委員長 | 藤井あきら君 |
副委員長 | 平田みつよし君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 田の上いくこ君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | とや英津子君 |
かまた悦子君 | |
たかく則男君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤まりこ君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
伊藤 ゆう君 | |
川松真一朗君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 田中 愛子君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 山田 則人君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
グローバル人材育成部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 篠 祐次君 | |
高校改革推進担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
教育改革推進担当部長 | 根本浩太郎君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 | |
指導推進担当部長 | 市川 茂君 | |
人事企画担当部長 | 矢野 克典君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十四号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「東京都教育ビジョン(第五次)(案)」について
・「東京都学校教育情報化推進計画(案)」について
○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○藤井委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
令和六年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和六年三月十四日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
文教委員長 藤井あきら殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木)午後五時
(別紙1)
文教委員会
第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 文教委員会所管分
(別紙2省略)
○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第五十四号議案から第六十号議案まで及び報告事項、東京都教育ビジョン(第五次)(案)について外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○山田総務部長 去る二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次を裏面も含めてご覧ください。
今回要求のございました資料は十八件でございます。
一ページをご覧ください。都立特別支援学校スクールバスと医療的ケア児専用通学車両の予算の推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の予算額、配車している学校数、運行するコース数を年度別に記載しております。
二ページをご覧ください。2、都立特別支援学校におけるスクールバスと医療的ケア児専用通学車両の配車状況(令和五年度)でございます。
このページから次のページにかけまして、令和五年度のスクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の配車台数等を学校別に記載しております。
四ページをご覧ください。3、公立小中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費を、小学校、中学校それぞれ学年別に、また、合計を記載しております。
五ページをご覧ください。4、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
令和六年三月一日時点で見込まれます教職員の令和六年度標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和六年度定数及び標準法以外の都の令和六年度定数を校種別に記載しております。
六ページをご覧ください。5、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
各年度における就学援助を受給した児童生徒数及び受給率を、要保護、準要保護の別に記載しております。
七ページをご覧ください。6、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒の数及び配置看護師数(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
(1)では、各年度における医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒数を、(2)では、各年度における配置看護師数を都立、区立の別に記載しております。
八ページをご覧ください。7、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTT等の選択状況(令和五年度)でございます。
令和五年度における中一ギャップ加配を活用している学校数について、学級規模縮小とTT等の選択状況を区市町村別に記載しております。
九ページをご覧ください。8、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移(平成十五年度から令和四年度まで)でございます。
各年度におけます不登校児童生徒数と不登校出現率を校種別に記載しております。
一〇ページをご覧ください。9、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等(令和元年度から令和五年度まで)でございます。
(1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数及び期限付任用教員として任用した人数について、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数を、それぞれ年度別に記載しております。
(2)では、期限付任用教員名簿登載者のうち五月一日までに任用のあった者で教員採用選考を受験した人数、翌年度の名簿登載者数、合格率を年度別に記載しております。
一一ページをご覧ください。10、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移(平成二十七年度から令和六年度まで)でございます。
各年度におけます副校長、養護教諭など教職員それぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数を校種別に記載しております。
一二ページをご覧ください。11、都内公立学校の臨時的任用教員及び時間講師の採用候補者名簿登載者等数と任用人数でございます。
(1)では、令和四年度における臨時的任用教員の採用候補者名簿登載者数及び産休、育業代替として任用した人数を記載しております。
(2)では、時間講師の採用候補者名簿登載者等の数及び任用した人数を年度別に記載しております。
一三ページをご覧ください。12、都内公立小中高等学校の自殺者数の推移(平成三十年度から令和四年度まで)でございます。
各年度における自殺者数を校種別に記載しております。
一四ページをご覧ください。13、都内公立中学校三年生における生徒数及び令和五年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)受験者数でございます。
(1)では、令和五年五月一日現在の都内公立中学校三年生の生徒数を、(2)では、令和五年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の受験者数を記載しております。
一五ページをご覧ください。14、中学校英語スピーキングテス(ESAT-J)事業の令和六年度予算額のうち、中学校三年生のテストと一、二年生のテストそれぞれの金額でございます。
令和六年度におけます英語スピーキングテストにつきまして、中学校三年生、一、二年生のテスト共通でかかる経費の予算額、中学校三年生対象のテストに係る予算額、中学校一、二年生対象のテストに係る予算額をそれぞれ記載しております。
一六ページをご覧ください。15、中学校英語スピーキングテストについて、令和元年度にベネッセコーポレーションと締結した基本協定における五か年度分の計画額及び令和五年度にブリティッシュ・カウンシルと締結した基本協定における六か年度分の計画額でございます。
(1)では、ベネッセコーポレーションと締結した基本協定の計画額を、(2)では、ブリティッシュ・カウンシルと締結した基本協定の計画額を、それぞれ年度別に記載してございます。
一七ページをご覧ください。16、中学校英語スピーキングテスト予算額と決算額及びその内訳(事業開始時から令和六年度予算案まで)でございます。
平成三十一年度から令和六年度までの予算額及び決算額を、主な事項別に記載しております。
一八ページをご覧ください。スクールカウンセラーの学校種別の配置校数と、週一回年間三十八回を超えて配置している学校数とそれぞれの配置状況(令和五年度)でございます。
(1)では、スクールカウンセラーの配置校数を、(2)では、そのうち週一回年間三十八回を超えて配置している学校数を、それぞれ校種別に記載しております。
最後、一九ページをご覧ください。18、スクールカウンセラーの東京都での連続勤務年数別の人数でございます。
令和五年四月一日現在におけるスクールカウンセラーの人数を連続勤務年数別に記載しております。
要求のございました資料の説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○平田委員 よろしくお願いいたします。
第五十九号議案、学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例に関して質問いたします。
私は、昨年六月、島しょ部選出の三宅正彦議員をはじめ、会派の同志と小笠原村を訪れ、小笠原の返還五十五周年記念式典に出席してまいりました。小笠原の課題やご要望もたくさん承ってまいりましたけれども、小笠原の風物や村民の皆様の人情に触れたことは、何より大変貴重な経験となりました。
私は、東京都が他の道府県と比べても、自治体としての奥行きというか、厚みというか、そういったものをなしているのは、もちろん日本の首都であるという点はいうに及びませんけれども、島しょ部、わけても、小笠原という我が国の最南端、最東端を含む国境離島、また、太平洋戦争の激戦地を含む絶海の島々までを擁しているということが、東京の懐の深さであるというふうに思いました。そして、小笠原が東京にとって、かけがえのない宝であるということにも思い至ったところでございます。
もう一つ、小笠原で印象に残ったことは、若い方が大変多いということでした。返還五十五周年の記念式典では、小学六年生の皆さんが歌や踊りを披露してくれたんですけれども、この六年生が壇上に全員並んだときに、六年生だけでこんなにいるのかなというふうに率直に感じたところであります。
教育庁にいただいた資料によりますと、父島にある小笠原小学校の六年生が二十六名、母島小学校を入れると二十八名ということでございます。父島の人口が二千百四十五名、小笠原小学校の児童数が百三十三名ということで、人口に占める小学生の割合が六・二%ということになると思います。
ちなみに、私の地元葛飾区は約四%でございます。二ポイント以上、小笠原の方が子供たちの割合が多いということだと思います。それだけに、小笠原の未来を支える子供たちに関わる教育支援は大変重要であるというふうに思います。
今回の学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の改正理由は、令和六年四月から東京都小笠原出張所が新たに設置され、出張所に勤務する職員を小笠原業務手当の支給対象とするためと認識しております。
小笠原村においては、昭和五十四年に村政が確立されて以降も、教育庁出張所が設置されてきませんでした。この間、四十五年間、小笠原村教育委員会との連携は、千キロ以上離れた都庁舎にある都の教育委員会との間でなされていたと伺っております。
東京都島しょ町村教育委員会教育長協議会からは、教育庁出張所の設置を求める旨の要望が出されており、出張所設置は長年の課題であり、悲願でもあったと伺っております。
また、昨年の第二回定例会におきまして、我が会派からの小笠原諸島での教育環境の充実を求める質問に対し、教育長からは、小笠原村における教育環境の充実に向けて、村の教育委員会との連携をさらに進めるための方策について検討する等の答弁があったところでございます。
そこでまず、この間の検討状況についてお伺いしたいと思います。
○秋田教育政策担当部長 小笠原村における教育環境につきましては、ただいま副委員長からお話をいただいたとおり、これまで様々なご意見をいただいていたところでございまして、それらを踏まえまして、今年度、改めて都教育委員会職員が現地を訪問いたしまして、小笠原村教育委員会等との意見交換や現地視察を行うなどいたしました。その上で、連携強化の方策について検討してきたところでございます。
こうした経緯を踏まえまして、今般、小笠原出張所を新たに設置することとしたものでございます。
○平田委員 ありがとうございます。出張所設置を高く評価させていただきたいと思います。
小笠原は、東京都でありながら、緯度は亜熱帯の沖縄県とほぼ同じ。ただ、北海道と同じで梅雨がないといったような特異な気候に育まれ、東洋のガラパゴスとも呼ばれる貴重で豊かな自然が保全されています。
ユネスコの世界自然遺産に選定された、この豊穣の島々を守り、かつ持続可能な発展を支えていくためには、この地域で育ち、地域で学ぶ人材の育成がやっぱり欠かせないというふうに感じております。
小笠原の教育振興に向けて、今回の出張所設置を契機として、都として支援を一層充実していくべきと考えておりますけれども、改めて教育委員会の考えを伺います。
○秋田教育政策担当部長 小笠原諸島を含めまして、地理的に離れた島しょ地域における教育環境の充実のためには、都教育委員会が各町村教育委員会と連携して支援していくことが重要であると認識しております。
小笠原村における教育環境の一層の充実に向けましては、新たに設置いたします出張所を核として支援の充実を図ってまいります。
○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。ICTの普及とか利活用によりまして、本土とか島しょ部とか、そういう地理的条件に関わらない学びの多様化、グローバル化が進んでいますけれども、やっぱり、先ほど申し上げたような小笠原という魅力あふれる環境で暮らし、また学ぶことは、子供たちにとってもそうなんですけれども、子供を育む家庭とか、あるいは学校の大人たち、また都の職員、幹部の皆さんにとっても、かけがえのない貴重な経験になると思います。
ぜひ小笠原に対する支援のさらなる充実を要望して、質問を終わらせていただきます。
○龍円委員 昨日も、予算特別委員会の一般質問で、インクルーシブ教育についての質問をさせていただきました。その中で、幾つか重要な点を確認させていただきました。
来年度、インクルーシブ教育支援員として、特別支援学校への就学が適当と判定された児童生徒が身近な公立の小中学校で学ぶことを希望する場合は、区市町村が支援員を配置するための経費を支援していくということが発表されました。該当の児童生徒が一人または二人いる場合は支援員が一人、そして、該当の児童生徒が三人以上の場合は支援員二人分の人件費を補助するということでありました。
インクルーシブな教育環境を全ての学びの場で保障していく必要があるということで、特別支援学級におけるインクルーシブについても昨日お伺いしましたところ、交流と共同学習をする際にも、このインクルーシブ教育支援員が補助の対象になるということで、日常的な交流、共同学習を推進していくことが示されました。
今年度、より多くの学校で交流や共同学習を実践研究した成果も併せて取りまとめて普及していくということでありました。
そして、昨日の質疑を振り返っているんですけれども、インクルーシブ教育支援員がインクルーシブな教育について詳しく知って、その支援方法を知らないと、インクルーシブな教育活動にならないかもしれないということで、質の確保についても質問させていただいたところであります。
来年度は、区市町村に対して研修を実施していくということと、支援が必要な児童生徒の特性などについて、基礎的な知識ですとか、教員との連携方法についての動画を作成していくということが明らかになりました。
そして、今後は、このインクルーシブな教育の重点地区というのを指定して、長期的かつ総合的な支援をしていくということも明らかになりました。
この重点地区では、児童生徒の特性に応じた教材の購入の支援ですとか、教員の研修のための費用を支援するとともに、この委員会でも繰り返し質問させていただきました特別支援学校と地域の小中学校の教員の人事交流について、その地域で計画的に行っていくということが明らかになりました。
特別支援学校の先生が地域の学校に来ることで、その学校にいる特別なニーズのある子供たちへの効果的な教育ですとか、支援することが可能になりますし、その先生から、ほかの先生たちも学ぶことができると思います。
一方で、地域の学校から特別支援学校に行かれた教員は、そこで様々な障害のある子供たちへの教育や支援について学んで地域の学校に戻ってまいりますので、特別支援学校判定のようなお子さんが自分のクラスに来たとしても、どんと構えて教育に当たることができるはずです。
こういった人事交流が、今回はこの重点地区で計画的に実施されるということで、その地域における特別支援教育力というのがぐぐっと上がっていくのではないかなということに期待をしているところであります。
特別支援学校と地域の学校におけるこの特別支援教育の大きな違いというのが、その特別支援教育を担っている教員が、地域の場合は圧倒的に少数派でありまして、学校の中では孤軍奮闘しているというところだと思います。
地域の小中学校では、特別支援学級を担任したことがある教員の数も少ないことから、同じ学校の中で相談できるような先輩の先生も少ないということもあるかと思います。
そんな孤独の中で多様なニーズのあるお子さんたちの教育に従事していらっしゃるので、様々な大変さがあるかと思うんですが、特別支援学校を中心として、その地域で特別支援教育に関わっている先生たちは、学校は違うんですけれども、たくさんいるはずなので、この教員の皆様をネットワークのようにしていくことで、その孤独というのを解消して、お互いにそこで相談とか情報を共有したり、または好事例を共有したり、そして、単純に励まし合うだけでも、すごく効果的なんじゃないかなと思っております。
昨年の事務事業質疑で、都教委は、今の人事交流、異校種期限付異動で特別支援学校から小中学校に配属された教員や、その地域のセンター的機能を担っている特別支援学校の教員同士が互いに取組を共有する会を実施して、ネットワークづくりに取り組むとの答弁をいただきました。
そこで、これまでのこのネットワークづくりの取組状況と来年度の方向性についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、昨年十二月、異校種期限付異動で都立特別支援学校から公立小中学校に配置された教員等が互いの取組を共有するための連絡会を初めて開催し、参加者からは、貴重な機会だったとの声が寄せられております。
今月末には、四月から異校種期限付異動により小中学校に配置される教員を対象とした連絡会を初めて実施いたします。
来年度は、小中学校に配置された教員同士が互いの取組を視察等により研修できるようにするとともに、異動期間を終了して、特別支援学校から小中学校へ戻った教員にも連絡会への参加を呼びかけ、教員同士のネットワークを構築してまいります。
○龍円委員 重点地域での計画的な人事交流と、それ以外の地域で希望する教員の方々が人事交流をされていると思いますけれども、その教員の方々とセンター的機能を担っている教員の方々による連絡会を通じて、教員同士のネットワークを構築していくということが明らかになりました。
また、お互いの学校を視察したりするということで、そういった行き来があることによって、よりよい交流とつながりが生まれていくことが期待できます。人事交流にとどまらない、すばらしい取組だと思いますので、ぜひ、この後も質問を続けていきたいと思っております。
さて、障害のある子供が地域の学校に通えるようにするためには、物理的な学校のバリアフリー、ユニバーサルデザイン化というのも重要です。
二〇一八年のこの文教委員会の質疑では、地域の公立小中学校の施設の整備については、学校の設置者である区市町村の責任と権限によって行うものであり、バリアフリー化が必要な工事については、国がその工事費を補助しているということをお伺いしました。
ただ、区市町村の学校のバリアフリー設備の整備状況を見てみますと、スロープのような小規模な改修については、かなり多くの学校で対応できているものの、エレベーターとか、それから、車椅子ユーザーが使えるような多様なニーズに対応した多目的のトイレの設置などといった比較的予算の大きい改修については、設置校が少なくなっているところがあります。このことから、東京都による経済的な支援について要望をさせていただいておりました。
なお、この公立小中学校は、最近は地域の方々が利用する機会も増えてまいりましたし、災害時には避難所ともなりますので、多様な人が利用することができる施設としていく必要があります。
公立小中学校のバリアフリー化について、東京都として、しっかりサポートと支援をしていくことが求められております。
東京都教育委員会の取組と見解についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 学校は、全ての児童生徒が安心して学習、生活できる場であるとともに、地域住民の活動の場や、災害時には避難所となるなど、地域の多様な人々が利用する拠点として、安全で、誰にとっても利用しやすい施設であることが必要となります。
都教育委員会では、区市町村立小中学校において、エレベーターや自動ドア、スロープの整備等、施設のバリアフリー化が促進されるよう、今年度から、国の補助制度に加え、都の補助を行っており、引き続き区市町村の取組を支援してまいります。
○龍円委員 今年度から、区市町村の小学校においてバリアフリー化する際に、国の補助に東京都が上乗せで補助を始めたということでありますが、バリアフリー化工事の補助対象、補助率などの具体的なその内容についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 国の学校施設環境改善交付金の対象事業であるエレベーターや自動ドア等の新設工事につきましては、工事費が四百万円以上、二億円以下のものを対象としており、国が二分の一、都が四分の一を支援しております。
同交付金の対象にならない工事費が四百万未満のスロープ等の新設工事につきましては、都が二百万円を上限とし、二分の一を支援しております。
○龍円委員 国の補助対象となっているバリアフリー化については、国の補助に上乗せしたことで、区市町村の負担が四分の一になったということでありました。国の補助が出ない四百万円以下の工事については、東京都が独自に補助をして、区市町村の負担が二分の一になるということでありました。この取組を通じて、学校の構造上の理由で通えないというお子さんが減るはずです。ありがとうございます。
さて、昨日の予特の質疑でも触れたとおり、インクルーシブ教育を推進するには、どこの学びの場であっても、日常的なインクルーシブな環境が得られることが必要だと考えております。
予特では、特別支援学級での取組についてお伺いしましたので、今日は、特別支援学校のインクルーシブな取組としての副籍交流についてお伺いいたします。
去年の事務事業質疑では、令和四年度末に副籍交流の実態調査というのを実施して、保護者と教員の皆様、約一万九千人から回答を得たということで、その結果を踏まえて副籍ガイドブックを改定していくというお話をいただいたところであります。
本年度、副籍ガイドブックを改定し、学校等に周知したということでありますが、副籍交流のさらなる充実に向けた今後の取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、平成二十五年度に交流の意義や実施の手順等を示した副籍ガイドブックを作成し、特別支援学校と小中学校間の副籍交流を促進してまいりました。
昨年度の調査によりますと、学年が上がるほど学習内容に差が開き、交流が難しくなる、交流内容の調整に時間がかかり、開始時期が遅れるなどの課題が指摘されたところでございます。
これを踏まえまして、今年度、ガイドブックを改定し、オンラインを活用した日常的な交流を充実することや、段階的に交流を始めることなどの指針を示しました。
既に学校に配布している副籍交流の事例集に加え、来年度、ガイドブック改定版の指針を踏まえた事例集を新たに作成するなど、副籍交流の一層の推進を図ってまいります。
○龍円委員 学校間の調整に時間がかかってしまって、交流の開始時期が遅れてしまったりなどといった課題を解決することで、段階的に交流を始めたり、オンラインを活用するなどのことを副籍ガイドブック改定版に示して、日常的な交流が可能となるような取組を推進していくということでありました。
この日常的な交流が重要だというのは、これまでもお伝えしてきたのですけれども、息子が都立特別支援学校に転校したところ、すごくいい事例に遭遇することができました。
このお子さんのことを、仮にA君というふうに呼ばせていただきますけれども、A君は、月に一、二回、定期的に地元の学校で交流を続けてきたそうなんです。その交流先のクラスの児童たちは、A君が、ふだん、どんな学校に通っているのか見てみたいというふうにいい出したそうでして、何とその交流級の児童の皆様が、クラスごと、この特別支援学校の方に来てくれて、そして、そこで交流する逆交流みたいなことがあったんですよね。それも、一回だけではなくて二回して、それぞれの学校で、その前と、交流と、その後の学習もしたということで、日常的な交流をしたことによって、交流先のお子さんたちにとっても、いい変化が生まれているんだなというのを改めて感じましたので、やはり日常的な副籍交流というのを、どのお子さんであっても希望すればできるような体制というのを、引き続き推進していただけますようお願いいたします。
昨日からのこの質疑を通じて、都教委が本気でインクルーシブな教育環境を推進しようとしていることが見えてまいりました。これまでは、都内の中で点のように存在していたインクルーシブなんですけれども、それが線になって、面になって広がっていくことができ得る可能性を感じておりますので、どうぞしっかりと取り組んでいただけますよう、改めてお願い申し上げます。
では、次に、特別支援学校における医療的ケア児に関する施策についてお伺いいたします。
医療的ケア児の場合は、医療的ケアが学校に引き継がれるまでの間、保護者が学校内で付添いをしております。都教委では、その付添いの期間を短縮するための取組を進めてくれていますが、それでも、しばらくは付添いをすることになります。
このように、学校の要望で、就学している児童の保護者に付添いが依頼されて付き添っている場合、保護者に対しても、学校の給食を提供してほしいですとか、テレワークの環境を整備してほしいといった声があります。
都として、これらに対してどのように対応するのか、お伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、医療的ケアの必要な児童生徒に対する保護者の付添い期間の短縮化を図っておりますが、高度な医療的ケアが必要な際は、付添いが継続する場合がございます。
来年度、一定の条件の下で、教職員の取扱いに準じ、付添いの保護者に給食を提供することを検討いたします。
また、保護者のテレワークによる就労の継続が可能となるよう、引き続き、モバイルWi-Fiルーターを貸与するとともに、テレワークブースの設置を拡充してまいります。
○龍円委員 来年度から給食の提供を始めることを検討しているということが分かりました。朝、医療的ケアのある子供が登校する用意をして、自分も付添いをしながらテレワークをする準備もして、その上、自分のお弁当まで用意するというのは大変なことだと思いますので、すばらしい一歩になるかと思います。
また、保護者が仕事が継続できるようにということでの支援も拡充していくとのことで、大変重要なことだと思います。
さて、医療的ケア児の保護者の付添い期間を短縮するためには、入学前から、就学予定のお子さんが通う施設などに看護師を派遣するなど、看護師の一層の確保が重要だと考えます。
都の取組についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児専用通学車両の運行や、校内の医療的ケア体制を充実させ、保護者の付添い期間を短縮するため、令和六年度は、非常勤看護師の任用数を拡充いたします。
また、看護師の確保については、これまで実施していた地域のハローワークとの連携、民間の人材紹介会社の活用、関係機関と連携した就職相談会へのブース出展回数増などに加えて、看護師募集の専用サイトの構築、学校近隣への募集チラシの配布など、新たな取組を実施してまいります。
○龍円委員 来年度は、非常勤看護師の数を拡充するとともに、看護師募集の専用のサイトを構築するなど、看護師の確保に向けた取組を進めていくということでありました。
去年の事務事業質疑では、医療的ケア児専用通学車両について、令和四年度から知的障害特別支援学校でもモデル事業として運行していて、必要な検証を行っているということをお伺いいたしました。
こちらについて、来年度の都の取組についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 今年度、知的障害特別支援学校五校を対象にモデル事業を実施し、安全な運行のために必要な校内の体制、乗車までの手続、乗車中の配慮事項などについて検討いたしました。
令和六年度は、モデル事業の成果を踏まえ、肢体不自由特別支援学校に加えて、知的障害特別支援学校全校を対象に本格実施するなど、専用通学車両の運行を拡大してまいります。
○龍円委員 知的障害特別支援学校でモデル実施されていた医療的ケア児専用の通学車両が、来年度からは本格実施されるということでありました。都立特別支援学校における医療的ケアのあるお子さんとその家族に対する支援について、確実に取組を進めてくださっているということが分かりました。
さて、私の息子も、去年から特別支援学校に転校したことから、最近は、定期的に特別支援学校に私自身が行くようになりました。比較的最近、新設された校舎ということもあって、とっても温かみがあって、太陽光が間接的に校舎内を明るく照らしてくださっていて、どこからどこまでもが安全で、清潔に保ってあり、本当に行くたびに気持ちがいいなと思って感じております。子供たちの表情もとても明るくて、学校の環境というのは、子供たちにとって、とても重要なんだなというのを感じているところであります。
昨日の予算特別委員会でも触れたとおり、特別支援学校の児童生徒の数は増加の一途をたどっているところであります。その中で、学校によっては教室が不足しているというふうに伺っているところであります。
東京都教育委員会はこれまでも、継続的に特別支援学校の新設や増改築などを通じて教育環境の改善に取り組んでこられていることは承知しておりますが、教育環境の改善に向けて、一層の取組が必要なのではないかと思います。
東京都教育委員会の所見についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の建設に当たっては、用地の確保から建設の着工、竣工まで、地元自治体や地域等と十分な調整を行いながら進めることが必要でございます。
都では、今月、新たに特別支援学校施設整備に関する検討委員会を設置し、普通教室の確保等に向けて、施設整備等の在り方や普通教室等の施設機能などについての検討を行ってまいります。
○龍円委員 検討委員会というのを立ち上げて、施設の整備の在り方について検討を始めるということでありましたので、今、教室等が足りないところの学校の在り方についても、しっかりと検討いただけますようお願いいたします。
昨年の事務事業質疑では、障害のある人々の生涯、ライフタイムにわたる学びを支援するとともに、障害のある人もない人も共に学べる環境づくりに向けた取組を展開するために、障害者の学びを推進するコンソーシアムを設置するというふうに伺いました。
先月二月十九日に、インクルーシブな学びに関する事業について実績を持つ企業ですとかNPOなどの団体で構成する、インクルーシブな学び東京コンソーシアムが設立されまして、その総会を開催したというふうに伺っております。
このコンソーシアム設立総会の様子と今後の展開についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 設立総会では、障害者支援等を行う十八団体が集まり、基調講演を通して、障害のある人もない人も日常生活を共に生きることの重要性を共通認識いたしました。
また、団体間の情報交換や交流により新たな取組が期待されるなど、障害者の学びの充実に向けた機運醸成につながる機会となりました。
今後は、コンソーシアム参加団体と協力し、新たな事業を展開するなど、インクルーシブな学びの充実に向けた取組を行ってまいります。
○龍円委員 このコンソーシアムなんですけれども、参加十八団体を見てみると、よくぞこんなすごいメンバーを集められたなと感嘆してしまう団体が集まっております。
私が大好きなヘラルボニーですとかダイアログ・イン・ザ・ダーク、オリィ研究所、ピープルデザインといった、障害に関連して、日本でも際立った取組をしている団体ですとか、ディーピーアイのような日本最大級の障害当事者団体なども参加していて、このメンバーが集まったら、どんな化学反応が起きるのか、とても大きな新しい流れが生み出されるのではないだろうかというふうに期待が高まります。
令和六年度は、新たな事業を展開するとの答弁が今ありましたが、具体的にどのような取組を実施するのか、その内容についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、コンソーシアム参加団体と連携し、都立高校生に対し、障害者理解を深める体験的なプログラムを実施してまいります。
例えば、障害のある人もない人も一緒にサーカスの練習に取り組み、立場を超えて一つのものをつくり上げる面白さを体験するソーシャルサーカスワークショップなど、参加団体と協力したプログラムの実施を予定しております。
さらに、参加団体を講師とした都民に向けた公開講座を実施するなど、インクルーシブな学びの充実に取り組んでまいります。
○龍円委員 都立高校での体験的なプログラムや都民向けの公開講座など、早速、活発な活動が展開されるというふうに伺いまして、大変楽しみです。
障害のあるお子さんで、私よりは少し先輩のママ、パパにお話を伺うと、学校を卒業した後の学びとか活動の場について選択肢が少ないということで悩んでいらっしゃる方が大変多くいらっしゃると感じております。都のこの学齢期以外の障害のある方も対象とした取組は大変意義があると思いますので、またこちらの委員会で、取組について今後もお伺いしていきたいと思っております。
さて、次に、区市町村の小中学校についてお伺いしていきます。
来年度、東京都教育委員会は、校内の空き教室を利用した東京型のいわゆる不登校特例校、チャレンジクラスを十校設置することは、全国で初の試みでありまして、大いに期待をするところであります。
そこで、このチャレンジクラスでは、子供はどのように学習するのか、具体的な取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、多様な学びを可能にするチャレンジクラスを、来年度、中学校十校の各学年に設置し、三人から六人の教員を配置いたします。
このクラスでは、学力に応じた学習内容を、個別学習、集団学習等、自分に合ったやり方で学ぶことができることとなります。
また、校庭、体育館、音楽室等、校内の施設が活用できるメリットを生かしまして、体育や音楽などの授業を受けたり、運動会等の行事に通常の学級の生徒と一緒に参加したりすることを通じて、学びの幅を広げてまいります。
○龍円委員 私の地元の渋谷区でも、このチャレンジクラスが開設されるということでありますけれども、学校の中にあるからこそ、様々な挑戦的な取組ができるというところに期待を寄せております。
さて、不登校のお子さんの中には、一定数、発達障害のあるお子さんがいるというふうに認識しております。発達障害のその特性上、集団の中で学ぶことに課題を抱えていて、そこにさらに、例えば教員ですとか同級生とのコミュニケーションの難しさなどから不登校になってしまうというようなケースも、何件か見てまいりました。
こういうお子さんの場合は、このチャレンジクラスと特別支援教室の併用ができることが必要だと思います。
不登校によりチャレンジクラスに在籍している生徒であっても、特別支援教室での指導を受けることができるのか、都の見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 国は、不登校の状態にある児童生徒について、通常の学級における障害による学習上または生活上の困難などを把握することができ、困難さの改善、克服が見込まれる場合には、通級による指導ができるとしてございますが、それ以外は別室登校等の支援が適当としてございます。
チャレンジクラスに在籍している生徒についても、この国の考え方を踏まえ、発達障害による学習上または生活上の困難さなどを把握でき、改善、克服が見込まれる場合であれば、特別支援教室での指導を受けることができます。
○龍円委員 チャレンジクラスに在籍しているお子さんであっても、その回復、改善が見込まれる場合であれば、特別支援教室も併用して指導を受けることができるという見解が示されました。これ、すごく重要なことなのではないかなと思っております。
いわゆる不登校を支援する教育支援センターを利用しているお子さんについては、特別支援教室との併用がなかなか難しいというのを伺ってまいりました。また、不登校の支援と、それから発達障害の特性の支援、どちらも必要なんだよという、当事者のお子さんの保護者さんから、そういう声も伺っておりましたので、このチャレンジクラスを利用することによって、発達障害の特性の支援、特別支援教室も利用できるという可能性が広がってまいりますので、そういう意味においても、発達障害のあるお子さんで不登校のお子さんにとっても、すごくいい取組だと思いますので、その観点もぜひ踏まえて取組を進めていただけますようお願いいたします。
では、次は、教員の働き方改革についてお伺いしていきます。
教員が健康で生き生きと子供たちと向き合うことができる環境を整えるためには、教員の働き方改革をこれまで以上に加速させていく必要があります。
教員の負担を軽減し、教育の質を向上させるためには、小学校において、外部人材の活用を含めた指導体制の充実を加速させるべきとの我が会派の代表質問に対して、小学校低学年では、エデュケーションアシスタントを全小学校に配置するとともに、小学校高学年では、専科教員の加配による教科担任制を、令和十年度までに十二学級以上の全小学校に拡大するという方針が示されたところであります。これらの取組に期待するところなんですけれども、具体的な内容についてお伺いいたします。
まず、エデュケーションアシスタントについてですけれども、来年度、全小学校に配置するということですが、その狙いと具体的な配置方法についてお伺いいたします。
○矢野人事企画担当部長 今年度、エデュケーションアシスタントを配置している学校で事業の効果検証を行いまして、児童の授業の理解度が高かったほか、授業中に質問する児童や、担任やアシスタントに相談する児童が多いことが確認できました。
また、担任の勤務時間が縮減したほか、ストレスチェックの結果が改善するなど、教員の負担の軽減が確認できたところでございます。
こうしたことから、来年度は、アシスタントを小学校全校に一名配置いたしまして、学校の実情に応じて、一学年から三学年のいずれかの学年で活用いたします。
また、十八学級以上ある大規模校には二名のアシスタントを配置し、複数の学年で活用いたします。
これにより、きめ細かな対応が求められる小学校低学年の教育の質の向上と教員の負担軽減を一層推進してまいります。
○龍円委員 教育の質の向上と教員の負担軽減の両方の効果が確認されたということでありまして、その効果が全校に波及するということは大変いいことだと思います。子供にとって、よりきめ細かな教育が実践できるような着実な取組の推進をお願いします。
次に、小学校高学年における教科担任制についてお伺いしていきます。
都教委では、この教科担任制を令和三年度からモデル的に実施して検証してきたということでありますけれども、まず、実施校における今年度までの成果についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、令和三年度から、小学校十校に中学校の理科または保健体育の専科教員を一人ずつ加配いたしまして、五、六年生において、各学級の担任等の教員と専科教員により教科の指導を分担し、教員の負担軽減、質の高い授業や複数の教員による組織的な生活指導の実現を図っており、今年度は十校を追加し、合計二十校で取組を行っております。
これらの学校からは、担当教科が絞られることにより授業準備の効率化が図られた、分担した教科について時間をかけて準備することができるため、よく分かると答える子供が増えた、子供と教員の多様な人間関係が生まれ、子供にとって相談できる相手が増えたなどの成果が報告されているところでございます。
○龍円委員 今、具体的な学校の声も紹介していただきましたけれども、教科担任制が教員の負担の軽減とか教育内容の充実につながっていることが分かりました。
これまでの取組の成果を踏まえて、来年度以降は計画的な教科担任制の導入に取り組むというふうに伺っております。
本格展開の初年度となる来年度の具体的な取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 来年度は、専科教員の加配により教科担任制を行う小学校を二十校から八十七校に拡大いたします。
各地区における教科担任制の円滑な導入拡大に向けまして、十二学級以上の小学校がある全五十一地区に、地区の教科担任制の推進を担う学校を設置し、一校一人の専科教員を加配するとともに、十一学級以下の小規模校につきましても、複数校で一人の専科教員を活用するなどのモデル実施を十六校で行いまして、指導の効果や効率的な指導体制について検証してまいります。
○龍円委員 十二学級以上の小学校については、各地区に推進役となる学校を設置して、十一学級以下の小規模校についても検証を行っていくということでありました。ぜひ各学校で効果的に教科担任制が実施されますように、取組の推進をお願いいたします。
東京都教育委員会では、教員が働きやすい職場づくりに向けてアウトリーチ型相談事業などを実施しておられますが、こうした教員をサポートする取組も、働き方改革の推進には大変重要であります。
令和六年度の教員支援の取組についてお伺いいたします。
○吉村人事部長 教員を支える取組といたしまして、臨床心理士等による小中学校でのアウトリーチ型相談事業を、来年度は実施地区を六十一に拡大するとともに、都立学校でも実施いたします。
小学校では、対象者別にも面談を行っておりまして、全新規採用教員等に加えまして、他の区市町村から初めて異動した教員にも対象を拡大いたします。
また、小学校において、年齢の近い先輩教員にいつでも相談を行える新規採用教員メンターを導入いたしまして、相談役となる教員等に、よりよいコミュニケーションのための研修を行います。
加えまして、若手教員約五千人へのアンケート結果を基に、世代間の意思疎通を円滑に行うための先輩教員向けガイドブックを新たに作成し、今月、全公立学校に配布したところでございます。
来年度は、校長会等を通じまして、各学校での活用を促進してまいります。
○龍円委員 先輩教員向けガイドブックというのを新たに作成したということですけれども、この世代間のコミュニケーションというのは、学校という場に限らず、どこの職場でも課題になっているといわれておりまして、こうして実際に若手職員にアンケートを行って、その声を取り上げるというのは効果的な取組だと思われますが、改めて、このガイドブックの特徴とその狙いについてお伺いいたします。
○吉村人事部長 新たに作成したガイドブックでは、採用三年目までの若手教員へのアンケート結果から、今の若手教員の仕事への思いや価値観等について分析するとともに、実際に若手教員がうれしかったり、つらかったりしたリアルなエピソードと、よりよいコミュニケーションの具体例等を掲載しております。
あわせまして、若手を育成する立場にある先輩教員への激励のメッセージを掲載するとともに、第二部では、心の不調への対応と支援策を、専門家の監修を下に分かりやすく解説しております。
アウトリーチ型相談事業や新たに導入するメンターと併せまして学校現場で活用することで、全ての教職員がやりがいを持って生き生きと働ける職場環境づくりを一層推進してまいります。
○龍円委員 この先輩教員向けガイドブックなんですけれども、私も拝見させてもらったんですが、とても読みやすくて、面と向かってはいいにくいことが書いてありますので、いいコミュニケーションのツールになるのではないかなというふうに思っております。こういった取組を通じて、全ての教員の皆様が生き生きと働ける職場づくりを着実に進めていただきますようお願いします。
息子の様子を見ながらインクルーシブ教育を進めたいといってはいるものの、そのインクルーシブする方の通常の学級が、もう疲弊しているようなところもありますので、その通常の学級が生き生きとした学級になっていくような取組をぜひ進めていただけますようお願いいたします。
次に、都立高校についてお伺いしてまいります。
都立高校では、通級指導というのが始まりまして、また、社会に出て使えるようなコミュニケーションスキルを獲得できるような支援も始まっております。都立高校のこういった取組というのは非常にすばらしくて、発達障害のある子たちにとっては、都立高校は学習しやすい環境が整いつつあるというふうに認識しています。
ただ、一方で、都立高校の入試について見ますと、内申点などもありますことから、発達障害のあるお子さんにとっては、必ずしも有利ではないというか、不利になってしまう面もあるというふうに伺っております。
そこで、障害のある子たちにとっての都立高校の入試についてお伺いしたいと思います。
様々な事情や状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試において、障害のある志願者が受検する際には、具体的にはどのような配慮があるのでしょうか。また、どのように配慮があることをその生徒の皆さんに周知しているのか。併せてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試におきましては、障害のある志願者等が受検する場合、学力検査や面接等におきまして、検査方法や検査時間、検査会場等についての特別な措置を申請することが可能となってございます。
具体的には、志願者の障害の特性等を考慮した上で、問題、解答用紙の点字による作成や拡大、英語リスニングテストでの座席の配置、発達障害のある受検者やけがをした受検者などに対する別室での受検や検査時間の延長、記号選択式での受検、また、介助者の同行なども認めてございます。
こうした措置につきましては、中学三年生全員に配布される都立高校入試等に関する説明冊子で案内するとともに、中学校に対する説明会や都教育委員会のホームページに掲載するなどして、志願者や保護者等への周知を図っております。
○龍円委員 特別な措置、私はこれを合理的な配慮と呼びたいと思っているわけなんですけれども、合理的な配慮を入試制度の中で実施しているということが分かりました。
先日の私たちの代表質問では、都教委では、今後、入試の在り方について検討していくという答弁をいただいたところであります。ぜひ発達障害のある生徒にとっても、この都立高校の入試制度がどのように評価されるべきなのかということについても、検討のトピックに入れていただきたいと思いますので、要望させていただきます。
昨日の予算特別委員会では、東京版のユースクリニックであります福祉局のわかさぽについて質問させていただきました。
来年度は、このわかさぽで妊娠検査薬を提供したりですとか、妊娠が判明したり、避妊に失敗した可能性がある方、そして感染症の可能性がある方については、医療機関とか保健所に同行して支援につなげていくということと、その医療費を負担できないお子さんの場合は、その医療費についても支援していくということが答弁で明らかになりました。東京都の子供、若者のセーフティーネットとしての機能を果たしていくということが見えてまいりました。
都教委では、このユースヘルスケアとして、私たちの会派からの提案も受けまして、産婦人科医の学校医による専門相談というのが実施されております。学校内で専門職に相談できるというのは、非常にいい取組だと思っております。
今年度は、十五校の都立高校でこの相談が実施されているということですが、今後、より多くの都立学校の生徒が、思春期特有の様々な健康上の悩みについて、産婦人科医による専門相談によって、健康管理に関する正しい知識を得られる環境を整備していただきたいというふうに考えております。
そこで、来年度はこの事業をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、今年度、チャレンジスクールや通信制の高校、特別支援学校など、多様な校種の十五校の都立学校におきまして産婦人科医による専門相談事業を実施しておりまして、月経に関することや心身の不調などの相談が、これまでに合計二百二十六件寄せられております。
本事業を実施している学校からは、月経不順があるが、受診が必要なのに相談できずにいた生徒が、産婦人科の学校医の個別相談を受け、受診、治療につながった、大学受験をする生徒の中には、月経痛が重く、不安が強い生徒もおり、産婦人科の学校医に相談することで、対処方法について助言をいただき、不安が軽減したなどの声を聞いております。
来年度は、新たに盲学校、ろう学校などを加え、多様な校種の十八校で産婦人科学校医を活用した相談事業を行っていくとともに、産婦人科医が訪問することが困難な多摩・島しょ地域等の都立学校三十二校におきましては、オンライン相談を実施できる体制を整備するなど、ユースヘルスケア事業を五十校に拡大してまいります。
○龍円委員 高校生にとって、産婦人科に行くのは非常にハードルが高いと思いますが、学校医として学校の中にいるということで、実際に悩みの解決につながっているということが見えてまいりました。
今年度は十五校だったものを、来年度は、オンラインも含めて五十校に拡大するということでありました。ぜひ今後も、福祉局や子供政策連携室と連携しながら、都内の子供、若者が正しい性に関する知識を得られ、困ったときは安心して相談ができ、解決していくことができる体制を広げていただけますようお願いします。
また、福祉局のわかさぽは、本当に困ったときは助けになりますので、常設の会場が十一月にオープンしたところでありますので、校長会などを通じて、その存在を子供たちに届けていただきたいと思いますので、ぜひ都教委のご協力をよろしくお願いいたします。
では、最後はオンライン学習についてであります。
コロナ禍では、学校休業要請などもあって、オンラインによる学びが進みました。この経験は、学びの保障という観点からも、次の段階に入ることが期待されております。
例えば、今、大はやりしていますけれども、インフルエンザなどによる学級閉鎖の場合であってもオンラインの活用ができますし、入院している子供たちの学びにも活用ができます。
今回、能登半島の地震でもオンラインによる学びが注目されたように、大規模な震災、災害があっても、学びが継続できることが実証されています。
東京都は、都立高校などでオンライン学習デーなどを導入しており、今後は、区市町村の小中学校にも情報共有して、情報提供して、オンラインの学びを一層推進するべきだというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、災害等により学校に登校できない状況においても学びを止めることのないよう、オンライン学習デーを今年度から都立高校等で実施しております。
この成果として、学校内でインフルエンザが拡大した際に、オンラインで学習を継続した例や、島しょ地区で、台風の接近により登校できない中、オンライン学習に切り替えた例が報告されております。
令和六年度も、都立高校等においてこの取組を継続するとともに、都内の公立学校でのオンラインによる学びができるよう、区市町村の担当者向け連絡会において周知をしてまいります。
○龍円委員 私の地元の渋谷区は、一人一台端末が、少しほかの区市町村よりも早く導入されていたということで、コロナ禍では、オンライン学習に切り替えるときに、本当にスムーズに、何の混乱もなくできたんですね。
なので、ふだんから、このオンライン学習というのを定期的にしていることによって、いざというときに活用できますので、この取組も続けていただきますようお願いいたします。
以上で私の質疑を終えます。ありがとうございました。
○かまた委員 それではまず、私からは、外部人材の拡充についてお伺いをいたします。
学校では、個に応じたきめ細かな指導や対応が必要になっているため、学級担任一人が子供たちとじっくり向き合おうとすれば、必然的に外部人材の手助けが必要不可欠となります。
ところが、外部人材が教員のように毎日勤務しているという状況ではないため、いてほしいときに外部人材が出勤していないという状況が発生をしております。
例えば、残業時間が多い学校にはスクールサポートスタッフを二人配置しているため、毎日、どちらかのスクールサポートスタッフが業務に当たることが可能ですが、ほかの学校については、一人配置の上に、一月の勤務日数に上限設定がありますので、毎日、業務に当たることができません。
また、エデュケーションアシスタントにつきましては、一部の学校にのみ配置をしている状況であり、学校現場からは、ぜひエデュケーションアシスタントを自分の学校にも配置してほしいとの声を伺っております。
そこで、スクールサポートスタッフとエデュケーションアシスタントの配置拡充を進めるべきと考えますが、具体的な勤務日数等を含めて見解をお願いいたします。
○矢野人事企画担当部長 スクールサポートスタッフを希望する全ての小中学校に一名配置するほか、時間外勤務が多い学校には追加配置を行い、来年度は、全体で約二千二百人を配置することを予定しております。
また、エデュケーションアシスタントを、今年度の百校から、来年度は全小学校に配置することといたしまして、十八学級以上ある大規模校には二名のアシスタントを配置いたします。
これらの外部人材の勤務時間や勤務日数については、学校の実情に応じて各区市町村教育委員会が設定しております。
○かまた委員 今回、この配置拡充をした校長先生から、早速、喜びの声をいただきましたけれども、その校長先生から確認をされたことがあります。それは、その配置拡充は、人材確保まで教育委員会がやってくれるのですよねという、そういう確認でありました。
よく先生方から伺うのが、予算はあるけれども、人が見つからないんだという言葉であります。せっかく人材配置の予算をつけるのであれば、人材は校長や副校長が探すというスキームではなくて、最後まで教育委員会が人材確保に取り組むという、そういう仕組みにするべきであります。
そこで、区市町村はどのような方法でこれらの外部人材を採用しているのか、また、外部人材の確保が難しい場合、都は、どのような支援を行っているのかについてお伺いをいたします。
○矢野人事企画担当部長 スクールサポートスタッフやエデュケーションアシスタントは、区市町村教育委員会が公募し、学校または教育委員会が選考し、採用しております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会が人材を募集するに当たりまして、TEPRO、東京都教育支援機構の人材バンクの活用を促しております。
また、エデュケーションアシスタントについては、会計年度任用職員のみならず、人材派遣を新たに活用できるようにいたしたところでございます。
○かまた委員 TEPROや人材派遣会社も人材確保に参画できるということで、ぜひ人材確保につきましては、都教育委員会と各区市町村教育委員会で、最後まで責任を持って取り組んでいただきたいと思いますし、また、学校に人が配置されるところまでが予算化をした教育委員会の責任と捉えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、働き方改革についてお伺いをいたします。
教員の働き方改革の推進は、若者の教職離れに歯止めをかける意味でも、必要な取組の一つであります。
とりわけ、教員の方々がより授業準備等に専念できる余裕を、時間外労働を避けた上で増やす取組が重要と考えます。
この点で、専門的知見を持つ外部講師を授業に活用することが有効な手だてと考えられますが、現状では、せっかく外部講師を活用しようとしても、授業として実施される以上、原則、教員の同席が必須となっており、教員の拘束時間という点では、負担減にはつながっていません。
そこで、教員が授業準備等に専念できる時間を増やすとともに、質の高い授業を安定して実施できるよう、工夫した取組を進めるべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
○吉村人事部長 都教育委員会では、教務主任など負担の大きい校務を担う教員について、時間講師の配置により、担当する授業時数を軽減する取組を進めてまいりました。
実施校では、対象教員が周囲をサポートできる時間等も増え、学校全体で在校等時間が短縮される効果も確認されておりまして、来年度は、小中学校のICT担当等の時数軽減を全校に拡大いたします。
また、小学校におきまして、教員の負担軽減と教員の質の向上を目的に、教員免許を保有していないものの専門性を有する外部人材を一人で授業を行える講師として任用する取組を、現在の九百五十学級から、来年度は千二百学級へ拡大いたします。
こうした教員の負担軽減の取組について、さらに検討を深めてまいります。
○かまた委員 要望にはなりますけれども、教員免許取得者の方の中には、授業を受け持つことには戸惑いがあるけれども、学校に関わり、現職教員の負担減に寄与することには協力したいという方もいるかと思いますので、そういう方々のご活用につきましても検討していただきたいと思います。
続きまして、人材確保で最も重要な教員の確保についてお伺いをいたします。
教員定数をきちんとそろえることは、教育委員会の最重要課題でありますし、責務であると考えますので、令和六年度の教員確保に向けた具体的な取組について確認をさせていただきたいと思います。
小学校では、来年度、定数が四百八十八人増えるとのことですけれども、年度当初の教員確保に向けて、どのように対応を進めているのか、お伺いをいたします。
○吉村人事部長 小学校におきましては、近年、三十五人学級の学年進行や中途退職者等の増加によりまして、年度当初に必要な教員数が増加傾向にございます。これらを精緻に捉えまして、教員採用選考の合格者数を決定しております。
その上で、今年度から、採用予定者への配置連絡をこれまでより五週間程度早めるなど、着実な任用につなげるための取組を進めております。
また、新たに、合格者同士の交流会や、教職から離れていた社会人などのペーパーティーチャーを対象とした模擬授業等の講習を開催するなど、採用予定者の不安を解消し、四月からの着任に向けた働く意欲の醸成を図っております。
○かまた委員 五週間程度も早めて採用予定者への配置連絡を進めてくださったということで、恐らく担当の皆様は、とてつもない苦労を重ねながら、ご尽力をいただいたかと思います。
しかしながら、どんなに工夫を凝らしてご尽力をいただきましても、学校現場の教員不足が始まってから数年が経過をしております。この状況は、何としても改善をしていかなければならないと思います。
特に、副校長業務をしながら担任も務める管理職の先生方や、本来なら自身の業務を進めるべき自身の授業がない時間を、教員が不足しているほかのクラスの補強に費やす先生方の心身の疲弊を思うと、令和六年度は、何としても対策を講ずるべきであります。
そこで、年度途中にも退職、病休等で教員の不足が発生することを見据えまして、その補充対策や教員の負担軽減のために、外部人材の確保にどのように取り組んでいくのかについてお伺いをいたします。
○吉村人事部長 年度途中の不足に備えまして、臨時的任用教員や時間講師の選考を通年で実施するとともに、転職フェア等での相談会の開催や、転職サイトでの募集案内などを行っております。
また、新たにPRポスターを作成し、都内公立学校や地域の掲示板等に掲載することで、地域の有用な人材の掘り起こしを行っております。
さらに、四月に向けまして、学校でのキャリアのはじめかたと称し、臨時的任用教員のほか、スクールサポートスタッフなどの外部人材等、学校における様々な職を総合的に紹介するオンラインイベントを初めて開催いたしまして、テーマごとに約二百名の参加がございました。
こうした取組を通じまして、臨時的任用教員や学校を支援する様々な外部人材等の確保に努めてまいります。
○かまた委員 臨時的任用教員や時間講師の選考を通年で実施したり、外部人材確保に向けてイベントを開催したりと、都教育委員会の皆様が工夫を凝らしているとは思いますが、学校に教員が足りないという状況を、全力で取り組んで改善をしていきたいと思います。
私は、非常事態だと今思っております。この非常事態を乗り切るためには、通常の常識の範囲の対策では課題解決にはならないというふうに考えております。今後、令和七年度まで教員不足が見込まれますけれども、あと二年となります。この二年間、何としても教員不足の解消に向けまして、ぜひ、これまでにはない対策も考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、続きまして、国際交流についてお伺いをいたします。
様々な意見が巻き起こることを覚悟しながら都教育委員会の皆様が進めました中学校スピーキングテストにつきましては、確実に中学校の授業改善につながっております。そして、中学校卒業時点での英語力は、生徒たち、必ず向上していくと思います。
そうしますと、この先、進学先であります都立高校においても、中学校で身につけた英語力をさらに伸ばす取組が必要となりますし、特に、実践的に英語を活用する場を提供していくことは重要であります。
そこでまず、都教育委員会が実施しております海外からの生徒を受け入れる事業の取組内容についてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、今年度、カナダやオーストラリア、ニュージーランドをはじめ、東南アジアや中東の国や地域からの高校生、約百五十人を、約一週間、都立高校二十校で受け入れたところでございます。
滞在期間中は、学校において、授業などで互いの文化を紹介し合うほか、再生可能エネルギーや食料問題など、世界的な課題について議論を行いました。
また、放課後には、剣道や書道などの部活動で、共に日本の伝統文化を体験するとともに、浅草などの都内の視察において下町の歴史や魅力を体感するなど、英語を使った交流を通じて、グローバルな視点から世界や日本に関する理解を深めたところでございます。
○かまた委員 議論をしたり、共に都内視察をしたりと、本当によいプログラムだと思います。直接、海外の方々に会い、身につけた英語を活用することで、さらに英語を学ぶ意義や意欲が湧いてくるものです。ぜひ、海外の生徒を受け入れる際には、より多くの生徒たちが英語で海外の方々とコミュニケーションを取る機会を得られるように工夫をしていただきたいと思います。
そして、実際、海外に行き、英語を使って様々な経験をすることも大変重要であります。
そこで、都教育委員会が実施しております高校生等の海外派遣研修の取組実績についてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、グローバル人材を育成する取組を一層充実させるため、今年度、カナダやオーストラリアなどのいわゆる英語圏の国々に加えまして、これまで交流機会の少なかった中東や東南アジアの国々など、訪問先を八か国に拡大して、約二百人の生徒を派遣したところでございます。
訪問先で、生徒は、世界トップレベルの大学やグローバルに展開する企業などを訪問し、最先端の研究や活動について学んだり、文化施設などを視察し、特色ある芸術や伝統的な生活様式を直接体験いたしました。
また、高校などを訪問し、現地の高校生と共に、授業やスポーツでの交流を行うなど、国内では得難い、海外ならではの多様な体験に取り組んだところでございます。
○かまた委員 派遣された約二百人の生徒たちは、本当にすばらしい経験を積むことができたと思います。
また、一方で、派遣研修に参加できなかった生徒にも、海外派遣研修を通じて得た知見や経験などの成果を共有していくことが大切であります。
そこで、研修に参加をしなかった生徒へも成果を共有するための具体的な取組についてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 帰国後、生徒は、在籍校において、全校集会などでほかの生徒に研修の成果を伝える、それとともに、都教育委員会の主催の合同報告会で発表を行ったところでございます。
報告会では、学校での学びや興味、関心に基づき設定をしておりました研究テーマについて、事前調査ですとか、現地で検証した内容、これらに関するプレゼンテーションを行いました。
また、多様な価値観や考え方に触れて視野が広がったことでありますとか、海外大学への進学やグローバル企業での海外勤務など、将来のキャリアを考える契機になったことなど、自らの体験についての報告を行ったところでございます。
発表を聞きました生徒からは、身近な友達が海外研修に参加したことで勇気をもらったですとか、あるいは、自分も、ぜひ英語で様々な国の人と交流してみたいなどの声がありました。
また、引率した教員からも、同年代の高校生の驚きや感動などを直接聞くことができた、それで、参加していない生徒にもよい影響があったという声が寄せられたところでございます。
○かまた委員 まず、中学校がスピーキングテストで授業が変わり、生徒の力がついて、そして、高校でもこのような取組をしてくださっております。ぜひ引き続き、続けていただきたいと思います。
また、今年度は、英語圏の国々に加えまして、東南アジアや中東の国や地域とも国際交流を進めてくださいました。ともに母国語が英語ではないという生徒たちが身につけた英語で交流することの意義を、私も実感をしている一人であります。ぜひ来年度以降も続けていただきたいと思いますし、また、できれば、近隣の国々を含めた様々な交流先の拡大についても検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、工科高校について質問させていただきます。
私の地元には、北豊島工科高校があります。北豊島工科高校の卒業式に参列をしますと、全日制、定時制を問わず、多くの生徒たちが自信を持っている様子が、式に臨む姿から感じ取れまして、工科高校の教育力の高さを実感しております。
教育力が高い理由としては、校長先生をはじめ、先生方が熱心に生徒一人一人に関わってくださっていることはいうまでもありませんけれども、生徒にとって、自分の将来をしっかりと見据えて、目的を持って学ぶことが、これほど自信につながっていくのかということを、私も感動をもって実感しております。
工科高校の生徒たちが、いずれ、ものづくりの人材として東京の産業基盤も支えていくことも大いに期待をしております。
都は、来年度、ものづくりスペシャリスト育成に向けた支援として、工科高校生を対象に資格取得支援制度の導入を予定しておりますが、その意義についてお伺いをいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 現在、都立工科高校では、機械、電気、電子、情報をはじめ、インテリアや食品など、幅広い専門分野で、ものづくり技能の習得に取り組んでいるところでございます。
こうした技能の習得に向けましては、各学校、学科における教育はもとより、それぞれの専門分野の資格取得を目指すことが、より実践的な技能を習得し、ものづくりスペシャリストとして活躍する上で、極めて有効と考えてございます。
今回の資格取得支援制度は、都立工科高校生が、こうした工業系の専門資格の取得に向けまして、自ら積極的にチャレンジする場合に、受験料や講座受講料など、その経費の二分の一を上限に支援するものでございまして、ものづくり技能の習得を一層促進することを目的としております。
○かまた委員 この資格取得支援につきましては、より実践的な技能を習得するのに有効な取組になると思います。
しかしながら、生徒たちが積極的に、意欲的にこの資格取得に取り組むためには、励ましを送る学校の先生方の存在は必要不可欠であります。
現在、各工科高校では、学校において、教員が生徒の資格取得に向けて指導等を行っていると伺っておりますけれども、こうした学校の取組としっかり連携をすることで、この資格取得支援制度がより有効に活用されるものと考えますが、見解をお伺いします。
○猪倉高校改革推進担当部長 現在、都立工科高校では、課外活動におきまして、電気工事士など、各学科ごとに関連する資格の取得を目標に、教員や外部講師の指導による実習等が行われているところでございます。
資格取得支援制度の実施に当たりましては、こうした取組と連携していくことが大変重要と考えておりまして、全ての工科高校から聞き取りを行い、推奨される百五十を超える資格を本制度の対象とするとともに、学校で行っている資格取得に向けた取組に要する経費につきましても、本制度の補助対象とすることといたしました。
今後とも、学校と密に連携を図りながら、工科高校の生徒がチャレンジしたい資格が取得できるよう、本制度を運用してまいります。
○かまた委員 本当にありがとうございます。ぜひ今後も、学校現場のニーズを伺いながら進めていただきたいと思います。
続きまして、日本語指導の充実についてお伺いをいたします。
言葉が分からないということが理由で、授業が理解できなかったり、友達とのコミュニケーションが楽しめなかったりすることから、自分らしさを発揮できないという状況は、何としても改善をしなければなりません。
都は、この三月の完成を目指して、日本語能力の把握や校内体制の構築、指導方法などを網羅したガイドラインを作成し、日本語指導の充実を図っていくとのことです。
そして、さらに、来年度から、義務教育段階の児童生徒を対象に実施をします対話型アセスメントについて、区市町村への導入を支援し、高校段階の生徒を対象にオンラインアセスメントを導入するとのことで、その予算が計上されております。
特に教育現場で指導を実施するに当たって、まず、目の前の子供の実態を把握し、その実態に即した指導計画を立てて指導を進めることが最も重要でありますので、このアセスメントは非常に有効だと考えております。
そこで、本事業を導入するに至った背景についてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 日本語指導が必要な児童生徒は、使用する言語や過ごしてきた環境、学習状況など、様々な実態があり、日本語の能力も一人一人異なっているという状況がございます。
そのため、個々の児童生徒の、学校生活を送る上で、また教科等の授業を理解する上で必要となる日本語の能力を把握し、それに応じたきめ細かな指導に生かしていくことが重要だと考えています。
このため、都教育委員会は、令和六年度から、公立小学校、中学校、高校において、日本語指導が必要な児童生徒にアセスメントが実施されるよう取り組んでまいります。
○かまた委員 伺ったところ、このアセスメントは東京外国語大学が考案をしまして、文部科学省が推奨したものの、推進が進んでいないということであります。すばらしい手法であるにもかかわらず、なかなか導入できないでいる背景には、この対話型アセスメントは、一対一で対話を進めながら実施しなければならないために、人手や時間が必要であるということが課題であるからだと思います。
そのため、この対話型アセスメントを導入しても、人員の確保という課題の解決策を持ち合わせなければ効果が出ないと感じますが、今回のアセスメントの実施方法及び期待される効果についてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 対話型アセスメントでございますが、児童生徒との対話を通して日本語の能力を把握すると同時に、教科学習の支援の方法を検討するために行うというものでございまして、専門の知識のある実施者の養成が必要であります。
このため、都教育委員会は、日本語指導の支援の経験のある外部人材を対象とした講習会を大学等と連携して実施をいたします。
対話型アセスメントの実施によりまして、日本語の言語技能をきめ細かく把握するとともに、学習到達度の把握により学習内容を検討していくなど、日本語指導が必要な児童生徒一人一人の実態に応じて、学校生活や授業を理解する上で必要な日本語能力の育成を目指してまいります。
○かまた委員 都の教育委員会自らが専門知識のある実施者を養成していくということで、各地域の日本語を母語としない子供たちの日本語の能力が確実に身についていくことを大いに期待いたします。
本事業は、特別支援教育と同様に、一人一人の可能性を引き出すという点で、大いに価値のある事業だと思います。まずは、本事業の確実な実施を進めていただきたいと思います。
そして、今後ですけれども、この日本語を母語としない児童生徒への指導が全東京中に確実に進んでいきますよう、区市町村教育委員会で本事業に取り組む人員の確保という点も、ぜひ考慮しながら進めていただきたいと思います。
最後になりますけれども、全体に対しての意見を述べさせていただきたいと思います。
教育庁が所管をします事業というものは、いうまでもなく学校現場に下りていくものであります。これまでも世の中の課題が見つかりますと、この課題解決のたびに、多くの事柄が教育で進めるべきとか、子供のうちから教えるべきということで、学校現場にやるべきこととして落ちていきます。
教育でやるべきか、やらなくてもよいかという議論になりましたら、当然、大抵のことは教育でやるべきであるという結論になります。しかしながら、学校の授業時間には限りがありますし、また、その授業時間のほとんど全ては、既に決められた学習内容で埋まっております。
ですから、これからも様々なニーズが浮上してくると思いますけれども、ぜひ教育委員会の皆様には、優先順位をつけていただきまして、子供たちや先生方の過度な負担にならないように、スクラップ・アンド・ビルドのスクラップをどんどんどんどん進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
まず初めに、知的障害児特別支援学校、そして、強度行動障害のある児童・生徒への効果的な指導の在り方について伺っていきたいと思います。
知的障害児特別支援学校の児童生徒が増え続けています。昨年五月一日現在の在籍者数は一万八百四十五人、二〇二一年度推計による二〇三一年度の見込みは一万二千七百四十七人であり、約一千九百人増加する見込みであります。
保護者の皆さんが独自に調べた資料もいただきました。知的障害特別支援学校では、子供が大幅に増えても、増設はされず、いまだに間仕切りなどでしのいでいるという学校が幾つもあります。
都教委においては、特別支援学校の大規模化を進めるのではなく、早急に増設をし、子供たちによりよい環境を保障することを、まず求めておきます。
重重学級の増設も急がれます。
そこでお聞きしますが、矢口特支、小金井特支、江東特支、久我山特支、これらの学校については、平成三十年から令和五年での児童生徒数の増減、また重重学級の増減を教えてください。
○落合特別支援教育推進担当部長 平成三十年から令和五年の各学校の全校児童生徒数は、矢口特別支援学校で百三十四人、小金井特別支援学校で九十四人、江東特別支援学校で六十二人、久我山青光学園で八十六人の増、重度重複学級の数は、小金井特別支援学校と久我山青光学園で、それぞれ一学級の増となってございます。
○とや委員 今お答えいただいたように、どの学校も生徒が増えているのに、重重学級は、小金井と久我山青光のみ一学級ずつ増えているというだけです。こうした実態があって、今でも重複障害を持つ子供さんが重重学級に入ることができない実態があるわけです。
重度の障害、重複障害、障害の種別ごとに、子供は適切な教育を受けられる環境を保障することは極めて重要だと思いますが、都の考えを伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 児童生徒の障害の種類や程度にかかわらず、可能性を最大限に伸ばすことができるよう、特別支援教育の充実に取り組むことが重要であると認識してございます。
○とや委員 可能性を最大限に伸ばすことができるよう、特別支援教育の充実に取り組むことが重要だと。このご答弁、この言葉どおりであれば、やはり子供たちが障害の程度に応じて、障害の特性に応じて、しっかりと教育を受けられるよう、ぜひご努力をお願いしたいと思っています。
東京都は、二〇一九年以来、少しずつ重重学級を増やしてきました。これは本当によかったと思いますし、保護者の求めに応じて増やしてくださったんだと思っています。
そして、この一年については、特に肢体不自由の重重学級が増えました。それでも、まだ不十分だと考えます。
障害の特性に合わせて、今後も重重学級を増やす必要があると考えますが、いかがですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 学級編制基準に基づき、今後、対象と認定すべき児童生徒数が増加すれば、これに対応して、重度重複学級も適切に増やしてまいります。
○とや委員 適切に増やしてまいりますというご答弁をいただきました。これは非常に重要な答弁だと思います。ぜひこの立場で、必要な生徒が重重学級に入れるよう、重度重複学級を増設していただきたいと思います。
ここからは、強度行動障害のある児童・生徒への効果的な指導の在り方について伺っていきます。
知的障害を持つ子供さんの中には、強度行動障害の症状が出る子もいらっしゃいます。しかし、重度重複学級に入れず、普通学級に在籍している子供たちもいます。
こうしたお子さんは、入学時に普通学級に在籍が決まって過ごしていても、後から症状が出ることがあります。その場合、重重学級に在籍させることはできますか。
○落合特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かについて、毎年度、児童生徒の発達や行動、疾病の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定してございます。
○とや委員 強度行動障害のお子さんが在籍していた千葉県のしいの木学園は、今年度で閉校になりますが、強度行動障害の子供を受け入れ、ほぼ一対一の手厚い支援をしていたわけです。だからこそ、保護者も安心して通わせることができたと思います。
同じ水準で支援するには、今の特別支援学校の体制では、重重学級に在籍し教育を受けることが、子供の成長にとって、ふさわしい環境といえるのではないかと思います。
しいの木学園は分教室となるわけですが、強度行動障害の症状を持つ子供は、他の特別支援学校にも在籍しているわけで、ぜひ適切な支援で成長を保障するため、重重学級を増やしていただくことを重ねて求めておきます。
自閉症協会などから寄せられている国への要望書では、集団生活が基本となる学校生活は、自閉症などの発達障害の特性から来る感覚の過敏さがある児童生徒は過度な負担となるため、個別の日課あるいは一人になれる空間が必要ですと。しかし、学校の対応は不十分であるとか、人材育成を求める要望もあります。
こうした状況もあって、国もガイドラインの作成に動いて、都も、しいの木学園閉校の方針を踏まえ、強度行動障害のある児童生徒への対応をまとめて、今回の在り方について冊子をまとめたのだと思います。
自閉症協会、全国手をつなぐ育成会連合会、全日本自閉症支援者協会、強度行動障害医療学会からは、文科省に向けて要望書も出されており、こうしたことが背景になって、今回の冊子とつながったんだと受け止めています。
強度行動障害のお子さんは、適切な支援を受けられれば症状が抑えられると。強度行動障害を防げるともいわれております。
特別支援学校において、強度行動障害の児童生徒への対応についてお聞きします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校においては、強度行動障害のある児童生徒の状況を適切に理解し、信頼関係を築くとともに、児童生徒の持っている力を最大限発揮できるように、指導方針等を立てて、意思表示の手段を得られるようにするなどの指導をしてございます。
○とや委員 児童生徒が落ち着いて学校生活を送れるようにするということは重要です。
今回作成した指導の在り方の冊子ですが、まず、その目的について伺っておきたいと思います。また、生徒にとって、どのような効果があるのかも併せてお答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 強度行動障害についての適切な理解を踏まえ、児童生徒の不安な気持ちに寄り添った効果的な指導を充実させていくことを目的としてございます。
このような指導により、児童生徒が見通しを持って安心して行動ができるようになった、カードやアプリなどを用いた言葉以外の意思表示の手段の獲得ができるようになったなどの効果が見られてございます。
○とや委員 子供が見通しを持って安心して行動できるようになることは大切なことだと思います。
そして、この冊子を活用することで子供の変化を促すことになると思うわけですが、子供の行動を変えていく、見て分かる変化をつくるということも大事だと思うわけですが、子供の心の変化や気持ちを受け止めて信頼関係をつくっていく、その過程を重視することも大事ではないでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 強度行動障害のある児童生徒の学級担任等は、まず、児童生徒の行動の背景を受け止め、理解、信頼される関係を築くことを重視し、その上で意思表示の方法を見つけるなどの指導を行ってございます。
○とや委員 子供との信頼関係を築くということは非常に重要な取組でありますが、それをするには、担任の先生がゆとりを持って児童生徒の様子を把握し、無理なく対応することが大前提だと思います。
担任との信頼関係が大事であること、担任任せにしない組織的対応ということが、この在り方の冊子の中にありますが、そのための体制が本当に保障されているのでしょうか。
ここは非常に疑問なんですが、いかがでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 学校での指導体制については、学級担任等へ組織的な指導を行うため、特別支援教育に関わる校内委員会等や特別支援教育コーディネーターが中心となって実施してございます。
○とや委員 都は、この間、特別支援学校の教員を減らしてきました。そのため、子供一人一人の障害の特性に合わせた対応が十分にできないこともあって、現場の先生たちは本当に悩んできました。
特別支援教育コーディネーターが中心だと今おっしゃいましたが、そもそもコーディネーターの役割は、地域を巡回し、地域の特別支援教育の充実のために尽力をしているというふうにも聞いているわけです。強度行動障害の子供への対応をするため、担任の先生を支援することがどれほどできるのかなと思います。
大事なことは、この間、減らしてきた教員を増やすこと、重度重複学級も、子供の障害特性に合わせて、もっともっと増やすことです。それが子供たちの成長の一番の近道だと考えます。
今回、作成した冊子は、先生が強度行動障害の子供たちに対して適切に対応するための手助けになると思います。
一方、行動変容があったり、あるいは一時的に落ち着いたとしても、その先の心の成長をどう援助するかが重要だと思います。いかがでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 強度行動障害の症状が改善された後についても、卒業後の社会生活などを見据えて、本人の達成状況や成長の段階に応じて、本人に合わせた指導を行ってございます。
○とや委員 強度行動障害の状態になる症状が出ることで、子供も親もつらい思いをしていることで、関係者から、先ほど申し上げたように要望が届いています。激しい行動が見られる思春期には、家庭では受け止め切れないこともあって、学校や福祉などの連携の必要性も求められています。
しかし、都も、子供たちの実態について、今、把握も、国もそうですが、できていないという状況であります。ぜひ実態調査もして、さらに研究を深め、学校での教育と家庭への支援を強化していただくよう求めて、次の質問に移ります。
痴漢をはじめとした性暴力、性加害被害ゼロを目指す取組と性教育について伺います。
都は、初めて痴漢被害の実態調査を行いました。調査の結果、四五%、男性の九%、ノンバイナリー、Xジェンダーの三六%が痴漢被害に遭ったことがあるという深刻な状況が分かりました。
調査結果では、電車内や駅構内での被害経験は、年代別に見ますと、十九歳以下で、全ての性の中で二七%に上っています。
最初に被害を受けた被害で、電車内と答えた人のうち、高校生は三六・五%、中学生は一一・七%、小学生も五%いました。
また、駅構内で被害に遭った人は、三一%が高校生、中学生は八・一%、小学生は八・六%いました。
また、性加害、被害の場所は、鉄道駅や電車内だけではないんですね。昨年六月の内閣府、子供、若者の性被害の状況等に関する調査では、性交を伴う性暴力被害の加害者は、学校、大学の関係者、例えば教員、先輩、同級生、クラブ活動の指導者など、顔見知りからの被害も約三割に上っております。
実際、昨年は、私の地元練馬でも校長が逮捕されたわけですが、学校での性加害、被害をなくしていくため、早期発見はもちろんですが、起こさないためにどのような教育が必要なのか、ここを考えていきたいと思っています。
実態調査では、専門家が包括的性教育の必要性をコメントしていますが、都としてどのように受け止めますか。
○市川指導推進担当部長 学校における性教育は、子供の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、子供が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要がございます。
○とや委員 この調査は、教育委員会もご存じのように、都が行った初めての調査であり、東京での痴漢という身近な性暴力の実態が浮き彫りになったわけです。
しかも、痴漢被害のリスクが高い若年層、とりわけ十代を、痴漢対象から守る対象群として明確に位置づけ、重点的に教育、啓発を進めていくことが必要だと有識者もコメントをしています。
これまでの取組で、通り一遍の評価では、税金を使って大がかりな調査をした意味がありません。ぜひ全庁を挙げて有効に活用していただくことを求めておきます。
そして、加害者にも被害者にもならない性暴力を根絶していくための教育として有効なのが包括的性教育だと考えます。
世界中の研究とそのエビデンスを基にして効果的なプログラムで構成されている国際セクシュアリティ教育ガイダンスは、質の高い包括的なセクシュアリティー教育を提唱し、健康と福祉を促進し、人権とジェンダー平等を尊重し、子供や若者が健康で安全で生産的な生活を送ることができるようにすることを目的としています。人権を基盤に、性についてのポジティブなイメージを育ててほしいというのが、このガイダンスの考え方です。
ここでは、包括的性教育が、性感染症やHIV、エイズの予防、予期せぬ妊娠やリスクの高い性的行動の抑制、生殖に関わる健康面の増進、性的な異性関係における自己の権利に関する知識の獲得、性や関係性についての親とのコミュニケーションの増加、リスクの高い状況への対応力など、極めて有効であることを示しています。各国における効果的なカリキュラムを開発し、包括的性教育を実施するよう促しています。
ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスの取組について、都教育委員会の認識を伺います。
○市川指導推進担当部長 ご質問のガイダンスは、様々な文化、社会、宗教などを背景とした諸外国における性教育の状況等について紹介されております。
都教育委員会は、性教育が学習指導要領に基づき適切に実施されるよう、各学校を支援しております。
○とや委員 諸外国の性教育の状況について紹介しているということで、東京都も、都教委もご存じだということです。ですが、ユネスコガイダンスに沿って包括的性教育を実施しているのは、諸外国という表現にとどまらず、多くの国々で採用されているガイダンスです。ぜひ都教育委員会として、もっと認識してほしいと思います。
痴漢被害の実態調査では、痴漢行為に気がついてから確信するまでに時間を要することが明らかになりました。中高生にとって、痴漢に遭うことが日常茶飯事になっていて、特別なことではない、仕方がない等の空気感になっている状況について、自分だけ被害を訴えるのは恥ずかしい、自分だけ騒いでいると思われたくない等、同調圧力に配慮して訴え出ない被害者も少なくないという識者のコメントがあります。
二〇二二年六月に内閣府が行った調査、若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング、この結果でも、どこにも相談しなかったケースが半数を超えています。
こうした事態がなぜ起きるのか、都の見解を伺います。
○小寺指導部長 性暴力の被害に遭った子供が、ためらうことなく相談できますよう、都教育委員会が作成した生命(いのち)の安全教育に関する教員向け資料の中に、信頼できる大人に相談することの大切さを理解させる指導事例を掲載いたしますとともに、都内公立学校の全ての子供に、被害を受けた場合の相談先を掲載したチラシをデータで配布するなどしております。
○とや委員 私がお聞きしたのは、なぜ被害に遭った子が、痴漢行為に遭っても確信するまでに時間がかかるのか、どこにも相談しないのか、その理由です。
子供たちは、幼い頃から、自分の体の大切さや、自分の体のどこに誰がいつ触れていいのか、体の権利について学んでいることが少ないです。こうした環境で育てば、自分の権利が曖昧になってしまうと思います。
ユネスコガイダンスでは、この点を重視し、五歳から八歳では、誰もが、自分の体に誰がどこにどのように触れることができるのかを決める権利を持っていることを学ぶことが重要としています。
九歳から十二歳では、男女問わず、望まない性的な扱われ方は、プライバシーと自らの体を自分で決める権利の侵害であると認識するというふうにいっています。
十二歳から十五歳では、プライバシーと体の保全を誰もが持っていること。
十五歳から十八歳以上では、健康で喜びのあるパートナーとの合意した上での性的行動のために、同意は不可欠であるということを学ぶわけです。
学校では、残念ながら、こうした学びは十分に行われているとはいえないんじゃないでしょうか。
そこでお聞きします。
同意とは何なのか、自分の体に誰がどこにどのように触れることができるか決める権利を、どの子も学ぶ必要があるんじゃないでしょうか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、先ほどお伝えいたしました指導資料の中に、自分の体は自分だけの大切なものであることなどを学ぶ事例を掲載しておりまして、各学校では、こうした資料を活用して指導を行っております。
○とや委員 自分の体は自分だけの大切なものであると学ぶ機会があるということです。これは大変大切なことだと思います。ぜひもう一歩踏み込んで、子供たちが自分の権利と同意について学べるよう、都教委としても、学校、教員などを支援していただくことを求めておきます。
長期にわたって深刻な影響を及ぼす痴漢被害ですが、被害に遭ったとき、第三者が対応を取れば、九三%が止まったという結果が出ています。
都教育委員会として、アクティブバイスタンダーを増やしていくために、どのように取り組みますか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、指導資料の中に、性犯罪、性暴力をなくしていくために、傍観者にならず、積極的に行動できる第三者になることの重要性を伝える実践事例を掲載しております。
○とや委員 確かに、生命(いのち)の安全教育の実践事例の中学校編では、第三者としての正しい考え方、高校のページには、アクティブバイスタンダーの言葉が入っており、重要だと記載されています。これ自体、掲載されていることはよかったと思っていますが、私は、今回の調査結果を踏まえて、さらなる取組の強化をお聞きしたわけです。九三%被害が止まるというのは、私は本当に驚きでした。とても重要だと思うわけです。これまでの取組にとどまらず、アクティブバイスタンダーを増やす取組の強化を求めるものです。
ここから、生命(いのち)の安全教育の内容にもう少し踏み込んで伺っていきたいと思います。
国は、性犯罪・性暴力対策の強化の方針をまとめて、その一環として生命(いのち)の安全教育を実施しています。今年度から本格実施ということで全国で実施されているわけですが、この背景には、性暴力をなくそうという世論の高まり、それを受けた行政の取組が生命(いのち)の安全教育につながったといえます。
刑法犯罪規定の改正、性暴力根絶を求める当事者や支援団体をはじめとした人々によるフラワーデモやSNS上での性暴力根絶を求める声、ミー・ツーなど、市民の運動が大きく広がり、政府を動かしたわけです。
今年度から生命(いのち)の安全教育が全校で取り組まれていますが、この取組の目的を教えてください。
○小寺指導部長 生命(いのち)の安全教育の目的でございますが、子供が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにするために、命の尊さを学び、誤った認識や行動、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解した上で、一人一人を尊重する態度等を身につけさせることでございます。
○とや委員 ありがとうございます。
では、この間の都の取組状況についてもお答えいただけますか。
○小寺指導部長 本年度、都教育委員会は、生命(いのち)の安全教育に関する指導資料や、性暴力から身を守る対処法等を掲載した児童生徒向け啓発チラシを電子データで配布いたしますとともに、安全教育推進校における実践事例を紹介するなど、学校における指導の充実を図ってまいりました。
○とや委員 私も、この内容を読ませていただいたんですけれども、性暴力から身を守る対処法とかというふうになっているんだけれども、被害防止の観点のみでは、怖いとか、被害に遭いたくないという地点にとどまってしまう可能性があるんじゃないかと危惧します。
プライベートパーツの重要性、同意とは何かなどを学ぶことに加えて、先ほども申し上げましたが、性のポジティブな面と併せて包括的に学ぶことが必要ではないでしょうか。
○小寺指導部長 各学校では、子供が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにするために、命の尊さを学び、一人一人を尊重する態度等を身につけられますよう、生命(いのち)の安全教育を実施いたしております。
○とや委員 その命の尊さというのは、もちろん大事なんですけれども、命が大事なのも当たり前なんですが、私はそのような話をしているのではなく、性暴力、性被害に遭わないために、自分の体の大切さを学ぶと同時に、性をポジティブに捉えることが大事ではないかと聞いているんですね。
ユネスコガイダンスでは、触れられて不快を認識するためには、快、心地よさを認識することが大事であること、不快な触れ合いが存在することと触れ合いが駄目だということは全く違うということ、体の権利を学ぶことは、性暴力を防ぐという観点だけでなく、同意に基づく豊かな性行動につながる学びであるということが重要だと教えています。こうした視点を持てるよう教育環境を整えてほしいと思います。
そして、国も、都も、生命(いのち)の安全教育を性教育とは位置づけていません。これは本当に無理があると思うんですよ、実態から考えて。性暴力をなくしていくためには、生命(いのち)の安全教育をきちんと性教育として位置づけて行うことを求めておきます。
次に、学校で取り組まれている性教育の手引について伺います。
二〇一九年に性教育の手引が改定されました。
都では、この性教育の手引によって指導が行われていますが、学校における性教育は、どのようなことを大事にして行われていますか。
○市川指導推進担当部長 性教育の手引には、学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す人間教育の一環として、生命の尊重、人格の尊重、人権の尊重などの根底を貫く人間尊重の精神に基づいて行われると示しております。
○とや委員 生命の尊重や人格の尊重、人権の尊重という人間尊重の精神は、包括的性教育につながる極めて大事な観点だと思います。この言葉どおりの教育ができるように、教育現場を支援することを求めたいと思います。
手引では、保護者の了解を前提に、性交、避妊、中絶などのテーマを実践的に踏み込むことを認めているわけですが、現在、外部講師の導入が行われています。
導入の目的、意義について伺います。また、導入以降の実績についてもお示しください。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちが性に関する正しい知識や、適切な意思決定と行動選択ができる力を身につけることができるよう、産婦人科医を招聘した授業を行っており、中学校では、令和二年度が十九校、三年度が二十九校、四年度と五年度が三十校ずつ、高等学校では、令和四年度から、毎年度六校で実施しております。
○とや委員 産婦人科の医師を招いて授業を行っていることは、子供たちにとっても有益だと思います。この取組は、さらに進めていただきたいと思います。
同時に、いわゆる歯止め規定についてですが、小学校の理科では、人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、中学校一年生の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないものとするとあるわけですが、この規定について、国は、各学校で必要性があると判断すれば指導することはできると回答を示しています。そして、歯止め規定が記載されるまでの経緯の詳細を示す文書はございませんと、マスコミや研究者に回答もしています。
手引で示している四条件、児童生徒の発達を考慮すること、そして、学校全体で共通理解を図ること、保護者や地域の理解を得ること、集団指導と個別指導の内容の区別を明確にすることも、留意点ではありますが、強制ではないわけです。
都としても、学校や教師の判断を尊重すべきと考えますが、いかがですか。
○市川指導推進担当部長 学校における性教育は、学習指導要領に基づき指導するものでございますが、保護者の理解、了解を得ながら、子供たちの発達段階や実態に応じて、今日的な課題に対応することも可能でございます。
○とや委員 今日的な課題について対応が可能だと。当たり前のことなんですが、重要な答弁だと思います。現場が萎縮せず、子供たちの成長を第一に考えて授業を行えるよう、ぜひこのことを教育現場の皆さんに伝えてほしいと思います。
なぜなら、学校では、二十年前の七生養護学校のトラウマがあって、いまだに教員は性教育に踏み出すことができないということが非常に多いと聞いています。
そこで、ここからは、その七生に関連するんですが、特別支援学校の性教育について伺っていきたいと思います。
ユネスコガイダンスでは、障害を持つ人は、性的な欲望がないとか、性的抑制が利かないとか、性教育は必要ないとか、こういった考え方は歴史的なものだといっています。
また、障害のある若者に対する性教育が、セックスを危険なもの、セクシュアリティーは問題のあるものとしてきたことを、過去の言説と一蹴しています。
必要なセクシュアリティー教育の内容は、障害の有無によって異なるものではないとしています。そのとおりです。
しかし、学校で性教育を行うことは、まだまだハードルが高く、特別支援学校では、女子生徒が男子生徒に触られるという被害を受け、保護者から、ぜひ性教育を学校でやってほしいといわれたそうです。
先生たちの間でも、この事態を受けて性教育をやろうと思ったけれども、過去のことを知らないのかとか、寝た子を起こしてはいけないという言葉まで出てきて授業ができなかったという話があります。いまだに過去の経緯がトラウマになって、性教育や性教育の授業ができていないということがあるそうです。
このような状態があることを、都教委はご存じでしょうか。
直ちに改善し、子供たちの成長のために、教員が伸び伸びと包括的性教育が実施できるよう支援すべきではないでしょうか。
○市川指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、学校における性教育は、学習指導要領に基づき指導するものでございますが、保護者の理解、了解を得ながら、子供たちの発達段階や実態に応じて、今日的な課題に対応することも可能でございます。
○とや委員 この答弁って大事なんですけれども、それがなかなか、やっぱり伝わっていないわけですよ。ですから、きちんと周知してほしいと思っております。
現実的には、この今の状態を乗り越えるというのは、本当に大変です。
例えば、小学校三年生から四年生でも、今はもう生理が始まる。生徒は、自分に起きた変化を受け入れられないそうです。先生が教えたいといっても、年間計画にないから教えられないとか、生理があるのに、受精や受精に至る経過については教えられないなど、矛盾がどんどんどんどん現れています。学校現場では、教師が子供たちの成長のために教えたいことも教えられない現実に直面しています。
保護者も困っています。
ガイダンスでは、性器タッチも始まる年齢になったとき、自分の体に触れるのは何ら問題がないこと、自分の体は自分だけのものということが尊重されることで、初めて他人の体も同じように大切にすることができるということを教えています。このような立場での性教育が重要だと思います。
個別に教えろといわれるとか、保護者と一緒に学ぶことが必要なのに、一緒に考える場所もないという声も寄せられています。
特に、私もそうですが、保護者の年代は、学校でほとんど性教育を学んできていません。子供との向き合い方について困っているという声もあります。性教育を学校でやってほしいという要望も多いそうです。
保護者と先生が一緒に学ぶことも重要と考えますが、いかがですか。
○市川指導推進担当部長 各学校が家庭と連携した性教育を実施するためには、保護者会で子供への対応を協議したり、個人面談で保護者の相談を受けたりすることも大切でございます。
○とや委員 保護者と共に包括的性教育を学ぶというのは、ぜひ推奨していただきたい。保護者と一緒に学べるように周知をしていただきたいと思います。
特別支援学校の性教育については、二十年前の裁判で決着がついています。ここで改めて確認したいと思います。
七生養護学校の裁判での高裁の判決文には、知的障害の子供の性教育について、どのように述べられていますか。
○市川指導推進担当部長 ご質問の判決文には、知的障害を有する子供に対する性教育は、どのような内容、方法の教育を、どの時期にし、あるいはしないのが適切であり、子供たちの能力や発達段階にふさわしいかについては、断言することが極めて難しい問題であると考えられると述べられております。
○とや委員 今ご答弁があったとおり、判決は、性教育は、何をどういう方法で、いつ教えるのがふさわしいかは、断言するのは極めて難しいと述べています。
さらに、判決は、より早期に、より平易に、より具体的に、より端的に、より誇張して繰り返し教えるということなどが発達段階に応じた教育であるという考え方も十分に成り立ち得ると述べています。
学習指導要領に、この学年にはこの内容までとあるわけだから、それ以上教えるなど、とんでもないとか、ましてや、障害児には障害があるのだから、下の学年の内容にすべきなどと決めつけることはできないと述べているわけです。
性について、隠した方がよい、知らせない方がよいという古い価値観を捨てて、実際の子供たちの必要に合わせた内容、方法で教えられることを、都教委が積極的に発信すべきです。
そして、体や生殖の仕組みだけでなく、人を好きになるのはすばらしいことだということ、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など、幅広いテーマを含む包括的性教育を学校で学べるように、学校も先生も保護者も支援していただくことを重ねて求めて、次の質問に移ります。
英語スピーキングテストについてです。
英語スピーキングテストの都民の批判は、やむことはなく、不信感は募るばかりです。
こうした下、今年度は、中学三年生ESAT-J、一、二年生のYEAR1、YEAR2が実施されました。
一、二年生については、英語スピーキングテストの新事業者の募集が行われて、ベネッセは撤退したわけですが、イギリスに本部を置くブリティッシュ・カウンシル一社のみの応募があって、二〇二三年度から六年間の協定が締結されています。
ブリティッシュ・カウンシルが事業を行うに当たり、この間、様々な情報提供を私たちは求めてきたのですが、都教委は、ベネッセのときに公表してきた情報も含めて、結局、非公表として、それがますます都民の不信感を増幅させる結果となっています。
公平性、公正性、透明性は、実態とかけ離れるばかりです。情報公開は都政の一丁目一番地は、どこへ行ったのかといわざるを得ません。ぜひ今日は、隠さず答えていただきたいと思います。
まず、個人情報の取扱いについてです。
基本協定その二、第十九条二項では、事業者が国外で個人情報を取り扱う場合、本事業の目的の達成を害さないことが確認できる方法及び範囲に限るものとする、また、その際は、国外の適用法令を遵守するとともに、国内の取扱いに準じた管理を行うとありますが、この条文でいう海外とは、ブリティッシュ・カウンシルの契約の場合、どこの国になりますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ブリティッシュ・カウンシルは、英国のほか複数の拠点において、採点など英語スピーキングテストに関する業務を行っておりますが、採点業務に関連する具体的な事項につきましては、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。
なお、ご指摘のとおり、基本協定において、事業者が国外で個人情報を取り扱う場合、本事業の目的の達成を害さないことが確認できる方法及び範囲に限るものとする、その際は、国外の適用法令を遵守するとともに、国内の取扱いに準じた管理を行うというふうにされており、都教育委員会は、必要に応じて現地を確認しております。
ブリティッシュ・カウンシルは、協定に基づき、個人情報の取扱いを遵守していると認識をしております。また、採点に使う音声データは、直ちに個人と結びつかない状態で取り扱っております。
○とや委員 テストの公平、公正な運営上の観点から公表していないといいますが、公平性、公正性が疑われるから聞いているわけです。何も公表しなければ、都民は、テストが本当に公平、公正に行われているのか、判断できないではありませんか。しかも、個人情報の取扱いなわけです。生徒自身の大事な情報がどこの国に持っていかれるのか、明らかにするのは当然です。
データで個人が特定できないといいますが、都は、生徒の解答音声については、生徒に渡す際、名前が入っていないものでも、個人情報だからと削除しているじゃありませんか。自分たちの都合でいい換えるなど、許されません。
もう一つ聞きます。
事業計画にはESAT-Jの実施体制が記載されていますが、採点するのはブリティッシュ・カウンシルの社員でしょうか。
採点については、報道では世界各国となっていますが、どこの国ですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ブリティッシュ・カウンシルは、大学の学位を取得し、英語教授法の資格を持つなど、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者に採点に関する研修を受講させた上で、英国ほか複数の拠点において採点を行うとしております。
採点業務に関連する具体的な事項につきましては、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。
○とや委員 今回、都教委は英国に視察に行っているということで、昨日、予算特別委員会でも答弁があって、英国ほか複数の国ということなわけですが、基本協定では、生徒の個人情報を取り扱う国の法令に従う旨の条文が記載されています。
そして、その個人情報がどの国で扱われるかで、適用される法令が変わってきます。また、情報を受け取り、保存するサーバーがどの国にあるかで、法令の適用が変わると思います。
そこでお聞きしますが、生徒の解答音声を受け取るサーバーは、どこの国にありますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点業務に関連する具体的な事項につきましては、テストの公平、公正な運営上の観点から公表しておりません。
○とや委員 どこの国にサーバーがあるかもいえないと。どこまで秘密主義なのでしょうかといわざるを得ないです。公平、公正は理由にはなりません。
ブリティッシュ・カウンシルが英国でデータを扱う際、EUの一般データ保護規則、GDPRが適用されます。この保護規則を適用すれば、ブリティッシュ・カウンシルは、あるいはデータを扱う協力会社は、自社の情報をデータ保持者に、データを取り扱う、取得する前に、つまり今回の場合、ESAT-J YEAR1、YEAR2では、生徒の個人情報を提供するための同意書を取る時点では、既に、個人情報などのデータを提供する側、つまり保護者に最大限明らかにしていなければならないわけです。
ところが、いただいた資料、事業計画では、どの国でどのようにデータが扱われるか、真っ黒で分かりません。これで、どうやって法令に従っているのか、あるいは違法な状態なのか、分からないではありませんか。どこの国にデータが行くのか、サーバーは、日本なのか、それ以外なのかもいえないとしたら、それはもう本当に大問題だと思います。
これは、データの保持者、生徒と保護者に、はっきりと知らせる義務があると思いますが、いかがですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 国外においては、当該の地域の関係の法令を遵守すること、また、日本国内の関係法令を遵守するというふうに規定をしております。
それに基づいて、法令に従って扱っていくということであります。
○とや委員 日本でテストをするわけですから、日本の法令にまず従うということはあるのかもしれませんが、そのデータが国外に送られて採点をする場合、どうなっていくのか、その国の法令はどうなのか。これは、保護者、生徒を含めて、知りたいと思うのは当たり前じゃないかと思うんですね。それなのに、何もいえないということです。
先ほども申し上げましたが、このような秘密主義で、公平、公正さを要求される都立高校入試に使う、個人情報を取り扱うべきでは、私はない、これはよくないと思うんです。重要な情報の行方を知らせず試験をやるというのは、あまりに非常識です。
ブリティッシュ・カウンシルは、英国の公的機関です。そして、英国の個人情報の取扱いは、日本と違い、データを受け取る側の情報を、できる限り、データを提供する主体に明らかにするというのが基本の法令になっています。
その法令の下で事業をしているブリカンは、自分たちの情報を隠すことは、私、考えにくいと思うんですね。当然、情報は明らかにしていると思います。つまり、こういう状態が起きているのは、都教委が隠したいのではないかといわざるを得ません。
そして、英国以外にも複数の国で採点しているといいますが、その国がどこなのか、その国の法令はどうなっているのかもブラックボックスであります。
個人情報の取扱いについても、このようにいいかげんでは、テストとして成り立っているとは思いません。きっぱり中止すべきだと申し上げておきます。
次にお聞きしたいのが来年度の予算です。
来年度の計画では、ESAT-J、三年生までやるわけですが、四十三億円が計上されていますが、そのうち、タブレットとヘッドセットでそれぞれお幾らになるのか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 約十三億円でありますが、タブレットとヘッドセットは一括して積算しているため、それぞれ分割してお話しすることはできません。
○とや委員 十三億円ということです。
では、タブレットとヘッドセットは、リースなのか、購入したものなのか。購入したとしたら、所有者は誰なのか、リースだとしたら、リース会社と契約を結ぶのは誰なのか、教えてもらえますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 来年度の予算においては、リースを想定して積算をしています。
○とや委員 すみません、所有者について教えていただきたいんです。
リース契約を結ぶ場合、誰が契約をするのか、教えてもらえますか。ブリカンなのか、あるいは東京都なのか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 リースを事業者が適切な方法で調達しているということです。
○とや委員 要するに、ブリティッシュ・カウンシルが事業者とリース契約を結ぶということであります。
この十三億円なんですが、これは一年分ですが、リースの場合、毎年十三億円がかかっていくという考えでよろしいですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今後、毎年の予算につきましては、それぞれの年で精査をしてまいります。
○とや委員 普通、リースというのは、お聞きすると、大体四、五年だと。ならして同じ金額を計上して支払っていくということなので、十三億円が毎年かかっていくということになるんじゃないかと思います。
この十三億円ですが、単価を知りたいんですが、タブレットは何台分なのか、単価は幾らなのか、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほど、十三億円であることはお話をいたしました。
ただ、台数や単価につきましては、来年度の実施方法に関することを含むことになります。事業者と調整中であることから、現時点では、お答えするのは差し控えます。
○とや委員 調整中であるといったって、十三億円と、もう答えているわけだから、何台分で単価は幾らというのは決まっているから、十三億円が出てきているわけでしょう。
なぜいえないんですか、調整中を理由にして。おかしいと思いませんか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になり、恐縮ですけれども、現在、調整中でございます。
来年の実施の内容に関わることですので、お答えは、現時点では差し控えたいと思います。
○とや委員 タブレットとヘッドセットは、これまでのやり方ということと物理的なことを考えますと、中学三年生の半分は一斉に実施すると。半分はね。そうなると、大体四万台ということになります。そして、年間最高で六回の使用となるわけですが、年に六回しか使用しないタブレットとヘッドセットに十三億円も払うと。リースで毎年十三億円かけるという、極めて効率の悪い使い方だと思います。五年間で六十五億円となります。税金の無駄遣いだとしかいいようがありません。こんなに効率の悪いESAT-Jは、それだけで即刻中止すべきだと考えます。
そして、六年間で二百十億円という事業の見積額についても危ういと思います。
それがベネッセの契約でも明らかだと思いますが、そこでお聞きしますが、ベネッセが入札時に示した五年間の見積金額は幾らですか。そして、五年間の事業総額は幾らだったのか、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ベネッセコーポレーションが英語スピーキングテストの実施団体等への応募時に示した五年間の金額ですけれども、五億四千八百三十万円でございました。
平成三十一年度から令和四年度までの分担金の決算額、今年度はまだ決算していませんので、令和五年度のベネッセコーポレーションとの実施協定に基づき見込まれる分担金を合算すると、十五億七千三百六十五万円でございます。
○とや委員 当初五億円が三倍。本当、驚きです。入札なんて、あってないようなものではないでしょうか。協定事業という、曖昧で都の契約ルールにも乗せない、債務負担行為の設定もしていないので、好き勝手に金額が決まって事業者に支払ってきたわけです。これ、同じことをやるんですか。
ブリカンと六年間の契約なわけですから、本来なら、本来ならですよ、債務負担行為が必要だと考えます。ところが、予算には一年分の予算しか計上されていなくて、債務負担行為はされておりません。来年度予算案にも、一年分、四十三億円のみが計上されているわけですが、複数年の契約なのに、おかしいといわざるを得ません。
都民の税金の使い方としても、民主的手続を欠いており、到底納得のいくものではありません。契約のルールに乗せないで、勝手に事業者と予算を決めるような契約は無効だと思います。厳しく指摘しておきます。
中学校や教員の負担についても伺っていきます。
私たちは、ESAT-Jを中学校に押しつけることは、教育基本法十六条の不当な支配に当たると指摘してきました。しかも、この間、ESAT-Jが、中学校や英語科の教員を中心に膨大な業務負担増を招いて、学校を疲弊させていることが明らかになっています。
東京教育連絡会が中学校教員を対象にESAT-Jの実施状況調査を行っていますが、テストの業務で、現場の教員は過度な負担がかかっていることが分かりました。
業務で困ったこと、負担に感じたことの第一位は、申込み作業で全体の八四・六%、二位は、不登校生徒への対応で七七・八%、三位は、不受験者、欠席者への対応で六七・三%に上ります。
授業以外のテストの実施で過度な負担をかけていることについて、どのように認識していますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ESAT-Jは、都教育委員会が区市町村教育委員会の協力を得て実施しているものでございます。
申込み作業や不登校生徒への対応など、生徒一人一人に対してきめ細かい対応をしていただいていると認識をしています。
○とや委員 都立高校入試に使うから協力せざるを得ない状況をつくり、子供たちのことを思えば、教員が適当な対応などできないことを知りながら、きめ細かい対応をしていただいているとは、都合がよ過ぎるといわざるを得ません。
ESAT-Jの実施要項を拝見させていただいています。中学校がどのようなことをするかが記載されています。それによれば、中学校は(1)から(10)までの手続を行うと、十項目の手続があることが示されています。今日は、ぜひ知っていただきたいので、ちょっと長いけれども、説明させていただきます。
まず(1)では、受験に関する資料等の受領及び生徒への配布ということで、八種類もの資料が五回にもわたり学校に送付されることが書かれています。
一回目の送付では、生徒用のリーフレット、生徒個人IDの案内、生徒用申込マニュアル、学校が使うIDとログインコードの案内、先生用ウェブサイトマニュアルと、五種類の資料が送付されます。
学校では、これらを受け取って、生徒に受験申込みをするよう指示し、IDや申込マニュアルなど三種類の資料を配布します。これ、普通に考えて、ただ配れば済むというものではありません。IDは大事なものだから、なくさないようにしてくださいとか、申込み方はこうですよとか、何月何日までに家で保護者と一緒に申し込んでくださいとか、難しい生徒は、先生が手伝うので申し出てください、あるいは、障害があり、合理的配慮を求める場合の特別申請はこうですよとか、事情で不受験申請したい人はこうですよと、先生がまず資料をよく読んで、内容を理解して説明することが必要なんです。
二回目の送付はどうか。体験用タブレット端末が送られてくる。先生方は、この端末を使って、生徒に操作体験をさせたり、障害のある生徒がタブレットやイヤホンマイク等で使えるかどうか試してもらって、措置申請の内容を考えるという支援をするわけです。
三回目、説明以降に先生用のIDが郵送されてくるそうです。説明会にも、出張して参加しなければなりません。
四回目は、受験票と受験の手引が送られてくるから、受け取ったら受領枚数を確認し、教育委員会に受験票受領報告書を提出しなければなりません。これらを生徒に配布し、事前指導を行う。事前指導といったって、簡単ではありません。受験票をはじめとする受験当日の持ち物や服装、初めて行く都立高校の場所、行き方も、先生が調べて安全かどうか確認する、当日病気になったらどうするかの徹底なども大変だと思います。
最後、五回目、スコアレポートが送られてくる。これも枚数を確認して教育委員会に受領報告書を提出。もちろん生徒への配布も行います。
中学校の仕事として十項目あるうち、最初の資料の受領と配布だけでも、こんなに大変なんですよ。
生徒の申込み支援と、申し込んだかどうかの確認も先生の仕事です。
全員の説明はもちろん、家庭で申込み操作をすることが難しい場合は、一人一人、保護者に連絡して了解を取った上で、学校で先生が生徒を支援して一緒に申込みを行う。
また、申込み状況が逐一、先生用サイトに報告され、申し込んでいない生徒に催促したり、相談に乗るのも先生の仕事です。
特別措置申請の必要がありそうな生徒や保護者と申請内容を相談し、体験用タブレットで試す、求める措置の内容を決める、特別措置申請書に記入する、学校の公印を押すことも必要です。恐らく、一校に当たり、一人や二人ではないと思います。
さらに、受験が難しい生徒には不受験申請の手続、不登校の生徒には申込みをするかどうか確認。これだって、単純に電話すればいいというものじゃないんです。生徒への気持ちの配慮も必要だと思います。
体験受験を希望する生徒の申請もしなければならないんですよ。
さらに、十一月でなく十二月の予備日に受験する生徒の申請、試験当日の受験者数の報告、インフルエンザなどで受験できなかった人の追試験の申込みなどなど、かなりこれでもはしょっているんです。中学校の先生は、本当に膨大な仕事を担わされています。
多くの仕事を中学校の先生が担うことが前提で、ESAT-Jは成り立っているわけです。
一体、都教委は、ESAT-J、中学三年生実施の対応で中学校が費やす時間は何時間程度と見込んでいるのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今、るる説明いただきました。中学校には、受験に関する資料等の受領、生徒への配布、受験申込みなどの手続に協力を依頼して、お願いをしております。
ただ、それぞれにかかる時間は、各学校の状況によって異なるというふうに考えております。何か積算をして出すような、そういう時間のものではないというふうに思います。
本事業は、都教育委員会が区市町村教育委員会及び中学校の協力を得て実施しているものであり、各学校においても、申込み作業や不登校生徒への対応など、一人一人に対し、きめ細かい対応をしていただいているというふうに認識をしています。
○とや委員 今、私が説明した中身は、ちょっとやそっとの時間じゃできない内容ですよ。それなのに、各学校の状況により異なっているし、積算する性質のものじゃないという答弁、ちょっと、あまりにも現場の人たちのことを分かっていないといわざるを得ませんね。
要するに、都教委としては、どれくらい時間がかかるか、考えてもいないし、把握もしていないということなんですよ。とんでもないと思います。
働き方改革がこれだけいわれているときに、ESAT-Jによって、どの程度の業務増、教員の負担増になるのか、きちんと考えてからやるのは当然ではありませんか。伺っておきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますけれども、中学校には、受験に関する資料等の受領、配布等々、先ほど、るるお話がありましたが、そういうことについて、それぞれ丁寧に対応していただいているというふうに認識をしております。
○とや委員 先ほども説明したとおり、本当に膨大な事務量なんですね。しかも、各家庭からネットで申し込む期間が夏休みにかかるわけで、先生は、何かあったら、一々個別に電話しなければなりません。
また、誰が申し込んだか、確認を先生にさせるわけだから、何十回となくサイトを開いて確認しなければならなかったそうです。
申込みに不備があった場合は、学校に連絡が来て、生徒に確認してほしいといわれるそうです。中学校の先生は、都教委やベネッセの下請なのかといわざるを得ない状況でした。
さらに、家庭での申込みの締切りが夕方五時までで、中学校が申し込むべき生徒が全員申し込んだかどうかのチェックを入れる期限が、その日の夜十二時までとなっていたという話を聞きましたが、本当ですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 申込期間というのは、複数日、期間として設定しているものです。
そのうち、申込みの最終日において、生徒の申込みが遅れた場合でも、必要に応じて生徒への支援が可能になるようという趣旨で、夜間まで受付時間を延長して設定しているというものであります。
○とや委員 結局、夜中の十二時までしたということですよね。
教員の勤務時間は四時四十五分までです。教員に勤務時間後に仕事をさせることを前提の設定はおかしいではないですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 受付の時間を二十四時までに設定していたということであります。期間も設定しているということで、今のご指摘は当たらないと考えています。
○とや委員 教員が勤務時間外に働くことを前提に設定しているわけだから、指摘が当たらないというのはおかしいじゃないですか。
これだけじゃないんですよ。教育連絡会のアンケートは、試験当日の勤務についても聞いています。約四割が、試験当日は日曜日、出勤したと回答しています。学校に待機して、欠席や遅刻の連絡、事故や保護者の対応をした先生が多いです。このうち、代休などの措置があったのは少数。多くは自主的に出勤したり、ボランティアで出勤してほしいといわれたりしたそうです。
中学校の先生方が、ESAT-Jのために日曜日も出勤している状況をどのように受け止めますか。こうした状況をよしとするのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 教員の勤務日及び生徒についても、取扱いについては、それぞれ学校で適切に対応していると考えております。
○とや委員 教員は、子供のことを考えたら、休日でも、自主的にでも働いてしまうんですよ。それに甘えて、半ば当然視して、寄りかかっている行政の姿勢がそんなだから、教員の長時間労働の解消ができない。その考え方は改めるべきです。
不登校生徒が実際に行ったか否か、本人や家族に一件一件連絡して大変だったという声もあります。参加したかどうかの連絡も取れなかったなど、当日休むことができるような状態ではなかった教員もいました。
追試験の理由のところに公印をもらわなければならないとか、理由の作成に困ったとか、外部の試験を実施するために、休みを返上しなければならない教員もいたわけです。
協力を得るんじゃなくて、負担の押しつけになっていることを、私は本当に自覚してほしいと思います。
そして、中学三年生のESAT-Jだけではなく、一、二年生のYEAR1、YEAR2にも負担が重たいという声がたくさん寄せられています。
特に、実施が、三学期の、既に予定がぎっしりの時期だったため、授業や行事の変更をしなければならなかった、時間割を組み直す必要があって、非常に手間がかかった、土日にやらなければ、すごく負担だったという声が多数寄せられております。
このYEAR1、YEAR2について、先生たちから様々な声が寄せられています。特に、実施時期があまりにも学校の負担を重くしているということですが、実施時期の変更は考えないのですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 実施時期については、一年間の学習の成果を発揮できる時期として、区市町村教育委員会とも連携して、一月から三月までの期間にYEAR1、YEAR2を設定しております。
現在では、実施時期の変更は考えていません。
○とや委員 現場の負担を本当に顧みていないと思います。
ESAT-Jは、学校現場の大きな負担となっています。教員の働き方改革に逆行しています。
今なお深刻な教員不足という状況を、一層加速させることになるのではないでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ESAT-Jは、都教育委員会が区市町村教育委員会の協力を得て実施しているものであり、当日の対応など、生徒一人一に対し、きめ細かい対応をしていただいているというふうに認識をしています。
○とや委員 英語の先生は、こう訴えています。これ以上、英語科の負担を増やさないでほしいです、オンラインレッスン、GTEC、その他各種テスト、例えば全国学力テストや区市町村の学力テスト、話すこと調査、英検など外部機関と関わる事業、対応が多過ぎます、さらにESAT-Jの全学年実施で、準備に時間や気を使うことの気持ちの負担がとても大きいというふうにおっしゃっています。
外部から押しつけられて、これらの対応で、英語の先生がやるのは、英語を教えることではなくて事務的な作業だと思います。あまりにも多過ぎるんです。この業務を減らして長時間労働を解消し、教員の本来の仕事である英語の授業や、そのための準備を保障することこそ求められていると思います。
ここまで中学校と教員に負担をかけて行っているESAT-Jでありますが、これだけの時間と負担、費用もかけているにもかかわらず、アチーブメントテストとしても役に立たないという声が上がっています。
本会議でも質問していますが、YEAR1、YEAR2は、約二か月間にわたり実施し、また、同じ中学でも、時間割に従って、一時間目は一組、二時間目は二組などと順番に実施するのに、問題が同じだから、問題の漏えいが容易にできることになってしまうと。これについても声が上がっています。
どう対応しますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ESAT-J YEAR1、YEAR2、これについては、生徒の学ぶ意欲を向上させるとともに、各中学校における指導のさらなる改善を図ることを目的として実施するものと考えております。
このため、いわゆる相対的な評価を取るものではありませんので、試験実施上の問題はないと考えております。
○とや委員 事前に問題が漏れてしまったら、テストで何を測定しているか分からないじゃないですか。しかも、ベネッセと同じく、音を遮断するヘッドセットをしても、周りの解答する声が聞こえたと中学生はいっています。テストとして成り立っていないわけです。
さらなる指導の改善を図ることを目的ともおっしゃいましたが、何を測定したいのかなど、内容が全く明かされていません。
採点の基準も何も示されていないという声、また、A評価とB評価がどのように違うのか分からないので、指導できないという教員の声があります。
A評価とB評価はどう違うのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 いわゆる評価には、様々な評価の種類があります。到達度を測る最終的な評価をするもの、あるいは途中の段階で診断的に行う評価、様々なものがあって、いわゆる指導と評価を一体化することによって学力を伸ばすということを行っているわけです。ですから、全く意味がないという指摘は当たらないというふうに考えます。
その上で、ESAT-Jでは、自分のことについて質問したり、話したりすることができる、あるいは身近な話題について相手と意見交換ができるなど、英語を使って何ができるかを示した基準に従い、その達成度を六段階で表しております。
具体的には、今、Aグレードという話が出ましたので、グレードのAでは、身近な話題について相手と意見交換ができる、あるいは、まとまりのある内容を話したり、自分の考えや理由、具体的に話したりすることができる、また、順序立てて分かりやすく相手に伝えることができる、そういう英語力。
それが、例えばBでは、相手のことについて質問したり、自分のことについて質問することができる、身近な話題に限定されますが、それについて、考えを理由とともに話すことができる、文を組み立てながら複数の文を使って話すことができるなど、それぞれの英語力を有しているということを示しています。
また、これらの到達度について、そして、さらに、それぞれに応じた、つまりグレードに応じた授業改善、それから学習に活用することができる様々な教材等々、それぞれを各グレードに応じて目標設定、学習の方法などをスコアレポートとして示しているほか、都教育委員会のホームページでも公開をしております。
ですので、それぞれのグレードが何を指しているのか、あるいは指導するのが分からないというような指摘は、何か切り取られている表現ではないかというふうに想像いたします。
○とや委員 実際にそういう声があるから紹介したんですよ。想像してもらったら困ります。抽象的で全く分かりませんでした。授業改善や学習に生かすというのであれば、もっと具体的に、何をどう改善すればよいのか分かるものでなければいけないのではないでしょうか。
ご答弁のとおり、授業改善に活用できるよう、各グレードに応じた学習教材などが都教委のホームページにあるというので、私も見てみました。確かにグレード別に幾つか教材が載っていましたが、開いてみたら、グレードAとBには、全て同じ教材が掲載されていました。これで何をどう生かせというのでしょうか。
ほかにも、中学段階で、基礎的なスピーキング能力をこんなに手間をかけて得点化することに意味を見いだせない、英語嫌いが増えるなど、役に立たないとの声がたくさん寄せられています。
ESAT-Jは、来年度、四十三億円もの予算が計上されています。莫大な予算を費やし、教員に膨大な負担を強いて、入試としても、アチーブメントテストとしても役に立たないESAT-Jはきっぱり中止することを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時四十七分休憩
午後四時十分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。
初めに、教育委員会が所管する学校などの施設における業務委託に関連して伺います。
株式会社須田ビルメンテナンスという企業、これは、名前のとおり、ビルや施設の管理や清掃の業務を行っていた事業者でありますけれども、今年に入って事業停止となりまして、破産を申し立てるということになりました。
一般論で、会社が破綻してしまうというのは非常に残念な話でありますけれども、この企業は、従業員への賃金未払いも発覚しておりまして、トラブルを抱えていたという話も耳にしているところでございます。
何でこんな話を申し上げるかというと、この須田ビルメンテナンスという会社が、公共の仕事をかなり幅広く受託をしているということでございます。インターネットで公開されている落札情報を少し調べただけでも、農林水産省、財務省、内閣府、防衛省、参議院、二十三区清掃一部事務組合、世田谷区、立川市、西東京市、まだまだ多数ございます。東京都の中でも、建設局であるとか水道局、これはすぐに見つかりました。
同社は、学校施設に関する業務を担っていたという形跡も多数見られることから、ちょっと確認をしたいと思います。
都教育委員会が所管する学校施設などにおいて、株式会社須田ビルメンテナンスに業務を委託をしていた事例があるのか。そしてまた、ある場合は、その件数や内容について伺います。
○村西都立学校教育部長 当該事業者でございますけれども、令和五年度は、都立学校七校について、契約件数六件の建物清掃委託契約を締結しておりました。
○西崎委員 今年度は、六件の契約で、都立学校七校において施設の清掃業務を同社に委託していたということであります。当たり前ですけれども、これは年度を通じての契約になっているはずでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、この会社は、今年に入ってから事業停止となってしまったということでございます。
そこで、同社が年度途中で業務停止となってしまったことに伴って、これ、結局どうなっちゃったのか、どうされたのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 当該事業者は、令和六年一月末まで、契約を適正に履行しておりました。
事業者から、当該契約を担当する学校経営支援センターに対し、一月末で業務を停止する旨の通知が令和六年一月三十一日付であったことを受けまして、令和六年二月二日付で、当該事業者が受託していた都立学校七校の建物清掃委託契約を解除しております。
○西崎委員 これ、別に皆さんが悪いというわけではないんですけれども、本当にひどい話だと思います。つまり、今のお話にありましたように、一月三十一日をもって業務を停止しますという通知が一月三十一日に届いたということですよね。翌月からどうしようというお話でございます。
この七校、都立学校七校で委託をされていたのは清掃業務ということでありますから、これが止まっちゃうということは、毎日の学校の施設管理に結構な影響が出てもおかしくないと思います。清掃がなかったら、掃除しなかったら、学校がどんどん汚れていくというようなことにもなりかねないわけでございます。
今、お聞きをしたように、その七校での建物清掃委託契約の履行に問題が発生し、須田ビルメンテナンスとの契約は解除となったわけでありますけれども、当然、その清掃の必要性がなくなったということでは全くないわけでございます。
こうした状況に対してどのような対応を取ったのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 事業者が業務を停止し、契約の履行が困難となったことを受けまして、当該事業者との契約解除後、当該事業者に代わって、直ちに年度末まで建物清掃委託契約を履行することが可能な事業者と新たな契約を締結いたしました。
○西崎委員 年度末までの残り二か月弱という僅かな時間でありますけれども、新たな事業者と委託契約を締結したということでございます。
これ、事前に少しお聞きをしましたけれども、先ほどご答弁にもありましたように、二月二日に須田ビルメンテナンスとの契約が解除となった後、二月の中旬には、もう新たな事業者を見つけることができたという話でございました。かなり緊急な事態といえる中、非常に迅速に対応されたのかなと思いますけれども、そうはいっても、半月ほど現場に負担がかかったのではないかなと推察もするわけでございます。
同社に、この会社に業務を委託していた様々自治体がありますけれども、一部の自治体では、この穴が空いてしまった業務の分を職員が埋めているというような話も耳にしているところでございます。
いうまでもなく、先ほども申し上げました、一番悪いというか、責任があるのはこの会社でありますけれども、やはり、こういう事態を起こさないような業務委託の在り方というのも改めて考えなければいけないんだろうなと思います。
これに関しては、財務局の絡み等もあると思いますので、ここではお聞きはいたしませんけれども、やはり都教委として学校の運営に責任があるということでありますので、今後の適切な対応を求めておきたいと思います。
次の質問に移ります。
次に、子供の事故予防の観点から、学校での事故について伺ってまいります。
先月の二十六日、福岡県の小学校で、給食のウズラの卵による窒息と見られる死亡事故が発生をいたしました。大変悲しい事故でありまして、亡くなられた児童のご冥福をお祈りいたします。
この児童は小学校一年生ということでありましたけれども、ウズラの卵につきましては、二〇一五年にも、大阪の小学校一年生が喉に詰まらせて死亡する事故が発生したということが分かっております。
日本スポーツ振興センター、JSCの学校等事故事例検索データベースは、死亡事故のデータについて、フィルターがかけられるように公表しているというか、エクセルの機能でフィルターがかけられるわけでありますけれども、ここで給食中の窒息事故を抽出してみました。すると、この大阪の二〇一五年と思われる事故も含めて十一件が該当をしています。
事故の原因となった食品を見てみますと、ちょっと見ただけでは分からない不明のものもありますけれども、今回のウズラの卵のほかには、パンであるとかミニトマト、またプラムの種などが列記されているところでございます。
ただ、このデータベースは、非常に有用ではあるんですけれども、どこで発生したか、場所が分からないようなつくりになっておりまして、先ほどの大阪の事例も、このデータベースを見るだけでは判別できないというようなものでございます。
そこで、ちょっと伺いたいのですけれども、都内の学校で給食中の死亡事故が発生したということはあるのでしょうか。いかがでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 都内区市町村立小中学校で学校給食に起因する事故があった場合、都教育委員会に報告することとされており、都教育委員会から国に報告をしております。
平成二十四年の都内小学校におけるアナフィラキシーショックによる死亡事故以降、給食に起因する死亡事故の報告は受けておりません。
○西崎委員 都教委が把握している範囲内では、アナフィラキシーショックによる死亡事故の報告があったということでありますけれども、窒息事故というのは見当たらないということでございました。
すると、先ほどデータベースから抽出した、私が申し上げた十一件というのは、少なくとも都内ではないんだろうなという理解をいたします。
今回のこの福岡県の事故を受けまして、給食でウズラの卵の提供を見送る自治体が出てくるなど、それぞれ判断の上で対応しているようでございます。
そこで、今回のこの福岡県のウズラの卵と見られる窒息死事故、これを受けて、都教委としてはどのような対応を取ったのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、本件事故による国の通知を受け、区市町村教育委員会に対し、食に関する指導の手引に基づいた給食時における安全に配慮した食事指導の在り方や窒息への対処方法等について示し、食品による窒息事故を防ぐための指導の徹底に努めるよう周知いたしました。
○西崎委員 都教委では、提供の取りやめなどというものは行っておらず、文科省の通知を受けまして、事故防止のための指導の徹底について区市町村に周知を行ったということでございます。
別にここで、ウズラの卵を使うべきでないとか、そういうことを今申し上げたいわけではございません。それは、ここで断言することはできないと思います。
一方で、現在、東京都では、子供政策連携室が旗を振って、科学的、客観的な根拠に基づく子供の事故予防に向けて、非常に先進的な取組を行っていると承知をしております。ですので、都教委におきましても、最新の知見に基づく学校の事故予防について、引き続き、絶えずアンテナを張っていただきたいということをここでは求めておきます。
さて、学校の事故に関しましては、昨年の事務事業質疑でも少し議論をさせていただきました。その際にも触れましたけれども、消費者安全調査委員会が、学校の施設または設備による事故等を取り上げまして、昨年三月に報告書を公表しており、その中で文部科学大臣への意見も示しているということでございました。
こうした流れもあって、学校安全の推進に関する有識者会議が設置をされまして、様々な議論や検討が行われてきておりましたけれども、ついに先月、二月の二十七日、学校における安全点検要領及び学校事故対応に関する指針の改定版の案などが示されたところでございます。
これらは、まだ正式に決定をしたわけではないと承知をしておりますけれども、この間の有識者会議の議論の集大成といえるものでございまして、今後の事故予防や施設の安全点検にとって、非常に重要な位置づけになるものと考えられます。
特に、先ほど福岡県のウズラの卵の事故に少し触れましたけれども、この報道に前後しまして、学校における死亡事故の七割が国に未報告であるという報道もなされたところでございました。
すなわち、JSCのデータベース、これは、実際に事故が発生をし、保険給付がされた実績に基づくものということですので、実際に発生した、間違いなく発生をしている死亡等の事故について記録をストックしているものでございます。
一方で、それらのうち、文部科学省に報告されていないケースが非常に多いということで、件数に大きな差があったということが報じられていたということでございまして、こうした現状への対応も含めて、新たな指針で臨んでいこうというものでございます。
これはこれからの話でありますけれども、ただ、現在も、学校の事故に関しましては、現行の指針で事故の予防や発生時の対応を行っているものと承知をしておりますので、ここから、現在の取組を確認しながら、新たな指針や点検要領に向けて少し議論をさせていただきたいと思います。
新たな指針案では、事故発生の未然防止のために、重大事故やヒヤリ・ハット事例の共有と活用を掲げておりまして、学校の設置者に求めることといたしまして、日頃から学校で発生した重大事故または繰り返し発生している事故の情報収集に努めるとともに、国からの事故情報及び未然防止のための注意喚起の通知や、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSC--先ほど申し上げたものです--から発表される事故情報等を速やかに所管の学校に周知、共有すること等により、事故の未然防止に努めるとされています。これが新たな指針案に記載をされているということでございます。
これまでも、私、この都議会の中において、子供の事故予防において、JSCのデータベースの分析であるとか、ヒヤリ・ハットの事例の活用は提案をさせていただいてきたところでありますけれども、今回の指針案でも、改めて、そうした未然防止の取組の重要性が示されているということでございます。
一方で、この事故事例の共有ということにつきましては、現行の対応指針にも記載がございます。都道府県教育委員会等においては、日頃から学校事故の情報収集に努めるなど、必要に応じて、都道府県教育委員会は域内の市区町村教育委員会に対し、都道府県等担当課は所轄の学校に対し、学校事故の事例や傾向を提供し、必要な事故防止策等に係る支援、助言を行うよう求められているというものでございます。
すなわち、都教委でいえば、日頃から情報の収集に努めつつ、区市町村教委や都立学校に対して、事故事例や傾向の情報提供を行い、支援や助言を行うということが現行の対応指針で求められているということでございます。
そこで、この記載に対して、現在の都教委の取組に関して伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、学校事故の再発等の防止に向けまして、都立学校や区市町村教育委員会から事故報告を求めますとともに、通知や校長連絡会等を通しまして、その内容や留意点等を伝えております。
○西崎委員 ありがとうございます。事故の報告を受け、そういったものを収集し、かつ通知であるとか校長連絡会等を通じて、それを伝えているというようなことであろうかと思います。
これから求められていくのは、現在の取組の精度をさらに上げていくということなのかなと思っています。
特に東京都では、先ほども少し子供政策連携室を名前を出しましたけれども、子供の事故情報等データベース構築事業、これに着手しておりまして、これまでの議論では、JSCのデータベースも恐らく視野に入っているんだろうなということがうかがえるわけでございます。
DXという言葉もいわれて久しいわけでありますが、新たな技術も活用しつつ、また、部署を超えた連携を図りつつ、指針の改定案にあるような重大事故やヒヤリ・ハット事例の共有と活用というものについて、ぜひ進めていただきたいと思っております。
次に、危機管理マニュアルについて伺います。
現行の指針には、各学校は、必ず危機管理マニュアルを策定するとありまして、さらに、毎年度、訓練等の結果を踏まえて、絶えず検証、見直しを行うとされておりますけれども、この危機管理マニュアルについて、都教委の取組を伺います。
○山田総務部長 都教育委員会では、各学校に対しまして、学校危機管理計画を策定するよう通知しております。
また、都教育委員会が策定しております学校危機管理マニュアルにおきまして、学校危機管理計画について、危機管理体制の確立や訓練などを通じまして定期的な見直しを行うこととしておりまして、全体的な危機対応のレベルを高めることとしております。
○西崎委員 ちょっと現行の指針の用語の使い方の問題で、少しややこしい話になってしまうんですけれども、要は、都教委としては各学校に危機管理計画の策定を求めて、都教委としては、都教委が策定をする学校危機管理マニュアルで、この中で定期的な見直しを求めているという整理かと思います。
今、示されている指針改定案の特徴の一つが、今回は学校の設置者に対しても、学校が策定する危機管理マニュアルについて、事故や災害等から児童生徒等の安全を確保できるものになっているかを定期的に点検し、不備があれば、指導、助言により是正を促す必要があると示していることかと思います。
つまり、例えば都立学校等に対して、いってみれば都教委の守備範囲が広がるというお話でございまして、危機管理マニュアル、先ほどのお話でいうと、都では学校危機管理計画という呼称になろうかと思いますけれども、これらを定期的に点検し、不備があれば、指導、助言により是正を促す必要があるということを新指針案はいっているということでございます。
これまでも、当然、都教委として様々な知見をストックしてきているとは思いますけれども、今後の取組に向けて、これはしっかりと準備をしていっていただきたい。特に、新しい話になりますので、この準備を進めていただきたいということを求めておきます。
次に、事故に対応する教員の研修等について確認をさせていただきます。
新たな指針案では、教職員の資質の向上について、あらゆる危機事象について教職員のみで全て対応できるようにするということではなく、危機等発生時に、まずは児童生徒等の安全を確保し、被害を最小限にとどめるための備えをしておくという観点を最も重視すべきであるとしているのが、この新たな指針案の特徴でございます。
いうまでもなく、現行の指針でも、現場を預かる教員に対して、危機管理に関する研修等が着実に実施をされること、そしてまた、その充実が図られるよう求められているところでありますけれども、この教員の研修等について、現在の都教委の取組を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、学校における事故防止の徹底を図るため、毎年度、都内全公立学校の安全指導担当教員を対象に、専門家から具体的事例を学ぶ講習会を実施しておりますとともに、管理職を対象にリスクマネジメントに関する研修を行っております。
また、新規採用教員研修において、授業中や給食時等に起こりやすい事故を防ぐための留意事項を学ぶ機会を設けております。
○西崎委員 すなわち、各校に置かれている安全指導担当教員、そして管理職、さらには新規採用教員と、様々な対象ごとに、それぞれの立場といいますか、役割に応じた研修を実施されているということでございます。
先ほど、指針案で新たに重視されている観点について申し上げましたけれども、現在行われている研修の内容も常にブラッシュアップをしていただいて、最新の考え方に基づき、教員の危機管理に関する資質の向上に努めていただきたいと、ここでは求めておきます。
次に、事故が発生をしてしまった際の後の対応について伺います。
指針改定案では、事故の被害児童生徒等の保護者への対応について、今回新たに、保護者と学校の双方にコミュニケーションを取ることができ、中立の立場で、保護者と教職員、両者への支援を実施する支援担当者の設置を検討するよう示しているところでございます。
これはどういうことかというと、特に重大な事故が発生をした際には、当事者間だけで
の話合いが困難になる場合も想定をされることから、こうした役割について触れているものでございます。
現行の指針でも、これに近い考え方はあるものの、改定案にある支援担当者というのは、全く新しい言葉として今回登場しているものでございます。
ただ、当然、これまでもこういったことは起こり得るわけでございまして、そこで伺いたいのですけれども、必要に応じて、被害児童生徒等の保護者の心情を理解し、被害児童生徒等の保護者、学校や学校の設置者をつなぐ役割を担う支援担当者を確保する、これが求められていることについて、現状の取組はどうなっているのでしょうか。伺います。
○小寺指導部長 都立学校で発生した事故につきましては、都内六か所に配置されている学校経営支援センターに勤務します当該校を担当する職員等が報告を受け、事故後の対応等について指導、助言を行いますとともに、必要に応じ、事故に遭った子供の保護者の意向を踏まえて、学校と連携して支援を行うなどの役割を担っております。
○西崎委員 ありがとうございます。支援担当者というのは、これから新しく出てくる概念でありますけれども、今のご答弁でありますと、現在でも、学校経営支援センターの職員等が、これに近いような役割を担っているということでございました。
今回の改定案では、事故対応の知見を有する職員が想定されるであるとか、事故対応に精通した学識経験者に委嘱する等も考えられる、さらには、継続的な支援が必要になるため、複数人のチームで対応することも考えられるなどと、この支援担当者について言及をしているところでございます。
指針が改定をされまして、実際に支援担当者が求められるというようになった場合は、今、確認をさせていただいた現行の取組をベースに考えていくことになろうかと思いますけれども、ぜひ今後、また検討を進めていただきたいと思っております。
最後に、文部科学省の学校安全の推進に関する有識者会議から新たに示されている学校における安全点検要領案に関連して伺います。
事務事業質疑の際にも、学校の安全点検についてお聞きをいたしました。そのときは、冒頭申し上げました消費者安全調査委員会の報告で、学校の施設や設備の点検表の質に関する問題点が指摘をされているというお話を申し上げました。黒板の汚れとか、そういう話でございました。
これについては、都教委では、そこまでおかしなものはないと確認もしているというようなお話も、たしかあったかと記憶をしてございます。
今回の安全点検要領案、これ、本当に、今回、どんと新しく出てきたものでありますけれども、この点検表の様式サンプルというものを含めて示されているところでありますので、今後、これが決定をされた際には、こうしたものも参考に、各学校で安全点検の質を高めるということを求めておきたいと思います。
質問といたしましては、一問だけお聞きをいたしますけれども、この要領案では、安全点検実施の考え方につきまして、安全管理と安全教育を両輪とした一体的な取組を進めることが必要と示されているところでございます。
一方で、これは、全く新しい安全点検要領の案として、この中に考え方が示されているわけでございますが、これにつきましては、現在の学校事故対応に関する指針の中でも触れられておりまして、そこでは、安全教育と安全管理は一体のものとして密接に関連させて進めていく必要があると、こういうことが求められているわけでございますけれども、都教委の現在の取組について伺います。
○小寺指導部長 各学校におきましては、学校保健安全法に基づき、安全教育と安全管理を関連させ、統合した学校安全計画を策定しております。
都教育委員会は、教員向け指導資料、安全教育プログラムに、子供に対する指導と学校の施設及び設備の点検等を盛り込んだ学校安全計画の作成事例を示し、学校の取組を支援しております。
○西崎委員 各学校の学校安全計画の中で一体的に考えられているというような整理なのかなというふうに受け止めさせていただきました。
もうこれで終わりにしますけれども、学校の事故に関する取組は、今日も確認をさせていただいたように、これまでも多岐にわたって行われてきたわけでありますけれども、直近の文科省の動きからも分かるように、これらを国を挙げてレベルアップをさせていこうという段階にあるのかなと思っております。
学校事故対応に関する指針の改定案、そして学校における安全点検要領案、それぞれ年度内に決定をされるというような話も耳にしているところでございます。すると、これらは、来年度以降の学校における事故予防にとって、非常に重要なターニングポイントになるかなと受け止めております。
さらに、有識者会議、文科省のですね、来年度は、ワーキンググループを設置いたしまして、今後も学校の事故に関して検討を続けていくという見込みが示されておりますから、やはり、常に最新の動向を注視する必要があろうかと思います。
事務事業質疑の際にも申し上げましたけれども、防げる事故は絶対に防ぐ。そのために、変えられるものをきちんと変えていくという考え方が非常に重要だと思っております。
子供たちが安心して学び、育つことのできる学校のために、さらに取組を強化していただくことを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
まず、不登校児童生徒支援について伺います。
東京都教育委員会は、都内公立小中学校等に在籍し、フリースクール等に通う不登校児童生徒及びその保護者の支援ニーズや、フリースクール等での活動内容などを把握するために調査を行い、令和五年度の調査結果を途中経過として報告しています。
途中経過の報告では、フリースクールに通う世帯の平均年収は、全国の世帯の平均年収(令和四年国民生活基礎調査五百四十五・七万円)より高い傾向が見られることと併せて、フリースクールに通わせたくても通わせることができない家庭があることも想定されるという有識者会議での委員の意見も掲載されています。
令和五年度から、調査協力金二万円を支払い、毎月、保護者がアンケートに答える形で調査がありました。
この調査を区市町村と共有し、意見を求めてから、最終の調査分析の報告書として公開をすべきと考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業につきまして、令和四年度、五年度の調査の結果を取りまとめた上で、区市町村教育委員会の担当者等を含む有識者会議からの助言を踏まえ、令和六年度中に公表をする予定でございます。
○田の上委員 区市町村教育委員会の担当者等を含めた有識者会議からの助言を踏まえて、来年度中に公表する予定であるというお答えでございました。
校内別室支援員の配置補助、また、東京型不登校特例校、校内分教室の設置に係る支援を改めて打ち出しました。学校内の別室であれば登校できる児童生徒に対しての居場所になることを期待いたします。
しかしながら、通学できる児童生徒だけではありません。フリースクールに通う子供ももちろんいれば、外に出ることができず、家の中でひきこもりになったりする子供もいます。
そこで、心理士資格を持つ相談員や福祉の専門家による積極的な家庭訪問型支援が必要であると考えます。学校とのつながりのない子供や、フリースクールには、家庭の経済上、通うことができない児童生徒に対しての取組が必要であります。
既に家庭訪問をしている区市町村に対して支援をするべきと考えますが、まず、スクールソーシャルワーカーの配置人数を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会のスクールソーシャルワーカーの配置計画に沿って、その経費を補助しておりまして、令和四年度は五十二地区に三百五十七人が配置されております。
○田の上委員 五十二地区に三百五十七人が配置されているということであります。また充実に向けて、ご努力をお願いしたいというふうに思っております。
それでは、区市町村では、スクールソーシャルワーカーをどのように活用しているのでしょうか。伺います。
○小寺指導部長 スクールソーシャルワーカーは、子供や家庭が抱える課題の改善に向け、社会福祉の専門的な知識や技能を生かして、家庭訪問等を通して地域の関係機関等につなぐなどの支援を行っております。
○田の上委員 スクールソーシャルワーカーが家庭訪問などをしてくださっているというようなお答えでありました。
児童生徒の中には、学校には行きたくないという子供もいれば、朝からは無理でも、給食からなら出席できるという子供がいたり、気まぐれに学校に行く子供もいると思います。スクールカウンセラーがいる時間に、あえて行くという子供もいるかと思います。
私の知人でも、朝がどうしても登校できなくて難しいという子供もいますが、二時間目から参加したりとか、それぞれの形で一生懸命学校に通ったりしているという場合もあります。
スクールカウンセラーは、週一回、全ての学校に配置されていますが、児童生徒が相談したいときに、すぐに相談できる体制の構築が必要と考えます。
週五日の配置ができるようにするべきと考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、東京都公立学校スクールカウンセラーの年間勤務日数を三十八日と定めておりまして、児童生徒数が多く、相談対応へのニーズが高い学校には、勤務日数を増加して配置しているところでございます。
○田の上委員 基本的には、年間勤務が三十八日ということですが、できるだけ多く配置していただきたい。せめて週二回いるというような状況をつくっていくとか、段階的に考えられるのではないかというふうに思っています。
現在、スクールカウンセラーは、会計年度任用職員で一日七時間四十五分、週四日までの勤務となっています。
また、四回までしか契約更新ができず、来年度も継続して働くことを希望し、公募試験を受けた都スクールカウンセラーのうち、二割を超える二百五十人が採用されないという問題がありました。
不登校やいじめ、児童虐待等の未然防止、早期発見等、子供の悩みや抱えている問題の解決につながる助言を行うスクールカウンセラーは、児童生徒のみならず、保護者からも重要な存在であります。
よい人材を集めるためにも、スクールカウンセラーを常勤にしていく、または雇用年限の撤廃をしていくなど、学校内で児童生徒などがいつでも相談できる体制をつくる必要があると考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 スクールカウンセラーは、都教育委員会が任用する会計年度任用職員でございまして、任用期間は、四月一日から翌年の三月三十一日までとしております。
なお、四回までは公募によらない再度任用として、五回目は、雇用機会の公平性の確保の趣旨から、公募により、公平、公正に書類審査及び面接を実施し、選考しております。
○田の上委員 スクールカウンセラーは、専門的な知識や技能を必要とする職種ですが、教育庁では、スクールカウンセラーの専門的な知識、経験を有している方が、この公募の審査に当たっているのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会におきましては、選考について、面接の結果を踏まえまして、私どもの委員会を設けまして審査を行っています。審査委員会を設けております。
以上でございます。
○田の上委員 その方の、何というんですかね、経歴であるとか、そういったところまでは触れられないというようなお答えでありました。知識や技能がどれぐらいあるかというところは答えられないということです。
非正規職員としての雇用は五年間とするルールは、一般的に、五年を経過した非正規職員に正規職員となる道を開くという趣旨だというふうに理解をしています。現実には、五年で雇用を打ち切るという逆の作用ではないかというふうに思います。
正規か非正規かという雇用形態の違いというのは、個々の働く人の能力や責任の違いを完全に反映するものではありません。スクールカウンセラーは、専門的な知識や技能を必要とする職種であることが明確です。
子供たちや保護者から望まれているスクールカウンセラーの雇用については、安易に雇い止めをするのではなく、現場の意見なども含めて、雇用継続につながる取組を進めるべきであると要望いたします。
次に、外国ルーツの児童生徒支援についてです。
昨年の事務事業質疑で、外国ルーツの児童生徒の日本語支援について、また保護者の支援について質問をし、区市町村で支援員派遣が活用できるよう、都としてのさらなる支援を求めました。
来年度の予算に新規予算がありますが、先ほど同様の質疑がありまして、新規の予算、〇・四億円の予算ですが、一つは対話型アセスメント、高校段階ではオンラインのアセスメントの実施、そしてもう一つは、都立高校の新入生を対象に、日本語の能力のレベルを上げるための春期、土曜の日本語講座の開催ということでございました。質問を一つ割愛いたします。
日本語指導に係る支援員派遣などの要望、課題など、区市町村から、外国人児童生徒への支援について何か聞いている声があるのかどうか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会への訪問や日本語指導を担当する指導主事を対象とした連絡協議会などを通して、区市町村教育委員会の取組に関する情報交換等を行っております。
○田の上委員 区市町村教育委員会への訪問や指導主事を対象とした連絡協議会を通じて情報交換等を行っているというご答弁でありました。ぜひ、いろんな意見交換をしていただきたいというふうに思います。
私は、以前、日本語のボランティアをしていたことがあります。自治体の日本語教室もありますけれども、民間のボランティアであります。
そのときに、中国人の小学生が授業についていくことができなくなって、どうしたらいいかという相談がありまして、じゃ、私が、ボランティアをしている日本語の民間の教室に来てみてはどうですかということで、週一回ではありますが、そこで二時間勉強することで、だんだんと課題が少なくなってまいりました。
授業中、最初のうちは何とか進んでいても、途中で理解できなくなってしまうということは大変つらいことでありまして、その場で支援してくれる人がいたら、どんなに理解が進んでいくんだろう、途中で止まらなくて済むんだろうというふうに思っております。東京都として、自治体の日本語教育へのさらなる支援を求めます。
次に、働き方改革です。
都教育委員会は、三月七日、学校における働き方改革の推進に向けたプログラムを発表しました。
全国的に教員の確保が課題となっています。都においても、令和五年に実施した教員採用選考の受験倍率は一・六倍、小学校全科については一・一倍となるなど、厳しい状況となっています。
また、教員の精神疾患による休職率や、新規採用教員の採用後一年以内の離職率も増加傾向にありますと、都教委の認識もそこには書かれています。
実際、教員数の不足は、令和五年度四月七日時点では、小学校では約八十人でしたが、病欠や退職などで欠員がさらに増え、九月一日時点では百四十名の欠員、一月には約百六十名と聞いております。実際、私の子供の学校でも、この一年で先生が減っていきました。
令和六年度採用の公立学校教員採用候補者選考の結果を見てみると、令和六年度は、全体の受験者数が七千九百四十八名で、名簿登載者数、つまり合格者数は四千九百二十六名、受験倍率は一・六倍となっています。年々、受験者数は減っていき、五年前の平成三十一年度と比較すると、三千四百十七名減少で七割弱に、受験倍率は二・九倍から一・六倍にとなりました。
小学校においては、さらに減少幅が大きく、令和六年度の受験者数二千二百八十名は、五年前の六割強となっており、受験倍率は一・八倍から一・一倍となりました。
そこで、教員確保のためには、教員採用候補者選考の応募人員を増やすことが重要だと考えますが、これまで取り組んできたこと、また、来年度、新たにどのように取り組んでいくのか、伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、採用セミナー、TOKYO教育Festa!や、転職サイトでの社会人向けPRなどを充実し、志望者の掘り起こしを行ってまいりました。
また、今年度は、大学三年生前倒し選考やカムバック選考を導入するなど、多様な層が教員を目指しやすい取組を行ってまいりました。
来年度は、一定経験を有する教員経験者を採用時から主任教諭として任用するキャリア採用制度を新たに導入いたします。
○田の上委員 来年度は、一定経験を有する教員経験者を採用時から主任教諭として任用するキャリア採用制度を導入するなど、新たな取組もあり、期待するものであります。
魅力発信をしていただくと同時に、そして進めなければいけないのが働き方改革であるというふうに思っております。
都では、令和二年度、在校等時間の上限の方針を発表し、時間外で一か月四十五時間、一年間で三百六十時間と定めました。
今回の働き方改革の推進に向けたプログラムでは、在校等時間の上限について、どのように定めているのでしょうか。また、それを達成するためには、どのような方策を取られるつもりなのか、伺います。
○矢野人事企画担当部長 今般策定いたしました学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムにおきましては、令和二年の都立学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針を踏まえまして、時間外在校等時間が一か月当たり四十五時間を超える教員の割合について、令和九年度までにゼロ%とすることを目標としています。
その実現に向けまして、外部人材の活用やDXの推進等による業務の負担軽減、効率化などに取り組んでいくこととしております。
○田の上委員 報道等にもありましたけれども、時間外在校等時間が月四十五時間を超える教員の割合について、令和九年度までにゼロ%とすることを目標としているということで、ぜひ目標を達成するように頑張っていただきたいというふうに思っております。そして、そのためには、外部人材の活用、業務の負担軽減、効率化などに取り組んでいくということであります。
ご夫婦で教員をされていましたが、四十代の夫を亡くされた方の話を聞いてきました。他界後、五年半かかり、公務災害の認定を受けたということです。
平成三十年の文教委員会でも、労災すら認定できないという事例から、出退勤管理の問題を取り上げて質問をしてきました。
平成三十年四月一日現在、都内区市町村のうち、ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握している自治体は十自治体であると、その当時、答弁をいただきました。
現在のICTによる出退勤管理を行っている自治体の状況を伺います。
○矢野人事企画担当部長 昨年十二月に文部科学省が公表いたしました令和五年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査の結果によりますと、ICTの活用等による客観的な方法で在校等時間を把握している都内区市町村教育委員会の数は五十六でございます。
○田の上委員 大分進んだというような印象であります。土日や校外の活動までしっかりした把握は、まだ課題があるところではございますが、六十二自治体のうち五十六ということで、九割程度ということかと思います。今後は、校外の活動においても、ICTとはいわずとも、工夫して客観的に時間を把握できるようにしていくことが必要だと考えます。要望といたします。
この亡くなった先生の場合、中学校の修学旅行の引率後に体調が悪くなり、医療機関に受診に訪れたところ、そのまま倒れてしまい、お亡くなりになったということでありました。
修学旅行では、安全に配慮をするために、見守りの意識が教員は強くなるものと考えますが、二泊三日、ずっと不眠になるのはよくないことであります。
修学旅行の引率中の教員の休憩実態について伺います。
○矢野人事企画担当部長 都立学校においては、生徒の安全確保や生活指導等のため、勤務時間の割り振りを適切に行った上で、夜間の時間帯に教員が交代で見守りを行っております。
○田の上委員 ありがとうございます。
教員が休息を取れるように、観光案内以外にも、外部に委託できるものを検討するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○矢野人事企画担当部長 都立学校においては、移動用のバスのほか、看護師等の医療スタッフや、生徒の活動の記録を残すためのカメラマンなどを、学校の実情に応じて確保しております。
○田の上委員 ぜひ工夫をしていっていただきたいというふうに思います。
教員が何か行事があった場合に、その振替休日は、その週のうちに取らなければいけないというのが基本であって、それがうまく取れなかった場合には四週間以内というふうに聞いています。でも、実際には、なかなか忙しくて振替休日を取る環境にないということを聞いておりますので、ぜひそういった点も含めまして、振替も取りやすい環境づくりというところにご尽力をお願いしていきたいと思います。
平成三十一年、働き方改革関連法である労働時間等設定改善法、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法が改正をされまして、勤務間インターバル制度を導入することが事業主の努力義務となりました。国家公務員、地方公務員に係る対策の推進も進められているものと理解をいたします。
教員の働き方におきまして、この勤務間インターバル制度はどのように実行されているのか、伺います。
○矢野人事企画担当部長 都立学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針では、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息を確保することとしております。
○田の上委員 民間と同じように、一定時間以上の継続した休息を確保するということが周知されているという理解でいいですね。
厚生労働省の過労死等の防止のための対策に関する大綱、令和三年七月に出されたものですが、これでは、業種等、分野ごとの取組がまとめられており、教職員も対象になっております。
令和四年度の学校教員統計調査の結果中間報告によると、公立小学校の離職者数は一万四千九百七十三人で、前回調査時より一千六百四十六人減とはいえ、理由が定年である場合が五三・一%、定年外が七千十六人で四六・九%でした。その前の平成三十年度では、六千三百八十四人で三八・四%だったのに対し、八・五%増えています。
令和三年度だけで見てみると、病気が四百十一人のうち、精神疾患が二百七十七人、死亡が九十七人であります。
ここで、改めて過労死をなくすための教育委員会の取組について伺います。
○矢野人事企画担当部長 全教員を対象といたしました健康診断や、長時間勤務の教員に対する医師による面接指導、心の悩みについての相談業務などに引き続き取り組んでいくこととしております。
あわせて、働き方改革の実行プログラムに基づきまして、教員が心身の健康を保持し、誇りとやりがいを持って職務に従事できるよう、働き方改革に取り組んでいくこととしております。
○田の上委員 ぜひ過労死をなくすんだという思いを持って取組をお願いしたいというふうに思っております。
総務省の令和四年度地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案に関する調査研究によると、地方公務員災害補償基金が平成二十二年一月から令和三年三月までの期間に公務上の災害と認定した事案、全部で五百五十件ですが、それについての実態把握で、脳、心臓疾患事案の職員区分別の内訳は、義務教育学校職員が六十七件で三二・八%、その他の職員、一般職員等ですが、六十一件で二九・九%、警察職員三十六件、一七・六%、義務教育学校職員以外の教育職員二十九件、一四・二%、消防職員十件、四・九%、電気、ガス、水道事業職員一件、〇・五%の合計二百四件となっており、義務教育学校職員以外の教育職員も二十九件と多いのですが、義務教育学校の職員が六十七件で一番多くなっております。
一方、自殺を含む精神疾患事案についての職員区分別では、一般職員等が百七十四件、五〇・三%と一番多いものの、義務教育学校職員五十八件、一六・八%、義務教育学校職員以外の教育職員四十一件、一一・八%と、次いで高い数値となっております。
過労死は、長時間労働や過重労働、ストレスなどによる脳、心臓疾患、精神疾患につながり、結果、死に至るという、あってはならないことであります。
厚生労働省も、「しごとより、いのち。」というキャッチコピーを掲げておりますが、職場のみならず、社会での理解を深めるために、一層の普及啓発にご尽力をお願いいたします。
三月一日の質疑でも、業務の外部委託について質問いたしました。エデュケーションアシスタントについて質問をしようと思っていたんですが、先ほど重複をいたしましたので省略をしたいと思っております。
私がおります江戸川区で、実は、このエデュケーションアシスタントの事業は先行してスタートいたしました。学年アシスタントと現場では呼ばれているようでありますが、江戸川区でも、教員の先生方から、大変助かっているというふうに聞いております。これからも現場の声を聞きながら、配置等について、また考えていっていただきたいというふうに思っております。
各自治体によって、小学校の土曜授業の日数は異なりますが、振替なしの土曜授業も大変多いと聞いております。
時数が不足して土曜授業となるのでしょうか。それとも、行事以外の理由で土曜授業があるのか、伺います。
○小寺指導部長 学校教育法施行規則では、所管の教育委員会が必要と認める場合、学校は土曜日等に授業を実施できるとされております。
また、文部科学省の通知では、土曜日等に授業を行う場合の留意事項として、地域との連携や外部人材の活用など土曜日等の利点を生かすこと、教職員の週休日の振替等を確実に行うことなどが示されております。
これらを踏まえ、各学校は、区市町村教育委員会の方針の下に授業日を設定しております。
○田の上委員 先ほど、ちょっと振替の休日のお話もさせていただいたのですけれども、この土曜授業というのが、各自治体、各学校で結構ばらばらでございまして、大変多い学校もあるというように聞いております。これも一つ、今後考えていくべき点なのかなというふうに思っているところであります。
文科省でも紹介をしていましたが、外部委託による負担軽減や業務の精選の事例の紹介を都でも積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○矢野人事企画担当部長 このたびの働き方改革の実行プログラムの策定に際しまして、都内公立学校における負担軽減等の具体的な取組を事例集として取りまとめ、公表したところでございます。
今後も、本プログラムに基づきまして、事例を収集し、周知を図っていくこととしております。
○田の上委員 私は、今回、実は、教員の方に何人か、負担軽減についてのご要望があれば教えてくださいというふうに聞いてみたんですね。そうしたら、これ以上、業務を増やさないでほしいというふうにいわれました。
以前からありますけれども、文科省にいわれているような体力テストであるとか、ESAT-Jなんかもそうなんですけれども、その視点も、一つは必要なのかなというふうに思っています。ですので、外部委託だけじゃなく業務の精選、そしてまた、都教育委員会から頼む際に、何が必要で、どんなことが負担になるかというのを、やっぱり考えていかなければいけないのではないかなというふうに思っています。
部活動指導についても在校等時間に含まれるということで、先日、三月一日だったかと思いますが、その前だったか分かりませんが、質問でご答弁をいただきました。
奈良県の中学校での教員の土日の部活動指導を廃止するという報道の紹介もいたしましたが、そもそも部活指導を教員がやらなくてはいけないものではありません。民間に任せることを基本としていくこともできるのではないでしょうか。
そこで、中学校の部活指導における民間活用について伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、令和五年三月に、学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画を策定いたしました。
現在、区市町村におかれましては、この推進計画を踏まえまして、各地区の実態に応じて検討が行われております。
○田の上委員 ぜひ、また検討を進めていっていただきたいというふうに思います。また、自治体の話も聞いていただければというふうに思っております。
次に、デジタル教科書に関しての質問をさせていただきます。
三月一日の東京都公立学校情報機器整備基金条例審議のときにも質問させていただきましたが、私は、子供のランドセルがとても重いという問題を深刻に捉えております。
民間のメーカーさんが、いかに軽く丈夫なランドセルを開発したり、リュックに近い形に変えていくなど努力はしているんですが、一方で、重いタブレットを軽量のタブレットの調達に変えられるかとか、紙の教科書をどんなに減らしていかれるかというような課題というのは、行政で取り組めることであると思います。
ビューアーや配信システムが教科書会社や教科によってばらばらであるとか、別の教科書検定が必要であるとか、様々な課題によって、国では併用を決めて進めていくことになっていました。
文部科学省では、令和四年度、児童生徒の学びの充実や障害等による学習上の困難の低減に資するよう、全ての小学校等を対象に、英語等、一部教科の学習用デジタル教科書を広く提供し、普及促進に向けた実証事業や、フィージビリティー検証を行いました。
そこで、都を含めたデジタル教科書導入の進捗状況について伺います。
○小寺指導部長 本年度、文部科学省は、全ての小中学校等の児童生徒に英語のデジタル教科書、また、一部の小中学校等の児童生徒に算数、数学のデジタル教科書を提供しております。
○田の上委員 文科省の管轄ということでございますから、そこまでのご答弁なんだと思うんですけれども、都においても、英語のデジタル教科書を、そして、一部の小中学校の児童生徒には算数や数学のデジタル教科書を提供しているということであります。
国で発表してから、なかなか進まないなというような印象であります。せっかく一人一台端末を実現させているので、漢字だとか書写だとか、そういったものはなかなか難しいと思いますけれども、できるところ、できる教科はデジタルへの移行をしていくべきと考えております。早期のデジタル教科書の整備に向けて国に要望していただきたく、お願いをいたします。
次に、給食費について伺います。
都が給食無償化を奨励するに当たって、多摩地域で給食費が無償、有償の格差が出るのは市町村の責任であると考えているのかどうか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 学校給食費につきましては、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものでございます。
都として、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を都が支援することといたしました。
○田の上委員 いつもと同じ答弁でした。
自校方式、センター方式等の違いや物価上昇等の設定によっては、自治体間の負担の生じ方が不均衡になる可能性がありますが、どのように考えているのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校の学校給食は、学校給食法に基づき、設置者が実施しており、その実施方法や学校給食費の設定、保護者負担の軽減策等につきましては、設置者である区市町村が判断するものでございます。
○田の上委員 あくまでも設置者である区市町村が考えていくべきことであるというお答えでありました。
補助に当たっては、区市町村で実際にかかっている給食費用に対して補助をすべきと考えますが、都の方針を伺います。
○岩野地域教育支援部長 今回の補助は、一食当たりの上限を都内平均給食費単価とし、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を都が支援するものでございます。
○田の上委員 一食当たりの上限を都内の平均給食費単価として、その二分の一を都が支援するというご答弁でありました。
令和五年一月に葛飾区が出している学校給食費に関する報告書を見ました。二十三区の給食一食当たりの単価で、小学校中学年の場合でも、高額の自治体だと二百八十六・四六円、低額の自治体は二百四十円です。月額にすると八百円くらい違います。多摩の市部と比較すると、もっと差が出るのかなというふうに思っています。
こういったことを考えてみると、〇一八サポートのような月額五千円を自治体の中で考えて給食費に使う、先ほども自治体で考えるものだといっていましたが、そういった形にできた方がいいように思っております。
次に、中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jについて伺います。
YEAR1、YEAR2の英語スピーキングテストが、今年の一月から三月までの期間で都内各中学校で実施されております。
ESAT-Jでは、受験に関する同意書が必要となり、生徒及び保護者が署名をいたしますが、YEAR1、YEAR2それぞれのテストで同意が取れなかった生徒はどれくらいいるのか、取れない場合にはどのような対応になるのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 同意書のない生徒の数について、報告は求めていません。
同意書の提出がない場合には受験することはできず、この場合、自習をすることなどを想定しております。
○田の上委員 ちょっと中学校の方でも、自習という形になってしまって、どうしたらいいか分からないというようなことはよく聞かれます。
それからまた、試験官の先生にいろんなことを聞いても、何も答えられなかったということもあるので、しっかりと責任のある試験官の方がいてくれるといいのかなというふうに思います。
YEAR1、YEAR2のテスト受験に関する同意書におきましては、中学校三年生の段階で求める本人確認のための生年月日、顔写真、電話番号、メールアドレスなどの個人情報も求められており、後日訂正され、その項目のない同意書が配布をされました。
既に訂正前の同意書で記載をした方は再提出がないものというふうに思いますが、さきに提出された情報は、そのまま保存されるのでしょうか。それとも、YEAR1、YEAR2のテストで必要な個人情報のみになるのでしょうか。伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 保護者向けの同意書の訂正につきましてですが、ESAT-J YEAR1及びYEAR2の同意書において、第三学年になった段階で、生年月日、顔写真、電話番号、eメールアドレスなど、本人が分かる、確認できるために必要となる個人情報を登録していただくということについても併せて同意を求めていたものですけれども、現時点では、この同意について不要としたというものであります。
また、お見込みのとおり、訂正前の同意書を提出した場合であっても、修正後の個人情報、成績データ等の取扱い及び受験に関する同意書を得たものとして取り扱うということを、全ての保護者に通知をしているところでございます。
○田の上委員 つまり、訂正前の同意書であっても、訂正後のデータの取扱いと同じというような形になるということであります。
こういった同意書は、そのテスト実施のたびに確認することが必要だと思いますけれども、YEAR1で取った同意書は、YEAR2まで適用されるのでしょうか。伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 毎年度、保護者の同意を確認する予定です。
○田の上委員 そうですね。毎年度の方がいいと思います。
YEAR1、YEAR2のテストの場合、生徒の成績データについては、卒業時に削除されますが、個人情報については、卒業後四年間保存後、削除というふうになります。この削除時期が適当だとされた理由について伺います。
中学校三年次のESAT-Jについても同様でしょうか。併せて伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 三年生で実施するESAT-Jについては、結果が都立高校入試でも活用されることから、都立高校に在学する可能性がある期間として四年間保存するということにしています。
YEAR1、YEAR2でも、これを踏まえた扱いとしております。
○田の上委員 ベネッセが今年度で撤退なんですが、撤退後も成績データや個人情報を保存するということになると思いますが、ベネッセにも何らかの支払いがあるんだと思います。
この年間の管理費というのは幾らになるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、ESAT-Jに係る個人情報を適切に保管、管理をいたします。
そのため、来年度予算には約千六百万円を計上しております。
○田の上委員 千六百万円計上ということであります。これは来年度の分ですよね。だから、次の年はまた別かもしれないということでいいですかね。千六百万じゃないかもしれない。
来年度、千六百万で、再来年度はまた別かもしれないということ……。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今お話ししたのも来年度の予算ですし、その先についても、また精査していくことになります。(田の上委員「千六百万ということですか」と呼ぶ)千六百万円であるかどうか、今お答えすることは無理です。また精査することになります。
○田の上委員 英語スピーキングテストは、学習の到達度を確認するためのアチーブメントテストだというふうに理解をしております。YEAR1、YEAR2のテストの結果が成績評価に生かされるのかどうか、二月の文教委員会及び昨日の予算特別委員会でも桐山議員が質問いたしましたが、テストの結果を中学校の評定に使うことは、成績に使うことは想定していないというような答弁でありました。
同意書には、個人情報の取扱いについて、登録した個人情報と成績データ等は、受験者本人への成績データ提供のほか、在籍中学校における英語教育の充実、テストの円滑な実施、統計資料作成及び活用のためにのみ利用されることと書いてありますが、今後、成績データを活用し、東京都が調査に活用することがあるのでしょうか。あるとすれば、どのような目的で活用するのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 成績データ等につきましては、同意書にも記載があるとおり、受験者本人への成績データの提供のほか、在籍中学校における英語教育の充実、テストの円滑な実施、統計資料作成及び活用のために利用することとしています。
○田の上委員 北海道旭川学力テスト最高裁判決の、文部科学省の学力テストは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条第二項の、文部科学大臣は地方公共団体の長または教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長または市町村委員会に対し、それぞれ都道府県または市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料または報告の提出を求めることができるによる行政調査であるとして、不当な支配に該当しないという結論でありました。
つまり、逆に、文部科学大臣が、その管轄外の教育委員会、中学校に対して、個々の生徒の成績評価を目的として調査結果を教育活動上利用すべきことを強制することは不当な支配に該当し、違法性が高いということになります。
先ほどのご答弁で、調査に使っていく、これから統計資料作成の活用のために使っていくということでありますが、英語の教育の充実というのは、あくまでも中学校の中で判断することであると考えていいでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 学校の中の指導に使うのは、もちろんだと思います。
そのほか、施策等々に活用していくということも考えられると思いますが、その使い方については、同意書等を取っている範囲の中で行っていくということになると思います。
○田の上委員 また別の視点ですが、昨日の予算特別委員会の中で桐山議員が、YEAR1、YEAR2のテストでは、機材の取扱いについて、三年生の試験を受けるに当たって、慣れが生かされると思いますかという旨の質問をいたしまして、教育長は、慣れがあるというようなご答弁だったかと思います。
ベネッセのGTECを活用している学校の生徒と、そうでない学校の生徒では、慣れの違いがあり、不公平だという声が、当時、教員の中からもありました。しかし、教育庁は、GTECはESAT-Jと似ているようで別のものだということをこれまで述べてきたというふうに思っております。
でも、機材の慣れは、結局、三年生の試験にも生かされるということでいいですよね。答えがなければいいです。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ちょっと整理してお話ししたいと思います。
機械に慣れるということと、あるいは問題の内容が似ているということはまた別ですし、その上で、GTECの問題とESAT-Jは問題の内容が違うということを、これまでも繰り返しお話ししてきたところです。
○田の上委員 機械の使い方で大分トラブルの声があったわけですから、機械の慣れというのはかなり、三年生のテストを受けるときに有利といったら変ですけれども、その子にとっては安心に受けられるのではないかなというふうに思います。
そして、先日、練馬区立大泉中学校でのテスト実施を、東京都教育委員会は報道陣に公開をいたしました。
なぜ、これまで様々な課題を取り上げて質問をしてきた私たち議員を含めての公開としなかったのか、理由を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 試験は、生徒が安心し、集中して取り組めるよう、静ひつな環境を整える必要があると考えています。
報道機関に対して行ったものについてですが、スピーキングテストの実施状況を広く知っていただく必要があるということから、試験の冒頭のごく一部分を教室の外から取材する機会として設けたものであり、公開については、こうした観点から慎重に考えるべきであるというふうに考えています。
○田の上委員 昨日も桐山議員が質問しましたけれども、私たちも別に、そんな全部見ようなんて思っていないのですけれども、教室の外からちょっと拝見するという形でもいいと思います。そういったところは工夫をしていただいて公開をしていただけないかと思います。
改めて伺いますが、私たち議員にも、実際のテストの様子を公開していただけませんでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になります。
試験は、生徒が安心し、集中して取り組めるような静ひつな環境を整える必要があると考えています。
報道機関に対しては、スピーキングテストの実施状況を広く知っていただく必要があるということから、試験の冒頭のごく一部を教室の外から取材する機会を設けたものであり、こうした観点から慎重に考える必要があるというふうに考えております。
○田の上委員 あくまでも私たちには公開してくれないということであるかと思いますが、引き続き要望させていただきたいと思います。
次に、高校入試の採点ミスをなくすための方策の実施状況について伺います。
都立高校では、過去に採点ミスの事件があり、それへの対策として、都立高校間で、採点ミスがないか、入試採点相互確認を実施していますが、昨年度の入試でも実施されたのかどうか、そして結果はどうだったのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 平成二十七年度入試以降、都立高校では、採点、点検の適正な実施を客観的に確認するため、平成二十六年九月に公表した都立高校入試の採点誤りに関する再発防止・改善策に基づき、他校同士で点検を行う相互点検を実施しております。
昨年度の都立高入試においても相互点検を実施しておりまして、採点等の適切な実施を確保しております。
○田の上委員 入試採点相互確認の相手の学校はどのように選んでいるのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 相互点検を実施する都立高校の組合せにつきましては、都教育委員会が決定しております。
具体的な内容につきましては、都立高校入試の実施、運営に係る情報であるため、公表しておりません。
○田の上委員 日比谷高校など、独自に入試問題を作成し、採点している学校は、どの学校と入試採点相互確認を実施しているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 学力検査問題を自校で作成する学校を含め、相互点検を実施する都立高校の組合せについては、都立高校入試の実施、運営に係る情報であるため、公表しておりません。
○田の上委員 どこの学校と相互点検をしているかというのは答えられないということなんですが、日比谷高校など自校で作成する学校についても、相互点検自体は行っているということでいいですか。--はい、うなずいていただきました。
英語スピーキングテストを受験しなかった生徒に点数を付与する場合、それが適正に行われたかどうかについての入試採点相互確認は行ったのかどうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストに係る不受験者の措置の算定結果については、相互点検によらず、都教育委員会が確認を行っております。
○田の上委員 つまり、スピーキングテストの不受験者の措置の算定結果は、まず該当する都立高校が行って、教育委員会が確認しているということで、学校同士ではないということですね。
英語スピーキングテストを受験していなかった生徒に対する点数付与が適正に行われたかどうかの確認は、都立高校の校長任せなのか、それとも教育庁も確認したのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 重複になりますが、スピーキングテストに係る不受験者の措置の算定結果につきましては、当然のことながら、まず、各高校で十分な点検を行います。その後、都教育委員会としても確認しております。
○田の上委員 教育委員会の誰が確認しているのかということはお答えできますか。教育委員会のどなたが確認しているのかというのは。
○村西都立学校教育部長 誰がということじゃなくて、組織的に都教育委員会の中で確認をしているということでございます。
○田の上委員 お答えできないということだと思います。
英語スピーキングテストを受験しなかった生徒への点数付与について、都立高校からの相談はなく、全て教育庁が事前に示した指針によって対処できたのかどうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストに係る不受験者の措置の算定に関しては、高校に対して事前に説明を行うとともに、各高校からの確認や相談に対しても、都教育委員会として適切に助言しています。
○田の上委員 結局、今のところを総合してみますと、スピーキングテストに係る不受験者の措置の算定というのは、学校同士の相互確認によらないものなんですが、教育委員会の確認のみならず、第三者の目があった方がいいのではないかと、そういうふうに思います。
例えば、同じように不受験者の措置があった高校同士で確認する、そういったことをすることで、お互いの算定の認識の確認にもなるのではないかと思います。意見として申し上げます。
以上で私の質問を終わります。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
初めに、学校教育情報化推進計画について伺わせていただきます。
コロナ禍の中、オンラインでの授業などに対応するため、都立学校において一人一台の端末や通信環境の整備を進めてきました。その後も社会におけるデジタル化は一層進んでおり、学校教育においても対応が求められております。
これからさらに進むデジタル化に対応するため、これまでの都立学校において進めてきた環境整備について、まず伺わせていただきます。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会ではこれまで、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを推進し、都立学校の無線LAN環境の整備や通信回線の増強を行ってきたほか、都立高校生が端末を活用できるよう、保護者負担を三万円とする補助制度を創設し、一人一台端末の整備を行ってまいりました。
また、都立学校全体にデジタルサポーターを常駐配置するとともに、学校において情報機器の活用が円滑に進むよう支援を行うなど、都立学校のデジタル化を推進してまいりました。
○鈴木委員 都立学校でのデジタルを活用した学習環境の整備を推進されてきたことを確認いたしましたが、こうした環境を一層活用するために、教え方、学び方も変わっていく必要があると考えます。
現在、自分で課題を設定し、クラスメートと学び合う中で地域の課題を解決する方法を考えるなど、子供たちがデジタルを最大限に活用し、より深く学ぶ教育を推進している小学校もあると仄聞しており、こうした学びを都内全体でも進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会では、デジタルを活用した新たな指導法を研究し、子供が自ら学び方を選択して自立した学習者になることを目指しております。
この指導法では、教員は、子供の学ぶペースに合わせて、個々に助言等を行い、子供は、何をどのように何時間かけて学ぶかを自分で計画して学習を進めます。
具体的には、デジタルを活用して情報収集したり、クラウド上で様々な友達と考えを共有しながら、一人一人が学習を進めるなど、子供たちが自ら学ぼうとする意欲を高めてまいります。
来年度は、小学校、中学校、高校十校を指定し、この研究を進めるとともに、成果を取りまとめ、都内全公立学校に普及してまいります。
○鈴木委員 予測困難なこれからの時代を生きていく子供たちが、社会に出てからも、自ら課題に向き合い、解決策を、解決できるよう育成していくことが重要だと考えます。より効果的な新しい教育の形を都内全ての区市町村へ普及していくことを期待しております。
また、デジタルを活用した教育が進めば、それに応じた環境整備なども必要ではありますが、より効果的な授業、教育が進められると考えます。
今後のデジタルの利活用と環境整備など、教育の情報化をさらに進めるため、どのような計画とし、取り組んでいくのか、伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会では、今後のデジタル化の進展を見据えて東京都学校教育情報化推進計画を策定し、学校教育の情報化を一層加速してまいります。
この計画は、令和六年度から五年間を計画期間とし、児童生徒の資質、能力の育成など四つの基本的な方針と、各方針における施策の方向性を定めます。
通信需要量の増加への対応や既存システムのクラウド化の検討など学校におけるICTの活用を支える環境整備とともに、デジタルを活用したこれからの学びについて研究、普及していくことも計画に盛り込み、学校教育の情報化を着実に推進してまいります。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
都教育委員会では、教員確保に向けた採用選考の応募人員の増加策として、大学三年生前倒し受験やカムバック採用など、様々な採用選考の改善を行っております。
一方、これまでも教職経験者向けには特例選考が行われておりますが、経験にかかわらず、教諭として任用されていると認識しております。
来年度の教員採用選考で新たに行うキャリア採用の概要とその効果について伺わせていただきます。
○吉村人事部長 令和六年度の選考から開始いたしますキャリア採用では、豊富な教職経験を最大限に発揮していただくため、合格者を、採用時から教諭ではなく主任教諭として任用いたします。
キャリア採用では、国公立及び私立学校で八年以上の正規教員の勤務歴がある方を対象として、これまでの選考で実施している内容に加え、キャリア論文を実施いたします。
本制度を通じまして、即戦力となる中堅教員を確保し、校内体制を充実することで、教育の質の一層の向上を図ってまいります。
○鈴木委員 このほかに、今年度、以前お聞きしたTOKYO教育Festa!の方でも内容等を確認させていただいて、手応えがかなりあったと。これからまた、教員確保に向けて取り組まれると思いますが、今年度の小学校の受験倍率なんですが、小学校の受験倍率一つに絞ると一・一倍と、厳しい状況にあるということが分かっております。
今後、この受験倍率の見通し、そして取組について伺わせていただきます。
○吉村人事部長 小学校につきましては、現在、いわゆる標準法に基づきまして、低学年から順に、学級の定員数を四十人から三十五人へ引き下げており、これに伴う学級数の増加によって、教員定数も毎年約三百五十人ずつ増加しております。
令和六年度に五学年まで、令和七年度には六学年までが三十五人学級となる予定でございまして、これに伴う定数の増加が終了いたします。
このため、現時点の見通しでは、令和八年度採用選考から、必要となる採用者数が減少する見込みであり、受験倍率も回復すると見込んでおります。
引き続き、教員確保に向けまして全力で取り組んでまいります。
○鈴木委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
部活動の地域連携、地域移行が今後さらに進んでいきますと、会計年度任用職員である部活動指導員や有償ボランティアである外部指導者が、技術指導に加え、これまで教員が担ってきた生徒への様々な教育的な対応も担うことになると考えられます。
このことに不安を抱えている保護者もおり、外部の指導者の資質向上が課題であると考えておりますが、都教育委員会の今後の取組について伺わせていただきます。
○市川指導推進担当部長 これまで都教育委員会は、都立学校に配置している部活動指導員を対象に、適切な指導等について学ぶオンライン研修を実施してまいりました。
また、その動画を区市町村に提供し、中学校の部活動指導員を対象とした研修での活用を促してまいりました。
今後、外部指導者を対象とした研修動画を作成するとともに、区市町村に対しまして活用を促してまいります。
○鈴木委員 現在、各自治体で、部活動地域移行の推進計画、また協議会の設置を既に終えているところもあり、また、今年度中にまた協議会設置ができるといった部分がありまして、こういった部分で、これからもさらにいろんな課題が出てくると思いますので、こうした部分は、各自治体と協力して、生徒が部活動をちゃんとしっかりできる環境をこれからも一緒につくっていただけることを要望しておきます。
次に、日本語指導の充実について伺わせていただきます。
文部科学省では、日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況を調査、分析し、受入れ体制の充実等に資するため、平成三年度から調査を行っており、四年度、昨年度までの調査が、一応、東京都の教育委員会のホームページでも公表されておりますが、その調査によると、都立学校では、ここ数年、日本国籍の方も含めて、約八百人前後が日本語指導が必要な児童として在学していることが分かります。
様々なケースがあるとは思いますが、日本語を十分に習得せずに海外から転入する生徒が特に多いそうです。高校に入学してから日本語を学び続けることも大事でありますが、日本語学習が最も必要なのは、学校入学当初であると考えます。
そこで、日本語指導が必要な生徒に、なるべく早い時期に教科の学習につながる日本語を習得させるための対応策を実施するとのことですが、その新規事業について伺わせていただきます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 高校入学当初、言語や文化などの違いから、戸惑いや不安を抱く生徒もおります。安心して学校生活を過ごしてもらうためにも、早い段階で日本語を学習できる機会を設定することが重要であると考えております。
このため、都教育委員会は、中学校から高校への円滑な接続を支援し、高校での日本語指導を補助するため、日本語の能力が入門、初級段階の都立高校新入生全てを対象といたしました春期・土曜日本語講座を、入学式前までの六日間及び四月から六月末までの土曜日のうちの九日間、実施する予定で準備をしております。
○鈴木委員 今、ご答弁いただきました、日本語能力が入門、初級段階の都立高校新入生に実施する春期・土曜日本語講座の特徴についても伺わせていただきます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 春期・土曜日本語講座でございますが、入門、初級段階の生徒が理解しやすいように、都内の日本語指導が必要な生徒の主要言語である英語、中国語、ネパール語、日本語の四か国語で授業を実施いたします。
学習内容としまして、高校生活を題材とした動画コンテンツや、都教育委員会作成のテキストを活用し、具体的な場面を想定した日本語の表現や語彙を学ぶことになります。
さらに、オンデマンドで動画コンテンツや教材を利用できるようにすることで、それぞれ都合により受講できなかった内容の学習であるとか、予習、復習など、生徒の自主的な学習にも活用できるようにしてまいります。
このことによりまして、円滑に学校生活を開始できるよう、高校で必要となる基礎的な日本語の習得を目指してまいります。
○伊藤委員 私からは、まず、高校などと特別支援学校との一体化について伺います。ちょっとぽんぽん行きたいと思います。
東京都教育委員会は、高等学校などと特別支援学校との一体的な設置など、新たな在り方について検討していくと、既に私どもの質疑に対して答弁がありました。
具体的な検討のロードマップについて、まず伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、高等学校等と特別支援学校との一体的な設置などの在り方について、外部の専門家や学校関係者、区市町村関係者なども入れた検討委員会を来年度設置して議論を行い、速やかに方向性をまとめてまいります。
○伊藤委員 この画期的な一体的な整備について、先般、都として検討を行っていくということで、その速やかな答弁に対して、決定に対して、まず高く評価を申し上げたいと思いますし、改めて、速やかに方向性をまとめていくということですので、期待をしたいと思います。
高等学校などと特別支援学校との一体的な設置の事例として、私は、日本で一つなのではないかといわれている兵庫県の県立阪神昆陽高等学校、特別支援学校に、龍円都議と一緒に視察をしてまいりました。
この学校については、既に都教委の中でも視察をされたことがあるというふうに伺っております。
この学校の取組について、都はどのように考えているのか、伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 兵庫県立阪神昆陽高等学校、特別支援学校では、同一敷地内に設置された高校と特別支援学校が一体的に運営されております。
同校では、一人の校長が高校と特別支援学校を兼務し、一部の施設を共有するとともに、互いの学校の授業を一部選択できるなど、教育課程も工夫されており、一つの好事例として参考になる取組と考えてございます。
○伊藤委員 この阪神昆陽高校並びに特別支援学校、まさに一体的に整備をされて運営もされているんですが、その象徴的なところが一つございまして、一人の校長先生が両校を兼務されています。
そのことについての有効性、都としてどのように捉えているか、伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 兵庫県立阪神昆陽高等学校、特別支援学校においては、一人の校長が高校と特別支援学校を兼務することにより、両校の連携を図っております。
今後、都教育委員会においても、検討を進めるに当たっては、こうした取組の有効性も含め、教職員の配置の在り方等についても検討してまいります。
○伊藤委員 これは、今、映像もありませんし、何かお示しするものもないので、口頭ベースでいっても、なかなか伝わりにくいところがあろうかと思いますけれども、結構大きな敷地の中で、二つの両校が渡り廊下でつながっているというような学校であります。ですので、例えば特別支援学校に通われているお子さんも、いわゆる普通校の高校の方の授業を週に二回も三回も取って、そして自分のキャリアにつなげていくというようなこともできますし、また、両校で同時に、例えば、いわゆる運動会、体育祭や、あるいは文化祭のようなものも一緒に、共同して企画をして運営をするというようなこともされていらっしゃいます。
また、ノーマライゼーション教育というのを両校の中で行われていて、特に普通校の中でもノーマライゼーション教育が行われているので、非常に相互理解が進んでいるというふうに思います。
その辺の推進役を担ったのも、この校長先生なのかなと思っていて、それぞれが全く別に運営されてしまうと、せっかく同じ敷地内にあっても、これは相互理解につながらないので、そういう意味では、一人の校長先生が兼務される有効性もあると。
一方で、ひょっとすると、学校の形態によっては、二人校長先生がいらっしゃって統括をするというようなことも有効なのかもしれません。
それは、今後、都の中で、最もふさわしい形態というのをぜひご検討いただきたいというふうに思います。
そういう意味では、ぜひ将来的に、この文教委員会でこの昆陽高校に視察に行っていただけたら、一番分かりいいと思いますので、そのことを期待申し上げたいと思います。
ちなみに、この区立、私は、今回、今、都立高校の話をしましたけれども、阪神昆陽高校も県立高校と県立特別支援学校が一体で運営をされていますが、私は一般質問のときにも申し上げたように、これは将来的に区立小中学校との一体整備もぜひ考えてもらいたいということで、そこは排除しないで、もちろんご検討いただいているというふうに承知をしています。
仮にもなんですけれども、区立小中学校と都立特別支援学校を一体的につくったようなときの、そのときの設置費用の都と区の負担割合はどうなるのか、この点について伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 区市町村立小中学校と都立特別支援学校との一体的な設置についても、検討対象に含める予定でございます。
一体的な設置をするとした場合の費用負担についてでございますが、この中で検討課題として取り上げていく予定でございます。
○伊藤委員 今、区市町村、特に我が目黒区なんかもそうですけれども、学校の建て替えというのが、財政に一番大きく影響を与えています。そういう意味では、過去に、たしか大島の学校で、町立の学校と、それから都立の高校とが一体的に整備されたということがあったと思います。そのときにも、かなり東京都の方でも負担をされたというふうに伺っていますので、ぜひそこは、東京都の方も、協力的に財政負担をしていただきますようにお願いをしたいと思います。
次に、これまでも再三提案してまいりました都立工業高校改革について伺いたいと思います。
もはや最近の質疑の中でも工業高校という言葉があまり聞かれなくなるくらい、工科高校と呼ばれるようになってまいりました。
先日も蔵前工科の方にお邪魔をさせていただいて、そこで、例えばドローンあるいはCADを使った建築工学とか、あるいはまた、新しいゲームを開発するプログラミングに携わる子供たちに触れさせていただいてまいりまして、生き生きとした、そしてまた、最新技術を学ぶ子供たちの姿勢というものを拝見し、大変感激をしたところでございます。
この工科高校の教育内容を充実させるとともに、それを発信していこうということで、昨年も大きな予算が都立高校全体についたところだと思います。
こうした予算も充実させていきながら、継続的にその魅力を発信していくべきと考えますが、来年度の取組について伺います。
○村西都立学校教育部長 都立工科高校においては、経済のグローバル化やDX化の進展を踏まえ、教育内容の充実を図るとともに、その魅力を都民にしっかり伝えていくことが重要でございまして、都教育委員会としても、今年度、取組を強化した結果、工科高校の志願者数等は、昨年度よりも増加いたしました。
このため、来年度は、民間教育機関との連携の下、ITに関する資格取得やプログラミングスキル、使える英語力の育成に向けた資格、検定試験に係る講座の実施など、実践的なスキルの習得支援を新たに開始し、教育内容の充実をさらに進めてまいります。
また、こうした教育内容の充実を図る取組などにつきまして、都立工科高校などが一体となって行う大規模なPRイベントを今年度に引き続き開催するとともに、都立高校の専用サイトをはじめ、様々なメディアを活用した広報等を通じまして、多くの中学生やその保護者等に積極的に発信してまいります。
○伊藤委員 個人的な話ですけれども、うちの息子が今、中学二年生でございまして、しかも、地元の区立中学校に行っておりまして、これから受験を控えてまいります。都立高校も、もちろん志望校の一つになろうかと思いますが、最近は、私も蔵前工科高校に行ってまいりまして、本当に、この工科高校で学んで、場合によっては大学に行かなくてもいいという選択肢があるんだということを本人にも見せていきたいなと思っています。
ただ、今はまだ、そういう意味では全入ですよね、ほぼほぼ。変わりましたか。(村西都立学校教育部長発言を求む)じゃ、どうぞ、答弁してください。どうぞ。
○村西都立学校教育部長 すみません、ありがとうございます。
昨年までは、倍率が、全体の倍率が大体〇・六六倍で、今年は、全体としては〇・七二倍に上がっています。全体として見れば〇・七二倍なんですけれども、今年は、四校において一倍を超えて、応募倍率が一倍超えているというところでございます。
○伊藤委員 図らずも、工科高校の魅力が伝わっている一つの証左を今ご答弁いただきまして、ありがとうございました。
いずれにせよ、もっと、多分、倍率が上がってくるだろうなと思うくらいのポテンシャルを持っていると思います。
実は、どうやって伝えていくのが一番いいかということの一つとして、これは要望でとどめておきますけれども、中学校には、今、総合学習の時間があると思います。ここはやっぱり、ぜひご協力いただける中学校なんかに呼びかけて、そこで学んでつくったものを中学校に持っていって、その子供たち、要するに、高校生の子供たちが中学生の子供たちに、自分たちの学校ではこういうものをつくったんだよというものを、ドローンでもいいですし、ロボットでもいいと思いますけれども、それをやっぱり伝えることが一番中学生に伝わるんじゃないかと思いますので、ぜひそういうことも、魅力向上のために使っていただく、活用を考えていただきたいなというふうに思います。
続いて、ちょっと話は戻りますけれども、特別支援学校との関係で、旧芸術高校について伺いたいと思います。
私の地元の目黒区に、かつて都立芸術高校というのがございました。音楽科や美術科が設置されていて、大変特色のある都立高校であったのですけれども、平成二十二年に新宿区に都立総合芸術高校が開校されたことに伴って、目黒区の芸術高校は、残念ながら閉校となりました。その校舎というのは、依然、今でも残されています。
まず最初に、この旧都立芸術高校の現状について伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 旧都立芸術高校につきましては、今、委員からお話があったとおり、平成九年に策定した都立高校改革推進計画に基づき、都立総合芸術高校が開校したことに伴い、平成二十四年三月をもって閉校となりました。
閉校後については、都教育委員会において、教育財産として敷地や校舎を維持管理しておりまして、清掃委託、機械警備、除草等の維持管理業務を現在行っているところでございます。
敷地は約六千二百平方メートルであり、校舎は、旧美術科の校舎であるA棟、旧音楽科の校舎であるB棟、ステージや体育館があるC棟の合計三棟があり、延べ床面積は合計約八千九百平方メートルでございます。
○伊藤委員 今ご答弁いただいたように、既に、閉校後十年経過している建物ではある一方、広さをとりましても、また、あの校舎をとりましても、これ、本格的な、本当は学校として活用されるだけのものだというふうに思いますけれども、実際には活用に至っていないことが分かりました。
立地的にも、面積的にも魅力のある用地であることから、ぜひこれは、教育財産として新たな活用を検討すべき時期であると考えますが、伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 建物の老朽化が進行している中、都教育委員会としましても、教育財産として、当該用地の活用の在り方を早期に整理する必要があると考えております。
○伊藤委員 そこで、これがいいたかったのですけれども、例えば、それこそ令和五年第四回定例会の私の一般質問や、また、我が会派が代表質問等で提案をしております、都立高校と特別支援学校の一体的な設置、まさにここで検討をしていったらいかがかというふうに思います。
見解を伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 今後、都教育委員会におきまして、都の教育環境を取り巻く様々な状況等を踏まえ、教育財産として効果的な活用ができるよう、具体的な検討を進めてまいります。
○伊藤委員 都内で初めての一体的な特別支援学校と普通校の学校が、まさにこの目黒の旧芸術高校にできることを期待したいと思います。
また、先ほど、ご検討を速やかに行っていくといっておられましたので、改めて、早急に方向性を出していただきますようにお願い申し上げます。
続いて、都立高校入試の在り方について伺いたいと思います。
先般も、この件については少し触れさせていただきました。今、都立高校を取り巻く環境が大きく変わってきていることはいうまでもありません。不登校生徒が増えている、あるいはまた、日本語指導が必要な日本国籍の生徒なども都立高校を志願することは当然あろうかと思います。
そういった中で、実技科目が二倍になる評点、いわゆる内申点のつけ方がいかがなものかということについても、先般触れさせていただきましたし、また、全ての都立高校が一律的に、いわゆる当日の入試、そして内申点の比率が七対三というのもどうなんだろうかと。中には、不登校の生徒の方で、どうしても実技科目の評点、いわゆる内申点が取れないと。ましてそれが二倍、大きなボリュームとして評点がついてしまう。そうすると、もう最初から、不登校になった瞬間に都立高校を受検できないじゃないかというようなお子さんもいっぱいいらっしゃるというふうに思います。
そこで、さきの質疑において、入学者選抜検討委員会に特別部会を設置して検討を行うという答弁が都教委からありました。
現時点における検討状況について伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、昨年から、中学校や高校の校長、保護者等の委員で構成する検討委員会に特別部会を設置し、入学者選抜の在り方について検討を進めてございます。
特別部会では、多様化する生徒のニーズを的確に捉えるとともに、各高校が期待する生徒を選抜できる入試制度の構築に向けまして、調査書や学力検査等の選抜方法に関する検討を行っております。
今後、この特別部会における検討を加速化し、来年度の検討委員会において特別部会の検討状況について報告する予定でございます。
○伊藤委員 これも、長い期間、多分、様々な意見が寄せられている中で、まさに棚卸しをして、ご議論を今いただいているところと思います。
みそなのは、ポイントなのは、保護者などにもこれに入っていただいて検討委員会で検討するということですし、また、特別部会も設置する、そして、今お話があったように検討を加速化していく、また、来年度の検討委員会において検討状況について報告をする、こういうことでありますので、申し上げたような課題--全部を、入試制度ですから、誰にとっても完璧ということはありませんので、それは一〇〇%完璧なものではないと思いますけれども、今申し上げたような課題を一つ一つクリアしていける方向性を、ぜひここで出していただきたいなということをお願いしておきます。
次いで、教員の働き方改革については、先ほど来、質疑が出ていますので、そこで出てきていない部分について、とりわけて質疑をさせていただきたいと思います。
働き方改革は待ったなしであることは、もういうまでもありませんが、私が先日、お目にかかってきた方は、目黒で今、二つ学校を回って、もう八年間ぐらいですかね、九年ぐらい、目黒区内の公立の小学校を担当されている五十代のベテランの教員でございます。教員です。一般教員。その方にお話を聞きました。
いろいろ働き方改革をやってほしい、具体的にやってほしいことがありますけれども、その中でも私がイの一番に挙げるものは何かといえば、それは、いろんなものの徴収、金作業、お金を集める作業は、これは学校の先生じゃなしに、どなたか、やっぱり専門の方にやってもらいたいと。
修学旅行、あるいは修学旅行で撮った、例えば写真代とか、あとは様々な学用品等の徴収があろうかと思います。それらについて、誰がいつ幾ら払ったか、また、お釣りをどういうふうに用意しなきゃいけないか、また、いつ徴収しなきゃいけないか、分割にするというような方法論もある。様々ある中で、これだけでも相当時間が取られているというふうにいわれておりました。
区市町村における学校徴収金の取扱状況について、まず伺いたいと思います。
○山田総務部長 まず、都教育委員会の対応でございますけれども、平成二十二年一月に、学校徴収金を学校事務職員の標準的職務の一つとして示しまして、区市町村教育委員会に対しても、具体的な学校事務職員の職務について定めるよう依頼をしてきました。
また、文部科学省は、令和二年七月に通知を発出しまして、学校徴収金の徴収管理業務は、基本的には学校以外が担うべき業務であり、本来、地方公共団体が担うことが望ましいが、学校が担わざるを得ない場合には、各区市町村の学校事務職員の標準的職務に位置づけることといたしました。都教育委員会は、この通知を区市町村に周知をいたしております。
なお、都内では、令和五年度現在、各区市町村における学校徴収金の主たる担い手は、学校事務職員が七割、教員が約二割、残りは教育委員会等となっております。
○伊藤委員 ありがとうございます。今回、質問に当たって、恐らく、令和五年度現在で、学校徴収金の主たる担い手が、学校事務職員が七割、教員が二割、残りは教育委員会だということを調べていただいたんだと思います。それ自体が仕事を増やしていたら申し訳ないのですけれども。
学校事務職員が七割で、教員が約二割。ただ、これ、多分、東京都教育委員会から区教育委員会に確認していただいたんだと思うので、私の何か実感としては、都から聞かれたので二割--二割でも多いですよね、まだね。だけれども、多分、実態としてはもっとあるんじゃないかと、正直いって思いますので、既に通知をされているということですが、やっぱりこれは、もう一〇〇%、学校事務職員などにお願いをするということが重要ではないかと思います。
一層、この問題について、教員が担わないように、都教委として区市町村教育委員会に働きかけていくべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○山田総務部長 都教育委員会及び国の通知のとおり、学校徴収金の徴収管理業務は、基本的に教員以外が担うべき業務でございます。
このことから、都教育委員会といたしましては、都や国の通知等を踏まえまして、区市町村教育委員会に対し、学校徴収金の徴収管理は教員以外が担うべき業務であることを改めて周知することにより、適切に対応するよう促し、教員の働き方改革を推進してまいります。
○伊藤委員 ちなみに、都立学校では、この学校徴収金の事務は主に誰が担っているのか、確認させてください。
○村西都立学校教育部長 都立学校における学校徴収金で取り扱う会計には、修学旅行費や教材費などを支出する積立金会計のほか、生徒会費の会計、給食費の会計などがございます。
都立学校では、東京都立学校の管理運営に関する規則等に基づき、これらの学校徴収金に関する収納や出納などの業務につきましては、主に経営企画室が担っております。
都教育委員会では、学校徴収金に関する事務手引や共通の管理様式の作成、周知に加えまして、毎年度、事務担当者を対象とした研修を実施するなど、各学校に対する支援を行っております。
○伊藤委員 つまり、都立学校では、学校の先生は、ほぼ一〇〇%、この徴収金業務は行っていないと、こういう理解でよろしいですよね。
もちろん、都立学校の場合、区立の小中学校よりも規模が大きかったりするので、今お話しの、いわゆる経営企画室ですか、のようなものを設けて、そこにお願いするということは、区市町村ではなかなか難しいんだろうと思いますが、やっぱり東京都でやっていることというのは、一つのモデルケースとして横引きしやすいんじゃなかろうかと思います。そういう意味でいうと、区市町村が学校徴収金を円滑に処理できるように、都教委が支援をしていくべきではないかというふうに思います。
というのも、実際問題、これ、区にこの話をしますと、大概、新しいシステムをつくると、またそこで仕事を増やすとか、教員がやっているとはいえ、これをまたいじることの方が、かえって迷惑がられるなどというような意見が聞こえてきますので、むしろ--やっぱり、大体、どこの区でも市でも同じ悩みを抱えていると思います。
図らずも、行政部局ですけれども、東京都は、GovTechをつくって各区市町村を応援していくんだということで、オープンデータにして、それで、例えばこういうこともですけれども、会計システムなんかもつくってあげて、使いたい区はそれを使っていただく、使いたくない区は独自で使う、それで結構だと思いますが、東京都がやっぱりそれは支援をし、一つのフォーマットをつくってあげたら--もともとは名簿が、学生なので、生徒なので、一年間で入ったり出たり、そんなに変わるもんじゃありませんので、どの子が何を払った、払っていない、まだ未納が幾らあるとかというのが、ぱっと見て分かるようなものって、そんなに難しい仕組みじゃないと思うので、そういうのも都教委として支援すべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○山田総務部長 学校徴収金は、学校の教育活動等に使用する教材や修学旅行等の経費として保護者から徴収し、公費とは区別して学校長の責任の下で管理されており、その性質上、公費に準じた取扱いが必要でございます。
また、学校徴収金の徴収管理に関する考え方は、区市町村により異なっております。
都教委としましては、学校徴収金事務の円滑化等を検討する区市町村に対しまして、都立学校で使用している仕組み等を提供するなどして、小中学校における学校徴収金の適切な徴収管理に向けた取組を支援してまいります。
○伊藤委員 ぜひ使いやすいものをつくってください。新しいものが来て、また仕事が増えたという話になると本末転倒になるので、ぜひ現場の皆さんにも意見を聞きながら使いやすいものにしていただきたいと思います。
大きく、あと二つです。
もう一つは、教員の処遇改善の中でも、給与にちょっと焦点を当てて伺いたいと思います。
これ、どれぐらい世の中の一般の方々がご承知か分かりませんが、教員の給与体系は極めて特殊だということは明らかだと思います。
何が特殊かといえば、どんなに残業を行ったとしても、超過勤務をしても、その長短を問わず、給料の四%が上乗せして支払われる。ここにとどまると。どんなに働いても、四%しか、逆にいったら支払われないということでございます。
正直いって、これ--まずちょっと確認したいのですけれども、この四%という数字は一体どこから出てきたのか。答弁できますか。お願いします。
○矢野人事企画担当部長 教職調整額の四%の支給割合でございますけれども、昭和四十一年に当時の文部省が実施いたしました調査におきまして、教員の時間外勤務が月八時間程度であったことを踏まえて設定されたものでございます。
○伊藤委員 これ、皆さん、ご承知だったんですかね。この文教委員会の皆さんも。私は、今回、勉強不足で初めて知りましたよ。驚きました。
昭和四十一年、教員の時間外勤務が月八時間程度であった。ちょっとこれ、参考までに分かれば教えていただきたいんですが、現代--ちなみにいうと、私は昭和五十一年生まれですから、私より十年前ということなので、これは今年で五十八年前ということになるんだと思います、昭和四十一年というと。
昭和四十一年から五十八年たった現代において、今、教員の時間外勤務の平均というのは大体どれぐらいなんですか。分かれば教えてください。
○矢野人事企画担当部長 平均で、およそ月四十時間でございます。
○伊藤委員 月八時間だったものが、今は平均で大体四十時間ということですから、五倍です。
じゃ、この四%という支給割合が、この五十八年間の中で変わったのかというと、変わっていません。昭和四十一年から五十八年、亀でも死にますよ。ミドリガメだったら。それが今に至っていることが、そもそもの根本にあるんじゃないかと。
もちろん、様々、さっき申し上げたようなことで働き方改革の話はあったと思いますけれども、ここを変えない限り、そもそも、いってみれば定額働かせ放題の状態に今なっているわけですよね。ですから、私は、まず、この点については、都教委からも強く国に対して申し入れてもらいたいと思います。
現在、国の中央教育審議会に特別部会が設置され、教員の処遇について検討が進められていると聞いていますが、その検討状況を伺いたいと思います。
○矢野人事企画担当部長 国では、昨年六月、学校における働き方改革や教師の処遇改善等について検討するため、中央教育審議会に質の高い教師の確保特別部会が設置され、これまで計十回にわたって議論が行われております。
昨年八月には、緊急的に取り組むべき施策について提言が行われました。その後、教員の健康の確保や学校の指導体制の充実に関する議論を経まして、直近の二回においては、教職調整額を含む教員の処遇改善の在り方として、教員の職務の重要性を踏まえた処遇改善の必要性や、管理職手当等の職責に応じた処遇等について協議が行われております。
本年の春頃に方向性をまとめる予定と聞いております。
○伊藤委員 今年の春頃に、もう春なんですけれども、もうすぐ決まるというふうに聞いているということですよね。
これは、主体が、もちろん国であることは間違いありません。国一律の仕組みなので、都としては、半ば、これまで受け身の状態であって、四十七都道府県も受け身だったのかもしれません。
しかし、どこの自治体が、あるいはどこの政府が受け身であろうが主体であろうが、一番、これ、割を食うのは、間違いなく国全体で、国力の低下です。先生たちが、もう成り手、もうなりたくないといって、一番やっぱり最初に影響を受けるのは子供たちで、子供たちの将来が暗くなれば国の将来は暗くなります。
これはもう、どこが主体にかかわらず、ぜひ積極的に見直しをするということを、都からも国に申し入れていただきたいと思いますが、私が聞いている範囲では、現在のいわゆる四%から、教職調整額の支給割合を一〇%に見直す方向で議論が進んでいるというふうに聞いています。
伴って、当然のことながら、いわゆる県費職員ですから、国の負担もありますけれども、東京都及び四十七都道府県の自治体負担も当然生じるところであります。もちろん、だからといってひるまずに、これはぜひ、国全体あるいは東京都全体のために上げていくべきだというふうに、都には口火を改めて切っていただきたいというふうに思っています。
その昭和、最終的にこの制度設計がされたのは、いわゆる給特法が施行されたのは昭和四十七年ということでございますので、四十一年の調査をベースに、四十七年から今まで一度も変更されていないものが、ようやく国としても、重い腰を上げて、検討の俎上に上げたということであります。遅過ぎて評価の対象にもなりません。
しかし、いずれにせよ、この教職調整額の支給割合の見直しは、教員の処遇改善策の大きな要素であることはいうまでもありません。
先生方の働きに見合った処遇を保障するとともに、教員の安定的な確保につなげるためにも、教職調整額に限らず、これもイの一番ですけれども、教職調整額に限らず、教員の処遇の在り方を、都としても改めて積極的に検討していく必要があると考えますが、見解を伺いたいと思います。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、教員が教員の職務にやりがいを感じ、安心して働き続けられるよう、処遇を含めた勤務の在り方について調査研究してまいります。
あわせて、このたび策定いたしました学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムに基づきまして、学校、教員が担うべき業務を精査した上で、業務の負担軽減や効率化等を図りますとともに、働く環境の改善などに取り組んでまいります。
○伊藤委員 一九七六年は、もう一度申し上げます、私が生まれた年です。昭和五十一年。昭和五十一年は、少なくても、どういう時代だったかと呼ばれているかといえば、私、生まれたばっかりですから覚えておりませんけれども、高度成長期であることは間違いありません。
その当時の日経平均株価が、調べてみましたら四千四百九十六円。最近、四万円になるとかならないとかで大騒ぎになっていますけれども、僅か十三年後に、一九八九年、いわゆるバブル期に、バブル期としての最高値を三万八千円以上ということでつけるわけです。つまり、十三年間で九倍に、この国は、その当時、少なくても日経平均株価上、成長をしたと。バブルがよかったかどうかは別にしても、少なくても数字としてそうです。
ただ、そのときに四%だったものが、九倍にも経済が膨らんでいるにもかかわらず、そして高度成長期といわれているにもかかわらず、教員のお給料だけは置いてきぼりにされたといっても過言ではないと思います。
そして、その当時は、少なくても、高度成長期という名の下に、学校の中でも、家庭の中でも、明日が今日よりもよくなるという希望を多くの方々が持っていたと思います。今は、家庭の中でも、まして学校の先生が給与の面で置いてきぼりにされて、どんなに働いても、どんなに働いても給料が上がらない状況では、子供たちに対して、今日よりあしたがよくなるといえないんじゃないでしょうか。親の背中を見て育つといいますけれども、親の背中だけじゃなくて、学校の先生の背中を見て、日本の将来に、私、期待が持てるというふうに子供たちは思えないんじゃないかと思います。
ぜひこれは、受け身じゃなくて、国に対して、ずけずけと物をいう。常に国を牽引するという政策を、たくさん東京都はこれまでも行ってきています。この問題は、特に東京都が主体的に、四十七都道府県の先頭に立って、国に対して物を申していくということを要望いたします。
最後に、スタディーアシストプラスについて伺いたいと思います。
これまでも私は、親の経済格差が子供の教育格差にならない社会をつくりたいということを申し上げてきました。ゆえに、私自身は、大分、塾にお世話になったからこそかもしれませんけれども、塾に行けない子供の悲哀や、それから、未来に対するある種の失望感みたいなものをずっと体感してきました。
そういう意味で、そういうことがないように、学校の中に、いわゆる塾の機能というのか、学校の中にいながらにして、塾の機能を取り込んで、子供たちが希望の進学を努力すれば遂げられる社会をつくっていきたいということで、かねて五年だったか六年、もうちょっと前ですかね、七年ぐらい前にスタディーアシストというものを東京都につくっていただいて、そして、これが今、地域未来塾などとともに、いわゆる放課後教室、区市町村がやるときの財源になっているということでございます。
次年度の実施状況について、まず伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 次年度の実施予定の地区でございますが、今年度の取組地区から二地区増えまして、五地区での実施を見込んでおります。
○伊藤委員 都は、この参加を表明した区市町村が増えた要因をどのように分析しているのか、伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、今年度、区市町村に対し、スタディーアシストプラスについて、民間事業者を活用した習熟度別の指導や夏期講習、模擬試験の実施、オンライン授業等により進学支援を充実できることを説明し、事業趣旨が徐々に浸透してきていると考えております。
また、令和六年度に新たに取り組む区市町村からは、地域未来塾と一体的に運用し、進学支援を強化したいという意向や、令和五年度から開始した区市町村からは、生徒や保護者から進学支援の講座を求めている声が多かったといった意見が聞かれており、区市町村における放課後の学習支援について、認識が変化してきているものと考えております。
○伊藤委員 最後に申し上げます。
私は、スタディーアシストは、一つ、長い道のりの中でいえば通過点だと思っています。つまり、塾を学校の中に増やせ、根づかせろということを申し上げたいわけではなくて、これはいきなり塾のない社会とか、塾に行かなくてもといったって、現実問題は受験があって、そして、やっぱり難関校を目指そうと思えば、今の状況でいえば、入試制度の今の状況からすれば、どうしても塾に行かざるを得ない環境というのが社会環境としてあると思います。
この横たわっている社会環境をやっぱり改善していくということが一番大きなゴールで、究極、親は、何のためにいい学校、いい高校、いい大学に行かせたいか、そして、そのための手段として塾にあれだけのお金をつぎ込むかといえば、やっぱりかけがえのないというか、唯一無二の子供の未来を案じているからであり、未来って何のことを指すかというと、やっぱりいいところに就職させたいということに尽きるんじゃないですかね。いい仕事に出会わせたいとか。私はそう思います。
そういう意味でいうと、必ずしも--まさに高度成長期のときに、いい大学に行ければ、いい仕事にありつけるんだというような、あるいは、いい塾に行けば、いい学校、いい大学、いい就職にありつけるんだ、そして、一生、食わせてもらえるんだ、その企業にという時代は、もう大分終わって、過ぎてしまっているというふうに思っています。
そういう中にあって、都教委として目指すべきものは何か。やっぱり社会で活用されて、社会で活躍できる、そういう人材をつくっていくことが、私、教育の根幹だというふうに思っています。
そういう意味でいうと、スタディーアシストプラスあるいは地域未来塾は一つの通過点だと思いますが、最終ゴールを、ぜひ社会で活躍できる子供たちを一人でも多く、そしてまた、一人も取り残さずにつくっていける、そういう教育を都教委の皆様には進めていただきたいということを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○たかく委員 それでは、私の方から質問させていただきます。
初めに、不登校対策について質問します。
全国で不登校の児童生徒が急増しております。昨年十月、小中学校における不登校児童生徒数が二十九万九千四十八人となり、前年度比で二二・一%増加し約三十万人になったと、文科省より発表がありました。
東京都内の公立小中学校の不登校の子供は、二〇二二年度調査によると、過去最高の二万六千九百十二人となっており、前年度に比べて二七%増加、二〇一四年に統計を取って以来、最多を更新しており、不登校対策は喫緊の課題となっております。
小中学校での不登校の理由としては、文科省のデータによりますと、無気力、不安がおよそ六割を占めており、ほかには親子の関わり方、遊び、非行、友人関係となっております。
様々な理由があるとしても、未来を担う子供たちが学校に行けない状況が続くことは、社会にとっても大きな損失であり、不登校の状態をいち早く克服できるようにしていかなければならないと考えます。
不登校状態にあることは、児童生徒本人が一番苦しんでおりますが、子供を支える家族も同様に苦しんでおります。私のところにも、不登校で学校の先生に相談したり、また、いろいろな専門機関に相談しているものの、不登校状態が続き、大変苦しんでいるなどの切実な相談もたくさんいただいております。
現在、不登校児童生徒が急増する中で、不登校の児童生徒へのさらなる支援が求められております。
都教育委員会の不登校支援の認識について、まず伺います。
○小寺指導部長 不登校の子供一人一人の状況に応じまして、学力の定着や社会的自立に向け、多様な学びの場を確保することができますよう、学校での別室、学校外の教育機関等において、きめ細かな支援を実現することが重要であると捉えております。
○たかく委員 今回、東京都では、新たに不登校施策として、一つ、未然防止、全ての児童生徒への支援、そして二つ目に、早期支援、休み始めた児童生徒への支援、そして三つ目に、長期化対応、休みが長期化した児童生徒への支援の三つの区分について、特化した対応や横断的な対応をまとめているとのことであります。
そこで、最初に、東京型不登校特例校、いろいろ各委員からもお話が出ましたチャレンジクラスについて伺います。
国の学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校は、不登校状態にある児童生徒を対象とした学習指導要領にとらわれない教育を行える学校として、子供の学びの機会を提供する重要な役割を担うとして、現在、全国で二十四校が開設されております。
この二十四校のうち、東京都内では八校。その八校のうち、公立が五校で私立が三校、現在オープンしております。私の地元世田谷区でも、学びの多様化学校、不登校特例校分教室ねいろが令和四年四月に開設されました。
世田谷区の小学校、中学校における不登校児童生徒数は、平成三十年度には八百二十五人でしたが、令和四年度には一千五百四十人と一・九倍に増加しており、さらに令和五年度も増加が続いております。
この学びの多様化学校が開設した当時は、中学校一年生から三年生までの二十名の定員でスタートしましたが、その後、入室を希望する生徒が増加し、今年度から定員六十名に拡充し、現在、四十四名が在籍しているとのことであります。
また、そこに相談に来られているのは百名以上いるとも聞いております。
今後、多様な学びの場の必要性が一層増加していくことが予想されております。
まず、都内公立学校における国制度における学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 文部科学省から学びの多様化学校として指定されている都内公立学校五校では、年間授業時数の削減や授業開始時刻の弾力化など、特別の教育課程を編成しておりまして、子供たち一人一人の学力の定着に応じたコース別学習や、演劇、農作物の生産体験といった友人と関わる活動を設定するなど、様々な工夫により、学習意欲やコミュニケーション力等を高めているところでございます。
○たかく委員 学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校において、現在、文科省では、将来、全国で三百校の設置を目指す方針とのことでありますけれども、経費のことや、土地、施設の確保が非常に難しいということで、なかなか設置は進んでおりません。
そこで、東京都は、学校外のみならず、校内の空き教室にも特例校を設置することにより、大きな経費負担を伴わずに、不登校の子供にとって通いやすい学びの場の確保ができるよう、制度の改正を国に要望しており、東京都として、都型の不登校特例校、チャレンジクラスを来年度新たに設置をするということで聞いております。
そこで、東京都型のいわゆる不登校特例校、チャレンジクラスの具体的な取組についてお聞きいたします。
○小寺指導部長 不登校の子供にとって通いやすい環境を大きな経費負担を伴わずに整備することができますよう、都教育委員会は、来年度から、中学校十校に空き教室を利用したチャレンジクラスを設置し、教科を指導する複数の教員を配置いたします。
チャレンジクラスでは、従来の特例校同様、ゆとりある時間割の中で体験的な学習を多く設定するなど、柔軟な教育活動を行うことに加えまして、校内の様々な施設を活用したり、通常の学級の生徒たちと交流したりすることにより、一人一人の子供に合った学びを実現してまいります。
○たかく委員 今、答弁がありましたように、新たな角度で、この不登校特例校を東京都でつくっていくことについては期待もしますし、評価もいたしますが、令和六年度では中学校十校に設置予定とのことですが、不登校児童生徒が今増え続けている状況であり、今後、この東京都型不登校特例校のさらなる拡充も必要かと考えます。
次に、不登校対応巡回教員の配置について伺います。
都教育委員会では、不登校の未然防止や早期支援のため、平成五年度から、不登校生徒の多い中学校に不登校対応加配教員を配置してきたと聞いております。
これまでの成果について伺います。
○小寺指導部長 加配教員を配置している中学校からは、加配教員が校内の別室で個別に学習指導や相談対応を行ったり、様々な教員が分担して指導を行う体制をコーディネートしたりすることで、生徒が学校に通うことができるようになり、不登校者数が減少したなどの報告を受けております。
○たかく委員 今回、都は、新たに不登校対応巡回教員の配置をスタートすることになるとのことでありますが、この不登校対応巡回教員の配置について、具体的な取組について伺います。
○小寺指導部長 不登校巡回教員は、各学校における不登校の子供へのきめ細かい支援を実現するため、不登校対応を専門に担い、授業や担任を持たずに複数の中学校を巡回する教員でございまして、来年度、三十三人配置いたします。
巡回教員は、学級担任やスクールカウンセラー等と連携して、生徒一人一人の支援計画を立案し、校内別室指導支援員に助言を行うとともに、様々な効果的な取組の共有を学校間で進めるなどしてまいります。
○たかく委員 今の答弁ですと、当初、三十三名体制で行うとのことでありますけれども、この巡回教員は、原則五校を一グループとして、週一回ずつ訪問する計画とのことであります。三十三人で五校ということですので、百六十五校が初年度対象となる計算でもあります。
都内には、中学校でも六百二十五校の中学校があります。この巡回教員の人数も今後さらに拡充して、全ての中学校で対応できるように求めるところでございます。
次に、校内別室指導支援員の配置について伺います。
世田谷区で発表された不登校児童生徒事例報告書によりますと、校内別室指導が不登校児童生徒に効果的であるとの評価が出ておりました。
そこで、令和六年度の校内別室指導支援員の取組について伺います。
○小寺指導部長 学校内の別室であれば登校できる子供一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を実現するため、来年度、都教育委員会は、不登校の子供が多い小中学校三百八十八校に、校内別室指導支援員を配置いたします。
支援員は、別室において、学習進度に合わせたドリルの指導を行ったり、友人関係、進路等についての相談対応を行うなど、子供に自信を持たせ、登校への意欲を高めていけるような助言を行ってまいります。
○たかく委員 私も、地元でも、この校内別室に通っているお子様の方から、別室指導支援員と今コミュニケーションが取れるようになって、ようやく学校に戻れるようになってきているとの報告もいただいてもおります。別室指導支援員等のこういった人材を活用して、登校への意欲がさらに高められるように取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。
それでは、次の質問に移ります。
次は、都立通信制高校について質問させていただきます。
都立の通信制高校は、都内では一橋高校、新宿山吹高校、砂川高校の三校があります。
通信制高校の生徒数は年々増え続けて、今や全国では二十万人を超えております。高校生の十六人に一人が通信制を選んでおり、定時制高校よりも生徒数が多くなっている状況でございます。
通信制高校では、仕事をしながら、目標を持って通信制に通学される人もいれば、中学校時代に不登校状態にあり、通信制を選んだ生徒もいらっしゃると思います。また、人間関係や成績、体調不良、家庭の事情等で全日制高校をやめざるを得なくなって通信制に入学するケースもあるなど、様々な理由があるかと思います。
そこで、最初に、都立通信制高校での、いわゆる退学率はどのくらいあるのか、お聞きいたします。
○小寺指導部長 通信制課程における昨年度の退学率でございます。
退学率の算出の仕方でございますが、令和四年四月一日に都立高校の通信制課程に在籍していた三校の全生徒数に対しまして、令和四年度中の一年間に退学した生徒数の割合を退学率といたしておりまして、その数値は一五・三%でございます。
○たかく委員 今のお話ですと、一五・三%の退学率とのことでした。令和四年度の都内の全日制高校の退学率を調べたところ、約〇・九%であるのに対して、非常に高い数値であることが分かりました。
小学校、中学校は義務教育でありますので、不登校のお子さんや様々な困難を抱えた児童生徒の卒業に向けて、とにかく、家庭だけではなく、学校も行政も、そして地域も、全力で卒業に向けて取り組んでいくことと思われますが、しかし、一旦、義務教育を卒業した途端、行政からの支援も少なくなり、いろいろな困難を抱えた若者への伴走型支援の仕組みも少なくなってしまい、親だけが頼りになっている。
そういった意味からも、学校だけではなく、行政はもとより、福祉や医療や、あらゆる分野と連携して、通信制の高校生への支援を進めていく必要があると考えます。
まずは、通信制高校でも、生徒が充実して学業に励み、退学しないよう、学習面、また生活面において、しっかりとサポートをすべきと考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 各都立高校通信課程では、生徒一人一人が自宅で課題に取り組むことができますよう、一人一台端末を活用し、担任や各教科の教員が統合型学習支援サービスのチャット等を活用いたしまして、丁寧な学習指導を行っております。
また、年間二十四回登校して学ぶ規定となっておりますスクーリングに加えまして、生徒が主体的に登校する機会に、教員が対面での指導や面談等を行うとともに、スクールカウンセラーやユースソーシャルワーカーが心理面や福祉面からの相談に応じております。
さらに、希望する生徒が、スポーツ大会や文化祭、生徒会、部活動などにも参加いたしているところでございます。
こうした様々な取組を通して、生徒の学力の定着や社会的自立に向けたきめ細かな支援の充実を図っているところでございます。
○たかく委員 この通信制高校というのは、そもそも、スクーリングといっても、今のお話ですと年二十四回程度ということで、なかなか生徒と先生が面談する機会も少ないのは事実でありますけれども、こういった中でもしっかりと、教職員をはじめ、あらゆる人材を投入して未然退学防止に取り組んでいただきますよう要望したいと思います。
また、通信制高校を退学してしまった場合においても、その後、フォローしていけるような仕組みづくりを、教育庁ばかりではなく、全庁的にしっかりと進めていくことを求めて、次の質問に移ります。
次は、チャレンジスクールについて質問させていただきます。
チャレンジスクールは、小中での不登校経験や高校での中途退学経験のある生徒が、自分の目標を見つけ、チャレンジをする高校であります。基礎、基本重視の学習、心のケアに配慮したきめ細やかな指導、豊かな人間性を育成する学校と聞いております。
昨年七月に、世田谷区に設置されましたチャレンジスクールである世田谷泉高校を、都議会公明党の有志で視察させていただきました。学校では、少人数での授業の様子や、すぐには教室に入れない生徒に対する別室での支援の様子を見ることもでき、生徒に寄り添った指導を行っていることが分かりました。
最初のチャレンジスクールが平成十二年四月に開校し、今年度で二十三年が経過。学校関係者によりますと、不登校児童生徒の増加に伴い、チャレンジスクールへの入学を希望する生徒が増えていると聞いております。
それで、これまでのチャレンジスクールの取組、そして、令和六年度入学者選抜の応募状況についてお伺いいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールでございますが、ただいま委員からお話もありましたとおり、不登校経験を持つ生徒や高校を中途退学した方を主に受入れ対象といたしまして、目的に設置をしております。
平成十二年に、最初のチャレンジスクールである桐ヶ丘高校を開設以降、これまで六校設置してまいりました。
不登校を経験した中学生の増加等を背景に、設置後も受入れ規模を拡大しておりまして、今年度は、六校全体で約千百名の生徒が入学しておりまして、基礎、基本を重視した学習や教育相談の充実等、心のケアに配慮した取組を行っております。
チャレンジスクール等、全体の入学者選抜の応募倍率は、開設以来、常に一倍を超えておりまして、令和六年度の応募倍率も一・三倍となってございます。
○たかく委員 令和六年度のチャレンジスクール全体の応募倍率は一・三倍とのことであります。これは今年だけではなく、開設以来、一倍を超えているということで、今までいろんな理由で不登校状態になっている生徒さんが、再チャレンジをするために希望を持って受検をされているのに、やはり全員が入れず、一・三倍になって入れない人がいるということで、私の方からすれば、再チャレンジで来ている受検生をしっかりとフォローアップしていくためにも、全員がそこで学べるように、チャレンジスクールの整備をしてほしいというふうに思っております。
昨年の本会議で、都議会公明党のかまた委員の方から、新たなチャレンジスクールを拡充すべきだとの質問に対して、教育長からは、令和七年度から立川市にチャレンジスクールを開設するとの表明がありました。
この立川チャレンジスクールの開設準備状況についてお伺いいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 立川地区チャレンジスクールの令和七年四月開校に向けまして、校舎等の建設を進めるとともに、今年度から開設準備室を設置し、教育内容の検討や関係者との調整等を行っております。
本年一月には、来年度の入学者選抜に対応するため、中学生や進路指導を担う中学校教員等向けに、学校の特色や学校生活がイメージできるリーフレットを作成し、立川市のほか、近隣の市教育委員会や中学校等への説明を行っております。
来年度は、教育課程の編成や校名の検討、必要となる備品等の準備を進めますとともに、中学生やその保護者向けに学校説明会を開催するなど、開校に向けた準備を着実に実施してまいります。
○たかく委員 現在の不登校児童生徒の増加などから、新たなチャレンジスクールへの生徒や保護者、関係者の期待は高まっております。今後とも、チャレンジスクールを拡充し、チャレンジスクールを希望する不登校生徒が希望どおり入学できるよう取り組んでいただくことを要望させていただき、次の質問に移ります。
次は、他会派からも今日質問がありましたが、私からも強度行動障害のある児童生徒への支援について、一点だけ質問させていただきます。
強度行動障害は、自分自身や周りの人を傷つけたり、物を壊したりといった行動が頻繁に見られる状態で、重度の知的障害を伴う自閉症の人に多く、生まれ持った障害とは異なり、学齢期から発生する傾向が強いとされております。
私は、強度行動障害のあるお子さんの保護者からいろんな相談をお受けし、強度行動障害のあるお子さんを受け入れている入所施設を視察したり、特別支援学校やドクターからのアドバイスもいただきながら対応してまいりました。
そうしたお子さんの保護者や、お子さんが通っている特別支援学校の教員や入所施設の職員のご苦労は大変なものがあり、強度行動障害のあるお子さんが安定した日常生活を送るためには、障害特性を踏まえた適切な支援が必要であることを認識しました。
強度行動障害のあるお子さんへの指導については、今まで強度行動障害のあるお子さんに専門的に対応してきた、しいの木特別支援学校であるとか、また清瀬特別支援学校などの先生方や専門家が中心となって、試行錯誤をしながら現場で取り組んできているとのことを聞いております。
現場の教員の悩みに応えるためにも、これまで特別支援学校において培ってきた強度行動障害に関する適切な理解を踏まえた効果的な指導のノウハウを、全ての都立特別支援学校をはじめ、小中学校に広げ、充実させていけるようにすべきと考えます。見解を求めます。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、学識経験者や特別支援学校の関係者などにより構成した検討委員会を設置し、強度行動障害の特性に着目した適切かつ効果的な指導の在り方について検討し、その結果を先月公表したところでございます。
報告書では、現場の教員が活用しやすいよう、学校教育の場面に合わせた具体的な指導方法や学校での取組事例等について取りまとめてございます。
今後、強度行動障害に関して、都立学校の初任者向け研修の内容として取り上げるとともに、全ての公立学校の教員を対象とした研修で使用するテキストに掲載するなどして、理解と啓発を図ってまいります。
○たかく委員 新たなこのテキストができたということでありますけれども、こういった強度行動障害に関する研修などを通して、全ての公立学校の教員の理解と啓発が図れるようになることを期待して、次の質問に移ります。
次に、医療的ケア児への支援について、初期食注入について伺います。
都立特別支援学校の医療的ケアについては、これまで都議会公明党の要望を踏まえて、人工呼吸器の管理や胃瘻からの初期食注入など、着実に取組が進められてきました。
令和五年第四回定例会において、初期食を一品ずつ注入することや、初期食の経口摂取と胃瘻からの注入の併用等、新たな取組を検討するという考え方が、その定例会で明らかとなりました。
それで、今後の取組について都教育委員会の見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 今年度、初期食を一品ずつ注入することや、初期食の経口摂取と胃瘻からの注入の併用等について、肢体不自由特別支援学校十校で検証いたしました。
初期食の注入を安全に実施するため、都教育委員会が作成した胃ろうからの初期食シリンジ注入に関するガイドラインに、栄養バランスや実施時間等の留意事項を追記し、令和六年度から肢体不自由特別支援学校全校の対象者に対して本格実施してまいります。
○たかく委員 本件については、都議会公明党でも代表質問等で何度も触れさせていただいて、令和六年度から肢体不自由特別支援学校の対象者に対して本格実施するということになり、この初期食一品注入の取組が大きく前進することについては評価をさせていただきます。
次に、インクルーシブ教育支援員についてお伺いさせていただきます。
都教育委員会では、来年度、これまでの発達障害教育支援員に加え、特別支援学校への就学が適当と判定された子供たちが地域の小中学校で学ぶことを希望する場合の支援員等に合わせて、インクルーシブ教育支援員として、区市町村の配置経費を補助していくということを聞いております。
この事業の狙いと全体像についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、来年度から、公立小中学校において、多様な児童生徒や場面を通じたインクルーシブな教育の総合的な推進に取り組むため、インクルーシブ教育支援員配置補助事業に取り組むことといたしました。
本事業においては、発達障害のある児童生徒の在籍学級での学習、特別支援学級と通常の学級の交流及び共同学習、特別支援学校への就学が適当と判定された児童生徒の小中学校での学習への支援に加え、区市町村教育委員会における配置業務の事務補助員等についても横断的に補助対象とし、小中学校におけるインクルーシブな教育の推進を図ってまいります。
○たかく委員 ありがとうございます。新たに、このインクルーシブ教育支援員の配置によって、多様な学びの場における児童生徒への障害の状況に応じた支援体制の充実が図られることを期待いたします。
次に、学校教育の現場における、東京都でのデフリンピックの開催の機会を捉えた教育の進展について質問させていただきます。
まずは、改めて、教職員自らが、デフリンピックの関係者などを招いて、これまでの苦労や大会に係る心情などに触れ、理解の促進に努めることから始めるべきではないかと考えます。
また、あわせて、それとともに、児童生徒に向けても、デフリンピックを東京で開催する機会を適切に捉え、生かした聴覚障害への理解促進に通じる取組を具体的に進めていくべきと考えております。併せて見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、デフリンピックの東京開催を契機に、教員が聴覚障害者への配慮や共生社会に向けた教育等について学ぶことができますよう、来年度、デフリンピック関係者を招いた研修を実施いたします。
また、子供たちが聴覚障害への理解を深められるよう、全日本ろうあ連盟と連携いたしまして、都立ろう学校の生徒が都立高校生と共に、ろう学校での生活等を紹介する映像教材を作成いたしまして、都教育委員会のホームページにおきまして昨日から配信しているところでございます。
今後、ろう学校の子供たちが先生役として登場する手話入門講座の動画を作成し、全ての公立学校での活用を促してまいります。
これらにより、子供たちが多様性を尊重し、共生社会の実現に寄与できますよう、学校の取組を後押ししてまいります。
○たかく委員 子供たちが聴覚障害への理解が深められるよう、効果的な取組の推進を求めて、最後の質問に移ります。
最後に、都立高校等における出張販売等の導入の促進について、一点質問させていただきます。
私の地元の世田谷区では、区内の障害者施設でつくったパンやクッキーなどを、区が主催するイベントや区立施設等で販売しております。都立施設においても、現在、都営交通の駅構内五か所で、障害者施設の物品の販売を実施していると聞いております。
昨年の予算特別委員会で、私は、都立高校においても福祉事業者への販売場所の提供が進むように取り組むべきと、都教育委員会に要望いたしました。
そのとき、教育長の答弁では、都立学校では、現在、二十三校において障害者施設で製造したパンなどの食品の出張販売等が行われている、今後、都教育委員会は、こうした学校の事例について、多くの都立学校に紹介するなど、各学校の実態に応じた取組が促進されるよう、情報提供を行っていくとのことでありました。
令和六年度、都立高校等における出張販売等の導入の促進事業が始まるに当たって、障害者施設で製造したパン等の出張販売もさらに拡大できるように取り組むべきと考えますが、事業の概要も含めて見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 現在、都立高校等では、二十四校において障害者施設で製造したパン等の食品の出張販売が行われておりまして、委員の質疑とはちょっと時期が異なりますが、令和四年度の二十校から四校増加しております。
来年度は、都立高校等の施設の利便性向上や障害者施設における事業の販路拡大のため、障害者施設を含む民間事業者等による飲食物の出張販売や自動販売機の導入を一層促進する事業を新たに実施いたします。
具体的には、各都立高校等におきまして販売スペースを確保するための物品購入に係る支援や、既に出張販売等を実施している学校の事例を参考にした導入マニュアルを作成するなど、出張販売等のさらなる拡大を図ってまいります。
○たかく委員 昨年からコロナも五類に移行し、コロナ感染症も収まってきました。都内でのイベントも増えてまいりました。
都として、福祉事業者がイベント等に出店できるように、また、都立高校において、出張販売等の事業にこういった福祉施設が参加できるように積極的に取り組んでいただきたいことを求めて、私からの質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後七時三分休憩
午後七時三十五分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 共産党の斉藤まりこです。
資料のご提出、ありがとうございました。
私からは、都立学校の給食費無償化と授業料無償化について、そして、不登校と教員不足、教員の多忙化について伺います。
まず初めに、都立学校の給食費無償化について伺います。
都は、新年度から、都立学校の給食費については全額補助を行うことを決めました。多くの都民の皆さんの声とともに、我が党が繰り返し求め、十二月の第四回定例議会では、野党の超党派で一致して求めてきた中、都は決断をしました。貴重な前進だというふうに思います。その内容について確認をいたします。
都立学校の給食費無償化について、来年度予算案では二十億円の予算になっていますが、これは物価高騰分も見込んだ予算額だということでいいでしょうか。
○村西都立学校教育部長 都立学校給食費負担軽減事業の予算額は、消費者物価指数の上昇を踏まえたものとしてございます。
○斉藤委員 消費者物価指数の上昇を踏まえたものだということです。
現在は、特に生鮮食品の物価上昇率が大きい状況ですが、もともと肉や魚の量を抑えざるを得ないという実態があることを栄養士さんたちから伺ってきたので、無償化になっても質が保てないということがないように予算の確保をしていただきたいと思います。
給食費の支払いについてですけれども、都立学校の場合は、保護者に先に給食費を負担させるようなことはないと思いますけれども、学校への予算の交付はどのようになるのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立学校給食費負担軽減事業の詳細につきましては、本予算の議決後、要綱等で定めることとなりますが、保護者等から給食費の徴収は行わず、保護者等が負担する食材費等の給食費支援金を各学校に交付する予定でございます。
○斉藤委員 各学校に給食費支援金を交付するとのことですが、保護者からは徴収しないということはもちろんですけれども、各学校が経費の支払いに困らないようなタイミングで迅速に交付することを求めます。
昨年は、一食当たり三十円の補助の各学校への交付が遅れ、本当に補助がもらえるのか、現場では、不確定な状況の中、補助を見込んで経費を使うことができないという声も届いていました。今回は、そのようなことがないように支援金の交付を行っていただきたいということを重ねて求めたいと思います。
公立小中学校の給食費無償化の支援については、区市町村へ二分の一の補助としている中で、多摩地域では、半数以上の自治体が無償化に踏み出せず、格差が生まれている状況です。
市長会からも、多摩二十六市の間に分断と格差を持ち込み、到底受け入れられるものではありませんと厳しい意見が出ているにもかかわらず、そうした声に寄り添う姿勢がないことを、我が党は予算特別委員会で厳しく追及しました。日本共産党都議団として、十分の十の補助を行うべきだということを改めて表明するものです。
次に、授業料無償化について伺います。
高校の授業料無償化について、我が党は、この委員会の場でも、無償化の拡充を求める都民からの陳情に賛成の立場で求めてきましたが、新年度から、都立、私立ともに授業料が実質無償化になることは大きな変化です。
我が党は、授業料の無償化へと踏み出すことを歓迎するものですけれども、しかし、都立高校の中でも、この無償化の対象から外されてしまうケースがあることは問題だと思います。都立学校で進級できずに留年してしまう場合です。
まず伺いますが、都立高校における留年生の数は、現在、どのようになっているでしょうか。
○村西都立学校教育部長 都立高校における令和四年度の原級留置者、いわゆる留年者の数は、全日制課程については二百五十四人、定時制課程については五十六人となっております。
○斉藤委員 全日制と定時制を合わせて三百十人ということです。留年してしまうケースについては様々な理由があると思いますが、どんな場合でも支援から取り残される生徒を生み出してはならないというふうに思います。
授業料の無償化の対象に留年している生徒も含めるべきですが、いかがですか。
○村西都立学校教育部長 国の就学支援金の支給期間は、国制度により標準修業年限までとなっており、具体的には、全日制課程にあっては最大三十六月、定時制課程にあっては最大で四十八月まででございます。
このため、原級留置者、いわゆる留年者であっても、標準修業年限までは授業料実質無償化の対象となります。
なお、標準修業年限を超えて在学する生徒については、休学、留学、傷病の療養などのやむを得ない理由により原級留置した者や、生活保護受給世帯や同程度の世帯は、引き続き実質無償化の対象となります。
○斉藤委員 国の制度の説明がありましたけれども、つまり、東京都の授業料無償化も、留年になった後は支援がないということですね。休学や留学、傷病の療養などの理由で留年になった場合は対象になるというのは当然だというふうに思いますが、学業不振などで単位が取れなくて留年になった場合でも支援から外すようなことではなく、誰も取り残さない支援をしていただきたいというふうに思います。
もう一つ伺います。
都は、就学支援金のない世帯収入九百十万円以上の世帯に対して、第三子の授業料の半額を支援する都独自の補助を行い、国立の高校に通う生徒も対象にしてきましたけれども、今回の無償化については、国立高校の生徒についてはどう対応するのでしょうか。
国立の高校に通っている生徒も無償化の対象にするべきですが、いかがですか。
○秋田教育政策担当部長 国立の高等学校の授業料の無償化につきましては、学校設置者である国の責任において、国が判断すべきものであると考えております。
○斉藤委員 国立の高校については国の判断ということですけれども、しかし、先ほど申し上げたように、世帯収入九百十万円以上の多子世帯への都の独自の支援については、都は、国立高校を支援の対象としてきたわけです。親の所得にかかわらず、子供たちが安心して学べる環境を実現するというのなら、これまでの施策と同様に、都として、国立高校の生徒も授業料の無償化の対象としていくことを求めます。
また、あわせて、都内には区立高校が一校ありますけれども、ここも授業料の無償化の対象にしていくということを併せて求めておきます。
次に、不登校について伺います。
東京都の不登校児童生徒数は、今日の資料にも九ページに示されておりますけれども、この十年間で連続増加となり、令和四年度、二〇二二年度は、小中学校を合わせて二万六千九百十二人となっています。
今では、学校以外にも多様な居場所や学びの場を確保していくことが求められているということと同時に、学校に通えなくなる児童生徒が増え続けている状況を改善していくことが、現在の教育の中心的な課題だというふうに考えますが、都教委の見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の子供一人一人の状況に応じ、多様な学びの場を確保することができますよう、学校、家庭、その他の教育機関における支援の充実を図っております。
また、子供が充実感を持って安心して学べる魅力ある学校づくりを推進することにより登校意欲を高められますよう、児童生徒を支援するためのガイドブックを作成し、その活用を促すなど、学校の取組を後押ししております。
○斉藤委員 子供一人一人の状況に応じた多様な学びの場の確保と、子供が安心して学べる魅力ある学校づくりの推進を図っているというご答弁でした。どちらも大事な視点、大事な取組だというふうに思います。この二つの側面から伺いたいと思います。
まず、多様な学び、また居場所の確保についての施策について伺っていきます。
不登校の子供への対応として、校内の別室に登校する児童生徒に対して指導や相談対応を行う支援員の配置に係る費用について、都は、新年度の予算を前年よりも引き上げていますけれども、昨年度の実績と来年度の見込み、また、実施校からの評価について伺います。
○小寺指導部長 今年度、都教育委員会は、不登校の子供の多い学校を対象として、小学校三十七校、中学校百七十二校に支援員を配置しておりまして、来年度は、今年度の学校に加え、新たに小学校百十九校、中学校六十校に配置いたします。
学校からは、別室の学習で自信をつけ、支援員の付添いで教室での授業に参加できるようになったなどの報告を受けております。
○斉藤委員 学校からの声として、別室の学習で自信をつけて、支援員の付添いで授業に参加できるようになったケースもあるということです。
新年度は、新たに小学校百十九校と中学校六十校に支援員をつける見込みということで、別室だったら学校に行けるという子供に少しでも支援の手が届くように取組を拡充することは重要だというふうに思います。
私は、以前に、別室登校を実施している都内の小学校を視察させていただいたことがありますが、通常の教室とは違って、ゆったりとスペースを取って、一つか二つの椅子と机のほかにソファーやマットが配置されて、何をしていてもいい、本を読んだり、寝転んだりしてもいいというスペースになっていて、子供が思いのままに過ごしている様子が印象的でした。ストレスや悩みを抱えたり、疲れてしまった子供に安心して休める場所があるということは重要だというふうに思います。
一方で、息子さんが不登校を経験したという保護者の方からは、別室登校していた息子さんのところにクラスのお友達が給食を持ってきてくれようとしたときに、その部屋には行ってはいけないというふうに先生にお友達がいわれて戻されてしまったという場面を保護者の方が見て、とても悲しい気持ちになったというお話も伺いました。
別室登校の活用が子供にとって温かいものになるように、充実に向けた取組を行っていただきたいというふうに思います。
新年度から新規で行われる、中学校への校内分教室としての東京型不登校特例校の設置について伺います。
この東京型不登校特例校に対して、都は、教員の配置への支援を行うということになっていますが、学習のカリキュラムは柔軟な対応を認めるものになっているのか、伺います。
○小寺指導部長 東京型のいわゆる不登校特例校、チャレンジクラスは、従来の特例校と同様、ゆとりある時間割の中で体験的な学習を多く設定するなど、柔軟な教育活動を行うこととしております。
○斉藤委員 ゆとりある時間の中で、柔軟な教育活動を行うということです。登下校の時間なども縛られず、従来の特例校同様ということで、クラスも十人程度のところが多いというふうに伺っています。
不登校特例校については高尾山学園を視察させていただいたことがありますが、少人数で、教員の手も行き届く環境が、子供の伸び伸びとした学びや居場所として重要なんだということを実感しました。
都として新たな取組だと思いますが、先進例や好事例について区市町村教育委員会と情報共有を行って、よい施策にしていただきたいというふうに思います。
都教委は、昨年度から、不登校等の理由により、学校や教育支援センター等につながることができない児童生徒などを対象に、バーチャルラーニングプラットフォームの導入を始めていますが、現在導入している自治体数と生徒数、また、来年度からの実施自治体の見込みについて伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和五年度は、八自治体で実施してまいりました。児童生徒等には、合計千五百八十アカウントを配布し、運用を進めてございます。
令和六年度につきましては、二十八自治体での実施を見込んでございます。
○斉藤委員 現在は、新宿区や墨田区、八王子市など八つの自治体で導入しているということがホームページ上でも紹介されていますけれども、来年度は二十八の自治体に広げていくということです。
このバーチャルラーニングプラットフォームは、仮想空間の中で、自分の分身であるアバターを使って学習などの活動に参加していくというものですが、子供たちのつながりが仮想空間の中だけでよいのかという懸念もあります。
例えば、ひきこもりで外に出ることができないお子さんが、このバーチャルラーニングプラットフォームなら参加できるという場合などは、一つの居場所やつながりをつくる場になると思いますけれども、その場合でも、仮想空間の中だけでしかつながりをつくれなくなってしまうのは、よくないのではないかと思います。
都教委は、子供たちがつながりをつくる場が仮想空間だけで完結してよいと考えているのか、また、現実でのつながりの機会を設けているのか、伺います。
○小寺指導部長 バーチャルラーニングプラットフォームに参加している子供に対しましても、一人一人の状況に応じ、教員や支援員等が学習指導や相談対応を行うとともに、体験的な活動を設定するなどいたしております。
○斉藤委員 一人一人の状況に応じてということで、無理に現実の世界に引っ張り出すということはできないというふうには思いますが、しかし、いつでもリアルにつながりを持ちたいときには、その機会を保障するということが大事だというふうに思います。ご答弁では、バーチャルラーニングプラットフォームに参加している子供に対しても体験的な活動を設定するなどしているということなので、望むときには、リアルにつながることができる機会を提供できるようにしていただきたいというふうに思います。
一方で、セキュリティの問題も、丁寧な対応や検証が必要だというふうにも思います。
バーチャルラーニングプラットフォームには、見守りの大人や異年齢の児童生徒が混在する上、児童生徒の年齢などは分からない状況だと聞いていますが、仮想空間の中で、子供に関わる大人はどんな人なのか、また、個別に約束して会うようなケースなどを防ぐようなセキュリティの確保はどのようになっているのか、伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 各自治体の教育支援センター職員等が子供たちに声かけするなど支援を行っているほか、都が配置したオンライン支援員が子供たちの見守りに努めております。
仮想空間の中では、個人を特定できる情報発信は行わないよう自治体に求めており、各自治体において利用ルールを定め、運用してございます。
○斉藤委員 オンライン支援員が仮想空間の中で見守りを実施するということですが、子供たちの安全が守られるように万全を尽くしていただきたいというふうに思います。
不登校のお子さんたちから、学校とは違う居場所や学びの場として利用されているのがフリースクールです。
都教委は、二〇二二年度から、フリースクールに通う児童生徒の保護者を対象にアンケート調査を行い、調査の途中経過としての報告が先月に発表されました。
この調査の中で、児童生徒がフリースクール等で楽しさや興味を感じる活動、これには、やりたいことを考え、計画して行う活動、これがトップになり、保護者の意見としても、得意、不得意の分野がある子供たちが興味、関心を持てるよう、柔軟なサポートを求めるという声が紹介されています。
子供の興味、関心、子供の声や意見を大切にした取組は、学校の在り方を考える上でも重要なことだと考えます。
都教委は、こうした結果をどのように教育施策に反映させるのですか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業における令和四年度、五年度の調査結果を踏まえまして、不登校の子供に対する効果的な支援の在り方について検討することとしております。
○斉藤委員 結果を踏まえて、不登校の子供に対する支援の在り方について検討するということで、それも大事なことなんですけれども、私が聞いたのは、学校の在り方を考える上でも、とても参考になる内容なのではないかということです。
お子さんが小学校三年生のときから不登校になったという保護者の方からお話を伺いましたけれども、学校では、いつもやることが決められていて、お子さんはつまらなかったということです。学校ではとても緊張していたようで、小学校三年生のときにエネルギーが切れてしまったのではないかと保護者の方は話していました。
今の学校の在り方の中で、学習の詰め込みや課題をこなすことに子供たちが追われてしまって、子供の思いから出発する自由な学びの機会が奪われているのではないかと感じています。
フリースクールでの調査結果で示された、やりたいことを考え、計画して行う活動が楽しい活動のトップだったということは、今の学校にない、あるいは奪われているものなのではないかという示唆を与えてくれているものだと思います。ぜひ学校の在り方の参考としても受け止めていただきたいというふうに思います。
この調査では、調査への協力金として月額二万円が支給されていましたけれども、利用していた方からは、とても助かったという声が届いています。調査でも、その効果について、家計にとって大変助かるという声が九割を超えています。
都は、来年度から、調査への協力とは関わりなく、フリースクールの利用者に月二万円の補助を行いますけれども、重要な支援だというふうに思います。しかし、フリースクールの授業料の平均額は、月四万三千円ということも明らかになっています。今後、この支援額についても拡充していくように求めるものです。
この間、不登校に関する非常に重要なアンケート調査が幾つか行われています。その一つは、NPO法人多様な学びプロジェクトが、不登校の子供や保護者などの当事者を対象に、当事者実態ニーズ全国調査を行ったものです。一月に結果を発表しています。
その中で、学校に行きづらいと思い始めたきっかけについて、子供と保護者の回答でどちらも一番多い回答が、先生との関係、先生と合わなかった、先生が怖い、そして二番目、三番目が、勉強は分かるけれども、授業が合わない、そして、学校システムの問題、価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないという回答でした。
どれも学校に起因するものですが、このことをどう受け止めますか。
○小寺指導部長 不登校の要因や背景は、複雑化、多様化していると捉えております。
○斉藤委員 要因や背景は複雑化、多様化しているというのは、これまでの質疑の中のご答弁の繰り返しなんですね。
これまでの都の児童生徒の問題行動、不登校等に関するこの調査では、不登校当事者ではなくて、学校を通じて調査を行ってきたため、不登校の理由は、家庭の状況や、今のような様々な要因というふうにまとめられてきました。しかし、実態は違うのではないかという声が当事者の方々からもよく届けられていました。
日本財団も、二〇一八年に不登校傾向にある子どもの実態調査を行っていますが、中学生が中学校に行きたくない理由として、疲れる、朝起きられないなどの身体的症状以外の要因では、学業に関する理由が多くあります。テストを受けたくないや、授業がよく分からない、ついていけない、また、学校は居心地が悪いなどです。
そして、皆さんもよくご存じだと思いますけれども、文科省が不登校経験者の小学生、中学生を対象に二〇二一年度に行った不登校児童生徒の実態調査では、学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ、この回答には、やはり先生のこと。先ほどと同様に、先生と合わなかった、先生が怖かったというもの、これが小学生で三〇%、中学生で二八%と高い割合になっています。
この状況をどう見るのかということ、この検証が求められているというふうに思います。
私は、もちろんですけれども、ここで個々の先生たちのことを問題にしているのではありません。先生たちがどういう状況に置かれているのか、ここを見ていくことが肝腎です。
不登校について当事者の声を聞いていくと、子供が学校に通えなくなった背景には、教員の多忙化や教員が足りないことで、子供たちに手が行き届かない学校の実態があることが見えてきます。
不登校になり、今はフリースクールにお子さんが通っているという保護者の方は、学校では、とにかく人手が足りていなくて忙しそうな先生に、子供たちも話したいことがあっても声をかけられない、手のかかる子がいれば、ほかはもう手が回らない状況で、先生も子供たちも大変だということでした。
子供たちが学校に通えなくなる不登校の増加は、教員の多忙化や不足の問題と一体のものだという認識はありますか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、学校にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、その他の支援員を配置するなど、教員が外部人材と共同して、一人一人の子供の状況に応じた支援を行う体制を構築いたしております。
○斉藤委員 今、いろいろやっている施策のことについて述べられましたけれども、しかし、スクールカウンセラーは、週一回の配置がほとんどで、予約もいっぱいで、相談するのに数週間待つこともあります。一人一人の子供の状況に応じた支援を行う体制を構築しているというふうにいいますけれども、実際には、学校に行けなくなる不登校の児童生徒が増えているという現状です。こうしたアンケート調査の結果や当事者の声に向き合っていくべきではないでしょうか。
私は、この不登校が増え続けている背景には、先生たちが子供たちとじっくり向き合えない、学校が抱えるもう一つの課題である教員不足、教員の多忙化があるというふうに考えています。
都教委は、この三月に学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムを発表しましたけれども、その中で、依然として長時間労働が多い状況や、メンタルヘルスの不調等で休職する先生たちも、この五年間で増え続けていることが分かります。つまり、今の学校は、子供も先生も通えない状況を生み出しているということではないでしょうか。
その意味でも、教員の多忙化の改善、教員不足の解消は待ったなしです。
まず、その教員不足に関わって伺いたいと思います。
都教委はこれまで、今年度の教員不足の数について、四月に八十人程度、九月に百四十人程度と答弁してきましたけれども、実際には、四月の時点で二百三十八人が不足であったことが、我が党のアオヤギ有希子都議の一般質問で明らかになりました。
都教委は、なぜ産休、育休代替教員の不足分を教員不足の数に入れなかったのか、伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、区市町村からの申請に基づき、前年度の退職や学級数の増加等、正規教員による補充対象を不足数として把握しています。
産休、育業代替教員は、法律に基づき臨時的任用教員で補充することとしており、都教育委員会が把握する不足数に含めておりません。
○斉藤委員 要するに、どこが不足の補充を行っているかの問題で、都教委に申請が来るものについては把握ができるけれども、学校で探すことになっている産休、育休代替については、都では実数を把握していないということだというふうに思います。
しかし、現場での教員不足は、産休、育休代替を含めた不足が大きな負担になっているのが実態です。現場の実態を正確につかむ必要があると思います。
今後、教員不足の数を公表する際は、産休、育休代替の不足分も含めることを求めますが、いかがですか。
○吉村人事部長 繰り返しになり、恐縮ですが、産休、育業代替教員は、法律に基づき臨時的任用教員で補充することとしており、都教育委員会が把握する不足数に含めておりません。
なお、教職員が産休、育業に入る日や復帰する日は個々様々であり、区市町村教育委員会や都立学校からの産休、育業代替の補充申請とその後の代替教員の任用は随時行われていることから、都教育委員会において個々の補充状況を確認することはしておりません。
○斉藤委員 産休、育業に入る日や復帰する日というのは様々でというふうにおっしゃいましたけれども、四月当初の時点ですとか、九月一日の時点でとか、時点を区切って出してもらうことはできるのではないですか。私たちは、実際にそのようにして調査を行いました。現状の改善のためには、まず、実態を正確に把握していくことが必要だということを指摘いたします。
都教委は、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムの中で、教員の安定的確保の面でも長時間勤務の解消は喫緊の課題だと示し、働き方改革の推進が重要だとしていますけれども、その目的について伺います。
○矢野人事企画担当部長 次代を担う子供たちの豊かな学びと健やかな成長に向けて、教員の心身の健康保持の実現と、教員が誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備することにより、学校教育の質の維持向上を図ることを目的としております。
○斉藤委員 子供たちの豊かな学びと健やかな成長と、教員の健康、誇りとやりがいを持って仕事ができる環境を整備すること、そして教育の維持向上を図るということが目的だということです。このプログラムの中にも、まさに記載されておりますけれども、大切なことだというふうに思います。
教員の負担軽減に向けては、今、様々な取組を行っているところだというふうに思いますが、都は、二〇二二年度から、小学校の低学年を対象にエデュケーションアシスタントの配置を始め、新年度からは全校を対象に配置するとしています。
これまでどのような効果があったのか、この質問、さきにご答弁がありました。アシスタントを配置している学校の児童は、授業の理解度が高いなどの効果が確認できたほか、教員のストレスチェックの結果が改善しているというご答弁でした。大切なことだというふうに思います。
今の小学校低学年というのは三十五人学級の編制になったところですけれども、やっぱりそれでも、もう一人、大人の手が必要だという認識だということでしょうか。
○矢野人事企画担当部長 教育の質の向上と教員の負担軽減を図るため、きめ細かな対応が求められる小学校低学年でエデュケーションアシスタントを配置することとしております。
○斉藤委員 きめ細かな対応が求められる小学校の低学年では、大人の手がもっと厚い方が子供たちに行き届く体制になるということだというふうに思います。新年度からは、全ての小学校を対象に配置するということなので、先ほどのご答弁のような効果が広がることを期待します。
悩みを抱える子供たちに寄り添う存在として重要な役割を果たしているのがスクールカウンセラーです。専門的な立場から子供たちの相談に乗ることで、教員や管理職にも頼られる存在になっています。
浜教育長は、スクールカウンセラーの役割について、不登校やいじめ、児童虐待等の未然防止、早期発見等、子供の悩みや抱えている問題の解決に向けて、心理の専門家として、子供や保護者への支援及び教員への助言を行う重要な役割を果たしておりますと、これも我が党のアオヤギ有希子都議の一般質問に答弁をされました。
悩みを抱える子供たちと信頼関係を築きながら寄り添うスクールカウンセラーの活動の専門性と、そして継続性については、どのように認識していますか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、子供の悩みや抱えている問題の解決に向けまして、心理の専門家としてのスクールカウンセラーを都内公立小中高等学校に配置いたしております。
各学校では、スクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制を構築しておりまして、スクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう、前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっております。
○斉藤委員 今のは、スクールカウンセラーが交代しても問題ないというようなご答弁なんですね。しかし、実際には、子供たちは時間をかけながら心を開いて、スクールカウンセラーの方と信頼関係をつくっていく、そういう下で相談ができるようになるわけで、スクールカウンセラーの仕事は、その専門性と継続性が本当に重要な仕事です。
ところが、都教委は、そのスクールカウンセラー二百五十名を三月末で雇い止めしようとしていること、これは本当に許されません。
会計年度任用職員制度が導入されてから、スクールカウンセラーの方々は四回の更新を経て、来年度の任用は公募による選考が行われましたが、選考に当たって、都教委は面接と書類選考をしただけで、実績のあるスクールカウンセラーに大量に雇い止めを通知しました。
この問題について、我が党は国会でも質疑をしましたが、文科副大臣は、スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&Aにおいて、スクールカウンセラーの選考に当たって、学校現場での活動実績等についても十分踏まえた上で選考していただきたいと示している、このように答弁しています。
都教委の今回のスクールカウンセラーの雇い止めは、国が示しているこうしたQ&Aの内容を踏まえないやり方だということを、どう認識していますか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、文部科学省のスクールカウンセラー等活用事業実施要領を踏まえまして策定しました東京都公立学校スクールカウンセラー選考実施要項に基づき、選考を行っております。
具体的には、四回までは公募によらない再度任用とし、校長の勤務評価等により選考いたしております。
また、五回目は公募による任用とし、新規申込者と同様に面接を実施し、適切に選考しておりまして、雇い止めという言葉の定義がよく分からない部分はございますが、雇い止めということはないというふうに考えております。
○斉藤委員 あのね、雇い止めじゃないというんですけれども、これ、民間でいったら重大な雇い止めの事案なんです。
私が聞いたのは、文科副大臣が国会で示したQ&Aのことなんです。都教委の今回の選考は、ここに示されている、学校現場での活動実績等についても十分に踏まえた上で選考していただきたいという、こういう内容に反するやり方ではないですか。
もう一回、聞きます。
○小寺指導部長 繰り返しになりますが、都教育委員会は、選考実施要項に基づき適正に選考を行っておりまして、雇い止めということはございません。
○斉藤委員 結局、副大臣が示したQ&Aについては答弁されないんですね。
専門性、継続性が重要なスクールカウンセラーについて、機械的な対応をするのではなくて、会計年度任用職員とする対応を見直して、継続して安定的に働けるようにしていくこと、そして、今回の雇い止めを撤回し、学校へのスクールカウンセラーの配置を増やして充実することを改めて求めます。
この学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムですが、ここには、いじめや不登校、そのほかの様々な困難を抱える児童生徒に対するきめ細やかな対応ができるよう、授業準備や子供たちと向き合うための時間を十分に確保するため、働き方改革の推進が重要だというふうに示されています。
さらに、都教委が保護者や地域へ配布している、この働き方改革への理解をお願いする文書にも、子供たちと向き合うための時間や授業準備の時間を十分に確保できるよう、教員の長時間勤務を早急に改善することが必要だと記載されていて、子供たちと向き合うための時間、それから、授業準備の時間が必要なんだということが強調されています。
つまり、現状では、先生たちが子供たちと向き合う時間や授業準備の時間を十分に確保できていないという認識を持っているということでよろしいですか。
○矢野人事企画担当部長 これまでの働き方改革により、長時間勤務の状況は改善傾向にはありますものの、依然として長時間勤務の教員が多い状況でございます。
こうしたことから、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムでは、新たな教育課題への対応や、様々な困難を抱える児童生徒に対するきめ細かな対応を行うことができるよう、授業準備や子供たちと向き合うための時間を十分に確保するため、働き方改革を推進することとしております。
○斉藤委員 認識についての直接のお答えはありませんでしたけれども、授業準備や子供たちと向き合うための時間を十分に確保するため、働き方改革を推進するんだということですね。このことは、本当に重要な視点だというふうに思います。
つまり、教員の多忙化を解消することが、子供たちと向き合える時間、それから授業準備の時間をつくり出して、教員のやりがいにもつながり、教員の健康維持にもつながっていくということではないでしょうか。そして、そのことで子供たち一人一人に行き届く環境に変われば、子供たちの不登校も減るということになっていくのではないでしょうか。
だからこそ、教員不足や多忙化の改善は、子供たちの不登校を減らして、安心して通える魅力ある学校づくりのためにも重要だというふうに考えます。
教員の負担軽減のための施策の拡充に様々取り組んでいるところだというふうに思いますけれども、そうした努力は、私たちも、もちろん重要なものだというふうに認識していますが、しかし、依然として続いている長時間勤務や多忙化の解消のためには、もっと根本的な改善が必要ではないでしょうか。
教員の多忙化は、これまで、持ち時数が増やされても定数が改善されてこなかったこと、さらに、先ほどもお話が出ました、国で定めた給特法、ここで残業代は頭打ちにされ、いわゆる定額働かせ放題の状況を生み出してきたこと、こうした状況が、教員が子供たちに向き合う時間を奪い、授業の準備時間さえ、ままならない状況を生み出してきたということは、もう明らかなことなんです。
教員の多忙化を根本的に解決して、教員がやりがいを持って働ける環境ができてこそ、教員不足も解消され、子供たちも安心して通える魅力ある学校をつくることができます。
教員への指導業務の改善ということがプログラムの中で掲げられていますけれども、例えば小学校での英語の教科化やプログラミングなど、時数やこの業務が増やされてきた一方で、それに見合った教員の定数の改善など根本的な改善を行ってこなかった都教委こそが、今こそ、教員が置かれている状況に向き合って、学校の在り方を考える必要があると思いますが、いかがですか。
○吉村人事部長 教員の定数は、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しており、都教育委員会は、教職員定数の一層の充実を国に対して要望しております。
○斉藤委員 国に要望しているということで、それ自体は大切なことなんですけれども、しかし、都としてやれることをもっとやる必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
昨年の事務事業質疑でも取り上げましたけれども、都教委では、都立中学校の教員の持ち時数について、週十八時間を標準としているということでした。これと比べても、週二十四時間や二十六時間が上限とされている区市町村立の小中学校の教員は、もう多忙になるのは明らかではないでしょうか。
都として、教員の時数の改善、定数の改善、これを行って、抜本的な対策を行うことを求めます。
最後に、今回報告された第五次東京都教育ビジョンの案について、一言触れたいというふうに思います。
第四次からの引き続きのところも多いですけれども、特に、グローバル人材の育成やイノベーション人材の育成などが強調されていて、公教育が、まるで財界が求める人材育成の場のようになっているんじゃないかと思います。こうした目指すべき人間像のようなものを大人が決めつけて、そこを目指していくということを、子供たち、教育現場に押しつけていくというようなこの在り方は、本当に疑問です。
こうした中で、子供も教員も多くの課題が求められて、学校が窮屈なものになっているのではないでしょうか。本来の教育の目的である人格の形成、そして、とりわけ子供の権利や子供たちの自由で自発的な学びの保障をしていくような教育環境を実現していくことを求めて、質問を終わります。
○風間委員 ラス前の質問ということで、大分重複していますので、重複したものを省きながら質問させていただきます。
まずは、医療的ケア児童の支援という観点から質問させていただきます。
昨年の事務事業質疑でも、医療的ケア児童の支援ということについては拡充を求めてまいりました。
来年度予算案を見てみますと、保護者付添期間の短縮化、看護師の安定的な確保、専用通学車両において予算増となっていることが確認できますので、歓迎するところであります。
知的障害特別支援学校も含めた医療的ケア児童の増加などによって、医療的ケア児童専用通学車両についても、さらにニーズが高まることが想定されるわけですけれども、来年度、どのように拡充していくのかを伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児専用通学車両については、対象となる児童生徒数の増加に伴い、運行台数を増加させてございます。
令和六年度についても、知的障害特別支援学校も含めて、対象児童生徒数の増加に対応するため、運行台数と乗車する看護師の充実を図ってまいります。
○風間委員 この医療的ケア児童専用通学車両の拡充や増加する医療的ケア児への支援には、一層の看護師確保が必要でしょうし、特に、学校近隣に在住している潜在看護師への訴求については、私も事務事業質疑で求めたところであります。
来年度の看護師確保について、東京都はどのように取り組んでいくのかを伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会はこれまで、積極的に看護師を確保し、採用するために、地域のハローワークと連携するほか、スクールバスへの募集広告の掲示など、取組を実施してございます。
令和六年度から、新たに学校周辺への看護師募集チラシのポスティング等を実施し、看護師確保に向けた取組を拡充してまいります。
○風間委員 せっかく専用車両における予算を確保したとしても、看護師が確保できないことによって思うように通学ができないという、医療的ケアを必要とする児童が出ないように、ぜひ看護師の確保ということには、引き続き力を入れていってもらえればなと思います。
続いて、エデュケーションアシスタントについては、既に大分質問がなされているところでありますけれども、私としても、事務事業質疑で東京全体への配置、広げていくことが必要ではないかということを求めたわけでありますので、伺います。
来年度予算では、全小学校一名ずつの配置分の予算が確保されたということは確認できましたけれども、今年度、独自で行った区教委にヒアリングをしたところ、人材の確保に相当苦労したということについては、事務事業質疑でも紹介をしたところであります。
来年度、全校での実施となると、特に二十三区においては、人材確保が困難を極める懸念があると感じているところです。
この課題に対して、東京都はどのような対応をしていこうとしているのかを伺います。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会が人材を募集するに当たりまして、TEPROの人材バンクの活用を促しております。
また、会計年度任用職員のみならず、人材派遣を新たに活用できるようにいたしました。
○風間委員 TEPROの人材バンクでどれほど確保できるのかというのはちょっと分かりませんけれども、なかなか自治体の教育委員会が採用できないといっているところの助けになるのであれば、そういった取組は評価できるところかと思いますし、人材派遣を活用することも想定するとなると、その分、手数料等もかかってくるとは思いますけれども、それも含めて東京都が十分の十で見ていくということなのであれば、とにかく希望する学校に配置できるように東京都が支援していくということを求めておきます。
学校現場に入り込んで児童をサポートする人は誰でもいいというわけではありませんので、エデュケーションアシスタントの採用や研修、人事評価などについて、東京都はどのように関与するのかを伺います。
○矢野人事企画担当部長 エデュケーションアシスタントの人事評価や採用の手続等は、各区市町村が定めて実施しております。
○風間委員 各区市町村ということで、それは各市区町村に委ねていくということなんだと思いますが、この質の担保というのも大変に重要な要素だと思いますので、東京都教育委員会としても注視するように求めておきます。
続いて、部活動指導員について伺います。
学校現場における外部人材の活用は、児童生徒へのきめ細やかな支援に加え、学校現場における教員の負担軽減からも有効であると考えます。
特に部活動については、国も地域連携、地域移行を推進しておりまして、自治体としてはクリアするべき課題も多く、まずは部活動指導員を活用しているところも多いと認識しています。
事務事業質疑でも求めましたけれども、まずは、都立学校及び公立中学校の部活動指導員の昨年度と今年度の配置状況、そして、今後の方向性について伺います。
○市川指導推進担当部長 部活動指導員につきましては、令和四年度、都立学校に八百八十四人を配置しております。
また、区市町村には、中学校への六百三十二人の配置に係る経費の補助を行っております。
令和五年度につきましては、令和四年度の実績を上回る見込みでございます。
今後、都立学校への配置を増員するとともに、区市町村に対し、経費の補助を拡充してまいります。
○風間委員 来年度は拡充をしていくということが確認できました。
都立学校及び公立中学校の部活動指導員の募集、選考方法についても伺います。
これもなかなか、確保するのに困難だというような話を伺っておりますので、伺います。
○市川指導推進担当部長 都立学校の部活動指導員は、都教育委員会のホームページに学校及び部活動名を掲載して広く公募した後、各学校におきまして、面接等により選考しております。
区市町村立中学校の部活動指導員につきましては、各地区がそれぞれの規定に基づきまして任用しております。
○風間委員 従来の部活動支援員または有償ボランティア的なところに比べると、会計年度任用職員という位置づけでもある部活動指導員ということで、割と確保もしやすくなったということも耳にしております。
今後、地域連携、地域移行を踏まえた場合に、この部活動指導員制度が持続可能なものである必要があると考えており、都立学校及び公立中学校の部活動指導員の任用の在り方ということが、今後、一つ課題になってくるのかなと感じています。
これは、どのような制度として東京都としては認識しているのか、確認します。
○市川指導推進担当部長 都立学校の部活動指導員は、会計年度任用職員として、四回までは公募によらない再度任用とし、五回目は、雇用機会の公平性の確保の趣旨から、公募による任用としております。
区市町村立中学校の部活動指導員は、各地区が規定に基づき任用しております。
なお、都及び国が経費を補助している部活動指導員につきましては、国の基準に基づきまして、同じ学校の同じ部活動への配置を五年以内としておりますが、部活動の地域連携、地域移行に取り組む場合については、令和七年度まで五年を超える配置が可能となっております。
○風間委員 部活動においても、区市町村立中学校に関しては五年を超えてもというようなこと、文科省の方でも、そのように定めているというお話がありました。
やはり学校の中に入っていって、その学校で、外部の人材が学校の先生方または管理職の先生方とのコミュニケーションを取りながら子供たちをサポートしていくという在り方については、今、過渡期なんだとは思います。
特に、この部活動指導員ということについては、各自治体によっては、校長先生の推薦によって五年以降もお願いをしているケースなんかもあるというふうに耳にしていますので、今後、都立学校に関しては、まだ五年を迎えていない状況かと思いますけれども、五年目以降の在り方ということについては検討していってもらえればなと思います。
続いて、スクールカウンセラーについて伺います。
先ほどもお話がありましたけれども、基本的に、今、子供たちの状況は様々であり、このスクールカウンセラーさんに相談をしたいというニーズは、特にコロナ禍のときには高まったということから、私たち会派としても、臨時で追加していくように求めたところであり、実際に、この追加派遣というものがなされたものと認識しております。
このコロナ禍におけるスクールカウンセラーの追加派遣の状況について詳細を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、コロナ禍における子供の不安等に対応するため、令和二年七月から八月及び令和三年一月から三月の期間に、学校からの要請を踏まえまして、小中高等学校五百七十四校に合計千二百六十六回、スクールカウンセラーを追加して派遣いたしました。
○風間委員 令和二年度には追加で派遣したということでありますが、その後、ポストコロナというような時期になって、元に戻してしまったんだろうとは思いますけれども、スクールカウンセラーさんに対するニーズそのものは減ったという認識なのかどうかを伺います。
○小寺指導部長 スクールカウンセラーに対しましては、これまで同様、ニーズは高いものというふうに考えております。
○風間委員 まさに私も、学校現場で先生方と話をしたり、保護者からの相談を受けたりする際に、スクールカウンセラーの存在というのは大変に重要であるということを耳にするところですし、こういった教育相談に関してのニーズというものは高まっているものだと感じております。
そう考えますと、やはり、コロナのときのように追加した分ぐらいは、最低でも今後増やしていくべきではないかと思いますけれども、今後の配置について都教委の見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、各学校にスクールカウンセラーを年間三十八日配置しておりまして、児童生徒数が多く、相談対応へのニーズが高い学校には配置日数を追加いたしております。
○風間委員 先ほども話がありましたように、そういった状況の中で、経験あるスクールカウンセラーの方々が、今回、公募によって、来年度、採用されないというようなことが報道にもありました。
私自身も、会派としても、これで実際に不合格となった方々からもお話を伺いましたし、再度、五年を超えても採用されるというスクールカウンセラーさんからもお話を伺ってきましたが、腑に落ちないことが大分ありましたので、その点について、ちょっと伺っていきます。
まず、基本的には、先ほどの話にもあったように、書類と面接ということでしたけれども、この面接についてはどのように実施されたのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、東京都公立学校スクールカウンセラー選考実施要項等に基づきまして選考を行っており、公募による選考の際は、複数の面接員により個人面接を実施いたしております。
○風間委員 過去の実績は全く見ずに、複数の面接官で面接を一回やって選考、合否を決めてしまうということなんだと思いますけれども、それは、これだけの人数を面接する上では、相当な採用に関する設計が必要だと感じます。
私も、面接の採用等には、基準づくりを含めて関わってきた経験がありますので、特に、こういった専門職の方たちの合否を判定するというのは難しいことだと思いますけれども、この合否の基準づくり等に関しては、細かく設計をされているのかどうか、伺います。
○小寺指導部長 選考の基準につきましては、東京都情報公開条例における人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるという情報であることから、開示はいたしておりません。
○風間委員 開示はしていないということでありますけれども、そこがブラックボックスであればあるほど、特に、経験があって採用されなかった人の納得感というものは、なくなってしまうと思うんですね。
ですから、そこをなるべく明らかにするために質問をしていくわけでありますけれども、聞き方を変えると、例えば、その面接官は複数ということでありますけれども、面接官のその裁量で合格、不合格というのが決まるものなのかを確認します。
○小寺指導部長 選考の合否判定につきましては、面接の結果を踏まえ、都教育委員会が選考委員会を設置いたしまして判断いたしておりまして、面接員が判断するものではございません。
○風間委員 では、面接官は心理の有資格者なのかどうかも確認します。
○小寺指導部長 選考に係ることに関しましては、先ほどと同様、東京都情報公開条例における人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報であることから、開示はいたしておりません。
○風間委員 では、面接官は誰が行っているんですか。東京都の教育委員会の中の職員というか、教職員の方が行っているんですか。
○小寺指導部長 面接官につきましても、先ほどと同様、開示をいたしておりません。
○風間委員 じゃ、誰が面接官なのかも分からないという状況で、私たちは、この面接自体が適正だったかどうかということを判断しなきゃならないわけですけれども、判断できませんよね。
心理職を面接で採用するかどうかを決めるのに、面接官が心理職かどうかも分からない、東京都の教育委員会の内部の人なのか、外部の人なのかも分からないという状況ですから、その正当性が問われることになってしまうような気がしますけれどもね。
じゃ、例えば、その面接の質問内容に関しては、統一的に行われているものなのかどうか、伺います。
○小寺指導部長 繰り返しの答弁になりますが、選考の内容につきましては、公開の対象となってございませんので、開示をいたしておりません。
○風間委員 先ほど申し上げたように、面接の場合は、設計を相当綿密にやらなければなりませんし、どういう質問をして、どういう答えが正解なのか、不正解なのかということも、面接官の質問の仕方によっても変わってきたりもしますから、大変に慎重に行わなければならないものだと思います。
私たちがヒアリングした中では、圧迫面接のような人もいれば、穏やかにコミュニケーションを取るだけの人もいたと。
まず、圧迫面接というのは、そもそも、そういうシチュエーションでどういう対応をするのかということを判断するために行うことが通常ですから、圧迫面接ならば圧迫面接での対応状況を見るでしょうし、それが面接官の気分によって圧迫面接が行われるようなことが通常あってはならないことなわけですね。
こういったことが統一的になされているのかどうかということについてもお答えができないということなんだとすると、実は、その要項で決めているだけで、何も細かいことを決めていないんじゃないんですかと思われても仕方ないと思うわけですよ。
面接の質問の中には、教員による児童生徒への性加害があったらどうしますか、知ったらどうしますかというような質問があったそうです。心理職としては、当然ながら、管理職にそのことをまず報告しますというお答え方をしたら、じゃ、その管理職が性加害をしていたらどうするんですかと、畳みかけるように圧迫面接をされたというようなお話もあったりしました。こんなのは全員やっているんですか。
これは、教育委員会として、質問として正しいものという認識なのかを確認します。
○小寺指導部長 圧迫面接という言葉の定義は分かりませんが、面接は適切に行っております。
なお、人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある事項でございますので、面接の内容等については開示をいたしておりません。
○風間委員 大変な答弁をいただきました。適切なんだそうです。このような性加害をしていたらということを畳みかけるように質問する、これ、民間企業で今どきやったら、大きな問題になりますよ。それが都の教育委員会の面接では、行われていても適切だということなんですね。これは大きな問題だと思います。
また、今回、心理職有資格者であって、こういった方々を採用するかしないかというような面接をしているわけであって、学校等で合格、不合格というようなものとは異なる。採用だったら、採用の内定だったりとか、不採用というようなことの形で、お伝えするべきものだと思いますけれども、今回、合格と不合格といったような形で、面接者に対しては伝えていると。
こういった言葉の使い方一つにしても不適切だと思うわけですけれども、まず、こういった言葉の使い方を改めるべきだと思いますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、選考基準に達すると判断したものを合格者とし、東京都公立学校スクールカウンセラー任用予定者として名簿に登載しております。
○風間委員 有資格者に対して失礼な言葉の使い方だと思いますので、そういった上から目線の言葉の使い方は改めるべきだと改めて求めておきます。
続いて、新規で採用されたスクールカウンセラーの方々、この方々についても、現場のベテランのスクールカウンセラーさんからすると、心理職としては長くても、学校現場でのスクールカウンセラー業務というのは、割と独特であったり、経験が物をいったりすることから、最初は対応が不慣れな人たちも多いんだという話を伺いました。
こういった新規のスクールカウンセラーに対する研修であったり、引継ぎであったりというのは、どのようになされているのかを伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、毎年度、新たに採用したスクールカウンセラーに対して、任用前の連絡会におきまして、スクールカウンセラー事業の目的や職務の内容、服務に関する規程に加え、校長の管理の下、学校全体で行う継続的な相談等の在り方について説明をいたしております。
また、各学校におきましては、スクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制を構築しておりまして、スクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう、前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっております。
○風間委員 通常、先生方もそうだと思うんですけれども、新規で採用された教員に対しては、OJTであったりとか、ベテランの先生がサポートしたりというようなことで、学校現場の中で経験を積んでいくということなんだと思います。
スクールカウンセラーも、有資格者とはいえ、学校での対応ということに不慣れな人たちも多いという、こういう話がありますので、できれば経験のある人たちとペアを組みながら学校で慣れていくというような仕組みも必要なんじゃないかと思いますし、そもそも、そういった経験を持っている人たちが、今回、突然にして二百五十人も不採用となるということは、東京都の学校現場として大変に損失だと感じます。
ですから、この制度の在り方に関しては、特に有資格者を外部人材として学校現場で活用するということについては、通常の会計年度任用職員とは別に考えて、東京都の教育の財産として考えた方がいいのではないかと思いますけれども、教育委員会の見解を伺います。
○小寺指導部長 東京都公立学校スクールカウンセラーの任用に当たりましては、四回までは公募によらない再度任用として、校長の勤務評価等により選考し、五回目は、勤務評価によらず、公募により公平、公正に書類審査及び面接を実施し、選考いたしております。
○風間委員 いろんなことに通じますけれども、今の制度が正しいかのような答弁ばかりが繰り返されること自体が、もう組織として成長していかないということになりますので、あしきものは改めていく、よりよいものにしていくというスタンスを持っていなければ、我々がこう指摘することにも意味がありませんので、ぜひこのスクールカウンセラーの問題に関しては、制度の在り方というものを今後見直していくことを求めておきます。
子供たちをサポートする外部人材の登用ということに関しては、スクールソーシャルワーカーの配置も拡充していくべきということを事務事業質疑でも求めましたけれども、来年度の状況を確認したところ、今年の横ばいというような状況でありました。
これは増えていかないということなのかなとは思うんですけれども、東京都教育委員会として、スクールソーシャルワーカーの配置拡充ということについてどう考えているのかを確認します。
○小寺指導部長 これまで都教育委員会は、活用を希望する全ての区市町村教育委員会のスクールソーシャルワーカーの配置計画に沿って、その経費を補助しております。
したがいまして、希望が増えれば、その分、こちらの補助の金額も増えるということでございますので、同様ということではございません。
来年度も、しっかりと対応してまいります。
○風間委員 それを聞いて安心しました。ただ、自治体によっては、相変わらず、その配置状況がばらばらということでありますから、スクールソーシャルワーカーの存在というものが非常に重要であると。特に、活用がうまくいっている例なんかもあると聞きますので、こういった有効活用であったりとか、質の拡充ということについては、これも東京都全体で共有していく必要があると考えるわけですね。
この質的な充実を図るために、来年度、東京都教育委員会はどのように取り組むのかを確認します。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、平成二十八年度から、生徒一人一人の状況やニーズに対応した支援を行うユースソーシャルワーカーを都立学校へ派遣し、そのノウハウを蓄積してきております。
令和六年度は、このユースソーシャルワーカーをスーパーバイザーとして三つの区市町村へ派遣し、スクールソーシャルワーカーの質の維持向上に向けた支援を行ってまいります。
○風間委員 そういった経験のあるベテランのスクールソーシャルワーカーさんがどのように活動することによって子供たちのサポートに役立っているのかということを、ぜひ東京都全体で共有をしていって、スクールソーシャルワーカーを活用し、子供たち、特に学校に通えなくなっているような子供だとか、家庭の状況で様々な困難を抱えているというような児童生徒の支援がより拡充していくように取り組んでいくことを求めておきます。
続いて、性教育についても伺っておきます。
事務事業質疑でも、包括的性教育の推進について求めたところでありますけれども、今回、その中でも、特に中学校における性教育の授業について、現状と今後の予定について伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、今年度、中学校三十校に産婦人科医を派遣しまして、性教育の授業を実施しております。
産婦人科医を派遣する学校数につきましては、医師会との調整を踏まえて決定しておりまして、次年度も中学校三十校に派遣する予定でございます。
○風間委員 過去に比べれば増えてきているということも、先ほどの話の中でありましたけれども、やはり東京全体の中で三十校というのは、少し少ないなという印象があります。医師会との協議の上ということで、派遣する限界もあるんだとは思いますけれども、都内を見渡してみれば、助産師さんたちがこういった性教育の授業をやっているような自治体もあったりすると耳にしておりますし、内容的には、こういった性教育の授業については、東京都の教育委員会としても確立する形で、より多くの中学生に、この性教育の授業を提供していけるような仕組みというものを今後考えてもらえればなと思います。
最後に、英語スピーキングテストについても伺っておきます。
これまでにも大分質問がありましたし、昨日の予算委員会等でも私どもの会派から質問させていただいたところで、予算が今年度増額しているということについて、昨日伺った際には、会場費、人件費、機材の調達等々ということだというようなお話がありました。
昨年度との比較で見てみれば、事業者が替わったことによって、今年、普通に考えれば、増える分というのはタブレット等の機材の調達部分なんだろうなということで、そんなことも答えないんですかというふうに、昨日は聞いていて思いましたけれども、今日、とやさんからの質問の答弁によれば、十二億分がこういった機材のリースだということでありましたから、今年もYEAR1、YEAR2で、既にそこの部分の一部は予算化されていたことを考えると、その差額分、八億ぐらいのお金というのは、新たにY3分に充てる、この機材のものなのかなということは推察できたところであります。
例えば、そういった内容も、私たちの会派としては、スピーキングテストをアチーブメントテストとしてやることに関しては反対をしておりませんし、私もこういった教育にずっと携わってきていて、ベネッセからブリティッシュ・カウンシルに今回替わるということに関しては、アチーブメントテストとしては、ある意味、期待をしている部分もあるわけですので、ぜひこういったことを隠さずに公表してもらえればいいと思うんですね。
そして、アチーブメントテストとしてやるのであれば、よりいい方向になればと思い、私たちも確認をしていくところですので、隠されていると、何かそこにやましいことがあるんじゃないかと邪推してしまいますので、そういった観点でこれからも質問していきますから、お答えいただければなと思います。
ESAT-Jの今年度の実施日程についても答弁がありましたし、実施方法、申込みのスケジュール等々--来年度に関してのY3ということについては、事業者が替わるわけですけれども、例えば、そこで、申込みの手続または個人情報の取得等について、今年度、ベネッセでやったものと異なることはあるのでしょうか。同じものなのかを確認します。
○瀧沢グローバル人材育成部長 三年生を対象としますESAT-Jの申込みにつきましては、令和五年度と同様にオンラインで行う予定であります。
申込みに当たりまして、中学校名、学年、組、氏名、生年月日、顔写真、電話番号、eメールアドレスなど、本人を確認するために必要なデータを登録し、卒業後四年間保存するということも変わりません。
○風間委員 同じような形でやるということですから、来年度のやり方については、まだこれから決めていくというような答弁でありましたけれども、実施日程も決まっているというようなところから、同じような形で進んでいくのかなと、これも推察をしているところであります。
今年度、YEAR1、YEAR2について、先ほどからも質問が多々出ておりますけれども、問題が同じであって、やっている時期が違うということから、カンニングという話もありましたし、どこかから、どんな質問だったのか、内容だったのかということを確認して対応できた子がいるというようなことも耳にするわけですけれども、アチーブメントテストとして自分の実力を確認するということが目的であれば、事前に質問を、テストの内容を知っていたことにあまり意味はないわけですけれども、中には、それでも学校の成績に反映されるんじゃないかと思って、こういうことをする生徒もいるんじゃないかと思うわけですね。
都の教育委員会としては、それは想定していない、成績に反映されることは想定していないという答弁でありましたけれども、これは、時期的には、もう既に終わっていて、結果が学校現場として入手できる状況なのか。また、それを三学期の成績に反映できる状況なのかどうかは確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 YEAR1、YEAR2の成績の返却は、年度をまたぐことになります。
○風間委員 年度をまたぐという話を聞いていましたので、先生方も、そのことに関しては、年内に成績に反映できるような状況ではないということが確実なのであれば、都の教育委員会として、ぜひそれを公表するべきだと思うんですね。そうすれば、子供たちも、無用にテストの内容を聞いて、YEAR1、YEAR2で自分の実力以上の結果を出すということに全く意味がないんだということを認識すると思うわけです。
ですので、学校を通じてでも構いませんので、来年度実施するに当たっては、YEAR1、YEAR2に関しては、完全に自分の実力試しなんだ、成績に反映されないものなのであるからということを伝えた上でやっていくということを求めておきます。
今年度、YEAR1、YEAR2で実施した際に、現場には学校の先生がいて、様々、実施までのサポートはしたというふうに聞いております。
実際には、タブレットを使ってのテストに関しては、事業者の人たちが来てやっているということでありましたけれども、当然、事業者側からの実施報告等は受けると思うんですけれども、例えばベネッセのプレテストのときにも、学校現場等々から、様々な問題点だったりとか、トラブルだったりとかの報告が学校側から上がってくることもあったと思いますが、今年度に関して、学校現場から、そういったトラブルだったり、問題だったりとか、実施状況について報告が上がってくるような形になっているのかどうかを確認します。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、中学校や区市町村教育委員会と連携して実施の状況を把握しております。
また、各学校における具体的な実施の状況については、先ほどお話がありましたが、事業者も把握しているところであります。
引き続き、事業者と連携して不断の改善に取り組んでまいります。
○風間委員 今回、先ほどブリティッシュ・カウンシルになるということによって期待している面もあるという話をしましたけれども、それも、ベネッセのやり方があまりにもひどかったということから、私たちは問題をかなり取り上げてきたわけでありますけれども、このベネッセでの問題点というものが完全にクリアになっていないまま、同じ形で来年度も行われるであろうという点は、昨日の予算委員会でも確認をしたところでありますから、引き続き、そこの問題については、我々も改善を求めていかなければならないものだと思っています。
とはいえ、一日にあれだけの会場を使って一斉に実施をするということについては、ベネッセが二年間やったことですから、相応にノウハウがたまっているものだと思います。
ブリティッシュ・カウンシルが、突然、これを来年度できるのかどうかということには、かなり疑念がありますから、本来であれば、こういったノウハウというものは完全に引き継がれるべきだと思いますけれども、前回確認した際には、ベネッセからの引継ぎはやらないということでありましたし、先ほどのとやさんからの質問でも、ベネッセには--ベネッセにはとはいいませんでしたね。データの管理というところでの物が残っているぐらいなのかなと思いましたが、ベネッセが直接サポートすることはないにしても、ベネッセが蓄積したこの二年間のノウハウというものは、何らかの形でブリティッシュ・カウンシルに引き継がれるということでよろしいのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 おっしゃる趣旨は、そのとおりだと思います。
都教育委員会には、英語スピーキングテストを継続的、安定的に実施していく責任があるというふうに認識をしていますので、都教育委員会が、必要な情報等は確実に事業者に提供していくということだと思います。
○風間委員 じゃ、この前、答弁があったように、ベネッセに関しては、そのデータの保有、保管というものが残ってはいるものの、来年度は、全くこのESAT-Jには関与しないということでよろしいか、確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 管理をベネッセがやるということは、まだ今、準備中の段階ではありますが、今、後半の質問の趣旨についていいますけれども、協定期間は六年三月で終わるわけですので、六年度以降にベネッセコーポレーションが直接ブリティッシュ・カウンシルをサポートするということはありません。
○風間委員 最後にしますけれども、このESAT-Jの問題というのはまだ、私が取り組んできた、特に不受験者に対する措置、対応ということに関しては問題が解決していないと捉えておりますので、引き続き、来年度の詳細が決まりましたら、また確認をしていかなければならないことだと思っています。
また、ブリティッシュ・カウンシルによるアチーブメントテストということについても、期待感はあるものの、一度限りのテストにこれだけの予算をかけるべきなのかということに関しては、なかなか都民の理解を得られないのではないかなと感じておりますので、また、ベネッセだった場合には、自前の機材があったからもう少し単価が下げられたものを、ブリティッシュ・カウンシルによって、さらに額が増額になってしまったということも含めて、都民の税金を使って、ここまでしてやるべきものなのかということについては、引き続き議論を続けていかなければならないものだと思っております。
以上で私からの質問を終わります。
○小林委員 長時間、お疲れさまでございます。最後でございますので、よろしくお願いいたします。
初めに、部活動の地域移行についてお伺いをします。
一昨年十二月に学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインが国において策定され、今年度から令和七年度までの三か年を、地域連携、地域移行に取り組む改革推進期間と定められました。
こうした動きがある中、私のところにも、地元の関係者より、円滑な移行ができるのか、指導者の確保はどうするのかなど、様々な懸念の声が寄せられたところであります。
私たち公明党としても、この問題の重要性から、党内に部活動の地域移行に関する検討プロジェクトチームを設置し、課題の調査研究を行い、現場の声を基に、政府に対しても、丁寧に地域移行を進めていくよう、七つの提言を行ったところであります。
都としても、昨年三月に学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画を策定し、取組を進めていると承知しておりますが、改革推進期間の初年度を間もなく終える中、この一年を検証しつつ、円滑な地域移行へのさらなる推進に取り組んでいく必要があると考えます。
まず、この一年、公立中学校などにおける部活動の地域連携、地域移行について、各区市町村の進捗の状況をお伺いいたします。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、今年度、全ての区市町村と個別に情報交換を行いまして、各地区の好事例を紹介するとともに、各地区の進捗状況に応じて助言を行いました。
その結果、全ての地区におきまして、部活動の地域連携、地域移行に向けた協議会等が設置され、現在、地域の実態に応じた検討が行われております。
○小林委員 公明党のプロジェクトチームで、昨年、部活動の地域移行への課題を探るため、東京都杉並区の小中一貫教育校区立高円寺学園で外部支援員が指導する部活動の練習を視察させていただきましたが、多くの生徒がコーチの人に満足しているとの意見がある一方、財政面や支援員を担う人材の確保も課題として指摘をされたところであります。
公立中学校の部活動の地域連携を進めていくためには、部活動指導員や外部指導者などの外部人材の活用が当然のことながら重要でありますが、外部人材の配置に関わる区市町村への支援の現状と今後の取組についてお伺いいたします。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、今年度、中学校の部活動における外部人材の活用につきまして、部活動指導員は四十一地区、外部指導者は四十二地区に対し、経費の補助を行っております。
今後、各地区が実態に応じて、より多くの外部人材を配置できるよう、区市町村への支援を拡充してまいります。
○小林委員 都には六十二の区市町村があり、地域移行と一口にいっても、一くくりにできるものではなく、状況は様々であると思います。
先ほどご答弁で、地域の実態に応じた検討が今行われているということでございますけれども、今後、部活動の地域連携、地域移行を進めていくには、区市町村ごとに異なる状況を的確に把握した上で、都教育委員会が各地区の実態に応じた支援を行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、今年度、各区市町村に対して、地域連携、地域移行に向けた協議会の設置、コーディネーターの配置、受皿となる地域団体の整備などに係る経費を補助してまいりました。
これらの経費につきましては、今後も、各地区からの申請に応じて補助を行い、区市町村の取組を後押ししてまいります。
○小林委員 都議会公明党は、昨年の第二回定例会の代表質問で、都内各自治体が、生徒、教員、保護者などの声を聞きながら、地域の実情に応じた取組を進めていくよう求めたところであります。改革推進期間二年目となる新年度も、円滑な地域移行に向けて着実な推進をお願いしたいと思います。
次に、ユースソーシャルワーカーについてお伺いをいたします。
新年度予算案の中で、ヤングケアラーへの支援の一つとして、ユースソーシャルワーカーが校内居場所カフェを運営し、不登校の未然防止やヤングケアラーの早期発見、早期対応を実施する新規事業の予算が盛り込まれております。
都教育委員会はこれまで、ユースソーシャルワーカーなどから構成される自立支援チームの派遣を実施し、困難を抱える生徒の支援に当たってきたと聞いております。
ユースソーシャルワーカーは、就労支援などの資格を持ち、若者の自立を支援するユースワーカーの役割と、福祉的な支援につなげるソーシャルワーカーの役割を一体化した東京都独自のものでありますが、都は、令和六年度に、専門性の高いユースソーシャルワーカーが区市町村を巡回して指導助言を行い、スクールソーシャルワーカーの機能を強化する予算も盛り込まれております。
そこで、ユースソーシャルワーカーのこれまでの活用を踏まえた成果についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、ユースソーシャルワーカーを都立学校へ派遣し、卒業後の自立を目指した支援とともに、生活や家族など様々な困難を抱える生徒を福祉的な機関につなげるなど、平成二十八年度から令和四年度まで、二万名を超える生徒を支援してきました。
支援に当たりましては、困難を抱える生徒の多い都立学校にユースソーシャルワーカーを継続的に派遣して、教員や生徒との日常的な関係を構築し、生徒が相談しやすい環境をつくるとともに、生徒の日常の変化を早期に把握し、支援するためのノウハウを蓄積してきております。
○小林委員 今ご答弁にもありましたが、教員や生徒との日常的な関係構築は、生徒の相談しやすい環境をつくる意味でも重要であります。
二〇一九年の予算特別委員会で、都議会公明党は、ユースソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの資質向上を図り、都立高校における教育の相談体制の拡充をすべきとの提案をしたところでございます。
平成二十八年度から令和四年度まで、二万名を超える生徒を支援してきたとの先ほどのご答弁でございましたが、実績を踏まえ、ユースソーシャルワーカーが今まで蓄積してきたノウハウを活用して、区市町村のスクールソーシャルワーカーへの支援に取り組むべきと考えます。見解をお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、これまでのノウハウを生かし、令和六年度から、経験豊富なユースソーシャルワーカーをスーパーバイザーとして三つの区市町村へ派遣し、困難な事案の対応や教員との連携について助言を行うなど、スクールソーシャルワーカーの育成支援を行ってまいります。
これらを通し、スクールソーシャルワーカーの質の維持向上を図り、相談しやすい環境をつくるとともに、児童生徒の抱える困難な状況の解決を図ってまいります。
○小林委員 今後も、ユースソーシャルワーカー、そしてスクールソーシャルワーカーともに質の向上を図りながら、子供たちが抱える様々な課題に寄り添い、解決に導く取組を進めていただきたいと思います。
最後に、農業高校についてお伺いいたします。
都議会公明党は、さきの代表質問で、都内で毎年平均百十九ヘクタールもの農地が失われており、このままでいくと、約五十年で東京の農地が消滅してしまう危機にあることを指摘し、農業振興の強化を求め、また、一昨日の予算特別委員会では、農地を守る方策の一つとして、スマート農業といわれる最新の技術を用いて集約性の高い農業を推進する必要性に言及をいたしました。
産業労働局の新年度予算案の中には、新規事業として東京型スマート農業の推進を図る事業が予算化されております。
東京の農業振興には、限られた農地を有効活用し収益の増進を図る、DXなどを用いた作業効率の向上が効果的でもあります。
最近では、デジタル技術を活用して、省力化、精密化や高品質生産を実現するなど、収益の向上につながる様々な技術の開発が進んでおり、農業においても、農作業の効率化は、女性や若者の農業での活躍を後押しすることにもつながると考えます。
こうした流れを捉え、都市農業の担い手を育成するためにも、農業に関する学科を設置している都立高校においても、こうした最新技術を活用した農業教育を取り入れていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 農業学科を設置している都立高校の生徒が、最新のデジタル技術を使い、生産性を高める学習を行うことは、次世代の農業者を育成する上で重要な取組でございます。
現在、園芸高校におきまして、民間事業者等と連携し、IoT機器を活用した学習をモデル的に実施しております。
具体的には、ビニールハウス内の室温や土壌の湿度などの状況をデータベース化し、栽培管理、病害虫予防、収穫予測など、最適な栽培環境の把握に活用するとともに、大学等と連携し、農業用ドローンやスマートグラスの実演など、先端技術に触れる学習も行っております。
こうした園芸高校での取組を踏まえ、来年度は、デジタル技術を活用した栽培システムの導入に向けた支援を農産高校や瑞穂農芸高校へも拡大するなど、スマート農業の推進に寄与する人材の育成を図ってまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
今後の東京の農業を考えていく上で、農地保全、農業経営者への支援などの充実はもちろんですが、次代の東京の農業を担う若き人材の育成も必須であり、都立高校における農業教育の取組は極めて重要でありますので、今後も農業教育の着実な充実強化をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時十八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.