文教委員会速記録第十一号

令和六年九月三十日(月曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長藤井あきら君
副委員長小林 健二君
副委員長平田みつよし君
理事田の上いくこ君
理事とや英津子君
理事西崎つばさ君
かまた悦子君
こまざき美紀君
たかく則男君
鈴木  純君
龍円あいり君
風間ゆたか君
斉藤まりこ君
川松真一朗君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長古屋 留美君
生活安全担当局長竹迫 宜哉君
次長久故 雅幸君
総務部長奈良部瑞枝君
都民安全推進部長馬神 祥子君
消費生活部長片岡 容子君
企画担当部長杉山 浩二君
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長猪口 太一君
教育監瀧沢 佳宏君
総務部長岩野 恵子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長山本 謙治君
指導部長山田 道人君
グローバル人材育成部長信岡 新吾君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長吉村 幸子君
教育政策担当部長秋田 一樹君
デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務落合 真人君
高校改革推進担当部長猪倉 雅生君
特別支援教育推進担当部長中西 正樹君
人事企画担当部長矢野 克典君

本日の会議に付した事件
意見書について
生活文化スポーツ局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十七号議案 令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
・第百九十四号議案 東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十五号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
教育庁関係
契約議案の調査
・第二百三十七号議案 都立北多摩地区特別支援学校(仮称)(六)新築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百九十六号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十七号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十八号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)について

○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○藤井委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和六年九月二十六日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
文教委員長 藤井あきら殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百三十七号議案 都立北多摩地区特別支援学校(仮称)(六)新築工事請負契約
2 提出期限 令和六年十月一日(火)

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、生活文化スポーツ局及び教育庁関係の付託議案の審査並びに教育庁関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十七号議案、令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、生活文化スポーツ局所管分、第百九十四号議案及び第百九十五号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 私から公衆浴場の支援についてお伺いをいたしますが、その前提として、東京都としては、現在の公衆浴場を取り巻く環境をどのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせください。

○片岡消費生活部長 公衆浴場は、経営者の高齢化、施設、設備の老朽化などの課題に直面している中、燃料費をはじめとする物価の高騰が長引いていることから、その経営は依然として厳しい状況にあると考えております。

○川松委員 ここ最近の議論は、まさに今、部長がご答弁いただいたような内容が続いていると思うんですね。
 一九六八年に大体、一九六〇年代ぐらいに二千四百軒近くあった浴場が、もう大分、全体としても減ってきていると。この先に行くと、今のままだと浴場がなくなってしまうかもしれないという危機感が私たちにあります。
 我々都議会自民党も、公衆浴場というのは、未来に向けて残していくべき文化であるということを伝えてきましたし、東京都におかれても、公衆浴場対策協議会などでは、当時の局長が、公衆浴場は公衆衛生上必要な施設でございまして、入浴機会を提供するだけでなく、地域住民の健康づくりですとか交流の場となっておりまして、日本の伝統的な生活文化でもございますという答弁もあったりしてきました。
 今、その環境の中で、ただでさえ、もう経営環境が厳しくなっている。自宅にある、家庭−−東京都も、お風呂はもうほとんど、一〇〇%まではいっていないにしても、ほとんどの家庭にお風呂、あるいは、今だとフィットネスクラブでシャワーを浴びるとか、公衆衛生を守るために必要だという話だったけれども、ほかにも代替の設備が整っている中で、本当にこう、統制額で浴場の料金は決められていますが、統制額を決めるタイミングは、常に後追い、後追い。
 統制額を決める頃には、さらに燃料価格などが上がり、余計厳しくなる。かといって、統制額で決められているから、利用者の皆さん方に負担はかけられないという、何かジレンマを感じながら、公衆浴場の経営者の皆さん方は日々仕事に取り組んでおられるし、私も近くで見ていて、これはどうにかしなきゃいけないなというふうに思っています。
 今年も、まさに八月に統制額が引き上げられたわけですけれども、公衆浴場の厳しい状況は、かといって、もう変わらないわけですよ。ずうっとここ最近、統制額が上がる話ばっかりやってきたけれども、経営環境は変わっていない。だとすると、東京都として一層の支援が必要なのは当然のことといえると思います。
 昨年度、私の地元の墨田区は、地元の墨田区として物価高騰対策緊急支援金、これは光熱水費を除くということで、東京都とはかぶらないようになっていますけれども、緊急支援金を出して、墨田区として出した額があります。これが、実は東京都の燃料費の補助金額よりも多かったんですね。
 これ、墨田区でここまでやれるんだったら、それは−−要は東京都全体で見れば、当然ながら、公衆浴場がたくさんある地域、そうでない地域、いろいろな偏在はあると思いますけれども、もっと一歩踏み込んだ、要は、日本の伝統的な生活文化なんだと、今までの協議会の場でも生活文化スポーツ局の局長が述べてきたことであるならば、一歩踏み込んだ支援が私は必要だと思いますけれども、都として、この厳しい状況の中で大規模な支援を考えられないのか、見解をお伺いしたいと思います。

○片岡消費生活部長 都は、令和四年度以降、公衆浴場への燃料費高騰緊急対策事業を実施しておりまして、今回も、半年分の燃料費の高騰影響額相当を上限としまして、十月から三月までを対象期間に支援を実施するものでございます。
 今年度は、エネルギー効率化に向けた照明設備のLED化等への支援を充実したところでありまして、また、新たな利用者の開拓に向け、外国人観光客の受入れ環境を整備する銭湯への補助なども実施いたします。
 浴場経営の安定を図り、東京の銭湯文化を守るため、引き続き様々な支援を実施してまいります。

○川松委員 今の答弁だと、大規模な支援、今の段階ではそういくとかいかないとかという話にならなかったわけですが、要は、浴場の皆さん方は、仮に大規模の災害などがあったときには、自分たちのことはさておいて、被災者の皆さん方のために、自分のところの施設が使えるなら自分のところの施設で、使えないならば仮設を使ってでも浴場の設備を皆さんに提供するということを我々にも語っているし、実際にも、全国的にも各地での震災の状況を見ているとやっていただいています。
 ですから、仮にですよ、今、銭湯文化を守るというお話が部長からありましたけれども、銭湯文化を守り切れなかったときに、何かあったときに、一番先に立って、こういったものを提供してくれる人たちがいるんだということも含めて、もっと総合的な視点から支援策を考えていただきたいということを改めて要望させていただきます。
 私、冒頭にいいましたけれども、この公衆浴場というのは物価高騰の影響を大きく受けていて、本当に近年、入浴料金の統制額が上がって上がって上がってきているわけですよ。これ、経営者側に立てば、統制額が上がって利用者からお金が入ってくるからいいなとなりますが、一方で、何の支援もなく公衆浴場を利用されている方からすると、ただ一方的に利用額が上がっていくことになる。
 これは利益を、受益者負担の原則からすれば、上がったとしても払いなさいよということなんですが、公衆浴場が担っている歴史的な経緯を見れば、公衆衛生を守るために存在するとするならば、何の支援もなく利用する人たちがいる、どうしてもここを利用しなければ、家庭にお風呂がない人たちも含めて必要性を感じている人たちに対しては、私は何かしらサポートしてあげることも考えなければいけない時代になってきたんだなということを付け加えさせていただきます。
 本当に、東京都がこれまでも公衆浴場支援を様々に行っていることは十分に承知していますけれども、本当に厳しい社会情勢の中にあって銭湯文化を守るというのは、銭湯の経営者を守る、銭湯という存在を守ることもそうですが、やっぱり利用者を守るということの視点も含めて、次の時代、何が起きるか分かりませんから、皆さんと考えさせていただきたいということをいわせていただいて、私の質問を終わります。
 以上です。

○たかく委員 都議会公明党は、七月二十二日と八月三十日両日、小池都知事に対し、緊急要望を行いました。その中でエネルギー、物価高騰対策について要望し、今回、総額三百七十七億円規模の令和六年九月補正予算案が第三回定例会に上程された次第です。
 長引く物価高騰の影響から都民、事業者を守るため、家計の負担を軽減するとともに、中小企業者への支援を実施する上で、公衆浴場への支援が盛り込まれたことは評価いたします。
 さて、都内公衆浴場の軒数は、令和五年度十二月時点で四百四十四軒となっており、この十五年間で半減している状況です。
 私も世田谷なんですが、我が家の近所にも、かつて目の前に銭湯がありました。そこで、家族でよく銭湯に行ったものでしたが、今はその銭湯もなくなって、また、歩いて通えるところにも銭湯がなくなってしまいました。世田谷区でも、公衆浴場は現在二十一軒となっており、この十五年間で約半減しているとのことでございます。
 公衆浴場に対して、都は、引き続きしっかりと支援を充実させる必要があると考えておりますが、改めて、今日、公衆浴場が担っている役割についてお伺いいたします。

○片岡消費生活部長 公衆浴場は、都民の入浴機会を確保するとともに、健康づくりや地域交流、高齢者の見守りの場となるなど、重要な役割を担っています。

○たかく委員 都民の入浴機会を確保、そして健康づくりや地域交流、高齢者の見守りの場となるなど、重要な役割を担っているということで、社会の高齢化が進み、一人暮らしの高齢の方も増えている、そういったことで、公衆浴場の役割はますます重要になってきているものと考えます。
 また、能登半島地震の被災地においても、被災された方が一番喜んでいたのが、銭湯に入れたことと聞いております。公衆浴場が災害時にも運営できるように、しっかりと対策を講じておくことが重要だと認識しております。
 こうした役割を担う公衆浴場に、東京都は具体的にどのような支援を行っているのか、伺います。

○片岡消費生活部長 都は、公衆浴場が、ミニデイサービスの場の整備やバリアフリー化など地域の方々が使いやすい施設に更新する際に、その改築または改修に要する経費の一部につきまして補助を行っております。
 また、浴場の耐震化を促進し、利用者の安全・安心の確保を図ることを目的としまして、耐震補強工事等に要する経費の一部につきましても補助を行っております。

○たかく委員 耐震補強工事に対する支援を行っているということは理解しました。
 今回、補正予算として、四回目となる公衆浴場の燃料費高騰緊急対策事業が計上されております。前回、令和五年十二月補正予算の内容は、十月から三月までの半年間を対象期間として、高騰影響額相当を上限に補助するというものでございました。今回も、前回と同様、十月から三月までの半年間を対象期間としているとのことですが、今回の金額、一浴場当たり四十一万四千円は前回を上回っております。
 高騰影響額をどのように算出したのかを伺います。

○片岡消費生活部長 高騰影響額は、前回同様、前年の燃料費実績額と今年の燃料費推定額の差額に、入浴料金統制額引上げによる増収分を勘案して積算しております。
 令和五年は、国によるガス価格等の激変緩和対策が一年を通じて継続的に講じられたのに対し、令和六年は、六月に一旦終了したため、今回の高騰影響額が前回を上回るものとなっています。

○たかく委員 公衆浴場を経営している方には、かなり高齢の方も多いのが現状でございます。補助金の申請手続、これに苦労されている方もいらっしゃると聞いております。
 浴場主が申請される際には、引き続き現場に寄り添った丁寧な対応をお願い申し上げ、私からの質問とさせていただきます。

○とや委員 私からも、公衆浴場における燃料費高騰緊急対策事業について伺っていきたいと思います。
 燃料費高騰に直面する公衆浴場の負担軽減に向けた緊急対策として支援金を支給するとして、補正予算が二億円組まれました。二二年以降、半年ごとに補正予算が組まれて、ちょっと一時期やらなかったときもありましたけれども、燃料費の高騰は浴場経営を直撃する、相変わらず深刻な事態にあります。今、お二人の委員からも指摘があったと思います。ですので、私からも十分な支援を求めていきたいと思っております。
 そこで、まずお聞きしたいのが、公衆浴場に燃料費高騰緊急対策事業をなぜ行うのか、その理由をお聞きします。

○片岡消費生活部長 公衆浴場の営業費用におきまして、燃料費は大きな割合を占めており、また統制額が指定されているため、公衆浴場は経費の値上がりを入浴料金に転嫁できないことから、燃料費高騰影響分につきまして支援を行うものでございます。

○とや委員 燃料費は大きな割合を占めているということです。そのとおりだというふうに思います。
 公衆浴場の対策協議会の資料を拝見させていただきました。令和五年実績によれば、営業費用で最も多いのが人件費で三三・四六%、次いで燃料費が一六・〇七%となっています。これだけ燃料費に負担が、支出の割合が高いというのは、やっぱり浴場にとっても大きな負担になると思うんです。
 お客さんが増えようが減ろうが、やっぱり燃料費というのは同じにかかるわけで、その辺も考慮が必要じゃないかなと私は思っています。
 今、ちょっとだけご答弁があったのですが、改めて伺います。一浴場当たりの補助上限額四十一・四万円の算出根拠を詳細に示してください。

○片岡消費生活部長 本事業における一浴場当たりの補助上限額の算出は、前回を踏襲することとし、十月から三月までを対象期間としまして、令和五年の燃料費実績額と令和六年の燃料費推定額の差額に、入浴料金統制額引上げによる増収分を勘案してございます。
 令和六年の推定額は、前年の実績額に燃料費の高騰率を乗じて算出しています。
 高騰率は、都市ガスについて、最新の確定値であった本年七月の単位料金を前年同月のものと比較して算出し、廃油につきましても、同様の形で算出しております。

○とや委員 今回も年度末半年分ということで、昨年七月と今年七月の単価の上昇率、これは、あらかじめお聞きしたところ二四・六%だということで、ここから統制額引上げの増収分を差し引くということですが、統制額は今年八月に五百二十円から五百五十円に引き上げられているので、その分の増収分、お聞きしたら一〇%分というふうになります。一見、理にかなっているように思われるのですが、もうちょっと掘り下げて考えると、そうはいえないんじゃないかと思います。
 そもそも公衆浴場は、赤字続きの浴場がやっぱり多いのではないかと思います。浴場協議会の資料では、令和六年収支の過不足額の推定額は約三百万円の赤字。この間、統制額は引上げが続いてきたわけですが、赤字を出さないためには、相当の値上げをしないと追いつかない事態だというふうに思います。
 この間の物価上昇に対するための緊急支援だというわけですが、私は、都の算定方法は本当に妥当なのかと疑問を感じています。
 そこで伺います。東京都の公衆浴場への燃料費高騰緊急対策事業が始まった令和四年度以降、物価高騰の影響が一番大きかった年の物価上昇率と支給額を伺います。

○片岡消費生活部長 ウクライナ情勢などの影響によりまして、令和三年末頃から十三年ぶりといわれる原油価格の高騰が始まり、令和四年の統制額の検討において推計したガス価格が、令和三年実績比で四二・五%増となりました。
 令和四年度の緊急対策事業の補助上限額は、一浴場四十五万六千円でございます。

○とや委員 このとき、私も質疑をさせていただいたのですが、物価上昇率が一番高かったということだと思います。これは、物価高騰が始まる以前の燃料費単価と比較しているから、当然、上昇率も高くなっていると思います。
 本来は、物価高騰前と比較して算定しないと、やっぱり実態に合わせた支援とはならないのではないかと思うわけですが、ここ五年間において、緊急対策事業を行う前で、物価上昇が顕著になる以前で最も燃料費単価が低かった時期、これはいつなのか、その当時の単価についてもお答えください。

○片岡消費生活部長 ここ五年間で見ますと、令和二年度の毎月のガス単位料金は、統制額の検討資料で、一立米当たり平均六十・〇七円と最も低くなっています。

○とや委員 平均六十・〇七円ということです。今は、その倍になってしまっていると思います。公衆浴場の統制額を引き上げても赤字は解消しないし、乖離がどんどん広がっていくと思います。このままでは、本当に浴場をやっていけるんだろうかと大変懸念をしています。
 私としては、今回、七月の前年同月比との比較ではなくて、最も低い、今お答えいただきました六十・〇七円、この平均値と比較して支援すべきだと考えますが、いかがですか。

○片岡消費生活部長 本事業は、燃料費高騰に直面する公衆浴場の負担軽減に向けた緊急対策としまして、令和五年の燃料費実績額と令和六年の燃料費推定額の差額を基に、高騰影響額相当を算出して支援を行うものでございます。

○とや委員 物価高騰前は、かなり燃料費も低かったわけで、今から考えると、やっぱり浴場経営、その当時だって大変だったわけで、今かなり燃料費が高騰して、さらに苦境に立たされているということを考えれば、やっぱり一番低かった時期の燃料費と今とを比較して上昇率を算出して出すというのが妥当な支援じゃないかなと私は思うんです。
 私としては、緊急対策事業で補正予算を組んでいただいたということ自体は、浴場支援の一つとして歓迎をするわけですが、事業継続の意味もあると思いますので、ぜひ算定方法についても見直しの検討をしていただくことを求めます。
 今のままでは、公衆浴場は人気のあるところだけが残って、地域で根を張って頑張ってきた公衆浴場は閉店するところが非常に多くなってくる、高齢化もあってね。その一方ではないかと思うわけです。それでは公衆浴場の役割が果たせなくなってしまうのではないかと思います。
 前回の補正予算のとき、斉藤委員が指摘しているんですが、東京都は、都内の標準的な浴場四十軒の収支等の年間過不足を調査しています。その過不足の平均額、二〇二一年は約百六十五万、二〇二二年は二百九十四万円、そして二三年は二百九十一万円、今年は三百十万円と推定して、どんどんどんどん過不足、不足が増えてしまっているんですよね。事業者によって差があるとは思いますが、平均でこれだけ赤字の状況が続いているというわけです。
 そのため、四年連続で統制額を一生懸命引き上げているわけですが、引上げの年別の統制額と乖離額について伺います。

○片岡消費生活部長 入浴料金統制額の検討に当たりましては、大人一人の入浴に要する原価とその時点の統制額との差である、いわゆる乖離額を算出しておりますけれども、令和三年は、乖離額が四十二円のところ統制額は四百八十円、令和四年は、乖離額八十七円のところ五百円、令和五年は、乖離額七十九円のところ五百二十円、令和六年は、乖離額八十四円のところ五百五十円でございました。

○とや委員 今ご答弁いただいたように、ここ数年間で乖離額がどんどんどんどん膨らんできているという状況であります。
 ここのところ、毎年、大体八十円程度引上げをしなければ、統制額を引き上げなければ営業として成り立たないのに、今年も浴場の統制額は三十円しか値上げをしていないわけです。値上げをしても収支が追いつかない状況であります。
 そして、乖離額が生じる原因は、燃料費の高騰だけではありません。公衆浴場の皆さんが、緊急支援をしてもらって本当に助かった、これで営業が続けられると心から思えるような支援をやる必要があると思います。
 最後に、今お二人の委員からもありましたが、五年前からの都内の公衆浴場数の推移、そして公衆浴場の価値について、改めて述べてください。

○片岡消費生活部長 毎年末時点の軒数は、令和元年五百二十軒、令和二年四百九十九軒、令和三年四百八十軒、令和四年四百六十二軒、令和五年四百四十四軒でございます。
 また、公衆浴場は、都民の入浴機会を確保するとともに、健康づくりや地域交流等の場となるなど、重要な役割を担っています。

○とや委員 健康づくりや地域交流の場になっていると同時に、私も銭湯が好きで、いろいろ行ったりするんですけれども、銭湯の建物自体の建築もそうだし、江戸から続く文化もあって、地域の人たちに親しまれて、やっぱりこれからも存在し続けてほしいという施設であります。それでも減少が止まっていないと。
 都内の銭湯のピーク、先ほどありましたが、一九六八年に二千六百八十七軒。最近は、スマホやデジタル社会から離れて、近場で旅行気分になれると、若い人たちの利用が増えているそうですが、それでも減っちゃっているんですよね。
 東京都市大学の教授が東京都浴場組合と共同で、ふだん銭湯を利用しない八十歳前後の高齢男女に銭湯に通ってもらったところ、身体機能の回復やストレスホルモンの減少、代わりに幸せホルモン、オキシトシンが増加したという報道もありました。それは早坂教授なんですが、銭湯は、単に公衆衛生に必要なだけでなく、住民の健康にもつながるし、地域を活性化するため、守っていく必要があると語っていらっしゃいます。
 公衆浴場にはさらなる手厚い支援を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○藤井委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百三十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
 私からは、この契約議案、都立北多摩地区特別支援学校の新築工事契約について伺います。
 東大和市の都営住宅の創出地を活用して、知的障害教育部門の小中学部と高等部が設置されるというものですが、この地域の方々からは待ち望まれていたものです。
 東大和市に住んでいる知的障害のある子供たちは、現在、羽村特別支援学校などに通っていて、我が党の尾崎あや子都議が、もっと近くに学校があれば助かるという地元の方々からの声を届けてきました。
 羽村特別支援学校が過密化している状況もある中、教育環境の改善を図る上でも、新しい知的部門の特別支援学校の設置とその工事契約に、我が党は賛成するものです。
 しかし、この委員会にお示しされている設計図を見ますと、これで本当に大丈夫かなという不安もたくさん感じる中身になっています。この学校の規模や地元の方々から寄せられている声に基づいて、幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、基本的なことですけれども、小学部、中学部、高等部のそれぞれの規模、定員数について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 施設上の学校規模といたしまして、小中学部、高等部普通科、職能開発科の合計七十四学級としており、児童生徒数は最大五百三十名程度を想定してございます。
 小中学部及び高等部普通科につきましては、定員はございませんが、一学年当たり、最大で小中学部十八名、高等部八十八名程度のほか、職能開発科四十名を想定してございます。
 実際の学級数は、今後、通学区域の詳細の決定や実際の児童生徒数の増減などにより決まるものでございますため、現時点では確定できません。

○斉藤委員 一学年当たりの人数の想定をお答えいただきましたけれども、全体では七十四学級、最大で五百三十名程度の児童生徒数を想定しているということです。
 この児童生徒が五百三十人規模になるということは住民に説明してきたのか、また、今後もこの住民説明会の機会はあるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 北多摩地区特別支援学校の規模につきましては、これまで開催した住民説明会において説明してございます。
 今後、工事を実施する際には、改めて住民説明会を開催する予定でございます。

○斉藤委員 地元の方からのお話ですと、五百三十人規模ということを聞いて、そんなに大規模になるのかということで、改めて驚いているということです。
 地元の方々からは、羽村特別支援学校が過密化、大規模化しているということから、その環境改善のためにもつくられるのが今回の北多摩地区特別支援学校だという受け止めがあり、その新しい学校が、また五百三十人規模ということで、またそのような大規模になるのかという、率直な驚きの声が上がっているということです。
 確認ですけれども、羽村特別支援学校の現在の在校者数は何人か、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 羽村特別支援学校の在校者数は、令和五年度公立学校統計調査によりますと四百六十八名でございます。

○斉藤委員 昨年度の調査によると四百六十八人だと。事前に伺ったのですけれども、今年度はもっと増えていて、五月一日時点で五百七人だというふうに聞いています。五百人を超えているという状況なんですね。
 そもそも五百人を超える特別支援学校というのは、全国でもトップクラスの大規模校です。都立には、さらに、そうした大規模の特別支援学校が多い状況になっています。
 この北多摩地区の特支も、全体で七十四学級、約五百三十人の規模ということですけれども、同規模の特別支援学校は、ほかにどのくらいあるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 五百名程度の規模である都立特別支援学校は、三校でございます。

○斉藤委員 三校ということで、五百人規模でいいますと、羽村のほかに、鹿本学園、それから王子特別支援学校は、小学部が二百九十五名、中学部が百四名、高等部が二百四名で、合計六百三名だと。それで、学級数は百十学級ということが学校のホームページに掲載されています。これほどの規模の特別支援学校は、本当に全国でもトップの大規模校ではないかというふうに思います。
 学校の規模についてなんですけれども、特別支援学校の設置基準というのが二〇二一年九月に国の方で示されておりますけれども、これに当たって、障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会、こういう方々、それから教職員組合の方々も提言を出しているんですけれども、児童生徒数の上限は百五十人以下にということで提言を出していました。
 全国から寄せられた意見にも、百五十人が学校に在籍している子供として把握できる限度であるという声、集団活動に適した規模として、自治体の中にも百人から百三十人の在籍が適当としているところもありますし、小中学部で九十人、高等学部で六十人で百五十人と、適正規模を定めているというような自治体もあるという状況です。
 いかに東京都の特別支援学校がずっと過密状態にあるかということがよく分かると思うんですけれども、この状況を変えていかなきゃいけないという状況にもかかわらず、新しい学校が五百三十人を想定しているというのは、ちょっと驚きの状況です。
 この新しく設置される学校ですけれども、現在の羽村特別支援学校の学区以外からも児童生徒が通うことになるんだというふうに思いますけれども、学区はどこを想定しているのか、現在、どこの特別支援学校に通っている生徒がこの北多摩地区特支に通うことになるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 北多摩地区特別支援学校(仮称)でございますけれども、こちらは知的障害教育部門の小中学部、高等部普通科及び職能開発科を設置する学校とする予定でございます。
 小中学部及び高等部普通科におきましては、今後、通学区域を検討していく中で決定していくものでございますけれども、設置場所である東大和市を通学区域とする羽村特別支援学校を中心に検討してございます。
 なお、職能開発科は、東京都全域を通学区域とする予定でございます。

○斉藤委員 羽村特支に通っている子供たちを中心に、ほかの学区域については検討中ということなんですけれども、隣接する武蔵村山市なども想定されるのかなというふうに思います。
 また、この新設される学校に当たって基本計画検討委員会がありますけれども、この報告書によれば、高等部は、現在の武蔵台学園の学区の一部を移していくことになるというふうになっています。
 現在の周辺の特別支援学校の過密化が解消されていくというのはよいのですけれども、しかし、新設の北多摩地区特別支援学校が、都内でも有数、さらに全国でも有数の大規模の学校になっていくというのは、それはちょっと矛盾していくのではないかと。良好な教育環境となるのか、強く懸念せざるを得ません。
 この資料の図面から見ますと、普通教室の数、この委員会に示されている図面ですけれども、普通教室の数は七十四学級分があることが分かりますけれども、知的障害のほかの障害を併せ持つ重度重複の児童生徒が増えた場合にはどうするのか、カーテン教室のようにならないようにするべきですけれども、いかがでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 北多摩地区特別支援学校の普通教室数、七十四教室につきましては、今後の在籍者数の増加を見込んだものでございます。

○斉藤委員 ちょっと伺いたいのですけれども、重度重複学級は何学級程度を見込んでいるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 現時点におきましては、児童生徒数の将来推計等を勘案した上で、関係者とも調整しながら検討を進めているところでございます。

○斉藤委員 はっきりお答えされないわけですけれども、この図面を見ますと、重度重複を想定していると思われる、広さが通常の半分の部屋が九、九つの部屋があります。事前にお話を聞いた中でも、こうした半分の教室というのが重度重複を想定しているということもお話がありましたけれども、九つということでいうと、一学年に一つの重重学級もないということになります。この想定では、あまりに少ないのではないでしょうか。
 重重学級は、教室数に合わせて設置をするということではなく、子供の状態に応じて増やしていくべきだというふうに思います。重度重複障害の児童生徒が本来受けられる重重学級の教育が受けられないということは、あってはなりません。
 また、その際、いわゆるカーテン教室で部屋を区切らざるを得ない、そういう状況にならないようにすること、また、本来、教室の半分の広さではなく、広い面積を確保するということも要望をいたします。
 特別教室も、小中高等部で過密にならないように、ゆとりを持って配置することが必要だと思いますが、今回の設計では、特別教室はどのようなものが幾つつくられるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 音楽室を二室、図書室を一室設けるなど、基本計画検討委員会の議論を踏まえまして、必要な特別教室を整備する予定でございます。

○斉藤委員 音楽室を二室、そして、図書室は一室とのことなんですけれども、音楽室でいいますと、一日六時間授業掛ける週五日とすると、授業は週三十こましかありません。音楽室は二室あったとしても、七十四学級では、学級ごとでは週に一回も使えないという状況になってくるんじゃないでしょうか。
 図書室も、普通教室の二倍もない面積になっています。それで一室だけと。これで、小学校一年生から高校三年生まで、そして職能開発科の生徒も含めて、それぞれに合った図書を置くことができるのかどうかも疑問です。七十四学級が使うとすれば、図書室を利用した授業は、週に一回もできないということになります。
 また、休み時間に図書室に行って本を読む、本を楽しむ光景など、私たちは視察に行く中で見かけてきましたけれども、五百三十人が安心して使える場所になるのかという点では、本当に首をかしげざるを得ない状況だと思います。
 さらに、ご答弁にありませんでしたが、理科室や社会科室、そして生活訓練室なども一つしかありません。
 特に理科室は、都教委の施設整備標準で二室設置することになっていますが、なぜ一室しかないのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 施設の整備に当たりましては、保護者代表や学校関係者等で構成される基本計画検討委員会から示された基本方針及び施設の基本計画を踏まえ、必要な施設を整備してまいります。

○斉藤委員 検討委員会でということでご答弁ですけれども、しかし、これ、都教委自身が定めている施設整備標準なんですね。なぜそれすら守らないのか、本当に疑問です。
 そもそも、五百三十人規模にかかわらず、ほかの特別教室も、ほぼこの施設整備標準の最低限の数しか設置されていません。小中学部、高等部、さらに職能開発科と、三校分といってもよい規模の生徒数になるのに不十分だといわざるを得ません。
 もう一つ伺いますが、教室以外に児童生徒がクールダウンできる場所などは設計されているのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 各階にクールダウンのできるスペースを整備する予定でございます。

○斉藤委員 この設計図ではなかなか分かりにくかったのですけれども、事前にお伺いしていて、各階の廊下に面する一角に、半分オープンな形で、児童生徒が落ち着いてクールダウンできる小さなスペースがあるということは分かりました。
 四階までの各階に一、二か所ずつつくっているということなんですけれども、このような、秘密基地のようなお籠もりスペースのようになっているわけですけれども、こうしたスペースが落ち着くというお子さんもいらっしゃると思いますが、狭いところは苦手、広いところでゆっくり落ち着きたいというお子さんもいると思いますので、そうした点からも、もう少しゆとりのある施設が求められているのではないでしょうか。
 さらに、グラウンドについて伺います。
 グラウンドの面積と何メートルのトラックができるのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 グラウンドの面積は約二千二百平方メートルであり、百メートルトラックを整備する予定でございます。

○斉藤委員 面積は二千二百平方メートルということなんですけれども、これも先ほどいいましたけれども、二〇二一年九月に国が示した特別支援学校の設置基準によると、この規模の、五百三十人規模の学校に必要な運動場の面積、これを計算をしますと五千五百八十平方メートルになるんですね。これは、事前に都教委の皆さんにも計算していただいたので間違いないと思いますが、そういうことでいいますと、今の二千二百平方メートルというのは、その半分にもならない面積になっています。つまり、国の基準に照らすと不適切、教育環境としてふさわしくないということです。
 知的障害のあるお子さんたちは、障害のないお子さんたちと同様に、とても元気で、思い切り体を動かすことが成長過程にとっても欠かせません。百メートルトラックというと、小学生でも小さ過ぎるというふうに思います。直線部分が三十メートルも取れるのかなと。カーブも急になるということもあると思いますし、特に体の大きな中学生や高校生たちにとっては、とても窮屈なものになるのではないでしょうか。
 さらに伺います。屋上には、二十五メートル掛ける五コースのプールと小プールが設置されることになっています。昨今の猛暑で、暑過ぎてプールに入れない、足の裏をやけどするほど温度が高くなってプールサイドを歩けない、こういう状況があちこちで起きています。
 このプールは、日光を遮るような施設にはなっているのかどうか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 施設につきましては、必要な設備、それから環境を整えるように努めてまいります。

○斉藤委員 今、環境を整えるように努めていくというご答弁でしたので、ぜひ考えていただきたいのですけれども、つまり、この図面を見る限り、屋根やひさしがあるという状況にもなっていないわけなんです。
 そもそも、プールは屋内プールにして、児童生徒も利用しやすく、地域利用や障害者スポーツへの貸出しもできるようにするべきだと私たちは主張してきました。屋外だったとしても、少なくとも日光を遮る屋根やひさしを設けるのは当然のことだというふうに思います。今からでも設置するよう、強く要望しておきます。
 また、プールも、ほかの特別教室と同様に、七十四学級もあるのに、小プールが附属しているとはいえ、一つでは週一回も入れるのか、非常に心もとないと思います。
 以上のように、設計図で示されている特別教室や運動場の状況を見てみると、とにかくたくさんの児童生徒を入れるということを優先することで、子供たちの教育環境に非常に大きなしわ寄せがされている状況なんじゃないかというふうに思います。可能な限り、人数の詰め込みではなく、子供たちにとって良好な学びの環境を保障できるように、ゆとりを持って設計するということ、見直しをしていくということを求めます。
 次に、地元の方々から届けられている声から伺います。
 工事中の車両の出入りや騒音、振動についての心配の声がありますが、どのように対応するのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 工事車両の出入口には交通誘導員を配置するなど、十分な安全対策を講じてまいります。
 また、騒音や振動につきましては、騒音、振動計を設置し、法令で定められた基準を超えないように管理してまいります。

○斉藤委員 工事車両の出入口には交通誘導員を配置するということ、また、騒音や振動については、騒音、振動計を設置して管理していくということです。
 学校用地に面する道路が近くの小学校の通学路になっているというふうに伺っていますので、通学時間帯には車両の通行を行わないなど、十分な配慮を求めます。
 近隣住民の方々の安全はもちろん、工事に関わる方々への安全対策も十分に留意していただきたいというふうに思います。
 今回の北多摩地区に限らず、どこの特別支援学校でも、近隣の方々、また当事者の方々からも声が上がるのが、スクールバスと放課後等デイサービスの車の出入り、そして駐車スペースの問題についてです。
 駐車場には、スクールバスは何台止められるのか、また、放課後等デイサービスの車は入れるようになっているのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 スクールバスは九台、放課後等デイサービス等の車は二十五台を同時に駐車することが可能でございます。

○斉藤委員 事前に伺ったところ、放課後等デイサービスはワゴン車のようなものを想定しているということでしたけれども、二十五台の放デイの車と、それから九台のスクールバスが同時に駐車場に止められるスペースになっているということです。
 実際、何台のスクールバスや車両が出入りすることになるのかはこれからだと思いますが、これだけ想定されている中で、ふだんの車両の出入りが心配もされています。近隣に小学校があるということ、先ほどいいましたけれども、このスクールバスや放デイの車の、車両の出入口についてどうなるのかという心配する声が地元の方々から寄せられています。
 特に正門側の道は、住宅街に隣接していることと、都営住宅側から近くの小学校に向かう児童たちの通学路にもなっているということで、その道に大型車が頻繁に通るようになるのかと懸念されています。
 近隣の小学生の通学路の安全性の確保をどのように考えているのか、伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 スクールバス等の出入りにつきましては、近隣住民の方々のご意見を踏まえまして、車両の動線を分散させるなど、小学生の通学路の安全確保に十分配慮してまいります。

○斉藤委員 こちらも事前に確認をさせていただきました。スクールバスと放課後等デイサービスの動線は分けるということで、放課後等デイサービスの車は、正門ではなくて、南西側にある入り口から敷地内の校舎裏を通って駐車場に入るということでした。
 地元説明会のときにも上がっていた声ですので、車両の出入りについて分散を図る対応をしていただいたことはよかったというふうに思います。引き続き、地域の方とよく協議をしていただくことを要望いたします。
 以上、学校規模や施設整備、車両の出入りなどについて伺ってきましたが、やはり大規模な学校ということで、ここで学ぶ子供たちの教育環境へのしわ寄せや交通環境への負担など、懸念されることも見えてきたというふうに思います。詰め込みの大規模校ではなく、ゆとりを持った児童生徒数と、そして、特別教室などの施設整備も、できるだけ過密の心配がないように検討していただくということを重ねて求めます。
 同時に、増加していくことが見込まれている知的障害のある子供たちの学びの保障と環境整備のために、この北多摩地区特別支援学校だけでなく、今後も特別支援学校の早期の増設の計画を持つことを強く求めて、質問を終わります。

○風間委員 私からも、都立北多摩地区特別支援学校の新築工事について幾つか質問を伺います。
 まず最初に、この特別支援学校を計画した時期について伺うとともに、この場所に新築工事を今回するということになったわけですけれども、このエリアで設置しようとした背景について伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 北多摩地区特別支援学校(仮称)でございますけれども、こちらは、都立知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒数の増加に対応するために計画された学校でございます。
 平成二十九年に策定した東京都特別支援教育推進計画(第二期)の第一次実施計画において公表され、令和三年度から設計に着手しているところでございます。

○風間委員 計画自体は随分前からということで今確認をいたしましたけれども、一方で、国連の勧告によって、インクルーシブ教育の推進ということに関する是正がこの国に求められたということから、国または東京都としても、特別支援の在り方、考え方ということにも少し変化が出てきた、もしくは、していかなければならない状況なのかなという観点から質問をしたいところなんですけれども、通常であれば小学校に入学する前に就学相談をするということで、適正就学を各市区町村の教育委員会の判断によって示すということなんだと思います。そこから、都教委としても、障害ある子供の推計等も出していることなんだろうとは思いますけれども、そういった時代が、環境が変わったことによって、想定する数というものに変化は生じてこないのだろうかと。
 仮に障害があったとしても、地元の地域の学校に通いたい、そう判断する家庭も多々あると認識しておりますので、当初の計画と今の現状とで、数として変化はないのかどうかということを教えてください。

○中西特別支援教育推進担当部長 施設上の学校規模といたしまして、小中学部、高等部普通科、職能開発科の合計七十四学級としておりまして、児童生徒数は最大五百三十名程度を想定してございます。
 実際の児童生徒数は、今後、通学区域を検討し、就学相談などを経て定まるため、現時点では確定してございません。
 なお、知的障害特別支援学校の児童生徒数につきましては、本校の設置計画策定時点では増加すると推計しており、その傾向は継続してございます。

○風間委員 増加していくという推計ということですけれども、実際には特別支援学校を望むご家庭もあるということは当然認識していますし、その増加傾向ということも、これまでもお話を伺ってきたところでありますけれども、一方で、このインクルーシブ教育を推進していく、分離教育は駄目だと国連から是正勧告が出ているという状況で、果たしてしっかりと就学相談が行われているのかどうかということについては少し、各市区町村の教育委員会の範疇とはいえ、確認が必要ではないかなと思うわけですね。
 このエリアに関して、就学相談については、しっかりと適正に行われているのか、また、昨今ですと、保護者の判断も尊重されるということがしっかりとなされているのか、都教育委員会の認識を伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 障害のある子供の就学に当たりましては、子供とその保護者が、学校や学級の教育内容や支援内容、入学する学校を決めるための就学相談の仕組みについて、情報を十分に得ていることが必要でございます。
 都教育委員会では、就学相談を実施する区市町村教育委員会に対しまして、本人、保護者の意見を可能な限り尊重すること、就学相談の結果を分かりやすく適切な方法で保護者に伝えることなど、保護者等に対する十分な説明を行う旨の通知を発出してございます。
 また、この通知の内容につきましても、毎年度、区市町村教育委員会の就学相談担当者説明会においても周知してございます。

○風間委員 都の教育委員会としては、各市区町村の担当者等に、または教育委員会に、直接そういった通知をしているということでした。
 一方で、国連からの是正勧告にもありましたように、本来であれば地域の学校で受け入れていく環境が整っていないであるとか、整えていくべきだということがまだまだ追いついていないなというのが、私の地元なんかを見ていても感じるところでありますし、そういった状況からか、区市町村の教育委員会が、やはり、少し障害が認められる傾向にある子供を特別支援ということで判断をするような傾向にあるということも、実際に就学相談を受けた保護者から耳にするところでもあります。
 都教育委員会としては、この件を市区町村教育委員会任せにするだけではなく、発出をする、通知をするということだけではなく、しっかりそこにハードルがあるんだということを示していく必要もあろうかと思いますけれども、特別支援学校に入学許可を出すという上での市区町村教育委員会に対してのハードルのようなものは何かあるのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 ハードルというのが、すみません、正確に、具体的に、こちら、私、イメージできないところもあるんですけれども、こちら都教育委員会は、区市町村に対しまして適切に指導を行いまして、就学相談を行うように支援、助言をしているところでございます。

○風間委員 ハードルというのは、確かにちょっと分かりにくいかもしれませんね。
 市区町村の教育委員会が、地域の学校で受入れが少し困難だなという際に特別支援学校を適と判断をする。そういった場合に、保護者の承諾が昨今では重要だといわれていますけれども、それでも説得をされて特別支援学校に行くことになったという話なんかも聞くわけですね。
 この保護者の承諾ということが、一つ鍵を握っているのかなとは思いますけれども、都教育委員会として、特別支援学校での通学許可を出す際に、この辺りの保護者の承諾許可というものはどのように判断しているのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 学校教育法施行令第五条におきまして、区市町村教育委員会の入学期日の通知や学校指定について規定してございます。
 また、同十一条におきまして、区市町村教育委員会から都道府県教育委員会に対する特別支援学校への就学についての通知について規定されてございます。
 小学校や中学校、特別支援学校の就学先の決定は区市町村教育委員会の役割でございまして、区市町村教育委員会が特別支援学校への就学を決定し、都教育委員会に通知した後、どの都立特別支援学校に入学するかにつきましては、学校を指定することが都教育委員会の役割でございます。
 その他、区市町村教育委員会が円滑に就学先を決定できるよう、様々な取組により東京都全体の教育相談体制を整備いたしまして、区市町村教育委員会を支援してございます。

○風間委員 よく分かりました。私が確認したいのは、保護者の承諾というところなんですね。
 これがどこまで重視されているのかということなんですが、区市町村の教育委員会が特別支援学校が適と判断をしても、保護者が、地域の学校に通いたいということで、この承諾をしない場合には、東京都の特別支援学校としては、これを受け入れる、受け入れないということの判断ができるのかどうかということを確認させてください。

○中西特別支援教育推進担当部長 区市町村教育委員会におきまして適と判断した後、保護者から声が上がりましたら、その都度、相談をした上で決めていくということでございます。

○風間委員 特別支援学校に関しましても、そのニーズが高まってきているということも重々承知をしておりますし、一方で、インクルーシブ教育の推進ということで、地元の学校に通うことを希望している障害ある子供の保護者からの声も届いていることですので、少し細かく確認をさせていただきました。
 いずれにしましても、知的の特別支援学校が少し足りていないという状況に関しては承知しているところですので、この工事案件に関しては、滞りなく進めていただきますように求めまして、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○藤井委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百九十六号議案から第百九十八号議案まで及び報告事項、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○龍円委員 よろしくお願いいたします。
 私は、チャレンジサポートプラン案について質問させていただきたいと思っております。
 都立高校改革では、都教委の取組は、本当に全国的に知られている先進的な、注目されるよい取組をしているというふうに認識しております。私がこの委員会でも質問を続けてきております、スペシャルニーズ、障害のある生徒への対応も年々推進されておりまして、その点も大変評価しているところであります。
 そんな中、チャレンジサポートプランを策定することは、非常に重要なことだと思います。
 そこでまず、今回、このチャレンジサポートプランを策定する目的についてお伺いいたします。

○猪倉高校改革推進担当部長 東京都教育委員会は、これまでも困難を抱える生徒に対する支援に取り組んでまいりましたが、現在、都立高校における困難を抱える生徒は増加傾向にございまして、生徒のニーズも多様化しております。
 また、困難を抱える生徒が多く在籍する一部の学校では、受入れ環境の改善が必要なことに加え、支援の実施に当たりましては、関係者により、様々な側面から連携して取り組む必要もございます。
 このような状況を踏まえまして、困難を抱える生徒に対する支援の取組を総合的に進め、都立高校における多様な生徒たちの学びや成長を支える学習教育環境の充実を図ることを目的に本プランを作成することといたしました。

○龍円委員 様々なニーズのある生徒に対応するため、受入れ環境の改善に努めるほか、多様な関係者が連携して総合的な支援を進めていくためのプランだということで、大変重要なことだと思います。
 このプランの中で、私が注目する幾つかの点について質問させていただきたいと思います。
 まずは、都立学校自立支援チーム派遣事業の実施についてであります。
 困難を抱える生徒を支援し、将来、社会的に自立できるようにするため、就労や福祉の専門的知識や技術を持つユースソーシャルワーカーなどで構成される自立支援チームを都立学校に派遣するということなんですけれども、どのような生徒を対象に、そして、具体的にはどのような支援をしているのか、お伺いしていきます。
 このプラン案の説明を見てみますと、不登校ですとか、中途退学やヤングケアラーなどが具体的に掲げられているところではあるのですけれども、海外国籍ですとか、日本語を母語としない生徒にとっても、卒業後の進路、そして就労などは独特の課題があるのではないかなというふうに考えております。
 海外で就学したり、就労するのか、または日本国内でそれを目指すのかによっても違いがあると思いますし、最近では、オンラインを活用した学び方とか働き方というのも可能になっている中で、日本に住みながらも海外の企業に就労したり、海外で学んだりということも可能になってきている時代になっていると思います。
 しかしながら、まだまだ全体からすれば、こういった環境で都立学校で学んでいる生徒は少ないこともありまして、情報を探すということも困難さがありますし、孤独でもあるかと思います。
 そのことも踏まえまして、このような海外国籍や日本語を母語としない生徒に対しても、この自立支援はされるのか、併せてお伺いいたします。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、福祉や就労に係る専門的知識や技術を持つユースソーシャルワーカーを都立学校に派遣し、不登校、中途退学を経験した生徒、ヤングケアラーなど困難を抱える生徒に対して、生徒が抱える学習や生活、家庭等の様々な課題について相談に対応し、福祉や医療、就労等の関係機関につなげるなど、生徒の社会的、職業的自立に向けた支援を行っております。
 海外国籍や日本語を母語としない生徒に対しましても、ユースソーシャルワーカーが弁護士や福祉等の関係機関と連携しながら、同様に支援を実施しております。

○龍円委員 ありがとうございます。自立支援の対象生徒には、海外国籍や日本語を母語としない生徒も含まれているということが分かりました。英語などの多言語対応ができる方ですとか、海外の事業にも詳しいユースソーシャルワーカーなどを活用するなどして、きめ細やかな対応をしていただけますようお願いいたします。
 さて、日本語を母語としない生徒にとっては、卒業後も重要なんですけれども、在籍中のサポートも大切な観点でございます。
 私自身、今、日本語がなまっているというふうに指摘されることはなくなりましたが、海外で生まれまして、一年生まで、実は日本語が話せなかったということもありまして、日本人でありながらも、日本語の習得に非常に苦労しました。今のような支援体制があるわけではなかったので、ただ日本語の環境にぽんと放り込まれました。高校時代までは国語がとにかく苦手で、受験の際にも非常に大きなハンデになりました。
 その後、アナウンサーという仕事に就いたわけなんですけれども、このなまりを直すために、一語一語、全て発音辞典で調べるということもしまして、ようやく普通にみんなと同じように話せるようになったと感じるようになったのが二十五歳ぐらいだったんですよね。
 一方で、日本語もままならないのに、その中で、中学時代はイギリスで過ごしました。イギリスは英語の支援が非常に手厚くて、毎日、一時間程度、授業から取り出しで、マンツーマンで英語を学ばせていただいたことから、一年後には授業の内容を理解して、ついていけるようになっていました。身をもって、語学のサポートがあるのとないのとでは、こんなにも違うんだというのを実感したわけであります。
 都立高校においても、帰国子女で日本語の習得が遅れている生徒や海外国籍のお子さんなど、日本語指導が必要な生徒も入学してくることと思いますが、日本語指導に関して必要な支援を行い、高校在学中にしっかりと学びを深め、卒業後の進路実現につなげていくことがとても重要です。
 東京都教育委員会は、今年度から新たに、都立高校の新入生に対して春期・土曜日本語講座を開始しました。この取組は、高校入学に当たり不安を抱えている生徒さんたちにとって、とても心強いものであるというふうに考えます。
 そこで、春期・土曜日本語講座の事業目的、実績、また、参加した生徒の様子についてお伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 中学校から高校への生活や学習の円滑な接続を支援することを目的として、日本語の能力が入門、初級段階の都立高校新入生全てを対象として、英語、中国語、ネパール語、日本語の四か国語で、三月末から六月末まで十五日間実施いたしました。
 講座には、延べ十三校、三百八十四人が参加しまして、参加した生徒からは、生活の基礎となる会話ができた、自由に自分を表現できるようになった、学校で使う必要がある語彙をたくさん広げることができたなどの声が聞かれ、在籍校を超えて生徒同士が教え合うなど、積極的に学習に取り組む姿勢が見て取れました。
 引き続き、都立高校に入学した生徒が安心して学校生活を過ごすことができるよう、日本語を学習できる機会を適切に設定してまいります。

○龍円委員 春期・土曜日本語講座が、入学して学校生活になじむまで、並走する形でサポートするだけではなくて、似たような環境にいる生徒たちがお互いに教え合うなど、絶好の学びの場になったということが分かりました。それぞれの学校だと、似たような環境の生徒がいない、または少ないと思いますので、その後の学校生活を続けていくに当たっても、ここでできたつながりというのが支えになっていくことだと思います。
 私自身の経験からも、日常会話程度ができるようになるということは比較的早期に可能なんですけれども、その言語で学ぶ、そして複雑な話をできるようになることなどは時間がかかること。その習得ができるかどうかが、その後の人生に大きな影響を与えることから、こうした取組を継続するとともに、高校入学後も、引き続き日本語学習の機会を設けていただいて、生徒たちの学びを支えていただきたいと思っております。
 その際に、ぜひオンラインを活用することで、入門や初級段階よりさらに進んで、日本語で授業内容を理解して、例えば日本語でレポートを書いたりするなど、より高いレベルの学習についても、それぞれのレベルに合った学習を可能として、さらには学校を超えた交流の発展につながるなど、多くの成果がこのオンラインを活用することで期待ができますので、ぜひ検討いただけますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、校内居場所カフェについてです。
 まず、校内居場所カフェはどのような事業なのか、お伺いいたします。

○山本地域教育支援部長 校内居場所カフェでは、ユースソーシャルワーカーが生徒との日常的なコミュニケーションを通して信頼関係を構築することによりまして、生徒が抱える進路や生活、家庭等の様々な課題、悩みを早期に発見し、一人一人の生徒に応じた支援を実施しております。
 本事業は、今年度から都立小台橋高校において開始しております。

○龍円委員 ありがとうございます。
 私たち都民ファーストの会では、東京版ユースクリニックとして、子供から若者の健康や人間関係など様々な相談を受けて支援することができる、わかさぽという事業を提案し推進してきております。この事業を通じて、子供、若者にとって、相談するということは、ハードルが実に高いということが見えてまいりました。
 その中でもポイントになるのが、秘密が厳守されるということ、そして、相談相手が信頼できること、子供の身近な場所で相談できること、そして、助けが必要なときには、子供が望まない形で相談内容が第三者に知られることなく支援が得られることだというふうに実感しております。
 ぜひ、この校内居場所カフェのユースソーシャルワーカーについても、わかさぽとも連携していただきながら、子供が利用しやすい環境としていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、居場所カフェはすばらしい取組なんですけれども、そもそも、学校そのものが生徒にとって居場所があると、心理的にも、そして身体的にも安心を感じられることも重要だと考えています。特に、不登校のお子さんが増え続ける昨今の現状から、学校が居場所であると感じられないお子さんの数も増えているのではないかなと懸念しております。
 東京では、学校の居心地向上プロジェクトを進めることを明らかにしたところで、こちらについても、非常に期待を寄せているところであります。
 また、文科省では、三月に発表した新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方についての最終報告では、今後は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けて、柔軟で創造的な学習空間を実現していくということが示されました。個別学習や少人数学習などにも柔軟に対応できる教室づくりを進めるということであります。
 また、九月、今月ですね、この流れを受けて、文科省からウェルビーイング向上のための学校施設づくりのアイデア集というのも発表されたところでありました。
 学校に、居心地がよく、そして居場所があり、ウエルビーイングが担保されるということが、不登校ですとか途中退学や、その経験があるなど、様々な課題ですとかニーズがある生徒にとって重要なことなのではないかなと考えております。
 そこで、居場所カフェのほかにも、それぞれの生徒の居場所があるような取組も併せて進めることが必要であるというふうに考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○山田指導部長 多くの都立高校においては、生徒が授業の空き時間等に個別に学習したり、自由に活動できるスペースを用意しております。
 さらに、昼夜間定時制高校等においては、教室の雰囲気になじめない生徒や不登校の生徒に対して、各校が空き教室等にソファーや個人用ブースを設置したり、支援員を常駐させ、気軽に相談できるようにするなど、生徒が過ごしやすい環境を整えております。

○龍円委員 ありがとうございます。都立高校においては、個別学習や自由に使えるスペースを用意したり、ソファーとかブースを用意するなどの工夫もしているということでありました。
 今後、学校の居心地向上プロジェクトの推進とともに、ぜひ都立学校でも生徒のウエルビーイングにつながる居場所づくりを進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 続いて、都立高校のインクルーシブについてお伺いします。
 私はこれまで、都立高校におけるインクルーシブ教育についても、質疑を通じてその推進を求めてきた立場にあります。今回、インクルーシブ教育をさらに推進していくという観点から、都立高校の入試における取組と入学後の対応について確認してまいります。
 都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)でも、都立高校入試において、通信制課程の受入れ規模の拡大ですとか、多様な生徒のニーズに対応する入学選抜の在り方の検討を進めていくことが掲げられております。
 都立高校の入試については、先日、令和七年度入試の実施要綱が発表されたところであります。
 以前、この文教委員会でも要望させてもらっておりましたけれども、障害のある受検生に対する様々な対応について、以前は特別措置と表現していたものを、今回から受検上の配慮と名前を改めていただけたことは大変評価しております。
 そこで、都立高校入試では、受検上の配慮として、具体的にどのような対応を行っているのでしょうか。また、それをどのように周知しているのか、お伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、都立高校入試におきまして、障害のある受検者に対応する受検上の配慮を入学者選抜実施要綱に位置づけて実施しております。
 様々な障害のために、通常の検査方法では受検が困難と認められる生徒につきまして、検査方法、検査時間、検査会場について適切な配慮を行っております。
 具体的には、志願者の障害の特性等を考慮した上で、問題、解答用紙の点字による作成や拡大、英語リスニングテストでの座席の配置、発達障害のある受検者やけがをした受検者などに対する別室受検や検査時間の延長、さらに、記号選択式での受検や介助者の同行などの対応を行っております。
 また、この都立高校入試における受検上の配慮につきましては、都内公立中学校三年生全員に配布する案内冊子のほか、選抜実施要綱の説明会など、様々な機会を通じて生徒、保護者、中学校等へ周知しております。

○龍円委員 受検上の配慮について、きめ細やかに実施することですとか、それを都内の公立中学校三年生全員に配布したりするなどして周知を徹底しているということが分かりました。さらに、今後、都立高校検索サイトの、#だから都立高 にも、ぜひこの受検上の配慮について掲載していただけますよう、要望させていただきます。
 入試における受検上の配慮をしっかり行っていただいて、都立高校に無事合格して入学するということになりますと、スペシャルニーズ、障害のある生徒や保護者にとっては、高校生活をスムーズに送れるのかというのが心配になってくるかと思います。
 そこで、障害のある生徒の状況や程度によっても、様々、その合理的配慮の提供ですとか、工夫が変わってくるとは思いますけれども、都立高校への入学後にはどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 肢体不自由や知的障害など様々な障害のある生徒が都立高校への入学を希望する場合、入学後の学校生活における配慮としまして、生徒や保護者は、志願する予定の都立高校での学校説明会等の機会に、事前に相談することができる仕組みとなっております。
 また、障害のある生徒が都立高校に入学する際には、車椅子を使用している生徒には車椅子用の昇降式の机、聴覚障害の生徒には聞き取りを援助するデジタル機器等の備品を整備するなど、生徒の障害に合わせたハード的な備品等の対応を行っております。
 また、これに加えまして、学校生活における様々な場面で支援を行うため、知的障害の生徒に対する介助職員の配置や、医療的ケアを必要とする生徒に対しては看護師を配置するなど、学校生活を安心して送るために必要な支援を実施しております。

○龍円委員 入学前から、学校と支援方法について相談することができて、様々な合理的配慮や支援をしているということが分かりました。学校の入学前から相談できるというのは、ぜひぜひ、もっと保護者の皆様、そして生徒の皆様に知ってもらえるといいなというふうに思っております。
 さて、都立高校における発達障害のある生徒の方々への支援については、かねてから本委員会で質疑をさせていただいているところであります。発達障害のあるお子さんが全体的に増加傾向にありまして、都立高校でも、さらに増えていく可能性があるというふうに考えております。
 改めて、このチャレンジサポートプランにも示されております、都立高校における発達障害教育と就労支援の取組についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、発達障害のある都立高校生に対しまして、在籍校の教員と専門的な知識を有する外部人材がチームを組んで行う通級指導や、民間のノウハウ等を活用してソーシャルスキルやコミュニケーションを学習するコミュニケーションアシスト講座を実施しております。
 また、将来の就労を見据えまして、必要なスキルを身につけられるよう、民間企業と連携した就労支援プログラムをモデル事業として実施しております。
 今後も、発達障害のある生徒の進路実現がさらに図られるよう、民間事業者の専門性等を有効に活用しながら支援に取り組んでまいります。

○龍円委員 都立高校のこの発達障害のある生徒への支援というのは、本当に日本全国でもモデルとなるような圧巻な取組だというふうに感じておりまして、関係者の皆様のご尽力に感謝いたします。
 都立高校の入試における受検上の配慮に加えて、入学後も、様々な障害の状況に応じた支援があり、きめ細かく寄り添った取組が都立高校で行われていることが分かりました。
 先ほど、都立高校の入試における受検上の配慮について、さらなる周知をお願いしたところではありますけれども、今回のサポートプランにも、入試の受検上の配慮に加えて、こうした入学後の様々な支援についても紹介し、都立高校のよさを伝えるとともに、障害のある生徒たちが安心して都立高校を目指すようにするべきだというふうに考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試の受検上の配慮や入学後の支援につきましては、都立高校入試に関する説明冊子や、各都立高校における生徒、保護者からの相談を通じて周知してきたというふうに申し上げましたが、ただいまご提案をいただきましたので、チャレンジサポートプラン、今、パブコメを実施しているところでございますので、その取りまとめの際には、委員の今のご提案、対応を検討してまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。このサポートプランにおいても、これらを周知していただくということを検討していただけるということでありました。ぜひよろしくお願いいたします。
 ここまで見てきたように、都立高校では、入試における受検上の配慮もあり、入学後のサポートや発達障害のある生徒への総合的なサポートもあり、非常に先進的でよい取組をしているところであります。
 ただ、入試制度そのものについては、さらに改善が望まれる点もございます。
 不登校の生徒ですとか、発達障害やグレーゾーンとされている生徒さんたちにとって、都立高校は不利であるというふうに認識されている部分があります。例えば、ノートをきれいに取れないとか、提出物が遅れがち、欠席や遅刻が多い、そして、手指の器用さが足りなくて実技が得意ではないなどといったことが調査書の評価を下げてしまうのではないかということなんです。
 ある塾の関係者にお話をお伺いしましたところ、不登校や発達障害のあるお子さんたちが都立高校での調査書の活用に心理的な負担を感じてしまって、積極的に中学受験をしたいわけではないのですけれども、中学校受験をする児童が、そういった理由からも増えている側面があるということでありました。
 不登校や発達障害のあるお子さんが増加傾向にある現状も踏まえまして、調査書の在り方を含めた入試制度の検討については、これまで都民ファーストの会として、都に要望してきたところでもあります。
 今回のチャレンジサポートプランでは、調査書の在り方を含めた、多様な生徒のニーズに対応した入学者選抜の在り方の検討を進めるとされていますが、今後どのような方向で検討していくのか、お伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 これまで都立高校入試におきましては、学力検査を実施する一般入試のほか、学力検査では評価しにくい能力、適性等を多面的に評価するために、個人面接や小論文、実技検査等により選抜を行う推薦入試も実施しております。
 また、小中学校で不登校を経験した生徒等を主に受け入れるチャレンジスクールでは、学ぶ意欲や適性を見るため、学力検査等によらず、作文、面接のほか、あらかじめ受検者が記載し提出した志願申告書により選抜を実施しております。
 今後も、不登校経験のある生徒や日本語指導が必要な生徒の増加など社会状況の変化に伴い一層多様化する生徒のニーズや各高校の特色を十分反映することができる調査書の活用方法も含めまして、より多様な入学者選抜方法の構築に向けて、引き続き検討を進めてまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。推薦入試の実施、チャレンジスクールのような学力検査によらない選抜をするなど、多様な生徒に学びを提供するために工夫をしてこられていることと、今後、さらに多様な入学者選抜の構築に向けて検討を進めるということでありました。
 全日制課程の第一次募集ですと、学力と調査書の比率が七対三で、音楽や美術などの学力検査をしない科目については評価が二倍になっておりますけれども、これが一律ということで、ぜひこの比率を学校ごとの特色に合わせた比率に変えたりですとか、多様性に配慮してインクルーシブな教育の推進のために調査書を活用しない枠を設けることなどを検討するなど、学校の特色を踏まえるとともに、多様なニーズのある生徒に対応した入試制度の構築に向けて、さらなる検討をし、学ぶ意欲と熱意のある生徒を一人でも多く都立高校で受け入れられるよう期待をしてまいりたいと思っております。
 最後に、質問ではないのですけれども、このチャレンジサポートプランでは、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実も掲げているところであります。チャレンジスクールを充実させるほか、柔軟できめ細やかな教育課程や教育相談体制を充実する新しいタイプの学校も開校するということでありました。
 これらのチャレンジスクールは、通っている生徒さんたち、そして保護者さんからも非常に評価が高いものなので、今後もしっかりと進めていただけますよう要望いたしまして、質問を終えます。ありがとうございました。

○たかく委員 私の方から、都立高校におけるチャレンジサポートプランについて伺います。
 現在、都立高校における困難を抱える生徒は増加傾向にあり、生徒のニーズも多様化しております。例えば、昼夜間定時制課程やチャレンジスクールでは入学希望者が増え、そして、一方、夜間定時制課程では極端な小規模化が進んでいる状況でございます。
 また、困難を抱える生徒が多く在籍する一部の学校では、受入れ環境の改善が必要なことに加え、支援の実施に当たって、関係者により、様々な側面から連携して取り組む必要があると考えます。
 チャレンジサポートプラン策定の目的については、先ほど質問がありましたので割愛させていただきますが、最初に、プランの策定に当たっては、都民や子供たちの意見も踏まえた上でしっかり進めることが大切であると考えます。
 チャレンジサポートプラン案に関して、これまでどのように都民や子供たちの意見を伺ってきたのか、お聞きいたします。

○猪倉高校改革推進担当部長 都立高校の現状や今後等について検討するため、これまで各種調査を実施しており、都内の中学生や保護者、都立高校生をはじめとする都民から広く意見を聞いております。
 例えば、令和三年度に実施した都立高校の現状把握に関する調査では、定時制課程を含む都立高校に通学している生徒が当該学校を志望した理由や学校に求めることなどについて調査してございまして、チャレンジサポートプラン案を含む都立高校の今後の在り方の参考にしてございます。
 さらに、チャレンジサポートプラン案につきましては、令和六年八月二十二日から令和六年九月二十日までパブリックコメントを実施しており、様々な方の意見を聞いております。

○たかく委員 今お聞きしまして、チャレンジサポートプランは、将来の都立高校生のための取組でもあり、広く都民の意見を聞くことが重要と考えます。また、パブリックコメントの意見なども踏まえた計画をしっかりと作成していただきたいと要望いたします。
 次に、チャレンジサポートプランでは、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けた取組が示されておりますが、この内容について何点か質問いたします。
 最初に、このプランでは夜間定時制課程七校の募集停止を行う計画としておりますが、令和六年度に入学したこの七校の生徒数は何名なのか、お聞きいたします。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程で募集停止を予定している七校の令和六年度入学手続者数は、全体で六十七名でございます。

○たかく委員 七校で六十七名ということでは、夜間定時制の入学者が十名以下という学校も複数あるということです。そもそも令和六年度の応募倍率が〇・三一倍ということで、この夜間定時制においては、極端な小規模化が進んでいることが分かりました。
 逆に、困難を抱える生徒の受入れでは、チャレンジスクールの応募倍率は、開設以来、ずっと一倍を超えているところです。
 今まで、いろんな理由で不登校状態になっている生徒が再チャレンジをするために受検をされているにもかかわらず、入れない人が多数出ている状況であり、我が党は、再チャレンジの受検生をしっかりとフォローしていくためにも、全員がそこで学べることができるようにチャレンジスクールの整備をしてほしいと訴えてまいりました。
 昨年の本会議でも、かまた委員の方から新たなチャレンジスクールを拡充すべきだと訴えて、令和七年度から、立川市にチャレンジスクールを開設するとの表明があった次第です。
 このプランでは、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けて、チャレンジスクール等の規模拡大や新たなタイプの学校の開校を図ると書いてありますが、何名分の募集枠を予定しているのか、伺いたいと思います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクール等の規模拡大につきましては、多摩地域でチャレンジスクール一校を新設するとともに、既存のチャレンジスクール二校及び昼夜間定時制高校一校の学級増を予定しており、合計で一学年当たり二百七十人規模の拡大を予定しております。
 また、柔軟できめ細かな教育課程や教育相談体制の充実を図った新たな受入れ環境充実校といたしまして改編を予定している深沢高校は、現在、一学年五学級二百人の学校でございまして、改編後も同程度の規模を予定しております。
 さらに、夜間定時制課程につきましても、七校の募集停止後も三十四校で開設しておりまして、これらの学校の令和六年度入学者選抜における募集枠一千三百五十人に対しまして、入学手続者数は五百六十人でございました。

○たかく委員 今の答弁では、チャレンジスクール等では、合計で一学年当たり二百七十名規模の拡大、また、深沢高校等で一学年二百名の規模を予定しているということでもお話しいただきました。
 ただし、東京都の小中学校における不登校児童生徒数の合計は十年連続増加していることを考えれば、今後、さらなるチャレンジスクール等の整備も必要になってくるものと想定されます。状況に応じたきめ細やかな対策を進めていただきたいと思います。
 次に、新たに設置されるチャレンジスクールについて伺います。
 来年四月に開校する立川緑高校の学校規模と、どのような取組を行う予定か、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールである立川緑高校は、定時制、総合学科、単位制の学校でございまして、生徒が自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部の中から、いずれかを選んで入学できる学校でございます。
 学校規模について、一学年相当で、午前、午後、夜間ごとに二学級ずつ、計六学級規模、定員は百八十人でございます。全体では七百二十人の定員となる予定でございます。
 また、本校では、生徒の興味、関心に合わせて自由に選べる選択科目の設置や、生徒が友達と気軽に話せたり、ユースソーシャルワーカーとの相談も可能である開放的なラウンジの設置など、教育環境を整備し、多様で柔軟な教育活動を行う予定でございます。

○たかく委員 今回、多摩地方で初となるチャレンジスクールであり、地元をはじめ、都民からの期待も非常に高いものと考えております。引き続き、立川緑高校が生徒にとって安心して通い、学べる学校となるように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、今回の取組で、新たな受入れ環境充実校も開設すると書かれております。
 新たな受入れ環境充実校開設の目的と、私の地元である世田谷区内にあります深沢高校を改編対象校とした理由について伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 困難を抱える生徒の多様なニーズに適切に応えるためには、それぞれの生徒の実態やニーズにきめ細かく対応した教育内容等の充実を図る必要がございます。
 現在、不登校を経験した生徒等を受け入れているチャレンジスクールは、定時制、単位制、総合学科の学校でございますが、困難を抱える生徒が増加している中、全日制、学年制の教育課程での学習を希望する生徒のニーズにも応えていく必要がございます。
 このため、相談体制を充実し、柔軟な学習環境を整えることで、生徒の多様性に幅広く対応できる新たなタイプの学校を開校することといたしました。
 学校の開設場所につきましては、現在、都内には、設置予定を含め、チャレンジスクールが七校、昼夜間定時制高校が六校、設置予定も含めますが、設置されておりまして、それらの学校の設置場所を基に、都内における地域バランス等を踏まえ、深沢高校を改編し開設することとしたものでございます。

○たかく委員 私も、深沢高校には何度も行ったことがありまして、やはり伝統と歴史もあって、地域に密着したこの深沢高校について、困難を抱える生徒をはじめ、様々な生徒たちにとって充実した学校となるよう取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 次に、日本語指導が必要な生徒に対する取組について伺います。
 チャレンジサポートプランでは、日本語指導の必要な生徒数は都内で七百三十三名、そのうち約三分の一が定時制に在籍しているとのことです。
 募集停止対象校の募集停止後、日本語指導が必要な生徒が都立高校に入学した場合にどのような指導をしていくのか、伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 日本語指導が必要な生徒の在籍校では、一人一人の日本語の能力を把握するアセスメントを実施し、それに応じて取り出し指導、習熟度別授業、外部人材等による授業支援や補習等を行っております。
 今後とも、各学校において、一人一人の実態に応じた日本語指導を推進してまいります。

○たかく委員 私は、今年の第一回定例会で在京外国人生徒枠を設ける高校の拡大を求めてまいりました。
 在京外国人生徒枠設置校では、受検者数が二倍を超えているところもあって、昨年度は全体で百名以上の不合格者が出ている実態がありました。
 これを受けて、私どもの提案を受けて、都教育委員会では、外国人生徒の受入れのために在京外国人対象の入試を行っている学校、いわゆる在京枠設置校を、現在の全日制の高校八校に加えて、昼夜間定時制高校、荻窪、浅草、砂川、一橋、これを新たに設置するとともに、これまで外国籍に限られていた受検資格を、新たに−−すみません、生徒についても認めることを決定し、公表されたことについては評価いたします。
 またさらに、これを踏まえ、教育長からは、本定例会の都議会公明党の代表質問の中で、在京枠設置校の拡大や応募資格を緩和する入試制度に関する説明会の新規開催、都立高校合同説明会における専門の相談窓口によるきめ細やかな情報提供など、NPO団体のノウハウも活用し周知していくことの答弁をいただいた次第です。この間、我が党の要望に対するこれらの取組をさらに着実に進めていただきたいと思います。
 最後に、このプランにおいては、日本語指導を必要とする生徒が在籍する学校において、日本語の指導を在籍学級の教育課程と位置づける特別の教育課程を適切に編成、実施できるよう支援するとのことでありますが、特別の教育課程を編成している学校に対してどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、特別の教育課程実施校に日本語指導をコーディネートする教員を配置するとともに、指導主事が学校を訪問しまして、指導、助言等の支援を行っております。
 また、日本語指導コーディネーター連絡会を年に二回開催し、特別の教育課程や日本語指導推進ガイドラインへの理解を深める研修や、各校の日本語指導における課題や工夫した取組を共有する機会を設けております。

○たかく委員 日本語指導が必要な生徒に対して、一人一人に応じて、より丁寧な対応をしっかりと進めていくことを要望し、私からの質問を終わります。

○斉藤委員 私からは、チャレンジサポートプランの中から、特に夜間定時制高校の募集停止について質問をいたします。
 八月二十二日に公表されたこのプランの中には、これまでに閉課程が発表されていた立川高校と小山台高校の夜間定時制のほかに、桜町高校、大山高校、北豊島工科高校、蔵前工科高校と葛飾商業高校の夜間定時制の募集停止が突如として掲載されており、都民からは、衝撃を受けた、なぜ、突然こんなことが発表されたのかと怒りの声が上がっています。
 先週の二十五日には、これら七校の募集停止計画の撤回を求める陳情署名が都議会に届けられました。一か月足らずの短期間ですけれども、六千七百三十七筆が集まったというふうに聞いています。もともと集めていた立川、小山台の存続を求める署名については一万五千二百八十八筆も集まっており、合わせて二万二千筆以上にもなります。この都民の声に、都教委はきちんと耳を傾けるべきです。
 夜間定時制は、石原都政以降、半分以下に減らされて、今は四十一校になっています。しかし、二〇二一年の予算委員会で、知事は夜間定時制について、勤労青年だけでなく、今日では、不登校を経験した生徒、そして外国人の生徒などの学びの場となっている、そして、きめ細やかな指導を行うなど、社会人としての自立を促す、その上で重要な役割を果たしていると認識していると答弁しています。
 都教育委員会として、夜間定時制が現在果たしている役割についてどう認識しているのか、改めて伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程は、不登校を経験した生徒など多様な生徒が在籍しており、自立した人材を育成している一方で、生徒数減少により学習教育環境に課題が生じているものと認識しております。

○斉藤委員 私は、夜間定時制が現在果たしている役割について伺いました。きちんと答えていただきたいんですね。
 都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム、これ、昨年度の三月に出されているというふうに思いますけれども、この中で夜間定時制について、多様な生徒の実態にきめ細かく対応した教育内容等の充実を図るというふうにしています。
 つまり、学校数はともかくとしても、この夜間定時制に重要な役割があるということは、そういう認識はお持ちだということですよね。いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程も含めまして、都立高校全体で、そうした様々な生徒を受け入れて対応していくことが重要だというふうに認識しております。

○斉藤委員 今ご答弁で、全体の話にすり替えてご答弁されているんですけれども、今いったように、皆さん方がまとめているこの魅力ある学校実行プログラムですね、この中に、きちんと夜間定時制のこととして書いてあるんです。先ほどいったように、多様な生徒の実態にきめ細かく対応した教育内容等の充実を図る、これが夜間定時制の話として書いてあるんです。何でそれをきちんと答弁できないのか、そういう姿勢に本当に疑問を持たざるを得ません。
 何か、夜間定時制のよさについてはおざなりで、都教委の考える課題の側面ばかり強調されるような状況なんですけれども、今、この夜間定時制で学んでいる子供たちの心情を考えるなら、本当にこの都教委の、声に向き合わない姿勢、いかがなものかというふうに思います。
 三年前、知事が重要な役割を果たしているというふうに答弁し、都教委自身が実行プログラムで充実を図るというふうにしているんです。夜間定時制は重要な役割があり、充実するという認識を忘れないでいただきたいというふうに思います。
 そして、今、どのような子供たちが夜間定時制に来ているのか、どんな教育が求められているかを真剣に考えるなら、夜間定時制を減らすのは、求められている充実の方向性とは逆行するものではないかというふうに思います。
 詳しく伺っていきたいのですけれども、桜町、大山、そして北豊島工科、蔵前工科、葛飾商業、この五つの夜間定時制課程を今回募集停止とした理由について、それぞれお答えください。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、昼間に学校に通うことができない勤労青少年が大幅に減少した結果、一学年の生徒数が十名以下の学校が多数生じております。学級規模の極端な小規模化が進んだ学校では、ホームルーム活動や学校行事などの特別活動が低調となり、集団活動を通した教育効果も十分に得られないことが懸念されております。
 このため、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、少人数指導も実施し、相談体制も充実しているチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、お話しの五校と小山台、立川高校の夜間定時制課程につきましては、学科ごとに地域バランス等を考慮した上で生徒募集を停止することといたしました。

○斉藤委員 なぜ、この五校なのかということについては、はっきりしたご答弁がないのですけれども、今、いろいろ、様々理由を挙げられましたが、都教委が挙げる理由には一貫性がないというふうに私は思います。ごまかしのような説明もあります。
 まず、学校規模の小規模化を挙げていますけれども、以前から指摘しているとおり、今年度は百四十人の生徒が通っている立川高校の夜間定時制をなくそうとしていることは、今の答弁にも矛盾します。立川のチャレンジスクールの設置という話もありますが、それが引換えになるような話ではないということです。
 また、勤労青少年が大幅に減少ということもいうのですけれども、都教委が定義している勤労青少年とは、これも何度も繰り返し質疑していますけれども、正社員で働いているか、あるいは自営業の家業で働いているか、こういうとても狭い範囲に限定されているものです。
 夜間定時制高校に通う中卒の生徒が正社員で働くということは、今は現実的にはなかなか難しい状況だということも皆さん方も分かっているはずです。むしろ、日中にアルバイトで働くことが学校でも推奨されていて、家計のためにとアルバイトをしている生徒は多くいるということも現場の先生方からも聞いています。
 募集停止をするために都合のいいような説明をするということは、本当にやめていただきたいというふうに思います。
 都教委は、今回のプランの中で、小山台高校とともに、五校について、令和八年度、二〇二六年度に募集停止を行って、令和十年度、二〇二八年度に廃止するということを明示しています。年限まで決めた状態でプランを公表するという、この拙速なやり方にも批判の声が上がっています。
 今回は、前回のように閉課程の予定の発表ではなく、なぜ募集停止の年限まで決めて発表したのでしょうか。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプラン案では、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けた取組の一つとして、学校再編に向けた取組を示しており、チャレンジスクールの規模拡大や新たな受入れ環境充実校への改編、一部の夜間定時制課程の募集停止などの取組を具体的に示しております。

○斉藤委員 具体的に示したんだということなんですけれども、二〇一六年に、立川や小山台、さらに、もう廃止されてしまいましたけれども、雪谷や江北高校などの夜間定時制の閉課程の予定が発表されてから、その後から今までずっと継続して、この廃止の見直しを求める都民からの陳情が出されて議論が続いてきているところでした。本来なら、もっと丁寧に都民との対話の場をつくったり、都民の声を反映していくということこそが求められているのではないでしょうか。
 唐突に出された夜間定時制の募集停止のプランですけれども、この五校を廃止するプランを決めたその検討経過について、いつから、どのような話合いで、この五校を廃止するという計画を決めたのか、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプラン案の策定に当たりましては、令和五年に庁内に関係部署から成る検討本部を設置し、検討を進めてまいりました。

○斉藤委員 去年の五月に検討本部をつくったと。この中で、この五校の廃止についても検討してきたということでよろしいですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、従来より改善に向けた取組が課題となっておりまして、平成二十八年の都立高校改革推進計画・新実施計画におきましても、夜間定時制課程の閉課程を含む取組が示されております。
 また、令和四年度に検討、公表した都立高校の魅力向上に向けた実行プログラムにおきましても、チャレンジスクール及び昼夜間定時制高校の受入れ規模拡大を図るとともに、夜間定時制課程については、入学者数の動向など、ニーズを踏まえた上で必要な見直しを行うとともに、多様な生徒の実態にきめ細かく対応した教育内容等の充実を図るなど、望ましい学習教育環境を確保するとしており、これまで改善充実に向けた検討も進めてまいりました。

○斉藤委員 ちょっと今のは、申し訳ないのですけれども、聞いたことの答弁になっていないんですね。
 私が聞いたのは、つまり去年の五月に検討本部を立ち上げたという答弁がありましたけれども、この中で、庁内内部で検討してきたということですよね。この中で、この五校の停止を決めた、そういうプランを出すということにしたということですかということです。いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程の改善に向けました検討につきましては、先ほどご答弁を申し上げましたとおり、令和五年以前よりも検討を進めてまいってきております。
 チャレンジサポートプラン案の具体的な内容につきましては、令和五年に庁内に関係部署から成る検討本部を設置し、検討を進めてまいりました。

○斉藤委員 ちょっとお願いなんですけれども、この五校を廃止するプランを決めた、その検討文書や議事録というのは出していただきたいと思うんです。これは要望しておきます。
 この七校の夜間定時制を廃止することについて、プラン案を発表する前に、夜間定時制に通う生徒の意見は聞いたのかということ、我が党のとや理事が代表質問でただしました。
 都教委は、プラン案のパブリックコメントで様々な方々の意見を踏まえて取りまとめるということでしたけれども、つまり、当事者から直接意見は聞いていないということです。発表する前にですよ。
 子供に関する施策を子供に聞かずに進めるということは、もうあってはならないというふうに思います。あってはなりませんし、それはパブリックコメント一般で解消できるものでもありません。子供の意見表明権を尊重し、施策に反映するということを都に求めているこども基本条例にも反することです。当事者の意見も聞かずに決めるということは許されないということを、改めて厳しく指摘するものです。
 新たに廃止が発表された夜間定時制高校のこの地元の、蔵前高校のある台東区、それから大山高校、北豊島工科高校のある板橋区、そして葛飾商業高校のある葛飾区では、夜間定時制の募集停止の決定を行わないように求める意見書を東京都に出すようにと、区議会にそれぞれ陳情が出されて議論されています。
 こうした地元からの声をどう受け止めるのか、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在のところ、今お話しの陳情等につきましては、都教育委員会に対して意見書は提出されておらず、お答えできません。

○斉藤委員 お答えできないという、非常に冷たい答弁だと思うんです。区に出されている声だって、重要な都民の声です。自分たちの区の子供たちを育ててきた定時制をなくすということはあってはならない、区議会から都教委にいってほしいと、次々に陳情が上がっているんです。まだ意見書が提出されていないということではなくて、こうした動き自体、受け止めてほしいというふうに思います。
 私は、先々週、北豊島工科と蔵前工科の夜間定時制の視察に行かせていただきました。とや理事も一緒に都議団として視察をさせていただきましたけれども、都教委はご存じのことだと思いますが、この北豊島工科高校は、一九二〇年に渋沢栄一氏の支援の下に創設されて百四年の歴史を持っています。定時制では、機械科で、ものづくりを通して機械加工、金属加工を学ぶなど、特色ある勉強や実践を行っている学校です。
 蔵前工科高校も、創立から百年の歴史を持ち、今は建築工学科があり、二年生からは建築または設備工業を選択することができます。設備工業は、都内でもここだけのカリキュラムだということで、大型の施設を見せていただきながら、先生方が誇らしげに紹介をしてくださいました。
 両校とも、専門的な資格を取ることもできて、大手企業だけでなく、地元の建設業の方々からも信頼をされている高校だということがよく分かりました。
 葛飾商業も、区内でも大切な定時制商業高校として、七十五年の歴史を持っている伝統校です。
 蔵前や北豊島などの工科高校や葛飾商業は、専門性も高く、特色ある実践的な教育を行う学校として、地域からも親しまれ、信頼を得ています。
 これらの夜間定時制課程は、そうした教育の機会を様々な困難を抱える子供たちにも提供する貴重な役割を果たしているというふうに思いますが、教育委員会はどのように認識しているのか、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 今お話のございました蔵前工科高校や葛飾商業高校、北豊島工科高校など、お話の高校も含め夜間定時制課程は、不登校を経験した生徒など多様な生徒が在籍しており、自立した人材を育成している一方で、生徒数減少により学習教育環境に課題が生じているものと認識しております。

○斉藤委員 特色ある教育、これを、様々な困難を抱えていて夜間定時制に通うような子たちにも提供する、その重要性について聞いたんですね。それなのに、最初に聞いた答弁と同じ答弁を繰り返す。本当に今の質問の答えになっていないというふうに思います。
 同じような答弁を繰り返すのは本当にやめていただきたいと思うんですけれども、例えば葛飾商業については、区議会への陳情者が、チャレンジスクールを拡大するというが、葛飾区内にチャレンジスクールなどなく、江東区にある大江戸高校を学級を増やしても、大江戸高校では商業は学べないということを訴えています。こうした声に応えていくということを、ちゃんとしてほしいと思うんです。
 蔵前や北豊島などこの工科高校や葛飾商業の定時制では、専門性の高い特色ある教育の機会を夜間に通う子供たちにも提供するという、豊かな学びの選択肢を保障するという役割を担っていると思いますが、どうですか。もう一度お願いします。

○猪倉高校改革推進担当部長 今お話しの高校も含めまして、夜間定時制課程は、不登校を経験した生徒など多様な生徒が在籍しており、自立した人材を育成しております。一方で、生徒数減少により学習教育環境に課題が生じているものと認識しております。
 また、現在、都内には、チャレンジスクールが六校、昼夜間定時制高校が六校あり、専門性を身につけることができる科目を用意している学校もございます。
 加えまして、夜間定時制課程につきましても、今回募集停止を予定している学校以外で、工科高校が八校、商業高校が三校ございまして、ほかにも産業科や総合学科など専門性を身につけられる学科を開設しております。こちら、夜間定時制課程につきましては、募集枠についても十分な余裕がございます。

○斉藤委員 今、ほかの学校にもあるんだというふうにいいましたが、廃止してしまえば遠くなってしまうじゃないですか。そうすると、選択肢にならなくなってしまう、そういう生徒たちが増えるということなんです。そういうことを保障するのが都教委の役割のはずなのに、削減していく、チャレンジスクールに変えていくという発想だと思うんですけれども、都教委の都合で考えていくというのは、私はやめるべきだというふうに思います。
 ここに通っていた地域の子供たちは、さらに遠くなって行けなくなるという状況になるわけです。そうやって子供たちの選択肢を奪っていくような、教育の条件を削っていくというようなことを都教委がやるということは、本当に許されないというふうに思います。
 私たちは、この間、夜間定時制の生徒、卒業生、保護者、先生など関係者からお話を伺ってきました。先ほど申し上げた夜間定時制二校、それから、足立区内の夜間中学も視察をしました。
 例えば、ある現役の夜間定時制の生徒さんは、中学校まで不登校だったそうです。夜間定時制に通おうと思ったのは、まず、夜なら起きているから行けそうだと思ったこと、それから、近くにあったから行けると思ったこと、そして、受検に落ちることなく誰でも入れるという安心感があったからということでした。
 入ってからよかったと思ったことについては、クラスが少人数で気軽に先生に質問ができるということ、そして、少人数だから友達もできやすかったということをおっしゃっているんです。
 こうしたお話や視察から、様々な困難を抱える子供たちには、夜間定時制のような学校が求められているということが本当によく分かりました。そして、それは都教委自身の調査の結果にも表れているというふうに思います。
 まず、学校が家から近い、そういうことの重要性についてです。
 二〇二一年度に都教委が行った都立高校の現状把握に関する調査で夜間定時制の在校生に聞いた質問、現在通っている高校で特によかったと思う点で、回答があった、この上位三つについてお答えください。

○猪倉高校改革推進担当部長 令和三年度に実施した都立高校の現状把握に関する調査では、無作為抽出した都民や企業、大学等に加え、都内公立中学生やその保護者、都立高校生を対象にアンケート調査を実施したものでございます。
 夜間定時制課程の生徒が現在通っている学校に入学して特によかったと思う点という質問に対して回答数の多かった上位三項目は、自宅から近い、自分のやりたい勉強ができている、先生の授業が分かりやすいでございます。

○斉藤委員 今のご答弁のとおり、第一位が学校が自宅から近いということなんです。
 不登校の親の会の方によりますと、不登校の子供は、もちろん全員ではないけれども、人の目が気になる、狭い空間が苦手、そういう理由で電車に乗れないということも珍しくないそうです。だから、近くにあるということが重要だということです。
 ある生徒は、中学三年生のとき、電車には乗れないと思うので、自転車で行けるところに行きたい、人が多いところは苦手なので、個別に見学にも行きたい、そう希望して近隣の定時制高校に入学しました。高校で成長して、電車にもバスにも乗れるようになったということですけれども、近くに定時制があったからこそ踏み出せたということです。
 また、この生徒は、昼間アルバイトをしてから学校に行くという点でも、近いことが一番だということでした。
 都教委は、先ほども勤労青年が減っているということを事あるごとに述べてきましたけれども、現在でも、働きたい生徒にとって、夜間定時制は重要な選択肢なんです。
 先ほどの都教委の調査で、公立中学三年生が進路として夜間定時制高校を考えている−−先ほどと同じ調査の中で、こういう質問もあります。公立中学三年生に対して、進路として夜間定時制高校を考えている理由。これで一番多いのは、どういう理由で何%だったか。これ、ご答弁できますか。

○猪倉高校改革推進担当部長 先ほどの調査の中で、すみません、ちょっとご質問を正確に聞き取れたかは、ちょっとあるのですけれども、夜間定時制高校を考えている理由の上位ということでよろしいでしょうか。(斉藤委員「はい」と呼ぶ)は、働きながら通学できるからという回答が一番多うございます。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、夜間定時制高校を考えている理由、その中で一番多い回答が、働きながら通学ができるから、これが七一・四%になっているんです。夜間定時制を進路として考えている生徒のうち七割の中三生が、働きながら通えるというふうに回答しているということは、本当に大きな、重要な部分だと思います。
 実際に夜間定時制に進学した生徒へのアンケートでも、働きながら通学ができるからが志望理由の第二位になっています。
 仕事と勉強を両立させようとしたとき、都教委もかつて通学時間三十分以内というのを掲げていたとおり、近さが重要だということは、いうまでもありません。夜間定時制を減らすということは、自宅から近い学校が減ってしまうということです。
 都教委は、誰一人取り残さないといいながら、このチャレンジサポートプランの中にも繰り返し出てきますけれども、自宅から近くなかったら通えない生徒がいることについては、どのように考えているのでしょうか。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在、都立高校全体で、こうした生徒さんを受け止めていくという考え方で取り組んでいるところでございます。
 夜間定時制課程以外にも、まだ都内に−−今回、七校募集停止するという予定を出させていただいておりますが、三十四校、夜間定時制課程についても開設されております。
 また、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校、こちらも七校、六校と計画をされているところでございます。
 また、今回、一部の夜間定時制課程を募集停止するということを検討するに当たりましても、学科ごとに地域バランス等を考慮しながら検討したものでございます。

○斉藤委員 全体として、こうした生徒を受け止めていくために考えているということなんですね。だったら、この夜間定時制高校、なくすべきじゃないということなんです。どうしたって、なくしてしまえば遠くなってしまう生徒たちが出てくるということは明らかです。
 また、五月にもお話ししましたけれども、この夜間定時制には、日中に家族のお世話をしている、いわゆるヤングケアラーの生徒さんもいます。近いからこそ通えるということは、この点からもいえます。
 チャレンジサポートプラン案はヤングケアラーへの支援も掲げていますが、実際に通える学校が近くにあるということが重要です。
 このことからも、七校も募集停止をしてしまうというのは適切ではないといわざるを得ません。
 また、少人数がよいという点でも、この夜間定時制、見直す必要があると思います。見直すというのは、この少人数がよいといっている声があるということを受け止めていくべきだというふうに申し上げます。
 都教委は、人数が少ないのが問題だということを先ほどから繰り返しいっているわけですけれども、逆に、当事者は少人数だからいいというふうにいっているんです。こういう声を受け止めるべきです。
 高校生自身も、少人数だから友達もできやすかった、先生に気軽に質問ができるというふうにいっています。
 また、ある卒業生は、少人数で、しかも、そのメンバーが固定されている、つまり学級が学習や学校生活の単位になっているからこそ安心できるというふうに語っています。
 夜間定時制高校の先生も、大勢の中で過ごすことが苦手で夜間定時制に来ている子が多いというふうにおっしゃっています。視察に都教委の方も同行されていて、そういう声をちゃんと聞いていると思います。
 少人数、小規模ということを問題視するのではなくて、むしろ、子供たちにとってメリットの大きいものなんだという認識の転換が必要だと思いますけれども、どうですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、昼間に学校に通うことができない勤労青少年が大幅に減少した結果、一学年の生徒数が十名以下の学校が多数生じている状況でございます。学級規模の極端な小規模化が進んだ学校では、ホームルーム活動や学校行事などの特別活動が低調となり、集団活動を通した教育効果も十分に得られないことが懸念されております。

○斉藤委員 また今までの繰り返しのご答弁なんですけれども、そういう少人数がいいといっている生徒たちの声を置き去りにする。これ、まさに誰一人取り残さないといっているその言葉に反する行為だと思います。
 今、いろいろ繰り返しのご答弁がありましたけれども、それは小規模化の一側面にしかすぎないことだと思います。特に、通常の大規模な学校で不登校になった子供たちにとっては、同じような通常の学校の発想で考えていては手は届かない、そういう状況になると思います。取り残される生徒たちがたくさん出るという状況です。少人数だからこそ通えるメリットについて、都教委はもっと重視していくべきだということを強く訴えます。
 先日、視察させていただいた夜間定時制高校も、第一希望で入学した生徒さんが多いということを伺いました。少人数だと分かりながら、選んで来ているんです。それを一方的に課題があるというふうに都教委の論理で切り捨てるということは、やるべきではありません。
 さらに、少人数だからこそ授業が分かりやすいと、学習も楽しくなるのだというふうに思います。生徒から、先生の教え方がよい、小学校の低学年から少しずつ段階を上げてくれるので、追いついていくことができるという声も伺いました。実際、視察させていただいた夜間定時制高校でも、四則演算から確認して、進度に合わせて個別に指導しているということでしたが、それも少人数だからこそできる、そういうことだというふうに思います。
 さらに、年齢によらずに通うことが可能だということも、夜間定時制の大きな魅力になっていると思います。中学校卒業後にすぐに高校に行けなくても、何歳からでも教育を保障するためにも、この夜間定時制は大事だという意見も多数伺いました。
 そこで伺いますが、夜間定時制とチャレンジスクールに通う二十代以上の生徒の数について伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 令和六年五月現在、夜間定時制課程四十一校に在籍している生徒は、十代が約二千人、二十代以上が約二百人でございます。
 また、チャレンジスクール六校に在籍している生徒は、午前の部、午後の部、夜間の部合わせて、十代が約三千八百人、二十代以上が約八十人でございます。
 また、ちょっと追加をさせていただきますと、先ほど少人数指導のお話がございましたが、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校におきましても、少人数による多展開の授業なども実施しているところでございます。

○斉藤委員 チャレンジスクールでも少人数展開するといいましたが、それは、少人数で指導することが、きめ細かい、手厚い指導になるからだということにほかなりませんよね。それを実践している夜間定時制をなくすというのはおかしいでしょうと、そういう話をしているんです。
 今のご答弁で、夜間定時制に通っている生徒のうち、一〇%が二十代以上の生徒だということが分かりました。チャレンジスクールでは、二十代以上の生徒の数は、僅か二%ということになります。
 違いは明らかだというふうに思いますが、チャレンジスクールの学級が増やされたとしても、制服があるため、学齢期を過ぎた年齢の高い方には通いにくいものです。一方で、制服がない、また自由な、この夜間定時制高校は、ご年配や高齢の方々が通いやすい学校になっています。
 夜間中学の卒業生にとっても、この夜間定時制高校は大事な進学先です。例えば、葛飾商業は葛飾区立双葉中学の夜間学級の卒業生の進学先になっていて、廃止されたら困るという声が、今、既に届いています。
 先日、私たちが視察をしてきた足立区の夜間中学校では、最高齢の生徒は八十三歳の女性でした。障害者スポーツの審判もやるような元気な方で、時には先生のような役割も担ってくれて、若い生徒たちにいい影響を与えてくれているという現場の先生の言葉がありました。そうした高齢の方も含めた生徒たちの進路先として、一番の選択肢になっているのが夜間定時制高校だということでした。
 この足立区の夜間中学校では、みんなで一緒に夜間定時制高校に見学に行くということで、このご高齢の方も夜間定時制に進むということを考えているそうなんです。足立区では、江北高校の夜間定時制が廃止されたことで、選択肢はもう足立高校しかないということで困難が広がっているという状況があります。
 また、不登校をはじめ、何らかの事情で学びに踏み出せない、断念せざるを得ない状況になったとき、何歳からでも通学できて学ぶことができる、そういう学校があることは、困難を抱える子供たちにとっても大きな希望だということも伺いました。そうしたことからも、夜間定時制は重要だということを指摘いたします。
 それから、もっとPRが必要じゃないかという側面からも質問いたします。
 先ほどから人数が少ないというふうに繰り返しおっしゃるのですけれども、そもそも都教委は、この夜間定時制の存在をきちんと知らせていないということが問題ではないでしょうか。
 例えば、都教委が作成している定時制、通信制課程の入学案内は、中学校にほんの数冊しか配布されないので、不登校の生徒や保護者には届かないというのが実態だというふうに保護者の方々から伺いました。
 不登校の親の会の方が、中学三年生の保護者に渡そうと区市町村教育委員会に問い合わせても、区市町村教委では、そもそも案内の冊子の存在が認識されていないという状況もあるというふうに聞いています。
 一方で、この足立区の夜間中学では、区内の全ての中学校を回って、不登校で進路先に悩んでいる生徒さんたちには夜間中学があるよということを、一つ一つの学校を回ってお知らせをしているということなんです。それで、毎年数人ずつ、この入学者があるということでした。やはり、きちんと当事者に届く、こういうお知らせの仕方をやっていく必要があるというふうに思います。それが大事だということではないでしょうか。
 この夜間定時制の存在を、不登校をはじめとする生徒たちに、この夜間定時制の情報がきちんと届くようにすること、これも求めますけれども、いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程の広報のご質問かと思います。
 そもそも夜間定時制課程の生徒数減少は、勤労青少年が大幅に減少した影響が大きいと考えております。
 なお、夜間定時制課程の広報につきましては、ホームページやイベントでの紹介に加え、定時制高校を含む、先ほどご案内がありましたが、入学案内パンフレットとは別に、定時制課程及び通信制課程のリーフレットを作成、配布しているほか、公立中学校の進路指導担当教員を対象とした説明会の実施、各学校による情報発信など、様々な方法により広報を行っております。

○斉藤委員 今行っている広報の話をしていただきましたけれども、結局、そういう下でも、実際には、区市町村教委でも認識があまりなかったり、それから、保護者のところに、そうした当事者のところに情報が届かない、こういう現実があるということなんです。
 ぜひここ、先ほど足立区の夜間中学の例を出しましたけれども、学校を回って、こういうお知らせがあります、こういう学校がありますというふうにPRしているという、こういうこともやっているわけです。そうしたことも力を入れてやっていただきたいというふうに思います。
 先ほどご答弁があったように、夜間定時制に通う生徒たちにとって、学校の魅力は、自宅から近い、自分のやりたいことが勉強できる、そして先生の授業が分かりやすい、こういう評価を生徒たちからもらっているわけです。上位三つの回答です、これは。この回答に生徒たちの夜間定時制の必要性、重要性というのが表れているんじゃないでしょうか。
 夜間定時制の廃止は、自宅から近いという条件をなくし、やりたいことが勉強できる、また授業が分かりやすいという貴重な教育の機会を、子供たちからまさに奪うということになります。
 こうした声が自らの調査に寄せられているにもかかわらず、その子供たちの声さえ無視をして、都教委の都合で合わせていこうとする、こういう夜間定時制の募集停止の強行は許されません。募集停止は行わないことを強く求めて、質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十三分休憩

   午後三時五十五分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○風間委員 私からも、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)について伺います。
 今回のプラン策定は、冒頭に、誰一人取り残さない教育の実現に向けて、困難を抱える生徒に対する支援の取組を総合的に進め、都立高校における困難を抱える生徒たちの学びや成長を支える学習教育環境の充実を図るため、都立高校におけるチャレンジサポートプランを策定することにしましたとあります。すばらしいことだと思います。
 ここで誰一人取り残さない教育といえば、障害のある生徒も、当然取り残さない対象だと思いますけれども、このプランには、発達障害という記載はあるものの、知的障害や身体障害、医療的ケアが必要な生徒などの記載が見当たらないんですね。
 これらの生徒も当然対象ですよねということを確認いたします。答弁願います。

○村西都立学校教育部長 対象となってございます。

○風間委員 安心しました。このプランを障害ある生徒の保護者が見て、そういった記載がないものだから、自分たちの子供は対象にならないのかと不安になるという声を伺っていましたので、念のために確認をさせていただきました。
 そして、その次に、2では都立高校における困難を抱える生徒の現状と課題として、順次、列記されているわけですけれども、(1)が不登校、中途退学を経験した生徒、(2)が日本語指導が必要な生徒、(3)が家族の世話等をしている生徒(ヤングケアラー)とありますね。ここまでは対象が明確であります。
 しかし、(4)になって都立高校における特別支援教育の充実という、(1)、(2)、(3)とは異なる表記になってしまっていて、(5)も困難を抱える生徒が多く在籍する学校の現状と、全くそのタイトルが、(1)、(2)、(3)と比べて異なるものとなってしまっていますので、これはあまり論理的な表記とはいえないなと、見ていて感じるわけであります。
 しかし、中身をよく読んでいくと、この(4)のところは特別支援が必要な生徒について書かれているのではないかなとか、(5)については夜間定時制課程の生徒ということについて書かれているのではないかなと感じるわけですけれども、これは読み手のことを考えた際にも、また、こういった行政機関が出すものとして、表記をそろえるべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプラン案でございますが、今回の構成や表記等につきましては、今後パブリックコメントで寄せられたご意見やお話の内容等を踏まえ、今後検討してまいりたいと考えております。

○風間委員 ぜひ読み手のことを考えて、また、サポート対象になるのかならないのかということも含めて、都民が見て分かりやすい表記になるように改めて求めておきます。
 この(1)から(5)でどのような生徒が対象なのかを明確にするべきだなという観点から質問を、伺いましたけれども、(4)については、特別支援が必要な生徒と、私はするべきじゃないかなと思います。
 そして、そこに身体障害や知的障害、医療的ケアが必要な生徒も明記するべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 先ほど答弁したとおり、他の委員からも同じお話があり、今、委員からもお話がありましたので、サポートプランの取りまとめの際に、記載等について対応を検討させていただきます。

○風間委員 障害ある生徒については、九ページから記載されている支援の取組についても伺ってまいります。
 一六ページの〔11〕にあります、特別な支援を必要とする生徒への就労支援についてですけれども、ここには発達障害等による困難のある都立高校生と記載されています。
 今触れましたように、身体障害や知的障害、医療的ケアが必要な生徒への取組ということも行っているのであれば、または今後行うということなのであれば、しっかりと明記し、支援策を記載すべきだと考えますが、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプランの表記の内容につきましては、今現在、パブリックコメントを実施し、まとめているところでございますが、内容については、それらのご意見や今のご指摘等も踏まえて、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

○風間委員 P一六にある特別な支援を必要とする生徒への就労支援ということについてですが、これは、現状、実際に今の都立高校に身体障害、知的障害の生徒もいらっしゃるわけであり、こういった方々についての支援状況ということを確認させてください。

○山田指導部長 都立高等学校においては、特別な支援を必要とする生徒のため、特別支援学校との連携体制を構築し、就労支援のノウハウを活用して、生徒の状況に応じた就職のための支援機関を紹介するなど、一人一人に応じた支援を行っております。

○風間委員 実際に既に行われているということですから、これから例えば都立高校を目指す障害のある生徒、そしてその保護者にしてみると、このプランを見たときに、きちんとサポートされているんだなということが分かるものである必要があると思うんですね。実際にされているということであれば記載をするべきだなという観点から質問させていただきましたので、ぜひご検討ください。
 続いて、一七ページの〔13〕、インクルーシブ社会の実現に向けた教育の充実については、障害のある方等と交流する機会を提供するなどと記載されています。
 障害のある生徒が在籍している都立高校は実際にあるわけですし、外部から招かなくても、実際に一緒に学んでいるという環境があるのであれば、こういったことは体験できるわけですね。
 外国籍の子供に対しての対応同様に、入学を希望する障害のある生徒の受入れ枠を設けるなど、積極的に今後行うべきじゃないかなと考えますけれども、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校は、障害の有無をそもそも問わず、応募資格を満たせば受検することが可能となっております。
 入試については、特別枠ということではなくて、どの都立高校も受検が可能となっているという状況でございます。

○風間委員 そうですね。東京都は、定員内不合格を出さないという誇らしい取組を先進的に行ってきました。文科省もこの通達を出しているにもかかわらず、これを実践できていない道府県が圧倒的に多いという状況の中で、東京都がその定員内不合格を出さないということについては、すばらしいと思います。
 次は、やはり、こういった障害のある子で都立高校を望みながら、定員で不合格になってしまって残念だという声も届いてきますので、そういう子供たちでも都立高校で学べる、そんな環境が今後必要ではないかなということから質問させていただきましたので、枠の設置等も今後検討していただければなと思います。
 続いて、チャレンジスクールについて伺います。
 先日、私たち会派は、このチャレンジサポートプランが出るということで、私の地元でもあります世田谷泉高校を視察してまいりました。特に不登校を経験した子供を積極的に受け入れるということを方針に掲げていると校長先生から伺いましたし、実際に、生徒それぞれのペースだとか興味、関心によって単位取得ができること、結果的に少人数学級が実現していることなど、すばらしい学校だなと視察をして感じたところです。
 授業も見させていただきました。保育の授業であったり、手話を学ぶ授業があったりしましたし、さらにはアルバイトでの単位認定など、生徒の進路を踏まえたきめ細やかな教育というのは、まさに誰もが学べる、時代に応じた先進的な学校であると感じたわけであります。
 一方で、不登校を経験していない元気な子たちの受検者数も増加しているために倍率が上がっているんですよという話は、校長先生からも伺ったところであります。
 校長先生としては、やはり不登校で学校に行けなかった、中学時代に行けなかった子たちが、高校でまさにチャレンジできる環境を提供していきたいという思いがあるんだというお話も伺ったところですけれども、中学校で成績がつかない生徒は、不登校だけではなく、例えばグレーゾーンの生徒であったり、支援級に通っている生徒、または全く学力に自信がなく授業についていけなかった生徒など様々であるということを鑑みれば、このような生徒がチャレンジスクールに進学を希望するということは理解できますし、ぜひ、そういう子たちもチャレンジスクールで頑張ってほしいなと思うわけです。誰一人取り残さない教育を象徴する都立高校といえるのではないでしょうか。
 よって、先ほどの答弁にあった、他会派への答弁にあった、今後、二百七十人程度の規模拡大ということでは、現状でも既に不合格となっている生徒の数を鑑みれば、全く足りていない状況かと思います。
 今後は、さらなる枠の拡大が必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプラン案では、チャレンジスクールにつきまして、多摩地域に一校新設するとともに、二校で規模拡大を図ることとしております。
 まずは、この取組を着実に進めてまいります。

○風間委員 それは着実に進めてください。でも、現状でも足りないという状況ですから、さらに枠の拡大が必要であるというのは、ほかの会派からも意見が出てきたところですから、これは早急に検討を進めていただければなと思います。
 誰一人取り残さない教育ということを掲げているということで、都立高校への全入を都教育委員会として行うべきだとまではいいませんけれども、まさにこのチャレンジサポートプランでは、そういった子供たち、生徒にしっかりと学びの環境を提供していくというプランだと思いますので、ぜひ今後、その辺りは検討していただければと思います。
 世田谷泉高校を視察して、校長先生から話を伺い、本当にたくさんの方々によって支えられている学校だということを知りました。地域との連携というのももちろんですけれども、正規の教員だけでなく、外部の講師もいたり、または時間講師の方もいたりということで、それぞれ、合計で百人ぐらいの先生が関わっているという話を伺いました。
 今後チャレンジスクールを増やしていくとなると、こういった専門性のある方を講師としてお願いをしたりしていくとなったりすることを鑑みると、正規の教員のみならず、時間講師であったり、外部の講師だったり、確保することというのは、相応に困難なこともあろうかなと思いますけれども、この辺り、都教委はどう考えているか、教えてください。

○吉村人事部長 都教育委員会では、採用セミナー、TOKYO教育Festa!の開催などPRを充実するとともに、大学三年生前倒し選考やキャリア採用を導入するなど、応募者の増加に向けた取組を行ってきました。
 今年度の中学校及び高等学校の教員採用選考の応募倍率は四倍と、昨年度から伸びております。時間講師についても、採用セミナーなどの場を通じてPRを行い、確保しております。

○風間委員 小学校の教員に比べれば、高校の正規の先生方は、倍率もしっかり確保できているということですので、正規の先生方は、採用するのにそれほど困難ではないということも確認はできました。
 一方で、今後、チャレンジスクール等を拡大していくということであれば、実際に私も目にしまして、本当にたくさんの先生方、地域の方々等で支えられている学校だということも確認できましたので、こういったことも視野に入れて、協力してくれる方たちの確保ということも、事前にしっかりと準備をしていってもらえればなと思います。
 先ほどチャレンジスクールのさらなる増加ということを求めましたけれども、これに関して、その先のことはまだ検討していないというような状況のようですから、そうであるならば、これもほかの会派から少し質問があったりしましたけれども、やはり調査書点であるとか学力試験を問わずに入学できる、そんな学校を増やしていくということでの対応も必要なんだろうなと思います。
 私の地元の深沢高校の事例も、今後、進めていくということでお話がありましたけれども、定員割れをしている学校等も都立高校にはまだあるわけですから、この辺りも、ぜひ検討してもらいたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

○村西都立学校教育部長 先ほども答弁しましたが、現在、学力検査を実施する一般入試のほかに、学力検査では評価しにくい能力や適性等を多面的に評価するために、個人面接や小論文、実技検査等による選抜を行う推薦入試を実施しております。
 さらには、委員、今ご指摘があったとおり、チャレンジスクールでは、主に小中学校で不登校を経験した生徒を受け入れるという観点から、学ぶ意欲や適性等を重視した選抜とするために、学力検査や調査書によらず、作文、面接、または、あらかじめ志願申告書を出していただいて選抜を実施しております。
 いずれにいたしましても、今後、こうした不登校経験のある生徒や日本語指導が必要な生徒の増加など社会状況の変化に伴い一層多様化する生徒のニーズや各高校の特色を十分反映することができる多様な入学選抜方法の構築に向けて、引き続き検討を進めてまいります。

○風間委員 よろしくお願いします。
 次に、都立高校での不登校や中途退学となった生徒への支援についても伺っておきます。
 チャレンジスクールや単位制高校への転校を希望しても、定員があり、かなわないという声を聞いています。世田谷泉高校でも、低学年の転校生受入れ枠というのは、募集があればすぐに埋まってしまう。一方で、三、四年生は、そこから転校してくる希望者もなく、定員割れをしているという話も伺ったところです。
 これだけ希望者が多いということなのであれば、実際に学校全体での定員ということを柔軟に捉えて、三、四年生分も含めて学校全体の定員−−一、二年生のところでも、実際には、授業に来たり、来なかったりという生徒もかなり比率として多いという話も伺いましたから、こういったこと、定員を柔軟にして一、二年生の転入学生を受け入れていくということも検討するべきではないかなと感じていますけれども、いかがでしょうか。見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 チャレンジスクールも含めて、各都立高校においては、当該校での退学等により定員に未充足分が出た場合には、各学期ごとに編入学等の募集、選抜を実施しております。
 近年の状況では、多くの都立高校において編入学等の募集が行われているとともに、全日制、定時制、チャレンジスクールも定時制でございますが、全体では、学ぶ意欲と熱意のある生徒を受け入れることは可能な状況となっているというふうに考えております。

○風間委員 一〇ページの〔4〕にあります、学びのセーフティネット事業の実施というところにも記載されていますけれども、世田谷泉高校でも、不登校等により卒業できる見込みのない生徒に対しても、支援として別室で高卒認定試験のサポートなどを行っているという、その部屋も実際に視察しましたし、お話も伺いました。外部の大学生などのサポートも得ながら、こういった支援もしているというようなことを伺い、卒業ができないと分かっている生徒に対しても支援をしていくというのは、すばらしいなと感じたところです。
 こういった取組は、都立高校でももっと広げていくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○山田指導部長 各都立高校では、教員が生徒一人一人の学習の状況を把握し、計画的に補習や面談を行い、学力の定着を図っております。
 都教育委員会は、基礎学力の定着状況が十分でない生徒に対して放課後等に個に応じた学習を支援する、いわゆる校内寺子屋の事業等により、各学校が生徒の学び直しや習熟度に応じた学習の手だてを講じるよう、引き続き助言を行ってまいります。

○風間委員 このサポートプラン全体で感じることでもありますけれども、まさに従来の授業を実施して単位を取得することが最優先、それについていけない生徒は、もう仕方がないというような時代もあったかもしれませんが、きめ細やかに生徒、高校生、都立高校生をサポートしていく体制がかなり進んできたのだなと感じるところであります。引き続き進めていってもらうように要望します。
 次に、夜間定時制の募集停止についても伺います。
 先ほど総数での答弁がありましたけれども、令和八年度停止予定の六校のそれぞれの今年度の入学者数を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程の令和六年度入学手続者数でございますが、小山台高校が六名、桜町高校が六名、大山高校が六名、北豊島工科高校が一名、蔵前工科高校が五名、葛飾商業高校は、普通科、商業科を合わせて十六名でございます。

○風間委員 六校中五校が一桁だということを確認しました。
 私は以前、立川高校の夜間定時制の際には、三十人規模の入学者があるところを先に閉課程にするということに関しては合理的ではないという話もしましたし、もっと入学者数の少ない定時制高校があるのではないかというようなこともお話ししましたから、先ほどの、例えばチャレンジスクール等を拡大していくことによって、より多くの様々なニーズのある生徒を受け入れていくということなのであれば、こういった小規模になってしまっている、入学者数が一桁になってしまっているというところを改編していくということに関しては合理性があるんだなと思います。
 しかし、一方で、立川高校の定時制については、やはりまだまだ入学者数がいるという状況で、なぜこちらを先に今でもやろうとしているのかが理解できません。
 こちらは、やはり順番としては後にするべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、勤労青少年が大幅に減少した結果、立川高校の夜間定時制課程につきましても、過去十年で、新入生は半数以下となってございます。
 現在、立川高校を含め夜間定時制課程には、不登校を経験した生徒などが在籍しておりますが、そうした困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、相談体制も充実しているチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程については生徒募集を停止し、生徒を適切な環境の学校で受け入れていくこととしております。
 立川高校につきましては、令和七年度に、立川高校から歩ける距離にチャレンジスクールである立川緑高校を新設し、昼夜間定時制高校である砂川高校の夜間部増学級を行うことに併せ、生徒募集を停止することとしております。

○風間委員 先ほど申し上げたように、一桁になっている学校ということで、それをチャレンジスクール等にということであれば、合理性もあるし、理解はできます。
 立川高校に関しては、実際に三十名を超える状況だったりするわけですよね。過去と比較すれば半減しているかもしれませんけれども、一桁の学校と同じように扱う。むしろ、同じようにどころか前倒しで行うということは、全く合理性がないんじゃないですかね。
 立川地区にはチャレンジスクールをつくるので、そっちの方に行ってもらうというのも、実際に立川高校定時制に行きたいと考える生徒にとっては、どちらなのかということも、なくしてしまったら分かりませんよね。
 ですから、少なくとも、立川高校の定時制と立川地区のチャレンジスクールというのを、いっとき、例えば一年でも併存させて検証するということが必要なのではないでしょうか。そうして生徒、保護者のニーズを判断してからということでもいいのではないか。むしろ、その方が納得感があるのではないかと思いますけれども、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在、立川高校夜間定時制課程では、勤労青少年が大幅に減少し、不登校を経験した生徒などが在籍しております。
 なお、今年度、令和六年度の入学手続者数でございますが、立川高校の夜間定時制課程は二十七名でございます。二十七名のうち、一次応募でお申込みをされた生徒さんは十八名でございます。
 令和七年度に、立川高校から歩ける距離に、こうした不登校を経験した生徒等にとって受入れ環境の充実した立川緑高校を新設し、昼夜間定時制高校である砂川高校の夜間部増学級を行うことに併せ、立川高校夜間定時制課程の生徒募集を停止し、チャレンジスクール等で受け入れていくこととしております。

○風間委員 今るる説明をいただきましたけれども、立川高校の定時制については、やはり、まだまだ地域の方々を含めて理解が得られていない状況だと思います。
 私が提案したことも含めて、ぜひ再検討していただきますように求めまして、私からの質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 私からも、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)について伺います。
 不登校経験を持つ生徒や、長期欠席等が原因で高校を中途退学した生徒を受け入れるチャレンジスクールは人気が高く、今後の新設ないし規模拡大を視野に入れていく必要があります。
 また一方で、令和七年度から九年度の計画で、多様化する生徒のニーズに応えていくために、居場所づくりや相談体制の充実の実現も視野に入れた都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)が提案されています。
 夜間定時制課程に進学した生徒のうち勤労青少年の割合は、昭和四十年度は八八・三%でしたが、令和五年度には約三%に減少、昼夜間定時制課程の応募倍率は一・二六倍である一方、夜間定時制課程の応募倍率は〇・三一倍とのことで、時代の変化とともに、全日制ではなく定時制を選ぶ理由が就労ではなくなってきていることや、学習時間帯のニーズが異なってきていることには一定の理解を示します。
 ただ、その一方で、非正規雇用で勤労している生徒がいることや長年の歴史がある夜間定時制課程を簡単に廃校にするべきではありません。
 都教委は、平成二十八年二月に、都立高校改革推進計画・新実施計画において、生徒や保護者などのニーズの高い昼夜間定時制とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大や、チャレンジスクールの新設を行い、夜間定時制の応募倍率の推移などの状況を考慮しながら、一部の夜間定時制を閉課程としていくことにしました。ここで、夜間定時制の受皿があるのかどうかが課題だと考えています。
 都立高校改革推進計画・新実施計画の中で、立川高校、小山台高校を含む四校が閉課程の対象となりましたが、立川と小山台は、受皿の整備が整っていないなどの理由から生徒募集を続けていたというふうに認識をしています。
 立川高校の場合は、すぐ近くにチャレンジスクールができました。
 令和八年度に夜間定時制が閉課程となる小山台高校、桜町高校、大山高校、北豊島工科高校、蔵前工科高校、葛飾商業高校の六校については、近隣にチャレンジスクールの新設ないし受皿となり得る学校があるのでしょうか。伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 今お話のございました六校は、全て区部にある学校でございますが、区部には、現在、チャレンジスクールが六校、昼夜間定時制高校が四校ございます。うち二校につきましては、先ほど来ご説明をさせていただいておりますけれども、チャレンジサポートプラン案の中で規模拡大を図ることとしております。
 夜間定時制課程につきましても、六校以外に、区部には二十二校開設しており、うち工科高校は七校、商業高校は二校開設しております。夜間定時制課程の募集枠には十分な余裕もございます。
 これに加えまして、先ほど来申し上げました、多摩地域に一校のチャレンジスクールの新設、区部の二校のチャレンジスクールの規模を拡大し、世田谷区の深沢高校を教育課程や教育相談体制の充実を図った新たな受入れ環境充実校として改編する予定でございまして、都立高校全体で多様な生徒を受け入れる環境は確保されているものと認識しております。

○田の上委員 都立高校全体で困難を抱える生徒を受け入れる環境は確保しているというご答弁でありました。
 今回閉課程となる高校の一つ一つを、住所を地図で確認いたしましたが、必ずしも高校の近くにチャレンジスクールや夜間定時制などがあるわけではありません。
 夜間定時制課程において、二十二校あり、そのうち工科高校が七校、商業高校が二校開設で、募集枠に余裕があるというご答弁もありましたが、今回閉課程となる工科や商業高校の夜間定時制で、普通科以外に専門性を身につけようと考えていた生徒は、どこの学校に行くと想定をしているのでしょうか。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在、都内には、チャレンジスクールが六校、昼夜間定時制高校が六校あり、専門性を身につけることができる科目を用意している学校もございます。
 また、夜間定時制課程につきましても、今回募集停止を予定している学校以外で、工科高校が八校、商業高校が三校ございまして、ほかにも産業科や総合学科など、専門性を身につけられる学科を開設しております。それらの募集枠についても十分な余裕がございます。

○田の上委員 チャレンジスクールや昼夜間定時制高校で、専門性を身につけることができる科目も用意をしている学校もあるというお答えでした。また、都内全域で見ると、閉課程にならない夜間定時制課程で、工科高校が八校、商業高校が三校などがありますよというようなご答弁だったかと思います。
 都全体で見れば、あるにはあるのでしょうが、やはり通学を考えたときに、現実的ではないように思います。
 例えば、蔵前工科を目指していた生徒は、墨田か荒川に行くのだろうかとも考えますが、葛飾商業の商業科を考えていた生徒は、江東区の第三商業に行くのでしょうか、大江戸に行くのでしょうか。
 自転車で通学をしようと考えていた生徒が自転車で通える距離ではなく、例えば、葛飾の場合なんかはそうなんですけれども、縦のライン、南北の鉄道がない中で、無理があるというふうに考えます。先ほども議論がございましたが、もっと丁寧な対応が必要ではないでしょうか。
 また、現状、ものづくりの担い手が少なく、技術を学ぶ学生も少ない中、大事な人材を育てていく方向にもっと力を入れていくべきと考えます。
 今後のチャレンジスクールの新設では、どのような基準で設置地域を決めていくのか、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジサポートプラン案では、チャレンジスクールにつきまして、多摩地域に一校新設するとともに、二校で規模拡大を図ることとしております。

○田の上委員 多摩の一校以外は、二校で規模拡大を図るので、今後の新設の予定はないとのことです。ということで、設置地域、設置基準もお答えはありませんでした。
 地域事情も鑑み、受皿となる学校があってこそ、夜間定時制の閉課程にも理解が得られるのではないでしょうか。
 高齢になってからも学びたいと望む方の高校は、やはり定時制高校です。チャレンジスクールに年齢制限がないとはいえ、若い頃に通えなかった方にとってはハードルが高いと考えます。少人数での絆の生まれる定時制課程のよさを残していくべきであり、その伝統に重きを置くべきです。
 全ての定時制課程を募集停止し、チャレンジスクールに切り替えていくべきではないと考えますが、今後の計画について伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程につきましては、昼間に学校に通うことができない勤労青少年が大幅に減少した結果、一学年の生徒数が十名以下の学校が多数生じております。学級規模の極端な小規模化が進んだ学校では、ホームルーム活動や学校行事などの特別活動が低調となり、集団活動を通した教育効果も十分に得られないことが懸念されております。
 このため、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、少人数指導も実施し、相談体制も充実しているチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程については生徒募集を停止することといたしました。
 現在、夜間定時制課程は四十一校で開設しておりまして、チャレンジサポートプラン案では、うち七校の夜間定時制課程を募集停止することとし、その他の夜間定時制課程については、引き続き生徒の学びを支援していくこととしております。

○田の上委員 七校以外の夜間定時制課程については、引き続き生徒の学びを支援するというご答弁でありました。
 先ほども質疑をいたしましたが、地域から考えても、受皿がはっきりしない夜間定時制課程は保留にした方がいいのではないかと考えます。地域事情を鑑み、ご検討いただくことを要望いたします。
 夜間定時制課程は、教員配置の課題もありますが、既存の学校施設があるため、学校新設よりもコストがかからず、様々な角度から検討し、やむを得ない場合以外は残していくべきだと考えております。
 これまで設立したチャレンジスクールでは、地域によって中途退学者が多いとも聞きます。ここ数年の中途退学者の数を伺います。

○山田指導部長 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、チャレンジスクールを含む定時制課程の単位制高校の中途退学生徒の人数と割合は、令和二年度、三百九十五人、五・二%、令和三年度、四百人、五・四%、令和四年度、五百三十三人、六・九%であります。
 また、夜間定時制を含む定時制課程の学年制高校の中途退学生徒の人数と割合は、令和二年度、百八十六人、六・七%、令和三年度、百五十五人、六・六%、令和四年度、百六十四人、八・一%であります。

○田の上委員 細かくお答えをいただきました。令和四年度で見てみると、チャレンジスクールを含む定時制課程の単位制高校の中途退学は、五百三十三人で六・九%、夜間定時制を含む定時制課程の学年制高校の中途退学生徒は、百六十四人で八・一%とのことです。
 事情により、やむを得ず中途退学を選択する生徒がいることは致し方がないと考えます。一方で、学習の機会を与えることは重要であり、相談等によって生徒が置かれている困難な環境を改善することに、学校は努力をしていくべきと考えます。
 チャレンジスクールから中途退学者を減らすためにどのような対策をしているのか、伺います。

○山田指導部長 都教育委員会では、全ての高校等が策定した中途退学防止改善計画書を基に個別に指導、助言を行うとともに、教育相談機能を充実させるためにスクールカウンセラーを配置するなど、中途退学防止の取組を推進しております。
 さらに、チャレンジスクールについては、ユースソーシャルワーカーなどで構成される自立支援チームを派遣するとともに、教室の雰囲気になじめない生徒や不登校の生徒に対して、各校が校内に確保した場所において個別指導や個別相談等を行えるよう支援することを通じて中途退学防止に努めております。

○田の上委員 スクールカウンセラーはもちろんのこと、さらに、チャレンジスクールではユースソーシャルワーカーなどで構成される自立支援チームを派遣する、学習支援や個別相談もしているということです。学習機会の確保に向けて、個々の課題にも寄り添っていただきたく、ご尽力をお願いいたします。
 一方で、不登校経験のある生徒に対しての選択肢として、オンラインなど通信による授業も有効に活用するべきと考えます。新宿山吹、一橋、砂川など通信制のある高校は、都内で少ない状況です。
 通信制課程の高校を増やすべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 近年、不登校経験のある生徒等の増加に伴い、全国的に通信制高校のニーズが高まっておりますことから、都立高校の通信制課程につきましても、受入れ規模の拡大を検討していくこととしております。

○田の上委員 都立高校の通信制課程について受入れ規模の拡大を検討するということで、民間も含めて現状の通信制へのニーズを鑑みながら、ぜひ検討をお願いいたします。
 都立高校のチャレンジサポートプラン案についてですが、都立高校の日本語の指導が必要な生徒にはどのような体制で授業を行うのか伺おうと思っていたのですが、重複をしているので、要望だけにとどめます。
 アセスメントを実施して、それに応じた指導、支援をしているとのことですが、高校レベルの授業についていくためには、義務教育よりも高度な日本語能力が求められ、日本語と接する時間や期間の短い生徒には大変困難だと思いますので、補習等を含め、きめ細やかな指導をお願いいたします。
 それから、在京外国人枠についても質問をしようと思っていましたが、これも重複をしてしまいました。
 いずれにしましても、本年度の在京外国人枠は定員百六十名で、三百九名が応募し、百四十九名が不合格となっている状況であります。令和七年度入学者選抜から在京外国人枠を新たに四校設置するということを、九月十九日に都教委は公表しています。そして、人数については、十月に公表されるものと理解をしております。
 この在京外国人枠のある都立高校はどのように選んでいるのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、在京外国人生徒数の推移や地域バランス、入学者選抜の応募状況などを踏まえて募集枠を設定しております。

○田の上委員 在京外国人生徒数の推移や地域バランス等を踏まえて設定をしているとのことです。
 現在の在京外国人枠入試実施高校と一橋、荻窪、浅草、砂川の来年度より設置される高校を含めて見てみると、まだまだ不足している地域も多く、バランスを見て、次年度以降に検討していただきたいと思います。例えば、私の地元の江戸川区などは、外国籍の方が大変多いです。こうした地域のことも考え、今後も実施校を増やしていただくことを要望いたします。
 これまでの在京外国人枠は、外国籍の生徒に限られていました。しかしながら、外国籍の生徒のみならず、日本国籍ではあるけれども、日本語を母語とせず、日本語の指導が必要な生徒もいます。
 そもそも日本語指導が必要な生徒はどれくらいいると認識をしているのか、伺います。また、令和七年度の都立高校への入学を希望する日本語指導の必要な生徒はどれぐらいいると見込んでいるのか、併せて伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 令和五年度日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査によれば、日本語指導が必要な生徒は、外国籍と日本国籍合わせまして、都内公立中学校に千三百四十六人在籍しております。
 都教育委員会は、在京外国人生徒数の推移や地域バランス、入学者選抜等の応募状況などを考慮しまして、令和七年度の在京外国人枠入学者選抜募集枠を設定しております。

○田の上委員 令和五年度の調査で千三百四十六人とのことです。
 全員が応募するわけではないにせよ、令和六年度の在京外国人枠の定員は八校で百六十名でした。倍率は、全日制などと比べても大きく、一・九三倍になります。
 今後、四校増えて、定員がどれくらいになるのか分かりませんが、在京外国人枠でないと入れない生徒もいます。
 小池知事が、東京都の人口増加の大部分は外国人の増加によるものと述べていました。そうであるなら、都における日本語指導の必要な生徒の在京外国人枠を大幅に増やすべきだと主張いたします。
 長期入院する高校生への学習支援として、オンラインを活用した授業配信が掲げられていますが、長期入院のみならず、ヤングケアラーなど登校が難しい事情のある場合にも活用できるようにするべきと考えますが、見解を伺います。

○山田指導部長 困難を抱える生徒の背景や事情は様々であり、相談体制の充実や柔軟な学習教育環境が必要となります。
 そのため、都立高校では、生徒の状況を把握し、関係機関と連携しながら、学習面や生活面での支援を講じております。
 生徒の状況に応じて、登校が難しい場合には、オンラインによる授業配信、一人一台端末等を活用した教材や課題のやり取りなど、様々な工夫により学習機会が保障されるよう努めております。

○田の上委員 困難を抱える生徒の背景や事情は様々であり、柔軟な学習教育環境が必要となるというご答弁をいただきました。
 先ほども通信制課程の高校を増やすべきであると質問いたしましたが、通信という勉強の仕方が合っている生徒もいますし、登校できるときも、できないときもある環境にある生徒もいると思います。柔軟にオンライン授業配信などができるようにしていただきたく、お願いをいたします。
 都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)は、目標やビジョンは理解できますし、困難を抱える生徒たちの相談体制を拡充してほしいと考えます。しかし、実際には、各都立学校で実行できるかどうかだと思います。
 困難を抱える生徒に寄り添うには、人員と時間が必要です。教員の負担軽減をはじめ、働き方の工夫と外部人材活用をし、実現可能な体制をつくることも大変大切であると申し上げて、私の質問を終わります。

○小林委員 私からも、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)についてお伺いいたします。
 既に様々な観点から質問も出ておりますので、私からは、発達障害教育の充実、それから、特別な支援を必要とする生徒への就労支援、インクルーシブ社会の実現に向けた教育の充実についてお伺いいたします。
 本プランは、生徒が相談できる体制の充実、生徒の事情や悩みに応じた適切な支援、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実という三つの観点から支援の取組を示し、令和七年度から令和九年度までの三年間の計画期間とされております。
 初めに、本プランの計画期間を三年間とした理由についてお伺いいたします。

○猪倉高校改革推進担当部長 都立高校における困難を抱える生徒は増加傾向にございまして、生徒のニーズも多様化しております。
 困難を抱える生徒に対する支援の取組を総合的に進め、生徒の学びや成長を支える学習教育環境の充実を図ることは喫緊の課題であり、早期に取り組むべき施策を取りまとめる観点から、計画期間を三年間としております。

○小林委員 次に、発達障害教育の充実についてですが、令和三年度の東京都教育委員会の調査では、発達障害の可能性がある生徒の都立高校全体に占める割合は三・四%とのことであります。
 都では、全ての学校、学年、学級に発達障害のある生徒が在籍しているという認識の下で、都立学校発達障害教育推進エリアネットワークを通じ支援しておりますが、これまでの取組状況についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、各都立高校が生徒の特性に応じた指導を行う際に、特別支援教育について多くの指導経験を有する都立特別支援学校のサポートを受けることができる都立学校発達障害教育推進エリアネットワーク、通称都立版エリアネットワークを令和四年度から整備してございます。
 具体的には、日々の相談への対応や、研修会、情報交換会の開催などを通じまして都立高校を支援することにより、発達障害の可能性がある生徒の学習上または生活上の困難さの軽減を図ってございます。

○小林委員 私は、本年三月の予算特別委員会の質疑で、知能指数が平均的とされる部分と知的障害とされるはざま、おおむねIQ七〇から八四にある境界知能とされる四十代男性の方からご相談をいただいたことをきっかけとして、配慮が必要な方への支援について取り上げました。
 まずは、境界知能をはじめ配慮が必要な方への正しい知識や理解を社会全体に浸透させていくことが重要であることから、都としての取組をただしたのに対し、本年四月に改定された東京都障害者差別解消法ハンドブックにおいて、境界知能を知っていますかという啓発のためのコラムを掲載していただきました。
 一方、専門家によれば、境界知能は早期発見、早期対応が大事であり、義務教育段階から周囲が気づき、理解し、支援していく必要があるとの指摘もあり、配慮が必要な子供に対する支援の充実を都教育委員会にお尋ねしたところであります。
 本プランでは、発達障害の可能性がある生徒と表現しておりますが、発達障害とは診断されていない、こうした境界知能に当たる方も含まれると思いますが、都立高校における支援に当たっては、義務教育段階で受けていた支援を把握しながら的確に対応していく必要があると考えます。
 発達障害の可能性がある配慮が必要な生徒が中学校で受けてきた特別な支援の状況について、進学先の都立高校に引き継がれることが必要でありますが、中学校との連携について、都の取組をお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 発達障害の可能性がある生徒に対しまして、都立高校で通級等による支援を行うに当たりましては、中学校の状況などを適切に引き継ぐことが重要でございます。このため、保護者等の同意を得た上で、中学校と高校との学校間において対象となる生徒の情報を引き継ぎ、円滑な指導方法などにつながるように連携してございます。
 また、こうした取組への理解を広めるため、中学三年生の保護者を対象としたチラシを作成、配布いたしますとともに、都教育委員会のホームページにも掲載し、周知をしているところでございます。

○小林委員 ありがとうございます。
 小児科でもある、ある大学教授の方が、義務教育段階における分析として、次のように指摘をされております。
 通常クラスには、おおむね三十人から四十人が在籍しています、様々なデータから推測すると、一クラスの中に、発達障害の可能性がある子が三人、境界知能の子供が五人、不登校の子供が一人、虐待体験者が一人以上、鬱や不安などのメンタルに不調を抱える子供が数人いると考えられます、それぞれ重なることもありますが、こうした推定から、通常クラスでも何らかの支援を必要とする子は三割程度になると考えても過大ではありません、このような子供たちの実態に気づいている先生もいるでしょうが、授業以外にも多大な業務に追われていて、子供たちに十分な対応ができないのが現状です、学校は、教員の資格を持った人のみが運営する場所ではなく、心理、医療、福祉、法律など様々な分野の人が参画して、子供たちに対応する機能を持つことが不可欠だと考えています、スクールカウンセラー、学校医、スクールローヤーなどの既存のシステムの充実に加えて、児童福祉司、看護師などとの連携も望まれます、このように言及をされております。
 義務教育段階における分析ではありますが、都教育委員会において、全ての学校、学年、学級に発達障害のある生徒が在籍しているという認識をお持ちとのことですので、都立高校における支援の充実に当たっても、こうした指摘を生かしていく必要があるのではないかと考えます。
 発達障害の可能性がある生徒に対する支援の充実を図るためには、的確に生徒の状況を把握し、対応できる教員の育成が重要であると考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 発達障害の可能性がある生徒の学習上や生活上の困難さを改善するためには、担当する教員が生徒の特性に応じた適切な指導方法を選択し、実践できるようになることが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、生徒一人一人の特性の把握や目標の立て方、必要となる教材の選択や実践方法など、教員の専門性を高める研修を実施しております。
 さらに、都立版エリアネットワークの取組の中で、全ての生徒にとって分かりやすい授業をテーマにしたワークショップを開催するなど、教員の指導力の向上を図っております。

○小林委員 ありがとうございます。
 また、さきの分析でも言及されているとおり、教員以外の専門家などを活用した相談体制の充実が重要であると思いますが、その具体化について、都の見解をお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、学校生活の中で発達面や行動面に課題のある生徒について、都立高校が臨床発達心理士等に相談できる体制を整備してございます。
 臨床発達心理士等は、学校を訪問し、心理学的観点から、授業中や休み時間の行動観察等により生徒の特性を把握し、都立高校に対し適切に助言を行っております。
 今後、発達障害等に関する専門的な知見に基づいた生徒のアセスメントや、相談、助言の好事例を収集、活用し、都立高校において支援が必要な生徒に適切な対応が行われるよう、臨床発達心理士等のさらなる活用に向けて積極的に周知を図ってまいります。

○小林委員 次に、特別な支援を必要とする生徒への就労支援についてですが、発達障害は分かりにくい障害であるため、雇用につながりにくいとの指摘もあります。
 また、発達障害の可能性があるという点からいえば、境界知能は障害者雇用に含まれないため、一般就労となり、さきに私がご相談を受けた四十代の男性の方も、就労に当たっては大変ご苦労されたと伺いました。
 こうした点を踏まえ、高校卒業後の進路、特に就職に当たっての支援体制は大変に重要であると考えますが、都の取組について見解をお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 現在、都教育委員会は、モデル校を選定し、発達障害等のある生徒を対象に、日常生活能力、ビジネスマナーなどのスキルトレーニングや、生徒の特性に応じた企業でのインターンシップなど、総合的な就労支援プログラムを民間企業と連携し実施しております。

○小林委員 発達障害の可能性がある配慮を必要とする生徒に対しては、本人に対する支援の充実はもちろんのこと、何より周囲の正しい理解とサポートが極めて重要であります。
 そのために、発達障害の可能性がある生徒が自信を持ち、それを理解し、応援する学校現場における環境構築に向けた取組が重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中西特別支援教育推進担当部長 全ての教職員が、どの学校、学年、学級にも発達障害のある生徒が存在し得るとの認識に立ち、その学習上または生活上の困難さの改善、克服に向けた適切な指導を組織的に行うことが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、発達障害のある生徒に対する支援体制の強化を図るため、各校における効果的な取組を紹介するなど、困難を抱える生徒に必要な支援が行き届く学校づくりを推進してまいります。

○小林委員 本プランでは、インクルーシブ社会の実現に向けた教育の充実も掲げられております。
 障害の有無にかかわらず、共に生きる共生社会の実現を目指した都立高校における現在の状況と今後の取組について、最後にお伺いいたします。

○山本地域教育支援部長 現在、都教育委員会は、都立高校生を対象に、NPOや企業等と連携し、インクルーシブ体験ができるプログラムを実施しております。
 具体的には、障害者がファシリテーターとなり、社会の中にあるバリアについてグループで話し合い解決策を考えるワークショップ、点字図書や、文字の読み書きに難しさを感じている学習障害の方も利用できる読み上げ機能がついた図書に触れるプログラム等を実施しております。
 プログラムを受講した生徒からは、障害のあるなしにとらわれないで、みんなで生活しやすく差別のない社会にしていきたい、誰もが過ごしやすいように行動していくことが大事だと思ったなどの声が聞かれました。
 今後、こうした生徒自らが体験する取組を進めるなど、多様な人が共に支え合う共生社会の実現に向けた取組を充実してまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 先般、あるテレビの番組で境界知能が特集されておりまして、十八歳で自身が境界知能であることを知った二十五歳の女性の作文が紹介をされておりました。この作文はNHK障害福祉賞で優秀賞を受賞した作品で、その作文には次のように書かれておりました。
 ワーカーさんや役所などに境界知能について話す機会があったが、理解はしてもらえても、診断がついていない以上はどうすることもできないと、境界知能に関する支援は何一つ得られなかった、私は、世の中から見る境界知能の立ち位置が分かってきた、境界知能だと知らなかった頃にどれだけ苦しんで、その苦しみが今もなお続いていても、診断がつかなければ、それで話は終わってしまう、知的障害の人と同じ生きづらさや疎外感を感じていようと、境界知能である以上は手助けも何もないのだ、私たちの苦しみは、境界知能という曖昧な表現で片づけられてしまう、それがどれほど残酷なことか、境界知能だと分かったのであれば、そこから先、境界知能であるがゆえの行き場のない感情を理解し、適切な支援が欲しいのだ、私たちがいるはざまの暗闇がどれだけ恐ろしく、その暗闇の中で手探りで生きていくことがどれだけ大変なことか、ほんの少しでもいいから知ってほしい、このようにつづっておられました。
 本プランの中では、発達障害の可能性がある生徒との記載がなされていますが、この可能性があるという言葉の中には、今、紹介した、はざまの暗闇で苦しんでいる方がいることを決して忘れることなく、教育現場での支援の充実に取り組んでいただくよう、心よりお願いをいたしまして、質問を終わります。

○とや委員 日本共産党のとや英津子です。
 私からも、チャレンジサポートプランについて伺っていきたいと思います。
 都教委が示したプランには、都立高校における困難を抱える生徒が増加傾向にあること、そして、チャレンジスクールでは入学希望に十分応えられていない、その一方で、夜間定時制の小規模化が進み、課題があると述べ、教育ビジョンで示した取組を総合的に進め、学習教育環境の充実を図るとしています。
 このプランは、生徒が相談できる体制の充実、生徒の事情や悩みに応じた適切な支援、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実という三つの観点から、課題や取組、今後の方向などが示されていました。
 私どもは前定例会の代表質問でも指摘をしましたが、子供の行動を細かく管理する決まりや詰め込みの授業、多過ぎる宿題などで、学校が窮屈で子供が疲れ果てているということです。
 そうした中、都内公立小中学校の不登校児童生徒数は、二〇一六年度には約一万一千人だったものが、二二年度には過去最高の二万七千人と、二倍以上に激増していることを指摘しました。
 不登校や様々な困難を抱える子供にとって、非常につらいことだと思います。子供の声を聞き、寄り添う姿勢を都教委に求めておきたいと思います。
 チャレンジサポートプラン案の大きな支援対象の一つが、不登校を経験した生徒です。不登校問題を考えるとき、小中学校の不登校児童生徒の窮状を深刻に受け止めないわけにはいきません。
 チャレンジサポートプラン案でも、十年連続で増加と記述がありました。グラフを見ても、小中の合計で、二〇一二年度の八千三百八十一人から、二二年度は二万六千九百十二人と、ここでも三倍以上に増加しているとありました。
 プラン案では、こうした生徒が都立高校に入学してくることが想定されますとして、その対応が必要だと述べていますが、都立高校に進学した生徒のことだけ考えればよいのかというふうに思います。
 そこで伺いますが、中学三年生の通信制への過去五年間の進学者数、そして、進学率についてお答えください。

○猪倉高校改革推進担当部長 令和五年度公立中学校等卒業者の進路状況調査結果によりますと、通信制課程の高校への進学者数は、令和元年度三千三百一名、令和二年度三千七百三十五名、令和三年度四千二百二十一名、令和四年度四千八百三十一名、令和五年度五千四百五十人でございます。
 また、卒業者に占める通信制課程の高校への進学者の割合は、令和元年度四・三三%、令和二年度五・〇六%、令和三年度五・四七%、令和四年度六・一五%、令和五年度六・九〇%でございます。

○とや委員 五年間だけを見ても、人数も割合も増えていることが分かります。
 昨年度は、通信制への進学者数が五千四百五十人、率にして六・九%です。七%近い生徒が通信制に行っているわけです。
 一方、全日制は六万八千二百八十二人。何と八六・四八%にまで低下しているという驚きの状況が分かっています。
 通信制でも、都立の通信制の募集は三百七十人にしかすぎません。
 通信制進学者の六割は、都外の広域通信制に進学をしています。これらの高校生は、実際には都民として東京に住んでサポート校などに通っているにもかかわらず、東京都がその教育に責任を持てない、手の届かない存在になっているといわなければなりません。元気に成長しているのかどうか、つかむこともできないです。
 不登校を考えるとき、都立高校に在籍する不登校生徒や不登校を経験した生徒の支援だけでなく、不登校を経験した中学生が都立や都内の私立高校を選ばなくなっている現実も含めて考える必要があるということを申し上げておきたいと思います。
 不登校の親の会の方の話を伺いました。同じ親として、支え合いながら相談に乗ったり、情報交換、情報提供をしています。区にサークル登録をしたり、ネットで発信したりしているため、我が子が学校に行けなくなってしまった、どうしたらいいのかと、たくさんの相談が寄せられているそうです。
 その方がおっしゃるには、不登校になり、もう一度学校に行ってみようかなと思ったとき、学校が近くにあることが大事だということです。先ほど斉藤都議が紹介したとおりです。
 そして、高校をどうするか悩んだときに、都立はなかなか選択肢に上がらなくて、広域通信制、プラスサポート校を選ぶ親や生徒が多いということでした。今、本当にあちこちのビルの一室にサポート校があって、国の調査では、通信制のサテライト施設、いわゆるサポート校は都内に四百三十か所もあるということですから、サポート校が近くにある学校ということになるのだと思います。
 そして、都立のチャレンジスクールに進学する子もいるけれども、その方の体感としては、三分の一ぐらいのお子さんは継続できなくなってしまうということです。
 そこで伺いますが、昼夜間定時制、チャレンジスクールそれぞれについて、不登校出現率、中退率を伺います。

○山田指導部長 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、昼夜間定時制及びチャレンジスクールを含む定時制課程の単位制高校における不登校生徒の出現率は、平成三十年度に二一・〇七%、令和元年度に二一・九〇%、令和二年度に一七・五三%、令和三年度に二〇・九四%、令和四年度に二九・〇七%であります。
 また、中途退学生徒の出現率は、平成三十年度に八・一%、令和元年度に七・五%、令和二年度に五・二%、令和三年度に五・四%、令和四年度に六・九%であります。

○とや委員 定時制の単位制ということでお答えいただきましたが、その多くを占めるのが昼夜間定時制とチャレンジスクールの生徒であります。不登校率が二九・〇七%と、ちょっと驚きの数字です。親の会の方々の体感は、ほぼ当たっていたということだと思います。
 まずはチャレンジスクールなどに通う生徒を支えることが重要ですが、チャレンジサポートプラン案において校内居場所カフェを行うとしています。その理由を伺います。
 ここで、申し訳ないのですが、居場所カフェについてのみ答弁をお願いできますか。

○山本地域教育支援部長 ユースソーシャルワーカーが生徒との日常的なコミュニケーションを通して信頼関係を構築することにより、生徒が抱える進路や生活、家庭等の様々な課題、悩みを早期に発見し、一人一人の生徒に応じた支援を実施するため、今年度から、都立小台橋高校におきまして校内居場所カフェを実施しております。

○とや委員 現在、チャレンジスクールの小台橋高校のみ設置をしているということですが、教室には入れないけれども、保健室や図書室、校内居場所カフェなら登校できるという生徒がいて、実際に登校してきているというお話も伺いました。
 プラン案では、拡大を検討するとなっていますが、改めて実施校などを拡大していただきたいということを求めておきます。
 このプラン案は、よいことも書いてあるのですけれども、現在既に行っていて、プラン案の二〇二五年から二〇二七年にどのように充実していくのかということが見えてこないものも少なくありません。体制はどうなっているのか、その確保はどうなっているのだろうかと感じる部分もあります。
 例えば、学び直しのための基礎科目、少人数指導、中学校や、時には小学校の学習内容に戻って、つまずいている部分から丁寧に指導することだと思いますが、これは、現在も多くの定時制やチャレンジスクールで実施されています。
 現在行っているものとどう違うのか、伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在、チャレンジスクール等におきましては、学び直しのための基礎的な科目の設置や、習熟度別の少人数指導等を行っております。
 今後、新設や規模拡大を行うチャレンジスクール等におきましても、こうした取組を展開していくこととしております。

○とや委員 計画期間中に実施する内容を聞いているわけで、行っていると。今、今後もやるといっていましたけれども、プランとして意味があるというような形で、記載をお願いしたい。プランに掲げた以上、充実していただきたいと思います。
 教員体制についても伺っていきたいと思います。
 三部制であるチャレンジスクールの教員配置と勤務形態について伺います。

○吉村人事部長 チャレンジスクールでは、副校長を二名配置しているほか、教員についても、学校の特色を踏まえて、少人数指導等きめ細かな指導が可能となる教員数を配置しています。
 例えば、生徒の定員数が七百二十名のチャレンジスクールの場合、管理職を除く教諭を四十六名と、同規模の一般的な全日制普通科高校に比べて多く配置しています。
 教員の勤務形態については、正規の勤務時間を二種類のパターンに割り振ることを基本としながら、生徒指導や校務運営など教職員の業務の特性に応じて各校で設定しています。

○とや委員 チャレンジスクールについて教員の配置を伺いました。事前に説明を伺って、私、とっても驚いたのが、チャレンジスクールには、全日制や夜間定時制のような教員の配置基準がないということです。東京都が学校ごとに個別に教員の配置数を決めているということでした。
 答弁をお聞きしますと、全日制よりも多く配置をしているといっていますが、手厚い支援が必要なわけだから、これは当然だと思います。
 チャレンジスクールに入学する生徒は不登校を経験している子が多くて、高校に入って、何とかリセットしたいという子がいるわけです。しかし、小中学校での関係づくりがうまくいかなかった子が新たな関係をつくるというのは、本当に困難じゃないかと思うんですね。
 不登校支援をしている方にもお話を伺いましたが、友達がつくれるようなクラス運営も必要ではないかとか、継続して関われる教員体制が必要じゃないか、そうした意見もあります。
 また、保護者からも、チャレンジに進学する子は傷を負っているので、本来、手厚いサポートが必要だという声が届いています。チャレンジスクールに入学しても不登校になってしまえば、また子供は傷ついてしまうわけです。
 学校運営の在り方の見直し、あるいは教員の配置についても、実情に合わせて適切に基準をつくって、きちんと配置をすべきではないでしょうか。いかがですか。

○吉村人事部長 チャレンジスクールは都独自の学校であり、画一的な配置基準による定数算定はなじまないため、学校の特色を踏まえて、少人数指導等きめ細かな指導が可能となる教員数を配置しております。

○とや委員 画一的と今おっしゃったけれども、実情に合わせて、ちゃんと基準をつくって運営してくださいといったんですよ。東京都がその気になれば、後でいいますけれども、子供のクラスサイズを小さくするということはできるわけですよ。このチャレンジを見ても分かりますよね。
 そもそも定時制は、三十人一学級。しかも、チャレンジは普通科より教員配置の多い総合学科。つまり定時制の総合学科ですから、その考え方を適用すれば、生徒当たりの教員配置が多くなるのは、今申し上げましたが、当然です。
 それにしても、二十年以上前に開校した学校に基準がないというのは驚きです。基準がなければ、増減はそのとき次第となってしまいますから、充実した配置での基準をつくることを求めておきます。
 スクールカウンセラーについても伺います。
 プラン案には、チャレンジスクール等にスクールカウンセラーを追加で配置するとありました。それ自身は大変重要です。チャレンジスクールや昼夜間定時制のスクールカウンセラーを、今年度から一校三名体制に充実したと聞いています。
 一方、今年の三月には、二百五十人ものスクールカウンセラーが雇い止めになりました。
 生徒の相談の充実を掲げるのであれば、スクールカウンセラーを雇い止めなどにせず、継続した相談体制を取ることが必要ではありませんか。

○山田指導部長 各学校では、スクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制を構築しており、スクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることのないよう、前年度まで行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっております。

○とや委員 相談の情報を共有し、引き継げれば支援できるというのは机上の空論です。人間は物ではありませんから、頭数さえいれば、人が替わってもよいとはならないわけです。信頼関係や安心のためには、継続した関わりが必要です。
 ある保護者の方は、SC、SSWは雇用が大事、ずっと学校にいてくれて、卒業後も、困ったらまた相談できるような人間関係がないと、何でも親の責任、親しか頼る人がいない状態になってしまうとおっしゃっていました。そのとおりだと思います。
 会計年度職員であるSCやSSWは、生徒たちを支えるためにも、少なくとも任用の更新回数の上限を撤廃すること、正規化なども検討することを強く求めておきます。
 チャレンジスクールは、不登校をはじめ、精神疾患や発達障害を持った生徒、中学校の特別支援学級に在籍していた子も入学しています。一人一人の時間軸に合わせ、大人になっていくプロセスの中で、生きる力や自立を切れ目なく支援し、生徒の発達保障に責任を持っていただきたいと思います。
 チャレンジスクールについては、学校運営について、ぜひ生徒や保護者、教員の意見も聞いて在り方を検討してください。
 次にお聞きしたいのが、プランの中にある困難を抱える生徒に対する取組の中で、就労や福祉の専門的知識や技術を持つユースソーシャルワーカーなどで構成される自立支援チームを都立学校に派遣しますとありますが、この五年間の実績を伺います。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、ユースソーシャルワーカーなどで構成される自立支援チームを都立学校へ派遣し、困難を抱える生徒に対して、就労、福祉、医療等の各種関係機関と連携しながら、生徒の社会的、職業的自立に向けた支援を行っております。
 平成三十年度から令和四年度までの五年間で、一万六千名を超える生徒に対しまして、累計で約七万回の支援を行っております。

○とや委員 平成三十年度から始まった事業なわけですが、六十名の体制で、チャレンジスクールなど困難を抱える生徒がいる学校に継続して派遣したり、要請があった学校に行って支援をしていると伺いました。
 対象がヤングケアラーや不登校、中途退学の可能性がある生徒であり、深刻な状況の生徒も多いのではないかと思います。
 その生徒の支援について、要支援生徒に対する支援の業務効率化に向け、構築した要支援生徒情報の共有、管理システムを活用し、学校、支援センター、教育庁間の情報共有、連携を迅速化することによって、要支援生徒への早期対応に向けた取組を促進しますとありますが、具体的にどのようなことをするのでしょうか。

○山本地域教育支援部長 都教育委員会は、自立支援チーム派遣事業におきまして、不登校や中途退学の未然防止等に向けた支援を早期に開始するため、生徒情報の共有、管理システムを構築しております。
 具体的には、ユースソーシャルワーカーが相談を実施した生徒の情報をシステム上で管理し、学校、支援センター、教育庁の関係者間で迅速な情報共有と連携を図り、生徒に対する支援が早期に行えるよう取り組んでおります。

○とや委員 生徒の情報をシステム上で管理して、学校、支援センター、教育庁の関係間で情報共有と連携を図るということなんですけれども、スクールソーシャルワーカーが扱う生徒の情報は、私はとってもデリケートなものだと思うんです。情報が漏れるようなことがあってはならないので、データベース化するのは大変危険じゃないかと思います。
 なぜ、この中に、三者の中に支援センターまで入って情報を共有する必要があるのでしょうか。教えていただけますか。

○山本地域教育支援部長 先ほども申し上げましたとおり、ユースソーシャルワーカーが相談を実施した生徒の情報をシステム上で管理し、学校、支援センター、教育庁の関係者間で迅速な情報共有と連携を図り、生徒に対する支援が早期に行えるように運用しておりまして、支援センターにつきましては、管轄のエリアの学校ごとに、学校を管轄する支援センターごとに支援担当教員等を置きまして、連携し、取り組んでいるということでございます。
 なお、こちらのシステムにつきましては、端末上に個人情報を残さないですとか、システムの外部環境から不正アクセスを防止するですとか、そういった情報セキュリティにつきましては、万全な措置を期しておるところでございます。

○とや委員 要するに、その迅速化を行うといったって、別にスクールソーシャルワーカーがきちんと情報管理をしている。それだけだって、別に迅速にできると思うんですよ。今のお答えでも、センターの役割がよく分かりません。やっぱり、生徒の個人情報を扱うからには慎重でなければいけないと思います。
 今後、システムの更新を行うとも述べられていましたが、情報共有は極力限られたものにすること、保護者の同意を得ることなど、見直しを求めておきたいと思います。
 次に、都立高校の通信制についても伺いたいと思います。
 都立の通信制高校は、一橋高校、新宿山吹高校、砂川高校の三校がありますが、一年生の募集は合わせて三百七十人しかありません。
 保護者の中には、これまでは都立の通信制があるからと、不登校でも何とか行き場所があると思っていたけれども、プラン案にあるとおり、応募倍率が一倍を超えて、希望しても入学できない生徒が発生していることにショックを受けたという方がいらっしゃいました。倍率が一倍未満で、希望すれば入れる、受け止めてくれる場所が欲しいという切実な願いをどう受け止めますか。
 プラン案では、都立通信制高校の受入れ規模の拡大を検討していくといっていますが、ぜひ拡大してほしいと思いますが、いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 近年、不登校経験のある生徒等の増加に伴い、全国的に通信制高校のニーズが高まっていることから、都立高校の通信制課程についても、受入れ規模の拡大を検討していくこととしております。

○とや委員 ぜひ、入れない子が出ないようにしてほしいなと思います。
 また、学びのセーフティネット事業として、NPO法人等の外部機関と連携するとしているんですけれども、これは、なぜこのようなことを行うのか、その理由について伺います。

○山本地域教育支援部長 学びのセーフティネット事業は、学校生活に困難を抱えている生徒等に対して、学習支援や就労に向けた支援、進路相談、生活相談、生徒同士の交流機会の提供等、幅広い支援によりまして、個々の生徒に応じてきめ細かく対応しておりまして、子供、若者支援の実績があるNPOと連携して実施しているところでございます。

○とや委員 これは、NPO法人に委託をして、現在、足立区と大田区と豊島区と立川市の四か所で、学校外の民間施設を借りて実施しているものですよね。
 現在の四か所の利用実績と効果について伺います。

○山本地域教育支援部長 令和五年度の学びのセーフティネット事業の参加者は五百八十九名でございます。
 学習支援や進路相談等、個々の生徒に応じた支援を行うことによりまして、学校への復帰や卒業等につながっております。

○とや委員 学校への復帰や卒業等につながっているということですが、この事業は、四か所ともNPO法人が委託を受けて実施をしているもので、通信制の生徒たちがレポートの提出のために活用しているとも聞いています。
 生徒たちが学習支援や無理なく通学できるようになるまで伴走するとか、進路相談など、これって、本来、通信制の学校でやるべきことではないんじゃないですか。ちょっとそこを確認させてください。学校で本来やるべきことじゃないですか。

○山本地域教育支援部長 先ほど五百八十九名という令和五年度末の参加者を申し上げましたけれども、委員おっしゃるとおり、都立通信制に通っている生徒さんもいらっしゃいますが、現在、都立高校を不登校等で通学できていない生徒さんもいらっしゃいます。

○とや委員 それらも含めて、やっぱりこういうことって、学校がきちんと責任を持ってやっていくことじゃないかなと思うんですね。そこは指摘しておきたいと思います。
 私は、定員を増やしてくださいという話もしましたが、都立の通信制高校の定員を増やすだけじゃなくて、生徒に丁寧に向き合って、そして援助できるように、現在の生徒五十人に一人の教員という通信制高校の配置をもっと手厚くすることを求めます。いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 現在、通信制課程におきましては、教員も含めまして、生徒と向き合いながら丁寧な対応を行っておりまして、その対応をきちっとやっていくことが重要というふうに認識しております。

○とや委員 五十対一って、やっぱりちょっと不十分ですよ。
 不登校の子供たちが、なぜ通信制高校を選ぶのか、なぜチャレンジスクールに入学しても継続できないのか。それは、中学時代、全く学校に行っていなかった子が急に毎日学校に行くのは、とてもハードルが高いからだということも伺いました。
 教員体制を手厚くして、寄り添いながら、徐々に通う日数を増やして、自立に向け成長していけるような支援が必要です。そうした支援を、都立通信制高校なら担える可能性があるのではないでしょうか。
 広域通信制について、保護者からもお話を聞きました。広域通信制は、卒業はできるが、力がついていないと感じている、卒業後に引き籠もってしまう、サポート校が訪問してくれることもあるけれども、在学中の四年、五年のうち、一週間だけ力を振り絞ってスクーリングに参加し、卒業するけれども、それで力が尽きてしまう子もいるそうです。
 もちろん、通信制もサポート校もいろいろですが、そうした生徒や保護者がいる状況を酌み取り、対応していただくことを求めておきます。
 高校に進学してから不登校になる生徒もいます。
 都立高校の全日制の問題についても、ちょっと伺っていきたいと思うんですが、都立高校の全日制の不登校や退学の状況について、この五年間の推移を伺います。

○山田指導部長 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査においては、都立中高一貫校を含む全日制課程の不登校生徒数は、平成三十年度に千六十六人、令和元年度に千十五人、令和二年度に八百九十九人、令和三年度に九百九十四人、令和四年度に千四百十二人となっております。

○とや委員 不登校は増加傾向で、二〇二二年度は千四百十二人、中退が六百二十人とのことです。
 全日制の中でも都立中高一貫校の保護者の方にお話を伺ったのですが、中高一貫校は、不登校や退学、転学は少ないと思われるでしょうが、そんなことはありませんというお話でありました。
 実際に、我が党のアオヤギ都議が文書質問もして回答が来ていますが、中高一貫校の高校三年生、中等教育学校でいえば六年生ですね。ここでは、入学時の募集が十校合わせて千六百八十人に対し、高校三年生のときには千五百四十三人、何と百三十七人も減ってしまっているわけです。
 学校の経営目標に、毎日、自習三時間などの目標が掲げられていたり、生徒に強制している場合もあるとか、また、学校の経営目標に進路の目標まで、国公立何名とまで細かく定めています。生徒も保護者もプレッシャーを感じていると聞いています。そうした中で、不登校や中途退学を出しているのではないでしょうか。
 中学生で起立性障害を発症して、退学になるのではないかと不安になっている生徒さんもいると聞きました。
 国連の子どもの権利委員会がいっていますが、競争主義的な学校環境が子供間のいじめ、不登校、登校拒否を生んでいる、このように指摘しています。不登校や中途退学が増え続けてきていることについて、その原因に本当に科学的に踏み込むときが来ているのではないでしょうか。
 全日制でも中高一貫教育校でも、子供も保護者も悩んでいるし、教師も同じなんですよね。ぜひ考えていただきたいと思います。
 この全日制で、今、東京都がチャレンジプランで示しているのが深沢高校です。
 新たな受入れ環境充実校へ改編すると記載がありますが、具体的にはどのような学校を想定しているのか、対象はどのような生徒なのか、お答えください。

○猪倉高校改革推進担当部長 困難を抱える生徒が増加している中、全日制、学年制の教育課程での学習を希望する生徒のニーズにも応えていく必要がございます。
 このため、相談体制を充実し、柔軟な学習環境を整えることで、生徒の多様性に幅広く対応できる新たなタイプの学校を開校することとしております。

○とや委員 不登校を経験している生徒が全日制に進学したい、この気持ちを酌んで、その子に合った条件で学校生活を送れるようにすることは重要です。
 しかし、これほどまでに、全日制でも中高一貫校でも子供が困難を抱えているわけだから、どの学校でも生徒の多様性に応えられるようにすることが必要なのではないかと思います。
 そのためには、全日制高校でも三十五人から三十人の規模の学級にすることが必要ではないでしょうか。

○村西都立学校教育部長 都における全日制課程における学級編制は、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律により、一学級四十人が標準とされております。
 都立高校全日制課程におきましては、この法律に基づき、一学級の生徒数を四十人としておりますが、職業に関する学科については、専門教育の実施に当たっての適切な規模等を踏まえ、都独自で三十五人としているところでございます。

○とや委員 都独自でいろいろできているわけだから、やっぱり今の子供たちの実情を考えてクラスサイズをぐっと小さくするということが、私は本当に、不登校だとか困難を抱えている子供たちを生まない環境をつくっていく、本当に大きな保障だと思います。
 現代の子供たちの困難を考えれば、当然、教育条件に抜本的に踏み込まなければ、不登校はどんどん増えるばかりです。減ることはありません。都教委として、ぜひ検討することを求めておきます。
 また、今回、不登校経験のある生徒や日本語指導が必要な生徒の入学選抜についての改善が盛り込まれました。
 子供にとって高校進学は、初めて超える高いハードルです。しかし、不登校の子供たちは、高校に行きたくても、内申が悪ければ諦めざるを得ない現状があります。
 中学の先生は、不登校の場合、内申を斜線にして評価しないでおくことを知らない先生もいるそうです。その場合、一がついちゃうわけですね。で、調査書が一だと入試に落ちてしまうということになると、保護者も非常に切実に訴えています。
 入学選抜については、不登校の子供に配慮したものに改善すること、これは求めておきます。
 日本語指導についても伺いたいと思います。
 在京外国人枠の拡大について、先ほどからお話もありましたが、改めて確認をさせてください。
 都の考えと今後の周知について伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、日本語指導が必要な在京外国人生徒数の推移や居住する地域バランスに加え、入学者選抜の応募状況などを踏まえ、募集枠を設定しております。
 令和七年度入学者選抜から、これまでの設置校に加えて、単位制である昼夜間定時制高校にも新たに在京外国人枠を設定いたします。
 また、在京外国人枠設置校の拡大など、入試制度に関する説明会を開催いたします。加えて、都立高校の合同説明会においても、専門の相談窓口を設けまして、きめ細やかな情報提供を行ってまいります。

○とや委員 昼夜間定時制高校四校にも、新たに在京外国人枠を設置するということですが、在京枠の拡大は関係者からも求められていたことですし、歓迎をします。
 二〇二四年度の入試では、在京外国人枠では、定員百六十名に対し三百九名が応募し、百四十九名が不合格になりました。つまり、在京枠でない学校に約百五十人の生徒が行っていることになるわけです。関係者からは、これは、一校の定員を二十名として、応募倍率一・二倍とした場合、あと七校は受入れが必要だという声があるわけです。都立全日制についても、在京枠の拡大をさらにしていただくよう求めておきます。
 また、国籍を問わず日本語指導を必要とする生徒が受検できるようにしていただいた。これについても歓迎したいと思います。
 ぜひ、今後、この在京枠については、さらなる拡大をよろしくお願いします。
 小学校でも中学校でも、日本語指導が必要な児童生徒が増えているといわれています。都の資料も拝見しましたが、小学校では、二〇二二年度と二三年度を比較すると千三百七十八人も増えています。中学校では四百五十八人増えています。
 ところが、高校は七十九人の増加となっているんですね。高校七十九人というのは本当なのかと、私、ちょっと不思議になっちゃったのですけれども、チャレンジプランでは、語学力の育成に加え、異文化、多様性への理解を深める指導の充実などを併せて行いますとあります。
 日本語を母語としない生徒の実態はどのように把握しているのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都立高校においては、日本語指導が必要な生徒に対し、日本語の能力を測定するアセスメントを実施しております。
 また、各学校では、日頃から教員が生徒一人一人と向き合い、多様な生徒の実態をきめ細かく把握し、それに対応した教育内容等の充実を図っております。

○とや委員 アセスメントについては、まだ始まったばかりなので、この実態把握、ぜひその調査を生かして実態をきちんと把握していただいて、公表していただくことを求めておきます。
 小中学校と比較して、高校の七十九人増というのは、どう考えても不自然なんですよ。来年はもっと増えるということも予想されるので、その高校の数をきちんと把握できるようにしてください。
 また、高校での授業は、日本語指導が必要な生徒にとって非常に苛酷です。授業の日本語が理解できないと、高校の学びができないということになってしまいます。母語で学んだ知識で対応するということは、それだけだと、新しい学びがやっぱりないんですよ。生徒の学ぶ権利も保障されていないということになってしまいます。
 高校で学ぶ生徒たちの日本語能力の現状は、日本語指導の体制が整った地域から進学した生徒、そして、一方で、指導体制が整っていない地域から進学した生徒では、かなり差があります。文法も分からず、漢字の読み書きもできない、だから作文も書けないとか、中学の教科の学習が身についていない子もいるそうです。
 そこで伺っておきたいのですが、今年度、都立高校に在籍する日本語指導が必要な生徒は何人いるのか、過去三年間に在京枠で都立高校に入学した生徒は何人か、お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 今年度、都立高校に在籍する日本語指導が必要な生徒数は、調査中でございます。なお、令和五年度においては八百七十一人でございました。
 過去三年間の在京外国人生徒対象の入学者選抜における都立高校への入学手続者数は四百三十八人でございます。

○とや委員 八百七十一人の子供の中には、この子たちが在京枠で入れない、だから四百三十八人になってしまっているのかなと思うわけですけれども、やっぱりこうした数字を見ると、実態を反映して日本語指導が行われていないんじゃないかなといわざるを得ません。
 そういう中で、今年度から春期・土曜日本語講座が開始されましたが、受講生は何人か。全日制、昼夜間定時制、チャレンジスクール、夜間定時制、通信制それぞれについて伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 今年度の春期・土曜日本語講座には、十五日間で延べ三百八十四人が参加いたしました。
 学校名や人数などの参加生徒の詳細な内訳につきましては、公表を前提として募集していないことから、公表を差し控えさせていただきます。

○とや委員 公表を差し控えるということですけれども、別に個人名を出してくれといっているわけじゃないわけだし、今後の分析にも使えるわけだから、ぜひ検討してください。
 令和五年度の数字では、日本語指導が必要な生徒は八百七十一人だと先ほどお答えになっています。この講座を利用した子たちは、延べ三百八十四人なんですよね。単純に割り返すと二十五、六人、これだけ。まだまだ少ないわけです。
 漢字が書けない子、先ほどもいいましたが、作文にならない子、中学校の基礎学習ができない子などが、多く高校には在籍しています。日本語講座の拡充も求めておきます。
 現在、都立高校への日本語指導のための教員や講師等の配置はどのように行われていますか。伺います。

○吉村人事部長 在京外国人枠を設置する学校に、教員を一人加配しています。また、特別の教育課程を実施する高校は、日本語指導をコーディネートする教員を置くことができ、時数軽減措置を講じています。さらに、学校の実情に応じて、いわゆる取り出し授業のための時間講師を配置しています。
 このほか、通訳や日本語支援員など外部人材も活用し、適切に対応しております。

○とや委員 ある昼夜間定時制高校の方からお話を聞いたのですが、ここでは四十二人ぐらいの生徒が取り出し授業を受けているそうです。
 取り出し授業というのは、日本語指導が必要だったり、普通に在籍のクラスでは授業の理解の難しい生徒が、日本語だとか、国語や社会の授業のときには外国につながる生徒だけで授業が受けられます。
 一年生の生徒そのまま、全員、取り出し授業をやっているそうです。四十人からの生徒の取り出し授業をやらなきゃいけない。在京枠の学校でいえば、二校分も先生が引き受けているような状況があるけれども、しかし、何にもついていないという話も聞いています。
 日本語指導が必要な生徒を在京枠同等数受け入れている高校には、在京枠と同等の教員と予算をつける必要があります。こうした現状をしっかり見て、日本語指導が必要な生徒に対して対応していただくことを求めておきます。
 最後に、今回、設置条例が提案されている、新しくできる立川地区チャレンジスクールの立川緑高校に関連して伺っていきます。
 多摩地域で初めてのチャレンジスクールということで、説明会に参加したいけれども、予約がいっぱいで参加できないという声を伺っています。
 立川チャレンジ高校の説明会について、希望者は出られるようにすべきではないでしょうか。説明会の申込み状況と併せて伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 立川緑高校に来年度入学を検討している生徒やその保護者向けの説明会につきましては、多くの申込みをいただいておりまして、当初予定に追加して説明会を実施しております。
 具体的な実施状況でございますが、七月から八月にかけて、計十二回実施し、延べ三百六十五組七百人にご参加いただいておりまして、さらに、十月から来年一月にかけまして、計七回、六百二十人規模の説明会を予定しております。

○とや委員 すごい数ですよね。ちょっとびっくりしちゃった、私も。
 説明会は先着順で、定員に達したら募集を打ち切ったので、申込み希望者が何人いたか分からないということを伺いました。しかし、日程を二日追加したということだから、説明会参加希望者が多いということは分かっていらっしゃると思います。説明会という最初のところで競争状態になってハードルを上げてしまわないよう、説明会は十分な回数を実施していただきたいと思います。
 そして、不登校の子供たちが増えている下で、多摩地域に初めてですよね、設置されるチャレンジスクールなわけです。
 しかし、施設、設備は十分とはいえません。規模は七百二十人ですが、校庭もなく、敷地いっぱいに校舎が建つ学校です。生徒の教育環境として問題があるのではないかといわざるを得ません。
 東京都は、我が党の斉藤都議が質問したときに、体育館や柔道場、剣道場やトレーニング場を設けるとしています。そういうふうに答えているんですが、学校に必要な機能なんだから当たり前です。なおかつ、スポーツ大会は外部施設ということであります。
 先ほどの契約案件で、北多摩地区の特別支援学校のグラウンドが百メートルトラックしか取れないという話もあったわけですが、新設校なのに十分な教育環境を用意しない。こんなことでいいのかと思うんですが、いかがですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 立川緑高校では、体育の授業や部活動等で活用するため、体育館や柔道場、剣道場、トレーニング場を設けるとともに、校舎三階に多目的コートを設置しております。
 また、スポーツ大会等の行事の実施に当たりましては、外部施設の活用も想定しており、生徒の教育環境として問題はないと認識しております。

○とや委員 いや、高校生だから体も大きいし、先ほどの話じゃないけれども、やっぱり広い校庭があって、ゆったりと教育できる、それが子供の権利を尊重するということだと思うんですよね。それをこう、詰め込んじゃうんですよね。
 しかも、東京都は、近くにある立川夜間定時制を廃止して、生徒をこちらの学校に詰め込んでいくという話なわけです。
 夜間定時制、これ、先ほどもお話がありましたけれども、改めてお聞きしますが、学校、学級規模の極端な小規模化が問題だと東京都はいっているわけですけれども、立川定時制、これには当てはまらないんじゃないですか。

○猪倉高校改革推進担当部長 立川高校の夜間定時制につきましても、勤労青少年が大幅に減少した結果、過去十年で、新入生は半数以下となってございます。
 現在、立川高校も含め夜間定時制課程には、不登校を経験した生徒などが在籍しておりますが、そうした困難を抱える生徒の受入れ環境の充実に向けまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、相談体制も充実しているチャレンジスクールの規模拡大等を図りつつ、一部の夜間定時制課程については生徒募集を停止し、生徒を適切な環境の学校で受け入れていくことといたしました。
 立川高校につきましては、令和七年度に、立川高校から歩ける距離にチャレンジスクールである立川緑高校を新設し、昼夜間定時制高校である砂川高校の夜間部増学級を行うことに併せ、生徒募集を停止することとしております。

○とや委員 チャレンジスクールはチャレンジスクールでつくっていただいていいと思うんですよ。これだけ説明会に行きたいという方々がいらっしゃるわけだから。だけれども、立川定時制まで潰すことないじゃないですか。
 学校や学級規模の極端な小規模化を問題にしているが、立川はこれには当てはまらないのではないかと、私、聞いたんですよ。
 入学者数が減っても、極端な小規模化とはなっていません。閉課程を決定した二〇一六年から七年たっても、去年は三十七人ですか、今年は二十七人ぐらい入っていて、一年生から四年生まで百四十人ぐらいの生徒が在籍していると。
 そういう高校を廃止して、立川定時制よりも−−あそこは武蔵野線から近いけれどもね、多少は。緑高校はね。だけれども、立川定時制の方がよっぽど便利です。立川定時制より不便なところに、しかも、狭い敷地いっぱいに校舎を建てて生徒を受け入れるというのは、本当に子供のことを考えているのだろうかといわざるを得ません。
 本当に子供たちのことを考えているんですか。お答えください。

○猪倉高校改革推進担当部長 今回新設いたします立川緑高校は、この間、出ておりますが、チャレンジスクールでございまして、自分のライフスタイルに合わせて、午前、午後、夜間の三つの部から選んで入学し、自分のペースで学べ、相談体制も充実している、そうした学校でございます。そうした環境で生徒を受け入れていくことが適切というふうに考えております。

○とや委員 だから、両方、生徒が行けるように、選択肢を狭めないようにした方がいいんじゃないですかといっているんですよ。
 先ほどお話もあったけれども、学校が近くにあることが非常に重要だとか、電車に乗れない生徒も珍しくないとか、少人数だから安心できるとか、こういう声がたくさん寄せられているんですね。こういう声をどういうふうに考えているのか。
 こういう状況にある生徒も受け止めるべきではないですか。多様性といっているんだから。

○猪倉高校改革推進担当部長 子供たちが抱える事情は様々でございまして、都立高校全体で生徒の様々なニーズを適切に受け止めていくものと考えてございます。

○とや委員 だから、潰さないで、潰す必要ないでしょうといっているんですよ。そういう簡単な言葉で片づけてほしくないんですよね。
 夜間定時制は、はっきりいって理想的な少人数学級です。だから、生徒の成長が本当に目に見える。不登校でほかの人と口も利けなかった子が、夜間定時制に行って学ぶ楽しさを知り、先生にも恵まれ、積極的になって、部活だって複数入って活発になったという事例もあるわけです。
 効率だけで考えるんじゃなくて、生身の生徒一人一人の学ぶ権利、そして休息をする権利、意見を述べる権利を保障するのが、教育に責任を持つ都教委の仕事です。厳しく指摘をして、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十三分散会