委員長 | 藤井あきら君 |
副委員長 | 平田みつよし君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 田の上いくこ君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | とや英津子君 |
かまた悦子君 | |
たかく則男君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤まりこ君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
伊藤 ゆう君 | |
川松真一朗君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化スポーツ局 | 局長 | 横山 英樹君 |
生活安全担当局長 | 竹迫 宜哉君 | |
次長理事兼務 | 渡邉 知秀君 | |
次長 | 久故 雅幸君 | |
総務部長 | 奈良部瑞枝君 | |
都民安全推進部長 | 馬神 祥子君 | |
消費生活部長 | 片岡 容子君 | |
国際スポーツ事業部長 | 稲垣 敦子君 | |
企画担当部長 | 吉原 宏幸君 | |
治安対策担当部長 | 米今 俊信君 | |
パラスポーツ担当部長 | 澤崎 道男君 | |
事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 | 木村 賢一君 | |
事業調整担当部長 | 三浦 大助君 | |
事業調整担当部長 | 清水俊二郎君 | |
教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 田中 愛子君 | |
総務部長 | 山田 則人君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
グローバル人材育成部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
契約議案の調査
・第二百五号議案 都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約
付託議案の審査
・第二百一号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百三号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十二号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 教育庁所管分(説明・質疑)
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十六号 東京都区市町村立学校の学校給食費等の助成に関する条例
・議員提出議案第十七号 東京都立学校の学校給食費等の助成に関する条例
生活文化スポーツ局関係
付託議案の審査(説明・質疑)
・第二百二十二号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
報告事項(質疑)
・第二次東京都再犯防止推進計画の策定について
・東京二〇二五世界陸上競技選手権大会 開催基本計画について
・第二十五回夏季デフリンピック競技大会 東京二〇二五開催基本計画について
○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○藤井委員長 次に、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和五年十二月十三日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
文教委員長 藤井あきら殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第二百五号議案 都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約
2 提出期限 令和五年十二月十五日(金)
○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、教育庁及び生活文化スポーツ局関係の付託議案の審査並びに生活文化スポーツ局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
理事者の欠席について申し上げます。
藤井教育監は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
初めに、契約議案の調査を行います。
第二百五号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
第二百五号議案、チャレンジスクールであります都立桐ヶ丘高校の改築、改修計画について伺います。
桐ヶ丘高校は、都立高校改革推進計画の第一次実施計画において、都立城北高等学校全日制と定時制、都立北園高等学校定時制、都立赤羽商業高等学校定時制、都立池袋商業高等学校定時制を統合して、北地区チャレンジスクールの仮称で設置が決定され、二〇〇〇年、平成十二年に開校した高校です。
経緯を読ませていただきましたが、校舎自体は古くて、一九七二年、昭和四十七年当時のもので、約五十年ぐらいたっていると聞いています。現在、解体工事を終了して、校庭に仮校舎を建てて授業が行われているということです。
改築工事の工期は、二〇二六年までの約三年間となりますが、初めに、その間、生徒の授業に支障がないようお願いをしておきます。
今日は、改築、改修に当たっての環境への配慮をした校舎としてほしいという立場から質問したいと思います。
都立高校の新築、改築に当たっては、環境に配慮した仕様とすべきだと考えています。今回の桐ヶ丘高校についてはどのように対応するのか、お聞きします。
今年二月に改定された省エネ・再エネ計画仕様に即して基本設計が行われたのかと思ったら、そうではなくて旧基準だったということですが、併せて確認をさせてください。
○村西都立学校教育部長 都立高校の改築等に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様に基づき、建築物の熱負荷の低減、最新の省エネ設備や再エネ設備を導入するなど、環境に配慮した仕様となってございます。
今、委員からご質問があった省エネ・再エネ東京仕様につきましては、最近改正されておりますが、当時、設計では旧基準になっておりましたので、旧基準の適用というふうになってございます。
○とや委員 東京都は、都有施設の新築、改築では、ゼロエミッション都庁行動計画に基づいて、省エネ・再エネ東京仕様を最大限活用して、原則、ZEB化を目指しています。
省エネ・再エネ東京仕様の学校編では、学校の建築的な特徴として、これ、私、読ませていただいたんですが、低層建築が多いとか、延べ床面積に対する窓面積の比率が高いとか、利用上の特徴としては、使用時間が短い、冷房の期間が短い、授業による生徒の移動に伴い、教室等の使用時間が多様であること、そして体育館や武道場など運動施設を有するとありました。
エネルギー消費量の特徴としては、同規模の事務所用途の建物に比べて一次エネルギー消費量が小さいこと、空調設備と照明設備のエネルギー消費量の比率が大きいことが挙げられていました。
ちょっとほかの事務所等とは違う特徴を持っているのが学校の施設だと思います。
学校における省エネ対策で重要なのが、やっぱり、まずは断熱だと思います。先ほどご説明いただきました財務局の省エネ・再エネ東京仕様の学校編では−−今年二月に改定されているんですが、先ほど申し上げたように、桐ヶ丘高校については、改定前に設計が行われていたため、旧基準を適用して改築を行うということでした。
そこでお聞きしますが、改築する校舎において、断熱はどのように行うのか、お答えください。
○村西都立学校教育部長 校舎の改築等に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様に基づき、屋根や外壁を断熱性の高い仕様にするほか、窓等の開口部における複層ガラス等の採用や、ひさし等による日射遮蔽など、断熱性能の向上に取り組んでおります。
桐ヶ丘高校の設計段階で届け出ている建築物環境計画書におきましては、基準となる建築物と比較し、エネルギー消費量が約四割程度低下することとなっております。
○とや委員 四割程度低下するということで、これまでの古い校舎から比べると、この省エネ効果はとても大きいのかなと思いました。機械換気ということで、熱交換器で新鮮な空気を取り入れることができるともお聞きして、熱効率が上がるのだと思います。
ZEB化において、設備の省エネ化を検討することが最も重要だと、この省エネ・再エネ仕様を読ませていただくと書いてありまして、一次エネルギーの消費量の低減を徹底した上で、再生可能エネルギーの最大活用を図るというのが仕様の考え方だということです。
その再生可能エネルギーですが、太陽光パネルを屋上に載せるとお聞きしています。
パネルはどの程度載せて、どのくらいの効果が見込めますか。
○村西都立学校教育部長 桐ヶ丘高校におきましては、約百キロワットの太陽光発電設備を設置することとしております。
近年、改築により百二十キロワットの太陽光発電設備を設置した学校の事例では、一年間の電力消費量の約二割を太陽光発電により賄うことができております。
○とや委員 二割程度の電力を賄えるということです。省エネで四割、再エネで二割ということで、これまでの学校の環境から大きく変わって、生徒の学習環境にも、それから周りの環境にも貢献できるという仕様になって建築されるのだと理解しました。
建物のエネルギー消費量の削減だけでなく、施設の維持管理が容易となるように建築や設備の計画を立てていただいて、改築の設備更新のしやすさも考慮して建築に当たっていただくことを求めておきます。
続いて、今回改修となっている体育館あるいはプールなどに−−体育館は違うかな、プール棟について伺います。
プールは、プール棟の屋上に配置をされております。今年の夏、とても暑くて猛暑で、各地で学校や保育園のプールの授業ができない、保育ができない状況がありました。
授業に支障が出ないようにしていただくことが重要だと思いますが、屋上ではなくて屋内ということは検討できなかったのかなと思います。いかがでしょうか。
○村西都立学校教育部長 プール棟は、平成十三年の設置であり、築年数が浅いことから、今回は改修工事となりました。主に外壁の改修や設備の更新等を行うことになります。
桐ヶ丘高校におきましては、暑さ対策として、プールサイドに、休憩できるひさしを設置しておりまして、可能な限りの対応を行ってまいります。
○とや委員 今回、プール棟は改修ということで、全面改築ではないので、もともとあった屋上のプールを移動させるということにはなっていないのだと思いますが、日本は川とか海に囲まれておりまして、学校での水泳授業は、呼吸法を身につけたり、命を守れるようにすることが大事な目的となっています。
第三回定例会の一般質問で、我が党の原のり子議員がプールの問題を取り上げました。東日本大震災で津波に見舞われた宮城県の松島市の中学校教員のお話をさせていただいたんですが、この教員のお話ですと、東日本大震災のときに、気づくと川の中にいたという生徒が、水泳の授業で習ったことを思い出して、息をいっぱい肺にためて潜り、瓦礫のないところで顔を出して助かったこと、一方、まだ泳げるようになっていない生徒が亡くなって、学校で泳ぎを教えたかった、教え子の命を守り切れなかった、もっと学校の水泳授業を大事にしなければと話してくださったそうです。
高校においては、それほど授業時間は長くはない、多くはないとは思うんですけれども、やはり命を守るという意味では、水泳の授業は大事だと思っております。
生徒の授業に、中止とか、やむを得ないときもあるとは思うんですけれども、できる限りの配慮をお願いしたいと要望しておきます。
最後に、空調設備についてです。
空調設備については、普通教室、特別教室、体育館、武道場など、全ての施設に配置する予定でしょうか。確認させてください。
○村西都立学校教育部長 生徒が授業等で使用する普通教室、特別教室、体育館、武道場等につきましては、全て空調設備を設置する予定でございます。
○とや委員 学校は、生徒が日常の大半を過ごす場所でもあります。それだけに、学習環境を整えていくことというのは、とても大事だと思います。
先日は、ある都立高校に行っておトイレの状況を見せていただいたりしてきたわけですが、それ以外にも、空調がなかなか更新できていないという学校もまだまだあって、東京都は、来年度の予算要求の中でも思い切った予算を組んでくださっていますけれども、そういったことも含めて、環境には配慮した仕様として改築を進めていただきたいと思っています。
地球沸騰化といわれる時代に、気候危機を打開するため、そしてそれに貢献するため、公共施設のZEB化は極めて重要で、エネルギー消費を減らす省エネルギーは、CO2排出を減らす上で決定的です。
日本は、省エネという面でも世界から大きく立ち遅れていますが、大規模な省エネを進める条件は大いにあると思います。その条件を生かし、今後の学校施設などの新設、改築などに生かしていただきたい。そして、再生可能エネルギーも含めて利用していただいて、ZEB化を進めていただくよう求めます。
そして、何より生徒が学びに集中できる環境を保障していただくことを求めて、質問を終わります。
以上です。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長にご報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○藤井委員長 次に、付託議案の審査を行います。
初めに、第二百一号議案から第二百三号議案まで及び第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、教育庁所管分を一括して議題といたします。
本案のうち、追加提出されました第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、教育庁所管分について理事者の説明を求めます。
○浜教育長 令和五年第四回東京都議会定例会に追加で提出いたしました教育庁関係の案件につきましてご説明を申し上げます。
今回、追加で提出いたしました案件は、令和五年度教育庁所管補正予算案でございます。
物価高騰に直面する保護者の負担を軽減するため、国の臨時交付金を活用した学校給食費支援の実施について六千七百万余円を計上しております。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○山田総務部長 それでは、追加で提出いたしました案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和五年度教育庁所管補正予算説明書をご覧ください。
表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。1、教育庁所管補正予算総括表でございます。
表の上段、網かけをしてございます歳入予算の補正予算額は六千七百万余円の増額でございます。
表の中段、網かけをしてございます歳出予算の補正予算額は六千七百万余円の増額でございます。
二ページをご覧ください。2、歳入予算の内訳でございます。
内容は、教育管理費の補正に伴う国庫支出金の更正でございます。
三ページをご覧ください。3、歳出予算の内訳でございます。
備考欄にございますとおり、都立学校における学校給食費支援事業につきまして、物価高騰に直面する保護者の負担軽減に向けた緊急対策といたしまして、国の臨時交付金を活用し、食材費全体の物価高騰分に対して支援を実施するものでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○とや委員 また共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
補正予算について質問させていただきます。
物価高騰が都民の暮らしを直撃して、賃上げが追いつかない状況が続いています。スーパーでは生鮮食料品や調味料などの値上げで、財布のひもをこれまで以上に締めているという声が私たちの下に届いています。
学校でも、給食にその影響が出ており、栄養士や調理現場の状況がとても深刻です。
今回、都教委は、給食費の高騰に対応した緊急対策として、国の臨時交付金を活用して給食費に対する支援を実施するため、補正予算六千七百万円余を計上しています。
前回、給食について斉藤都議が質問させていただいたのですが、給食補助の意義について尋ねたところ、食材費支援を実施することにより、保護者への負担軽減を図るものとお答えになりました。
改めてお聞きしますが、保護者への負担軽減の必要性についてお答えください。
○村西都立学校教育部長 今回の学校給食費への支援は、食材の物価高騰の状況などを踏まえ、給食費に係る保護者等の負担増への対策として、国の交付金を活用し、その軽減を図るものでございます。
○とや委員 保護者の負担増への対策ということであります。
今定例会で、知事は、国に先駆けて、都立学校と区市町村への補助の表明をいたしました。
この間、私ども、何度も給食費の無償化について質問してきたわけですが、これまで東京都は、十一月二十九日の質疑でも、都の財源で実施することについては否定的だったわけですが、しかし、十二月五日の知事の所信表明で、その方針を改めて、本来、国の責任ではあるが、先行実施するという決断をしました。それはやっぱり、保護者負担の軽減が必要だからと、国がやらなくても都として実施する必要性を認めたからだと思います。
私たちは、この決断を歓迎し、一歩前進だと思っております。
今回の臨時交付金についても、国の財源ではありますが、都の判断で補助するかどうかは決められるわけで、やっぱり必要だから活用したということだと思います。
この臨時交付金ですが、活用しての補助は今年四月から実施されてきました。都教育委員会は、今年度に給食の値上げを行う予定にしていた学校を対象にして、総額五千三百五十万円の補正予算を組んだのですが、その後、給食のある全ての都立学校の児童生徒を対象にして、一食三十円を補助するということを議会で表明しました。
しかし、その通知を出したのが八月。計上された補正予算は十分活用されたとはいえないのではないかと思います。
しかも、先日、我が党の斉藤委員が質疑の際、十月以降の対応については、都は各学校に対して、四月から九月の支援金の執行状況を踏まえ、一食三十円を上限として対応する旨の通知を出しているということが分かりました。
しかし、今回の補正で新たに予算が組まれたわけです。学校には、一食一律三十円の補助ができるということでよろしいでしょうか。
○村西都立学校教育部長 今回提案している学校給食費支援事業では、一食当たり三十円の支援金を全ての学校に交付する予定でございます。
○とや委員 一食当たり三十円の支援金ということで、一律ではないということです。
この三十円の補助金額なんですが、今回、物価高騰への対応ということで臨時交付金を活用するわけですが、十月時点の食料の消費者物価指数は、四月から四・五ポイントも上がっています。生鮮食料品でいえば、一三・六ポイントも上がっております。
六月の補正のときと同じ一律三十円では、物価高騰分を賄えないのではありませんか。
○村西都立学校教育部長 今回の補正予算では、今年の四月から十月までの消費者物価指数の上昇率の平均値である八・三%を用いて所要額を算定し、一食当たり三十円の補助額といたしました。
したがいまして、各都立学校においては、法に基づく学校給食摂取基準を踏まえた給食を提供できるものと考えております。
○とや委員 もう一つお聞きしますが、支援金の交付要綱があります。ここでは、一食当たりの上限額は三十円とされているわけですが、しかし、知事が適当と認める場合は、上限を超えて支給することができるとされています。
この規定の対象となるのはどのような場合ですか。
○村西都立学校教育部長 本規定は、一食当たり三十円以上の給食費の値上げをしている学校に対しまして、値上げ分を支給することなどを可能とするようにしたものでございます。
○とや委員 ちょっと分かりにくかったので、もう一度お聞きしたいのですが、三十円以上の給食費の値上げがないとしても、学校の方で、いろんな状況がありますから、必要な場合は支給するという理解でよろしいですか。
○村西都立学校教育部長 本規定は、三十円以上の値上げをした学校だけに適用されるという規定ではございません。
ただ、具体的なケースにつきましては、個々の事案の状況に応じまして、適切に対応していくこととなるということでございます。
○とや委員 三十円以上の値上げがない学校だとしても、必要な場合は支給するというお答えでありました。
この二つの質問をして私は思ったのですけれども、今年、都立学校で三十円を超える値上げをした学校は二校ありました。今回の対応についてはとても重要だと思うんですが、この二校というのは四十円とか値上げをしているわけで、つまり、既に四月の時点で三十円以上の値上げが必要な学校があったわけです。
そして、値上げをしなかった学校は、新設校や昨年値上げをした学校で、これ以上、保護者負担を増やせないと、とどまったわけです。
しかも、東京都の三十円の算出方法は、前年同月比の平均ということですが、前年も、月々、物価が上がって上昇してきているわけですが、今年の物価上昇分が適切に反映されたものにはなっておりません。
三十円以上の値上げをした学校についても対応してくれるということ、そこを考えた場合、やっぱり三十円では足りない学校が出てきているわけです。それにも対応するわけですから、やはりこの三十円という金額は物価高騰分として賄えない金額ですから、ぜひ給食の質を維持するためにも、場合によっては、都として、学校が困らないように財政支出をしていただきたいと求めておきます。
また、今回の補正予算が組まれる以前に、六月の補正予算で活用ができなかった補助金がありますが、このお金の扱いについて確認をします。
○村西都立学校教育部長 四月から九月分の学校給食費支援金につきましては、十月以降も、引き続き、給食に要する食材費に使用することを可能としてございます。
○とや委員 学校の裁量で給食に活用できるということです。物価高騰で生鮮食料品が高くて、ホウレンソウやコマツナの代わりに、もやしを週に二回、三回使うとか、果物のカットを小さくするとか、魚の切り身の厚みを薄くするとか、本当に涙ぐましい努力で給食が提供をされてきているというお話を私たちはたくさん聞いています。
ぜひ子供たちには、おいしくて、温かくて、節約の必要のない献立を提供できるよう、学校に通知してほしいと思っています。
そして、学校への通知が遅れるようなことがあると、これは、今度は年度末に余らせるということになって、場合によっては国に戻さなければならない事態にもなるのではないかということを懸念しております。
これから学校にはどのような通知をいつ出すのでしょうか。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、今回の補正予算の議決後、学校給食費支援金に係る交付要綱を作成し、学校に通知いたします。
○とや委員 一度、要綱を作っているわけですから、今回は初めてということではありません。早急に作成して、学校に通知をしてほしいと思います。
六月の補正予算となったために、学校では、支援を見越したメニューで給食をできなかった、給食を提供できない月が出ました。
今回は、補正予算を計上していることを事前に学校に通知すべきですが、いかがですか。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、令和五年十二月十一日に、物価高騰等に対応した学校給食費に係る国の交付金を活用し、今回の補正予算による予算確保を行う予定であることを学校に通知いたしました。
また、教育委員会は、既に十月以降の給食費支援金交付要綱を通知しておりまして、各学校においては、一食当たり三十円の支援金を見込んだ学校給食の献立を提供することは、現在でも可能となってございます。
○とや委員 通知を出してくださったのはよかったと思うんですが、しかし、内容を拝見しました。それを見ますと、一食当たりの金額は書かれておりませんで、補正予算は組んでいるが、それまでは今までどおりやってくれというものなわけです。これでは、学校は節約するしかないのかなという判断になってしまうと思います。
議決後、要綱が出る前に、ぜひ通知をもう一度出してください。いかがですか。
○村西都立学校教育部長 先ほどの、今現在は、既に三十円の支援金をつなぎでできるという交付要綱になっておりますので、今現在でも三十円の支援金を見込んだ学校給食の献立を提供することはできるという形になっています。
三十円の単価を議決前に学校に通知するということは、今、こうやって議会で審議しているわけですから、さすがにちょっとそこは難しいものかなというふうに考えております。
○とや委員 ですから、審議中ということは前提として組んでいるけれども、メニューについては配慮ができるということを通知してほしいというふうに申し上げているわけです。議案については公表されていますよね。ですから、その範囲でしたら、できるというふうに思いますので。
とにかく学校現場の皆さんは、本当にメニューに困って苦労しています。でも、子供たちに、とにかくおいしくて栄養価の高い給食を提供しなきゃいけないために、涙ぐましい努力をしているわけですから、そこに寄り添った形での通知をお願いしたいと思います。
学校現場では、上限を定めたりとか、その時々で保護者の負担を増やす、あるいは給食の質を落とすか、てんびんにかけなければならない状況が度々生まれてきました。
こうした状況を解決するには、給食費を無料にして、保護者からは徴収しない、給食を教育の一環としてしっかり位置づけ、対応することがとても重要です。
都立学校も区市町村立学校も全額無償にして、都内のどこに住んでいても、おいしくて安心・安全な給食を子供たちが食べることができるよう、都として決断を求め、質問を終わります。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
第二百二十二号議案について意見を申し上げます。
食材費の物価高騰に対応した緊急対策として、臨時交付金を活用し、都立学校における学校給食費支援の補正予算案が計上されております。
このたび都知事は、公立学校の給食費負担軽減に踏み出すことを表明いたしましたが、都立学校の補正予算対応は、食材の物価高騰分の補助にすぎません。
これまでにも様々な委員会で申し上げていますが、私の地元の江戸川区をはじめ、特別支援学校に通う区民を対象に無償化を計画している自治体もしくは実施している自治体もあります。本来、都が担うべきものではないでしょうか。
公立、都立の差が出ないよう、都立学校の給食費の支援を検討していただくことを要望いたします。
以上です。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○藤井委員長 次に、議員提出議案第十六号及び第十七号を一括して議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○とや委員 都立学校と区市町村立学校の給食を無償化する二本の条例の提案理由の説明を行います。
この条例は、日本共産党都議団、ミライ会議、生活者ネット、グリーンな東京の四会派が共同で提案するものです。
物価高騰による保護者負担増の軽減や教育費無償、食育推進の観点から、学校給食の無償化を求める声は、今や都内全体に広がり、多くの都民の願いになっています。
小池知事が、この声に押され、今定例会で給食費の負担軽減に大胆に踏み出すと表明し、都立学校の負担軽減と、負担軽減に取り組む区市町村に対する支援を行うと答弁したことは歓迎します。
既に、二十三区では全区が独自に給食無償化に踏み出し、保護者からは、兄弟の通う区立小学校は無償なのに、都立特別支援学校はなぜ無償でないのかという疑問の声が上がっています。また、十区が都立特別支援学校に通う区民も無償化の対象とし、同じ学校内で、居住自治体により保護者の給食費負担に違いが生じています。
さらに、多摩地域や島しょ地域においては、給食無償化を表明、実施しているのは八市町村にとどまり、二十三区と格差が生じています。
東京都市長会は、居住自治体により教育格差が生じないよう、国が給食費を全額補助するまでの間、東京都に支援してほしいと求めています。
小池知事は、区市町村には経費の二分の一を補助する方向と報道されています。しかし、都が二分の一補助をしている小中学生の医療費助成の例を見れば、二十三区では、全区が所得制限も自己負担もないのに対し、財政力の弱い市町村では、所得制限や通院窓口負担を設けている自治体も少なくない状況です。給食費の負担軽減も、二分の一補助では多摩格差が生じかねません。
加えて、特別区長会も、学校給食を安定的に提供するため、東京都が財政支援してほしいと要望しています。
これらのことから、どの区市町村に住んでいても、また、在学する学校が都立でも区市町村立でも、全ての子供たちの給食費を無償にすることには、また、無償化を安定的に実施するには、東京都が全額負担して、要綱ではなく条例で実施することが必要です。そのため、都立及び区市町村立学校の給食費を無償にする条例を提案するものです。
都立学校の学校給食費等の助成に関する条例は、都立の小中学校の給食費、特別支援学校の給食費と寄宿舎食費、高等学校夜間定時制課程の給食費を無償にするものです。対象人数は約二万人です。
区市町村立学校の学校給食費等の助成に関する条例は、区市町村立小中学校と特別支援学校の給食費を無償にする区市町村に対し、費用の十分の十を補助するもので、対象人数は約八十二万人です。
施行日は、どちらも二〇二四年四月一日です。
ぜひご賛同いただきたく、ご審議をよろしくお願いいたします。
以上です。
○藤井委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
○藤井委員長 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、生活文化スポーツ局所管分を議題といたします。
本案について理事者の説明を求めます。
○横山生活文化スポーツ局長 今定例会に提出をいたしました生活文化スポーツ局関係の議案の概要についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は、予算案一件、令和五年度補正予算案についてでございます。
恐れ入りますが、お手元にお配りをしております資料第1号、令和五年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。Ⅰ、補正予算総括表でございます。
表の右から二つ目、補正予算額の欄をご覧ください。
表の上段の歳入の補正予算総額といたしましては、三千万余円でございます。
続きまして、表の中ほど、歳出の補正予算総額といたしましては三千万余円でございます。
二ページをお開き願います。Ⅱの内容でございますが、表の上段の歳入は、国庫支出金の総務費国庫補助金を計上しております。
こちらは、今回補正いたします歳出予算の財源となる国庫補助金を計上するものでございます。
表の中ほど、歳出は、生活文化スポーツ費の消費生活対策費を計上しております。
以上で私からの議案の説明を終わらせていただきます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○奈良部総務部長 引き続きまして、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
恐縮ですが、お手元の資料第2号、令和五年第四回東京都議会定例会議案の概要の一ページをお開き願います。1、公衆浴場関係についてでございます。
公衆浴場向け燃料費高騰緊急対策事業として三千万円を計上しております。
燃料費高騰に直面する公衆浴場の負担軽減に向けた緊急対策として、国の臨時交付金を活用し、支援金を支給いたします。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○たかく委員 私の方から、令和五年度十二月補正予算案、公衆浴場向け燃料費高騰緊急対策事業について伺います。
都民の日常生活における健康と適切な公衆衛生水準を確保する上で、公衆浴場は必要不可欠と考えます。
しかし、自家風呂保有者の増加に伴う公衆浴場利用者の減少等によって、東京都内の公衆浴場数も減少しております。平成二十年度には都内で八百七十九軒あった公衆浴場は、令和四年度では四百六十二軒と大きく減っている状況であります。私の住んでいる世田谷区でも、公衆浴場が大幅に減少しております。
私ごとですけれども、今から二十年ぐらい前になりますが、我が家のすぐ近くに銭湯がありました。よく子供を連れて家族で銭湯にも行ったものでありましたが、その銭湯もなくなり、また、ちょっと離れた銭湯も、数年後に閉鎖されてしまっております。
今回、補正予算として公衆浴場の燃料費高騰緊急対策事業が計上されておりますが、燃料費の高騰で苦しんでいる公衆浴場を支援する上から重要な施策と考えます。
最初に、燃料費高騰緊急対策事業の補助対象はどのような公衆浴場になるのか、浴場組合に加入していない銭湯やスーパー銭湯なども含まれるのかどうか、伺います。
○片岡消費生活部長 本事業の対象は、地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設で、物価統制令によって、入浴料金が都内では現在五百二十円以下となっている、いわゆる銭湯でございます。
銭湯は、現在、都内に約四百五十軒存在しておりまして、浴場組合への加入の有無にかかわらず、補助の対象となります。
スーパー銭湯や健康ランドなどは、いわゆる銭湯には該当しないため、対象外でございます。
銭湯は、利用者の減少や後継者不足による転廃業等のため減少しておりまして、都では、都民の入浴機会の確保と公衆浴場経営の安定を図ることを目的として、各種支援策を実施しております。本事業も、その一環として行うものでございます。
○たかく委員 この緊急対策事業については、前回の六月補正予算でも計上して実施されております。
その際の補助上限額は、一浴場当たり十六万二千円と聞いておりますが、今回は十四万四千円と少なくなっております。
その理由についてお伺いいたします。
○片岡消費生活部長 本事業は、公衆浴場の燃料費高騰等による影響を軽減するため、国の臨時交付金を活用しまして、半年分の燃料費の高騰影響額相当を上限として、十月から三月までを対象期間に支援を実施するものでございます。
高騰影響額は、令和四年の燃料費実績額と令和五年の燃料費推定額の差額に入浴料金統制額引上げによる増収分を加味したものでございます。
七月に統制額を引き上げたことから、四月から九月までを対象とした前回とは補助上限額が異なっているものでございます。
○たかく委員 七月に統制額を引き上げた。それによって、四月から九月までを対象とした前回とは補助上限額が異なっているということで理解しました。
この事業は、前回の六月補正予算では約八千万円と計上されておりますが、執行残が生じており、それを今回の補正予算に繰り越すということも聞いております。
そこで、前回補正予算で執行残が生じた理由、そして、今回、さらに執行率を上げるためにどのように取り組んでいくおつもりか、お聞かせ願います。
○片岡消費生活部長 前回補正予算計上分では、入浴料金統制額引上げによる増収分の影響により補助上限額が変更になったことや、申請が全体の八割強にとどまったことで、執行残が生じたものでございます。
申請手続の簡素化を図った上で、申請がなかった浴場全てに直接申請を促しましたが、燃料費の状況など、各浴場の個別事情により申請を行わなかったものでございます。
今回、さらなる添付書類の省略など一層の簡素化を図るとともに、引き続き、各浴場に対し、丁寧に申請を促していきます。
○たかく委員 前回の補正予算のときは、申請が全体の八割強程度だったとのことでございました。今回の申請に際しては、添付書類等、省略できるものは省略するなどして簡素化を図っていく、そういったことの答弁がありました。
公衆浴場を経営している方には、かなり高齢の方も多くいらっしゃると聞いております。いろいろな書類を提出するのにも苦労される方もいらっしゃるかと思います。
そういった意味から、しっかりと現場に寄り添った丁寧な対応をしていただいて、今の前回の申請の八割強というものをしっかり引き上げていただくことができるように取り組んでいただきたいことをお願い申し上げて、私からの質問を終了させていただきます。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
私からも、公衆浴場向けの燃料費高騰への補助について伺います。
物価高騰、燃料費の高騰が続く中、公衆浴場への燃料費の補助は、引き続き切実に求められています。
我が党は、公衆浴場への燃料費の補助を充実させて継続していくことを求めてきましたが、今回の補正予算で支援の継続のための予算が組まれたことは、大変な状況に置かれている経営者の方々にとって、少しでも助かる措置になるものだと思います。
その上で、その支援額の考え方や実績について伺っていきたいと思います。
都は、昨年九月から、この公衆浴場向けの燃料費の補助を行っていますが、その補助について、この間の経過と実績について伺います。
○片岡消費生活部長 公衆浴場向け燃料費高騰緊急対策事業は、これまで、令和四年九月補正予算と令和五年六月補正予算により、二回実施しております。
それぞれの実績につきましては、一回目は三百八十軒、二回目は三百六十四軒から申請があり、申請のあった浴場全てに交付を行っております。
○斉藤委員 今回で三度目の補正予算になりますが、一回目の実施では三百八十軒、二回目は三百六十四軒に対して補助を行ったということです。
先ほども質問がありましたけれども、現在では約四百六十軒の公衆浴場がある中で、約二割の事業者さんが補助を受けていないということになります。
都では、全ての事業者さんに連絡を行って補助事業の説明を行っていると伺っていますが、その中で、補助を申請しない事業者さんの声も伺っているのではないかと思います。
補助を申請しない事業者がいる理由については、どのように分析しているのか、改めて伺います。
○片岡消費生活部長 申請がなかった浴場全てに、直接申請を促しておりますが、全体の二割弱の浴場は、燃料費の状況など、個別の事情により申請を行わなかったものでございます。
○斉藤委員 事前に詳しく伺いましたけれども、例えば燃料費の状況というのは、ガスや電気ではなくて、廃材のまきを使っているということなどがあって、燃料費がかからないというケースもあるというふうに伺いました。
一方で、手続が面倒だということ、先ほどの質疑にもありましたけれども、こういう声が最初の補助のときからあったというふうに聞いています。
私も、この補助の要綱と申請用紙を拝見しましたけれども、提出書類が十種類以上、そして添付書類など、例えば小さな家族経営のようなところでは、本当に大変だろうなというふうに感じました。
この申請の手続の簡素化など、具体的にどのように行われているのか、伺います。
○片岡消費生活部長 都の補助金等交付規則に基づきまして、要綱で根拠書類を定めておりますが、本事業におきましては、これまで添付書類の省略などを行ってきておりまして、今回も、可能な範囲でさらなる簡素化を図る予定でございます。
○斉藤委員 添付書類の省略などを行っているということですが、今年度は、前期の半年分の補助を六月の補正で経営者の方々に申請していただいているので、引き続きの申請の方には、決算書や、直近の燃料費の支払い額が分かる領収書などは求めないということも伺いました。
また、初回のときには、区市からの補助がある場合には、その情報も求めていたようですけれども、今回は、都の方でその情報をつかんでいるということで、求めないということも伺っています。
今回も、可能な範囲でさらなる簡素化を図るということでした。今後の補助に当たっても、なるべく事業者の手続の負担は軽くできるようにしていただくことを求めます。
次に、支援額について伺います。
先ほども質疑がありましたけれども、今回の補正予算は、一浴場当たり十四万四千円、月額で二万四千円となりますが、前回、六月の補正のときには、半年で十八万円、月額で三万円だったので、月額でいいますと六千円の減額というふうになっています。
一浴場当たりの補助上限額が減っている理由についてですが、もう一度、改めてご答弁をお願いいたします。
○片岡消費生活部長 補助上限額は、半年分の燃料費の高騰影響額相当でありまして、令和四年の燃料費実績額と令和五年の燃料費推定額の差額に入浴料金統制額引上げによる増収分を加味したものでございます。
七月に統制額を引き上げたことから、前回とは補助上限額が異なっているものでございます。
○斉藤委員 つまり、燃料費の高騰影響額から、七月に価格統制額の引上げをした分を差し引いているということなんですね。
ご存じのとおり、今年の七月には、東京都公衆浴場対策協議会の議論などを踏まえて、この統制価格は五百円から五百二十円に引き上げられています。その二十円分を差し引いたために、補助上限額が減額になっているということなんですね。
私は、この価格統制額の引上げ分を燃料費の補助から差し引くことが必要なのだろうかということ、大きな疑問です。そもそも銭湯の経営は、特にコロナ禍での影響もあって、本当に厳しい状況が続いています。
五月に行われた同対策協議会でも、経営の厳しい状況について議論されておりますが、六月の議会では、我が党のとや英津子理事も、この場で取り上げています。
都は、都内の標準的な浴場四十軒の収支等の年間過不足を調査していますが、その過不足の平均額は、二〇二一年は約百六十五万円、二〇二二年は約二百九十四万円、そして、今年、二〇二三年の平均不足額は二百九十一万円と推定しているということです。
事業者によって差があるかとは思いますが、平均でこれだけ赤字の状況が続いているということです。
この五月の同対策協議会は、統制価格の値上げについて話し合われていて、私も、この議事録を拝見しましたけれども、本当に切実な意見が多くありました。
都は、統制価格と実際にかかる費用、原価、適正な利益との乖離、いわゆる乖離額というものを毎年算定していますが、今年度の乖離額は七十九円というふうに算定されました。つまり、実際に採算が取れる金額としては、あと七十九円足りないということです。
議事録には、乖離額や昨今の状況を考えると、引上げは避けられないという声や、乖離額が今年は七十九円ということについて、本来このぐらい上げなければ銭湯経営が難しいというのは理解するが、現実的な値上げ幅となると、二十円あたりが上げやすいのかなという声、また、この同対策協議会に先立って開かれた小委員会でも、客離れのリスクを回避したい浴場にも配慮した小幅な引上げがよい、また、物価統制令の消費者保護の趣旨からも、大幅な引上げは避けるべきという声が並んでいます。
経営を考えたら値上げが必須、しかし、お客さん離れを考えたら採算ラインに見合う値上げもできない、また、誰もが低廉に銭湯に親しむことができる消費者保護の銭湯の原点も大切にしたいという思いの間で、本当に経営者の皆さんは苦労されている、苦悩されているということがよく分かります。
ここでちょっと認識を伺いたいんですが、こうした現状の打開には、東京都こそ、その役割を果たす必要があるのではないでしょうか。認識を伺います。
○片岡消費生活部長 銭湯は、利用者の減少や後継者不足による転廃業等のため減少しておりまして、都では、都民の入浴機会の確保と公衆浴場経営の安定を図ることを目的として、本事業も含め、各種支援策を実施しております。
○斉藤委員 私は、コロナ禍以降、都内の幾つかの銭湯の経営者の方々から、とや理事と一緒にお話を伺ってきましたが、今回も改めて経営者の方からお話を伺いました。
最近は、地元の銭湯組合の会合にも毎回参加しているという方でしたが、やはりその会合でも、統制価格の値上げが必要だという声、しかし一方で、お客さん離れが心配で値上げを回避したいという声もあるということでした。だから、そういう意味では、東京都の支援がもっとあれば、それが一番いい解決策なんじゃないかというふうにお話しされていました。
東京都公衆浴場対策協議会でも、同様の声がしっかりと上がっております。都としての支援策を強化していただきたいと改めて思いましたという意見や、本当に銭湯の自助努力だけではやっていけない状況だと思いますので、国や東京都にも手厚い補助をお願いしたいという意見です。
横山局長もここに参加されておられるようでしたので、その現状については、よく認識されていることだというふうに思います。しかし、東京都は、この間、補正による公衆浴場向けの補助に対して、都の財源は一円も出していません。
事業者の悲痛な声を聞けば、東京都こそが、自らの責任で、この補助の拡充と継続を行っていく必要があると思いますが、見解についてお伺いいたします。
○横山生活文化スポーツ局長 ただいま公衆浴場の現状について様々なご指摘をいただきました。
経営が厳しいという状況については、私どもも十分認識をしておりまして、公衆浴場対策といたしましては、今回、補正予算をこういった形で提出させていただいているほかに、従前から、例えば公衆浴場が様々な変わり湯などの事業をやるときに、組合を通じて補助をするですとか、建て替えあるいは省エネルギー化の設備更新等について、様々な補助のメニューも用意しております。
こうした各種メニューを活用しながら、これからも引き続き公衆浴場の経営を支えていきたいと考えております。
○斉藤委員 局長からのご答弁がありましたけれども、しかし、その様々な支援をやっている、その上で上がっているのが、先ほど来ご紹介している、この悲痛な声なわけなんです。
東京都の支援が、今、本当に銭湯の皆さん苦しくて廃業が続いているという中にあって、求められているということを改めて考えていただきたいというふうに思います。
今回お話を伺った事業者さんの中には、来年の四月以降には補助はなくなってしまうのではないかと心配される方もいらっしゃいました。そのときが怖いというお話でした。
公衆浴場は、今でも毎年十軒程度の事業者さんが廃業しているという厳しい状況です。東京都の責任を今こそ果たして、そして、この補助の拡充と継続を行うことを強く求めて、質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○藤井委員長 次に、報告事項、第二次東京都再犯防止推進計画の策定について外二件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤委員 第二次東京都再犯防止推進計画について伺いたいと思います。
既に東京都においては、いわゆるソーシャルファーム条例をつくって、そしてまた、認証ソーシャルファーム事業者が立ち上がっております。
私も、この条例づくりにおきましては、都民ファーストの会の会派内にソーシャルファームPTを設置しまして、その座長として条例づくりに関わってきたというふうに自負してございます。
その中で、就労困難者、受刑者の方も当然含まれるわけでありますので、ソーシャルファーム条例との関わりの視点から質問させていただきたいと思います。
いわゆる受刑者の方、出所された後に、最も再犯防止をする観点から重要なのは、家族と仕事であるというふうに、新宿でいわゆる駆け込み寺をされている玄さんという有名な方がいますけれども、その玄さんも、たしか以前は受刑者であったか、あるいはまた、いわゆる受刑者の方々の支援者として様々なサポートをされてきた方であります。それで、その方が、先ほど申し上げたように、仕事と家族、両方ある人は、やはり再犯をしづらいというふうによくおっしゃっていました。
一方で、刑を受けると、もうその時点で家族を失う方も多いし、当然、仕事を失います。ですので、この再犯防止推進計画、様々策定をされていますけれども、いわゆる都の認証ソーシャルファーム事業の中で、どれぐらい、この間に受刑者の方がそうした事業所でお勤めになっているのか。
その今のソーシャルファーム事業所、幾つあるのか、伺いたいと思います。
○米今治安対策担当部長 都は、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例を制定し、刑務所出所者など、就労に困難を抱える方の雇用を促進するとともに、その雇用が継続されるよう、雇用主がそれぞれの事情に応じて必要なサポートを行えるよう支援しております。
令和五年九月末現在、予備認証を含め、ソーシャルファームとして認証している四十六の事業所のうち、刑務所出所者を雇用している事業所は四事業所と聞いております。
○伊藤委員 ソーシャルファーム事業が、事業所として認定をされて、今、四十六の事業所が認証されているということですけれども、その中で、刑務所出所者を雇用している事業所は四つにとどまっているというふうにいえるかと思います。
ソーシャルファーム条例では、この就労困難者は、必ずしも受刑者に限らず、ひとり親の方であったり、障害を抱えている方々、様々対象にしていますので、この四事業所というのが多いのか少ないのか断言できませんけれども、やはり多くのソーシャルファーム事業者の皆様に、より多く、この元受刑者の方々の雇用に努めてもらいたいという思いがございます。
そういう意味で、このソーシャルファームの理念や取組をより一層広く発信して、ソーシャルファーム事業者の雇用拡大を図っていただきたいと。
そこで、刑務所出所者などの就労困難者を受け入れるソーシャルファーム事業について、今後どのようにこの広報、周知していくのか、伺いたいと思います。
○米今治安対策担当部長 刑務所出所者など、犯罪をした者等の社会復帰、再犯防止を実現するため、就労を確保するとともに、都民の理解と協力を得ていく広報啓発活動を展開することは重要でございます。
都は、現在策定中の第二次東京都再犯防止推進計画において、就労の確保等のための取組としてソーシャルファーム事業を位置づける予定でおります。
今後、都、法務省、更生保護施設などが参加する協議会等で、ソーシャルファーム事業に関する情報を共有、周知することなどを通じ、就労の支援促進に努めていくとともに、刑務所出所者など犯罪をした者等の更生への都民や事業者の理解を深めるよう、広報に取り組んでまいります。
○伊藤委員 先日、地元の公園で行われた、あるフェスタに伺いまして、そこに地元の保護司の方々がブースを出していらっしゃいました。
ちょっと世間話しながら、かつ保護司の方なので、最近の事情などもヒアリングさせていただいたんですけれども、そのときに、ソーシャルファーム条例というのが実はあって、こういうのを我々はつくってきたんですけれども、ご存じですかといったら、やっぱり保護司の方が、その方は少なくても承知されておりませんでしたし、そこにいらっしゃった保護司の方も、一人もご存じなかった。これは非常に残念だなと思いました。
特に保護司の方は、いうまでもありませんけれども、出所された方々の生活相談などをされる立場におありでありますので、やっぱり受刑者の方を積極的に雇用してくれるようなソーシャルファーム事業者あるいはそういう仕組みを保護司の方が承知されていれば、それを元受刑者の方々にお知らせすることができるんだろうと思います。
これ、保護司の方にぜひ、よくこのソーシャルファームの仕組みというのを周知してもらいたいと思うんですけれども、お考えをお聞かせください。
○米今治安対策担当部長 都は、犯罪をした者等の社会復帰に携わる支援者の立ち直りを支援する力の向上を図るため、保護司等を対象とした研修会を実施しております。
また、保護司等の活動の一助とするため、再犯防止に資する社会資源等の情報を掲載したガイドブックを毎年作成することとしています。
これらの取組を通じ、保護司等へソーシャルファーム事業に関する情報を周知し、その活動を支援してまいります。
○伊藤委員 ぜひよろしくお願いします。
この件に限らないのですけれども、どうしても、これ、例えばソーシャルファーム条例をつくったときには、所管局が産業労働局で、今もそうだと思いますけれども、雇用就業部だったと思います。
こども基本条例もそうですけれども、こういうソーシャルファーム条例とかこども基本条例のように各局にまたがるものについては、必ずしも、その条例をつくったときの所管局にこだわらずに、皆さん、別にこだわっているわけじゃないと思いますけれども、やっぱり関連する事業局は、自分たちの所管だというふうにこの条例を受け止めていただいて、そして、ぜひ関わりのある皆様方に、治安対策担当部長からも、そして、その部で働く皆さんからも働きかけをしていただきたいということをお願いいたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。
以上です。
○平田委員 よろしくお願いいたします。
先般、世界陸上とデフリンピック両大会の開催基本計画が策定されました。この計画を基に、今後、大会の準備が進んでいくと思いますけれども、ぜひ都として各大会運営組織と緊密に連携して取組を進めていただきたいと思っております。
さて、このように大会の青写真も見えてきた中で、開催準備に加えて、両大会の開催機運も一層盛り上げていかなければなりません。
かねてより我が会派は、大会への子供の参画が重要と主張してまいりました。開催基本計画にもその点を盛り込んでいただいたほか、先日の本会議におきましても、我が会派の星大輔議員の一般質問で、アスリートが子供たちに競技を教え、体験談を直接伝える交流会を実施するという答弁がございました。
そこで、このアスリートと子供たちの交流会について、具体的にどのように実施していくのか、伺います。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 子供たちにスポーツの魅力やすばらしさを知ってもらうためには、アスリート本人から、スポーツへの思いなどを直接伝えてもらうことが有効であります。
そのため、子供たちがアスリートと一緒にスポーツを楽しみながら、その魅力などを感じていただける交流会を今年度実施いたします。
具体的には、デフアスリートを含めた陸上競技のアスリートを交流会にお招きし、子供たちに体の動かし方を教えたり、これまでの自身の経験やメッセージを伝えていただくこととしております。
○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。今お話にありましたとおり、アスリートと子供たちの交流会について、具体的に検討しているというお話をお示しいただきました。引き続き、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
さて、開催基本計画においては、デジタル技術の活用や共生社会の理解促進についても強く打ち出されました。デフリンピック開催二年前の節目に実施されたみるカフェは、こうした理念を体現した、とてもよい取組であったと思います。
先日の本会議における我が会派の代表質問でも、川松真一朗政調会長が、ご自身が視察された内容を含めて質疑を行いました。
十一月十五日から二十六日までの期間限定でしたけれども、場所が原宿ということもあって、多くの若者でにぎわったというお話でございました。みるカフェが実施する前の来店者数と比べて、大体、倍近い来店者が来られたというような話も仄聞しております。
そこで、先般行われたみるカフェの実績について改めてお伺いいたします。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 みるカフェは、聞こえる聞こえないにかかわらず、デジタル技術を活用して誰もがつながることができる体験を通じて、共生社会への理解が広がるよう行ったものであります。
みるカフェには、来店者が投稿したSNSを閲覧した人が来店するなどの広がりもあり、十二日間で約四千五百名と多くの方々にお越しいただきました。
お越しいただいた方からは、聞こえる人に対しても聞こえない人に対しても優しい環境で、とてもよかったといった声をいただくなど、多くの人たちから好評を得ることができました。
○平田委員 ありがとうございます。みるカフェを訪れた利用者も、また、運営に携わったスタッフの方からも、双方、大変好評だったと伺っております。
今回は、若者のまち原宿ということでしたけれども、都心だけでなく、下町、また三多摩においても、こうした取組をお願いしたいと要望させていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、様々な場面で、また、あらゆる機を捉えて、両大会を通じた社会の変化を都民が体感できるような取組、事業を進めていただくようお願いいたします。
加えて、両大会のレガシーづくりもまた重要でございます。この点、都は昨年度、世界陸上とデフリンピックを通じ、スポーツの力によって東京の未来をつくるため、都が目指す姿としてビジョン二〇二五として取りまとめました。
そこで、このビジョン二〇二五に記載された内容について、現在の取組状況や今後の展開についてお伺いいたします
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 都は、本年二月、ビジョン二〇二五において、みんながつながるや、子供たちが夢を見るなど五つの柱を設定し、両大会を通じた取組の基本的な方針を掲げました。
これらの理念や方向性を踏まえ、十一月に策定されたそれぞれの大会開催基本計画において、より具体的な取組方針が示されました。
現在、都としては、先ほど答弁いたしましたみるカフェや子供たちとアスリートとの交流、大会エンブレムのデザインの選定の子供たちの参画など、様々な取組を展開しております。
今後とも、庁内各局と緊密に連携しながら、効果的な取組について検討を進めるとともに、それらの内容等を都民、国民に分かりやすく伝えてまいります。
○平田委員 ありがとうございます。ビジョン二〇二五に記載された取組の内容を今後展開していくことは大変重要であると思います。
引き続き、様々な取組に丁寧に取り組んでいただき、両大会を成功に導いていただくよう、また、確かなレガシーを残していただくよう改めてお願いしまして、私の質問を終わります。
○かまた委員 私からは、デフリンピック競技大会の開催基本計画に関連をしましてお伺いをしたいと思います。
二〇二五年に開催をされますデフリンピックに向けましては、開催都市として大会を支えるという役割と、また、この東京で開催をされるという機を捉えまして、都民の皆様へ、ろう者の文化を広めていくという役割と、両面があると考えますので、この二点の視点で質問をさせていただきます。
まずは、競技大会そのものを支えるということについてでありますけれども、開催基本計画では、デフスポーツの魅力や価値を伝えて、人々や社会をつなぐということをビジョンの一つに掲げております。
このビジョンを実現するためには、大会の主役でもあるアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるよう大会準備を進めていくことが重要でありますので、我が党は、先日の代表質問でも、選手や競技団体の育成を図るべきと指摘をさせていただきまして、都からは、支援の充実を検討するとの答弁を得たところであります。
しかしながら、現状では、既に有力選手がいる競技がある一方で、競技によっては選手を集めることさえ難しい場合もあるということであります。
そこでまず、東京二〇二五デフリンピックに向けて、大会実施競技における選手の発掘、育成、強化に係る現状の課題についてお伺いをいたします。
○澤崎パラスポーツ担当部長 デフリンピックに向けた選手の発掘、育成、強化につきましては、本来、各競技において、国内を統括する中央競技団体が中心となって実施すべきものでございます。
しかしながら、デフスポーツの中央競技団体は、組織の規模が小さく、選手強化のための合宿等が十分に開催できなかったり、その費用が選手の負担になったりする例があると聞いております。
また、一部、中央競技団体が存在しない競技もございまして、大会に向けた選手の発掘、育成、強化にとって課題となっております。
○かまた委員 そもそも国際的なパラスポーツの競技大会は、一九二四年にパリで開催をされました第一回国際ろう者スポーツ競技大会が始まりだと伺っておりますけれども、現在のパラリンピックの中に聴覚障害者のための競技はありません。
ですので、デフアスリートにとって最高の舞台でありますデフリンピックに向けて、選手の発掘、育成、強化を担う中央競技団体が役割を十分に果たせていないのであれば、都としてもしっかり応援をしていただきたいと強く思います。
また、特に中央競技団体が存在しない競技については、当該競技でのデフリンピック出場を目指す意思がある選手がいても、大会出場の糸口すらつかめないことも想定をされますので、当該競技で日本選手が大会へ参加することの大きな障壁となります。
そこで、デフリンピックに向けて、各競技における選手の発掘、育成、強化について、開催都市である都が積極的な支援を行っていくべきと考えますが、都の取組をお伺いいたします。
○澤崎パラスポーツ担当部長 都は、国際大会等を目指すパラアスリートを発掘し、競技団体とマッチングするための体験会を実施しておりまして、昨年度、デフスポーツを対象に加え、今年度も二回の体験会を実施しております。
また、デフアスリートも含め、国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手に海外遠征費等の支援を実施しているほか、今年度から、デフリンピック競技の中央競技団体が都内で開催する強化合宿等に対しても支援を行っているところでございます。
なお、中央競技団体が存在しない競技については、団体の設立や健聴の中央競技団体との連携を関係者に働きかけております。
今後も、大会出場が期待される選手の発掘、育成、強化が競技団体により着実に実施される環境の整備に努めてまいります。
○かまた委員 団体とのヒアリングや、また、健聴の中央競技団体とも連携を進めてくださっているということで、都が努力をしてくださっていることは分かりました。デフリンピックまであと二年となりますので、ぜひ引き続き各競技への支援をお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、ろう者の文化についてお伺いをいたします。
デフリンピックは、世界各国や地域から数多くの聴覚障害を持つデフアスリートが東京に訪れ、熱戦を繰り広げます。今後、ぜひ検討していただきたいこととしましては、デフアスリートの方々が、私たちの歓声や、また拍手を感じていただけるような、そんなシステムを構築していただきたいと思いますし、また、競技を観戦している方々にとっても、例えばスタートの合図を音ではなくてスタートランプであるなど、デフスポーツを知る仕掛けづくりを検討していただけたらと思いますが、何よりも重要なことは、この機を逃すことなく、共生社会とはどのような社会なのか、多くの方々に感じたり考えたりしていただきたいということであります。
そこで、都には、そのための様々な仕掛けづくりをぜひ進めていただきたいと思いますけれども、東京二〇二五デフリンピックを契機に、まずは、ろう者の文化を身近に感じてもらう取組が重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 都では、手話や聴覚障害を身近に感じられるよう、先般開設したホームページにおいて、デフアスリートや社会で活躍する聴覚障害者の活動等を発信しております。
また、エンブレムの選定に当たっては、聴覚障害者、視覚障害者のための国立大学法人である筑波技術大学の学生がデザイン案を制作し、聴覚障害者を含む都内中高校生による投票を行うなど、当事者に積極的に参画していただいております。
さらに、現在、子供たちが手話単語に簡単に触れることができる動画を制作しており、今後、様々な機会を捉えて広く活用してまいります。
○かまた委員 手話や聴覚障害について理解を深めていただくためには、都民が手話など、ろう者の文化に触れる機会を用意していただくことが重要であります。ぜひ二〇二五年に向けて取組をさらに進めていただきたいと思います。
また、ろう文化を身近に感じた後の次のステップとして重要なのが、健聴者と聴覚障害者との交流の場であります。
先ほども話がありましたけれども、都は、みるカフェをオープンいたしました。私も十一月二十五日に行かせていただきまして、まず、目に留まったのが、店の外で楽しそうに順番を待ちながら手話で会話をしている方々の様子でした。
その姿から、聴覚に障害を持つ方々が、自分たちにスポットを当ててくださったこのお店をオープンしたことにとても喜んでいることが伝わりましたし、また、ふだんから、きっとこの方々は大変な思いをしながら、まちに出ているんだなというふうに感じました。
そして、改めて共生社会の構築が重要であることも、強く私自身が感じました。
そして、店内も非常に盛況でして、店内の様々なブースでは、健聴者と聴覚障害者が交流をしていたりと、ろう文化を知る場として、本当に有効なすばらしい取組でありました。
そこで、東京二〇二五デフリンピックに向けまして、聴覚障害者と一緒に交流できるような機会を積極的に設けていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 デフリンピック二年前の取組として実施したみるカフェでは、お客様とスタッフ、あるいはスタッフ同士など、健聴者と聴覚障害者との交流が見受けられました。
また、先般公表した大会開催基本計画においては、未来へつなぐにおいて、障害のあるなしにかかわらず、一緒にスポーツを楽しむイベントの展開や、ろう者の文化への理解など、交流を通じて共生社会の大切さを学ぶことを掲げております。
今後、デフアスリートを含むアスリートと子供たちが交流し、スポーツを楽しむ機会を創出するなど、二〇二五年に向けて、引き続き、誰もが参画できる取組を実施してまいります。
○かまた委員 みるカフェのほかにも様々な交流の場を検討してくださるということで、非常に期待をしております。
私も、みるカフェに行きまして、ぜひこのすばらしい場に多くの方々に来ていただきたいと思ったんですけれども、残るは最終日ということで、誰にも周知できずに終わって、とても残念に思いました。
参加することで、ろう者の文化に触れること、そしてまた、いろんな方々の様子を見ることで、必ず多くのことを学び取りますので、ぜひ今後開催をする際には、イベントなどを開催する場合には、私もしっかりと周知をしていきたいと思いますけれども、例えばチラシを学校経由で配布をしていただきまして、子供がいる各家庭にも届けるなど、工夫をしていただきたいと思います。
そして、ぜひ都民の多くの方々がろう者の文化に触れる、そういうきっかけを有効に活用していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、基本計画の中には、世界中から集まる選手や関係者などをおもてなしの心でお迎えするとともに、東京の持つ魅力を感じてもらうともありますけれども、来日される方々の多くは聴覚に障害を持つ方々でありますので、日本での滞在や、また、日本の文化体験を楽しめる工夫も必要になると思います。
そこで、デフアスリートが日本文化に触れ、楽しめる機会を工夫して設けていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
○清水事業調整担当部長 先般公表いたしました基本計画においては、芸術文化や食など、東京の持つ多彩な魅力を感じてもらい、世界との絆を深めていくことを柱の一つとして掲げております。
今後、大会を契機に日本を訪れる人が楽しめる芸術文化の取組を展開し、共生社会に向けたメッセージを発信してまいります。
また、東京産の魅力あふれる食材を大会関連イベントで活用するなど、デフアスリートが日本でまたとない経験ができるよう取り組んでまいります。
○かまた委員 大会におきまして、様々なおもてなしが行われることが分かりました。具体的な内容を検討する際には、デフアスリートの方々の立場に立って、日本の魅力に触れる仕掛けづくりを進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、手話について質問させていただきます。
円滑な競技運営のためには、海外から来るデフアスリートのコミュニケーションに必要な国際手話通訳者を確保することが重要でありまして、さきの代表質問でも質疑をしたところでありますけれども、当事者とも連携し、しっかりと準備を進めてほしいと考えます。
そして、そこにとどまらず、本大会を契機に、デフスポーツ振興のためにも、国際手話人口の裾野拡大を図ることも重要であります。
我が党は、第一回定例会において、国内における国際手話の人材が少なく、急ピッチで育成しなければならないことについて質疑をさせていただき、大会に必要となる国際手話人材について、令和五年度より育成講座の受講費用を支援していくという答弁を得たところであります。
そこで、国際手話普及促進事業を活用し、裾野拡大に取り組むべきと考えますが、現在の実施状況についてお伺いをいたします。
○清水事業調整担当部長 デフスポーツの国際大会における国際手話人材を確保するためには、国際手話人口の裾野拡大が重要であります。
そのため、都は、令和五年四月から国際手話普及促進事業を実施しており、これまでに延べ三百三十一人から申込みがあったところでございます。
大会において、手話人材を適切に配置できるよう、着実に事業に取り組んでまいります。
○かまた委員 ありがとうございます。大会に向けた情報保障環境の整備につきましては、競技のための環境整備から会場内の案内に関する整備など、それぞれの目的に合わせて工夫しながら進めなければなりませんので、きっとご苦労も多いかと思います。
しかしながら、大会当日の環境整備にとどまらず、デフスポーツ振興のためにも、大会のレガシーとして国際手話人口の裾野拡大の取組は非常に大切な事業でありますので、ぜひ引き続き推進していただきますよう要望しまして、質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○斉藤委員 私からは、第二次再犯防止推進計画について伺います。
都は、再犯防止推進法に基づく地方再犯防止推進計画として東京都における取組を策定し、第一次計画では、犯罪を犯した者による再犯を防止するために、就労や住居の確保や、高齢者や障害のある方への支援など、再犯防止推進に係る課題に対応した施策に取り組んできました。
今回は、その取組と検証を踏まえて、第二次の計画の案をまとめたということです。
まず初めに伺いますけれども、第一次計画の実施を踏まえて、強化されていることはどんなことか、伺います。
○米今治安対策担当部長 都は、第二次再犯防止推進計画案で、都、区市町村相互の強固な連携等により区市町村における取組を後押しするなど、三つの基本的な方向性を設定し、就労、住居の確保等、六つの重点課題をそれぞれ充実強化していくこととしております。
○斉藤委員 第一次計画の下で、都は、国と東京都、区市町村や都内の関係機関、団体等で構成する東京都再犯防止推進協議会を設置しています。その取組の検証の中で、受刑者中の再入者率が減少するなど、一定の成果が上がってきたものの、この課題についても確認されたということです。
第二次計画案の中に記載されていますけれども、この就労、そして住居の確保等、その解決には、東京都、国、区市町村、民間協力者等の一層の連携強化が不可欠であるということ、また、情報が様々な場所に点在しているため、犯罪をした人などの支援者が再犯防止に関わる情報を容易に入手できないなどの課題が示されているということが掲載されています。ご答弁のとおり、都と区市町村の連携の強化が重要だということだと思います。
また、ご答弁にありました六つの重点課題については、計画案の五ページに掲載されていますけれども、就労、住居の確保や保健医療、福祉サービスの利用の促進、そして、非行の防止、学校と連携した修学支援などが掲げられています。どれも重要なものだというふうに思います。
対策については、この都庁内で関係部署が各所にわたる幅広いものになりますけれども、生活文化スポーツ局としては、この計画の取りまとめのほか、特に青少年への支援の関わりが、その大きな役割になっているかと思います。
計画案では、非行歴のある若者やその保護者も対象とした東京都若者総合相談センター、若ナビαが、その相談や支援の窓口として重要な役割を担っていることが分かります。
若ナビαに寄せられた相談件数と、どのような相談が寄せられているか、そのうち他機関へ支援をつなげている実績はどのくらいあるのか、また、犯罪を犯した若者についての相談はどれくらいあったのか、伺います。
○米今治安対策担当部長 令和四年度に寄せられた相談件数九千二百八十九件の主な相談内容は、生きづらさや孤独を感じるといった自分自身に関することが最も多く、次いで、家族関係に関すること、仕事に関することとなっております。
このうち、支援機関や相談窓口を案内した件数は三千三百八十四件でございました。
また、犯罪をした若者についての相談は六十二件でございました。
○斉藤委員 全体の相談件数九千二百八十九件のうち、三割以上は支援機関などを案内しているということ、また、その中で、犯罪をした若者についての相談は六十二件あったということです。全体の割合からすれば一%に満たない件数ですけれども、それでも六十二件あったということは、意外と多いという印象を受けました。多いから単純に悪いというふうには思わないのですけれども、犯罪をして悩む若者や保護者などが、困難を乗り越えてその後によりよく生きていくため、そして再犯を防ぐためにも、頼ってもらえるということは重要なことだというふうに思います。
そして、最初のご答弁にあったとおり、若ナビαから案内を行った支援機関や相談窓口との連携強化が必要なのではないかというふうに思います。事前に伺ったお話では、支援機関や相談窓口を案内した後に、実際に支援につながっているのかどうかは確認されていないということでした。
情報共有には、個人情報の扱いなど丁寧に対応することも必要ですけれども、より積極的に支援につなげられるように、案内を行う機関とは連携強化を行って、困難を抱える若者を支援する体制づくりを強めていただきたいというふうに要望いたします。
六つの課題には、犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導、支援等という項目があります。
四六ページ以降にその詳細がありますけれども、性犯罪者やストーカー、DV加害者などへの対応の記載のほか、痴漢加害者に対する啓発等という項目があります。
痴漢対策については、今回、初めて掲載されたものなのか、また、この実態調査について、現在の状況について伺います。
○米今治安対策担当部長 痴漢対策について、都は、関係局や警視庁で構成されるプロジェクトチームを立ち上げ、取組を進めております。
このため、痴漢加害者に対する啓発等を第二次東京都再犯防止推進計画案に盛り込んだところでございます。
なお、痴漢被害実態把握調査については、現在取りまとめ中でございまして、できるだけ早く公表する予定でございます。
○斉藤委員 痴漢対策については、今回の計画案で盛り込んだということなので、新たにこの計画の中に位置づけられたということだと思います。
我が党は、党内のジェンダー平等委員会が行った痴漢の実態調査を基に、二〇二一年の第一回定例議会の一般質問で米倉春奈都議が、痴漢などの性犯罪について、都の再犯防止計画に位置づけることを求めておりました。その中で、実際に、第二次のこの計画に位置づけられたということは大きな前進だというふうに思っています。
また、痴漢撲滅プロジェクトの一環として現在行われている実態調査については、委託調査ですけれども、今月中に取りまとめるというふうに伺っています。ご答弁のとおり、できるだけ早い公表を行って、今後の取組に生かせるようにしていただきたいというふうに思います。
国の第二次再犯防止推進計画には、性犯罪の再犯防止について、性犯罪再犯防止プログラム等の指導等について、指導者育成を進めるなどして一層の充実を図るなど、より具体的に示されています。
海外のように、GPS等によって位置情報を把握するということなど、慎重に考えるべきこともありますけれども、都の計画においても、性犯罪の再犯防止の観点を強化していく必要があるのではないかと思います。
都としても、性犯罪と、特にその再犯防止の必要性について理解を深め、位置づけを高めていく必要があると思いますが、見解を伺います。
○米今治安対策担当部長 今回の都の計画案は、罪名にかかわらず、再犯防止に資する取組を推進するために策定したものでございまして、性犯罪につきましては、国と同様に、特性に応じた効果的な指導、支援等のための取組において位置づけております。
○斉藤委員 罪名にかかわらず取組を推進するということですけれども、私も、性犯罪以外の犯罪に対する再犯防止も重要だということは、もちろん理解しています。
今、ご答弁で、国と同様に位置づけているということなんですが、国の方がもう少し具体的に、ここは掲載されているんですね。なので、都としても、やはり取組の引上げが必要だというふうに思います。
この性犯罪については、この間、なかなか被害者が声を上げられず可視化されてこなかった中で、最も身近な性犯罪である痴漢の問題や、そして、今現在は、この間、長年黙殺されてきたジャニーズ事務所での少年たちに対する性虐待、性犯罪が明るみになるなど、大きな社会問題になっています。
また、性犯罪に対しては、被害者が声を上げにくい現状がある中で、犯罪が表面化しても示談や不起訴で終わるケースが多くて、さらに、表面化しているのは氷山の一角というふうにいわれています。
その中で、痴漢をはじめとする性犯罪は、法務省が行っている再入者率の調査、つまり、再犯で逮捕されて収容される者の数には表れない再犯率の高さや、その常習性について、専門家から指摘をされています。
まさに今、可視化されてきた性犯罪という大きな問題に対して、東京都がより対策を深めていくことは不可欠なことではないでしょうか。
そのためにも、東京都再犯防止推進協議会に、性犯罪やその再犯防止に詳しい専門家を入れるなどして、理解や対策を深めていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○米今治安対策担当部長 東京都再犯防止推進協議会は、都、区市町村、国の関係機関、民間団体、弁護士、有識者、犯罪被害者当事者等から構成されておりまして、性犯罪をはじめとした再犯防止について知見を有する方の意見を聴取しております。
○斉藤委員 現状のお答えだったのですけれども、ここは、ちょっともう少し、もっと前向きな答弁をぜひともしていただきたかったところです。
都は、実際に、今年七月に行われた安全・安心まちづくり協議会において、性犯罪やその再犯防止の専門家を招いて講演を行っています。理事者の皆さんはよくご存じのことと思いますけれども、講師として、男が痴漢になる理由の著者で、大船榎本クリニックで性犯罪の再犯防止プログラムを行っている斉藤章佳さんと、そして、性犯罪の被害者の実態に詳しい上智大学の齋藤梓准教授をお招きした講演です。
私もこの議事録を読ませていただきましたが、大変勉強になりました。痴漢や性犯罪を行う者の特性や認知のゆがみなど、見過ごされてきた実態がよく分かる内容でした。
この中で、斉藤章佳さんは、痴漢の加害者は、捕まるまで性犯罪を繰り返しているという実態や、性犯罪を繰り返さないための行動変容の治療プログラムが必要だということを指摘しています。
また、齋藤梓准教授は、被害者が深く傷つき、その後の人生に大きく影響をするトラウマを負ってしまうこと、また、そうした被害者への支援の強化や、行動する第三者、アクティブバイスタンダーを広げていく必要性を訴えています。
非常に学びになる内容だったのではないかと思います。
痴漢や性暴力、性虐待を受けた方々が、この間、勇気を出して声を上げ続けています。このことに応えて、東京都が性犯罪とその再犯防止の取組について知見を集めてレベルアップをさせて、そして対策を強化していくということを強く求めて、質問を終わります。
○風間委員 私の方からも、第二次東京都再犯防止推進計画について伺います。
先ほどの答弁にもありましたように、今回のポイントは市区町村との連携強化というお話がありました。区政を見てきた立場からすると、こういったところに取り組めるほどの余裕のない地方自治体もかなり多いのではないかなと思います。
特に、体制面、財政面、ノウハウ面、こういったところでも、なかなか取り組みにくい状況なのではないかなと感じていたところでありますけれども、こちらの計画書の中にも、そういったことが触れられているなと。
そのような状況で、実際にこの課題認識が記載されているわけですが、具体的にはどのように支援強化していくのでしょうか。
○米今治安対策担当部長 都は、市区町村における再犯防止の取組を支援する区市町村サポート事業を実施しており、具体的には、市区町村の職員を対象とした研修会や、住民からの相談を適切な解決につなげる助言やメールマガジン等の配信を行っております。
また、再犯防止等の推進に向けた区市町村担当者連絡会を継続して開催し、都、市区町村相互の情報交換、取組事例の共有等を推進し、連携を図っております。
○風間委員 各自治体ごとに情報共有をしていくというのは、非常に重要だと思いますけれども、その区市町村担当者連絡会では、これまでどのような成果が実際にあったのでしょうか。
○米今治安対策担当部長 区市町村担当者連絡会においては、これまで再犯防止に積極的に取り組んでいる自治体から、再犯防止推進計画を策定した経緯や概要等、実務に即した事例を紹介してもらっております。
参加した自治体からは、こうした他の市区町村の参考になる情報を得られ、施策推進に資するといった声を聞いております。
○風間委員 市区町村との連携という中で、この計画書の中にも個別詳細なものも記載されているものもありますけれども、その中でも区市町村障害者就労支援センターによる取組の推進というものがありました。
これについては、具体的にどのような支援をしてきたのか、また、実績も教えてください。
○米今治安対策担当部長 市区町村が設置した障害者就労支援センターでは、就労面の支援と就労に伴う生活面の支援を一体的に提供する区市町村障害者就労支援事業を推進しており、都は、就労支援コーディネーター等の配置に際し補助を行うことで、市区町村を支援してきております。
現在、五十一の市区町が障害者就労支援センターを設置していると聞いております。
○風間委員 多くの市区町村が設置をしていて、コーディネーターの配置に補助をしているという、これ、この中でも再犯防止にどれぐらい取り組んでいるのかということは、この第二次計画を進めていく中でも、ぜひ注視していってもらいたいなと思います。
次に、もう一つ、各区市町村の課題としても、空き家活用というのは、どの自治体も取り組んでいることかと思いますけれども、ご承知のとおり、民有であることから、なかなか取組が進んでいないということは私も感じてきているところです。
この計画の中には、こういった自治体が空き家活用をしている場合には支援をしていくというような記載がありますけれども、これ、具体的にどんな支援をしていくのか、また、実績があるのかも含めて教えてください。
○米今治安対策担当部長 今回の計画案では、自立準備ホームの確保に向け、民間が地域の活性化に資する施設として空き家を活用する際に、区市町村が改修工事費に対する補助を行う場合等に、市区町村に財政支援を行うこととしております。
本取組は、第一次計画期間中から継続するものとなりますが、これまで市区町村からの申請実績はないと聞いております。
○風間委員 非常に注目すべき取組だとは思いますけれども、なかなかその空き家活用が難しいという状況の中で、こういった再犯に関して空き家活用していくというのは、自治体としてもすごくハードルの高いことだとは思うんですね。ただ、ぜひこういったことは進めていただきたい。市区町村も頭を悩ませている問題かと思いますので、都のより一層の支援体制を今後検討していただければなと思います。
次に、私たちは、若者の再犯防止支援というのは特に重要だと考えているところですけれども、高校中退者向けの高卒程度認定試験受験支援というものが記載をされていました。
これは、具体的に誰がどのように行うものなのでしょうか。
○米今治安対策担当部長 今回の計画案では、教育庁において、都立高校を中途退学した者を対象に、NPOと連携し、都内四か所で高等学校卒業認定試験の受験等に向けた支援を実施することとしております。
○風間委員 民間団体との連携ということで、こういった社会全体で若者たちの再犯防止に取り組んでいくということは、今後ますます進めていっていただきたいなと思いますので、都としても、教育庁としても、より一層支援していただければなと思います。
また、近年のヤミバイトなど、若者が安易に犯罪に手を染めてしまうなんていうことも多々あろうかと思いますが、この再犯防止に向けてどのような支援をしていく計画なのか、教えてください。
○米今治安対策担当部長 今回の計画案におきましては、少年院において、演劇等を通じ、特殊詐欺の受け子になるなどの暴力団への安易な関与、加入や再非行防止を働きかけ、在院者の更生を支援することとしております。
また、犯罪をした者やその家族等を対象とした相談窓口、犯罪お悩みなんでも相談では、社会福祉士等の専門職が電話等による相談を受け、適切な支援につなげております。
○風間委員 こちらも、先ほど申し上げたように、犯罪のつもりもなく、高額バイトだからというところで手を染めてしまって抜けられなくなってしまったなんていうことが、このところよく報道されておりますけれども、そういった若者たちの支援という観点も、市区町村と連携をして取り組んでいくように改めて求めるものであります。
最後に、性犯罪のことについても伺う予定でありましたけれども、先ほどかなり答弁もいただいていたことですので、私の方からの意見としましては、再犯率が高いといわれる性犯罪については、より一層、警視庁との連携も含めて、力を入れて取り組んでいく必要があろうかと思いますので、引き続き注視していきたいと思います。
続きまして、世界陸上開催基本計画についても少し伺っておきます。
世界陸上が東京で行われるということに関しては、期待する声も、たくさん都民の皆さんから聞くところでもあるし、私自身も非常に楽しみにしているところでありますが、しかしながら、全世界が注目をするスポーツ世界大会については、この東京で行われるということについて、やはり少し不安視する声も大分聞くところであります。
それだけ、東京オリンピックで起こってしまったあの事件については、まだまだ皆さんの記憶に新しいところだと思いますから、こういったことの再発防止策をしっかりと取られているのかということが非常に重要なんだと思います。
特に、組織の中に民間企業人が入り込むということである場合には、そこからの利益誘導であったりとか、公正な取引が行われないというようなことが今回明らかになってしまったわけですから、こういったことが起こらないような取組が必要だと思いますが、都として、これをどのようにガバナンスを確保していくのかということについて確認させてください。
○三浦事業調整担当部長 国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインにおいては、利益相反に伴う問題を防止するために、専門性を有する人材の直接雇用の活用等、民間企業からの出向受入れに頼らない工夫を行い、出向者を活用せざるを得ない場合も、ポストや業務内容、権限の公表等の対策を講じることとしております。
また、マーケティング業務について、委託等に関する方式の検討経緯や選択理由等を公表し、公正性を担保することとしております。
○風間委員 昨日も、東京オリンピックの件で、かなり大きく報道されていましたけれども、マーケティング等、かなり大きなお金が動くという状況ですから、都の取組というものも非常に重要ですけれども、実際に、この財団自身が、それに基づいてどのように取り組んでいくのかということこそ、やはり重要だと思います。
そのあたりについても確認させてください。
○三浦事業調整担当部長 財団は、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインを踏まえて、適切なガバナンス体制を確保することとしております。
具体的には、役職員等の利益相反に関する自己申告書やチェックシートの提出など、利益相反の該当性を適切にチェックしていくことに加え、外部有識者の委員で構成した第三者審査委員会での審査を通じて、人材の採用等に係る適正性等を担保してまいります。
また、スポンサー確保については、公募など透明性の高い手法を検討することとしております。
○風間委員 同じ財団の職員の中でも、東京都庁から出向している職員の皆さんが関わることによって私腹を肥やすようなことなどは全く考えられないわけですね。
しかし、ビジネスをしているということであれば、そこから何らかの利益を生もうということを考えてしまう企業人といいますか、ビジネスパーソンは、やはりいるのであろうと、昨日の報道なんかを見ていても感じるところでありますので、第三者委員会等でしっかりと監視していくということですから、都としても、しっかり行われているか監視をしていただきますように改めて求めまして、私の質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時五十七分休憩
午後三時二十分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
まず、第二次東京都再犯防止推進計画について伺います。
最初に、海外でも重要視されている再犯防止、また、国でも活発に議論されている性犯罪について伺いたかったのですが、先ほど質疑がありましたので、割愛をさせていただきたいと思います。
こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議の性犯罪の再犯に関する資料では、平成二十年七月から二十一年六月までの調査で、性犯罪再犯率が一三・九%とあり、被害の性質上、看過できないとされています。
また、小児わいせつ型の性犯罪で有罪確定した者のうち、それ以前に二回以上の性犯罪前科を有している者について見ると、それらの前科も同じく小児わいせつ型であった者の割合は八四・六%であった、この数値は再犯率ではないものの、小児わいせつ型の性犯罪に及んだ者の中に、複数回の刑事処分を受けているにもかかわらず、同じ小児わいせつ型の性犯罪を繰り返す者が一定数存在することが認められるという記載があります。
性犯罪は、被害者の心身に回復困難な被害を生じさせ、その影響は大変大きいものです。また、被害を受けた子供の受けた傷の深さは計り知れません。性犯罪の再犯防止につながる積極的な取組を私からも要望いたします。
再犯防止等に関する施策は、民間団体、その他の関係者から意見聴取するなどして見直しを行い、社会情勢等に応じた効果的なものにすることとありますが、どういった団体、関係者を想定しているのでしょうか。
○米今治安対策担当部長 都は、再犯防止推進協議会及びその実務者会議の構成員である区市町村、国の関係機関、民間団体、弁護士、有識者、犯罪被害者当事者等から意見を聴取しております。
本会議等において、再犯防止に係る取組やその課題に係る協議、情報交換を継続的に実施しております。
○田の上委員 幅広い関係者からの意見を聴取しているとのことで、様々な意見を参考にしていただきたいと思います。
次に、保護司の高齢化などにより、現在、保護司が不足しているという声も聞きますが、現状や認識について伺います。
○米今治安対策担当部長 令和五年一月現在、都内の保護司の定数は四千三百七十五人のところ、三千三百六十人が委嘱されており、充足率は約七七%でございます。
保護司の確保が難しい背景として、高齢化や活動に伴う精神的な負担等により、新規の担い手が少ないことなどが挙げられます。
今年度、国は、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を立ち上げており、都として、保護司の確保は重要な課題と認識しております。
○田の上委員 私も、地域の方で保護司の不足ということをよく聞いておりますので、国の取組かと思いますが、引き続きご支援をお願いいたしたいと思います。
就労の確保等では、就労支援の取組の一層の充実が求められるとあり、若ナビαなど相談の充実とともに、民間事業主である協力雇用主の拡大が必要です。
都では、普及啓発のみならず、協力雇用主の公共調達の受注機会の増大を図るというふうにありますが、どのようなインセンティブを考えているのでしょうか。
○米今治安対策担当部長 都は、業務委託契約において、入札方法について総合評価競争入札で行う場合、案件に応じて、落札者決定基準の政策的評価項目として保護観察対象者等の雇用を設定することで、協力雇用主の受注機会の増大を図っております。
○田の上委員 総合評価競争入札での政策的評価項目となっているということであります。引き続き、様々、インセンティブ等、工夫していただければと思っております。
民間事業者で出所者の雇用の経験がある方に話を聞きました。時間を守ることが難しいであるとか、欠勤時の報告をしない方もいるというような声がありました。また、概して就労が定着しないなどのご意見をいただきました。
国の関係機関における主な取組として、就労に必要な基礎的能力等を身につけるための指導等実施など記載がございますが、産業労働局で障害者就労時に派遣するジョブコーチのような就労者を支える人材が必要ではないかと考えます。見解を伺います。
○米今治安対策担当部長 法務省では、矯正施設及び保護観察所において、コミュニケーションスキルの付与やビジネスマナーの体得を目的とした刑務作業や指導を行うなど、犯罪をした者等の勤労意欲の喚起及び就職に必要な知識、技能等の習得を図るための処遇の充実を図っております。
また、出所後については、保護観察所等において、犯罪をした者等に対し、悩みなどを把握した上で適切な助言を行うなど、離職を防止するための支援や離職後の再就職に向けた支援を行っております。
○田の上委員 せっかく就労した方が、もちろん就労定着していた方がいいですし、雇用主にとっても、一生懸命働いてくださった方がありがたいというものであります。
技能習得の支援をはじめ、保護観察所等で助言をしているとのご答弁でありますが、計画には寄り添う支援の例も掲載されておりましたが、今後も伴走型の支援が効果的ではないかと考えますので、丁寧なご支援をお願いしたいと思います。
次に、住宅の確保について、自立準備ホームも民間も信用確保が必要です。
例えば、よく聞くのですが、夜逃げの場合に、部屋をそのまま、荷物があるので動かせない。家賃が入らなくなってしまうなどの問題があります。補償制度をつくるべきだと考えます。
出所後の家賃負担は大きな課題でありますが、住居の確保についての取組も伺います。
○米今治安対策担当部長 今回の計画案では、住宅確保要配慮者に、賃貸住宅への入居支援や生活支援等を行う居住支援法人の指定、東京都居住支援協議会を通じて関係団体に情報提供等を行うことで、住宅確保要配慮者の円滑な入居促進を図っていくこととしております。
○田の上委員 主に入居促進の取組についてご答弁いただいたような印象でありますが、物件を貸す側が貸しやすくできるように、そういう仕組みが必要であるというふうに考えております。何か月も部屋の賃貸が滞ってしまうという状態を解消する、または補償する制度をさらに検討していただきたいと要望いたします。
修学支援等のための取組では、ここでは未然防止の施策はたくさんございますが、再び学ぶための支援が少ない印象であります。少年院在院中の進路指導、相談をするべきと考えます。
都では、犯罪に関する相談事業がありますが、どのような相談があり、必要な支援につなげるとされる一連の流れについて取組を伺います。
○米今治安対策担当部長 都は、犯罪をした者やその家族等を対象とした相談窓口、犯罪お悩みなんでも相談を設置して、社会福祉士等の専門職が電話等による相談を行っております。
相談内容としては、万引きに関するものなどがあり、本人の状況や生活環境等についてアセスメントを行うことで、的確かつ必要な支援につなげています。
○田の上委員 本人の状況や生活環境等についてアセスメントを行い、その人に合わせた的確な支援をしているというようなことだと思います。引き続き、修学支援も含めた社会復帰につながる相談支援をお願いしたいと思います。
東京二〇二五世界陸上競技選手権大会開催基本計画が発表されました。
都の関与について、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインの要件を満たす国際スポーツ大会であれば、都は関与していくということでよいでしょうか。
関与をするとすれば、どのような手続をするのか、実際に世界陸上及びデフリンピックではどのようにしているのか、伺います。
○三浦事業調整担当部長 本ガイドラインは、要件を満たす国際スポーツ大会のうち、都と大会運営組織が協議を行い、未来の東京につながるレガシーを残していく等の目的の実現に向けて認識を一にしたものに適用することとしております。
また、大会運営組織からの求めにより、必要となるサポートを行うことができるとしており、サポートを適切に実施するために、大会運営組織との間で協定を締結するものとしております。
こうした規定を踏まえ、各大会運営組織と協定を締結しております。
○田の上委員 つまり、運営側から要請があって、東京都がガイドラインを確認し、また、相手方との協議を経て、目的の実現に向けて認識を一にした大会において関与していくということかと認識をいたしました。
協定も締結しているということでありますが、世界陸上大会であれば、世界陸上財団と東京都が結んでいる、夏季デフリンピックであれば、全日本ろうあ連盟と東京都が協定を締結するということでいいですね。−−はい。
また、両大会とも、同じようにガイドラインが適用されていることと理解をいたします。
主催は世界陸上連盟、主管は日本陸上連盟です。一般財団法人世界陸上財団と世界陸連は、契約を締結中というふうに聞いているんですけれども、東京都は、開催都市として契約を結ばないのでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 大会開催に関する契約につきましては、大会を主催するワールドアスレティックス、大会を招致した日本陸連、大会を運営する世界陸上財団の三者で、締結に向けて調整中と聞いております。
○田の上委員 大会開催に関する契約については三者で締結をされ、東京都においては、世界陸上財団と協定を結んで関わっているということですね。
基本計画は世界陸上財団が策定したということになっておりますが、財団は大会にどのように関わるのでしょうか。事務局ということでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 財団は、東京二〇二五世界陸上の準備及び運営に関する事業を行う組織でございます。
○田の上委員 運営の主体であり、実行委員会のようなものというふうに捉えてよいのかと思います。
一般財団法人世界陸上財団の設立経緯を教えてください。東京都は、既に何人も理事を送っていますが、どのような経緯で設立されたのでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 財団は、都のガイドラインも踏まえ、令和五年六月三十日の設立時理事会におきまして、代表理事の選定、ガバナンスの確保をはじめとした今後の財団運営についての申合せ等を実施の上、同年七月四日付で設立されました。
○田の上委員 陸連の方が中心となり設立されたものと認識しますが、よろしいですね。−−はい。うなずいていただきました。
一方、デフリンピックについては、一般財団法人全日本ろうあ連盟、東京都、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団が開催基本計画を策定したことになっています。
世界陸上の方とどのような違いがあるのでしょうか。伺います。
○三浦事業調整担当部長 東京二〇二五世界陸上につきましては、大会準備及び運営に係る業務を行う組織である財団が基本計画を策定いたしました。
東京二〇二五デフリンピックにつきましては、大会準備及び運営に係る業務を全日本ろうあ連盟、東京都、東京都スポーツ文化事業団で分担しているため、三者で基本計画を策定しております。
○田の上委員 大会によって、様々、仕組みが異なっていて難しいのですが、この二大会とも、東京都が関与していくガイドラインに沿って進んでいるということであると思います。
都の職員は研修として派遣するものの、財政的支援についてはどのくらいの規模なのか、まだ決まっていないのでしょうか。
例えば、警備や交通網など、東京二〇二〇大会のときに都が負担した運営に関わる経費や、途上国のアスリートが来日するときの渡航費用なども発生すると考えますが、都の資金計画はないのでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 ガイドラインでは、大会運営組織において適正かつ効率的な運営が確保されることを前提に、大会運営組織からの求めにより、人的、財政的支援等を通じ、大会規模や態様等に応じて必要となるサポートを行うことができることとしております。
世界陸上の事業費等につきましては、財団において検討されるものと認識しております。
○田の上委員 事業費等、まだこれから検討ということです。
東京都は、いずれにしましても、大会運営組織からの求めにより、人的、財政的支援をしていくということは決まっていると。ただ、東京都のサポートがどれくらいになるのか、どんな関わりをしていくのかというのを明確にしていくために、今後、詳細に資金計画等も示していただくことを要望いたします。
都は、世界陸上に対して、何の義務も−−義務ですね、発生しないという理解でいいでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 都と財団が締結した基本協定におきまして、都は、大会の準備、運営に係る必要なサポートに関すること、コンプライアンス、情報公開、ガバナンス確保等に関する必要な助言及びサポートに関することなどを担うこととしております。
○田の上委員 協定において役割分担をしているということかと思います。ただ、都がどれぐらいの規模で支出をしなければいけないとか、こういったサポートをしなくてはいけない、大きくは分かれていますけれども、決まっていないということかと思います。
ガイドラインについて、以前、文教委員会で桐山議員が質問をしたときに、大会運営組織については、ガイドラインを踏まえた運営が確保されることを前提に、必要なサポートを行うという答弁がありました。
都が定めるガイドラインに一般財団法人が従う義務があるのか、また、ガイドラインの実効性確保の法的根拠は何なのか、伺います。
○三浦事業調整担当部長 都は、ガイドラインの実効性を担保するため、必要と認められる場合には、大会運営組織に対して、大会準備状況や収支等に関する報告を求めるとともに、必要に応じて是正を求めることとしております。
○田の上委員 あくまでもガイドラインであり、指針ということが基本的な考え方であり、必要に応じて是正を求めることもできるのだということだと思います。
ビジョンとして、三つの大きな項目が掲げられています。
東京の魅力発信もあります。また、レガシーには、国際スポーツ大会の運営のノウハウを残していくという記載がありますが、これは東京都の計画であり、世界陸上財団の計画ではないのではないでしょうか。伺います。
○三浦事業調整担当部長 財団は、都との基本協定において、大会の開催を通じて、都民、国民のスポーツや健康づくりへの意識を高めるほか、社会や経済の活性化などに寄与するとしており、これを踏まえ、開催基本計画を策定しております。
○田の上委員 つまり、都との協定があり、これを実現することに同意をして、認識を一にして運営主体が計画をしているということなので、東京都が求める事項が計画に反映されているということなのかなというふうに認識をいたします。
大会経費につきましては、運営の効率化などにより経費圧縮を図るとともに、収入を最大限確保することで収支均衡を図るとされていますが、最大の収入はスポンサーであると思います。
スポンサー集めはどのようにするのでしょうか。広告代理店の活用もするのでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 都は、ガイドラインにおいて、大会運営組織が行う取組として、マーケティング業務に関する方式の検討経緯や選択理由等を明らかにすることとしております。
財団においては、スポンサー確保に向け、公募など透明性の高い手法を検討しております。
○田の上委員 財団においては、公募など透明性の高い手法を検討していくということですが、ぜひ、都もガバナンスに関与していくわけでありますので、その手法について助言をしていただきたいと要望いたします。
十二月十二日、東京地裁で、五輪談合について、組織委員会の森元次長の有罪判決が確定しました。
談合に関与したとされる大手広告代理店の採用はするべきではないと考えますが、見解を伺います。
○三浦事業調整担当部長 都は、過去に指名停止を受けた事業者に対し、業務委託等における総合評価方式の契約において、当該事業者の評価を減じる仕組みを導入いたします。
世界陸上財団におきましても、国際大会を取り巻く状況を踏まえ、仕組みをより厳正に構築するよう、ガイドラインに基づき求めてまいります。
○田の上委員 評価点数を減じる仕組みがあり、また、その仕組みをより厳正に構築するよう求めていくということでありますが、しっかりとガバナンス、東京都の責任もありますので、取り組んでいただきたいと思います。
十二月十二日にありました本会議の代表質問で、ガバナンスについて、有識者会議において、適切に確保されているとの意見をいただいたという旨の答弁がありました。
開催基本計画では、契約調達委員会等を設置するとともに、監査室を中心として、監事、会計監査人が連携した三様監査体制を構築するというふうにありますが、答弁で示す有識者会議とは、何という名称で、何名の委員がいて、どのような役職の方々で構成されているのか、教えてください。
○三浦事業調整担当部長 有識者会議の名称は、東京都における国際スポーツ大会のガバナンス強化に向けた有識者会議でございます。
委員は四名であり、弁護士、公認会計士の有識者で構成されております。
○田の上委員 利益相反について伺いたかったのですが、先ほど同様の質疑がありましたので、割愛をいたします。自己申告に加え、第三者審査委員会での審査があるということだったかと思います。
次に、大会ですが、九月開催ならば、札幌でなくても、マラソンや競歩が東京都で開催できるというふうに考えているのでしょうか。もしそうであれば、その根拠を教えてください。
○三浦事業調整担当部長 東京二〇二〇大会においては、暑さ指数も含めた様々な気象情報を把握するとともに、国際競技連盟が定める基準等も踏まえ、競技実施について判断されていたものでございます。
世界陸上の東京開催に当たりましては、こうした事例も踏まえ、適切な大会運営が実施されるものと認識しております。
○田の上委員 東京二〇二〇大会の事例も踏まえて、適切な大会運営が実施されるものと認識をされているということであります。
東京二〇二〇大会での札幌移転のように、突如、会場が変わるということがないようにしていただきたいとお願いをします。
今大会は、何をもって大会の成功とするのか、教えてください。
○三浦事業調整担当部長 開催基本計画におきまして、大会を通じて目指していくこととして、東京ドリーム、東京ブランド、東京モデルという三つのキーワードをビジョンとして掲げております。
世界陸上財団においては、このビジョンの方向性をより具体的な形で大会運営に反映させることが大会の成功につながると考え、開催基本計画に記載した取組を着実に進めることとしております。
○田の上委員 先ほども述べられていましたビジョンの方ですね、このビジョンを具体的な形で反映させられるというところが大会の成功につながるというご答弁でありました。
前述の公判について、報道がたくさんあるんですけれども、弁護側の方で、大会を成功させないといけないと思ったという情状酌量の求めに対し、判決の要旨では、保身のためばかりではなく、東京大会を成功に導きたいという責任感から犯行に至った側面は否定できないというふうなものが出ておりました。
談合をして成功させたとは、とてもいうことはできないのですが、このような形というのは求めていくものではないので、この成功の意味をしっかりと考えて取り組んでいただきたいと要望いたします。
都民の税金が適正に使われているか確認することが必要と考えますが、情報公開では、経理や監査状況も含めて公開をするのでしょうか。
○三浦事業調整担当部長 法人の予算、契約情報、監査に関する情報等につきましては、世界陸上財団のホームページにおいて公開しております。
○田の上委員 情報公開では、東京都の条例に準じた運用とされていますが、東京都の情報公開は、不開示、一部不開示だらけです。
都民への説明責任を果たすために、また、東京二〇二〇大会の教訓を経て大会を開催するために、最大限、情報公開に力を入れるべきと考えますが、見解を伺います。
○三浦事業調整担当部長 都のガイドラインにおいて、大会運営組織は、情報の公開、発信を積極的に行うことを原則としつつ、非公開情報について、公正性を担保できる仕組みを構築し、非公開の理由を含め、丁寧に説明することとしており、世界陸上においては、ガイドラインを踏まえた取組を着実に実施してまいります。
○田の上委員 非公開の場合は、理由も含めて丁寧に説明していくというご答弁でありますが、当たり前ですけれども、開示が基本であるということを踏まえて透明化を図ることが必要であります。
ここまで、一つ一つ確認をさせていただきました。今後決定していくことが多いのかと思いますが、この大会をぜひ都民から見える大会にしていただきたく要望し、質問を終わります。
○龍円委員 よろしくお願いします。
私は、デフリンピックの開催を通じて、東京都においては、様々な方が適切な情報にアクセスできるとともに、コミュニケーションが取りやすい取組が進むことを期待しております。また、聴覚障害のある方への理解が深まるとともに、手話がより一層広く一般的に使われる言語として東京に根づいてほしいというふうに考えております。
情報やコミュニケーションの保障をしていくためには、様々なニーズのある方々を想定した取組が必要ですが、今日は、ろう者の方々が大切に守り育ててきた言語、手話について質問します。
デフリンピックの開催を通じて、ろう者の歴史や文化について、より多くの方に知ってもらえる取組をしていくことはとても重要です。
その上で、さらに、デフリンピックの開催を通じて、手話については、ろう者のための言語ではなくて、広く一般的に多くの方が使う言語となるような取組について進めてほしいと考えております。というのも、手話は、聞こえない、聞こえにくい人以外にとっても、とても使いやすい言語だからであります。
息子が生まれたアメリカ・カリフォルニア州では、スペシャルニーズ、障害のある子供たちの療育とか保育で、アメリカ手話というのがごく一般的に使われていました。
知的発達に遅れがある子にとっては、聴覚的な情報よりも視覚的な情報の方が理解しやすいということが知られています。つまり、耳で聞いて言葉を理解するよりも、視覚的な手話の方が理解するハードルが低くなるということであります。
私の息子にはダウン症がありますが、ダウン症というと、知的発達の遅れがよく知られているんですけれども、実は肉体的な違いもありまして、筋肉の低緊張があるため、口の周りの筋肉の発達も遅れます。さらに、顎が小さいのに対して、舌が長くて大きいということもありまして、発声するのが難しいというのもあるんですね。
これもほとんど知られていないと思うんですけれども、頭の中でこの音を発声したいと思っても、それをいざ口で伝達して話そうとすると、その言葉の音のつくり方が分からなくなってしまうというような特徴を持っているお子さんも多いんです。
ということで、手話は、多様なニーズがある子供から大人まで、コミュニケーションしやすくなる言語だと考えています。
私の息子は、三か月の頃から手話を使ってコミュニケーションをするようにと、療育でアドバイスを受けました。ダウン症のある赤ちゃんは、とても弱々しくて、ミルクを飲むのも精いっぱいで、そもそも起きている時間も少ないのですけれども、そんな赤ちゃんに向かって手話を使うようにいわれまして、最初は戸惑ったのですけれども、気長に続けていましたところ、十二か月の頃には、哺乳瓶を見るとミルクというふうにサインをするようになりまして、そして、二歳になる頃には、百五十五ぐらい手話を使って話ができるようになっていました。
ダウン症のある子が音声言語で話し始めるのは、個々に非常に幅があるんですけれども、大体、四歳くらいというふうにいわれています。息子の例から見ても分かるように、一歳の頃から言語は理解しているんですけれども、自分が手話を使えないと、体の発達が追いついてくるまで待ってこなきゃいけないので、自分が使える言葉が使えるようになるまで、すごくそこにギャップがあるという状況が生まれてしまいます。
音声言語を使って、周囲の人たちとこう、一般のお子さんが会話をすることによって、周囲への理解というのも深まってまいりますし、そのコミュニケーションスキルというのも発達していくわけなんですが、話すことができない子供たちにとっては、それができないまま育っていくということになります。
小さいお子さんにとっては、一年一年が非常に大きな成長なんですけれども、音声言語しか選択肢がないと、言語がない状態で育つことになりまして、成長面でも非常に大きなハンデになっております。
ですから、聴覚障害のあるお子さんだけではなくて、それ以外のスペシャルニーズのあるお子さんたちについても、手話にアクセスできる環境が必要だというふうに考えております。
また、スペシャルニーズがなくても、赤ちゃんだったり、発声するのに何かしらの困難さがある方々にとっても、使えることでコミュニケーションしやすくなるはずなので、手話は非常にすばらしい言語だというふうに思っております。
では、この手話を学びたいというときに、どれぐらい学びやすいのかということなんですけれども、アメリカでは、高校で、第二言語として授業の中で手話を選ぶことができましたし、地域の誰もが学べるコミュニティカレッジでも、この手話が言語として一般的に教えられていました。
私は、子供と手話を使って会話をしたいという思いで、このコミュニティカレッジで一年間、週一回、手話を受講しました。その授業ではアメリカのデフカルチャーの歴史とかも教えてもらったことで、理解が深まりました。
赤ちゃん向けとか子供向けということになりますと、こちらもすばらしい環境が整っておりました。例えばユーチューブでは、一般の子供向けのプログラムの中にも手話が自然に溶け込む形で使われていて、障害のある子もない子も、スペシャルニーズのある子もない子も、自然に手話を目にするような機会が増えていました。
また、ネット上で無料の動画の辞書みたいなものがありまして、これで簡単にいろんな手話を学ぶことができました。
前置きが長くなりましたけれども、デフリンピックが東京で開催されることで、手話が聴覚障害のある皆様への理解や配慮がより行き届くとともに、より広く、いろんな方がコミュニケーションするための言語として東京に根づくべきだというふうに考えております。
デフリンピックを通じて、スペシャルニーズのある子とそのご両親や家族が楽しく一緒に手話を学ぶきっかけをつくっていくことが重要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 デフリンピックを契機に、共生社会への都民の理解を一層深めることが重要であります。
そのため、都では、東京二〇二五デフリンピック応援アンバサダーとして、手話に理解のある著名人や聴覚障害当事者の方などを起用し、手話を通じてデフリンピックの魅力などを幅広く伝えていただいております。
また、親と子供との会話を通じて、デフリンピックや手話などを学ぶことができるよう、読みやすい漫画形式にしたハンドブックを制作し、様々な機会を捉えて活用してまいります。
○龍円委員 東京都では、デフリンピックに向けて、手話を幅広い方々に知ってもらえる取組を始めているということが分かりました。ぜひ今後、海外の先進的な事例なども参考にしながら、手話言語がより広く、多くの方に使われるような取組を積極的に進めていただけますようお願いいたします。
今回の大会計画の中では、デフリンピックを通じて目指すものとして、みんながつながると掲げまして、スムーズなコミュニケーションを実現する様々なデジタル技術も活用して、誰もが円滑につながる大会を実現することが示されております。
現在では、様々な場面で手話通訳がつくことが増えてまいりました。しかしながら、より一層、コミュニケーションのバリアフリーを実現するためには、オンラインによる遠隔手話通訳がより広く利用できるようになることが、今後さらに重要になるかと思います。二〇二五年のデフリンピックにおいても、積極的に遠隔手話通訳を活用できるようにするなどしてコミュニケーションを保障することに取り組んでいただきたいと考えております。
また、それらを契機にして、遠隔手話通訳を必要としている方が、生活の中でもこれを使っていくことができるように後押ししていただきたいと思います。
そこで、デフリンピック大会において、遠隔手話通訳をどのように活用していくのか、見解をお伺いいたします。
○清水事業調整担当部長 二〇二二年にブラジルのカシアスドスルで開かれた大会において、遠隔手話通訳を活用し、コミュニケーションを行う場面もあったと聞いております。
二〇二五年の大会においても、様々な場面において誰もが円滑にコミュニケーションできるよう、遠隔手話通訳の活用も含めた情報保障環境の整備を検討してまいります。
こうした取組を通じ、誰もがよりスムーズにコミュニケーションできる社会につながる契機としてまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。遠隔手話通訳の活用も含めて、円滑なコミュニケーションと、情報保障をする環境整備をしていくということが分かりました。ぜひこの大会を契機にコミュニケーションのバリアフリーを徹底していただけますよう、取組を進めてください。よろしくお願いします。
最後に、私は、スペシャルニーズのある人もない人も、多様な人が自分らしく輝きながら、参加しているという実感と居場所があるインクルーシブな社会を目指しております。
その社会を実現していくためには、子供時代からのインクルーシブな心やスキルを身につけていくことが重要であります。この大会を通じて、社会そのものをさらにインクルーシブへと進めてほしいと思います。
デフリンピックでは、聴覚障害のあるお子さんにとっては、ロールモデルを見つけるという意味でも大きな意義があると思いますが、ほかのスペシャルニーズのある子たち、ない子たちも含めて、子供がたくさん関わり、参画できる大会にしていただきたいと思います。
そこで、スペシャルニーズのある子もない子も、多様な子が参画できる大会にしていくに当たり、どのような取組を行っていくのか、見解をお伺いします。
○清水事業調整担当部長 先般公表いたしましたデフリンピックの基本計画におきましては、子供たちが夢を見るとして、デフスポーツの特徴や魅力を感じてもらい、全ての子供たちの学びや成長をサポートするということを柱の一つとして掲げております。
大会において、障害のあるなしにかかわらず、競技会場での熱戦を間近で見たり、大会の一員として参画するなど、デフリンピックならではの経験を得られる機会を提供してまいります。
こうした取組を通じ、障害のあるなしにかかわらず、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京の実現に貢献してまいります。
○龍円委員 大会の開催を通じてインクルーシブなまちづくりに貢献していくというお話がありました。
民間に目を移しますと、ダイアログ・イン・サイレンスというプログラムがあります。これは、音が全くない環境で、最初は、音声言語も、そして手話言語も使ってはいけないという状況で、九十分間、みんなで過ごすというプログラムになっております。
このプログラムは、最後の方で手話を少しだけ使えるようになるんですけれども、そうすると、コミュニケーションが急に取れるようになって、このことから、コミュニケーションについて深く考えを深めるようなことができるようなプログラムになっていて、子供から大人までが参加できるようになっているものなんです。
例えばなんですけれども、大会期間中、こういったプログラムを通じて、子供たちに体験してもらいながら、コミュニケーションというものについて考えてもらうきっかけをつくったらいかがかなと思いますので、検討いただけたらと思います。
ありがとうございました。
○たかく委員 私の方からは、世界陸上について伺います。
日本で世界陸上を開催するのは、一九九一年の東京大会、二〇〇七年の大阪大会に続いて三度目になります。
この世界陸上では、二百を超える国、そして地域が参加する世界最高峰の国際スポーツ大会であり、東京二〇二〇大会でかなわなかった、世界最高水準の選手による熱戦を間近で見て、応援する絶好の機会にもなります。
大会を契機として、次代を担う子供たちに夢と希望を与え、世界中の人々の交流を通じて東京の魅力を伝える好機になることから、大きな意義があるものと考えます。
実際に、今回発表される大会基本計画においては、大会の成功に向けた取組を通じて得られるレガシーを未来につなげていくとしていますが、特に、未来を担う子供たちへの取組を具体化していくことが重要と考えます。
東京二〇二〇大会に向け、東京都と東日本大震災の被災県が手を携えて行ってきた多くの取組は、都民と被災県民の絆を生むことができたと思います。都議会公明党は、大会後も、改めて被災地に寄り添いながら、被災地支援を推進していくことの重要性を指摘し続けてきました。
世界陸上においても、被災地支援を継続し、レガシーを着実に残していくべきと考えます。
そこで、二〇二五年の世界陸上においては、都内の子供たちはもとより、被災地の子供たちも含めてレガシーを残していくため、具体的にどのような取組を行っていく予定か、伺います。
○三浦事業調整担当部長 世界陸上の基本計画においては、未来を担う子供たちが夢や希望を育み、学び、成長できるよう取組を進めることとしております。
具体的には、世界陸上の魅力を体感できる取組を展開する等、大会に向けた機運醸成を図ってまいります。
また、都内や被災地の子供たちが大会を観戦し、限界に挑戦するアスリートの姿を間近に見る機会を提供してまいります。
さらに、子供たちが大会を通じて新たな視野を広げるとともに、スポーツのすばらしさを感じられるよう、大会の準備、運営に参加できる機会を設けてまいります。
○たかく委員 大会のレガシーを未来につなげていくことは大変重要であり、子供たちにとって大会がすばらしい記憶となるように取組を進めていただきたいと思います。
東京二〇二〇大会の大きなレガシーの一つとして、ボランティアも挙げられております。大会を通じて培われたこのボランティア精神、助け合いの心を一つの文化として定着させ、世界陸上においてボランティア文化の一層の発展を図っていただきたいと思っております。
そこで、二〇二五の世界陸上においては、ボランティア文化の一層の発展に向け、具体的にどのような取組を行っていく予定か、伺います。
○三浦事業調整担当部長 東京二〇二〇レガシーレポートにおきまして、東京二〇二〇大会では、八万人を超えるボランティアが大会運営に係る多くの活動に参画し、八割以上の方が今後も活動の継続を希望するなど、ボランティア機運が大きく高まったとされています。
世界陸上の基本計画においても、国内外問わず多様な人々がボランティアとして参加し、一緒に大会をつくり上げることで、かけがえのない経験を共有することとしております。
今後、東京二〇二〇大会のレガシーも生かしながら多くのボランティアが参画できるよう、大会運営における様々な場面で活動機会を設け、ボランティア文化のさらなる発展につなげてまいります。
○たかく委員 様々な場面でボランティア文化のさらなる発展につながっていくようにお願い申し上げます。
このほかにも、大会開催の基本計画においては、環境負荷の低減であるとか健康増進、芸術文化にも触れる機会の提供など、大事な取組が記載されております。こうした取組においてもしっかりと対応していただいて、大会のレガシーを未来につなげていっていただきたいことを要望いたします。
次に、こういったレガシーを残していくために、安全・安心な大会となるように、運営面についてもしっかりと対応することが重要であります。先ほど質問もありましたが、特に暑さ対策について万全を期す必要があると考えます。
そこで、二〇二五年世界陸上における暑さ対策について見解を伺います。
○三浦事業調整担当部長 世界陸上は、これまで八月開催が通例でございましたが、二〇二五年の大会においては、暑さが選手や大会運営に及ぼす負担も考慮の上、主催者であるワールドアスレティックスと調整した結果、開催期間が九月十三日から二十一日に決定されました。
さらに、東京二〇二〇大会における知見も活用しながら、関係者とも連携し、二〇二五年の世界陸上における暑さ対策に万全を期してまいります。
○たかく委員 今の答弁ですと、暑さも考慮の上、大会開催の時期が八月から九月に変わって決定されたとのことであります。引き続き、安全・安心な大会の実現に向けて、財団を含む関係者と協力を進めていただきたいと思います。
最後の質問になります。
我が党はこれまでも、国際スポーツ大会の開催に当たって、大会運営組織のガバナンスが重要であることを主張してまいりました。
東京都は、先日、有識者会議を開催し、世界陸上、そしてデフリンピック両大会の運営組織の取組状況を確認したとのことであります。
今後、大会準備が本格化していく中、利益相反に伴う問題への対応等、取組の強化が必要となることも想定されます。例えば、企業からの出向者の受入れに関して、当該出向者が有する高度な専門性を大会準備等に生かせる一方、利益相反問題が生じるリスクが内包しております。こういったことに対し、適切な対応を進めていくことが求められるのが今回の大会であります。
今後、こうした利益相反に伴う問題への対応を含め、有識者会議も活用し、ガバナンスの実効性を担保する取組をしっかりと行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
○三浦事業調整担当部長 都は、ガイドライン策定の際に設置した有識者会議を先月開催し、各委員からは、両大会とも、始動期におけるガバナンス確保に向けた体制が適切に整備されており、この体制に基づく取組を着実に進めるべきとの意見をいただきました。
今後の本格活動期に向けましては、内部統制や利益相反問題の防止の視点が重要であり、リスクが高いと想定される事項の優先的な監査や、専門性を有する人材の直接雇用の活用など、対応を具体化することとしております。
引き続き、有識者会議も活用して運営組織の状況を適切に確認し、ガバナンスの取組の実効性を担保してまいります。
○たかく委員 ガバナンスについても、引き続きしっかりとした対応を継続していくと表明いただいたと思います。
開催基本計画に記載のあるとおり、今後の国際スポーツ大会のモデルとなるよう、ぜひとも大会の成功に向けて取り組んでいただきたいことを要望し、私からの質問を終了とさせていただきます。
○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
私からも、世界陸上とデフリンピックについて伺いたいと思います。
世界陸上とデフリンピックの開催基本計画が示されました。大会の開催に向けて、局の皆さんも準備にご苦労されていると思います。
九月の文教委員会でも、国際スポーツ大会への東京都のガイドラインが公表されたことを受けて、両大会の対応について質疑をさせていただきました。その質疑のときにも幾つかの懸念がありまして、本日は、計画の内容に照らして、その懸念事項について改めてお聞きしたいと思っています。
前回、ガイドラインの質疑をした際に、国際大会での汚職などの歯止めになるのか懸念があることを指摘しました。
まず、利益相反です。
他会派からも質問がありましたが、例えば世界陸上開催基本計画では、役員等による自己申告書やチェックシートの提出、第三者審査委員会での審査を通じて、利益相反取引等の実施や人材の採用等に係る適正等を担保していくとあります。
民間企業からの出向は、世界陸上において受け入れるのかどうか、伺います。
○三浦事業調整担当部長 都のガイドラインにおいては、利益相反に伴う問題を防止するために、専門性を有する人材の直接雇用の活用等、民間企業からの出向受入れに頼らない工夫を行い、出向者を活用せざるを得ない場合も、ポストや業務内容、権限の公表等の対策を講じることとしており、世界陸上においては、これを踏まえ、適切に対応してまいります。
○とや委員 ガイドラインを踏まえて適切に対応するということですが、次に聞いておきたいのはマーケティングについてです。
世界陸上におけるマーケティング部門の専任代理店契約は結ばずに運営するということでよいでしょうか。確認させてください。
○三浦事業調整担当部長 都のガイドラインにおいては、マーケティング業務について、委託等に関する方式の検討経緯や選択理由等を公表し、公正性を担保することとしております。
世界陸上において、スポンサー確保については、公募など透明性の高い手法を検討することとしております。
○とや委員 民間からの人材登用とマーケティング業務は、談合、汚職をなくす上で大変重要なポイントと考えます。
十一月十日に行われた東京都における国際スポーツ大会のガバナンス強化に向けた有識者会議においてのチェックリストを拝見させていただきました。
この中では、ほとんどが対応済みとなっているんですが、対応が予定となっているのがマーケティング業務と人材登用でありました。あとは全て対応済みとなっています。
民間企業等からの出向者受入れについては、その必要性を精査し、受け入れる場合は、業務内容及び権限等を公表予定となっていました。この記載は、デフリンピックも同じ扱いでありました。つまり、民間企業からの出向は、受入れの可能性を残しています。
前回も指摘をしましたが、東京五輪では、広告代理店大手の電通が組織委員会に社員を大量に派遣し、五輪のテスト大会の業者選定を仕切ったといわれています。そして、談合という法に触れるやり方で、会社のもうけを追求する結果になりました。さらに、今、都職員も談合に主体的に関わっていたという証言まで裁判で出ています。こうした可能性はゼロにすべきだと考えます。
さらに、専任代理店契約については、世界陸上は、スポンサー確保では公募など透明性の高い手法を検討と先ほども答弁がありましたが、一方、デフリンピックの方は、マーケティングは委託せず、準備運営本部が直接行う予定となっていました。なぜ世界陸上は、委託せずにマーケティング業務を行うことを明言しないのでしょうか。
専任代理店契約は、ブラックボックスを生む条件をつくります。同じ過ちを二度と繰り返さないためにも、専任代理店契約、代理店方式は排除すべきだと思います。
東京五輪の調査報告書が出ていますが、ここでも、電通をはじめとする大手事業者でなければできないという認識は幻想だと述べられていたことを、皆さんご存じだと思います。
利益相反、談合を起こさないために、専任代理店のようなやり方はやめていく、そして、その企業からの人材派遣は、直接雇用であっても行わないことが重要です。この点を改めて厳しく指摘をしておきます。
発注や調達のチェックも重要です。この点も確認したいと思いますが、東京都の関与のガイドラインでは、都が支出した範囲にとどまらず、事業費全体をチェックする規定があります。
世界陸上において、前回の質疑では、共同チェックについては、今後、精査の上、内容を整理の上、適切に対応等を行うになっていますが、大会基本計画では、ホームページ等において、関心の高い事項を積極的に発信すると記載がありました。
共同チェック内容は、これに含まれますか。お答えください。
○三浦事業調整担当部長 世界陸上においては、都と財団等が共同で契約調達のチェックを行っており、入札経過など、その内容をホームページに公表しております。
○とや委員 ホームページも確認をさせていただきました。入札経過報告書の掲載もされていました。
東京五輪で談合があったテストイベントの事業者を選定したのは事業者選定審査会だったんですが、ところが、組織委員会は、メンバーの名前も肩書も公表していなかったわけです。このようなことが起きないよう、今後、さらに透明性を確保していただきたいと思います。
そして、共同チェックについても、引き続き都民に明らかにしていただくことを求めます。
また、前回の質疑のときも申し上げたのですが、ほかの世界大会の、どこの国だったかな、ヨーロッパだったかな、議会にも報告して、きちんと第三者チェックを入れていたという経験もありますから、そういった大会も参考にしながら、都民の前に堂々と明らかにできるようなチェックを入れていただきたいと要望しておきます。
続いて、世界陸上とデフリンピック共通の問題として伺いたいのですが、環境負荷の低減や廃棄物の分別についての記載があります。
東京五輪では、弁当の大量廃棄や、使わずに廃棄された消耗品などが問題になりました。こうした事態を起こさないために、どのような取組をされるでしょうか。お答えください。
○三浦事業調整担当部長 世界陸上の開催基本計画においては、最新技術を活用した省エネルギーの推進や徹底したフードロスの削減などにより、環境負荷の小さいエコな大会を目指すこととしており、今後、取組を具体化してまいります。
デフリンピックにおきましても、同様に3Rの推進に努め、環境に配慮した大会運営を行ってまいります。
○とや委員 東京五輪とは規模が違うということで、発注やキャンセルのタイミングも異なるようで、一概に大量廃棄など無駄が出てしまうとは思いませんが、それでも、世界陸上でいえば二千人規模で行われ、関係者やスタッフ、ボランティアさんを含めると、さらに多くの人たちが関わることになります。デフリンピックも、アスリートが三千人、プラス関係者などを合わせると、その倍の数の人々が大会期間中に関わります。発注や調達についての検討は、ぜひよく検討し、慎重に行ってほしいと要望しておきます。
デフリンピックについて、手話のお話が先ほど出ていました。基本計画では、国際手話養成講座の受講費用の支援があるということで、これも前回、都の支援について質問させていただき、先ほどのご答弁でも、これまで延べ三百三十一人から申込みがあったということでありました。手話講座の補助要件は、講座の八割以上の出席、都内在住、在勤、在学ということでした。
そしてまた、実際に大会で必要となる通訳者は、大体、約百六十人程度とお聞きしました。しかし、手話の実力が、上級から初級と様々だということも伺っています。
即戦力となる方を育成するのには時間もかかりますし、初めての東京での大会ということもあります。重要なコミュニケーションのツールである手話を使える人材を、この機会にさらに広げていただきたいと要望しておきます。
最後に、スポーツイベントを所管する局としての認識をお尋ねしたいと思います。
十二月五日、東京地裁において、電通の五輪談合事件に関する第二回公判がありました。電通側は、東京都から派遣されていた吉村元財務局長が談合に主体的に関わっていた、主導的に関わっていた、役割を果たしていたと主張しています。
都職員が関わっての官製談合となれば、重大事態です。この疑惑解明を行わなければ、今後の国際スポーツ大会も、都民に支援されながら開催していくことは難しいと考えます。
スポーツを所管する局としてどのように考えるか、伺います。
○三浦事業調整担当部長 都は、東京二〇二〇大会の経験も踏まえ、ガバナンス体制の整備等に必要な具体的取組を規定した国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインを策定しております。
今後、都は、世界陸上及びデフリンピックの大会運営組織がガイドラインに基づき着実に大会を運営し、都民、国民の理解と信頼を得ながら、多くの人々、特に次世代を担う子供たちにスポーツのすばらしさや大きな感動を与えられるよう、適切にサポートしてまいります。
○とや委員 今おっしゃったガイドラインについても前回申し上げましたし、今日も質疑でありましたが、法的な強制力はない指針なわけで、そのガイドラインの内容も、幾つもの抜け道があるということがあるわけです。
そういう中で、東京五輪をめぐる汚職、談合疑惑の解明はこれからです。徹底した分析と総括できるかどうか、東京都が今問われていると思います。
既に都からは、世界陸上で六十六人、デフリンピックで七十五人、職員が派遣されています。生活文化スポーツ局として、行政とスポーツビジネスの関係が懸念されている今、透明性、公正性を担保し、世界大会の運営支援を行っていただきたいと思います。
そして、都民の信頼を回復する努力を全力で行っていただき、世界陸上、デフリンピックともに、都民、国民に歓迎される大会として成功させていただくよう求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○西崎委員 お願いいたします。
私からは、デフリンピックに絞って、何問かお聞きをさせていただきたいと思います。
先ほど来、様々議論もありましたように、このデフリンピックが一九二四年から始まっているということで、パラリンピックよりも歴史が深いということでありまして、その意味では、独自の路線をこれまで取ってきたというような経緯もございます。
日本は、一九六五年から参加をされたというふうに聞いておりまして、当初は七名でしたかね、それから徐々に参加選手数も増えて、メダルも多数獲得するようになってきているということなんですけれども、一方で、今回、初めて日本で開催されるということでありますけれども、逆に、何でこれまで日本で開催されてこなかったのかなということも同時に思うわけでございます。
そこで、まず初めに、今回、日本で初開催となりますけれども、この招致決定の経緯についてお聞かせください。
○清水事業調整担当部長 二〇二五年大会は、第一回大会が開催されてから百周年となる歴史に残る大会であることなどを踏まえ、全日本ろうあ連盟が招致し、昨年九月に日本での初開催が決定したところでございます。
○西崎委員 全日本ろうあ連盟が決議をして招致していくというところは承知をしておりますけれども、逆にいうと、先ほど申し上げましたように、一九六五年に初めて参加をされて、これまで六十年間、日本で開催をされてこなかったということなので、これまで日本でやってこなかったというところに様々な課題が横たわっているんじゃないかなというふうに思うところでございます。
どうしてもこうしたスポーツ大会の招致ということでいうと、特に、我々、一般で印象があるのがオリンピック・パラリンピックの招致というようなイメージがありますけれども、今回、デフリンピックにつきまして、別にけちをつけるわけじゃないのですけれども、今回、名のりを上げたのは日本のみだった、東京のみだったというふうに聞いております。
これ、前回のブラジルの方も、たしか単独で立候補したんじゃないかなというふうに思うんですけれども、逆に、手を挙げて開催をするということに、それだけの困難が伴うことなんだろうなというふうに理解をしております。逆を返せば、これを支える東京都の役割というのが非常に重要なんだろうと思っております。
様々、そういう意味では課題があるということでありますけれども、やはり、まず出てくるのが認知度の問題なのかなと。直近の調査というものは、私もよく分かりませんけれども、過去、様々な調査があって、デフリンピックの認知度、調査によっては一桁台の認知度であったり、高くても二割に満たないような、そういった現状があるかと思います。
どうしても障害者スポーツとしてはパラリンピックというイメージが世間に定着しておりますけれども、さきの委員からもありましたように、パラリンピックには聴覚障害という区分がないということでございます。
同時に、オリンピックの方に聴覚に障害を抱えている方が出場してメダルを獲得しているという事例も幾つもあるわけでございまして、見えない障害といわれますけれども、なかなか世間から見て、非常に分かりづらいというような状況があろうかと思います。
一方で、やはりデフリンピック自体にも様々な特徴があるということで、実際に競技をする際には、いわゆる視覚保障で、光であったり、ジェスチャーであったりで伝えることであるとか、逆に、応援をする方も、拍手が聞こえませんから、手をきらきらさせる方法であったり、称賛をする際に、足を踏み鳴らして、振動でその感動を伝えるというような様々な特徴があろうかと思います。
そうしたものをどう世間に発信していくかということが、これからさらに重要になろうかと思いますけれども、今回、基本計画を見ますと、世界陸上との相乗効果ということにも触れられています。
なので、世界陸上との相乗効果というところも踏まえて、デフリンピックの特徴であるとか魅力をどのように発信をしていくのか、これについて伺います。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 デフリンピック及び世界陸上は、スポーツのすばらしさ、多様な価値観を認め合う共生社会の大切さなど、共通したメッセージを有しております。
そのため、ホームページなど様々な広報媒体やスポーツイベントにおけるPRブースなどを通じて両大会の魅力を同時に発信しており、今後もこうした取組を継続してまいります。
○西崎委員 今、同時に発信というようなお話もございました。現実的に、やはり世界陸上の方が圧倒的に認知度が高い。各調査でも八割とかあるわけでございますから、そこに抱き合わせにするというのは、非常にいい試みなのかなと思います。
特に世界陸上の方は、直近変わっちゃいましたけれども、長らく有名タレントの方、俳優の方がメインキャスターをやられていて、非常に数々の名言を残して、それがちょっと目立ち過ぎて、連盟から苦言も呈されていたようでありますけれども、世界陸上の認知度を高めたという意味では、非常に効果があったのかなと。
そういうことがデフリンピックでもあればいいのかなと思いますが、それはさておき、やはりこれをセットでしっかり発信をしていくというのは大事なのかなと思っております。
あわせて、住民にとって最も身近な区市町村によって、様々、主体的にPRを進めていただくということも有効であるかと思います。
少し調べますと、既に、様々、各区市町村の取組というものも見られるわけでありますが、私の地元の目黒区だと、ちょっとあまり、いまいちなのかなという状況でございます。
そこで、この区市町村との連携についてどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように進めていくのか、伺います。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 デフリンピックの開催意義を多くの都民に知っていただき、大会を応援する機運を高めていくためには、区市町村との連携が重要であります。
そのため、都は、区市町村が主催するスポーツイベントにおいて、大会の概要や開催意義を分かりやすく伝える取組を進めており、引き続き、関係者とも連携しながら大会に向けた機運を醸成してまいります。
○西崎委員 別に地元の目黒区が悪いというつもりはありませんが、やっぱり濃淡がどうしても出てきてしまうということはあろうかと思いますが、しっかりと連携をして、それぞれ啓発、周知を進めていっていただきたいなと思っております。
そうした機運醸成と併せて、これも先ほど来、議論がありましたけれども、聞こえない方々の課題であるとか文化というものを知っていただくということも、非常に重要なのかなと思っております。
言語としての手話、これを広めていくということが重要であるというのは、先ほど来、議論があったところでありますけれども、併せて知っていただきたいのは、やはり政府の調査でも、聴覚に障害を抱える方のコミュニケーション手段として、どうやってやっていますかという調査をすると、手話というのは大体二五%ぐらいなんですよね。それ以外に、口話であったり、要約筆記、様々、コミュニケーションの手段を実際に取られているということです。
最近では、アプリケーションであるとか、様々、そのための技術というものも進展をしておりまして、こうした状況というのも、やはり広くご理解をいただきたいなというふうに思っています。
そこで伺いたいのですけれども、そうした情報保障であるとかコミュニケーション保障のための技術が進展をしてきていて、今回、東京都は、このデフリンピックの開催に合わせて、様々、取組を進めていくものと思いますけれども、東京都が進めていくというのは、もちろん非常に重要かと思いますが、一方で、やっぱり公的なセクター以外の取組というのが非常に重要。
それが社会に広まっていくということなのかなと思いますけれども、こうした情報保障や技術開発等、民間の取組の促進であるとか支援について見解を伺います。
○木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 デフリンピックを契機にユニバーサルコミュニケーションを推進していくためには、民間企業の技術開発を促進するとともに、多様な技術を発信していくことが重要であります。
都は、技術開発を促進するため、スタートアップ企業等との連携を進めるとともに、各種展示会等で技術の実証やPRを行っております。
○西崎委員 特に最近は、技術も−−最近はじゃないですね、近年は技術が日進月歩ということもありまして、特にジェネレーティブAIの台頭で、今、本当に様々なサービスが形を変えて進化をしているということでありますので、二〇二五年までまだありますけれども、この期間でも、恐らく相当、今では考えられないようなサービス、技術が進展してくるのかなと思いますので、そうしたものが情報コミュニケーション保障につながっていくということを期待したいと思いますし、そもそも民間にとっては商機にもなるということでありますから、様々なその取組の支援というものを進めていただきたいと思います。
最後に、一つ、リスク管理という観点からお伺いしたいのですけれども、この基本計画の中のリスク管理について、文章を見ますと、危機管理体制を関係者で組織し、危機発生時は、関係者で協議の上、合意の下、措置を講ずるものとするというふうに書いてありまして、ちょっと正直、何をいっているんだかよく分からないところでございまして、恐らく、これから様々な課題をクリアして構築をしていくのかなと思うんですけれども、やはり大会の特性上、参加をされている方々の特性上、例えば災害であるとかテロが発生した際に、特殊な対応が求められてくるということも想像されるわけでございます。
そこで、このリスク管理について、大会の特徴を踏まえて、どのように体制を構築していくのか、伺います。
○清水事業調整担当部長 大会運営におきまして、選手や大会関係者の安全を確保するに当たって、デフリンピックの特性を踏まえて対応していくことが重要でございます。
そのため、当事者の意見も踏まえながら運営についての検討を深めていく中で、大会の準備運営組織が中心となり、危機管理体制を構築してまいります。
○西崎委員 やはりこれから、様々、当事者の方の意見も踏まえて体制を構築していくということであります。ここはやはり、オリパラで得た知見等も生きてくるのかなと思いますし、ぜひ当事者の視点に立った体制構築を進めていただきたいと思います。
これで終わりにしますけれども、このデフリンピックの大会、前回の夏季が、途中で、日本選手団がコロナの感染により辞退せざるを得なかったということがございました。競技によっては、勝ち進んでいたにもかかわらず、そこで辞退というようなことになりまして、だからというわけではありませんけれども、やはり日本で開催されるということで、選手の方々の思いというものも、さらに強くなっていることかと思います。
ぜひ今後、そうしたエピソードも含めて機運の醸成に取り組んで、大会の成功に向かっていっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小林委員 私からは、第二次東京都再犯防止推進計画についてお伺いいたします。
今までの質疑の中で重複している質問もありますので、そちらの部分については割愛をさせていただきます。
令和四年の法務省の資料では、都内の刑法犯検挙人員は、全体では減少傾向にあるものの、再犯者の占める割合は約五割となっているとのことで、再犯防止に向けた取組が求められております。
初めに、このたびの第二次東京都再犯防止推進計画の位置づけとこれまでの経緯、また、本計画における生活文化スポーツ局の果たすべき役割についてお伺いいたします。
○米今治安対策担当部長 都は、再犯防止推進法に基づき、犯罪をした者等が地域社会の一員として円滑に社会復帰することができるよう、令和元年に第一次再犯防止推進計画を策定し、これまで、国、区市町村、民間団体等とも連携し、様々な事業に取り組んできております。
今年度、第一次計画の期間が終了することから、関係団体等で構成する再犯防止推進協議会での意見等を踏まえ、計画期間を令和六年度から令和十年度までの五年間とする第二次計画案を取りまとめたところでございます。
生活文化スポーツ局では、区市町村や民間支援機関の取組を支援するとともに、関係機関との連絡調整を行っております。
○小林委員 本年九月に警視庁が発表した令和五年六月末における都内での刑法犯認知件数は四万一千五百三十三件で、前年同期と比べて四千八百七十件増加しているとのことです。また、刑法犯少年の検挙、補導人員は千五百九十二件で、前年同期より百六十一人増加しておりました。
昨今、若者が犯罪に手を染める報道を目にすることも多くなり、若者への対策も急務であります。
本計画を一読させていただいたところ、東京都若者総合相談センターという言葉がひときわ目につきました。
この東京都若者総合相談センターの前身である東京都若者総合相談窓口、通称若ナビの設置は、二〇〇九年三月の予算特別委員会において、総合的な青年相談窓口を一刻も早く設置していくべきとの都議会公明党の質問を契機として開設され、以来、都議会公明党として、議会質問や予算要望等で繰り返し体制の充実を求めてまいりました。
二〇一七年には、機能強化を図り、東京都若者総合相談センター、通称若ナビαとしてグレードアップがなされました。
この東京都若者総合相談センター、若ナビαは、開設以来、若者の再犯防止にも取り組んできているとのことですが、この再犯防止に若ナビαが関わる意義についてお伺いいたします。
○米今治安対策担当部長 犯罪をした若者の立ち直りのためには、様々な主体が連携し、本人の状況に応じた幅広い分野の支援を切れ目なく実施していくことが重要でございます。
そのため、若ナビαにおいては、非行専門の相談員を配置し、保護観察所や保護司をはじめ、サポート団体等との関係者を結びつけ、若者の円滑な社会復帰に向けた支援を行っております。
○小林委員 非行専門の相談員の設置、そしてサポート団体との連携の下で取り組んでいるとのことですが、若ナビαで再犯防止に係る今年度の取組状況についてお伺いいたします。
○米今治安対策担当部長 今年度は、六名の若者について、少年院等から出所し、社会復帰に障壁があるなどの相談があり、修学や就労等に関する情報提供を行うとともに、福祉や医療分野の支援機関につないでおります。
引き続き、若者や家族それぞれの状況に応じてきめ細かく対応し、若者の自立支援を後押ししてまいります。
○小林委員 先ほども触れました二〇〇九年の予算特別委員会の際は、全ての若者の様々な不安や悩みを受け止め、支えていく仕組みが必要であるとの観点で、総合的な青年相談窓口の設置を提案いたしました。
過ちを犯してしまった若者が再び犯罪に手を染めることのないよう、また、深い反省の下に社会復帰を望む若者へのサポートを引き続き充実していただき、支援をお願いしたいと思います。
本計画の中において、少年、若年者に対する可塑性に着目した指導という項目が設けられております。
可塑性とは、青少年の更生や矯正の可能性を示したものであると思いますが、若者の再犯防止については、相談事業にとどまらず、実際に青少年のいる現場に出向いて啓発活動を行うことも重要だと考えますが、取組についてお伺いいたします。
○米今治安対策担当部長 都は、国等と連携し、多摩少年院において演劇による特別授業を実施し、暴力団への安易な関与、加入や再非行防止を働きかけ、在院者の更生を支援しております。
さらに、犯罪予防の取組として、都内の中学校や高等学校において暴力団排除実演式講話を実施しております。この講話では、特殊詐欺や違法薬物など、暴力団等が関与する犯罪に青少年が意図せず巻き込まれ、被害者や加害者にならないよう、演劇を通じて犯罪から自分の身を守るための注意点等を教示する取組を行っております。
○小林委員 ありがとうございます。
再犯防止の取組にあっては、更生を誓う人を社会が受け入れていく土壌が重要であると思いますが、民間における支援というものもたくさんございます。
再犯防止を推進する上で、行政の活動だけでなく、民間協力者の活動を促進していくことも重要であると考えますが、民間協力者である更生保護ボランティアなどの活動の支援についてお伺いいたします。
○米今治安対策担当部長 都は、保護司をはじめ、関係機関や民間支援機関等、非行少年や犯罪をした者の社会復帰支援に携わる支援者の活動を促進するため、再犯防止の情報をまとめたガイドブックを発行するほか、再犯防止の知識や支援事例等を学ぶことができる研修会を実施するなど、民間協力者の活動を支援しております。
また、犯罪をした者等の社会復帰に当たり、複数の機関で連携してその解決に向けて取り組むため、民間協力者の交流会を実施することで、参加者同士のネットワークの強化とともに、支援活動の促進、活性化を図っております。
○小林委員 民間協力者の活動が行政と一体になって行われることで、罪を犯した人が社会において孤立することなく社会へ復帰していくことになりますが、そのためには、社会や都民全体の理解と協力を得ることが必要不可欠であると思います。
こうした広報啓発活動の取組についてお伺いをいたします。
○米今治安対策担当部長 都は、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動である社会を明るくする運動において、毎年七月の再犯防止啓発月間を中心に、民間協力者等と共に、都内各地域でキャンペーン等を実施しております。
また、今後はSNS等も活用し、犯罪や非行の防止と、犯罪をした者等の更生について理解を深める取組を充実強化してまいります。
○小林委員 以前、元受刑者の更生をサポートする保護司を主人公としたドラマを見る機会がありました。罪を犯した人へのサポートや再犯防止の取組とともに、被害者側への配慮など、様々考えさせられましたが、社会の理解というのは本当に大きな課題であると改めて感じたところであります。
本計画の基本的な考え方に、誰もが孤立することなく再出発できる社会、誰一人取り残さない包摂性のある社会の実現とうたわれておりますが、ぜひとも実効性のある取組を本計画で推進していただくことを求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十三分散会
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