文教委員会速記録第十号

令和六年九月十七日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長藤井あきら君
副委員長平田みつよし君
副委員長小林 健二君
理事田の上いくこ君
理事西崎つばさ君
理事とや英津子君
かまた悦子君
たかく則男君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
鈴木  純君
風間ゆたか君
川松真一朗君
こまざき美紀君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長古屋 留美君
生活安全担当局長竹迫 宜哉君
次長久故 雅幸君
総務部長奈良部瑞枝君
都民安全推進部長馬神 祥子君
消費生活部長片岡 容子君
企画担当部長杉山 浩二君
治安対策担当部長事業推進担当部長兼務勝見 恭子君
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長猪口 太一君
教育監瀧沢 佳宏君
総務部長岩野 恵子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長山本 謙治君
指導部長山田 道人君
グローバル人材育成部長信岡 新吾君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長吉村 幸子君
教育政策担当部長秋田 一樹君
高校改革推進担当部長猪倉 雅生君
特別支援教育推進担当部長中西 正樹君
人事企画担当部長矢野 克典君

本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
・東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例
・東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)六第二八号 痴漢加害者の再犯防止に関する陳情
(2)六第二九号 生活保護受給者が自転車損害賠償保険等に無料で加入できる制度の創設に関する陳情
教育庁関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・都立北多摩地区特別支援学校(仮称)(六)新築工事請負契約
報告事項(説明)
・都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)について
請願の審査
(1)六第四号 中学校英語スピーキングテスト結果の令和七年度都立高校入試への活用中止に関する請願

○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る九月十一日付をもって、菅原直志議員が本委員会から公営企業委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 次に、委員の選任について申し上げます。
 議長から、去る九月十一日付をもって、新たに、本委員会委員にこまざき美紀議員を選任した旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任のこまざき美紀委員をご紹介いたします。

○こまざき委員 こまざき美紀です。
 どうぞよろしくお願いします。

○藤井委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○藤井委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局及び教育庁関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、教育庁関係の報告事項の聴取並びに生活文化スポーツ局及び教育庁関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 今定例会に提出を予定しております生活文化スポーツ局関連の議案についてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております議案は、予算案一件、条例案二件の合計三件でございます。
 議案の概要をご説明申し上げます。
 初めに、令和六年度補正予算案についてでございます。
 資料第1号、令和六年度補正予算説明書の一ページをご覧ください。Ⅰ、補正予算総括表でございます。
 補正予算額の欄をご覧ください。
 表の中ほど、歳出の補正予算総額といたしましては一億六千二百万余円でございます。
 二ページをご覧ください。Ⅱ、内容でございますが、生活文化スポーツ費の消費生活対策費を計上しております。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 資料第二号、令和六年第三回東京都議会定例会議案の目次をご覧ください。
 今定例会に提出を予定しておりますのは、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例及び東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例の二件でございます。
 以上で私からの説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○奈良部総務部長 引き続きまして、私から、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、令和六年度補正予算案についてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、資料第3号、令和六年第三回東京都議会定例会議案の概要の一ページをご覧ください。1、公衆浴場関係についてでございます。
 公衆浴場向け燃料費高騰緊急対策事業として一億六千三百万円を計上しております。
 燃料費高騰に直面する公衆浴場の負担軽減に向けた緊急対策として、支援金を支給いたします。
 以上で令和六年度補正予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 二ページをご覧ください。東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 1、改正理由をご覧ください。
 本条例は、懲役及び禁錮を廃止して拘禁刑を創設する刑法等の一部を改正する法律の施行に伴い、条例の規定を整備するものでございます。
 2、改正内容をご覧ください。
 懲役及び禁錮が廃止され、拘禁刑とされるに当たり、懲役または禁錮の刑という文言が含まれる本条例第三十一条第二項第三号について改正を行うものでございます。
 3、施行期日は令和七年六月一日でございます。
 続きまして、三ページをご覧ください。東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 1、改正理由をご覧ください。
 本条例は、懲役及び禁錮を廃止して拘禁刑を創設する刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の施行による地方自治法の一部改正に伴い、条例の規定を整備するものでございます。
 2、改正内容をご覧ください。
 懲役及び禁錮が廃止され、拘禁刑とされるに当たり、懲役という文言が含まれている本条例第二十四条の三について改正を行うものでございます。
 3、施行期日は令和七年六月一日でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○藤井委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情六第二八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 陳情六第二八号、痴漢加害者の再犯防止に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 資料第4号、陳情審査説明表の一ページをご覧ください。
 本陳情は、品川区一般社団法人日本若者協議会代表、室橋祐貴さん外三人から提出されたものでございます。
 要旨でございますが、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 都において、痴漢の加害者が早期に再犯防止に向けた長期間の支援を受けられる施策を導入していただきたい。
 以上でございます。
 現在の状況でございますが、都は、令和五年三月に庁内関係各局及び警視庁から成る痴漢撲滅プロジェクトチームを設置し、痴漢被害実態把握調査やホームページ等による情報発信、キャンペーン、イベント等を通じた普及啓発などを実施し、痴漢を許さない、させない取組を進めております。
 また、再犯防止の取組として、令和二年度から、犯罪に関する悩みを抱える者、その家族または関係者を対象に相談窓口を設置し、社会福祉士、精神保健福祉士等の専門職が相談に応じております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○こまざき委員 まず、東京都での取組についてですが、警視庁と連携して、痴漢撲滅のためのプロジェクトチームを結成しています。痴漢被害のない社会の実現を目指し、痴漢撲滅プロジェクトを実施し、各種相談窓口の設置や、鉄道事業者等と連携した痴漢撲滅キャンペーンなど、様々な取組に着手されていることを評価しております。
 日本若者協議会様からの陳情書においては、令和五年度の痴漢被害実態把握調査について触れられております。こちらは初めての調査ですので、推移分析はまだできないと思うのですが、男女共同参画局の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国の相談件数の推移の最新の調査結果によりますと、令和五年度の相談件数は、前年度と比較して九・五%増であり、過去五年間で見ても、年々増加しています。
 今回の陳情では、再犯防止のため、加害者に向けた性的依存症の治療プログラムの導入を求められていますが、都として、痴漢の再犯防止のために、そうしたプログラムの導入を検討されておりますでしょうか。また、ほかの自治体で取組事例はございますでしょうか。
 お願いいたします。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 現在、国では、刑事施設等で性犯罪再犯防止指導等を実施しています。国の刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析結果によりますと、痴漢加害者を含む迷惑行為防止条例違反事犯者に対する効果的な指導の在り方につきましては検討が必要とのことでありまして、都は、引き続き国の状況を注視してまいります。
 なお、他の自治体の取組といたしましては、性加害者の再犯防止として、福岡県で臨床心理士による再犯防止専門プログラムの実施、大阪府で心理カウンセリング支援等が行われています。

○こまざき委員 お答えいただき、ありがとうございました。福岡や大阪よりも電車の混雑度が特段に高い東京都として、検討の余地はあるのではないかと考えます。
 痴漢を含む性加害は再犯性が高いという特徴があり、行政側でも様々な手法を用いて阻止していくことが必要です。
 東京都においても、様々な施策に取り組まれていることと思いますが、性被害に関する相談件数は増加傾向にあります。現状に満足せず、ぜひ、依存症の治療プログラムの実施を含め、何らかの痴漢加害者への取組についてご検討いただきたいと思います。こちらはご要望とさせていただきます。
 以上です。

○かまた委員 それでは、陳情六第二八号、痴漢加害者の再犯防止に関する陳情についてお伺いをいたします。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、二〇〇五年には都営新宿線に導入をされ、また、二〇二二年の本会議や予算特別委員会などの質問を通しまして、二〇二三年に都営大江戸線で女性専用車両が導入されました。
 また、東京都配偶者暴力対策基本計画の取組の方向性の中に、痴漢等の対策については関係機関と連携して取組を進めると記載していただきますよう、審議会においても提案を重ねてまいりました。
 今回の陳情にありますように、痴漢被害をなくすには加害者の再犯防止対策が重要であるという視点は非常に大切でありますし、痴漢撲滅に向けての、より一層の取組を期待するところでありますので、幾つか質問をさせていただきます。
 都は、先ほどご説明がありましたとおり、令和五年三月から痴漢撲滅プロジェクトによる取組を進めてきておりますが、これまでプロジェクトをどのように取り組んできたのか、改めてお伺いをいたします。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都では、関係各局と警視庁で連携し、痴漢撲滅プロジェクトを進めております。
 都のホームページ等で被害に遭った際の相談窓口の紹介など情報発信するほか、本年一月から二月にかけまして、受験シーズンに合わせて、鉄道事業者等と連携し、キャンペーン等を展開いたしました。
 キャンペーンでは、駅構内や車内での動画配信や車内アナウンスによりまして、痴漢は犯罪であるというメッセージを発信いたしました。

○かまた委員 鉄道事業者等と連携をして、痴漢は犯罪であるというメッセージを発信したとのことで、関係機関が連携するという取組は、とても大切であります。
 一方、平成二十七年版の犯罪白書によりますと、性犯罪者の再犯率について、痴漢の再犯率が高くなっているため、加害者が痴漢を繰り返さないように支援をしていくことも重要になってまいります。
 そこで、現在、都は、再犯防止の取組として、痴漢を含め、犯罪に関する悩みに対する相談窓口を設けておりますが、この相談窓口の事業内容と令和五年度の相談件数の実績、また、そのうち痴漢に関する相談が何件あったのか、お伺いをいたします。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都では、令和二年度から犯罪お悩みなんでも相談を開設し、犯罪をした者やその家族等を対象に、社会福祉士等の専門職が電話等により相談を受け付けています。
 この相談では、本人の状況や生活環境等につきましてアセスメントを行い、就労への助言や関係機関の紹介など、必要な支援を行っております。
 令和五年度は五百四十二件の相談があり、痴漢に関する相談は一件でございました。

○かまた委員 犯罪お悩みなんでも相談では、昨年度は五百件以上の相談があったものの、痴漢に関する相談は一件だったとのことですけれども、実際は、痴漢に関することで相談したいと思っている方はもっといらっしゃると思います。
 また、痴漢を繰り返す加害者にも、今後はこの相談窓口を利用していただけるように取り組むことが重要であります。
 そこで、この相談窓口の周知も含め、今年度の痴漢撲滅プロジェクトの取組をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 今年度は、昨年度の状況も踏まえまして、都と鉄道事業者等との連携を強化し、受験シーズンのキャンペーンを実施いたします。
 今後、関係者間で痴漢の加害行為を思いとどまらせるメッセージの内容や効果的な発信方法等を検討し、受験日や受験生が集まるターミナル駅等も考慮してキャンペーンを展開いたします。
 また、今月末に痴漢撲滅プロジェクトの専用サイトを立ち上げる予定でございまして、その中で、犯罪お悩みなんでも相談の周知も行ってまいります。

○かまた委員 本陳情では、加害者が問題行動を是正するための専門医療機関等の紹介も求めていますけれども、現状、公的に認められた専門医療機関はないと聞いております。
 国では、性犯罪の再犯防止のために、刑事施設において性犯罪再犯防止指導等に取り組んでいるとのことですけれども、ぜひ今後は、関係局とも連携をしまして、こうした国の動向にも注意深く目を向けて、加害者への再犯防止対策についても工夫をしていただきたいことを要望しまして、私の質問を終わります。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からも、痴漢加害者の再犯防止に関する陳情について質問をさせていただきます。
 最も身近な性犯罪である痴漢加害、多くの女性が痴漢に遭っても声を上げられず、あまりに日常的であるがゆえに、相手にされない、泣き寝入りするなど、ずっと続けてきました。そのため、痴漢が社会問題になっているのに、ほとんど対策が取られずにきたわけです。
 しかし、この間、当事者や若者たちが声を上げ、国会でも、また都議会でも議論される中で、痴漢が政治の課題になって、昨年は、東京都として痴漢被害実態調査を初めて取り組み、今年度も引き続いて実施をしております。
 また、痴漢撲滅キャンペーンの実施、都営交通には女性専用車両も導入されるようになりました。アクティブバイスタンダーの認識も広がりつつあります。
 しかし、痴漢被害は依然としてなくならず、効果的な対策が打ち出されているとはいえない現状があります。
 陳情でも述べられていますが、特に性犯罪加害者の再発防止対策については、遅れが顕著であると。性依存症のプログラムを受けることにより、痴漢の再犯率を三〇%台から、その十分の一、三%台に抑えることができるともいわれており、加害者対策を急ぐ必要があると考えます。
 五月にこの議会内で行われた若者協議会の皆さんの学習会では、実際に高校生などの発言もありました。局からも出席をされておりました。私も出席をさせていただきました。
 そこで、まずお聞きします。痴漢の被害をなくすためにも加害者の再犯防止の取組を進めてほしいという若い人たちからの声をどのように受け止めているのか、伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 痴漢も含め、犯罪の繰り返しをなくしていく再犯防止の取組は重要と認識しております。

○とや委員 今お答えいただいたのですが、私は、若い人たちの声の受け止めを聞いたんですよ。陳情書にも詳しく書いてあるんですから、正面からお答えいただきたいんです。
 若い人たちの声をどう受け止めていますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 痴漢も含め、犯罪の繰り返しをなくしていく再犯防止の取組は重要と認識しております。

○とや委員 なぜ同じ答弁をされるんでしょうね。若い人たちの声の受け止めを聞いているんですよ。
 私、三月の委員会で、痴漢被害をなくしていくために、私立学校を所管する局として、痴漢の実態調査結果を私立学校にも届けて共有してほしいと要望してきました。そして、一日も早く痴漢のない安全な東京を目指して、包括的性教育の推進も、この時期質問をしました。
 これは改めて求めておくわけですが、今、部長がお答えになった答弁というのは、若者の声に正面から答えているとはいえないと思います。そこは厳しく指摘しておきます。
 そもそも痴漢がなくならないのは、痴漢被害の軽視があるからだと思います。先ほど申し上げました五月の学習会でも、警察の取調べ、教員の対応で傷ついたという発言もありました。こういったところも含めて受け止め、聞いていただきたかったんですよね。都として、性別問わず、被害者、若者に寄り添った対応を求めておきたいと思います。
 痴漢は、どの犯罪よりも再犯率がずば抜けて高いといわれて、二〇一五年、先ほどもありましたが、この犯罪白書では、痴漢を行って身柄を拘束されてから再犯するまでの期間も極めて短く、一年たっていないうちに、また同じように痴漢を行う、再犯する人が多いという数字も示されています。
 都の実態調査について提言されたこともあり、再犯防止に取り組む斉藤章佳先生は、性暴力は一回でも許さないという認識を社会全体が持たなければならないとおっしゃっております。
 そこでお聞きしますが、痴漢の再犯を防止する取組の重要性や効果についてどう認識しているか、お聞きします。痴漢ですよ。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 痴漢も含め、再犯防止の取組は重要であり、犯罪のない安全・安心な日常の生活の実現につながるものと認識しております。

○とや委員 再犯防止の取組は重要とお答えになりました。これ自体、大事な答弁でありますが、なぜ痴漢を含めと、あまたある犯罪の中の一つにすぎないような扱いの答弁をされるのでしょうか。私は、痴漢に特化して認識を聞いています。陳情されている皆さんも、ほかの犯罪のことは述べておりません。
 この間、痴漢については、若者協議会の皆さんをはじめ、若い人たちが声も上げて、そして、議会にも陳情したりして、社会にも働きかけて、政治の課題として取り上げられてくるようになりました。
 そして、その具体化として、生活文化スポーツ局が行った痴漢被害の実態調査があって、そして痴漢撲滅キャンペーンがあるのではないでしょうか。これは大きな前進だと思うんです。
 ですから、痴漢の取組を行っている担当部局として、痴漢に対してどうかということについて、きちんと答弁していただきたいんです。
 お聞きしたいのですけれども、改めて聞くのですけれども、痴漢をなくしていく意義についてお答えください。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 痴漢は卑劣な犯罪でございまして、痴漢撲滅プロジェクトで撲滅に向けまして取り組んでいるところでございます。

○とや委員 痴漢は卑劣な犯罪なんですよね。だから、痴漢がなくなるということは、みんなが安心して暮らせる社会を実現できるということだと思うんです。ここをしっかり認識していただきたいと思います。
 痴漢加害が起きる背景には、根強い男性優位社会があると思います。痴漢は、男性やノンバイナリーの方々もターゲットになりますが、特に女性を被害者とする性犯罪の多さは、女性の尊厳や人格を否定し、癒やすことのできない深い傷を負わせることがあり、卑劣な性暴力であることの社会的な認識がまだまだ足りないのかなと思っています。
 五月の学習会の講師として招かれた原田隆之氏は、その著書「痴漢外来」で、相手の心情を顧みず、自らの欲求の赴くままに女性の性的自由や性的自己決定権を踏みにじる行為に及ぶのは、その背景に、女性を物や記号のように見る心理があると述べています。加害者には認知のゆがみがあるわけです。
 そして、社会全体にも、いまだ痴漢を軽視する傾向があって、被害者にも落ち度があるとか、あるいは減るものじゃないとか、こうした発言を皆さんも聞いたことがあると思います。
 痴漢加害をなくしていくということは、被害者、女性にだけ対策を求めるのではなく、加害者の認知のゆがみを正し、ジェンダー平等の社会をつくっていくことにつながると思います。被害者に焦点を当ててきた取組の強化と同時に、加害者をなくしていく取組が重要です。
 そこで伺いますが、先ほどもありましたが、東京都は、二〇二〇年から、犯罪に関する悩みを抱える者やその家族、または関係者を対象に相談窓口を設置しているということですが、これまでに痴漢を行った者、また、その家族、関係者からの相談は何件あったのか、実績を伺います。二〇二〇年から。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 犯罪お悩み相談では、痴漢に関する相談は、令和二年度は三件、令和三年度は一件、令和四年度はゼロ件、令和五年度は一件でございます。

○とや委員 二〇二〇年から四年間実施してきて、この件数です。先ほどもご答弁にあった、今年は五百四十二件という数字が出ていますので、かなり少ないんじゃないかと思うんですね。
 なぜ少ないのか、その要因について分析していますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 犯罪お悩みなんでも相談では、犯罪行為をしてしまうご本人やその家族、関係者の方などを対象に、あらゆる犯罪に関する相談を電話とメールで受け付けております。ホームページですとかチラシで周知を行っているところでございます。

○とや委員 つまり、分析はしていないんですよ。なぜこんなに痴漢の加害だとか性犯罪に対しての相談が少ないのか、分析をしていないんですよね。
 痴漢加害をなくすことは、痴漢をなくしていく一番の予防だと思います。この相談窓口は、都として加害者に焦点を当てた唯一の取組であり、まず、強化が求められていると思います。
 この相談窓口のお知らせは、今もおっしゃいましたけれども、ホームページへの掲載以外ではどのようなところで行っているのか、伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都のホームページで案内しているほか、ポスターやチラシなどを都内の区市町村、保護司会、民生児童委員、地域包括支援センター、中学、高等学校等に配布し、周知しております。

○とや委員 どの程度の規模で配布しているのか、今答えられますか。大体何枚ぐらい印刷しているのか、答えられますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 十一万枚配布してございます。

○とや委員 十一万枚じゃ、少ないんじゃないでしょうか。一千四百万人も人口があるこの大東京で、十一万枚はあまりにも少な過ぎると思います。私の地元でも見たことがありません。
 相談実績から考えて、各種相談先も、痴漢加害に対する認識が、これだと薄れてしまうと考えられます。区市町村にも、保護司会や民生児童委員にも、痴漢加害の相談が、この犯罪お悩み相談の中に痴漢加害の相談が含まれているということをきちんと周知していただくことを求めておきます。
 そして、この犯罪お悩み相談のチラシですけれども、痴漢についての記載がありません。痴漢の加害でも相談できるということが分かるように掲載するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 犯罪お悩みなんでも相談では、犯罪行為をしてしまうご本人やその家族、関係者の方などを対象に、あらゆる犯罪に関する相談を電話とメールで受け付けております。
 チラシには、万引き、暴力などの犯罪行為として相談の多かった犯罪を例示として示していますが、これに限られるものではございません。

○とや委員 そういう、とんちんかんな答弁をしないでいただきたいんです。
 迷惑防止条例で一番多い犯罪は何ですか。令和四年ですけれども、二二年ですけれども、警視庁の統計によると、迷惑防止条例犯罪違反で検挙された人数は一千九百七十四人、そのうち卑わい行為で検挙された人数は一千五百二十九人でした。この検挙は、あくまで検挙ですから、氷山の一角です。日常的に痴漢加害が起きているわけですよ、毎日毎日。それをやっぱり、きちんと認識していただきたいんです。
 相談が少ないから例示しないのではなくて、痴漢相談と書かないから相談が来ないんじゃないでしょうか。はっきり書かなければ、相談も増えません。事実から逃げないでいただきたいと思います。
 ホームページを見ますと、こう書いてあります。都は、犯罪お悩みなんでも相談窓口を設置し、万引きや暴力、痴漢などの犯罪行為をしてしまうご本人やそのご家族、関係者の方などを対象に、あらゆる犯罪に関する相談を電話とメールで受け付けます、社会福祉士や精神保健福祉士がお話を丁寧にお聞きすることで、本人の状況や生活環境等を的確に把握し、福祉など適切な支援につなげますと、こう書いてあるわけです。ホームページに掲載してチラシに書かないというのは、あまりにも消極的ではないかと思います。
 福岡県では、二〇一九年二月、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例を制定しました。再犯防止計画にも性犯罪を位置づけています。
 性暴力加害者相談窓口というチラシをつくって、性に関する相談には、あなた一人だけでは解決が難しく、治療や支援が必要な場合があります、あなたが性暴力の加害者にならずに、社会の中でよりよく生きていけるよう、私たちがあなたをサポートしますと呼びかけております。
 支援の流れも示してあるわけで、加害者や家族が相談後のことをイメージしやすく、相談してみようという気持ちになれるものなんです。
 相談窓口の実績を聞きました。二〇二〇年五月から二三年、この間の相談件数は三百四十件なんですよ。性加害の相談、三百四十件。そのうち更生プログラムの実施件数は百六十五件です。こうした事例もあるんだから、参考にしながら、まずはチラシぐらい検討していただきたいと思います。
 同時に、実効ある取組が求められております。犯罪お悩みなんでも相談のチラシにも、相談者に合った支援につなぐと案内されております。
 痴漢の場合は、どういう支援先につないでいるのか、また、相談者に合った支援につなぐ場合、有料の支援なのか、お答えください。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 犯罪お悩みなんでも相談におきましては、痴漢に限らず、専門の相談員が必要な助言を行うほか、専門の相談窓口を紹介するなどの支援を行っております。必要があれば、有料の機関を紹介することもございます。

○とや委員 また痴漢に限らずと出てくるんですけれども、この相談窓口は、あらかじめ聞いたところによると、NPOだとか、精神保健福祉センターとか、少年センターにもつないでいるということですよね。こういうところ、精神保健センターとか公的な施設というのは、基本的に無料だと思います。そういうところも含めてきちんと紹介し、ここの答弁でも、きちんといっていただきたいと思います。改めて求めておきます。
 今、私、福岡県の例を紹介しましたが、再犯防止専門プログラムの実施や社会復帰のための生活自立支援、問題行動を是正するための専門医療機関等の紹介などを行っています。相談窓口は県の直営で、精神保健福祉士一人と臨床心理士二人を契約し、三人体制で行っていて、更生プログラムは、刑事訴訟のスーパーバイザーの方に有識者として参加していただいてつくっているそうです。
 再犯率の高い痴漢加害ですが、斉藤章佳氏や原田隆之氏によれば、痴漢犯罪を犯しても、多くが何のプログラムも受けないまま出所することが多いそうです。罰は受けても、本人への専門的な心理教育や再犯防止に向けての指導が全くされないまま社会に戻されていく。これが性犯罪の再犯を後押しする一因となっているそうです。
 痴漢を繰り返す自分から全く変わることなく、トリガーだらけの社会に戻される。そうなれば、痴漢加害はなくなりません。
 都として、相談からもう一歩踏み込んで、主体的に痴漢加害の取組へ踏み出すことを求めておきます。
 再犯防止に取り組む上で重要なのは、痴漢の実態を知ることと同時に、加害者のこともよく知ることが重要です。若者協議会の皆さん、なぜ加害者は加害行為に及んでいるのか、どうしたら加害行為をやめるのか、加害者に対する調査が十分行われていない、こうした声も届いております。
 相談活動や関係団体との連携を通じて、加害者の意識あるいは加害行動について、都として認識を深めることは重要だと考えますが、いかがですか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都は、都内の痴漢被害の実態等を把握し、施策の参考とするために、痴漢被害の実態把握調査を実施しております。

○とや委員 痴漢被害のことを聞いたんじゃないんですよ。痴漢の加害者のことを聞いたんです。加害行為について、都として認識を深めることは重要ではないかと聞きました。
 お答えいただけますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 繰り返しになりますが、都は、都内の痴漢被害の実態等を把握し、施策の参考とするために、痴漢被害の実態把握調査を実施しております。

○とや委員 痴漢被害の実態調査は大事です。痴漢被害について、よくよく研究することも大事です。だけれども、加害者について、きちんと東京都としても認識を深めることは、もっと大事じゃないんですか。同じぐらい大事だと私は思います。
 痴漢撲滅キャンペーンもやっているけれども、同時に、痴漢を生まないためにどうするかということを考えれば、加害をなくすという視点からのアプローチも欠かせないわけです。加害者に対する実態調査も必要だと思います。ぜひ加害者に対しての認識も深めていただいて、加害者に対する実態調査も検討していただきたいと求めておきます。
 今年度の予算で痴漢被害実態調査の経費が約二百万円計上されていますが、いつからどのような調査を行っていますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 令和六年度の痴漢被害実態把握調査の内容につきましては、昨年度実施した調査の経年変化を確認することを基本として、有識者等の意見も聞きながら検討いたしました。
 調査は、八月にウェブで実施し、現在、結果を取りまとめております。

○とや委員 前年度に続いて、被害の実態を追いかけるということです。私、これ自体、重要な調査だと思っています。ぜひ定期的に実施をしていただくよう求めておきたいと思います。
 同時に、これまで性暴力、痴漢といえば、先ほどもいいましたけれども、痴漢に焦点を当てて、痴漢に遭わないためにどうするかとか、痴漢に遭ったときの対策はとか、そういう視点で痴漢対策が考えられてきたわけですが、痴漢実態調査では、被害者の深刻な実態が明らかになると同時に、本気で痴漢をなくしていくには、加害者にも視点を移して再犯防止に取り組むことの重要性も、この調査自体でも浮き彫りになっているわけです。
 痴漢行為を行った加害者は、逮捕されて終わりではありません。二度と繰り返すことのないよう、窓口相談の拡充、再犯防止プログラムの実施など都として取り組むことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 私からも伺いますが、かなりいろいろな論点がもう出されておりますので、少しまとめながら、半ば意見にもなりながら、一問だけお伺いするような形で質疑をさせていただければと思います。
 まず、都がいうところの再犯防止の取組ということで犯罪お悩みなんでも相談ということで、ご説明も先ほどいただきましたし、一方では、その中の痴漢に関するものというのは極めて少ないということも、この質疑で明らかとなったところでございます。
 すなわち、少なくとも、都が再犯防止の取組だといっているこの悩み相談で、痴漢の加害に関わるという相談者の方が、例えば、そうした再犯防止のプログラムにつながるということはほとんどないわけですよね。だって、四年間で五件しかないんですから。もちろん、つながっている例があるかもしれませんよ。でも、少なくとも、それが有効な入り口になっていないということは、今、今日の質疑で明らかとなったのかなと思っています。
 一方で、これは鶏と卵みたいなところもあると思っていまして、さきの委員からもありましたように、いわゆるこうした痴漢加害者側に対するプログラムの提供であるとか、そういった社会的なリソース自体が、そもそも足りていないというところがあります。それは、例えば行政なり、民間もそうかもしれませんけれども、そうした認識がまだ広がっていない、だからそこにつながらない、であるから効果が出ないというような、じゃ、どこで変えていくのかというと、私はやはり、東京都がせっかくこういった痴漢撲滅のプロジェクトを立ち上げて、皆様、本当に頑張ってやっていらっしゃると思います。なので、そうしたところで、こうした本陳情に挙げられているような加害者への取組というものをやはり強めていくということは、非常に重要な視点であると思っています。
 そう考えたときに、社会的な認識の不足というのは、やはりネックになると思います。本陳情でも、願意のところに、加害者に対する長期間の支援という言葉が出ておりますけれども、恐らく、今これは、世間に出たときにどこまで理解されるかというと、私はやはり、まだまだこれがすぐに受け入れられる土壌は出ていないと思っています。
 もちろん、痴漢は紛れもない犯罪でありますし、決して許されてはならないと思っていますが、一方で、そうした痴漢加害に対して、さきの委員からも指摘がありましたけれども、じゃ、どういう人が痴漢をして、どういう思考の回路で、メカニズムで痴漢加害に至っているのか、そこの理解が進んでいかないと、恐らく、対策がもっともっと進んでいくことはないと思うんですよね。ですので、さきも指摘がありましたように、都がしっかりとそこを認識していただいて取組を進めていくことが重要であると思っています。
 痴漢は、性的依存症のプログラムという話も出てきましたけれども、性的依存症というと、ああ、なるほどねと思われるかもしれませんが、じゃ、性的依存って、どういうことなんですかということについて、恐らく、まだまだ社会的な理解が広がっていないと思います。
 それは、すなわち、性的な欲求に基づくだけのものではない様々な、例えば、誰もが日常的に抱えるようなストレスの、いわゆるストレスに対する対処、コーピングといいますけれども、その発露が、決して許されない痴漢という犯罪行為になっていると。そこには加害者側の深刻な認知のゆがみがあるということですから、そこを是正していかなければいけないということ。痴漢は病気であるというと、まだ語弊があると受け止められるかもしれませんが、少なくとも、そうした認識を広めていくことは極めて重要であると私は思っています。
 専門家からも、痴漢は学習された行動であり、新たな学習ないしは治療教育で止めることが可能というようなことは指摘をされているわけでありますし、だからこそ、今陳情書にも書かれておりますけれども、国による受刑者に対する性犯罪再犯防止指導であるとか、もしくは、保護観察所においては性犯罪者処遇プログラム、こうしたものも、いわゆる再犯防止対策として始まっているわけであります。
 そこで、この一点だけ、まず伺いますけれども、こうした一連の再犯防止の取組の有効性について、先ほども少しお話がありましたけれども、都の見解を伺わせてください。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 国では、刑事施設等で性犯罪再犯防止指導等を実施しています。
 刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析結果によりますと、性犯罪全体では再犯の抑止効果が確認されましたが、痴漢加害者を含む迷惑行為防止条例違反事犯者に対する効果的な指導の在り方につきましては検討が必要とのことでございます。

○西崎委員 今、その国の分析した文章、恐らく二〇二〇年のものかと思いますけれども、検討が必要とされているという受け止めをされているということでお答えをいただきました。
 私も、国のプログラムにもまだまだ課題はあると思っています。一番はやはり、痴漢で逮捕されて、比較的刑期が短いと。そのこともどうかと思いますが、現実として、痴漢で収容されても、懲役−−今回、言葉がこれから変わってまいりますけれども、三年未満が圧倒的に多いという中において、いわゆるこのプログラムについても、新たに施行された集中プログラムの受講者が最多となっているということです。
 今ご答弁で引用された分析の文章の同じ文章の中には、その結果の解釈に当たっては、本調査報告における分析対象者の受講時期がプログラムの移行期で発展途上にあったことを考慮する必要がある、また、集中プログラムについては、本調査報告において比較対照群が設定できていないこともあり、効果検証については、検証方法も含め、今後の課題であると、このように同じ文章内で書かれているところでございます。
 すなわち、まだ、これをもって−−もちろん、国も今、様々検討が必要といっていることはありますけれども、やはり都としても、それは同時に、これだけ都が今、ある意味で率先してやっていただいているので、これはやはり検討を進めていただきたいと思っています。
 一番は、こうしたいわゆる性犯罪再犯防止指導等のプログラム、いわゆる性的依存症を改善していくという、このプログラムの中心になっているのは認知行動療法と呼ばれるものでありますけれども、ここには、長期的に継続することが重要であるという、こういったエビデンスがある一方で、これを長期的にわたって実施をする取組というものがあまりに少ないというのが大きな課題であると思います。
 国の性犯罪再犯防止指導も、刑務所の中で最長九か月のプログラムということでありますから、九か月が長期かどうかということはありますけれども、少なくとも、例えば社会に出たときに、その後も支援を受け続けられる枠組みというのは、今、公的機関としてはほとんどないわけですよね。
 なので、今回、陳情者の方が長期間と陳情書にわざわざお書きになっているのは、こうした背景であるからと私は推察をしております。
 そろそろ終わりにしますが、痴漢加害者への対策というのは、やはり、その加害者本人を守るためではなくて、新たな被害者を出さないための取組であると私は考えますし、もちろん、それには様々な取組が必要であると思いますし、いろいろなところで私も申し上げておりますが、例えば、国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づく包括的性教育、これも進めていかなければならないと思っています。
 一般論で、犯罪は、被害者の問題じゃなくて、やっぱり加害者の問題ですよね。じゃ、痴漢は本当にそう思われているかというのが、さきの委員からも指摘のあったところかと思います。
 都の実態調査も、男女ともに被害があるということは出ていますけれども、やっぱり圧倒的に女性が被害者、男性が加害者という数字になっているわけです。もちろん、今、この時代ですから、男女で二つに割るような話ではありませんが、今ちょっと簡略化して申し上げると、そういう実態があるわけです。
 ここまで、この陳情に対して女性三人が今、続いていまして、私で男性は初めてですけれども、これやっぱり、痴漢は男性の問題として捉えなきゃいけないと思うんですよ。
 そうしたことからも、これまで、せっかく東京都は痴漢撲滅といってプロジェクトを進めてきていただいているわけでありますから、この陳情が提起する視点からも対策を講じていただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 私からも、この陳情について質問をさせていただきます。
 先ほど、とや理事から、陳情の要望内容であります第一と第二の要望について質疑がありましたので、私からは、第三の要望に関わって、加害者の更生プログラム等を実施する専門機関へつなぐことへの重要性について伺っていきたいと思います。
 まず、痴漢の再犯を防止する取組のこの重要性や効果についてですが、先ほどのご答弁で、痴漢も含めて犯罪の繰り返しをなくしていく再犯防止の取組は重要という認識でした。
 もう一点、伺いますけれども、痴漢は同じ加害者が繰り返す、つまり再犯率が高い犯罪だという認識はありますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 平成二十七年版の犯罪白書によりますと、性犯罪者の類型別で、痴漢につきまして再犯率が高いという一つのデータがございます。

○斉藤委員 二〇一五年版の法務省の犯罪白書のことでお答えをいただきました。(勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務発言を求む)質問していませんが。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 平成二十七年版の犯罪白書でございます。

○斉藤委員 つまり二〇一五年版の法務省の犯罪白書、そこから再犯率が高いというデータが示されていると。まさにそのとおりでして、痴漢の再犯率は、このときの犯罪白書によりますと三六・七%と、性犯罪の中でも高いということが示されています。
 毎日の通勤や通学に使う電車の中での被害が多く、最も身近な性犯罪でありながら、これまで軽視されてきた中で、加害行為が野放しになってきたという背景があります。
 陳情の提出者であります、この若者協議会の皆さんは、五月に都議会で勉強会を開いています。先ほども言及がありましたけれども、性犯罪の加害者に対する治療を行う、公認心理師、臨床心理士で認知行動療法に基づいた性犯罪者治療を日本に導入した第一人者である筑波大学教授の原田隆之先生を講師としてお招きした勉強会で、我が会派のほかにも、超党派の議員の皆さん、そして、この生活文化スポーツ局の担当の課長さん方も参加されているというふうに思います。
 この場で、原田先生は、繰り返される性犯罪等アディクション、つまり依存症と捉えて、刑罰だけでなく治療を行うことが大切だというふうにおっしゃっています。
 原田先生が都内で行っている通称痴漢外来では、痴漢の加害者に共通する認知のゆがみ、これを正して行動変容を促していくプログラムによって、三〇%台といわれているこの痴漢の再犯率を三%まで抑えているということです。
 痴漢をなくすためには、こうした加害者への対策が重要だという認識は、都も共有されていますでしょうか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 現在、国において、刑事施設等で性犯罪再犯防止指導等を実施しており、その分析結果によりますと、痴漢加害者を含む迷惑行為防止条例違反事犯者に対する効果的な指導の在り方につきましては検討が必要とのことでございます。

○斉藤委員 今まで繰り返されている答弁でお答えが来ましたけれども、この加害者への対策が重要だということは、皆さん方がまとめている、昨年−−今年も引き続きやっているということですけれども、痴漢被害実態把握調査、この中でも示していますよね。
 都は、痴漢撲滅プロジェクトの中で、この実態調査の報告書の中で、予防に関する今後の施策例として、加害者再犯防止プログラムの普及というものをここに掲載しています。これは本当に重要なことだというふうに思っています。
 しかし、そうしたプログラムについて、原田先生からは重要な指摘がありました。国では、刑事施設において性犯罪再犯防止プログラムを行っているけれども、刑期が短い痴漢ではプログラムが受けられないという現状があるというお話でした。
 そもそも痴漢は、不起訴や罰金刑だけで終わることが多く、刑事施設でのプログラムはほとんど受けられていないというのが現状です。
 このことを、都はどのように受け止めていますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 国における取組の話と考えております。

○斉藤委員 ちょっと、今のは本当に驚くべき答弁だと思います。国における取組の話ということで、本当に他人事のような答弁なんですけれども、こうした手の届いていないところにこそ、東京都がやれることがあるということなんじゃないですかね。そういう意味で、本当に有効な、有意義な勉強会だったんじゃないかというふうに思うんです。
 この都議会で開かれた勉強会で、都に無関係な話を先生はされたわけではないと思います。こうした対策から漏れている部分に対して、都としてどういう施策ができるのか、少なくとも、皆さんがまとめた痴漢被害の実態調査の報告書にも、加害者再犯防止プログラムをこの施策例として示しているわけですから、都ができることを真面目に考えていただきたいというふうに思います。
 この間も述べてきたように、都民の声、特に若い皆さんからの声と都議会での議論を受けて、都は、昨年度から痴漢撲滅プロジェクトに踏み出して、この実態調査を行っています。
 調査に当たっては、やはり痴漢の加害者への再犯防止の実践を行っている斉藤章佳先生や、被害者の支援を行っている齋藤梓先生を有識者会議のメンバーとしてお招きをして、都も、その知見を深めてきたのではないかというふうに思います。
 昨年の七月には、毎年開かれている安全・安心まちづくり協議会で、「身近な性犯罪・性暴力、痴漢をなくすために 加害者臨床の現場から考える」というテーマで、臨床に関わってきた斉藤章佳先生からの講演が行われています。
 この中で、まさに竹迫生活安全担当局長、参加されておりまして、痴漢について、基本的には依存症であって、何らかの治療をしなくちゃいけないというような一連の流れじゃないと、痴漢をする人自体が減っていかないということかという質問をされております。
 斉藤先生からは、専門治療につながるような仕組みをどうつくることができるのかが課題であることや、早期発見、早期治療をどう実践していくか、実現していくか、システムとか制度を変えていく必要があるという考えを示されています。
 重要な視点だというふうに思いますが、どう認識していますか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 現在、国において、刑事施設等で性犯罪再犯防止指導等を実施しており、その分析結果によりますと、痴漢加害者を含む迷惑行為防止条例違反事犯者に対する効果的な指導の在り方につきましては検討が必要とのことでございます。

○斉藤委員 私、国のことを聞いたんじゃないんですね。東京都で開いた、この安全・安心まちづくり、ここで局長自身が、これ、重要な質問だと思います。とても重要な視点での質問だと思います。これに対して、斉藤先生から回答がされているわけですね。これは、しっかり都の話としてちゃんと受け止めて今後に生かしていかなきゃいけないというふうに思うんです。
 迷惑行為防止条例違反事犯者、つまり都の条例違反に当たる痴漢の加害者に対する指導の在り方については検討が必要ということで、ご答弁で繰り返されているんですけれども、二〇二〇年三月に示されたという、その分析結果というのを私も拝見をしました。
 この中で、迷惑防止条例違反事犯者においては、指導効果については統計的な裏づけは得られなかったという注意書きがありましたが、この分析は、刑事施設、つまり刑務所内で行った再犯防止プログラムの効果についての分析なんです。
 先ほど申し上げたように、都道府県の条例違反者、つまり痴漢の加害者は、刑務所に入ったとしても、刑期が短く、そして国のプログラムが受けられないか、あるいは、受けたとしても、回数などが十分ではないから、統計がそもそも取れないということなんじゃないでしょうか。
 そのことを、あたかも加害者の更生プログラムの効果は分からないとして否定するようなことは、私は間違っているんじゃないかというふうに思うんです。現に、都が知見を伺ってきた斉藤章佳先生や原田隆之先生は、その効果があるということを実証しているわけです。
 しかも、国は、その後の二〇二三年五月に、都道府県向けに再犯防止プログラムの活用のための性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドラインというのを出しています。この中には、刑事施設には入所にはならない不起訴や罰金刑の方を含めて、地方公共団体で支援やプログラムが行えることが示されています。罰金や科される刑期が短い迷惑行為防止条例違反者にも、これが求められているということは同じではないでしょうか。
 続けて伺いますけれども、先ほど来、取り上げております、都がまとめた痴漢被害実態把握調査の報告書の中で示されている予防のために必要な施策例、加害者再犯防止プログラムの普及というのを掲げています。
 この施策についてはどのように実現していくのか、また、その検討状況について伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 現在、国において、刑事施設等で性犯罪再犯防止指導等を実施しており、その分析結果によりますと、痴漢加害者を含む迷惑行為防止条例違反事犯者に対する効果的な指導の在り方につきましては検討が必要とのことでございます。
 都としては、国の状況を注視してまいります。

○斉藤委員 先ほどから、ずっと同じ答弁を繰り返されているわけなんですけれども、また国の話ということでご答弁ですが、しかし、ほかの府県では独自に取組を進めているところがあります。
 実際に、刑事施設での性犯罪再犯防止プログラムが受けられない痴漢の加害者を対象に、大阪府では再犯防止のための制度をつくっています。
 大阪府では、痴漢や盗撮などは再犯率が高いという認識の下、起訴猶予や罰金刑だけで終わってしまうような痴漢や盗撮など犯罪行為で悩んでいる人を対象に、心理カウンセリング制度をつくって、その中で、認知のゆがみを正したり、行動変容を促す、こういう支援を行っています。
 先ほど、とや理事からも取り上げましたけれども、福岡県でも、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例、これをつくって、性犯罪の再犯を防止するための専門的な指導プログラムをやっているという状況なんです。
 都としても、こうした先進事例に倣っていくということはできるというふうに思うんですが、これ、私、質問したいと思ったんですけれども、ちょっと聞き方を変えたいと思います。同じ質問だと、繰り返されても困るんでね。
 東京都としても、こうした他県の先進事例に学んでいくということはできるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 国の取組につきましては、国の分析結果が出ておりまして、こうした国の状況を注視してまいります。

○斉藤委員 私、今、国のことは何も聞いていないんですよね。実際に、独自に、この大阪や福岡のように対策を進めている例があるわけです。
 先ほどもいったように、国は、二〇二三年五月に都道府県に対して、取組ができるように地域ガイドラインというのを出しているんですね。
 この大阪府の取組について、私、大阪府の担当の方にお話を伺いました。大阪府では、二〇一二年に子どもを性犯罪から守る条例をつくり、性犯罪の実刑を受けて刑期を終えて社会復帰する人への支援、いわゆる出口支援というのを行ってきました。その刑期を終えた方々ですね、そういう支援を受ける人の三割から四割の人が、実は、実刑を受ける前に痴漢や盗撮を行っていたということが分かったということなんです。
 つまり、不起訴や罰金で終わってしまうような痴漢などの段階で再犯防止の対策ができていれば、その時点で食い止められるというふうに考えて、大阪府は、この実刑を受けていない人への対策、いわゆる入り口支援というものを昨年度から始めているそうです。
 電話の相談には、痴漢行為で悩んで、泣きながら電話をかけてくる家族や本人もいるそうです。それだけ、悩みながらもやめることができない、依存性が高い、そういうものだと思います。そういう苦しみを抱えている人がいるということです。
 相談の実績数については非公表ということでしたけれども、昨年度は十名程度の見込みで始めて、プログラムを受けた人からは好評だったということで、今年度は二十名を見込んで取組をしているということです。
 痴漢の被害が多い満員電車が常態化している東京都こそ、こうした国の地域ガイドラインを生かすのでもいいと思いますし、他県の取組のようにこの対策を行っていく、痴漢の加害者が再犯防止のプログラムを受けられるような取組、こういうのをやっていくべきだというふうに思います。
 まだまだ痴漢などの性犯罪に対する再犯防止のプログラムが浸透していないこの日本では、その実践ができる機関や専門のカウンセラーなどの人材が少ないということがいわれています。痴漢の再犯防止のための対策ができるリソースや人材をどう増やしていくのか、これも有識者と相談するべきだというふうに思います。
 都の実態調査に有識者として関わってきた斉藤章佳先生の著書にもありましたけれども、専門のリソースや人材が少ないという課題はあるけれども、公認心理師や社会福祉士が一定の研修を受ければ、痴漢などの性犯罪の再犯防止に対応できるようになるということも述べておられました。ぜひ、専門家、有識者の方々の知見を伺いながら取組を進めていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、要望ですけれども、都は、昨年度末、つまり今年の三月に第二次再犯防止推進計画を策定しました。私たちは以前から求めてきましたが、この中で痴漢対策が盛り込まれたということは、非常に貴重な前進だというふうに思っています。
 しかしながら、再犯防止のために重要な加害者プログラムについては位置づけがありません。次の計画の際には、それまでに取組を深めながら加害者プログラムを位置づけていただくことを求めておきます。
 最後に、都の基本的な姿勢について伺います。
 加害者への対策について、今後に向けての具体的な施策や検討内容というのは言及がなかったのですけれども、少なくとも都は、先ほど来いっていますように、この痴漢被害実態把握調査の報告書の中で、予防の段階、予防のフェーズにおいて加害者再犯防止プログラムの普及というものを施策例として掲げています。
 今回の陳情で求められていることは、痴漢の再犯防止のために都が実態調査の報告で示している方向性と一致するものだというふうに思いますけれども、見解を伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 報告書にございます再犯防止策につきましては、有識者の提言を記載したものでございます。

○斉藤委員 何か自分たちがつくったものじゃないみたいな答弁なんですけれども、私、本当にそういう答弁は許されないと思うんですね。有識者の提言を記載したものだと。これ、東京都の責任でつくっているものではありませんか。
 有識者の提言を記載というんですが、先ほどから繰り返し取り上げているここは、有識者の提言だということは、どこにも書いていません。有識者の提言というのは、その後ろに載っています。そう書いていないところに、これを書いているのは東京都じゃないですか。
 やはり、皆さん自身がやっている調査、有識者の皆さんからの意見を伺いながらまとめたものだと思いますけれども、これ、きちんと責任を持って、東京都の施策のための調査だということ、責任を持って取り組んでいっていただきたいというふうに思うんです。
 日本若者協議会の皆さんが要望していることは、その方向性の中で実現可能な具体的な施策だというふうに思います。ぜひ実施していただくことを求めて、質問を終わります。ありがとうございます。

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、陳情六第二八号は趣旨採択と決定いたしました。

○藤井委員長 次に、陳情六第二九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○馬神都民安全推進部長 陳情六第二九号、生活保護受給者が自転車損害賠償保険等に無料で加入できる制度の創設に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 資料第4号、陳情審査説明表の二ページをご覧ください。
 本陳情は、練馬区、小松凜太さんから提出されたものでございます。
 要旨でございますが、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 都において、生活保護受給者が自転車損害賠償保険等に無料で加入できる制度をつくっていただきたい。
 以上でございます。
 現在の状況でございますが、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例におきましては、自転車利用者に対し、対人賠償事故に備えるため、自転車損害賠償保険等への加入を義務づけております。
 その保険料等について、生活保護受給世帯においては、生活保護費から支出することが可能でございます。
 なお、通学や通勤に自転車を利用する必要があると所管の福祉事務所が認めた場合には、国の通知に基づき、別途、保険料の支給等が認められております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○とや委員 陳情六第二九号、生活保護受給者の自転車損害賠償保険等の加入について意見を申し上げます。
 この陳情の願意は、東京都として、生活保護受給者が自転車損害賠償保険等に無料で加入できる制度をつくってほしいというものであります。
 この間、生活保護制度の改悪によって、支給額は引下げが強行されてきました。二〇一三年から一五年、生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てられる生活扶助費の基準引下げを段階的に実施し、削減幅は平均六・五%で、世帯構成や地域によっては最大一〇%がカットされました。総額六百七十億円の削減額は、過去最大規模でありました。
 生活保護受給者世帯の暮らしは、ますます厳しくなって、憲法二十五条、健康で文化的な生活を送る権利が侵害されている状況であります。
 こうした中、昨今の自転車事故の増加を踏まえて、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が制定され、自転車利用者に対し、対人賠償事故に備えるため、自転車損害賠償保険等への加入が義務づけられております。
 生活保護制度における運用は、通学に使用する自転車のヘルメット代や保険料は、中学生については教育扶助、高校生は生業扶助の実費として認められております。また、通勤の場合は、就労の必要経費として控除することができます。
 しかし、自転車の利用は、通勤通学だけでなく、通院や買物など多岐であり、その境界自体を定めることは困難です。
 東京都が生活保護受給者の生活実態に鑑み、保険料が新たに負担増となることのないよう実施することが望ましいと考え、陳情は趣旨採択と主張して終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第二九号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○藤井委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○浜教育長 令和六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、条例案についてでございます。
 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外二件でございます。
 次に、契約案についてでございます。
 都立北多摩地区特別支援学校(仮称)(六)新築工事でございます。
 以上が教育庁関係の提出予定案件の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○岩野総務部長 それでは、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明いたします。
 資料第一号、令和六年第三回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 提出予定の条例案は三件でございます。
 一ページをご覧ください。東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二ページの新旧対照表をご覧ください。児童手当法の改正に伴い、特別区、市、瑞穂町、日の出町、檜原村及び奥多摩町が処理する児童手当の認定及び支給事務に係る規定を整備するものでございます。
 施行日は、公布の日でございます。
 三ページをご覧ください。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 五ページの新旧対照表をご覧ください。刑法の改正により、懲役及び禁錮が廃止され、これらに代えて拘禁刑が創設されることに伴い、規定の整備を行うものでございます。
 施行日は、令和七年六月一日でございます。
 七ページをご覧ください。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
 八ページの新旧対照表をご覧ください。都立高校改革推進計画・新実施計画に基づき、東京都立立川緑高等学校を設置するものでございます。
 施行日は、公布の日でございます。
 次に、契約案についてご説明いたします。
 資料第二号、令和六年第三回都議会定例会議案(契約)の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
 一ページをご覧ください。都立北多摩地区特別支援学校(仮称)(六)新築工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は八十二億五千万円、契約の相手方は、群馬県太田市飯田町千五百四十七番地、関東建設工業株式会社でございます。
 工期は、契約確定の日の翌日から令和九年二月二十六日まででございます。
 三ページから七ページにかけまして、案内図、配置案、各階平面図を、八ページに契約議案の概要を記載しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。−−なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○藤井委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○猪倉高校改革推進担当部長 それでは、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)につきましてご説明をさせていただきます。
 資料第3号、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)(概要版)をご覧いただければと存じます。
 都立高校におけるチャレンジサポートプランの策定の背景と目的でございますが、東京都教育委員会では、東京都教育ビジョン(第五次)におきまして、誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実を施策の柱の一つに設定するとともに、令和六年三月に策定した都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム令和六年更新版におきまして具体的な施策を取りまとめるなど、困難を抱える生徒に対する支援にも取り組んでまいりました。
 現在、都立高校におきまして、困難を抱える生徒は増加傾向にございまして、ニーズも多様化しております。また、困難を抱える生徒が多く在籍する一部の学校では、受入れ環境の改善が必要なことに加え、困難を抱える生徒に対する支援策の実施に当たりましては、関係者により、様々な側面から連携して取り組む必要がございます。
 このような状況を踏まえ、困難を抱える生徒に対する支援の取組を総合的に進め、都立高校における多様な生徒たちの学びや成長を支える学習教育環境の充実を図ることを目的に、都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)を策定することといたしました。
 困難を抱える生徒の現状についてご説明をさせていただきます。
 都立高校におきましては、不登校経験のある生徒や中途退学を経験した生徒、日本語指導が必要な生徒、発達障害の可能性がある生徒など、困難を抱える生徒が増加しており、それぞれの生徒に対して適切な支援を行っていく必要がございます。
 また、そうした生徒は、特に定時制課程において相対的に多く在籍しておりますが、一部の定時制課程の学校では、生徒の希望やニーズに応え切れていない課題が生じております。
 二ページ目、次ページをご覧いただければと存じます。こうした現状を踏まえまして、本プランでは、三つの柱で取組を進めてまいります。
 まず一番目は、生徒が相談できる体制の充実でございます。
 具体的な取組といたしまして、都立高校において、不登校経験や家庭環境の問題などを相談できる体制の充実や、教室以外に生徒の居場所をつくる校内居場所カフェの取組、ヤングケアラーに関する教職員等の理解の促進などを進めてまいります。
 次に、二番目といたしまして、生徒の事情や悩みに応じた適切な支援でございます。
 具体的には、生徒の学び直しのための学習環境の用意、日本語能力が入門レベルの新入生等のための日本語講座の実施、発達障害等のある生徒の就労支援の取組などを進めてまいります。
 そして、三番目として、困難を抱える生徒の受入れ環境の充実でございます。
 具体的には、多様な生徒に幅広く対応できる新たなタイプの学校の開校、不登校経験のある生徒等に適切な環境を用意しているチャレンジスクールの拡大、極端な小規模化により学習環境に課題の生じている一部の夜間定時制課程の募集停止など、学校の再編を進めます。さらに、外国につながる生徒の増加への対応や、多様な生徒の実情に対応した入学者選抜の在り方についても検討を進めてまいります。
 本プランの計画期間は、令和七年度から令和九年度でございます。
 以上、概要についてご説明いたしましたが、本プラン案の詳細につきましては、資料第4号が本文となりますので、ご覧いただければと存じます。
 本プランにつきましては、パブリックコメントを八月二十二日から九月二十日まで実施しており、都民の皆様からご意見を募集しております。
 説明は以上でございます。

○藤井委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。−−なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○藤井委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願六第四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○信岡グローバル人材育成部長 請願六第四号、中学校英語スピーキングテスト結果の令和七年度都立高校入試への活用中止に関する請願についてご説明申し上げます。
 資料第5、文教委員会付託請願審査説明表の一ページをお開き願います。
 本請願は、千代田区の都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会代表、池田真澄さん外三千百名から提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、都において、中学校英語スピーキングテスト結果の令和七年度の都立高校入試への活用を中止していただきたいというものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、令和四年度及び令和五年度に実施したESAT-Jについて、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。
 ESAT-Jは、学ぶ意欲の向上と指導の改善を目的としており、一、二年生は、在籍する中学校の教室等で実施しております。一方、三年生は、より集中した環境で受験できるよう、外部会場で、教室や机の位置を工夫するなど配慮して実施しております。
 大勢が一斉に発語するスピーキングテストの性質上、周りの声が聞こえることはあり得ますが、試験は適切に実施されております。
 受験した中学三年生に対して、今後の学習に役立つよう、必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度などの観点別の評価結果を記載した資料を提供しております。
 また、採点に用いた音声データは、他の受験者の音声等が含まれており、個人情報保護の観点から、本人の音声のみを抽出した音声データを、今後のスピーキング力の向上に活用することを目的として提供しております。
 スピーキングテストにおける不受験者の措置は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などに対し、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものであります。こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的な最善の方策であります。
 個人情報については、法令等に従って適切に取り扱っております。
 なお、受験の申込みに当たっては、保護者にご理解いただけるよう、学校を通じて丁寧に説明をし、保護者の同意を得ております。
 中学校の英語の授業においては、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど、英語を使ったコミュニケーションを図る様々な学習形態を工夫しているほか、ICT機器の活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流を実施するなど、様々な効果的な指導を主体的に行っております。
 これらの指導の充実とその学習成果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸ばすことにつながることから、引き続きスピーキングテストの実施に取り組んでまいります。
 都立高校入試においては、話すことを含めた英語の四技能の学習成果を測るため、引き続き、その結果を活用してまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○龍円委員 中学校英語スピーキングテストについて、私は、特にスペシャルニーズ、特別な配慮を必要とする受験者への配慮について、この委員会で質疑を続けてまいりました。
 今年の二月の文教委員会では、合理的配慮を提供する特別会場の数を増やすとともに、特別支援教育を専門とする都教委の職員を派遣して、実施状況の把握とともに、生徒への支援も行ったことを確認させていただきました。
 また、これらの合理的配慮の提供に関する案内の名前が、特別な措置に関する案内という表現になっていたことから、もう少し合理的配慮を受ける側の気持ちに沿った表現にしていただきたいという旨の要望をさせていただいておりましたが、今年度は、受験上の配慮に関する案内と、より分かりやすく、そして配慮のある表現にしていただいているのをホームページで確認させていただきました。
 また、この案内書を、今年度は英語スピーキングテストのホームページのトップにリンクを張っていただきましたことにより、昨年よりは格段に見つけやすくなりました。
 小さなことなんですけれども、丁寧に改善に取り組んでいることを評価いたします。
 さて、このスピーキングテストは、今年度で三年目になりました。
 昨年度や一昨年度の実施状況を踏まえて、今年度、さらにどのような改善を行うのか、お伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 多様な受験生に配慮し、今年度から、問題に白黒のイラストや平仮名のルビつきを適用いたしました。これにより、色覚特性のある生徒や日本語指導が必要な生徒が受験上の配慮申請をする必要がなくなりました。
 また、その他の受験上の配慮申請について、生徒、保護者が教員と十分に相談をしながら、余裕を持って申請できるよう、昨年度より期間を延長いたしました。
 全ての生徒が安心して試験を受けることができるようにいたしました。
 さらに、試験結果返却後の中学校の事務作業の時間をより十分に確保するため、中学校や生徒、保護者がポータルサイトで自身の試験結果を確認できる時期を、昨年度よりさらに早める予定でございます。
 ヘッドセットについては、気密性を高めた一体的な機種に改良することで、装着時の違和感を少なくするとともに、ホワイトノイズとして自然音を流して、周囲の音声をより聞こえにくくする処理を行います。
 今後も引き続き、教室の配置や座席の間隔等に配慮して会場を設定するなど、必要な改善を行い、試験を着実に実施してまいります。

○龍円委員 今年度から、一律に日本語の設問へのルビをつけて、そして、イラストは白黒にしたというのは、非常によい取組だと思います。つまり、一部のニーズのある人への個別の合理的配慮ではなくて、一律に全ての方に対して、より分かりやすい表現にして伝えるということは、情報保障という観点から考えても、非常に重要な考え方だというふうに認識しております。
 また、実施状況を丁寧に分析して改善していることをうかがい知ることができました。引き続き、今年度についても同様の取組を進めてください。
 さて、ESAT-J YEAR3の申込みの開始当初に、返信メールの遅延や、それに伴い、コールセンターにつながらないといった事例があったというふうに伺っております。
 こちらについては、どのようなものだったのかということと、どう解消したのかについてお伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 今回の事態について、保護者や中学生、さらに学校の関係者等、多くの方々にご不便、ご心配をおかけし、大変申し訳ないと考えております。改めておわび申し上げます。
 当該事象の原因は、開始直後に申込みが集中し、一部のメールにおいてセキュリティシステムが作動し、返却遅延を招いたことによるものでございます。把握後、速やかに都教委のホームページやXで状況を周知するとともに、セキュリティ上の必要な対応を行いまして、短期間で復旧いたしました。
 コールセンターについては、当初、問合せが集中した際に、一部窓口がつながりにくい時間帯がございました。これを受け、速やかに相談窓口の回線等の増強に加えて、メールでの受付を開始したほか、東京都教育委員会においても、九名体制の臨時窓口を開設するなどの対応を行いました。多くの保護者のご理解、ご協力を得まして、その後の申込みは順調に進んでおります。
 引き続き、登録システムの使いやすさの向上を図り、円滑な試験実施に向け、事業者とも連携し、着実に準備を進めてまいります。

○龍円委員 募集開始直後に、返信が遅延するなどの状況が発生したものの、短期間で復旧して、相談窓口を増設するなどの対応に当たったということが確認できました。
 引き続き改善に努めていただいて、十一月の試験に向けて、しっかりと取り組んでいただきますよう要望いたしまして、質問を終えます。ありがとうございました。

○かまた委員 それでは、私からも質問をさせていただきます。
 未来を生きる子供たちに身につけさせたい力は何かと問われましたら、それは、単にテストで点数を取る学力だけではなくて、様々な言語、様々な価値観を持つ人々とコミュニケーションを取る力とか、また、今後の社会で起きる様々な課題について解決していく力とか、また、予想外の出来事に遭遇しても乗り越えていく力など、生きる力を身につけてほしいと願いますし、また、そのような考え方を背景に、学力に対する考え方は大きく変わってきております。
 しかしながら、どうしても受験や試験で問われる学力は暗記中心の知識が必要とされることが多く、そうなると、現場の教員が必死になって進める授業も、いかに知識を与えるか、知識を記憶させるかに偏ってしまいます。
 私自身も、教員の方々と何度か、せっかく学力に対する考え方が変わっているのに受験が変わらないから、結局、知識中心の学力が重んじられてしまうねとか、教育改革、授業改革を本気で進めるには受験を変えるしかないねと論じ合ったことがありますけれども、それほど子供に身につけさせる力と受験で問われる力はリンクをしてしまうものでありますし、子供たちに身につけさせたい力をどう育むのかを本気で考えるならば、そういう教育者であるならば、必ず、この受験改革については議論することになります。
 だからこそ、都の教育委員会が、この英語スピーキングテストの結果を都立高校の入試に活用すると伺ったときは、都は本気で子供たちの英語力を、使い、生かす英語力に変えようとしているんだ、また、都の教育委員会は、強い意思を持ってこの英語力改革に挑んだのだと、私は歓迎した一人でありました。
 そこで、改めて確認をさせていただきます。中学三年生を対象としましたESAT-J YEAR3は、二年間の実施を重ね、今年度から、英語教育において世界中で実績のあるブリティッシュ・カウンシルと共に実施をすると聞いております。
 そこで、結果を効果的に活用し、学習や指導にどのように生かしていくのか、お伺いをいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 東京都教育委員会は、小中高校における一貫した英語教育の推進により、生徒の使える英語力の育成を目指しており、ESAT-Jは、その取組の一つとして実施しております。
 本試験では、受験者のそれぞれの解答において、相手の求めていることに答えられているかといったコミュニケーションの達成度など、英語を使ってできることを積極的に評価しております。
 昨年度からYEAR1、YEAR2を実施しておりますが、試験後に返却した個人レポートに、一人一人の結果に応じた学習方法や、スピーキングテストの特設ページで学習できる教材を案内し、三年間を通じた継続的な学習につなげております。
 さらに、今年度のYEAR3から、これまでの全体での評価に加え、新たに各パートの評価を記載した個人レポートを生徒に返却し、生徒一人一人の学習改善に一層つなげることができるようになります。
 また、評価を学校や区市町村教育委員会にも提供することで、生徒の達成度を詳細に把握することが可能となり、各学校での指導改善により生かしてまいります。
 これらにより、英語をツールとして使いこなすことができる力の育成を強力に推進してまいります。

○かまた委員 ぜひ今後も、子供たちが英語をツールとして使いこなすまでの力を身につけさせていただきますよう進めていただきたいと思います。
 また、その上で、本テストを進めるに当たりましては、実際に現場で授業や事務作業等に取り組む学校現場の先生方、また、不安を抱く生徒や保護者の方々の声を直接聞く努力を、より一層続けてほしいと思います。
 既に、様々な手法で意見を聞いてくださっているという状況も分かってはおりますけれども、本テストをさらによりよいものにしていくために、直接、これまで以上に現場の先生方、また実施に携わる先生方の生の声を聞いていくなど、努力を続けていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 請願について質問させていただきます。
 事業者がブリティッシュ・カウンシルに変更になって、昨年度はYEAR1、YEAR2が行われました。今年度は、十一月に中学三年生のESAT-J YEAR3が実施される予定です。このYEAR3をめぐって、保護者、生徒、学校現場に予想を上回る混乱が生じています。
 手続の最初から、登録システムの不備、不具合が続出しています。今日は、その内容を伺っていきたいと思います。
 先ほども質問がありましたが、改めて質問させていただきます。
 中学三年生ESAT-J YEAR3を受験するためには、ネット上に保護者がマイページを作成し、登録、生徒アカウントを作成する、そして受験申込みを完了しなければなりません。インターネット上での登録作業に慣れていない人、パソコンやスマホを持っていない人、インターネット上で使う場合、メールアドレスがないなど、家庭によっては、かなりハードルの高いものとなっています。
 私も、保護者、生徒用のマニュアルを拝見し、動画も見ました。本当に全員が登録、申込みまでできるだろうかと懸念をしています。実際、まだ終わっていないという話もあります。
 保護者アカウントの作成をするには、ブリカンのポータルサイトへアクセスをして、自分のアドレスを入力し、ワンタイムパスワードを発行してもらうんですが、ここで、事業者からパスワードを知らせるメールが届くはずが届かない。それが先ほどの話ですが、こういう方がたくさんいらっしゃいました。
 そこでお聞きします。中学三年生ESAT-J YEAR3の受験申込みの際、Gメール利用者に事業者からのメールが届かない事態が起きていますが、何件ですか。また、原因と対応についてお答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 開始直後に申込みが集中し、一部のメールにおいてセキュリティシステムが作動し、返信遅延を招いたことによるものでございます。把握後、速やかに東京都教育委員会のホームページやXで状況を周知するとともに、セキュリティ上の必要な対応を行い、短期間で復旧いたしました。
 本件については、原因が特定されており、既に解決済みであることから、具体的な件数の把握は必要ないと考えております。

○とや委員 件数の把握は必要ないと。驚きの答弁です。
 最初の段階から、保護者や生徒が不安になったり、学校も困っていたわけです。
 都教委にも聞き取りを行ったところ、Gメールを自分のアドレスとして利用している保護者には全部届かなかったようで、東京都はブリティッシュ・カウンシルに原因究明を求めたということでありました。そして、その原因は、今おっしゃったとおりです。
 登録手続が始まれば、事業者から保護者に対してメールを大量に出すことになります。一か所から大量のメールを発送する場合、スパムメールなどではなく、正しいメールであることの認証を取る必要があるそうです。やっていなかったということですよね。
 つまり、一斉に大量のメールが事業者から保護者に届くようなことは想定していなかったということですか。お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しになりますけれども、把握後、速やかに東京都教育委員会のホームページやXで状況を周知するとともに、セキュリティ上の必要な対応を行って短期間で修復しました。
 本件については、想定はしておりましたが、原因が特定されており、既に解決済みであることから、今後も十分に業者と連携して対応してまいります。

○とや委員 今、想定していたといいましたよね。想定していたのに、事業者から対策が取られていなかったということなんでしょうか。ちょっと答弁が変なんですよね。
 要するに、こういうことは、経験がないからこんなことになっているのか、それとも、いっておいたのに事業者がやらなかったのか。どちらにしても、事業者も東京都も、非常に怠慢であると。そして、東京都の監督責任が問われる事態だと思います。
 それだけではありません。次に起きたのが生徒のアカウントの二重登録です。これにも驚きました。
 二重登録は何件生じていますか。その原因と、発見した場合、どのような対応をしたのか、お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 登録に当たって、昨年度の登録データとのひもづけだけではなく、新たに登録を行ったため、二重に登録されてしまったケースもあったことは承知しておりますが、事業者において、確認できたものから順次修正するとともに、登録の手続をより分かりやすく説明するようにいたしております。
 事業者が順次適切に対応しているため、これらの件数については集計しておりません。

○とや委員 ちょっと答弁が分かりにくいので、改めて申し上げますが、保護者は、自分のアカウント作成の後、生徒のページをつくるのですが、去年、YEAR2を受けた生徒は、そのときの成績とひもづけできるように、YEAR2を受けたときの個人レポートに二次元コードと専用ポータル用照合コードが与えられていて、それを入力する必要があるんです。受けていない人、転校してきた人は、新規での申込みになるそうです。
 しかし、自分の子供が去年受けたかどうか、忘れちゃっている人だっているわけですよ。新規の登録をしてからひもづけするのかもしれないと、二回やってしまうという人もいます。あるいは、生徒アカウントの作成にも、一度、事業者からのメールを受け取る必要があるわけですが、メールがなかなか来ないから、新規でまた登録してしまうと。いろいろな原因で二重登録が発生しています。
 ある学校の先生は、うちの学校は、二重登録した子は二十人から三十人いますよ、こんなふうにおっしゃっていました。
 学校は、都教委に問い合わせたら、保護者から事業者に削除依頼をしてもらう必要があるといわれるので、当初、二重登録していた生徒には、その旨を伝える作業もしていたそうです。しかし、あまりにも多く発生し、学校の負担も重いため、途中から、保護者の依頼がなくても事業者が削除することにしたということです。
 こうやって、ころころ方針が変わるので、学校にまた負担をかけているんですよ。本当に困っているという声が届いています。
 これだけ保護者や学校に迷惑をかけているのに、事業者が順次対応とか、件数は集約していないというのは、これはちょっと、あまりにも不誠実じゃないでしょうか。
 問題が起きたら、事業者は都教委に報告する義務があるはずです。そして、報告があっても公表しないのは、秘密主義であり、問題を隠す行為であり、許されるものではありません。
 保護者や学校や教員に謝罪しましたか。お答えください。

○藤井委員長 よろしいですか。

○信岡グローバル人材育成部長 事務連絡を出しまして、取扱いについては周知をするとともに、おわびをしているところでございます。

○とや委員 謝ってもらっていないという声が届いていますよ。
 まだ不可解なことがあります。Q&Aにも記載されていますが、ポータルサイトに登録する際、必要事項を全て記入しても、八九%とか出てしまった例もあります。
 この原因と対応についてお答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 開始当初に、全ての記入項目に対する記入済みの割合を示しておりましたが、登録者の属性によりましては、登録する必要がない項目がございました。
 そのため、速やかに、誤解を招かないよう登録画面を改めました。

○とや委員 速やかに改めたと今おっしゃいましたが、Q&Aを見ると、修正したのは七月二十九日です。登録が始まってから、二十日近くもたっています。
 登録者の属性によっては、登録する必要がない項目があったということですが、聞きましたら、ミドルネームの記載をする項目だそうです。外国籍の生徒などのためだと思いますが、日本人は、ミドルネームを持っている人はほぼいません。ですから、最初からミドルネームを入力していても、する必要があっても、しなくても、ほかの項目が完了していれば一〇〇%ですと、そういうシステムにしなければいけなかったんです。なぜ、このような初歩的なミスが起きるのか、訳が分かりません。
 また逆に、写真や国番号を入力しない状態で受験申込みができてしまうので、入力不十分なのに、申込完了したつもりでいる生徒が多数いるそうです。だから、現場が混乱してしまうんです。
 システムのミスは、まだまだあります。ポータルサイトに登録した後、アカウントを確認すると、何組というところには中学三と出ます。出席番号のところは三万とか五桁の数字になっているなど、入力したはずの文字と違う数字とか文字が出てくるらしいのですが、なぜでしょうか。
 どう対応したのか、教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 昨年度の登録データとひもづけした登録手続を行った場合は、昨年度のコード番号等が表示されることがございましたが、現在は解消しております。

○とや委員 現在は解消していればいいんですか。そのとき困っているんですよ、子供たちは、保護者は。先生も知らない番号が入っていることで、何でなのか疑問を持つでしょう、普通は。
 そして、解消される前に、多くの生徒が、結局やり直しを強いられているわけです。ある学校では、半分ぐらいの生徒がやり直しになったそうです。何度もやり直ししなければならない現象も起きているそうです。
 必要のない昨年度のコード番号が出席番号の部分に記載されていた。組を入れるべきところに中三と入っていたんですよね。マニュアルにも、ただし書にも、そんなことは書いてありません。登録のための動画にも説明はありません。
 なぜ、必要のない番号、文字があらかじめ入っているのか、入れておいたのか、その理由を教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 昨年度のコード番号を入力したものでございます。現在は解消しております。

○とや委員 なぜ、そんなものを入れておいたのかと聞いているんですよ。システムをつくるときに、普通、新しくYEAR3を受験する子に、必要のない数字だとか項目を入れておくというのは、混乱のもとになるはずなんです。それすら想定していなかった。何か、本当につくり方がずさんなんじゃないかといわざるを得ません。
 私、ここまで述べてきたトラブル、これは一部です。本当に保護者も生徒も学校も、もうてんやわんやですよ。
 そのために、保護者と学校のヘルプデスクが一時パンク状態で、電話しても出てももらえない。適切な対応とはいえない状況があったと聞いています。回線は幾つ用意したのでしょうか。
 今年度のブリティッシュ・カウンシルが受けたときの募集要項を見ますと、月千件に対応できるようにと記載されていますが、今回の事態を受けて、プラス何件に対応できるようにしたのか、都庁の職員は何人体制で対応したのか、お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 コールセンターについては、当初、問合せが集中した際に、一部窓口がつながりにくい時間帯がございました。
 これを受けまして、速やかに相談窓口の回線等の増強に加えてメールでの受付を開始したほか、東京都教育委員会においても臨時窓口を開設するなどの対応を行いました。東京都教育委員会の臨時窓口は、九名体制で実施いたしました。
 なお、事業者の実施、運営に関する事項につきましては、公表することを差し控えさせていただきます。

○とや委員 私、何回線なのかと聞いて、答えていただけなかったのですけれども、じゃ、件数も教えてほしいということで、あらかじめお聞きしたけれども、件数も教えていただけないと。何かおかしいですよ、それって。
 ある教員からは、電話相談窓口では申込マニュアル以外のことは分からないといわれたそうです。申込みの不具合に対しても対応できていないということです。そのため、教員は残業を強いられ、へとへとになってしまう。毎日八時頃まで、ESAT-Jの対応のみで残業した先生もいらっしゃいます。
 しかも、窓口は有料のナビダイヤルでかけなければならないので、保護者の負担は本当に大きいです。何分も待たされるから。
 これだけの不備があっても、苦情や問合せの件数もいえない。先ほど、謝罪した、通知を出したといいましたけれども、私がもらっている範囲の通知には、そんなこと全然書いてありませんから。あまりにも傲慢な態度ではないかと、厳しく指摘をしておきたいと思います。
 それだけではありません。事業者の事業の実施の資格にも関わる問題が起きています。個人情報の問題です。
 ESAT-Jは、生徒の個人情報を扱う、非常に慎重さを求められるテストです。民間事業者を活用することで、保護者の不安も一層募るわけです。それで、ベネッセのときは保護者同意を取らずに実施されたことで、裁判にもなっているわけです。だから、細心の注意を払わなければいけない、そういうテストなんです。
 ところが、生徒の個人情報が、ほかの学校のサイトに表示される事態が起きました。何件ですか。その原因と、どのような対応をしているのか、お答えください。その場合、どのように修正したのかもお答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 保護者がESAT-Jの受験申込みをした際に中学校名の選択に誤りがあった場合に、誤って登録された学校に当該生徒の情報が表示されるという事例があったことについては承知しておりますが、事業者が順次対応しているため、件数については集計しておりません。
 登録に関して疑義があった場合には、学校から区市町村教育委員会やスピーキングテスト中学校専用窓口等に報告し、適切に対応しております。

○とや委員 守秘義務の学校の教員が見た場合のところ、お答えいただいていますか。−−じゃ、いいですよ、だったら。
 見るのは学校の教員です。そういうふうにいっていらっしゃる。たとえ公務員であっても、本来必要のない個人情報を収集したり、閲覧可能な状態にしてはいけないのは、個人情報保護の基本です。なぜ、このようなことが起きたのか。
 登録サイトでは、学校名を入れる項目に、都内六百校の中学校全てが一斉にプルダウンで並んでいるような表示の仕方だそうです。しかも、一中、二中、三中、四中と、順に並んでいません。例えば、一中の次は四中とか表示されているわけです。保護者は、子供の学校を探すのに一苦労だったと聞いています。
 また、パソコンがない家庭では、自分の小さい画面のスマホでの作業となります。入力ミスを起こしやすいんですよ。
 さらに、生徒の個人情報がほかの学校に流れたことで行う修正作業は、とても大変です。自分の学校の生徒以外の名前を発見した学校は区市町村教育委員会に連絡をして、区市町村教育委員会は生徒の本来の在籍校を探して学校に伝え、保護者に連絡をしてもらいます。保護者から事業者に訂正を申請し、事業者が修正をする作業をすることになります。
 同じ自治体の生徒でない場合は、区市町村教育委員会も分かりませんので、都教委に連絡が行って、事業者に連絡をして、事業者から保護者に連絡が行くという仕組みで修正がされていると聞きました。
 あらかじめ、学校を間違えると、違う学校に生徒の個人情報が行ってしまうよとか、だから気をつけてくださいとか、学校名を入力することがどういう意味を持つのか、説明はしていたのでしょうか。お答えいただけますか。

○信岡グローバル人材育成部長 ESAT-Jの受験申込みをした際に、中学校の選択を誤った事例については掌握しております。
 登録を誤ることのないよう、保護者に対しては、リーフレット、登録手順等を分かりやすく解説した動画をESAT-J専用ポータルサイト及び都教委のホームページに掲載し、適切な登録を促しております。
 また、ご指摘の操作方法はプルダウンで選ぶ方法と思われますが、中学校の校名や地区等の名称を検索する方法もございます。

○とや委員 私が聞いたのは、私も動画を見ているんですよ。マニュアルも全部読みました。隅から隅まで読みました。だけれども、あらかじめ、学校名を間違えると、違う学校に生徒の情報が、自分の情報が行ってしまいますよとか、あるいは、学校名を入力するということがどういう意味を持つのか、説明なんかしていないんじゃないですか。していないでしょう。
 学校名を間違えると、ほかの学校にあなたの情報は行ってしまいますよ、あなたのお子さんの情報は、ほかの学校に表示されてしまいますよと、そういう説明はありましたか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しになりますが、中学校名の選択に誤りがあった場合に、誤って登録された学校に該当生徒の情報が表示されたという事例については承知しております。
 登録に疑義があった場合には、学校から区市町村教育委員会やスピーキングテスト中学校専用窓口に報告し、適切に対応しております。

○とや委員 そういう記載もないし、説明もないし、動画でも流れてこないんです。個人情報を扱うということがどういうことなのか、本当に自覚していないんじゃないかといわざるを得ないですよ。
 第三者に流れたら取り返しのつかないことになるということが、あなた方は分かっていないんじゃないですか。保護者にとって、自分の子供の個人情報が知らないところに流れてしまうということがどういう意味を持つのか、しっかりと説明をしなければ駄目なんです。そうやって保護者のせいにするようなやり方を取ってはいけないんですよ。本当に何ていうかな、真剣にこのテストを−−絶対やるんだといっていますけれども、ちょっと信じられないことをやっているんですよ。
 それで、じゃ、情報が漏えいしたとき、どういう対処をすることになっていますか。契約上、どうなっていますか。お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会と事業者は、協定等で役割分担を定めながら中学校英語スピーキングテスト事業を進めており、個人情報の取得と管理に関する業務については、協定等に基づく事業者の役割として、法令等に従って適切に取り扱っております。
 また、基本協定その二、第十九条第三項において、一方の当事者が本条に基づく義務に違反したこと、または関連するデータ保護の法令の不遵守に起因する範囲において、他方の当事者が受けた、被った、もしくは負担した、他方の当事者に対して裁定された、または他方の当事者が支払いに同意した一切の損失について、他方の当事者に補償するものとするとされております。

○とや委員 事業者は、協定二で個人情報漏えいに関する約束をしています、東京都とね。事業者と協力会社もそうですね。事業者が情報漏えいすれば、システム作成のために支払った費用だとか、保護者への損害賠償も生じるでしょう。それだけ重要な情報を取り扱っているということなんです。契約だから、一応書いておきましょうというものではないんです。
 生徒一人一人の情報は、事業者のものでも、学校のものでもありません。そのことの自覚が足りないのではないかといわざるを得ません。
 大体、先ほど疑義が生じた場合といいましたが、保護者が間違ったようなことをいっているんですけれども、この登録システムには、情報を入力した後、登録前に確認する画面ってあるんですか。教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 今後も、事業者と連携協力して改善充実に努めてまいります。

○とや委員 改善充実に努めるのは当たり前なんですけれども、登録しますよね、私、全部やっていますから知っているんですけれども、登録した後、普通は、例えばインターネットで買物とかをしたときにも、最後はこれでいいですかと画面が出てくるんですよ。ところが、それはないでしょう。最後、確認できないんですよ。完了しちゃうの。そうでしょう。教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 登録するに当たっては、マニュアル等に手順を示し、内容を案内しておりますが、システムの使いやすさについては、生徒、保護者が迷うことなく手続を進めることができるよう、引き続き、事業者と連携して取り組んでまいります。

○とや委員 要するに、本当に不備だらけなんですよ。普通に簡単な買物をするときにでも、住所と電話番号と自分の名前を間違えないようにちゃんと見てくださいねと画面が出てくるのに、それすら出てこない。
 私、ここでお聞きしたいのですけれども、システムをつくる業者、そして、ブリカン、事業者、都教委の皆さんの不備としかいいようがないのですけれども、いかがでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、登録するに当たっては、マニュアル等に手順を示し、案内しておりますけれども、システムの使いやすさについては、生徒、保護者、皆様が迷うことがなく手続を進めることができるよう、引き続き、事業者と連携して取り組んでまいります。

○とや委員 それができていないから、こんなに混乱しているんじゃないですか。一体、保護者とか、生徒とか、学校の先生たちを何だと思っているんですか。
 ポータルサイトのシステム作成の協力会社はどこですか。教えてください。
 また、ブリティッシュ・カウンシルは、いつ、何回、何人でこのシステムを確認したのでしょうか、点検したのでしょうか。都教委は、いつ、何回、何人でこのシステムを点検しましたか。それともしなかったのか。教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者の実施、運営に関する事項については、公表することを差し控えさせていただきます。
 東京都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルで、ポータルサイトに関する点検など進行管理を適切に行っております。
 都教育委員会は、引き続き、事業者と連携しまして準備を進めてまいります。

○とや委員 大量の不具合やシステムのミスを起こして、誰が何回点検したのかもいえないということは、ろくに点検していないということではないでしょうか。
 協力会社の技術は、求められる水準に達していないのではありませんか。七月十一日から始まった登録について、Q&Aは、何度も修正、追加されていますよ。こんなの、初めてです。
 ブリティッシュ・カウンシルと協力会社は、個人登録のシステムをつくるノウハウや実績を持っているのでしょうか。八万人規模の、今回のような一日でテストをやらなきゃいけない受験者を登録するシステムを構築してきた経験はあるのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 ブリティッシュ・カウンシルは、世界で年間三百万人以上が受験する、世界的な英語の資格、検定試験を実施しております。
 八万人を対象とするESAT-Jの実施、運営を円滑に行い、申込みから結果の返却までを適切に実施することが可能であると認識しております。

○とや委員 世界で三百万人が受験する英語の資格、検定試験を実施しているということです。そのような事業者が、なぜ、このようなミスや不具合を起こすのでしょうか。あまりにもミスの内容もお粗末で、基本的なこともスムーズにいかないではありませんか。それで保護者とか生徒を不安に陥れ、そして困らせて、学校も大変な思いをさせているんですよ。
 八万人規模で登録作業が可能となる、必要となるシステムの構築をしてきた業績、実績もあるというのであれば、どこの国の何という試験で、何人の登録申込みを一度にするテストなのか、具体的に教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、ブリティッシュ・カウンシルは、世界で年間三百万人以上が受験する、世界的な英語の資格、検定試験を実施しております。
 八万人を対象とするESAT-Jの実施、運営を円滑に行い、申込みから結果の返却までを適切に実施することが可能であると認識しております。

○とや委員 だから、そういう実績があるというのであれば、どこの国の何という試験で、何人の登録申込みができるのか、それをどこでやったのか、テスト名も含めて教えてほしいんですよ。どこですか。何というテストですか。教えてください。−−委員長、ちょっと時間を止めてくれないと、私、時間がなくなっちゃうんですけれども。

○信岡グローバル人材育成部長 具体的な内容については、試験、運営に関わる事項でございまして、答弁を控えさせていただきます。

○とや委員 どこの会社のホームページにも、こういう試験をやってきましたよとか書いてあるじゃないですか。
 そういうふうにおっしゃるんだったらいいますけれども、英語検定協会のホームページを見ますと、ブリティッシュ・カウンシルと英語検定協会は、二〇一〇年からIELTSを共同で運営しているとあります。そして、世界で三百万人が受験しているとありました。ご答弁と全く同じことが書いてありました。
 要するに、三百万人といっても、受験者の管理は各国の代理組織にさせて、ブリカン自身がそうしたノウハウがあるのか、極めて難しいといわざるを得ないです。
 本当に慎重さを必要とされる、間違いを起こしてはならないテストに活用できるだけの技術を持ち合わせていないのに、見切り発車をすることで様々なトラブルや混乱が起きているということを、都教委としても認識すべきではないでしょうか。
 このテストは、トラブルが起きて終わりではないんですよ。学校現場にも、本当に多大な負担になっています。
 そこでお聞きしますが、登録から試験実施まで、教員はどのような業務を行うのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 受験に関する資料の受領、生徒への配布、受験申込みなどの手続、中学校管理者アカウントの作成等について、中学校の教員の協力を得ております。

○とや委員 今、協力を得ているとお答えになりましたが、協力ではなく強制です。教育基本法違反です。
 このテストを実施するために、私が把握しているだけでも、都教委から区市町村教育委員会、学校への通達は十八回に及んでいます。そして、先生の負担は、前回の委員会でもたくさん述べさせていただきましたが、さらにシステムがお粗末なために、かえって保護者と学校に負担が増えてしまっているんです。都教委のテストの不備の尻拭いをさせられているのではないかと、怒りの声がたくさん寄せられています。
 教員から声がたくさん来ていますので、紹介します。
 登録申込みに関することがとにかく大変です、写真や組番号を入力しない状態で受験申込みができてしまうので、入力不十分なのに申込みが完了したつもりでいる生徒が多数いる、顔写真がうまく貼れず、後からバージョンアップしたなど後手後手の対応が多い、そのことはブリカンから周知もしてくれない、アカウント作成時に、パスワード登録のための返答メールに時間がかかって、すぐに登録ができないため、登録作業が進まない、結局、英語教科担任で確認することが多くて、保護者の対応や、英語の時間を潰してまで説明、確認作業をしなければならない、何より事業者のやり方がころころ変わってしまうと、こちらもまた一から動かなきゃいけなくなるので、業者が替わっても、受験申込みなどは、都立入試のように都で管理はできないのか。本当に悲痛な声です。
 進路指導と重なる時期に、英語科はこま数が多いので、平日に確認作業はしていくために、土日に確認することが多くなってしまう、年度末までに三年生の単元を終わらせなければいけないのに、ESAT-Jが入試に使われることで授業が潰されてしまっている、二学期の忙しい中、急な要請をされても無理です、謝罪もなく仕事が追加されていますと。このように、教員からは現場での苦労や戸惑いの声が届いています。
 子供たちのために何とかしなければと、残業や土日出勤までしてESAT-Jの登録申込みの作業の支援を学校はしているんですよ。教員の働き方改革の観点からも問題があるのではないでしょうか。お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 東京都教育委員会は、日頃から区市町村教育委員会や各学校と連携して取組を進めておりまして、スピーキングテストについても、中学校教員の協力を得ながら進めております。

○とや委員 今、私が幾つも幾つも先生たちの声を述べたのですが、その声は本当に聞こえていますか。教育長、聞こえていますか。こちらを見ることはないけれども。
 働き方改革の観点から問題があるんじゃないかといっているのに、そこに正面からお答えにならないと。本当に何をやっているんだといいたくなっちゃう。
 事業者の対応についても、批判が寄せられているんですよ。こちらも紹介します。
 電話窓口では申込マニュアル以外のことは分からないといい、申込みの不具合に対して対応できていない、受験申請の書類の書き方など、はっきり例として書かれていない、YEAR2からのひもづけの意味がない、登録された情報が名前くらいで、結局、登録情報の編集はしなければならない、登録に関する基準、つまり、どこまでやれば申込完了になるのか、こうした資料が八月下旬に届いた、これに限らず、保護者に伝達する時間や余裕が常にないお知らせが多い、生徒たちからブリカンのサイトについて愚痴まで届いている、そればかりか、ずさんなサイトはいいかげんにしてほしいと、保護者からも訴えが先生にあるんです。やはり登録のシステムの不備が多く、こちらの指摘で業者がやっと気づく状態です、結局、中学校がフォローするように通達が来ました。
 都教委と事業者の対応が、あまりにずさんで不備だらけなために、現場が迷惑しているんです。都としてどう受け止めますか。連携しますといわないでください。

○信岡グローバル人材育成部長 区市町村教育委員会の指導主事や教員対象の説明会をそれぞれ実施しまして、丁寧に説明を行っているところです。
 引き続き、区市町村教育委員会と連携しながら、学校の負担軽減を図ってまいります。

○とや委員 迷惑をかけていることに対して、悪いと思わないんですか。申し訳ないと思っていないんですか。さっき、謝罪しているといったけれども、謝罪していませんよね。
 もう一回、お答えいただきたいのですけれども、謝罪したんですか。学校に、保護者に、生徒に。教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 通知文を発出しまして説明しております。

○とや委員 結局、通知だけ十八回も出していて、多分、もっと出していると思います、私が知らないものも。多分、二十回以上出しているんじゃないですか。通知を出すだけで迷惑なんですよ。謝罪もしないで、通知だけ出さないでください。
 そういった教育基本法違反のテストに、都は今年度四十三億円かけます。六年間で二百十億円もかけます。
 今年度の四十三億円の内訳、特にシステムの構築、幾らかけているのか、教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 予算特別委員会要求資料でお示ししているとおり、会場費や人件費、材料の運搬など、テスト実施に関わる運営費等の分担金や管理運営事務費、広報用資料作成費等を計上しております。
 既にお示ししている以上の内容については、公表しておりません。

○とや委員 四十三億円しか公表していないのですけれども、私たちが聞いたところによると、システムの登録を含む予算、例えば会場費とか人件費とか、そういったものが含まれているんですけれども、二十三億円です。はっきりいって無駄遣いです。
 システムをつくったのは事業者の協力会社ですが、このテスト、ESAT-Jの事業主体は東京都教育委員会です。ベネッセが破綻したその反省に立って、きっぱりテストを中止すべきだったんです。それを多額の税金をかけて無理やり実施するから、矛盾が起きるんです。無理が通れば道理が引っ込むというじゃないですか。今がまさにその状況なんですよ。
 ESAT-Jは直ちに中止することを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

   午後三時五十一分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○風間委員 我々会派は、英語のスピーキング力を向上させる取組ということに関しては期待をしているし、必要だということを求めてきました。
 しかし、ESAT-Jに関しては、あまりにも問題があり過ぎるということから、都立高校への入試に反映させるのは即刻やめるべきだということを求めてきたわけであります。
 今回のこの願意は、まさにこのところでありますから、それでもなおやるというのであれば、細かく確認をさせていただくということで質問をさせていただきます。
 以前の質疑の際に、ベネッセが撤退をし、ブリティッシュ・カウンシルに替わるということで、少しばかりの期待はあると、私、申し上げましたけれども、もう既にこの受付が始まっているという状況で、先ほど、とや委員からも数々の質問がありましたように、もう既にベネッセを下回っている、ずさんな受付体制ということが明らかになりましたし、じゃ、この責任はどこにあるのかというところを、まず、受付でこれだけのトラブルが発生しているということに対して、都教育委員会の責任認識についてお伺いします。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、引き続き、事業者と連携協力して改善充実に努めてまいります。

○風間委員 そんなの、当たり前のことですよね。
 四十三億円ものお金を使って取り組む事業、そして、今年から部長が替わったということで、先ほどの答弁も、なかなかすぐに答弁がなされない。今の答弁も、引き続き連携をして取り組んでいく。責任の認識があるのかないのかということを問うているわけですが、引き続き取り組んでいく。当たり前のことをいっているにすぎないわけですね。
 そんな状態で、子供たちの人生に関わってくる都立高校入試にこのテストを反映させる。もうこの状態で、保護者は不安しかありませんね。
 一体、何でこんなことが起こったのかということを確認していきたいわけですけれども、このシステム開発をした、受付が始まったということについて、都の教育委員会として、この受付システムに関しての検査は行ったのですか。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルとで、点検などの進行管理を適切に行っております。

○風間委員 ブリティッシュ・カウンシルが行うのは当たり前のことで、発注者たる東京都の教育委員会は検査を行ったのかどうかが重要なわけですよね。任せっきりなのか、実際に−−とや委員は、ご自身でも、その登録画面が出てこないということまで確認をされている。
 じゃ、部長は、今答弁していますけれども、その画面を見たことはあるんですか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルとで、引き続き連携しまして準備を進めてまいります。

○風間委員 答えられないということは、見てもいないんでしょうね。とやさんからの質問に対してもすぐに答えられなかったということは、実際にいじったこともないのでしょうね。これが今の東京都の教育委員会の体制だということだと、こちらは認識をします。
 こういった無責任体制で行うこのESAT-J、それでもやるというんですから、不安しかありませんよね。
 YEAR1、YEAR2に関しては、ブリティッシュ・カウンシルは既に昨年行っているわけですが、YEAR3に関しては、当然、重みが異なりますから、都立高校入試に反映をさせるということなのであれば、万が一でも、こんなトラブルがあってはならないということですよね。
 都立高校の入試において、ここ何年かでも幾つか、ESAT-Jとは関係のないところでもミスがありました。合否の判定に関わるようなミスがあったりしました。
 それに対しては、東京都の教育委員会もかなり深刻に捉えているということは、こちらもやり取りをしていて受け止めていますけれども、それほどまでに大事なことですよね、高校の入試関係、関わること。
 これが、また新しい業者で今年ESAT-Jが行われる。適正に行われるのかどうか、受付段階からこれだけトラブルが起こっている。
 実際に、これ、試験をこの秋に行うということですけれども、そこでトラブルが起こらないだけの検査体制はしいているのかどうか、確認します。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、ブリティッシュ・カウンシルとで、ポータルサイトに関する点検など進行管理を適切に行っております。
 引き続き、事業者と連携し準備を進めてまいります。

○風間委員 部長、私の質問を聞いていましたか。全然、そんなこと聞いていないですよね、今。ポータルサイトの話とか、一切していないですよ。
 連携して取り組んでいくということですけれども、私は、試験の際のことを聞いているんですけれども、検査体制とかはちゃんと取られているんですか、トラブルが起こらないようなということを聞いたんです。
 もう一度伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 東京都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルで、試験の実施体制等、進行管理を適正に行っております。
 引き続き、事業者と連携しまして準備を進めてまいります。

○風間委員 じゃ、これだけのトラブルがあったということは認識しているという答弁が先ほどありました。それを通達という形で、市区町村の教育委員会に協力を得ているという答弁もありました。
 実施主体である東京都の教育委員会が、これだけの受付トラブルが発生してしまった、その要因分析はされているんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者と協力しまして原因の究明に努めており、対応しているところでございます。

○風間委員 究明をしているという言葉の意味からすれば、まだ解明できていないということもあるということですよね。
 通常、この受付のシステムなんてそんなに、八万人がいっときに集中して登録するとはいえ、システム屋からすれば、それほど大変な仕事ではないはずにもかかわらず、これだけのトラブルが発生している。
 通常であれば、これ、トラブルシュートをした上でローンチということになるわけですけれども、なぜそれができなかったのか、理由をお答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 引き続き、事業者と連携しまして改善充実に努めてまいります。

○風間委員 なぜと聞いたので、引き続き行ってまいりますでは答えになっていないんですよ。
 事前にトラブルシュートの検査は行ったのかどうかということにもお答えがない。なぜこれだけのことが起こってしまったのかということも把握ができていないということでよろしいですね。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 原因等の特定はできておりますので、引き続き、事業者と連携して改善充実に努めていきたいと思います。

○風間委員 原因等の特定はできていると。通常であれば、その原因が特定できる程度のものなのであれば、事前にシミュレートをした上で、そのトラブルシュートはした上でローンチとなるわけですよ。
 なぜそれが事前にできなかったのかということは、業者の怠慢なのか、都教委側が検査をしていなかったからなのかといったら、どちらですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、引き続き、事業者と連携しまして改善充実に努めてまいります。

○風間委員 そんなことは聞いていないんですよ。何でこんな質問をしているかといえば、原因を私たちは把握しなければ、税金を使ってやっている事業ですから、同じことを繰り返されてはならないということで、明らかにしていく必要があるので質問しているんですね。
 だから、事業者側の怠慢なのであれば、事業者に問題がありますと。それはもう明らかなんですけれども、都教委側には問題がないのかということを確認しているので、都教委側に問題はなかったのか、検査体制に問題はなかったのかということを聞いているので、引き続き連携していくだと、何も解明できないんです。
 都教委側に問題はなかったのですか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、引き続き、ブリティッシュ・カウンシルと連携して改善充実に努めてまいります。

○風間委員 本当にふざけた答弁が続きますよね。質問に答えられない、責任逃れをすると。それで責任逃れができると思っているんだとしたら、本当に都民をばかにしていますよ。
 自分たちの責任がないということを主張し続けるのであれば、これ、都の行政、特に東京都教育委員会に対する不信感というのは、さらに増していくことでしょうし、東京都教育委員会が行っているこのESAT-Jというものは、やっぱりずさんなものであって、そんなものを押しつけていくということになるわけですよね。
 これは、我々がこれまでにも問題として指摘をしてきたことですから、それを問題として認識すらしない、それを解明していこうという姿勢すら見せないということで、改めて確認をさせていただきました。今のやり取りを通じて。
 今回、様々な受付の際のトラブルにおいて、とや委員からも質問がありましたけれども、夏休み明け前後から、これから中間テストであったり、修学旅行であったりと、かなり現場の先生方も忙しい時期。そういった状況の中で、この対応に追われているという声は、私のところにも多々届いているところですけれども、これだけ現場の先生方、ただでさえ教員の多忙化が問題になり、東京都の教育委員会としても、我々、この文教委員会からの提言も含めて、かなり教員の負担軽減には取り組んできたはずですけれども、この件で相当な負荷がかかっているということに対して、東京都教育委員会は、それもやむを得ないと思っているのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、日頃から区市町村教育委員会や各学校と連携して取組を進めており、スピーキングテストについても、中学校教員の協力を得ながら進めているところでございます。

○風間委員 いや、そんなことは聞いていないんですよ、だから。負荷がかかっているということに関して、それでいいと思っているのかということを聞いているんです。
 もう一度、お答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 ESAT-Jは、東京都教育委員会が区市町村教育委員会の協力を得て実施しており、申込作業や不登校生徒の対応など、生徒一人一人に対してきめ細かい対応をしていただいていると認識しております。
 なお、事前準備においては、申込方法や受験方法に関する動画の配信や、問合せ窓口の開設、教員、生徒向けの案内冊子の配布等を行うことで、生徒の事前準備における教員の支援を最小限にする工夫をするなど、教員の負担に配慮しているところでございます。

○風間委員 当初は、配慮していろいろなことを取り組んだということは分かりましたけれども、実際には、事業者のずさんなシステムと東京都教育委員会の事前の検査を怠ったであろうことから、相当な負荷がかかっている。当初予定していたことよりも教員に負荷がかかっているということ、そして、保護者にも混乱が多々あるということが明らかになったわけです。
 これに対して、この状態でいいと思っているんですかという質問をしたわけですけれども、いいんですかね、部長。

○信岡グローバル人材育成部長 スピーキングテストは、都教育委員会が責任を持って実施する事業でございます。
 引き続き、事業者と連携して、万全の準備で取り組んでまいります。

○風間委員 いや、その責任を持ってやっていた、万全の準備をできていなかったら、こんなことになったんですよね。
 そこに対しての振り返りもなくて、実際に現場の教員に負荷がかかっていて、通常の業務にも支障を来しているという声がこれだけ届いていて、それを我々がこうして追及しているわけですけれども、それに対しての返答もないということなわけですね。あまりにも不誠実じゃないですか。
 謝罪をこれまでにもちゃんとしていないということなのであれば、まずはそういったことに対して、迷惑をかけているということ、そのことに対しての謝罪があってしかるべきなんじゃないですか。いかがですか。そういう気持ちはあるんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 事務連絡や説明会等を通しまして、対応については丁寧に説明を行っているところです。
 こういった場を通しまして、謝罪をしているところでございます。

○風間委員 そういうところで謝罪を聞いた先生もいるのかもしれません。保護者もいるのかもしれませんね。
 私たちのところに届いた声としては、そういった謝罪は受けていないという声も届くところですし、そういった方々の代弁をする形で、我々は、私はこうして問うているわけであり、まずは、その謝罪の気持ちがあるのであれば、この場できちんと謝罪をした上で、これを見ている方たちも、先生方もたくさんいるわけですから、そこの反省からスタートをしなければ、この先、都教委に対しての不信感をますます持ったまま、本番の試験に突入しなければならないという状況になってしまいます。
 そういうことから、きちんと謝罪をするべきじゃないですかということを伺っているわけですけれども、謝罪する気はありませんか。

○信岡グローバル人材育成部長 この場を借りまして、今回の事態については、保護者や中学生、さらに学校の関係者等、多くの方にご不便、ご心配をおかけし、大変申し訳ないと考えております。改めて、おわび申し上げます。

○風間委員 何事もそうだと思います。想定外のミスはあると思いますし、そういったところから反省を生かして、次に同じ失敗をしないようにというところだと思いますので、今度は、じゃ、本番に向けてどうしていくのかということについて議論を進めていきたいと思いますけれども、私が特に問題視してきたのは、都立高校の入試に不受験者の扱いということの不公平さ、このことについて問題があるから、一旦、そこが整理されるまでは、明らかになるまでは、都立高校の入試に活用するのはやめるべきだということをいってきたわけですね。
 やむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して、中学校の学習成果として作成される調査書と都教育委員会が実施する学力検査の二つの都立高校入試の選考資料のうち、都教育委員会が統一的に実施している英語学力検査の得点を基準として、テストに相当する点数を算出するとしているわけですね、都教育委員会としては。
 だけれども、私がこれまでいってきたのは、本人の英語学力検査を基に、他人のスピーキングテスト結果から想定される点数を算出しているということ自体は、テスト理論の専門家が正当性がない、でたらめであるということを主張しているわけであって、全くもってして合理的な最善方法だといえないわけですけれども、改めて伺います。
 これが合理的で最善な方法だと主張する根拠は、何なのですか。

○村西都立学校教育部長 この場でも何度もご説明していますが、まず我々の考えとして、都立高校入試においては、学習指導要領で求められているスピーキングを含めた英語の四技能の学習の成果、習得状況を測る必要がございます。
 様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試では、一律の対応ではなく、それぞれの事情、状況に応じた制度上、運用上の対応が必要となるものでございまして、不受験者の措置もその一つであると考えております。
 具体的には、不受験者の措置は、発話障害がある、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、テスト当日に事故や病気となる生徒もいらっしゃいます。そうしたやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験できなかったことに対する措置であって、これが様々な事情、状況にある都立高入試では、制度として必要な対応であると申し上げています。
 また、委員からずっと、その相関性についてのご質問が続いていますが、我々の考えは、そうした不受験者の措置がどうしても必要だという、その算出方法においても、テストの点数がないわけですから、都立高校入試における調査書と学力検査の二つの選考資料があって、調査書は、各中学校において学習の成果としてそれぞれ作成されるものであるのに対し、学力検査は、都教育委員会が統一的に実施しておりまして、その学力検査の中でも、国語や社会ではなくて、英語の得点を基準としてテストに相当する点数を算出することとしているものでございまして、その算出方法については、合理的で最善の方策だということを申し上げているということでございます。

○風間委員 とはいえ、本人の能力とは関係のないところなんですよね、スピーキング能力というところに関しては。想定の数字を入れているという段階で公平な入試制度ではないということは、これはテスト理論の専門家がいっているということは何度もいってきているわけで、その設計をした段階で、もう誤りなんですよ。全然公平じゃないんですから。その子供たちの人生がかかっているんですから。
 それが正当なんだと主張するのであれば、本人の能力から算出しているものでつくってくださいよという話なんですよ。それができていない。
 または、そのテスト理論の専門家以上に、これが合理的なんだということを都の教育委員会で勝手に決めたんですよね。もっと専門家のそういう主張があるんですか。
 あれから一年間たっていますけれども、この方法が本当に適切なんだということを分析してくれる専門家に見てもらったのですか。いかがですか。

○村西都立学校教育部長 東京都の教育委員会で決めましたけれども、教育委員は、法令に従って、教育に関し識見を有する者のうちから、議会の同意を経て、知事から任命されています。
 委員がおっしゃる、一方、テスト理論の専門家の方は、私は詳しく存じ上げませんが、いずれにしても、それぞれの識見を比較するようなお答えは、ここではいたしません。
 繰り返しになりますが、都立高校入試は、一律に全て基準を適用してやるということはできない場合が想定されます。英語の四技能を測る上では、当然、発話障害の方もいらっしゃれば、テストの当日に受験できない方もいらっしゃる。そういう方々のために不受験者の措置をやっているわけです。
 もう一つ、その正当性という議論なんですけれども、我々としては、都教育委員会が都立高校入試をきちんとこう決定しているわけですね。もちろん、このスピーキングテストの活用や不受験者の措置も含めて、入試の選抜方法については入学者選抜実施要綱に定めて、これを事前に公表した上で実施しているわけです。その意味で、公正、公平性は確保されているというふうに考えています。
 事前にルールを公表した上でやっているわけですから、そういう意味で公正は確保されていると。全ての入試というのは、そういうものであるというふうに考えております。

○風間委員 驚きますね、本当に。
 まず、都教育委員会の方々の経歴を拝見しましたけれども、テスト理論に明るそうな方というのは、経歴上では全く見えませんから、その方々が正しいといったことが制度上は通っているのかもしれませんし、東京都の教育委員会事務方の中に、そういったことに詳しい方がいるのかいないのかも知りませんけれども、決めたんだから正しいんだ、公表しているから正しいんだと。すごい論理ですよね。そういった形で子供たちの人生を左右していくんだということに、どれだけの責任感があるのか。
 部長が今答弁されましたけれども、部長がいっていることは正しいんだということになりますから、私は、子供たちに対しては、もっと冷静に、公平なのか、公正なのかということは自身で見極めるような子供たちになってもらいたいなと思いますから、この問題点については、引き続き主張してまいります。
 以上で質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上です。
 私からも、中学校英語スピーキングテスト結果の令和七年度都立高校入試への活用中止に関する請願について質問いたします。
 まず、令和五年度実施のESAT-J試験について確認をいたします。
 そもそも、同一問題の試験を異なる時間に実施するべきではありませんが、同時間に一度にできない理由は何か、改めて見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 前半、後半に分けて実施するということは、テストの運営上、必要な措置であると考えております。

○田の上委員 運営上、必要ということなんですが、細かく聞きますけれども、会場スペースの問題なのか、タブレットの台数の問題なのか、それとも、それ以外なのでしょうか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 様々な要因を勘案し、テストの運営上、必要な措置であると考えております。

○田の上委員 様々な要因ということで、詳細はお答えいただけませんでした。様々とおっしゃるからには、複数の理由があって、そうしているんだということであります。
 一番いいのは、前半、後半、分けないで実施することであり、その要因を取り除くために努力をしていただくべきだと考えます。
 先ほどから何度も出ていますけれども、私たちは、公金を使って実施している事業について質問をしていますので、理由について、要因について伺っているのに答えていただけないというのは、非常に不誠実だと思います。これでは、なかなか判断すらできないということを申し上げます。
 次に、後半実施の受験者はどこで待機をさせておいたのか、前半実施の受験者はどのような動線で退室をさせたのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 前半に試験を行う教室と後半に試験を行う教室が隣接しないようにするなど、教室配置を工夫した上で試験を実施しており、後半実施の受験者は、前半実施の受験者の試験中、教室で自習しながら待機をしております。また、前半実施の受験者は、試験終了後、教室に戻りまして、後半実施の試験が終了するまで自習し、後半終了後、退室しております。

○田の上委員 初年度は、隣の部屋で、まあ教室で試験中の声が聞こえたということがよく問題視されました。
 隣接しないようにするなど、教室の配置を工夫したという答弁でございますが、異なるフロアにしたというふうにも聞いております。
 全会場において、同じように異なるフロアにしたのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 前半に試験を行う教室と後半に試験を行う教室が隣接しないようにするなど、教室配置を工夫しており、フロアを分ける、間に空き教室を配置するなど、会場の実情に応じて対応しております。

○田の上委員 異なるフロアにしたり、また、多分、会場によって違うんだと思うんですが、間に教室を挟むなどの配置の工夫をしたということであります。
 しかしながら、テストとしては、同一問題を同一時間に実施することが当たり前でありますので、この様々な課題をクリアして同一時間に行うようにするべきだと考えます。
 さて、昨年度のテストでは、どのようなトラブルがあったと都教委は認識しているのでしょうか。そして、それは今年度の実施事業者に引き継がれるのかどうか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者及び配置した都職員からの報告などから、昨年度のテストも適切に実施されたと考えております。
 引き続き、事業者と連携して、より効果的に実施できるよう、不断の改善に取り組んでまいります。

○田の上委員 不断の改善に取り組んでいただくのはいいことなんですけれども、事業者及び配置した都職員からの報告などから、昨年度のテストも適切に実施されたと考えているというご答弁でございました。
 私は、イヤーマフがきついだとか、痛いだとか、外れたというお話であるとか、もちろん、タブレットの不具合、欠席連絡についてのトラブル、試験監督の対応など、たくさん聞いているところです。こういったことに対して、しっかりと検証していただきたいと申し上げます。
 それから、何度も訴えてきていますけれども、当事者である生徒の意見を聞いてほしいというふうに考えます。いいことも悪いことも含めて、生徒の声を吸い上げる仕組みを設けるべきだと考えます。
 改めて答弁があればお願いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認するとともに、生徒に対して、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、会場にいる試験監督や、そのほかの係員に声をかけること、また、試験中に伝えられなかった場合には、試験終了後に会場にて係員に申し出ること、さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談をし都教育委員会に連絡すること、これらを全員に配布したプリントで伝えておりまして、生徒の申出を直接聞く体制を整え、周知を行っているところでございます。

○田の上委員 これも何度も委員会での議論で出てきておりますが、直接申し出ることができない場合もあり、アンケートなど、全員が答える機会がある方がベストです。
 試験中の申出、試験後の申出、会場で申出できず、後日、都教育委員会に申し出た意見があるというふうにおっしゃっていたのですけれども、都教委の方で集計してまとめているのでしょうか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 申出がありました生徒の声については、適切に対応しております。

○田の上委員 対応というのは、お応えはしているのでしょうけれども、それについて集計とか、まとめたりしている事実はありますか。

○信岡グローバル人材育成部長 申出のあった生徒の声については、適切に対応しております。

○田の上委員 集計しているかどうかも答えられないということですね。
 先ほど、適切に実施されたというふうにおっしゃっていたので、集計はしていないのでしょうか。全く問題がなかったということなのでしょうか。答えはありますか。

○信岡グローバル人材育成部長 子供の声をちゃんと受け止めまして、適切に対応しております。

○田の上委員 お答えいただけないようであります。
 次に、結果について伺います。
 昨年度は二回目でありますけれども、一回目の実施のときにも、結果返却については出願時期と重なり、都立の推薦入試や私立の出願にはほぼ間に合わなかったというようなことがあります。
 都立の推薦出願者には、調査書記載事項証明書を二回出したという先生のお話も聞いています。進路指導のスケジュールから考えても、大変遅いです。
 結果返却日程の見直しはできないものなのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 昨年度までも、返却されたテスト結果を基に、中学校において進路指導を行う期間等も確保しております。
 試験結果返却後の中学校の事務作業の時間をより十分に確保するため、中学校や生徒、保護者がポータルサイトで自身の試験結果が確認できる期間を、昨年度よりさらに早める予定にしております。

○田の上委員 ポータルサイトで確認できる時期を早めるということなんですが、昨年度が一月十一日で、今年度は一月七日だというふうに聞いています。
 四日間ほど早くしただけでは、生徒が進路決定して出願することに影響することは変わりません。やっぱり、これは一か月単位ぐらいで早めなければ、先生の進路指導が間に合わないというふうに思います。もっと先生の声を聞いていただきたいというふうに考えます。
 YEAR1、YEAR2とアチーブメントテストを行い、スピーキングテストに慣れてくるはずですから、試験そのものの日程を前倒しすることは考えられないのでしょうか。伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 テストの日程については、区市町村教育委員会や学校等からの意見を踏まえまして、中学校三年生までの学習成果を発揮できる適切な時期として決定をしております。

○田の上委員 区市町村教育委員会や学校等からの意見を踏まえて決めているということなんですけれども、ちょっと私の方で聞こえてくる声は、そういう声ではありません。十一月の最終日曜というのは、三年生にとって、併願優遇や学校推薦を決めるために大事な日曜であるというような声も聞いています。
 学習の成果を発揮できる最適な時期というお答えでございましたけれども、アチーブメントテストだからという意味ですよね。アチーブメントテストだから、ある程度、授業が終わってからやりたいということなんだと思います。
 もしアチーブメントテストだというのであれば、入試が終わった後の二月、三月でもいいのではないかというふうに考えます。入試に活用しなければいいわけです。入試に活用するのだったら、この時期の結果返却は、どう考えても遅過ぎます。どちらかに直さなきゃいけないんじゃないですかね。
 次に、受験生に送られてきたスコアレポート、各パートで何点取れたのか、採点内容の詳細が分かりません。
 習熟度を理解するためには、採点内容を細かく記すべきではないかというような質問をしようと思っていましたが、先ほど、ほかの委員の答弁で出ていましたので、YEAR1、YEAR2での細分よりも細かく、パートごとの評価のレポート返却をするというふうに聞いていますので、どのようになるのか、注視をしてまいります。割愛します。
 次に、これまでにも質問してきましたが、この結果がどのように高校で生かされているのかということは大変重要です。
 これまでにもなかなかお答えいただけませんでしたが、高校で活用された事例について伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 全ての生徒がスピーキングテストのレポートを進学する都立高校に提出することとしております。
 各学校は、生徒の学習の到達度を客観的に把握し、習熟度別指導や授業改善に生かしているところでございます。

○田の上委員 習熟度別指導や授業改善に生かしているということで、ある程度の指標になっているという答えなのかと思いますが、具体的に、どの高校でどのように行われたのか、事例を聞いています。
 答えられるようでしたらお願いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 各都立高校においては、入学者から提出されたスコアレポートによって生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うなど、適切に活用しています。学校によっては、クラス編制を工夫したり、スコアに応じて個別指導を行ったりしているところもございます。
 生徒は、CEFRによる自分の話すことの力を理解した上で、全校で実施しておりますオンライン英会話を適切なレベルで受講するなど、英語力の向上に結びつけております。

○田の上委員 以前より細かいお答えをいただきましたけれども、どこの学校でとか、そういったことまではお答えいただけないのですか。事例を聞いているだけなので。

○信岡グローバル人材育成部長 個別の学校の内容につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。

○田の上委員 私たちは、このESAT-Jに様々な疑問を呈しています。ですので、この結果がどのように反映されているのかというのをきちんと調べていただきたいですし、それをきちんと公表していただきたいと思います。どうして、いい事例であれば答えられないのか、本当に不思議に思います。
 次に、入学者について伺います。
 今年度の都外や私立中学からの入学者はどれぐらいいるのか、都立高校についてですね、伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入学者の出身中学の区分など、在籍生徒に関わる具体的な情報提供の内容については、それぞれの学校の実情や地域の状況等に応じまして各学校が判断しております。
 入学者の出身中学に関する情報を集計し公表している学校と、集計を行っていない学校がございます。
 都教育委員会として、都立高校の入学者の出身中学等の人数については把握しておりません。

○田の上委員 いつもと同じようなお答えでありました。学校によっては、集計をしていない、集計をして公表している学校もあるということであります。
 それでは、都外や私立中学出身者を含め、仮の得点により点数付与された人数について、東京都で、その人数について伺います。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストに係る不受験者の措置を受けた者の人数等につきましては、入学者選抜を行う各高校において管理しておりますが、こうした情報は、個人の属性に関わる情報であるとともに、試験の実施、運営に関わる情報であるため、公表しないこととしております。

○田の上委員 個人の属性に関わる事項であるとともに、試験の実施、運営に関わる情報であるため、公表しないこととしているというご答弁でございました。
 確認ですけれども、都教委では、この不受験者の措置を受けた者の人数について、集計はしているけれども、公表しないということでしょうか。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、不受験者の措置を受けた者の人数について集計をしておりません。

○田の上委員 不受験者の措置を受けた者の人数について集計をしていないというご答弁でした。
 この二年間、不受験者の扱いの得点付与の不公正を私たちは指摘をしてきています。ですが、都教委では、不受験者の扱いについての問題意識が薄いというか、ないようであります。
 しかしながら、このデータすら出さないということでは議論が進みません。例えば、個別の学校の集計が無理であっても、都全体の集計であれば、個人の属性が表に出ることはないのではないでしょうか。
 改めて、不受験者の措置を受けた者の人数について集計をし、公表することを要望いたします。
 次に、今年度の申込みについてです。
 当初、学校専用サイトができている学校とできていない学校があるというふうに現場から伺っていましたけれども、七月中に全ての公立中学校で開設したということです。
 しかしながら、たくさんのトラブルについて、私も耳にしています。YEAR2を受けた生徒の個人レポートに受験用二次元コードと専用ポータル用照合コードがあり、先生から生徒に保管するようにと伝えてはありましたが、なくしてしまった、あるいは見つからない場合が多いというふうに聞きます。同じものを教員にも配布をした方がよいのではないでしょうか。
 また、YEAR2の結果とひもづけをする必要があるのかどうか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 受験用二次元コード及び専用ポータル用照合コードを確認できない場合には、学校に相談することでも確認できるよう、既に各学校に情報提供をしております。
 また、ポータルサイト上で昨年度受験したYEAR2の情報とひもづけることは、YEAR3の申込みの利便性向上や継続的な学習につなげていくという観点から必要だと考えております。

○田の上委員 実施事業者が替わったということで、初めからサイトに情報がなくて、YEAR2の情報をコードでひもづけるということなのだと思いますが、生徒の情報をひもづけしても、結果、後日掲載予定というふうな表示が出て、利用もできなかったというふうに聞いています。
 生徒や保護者の負担、また先生の負担、先ほどもお話がありましたけれども、最小限にする効率的なシステムをつくっていくべきであります。最適な仕組みについて検討していただくことを要望します。
 申込み上のトラブルについては、私もたくさん聞いております。ちょっと羅列いたします。
 中学校の先生がサイトで確認をすると、申込み状況確認と登録状況確認が合わないことがあるというふうに聞きます。先ほども二重登録の指摘がありました。
 QRコードで申込ページに入力し、六桁の番号がメールに送られ、打ち込むことになりますが、設定時間が三分しかありません。Gメールをはじめ、時間内にメールが届かないケースも多いということです。二分四十五秒たって届いたメールの場合は、十五秒で打ち込まなければいけなくなり、無理であるということでした。
 アイフォンでは、メールを開くと、最初の画面が閉じてしまうなどの障害がありました。
 ヘルプデスクもなかなかつながらない、返答に二週間かかった、全角入力になっているため、外国籍の子供のアルファベットが入力できない、名前が旧字だと、漢字が旧字だと入力できない、受験で使用する漢字との照合が、九月以降の都のホームページで発表するということだったが、教員が毎日チェックしなくてはならず、いつ発表するのか教えてほしいという声もありました。
 生徒の新規追加で入力する場合、学校名で都内全ての学校名が表示されてしまうため、まず、在住区を選択するのに時間がかかり、さらに、同地域で第一、第二というふうに順番になっている中学校名がありますけれども、ここでは規則性がなくて配置されているために、ミスが起こりやすい。例えば、私の地元の江戸川区では、小岩第一、小岩第二とか、清新第一、清新第二とかあるんですが、それが順番に並んでいないので、探すのに苦労してしまう。
 このためか分かりませんけれども、学校専用サイトに他校の生徒が入っている例があるのかもしれません。
 受験申込みの写真登録について、NG例として、証明写真の撮影、マスク着用、背景あり、だらしない服装、ポーズ、頭部が切れている等とありますが、なぜ証明写真もいけないのかというようなご意見もあります。
 こうした様々なご意見、トラブルに対してどのように対応しているのか、改善をしているのか、改めて伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 メールの遅延等、ご迷惑をおかけしたことにつきましては、おわび申し上げます。
 登録に関して疑義があった場合には、学校から区市町村教育委員会等に報告し、適切に対応しております。
 システムの使いやすさについては、生徒、保護者が迷うことなく手続を進めることができるよう、引き続き、事業者と連携して取り組んでまいります。

○田の上委員 同じ繰り返しで、質問はしませんけれども、様々なトラブルに対して、スムーズにいくようにしていくべきでありますし、そして、この起こってしまったこと、本人たちにすれば、やっぱり受験に関係することなので、すごく緊張してやっているわけですよ。ですので、その緊張をもって、うまく入力できなかったというだけで、すごく不安になるわけです。こういったことをしっかりと直していかなければいけないと思います。
 ESAT-Jの初年度であった令和四年度には、ベネッセが実施事業者でしたけれども、そのときにも様々な問題がありました。例えば、会場への交通の問題だとか、イヤーマフの問題だとか、いろいろありましたけれども、こうしてシステムが変わったことにより、不都合やトラブルを受けた今年度の生徒、保護者も大変だと思います。
 システムの点検をしたかどうかも公表できない、また、トラブルの責任についても明らかにできないということでありましたけれども、必要な情報を公表しないと、やはり信頼性を失います。こうしたテスト自体の信頼性、それから業者自体の信頼性、また都教委の信頼性も失いますので、しっかりと対応していただきたいと思います。
 次に、令和六年度のテストの採点について伺います。
 令和六年度のテスト、どこでどのような資格の人が採点に当たり、再チェック、再々チェックをしているのか、公表するべきだと考えますが、見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 採点については、大学の学位を取得し、英語教授法の資格を持つなど、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者に採点に関する研修を受講させた上で、英国ほか複数の拠点において行うこととしております。
 採点業務に関する具体的な事項については、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。

○田の上委員 英国のほか複数の拠点で行っているということなんですが、全て海外なのでしょうか。内訳を教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 採点業務に関する具体的な事項については、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。

○田の上委員 場所も答えられないということですね。
 六月の本会議で質問しましたけれども、個人情報保護法の越境移転の問題は生じないというふうに判断しているということです。これは個人情報ではないというようなお話でありました。
 でも、入力する側、試験を受ける側の個人の情報を提出する側としては、不安で仕方がありません。どこの国でどのような資格保持者が採点に当たっているのか、どのような人が再チェックをしているのかくらいは公表するべきではないでしょうか。
 都立高校入試の採点ミスの問題については何度も質問していますが、公表により信頼性を確保するということができるのではないでしょうか。
 令和四年度のスピーキングテストでは、解答が録音されず、バックアップも確認されずに、誤って低く採点された生徒が八人いました。結果返却後、音声データの検証で発覚をいたしました。フィリピンの英語の指導資格を持つ方による検証だったと認識しています。
 今年度のテストの検証は、どのようなタイミングで誰が行うのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者は、協定等に基づき、採点結果の点検を適切に実施いたします。
 採点業務に関する具体的な事項につきましては、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。

○田の上委員 また運営上、公表できないというお答えでございました。
 結果返却よりも早いタイミングで検証するのでしょうか。
 誰がと聞いたのがよくなかったのかもしれないですけれども、どのような資格を持った方が行うのかであれば答えられるでしょうか。再度伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、採点業務に関する具体的な事項については、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。

○田の上委員 検証する方がどなたなのか、東京都が検証するのか、どんな資格を持った方なのかもいえない。
 それからまた、結果返却よりも早いタイミングで検証するのかどうかもいえないということで、よろしいですか。

○信岡グローバル人材育成部長 採点につきましては、大学の学位を取得し、英語教授法の資格を持つなど、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者に採点に関する研修を受講させた上で、英国ほか複数の拠点で行うこととしております。
 採点業務に関連する具体的な事項につきましては、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。

○田の上委員 ベネッセのときには公表できたことも、何か今回のブリティッシュ・カウンシルさんに替わってから、公表できないことが増えたのではないかなというふうに思います。秘匿性が高まっていくと、ブリティッシュ・カウンシルさんの評判が下がってしまうんじゃないかと懸念します。
 次に、YEAR1、YEAR2について伺います。
 一年生は九分間のテストでありますが、ここにかける労力と予算は膨大です。中学校の先生の労力も大変大きなものだと思います。
 学習環境を整え、英語科教員を増やすなどして少人数の英語クラスを実現するなど、できないものなのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 中学一年生でのスピーキングテストの実施について、都教育委員会は、小中高等学校における一貫した英語教育の推進により使える英語力の育成を指しており、スピーキングテストは、その多様な取組の一つでございます。
 学校における様々な指導とその学習成果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸ばすことにつながるため、引き続き、スピーキングテストを実施してまいります。

○田の上委員 費用対効果の問題です。この九分間にかける予算、それから労力、こういったものよりも、ほかのことにお金をかけ、労力をかけた方がいいのではないかというふうに考えます。
 中学校の先生の負担や、スピーキングテストの効果についてももちろんでありますが、どんな授業がスピーキング力向上に効果的なのかというのを都教委で検討をするべきだと思います。予算配分も変えていいのではないかと考えます。ちなみに、江戸川区ではALTを増やしました。
 スピーキングの力を養うために、対話でのコミュニケーションを図ることが大切だと考えますが、見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 中学校の英語の授業においては、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど、英語を使ったコミュニケーションを図る様々な学習形態を工夫しております。
 学校における様々な指導とその学習成果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸ばすことにつながるため、引き続き、スピーキングテストを実施してまいります。

○田の上委員 このスピーキングテストが実施される前から、中学校の先生方は、グループでコミュニケーションを取るなど、授業の工夫をしているものと聞いております。テストにしないとスピーキング力が伸びないというものではないというふうに考えます。
 様々な授業での工夫によって、いかにスピーキング力が向上するか、そして、それは本当のアチーブメントテストで測ればいいんじゃないでしょうかね。というふうに思います。
 次に、公教育について。
 ESAT-Jは、都教委が責任を持って実施する試験とされています。ベネッセが撤退し、今年度は、中学校三年生も含めてブリティッシュ・カウンシルが実施事業者となりましたが、中学校三年生のESAT-Jの実施及び高校入試への活用について、昨年度と比較し、改善される点がどれだけあるのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 今年度から、問題に白黒のイラストや平仮名のルビつきを適用しまして、色覚特性のある生徒や日本語指導の必要な生徒からの受験上の配慮申請を不要といたしました。
 また、その他の受験上の配慮申請について、生徒が余裕を持って申請できるよう、昨年度より申請期間を延長いたしました。
 さらに、結果返却の内容については、個人レポートの様式を変更し、生徒一人一人が学習改善に一層つなげることができるよう、各パートの評価を記載することといたしました。
 加えて、中学校の事務作業の時間をさらに確保するため、中学校や生徒、保護者がポータルサイトで自身の試験結果が確認できる期間を昨年度より早める予定にしております。
 ヘッドセットについては、気密性を高めた一体的な機種に改良することで、装着時の違和感を少なくするとともに、ホワイトノイズとして自然音を流して、周囲の音声をより聞こえにくくする処理を行います。
 今後も引き続き、教室の配置や座席の間隔等に配慮して会場を設定するなど、必要な改善を行い、着実に実施してまいります。

○田の上委員 るるお答えをいただきました。ただ、様々なご意見を伺っております。困っていることも大変多いので、生徒や現場の先生からアンケートを取るなど、意見聴取をしていただくことを改めて要望いたします。
 都教育委員会では、公教育の現場で民間活用の割合が増えることをどのように考えているのか、伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 英語スピーキングテストにおいては、民間事業者の優れたノウハウを活用しながら、事業者と協力して事業を実施しております。

○田の上委員 先ほど来、様々な質疑がありましたけれども、システム不安や問合せの窓口一つ取っても、民間活用のノウハウを活用してよかったとはいえないような状況であります。
 都教育委員会には、優れた人材が多くいらっしゃると思います。民間活用しなくても、できることが多いはずです。例えば、部活動の指導員やスクールサポートスタッフなど教員の負担軽減に資する施策など、どうしても民間に依存しないといけないものもあるかとは思います。何を公がやるべきで、何を民間がやるべきなのか、きちんと精査をするべきです。
 ましてや、公としての都立高校入試は、これまで公正を期するために改革をし続けてきたものであります。入試を民間に任せなくてはいけないものとは、とても思えません。
 もし、四技能としてのスピーキング力を試験に入れたいのであれば、学力検査に組み入れ、本人の学力として採点をするべきであり、都教委が全面的に責任を持って公正な入試にするべきであります。
 今回の請願には賛意を示しまして、ESAT-Jの都立高校入試への活用は中止をするべきと主張して、私の質問を終わります。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 私からも、この陳情についての質疑をさせていただきます。
 とや理事の方から、中学三年生のESAT-J YEAR3の申込手続を中心に質疑がありましたので、私からは、音漏れの問題と不受験者の制度、そして音声開示などについて質問をさせていただきます。
 都教委は、昨年度、二〇二三年度から、中学生一、二年生に、それぞれESAT-JのYEAR1、YEAR2としてスピーキングテストを実施しています。事業者はブリティッシュ・カウンシル。
 この実施に当たって、現場の多くの教員や保護者から、問題点がたくさん指摘されています。
 まず、音漏れ。ほかの人の解答が聞こえるという問題についてです。
 私たちの元には、中学三年生のESAT-Jのプレテストとして位置づけられているYEAR1、YEAR2でも、ひどい音漏れがあったという声が届いています。
 実際にテストを受けた生徒からは、周りの声が聞こえ過ぎて集中できないとか、周りの声が聞こえるので、それをまねしたりできてしまう、こういう声が届いています。
 一、二年生のテストでも音漏れがあったということを、都教委は把握していますか。このような状況でスピーキング力を正確に測ることは不可能だと思いますけれども、いかがですか。

○信岡グローバル人材育成部長 大勢が一斉に発語するスピーキングテストの性質上、周りの声が聞こえるということはありますが、その影響を受けて解答するということはないことを、都教育委員会として確認をしております。
 試験実施上の問題はないと考えております。

○斉藤委員 先ほど来、周りの声が聞こえるということはあるが、その影響を受けて解答するということはないということなんですけれども、それを都教委として確認をしているということなんですが、一体、どういう確認をしているのかなということを本当に疑わざるを得ない状況です。
 試験に立ち会った教員からは、声の大きな生徒が間違った解答をした後に、多くの生徒がそれにつられるように同じ間違いの解答をしていて、明らかに音が漏れていたそうです。まさに解答に影響を与える状況になっているというのが実態です。
 この間の質疑でもありましたけれども、ESAT-JのYEAR3で今度使うヘッドセット、これについて、YEAR1、YEAR2で使ったヘッドセットからは改良したものを使うというご答弁が繰り返しありました。
 YEAR1、YEAR2で使用したものを密閉性を高めるなどして改良することで、装着時の違和感を少なくして使用するということなんですが、タブレットについて改めて伺いたいのですが、タブレットは同じものを使うんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 タブレットにつきましては、引き続き、YEAR1、YEAR2で使用したものをYEAR3でも使用してまいります。

○斉藤委員 ブリティッシュ・カウンシルとの実施協定では、ヘッドセットとタブレットについて、YEAR1、YEAR2ではYEAR3と同じものを使う予定と記載されていますが、実際には、YEAR3、つまり都立高校の入試に活用予定の中学三年生のテストでは、YEAR1、YEAR2と同じではなく、改良したものを使うということなんですね。
 密閉性を高めるということですから、これは音漏れのことが問題だったという認識だということでよろしいですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しになりますが、事業者と協議の上、より使いやすくするための改善を行ったものでありまして、今後も、より一層改善に努めてまいります。

○斉藤委員 だから、音漏れのことが問題だったという認識が皆さんにあったということなのかなということを聞いているんですね。
 質問を変えますけれども、この改良が必要と判断した、その基となった根拠は何でしょうか。改良が必要だという声や意見を、都教委あるいは事業者が認識したということですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますが、より使いやすくするための改善を行ったものでございます。
 今後も、より一層の改善に努めてまいります。

○斉藤委員 何で改良したのかということを事前にお伺いもしているんですけれども、はっきりしないんですね。
 伺うと、耳の周囲を覆う部分のフィット性を高める、こういう改良を行ったという説明でした。つまり、外部からの音を遮る性能を高めた、ほかの生徒の声が聞こえないように、音漏れが少なくなるように改良したんだというふうに解釈せざるを得ません。
 先ほどのご答弁で、都教委は、音漏れの問題について都教委として確認しているということですが、確認した下で改良が必要だというふうに判断したということですけれども、都教委に、このヘッドセットについてどういう報告が来ているのか、明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、事業者と協議の上、より使いやすくするための改善を行ったものでございます。

○斉藤委員 何を聞いても同じことしか答弁ができないんですね。聞かれたことに答えられないという状況なんですね。都教委にどういう報告が来ているのか、これを明らかにしてほしいということ、これはどうなのかと聞いているんですね。聞いても同じことしか出ないのでしょうから、これ、明らかにしていただきたいと思います。
 音漏れは、二〇二二年度の初回から、実際に試験を受けた多数の生徒から声が上がり、私たちは、繰り返しアンケート調査も行って届けてきました。公平性、公正性に大きく影響する問題です。それを都教委は、子供たちの声を聞かず、学校や区市町村教育委員会からの意見も開示せずに隠して、解答には影響ないといい張ってきました。
 それが、ここに来て改良したというなら、どういう情報を基にどのように改良したのか、都民に明らかにするというのは当然ではないですかね。
 しかも、改良したといいますけれども、その改良したヘッドセットは、一度も生徒に試してもらうことなく、都立高校入試に活用する十一月の試験で使うわけですよね。あまりにいいかげん、無責任だといわざるを得ないと思います。
 YEAR1、YEAR2で使ったこのヘッドセットも、都教委は、ベネッセのより改良したといっていました。でも、実際に生徒が使ったら、すごい音漏れで、ベネッセのイヤーマフも、教育庁の職員が試して音漏れしないと判断をしていましたけれども、これも、実際、試験では音漏れはしているということです。
 頭の形も大きさも様々な生徒に試験と同じ環境で使ってもらわなければ、その性能というのは、実際には分からないんじゃないかと思います。テストの公平性、公正性に関わる問題で、改良したから大丈夫なはず、こういうことでは済まないということだと思います。
 この改良なんですけれども、いつ誰が、都教委と事業者のどちらがいい出して行うことになったのか、事前にお伺いしましたけれども、はっきり分からないというご説明でしたけれども、この改良に要した費用、これは幾らで誰が負担するんですか。それから、これが事業者なのか、都教委なのか、お答えいただきたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者による契約の内容に関わるおそれがございますので、調達等が進行中であることから、お答えはいたしかねます。

○斉藤委員 事業者のこととか、あと調達進行中ということなんですけれども、改良するということを決めているんですよね。で、幾らか分からない。誰が負担するのかということも聞いていますけれども、お答えがない。
 これ、税金を使っている事業なんですよね。ほかの委員からも、その声、何度も出ていますよね。答えなくていいはずないんです。ちゃんと明らかにしなければ、こんなずさんな事業、認められませんよね。
 ヘッドセットやタブレットはリースというふうに聞いています。これは、三月の議会、委員会で、とや理事が聞いたところ、リース契約で、これは十三億円だというふうな答弁が出ています。
 リース契約のロスが生じると思いますけれども、その辺りはどうなんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者が適切に対応しており、ロスが生じることはございません。

○斉藤委員 そうおっしゃるなら、費用を幾らか教えてくださいよ。分かるんだったら教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、事業者による契約内容に関わるおそれがあることや調達等が進行中であることから、お答えいたしかねます。

○斉藤委員 かかる費用が幾らか明らかにできないというのは、どういうことなんですか。都民に対して説明できない事業って、あり得ないと思います。
 六年間で二百十億円、今年度だけで四十三億円という莫大な税金を投入する予定なのに、そのヘッドセットの改良で幾らかかるのか、リースのロスが出る、こういう問題は全く説明できない。それで、追加で税金投入ということになれば、これは到底認められるものじゃありません。
 そういうことはないというような答弁がありましたけれども、ただ、それなら中身を明らかにするべきですよ。説明にならないんですから、それでは。
 しかも、それで機能するヘッドセットになるのかどうかというのも、先ほど述べましたけれども、何度も繰り返してきて、この保証だってないわけですね。この一つを取っても、ESAT-J、都立高校の入試の活用というのは、もうやめるべきだというふうにいわざるを得ません。
 お金の問題も重大です。どれだけ青天井でお金を使っていくことになっちゃうのか。
 次に、公平性、公正性に関わって、この英語スピーキングテストの入試の活用の最大の問題点として指摘されています、そして、この間も質疑がありましたけれども、不受験者のことについて伺います。
 私たちは、都民団体と英スピ議連と共に、このテストは、最初からテストが受けられない、受けなくてもよいとされる生徒がいることが制度の重大な欠陥であるということを繰り返し指摘してきました。
 通常の受験では、病気や事故があったからといって、代わりの試験などを受けずに点がもらえるということはありません。
 しかし、ESAT-Jでは、私立や国立、また都外の生徒の場合は受けなくてよいとされている。つまり、最初から受けなくてもいい生徒がいる。これは、ほかの試験とは全く違う制度上の大きな欠陥です。
 そうした生徒も含めた不受験者には、英語の筆記試験で点数が近い十人程度の生徒のESAT-Jの点数の平均点を付与するというふうになっています。しかし、これも質疑がありましたけれども、筆記試験で測られる英語の力とスピーキング力には相関関係があるかどうかを確認していないということ、これ、都教委自身がこれまでの質疑で認めていますね。
 これだけでも、テストの公平性、公正性を欠く重大な欠陥制度だといわなければなりません。
 そうした下で、うちの子供はスピーキングが苦手、不受験なら平均点がもらえるから不受験扱いにしてほしいという話が保護者から出されるという声が、何人もの教員の方々から届いています。
 これは、生徒や保護者の問題ではありません。制度に欠陥があることを認めるべきですが、いかがですか。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試におけるスピーキングテストの不受験者の措置は、吃音や緘黙等の発話に係る障害、疾患のある生徒や、テスト当日に事故、病気となった生徒、また、テストの実施日以降に都立高校への志願を決めることとなる私立や都外の生徒など、やむを得ない理由によりテストを受験することができなかった生徒に対する措置でございます。
 様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試では必要な措置であり、制度として、合理的で最善な方策であると考えています。
 また、不受験者の措置については、都立高校入試におけるスピーキングテストの活用を開始した当初から、あらゆる機会を通じて周知を行ってきたのに加えまして、今年度についても、全ての公立中学校三年生等に向け配布している冊子等を通じて、中学生、保護者、中学校に周知しております。

○斉藤委員 今、もともと受けなくてもよいとされている私立や都外の生徒も含めて、やむを得ないというふうに一くくりにして答弁されましたけれども、こういう制度にしているのは都教委自身ですよね。
 入試試験とは別の日に受けざるを得ない、やらせないといけない。こういうテストを無理やり入試に使うから、こういうゆがみが、もともと不受験の生徒が出てくるということになっているわけです。
 今のご答弁では、私立、国立中学の生徒であっても、ESAT-Jのテストの実施日の前に都立高校への志願を決めている生徒はESAT-Jを受けるかのような説明になっていますけれども、都教委が出している令和七年度の都立高校に入学を希望する人向けの案内には、そんなことは書いていないんですね。不受験者に該当する者に、東京都の公立中学校等に在籍していないためスピーキングテストを受験していない者として、私立中学校在籍者、他県中学校在籍者等と記されているだけです。要するに、こうした私立や国立、そして都外の生徒は、受けるか受けないか、自由に選べてしまうということです。
 これは、そうした生徒の責任ではありません。不受験者でも平均点がもらえるなら、うちの子も不受験にしてほしいと思ってしまう、そういう心情も無理のないことだというふうに思います。そういう気持ちになるような試験が入試に活用されるということ自体が、東京都自身がつくり出している公平性、公正性を欠いた制度だというふうに思います。
 もともと、こういう不受験者が生じる欠陥制度を自分たちでつくっておきながら、あたかも都教委が、様々な事情や状況にある多様な生徒に対応して、合理的で最善の方策を取っているというふうにこの制度を自画自賛するのは、本当にお門違いだというふうに思います。
 公平性、公正性を欠くESAT-Jの都立高校の入試への活用はやめるべきだということは、この点からも明らかです。
 関連して、幾つか伺います。
 一、二年生のテストに立ち会った先生から、テスト終了時に、特定の生徒が業者に呼ばれて別室で話をしていたというお話がありました。
 テストの実施時に、子供の様子や感想について報告が来ているのでしょうか。また、教員には聞いているのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者の方で、数人の生徒、教員から感想等を伺うということはあったようでございます。

○斉藤委員 聞き取ったことがあったようだと。
 都教委は、話を聞いた生徒を選んだ基準とか、その聞き取り項目については把握しているのか、伺います。また、こうした聞き取りがあることは、学校には伝えて了解を取っていたのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 事業者が今後の改善のために、数人の生徒と教員から、感想等について聞き取りを行ったものでございます。
 聞き取った内容を踏まえた今後のテストの実施方針について、引き続き協議をしてまいります。

○斉藤委員 事業者が今後のためにそういうのを聞いているということは知っているようですけれども、じゃ、どうやってその聞く生徒を選んでいるのか、その基準や、どういうことを答えているのか、内容について明らかにしてほしいのですが、いかがですか。

○信岡グローバル人材育成部長 中学校の協力を得ながら進めているところでございます。

○斉藤委員 今のご答弁ですと、中学校は知っているということですか。
 都教委は、つまり、どういう基準で生徒が選ばれて話を聞かれて、そしてどういう話をしているのか、分からないんですよね。
 中学校はどうですか、分かっているんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、事業者が今後の改善のために、数人の生徒と教員から、感想等について聞き取りを行ったものでございます。
 聞き取った内容を踏まえまして、今後のテストの実施方針等について、引き続き協議を進めてまいります。

○斉藤委員 それなら、その聞いている話の中身なんかも、きちんと明らかにしてください。
 現場にいた教員からは、感想を聞くという生徒をどういうふうに選んでいるのか、そもそも、教員のあずかり知らないところで、事業者と生徒が別室で話をしているということに不信を感じたということです。
 学校現場で、教員の頭越しに民間事業者が生徒に関わるというのは異常なことではないでしょうか。しかも、都教委がそれをさせていて、問題も感じないということは、越権行為も甚だしいですし、都教委の感覚を疑わざるを得ません。
 聞き取った内容、お答えが今ありませんでしたけれども、どんな声や意見があったのか、これは公表するべきだと思います。これは求めておきます。
 このような状況では、まるで学校や教員は蚊帳の外になっている、そういう状況だと思います。生徒の安全や教育内容に責任を持つのは学校です。この件で、何か不適切な質問や事件などがあったら、誰が責任を取るのでしょうか。これ、責任は都教委ですよね。中学校を都教委や事業者の下請かのようにして考えている、そんなような状況になっていると思います。これは厳しく指摘しておきます。
 次に、ESAT-Jの評価について、改めて伺います。
 ESAT-Jの評価基準、中学三年生の場合は、結果が、例えば七十九点とか、点数で返されますが、なぜその点数になるのかが分からないという声が、生徒や保護者からも、子供たちを指導する中学の先生からも上がり続けています。
 アチーブメントテストとしても役立たないし、入試に使う試験としてもおかしいという声です。
 当然の意見だと思いますが、見解を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 あらかじめ示しております評価基準に基づいているものでございます。

○斉藤委員 あらかじめ公表している評価基準といっても、設問ごとに二重丸の解答、丸の解答とかというのが示されているだけで、詳しく分からないわけです。スピーキングの解答というのは無限にあるわけで、自分の解答がどう採点され、評価されたというのかが分からないような中身になっています。
 都立高校入試の場合、二月に行われる学力検査は、正解も配点も公表されるし、自分の解答と採点結果も情報開示で入手することができます。
 中学の先生がつける調査書の評価も、絶対評価であるにもかかわらず、一から五の分布が山なりにならないとおかしいといわれ、教育委員会からチェックが入るそうです。また、生徒がなぜ評価が三なのか、四なのか、教員は説明できないといけないし、その根拠というのは開示請求の対象になります。
 高校や中学の教員にしてみれば、入試における評価は、生徒の将来にも影響しかねないシビアなものなので、本当に神経を使っているということです。
 ところが、ESAT-Jだけはブラックボックス。採点に疑問を持っても、確認のしようがありません。
 なぜESAT-Jだけは、それが許されるんですか。

○信岡グローバル人材育成部長 これまでも、生徒一人一人にスコアや到達度、学習アドバイスが記載された結果帳票を返却するとともに、採点基準や複数の解答例をホームページで公表しております。
 さらに、設問ごとに多数の解答例を示しまして、それぞれに対してコミュニケーションの達成度や言語使用の観点別の評価結果を記載した資料を、区市町村教育委員会を通して生徒に配布しております。
 これらを参考にして、生徒が自ら評価を確認できるようにしているところでございます。

○斉藤委員 私が今聞いたのは、何でESAT-Jだけ情報開示−−音声の開示はやっているといっても、加工されて聞き取れないものになっていて、こういうことが確認できないものになっているのか、これを聞いているんですね。いろいろ今いわれましたけれども、大ざっぱなことしか分からない。
 こういう点でも、ずっと指摘され続けていますけれども、評価がブラックボックスである点を取っても、このESAT-Jは、入試活用としても、アチーブメントとしても、ふさわしくないということを改めて指摘しておきます。
 到達度を測るアチーブメントテストとしての機能が疑われている問題は、ほかにもあります。先ほど質疑にもありましたけれども、改めて伺います。
 YEAR1、YEAR2は、問題が同一のものなのに、実施時間を変えて各クラスがテストを実施するため、懸念していたテストの情報漏れが起きているというふうに聞いています。
 学校が違えば実施日も変わり、生徒が塾などで情報交換できる、こういう状況にもなっています。
 こうした点からも、アチーブメントテストとして機能していないのではないかと思いますが、いかがですか。

○信岡グローバル人材育成部長 YEAR1、YEAR2については、生徒自身の学習の到達度を確認するために行うもので、必ずしも一斉に行う必要はないと考えております。

○斉藤委員 今おっしゃったとおり、生徒自身の学習の到達度を確認するために行うテストなんですから、テストの情報が漏れてしまっていては、到達度を測れないものになるんじゃないですかという質問です。どうですか。

○信岡グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、YEAR1、YEAR2については、生徒自身の学習の到達度を確認するために行うもので、必ずしも一斉に行う必要はないと考えております。

○斉藤委員 一斉に行う必要がないと、このように断言されるのでしたら、現状のようにテストの情報が漏れていても構わないということですよね。その時点で、このアチーブメントテストとしての機能も、まともに果たされていないということがはっきりしているというふうに思います。
 さらに伺います。YEAR1、YEAR2を実施した後、個人レポートが生徒に返却されますけれども、なぜ評価がエクセレントとグッド、そしてユー・キャン・ドゥー・イット、この三種類なのか、教えてください。

○信岡グローバル人材育成部長 YEAR1、YEAR2、YEAR3は、それぞれの学年までに学習してきた内容から出題しておりまして、評価する範囲が異なります。
 そのため、指導や学習の改善につながるよう、各学年の目標を基準として、一、二年生は三段階で評価することとしております。

○斉藤委員 私は、三段階の解説を求めたわけじゃなくて、なぜ三段階なのかというふうに聞いているんです。
 都教委は、昨年度のYEAR1、YEAR2の実施状況について公開していますけれども、中学一年生は、ほとんどの生徒が八四%の真ん中のグッド、中学二年生もグッドが七〇・三%。それぞれエクセレントはごく僅かで、ユー・キャン・ドゥー・イットは一割から二割強。これだけ大ざっぱな評価で、生徒がそれぞれ自分がどこを改善したらいいのかなどをつかむことはできないんじゃないでしょうか。
 六年間で二百十億円、昨年のYEAR1、YEAR2だけでも約二十八億円をかけて、予算をかけて、授業や時間割の変更をはじめ、学校にも多大な負担をかけていて、テストそのものの時間はたった九分、評価は三段階で、都教委のいう目標とするレベルにあるかどうかが分かるだけ。
 自分のスピーキング力として、何ができていて、何ができていないのか、さっぱり分かりません。大体、目標とするレベルというのは、具体的にどういう状態を指すのか、私も、生徒に配布された個人レポートの見本を見ましたけれども、さっぱり分かりません。
 評価の解説も、例えば星が三つの場合は、質問により長く答えたり、相手に質問をしたりして、簡単なやり取りをすることができた、星二つの場合は、質問に答えたり、相手に質問をしたりして、簡単なやり取りをすることができたです。
 違いは、要するに、その評価の基準の違う部分は、長さの部分。質問により長く答えたりということしか違いがないんですね。スピーキング力は、長さが重要なんですかね。
 しかも、YEAR1も、YEAR2も文言がほぼ同じで、違うのは、YEAR2の方は、過去の出来事について分かりやすく話すことができた、この一文が追加されているだけ。
 中学校二年生は過去形を習うというのは分かりますけれども、都教委が一年生と二年生に求めるスピーキング力の違いというのは過去形だけなのかなと。
 こういうテストに約二十八億円をかけて、コストパフォーマンスがあまりに悪過ぎるんじゃないかといわざるを得ません。
 何回も私たちも繰り返し申し上げていますけれども、保護者の皆さんも、同じお金で、テストより英語の教員を増やしてほしい、ALTの方を増やしてほしい、こういっているんです。
 今年度の四十三億円だけでも、私たちは、英語の教員七百八十人採用できる、こういう金額だということを示しています。
 こうした、もう本当に、YEAR1、YEAR2をこういう状況でやるということ、私は本当にやめるべきだというふうに申し上げておきます。
 そもそも、入試に使われる状況で、区市町村立の中学校一年生と二年生でも、都教委から半ば強制的にこのテストを行わせるということは許されないことです。
 私は、テスト導入前の代表質問でも指摘しましたけれども、このようなアチーブメントテストの実施を、都教委が区市町村教育委員会や中学校、また中学生に強制するというような権限はありません。しかし、入試に活用するということで、半ば強制になっているんです。
 今、公立中学校で起きていることは、まさに都教委による区市町村教育委員会や公立中学校の自律性、自主性の侵害であり、教育基本法第十六条が禁止している不当な支配そのもので、許されるものではないということを改めて厳しく指摘しておきます。
 次に、音声開示について伺います。
 ESAT-J YEAR3の受験生は、都立高校が不合格になった場合は年度内、合格した生徒の場合は五月から、自分の解答音声を開示請求することができます。
 しかし、この間、この請願でも指摘されていますけれども、音声開示を求めても、同時に録音されたほかの受験者の声を削除して加工された音声が開示されるために、採点された自分の解答音声をそのまま聞くことができず、正しく採点されたのかどうかも確認することができないということが明らかになっています。
 こうした根本的な問題についても、改めて検証する必要がありますが、昨年度、YEAR3を受けた生徒の音声開示の件数は何件でしたか。

○信岡グローバル人材育成部長 申請期限でございます八月末までの受理者数は、百八十人でございます。

○斉藤委員 百八十人が音声の開示請求をしたということですが、この開示請求の手続について、都教委に問い合わせても分からないことが多く、スムーズにいかなかったという声が届いています。
 まず伺いますが、音声開示のための手続はどのように行うのか、必要書類なども併せてお答えください。

○信岡グローバル人材育成部長 音声データの提供に当たっては、自宅などの身近な場所からインターネットを通じて、受付時間を気にせず、いつでも手続が可能な東京共同電子申請・届出サービスを活用しております。
 申請に当たり必要な書類等は、受験者本人が申請する場合は、ESAT-Jの受験票または生徒証などの身分証明書と受験番号でございます。
 保護者が申請する場合は、先ほどの書類に加え、運転免許証など保護者の本人確認ができるものと、受験者と保護者の関係を証明するものが必要となります。

○斉藤委員 受験票または生徒証などの身分証明書が必要ということですが、都立高校に入学した生徒の場合は、高校の生徒証でいいのでしょうか。もしくは、中学のときの生徒証が必要なのでしょうか。

○信岡グローバル人材育成部長 その時点の生徒証で大丈夫でございます。

○斉藤委員 じゃ、都立高校に入った方だったら、高校の生徒証でいいということですね。
 音声の開示請求をしたという保護者の方からお話を伺いました。都教委の特設ページで申請に必要な書類、保護者が申請する際に必要な書類を確認した上で、受験票と中学校のときの生徒証が見つからず、この方は、中学校のときの生徒証が必要なんだというふうに思って探していたそうなんです。これがないということで都教委に問合せのメールをして、スコアレポートで、その代わりにならないかと問合せをしたと。しかし、何日もたってから、週をまたいで五日後に来たということですけれども、返信が来たが、それに答えるメール、中身がなくて、保護者が申請する場合に必要な書類という、質問とかみ合わない回答が来たと。改めて、もう一回メールをして聞いたら、高校の生徒証でよいということをいわれたと。最初からそれを分かるようにしておいてほしいということ。
 それから、親が申請する場合は住民票が必要という記載を見て、用意していたんだけれども、子供がその時点で転居しているという事情があって、その生徒の記載が住民票にないため、保険証か医療証でも、親と生徒の両方の名前が書いてあるものを再送してください、それでいいといわれたと。保険証や医療証でもいいんだったら、そっちの方が簡単なんだから、なぜ住民票しか、必要な書類のところに書いていないのか。
 こういうことも、やっぱり一緒に住んでいないというケースもありますから、高校入学をきっかけに、親元を離れて親戚のところに行くとか、寮に入るということもあります。
 この必要な書類について、適切に表示してほしいということがいわれました。
 この方は、やり取りしていて、何日もかかって、担当の方はあまりよく分かっていないような感じで、本当に手間暇がかかった、日数もかかったといっているんですね。
 この対応を行っているのは、教育庁グローバル人材育成部だというふうに事前に聞いています。こうしたこともきちっと対応できるように、そもそもしていただかないと、本当に困るということだと思います。
 この方は、さらに、この開示された音声は、やはり周りの声を消しているせいか、途中で切り取られているような状況で、これでは、自分の、生徒の解答の振り返りにもならないし、正しく採点されているのかも分からない状況だといっておりました。
 アチーブメントとしても成り立たないテスト、そして公平性、公正性、ここもずっと問題を指摘され続けている、まともに答弁もできないような状況。
 こういうESAT-Jの都立高校の入試への活用は中止するべきだということ、請願に賛成する立場を表明して、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、請願六第四号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十二分散会