文教委員会速記録第四号

令和七年三月十九日(水曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長小山くにひこ君
副委員長かつまたさとし君
副委員長星  大輔君
理事米川大二郎君
理事風間ゆたか君
理事とや英津子君
磯山  亮君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
大松あきら君
伊藤こういち君
白戸 太朗君
松田 康将君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長坂本 雅彦君
次長猪口 太一君
教育監瀧沢 佳宏君
総務部長岩野 恵子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長山本 謙治君
指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務山田 道人君
グローバル人材育成部長信岡 新吾君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長吉村 幸子君
教育政策担当部長秋田 一樹君
デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務落合 真人君
高校改革推進担当部長猪倉 雅生君
教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務根本浩太郎君
特別支援教育推進担当部長中西 正樹君
指導推進担当部長市川  茂君
人事企画担当部長矢野 克典君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十八号議案 学校職員の定数に関する条例及び学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例及び学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例
報告事項
・「東京都教育委員会における障害者活躍推進計画(第二期)(案)」について(質疑)
・「都立中央図書館の在り方(案)」について(質疑)
・「東京都教育施策大綱(案)」について(質疑)
・「東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(案)」について(説明・質疑)

○小山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(案)につきましてご報告申し上げます。
 本計画は、昨年十一月二十九日の文教委員会におきまして素案のご報告をさせていただいたものでございます。
 素案公表後に実施したパブリックコメントでは、子供たちを含む多くの都民の皆様からご意見をお寄せいただきました。こうしたご意見や議員の皆様からいただいたご質問等を踏まえまして、第三次実施計画の案を取りまとめました。
 本日は、主に素案に追加した内容などを中心に、概要版によりご説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、資料第1号、東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(概要)(案)の一ページをご覧願います。
 まず、第1部の東京都特別支援教育推進計画(第二期)の基本的な考え方でございます。
 平成二十九年に公表した特別支援教育推進計画(第二期)は、令和九年度までの十一年の長期計画となっており、その中で、具体的な取組内容を明らかにするための実施計画を三次に分けて策定しております。
 本計画の基本理念の実現に向け、資料下部の四つの方向性に沿って施策を推進しているところでございます。
 二ページをご覧ください。素案と同様、上段には近年の国や都の動向を、下段には四つの方向性に係る主な事業を記載しておりますが、具体的な取組内容につきましては、三ページ以降でご説明させていただきます。
 三ページをご覧願います。左側中段の施設整備計画をご覧ください。
 知的障害のある児童生徒の増加に対応するとともに、教育環境の充実を図るため、表に記載のとおり、一校の新設、一校の増築、二校の緊急的な増築、五校の改築を実施する予定でございます。
 具体的に、新設では、江戸川区有地を活用し、知的障害特別支援学校を新たに設置します。
 また、聴覚障害教育部門と知的障害教育部門を併せ有する立川学園におきましては、増築棟を設置するとともに、従来の小学部、中学部に加え、新たに高等部を設置し、学部改変を行います。
 その下の段、鹿本学園と水元特別支援学校においては、必要な教室の確保を目的とした緊急的な増築棟を敷地内に設置し、可及的速やかに教育環境の改善を図ります。
 表の右側にございます石神井、調布、港、葛飾、高島特別支援学校の五校につきましては、地域の実情や校舎の状況等を踏まえ、特別支援学校の改築の際に教育環境の改善を図ってまいります。
 なお、港特別支援学校では、従来の高等部に加え、新たに小学部、中学部を設置し、学部改変を行います。
 続いて、その下、視覚障害特別支援学校における歩行訓練士の活用をご覧ください。
 こちらは、都立盲学校における教員の専門的指導力向上に向け、歩行訓練士の資格を持つ外部人材の活用を図っていく取組でございます。
 右側下から二つ目に記載しております聴覚障害特別支援学校における放課後の居場所づくりでは、都立ろう学校の幼稚部及び小学部の三年生までの幼児、児童について、送迎にかかる保護者の負担を減らすため、幼児、児童が放課後等に学校内で過ごす専用の場所を確保するモデル事業を来年度から新たに開始いたします。
 続いて、四ページをご覧願います。左上の特別支援教室の円滑な運営においては、発達検査における優良な取組事例の情報共有を行うなど、児童生徒が必要な検査を円滑に受けられるよう取り組んでまいります。
 また、特別支援教室入室に係る判定委員会の安定的な開催を支援するため、臨床発達心理士等の判定委員会への派遣を実施していくとともに、発達障害の理解促進に向けた研修動画を継続して作成してまいります。
 続いて、五ページをご覧願います。左上、特別支援学校と都立高校等の協働的な取組におきましては、隣接、近接する都立特別支援学校と都立高校の各五校で、障害のある生徒等と障害のない生徒が日常的に共に学ぶ環境の整備に向けた協働的な取組を来年度から実施いたします。
 右側上から二つ目の特別支援学校における安全、防災に関する指導の充実におきましては、研究指定校に位置情報探索機器を貸与し、有効な活用方法を検討するモデル事業を実施してまいります。
 続いて、六ページをご覧願います。右側上から二段目の特別支援学校と放課後等デイサービス事業所との連携として、校外においても児童生徒が安全に安心して過ごせるよう、特別支援学校と放課後等デイサービス事業所との連携について、新たに記載いたしました。
 その下の特別支援学校等卒業後の学びの充実におきましては、特別支援学校等を卒業した生徒が大学生などと交流し、共に学ぶことができる新たな学びの場をつくってまいります。本事業の実施と併せ、生徒一人一人の適性や意向に応じた進路選択がさらに充実するよう、都立特別支援学校の生徒の卒業後の進路に関する調査も実施してまいります。
 ただいまご説明申し上げた計画案の全文は資料第2号でございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 今後につきましては、年度内をめどに東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画を策定、公表してまいります。
 説明は以上となります。よろしくお願い申し上げます。

○小山委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、次に行います予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑と併せて行いますので、ご了承願います。

○小山委員長 これより予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第六十八号議案から第七十八号議案まで及び報告事項、東京都教育委員会における障害者活躍推進計画(第二期)(案)について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岩野総務部長 去る二月十三日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料第3号、文教委員会要求資料の目次をご覧ください。
 今回要求のございました資料は二十六件でございます。
 一ページをご覧ください。1、都立特別支援学校スクールバスと医療的ケア児専用通学車両の予算の推移(平成二十八年度から令和七年度まで)でございます。
 スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の予算額、配車している学校数、運行するコース数を年度別に記載しております。
 二ページをご覧ください。2、都立特別支援学校におけるスクールバスと医療的ケア児専用通学車両の配車状況(令和六年度)でございます。
 このページから次のページにかけまして、令和六年度のスクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の配車台数等を学校別に記載しております。
 四ページをご覧ください。3、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移(令和二年から令和六年まで)でございます。
 各年における法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数、実雇用率、不足数を記載しております。
 五ページをご覧ください。4、公立小中学校の三十五人学級及び三十人学級に必要な教員数及び経費でございます。
 三十五人学級及び三十人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費を、小学校、中学校それぞれ学年別に記載しております。
 六ページをご覧ください。5、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
 令和七年三月一日時点で見込まれる教職員の令和七年度標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和七年度定数及び標準法以外の都の令和七年度定数を校種別に記載しております。
 七ページをご覧ください。6、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
 各年度における就学援助を受給した児童生徒数及び受給率を、要保護、準要保護の別に記載しております。
 八ページをご覧ください。7、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒の数及び配置看護師数(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
 (1)では各年度における医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒数を、(2)では各年度における配置看護師数を、都立、区立の別に記載しております。
 九ページをご覧ください。8、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTT等の選択状況(令和六年度)でございます。
 令和六年度における中一ギャップ加配を活用している学校数について、学級規模縮小とTT等の選択状況を区市町村別に記載しております。
 一〇ページをご覧ください。9、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移(平成十六年度から令和五年度まで)でございます。
 各年度における不登校児童生徒数と不登校出現率を校種別に記載しております。
 一一ページをご覧ください。10、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等(令和二年度から令和六年度まで)でございます。
 (1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数及び期限付任用教員として任用した人数について、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数を年度別に記載しております。
 (2)では、期限付任用教員名簿登載者のうち五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率を年度別に記載しております。
 一二ページをご覧ください。11、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移(平成二十八年度から令和七年度まで)でございます。
 各年度における副校長、養護教諭など教職員それぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数を校種別に記載しております。
 一三ページをご覧ください。12、都内公立学校の臨時的任用教員及び時間講師の採用候補者名簿登載者数と任用人数でございます。
 (1)では、令和五年度における臨時的任用教員の採用候補者名簿登載者数及び産休、育業代替として任用した人数を記載しております。
 (2)では、時間講師の採用候補者名簿登載者数及び任用した人数を年度別に記載しております。
 一四ページをご覧ください。13、都内公立小中高等学校の自殺者数の推移(令和元年度から令和五年度まで)でございます。
 各年度における自殺者数を校種別に記載しております。
 一五ページをご覧ください。14、都内公立中学校三年生における生徒数及び中学校三年生を対象とした中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)受験者数(テスト開始から令和六年度まで)でございます。
 都内公立中学校三年生の生徒数及び中学校三年生を対象とした中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jの受験者数を年度別に記載しております。
 一六ページをご覧ください。15、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)事業の予算額のうち、中学校三年生のテストと一、二年生のテストそれぞれの金額(令和五年度から令和七年度まで)でございます。
 各年度における中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jについて、中学校三年生、一、二年生のテスト共通でかかる経費の予算額、中学校三年生対象のテストに係る予算額、中学校一、二年生対象のテストに係る予算額をそれぞれ記載しております。
 一七ページをご覧ください。16、中学校英語スピーキングテストについて、ベネッセコーポレーションの事業応募時の経費の見積額及びブリティッシュ・カウンシルの同様の見積額でございます。
 ベネッセコーポレーション及びブリティッシュ・カウンシルの事業応募時の経費の見積額について、それぞれ記載しております。
 一八ページをご覧ください。17、中学校英語スピーキングテスト予算額と決算額及びその内訳(事業開始時から令和七年度予算案まで)でございます。
 平成三十一年度から令和七年度までの予算額及び決算額を、主な事項別に記載しております。
 二〇ページをご覧ください。18、スクールカウンセラーの学校種別の配置校数と、週一回年間三十八回を超えて配置している学校数とそれぞれの配置状況(令和六年度)でございます。
 (1)ではスクールカウンセラーの配置校数を、(2)では、そのうち週一回年間三十八回を超えて配置している学校数をそれぞれ校種別に記載しております。
 二一ページをご覧ください。19、スクールカウンセラーの東京都での連続勤務年数別の人数でございます。
 令和六年四月一日現在におけるスクールカウンセラーの人数を連続勤務年数別に記載しております。
 二二ページをご覧ください。20、スクールカウンセラーの令和六年度の採用数と週三回勤務の人数でございます。
 令和六年四月一日現在におけるスクールカウンセラーの令和六年度の採用数と週三回勤務の人数を記載しております。
 二三ページをご覧ください。21、スクールカウンセラーの令和七年度の公募数、公募による任用のうち公募によらない再度任用の回数が四回を超えた者及び新規の者の応募者数と合格者数でございます。
 令和七年度におけるスクールカウンセラーの公募数と、公募による任用のうち公募によらない再度任用回数が四回を超えた者及び新規の者の応募者数と合格者数をそれぞれ記載しております。
 二四ページをご覧ください。22、特別支援学校設置基準に定める校舎面積を下回る都立特別支援学校等の数でございます。
 特別支援学校設置基準に定める面積等について、内容別に学校数をそれぞれ記載しております。
 二五ページをご覧ください。23、東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(素案)に対するパブリックコメントでございます。
 東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(素案)に対するパブリックコメントについて、このページには、パブリックコメントの実施概要、回答者の内訳、属性、意見の内訳を、二六ページから三六ページにかけまして、主な意見を記載しております。
 三七ページをご覧ください。24、特別支援学校施設整備標準の標準面積一覧でございます。
 特別支援学校施設整備標準で定める標準面積一覧について記載しております。
 三九ページをご覧ください。25、都立中央図書館及び都立多摩図書館の蔵書数(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
 中央図書館及び多摩図書館の蔵書数、開架可能冊数について年度別に記載しております。
 四〇ページをご覧ください。26、都立中央図書館及び都立多摩図書館の資料購入費(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
 中央図書館及び多摩図書館の資料購入費について年度別に記載しております。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 よろしくお願いします。
 私から、まず、校内別室支援員の配置についてから伺わせていただきます。
 不登校の子供は年々増加し、一人一人の子供の状況に応じて支援することは大切であります。そのため、私は、令和五年第四回定例会、令和六年予算特別委員会、令和六年事務事業質疑の機会を通じて、不登校対応について質問を重ねてまいりました。
 不登校の子供の状況は様々であり、多様な学びの場を確保していくことが重要であります。
 一方で、不登校の子供が教室に戻れるよう支援することも大切であると訴えてまいりました。
 これを受け、都教育委員会は、教室に入ることができない子供に対して校内の別室での学びを充実させることができるよう、小中学校における支援員の配置を補助しています。
 この校内別室支援員の今年度の成果と来年度の取組について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 今年度、都教育委員会は、子供が校内の空き教室で相談や学習をできるようにするため、小学校百五十六校、中学校二百三十二校分の校内別室指導支援員の配置経費を補助しております。
 これにより、校内別室において、支援員が子供に寄り添い、オンラインを活用し、在籍している学級での学習内容に取り組めるようになりました。また、学級に行く時間を子供が決め、支援員が付き添うことで授業に参加できるようになったなどの成果が上げられております。
 来年度、小学校百十九校、中学校六十校に支援員の配置を継続するための予算額として九億二百十六万円を計上しております。
 これに加えまして、来年度から始まる国の補助を活用し、小中学校三百校に支援員を配置します。その予算額は二億四千万円であります。
 これにより、不登校の未然防止、早期支援などの対応を一層強化してまいります。

○星委員 今ご答弁いただいた校内別室指導員の補助制度について、来年度、継続する人が対象外になることや補助率の変更があると伺っています。自治体からは、変更されると現場の人が減ってしまう、何とか今の制度を継続してほしいという声も届いています。
 不登校対策としても非常に効果のある施策であり、私どもの会派としても大変重要な施策であると考えております。来年度、現場の指導体制に不足が生じないよう、都としても、今後の対応について早急に検討していただくことを強く要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 スクールカウンセラーについて伺います。
 来年度、スクールカウンセラーの配置拡大を進めるとのことですが、改めてスクールカウンセラーの役割について伺います。
 また、併せて令和五年度の相談実績についても伺います。

○市川指導推進担当部長 スクールカウンセラーは、不登校やいじめ、児童虐待等の未然防止、早期発見など、子供の悩みや抱えている問題の解決に向けて、学校における心理の専門家として、子供や保護者への支援及び教員への助言を行う役割を担っております。
 都教育委員会が令和五年度に都内公立学校に配置しているスクールカウンセラーが受けた相談件数は七十八万六千九百五十八件でございまして、前年度と比較して四万六千八百九件増加しております。
 なお、一校一日当たりの相談件数は九・六件でございます。

○星委員 各校においてスクールカウンセラーへの相談件数が多くなっており、スクールカウンセラーの配置を拡大する必要があることが確認できました。
 令和七年度のスクールカウンセラーの配置について、具体的な配置計画をお伺いいたします。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、令和七年度、都立の全ての小中学校及び高等学校に週二日スクールカウンセラーを配置いたします。
 また、相談件数や内容から相談のニーズが高いと判断される学校十二校及び不登校等の生徒を対象とした別室を設置する十七校には、週三日の配置といたします。
 区市町村立小中学校につきましては、現在、全校に週一日スクールカウンセラーを配置しており、また、相談のニーズが高いと判断された学校百七十二校には、週二日の配置としております。
 来年度は、不登校等の生徒を対象とした別室を設置し、支援員を置く六十校及び教員と外部の専門家等をつなぐ教育相談主任を置く十校の中学校に週三日配置いたします。
 こうしてスクールカウンセラーの配置の充実を図りまして、子供の不安や悩みの解消に向けた取組を推進してまいります。

○星委員 スクールカウンセラーの配置を進めて、子供たちの不安や悩みの解消に向けた取組を進めるとの姿勢を評価させていただきたいと思います。
 学校では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門人材も活用しながら、子供や家庭への支援を進めていただいています。
 一方で、専門人材や関係機関などとの調整を行う役割を担う教員が大変苦労しているという声も聞いています。
 先ほどスクールカウンセラーの配置拡大の答弁の中で、教員と外部の専門家などをつなぐ教育相談主任を置く中学校に、スクールカウンセラーを週三日配置すると伺いました。
 この教育相談主任は、誰が、そしてどのような役割を担っているのか、伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、子供が抱える困難や問題の解決に向け、令和七年度から、中学校十校に教職員と外部人材等をつなぐ教育相談主任を置きます。
 この教育相談主任は、主幹教諭や主任教諭の中から校長が指名し、生徒や保護者の状況の把握、教育相談委員会やケース会議等の企画、運営、外部機関等との連絡調整、教員研修の企画、運営等を専門的に行い、校内の組織的な連携支援体制を強化する役割を担います。
 こうした役割を十分果たせるよう、教育相談主任につきましては、週当たり五時間を上限として、担当する授業時数を軽減いたします。

○星委員 持ち時間五時間を限度とした軽減ということでありました。それが十分であるかどうか、来年度、ぜひ検証をしていただくことを要望させていただいて、次の質問に入ります。
 続きましては、多様な学びのコーディネーターについて伺います。
 不登校等の生徒は、授業に出席できないことで、学習が遅れることに対しての不安を感じていると思います。学習意欲がある生徒に対して、自宅などでの学びの機会をつくることは大切なことです。
 そこで、校内に別室を設置する学校に、新たな多様な学びコーディネーターが設置されると伺っています。
 この多様な学びコーディネーターを活用した都の取組について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、多様な学習ニーズに対応した学習支援の一層の推進に向け、令和七年度から、都立高校において、別室を設置する十七校に多様な学びコーディネーターを置いてまいります。
 このコーディネーターは、不登校等の生徒の学習に対するニーズを把握し、個別の指導計画を作成する役割を担います。また、生徒が校内の別室や自宅などからオンラインを活用して学習できるよう支援などを行います。
 こうした役割を十分果たせるよう、教員の中から校長が指名するコーディネーターについては、週当たり五時間を上限として、担当する授業時数を軽減してまいります。

○星委員 多様な学びコーディネーターが、オンラインなどを活用した学習ができるように生徒の支援の役割を担うということでありました。
 国は、令和六年度から、高校において、不登校等の生徒がオンラインを活用した遠隔授業などにより単位を取得できる制度を整えたと聞いておりますが、学校がこれらの制度を活用して実際に単位認定をするに当たっては、都教育委員会から、これまで以上のサポートが必要ではないのかと考えます。
 そこで、都教育委員会がどのようなサポートを行うのか、取組を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 来年度、多様な学びコーディネーターを配置する十七校の中から、新たな教育スタイルの研究校として六校を指定します。
 これらの学校では、各教科の教員が多様な学びコーディネーターやデジタルサポーターと連携して、オンライン配信が可能となる機器の整備や、新たに動画教材の研究を進めてまいります。
 都教育委員会は、不登校等の生徒が時間や場所を選ばず学習できるようにするとともに、このようにして学んだ成果が修得単位として認められるよう、こうした取組をサポートしてまいります。
 また、これらの研究校の実践事例を取りまとめて都立高校等で共有するなど、不登校等の生徒の柔軟な学びを後押ししてまいります。

○星委員 ありがとうございました。ぜひ都立高校におきましても、しっかりと進めていっていただきたいと思います。
 先ほどは小中学校のスクールカウンセラーについて質問しましたけれども、次は、特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置について伺います。
 モデル事業として都立特別支援学校に配置されるスクールカウンセラーについても、成果が着実に上がってきたと承知をしており、さらに活用できるようにすべきと考えます。
 都教育委員会の見解を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、特別支援学校にスクールカウンセラーを週一日配置するモデル事業を行っており、今年度は、視覚障害特別支援学校など二十校を対象としています。
 配置校からは、自分の気持ちを整理して伝えることが難しい生徒も、カウンセラーと面談を繰り返す中で、徐々に悩みを相談できるようになったとの報告がありました。また、担任がカウンセラーから継続して助言を受けながら指導を行ったことで、生徒が対人関係のルールを理解できるようになったとの報告もございます。
 このような成果を踏まえ、来年度から、この二十校に対するスクールカウンセラーの配置を週二日といたします。
 また、これまで配置のない学校に対しモデル事業を行い、特別支援学校での相談体制の充実を図ってまいります。

○星委員 障害のある児童生徒との相談こそ時間をかけていただいて、回数も重ねていただき、丁寧に進めていっていただきたいと思います。
 配置日数増加により、児童生徒が抱える問題を可能な限り速やかに解決できる環境がさらに整えられていくことを求めまして、次の質問に移ります。
 続いては、進路多様校における進学指導の業務支援について伺います。
 我が会派はこれまで、卒業後の進路が大学への進学や専門学校、就職など、進路が多様な普通科の進路多様校について、その魅力向上に向けた取組の必要性について要望をしてまいりました。
 この要望を受け、都教育委員会は、昨年度から普通科の進路多様校十五校をスキルアップ推進校に指定し、実社会や進学先などで必要とされるスキル習得をするキャリアプログラムを導入するなど、その特色化を図り、魅力向上の取組を進めております。
 来年度は、スキルアップ推進校を二十校に拡大すると伺っています。
 さらに、来年度予算案において、都教育委員会は、進路多様校における進学指導業務支援を計上し、スキルアップ推進校における進学指導に関わる新たな取組を打ち出していますが、その具体的な内容について伺います。

○村西都立学校教育部長 近年、総合型選抜による入試を行う大学が拡大しておりまして、進路多様校においては、大学へ進学する生徒の多くが、一般選抜ではなく、年内入試といわれる学校推薦型もしくは総合型選抜により進学をしている実情がございます。
 こうした選抜方式の多くは、小論文や面接により行われるため、学校では、生徒の志望する大学ごとの個別の指導が必要なことや、小論文の添削などには繰り返しの指導が必要なことから、教員の負担が大きく、また、ノウハウの習得が課題となっております。
 このため、スキルアップ推進校など進路多様校二十七校におきまして、民間事業者のノウハウを活用し、教員が行う小論文の添削や面接指導等の一部の業務を支援することで、教員の負担軽減と進学指導の充実を同時に図ってまいります。

○星委員 ただいま都立高校における進学指導の充実についてのご答弁をいただきました。
 そもそも、子供たちが社会課題を自ら設定し、様々な情報を集めながら解決を図るといった探究学習を実現していくことが重要であると考えます。
 都では、新たな教育スタイルを展開し、デジタルとリアルの最適な組合せにより、一人一人に最適な学びを実現していくとあり、こうした学習を実現していくためには、学校以外の場の想定もしていくことが必要ではないのかと考えます。
 東京都教育施策大綱(案)においては、学びの場として、学校のみならず、外部機関やオンラインなどの様々な場でとありますが、この外部機関とは何を示しているのか、伺います。

○秋田教育政策担当部長 新たな教育のスタイルを確立する上で、デジタルの学びとともに、リアルの現場での様々な学習が効果的に進められるよう工夫することは重要でございます。
 具体的な取組につきましては、大学や企業などの専門機関との連携を視野に入れて検討してまいります。

○星委員 一人一人、最適な学びを実現できるように、引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 都は、これまで英語科教員海外派遣を実施しておりまして、教員の海外研修は、今後のグローバル化社会においても大変重要だと考えます。生徒の英語によるコミュニケーション能力向上にもつながる重要な取組です。
 都は、来年度、アドバンストコースを新設するということでありますが、その取組内容を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 来年度は、これまでの英語教授法を学ぶ一か月のコースに加え、都の英語教育において指導的立場にある中学校及び高等学校の英語科教員を、約二週間、イギリスに派遣する研修を新設いたします。
 派遣教員は、現地の教育機関で世界の英語教育がどのように実践されているかを学び、日本における英語指導の在り方を多角的視点から捉えることや、ワークショップ等を通じて、英語科等の教員を指導する実践的な力を身につけることを目的としております。
 帰国後は、都教育委員会が実施する成果報告会でその成果を共有するとともに、研修やホームページなどを通じて、研修での学びを広く教員等へ還元してまいります。

○星委員 先日の予算特別委員会で我が会派の青木委員から、海外への修学旅行、昨今の円安ですとか物価高の中でも柔軟に対応をしていて、しっかりと支援をしていく、そんな旨のご答弁がありました。
 この教員の海外研修につきましても、しっかりと対応をしていただくことを改めて求めて、次の質問に移ります。
 学校におけるアスリートの活用について伺います。
 国際大会などで活躍したアスリートが、競技活動を通じて得た技術や経験を学校教育の現場で発揮して、子供たちにスポーツの特性や楽しさを実感してもらうことは、教育の質の向上を図る上で大変重要であると考えます。
 こうした観点から、私はこれまでも、一般質問などにおいて、アスリートとの交流のみならず、アスリートがその専門性を生かして学校での体育などの授業を行うことで、教育の質の向上につなげていくべきと主張をしてまいりました。
 都教育委員会では、アスリートなどが学校で授業を行う社会の力活用事業を実施しておりますが、こうした専門人材活用の取組を一層推進していくべきと考えます。
 都教育委員会の見解を伺います。

○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、小学校におきまして、専門性が高い外部人材を特別非常勤講師として任用する社会の力活用事業を実施しており、昨年度は、小学校二十四校三百六学級で、国際大会に出場したアスリートなど約三十名の講師が体育の授業を行いました。
 学校からは、専門的な指導により、子供の興味、関心や技能が高まったなどの評価を得ております。
 来年度は、実施規模を拡充するとともに、TEPROが有します人材バンクのノウハウを活用し、地域の人材の掘り起こしや学校とのマッチングの強化を図ってまいります。

○星委員 今、答弁いただいた社会の力活用事業、こちらについては、アスリートの知識や経験や技能を学校教育に還元するための第一歩として、非常によい取組だと思います。
 しかしながら、あくまで外部人材としての活用にとどまっているということであります。
 アスリートを正規教員として任用することで、より積極的に学校教育に関わることができ、教育の質の向上も期待できると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会は、教員採用選考におきまして、都内の公立学校のスポーツ振興等の要として活躍してもらうことを狙いとして、平成二十二年度から、スポーツ等の分野において優秀な実績を有する者を対象とする選考を実施しております。
 具体的には、国際大会や全国大会で優秀な実績を有する者等を対象として、第一次選考における教職教養科目の受験を免除しております。
 直近の五年間では、サッカー、バスケットボール等の球技のほか、陸上、水泳、体操等の幅広い競技において、アスリートや指導者など二十九名が合格しております。
 今後も、本選考をPRすることにより、スポーツ分野における人材の確保を図ってまいります。

○星委員 現状でも、アスリートの経験を有する方が正規教員として採用されているということでありました。
 繰り返しになりますけれども、アスリートが教員として学校教育に参画することは、教育の質の向上にもつながり、大変有意義であると思います。加えて、アスリートの方々のセカンドキャリアにもつながることだと考えます。
 今後も、教員としての資質、能力を見極めていただいた上で、アスリートを学校現場で一層活用していただくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 昨日の生活文化スポーツ局の中での質疑で、私立学校の奨学金返還支援について質問しましたが、本日は教育庁ということで、公立の学校についての奨学金返還支援について伺ってまいります。
 大学に進学する若者の多くが奨学金を借りており、卒業、そして就職後にその返済ができるかどうか、不安を抱えている方が多くいらっしゃいます。このため、就職後も安心して働き続けられるよう、奨学金を返済する若者に対する支援を行うことは大変重要です。
 令和七年度予算案において、教員、技術系の職員向けに奨学金返還支援事業を始めることが盛り込まれました。これまで介護や中小企業などの特定の分野で行われてきたことが、今回、教員となった若者も支援の対象となるということであります。
 自民党は、令和五年五月、令和の教育人材確保プランにおいて、教師として一定期間以上勤務した場合に、奨学金の返還を免除、軽減する仕組みの構築に取り組む必要がある旨、提言をいたしました。
 都教育委員会が教員向けの奨学金返還支援事業を始めることは、こうした我が党の提言を踏まえたものであり、教職の魅力向上につながる取組として、私は評価をさせていただいております。
 そこで、公立学校教員を対象として奨学金返還支援を行うことの意義について伺います。

○吉村人事部長 学校教育の中核である教員の確保は重要でございます。
 都教育委員会は、教員志望者の増加に向けまして、これまでも多様な媒体を活用したPRや選考制度の見直し等を進めてまいりました。
 教職の魅力を一層高めるため、来年度から、都内の公立学校の教員として就職した方を対象に奨学金返還支援を開始いたします。
 これによりまして、東京の教員を安心して目指せる環境を整え、教員の安定的な確保を図ってまいります。

○星委員 奨学金返還支援について、他県でも取組事例があるのは承知をしております。例えば近隣では、昨年三月に千葉県、本年二月に川崎市が奨学金返還支援事業の開始を表明したところであります。
 しかしながら、採用選考の成績上位者、新たに大学を卒業する者、学校教員として採用された者などに対象者を限定したり、日本学生支援機構の第一種奨学金、すなわち無利子の奨学金を借りている場合に限定されていたり、支援対象は様々であります。
 予算案では、令和七年度以降に採用された都内公立、私立の幼稚園、高校に就職した学生などを対象として、公立、私立を含め、年間三千名の規模で支援を行うとしています。
 そこで、都教育委員会の事業では、具体的にどういった方が支援の対象となるのか、また、対象者の規模について伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会は、都内の公立幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に令和七年四月以降に採用された者を対象といたしまして、奨学金の返還を支援いたします。
 既に奨学金を返還途中の者を含め、社会人経験者も対象とするとともに、無利子だけではなく、有利子の奨学金を返還する場合にも対象とし、幅広く支援をいたします。
 令和六年三月に独立行政法人日本学生支援機構が公表した令和四年度学生生活調査結果によりますと、全国の約四割の大学生が貸与型奨学金を利用しております。
 こうした状況から、令和七年度の採用者につきましては、今年度の教員採用選考の合格者約五千名の四割に当たる二千名程度に対する支援を想定しております。

○星委員 幼稚園や学校、特別支援学校を対象に含めたこと、新規学卒者だけでなく社会人経験者なども対象としたことなど、幅広い層が支援の対象となるということであります。都の教員になることの魅力を高めることにつながるものではないのかなと思います。
 さて、本事業を実施することが公表されたのは、本年の一月であります。四月に採用された方から早速支援が始まるということで、自分自身が支援を受けることができるのか、何か手続が必要なのかなど、採用予定者は不安に思われているのではないかと思います。
 そこで、支援対象や手続など、速やかに周知を図るべきと考えますが、今後の予定について伺います。

○吉村人事部長 本事業の対象となります者や奨学金の種類、申込みなど、詳細を募集要項にまとめまして、来年度の教員採用選考の実施要綱と併せ、近日中に公表する予定でございます。
 具体的には、ホームページ、教員採用ポータルサイトへの掲載やSNSにより情報発信をするとともに、令和七年四月の採用予定者に対しましては、電子メール等により丁寧に周知を図ってまいります。

○星委員 奨学金の返還支援を受けるには申込みが必要で、そのための手続などをまとめた募集要項の公表を近日中に予定しているということであります。
 新規採用をはじめ、若手教員が奨学金を返還しながら安心して働き続けられるよう、また、多くの教員志願者に東京都の教員採用選考を申し込んでいただけるように、事業の積極的なPRにも取り組んでいただくことをお願いいたしまして、次の私の最後の質問に移らせていただきます。
 都立高校の施設改修や改築について、最後に伺います。
 都立高校の中には、校舎等を建て替えてから長い年月が経過し、施設の老朽化が進んでいる学校もあります。老朽化した施設設備については、必要な修繕、改修を適切に行うとともに、一定年数が経過した学校については、改築や建て替え等も順次行っていく必要があります。
 一方で、都立高校を改築、建て替えるに当たっては、生徒の募集や在籍生徒の教育活動の継続を前提に、仮設校舎の建設などを含めて検討していく必要があるため、計画性を持って、中長期的の視点から取り組むことが求められます。
 そこで、都教育委員会は、都立高校の施設改修や改築についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、施設設備の老朽化に伴う修繕や改修について、都立高校からの要望等を踏まえ、空調設備の更新、トイレや外壁の改修など、その状況に応じて必要な対応を実施しております。
 また、都立高校の改築や大規模改修につきましては、築年数や老朽化の度合い等を総合的に勘案し、都の主要施設十か年維持更新計画に位置づけ、計画的に進めております。
 本計画に位置づけるに当たっては、教育活動を継続するための仮設校舎の設置をはじめ、工事ヤードや車両動線の確保、日照等の周辺環境への影響などについて、学校ごとに様々な事前の調査を行っております。
 今後とも、施設設備の修繕や改修を適切に行うとともに、校舎等の改築や大規模改修については、こうした個別の調査の結果を踏まえ、順次、更新計画に位置づけ、速やかに着手できるよう取り組んでまいります。

○星委員 ありがとうございました。
 今、大規模だったりというのは計画的にという答弁がありましたけれども、我々も、今、卒業式であったりだとか、来月はまた入学式があって学校を訪問することが多くありまして、直接、先生方やOB会の方とか、生徒からもいろんな要望もいただきます。
 しっかりとしたそういった対応もお願いをさせていただいて、都立高校の魅力向上に向けて取り組んでいただくことを要望させていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○龍円委員 二月十二日に、東京都のこれからの教育の基本的な方向性を示すものとして、東京都教育委員会と議論を重ねた上で知事が策定する東京都教育施策大綱(案)が示されました。
 その中で、特に重要で優先的に取り組む事項として六つの項目が挙げられ、そのうちの一つにインクルーシブな教育があったことは大変重要なことでありました。
 二十七日の都議会一般質問で、知事に大綱に関する認識を質問しましたところ、インクルーシブな教育を新たなステージへと押し上げていくという力強い答弁がありました。インクルーシブな教育の推進のために質疑を重ねてきた立場としましては、今定例会は大変感慨深いものとなっております。
 そこで、高校のインクルーシブについて伺っていきます。
 おととし、私たちの会派では、都立高校と特別支援学校の高等部を同じ校舎内または敷地内に設置して、障害のある生徒とない生徒が日常的に一緒に学び育つ教育環境の整備について要望をしてまいりました。
 都教委は、今年度、インクルーシブ教育体制整備検討協議会で具体的な議論を進めております。
 さきの一般質問の答弁で、坂本教育長は、来年度は、特別支援学校と敷地の隣接する都立高校等が協力し、生徒の交流する仕組みを立ち上げるとした上で、将来的には一緒に学ぶ環境づくりを目指すと力強い答弁をしてくださり、大変頼もしく受け止めました。
 一体的な校舎を整備するなどのハード面については時間がかかりますが、それに先んじて、まずは実際に交流を開始し、その仕組みを構築していくということは、非常に重要なことだと考えます。
 幾ら同じ校舎内に設置したとしても、そこに交流する仕組みというのが構築されていないと、そして教職員の方々の経験がないと、インクルーシブな教育環境は実践できませんので、こういった感じで、交流をまずスタートさせていくということは重要だと思いますし、理にかなっていると思います。
 この一般質問では、コンサルタントからのアドバイスを受けながら生徒の交流の進め方を検討すること、また、交流するために専門人材を派遣するという手法、それから、都立学校施設のバリアフリー化も進めるという答弁をいただいたところであります。
 さらに、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。
 隣接する特別支援学校と都立高校が協力して生徒同士が交流する仕組みについて、どのような学校で立ち上げるのかということと、より具体的な取組内容についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 来年度より、隣接、近接する都立特別支援学校と都立高校各五校において、組織的、体系的に協働活動を実施し、障害のある生徒等とない生徒の日常的な交流を進めてまいります。
 具体的には、高島特別支援学校と高島高校、東久留米特別支援学校と久留米西高校、城南特別支援学校と六郷工科高校、中央ろう学校と松原高校、町田の丘学園と野津田高校の五組十校において取り組みます。
 障害のある生徒等とない生徒の相互理解を図るため、生徒、教員、保護者等の関係者の理解を得ながら着実に進めてまいります。

○龍円委員 具体的な都立特別支援学校と都立高校、五組十校についてご答弁をいただきました。
 また、非常に重要な答弁だと感じたのが、組織的、体系的に協働活動を実施するという点と、日常的な交流を進めるという点だと思います。
 これまでもこの文教委員会で、インクルーシブな教育ならではのよい効果というのは、日常的である必要があるとお訴えさせていただいてまいりました。日常的な交流はイベントではないことからも、組織的であり、体系的な教育活動としての交流を進めることで、より教育的にも大きな意義と効果が生み出されるはずです。
 また、インクルーシブ教育は、そこに関わる方々、特に教員の方々の理解がないと進まないことからも、関係者の理解を得ながら進めることも重要です。
 こういった交流を進めるために、学校の教員任せにするのではなくて、負担が大きくなり過ぎないように、一般質問でも答弁いただいたようにアドバイザーや専門人材を配置することは、とても重要です。しっかりと、この交流のスタートに向けて設計を考えてくださっていることが確認できました。
 さて、一般質問の答弁で、将来は一緒に学ぶ環境づくりを目指すと答弁をいただきましたが、この点について、今後の取組についてお伺いします。

○中西特別支援教育推進担当部長 インクルーシブな教育のさらなる推進に向け、障害のある生徒等とない生徒が日常的に共に学ぶことのできる環境整備が重要であり、今後、一つの敷地または一つの施設内に、都立特別支援学校及び都立高校が入る分校や分教室の設置を目指します。
 それに向け、来年度から、近接する学校同士で実施する協働活動における取組のノウハウの蓄積や成果検証等を踏まえながら検討を行ってまいります。

○龍円委員 一つの敷地または施設の中に分校や分教室の設置を目指すという、その手法が示されました。前の答弁では日常的な交流だったのですけれども、こちらでは日常的に共に学ぶことのできる環境整備というふうにおっしゃってくださいまして、大変力強い答弁だと感じております。
 分校というのは、一から校舎同士を整備するよりも、現存する学校内でリノベーションですとか、工夫によって柔軟に設置できる可能性がありますので、現実的に実現に向かって動いてくださっているんだと感じました。
 また、答弁にあったように、先んじて協働活動のノウハウや成果検証を踏まえて検討していくことも重要です。
 ほかの県の事例なんですけれども、校舎の一階に特別支援学校の分校が入っていて、二階に地元の小学校が入っているというところがあるんですけれども、ここでは、交流しようと思えば毎日交流できる環境にあるにもかかわらず、年一、二回しか交流していないというふうなお話を伺いました。
 また、都内の小学校、中学校を見てみましても、特別支援学級と通常の学級の交流というのは盛んだという学校は少ないことから見ても、今の答弁でいただいたような組織的、体系的な仕組みというのが事前に構築されているということが、日常的に共に学ぶ環境の整備に向かって非常に重要だと思います。
 一歩一歩ではありますけれども、非常に積極的な取組を進めてくださっていることを高く評価させていただきます。
 次に、小中学校のインクルーシブ教育のボトルネックを解消するインクルーシブ教育支援員ですけれども、今年度からスタートしまして、地域の小中学校に通うお子さんたちの保護者からは大変うれしい声をいただいております。
 特別支援学校への入学が適当と判定された区市町村立学校に通う児童生徒へのインクルーシブ教育支援員について、来年度の取組についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援学校への就学が適当と判定された児童生徒が身近な公立小中学校で学ぶことを希望する場合、区市町村が支援員を配置するための経費を支援しております。
 今年度は、三十二地区二百二十六校で活用されており、三百十四名の支援員の配置について支援を行っております。
 来年度は、五百二十五人分の支援員に係る経費を計上しております。

○龍円委員 来年度は、今年度よりも約二百人分多い人数を計上しているということが分かりました。このことからも、まさに地域の小中学校のインクルーシブ教育の幕が開けたんだなというふうに感じているところであります。
 さて、このインクルーシブ教育支援員なんですけれども、特別支援学級の児童生徒が通常の学級に行きまして、そこで交流ですとか共同学習する際にも利用できるというふうに伺っているところであります。
 将来的にはなんですけれども、特別支援学校の児童生徒の副籍交流などにも活用できるようにするなどの検討もしていただけますようお願いいたします。
 また、併せて医療的ケア児なんですけれども、地元の学校に通おうとすると、看護師の配置というところがネックになって入学するのが難しいというふうにも伺っていますので、これらの支援についても、将来的には考えていただきますよう要望をさせていただきます。
 次に、特別支援学校の教育の充実についてお伺いしてまいります。
 前回の質疑で、特別支援学校の図書館について質問をさせていただきました。
 知的障害のある五年生の親として感じることなんですけれども、今の興味とか関心にその内容が合っていて、なおかつ、自分で読めるレベルの本であったりとか、ちょっとアシスタントがあれば楽しめるという本に出会いますと、とても読書を楽しむことができるというふうに感じております。
 我が家では、現在、妖怪、お化けというのがすごく楽しくてはまっているので、妖怪図鑑を用意してあげたところ、本当に自分でページをめくって、いろいろな妖怪のことを熱心に観察していて、妖怪の名前や特徴なども覚えているんですよね。
 一方で、彼が自分で読むことができるのはこれぐらいかなというストーリーのものは、絵本というか、幼児用の絵本になってしまいまして、さすがにそれだと内容が幼過ぎるのか、関心が持てないようで、一向に読んでくれないんですね。
 そういう息子の様子から見ても、特別支援学校の図書館には図書館専門員がいてくださって、一人一人の児童生徒の興味、関心ですとか、ちょうどよいレベルの本と出会わせてくださることで、より豊かな読書環境が整うのではないかと感じております。
 四定の文教委員会において、特別支援学校の学校図書館の図書環境の充実を図るとの答弁がありましたけれども、来年度の取組についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 特別支援学校に在籍する児童生徒等の読書活動の推進を図るため、今年度から、葛飾ろう学校、志村学園、久我山青光学園においてモデル事業を行っております。
 今年度は、都立高校に追加配置した図書館専門員が、週二日程度、特別支援学校に出向いて学校司書業務を行っております。
 来年度は、それらの図書館専門員を特別支援学校の専任とし、さらなる学校図書館の充実を図ります。
 あわせて、今後も、外部専門家を活用しながら、学校図書館の読書環境の充実に向けた支援を引き続き実施してまいります。

○龍円委員 来年度は、図書館専門員を特別支援学校の専任とするということでありました。この専門員の方々が障害のある児童生徒のことをよくよく理解してくださることで、より豊かな図書環境につながっていくのではないかと感じております。
 次に、特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置についてでありますけれども、特別支援学校で不登校になってしまったという、ある知的障害のあるお子さんの保護者さんから、そのときにスクールカウンセラーがいてくれたら頼りたかったというお話を伺いました。
 教職員の方々が丁寧に、児童生徒一人一人の心理的な部分も含めて向き合ってくださっているというふうに認識しているんですけれども、時には、先生ではなくて、第三者的な外部の専門人材に相談できる場面も必要なのかもしれないなというふうに感じたところでありました。
 また、特別支援学校の教職員の方々は、精神的、そして身体的なご負担も大きいというふうに伺っております。
 文科省の調べによりますと、メンタルヘルスが理由で休職されている教員は、特別支援学校の教員の方々が公立の小中学校や高校よりも多いということも示されております。このことからも特別支援学校のスクールカウンセラーの配置へのニーズがあるというふうに感じているところであります。
 現在、特別支援学校二十校に配置しているモデル事業なんですけれども、これをさらに拡充していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、特別支援学校にスクールカウンセラーを週一日配置するモデル事業を行っており、今年度は、視覚障害特別支援学校など二十校を対象としています。
 配置校では、教員や保護者が児童生徒との関わり方や関係機関との連携について相談するなど、児童生徒以外からの相談ニーズが一定数あることが分かりました。
 また、教員や保護者から、障害の程度が比較的重い児童生徒に対する指導についても助言を得たいとの意見もございました。
 このことから、令和七年度より、これまで配置のない特別支援学校三十八校にモデル事業を実施し、肢体不自由や知的障害の児童生徒に対するスクールカウンセラーの有用性を検証してまいります。
 また、現在モデル事業を実施している学校については、スクールカウンセラーの配置を拡充してまいります。

○龍円委員 二〇二五年度は、肢体不自由とか知的障害の特別支援学校でも、三十八校に新たに設置していくということでありました。また、ぜひニーズを把握しながら本格実施に向けた検討を続けていただきたいと思います。
 また、併せて、特別支援学校の外部の支援機関などの情報などに詳しいスクールソーシャルワーカーについても、一定のニーズがあるのではないかなというふうに感じているんです。
 特別支援学校にいると、地域とのつながりというのが希薄になってしまいがちで、地域にどんな活動があるのかとか、どんな福祉サービスがあるのかとか、卒業した後、この地域でどういうふうに生活していけばいいんだろうなどなど、準備しておきたいんだけれども、誰に聞いたらいいか分からないというところもありまして、特別支援学校にスクールソーシャルワークができるような方がいてくださいますと大きな支援になりますので、こちらについても将来的に実施していただきたいのですが、まずはニーズを把握していただくなどの検討をしていただけたらと思います。
 さて、先日の一般質問では、進学のインクルーシブとしまして、特別支援大学と仮に呼ばせていただいて、特別支援学校の高等部を卒業した後に、進学して学びを継続できる教育機関の創設について提案し、都民ファーストの会の代表質問ですとか一般質問で伺わせていただきました。
 私の子供が小学四年生で特別支援学校に転入して、就労に向けた教育活動が地域の学校に比べると非常に多くて、その違いに、初めのうちは驚きました。
 また、高等部の生徒さんともなると、就労するための準備期間としての特色も強くなり、進学という選択肢がほぼないことが不思議になりました。
 というのも、日本では、十八歳の八割以上が、大学、短大、専門学校など次の教育機関に進学していますし、東京だけを見ると、大学進学だけでほぼ八割に達しているという状況から、障害がなければ進学という選択肢は当たり前のようにあるので、こんなに障害児の場合は進学という選択肢がないのかということで驚いたわけなんです。
 何で日本だと十八歳は進学するのが当たり前になっているのかというのを考えてみたのですけれども、十八歳という年齢が、社会に出る前にまだ学んだ方がいいという認識が世間的に強いからだろうと思います。
 私自身も、十八歳の自分を振り返ってみますと、今でこそ十八歳は成人とされていますが、まだまだ未熟で、社会に出られるような準備は整っていなかったというふうに感じているわけです。
 障害のないとされている十八歳がまだ学びが必要というのが社会的な共通認識になる中で、障害児だけは、小学校時代から就労の準備をしてきたとはいえ、学びや成長がゆっくりである特性があることもありまして、十八歳で学びが終わって、さあ、社会に出ていく準備が万端だという状況ではないのではないかと思っております。十八歳以降も教育を継続することで、将来の選択肢が増えるのではないかと考えます。
 障害のある子のいる保護者と話していると、十八歳の壁というのも非常に大きくて、このタイミングで社会との関わりが切れてしまうことに悩んでいて、生涯学習、ライフロングの方へのニーズも高いというふうに認識しているところであります。
 都内の大学には、例えば理学療法士とか作業療法士など、障害のある人たちをサポートすることができる専門的な人材の育成をしているところもあります。例えば、そういった大学で、学生時代に同じキャンパスというインクルーシブな場で学ぶようなことができたら、障害のある生徒もない生徒も、社会に出てから共に働き、インクルーシブな環境で生きていくための準備にもなるのではないかなというふうに感じているところであります。
 さて、先日の一般質問では、坂本教育長から、障害の状況や能力のほか、適性や意向に応じて学びを続ける進路を選択できる環境づくりは重要だ、そして、来年度は、特別支援学校の卒業生と在校生、その保護者に、進路に係る意向に関して、関係局と連携して把握を進めるというお話がありました。
 また、卒業生が就労に必要な技能の習得とは異なる学びを行う仕組みについても調査して、学びを続ける新たなプログラムを開発し、モデル的に提供していくという話がありました。
 今回の、先ほどご説明いただきました東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画の中にも、特別支援学校卒業後の進路についてしっかりと書き込まれていることから、今後の動きに大いに期待しております。
 そこで、まずは基本的な情報について確認させていただきます。
 特別支援学校の中でも、知的障害のあるお子さんが通う特別支援学校の卒業生が一番多いというふうに承知しております。
 高等部になると、中学時代は特別支援学級に在籍していた軽度の知的障害のお子さんも含まれているとは思いますが、都立知的障害特別支援学校における卒業後の進路状況についてお伺いいたします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都立特別支援学校においては、生徒の障害の状態や能力、適性のほか、生徒自身の意向を踏まえ、一人一人に応じた進路選択を行うことができるよう、日頃の授業などを通して指導をしております。
 こうしたことにより、令和五年度の都立知的障害特別支援学校の卒業生千四百九十六人のうち、専修学校等に入学した生徒が八人、社会福祉施設に入所または通所となった生徒は七百二十人、企業等に就労した生徒は七百五人など、進路選択が行われております。

○龍円委員 ありがとうございます。現状では、就労や福祉施設が主な進路となっていることが分かりました。
 今後の動きに期待をするところですが、都では、卒業後の学びについて、生涯学習、ライフロングの学習という枠組みで、既に取組を始めてくださっております。
 この委員会でも伺ってまいりましたが、インクルーシブな学び東京コンソーシアムについては大変注目をしてまいりました。
 このインクルーシブな学び東京コンソーシアムの参加団体と連携、協働して、今年度はどのような取組を行ったのか、お伺いいたします。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、昨年二月にインクルーシブな学び東京コンソーシアムを設置いたしました。
 今年度は、このコンソーシアムを構成する企業やNPO等のそれぞれの専門性を生かし、都立高校生等を対象としたインクルーシブ体験プログラムや、都立特別支援学校を活用した公開講座などを実施し、インクルーシブな学びを展開しております。
 具体的には、インクルーシブな体験プログラムとして、視覚障害のある方を講師とし、アイマスクをした状態で様々なレクリエーションを行ったり、高齢者施設において、ジェスチャーゲームなどで生徒が利用者の方との交流を図る取組などを行いました。
 また、特別支援学校での公開講座では、障害のある参加者等が、体育館で様々な画材を自由に手に取り、床や壁に貼られたロール紙に絵を描き、アートに親しむ取組などを行いました。
 さらに、難病を抱えながら障害者モデルとして活動している大学生の方をゲストに迎え、インクルーシブ社会の実現を目指し、参加者と共に考えるシンポジウムを開催いたしました。

○龍円委員 このコンソーシアムの立ち上げについて、以前の文教委員会でお伺いさせていただいて、参加している団体が非常にすばらしいところばかりということもあって、期待していたところであります。
 渋谷区で開催されたシンポジウムには私も参加させていただいて、本当に大にぎわいでありました。早速、すばらしい活動をスタートしていることが分かりました。
 このコンソーシアムの参加団体と連携、協働して、来年度はどのような取組をするのか、お伺いいたします。

○山本地域教育支援部長 来年度も引き続き、企業やNPO等の専門性を生かしながら、こうしたインクルーシブな学びに取り組みます。
 さらに、これまでの都立高校生等に加えまして、都立特別支援学校の児童生徒が多様な学習活動に触れられるよう、プログラムを実施してまいります。
 具体的には、児童生徒が得意なことや好きなことを自己PRとして動画にし、学校内で発表することで自己肯定感を育んだり、ダンスを通じて人と一緒に表現する喜びや楽しさを感じることで、言葉によらないコミュニケーションを体験するなどのプログラムを行う予定でございます。

○龍円委員 このコンソーシアムへの参加によるつながりなども大事にしながら、特別支援学校を卒業した後の教育についても、取組を併せて進めていただきますようお願いいたします。
 さて、冒頭で触れた、都知事が新たに示した東京都教育施策大綱(案)では、新たな教育のスタイルを展開していくことも示され、非常に重要な取組を始めようとしていると認識しました。
 東京都はこれを、次世代の学びの基盤をつくるラーニング・プラットフォーム・トランスフォーメーション、LPX、そして、時間や場所を選ばず、オンラインで学び、学校外の専門家とも連携して探究的な実践などの学びを展開し、教職員は学びの伴走者になっていくこと、そして、子供が自ら目標設定を行って、興味や関心に応じて学びを創造していくことができるなどとしています。
 現在、都立高校では、困難を抱える生徒が増加しており、生徒のニーズも多様化しているところであります。不登校ですとか中途退学を経験した生徒、発達障害などの配慮が必要な生徒、性的マイノリティーの生徒、外国にルーツがある生徒、ヤングケアラーなどの家族の世話をしている生徒などなど、様々な多様なニーズがある生徒がいらっしゃいます。
 そこで、都立高校で実施する新たな教育のスタイルでは、多様な生徒も受け止めていく教育を展開するべきであると考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○根本教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 予測困難な社会の中で、全ての都立高校生が社会の変化に対応する力を習得できるようにするためには、学びの在り方を見直し、生徒の興味、関心や特性等に応じた教育を柔軟に展開していくことが重要でございます。
 都教育委員会は、都立高校において、最先端のデジタルの利用と学校や社会でのリアルの学びを組み合わせた次世代の学びの基盤をつくるプロジェクトを展開しております。
 具体的には、デジタルの活用により、生徒がいつでもどこでも学べる環境を提供するとともに、リアルな社会の現場で課題解決を図る学びを後押しいたします。
 また、教員が生徒の学習状況をデジタルで把握し、生徒をより高い次元へ押し上げることを可能とする仕組みをつくり上げるなど、様々な取組を進めてまいります。

○龍円委員 新しい教育のスタイルの構築は、多様な学び方を可能にして、様々な生徒のニーズに応えていくことが期待できます。
 いつでもどこでも学べる学習環境を整備するという点については、世界で最も革新的な大学であるミネルバ大学があります。様々な国籍の生徒がオンライン授業などを活用して、世界七つの都市に滞在して交流しながら各国の社会問題に取り組みながら、多種多様な価値観や能力を身につけることを目的に学んでいるというふうに伺っております。
 世界各国の文化、風習を理解し、多様な価値観を身につけるということは、障害理解にも通ずることでありますし、都立高校の生徒がミネルバ大学の学生と交流するなど連携を進めることは、非常に重要なことだと考えます。
 そこで、新たな教育のスタイルを進めるに当たって、都教委がミネルバ大学と連携する趣旨について見解をお伺いいたします。

○根本教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 世界各国から学生が集まるミネルバ大学が本年九月から東京で活動するに当たりまして、都立高校生がミネルバ大学の学生との交流活動などを通じて多様な価値観や考え方に触れることは重要であり、交流の機会の実現などを目指し、同大学と連携することといたしました。
 なお、具体的な取組につきましては、現在、検討を進めているところでございます。

○龍円委員 都立高校時代から多様な学び方を実践して、ミネルバ大学のような海外の大学とも交流や学習をし、さらに、近年は都立高校における国際交流とか海外派遣といった活動の充実も進めてまいりました。
 ということで、進学先としては、海外の大学に興味を持つ生徒も増えてきているのではないかなというふうに思っております。
 海外大学に進学した都立高校生の人数の推移と、海外大学を希望する生徒に対する支援について、これまで及び来年度の取組についてお伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 都立高校を三月に卒業後、八月までに海外大学へ進学した令和四年度の卒業生は五十九人、令和五年度は六十四人となっております。
 都教育委員会はこれまで、GE-NET20指定校を対象に、海外大学等進学に関する講座の開設、保護者説明会の実施、教員向けヘルプデスクの設置などにより、海外大学等への進学を検討している生徒、保護者及び学校へのサポートを行ってまいりました。
 来年度は、全都立高校を対象に、海外大学への進学に向けた基本情報の提供や保護者向け説明会を実施するほか、個別の相談に応じるコンシェルジュを新たに設けるなど、生徒一人一人に応じた支援を強化してまいります。

○龍円委員 東京都では、我が会派で予算要望させていただきまして、大学生向けの海外留学制度も来年度創設することになっております。こうした動きともマッチした流れになっていると思います。これらの取組を通じて、都立高校生が海外での教育なども含めた多様な進路の選択肢が確保できる取組になっていると思いますので、しっかりと進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 最後に、チャレンジクラスについてお伺いいたします。
 一般質問でも取り上げた不登校対応校内分教室であるチャレンジクラスなんですけれども、一般質問では、来年度、十四校に拡大するという力強い答弁をいただきました。
 そこで、もう少し詳しく、このチャレンジクラスのこれまでの成果と今後の取組についてお伺いいたします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、多様な学びを可能にするチャレンジクラスにおいて、校内設置の利点を生かし、体育館や音楽室等の施設の利用や、通常の学級との交流ができるようにしております。
 このクラスでは、登校時刻や一日の時間割を生徒に合わせて柔軟に対応するとともに、個別スペースでの学習もできるようにするなど、安心して学校生活が送れるようにしております。
 また、教員が家庭訪問を継続して行い、人間関係を築くことにより、前年度、全く出席できなかった生徒が登校できるようになっております。
 こうした取組をさらに発展させるため、来年度は、今年度の十校に四校を追加し、十四校で、様々な個性や特性を踏まえた支援を一層強化し、生徒一人一人の学びを充実させてまいります。

○龍円委員 渋谷区にも、このチャレンジクラスのある学校が一校あるんですけれども、教員の方々が試行錯誤しながら、一年間の取組を進めてくださったというふうに伺っております。これまで全く登校することができなかった生徒が登校できるようになったということは重要だと思います。
 また、保護者との対話もしているということでありましたけれども、そんな中から、保護者と教員の茶話会みたいなものも、この学校では始まっているということで、いい取組が進んでいると思います。
 先生たちはご苦労されていますので、ぜひ、このチャレンジクラスではこんなことをやったよみたいなものを横連携で共有していただいたりとか、将来的には、先ほど触れた都立高校の新しい教育のスタイル、LPXのノウハウも生かしながら、民間と連携しながらチャレンジクラスの取組を進めていただくような発展も検討いただけたらと思いますので、よろしくお願いします。
 そして、最後といったのですけれども、もう一問あったので、大変失礼いたしました。
 最後は、いじめ対策についてなんですけれども、専門家の力を借りたサポートについてお伺いいたします。
 文科省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、いじめの認知件数は年々増加傾向にあります。令和五年度は約七万件に上ったということであります。
 それぞれのいじめの問題に関係する子供ですとか保護者の思いは多様でありますし、昨今では、いじめの在り方もオンライン化するなど、その背景も複雑化しているところであります。
 我が会派では、子供の目線に立って子供や保護者を支える弁護士の活用の重要性を訴えてまいりました。いじめの問題を解決につなげるために、法律の専門家の知識を活用しながら、子供や保護者に寄り添った対応をする仕組みが必要です。
 来年度、都教委は、外部人材を活用した学校問題サポート事業を新たに行うということでありますが、その内容についてお伺いいたします。

○市川指導推進担当部長 本事業は、小中学校のいじめの問題等に関し、複雑な内容が増える中、子供や保護者の意見を十分に聞き、専門的な法律の知識を活用し、解決につなげることを目的としております。
 具体的な内容としまして、子供や保護者がいじめの問題等を相談できる弁護士の配置を行う四つの区市町村に対しまして、一千万円の予算規模を上限として、その二分の一を助成する取組をモデル的に開始いたします。

○龍円委員 今年度は、弁護士によるいじめ対応もモデル的に始めていくということが確認できました。
 今後も、東京都教育委員会においては、誰もが自分らしく輝きながら生きることができるインクルーシブな東京の実現を目指して教育施策を進めていただきますよう要望いたしまして、質疑を終えます。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私から、まず初めに教員の働き方改革について質問してまいりたいと思います。
 授業だけでなく、児童生徒への対応のほか、あまりにも多い教員の業務の負担を軽減することや、教員の仕事と生活とのバランスを保つことなど、働き方改革が強く求められております。
 都教育委員会は、令和六年三月に策定をし、令和八年度までを計画期間として集中的に取り組むべき具体的な対策をまとめた学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムを推進しております。しかし、依然として長時間勤務の教員が多い実態があり、実行プログラムの目標達成に向けて、さらなる改革の加速が必要であります。
 そこでまず、都教委は、学校業務改革支援の取組として、コンサルタントを活用して学校、教員が担うべき業務の精査等を行っておりますけれども、その取組の概要と、学校で行われた業務改善策について伺いたいと思います。

○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、今年度、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムに基づき、小中高等学校等、四つの学校で、コンサルタントを活用して業務改革を支援する取組をモデル的に行いました。
 コンサルタントが教員の一日の仕事を観察するシャドーイングなどを通しまして、業務運営上の課題を抽出しました。具体的には、一人一人の教員が限られた時間を一層意識して仕事を進めることや、行事に係る外部との調整や会計処理など、多くの学校で共通する事務的な業務の縮減が重要といった課題が指摘されました。
 これを受け、モデル校では、大半の教員が参加するワークショップなどで、働き方の課題や職場運営の在り方等について、職層の垣根を越えて教員主体で議論を行い、短期、中期的な改善策を検討いたしました。
 速やかに実施できる改善策として、会議時間や電話対応時間の制限、定時退勤日の設定などに順次着手しております。

○伊藤委員 校長や副校長だけでなく、若手の教員も含めて、多くの教員と働き方改革についての取組についての議論をして改善に結びつけていくということは、大変に意義のあることであるというふうに思います。
 そこで、本年度の取組の成果を踏まえた都教委の今後の展開について伺いたいと思います。

○矢野人事企画担当部長 コンサルタントからの指摘や提案は、学校、教員にとって新たな気づきがあり、意識改革につながるなど、働き方改革を進める上で有効であったと、実施したモデル校から評価する声がございました。
 このため、都教育委員会は、来年度、コンサルタントによる支援を本格実施いたしまして、個々の学校の状況に応じた自律的な改革を後押ししてまいります。
 あわせて、学校の業務負担を一層軽減するため、幾つかの区市町村教育委員会と連携し、多くの学校で共通する事務的な業務を集約し、外部に委託していく事業を開始いたします。
 現在、どういった業務をどの学校で外部委託するか等について、区市町村教育委員会と調整しているところでございまして、小学校の就学時健康診断などのアウトソーシングを検討しております。
 こうした取組により、学校の働き方改革を加速してまいります。

○伊藤委員 私は、先日、都内の小学校に勤める若い教員の方々と意見交換を行いました。その際、働き方改革への推進が具体的に行われている学校と、そうでない学校があるということがよく分かりました。
 また、この意見交換をした若い先生方ですけれども、皆さんが同じ課題に対して負担に感じていることが幾つもありました。
 その中の一つが、コロナ禍で導入が進んだGIGAスクール端末について、今年度から各自治体で更新が始まっておりますけれども、端末が導入された当時も、子供たちの端末のアカウントの設定、管理、修理申請などを担任の教員が行っており、大きな負担であったという声が共通しておりました。
 私は、全くそのとおりで、端末の設定は、必ずしも教員が担わなければならない業務ではないというふうに思いました。こうしたことに教員の時間が取られてしまうこと自体、本来の教員としての業務に影響があるというふうに私は思います。
 今般のセカンドGIGAへの更新についても、区市町村が行うものではありますけれども、共同調達を行っているということもありまして、都として現場の教員に負担がかからないように取り組むべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 GIGA端末の更新において、現場の教員の負担にも配慮しながら効率的に導入することは重要でございます。
 国が今般、GIGA端末の更新に係る補助基準額の上限を四万五千円から五万五千円に増額したことにより、自治体は、端末の初期設定に関するほとんどの業務を事業者に委託することが可能となりました。
 都は、この初期設定に係る経費が補助金の対象となることを広く自治体に周知し、端末更新におけます教員の負担軽減につながるよう、区市町村へ働きかけてまいります。

○伊藤委員 児童生徒が使う端末更新の設定について負担軽減を図るとの前向きな答弁がありました。ぜひ、現場の最前線までその情報が行き渡るように推進をしていただきたいというふうに思います。
 意見交換をした若手の教員の方々からは、そのほかにも、新年度が始まる時期になると転入生の教科書の発注や、地域の行事で学校を使う際には、管理職の出勤ではなくて警備会社への委託でも可能じゃないかというような声もありました。
 学校において教員の負担軽減を進めるためには、学校、教員が行うべき業務、そして、学校、教員以外でも担うことが可能な業務について、さらに精査していくことが重要だというふうに思います。
 また、今後、ぜひとも若手教員から見た働き方改革について意見を聞く仕組みを検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、困難を抱える児童生徒への支援について伺います。
 まず、小中学校の子供たちの支援について伺います。
 都議会公明党はこれまで、日本語を母語としない子供や不登校の子供のために、バーチャルラーニングプラットフォームによる支援を充実すべきと求めてまいりました。
 そこで、このVLP事業について、これまでの取組成果と今後の取組について伺いたいと思います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会では、都内の二十八の自治体と協力し、日本語指導が必要な児童生徒や不登校の児童生徒がデジタルの空間に入り交流できるバーチャルラーニングプラットフォームを用意し、自治体に合計三千八百六十のアカウントを提供しております。
 この取組の中で、放課後、自宅に帰った児童生徒などが、教育センターにいる指導員から日本語指導を受けるなどの事例が報告されております。
 来年度は、このVLPに参加する自治体を三十二に増やし、児童生徒のサポートの充実に結びつけてまいります。

○伊藤委員 ぜひ本事業についても、しっかりと拡充していっていただきたいというふうに思います。
 次いで、日本語指導が必要な生徒への支援について、まず、在京外国人生徒対象の都立高校入試について伺ってまいりたいと思います。
 都議会公明党はこれまで、増加する在京外国人生徒に対して、都立高校での受入れ枠の拡大や受入れ環境の充実等について都教委に強く求めてきました。
 この要望を受けて、都教委は、都立高校入試における在京外国人枠設置校の拡大や、応募資格を緩和する入試制度への改正を行っております。
 具体的には、在京外国人枠設置校を、これまでの全日制高校八校から、新たに昼夜間定時制高校の四校を加えて十二校で実施すること、また、外国籍の生徒に限定していた国籍要件を撤廃して、日本語指導が必要な日本国籍の生徒についても対象とすることなど、この応募資格の改正を行っております。これらの対応については、高く評価をしたいと思います。
 そこでまず、こうした在京外国人生徒等を対象とする入試制度の改正について、今年度、生徒や保護者に対してどのように周知を行ったのか、また、来年度以降、都が行う周知のための取組を、様々なノウハウを持つNPO団体と連携して行うよう求めたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、在京外国人生徒等を対象とする入試制度の概要や改正内容等を周知するため、今年度、日本語指導が必要な生徒や保護者等を対象に、八月及び十月の二回、説明相談会を開催いたしました。
 この説明相談会では、入試制度の解説動画を活用した説明のほか、在京外国人生徒等を対象とする入試を行う都立高校十二校の相談ブースをそれぞれ設けて、様々な言語の通訳を配置し、個別相談を実施いたしました。
 説明相談会には、両日を合わせて三百九十九組七百九十四人が参加しております。
 また、十二月には、在京外国人生徒等を対象とする入試の受検を考えている志願者等を対象に、事前に応募資格を確認するための機会を、通訳を配置し、三日間開催いたしました。参加者数は、三日間の合計で四百六十六人でございました。
 来年度は、在京外国人生徒を対象とする入試に関する説明相談会につきまして、八月及び十月の二回から、六月、七月、十月、十一月の四回の開催に拡充するとともに、こうした都教育委員会が行う説明会等につきまして、NPO団体と連携し、そのノウハウも活用しながら、さらなる内容の充実を図ってまいります。

○伊藤委員 来年度は、在京外国人生徒等を対象とする入試制度について、説明相談会等の機会を今年度よりも充実していくということについては、ニーズにも応えるものであり、期待をしております。そして、ノウハウを持つNPO団体等ともしっかりと連携をして対応していただくということを重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、今年度、在京外国人生徒等を対象とする入試の実施校を八校から十二校に拡大して実施をしておりますけれども、その実施状況について伺います。
 また、併せて、在京外国人生徒等を対象とする入試以外の一般入試における日本語指導が必要な受検生への対応についても伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 在京外国人生徒等を対象とする令和七年度入学者選抜の実施状況でございますが、選抜を実施した十二校において、合計二百四十人の募集人員に対し、四百八十一人が応募いたしました。このうち四百七十一人が受検し、合格人員は二百二十六人でございました。
 在京外国人生徒等を対象としている入学者選抜に合格とならず、都立高校への入学を希望する志願者につきましては、在京外国人生徒対象の入試の後日に実施される一般入試の第一次募集、分割前期募集や、その後の分割後期募集、第二次募集に応募することになりますが、都立高校全体として受け入れることは可能となっております。
 また、こうした一般入試等におきましては、日本語指導を必要とする生徒に対して、学力検査の問題に平仮名のルビを振ることや辞書の持込みを認めるなど、受検上の配慮を実施しております。

○伊藤委員 在京外国人生徒対象の選抜に合格とならなかったけれども、都立高校に入学を希望する者については、在京外国人生徒等の対象の入学者選抜以降に実施をする第一次募集、分割前期募集や分割後期募集、第二次募集等があって、都立高校において受け入れることは可能であるということでありましたけれども、在京枠設置校以外に入学できた生徒について、しっかりと支援をしていくべきというふうに思います。
 都立高校では、こうした生徒に対してどのように対応していくのか、伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、今年度から、日本語指導を必要とする新入生を対象に、円滑に高校生活を開始できるよう、入学前と四月の毎週土曜日に日本語講座を実施しております。
 また、在京外国人生徒等募集枠設置校以外の学校でも、日本語指導が必要な生徒に対して、外部人材を活用して授業支援や補習等を行えるように対応しております。
 加えて、在京外国人生徒等募集枠を新たに設置した四校を、来年度、ダイバーシティ推進校として指定しまして、日本語指導が必要な生徒支援の拠点校といたします。これらの学校は、日本語指導や支援のニーズの高い他の高校に対し、リモートにより講座を提供するなど、他校への支援を行ってまいります。
 こうした取組により、全ての都立高校において、生徒一人一人の状況に応じて十分な日本語指導が行えるよう支援をしてまいります。

○伊藤委員 在京枠設置校が八校から十二校になったわけでありますけれども、在京枠設置校に入れる定員は二百四十名です。先ほども数字が答弁の中にありましたが、応募者は四百八十一人で、合格者は二百二十六名と。つまり、合格とならなかった生徒は、半数以上の二百五十五名ということになるわけであります。
 在京枠設置校に合格とならなかったこうした生徒は一般入試に挑戦をしていくという答弁でありましたけれども、これは、かなりハードルが高くなる可能性があるというふうに私は思います。どうか夜間定時制高校なども積極的に案内するなど、どこにも行き先がなくなってしまうようなことがないようにしっかりと支援をしていただきたい。
 また、今後の動向を踏まえながら、見据えながら、在京枠設置校をさらに増設することも検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 私は、昨年の文教委員会でも申し上げましたけれども、在京外国人の生徒は、日本で高校の教育を受けて卒業できれば在留資格が得られるわけであります。そして、日本や自国に帰った後も活躍をしていただきたいし、さらに両国を結ぶ人材となってほしいな、こういうふうに思います。
 また、日本の子供たちも、言語に臆することなく、世界へ羽ばたくグローバル人材へと成長してほしい、このように思います。そういった意味でも、続きまして、ESAT-Jの活用について質問していきたいと思います。
 昨年の文教委員会で、都教委は、都議会公明党からのESAT-Jの結果を効果的に活用し、学習や指導にどのように生かしていくのかという質問に対しまして、YEAR1、YEAR2を昨年度から実施しており、試験後に返却した個人レポートに一人一人の結果に応じた学習方法や、スピーキングテストの特設ページで学習できる教材を案内し、三年間を通じた継続的な学習につなげているという答弁がありました。
 来年度は、このYEAR1を受けた生徒がいよいよ三年生になり、初めて中学校の全学年でテストを受験する生徒が出ることになるわけであります。
 学ぶ意欲を向上させるとともに、各中学校における指導のさらなる改善を図るためには、テストの成績を生徒に返却して終わりではなくて、中学校三年間を通じて、継続的に生徒自身の学習や学校、区市町村の指導に生かせるような取組が必要であると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 中学校での英語教育では、昨年度から実施しているESAT-J YEAR1、YEAR2を通じ、各学年において客観的な評価に基づいた指導を実施するとともに、中学校三年間での学習の成果を円滑に接続することを目指しております。
 試験後には、生徒の学習や教員の指導の改善につながるよう、テストの各パートの結果と学習アドバイスを記載した個人レポートを生徒に返却するとともに、学校や区市町村教育委員会には、結果に加えて、授業改善に資する資料を提供しております。
 今後は、中学校三年間の生徒個々の到達度などから、教育委員会や学校、学年単位で様々な角度から結果を分析し、教育委員会や学校と共有することで、中学校における話すことの体系的な指導に係る取組を一層充実させてまいります。

○伊藤委員 次に、今お答えをいただいたESAT-Jなど中学校で学んだ英語を継続的に向上させて、世界で活躍できる人材に育成をしていくための都の取組について伺ってまいりたいと思います。
 今後ますます進展するグローバル社会においては、英語の力はもとより、生徒一人一人が広い視野や国際感覚、多様な人々と協働する力などを身につけていくことが必要であり、直接海外に行って多様な価値観を持つ海外の人と英語を使ってコミュニケーションを取り、様々な貴重な経験を積むことは、大変に重要なことであります。
 都立高校生等の海外派遣事業については、これまで都議会公明党は、機会を捉えて質疑を行ってまいりました。
 都教委では、今年度、派遣国や人数を拡充して高校生を海外に派遣しておりますけれども、生徒が海外派遣研修を経て得た知見や経験は、参加した生徒だけではなくて、都立高校生はもとより、中学生等にもその成果を広げていく、広めていくことが必要だ、大切だというふうに思います。
 そこで、今年度の帰国後の成果の還元について伺うとともに、来年度の都立高校生等の海外派遣事業について、都の見解を伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会では、今年度、海外に派遣した生徒等を対象とした成果報告会を二月に開催いたしました。報告会では、生徒が現地で深めた学びや自己の変容等を発表いたしました。
 報告会での実施内容については、世界の多様性を尊重することの大切さや国際交流のすばらしさなどの学びを多くの他の生徒と共有するため、今月中にインターネットで視聴できるようにいたします。
 また、令和七年度は、派遣国にカナダを加えるなど、派遣国や派遣人数を拡大し、十一か国に約三百名の生徒を派遣いたします。

○伊藤委員 都立高校に入学した多くの生徒が国際交流などに積極的に参加したり、そうした経験を他の生徒と共有したりすることで、互いに刺激を受け、大きく成長することを期待しております。
 今後、国際交流を一層充実するため、英語力をさらに伸ばすことは大変に重要であります。
 そのため、英語教育においても、AIなど最新技術を活用するべきと考えますけれども、令和七年度の都の取組について伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、英語の四技能をバランスよく育成する観点から、話すことに加え、書くことの力を強化してまいります。
 そのため、指導の一層の充実を図ることを目的として、英語教育に力を入れている都立高校を対象に、AIを活用した書くことの学習に最適なソフトウエアを導入いたします。
 導入後、効果的な活用方法等を研究するとともに、資格、試験等を活用して書くことの力を客観的に把握し、成果を検証することで、さらなる指導の充実につなげ、総合的な英語力の育成を図ってまいります。

○伊藤委員 AIを活用して、話すことに加えて、書くことにも力を入れていくということでありました。
 最新技術の活用については、英語教育にとどまらずに、学校における様々な教育活動でも推進すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 教育活動を効果的に行う上で、デジタルにおける最新技術を取り入れていくことも重要でございます。
 都教育委員会は、近年、急速に進化している生成AIについて、生徒がその特性を理解し、使いこなすことができるよう、来年度、全ての都立学校に生成AI環境を導入いたします。
 こうした最新技術については、教育効果を検討した上で、導入できる分野から積極的に活用してまいります。

○伊藤委員 AIについては、都民の皆様から様々な意見があるのも事実であります。どうか生徒たちがAIについて正しく理解をし、正しく使えるよう、十分に配慮して進めていただきたいというふうに思います。
 次に、特別支援教育推進計画第三次実施計画について質問してまいりたいと思います。
 知的障害特別支援学校に通う児童や生徒の増加が今後も続くことが見込まれている中で、誰一人取り残さない教育の実現に向けて教育環境の充実を図ることは、都教委の責務であります。
 そのため、具体的な施設整備計画を新たに策定する第三次実施計画に位置づけ、あらゆる手段を講じて必要な教室の確保に邁進していくことを、私は、令和六年第四回定例会文教委員会において都教委に求めたところであります。
 先ほどご報告のあった第三次実施計画の説明において、第二次実施計画では調整中とされ、具体的に示されなかった学校の設置や増改築などの新たな施設整備計画がしっかりと盛り込まれているということが確認できました。
 そこで、新たな施設整備計画の策定に向けて、これまで都教委が取り組んできた内容がどのように生かされてきたのか、伺いたいと思います。

○中西特別支援教育推進担当部長 施設整備には用地の確保が重要であるため、都有地だけでなく、都内自治体や民間が所有する土地なども視野に入れ、検討を進めてまいりました。
 その結果、区有地の活用による江戸川区における一校の新設及び立川学園に隣接する民有地を取得し、そこに増築棟を設置することによる高等部の新設を計画に盛り込むことができました。
 また、知的障害特別支援学校に通う児童生徒数の増加が第二次実施計画の推計値を上回る状況にあることから、改めて推計を実施いたしました。
 最新の推計によりますと、知的障害特別支援学校に通学する児童や生徒の増加傾向が継続することから、子供たちの受入れができる施設をさらに確保するため、改築による教室の整備を五校で実施いたします。
 施設整備に当たりましては、今後も、地元自治体や整備の対象となった学校などとの協議を重ね、計画的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 施設整備を進めるに当たり、大きな課題とされておりました用地の確保に向けて積極的に取り組み、今回の計画に結びつけたことを確認いたしました。
 また、最新の状況を反映した推計を行い、将来における知的障害特別支援学校に通う子供たちの通学のニーズを把握した上で教室の確保を進めていくということは、非常に重要な取組であると思います。障害のある児童や生徒たちの受入れ環境の整備に向けて、今後も積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、今回の施設整備計画に盛り込まれている新設や増改築等によって、どのような教育環境の改善が図られるのか、改めて伺いたいと思います。

○中西特別支援教育推進担当部長 全都的な特別支援学校の配置バランスを踏まえて学校の新設や増築を実施することで、子供たちを受け入れる環境を整備いたします。
 また、改築におきましては、老朽化した校舎を整備いたしますとともに、児童生徒数の推計や地域の状況等を踏まえ、必要な教室数の確保を図ります。
 こうした取組に加え、就労に向けた実習室の設置など、特別支援学校の特色や機能を十分に発揮することのできる環境の整備も行い、特別支援教育の充実を図ってまいります。

○伊藤委員 施設整備を進めることで教育環境の充実が図られるということを確認できました。
 一方で、今後も継続する特別支援学校に通う児童生徒数の増加に対して、これまでどおりの施設整備だけでは、教室不足の改善が追いつかないことも懸念されます。
 教室確保に向けたさらなる取組が必要なのではないかと考えますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。

○中西特別支援教育推進担当部長 特別支援学校に通う知的障害のある児童や生徒が増加する中、そうした子供たちを速やかに受け入れるため、敷地の一部を利用し、建物をリースにより短期間で整備する緊急的な増築棟の設置を二つの学校で実施いたします。
 この実施に当たり、これまで対象校の選定や工事条件の整理などの検討を行うとともに、施設を確保する取組を速やかに進めるため、令和六年度中に基本設計に着手し、第二次実施計画に位置づけることといたしました。
 今後、この緊急的な対応についてさらに検討し、特別支援学校における教育環境の向上に結びつけてまいります。

○伊藤委員 特別支援学校が障害がある子供たちにとって安心して居心地のいい学校であるよう、教育環境の向上にこれからもぜひ努めていただきたい、このように思います。
 特別支援学校の児童生徒の安全・安心な登下校について伺ってまいりたいと思います。
 都議会公明党は、昨年の第三回都議会定例会代表質問で大松議員が、特別支援学校の児童生徒の行方不明によって悲しい事故が起きたことを教訓に、二度とこのような事故が起きないように対策を都教委に求めたところでありました。
 都教委は、都立特別支援学校の児童生徒の安全・安心な登下校に向けて、研究指定校にGPS等の位置情報機器を貸与するモデル事業を実施するというふうにしておりますけれども、児童生徒の安全確保の観点から、機器について必要な数が確保されるべきであると考えます。
 また、人権的な観点から、学校が児童生徒の居場所を常時特定できる状況は避けるべきであるというふうに考えますけれども、併せて都教委の見解を伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、令和七年度から、指定する学校の保護者に対して位置情報機器を貸与し、児童生徒がより安全・安心に登下校できるようモデル事業を実施します。
 具体的には、保護者にアンケートを実施し、希望する家庭に貸与いたします。機器については、持ち歩くことが困難な児童生徒でも活用できるよう、衣服などにつけて気にならない小型軽量なものを用意いたします。位置検索は、貸与を受けている保護者のみが行えるものでございます。

○伊藤委員 どうか人権的観点に十分に配慮しながら、二度と悲しい事故が起きないように取り組んでいただきたい、このように思います。
 また、このGPS等の機器だけではなくて、私は以前、品川区民の一人の女性から声をかけられました。その方は、私にこういいました。私には自閉症の障害がある子供がいます、災害時等で親子が離れ離れになってしまったら、この子は、一人で何をどう支援をしてほしいのか、これを求めることができません。そして、その女性の方は、私に、真っ赤なカードにSOSと書いてあって、中に緊急連絡先とか、障害の特徴とか、どういうふうに支援をしてほしいということが書かれておりました。
 だけれども、そのお母さんはいいました。もしものときに、その子がそのカードを出しても、誰にも何の意味かが分かってもらえない、だから、どうか広域行政である東京都として、共通のマーク、共通のデザインで支援してほしいことが書き込めるヘルプカードをつくってほしいという切なる声を聞かせていただきました。
 そして、私は繰り返し、都議会において、その実現を求めてまいりましたけれども、平成二十四年から――これは東日本大震災でも行方不明になってしまった障害のある子供たちとか、障害者の人たちがおりましたので、ようやく東京都は、平成二十四年以降、ヘルプカード、これの作成に着手をしていただくことになりまして、平成二十四年以降に、ヘルプカードは必要な人に届くようになったわけであります。
 そして、私は長きにわたって、このヘルプカードの普及に取り組んでまいりました。このヘルプカードについては、今、全国に広がっておりまして、東京のみならず、他県でもこのカードを使っていただいている方が多数いらっしゃいます。
 障害のある子供の登下校の安全・安心の確保に向けて、特別支援学校においても、周囲からしっかりと見えるところに児童生徒がヘルプカードを携帯し、必要なときに支援を求められるように指導、支援、そしてまた、そうした練習、こうしたことを行うべきであるというふうに思いますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 ヘルプカードは、聴覚障害や知的障害など、障害があることが周囲から分かりにくい方が支援を求める際に特に有効であり、都立特別支援学校の児童生徒にも活用できるものでございます。
 このことを踏まえ、ヘルプカードを携帯することの有効性などについて保護者にも周知するよう、校長連絡会を通して伝えてまいります。

○伊藤委員 ぜひともこのヘルプカード、生徒たちにも、困ったときにはこれを使って助けを求めていいんだよ、支援を求めていいんだよということを教えてほしいし、そういう練習、訓練も行っていただきたい、このことを重ねて申し上げたいと思います。
 続きまして、歩行訓練士の活用について伺いたいと思います。
 視覚障害のある児童生徒が日常生活及び社会生活を安全かつ自由に送るためには、この分野唯一の専門職である歩行訓練士による生活歩行訓練が不可欠であります。
 都議会公明党は、昨年の十月、全国盲学校PTA連合会による厚生労働大臣への歩行訓練士の養成推進などを求める要望書提出をサポートし、同行したところであります。
 また、これまで、都立盲学校における歩行訓練士の活用について都教委に強く要望してきたところであり、昨年第四回定例会や、さきの予算特別委員会代表質問において具体的な対応を求めたところであります。
 改めて、都立盲学校において、歩行訓練士の力を活用することによって教員の専門的指導力を向上させるべきと考えますけれども、来年度の取組内容について伺いたいと思います。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、来年度から、都立の四つの盲学校に歩行訓練士の資格を持つ外部人材を週一回程度派遣し、現場での実技の指導に関し、助言等を行います。
 また、こうした歩行訓練士が、新たに盲学校へ配属となった教員等に対し、介助歩行や白杖歩行の指導の基礎に係る四回の校内研修を、ロールプレーイング形式を交えて実施いたします。
 さらに、登下校など様々な場面を想定し、適切に歩行できるよう指導する実技研修を年四回担当いたします。
 これらにより、都立の盲学校の教育のレベルの一層の向上を着実に進めてまいります。

○伊藤委員 ぜひ着実に進めていただきたい、このように思います。
 続きまして、都立高校における学習環境の向上について質問したいと思います。
 都教委では、都議会公明党の強い要望を受けまして、都立高校の教室や体育館等への空調設備の設置を実現するとともに、老朽化が進んだ設備については速やかに更新を図るなど、計画的に整備を進めているところであります。
 一方で、都立高校における学習環境の向上を図るためには、こうした設備の整備に加えて、生徒が日常的に使用する机、椅子、ロッカー等の備品についても適切に更新していく必要があります。
 この点について、私は、昨年の十一月二十九日の文教委員会事務事業質疑で質問させていただきまして、都立高校の一層の魅力向上のためにも、学校ごとの予算の中での対応だけではなくて、都教委として計画的な更新に取り組むことを要望いたしました。
 一人一台端末の導入や探究学習など、新たな学び方にも対応した学習環境の整備が求められていることも踏まえて、都立高校において、生徒が使用する備品の計画的な更新を図り、学習環境を向上させていくべきと考えますけれども、来年度の都の取組について伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 生徒に快適な学習環境を提供し、デジタル端末等を活用した新たな学びのスタイルにも対応できるよう、机や椅子等の備品の更新を図ることは重要でございます。
 このため、都教育委員会は来年度から、都立高校において、こうした備品の計画的な更新に着手いたします。
 具体的には、更新時期を迎えた机や椅子、ロッカーについて、五年間で集中的な更新を行います。更新の際には、探究学習でのグループワーク等に対応した可動式の机の導入や、デジタル端末を活用できるよう机の天板を拡張するなど、新たな学びのスタイルにも対応した機能のグレードアップも図ってまいります。

○伊藤委員 このことについては、複数の保護者の方から、私は要望を受けておりました。今、答弁にありましたように、更新時期を迎えた机や椅子、ロッカーについては、五年間で集中的に更新を行うということでありますので、ぜひしっかりと進めていただきたいというふうに思います。それとともに、ぜひともスピード感を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、中学校夜間学級のスクールカウンセラーについて伺ってまいりたいと思います。
 都議会公明党はかねてより、中学校夜間学級には、年齢も幅広く、不登校経験者や外国籍の方なども多く通っており、きめ細かな対応が必要であるため、スクールカウンセラーの配置を促進すべきと訴えてまいりました。
 都教委は、令和七年度、スクールカウンセラーの配置を拡大するということでありますけれども、中学校夜間学級への配置についてどのような計画になっているのか、伺いたいと思います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十五年度から、都内全ての公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置しております。
 また、令和二年度からは、区市町村立小中学校のうち、相談ニーズが高いと判断された学校にスクールカウンセラーの配置日数を拡充してまいりました。
 令和七年度は、夜間学級を設置している中学校全八校にスクールカウンセラーを週一日追加で配置いたします。
 これによりまして、区市町村教育委員会と連携し、生徒が相談しやすい環境を充実させてまいります。

○伊藤委員 これまで都議会公明党は、このことを求めてまいりましたけれども、答弁にあったとおり、夜間学級を設置している中学校全八校に週一回追加で配置をするという、大変前進の答弁をいただきました。よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、都立中央図書館の在り方について伺ってまいりたいと思います。
 今年の二月に発表された、公表された都立中央図書館の在り方(案)によれば、港区にある中央図書館を渋谷区に移転、再整備をして、新たな図書館として、智を生み出す機能を加えるとのことであります。
 新たな図書館を知性や創造性を高めたり、交流を生み出す場所としていくことは、様々な人々が未来を切り開く力につながるなど、大変に重要なことであるというふうに考えます。
 また、移転して再整備するということから、今回の検討に至るプロセスについても確認する必要があるというふうに思います。
 このような観点で質問させていただきます。
 まず、現在の都立中央図書館の機能と役割について伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 都立中央図書館は、都民の調査研究や学習活動を支援するため、約二百二十九万冊の資料をそろえております。これらを活用し、必要な資料や情報を的確に案内する、いわゆるレファレンスサービスを専門的に実施するとともに、ビジネスや健康、医療などの情報を重点的に集め、都民の課題解決の取組を支援しております。
 また、東京の中核的な公立図書館として、区市町村立図書館への支援を行っております。具体的には、資料の貸出しや職員の研修を行うとともに、都内公立図書館の蔵書や論文、雑誌記事を一度に検索できるシステムの運営などを行っております。

○伊藤委員 中央図書館がこうした機能と役割を果たしている中で、建物は、竣工から五十年以上が経過をして老朽化しているというふうに思います。
 そこで、これまでの主な改修工事等について、内容について伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 これまで、利用者の安全や施設の機能の確保を図るため、必要な改修、修繕工事を計画的に行ってきております。
 具体的には、平成七年度から八年度にかけまして大規模改修工事を行いました。また、令和元年度から二年度にかけましては、書庫があるスペースの一部の外壁改修工事、令和三年度には空調設備の改修工事、令和四年度には耐震改修工事を実施いたしました。
 今後とも、老朽化している現在の建物を当面の間、利用できるよう、必要な改修、修繕工事を行ってまいります。

○伊藤委員 建物の修繕や改修を行う一方で、デジタル化など社会状況が変化する中、新たな図書館の役割についても検討する必要があるというふうに考えます。
 そこで、今回の在り方案を公表するまでの検討の経緯を伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 令和元年度から二年度にかけまして、都立図書館在り方検討委員会において、今後求められる都立図書館として担う役割を整理いたしました。
 また、昨年度には都立中央図書館の在り方を考える有識者会議を設置し、中央図書館が担うべき機能や新たなコンセプト等を検討いたしました。
 これらの会議では、図書館に関する専門家をはじめとし、デジタルやインクルーシブなど幅広い分野の方々からご意見をいただきました。
 これらを踏まえ、都教育委員会は、新たな中央図書館について検討し、本年二月に都立中央図書館の在り方(案)を公表いたしました。

○伊藤委員 これまで、図書館の専門家も含めた有識者からの意見も踏まえて検討してきたということでありました。
 新たな図書館では、本から学ぶことに加えて、人々がより知性を高められるようなサービスが展開されるべきであると考えます。
 そこで、新たな中央図書館のコンセプトや機能について伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 新たな中央図書館は、コンセプトをLibrary for Creation、創造・交流図書館としまして、図書館を新たな智を生み出す空間と捉えることといたしました。
 新たに加える機能として、知的好奇心を喚起し学びを深める、人々の創造や交流を生み出す、多様な知を集積、発信するの三点としております。
 また、現在、中央図書館が行っている調査研究の支援や区市町村立図書館への協力は継続してまいります。
 これらを踏まえ、新たな中央図書館のサービス内容、施設等について、今後、具体的な検討を進めてまいります。

○伊藤委員 新しい図書館がその役割を十分に果たしていくためには、それにふさわしい建物を整備していく必要があると考えます。
 在り方案では、現地での改修、改築ではなくて移転整備するということでありますけれども、その理由について伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 中央図書館の建物は、竣工から五十年以上が経過し、老朽化や書庫の狭隘化が進んでおります。
 現在地における建築条件では、建物の高さ制限などにより建築規模の拡大が困難であり、新しいコンセプトや機能の実現が難しい状況がございます。
 また、現在地における整備の場合、解体及び新築工事に伴う休館等により、長期間にわたり十分なサービスの提供が不可能となる状況もございます。
 こうした理由により、移転により新たな中央図書館の整備を行うことといたしました。

○伊藤委員 今、答弁にもありましたけれども、現在地における建築条件では、建物の高さ制限などによって建築規模の拡大が困難でありという答弁でありました。
 この問題は、図書館だけじゃなくて、都内の各地で、今こうした問題が起きています。例えば、マンションもそうですし、ビルもそうですし、昔の用途地域で定まっている高さで建てた建物が建て替えをすると、同じような高さが建てられない。例えばマンションでいうと、今現状、十一階のマンションは、建て替えるとすると六階しか建てられないとか、こういうことが今、都内であちこちで起きています。
 ですので、今、現在地でこれを整備すると、そうした機能を果たせなくなってしまうという、こうしたことがあることで、今の計画にある、このところに決めたということでありますけれども、在り方の案の中では、神宮前五丁目地区への移転というふうに打ち出しております。
 その理由とともに、今後どのように検討を進めていくのかを伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 新たな中央図書館がその機能を十分に発揮していくためには、交通の利便性がよく、誰もが気軽に訪れることができる立地環境が望ましいと考えております。
 そのため、アクセスがよく、多くの人が行き交い、周辺に教育機関等が集積し、多様な活動が展開されている神宮前五丁目地区の都有地を整備地といたしました。
 この地区は、誰もが集い、つながる、開かれた智の創造拠点を将来像に掲げ、まちづくりを行うことになっております。
 今後、この地区に導入予定の劇場や起業支援等の多様な機能との連携を図り、複合的で総合的な効果を発揮できるよう、新たな中央図書館の整備に取り組んでまいります。

○伊藤委員 本質疑を通じまして、現在の建物の状況や移転の考え方、また、新たな中央図書館のコンセプトや機能などを確認させていただきました。今後、神宮前五丁目地区への移転整備に向けて、関係局ともしっかりと連携を取り、また都民の理解を得ながら進めていただきたい、このように思います。
 本日は、多岐にわたっての質問をさせていただきましたけれども、いよいよ令和七年度、新しい年度を迎えてまいります。坂本教育長を中心に、どうか都教育庁が一致団結をして、この令和七年度、東京の教育がまた一歩進んだな、こういう社会をつくるためにも頑張っていただきたい、このことを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。

○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十分休憩

   午後三時四十分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
 資料の提出をありがとうございます。
 私からは、まず、特別支援学校と、成案が出されました特別支援教育推進計画(第二期)第三次計画について伺います。
 まず、特別支援学校の設備の設計について伺います。
 特別支援学校の設備は、いうまでもなく、障害のあるお子さん、スペシャルニーズを持つお子さんたちが使用できるように設計することが求められます。当事者の目線に立って設計することが必要です。
 しかし、この間、新しく建てられた特別支援学校でも、車椅子のお子さんが使用できない手洗い場になっているというご相談を複数いただきました。
 契約案件のときにもご紹介しましたけれども、一つは、私の地元の花畑学園で、もともと隣接して設置されていた花畑特別支援学校と城北特別支援学校を統合し、校舎を新築して、二〇二〇年に花畑学園として開設されています。
 このときに、一部のトイレの手洗い場について、手を洗うシンクの下に空間がないために、車椅子のお子さんがシンクの下に車椅子のまま膝を入れて手を洗うということができず、手を伸ばしても蛇口に手が届かないということがありました。保護者の方から連絡をいただいて、すぐに都教委には対応していただいて改修してもらいました。
 もらったのはよかったのですけれども、最近になって、今度は志村学園で、手洗いの場のシンクが低くて、やはりシンクの下に膝を入れられずに手が蛇口に届かない、そういう状況で、先生や介助者の方に手に水をかけてもらって、何とか手を洗っているというお話を伺いました。
 特に体の大きなお子さんということではないので、なぜこのような設計になっていたのかと疑問です。こちらも、今、確認を含めて対応してもらっているところですが、そもそも、なぜ最初から車椅子を使うお子さんたちが使用できるような設計になっていなかったのかが疑問です。
 そこで伺いますが、特別支援学校の設備を設計する際に、当事者の声や視点を取り入れる過程はあるのか、どのようにして取り入れているのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の新設や改築をする際には、学校現場の意見を踏まえております。

○斉藤委員 学校現場の意見を踏まえてということなんですけれども、設計の前に、校長先生とPTA会長、そして都教委の職員で、設備や設計について検討する基本計画検討委員会が開かれているというふうに承知しています。
 ここではどんなことが確認されるのか。例えば図面などを見て確認するということなのか、ちょっと伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 委員会では、施設整備などについて検討することとしております。

○斉藤委員 あのね、どのようにして検討しているのかというのを聞いているんですよね。中身に答えないというのは、本当に不誠実だと思うんですけれども、事前に伺った話だと、図面がつくられる前に委員会は開かれているということですから、特別支援学校の設備が障害のあるお子さんたちが使える仕様になっているということは、いわば当たり前のことだというふうに思いますが、まさか、そうならないということは想定していないかもしれません。
 しかし、設計や建築をする業者にそういう視点がないということがあり得るのかなと感じたので、そういうことにならないように、検討委員会から施工業者にしっかり伝えるということが必要なのではないかと思います。
 また、検討委員会では、トイレや手洗い場などの仕様について、サンプルの写真などを使って、大体こういう仕様になるということを確認しておくということも必要ではないでしょうか。
 新しくつくった学校で、最初から改修しなくてはいけないようなことにならないように、このプロセスを改善していただくということを強く求めます。
 次に、先日、とや理事と一緒に見学をさせていただきました葛飾盲学校と寄宿舎について伺います。
 校長先生、副校長先生をはじめ、現場の皆さんに貴重なお時間をいただきまして、この場をお借りして感謝を申し上げます。
 学校現場では、目の見えない全盲のお子さんや薄く見ることができる弱視のお子さんたち、それぞれに合わせた工夫がされた教材や、校内にも、それぞれの教室の入り口に、手で触って何の教室なのかが分かるような印をつくっていたり、先生方がいろんな工夫をして児童生徒に関わっていらっしゃるということが分かりました。
 午後からの視察でしたので、授業そのものはきちんと見ることができなかったのですけれども、寄宿舎も拝見をさせていただきました。
 寄宿舎は、現在、小学部、三年生が二人、四年生が二人、中学部、一年生が三人、二年生が一人、三年生が四人の計十二人が利用しているというふうに伺っています。目の見えないお子さんたちなので、通学困難のため、希望する全ての児童生徒が希望する日数において寄宿舎を利用しているというふうに伺いました。
 指導員の方にもお話を伺いました。食堂では、子供たちがいつも提供される食事を楽しみにしていて、お代わりをして食べていることなどを伺いました。
 寄宿舎のことについては、二月の委員会でも、とや理事が詳しく質疑を行いました。学校給食費が無償化になった下で、寄宿舎でも、お金の心配なく、また物価高騰への心配がないように、都が費用の全額補助を行うことを改めて求めるものです。
 そして、寄宿舎では、子供たちにどのような指導が行われているのか、改めて伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 寄宿舎においては、日常生活に必要な着替え、洗面などの基本的な生活習慣や、集団生活でのマナーを身につけられるよう指導してございます。

○斉藤委員 着替えや洗面などの身の回りのことや、集団生活について学んでいくということです。指導員の方からも、そうした寄宿舎での生活の中で、まさに子供たちのできることが増えていって成長につながっているというふうに伺いました。
 ここでちょっと伺いたいのですけれども、寄宿舎でのこの時間というのは、子供たちの成長につながる、まさに教育的意義が大きなものだというふうに思いますが、認識を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 寄宿舎での指導により、日常生活に必要な着替え、洗面などの基本的生活習慣や、集団生活でのマナーを身につけているところでございます。

○斉藤委員 さっきと同じ答弁でね、教育的意義について聞いたんです。それぐらいの認識をすぐ答えられないというのはどうしてかなと、ちょっと不思議なんですけれどもね。
 これも繰り返し求めてきているのですけれども、寄宿舎への入舎は、今、通学困難という条件だけになっていて、教育的意義からの入舎というのが東京では認められていないという状況になっています。多くのお子さんたちに日常生活の中での成長の機会を保障するように、重ねて求めるものです。
 葛飾盲学校の寄宿舎では、中庭にエアコンの工事のための建屋が今ある状態でしたけれども、今後の予定について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 令和七年十一月から使用できる予定でございます。

○斉藤委員 今年十一月から使用できる、中庭を使うことができるようになるということです。
 この中庭が、今のエアコン工事の前には、夏には草が大きく生い茂ってしまい、蚊がたくさん飛んでいるような状況で、外に出られない、出ることができないという声を、この間いただいていました。
 指導員の方々は、お子さんたちへの対応に忙しいということもあると思いますけれども、きちんと定期的に業者さんの草刈りをお願いするなど手入れをして、子供たちが活用できるような状態にしておくということが必要だというふうに思います。
 十一月からのこの中庭の活用は、子供たちが遊んだり、くつろいだり、災害時には避難場所としても活用することができるようにすることが必要だと考えますが、どのような活用を想定しているのか、伺います。
 また、児童生徒や保護者からの要望を聞いていくことが大事だと思いますが、見解を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 中庭につきましては、児童生徒の遊ぶ場として利用しているほか、災害時には避難経路として活用することができるようにしております。
 今後とも、寄宿舎の実情に応じて適切に対応してまいります。

○斉藤委員 活用しているということなんですけれども、この間、草が生い茂ってしまって、とても外に出られないという声がありました。こういうことがないように、定期的に手入れができるように、寄宿舎を都として支えることを求めます。
 また、寄宿舎の屋上に設置されたまま、今は活用されていない太陽光パネルがありました。老朽化しているという様子がよく分かりました。安全な寄宿舎の環境整備のために、撤去していく計画を持つことを求めます。
 私たちは、学校から寄宿舎へ歩いて移動しましたけれども、周辺は閑静な住宅街で落ち着いている環境でしたけれども、歩道がそれほど広いわけではないので、お子さんたちが初めて歩く場合には、やはり安全面での配慮や訓練というものが欠かせないものだということも実感をしました。
 盲学校への歩行訓練士の配置について、来年度の予定について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 来年度は、四つの盲学校に歩行訓練士の資格を持つ外部人材を週一回程度派遣し、現場での実技の指導に関して助言等を行う予定でございます。
 また、校内研修の講師としても歩行訓練士の力を活用いたします。

○斉藤委員 四つの盲学校に週一回程度派遣を行い、校内での研修の講師として力を発揮していただくということです。子供たちにとって安心・安全な環境と訓練の場を提供できるよう、ぜひ取組を充実させていただきたいというふうに思います。
 次に、特別支援教育推進計画(第二期)第三次の計画について伺います。
 今回の計画では、部分的には前向きに評価できる点がありつつも、今後の特別支援学校の整備の在り方に関しては、重大な後退につながる看過できない問題があります。
 施設整備、学校の新設、増設に関わって伺います。
 まず、我が党が繰り返し求めてきた特別支援学校の新規、増設の計画が入ったということは、貴重な前進です。特に、我が党の原純子都議が、地元の鹿本学園での過密な状況を繰り返し取り上げ、東部地域に新規、増設してほしいと求めてきた中で、小学校跡地を利用して新規建設が行われるということになったことは、本当に地元の方々から待ち望まれたことでした。
 学校の整備に当たって、現在の国や都の基準を下回ることがないように、地元の声を聞きながら、子供たちの学びの環境を最優先にする学校にするよう強く求めるものです。
 都立知的特別支援学校の教室数の確保についてという記載があります。二〇二七年までの目標値に、学級数分の普通教室を確保と記載しています。
 つまり、学級数に対して普通教室の数が足りていないということですけれども、現在の間仕切りと転用教室は幾つか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 令和六年五月一日時点で、間仕切り教室は百二十四、転用教室は二百七十二でございます。

○斉藤委員 昨年五月一日の時点で、間仕切り教室と転用教室を合わせると三百九十六室ということです。
 これ、今ご答弁いただいたのは、知的の学校だけでお答えいただいたので、実際には、資料要求の19ですね、これを見ていただくと分かるように、肢体不自由との併置校を合わせると、その数は全部で五百九十六教室に上っているということになります。
 ここで伺いたいのですけれども、これに対して、今の計画案に示されている新設や増改築で解消される見込みになっていますか。

○中西特別支援教育推進担当部長 平成二十九年二月に策定した東京都特別支援教育推進計画(第二期)において、知的障害特別支援学校学級数分の普通教室の確保を政策目標としておりまして、今回策定する第三次実施計画において、その目標の達成に向け整備を進めてまいります。

○斉藤委員 目標の達成に向けということはいうのですけれども、それが解消される計画になっているのかということはご答弁されないわけですね。この計画案では追いつかない状況ですね。
 そうした背景だからということもあるかもしれませんが、今回の計画案では、特別支援学校の基準を大きく後退させ、子供の安心・安全な教育環境をなし崩し的にする内容が示されているということは、本当に重大な問題です。
 計画の五六ページ、五七ページに記載されておりますけれども、新たな考え方に基づく施設整備の展開とあります。これが基準の切下げのオンパレードになっているんですね。
 これも、前回質疑で、とや理事が厳しく指摘したとおりですけれども、今回、この項目がさらに詳しく掲載されているので、改めて確認をしていきたいというふうに思います。
 教室の面積についてですけれども、普通教室以外に個別指導のスペースを取って、普通教室の面積は弾力的に取り扱うとしていますけれども、それは、普通教室での授業中、あるいは、普通教室の授業とは別に、別の場所で個別指導をするということなのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 教室を授業用と個別指導用に分けまして、効果的に配置し、限られた面積を有効に使うものでございます。

○斉藤委員 何かいいようにご答弁されているのですけれども、つまり、これまでは、普通教室の中のスペースを使って個別指導を行う、こういう授業が行われてきた。しかし、今後は、個別指導を行うためのスペースとされた面積部分、これを削って普通教室をつくり、個別指導のスペースはほかでつくるということを認めるということなんですね。
 事前に詳しく伺いましたけれども、面積を削った普通教室というのは幾つつくっても、個別指導の部屋は一つか二つ、幾つでも、一つでもあればいいというもので、つまり、それさえすれば普通教室の面積を小さくしてよいということになるわけです。
 現状でも決して広くはない教室をさらに狭くすることは、子供たちの安全や教育効果の保障を考えても大問題ですし、個別指導を授業やほかの生徒と完全に切り離して行うことにも問題があるのではないでしょうか。先生の手が足りないという問題もあります。
 さらに、運動場も小規模や分散型を認めています。通常の学校では考えられないような内容になっていますが、本来、日常的にも災害時においても、障害のあるお子さんたちにとっては、通常の学校よりもゆとりのあるスペースが必要なのではないでしょうか。子供たちが落ち着くことができる広さ、安全を確保できる広さが必要です。
 そもそも、今日、資料でも出していただきましたけれども、都立特別支援学校五十九校あるうち、校舎の面積が国基準以下、国基準を下回っている学校は三校、運動場の面積が下回っているのは四十一校、図書室がない学校が八校という状況です。
 それをさらに窮屈にして、特別支援学校の子供たちを窮屈な環境に押し込んでしまうというこの在り方は、本当に根本的に見直す必要があるんじゃないでしょうか。
 この新たな考え方に基づく施設整備の展開についてですけれども、パブコメは、全体で百二十二人、四百二十七件の意見が集まったということで出ていますけれども、施設整備の基準の緩和に反対または懸念を示すパブコメは幾つあったのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 知的障害特別支援学校の高層化について、災害のときに危険性があるのではないかという旨の意見はございますが、児童生徒の安全性を十分に確保して対応してまいります。

○斉藤委員 私が聞いたのは、幾つあったのかと聞いたんです。これ、事前に持ってきてほしいということで、やり取りをずっとしたのですけれども、だけれども出さないというわけですね。幾つそういう意見があったかというよりも、生徒の安全性を十分に確保して対応を進めていくということを事前にもおっしゃっていたんです。
 それはつまり、どんなに反対の声、懸念する声があっても、関係なく、この基準緩和ありきで進めていくんだということにほかならないわけですね。
 本当に、その高層化について心配する親御さんたちの声、そして学校現場の人たちの声、ちゃんと聞かないと、そして反映させていかないといけないというふうに思います。
 続けて伺いたいのですけれども、この知的障害特別支援学校の高層化に当たって、建物内の移動の安全性の確保ということをご答弁でもいわれましたけれども、具体的にどんなことなのか、災害時の安全性の確保については、これまでと違う対策があるのかどうか、教えてください。

○中西特別支援教育推進担当部長 知的障害特別支援学校の高層化につきましては、安全性に十分な配慮を行って整備等を行ってまいります。

○斉藤委員 さっきと同じ答弁なんですよね。具体的にいえない、考えていないという状況で高層化を許していく。知的障害のあるお子さんの場合、パニックを起こしやすくて、エレベーターとか使えないような状況のときにどうなるかということを、ちゃんと想像性を働かせて考えなきゃいけないと思うんですね。具体的な対策を示せないような状況で高層化を進めるなんていうことは許されないというふうに思います。
 特別支援学校の増設に当たっては、私は、今こそ教育長がイニシアチブを発揮するべきではないかというふうに思っているんです。
 東京には土地がないというふうに思っておられる方も多いかもしれませんが、そんなことはなくて、あちこちで再開発や大型マンションの建設なんかもめじろ押しです。子供たちの安全な学びの環境の確保のために、特別支援学校に通う子供たちのための土地を供出してもらうこと、局横断的に、また区市町村にも呼びかける、そういうことが必要なんじゃないかと思います。それができるのは教育長なんじゃないでしょうか。
 子供たちのために、教育行政に関わる大人の皆さんができること、これを今やるべきだと思うんです。
 土地確保のために教育長がイニシアチブを発揮する、この必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 知的障害のある児童や生徒が特別支援学校に通学するニーズが増える中、受入れのできる施設を確保する取組を進めることは重要であり、引き続き、計画的に必要な教室の確保に取り組んでまいります。

○斉藤委員 教育長が答弁されないというのはいつものことではありますが、しかし、特別支援教育のこと、学校のことを、教育長自身が考えたことがあるのかなと思います。
 答弁がないのは本当に残念ですけれども、子供たちの学びの環境、基準を切り詰めていくという、そういう方向ではなくて、子供たちの利益を最大限に守る学びの環境確保のために抜本的な対策を打つことを強く求めます。
 前進面についても、幾つか伺いたいと思います。
 スクールカウンセラーについて、令和七年度から全ての学校でモデル事業を実施するとしていますけれども、これは特別支援学校も含めてのことか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和六年度、都立特別支援学校二十校でスクールカウンセラーを配置するモデル事業を実施しており、令和七年度は、配置のなかった全ての特別支援学校を対象に事業を実施いたします。

○斉藤委員 全ての特別支援学校にということですから、残りの三十八校にも配置をされるということです。
 このスクールカウンセラーの導入について、外部専門家や介護職員のときのように教員数を削って導入する、また、モデル事業から本格実施の際に教員数を削るということはあってはならないというふうに思いますが、見解を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 スクールカウンセラーは、特別支援学校の相談体制の充実を図るために配置しております。

○斉藤委員 相談体制の充実を図るということで、教員を削るということはないということですね。これは確実に、教員を削ってということはないように、もちろんやっていただきたいというふうに思います。
 特別支援学校でも、このカウンセラーの配置は望まれてきました。私自身も、不登校になったお子さんの保護者の方から相談をいただいてきましたけれども、子供や保護者の困り事や悩みに寄り添う相談体制が必要だ、特別支援学校にも必要だというふうに実感をしています。ぜひ充実させていただきたいと思います。
 計画では、インクルーシブ教育の推進が位置づけられております。その推進にとって欠かせないのが、子供たちをサポートする教員や支援員の存在だというふうに思います。
 インクルーシブ教育支援員の配置について、今年度の実績と来年度について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援学校への就学が適当と判定された児童生徒が公立小中学校で学ぶことを希望する場合の支援員配置に係る経費を支援しております。
 今年度は、三百十四名の支援員の配置について支援を行っております。
 来年度は、五百二十五人分の支援員に係る経費を計上しております。

○斉藤委員 来年度は、五百二十五人分の支援員を配置するということです。支援員の方々については、研修なども十分に行って、障害のあるお子さんに寄り添い、そして、障害のない子たちとの交流をサポートできるように力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 インクルーシブ教育に関わって、支援学校と高校との協働的な取組ということで掲載がありますけれども、隣接する支援学校と都立高校として、五校のうち一校に高島特別支援学校があるというふうに聞いています。
 高島特支は小中学部のみの学校ですけれども、都立高校の生徒と、具体的にどのように共に学ぶことが考えられるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 生徒等の個々の発達段階に応じた協働的な取組を行うこととしております。
 これにより、障害のある生徒等と障害のない生徒の相互理解を図ってまいります。

○斉藤委員 事前に詳しく伺ったところ、共に何か教科を学ぶということではなくて、この高島特支の場合ですけれども、行事などに一緒に取り組むということを想定しているというお話でした。
 障害のある小中学校の児童生徒たちと都立高校の生徒では、年齢差もあることから、高校生が特別支援学校の児童生徒たちのお世話をするというような形になるのかなと思いますが、そうした中で学ぶべきことも多いかと思います。
 一方で、同年齢の中で、障害のあるなしにかかわらず、対等な人間関係を築いていく交流も大切ではないかというふうに思います。日常的な交流の中から自然に生まれて発展していく関係性を大事にする取組としていただきたいというふうに思います。
 次に、校内別室指導員について伺いたいと思います。
 不登校の子供の中には、保健室など教室外の場所なら登校できるお子さんもいて、私自身も、そうしたお子さんを見守る、また学習の支援を行う教員体制が必要だと、前期の頃から求めてきました。
 校内別室指導員の配置に都の支援が始まって、まだ間もないですけれども、現場からは好評だということ、これは質疑してきたとおりです。
 しかし、ニーズに対して、まだ支援の規模が小さいということを、昨年の質疑でも指摘をいたしました。
 校内別室指導員の配置について、今年度の実績と来年度の予算額、対象校数について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 今年度、都教育委員会は、小学校百五十六校、中学校二百三十二校に支援員の配置経費を補助しております。
 来年度、都単独の事業における予算額は九億二百十六万円で、対象校は、小学校百十九校、中学校六十校であります。
 また、来年度から始まる国の補助を活用する事業の予算額は二億四千万円で、小中学校三百校を対象といたします。

○斉藤委員 今年度は、小中で合わせて三百八十八校に補助をしているということです。
 しかし、来年度の都の補助は、既に二年間補助した小中合わせて二百九校は打切りになり、百七十九校になります。
 来年度からは国の制度が始まるということですけれども、支援の数は三百校というのは、私が十一月に質疑して明らかになったとおり、今年度申し込んでも都の補助がもらえなかった学校数とほぼ同じで、さらにニーズが増えるということも見込まれて、対応できないんじゃないかというふうに思います。また申請にあふれてしまうというところがあるんじゃないかというふうに思います。
 さらに、都では、今年度までに、一校当たり二人、五百四万円を単価として支援してきましたけれども、国の制度では、国と都、自治体で三分の一ずつ、計八十万円の補助になります。これでは、ニーズにしっかり対応できるのか、心もとないといわざるを得ません。
 予算額も、今年度の十四億円から十一億円台に減額になります。
 支援をもっと拡充するべきですけれども、見解を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、校内別室指導員を適切に配置しております。

○斉藤委員 昨年の質疑でも、それをずっと繰り返されておりましたけれども、新たなニーズも含めて支援できるように、少なくとも、今、不登校のお子さんが本当に、過去最高に増えているという状況を鑑みて、今年度の予算額以上の規模で支援を行うということを強く求めます。
 最後のテーマとして、英語スピーキングテストについて伺います。
 先日の予算特別委員会では、英語スピーキングテストの当日の試験監督の緊急募集や事業者の報告書の改ざん、教育委員会や中学校からの情報や、中学生からの声などを取り上げましたけれども、それに対して、坂本教育長は、本当にいろいろとご答弁いただきました。私の質問が終わってもなお、自ら手を挙げていただき、反論もされておりました。
 それらの件に関して、今日も、教育長からたくさんお話ししていただきたいというふうに思っています。
 まず最初に、基本的なことから伺いたいと思います。本会議で教育長に再質問したけれども、お答えがなかった件についてです。
 通常の都立高校の入試に再試験というものはありますか。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜は、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に基づいて実施しております。
 この入学者選抜実施要綱では、応募資格や出願手続、学力検査等の実施、採点、選考、合格者の発表、入学手続等を規定しております。
 本要綱には、再度の受検機会に関する定めはございません。

○斉藤委員 ご答弁のとおりで、再受検というのは想定にないんですね。定めがない。今までの都立高校の入試においても、英語スピーキングテストを除いて、運営側の不手際による再試験というものは行われたことはないんですよね。
 しかし、本会議での再質問に、通常の都立高校の入試に再試験があるのかということを聞いたことに対して、坂本教育長は、追試に関わる部分でございますがと答弁されています。
 坂本教育長は、追試験と再試験の違いというのは認識されているのでしょうか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 追試験は、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に基づき実施されているものでございます。(斉藤委員「分かりました。大丈夫ですよ」と呼ぶ)よろしいですか。ありがとうございました。

○斉藤委員 今、教育長の認識を聞いたので、先ほどと同じ、部長からのご答弁はいただかなくても大丈夫です。
 教育長はご答弁されないわけですけれども、これ、ちょっとした違いのように思われるかもしれないですけれども、大きく違うんですね。公平、公正に、そして丁寧に都立高校の受検を扱ってきた都教委の皆さんなら、よく分かっているはずのことです。
 インフルエンザ等によって本試験が受けられなかった生徒に対して、追試験というものは毎回用意されていますけれども、運営側の不手際による再試験というものは、そもそも想定されていないことなんです。
 それが、この英語スピーキングテストでは、最初の年に二十七人、二年目に六十人、そして、今回は二百五十五人です。最初のときの約十倍になっている。再試験の対象者が出た、このこと自体、本当に重大な異常事態なんです。まず、その認識を坂本教育長には持っていただきたいというふうに思います。
 ここから、予特で教育長がおっしゃっていたことの確認をしていきます。
 坂本教育長は、メールの真偽ははかりかねるなどといいながら、試験当日に試験監督を募集していたことは認めました。そして、坂本教育長は、当日に急に体調不良になって監督ができないなど、突発的に対応するために、試験当日に募集したと答弁されました。
 坂本教育長は、もともと英スピの試験監督業務では、当日に体調不良などにより欠勤する者がいることを見越して、待機という職種が設けられているということはご存じですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 実施協定に基づきまして、事業者が適切に募集をしております。

○斉藤委員 予特でいったとおり、試験開始の十五分前まで呼びかけられていたわけです。それで、適切と今いいましたね。適切に募集しているんだと。これが適切なんですか。驚くべき答弁ですよ。これが都教委の見解なんですね。もうあまりに世間一般とずれ過ぎていますよ。
 待機という職種が募集されているかどうか、部長も知らないのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 今までの話は、予特から続いて、ちゃんと都教委の耳には届いているんですかね。これが適切に募集されていた、試験監督が集められていた、こういう状況と、とてもじゃないけれども、いえないと思いますよ。
 つまり、待機者を充てても足りなくなるほど試験監督が不足する、集まらない。当日、大量に欠勤する状況が生じたということです。それも一つや二つの会場ではなくて、十二もの会場で生じていました。先日の資料で出しました。このメールに名前が挙がっていない会場でも、監督した方が、監督が足りなくて休憩も取れなかったという声が届いているんです。
 ブリティッシュ・カウンシルが、協定に基づいて責任を持って試験を実施できていない、適切に集められていないということは明白です。
 大体、当日、大量に欠勤するなどの無責任な働き方が許される雇用の仕方は、真剣に受検に取り組んでいる中学生を相手にした入試に関わる試験で、あり得ないことだというふうに思います。
 坂本教育長は、全くこうした現場の状況を理解していないのか、もしくは、ご答弁の中で、逐一業者とはいろいろなやり取りをし、いろいろつぶさに調べているというふうに発言されていますので、現場の状況を知っているのに、英語スピーキングテストを何が何でも進めたいから、見て見ぬふりをしているということのどちらかですよ。どっちもひどいといわなければなりません。
 そして、坂本教育長は、試験当日のお昼、十二時過ぎに緊急募集された件について、今回の場合は会場の誘導係だということ、監督は間に合ったようだといっていましたが、その根拠は何ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 必要数を確保するというのを、ずっと何か月も続けている答弁ですね。今こういう事態を目の前にしても、それしかいえない。もう本当に恥ずべき姿だというふうに思いますよ。
 もともと、この英スピの試験会場の仕事として募集されている職種というのは、副責任者、本部要員、試験監督、補助監督、会場係、待機の六種類です。議会では、まとめてこれらを試験監督と呼ぶことが多いですけれども、予特で示したこの資料ですね、今もありますけれども、ここで呼びかけられている内容は、本部要員と試験監督、補助監督、会場係の四種類しか書いていません。
 つまり、もともとの募集を転用したものではなくて、当日の緊急募集用につくられた文章だということが分かります。試験監督も不足しているから、できる人がいればやってほしいという文章であるということは明白だというふうに思います。
 実際には、試験監督が不足していて、本部要員だったのに、急に試験監督に回された、試験監督が不足して、教室を掛け持ちして監督したという話を、私たちは直接、試験監督の方々から聞いています。
 坂本教育長は、現場はそういう状況だったという認識もないのでしょうかね。
 大体、十三時、午後の一時に試験が始まってから会場に来た人に監督を任せられるというわけがありません。そうやって監督以外の仕事だった人を監督に回して、当日応募してきた人は会場係に回ってもらうと。
 そういう話はあったかもしれませんが、それを会場係だから問題ないという答弁をしたという、この教育長の認識はとんでもないと思いますよ。会場係だから難しいスキルやノウハウは必要ない、だから当日募集でも問題ないといわんばかりの教育長の発言に対して、保護者から怒りの声がネットで上がっています。誘導くらい、誰でもできるでしょうという認識に腹が立ちます、誘導だって未成年者と接触するし、誘導から入試は始まっているんですという声です。
 そして、この緊急募集されたメールについて、坂本教育長は、真偽が分からないと繰り返しました。これ、議場でも、予特の議場でもいいましたけれども、これは、この文教委員会で、十一月末の質疑で、とや理事が既にここでやり取りしている話なんです。なぜそれを確認していなかったのですか。
 どうですか、教育長。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 あのね、今の状況は答弁不能というんですね。まともに答えられない、だから理が合わない、そういう答弁を繰り返している。そういうことですよね。
 教育長が、自分がご自身で答弁した内容に一切何も答えない。自分の言葉に責任を負わないというのは、本当に教育者としてあるまじき姿だというふうに私は思いますよ。
 二月十三日のMXテレビでは、三人の試験監督が証言しています。ある会場では、試験監督等五十五人中十二人も欠勤し、試験の各部屋に人が配置できなかった事例が報道され、私たちも直接お話を伺っています。
 それでも、近隣の会場の方が人手不足で、さらに四人が別の会場に回されたということも聞いています。
 各部屋に人が配置できないほど試験監督が不足していたことが適切な状況といえるのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 全くかみ合っていない答弁で、これは答弁不能に今、陥っているわけですね。
 さらにありますよ。別の試験監督からは、英語スピーキングテストが入試に関係するテストだとは知らなかったということが証言され、報道されています。
 この方は、試験の三日前に申し込み、前日に研修動画が送られてきたので、適当に見た、車を運転しながら流し聞きをしたというふうにいっています。
 試験監督が入試に関係するテストだと知らない。この状況は適切だといえますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 これ、どんな事象が報告されていても、適切だった、事業者が行うものだというふうに、向き合わない答弁をするわけですね。
 ブリティッシュ・カウンシルの基本協定には、試験監督や補助員の研修についてのスケジュールが示されています。皆さんもご覧になっていると思いますけれども。
 実際には試験監督の募集が当日にも行われたり、研修もまともに受けていない状況というのは、協定違反ではありませんか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保しております。

○斉藤委員 協定に基づきといっていますけれども、協定どおりになっていないんじゃないのかという話ですよね。
 ちゃんと協定には……(資料を示す)これは黒塗りがすごいですけれども、協定には、八週間から三週間前にオンライントレーニングをやるとか、そういうスケジュールが書いてあるんですよ。全然そのとおりになっていないじゃないですか。
 都立高校の入試に使われるテストだということさえ知らないで来ているという、その証言を私たちも直接伺っています。
 それから、MXテレビで報道された試験会場での報告書の改ざんについて、教育長は予算特別委員会で、最終的には台数の確認を行うことになるため、この記入用紙に書換えを行うこと自体は全く無意味な行為だといいました。それはどういう意味ですか。
 タブレットの台数を報告用紙に記入してから台数を確認するということなんですか。教えてください。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事実関係が確認できないテレビの報道につきましては、お答えを控えます。

○斉藤委員 調べたらいいじゃないですか。事実関係が確認できないと、今、部長はおっしゃいましたけれども、教育長は細かく答えましたよね。この記入用紙に書換えを行うこと自体は全く無意味な行為、こういったんですよ。せめて、これについては説明ができるんじゃないですか。
 教育長、どうですか。教育長の言葉ですよ。教育長、一つぐらい説明したらどうですか。教育長の発言です。部長も大変でしょう、説明するの。どうですか、教育長。教育長に聞いています。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 教育長の申し上げたとおりでございます。

○斉藤委員 意味が分からないから、それを説明してほしいんです。
 説明できますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 改ざんの事実が確認できない以上、教育長の答弁のとおりでございます。

○斉藤委員 まず、二点いいたいですけれども、調べるべきですよ。分からないといい続けるんじゃなくて。
 それで、もう一つは、坂本教育長は詳しくいったわけですよ。それは何ですかという話ですよ。
 これ、あの後に、教育長の答弁を受けて、試験監督の方に再度お話を伺いました。当然ですけれども、現場では、タブレットの状況について、数えてから報告用紙に記入するんですね。普通に考えてもそうですよね。記入してから台数を確認するって、どういうことですか。数えたことはどこに行っちゃうんですか、じゃ。何か普通に考えても、つじつまが合わない答弁ですよね。
 これは、私、教育長の答弁は、事実に基づかない、その場のいい逃れだったんじゃないかといわざるを得ないと思いますよ。部長だって説明できないんだから。
 しかも、書き換えたことに意味があるかどうかではなく、試験監督が改ざんしていること自体が問題だというふうに思いませんか。
 認識を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 改ざんという事実は確認できておりません。
 報告書に基づいて何らかの記入が行われていると思っておりますがと、このくだりでありますが、最終的には台数の確認を行うことになるためというふうに申し上げたまでで、斉藤委員の申したとおり、会場での確認と、何ら不一致が起こるものではありません。

○斉藤委員 あのね、報告書を改ざんしたとしても、その後に数を数えるといっていて、それはつじつまが合わないじゃないですか。
 改ざん自体を、あったことを調べて説明する責任は都教委ですよ。MXテレビで報道されたことで、直接、証言者の人たちだって話していることを、それを否定するというのは本当にひどい状況だと思いますよ。
 MXテレビでは、この種の委託が重層下請という構造で、下の業者というのは、トラブル等があっても、仕事を受けるために問題ないと隠したくなる構造だということも指摘をしていました。今後、もっと重大なトラブルが起こる、トラブル隠蔽が起こる可能性もあると思います。
 それを適切だといい切って直視しない都教委に、この受検に関わる英語スピーキングテストを続ける資格はないというふうに思います。
 次に、中学校や教育委員会からの情報について伺います。
 私は、試験監督などによるどんなミスがあったのか、詳しく聞きました。
 試験監督が、用意、始めの合図、ハンドシグナルが必要なんですが、これを忘れて、指示を待っていて回答ができなかった、また、試験監督の声が小さくて始めるタイミングが分からなかった、さらに、試験監督が操作開始の合図を早く出してしまって開始のタイミングが適切ではなかったという具体的なミス、これは中学校や自治体の教育委員会なんかには届いているんですね。
 試験監督が試験開始の合図も満足にできない状況を、都教委は適切だというふうに判断しているんですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 まず、改ざんの事実は確認できておりません。
 事業者は、協定に基づき、試験監督等に対して役割に応じた研修を実施し、試験当日は、定められた運営方法に従い試験を実施しております。
 事業者は、協定に基づき、監督者等に対して役割に応じた研修を実施し、試験当日等は、定められた運営方法に従い試験を実施しております。

○斉藤委員 あくまでもいい張っているんですけれども、都教委から教育長会に二百五十五人が再試験の対象になったという報告をした際に、改善を求める申入れが口頭でされている。
 これは事実ですよね。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 教育長会とは、常日頃から意見の交換をしております。

○斉藤委員 そんなのは分かっているんです。
 だから、その場で、口頭で改善申入れを受けたでしょう。これを受けたのは山田部長なんじゃないですか。グローバル人材の担当者だと聞いていますよ。
 その場で、その申入れはどんな内容だったのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 教育長会におきましては、スピーキングテストの意見交換は随時しております。

○斉藤委員 今の答弁をもう一回お願いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 教育長会におきましては、スピーキングテストに関わることに関しまして、随時、意見交換をしております。

○斉藤委員 だから、その意見交換の場で、どんなことが指摘されたのか、どんな改善を求められたのかと聞いたんです。
 答弁できないのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 教育長会の場で、スピーキングテストにつきましては、随時、様々な意見交換をしております。

○斉藤委員 答えないわけですね。
 私、これは重大だと思いますよ。教育現場から上がっている声に、なぜ都教委が向き合わないのですか。真摯に受け止めて、改善するならする、そういう姿勢を見せなきゃ駄目じゃないですか。教育の現場の人たちは、どこに声を上げればいいのですか、都教委がこんな状況だったら。
 だから、皆さんのところには声が集まらなくて、私たちのところにはいっぱい来るんですよ。試験監督の皆さんだって、そうですよ。
 今の都教委の姿というのは、本当に、子供たちに到底見せられない、大人のひどい姿だと思いますよ。
 もう一つ、坂本教育長の答弁から伺います。
 私は予算特別委員会で、最後に中学三年生の声を紹介しました。スマホもない状態で何時間も待たされた挙げ句、別室に再受験とされた受験生、あまりに段取りが悪過ぎます、こんなテストを行うなんて税金の無駄遣いとしか思えません。そういう声を私が紹介したことに対して、坂本教育長は、段取りが悪いからといって、スピーキングテストを認めない考え方はあり得ないと力強くいいました。私が質問を終えても、手を挙げてそれをいったんです。
 一つは、段取りが悪いということを認めたということは重要だと思います。しかし、実際に大きな負担を負わされた中学生の声に対して、私はよくそんなことがいえるなと思いました。それが教育長として、大人として、迷惑をかけた子供たちに向ける言葉でしょうか。
 被害を被った生徒の声を受け止めることもせず、生徒の声はあり得ないと否定するのは、教育長の姿勢として適切でないと思いますが、どうですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び会場に派遣した都職員から、適切に実施されたとの報告を受けております。
 今後、よりよい試験になるよう改善に努めてまいります。

○斉藤委員 一つや二つの声じゃないわけですね。試験を受けた中学生、保護者の皆さん、教育現場、中学校、そして自治体の教育委員会、さらに試験監督たち、そういうところから上がっている一切のことについて、耳を塞ぐ、口をつぐむ、こういう状況じゃないですか。
 中学生の声は、ほかにもあるんですよ。たくさんあります。
 少し紹介しますけれども、別の中学生です。あまりにずさんな運営で驚きました、受検生の貴重な時間を何だと思っているのでしょうか、入試に必要なレベルで公正、公平に行われていません、運営側、試験監督側の配慮がなさ過ぎて、中学生に過度な負担がかかっています、今のやり方だったらスピーキングテストなど意味がないと思います。
 それから、もう一人、違う人、中学三年生です。大人が三人もいたにもかかわらず、どんなトラブルがあったのかなど報告してくれなかったので、ただ待たされていて苦痛だった、どの人も分かっていないことが多くて、こちらも不安になる要素がかなり多かった。こういう声ですね。
 試験監督の方からも、マニュアルが教育現場のことを全く理解していない人が書いたのだということがよく分かる、もうやめてほしい、子供たちがかわいそう。これは試験運営関係者です。
 それから、保護者。この子供の話を聞いて、試験監督が手順を理解していないのではないかと思った、公平な条件下での試験が実施できないのなら、受検に使用しないでほしい。
 もう一つ、保護者。こんなことのために、学校外でも準備したり、この時期に半日拘束される中学生も、そして、経緯を伏せて、ただ大金を使われてしまう都民全体もばかにした仕組みだと思います、断固としてスピーキングテストの実施をやめるべきです。こういう保護者の声。
 こういう声を一切受け止めず、都教委以外はみんな声を上げているのに、それに向き合わない。これは本当にあるまじき姿だと思いますよ。
 最後に、おとといのニュースから、ブリティッシュ・カウンシルの財務状況について伺います。
 ブリティッシュ・カウンシルは、資金繰りの悪化で三百八十億円の負債を抱え、財政危機に陥っているということを産経新聞が報じました。
 都教委は、一月末に、ブリティッシュ・カウンシルから財政状況についての報告を受けたということですけれども、どんな話だったのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 本年二月六日に、事業者から、英国においてブリティッシュ・カウンシルの財政状況について報道されているが、財政的には全く問題なく、中学校英語スピーキングテスト事業は、引き続き最優先事項である旨の報告を受けております。

○斉藤委員 財政的には全く問題がないという報告を信じているんですかね。
 新聞の取材に、ブリカンは、財政的な課題は存在すると認めているんですよ。報道されています。現に、英国紙のガーディアンは、世界四十か国で活動を停止して事業を縮小しているということ、ブリカンのことを報道しています。
 通常、都が行う契約では、相手側の財務状況を調べます。都教委としてブリティッシュ・カウンシルの財務状況を調べるべきではありませんか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 本年二月六日、事業者より、英国においてブリティッシュ・カウンシルの財務状況について報道されているが、財政的には全く問題がなく、中学校英語スピーキングテスト事業は、引き続き最優先事項である旨の報告を受けております。

○斉藤委員 私の今の質問は、財務状況を調べるべきではありませんかといったんですね。もう答弁不能に陥っていますよね。
 都教委は、そもそも地方自治法に定められた入札制度を使わずに、通常は必要な債務負担行為さえ行わず、六年間で二百十億円を支払い、協定を結ぶという、脱法的な契約を行っています。
 しかも、この英語スピーキングテストの運営事業者に応募したのは、このブリカン一者のみでした。都教委としては、英スピを続けようと思ったら、このブリカンに頼らざるを得ない状況なわけですね。だからといって、ずさんな試験運営にも、財政状況の悪化にも目をつぶるということでは、もう本当に中学生や都民への責任を果たせないというふうに思います。
 これまで述べてきたとおり、当日の試験運営も満足に行えない。そして、試験当日だけではありません。受験者の登録の段階から、二重登録や個人情報の漏えいなどで、中学生、保護者、中学校は多大な被害を受けました。そして、今度は経営危機です。幾らブリカンが大丈夫だといっても、都民は信用できるものではありません。運営だって、協定どおりにできていないのは明らかじゃないですか。
 それを、何が何でも英スピを続けたいがために、試験は適切に実施されたということをいい張る。協定に基づいて事業者がやるもの、こういうことしかいわない。そして、ブリカンの財政状況も調べない。そんなことは、本当に許されないと思いますよ。
 多くの関係者、中学生を含めて声が上がっている、これに一切耳を貸さずに、どんなに理が合わなくても強行する。これは、子供たちにとって一番教育的によくない大人の事例じゃありませんか。教育者として、あるまじき状況だと思います。
 ブリティッシュ・カウンシルとの契約は解除し、英語スピーキングテストは中止することを強く求めて、質問を終わります。

○風間委員 私からも、じゃ、続きなので、英語スピーキングテストについて伺います。
 さきの本会議一般質問でも、私の方から英語スピーキングテストについて何点か伺い、教育長からも答弁がありましたけれども、一番最初に確認をしたのが、さきの文教委員会でも事例として出された、機器トラブルによって教室内待機となった際に施錠したという事例があると。そこにいた生徒たちは、ある生徒は閉じ込められたと感じた、こういったことについて私は問うたわけですね。生徒が閉じ込められたと感じている以上は、これはもう人権問題なんじゃないですかということを申し上げたわけであります。
 そのことに関して、都教委は把握しているのかと伺ったところ、閉じ込めた事例はないという答弁でした。
 意図的に閉じ込めたのでないかもしれませんけれども、教室の鍵を閉めたという事例があることは把握しているのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 そのような事実は把握しておりません。

○風間委員 閉じ込めた事例はないといい張っていながら、鍵を閉めた事例があるかどうかは把握していない。
 一般質問で、私、申し上げましたけれども、把握していないのにもかかわらず、適切に運営されたといい張っている根拠は何ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事実関係が確認できないものについて、答弁は控えます。
 もう一回いいますが、事実関係が確認できないものについての答弁は控えます。

○風間委員 事実関係が把握できていないものがあって、こういった告発があるのであれば、適切に運営されたと断言することはできないはずですよね。
 一般質問でも申し上げましたけれども、適切に運営されたと自分たちで評価をしている根拠を私は伺っています。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 そのような事実はありません。
 まず、よろしいですか。何回も申し上げますが、事実関係が明らかでないものについての答弁は控えます。

○風間委員 今、事実はありませんとおっしゃいましたね。でも、鍵を閉められたという告発が届いているわけです。じゃ、これは生徒がうそをついているということなのでしょうかね。ないといい切りましたからね。
 以前もありましたけれども、イヤーマフで、音漏れで聞こえたということを以前指摘しました。そんなはずはないという答弁もありました。そのときに、じゃ、生徒がうそをついていることですかと問うたら、その後、聞こえることもあるという答弁に変わったんですよね。
 同じことが起こらないといいなと思いますけれども、もう一度確認します。
 本当に鍵を閉めたという事例はないのですね。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 内側から――よろしいですか。内側から鍵を閉めたというふうに、我々は皆さんの方から指摘をされております。よろしいでしょうか、それで。はい。(発言する者あり)内側から、はい。
 閉じ込めた事実とはなりません。

○風間委員 ちょっと意味が分からないのですけれども、鍵は外側からも閉められるでしょうけれども、外側から閉めるといったら、鍵でわざわざ閉めるということですよね。
 内側にいる試験監督が鍵を閉めたという告発があったわけであり、その事例はないという答弁を先ほどされました。
 それが本当にないのかどうか、もう一回確認します。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、事実関係が確認できないものに対する答弁は控えます。

○風間委員 ころころ変わりますね。先ほど、ないといったんですよね。事実関係が確認できないではなくて、鍵を閉めた事例はないと断言をされたわけですから、じゃ、それは生徒がうそをついたということになるわけですね。まず、じゃ、そこは確認をしておきましょう。
 続いて、この間、適切に行われたということを繰り返してきているわけですけれども、私が一般質問で挙げた事例については、この英語スピーキングテストの議連に入っていない大きな会派の方からも、それはひどいよねという声が漏れ聞こえてきているような状況でありますから、本当にひどいことだなと思います。
 それを一つ一つ、適切だったのかどうかをちょっと確認していきたいので、十一月二十四日の、別室受験をさせられて二時間ほど帰宅が遅くなったある生徒の話です。
 再試験日の二日前、十二月十三日の夜に、都教委から突然電話で、再受験しなければ零点だと電話がかかってきたそうですね。
 こういった、生徒自身に瑕疵があったわけでもないのに、前々日の夜に、再試験を受けなければ零点だというような連絡をすること自体が適切なのでしょうか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 生徒が了解した上で、保護者の方から私のところに連絡が来ているので、事実です。
 この事実が適切だと捉えているのかどうかということを聞いて答えられないということは、適切じゃないということの解釈でよろしいですね。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 事実に対して適切かどうかも答えられないということ、適切といえるわけがありませんよね。前々日の夜に電話がかかってきて、零点だと。
 じゃ、その方の、その後どうなったかということも一般質問で紹介をしました。保護者の方も納得がいかないので、翌日、連絡先と聞いたところに電話をして、細かく、どう対応してもらえるのか確認の電話をしたところ、一時間半たっても、何回かけても電話がつながらない。
 連絡先として紹介されたのに電話がつながらない、試験は翌日だ。こういった対応をすることが適切ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきまして、生徒への配慮が必要なことから、説明を控えます。

○風間委員 これも、一般的に考えて適切な対応とは思えないですね。
 ようやくつながった、その際に……(「つながったんだ」と呼ぶ者あり)つながりました。つながって、翌日、その試験直後に大事な塾がある、だから何とかしてほしいということで相談をしたところ、当初、対応に対してはできないような反応だったということですけれども、最終的には、その受験生が再受験を受けた後に、塾まで送ってくれたということのようです。
 こういった個別対応をすることは適切ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、私どもから、生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容については、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 これも適切とは、一般的な感覚でいえば理解されないことだと思いますね。
 十五日のその送ってもらった際に、納得がいかないので、上長に連絡をよこしてくれと、この保護者の方はいったそうです。求めたにもかかわらず、私が一般質問をするときまで、ずっと連絡はないままですと。
 これ、適切な対応ですか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、生徒の個別具体的な内容については、答弁を差し控えます。

○風間委員 二か月以上ですね。十二月十五日の試験から私が質問した二月二十七日まで、連絡を一切しないと。あまりにも不誠実、不適切。不利益を被った受験生、保護者に対して不適切な対応だったのではないかと思いますよ。
 それが答えられないということですから、この後どうなったのかなと思いましたところ、二月二十七日、私が一般質問したのは十六時頃だったでしょうか。その後、二十七日の十八時頃に電話かかってきたそうです。
 私の一般質問を聞いて電話をかけてきたのですかね。かけることにしたのですかね、都教委。
 これが適切ですか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 忘れていたということなのですかね。
 電話がかかってきて、その言い訳。それは、試験当日にその受験生を無事塾に送っていったことで、安心して抜け落ちたと電話でいったそうです。
 これ、適切ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 何度も申し上げますが、我々の立場から、生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 それから、さらに、何でこんなことになったのかということをその電話で聞いたところ、娘が二回の試験を受けなくてはならなかった理由は、録音データが取れていなかったからだといわれたそうです。
 別室受験をさせられて終わったと思っていたら、録音データが取れていなかったことが分かり、再受験日前々日の夜に、再受験しろ、しなければ零点だという連絡をしたということになります。
 これが適切な対応ですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 我々の立場から、生徒の受験状況に関わる個別具体的な内容につきまして、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。

○風間委員 さらに、今回、こういった問題になった理由は、今年度から事業者が替わったことによって、トラブルの原因の一つだったというようなことを保護者に説明をしたそうです。
 事業者を選定したのは都教委ですが、この事業者選定は適切だったのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者の選定は適切でございます。

○風間委員 これだけの具体的なトラブルの事例が出てきて、不適切な対応、現場の対応もたくさん出てきていながら、これは織り込み済みだったということなのでしょうか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 機器の不具合や現場対応の誤りなどが生じた場合につきましては、ルールにのっとり、再度の受験機会を設けております。

○風間委員 私が伺ったのは、事業者選定が、こんなことがあっても適切だったのかということを伺っています。
 先ほど、ブリティッシュ・カウンシルの財政状況ということの報道もありましたけれども、そこで報じられた産経新聞の中にも、ベネッセは二年で撤退した、採算が合わないからだろうと、この記事の中には書かれていますけれども、これだけの大人数を一度に受験させる、その運営を行うということは、相当に大変なことだと思いますし、当然これだけのトラブルが出てくる。
 むしろ、ベネッセの方が、この運営に関するトラブル件数は少なかったわけでありますから、ブリティッシュ・カウンシルが来年度これをやったとして、このトラブルがきちんとシュートできるのかどうかということは、私たちはもう無理ではないかと感じるわけですね。
 これはブリティッシュ・カウンシルだけではなくて、今の対応事例については、東京都教育委員会内部の対応もかなりあるわけです。電話対応をしているのも、送っていったということも、上長に報告をしなかったということも――上長が連絡をしなかった、保護者を待たせ続けていたということ、そして、鍵を閉めたという事例についても、生徒から声が上がっているにもかかわらず調べないということ、試験監督がこのような改ざんを行ったということを告発していながら、それを調べないのも都教委ということになります。
 都教委の問題でもあるわけですけれども、都教委は、この対応全てを含めて、今回のこのテストは適切だったのですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 正しい情報を基に議論をしたいと思います。
 まず、ベネッセが撤退したという事実はありません。そのことを報道するのもいかがなものかと思います。
 続きまして、ブリティッシュ・カウンシルの財務状況について報道されておりますが、財政的には全く問題がなく、中学校英語スピーキングテスト事業は、引き続き最優先事項である旨の報告を受けております。
 報道については、いま一度、確認をお願いいたします。
 ブリティッシュ・カウンシルの選定につきましては、適切に行われております。

○風間委員 私たちは都民の代表としてこれを質問していますから、都民の税金を使ってこのスピーキングテストを行うということが本当に適切かどうかということ、都教委は適切だったと自己評価をしているようですけれども、これだけの事実が、報告を私たちの方にはなされているということを鑑みれば、とても適切だったと判断することはできません。
 ブリティッシュ・カウンシルの都教委への報告は、財政上問題ないという報告だったとか、運営事業者からの報告によれば、適切に運営されたという報告、真に受けているのか分かりませんけれども、全て相手側からの報告をうのみにしているのかもしれませんけれども、そういったことを総合的に私たちは客観評価をしていく必要があると思うので、事実確認をしようと、この委員会の場で一つ一つ確認をしたわけであります。
 本来、そういった事実確認をすべきは都教委の方でありますから、私たちは当事者から聞いている話。これが事実ではないというのであれば、それが事実でないということを証明する必要があるでしょうし、生徒が閉じ込められたと感じた、鍵を閉められたといっているのに、その事実がなかったということについては、生徒がうそをついていたということなんですねということで都教委は解釈していると捉えられても仕方がありません。
 いずれにしても、ブリティッシュ・カウンシルがこのまま事業を継続していけるのかどうかということも危うい状況ですし、これだけトラブルがありながら、それをきちんと解決できるめども立っていないという状況の中で、来年度、また同じことが繰り返される、予算化しているという状況ですけれども、到底認められるものではないと私は思いますね。
 ですから、もうこの事業は、実質、詰んでいるんじゃないですか。もう詰んでいますよ、本当に。
 また来年、新たな中三生が同じような犠牲が生じるかもしれない、出てくるかもしれないと思ったら、とても中学三年生の都立高校入試、人生がかかっていますから、このことを考えれば、やるべきではありません。
 英語教育は、もちろん重要です。英語スピーキングテストをやること自体は、これを都立高校入試に反映させないということなのであれば、また英語教育の一手法としてあり得ることだとは思いますけれども、このような受検生の人生に関わるようなこと、これは来年度はやめるべきだということを申し上げておきます。
 じゃ、次の質問に行きますね。
 特別支援教育について、まず、先ほど説明があった東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(案)について伺います。
 これまでもインクルーシブ教育の推進だとか医療的ケア児童への支援、特別支援教室等、質疑を重ねてきましたけれども、この計画案本文内にも、自閉症・情緒障害学級については記載が見当たりませんでした。
 これに限らずですけれども、特別支援学級については、一部、知的等が記載されているというところであるわけですけれども、市区町村教委がこの学級を設置する際に、都教委は教員を配置すると認識しておりますけれども、この教員配置、専門知識を有する教員が配置されるのかどうかというのを確認しておきます。

○吉村人事部長 公立小中学校の教員配置に当たりましては、区市町村教育委員会とのヒアリング等を通じ、各学校の実情や教員の専門性等を把握の上、適材適所の配置を行っております。

○風間委員 そういうものだとは承知しておりますけれども、特別支援教育の特別支援学級の中でも、特に自閉症・情緒障害学級というものを設置するという際には、やはりその子供たちへの対応というのはスペシャリティーなものが必要かなと思うわけですね。
 では、ここの教員として配置される人は、教員は、特別支援教育の免許保持者なのでしょうか。確認します。

○吉村人事部長 小中学校における特別支援学級の担当教員につきましては、教育職員免許法上、特別支援学校教諭免許状の保有は要件とはなっておりません。
 なお、都教育委員会では、特別支援教育の専門性向上の観点から、小中学校の特別支援学級の担当教員に対しまして、特別支援学校教諭免許状の取得等を支援しております。

○風間委員 ありがとうございます。この計画案というものが出されて、特別支援学級についてはあまり記載がなかったものですから、この教員の配置というところについては、都教委は十分関わっていることだと思いますので、この辺りもぜひ記載をしていただければなと思います。
 続いて、奨学金の返済支援について伺います。
 先ほど質問がありまして、詳細な答弁がありましたけれども、私の方からは、懸念としては、隣の千葉県、千葉市と試験日が重なっているということから、優秀な受験生が千葉の方に流れてしまうのではないかという懸念から、昨年のこの文教委員会でも質疑を重ねたところであります。
 二分の一でも、半歩前進ということで捉えておりますけれども、なぜ二分の一なのかということを伺います。

○吉村人事部長 教員、技術系職員向けの奨学金返還支援は、貸与型の奨学金を借りていた学生が都内で勤務する教員や技術系公務員となった場合、総合的に判断した上で、その半額を都が本人に代わって返還するものでございます。
 なお、都の公立学校教員向けの奨学金返還支援におきましては、全ての校種を対象とするほか、社会人経験者や、無利子だけでなく、有利子の奨学金を返還する場合も対象とし、幅広く支援することとしております。

○風間委員 懸念は、その千葉県、千葉市というところですから、半額だから千葉県の方に行っちゃおうということがないといいなと思うわけなので、来年度の応募状況なども見ながら、特に私の懸念は小学校の教員の応募者減ということですから、その辺りも、今後、重々、二分の一が適切かどうかということも検証してもらえればと思います。
 ちなみに、正規の採用だと認識しておりますけれども、正規の採用で不合格となった新卒の教員志望者が会計年度任用の教員になったりするなんていうケースは、私の周りにも結構いましたけれども、こういった教員は対象となるのかどうか、確認します。

○吉村人事部長 会計年度任用職員は、本事業の対象外でございます。

○風間委員 やはり、ある程度の教員の質の確保という意味においては、正式な採用試験で合格をした、そして長く続けてもらえる、そんな先生方を支援していくという意味で、再度チャレンジもできることだと思いますので、そういった制度が望ましいかなと思います。
 続いて、不登校の児童生徒の対策という観点で伺いますけれども、不登校児童生徒が増加していて学びの個別最適化ということで、その需要はますます増加傾向にあるものということから、私も学びの多様化学校に関する質問等も行ってきたところですけれども、先ほど質問がありましたように、校内別室指導支援員配置事業については二年で終了になってしまうというところから、三年目から継続が困難だという声が自治体の方からも一部届いていたりします。
 これで断念せざるを得ないというような自治体も出てくるのかなと思いますが、その件について、都教委はどのように考えていますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 校内別室指導支援員の配置は、校内別室の設置を促進するため、指定する学校へ支援員配置の経費を二年間補助するものであります。

○風間委員 もともとそういう制度で、三年目からは自律運営していくという前提だったというふうにも聞いておりますので、都教委の見解は分かりました。
 一方で、別室指導するスタッフの質の問題があるのではないかという声も届いています。自治体によっても、その要件等はばらばらと聞いておりますけれども、やはりセンシティブな教室内に入れない子供たちがこの別室指導を利用しているということを考えると、相応のスキルも持っている方々でないと、ちょっと務まりにくいのかなと考えるところですけれども、この質の問題については、都教委としてどのように考えていますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、令和五年度から、別室指導を行う支援員に対してオンデマンド研修を実施し、不登校の子供に対する効果的な取組を共有するなど、個々の対応力を高めております。

○風間委員 取り組んできたんだというお話でしたけれども、それでも、やっぱり不適切な指導を行っているような事例を伺ったこともありますので、引き続き、その辺りは強化していくように求めておきます。
 こういった不登校傾向にある子供たちの支援という意味では、バーチャルラーニングプラットフォームという取組も都教委はしているかと思います。
 今年度は、どれほど活用されているのかということを伺います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会では、都内二十八の自治体にバーチャルラーニングプラットフォームを提供し、この中に相談コーナーを設けるほか、アバターを用いて、子供が交流を深め、共に勉強する仕組みを導入いたしました。

○風間委員 今年度は、どれぐらいの児童生徒がこれを利用した、活用したのでしょうか。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 令和六年度、自治体等に配布しているアカウント数は三千八百六十でございます。

○風間委員 学びの個別最適化という意味では、不登校傾向にある子供をこのような形で支援していくというのは大変に重要だと思います。その先、高校も通信制を選ぶ子たちも増えてきているような状況ですから、引き続き、こういった取組を進めてもらえればなと思います。
 進路の話になりましたので、そういった不登校の子たちが進路選択としてチャレンジスクールを希望するという話を度々耳にしますけれども、チャレンジスクールに行きたいんだけれども、倍率が高くて行けないかもしれない、入れないかもしれないという相談の声がよく届くようになりました。
 私も先日、チャレンジスクールの卒業式に行ってきましたけれども、三年生の卒業生と四年生の卒業生が一緒に行う。中には、苦労して六年間をかけて卒業した人もいるんだというような校長先生のお話、非常に温かい卒業式で、これこそ、まさに学びの最適化が高校内でなされているのではないかと。今後、このチャレンジスクールというものは、入学希望者も非常に増えていくんだなと思います。
 一方で、不登校の子が優先というような話も聞こえてくる中で、自分は学校に行ったり行かなかったりだけれども、受検資格はあるのだろうか、不登校の子が優先だと自分は入れないんじゃないか、こんな心配の声も届いてきたりしたわけですね。
 不登校の子専門の学校という認識を持っている生徒もいるのかもしれませんけれども、改めて、チャレンジスクールの位置づけと、その入学者選考についてどのような状況なのか、確認します。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールは、小中学校で不登校経験があるなど、これまで能力や適性を十分に生かし切れなかった生徒が、自分の目標を見つけ、それに向けてチャレンジする都立高校でございます。
 チャレンジスクールの入学者選抜は、学ぶ意欲や適性を見るため、学力検査や中学校からの調査書によらず、志願申告書、個人面接及び作文により行っております。

○風間委員 通知表がつかない、バーになってしまう子たちも、不登校の中には一定数いるかと思います。そういう子たちでもチャレンジできる制度だということで、今後、大変にニーズも大きくなってくるだろうと思うわけですね。
 こういったチャレンジスクール、朝起きられない子たち、二部からなら行けるかなとか、三部からなら行けるかなとか、そういった子たちもチャレンジしているというふうに聞いています。
 今後、こういったニーズに応じていく必要があると考えますけれども、都教委の見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 都教育委員会は、昨年十月に策定した都立高校におけるチャレンジサポートプランにおきまして、困難を抱える生徒の増大や多様化する生徒のニーズに応えるため、チャレンジスクールの規模拡大等を行うこととしております。

○風間委員 一方で、すぐに新しいチャレンジスクールができてくるということにもならないかと思いますけれども、これだけ倍率も上がっているという状況の中で、特に不登校の傾向の子供は、一般受検だと、通知表の成績がついていないからもう無理だと、はなから諦めていたりということで、チャレンジスクールに落ちちゃったら、もう行き場がない、通信制高校といっても、私立だと、やっぱり一定額以上のお金がかかってしまうのではないか、こんな懸念の声も聞こえてくるところなんですけれども、こういったところ、チャレンジスクールを希望しながら不合格となってしまった生徒の受入れについては、都教委としてどのように考えていますか。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールに入学できなかった生徒につきましては、募集定員に余裕のある昼夜間定時制高校や全日制の高校など、都立高校全体で受け入れていくことが可能でございます。

○風間委員 東京は広いですから、あっちの高校は枠が空いているから二次は行けるよということであっても、路線を考えたら、とても通えないなんていう話もよく聞こえてくるところでありますし、やはりこの辺りのニーズが高くなっているということも含めて、今後、チャレンジスクールを増やしていくことを計画していってもらえればなと思います。
 入試の話になりましたので、都立高校の入試のことについてもちょっと伺います。
 私学の無償化ということで、都立高校の倍率が今回低下したということも少し報じられていたところであります。
 代表質問でも、都立高校の存在意義というものを私たちは聞いたところですけれども、それぞれの特色をもって、生徒たちが自分の希望校を目指してチャレンジをしていくということでありますけれども、よい取組を行っているそれぞれの都立高校の応募倍率が低下していく、このまま私立に大量に流れていく懸念もあるわけでありまして、その要因について、都教委は、今回の倍率低下、この件についてどのように捉えているのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 中学生が志望校を選択する上では、将来の進路や学校行事、部活動を含めた教育活動の内容など、様々な要素を踏まえて決定するものでございます。
 このため、応募倍率が低下した要因についても、それぞれの個別の事情が影響しているものと考えております。

○風間委員 そうなんですよね。私も中三生の保護者でありますから、同級生の子たちからの声だったりとか、保護者の声とかを聞いていると、やっぱり私立で早いうちに決まってしまった方が、授業料がどっちにしろかからないのであれば、そっちにしてしまおうという声が、本当に今年は多かったわけですね。
 都立高校にチャレンジするのは、ちょっとリスクが高過ぎる。もちろん、最初に推薦があって、でも推薦を取れるほどの成績はない、一般となるとちょっとリスクが高い、落ちた場合にどうしようということで、もう私立で決めてしまうなんていう話もよく聞いてくるわけです。
 都立高校の入試の在り方、これまでも様々工夫してきたことと承知をしておりますけれども、受検生の心情からすると、少しハードルは高いけれどもチャレンジングな受検をするとなったときに、落ちた場合に、本当に都立高校へ行きたいのに、リスクが高過ぎるということで志望校を一段階下げてしまうだとか、それでも、私立の併願が取れているからチャレンジするんだとか、そういったことで、かなり心を痛めているというような話も聞こえてくるところです。こういった私立無償化の流れ――受検生にとっては、都立高校が自分の力に見合ったところに行けるような制度として、学識経験者等が提言をしているわけですね。
 最近ですと、DA方式といったようなものも含めて提案をされていたりするところですけれども、こういったものの研究については、都教委としては進めているのかどうか、伺います。

○村西都立学校教育部長 現行の都立高入試では、都内の中学生の高校進学に係る状況などを踏まえ、今、理事からお話のありました推薦入試や学力検査による第一次募集、第二次募集等も実施しておりまして、都立高校の志願者に対しては複数の受検機会があるなど、多段階にわたる入学選抜を行っております。
 このため、都立高校を志願する志願者を都立高校全体として受け入れることが可能となっております。

○風間委員 多段階といっても、都立の場合は、推薦があって、一般があって、二次があってということなんだと思いますけれども、やっぱりこういったミスマッチを解消していく――三回も受けるということは、やっぱり受検生にとっても負担ですから、一回受けて自分の学力に応じたところに行けるというようなミスマッチを解消する選考方法として、進振り制度といったこととか、マッチングメカニズムといったような研究もなされているところでありますから、今後、都立高校がこのまま人気が落ちていかないように、都立高校を希望する人たちは、安心して、一回受検をして自分の学力に応じたところに入っていける制度となっていくことを、ぜひ今後、研究していってもらえればなと思います。
 続いて、都立高校の魅力づくりという意味においては、都立高校を卒業して海外大学に進学した生徒が五十九人から六十四人と、先ほど答弁がありました。昨今の都内の国立とか私立の高校生が海外大学に進学するという増加傾向に比べると、あまり伸びていないなという印象が私にはあります。
 私、三年前に文教委員会で、都教委が指定した都立高校に限らず、海外大学支援をするべきではないかと求めたところでありますけれども、来年度から、ようやく都立全体に広げるということですので期待をしているところですが、具体的にどのような支援を行っていくのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 来年度は、海外進学に向けた基本情報の提供や保護者向け説明会などの対象を都立高校全体に拡大するとともに、個別の相談に応じるコンシェルジュ等により対応してまいります。

○風間委員 昨年、文教委員会でも、福岡の私立を委員会で視察をしてきたところですけれども、国際高校ではIBのプログラム導入ということはあったりするかもしれませんが、こういったしっかりとした制度設計ではなくても、AレベルやAPだとか、SATとか、IELTSはちょっと、ブリカンなので危ういかもしれませんけれども、こういった海外大学受験に必要な指導を、今後、幅広く研究していくということも必要ではないかなと思いますので、要望をしておきます。
 海外大学ではスタンダードな入試選考となっている語学のスコアとエッセイということですけれども、都立高校教育も新たな取組がその方向に向かっていっているということについては、歓迎すべきことだなと感じています。
 先ほど答弁にもあったように、国内大学もこの比率が高まってきておりますけれども、まずは、来年度から都が取り組むAI活用英語教育について、少し可能性があるなと思いますので、伺います。
 英文でエッセイを書き上げるには相応のライティング能力が必要となってきますけれども、これをAIを活用する意図と活用方法など事業の詳細を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、英語の四技能をバランスよく育成する観点から、話すことに加え、書くことの力を強化してまいります。
 そのため、指導の一層の充実を図ることを目的として、AIを活用しました書くことの学習に最適なソフトウエアを導入してまいります。

○風間委員 それは重要なことだと思うんですけれども、なぜAIなのでしょうか。
 そして、どれぐらいの規模で来年度は行うのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、英語の四技能をバランスよく育成する観点から、話すことに加えて、書くことの力を強化してまいります。
 そのため、指導の一層の充実を図ることを目的としまして、AIを活用して書くことの学習に最適なソフトを導入してまいります。

○風間委員 いや、なので、何で教員じゃなくてAIなんですかということを伺っています。
 あと、どれぐらいの規模で来年度は行うのですか。

○信岡グローバル人材育成部長 都立高校十五校で最新技術を活用することを想定しております。

○風間委員 エッセイの指導は、本当に先生方に負担がかかることだと思いますし、これをAIに任せられるところは任せていくということについては、私も賛同するものであります。
 ただ、一億の予算をかけて行うということなのであれば、やっぱりそれなりに検証をきちんとしていく必要があると思うんですね。
 このAIが本当に有効なのかどうかということも含めて、どのように検証していこうとしているのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 資格、検定試験等を活用しまして書くことの力を客観的に把握して、成果を検証してまいります。

○風間委員 そうですね。実際に、英語スピーキングテストはスピーキングかもしれないですけれども、ライティングに関してもしっかりと、その成果というものは検証しやすいと思いますので、検証することを求めておきます。
 大学入試に備えることばかりが高校の教育ではないということは当然承知しておりますけれども、その中で、探究的な学習、生徒が自ら研究テーマを掲げて探求をしていくその活動が、推薦入試だったり、総合選抜入試で評価されているという実情が今あります。
 これまでの探究学習については、熱心な先生だったりとか、事業者に依存してしまう傾向にあったのではないかなと感じるところもあるわけですけれども、専門指導する塾等に頼っている高校生の声を多々聞いてきたところでもあります、私としては。
 学校でできるのであれば、やっぱり学校でしっかりと、こういったことも含めて指導してもらいたいなと思うわけですけれども、その意味で、来年度から取り組むTokyo IBLには期待をしているところでありますけれども、これまで行ってきた探究的な学習の課題についてどのように認識しているのかということ、そして、このTokyo IBLに関する事業の意図を教えてください。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 子供たちが様々な社会課題に対し、解決の方法を主体的に考え出す探究学習を進めることは重要でございます。
 都教育委員会は、来年度、全ての都立高校において探究学習を幅広く実施してまいります。その成果を全校が一堂に会するイベントで発表し、都立高校の間での共有を図ってまいります。

○風間委員 説明の図なんかを見ていますと、まさにこれまで人に依存していた部分が、都立高校全体でナレッジの共有化がなされていくのかなということについて感じさせる図になっておりましたので、ぜひこれが生徒たちにとって有効なものとなるように期待をしておりますので、推進していくことを求めておきます。
 最後に伺いますのが、先ほど質問もちょっと出てきましたけれども、ミネルバ大学との連携ということについて伺います。
 趣旨については先ほど伺いましたけれども、そもそも、何でミネルバ大学なのでしょうか。伺います。

○根本教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 世界各国から学生が集まるミネルバ大学が本年から東京で活動するに当たりまして、国内での交流の機会の実現などを目指し、連携することといたしました。

○風間委員 世界各国からの学生が集まっているという意味では、私の地元三軒茶屋には、テンプル大学は日本キャンパスがあって、今、非常に様々な国出身とおぼしき学生たちでにぎわっていたりするわけですけれども、これまでもあった、そういったテンプル大学等ではなく、なぜミネルバなのかなと、こう思ったので伺ったわけですね。
 そもそも、ミネルバ大学は、どういうところが優れていると評価をされているのでしょうか。

○根本教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 ミネルバ大学は、これまでの教育の中から、世界各国から学生が集まる、そういった多様な価値観を育む中で、非常にすばらしい大学だというふうに認識しております。

○風間委員 テンプル大学も世界各国から集まっていますし、アメリカの大学には世界各国から集まってきている大学が多いと承知しておりますので、ミネルバが優れている点というのは、やはり通信制で行い、自由に探求していく、そういったプログラムがすばらしいと評価をされている大学だと承知していますし、日本からも、東京都内、私立ですけれども、今年度入学した学生がいたりするということも承知をしていて、かなり充実した大学生活を送っているものの、相当、勉学は大変だという話も聞いているところであります。
 その大変な状況のミネルバ大学が都立の高校と連携をして行うという、大学生は本当にそこまで余裕があるのかななんて感じるところもあるわけですけれども、先ほどの答弁では、まだ詳細は未定ということでした。
 ただ、都民としては期待感も高まっているところだと思います。
 都知事が本会議で華々しく打ち出したわけでありますから、本当に都立の高校生全員が接することができるのかなとか、どういう形でこれが都立の高校生と連携することができるのかなという期待感も高まっておりますけれども、現段階で決まっていることはないのでしょうか。

○根本教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 多様な学生との交流活動につきまして、現在、検討を進めているところでございます。

○風間委員 本当に期待しています。大学生たちも相当にハードスケジュールの中で、通信制ということでありますから、リアルに接することができるのかどうかということも、できたら、生徒にとっては、都立高校生にとっては刺激になると思いますし、その辺りは、希望するより多くの都立高校生が連携して取り組めるように進めてくださいということを求めまして、私の質問は終わります。

○米川委員 私から、まず初めに、教員の働き方改革の視点で何問か質問してまいります。
 まず初めに、新規事業で、都立学校の在校等時間を閲覧できるシステムを構築とありますが、どのようなものなのか。閲覧システムを使用することでどのような効果を期待できるのか、伺います。

○矢野人事企画担当部長 各都立学校の校長や副校長が現在把握している教員の在校等時間について、集計やグラフ化等の作業を自動化し、詳細な分析を行うものであり、各学校の働き方改革の推進に資するものと考えております。

○米川委員 一人一人の教員の持ち授業時間数だったり、教科や校務分掌の業務量が異なるため、勤務時間を超えて在校、勤務していない教員も存在すると考えております。
 今回のシステム化によって教員の在校時間の可視化、見える化されることは、学校現場の総業務量の削減と教員一人一人の業務量の平準化に寄与すると考えております。ぜひ小中学校でも活用できるように、区市町村教育委員会の働き方改革の取組を支援していくことを求めます。
 次に、令和六年度、モデル校四校で、コンサルタントを活用し、学校の業務の精査等を実施しておりますが、先ほど伊藤委員の質疑がありました。その中で、職員の意識改革につながったという答弁がありました。
 意見として申しますが、行政職は勤務時間が決まっていて、超過勤務手当の予算にも上限があります。また、都立産業技術専門学校の教員も同じで、超過勤務手当が出まして有限であります。
 これに対し、教職調整額四%が支給される教員は、在校時間が長くなる傾向があります。また、学校現場の総業務量と、その業務のやり方や優先順位は、自ら変えていくことはとても難しいと思います。
 外部コンサルタントの活用は、一時的に費用はかかるかもしれませんが、長期的視点で見れば、費用対効果の面でも、必ず安くつくのではないかと考えておりますので、ぜひこの取組を進めていっていただきたいと考えております。
 次に、都立産業技術専門学校の教員は教員免許を持つ必要はありませんが、都立高校や公立の小中学校で単独で授業を行うには、教員免許を持った教員が必要と認識しております。
 そこで、県費負担教職員の定数は都道府県の条例で定めるとありますが、授業は正規職員が実施する前提で教員の定数は定められているのか、伺います。

○吉村人事部長 教職員定数につきましては、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しております。

○米川委員 教員の本務であり、一番に実施すべき業務である授業の時数を軽減して、その分を講師が対応している事例があります。
 なぜ正規の教員を配置しないで講師が対応しているのか、伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会は、個別の教育課題への対応や、教務主任など負担の大きい校務を担う教員につきまして、必要に応じ、教員の追加配置や時間講師の配置を行っております。

○米川委員 働き方改革の視点で質問を続けてまいります。
 公立中学校に教育相談主任を配置する事業についてですが、学校の誰が、具体的にどのような業務を行うと想定しているのか、伺います。

○市川指導推進担当部長 教育相談主任は、主幹教諭や主任教諭の中から校長が指名し、生徒や保護者の状況の把握、教育相談委員会やケース会議等の企画、運営、外部機関等との連絡調整等の業務を行います。
 なお、教育相談主任につきましては、週当たり五時間を上限として授業時数を軽減いたします。

○米川委員 ありがとうございます。
 次に、多様な学習ニーズに対応した学習支援の事業ですが、多様な学びコーディネーターとあります。先ほど星副委員長の質疑で、この多様な学びコーディネーターは、生徒が校内の別室や自宅などからオンラインを活用して学習できるような支援を行うだったり、教員の中から校長が指名するコーディネーターについては、週五時間、授業時数を軽減するという答弁がありました。
 この学習支援の事業ですが、新たな教育のスタイルの研究校では、動画撮影やオンライン配信などの機材、設備等を先行導入とありますが、どのように運用していくことを想定しているのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 研究校では、各教科の教員が多様な学びコーディネーターやデジタルサポーターと連携して、オンライン配信が可能となる機器の整備や、新たに動画教材の研究を進めてまいります。

○米川委員 今、三つの新たな業務について答弁等がありましたが、全て教員が対応することを想定しております。
 しかし、教育相談主任ならスクールソーシャルワーカーが、多様な学びコーディネーターにしても外部人材で、また、新たな教育のスタイルでの動画撮影は、例えば支援センターや教育庁の中にスタジオを設けまして、映像制作会社がその専門知識を生かすことで、毎年、校務分掌として発令される教員よりも成果が上がるのではないかとも考えております。
 新たにこのような業務を実施する場合、全体の業務量を増やさない、または減らした上で実施しなければ、この一方で、働き方改革が大事だ、大事だといっても、絵に描いた餅になってしまうと考えております。新たな業務を実施する場合は、必ずそれに見合う業務を減らすことをセットで実施することを求めます。
 次に、英語教育の関係で質問してまいります。
 まず、都立学校の国際交流プログラムについてです。
 海外に行き見聞を広めることは、とてもよいことだと思いますが、誰もが自費で海外に行けるとは限りません。
 私自身、大学生のときにアルバイトをしていたファストフード店の推薦で、そのお店からの推薦がありまして、研修旅行で海外に行ったのが初めての……(「どこに」と呼ぶ者あり)ハワイでした。それまでは飛行機にも乗ったことがありません。それで、研修旅行だったんですね。だったので、現地のお店の見学などもあり、とても貴重な体験となり、今でも鮮明に覚えております。
 現在、様々な国に都立学校の生徒を派遣しておりますが、令和六年度は、どのようなコースに何人の生徒が参加したのか、伺います。
 また、このプログラムは、定時制課程、エンカレッジスクールやチャレンジスクールといった学校の生徒も対象となっているのか、併せて伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 今年度は、アメリカ、フランス、インドネシアなど十か国に、約二百七十名の高校生等を派遣しました。
 また、本派遣研修は、定時制課程やエンカレッジスクール、チャレンジスクールに在籍する生徒も対象としております。

○米川委員 定時制課程、エンカレッジスクールやチャレンジスクールといった学校の生徒も対象ということですが、令和六年度は何人の方が参加されたのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 令和六年度の参加生徒は、定時制課程十二名、エンカレッジスクール八名でございます。

○米川委員 令和七年度はコース等の見直しも行われるということで、先ほど伊藤委員の質疑で、十一か国に約三百名の生徒を派遣する予定であるという答弁がありました。
 定時制課程の生徒らも対象で、実際に参加した生徒がいることも分かりましたが、現場の校長先生や定時制課程の生徒、また公立の中学生は、この海外派遣の事業を知らない方もいるのではないかと考えております。また、この事業はとても魅力的だなと、改めて調べてみると感じております。
 中学生も含めて、しっかりと広報を進めていっていただきたいと考えております。
 昨日の生活文化スポーツ局の質疑で、私立高等学校海外留学推進補助の事業を取り上げました。令和五年度にこの事業を利用した生徒は、八百二十八名とのことでした。
 私立の方が学校数が多いとしても、都立の参加数が三百名程度では、私は、圧倒的にまだ少ないのではないかなと考えております。最低でも、各校、各課程ごとに複数名が参加できるように取組を進めるべきと考えております。
 次に、参加者による報告会も実施されておりますが、報告会の状況を動画で都民の方が見ることはできるのでしょうか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 報告会の取組につきましては、当日実施した内容について、年度内にインターネットで視聴できるようにしてまいります。

○米川委員 この事業は都立高校の大きな魅力の一つであり、応募倍率を高めることにもつながっていくと思っております。
 報告会についてインターネットで視聴できるようにするということなんですが、ぜひ当日、実際にやっているときも、一般の方が――いろんな、ぱっと見られるかどうかというのは検討が必要なのでしょうが、できたら、中学生あたりはライブで見られるような形を取っていただければと考えております。
 次に、全ての都立高校が参加する事業ということで、学校や、全日制や定時制などの課程を超えて生徒や教員の交流を生み、都立高校の活性化につながる重要な取組と考えておりますTokyo IBL Projec Scopeについて伺いますが、どのような事業なのか。また、定時制課程、エンカレッジスクールやチャレンジスクールといった学校及びその生徒も対象になるのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 本事業は、探究学習を幅広く行うため、全ての都立高校を対象として実施をいたします。

○米川委員 全校が一堂に会するチーム都立、TIPS Forumというものが開催される予定とありますが、いつどのように開催することを今、検討されているのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 本イベントは、探究学習の成果を発表、普及するため、全都立高校が一堂に会して行いますので、適切な時期を検討いたしまして実施をしてまいります。

○米川委員 確認のために伺いたいのですが、もう来年度にやるわけじゃないですか。学校のスケジュールとしては、三月に年間の行事日程とかも決まる時期ですので、できたら、適切な時期というのはどのぐらいか、幅があるかもしれませんが、もし分かるようでしたらお答えください。お願いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 この学習は長い時間がかかりますので、学期が始まってすぐとか、そういうことではなくて、ある程度、研究がまとまったときに調整をしてまいります。

○米川委員 ありがとうございます。今、三つほど事業について質問しました。全ての都立高校が対象となる事業について質問してきましたが、令和七年度は、全都立高校が参加する都立高校EXPOの予算も計上されています。
 今後は、特別支援学校も含めまして全ての都立学校が一つの都立学校、チーム都立として取り組める事業を、これ以外にももっともっと都教委の皆さんのアイデアで出していただいて、ワンチームというか、都立高校は一つの組織だぞというふうに学校を運営していっていただくことを希望して、次の質問に移ります。
 次は、英語力の測定と英語資格、検定試験の関係です。
 都立高校生の英語力を英語資格、検定試験を活用して毎年度測定する事業についてですが、毎年度測定して今後の施策展開及び授業改善に活用するとして、百校で英語資格、検定試験を活用する事業があります。
 都教育庁は、小中高と一貫した英語教育を進めるとしていますが、なぜ高校ではスピーキングテストを行わずに英語資格、検定試験を活用しているのか、また、英語資格、検定試験はどのような試験なのか、また、なぜ全都立高校ではなく一部の学校のみで実施しているのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けて、四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視しまして、都立高校において様々な施策を展開しております。英語資格、検定試験活用事業は、こうした施策の一つでございます。
 高校段階では、中学校で習得した英語四技能の総合的な育成に向けまして、英語教育に力を入れている学校において、こうした検定等を活用して、生徒の到達度を把握しながら、さらなる授業改善につなげているところでございます。

○米川委員 今、英語教育に力を入れている学校といっているんですが、中学校までは、スピーキングテストを全員に、到達度を測るテストとして実施しています。
 なぜ英語に力を入れている学校でしか実施しないのでしょうか。確認のため、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しになりますけれども、高校段階では、中学校で習得した英語四技能の総合的な育成に向けて、英語教育に力を入れている学校において、こうした検定等を活用して、生徒の到達度を把握しながら、さらなる授業改善につなげているところでございます。

○米川委員 予算の議会なので、なぜかというのは答えてもらわないと。これ、百校でやるのはいいのですけれども、もっと本当は増やした方がいいんじゃないかなと思っているんですよ。ですので、何で英語教育に力を入れている学校なのか、ちゃんと整理して我々に示してください。特に、ちゃんと答弁できるようにというか、対外的にもですよね。疑問に思う方も出てくる。私が疑問に思っていることは、一部の都民の方も思うでしょうから、ぜひその辺はちゃんと整理するよう、お願いします。
 生徒の英語力について、英語資格、検定試験で測定できるなら、中学校英語スピーキングテストではなく、できたら中学から高校まで一貫して同じ英語資格、検定試験で測定することで、本来なら、それこそ六年間ですかね、自らの英語能力を知ることにつながると思いますので、ぜひそういったことも検討してください。
 次に、都立学校における生成AIの活用です。
 生成AIの技術革新は、想像を超える速さで進んでおります。学校教育でも、生成AIを得意とする分野については、積極的に活用、利用すべきだと考えております。
 そこで、都立学校における生成AIの活用についてですが、令和六年度は二十の都立学校で研究を実施されていますが、生成AIをどのように活用したのか、伺います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 研究校において、生徒にAIリテラシーを身につけさせるとともに、各教科での効果的な活用方法を研究いたしました。
 これらの学校からは、話合い活動でのアイデア出しや学校紹介ビデオのシナリオ作成などへの活用などが有効な活用事例として報告されております。

○米川委員 令和七年度は、都立高校における生成AIの活用を全校に拡大させるとのことですが、英会話、スピーキングでも活用できる音声認識のものを導入されるのか、伺います。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 具体的な内容については、お答えできる段階ではまだございません。

○米川委員 確認のため、伺います。
 今の段階、今現在やっているのは、音声認識は入っていないというものでやられているのでしょうか。お願いします。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 現在でございます。令和六年度は導入してございません。

○米川委員 次に、英語学習については、AIを活用した英語教育の充実として一億円の新規事業があります。
 一人一台端末とAI技術(Writing)、英文を書く力や思考力とありますが、今まで答弁していただいた総務部の生成AIの活用事業とは別に事業を実施する理由についてと、英会話、スピーキングに活用しないのか。活用しない場合は、その理由について伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 本事業は、書くことの力の強化に向け、指導の充実を図ることを目的に実施し、適切なソフトウエアを導入するものでございまして、AIなどの最新技術については、教育効果を検討した上で、導入できる分野から活用してまいりたいと考えております。

○米川委員 総務部がやっていた生成AIの技術でも、英語という科目があったのですが、なぜ別に、新たにライティング等、書く力や思考力というところで取り出してやる必要があるのか聞いているのですけれども、いかがですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しになりますけれども、AIなどの最新技術については、教育効果を検討した上で、導入できる分野から活用してまいりたいと考えております。

○米川委員 英語の教科なので、もう少し分かりやすく答弁していただきたいなと。
 要は、片っ方でも事業をやっているんですよ、教科、国語とか英語とか数学とか。また新たにやるので、なぜかということを聞いているんですよ。だから、その辺もしっかりと区分けして、ここの部分だからというのをちゃんと、一応、書いて――書く力、思考力というのは、それも本来、学ぶべき内容だと思っていますので、さらにこういうところだというのをちゃんと打ち出すようにしてください。
 昨年十一月十三日ですかね、GovTech東京のアドバイザーに就任した安野貴博さんが、「あつまれ!経済の森」というユーチューブの動画で、英会話でチャットGPTを使っている、チャットGPT-4o、オムニというのですけれども、で会話するモデルがいい、かなり人間としゃべっている感じで使える、英会話企業は厳しいんじゃないかと思うと話していました。私じゃなくて、東京都のGovTechのアドバイザーになった安野さんがいっておりました。
 それを聞いて、本当かなと思って、いろいろとユーチューブでチャットGPT-4o、オムニの活用事例を見ましたが、私の英語はレベルが低いものですから、初心者も含め、これはいけるんじゃないかなというふうに感じたんですね。英語学習、スピーキングの学習で適切に活用すれば、効果があると感じました。
 オンライン上の英会話レッスンというものを都立高校でやっていますね。また、JETプログラムをやっておりますが、生成AIの技術が急速に、爆速で進化しております。
 英会話をやったり、スピーキングの学びを、オンライン上の英会話レッスンやJETプログラムに代えて、生成AIに切り替えないのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、AIなどの最新技術については、教育効果を十分に検討した上で、導入できる分野から活用してまいりたいと考えております。

○米川委員 スピーキングが課題といっておるわけですよね。それでスピーキングテストをやったりしているわけじゃないですか。まず、スピーキング、英会話の分野こそ一番に導入すべきだと私は考えています。
 世界の動きはこれまでの常識をはるかに超えると、東京都教育施策大綱(案)にもありますが、今の答弁を聞いていますと、皆さん方が、一番、世界の動きについていけないんじゃないかなと感じてしまいます。また逆に、ついていく意欲がないんじゃないかとも感じます。
 一年前では全く考えられなかったことです。この数か月間だというお話ですので、生成AIの技術革新は、想像を超える速さで進んでおります。昨日まで当たり前と考えていたやり方であるオンライン上の英会話レッスンなど、そのやり方に固執することなく、新たなやり方に変えるべきだと提案して、次の質問に参ります。
 中学校英語スピーキングテストです。
 十一月二十四日に実施された中学校英語スピーキングテストについて、二月二十八日のミライ会議、田の上都議の質問に対して、坂本教育長は、テストは適切に実施されたと答弁しました。
 一方で、二月十三日の文教委員会の質疑では、再試験の対象となった二百五十五人の方につきましては、全ての保護者に対し、都教育委員会から電話等により説明、そして謝罪を行いましたと答弁しています。非があり、適切でなかったと都教育委員会が判断したから、謝罪を行ったのではないでしょうか。
 十一月二十四日に実施された中学校英語スピーキングテストは適切に実施されたのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 スピーキングテストを実施した事業者及び配置した都職員や区市町村教育委員会からの報告によれば、テストは適切に実施されております。
 なお、テストでは、機器の不具合や現場対応の誤りなどに対し、ルールにのっとり、再度の受験機会を設けたことにより、希望する全ての生徒は受験ができております。

○米川委員 全体として再試験ができたからというような質問はしておりません。
 十一月二十四日に実施された中学校英語スピーキングテストについて、適切に実施されたのかを質問しております。もう一度お答えください。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 スピーキングテストを実施した事業者及び配置した都職員や区市町村教育委員会からの報告によれば、テストは適切に実施されております。

○米川委員 十一月二十四日についてはお答えにならなかったので、この日は不適切だったというふうに認識してよろしいですか。(「どういう意味」と呼ぶ者あり)全体として適切だといっていますが、十一月二十四日については何も答えていませんから。
 適切だったのかといって、その日については適切だ、不適切だといっていませんから、不適切だったという認識でよろしいですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 一部の会場で終了時刻の遅延、指示等の誤りはございましたが、適切に実施されております。

○米川委員 そうすると、何で謝罪したのですか。説明すればいいじゃないですか、こういうやり方をしているんだって。トラブルがあっても、こういうやり方ですと説明すればいい。でも、議会で、委員会で謝罪といったんですよ。ということは不適切だと、普通は思いますよね。
 謝罪しているんですから、それで適切だと。何で適切なんですか。もう一度伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 テストでは、機器の不具合や現場対応の誤りなどに対し、ルールにのっとり、再度の受験機会を設けたことにより、希望する全ての生徒の受験はできております。

○米川委員 そうすると、何度も質問しているんですが、十一月二十四日の部分については謝罪したわけですよね。それに対して適切だとは、そこはいっていないわけですよね。ということは認識しました。なので、次の質問に行きます。
 二月十三日の文教委員会での質疑では、再試験対象者が増えた原因として、現場での受験生に対する指示の誤りに対しては、今後、マニュアルの改定や研修の一層の充実に向けて、事業者と十分協議を重ねてまいりますと答弁していますが、受験生に対する指示の誤りとは、どのようなことに対してどのような指示の誤りがあったのか、本来はどのように指示すべきだったのか、伺います。
 また、マニュアルではどのようになっていたのか、今後どのように改定するのかも併せて伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 マニュアルのルールとは異なる指示を行った事例がございます。
 マニュアルの内容については、試験の実施、運営に関わる情報であるため、答弁は差し控えます。
 また、現場での受験生に対する指示の誤りに対しては、今後、マニュアルの改定や研修の一層の充実に向けて、事業者と十分協議を重ねてまいります。

○米川委員 普通は、こういうことがありましたといっていただければ、皆さんだけじゃなくて、また都民であったり、専門家であったり、議員の皆さん、委員の皆さん方からも提案があると思うんですよね。もっとこうした方がいいんじゃないかというような話も出るはずなんですよ。それを皆さんだけの殻の中で閉じ籠もってやっていたら、よいものにはなっていかないですよ。
 ですので、こういった、皆さんも出てきてやっている、多くの委員も出ている委員会ですから、こういう形ですというのを、ちゃんと次につながるような答弁を今後するよう求めます。
 次に、研修の一層の充実と、先ほども答弁しておりますが、今回、現場で誤った指示を行った方は、どのような立場の方で、どのような研修をいつどのように受けていたのか、伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修については、基本協定及び実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものでございます。
 研修の詳細については、事業者の実施、運営に関わる事項に当たるため、公表は差し控えます。

○米川委員 先ほど風間理事の質問でもありましたけれども、スピーキングテスト自体を、ちゃんとやってくれれば否定するものじゃないんです。やっていないから予算上も駄目だよというので、我々ミライ会議なんかはいっているわけですよ。
 それで、スピーキングテストを、例えば中学校で以前はやっていたわけじゃないですか、まだ正式な段階の前のときは。(「アチーブメントテスト」と呼ぶ者あり)アチーブメントテストとして中学校でやっていた場合には、中学校の先生がそのときは対応というか、関わっていれば変なことはしないと思うんですよね。試験って、どれだけ重要かというのは分かっていますし、その結果がどう反映されるかが分かっていれば、行政職じゃなくて、教員、教職の方のほうが適切にやられると思いますので、本来のアチーブメントテストであるべきかなと思っています。
 私自身も、都の職員のときには、前にいったかもしれませんけれども、人事委員会の採用試験の監督をやったことがあるんですよ、併任で。やっぱり緊張しますよね。前もって、先輩と一緒にセットで会場運営しましたけれども、緊張感を持ってやるものですよ、その人の人生がかかっているのであれば。
 ですので、ちゃんと安心して子供たち、生徒たちが受けられるような環境がなければいけないと思っています。
 次に、再試験の対象となった二百五十五人の方につきまして、全ての保護者に対し、都教育委員会から電話等により説明、謝罪を行いましたと答弁もありました。私は、非を認め、適切でなかったから、先ほどもちょっとやり取りしましたが、だからこそ、二月十三日の文教委員会で謝罪という、とても重い言葉が出たと思っているんです。
 だからこそ、十一月二十四日に実施された中学校英語スピーキングテストについて調査、検証を行わないのでしょうか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 引き続き、よりよい試験となるよう取り組んでまいります。

○米川委員 ちょうど今年は、平成七年から三十年目の年なんですよ。あの年はいろんな事件がありました。そして、五月三十一日には世界都市博覧会というのも中止になっております。三十年ぶりにいろいろと大きな出来事が起こる年なのかなと思っていますので、皆さん方がやっぱり一つ一つの事業を丁寧にやっていかなければ、よかれと思ったことが全く逆になってしまうかもしれませんので、しっかりと取り組むよう求めます。
 次に、二月十三日の文教委員会での質疑で、スコアが上昇した主な要因の一つに、今年度の三年生は、昨年度、YEAR2を受験し、学校も生徒も、それぞれレベルが分かった上で授業に取り組んできたことと答弁しています。
 前年度の初めてテストを受けた受験生と異なり、二年生のときにYEAR2を受験し、スピーキングテストの受験が二度目だったため、試験に慣れたことがスコアが上昇したのではないかとも考えますが、見解を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 スコアが上昇した主な要因としましては、中学校が英語で話すことの力の向上に向けて授業改善に一層工夫したことがあると考えております。
 また、今年度の三年生は、昨年度、YEAR2を受験し、学校も生徒も、それぞれのレベルが分かった上で授業に取り組んできたこと、個人レポートで、一人一人の生徒の到達度に応じた今後の学習アドバイスを提供したことなどが要因となります。

○米川委員 生徒一人一人の成績が上昇したというようなことですが、平均スコアは上昇しておりますが、二年生のときのYEAR2のスコアから上昇した生徒の割合だったり、減少した割合、これはどのようになっているでしょうか。伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 YEAR2を受験した生徒に対しては、CEFRを踏まえ、段階別の評価を行っております。
 今後、都教育委員会は、生徒個々の到達度を使って、教育委員会や学校単位等、様々な角度から分析をしてまいります。

○米川委員 そうですね。やっぱり一人一人です。平均よりも、一人一人がどういうふうな対応をしているか、どうなったかというのを、特に都立高校まで行って英語学習に取り組んでいる生徒にとってはとても重要だと思いますので、しっかりと分析するよう取り組んでください。
 中学校英語スピーキングテストが都立高校入試に活用されてから三年目となります。小中高と一貫した英語教育を進めているとしていますが、この事業が中学生や保護者にとって魅力的であれば、都立高校の応募倍率も上昇するのではと考えますが、実際、今年は上昇しておりません。
 スピーキングテストの事業費は、令和六年度約四十三億円、令和七年度約三十七億円です。中学校スピーキングテスト及びその結果の都立高校入試への活用は中止すべきです。
 そして、音声認識の生成AIを活用して、スピーキングを含む四技能の学習を行ったり、国際交流プログラムの海外派遣の人数を、最低でも私立高等学校海外留学推進補助事業を利用した生徒数並みに増やすことをしっかりとやるように求めます。
 次に、公立学校教員向け奨学金返還支援についてです。
 昨日の委員会で私立学校教員向け奨学金返還支援について質問しましたが、公立学校教員向け奨学金返還支援についてですが、事業の規模が私立と合わせて三千人となっています。
 そのうち公立の対象人数は二千人になりますが、対象者はどのように算出したのか、奨学金を返済している現役の職員の状況調査を行った上で算出したのか、伺います。

○吉村人事部長 令和六年三月に独立行政法人日本学生支援機構が公表した令和四年度学生生活調査結果によりますと、全国の約四割の大学生が貸与型奨学金を利用しております。
 こうした状況から、令和七年度の採用者につきましては、今年度の教員採用選考の合格者約五千名の四割に当たる二千名程度に対する支援を想定しております。

○米川委員 一人当たり、十年間で百五十万円の支援になります。二千人ですと毎年三十億円。十年間、予算が固まってしまうというような事業であります。
 私立学校の場合は、なかなか今の状況をどうだというのを調査するのは難しいと思うんですが、東京都の場合、複数年間、都の職員がどのようになっているかという割合を調べられれば、よりきめ細かい形で予算を積み上げることができると思っています。個人の、私のお金ではなく、税金を基にした事業でありますので、予算額の算出根拠となる数字は、より正確に求めるよう求めます。
 次に、都立高校入試について伺います。
 都立高校一般入試では、全日制の応募倍率が過去最低の一・二九倍となりました。東京都中学校長会などの調査でも、全日制の都立校志望率が約三十年ぶりに六〇%台に下がりました。
 都知事は、令和七年二月二十一日の知事記者会見で、ある意味、競い合いながら教育を高めていっていただければと答えています。
 そこでまず、都立高校入試の募集定員や試験日について伺いますが、都立高校の推薦入試の募集定員の割合を決めていますが、その根拠はどのようになっているのか、伺います。
 また、募集定員を一般入試の募集定員より多くすることは制度として可能なのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、推薦に基づく選抜の実施方針を策定し、その中で、推薦入試の対象人員枠等について規定しております。各学校は、この実施方針に基づき、募集人員全体に対する推薦枠の割合をそれぞれ定めております。
 推薦入試は、一般入試とは異なり、基礎的な学力を前提に、思考力、判断力、表現力等の課題を解決するための力などを評価し、選抜することを目的として実施するものでございます。こうした目的を踏まえ、実施方針において推薦入試の対象人員枠を設定しているところでございます。

○米川委員 次に、都立高校一般入試の実施日はどのように決められるのか、その根拠はどのようになっているのか、伺います。
 また、実施日を二月の上旬など早めることは制度として可能なのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試は、中学校における教育活動の成果を十分評価することができるよう、推薦入試を一月下旬に実施し、一般入試の第一次募集の学力検査を二月下旬に設定しております。さらに、第二次募集の検査を三月中旬に実施することとしておりまして、都立高校の入試日程については、これらを総合的に考慮し、実施要綱において決定しているものでございます。

○米川委員 先ほど風間理事の質問のときにもありましたが、やっぱり親の気持ちとして早く決めさせてあげたいというのがどうしても働く場合もあります。ですから、公立と私立、これから切磋琢磨して東京の高校教育を担っていく時代となっております。受検生やその保護者には、早く志望校へ合格したいという気持ちも一定数あるはずです。
 入試の実施時期も志願者の増減に一定程度寄与していると考えますので、都教育委員会は都立高校の運営、経営を担っているわけですから、都民の貴重な財産である都立高校が今後も適切に運用されるためにも、生徒の志願者の確保のため、これまでの常識や当たり前に縛られず取り組むことを求めます。
 最後に、進路多様校について伺います。
 進路多様校における進学指導の業務支援について星副委員長の質問がありまして、その中で、進路多様校は二十七校との答弁がありました。
 例えば葛飾区内の都立高校の多くは、こういった進路多様校に該当するのかなと考えますが、この二十七校の中に葛飾区内の学校が入っているのか、入っていないのか。まだ決めていないよというのであれば、それも含めて伺います。

○村西都立学校教育部長 現在、来年度の事業については検討中でございます。

○米川委員 大学入試が変わり、学力試験以外の受験者の方が増えているといわれております。進路多様校での実施となりますが、例えば工科高校などの専門科の生徒も、総合型選抜で大学を目指すこともあるのではないでしょうか。
 工科高校などでも活用できるよう、ぜひ検討することを求めまして、質問を終わります。

○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十五分休憩

   午後六時五十五分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○磯山委員 それでは、まず初めに、不登校未然防止のためのSLD支援について質問をさせていただきたいと思います。
 不登校の原因の一つに学業不振が挙げられていますが、国の不登校調査の不登校の要因について、具体的な内容をまず初めに伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和六年三月に国が実施した令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、不登校児童生徒について、学校が把握した事実として多かった項目は、学校生活に対してやる気が出ない、生活リズムの不調、学業の不振や頻繁な宿題の未提出などがございます。

○磯山委員 不登校の原因の中でも、今ご答弁にもありましたとおり、学業の不振や頻繁な宿題の未提出は、主な理由の一つであると考えます。
 このような学業不振の理由として、私は学習障害が関連していると考えております。学習障害は、主に読みに困難があるディスレクシア、書くことに困難があるディスグラフィア、また、算数が苦手なディスカリキュアの三つを合わせてSLDともいわれます。
 福岡市立こども病院こころの診療科長、宮崎医師が、読売新聞のオンラインの取材の中で、読み書きが苦手なのを、倍の課題を与えて克服させようとしたら、大体、不登校になると述べられています。
 また、小学校四年生の当事者の話を伺ったことがありますが、書くことに困難があるため、通常の授業では、ルビや平仮名での回答でも認められるといった配慮がなされています。これ自体は本人も喜んでおり、担任の先生の理解や対応がすばらしく、評価に値するなと思っています。個別の支援が行き届いているんだなと思っております。
 一方で、この児童は、同時に、小学校二年生のとき、九九を覚えることにつまずき、筆算などの計算にも困難を抱えています。
 どういうことかというと、読み書きも苦手なんだけれども、算数も苦手ですよということです。
 しかしながら、算数障害の概念自体があまり知られていないため、算数に関しては、自分がばかだからできないと思い込んで、学校に行きたくないという思いを抱えています。
 ある論文などの研究結果によると、読み書き、算数ともに困難を抱える割合は三〇%から四〇%ともいわれており、要するに、併発している場合も多いということがいえるんだと思います。
 通常学級における学業不振に対しての支援として、読み書き支援とともに、算数や計算についても支援の必要性があると思っております。
 そこで、通常学級における算数、数学の学習支援について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都内公立小中学校では、算数、数学の授業において習熟度別指導を実施しており、理解が十分でない単元まで立ち戻るなどの指導を行っております。
 具体的には、小学校五年で学習する整数割る小数の割り算につまずきが見られる児童に対しては、それ以前に学習している整数割る整数の割り算などの内容に立ち戻るなど、補充的な指導を取り入れるようにしております。
 また、計算の意味を図や絵を提示して理解しやすくしたり、空間図形の位置関係が分からない場合は、立体模型を使って、見取図や展開図と見比べて位置関係を捉えやすくしたりするなどの指導を行っております。
 これらの指導により、児童生徒が現在学習している単元の内容を理解することができ、自信を持って学習に取り組むことができるようになっております。

○磯山委員 算数障害の専門的な支援の必要性も私はあるんだと思います。習熟度別で今、支援をされているということですけれども、それが算数障害の子に対してプラスになっている部分もあるのですけれども、それは、ただ算数、数学ができないから指導を受けているという、受け手の方が、自分ができないのはばかだからと思うんじゃなくて、それは算数障害なんだよということに気づいてあげることが僕は必要だと考えております。
 要するに、そうじゃないと、彼らにとっては自信を持って学習に取り組むということができないと思います。ここの目標の。
 大人のSLDの当事者にお話を伺うと、どうも自分がSLDであると気づく年齢というのは、小学校低学年がというよりは、ばらつきが見られます。高校や大学、社会人になってからといった方も多く存在しています。つまり、小中学校では誰にも気づかれず過ごしている人が少なからずというか、結構、多くいるんじゃないかなと思っています。
 しかしながら、漢字テスト、算数のテスト、九九などの小学校低学年の通常授業の中で把握することができるヒントは、たくさんあるんじゃないかと私は思っています。
 そのためには、学習障害のある児童等に対する一斉アセスメントの実施、これは小学校低学年での一斉アセスメント実施などですが、まずは特定の学校で調査してみることから始めてみたらよいのではないかと思いますけれども、見解を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 学校が児童生徒の障害に応じた適切な指導方法を選択し、実践していくには、心理士等による観察に基づいた助言や、発達の状況等を測る各種検査などのアセスメントを通じて、一人一人の特性や学習上、生活上の困難さを正確に把握することが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、都内小中学校に臨床発達心理士等を派遣し、授業観察等に基づき、学習障害を含めた発達障害のある児童生徒の指導方法などについて、教員へ助言を行っております。
 また、特別支援教室入室前には、必ず標準化された発達検査を実施することをガイドラインで示しております。
 今後も、こうしたアセスメント等を通じて児童生徒の実態を的確に把握し、適切な指導を実施してまいります。

○磯山委員 臨床発達心理士さんを十分に活用していただいて、一人でも多くの児童を把握していただきたいと思います。特に、やっぱり小学校の一、二年生のうちにいろいろ見えてくるところがあると思うので、そういう早い段階で適切な支援につなげていくということを、ぜひやっていただけたらなと思います。
 次に、教員の皆さんの中には、今まで個別にすばらしい対応をされていた方々がたくさんいらっしゃるはずだと思っています。
 一方で、十年、二十年、教員を務めながら、該当の児童がいなかった方もいらっしゃるのかもしれません。また、児童を把握しても、支援につなげる際の困難な事例があったのかもしれません。
 教員歴が長い教員さんであれば、一定の学習障害の児童生徒と出会っていたはずであります。
 そこで、アンケートをしてみることで、現状を把握することにつながるだけでなく、教員のSLDへの理解を深めることにもなると考えます。
 教員へのアンケート調査を行うことについて見解を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、来年度、学習障害の困難さがある児童生徒の特性を把握し、適切な支援につなげていくためのアセスメントに関する研修動画を、区市町村を通じて各教員に配布いたします。この動画を視聴した教員には、アンケートを実施する予定でございます。
 アンケートの回答から、学習障害のある児童生徒の指導経験などを把握し、今後の支援内容の充実に向けた検討材料とするなど、発達障害教育のさらなる向上に結びつけてまいります。

○磯山委員 教員の皆様も忙しいとは思いますけれども、一人でも多くの方に動画を見ていただいてアンケートに答えていただけると今後につながると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、昨日、生文の方でも、龍円委員の方からお話がありましたディスレクシアの教員さんへの研修会ですかね、あれもすごい、いい事業なので、公立と私立で別々にやるんじゃなくて、やっぱり、何ていうのかな、昨日はディスレクシアのお話でしたけれども、ディスグラフィアもディスカリキュアも含めて、学習障害というのはこういうものだよというのを、都一丸となって世間に周知していく、ぜひ一人でも多くの子供たちを救っていく、そういう思いを持っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これの最後の質問なんですけれども、SLDへの理解と支援の充実が今回のテーマなんですけれども、不登校の学業不振という原因を一つ防ぐ、不登校を未然に防ぐことに必ずつながると私は確信をしております。
 そこで、来年度の取組について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 学習障害のある児童生徒への支援の充実には、教員の理解促進と指導力向上が重要でございます。
 都教育委員会は、来年度、既に成人となった学習障害のある当事者から、障害に気づいた経緯や、これまで有効であった支援内容などをインタビューした動画の活用を、各教員に働きかけます。
 こうした取組を通じ、支援を必要とする児童生徒がより一層、有意義な学校生活を送ることができるよう、発達障害教育の充実を図ってまいります。

○磯山委員 令和五年第四定例会の一般質問で、ディスレクシアについてちょっと取り上げまして、知事にお答えをいただいたのですけれども、そのときと比べて、何か少しずつだけれども前進してきたかなと私自身は評価をいたしております。
 いつか学習障害というのが障害といわれなくなるように、通常学級の中で適切な支援と、何というのかな、今の教育で、例えば紙に書いてテストで評価するというだけじゃなくて、だけじゃないとは思うんですけれども、そういう評価の部分も含めて、すごく知的に遅れがなくて、いろんな読み書き分野に苦手を持っているという子たちなので、その子たちに合った、何か教育内容を提供していただいて、その子たちの未来を広げてあげられたらいいなと思いますので、よろしくお願いいたします。(「いい提案だよ」と呼ぶ者あり)はい、ありがとうございます。
 じゃ、次に、デジタル教科書関係に行きます。
 公立学校では、一人一台端末が本格的に導入され、デジタルを活用した教育の環境なども整備されてきたと認識しています。
 私の地元小平市の隣の西東京市にある向台小学校の授業を松田先生と一緒に視察に行ったのですけれども、総合的な学習の時間において、子供たちが配備された端末を使って調べ物をしたり、考えを共有したりするなど、教えてもらうという受け身ではなく、自ら学ぶという姿が見られるようになったと伺いました。
 昨年の予算特別委員会でもご答弁いただきましたが、授業等において積極的にデジタルを活用していくことで、子供一人一人の主体的な学びが促されると思っています。
 都教育委員会は、令和五年度から、デジタルを活用して子供たちが主体的に学習に取り組む指導法の研究を進めてきているとのことですが、今年度の取組状況と今後の取組について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、全ての子供たちが学びへの意欲を持ち、主体的に学習に取り組めるよう、令和六年度は、小中高校を合わせて十校を指定し、デジタルを効果的に活用した授業の在り方について研究を深めてまいりました。
 この十校では、電子黒板や一人一台端末とデジタルの教材を効果的に組み合わせるなど、デジタルを活用することによって、子供たちが意欲的に学習に取り組めるようになっています。
 来年度は、小中学校において、教科ごとに、専門性の高い教員で構成する十九の研究部会を新たに設置します。この部会では、各教科の特色に応じ、デジタルを活用した指導事例を作成します。
 また、高校六校、特別支援学校二校では、子供の理解度や障害の状態に合わせて、自分のペースで学習を進められるようにするなど、デジタルの活用について研究を進めてまいります。
 これらの取組を全ての公立学校で共有し、小学校から高校段階における個別最適で主体的な学びを後押ししてまいります。

○磯山委員 今後は、教科に視点を当てた研究を進めていくということが分かりました。
 各教科の研究を今後進めるのであれば、当然、デジタル教科書についても研究していく必要があるんじゃないかなと思います。都の取組を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 来年度、デジタル教科書を研究するため、小学校五校、中学校五校をモデル校に指定します。
 このモデル校では、既に活用が進んでいる外国語や算数、数学に加え、国語、社会、理科について研究し、授業での活用事例を蓄積します。
 さらに、モデル校で授業を担当した教員が教科ごとの研究会に参加し、相互に情報共有することで研究を深めてまいります。
 また、都立学校においては、高校六校、特別支援学校一校をモデル校に指定します。
 これらの学校では、各教科の授業において、デジタル教科書の機能と外部アプリケーションなどの様々な教材や視線入力装置などの支援機器との連携について研究を進めてまいります。

○磯山委員 デジタル教科書の導入については、各市区町村も関心があると思います。研究の成果や課題については、ぜひ情報提供をお願いしたいと思います。
 デジタルの活用は、今、ご答弁の中にもありましたけれども、例えば不登校や発達障害の方の学び方にも効果的でありますし、視線入力装置なんかだと、やっぱり重度の子たちにも役に立つのかなと思っております。
 誰一人取り残さない教育のため、これらについても研究してもらうことを要望して、質問を終わります。

○大松委員 私からは、海外派遣研修について質問をいたします。
 今、授業料の無償化など、教育費の負担軽減の議論が進んでおりますけれども、それとともに、同時に教育の質を向上させるということにも取り組んでいかなければなりません。
 教育の質を向上させるには、何よりも、いい先生、スキルの高い教員をたくさん育てて、その持てる力を存分に発揮していただけるような環境を整えていくことが重要であると考えております。
 教員のスキルアップを図るということを考えるに当たって、教員という仕事は、授業や生徒の指導という現場における教育の実践とともに、新たな指導方法や教育制度を開発していく教育職としての側面があるということに注目をしていかなければならないと考えております。
 この教育力、現場における教育実践、そして研究との往復作業の中で磨かれていくというふうにいわれておりますけれども、私は、教員が研究職であるということを、今、もっとそこに重きを置いて研修の内容も充実を図っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
 特に、海外派遣研修は非常に重要であると思います。
 私は、教員という仕事は、医師の仕事とよく似ているというふうに考えているわけでございますけれども、医学であれば国際的な医学学会のネットワークというものがありまして、例えばアメリカで新しい治療方法が開発をされれば、日本でもそれが適用される。こうした中で、国々が切磋琢磨しながら医学は発展をしていくわけでありますので、教育においても、同じような国際的なネットワークがあれば、この教育力というものがどんどん向上していくというふうに私は考えているわけでございます。
 そこで、昨年の第三回定例会でも質疑を行いましたが、都教育委員会は、教員の海外派遣研修につきまして、従来の英語科教員向けの研修に加えまして、今年度から新たに、校長や指導主事等を対象とした研修を八月にシンガポールで実施をしております。
 現地では、学校視察や現地教員との意見交換等を行いまして、教育制度や多文化共生、国際交流等への理解を深めているとのことでございますけれども、帰国後の成果の還元について伺うとともに、今後、規模の拡大を通じて、各校や各地域の国際交流の促進を図っていくべきと考えますが、東京都教育委員会の見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 今年度新たに実施した学校管理職等を対象とする海外派遣研修の参加者は、帰国後、所属校の校内研修や各地区の研究会等において、講師となりまして、現地で学んだ知識や知見について発表するなど、研修の成果を還元しております。
 また、都教育委員会主催で、昨年十一月に成果報告会を実施しまして、現地での学びを生かした実践報告や研修参加者によるパネル討論を行いました。
 本研修会には、国際交流の取組に関心のある教員等、約二百八十名が参加しまして、研修の成果を都内公立学校に広く共有いたしました。
 来年度は、派遣者数を今年度の五十名から八十名に拡大しまして、都内各校、各地での国際交流の組織的な取組の推進につなげてまいります。

○大松委員 東京都教育委員会は、来年度、都立学校の教員に対しまして、グローバル化を強力に促進するため、海外大学院等へ派遣する留学プログラムを創設するということであります。
 その意義と取組の方法について見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 現在の様々な教育課題の解決に向けては、教育の在り方全般に対する高い専門性を持った教員を育成することが重要でございます。
 そのため、都は、都立学校教員を海外大学院等に一年または二年間派遣し、専門的な知識や知見を学ぶ機会を提供いたします。
 派遣教員は、現地の大学院等で、都の教育課題に関するテーマや教科指導等に結びつく調査研究を実施いたします。
 終了後は、所属等で、その学んだ研究内容を実践するとともに、施策立案等につなげ、その成果を都政に還元してまいります。
 令和八年度からの派遣開始に向け、来年度は、派遣の募集、選考や、派遣に向けた事前学習等を行う予定にしております。

○大松委員 ぜひ、教員の海外派遣研修は大変重要でありますので、さらにしっかり拡充をして取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、教員の働き方改革について質問をいたします。
 先ほど、いい先生方に本来の力を発揮していただく、存分に発揮をしていただけるような環境をつくっていくということが教育の質を高めるというふうに訴えさせていただきましたけれども、今、ご承知のように、非常に多忙で、長時間労働で、多くの先生方が健康を害していらっしゃる。こういう状況では、本来の教育力を発揮することはできませんし、いい教育ができるはずがありません。
 そこで、都議会公明党はこれまでに、教員の働き方改革を進めるために、外部人材の活用や保護者等の理解促進に向けた提案をしてまいりましたけれども、昨年の第四回定例会で、出退勤や休暇の管理等を都内共通の仕様でデジタル化をしていくように提案をいたしました。その際、取組に向けた前向きな答弁をいただきました。
 来年度どのように取り組んでいくのか、東京都教育委員会の答弁を求めます。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 教員の働き方改革を進める上で、DXの推進により業務の効率化を図ることは重要でございます。
 教員の出退勤などの手続については、公立の小中学校においてシステムの導入が進んでいない場合もあり、デジタルの活用による業務効率化とともに、教員が他の自治体の学校に異動しても共通のシステムを使える環境づくりを進める視点が重要となります。
 こうしたことから、来年度、各自治体の出退勤や休暇に係る手続の取扱いやシステムの活用状況などを調査し、その結果を踏まえ、出退勤などの管理の仕組みのデジタル化や共通化に向けた取組を推進してまいります。

○大松委員 まずは、各自治体のシステムの活用状況を調査していくとのことでございます。
 都内共通システムの構築ということにつきましては、教員の先生方の中でも何年も前から、それが理想だよねと、このようにいわれていたそうでありますけれども、このシステムが区市町村の教育委員会ごとに契約、構築をされているために、なかなか共通化というのは難しいだろうと、こうしたちょっと諦めのムードがあるというふうにも伺っておりましたけれども、今回、東京都教育委員会が、このようにシステムの都内共通化に踏み出していく、こうした方針を示されましたので、教員の先生方の中では、大変、大いに期待をされているというふうに伺っております。
 そこで、この調査の実施に当たりましては、こうしたシステムを実際に使う現場の教員の声を聞いて検討に生かしていくべきと考えます。見解を求めます。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 学校における出退勤などのシステム構築に当たり、より効果的なシステムとしていくためには、使い手である教員の声を聞くことが重要でございます。
 来年度、学校現場の調査において、教員がシステムに求める機能などをヒアリングするとともに、全区市町村が参加する協議会において議論を重ねてまいります。
 こうした取組により、都内区市町村におけるシステムの共通化を推進してまいります。

○大松委員 一斉にシステムをそろえるということは難しいとは思いますけれども、少しでも早く都内の全ての自治体でシステムが統一されるように、できるところから始めていくなど、工夫して迅速に進めていっていただくように要望をしておきます。
 次に、TEPROのマッチングについて質問をいたします。
 東京都教育委員会は、来年度、人材バンク機能の充実に向けた取組として、TEPROの人材バンクシステムにAIを活用し、より効果的なマッチングを進めるとのことでございます。
 都議会公明党は、先日、TEPROにより学校に派遣をされている教員の方から様々なお話を伺いました。一方で、現場の先生方の声も聞かせていただいておりまして、学校側と派遣されている方との双方の話を伺いますと、派遣されている方が、学校が求めている人材像を誤解していたり、学校という職場状況への理解がなかったために、お互いがうまくすっきりしない、こういった状況に陥っているということが分かってまいりました。
 本来、人材バンクがマッチングする役割は、派遣された方がスムーズに働き始めるまでを担うことであると考えます。
 そこで、外部人材を学校へ紹介した後のフォローアップを含め、コーディネーターによるきめ細かなサポートを進めるべきであります。見解を求めます。

○秋田教育政策担当部長 東京都教育支援機構、TEPROでございますけれども、こちらでは、紹介した人材が学校で円滑に活動を開始できるよう、基本的な校内のルールや心構えのほか、子供との接し方などに関する事前の研修を行っております。
 また、学校内で様々な業務を行う中で課題が生じた場合は、TEPROのコーディネーターが、学校や外部人材それぞれから相談を受け、助言をするという取組を行っているところでございます。
 今後、これらの対応につきまして、学校向けに配信をしておりますニュースレター等で幅広く紹介するなど、学校でのより円滑な業務運営に向けまして支援をしてまいります。

○大松委員 終わります。

○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
 私からは、都立中央図書館の今後の在り方の方向性、案についてから伺っていきます。
 都立中央図書館は、かつて、有名な、著名な知識人であります加藤周一氏が館長を務め、知の保存に努め、知の宝庫として都民の知的要求に応えてきました。
 資料は二百二十九万冊だということで、大変大きな役割を果たしてきたわけですが、その長い歴史の中では後退もありましたが、基本的には、中央図書館の役割は都民に認知され、歩んできたものと受け止めています。しかし、その図書館が大きく変わろうとしています。
 今回の案では、従来のサービスや位置づけを確認しながらも、映像や音楽などを含めた交流拠点としての機能を持たせ、今の有栖川公園内から神宮前五丁目再開発計画に組み込まれる形で、これまでとは違う中央図書館の方向性が示されました。
 在り方案では、一千四百万都民を擁する東京に二か所ある図書館は、これまで、東京の未来を開く力となる知の集積、発信を使命として掲げ、国際都市である東京を情報面から支援することを任務とし、首都東京の中核的公立図書館の役割を担っているとあります。
 一方で、社会環境の変化や世界の図書館の潮流を挙げ、デジタル社会における役割を強調し、創造・交流図書館として、新たな智を生み出す空間と捉えるというコンセプトが示されました。
 聞こえはいいですが、これまでの中央図書館の位置づけを大きく変えるものです。そして、なぜ神宮前五丁目再開発に組み込まれていくのか、疑問が浮かびます。
 そこでまず伺いますが、中央図書館の在り方を検討するに当たり、図書館の専門家を入れなかった理由を伺います。

○山本地域教育支援部長 都立図書館在り方検討委員会及び都立中央図書館の在り方を考える有識者会議では、図書館に関わる有識者も含まれております。

○とや委員 特に、有識者の皆さんです。今回の在り方案の基になった、その議論をしてきた方々の名簿も拝見しました。
 企業の取締役、大学の教員もいますが、図書館にも関わっていますが、観光まちづくりが専門です。デザインやVRや、あるいはヒューマンインターフェースを専門とする方、またSTEAM教育推進企業などの方々です。
 都立図書館の本質的役割について掘り下げるというより、神宮前五丁目再開発に合わせて、どんなコンセプトを導入するのか、図書館の役割を発展させるよりも、例えば人が寄ってくる観光地の目玉として中央図書館の方向性を検討する有識者会議のように思いました。
 会議録も拝見しました。第一回目なのに、これまでの中央図書館の仕事の再確認や検証も、結局、最後までありませんでした。一部、現在の役割に触れる人もいましたが、大体、インバウンドだとか観光だとか、都立中央図書館は観光拠点なのかと思われるような議論が二回目以降も展開され、度々出てくるフィンランドの図書館をそのまま持ってくるんじゃないかと思われる議論でした。
 フィンランドの図書館は、大変水準が高いです。一朝一夕には、日本ではできないと私は思っています。中央図書館が持っている機能、これまでの大切な役割がどうなっていくのか、大変懸念せざるを得ません。
 そこで伺いますが、図書館の基本計画を検討するに当たって、今後、図書館協議会あるいは利用者団体との協議は行うのでしょうか。

○山本地域教育支援部長 今後ですけれども、東京都立図書館協議会は、図書館の運営やサービスに関し、意見を述べる機関となってございます。

○とや委員 唯一、協議会ぐらいじゃないかなと思ったんですよね、もし計画を立てていくのであれば。だけれども、それも、結局は、今の運営だとかサービスに関し意見を述べるというところにとどまっています。
 有識者会議でも高い評価がされているヘルシンキ市の図書館、例えばOodi図書館は、市民の声を生かして、時間をかけて整備された施設ですが、そもそも民主主義と討議が根づいている国だからこそ、市民に大人気の図書館として存在すると私は思っています。 こうしたところこそ、東京都に学んでほしいと思います。
 都民や協議会の声も聞かなければ、本当の都民の求める図書館は実現しないと思います。
 さらに伺います。中央図書館の在り方では、現在の場所から移転し、神宮前五丁目再開発計画の中に位置づけるとしていますが、再開発計画におけるプロジェクトマネジメントチームには図書館関係者は入りますか。

○山本地域教育支援部長 プロジェクトマネジメントチームに関する内容については、今後検討するとされております。

○とや委員 今後検討するとされていると、今おっしゃいましたよね。何か人ごとのようないい方なんですけれども、自分たちがつくってきた、運営してきた図書館が今後どうなっていくかというときに、再開発計画の中に組み込まれていく、そして、そのときに、どういう図書館をあそこの中に配置していくのかとか、どのくらいの面積を取るのかとか、たくさん検討しなきゃいけないのに、何か人ごとみたいでお任せみたいないい方って、本当にいいのでしょうか。
 神宮前五丁目再開発計画案を拝見しました。中央図書館は目玉事業のように見えます。中央図書館が移転しなければ成り立たないコンセプトだと思いました。そうであるなら、なおさら、都立図書館の歴史をよく知っていて、その役割を失わせないための意見をプロジェクトマネジメントチームに反映させるべきです。
 日本図書館協会による公立図書館の任務と目標が二〇〇四年に公表されています。かつて中央図書館も加盟していましたけれども、今、脱退しちゃっているんですけれども、ここには、図書館建築には図書館側の構想が反映されていなければならない、そのためには、住民の意向も取り入れた図書館建築計画書を設計者に提示することが不可欠であるとあります。
 また、図書館は単独施設であることが望ましい、立地条件、地理的事情や運営方法により複合施設となる場合は、図書館の理念及び運営方針を設計に反映させるようにしなければならないと述べています。
 複合施設になれば、図書館以外の施設の運営に影響を受けるし、結局、複合施設になっちゃうと、まるで図書室のようになってしまうんじゃないかと。全然、中央図書館の役割を果たせないんじゃないか、そういう危惧があります。
 図書室じゃないんだから、単独の立地として運営してこそ、本来の役割を発揮できるということです。図書館の歴史、そして関係者が育んできた知見を尊重できるようにしていただきたい。
 次に、中央図書館に求められる機能です。
 中央図書館は、区市町村立図書館と連携、そして役割分担をしてきました。区市町村が収集困難な専門書等の収集や協力貸出し、研修、検索システムなどはどのようにしていく考えなのか、伺います。
 また、調査研究スペースはどういうふうになるのか。
 今の機能は堅持すべきと考えますが、いかがですか。

○山本地域教育支援部長 図書館法第七条の二に基づく国の告示により、都道府県立図書館は、資料の貸出しや職員の研修など、区市町村立図書館に対する円滑な運営の援助に努めるものとされております。
 また、現在、中央図書館が行っている調査研究の支援は継続をします。

○とや委員 区市町村立図書館に対する円滑な運営の援助に努めると国の告示があるのに、今回示された在り方案の今後の方向性には、区市町村の文字が一つもありません。調査研究について継続するとしてくれたのはよかったですけれども、これは当たり前のことであって、ところが、在り方案の検討の中に、区市町村のクの字もないんですよ。どうなっちゃっているのかと思いました。
 今後の在り方の、新たな中央図書館の在り方に区市町村の文字が全くない、触れもしないのはどうしてでしょうか。教えてください。

○山本地域教育支援部長 図書館法第七条の二に基づく国の告示により、都道府県立図書館は、資料の貸出しや職員の研修など、区市町村立図書館に対する円滑な運営の援助に努めるものとされております。

○とや委員 それは知っています。今、聞いたから。
 そうじゃなくて、なぜ今後の在り方の議論の中に、そして、この在り方案に示されている、冊子の中に、資料の中に区市町村の文字が全くないのでしょうか。現況のところはありますよ。今後の在り方になったら、なくなっちゃっているんですよ。
 なぜなのでしょうか。教えてください。

○山本地域教育支援部長 繰り返しになりますけれども、図書館法第七条の二に基づく国の告示によりまして、都道府県立図書館は、区市町村立図書館に対する円滑な運営の援助に努めるものとされております。

○とや委員 いうまでもないということでしょうか。だけれども、大切なことだから、ちゃんと議論してほしいんですよ。
 令和六年度の東京都公立図書館調査によれば、一千四百万都市である東京の図書館は、中央、多摩を入れて、区市町村を合わせて三百九十三か所。三十五万人に一か所です。東京は、誰もが平等に知る権利や学ぶ権利を保障されているとはいい難い状況であります。それだけに、中央図書館の役割は非常に重要です。
 これまで中央図書館は、区市町村立図書館にない書籍や資料を所有し、知の保存、都民の知的要求に応えてきました。各自治体の図書館職員のスキルアップにも貢献する役割はこれからも堅持し、むしろ強化しなければならないのではないでしょうか。
 先ほども例に挙げました日本図書館協会、ここでは、公立図書館の任務と目標と先ほどもいいましたが、都道府県図書館は、大多数の住民にとって、身近にあって利用しやすいのは市町村立図書館である、したがって、県立図書館は市町村立図書館への援助を第一義的な機能と受け止めるべきである、このように書いてあります。まさにそのとおりだと思います。
 中央図書館の今の機能の堅持、そして拡大を改めて求めておきます。
 新たな図書館の機能として、映像や音楽、体験型のメニューの提供とあります。これらは無料ですか。

○山本地域教育支援部長 法令等を踏まえ、適正に判断してまいります。

○とや委員 法令もいろいろで、例えば条例で定めれば有料にもできるということなんですよ。有識者の議論では、対象を、目的を持った人たちから誰でもという意見であったのに、新たな在り方で付加されるような機能は、観光客とか、お金のある人ということになってしまうんじゃないかと思います。図書館は無料でサービスが提供されるという原則を崩すべきではないと思います。
 そして、今回の在り方案ですが、新たに付加する機能として、知的好奇心を喚起し学びを深める、人々の創造や交流を生み出す、多様な知を集積、発信という言葉で表現をしていますが、これらは、むしろ地域の図書館に求められる機能ではないでしょうか。お答えください。

○山本地域教育支援部長 今回の都立中央図書館の在り方でございますが、現在地の港区から渋谷区神宮前五丁目の方へ移転し、整備することとしております。
 この地区は、誰もが集い、つながる、開かれた智の創造拠点を将来像に掲げ、まちづくりを行うこととされておりまして、今後、新たな中央図書館の整備に取り組んでまいります。

○とや委員 聞いたことにちゃんと答えてほしいのですけれども、今回の在り方案に示されたコンセプト、新たな機能、あれって、どっちかというと、都立図書館に求められる機能というよりも、区立とか市立図書館の機能なんですよ。そこをお聞きしたんですね。
 聞いてもお答えいただけないので結構ですが、有識者会議の議論でも度々出てくるフィンランドですが、実は、私も自費で調査に行ったことがあります。
 ヘルシンキ市は、人口六十七万、先ほどもいいましたが、三十七の図書館があります。中央図書館である、例えばOodi図書館は、その中の一つです。ここは、フィンランド建国百年の記念に建設された図書館ですけれども、開館時にはたくさんの人たちが訪れて、音楽イベントとかオーケストラの中継もあったようです。
 ですが、この図書館を建設するに当たっては、市民に対して、どのような夢の図書館があったらよいかを尋ね、市民から徹底的に意見を集めたといわれています。
 さらに、この図書館は、ヘルシンキの地域の図書館であって、日本でいえば市区町村立図書館に当たるのではないかと思いますし、こうした図書館に学ぶというのであれば、まずはフィンランド並みの図書館数まで東京の図書館を持っていく、そして、それぞれの図書館が個性を持って地域住民の要求に応えられるよう、都として支援すべきだと思います。
 神奈川県立図書館と横浜市立中央館があります。ここは十分ぐらいの距離にあるんですが、違う役割を持っていると伺いました。
 市立図書館は、市民の幅広い興味に応えて、身近な本をそろえています。参加費無料の親子イベントなども行われているんですが、県立図書館の方は、市立図書館への貸出しなどを通して市立図書館をバックアップするという役割を担っています。そのため、一般市民が日常的にあまり用いない専門的な資料や書籍を多く所蔵するということです。二つの図書館、それぞれ役割分担で住民の要求に応えています。
 さらに、二つの県立、市立ともに、年に数回、図書館の裏側を公開するイベントも行っているそうです。いずれも毎回定員に達しているそうですけれども、イベントがあるそうですけれども、こういうふうに役割分担をしているんですよ。
 中央図書館は、区市町村立図書館の規模では抱え切れない蔵書を有し、ここへ来れば必ず見つかる、調査研究にも役立ち、知の宝庫としての役割があります。ここを後景に追いやることは、中央図書館の真の役割を投げ捨てることになるということを指摘しておきます。
 そして、在り方案には蔵書能力の確保についての言及もありました。そもそも新たな役割を検討する以前に、資料や蔵書は、当然、今後増えていくということを見通さなければならないと思います。もちろんデジタル化ということもあるでしょうけれども、やっぱり限界があるんですよね。中央図書館の面積をやっぱり増やすべきだと考えます。
 今後の方向性として、中央図書館の今の面積は増やす予定ですか。

○山本地域教育支援部長 中央図書館の建物は、竣工から五十年以上が経過し、老朽化や書庫の狭隘化が進んでおります。
 現在地における建築条件では、建築規模の拡大が困難であり、新しいコンセプトや機能を実現することが難しい状況にございます。

○とや委員 有栖川公園内、今の場所は、とてもいい環境にあって、中央図書館にふさわしい場所だと、私も伺って思いました。多くの人たちがそのように感じていると思います。本当に移転が必要なのか、考える必要があるのではないでしょうか。
 そこで確認したいのですが、中央図書館は、一九九六年に大規模改修、二〇二〇年度に外壁の改修、二〇二一年度に空調設備の改修工事を行い、二二年には耐震改修工事も実施しており、三年もたっていません。
 東京都の十か年の長寿命化方針でも、都有施設は六十五年以上を目指すとなっているにもかかわらず、移転することを決めたのはなぜでしょうか。

○山本地域教育支援部長 中央図書館の建物は、竣工から五十年以上が経過し、老朽化や書庫の狭隘化が進んでおります。
 現在地における建築条件では、新たな中央図書館のコンセプトや機能を実現することが難しい状況にございます。
 また、現在地における整備の場合、解体及び新築工事に伴う休館等により、長期間にわたり十分なサービスの提供が不可能となる状況もございます。
 そのため、移転により新たな中央図書館の整備を行うこととしました。

○とや委員 六十五年以上もたせようといっている東京都の方針があるのに、五十年で早々に移転するということなんですよね。それが解せないから聞いたのに、在り方案に書いていることしか答えていないです。
 壁面劣化に起因する雨漏りについての調査結果は、どの程度の工事が必要なのでしょうか。
 また、設備機器の不具合とは、どこが修繕しなければならないのか、どの程度の工事が必要なのか、調査結果について伺います。

○山本地域教育支援部長 昨年度の調査では、壁面は全体的にタイルのひび割れ、サッシの劣化などが見られ、修繕が必要となっております。
 また、空調機器や配管について、改修や更新が必要となっております。

○とや委員 修繕が必要なのは分かりましたが、本当に移転しなければならないのか、分かりませんでした。
 利用者の利便性に配慮しながら有栖川公園内にある現在地での改修を、例えば工期を分けて行って、なるべく利用者に不便をかけない、そうしながら改築、修繕をするという検討はしましたか。

○山本地域教育支援部長 中央図書館の建物は、竣工から五十年以上が経過し、老朽化や書庫の狭隘化が進んでおります。
 この間、必要な改修工事を計画的に行ってきております。

○とや委員 改修工事を計画的に行ってきているということですが、やっぱり、今の場所を残すためにどうするのか、どうしたらいいのか、そういうことを考えてほしいんですよね。
 太田市美術館・図書館は、太田駅北口再開発計画に位置づけられています。(発言する者あり)聞いています。今いうから待っていなさいよ。
 図書館は、既存の図書館より敷居の低いサテライト的な位置づけです。情報や知識の収集として使う既存の図書館の概念にとらわれることなく、時間と場所の提供、本ではなく人が動く仕組みに重点を置いて、ふだん図書館を利用していない層を取り込むとしています。今回の東京都の計画とよく似ているんですよね、太田市美術館って。再開発と一体で整備した太田市の図書館はサテライトなんですよ。本館じゃないの。
 私は、中央図書館の在り方を考えたときに、有栖川ですよ、これまでの役割は引き続き維持、拡充しながら、そして新たな機能は別でもいいと思っています。そういうふうにしたらいいじゃないですか。どうしても神宮に行きたいというのだったら、あそこをサテライトにして拡充しておけばいいじゃないですか。そうすれば有栖川は残せるんですよ。
 都立図書館が区部と多摩で一館ずつでなければならないということはないんじゃないですか。現在の施設が狭いというのであれば、渋谷と有栖川公園の二か所に都立図書館を設置し、多摩も合わせて三館体制にした方が幅広い都民サービスを提供できるんじゃないでしょうか。お答えください。

○山本地域教育支援部長 都立中央図書館と都立多摩図書館の二館が一体となって、効率的な運営とサービスの充実を図ることとしております。

○とや委員 二つの館が一体でサービスを充実させると。一体での充実だといいますが、都立図書館の歴史を振り返れば、百年以上の歴史を持つ都立日比谷図書館を千代田区に移管し、それによって、書庫容量の減少を理由に複本を大量に廃棄し、一冊しかない蔵書も廃棄すると、有期保存方針への転換がされてきました。都立中央図書館長の兼務、日本図書館協会からの脱退など異常な施策が強行されてきた、こういう歴史を持っているのが東京都立の図書館なんです。
 後退した図書館事業を、今この機会に回復させて、むしろ国際都市東京にふさわしい図書館政策に転換していただきたい、そのことを申し上げて、図書館についての質問を終わります。
 次が会計年度任用職員の権利保障と処遇改善です。
 会計年度任用職員の処遇や理不尽な扱いについて、私たち日本共産党都議団は、繰り返し改善を求めてきました。
 昨年九月には、独自調査によって、都の現役世代の会計年度任用職員の七割以上が女性であることを明らかにして、会計年度任用職員制度が雇用形態を通じた女性差別につながっていることを指摘し、中でも、私たちに相談があった不当な扱いについて是正を申し入れ、また、継続的に必要な仕事をしている職員は正規雇用するように要請しました。
 今日は、その中でも、教育庁の会計年度任用職員について何点か伺います。
 まず、会計年度任用職員の再度任用についてです。
 東京都の会計年度任用職員は一年契約で、公募によらない再度任用、いわゆる更新は四回までです。さらに続けて働きたければ、公募に申し込み、選考試験を受けて再度任用されることになります。その中で、女性が安心して妊娠、出産、子育てを選べない事例が発生しています。
 国の会計年度任用職員の事務マニュアルによれば、産休や育休取得を理由に再度任用しないことは認められません。妊娠中の場合も同様です。
 マニュアルに反するような取扱い、つまり妊娠や 産休、育休取得を理由に再度任用しないことは、地方公務員法の平等取扱い原則に反し、違法だと思いますが、確認させてください。

○吉村人事部長 国の会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルによりますと、再度任用の際に、例えば育児休業をしていることを理由として任用しないこととする取扱いは、地方公務員の育児休業等に関する法律第九条に照らして認められないとしております。
 また、産前産後休暇を取得している職員につきましても、地方公務員法第十三条の規定により、産前産後休暇を取得していることを理由として任用しないこととする取扱いは認められないとしております。
 なお、育児休業をしている職員であっても、再度任用する際には、改めて能力の実証を行う必要があり、結果として再度任用されなかったとしても、そのことのみで不利益取扱いに当たるものではないとしております。

○とや委員 これは、妊娠を理由に再度任用しないことも認められない。
 また、更新でなく、公募による再度任用に際しても認められないということでいいのですよね。
 ちょっとそこだけお答えいただきたいのですが、よろしいですか。

○吉村人事部長 会計年度任用職員の任用に当たりましては、国のマニュアル等を踏まえ、適切に行っております。

○とや委員 ちょっとそこだけだと分からないので、もう一回伺いたいのですけれども、今、私がいったのは、公募による再度任用に際しても認められないという理解でいいか悪いかだけでいいので、ちょっとお答えいただきたいのですが。確認だけさせてください。
 そういうことだということは分かるのですけれども、ちょっとすみません、分かりやすく。

○吉村人事部長 先ほどもご答弁したとおり、会計年度任用職員の任用に当たりましては、国のマニュアル等を踏まえ、適切に行っているということです。

○とや委員 それは分かっているんです。そのマニュアルが、更新でなくて、公募による再度任用についても適用されるという理解でいいですか。適用されるということでいいのですね。いいのですね。
 されるかされないかで、ちょっとすみません、もう一回。されます、されませんと、どちらか。

○吉村人事部長 最初にご答弁申し上げたとおり、国の会計年度職員の事務処理マニュアルによりますと、育児休業をしていることを理由として任用しないとする取扱いは、地方公務員の育児休業等に関する法律第九条に照らして認められないとしております。

○とや委員 対象になるかならないかでいいから、お答えになっていただきたいんですよ。それじゃ、聞いている方が分からないんです。
 公募による再度任用に際しても認められないということでいいか悪いか。

○吉村人事部長 公募による任用についても同様でございます。

○とや委員 ありがとうございました。確認することができました。
 なぜこのようなことを確認するかというと、我が党の原純子都議が文書質問もしましたが、会計年度任用職員の女性の公募による再度任用の際に、妊娠を理由とした差別的扱いとしか考えられない対応があったためです。
 その対応は是正されたものの、担当者が都議に対して、一般論として、公募の場合は妊娠を理由に再度任用しなくても違法ではないと説明したわけです。これは明らかに誤りです。
 また、数年前には、会計年度任用職員に応募した女性に、都教委の担当者から採用する旨の電話があり、勤務の相談をする中で、その女性が、四月上旬は保育園の慣らし保育があるのでシフトに多く入れないかもしれないと伝えたら、担当者が、それは困る、採用を保留させてほしいといい出したということもありました。私たち会派の議員が、相談をこれも受けています。
 こんな状況では、女性は安心して妊娠、子育てをすることができません。今日は確認できて、本当によかったと思います。ありがとうございます。
 なぜこういうことが起きるのかというと、都庁全体のジェンダー平等に対する認識の遅れとともに、会計年度任用職員の採用試験や合否決定は、人事部ではなくて各部、各課が行うために、各部署の管理職が雇用のルールや労働者の権利に精通していないということがあるのではないでしょうか。
 産休や育休取得を理由に、更新の場合はもちろんですが、公募であっても再度任用しないということは、地方公務員法の平等取扱い原則に違反し、違法であることを、改めて各部や各課に周知徹底することを求めますが、いかがですか。

○吉村人事部長 会計年度任用職員の任用に当たりましては、地方公務員法の平等取扱いの原則に基づき、適切に行っております。
 また、会計年度任用職員に係る国の通知等につきましては、関係部署に周知をしております。

○とや委員 適切に行っているとか、周知をしているとかと今おっしゃいましたけれども、私が今お話ししたとおり、適切でない事例が発生しているんですよ。もしかしたら、これだけじゃないかもしれない。これは私たちがつかんだ事例ですけれども、ほかでもあるかもしれないですよ。やはり、そういうことを見越した上で徹底していただきたいということなんです。
 女性が安心して働けるように、具体例を分かりやすく示した、例えば対面の研修をすることなども含め、改めて丁寧に周知するべきです。さらに、教育庁全体、特に管理職がジェンダー平等への認識を深める努力をすることも求めておきます。
 スクールカウンセラーについても伺います。
 資料でも出していただきましたが、スクールカウンセラーの二〇二五年度の公募による任用で、公募によらない再度任用回数、いわゆる更新が四回を超えて公募による任用となった方の応募者数と合格者数を、すみませんが、改めて確認させてください。

○市川指導推進担当部長 応募者数は百四人、合格者数は八十三人でございます。

○とや委員 前回、二〇二四年度の公募は、会計年度任用職員制度の導入に伴って、特別職非常勤から身分が切り替わった方々が、一斉に公募による再度任用の対象になりました。そのため、人数が多くて、応募者数は一千九十六人、合格者は八百四十六人でした。そして、二百五十人もの方が都教委に理不尽な雇い止めをされ、現在、裁判になっています。
 今回は、応募者数が百四人と人数は少ないのですが、資料を拝見して、非常に気になることがありました。それは、応募者数と合格者数の割合です。
 前回、二〇二四年度任用の応募が一千九十六人、合格が八百四十六人、不合格は二百五十人です。今回は、二〇二五年度任用の応募が百四人、合格は八十三人で、不合格は二十一人でした。前回も今回も合格率が約八割、不合格率が約二割となっています。
 これは、ご本人の勤務実績や選考試験での成績にかかわらず、二割の方を落とすと決めているのではないかという疑念を生じざるを得ません。職員は、更新を四回やって、公募は五年に一回ですから、五分の一の二割ずつを落として入替えを図る意図が働いているのではないかという疑いがあります。
 会計年度任用職員は、都合のよいこまではなく、人間です。しかも、スクールカウンセラーは、専門性や、学校での経験の積み重ね、継続性が重要な仕事です。五年ごとに必ず二割を落とすような扱いをしているとしたらですよ、雇用を不安定にして、安心して働くことができなくなってしまいます。
 もしそのようなことをしているとしたら、即刻やめるよう強く求めておきます。
 人事院は、昨年六月、国の非正規公務員の更新を原則二回までとする制限の撤廃を各省に通知をしました。都内でも、文京区、世田谷区、板橋区、そして私の地元の練馬区、八王子、狛江、調布など、雇用年限の上限をなくす自治体が増えています。
 東京都も、スクールカウンセラーはもちろん、会計年度任用職員の雇用年限の上限、更新は四回までという上限を撤廃することを強く求めるものです。
 会計年度任用職員の最後に、東京都の時間講師の働き方について伺います。
 教員不足が深刻な中、病気休職の後補充や産休、育休代替など、本来は正規や臨時的任用の教員を充てるべきところ、そうした教員が見つからず、代わりに時間講師にお願いするという事例が増えています。
 また、正規教員の負担軽減や初任者研修などのために授業時数を軽減し、その分、時間講師に授業を持ってもらうということも行われています。
 学校現場で子供たちの教育になくてはならない役割を果たしている時間講師ですが、理不尽な扱いがあるという相談を私たちは度々受け、是正を求めてきました。
 少し長くなるのですが、事例を紹介します。
 二〇二二年のことですが、ある時間講師の方は、ある区立小学校で、産休に入る予定の学級担任の教員の代替として、週二十四時間働いてほしいとオファーを受け、働くことにしました。時間講師は、本来は授業しかできませんが、実際には授業以外の担任としての仕事もさせられ、労働時間は週に約五十時間になったそうです。
 しかも、週二十四時間という話だったのに、働き始めた後にもらった辞令を見たら、週十八時間の契約となっていたそうです。恐らく、時間講師は、制度上は特別活動など教えられない授業があるということなどのため減らされたと考えられますが、ご本人にとっては、だまし討ちのようなものです。
 結局、週五十時間も働かされた後に、もらえる給料は週十八時間分だけ。あとは、全てただ働きとなったそうです。
 これは幾ら何でもあんまりだと確認したところ、都教委からは、多く働いた分は別の日の勤務時間を短くして、週十八時間になるように調整するよういわれたということです。
 しかし、ある日に一時間多く働いて、次の日、一時間早く帰るのは、そうしたことができればいいけれども、それだけのちょっとした問題ではないですよね。週十八時間の契約で、三倍近い五十時間も働いているのに、調整することなど不可能であります。
 結局、ただ働きは、ただ働きのまま、約三か月働いたそうです。実際に働いた時間の半分の給料も払わない。これは本当に異常だと思います。
 時間講師の職務の監督、勤務時間の管理は、その学校の学校長が行うものと思いますが、確認いたします。どうでしょうか。

○吉村人事部長 今ご質問の時間講師の時間の管理についてということですか。(とや委員「監督や勤務時間の管理」と呼ぶ)監督につきましては、学校長が行っております。(とや委員「勤務時間の管理も学校長」と呼ぶ)はい。

○とや委員 本来、校長が勤務時間を守って時間講師を働かせる必要があるんですよね。法令や労働者の権利をどう考えているのかなと、首をかしげざるを得ません。
 さらに、働かせておきながら、到底できない勤務時間の調整をするようにいうだけで、ただ働きを放置する都教委も、行政のすることとは思えません。
 この方は、未払い賃金を払ってほしいと、特別区人事委員会に申し立てました。特別区人事委員会は調査に入って、タイムカードと給与明細を照らし合わせて、労働基準法違反だとして、休憩を取っていない分も含めて、週約三十時間分、金額にすると月額約四十万円の未払い賃金を払うよう、区に是正勧告を出しました。
 ここで伺っておきますが、都内公立小学校で働く東京都の時間講師の雇用主は誰で、給与は誰が支払っていますか。

○吉村人事部長 公立の小学校に勤務する東京都の時間講師につきましては東京都教育委員会が任用しておりまして、都が認めた時間について、給与につきましても東京都教育委員会が支払っております。

○とや委員 認めようが認めまいが、東京都の時間講師の雇用主は東京都です。そして、給料も東京都が支払っています。
 ですから、この方の場合も、人事委員会が区に是正勧告をしたとしても、雇用主は東京都の教育委員会ですから、都教委が未払い分の賃金を払うのが当然です。
 ところが、都教委は、信じられないことに、契約は十八時間なのだから、それ以上は支払わないといって支払わなかったそうです。
 なぜ支払わなかったのでしょうか。お答えください。

○吉村人事部長 個別の事案につきましては、関係者もおりますので、回答は差し控えさせていただきます。

○とや委員 今、個別と、いきなりいいましたけれども、全体のルールや都教委の行為は、個別の事例に反映するんですよ。それで被害を受けて、私たちに相談に来る方が何人もいるんです。逃げないでください。だって、おかしいんですよ、こんなことをすること自体。
 給与未払いの是正勧告を受けたのは事実ですよね。是正勧告、いかがでしょうか。

○吉村人事部長 先ほど、とや委員がおっしゃっていたとおり、東京都が是正勧告を受けたものではございません。

○とや委員 今の答弁で、東京都が受けたものではないとおっしゃいましたので、区が受けたことはご存じだということですよね。
 もう一問、伺いますが、東京都の時間講師が契約時間を超えて働いたとき、残業したときに、残業代は支払わないのでしょうか。その根拠も伺います。

○吉村人事部長 繰り返しになりますが、時間講師は、都が認めた時数について時間講師として発令しておりまして、それ以上を超えるということは想定していないという形になっております。

○とや委員 だから払わないということですよね。ひどい話ですよ。
 結局、条例と規則を都教委の解釈、今のお話ですと、時間講師には、あらかじめ契約した時間があって、それに応じて報酬を支払うことになっているから、それ以上は払わないといういい分ですよね。
 しかし、それでは、時間講師の方は働いた分の賃金をもらうことができません。働かせておいて払わないのは違法です。
 きちんと払う責任が雇用主である都教委にあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

○吉村人事部長 繰り返しになりますけれども、具体の案件が不明な中で、ご答弁は差し控えさせていただきます。

○とや委員 いや、一般論で聞いているんですよ。一般論で答えてくださいよ。
 ある時間講師の方がいて、働いた分の賃金をもらうことができなかった。働かせておいて払わないのは違法じゃないですか。雇用主は東京都でしょう。
 東京都が雇用した時間講師の方が、働いた分の賃金をもらうことができない。その場合、働かせておいて払わないのは違法じゃないですか。
 きちんと払う責任は都教委にあるんじゃないですか。どうでしょうか。

○矢野人事企画担当部長 時間講師の勤務時間については、都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例及び関係規則等において、一週間を単位として二十六時間を超えない範囲で定めるものとされており、あらかじめ定められた時間数に応じて報酬を支払うこととしております。

○とや委員 その答弁に似たようなことを、先ほど人事部長がおっしゃったじゃないですか。同じことをいわなくていいですよ。
 私が聞きたいのは、違法かどうか、きちんと払う責任が雇用主である都教委にあるんじゃないかと聞いているんですよ。実際に働いた分を払わないなんて異常でしょう。そんなこと、許されるわけないじゃないですか。
 東京都が支払ってくれないから、区は仕方なく、区で未払い賃金分のお金を用意したそうです。しかし、区とその時間講師の方は、雇用契約は結んでいません。賃金を支払うことができないんですよ、雇用契約を結んでいないから。
 そこで、区は、苦肉の策として、週五十時間のうち約三十時間分は区が雇用したことにする書類を作成して支払うという話になったそうです。何ですか、これ。
 しかし、あまりにもいろいろあり過ぎて省略しますが、とにかく、この時間講師の方にとって納得がいかない対応ばかりです。働く人の身になってください。皆さんだってそうですよね、雇用されているんだから。自分が同じことをされたら、たまらないですよ。
 結局また、区とこの方は、雇用されていたことにする契約をまだ交わしていないそうです。区は、是正勧告に従って、何とか賃金を支払おうとしたのでしょうが、やはりこれは筋の通らない話なんです。雇用契約もないから。
 東京都が雇用して働かせたわけですよ。未払い分は東京都が支払うべきなんです。
 時間講師の職務をきちんと監督して適切に働かせなかった、週十八時間の契約で授業以外の担任の仕事をさせた校長には、しかるべき責任が問われるべきであります。それもやっていない。
 そして、それを都教委は、時間講師と週十八時間の契約をしただけで、それ以外の労働については知らぬ存ぜぬと突っぱねるから、話はどんどんおかしな方向に進んでいるということになっちゃうんです。
 社会保険についても伺います。
 都教委が雇用した小学校の時間講師を当該区市町村教育委員会が独自に雇用した場合に、勤務していた労働時間を合算して認定された社会保険料を支払ったことがあるかどうか、伺います。

○吉村福利厚生部長 異なる雇用主に雇用されている場合、労働時間のうち都教育委員会が任用している労働時間に応じ社会保険料が発生する場合には、支払うルールとしております。

○とや委員 支払ったことがあるかどうかを私、聞いたのですけれども、今のご説明、答弁はルールの説明です。
 先ほどの時間講師の方の話に戻りますと、この方は、もともと週二十四時間の約束で働き始めたので、当然、社会保険にも加入できると考えていたそうです。
 ところが、健康保険証はどうなっていますかと校長に問い合わせても、知らないといわれ、結局、蓋を開けてみたら、契約は週十八時間だったと。二十時間に達しないから、社会保険に入れないんですよ。加入できなかった。そのため、無保険となって、医療費を十割負担しなければならなかったそうです。
 そして、この方は、実際は週五十時間働いているんですよ。おかしいじゃないですかと年金事務所に訴えたら、年金事務所は調べてくれて、週五十時間働いているのだから加入するようにと通知したそうです。当たり前ですよね。
 そして、都教委と年金事務所がやり取りをした結果、都教委は、五十時間分の給料で算定された保険料の全額を年金事務所に納めることになりました。これは事前に確認しています。
 そして、これは年金事務所が、この方は時間講師として東京都に雇用され、契約は週十八時間だったけれども、実態として、常時、都の講師として週五十時間働いていると認定したからにほかならないと思いますが、いかがですか。

○吉村福利厚生部長 個別の事例につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○とや委員 答えられないからって、個別の事例で逃げないでくださいよ。実際に五十時間働いている人に、何で年金を払わないのか。おかしいでしょう。
 年金事務所が、この方は東京都に雇用されている、契約は週十八時間だったけれども、実態として、常時、都の講師として週五十時間働いていると認定したから、払わざるを得なかったのじゃないですか。
 何で東京都は払ったのですか、お金。個別といわないでね。

○吉村福利厚生部長 繰り返しになりますが、個別の事例につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○とや委員 一人の人の人生がかかっているんですよ、こういう働き方とか、年金とか。将来に関わる問題なんですよ。東京都がこんなことをやっていて、いいと思っているんですか。教育長、今、初めて聞いたでしょう。とんでもないことをやっているんですよ。
 社会保険の専門家にも確認しました。社会保険は、基本的に、契約した労働時間が週二十時間以上の場合が加入条件です。だから、週十八時間の契約のこの方は、当初、社会保険の加入対象外とされていたわけです。しかし、契約が十八時間でも、年金事務所は調査をして、常に二十時間以上働いている実態があるなら、その労働者は社会保険に加入させるよう事業主に求めるそうです。だから、年金事務所は、都教委に社会保険を払うようにいったのじゃないでしょうか。
 どうですか。一般論でいいから答えてよ。こういう場合、どうなんですか。

○吉村福利厚生部長 繰り返しになりまして、恐縮ですが、個別の事例につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○とや委員 一般論でいいますよ。一般論でね。
 当初は十八時間の契約だった場合、実際に働いた時間が週十八時間以上だった、その場合、年金の加入要件になりますよね。そういうことでしょう、法律的には。で、年金事務所が、二十時間以上働いているのであれば、社会保険に加入させるよう事業者に求めるものじゃないのですかね。
 そういうものじゃないのでしょうか。教えてください。

○吉村福利厚生部長 仮定のお話につきましては、お答えは差し控えさせていただきます。

○とや委員 仮定じゃないんですよ。ルールを聞いているんですよ。こういう場合、どうなんですかと、年金のルールについて聞いているのに、何で仮定の問題なんですか。変なことをいわないでください。
 全部の時間を東京都の時間講師として働いたと判断したからこそ、年金事務所は都教委に保険料を払うようにいったんです。
 ところが、都教委は区教委と話をつけて、都教委が雇ったのは週十八時間、区教委が雇ったのは週三十時間だとして、保険料を案分して、区教委は都教委に三十時間分の保険料を払ったということです。都教委は、これを雑費として歳入したと説明を受けています。
 聞いていましたか、今。聞いていないでしょう、二人で話していたから。もう一回いいましょうか。もう一回いいましょう。
 都教委は区教委と話をつけ、都教委が雇ったのは週十八時間、区教委が雇ったのは週三十時間だとして、保険料を案分して、区教委は都教委に三十時間分の保険料を払ったと。都教委は、これを雑費として歳入したと説明を受けています。
 間違いありませんね。

○吉村福利厚生部長 個別の案件につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○とや委員 何をいわれても、個別といえばいいと思っているんでしょう、こんな大事な問題を。本当におかしな話です。
 社会保険料の制度でいえば、もし都教委が週十八時間、区教委が週三十時間雇用していたという扱いが正当に成り立つとすれば、その給与を合算して都教委が保険料を払う必要はないんですよ。十八時間と三十時間、別々だったら払う必要はないんですよ。ところが、払っているわけですよ。
 都教委との契約では週十八時間しか働いていないと、さっきからいっているでしょう。加入要件を満たしていないから、本当は払う必要はないわけです。ところが、払っているわけですよ。
 この方が都の時間講師として週十八時間しか働いていないなら、なぜ都は、この方を社会保険に加入させ、社会保険料を支払う必要があるのか、お答えください。

○吉村福利厚生部長 個人情報に関する配慮の観点から、個別の案件につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○とや委員 結局、人事委員会も年金事務所も、この方は、都の時間講師として週五十時間働いたと判断しているということなんです。誰がどう見ても、都の時間講師として、校長の監督の下に週五十時間働いたんですよ。それを都教委が認めて是正勧告に応じないから、どんどんどんどん筋が通らなくなって、都教委が区教委を巻き込んで、おかしなことになっているんだといわざるを得ません。
 この時間講師の方の未払い賃金の是正勧告は、東京都が責任を持って対応し、賃金を支払うことを求めますが、いかがですか。まだ払っていないんだから。

○吉村人事部長 繰り返しになり、誠に恐縮ですが、個別の事案については、回答を差し控えさせていただきます。

○とや委員 実際に働いた分の給料は払う必要があるのは当たり前でしょう。都の時間講師として雇われて働いたのだから、東京都に責任があるのは当然です。条例に残業代を払う規定がないからとか、働かせても支払わなくてもよいなどという理屈は成り立たないです。
 こうした矛盾を立場の弱い時間講師にしわ寄せをして、労働基準法違反になっても構わないのですか。講師の人というのは立場が弱いでしょう、非正規なんだから。いいのですか。労働基準法違反になっても構わないのでしょうか。
 教育長、いかがでしょうか。お答えください。

○吉村人事部長 繰り返しになりますが、個別の事案については、回答を差し控えさせていただきます。

○とや委員 先ほども、私、申し上げましたけれども、私が相談を受けたりした方というのは、多分、一部の方だと思いますよ。だから、この方だけの個別の問題では済まない問題なんですよ。
 この時間講師の方は、無報酬で働かされたご自身の状況について、先輩の時間講師に相談したら、そんなもんだから仕方がないといわれたそうです。
 ほかにも、授業以外の仕事を無報酬でさせられたという相談が私たちのところにも来ています。
 時間講師だけではありません。スクールカウンセラーにも残業代が支払われたことがない問題、これは、私、以前も質問しましたけれども、結局、教員不足でフルタイムの教員を確保できないことをはじめ、教育現場の矛盾を立場の弱い時間講師などに負わせて知らんぷりをする、こんなことは許されるものではありません。
 この時間講師の方には、都教委から未払い賃金を支払うことを重ねて求め、次の質問に移ります。
 教育大綱です。
 都教育委員会は、東京都教育施策大綱の改定案を発表しています。二〇五〇年代の東京の姿として、都立高校における新たな教育スタイルの実施を追加し、グローバル人材の輩出、教員の働き方改革で世界のトップ人材を育成する、東京の教育の仕組みを日本の教育のスタンダードにするというものです。
 目指す教育の実現に向けた三つの学びでは、ICT教育活用が示されています。ICTを活用し、何をどのように学ぶかという観点から、一人一人に最適な学びと協働的な学びのベストミックスを図り、教え方や学び方を改革としています。
 まず、この中で、新しくなった、新たな教育スタイルについて伺っていきます。
 ここでは、生徒個々の状況に応じて、いつでも、どこでも学習できる仕組みを検討するとしていますが、子供の授業の場は、学校に限定せず、家庭や図書館、塾、予備校なども学びの場とするということなのか、伺います。

○秋田教育政策担当部長 大綱の案にもお示ししているとおりでございますが、新たな教育のスタイルにおきましては、学校のみならず、オンライン等の活用などによりまして、多様な学びを展開していくという方向性を示しているところでございます。

○とや委員 東京は、不登校の児童生徒が過去最高になりました。コロナを心配して、まだ学校に来られない、行かれない子もいます。そうした点で、オンラインを活用した学習は有効に働く場合があると思います。しかし、費用負担だとか、安全面などでも問題を抱えていることも課題として挙げられるのではないかと思います。
 そして、子供の学びの場は基本的に学校であり、学校も教育委員会も、子供たちにとって安全で居心地のよく、勉強が好きになるような教育環境をつくるため、力を尽くさなければなりません。そうした努力を最優先にしていただきたいです。
 法政大学の児美川孝一郎氏は、経済産業省が進めようとしている未来の学びについて語っています。教科と探究で構成され、教科学習ではパソコンの端末やタブレットを使い、AIが提供する学習プログラムで個別最適化された学びを目指し、残りの時間は探究学習に充てます、探究学習では、科学、技術、工学、芸術、数学、STEAMを組み合わせて課題解決的な学習を行うというもので、必ずしも学校の教室で学ぶ必要はないといっています。
 都教育委員会も、こうした路線で教育を進める予定だと思います。
 また、児美川氏は、教師と生徒の関係や生徒同士の関係を通じた人間形成や、授業学習の発表など、学校ならではの教育によって社会性を身につけたり、主権者としての力量を形成するという発達の問題、課題は全く無視されていると述べています。
 大綱は、本来の教育から大きく離れる、そのレールを敷くものではないでしょうか。
 さらにお聞きします。新たな教育のスタイルでは、生徒個々の状況に応じて教員が学びの伴走をするとしていますが、教員の、教師の役割はどのように変わるのか。
 学校における授業を組み立てるのは教師だと思いますが、今後どうなっていくのか、お答えください。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和七年二月十二日の東京都教育施策大綱(案)において、教職員は、子供の学びの伴走者となり、専門家等と連携し、探究等の実践的な学びを展開することとしています。

○とや委員 とても分かりにくいのですけれども、資料を見ると、都立高校は、新たな教育スタイルとして、今後、目指す姿は、学校以外の場所、例えば大学や企業を活用する、そしてオンラインで学ぶとしています。
 指導するのは専門家、企業人、ロールモデルとされ、教員は教科の専門性でサポートと、非常に細い字で書かれているのみであります。そして、外部の専門家から学ぶといいます。
 教師の役割は、後景に追いやられる形です。現場の声も聞かず、一方的に教師の役割を変更することは、教育の不当な支配といわれても仕方がありません。
 そもそも、教員の仕事は伴走だけではありません。専門を生かした教科学習の指導に加え、学級運営を通じて生徒に自治や民主主義を教え、人格の完成に貢献することは、最も重要な仕事ではないでしょうか。生徒に対しては、知識さえ詰め込めばいいというものではありません。
 これまで中教審は何といっているかというと、日本の学校教育はこれまで、人と安全・安心につながることができる居場所として福祉的な役割も担ってきた、この役割の重要性は今後も変わることはない、特に全人的な発達、成長の保障、このように述べています。
 そもそも、授業の組立てやどんな教材を使うのかは教員の裁量でもあって、最大限尊重することを求めておきます。
 また、都教育委員会は、LMS、ラーニング・マネジメント・システムという方法を都立高校で進めるとしています。
 生徒は、学校に来なくてもセルフマネジメントが可能で、デジタル教材で予習、復習、AIドリルで学力向上、教師は生徒の自宅学習状況をサポートなどと、何だかいいことばっかり書いてあるのですが、本当にいいことばかりなのでしょうか。メリットばかりなのでしょうか。
 LMS導入では、AIドリルやAIによる学力相談に対応と例示があります。AIが機能するための情報は、どこから収集するのでしょうか。

○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 LMSにどのような機能を持たせるかは、今後検討を進めてまいります。

○とや委員 どのような機能を持たせるのですかと聞いたんじゃないんですよ。AIドリルやAIが学力相談に対応する場合、その情報はどこから収集するのかと聞いたんです。
 AIを機能させるためには、ビッグデータが必要です。そのためには、生徒の膨大な個人情報である学習記録などを収集しなくてはなりません。教育関係者や専門家からは、ICT活用政策は、子供たちの学習履歴、生活、行動のデータなどを蓄積し、公教育の市場化、自己責任化を進めようとしていることは明らかであると分析しています。機械的なドリル学習などではなくて、生きた教育を子供たちに保障していただきたいと思います。
 そもそも、都教育委員会の使命は教育条件の向上です。その点で、教育大綱には中学校三十五人学級が記載されています。
 国に先駆けて実施するということでありますか。お聞きいたします。

○山本地域教育支援部長 公立中学校の学級編制については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき行っております。
 なお、東京都教育委員会では、いわゆる中一ギャップを解消するため、第一学年において三十五人学級の編制等が可能となるよう教員加配を行っているほか、習熟度別指導や少人数指導等のための教員や時間講師を配置しております。

○とや委員 中学校の三十五人学級の実施は、知事の公約です。そのような答弁をされると、なぜ教育大綱に位置づけたのかといわざるを得ません。教員を増やして、中学校での三十五人学級を早急に進めるべきです。
 そのためにも、教員の長時間労働の解消は待ったなしです。教員は、平均でも一日十一時間半に及び、土日も働いています。その苛酷さは、かつてない教員不足までもたらしました。その是正は、労働条件の改善として急務であり、子供の教育条件として極めて大切な課題です。
 大綱は期間の定めがないからなどといって逃げるのではなく、直ちに中学校三十五人学級の実施を求めます。そして、小中学校でのさらなる少人数学級を求めるものです。
 教育大綱では、特に重要で優先的に取り組む事項として、新たな教育のスタイル、先ほど申し上げましたが、これを都立高校から展開すると。個別最適な学び、デジタルとリアルの併用、協働的な学びが強調されています。
 さらに、デジタルを活用した学び方の転換……(「委員長、時間ですよ」と呼ぶ者あり)時間ですか。

○小山委員長 あと二分。もうそろそろ時間です。

○とや委員 提案されています。個別最適な学びは、AIが一人一人の学習状況に応じて最適な学びを難易度や速度に合わせて教材を選び提供すると宣伝されていますが、子供たちはコンピューターの画面と向き合う授業に転換させられることになります。
 こういうことをしていると、子供の学びをばらばらに分断されて、孤立化させられ、学校のよさである一緒に学ぶことが失われてしまうんじゃないでしょうか。
 公教育は、全ての子供への基礎学力の保障が大前提です。子供の人格の完成です。知識だけを詰め込むようなやり方では、子供の人格の完成はなし得ません。ICT学習は、あくまで教師が授業を行う際の補助として使うべきです。
 世界では、ICT活用は見直されていますよ。フィンランドでも見直そうと。さらに、スウェーデンでも大変な事態になって転換を迫られました。

○小山委員長 あと三十秒で時間を過ぎます。

○とや委員 はい。
 こうしたことを考えても、やっぱり子供たちの立場に立った教育を、都教委として責任を持ってやっていただくよう求めて、私の質問を終わります。

○松田委員 私からは、起業家教育についてお伺いをしたいと思います。
 令和元年に産業労働局を中心として小中学校の起業教育を進めたとき、私は、そのときからずっと関わらせていただきまして、令和三年の経済・港湾委員会、ちょうど坂本産業労働局長のときにこんなお話をしたのを、今、自分の議事録を見ていて思い出しました。
 孟母三遷、孟子のお母さんは、三遷だから三回、家移りをしているんですね、遷都の遷で。一回目に住んだところが墓場の近くで、そうしたら、子供が、孟子がお葬式ごっこをしていたと。そして、次に移った場所が市場。そうしたら、商売に関する、そういった遊びをしていた。最後に移ったのが学校の近く。そうしたら、礼儀を重んじたりとか、学習するようになったので、孟子にとっていいところはここなんだなということで、そこにということで、若い頃というのは、やっぱり周りの環境にすごく影響されやすいということで、教育というのは本当に大事だなというところで、今、日本の起業ってすごく少ない。開業率でいうと、イギリスの三分の一、アメリカの二分の一。
 また、企業価値が十億ドル以上のユニコーン企業というのもアメリカの六十分の一ぐらいにとどまってしまっていて、今、東京都も、スタートアップ・国際金融都市戦略室を、これから局クラスに格上げして頑張っていくということなんですが、その中でもいろんなところを調べていくと、問題点は、日本の安定志向であったりとか、また、こういった環境がないとか、なかなか資金調達ができないとかあるんですけれども、必ず教育というところに行き着くところがあります。
 そこでまず、都立高校における起業家精神の醸成に関する学習についてお伺いをいたします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、令和六年度に、工業、商業等の専門的な教育を行う学校を、企業等と連携し、社会課題について探求する推進校として二十四校を指定しました。これらの学校では、都立高校生が実際に企業等にアイデアを提案するなど、主体的な探究学習の取組を進めてまいりました。
 次年度は、こうした取組を、専門学科の高校だけでなく、普通科の高校や中等教育学校を含む九十校に対象を拡大して実施します。
 さらに、都教育委員会は、探究学習として取り組む社会課題等のテーマについて、約二十のプログラムを用意いたします。各プログラムにおいては、生徒が専門的な知見を有する企業等の社員と議論し、実践的な課題解決の方法を学習するなど、探究的な学びを深めてまいります。
 こうした取組により、主体的に社会の諸課題を解決することの意義を理解し、起業家精神を身につけてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。推進校二十四校から、来年度は普通科の高校や中等学校を含む九十校に拡大をしていくということでありました。
 私は、都教委にも、この起業家精神というのをぜひ求めていきたいなと思っています。教育とか役所、今、いろんなところで減点方式だったりとか、縦割りだったりとか、それから偏差値主義であったりというところがありまして、今、これから新たな教育のスタイルを打ち出していくということであれば、新たな役所のスタイルというのを、この都教委から牽引をしていっていただきたいと思います。
 話を教育に戻しますと、これまでの教科や学び方にとらわれない、実社会に生きる学びが必要と考えますが、起業家精神醸成はその一つであります。今後の取組について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、生徒が世界を視野に国内外の課題を解決していく力を育成するため、これまでの学びに加え、将来のキャリアにおいて必要とされる新たな学習を検討してまいります。
 具体的には、アントレプレナーシップなど起業家精神の醸成に資するデジタル教材を開発します。各学校において、これらの教材を活用して理論から実践につながる授業を実施するなど、生徒の創造性、主体性、チャレンジ精神等をさらに高める取組を強化してまいります。
 このような取組により、世界を舞台に活躍できる人材の育成を後押ししてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。理論から実践につながる授業を実践、そして生徒の創造性、主体性、チャレンジ精神をさらに高める取組を行う、こういったことを、先ほど申し上げましたが、都教委でもぜひ実践をしていただいて、減点方法ではなくて、新たな提案に関して加点方法でいろいろと評価をしていかなければ、いいアイデアは生まれないと私は思っています。ぜひ子供たちの起業家マインドを根づかせないといけないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、今、デジタル教材を活用した起業家精神の育成というご答弁がありましたが、これは、授業においてはどういう扱いなのかを伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 高等学校学習指導要領では、学校は、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特色ある教育課程の編成に資するよう、学習指導要領に示された科目のほかに、学校が独自に設定する科目を設けることができるとされております。
 起業家精神の育成など、学習指導要領に示されていない新しい分野の科目については、関連する科目の授業の一部で活用したり、学校設定科目として設定することが考えられております。

○松田委員 ありがとうございます。学習指導要領に示されていない新しい分野の科目として、この起業家精神の育成というのがあるということであります。これを学校が独自に設定することができるというお話でございました。
 こういった科目は、ほかにどういったものがあるのか。
 そして、極端な話をすると、こういった学習指導要領に含まれていない科目に選択科目を全て変えることはできるのかということを伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会では、起業家精神の育成に係る科目のほかに、激しい社会の変化を踏まえ、将来、生徒がキャリアの中で必要となると考えられる分野として、例えばデータサイエンスや生成AI、ゲーム理論や行動経済学などを検討しております。
 従来の数学や英語といった必ず受講しなければならない科目に加え、こうした科目により、不確実な時代を生き抜く力や、将来のキャリアを見据え、備えるべき力を身につけることができることが期待できます。
 これらの新しい分野の科目については、生徒の学びのニーズに応じた選択が可能になるよう、様々な角度から今後検討してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。今ご答弁いただいたのが、今まで選択科目として、例えば古典とか数学Bとか政治・経済とか化学とかに代えて、今ご答弁いただいたデータサイエンス、生成AI、ゲーム理論や行動経済学、こういったものに変換してもいいですよというご答弁だったと思うんですね。
 これは、学校自身が選択していくのもいいのですが、いろいろ難しい点もあると思いますが、生徒それぞれが、自分が自ら学びたいという科目を――もちろん受験とかもあるので、必要だという方は従来のものを選択することも必要ですし、そうではなくて自ら選択をして選んでいく、そして都立高校の魅力を高めていくというのも、一つ重要な取組なのではないかなというふうに思っています。
 興味のない授業を強制的に受けていると、なかなか身が入らなかったりとか、ちょっと居眠りをしてしまったりとかあるかもしれませんので、そうならないように、自ら選んで、そしてそれを勉強していくというのは、とても大事な取組だと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 次に、文化財について聞きたいのですけれども、今、江戸東京の歴史、文化を世界遺産にというところであります。
 これに関して、東京都は、教育委員会は文化財を所管しておりますので、この文化財について幾つか質問していきたいと思います。
 文化財は、我が国の歴史、文化の正しい理解のため、欠くことのできないものであります。国民共有の貴重な財産であります。
 まず、全国の国指定の文化財の件数と、都内に所在する国指定及び都指定文化財の件数について伺います。

○山本地域教育支援部長 令和六年四月一日現在において、全国の国指定文化財の件数は一万七千六百六十六件でございます。
 また、都内における国指定文化財の件数は三千三件、都指定文化財の件数は八百三十六件でございます。

○松田委員 今、全国の文化財が約一万八千件、そのうち東京都には、国指定が三千余り、そして都指定が八百余り。つまり、今、四千近く、四分の一から五分の一が東京都にあるということであります。東京は、人口は全体の十分の一ぐらいですので、東京にやはり文化財が集積しているというのは分かりました。
 それでは、今、江戸東京の文化ということなので、江戸時代に由来をする、関連をする文化財は、この四千弱のところ、それぞれ国指定、都指定はどのぐらいあるのかを伺います。

○山本地域教育支援部長 時代をまたぐものも含め、国指定文化財で二百九十二件、都指定文化財で四百一件でございます。
 なお、時代が不明なものは含めておりません。

○松田委員 ごめんなさい、二百九十二件が国指定、そして都指定が四百一件で合っていますね。(山本地域教育支援部長「はい」と呼ぶ)七百ぐらいが江戸由来ということで、この七百近くあるものを生かして、ぜひ世界遺産登録に向けて、日本のこの江戸の文化、歴史というのをつなげてもらいたいなと思っています。
 私の地元に志村一里塚という国指定のがあるのですが、去年の予算委員会でお話をしたのですが、江戸時代、徳川家康が一里ごとに塚をつくっていて、中山道の三つ目の塚が志村一里塚。そして、西ケ原は何街道ですかね、日光何とか街道、すみません、覚えていない……。日光御成道だ。二個目の――これ、今、二十三区に十八あったうち、二つしか残っていないやつだそうなんですね。
 この志村に関しては、先日、小池知事に揮毫していただいて、古くなってしまったので、新しく小池知事が書いた文字で、国指定の文化財で志村一里塚というふうに書いていただいたという経緯がありました。
 では、都の文化財について次は伺いますが、じゃ、令和六年度都指定の文化財は何を指定したのかを伺います。

○山本地域教育支援部長 令和六年度都指定文化財につきましては、有形文化財建造物として学士会館、有形民俗文化財として大沢のワサビ栽培農家、名勝として旧前田庭園(駒場公園)の三件を指定しました。

○松田委員 今、三件指定をしていただいたということでございますが、では、この都指定文化財に対して、都教委としてはどのような支援を行っているのか、伺います。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、都指定文化財につきまして、有形文化財の修理や、無形文化財、民俗文化財の伝承者養成、史跡名勝の整備等に要する費用に関し、所有者等からの申請に基づき、その費用の一部を助成しております。
 また、事業者の規模に応じ、補助率を加算するなどの対応を行っております。
 さらに、文化財の保存が適切になされるよう、学芸員による技術的な指導や助言を行っております。

○松田委員 様々な支援をしていることは分かりましたが、では、予算議会ですので、この予算について伺いたいと思います。
 文化財の保存助成に係る予算額、この推移と、令和七年度、来年度の予算額についてお伺いをいたします。

○山本地域教育支援部長 国指定及び都指定文化財の保存助成に係る予算額の推移は、令和四年度が八億四千三百八十八万四千円、令和五年度が十億八千九百五十六万九千円、令和六年度が十一億七千四百十万八千円でございます。
 令和七年度予算につきましては、十八億三千二百八十一万七千円を計上しております。

○松田委員 今ご答弁いただいたとおり、令和四年度が八億円余り、令和五年度が十億円余り、令和六年度が十一億円余り、そして来年度は十八億円余りと、ここ伸びてきているんですが、七年度、来年度に関しては、どんと上がっているのですが、この理由について伺います。

○山本地域教育支援部長 ここ数年、近代以降の建造物を都指定文化財として順次指定しており、これらの建造物は大規模なものが多く、また構造も複雑であることから、その修理等に要する費用が高額となる傾向がございます。
 こうした建造物に加え、様々な時代の文化財についても同様の支援を予定しており、保存助成に係る予算額が増加しております。

○松田委員 大型のものが増えたとありますし、建築費高騰というのも、これ、中にも入ってくるのかなというふうに少し思っております。
 この文化財、保存するだけではなくて、先ほどちょっとお話ししようと思いました、活用した方がいいよというふうに思っておりまして、七百件近くあるんですから、これをどれだけ都民が知っているのかな、どれだけこれを有効利用できているのかなということで、まず、都民がこの文化財により親しむことができるようにするためには、どうしたらいいでしょうか。見解を伺います。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、毎年十一月三日の文化の日前後に、都内全域で様々な文化財を公開する東京文化財ウイークを実施しております。
 また、本年二月には、スタートアップ企業と連携し、都内の約四百の文化財につきまして、その特徴や所在地、経路等を表示する東京都文化財デジタルマップを作成し、公開いたしました。
 こうした取組を通じて、都民が文化財に触れる機会を増やしてまいります。

○松田委員 今年の二月から東京都文化財デジタルマップを作成、公開ということなんですが、東京都文化財デジタルマップを知っている方は、どのぐらいいらっしゃいますか。(「知りません」と呼ぶ者あり)そうですよね。私ももちろん、もちろんといっちゃいけないですね。いわれるまで知らなくて、先ほどちょっと調べてみたのですが、なかなかこういうのは、PRってすごく難しいなと思っていて、本当に興味があって調べれば分かるのですけれども、いろいろ検索していると、似たようなサイトもいろいろあったりして、これもそのうちの一つで出てきたのですが、これ、しっかりと広報もしていくことによって活用していただきたいなというふうに思っています。
 今お話をしたこの文化財の活用は非常に重要でありますので、この活用について来年度の取組を伺います。

○山本地域教育支援部長 文化財は、地域の歴史や文化を理解する上で欠くことのできない貴重な財産でございます。
 このため、都教育委員会は、来年度の文化財ウイーク期間に合わせ、東京都文化財デジタルマップを活用した江戸東京の文化財を巡るコンテンツを作成いたします。
 これによりまして、都民が江戸東京の歴史や文化への理解を深められるよう取組を進めてまいります。

○松田委員 今、また東京都文化財デジタルマップということでありますが、ぜひこの活用、そして周知をしっかりとやっていただきたいなと思います。
 また、都教委なので、子供たちの、今いろんなデジタル端末とかもありますから、そういったことを利用して周知をしていくというのも、先ほども起業家のところで、若い頃からの経験って大事だよというお話をさせていただいたので、そういったことも、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 今、江戸東京の文化について、所管局は生活文化スポーツ局となっているんですけれども、その中で、文化財を所管する教育委員会に聞いてきたわけであります。
 その中で、ぜひ、ここは最後に、文化財を所管する、そして江戸東京の文化、歴史を世界遺産に登録しようという東京都に向けて、文化財所管の教育長の見解を伺います。

○坂本教育長 ただいまお話しいただきましたけれども、都政におきましては、歴史と文化の面で傑出している江戸という存在を世界遺産としてしっかりと登録しようということで、今、様々な、全局集まって、力を合わせて登録をしていこうという取組を進めております。
 この登録の対象となる資産というのは、文化財保護法、これによりしっかりと保護がされているということが、これが大前提になります。
 そして、この法律を都政において所管をしているのは、私どもの都教育委員会にほかなりません。このプロジェクトの中枢として、ある意味では非常に重要な役割を担っていると考えているところです。
 そして、世界遺産登録に当たりましては三つの要件がございまして、まず一つは、顕著な普遍的価値。これは、世界の人の誰が見ても著しく傑出をした価値を持っているものであるということが明らかであるということが一つ。
 そして、それがしっかりと資産として保全をされて管理がされていなければいけない、これが二つ目でございます。
 そして、三つ目は、日常的に触れるような場所にあってはいけない。やはり、ある程度、周りがバッファーとなるような、緩衝地帯を都市づくりの中で組み込んだ上で成立していなければならない。
 この三つを満たしていなければならないということになっております。
 今申し上げた三つのうちの前の二つ、一つの顕著な普遍的価値、これに関しては、いかに価値があるものであるかということをしっかりと証明をして世界に知らしめるという役割は、東京都教育委員会がその一端をしっかりと担うことが重要であると考えております。
 そして、資産の保全と管理につきましては、先ほど来、先生からのいろいろな議論の中でも、つまびらかにしてきましたが、私どもは、文化財の保全行政として、様々なツール、補助金を使って、しっかりと後押しをしているところでございます。
 この二つをしっかりとやることに尽きず、さらに三つ目も含めて、都市づくりという観点も含めて世界遺産登録、これをしっかりとやっていく上で、各局の力を合わせるということが一つと、その中核の一端を担うのは、やはり都教育委員会である、こういう自負と、さらには存在感をしっかりと持って示して、このプロジェクトを成就できるよう、長い年月であっても、しっかりと前へ進めることができるようにやっていく、このような決意であります。

○松田委員 力強いご答弁、ありがとうございました。
 私、これが政策企画局から生活文化スポーツ局に移ったときに、ちょっと大丈夫かなというふうな正直な気持ちがありまして、これは生活文化スポーツ局にもお伝えをしました。都庁全体を見る政策企画局がやるべきではないかということだったのですが、よりこれから具体的にやっていくので、生文がやっていくんだという決意を生活文化スポーツ局の皆様方から伺ったところであります。
 今、教育長の答弁から、三番目、日常的に触れる地域にあってはならないというので合っていますね。というところで、こうすると都市づくりも関わってくるので、これは都市整備局にもやっぱり議論を持っていかなければならないというふうに私は思っていますし、今、教育長から全庁的に取り組むというお話がありました。
 その中でも、資産として保全管理していく、ここは東京都教育委員会の所管、文化財保護というのは所管であるというご答弁もいただきましたので、ぜひ教育長も中心となって、この江戸東京の文化、歴史を世界遺産にというものの先頭に立っていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○小山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時三分散会