅市で二十二頭、合計百八十頭を捕獲しております。

○林田委員 九月末までに約百八十頭、本年度の捕獲予定数を確保するためには五百頭ぐらいのシカを捕獲しなければならないわけでございますが、捕獲見込みはどうなっているのか、お伺いします。

○福島自然環境部長 これからいよいよ冬になりまして、本格的な狩猟のシーズンになるわけでございます。今回策定いたしましたシカ保護管理計画に基づきまして、狩猟規制の緩和を行いました。雄ジカに加えまして雌ジカも狩猟対象としたこと。それから、狩猟の頭数を一日一人当たり一頭から二頭に緩和いたしました。さらに、奥多摩町多摩川以北の、いわゆるシカ保護管理計画でいっております共生ゾーンでございますが、そこについては狩猟期間を延長いたしました。これらの規制緩和を行うことによりまして、一般狩猟による捕獲数の増加が見込まれると思います。また、隣接県との連携による共同捕獲の実施も計画しております。

○林田委員 シカの捕獲を懸命に進めていただくという関係者の皆さんのご努力には感謝申し上げる次第ですけれども、いずれにしても、二千頭から三千頭もいるシカ、一年で五百頭、六百頭とっても、まだ千五百頭、あるいは二千頭残っているわけでございまして、これがまた大変な被害を与えるということは皆さんもご承知のとおりだと思います。五百頭とったからそれで済んじゃうというわけではないので、シカ対策には、産業労働局の方も環境局と一緒になってシカの対策を進めていただいておりますけれども、生存しているシカの被害をどのように想定して対策を練っていくのか、お伺いいたします。

○福島自然環境部長 シカの食害による被害につきましては、大変に著しいものがございまして、杉、ヒノキなどの植林地や、ワサビを初めとする農作物の食害、それから森林の自然植生の破壊、さらには裸地化した山からの土砂の流出などが予想されます。それに対しまして、シカの侵入を防ぐ防護さくや防護ネットの設置、治山治水工事などを進めてまいります。
 また、毎年度、被害実態についてモニタリング調査を実施する予定でありまして、その結果をシカ保護管理計画の評価、検討、修正に反映させてまいります。

○林田委員 先ほど、産労局も一緒にというお話をさせていただきましたけれども、シカの食害を防ぐには、当然、関係するそれぞれの局が総力を挙げてやっていただかなければならないわけであります。
 十六年の七月、テレビで放映されたり、あるいは奥多摩の町長さんの方から要望書が出た後、私たちも現地へ赴きまして、各局の担当者といろいろお話をさせていただきました。そのとき私も強く申し上げましたけれども、いわゆる局の縦割りでなくて、このシカ対策に限っては各局が総力を挙げて知恵を出し合って、焦点を絞って頑張っていただきたいというお話をさせていただき、じゃあ環境局の方で取りまとめましょうというお話をいただきました。環境局、産業労働局、建設局、水道局、それと知事本局、総務局と、六局関係しているわけでありますけれども、今申し上げましたように、環境局が中心となって六局を束ねて、連携を密に進めていただくことになりまして、それは本当にありがたく思っている次第でございます。
 そして、平成十七年度シカ対策予算、六局の総額として東京都で六億八千万の予算を組んでいただきました。この予算をぜひ残すことなくシカ対策に使っていただきたい。そして、一日も早く西多摩の森林が取り戻せるように努力をしていただきたいと思います。
 そこで、環境局が中心となって対応している六局で、当然、定期的な連絡会なり打ち合わせ会なりを持っておられると思いますけれども、総合対策の経過が実は私にもまだ見えてないんですけれども、その際、都庁だけでなくて、奥多摩町や地元の方の意見も十分反映していただきたい、そんな希望を持っておりますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

○福島自然環境部長 シカの食害対策は、庁内関係局の連携とともに、地元自治体などと共同して総合的に推進していくことが不可欠でございます。そのため、庁内関係六局によるシカ対策連絡調整会議を設置しておりまして、適宜、会議を開催しているところでございます。
 さらに、シカ保護管理計画を議論しておりますシカ保護管理計画検討会には、学識経験者や関係団体のほか、奥多摩町などの地元市町村も委員として構成メンバーに入っており、その中でのさまざまなご意見をシカ対策に反映させていただいているところでございます。
 今後とも、環境局がシカ対策の総合的な窓口となりまして、対策を進めてまいります。

○林田委員 最後に要望させていただきたいと思いますが、今、福島部長さんの方から、シカ対策連絡調整会議を環境局が窓口になって設置されているということで、まことに結構なことだと思います。その会議の内容とか各局の対応策についてはまた改めてお聞きいたしますが、なるほどという、一目でわかるような小冊子でもつくっていただければありがたいなと思っているところであります。
 最後に申し上げますけれども、くどいようですが、シカの被害は従来の猿とかイノシシなどのレベルではなくて、このまま放置すれば、美しい多摩の森林や自然が破壊されてしまうというような大変なのが実態でございまして、ましてや都民の飲み水が汚染されるというようなことになりますと、もう大変なことなんであります。でありますので、東京都も緊急シカ対策として総力を挙げて取り組み始めていただいたところでありますけれども、東京都全体の都民の皆様にもぜひこういった問題を提起していただいて、啓蒙していただいて、バンビちゃんかわいそうよというような、そんな雰囲気ではなくて、この人間とシカの関係を率直に都民の皆さんに啓蒙していただきたい。そのようなことを申し上げておきたいと思います。
 また、平成十七年度、これから以後のことは、実績を見て、改めてまた検証させていただきたいと思います。どうかシカ対策、局長、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございます。

○くまき委員 本日は、医療廃棄物の対策について、何点かご質問させていただきます。
 私は、かつて医療の現場で働いていた経験がございますので、医療廃棄物の適正処理の重要性について大きな関心を持っております。平成十一年には医療廃棄物の不法投棄事件が青森・岩手県境であったと記憶しております。
 医療廃棄物は感染の危険性が高く、不法投棄された場合、社会的な影響も非常に大きくなってまいります。そういう意味で、特に病院から出る廃棄物の中でも、感染性の医療廃棄物が問題になってまいります。
 そこで伺いますが、現在、東京都でどの程度感染性の医療廃棄物が排出されているか、また、それがどのように処理されているのか、お聞かせください。

○森廃棄物対策部長 都内において、感染性の医療廃棄物につきましては、平成十五年度では約三万五千トン発生しております。これらの感染性の医療廃棄物は、特別管理産業廃棄物として、法による厳格な処理基準が義務づけられておりまして、密閉した容器での運搬や焼却処理などの無害化処理を経た後に埋立処分されております。

○くまき委員 ありがとうございます。感染性の医療廃棄物が、他の廃棄物と異なり、厳しい管理基準のもとに処理されていることがわかりましたが、その一方で、排出される感染性の医療廃棄物の量も相当に多いわけでございます。こうした多量の感染性医療廃棄物の適正処理に向け、都としてもこれまでいろいろと取り組みをなさったと思いますが、どのような取り組みを行ってこられたか、伺います。

○森廃棄物対策部長 感染性の医療廃棄物につきましては、有害性が高く、不法投棄された場合の影響が特に大きいため、適正処理の確保が極めて重要でございます。都はこれまでも、医療廃棄物を含めた不法投棄防止対策といたしまして、産廃Gメンや、他県市と連携した産廃スクラム27などにより規制監視体制を強化するとともに、スーパーエコタウン事業として、無害化処理のための感染性廃棄物処理施設の整備を進めております。
 さらに、都の呼びかけによりまして東京都医師会が実施しております、バーコードを活用いたしまして医療廃棄物を診療所等から処理施設まで追跡する適正処理システムについて、積極的にその事業を支援しております。

○くまき委員 わかりました。今後も医療廃棄物の適正処理体制の強化に努めていただきたいと思います。
 ところで、新聞報道等によると、都はこの十月からICタグを活用した医療廃棄物の適正処理システムを導入し、この十七日、昨日より事業をスタートさせたとのことですが、この制度の位置づけと今後の展開についてどうお考えかをお伺いいたします。

○森廃棄物対策部長 ICタグを活用した医療廃棄物の適正処理システムにつきましては、都内の病院から排出される医療廃棄物の排出から運搬、焼却までの一連の流れを容器ごとに追跡、管理するものでございます。
 このシステムは、排出事業者が、処理業者以外の第三者による管理、運営によって、処理業者に対する監視効果を持ち、また、医療廃棄物を容器単位で追跡、確認できるため、適正処理が確実に行われることが担保される仕組みとなっております。
 今年度は、都立病院二カ所、民間病院三カ所で行いますが、今後は、実施状況等を踏まえまして、十八年度以降、さらなる実施病院の拡大に努めてまいります。

○くまき委員 先ほどのご答弁にもありました、東京都医師会が導入しているバーコードを活用した医療廃棄物の適正処理システムと、今回のICタグを活用した医療廃棄物の適正処理システムの関係はどうなっているのでしょうか。お聞かせください。

○森廃棄物対策部長 バーコードによる医療廃棄物の適正処理システムにつきましては、比較的少量の医療廃棄物を排出する医院や診療所などが対象でございます。排出量がそれほど多くない診療所等にとりましては、安価なバーコードによる小規模なシステムが適しております。
 これに対しまして、ICタグを活用した医療廃棄物の適正処理システムにつきましては、多量に医療廃棄物を排出する病院が対象でございます。ICタグはバーコードに比べまして時間的に短時間に大量のデータの読み取りに適しているものでございます。

○くまき委員 感染性の医療廃棄物について、不正処理を防止していくためには、ICタグやバーコードの活用などにより感染性の医療廃棄物を厳正に管理、追跡していくことがもちろん重要だと思います。それと同時に、実際に感染性の医療廃棄物を出す病院などの排出事業者にとっては、不適正処理が行われた場合には原状回復の責任が生じるなど、非常に重い責務が課せられていることを十分に理解していただかなければなりません。
 そうした点から、排出事業者に対し適正処理を行うことの社会的責任を徹底することが不可欠だと考えますが、東京都は今後どのようにしていくのか、取り組みをお伺いしたいと思います。

○森廃棄物対策部長 感染性の医療廃棄物を適正に処理するためには、病院、診療所などの排出事業者が医療廃棄物に対する社会的責任を果たしていくことが重要でございます。都は、本年九月には、産業廃棄物の排出事業者に対しまして、適正処理の取り組み状況等の報告を義務づける報告・公表制度を導入いたしました。
 この制度は、都内すべての病院が対象となっておりまして、制度の着実な実施によりまして、病院における適正処理に対する取り組みの促進を図ってまいります。また、診療所などに対しましても、東京都医師会などと協力いたしまして、医療廃棄物の適正処理に向けた講習会を開催するなど、周知徹底を図ってまいります。

○くまき委員 いずれにしても、東京都がICタグの活用や報告・公表制度の導入で医療廃棄物の適正処理に積極的な取り組みをスタートさせたことは評価できると思います。
 ただし、現状ですべての病院が廃棄物排出後に処理業者の動きを把握することは難しく、社会的な責務を理解していたとしても、処理業者に不適当な処理をされてしまったらどうしようもない場面も出てまいります。
 そうした意味で、ICタグやバーコードの活用で医療廃棄物の追跡システムを早期に確立していただくこと。さらに、ICタグの活用が有効であれば、大規模病院に限らず、できるだけ多くの病院、診療所が活用できるよう、積極的な支援体制をお願い申し上げます。
 もう一点、要望を申し上げます。現在、採血をした後に出血を抑えるためのアルコール綿などは、受診者が持って帰ってそのまま捨てられてしまうということが往々にしてあります。ほとんどの場合、何も問題はありませんが、このような場合は、病院スタッフから、採血終了後の血液のついたアルコール綿の処理について、例えば、病院の専用ごみ箱に捨ててくださいといった注意が一言あればと思います。非常にささいなことかもしれませんが、こういう医療現場での感染性医療廃棄物処理の意識向上に対する啓蒙の充実も図っていただきますよう要望させていただきまして、私の質問を終了させていただきます。

○石森委員 それでは、自民党三人目でございまして、それぞれ三多摩の出身の議員でございますから、若干質問内容が似通ってしまいますけれども、お許しをいただいて、自然環境保全について何点か質問させていただきたいと思います。福島部長、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、森林再生事業なんですけれども、以前、林業振興の観点から、間伐、あるいは植栽の補助制度が行われておりましたけれども、林業の衰退とともにどんどん森が荒れてきた。そんな現状の中で、環境的な立場で森を守るということでスタートしたのが森林再生事業であると思います。
 事業主体が土地所有者から行政に移ったということで、かなり森に手が入るというような形になりますから、この事業については高く評価しているんですけれども、ただ、市町村への委託事業となりますから、なかなか都の動きが見えてこない、そんな実態があろうかと思うんです。その辺、東京都としてはどのようなかかわりを持って事業に取り組んでいるのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 先生おっしゃるとおり、森林再生事業は、荒廃した森林を環境の視点から間伐を行いまして、五十年をかけて再生させるという長期的な事業でございます。そして、森林が持つ公益的機能の回復を目的としております。
 事業の実施に当たりましては、事業地の選定や間伐は市町村が行います。都は、実施計画の作成や事業全体の進行管理、市町村に対する技術的指導や連絡調整、森林所有者との協定締結などを行っております。

○石森委員 総事業面積がトータルで一万八千ヘクタールというような目標になっておりますけれども、平成十四年度からスタートして、今年度で四年目ですね。これまでの実績並びに進捗率につきましてお示しをいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 平成十四年から十六年までの数値を申し上げます。まず、平成十四年度は、面積五百十ヘクタール、事業費が約二億四千百万円でございます。平成十五年度は、面積が七百五十三ヘクタール、事業費が約四億一千万円でございます。平成十六年度は、面積が六百五十一ヘクタール、事業費は約三億四千五百万円でございます。三年間の計画に対する進捗率は、面積で五〇%、事業費で七九%になっております。

○石森委員 事業費でいいますと八割方進んでいるということですけれども、面積では約半分というようなお話でございました。
 八王子なんですけれども、八王子の市域面積からすると、四二%が森林というようなまちなわけでありますけれども、特に日の出町とか八王子の進捗率が非常に悪いというような状況にあろうかと思います。それが何か原因というものがあるんでしょうか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 この事業は、一に森林所有者の意向にかかわってまいります事業でございます。森林所有者の中には、間伐の必要性は認めるけれども、この事業には協力できないですとか、木の育成に間伐は必要はないという考えの方もいらっしゃいます。また、自分の所有する森林の荒廃を認めたがらないという方もいらっしゃいます。
 こうした森林所有者の方々にどのようにして森林再生事業の必要性を理解し、事業に協力してもらうかが課題でございます。

○石森委員 事業がなかなか進展しないという背景には、協定期間が二十五年間という長期に及ぶという問題があろうかと思うんですね。それはどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。

○福島自然環境部長 この事業は、五十年間に四回の間伐を実施いたしまして、公益的機能の高い針広混交林にすることを目的としております。一定の期間の拘束は必要であると思います。しかしながら、事業期間五十年間の拘束は長過ぎるので、協定期間は半分の二十五年間としまして、期間満了後、改めて同じ内容の協定を締結することとしております。

○石森委員 ことしで四年目に入っておりまして、多分、ことしの進捗率もそれほど伸びていないというふうに思うんですね。これまで、目標達成するための何か努力といいますか、その辺の工夫はされてきたのか。あわせて、今後の取り組みについてもお聞かせをいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 平成十四年度に新設いたしました事業でございまして、当初は、市町村にこの事業の重要性を理解してもらうこと、それから、森林組合などによります間伐の実施体制の整備を行ってまいりました。また、森林所有者に対しましては、地元説明会やパンフレットの配布ですとか、ポスターの掲示、ホームページへの登載などで事業のPRに努めてまいりました。
 今後でございますが、引き続き市町村や森林組合との一層の連携強化を図りまして、従来にも増して地元の事情や意向に関する情報収集を進めまして、事業を推進してまいります。また、森林所有者が複数いる共有林などについても、協定締結につながるように努めてまいります。何より森林再生事業における環境の視点からの意義を皆様にご理解いただきまして、協力してもらえるよう努めてまいります。

○石森委員 とにかく手を入れることが一つの大きな目標でもありますから、共有地といったような問題もあろうかと思いますし、森というのは古くから所有しておりますと境界もわからないといったような問題もあろうかと思います。ぜひ柔軟な対応をしていただいて、できるだけ協定を結んで、特に、二十五年というスパンは長いですよ、と思います。二十五年先を見て協定結んでくれということになりますと、弊害というか、なかなか進まない一つの要因だと思いますので、その辺の期間を縮めるというような努力もぜひしていただきたいと思います。
 それから、先ほど林田先生からもお話ございましたけれども、シカの保護計画が今年度からスタートして、多少なりとも成果を上げているというようなお話がございました。特に三多摩の森の方へ行きますと、先ほどちらっと林田先生からもお話がございましたけれども、イノシシと猿、この農作物への被害というのはかなりひどいんですよね。ですから、ハンターがシカを狩猟するときには、隣にイノシシがいたら、それを一緒に捕獲するような、シカの上に猿が乗っていたら一緒に捕獲するような、産業労働局でしたっけ、その辺との連携もぜひお願いをしておきます。
 続いて、保全地域についてお聞かせをいただきたいと思います。
 保全地域につきましては、こいそ先生からもお話がございました。私もできるだけ地域指定を広げて数をふやしてほしいというような要望がございますけれども、今、自然保護条例に基づいて、都内四十四カ所がその指定を受けております。貴重な自然が保護されているわけですけれども、かなりの地域で、地域のボランティアの皆さんの手によって保全活動がされているといったような実態があるんですね。どのような活動が行われていて、それに対して都としてはどのような支援を実施しているのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 都内四十四カ所あります保全地域のうち、半数を超えます二十四カ所の保全地域において、地域のボランティア団体が主体となりました保全地域の草刈り、田んぼの復元、地元小学生に対する環境学習補助など、さまざまな緑地保全活動が行われております。
 都といたしましても、これらの活動に対し、倉庫の設置ですとか、のこぎり、かまなどの道具類の提供など、さまざまな支援を行っております。

○石森委員 地方分権が進んでまいりまして、各市町村というのは個性的なまちづくりが求められているわけでありますけれども、それにあわせて、市民の皆さんが参加、参画する、これは緑地保全についても必要なことだと思うんですね。
 こういったボランティア活動、地域の方がさまざまなご努力をされている、こんなことをできるだけ広げていく必要があろうかと思うんですけれども、都としてはどのようなお考えがあるでしょうか。

○福島自然環境部長 多層にわたる取り組みの拡大に対する取り組みといたしまして、本年度、八王子市の大谷、戸吹北、小比企の各保全地域を初めとしまして、都内六カ所の保全地域におきまして、企業の参画を得ました東京グリーンシップ・アクションを実施しております。
 東京グリーンシップ・アクションでは、都民、企業、NPO、行政等が連携して、保全地域の草刈り、間伐、自然観察などを行っております。このような多方面の人々が参加する活動を実施、拡大することによりまして、今まで自然環境保全活動に参加することのなかった企業の社員を初め、幅広い層の都民が保全活動に参加することが期待できると思います。

○石森委員 ぜひそういう形で広げていっていただきたいと思います。
 それから、八王子にはもう一つ、保全地域には指定はされてないんですけれども、堀之内という地域がありまして、多摩ニュータウンの一画に位置するわけなんですけれども、ここに里山として地域の方が農業体験などのボランティア活動を実施されております。以前に新聞報道もございましたから、ご案内の方もいらっしゃると思います。東京都としてはこのような活動の積極的な支援というのが必要だと思いますけれども、その辺はどのような形で行っているんでしょうか。

○福島自然環境部長 八王子市の堀之内地区では、平成十四年から、都、地元市、市民団体などで里山保全のあり方の検討会を設けております。現在、地権者の了解を得た上で、都、市、ボランティアが協働して定期的に下草刈りを行っております。今後、このような取り組みを続けながら、ボランティアと連携しました里山の保全に努めてまいります。

○石森委員 せっかくそういう形で地域で大変な活動をして里山を守っているわけですから、継続ができるような支援を東京都としてもお願いしたいと思います。
 それからもう一点、最後になりますけれども、残土の関係で、建設残土の埋め立てですね、この件でお聞きをしたいと思います。
 ここに、読売新聞多摩版になりますけれども、十月の六日に、八王子の丘陵開発、開発ずさん、継続審議に、というような掲載記事がございます。特に八王子というのは、残土埋め立てを目的とした開発行為というのがここ数年相次いで行われている、そんなまちになってしまったわけでありますけれども、そんな背景から、何年だったかちょっと忘れましたけれども、残土条例を改正して、千平方メートル未満の土砂の埋め立てについては、事業者に対して地元住民の理解を求める。そして、これがちょっと珍しい条例なんですけれども、違反があった場合には土地所有者に対しても責任が及ぶといったような内容になっています。
 なぜこうなったかといいますと、残土業者がどんどん残土を搬入して、どんどんやったあげくに、違法行為なんですけれども、後は倒産なり、逃げていってしまう。そんなことが二、三回あったんですね。そんな背景から、土地所有者にも責任を及ばせる、そんな残土条例が今八王子にはございます。
 市の条例が適用されない千平方メートル以上の開発については、東京都の条例の適用となりますけれども、現行の都条例ではその辺のところはどうなっているんでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

○福島自然環境部長 都の自然保護条例におきましては、周辺住民の理解や土地所有者の責任について特段の規定はございませんが、土砂等の埋立行為の許可申請に当たりまして、土砂等の崩落や汚濁水の発生等により周辺住民に影響が及ばないよう、条例等に照らし、事業者に対して厳しく指導を行っているところでございます。
 また、許可に当たっては、自然の保護と回復を図るため、必要な条件を付することとしています。
 さらに、事業開始後も、必要に応じて立入調査などを行うほか、安全で環境に配慮した事業が行われるよう、事業者に対して指導を行っております。

○石森委員 先ほどお話ししたとおり、違法行為でそういった事業展開がなされている、そんな実態があるんですけれども、こういった許可の内容と異なる残土処理をしている、その場合に対しては都の対応というのはどういう形で行ってきたんでしょうか。

○福島自然環境部長 許可内容に相反する土砂埋め立てがなされた場合、指示書を交付するなどして、適正な処理手続がなされるよう指導を行っております。
 さらに、指導に従わない場合は、条例に基づきまして、中止命令、原状回復命令などの手段をとることにしております。

○石森委員 現在の都条例の内容では、規制に非常に限界があると思うんですね。次から次へと同じような違法行為が行われているというような状況にございまして、条例改正も含めた、何かしら抜本的な改革といいますか、制度を変えていく、そんな必要があると思いますけれども、その辺についてはどのように考えていらっしゃいますか。

○福島自然環境部長 土砂等の埋立行為に対する規制を強化するため、自然保護条例を平成十二年に改正いたしまして、施行後の平成十三年四月から、一定規模以上の土砂等の埋立行為については知事の許可を要するものとしております。
 制度導入後四年が経過いたしまして、条例の趣旨が浸透してきているものと認識しています。今後、現場の立入調査や事業者指導をさらに強化いたしまして、不適正な土砂等の埋め立てが行われないよう、万全の対応に努めてまいります。
 また、事業者に対する規制を強化する各種の方策につきましては、開発許可制度の運用実績を踏まえ、今後検討していきたいと思います。

○石森委員 大体、建設残土を搬入する業者というのは一筋縄ではいかないような業者がほとんどなんですよね。多摩環の職員の皆さんも、本当に苦労されながら指導していると思うんです。ただ、条例が、もうこれは限界がありますから、今後検討されるというお話ですけれども、ぜひ担当者がすぐに対応できるような、そんな条例改正も含めた制度改正といいますか、その辺もぜひ取り組んでいただきますように要望して、質問を終わります。

○原田委員 私からは、ダイオキシン類によって汚染された土壌の回復について質問させていただきます。
 昨年の十二月、北区にあります豊島五丁目団地及びその周辺部からダイオキシン類が発見されました。これは土壌中から発見されたものでございます。これまでのダイオキシン対策では、清掃工場等の発生原因対策が行われた結果、平成十五年度には、平成十年と比べて、その排出量におきましては二十分の一になると、こういった新たなダイオキシンの排出に対する対策というものは一定の効果を上げているところでございます。
 しかしながら、何らかの原因で既に発生し、土壌中に蓄えられてきたダイオキシンについては、これまでなかなか対策が進んでいないというのが現状です。ダイオキシン類対策特別措置法に基づき対象地域が指定された案件は、同法施行から五年余りが経過したにもかかわらず、全国でわずか三件、都内においてもわずか一件というのが現状でございます。
 そうした中、今回、この北区の豊島五丁目団地及びその周辺部でダイオキシン類が発見されました。今回のケースは、約五千世帯が居住する密集した生活空間での発見という意味でも重大であり、また、今後別の場所で汚染事例が出たときの参考事例ともなることから、このケースに対する東京都の対応について伺うとともに、ダイオキシン類に汚染された土壌の回復に関する一般的な対応についてもお聞きしたいと思います。
 まず初めに、豊島五丁目団地におけるダイオキシンの処理について伺います。先ほども述べましたけれども、当該地域は、約五千世帯の暮らす人口密集地域であり、それを踏まえた対応が必要であります。単に住民の健康と安全を守る、そういう視点にとどまらず、住民の不安を確実に解消するという視点で取り組みが進められなくてはならないと考えております。
 そして、この地域は、土地の所有者が、都市再生機構、そして北区、民間企業など、複数にわたっております。こうした中、これまでの調査や住民への発表もそれぞれ行われてきたところでございます。
 そこで、お伺いいたします。東京都として、これまでの経緯につきまして、どのように事態把握を行っているのか。全体の汚染判明範囲及び対策の進行状況とあわせて説明を求めます。

○柿沼参事 北区豊島五丁目団地周辺のダイオキシン類汚染につきましては、昨年十二月の豊島四丁目の工場跡地での発見以来、北区や都市再生機構が汚染状況調査を行ってまいりました。都は随時、調査結果について報告や相談を受けまして、対応策について指導、助言をしてきております。
 現時点では、引き続き調査中でございますけれども、汚染が確認されている豊島五丁目団地内においては、北区及び都市再生機構が応急対策を行っております。また、同様に汚染が確認された団地南側の豊島四丁目の土地有効利用事業用地においては、恒久対策を既に実施済みでありまして、西側の豊島六丁目土地区画整理事業区域については今月中に恒久対策が開始される予定でございます。

○原田委員 今後も的確な事態把握に努められるようお願いをいたします。
 さて、こうした複数の主体がかかわってはいますが、土地所有者が異なっていても、地域に暮らす住民にとっては一つの一体的な地域であるということには変わりはございません。そこで、主体の違いによって調査方法や対策の程度に違いがあってはならないと考えます。また、そのような点も踏まえ、今後、恒久対策を計画する際には、単に安全性の確保に配慮して事業を行って、それでおしまいということではなくて、それをきっちりと住民に対して説明し、理解を得る。そういったリスクコミュニケーションという観点からも真剣な取り組みが求められることと思います。
 そこで、お伺いをいたします。東京都として統一的な考え方に立ち、住民の不安を取り除くことを第一に考え、こうした対応がそれぞれの各主体によって行われるよう指導すべきだと考えますが、見解をお伺いします。

○柿沼参事 土壌汚染対策の実施に当たりましては、汚染の拡散による健康影響を未然に防止するということが重要となります。このため都は、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく対策地域を指定する段階で、東京都環境審議会など専門家の意見を聞くとともに、対策計画の策定の段階では、公聴会を開催するなど、住民の意見を聞いて対応してまいります。
 また、対策の実施者となります北区及び都市再生機構が適切な情報提供等によるコミュニケーションを行うよう指導するなど、住民の方々の不安を取り除くことができるように努めてまいります。

○原田委員 住民の立場に立って安全確保策が実施されるよう、改めて望みます。
 そして、この汚染土壌の回復につきましては、汚染原因を究明した上で、所有者のみならず、原因者にも一定の負担を求めるなど、費用負担のあり方についても考えていく必要がございます。
 今回ダイオキシン類が発見された豊島五丁目団地及びその周辺は、化学工場の跡地でありました。そして、この工場が汚染の原因である可能性が高いと考えられています。
 そこで、お伺いいたします。汚染原因者に対し、現状で法的にこの対策の費用負担を求めることは可能と考えておられるのか、都の所見をお伺いいたします。

○柿沼参事 当該地域におきまして、北区が公害防止事業として対策を実施し、工場の操業と汚染の因果関係が明確な場合には、公害防止事業費事業者負担法という法律に基づいて、汚染原因者に対し費用負担を課せることになっております。
 ちなみに、大田区におけるダイオキシン類汚染の事例でございますが、ここでは、原因者の負担割合は四分の三としております。

○原田委員 今、大田区の事例ということで、公害防止事業者負担法の原則をおっしゃられましたけれども、このダイオキシン対策特別措置法に従って事業を行う場合、同法の三十一条の七項には、公害防止事業者負担法の規定は、事業者によるダイオキシン類の排出とダイオキシン類による土壌の汚染との因果関係が科学的知見に基づいて明確な場合に適用するとあります。つまり、こうした中で法的な費用負担を求めるためには、因果関係についてのしっかりとした調査が必要となってくるわけです。
 しかし、現実には、北区にも、あるいはこの土地所有者、北区を初めとするその他の土地所有者にも、単独で原因究明を行うのは、なかなか能力的にも予算的にも困難を伴う状況であるというふうに考えられるわけです。
 そこで、お伺いをいたします。東京都といたしまして、この原因究明に係る調査等についてどのような支援体制が考えられるのか、これからどういうふうな支援をしていくのか、お伺いをいたします。

○柿沼参事 東京都といたしましては、環境局内に設置しております土壌汚染対策検討委員会という専門家の委員会がございます。こちらの意見を聞く場等を活用いたしまして、北区や都市再生機構が行う汚染原因の究明に対してはできるだけの技術的支援を行ってまいります。

○原田委員 そうした形でしっかりとした支援を実施されるよう望みます。
 また、こうした中、費用についてもなかなか難しい問題がございますが、これは後ほど全般的なところで述べさせていただくことにいたしまして、今後の汚染回復への取り組みにつきまして、今度は全般的にお尋ねをしたいと思います。
 さて、土壌汚染に関する取り組みは、大気や水と比べて、比較的新しい分野であります。東京都においては、平成十三年の十月一日に、環境確保条例のうち土壌汚染に関する規定が施行され、また、国レベルでは、その後になりますけれども、平成十五年の二月十五日に土壌汚染対策法が施行されたところであります。
 今回、ダイオキシンによる土壌汚染を取り上げさせていただいておりますが、この土壌汚染対策法等ではダイオキシン類は対象外となっております。しかし、化学工場等、あるいは旧軍の施設でそういったところもあるかもしれませんが、こうしたところでは、この土壌汚染対策法に規定された物質に加えて、ダイオキシン等複合的な汚染の可能性も高いわけでございます。
 そこで、お伺いをいたします。化学工場跡地等ではダイオキシン類に関しての調査をきちんとすべきであります。最低でも、土壌汚染対策法の枠組みと同様、跡地の再開発等の機会をとらえて、ダイオキシン類についても積極的な調査をしていくべきだと考えますが、今後の調査方針、あるいは調査の準備についてのご対応を伺います。

○柿沼参事 ダイオキシン類は、土壌汚染対策法で対象となる一般の有害物質と異なりまして、意図せずに、すなわち、知らず知らずのうちに生成される物質であることなどの点で、現段階では調査の義務づけは難しいと考えられます。
 現在、ダイオキシン類による土壌汚染の調査は、土地所有者等により、土地の履歴等を勘案しながら、必要に応じて行われておりますが、都は、ダイオキシン類の調査について、土地所有者等からの相談があれば、適切な指導、助言を行ってまいります。

○原田委員 ダイオキシン類は、確かに一般の有害物質と違って、意図せざる生成過程、そういったものがございます関係で、なかなか取り扱いについて難しい面もございます。しかし、だからこそ逆に、化学工場跡地等でダイオキシン類汚染の調査を行いやすくするために、製造工程とダイオキシン類の汚染の関係を明らかにするなど、今回の事件を踏まえてしっかりと取り組みを進めていくべきだと考えますが、答弁を求めます。

○柿沼参事 化学工場跡地でのダイオキシン類の調査は、土地所有者等が行うことになります。しかし、ご指摘のように、ダイオキシン類による土壌汚染のメカニズムというのは必ずしも十分解明されておりません。このため、都としては、化学工場の製造工程などとダイオキシン類の汚染の関連について、今後研究してまいります。

○原田委員 ダイオキシン類発生のメカニズムの解明に積極的に取り組み、汚染回復に努められるよう要望をいたします。
 現在では、大規模開発の場合、民間では任意にダイオキシン類に関しまして調査される事例もふえていると聞いています。今回も、実は都市再生機構の任意の調査から汚染がわかったというのが実態でございます。また、今後、こうした開発が進んでくるかもしれませんけれども、これまでのところ、小規模な開発では取り組みもまだまだ不十分なのが現状です。こうしたメカニズムの解明、それらの都の取り組みというものが、このダイオキシン調査がこれからまた進んでいく、そうした環境づくりにもつながってくると思いますので、積極的な対応を求めます。
 そして、最後に、調査にかかる費用面のことについて指摘して、質問を終わりにさせていただきたいと思います。
 このダイオキシン類の調査につきましては、多額の費用がかかります。既に実施した調査費用につきましては、北区の場合におきましても、国の補助金もなく、調査者にとって大きな負担となっているところでございます。それに加えて、調査後の対策にも実際にもっと大きな費用がかかるわけで、こうした面についても、都としても、コスト負担がこのダイオキシン類に汚染された土壌の回復、この問題の解決に影響を与えないようにしっかりとバックアップされることを要望いたしまして、私からの質問を終わりといたします。

○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ともとし委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十二分散会

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