委員長 | 藤井あきら君 |
副委員長 | 平田みつよし君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | とや英津子君 |
かまた悦子君 | |
たかく則男君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤まりこ君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
伊藤 ゆう君 | |
川松真一朗君 |
欠席委員 一名
出席説明員生活文化スポーツ局 | 局長 | 横山 英樹君 |
生活安全担当局長 | 竹迫 宜哉君 | |
次長理事兼務 | 渡邉 知秀君 | |
次長 | 久故 雅幸君 | |
総務部長 | 奈良部瑞枝君 | |
都民安全推進部長 | 馬神 祥子君 | |
国際スポーツ事業部長 | 稲垣 敦子君 | |
企画担当部長 | 吉原 宏幸君 | |
治安対策担当部長 | 米今 俊信君 | |
事業調整担当部長 | 三浦 大助君 | |
事業調整担当部長 | 清水俊二郎君 | |
教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 田中 愛子君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 山田 則人君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
グローバル人材育成部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
人事企画担当部長 | 矢野 克典君 |
本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
報告事項(説明)
・第二次東京都再犯防止推進計画の策定について
・東京二〇二五世界陸上競技選手権大会開催基本計画について
・第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五開催基本計画について
教育庁関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約
請願陳情の審査
(1)五第一五号 小・中学校の給食費の無償化に関する請願
(2)五第一七号 中学校英語スピーキングテストの実施状況調査とテスト結果の活用中止に関する請願
(3)五第四二号 公立小学校における教員の労働環境の改善に関する陳情
○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、生活文化スポーツ局関係の報告事項の聴取及び教育庁関係の請願陳情の審査を行います。
なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○米今治安対策担当部長 それでは、第二次東京都再犯防止推進計画の策定についてご報告いたします。
お手元の資料第1号をご覧ください。
初めに、1、これまでの経緯ですが、令和五年六月に、第一回東京都再犯防止推進協議会において計画素案について説明、協議を開始し、十月に開催した実務者会議及び協議会において計画案の承認をいただいたところでございます。
次に、2、主な内容ですが、(1)、計画の位置づけとしては、平成二十八年十二月に施行された再犯防止推進法に基づき、国は再犯防止推進計画を策定しました。同法により、地方公共団体には地方再犯防止推進計画を定める努力義務が課されました。これを受け、都は、令和元年七月に東京都再犯防止推進計画を策定いたしました。
その後、国は、令和五年三月に第二次国計画を作成しました。
都は、現行計画に基づく取組の検証を踏まえるとともに、国計画を勘案し、本年度中に第二次計画を作成する予定でございます。
(2)、計画策定の体制としては、庁内関係局、警視庁、国、区市町村等で構成される東京都再犯防止推進協議会において取りまとめを行いました。
(3)、第一次計画に基づく主な取組としては、協議会の設置により、都内における再犯防止推進のための連携体制を構築いたしました。
また、就労、住居の確保や、高齢者または障害のある者等への支援等、再犯防止推進に係る各課題に応じた施策を推進しております。
(4)、第二次計画策定に向けた基本的な方向性としては、次の三点を掲げております。東京都、国、区市町村、民間協力者等の各主体によるさらなる連携強化、再犯防止に資する幅広い情報を多様な方法で支援者に提供、そして、住民に最も身近な区市町村と共に息の長い支援を実現でございます。
次ページをご覧ください。次に、(5)、第二次計画の主な取組についてご説明いたします。
ア、就労、住居の確保等に係る主な取組として、ソーシャルファームの創設を促進し、就労の確保に取り組みます。
また、公共住宅等や、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅を活用した居住の安定の確保に取り組みます。
イ、保健医療、福祉サービスの利用の促進等に係る主な取組として、地域生活定着促進事業において、高齢または障害により福祉的な支援を必要とする矯正施設出所予定者等に対し、特別調整への協力等を実施します。
また、区市町村等の一次相談窓口と関係機関の連携により、薬物依存からの回復を支援いたします。
ウ、非行の防止、学校と連携した修学支援等に係る主な取組として、都内の小学校で子供の万引き防止をテーマとした音楽劇等を実施することで、子供の規範意識を醸成いたします。
エ、犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導、支援等に係る主な取組として、犯罪をした者やその家族等を対象に相談窓口を設置いたします。
オ、民間協力者の活動の促進、広報、啓発活動の推進等に係る主な取組として、ポータルサイトによる情報提供や支援者向けのガイドブックを作成、配布いたします。
加えて、国と連携して、老朽化した更生保護施設の改築の施設整備補助を実施いたします。
カ、再犯防止のための連携体制の強化等に係る主な取組として、協議会における支援連携体制の充実強化、そして、区市町村担当者連絡会の開催等を行い、再犯防止の取組を後押しします。
最後に、3、今後のスケジュールでございます。
明日、令和五年十一月三十日から実施するパブリックコメントの結果を踏まえ、計画案を取りまとめ、令和六年一月に第三回協議会においてご承認をいただいた上で、二月から三月に策定、公表する予定でございます。
なお、第二次東京都再犯防止推進計画案の本文を資料第2号として添付しております。後ほどご覧いただければと存じます。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○三浦事業調整担当部長 それでは、東京二〇二五世界陸上競技選手権大会開催基本計画についてご報告いたします。
お手元の資料第3号をご覧ください。
初めに、1、概要でございます。
今般、東京二〇二五世界陸上財団において、大会の成功に向けて着実に準備を進めていくためのプランとして開催基本計画を策定いたしました。
今後、本計画を踏まえ、具体的な実施計画の検討を進めるとともに、都民、国民の理解と協力を得ながら大会の成功に向けた歩みを進め、そこから得られるかけがえのない経験等をレガシーとして未来に紡いでいくこととしております。
次に、2、主な内容でございます。
(1)、大会概要については記載のとおりです。
続いて、(2)、基本方針では、ア、ミッションとして、多くの人々に夢や希望を届けることと今後の国際スポーツ大会のモデルを示すことを掲げ、イ、ビジョンを、東京ドリーム、東京ブランド、東京モデルの三つで表現しております。
また、ウ、ビジョン実現に向けた取組の方向性を、組織運営、大会運営、競技運営、東京の魅力発信、環境への配慮、レガシー、国内各地、世界各国との連携、大会経費の各分野において定めております。
さらに、エ、大会メインカラーとして、江戸紫を設定しております。
続きまして、(3)、大会の成功と未来へ紡ぐレガシーでございます。
ア、大会の成功に向けた取組では、ビジョンで掲げた東京ドリーム、東京ブランド、東京モデルの三つの柱について、都が策定したビジョン二〇二五スポーツが広げる新しいフィールドや国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインも踏まえ、実現を目指すこととしております。
また、イ、大会が未来に紡ぐレガシーでは、大会の成功に向けた取組を通じて得られるスポーツ文化の広がり、次世代への価値の継承、ボランティア文化の一層の発展、未来につなぐ世界との絆、環境配慮行動の機運醸成、持続可能な大会モデルといったレガシーを未来につなげていくこととしております。
さらに、ウ、二〇二五年から生まれる新たな未来では、東京二〇二五デフリンピックも開催され、スポーツへの注目度が高まる二〇二五年の機会を捉え、両大会のビジョンやメッセージをより多くの人たちに届けていくとともに、東京二〇二〇大会のレガシーもしっかりと引き継ぎ、お互いを尊重し、支え合う共生社会の実現を目指していくこととしております。
続きまして、(4)、組織・運営体制でございます。
財団の構成員は、属性、契約形態も多岐にわたることが想定されることから、ア、組織体制として、フェアネスを体現した組織運営を徹底し、コンプライアンスの確保、ガバナンスの強化等に最大限努めていくこととしております。
また、イ、運営体制として、大会が都民、国民に心から受け入れられるものとするため、適切なガバナンス体制を確保し、スポーツのフェアネスを体現した信頼される組織の構築に向けて、役員等の適切な選任、コンプライアンスの確保、内部統制、外部チェック、利益相反に伴う問題の防止、情報公開の取組を行うこととしております。
最後に、(5)、大会運営ですが、ガバナンス、コンプライアンスを徹底した組織、運営体制の下、財団一丸となって大会の成功に向けた運営を行っていくこととしております。
なお、東京二〇二五世界陸上競技選手権大会開催基本計画の本文を資料第4号として添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上です。よろしくお願い申し上げます。
○清水事業調整担当部長 それでは、第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五開催基本計画についてご報告いたします。
お手元の資料第5号をご覧ください。
初めに、1、概要でございます。
令和五年八月に、大会ビジョン、実施競技、競技会場等を示した大会概要を公表いたしました。
今般、それに加え、大会を通じて都が目指すべき姿や、競技、会場運営など大会に必要な業務について、サービスレベルの考え方を基本計画として公表したところです。
今後、この計画の考え方を基に、具体的に各業務を検討し、大会の成功や大会後のレガシーの構築に向け、準備を進めてまいります。
次に、2、主な内容でございます。
(1)、デフリンピックを通してめざすものとして、大会を通じて都が目指すべき姿をまとめたビジョン二〇二五スポーツが広げる新しいフィールドを踏まえ、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京の実現に貢献していくための取組をまとめております。
まず、ア、みんながつながるとして、手話言語に対する理解促進とともに、様々なデジタル技術も活用して、誰もが円滑につながる大会を実現し、ユニバーサルコミュニケーションを社会に浸透させていきます。
次に、イ、世界の人々が出会うとして、世界中から集まる選手や関係者などに東京の持つ魅力を感じてもらい、世界との絆を深めてまいります。
次に、ウ、こどもたちが夢をみるとして、子供たちにデフスポーツの特徴や魅力を感じてもらう取組を行うとともに、大会の一員として活躍する機会やデフアスリートとの交流機会を設け、全ての子供たちの学びや成長をサポートします。
次に、エ、未来へつなぐとして、デフスポーツやろう者の文化への理解促進、環境への配慮に取り組むことで未来につながる大会を実現します。
最後に、オ、みんなで創るとして、当事者の目線を踏まえながら、多くの都民、国民の理解と参画の下、大会をつくり上げてまいります。
次に、(2)、みんなで大会を盛り上げるです。
まず、ア、大会の意義や魅力を伝えるとして、デフリンピックへの関心を高める取組を幅広く展開いたします。
次に、イ、共生社会について考えるとして、大会を通じてデフスポーツやろう者の文化への理解を促進させ、誰もが互いの違いを認め、尊重し合う社会への歩みを進めてまいります。
最後に、ウ、サポートの輪を広げるとして、大会の成功に向け、関係団体や区市町村などと連携するとともに、力を合わせて大会をつくっていくための仕組みづくりを進めてまいります。
次に、(3)、ガバナンスの確保として、大会が都民、国民に心から歓迎されるものとするため、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインなどを踏まえ、適切なガバナンス体制を確保し、スポーツのフェアネスを体現した組織を構築いたします。
次に、(4)、大会運営です。
まず、ア、競技では、競技団体などと連携体制を構築し、競技を運営いたします。
次に、イ、式典では、東京大会ならではの体験を得られる機会を提供し、世界中の様々な人々にデフリンピックの魅力を広く発信いたします。
次に、ウ、デフリンピックスクエアでは、大会期間中、選手が各種サービスの提供を受けられるとともに、選手同士の交流などができる拠点として設置いたします。
最後に、エ、輸送・宿泊では、安全、円滑、確実な輸送サービスを提供するとともに、競技に集中できる宿泊サービスを手配いたします。
なお、第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五開催基本計画の本文を資料第6号として添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○藤井委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
○藤井委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。
○浜教育長 令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明を申し上げます。
初めに、条例案についてでございます。
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外二件でございます。
次に、契約案についてでございます。
都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約でございます。
以上が教育庁関係の提出予定案件の概要でございます。
詳細は、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山田総務部長 それでは、提出予定案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
初めに、条例案についてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和五年第四回東京都議会定例会議案(条例)をご覧ください。
表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。提出予定の条例案は、三件でございます。
一ページをご覧ください。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
少し飛びまして、八ページをご覧ください。このページに本条例案の概要を記載しております。
今回の改正は、東京都人事委員会からの勧告等を踏まえまして、公民較差に基づく学校職員の給与改定を行うほか、規定の整備を行うものでございます。
給与改定につきましては、教育職給料表を、人材確保の観点から初任層に重点を置きつつ、全級全号給において引き上げるとともに、勤勉手当の支給月数を引き上げるものでございます。
また、非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の改正を踏まえまして、規定の整備を行うものでございます。
施行日は、給与改定につきましては公布の日、その他の規定につきましては令和六年四月一日でございます。
一五ページをご覧ください。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
一八ページの新旧対照表をご覧ください。
地方自治法の一部を改正する法律の施行を踏まえまして、会計年度任用職員の勤勉手当の支給等に係る規定を設けるほか、特別休暇として災害休暇を加えるものでございます。
施行日は、勤勉手当の支給に係る規定につきましては令和六年四月一日、災害休暇に係る規定につきましては令和六年一月一日でございます。
次に、二一ページをご覧ください。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
二三ページの新旧対照表をご覧ください。
職員の給与に関する条例の改正に伴いまして、休業補償等の額の算定の基礎となる補償基礎額を改定するほか、規定の整備を行うものでございます。
施行日は、補償基礎額の改定につきましては公布の日、その他の規定につきましては令和六年四月一日でございます。
次に、契約案についてご説明を申し上げます。
お手元の資料、令和五年第四回東京都議会定例会議案(契約)の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回提出を予定しております契約案は、一件でございます。
一ページをご覧ください。都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は五十二億七千七百八十万円でございます。
契約の相手方は、群馬県太田市飯田町千五百四十七番地、関東建設工業株式会社でございます。
工期は、契約確定の日の翌日から令和八年五月二十九日まででございます。
三ページから五ページにかけまして案内図、配置図、各階の平面図を、六ページに契約議案の概要を記載しております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。−−なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○藤井委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
初めに、請願五第一五号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○岩野地域教育支援部長 請願五第一五号、小・中学校の給食費の無償化に関する請願についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
本請願は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部会長佐久間千絵さん外七千六百三十八人から提出されたものでございます。
本請願の要旨は、都において、小中学校の給食費の無償化を実現するために、区市町村への食材費等の補助を行っていただきたいというものでございます。
これに関します現在の状況でございますが、学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされております。
区市町村立小中学校の学校給食費については学校設置者が決定しており、保護者負担の軽減策等についても、各自治体の判断により行われていると認識しております。
なお、学校給食費の取扱いについては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○藤井委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○龍円委員 給食費無償化に関して、私から、一点だけ意見を申し述べさせていただきます。
都立特別支援学校の給食についてです。
先日の事務事業質疑でも触れましたとおり、都立特別支援学校の児童生徒の多くには、嚥下に課題があったり、自立して食事することに困難さがあるため、一人一人に合わせた調理が必要になります。
ダウン症がある私の息子も、生まれたときから、この嚥下に関しては深刻な困難さを抱えてまいりました。そのため、地域の学校では、ほとんど給食を食べられませんでした。そのため、自宅に帰ってから食事というのが大変で、朝食には一時間、夕食には二時間かかるのが日常でありました。
ダウン症のある子の成長というのはすごくゆっくりで、うちの息子の場合は、ダウン症児用の成長曲線の一番下の線をぎりぎりついていっているくらいで、そこから落ちたら治療対象になるというところだったんです。一生懸命、家で食べさせているものの、もしかして給食を学校で食べられていないからかしらと、悩みながらやってまいりました。
それが、四年生になって都立特別支援学校に転校してから、僅か三か月で自立して食事ができるようになり、ほぼ毎日完食したという連絡をいただいています。
これがどれくらいの喜びなのかというのは、一般の方にはなかなか理解しにくいところもあるかもしれませんけれども、技術的に食べられるようになるということが、生きる力そのものを育ててもらっているというふうに感じております。
事務事業質疑では、都教委からの答弁で、都立特別支援学校の給食では、児童生徒等の食べる機能に合わせて、食材の軟らかさや形、滑らかさを調節して調理した形態食を提供しているということ、そして、その形態食は、普通食と同じメニューとなるように、食材ごとに加熱方法や切り方などの調理方法を調整しながら、普通食と同様な味つけ、見た目になるよう工夫していること、形態食の調理には専門的な知識や技術が必要となるため、学校栄養職員や調理委託事業者に対して、調理実習ですとか摂食・嚥下機能の専門家の講義などの研修を計画的に実施してスキルアップを図っているという話を伺いました。
この給食の無償化については、区市町村が無償化を決定して特別支援学校の児童生徒の給食代を負担するということについては妨げる必要はないと思いますけれども、都立特別支援学校においては、引き続き、現在のような一人一人の児童生徒のニーズに合わせた形態食を提供できるよう、必要に応じて対応を行っていただくよう要望させていただきます。
一方で、都立特別支援学校に通っている児童生徒のご家庭は、一般よりも世帯収入が少ないということが分かっております。
福祉保健局が令和四年に行った調査では、都内の子供がいる両親世帯、つまり、普通のお子さんがいる両親世帯では、年収が八百万円以上という世帯が五四・五%と過半数に上っています。五百万円未満の家庭は一四・二%なんですね。
一方で、都立特別支援学校に通う児童生徒はどうなのかというと、昭和女子大学現代ビジネス研究所が実施した令和三年の実態調査によりますと、都立特別支援学校に通っている児童生徒の世帯収入というのが、七百五十万円以上というのは二二・七%にとどまっていて、逆に、五百五十万円未満というのが五四・一%と過半数になっております。
より重い障害があるお子さんがいるご家庭の方が世帯収入が少なくなるという傾向があることが、このことから分かります。その背景には、母親の就労継続が難しいという面があるかと思います。
都立特別支援学校では、就学奨励費において、給食費も含めて様々な経済的支援をしていますけれども、一般の家庭よりも世帯収入が少ない家庭が大半だということを念頭に置きまして、総合的な経済的な支援の在り方については随時見直しながら、改善するべき点がある場合には、していっていただけますようお願い申し上げまして、意見とさせていただきます。ありがとうございました。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
私からも、この小中学校の給食費無償化に関する請願について伺います。
この請願は、都内の小中学校の給食費の無償化を実現するために、区市町村への食材費等の補助をしてほしいという趣旨ですけれども、給食費の無償化を求める声は、今や全都的に広がり、多くの都民の願いになっています。この請願に賛成の立場で質問をいたします。
まず、無償化の現状について確認しておきたいというふうに思いますが、二十三区では、単年度の措置も含めて、何らかの形で全ての区が給食費の無償化に踏み出していますが、多摩地域の無償化は少数にとどまっています。
都教育委員会では、都内の自治体の無償化の状況について把握していますか。
○岩野地域教育支援部長 学校給食法では、学校給食は設置者が実施することとされております。
都内で学校給食費の無償化を実施している自治体があることは承知しております。
○斉藤委員 都内で無償化を実施している自治体があることは承知しているということで、具体的な数等についてはご答弁がないのですけれども、二十三区では、全ての区が無償化を実施、また表明をしているその一方で、多摩地域では、もともと無償化をしていた奥多摩町や利島村などの五町村のほかは、時限的、限定的に無償化を行う府中市や武蔵村山市、狛江市など、少数にとどまっています。
住んでいる自治体で教育条件の格差が生じないようにするためにも、東京都の責任が問われています。
都教育委員会は、学校給食費の無償化が新たな多摩格差になっているということについて、どう認識していますか。
○岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校の学校給食費につきましては、学校設置者である区市町村が決定しており、保護者負担の軽減策等につきましても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
○斉藤委員 私ね、格差が生じていることについての認識を伺ったんです。法律のことを聞いているわけじゃないんです。
学校給食費の無償化で新たな多摩格差が生じているということは、お認めになりますか。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、学校給食費につきましては、学校設置者である区市町村が決定しており、保護者負担軽減策等についても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
○斉藤委員 格差が生じているということの認識については、あくまでもご答弁されない。できないのか分かりませんが、正面からお答えにならないのは、もう現実から目を背けたいからなのかというふうに思ってしまうんですけれども、都内の多くの自治体で、無償化を求める声に応えて動き出しているというときに、一番力のある東京都が背を向け続けているというのは許されないというふうに思います。
私は、多摩地域にお住まいの方々から、どういう現状があるのか、伺ってきました。
多摩地域では、中学校の給食がない自治体がまだ残っています。注文すればお弁当が届くというスクールランチの仕組みで食事を提供しているある自治体では、就学援助の要保護世帯においても、喫食率が六五%と低い状況になっている状況です。
その理由として、冷たくておいしくないといわれている、このお弁当を毎日食べていると、お弁当代が無償の世帯だということが分かってしまう、そういうことを気にして、毎日注文ができないという生徒さんがいるということなんです。
私は、このことを聞いて、こういうことを以前にもお話を伺ったことがあるんですけれども、今回改めて伺って、給食があるかないか、また、全員が無償化かそうではないかで、子供たちにそんな切ない思いを、無償の対象になっているお子さんに対して、そういう気を遣わせてしまっている、こういう現実を改めて知って、本当に驚きまして、そして胸が痛む思いです。
すぐにでも解消していかなければならないというふうに思いますけれども、都教委は、このような実態があることをご存じですか。
○岩野地域教育支援部長 学校給食は設置者が実施することとされており、保護者負担の軽減策等についても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
○斉藤委員 さっきからずっと同じ答弁を繰り返していて、聞いていることに全くかみ合わない、こういう答弁ばかりされているんです。私は、こういう実態があることを知っているかどうかということを聞いたのであって、法律のことなど聞いていません。
今、給食費をめぐってのこの環境は大きく変化しています。自治体による無償化の実施、未実施のほかに、対象や期限の違い、また、多摩地域の一部のように、中学校には全員給食がない自治体、さらに、特別支援学校では、自治体による違いのほか、同じ学校内でも、居住区によって無償化になる児童生徒と有償の児童生徒が混在しているということなど、基礎自治体だけの動きになっているために、様々な差が生まれてしまっている状況です。
給食のあるなし、また、無償化かそうでないか、これでどのような状況が現場で生まれているのか、実態調査を行うことを求めますが、いかがですか。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、毎年度、学校給食の実施率、調理方式等の実施状況や学校給食費などについて調査を行い、学校給食の実態として公表をしているところでございます。
○斉藤委員 統計としての調査を行っているというのは、私も知っています。数字だけでなく、今、これだけ給食費の無償化や支援が複雑に入り組んでいる中で、子供たちや学校現場にどのような影響が生じているのか、把握していく必要があるのではないかというふうに思います。教育の条件の格差を解消していくためにも実態調査を、まず、この実情をつかんでいくということを求めます。
今、物価高騰が長く続く中で、給食費の無償化は、保護者の負担軽減、子育て支援の柱として切実な願いになっています。
先日の事務事業質疑でもいいましたけれども、二〇二三年に値上げされる商品は三万品目を超え、バブル崩壊以降、最大級の値上げだといわれている中で、給食費の無償化は、家計を支える上でも喫緊の課題です。
一方で、今回、都民の方々から改めてお話を伺う中で、この給食費の無償化や支援の目的は、福祉的な視点だけではないのではないか、食育の側面からも重要なのではないかという声を改めていただきました。
我が党は、食育としての給食の重要性について、これまでも繰り返し訴えてきましたが、私は、先日の事務事業質疑でも、その重要性について伺いました。
そのとき、都立学校教育部長からは、給食への補助の意義について、保護者の負担軽減を図ること、そして、法律で、食育の推進は重要なことと位置づけられていますというご答弁がありました。
教育長も、食育の推進は重要なことという、同じ認識をお持ちですか。
○浜教育長 学校給食が児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであるという学校給食法を尊重しております。
○斉藤委員 今、教育長から、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断を養う上で重要な役割を学校給食が果たしているという、この法律を尊重しているという重要なご答弁がありました。
まさに食育基本法において、学校給食は教育の一環として位置づけられ、学校において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより、子供の健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう食育を推進するということを求めています。
しかし、この豊かな食育に深刻な影響が及ぶ状況が続いています。私たちは、この間、栄養士の方々からもお話を伺ってきました。学校現場の栄養士さんからは、物価高騰の中で、値上げをしないで何とかやりくりするために、お肉やお魚の量を減らしたり、旬の野菜は高いから購入するのを控えたり、果物も小さく切り分けたりせざるを得ない、こういう声が寄せられています。イベントや季節に合わせた特別メニューなどは、なかなか出せなくなっているということです。
伺いたいのですけれども、こうした給食の質に影響が及んでいる状況があることを、どう認識していますか。
○岩野地域教育支援部長 学校給食につきましては、学校給食法で各設置者が実施することとされております。
その実施につきましては、各区市町村の判断で行われているものと認識しております。
○斉藤委員 各学校とか自治体の判断ということで、繰り返しのご答弁なんですけれども、こうした給食の質に影響が及ぶ状態になっているということ、この認識を聞いたんです。
先ほどのご答弁のとおり、この食育についてですけれども、学校給食が児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすというものだと、まさしく教育長からのご答弁がありました。
給食は、食育の一環として、食育の推進が位置づけられていることからも、給食の質に影響が出る状況や、自治体によって全員給食が実施されていない状況があることは、直ちに解消しなければならない最低限の教育条件の課題だというふうに思いますけれども、認識を伺います。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、学校給食につきましては、各設置者が実施することとされております。
各設置者の判断で適切に実施されているものと認識しております。
○斉藤委員 何を聞いても、設置者の判断でやっているということしかお答えされないというところに、今の教育庁の姿勢が表れているんじゃないかというふうに思います。
今、特に物価高騰で食材のやりくりが厳しくなっている中で、旬の野菜や地元の野菜、果物などを味わったり、季節のメニューを学んだりする機会が失われてきているということは、教育の一環として位置づけられている食育の保障ができなくなっているという事態ではないでしょうか。こうした現実にきちんと目を向けて、支援を行っていくということが必要だと思います。
保護者の負担軽減、子育て支援の視点のほかにも、子供たちの豊かな食育を支える意味でも、この東京都の支援は大きなもので、切実に求められています。
この間、無償化の広がりの中で、中学校の全員対象の給食がない東村山市では、大きな変化が起きているというふうに伺いました。東村山市では、各地での給食費の無償化の広がりの中で、中学校に温かい全員給食を求める陳情が全会派一致で可決されたということです。
東京都が無償化の支援を行えば、給食の実施や無償化に向けて、各自治体で、多摩地域においても大きなはずみになっていくと思いますが、いかがですか。
○岩野地域教育支援部長 学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされております。
学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
○斉藤委員 設置者が実施するもの、国の責任によるものということで、ずっと繰り返されているんですが、伺いますけれども、東京都市長会は、学校給食費無償化への補助を都の来年度予算に対する最重点要望として、給食費の全額補助を国が実施するまでの間は都が財政支援すること、これを求めています。
市長会からの要望をどう受け止めていますか。また、この市長会からの要望には何と書いてあるか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 食材費等の学校給食費につきましては、児童または生徒の保護者が負担することとされており、学校給食費の取扱いについては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
なお、市長会からは、給食費の全額補助を国に働きかけること、また、実現までの間、都において財政支援を行うことについて要望があったことを承知しております。
○斉藤委員 今、この最重点要望、市長会のこの要望の一部についてお答えいただきましたけれども、ご答弁のとおり、国からの全額補助の実現までの間は都において財政支援を行うということを求めているんです。
さらに、この市長会からの要望には、このように書かれています。児童生徒及び保護者が居住する自治体によって大きな教育格差を感じることがないように財政支援してほしいということが書かれているんですね。
まさにこの無償化の格差は教育条件の格差であり、自治体の努力だけでなく、都の責任として解消しなければならない、そういう問題ではないでしょうか。
そして、二十三区においても、何らかの形で区が無償化に踏み出したとはいえ、対象が限定されている区があったり、時限的な措置となっている区もあって、無償化が続けられるのかという懸念があります。
市長会だけでなく、特別区長会も、来年度の予算要望で、学校給食への支援について財政措置を講じることを都に求めています。
この区長会からの要望について、この受け止めと、その内容について、何と書いてあるか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 区長会からの要望につきましては、特別区が実施する学校給食への支援について財政措置を講じること、国に対しては、国の負担において学校給食の無償化を進めること、また、恒久的な財源支援までの間、交付金の創設等により支援を拡充するよう働きかけることなどの要望があったことを承知しております。
○斉藤委員 この要望の文書の一部について、今、お答えをいただきました。
この区長会からの要望には、さらにこういうことが書いてあります。学校給食食材の価格高騰が継続している中、学校給食を安定的に提供するために、特別区が実施する学校給食への支援について財政措置を講じること、これを求めているんですね。安定的にこの学校給食を提供するためにも、都の支援が求められているということです。
市長会、区長会を含めた都民の大きな声に応えていくべきです。
最後に伺いたいのですけれども、都教委は、この間の質疑、そして、今日の質疑の中でも、給食費の無償化について、学校給食法では、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされている、このことと、また、学校給食費の取扱いについては国の責任と負担によるべきもの、こういう答弁を毎回のように繰り返しているんですね。
しかし、そういう中でも、各自治体は独自に支援に踏み出しているわけです。
都教委は、この間、この法の立てつけばかりを答弁されていますが、しかし、一九五四年、昭和二十九年に発出された文部事務次官通達、ここでは、学校給食法等の規定について、経費の負担区分を明らかにしたもので、例えば保護者の経済的負担の現状から見て、地方公共団体、学校法人その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではないとされている、こういう通達を出している。これは、三月の予算特別委員会で教育長が答弁をされています。
この認識、これは間違いありませんよね。伺います。
○岩野地域教育支援部長 すみません、認識というのは、答弁されているということについてでしょうか。−−今の認識というのは、教育長が答弁されているということの認識ということでしょうか。
○斉藤委員 教育長が答弁されているということに加えて、この文部事務次官通達、教育長が答弁された内容ですけれども、この通達で、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない、このように学校給食法等の規定についていっているわけです。その中身は間違いないですよねということ。
○岩野地域教育支援部長 失礼いたしました。
そのとおりでございます。
○斉藤委員 そのとおりということで、間違いないということであるならば、法によって給食費等は保護者が負担するものと、こういう言い訳をずっと繰り返しているというのは、もうやめたらどうかというふうに思うんです。各自治体は、この文科省の通知に基づいて、今や学校給食法を言い訳にするようなことはしていません。
国会においても、二〇一八年の、我が党の吉良よし子参議院議員がこの通達について確認をした質問に対して、文科大臣が、地方公共団体が給食費を補助することを禁止するものではないということを改めて認めています。
東京都だけ、いつまでも取り残されたかのように同じ答弁を繰り返すというのは、もうやめるべきです。都民の声、市長会、区長会の声に応えて、無償化の実現に向けての支援に踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一五号は不採択と決定いたしました。
○藤井委員長 次に、請願五第一七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 請願五第一七号、中学校英語スピーキングテストの実施状況調査とテスト結果の活用中止に関する請願についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の二ページをお開き願います。
本請願は、千代田区の都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会代表、池田真澄さん外八百七十五人から提出されたものでございます。
本請願の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
1、中学校英語スピーキングテスト−−以下、ESAT-Jという−−の実施直後に、受験生や各学校、教員等を対象として実施状況に関する調査を行い、速やかにその結果を公表すること、2、ESAT-J結果の令和六年度の都立高校入試への活用を中止することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、昨年度実施したテストでは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。
今回のスピーキングテストの音読の問題につきましては、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて、英語として自然となるよう文を作成し出題したものであり、学習指導要領を逸脱しているとの指摘は当たりません。
受験した中学三年生に対して、今後の学習に役立つよう、必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度など、観点別の評価結果を記載した資料を提供しております。
また、法令等に基づき、受験者本人以外の個人情報を保護するため、本人の音声を抽出処理した上でデータを提供しており、本人の解答音声を確認できます。
スピーキングテストにおける不受験者の措置は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などに対し、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的な最善の方法でございます。
八人の受験者の評価の修正につきましては、機器の不良が原因であると判断されております。万が一の機器不良に備え、主音声だけでなく、タブレットからの録音も同時に行い、どちらかの音声で採点できる仕組みを備えております。
個人情報につきましては、法令等に従って適切に取り扱っております。
中学校の英語の授業においては、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど英語を使ったコミュニケーションを図る様々な学習形態を工夫しているほか、ICT機器の活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流を実施するなど、様々な効果的な指導を主体的に行っております。
スピーキングテストは、こうした中学校での学習内容を踏まえて出題することにより、授業で学んだ内容の到達度を確認し、英語指導の充実を図るために実施するものでございます。
昨年度実施したテストでは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。引き続き、よりよい試験になるよう、実施状況を確認し、不断の改善に取り組んでまいります。
都立高校入試においては、話すことを含めた英語の四技能の学習の成果を測るため、引き続き、その結果を活用してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○伊藤委員 スピーキングテストの請願について伺いたいと思います。
まず、つい先般、スピーキングテストが実際に実施をされて終了したことと思います。
この実施状況について、まず伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 約七万人の生徒が二百二十七会場で受験し、会場準備の確認のために、一部、入室時刻が遅れる会場があったものの、試験を予定どおり実施することができたというふうに認識しております。
十二月十七日に追試験等を予定しております。引き続き、万全の準備に取り組んでまいります。
○伊藤委員 先般もちょっとお話ししたかもしれませんけれども、図らずも、うちの娘も中学三年生ということで、この間、実際に受けさせていただきました。
何か課題が見つかったら報告するようにということで、いろいろ見て、自分の受験にも集中しながら、何か課題があればということで、家に帰ってきてから様々聞きましたけれども、まず一つは、イヤーマフですか、イヤホンの上にイヤーマフをつけたことによって、ほかの人の声が聞こえるということはなかったというお話がありました。
また、最初に、マイクテストという形なんですかね、自分で発話したものを自分で聞くというテストがあって、発話し、それを自分で確認をしたと。確かに、ほかの人の声も、当然、ほかの人も発話していますから、そのマイクを通じて録音されているということが確認できたと。
ただ、一方で、自分の声が最も、もちろん、はっきり大きく聞こえていたので、一般的に採点者が間違えることはなかろうというのが、うちの娘からも聞き取ることができました。
また、そういう意味では、昨年から様々に進化させて、今回、スピーキングテストが行われたということも聞いております。
そういう意味で、今回、おおむね無事にスピーキングテストが終了をしたということについては、私自身も、都の取組について評価をさせていただいておりますし、また、今後とも改善をしながら、このスピーキングテストを進めていっていただきたいというふうに思っています。
スピーキングテストがあることで、我が家においても、あるいはほかの世帯においても、日常的に英語を話すとか聞くという能力に対して関心を持ったり、それから、家庭の中とか、あるいは学校の中で、熱心に話す英語に取り組んできたというふうに、私自身、認識しています。
また、親としても日常的に、スピーキングテストがあるんだから、英語は字幕で見なさいとか、こういう話題にもなってきたことによって、関心を十分に持ってもらえたかなというふうに思っています。
一方で、先般も申し上げましたけれども、やはりテストですので、テストテストをやる中で課題が見つかってくることもあろうかと思います。
前回、このテストを受けた方々から、中には、例えば機械の不具合があったとか、あるいは使い方が分からなかったというようなこともあろうかと思いますので、ぜひ抽出アンケートをしてみてもらえないかという提案をさせていただきました。
これについては、前向きな答弁を先般いただきましたので、実際にどのような対応を今後検討されているのか、伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 事業者及び都教育委員会が実施状況を確認するとともに、生徒に対して、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、会場にいる試験監督やそのほかの係員に声をかけること、また、試験中に伝えられなかった場合には、試験終了後に会場にて係員に申し出ること、さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談をし都教育委員会に連絡すること、これを全員に配布したプリントでも伝えており、生徒の申出を直接聞く体制を整え、周知をしているところでございます。
今後とも、様々な方法で実施状況などの把握に努め、改善につなげていきたいと考えております。
○伊藤委員 そういう意味では、生徒の申出を直接聞く体制も整えているということでもあります。また、これから寄せられた声なども分析しようがあろうかと思いますので、もちろん、改善できることはどんどん改善していっていただければと思います。
教育は何のためにあるかといえば、時に、いい大学に入れたいとか、偏差値の高い学校に入れたいとかという、ある種の誤解を親も持ちがち、私もそうですけれども、持ちがちになりますが、やっぱり突き詰めていくと、社会で求められる人材を育てていく、育んでいくのが教育の務めではないかと思います。最終的には、いい仕事と出会い、そして、すばらしい仕事を通じて自らの人生を豊かにしていくといったところに教育の利用というものがあるのではないかというふうに考えています。
そういう意味で、社会で求められる人材のありようは、時代によって、これもまた刻々と変化しており、願わくは、都教委においては、時代を先取りして教育内容を策定していっていただきたいというふうに考えています。
ただ、この英語については、私が小学校、中学校ぐらいだった三十年以上前から、本来は、話せる英語として解決されているべき問題だったのかなというふうに思っています。今日まで、それが棚上げされてきた感は否めません。
そういう意味で、子供の未来、社会が求める人材を育てる観点からスピーキングテストを導入した意義は私は大きいと、このように確信をしています。
ただ、当然、スピーキングテストに限らず、時代の変化とともに、入試の在り方、受検の在り方あるいは授業の在り方を進化させれば、そこに必ず課題は生じてまいります。その課題に向き合って課題の改善策を磨き合うのが、この都議会の仕事ではないかというふうに思います。やるかとか、やめるかといった議論ではなくて、どうやるか、そして、どう磨き上げていくかということをやっぱり議論し、そして進化させていきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
そして、最後に、スピーキングテストにおける合理的配慮の提供について伺います。
特別な配慮が必要な生徒への対応についてです。
昨年の文教委員会では、我が会派から、多様な障害やニーズがある生徒に対応するには、専門性がある特別支援教育経験者でなければ難しい場面があることが予想されます。そのことから、特別支援教育に明るい職員が現場でサポートできるよう要望をしてまいりました。
都教委からは、特別支援教育を専門とする東京都教育委員会の職員を派遣し、状況を把握するとともに、次年度の実施に生かしていくという答弁がございました。
今年度の実施では、障害や特別なニーズのある生徒が受験するために、合理的配慮の提供や対応についてどのようになされたのか、伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 個々の生徒の障害特性などは様々であります。
生徒が力を発揮できるよう、受験会場の配慮や試験時間の延長などの特別措置を行ったところでございます。
特別措置を行う専門会場はもとより、一般会場においても、必要に応じて、特別支援教育を担当する指導主事などの専門性を有する職員を配置し、支援を行ったところでございます。
○伊藤委員 今年度は、特別措置を行う専用会場のみならず、一般の会場においても、特別支援教育の専門性がある職員を配置したということで、あらゆるニーズのある生徒への対応が可能となる体制を取ったことが分かりました。
これらの職員がいらっしゃったことで、各会場できめ細やかな対応ができたと伺っております。各会場でどのような合理的配慮の提供が必要になったかなどの情報をまとめて、来年度以降の運用にも反映されていきますようにお願いを申し上げたいと思います。
最後に一言ですが、行政用語なので、どうしても障害児あるいは障害者といった言葉が、皆様の中では通常使われることと思います。日常的な答弁などにおいてもそうだと思いますが、とりわけて龍円議員が誕生してから、スペシャルニーズのあるお子さんといった表現を質問のときに使わせていただいていると思います。先ほど私の方からも、スペシャルは日本語にすれば特別なということで、特別なニーズのある生徒さんといういい方をさせていただきました。
私も親の気持ちに立ってみますと、やっぱりスペシャルニーズのある子供といういい方を自分の子であればしたいなと、こういうふうに思いますし、また、そういった呼び方というのが、ある種、インクルーシブな教育につながっていくのではないかなというふうに思います。
願わくはですけれども、今後ぜひ龍円議員の質問には、少なくても特別なニーズのある生徒といういい方でご答弁をいただきますように、一回、検討してみていただきたいということを私からお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
以上です。
○斉藤委員 私からも、英語スピーキングテストのこの陳情について、賛成の立場から伺います。
まず、丁寧に冒頭にお話をしたいと思います。
そして、冒頭に申し上げておきたいと思いますけれども、我が党も、子供たちの英語のスピーキング力を伸ばしていけるような教育環境をつくっていくことは大事なことだというふうに思っています。しかし、この民間事業者を活用した英語スピーキングテストを都立高校の入試に使うという問題は、英語が大事かどうか、それを問う問題ではなくて、再三申し上げているとおり、そういうレベルの問題ではなくて、都立高校の入試に使うには、あまりにずさんで、公平、公正でない制度だということ、これで、この入試の活用への中止を訴えているというものです。
先日の日曜日、二十六日に、中学校三年生を対象にしたテストが実施されました。今回のテストでは、約七万人の生徒が受けたということです。私たち英スピ議連と都民三団体は、今回のテストの実施状況について、現在、アンケート調査を行っているところです。
この問題に、そしてテストを受けた子供たちに誠実に対応するなら、請願者が求めているように、都教委自身が中学校の先生や中学三年生あるいは保護者から声を聞く調査をするのは当然のことだというふうに思います。
このテストについては、昨年度のこの実施において、私たち英スピ議連の元に、試験を受けた中学三年生を中心に四百七十八件の回答があり、全部で百九十七の会場のうち、百二十五もの試験会場からの体験が寄せられているんです。昨年度に寄せられた声から、問題点がどのように変わったのか、変わっていないのか、検証していくということが必要です。
昨年度のアンケート調査で寄せられた声の中で最も多かったのは、イヤーマフ越しにほかの受験者の解答音声が聞こえたというもので、七十八の会場から百六十六の声が寄せられました。一つや二つの会場じゃないんですね。
テスト中、周りの声が丸聞こえで答えが分かってしまったという声や、開始ボタンを遅く押せば、ほかの人の解答を聞いてから答えることもできたと思う、また、周りの声が多く聞こえて集中できなかった、こういうことなど、都教委がこれまで、解答に影響が出るほどの問題はなかったと繰り返していることが信じられないくらいの圧倒的な、この実体験による声が寄せられているんです。
また、録音確認の際に、周りの人の声が録音されていたという声は、三十五の会場から五十五件寄せられていました。録音音声の確認の際、周囲の話し声もしっかり録音されており、自分のものが評価されるか不安だという声などです。
二十六日に二回目の英語スピーキングテストが行われましたけれども、昨年から改善していることはどんなことか。特に、昨年度の実施の際にたくさんの声が寄せられた音漏れやイヤーマフについて、そして録音の状況について、どんな改善をしたのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 昨年度の実施状況や、中学校や区市町村教育委員会からの意見も踏まえ、機器の操作方法の案内や不具合の確認など、試験監督から生徒への案内をより分かりやすく工夫したほか、イヤーマフについて、使用方法をリーフレットや動画等で事前に詳しく案内をしたところでございます。
また、教室や机の配置を工夫するなど、生徒がより集中した環境で受験できるように工夫するとともに、ほかの生徒の声が録音されていても、採点に問題がない旨を生徒に周知をいたしました。
○斉藤委員 イヤーマフは、昨年と同じものを使ったというふうに聞いています。今回のテストの後にも、自分の声を一回再生するときに、一回ほかの人の声が聞こえましたという声や、タブレットから、もう一人の違う子が話しているのが聞こえちゃってという声、また、イヤホンを改善してほしいという声があったということも報道されています。
教室の机の配置を工夫したというご答弁がありましたけれども、ネット上では、席は横に一つ空ける配置になっていても、前後の距離が近かったということや、隣の生徒の声が聞こえたということ、録音で隣の生徒の声が録音された、また、イヤーマフやイヤホンが痛かった、こういう声が今回も出ています。
昨年、問題がないといい張って、子供たちの声を聞かずに誠実に対応してこなかったから、繰り返していることになっているんじゃないですか。
今年も、隣の生徒の声が聞こえたなどの声が出ていることをどう考えていますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今年度、先日、日曜日に実施された試験につきましては、予定どおり実施されたというふうに認識をしております。
○斉藤委員 予定どおり実施したのでしょうけれども、その後の声については、全然、調査はまだされていないということなんですよね。子供たちに対して、あまりに不誠実な状況だといわざるを得ません。
隣の声が聞こえた、イヤホンが痛いなどの声が引き続き出ているということは事実ですので、これはきちんと、今回、改めて検証していただきたいと思います。
もう一つ伺います。
昨年のテストでは、試験監督の確保や専門性の問題、研修はどうなっているのかということも問われました。一日の日雇バイトを、ネット上で、隙間バイト、さくさく稼げる、こういうキャッチコピーで安易に募集されているずさんな実態に、都民からは驚きの声が上がっていました。
実際に会場では、昨年ですけれども、指示が統一していない、途中で何度も集合していて不安だった、騒いでいても注意をしないなど、生徒にストレスや不安を与えている状況が明らかになっていました。
一生に一度の受検に真剣に取り組んでいる生徒たちに対して、あまりにひどいやり方だと批判の声が大きく上がりました。
今回のテストでは、試験監督の確保や研修についてどのような改善があったのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 試験監督につきましても、事業者により適切に対応されたと考えております。
○斉藤委員 事業者により適切に対応されたと考えているという答弁で、都教委としては確認していないということだと思うんですね。まさに事業者任せの状況で、改善がされたという答弁ではありませんでした。
実際に、今回の試験監督の募集についても、やはりネット上で、履歴書不要、友達同士オーケーなど、真剣に試験を受ける生徒たちへの配慮が感じられない、ずさんな求人ですね。これが事業者であるベネッセ自身から発信されています。昨年のひどい実態がありながら、都としての責任を今回も果たしていないというのは、本当に許されない状況だというふうに思います。
そういう中で、信じられないような発信がネット上でありました。ご覧になっている方もいるかもしれません。ご紹介しますけれども、今日、スピーキングで受験に来ていた子が、イヤホンのゴムの部分、なかなかつけられない子がいて、くそかわいかったという、こういう発信なんですね。
真剣に試験に臨む中学三年生にそんな気持ちで接して、それを発信するという大人がいること自体、公教育の現場であり得ないということではないでしょうか。
これらの実態について、まだ適切に対応されたというふうに考えますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますが、試験監督については、事業者により適切に対応されたと考えています。
○斉藤委員 同じ答弁を繰り返していますが、都教委自身で確認していないということですよね。分からない、認知していないということがあるのなら、まさに受験生からの聞き取り調査を行うべきだというふうに思うんです。
九月のこの委員会において、今回のテストの実施後に、実施上の問題がなかったか、実施状況の確認を行うという答弁がありましたが、どのように確認、検証を行うのですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほど伊藤委員のご質問の方にもお答えしたとおり、事業者及び都教育委員会が実施状況を確認するとともに、生徒に対して、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、会場にいる試験監督やそのほかの係員に声をかけること、また、試験中に伝えられなかった場合には、試験終了後に会場にて係員に申し出ること、さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談し都教育委員会に連絡をすることを、全員に配布したプリントの中で伝えており、生徒の申出を直接聞く体制を整え、周知をしているところでございます。
今後とも、様々な手法で実施状況等の把握に努め、改善につなげてまいります。
○斉藤委員 今ご答弁されたのは、生徒に十一月に配っている……(資料を示す)このチラシですね。この中に、困ったことがあったらと下に書いてあって、試験官に声をかけるようにと書いてあるんですけれども、これは、その場で試験監督が対応するという意味ですよね。それに、試験監督に当日にいえるようなことは、ごく限られたものではないでしょうか。周りの解答が聞こえたとか、周りの声が録音されたということ、あるいは試験監督の不手際など、こうしたことは、後日に改めて聞かなければ報告されないことではないでしょうか。
あくまでも当事者の声を事後に自ら聞こうとしない、こういう姿勢は本当に許されません。都教委にとって都合の悪いことは聞きたくないという、そういう姿勢なのかなというふうに思います。
次に、生徒の個人情報の登録について伺います。
今年の中学三年生の保護者の方からも声が寄せられましたが、ベネッセへの個人情報の登録について、親が知らないままに登録しているケースがあるのではないかという懸念の声がありました。
今回の実施に当たって、ベネッセへの生徒の個人情報の登録は、全て保護者の同意の下に行われているのか、確認をします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 保護者の同意については、ご理解いただけるように学校を通じて説明をしており、保護者の同意を得て、個人情報の取扱いの同意にチェックをしないと登録手続が完了しないようになっております。
全生徒に配布した申込マニュアルにおいても、必ず保護者の同意を得た上で入力するように依頼をしています。
○斉藤委員 保護者の同意を得て、個人情報の取扱いの同意にチェックをしないと登録手続が完了しないようになっているということなんですけれども、これも以前からいわれていますが、その同意へのチェック自体は親がいなくてもできるもので、これで親の同意が担保されているという状況にはならないのではないでしょうか。
我が党は以前から指摘していますが、未成年の子供たちが登録するには、保護者の同意が必ず必要なものです。しかし、学校でも確認もきちんと取られないまま、みんなで登録してきたということが、今回の試験に当たっても寄せられています。
さらに、民間事業者であるベネッセになぜ登録しなくてはいけないのか、納得がいかないにもかかわらず、入試に使うからと登録が強制される状況に、おかしいという声が今回も寄せられています。
昨年、あれだけ問題になったのに、改善されず、今年も同じことになっている。やり方に無理があるのではないですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますが、保護者の同意については、ご理解いただけるように学校を通じて説明をしており、保護者の同意を得て、個人情報の取扱いの同意にチェックしないと登録完了ができない、登録手続は完了しないようになっております。
全生徒に配布した申込マニュアルにおいても、必ず保護者の同意を得た上で入力するように依頼をしています。
○斉藤委員 また同じ答弁なんですけれども、その同意へのチェックというのは親がいなくてもできちゃう、こういうものになっているわけなんです。民間活用の根本的な問題だと思うんです。このテストが公教育の中で行われることの避けられない矛盾なのではないでしょうか。
これまで、テストの実施についてどのような改善があったのか伺いましたが、それぞれにおいて解決できていない実態があるということは明らかだと思います。
さらに、根本的にこの入試制度が欠陥を抱えているということは、幾らテスト当日の改善を行っても、変えようのない事実です。専門家の方々も何度も指摘していますけれども、その矛盾の一つが不受験者の存在です。
入試に使われるテストを受けられない生徒が生じる、こういう状況をつくっておいて、その代わりに本人の実力ではない仮の点数を与えるというのは、他県の教員などからも、あり得ないと驚きの声が上がっています。
しかも、都教委は、仮の点数の算出の基になる英語学力検査の結果とスピーキングテストの結果の相関関係について分析することは考えていないと答弁をし、あまりに非科学的だと、さらに驚きの声が上がっています。
これだけを取っても、テストを入試に使うのはやめるしかないというふうに思います。
この不受験者のことだけではありません。百点満点のテストを四点刻みの二十点満点の調査書点に置き換えること、これは意味不明です。グレードの境目になる七十九と八十点の一点差、この場合、調査書点では四点もの差になってしまいます。
何度も繰り返しこの場で議論になっていると思いますけれども、こんなずさんな配点が行われる入試制度というのは、ほかにあるんですか。こんな事例、ほかで聞いたことありますか。伺います。
○村西都立学校教育部長 まず、委員の、スピーキングテストの点数が調査書点になるということは、それは違います。入試の合否判定は、調査書点と学力検査の得点と別途スピーキングテストの二十点を加算して行うというところがまず違うと。
それと、先ほどの点数の適切な配点のことですけれども、当然、到達度の試験ですから、一定のところでグレードに分けて、それに配点するということですから、そこが一点差だとかなんとか、そうすると、じゃ、全ての問題が一点差にならないとおかしいというような結論になるのではないでしょうか。
したがいまして、グレードによって適切に配点をするということは、何らおかしいことではない、全くおかしいことではないというふうに考えております。
○斉藤委員 おかしくないというふうに持論を述べられましたが、こういう入試制度はほかにあるんですか。
○村西都立学校教育部長 各入試制度については各自治体が行っておりますので、私も、それを全てつまびらかに確認しているわけではございません。
したがいまして、ここで同じようなことをやっているかといわれれば、それは分からないという形になります。
ただし、配点については、グレードの試験を置き換えるという、点数に置き換えるということは、別にそれは、普通に行って何ら差し支えないというふうに考えております。
○斉藤委員 この問題を、専門家の方々、多くの教員の方々も、他県の方も含めて、あり得ない、こう指摘している中で、開き直りの答弁で、本当にこれ、ますます廃止するしかない、中止するしかない。改善するといっても、それしか方法がないということだと思いますよ。
そんな入試制度をやっているところがあれば、すぐに話題になっているはずで、お分かりになるはずなんです。それくらいあり得ない話なんです。専門家の方々じゃなくても、これは普通に聞いていて、驚きの制度です。この根本問題が変わらない限り、入試として活用するのはふさわしくないものだといわざるを得ません。
一方で、アチーブメントテストとしてはどうなのか。
都教委は、入試に活用するとしながらも、ESAT-Jについて、到達度を測るアチーブメントテストと位置づけていますが、その結果から到達度を確認して学習に生かしていく作業は、基本的なことですけれども、中学校で行っているのか、それとも都立高校で行っているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 中学校、高等学校ともに、英語スピーキングテストを指導の充実に活用しております。
○斉藤委員 ともに活用していると。しかし、私がお話を伺った地区教育委員会では、中学校でどう活用しているかは確認していないということでした。なぜなら、この自治体が主体の取組ではないからです。そして、都教委にも、活用についての報告も求められていない。だから実態は分からないということなんですね。
活用について報告を求めるということをすれば、それこそ教育内容を強制する不当な介入になっていくことになり、それはそれで問題ですけれども、それでなぜ中学校で活用しているといえるのでしょうか。むしろ、結果が返される時期は本試験の直前になって、それを生かして授業というのは難しいという声もありました。
本当に適当に答弁されているのかなと疑わざるを得ません。
では、都立高校ではどのように活用しているのか、また、都立高校に入学しなかった場合はどうするのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都立高等学校では、生徒の話す力を把握した上で、習熟度別指導のクラス分けを行うことや、具体的な目標を設定し、継続的に話すことの活動を行うことで、生徒のモチベーションを絶やさない指導につなげるなど、ESAT-Jの結果の活用を図っております。
私立や国立に進学をした生徒も、全員に配布されるスコアレポートによりテスト結果を把握した上で、個々の解答状況に応じた学習アドバイスを踏まえ、自分の力に合った学習に取り組んでいくことができるものと認識しています。
○斉藤委員 続けて伺いますが、結果は、設問ごとには分からなくて、トータルの点しか分からないというものですが、それでどこが弱点なのか、どこを伸ばせばいいのかなど、その到達度をどう確認できるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 スコアレポートには、国際的な基準であるCEFRに対応したESAT-Jグレードや、英語を使ってできることに関するメッセージ、次の到達目標などを示したアドバイスを記載しており、生徒は自身の話す力を把握することができます。
○斉藤委員 アドバイスを記載しているということですけれども、昨年度のテストの結果が届いた後にも、その評価について、受験した中学生から様々な声が届けられています。
例えば、何が評価され、何が課題なのか、ふわっとし過ぎていて分からないという声や、設問ごとの評価がないと、どこができなかったのか不明という声、また、相手の質問に応答する、また、相手に問いかける力を伸ばすとよいでしょう、また、発音や流暢さなどの音声面も養うといいでしょうと書かれていたのですけれども、それって、英語で話す上で全部のこと、採点基準が分からなくて、自分の結果の分析のしようがないですという中学生の声です。
アチーブメントテストにもなっていないということ、これは明らかではないでしょうか。見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますが、スコアレポートでは、国際的な基準であるCEFRに対応したESAT-Jグレード、これに加えて、英語を使ってできることに関するメッセージ、次の到達目標などを示したアドバイスを、それぞれに応じて示しております。これを使って、生徒は自身の話す力を把握できるというふうに考えております。
○斉藤委員 同じご答弁を繰り返されましたけれども、よっぽど中学生からの指摘は鋭いと思いますよ、私。それに対して、ふわっとしたことしか、ずっといえない。
これを見ても、中学生からの寄せられている声からしても、アチーブメントテストとしても使えないものだということは明らかだというふうに思います。
最後に、都教委が行っているALT、外国語指導助手の配置の仕組みについて伺います。
冒頭に申し上げたとおり、私たちは、子供たちが英語のスピーキング力を伸ばしていけるような教育環境をつくっていくということは大事なことだというふうに思っています。
都教委は、都立高校や都立の中高一貫校にALT、外国語指導助手を配置していますけれども、その目的や意義について伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都立学校においては、生徒の音読に際しての発音などの指導、ペア、グループでの対話の練習などにおける教員の指導援助などでALTを活用しております。
生徒が英語によるコミュニケーションを図り、使える英語力を身につけることで、国際社会で活躍できる発信力を高められるように取り組んでいる一環でございます。
○斉藤委員 生徒が生きた英語のコミュニケーションの機会を増やして、話す力、聞く力を伸ばしていくこと、これは本当に大事なことだというふうに思います。
その都立高校のALTの時間講師の時給は幾らか、また、各クラスに週何時間分が配置されているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 いわゆるALTの時給は五千五百円であります。
各都立学校の申請に基づき、必要な時間数を配置しています。
○斉藤委員 週何時間分が配置されているのかは、学校によってそれぞれで、数字が出せないということだったのですけれども、全体で二百五十人のALTが配置されているということを事前に伺っています。そして、時給は五千五百円だということです。
都教委は、来年度以降の六年間は、二百十億円という破格の金額でブリティッシュ・カウンシルと協定を結んでいます。ベネッセよりも七倍高く、一年間で三十五億円にもなります。
一年で三十五億円もの税金を使うなら、ESAT-JなどではなくてALTを各中学校に配置した方が、よほどスピーキング力の実際の力がつく、生徒も楽しく英語を学べる、こういう声が上がっています。
三十五億円あれば、どれだけALTを派遣できるのか計算してみました。今年度の都内公立中学校の数は六百六校、学級数は、一年生から三年生まで合わせて七千五百四学級です。この全てのクラスに週一回、年間三十五回ALTを派遣すると、二十六万二千六百四十時間になり、これに時給五千五百円を掛けると約十四億円になります。
つまり、三十五億円あれば、都内全ての公立中学校にALTを週二回派遣しても、さらにお釣りがたくさん出てくる、こういう状況です。
公平性や信頼性を破壊するような今の都立高校の入試への活用や、アチーブメントテストとしても不十分な民間事業者を活用する、この英語スピーキングテストに、それだけ多額の予算を湯水のように使うことより、日常の授業の中で生きた英語のコミュニケーションができる機会を増やしていくということの方が、よほどスピーキング力の向上にとって有効なのではないでしょうか。
このことを提起すると同時に、今、どう見ても破綻している都立高校の入試への活用、このことにしがみつくことはやめることを改めて強く求めて、質問を終わります。
○風間委員 私からは、請願の文章に書かれている内容から、まず事実の確認をしていきたいと思いますけれども、この請願文書の二枚目、裏側というんでしょうか、二行目から記載されている、不受験者に対しては、英語学力検査の得点が同程度の受験者(前後十名程度)のESAT-J結果の平均を基に仮のESAT-J結果が与えられたが、その妥当性を示す統計的根拠はない、都教委もそれを認めているがと記載されているわけですけれども、都教委は、このことは認めているんですか。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの不受験者の措置は、事故や病気など、やむを得ない理由によりテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して、テストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。
都立高校入試では、中学校が作成する調査書と都教育委員会が実施する学力検査の二つの選考資料がございます。都教育委員会としては、最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基にテストに相当する点数を算出することが最善の方策であると認識しております。
また、英語学力検査の結果と英語スピーキングテストの結果に係る相関性等については、相当程度あるものと考えておりまして、したがいまして、統計的根拠がないという断定をすることについては、都教育委員会として認めるものではございません。
○風間委員 私も、一年間、文教委員ではなかったので、かなり細かいやり取りがされている中で、都教委は統計的根拠がないということを認めていたのかなと思って確認をしたわけですけれども、この妥当性を示す統計的根拠はないということについては、認めているわけではないという答弁なわけですね。
だからといって、統計的根拠があるということをいっているわけでもないというのは、この間の質疑のやり取りでは確認をさせていただいているところでありますので、私が前回の事務事業質疑でもお伺いしましたけれども、やはり仮の点数を付与するということ自体が、先ほども斉藤さんからのお話もあったように、専門家からの意見も含めて、これを都立高校の入試の選考に加えるということ自体は妥当性がないんだろうなといわざるを得ないわけですね。
この件に関しての先ほどの部長からの説明でありました、今、部長からもお話がありましたように、受けることのできない生徒に対して、最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものであるということなわけですね。
この英語学力検査が、本当に最も参考になり得る数値かということに関しては、さきの事務事業質疑でも、私は、調査書点の方が、もしかしたら、より参考になり得るんじゃないかなと思ったりもしたわけですけれども、これがなぜ参考になり得る数値なのかということに関しても、お答えはありませんでしたね。
じゃ、これが最も参考になり得る数値であるというふうに教育委員会が考えているとして、不受験者、受けられなかった生徒が、この前の資料の中でも、かなりの数いるということでした。
これ、都立高校もたくさんあるわけで、都立高校の中では、この英語学力検査は同じテスト問題を行っている都立高校というのもたくさんあるわけですから、違う都立高校、A君、B君がいて、C校、D校、それぞれ別の高校を受けたとして、英語学力テストが同じ点数だったという場合に、これ、どういう評価になるのかなということをちょっと考えたときに、例えば、七十五点、英語学力テストで取ったとしても、学校によって、その前後の平均値で−−スピーキングテスト不受験者の場合は、前後の人の得点の平均値で割り出すというようなお話でしたから、これ、当然、学校によって、その平均値が変わってきちゃうということが出てくるんだろうなと思うわけですね。
こういったことは発生し得るという想定での設計なのかを確認させてください。
○村西都立学校教育部長 不受験者の措置の具体的な方法は、やむを得ない理由においてテストを受験することができなかった不受験者と入試における英語学力検査の得点が同じ水準にある者のスピーキングテスト結果の点数の平均値を用いて、テストに相当する点数を算出する、今、委員がおっしゃったとおりでございます。
我々の考え方としては、都立高校入試の選考は、英語スピーキングテストの不受験者措置も含めて、当然、各学校ごとに実施するものでございますので、したがいまして、その不受験者措置による評価が学校間で仮に異なったとしても、選抜には差し支えないという考えでございます。
○風間委員 差し支えないという判断をされているということなわけですね、東京都の教育委員会としては。これは本当にそうなのかなと。
なぜ英語スピーキングテストを都立高校の入試の選考に入れるのかといったときに、二十点分も、スピーキング力を測る必要があるということで入れるという説明をさんざん聞いてきました。
不受験者がいる、やむを得ない事情で受けられない生徒もいるということでしたけれども、さきの事務事業質疑で確認した際には、都外在住だったりとかすると、受けなくても受けても、選ぶことができるような環境なんだということを確認したわけですけれども、そういう状況である。
受けなかった子が与えられる点数も、一応、仮の点数として付与されるのは、あくまでも英語学力に基づくスピーキングテストの点数として付与されるわけですよね。
参考にしている英語学力の数値が同じであるにもかかわらず、与えられる英語スピーキング力として、付与される点数が学校によって異なることがあるということに関しては、これは問題じゃないですかと。明らかに設計上の問題といわざるを得ないと思うんですよね。同じ英語学力が基になっているにもかかわらず、受ける学校によって与えられる点数が違っちゃうわけですから。
こういったことも、今の答弁を伺っていて確認できたことでありますので、従来から申し上げていますように、英語スピーキング力を上げていくことは重要だと思っていますし、それをアチーブメントテストとしてしっかりと、生徒自身が自分の得手不得手が分かった上で、次はこういったことを頑張っていこうということで毎年やっていくということには意義があると思っていますけれども、それを評価に加える、そして、子供たちの人生がかかっているともいえる都立高校の入試の選考、判定に用いるというのは、あまりにも子供の人生を軽視した制度設計なのではないかなと改めて感じたわけでありますので、ぜひ、まだ今年も踏みとどまることはできると思いますから、この都立高校入試への参入というのはやめることを求めまして、私の質問を終わります。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
私からも、請願五第一七号、中学校英語スピーキングテストの実施状況調査とテスト活用中止に関する請願について伺いたいと思います。
この請願の願意は、ESAT-Jの実施直後に、受験生や各学校、教員等を対象として実施状況に関する調査を行い、速やかにその結果を公表すること、また、結果について、令和六年度の都立高校入試への活用を中止するという二項にわたる請願であります。
先ほど斉藤委員からも申し上げましたが、私どもは、一項、二項とも、賛成の立場から質疑を行っていきたいと思っています。
英語スピーキングテスト、ESAT-Jが十一月二十六日に行われました。速報では、申込者数約七万六千人、受験者が約六万九千人、都立学校は百八十八会場、民間三十九会場、ここに子供たちが集まってテストを受けたわけですが、初めてのテストであり、初めての会場に、多くの子供たちが緊張でいっぱいだったと思います。
それだけに、大人たちは、生徒が置かれた状況を理解して、このテストがどのように行われたのか、しっかりと検証する必要があり、子供の声をきちんと聞いてほしいと思っています。
まず、テストの実施後にどのような検証を行うのかについて伺っていきたいのですが、先ほど何人かの委員から質問がありました。斉藤委員の質問では、都教委は、教員や子供、保護者などの関係者から直接話を聞くことはないということが分かりました。これは極めて重大だと思います。
既に生徒たちは、先ほど来も紹介がありましたが、SNSなどを通じて、イヤーマフ越しに声が聞こえた、ほかの子の声が録音されていたという発信をしております。
この間、関係者の声に耳も傾けずに強行してきた、そういったことから、当日は様々なトラブルが起きたりして、その反省もないまま、結局、また二回目をやったと。子供たちを大事にしているとは到底思えないです。
そして、問題はそれだけではありません。試験当日の実施状況について、事業者は検証をすることになっています。これが、求められる水準の検証になっているのか問われているわけですが、ここについて伺っていきたいのですが、二〇一九年度募集要項では、試験実施後の報告書は、トラブルやミス、会場での様々な問題については事業者が報告をすることになっています。
しかし、今年三月に提出された最終報告書では、プレテストの際に報告されていたような事象や試験時間の遅れ、受験票忘れや未申込み対応、別室対応、遅刻、機器の不具合の調査結果が入っていません。なぜでしょうか。
その理由をお尋ねします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 まず最初に、せんだっての今年度の受験者数は七万人ですので、そのことについてはお話をいたします。
ご質問についての答弁ですけれども、テストの実施上、問題がない程度の事柄につきましては、報告書に記載を求める必要がないと考えております。
○とや委員 問題がない事象は記載を求める必要がないというご答弁ですが、二一年のプレテストの報告書には、直接解答に影響を与えるものとか、問題がない事柄についても記載がありました。二一年度のテストと同水準の報告を出すべきだと思います。
東京都がテストの全容を把握することは、都の責任でありますし、それをお金をもらって契約をしているベネッセの責任でもあります。ここは求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。
なぜ出さないのかという問題ですが、本来ならば報告される事柄が書いていないということですが、令和四年度の最終報告書とは別に、ベネッセからの報告書があるんでしょうか。お持ちなんでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 プレテストは、実施上の課題を検証、改善するために実施をしたものであります。その成果を生かし、昨年度、テストを本格実施したものであります。
プレテストと昨年度のテストでは、その目的が異なっており、報告書の内容も異なるものというふうに考えています。
別の報告書は存在をしていません。
○とや委員 二つ、二〇一九年度の募集要項にも、また、毎年、スピーキングテスト実施後に課題を検証し、解決策について取りまとめて提出することと書いてありました。毎年です。ところが、二二年度実施、令和四年の報告書には、事故対応も、トラブルも、遅刻も全く書いていないと申し上げました。
業者は契約で仕事をしています。どのような検証をするのか、前の年と違うものを報告させるということになるのであれば、何を記載するかについて、いつ、どこで決めたのか、どういうふうに相談をしたのか、文書を取り交わしたのか、教えていただきたいのですが。
○瀧沢グローバル人材育成部長 事業者とは、日常的に、当然、打合せを行っております。その中で、令和四年度の報告書に記載する事例についても、話し合って決定していったということであります。
特に文書等はありません。
○とや委員 文書もないのに、これだけ二年で全く違う報告書が出る、最終報告書として提出されるというのは、一体、事業者はどういう仕事をしているのか。私は、事業者が職務をきちんと履行していないか、あるいは、東京都がどこかで、これはやらなくていいよといったか、どちらかかなと思うんですが、どちらにしても、都民に対して責任を果たしているとはいえないと思います。
そして、別の報告書は存在しないといいますけれども、当然、東京都が把握しておかなければならない中身だと思うんです。それがないというのは、大変不可解です。
当日の実施状況というのは、解答に影響がなかろうが事実を報告するものです。仮に解答に影響がなくても、実施状況ですから、例えば、遅刻した人は何人いたか、事故の対応はどうしたかなど、報告しなければ仕事をしたことになりません。
実際、去年は、ある学校で生徒がガラスを割ったという事故がありました。こういったことも一切記載がないです。なぜでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 個々に起こった事象、これは、仮にあったとしても、都の職員も派遣をしている中で、状況については把握をしております。
報告書は、事業者が都教委に年度の最後に出すものとして位置づけているものですので、必要なものを記載しているというふうに考えています。
○とや委員 結局、いろいろ問題があったとしても隠していたということになっちゃうんですよ、都民の前に明らかにしなければ。そして、事業者が契約上求められていることを遂行しなかったということであり、さらにもっといえば、都教委がそれを容認していたということになると思います。
例えば、中学校の教員が生徒から聞いた話ですが、これは去年ですね、実施直後、スマホを回収されたけれども、返却されずに解散になり、疑問に思って教室に戻ると、その教室で受験した生徒は全員会場に戻るよう指示されたと。普通、こういうようなことがあると、プレテストのときには、きちんとそういった事柄が書いてあります。ところが、書いてありません。これは、事前の聞き取りで、実際にあったということを都の職員に確認をしています。
監督同士で、運営の仕方をめぐり言い合いがあったと。これも先生から報告が上がっています。生徒から聞いているわけです。遅刻の報告もありました。
こうした事例は、中学校から届いているはずなんですよ。
同時に、全て事業者が把握しているはずの事象です。
報告書に記載すべき中身ではないでしょうか。もう一度お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほどの繰り返しになりますが、都の職員を派遣している等々、状況について、個々のものについては、今お話があった事例も含めて、細かいことについても、なるべく、できるだけ細かく把握するということで対応しているところであります。
報告書としての記載についていうのであれば、テストの実施上、問題がない程度の事柄については、報告書に記載を求める必要はないというふうに考えています。
○とや委員 この間、解答に影響がないことは報告を求めないとか、じゃ、解答に影響がないことはなかったのかといったら、電話のことだとか、連絡が行き届かなかったこととか、いろいろいいましたが、結局、今いった事例については、把握しているのに、委員会で聞いてもきちんと報告もない、自分たちが分かっていればいいということになってしまって、結局は、都民の前に、透明性の確保、説明責任を果たしていないということになってしまうんじゃないかと思うんです。そういうことをしてきたから、トラブルだとか生徒が困っても、改善されてこなかったんじゃないかと思うんです。
さらにお聞きします。
都教委は、学校を通じて、先ほどもおっしゃいましたが、日常的に報告が来る仕組みがあるとかという話がありました。テスト終了時に、事業者及び配置した都職員からの報告により、解答に影響を与えることはなかったと確認しておりますと。これも、この間、ずっと繰り返し答弁をされてきました。
解答に影響がなかったものも含めて、中学校から意見や報告、受けていますよね。今おっしゃいましたから。確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 実施上に問題のあるというものについては、後日行った調査からは報告はありません。
それ以外については、日々の情報共有の中で情報交換は行っております。
○とや委員 ですから、把握していたわけですよ。これまでの答弁は一体何だったんだろうと思うんですね。
学校長だとか区の教育委員会だとかから、生徒の声が周りに聞こえてしまうような状況があった、声が聞こえたという生徒からの訴えがあったと都教委に報告していると、これも聞いています。そういう報告をしてきた区教委もありますよね。
このことは、今年、前年度の予算特別委員会で和泉委員がお聞きしていますが、教育長は、解答に影響のあるものではないと報告を受けているとお答えになっています。つまり、報告があるわけです。それなのに、全て解答に影響があるものではないと、壊れたレコードのように繰り返して、誠意を持って答えようとしてこなかったわけです。
質問をしているのは私たち議員ですけれども、その向こうに子供たちや保護者、教員、都民がいるわけです。そのことを忘れないでいただきたい。
そして、実際にきちんと、当事者、保護者、教員、そうした人たちから話を直接聞く機会を設けていただき、それを実施状況調査として報告をいただきたいと求めておきたいと思います。
次にお聞きしたいのが、請願者が求めている実施状況調査のことです。今、私、申し上げましたけれども。
まず、今年十一月二十六日に行われたベネッセのテストですが、これからどのような検証を行うのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 昨年度と同様に、事業者及び都教育委員会が実施状況を確認いたします。
今後とも、実施状況等の把握に努め、改善につなげてまいります。
○とや委員 昨年度と同様ということは、プレテストのときに報告書として出したような詳しい報告書ではなくて、あれをやりました、これをやりましたというベネッセからの報告書になるということです。
これまで質疑してきて明確になったのは、事業者は、テストがどのように行われたのか、必要な報告はしていないんです。だけれども、都教委は、いろいろあったことをちゃんと把握しているんです。そうであるなら、きちんと報告として書いて、都民の前に堂々と明らかにすべきじゃないでしょうか。
問題を隠していたら、何も改善しません。そして、生徒が、結局、毎年毎年、犠牲になってしまうんです。仮に、しっかりした検証をしたとしても、今年受けた子供たち、去年受けた子供たちは、時間を戻すことはできないんですよ。
本来だったら、最初のプレテストのときに、あれだけの問題が噴出したわけだから、あそこでやっぱり思いとどまるべきだったんじゃないかなと思います。
改めてお聞きします。直接、子供たち、教員、保護者などにアンケートを取って、実態を把握すべきだと考えますが、いかがですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しになります。
先ほども答えておりますが、昨年度と同様に、事業者及び都教育委員会が実施状況を確認いたします。
生徒に対しては、当日、会場で困ったことや分からないことがあったら、その場で監督などに声をかけるようにいっています。試験中にも伝えられなかった場合には、試験終了後に申し出るようにいっています。さらに、会場で申し出ることができなかった場合には、保護者の方と相談して−−先ほど、何か違うご指摘がありましたが、当然、試験実施後も都教育委員会に連絡すること、それが可能であることを、全員に配布したプリントで伝えており、生徒の申出を直接聞くという体制を整え、周知をしています。
○とや委員 結局、主体的に、積極的に子供たちや保護者、教員の声を聞くということではなく、受け身に終始するということであります。
先ほど来、質問していて思ったのですけれども、いろいろ把握しているんですよね、都教委は。だけれども、それを表に出さないわけですよ。それが問題だといっているんですよ。だから、ちゃんと聞いて報告書としてまとめて、都民の前に明らかにしてほしいといっているんです。これは強く求めておきます。
今後の事業者の件についても伺いたいのですが、ベネッセを選定した一九年の募集要項で、スピーキングテスト実施後の検証にあった項目、今いろいろ質問してきましたが、たくさん項目があるんですよ。運営に関する項目だとか、問題だとか、経費のことだとか、六項目ぐらいあるんですけれども、ところが、今度、ブリティッシュ・カウンシルを選定した二三年の募集要項では、何と運営に関すること及び実施方法に関することの検証項目が外れています。
この理由をお尋ねします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 前回、平成三十一年の募集のときにおいては、プレテストにおいて実施上の課題を検証、改善する必要があったということに対して、今年度は、既にテストがもう本格実施されています。運営等についても一定のノウハウが蓄積されている本年度の募集においては、必要な検証の内容は異なっているということだと思っています。
○とや委員 新しい事業者ですよ。八万人という子供たちの試験を一日でやったことのある事業者じゃないんですよ。
この事業は、問題の作成から当日の運営まで、大事なところは、ほぼ事業者が請け負っているわけですよ。今年は、東京都が三百人ぐらい職員を派遣して会場に配置し、生徒が持っている携帯電話などは警備会社が請け負ったというふうに聞いていますけれども、事業の本質的な、中心的な部分というのは事業者が担うわけであって、全く事業者が違うのに、さらに後退させるというのは、これはちょっと信じられないんですよ。
これまでの質疑で、必要な報告すべき内容も記載していなかった、それなのに、もっとしなくてよくなるというのは、ちょっとおかしいんじゃないかと思うんですよね。何の改善にもならないでしょう。こんなことをいつまでもやっていれば、生徒が傷つくばっかりじゃないですか。
そして、さっきもいいましたけれども、実施状況調査を行ったとしても、ESAT-Jそのものが持つテストの仕組み、先ほど斉藤委員と風間委員からも指摘がありました。不受験者の問題、採点結果が問題別には生徒には提供されなかったり、一点の差が四点にまで広がってしまうとか、こうした問題というのは解決されないわけです。
そして、今年も生徒からは、イヤーマフが痛かったとか、声が聞こえたなど、たくさんのSNSが広がっているんだけれども、そういった直接の声も結局届かないということになってしまうんですよ。
だからこそ、生徒を毎年犠牲にするようなテストをやめてもらいたいという陳情、請願が出るんじゃないでしょうか。私たちは、そうした声に心から賛同したいと思っています。
次に伺いたいのが、生徒に返却される解答についてなんですが、まず伺いたいのが、都立学校教育部に伺います。
テストの採点だとか選考に誤りがあった場合、それを指摘されたとき、どのように対応しますか。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試におきましては、採点等には万全を期しておりますが、受検者等から採点等に関する問合せがあった場合、当該都立高校において確認を行います。
確認の結果、仮に誤りが判明した場合には、当然、適切に対応いたします。
○とや委員 前回、私、生徒に提供された解答の音声について質問させていただきました。そのときにグローバル人材育成部長は、いわゆる提供されている音声は、いわば筆記の試験であれば答案に当たると。答案に当たるとおっしゃったんです。
生徒の答案に問題があるという訴えがあれば、都教委として、今、村西部長がお答えになったような対応をするのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 当然ながら、採点などには万全を期しております。
しかし、受験者等から採点等に関する問合せが都教委にあった場合には、事業者と共に確認を行います。
確認の結果、誤りが判明した場合には、適切に対応してまいります。
○とや委員 私、解答音声が生徒に提供されているというお話をさせていただいたんですが、解答音声についても、答案と同じだと部長はおっしゃったんですよね。
この問題について訴えがあったら、きちんと確認をしていただけるということでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ちょっと質問の趣旨がよく分からなかったんですが、提供される音声についてのことだというふうに解しますけれども、いずれにしても、何か提供したものについてお問合せがある場合には、番号も併せてお知らせをしているわけです。
今のご趣旨でいえば、そのとおり、提供している音声についても同じ扱いです。
○とや委員 同じ扱いとして確認をしていただけるということを確認しました。ぜひお願いしたい……(瀧沢グローバル人材育成部長発言を求む)まだ……。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今のやり取りの中で、理事がいわれたことについての正確を期してですけれども、いわば答案に当たるものということで、生徒本人が書いた内容のものであるという趣旨でお話をしたわけで、扱いとして答案と全く同じものだという趣旨でお答えしたのではないので、そのことについては、今、改めて確認をさせていただきます。
○とや委員 それはそれでいいんだけれども、答案とおっしゃったでしょう。だから、そのくらい重たいものなんだなと私は理解したんですよ、生徒に返された解答音声というのは。
だから、ちゃんと、誤りがあったりとか、生徒から疑義の申出があったら確認していただけますねという確認をしたんですよ。
もう一度、お答えいただけますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 答案のようなものというふうに話をしたのは、繰り返しになりますが、その生徒のみが知り得る解答内容であるという趣旨でお話をしました。
ですから、もし、提供された音声についての何か問合せがあるのであれば、それはしていただければいいというふうに思っています。
○とや委員 誠意を持って、きちんと確認すべきなんですよ。ぜひお願いします。
ここからは、テストの経費について伺っていきたいと思っているわけですが、都教育委員会は、この十一月に、ホームページで突然、五年前のベネッセの選定時の四つの事業者の評価点の資料と、今年七月に発表したブリティッシュ・カウンシルの評価点の資料を公開しました。
なぜ、今、公開したのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ブリティッシュ・カウンシルと基本協定その二を締結し、次期事業者に決定をした、そのため、その旨をホームページで公開したところであります。
都教育委員会は、相手方の選定方法や手続などについて、自律的に公平性や透明性の確保を図る取組を、この間、進めております。その一環として、前回分も含めて事業者の選定過程を参考として示したものであります。
○とや委員 決算を、この間、やられてきたのですが、私どもの会派の二人の委員が、この点について指摘しました。
都教委が公開した資料は、電子調達システムを通していません。通常は、契約事務規則に基づいて行われるものに関して、電子調達システムを通さない契約はないと。そして、例外的なものは、特例起案帳票である、例えば簡易な決算様式で百万円未満のものです。それでも、結果はシステムに登録されます。
秘密にすることが必要な契約は、治安など警視庁の情報だとか、人事委員会で行う試験事務などの委託で、事業者が分かると公平性が疑われるものに限られているということです。
地方自治法二百三十四条で定めている、売買、賃借、請負その他の契約は一般競争入札、指名競争入札を行うことになっており、それを受けて、財務局は契約事務規則を定めて、その一条では、東京都が締結する売買、賃借、請負その他の契約に関する事務に関しては、別に定めのある場合を除いて、この規則に定めるというふうになっています。
つまり、東京都が締結する契約、一般競争入札だとか特命随契だとか、事業者提案について都が審査する契約も、全て契約事務規則に基づいて入札経過調書等を作成し、公表しなければなりません。
ベネッセとの契約は五年前です。財務局に聞きますと、公表は、契約後、速やかにするものだそうです。
ブリティッシュ・カウンシルとの契約についても、都教委のホームページの、七月十三日に次期事業者が決まったとお知らせしている部分の下に、四か月もたった十一月に、突然、参考として掲載されました。
正しいルールにのっとっていなかったことを認めたから、公表したのではありませんか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 委託契約という場合には、一般に、仕様に定めた業務、これを受託者に実施させて、その対価の支払いをするものだというふうに解されると理解していますが、今回の事業者とのものについては、協定という形で行っております。
ですから、契約と基本的には違うということで、ただし、契約に準じる形で公平性、透明性を担保するという形で進めています。
以上です。
○とや委員 透明性の確保とか取組を進めているというのであれば、五年前に何で公表しなかったのかなと。そして、参考という形で突然公表する。ちょっと今の答弁でも、理由がはっきりしないわけですよ。
都教委は、今回、決算での指摘を受けて、財務局に、今、部長がおっしゃっているような説明をしているようですけれども、契約のルールに外れるようなことは、都民への説明責任を果たす、そして透明責任を確保するということが必要で、そういうのであれば、この資料を見ますと、どの事業者が何点だったか分かる形で、各事業者の順位、点数、それらを公開すべきじゃないでしょうか。いかがですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 次点以下の順位については、事業者の事業運営上の地位に影響を与えるおそれがあるということから、開示しないこととしています。
○とや委員 アオヤギ委員も紹介しましたけれども、生活文化スポーツ局の契約である有明アリーナ運営権者の候補者選定結果を公表しています。詳しい冊子になっています。私、今日持ってきたと思うんだけれども、物すごい詳しくなっているんですよ。事業者から幅広い提案があったり、能力、ノウハウを総合的に評価するとして選定し、応募したグループ企業は全て記載されています。審査結果は、名前も順位も点数も公表しています。
アクアティクスセンターの新規契約も、グループ企業ごとに提案書が公表され、審査結果は、評価項目と企業グループが確認できるようになっています。
これらの施設は、特に詳しく公表しているということはあるようですけれども、このぐらいのことをしないと、これだけ重大で、金額、内容に都民から疑問が出されているものなんですよ。都教委だけ公表しなくていいということにはなりません。公表を強く求めておきたいと思います。
さらに、英語スピーキングテストは、複数年にわたる契約です。ブリティッシュ・カウンシルは、二百十億円という巨額の税金を六年間分で落札をしています。
通常は、会計年度ごとに予算を組んで議決し、支出するものです。長期契約は、債務負担行為あるいは長期継続契約など限られた契約です。長期継続契約は、例えば電気やガス、水道、不動産賃貸などが対象であり、英語スピーキングテストのような契約は入っていません。
債務負担行為でも、長期継続契約でもないものを長期にわたって約束をする、契約するということは、許されることではないんじゃないでしょうか。
ここでも契約のルールを逸脱しているんじゃないですか。いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 各年度の事業については、事業年度ごとに、議会の議決をいただいた予算の範囲内で事業者と調整して実施するものであります。
二百十億というお話がありましたが、それを約束するものでは当然ありません。
○とや委員 実施協定の二、八条五項には、翌事業年度の開始までに翌事業年度に係る実施協定が締結できなかった場合には、乙、事業者は、当該実施協定ができるまでの間は、暫定的に事業計画または直近の実施協定に基づき本事業を実施するものとなっています。つまり、支払い義務は発生するんですよ、議決とか協定が締結されていなくても。
仮に債務負担行為として理解したとしても、それは議会の議決を必要とします。ところが、その手続もありません。
結局、二重、三重に、財政のルール、地方自治法を逸脱する疑いがあるといわなければなりません。
巨額の税金を投入するには、あまりにも不可解な部分が多く、到底、都民の理解は得られないものです。これは強く指摘しておきます。
今日、いろいろ質疑させていただきましたけれども、やっぱり一番大事なのは子供たちです。生徒の訴えを聞かない都教委の姿勢は、教育に携わる者として、非常に問題があるといわざるを得ません。入試に使うことはやめるべきだと、きっぱり決断していただきたいと思います。
そして、先ほど斉藤委員から指摘があった、アチーブメントテストとしても欠陥があります。
テストそのものをやめるよう求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一七号は不採択と決定いたしました。
○藤井委員長 次に、陳情五第四二号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小寺指導部長 陳情五第四二号、公立小学校における教員の労働環境の改善に関する陳情についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の四ページをお開き願います。
本陳情は、東京都板橋区の吾妻ひとみさんから提出されたものでございます。
本陳情の要旨は、都において、公立小学校における教員の労働環境をさらに改善するため、次のことを実現していただきたいというもので、1から6までの合計六点でございます。
まず、1、副担任制または各学級をチームで担当する体制を導入することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、各学校の教員の配置等の校内体制については、実情等を踏まえて、校長が定めております。
都教育委員会では、教員の負担軽減等に向けて、小学校低学年で副担任相当業務を担うエデュケーションアシスタント事業を、また、小学校高学年で教員を加配し、各教員が教科を分担する教科担任制を推進しております。
次に、2、始業式、入学式を四月十日以降に実施することでございます。
現在の状況ですが、都内公立小学校における始業式、入学式の日程は、学校を所管する教育委員会の方針を踏まえ、校長が定めております。
次に、3、全学年を三十人、可能であれば二十五人学級とすることでございます。
現在の状況ですが、公立小学校の学級編制については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき行っております。
義務教育における学級編制は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。
次に、4、土曜授業を縮小することでございます。
現在の状況ですが、都内公立小学校における授業日は、学校を所管する教育委員会の方針を踏まえ、校長が定めております。
次に、5、授業時間を一こま四十分とし、授業と授業の間の休憩時間を十分にすることでございます。
現在の状況ですが、学校教育法施行規則には、学年別、教科等別に総授業時数が示されております。また、同規則において、小学校における一単位時間は四十五分とされております。
これらを踏まえ、校長が各学校の年間授業時数及び一こまの授業時間を定めております。また、いわゆる児童の休み時間についても、校長が定めております。
次に、6、学校便り、学年便りなどの内容を簡素化するよう、各学校に発信することでございます。
現在の状況ですが、各学校が発行している学校便り、学年便りなどの内容については、校長が定めております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○とや委員 陳情五第四二号について質問します。
この質問は−−恐らく現職の教員から寄せられたものと思いますが、教員の働く環境の改善を求める具体的な要求です。現在の学校現場における教員が直面する困難、深刻な労働実態を背景としたものであることがうかがえます。
何よりも子供の個人の尊厳を尊重した、子供の声に丁寧に応える教育でこそ、子供たちは豊かに育ちます。そのためには、一人一人に目が行き届く教育条件、子供の状態に応じて教育を進められる自主性が欠かせません。
しかし、現場はそうはなっておらず、教員の働く環境も、改善の努力はあるものの根本原因に踏み込まず、教員不足や不登校、いじめなど、深刻な状態が広がっています。
まず伺いたいのが教員不足なんですが、教員からは、学校が回らなくなるのは時間の問題とか、このままでは全国の学校が崩壊するという強い危機感が表明されています。
今日の教員不足の原因は、教員の多忙化による、授業準備など本来の業務ができなくて、子供たちに向き合う時間も減らされ、残業代も出ない環境で働き、メンタルを病み、途中退職者も多くいる状況があると思います。
こうしたことが要因の一つと考えますが、いかがでしょうか。
○吉村人事部長 教員不足の要因についてでございますが、近年の受験者数の減少は、小学校における三十五人学級の学年進行等による採用者数の増加に加え、全国的な教員の大量採用により、これまで教員採用選考に再チャレンジしてきた層が順次正規採用され、既卒の受験者が減少していることが主な要因だと分析しております。
○とや委員 採用者数の増加と既卒者の受験者数が減少しているということですが、これまで、都の教育委員会、国もですけれども、正規教員の採用を抑え、教員不足を、臨時的任用教員など非正規の教員で埋めてきました。
そのため、教員の多忙化は解消されず、本来、教員がすべき授業の準備、研究などに時間を割くより、無駄な報告書の作成、見せるための公開研究授業、全国学力テストなど、子供に直接向き合うこと以外の業務など時間外業務が増加し、新卒教員の応募が低迷したまま、頼りにしていた臨時的任用教員も底をついて、結果として教員不足を招いたのではないでしょうか。
そして、その多忙化の要因として、持ち時間の多さがあります。特に区市町村立小学校は上限が二十六時間、中学校が二十四時間と、非常に多い実態があります。
この持ち時間の多さも問題だと考えますが、いかがでしょうか。
○吉村人事部長 都教育委員会では、いわゆる国の標準法に基づき、小学校では、週当たり二十六時間、中学校では二十四時間という標準的な授業の持ち時数を定め、講師時数算定上の基準としております。
個々の教員の具体的な持ち時数につきましては、各学校において、学年や教科などの教育課程等を考慮しながら決定しており、学校の状況によって異なっております。
○とや委員 私は、教員の持ち時間の多さが多忙化の要因でもあって、問題ではないかと聞いているんですよ。正面から答えてほしいんですよね。
多忙化の解消は急務と考えますが、いかがでしょうか。
○矢野人事企画担当部長 教員の長時間勤務は、教員の心身の健康に影響を及ぼすとともに、教育活動の質にも関わる喫緊の課題であり、学校における働き方改革を推進しているところでございます。
○とや委員 教員の多忙化が教員不足につながっていることは明らかだと思います。
私は、先日、ある保護者から、学校から、教員免許を持っている人はいないでしょうかとか、家庭科の先生が足りないなど、お手紙が来ると聞きました。毎年毎年、不安で仕方がないと保護者からいわれました。
都教委は、この間も働き方改革を推進してきましたが、教員の長時間勤務は、見るべき成果が上がっていないという状況です。抜本的な改善策として、この間も、私たちはずっと求めてきていますが、定員増が必要ではないかと思います。
定数の改善を国に求めることが重要だと考えますが、いかがでしょうか。
○吉村人事部長 教職員定数の一層の充実について、既に国に要望しているところでございます。
○とや委員 定数増を国に要望していると。これは、都教委としても、定数を増やすことが教員の多忙化の解消になるということを認識しているということです。
定数を改善するということは、教員の持ち時間数を減らすことになり、教育の質を高め、子供たちにとっても、教員にとってもメリットばかりです。さらに進めて、少人数の授業を推進していく必要があります。
東京大学の本田由紀教授は、世界水準では、三十五人学級でも少人数学級といえないと、日本の遅れた状況を指摘しています。少人数学級実現の速度を速めて、早急に三十人学級を実現すべきだと述べていらっしゃいます。
既に、全国的には少人数学級の実践が各自治体で行われ、教育的効果、教員の多忙化の改善は証明されています。
クラスサイズを小さくして、一クラス三十人以下、中学校でも当面三十五人学級を都独自に実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 義務教育における学級編制は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき行っており、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。
○とや委員 毎回同じ答弁なんですよね、こうやって聞くとね。いつまでも同じ答弁していないで、東京でも少人数学級に踏み出すべきです。強く求めておきます。
ここからは、教員の働き方に関わって都教育委員会が最近発表した、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムについて伺いたいと思うんですが、都教育委員会は、二〇一八年、平成三十年に学校における働き方改革推進プランを策定し、外部人材の活用など、様々な取組をしてきました。
しかし、先ほども申し上げましたが、依然として長時間勤務の教員が多い状況が続いています。
こうした下で、都教委は、健康的な職場環境を実現するための宣言を発表して、学校における働き方改革実行プログラム策定に取りかかって、十一月に中間まとめが公表されているわけです。
しかし、内容を見ますと、少人数学級の必要性に対する言及だとか、給特法だとか、教員が一番求めている働き方改革や教育の質に関わる部分が全く入っていません。
このプログラムは、どのような場で、誰が議論し、まとめたのでしょうか。また、いつから何回検討されてきたのか、お答えください。
○矢野人事企画担当部長 平成三十年の学校における働き方改革推進プランの策定以降、教員の時間外勤務の状況の推移や、昨年実施いたしました都立学校教員勤務実態調査などの結果を踏まえまして、学校及び区市町村教育委員会等と意見交換を行い、検討を進めてまいりました。
○とや委員 事前にお話を聞きましたけれども、つまり、内部での検討をしてきたということだと思います。
陳情を読ませていただいたんですが、担任の業務の責任とその重さ、負担感、子供を大切にするためには、一人一人に目を向けられるクラスサイズの縮小など、教員の日頃の仕事の苛酷さから来る要求が述べられています。
例えば、副担任制の導入は、担任の負担があまりにも重いからです。体調不良で休みたくても休みづらく、家庭にも影響があるわけです。宿題のチェックや出席確認、朝学習などの準備など、業務が山ほどあるとおっしゃっています。土曜授業があることで、教員の負担や多忙感を増しているそうだと、そこのところにも言及がありました。
私は、こういう声こそ聞いてプログラムをつくっていただきたいと思うんです。
現場の教員や保護者、必要に応じて子供からも意見を聞くべきではないでしょうか。お答えください。
○矢野人事企画担当部長 このたび発表いたしました、学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラムの中間まとめにつきましては、現在、パブリックコメントを実施しているところでございます。
○とや委員 パブコメを実施しているということですが、これはどの計画でもやることで、もうちょっと踏み込んでほしいと思うんですが、現場の教員にはどのようにアプローチをされていますか。
○矢野人事企画担当部長 パブリックコメントを実施するに当たりまして、都立学校の教員に対しては直接電子メールを送付し、区市町村立学校の教員に対しては区市町村教育委員会を通して周知をいたしまして、意見を募集しております。
○とや委員 先生方に、お一人お一人に直接メールを送ってプログラムを見られるようにしているということについては、それ自体はいいことだなと思いました。だけれども、パブコメという形じゃなくて、やっぱり直接声を聞く場を設けてほしいと思うわけです。そして、学校の実態に目を向けていただき、教員、子供、保護者などから直接声を聞いて、本気で実効性のある働き方改革に取り組んでください。
そして、もう避けて通れないと思うんですが、少人数学級もやらないとまずいですよ。その推進をお願いしたい。
そして、給特法、定数改善など、根本問題についても議論をして、子供も教員も、本当に楽しいと思える学校とするための支援をお願いして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第四二号は不採択と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十三分散会
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