委員長 | 小山くにひこ君 |
副委員長 | かつまたさとし君 |
副委員長 | 星 大輔君 |
理事 | 米川大二郎君 |
理事 | 風間ゆたか君 |
理事 | とや英津子君 |
磯山 亮君 | |
龍円あいり君 | |
白戸 太朗君 | |
斉藤まりこ君 | |
大松あきら君 | |
伊藤こういち君 | |
松田 康将君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 坂本 雅彦君 |
次長 | 猪口 太一君 | |
教育監 | 瀧沢 佳宏君 | |
総務部長 | 岩野 恵子君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 山本 謙治君 | |
指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 | 山田 道人君 | |
グローバル人材育成部長 | 信岡 新吾君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 | 落合 真人君 | |
高校改革推進担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 | 根本浩太郎君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 中西 正樹君 | |
指導推進担当部長 | 市川 茂君 | |
人事企画担当部長 | 矢野 克典君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・都立清瀬特別支援学校(六)改築及び改修工事その二請負契約
報告事項(説明)
・「東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(素案)」について
請願の審査
(1)六第七号 公立学校給食費に係る区市町村補助を二分の一から全額に引き上げることに関する請願
(2)六第九号 中学校英語スピーキングテストの実施状況調査とテスト結果の活用中止に関する請願
○小山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑、第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び請願の審査を行います。
なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及び報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承を願います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岩野総務部長 去る十一月二十一日の当委員会において要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
文教委員会要求資料の目次をご覧ください。
今回要求のございました資料は、三十九件でございます。
それでは、一ページをご覧ください。1、令和六年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況についてでございます。
このページから四ページにかけまして、令和六年度における状況について、都道府県別、政令指定都市ごとにそれぞれ記載してございます。
五ページをご覧ください。2、公立小中学校の三十五人学級に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
小学校及び中学校における三十五人学級の実施に伴い必要となる学級数、教員数及び経費について、それぞれ記載してございます。
六ページをご覧ください。3、栄養教諭の配置状況(都道府県別、区市町村別、都立学校別)でございます。
(1)は、令和五年五月一日現在の栄養教諭の配置人数を都道府県別に、(2)は、令和六年五月一日現在の配置人数を区市町村別に、(3)は、令和六年五月一日現在の都立学校における配置人数を、区分別にそれぞれ記載してございます。
七ページをご覧ください。4、都内公立小、中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備設置及び断熱化の状況でございます。
特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
また、八ページの別紙では、都内公立小中学校の冷房設備設置状況及び断熱化の状況について、設置者別に記載してございます。
九ページをご覧ください。5、都立学校の冷房設備設置の実績(令和元年度から令和五年度まで)でございます。
冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数について、年度別、区分別にそれぞれ記載してございます。
一〇ページをご覧ください。6、都立高等学校の武道場等の冷房設備の設置状況及び設置率の推移(令和四年度及び令和五年度)でございます。
武道場等に冷房設備が設置済みである学校数及び設置率について、年度別に記載してございます。
一一ページをご覧ください。7、学校教職員定数と児童生徒数の推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
一二ページをご覧ください。8、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
教職員定数配当基準の主な推移について、このページには高等学校の全日制課程を、一三ページには定時制課程を、一四ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
一五ページをご覧ください。9、教育管理職選考、四級職(主幹教諭、指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
各選考試験における合格予定者数、受験者数、合格者数について、選考種別、選考年度別にそれぞれ記載してございます。
一六ページをご覧ください。10、東京都公立学校教員採用者数、期限付任用教員名簿登載者数及び任用数、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者任用数(令和六年度採用)でございます。
(1)は、令和六年度採用の校種別の教員採用者数並びに令和六年度の期限付任用教員名簿登載者数及び各時点における校種別の任用数を、(2)は、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者のうち、各時点における校種別の任用数をそれぞれ記載してございます。
一七ページをご覧ください。11、区市町村立小中学校の特別支援教室の児童生徒数、教員定数、教員数(令和五年度及び令和六年度)でございます。
各年度における小学校及び中学校の児童生徒数、教員定数、教員数をそれぞれ記載してございます。
一八ページをご覧ください。12、教育職員の病気休職者数、定年退職者数、定年前の退職者数(平成三十年度から令和四年度まで)でございます。
(1)は、教育職員の精神疾患による休職者数とその他の疾患による休職者数について、年度別にそれぞれ記載してございます。
(2)は、定年退職者数及び定年前の退職者数を年度別にそれぞれ記載してございます。
一九ページをご覧ください。13、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
(1)は、妊娠出産休暇を取得した教職員数を年度別に、(2)は、育児休業を取得した教職員数を年度別、取得期間別にそれぞれ記載してございます。
二〇ページをご覧ください。14、スクールサポートスタッフと副校長補佐、部活動指導員の配置状況(区市町村別)でございます。
区市町村別に、各配置人員をそれぞれ記載してございます。
二一ページをご覧ください。15、都立学校におけるJET及びALTの配置状況でございます。
令和六年度におけるJET及びALTの配置校数、配置人数を、校種別にそれぞれ記載してございます。
二二ページをご覧ください。16、都立高等学校及び中等教育学校におけるオンライン英会話実施状況について(令和元年度から令和五年度まで)でございます。
都立高等学校等において実施しているオンライン英会話について、実施校数、実施回数、事業者を、年度別にそれぞれ記載してございます。
二三ページをご覧ください。17、都立特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行台数、看護師の同乗状況、利用している児童生徒数でございます。
令和六年九月の一か月における運行台数等につきまして、学校ごとにそれぞれ記載してございます。
二四ページをご覧ください。18、都立特別支援学校の看護師の雇用形態別、職別配置数でございます。
令和六年四月一日現在における常勤の看護師の配置数及び令和六年九月一日現在における非常勤の看護師の配置数を、学校ごとにそれぞれ記載してございます。
二五ページをご覧ください。19、都立特別支援学校の保有普通教室の状況(令和五年度及び令和六年度)でございます。
各年度の五月一日現在における保有普通教室数と、その内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、障害種別及び学校別にそれぞれ記載してございます。
二六ページをご覧ください。20、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
各年度における五月一日現在の学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
二七ページをご覧ください。21、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童生徒数の推移(令和元年度から令和六年度まで)でございます。
五月一日時点の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載してございます。
二八ページをご覧ください。22、島しょ地区町村立小中学校における特別支援学級及び特別支援教室の学年別児童生徒数(令和六年度)でございます。
(1)は、小学校における五月一日現在の特別支援学級及び特別支援教室の児童数について、それぞれ町村別、学年別に記載してございます。
(2)は、中学校における特別支援学級及び特別支援教室の五月一日現在の生徒数を、それぞれ町村別、学年別に記載してございます。
三〇ページをご覧ください。23、青鳥特別支援学校八丈分教室の学年別生徒数でございます。
五月一日現在の生徒数を、学年別にそれぞれ記載してございます。
三一ページをご覧ください。24、校内別室指導支援員の年度別設置者別配置状況でございます。
令和五年度及び令和六年度における校内別室指導支援員の配置校数を、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
三二ページをご覧ください。25、不登校特例校とチャレンジクラスの設置状況でございます。
(1)は、令和六年四月一日現在における不登校特例校の設置状況を、(2)は、令和六年四月一日現在におけるチャレンジクラスの設置状況をそれぞれ記載してございます。
三三ページをご覧ください。26、学校司書を対象とした教員切替え選考の実施状況でございます。
(1)は、切替え選考の合格者数を実施年度別に、(2)は、令和六年四月一日現在において、切替え選考により司書教諭となった者の在職人数と、そのうち司書教諭に発令された人数及び未発令の人数を記載してございます。
三四ページをご覧ください。27、各都立高等学校等の学校図書館の運営体制についてでございます。
令和六年四月一日現在における職員の配置状況及び運営体制について、学校別に記載してございます。
三八ページをご覧ください。28、司書教諭、学校司書、アシスタント職員、それぞれの主な業務内容(例)でございます。
司書教諭、学校司書、アシスタント職員が担う業務内容の例について記載してございます。
三九ページをご覧ください。29、学校図書館専門員が図書館運営以外の校務分掌を担当している都立高等学校と担当校務分掌(令和六年度)でございます。
学校図書館専門員が図書館運営以外の校務分掌を担当している学校と、担当している校務分掌について記載してございます。
四〇ページをご覧ください。30、都立学校図書館スーパーバイザーによる学校図書館の活用や運営に関する指導、助言、支援について実施した内容と回数(令和五年度)でございます。
都立学校図書館スーパーバイザーが実施した学校訪問及び研修会について、回数と内容を記載してございます。
四一ページをご覧ください。31、硬式野球部員のスポーツ推薦を実施している都立高等学校の大会成績(令和三年度から令和六年度まで)でございます。
全国高等学校野球選手権大会東東京大会、西東京大会の成績や、今後三年間の数値目標等について、学校別にそれぞれ記載してございます。
四四ページをご覧ください。32、「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱 第3 異動の基準 3」の都立高校において、「校長の具申に基づき都教委が認めた者で、同一校に六年を超えて勤務した教員について」の具申の理由と具申理由ごとの人数(令和六年四月一日付異動)でございます。
令和六年四月一日現在において、同一校に六年を超えて勤務した教員数を、具申の理由別に記載してございます。
四五ページをご覧ください。33、「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱 第5 異動の方法 1(2)オ」のステージAまたはCの学校に勤務する者で、新規採用後最初に異動した人数及び、そのうちステージBの学校へ配属された教科別の人数(令和六年四月一日付異動)でございます。
令和六年四月一日付異動における状況について、教科別に記載してございます。
四六ページをご覧ください。34、「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱 第6 1」の「都教育委員会が個々の事情や学校の状況を考慮して決定した都立高校教員について」、その理由と理由ごとの人数(令和六年四月一日付異動)でございます。
教員の定期異動に関し、都教育委員会が個々の事情等を考慮して決定した人数を、理由別に記載してございます。
四七ページをご覧ください。35、令和六年四月一日時点の東京都教育庁に通算七年以上在職する、教育管理職等の数(一年ごと)でございます。
通算七年以上、教育庁に在職する教育管理職等の人数について、在職年数別に記載してございます。
四八ページをご覧ください。36、令和六年四月一日時点の都立高等学校の主幹教諭数及び主要三校務分掌主任に発令された教員の職名でございます。
主幹教諭の配置数と主要三校務分掌に発令された教員の職名について、学校別にそれぞれ記載してございます。
五二ページをご覧ください。37、都立高校の教員数及び講師時数算定上の基準持ち時数以上の教員数と未満の教員数(令和六年度当初)でございます。
教員数と、教員の持ち時数が講師時数算定上の基準持ち時数以上である教員数、未満である教員数を、学校別にそれぞれ記載してございます。
五六ページをご覧ください。38、令和五年度の都立高等学校の指導教諭について、教科ごとの人数と模擬授業、研究協議会を行った者の人数でございます。
指導教諭の人数と、そのうち模擬授業、研究協議会を行った者の人数について、教科別にそれぞれ記載してございます。
五七ページをご覧ください。39、都立高校等のスクールカウンセラーの採用及び勤務状況(令和六年度当初)でございます。
スクールカウンセラーの現勤務校における勤務開始年度、勤務日及び勤務時間について、学校別にそれぞれ記載してございます。
要求のございました資料の説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○小山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○星委員 よろしくお願いします。
私から、まず、都立高校の魅力向上について伺います。
我が会派は、令和六年第一回定例会代表質問において、高校授業料の無償化所得制限が今年度から撤廃されたことを踏まえて、応募倍率が一倍を切る学校が多い普通科の進路多様校と工科高校のさらなる魅力向上について、都教育委員会の決意と見解を伺ったところでございます。都教育委員会からは、それぞれの特色に応じた取組を推進することで志願者の確保につなげていく旨の答弁があったところでございます。
私も都立高校出身でもありますし、夏には第一商業高校にも視察に行ったりと、様々な取組を行っている都立高校を応援したいと思っている一人です。
そこでまず、卒業後の進路が大学への進学や専門学校、就職など、進路が多様な普通科の進路多様校における都教育委員会の取組について伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、応募倍率に課題を抱える普通科の進路多様校をスキルアップ推進校として指定し、民間事業者と連携した講座等の実施によりまして、実社会や進学先等で必要となるスキルを習得するキャリアプログラムを導入することで、その特色化を図っております。
具体的には、使える英語力育成に向けて英検の取得を支援するグローバルスキル講座や、オフィスソフトや基礎的プログラミング技術などデジタルスキルを学ぶ講座、ビジネスマナー講習と多様な業界の企業の職場体験を組み合わせたジョブキャンプをキャリアプログラムとして実施しております。
今年度は、スキルアップ推進校十五校で延べ約一万人の生徒が参加するなど、各校が積極的に取り組んでおります。
こうした取組の結果、昨年度の志願者数は、前年度よりも増加いたしました。
今後も、スキルアップ推進校のキャリアプログラムによる取組を充実させ、一層の特色化を図り、志願者の確保につなげてまいります。
○星委員 普通科の高校において特色を出すというのは、なかなか難しいことであろうかと思いますが、進路多様校という特徴を捉えて、実社会や進学先で役立つ実践的なスキルをキャリアプログラムとして導入するという取組は、生徒や保護者にとって意義のある取組と考えます。今後は、キャリアプログラムのさらなる充実に向けて進めていっていただきたいと思います。
続いて、工科高校の取組についても伺います。
都立工科高校は、地域のものづくり企業の担い手を育成する役割を果たすなど、区部や多摩地域を問わず、都内各地の産業を人材面からも支えてきていただきました。しかし、残念なことに、ここ数年、この工科高校の人気が芳しくなく、志願者の確保にも課題を抱えている状況となっております。
現在、ものづくり企業においてもDXが急速に進んでいることを踏まえて、工科高校においても、ものづくり技能だけでなく、デジタル技術にも対応できる人材の育成が求められており、デジタル技術の習得等を目指す中学生にも魅力的な高校となるよう、取組を行うことが重要であると考えます。
そこで、工科高校の魅力向上に向けた都教育委員会の取組について伺います。
○村西都立学校教育部長 将来、工科高校の生徒が実社会で即戦力として活躍できるようにするためには、ものづくりの技能に加えまして、産業分野におけるDX等、先端技術の一層の進展を見据えてデジタルスキルを習得する機会の充実を図り、中学生や保護者にも魅力ある施策を実施していく必要がございます。
このため、都教育委員会は、今年度新たに、百五十を超える工業系資格を対象とした支援制度を開始し、工科高校がものづくり技能の習得に向けて資格取得に取り組む場合に、その受験料や試験対策経費の一部を支援しており、現在、約九百名の生徒が登録しております。
また、民間事業者と連携し、情報Ⅰの教科に対応したプログラミングの講座を工科高校生約五千七百名に提供するとともに、ITパスポートの国家資格取得を目指す約四百名の生徒に対して試験対策講座を実施するなど、実践的なスキルの習得支援を強化し、企業等において即戦力となる人材を育成しております。
○星委員 工科高校においても、魅力の向上に向けた取組を着実に進めていることは理解をさせていただきましたけれども、高校授業料の無償化の都立高校入試への影響は今後も顕在化することも想定がされます。こうした取組を継続し、学校の特色として定着をさせることはもちろん、さらに一歩、取組を進化させていくことも必要であると思います。
都教育委員会には、引き続き、工科高校を含む都立高校のさらなる魅力向上を推進していくよう、要望をさせていただきたいと思います。
次に、特別支援学校について伺います。
私も、先月の開校式にも参列をさせていただきましたが、今年度四月の八王子南特別支援学校開校に伴って、私の地元町田にある町田の丘学園の通学区域が変更となりました。
このことによる児童生徒の環境の変化に対する支援について伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 通学区域の変更に伴う学籍異動者につきましては、保護者説明会や面談などにより、個別のニーズを把握し、放課後等デイサービス事業者への送迎等の協力依頼や、受入れ校での医療的ケアを実施する看護師の配置など、必要な支援を行ったところでございます。
○星委員 今ご答弁をいただいたように、結果的には対応をいただいたこと、感謝をさせていただきたいと思います。
しかし、最初は、難しいかもしれない、そんなことをいわれたと、保護者の方から私も相談をされてのお話でもございました。改めて、対応に重ねて感謝を申し上げさせていただきたいと思いますけれども、今後、他の地域でも、新設や改築などに伴って通学先が変更となる児童生徒について、個々の事情に応じた丁寧な対応が必要と考えますが、見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 通学区域の変更に伴う学籍の異動に当たりましては、障害特性などにより様々な不安を抱える児童生徒や保護者の意見を丁寧に聞き取ることが重要でございます。
今後も、学校と連携いたしまして、児童生徒の環境の変化などにより必要となる支援に取り組んでまいります。
○星委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、都立大島海洋国際高校について伺います。
現在、我が国において、船舶による輸送や港湾整備などの海洋産業を担う人材が不足していたり、地球的な気候変動により海水温が上昇していたり、マイクロプラスチックのような海の環境問題が深刻化するなど、海洋に関する教育の重要性が高まっております。
大島南部に位置する大島海洋国際高校は、都内で唯一、海洋について学ぶことができる水産学科の高校で、航海の海技士、船舶職員育成施設にも登録されており、実習船「大島丸」で航海実習などを行っております。
生徒のほとんどは島外から入学し、寄宿舎で生活するといった特色のある学校でもあり、大島の自然と実習船、寄宿舎といった環境を最大限に活用した教育を行い、海洋人材を育成していくことは重要であると思います。
しかし、大島海洋国際高校の校舎や寄宿舎は、建設から長い年月が経過しております。老朽化が進んでいる大島海洋国際高校の改築、建て替えを検討していくべきと考えます。
見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 大島海洋国際高校につきましては、施設や設備の不具合が生じた際には、その都度、必要な修繕や改修を行い、対応してきておりますが、校舎が建設から約六十年が経過するなど、施設の老朽化は相当程度進んでおります。
また、新たな水産科への学科改編も令和四年度に実施されたことなども踏まえ、今年度、基本計画作成業務を実施し、敷地の現況や法令の規制等、改築に向けた課題を整理しております。
本業務の結果を踏まえ、大島海洋国際高校の改築に向けた検討を進めてまいります。
○星委員 ありがとうございます。六十年ということでございますので、ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、不登校の対策について伺います。
不登校の子供の状況は様々であり、多様な学びの場を確保していくことが重要であります。
一方で、我が会派は、不登校の子供が教室に戻れるように支援することも大切であると訴えてまいりました。
これを受けて、都教育委員会は、教室に入ることのできない子供に対して、校内の別室で学びを充実させることができるよう、小中学校に支援員を配置しております。
校内別室指導支援員配置事業の目的と、令和六年度の新規配置校数について伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 校内別室指導支援員配置事業に取り組む地区が別室指導の効果を理解し、設置を促進するため、指定する学校への支援員配置の経費を、二年間、区市町村教育委員会に対し補助するものであります。
令和五年度は、不登校の早期支援の取組を推進するなどの要件を満たした三百五校の新規設置の申請があり、不登校対応加配教員の配置等を踏まえ、小中学校二百九校に支援員を配置しました。
令和六年度は、不登校の未然防止の取組を推進するなどの要件を満たした三百八十二校の新規配置の申請がありました。都全体の不登校対応の強化を図るため、申請校のうち、チャレンジクラスの設置や不登校対応巡回教員の配置、校内別室指導支援員の配置がなされていないなどを踏まえ、小中学校百七十九校に支援員をさらに配置いたしました。
○星委員 配置された地区の中には、都の配置事業における成果を踏まえて、地区でも独自に校内別室の支援員を配置するなど、校内別室の設置は促進されていると聞いております。
別室指導員の配置は、不登校の子供の学びの場としても重要な居場所となると考えますが、これまでの具体的な取組と成果について伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 校内別室指導支援員は、子供のペースでドリル教材を進めるなどの学習支援を行ったり、友人関係や部活動についての悩みや不安に対する相談を受けたりするなど、不登校の子供一人一人の状況に応じた対応を行っております。
こうした取組により、配置している学校では、登校する日数が増えたり、在籍する教室に通えるようになるなど、学校生活に復帰できる子供が多く見られるようになりました。
○星委員 この校内別室指導支援員配置事業は多くの学校が利用をしており、引き続き継続をしてもらいたい、そういった声も多く聞きます。ぜひ来年度も行っていただくことを要望させていただいて、次の質問に入ります。
一昨日の生活文化スポーツ局に対する事務事業質疑の中でも出てまいりましたけれども、昨今、ヤミバイトに応募したものと思われる者による強盗事件が相次ぎ、未成年が逮捕される事案が発生するなど、社会問題化しております。
この問題を、朝昼晩のテレビの報道番組で連日報道されてもおりますけれども、学校や習い事等でこのニュースを見ることができない子供たちが多くいるかと思います。
そういった中、ヤミバイトから子供たちを守るためには、各学校でも教育を一層推進する必要があると考えますが、教育委員会の取組について伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、警視庁と連携し、各学校のセーフティー教室の時間等におきまして、子供が様々な誘いを断れず、犯罪に加担させられた事例等を説明することで、危険な行動を回避するための適切な行動選択ができる力を育む指導の推進を図っております。
また、本年十月に、区市町村教育委員会及び都立学校に対しまして、犯罪行為から身を守るための児童生徒に対する普及啓発に関する通知文を発出し、学校での指導を促しました。
さらに、校長連絡会や区市町村教育委員会対象の連絡会におきまして、指導の徹底を周知しております。
今後、これらの連絡会等におきまして、警視庁職員による講話を実施するとともに、各学校における発達の段階に応じた効果的な指導例を情報提供するなど、子供が犯罪に巻き込まれないための取組を一層強化してまいります。
○星委員 スマートフォンの普及やSNS等により、ネット上でも交流ができる機会が広がっており、子供が自宅にいながらも、誰とでも交流を持ててしまう環境に現在はあります。間もなく冬休みにも入ります。家庭にも情報発信を改めて行っていただいて、子供たちを被害者にも加害者にもさせないような取組をさらにお願いをさせていただいて、次の質問に移ります。
教員の確保について伺います。
現在、全国の自治体において、教員確保は課題となっています。こうした中、教員採用選考の応募者数を増やすことが極めて重要であり、私も、昨年の各会計決算特別委員会第二分科会においても、学生や社会人に対する教職員の魅力発信の重要性等を取り上げ、質疑をさせていただきました。
そこで、改めて、採用選考の応募者数を増やすための都教育委員会の取組について伺います。
○吉村人事部長 全国的に教員志望者が減少傾向にある中で、都教育委員会では、昨年度、選考制度を見直し、学生の負担軽減に向けた大学三年生での一部前倒し受験の導入や、社会人特例選考の年齢要件の引下げ、都を中途退職した教員が復帰しやすいカムバック採用の新設などを行いました。
今年度からは、一定の経験を有する教員経験者を主任教諭として任用するキャリア採用選考を実施しております。
また、幅広い志望者層の掘り起こしのため、現職教員が直接、東京の教職の魅力を伝える採用セミナー、TOKYO教育Festa!を開催し、今年度は千名を超える学生や社会人等の来場があったほか、民間の転職フェアで個別相談会を行うなど、社会人向けPRを充実いたしました。
○星委員 選考制度の見直しや幅広い志願者層の掘り起こしなど、様々な角度から取組を進めてきたということでありますが、今年度、教員採用選考において、その効果が現れたのか、昨年度から開始した大学三年生前倒し選考等の応募状況を含めて伺います。
○吉村人事部長 今年度の教員採用選考には、昨年度より一〇%多い、一万名を超す応募がございました。
このうち小学校教員の応募者数は約二千九百名と、昨年度より一一%増やすことができました。
また、大学三年生前倒し選考の通過者約千三百名が、今年度初めて本選考を受験し、約千名が最終合格したほか、今年度の前倒し選考応募者は、昨年度より二〇%多い、約三千四百名でございました。
今年度新たに導入したキャリア採用選考につきましては、二百三十五名の応募がございました。
○星委員 都の教員採用選考において、応募者数が増加していることを確認させていただきました。都教育委員会の取組が着実に成果につながっているものなんだと理解します。引き続き、子供たちの豊かな学びに向けて、教員確保にしっかりと取り組んでいただくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
部活動の地域連携、地域移行について伺います。
私も、一般質問等で幾度となく、この部活動の件を質問させていただいてまいりました。中学校の部活動の地域連携、地域移行を進めていくには、都教育委員会が市区町村の取組が進むようにしっかりと支援を行っていくべきと考えます。
どのような支援を行っているのか、伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年度から区市町村に対し、地域移行等を進めるための協議会の運営や外部指導者の配置、受皿となる運営団体の活動費用など、必要な経費を補助しております。
また、全ての区市町村から進捗状況や課題等の聞き取りを行い、各地区の好事例を紹介するとともに、必要な助言を行っております。
その結果、全ての地区において協議会等が設置され、地域の実態に応じた検討が進んでおります。
○星委員 都が策定した学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画の中に、市区町村の取組には、各地区の地域連携、地域移行に向けた方針及び計画等を策定することが示されております。
そこで、市区町村における方針や計画の策定状況について伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、本年四月に、区市町村における中学校部活動の地域連携、地域移行の取組を推進させることを目的に、各地区に対して、改革推進期間となる令和七年度末までの方針や計画について策定を依頼しました。
その結果、十月末日の時点で、約九割の地区が方針、計画を策定し、民間事業者や地域のスポーツ団体等への委託や、運営団体の設立を検討するなど、各地区において実態に応じた取組が進められております。
今後は、各地区において、今年度の取組を踏まえた部活動の地域連携や地域移行が円滑に進められるよう、各地区の進捗状況に応じた丁寧な助言を継続してまいりますとともに、都の推進計画を改定してまいります。
○星委員 ありがとうございます。
部活動の地域連携、地域移行を進める上では、受皿の一つとなる地域のスポーツ、そして文化芸術団体に、この移行について理解してもらう必要があると思います。
現在の都の取組について伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年度から、地域のスポーツ、文化芸術団体等に対し、地域連携、地域移行の必要性や改革推進期間中の目標などを示したリーフレット等を配布しております。
また、関係団体の代表者から構成される連絡協議会を年三回開催し、意見交換や情報共有を行っております。
さらに、本年九月に、関係団体と区市町村の担当者等が一堂に会するシンポジウムを開催し、大学やプロチームなどを活用した地域移行についてのパネルディスカッションのほか、先進事例の紹介や参加者による情報交換を行いました。
○星委員 ありがとうございます。
私からはこれが最後になりますけれども、今年度、指導できる学生の確保に向けて、大学スポーツ協会、国立音楽大学、武蔵野音楽大学と協定を締結したということでもありますし、これまでご答弁いただいたものが、しっかりと進んでいっていただきたいと思います。
また、来年度は改革推進期間の三年目の最終年度でもあります。非常に重要な年になろうかと思います。しっかり進めていっていただきたいと思いますし、地域によっては温度差があるところが多いようでございますが、私は、各自治体が特色を出す絶好の機会であるのではないかと思っておりますが、温度差があるというのは、本当に様々な地域の課題、問題があるんだろうなと推察されます。そういった問題を、都としてしっかりと吸い上げていただいて、共に解決し、前に進めていっていただきたいと思います。
教員の働き方改革はもちろんでありますが、子供たちの明るい未来のためでございます。引き続き、この部活動の地域連携、地域移行を進めていっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○龍円委員 私は、誰もが自分らしく輝きながら、参加しているという実感と居場所のあるインクルーシブな社会の実現を目指して、質疑をこれまでも文教委員会でしてまいりました。
ダウン症があり、重度知的障害のある息子も小学五年生になりました。現在は特別支援学校に転校したんですね。四年生までは、地域の小学校の通常の学級に在籍していました。
アメリカから帰国して、インクルーシブ教育の実現を目指して都議会議員になったということもありまして、私としては、ごく当然で自然な流れとして、地域の小学校の通常の学級というのに入学することを考えておりました。
しかし、蓋を開けてみると、私が想像していた以上に、はるかに大きな壁というものが現場には立ちはだかっていることに気がつきました。この障壁になっているのが、一体、何なのかということを観察しながら、これまでも文教委員会や本会議で質問を重ね、都教委の皆様の見解や取組を伺わせていただきました。都教委におきましては、一歩一歩ではありますが、止まることなく、インクルーシブな教育が進んでいることに感謝を申し上げます。
さて、この七年半、毎日のようにインクルーシブ教育について考えて生きてきたといっても過言ではありません。その中で、幾つか、私なりの結論にたどり着きました。専門家の皆様が勢ぞろいしている、この都教委の皆様に発表するのは、ややはばかられますが、大事なことだと思いますので、共有させていただきます。
一つ目は、インクルーシブ教育は障害のある人の権利であるということを忘れてはならないということです。
教育関係者になればなるほど、インクルーシブ教育における学びのよしあしみたいなことですとか、より効果的な教育はどっちなのかみたいな考え方になりがちだなと感じております。私自身も、文教委員会の議員として、また当事者の親としても、そのように考えてしまう面があると感じています。
障害者権利条約でも、インクルーシブ教育は全ての人にとって最良の教育だよというふうにうたっていますし、世界各国の研究機関でも、このインクルーシブ教育の効果が高いということが示されています。
しかし、そういった効果、最良の教育というのはあるんですけれども、その根本にあるのは、インクルーシブ教育は障害のある人にとって権利だということを忘れてはならないと思いますので、時々、ここに立ち返って考えていかなくてはならないというふうに考えております。
二つ目は、インクルーシブ教育は、みんなごとにしなければ進まないということであります。
インクルーシブ教育というと、世間では特別支援教育の中の一つの手法みたいに受け止められがちですが、この条約を見てみますと、教育システムそのものをインクルーシブにしていくというふうに、教育全体の在り方としてインクルーシブ教育というものが捉えられていることが分かります。
なので、通常の学級の中にいる障害のある子供をどういうふうに教育するのかという小さい点で捉えてしまうと、日本の場合は、その対象の児童と生徒が、あまりにも絶対数が少ないということもありまして、ごくごく一部の特殊な教育法という感じになってしまうと思います。
東京都にも五つの、障害のある児童生徒の九割以上が特別支援学級や特別支援学校という分離された環境の中で学んでいますので、この九割の児童や生徒も含めて、インクルーシブな教育環境を保障していくという教育にしなくてはならないと思っております。
さらにいえば、通常の学級そのものの改革や地域の学校改革というのも併せて進めていく視点が、インクルーシブ教育の推進において重要だと考えております。
三つ目は、インクルーシブ教育がどんなにすばらしい教育法であったとしても、教育現場にいらっしゃる教員の皆様の困り感というのを払拭しない限り、この教育法は、インクルーシブ教育は進まないということであります。
教員の方々が、障害のあるこの児童は、本来、この教室にはいてはいけないのではないかというふうに考えている限り、どんなに親がインクルーシブ教育を望んでいたとしても、そこにい続けるというのは何らかの困難さを生み出していくということを、私自身も身をもって経験いたしました。
四つ目は、インクルーシブ教育は、障害のない児童生徒にとっても、より学びやすい、そして、安心して過ごしやすい教室、学校づくりにつながるということです。
日本では、誰かが、よし、ここからは分離教育を加速させようというふうに決めているわけではないものの、結果として、分離された環境の中で学ぶ児童生徒の数が右肩上がりに増えているわけなんです。
それと歩調を合わせるかのように、不登校の児童生徒の数も右肩上がり。そして、いじめの重大事態件数も増えていますし、暴力行為の発生件数も増えているわけなんです。
障害児がいなくなって多様性が減れば減るほど、地域の学校や通常の学級の中は、もしかしたら、息苦しさみたいなものが増しているのではないかというふうに考えております。
多様なお子さん、多様なニーズのある子がそれぞれ安心して一緒に学べるインクルーシブ教育を進めることで、こういった課題にも改善が生まれてくるのではないかというふうに私は考えております。
そんな四つの観点も踏まえて、本日も質疑をさせていただきます。
まずは、何といってもインクルーシブ教育支援員についてであります。
これまでの委員会審議でも、去年の一般質問や予算特別委員会でも、インクルーシブ教育を推進しにくくさせている、ボトルネックになっているのには予算構造があるというお話をさせてもらってまいりました。これは教育的な観点とは関係なく、地域から特別支援学校の方に児童生徒を、予算的な構造で押し出してしまう見えない力が働いているということでありました。
今年度からそれを解決する、とうとうインクルーシブ教育支援員制度がスタートしたということは、東京都のインクルーシブ教育の歴史において重要な一歩になったと考えております。今年度は、後々、振り返ったときに、あれは東京都のインクルーシブ教育元年だったねというふうにいわれるほどのことだったと私は感じております。
このインクルーシブ教育支援員なんですけれども、大きく分けると、三つ種類があって、一つ目は、特別支援学校判定のお子さんが地域の小学校や中学校で学ぶということになった際に、週五日、土曜日や、そして課外活動なども含めて支援者をつけることができるというもの。
そして二つ目は、特別支援学級の児童生徒が通常の学級で交流とか共同学習をする際に支援員を活用できるというもの。
そして三つ目は、通常の学級に在籍していて特別支援教室を利用していたり、また、そこを退室した児童生徒が在籍している通常の学級の中で学ぶ際の支援員です。
どれもベクトルがインクルーシブに向いているときに支援員を活用できるというので、大変すばらしいと思っています。
そこで、今年度、インクルーシブ教育支援員が実際にどのくらい東京都で活用されているのか、確認してまいります。
インクルーシブ教育支援員について、特別支援学校への入学が適当と判定された区市町村立学校に通う児童生徒への支援員と、発達障害のある児童生徒への支援員それぞれの活用状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、今年度より新たに、特別支援学校への就学が適当と判定された児童生徒が身近な公立小中学校で学ぶことを希望する場合、区市町村が支援員を配置するための経費を支援しております。
今年度は、三十二地区二百二十六校で活用されており、三百十四名の支援員の配置について支援を行ってございます。
また、発達障害のある児童生徒に対し、特別支援教室で指導を受けている、または退室した児童生徒が通常の学級で学ぶ場合の支援員につきましては、三十七地区八百六十一校で活用されてございます。
○龍円委員 特別支援学校判定のお子さんが地域の学校で学ぶために配置する支援員が、三十二地区二百二十六校で三百十四人配置されたということで、これは、今年度が初年度にもかかわらず、これだけ配置されたということは、非常に活用されているといえると思います。インクルーシブ教育支援員が現場のニーズとマッチしているというふうに考えられます。
インクルーシブ教育支援員が配置されたことで、特別支援学校判定で地域の学校を選んだ保護者が、スムーズに学校に通えるようになった、決定したというお声ですとか、去年までは付添いをしていた保護者さんが、今年度からは付添いなく通えるようになったですとか、自費でベビーシッターを雇っていた方が無料で学校に通えるようになったなんていう喜びの声が届いているところであります。
こういった取組が、特別支援学校判定の児童生徒が希望すれば地元の学校に通うことができるインクルーシブな選択肢を選ぶことができるという一歩になったというふうに感じております。
さて、喜びの声が続々と届いているところではあるんですけれども、特別支援学級判定で通常の学級で学んでいることを選択した場合は、実はインクルーシブ教育支援員が対象の外というふうになってしまっております。
また、医療的ケア児の場合は看護師の配置が必要なんですが、看護師はインクルーシブ教育支援員では活用できないということで、ここがハードルとして残っているようでありますので、インクルーシブ教育支援員の活用を通じて現場のニーズなどを把握していただきながら、さらに制度の改善、新たな取組につなげていただきますようお願いいたします。
さて、今年の予算特別委員会で質問をしましたけれども、インクルーシブ教育支援員の質の確保というのも重要になっています。支援がつけば、すぐさまインクルーシブが実現、インクルーシブな環境ができるというわけではありません。というのも、息子を見ていて実感しました。
支援員が支援をしている対象のお子さんだけを見て支援をしてしまうと、授業の内容とは全く別のことをしている状況というのが恒常的に続いてしまったり、子供が飽きて教室から出ていってしまって、そのまま学校の中で遊んでいるだけという状況も生まれたりしているような状況がありました。これだと、支援員がついたものの、インクルーシブな教育環境にはなっていない部分があるといわざるを得ません。
その際に、息子の学校をサポートしてくれていたある有識者が、必要なのは、安全を確保するための支援員ではなくて、インクルーシブな教育をサポートする知識のある支援員が必要なのだというふうにおっしゃっていたのが印象的でした。
ベテランの支援員さんを見ていますと、すごく本当に、先生と目配せをしながら、上手に授業と連携しながら支援してくださっていて、また、学校の授業の内容をかみ砕いて、息子なりの方法で授業に参加させていてくれました。必要以上に近くにいないというのも印象的です。
こういった、予算特別委員会では、支援が必要な児童生徒の特性などの基礎的知識や教員との連携などについて取り上げた動画を作成するという答弁をいただきましたけれども、インクルーシブ教育支援員の質向上のための動画の作成状況についてお伺いします。
○中西特別支援教育推進担当部長 区市町村立小中学校で勤務するインクルーシブ教育支援員が、必要な心構え、障害に関する基礎的知識、児童生徒の行動への対応方法、関係者との連携体制構築に関する内容について理解、実践するため、現在、有識者や特別支援学校、支援員からのヒアリング等を実施しながら研修動画を作成しているところでございます。
今年度中に研修動画を完成させ、区市町村に提供して活用を促すことにより、支援員の質の確保に取り組んでまいります。
○龍円委員 研修動画を、有識者や特別支援学校のヒアリングを実施しながら現在作成しているということでありました。息子の事例のように、放っておくと、支援員がいてもインクルーシブな教育環境になりにくいということがありますので、インクルーシブ教育の意義ですとか、その支援方法を盛り込んだ動画となるよう制作を進めていただけますようお願いします。
さて、インクルーシブ教育支援員の予算はついたものの、実際には支援者が見つからないという声も届いております。教育委員会ですとか学校が必死に探しているものの、なかなか見つからないので、支援者が見つかるまでは保護者が付き添うようにお願いされている方もいらっしゃるということで、私が注目しているのが東京都教育支援機構、TEPROの活用についてであります。
このTEPROでは、様々な外部人材を学校へ紹介していますが、このインクルーシブ教育支援員の求人募集についてはSupporter Bankの対象になるのかどうかについてお伺いいたします。
○秋田教育政策担当部長 東京都教育支援機構、略称TEPROでございますけれども、Supporter Bank事業におきまして、多様な外部専門人材を安定的に確保するとともに、適切な人材情報を教育委員会、学校に提供しておりまして、教育の質の向上と教職員の負担軽減を図っております。
Supporter Bankに登録されている人材は、学習支援、部活動支援、教職員の事務支援など様々な教育活動を支援しておりまして、学校でのニーズが高いインクルーシブ教育支援員につきましても求人募集の対象としております。
○龍円委員 インクルーシブ教育支援員も求人対象になっているということでありました。私のところにも、駄目元でTEPROに聞いてみたところ、支援員とマッチングしたんだという声が届いていました。偶然見つかったのかなというふうに思っていましたけれども、今の答弁では、TEPROではインクルーシブ教育支援員もしっかりと対象になっていることが分かりましたので、インクルーシブ教育支援員不足で困っている教育委員会とか学校へのサポートを、本格的にこのTEPROで行っていただきたいなと思っているところであります。
そこで、そもそもTEPROのSupporter Bankの現状について確認させていただきます。
Supporter Bankの実績について、令和五年度と令和六年度の登録者数について伺います。あわせて、学校において実際に採用された人数、そして、そのうち特別支援教育の支援に該当する方の人数についてお伺いいたします。
○秋田教育政策担当部長 Supporter Bankの登録者数でございますが、令和五年度末時点で一万五千八十五人、令和六年度は十月末現在で一万五千九百十一人となっております。
また、Supporter Bankを活用した学校の採用人数は、都内公立学校全体で、令和五年度が千五百三十三人、令和六年度は十月末現在で千四百四十四人でございます。
このうち特別支援教育の支援の分野で採用された人数は、令和五年度が二百七人、令和六年度は十月末現在で百二十人となっております。
○龍円委員 登録者の数が約一万六千人に上っているということで、かなりしっかりとした人材バンクとして育っているということが分かりました。また、特別支援教育の支援という分野でも、実際に採用につながっているとのことでありました。
駄目元でTEPROに聞いたことから、インクルーシブ教育支援員を探すのにTEPROを活用できることが、まだ十分に教育委員会とか学校に認知されていないという可能性が、さっきの駄目元という言葉からも分かると思いますので、今後、学校でのインクルーシブ教育支援員の採用に当たってTEPRO Supporter Bankの活用を促すために広報が必要だと思いますが、その点についてお伺いいたします。
○秋田教育政策担当部長 TEPROでは、各地区の校長会等でSupporter Bankの概要について説明を行うとともに、学校や教育委員会を直接訪問いたしまして、サポーターの活動事例や利用した学校の声などを伝え、活用を促しております。
また、各教育委員会や学校、教員向けに、Supporter Bankの利用方法や活用事例等につきまして、メールマガジンやSNS等での発信も行っております。
インクルーシブ教育支援員につきましても、こうした取組の中でSupporter Bankの周知を図りまして、TEPROの活用を一層促してまいります。
○龍円委員 TEPROにおいてインクルーシブ教育支援員の活用を一層促してくれるということで、しっかりした取組をよろしくお願いいたします。
さて、このボトルネックとなっていた予算的な支援としてのインクルーシブ教育支援員が創設されたことで動き始めていることは大変喜ばしいことでありますけれども、インクルーシブ教育の推進のためには、複合的かつ総合的な、そして、腰を据えた長期的な取組が必要不可欠であります。
冒頭で述べましたように、みんなごとにしていく必要がありまして、教員の方々の困り感を払拭し、自信を持って教育できるようになる必要がありますし、そして通常の学級、そして地域の学校の改革も必要だからであります。
国連の障害者権利条約のインクルーシブ教育に関する一般的意見というものがあります。この中では、インクルーシブ教育は、全ての能力の生徒が同じ教室で一緒に学ぶ環境のことであります。これは、障害のある学生と障害のない学生ということを意味し、全ての生徒が一緒に学びながらも、個々のニーズを満たすことができる教育システムを構築することを含んでいます。
インクルーシブ教育とは、全ての生徒がインクルーシブ教育の規格の教育を受けられるように教育システム全体を変えることだというふうに説明されています。このことからも、インクルーシブ教育というのは、教育制度の全体を見渡しながら、腰を据えて進めていく必要があるということをうかがい知ることができます。
東京都教育委員会では、インクルーシブ教育支援員を創設するだけではなくて、インクルーシブ教育について議論をする場として、インクルーシブ教育システム体制整備に対する検討協議会を創設したことは非常に大きなことだと考えております。
この協議会における検討状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 共生社会の実現には、障害のある子供と障害のない子供が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要でございます。
今年度、都教育委員会は、インクルーシブな教育を推進するための体制整備に関する検討を行う協議会を設置し、都立特別支援学校と都立高校の協働的な取組について検討を行う第一部会と、小中学校におけるインクルーシブな教育の推進等について検討を行う第二部会を設置してございます。
先月、第二回総会を開催し、それぞれの協議内容について共有、議論を行いました。
○龍円委員 この協議会では、二つの部会を設けて議論を始めているということでありました。
さて、この協議会の上で、メンバー選びというのが重要になってくると思います。先ほどから申し上げているように、インクルーシブ教育は、教育制度全般にわたっての視座が必要だということもありまして、特別支援教育分野の人だけで議論していてはなかなか進まないので、いわゆる通常の学級とか、地域の小中学校の校長先生や副校長先生たちが理解をして一緒に取り組んでいこうとならないと進まないということですので、こういった方たちもメンバーとして入っていることが重要だというふうに考えております。
インクルーシブな教育を推進するためには、特別支援学校の関係者だけではなく、幅広い関係者による議論が必要ですが、この協議会のメンバー構成についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 本協議会は、学識経験者や区市町村教育委員会、小中高等学校、特別支援学校の校長及び保護者の代表など、多様な関係者が委員となってございます。
○龍円委員 特別支援教育畑以外の方も多く参加しているということで安心しました。
では、もう少し具体的に、この協議会の検討内容について伺っていきます。
第一部会では、具体的にどのような検討を行っているのか、お伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 特別支援学校と都立高校が協働して、日常的に交流する環境の整備に関し検討を行っている第一部会では、隣接、近接する特別支援学校と高校において、様々な場面で連携、交流を行い、各学校の児童生徒が相互の理解を図るとともに、教員が協働活動の意義を理解することが重要であるとの報告を、先月の総会で行いました。
このほか、双方の学びとなるような協働活動を行う必要がある、協働活動を継続して実施するための体制を構築できるとよいなどの意見が出されました。
○龍円委員 第一部会では、特別支援学校と都立高校が協働して日常的な交流、そして、学ぶ環境の整備に向けて検討を行っているということでありました。
その中で、教員の方々の理解が重要だということですとか、継続的に実施する体制構築が必要だといった意見が出ているということで、非常に重要なことについて話し合ってくださっているというふうに理解いたしました。
また、我が会派では、都立特別支援学校と都立高校または地域の小中学校を一体的に、同じ敷地の中で、同じ建物の中で整備することによって日常的な交流ができるような体制の整備についても要望しているところでありますので、ぜひこういった日常的な交流をまずは始めて、教員の方々の理解などを深めながら、そういった将来的な取組につなげていただけますようお願いいたします。
さて、第二部会では、公立の小中学校におけるインクルーシブ教育の取組について検討しているということでありますけれども、具体的な内容についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 第二部会では、令和五年度から実施している、小中学校における通常の学級と特別支援学級の児童生徒が触れ合い、共に活動する取組の拡充に向けた交流及び共同学習拡充支援事業、並びに今年度から実施している、異校種期限付異動を活用し、都立特別支援学校の教員を小中学校に配置するなどにより特別支援教育の推進を図るインクルーシブ教育システム体制整備推進事業の取組について協議を行ってございます。
事業を実施する自治体から実施報告や実施計画の説明を受け、課題の共有や改善策の検討などを行っております。
○龍円委員 様々な事業を実施しながら、その状況を把握して、さらにどうしたらいいかという検討、そして議論をしているということで、よい取組だと思います。
東京都では、今、挙がった特別支援学級の児童生徒と通常の学級の交流及び共同学習について、数年前に実態調査をしてくださったと理解しております。この調査の中で分かったのが、交流、共同学習は、ほとんど全ての特別支援学級で行われているんですけれども、主に学芸会とか運動会といったイベントごとが交流の中心になっているということでありました。
このイベントごとというのは、通常の学級にいる児童生徒にとっても特別な日ということもありまして、その日に、気がつけば特別支援学級の子供たちが一緒にいたとしても、なかなかそこに注目して積極的な交流とか共同学習、相互理解というのにつながっていきにくい面があるというふうに私は考えております。
また、子供のいた学校でも、この交流の様子を見ていたんですけれども、運動会の練習とかになると、学年全員がそろって、そこにぽつんと特別支援学級のお子さんがいるわけなんですけれども、ふだん小さいクラスにいるので、急にたくさんの子供たちと一緒にいることになかなかなじめないお子さんの姿もありましたので、この交流とか共同学習というのは、どちらかというと、イベントごとというよりは、日常の中で行われるのがより効果的であるというふうに考えております。
この調査を受けて、都教委では交流及び共同学習の拡充支援事業を実施しているということは、非常に意義があると思います。この事業の取組状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 令和五年度より、世田谷区、北区、国立市を実施地区に指定し、中学校の知的障害学級や小中学校の自閉症・情緒障害学級における交流及び共同学習に取り組んでおります。
具体的には、昨年度、交流及び共同学習の活動範囲を、運動会、合唱コンクールや教科学習などへ拡大することなどに取り組み、その培った関係性を基に、今年度は、生徒同士が共通の目標を持ち、学校の特色を生かして取り組んでいる地区もございます。
○龍円委員 こういった、こつこつとした実践を通じて得られたものを、この検討協議会の中で、ぜひ次の、広げていくための施策につなげていただけますようお願いします。
同じく第二部会で検討しているインクルーシブ教育システム体制整備推進事業、こちらの方の取組状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 今年度、清瀬市と福生市を重点地区に指定しております。
清瀬市については、特別支援学級設置校において、都立特別支援学校から異校種期限付異動で配置されている教員が特別支援学級の児童への指導の中核的役割を担うなど、その知見を活用しております。
福生市につきましては、事業の実施に向けた環境整備を進めているところでございます。
○龍円委員 この事業は、とても画期的な取組ではないかと考えております。これまで教員の自主的な手挙げ制だった、この特別支援学校と地域の学校の間における人事交流というのを、重点地区を定めて、そこで計画的に行うということで、その地域全体の特別支援教育力が高まっていくことが期待されております。
異校種期限付異動というのは、これまでも重点地区以外でも行われてきました。インクルーシブな教育の推進のためには、この人事交流というのが非常に重要だと思い、これまでも質問を続けてまいりました。
小中学校及び高等学校と特別支援学校の異校種期限付異動による人事交流について、これまでの実績と、そして、異校種での勤務を経験した教員からはどのような声が寄せられているのかについてお伺いいたします。
○吉村人事部長 都教育委員会では、特別支援教育の専門性を高めるため、小中学校及び高等学校と特別支援学校との間で、三年間の異校種期限付異動及び一年間の短期人事交流を実施しております。
異校種期限付異動では、制度開始から十二年間で五百二十七名、短期では、二年間で三十六名の教員が人事交流を経験いたしました。
経験した教員からは、特別支援学校では障害の程度や発達段階に応じた指導を学ぶことができた、区市町村とのつながりができ、特別支援学校に戻った後も小中学校からの相談を受けているといった声が上がっております。
○龍円委員 人事交流をした教員の皆様から、非常にポジティブな声が上がっているということで、その反応について大変うれしく思います。
こういった教員の方々には、ご自分のキャリアだけにとどめずに、こういった、学校に戻った後も、しっかりとインクルーシブ教育の推進のために貢献していただけることに期待したいと思っております。
また、インクルーシブ教育に関わる教員の皆様の数というのはまだまだ少数派でありまして、孤独な面もありますことから、この教員方をつなげたネットワーク化をしていくということも重要だという観点から、これまでも質疑を続けてまいりました。
そこで、異校種人事ネットワークの構築の現状についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 小中学校の特別支援教育を充実させるためには、センター的機能の役割を担う特別支援学校間や、人事交流で特別支援学校から小中学校に配置された教員間の連携が重要でございます。
都教育委員会は、今年度、異校種期限付異動で特別支援学校から公立小中学校に配属された教員や、その地域のセンター的機能を担う特別支援学校の教員等が相互に連携し、情報交換、好事例の共有、支援力向上のための講演会などを行うなど、ネットワークの構築に取り組んでおります。
また、聴覚障害者を雇用している企業を見学するなどの自主研修も行ってございます。
○龍円委員 このネットワーク化の取組は、今は小さくとも、後々、大きな木となり、実りとなってくれるのではないかと期待しておりますので、続けていただけますよう、よろしくお願いいたします。
また、この人事交流を経験した特別支援学校の教員の方々には、その後、積極的に特別支援学校のセンター的機能も担っていただくことも重要だと考えております。
というのも、特別支援学校と地域の小中学校というのは、環境がかなり別物なんですよね。その両方を知っている教員がかけ橋となっていただいて、特別支援学校の持つ専門的な知見とかノウハウを地域の小中学校でどのように生かせばいいのかというのを伝授していくことができると考えております。
さて、このセンター的機能なんですけれども、私立の学校にも使えないのかという観点から質問させていただきます。
私立学校においても、最近は、発達障害のお子さんや、その特性のある児童や生徒が増えているというふうに伺っております。しかし、公立の小中学校に比べて、特別支援教育に関するノウハウというのが圧倒的に少なくて、大変対応に苦慮されているというふうに伺っているところであります。
都立特別支援学校が行っているセンター的機能を活用した支援について、私立学校は対象となるのか、お伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校は、区市町村教育委員会や各小中学校等の要請に基づき、巡回相談や研修会への講師派遣など、特別支援教育の推進、充実に向けてセンター的機能の役割を果たしております。
私立学校に対しましても、要請に応じて、これらの支援を行っております。
○龍円委員 重要な答弁をいただいたと思います。センター的機能を私立の学校も利用できるということでありました。私立学校の皆さんは、このセンター的機能をほとんどご存じないと思いますので、しっかり私立学校にも、このセンター的機能の周知、働きかけをしていただけますよう、よろしくお願いいたします。
なお、港区では、このセンター的機能を活用して、学校ではなくて、学童クラブの巡回指導もしてもらったというふうに伺っております。
私の地元の渋谷区でも、特別支援学校の児童が、放課後クラブという名前なんですけれども、最近通うようになってまいりました。
学童クラブの先生方は、対応に試行錯誤している面がありますので、こういう学童クラブなんかでもセンター的機能を使えるということを周知して、より効果的に利用されるように進めていただけますよう、よろしくお願いします。
次に、インクルーシブ教育の推進において重要な役割を果たしてくれると私が考えているのが、個別の指導計画であります。
特別支援学校に子供が転校して、初めてこの個別の指導計画を見て、大変驚きました。本当に生活面とか各教科ごとにも目標が細かく立てられまして、その目標を実現するためにはこういった手だてをしますよというのも細かく書かれていて、なおかつ、学期の終わりごとに、それがどれぐらい達成できたのかというのも、振り返りというのがあるんですよね。
特別支援学校では、同じ教室で同じ授業が行われているんですけれども、一人一人は、この個別の指導計画に基づいて、それぞれの目標に向かって学んでいるということになります。
これは、アメリカで息子がゼロ歳のときから立てられていた個別の教育支援計画に非常に似ているなというふうに考えました。アメリカでは、障害のある子供たちが通常の学級で学んでいるのが多いのですけれども、その際にも、IEPといいますけれども、個別の教育支援計画を活用して、それぞれのお子さんの学びというのを通常の学級の中で行っておりました。
また、東京都では、文京区の柳町小学校というところが、特別支援学級の児童が毎日のように交流とか共同学習しているという特徴のある学校があります。
ただ、聞いてみますと、例えば体育の授業は、お子さんは毎週体育の授業は交流しているということなんですけれども、個別の指導計画を見てみますと、交流している通常の学級に行った先でどういうことを目指して学ぶのかというのが個別の指導計画の中に立てられているそうなんです。
例えば跳び箱の授業に出ていたとしても、みんなは跳び箱をできるようになることが目標なのかもしれませんけれども、交流で行っているそのお子さんの場合は、ほかの児童の様子をしっかり観察することができるとか、順番を待つことができるとか、まねをすることができるといった、その子なりの目標が設定されているので、共同学習の中であったとしても、しっかりと学びを得ているんだという話を伺いました。
個別の指導計画は、インクルーシブ教育推進のために重要な役割を果たすに違いないと考えております。
ただ、通常の学級の中で特別支援教室を利用していない児童生徒については、個別の指導計画というのは、現在、作成について努力義務というふうになっています。通常の学級の先生にとって、個別の指導計画を立てるというのは、なかなかハードルもあるのではないかなというふうに考えております。
というのも、豊島区のある小学校で、通常の学級にいる知的障害のお子さんの事例を伺いました。この学校の先生は、インクルーシブ教育に非常に熱心で、何とか学びを諦めないで学ばせてあげたいということで、先ほどのセンター的機能を使って、特別支援学校の先生を招いて、一緒に個別の指導計画を立てたということなんですね。
このことから分かるように、学校の校長先生であっても、なかなか、個別の指導計画をきめ細やかにつくるというのは、まだまだ難しさがあるのかなと思うので、サポートなども必要があるというふうに感じているところであります。
特別支援教室などを利用せず、通常の学級のみに在籍している子供たちの中にも、こういった個別の指導計画を必要としているお子さんがおりますが、現在、努力義務となっていることは、先ほど述べたように承知しておりますけれども、より多くの子供たちに個別の指導計画が作成されるべきだと考えまして、都教委の現在の見解をお伺いいたします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 個別指導計画は、集団での学習において、子供の実態に応じた指導方法や教材作成の工夫など、個に配慮した指導を充実させ、学校全体の指導力向上を図る際の要となるものでございます。
都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画に基づきまして、特別支援学校において、個別指導計画の活用の改善、充実を図るための研究を実施しております。
今後、研究の成果も踏まえ、小中学校に対して、個別指導計画の重要性を周知し、通常の学級に在籍する特別な支援が必要な子供について作成するよう促してまいります。
○龍円委員 個別の指導計画、お子さんに対する指導を充実させるだけではなくて、学校全体の指導力向上にも寄与するんだという都教委の見解を示していただきました。
また、通常の学級に在籍する必要なお子さんにも作成を促していくということでありました。
豊島区では、先ほどの件、好事例としまして、今後は、通常の学級に在籍している必要なお子さんに対してこの計画を立てることを義務化していこうという方針が今示されているというふうに、先日の議会で答弁があったというふうに伺っております。こういった先進的な自治体とも連携しながら取組を進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
さて、インクルーシブ教育の推進は、通常の学級そのものも改革をしていかなければ進まないという話をこれまでもしてまいりました。障害児を受け入れる前に、通常の学級の教員の皆様は疲弊してしまっている中で、さらに多様なニーズに応えるのは無理があるよとか、難しいよということもありまして、この教員の方々に対するサポート、支援というのも必要不可欠です。
東京都は、働き方改革、そして教育の充実の施策としまして、小学校にエデュケーションアシスタントを今年度から配置できるよう、規模を大幅に拡充しておりますけれども、その現在の取組状況についてお伺いいたします。
○矢野人事企画担当部長 小学校低学年で副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントを、今年度、小学校全校で活用できるよう、十八学級以上の大規模校には二名、それ以外の学校には一名配置できる予算を確保いたしまして、現在、四十三地区で配置を進めております。
各学校からは、教材研究を行う時間が増え、授業の質の向上につながっている、児童にとって心を開ける相手が担任以外にもいることで、安心して学校生活を送っているなどの評価を得ています。
○龍円委員 四十三地区では、授業の質の向上につながったなどという声が上がっているということでありました。
そしてもう一つ、教科担任制なんですけれども、令和十年度までに、十二学級以上の全小学校に拡大する計画であるというふうに聞いております。
こちらの現在の取組状況についてお伺いいたします。
○吉村人事部長 都教育委員会では、高学年を対象に、教員の加配による教科担任制を進めており、今年度は八十七校で実施しています。
教科担任制を実施している学校の管理職や教員からは、教員の加配による教科担任制の導入により、教える教科が絞られ、準備の時間が減るなど、業務負担の軽減につながっている、より多くの教員が児童に関わり、多角的な見守りができているなどの声が報告されております。
○龍円委員 教科担任制が導入できた学校では、準備の時間が減ったりすることによって、より多角的な見守りができたりとか、教育の充実につながっているということでありましたので、こういった取組も引き続き進めていただけますよう、よろしくお願いします。
さて、以前から述べてきましたとおり、インクルーシブ教育は、通常の学級の中で行われている例外的なものということであっては進んでいかないので、特別支援学校にいてもインクルーシブな教育環境が保障されていくということが重要だというふうに考えております。その実現のためには、副籍交流という東京都独自のすばらしい制度があり、これを充実していくことが重要だと考えております。
この副籍交流なんですけれども、保護者からは、年度が変わるごとに、学年が上がるごとに、一旦、この交流がストップしてしまう時期があるというのを何とかしてくれないかという声をいただいています。
また、特に新一年生は、交流が始まるのがなかなか遅くなってしまうケースもあり、遅いと、夏休み明けが第一回だったという話も聞いております。
改定した副籍ガイドブックというのを生かしまして、副籍交流、副籍をさらに進めていくべきだというふうに考えますが、都教委の見解、取組についてお伺いいたします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、副籍ガイドブックを昨年度末に改定し、副籍制度のさらなる充実に向け、特別支援学校の新入生が、一学期から居住地にある小学校を訪問して交流を開始したり、オンラインの活用により交流の機会を拡大していくことなどを新たに示しました。
特別支援学校がこうした取組を着実に進めていくことができるよう、今年度改定する副籍交流事例 & アイデア集に具体的な事例や各校での工夫などを反映させ、都教育委員会のホームページに掲載していきます。
さらに、早期からの交流開始の重要性や連携方法に対する理解が進むよう、特別支援学校と小中学校の教員に対し、講習会など様々な機会を通じて事例集の活用を促してまいります。
○龍円委員 事例集を作成しているということで、その中に具体的な好事例を載せて、一年生の早い段階から交流がスタートできるように後押しをしていくということでありました。また、ぜひ保護者の方にも、この交流のよさというのを積極的に伝えていっていただけますよう、よろしくお願いいたします。
さて、次は、医療的ケア児の看護師確保についてなんですけれども、子供を一年半ほど特別支援学校に通わせておりまして、毎日、特別支援学校の様子を見ているんですけれども、本当に温かく、優しく見守られながら、すくすくと健康に育っているということに心から感謝しております。地域の学校の通常の学級という選択は、今思うと修羅の道ともいえるような中で、特別支援学校の存在があるということは、一保護者として、本当に救いだと感じております。
そんな特別支援学校なんですけれども、医療的ケア児のための看護師確保については、まだ十分ではない状況があります。
保護者の付添期間短縮や医療的ケア児専用通学車両の運行拡大に当たって、看護師の一層の確保が重要だと考えますけれども、都の今年度の新たな取組状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、保護者の付添期間を短縮するなどの負担軽減に向けて取り組んでおり、医療的ケア児専用通学車両の運行や校内の医療的ケア体制を充実させるため、非常勤看護師の任用数を拡充しております。
また、看護師の確保に向け、今年度新たに、都立特別支援学校で勤務する看護師などの非常勤職員の募集に向けた専用サイトの運用を開始したほか、学校近隣へのポスティング及び主要駅等へのポスター掲出を実施してまいります。
○龍円委員 看護師の確保について、しっかりと進めていただけますよう、よろしくお願いします。
特別支援学校に通うようになって、子供は学んでいるという実感というのを持つようになった様子がひしひしと、親としても見てとれるようになりました。
そして、自宅の中で変わった様子がありまして、それがよく本を読むようになったということなんですよね。あとは、興味のある生物があると、図鑑を開いて、じっくり見ているような様子も見られるようになりました。
この本を読む読書というのは、多くの語彙ですとか、いろんな表現とか、様々な世界に触れることができて、それを疑似体験できたりと、本当に知識を獲得していったり、言語を発達させるためにも、非常に重要なものであるというふうに感じております。
都立特別支援学校の図書館においては、例えば車椅子のお子さんが手に取りやすいように壁沿いに図書が示されていたりとか、レイアウトを工夫していたりとか、あとは、本当に興味を引くような展示のされ方とか、厳選をしているのかなというのを拝見してまいりました。
特別支援学校の学校図書館の環境整備に関する現在の取組状況についてお伺いいたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 言語に関する能力を育成するに当たり、読書活動が効果的な方法の一つであることから、日常的に読書に親しみ、読書をより豊かにするための指導や、学校図書館の充実等により、児童生徒等が読書をする環境を整えていく必要がございます。
都教育委員会は、国の配置基準に基づき、都立特別支援学校に司書教諭を配置しており、司書教諭は、児童生徒一人一人の障害の状態等を踏まえ、読書活動を計画する担任の教諭と協力して、学校図書館の活用に取り組んでおります。
令和六年度からは、都立高校に追加配置した図書館専門員が、在籍校で学校司書から都立学校図書館の運営や環境整備、授業での活用方法等の指導助言を受け、特別支援学校に出向いて学校図書館の充実を図ってございます。
引き続き、特別支援学校における読書活動の一層の推進を図ってまいります。
○龍円委員 障害の特性も踏まえた図書選びというのを進めてくれているということでありまして、引き続き取り組んでいただけますよう、よろしくお願いします。
さて、インクルーシブ教育のことで続いてまいりますけれども、小さい意味ではというか、障害のあるお子さんのことだけではなくて、海外では、その国の言葉を母語としないお子さんの教育環境も、インクルーシブ教育の重要なファクターとして扱われております。
私自身は、六歳のときに日本にスウェーデンから来まして、日本人なのにもかかわらず、日本語が全く話せないという状況でスタートしました。四十年前だったので、こういう日本語指導というのが一切なくて、本当に何も分からない授業を、ずっとただ聞いているという状況があったことがありまして、日本語の習得というのは非常に苦労したというのが印象に残っております。
一方で、中学校時代にイギリスに留学したのですけれども、イギリスでは、毎日、取り出し授業がありまして、そこでマンツーマンで英語を教えてもらったんですよね。一年後には、全ての学科において、その学校の平均点は取れるようになっていたんです。なので、こういったサポートがあることが非常に、すごくすばらしいスタートを切ることができるきっかけを与えてくれたというふうに感じておりますので、日本語においても、この日本語指導というのが、インクルーシブな教育環境については重要だというふうに考えております。
都教委は、昨年度、教職員の手引となる日本語指導推進ガイドラインを作成し、日本語能力を評価するためのアセスメント実施の重要性を示しました。
今年度から始まった、このアセスメントについて、目的や、小中高、どのような取組を進めているのか、実施状況についてお伺いいたします。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、日本語指導が必要な児童生徒の日本語能力を把握し、それに応じた支援につなげるため、客観的な基準に基づくアセスメントが実施されるよう取り組んでおります。
今年度、義務教育段階の児童生徒を対象に対話型アセスメントを推進するため、日本語能力を評価する実施者を養成する講習会を行いました。
また、モデル地区を三地区指定しまして実施者を派遣するなど、導入を支援しております。
また、都立高校の日本語指導が必要な全生徒を対象に、リスニング、文字や語彙、文法、読解の四つの内容で構成され、受験者の解答に応じて出題内容が変化する、適応型の日本語能力判定テストをオンラインで実施しております。
○龍円委員 ガイドラインを基に、対話型のアセスメント、高校ではオンラインのアセスメントを行っているということです。
このアセスメントは非常に重要なんですが、それをどのように指導、支援に生かしていくのかというのが重要になっています。
その指導、支援にどのように生かしているのか、お伺いいたします。
○信岡グローバル人材育成部長 アセスメントで把握した児童生徒の日本語能力は、日本語指導の必要性や、一人一人に合った学習内容の判断に生かすなどしております。
また、アセスメント結果を教員間で共有することで、学校生活の様々な場面で、児童生徒の日本語能力に応じた必要な配慮ができるようにしております。
さらに、在籍する学級での教科の授業に早期に参加できるよう、個別に、あらかじめ学習に必要となる基本的な日本語の指導を行うなど、学級担任と日本語指導担当教員が連携して対応しております。
○龍円委員 このアセスメントを使って、学校生活の様々な場面で、指導とか配慮につなげているということでありました。
また、先日の文教委員会で、都立高校では、入学する前の四月から日本語の指導を始めて、そして学校間を超えた仲間づくりをしているなんていう話も伺いました。今後も、この日本語指導というのは重要な取組だと考えますので、しっかりと取り組んでいただけますよう、よろしくお願いします。
さて、英語が私にとって可能性を広げてくれたという話を先ほどしましたけれども、英語が話せたことによって非常に助かっていることが今ありまして、それは、世界中のダウン症のある人のコミュニティとつながることができるということなんですよね。これは、人生にとって本当に財産になっているというふうに考えております。
そこで、次に、中学校英語スピーキングテストについてお伺いいたします。
都教委は、グローバル人材育成に向けて、中学生の英語を話すことの能力を客観的に評価するため、スピーキングテストを実施しております。中学三年生を対象とする本試験も、今年で三年目となります。
また、昨年度から、中学一、二年生向けのESAT-J YEAR1とYEAR2が加わって、中学一年生から三年生までの中学生全員がこのテストを受験する体制が整いました。東京都教育委員会は、先進的な取組をしっかりと推し進めてほしいと思います。
先日、十一月二十四日に、中学三年生を対象とするテストが実施されましたが、その実施状況についてお伺いいたします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 約七万人の生徒が二百三十会場で受験し、器具の不具合のために、試験終了時刻の遅延が一部の会場では発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識をしております。
十二月十五日には追試験等を予定しているなど、試験はまだ継続中であることから、受験生が安心して集中して取り組めるよう、引き続き万全の準備で取り組んでまいります。
○龍円委員 約七万人が受験し、実施したということでありました。
一方、器具の不具合のため、試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生したという答弁がありましたが、どのようなことが生じたのでしょうか。また、それに対してどう対応していくのか、お伺いいたします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 タブレット端末に不具合があり、端末の交換や生徒の教室変更などを行うなど、対応に時間を要したため、一部の受験生の終了時刻が二時間程度遅延しました。生徒自身によらない理由により、受験生や保護者、さらに学校の関係者等、多くの方にご迷惑、ご心配をおかけし、大変申し訳ないと考えております。
現在、原因は調査中であり、再発防止に向けて取り組んでまいります。
また、中学校長から、帰宅時間が大幅に遅れる場合などは、保護者がその状況が分かるようにしてほしいとの意見がありました。こうした意見も踏まえまして、よりよい試験運営に向け、改善に努めてまいります。
○龍円委員 端末の不具合の対応で、受験生の終了時刻が二時間程度遅延したということでありました。再発防止に向けて取り組んでいくということですので、十二月の予備日ですとか、来年度の実施に向けては、しっかりと準備を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
さて、私がこれまで何度も質問してまいりましたけれども、都教委では、このスピーキングテストにおいて、障害ですとか特別なニーズのある受験生に対して、年々、丁寧に対応を広げていってくれていると認識しております。
改めまして、今年度の受験上の配慮について、どのようにしたのか、お伺いします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 今年度新たに、日本語指導が必要な生徒が不安なく受験できるよう、やさしい日本語で表記した受験案内を用意するとともに、全ての受験生が安心して受験に臨めるよう、試験当日の流れや注意事項を分かりやすく説明する動画を作成いたしました。
試験当日、受験上の配慮を行う会場においては、申請に応じて、個室や少人数対応等の措置を講じました。
また、受験上の配慮の内容や、試験における個別の対応を十分に理解している試験監督等が業務を行っております。
さらに、特別支援教育を担当する指導主事など、専門性を有する職員を含め、約六百人の東京都教育委員会の職員を各会場に配置し、実施状況の把握などを行うとともに、全ての会場において、必要に応じて生徒への支援を行ってまいりました。
○龍円委員 この特別な配慮についても、年々、拡充をしてくださっていることに感謝申し上げます。
予備日受験の方もまだあり、試験はまだ継続中であります。生徒が安心して集中して取り組めるように、中学生にとってよりよい環境を整えていただきたいと思いますので、その点を要望させていただきます。
さて、最後に、私が生まれ育ったスウェーデンで、若者たちの性の健康を守り育てるユースクリニックを参考に、東京都で提案させてもらいましたユースヘルスケア事業についてであります。
我が会派の提案によって、都教委では、都立高校などの生徒が抱える思春期特有の様々な健康上の悩みに対して、医療的な専門知識に基づいた対応ができるよう、産婦人科の学校医による専門的な相談を実施しております。
今年度からは、産婦人科学校医を活用した相談事業に加えまして、産婦人科医が訪問することが困難な多摩ですとか島しょ地域などの都立高校で、オンライン相談を実施できる体制を整備されたというふうに伺っております。
そこで、今年度のこの事業の取組状況についてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、今年度、多様な校種の十八校の都立学校におきまして、産婦人科医による専門相談事業を実施するとともに、産婦人科医が訪問することが困難な多摩・島しょ地域等の都立学校三十二校において、七月からオンライン相談を開始しております。
これらの相談事業では、月経に関することや心身の不調などの相談が、これまでに合計二百十九件寄せられており、本事業を実施している学校からは、生徒も保護者も、月経の対処方法についてうまく相談できずにいたが、学校で産婦人科医に相談できたことで受診の不安が軽減し、治療につながった、月経が始まる時期から進学や就職等、生徒のライフステージに応じた心身の悩みへの対処方法について助言をいただき、不安が軽減したなど、生徒が抱える思春期特有の悩みに寄り添った対応ができているという声をいただいております。
○龍円委員 ありがとうございます。この相談事業が比較的たくさんの方に利用していただけているということを聞いて、大変うれしく思っております。
学校の中での相談というのも重要なんですけれども、なかなか先生だとかにばれたくない相談というのもあったりするわけなんですが、そういう場合は、福祉局が実施している、わかさぽという相談事業がありますので、例えば、そういうときは、わかさぽもあるよというような周知もしていただけることで、本当に困ったときにも、そちらが利用できるような体制も引き続き進めていただけますよう、要望させていただきます。
以上をもちまして、インクルーシブ教育という観点から質問させていただきました。ありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、私からも、教育庁の事務事業について質問させていただきたいというふうに思います。
初めに、都立学校の空調設備について伺ってまいりたいと思います。
都議会公明党はこれまで、年を追うごとに災害級といわれるほど苛酷な猛暑となる東京において、都立学校の児童生徒に快適な学習環境を提供するためには、空調設備の早期設置が不可欠であると繰り返し訴え、その整備を推進するよう強く求めてまいりました。
我が党のこうした強い働きかけを受けて、都教委では、児童生徒が毎日利用する普通教室や、災害時に避難所としても機能する体育館への整備を進め、さらには、特別教室や武道場についても整備を進めているというところでありますけれども、そこで改めて、都立学校の空調設備の設置状況と今後の見通しについて伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都立高校等では、全ての普通教室や体育館において、既に空調設備の設置が完了しております。
化学実験室や美術室などの特別教室につきましては、令和六年九月一日現在で整備率は八八・五%となっており、令和八年度までに全校で設置を完了する予定でございます。
武道場等につきましては、同様に整備率は五三・七%となっており、令和九年度までに全校で設置を完了する予定でございます。
また、都立特別支援学校では、各施設について、既に全校で空調設備の設置が完了しております。
○伊藤委員 今、武道場の答弁がありましたけれども、空調設置完了が令和九年度ということでありましたけれども、来年度、令和七年度に入学する生徒が卒業するのが令和九年度でありますことから、高校三年間の武道場には空調がないということになります。
また、武道場は、畳があるわけで柔道等をやるわけで、災害時には福祉避難所等として使われることも想定されるというふうに私は思います。なるべく早期に、武道場も空調設備の設置を完了していただきたいと要望しておきたいと思います。
いずれにしても、都立学校においては、空調設備の設置が計画的に進行しており、特別教室や武道場等も含めて、整備の完了見通しがついているということでございました。
一方で、既に設置が完了しているけれども、老朽化が進んできた空調設備については、順次、改修、更新に取り組んでいく必要があり、昨年の第三回都議会定例会における都議会公明党の代表質問に対して、都教委は、空調設備の改修を加速化していくという答弁がありました。
そこで、老朽化した空調設備の改修、更新について、現在の取組状況を伺いたいと思います。
また、私の地元の品川区にあります都立大崎高校など全館空調設備を整備している都立高校三十二校のうち十一校が、昨年度の時点で設計や工事に未着手であったと聞いておりますけれども、これら十一校についての取組状況についても伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 老朽化した空調設備については、教育活動を継続しながら改修、更新が進められるよう、学校との間で様々な調整を行った上で、順次、設計や工事に取り組んでいるところでございます。
今年度、改修、更新に向けた設計や工事を行っている学校は、高校等が十九校、特別支援学校一校、合計二十校でございます。
全館空調設備を整備している都立高校で、昨年度まで改修、更新について未着手であった十一校のうち、既に二校については、オーバーホールにより対応が完了し、大崎高校を含む七校については、現在設計を行っております。他の工事との調整を行う必要があった二校については、来年度に設計を着手する予定となってございます。今後、設計等が終了次第、早期に工事に着手してまいります。
○伊藤委員 私の地元の大崎高校については、地元であるわけでありますので、数年にわたって、保護者や生徒から早く空調を直してという声が、もう悲鳴のような声が上がっております。空調設備の老朽化が進み、その機能が低下すると空調の効きが悪くなるため、早期かつ計画的に適切な対応を求めておきたいと思います。
さきの令和五年度決算特別委員会第二分科会では、私は、都内の区市町村の小中学校の給食調理室における空調設備の整備状況について質問をし、着実に整備が進んでいるということを確認したところであります。
そこで、次に、都立学校においても、給食調理室に空調設備を整備する必要があると考えますけれども、現在の整備状況と今後の整備の方針について伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都立学校で給食調理室のある学校は、高校等三十九校、特別支援学校五十八校、合計九十七校でございます。そのうち、既に空調設備の設置が完了している学校は、高校等が二十三校、特別支援学校四十八校、合計七十一校となってございまして、整備率は七三・二%でございます。
空調設備が未設置の二十六校についても、今年度から、空調設備の設置に向けて、給食施設の状況や施工方法等を検討する調査を実施しております。今後、この調査結果に基づき、早期の設置に向けて検討してまいります。
○伊藤委員 給食調理室への空調設備の設置は、工事と、それから給食の提供と、両方の調整を図る必要があるということで、難しさはあると思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、毎年のこの猛暑の中で、給食調理室は、窓を開けることがやっぱり難しいんですね。網戸はあったとしても、開けてしまうことで食材が傷んでしまったりとか、あるいは虫が入ったりとかいうことが考えられるので、どうかなるべく早期に、計画的に整備を進めていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
空調設備等の適切な改修、そして更新等も重要でありますけれども、机や椅子、ロッカー等の生徒に身近な備品も適切に更新をしていくことも必要であります。都立高校を時々訪問することがありますけれども、机や椅子、ロッカー等は、代々の生徒が日々大切に使ってきたものでございまして、多少の傷や擦れなどは高校生活の思い出でもあると思いますけれども、中には、これはちょっと劣化が目につくなというものも多々あります。
この点についても、先ほど申し上げた地元の都立大崎高校に来年度入学を希望している保護者から、ロッカーなどの備品の老朽化、この対策を進めてほしいという声がありました。
都立高校に通う生徒が日々快適に学校生活を過ごすために、そして都立高校の魅力を一層高めていくためには、こうした備品を適切に更新していくことが必要であると考えますけれども、その取組状況について伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 机や椅子、ロッカー等の備品につきましては、各学校において、劣化が進み使用できなくなったものについて、順次更新を行っております。
また、こうした更新の際には、国産木材の活用促進の一環として、各学校の要望に応じて、国産木材を使用した机や椅子等で更新できるよう対応しているところでございます。
○伊藤委員 今、答弁にも、こうした備品については学校ごとに対応しているということでございましたけれども、学校ごとで限られた予算がある中で、恐らく、優先順位をつけて備品等の更新もしているんだろうというふうに思いますけれども、一定の対応をしているということは分かりましたけれども、当然、使用できるものは大切に使っていくべきでありますけれども、今後、耐用年数を超え、劣化が進んだ備品などは、学校ごとの対応に加えて、都教委として計画的に更新を行ってもよいのではないかというふうに思います。都立高校の一層の魅力向上のためにも、ぜひ検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
次に、困難を抱える生徒たちへの支援について伺ってまいりたいと思います。
近年、都立高校において、不登校や日本語指導が必要な生徒など困難を抱える生徒は増加傾向にあり、こうした生徒一人一人に寄り添った支援が求められており、都教委は、多様な生徒たちの学びや成長を支える学習、教育環境の充実を図るためにチャレンジサポートプランを策定いたしました。
都議会公明党が一貫して支援を求めてきた日本語指導が必要な生徒は、平成二十四年には三百五十九人であったのが、令和五年には八百七十一人と、二倍を超える状況でありまして、今後も増加していくことが見込まれます。
これまで都教委は、都立高校において、外部人材を活用して、日本語指導が必要な生徒への支援を行ってきたということでありますけれども、どのように取り組んできたのか、また、この間の改善点を含めた取組について伺いたいと思います。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、令和二年度から多文化共生スクールコーディネーター事業を開始しまして、NPO等と連携して、日本語指導や通訳等に関する人材を在京枠設置校四校に派遣し、学校における日本語指導を支援してまいりました。
令和四年度には、発展的に、多文化共生スクールサポートセンター事業としまして、在京枠設置校全八校に支援対象を拡大いたしました。
在京枠設置校以外の学校においても外部人材が活用できるよう、予算措置をしてきましたが、多くの学校では、日本語指導を行う人材を各学校で確保する必要がございました。そのため、昨年度から、政策連携団体として企業や団体等と連携実績があり、多様な外部人材を開拓、紹介する人材バンク機能を持つTEPROを活用することとしました。
○伊藤委員 都教委は、TEPROに委託をして多文化共生スクールサポートセンター事業を開始したということでございました。
その具体的な取組や、また、成果について伺いたいと思います。
○信岡グローバル人材育成部長 TEPROは、学校訪問等を行いまして、生徒の状況の把握と必要な支援等の聞き取りを行うことを通して、学校のニーズに応じた日本語指導や通訳等に関する人材を紹介しており、これまで全ての要望に応じております。
今年度は、四月から十月末までに、日本語指導が必要な生徒が在籍する全ての都立高校を訪問しており、きめ細やかな支援を行っております。
○伊藤委員 TEPROが全ての学校を訪問して、課題の聴取と、それからアドバイスを行ってきたということだと思います。
一方で、都教委としても、現場の教員や指導に当たっている方々の声をしっかりと受け止めて、学校現場の現状や課題の把握に努め、日本語指導が必要な生徒にとって、よりよい教育環境の改善につなげていくべきというふうに要望しておきたいと思います。
日本語指導が必要な生徒への関わりは、母語や生活習慣、文化の違いなど、学習面だけではなくて、様々に指導の難しさがあるというふうに思います。そうした課題を乗り越えるためにも、これまでは、NPOやボランティア団体、通訳、専門家など多くの方々が積み上げてきた知識やノウハウを駆使して、協力連携をしてくださってきました。
TEPROは、日本語指導や通訳に関する人材を紹介しているということでありましたけれども、日本語指導が必要な生徒にとって重要な鍵となる人材をどのように探して、そして確保して紹介をしているのか、伺いたいと思います。
○信岡グローバル人材育成部長 TEPROはこれまで、学校と協力関係にある外部人材やNPO等と引き続き連携するとともに、日本語教師を養成する課程を持つ日本語学校や、通訳等の紹介に強みを有するNPOを訪問するなどして、学校が必要とする多様な人材を新たに開拓し、学校に紹介しております。
また、人材バンクに登録されている人材も活用し、学校が必要とする外部人材を適切に確保しております。
○伊藤委員 最初の、冒頭の答弁にもあったとおり、日本語指導が必要な生徒への支援については、当初は在京枠校四校、ここから八校に拡大をしていただきました。この際にも、都議会公明党は繰り返し求めましたけれども、在京枠以外の学校にも、こうした日本語指導が必要な生徒はたくさんいるということを指摘させていただく中で、こうしたTEPROの活用等に発展をしていただいたということであります。
いずれにしても、日本語指導が必要な生徒たちに直接関わる人材こそが大事でありますので、これからもしっかりと、ここのところを確保し、そしてまた適切に紹介をしていただきながらサポートしていただきたい、このように思います。
先ほどもちょっと触れましたチャレンジサポートプランには、定時制高校についての課題について触れられておりますけれども、改めて、定時制の現状と課題、今後の方向性について伺いたいと思います。
○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、昼間に学校に通うことができない勤労青少年が大幅に減少し、一学年の生徒数が十名以下の学校が多数生じております。その結果、一部の学校では、ホームルーム活動や学校行事などの特別活動が低調となり、集団活動を通した教育効果も十分に得られないなど、課題が生じております。
一方で、困難を抱える生徒など多様な生徒を受け入れている昼夜間定時制課程につきましては、これまで受入れ規模を拡大してまいりましたが、令和六年度入学者選抜における応募倍率が一・二六倍となるなど、入学希望に十分に応えられていない状況となってございます。
このため、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、少人数指導も実施し、相談体制も充実している昼夜間定時制課程であるチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程につきましては、生徒募集を停止することといたしました。
○伊藤委員 私の地元、品川区の武蔵小山にある都立小山台夜間定時制高校も閉課程の方向が示されました。これまで生徒たちや学校を支えてくださった地元の地域の方々や関係者からは、残念だという声も上がっております。
私はこれまで、小山台夜間定時制高校の入学式や卒業式に何度か出席をさせていただきまして、国籍や年齢を超えた生徒たちの出会いや、共に学び合った感動のドラマに触れてまいりました。
あるときの卒業式でありましたけれども、四年間の課程を終えて卒業する女子生徒でありましたけれども、十九歳の卒業生と八十代の高齢者が、まるで本当の孫とおばあちゃんであるかのように、共に涙しながら四年間頑張ったねと、高齢者の方に女子学生の方が、お体を大事にして長生きしてねと、二人で震えながら、ハグをしながら、抱き合いながら、お互いをたたえ合っていた、この光景を、私、今でも忘れません。
こうしたことには、一人一人に寄り添った教員やサポーターの方々の指導、支援によって、アットホームできめ細かな関わりがあって、こうした学校の校風や生徒たちを支える方々が何より重要だと感じています。
先ほど定時制課程の現状と課題を聞きましたけれども、今後、小山台を含む七校の夜間定時制が募集停止となります。
これまで夜間定時制は重要な役割を果たしてきたところでありますけれども、夜間定時制課程を希望する生徒、この生徒の今後の受皿はどうなっていくのか、伺いたいと思います。
○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、現在、四十一校で開設しておりまして、募集停止する七校以外の夜間定時制課程三十四校につきまして、引き続き、生徒の学びを支援していくこととしております。
都立高校におけるチャレンジサポートプランでは、昼夜間定時制課程であるチャレンジスクール等の新設や規模拡大、柔軟できめ細かな教育課程や教育相談体制の充実を図った新たなタイプの学校の開設を予定しており、都立高校全体で多様な生徒を受け入れる環境を確保してまいります。
○伊藤委員 様々な生徒のニーズもあると思います。先ほど申し上げたとおり、夜間定時制課程を希望する生徒もいると思います。どうか丁寧に、これは受け止めていっていただきたい。このことを強く求めておきたいと思います。
先日公表されました令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、都立高校の中途退学者が増加傾向にあります。中でも、全日制の中途退学者は千九十一人、〇・九%であるのに対して、定時制は七百七十六人、八・三%ということで、退学率で見ると、定時制の方が全日制の九倍を超えております。
そこで、定時制の生徒の中途退学者とともに、不登校も顕著でありますけれども、その現状と背景、理由について伺いたいと思います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、定時制課程の中途退学者数は令和三年度まで、不登校生徒数は令和二年度まで減少傾向でありましたが、いずれも、その後、増加しております。
不登校生徒の背景は、学校生活に対してやる気が出ないことや、生活リズムの不調に関すること、あるいは学業の不振などであります。
また、退学の理由は、学校生活や学業への不適応、あるいは進路変更などとなります。
不登校や中途退学となる背景や要因は、複雑化、多様化しております。
○伊藤委員 チャレンジサポートプランの中では、不登校は、生徒自らの学習の機会を失うことに加え、中途退学に至る割合が高くなることから、将来、社会的、職業的に自立することが困難になるケースもあるというふうに書かれております。
また、私は、外国人生徒たちを長年支援してきた識者の一人、石塚達郎元日立財団の理事長にお会いしたときに、現行制度では、義務教育終了と高校卒業で定住者になれる、高校卒業と就職内定で特定活動の在留資格が得られて労働時間の制約がなくなる、つまり、彼らにとって、外国とつながる生徒にとって、高校卒業の資格の価値は、特別に大きいものなんだという話を伺いました。
チャレンジサポートプランの取組では、外国につながる生徒たちも含め、不登校、中途退学者への対応策を、具体的に、急ぎ図っていくべきだというふうに考えます。都教委の取組を伺いたいと思います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、各学校がユースソーシャルワーカー等を活用し、生徒に関する情報の共有、課題分析を行うケース会議を開催し、生徒が抱える課題の解決を図れるよう支援しております。
また、指定した都立高校において、教室になじめない生徒や不登校の生徒に対し、学校が校内に確保した別室に支援員を常駐させ、生徒に居場所を提供しております。そこでは、生徒が悩みなどを気軽に相談したり、自分の状況に合わせて学習することができます。
これらの取組により、外国につながる生徒を含め、全ての生徒が目標を見つけ、それに向かって自分のペースで学べるよう、環境を整えております。
○伊藤委員 本日は、困難を抱える生徒たちへの支援ということで、外国につながる子供たち、また不登校、あるいはまた中途退学をしていく生徒たち、こうした生徒たちへの支援についてお伺いさせていただきました。
生徒は、もう本当に元気いっぱいで、もうやる気満々で学校に行けるのが一番いいわけでありますけれども、全てがそうではないわけであります。途中で挫折をしたり、いろんなことを感じる、抱える生徒たちもたくさんいると思います。
私は、人生の中で、不登校や中途退学になったとしても、再び学び直しやリスタートができるよう、教育機会の門戸をオープンにして、幅広く受け止めていける東京の教育であってほしいというふうに考えております。
東京の教育の充実とともに、困難を抱える生徒たちへの教育と支援について、教育長に就任された坂本教育長の所感を伺い、質問を終わります。
○坂本教育長 この都政におきまして、人が輝く東京を実現する、この考え方については、都教育委員会はもとより、都庁全局を挙げて、取組に向けて邁進をしているところでございます。
中でも、この人の中の子供という部分、子供たち、これは、東京の未来、未来の東京を担う、かけがえのない宝、存在であると、このように考えております。
そうした教育は、子供の健全な育ちを支える重要な基盤でございまして、教育委員会は、全ての子供たちに安心して学ぶことができる環境を提供していくことが、最優先かつ最重要の責務であると考えております。
一方で、東京の子供たちの中には、様々な背景や事情によって、学ぶことそのものに困難を抱えているという子供もおります。
例えば、お話にございましたように、日本語指導が必要となる子供が在籍している高等学校、こういったところには、NPOとも連携いたしまして、日本語指導支援員など、必要な外部人材を活用することにより、きめ細かな支援を実施しております。
また、都立高校においては、不登校や中途退学を防ぐため、ユースソーシャルワーカーなどの活用や、校内に生徒のための居場所をつくるなど、個々の生徒の抱える課題に適切に、これからもしっかりと対応をしていきたいと考えております。
また、チャレンジスクールを新たに設けるなど、さらにはその規模を拡大するなどに加えまして、柔軟できめ細かな教育課程や相談体制の充実、これをしっかりと行った新しいタイプの学校を開設するなど、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実にも力を入れていきたいと考えております。
今後とも、多様な生徒たちの学びや成長を支える学習、そして教育環境の充実を図り、私どもが目指す理念、誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育、これの実現に邁進をする決意であります。
○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十三分休憩
午後三時三十分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いいたします。
最初に、少人数学級について伺います。
日本共産党の都議団は、小中学校全学年を三十五人学級とし、さらに三十人を目指すことを繰り返し求めてきました。そして、将来的には、小中高とも二十人前後の学級にすることが、子供の主体的な学びやインクルーシブな教育の実現のためにも必要であります。
東京都では、現在、中学校一年生を三十五人学級としていますが、全国的には、既に三十五府県が中学校二、三年生でも国の標準を下回る学級編制を行っており、三十五人、さらに三十三人、三十人としている県もあります。
そうした中、小池知事が七月の知事選で、中学校でも三十五人学級へと公約に掲げたことは重要です。東京都でも早期に実現することが求められております。
小池知事は、選挙公約について、副知事を筆頭に全庁横断で積極的に取り組む体制を構築したと述べていますが、教育庁からは誰が参加をしているのか。また、三十五人学級についてどのように検討しているのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長 今後の都政課題の解決に向けましては、副知事を筆頭とした体制で検討しておりまして、関係する担当職員が参加しております。
○とや委員 関係する担当職員とは、中学校の三十五人学級についていえば、具体的にどなたですか。お答えください。
○秋田教育政策担当部長 繰り返しとなり、恐縮でございます。
今後の都政課題、諸課題ございますけれども、この解決に向けましては、現在、副知事を筆頭とした体制で検討しておりまして、関係する担当職員が参加しております。
○とや委員 そういうオブラートに包んだような秘密主義的な答弁ではなく、よりよい教育環境のためにどのような条件整備をするか、都民と共に議論する、オープンな姿勢で臨むべきだと思います。
知事は、都民の大きな期待にしっかりと応えるべく、選挙を通じて都民の皆様にお話ししてきたお約束につきまして、副知事を筆頭に全庁横断で積極的に取り組む体制を構築したといっています。都民要望を踏まえた知事の公約をしっかり前向きに受け止め、対応していただきたいと思います。
そもそも、教育に関することは、知事とともに教育委員会の姿勢が重要であることはいうまでもありません。
学級編制の基準を決める権限は誰にあるのか、伺います。
○吉村人事部長 いわゆる義務標準法に基づきまして、都教育委員会が学級編制等の基準を定め、適切に教員を配置しております。
○とや委員 義務標準法に基づき、都の教育委員会が学級編制の基準を定めている。都教委の権限ということですね。それだけ都教委は重要な役割を担っているということです。
三十五人学級は、来年度は小学校六年生まで拡大することが決まっており、次は中学校という時期に来ています。都民、保護者はもとより、教育関係者もこぞって中学校の三十五人学級を期待しています。
特別区教育長会、市の教育長会、中学校の校長会、中学校副校長会、教職員組合などが中学校全学年の三十五人学級を求めていることは認識していますか。伺います。
○秋田教育政策担当部長 今、ご指摘の要望内容については承知しております。
○とや委員 私たちも、様々な団体から要望を伺っております。だからこそ知事の公約なのではないでしょうか。
副知事を筆頭とした体制には六つのチームがつくられ、各局から出されたものを基に議論されていると聞いています。都教委もぜひ積極的な提案をしていただき、中学校の三十五人学級に踏み出していただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、学校施設のエアコン設置についてです。
今年の猛暑は過去最高で、過去三十年間の平均気温と比べて一・七六度も高く、異常気象でした。
文部科学省の学校環境衛生基準では、夏期は教室の温度が三十度以下であることが望ましいこと、児童生徒に生理的、心理的に負担をかけない最も学習に望ましい条件は、夏期で二十五度から二十八度程度であるとしています。
子供たちの教育環境の整備、改善のために、都教育委員会はエアコン設置への補助をしてきたわけですが、今日は区市町村立学校の体育館へのエアコン設置について伺います。
体育の授業や部活、学校行事など子供たちの教育環境はもちろん、災害時の避難場所としての役割も考えても、極めて重要かつ緊急の課題であることをどう認識していらっしゃいますか。
都の補助は今年度終了予定ですが、二〇二三年度末の都内の設置率は約八八%にとどまります。中でも、奥多摩町をはじめ四町五村は設置率がゼロです。この現状をどう受け止めていますか。お答えください。
○山本地域教育支援部長 公立小中学校の施設整備は、設置者である区市町村の責任において行われるものでございます。
体育館等の空調が未設置の自治体では、将来の校舎全体の改築時に合わせた体育館等の冷房設備の整備を検討している場合など、様々な状況があると聞いております。
○とや委員 私は、エアコン設置の重要性についてお聞きしたんですよ。そこは答弁漏れです。
聞き方を変えますけれども、学校施設にエアコンを設置することの重要性について伺います。
○山本地域教育支援部長 区市町村立小中学校の体育館は、設置者である各区市町村の判断により空調設備を整備してございます。
○とや委員 学校施設といっているんですよ。
区市町村とか都立とか関係なく、学校施設にエアコンを設置することの重要性についてお答えください。
○山本地域教育支援部長 公立小中学校の施設整備は、設置者でございます区市町村の責任において行われるものでございまして、その体育館につきましては、設置者である各区市町村の判断により空調設備を整備している、そういうふうに認識してございます。
○とや委員 教育長、いいのでしょうか、これで。先ほど、子供たちの教育条件の整備に邁進するとおっしゃっていましたよね。
これだけ暑い中で、エアコンの重要性についてもお答えになれないのですか。
公立とか私立とか、そういうことを全部とっても、学校の施設にエアコンを設置することは大事なことではないですか。お答えください。
○山本地域教育支援部長 繰り返しになりますけれども、区市町村立小中学校の体育館は、設置者でございます各区市町村の判断によりまして空調設備を整備している、そういうふうに考えてございます。
○とや委員 どうしてきちんと答えられないのでしょうね。本当におかしいですよ。かみ合った答弁をちゃんとしてください。
もう進めますけれども、例えば奥多摩町では、小学校と中学校で三校ありますが、体育館にはエアコンが一校も設置されていません。それは、決して涼しいからではなく、補助があっても財政的に厳しいからです。体育館のエアコン設置には一億円かかる、補助を使っても七千万円、これだけかかる、とても町の財政力ではできないとおっしゃっています。
学校では、体育館が暑いときには教室で過ごす、暑いときの体育の授業については、多目的ルームで体を動かすといいますが、跳び箱などはできないわけです。ボールだって使えません。エアコンを設置できないために、十分に体育もできない状況をつくっていてよいのでしょうか。
さらに、部活動や社会教育のスポーツでは、体育館を夜間に使っていますが、床に近い窓を開ければ、以前は結構涼しい風が入ってきたわけですが、ここ一、二年は、開けても、もわっとする空気で、これをおっしゃった方は剣道をやっていらっしゃる方ですけれども、ちょっとやると、もう汗がだあっと出てくる感じで、あまり長くはできない状況だということでした。
この間の温暖化で、エアコンの設置は命に関わることだということが明らかになっています。
ところが、二十三区に比べ、財政力の弱い多摩・島しょの市町村の苦労は大変なものなわけです。例えば奥多摩町は、小学校、中学校を合わせて、先ほども申し上げましたが、体育館に設置されていないんですよ。こういったことをきちんと認識していただきたいなと思っています。
部活動や社会体育のスポーツ活動にも支障が出ているわけです。こうした現状をご存じなのでしょうか。
体育館や特別教室への都の補助は今年度までとなっていますけれども、都教委は、来年度予算要求に補助を計上しています。継続、拡充することが必要ではないでしょうか。
○山本地域教育支援部長 公立小中学校の施設整備の経費は、設置者である区市町村が負担することとされております。
都教育委員会は、体育館等の空調設置につきまして、児童生徒の安全な教育環境等の確保が行われるよう区市町村を支援してございます。
○とや委員 安全な教育環境が守れるように支援しているとおっしゃいましたよね。これが都の立場であれば、さらに支援をするべきなんですよ。大事なことは、ちゃんと分かっているじゃないですか。
設置が不十分なのだから、区市町村も頑張って設置を進めていますが、まだ一〇〇%設置にはなっていないです。たとえ一校でも未設置校があれば、そこに在籍する生徒は安全な教育環境で学んでいないということなんです。だからこそ、東京都町村会は、体育館への空調設置に対する財政支援を求めているのではないでしょうか。財政支援を継続、拡充することを求めておきます。
次に、学校施設について伺っていきたいと思います。
大島海洋国際高校についてです。
この夏、私ども会派で、伊豆大島にある大島海洋国際高校と大島高校の視察に行ってきました。
どちらの学校も、自然に囲まれ、海を間近に見ることができるよい環境の下で生徒が学んでいますが、この学校は、海洋や水産について学ぶことができる、全国でも珍しい高校です。全寮制の高校で、内地から入学した生徒は寄宿舎に入舎し、三年間を過ごします。よりよい環境で三年間を終え、卒業してほしいと思います。
一方、海に囲まれた伊豆大島にある学校という、内地にはない課題も抱えています。
そこでまず、この都立大島海洋国際高校の築年数、そして、この間の改修や改築の状況について伺います。
○村西都立学校教育部長 大島海洋国際高校の築年数は五十九年でございます。この間、寄宿舎の受変電設備改修工事等、必要な修繕等を行っております。
○とや委員 私は、二〇一九年台風被害の際も大島海洋国際高校に調査に行って、割れた窓、雨風にさらされて使い物にならなくなった海図、それから、パソコンも全て駄目になってしまった状況も見てきました。
このときもそうだったんですが、やっぱり島の学校である大島海洋国際高校は、海風に本当にさらされている。そして、内地の学校と比較しても、校舎のトイレ、プール、寄宿舎も傷みが激しく、教育施設として課題があると思いました。
都として、どのように認識していますか。
○村西都立学校教育部長 学校施設の維持管理は適切に行う必要がございます。
大島海洋国際高校の施設につきましても、不具合等が生じた場合には、その状況に応じて、必要な修繕、改修等を適切に実施しております。
○とや委員 学校施設の維持管理等は適切に行う必要があるということで、当然のことではありますが、はっきりとその立場を表明いただいたことは重要であります。
しかし、私たちが視察した状況をもって適切に実施しているとおっしゃるのであれば、それはちょっと適切の水準が低過ぎるのかなと思います。このことは、後でまた質問させていただきます。
高校の築年数は五十九年ということで、老朽化している現状であります。
都教委は、十年ほど前にも大島海洋国際高校の改築のための調査をしていたそうですが、立ち消えになったと聞いています。理由を伺います。
○村西都立学校教育部長 大島海洋国際高校につきましては、先ほど他の委員にもお話ししたとおり、施設の老朽化が進んでいたため、平成二十八年度に改築に係る基本計画作成業務を実施し、課題を整理してございます。
しかし、その後、学校の在り方を検討する中で、国際科から水産科への学科改編等を行うことになったため、これを踏まえ、改築についても改めて検討することとなっております。
○とや委員 調査をしたのが平成二十八年、二〇一六年で、学科の改編を決めたのは二〇一八年です。その二年後なわけです。
調査結果を踏まえ、学科改編に合わせた設計等を進めるのに、ちょうどよいタイミングだったのではないでしょうか。なぜそこで立ち止まってしまったのか、理解に苦しみます。やっと改修してもらえると思ったら立ち消えになってしまったというのでは、学校もがっかりです。
重ねていいますが、海に囲まれた学校は、そうでない他の学校よりも傷みが激しいです。ですから、きめ細かく点検し、修繕、改修が求められているわけです。都教育委員会としても、ぜひ認識をしてください。
そして、今年、ようやく学校の改築に向けた基本計画策定委託がされていますが、どのような内容ですか。また、今後のスケジュールもお答えください。
○村西都立学校教育部長 基本計画作成業務は、現地の現況や法令の規制等、改築に向けた設計上の課題を整理するものでございます。
先ほども他の委員に答弁したとおり、本業務の結果を踏まえ、大島海洋国際高校の改築に向けた検討を進めていくこととしております。
○とや委員 学校も生徒も保護者も待ち望んでいます。今度は、改築に向け、早期に必ず進めてください。
視察させていただいて驚いたのが、敷地内の旧校舎であります。写真に撮ってまいりましたので、パネルをご覧ください。二十年前、学校が大島南高校から大島海洋国際高校となったときに寮が移転し、敷地内には、かつて活用していた寄宿舎の建物がそのまま残っています。立派な鉄筋コンクリートの建物で、きちんと手入れをしていれば現在も活用できたものが放置されてきたわけです。
木々が覆いかぶさり、昇降口に近づくのも困難な状況で、ぼろぼろの廃墟のようになっております。キョンもすみついているという、うわさです。
今後どのように対応するのか、伺います。
〔発言する者あり〕
○小山委員長 進めてください。
○村西都立学校教育部長 旧校舎は、現在使用しておりません。
現在実施している基本計画作成業務の結果を踏まえて、今後の対応を併せて検討してまいります。
○とや委員 失礼しました。寄宿舎はこちらでございます。皆さん、よくご覧になってください。
ぜひにとお願いしまして、危険のない範囲で見せていただきましたが、本当に、中はぼろぼろなんですよ。動物が荒らした跡もあって、本当にひどい状況でした。ここをきちんと改築すれば、生徒にとっても、学校から近くて使いやすい寄宿舎になるのにと思いながら建物を見せていただきました。
現在の寄宿舎は、もともと寄宿舎として使っていたものではなく、大島セミナーハウスとして教職員の研修や高校の合宿などで使う施設だったと聞いています。そこを大島海洋国際高校の生徒が寄宿舎として利用しているわけですが、学校から二キロメートルと少し遠くて、つくりも、寄宿舎というより短期滞在を前提にしたものになっていて、こちらも築五十年です。
学校の近くにある元の寄宿舎を建て替えて、生徒の寄宿舎として使うべきだと思います。
この建物は、放置されて約二十年もたっています。都民の財産であるこのような建物を放置していることは、土地も含め、本当にもったいないのではないでしょうか。直ちに対策を取り、この場所に生徒の寄宿舎を建てるべきです。強く求めておきます。
また、施設を改築するにしても期間を要しますので、今、必要な修繕、改修は行わなければなりません。そこで、今の寄宿舎の問題についてです。
これは生徒が利用する寮のトイレです。こちらは寮の宿泊棟の共用のトイレ。私たちが視察に行ったときは和式だったわけですよ。これですね。入りたくないですよね。経年劣化で黄ばんでいます。ドアの下のくつずりは、えぐれたような大きなへこみができていたり、床や壁もかなり年季が入っていることが分かります。老朽化したトイレ特有の臭いも、かなり立ち上ってくる状況でありました。
そして、もう一つが、三人部屋などとなっている生徒の部屋の片隅に添えられているトイレであります。こちらです。かなり狭い上に老朽化していて、給水管から水が噴出する事故が数回生じているとのことで、保護者の方からもお話を伺いました。水浸しのトイレを、寮の先生が夜中に雑巾で掃除をしたそうです。
九月以降、和式のトイレは洋式に変更したということですが、便器を和式から洋式に変えただけで、壁や床はそのままだと事前に説明を伺いました。暗くて臭いもあり、とても気持ちよく利用できる状態ではありません。
直ちに改修しないと、精神衛生上も悪影響を及ぼし、人権問題にも関わります。どのように対応しますか。
また、トイレの改修をする際は、とても現地の業者ではできないそうです。学校任せにせず、都教委が責任を持って行うべきではありませんか。
○村西都立学校教育部長 寄宿舎につきましては、既に、各居室のトイレは全て洋式化されております。
食堂等のあるサービス棟など共用部についても、昨年度から、島の事業者により洋式化や扉等の必要な改修を行って、現在では既に完了しております。
また、こうした改修につきましては、教育庁の職員が現地の状況をしっかり確認し、学校に対して必要な対応を示して実施したものでございます。
○とや委員 現状で問題ないような答弁ですが、決してそんなことはありません。一九九〇年代の学校のトイレは、汚い、臭い、暗い、怖い、壊れていると、5Kといわれていました。
東洋大学教授の長澤悟氏らは、トイレは、単に排せつの場であるだけでなく、学校でほっとできる場、身だしなみを整える場として児童生徒に意識され、健康で安心感やゆとりのある学校生活を送る上で重要と述べています。
こうした考えから、各地でトイレを洋式化にしたり、子供たちが快適に使えるように改善がされてきました。
例えば世田谷区では、教育委員会の中にトイレ研究会を立ち上げ、計画的に全校のトイレ改修をしました。モデル校を指定して、仕様も見直して、洋式化への改修だけでなく、明るさ、床材、壁材、ユニバーサルデザインなど詳細にわたる検討をして改善しています。
その結果、児童生徒の快適さにおける評価は急上昇し、大便をする割合も格段に上がったということです。生徒の健康にも、精神面でも効果がもたらされたという結果が出ています。
一方、都立学校では、こうした生徒の立場に立った工夫、時代に合った改善という観点での改修ではなく、洋式化されただけというお粗末な改修しかされていない学校があるわけです。その一つが大島海洋国際高校であります。
学校や寄宿舎は、親元から離れて生徒が暮らす場であり、生徒たちが安心して使用できる、清潔で明るく快適なトイレにすることが重要です。
そのため、学校や生徒の意見も取り入れ、何十年も同じままにするのではなくて、しっかり改修し、アップグレードするべきでありますが、いかがですか。
○村西都立学校教育部長 学校では、生徒や教職員等の意見も踏まえ、必要な施設の改修等を行っております。
都教育委員会は、その際に、必要な助言や予算の配付を行っております。
○とや委員 私たちのところには、幾つもの学校や保護者から、毎年のように都教委に要望しているけれども、なかなか対応してもらえないという声が届いていますよ。現状で問題ないとは、とてもいえません。
私、先日、地元の石神井特別支援学校にもお邪魔をさせていただきました。築四十年なのですが、トイレの全面改修を行ったということで案内をしていただきました。
これがそのパネルです。皆さん、見てください。さっきと大違い。白い個室が子供用、茶色は、教職員など来客も使える大人用です。便器だけでなくて、床も壁もすっかりきれいになって、暖房も設置されて、冬に服を脱いでも寒くない。都教委でもこんなにきれいにできるのだと、よい意味で驚きました。
大島海洋国際高校では、生徒が住んでいるんです。ぜひこの水準になるよう取り組んでいただくことを強く求めておきます。
長期にわたる寄宿舎での生活は、生徒のメンタル面での影響も考慮する必要があります。そうしたとき、トイレという一人になれる場所はとても重要という先生からの声もあります。直ちに取り組むべきです。現地に行って、学校からも生徒からも意見を聞いて進めてください。
また、課題はそれだけではありません。
プールの改修も必要ではありませんか。
○村西都立学校教育部長 プールにつきましては、外壁の一部のコンクリートが剥落している部分がございますが、教育庁の職員が現地の状況を確認した上で、学校に対してモルタル等で補修をするなどの修繕方法を示しております。
現在、学校においては、この方向で工事の実施に向けた対応をしているところでございます。
○とや委員 プールも視察しました。これがその写真です。プールの周りを歩きましたが、どう見ても、単にブロックが少し剥がれ落ちているというだけとは見えません。ブロックが膨れ上がって、水分を含んで、もろくなっているように見えますし、中に入っている鉄筋がむき出しになり、さびているのが見えます。素人目に見ても、モルタルで塞いだだけでは不十分なのは明らかです。こうした状況、状態が、この写真の二か所だけでなくて何か所もあるんです、こういう状態が。外側の壁を塗ればよいというものではないわけです。
百トンもの水を支えるプールの壁面です。プールの上に子供たちがいるときに、大きく崩れたらどうするんでしょうか。子供たちの教育の場が危険極まりないという状況が続けば、都教委の責任問題にもなります。ぜひ来年の夏までに全面改修してください。抜本的に改修してください。強く求めておきます。
また、寄宿舎と浴場、食堂がある棟をつなぐ通路についても大きな問題があります。それがこのパネルです。生徒が入浴や食事をする棟から居室がある宿泊棟につながる道は高低差があって、雨が降ると、移動の際に、通路に水があふれて川のようになるそうです。この通路が川になるんです。こうなって、水に洗われて、もう根っこがむき出しになっています。
そのため、入浴後に宿泊棟に着くまでに、足は泥で汚れてしまうけれども、足を洗う場所もないと聞きました。もし足に傷でもあれば、何かの細菌に感染しかねません。
このような状況は問題だと思いませんか。
○村西都立学校教育部長 すみません。今の通路の答弁に入る前に、ちょっとプールのことについてご説明したいのですけれども……(とや委員「いいよ」と呼ぶ)ちょっと安全に関わることでございますので。
モルタル等で補修をするなどの修繕の方法という形で、我々が、技術の職員を含めてちゃんと視察に行って現地を確認しております。それで、この剥落については構造壁ではないので、当該外壁が仮に崩落したところで、プール自体が崩壊するとか、そういった危険性はないと。これは、我々の技術職員もそうですし、島の事業者についても、そういった確認をしています。
ただ、その崩落については、しっかりときちんと全部補修、モルタル等でしっかりと補修して、そこはしっかりやっていきたいということでございます。
続きまして、通路についてでございますが、先ほど来繰り返しているとおり、私たちとしては、施設の維持管理を適切に行う必要があるというふうに考えております。
寄宿舎の通路につきましては、これも教育庁の職員が現地の状況を確認の上、学校に対して、排水ますとか、その辺が詰まっているということですので、側溝等の清掃、さらに土のうの設置など、具体的な改善方法を今、指示しております。
現在、学校では必要な工事等を実施しているところでございます。
○とや委員 今、プールのお話があったので、私からも申し上げますけれども、島の業者さんにも見てもらったとおっしゃっていますけれども、私も聞いていますよ。特に、プールを支えている支柱ですか、そこがやっぱり駄目になっていると。そういう話もあるんですよ。だから、モルタルだけでは駄目だといっているんですよ。
そして、寄宿舎の話です。寄宿舎、この奥にあるんですけれども、ドミトリーと呼ばれています。雨が降って川になると、生徒たちは、この道路をドミ川といっているそうです。本当に川のようになり、側溝の清掃や土のうを積んだくらいでは改善されないんですよ。先日は、生徒が転んでけがをしたそうです。危険なドミ川は、一刻も早く抜本的に改修すべきです。
寄宿舎と浴場等をつなぐ通路については、生徒が泥だらけにならないよう改修すべきなんですが、都はどのように対応しますか。
○村西都立学校教育部長 繰り返しの答弁でございますが、寄宿舎の通路については、今、学校に対して側溝等の清掃や土のうの設置等、具体的な改善方法を示し、学校は、一部、もう工事に着手しております。この効果をしっかり見極めたいと考えております。
○とや委員 抜本的な工事が必要だと思いますよ。効果を見極めるとおっしゃっていますけれども、ぜひ生徒の声とか、教員の声とか、現場からもちゃんと聞いてあげてほしいんですよ。ぜひ部長も大島へ行ってください。(「行っていますって」と呼ぶ者あり)行っていません。お金を渡して終わりではいけません。
学校では対応できないと、何度も要請されているはずです。なぜなら、大島には大規模な工事をする業者がいないということもあって、予算だけ計上されても改修はできないそうです。
都教委が内地の業者も探して発注すべきですが、いかがですか。
○村西都立学校教育部長 まず、内地の事業者につきましては、私も確認をしましたが、工事ができないという事業者、そういう事実はございません。工事はできるという事業者がいる、建築等の事業者がいるというふうに聞いております。
引き続き、予算の配付も含めて技術的助言をこれまでもやってきていますので、都教委として、しっかり学校を支えてまいります。
○とや委員 先ほどから、できるとか、学校に助言をしていると繰り返しているわけですが、それでは、こういう状況になるのは学校が悪いというのでしょうか。私は、視察に行った際、学校だけでなく、地元の方からも大島の実情をいろいろ伺いましたが、助言すればスムーズに進むような単純なものではないと感じています。
ぜひ生徒の立場に立って、学校や寮が快適になる改修を実施できるまで、親身な支援を行っていただきたい。学校を設置しているのは都教委で、環境を整えるのも都教委の仕事なのですから、しっかりやっていただきたいと思います。
教職員の働く環境も改善が必要です。パネルをご覧ください。私たちが訪ねたとき、寄宿舎担当の何人かの先生が寄宿舎の職員室で仕事をしていらっしゃいました。しかし、職員室は薄暗くて、よく見ると蛍光灯がついていないところが一部あります。
皆さん、ご覧になってください。ここも、ここも一本です。これはLED。これは違います。一部はLEDに替えることができたようですが、一部は蛍光ランプも外されていました。
写真を見ていただくと分かるわけですが、この列は、蛍光灯は二本とも外されています。その隣は一本だけついている。真ん中の列は、一つがLED照明に変更されて、その隣は蛍光灯が一本だけついて、一本が外されている。こういう不自然な間引きというか、不自然な状況なんですよ。一番奥の列は蛍光灯が四本ついているわけです。明らかに不自然ではありませんか。
一番手前の蛍光灯の下は、仕事をするにはあまりにも暗過ぎます。伺いましたら、照明器具そのものが壊れ、蛍光灯の管を入れても、つかないそうです。しかも、LEDに交換するなら、なぜ一斉に交換しないのでしょうか。
寄宿舎の職員室では、蛍光灯の枠が壊れて蛍光灯をつけられない。今申し上げましたけれども、電気がつかない。先生用の給湯室もぼろぼろで、換気扇をつけると轟音がします。
それから、こちらの写真ですが、トイレ。トイレも、洋式になっていますが、壁も床も古くて、気持ちよく使えるものではありませんでした。学校の予算だけではできないわけです。
こうした場所を放置し、学校任せにせず、改修もすべきではありませんか。
○村西都立学校教育部長 寄宿舎の管理室、今、職員室とおっしゃったところでございますが、その蛍光灯は、既にLED化での改修を学校が自ら実施するとともに、また、今お見せいただいた管理棟のトイレについては、昨年度来、教育庁の職員が現地の状況を確認した上で、便器の洋式化とともに、小便器の自動洗浄化の改修も実施するなど、予算を配付し、適切に対応しております。
蛍光灯の話ですけれども、委員がちょっと不自然に間引いていると。学校に聞きました。学校に確認しました。学校は、時々、震災対策や節電の一環で蛍光灯を間引きする場合があるが、管理室内の照度に問題はなく、現在、不具合はないと申しております。
いずれにいたしましても、蛍光灯の不具合などについては、しっかりとそれは学校が適切に対応を行うべき問題であるし、技術的な助言が、仮に蛍光灯が必要であれば、我々もしっかり支援してまいります。
○とや委員 私たちが帰った後にいらっしゃったようですけれども、結局、LEDになっていたりするところはあるわけです。ある。だけれども、今お見せした写真の一か所、あともう一か所だけだったわけですよ。だから、全部やればいいじゃないですか、せっかく。都教委はお金持ちじゃないですか。
トイレも、確かに洋式化され、小便器に自動洗浄機もついていましたよ、今見ましたけれども。だけれども、まあ改修したことは重要だと思います。同じ改修するなら、どうして全体を気持ちよく改修しないのでしょうか。そもそも、教職員のトイレも昨年まで和式だったのかと、逆に今の答弁にびっくりしています。
昼夜を分かたず子供たちのために奮闘している教職員の皆さんの職場環境の整備も、都教委の重要な仕事です。この棟は天井も染みだらけでしたし、寄宿舎全体として、まだまだ改修が求められると感じるところがありました。全体をよく見て、学校や生徒、保護者の意見も踏まえ、しっかりとした改修を行っていただきたいと思います。
最初の答弁にもありましたが、都教委の学校施設の改修は、結局、大規模改修や改築になるまで、つまり大規模改修や改築の計画である維持管理十か年計画以外には、施設を快適に維持し、時代に合わせたグレードアップをしたり、長もちさせるための計画がないわけです。そして、法令点検以上の定期的な点検もしないんですよ。不具合が生じて初めて、そのところを修理するということが中心なわけです。
しかし、民間のビルやマンションでも、毎年どこを点検し、築十年ではどうするか、二十年、三十年、四十年ではどうすると、コンクリートを長もちさせるための外壁塗装や、給排水管や水回りの更新、その他施設設備の維持更新をどのように行うかの計画をしっかり持っています。それをしなければ、施設を快適に長く使うことはできません。
都立学校の施設管理に当たっても、ぜひこの視点を持っていただき、きめ細かい計画をしっかりつくって対応していただくことを重ねて申し上げて、質問を終わります。
○風間委員 それではまず、昨今の中高生、様々な犯罪に巻き込まれたりだとか、中学生が逮捕されるというような報道もあったりして、どのように子供たちを教育現場で守っていくのかということが問われているなと感じるところであります。
特に、高校生になるとアルバイトもできるようになるということで、気軽に大金を稼ごうとヤミバイトに応募をしてしまう、こんな高校生もいるというような報じられ方もありますし、中学生でオーバードーズ、こんなことも事例としては出てきていると。
また、SNSの不法な投稿によって逮捕者が出るというようなことがあったりしますけれども、東京都の教育委員会としては、こういった中高生に対しての、犯罪に巻き込まれる、また自らが犯罪に手を染めない、こういったことについてどのような取組を行っているでしょうか。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、各学校のセーフティー教室の時間等におきまして、様々な誘いを断れず犯罪に加担させられた事例を説明するとともに、各学校の薬物乱用防止のための授業等におきまして、医薬品の正しい使用方法を扱うなど、適切な行動選択ができる力を育む指導の推進を図っております。
○風間委員 中学校は、各市区町村の教育委員会等がそういったことに力を入れていかなければならないとは思うんですけれども、都立高校だけではなく、東京都全体で、こういった対策をしっかりと取り組んでいくように改めて求めます。
続いて、不登校の問題については、先ほどもほかの委員から質問がありましたけれども、昨年度も都内の公立小中学校の不登校者数が過去最多ということになり、これは止まることなく、今後も増えていく見込みということも報じられているところであります。東京都は、こういった状況をどのように捉えているのか。
また、区市町村が設置する学びの多様化学校の支援ということが、今後ますます重要になってくると思います。
東京都内でも、これも区市町村が取り組めている自治体がそれほどまだ多いわけではありませんけれども、不登校の支援ということ、様々な支援の在り方があるとは思いますけれども、学びの多様化学校というのは一つの解決策になっているのではないかと、私も視察等を通じて感じているところでありますけれども、この市区町村への支援について、東京都教育委員会としてどのような支援を行っているのかを確認します。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、区市町村に対し、教員の配置や新設時の環境整備に必要な経費の補助等の支援を行っております。
○風間委員 過去にも、この学びの多様化学校の設置支援ということについては、東京都として、より力を入れていくべきだということを求めたところでありますけれども、この間に、その拡充がなされたのかどうかということも確認させてください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、学びの多様化学校に対し、スクールカウンセラーなど心理の専門家を配置するほか、家庭訪問や校内での別室指導等で相談や学習支援などを行う支援員の配置経費の補助を行っております。
○風間委員 様々な支援の在り方があることは歓迎ですし、これからも様々な支援の在り方を模索していく必要があると思いますけれども、今回、私が特に重視をしたい点は、やっぱり学びの多様化学校がもっと設置されていく必要があるのではないかと。
都内においては分教室型が多いわけですけれども、私の地元世田谷区でも、分教室型には様々な課題があった、こう認識をしているところであり、その課題の一番要点は何かといえば、やはり、その人材不足。支援をする側の人材不足ということが、現場からも聞こえてくることであったりします。
ゆえに、その現場の支援、都の教育委員会としては教員の配置等で支援をしているとは思いますけれども、その他の専門職をどのように配置していくのかということが重要だと感じており、今、スクールカウンセラー等の派遣支援ということを行っていることは確認をできたところであります。
先進事例である高尾山学園を先日視察したところであり、文科省からマイスター認定もされている黒沢校長からも直接お話を伺う機会がありました。
この高尾山学園が本当にすばらしいなと感じたのは、まず、教育支援センターが併設をされているということで、児童生徒が、教育支援センターにするのか、または学びの多様化学校に行くのかということを、期間を経ながら自分で選択をできるという制度になっているということ、これは本当にすばらしいなと思いました。
それ以外にも、実際に学びの多様化学校に行くと判断をした子供たちが、少人数学級で学ぶこと、環境が整えられているだけではなく、スクールソーシャルワーカーさんとか心理士さん、児童精神科の学校医さん、プレールームのスタッフなどの配置を充実させることによって、不登校であった児童生徒が、この学校は安心できる居場所だと感じられる、楽しいから継続的に通いたいという気にさせる体制が整えられていたということで、大変に優れているなと感じたんですね。
これだけの取組に相応な人件費が必要で、これはどうしているんですかと伺ったところ、設立当初より、市立ですから、地元の八王子市が肝煎りで予算を確保したんだということでした。
私の地元の世田谷区でも、分教室型から本校型の設置を、今、目指しているところでありますけれども、やはりこの人員配置ができなければ、本当の意味での不登校の子供たちが安心して学べる場所、本校型ですか、これはなかなか実現は難しいかなというふうに感じてきたところであります。
今後、東京都の教育委員会としては、まずは分教室型から始める自治体も含めて、こういった様々な人員スタッフの配置ということに支援をしっかりと行っていくべきだと考えますけれども、都教育委員会の見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、学びの多様化学校に対して、スクールカウンセラーなどの心理の専門家を配置するほか、家庭訪問や校内での別室指導等で相談や学習支援などを行う支援員の配置経費の補助を行っております。
○風間委員 同じ答弁ですね。やる気がないということなんでしょうかね。
不登校の子供たちが特例校に行かない、行けない、距離的な問題もあって行けないということで、フリースクールに行っていたりとか、在宅で勉強していると。そんな子供たちの中でも、都立高校に進みたいと希望する、またはチャレンジスクールを希望する、様々なケースがありますし、学びの多様化学校からもチャレンジスクールに行く子もいれば、普通科に進学する子もいると。
その際にネックになってくるのは、やはり内申書の問題がありますね。不登校特例校、学びの多様化学校に行っていれば、きちんとした成績評価もなされるケースもあると思いますけれども、実際にそうでない、在宅の場合なんかだと、いまだにオール一になってしまうケース、またはバーになってしまうことによって内申書点がつかない、こういった子供たちの保護者からの相談も多々あるわけです。
チャレンジスクールは、こういったことを問わずに入学試験を行っているところもあると承知しておるところでありますけれども、そのほかの学校では、なかなか普通科の高等学校に行くことができない、こんな声も聞こえてくるわけですけれども、こういった要望に対して、都の教育委員会はどのように考えていますか。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、不登校経験のある生徒の増加など、社会状況の変化に伴い、一層多様化する生徒のニーズや、各高校の特色を十分反映することができる多様な入学者選抜の構築に向けまして、引き続き検討を進めてまいります。
○風間委員 学力の高い低いというところで入試選考する学校があるのは、これまでどおり。しかし一方で、不登校の子供たちがこれだけ多くなってきている状況で、チャレンジスクールに入りたくても、その枠がなかなか広がっていかないということで、都立高校に行きたいけれども行けない、こんな声も聞こえてきますので、引き続き、その検討を進めていってもらえればなと思います。
続いて、インクルーシブ教育についても、私から少し伺っておきます。
先ほど、かなり質疑応答がなされていましたので、簡潔にお伺いしますと、国連で採択された障害者の権利に関する条約で、障害は、障害者当人ではなく社会がつくり出しているという、障害の社会モデルという考え方がありますね。
インクルーシブ教育の妨げになっているのは、まさに就学相談によって特別支援学校に適していると判定されることで分離教育を促しているのではないかという考え方もあります。
都が行うインクルーシブ教育支援員の配置助成も、特別支援学校に適していると判定された場合という前提になっているわけであり、障害あるなしにかかわらず、子供は、基本的に地元の市区町村の学校で学ぶことを前提にすべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 区市町村教育委員会は、その区市町村に住所を存する就学予定者の学齢簿を作成した後、就学時の健康診断等を踏まえ、区市町村教育委員会が特別支援学校への就学を判定してございます。
○風間委員 区市町村がそういうふうに判定しているんだというのが東京都の見解ということですね。
一方で、お隣の神奈川県では、令和二年にインクルーシブ教育ガイドラインが策定されて、私の地元の世田谷区でも、昨年からインクルーシブ教育ガイドラインの策定委員会が発足をしております。
東京都として、インクルーシブ教育を推進するというのであれば、こういったガイドラインを策定すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 平成二十五年九月の学校教育法施行令の一部改正を受けまして、平成二十六年二月に都教育委員会が区市町村教育委員会宛てに発出した、障害のある幼児、児童、生徒の就学相談に関する通知に基づき、区市町村教育委員会では、適切に就学相談を実施していると認識してございます。
この通知の内容につきましては、毎年度、区市町村教育委員会の就学相談担当者説明会において周知するなど、区市町村教育委員会を支援してございます。
○風間委員 区市町村はそういうふうにやっているのは承知しているんですけれども、東京都全体として――神奈川県がやっているわけですから、東京都としてインクルーシブ教育を推進していくというのであれば、ガイドラインを策定するということで、分離教育ではなくインクルーシブ教育を推進していくんだと、各市区町村に対してそういった普及啓発をしていくんだということが、今後必要になってくるのではないかなと思って伺ったわけですけれども、そういった、それに関する答弁はありませんでしたので、今後検討していくように要望しておきます。
続きましては、教員の採用選考について伺います。
これもほかの委員から質問がありましたので、シンプルに伺いますけれども、特に、私はこれまでも何度か質問しておりますように、小学校の採用選考ということで、いっときは一・一倍にまで下がったということは、本当に危機的な状況だと思います。
教員になりたいという学生さんが減っているということの要因も様々いわれているところですけれども、やはり、教員を志す、そういった将来性のある有能な学生さんたちをいかに確保していくのかということが大変に重要であると思います。
前倒しで三年生から選考するというようなことを東京都の教育委員会は取り組み、今回、合格をして、来春からそういった学生さんが教育現場で働くということになろうかと思いますけれども、前倒し選考している自治体の新たな課題が、やはり辞退者が多く出るということだとも承知をしているところであります。
来春、どれほど歩留まりがあるかということは注視していく必要があると思いますけれども、私の懸念点は、お隣の千葉県が、奨学金、これを返還支援するという取組が始まるということで、千葉県の方にかなり流れていってしまうのではないかという懸念があります。
やはり奨学金で大学に通っていて、かつての教員の支援ということでは、国を挙げて奨学金の返還支援を行っていたものが、今はなくなっているということ、それを千葉県が独自で取り組むということで、こちらにかなり流れていってしまう懸念があると思いますけれども、都の教育委員会も、優秀な人材確保という意味においては、このことを検討していく必要があると思いますが、都教委の見解を伺います。
○吉村人事部長 全国的に教員志望者が減少傾向にある中で、学生や社会人等に対し、教職の魅力を高め、効果的にPRしていくことは重要でございます。
引き続き、国や道府県の動向も注視しながら、東京都として、教員の確保に向けた取組を推し進めてまいります。
○風間委員 そうですね。前倒し選考によって、今年の、三年生のときから一次の合格を出していた学生さんたちが千葉県に流れていないか。まあ、千葉県に行ったかどうかということを把握するのも難しいとは思いますけれども、そういったことも注視しながら、やはり、そういった形で教員を支援するということをぜひ積極的に検討してもらえればなと思います。
続きまして、教員の働き方改革について伺いますけれども、このところ、特に中学校の先生から、働く環境が厳し過ぎる、こういう声が届くわけですね。
小学校も大変だと承知しております。しかし、中学校の先生は、やはり生活指導等も含めて、部活動もある、部活動の地域移行もなかなか進んでいない、こういう状況の中で、本当に忙しくされている。
同じ免許を持っていて、中学と高校では、持ち時間数が、中学は二十四時間、高校は十八時間だと。
これを何とか、中学校も、高校並みとはいわないまでも、少しこれを下げてもらえないか、こういう声が聞こえてくるわけですけれども、教員の働き方改革ということにもつながってくることだと思いますので、現段階での都教委の見解を伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、いわゆる国の標準法に基づき、中学校では二十四時間という標準的な授業の持ち時数を定め、講師時数算定上の基準としております。
教務主任など負担の大きい校務を担う教員については、時間講師の配置により、担当する授業時数を軽減しております。
○風間委員 そういった、役職がある、または別の、特別なミッションがある先生方に対しては、そういったことも行っているということですから、ぜひ――若い先生方が、本当に無理をして頑張っていて、病気になってしまうなんていうことも耳にします。こういった持ち時間の軽減ということも、今後、ぜひ検討してもらえればなと思います。
続いて、教員の政治的な活動ということについて伺います。
私たち、地方議員をやっている中では、婚姻関係にあるパートナーが教育公務員であるというケースも、やっぱりあったりするわけですね。しかし、政治的な活動については、教育公務員は国家公務員同等の制限があるということも承知しており、処罰の対象になってしまうというようなことから、地方議員は――地方議員に限らずですけれども、やっぱり婚姻関係にあるパートナーが手伝わないのかなんていう話は、支援者から声が上がることもあったりするわけですけれども、こういったことに、実際に私の知り合いの方も、出てこないように本当に注意をしているという話を聞くわけです。
そこで伺いますけれども、教員が政治団体の会計責任者、これも、私たち議員は、政治団体を持って会計責任者というのを設置する際に、パートナーを会計責任者にすることなんかも一般的にもあるわけですけれども、パートナーが教員であった場合に会計責任者になったりすること、このことに問題があるのかないのか、都教委の見解を伺います。
○吉村人事部長 教育公務員の政治的行為の制限につきましては、教育公務員特例法第十八条において、当分の間、地方公務員法第三十六条の規定にかかわらず、国家公務員の例によると規定されております。
国家公務員法第百二条では、職員は、政党その他政治団体の役員、政治的顧問、その他これらと同等な役割を持つ構成員となることができないと規定されております。
○風間委員 その規定に関しては承知をしているところですけれども、政治団体の役員に資金管理団体の会計責任者が当てはまるかどうかということが私は問いたいところなんですけれども、答弁がないということは、個々の判断によるというところなのかなと推察をするところであります。
続きまして、英語スピーキングテストについて伺ってまいりますが、先ほど、ほかの会派からの質問で、今回、機材トラブルによってスタートが大幅に遅れるなんていう事例があったという話がありましたけれども、今年、ベネッセからブリティッシュ・カウンシルに事業者が替わったということで、生徒が使うヘッドホン、イヤーマフ、そしてタブレット、この機材は、前回使っていたものと違うものになったのかどうかということを伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 今年度使用した機器は、昨年度、中学三年生向けのテストで使用した機器とは異なるものでございます。
○風間委員 これまで二年間、三年生向けに行ったテストにおいて、ある会場で一時間も、こんなに遅れたと今回話がありましたけれども、そういったケースというのはあったのでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認しております。
生徒に対して、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、会場にいる試験監督やその他の係員に声をかけること、また、試験中に伝えられなかった場合は、試験終了後に会場にて係員に申し出ること、さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談し、東京都教育委員会に連絡することを、全員に配布したプリントで伝えており、生徒の申出を直接聞く体制を整えて周知をしております。
○風間委員 いや、過去二年間に、こういった機材トラブルで一時間もスタートが遅れたということはあったのかどうかを確認しています。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 過去二年間、適正に実施をしております。
○風間委員 適正に実施したということは、一時間遅れて行ったということはないということなんですかね。
機材トラブルがかなり大規模に起こったというようなことを、私たちの調査の中でも耳にしているところでありますけれども、私が、中野区にある会場で受けた中学三年生から具体的にどんなトラブルだったのかということを聞いて、ちょっと驚いたので、皆さんにもご紹介しますけれども、前半組で一時開始予定であったということで、一時スタート、それまでは事前に示されていた手引書のとおりに待機をして試験準備をしているというような状況だったけれども、予定していた一時になっても始まらないと。会場に試験監督の人が三人いたけれども、何も説明なく、ちょっと待ってくださいということがずっと続いて、もうちょっと待ってくださいということが時折アナウンスがあり、結局、一時間たっても、二時になっても、何の説明もなく、ただ待たされるということだったそうですね。
子供たち、その生徒は、本当に不安になって、いつになったら始まるんだろうと、そわそわした状況であったものが、二時十分になって、突然、何の説明もなく、このままできる人だけ始めるそうですと試験監督がいったそうです。ろくな説明もなく、試験が突然開始されたということで、心の準備もできないまま、一時間十分待たされて突然スタートしたと。
その教室の中で、機材トラブルだった人は、そのままその場で待機をさせられたということらしいんですね。
こんなことあり得るんだと、本当に驚いたわけですけれども、この事例、東京都の教育委員会は把握していますか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認しております。
○風間委員 しているんですね。
さらに続きがあります。
ここで待機をしていた――機材トラブルによって、同じ教室でスタートをして始めた人、同じ教室内で待機をしている人。待機をしている人は、教室によっては、ヘッドホン、イヤーマフをつけない。つける指示がなかったからつけていない状況で、実際に試験を受けている人の吹き込んでいる声はそのまま聞こえるという状況だったと。こういう教室もあったという話を聞いて、驚きました。こういう、何を聞かれているのか、想定することができてしまいますよね。
待機していた人たちはどうなったかというと、前半組で一時間十分遅れてスタートができた人たちの終了後に集められて、これから別室で行いますというふうに連れていかれたそうです。そこで、別室で受けれる人もいれば、受けれない人もいたということなんですね。受けた人は、ある意味では、同じ教室で吹き込んでいる人の声とかを聞いていた、そういった状況で試験を受けたという人たちがいるから、全くもってして公平な試験とはいえないと感じるわけですね。
結局、別室で受けた人、別室でも受けれなかった人、さんざん待たされた挙げ句、皆、再試験だといわれたそうです。
何のために別室に行って一度やらされたのかということだったわけですけれども、こんな状況の試験で、本当に公平、公正な、しかも都立高校の入試に判定される、これが成立したとお考えでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認しております。適正に実施されたと認識しております。
○風間委員 機材トラブルで半分の人が受けることができず、また、吹き込んでいる音を聞いている人たちもいたという状況なのに、適正に行うことができたという評価なんですね、東京都の教育委員会としては。
この運営していた現場の試験監督の方々、各教室三人ですかね、三人いたというふうに聞いていますけれども、試験前日まで試験監督のバイト募集がなされていたようですね。実際に教室にいても、試験監督マニュアルを三人が三人とも読み込んでいるという状況で、生徒の準備状況についてしっかり見られていないようなケースもあったという話を聞いております。
こういったバイト募集が直前までなされていて、その場で試験監督の運営マニュアルを読み込んでいるということは、東京都教育委員会としては容認している行為ですか。伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督につきましては、実施協定に基づき、事業者が準備をしております。
○風間委員 それも承知しています。事業者に任せているから、問題があったとすれば、事業者は当然問題はありますけれども、東京都の教育委員会はその委託をしているということですよね。
ブリティッシュ・カウンシルを通じて別会社の運営、バイト募集なんかを見ていると、違う事業者のようですけれども、最終的な責任は東京都教育委員会にあるという認識でよろしいですか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 本試験は、東京都教育委員会が実施するものでございます。
○風間委員 そうですよね。だから、全ての責任は東京都の教育委員会にあるということだと思います。
またさらに、正常に行われたところであっても、試験直前で、タブレットのスタートボタンのタイミングを間違えれば失格だと試験監督にいわれて、動揺したという声も伺いました。事前の配布手引にはそのようなことが記載されていなかったから、正常な心理状態で受けることができなかったと聞きます。
必要以上に圧迫をする、この心理状況の中で英語スピーキングができるかどうかということも、この試験では問うているのかどうか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に係る個別具体的な事例につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○風間委員 全て個別事情じゃなくて、こういう運用、直前で失格だよと迫ることが試されている試験なのかどうかということを伺っているんですね。
就職の面接等では、圧迫面接等がありますから、そういった状況でもちゃんと答えられるかみたいなのが問われることというのはあるわけですけれども、このスピーキングテストは、そんなことを問うテストではないですよねということを聞いているわけであり、こういったことによって動揺した、正常な心理状況でなく受けられた教室もあれば、通常どおりのというか、こういった、必要以上に、失格という言葉を使わずにスタートボタンを押せたということであっては、やっぱりこれは公平な環境ではないと考えざるを得ないわけでありますね。
このスタートに関しても、ヘッドホン、イヤーマフをしている状態ですから、なかなか試験監督の声が聞こえにくいという状況の中で、試験監督がいきなりスタートのための手を下ろしたということで、慌ててスイッチを押した生徒もいて、その声も聞こえないし、その手を振り下ろすということがスタートなんだと認識しなかった子たちが十名以上いて、別室に連れて行かれた、こういったこともあったわけです。
こういったばらつきのある運営ということは、都教委としては仕方がないことだという認識なんでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に係る個別具体的な事例につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○風間委員 私は、その個別の状況、これが全員一緒ならば、そういうものなんだなと思いますけれども、教室によって運営の仕方が違うということで、それによって子供たちの心理状況が変わってきたのだとすれば、とても公平な状況ではなく、それこそ本当にガチャの世界じゃないですかと。当たった教室と当たらなかった教室によって、全然、結果も違ってきてしまうんじゃないか、このように危惧をしているので伺ったところですけれども、都教委は、それも含めてしようがないと捉えているのであれば、本当に問題だと思います。
また、再試験となった方からの声としては、Vもぎの日と重なるということでしたね。私も受験生の父でしたので、この時期のVもぎを受けられないとなると、本当に受験生にとっては痛手、深刻な問題だと思います。
しかも、自分の問題ではなく、運営側の瑕疵によってVもぎを受けられないということになったのだとすると、こんな不利益を被った生徒に対して、都の教育委員会はどのような補償をしていくのでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 繰り返しの答弁になりますが、生徒の受験状況に係る個別具体的な事例については、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○風間委員 いや、こういった不利益を被った生徒は心配していますよ、どうしてくれるんだと。自分の受験、しかも、これ、先ほど申し上げたような、一時間十分も何の説明もなく待たされて受けた、正常な心理状況じゃなく受けることになった。それが本当に自分の実力を発揮できたのかどうかということも心配でしょうし、自分の理由ではなく再試験にさせられた。その日、予定していたVもぎが受けられない。Vもぎが受けられないと、直前の自分の学力が把握できないですから、志望校をどうするのかということにも関わってくる。
これに対して、東京都の教育委員会は、今の段階で何ら見解を示さない。本当に不誠実なことだと思いますね。
じゃ、別の視点で伺います。
一般入試、東京都の教育委員会が実際に都立高校で行う一般入試で、こういった運営側の瑕疵によって、ある会場だけ一時間も開始が遅れるようなことというのは過去にありましたか。
天候等によって遅れた事例があるのは認識していますけれども、運営側の瑕疵によって遅れるようなことはありましたか。
○村西都立学校教育部長 過去どれくらいというのは、ちょっとここで申し上げられませんが、交通機関等の影響等で遅れた場合には、その都度、適切で必要な対応を取るということになっております。
○風間委員 特に、同じ内容の試験を受ける場合には、同じ環境で試験を受けてもらうというのが大前提だと思いますから、一般入試選考試験で英語のヒアリング、リスニングテストで機材トラブルがあった事例なんかも過去にはあったかと思います。
そういったときには、どのような対応としましたか。
○村西都立学校教育部長 そのリスニングテストで起きた状況によりますけれども、例えば、それが過去にあった事例では、私がいたときの過去にあった事例では、一律に全員に加点するとか、公平性に問題がない適切な対応を取っております。
○風間委員 私もそう認識していますし、こういった、誰もが公平だと。機材トラブルがあったのは仕方がない。ただ、それが、子供たち、生徒たちの不利益につながるようなことがあったら、やっぱり納得感がなくなるわけで、今まで東京都の行う都立学校の入試は、本当に公平、公正に行われてきたんだと思います。
しかし、今回の今挙げた事例だけでも、私が把握している事例だけでも、とても公平、公正な状況で受けられていないわけですね。これに対して、最高点、満点で二十点という配点がなされている。これが都立高校に入れるか入れないかということが左右される。まさに子供たちの人生がかかっている、そういう状況なわけですけれども、これ、その採点で、本当に公平、公正といえるのでしょうかね。
リスニングテストのときの機材トラブルのように、今回は反映をさせないとか、一律の点数にするだとか、そういったことをしなければならない状況だと私は思いますが、都教委の見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 繰り返しの答弁になりますが、都教育委員会が実施を確認しております。実施は適正に行われました。
○風間委員 適正なんですか。何の説明もなく一時間十分待たされて、動揺しながら受けた生徒と、当たり前のように、予定どおり、時間どおりに行った生徒が同じ環境で受けられたのかどうか、このことにも疑義がありますし、ヘッドホンをしないで、隣の人が答えているのを聞いたことがある生徒もいるという状況で再試験。こんな状況で、とても公平、公正だとは思えません。
東京都の都立高校の入試、この公平性全体の疑義になってきてしまうと思いますから、本当に都の教育委員会を挙げて考えていかなければならない問題だと思いますよ。
もうこれ、都立高校だけではなく、日本全国に波及する問題になってくるのではないかと思います。ぜひ東京都教育委員会として深刻に捉えて、この対応については考えていくことを求めまして、一旦、私からの質問は終わりにします。
○米川委員 初めての教育庁への事務事業質疑になります。よろしくお願いいたします。
これまでも都議会でいろいろと活動してきた中で、教育庁というところは、様々なところで適切、適正という言葉がよく出てきたのですが、私が幾つかそれを覆した案件としては、東京都教育委員会の一般職員が共済制度に入っていたということ、違法な――違法じゃないですね、法に基づかない共済に入っていたことについても、令和三年四月一日付で変更となりました。
これについても、一般質問等で行ったときには、適切だ、適切だというお話があったんですが、最終的には変わったということで、ぜひ一つ一つの事務について、本当に適切なのかということを肝に銘じながら事業を進めていただきたいと思います。
一番初めに、働き方改革にも関わる主幹教諭制度というものについて伺いたいと思います。
僕が平成五年に東京都に採用されまして、都立学校の事務職員として勤務したときには、学校の先生というのは、教員と、あとは教頭先生と校長先生という三種類だったんですね。それが、今は主幹制度というものができていまして、とても複雑になって分かりづらいものですから、教えていただければと思います。
まず、生徒や保護者にすれば、教員は、同じ、皆、先生なんですね。教員です。
そこで、主幹教諭、主任教諭、教諭と名前が分かれていますが、確認のため、その違いというものを伺います。
○矢野人事企画担当部長 学校教育法及び都立学校の管理運営に関する規則において、主幹教諭は、校長及び副校長を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童生徒の教育をつかさどるとともに、担当する校務について所属職員を監督する、主任教諭は、特に高度の知識、経験を必要とする教諭の職、教諭は、児童生徒の教育をつかさどるとなってございます。
○米川委員 ありがとうございます。
この主幹教諭制度は、いつ、どのような目的で導入されたのか、伺います。
○矢野人事企画担当部長 主幹教諭制度は、平成十五年度に、都教育委員会が国に先駆けて導入いたしまして、平成二十年度に、学校教育法の改正により全国で制度化されました。
本制度は、学校をより組織的に機能させ、学校全体の教育力を高めるため、担当する校務について副校長を補佐するとともに、教諭等を指導監督する職として導入したものでございます。
○米川委員 ありがとうございます。
あと、今、規則の方は管理運営規則ということなんですが、東京都の方では教員の人材育成基本方針というのがありまして、こちらの――失礼しました、管理規則の方では、校務の一部を整理しというのが主幹教諭の方で書いてあるんですけれども、主任教諭には、特にそういった、校務がどうとかというのが出てこないんですよ。
その上で、管理規則の、今度は、これがずっといきまして十条の六になりますと、校務分掌が当該学校の教諭の中から主任教諭というものを命じるということになっているんですが、規則上は、主幹教諭は担当する校務の所属職員を監督するとなっているんですが、主任教諭にはそういったことはないということなんでしょうか、あるということなんでしょうか、どちらでしょうか。すごく複雑なので、教えてください。
○矢野人事企画担当部長 先ほども申し上げましたとおり、主任教諭は、特に高度の知識、経験を必要とする教諭の職とされております。
○米川委員 そうすると、これは、主任教諭の方は校務分掌の長にはならないと、規則上もなっているということでいいですかね。伺います。
○矢野人事企画担当部長 東京都公立学校等職員の標準職務遂行能力を定める規則におきまして、主任教諭の学校運営力といたしまして、学校運営上の重要な役割を担い、他の教員等に対し適切に対応して校務を処理すると定められているところでございます。
こういったことも踏まえまして、先ほどのものを踏まえまして、学校の事情を踏まえて、校長が適材適所で校務の分掌を定めているところでございまして、主任教諭であっても、そういった任に任じている者はございます。
○米川委員 ありがとうございます。そうすると、主任教諭の方も校務分掌の長になるということでよろしいですね。
その上で、先ほどちょっと紹介しました東京都教員人材育成基本方針というものがあるんですが、令和六年四月一日時点の都立高等学校の主幹教諭数及び主要三校務分掌主任に発令された教員の職名、学校別というものを資料要求してつくっていただいたんですが、その中で、主幹教諭が三名未満の学校があったり、主幹教諭が三名以上いるにもかかわらず、教務、生活指導、進路指導の長として主任教諭が発令されている学校がありますが、なぜ主幹教諭が三名未満の学校があるのか、伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会は、都全体の教育水準の向上を目指して、各学校の実情等を把握の上、適材適所の教員配置を実施しております。
○米川委員 ありがとうございます。
一方で、この人材育成基本方針の八ページも見ますと、主幹教諭に求められる能力や役割の中に、今、質問した、教務、生活指導、進路指導等の長として学校運営における中心的な役割を担うとあります。
ですので、各学校には、主幹教諭というのは最低三名配置され、こういった校務分掌に就くものと考えているんですが、適材適所で配置されているということで、特に主幹教諭が何か高度な職を持っているようには考えられないんですね。主任教諭でもいいし、教諭でもできちゃうということであれば。
その上で、次に、主任教諭というところ、教務主任、進路指導主任、生活指導主任のために主任研修というのを行っているのですが、対象者、これは主幹教諭のみかと考えていたのですが、確認のため、全ての教諭でよろしいのかどうかということを伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 東京都公立学校主任研修は、各学校の校長が法律や都の規則に基づき任命した教務主任、進路指導主任、生活指導主任に対して実施しており、各主任に校長が任命した主幹教諭や主任教諭等が受講しております。
○米川委員 ありがとうございます。
次に、主幹教諭や主任教諭にしかできない業務というのがあるんでしょうか。伺います。
○矢野人事企画担当部長 学校教育法及び都立学校の管理運営に関する規則におきまして、主幹教諭は、校長及び副校長を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童生徒の教育をつかさどるとともに、担当する校務について所属職員を監督する、主任教諭は、特に高度の知識、経験を必要とする教諭の職となってございます。
○米川委員 ありがとうございます。
そうしますと、やっぱり校務のところになってくるんですよね、主幹教諭さんが。ですけれども、それについては、先ほどの研修のところでも、主任教諭の人でも一般の教諭でも、この校務三分掌ですね、教務主任とかになれるので研修を受けさせているという状況がありますが、この主幹教諭制度が入ったときに、一緒に、人事委員会勧告で給与が変わっているんですよ。今まで、昔は二級職、三級職、四級職だったところに、準二級というのがついたんですね。
今は、教員には二級、三級、四級という給料表があるんですが、なぜこういった給料表ができたのか、伺います。
○矢野人事企画担当部長 教職員の職務と責任に応じた給与となるよう、職務の級に応じた給料表を設定しております。
○米川委員 そこで、職務の級とですね――それで、これは地方公務員法の第二十四条第一項に、給与決定の諸原則というのがありまして、職務給の原則としては、職員の給与は職務と責任に応ずるものでなければならないとなっております。
そこで、副校長を補佐したり、分掌の長となったりして指導監督するという業務が主幹教諭のところには記載されているんですが、一方で、主任教諭の方にはそういった記載はありません。
しかし、同じ仕事をしている状況がありますが、そこで、主幹教諭の役割というのは、今いった、教務、生活指導、進路指導の長として学校運営における中心的な役割を担うとありますが、教務、生活指導、進路指導の長に、主幹教諭ではなく、なぜ、今、二級、三級、四級とありました、給与も少なく、指導監督層である主幹教諭を補佐する主任教諭を充てているのでしょうか。理由を伺います。
○吉村人事部長 都の定める基準に基づきまして、各学校の実情を踏まえ、校長が適材適所で教員の分掌を定めております。
○米川委員 ありがとうございます。
そうすると、別に主幹教諭は、特に校務分掌の長にならなくてもいいということでいいですか。確認のため、伺います。
○吉村人事部長 繰り返しになり、恐縮ですが、都の定める基準に基づきまして、各学校の実情を踏まえまして、校長が適材適所で教員の分掌を定めております。
○米川委員 私が伺っているのは、主幹教諭というのは校務分掌の長にならなくていいのかと聞いているんですよ。
副校長を補佐したり、指導監督するわけじゃないですか。校務の部分として、ほかの教員を指導監督するということなので、その方たちは必ず、主幹教諭の方は校務分掌の長になるのかどうかを伺っています。お答えください。
○矢野人事企画担当部長 都立学校の管理運営規則に基づきまして、主幹教諭が担当する校務の範囲を定めておりますが、特別な事情がある場合に、校長は、定められた範囲以外の校務を主幹教諭に担当させることができるものともしてございます。
○米川委員 できるということですと、基本方針の中で、教務、生活指導、進路指導の長として学校運営における中心的な役割を担うということが記載されているんですが、この人材育成基本方針に。
これに基づかない方がいても大丈夫だということでよろしいのでしょうか。確認のため、伺います。
○矢野人事企画担当部長 先ほど申し上げましたとおり、原則のお話でございます。
○米川委員 原則の話とおっしゃったんですかね。
私がいったのは原則論で、例外もあるということでよろしいのでしょうか。ちょっと確認のため、伺います。
○矢野人事企画担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、都立学校の管理運営規則に基づき、主幹教諭が担当する校務の範囲を定めております。
特別な事情がある場合等に、校長は、定められた範囲以外の校務を主幹教諭に担当させることができるものとしております。
○米川委員 じゃ、確認のために伺いますが、今回、資料で、主幹教諭数と主要三校務分掌の主任ということで一覧をつくっていただきました。ほとんどの学校で主任教諭の方が、生活指導とか進路指導も含めて、学校でいえば主要三分掌といわれるところの分掌の長についているんですよ。
これも、特別な事情があったりして学校が適材適所で、主幹教諭、給料の高い方よりも、低い主任教諭の方を適材適所で各学校長が配置したということでよろしいですね。伺います。
○吉村人事部長 繰り返しの答弁になり、誠に恐縮でございますが、都の定める基準に基づきまして、今ほど申し上げましたその基準に基づきまして、各学校の実情を踏まえまして、校長が適材適所で教員の分掌を定めているものでございます。
○米川委員 ちょっとしつこく質問して申し訳ございませんが、これ、教務や生活指導、進路指導というのは、学校でも主要な校務分掌なわけですよ。総務とか学年の主任というのは、例えば学年主任であれば、その学年だけじゃないですか、学校の中で。でも、教務だったり、生活指導だったり、進路指導というのは学校全体の話になるので、やっぱりこれは重要な業務なので、本来であれば、給料も高い主幹の方がしっかりと就くべきであり、そして、そういった能力も高い方が副校長さんを補佐することによって、学校の運営というのは円滑に進むと思うんですね。
そういう配置ができた上で、さらにまだ学校の勤務が大変だということであれば、サポートの人材をどんどんつけていくのは問題ないと思うんですが、まずは人材ですよね。優秀な主幹教諭さんを学校の中でも重要な部署にちゃんと配置するということを行った上で学校経営を行うべきなんですが、今までのやり取りですと、それぞれの学校長さんが自分の考えに基づいて適材適所で配置していると。それも、主要な三分掌には主任の教諭を置かずとも構わないというようなことでしたので、もう一度、この在り方をしっかりと見直すべきだと思います。
給料に反映されちゃっているので、これが全て同じ給料であれば私は何もいいませんが、高い給料をもらっている主幹教諭の方が三分掌に就かないで学年主任なんかをやっていたら、ほかの教諭は、何をやっているんだと思うんですよ。でも、主幹教諭の方が一番大変な、この教務だったり生活指導、進路指導をやっていれば、じゃ、私たちも頑張ろうというふうに、多分、この主幹教諭制度が入ったときにちゃんと人が手当てされていれば、主任もそうだし、新しく入った教諭の人も、しっかりと学校のために働こうよとなるんですが、一番お金をもらっている人があまり働いていないと、どうしても気持ち的にやる気がなくなっていくんじゃないかなというふうに、人情としてあると思います。
ですので、制度的には主任の教諭も学校長が配置できるのかもしれませんが、もう一度、人事部さんの方としては、今回、一覧をつくっていただきましたので、この配置が本当に適材適所なのかというのを確認した上で、これが適材適所であるならばそれでいいです。そうじゃなければ、備考欄に書いてあるところに主幹としている方たちをぜひ主要三分掌につけて、さらに、学校の中でもその次に、学校ごとによって厳しい分掌とかいろいろとありますので、そういうところに配置するように変えていっていただきたいと思います。要望です。
○矢野人事企画担当部長 先ほど申しました主幹教諭が担当する校務の範囲の中には、主要三分掌、教務、生活指導、進路指導のほかに、学年を担当する主幹教諭についても定めてございます。
○米川委員 その辺は承知しております。農業科であれば農業の主任を置いたりもしますし、養護教諭が主幹であれば主幹養護教諭を置いたりもしますよね。
だから、その中でも、やっぱり学校全体のためにこの主幹制度、学校全体を見ていただくと思っていますので、ぜひもう一度、この張りつけが本当に正しいのかどうか、よりもっと現場の声をちゃんと聞いた上で、変えられるんじゃないかということがあれば、しっかりとやっていただきたいと思います。
次に、学校教育に欠くことのできない基礎的な設備であることに鑑み、その健全な発達を図り、もって学校教育を充実することを目的とすると学校図書館法第一条でうたわれている都立学校図書館について伺いたいと思います。
都立学校図書館ですが、一時期は業務委託がどんどん進んできました。都立学校の図書館の業務委託。それが、平成二十七年九月二十七日に東京労働局から是正指導がありました。その後、都教委の方は、様々運用を改善し、業務委託でもやっていけるよということで、私も何回か文教委員会等で質疑したときにはそういう答弁を、一般質問もそうですね。当時は中井教育長でしたが、答弁をいただいていました。
しかし、その後、令和三年六月八日には、今度はまた東京労働局から指導票というのがありまして、派遣法違反の可能性もあるので、しっかりとチェックするようにというようなこともあり、この年の四月から、学校図書館の運営が業務委託から直接雇用、学校司書と学校図書館専門員、そしてアシスタントの運営に変わりました。
その上で聞いていきますが、都立学校ごとの学校図書館の運営体制についてですが、都立学校図書館ガイドライン六ページには、学校図書館専門員の職務内容について、学校司書の役割に示した職務に準ずるとあります。
そこで、学校司書と学校図書館専門員、それぞれの職務内容に違いはあるのでしょうか。伺います。
○村西都立学校教育部長 学校司書は、司書教諭と連携して学校図書館の基本方針の策定等の業務を行うとともに、学校図書館の開館、閉館に係る準備や図書の貸出し、返却等の日常的な運営、教員の教材準備への協力等の授業支援等を行うほか、図書館運営に係る予算編成や図書の選書の起案等も行っております。
一方、図書館専門員は、学校図書館の開館、閉館に係る準備や図書の貸出し、返却等の日常的な運営、教員の教材準備への協力等の業務支援が主な業務となっておりまして、両者の業務内容の範囲は異なっております。
○米川委員 それでは、ちょっと聞き方を変えます。
学校司書にしかできない業務というものがあるのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 学校司書の配置校では、配置された人材を活用し、その役割や責任の程度に応じた業務を担っております。
また、学校司書が配置されていない学校では、その業務は司書教諭と図書館専門員が担っております。
○米川委員 ありがとうございました。
ですから、学校司書が配置されていない学校では、司書教諭と図書館専門員が担っているということなので、学校司書が配置されている学校にも司書教諭っていますよね。――十二学級以上あるとあるので、そうすると、その部分は、本来、学校司書も正規職員なので起案等いろんなことができますが、仮に司書教諭がやっても、別に問題ないのかなとは思っております。
次に、学校司書が全日制課程から定時制課程に配属された場合に、給与面での特別な手当などがあるのか、伺います。
○矢野人事企画担当部長 定時制課程に配属された学校司書が正規の勤務時間として午後八時以降に勤務したときに、夜間定時制教育勤務手当を支給いたします。
○米川委員 ちなみに、その勤務手当は幾らか、もしお答えできればお願いします。
○矢野人事企画担当部長 日額五百二十円でございます。
○米川委員 ありがとうございます。
次に、学校司書の定数配置というのが――都立学校の定数配置の件が資料要求の方に載っていたのですが、学校司書は、全定併置校の場合に、定数は一名というふうな記載が資料要求の中にあったのですが、私が要求した資料の方には、全定併置校に学校司書が二名配置されている事例が全部で四件あるんですね。
それで、その理由を伺います。
○岩野総務部長 学校司書の配置については、職員の在職期間や通勤要件を踏まえながら配置先を決定しております。
また、育児や介護等の事情について個別に把握し、通勤に支障がない配置となるよう配慮しています。
これらの要件等を踏まえた結果、二名配置となる場合がございます。
○米川委員 今の答弁の中で、介護等の事情についてとありましたので、介護以外に何かあるんでしょうか、理由としては。伺います。
○岩野総務部長 繰り返しの答弁になりますが、育児や介護等の事情について個別に把握し、通勤に支障のない配置となるよう配慮しているところでございます。
○米川委員 育児や介護の事情ということでよろしいですね。
その中で、この四校をちょっと調べたんですが、一校では、さらに図書館専門員が一名配置されている学校もあるんですが、学校司書二名のところに図書館専門員が一名、五月一日付で追加配置というのが学校要覧にも書いてあったのですけれども、これは、何か特別な事情があったのでしょうか。
○岩野総務部長 繰り返しの答弁になりますが、学校司書の配置につきましては、職員の在職期間、通勤要件等を踏まえながら配置先を決定しているところでございます。
また、育児、介護等の事情について個別に把握し、通勤に支障のない配置となるよう配慮しているところでございます。
○米川委員 次に、今、学校図書館スーパーバイザーというのが配置されています。
学校図書館の業務に関わる職員のうち、アシスタント職員も現在は司書資格を要していますが、スーパーバイザーについて司書資格を必要としているのか、必要としていないのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立学校図書館スーパーバイザーの応募資格は、司書教諭または学校司書の業務経験が五年以上ある者、または校長として学校図書館に関わった経験のある者等としており、司書資格は要件としておりません。
司書教諭や学校司書の経験者はもちろんのこと、校長としての学校図書館運営に関わった経験のある者は、授業等での学校図書館の活用や運営に関して、慣熟しての経験等を生かした専門的な指導、助言等を適切に行うことができることから、こうした応募資格としております。
○米川委員 ありがとうございます。
司書資格を持った方が一人、そういう方も配置されるしということなんですけれども、校長先生の場合は、基本、学校図書館長という位置づけに僕はなると思うので、校長であれば、全て図書館業務に携わることになるので、できたら、その中でも学校図書館に精通している人を選んで配置していただきたいなと思っています。
その上で、私は、業務委託から直接雇用に変わったときに、地元の葛飾区では、昔の指導室というところに図書館コーディネーターを配置していました。全体の、各学校の学校司書さんを支援するということで。それを参考にしてスーパーバイザーの配置を提案し、今、部長のところの都立学校教育部に配属されております。
今年、先月ですか、地元の都立高校に伺ったのですが、やっぱり学校ごとに取組の差があるなということを感じました。東京都全体ですと、これを少ない人数で対応しなきゃいけないこと、学校が多いことから、様々な――葛飾区のような小さなエリアで行うコーディネーターとは違って、きめ細かい対応というのは十分取ることができないなと考えております。
運用開始から時間もたちましたが、例えば、スーパーバイザーから所管の課長さんを通じて都立学校教育部長へ、スーパーバイザーの充実を求めるとか、学校図書館のこういった運営を変えた方がいいですよと、すぐには変えられないでしょうけれども、提案とかというのはあったでしょうか。伺います。
○村西都立学校教育部長 スーパーバイザーの業務状況等につきましては、適宜、必要な報告を受けて把握しております。
スーパーバイザーは、適切に配置しているものと認識しております。
○米川委員 そこで、質問がまた戻ってくるんですけれども、先ほど、学校司書の話、配置のことを話しました。この一覧を見たときに、ほとんどが学校司書さんは全日制に配置されています。
二名配置のところが、全定併置校に学校司書が二名配置されている。様々な事情から二名配置ということなんですが、学校図書館の運営を多少知っている者からすると、全定併置校に二名配置というのは、物すごく充実しているんですね。月から金まで、必ずどの時間帯も専門の人がいると。学校の先生たちも生徒も含めて、図書館の活用がしやすいという状況になっています。
また、全日制に学校司書さんがばあっと入られているということで、これも月金で、全日制は充実して図書館運営ができるなと。
一方で、図書館専門員が配置されているところが各校二名ということになっておるため、全定併置校の場合は二名で、アシスタント職員が穴を埋めるという形なので、はたから見ていると、一番体制が薄いなというふうに思うわけですよ。
できたら、僕が考えるのは、やっぱり重要な施設の図書館ですので、運営するに当たっては、公平、公正に運営ができるようにしてもらいたいと考えているんですね。そこで、学校司書の配置、二名配置って何なんだという質問をしてきました。
そこで、今の状況で学校図書館をしっかりと運営していただくためには、もともとが各課程という言葉があるんですね。全日制課程、定時制課程とあります。それぞれの課程に二名ずつ配置されていれば、どの時間帯も同じ方たちが、同じ学校の先生、同じ学校の生徒をしっかりと見ることができるような、今の学校図書館専門員でもできると思います。しかし、今の各校二名だと、全定併置校ではそのような状況ができません。
そこで、学校図書館の運営体制に差を設けない方がいいと私は考えるんですが、全定併置校、これについて、全日制課程、定時制課程それぞれに二名ずつ図書館専門員を配置すべきと考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校におきましては、全日制高校においても、全日制、定時制の併置校においても、もともと、今、理事がおっしゃった各課程別にという観点はなく、生徒が在校している時間帯について開館し、貸出業務や授業等での活用ができる、そういった運営体制を確保する観点から、こうした運営体制としております。
○米川委員 そこは私と見解が違います。なぜかというと、この一覧を見ていただいても、全定併置校の場合、各校二名の場合は、ローテーションでやることも可としているんですね、ガイドライン上。ですけれども、多くの学校では、三分の二は、各課程に一人ずつ図書館専門員を置いて、穴が空いている、週四日しか勤務できないところにはアシスタントを置くという形で、本来の学校図書館の在り方をちゃんと理解した上で配置している学校が結構あるなというのが、この一覧をつくっていただいて思ったところなんです。
ローテーションをしている学校が、たまたま葛飾にありました。南葛飾高校ですね。日本語の指導も充実させている学校なんですが、何でですかと聞いたら、夜だけ勤務してくれる方がなかなかいないというような話がありまして、実際、学校によっては、募集しても人が配置できないということで、ローテーションにせざるを得ないのかなという現実があるかもしれません。
ですので、一つ提案なんですけれども、先ほど、夜の八時以降は五百二十円、お金がつくじゃないですか。ですので、夜間勤務する場合には、その分、金額を上げてあげるというのは一つの考え方。
しかし、制度上は無理だよということであれば、もともと、学校司書がどんどんどんどん減っていったときには、定時制課程につけましょうと、そういった考え方もありました。ですので、これだけまだいる、今、これから定時制を減らそうというのもあるわけですけれども、四十校ある中で、そこに学校司書さんを配置して、昼間の時間帯に図書館の専門員を配置すると、その昼間の図書館専門員の方は、何年も専門職として働いてきた方と午後の時間帯で一緒に仕事をして、いろんなことを直接学ぶこともできると思うんですね。そうすると、アドバイザーとかの負担も減るかと思いますので、いろんなやり方があると思います。
二名配置は、本来あるべき姿だ、最低してほしいということはあるんですが、今の状態でやるのであれば、人事の配置を工夫することで、それに近い形の運営というのが必ずできると思いますので、すぐやれとはいいませんけれども、どういう形でやれば、学校が本来、図書館をフルに活用できるようになるかということを、ぜひ部長のところで検討していただきたいと思います。
専門のアドバイザーもいますので、その方とも、どしどし意見をくれよということを部長の方からいっていただいて、臆することなく、こういうふうなのが理想ですよというのを部長の方に話をしていただけるような職場環境をつくっていただければと思います。
次に、図書館の教諭切替え選考というのがありました。これについて伺います。
都教育委員会は、平成十四年度から平成十九年度まで、学校司書の教諭切替え選考を行いました。
当時、学校司書の教諭切替え選考を実施した目的と、教諭になった職員の職務及び職務の内容について伺います。
○吉村人事部長 本選考は、学校図書館法の改正に伴い、司書教諭の確保を目的として実施したものでございます。
司書教諭として発令を受けた者は、教科指導等の教諭の仕事に加え、学校図書館の活用や読書指導の中心的な役割を担っております。
○米川委員 ありがとうございます。
学校司書の教諭切替え選考の合格者の関係が書いてある資料もつくっていただきました。その中で、令和六年四月一日現在の在職人数と、そのうち司書教諭発令人数というものもつくっていただいたのですが、未発令の方が三名いらっしゃいます。
特別に実施された教諭切替え選考です。選考実施の目的を考えれば、司書教諭に発令するべきだと考えるんですが、見解を伺います。
また、この発令していない具体的な理由、お答えできるようであればお答えください。
○吉村人事部長 都教育委員会では、切替え選考の合格者を積極的に司書教諭として活用するよう周知しているところでございますが、各年度における学校の教員の配置状況等により、合格者以外の者を司書教諭に発令する場合もございます。
なお、校内に複数の有資格者が在籍しているため、三名の方が、今、司書教諭に発令していないという状況でございます。
○米川委員 学校司書の教諭切替え選考の実施を行う際に、学校司書さん等にも出している事務連絡というのがあるんですね。平成十三年四月二十七日、人事部というのがありまして、職務には、教諭としての職務及び司書教諭の業務を行うというふうにありますので、その上で教諭切替え選考という特別な試験を行っております。
さらに、これは平成二十五年ぐらいからですかね、職員課長名で、今、部長もおっしゃっている、発令、しっかり積極的に司書教諭として活用を図ることという通知文も出している上で、さらに、そういった職員にもかかわらず発令しない、特別な何か業務ってあるんでしょうか、教えてください。お願いします。
○吉村人事部長 繰り返しになりますが、各年度における学校の教員の配置状況等により、校内に複数の有資格者が在籍している場合等があり、合格者以外の者を司書教諭に発令する場合もございます。
○米川委員 具体的にどういうときか、教えてください。お答えください。
○吉村人事部長 個々の事情については、三名ということでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○米川委員 答えないと、まずいんじゃないですかね。
何でこういう話をしているかというと、過去、平成十三年四月二十七日付の文書では、教諭としての職務及び司書教諭の業務を行うというにもかかわらず、現場では、学校長さんが、私に、いろんな担任をしたりとか、どこの校務分掌につけたりするという権限があるので、あなたは司書教諭には発令しませんという事例が多発したんですよ。
それで、そもそも特別な選考を行ったんだから、職務としての理由とか、何か書いてあるんじゃないかということを調べたところ、ちゃんと司書教諭の業務を行う、そういうことが書いてある上で特別な選考を行ったんですよ。
さらに、人事部の方では、司書教諭の発令という、特別な選考を行ったんだから積極的に司書教諭の発令をしなさい、するようにと文書も毎年出しているはずなんですよね。
にもかかわらず、今回、三名の方が発令されていないので、よほどの重要な理由があるのであれば仕方ないのですけれども、だから、どういうものなのかをお答えください。
それによっては、そういう理由だったらしようがないなというのも多分あると思うんですけれども、具体的にお答えください。お願いします。
○吉村人事部長 繰り返しのご答弁になり、誠に恐縮でございますが、各年度における学校の教員の配置状況により、司書教諭を発令する場合も、発令しない場合もあるということでございます。
三名という非常に限られた数でございますので、個々の状況につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。
○米川委員 重要なことですよ。これ、特別な選考ですからね。普通は、こういう選考はしないんですよ、教員の。
もともと、これをやるのがあれじゃないですか、学校図書館法の改正とか、司書教諭を大量にという、いろんな理由があったんですよ。
それで、教諭としての職務、当然、教諭ですから教員の仕事もします。さらに、もともとは学校司書だったわけですから、そのまま学校司書をやりたければ学校司書のままでよかったわけですよ。でも、図書館の業務が行えるから、この司書教諭の特別の切替え選考を受けてなった方たちなので、かなり思い入れのある方たちだと思うんですね。学校司書としても、しっかり――合格者を見れば、本当に狭き門だなと思うわけじゃないですか。十四年度から十九年度の間でも、十七年度以降は一名しか合格者がいません。普通の採用試験を受けているわけですよ、この方たちは。なので、多くの方が不合格になったということも聞いております。
そういった難関を突破してきて司書教諭の業務を行うという、こういう人事部が出している事務連絡等、さらに通知文とかがあるにもかかわらず発令していないというのは、それは、そもそも切替え制度をやったことの意味がなくなっちゃうじゃないですか。何のためにやったんだと。
もし、やらない、このまま発令しないというんだったら、学校司書に戻してあげるということもありなんじゃないですか。ちゃんと発令する前提だから司書教諭の業務ということでやっているわけですから。その三名がいない。
例えば、こういった事例ですよと、一個ぐらいいっていただければ、本当にこれは駄目だなという事例も必ずあるはずなんですよ。そういうのを一つ、それに当てはまるんだったら納得しますので、ぜひお答えください。
○吉村人事部長 先ほど来申し上げておりますように、各年度における学校の教員の配置状況によりまして、複数、司書教諭資格のある者に対しては発令しない場合もございます。
一般論でございますが、それぞれ皆様、教諭としての職務も持っていらっしゃいますので、例えば最終学年を担当していらっしゃるとか、重い職務を担当していらっしゃる場合、その学校全体の校務分掌において司書教諭を発令しない場合もあるということを一般論として申し上げさせていただきます。
○米川委員 もう少し詳しく、重い校務分掌って何ですか。あと、最終学年って何なんですか。
ちょっとよく意味が分からないんですけれども、分かるように答弁してください。
○吉村人事部長 説明が足らず、失礼いたしました。
最終学年というのは、例えば高校ですと、二年生から三年生を持つというのは非常に、卒業年次で、先ほどの主幹の業務にも学年主任というのはありますけれども、そういうような学年を担当していらっしゃる先生などは、やはりそちらを、校内の状況として優先する場合もあるということでございます。
ただ、その先生がずっと司書教諭を発令されないというわけではなくて、その年ごとの学校の状況によって、校務分掌というのは、先ほどもお話ししておりますけれども、発令される、そういう状況でございます。
○米川委員 そうすると、学年主任に発令したから、できないということなんですか、今のだと。
お答えください。
○吉村人事部長 先ほど申し上げましたように、あくまで一般論でお答えさせていただいております。
○米川委員 そうしましたら、学年主任というのはないと思いますよ。だって、司書教諭にするためになった人が、何で学年主任にならなきゃいけないんですか、優先順位的に。この事務連絡を毎年出しているときでも、司書教諭として活用を図ることとなっているじゃないですか。当該選考の実施経緯を踏まえと。
だから、まず司書教諭にして、その上で、次に、二人切替えの人がいれば、一人しかならないから、二人目が学年主任になりますとか、校務分掌のほかの主任になるというなら理解できますけれども、そういったことでいいんですか。
それでなければ、切替えじゃない方が司書教諭に発令されて、学年主任やなんかに一般論として発令されるということなんでしょうか。伺います。
○吉村人事部長 想定のお話ですので、ちょっと答えにくいのですけれども、いろんなケースがあると思います。司書教諭の資格を持っていらっしゃる方は、かなりの数いらっしゃいますので。
○米川委員 それはいますよ、いっぱい。各学校にいますよ、一人ずつ。その中の特別な選考を受けた方が、どういうふうに扱われるかということなんですよ。そのときに、優先的に配置、当該選考の実施経緯を踏まえ配置してくれといったときに、学年主任とか校務分掌の主任を先に、例えば主任教諭の方がそういうふうになるというのはあり得ないですよ、特別な選考なんですから。人事上の。
そういった職に充てるということでやっている方がならないというのは、おかしいですよ。だから、これは一般論としても考えられない充て方ですよ。
いろんな理由で、その中でも、これは確かに駄目だなというのがあれば、もっと事例として出してくださいよ。あるわけですから、絶対に。
今、いっているのは、優先度からいえば、この特別な選考を行っている限り、先に司書教諭として発令しなければならないような業務ですよ、例えば学年主任、担任をやっているとかというのは。学校全体のための司書教諭になるということで発令される、業務としてあるということで行われた特別な選考なんですから。
学年主任とか、どこかの校務分掌の主任とかじゃなくて、もっと一般論として、確かにそうだという例示をしてください。お願いします。
○吉村人事部長 一般論で申し上げると、例えばそういう校務もございますし、その方の、今申し上げました最終学年の担任とか、それから、例えば、先ほどもありましたが、育児とか、あるいは介護とかいろんな、その職員の方々それぞれご事情がございますので、一般的には、いろんな事情の中で、そこの学校に今いらっしゃる教員の状況を踏まえて、また、それぞれの教員の皆様から自己申告等を校長が受ける中で校務分掌を定めている、そういう状況でございます。
○米川委員 今、育児というお話がありました。育児であれば、フルタイムで、フルで学校に勤務できないので、だったら、図書館をしっかりと開館する、運営するということで、あと学校全体の調整機能を果たすということで、ほかの方が司書教諭に発令されるというのは理解できますよ。
ですけれども、担任になるとかというのは、それは優先度的には絶対低いですよ。
ですので、これ、三名の方がそういうのに当たるかどうか分かりませんが、来年の四月一日以降、一日ですよね、各学校で発令する際には、本来の司書教諭の切替え選考の実施の経緯、考え方を踏まえて、担任とか、どこかの校務分掌の主任にするということはしないようにしていただきたいのですが、よろしいですか。お答えください。
○吉村人事部長 繰り返しのご答弁になりますが、都教育委員会では、切替え選考の合格者を積極的に司書教諭として活用するよう周知しているところでございますが、各年度における学年の教員の配置状況等により、合格者以外の者を司書教諭に発令する場合もあるということでございます。
○米川委員 その辺がはっきりしないと、学校現場で学校長さんが、学校の事情だからということで担任にしたりとか、教務主任とか、できちゃうじゃないですか。
それを認めるんですか。そういうのは認めるんですか。
○吉村人事部長 今ほどご答弁申し上げましたように、私どもといたしまして、都教育委員会では、切替え選考の合格者を積極的に司書教諭として活用するよう各学校に周知しているところでございます。
○米川委員 周知しているだけだと、過去、学校長の権限で担任にするとか、ほかの分掌につけるとかということがあったんですよ。だから、人事部長さんとしては、そういうことはないですよということを、ここで発言していただきたいんですよ。特別な選考ですので。
まだ現職の方も何人もいるじゃないですか。その方たちが切替え選考が終わってからもう十年、二十年たったときに、新しい学校長さんたちになったときに、なかなか、こういったものは忘れ去られていっちゃうわけですよ。そのとき、人事の記録上あったとしても、いや、そうじゃない、今、学校長はかなり権限が強いですから、この校務分掌を発令するよ、担任になってくれよとなれば、なかなか現場で――こういう形で選考を行われた者なんですといっても、力関係でなかなか覆せないわけですよ。
ですので、ちゃんと人事部長の方から、原則としてこうなっているんだ、そして、よっぽど例外、先ほどの――学校全体を見なきゃいけないわけですから、司書教諭の方は。ですので、育児とか、そういった限定的なものに限っては発令しないこともあるんだということをしっかりと発言していただきたいのですが、お答え願えますか。
○吉村人事部長 切替え選考の合格者を積極的に司書教諭として活用するよう周知しておりまして、また引き続き周知を徹底してまいります。
○米川委員 周知しても、現場はやらない場合が多いんですよ、本当に。多いですから、学校は。
先ほどもあった図書館の業務委託のときも、学校の教員というか職員が、直接、業務従事者に指示を出しちゃいけませんよという指令を出していても、この時間帯はやっちゃいけませんといっても、それはグレーなところで、誰も見ていませんから、行うことも可能なわけですよ。
幾ら皆さんの方で周知していても現場がやらないこともあるし、現に教諭の切替え選考は、選考が行われてから数年後には、もうどんどんどんどん、教諭なんだから、教諭の仕事として、こういった担任をやるのは当たり前だとか、こういった校務分掌に就くのは当たり前だということで、発令されなかった事例があるんですよ。
ですので、今、そこからもう十何年たっているので、改めて教育委員会としてしっかりと、この教諭切替え選考の実施の経緯を踏まえて、周知するだけじゃなくて、そういったことはあり得ませんということを、ここでいっていただきたいんですよ。
そうじゃないと、現場では、でも、周知しているだけだから、別にやらなくてもいいじゃないかという考えの方もいらっしゃいますので。ぜひ人事部長、答弁ください。
○吉村人事部長 繰り返しになり、恐縮ですが、司書教諭として活用するよう周知しており、引き続き周知してまいります。
○米川委員 周知で済むのだったらいいですけれども、それで、もし、来年の四月一日以降ので担任が発令されていたとかという事例があったときはどうしますか。それは仮定の話だから答えられませんか。
周知しているから、あとは現場が勝手にやったことだということでよろしいですか、そういう場合は。
○吉村人事部長 先生がおっしゃるように、仮定の質問にはお答えできないかなというふうに考えております。
○米川委員 また来年、どういった形でも、司書教諭として発令されていない切替え選考の方がいたときには、しっかりと質疑していきたいと思いますよ。そのときに、周知していたからというのは、もう二度とないですよね、もしそういうことがあれば。
今回、これだけしつこくやりましたので、同じ文書を発出するにしても、もっと細かく、現場の学校長さんたちに理解してもらえるように、間違いがないように周知していただいた上で、来年、米川の懸念でしたというようなことになるように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、教員の異動制度について伺います。話を切り替えました。
教員の現任校六年は異動するものとするという基準、これ、原則六年ということなのでしょうか。また、いつから導入されたのか、期間を六年にした理由について伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会は、都全体の教育水準の向上を目指し、教育活動の活性化を図るとともに、教員に多様な経験を積ませることにより、教員の資質、能力の向上と人材育成を図ること等を目的として、教員の異動を実施しております。
原則として、現任校で三年以上勤務する者を異動対象とし、六年に達した者は異動することとしており、この規定は、平成十六年四月の定期異動から適用しております。
○米川委員 適切な後任者を配置できれば、現任校六年は異動するものとするという基準の例外措置は、極めて限定的なものと考えます。
実際、資料もつくっていただきましたが、極めて限定的なものでよいか、伺います。
○吉村人事部長 現任校に六年間在籍した場合であっても、病気休職や妊娠、育児休業など、真にやむを得ない場合は異動の対象とはしておりません。
○米川委員 そうしますと、資料要求でつくっていただいた中には、卒業学年担任三百二十三人というのがあるんですが、これは、なぜ例外的な扱いになるのか、伺います。確認のため。
○吉村人事部長 今、申し上げましたように、真にやむを得ない場合は異動の対象としていないところでございます。
○米川委員 卒業学年の担任というのも、真にやむを得ない理由に入るんでしょうか。伺います。
○吉村人事部長 それぞれの学校の状況を踏まえて、真にやむを得ない場合は異動対象としておりません。
○米川委員 分かりました。
教員の人事、異動で問題となってくるのが部活動なんですが、都立高校の特色や魅力の一つであり、学校の運営面から重要な経営資源だと思っています。硬式野球部で好成績を上げている学校の指導者の方は、退任後、現在は外部指導員として部の運営に関わっているとの新聞報道もありました。
部活動の運営で何よりも重要なのは、指導者だと考えております。しかし、指導者である教員が異動することで、部活動の競技レベルを保てなくなることがあります。
教員の現任校六年は異動するものとするという基準を守りつつも、学校の特色として部活動の競技レベルを保つため、競技に精通していない、数年で異動してしまう学校長ではなくて、都教育庁自らの責任で指導者を計画的に育成し、確保、配置するべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村人事部長 都立学校全体における各部活動の指導が可能な教員の人材情報を管理しており、異動があった場合、校長の人事構想に基づき、必要な教員を配置するようにしております。
○米川委員 私は、長期在職はしなくてもいいのかなと思っています。特に都立高校でしたら三年単位ですので、六年いれば、ひとつ十分活動はできるのかと思っています。
ですので、しっかりと人事部の方で人事管理を行っていけば、六年ごとの、最大で六年で異動をちゃんとして、学校の活性化にもつながっていくと思うんですが、その中で、やっぱり特に難しいのが部活動であったりするわけですよ。
後任は誰になるかということで、私の母校のある部活動も、かなりの長期在職の方がいらっしゃったのですが、やっぱり、どうしても異動させなければいけないという事例がありました。そのことによって、この次も、もしかしたら、この先生がやってくれるんじゃないかという期待を持ってスポーツ推薦なんかで入ってきた子たちがそうじゃなかったということで、教育庁としては、しっかりと後任を配置しましたよといっても、やっぱり、この人のところで競技をやりたいということもあるんですよ。
ですが、いつまでも、永遠に勤務できるわけではないわけですから、ぜひ、長期在職にならなくても、ちゃんと学校運営が、経営が成り立つように、一般の教員であれば異動管理をしっかりと徹底することでできると思うんですが、今、質問しました部活動の関係なんかは、ぜひ教育庁の方で――それをできる人材って限られていると思うんですね。育成することもできると思いますから、次――それに、異動のタイミングというのはなかなか難しいこともありますので、学校長が自ら、次にこういう人を呼びたいといっても、相手のこともあったり、全体の構想もありますので、ぜひ、部活動も特色の一つとして東京都教育委員会はしっかりと取り組んでいるわけですから、新たな発想として人事管理をして、必ず六年で異動するけれども、次は大丈夫だよという体制をつくるように求めて、次の質問に行きます。
次は、教員の異動情報について伺いたいと思います。
教員の異動情報は、学校ごとに学校便りとか、小中学校でも学校要覧など、保護者や地域を含めて公表していると思うんですね。私も、地元の学校のそういった便りを基に、異動の情報を把握もしたりしています。
その中で、教員についてだけは、管理職以外の一般、主任、主幹教諭等の人事異動情報を公表しています。また、新聞にも毎年四月一日付で掲載されているんですが、教員の異動情報を公表する理由について伺います。
○吉村人事部長 教員は、児童生徒に対し教育活動を行っており、その異動については、児童生徒や保護者などからの関心が特に高いことから公表しております。
○米川委員 ありがとうございます。
確かに、児童生徒の関心、保護者も関心は高いのですが、それは地元の学校だけの話だと思うんですよ。東京都全体の一般の教員の異動は興味、関心はないと思うんですが、全体を知りたいということなのでしょうか。児童や生徒や保護者の方の関心というのは。
教員の四月一日時点の異動全体に関心があるということなのかどうかということを伺います。確認のため。
○吉村人事部長 異動につきましては、児童生徒や保護者などからの関心が特に高いことから公表しております。それには卒業生も含むかなというふうには思っております。
○米川委員 例えば、葛飾区の学校の場合に、多摩の方の学校に興味あるかといったら、ないですよ。児童生徒、保護者も。
だから、その辺、実際に自分たちの地域の学校に異動してくる方というのは、先ほども話しましたが、学校便りとか要覧とかで、もっと詳しく分かるんですよ。なので、ちょっと今聞きました。
次に、学校に勤務するのは、ほかにも行政の職員、事務職員というのがいるんですけれども、これは同じ学校に勤務するんですが、人事異動情報を公表していませんが、その理由を伺います。
○岩野総務部長 学校に勤務する行政系職員の人事異動情報につきましては、都民からの関心などを踏まえ、公表はしておりません。
○米川委員 すごい面白い答弁ですよね。先ほど、教員の場合は児童生徒、保護者というんですけれども、同じ学校に勤務する事務職員の場合は都民となるんですか。保護者とかは、そういう限定的な対象にならないんですかね。伺います。
○岩野総務部長 児童、保護者も含め、都民というふうに表現させていただきました。
○米川委員 ありがとうございます。
この異動情報なんですが、私は、学校ごとに学校便りや学校要覧などで、保護者や地域を含め公表することで対応できると考えております。
こういったことこそ各学校の判断に任せて、教育庁は、他の局と同様に、管理職の異動情報のみに公表はとどめるべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村人事部長 教員は、児童生徒に対し教育活動を行っており、その異動については、児童生徒や保護者などからの関心が特に高いことから公表しております。
○米川委員 それは善意の考え方でありまして、確かに、そういった考えで公表するのも一つの考えですが、個人情報というか、どこの学校にどういうレベルの、大体、給料をどのくらいもらっている方が配置されたというのは全部分かるんですよ。そうすると、そういった情報を基に営業をかけたいとか、そういった方たちも出てくると私は懸念しておりますし、実際に人事部にいたときには、そういう営業電話は結構かかってくるんですよね。特に管理職とかになりますけれども。一般行政職の場合は管理職の名前は公表されていますので。
そういったことに多くの教員が巻き込まれるとまではいいませんけれども、そういった情報を使うような方たちも世の中にいらっしゃいますので、ぜひ情報の公表というのは限定的にすべきだと考えております。
今のところはまだ変えないということなんですが、教員だけ特別にじゃなくて、教員も発表する時期を前倒ししたということで、地域の方たち、保護者、生徒への配慮というのはかなりされているんですが、別の形で対応ができるのであれば、一斉公表というのはやめた方がいいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
次に、グローバル人材について伺いたいと思います。
教育委員会の事業概要の二ページに、とてもいいことが書いてあるんですね。生徒からのアンケートというか、何のために学ぶのかを示してほしい。そして、三ページには、子供一人一人が、何のために学ぶのか、学んだことがどう役立つのかを実感、理解とあります。とても大事なことです。
そこで、都立学校には、進学指導重点、普通科、商業科、工科高校、チャレンジスクール、エンカレッジ等、様々な学校があり、多様な生徒が学んでおります。
教育委員会が育成しようとしているグローバル人材といっても、そのありようは、学校や生徒一人一人ごとに様々だと考えます。
そこで、教育委員会が育成しようとしているグローバル人材とは、具体的にどのような方なのか、伺います。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、東京グローバル人材育成指針において、小中高等学校を通して育成すべき資質、能力を四つ設定しております。
具体的には、主体的に英語を学び続ける態度と英語力を基盤とし、国内外の諸課題の解決を追求する思考力、自分らしさ、郷土を理解し、世界の一員として社会参画する力、多様な文化を背景とする人々と協働する力を身につけることを目指し、取組を展開しております。
○米川委員 すごく抽象的なんですよね。グローバル人材といっています。例えば、人材とつけば具体的な、何々人材、例えばIT人材だと、SEさんであったりプログラマー、そういった形の仕事なのかなというふうに具体的な職業が思い浮かぶと思うんですが、教育委員会が育成しようとするグローバル人材、これ、具体的にと聞いているんです。
具体的に、どういった仕事に就くような人材、就けるんだとか、職業をお聞きしているんですけれども、お答えください。
○信岡グローバル人材育成部長 先生おっしゃるとおり、都立高校には、進学指導重点校、普通科であったり、商業、工業等の専門高校、あるいはチャレンジスクール、エンカレッジスクール等々、様々な学校がございます。
育成しようとするグローバル人材といいましても、そのありようは、学校ごとに様々だと考えております。
○米川委員 グローバル人材、よく分からぬのですよ。国際的に、いろんな会議に出て活躍する方なのか、それでもなければ、地域で、外国の方はいっぱい来ていますので、そこでコミュニケーションをしたり、地元の東京都内のホテルで働くホテルマンとか、いろいろといらっしゃると思うんですけれども、そこを、こういったことが具体的にあると、学ぶにしても、とてもやりがいが出てくると思うんですね。
ですので、教育委員会の事業概要には、本当にいいじゃないですか、何のために学ぶのか示してほしいという子供の声があり、一人一人が、何のために学ぶのか、学んだことがどう役立つのか実感、理解。なかなか自分たちが中学校や高校で学んでいることがつながっていくことはないじゃないですか。
だから、この人材、どういったものかというのをお答え願えますか。
○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、東京都教育委員会は、東京グローバル人材育成指針において、小中高等学校を通して育成すべき資質、能力を四つ設定しております。
具体的には、主体的に英語を学び続ける態度と英語力を基盤とし、国内外の諸課題の解決を追求する思考力、自分らしさ、郷土を理解し、世界の一員として社会参画する力、多様な文化を背景とする人々と協働する力を身につけることを目指して、取組を展開しております。
○米川委員 具体的なこういう人材だというのは、特に教育委員会はないということでよろしいですね。――はい。じゃ、次の質問に行きます。
スポーツ等の特別推薦について伺います。
文化・スポーツ等特別推薦は、各都立高校の個性化、特色化を推進するため、卓越した能力を持つ生徒の力を評価とありますが、硬式野球部のスポーツ推薦について伺っていきます。
硬式野球部のスポーツ推薦を五十校以上の学校で実施していますが、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に記載された三か年の目標が達成できていません。
硬式野球部のスポーツ推薦について、評価、検証はどのように行い、このような状況をどのように考えているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 各学校におきましては、要綱で定められた各都立高校の個性化、特色化を推進するという特別推薦の目的等について検証を行っております。
都教育委員会は、各学校からのこれらの報告と特別推薦の目的等を総合的に勘案し、選抜方法として定めて実施しております。
なお、各学校においては、今後三年間の目標を掲げることで当該部活動の活性化等を図ることができるようにしてございます。
○米川委員 そうしますと、硬式野球部のスポーツ推薦で、これまで実施をやめた例というのはあるのでしょうか。伺います。
○村西都立学校教育部長 硬式野球に係る特別推薦におきまして、実施を取りやめた事例はございます。
○米川委員 その中で、今年の入学者選抜実施要綱の中に都立杉並工科高校というのがあります。募集人員は減りました。五から三になっていますが、今年の夏の選手権の予選では、合同チームで出場した学校であります。そういった学校が生徒を募集して三名入って、この三か年で実施していくという目標を達成できるのかなというのは甚だ疑問になっています。
あと、実際の資料要求で出していただいた資料を見ても、ほぼというか、ゼロですよね、目標を達成できたのは。それに近いような学校は複数校あります。それは、昔から評判の学校でありますが。
そこで、硬式野球部のスポーツ推薦について、現状の厳しい状況であるならば、推薦する意義というのはとても少ないと思います。
他の部活動のスポーツ推薦についても、目標と結果、こういったものをしっかりと確認した上で、成果の出ていないものは中止すべきだと考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 各学校におきましては、要綱で定められた各都立高校の個性化、特色化を推進するという特別推薦の目的等について検証を行うとともに、今後三年間の目標についても、その実績を踏まえた検証を行っております。
今後も、都教育委員会は、各学校からのこうした報告と特別推薦の目的を総合的に勘案し、選抜方法として定め、実施してまいります。
○米川委員 そうであるならば、目標の立て方も変えてもいいと思うんですよね。成績がどのぐらいだというんじゃなくて、学校によっては、特色ということで、その子たちが入ることによって活性化につながるのであれば、そこら辺をもっと打ち出していくのもいいんじゃないかと思うんですよ。もし仮に、このまま進めるのであれば。
なので、一律に、前年やっているから同じような形を続けるのではなくて、目標のところも様々な設定の仕方があると思います。甲子園に出るのも一つだし、しっかりとチームをつくって、三年以内に一回戦を突破するというのでもいいかと思います。さらに、学校のいろんな活動に積極的に参加するとか、そういうことができる子を募集していますと、目標の中に入れてもいいと思います。仮に結果が伴わなくても進めるのであれば。その辺も、もっと柔軟に対応していただきたいと思います。
次に、推薦入試です。
東京都立高等学校入学者選抜実施要綱の一ページ、第1、推薦に基づく選抜、1の一般推薦、基礎的な学力を前提にとありますが、評定に一がある場合、この基礎的な学力があるとはなかなか考えられないのですが、一般推薦にある基礎的な学力とは、観点別学習状況の評価や評定でどのような成績なのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 推薦に基づく選抜の選考におきましては、入学者選抜実施要綱で定めているとおり、各都立高校があらかじめ定めた選考方法に基づき、調査書、個人面接、小論文または作文等の検査を総合した成績などにより行っております。
○米川委員 評定に一がある生徒は基礎的な学力があるとはなかなか考えられませんが、中学校長が推薦している事例はあるのでしょうか。
また、あった場合は、なぜ推薦しているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 まず、前段の、一がある生徒は基礎的な学力があるとは考えられないの部分でございますが、繰り返しの答弁になります。推薦に基づく選抜の選考は、調査書、個人面接、小論文または作文の検査を総合した成績などにより行っております。
中学校長は、要綱に定めた選抜の目的等を考慮の上、推薦する生徒を決定する仕組みとしております。
なお、事例があったかどうか、個別の事例につきましては、入学者選抜の実施、運営に関わる情報でもあるため、ここで申し上げることは控えさせていただきます。
○米川委員 そうしますと、基礎的な学力というのは、はっきりとは出てこないということですね。
私立の入試であれば、内申が幾つ以上ですよとかというので、大体、ある程度のレベルというのは分かるじゃないですか。
都立の場合は、ほぼ全ての学校で行っているので、いろんな子が来る部分があって難しい部分はあると思うんですが、基礎的な学力を前提にとあるので、最低限、そこの部分は測った上で――推薦入試というのであればですよ。一般入試は別ですから。推薦入試を行うのであれば、この辺は明確に、中学校側ともすり合わせをした上で、求める能力というのはこういうものですよというのを、しっかりと教育委員会の方で定めていただきたいと思います。
最後に、ICT、デジタル支援員について伺います。
都立高校のデジタルサポーターは各校一名となっていますが、その場合は、全定併置校の場合、どのような勤務になるのか、伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 都立高校のデジタルサポーターについては、各校一名配置しております。
なお、全日制と定時制の併置校では、各校がデジタルサポーターと調整の上、勤務時間の割り振りについて、全日制を中心に支援する日と定時制を中心に支援する日を決めてございます。
○米川委員 ICT支援員がいない日は生じないのでしょうか。
もし、いない日があれば、どのような対応をしているのか、教員のどのような業務をサポートしているのか、伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 デジタルサポーターは月十六日の勤務であるため、不在の場合には、校内のICTリーダーが中心となり、業務をサポートしております。
主なサポート内容は、ICT機器のトラブルへの速やかな対応、デジタルを活用した授業への技術的支援や教員研修の実施などでございます。
○米川委員 サポートをしっかりされているということなんですが、今ちょうどデジタル化がどんどん進んでいる段階で、いろんな機器も入って、まだ教員の能力が一定じゃない時期ですので、可能な限り、人をしっかりと配置してレベルをアップして、今後、このデジタルサポーター、支援員というのが、永遠に各校一名でいるとは思っておりません。デジタルの能力が教員の方についてくれば、この人数も減ってきたり、予算も縮減したり、配置の仕方も数校に一名とかという形になるかもしれませんので、ぜひ現場の状況を把握した上で、このまま一名でいいのか、この数年間は複数名配置した方がいいのかというのを、しっかりと担当部の方で現場の把握をした上で、東京都立学校のデジタルの能力を上げていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時二十二分休憩
午後六時五十五分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○磯山委員 それでは、学習障害、LD支援について質問をいたします。
まず初めに、発達障害の定義及び学習障害の定義について伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 発達障害は、発達障害者支援法において、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害や心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害と定義されてございます。
学習障害は、文部科学省が作成した障害のある子供の教育支援の手引において、全般的に知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態と定義されております。
○磯山委員 ASDは自閉症といわれることもありますが、自閉症の中には知的障害を持つ子もいます。また、学習障害は発達障害の一類型ですが、ASDやADHDを併せ持つ子も存在します。
ここで確認したかったのは、発達障害という概念は非常に曖昧であるということであります。だからこそ個別最適な支援の提供や合理的な配慮が必要であり、かつ効果が得られやすいと考えます。
例えば、学習障害の中には、ディスレクシアや計算障害など、文字による読み書きが苦手なため、学業上に大きく影響を及ぼす一方、聞く、話すなどのコミュニケーションスキルや社会的な協調性などのソーシャルスキルに問題のない子供も多く含まれています。
このことは、こうした子供たちにアクセシブルな教材を届け、学びの幅を広げることなど、通常学級での合理的配慮により社会側の障害を取り除くことができる可能性を秘めているといえるのではないでしょうか。ディスレクシアの子供たちの困難を取り除くために学校現場に求められることは、早期発見、適切な支援につなげていくことです。
先日、つくば市のTsukubaモデルを視察させていただきました。Tsukubaモデルは、小学校入学時と秋にそれぞれアセスメントテストを行うことにより、読み書きに困難のある生徒の実態を教育委員会や学校現場が主体的に把握し、その後の支援につなげる取組であります。
そこで、ディスレクシアのアセスメントの必要性について、都はどのように認識していますか。見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 児童生徒の障害に応じた適切な指導方法を選択し、実践していくには、発達の状況等を測る各種検査などによるアセスメントを通じて、一人一人の特性や学習上、生活上の困難さを正確に把握することが必要でございます。
このため、都教育委員会は、都内小中学校に対し、特別支援教室の運営ガイドラインを示し、その中で、特別支援教室入室前には、必ず標準化された発達検査を実施することとしております。
また、各校に臨床発達心理士等を派遣し、教員に対し、学習障害を含めた発達障害のある児童生徒の授業観察等に基づく指導方法などを助言しております。
○磯山委員 アセスメントの必要性については、都としても認識しているとのご答弁をいただきました。当事者の方々にとっても大変心強いと思います。
私自身も、教員経験者にお会いする際に、今までご担当された生徒の中にディスレクシアとかLDの子はいましたかと最近聞くようにしています。中には、いませんでしたと答える教員の方もいらっしゃいます。確率的に考えると、いなかったのではなく、見つけられなかった方が正解であろうと思います。
Tsukubaモデルに取り組んだ元教員の教育委員会の職員さんも、この取組を行って、ふと昔の教員時代のことを思い返すと、漢字ができない子に五回は書きなさいと指導していた、今考えれば五回に理由なんてなかった、今ならもっと違う指導をしていると率直にお話をされていました。この気づきは、先駆者による実践により得られるのかもしれません。
日本語は同音異義語が多く、平仮名、片仮名、アルファベット、数字と、文字の種類も多い。テストの点が低いというだけで、僅か七歳、八歳で、学びが楽しいではなく、苦痛になってしまいます。
東京都は、国をも動かす力を持っています。都が実践することができれば、都内の子供たちはもちろんのこと、全国の子供たちを救うことにつながります。
そこで、適切な支援を行うためには、教員の育成のための研修や家庭を含む社会への周知が必要です。それぞれについて、どのように取り組んでいくべきと考えていますか。都の見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、各小中学校の特別支援教室で指導を行う巡回指導教員等が児童生徒の障害特性の把握や指導目標の立て方、必要となる教材の選択とその活用方法などを身につけられるよう、専門性の高い教員や外部講師による研修を実施しております。
また、一部の学校では、学校便りに発達障害のある児童生徒の特性や効果的な支援方法などに関する記事を掲載し、全保護者に配布するとともに、学校のホームページに掲載するなどし、発達障害への理解の広がりに向け、周知してございます。
今後も、区市町村教育委員会と連携し、教員の指導力の向上と地域社会の理解促進に努めてまいります。
○磯山委員 例えば、愛知県長久手市では、今年度から筑波大学元教授の宇野氏を招聘して研修事業を開始しています。また、認定NPO法人EDGEなど民間六団体と共同で、十月のディスレクシア月間を周知しています。
一人一人の子供のスタイルに合った学習を保護者が一人で悩むのではなく、教員、学校、地域と共有し、試行錯誤し合える社会を目指し、施策を展開していただくことを要望いたします。
ディスレクシアの子供たちの中には、学力が高い子もいます。しかし、日本の伝統的な教育システム上、授業はもちろんのこと、テストにおいても、全ての教科において文字をベースとしたテストがほとんどです。
昨今、都では英語のスピーキングテストが導入されましたが、ディスレクシアの子供たちにとっては、話すことによるアウトプットが評価されるという点においては、初めて公平感を感じることになったのではないでしょうか。その点について、私は評価していますが、文字ベースの従来のテストや都立高校入試においても工夫を行うことが必要です。
そこで、学習障害に対する配慮を一層きめ細やかに行うべきと考えますが、都立高校入試での対応はどうなっているのか、都の見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、都立高校入試におきまして、学習障害を含む様々な障害により、通常の検査方法では受検が困難と認められる生徒につきまして、受検上の配慮を入学者選抜実施要綱に基づき実施しております。
具体的には、読字障害のある受検者には、ルビを振った問題や拡大した問題用紙の使用、書字障害のある受検者には、記号選択式問題の使用等の対応を行っているほか、別室による受検や検査時間の延長も必要に応じて実施しております。
都教育委員会は、今後も引き続き、都立高校入試におけるこうした受検上の配慮につきまして、ホームページや募集案内資料等で周知するとともに、障害のある志願者等が力を発揮することができるよう、個別状況に応じた受検上の配慮を可能な限り行ってまいります。
○磯山委員 現在でも、既に配慮等の対応を行っているとの答弁でありますが、高校受検に関しては、配慮の在り方によって受検生の対策や志望校の設定など、進路に大きく影響します。安心して受検を迎えられるよう、できるだけ早く適切な支援が当たり前に受けられるような仕組みづくりや、保護者に対しての分かりやすい周知に取り組んでいただくことを要望いたします。
そもそも中学校で配慮がなければ、高校受検で配慮申請すら諦めている当事者、保護者も多いわけであります。中学校の配慮実績がなければ、学校に認めてもらうハードルがすごく高くなってしまうこと、また、実際に配慮された経験がないので、本人も保護者も、もしテストで配慮があれば、テストでいい点が取れるかもといったことすら、考えに至らないことがあります。
さて、テストは高校受験だけではありません。それぞれのライフステージの段階に応じて、様々なテストや試験が存在します。
例えば、小学校のテストの際には読み上げ機器を活用することができたが、中学校になったら利用させてもらえなかったケースもあると伺っております。当然、テストの点数が悪ければ、それはイコール学業不振と呼ばれることになります。
また、小学校では適切な支援が提供されていたのに中学校で提供されていないことは、テストだけにかかわらず、合理的配慮の観点からも大変な問題であります。テストで認められていないのであれば、通常学級の中でも配慮が認められていないのではないかと推察いたします。
そこで、読み上げ機能の活用については一層の取組が必要と考えますが、見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、学習障害のある子供が教科書の内容を理解しやすくするために、学習用端末の読み上げや文字の拡大機能を用いるなど、子供たちの学習を効果的に支援する方法を示した教員向けリーフレットを新たに作成しております。現在、学習障害のある子供や保護者から意見を聞いており、その内容を反映しているところであります。
今年度中には、小中学校等に本リーフレットを周知し、端末を活用した支援について教員の理解、啓発を図り、子供たちに効果的な学習支援が行われるようにしてまいります。
○磯山委員 リーフレットの完成を心待ちにしております。
学校関係者の方から伺った話の中には、読み上げ機能を利用していたが、学年が上がり、自分だけが読み上げ機能を利用することに、周囲と違うことが嫌でやめたいといった生徒さんもいたそうです。利用すべき子が当たり前に利用できる環境をつくってあげたいと思っています。
また、当事者にとっては、小学校、中学校、高校、大学、社会人と、ライフステージごとに同じ問題を抱えているのに、何度も何度も同じ説明を繰り返すうちにむなしくなったり、周囲の理解度の差により自らへの対応が変化することになれば、社会への不信感、どうせ分かってもらえないといった諦めを抱えながら人生を過ごすことになります。
自己肯定感の低下により、失敗体験を自分の責任と刷り込まれる、そしてSOSが出せなくなる、そして感情のコントロールが苦手になるといった悪循環に陥り、結果、不登校にもつながります。
実際、不登校の原因には、学業不振による生徒も一定数の割合が示されることはよく知られております。主に小学校の学業不振の理由に学習障害が影響していることは、容易に想像できます。
不登校対策としても、通常学級における学習障害への支援が効果的であると考えますが、都の見解を伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、小中学校において、学習障害を含む発達障害のある児童生徒の通常学級での学びをサポートするインクルーシブ教育支援員の配置に対する補助事業を実施しております。
さらに、配置の充実に向け、今年度から、全ての学校において支援員を同時に複数配置することを可能といたしました。
これらにより、児童生徒が通常学級で安心して円滑に学習できるような環境を整えております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、支援員の補助制度の活用をさらに働きかけ、通常学級における発達障害のある児童生徒への支援を推進してまいります。
○磯山委員 人に対してのアプローチや施策の効果は複合的であるため、それが効果を増幅するようなシナジー効果を意識することが重要です。
一つの教育施策の効果がほかの教育的課題へ好影響を及ぼす、そして、それが反響し、増幅していく。このような循環型教育、いわゆるサーキュラーエデュケーションといった考え方に立てば、インクルーシブ支援員の配置により、未然に不登校を防ぐことにもつながっていくと思いますので、引き続きの施策の促進をお願いいたします。
学習障害の児童の心の苦しみは、他者に分かってもらえないことやばかにされること、怒られることなどにより、自己肯定感が著しく傷つけられることにあります。まずは、学校の先生が理解することが必要であると同時に、家庭や社会が学習障害について理解すれば、これらの苦しみを取り除くことができます。
ディスレクシアを公表している著名人は多く存在いたします。例えば、俳優のトム・クルーズ氏やスピルバーグ監督、リー・クアンユー元シンガポール首相、徳光和夫さんのおいのミッツ・マングローブさんなどです。
そこで、学習障害について理解すれば、これらの苦しみを取り除くことができると考えますが、理解の促進に向けた取組について伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 学校や地域社会が学習障害を含む発達障害に対する理解を深め、障害に起因する学習等の困難を抱える児童生徒に対し、適切な支援が行えるようになることは重要でございます。
このため、都教育委員会は、発達障害教育への理解を広めるためのリーフレットを作成し、学校を通じて保護者へ配布するとともに、ホームページでも公開しております。
また、全ての教員が教材や指導事例などを教育専用のホームページから検索し、参考とすることができる環境を整備しております。
○磯山委員 二年遅れていました、ほかの子にばかにされました、両親、特に母親が助けてくれました、映画をつくることが乗り越えることでした、成長時期として、中学校が一番つらかったです、今でも、読む時間は、ほかの多くの人の二倍以上かかります。これはスティーブン・スピルバーグ監督の言葉です。
ディスレクシアは学業不振の原因になり得るし、学業不振の影響が大きく出始めるのは、高校受験などを身近に控える中学校時代であると思います。
もう一つ。疫病神のように聞こえます、私は、単に文字を認識するのが難しく、そのため、ほかの子よりも努力しなければなりませんでした、学校はいつもちょっと厄介でした、多くの人は、ディスレクシアの人は間抜けだと思っています、ディスレクシアは知性がないことを意味するものではありません、読み書きに問題があっても、友達のことを笑ってはいけません、もしかしたら、彼らは映画スターになるかもしれないし、あなたは彼らの映画のプレミアム上映チケットを欲しがるかもしれません。これは俳優のオーランド・ブルーム氏の言葉です。
日本社会は、もちろん、まだまだディスレクシアを知りません。自分と同じ境遇、環境にあった先輩の成功体験はロールモデルになります。ぜひとも、そういった機会を創出していただくことを要望いたします。
真理や美といった絶対的なものへの到達を憧れてきた人間の歴史の積み重ねが学問であるとすれば、学校で学んだことを一切忘れてしまったときになお残っているもの、それこそが教育であるという、いにしえの指摘にはうなずかざるを得ません。
学問的知識をすっかり忘れてしまったとしても、その人の心に残る知的好奇心や探求心が満たされることによる喜び、新しいものに出会うわくわく感に魅了され、何歳になっても学び続ける姿勢、人生に意味を与えると感じられる、これらのことこそが教育の本質ではないでしょうか。
ディスレクシアだけではありませんが、発達障害には様々な症状があります。ニューロダイバーシティ、脳の多様性の考え方の下、こういった子供たちの抱える様々な困難を取り除くことが必要です。
教員の人材育成や確保、事務の増加など現場の負担増や、親や社会の固定概念の打破など課題はありますが、それらを乗り越え、発達障害教育を大きく前進させるべきときに差しかかっていると思います。
今いる子供たちはもちろんのこと、この先、生まれてくる未来の子供たちに希望をもたらすため、坂本教育長の決意を伺います。
○坂本教育長 発達障害のある児童生徒が学習上または生活上の困難を改善、さらには克服するとともに、その持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現することができるよう、障害の状態等に応じた教育の場をしっかりと拡充し、適切な支援を行うことは、非常に重要なことだと考えております。
都教育委員会は、平成二十八年度から、発達障害教育を担当する巡回指導教員、こういうシステムを設けまして、各校を巡回して指導を行う特別支援教室の導入を開始し、令和三年度に全ての小中学校に設置を完了したところでございます。
また、都立特別支援学校のセンター的な機能を十分に活用して、小中学校などからの要請に応じて、高い専門性を有する教員が講習などを実施するなど、様々な施策を通じて、発達障害のある児童生徒に対する支援の充実にこれまでも取り組んできたところでございます。
今後、学校における発達障害教育をより一層推進するため、学習障害を含めた発達障害により困難に直面する児童生徒への理解をさらに深め、一人一人の特性等を踏まえた指導を充実させて、誰一人取り残さない教育環境の整備、そして、その実現をしっかりと進めていく決意です。
○磯山委員 坂本教育長の力強い決意は、今、苦しんでいる子供、大人、そして、これから生まれてくる全ての子供たちにとっての希望であります。
今の積み重ねが、いずれ到達する未来の形をつくります。教育長が残した言霊に私の思いも重ね合わせて、次の質問に移ります。
過去、一般質問でも取り上げたテーマです。
特別支援学校の生徒の中には、知的な遅れはないものの、肢体不自由児として特別支援学校に通っている生徒もいます。
オンラインで児童が集まって授業を行っている現場を視察させていただきました。オーストラリアの東海岸のサンゴがなぜ減っているのかについて、チャット上で議論を交わす生徒たちは生き生きとしていました。
当然、東京に限らず、全国にも同じように学習をしたい児童が存在していると思います。都が音頭を取り、全国にこのような取組を広げていくことが、子供たちの未来を大きく切り開くことにつながります。
オンラインにより複数の特別支援学校が合同で授業を行うことは、子供たちの学びを広げる上でも重要でありますが、現在の都の取組状況について伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、今年度、七校の特別支援学校を研究校に指定し、各校が子供の授業の進み具合や体調等を考慮して指導計画を作成し、学校間をオンラインでつなぎ、合同で学習を行っております。
子供たちは合同での学習を楽しみに準備に取り組み、授業中には他校との意見交換や調べ学習を意欲的に行う姿が見られました。また、教員が授業の中に子供たちの話合い活動を積極的に取り入れるなど、子供を主体とした授業への改善が見られました。
さらに、研究校の担当教員による連絡会を開催し、より多くの教科等でオンラインによる学習ができるよう協議を行ってまいります。
○磯山委員 今年度は七校に拡大しており、成果も出ているようであります。今後、これまでの取組を生かし、東京都が先頭に立って全国展開していただくことを要望いたします。
次に、学校給食について伺います。
地産地消の取組は、学校給食において重要であります。生産者の顔が見えることにより地域への愛着形成がもたらされることや、産地直送による新鮮さがおいしい給食を実現いたします。
多摩地域においては都市農業が盛んな地域も多く、地場産を東京産農産物と捉えれば、主に二十三区の小中学校や都立学校の給食への東京産農産物の活用を推進すべきです。
学校給食において、都内産、地場産物を活用したことがある学校の割合は、二十三区内の公立小中学校でも、区内の都立学校でも約九割と聞いていますが、より一層の活用を促すためにどのような取組をしているのか、都の見解を伺います。
○山本地域教育支援部長 学校給食に地場産物を使用し、食に関する指導の生きた教材として活用することは、地域の自然、文化、産業等に関する理解を深めるとともに、生産者の努力や食に関する感謝の念を育む上で重要でございます。
そのため、都教育委員会は、農地のない都心部の学校等においても東京産の地場産野菜の活用が図られるよう、関係局と連携して取り組んでおります。
また、都立学校や区市町村立学校の栄養職員等を対象とした研修におきまして、地場産物を使用した食育の好事例の紹介や、活用の方策についてグループで討議を行い、地場産物活用の理解を深め、学校給食で積極的に取り入れられるよう促しております。
今後とも、学校給食に地場産物がより一層活用されるよう取組を進めてまいります。
○磯山委員 導入率の向上につながるように、需要創出、供給力の強化の両側面からの支援について、産業労働局とも連携していただいて一気通貫の取組促進に努めていただくことを要望いたします。
次に、デジタルを活用したこれからの学びについて伺います。
先日の予算委員会で取り上げた本事業は、デジタルを活用し、わくわくする授業を行うといったもので、本年度、都内十校が研究校として取り組んでいます。
先日、西東京市の上向台小学校の現場を松田委員と一緒に視察をさせていただきました。教室はフリーアドレスで、グループの人数も様々、会話もしながら主体的に取り組む生徒の様子は、さながら都庁の近未来型オフィスのようでありました。
デジタル端末の活用により、先生は、一括して生徒の進捗を把握し、必要に応じてアドバイスをしていました。先生からは、どちらかというと、授業は静かに管理して行う方が好きな方だったんだけれども、子供たちがこんなにも、何も指導しなくても自主的に学ぶことができるということをすごく知りましたといった感想もお聞きいたしました。子供たちはもちろん、教員の意識変革にもつながることが授業のわくわく感につながっているんだと思います。
デジタルを活用したこれからの学び事業については拡充していくべきと考えますが、本年度の成果や今後の取組の方向性について見解を伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 今年度、デジタルを活用したこれからの学び研究校では、集中して授業を受けることが難しい子供は、その子のペースで学習を進めることができた、学習内容の理解が早い子は、より高度な内容への学習を進めることができたなど、個別最適な学びを実現してございます。
また、研究校からは、自分の教室を出て、隣の学級の子供と一緒に学習したり、日本語の指導を必要とする子供がインターネットの翻訳サービスを活用しながら自分の意見をまとめるなど、学びを積極的に深めようとする子供たちの姿に教員が改めて気づいたという好事例も紹介されております。
研究校でのこうした成果の普及を図り、学校が新たな指導法に取り組めるよう支援してまいります。
○磯山委員 なお、デジタル化を進める上で、三多摩と二十三区の財政状況の違いは大きな影響があります。本事業の予算の拡充や、教員の働き方改革の一環としてテレワークが行えるような校務システムの改修が急務でありますと、視察に行って思いました。
パソコン端末の違い、インターネットにアクセスできる教員用端末が特に少ない多摩地域の学校、教員用デジタル教科書の配布の有無など、特に異動の際には、市区町村の違いが業務に大きな支障を来すこともあるそうであります。都内であれば、教員が同じレベルでデジタル化の恩恵を受けられるように支援を行っていただくことを要望いたします。
最後に、ギフテッド支援について伺います。
ちまたでは、ギフテッドというと、何か天才であり、時に嫉妬の対象になることもありますけれども、日本では特異な才能を持つ児童生徒と位置づけがされております。なぜかといえば、これらの児童生徒は、天才的な才能を持つ一方で、日常生活に困難が伴うことも多いからであります。
例えば、学校の中でうまく人間関係が築けない、じっとしていられない、一部の分野には興味や集中力を発揮するものの、そのほかの分野では、著しく、ほかの児童と比べて劣っているところがあるなどでございます。発達障害の高機能アスペルガーなどを併せ持つ方も多いと思われます。それゆえに2Eと呼ばれております。
国では実証実験として、昨年度より、指定校においてプログラムを実施しています。先日、八王子市教育委員会が提携し、プログラミングやイラストレーターに特化した授業を行っている東京工科大学を視察いたしました。八王子市内の公立小中学校の生徒約二十名がこちらの授業を受けています。大学の授業が受けられるということもあり、生徒も楽しんで受けられていました。
また、保護者からの声としては、ふだんは不登校や不登校ぎみであった子供が、この授業には参加することができたと、喜びの声が届いているそうであります。
興味のある分野に専門的な学びを提供することや、不登校などの原因についても、八王子市教育委員会や大学側が、事前に生徒の状態をヒアリングし環境整備を行っていました。もちろん少人数制であり、サポートするスタッフの学生さんも、参加している生徒さんの数ぐらいいました。授業には、社会性を養うための地域団体によるメニューも用意されており、まさに個別最適な学びが提供されていました。参加していた生徒の笑顔が今も記憶に残っています。
帰り際、受け入れていただいている大学の先生が、不登校や発達障害などを受け入れる前までは、どんな子が来るのか、大丈夫なんだろうかと思っていたけれども、そんな心配は全くなかったよといっておりました。どの子も一生懸命に取り組んで、本当に高度なことをこなしています、普通の子とどこが違うのか、この世界、もっと変わっている人はたくさんいますよといったお話をされておりました。
障害は環境にあるとすれば、その環境を変える力が行政にはあると信じます。今後、都においても、特異な才能を持っている児童生徒の支援については、先進事例の把握を分析し、東京都全域において取組が進むよう支援していくことが必要であると考えます。都の見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会では、興味、関心を持ったことを深く学び、身につけた力を強みとして将来を切り開くことができるよう、都立高校生を対象に、理数や芸術分野の大学教授等から直接指導を受けるプログラムを実施しており、今年度、十九の講座に、合わせて八十一名の生徒が参加しております。
また、国の実証研究を行う地区では、学校外の機関と連携して専門家から指導を受け、学校では扱わないプログラミング等を学ぶ特異な才能を伸ばす取組を行っております。
こうした先進的な実践事例等を収集し、区市町村教育委員会と共有しながら、都内公立学校において個に応じた多様な学びが行われるよう取組を進めてまいります。
○磯山委員 八王子市の取組はとてもすばらしいものでありまして、ぜひ多くの自治体で行われるよう、都でも支援をしていただきたいと思います。
一方、課題としては、国の実証事業が終了すると、予算面がどうなるのかといった不安があると現場の方もおっしゃっておりました。都でも、調査、検証をしっかり行った上で、必要であればバージョンアップしていただき、都の事業として実施することも視野に入れていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございます。
○白戸委員 よろしくお願いします。
今年度から始まりました高校授業料の補助の所得制限の撤廃によりまして、私立高校も含めて、進学先の選択が非常に広がりました。中学生にとって、お金に縛られず、教育方針で学校を選べるということはすばらしいことだと思いますけれども、都立高校においては、逆にいうと、入学志願者の数にも影響が広がることも予想されます。
とりわけ、大学進学率が上がっている状況を反映しまして、進学指導に力を入れている進学指導重点校などの都立の進学指定校への関心が高まっていることも踏まえまして、大学進学実績や進学指導など、指定校として特色のある教育活動を、広く中学生やその保護者に知ってもらうことがますます重要になってくると考えられます。
そこで、都立高校の進学指導指定校のPRに関する取組を伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、進学指導重点校等の進学指導指定校二十九校における進学指導や大学進学実績等について、中学生や保護者の理解を深めるため、今年度から新たに、進学指導指定校における具体的な進学指導内容などを紹介する専用のリーフレットを作成し、全ての公立中学生に配布いたしました。
また、これに加えて、夏休み期間中の八月に、進学指導指定校が参加し、その特色や魅力を伝える進学指導指定校フェアを開催いたしました。
フェアでは、進学指導指定校における進学指導等に関する校長や進路指導担当教員によるプレゼンテーション、卒業生による大学合格体験談の講演なども実施するとともに、都立全ての進学指導指定校の大学進学実績をまとめた冊子を来場者に配布するなど、都立高校の充実した進学指導をPRしております。
フェアには、定員の一千名を大幅に上回る申込みがあり、会場とオンラインの視聴を合わせて約三千名が参加しました。
フェアに来場した中学生や保護者のアンケート結果によると、回答者の約九割が進学指導指定校での取組に対する理解を深めることができたと回答し、中でも、卒業生による講演や授業などの教育課程、大学進学のサポートなどの項目におきまして理解が深まったと回答しております。
○白戸委員 都内各地にあります、この都立の進学指導指定校は、丁寧で特色のある進学指導を行うことをその特色として打ち出して、実際に、いわゆる難関の国公立、そして医学部、そして私立大学の合格者を多数輩出しております。
しかし、そうした実績も伝わっていなければ、当たり前ですが、志願者が増えるはずもなく、今後は私学を選択される可能性も高くなってしまいます。だからこそ、これまで以上に都立の進学指導指定校に関する具体的な情報のアウトプットをしていくことが、中学生の進路選択の参考となって、自ら希望する進路に合った学校を見つけることができると考えます。
また、今年度から実施した、先ほどおっしゃいました進学指導指定校フェアですけれども、大変ニーズが高いイベントであったということが証明できたと思います。来年度以降もぜひ継続するとともに、このイベントのプログラム、内容も、在校生との交流をはじめ、各学校の個別ブースの設置、各進学指導指定校や在校生、そして来場者が双方向でやり取りできる工夫も凝らすなど、一層効果的なPRで学校の理解が促進できるように取り組んでいただきたいと思います。
次に、工科高校について伺います。
工科高校はこれまで、機械や建築、電気など各専門分野に特化した学科において、専門的なものづくりの技能の習得を促進し、ものづくりの現場を支える人材を育成してまいりました。
一方で、現在は、ものづくりをはじめとする産業界においては、AIをはじめ、デジタル技術の進展や環境問題への対応が進んでおり、工科高校においても、時代のニーズに応じて、従来の学科にとらわれない特色のある学校づくりを進めていくことも非常に重要になっております。
そこで、現在、工科高校において学科改編を進めていると聞いておりますけれども、その改編内容について伺います。
○猪倉高校改革推進担当部長 都教育委員会は、産業界における技術革新の進展や社会問題への対応を図るため、工業系学科を先進的な学科に改編する取組を進めております。
具体的には、令和六年四月に、北豊島工科高校において都市防災技術科を、杉並工科高校においてIT・環境科を、中野工科高校において食品サイエンス科を改編、新設し、これまで積み重ねてきた学びを基に、時代のニーズに合わせた特色ある学校づくりを進めております。
さらに、令和七年四月には、六郷工科高校において、幅広い工業分野に関する複合的な専門知識を身につけ、ものづくり産業の成長に貢献できる人材を育成するため、プロダクト工学科など既存五学科をものづくり工学科に改編し、先端技術やデジタルスキルの習得に加え、機械や電気など各専門分野を超えた学びを展開してまいります。
こうした取組により、東京の成長を支える魅力ある工科高校を実現してまいります。
○白戸委員 工科高校においては、DXの進展など、引き続き、時代のニーズに合わせた特色のある学校づくりを着実に進めていただきたいと思います。
今、ご答弁いただいたように、工科高校においては、学科の改編をはじめ特色ある学校づくりなど様々な魅力向上を図っておられますけれども、こうした取組を、中学生やその保護者に確実に伝えていくということも非常に重要になってまいります。
都は、昨年度、我が会派が提案して実現しました、この工科高校の魅力を伝えるPRイベント、工科高校ドリーム・フェスタを新たに開催するなど、魅力発信に向けた取組を進めております。
今年度のこのPRイベントの取組状況と成果について伺います。
○猪倉高校改革推進担当部長 現在、工科高校については、様々な魅力向上に向けた新たな取組を展開しておりまして、進路を検討している中学生やその保護者に、その取組をしっかりと伝えていくことが重要と考えております。
そのため、昨年度に引き続き、工科高校の魅力を発信するPRイベントを、多くの中学生が志望校を探す夏休み期間に合わせ、七月二十八日に開催いたしました。
イベントには二十一の工科高校等が参加し、在校生が自分の学校の特色等を紹介するステージイベントや、起業家や卒業生による講演、VR等の先端技術やものづくり体験コーナーの設置などを行い、中学生や保護者を中心に、昨年度の約二倍である約四千人にご来場いただきました。
来場者アンケートでは、全体の六割以上の方が、これまで工科高校をほとんど知らなかったと回答しておりましたが、そうした回答者の皆様から、工科高校をさらに知りたい、工科高校にも様々な学科があり、どの高校に入っても楽しいと思うなどの声が寄せられ、参加者の約九割が満足と回答するなど、都立工科高校の魅力を十分に伝えることができたと考えております。
○白戸委員 中学生にはもちろんなんですけれども、保護者の方々にも工科高校の具体的な内容を理解してもらい、しっかりと工科高校の魅力ある取組を伝えていくことは、本当に重要だと考えます。
このように来場者も多く、非常に手応えのあるこのドリーム・フェスタなんですが、できれば、会場に来られなかった方へ届くような仕掛け、そして、会場、日程を増やすなど、より多くの方に今後も届くように工夫していただきたいと思います。
ともあれ、過去の工科高校のイメージではなくて、新しい先進技術の工科高校の魅力発信に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に移ります。
近年、学術、文化、スポーツ、経済など様々な分野で急速にグローバル化が進展しております。これはネット環境による情報伝達の速さも影響していると思いますが、これによる世界中の人々の意識の変革、こちらも大きいのではないかと思います。
ただ、残念ながら、日本においては、日本国内でそれなりに経済規模があるために、国内だけでもそれなりに何となく成立をしてしまうという状況がありました。その結果、世界規模目線で物事を考える習慣というのがちょっと希薄になってしまい、例えば、メディアなんかを見ていても、世界の重要なニュースよりも、先に国内の芸能ニュースをやってしまうというような傾向がこれまでも見られました。
しかし、今後は、環境問題、経済問題をはじめ、私たちの抱える課題は、もう間違いなく地球規模になっていき、我々はもちろんですが、未来を担う子供たちは、年齢、国籍、言語などの違いを乗り越え、多様な価値観を持つ人々と協力、協働しながら課題を解決する力が求められることはいうまでもありません。
こうしたグローバル社会の中に今後生きていく子供たちにどのような力を身につけてほしいのか、都教委が目指すグローバル人材育成について伺います。
○信岡グローバル人材育成部長 未来を担う子供たちには、英語力を基盤として、社会の様々な課題を主体的に解決していく力や、多様な人々と協働する力などを身につけることが重要でございます。
都教育委員会は、グローバル人材育成に向けた取組を推進していくためのガイドラインとして、東京グローバル人材育成指針を策定し、小中高等学校を通して育成すべき資質、能力を四つのターゲットとして設定しております。
ターゲット1の主体的に学び続ける態度と総合的な英語力を基盤としながら、ターゲット2、国内外の課題を解決する創造的、論理的思考力の育成、ターゲット3、世界の中の一員としての自覚と自己の確立、ターゲット4、多文化共生の精神の涵養と協働する力の育成の各ターゲットを連携させた取組を推進していくこととしております。
○白戸委員 とかくグローバル教育といいますと、語学だけが重要視されるような傾向がありますけれども、本当に大切なのは、まさに多様性に順応し、自分の意思で主体的に学び、能動的に行動できる人を育てていくことだと思います。ここをしっかりと押さえていかなければ、グローバル教育の方向性を見誤ってしまうのではないかと思っています。
そして、その上で、英語はグローバルに活躍するための基盤であるということも間違いありません。
そこで、英語力の強化に向けた取組と成果について伺います。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、国が実施するJETプログラムを活用し、都立高校全校にネーティブスピーカーを複数名配置し、授業だけでなく、放課後等にも生徒が英語を使う機会を設けております。
さらに、全校で実施しておりますオンライン英会話では、ネーティブ講師とのマンツーマンレッスンを通じた伝わるという成功体験から、さらなる学習意欲を喚起しております。
これらの取組を通じて、使える英語力や積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度などを育成しております。
令和五年度の英語教育実施状況調査では、英検準二級相当であるCEFR、A2レベルの高校三年生は五七・九%となり、全国平均を七・三ポイント上回るなど、生徒の英語力は着実に向上しております。
○白戸委員 基盤となる英語力について、東京の子供たちの英語力は伸びているということですが、語学というのはあくまでも手段であって、大切なことは、英語を用いて何をするかということだと思います。
そのために、学んだ英語を実際に使う場面を生徒たちに体験してもらうこと、英語というのは勉強ではなくて、あくまでもコミュニケーションのツールであると認識してもらうことが重要であると考えます。
実践的な英語力を育むための都教委の取組について伺います。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、英語を使う様々な実践の場を教室以外でも設定しております。
令和四年度から都立高校生の海外派遣を実施しておりまして、訪問先で、生徒は英語を使って、世界的な課題に取り組む大学の研究者との意見交換や、現地高校等での同世代の生徒との互いに文化を紹介するなどの交流を行っております。
令和五年度からは、自分の考えを英語で発信する機会として、都内高校生を対象に英語プレゼンテーションコンテストを開始するとともに、都立高校生を対象に、一泊二日で英語漬けとなる疑似留学の体験ができるTGGサマーキャンプを実施しております。
さらに、今年度からは、英語を用いる職場で仕事体験をする英語でジョブチャレンジを新たに開始いたしました。
○白戸委員 それぞれ、なかなかすばらしい試みであるとは思います。
英語は、受験のために勉強するのではなくて、自分が生きていくためのツールです。正しい英語、これももちろん大切なんですが、それ以上に、それを使って様々な経験を積み、通じること、そして、できることの喜びを感じることが大切ではないかと思います。
今ほど答弁をいただきましたけれども、今年度から新たに開始しました英語でジョブチャレンジは、都内にある様々なグローバル企業にご協力いただきまして、意欲ある高校生が参加したと聞いています。
通常、こういう行事は学校単位で申し込むことが多いのですけれども、この事業は生徒単位で申し込むということで、逆にいうと、どの都立高校にいても、自分が行きたければ申し込めばいい、意欲のある生徒が自ら申し込むことができるというプログラムだと聞いております。学校の枠にとらわれず、自分の意思でこんな機会を獲得できることはすばらしいと思いますし、もしかしたら、こうやって自主的に自分で動いていくこと、これ自体が、既にグローバル教育の始まりなのかもしれません。
さて、前途ある高校生にとって、英語の職場を体験することはかけがえのないチャンスだと思いますけれども、本事業の目的及び実施状況について伺います。
また、併せまして、受け入れてくれている企業の声についても伺います。
○信岡グローバル人材育成部長 英語でジョブチャレンジは、職場で英語を使う体験を通じて、都立高校生が進路について考え、世界を視野に活躍する意識や英語を学ぶ意欲の向上を図ることを目的として実施しており、百三十九名が、外資系企業や外国の公的機関など二十一の企業、団体で仕事体験を行いました。
具体的には、英語によるイベントの運営補助や会議出席、海外駐在経験者や海外出身者との意見交換、ディスカッションなど、受入先の特色を生かしたプログラムを体験いたしました。
参加生徒の満足度は高く、英語をもっと勉強したい、将来の新しい選択肢を考えるようになったなどの声が上がりました。
また、受入先からは、このようなプログラムは、生徒にとって英語の必要性が理解できてよい、若手社員のアウトプットの機会となり、刺激となったなどの声があり、生徒と受入先の双方から好評を得ております。
○白戸委員 本当にこうした経験は、英語の内容というよりも、英語を学ぶ意義を感じて、さらなる学習への意欲を生み出すとともに、社会体験として働くことを改めて考え、将来について考えていくきっかけにもなると思います。
これまで、基盤となる英語力の強化に向けた取組や、学校外で英語を使う様々な実践の場の提供など、都教委がグローバル人材の育成に重点的に取り組んでいることが分かりました。
最後に、都教委がグローバル人材育成に取り組むに当たっての決意について、教育長に見解を伺います。
○坂本教育長 現代は、国内外の学術、文化、経済をはじめ、様々な分野でグローバル化が進展をしております。さらに、地球温暖化や国際競争力が日本は低下をしているなど、様々な課題があらわとなっておりまして、将来の予測が著しく困難な時代が到来したといっても過言ではないと思います。
こうした時代におきまして、単に我々が英語を使えるということにとどまることなく、その背景となる教養や基盤となる英語力、さらには世界の動きを見定めることのできる国際感覚、こうしたものをしっかりと身につけた上で未来を切り開いていくことのできる人材の育成こそが重要になると考えております。
そのために、異なる言語や文化を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力や協調性、新しい価値を創造する力、こうしたことを身につける子供たちを、しっかりと教育ということを通じて育んでいかなければならないと考えております。
都教育委員会は、体験的な英語教育、これを展開するために、英語を使う楽しさ、さらには必要性を体験できる英語学習施設としてTOKYO GLOBAL GATEWAY、これは、一つは江東区の青海でございます。これは、通称BLUE OCEANという名前にしております。もう一か所は立川でございます。こちらはGREEN SPRINGSという、それぞれ銘打ちまして開設をしておりまして、公立の中学生全学年での英語スピーキングテストの実施、多様な国や地域の人々と交流することを通じて将来の可能性を広げる高校生海外派遣制度、こうした先駆的な取組も併せて行っております。
こうした取組の結果、東京の子供たちの英語力は着実に伸びておりまして、その先へ、さらに進めていかなければならないというのが今の状況だと思っております。
未来を切り開く人の育成、これは急務でございまして、教育委員会としても、外国語を当たり前に使いこなす、異なる言語や文化を乗り越えて関係を構築する力、こうした子供をグローバル社会にしっかりと輩出していかなければいけないと思っております。
グローバル化が進む中で、学校に寄せられる期待はますます高くなると同時に、変化も進んでおります。教育委員会として、こうした変化をしっかりと捉えて、子供たちに必要な施策をタイムリーに打ち出して、東京の教育のスタイルの変革に結びつけたいと思います。
こうした考え方によりまして、社会の変化に柔軟に対応して子供の学びを支えることで、世界に羽ばたくグローバル人材を育成していく決意でございます。
○白戸委員 熱い思いをありがとうございます。今後も、語学教育にとどまらない、真のグローバル人材育成教育をさらに推進していくことをお願いして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
資料のご提出をありがとうございました。
私からは、不登校の支援と誰も取り残さないきめ細かな教育と定時制課程について伺います。
まず、不登校についてです。
小中学校の不登校の数は急激に増え続け、昨年度は、全国で三十四万六千四百八十二人と過去最多。東京都でも、二〇一三年以降、過去最高を更新し続け、昨年度は、前年度から四千八百十四人の増となり、三万一千七百二十六人と三万人を超えました。今や十三人に一人が不登校といわれています。
二〇一二年以降、増加し続けていることに、この実態についてどう受け止めているか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 公立小中学校における児童生徒の不登校となる要因や背景は、複雑化、多様化しております。
○斉藤委員 要因や背景は、複雑化、多様化しているということなんですけれども、私はまず、この事態をどう受け止めているかということを聞いたんですね。この事態に正面から向き合ってこそ、不登校の支援を強化することや、安心して通える魅力ある学校づくりのために本格的な対策を打っていけるのではないでしょうか。
今、不登校に直面する子供や保護者は、本当に多くの悩みを抱えています。子供は、外に出ていく機会を失い、居場所や他者との関わりが失われてしまうこと、共働き世帯やシングル世帯では、居場所が確保できなければ、仕事を継続して家計を保つことも難しくなってしまいます。居場所が確保できたとしても、経済的な負担が大きくなるということもあります。まさに多面にわたって対策や支援が必要な状況に直面しているというふうに思います。
今回は、その一端でも考えていく立場から質問をします。
まず、子供の居場所、学びの保障についてです。
不登校になったとき、まずは子供が安心して過ごせる場や時間を取ることが大切だということは共通の認識になっていると思います。それが家庭の場合もあると思いますが、保護者が働いている場合、特に子供が小学校低学年の場合は、日中に子供だけにするわけにはいかず、しかし、長期に仕事を休むことになれば、仕事を失うことにも直結します。学校に通えなくなった子供の居場所や学ぶ環境の保障が緊急に求められている状況です。
現在、居場所や学びの場の保障として都教委が取り組んでいることについて、その概要を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、小中学校に対してスクールカウンセラーの全校配置、支援員の配置を行うほか、対応の具体例を示した冊子の活用を促してまいりました。
○斉藤委員 スクールカウンセラーの配置と昨年度から始まった校内別室指導支援員の配置ということですけれども、カウンセラーの配置については、多くは週一回だけで、相談も数か月待ちという実態があり、配置できる日数を増やしていくべきだということを、この間も繰り返し求めてきました。改めて、その拡充を求めます。
昨年度から小中学校を対象に始まっている校内別室指導支援員の配置の取組について伺いますが、その配置の効果についてどのような声があり、また、都教委はどのように評価をしているか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 配置している学校からは、支援員の付添いにより、教室での授業に参加できるようになったという内容などの報告を受けております。
○斉藤委員 この取組と現場からの声について、都教委はホームページでも示しているんですけれども、その中には、今のご答弁のような声のほか、別室であれば登校できるという生徒たちにとっての居場所づくりにつながったという声や、児童の学校での滞在時間が長くなった、また、笑顔で過ごすことが増えたなど、いい効果が出ていることが分かります。ぜひ、その取組を広げていただきたいというふうに思います。
この間の実績について、要求資料の24で出していただいています。昨年度は、先ほどのご答弁で二百九校での配置、今年度は、昨年度から始めているところを合わせて、区市町村の数を資料で出していただいていますが、合計では幾つになりますか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 三百八十八校になります。
○斉藤委員 昨年度と今年度で合わせると三百八十八ということで、一方で、申請しても補助を受けられなかったという自治体の状況についても声が寄せられています。
そこで伺いますが、これも先ほどのご答弁でありましたけれども、令和五年度、二〇二三年から開始した分の申請件数は三百五校と先ほどご答弁がありました。それから、今年度開始分の申請数というのは三百八十二校ということでありましたけれども、補助が下りなかった件数は幾つか、伺います。
〔発言する者あり〕
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 すみません、遅くなりまして。
二百九十九校となります。
○斉藤委員 二百九十九ということですから、これは昨年度と今年度でいうと、昨年度が九十六件、今年度は二百三件。ちょっと質問が重複しないように申請件数を聞いたんですね。補助が下りなかった件数を聞いたんですけれども、つまり、この申請件数に対して、補助を受けている件数というのは非常に少ないということで、明らかにニーズに対して足りていないという状況だと思います。
予算を抜本的に増やして取組を広げていくということが必要だと思いますが、来年度にはどのように取り組んでいくのか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、校内別室支援員を適切に配置しております。
○斉藤委員 来年度のことを聞いたんですけれどもね。現状のお話を聞いたわけじゃないんです。来年のことでお答えいただきたいんです。まだ決まっていないということだったら、それでも構いません。
来年度はどうでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、校内別室指導員を適切に配置しております。
○斉藤委員 何で同じ答弁なのか。生きたやり取りになっていないんですよね。先ほどからも、そういう、ちょっとかみ合っていない質問というのが続いているんですけれども、なぜ来年度のことが、まだ決まっていないなら決まっていないと、そういうふうにいえないのかというのは本当に疑問です。やっぱりちょっと、ちゃんと誠実に質問には答えていただきたいんですね。
申請しても補助を受けられなかった自治体からは、都の予算が少ないために支援が受けられないというふうな声が出ています。
さらに伺いますが、この校内別室指導支援員の配置の補助は二年間と限定しているのは、なぜですか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 校内別室支援員の配置は、校内別室の設置を促進するために、指定する学校へ支援員配置の経費を二年間補助するものとしております。
○斉藤委員 だから、なぜ二年間なのかということを聞いたんです。どうですか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 校内別室指導支援員の配置は、校内別室の設置を促進するために、指定する学校へ支援員の配置の経費を二年間補助するものでございます。
○斉藤委員 機械的に同じ答弁しかいえないというのは、どういうことなのかなと思いますね。生きたやり取りにならないんですよね。
補助を受けて効果が出ている自治体でも、都の支援が二年で終わるために、校内別室指導も二年で終わりになっちゃうという自治体もあるんです。
校内別室指導支援員の補助期間を二年と区切らずに、また、申請した全ての市町村教委が、学校が補助を受けられるようにするため、予算を抜本的に増やすべきだと考えますが、見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、校内別室指導支援員を適切に配置しております。
○斉藤委員 また同じ答弁なんですけれども、お答えできないから、そういうことになるんだと思うんですけれども、認識とか、それぐらいはいってほしいなと思うんですけれども、申請しても補助が受けられない学校が多数出ていても、適切に配置しているという認識なんだというふうに思います。
これだと、今の実態にふさわしく不登校の支援を充実させていくということにつながらないんじゃないかというふうに思います。せっかくこの取組の事例を公表して、いい効果があるということが認識されているのですから、区市町村からの希望に応えられるように充実させていくことを求めます。
次に、多く寄せられている相談から伺います。
自閉症のお子さんを持つ保護者の方から相談を受けました。子供の特性から通常の学級に通うことが難しく、親も仕事に出ていけない、それでも不登校の状態だと特別支援教室に通うこともできなくて、手詰まりで、親も追い詰められているという深刻な相談でした。
発達障害や自閉症のお子さんの場合、かなり高い確率で不登校になると指摘している専門家もいます。特別支援教室で特性に合った支援を受けることで元気になって成長できるのに、通常学級に通えないなら特別支援教室も利用できないというのは、こうした子供たちにとって大きな壁になるのではないでしょうか。
都教委は、区市町村教育委員会にどういう対応を求めているのか、伺います。
○中西特別支援教育推進担当部長 国は、不登校の子供について、発達障害である場合には、特別支援教室で指導を受けることができることとしております。
また、不登校の解消を主たる目的とする場合などは、特別支援教室以外の支援を行うことが適当とされています。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、こうした国の考え方を提示してございます。
○斉藤委員 国は、不登校の子供について、発達障害である場合には、特別支援教室で指導を受けることができることとしているというのは重要な認識です。そもそも義務教育なのに、子供が特別支援教室なら行けるといっているのに、通常学級に通っていない子は排除するというのは、子供の教育を受ける権利を保障しているというふうにはいえません。
区市町村教委や学校が、不登校状態なら特別支援教室は利用できないという、しゃくし定規な対応ではなく、その子供に寄り添った対応ができるように、都が柔軟な対応を求めるための通知などを出すことを求めます。
不登校だと、学童も利用できずに困っているという声も届いています。
ある夫婦共働きの親御さんは、子供を日中に誰かに見てもらう体制をつくるために、午前中は、時間が比較的自由になる父親、午後は、ファミリーサポートの二人と、そして子供の祖母、そして母親である自分とで交代してやりくりしているけれども、父親は午前中に仕事ができなくなるので、代わりに夜や土日に働いて、家族三人の団らんや休憩の時間もないということでした。
毎日、翌週の預け先の手配をしていて、日々、自転車操業のようだということです。せめて、学校に行けなくても学童になら行けるという場合は認めてほしいと切実な声を寄せてくれました。
関係機関との連携が必要で、なかなか一足飛びにはいかないかもしれませんが、不登校の児童生徒が急増している今、柔軟な対応を行うなど検討していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、不登校の子供一人一人の状況に応じた適切な対応を行っております。
○斉藤委員 現状のお話なんですけれども、適切な対応をしているということですけれども、しかし、現状は、子供の居場所探しに保護者も悩まされている状況です。こうした実態をよくつかみ、現場の声を聞きながら関係機関との連携を取るということも検討していただきたいというふうに思います。
不登校の支援については、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、スクールエデュケーター、特別支援コーディネーターなど、いろいろいますけれども、誰がどういう役割なのか、保護者にとっては分かりにくいということや、たらい回しのようになるような状態になってしまって、結局、どこに行っても解決をしないという状況があると、当事者の方から伺いました。
この問題ならカウンセラー、この問題なら特別支援コーディネーターなどといろいろ紹介されても、働いていたら、そのたびに休むということが大変だということ、また、子供は、親と一緒に外に出かけて相談する場に行くということがなかなかできないという状況があります。
相談をたらい回しのようになるようなことではなく、一緒に解決策を考えてほしいという実態があることも、ぜひ認識していただきたいと思います。
自治体によっては、教育支援センターが一つしかなく、遠方から通うことが大変な状況もあります。
教育支援センターを増やす区市町村の取組を、都として後押しする支援を充実させることが必要だと思いますが、見解を伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、区市町村に対し、教育支援センターの新規設置の支援を既に実施しております。
○斉藤委員 実施しているということで、だから、その充実を図っていただきたいということなんですね。教育支援センターが少ない自治体には新規建設をもっと後押しできるように、この取組の強化を求めたいと思います。
国の調査では、全国の小中学校で不登校になっている児童生徒三十四万六千四百八十二人のうち、十三万四千三百六十八人がカウンセラーや外部機関などによる専門的な相談や支援を受けていないということが明らかになっています。
このことを受けて、国は、家庭から出られずにいる児童生徒たちに訪問を行うアウトリーチ事業の強化に向けた費用を、来年度予算の概算要求に計上していると報じられました。
大事な視点だというふうに思いますが、都教委は、アウトリーチの支援はどのように取り組んでいるのか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、区市町村教育委員会が小中学校において地域人材を配置し、不登校等の子供及びその保護者に対し、家庭訪問等を行う場合の配置経費について支援を行っております。
○斉藤委員 ちょっとこの実績についても伺いたかったのですけれども、今、集計中というふうに伺っていたので、これは、また後ほど教えていただければというふうに思います。
今後、国が具体的にどのような支援を強化するのかということもありますけれども、重要な視点だと思うので、都としてもアウトリーチ支援の取組を拡充させていくこと、不登校の子供、保護者に寄り添った支援を重ねて求めます。
不登校になった児童生徒や保護者への支援と同時に、不登校を生まないためにも、子供たちが安心して通える魅力ある学校づくりを行っていくことも喫緊の課題です。
不登校の子の保護者の方からは、子供が学校がつまらないといっていたり、また、施設規模に対して子供の数が多過ぎるので、校庭を使うのも制限されて遊べない、チャイムの前に着席など、細かくいわれてストレスがたまる、こういうことを子供がいっているということを教えてくれました。
学校ごとに学校のスタンダードという細かい規則があって、子供たちはそれを守らなければならず、常に緊張を強いられている、そういう状況です。
こうした管理統制型の在り方を、求めていくことが重要だと考えますが、見解を伺います。
○市川指導推進担当部長 校則は、各学校が教育基本法等に沿って教育目標を実現していく過程において、児童生徒の発達段階や学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえまして、最終的には校長により制定されるものでございます。
○斉藤委員 校則がどうつくられているのかというのを聞いたんじゃないんですね。しかも、校長の責任かのように押しつけるということじゃなくて、やっぱり、不登校を生まないための楽しい、魅力ある学校の在り方を考える上で、都教委の役割こそ発揮しなければいけないんじゃないでしょうか。
学校で日常的に行われている活動や、スタンダードと呼ばれる学校生活のルールなどが不登校の子供たちを量産することにつながっていないか検証をする必要があるということを指摘している専門家もいます。ずっといわれ続け、私たちも繰り返し指摘をしてきました。都として、この検証に踏み出すことを求めます。
先日、東京学芸大学の研究チームが、一日六時間授業となっている現在の中学校の授業時間について、千六百五十人の教員を対象にアンケート調査を行ったところ、約七割の教員が、子供たちへの負担が大きく、生活に合っていないと考えていることが分かったと報道されておりました。
アンケートの自由記載には、不登校との関係を訴える教員からの声がたくさんあります。時数が増えるにつれて、教師も子供も忙しく余裕がない、これでは不登校がますます増え、教師になる人も減る一方ですという声や、時数が多いと、子供にゆとりが生まれず、勉強嫌いや不登校の児童生徒の増加につながるという声です。教員たちからの重要な指摘だというふうに思います。
この調査を行った教授は、子供も先生も毎日追い立てられている状況だ、現場の意見を反映した時間に変更するべきではないかと求めています。
その言葉のとおり、時数の問題や教員の多忙化、そして子供の不登校の増加の問題は、表裏一体の問題だというふうに考えます。
都教委の見解を伺います。
○矢野人事企画担当部長 授業準備や子供と向き合うための時間を十分に確保できるよう、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムに基づき、働き方改革を推進しております。
○斉藤委員 つまり、子供たちに向き合うための時間を十分に確保する必要があるということを認識されているということですよね。不登校を生まない子供たちが安心して通える学校づくりに転換するためにも、時数の問題や教員の多忙化、処遇改善の問題を一体的に解決していく立場に立つということを求めて、次の質問に移ります。
次に、第五次東京都教育ビジョンに関わって、誰一人取り残さないきめ細かな教育について伺います。
第五次の東京都教育ビジョンには、誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実、これが基本的な方針の柱の一つとして掲げられています。不登校やいじめ、ヤングケアラーなど、様々な困難を抱える児童生徒が増えている中、施策展開の方向性としても、そうした児童生徒への支援の充実が打ち出されています。
ビジョンにも示されていますけれども、こうした困難を抱える生徒に、一人一人にきめ細かく対応することが必要だという認識に間違いありませんか。
○秋田教育政策担当部長 東京都教育ビジョン(第五次)におきましては、東京の目指す教育として、誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育を掲げているところでございます。
○斉藤委員 全ての子供でということでいわれたのですが、そこに困難を抱える生徒が含まれているということでよろしいですか。困難を抱える生徒を含めた全ての子供にきめ細かな教育が必要だということで間違いないですか。
○秋田教育政策担当部長 繰り返しになりますが、東京の目指す教育は、誰一人取り残さずということでございます。
○斉藤委員 繰り返されて、まあ否定はされませんので、困難を抱える子供たち、当然、全ての子供に入ると。きめ細かな教育を行うことが教育の重要な柱の一つとして掲げられているということだと思います。
もう一つ、教育ビジョンに関わって、きめ細かな対応、教育の実践について伺います。
実体験を寄せてくださった保護者の方のお話です。小学校の途中から中学校卒業まで不登校で、外に出ることさえ難しかったお子さんが、勇気を振り絞って複数の都立高校の見学に行ったときに、ある学校では、どうぞ自由に見ていってくださいという状況だったということですけれども、別のある学校では、先生が一緒にいろんな学科の教室や施設を回って、各学科の先生も、その場所その場所で丁寧に説明をしてくれたということです。不安があって、いろいろ聞いたことに一つ一つ丁寧に答えてくれて、一緒に行った保護者としても安心して、この学校なら通えるんじゃないかと思って、親子の思いが一致して、その学校を選んだということです。
不安を抱える生徒へのきめ細かな対応の実践だと思いますが、いかがですか。教育ビジョンに関わって。
○秋田教育政策担当部長 東京都教育ビジョン(第五次)ですが、幾つか基本的な方針を掲げておりますが、その中の一つに、子供たちの心身の健やかな成長に向けたきめ細かいサポートの充実ということで、施策展開の方向性として、様々な困難を抱える児童生徒への支援の充実を掲げているところでございます。
○斉藤委員 ビジョンの中身を聞いたんじゃないんです。私がいったのは、今、学校の事例を出して、これが不安を抱える生徒へのきめ細かな対応の実践だと思いますが、どうですかという質問なんです。どうですか、認識。
○秋田教育政策担当部長 ご指摘の事例を含めまして、様々な施策におきまして、様々な困難を抱える児童生徒への支援の充実を図ってまいります。
○斉藤委員 質問の最初に、教育ビジョンに関わって教育の実践について伺いますというふうに聞いているので、ちゃんとそこに答えてほしいと思うんですね。
どの学校でもということでおっしゃいましたけれども、先生方は本当に、どの学校でも生徒たちに心を砕いて頑張っておられるというふうに思います。しかし、見学のときから、そうした学校の違いがあったということなんですね。
その学校に通った生徒は、それでも毎日学校に通えたわけではなくて、行ける日と行けない日とがあり、ジグザグの生活だったということですが、先生や養護教諭の方がとっても親身に寄り添ってくれて、励まし続けてくれて、今年度で卒業を迎えるということです。
小中学校には行けなくて苦労したけれども、高校では先生たちがその生徒に寄り添ってくれている様子に、私も通いたくなるぐらいだと、その保護者の方はいっていました。
そして、その子にじっくり寄り添ってもらえるのは、少人数の学校だからだということが大きいとおっしゃっていました。その学校は、都立の夜間定時制高校です。
都教委は、都民の大きな反対の声を聞き入れずに、立川高校の夜間定時制の来年度からの募集停止と、小山台、桜町、そして、大山、葛飾商業、北豊島工科、蔵前工科の二〇二六年度の募集停止を決定しました。
来年度から募集停止となった立川高校夜間定時制に通う生徒たちの幾つかの市の教育委員会にお話を聞きましたけれども、その中には、夜間定時制がなくなると困るという保護者からの声が届けられているという市教委もありました。夜間があったから行き場所があったのにという新たな声も、私たちのところに届いています。
立川夜間定時制の募集停止予告は二〇一六年に発表されていましたが、今、このことを初めて知った方々からも、困るという声が上がっている、そういう状況なんです。
これまでもたくさん届けられてきた、こうした声を聞かずに置き去りにしていくということは、先ほどおっしゃった、誰も取り残さないきめ細かな教育というビジョンの方針と矛盾するものではありませんか。
○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、勤労青少年が大幅に減少した結果、立川高校の夜間定時制課程につきましても、過去十年で新入生は半数以下となってございます。
現在、立川高校を含め、夜間定時制課程には、不登校を経験した生徒などが在籍しておりますが、そうした困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、相談体制も充実しているチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程につきましては生徒募集を停止し、生徒を適切な環境の学校で受け入れていくことといたしました。
立川高校につきましては、令和七年度に、立川高校から歩ける距離にチャレンジスクールである立川緑高校を新設するとともに、昼夜間定時制高校である、立川市内にございます砂川高校の夜間部増学級を行うことに合わせ、生徒募集を停止することとしております。
○斉藤委員 いつも変わらない答弁なんですね。つまり、誰も取り残さないきめ細かな教育を実践している貴重なこの教育現場を守るということよりも、都教委の都合の方が優先だということだと思います。
私たちは、九月の質疑の後にも、夜間定時制の当事者の方々にお話を伺ってきました。通える範囲に夜間定時制があったから通えたという声が新たに届いています。
中学校までに不登校を経験したお子さんは、朝の早起きが苦手、満員電車も苦手、また、逆に日中は好きなことをしていられるから、夕方から学校に通うという意欲が持てたということです。
さらに、何歳からでも年齢を気にせずに通えるということが、一度ブランクが空いてしまう子供たちにとって、大切な学びのセーフティーネットになっているというお話も伺いました。だから、なくしてほしくない、このようにおっしゃっていました。
そういう子供たちのために、この夜間定時制が、こうした多様な背景に対応している現場だということも認識してほしいと思うんです。
私たちは、この間、夜間中学のことも伺ってきました。
葛飾商業の夜間定時制には、毎年、葛飾双葉中学校の夜間学級から生徒が進学をしている。このことは把握していますか。
○猪倉高校改革推進担当部長 葛飾商業高校夜間定時制課程の生徒の出身中学校は、学校によりますと、葛飾区内の複数の中学校等であると聞いております。
○斉藤委員 葛飾双葉中の夜間学級から進学しているということは分かったんですか。
○猪倉高校改革推進担当部長 葛飾商業高校夜間定時制課程の生徒の出身中学校は、学校によれば、葛飾区内の複数の中学校等でありますが、中学校のどの学級から進学したかなど、詳細につきましては把握しておりません。
○斉藤委員 そうなんですね。夜間中学から進学しているということまでは把握されていないんですよね。そういうこともきちんと把握せずに、小規模だからと一方的に決めつけて、貴重な教育の現場をなくしていくということでは、都の掲げる誰一人取り残さない教育というのは、もう絵に描いた餅なんじゃないかというふうに思います。
しかも、葛飾商業は、今年の一年生は十六人も在籍をしています。私たちは学校の関係者に伺いました。この葛飾双葉中学の夜間定時制からは、最近でも毎年、葛飾商業高校の夜間定時制に進学する生徒がいる、その中には六十代のご年配の方や外国にルーツを持つ方々も進学していて、葛飾商業の夜間定時制がなくなってしまったら、多様な背景を持つ生徒の学びの重要な選択肢がなくなってしまうというふうにお話しされていました。
葛飾商業の定時制には普通科と商業科がありますが、普通科で簿記なども学ぶことができるそうです。そして、それを生かして、最近でも銀行に就職したという方もいるそうです。こういう特色ある学校を廃止にするべきではありません。
私の地元の足立四中の夜間学級も視察に行ってきました。足立四中の夜間学級では、三十年前から日本語を学ぶための独自の教材をつくり、今はデジタル教材づくりにも取り組んでいますが、全国から、参考にするためにと問合せがあるそうです。
若い生徒たちの中に、外国にルーツのある方々や八十二歳の学生の方も一緒に交ざって学んでいるという状況でした。
ここでも、区内の都立江北高校の夜間定時制がなくされてしまい、これ以上、選択肢が狭くなることへの懸念が語られました。
夜間中学でのこうした声を、都教委はどう受け止めているのか。特に夜間中学については、教育機会確保法で多様な学びの機会が位置づけられて、夜間中学が全国的に増やされている中で、その卒業生の進学先としての夜間定時制を充実させることこそ必要ではありませんか。
○猪倉高校改革推進担当部長 都内に八つある中学校夜間学級の生徒の進学先は、夜間定時制課程の高校だけではなく、全日制課程や昼夜間定時制課程の高校など、様々であると聞いております。
都立高校には、全日制や通信制、夜間定時制課程に加え、昼夜間定時制高校やチャレンジスクール、学び直しを支援するエンカレッジスクール、在京外国人生徒対象の入学者選抜を行っている高校など、多様なタイプの学校がございまして、都立高校全体で多様な生徒を受け入れる環境を確保しております。
○斉藤委員 いろんな学校があるんだということなんですけれども、ビジョンに掲げているとおり、誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実、これを実現するなら、今、その役割を果たしている夜間定時制をなくしてもよいというふうにはならないと思うんです。夜間定時制も含め、充実させていくことが必要ではないですか。少人数の方がいいという生徒、少人数だからこそ、そこで力をつけていける子供たちがいるんです。
また、都教委は、夜間定時制をなくしても、チャレンジスクールや昼夜間定時制があるからよいということを最初の答弁でもおっしゃっていました。
そこで伺います。チャレンジスクールと定時制課程の不登校の出現率について、単位制と学年制の学年ごとに伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査における不登校生徒の出現率は、昼夜間定時制及びチャレンジスクールを含む定時制課程の単位制で三八・七四%、定時制課程の学年制第一学年で二〇・四七%、第二学年で一九・二二%、第三学年で一九・一四%、第四学年で一七・七二%であります。
○斉藤委員 単位制の定時制高校とは、そのほとんどが昼夜間定時制とチャレンジスクール。そして、学年制の定時制というのは、その全部が夜間定時制です。その不登校出現率が、学年制、つまり夜間定時制の方では一七%から二〇%程度。一方で、単位制では四割近いということ。率直にいって、驚きました。
都教委は、チャレンジスクールと昼夜間定時制の不登校出現率が高い、これはなぜなのかということを分析していますか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒の不登校となる要因や背景は、複雑化、多様化しております。
○斉藤委員 それも最初に聞きましたけれども、今の質問は、チャレンジスクールとか昼夜間定時制の不登校出現率が四割近くなっているんですよ。これ、ちゃんとどうしてそうなっているのかと考えないと、夜間定時制を潰し続けて、そして、昼夜間とかチャレンジばかりつくっていって、結局、四割近い不登校出現率を出し続けていたら、本末転倒じゃないですか。よく考える必要があると思うんです。
それをやらずに結論ありきで、きめ細かな対応をやっている夜間定時制を潰していくという、この姿勢は改めていかなければならないというふうに思います。
やはり夜間定時制高校をなくしていこうということは拙速ではありませんか。伺います。
○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、不登校を経験した生徒など多様な生徒が在籍しておりますが、生徒数減少により学習教育環境に課題が生じております。
このため、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、先ほど来ご説明をさせていただいておりますが、チャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程については生徒募集を停止することとしております。
○斉藤委員 夜間定時制の課題ばかりはいうのですが、チャレンジスクール、そして昼夜間定時制、私たち、これは否定はしません。つくっていただいていいと思うんだけれども、でも、現実として四割近い不登校になっていると。そういう課題には目を向けずに、このまま突き進むというのは、あまりにも拙速だというふうに思います。
不登校の増加は社会問題になっています。子供たちに向き合わず、定員や数の論理で学校を集約化、大規模化していくというやり方は見直していくべきだというふうに思います。
少なくとも、この不登校の出現率の高さについての分析や、生徒や教員、保護者の声を聞く実態調査など、これは早急に行うべきだと思いますが、どうですか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 不登校となる要因や背景は、複雑化、多様化しております。
○斉藤委員 何かもう答弁不能なんだと思うんですね。何聞かれても、同じことしか絶対答えない。議論になりませんよね、これじゃ。これが教育に携わる人たちの姿勢なのかということが本当に問われると思います。子供たちが見て、どうなんでしょうね。今のこの在り方。
都教委のこの姿勢は、本当にてこでも動かない、かたくなな姿勢ですが、それでは生徒たちに向き合えず、不登校が増え続けるという状況にもなりかねません。
そして、夜間定時制が、多様な子供たち、困難を抱えている子供たちにとって、ほかに代えがたい学校であるということは、もういろんな皆さんの声から明らかです。教員の方々もいっている。
七校の夜間定時制の募集停止は撤回し、存続することを強く求めて、質問を終わります。
○松田委員 私からは、まず、起業家精神を醸成する教育の推進についてお伺いをさせていただきます。
この起業家教育なんですけれども、なるべく若いうちから起業するという思いを持つということが将来の起業につながるともいわれていまして、日本はこういった面において、このマインド醸成が遅れているのではないかという指摘がございます。
そこで、私も、起業家教育を実際に東京都で担ってくださる方と、導入のときにいろいろお話をさせていただいた経緯がありまして、結果、実際に学校現場で先生方に聞くと、やりたいことと、学校のやっぱり空き時間というのか、学習指導要領もあって、やらなきゃいけないことがたくさんある中で、できれば、先生というか起業家教育をやる先生からしたら、年八回ぐらいのプランでやりたいんだけれども、学校現場としては四回ぐらいが限界じゃないかなというところで、柔軟に対応はしていただいたのですが、やっぱりこのところが、マッチングがちょっとずれてしまったというのが令和の初めぐらいだったと思うんですが、覚えております。
そこで、今、都立高校における起業家精神の醸成に関する学習の狙いと、これまでの経緯を含めた東京都教育委員会の取組をお伺いします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 起業に関する学習は、未知のことに挑戦することで、社会をよりよく変革しようとする起業家精神を醸成するとともに、起業に必要な知識やスキル等を身につけ、社会に新たな価値を提供することを狙いとしております。
都教育委員会は、令和元年度から三年間、都立高校生を対象に起業に関するプログラムを実施し、社会課題の解決に向けた意識や態度を育成してまいりました。その後、都内全ての高校生を対象とした起業家養成プログラムに都立高校生も参加し、将来の選択肢の幅を広げる取組を後押ししております。
これらにより、都立高校生が実際にビジネスアイデアを提案するなど、主体的な探究学習の取組が進んでおります。
○松田委員 ありがとうございます。その後、これは産業労働局に入っていただいて、私立を含めて多様なところでやっていただくようになったのですが、そうすると今度、都教委から離れるので、なかなか連携がしづらいというところが当時あったと記憶しております。そこを、連携も今していただいてやっている結果が、だんだんだんだんと、こう出ているんだろうなというふうに思っております。
その中で、やっていく中で、ブラッシュアップも必要でありまして、そこに一番大切なのは、子供たち、生徒の声でありますが、学校現場での生徒の思いや、担当した教員の声についてもお伺いいたします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、工業、商業等の専門的な教育を行う学校を、企業等と連携し、社会課題について探究する推進校として二十四校を指定しました。
これらの学校では、魅力的なまちづくりに向けた提案や、地元企業と連携した商品開発などに、多様な民間企業等と協働して取り組んでおります。
生徒からは、いろいろな視点で物事を見て行動したい、自分の興味、関心を広げて社会問題の解決に生かしたいなどの意見があり、意識の変容が見られました。
教員からは、生徒に新たな経験や発想を与えることができた、社会や経済の仕組みなどを学ぶ重要性を生徒が感じたなどの声が聞かれ、生徒が多様な価値観に触れる機会となっております。
これらにより、生徒のチャレンジ精神や主体性、創造性などを育成しております。
○松田委員 ありがとうございます。生徒、そして教員からの声を伺いました。
今ご答弁の中で、工業、商業、専門的な教育を行う、企業などと連携し、そして二十四校を指定したというお話だったんですが、この二十四校、これから広げていこうとお考えでしょうか。お伺いします。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 大変重要な教育ですので、全力で取り組んでまいります。
○松田委員 全力で取り組んでいただく、できれば全校にこれを広げていただきたいということをお願いしておきます。
次に、GIGAスクールの端末の更新についてお伺いをいたします。
国においては、令和二年度から全国の小中学校等における一人一台端末を集中的に整備をして、GIGAスクール構想を推進してまいりました。
都においても、小中学校に端末が整備をされ、学校でデジタルを活用した教育が進められております。
それから四、五年経過をし、パソコンの耐用年数が到来をして、都内で実に百万台規模のパソコンの更新の時期が訪れております。この大量のパソコンの調達を円滑に行うことは、学校教育を推進していくために必要不可欠であります。
そこでまず、GIGAスクールの端末更新の現状についてお伺いします。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 GIGAスクール端末の更新については、調達台数が膨大であることから、計画的な更新が必要であり、そのため、国は、都道府県において基金を造成し、共同調達などを行うことで効率的に端末更新を行う新たなスキームを本年一月に示しました。
都は、本年三月に公立学校情報機器整備基金を造成するとともに、都内全区市町村が参加する協議会を立ち上げ、共同調達などに関する協議会を進めてまいりました。
本年七月には、今年度中に調達を必要とする三自治体について、共同調達による入札を実施いたしました。共同調達に参加した自治体からは、スケールメリットによるコスト縮減を感じられたという声が寄せられております。
○松田委員 ありがとうございます。スケールメリットによるコスト縮減、この共同調達というものによる成果であるというふうに思っております。
一方で、GIGAスクール端末の種類は様々あります。三つ、大体あるんですが、グーグルクロームとアイパッドと、それからウィンドウズ、七割方の自治体はグーグルクローム、うちも、板橋区もそうなんですけれども、使っているんですが、各自治体が求める、デジタルを活用した教育活動が円滑に進むよう、最適な端末が選択をされなければならないと思っています。
この共同調達において適切な端末を調達できるように、都としてどのように取り組んでいくのかを伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 GIGAスクール端末において、日々の授業において必要な機能を満たす端末を調達することが重要でございます。
都教育委員会は、関係局等とも協力しながら、区市町村が求める性能を満たす端末を選択できるよう支援しております。
具体的には、端末の性能を直接確認できるイベントを開催するとともに、共同調達に向け、仕様の統一について協議会での検討を行ってまいりました。
今後とも、共同調達を行う区市町村が学習に必要な性能を備えた端末を円滑に調達できるよう、都として支援してまいります。
○松田委員 ありがとうございます。今、生徒のGIGAスクール端末の更新について伺ってまいりましたが、先ほど磯山委員から教師の話もあったんですが、教師の使っているパソコンというのは、国の地方財政措置によるものなので、国がお金を出しているので、なかなか東京都単体で決めていけないということは伺っているんですけれども、これは、ぜひ国と連携をして、できる限り共同にしていただきたいなということを思っております。
なぜかというと、この間、ある区に異動すると、その区の制度で、その区の区役所に行って指紋認証しなきゃいけない、異動した先生は。こういった余計な仕事というか、負担が増えてしまっている部分もありますので、ぜひ国との協議も改めてお願いをしておきます。
そして、次に、端末の子供の利用について伺います。
子供たちの授業で一人一台端末の活用が進んできております。先ほど磯山委員と西東京の小学校を見たお話もありましたが、一方で、家庭に端末を持ち帰ったときに、端末で学習に関係ない動画やゲームを長時間やっているという保護者の声も聞かれます。
その一人が私なんですけれども、実際、家に帰ってきて、うちの子たちが何をしているかというと、結構ユーチューブを見ている時間が、学習ではないです、大体好きなやつですね。プロ野球とか、生き物を取りに行くやつとか、いろいろなんですけれども。あとは、一番困ったなと思ったのが、子供たち同士で情報交換をして、ブラウザ上でできるゲームがあるんですね。それを一生懸命やっちゃう。
今、ニンテンドースイッチとかは、親がスマホで見られるんですよね、何時間やったか。一時間ですよというと、一時間しかやっていないなと思うけれども、こっちでやっていたら、元も子もなくなってしまうなというところがあります。
親自身の問題、家庭の問題というのもあるんですけれども、子供たちが学習に関係のない動画やゲームを使用しないなど、ネットリテラシーの育成について、子供たちの指導をどのようにすべきか、都の見解を伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、平成二十七年度に、児童生徒がインターネットを適切に活用できるようにすることを目的として、SNS東京ルールを策定いたしました。
このルールには、ネットの一日の利用時間を決める、写真や動画を許可なく掲載しないなどがあり、これを踏まえ、各学校は情報モラル教育を推進しております。
また、動画やゲームなどの付き合い方について話のきっかけとなる情報モラル補助教材、GIGAワークブックとうきょうをポータルサイトに掲載し、学校での活用を促しております。
さらに、今年度は、情報モラル教育の研修で教材の活用方法を取り上げ、生徒がルールを踏まえた適切な利用ができるよう、学校での指導を支援しております。
○松田委員 ありがとうございます。学校で様々な指導をしていただいている。GIGAワークブックとうきょうですとか、SNS東京ルールなどがあります。最終的には、我々家庭でしっかりとこの取組を生かして有効な使い方をしていかなければならないというふうには考えております。
ただ、ちょうど今朝なんですけれども、子供がゲームをやっているのかなと見たら、それ何をやっているのと聞いたら、朝出かける八時ぐらいですかね、プログラミングをやっているというんですね。今の子って、今、小学五年生の子なんですけれども、そんなことできるんだと思いながら、授業でもやっていて、みんなでこれをやるんだといって、ああ、そうなんだと。
なので、遊びの中にも学びというのは必ずあると思いますので、我々も一方的に怒るのではなくて、親サイドも怒るのじゃなくて、多分、怒ると隠れてやりますので、柔軟に対応していくことが大事なのではないかなというふうに感じております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
次に、都立高校生の海外派遣についてお伺いをさせていただきます。
先ほど来、グローバル教育などいろんなご質疑が続いておりましたが、子供たちが直接海外に出向いて、海外の方との交流経験を積むことというのは、非常に重要であります。
東京都教育委員会が実施している都立高校生を対象とした短期海外派遣、今年度の派遣の国の数、派遣の規模、それから、学校からの応募状況をお伺いいたします。
○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、グローバル人材を育成する取組を一層充実させるため、令和四年度から、都立高校生等を海外に約一週間派遣しております。
今年度は、派遣国や人数を拡充し、アメリカ、フランス、インドネシア、マレーシア、アラブ首長国連邦など、十か国に二百七十名の高校生等を派遣しております。
八十九校から応募がありまして、七十二校を海外に派遣しております。
○松田委員 本当に多様な国に派遣をされていて、今年度が十か国、二百七十名。これ、令和四年度から着実に伸びているということでありますので、ただ、百八十六分の七十二校かな、採択が。まだ半分弱でありますので、今後、また増やしていただくことも、ぜひ要望をして、お願いをしておきたいと思います。
それでは、その海外に行ったときに、子供たち、参加した生徒はどういった感想を持ったのかをお伺いいたします。
○信岡グローバル人材育成部長 派遣先では、同世代の生徒との地球規模の課題についての議論や、互いの文化紹介を行います。また、有名大学や最先端の技術で世界をリードする企業等を訪問するなど、現地の教育機関等との連携により、国内では得られない体験の機会を創出しております。
今年度参加した生徒からは、多様な価値観や考え方に触れ視野が広がった、交流を通じて日本の習慣やよさを再認識したなどの意見が寄せられ、子供たちにとって貴重な学びや気づきにつながっております。
○松田委員 ありがとうございます。今までずっと日本にいると当たり前だと思っていたことが、海外ではそうじゃないんだなと気づいたりとか、日本のよさ、海外に行ってみて、日本ってこんなにすばらしいんだなと思ったり、逆に、海外に行ってみて、海外のこんなすごい、多分、人のしぐさだったりとか、まち並みだったりとか、気づくことが多いんだと思います。
ぜひこれも、本当に広げていくのはお金のかかるお話ではありますが、しっかりと支援をお願いさせていただきます。
次に、都立学校における生成AIの活用についてお伺いをいたします。
東京都は、生成AIの活用について研究校を指定したということですが、研究校の生徒は、具体的にどのように活用しているのかをお伺いします。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、今年度、都立学校二十校を生成AI研究校に指定し、AIリテラシーの育成や教科における活用方法等について研究をしております。
研究校においては、探究活動において、当初生徒が設定した研究テーマを生成AIと対話しながら絞らせ、より具体的にすることで、自分の研究を深く掘り下げることができたとの報告を受けております。
今年度の各研究校での成果により、生成AIの活用について普及を図ってまいります。
○松田委員 さっきなんですけれども、生成AI、チャットGPTに、教育現場で生成AIはどのように活用したらいいでしょうかと聞いてみました。そうしたら、七つ、ばあっと出てきました。一、教材作成、二、生徒一人一人の個別指導、三、外国語教育に有用、四、インタラクティブ、相互な授業ですね、五、レポートのアウトラインを作成する、六、テーマ別学習のそのテーマを選ぶ、整理をするためのツール、七、教員の指導計画立案支援、この七つ出てきたんですね。
今ご答弁いただいたのは、自分の研究を深く掘り下げる。AIと対話をしながら、これ、インタラクティブなのか、また別なのか、まあAIも完璧ではありませんので、参考にしながらやっていくって大事だなと思います。
七個出てきた中で、一の教材作成、二の生徒一人一人の個別指導、七の教師の指導計画立案支援、教員に関することも三つほど出ていました。
そこで、この生成AIを教員が活用する、この研究校ではどのように使っているのか、取組状況を伺います。
○落合デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務 教員の校務における生成AIの活用としては、試験問題の選択肢や長文問題を作成する際、あらかじめ教科書のデータを生成AIに読み込ませた上で、問題の素案を作成するといった事例が挙がっております。
学校からは、問題作成にかかる時間を大幅に縮減した、選択問題における誤った解答の選択肢が作成しやすくなったといった声が届いております。
○松田委員 ありがとうございます。確かに、これによって負担軽減というのは図れるんだと思います。
今、教員の応募倍率について、先ほどいろいろご質疑がありまして、応募倍率は下がっている、大変だ、働き方改革、いろんな中で、こういった生成AIを活用していけたらいいなというふうに率直に感じたところであります。
その教員確保について質問したいと思います。
教員採用については、いろんな委員からありましたので、私からは教職の管理職の確保、管理職も、今、非常に確保しづらい状況になっております。もうこれ、十年以上前からいわれていて、副校長の成り手がいないんだということは、ずっとお話を聞いております。
私は両親が教員で、父親は校長を六十の定年まで十六年やって、母親は最後まで、途中で足をけがして一回退職をして、また戻ったりとかしていたのですが、両方側からの、管理職側からの意見と教諭側からの意見、両方をいろいろ伺っていました。
都議会議員になったのが平成二十五年で、父親がまだそのとき辞めて数年だったので、今、一番何が必要ですかといったら、やはり三十五人学級が必要。
そして、もう一つ必要なのが、産育代替教員が本当に足りなかったんですね、あのときは。物すごく足りなかった。何で足りなかったかというと、団塊の世代が一気に、自分たちを含めて大量に辞めて、若い人が一気に入ってくる。そうすると、子供が生まれて、足りない。これをどうにかしようということで、そのときは、副校長と校長が、取りあえず知り合いの先生に電話しまくって来てもらった。
これは何とかならないかと都教委と話をして、そのときつくってもらったのが、一次は受かったけれども、二次の面接で不採用になった方々に対して、一年間ストックのような形と、あと、一年間やると、次、二次試験免除とか、いろんな仕組みをつくってもらいました。このストックしてもらった人たちが、今、倍率が下がったことによって、ストックがまたいなくなってしまっているので、またこれも新たな問題であると思います。
副校長にまずなっていただくために、次代の学校経営を担う優秀な管理職の確保に向けて、選考受験者、つまり副校長の成り手を増やすとともに、いかに資質のある――学校経営って、すごく校長、副校長で変わりますので、資質のある先生になっていただくために、どのような取組をしているのかを伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、管理職のやりがいや魅力を伝えるため、ロールモデルとなる管理職のインタビュー動画を配信するとともに、キャリア形成に関するリーフレットを作成し、自己申告における面接などで活用を促しています。
また、将来、管理職として活躍が期待される若手教員を対象とした学校リーダー育成特別講座において、民間企業の組織運営等の手法について学ぶ機会を設定し、マネジメント能力の向上等を図っております。
こうした取組を通じまして、教育管理職を目指す人材の確保と育成を図っているところでございます。
○松田委員 ありがとうございます。子供は親を選べないとよくいわれますが、公立の小中学校では、担任の先生や校長先生や副校長先生を選ぶことができません。ぜひ資質のある方が管理職になっていただけるように後押し、負担軽減であったりとか、やりがいの創出、この両面から取り組んでいただくことをお願い申し上げます。
そして、管理職になった方の資質の向上、さらに能力を高めるためにどのような取組を行っているのか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、東京都教員研修計画において、教育管理職に必要な素養として、外部機関との連携する力や人材を育成する力などの学校マネジメント能力を位置づけ、教育管理職を育成しております。
具体的には、東京都における教育課題の理解をはじめ、学校の危機管理の在り方、人事制度を活用した教職員の能力開発、良好な職場環境の構築などに関する研修等を行っております。
こうした取組を通じて、教育管理職が社会の変化を的確に捉え、学校教育に対する都民の期待やニーズに応えられるよう、資質の向上に努めております。
○松田委員 最近では、だんだん環境も変わってきて、先ほどGIGAスクールのお話もありましたが、デジタル端末とか、どんどんどんどん状況が変化をしております。この変化し続ける現場に、対応をお願いしておきたいと思います。
そして、次に、社会人の採用についてお伺いをします。
先ほどちょっとお話をしましたが、全国的な教員の大量採用によって、これまで教員採用選考に再チャレンジ、まあ駄目で、もう一回来るという層が正式採用されていて、既卒者の受験者が減少しています。
こうした中で、社会人の採用を積極的に行うことが重要と考えますが、都教委の取組についてお伺いをいたします。
○吉村人事部長 都教育委員会では、教員免許はないが、教職に関心があるという層を掘り起こすため、選考合格後、二年以内に教員免許を取得すればよいとする社会人特例選考制度を導入し、今年度の選考では百七十三名が受験し、百二十二名が合格いたしました。
また、十月に開催したTOKYO教育Festa!では、千名を超える来場者の約四割を社会人が占め、二百名を超す社会人の方々の個別相談に応じたほか、民間の転職フェアにも出展し、相談会を行いました。
さらに、既に教員免許を持っている社会人の方で採用選考に合格した方を対象に模擬授業等の講習を開催するなど、安心して着任できる仕組みを整えております。
今後も、より多くの社会人の方々に教職を有力な選択肢として捉えていただけるよう、PRの充実に努めてまいります。
○松田委員 今お話があったTOKYO教育Festa!も、伺ったところ、令和四年から始まって、だんだん増えているということであります。こうして外の世界を見て教員になるということも、一つすごく大事なことでありますし、また、プロパーで最初から教員の生活を長くやる、両方の方が活躍できる、そんな環境をつくっていただきたいと思います。
最後の質問になると思います。東京都教育委員会の今抱える最大の課題は、私は都立高校改革であろうというふうに思っています。
先ほども何名かの委員から、私立高校の授業料の無償化並びに私立中学校の授業料十万円、これの所得制限撤廃によって、私立を選ぶ、そういった子供、ご家庭が増えてくることが間違いないというふうに思っております。
ただ、これ、私立は完全に無償ではないというのが少し誤解があるのかなと思っています。入学料が二十万円ぐらいかかりますし、施設使用料、これは数十万円、学校によって違いますが、かかる。四十八万四千円、来年はまた少し上がるのかもしれませんが、実際、五十万円ぐらいは――都立高校よりも私立高校の方が、負担が、年間でいうと多いということは、あまり知られていないのかなと思っています。
ただ、それでも五十万円近くの授業料が減免されるということは非常に大きなことでありまして、迷ったら、やっぱり子供たちが見に行ったら、私立高校、れんがづくりできれいだなとか、そういった理由で志望したりとか、部活に力を入れていたりとか、結構特色がある。先ほど六年で異動してしまう部活のお話もありましたが、私立だったら変わらないから、そういった理由で私立を選んでいくことによって、都立の志願者の減少、これは間違いなく来ると思います。
そして、六年から七年後には、この東京都の子供の数は減っていきます。そのときになって慌てて、廃校という厳しい状況に陥るのではなくて、今、しっかりとこの都立高校の魅力向上をしていかなければならないと思っています。これには、都教委だけではなくて、オール東京で取り組んでいく必要があると思います。
東京都の都立高校というのは百八十六校ある。これがそれぞれ連携をすることも大事でありますし、先ほどご質疑があった工科高校、東京都には産業労働局というのがありますので、そこには産技研や職業能力開発センターがある。こういったところと連携することも非常に重要なことでありますし、また、総務局が所管をしている都立大学との連携ということも考えられると思っております。オール東京でやっていく。
今日、たまたま朝読んでいた雑誌に西行法師の句がありまして、秋の野の草の葉ごとにおく露を集めばハスの池たたふべし。全然分からないですよね、多分。私も聞いたとき分からなかったのですけれども、この朝露というのは、いろんな葉っぱについているのが、はかなく消えてしまうけれども、そういった露を集めると、清らかなハスの咲く池ができるんですよと。いっぱい集めると力になる、こんなお話であります。
都立高校を露に例えるのは非常に失礼かと思いますが、このまま、私学の授業料無償化であったり、人口減少、子供の数の減少だったり、そういったことが続いていくと、消えてしまう可能性が私は大いにあると思っています。都立高と、先ほどお話しした様々な連携等があります。ぜひ、ここは最後に、坂本教育長に都立高校の未来にかける思いをお伺いいたします。
○坂本教育長 都立高校を取り巻く状況は、ただいま非常に急速かつ深刻な状態、これが続いているというふうに認識をしております。
お話しいただいたように、私学授業料の無償化というような話がございまして、そうした中で、これからますます学生の数は減っていく。そういう中で、都立高校というのは、どういう形で将来に向けて存続を模索すべきであるのかというのが、まさしく問われている瞬間であろうと思います。
私立と都立、これは、それぞれ持ち味、よさというものがございますから、それぞれがそういう持ち味をしっかりと未来に向けて生かしながら切磋琢磨をしていくという、そういう局面にまさしくこれから入っていくんだろうと、このように考えております。
そして、そこで学ぶ子供ですが、これは社会の宝であると同時に、これまで人類が経験をしたことのない未曽有の状況、混沌とした状況を担わなければいけないと同時に、切り抜けていく力強さを持つ、そういう存在になってもらわなければいけない。そのために、しっかりと伸び育つ教育を、我々は実践をしていかなければいけないと思っております。
そして、都立には、先生からもお話がありましたように、様々なリソースがございます。学科でいっても、工業もありますし、商業、農業、多岐にわたっております。こういったものの力を持ち寄って、ネットワークによりシナジー効果をしっかりと発揮する。そして、都政においては大学もございますから、大学のリソースも含めたシナジー効果というものをしっかりと発揮して、高校の教育に取り込んでいかなければいけないと思います。
これをやることによって、今日お話がありましたような、スタートアップに関わるアントレプレナーシップの涵養、そしてそれの実践、さらには、デジタルを使いこなして、生成AIをも自家薬籠中のものとしてしっかりと使いこなして自分の仕事に役立てていく、さらには、英語力をベースとして海外でしっかりと活躍をして、そして、深い教養によって、外国人ともしっかりと渡り合って交渉ができる、こういうような人材を輩出することのできる教育の場を高等学校に、都立の中でしっかりと設けていくことが必要だと思っております。
そして、そうした高校をつくり上げていく現場、これは働き方改革を通じて魅力あるものとすることによって、管理職、そして新しく入ってくる先生方、そうした方々が万全な形で力を発揮できる体制の確立、これもしっかりと進めていかなければならないと考えているところでございます。
こうしたことを総合的に展開をすることによりまして、まさしく私どもがテーマとして掲げている、誰一人取り残すことがなく、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育、これをしっかりと実践をしていく決意でございます。
○松田委員 ありがとうございます。教育長からの力強いご答弁をいただきました。
私立のよさ、そして都立のよさ、それぞれが必ずあります。今、教育長からお話があった、これから訪れる未曽有の状況を切り抜ける力、これをつくる、これが一つの思いなんだと思います。
様々な、スタートアップ、デジタル、外国人との交渉、そして先生方、農業、商業、工業、全てが連携をして、都立大学ともリソースをシナジーしていくという、すばらしいご答弁だったなと思います。
ぜひ、これからの東京都の教育、十年、二十年、三十年先を一緒につくっていきたいと思います。終わります。
○小山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後九時八分休憩
午後九時二十五分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。
○坂本教育長 令和六年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明申し上げます。
初めに、条例案についてでございます。
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外一件でございます。
次に、契約案についてでございます。
都立清瀬特別支援学校(六)改築及び改修工事その二請負契約でございます。
以上が教育庁関係の提出予定案件の概要でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
○岩野総務部長 それでは、私から、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
初めに、条例案についてご説明いたします。
資料第一号、令和六年第四回東京都議会定例会議案(条例)の目次をご覧ください。提出予定の条例案は、二件でございます。
一ページをご覧ください。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
少し飛びますが、一四ページをご覧ください。このページに本条例案の概要を記載しております。
今回の改正は、東京都人事委員会からの勧告等を踏まえ、公民較差に基づく学校職員の給与改定を行うものでございます。
教育職給料表を、人材確保の観点から初任層に重点を置きつつ、各級において引き上げるとともに、特別給の支給月数を引き上げるものでございます。
また、初任給調整手当について、支給限度額を引き上げるものでございます。
施行日は、公布の日でございます。
一五ページをご覧ください。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
一七ページの新旧対照表をご覧ください。
職員の給与に関する条例の改正に伴い、休業補償等の額の算定の基礎となる補償基礎額を改定するものでございます。
施行日は、公布の日でございます。
次に、契約案についてご説明いたします。
資料第二号、令和六年第四回東京都議会定例会議案(契約)の目次をご覧ください。今回提出を予定しております契約案は、一件でございます。
一ページをご覧ください。都立清瀬特別支援学校(六)改築及び改修工事その二請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は八十億三十万円。
契約の相手方は、群馬県太田市飯田町千五百四十七番地、関東建設工業株式会社でございます。
工期は、契約確定の日の翌日から令和九年十月二十九日まででございます。
三ページから六ページにかけましては案内図、配置図、各階平面図を、七ページに契約議案の概要を記載しております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○小山委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○小山委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○小山委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○中西特別支援教育推進担当部長 去る十月二十四日に都教育委員会が公表いたしました東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(素案)につきましてご報告申し上げます。
恐れ入りますが、資料第3号、東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画(素案)(概要)の一ページをご覧願います。
まず、第1部の東京都特別支援教育推進計画(第二期)の基本的な考え方でございます。
平成二十九年に公表した特別支援教育推進計画(第二期)は、令和九年度までの十一年の長期計画となっており、その中で、具体的な取組内容を明らかにするための実施計画を三次に分けて策定しております。
本計画の基本理念の実現に向け、四つの方向性に沿って施策を推進しているところでございますが、現行の第二次実施計画が今年度末で終期を迎えますことから、次の第三次実施計画の策定、公表に向け、このたび素案を策定いたしました。
二ページをご覧願います。上段には、令和四年三月の第二次実施計画公表後における国や都の動向について記載しております。
左側の国におきましては、特別支援教育に関わる教師の専門性向上に向けた方策や、インクルーシブな学校運営モデルの創設の検討など、特別支援教育に係る様々な検討が行われてきました。
右側の都におきましては、手話言語条例の施行、デフリンピック大会の開催決定、教育ビジョン(第五次)の策定などの動きがございました。
こうした状況の変化に対応した施策を一層推進するための取組を第三次実施計画に盛り込んでおります。
下段におきましては、主な事業を記載しておりますが、三ページ以降で個別事業案の詳細を記載しておりますので、そちらでご説明をさせていただきます。
三ページをご覧願います。第2部の特別支援教育を推進するための個別事業案でございます。
施策の方向性Ⅰは、特別支援学校における特別支援教育の充実です。
まず、上段左上の主体的、積極的な社会参画に向けた個に応じた指導、支援の充実では、個別指導計画を活用した教育の充実、また、生徒の実態や進路希望の多様化を踏まえた職業教育の充実に取り組んでまいります。
その下、多様な教育ニーズに応える特色ある学校づくりの推進といたしましては、今後も知的障害特別支援学校の在籍者数の増加が見込まれることから、引き続き、学校の新設や増改築などにより教育環境の整備を図ってまいります。
続いて、右側の質の高い教育を支える教育環境の整備、充実では、限られた土地の有効活用と教育環境の充実との両立を図るために、知的障害特別支援学校の高層化や一時的な増築棟の設置など、新たな考え方に基づく施設整備の展開を検討してまいります。
また、医療的ケア児への支援を充実させるため、引き続き、保護者の付添期間の短縮や学校看護師の確保に取り組んでまいります。
下段の施策の方向性Ⅱをご覧ください。小学校、中学校及び都立高校等における特別支援教育の充実でございます。
左側の小学校、中学校における特別支援教育の充実では、特別支援学校のセンター的機能を引き続き活用し、小中学校における特別支援教育の充実を図ってまいります。
また、特別支援教室におきましても、引き続き、充実した指導を実現するために、運営指導員等による指導、助言を行うとともに、在籍学級で児童生徒が安心して過ごせる体制の充実を図ってまいります。
右側の都立高校等における特別支援教育の充実では、都立高校における発達障害教育の手引きを活用するなど、通級による指導の充実を図るとともに、都立高校に通う発達障害等のある生徒の就労を見据えたキャリア支援プログラムを充実させてまいります。
四ページをご覧願います。上段、施策の方向性Ⅲ、変化、進展する社会に対応した特別支援教育の推進でございます。
左側の、変化する社会において自立して生きるための力の育成では、インクルーシブな教育のさらなる推進を図るために、特別支援学校と都立高校等の協働による取組を実施してまいります。
また、小中学校におきまして、障害のある児童生徒の学習支援等を行うインクルーシブ教育支援員の配置を支援してまいります。
さらに、特別支援学校への図書館システムの導入により、読書活動の充実を図ってまいります。
右側上段、デジタルを活用した教育活動の展開といたしましては、デジタル教科書やデジタル教材を活用した効果的な指導方法に関する事例を普及してまいります。
その下、豊かな心と健やかな体を育むためのスポーツ、芸術教育等の推進では、デフリンピック大会の開催を契機とした聴覚障害教育の推進と聴覚障害への理解啓発を図ってまいります。
資料の下段に参りまして、施策の方向性Ⅳは、特別支援教育を推進する体制の整備、充実です。
専門性の高い教員の確保、育成では、小中学校と特別支援学校の異校種で人事異動を行っている教員同士の連携を深めるためのネットワークを構築し、特別支援教育の専門性向上を通じた人材育成を推進してまいります。
右側の、学校や区市町村に対する総合的な支援体制の充実では、就学に向けた手続の円滑化や、学びの場の柔軟な見直しの手だてを構築するなど、就学相談の機能充実を図ってまいります。
その下、関係機関等との連携強化及び特別支援教育の理解促進として、特別支援学校の生徒の就職先となる企業開拓を進めるなど、生徒の自立と社会参加に向けた支援に取り組んでまいります。
以上、計画の素案につきまして、その概要をご説明させていただきました。
ただいまご説明申し上げた計画素案の全文は、資料第4号でございますので、後ほどご覧ください。
また、この計画素案に対し、広く都民の皆様から意見を募集するとともに、子供の目線に立った施策を推進するために、子供にも分かりやすい計画素案の子供版も併せて公表し、子供たちの意見も募集しているところでございます。それらも踏まえまして、年度内をめどに東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画を作成したいと考えております。
ご報告は以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○小山委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○小山委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○小山委員長 次に、請願の審査を行います。
初めに、請願六第七号を議題とします。
理事者の説明を求めます。
○山本地域教育支援部長 請願六第七号、公立学校給食費に係る区市町村補助を二分の一から全額に引き上げることに関する請願につきましてご説明申し上げます。
資料第5号、請願審査説明表の一ページをご覧ください。
本請願は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部会長佐久間千絵さん外九千百八人の方々から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において、公立学校給食費に係る区市町村に対する補助を、その費用の二分の一から全額に引き上げていただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、学校給食費は、子育て家庭にとって大きな負担となっており、本来、国の責任と財源において無償化を実現すべきものでございます。
都は、今年度から、国の方策が講じられるまでの間、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を支援しております。
なお、今般、子育て世帯の経済的負担の軽減に向け、国の方策が講じられるまでの間、市町村の学校給食費無償化を後押しするため、市町村総合交付金を拡充することといたしました。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○小山委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○かつまた委員 請願六第七号、公立学校給食費に係る区市町村補助を二分の一から全額に引き上げることに関する請願について質疑を行います。
我が党は、この八月、都に対し、学校給食費の負担軽減を含めた物価高騰、経済対策等に関する追加の緊急要望を行いました。我が党の要望を踏まえ、市町村総合交付金の拡充が行われ、全ての市町村について、公立学校給食費負担軽減事業と併せて、経費全体の八分の七相当という支援を受けられることになりました。
このような都の支援を受け、都内自治体の学校給食費無償化は進展しているというふうに考えます。
現状についてお伺いをいたします。
○山本地域教育支援部長 都は今年度から、子育て世帯の負担軽減を図るため、国の方策が講じられるまでの間、国に先行し、区市町村が学校給食費の負担軽減を実施する場合、その経費の二分の一を支援することといたしました。
さらに、市町村と連携し、全ての市町村が学校給食費の無償化を実施できるよう、市町村総合交付金を拡充することといたしました。
本年十一月時点で学校給食費の完全無償化を実施しているのは、都内六十二区市町村のうち、二十三区、十六市、十三町村の計五十二自治体でございます。
十市につきましては、全て三学期から無償化に取り組むことを、各自治体において既に公表しております。
○かつまた委員 都内の全ての自治体で無償化が実現する見込みとのことで、大きな前進であるというふうに考えます。
区市町村への支援に当たっては、都には丁寧な対応を求めてまいります。区市町村の実情を踏まえ、確実に支援が行き渡るよう補助手続を進めてもらいたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○山本地域教育支援部長 東京都公立学校給食費負担軽減事業では、区市町村の実施状況を踏まえた補助金の交付申請が可能となるよう、複数回、申請の機会を設けております。三学期から学校給食費の無償化を実施する自治体もあることから、今後も申請の機会を設けることとしております。
区市町村から確実に申請をいただけるよう丁寧に説明するとともに、申請手続の中で、各自治体の取組状況について確認をしてまいります。
○かつまた委員 ぜひよろしくお願いします。
ところで、学校給食は、各自治体によって様々な方法が実施をされております。校内の調理室や給食センターから提供する方式もあれば、ランチボックス方式と呼ばれ、外部で給食調理を行い、学校に配送している自治体もあるというふうに聞いております。
こうしたランチボックスとして学校給食を提供する場合でも、公立学校給食費負担軽減事業の対象になるのか。
また、アレルギー等で自宅からお弁当を持ってこざるを得ない、そういった児童生徒もいるというふうに聞いております。こういった場合も無償化の対象になるのか、併せてお伺いをいたします。
○山本地域教育支援部長 ランチボックス方式の学校給食につきましても、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減を行う場合、東京都公立学校給食費負担軽減事業の対象としております。
また、本事業では、児童生徒がアレルギー、その他の疾患を有する場合や、調理場等の施設に係る工事、点検などの理由によりまして、やむを得ず学校給食の提供を受けられない場合、区市町村が実施する学校給食費相当額の支援につきましても補助対象としております。
○かつまた委員 アレルギーなどで弁当を持ってござるを得ない、そういった児童生徒も、区市町村が支援すれば補助対象となるということが確認をできました。
これからも各自治体の状況を把握し、しっかりと支援していただくことを要望し、質問を終わります。
○斉藤委員 私からも、この学校給食費の区市町村補助を二分の一から全額補助に引上げを求める請願について質問をいたします。
日本共産党都議団は、都民の声と、野党の会派の皆さんとも力を合わせて、学校給食費無償化に向けて都から全額補助を出すことを求め、条例提案もしてきました。財政力の弱い自治体でも無償化を実現し、都内で教育条件に格差をつくらないよう、どの子も、お金の心配なく、おいしい給食を食べられるようにするためでした。
この下で、都は、今年度四月から、区市町村に対して二分の一の補助を開始しましたが、やはりそれだけでは、多摩地域で無償化に踏み出せない自治体が残されました。
市長会でも、さらなる財政支援を求める声が上がる中で、第三回定例議会の補正予算で、多摩・島しょ地域には、市町村総合交付金によって八分の三を支援し、補助と合わせて八分の七までの助成が一月から始まることになりました。
その下で、多摩地域の無償化の状況はどのようになっているか。まだ無償化が始まっていなかった自治体でも、一月から全ての自治体で無償化が実施されるか、現状を伺います。
○山本地域教育支援部長 本年十一月時点で、多摩地域で学校給食費の完全無償化を実施している自治体は、三十市町村のうち二十の自治体でございます。
十自治体につきましては、全て三学期から無償化に取り組むことを、各自治体において既に公表しております。
○斉藤委員 十一月時点では、まだ十の自治体が無償化できていなかったということですけれども、三学期からは、全ての自治体がこの無償化に取り組むことを表明されているということで、本当によかったというふうに思います。
この請願のように、声を上げ続けてきた都民の皆さんが都政を動かす、大きな前進だというふうに思います。
その上で、幾つか伺いたいと思います。
多摩地域には、ランチボックス方式、先ほどもお話がありましたけれども、ランチボックス方式やデリバリー方式などと呼ばれる外部調理委託方式による給食を実施している自治体があります。
具体的には、国分寺市、東久留米市、東村山市、町田市がランチボックス方式の給食になっていますが、給食費無償化の扱いはどのようになるのか。これについては、先ほどご答弁があり、ランチボックス方式の学校給食についても、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減を行う場合、東京都公立学校給食費負担軽減事業の対象になるというご答弁でした。
この下で、各自治体との話合いというのはどのくらい進んでいるんでしょうか。お伺いします。
○山本地域教育支援部長 三学期から無償化を実施する自治体もございますことから、今後も補助金の交付申請の機会を設けまして、各自治体の状況につきましては、申請手続の中で確認することとしております。
○斉藤委員 ランチボックス方式では、市の方で、この補助制度もケースによっていろいろあるようです。
町田市の例でちょっとお話ししたいのですけれども、町田市は、中学校についてはランチボックス方式の給食だったところ、これも市民の運動によって、ようやく給食センターを三つ設置して全員給食を実施していくということになっています。そのうち一つは一月から稼働するので、その地域の子供たちは、全員給食を無償で食べることができます。
まだセンターが設置されていない地域ではランチボックス給食が継続されますが、全員分のランチボックスが用意できないというために、注文した生徒の中から提供する生徒を決めていくということだそうです。
給食費の無償化は、市が発表している制度によると、ランチボックスを希望した生徒は、実際に提供されたか、されていないかにかかわらず、希望した場合は、この給食費相当が支給されるということです。しかし、希望しなかった場合は給食費相当が支給されないということなんですね。
その場合、東京都の補助がどうなってくるのかということも問われてくるんですけれども、同じ市の中で、無償化の補助を受けられるケースと受けられないケースがあるという状況です。
ここで、やはり、いま一度考えたいと思うのは、この間、東京のどこにいても格差がないように、この無償化を都内全ての子供たちへと、この請願のように声が広がって、今、一〇〇%の自治体へと広げるということができたということです。
市の状況によるものとはいえ、無償化の対象にならないケースとなるケースがある。しかし、それは生徒たち個人の問題ではないわけで、そのことでいろいろ細かく色分けするというものは、いかがなものかなというふうに思います。
ランチボックスを選ばなかった生徒でも昼食代はかかります。本来は、市の事情にかかわらず、全ての児童生徒が無償化の恩恵を受けられるようにするべきではないかと思います。
都の補助は、市の補助があることが前提ということですけれども、学校給食費の無償化を進めてきた東京都として、関係市とこれから話合いだということですので、ぜひ丁寧に話合いをして、全ての児童生徒に無償化の恩恵が行き渡るよう、働きかけをしていただけるように求めたいと思います。
都からの全額補助を求めるこの請願は、市町村総合交付金の補正予算が決まる前に出されたもので、その後に一〇〇%の自治体に無償化が広がったということは本当によかったと思います。
しかし、今後も安定的に無償化を続けていけるかどうか、また、物価高騰に対して対応していけるかどうかも、都からの支援に左右される状況があります。
来年も全ての自治体が無償化を続けられるように、物価高騰分を含めた給食費の補助を行うことが必要ですが、見解を伺います。
○山本地域教育支援部長 都は、今年度から、国の方策が講じられるまでの間、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を支援しております。
○斉藤委員 国の方策が講じられるまでの間ということで続けるということですが、ぜひ各自治体が安定的に無償化を続けられるように、また、質の高い給食を提供できるように支援を充実させていくことも検討していただきたいと思います。
以上です。
○小山委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小山委員長 起立少数と認めます。よって、請願六第七号は不採択と決定いたしました。
○小山委員長 次に、請願六第九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 請願六第九号、中学校英語スピーキングテストの実施状況調査とテスト結果の活用中止に関する請願についてご説明申し上げます。
請願審査説明表の二ページをご覧ください。
本請願は、千代田区の都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会代表、池田真澄さん外六百五十五人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
中学校英語スピーキングテスト――以下、ESAT-Jという――の実施直後に、受験生全員と各学校、教員等を対象として実施状況に関する調査を行い、速やかにその結果を公表すること、2、ESAT-J結果の令和七年度の都立高校入試への活用を中止することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、令和四年度及び令和五年度に実施しました中学三年生向けのテストにつきまして、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。
ESAT-Jは、学ぶ意欲の向上と指導の改善を目的としており、一、二年生は、在籍する中学校の教室等で実施しております。一方、三年生は、より集中した環境で受験できるよう、外部会場で教室や机の位置を工夫するなど配慮して実施しております。
大勢が一斉に発語するスピーキングテストの性質上、周りの声が聞こえることはあり得ますが、試験は適切に実施されております。
スピーキングテストにおける不受験者の措置は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などに対し、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基にテストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。
こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的な最善の方法でございます。
個人情報については、法令等に従って適切に取り扱っております。
なお、受験の申込みに当たりましては、保護者にご理解いただけるよう、学校を通じて丁寧に説明をし、保護者の同意を得ております。
申込み開始当初に返信メールの遅延が生じましたが、必要な対応を行い、短期間で復旧いたしました。
また、保護者が申込みの際に、生徒の在籍校を誤って選択したことにより、当該生徒の情報が異なる学校に表示された件につきましては、中学校や区市町村教育委員会とも連携し、速やかに対処いたしました。
テストの申込みは、多くの保護者のご理解、ご協力を得て、順調に進みました。
中学校の英語の授業におきましては、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど、英語を使ったコミュニケーションを図る様々な学習形態を工夫しておりますほか、ICT機器の活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流をするなど、様々な効果的な指導を主体的に行っております。
これらの指導の充実と、その学習成果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸ばすことにつながることから、引き続きスピーキングテストの実施に取り組んでまいります。
令和四年度及び令和五年度に実施しました中学三年生向けテストでは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。
引き続き、よりよい試験となるよう、実施状況を確認し、不断の改善に取り組んでまいります。
都立高校入試におきましては、話すことを含めた英語の四技能の学習の成果を測るため、引き続き、その成果を活用してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○小山委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○とや委員 共産党のとや英津子です。英語スピーキングテストの請願について質問します。
十一月二十四日に、中学三年生英語スピーキングテスト、ESAT-Jが実施されました。過去二年間の中学三年生のテストはベネッセが実施しましたが、今回からはブリティッシュ・カウンシルが事業者となってのテストです。
改めて、実施状況と今後の予定をお答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 既に公表しておりますが、受験の申込み者数が約七万五千人で、当日は、約七万人の生徒が、都立学校百九十一会場、民間会場三十九会場で受験をいたしました。
機器の不具合のために、試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識しております。
今後は、十二月十五日に追試験等を実施する予定でございます。
○とや委員 都教委としては、試験は適切に実施されたというご見解だと思います。
機器の不具合のために、試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生したということですが、何会場で発生したのでしょうか。また、それぞれ何分ぐらいの遅延だったのか。終了時刻の遅延は、その会場の受験生全員に対して発生したのでしょうか。影響を受けた受験生は何人なのか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 一部の受験生の終了時刻が二時間程度遅延をいたしました。
生徒の受験状況に関わる個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 その答弁はおかしいと思いますよ。全然、聞いたことに答えてくれていません。
遅延は何会場で発生したのでしょうか。
遅延時間も、それぞれの会場について聞きました。どの会場も二時間程度ということなのでしょうか。
また、一部の受験生の意味ですが、七万人の生徒の一部ではあるが、遅延が発生した会場の受験生は全員ということなのか、それとも、遅延が発生した会場の中の一部の受験生なのか、お答えください。
さらに、影響を受けた人数についても聞きました。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に関わる個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 生徒の個別具体的なって、名前まで聞いているわけじゃないんですよ。
じゃ、何会場で遅延が生じたのでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に係る個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 生徒の個別具体的な状況とか、生徒への配慮だとか、そういえば何でも通ると思ったら大間違いですよ。遅延が生じて生徒や保護者に迷惑をかけておきながら、その状況も正確に答えることができない、答えない。とんでもないです。
それでは、機器の不具合が原因で遅延したということですが、機器の不具合はどのような内容で、その不具合により、なぜ終了時刻が遅延したのでしょうか。それぞれの会場について、具体的な状況を説明してください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 タブレット端末に不具合があり、端末の交換や生徒の教室変更を行うなど、対応に時間を要したためでございます。
なお、生徒の受験状況に関わる個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。
○とや委員 機器とは、タブレットのことなわけですね。それは分かりました。
タブレットの不具合とは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。電源が入らなかったのか、途中で動かなくなったのか、あるいは別のことでしょうか。
また、タブレットは、不具合が生じれば、直ちに予備のタブレットに交換する、別室に移動して続行することはこれまでも行われて、大きな遅れにはつながっていません。
それなのに、今回は、なぜ二時間もの遅れが生じたのでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 タブレット端末の不具合があり、端末の交換や生徒の教室変更などの対応に時間を要したためでございます。
現在、原因は調査中であり、再発防止に向けて取り組んでまいります。
○とや委員 原因は調査中だということですね。でしたら、それは、明らかになったら必ず公表してください。
さらに、都教委の発表、また、今日の答弁では遅延が生じたということですが、それだけではありません。
私たちのところには、機器の不具合により遅延が生じただけでなく、結局、試験が受けられず、有無をいわさず十二月に再受験するようにいわれたという声が届いております。当然、把握していらっしゃいますよね。なぜ発表しないのでしょうか。
こうした状況が生じたのは何会場ですか。どんな状況になった生徒が何人再受験になったのか、会場ごとに説明してください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に係る個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えます。
○とや委員 生徒の個別具体的な状況ではありません。生徒には何の責任もないのに、機器の不具合によって、同じ会場で多くの生徒が再受験になったわけです。これは個別具体的な状況ではなくて、会場の運営の問題ではないでしょうか。本当に、何をはぐらかして生徒の個別の話などと無責任なことをいっているのか。ちょっとひどいんじゃないですかね。
遅延が生じた会場数も、影響を受けた生徒数もいわない。遅延で待たせた挙げ句、再受験するようにといい渡すような事態になったのに、それは公表すらしないで隠しているわけです。どれだけ生徒が被害を受けたか、分かっているんでしょうか。入試に使うテストを実施する組織が取る態度ではありません。
私たちに寄せられた声を、ここで紹介しておきたいと思います。
ある会場の前半組の生徒です。タブレットが不具合を起こし、周りがテストを実施している中、待たされました。周りの人の解答が丸聞こえでした。私が別室に移動させられたのは、前半組のテストが終わってからだったのですが、そこから後半組と同時に行うと思いきや、試験を受けられず、三時半まで自習といわれました。同じフロアで三十人くらい受けられず、別室にいました。また、四時くらいに、タブレットの代替機が来たらやります、どうしても用事がある人は報告してくださいといわれました。それで早急に保護者に連絡すると思いきや、四時四十分ぐらいまで、何もいわれずにただ待たされ、やっと来たと思いきや、電話番号を聞き始めました。四十分間の間、係員が何をしていたのか、全く理解できません。五時くらいになって、係員に、長い時間待ってもらって申し訳ないのですが、本日のテストは中止させていただきますといわれました。そして、十二月十五日に再受験してくださいといわれました。
皆さん、これを聞いてどう思いましたか。本当に衝撃じゃないでしょうか。同様の証言は複数いただいています。
三十人あるいはそれ以上の生徒のタブレットが不具合を起こすなど、一体、どういうことなのでしょうか。きちんと動作するタブレットすら用意できないとは、あまりにも情けない不備ではないでしょうか。これに十三億円かけているんですよ。入試に使う試験として、あり得ない状況です。
結局、大量のタブレットが正常に作動しなかったために、予備のタブレットの台数では対応し切れなかったということなんですよね。あまりにもお粗末過ぎます。
この会場の状況を、都教委は、当然、詳しく把握していると思いますが、いかがですか。説明してください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認しております。
○とや委員 実施状況を確認しているということです。確認したら、必ず発表してくださいね。個別具体的なとか、生徒の個人情報とか、そういう問題ではありませんから。
大量に不具合になったタブレットですが、タブレットそのものの品質の問題ですか、それとも、試験問題のインストールなどの準備の問題なのでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 先ほど申し上げましたが、現在、原因は調査中です。
○とや委員 これ、本当に問題だと思うんですよね。何でこんなにタブレットの不具合が起きてしまうのか、きちんと調査をして報告してください。その不具合が尋常じゃない数があったこと、そして、予備のタブレットで対応し切れないくらい大量に生じているから聞いているんですけれども、ちょっと何とかしてほしいなと思います。
きちんと履行できたかどうかは、都教委とブリカンの契約にも関わる問題です。生徒や都民の立場に立てば、うやむやにするなどあり得ませんので、これは厳しく指摘しておきます。
しかも、タブレットが不具合になって、ほかの生徒が受験している中、同じ教室で解答が丸聞こえの状態で待たされたと。先ほどもありましたね。別室に移動したのは、テストが終わった後だったということです。
なぜ、すぐに移動させなかったのでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 端末の交換や生徒の教室変更を行うなど、対応に時間を要したためでございます。
○とや委員 今までだってタブレットの不具合はあったと思うんですよね。それなのに、こういう事態になってしまう。ちょっとおかしいんじゃないかなと、私、とても疑問に思っているんですよ。そこもちゃんと解明するべきです。そして、きちんと報告するべきです。都民にきちんと明らかにしてください。
そして、試験運営のマニュアル、このマニュアルでは、本来、こうした場合、誰がどのように対応することになっているんでしょうか。教えてください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験の実施運営に関することについては、お答えを控えさせていただきます。
○とや委員 いや、これ、すごく大事なことで、本当に緊急事態が起きたら、どういう系統で動くのかということは、これも都民に明らかにするべきじゃないですかね。保護者だって、生徒だって心配しますよ。きちんと答えてくださいよ。
生徒は、代替機が来たら試験をするといわれたのに、結局、その日は受験させてもらえず再受験となった。
これはなぜでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 端末の交換や生徒の教室変更を行うなど、対応に時間を要したためでございます。
○とや委員 対応に時間を要したから再受験になったんですか。それって、おかしいんじゃないでしょうか。本当にそうなんですか。
ちょっと、もう一回お答えいただきたいのですけれども。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、生徒の受験状況に係る個別具体的な状況については、生徒への配慮が必要なことから、お答えは差し控えます。
○とや委員 山田さん、ちゃんと今、答えようとしてくださっていたわけですからね。
タブレットが不具合になっても別室に移動させてもらえなかった、ほかの生徒の解答が丸聞こえの状態で部屋にいさせられたから、同じ試験問題での受験はさせられないと判断されて、十二月十五日に再受験とされたんじゃないでしょうか。
これ、つかんでいますよね。そういう判断が働いたんじゃないですか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に係る個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は控えさせていただきます。
○とや委員 今もお答えにならなかったのですけれども、これ、運営上の問題なんですよ。誰々さんがどうしたという話を聞いているわけじゃないんです。誠意のない答弁に終始しないでいただきたい、せっかく答えようとしてくれていたわけですから。お願いします。
それにしても、生徒は、本当に何重にも被害を受けています。予備のタブレットでは足りないほど、大量に正常に作動しなくなる、これだけでもあり得ないわけです。それですぐに別室に移動できていれば、ほかの人の解答が丸聞こえになることもなくて、その日に受験することができたではないですか。
タブレット問題、試験の運営も問題、そしてトラブルが拡大していったのは、本当に問題だと思うんですよ。こうやって拡大していったんですよ。
試験監督については一日限りのアルバイトであるということを、私たちはこれまでも指摘してまいりました。受験生に負担をかけ、試験の公平、公正性にも影響を与えているということは、何度も指摘してきたわけです。しかし、全く改善をしていません。
さらに驚いた証言もあります。予定より一時間以上遅れて、正常に機械が作動した人のみ受験。その間、機械が作動しなかった人は、受験をしている人と同じ部屋で待機していました。受験中の生徒の解答が丸聞こえでした。受験が終わり、しばらくしたら、機材トラブルで受験できなかった人も、受験をするため部屋へ移動。その後、休憩となりました。その間、受験が終わった生徒とそうでない生徒が、トイレや廊下で普通に話していました。四時四十分頃に、やっと試験が開始。問題は、先に機材が使えていた生徒と同一のものでした。五時過ぎに解散。しかし、私の友達には、五時過ぎまで待たされた挙げ句、結局、受験できなかった人もいました。
つまり、この生徒は、受験中の生徒と同じ部屋で待機させられた。先ほども紹介がありました。解答が丸聞こえだったのに、その後、同じ問題の試験を受けたということなんですよ。もちろん、この生徒の責任ではありません。
しかも、受験が終わった生徒とまだの生徒が、トイレや廊下で話すことができたということです。
本当に驚きました。まさに入試の公平性を揺るがす事態ではないでしょうか。しかも、同様の証言は何人からも届いています。
都教委は、このことを把握していますか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に関わる個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 誠実にお答えいただきたいんですよ。いいですか。把握しているか、把握していないか、聞いただけですよ、私。中身を答えてくださいといっていないんですよ。
把握はされていますか、していませんか。どちらでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 そんな壊れたレコードみたいな答弁しないでくださいよ。
ほかの解答が丸聞こえの状態で、その後、同じ試験を受けた生徒がいるということは、まさにESAT-Jの高校入試活用そのものが問われる、入試活用することなど許せない事態ではないでしょうか。個別具体的なことは答えられません、そういうのですか。
入試活用することなど許されない事態ではないでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 機器の不具合のために、試験終了時刻の遅延が一部の会場に発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識しております。
○とや委員 誠実に答えていただきたいんですよ。子供たちのことですよ。次長、お願いしますよ。都教委の信頼にも関わる問題なんです。ここで入試が公平に行われたと誰もが納得できる説明がされなければ、ESAT-Jを都立高校入試に活用するなど、中学生、保護者、都民への裏切り行為でしかありませんよ。都教委は信頼に値しない組織になってしまいますよ。
しかも、一部の生徒が他の生徒の解答を受験前に聞くことができたり、受験後の生徒と受験前の生徒が会話できる状態にあったことについて、生徒からも、こんな状態で受験してよいのかと質問が出たそうです、会場で。それに対して、大本の指示はそうなっていると回答があったということです。
この大本の指示とは、誰の指示でしょうか。都教委ですか、ブリカンですか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識しております。
○とや委員 それはちょっとおかしいんじゃないでしょうかね。だって、今、調査中なんでしょう。調査も終わっていないのに、適切に実施されたなんていえるんでしょうかね。いっていることが矛盾していませんかね。少なくとも、調査の結果を見て、それで判断するべきじゃないでしょうか。おかしいですよ。本当にいいかげんで、あきれます。
この事実だけで、ESAT-Jの入試活用は中止しかないんです。今まで述べてきたことだけでも中止しかないと思います。
しかも、遅延や再受験が大量に生じた会場は、今ご紹介をした一校だけではありません。私たちに寄せられただけでも、少なくとも四会場から、こうした情報が寄せられています。
大量の遅延、少なくとも数十人単位の受験生の試験の遅延や再受験が生じたのが一校や二校でないことはお認めになりますか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒の受験状況に関わる個別具体的な状況につきましては、生徒への配慮が必要なことから、説明は差し控えさせていただきます。
○とや委員 生徒は迷惑を被っている方ですから、どういう状況で試験が行われたのか、知りたいんじゃないですかね、保護者もね。そんなことをいっているのは都教委だけですよ。
そして、入試に使う試験でこれだけ大きな遅延や再受験が生じたら、少なくとも実施者は、客観的な状況や原因を公表して謝罪するのが当然です。そういう姿勢があるんでしょうか。本当にとんでもないと思いますね。
試験が遅延なく行われた会場でも、試験監督の不手際やミスなどについて、多くの生徒から声が届いています。
試験監督のミスでスタートにばらつきが出た、やはり試験監督のミスによって別室になった生徒もいたわけです。トラブルが起きても対応できない、試験の流れを理解していない、動画の視聴中に試験官が話し始めた、居眠りをしていた、監督と補助の連携が取れていない、半ギレで舌打ちやため息をされた、こうした声が山のように来ています。生徒には何の落ち度もないのに別室に行かされる、八つ当たりのような態度を取られる。
先ほども申し上げましたが、二重、三重に生徒が傷つき、負担を強いられている状況がありました。
こういう状況はご存じですか。これが適切といえますか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験実施は、適切に実施することができたと認識しております。
○とや委員 適切の根拠を教えてほしいですよね。
先ほども申し上げましたけれども、これまで何度も、その日限りの試験監督、アルバイトさんが多くて、不慣れなために様々な批判が集まって改善することになっていたのに、もう三回とも失敗しているんですよ。これは監督自身の問題ではありませんよ。無理な規模で一斉にテストをやることから生じているんです。
つまり、都教委の皆さん、生徒や教員、保護者のことを顧みずに無謀なテストを強行したことから引き起こされているんです。ここは、きちんと自覚していただきたいんですよ。
そもそも、監督はきちんと集まったのでしょうかね。今回、七万人規模でテストをやったわけですが、そうなれば千人単位での試験監督が必要だと思いますし、この時期、ほかの試験なども重なって、集まりにくかったんじゃないかと思います。
試験監督は何人雇用したのか、必要な人員は確保できたのでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づき、必要数を事業者が確保するものでございます。
○とや委員 基本協定と実施協定ということですが、では、お聞きしたいのですが、試験監督が当日まで募集があったことは把握していますか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督等は、基本協定及び実施協定に基づいて、必要数を事業者が確保するものとしております。
○とや委員 確保するものとしておる、協定に基づいて。そういうふうに思っているんですよね。
実際に、全国試験運営センター、NEXAという会社から派遣の登録者に、当日、メールが届いています。届いたのは十二時過ぎ。締切り十二時四十五分、緊急募集が入っています、このように書いてありました。本日のご就業が可能な方を緊急募集いたします、本募集へのご応募は、このメールへの返信で承ります。
これは最初の文章だけですけれども、それ以外にも添付文書がありました。こうしたことが書かれているんですよ。急な応募なので、加算金額もありました。
その日に試験監督を募集しているんですよ。これ、どういうことになっちゃっているんだろうと思いました。
お聞きしますが、先ほど実施協定とおっしゃいましたが、試験監督の研修についてお聞きします。
YEAR1、YEAR2の報告書には、オンラインと対面トレーニングの内容の充実を図ると記載がありますが、試験監督採用者全員がオンラインと対面のトレーニングを受けましたか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修につきましては、基本協定及び実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものでございます。
○とや委員 事業者に丸投げしちゃ駄目ですよ。協定というのは、東京都と結んでいるんですよ。だから、協定どおりにやらなきゃいけないんですよ、事業者は。
実施計画には何と書いてあるか。十四週間から十二週間前には一・五時間の対面トレーニング、これはリーダー格の方が受けるのだと思うんですが、六週間から三週間前にはフローター、責任者、副責任者が対面トレーニングをする。そして、八週間から三週間前はオンライントレーニングと書いてありました。一週間前には責任者、副責任者が会場確認とありました。
当日募集していて、実施計画どおりに、このような研修を受けることができるのでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修については、基本協定及び実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものでございます。
○とや委員 協定は、事業者と都教委が結んでいます。都教委は監督責任があります。書いてありますよね、ちゃんと。書いてあるでしょう。是正勧告だってできるんですよ、この協定。
ですから、実施協定と計画に照らしても違反ではないでしょうか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修については、基本協定及び実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものでございます。
○とや委員 この協定に書いてあるんですよ、ちゃんと。都教委は監督責任があるんですよ。契約不履行になったら、解約だってできるんですよ。しなきゃいけないんですよ。それなのに事業者に丸投げでいいんでしょうかね。
実際の試験監督からもお話を聞きました。まず、ウェブサイトで三本の動画を見るそうです。ウェブサイトでね。聞いても聞いていなくても、流しておけば聞いたことになるそうです。
そして、突如、ぎりぎりになって、子供に対する考え方とか、あるいは児童虐待など、ブリティッシュ・カウンシルのポリシーのようなことが掲載され、試験監督を啓発する、そうした百三十枚のパワーポイントが送られてきて、とにかくページをめくれば終了です。
YEAR1、YEAR2では、少なくとも児童への対応については、パワーポイントはクイズ形式で、回答すると次に進むというものでしたが、今回は静止画だけ。ご本人が答えなくても、ページを次々次々とめくればよくなってしまっているんですよ。
これで、試験監督としての心得だとか、会場での振る舞い、判断、対応が身につくでしょうか。協定に基づいて答えてください。協定に基づいて。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修については、基本協定、実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものでございます。
○とや委員 是正要求は都教委はできるんですよ、こんなことになっちゃったら。できるんですよ、ちゃんと。調べて、ちゃんとしてくださいよ。対応してください。そして、ここまで問題が起きたら、どういう判断になるんでしょうか。
そしてまた、マニュアルが分かりにくいものだったそうです。こんなやり方では、研修もままならない。むしろ悪化しているわけです。
つまり、事業者は、試験監督に対して、まともに研修をすることができていないんです。協定どおりに仕事をしていません。債務不履行ではないでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験監督の研修については、基本協定及び実施協定に基づいて、事業者が試験の適正な実施に必要な研修を行うものであります。
○とや委員 同じ答弁をしたって駄目ですよ、事実なんだから。事実をきちんと確認して、必要な対応をしなきゃ。これでちゃんと契約を結んでいるんだから。
先ほども申し上げましたけれども、不慣れな監督のミスによって、生徒が本当に傷ついて迷惑を被りました。今回、都教委が新しくしたヘッドセットをめぐっても、大勢の生徒が声を寄せています。
ヘッドセットについて寄せられた声を紹介します。ヘッドセットは激痛、ヘッドセットは最悪、締めつけが結構強め、ほかの生徒の解答をある程度聞いてから、まねして遅れて解答できる状況、めちゃ嫌だった、後半の試験でヘッドセットがぐちゃぐちゃ、頭も耳も激痛、ヘッドセット、タブレットが汚れていたなど、装着の不快感を訴えるものもありました。
また、砂嵐のような音で自分の声が聞こえなかった、ヘッドホンから常にキーンという音が聞こえ、頭が痛かった、しゃべるときに波のような音がずっと聞こえ、自分の声すら聞こえない、解答中にザーッという音がうるさ過ぎて、自分の声も聞き取りにくかった、なのに周りの声は一部聞こえた。
この間、周りの声が聞こえるという批判を受けて、ホワイトノイズの音を強くしたのかもしれませんが、それが生徒自身の声まで聞こえなくするという、本当に笑えない状況ですよ。試験環境としては最悪です。公平、公正とはいいがたい環境で、生徒は試験を受けさせられたんです。
今までいってきた、指摘してきた中身をぜひ思い出していただきたいのですが、これで公平、公正なテストだと思いますか。生徒を傷つけていると思いませんか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験終了時刻の遅延が一部の試験会場では発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識しております。
○とや委員 生徒を傷つけていると思いませんかと聞きましたが、どうですか。生徒を傷つけていると思いませんか。
教育長、いかがですか。次長、いかがですか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験終了時刻の遅延が一部の会場では発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識はしております。
○とや委員 随分な答弁ですよね。生徒をここまで傷つけておきながら、適切とちゃんといえちゃうんですから、すごいと思いますよ。これまで以上の問題を起こしておきながら、協定に基づいて、それしかいえない。適切、それしかいわない。本当に情けないです。
こういった事態を招いた責任は、やっぱり都教委です。きちんと記者会見を開いて、生徒、保護者、関係者に説明し、謝罪をすべきではありませんか。お答えください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生したものの、試験は適切に実施することができたと認識しております。
○とや委員 同じ答弁ばかり繰り返して、必要なことは何も答えないという姿勢で臨もうというふうに決めて、そちらにお座りになっていらっしゃるんでしょうけれども、理事者の皆さん、特に幹部の皆さんは。だけれども、起きている事実をしっかり受け止めて、必要な答弁はちゃんとしないと駄目ですよ。それじゃないと、都議会がきちんとチェックできないじゃないですか。税金を使っているんだから。来年度は三十七億円、今年度四十三億円、全部合わせて二百十億円。これだけの巨額の税金が投入される。それなのに何もいわない。本当におかしいですよ。
結局、タブレットも駄目、試験の対応も不十分、都教委は事実を公表せず、試験の実施にも、入試の公平性、公正性にも責任を持たない、中学生にも保護者にも不誠実。とんでもありません。ぜひ受験生が何といっているか聞いていただきたいんです。
また一部紹介しますね。受験生の大切な時間を無駄にされて、非常に腹が立ちます。たった十五分の試験を受けるために、三時間以上必要といわれ、さらに一時間半待たされ、テストを受けられず、別日に再受験は、さすがに効率が悪過ぎますし、ひど過ぎます。こんなテストは早急に中止してほしいです。都が行うには、さすがに段取りが悪過ぎます。受験生の私たちには非が全くないにもかかわらず、どうして再受験をして、時間をまた奪われなくてはいけないのか。都の行うことには本当に失望です。私たちの税金で、こんなくそみたいなテストを行うなんて、税金の無駄遣いとしか思えません。それなりの措置を行うことを私は期待しています。これは受験生の声です。
こういうESAT-Jは、中止しかありません。もう今回限りにしてください。改めて中止を強く求め、質問を終わります。
○風間委員 私からは、ちょっと素朴な疑問で、九月十七日に文教委員会があって、このESAT-Jの質問をした覚えがありますが、そのときにはグローバル人材の信岡部長が答弁をしていたと思うんですね。手続に関しての様々な問題があって、信岡部長からも謝罪があったと記憶をしているところです。
しかし、今回、指導部長である山田部長が、グローバル人材育成調整担当部長ですか、も兼任をされて答弁をされているということのようですけれども、これは、いつから山田部長がこの担当になったのでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事前に質問を受けていましたら発令日を持ってきましたが、正確に分からないため、答えは控えさせていただきます。
○風間委員 こんなことが、今日知ったんですよね。山田部長がESAT-Jに関しての質問の答弁をしているということを今日知ったので、前回は信岡部長が、担当が瀧沢前部長から替わって、今回からESAT-Jに関しての答弁もされているなという状況の中でも誠実に答弁をされて、最終的には、やっぱり子供たちに影響が及んだということで謝罪もされた、こういう状況だったと認識をしていますけれども、じゃ、なぜ、この受付のところから、今回、この実施というフェーズになった際に、指導部長である山田部長が新しい担当部長も兼任することになったのか、教えてください。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 兼務発令が出たことにより兼務をしております。
○風間委員 理由が分からなかったですけれども、発令が出たので、山田部長としてはやっているということなんですね。山田部長も、ずっとこの件に関しては把握されていたと思うので、過去の二回を含めて、今回も含めて、よくよく状況を把握されている部長だと思いますから、しっかりと答弁をされることを期待されて、今回もお答えしているのかなと推察するところなんです。
先ほども質問をしていきましたけれども、極力、この請願の内容に沿って伺いたいなと思うんですけれども、先ほど、ほかの会派とのやり取りを聞いていて、今回、一部の会場で遅延等のことがあったということですが、七万人近くが受けたわけであり、会場数も相当あったわけですけれども、全ての状況を、もう既に教育委員会としては把握しているという状況なのでしょうか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認しております。
○風間委員 事業者と都教育委員会も、以前も含めて現場には入っているというお話ですから、それも含めて把握をしているということだと理解をしました。
一方で、私たちのところにも届いた、実際の受験生の声ですね。しかも、全ての教室に、そういう意味では都の教育委員会の人や委託事業者の社員の方がいるわけではないと思われますので、監督者が三人ですか、相当数アルバイトが募集されて、アルバイトが配置されているというような声も届きましたので、当日、三人ともがマニュアルを読んでいるような状況だったという声も届きましたので、その意味では、各教室の状況をつぶさに把握されているわけではないんだろうなと、こう推察するわけですけれども、これ、実際に受けた生徒たちからも聞かないと、実態把握がちゃんとできないんじゃないかと思いますが、生徒たちに、こういった、特にトラブルがあったと分かっている会場での生徒たちに実態把握調査をする、そういうつもりはありませんか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 実施後に区市町村教育委員会から聞き取りを行うなど、確認をしております。
○風間委員 私たちの方が、そういう意味ではリアルな声を、全部の七万人の生徒から伺っているわけではありませんけれども、特にトラブルのあった会場から、実際に受けた生徒からの声を把握しているという意味では、正しい情報を持っているのかもしれませんね。
ぜひここは、この請願にもありますけれども、生徒からきちんと情報収集した方がいいと思います。ちゃんとしたテスト運営を今後も含めて実施をするのであれば、やっぱり問題点は改善をしていかなければなりませんから、事細かに把握するといったことをしっかりするべきだと、まずは求めておきます。
その上で、先ほどもお話がありましたけれども、公費を投じて行っている大きな取組です。その問題点に関しては、これまでも、この文教委員会でも何度も問題改善を求めてやり取りをしてきたわけですけれども、今回、三年生の三回目ということで、これまで以上に大きな問題があったなと私も感じているところでありますから、今回のトラブルの状況に関しては、しっかりと公表をしなければならないと思うんですね。
それは議会への報告も当然ですし、やっぱり広く都民にも報告をしていく必要があるんだろうと思いますけれども、この辺りはどう考えていますか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 生徒に対して、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、会場にいる試験監督やその他の係員に声をかけること、また、試験中に伝えられなかった場合は、試験終了後に会場にて係員に申し出ること、さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談し、東京都教育委員会に連絡することを、全員に配布したプリントで伝えており、生徒の申出を直接聞く体制を整えております。
○風間委員 私は、公表するべきじゃないかという質問だったので、ちょっとそれには答えていない答弁でしたね。新しい話かもしれませんけれども。
いや、その体制を整えているということと、実際に生徒たちから声を聞くということは違うことですよね。生徒が実際に教育委員会に直接連絡するかどうかというのは分かりませんから、私は、東京都の教育委員会がちゃんと調査をすることが必要ですよねということをさっき申し上げたので、体制を整えているからといって、聞けるわけではないと認識をしています。なので、ちゃんと生徒にも調査をした方がいいと思いますということで求めておきます。
その上で、ちゃんと実態を把握して、議会にも都民にもきちんと、こういう問題があったんだということは公表するべきだと思いますが、いかがですか。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 繰り返しの答弁になりますが、事業者及び都教育委員会が実施状況については確認をしております。
○風間委員 公表するつもりはないのですかね。公表するべきだと思いますけれども、いかがですかということを伺っています。
もう一度聞きます。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 実施状況につきましては、例年、教育委員会で報告をしております。
○風間委員 じゃ、教育委員会では報告をするんですね、このトラブルの状況については。教育委員会で報告するということは議事録にも残るということで、それを公表するというのが現段階での方針だというふうに理解はしました。
その上で、以前も一回目の後も、教育委員会の報告を経て、議会でも報告をし、それに対しての質疑も行った覚えがありますから、それはしっかりとやっていく必要があるんだろうなと思います。
というのは、やっぱり、これだけの公費を使って七万人もの都民、中三生に影響を及ぼす。その中で、生徒の人生を左右する都立高校に反映をさせようとしているわけですから、しっかりと説明責任を果たしていかなければなりませんし、私たちは都民の代表として、それを求めていく責任があると思いますから、その立場でこれを求めているわけです。しっかりとそれは行っていくことを、これも求めておきますね。
これは、先ほどまでの答弁を聞いている範囲においては、ちょっと認識が甘過ぎるんじゃないかなと。単に何か所かで遅延をしたというだけの事象の問題で捉えているんだとすれば、これは大問題ですよ。機材トラブルという問題だけではありません。
先ほどの事細かな質問の中でもありましたけれども、公費を使って人件費も払っている委託事業者がしっかりと研修もしないまま、当日呼ばれて、その場に行って試験監督をやっているんですよ。こんなこと、都立高校の一般入試ではあり得ないじゃないですか。
都立高校の一般入試って、ちゃんと学校の先生が試験監督をやりますよね。経験も豊富な先生方がやるもの。それと同じ位置づけにある、この英語スピーキングテストの試験監督が、その日、急遽呼ばれて、運営マニュアルをその場で読みながらやっている。これはもう人為的なミスもはらんでいますよね。
そのことによって、何ら告知をされないまま一時間以上待たされて、突然スタートさせられて、自分たちの人生がかかっているテスト――山田部長も信岡部長も、先生じゃないですか。自分たちの教え子が、もしかしたら、初めて自分の人生をかけたテストに向かっているんですよ、この問題って。自分たちの教え子が、初めてどきどきしながら行ったテストでこんな経験をしたら、許せますか、担任の先生として。これ、許せないと思うんですよね、教員の立場だったとしたら。親の立場でも許せないですよ。というぐらいの大きな問題だと思っています。
ですから、この問題を軽く捉えちゃいけないと思っていて、この問題を軽く捉えて公表しないなんていうことがあったら、これ、不祥事に関する隠蔽問題ということになりかねませんよ。ですから、しっかりと公表をしてください。そして議論しましょう、何が問題だったのかということ。これ、本当にお願いしますよ。
こういう問題があると、私はもう、あくまでも英語スピーキングテストは、四技能をしっかりと学んでいく上で、やることに対して、もともと反対していませんし、スピーキング力を高めていくのも重要だと、ずっと、かねがね申し上げてきました。しかし、こういったずさんな運営の状況で、子供たちの人生を左右する都立高校に反映させていくということが問題だということも、ずっといってきたわけです。
今回、それはもう看過できないほどの心理的負担を子供たちに与えて、一部の生徒が正常な状態じゃない形でテストを受けさせられたということ、それをそのまま、これまでどおりの採点で反映をさせていくということでは、こういった状況でテストを受けさせられた生徒がかわいそうですよ。これで点が取れていなかったということであれば。かわいそうで済む問題じゃありません。
それこそ集団訴訟となったとき、これ、勝てますか、東京都の教育委員会として。私は、そういったことも懸念をしておりますので、本当に深刻に捉えてください。
先ほど村西部長からもお話がありましたように、リスニングテストで不具合があったというときには全員同じ点数を与えたというような事例も、過去には都立高校一般入試ではあったわけですから、同じ位置づけ、同じ重みがある今回の英語スピーキングテスト、この配点の在り方ということについては、ぜひ教育委員会の皆さんにも話を伺いながら聞いていただくように、これはもう本当に切にお願いをします。
その上で、請願のところにもありますように、ここにあります調査をして、速やかにその結果を公表するということがありますから、この願意だけではなく、先ほど申し上げたように公表していくということ。
あと、もう一つは、ここの理由にもありますように、不受験者の扱いということに対しても、私は、これまでもこだわって質問をしてまいりました。
これはやっぱり、先ほどのお話があったように、障害があったりする、受けることができない、そういった生徒に対しての最善策として配点をしていくということ、そのことは承知をしておりますけれども、一方で、それだけではなく、都外の方で、受けても受けなくてもいいという状況の生徒がいるということ。受けないという状態で、英語の一般試験での成績、それに基づいて仮の点数を配点するということについては、これは何度もいいますけれども、テスト理論の専門家である東京大学名誉教授の南風原さんが問題があるということを具体的に検証したわけです。テスト理論の専門家ですよ。
どう問題があるかということも、ブックレットで事細かに書いてある。これ、もう皆さん読んでいると思いますけれども、これを覆すだけの正当性があるんですかということについて、今までもお答えはありませんでしたけれども、この前伺ったときからもまだ、あれから三か月ぐらいたっておりますから、それ以上の証明できる、根拠となるような検証または専門家からの助言、そういうことがあったのかどうかということを伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試におけるスピーキングテストの不受験者の措置についてでございますが、今、理事からもお話があったとおり、事故や病気など、やむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して行う措置でございます。
都立高入試では、中学校が作成する調査書と都教育委員会が実施する学力検査の二つの選考資料があり、その算出方法として、都教育委員会が統一的に実施している英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出しております。この方法が、合理的で最善の方策であるというふうに認識しております。
これまでも風間理事とはやってきました専門家についてでございますけれども、我々としても、二つの選考資料の中で、統一的に実施している――テストの点数がないわけですから、何かを基に、仮のスピーキングテストの評価を算出するという中での、意味での合理的最善の方策であるということを申し上げております。
○風間委員 この間、やり取りをしてきているので、東京都の教育委員会の状況をよく把握していますし、新たな専門家の見解があるわけでもないということなんだと理解をしました。
逆転現象が起こるということをテスト理論の専門家が実際に検証した上で、具体的にこう逆転現象が起こるんだということも、その書籍の中で証明をされているわけですね。ですから、それを上回るだけの合理性があるということを主張しなければならないんですよ、本来。じゃ、誰が最も最善だと決めたのかということを問うたら、教育委員会で話を通したと。ただ、教育委員会の議事録を見ていても、誰もそのことには触れていないんですよね、このテスト理論に関して。ということは、教育委員会事務方内でこれが最善だといい張って教育委員会に提示したもの、それに対して意見がなかったというだけのことなわけですから、これによって生徒の合否がひっくり返るようなことがあるんじゃないかという懸念、これをずっといってきているわけです。
この正当性が証明されない限り、都立高校の入試に反映させるべきでないと、こちらは求めてきているわけですから、この議論はずっと続いてしまいますよ。そのテスト理論の専門家の意見を覆すだけの証明が必要ですから。
いかがですか、部長。
○村西都立学校教育部長 理事がおっしゃる、テスト理論の専門家の先生が逆転現象というお話がありましたけれども、逆転現象というのは、我々にとっては全く分からない理屈であります。逆転現象は、何が何に対する逆転なのか。
もともとテストの点数がない生徒に対するものが不受験者の措置という形になっていて、もともとこの合否判定の方法は、これまで申し上げてきましたけれども、入学者選抜実施要綱に定めて事前に公表しております。この合否判定の総合得点をどう決めて、どうやって合否判定を決めるかというのは、事前に入試要綱に定めて公表しているわけですから、そのとおりにやるというのが我々の見解でございます。
したがって、逆転現象が生じるとか、合否に影響を与えるという考え方自体、成り立たないというのは、私、そういう意味合いで申し上げてきているということでございます。
もう一つ、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、要綱に定めれば全て合理的だということを申し上げているのではなくて、先ほど申し上げたとおり、不受験者の措置というのが、与えられた選抜資料の中で学力検査を基に算出することが、我々はそれが合理的な措置であると思っていますし、その合理的な措置を要綱に定めて事前に公表する。どうやって合計点を出すかと公表することで、それで初めて入試というのは成立するものだというふうに考えているということでございます。
○風間委員 主張は理解しています。私も、大学院で教えていたことがありますのでね。
生徒の人生を左右する都立高校の入試選考の在り方、この二十点を加えるまでは、しっかりとやっていたと思いますし、信頼性もあったと思います。先ほど申し上げたような調査書点の問題等々はあれど、これは都民にも理解をされていたものなんだと、まだ思いますけれども、この二十点の配点を加えた段階でおかしくなったんですよ。
先ほどおっしゃった英語の一般入試の点数とスピーキング力との相関関係も証明されていません。証明されていないのに、これが最善だといい張るのは、根拠なしにいい張っているだけなんですよ。これは、教育者として、テストを設計する側として、あまりにも無責任である、こういうことをこちらは申し上げていて、テスト理論の専門家の先生も、そんなずさんな制度設計はないだろうと、こういっているわけですよ。
逆転現象も、部長も、もう読んでいるから知っていると思いますよ。あの本を見れば、逆転現象というのはどういう意味なのかというのが、普通に教育に携わっている人間だったら、誰でも理解できます。
ですから、そのことは、もう逃げずに真正面から受け止めて、実際にこういう制度設計をする際には、文部科学省だって、そういった専門家会議をやるじゃないですか。専門家のお墨つきをつけた上で、こういった制度は正当性があるんだということを証明するわけですよ。でも、今回、それがなされていないということが問題なんだということを、この三年間いい続けています。
ですから、このことは本当に受け止めていただいて、今日はこれでもう終わりにしますけれども、今回の運営上の問題と不受験者の扱いの問題、大きな二つの問題があるというところから、今回こそは都立高校の入試に反映されるということをやめるべきだということを求めまして、私の質問を終わります。
○米川委員 それでは、私の方から聞きます。
現在、都立高の一般入試に、一部の学校ですが、スピーキングテスト結果を入試に活用しています。
東京都内の公立学校生徒のグローバル人材の育成にどのような効果があるのか、伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、全ての生徒が英語を学習することの意義を実感し、生涯にわたり学び続ける意欲を高めることができるよう、スピーキングテストを実施しております。
グローバル人材の育成に向けて、四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視した施策を展開しており、スピーキングテストの結果の入試への活用も、こうした取組の一つでございます。
○米川委員 今の答弁では、テスト結果を入試に活用することで、グローバル人材の育成への効果というところを聞いたのですけれども、答弁がありませんでしたので、特にないということでよいですね。
次の質問に行きます。
入試でスピーキングテスト結果を活用しない場合があります。推薦入試、スピーキングテストを受験した結果は、第一次募集、分割前期募集において活用するとしているが、英語の試験がない場合、そして、英語の試験があっても、後期募集、二次募集の場合、活用しません。
このように、なぜスピーキングテスト結果を活用しない場合があるのか、その理由を伺います。
○村西都立学校教育部長 推薦に基づく選抜は、基礎的な学力を前提に、思考力、判断力、表現力等の課題を解決するための力などを評価し、選抜することを目的として実施しております。
また、二次募集、分割後期募集は、一次、前期募集等を経た進路未決定者に対して、進学機会を幅広く提供する目的で実施しております。
このいずれも、スピーキングテストの結果を活用する第一次募集、分割前期募集とは、選抜の目的が異なるものでございます。
○米川委員 今の答弁で、選抜の目的が異なるので、スピーキングテストは活用しないということが確認できました。
次に、スピーキングテスト結果を活用しないで入学した生徒のグローバル人材の育成は適切に行うことができるのかについて、それぞれの場合ごとに伺います。
○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 スピーキングテストを受験した生徒は、高校に進学した後、スコアレポートに記載してある解答状況に応じたアドバイスを踏まえて学習に取り組むこととなります。
また、都立高校では、入学者全員からスコアレポートの提出を受け、英語の習熟度に応じた指導の実施などに生かしております。
都立高校においては、JETやALTの設置、オンライン英会話の実施など様々な施策を展開し、生徒の使える英語力の育成を図っているところでございます。
○米川委員 資料ですかね、あれでも、JETやALTがすごい充実して配置されていることも分かっています。
あと、スピーキングテスト結果、これを活用しないで入学した生徒も、入学者全員からスコアレポートの提出を受け、対策をしているから、しっかりと取り組めるということが分かりました。
次に、グローバル人材の育成といっておりますが、そもそも、英語も含め学力検査を実施しない高校もありますが、どのような学校で英語学力検査を実施していないのか、また、実施していない理由を伺います。
○村西都立学校教育部長 可能性はありながら、力を発揮し切れずにいる生徒を受け入れ、学び直しのできるエンカレッジスクールや、小中学校時代に不登校経験を持つ生徒などを主に受け入れるチャレンジスクールでは、その設置目的から、学習や学校生活への意欲を重視した入試としておりまして、英語を含めた学力検査は実施しておりません。
○米川委員 設置の目的、選抜の目的から実施しないことが確認できました。
次に、学力検査の教科についてですが、全日制は、国語、数学、外国語(英語)ですね、社会及び理科の五教科とする学校が多いですが、芸術及び体育に関する学科では、学力検査の教科は、国語、数学及び外国語、これは英語になりますが、この三教科となっています。
その理由について伺います。
○村西都立学校教育部長 芸術及び体育に関する学科を設置している各学校では、その設置目的から、当該学科に関する能力、適性等を重視し、それらを測るために実技検査を実施しており、弾力的に教科数を設定しているところでございます。
○米川委員 これも設置の目的、選抜の目的等が異なるため、実施していることがよく分かりました。
次に、日比谷高校など一部の高校では、自校で作成した学力検査問題を使用しております。全日制の日比谷、あと国際高校ですね。それと、定時制は農産の三校についてですが、自校で作成した学力検査問題を使用している目的と、その理由を伺います。
○村西都立学校教育部長 これらの高校は、自らのアドミッションポリシーやその実情等を踏まえ、期待する生徒を選抜できるよう、学力検査問題を自校で作成し、実施しております。
○米川委員 これも選抜の目的等が異なるということで、問題を自校で作成しているということがよく分かりました。
次に、そういうふうないろんな学校があるんですけれども、都立高の入試は、同一問題で一律に行われるわけではなく、自校で作成した学力検査問題を使用したり、学力検査を実施しなかったり、あと学力検査の教科が三教科だったりと、学校ごとに特色があります。
また、一般入試で中学校英語スピーキングテストの結果を活用しない学校がありますが、それでもグローバル人材の育成はしっかりと行われているということであります。
先月、地元の葛飾区内の農産高校というところに視察に行ったときに、英語の授業も見せていただきました。私が昭和の時代に受けていた授業とは全く違って、とても楽しそうで、これなら英語をしゃべりたいなと思うような授業が、農産高校でしたけれども、行われていましたので、現場はしっかり取り組んでいると思いました。
その上で、入試は、アチーブメントテスト結果を活用するのではなく、やっぱりスピーキングテストを行うべきだと考えております。
そこで、東京グローバル人材育成指針に基づく東京都におけるグローバル人材育成に係る取組の充実を図るため、先進的な取組を推進する学校二十校を、令和四年度からGlobal Education Network20として指定し、各校の特色を生かした三つのグループに分けて取組を進めていますが、英語に関して、例えばこのような特色のある学校で、当日の試験としてスピーキングテストは実施すべきとも考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試では、GE-NET20指定校に限らず、学習指導要領で求められているスピーキングを含めた英語の四技能の習得状況を測る必要があると考えております。
また、話すことの検査における採点には相当程度の時間を要するため、スピーキングテストの結果を都立高校入試で活用することとしているものでございます。
○米川委員 やっぱり課題として、話すことの検査における採点には相当程度の時間を要するという答弁でありましたが、試験時間の問題というのがあるんですが、例えば試験期間を二日間に分けたり、学力検査の教科を芸術学科や体育科のように科目数を減らすことで、やることも可能ではないかとも考えるんですが、その場合は全校で行うのか、例えば、都立だとなかなかないのですけれども、英語に特化した科をつくるなり何なりして、実際、このスピーキングテストを入試で活用するということもできるのではないかと考えております。
そこで、まとめていきますね。質疑をしてまいりましたが、東京都教育委員会は、中学校英語スピーキングテスト結果を都立一般入試で活用しない学校でもグローバル人材の育成は行えるとしていることから、入試への活用は、現時点でも不要と考えております。
改めてスピーキングテスト結果を都立高入試へ活用することは反対であることを表明して、質疑を終わります。
○小山委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小山委員長 起立少数と認めます。よって、請願六第九号は不採択と決定いたしました。
請願の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後十一時十二分散会
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