委員長 | 藤井あきら君 |
副委員長 | 平田みつよし君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 田の上いくこ君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | とや英津子君 |
かまた悦子君 | |
たかく則男君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤まりこ君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
伊藤 ゆう君 | |
川松真一朗君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 田中 愛子君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 山田 則人君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
グローバル人材育成部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 篠 祐次君 | |
高校改革推進担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
教育改革推進担当部長 | 根本浩太郎君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 | |
指導推進担当部長 | 市川 茂君 | |
人事企画担当部長 | 矢野 克典君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○藤井委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、教育長から紹介があります。
○浜教育長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介申し上げます。
教育監の藤井大輔でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○藤井委員長 紹介は終わりました。
○藤井委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○山田総務部長 去る十一月二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。
今回要求のございました資料は二十七件でございます。
では、一ページをご覧ください。1、令和五年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況についてでございます。
このページから四ページにかけまして、令和五年度における状況について、都道府県及び政令指定都市ごとにそれぞれ記載しております。
五ページをご覧ください。2、公立小中学校の三十五人学級に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
小学校及び中学校において三十五人学級を実施する場合に必要となる学級数、教員数、経費について、それぞれ記載しております。
六ページをご覧ください。3、栄養教諭の配置状況(都道府県別、区市町村別、都立学校別)でございます。
(1)は令和四年五月一日現在の都道府県別の配置人数を、(2)は令和五年五月一日現在の区市町村別配置人数を、(3)は令和五年五月一日現在の都立学校の区分別の配置人数をそれぞれ記載しております。
七ページをご覧ください。4、都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載しております。
また、八ページの別紙では、都内公立小中学校の冷房設備設置状況について、設置者別に記載しております。
九ページをご覧ください。5、都立学校の冷房設備設置の実績(平成三十年度から令和四年度まで)でございます。
冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数について、年度別、区分別にそれぞれ記載しております。
一〇ページをご覧ください。6、都立高等学校の武道場等の冷房設備の設置状況(令和四年度)でございます。
令和四年度において、武道場等に冷房設備を設置した学校数を記載しております。
一一ページをご覧ください。7、学校教職員定数と児童生徒数の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載しております。
一二ページをご覧ください。8、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
教職員定数配当基準の主な推移につきまして、このページには高等学校の全日制課程、一三ページには定時制課程、一四ページには特別支援学校についてそれぞれ記載しております。
一五ページをご覧ください。9、教育管理職選考、四級職(主幹教諭、指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
各選考における合格予定者数等について、選考種別、選考年度別にそれぞれ記載しております。
一六ページをご覧ください。10、東京都公立学校教員採用者数、期限付任用教員名簿登載者数及び任用数、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者任用数(令和五年度採用)でございます。
(1)は、校種別の教員採用者数並びに期限付任用教員名簿登載者数及び各時点における校種別の任用数を、(2)は、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者のうち、各時点における校種別の任用数をそれぞれ記載しております。
一七ページをご覧ください。11、区市町村立小中学校の特別支援教室の児童生徒数、教員定数、教員数(令和四年度及び令和五年度)でございます。
各年度における小学校、中学校の児童生徒数、教員定数、教員数をそれぞれ記載しております。
一八ページをご覧ください。12、教育職員の病気休職者数、定年退職者数、定年前の退職者数(平成二十九年度から令和三年度まで)でございます。
(1)は、教育職員の休職者数について、年度別にそれぞれ記載しております。(2)は、定年退職者数及び定年前の退職者数を年度別にそれぞれ記載しております。
一九ページをご覧ください。13、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間(平成二十四年度から令和三年度まで)でございます。
(1)は、妊娠出産休暇を取得した教職員数を、(2)は、育児休業を取得した教職員数を、年度別、取得期間別にそれぞれ記載しております。
二〇ページをご覧ください。14、スクールサポートスタッフと副校長補佐、部活動指導員の配置状況(区市町村別)でございます。
区市町村別に各配置人数をそれぞれ記載しております。
二一ページをご覧ください。15、都立学校におけるJET及びALTの配置状況でございます。
令和五年度におけるJET及びALTの配置校数、配置人数を、校種別にそれぞれ記載しております。
次に、二二ページをご覧ください。16、都立高等学校及び中等教育学校におけるオンライン英会話実施状況について(平成三十年度から令和四年度まで)でございます。
都立高等学校等において実施しておりますオンライン英会話について、実施校数、実施回数、事業者を、年度別にそれぞれ記載しております。
二三ページをご覧ください。17、都立特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行台数、看護師の同乗状況、利用している児童生徒数でございます。
令和五年九月の一か月における運行台数等につきまして、学校ごとにそれぞれ記載しております。
二四ページをご覧ください。18、都立特別支援学校の保有普通教室の状況(令和四年度及び令和五年度)でございます。
各年度の五月一日現在における保有普通教室数と、その内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、障害種別及び学校別にそれぞれ記載しております。
二五ページをご覧ください。19、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
各年度の五月一日現在における学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載しております。
二六ページをご覧ください。20、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移(平成三十年から令和四年まで)でございます。
六月一日時点での法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数等を、年別にそれぞれ記載しております。
二七ページをご覧ください。21、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童生徒数の推移(平成三十年度から令和五年度まで)でございます。
五月一日現在の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載しております。
二八ページをご覧ください。22、島しょ地区町村立小中学校における特別支援学級及び特別支援教室の学年別児童生徒数(令和五年度)でございます。
(1)は、小学校における五月一日現在の特別支援学級及び特別支援教室の児童数について、町村別、学年別にそれぞれ記載しております。
二九ページの(2)は、中学校における特別支援学級及び特別支援教室の五月一日現在の生徒数を、町村別、学年別にそれぞれ記載してございます。
三〇ページをご覧ください。23、青鳥特別支援学校八丈分教室の学年別生徒数でございます。
五月一日現在の生徒数を、学年別にそれぞれ記載してございます。
三一ページをご覧ください。24、都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルが締結した中学校英語スピーキングテスト基本協定その2でございます。
同事業につきまして、都教育委員会とブリティッシュ・カウンシルが締結した基本協定その2の写しでございます。
なお、同協定のうち別紙事業計画につきましては、東京都情報公開条例により不開示とすべき事項が含まれており、同事項について確認中であるため、添付してございません。
四一ページをご覧ください。25、都教育委員会と株式会社ベネッセコーポレーションが締結した東京都中学校英語スピーキングテスト事業実施協定(令和五年度)でございます。
同事業につきまして、都教育委員会と株式会社ベネッセコーポレーションが締結した令和五年度の実施協定の写しでございます。
六八ページをご覧ください。26、都立高等学校入学者選抜(第一次募集、分割前期募集)における受検者数(全日制課程)でございます。
第一次募集、分割前期募集における受検者数を、学科別、学校別、年度別にそれぞれ記載しております。
七六ページをご覧ください。27、都立高等学校における令和五年度及び令和四年度の入学者数とその内訳(全日制課程)でございます。
入学者数及びその内訳として卒業した中学校の種別の人数を、学校別、年度別にそれぞれ記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○平田委員 よろしくお願いいたします。二点について伺います。
まず、教員の異動情報公表の前倒しについてお伺いします。
教育を現場で担う学校はもちろん、PTAや地域の声を施策に適切に反映していくことが求められていることは申し上げるまでもありません。
我が会派では、教員の異動情報の公表時期について取り組んでまいりました。
これまで、東京都の教員の異動情報の公表は毎年四月一日に行われていましたが、児童生徒や保護者、また地域の皆様から、春休みが終わって新年度に学校に行ってみたら、お世話になっていた先生が異動していて、お礼もお別れもいう機会がなくて大変残念でした、これはどうにかなりませんかというようなお声を伺っておりました。
そこで、昨年の都議会第四回定例会で、我が会派のほっち易隆議員が教員の異動情報の公表を前倒しするべきだという旨の質問をしたところ、都の教育委員会では、今年四月一日付の人事異動から年度内に異動情報を公表していただくこととして、年度内の三月二十一日に異動情報が実現いたしました。この取組を高く評価するものであります。
年度内に児童生徒と先生方が直接そういう機会を設けることができたということで、私も、多くの保護者の方から感謝の言葉もいただいたところでございます。
そこで、この教員の異動情報を年度内に公表したことで、どのような声が寄せられているか、また、こうした取組を今後も実施していくのかどうかについてお伺いします。
○吉村人事部長 四月一日付の教員の人事異動につきましては、昨年度、初めて年度内に公表を行いました。
年度内に離任式があり、お世話になった先生にお別れやお礼を伝えることができた、子供からお礼の気持ちを伝えることができて、本当にいい経験になった、今後もこの時期の発表を続けてほしいと、子供たちや保護者だけでなく、教員からも好評でございました。
教員の人事異動につきましては、引き続き、年度内の公表を実施してまいります。
○平田委員 どうもありがとうございます。ぜひこの公表を継続していただきまして、児童生徒、保護者、また地域の皆様も、先生方に直接お別れ、お礼をいえる機会が持てるようにお願いをしたいと思います。
次に、スクールサポートスタッフについてお伺いします。
教員に代わって印刷等の事務作業を行うスクールサポートスタッフは、学校現場で大変好評を博していると認識しております。さらなる活用について強く求めるものであります。
それで、スクールサポートスタッフの配置状況ですとか現状についてお伺いする予定でいたのですけれども、要求資料の二〇ページのところに、つぶさに書いていただいておりますので、そこは大幅にカットさせていただきます。
一方で、このスクールサポートスタッフですけれども、ある現場の方に伺いますと、スタッフの勤務時間がちょっと短い傾向があると。例えば、午後に仕事をお願いするつもりでも、午前中しかスタッフさんがいないなどの状況があるというお声を伺っております。このような課題があると認識しております。
教員の負担軽減や、先生方が一人一人の児童生徒によりきめ細やかに向かい合う時間を確保するためにも、スクールサポートスタッフの存在は重要であります。
このスクールサポートスタッフのさらなる活用、都教育委員会として、さらなるスタッフの活用に向けて、どのように対応していくのか、見解を伺います。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、希望する全ての小中学校にスクールサポートスタッフを一名配置しておりまして、今年度は、時間外勤務が多い学校に、さらに一名の追加配置を行っております。
また、各学校においてスタッフの活用が一層進みますよう、スタッフが不在となる時間をなくすため、複数名の人材を活用できることや、業務の繁忙に合わせて増減できることなどを区市町村教育委員会に周知しております。
引き続き、区市町村教育委員会の意向も踏まえ、スクールサポートスタッフを活用した教員の負担軽減に取り組んでまいります。
○平田委員 ぜひよろしくお願いします。先ほどの現場のお声なんかも、午前中よりは午後の方が作業量が多いだろうなというふうに容易に想像がつきますので、そういったところ、今お答えいただきましたように、ご配慮いただいて取り組んでいただきたいと思います。
終わります。
○龍円委員 よろしくお願いいたします。
私は、誰もが自分らしく輝きながら、参加しているという実感が持てて居場所のあるインクルーシブな社会を目指して活動を続けております。
さて、最近は、心のバリアフリーという言葉について真剣に考える機会をいただいたのですが、その際に、どうもこの言葉に、もやもやと違和感を感じてしまいました。心のバリアフリーという啓発活動の先に、本当にインクルーシブな社会はあるのだろうかという疑問を抱きました。
そもそも、心のバリアとは何なのか、考えてみました。
物理的なバリアの話をするとき、そのバリアとなっているのは、段差だったり、トイレだったりと、目に見えて分かりやすいと思います。
一方で、心のバリアというのは一体何なのかと考えたときに、最初に頭に浮かんだのが差別とか偏見という言葉でありました。確かに差別や偏見はなくしていくべきです。私も、ダウン症のある子の親として差別や偏見を経験してみて、それらは生きる気力を奪うほどつらいものだと実感しております。
しかし、障害のある方やその身近にとって、生きにくさというのをつくり出している要因は、時々受ける差別とか偏見ではなくて、毎日のようにさらされる無関心や無知から来ております。
だから、何かあるものをなくすのではなくて、ないものをあるようにしていかなくてはならないので、やっぱり心のバリアフリーという言葉でいいのだろうかというふうに考えてしまいました。
そこから、今から二十年以上前に日本で最初にこの心のバリアフリーという言葉を使い始めた方にお話を伺いました。そうしたら、ここで使われているバリアという言葉は、英語辞書に出ているサムシング ザット イグジスツ ビトイーン ワン オア パーソン アンド アナザー アンド キープス ゼム セパレートということで、日本語にすると、人と物の間に存在していて、それらを分けるものという意味で、心のバリアを使い始めたそうです。
障害のある人たちは、健常者と呼ばれる人たちと同じ社会、同じ世界に生きているはずなんですけれども、どことなく障害者は別の世界の人と無意識な認識をされていると感じたことから使い始めた言葉だったそうです。心のバリアフリーは、同じ社会に生きる者としての認識を持って、心の垣根をなくしていこうというようなメッセージが込められたそうです。
この言葉を使い始めた方は、二十年以上前にこの言葉を使い始めたけれども、社会では、まだ心のバリアフリーについて啓発活動が行われているという現状を見て、なかなか変わらないなという、途方に暮れるような思いを感じたそうです。
この別の世界に生きている感というのは、どこから生まれたのでしょうか。障害のある子供たちが分離された場所で教育を受けたり、育っていることから生み出されているのが一番大きな原因なんじゃないかなというふうに考えております。
日本の教育機関では、もちろん、そういう意図はないものの、心のバリアがおのずとつくり出されるような仕組みになっています。そうやって心のバリアをつくり出しておいてから、社会に出てからその心のバリアを取り除いていこうといっているんですけれども、それではなかなか効果がなかったというのが、この二十年で示されています。
物理的なバリアフリーという文脈からいうと、最近はユニバーサルデザインの考え方が広まり始めています。最初からアクセスできるようなデザインにしていこうというものなんですけれども、教育の面におきましても、最初からバリアをつくらない心を育てる、心のユニバーサルデザインみたいなものを推進していくためにも、インクルーシブな教育というのを進めていく必要があるのではないかなと思っております。
そんなインクルーシブな教育を進めたくて、文教委員会にまた戻ってまいりました。
私のダウン症のある息子は、四年生になりました。小学校の三年間は通常の学級で学んで、そして、四年生からは特別支援学校に転校したことから、都議会議員としましては制度面から、そして、保護者としては現場から、この東京におけるインクルーシブな教育環境について、日々日々、体験しながら考えさせてもらっているところです。
そんな前提を踏まえまして、今日も質疑をさせていただきます。
インクルーシブな教育を推進するためには、地域の公立小中学校で障害のある子たちが学べるようになることが重要なポイントです。そのための障壁は、たくさんな要因がありますが、一番大きいのは、スペシャルニーズのある子に対応するに当たって、先生方の困り感、大変さ、孤独感だというふうに感じております。
地域の学校教員の皆様は、特別支援学校の教員に比べると専門的な知識、ノウハウが少ない中で、多様なニーズのある子たちに対応するのはなかなか厳しいことです。特別支援学級のある学校がそもそも少ないということから、特別支援教育を担当している教員の周りに、そもそも特別支援教育に明るい同僚ですとか先輩が少なくて、一人で対応する大変さや孤独があるのではないかと思います。
それを解消するために、特別支援学校のセンター的機能に期待をしておりまして、これまでも質疑を続けてまいりました。
しかし、この特別支援学校のセンター的機能を、そもそも知らない校長先生がいらっしゃることが見えてまいりました。保護者側から、このセンター的機能を利用してアドバイスをもらえませんかというふうに提案したところ、それは何でしょうかと聞き返されたこともあったり、お伝えしたら、すぐに申し込んでみますという返事をいただいたという話も伺っております。
また、学校側も知らないのですけれども、周囲の保護者の方に、この機能について知っているか聞いてみたところ、ほとんどの方が知らないというのも現実的にあります。
せっかく特別支援教育の専門家を特別支援学校から地域の学校に派遣してアドバイスをするというすばらしい機能があるので、それが知られていないことによって困っている現場が利用できていないというのは、もったいないということになると思います。
センター的機能は、小中学校からの要請があってから支援を行うのが一般的ですけれども、そもそもスペシャルニーズのある子はどこの学校にも存在していますので、特別支援学校側から積極的に地域の学校に赴いて、伺って支援をしていくべきだというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、特別支援学校のセンター的機能について、本年度から三年間のモデル事業に取り組んでおります。
具体的には、中野特別支援学校と中野区をモデルとして、急増する発達障害の児童生徒を念頭に、要請がなくとも、地域内の小中学校に対してアウトリーチ型で統一的に支援に伺うことにより、効果的な支援方法について検証してございます。
○龍円委員 ありがとうございます。中野区をモデル地域にしてアウトリーチ型の支援を始めたということで、これは大きな期待を寄せたいと思います。このことからセンターの機能も認知が上がっていきますし、一度、学校とつながってしまえば、次は学校側からの要請にもつながっていくのではないかと思います。
あわせて、この過程を通じて、地域の学校が何に困っているのかということも吸い上げていただいて、都教委の今後の政策にも生かしていただけますようお願いいたします。
次に、人事交流についてです。
地域の教員の特別支援教育力についてスキルアップをするためには、特別支援学校の教員の高いスキルとノウハウを地域に伝授すること、そして、地域の教員の皆様が支援学校で経験を重ねることが必要だとの観点から、これまで、この委員会で特別支援学校と地域の学校の人事交流について質疑をしてまいりました。
去年の事務事業では、これまでの三年間の人事交流に加えまして、今年度、令和五年度からは、小中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を一年の期限付で相互に派遣する、短期の人事交流モデル事業を実施するということが示されたところでありました。
短期人事交流のモデル事業について、現在の実施状況と、特別支援学校から小中学校に異動した先生の役割についてお伺いいたします。
○吉村人事部長 小中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を一年間の期限付で相互に派遣する短期人事交流につきましては、令和五年度、都内六区市において実施しております。
特別支援学校から小中学校に異動した教員は、特別支援学級の担任として児童生徒を指導するとともに、他の特別支援学級を担任する教員へ指導法を適宜教授しております。
また、校内の通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒の指導について、担任の支援を行い、交流を通じ、校内全教員の特別支援教育に係る指導力の向上を進めております。
○龍円委員 ありがとうございます。六区市で実施しているということでありました。この事業は、とても効果を発揮してくれるのではないかと考えております。
しかも、人事交流なので効果が高いと思われるのに、予算的な追加がかからないという質的な面もありますので、ぜひもっともっと規模を拡大していっていただけますようお願いいたします。
そして、これは希望なんですけれども、将来的に、特別支援学校の教員の皆様のキャリアパスの中に、教員人生の中で一度は地域の学校に行くというのを組み込んでいったらいいんじゃないかなと思っております。
ちなみに、息子が特別支援学校に転校したことで、特別支援学校の教員の皆様や学校内の雰囲気を日々見ているわけなんですけれども、教員の皆様の専門性というのは、めちゃくちゃ高いんですね。環境整備も完璧なんです。
ただ、あまりに完璧過ぎて、外の社会を見たら、こんな完璧な環境は存在しないんだよな、どうやって地域社会に戻したらいいんだろうというふうに漠然と感じているところなんです。
特別支援学校の先生方に地域の学校で活躍していただく機会をつくることで、特別支援学校と地域をつないでいくための新しい活路も見いだせるかもしれないということで、そこに期待をしたいと思っております。
さて、これまでの委員会でも触れてまいりましたが、地域の学校で特別支援教育を担当している先生たちは、もう学校内で孤軍奮闘ということで、孤独なことも少なくないかと思います。そこで、特別支援学校を中心とした、その地域の特別支援教育に関わる先生たちのネットワークが必要なのではないかという話をこれまでお伝えしてまいりました。
このネットワークの中で相談できたり、好事例を共有したり、助け合ったり、励まし合ったりすることで、その地域に特別支援教育コミュニティを育てていき、地域全体の特別支援教育対応力の向上につながっていくのではないかというふうに考えております。
前の質問で、センター的機能や人事交流を通じて、小中学校の特別支援教育の向上のために、それぞれの先生たちが頑張ってくださっていることを伺いましたが、さらに、各個人や各学校の取組だけではなくて、互いにネットワークをつくって取り組んでいくということが重要だと思いますので、都教委の見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 小中学校の特別支援教育の充実のためには、センター的機能に取り組む特別支援学校間や、人事交流で特別支援学校から小中学校に配置された教員間の連携が重要でございます。
このため、今後、異校種期限付異動で特別支援学校から小中学校に配属された教員や、その地域のセンター的機能を担当する特別支援学校の教員同士が互いの取組を共有する会を実施し、ネットワークづくりに取り組んでまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。ネットワークづくりに取り組むという答弁がありました。本当にきめ細やかで、先生たちに着目した施策を進めておられることを知れて、大変うれしく思います。
次に、都教委におけるインクルーシブな教育に関する事業でございます。
都教委では、昨年度まで、豊島区の小学校で、特別支援学級と通常学級の児童が共に学ぶ実践的研究などに取り組んでまいりました。昨年度末までに報告書を取りまとめて公表されました。この報告書、各区市町村に配布したりとか、報告会を開催する予定だったということで、それを昨年の事務事業で伺いました。
この報告書、オンラインに出ているので、私も見させてもらったんですが、非常に分かりやすくて参考になる内容になっていると思います。特に豊島区の事例は、とてもいい事例になったと思っております。
この成果を踏まえて、ほかの区市町村でもさらに取組を進めていくために、都教委では、今年度から新たな事業に取り組んでいるというふうに伺っておりますが、取組状況についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、昨年度まで実施していた実践的研究事業の成果を踏まえながら、より多くの学校において交流及び共同学習が実施されるよう、さらなる事例の収集と普及を図る事業を今年度より開始いたしました。
具体的には、世田谷区、北区、国立市を事業実施地区に指定し、これまでの事業で対象としていなかった中学校の知的障害特別支援学級や小中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級での交流及び共同学習に取り組んでございます。
○龍円委員 今年度は、規模を拡大して、交流や共同学習が少なくなる傾向が強い中学校ですとか、インクルーシブについて考えるときに、違う配慮とか課題が出てくる自閉症・情緒障害学級での取組に広げているということでありました。
国立市も参画しているということですけれども、国立市教育委員会では、東大と組みまして、フルインクルーシブ教育の実現に関する連携協力協定というのを締結していまして、本気でフルインクルーシブの模索を始めている自治体であります。こういう強力な自治体と連携していくことも大きな意義があると思います。
さて、次は、発達障害、そして、通常学級の中でのインクルーシブ教育についてなんですけれども、日本でも発達障害のある児童生徒が増加していまして、通常の学級の中でのインクルーシブ教育というのは、ニーズが高まっているところであります。ただ、先生たちにとっては、これは対応するのが大変難しい面があるかと思います。
息子が生まれたアメリカでは、あらゆるお子さんが通常の学級で一緒に学んでいるんですが、それが可能となっている背景には、そもそも通常の学級が二十五人くらいで、クラスの中に、通常の学級の担任のほかに、特別支援教育の担任が一緒にいて、さらにそれに加えて専門家が支援者としてついているという状況があります。
スペシャルニーズのある児童生徒には、その上、個別の学習計画というのがアメリカでは立てられているので、同じクラスの中で一緒に学んでいるんですけれども、別の目標とか意図を持って学習をしております。
いずれは、日本でも、こんなインクルーシブな教育環境が一般的になってほしいという夢は持っておりますが、まずは、通常の学級の中における支援者の配置についてが重要だと思います。
令和三年度に開始した発達障害教育支援員配置促進補助事業は、非常に意義があると思っておりますが、その活用状況についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、区市町村が在籍学級で発達障害のある児童生徒を支援する発達障害支援員を配置する場合、その経費の一部を補助しております。
令和五年度は、二十八の区市町村から補助申請がございまして、対象は、十一月現在で六百三十三校でございます。
○龍円委員 都内には約千八百校の区市町村立の小中学校がありますので、約三分の一程度に配置されているということになるかと思います。
かなり短い期間に配置校がかなり増えているとは思いますが、発達障害教育支援員制度をより広く拡充していただきたいと考えます。見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、発達障害支援員の補助率について、昨年度まで、本則四分の一、特例として二分の一としておりましたが、本年度から、本則二分の一と改正いたしました。
また、令和五年度から、各区市町村教育委員会において、発達障害教育支援に係る補助申請書作成などの業務を担当する事務支援員を配置する場合、その人件費を上限の枠内で全額補助してございます。
今後とも、区市町村教育委員会と連携し、児童生徒が在籍学級で安心して学べる環境づくりを推進してまいります。
○龍円委員 補助率を改正したり、発達障害支援員に係る業務負担をする人を配置する支援をするということで、さらなる支援員の配置が拡充されることを願っております。
さて、支援員については、子供が地域の小学校、中学校の通常学級に在籍するに当たって、まあ、私自身もすごく苦労した点であります。本当に過程を振り返ってみますと、七転八倒、悪戦苦闘、そして、最終的には打ちのめされたという認識をしております。
我が家の息子が特別支援学校に転校した直接のきっかけとなったのが、やはり支援員が配置できない問題、そして、支援員の質の問題があったかと思います。
今日は、時間の関係上、申し上げられないのですけれども、前回の事務事業質疑でもお伝えしましたとおり、区市町村が特別支援を行うための予算的な支援の創設、そして、その支援をする人がインクルーシブについて理解を深められるような研修体制の創設を求めます。よろしくお願いいたします。
さて、インクルーシブ教育を推進する障害となっているのは、そもそも学校現場の教員不足、そして教員のメンタルの問題など、そもそも先生たちの疲弊感があることが暗い影を落としているのではないかなというふうに思っております。
学校には、正規の教員のほかにも、産休や育業の代替の教員、そして期限付の任用教員、そして定年退職後に任用される再任用教員など、様々な任用形態の教員がいらっしゃいます。
その中でも、会計年度任用職員である時間講師が、時間単位で働くことができることから、退職後のシニア世代だったりとか、育児や介護の事情がある方、そして授業に特化した働きができる方などにとっては、働きやすい職になるかと思います。
時間講師は、現在、どのような場合に任用されていて、どのような仕事を担っているのか、まず、確認のためにお伺いさせていただきます。
○矢野人事企画担当部長 時間講師は、各学校に配置した教員の授業時数が講師時数算定上の持ち時数を超える場合や、教務主任等を担当する教員の持ち時数を軽減する場合、病気休暇や初任者研修の実施に伴い後補充を行う場合などにおいて任用しております。
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例に基づきまして、国語や外国語などの教科の授業に時間単位で従事しています。
○龍円委員 時間講師は、教員の持ち時数の軽減などのために任用されているということでありました。
ほかにも、退職などで欠員が生じたりとか、臨時的に任用教員で補充できない場合などにも、この時間講師による補充を行うことがあるというふうに伺っております。
一方、先ほどの答弁にありましたとおり、時間講師は、条例に基づいて教科の授業を行うということにされております。学校では、外国語の活動、日本語指導、発達障害のある児童生徒に対する特別な指導等が行われていて、これらは、いわゆる教科には当たらないため、時間講師を活用できないということになります。
私の地元の渋谷区では、シブヤ科という授業がありまして、地域の様々な方に教室に来てもらったり、あとは、地域に出て行って渋谷について学ぶという、探究と協働というのをテーマにした取組があります。
教育面からは、未来型のすごくいい取組なんですけれども、この授業の準備を、教科を担当しながら教員が進めるというのは非常に難しいため、渋谷区では、独自の地域コーディネーターを学校ごとにアサインして支援していますが、それでもやっぱり、担任の教員には労力になっています。
また、教員の皆さん全員が、そもそも、地域に出て行って多様な人とコミュニケーションを取りながら授業を進めるというのが得意ではないという課題もあったりします。
そういうわけで、教員の負担感を軽くすることと、より豊かな教育を進めるためにも、教科以外の授業にも時間講師を活用できるようにすることになることが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
○矢野人事企画担当部長 現在、学校では、新たな時代に対応するための力の育成や、児童生徒の多様な学びのニーズに対応するため、教科の授業のほか、学習指導要領に定めます外国語活動や、特別の教育課程を編成して実施する日本語教育、特別支援教室における指導など、教科には位置づけられていない授業も行っております。
これらの授業についても、安定的に質の高い授業を実施するためには、専門的な知見を持つ時間講師を活用することも有効でございます。
このため、今後、時間講師の一層の活用について検討してまいります。
○龍円委員 教育現場では、新たな教育内容について教員が対応しないとならないため、教員の皆様にとっては、パンク状態になっているという話をよく伺います。その上、スペシャルニーズのある子への個別の対応もしなくちゃならないとなると、本当に無理と思われてしまうのは致し方ないことなのかなと思います。
そのためには、教員の方々が過度な無理をする必要がなく、教育をすることに集中ができて、なおかつ、それを楽しめるような環境にしていく必要があります。
そのためには、これまでの教科をしっかりしながらも、これまでは受け持つことができなかった時間講師に専門的な知見を生かしていただいていくことは、非常に重要な施策だと思いますので、ぜひ速やかに検討を進めて推進していただけますようお願いします。
さて、インクルーシブな教育を推進するためには、地元の学校だけではなくて、どこの学びの場であっても、日常的かつ継続的なインクルーシブな環境を保障していくことが重要だというふうに考えております。
そのためには、特別支援学校における副籍交流の充実は、欠かせない重要な施策だと考えております。
都教委は、令和四年度末に実施した副籍交流に関する調査結果を踏まえて、本年度中に副籍ガイドブックの改定を行うというふうに伺っておりますけれども、調査から明らかになった実態と、改定の方向性についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、令和四年度末に副籍交流の実態調査を実施し、特別支援学校及び地域の小中学校の保護者と教員、計一万九千四十三人から回答を得ました。
これによりますと、特別支援学校に在籍する子供の保護者の約六五%が交流に満足していると回答している一方、満足していないとする保護者の多くは、交流回数を増やしてほしいと回答しております。
また、特別支援学校の教員の約半数が、副籍交流をさらに進めていくためには、学校間の事前打合せ等の効率化が必要であると捉えていることが分かりました。
これらの結果を踏まえ、都教育委員会は、交流回数の増加等、副籍交流の一層の充実に向け、学校間の調整の簡略化を図るとともに、新たにオンラインを活用した交流の在り方を示すなど、副籍ガイドブックの改定を進めているところでございます。
○龍円委員 ありがとうございます。国立市では、副籍交流を活発にするための独自の事業をしているというふうに伺っていますが、こういった先進的な事例もヒアリングしながら、ぜひガイドブックに生かしていただけますようお願いいたします。
また、このインクルーシブ教育を進めるためには、特別支援学校からの取組というのが一番重要になってくると思っているんです。これまでは、この副籍交流について、希望する保護者ができますよという感じだったと思うんですけれども、それをちょっと変えまして、希望しない保護者や、お子さんの特性上、交流が難しいと判断される場合を除いて、全ての特別支援学校の児童生徒が交流を日常的かつ継続的に実施できるような、こう一歩前進した仕組みにシフトしていくことも今後考えていただけますよう、よろしくお願いいたします。
さて、東京都特別支援教育推進計画(第二期)の第二次実施計画を策定する際に、文教委員会で質疑をさせていただきました。これは令和四年から六年までの三か年の計画で、今年度は、その真ん中の年になります。
特に期待している取組について、実施状況についてお伺いしたいと思います。
都教委では、この計画の中で、知的障害のある児童生徒のための学習用のデジタル教材を開発することとしていますけれども、現在までの取組状況についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、知的障害のある子供たちが、デジタルを活用して、具体的な操作により効果的に学習することができますよう、昨年度から三年計画で、知的障害者用の教科書に準拠した算数のデジタル教材を開発しております。
昨年度作成した教材は、画面上の図形を動かして重ね合わせたり、物の数を数えて数字をタップしたりすることによって、瞬時に正解が表示されるなどの工夫をしており、都立特別支援学校では、本年度からこれを授業等で活用しております。
○龍円委員 都立特別支援学校でも一人一台のタブレット端末が配布されておりまして、一日一回程度、このタブレットを活用して、個々に合ったチャレンジをしている様子を、私も保護者として見てまいりました。
民間の様々なアプリをここに入れて活用している様子が見られたのですけれども、なかなか知的障害のある子のニーズにずばり合ったアプリというのはないので、こういう取組は、今後、都教委の貴重な財産になっていくと思います。引き続き、よろしくお願いします。
そして、この計画の中では−−視覚障害や聴覚障害、そして肢体不自由児のための特別支援学校などでは、知的発達に遅れがなく、いわゆる小学校、中学校、高等学校の通常の学級で行われている教育に準ずる教育課程で学んでいる児童生徒が、少ないのですけれども、いらっしゃいます。
この計画では、準ずる教育課程の対象児童があまりに少ないため、子供同士が学び合うという機会が足りていないことや、担当教員が孤独であることなどから、準ずる教育課程を設置している特別支援学校と地域の学校が連携して、教育指導に関する研究を行っているというふうに伺っておりますが、本年度の取組状況についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、いわゆる準ずる教育課程における指導の充実を図るため、同教育課程を編成する都立特別支援学校二十五校の教員が、地域の小中高等学校で行われる授業研究等に参加することにより、授業改善の推進を図っております。
具体的には、特別支援学校の教員が、実験を通して科学的な思考を身につけさせる小学校の理科の授業や、一人一台端末を用いた意見交換を通して考えを深めさせる高校の国語や数学の授業等を参観した後に、教員間で協議を行うなど、教科指導に関する専門性を高めているところでございます。
○龍円委員 この取組は、対象者が少ないので、あまり光が当たりませんけれども、こういった、たゆまず、きめ細やかな特別支援学校での教育の推進に取り組んでいることが見えてまいりました。
さて、これまで毎年のようにお伺いしてまいりましたが、医療的ケア児についてでございます。
医療的ケア児の専用車両なんですけれども、昨年度からは、知的障害の特別支援学校にもモデル事業として運行しているというふうに伺っておりますが、取組状況についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、令和四年度から、医療的ケア児専用通学車両について、知的障害特別支援学校や知的障害部門の児童等を対象としてモデル事業を開始いたしました。
令和四年度は二校で開始し、令和五年度は三校を加え、計五校に拡充し、実施してございます。
モデル事業では、安全な運行のために必要な校内体制、乗車までの手続、乗車中の配慮事項などについて検討を行ってございます。
○龍円委員 知的障害特別支援学校では、そもそも配置されている看護師が少ないという現状があります。
知的特別支援学校での医療的ケア児専用通学車両運行に当たって、肢体不自由特別支援学校と比較しまして、一層、看護師の確保というのが重要になると思います。
現状と看護師の確保策についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、肢体不自由特別支援学校に配置している総合非常勤看護師について、知的障害特別支援学校の医療的ケア児専用通学車両にも兼務として乗車できる制度とするなどして、安全な運行のための体制整備を進めております。
モデル事業を実施している知的障害特別支援学校において、令和五年九月時点での医療的ケア児専用通学車両の看護師乗車の割合は九七・七%でございます。
○龍円委員 肢体不自由特別支援学校と連携しまして、知的障害特別支援学校の医療的ケア児バスの看護師は、ほぼ配置されているという実態が分かりました。
医療的ケア児が自立して学校に通える取組を一歩一歩進めてくださっていることと思いますが、医療的ケア児の保護者にとっては、付添期間を短縮するというのも重要な取組であります。
都教委では、この医療的ケア児の保護者の付添期間の短縮化のための事業を行っているというふうに認識しておりますが、現在の取組状況についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年度から二年間、医療的ケア児の保護者付添期間の短縮化モデル事業を実施し、令和五年度から都立特別支援学校全校で本格実施しております。
モデル事業において、入学前から就学予定者が通う施設等に看護師を派遣し、健康観察を実施するなど、校内体制を整備いたしました。
令和五年度に肢体不自由特別支援学校に入学した医療的ケアのある児童の五月末における保護者の付添解除率は、前年度の五四・四%から六三・三%に増加いたしました。
○龍円委員 令和四年度末からスタートして、そして、五月の末には六割以上のお子さんが付添解除に至ったということが分かりました。
この事業、保護者の就労継続にとってはとっても重要なので、今後も、この取組、引き続き続けていただけますようお願いいたします。
さて、私、子供を特別支援学校に転校させて驚いたことがありまして、特別支援学校の給食がすごく充実しているんです。地域の学校では、ほぼ毎日、給食を食べることができていなかったのですけれども、特別支援学校の給食は、現在、毎日完食しているというふうに伺っております。
しかも、自立して給食を食べることができていなかったのですけれども、支援学校に転校してから僅か三か月で、自分で全部食べられるようになっちゃったということで、本当にすごいなというふうに感激しております。
そこで、特別支援学校の給食調理においてはどのような工夫がされているのか、具体的にお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 大変、現場の職員にとっては光栄な言葉でありまして、ありがとうございます。
都立特別支援学校の給食では、児童生徒等の食べる機能に合わせて、食材の軟らかさや形、滑らかさを調整して調理した形態食を提供しております。
この形態食は、普通食と同じメニューになるようにするため、食材ごとに加熱方法や切り方などの調理方法を調整しながら、普通食と同様な味つけ、見た目となるよう工夫しております。
また、かつおぶし、鳥がらなどから直接だしを取り、スープやデザートも含めて手作りを基本とし、多様な食品を組み合わせることで、栄養バランスのよい献立を提供しております。
こうした形態食の調理には、専門的な知識や技術が必要となるため、都教育委員会は、学校栄養職員や調理委託業者に対して、調理実習や摂食・嚥下機能の専門家の講義などの研修を計画的に実施し、スキルアップを図っております。
○龍円委員 障害のある子供にとって、食べるということは簡単なことではありません。自立して食べられるようになることは、長い人生を支えていく重要な教育活動だというふうに感じております。特に嚥下機能に障害がある子も多く、食べることは命に関わることでもあります。このように、きめ細やかな配慮と工夫をしながら給食を提供してくれていることに感謝を申し上げます。
世間では教育の無償化などが話題になっているところではありますけれども、特別支援学校においては、この教育的な側面、そして、個々の配慮がなくなってしまうことの方が恐怖だなというふうに感じておりますので、特別支援学校においては、今後もどうか、現在の給食の在り方について慎重に進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
さて、特別支援学校では、その中の環境が非常に整備されていて、一歩中に入れば快適そのものなんですね。子供たちを守るために施錠も厳しくなっていて、学校を外側から見ると、まるで要塞のようにも見えてしまうなというふうに感じていたところでした。一般の人たちが、とてもじゃないですけれども、気軽に足を踏み入れることができる感じではありません。
構造上、仕方ないとはいえ、学校を地域に開放していく機会なども設けていくことで、地域の中にある特別支援学校としての在り方を模索していく必要があると考えております。
私は、インクルーシブ公園という政策に取り組んでおりますが、遊びとインクルーシブは、非常に相性がいいというふうに感じております。特に、インクルーシブな遊びを得意としている遊びのプロフェッショナル、プレーリーダーがいると、障害のある子もない子も上手に巻き込んで、共に豊かな遊びをつくっていくことができるというふうに感じております。
プレーリーダーは、冒険遊び場ですとかプレーパークと呼ばれる、ルールがなくて、子供たちの自由な発想で多様な遊びをつくっていける遊び場に配置されていることが多いため、遊具がなくても、工夫によって様々な遊びを生み出すことが可能です。
都では、今年度から、特別支援学校の校庭を活用して移動式の冒険遊び場を行っているというふうに聞いておりますけれども、その取組状況についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、令和五年九月から令和六年一月までにおいて、出前型の移動式冒険遊び場を都立八王子西特別支援学校及び都立鹿本学園において実施しております。十一月までに六回開催し、約千百七十名の参加がございました。
この遊び場は、近隣の小学校や特別支援学校に加え、放課後デイサービスからも子供が参加しており、インクルーシブな場となっているところでございます。
○龍円委員 特別支援学校での、とってもすてきな新しい取組だというふうに思います。
しかも、大勢の親子が遊びに来ていることが分かりました。障害のある子もない子も遊んでいる様子からも、インクルーシブな取組に資すると思います。
そこで、参加した子供たちの様子ですとか、保護者からはどのような声があったのか、お伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 この遊び場では、様々な子供が自由な発想で自ら遊びをつくる姿が見られております。
保護者からは、障害のある子供が遊べる居場所がないので、とても助かる、特別支援学校の校庭で健常の子供たちと障害のある子供が一緒に遊んでいるのは、とても大事なこと等の言葉が聞かれております。
また、特別支援学校に初めて来たという方も多く、学校を知ってもらうよい機会ともなっております。
○龍円委員 学習面でのインクルーシブについてはまだまだ制限が多い中で、遊びを通じたインクルーシブな環境を特別支援学校で推進しているのは大きな意義があると思います。こうやって遊びを通じて地元の親子とつながったり、理解を深めていってもらうことで、次の活動のきっかけにもなり得ると感じておりますので、よい事例になっていると思います。引き続き、この活動を続けてくださいますようお願いいたします。
次に、高校におけるインクルーシブについてお伺いします。
都立高校では、全ての学校で通級指導が開始されまして、全国的に見ても先進的な動きです。高校に上がると支援がなくなってしまっていたお子さんにとっては、これは大きな一歩になるかと思います。
高等学校での通級指導についての実施状況について、まずはお伺いさせてください。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立高校等における通級指導は、通級を担当する教員と、発達障害の生徒への指導経験やソーシャルスキルトレーニングに関する知識を有する外部の専門人材とが、チームティーチングにより、主に放課後の時間帯などにおいて実施しております。
本年十一月現在、通級による指導を実施している都立高校等は四十六校で、対象となる生徒は百五十四名でございます。
○龍円委員 百五十四名もの生徒に支援が届いたということで、大きな意義があると思います。
この通級指導の効果はどういったものがあるのか、学校現場ではどのように評価されているのか、お伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立高校等の通級では、生徒の障害の状態に即した指導目標を設定し、将来の自立と社会参加につながるよう、指導を実施しております。
具体的には、コミュニケーション力を高めるため、気持ちのコントロールが苦手な生徒に、会話場面を想定して教員とロールプレーを実施し、話題の選び方や会話の際の相づちの打ち方など、実践的な指導をしてございます。
学校からは、通級指導により、指導前と比べると気持ちのコントロールができるようになった、生徒が授業内でのグループワークで自ら進んで意見や質問ができるようになったなどの声が伝わっております。
○龍円委員 発達障害のあるお子さんたちは、社会に出てからも、コミュニケーション面などで、見た目では分かりにくい苦労をたくさんされていることと思います。学校時代からこのような取組をすることは、とても重要な取組だと実感しております。
さて、都教委では、去年から、学校を卒業した後の生涯学習にも力を入れて動き始めているというふうに認識しております。学校を卒業した後の障害のある方の学びの場を拡充するために、区市町村特別支援学校をはじめ、社会福祉法人やNPO法人などが連携して協働できる体制づくりを進めて、シンポジウムなどを実施してきたというふうに伺っております。
今年度の取組及び今後の展開について、考え方についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 今年度は、障害者の生涯学習を支える人々のネットワークの拡大に向け、障害者と文化芸術活動の推進及び障害者と若者ボランティアとの交流の促進を具体的なテーマといたしまして、取り組んでございます。
十月には、文部科学省の、共に学び、生きる共生社会コンファレンスの取組の一環といたしまして、アーティスト、インクルーシブデザインを専門とするNPO関係者、大学教員等を招き、オンラインシンポジウムを開催いたしました。
また、区市町村の社会教育関係者向けに、障害者の文化活動を知ってもらうための研修を実施いたします。
こうした取組で広がったネットワークを基に、障害者の学びを推進するコンソーシアムを設置し、学校卒業後の障害者の学びの機会を拡充してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。
さて、教育にインクルードされていないお子さんの中には、不登校のお子さんたちもいます。
フリースクールの支援等も始まっていますけれども、都教委では、不登校の子供の居場所、学びの場として、仮想の空間上にバーチャルラーニングプラットフォームというのを用意いたしました。
令和四年度からデモ運用を実施していますけれども、現在、この事業で支援する子供の数や、仮想空間における学習方法について具体的にお伺いいたします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、不登校の子供たちが仮想空間で相談、交流などを行うバーチャルラーニングプラットフォームについて、昨年十二月から実証事業を開始しております。
本年九月からは、対象を八区市の小中学生と都立高校生等に拡大して実施し、教職員も含め、計千八百人分のアカウントを提供しております。
この仮想空間では、子供たちがデジタル教材を用いて個別学習に取り組んだり、ビデオ会議ツールを使って一斉講義を受けたりすることなどにより、学習を行えるようにしてございます。
今後は、多くの子供たちが参加できるオンラインイベントを開催するなど、仮想空間を活用した学習を進めてまいります。
○龍円委員 デジタルを利用したこの事業は、将来的には、不登校対策だけではなくて、例えば、学校内で一斉授業が苦手なお子さんですとか、発達に凸凹があるお子さんに対する個別最適化な学びの提供にも資すると思っております。引き続き、改善を続けながら行っていただけますようお願いします。
以上、様々な教育現場におけるインクルーシブという視点において質疑をしましたけれども、このインクルーシブ教育は、本当にどこの学びの場であってもインクルーシブな環境が保障されるというのが重要だと思いますので、そのような取組を都教委全体で取り組んでいただけますようお願いいたします。
さて、最後の一問になります。
次に、工科高校におけるIT人材育成についてであります。
都立町田工科高校において、IT企業と連携しまして、高校から専門学校までの五年間を一貫とした教育を受けることができるTokyo P-TECH事業を実施しておられます。
こちらについては、今後、大量に不足する予定になっておるというか、不足が見込まれるIT人材の育成という面から見て、非常に重要な施策であるというふうに考えております。
そこで、町田工科高校のTokyo P-TECH事業は、令和元年度から試行的に実施しており、実効性の高い教育を行ってきているというふうに考えますが、これまでに見えてきている事業の成果についてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 Tokyo P-TECH事業では、企業によるIT技術に関する講話や、社会人と高校生がキャリアに関する対話を行うメンタリング、エンジニアによるネットワークやプログラミング等の授業を実施しております。
本事業のこれまでの成果として、参加した生徒の学習意欲の向上や、課題研究の内容が深まり、レベルも上がっているといった効果が確認されております。
また、令和元年度に町田工科高校に入学し、IT系の専門学校に進学した生徒の就職活動では、九月末時点で十一名中九名がIT企業の内定を獲得し、一名が大学への編入学を決定しております。
今後も、こうした成果を検証しながら、本事業によるIT人材の育成を推進してまいります。
○龍円委員 十一名中九人がIT企業に内定をしているということで、着実にIT人材の育成につながっていることが確認できました。今後も、この教育内容の充実を図っていただけますようお願いいたします。
以上をもちまして質疑を終えます。ありがとうございました。
○小林委員 よろしくお願いいたします。
私からは、五つのテーマについて質問させていただきます。
初めに、職業教育についてお伺いします。
都市における農業の振興は、都政における大事な施策の一つであります。私の地元練馬区は、二十三区最大の農地面積を有し、二〇一九年には世界都市農業サミット、そして、一昨日には全国都市農業フェスティバルを区内で開催し、都市農業振興の旗振り役として取組を進めております。
農産物の安全性を確保するための管理手法に、食品安全、環境保全、労働安全などを守るための取組、いわゆるGAPが推奨されていますが、都市農業の魅力を発信する上でも大事な取組であり、都議会公明党も繰り返し、その推進を取り上げてまいりました。
東京二〇二〇大会では、東京の農業を発信すべく、東京都独自のGAP認証制度を取得した農家が育てた作物や、都立の農業高校で栽培されたトマト、ナス、メロンが選手村で提供され、選手から喜ばれたと聞いております。
教育庁では、都市型農業教育において、東京の食を支える人材の育成を掲げておりますが、農業高校におけるGAPの取組とその意義についてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、安心・安全な農産物を社会に提供する学習の充実を図るため、GAP認証の取得を積極的に推奨しており、都立の農業高校全八校で認証を取得しております。
認証を取得する中で、農作業に関わるあらゆる部分を見える化することにより、農産物の品質向上、安全な農作業環境の確保、肥料等の在庫管理と使用量把握などが図られるとともに、生徒の責任感や自主性が向上するといったメリットがございます。
今後とも、農業高校におきまして、食品安全や環境保全、作業工程の効率化など、GAPの仕組みを通して、農産物の生産や農業経営について学習する機会を充実してまいります。
○小林委員 次代の都市農業を担っていただきたい人材を育成していく都立農業高校での取組は非常に大切であると思いますので、引き続き、GAP認証制度の取組を着実に推進していただきたいと思います。
都は、都市農業の振興に向け、二〇一七年に東京農業振興プランを策定しました。世界に向けて東京の魅力を発信する中、大都市東京における持続的な都市農業の展開は、東京の魅力向上のために一層寄与するものであると考えます。
その意味で、都市農業振興における農業高校の役割も極めて重要であると思います。
都市農業を発展させていく上で、東京の農業教育を実施している農業高校と連携していくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 農業高校は、農業分野のスペシャリストの育成を目指し、園芸、畜産、食品などを専門的に学ぶ学校でございます。
農業高校では、生徒同士が協力し合って農産物の栽培を行い、野菜等の生産品の販売など、様々な実習を通じて職業観を身につけるとともに、食品の加工、製造の技術やバイオテクノロジーの実験などの専門的な知識も習得しております。
また、東京都農林水産振興財団と連携し、都市農業を営む都内の農家へ生徒が訪問する機会を捉え、実際の農家の経営や、農家で工夫している効果的な栽培技術等を実践的に学習しております。
今後も、都教育委員会は、農業高校のこうした取組を着実に実施していけるようサポートを行い、将来の東京農業や関連産業を支える人材を育成してまいります。
○小林委員 ありがとうございます。農業を大切にしない社会は、生命を粗末にする野蛮な社会である、その社会は、早晩、あらゆる面で行き詰まるとの言葉があります。東京の農業、さらには日本の農業を担う人材を輩出すべく、今後とも、農業高校の教育内容の充実を引き続きお願いしたいと思います。
続いて、ものづくり教育についてお伺いします。
幕末に黒船で来航したペリーが記した日本遠征記の中に、次のような記述があります。
技術分野では、日本人の腕前は大したものである、彼らの粗末な道具や機械の知識の不完全さを考えてみれば、彼らの手先の器用さは驚異的に思われる、日本の職人の技術の高さは、世界のどの国の職人にも劣らないものであり、国民の発明力がもっと自由に発揮されるならば、世界の最も進んだ製造業国に肩を並べる日も遠くないことであろう。
このように日本人の技術力を評しております。
こうした日本人の技術力を継承し発展させていくのが、ものづくり教育の重要な使命ではないかと思います。
都内には、日本の産業基盤を支える製造業が数多く存在していますが、高齢化や事業承継などの課題もあり、事業所や従業員数は減少傾向にあります。こうした製造業の深刻な状況を克服するためには、人材確保を進めるためのものづくり教育のさらなる充実が求められると考えます。
そこで、都立工科高校における、ものづくりへの関心を高めるための教育の取組についてお伺いします。
○村西都立学校教育部長 都立工科高校では、産業界の求める即戦力となる人材を育成し、生徒のものづくりへの関心を高めるため、企業と学校が連携して人材を育成する職業教育、デュアルシステム科を工科高校三校に設置しております。
企業での長期就業実践を通して、生徒の職業観、勤労観を醸成するとともに、実践的な知識、技術を習得させ、実習先の企業への就職など、卒業後の進路につなげております。
就業実践に参加した生徒からは、ものづくりの仕事にやりがいを感じることができた、ふだん学校ではやらない体験をすることができて、とてもよい経験をすることができたといった感想があり、就職後すぐに役立つ実践的な技術の向上も図られております。
今後とも、工科高校におきまして、産業界との連携を進め、東京におけるものづくり人材の育成を強力に推進してまいります。
○小林委員 時代の変化とともに、ものづくりは、さきのペリーの言葉にあったような手先の器用さとともに、ICTの推進など技術革新に伴った取組も進んでおります。
将来、ものづくり分野で活躍できる人材を育成するためには、工科高校の教育内容についても、時代に応じたアップデートをしていくことも大切であります。
現在、工科高校において学科改編を進めると聞いておりますが、その改編内容についてお伺いいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 都教育委員会は、産業界における技術革新やDXの推進などを踏まえ、工業系学科を先進的な学科に改編する取組を進めております。
具体的には、中野工科高校において食品サイエンス科を、杉並工科高校においてIT・環境科を、北豊島工科高校において都市防災技術科を、令和六年四月から、既存学科を改編の上、新設し、各分野で必要とされる人材の育成を図ってまいります。
さらに、六郷工科高校におきましても、令和七年度に先端技術を学習する学科へ改編する予定でございまして、現在、校内に検討委員会を設置し、関係者から意見聴取を行うなど検討を進めております。
こうした取組を通じまして、工科高校の教育内容を、時代の要請に応じてアップデートしてまいります。
○小林委員 今、答弁にもありました、時代に応じたアップデートを図りつつ、ものづくりの灯を絶やすことのない教育の取組をお願いしたいと思います。
次に、情報モラル教育についてお伺いします。
今や通信基盤は、電気、ガス、水道と同じように、私たちの日常になくてはならない基幹インフラとなっております。
情報通信が急速に拡大する中、ありとあらゆる情報がインターネットの世界にあふれ、その恩恵を享受する反面、犯罪などの温床になってしまっている現状もあります。
SNSの世界は日進月歩でありますが、子供たちによる不適切な情報発信などで、心を痛め傷つく事例もあります。
都教育委員会では、こうした子供たちによる不適切な情報発信をどのように把握し、情報モラル教育に生かしているのか、お伺いいたします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、都内公立学校の子供たちが、ネット上で人を傷つけるような書き込みや、法律やモラルに触れるような写真投稿など、不適切な情報発信を行っていないか、検索して把握する取組を平成二十一年から行っております。
こうした情報発信を把握した場合、当該の学校に連絡し、SNSの適切な利用について指導するよう依頼しております。
○小林委員 インターネット上に、子供にとって危険な情報があふれている現在、学校における情報モラル教育は、今後、ますます重要になってくると考えます。
今後、一層の取組を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、情報モラル教育の補助教材であるGIGAワークブックとうきょうを展開し、学校での活用を促しております。
この教材では、フェイクニュースを見極める方法を取り上げるとともに、トラブルが発生しやすいやり取りを示して、自ら行動を振り返らせるなど、子供たちが主体的な学習を行えるよう工夫しております。
今後も、本教材の活用方法を周知するなど、都内公立学校における情報モラル教育を充実してまいります。
○小林委員 先般、私の地元練馬区の中学校校長が、児童買春ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されるというショッキングな事件がございました。その後、この校長の住まい、家族構成などを特定するような動きがインターネット上に上げられ、こうした記事を目にしてしまった生徒に様々な影響があり、何か対策を考えてほしいとの保護者からの様々なご要望もいただいたところでございます。
先ほども申し上げましたが、SNSの世界は日進月歩であります。インターネットやSNSなどの功罪を見極める力、正しく活用していく方途を子供たちが身につけていけるよう、時代に即応したアップデートが常に図られるよう、情報モラル教育の着実な推進をお願いしたいと思います。
次に、チャレンジスクールについてお伺いします。
今年十月に文部科学省が公表した児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、令和四年度の全国の小中学校における不登校児童生徒数は二十九万九千四十八人となり、前年度から五万四千人程度増加しています。
不登校を経験した児童生徒が新たな心で挑戦していくため、安心して学校生活を送れるよう、児童生徒の心の不安や学習面での不安に配慮した取組を行うことが重要であります。
都教育委員会では、不登校を経験した生徒が高校へ進学する上での選択肢の一つとして、不登校経験のある生徒を受け入れるチャレンジスクールを設置していますが、その取組についてお伺いいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールは、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて学べるよう、午前、午後、夜間の三部から成る定時制、総合学科、単位制の高校でございます。
学校では、少人数指導による基礎、基本を重視した学習を行うとともに、カウンセリングや教育相談の充実などの生徒の心のケアに配慮したきめ細かい指導を行っております。
さらに、今年度から、不登校や教室の雰囲気になじめない生徒の居場所を確保し、登校を支援するため、学校内に居場所を設け、支援員を配置し、学習指導や相談対応を行っているところでございます。
○小林委員 一般的に、全日制高校は三年間、定時制高校は四年間で卒業となりますが、チャレンジスクールでは、生徒は何年で卒業できるのか、お伺いします。
○小寺指導部長 生徒は、三部の中から所属する部を選んで入学し、四年間かけて学ぶことを基本としてございますが、自分が所属する部以外の部の科目を履修することにより、三年間での卒業も可能としているところでございます。
○小林委員 四年間かけて学ぶことが基本で、三年間での卒業も可能としているとの答弁でありましたが、私は以前、あるチャレンジスクールを数年前に卒業した女性とそのお父様から、チャレンジスクールに関する問題意識をお伺いする機会がありましたが、その際、ご指摘のあった一つとして、三年間で卒業することが当たり前で、四年間での卒業は、むしろ留年しているとの雰囲気が学校内にあると感じられたということでありました。
全てのチャレンジスクールに当てはまることではないと思いますが、四年間かけて学ぶことが基本とのことですので、新たなチャレンジをしている生徒が萎縮してしまったり、また、劣等感を抱いてしまうようなことが断じてないよう、特に、教職員の皆様の温かな励ましの対応をお願いしたいと思います。
また、ご指摘のあったもう一つに、教員のスキル向上を挙げておられました。
特にチャレンジスクールにおいては、多様な生徒に対し、きめ細かい丁寧な対応が必要であり、教員の生徒対応のスキルを向上させていく必要があると考えますが、その取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、各学校において生徒一人一人の状況に応じた適切な指導や支援が行われるよう、一年目の教員から管理職までの各職層等に応じた研修の中で、不登校やいじめへの対応や、障害のある生徒等に対する支援の在り方等について理解を深める機会を設定しております。
また、チャレンジスクールでは、例えば、毎週、教育支援委員会を開催し、管理職やベテラン教員が経験の浅い教員に、生徒への指導や支援の在り方について助言したり、定期的に事例検討会を開催し、全教員で配慮の必要な生徒の対応経過等を共有したりするなど、計画的なOJTを行っているところでございます。
○小林委員 今後も、チャレンジスクールへの期待はますます高まっていくと思います。
そうした生徒のニーズに応え、新たな挑戦を開始していけるよう、今後も一層、チャレンジスクールの充実を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクールのさらなる充実に向けまして、令和七年四月に、多摩地域初となるチャレンジスクールを立川市に開校する予定でございまして、今年度から開設準備室を設置し、教育内容の検討や校舎の建設などを進めております。
また、既設のチャレンジスクールにおきましても、生徒の受入れ規模のさらなる拡大について検討するとともに、生徒が相談しやすい体制づくりなど教育環境の充実に向けた検討を行ってまいります。
こうした取組を通じまして、今後も、チャレンジスクールの受入れ環境を充実し、不登校経験など困難を抱える生徒のニーズに的確に応えてまいります。
○小林委員 さきに述べました親子の方から、チャレンジスクールへの問題意識を様々伺いましたが、根底は、チャレンジスクールの取組に期待しているからこそのご指摘でありました。様々な悩みを抱えた生徒にとって重要な進学先の一つであるチャレンジスクールの受入れ環境や教育環境のさらなる充実に向けて、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
次に、文化財保護の取組についてお伺いします。
九年前に文教委員会に所属していたときにも、文化財保護について取り上げさせていただき、その際、世界屈指の美術家であるフランスのルネ・ユイグ氏が、美術品を強奪しようとするナチスドイツから決死の覚悟で文化遺産を守り抜いたエピソードを紹介させていただきました。
また、かつて一般質問で文化財について取り上げた際、当時の石原知事が答弁で、国宝であり、世界遺産にもなっている姫路城を、太平洋戦争中に、市民たちが自分たちで手作りをした黒い網を姫路城にかけて、敵の飛行機の爆撃から守ろうとしたとの挿話を紹介されました。
歴史をひもとくと、人類が残した文化遺産を守り抜こうとの先人の知恵、努力をかいま見ることができ、こうした心は、現代を生きる私たちもしっかり継承していかなければならないと思います。
日本の文化財は、我が国の歴史、文化などの正しい理解のためにも欠くことのできないものであり、将来の文化の向上、発展の基礎をなすものであり、東京にも数々の文化財が残されております。
まず、現在、都内にある国指定及び都指定文化財の件数及び都指定文化財の指定状況についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 令和五年四月一日現在、都内に所在する国指定文化財の件数は二千九百八十八件、都指定文化財の件数は八百三十四件でございます。
また、都指定文化財における新規の指定状況は、令和二年度が四件、令和三年度が四件、令和四年度が五件となっております。
○小林委員 多くの文化財が歴史の宝として残されているわけですが、次代を担う子供たちにこうした文化財に親しみを持ってもらい、日本の文化を知るきっかけとすることが大切であると思いますし、文化財の保存と活用を促進するためにも、子供たちへの関心を呼び起こす取組が重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 文化財を未来に向けて確実に継承していくためには、子供たちが文化財に触れる機会を増やし、東京の歴史や文化に対する理解を深めていくことが重要でございます。
都教育委員会では、毎年十一月三日の文化の日前後に、都内全域で様々な文化財を公開するとともに、鑑賞会や講演会等の企画事業を行う東京文化財ウイークを実施しております。
今年度は、文化財ウイークの子供向けホームページを開設し、区市町村教育委員会等を通して都内公立学校に周知いたしました。
今後も、子供たちに文化財をより身近に感じてもらえるよう、取組を進めてまいります。
○小林委員 また、文化財は、国内のみならず、外国人観光客に対しても、日本を知り、日本文化に親しんでもらうためにも大きな役割があると思います。
外国人観光客に対する文化財の魅力発信の取組についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 外国人に対して東京の魅力を発信していく上では、文化財を観光資源としても活用していくことが有効です。
このため、都教育委員会は、文化財の説明板に英語表記を加えるとともに、ホームページにおいては、英語のほか中国語及び韓国語による検索も行えるようにしてございます。
また、文化財を巡るモデルコース等を紹介する東京都文化財めぐりの英語版を作成し、ホームページ上で公開するなど、外国人に対する文化財の普及に努めているところでございます。
○小林委員 国内外、さらに老若男女を問わず、文化財に関心を持ってもらえる工夫ある取組を今後ともお願いしたいと思います。
文化財は、一度失ってしまえば、取り返しの利かない繊細なものであり、細心の注意をもって守り抜く必要があります。
そうした中、先月の新聞記事の中で、全国で、地域の文化財である美術工芸品百五十一件が盗難や紛失などで不明になっているといった記事を見ました。
その中には東京都も含まれていましたが、都指定文化財の美術工芸品のうち、どれくらいの不明文化財があるのでしょうか。
また、国民共有の財産である文化財が所在不明となることがないよう、細心の注意をもって取り組んでいくことが重要でありますが、見解をお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 令和五年一月一日時点における都指定文化財の美術工芸品は二百七十四件ございます。このうち不明文化財は三件でございます。
都はこれまでも、区市町村と連携し、都内の文化財を一覧にした東京都文化財総合目録の改訂時に、都指定の美術工芸品について所在確認調査を行うとともに、文化財の修理や文化財ウイークの実施に際して現状確認を行っております。
こうした調査等の実施に加え、様々な機会を捉えて、防犯や所有者変更の手続等に関する注意喚起を行ってまいります。
○小林委員 文化財の喪失は、盗難、自然災害、人為的な過失など様々な要因が考えられますが、文化財を守り抜くために、緊張感を持って、あらゆる方策を講じつつ、文化財の価値を都民全体で認識する意識の醸成にも努めていただきたいと思います。
ここ東京は、江戸時代の歴史が息づき、都内の多くの場所で江戸遺跡と呼ばれる埋蔵文化財包蔵地が存在し、都市開発によって新たな埋蔵文化財が発見されることもしばしばあります。
かつて築地市場があった跡地は、かつて白河藩下屋敷があり、江戸幕府の老中、松平定信の造った浴恩園庭園の遺構があった場所であります。
築地市場閉場後、この庭園の発掘調査が行われておりますが、現在の状況についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 浴恩園付近についての試掘調査は既に終了しており、近世の石積みの一部などが出土しております。
現在は、中央区が隅田川の旧護岸付近などにおいて試掘調査を実施しており、出土した遺構の取扱いなどについて、引き続き関係者で協議を行ってまいります。
○小林委員 今後の詳細な調査が待たれるところでありますが、往時をしのぶ、新たな価値ある文化財の発見を期待したいと思います。
私は、二〇二〇年の一般質問で文化財保護について質問した際、あらゆる施策展開の中でSDGsの視点が求められている中、SDGsの具体的なターゲットとして、世界の文化遺産及び自然遺産の保護、保全の努力を強化するとの視点が挙げられていることを踏まえ、都における文化財の保護、保全を検討していく際は、SDGsの視点を念頭に置きながら推進していくよう要望しました。
改めて、都における文化財の保護、保全に当たって、SDGsの視点を念頭に置いた取組を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都は、令和三年三月に策定した「未来の東京」戦略におきまして、地球規模の課題解決に向け、SDGsの目線で政策を推進し、持続可能な都市東京を実現していくこととしております。
都教育委員会におきましても、SDGsの理念を踏まえ、都民の貴重な財産である文化財を次世代に確実に継承できるよう、引き続き、文化財の指定に加え、保存、修理や整備活用に向けた支援などに取り組んでまいります。
○小林委員 ありがとうございます。ぜひともSDGsの理念を踏まえた文化財保護の取組を具現化していただきたいと思います。
最後に、区市町村立小中学校の空調設置についてお伺いします。
都議会公明党は、児童生徒にとって安全・安心な教育環境の整備はもとより、災害時の地域住民の避難所としての機能強化の観点から、これまで区市町村立小中学校の空調設置の推進を要請してきました。
こうした都議会公明党の要請に応じ、都教育委員会が空調設置を進める区市町村に対する支援に尽力していただいていることを評価いたしたいと思います。
空調の設置は、各区市町村が計画的に進めてきているところでありますが、一部の自治体では、いまだ十分に進んでいない状況もあります。
そこで、区市町村立小中学校における空調の設置状況と今後の都教育委員会の区市町村への対応についてお伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、児童生徒の安全な教育環境等の確保が早期に行われるよう、区市町村に対し、特別教室及び体育館等への空調設置について支援を行ってきました。
これにより、令和五年四月一日時点の区市町村立小中学校の空調設置率は、特別教室九二・五%、体育館等八四・四%となっております。
一方、他の施設整備上の課題もあり、令和六年度以降に設置を予定しているなど、空調設置が完了していない自治体もございます。
こうした状況を踏まえ、都教育委員会は、区市町村への支援につきまして検討をしてまいります。
○小林委員 東京の猛暑日などの日数は増加傾向にあり、今年の夏は記録的な猛暑となりました。
こうした中、小中学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であり、また、体育館は、災害時には地域の方も利用する避難所となります。そのため、空調設置を必要とする全ての小中学校に対して、都教育委員会が支援していくことは極めて重要であると思います。
ある多摩地域にお勤めの教員の方からも、空調の設置が進まず、苛酷な夏の状況をお聞きし、速やかな空調設置への要望もいただいております。
また、我が党の市議会議員の方からも、市の財政的な課題もある中で、都のさらなる支援の要望もございました。
区市町村への空調設置に対する都の補助は、令和五年度をもって終了すると聞いていますが、今、答弁で、状況を踏まえ、区市町村への支援を検討していくとありましたので、それぞれの自治体の実情を丁寧に把握し、今後、設置を進める小中学校が着実に取り組めるよう、引き続き支援していくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
資料のご提出をありがとうございました。
私からは、都立学校の給食費の補助についてと特別支援教室の教員不足、そして、学校事務の共同実施事業について伺います。
まず、都立学校の給食費の補助についてです。
学校給食費の無償化は、子育て世帯の負担軽減の柱として、二十三区では全ての区が実施に踏み出しました。都立の特別支援学校に対する無償化も、確認できているだけでも七つの区で実施することが発表され、都立学校の設置者としての都教育委員会の姿勢がますます問われていると思います。
今日は、この給食費の補助、物価高騰の対策のこの補助を中心に伺いたいというふうに思います。
都教育委員会は、六月の第二回定例議会で物価高騰に対応した補正予算を組み、都立学校の給食費の補助、給食のある全ての学校の児童生徒に対し、一人一食三十円を行うことが議会で可決されました。
改めて、この補助金のこの意義と、一食三十円の算出根拠と予算総額について伺います。
○村西都立学校教育部長 学校給食費支援金は、食材の物価高騰への対策として、給食に要する食材費に対する支援を実施することにより、保護者等の負担軽減を図るものでございます。
支援金の算出根拠は、令和四年度の一食当たりの平均給食費三百六十七円に、消費者物価指数上昇率八・三%を掛け合わせた額となっており、予算総額は五千三百四十六万九千円となっております。
○斉藤委員 意義については保護者等の負担軽減を図るもの、予算総額は約五千三百五十万円ほどだったということです。無償化には程遠いものの、大事な取組だというふうに思います。
しかし、当初の教育庁の考えでは、全ての児童生徒が対象ではなく、給食の値上げを行う予定にしていた学校のみを対象としていたことが分かり、我が党は、給食のある全ての学校の児童生徒を対象にするべきだと求めてきました。
値上げをしない学校でも、何とかしのぎながら、お肉やお魚の量を減らしたり、高い野菜は避けたり、つまり給食の質に何らかのしわ寄せになるような状況で耐え忍んでいる現実があり、そうした学校に補助を出さないというのはあまりに酷なことで、全ての学校を対象にするというのは当然のことだというふうに思います。
そして、この補正は、六月の議会で決めて、四月分から遡及して補助をするものでしたが、六月中旬に補助が都議会で可決されたものの、学校現場では具体的なことが分からず、本当に三十円の補助を前提に食材を購入したり、献立を立てたりしていいのか分からないという、そういう声が届いております。
補正予算が可決された後、学校には、いつ、どのようなお知らせをしたのか、時系列でお示しください。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、補正予算の議決後、八月十七日に、学校給食費支援金の交付要綱と給食費支援金交付申請に係る通知を都立学校に発出しております。
○斉藤委員 一人一食三十円の補助がされるということを学校に明確に通知をしたのは、いつですか。
○村西都立学校教育部長 ただいま答弁しました八月十七日の通知でございます。
○斉藤委員 六月の議会で決まったことについて、学校現場へのお知らせが八月の下旬ということですが、なぜ二か月もかかったのか。六月に四月から九月までの半年間の補助が決まったのに、結局、八月中旬までは補助金を使うことができなかった、半年のうち補助金を使えたのは、九月のたった一か月だったということになります。
これでは、議会で議決された予算の執行を正しく行っているとはいえないのではないでしょうか。
○村西都立学校教育部長 学校給食費支援金の交付対象期間は、令和五年四月一日から九月末日までとなっており、六月下旬の補正予算の議決前に遡及して適用されることがあらかじめ予定されているものとなっておりました。
都教育委員会は、給食費支援金の補正予算の議決後、詳細を定める支援金交付要綱を作成するための事務作業を行い、八月に要綱を学校に通知したものでございます。
したがいまして、補正予算の議決に従い、一食当たり三十円の支援金について、四月から九月分を一括して学校に交付いたしました。
○斉藤委員 議会では、四月から九月までの半年間の補助として一人一食三十円を可決したのですから、六月二十一日の閉会直後に学校に知らせて、補助金を見込んで食材を購入したり、献立が組めるようにするべきだったのではありませんか。
○村西都立学校教育部長 支援金を見込んだ献立を現場で組むためには、一食三十円の支援金について、制度の詳細を要綱として決定した上で、学校に通知することが必要でございます。
○斉藤委員 最終的に制度の詳細が必要なのは当然だと思うんですけれども、しかし、一食三十円の補助金を出すこと自体を、先に学校に通知することもできたのではないでしょうか。献立を変えなくても、補助が入ると分かれば、お肉や魚を多めにするとか、給食の質を高めることに使えます。
今は、年度途中でも、物価高騰が続く中、一刻でも早く補助金によって単価を引き上げて、そして給食の質を守っていきたいというのが、現場の栄養士さんたちの気持ちです。今後は、こうした学校現場の状況を考慮して、現場に寄り添う対応を行うことを求めます。
食材費高騰が今でも続く中、給食費の補助は今後も切実に求められています。
都立学校の給食補助について、十月以降はどのような対応になっているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 食材の物価高騰などの状況を踏まえまして、引き続き、都教育委員会として保護者負担等の軽減を図っているところでございます。
十月以降の給食費支援金については、給食を実施する全ての学校を対象とし、一食当たり三十円を上限として、四月から九月までの支援金の執行状況を踏まえ、交付することとしております。
○斉藤委員 十月からの後期分については、ご答弁の内容で、十月三十日付で学校に通知を出しているというふうに伺っています。十月以降も、引き続き保護者負担軽減を図ることは重要だというふうに思います。
ただ、十月以降は、九月までの執行状況を踏まえて交付するということですが、補助金を後出しして、そもそも使えない状況だった中で、余っているだろうから十月以降もそれを使えばいいというやり方では、四月からの補助といえるのだろうかと疑問です。
もう一つ伺いますけれども、十月から年度末の三月までは、一食当たり三十円の一律の補助ではなく、上限三十円の補助としたのはなぜですか。
○村西都立学校教育部長 二定の補正予算では、食材費の高騰に対応するために、保護者負担の軽減に向けて、国の臨時交付金を活用し、本年四月から九月までの給食費に対する支援を実施しております。
給食費は年度で管理しており、年度途中の給食費の保護者等の負担を増加させることは影響も大きいものでございます。年度末までの保護者負担額を据え置くには、各学校の執行状況を把握し、追加で対応が必要となる金額を精査した上で、臨時交付金の残額を活用する必要があるため、十月以降は、四月から九月までの執行状況を踏まえ、対応することとしたものでございます。
○斉藤委員 九月までの補助の執行状況を学校に報告させた上で、一食当たり幾ら必要なのかを各学校に申請させるというふうに伺っています。
給食の単価は、学校ごとで様々ばらつきがあるということも伺っていますが、どの学校でも、少しでも多く補助が欲しいのは同じではないでしょうか。
九月と十月を比べても、食材費は値上がりをしている状況です。十月からは、ハムやソーセージなどの食肉製品や調味料など四千五百品目が値上げとなり、二〇二三年に値上げされる商品は三万品目を既に超え、バブル崩壊以降、最大級の値上げだというふうにいわれています。
単価を抑えて頑張っている学校も多くあると思いますが、どういう努力がなされているのか。冒頭でもいいましたけれども、お肉やお魚、果物の回数や量が減ったり、高い旬の野菜は避けたり、いろいろな創意工夫もあるかもしれないですが、結局、給食の質にしわ寄せされる現状があるわけです。
ちょっと伺いたいのですけれども、先ほど最初のご答弁で、補助の意義について、保護者負担の軽減を図るものということでしたけれども、意義はそれだけでしょうか。
給食の質の向上や食育の推進なども重要なことだと思いますが、いかがですか。
○村西都立学校教育部長 もちろん、法律で、食育の推進等は重要なこととして位置づけられております。
○斉藤委員 給食の質の向上、食育の推進、これはもちろん位置づけられているという認識ですけれども、しかし、この対応を見ていると、そこに意識がちゃんとあるんだろうかと疑問を持たざるを得ません。
いうまでもなく、この給食費の補助は、保護者の負担軽減だけでなく、子供たちが食べる給食の質を守り、向上させる大切な意義があります。
私たちが栄養士さんから伺ったお話では、エビフライはもう十年も出していないとか、例えばクリスマスやイベント、季節に合わせた特別なメニューもなかなか出せなくなっているということなんです。食育に資する豊かな給食が出せなくなっている現状なんです。その現状にきちんと目を向けていただきたいというふうに思います。
もう一つ、このテーマの最後に伺います。
私たちは、給食費の無償化こそ必要だと求めてきました。しかし、都は、給食費の無償化は、国の責任あるいは学校設置者の判断と繰り返し、都の責任については語ってきませんでした。
今、都内では、冒頭申し上げたとおり、都立特別支援学校の給食費を無償化にする自治体が、確認できただけでも七区まで広がってきています。同じ都立学校の中で、給食が無償の学校と負担のある学校の差が生まれてしまっています。
また、特別支援学校は学区が広いため、同じ学校の中で、無償とそうではない児童生徒がいるのは望ましい状況とはいえないと思いますが、いかがですか。この問題を解決するのは、学校設置者である東京都の責任ではないですか。見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 まず、学校給食費については、法において保護者等の負担であることが明記されております。
各自治体、また東京都、それぞれ国の交付金等を使って物価高騰に対する支援を実施するところでございますが、それはあくまでも国の交付金が、国の責任においてやっているという認識でございます。
様々な自治体が−−としていろいろ判断はしているところでございますけれども、法において全国一律に学校給食が実施されているという現状を踏まえれば、この取扱いについては、国がしっかりと、その責任と負担でやるべきものと考えております。
○斉藤委員 またこれまでと同じような答弁が繰り返されているんですけれども、同じ特別支援学校の中で、この負担の在り方、無償のところとそうじゃないところの差がある、こうした状況の解決、その責任は、一義的に、この学校設置者である東京都の責任ではありませんか。認識を伺います。
○村西都立学校教育部長 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、あくまで学校給食は法の定めに基づいて実施しているものでございますので、その取扱いについては、国の責任と負担でやるべきものと考えております。
○斉藤委員 法に基づいてということを繰り返されるんですけれども、しかし、今の現状は、東京都の中で、明らかに都立の学校の中で差ができている。これはもう、東京都の学校設置者としての責任が大きく今、問われている状況だというふうに思います。
私たちは、都立学校の給食費の無償化を学校設置者の責任として進めていくこと、これを求めておりますけれども、少なくとも今回の物価高騰対応の補助金についても充実をさせて、そして継続していくことを強く求めて、次の質問に移ります。
次に、教員不足について、特に特別支援教室の教員不足について伺います。
この教員不足の問題は、この間、教育現場を取り巻く最大の課題になっています。今年度は、四月七日の時点で都内で八十人の不足、さらに、九月一日の時点では百四十人に増えていることが我が党の代表質問でも明らかになりました。
これは、正規教員が足りず、臨時教員や講師を充ててもなお欠員になっている、文字どおり先生がいない数ということなので、とても深刻です。
毎年、年度当初から欠員があり、秋にはさらに増える状況が続いていますが、今年の教員採用試験の採用見込み者数、受験者数、合格者数と期限付名簿登載者数はそれぞれ何人で、昨年と比較してどのような特徴があるか、伺います。
○吉村人事部長 今年度に実施いたしました教員採用選考では、採用見込み者数三千四百七十五人、受験者数七千九百四十八人、合格者数四千九百二十六人、期限付任用教員名簿登載者数六百七十一人でございました。
今年度は、新卒の受験者が前年度より一割増加し、受験者数全体も十二年ぶりに増加に転じたほか、小学校の三十五人学級の進行等による必要数の増加や採用推計の見直しなどで、合格者を昨年度より約千人増やしました。
○斉藤委員 受験者数も増え、合格者も前年度より約千人増やしたということです。必要数の増加や採用推計の見直しを行って、学生や社会人にも様々なアピールを行ってきたということも伺っていますが、期限付でなく、正規としてしっかり確保していくということは、とても重要だというふうに思います。
同時に、まだ実際にどうなるかは来年度にならないと分かりませんし、教員の長時間労働など働く環境改善、この抜本的な対策がなければ、現在の教員不足は解消されません。
特に担任に欠員が生じた場合には、専科の教員や少人数加配の教員、そして特別支援教室の教員が、その穴埋めに回されるということが常態化しています。そうした中で、特別支援教室の子供たちにしわ寄せが及んでしまうことに、多くの先生たちが胸を痛めています。
まず、基本的なことから伺いますが、特別支援教室の重要性についてどう認識しているか、伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室は、発達障害のある児童生徒が学習上または生活上の困難を改善、克服するとともに、可能な限り多くの時間、在籍学級で他の児童生徒と共に有意義な学校生活を送る上で重要であると認識してございます。
○斉藤委員 特別支援教室は、大人数の通常のクラスと違って、発達障害を抱えるお子さんが少人数の中で落ち着いて学ぶことができる、かけがえのない環境だと思います。
私の周りでも、特別支援教室で学んだお子さんが、通常のクラスでも落ち着けるようになって、生き生きと通学できるようになり、親御さんもほっとしたというお話を聞いています。
しかし、その特別支援教室が、教員不足の影響で、本当に大変な状況にあるという声が寄せられています。
そこで伺いますが、今年度当初の特別支援教室の欠員は何人ですか。
○吉村人事部長 本年五月一日時点で、小学校の特別支援教室で三十三人、中学校で三人の教員の不足がございました。
○斉藤委員 小学校で三十三人、中学校で三人ということですけれども、同時期の全体の教員の欠員は八十人ということですから、特別支援教室での欠員で半分を占めるくらい、非常に深刻な状況だというふうに思います。
しかも、この数字は五月一日時点の人数で、九月には欠員がさらに拡大しているということも懸念されます。
運よく臨時の先生が見つかったとしても、すぐに着任できるとは限らず、個々の現場の実感では、実際にはもっと配置が足りていない状況なのではないでしょうか。
そうした中、私たちの下には、切実な現場の状況が寄せられています。一人で十四人の児童を受け持っているという先生や、ゆとりがなくて、子供や授業の話を教員同士で話すことができない、また、年度途中に新規で子供を受け入れるゆとりがなく、受入れを断るか、指導時間を減らして新規の子を受け入れるしかないという現状、また、一人で十六人の生徒を見ていたときもあるという声が寄せられています。
都教委では、こうした実態を把握していますか。
○落合特別支援教育推進担当部長 今、委員からお話がございました、教員一人で十六人の生徒を見ていることがあるということについては、そのような実態は把握してございません。
○斉藤委員 そうした実態は把握していないということですけれども、そのこと自体が問題ではないでしょうか。たとえ十六人じゃなくても、十四人見ている、こういう状況が広くあるわけなんです。
今、都教委では、特別支援教室の巡回運営指導員を都教委の事務局内に設置して、特別支援教室の巡回を行っているというふうに聞いています。そうした中で、教員不足の実態についても聞き取りをするべきではないでしょうか。
担任の教員不足の穴埋めのために特別支援教室の先生が回される状態が続いていることについてどう認識しているのか、伺います。
○吉村人事部長 子供たちの学習環境を整えるために、適切な教員確保は重要でございます。
なお、不足が生じた場合の対応につきましては、各区市町村や学校の実情を踏まえながら、区市町村教育委員会や校長等の経営判断により行われているものでございます。
○斉藤委員 適切な教員確保が重要という認識があるのなら、特別支援教室の教員不足の状況についても、もっと実態把握を積極的に行っていただきたいというふうに思います。
より丁寧な対応が必要な子供たちに教員の手が届かない状況は、本当に深刻です。年度途中の子供は特別支援教室に入れず、待機してもらわないといけない事態だという声や、教員が足りないと、巡回教員の中でも、どんどん退室させるしかないという思考になっていく、こういう声も届いています。
そして、フリースクールの関係者の方からは、特別支援教室対象の子からの相談が増えている、入室を待たされる間に不登校になってしまう、フリースクールは、居場所として受け止めてあげられても、専門性がないので教育はできない、子供にしわ寄せが来ているという切実なお話がありました。
特別支援教室での実態を改善していくためにも、教員確保のための抜本的な対策が求められています。
そこで、基本的な認識を伺いますが、教員不足の原因はどこにあると考えていらっしゃいますか。
○吉村人事部長 都教育委員会では、昨年度当初の不足を踏まえまして、採用推計の考え方を見直し、小学校全科では、従来と比べ採用者を増やしましたが、普通退職者等の見込みよりも多かったことなどにより、不足が生じたものでございます。
また、正規教員で不足が生じた場合に補充する期限付任用教員名簿登載者につきましては、昨年度に引き続き、その多くが、任用を打診した時点でほかでの就職を決めており、採用につながらなかったものでございます。
○斉藤委員 今、対応の状況についてご答弁いただいたんだと思うんですけれども、教員不足の原因、根本には、長時間労働や、給特法による定額働かせ放題といわれる教員の苛酷な労働環境があるというのは明らかです。
今、特別支援教室の教員たちは、週二十二時間、場合によっては二十四時間のこま数を持っているというふうに聞いています。これでは、合間の時間に授業の準備をするようなゆとりも、子供とゆっくり対話をする時間も持てません。
ちなみに、伺いますけれども、都立中学校のこの持ち時数の上限は、週何時間でしょうか。
○吉村人事部長 教員の授業の持ち時数は、各学校において、配置された教員の中で学年や教科などの教育課程等を考慮しながら決定しており、都教育委員会として上限は定めておりません。
なお、都教育委員会では、講師時数算定上の基準といたしまして、教員の標準的な授業の持ち時数を定めており、都立中学校では、週当たり十八時間としております。
○斉藤委員 都立中学校では、週当たり十八時間を標準的な持ち時数として定めているということです。
これは、区市町村立の小中学校の先生方と比べると、大分短い時間になっています。
この十八時間と定めているのはなぜでしょうか。
○吉村人事部長 都立中高一貫教育校では、教育課程の基準の特例を活用した中学校、高校間での学習内容の先取り、順序の入替えや、六年間継続した探究的な学習など、六年間一貫した計画的な学習指導、進路指導等を展開しております。
そのため、中高六年間を見通した中学校、高校の教員の相互乗り入れ授業や、教科横断的な学習等を展開するために、関係教員間での綿密な打合せや授業準備、校内研修の充実等が不可欠でございます。
また、教科担任や校務分掌などの校内体制につきましても、基本的に中学校、高校の教員を区別せず、一体として学校運営に取り組んでおります。
そのため、都立中学校につきましては、講師時数算定上の基準である標準的な授業の持ち時数を高校と同じにしております。
○斉藤委員 今のご答弁で、中高一貫ということで、探究の時間だったり、あるいは先生たちの校内の研修だったり、そういうことがご答弁されました。
この持ち時数以外にも、個別指導や、そういった創意工夫を行った活用など、研修も含めて充実させたいというのは、区市町村立の小中学校でも同じです。そうした授業以外の活動の時間も配慮して、都立中学では標準を週十八時間としているということですけれども、それなら、週二十二時間や二十四時間の持ち時数がどれだけ大変なものか分かっているということではないでしょうか。
区市町村立の中学校の持ち時数の上限は週二十四時間、これは都立中の一・三倍になります。小学校は、週二十六時間でさらに多い状況です。区市町村立の学校も、早急に週十八時間に引き下げるために、定数を増やすことを強く求めます。
特別支援教室の教員の欠員について、現場の先生たちからは、少しでも現状を改善するために、せめて時間講師をつけられるようにしてほしいという声が上がっています。
我が党はこれまでも、時間講師の柔軟な活用について、とや理事も含めて繰り返し求めてきましたけれども、現場からのこの声に応えていただきたいと思いますが、いかがですか。
○矢野人事企画担当部長 時間講師は、都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例に基づき、教科の授業に従事していることから、特別支援教室の教員に不足が生じた場合には、正規教員等を自立活動の授業に従事させた上で、当該教員が担当する教科の授業に時間講師を従事させるなどにより対応しております。
時間講師の活用については検討してまいります。
○斉藤委員 時間講師の活用については検討していくという、先ほど来からのご答弁がありました。本来は、全員が正規職員として確保できるようにするのが筋だというふうに思いますが、柔軟に対応ができるように、検討をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
先ほども申し上げましたが、特別支援教室では新規の子供たちを受入れできない、あるいは、子供が受けられる時数を減らして、そして受け入れるしかないという、子供たちの教育に重大な影響が出ている状況です。取れる対策を柔軟に行い、根本的には、都立中学の教員の標準の持ち時数のように、ゆとりある体制をつくっていくことで教員の働く環境を抜本的に改善して、魅力ある環境に変えていくことが必要ではないでしょうか。柔軟な対策と根本的な改善に向けての取組を改めて求めます。
最後のテーマですけれども、公立小中学校の事務の共同実施事業について伺います。
学校の事務職員の方々は、教員のお給料や学校行事の事務など、総務や財政的な仕事に関わり、教員にとっても、児童生徒や家庭、地域にとっても欠かせない役割を果たしています。
我が党は、二〇一七年三月の国会において、吉良よし子参議院議員がその重要性についてただしていますが、文科大臣は、校長や副校長による学校マネジメントが十分に機能するためには、学校組織において唯一の総務、財務等に通じる専門職である事務職員の役割は極めて重要であると考えている、また、事務職員に期待される役割はますます高まるものと考えていると答弁しています。
都教育委員会も同じ認識でしょうか。
○山田総務部長 都教育委員会におきましても、学校組織における事務職員の果たす役割は極めて重要であると認識しております。
○斉藤委員 都教育委員会としても、学校の事務職員の役割は極めて重要という大事な認識を示されました。
まさしく事務職員の方は、学校運営や子供たちの教育の充実に欠かせない存在として、管理職からも頼られる重要な役割を果たしているということが、私も、現場の先生方、現場の職員の方々からのお話を伺って実感をしているところです。
都教委では、公立小中学校各校に一人ずつ、正規の事務職員の配置を行っていますが、幾つかの自治体では、学校事務の共同実施が導入され、拠点校において事務職員を集めて事務を行っています。
この公立小中学校事務共同実施支援事業の導入の目的と経緯について伺います。
○山田総務部長 小中学校事務の共同実施につきましては、事務職員等による副校長業務への支援強化、事務の集中処理による正確性向上と効率化、組織化による事務職員の人材育成を目的に、学校の事務の一部を、拠点となる学校で集中処理するものでございます。
都教育委員会におきましては、公立小中学校の校務改善を進めるため、小中学校の校務改善推進プランを平成二十四年三月に取りまとめ、平成二十五年度から共同実施を開始しております。
○斉藤委員 副校長業務への支援強化や、事務の正確性や効率化、人材育成が目的であり、二〇一三年から導入しているということですけれども、現在、公立小中学校事務の共同実施を行っている自治体の数と、幾つの地区で行われているか、伺います。
○山田総務部長 令和五年四月一日現在、十区市におきまして二十八地区で実施しております。
○斉藤委員 地区というのは、共同化した拠点校と連携校のまとまりのことで、一自治体に幾つかの地区グループがつくられているということだということなんですが、現在、二十八地区で実施をしているということです。
この共同実施の拠点校と連携校は、それぞれ何校あるのか、また、事務職員はどのように配置されているのか、伺います。
○山田総務部長 令和五年四月一日現在、共同実施を導入している学校は、拠点校二十八校、連携校は百七十三校でございます。
また、共同実施では、拠点校に複数の常勤職員を配置し、全ての連携校に兼務発令を行うとともに、拠点校及び全ての連携校に会計年度任用職員を配置しております。
○斉藤委員 二十八校の拠点校があり、連携校は百七十三校ということです。
事前に伺いましたけれども、拠点校に五校や七校、十校とグループ化されて、それぞれの学校の事務職員が拠点校で仕事をするという方式です。したがって、百七十三の連携校では正規の事務職員が常駐していない状況ですが、都教委では、この連携校に、正規の職員の代わりに会計年度任用職員を配置しているということです。
都教委は、この学校事務の共同実施の導入を区市町村教育委員会に促してきましたけれども、最後に導入されたのはいつですか。
○山田総務部長 自治体としての導入につきましては、平成三十一年度が最後でございますが、令和五年度に一地区で共同実施が導入されております。
○斉藤委員 既に導入している自治体の中で一地区の導入があったということですが、自治体として導入があったのは二〇一九年が最後で、その後、四年間は、導入する自治体はないということです。
都教委は、各区市町村教委に対して、公立小中学校事務の共同実施の導入に係る意向調査を行っているというふうに聞いていますが、その中で、導入は未定または導入する予定はないと回答した区市町村教委は幾つあったのか、伺います。
○山田総務部長 ご質問の意向調査につきましては、都教育委員会、他の地方公共団体の内部における審議、検討または協議に関する情報でございますため、非公開としております。
○斉藤委員 続けて伺いますが、意向調査の中で、導入に係る課題または導入しない理由についてはどんなものがあったか、伺います。
○山田総務部長 繰り返しになりますけれども、ご質問の意向調査につきましては、都教育委員会、他の地方公共団体の内部における審議、検討または協議に関する情報でございますため、非公開としてございます。
○斉藤委員 都教委が行っている共同実施の導入に関する意向調査は、学校現場の環境を整備する施策のためにも貴重なものだというふうに思います。その内容を非公表にするというのは、議会にも、都民にも議論の余地を与えないということでしょうか。
学校事務の共同実施の導入についての意向調査を区市町村教委に行ったこの結果について、都民からの開示請求がありましたが、これを非開示としたのはなぜか、その理由について伺います。
○山田総務部長 東京都情報公開条例第七条第五号によりまして、都及び区市町村の相互間における審議、検討中の情報であって、公にすることにより、外部からの干渉、圧力等により各区市町村の自由かつ率直な意見が妨げられ、意思決定の中立性が損なわれるおそれがあること及び同条第六号によりまして、各区市町村の率直な意見が妨げられ、区市町村の意向、実態が把握できなくなり、当該事業の運営に支障を及ぼすおそれがあることによりまして、一部開示としております。
○斉藤委員 開示請求を行った都民の方からお話を伺いましたけれども、今ご答弁にもありましたが、この理由について、外部からの干渉や圧力等により意思決定の中立性が損なわれるおそれがある、こう記載されているんですね。
外部からの干渉や圧力というのは、何のことをいっているのかなと思うんです。都の情報公開条例の中には、そんなことはどこにも書いてありません。都民や当事者の声、また議会での議論のことをいっているのなら、あまりに非民主的な解釈をされているんじゃないかというふうに思います。
情報開示請求を行った都民の方は、都教委だけでなく、区市町村教育委員会に対しても同じ開示請求を行っています。そして、その結果、開示請求を行われた区市町村教育委員会全てが、都教委に出した回答を開示しています。ある地教委の方は、個人の情報が含まれていない公文書である以上、開示するのが当たり前、都教委の非開示は理解しがたいと述べていたそうです。
開示請求を受けた全ての地教委できちんと回答が公開されたことと、都教委だけが開示をしないという対応には大きな隔たりがありますけれども、どう認識されていますか。
○山田総務部長 あくまでも意向調査につきましては、各区市町村教育委員会の意見が記載されてございます。それにつきまして、都教育委員会として公表するということはできないというところでございます。
○斉藤委員 公教育を担う都教委の仕事は、まさに公に関わる施策を遂行するものであって、当事者はもちろん、都民に開かれた場で、その施策の是非や内容について検討していくのが本来の在り方ではないでしょうか。外部からの干渉や圧力という表現で、その開示をしないという、この認識は本当に驚きです。今後は、こうした都民に開かれた、こういう透明性を持った対応をしていただくことを強く求めます。
そして、その意向調査の中身について、ご答弁されませんでしたので、私の方から紹介いたします。
共同実施を導入していない四十三の自治体からの回答では、学校現場に会計年度任用の支援員しか配置されないことへの不安、これを述べたのが十八の地区、そして、業務分担上、課題が多いというのが九地区、副校長の業務負担増になると回答したのが四地区、さらに、学校経営支援組織において都費の事務職員が中心的存在であるという点で、共同実施とは相入れない、また、副校長と連携を取り、学校の経営に関わることがある現状で、学校として組織的な動きをする際に、各校の常勤の事務職員がいないと迅速な対応ができない可能性がある、そういう声など、各校に常駐することが望ましいとする意見が多く寄せられています。
事務職員の方は、教職員のお給料の事務のほか、副校長の仕事の補佐や、学校運営についても中心の役割を担っているため、学校現場に常駐してもらわなければ効率的な仕事にならないという声が多くあります。任期が一年の会計年度任用職員では、そうした基幹的な仕事にならず、副校長が業務を教えることになって、かえって負担になるということなんです。
この声は、全て都教委で確認している声だと思いますが、この声をどう受け止めますか。
○山田総務部長 都教委といたしましては、事務の共同実施によりまして、学校要覧の作成でありますとか、学校施設の業務やデータ入力など、本来、副校長が行っている業務を事務に移管することができる、また、そのことによりまして副校長の事務の軽減に寄与するとともに、事務処理の均一化、統一化、特に給与事務については効果があるということで認識、確認をされております。
また、共同事務室での相互チェック等によりまして事務処理の正確性が向上するとの評価や、共同事務室での事務処理のノウハウの共有の促進、人材育成の面でも有用であると評価されてございます。
都教委といたしましては、学校事務の共同実施につきましては、副校長の負担軽減や事務処理の正確性の向上、効率化、組織化による事務職員の人材育成に効果があると認識してございます。
○斉藤委員 今、都としての認識を述べられましたけれども、しかし、この意向調査では、多くの自治体が、むしろ副校長の負担増になってしまうということだったり、効率的な仕事にならないということが次々上げられているわけなんです。こうした声にしっかり向き合ってほしいなというふうに思います。
冒頭で紹介した文科大臣の国会答弁では、例えば、各種調査の対応や学校予算の編成、執行などの事務について、校内の取りまとめ、確認作業といった細かな対応まで行っており、事務的な面における負担がますます大きくなっているとして、その役割がますます高まるものと考えていると認識を示しています。
学校現場から正規の事務職員を切り離すのではなく、長く働ける正規の事務職員の各学校への配置を保障することこそ必要です。
ところが、都教委は、この共同実施事業の中で正規の事務職員を減らしてきました。
確認ですが、例えば七校がグループ化された拠点校には、事務職員は何人配置されているのでしょうか。五校の場合と十校の場合とを併せて伺います。
○山田総務部長 七校の場合は四人、五校の場合は三人、十校の場合は五人の事務職員を拠点校に配置しております。
○斉藤委員 結局、今のご答弁のとおり、集約化して、正規の事務職員は削減されてしまっているということなんです。
国は、二〇一七年に、学校事務を共同して処理する共同学校事務室の設置を法制化する法改正を行っていますが、このときに、我が党の質疑で、文科大臣は、共同学校事務室は学校に事務職員が配置されていることを前提とした仕組みであり、事務職員の削減、非常勤化を図るものではありませんと答弁しています。
このことは認識されていますか。
○山田総務部長 認識しております。
○斉藤委員 認識しておられるのでしたら、適切な対応を行ってほしいと思うんですね。
国は、この学校事務の共同実施の制度化に当たって、共同学校事務室の設置が事務職員の人員削減につながることのないよう、基本的に一校に一人以上の事務職員の配置を確保することを求めていますが、なぜこのとおりにしていないのか。
この方針に基づいて、正規の事務職員の削減は見直しするべきではないでしょうか。伺います。
○山田総務部長 共同実施におきましては、拠点校に複数の常勤職員を配置しまして、全ての連携校に兼務発令を行うとともに、拠点校及び全ての連携校に会計年度任用職員を配置し、学校数以上の職員により適切に運用を行っております。
○斉藤委員 先ほどの繰り返しのご答弁だったのですけれども、学校での事務の所掌が増えている中で、事務職員の仕事量も増えています。教員の働き方改革の中で、その負担軽減を、学校事務の職員や外部人材にその負担を求めている中で、事務職員の正規職員を減らしたり、非常勤化していくことには無理があります。各学校への事務職員の配置を保障し、むしろ大規模校などには複数配置することなどこそ求められているというふうに思います。
そのためにも、国は、この学校事務の共同実施を行う場合には、職員の加配のための補助を行っていますが、都はこれを活用していないというふうに聞いています。
国の共同実施に伴う加配について、なぜ都教委は加配をもらっていないのか、伺います。
○山田総務部長 都教育委員会では、学校事務の運営の効率化等を勘案した上で、現に、必要な人員として、学校数以上の常勤職員及び会計年度任用職員を配置し、適切に運用を行っております。
○斉藤委員 学校数以上の職員を配置しているといっても、その中身は、正規の職員を任期付の職員に置き換えてしまっているわけです。
専門性を発揮しながら、副校長をはじめ学校組織と連携して事務を行うこと、また、事務の所掌の増加や副校長のサポートなど、求められている役割が増している中で、この事務職員を各学校への正規の職員として配置すること、また、複数配置を大規模校などには行っていく、こういう充実こそさせていくことが求められているということを改めて指摘をして、質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十九分休憩
午後三時四十五分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○風間委員 私からも、医療的ケア児童への支援という観点から、何点か質問をまず始めていきます。
先ほど、ほかの委員からの、答弁もありましたが、支援について、医療的ケア児童の支援についても、かなり取り組んでいることが確認はできたところであります。
まず、付添いの問題ですけれども、肢体不自由学級に関しては、この期間の短縮化ということに関して、かなり進めてきているということ、私も昨年の文書質問で改善を求めたところでありますし、前進しているということに関しては評価をしているところであります。
しかし、この付添期間、特に気管切開と人工呼吸器の場合は、その縛りが強くて、付添いが数か月とか数年単位に及ぶような人たちもいるというふうに耳にしているところでもあります。
この医療的ケア児童、肢体不自由特別支援学校以外の障害種別の特別支援学校にも近年は在籍しているということが多くて、特に、初めて医療的ケア児を受け入れる学校においては、保護者の付添いの短縮に向けた支援というのが、まだまだそれほど進んでいないように感じているところでもありますが、都教委の取組状況について伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、医療的ケア児の保護者付添期間短縮化の取組を、令和五年度から都立特別支援学校全体で本格実施しております。
知的障害特別支援学校など、新しく医療的ケアを実施する学校については、近隣の肢体不自由特別支援学校と医療的ケアに関する情報共有を行うとともに、指導助言を実施し、支援してございます。
○風間委員 私が聞いた話でも、最初の一学期間、丸々その付添いということで、かなり就労継続が難しくなったような状況の方もおりますので、ぜひ短縮化に向けては、引き続き取り組んでもらえればなと思います。
医療的ケア児童が肢体不自由特別支援学校から他の障害種別の特別支援学校に転校した際には、看護師の確保がなかなかできずに、長らく学校の付添いをしているという保護者もいるように聞いております。
そして、この当初の学校の付添いということだけではなく、通学についても保護者の負荷が大きいケースがあると多々聞いているところでありますけれども、通学を支援する方策が必要と考えますが、これも大分整備してきているということは、話に、先ほど答弁でありましたが、教育委員会の取組状況について伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、令和四年度から、知的障害特別支援学校で、医療的ケア児専用通学車両の運行についてモデル事業を実施しております。
モデル事業の対象校では、肢体不自由特別支援学校から知的障害特別支援学校に転学した医療的ケアのある児童なども対象として、通学を支援する方策を検討してございます。
○風間委員 肢体不自由の特別支援学校以外の子供たちの通学支援も、ぜひ前に進めていってもらえればなと思います。
そして、通学支援も、付添いの問題も、いずれも、やはり看護師をきちんと確保できるかどうかということが重要な問題だと認識をしております。都教委も、学校も、この確保については尽力していると認識しておりますけれども、学校長の意欲には少し差があるというような話も聞いているところです。
特別支援学校で働く看護師は、学校の近隣に在住しているという方も、実は多いんだという話を耳にします。
今後は、学校近隣に在住している潜在看護師などの求人訴求、そして、働き始めてくださった後には、長期的に働き続けられるような離職防止の取組も必要だと考えますが、都教委の見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、学校近隣に在住する看護師を積極的に採用するため、地域のハローワークと連携するほか、公共施設を中心に募集チラシの設置、各校に看護師募集横断幕の掲示など、取組を実施してまいりました。
都立肢体不自由特別支援学校に勤務する看護師が知的障害特別支援学校などを訪問し、医療的ケアの手技の研修や児童等の医療的ケアマニュアル作成時の助言など、必要な支援を実施してございます。
○風間委員 実際には、その通学バスの横断幕を見て、やってみようかなと思った看護師さんもいるなんていう話を聞いているところでありますし、一方で、実際に働き始めたらちょっと、子供たちの世話をしたいんだけれども、それ以外のことで忙殺をされていて、イメージが違ったということで離職したなんていう話も耳にするところですので、今、お話に上がったようなことをぜひ進めてもらえればなと思います。
先ほど申し上げたように、学校長によって、その意欲であるとか医療的ケアに関する知識、これも、経験していない校長さんの場合には少し差があるなんていう話も聞くところであります。
特に医療的ケアの子供の対応を経験しているかどうかということは、非常に重要だと思いますけれども、この特別支援学校の校長の配置ということに関しては、やはり研修の強化であるとか、その医療的ケアの経験等を十分に勘案していく必要があると思いますけれども、都教委の見解を伺います。
○吉村人事部長 管理職の異動に当たりましては、本人の適性や経験等を踏まえまして、適材を適所に配置しております。
特別支援学校において、経験のない障害種別に管理職を異動させる際には、当該種別の経験のある管理職を同時に配置することで、学校運営が適切に行われるよう配慮しております。
経験のない管理職につきましても、着任当初、医療的ケアに関する研修を受講させ、理解を深めさせることで、対応能力の向上を図っております。
○風間委員 医療的ケア児童が増加傾向にあるということで、現場の対応も、看護師の確保も大変なことと重々承知しておりますけれども、子供たちのために取り組んでもらえればなと思います。
人事の話になりましたので、今度は、その教員の不足ということについて伺ってまいります。
二年前にこの事務事業質疑をした際には、代替教員の確保という観点で少し議論をさせていただいたところであり、やはり学校現場の教員不足ということは、いまだに深刻な状況であります。
特に小学校の先生方の確保ということは、今年も年度当初に不足しているという、二年連続で不足しているという状況になってしまいましたし、今年度は昨年度よりもさらにその数が増えたということは、大変に大きな問題だと思います。
なぜこんなことが起こってしまったのか、改めて伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、昨年度当初の不足を踏まえまして、採用推計の考え方を見直し、小学校全科では、従来と比べ採用者数を増やしましたが、普通退職者数等が見込みよりも多かったことなどがございます。
また、正規教員で不足が生じた場合に補充する期限付任用教員名簿登載者につきましては、その多くが、任用を打診した時点で他での就職を決めており、採用につながらなかったものでございます。
○風間委員 二年連続でこのような状況になったということに関しては、大変に残念なことであり、採用必要推計に問題があったと考えざるを得ません。この影響を受けるのは、不足している現場の先生方であり、子供たちであります。
来春、三年連続とならないように、どのように取り組んでいるのかを確認します。
○吉村人事部長 教員の確保に当たりましては、教員を増やす取組といたしまして、都を中途退職した教員が復帰しやすいカムバック採用の新設や合格発表の早期化など、選考方法の見直しを行いました。
また、現在活躍している教員を減らさない取組として、臨床心理士等によるアウトリーチ型相談事業を実施するほか、採用予定者の任用への意欲を高めるための座談会などを予定してございます。
○風間委員 今年度の新規の採用の倍率が一・一倍というのは、これ、教育界では大変深刻な数字だというふうにいわれているところです。
都の教育委員会としても、様々な手法を使って、東京都で働く教員の確保ということに取り組んでいることかと思いますけれども、現場で長らく経験を積んできた先生方の再任用、存在は大変に重要なことであり、本人の意欲があるのであれば、その学校で活躍してもらった方がいいなと感じているところでもあります。
都の教育委員会では、どのような働き方があるのか、確認させてください。
○吉村人事部長 六十五歳以上のベテラン教員などが学校で働く職といたしましては、産休等の代替を担う臨時的任用教員や時間講師、若手教員の育成支援等を行う日勤講師、副校長を直接補佐する支援員などがございます。
○風間委員 今、挙げられた中での日勤講師は非常勤教員とも呼ばれていて、フルタイム勤務ではないものの、様々な学校業務に対応できる重要な存在だと学校現場からは聞いているところです。
今年は、この現役の日勤講師が募集の申込期限に気づかず応募できなかったという事例が何件もあったと耳にしましたけれども、都教委はどのように周知してきたのか、確認します。
○吉村人事部長 日勤講師の募集は、都教育委員会のホームページで公表しているほか、公立学校教職員向けには、区市町村教育委員会及び都立学校を通じて全教職員へ周知しております。
また、現役の日勤講師の任用の更新や応募漏れを防ぐため、日勤講師として任用されている者のリストを区市町村教育委員会及び都立学校に送付しております。
○風間委員 区市町村教育委員会を通じて、リストもあげているということです。しかし、現場で忙しく働いている教員が、そのことに、期限に気づかず応募できなかった、そして、来年度働いてもらうことができないというのは残念なことでありますので、そういったことが来年度はないように取り組んでもらえればなと思います。
続いて、部活動について伺います。
学校現場の疲弊というのは、人の配置増だけで解決できる問題ではなく、業務の見直しというのも大変に重要な観点であります。
国は、学校の働き方改革も考慮した部活動改革を推進してきましたけれども、都はどのように取り組んできたのか、教えてください。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年七月、部活動検討委員会を設置し、地域連携、地域移行に向けた区市町村への支援の在り方等について協議してまいりました。
この検討委員会での協議内容や、昨年十二月に示された国のガイドラインを踏まえまして、本年三月に、部活動の地域連携、地域移行に向けた具体的な取組や、三年後の達成目標などを示した学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画を策定いたしました。
○風間委員 この部活動の改革ということについては、現場の中学校の管理職の先生方、複数から様々な意見を伺ってきたところでありますけれども、東京都内においては渋谷区が先進事例であるということで、注目しているなんていう話も伺ったわけですね。
私も、渋谷区の教育委員会にヒアリングに行ってまいりまして、渋谷ユナイテッドという斬新な取組について学んできたところであります。
これは、首長の決断で、かなりの予算をかけてやっていることだなと思い、ほかの自治体ではなかなか難しいなんていう声も聞こえてくるところでありますけれども、市区町村の公立中学校においての部活動の地域連携、移行を進めていくには、こういった各地域での事情が異なってくる、予算面も含めて課題も山積しているわけであり、都教委の支援の在り方というものが問われてくるのかと思います。
現状、どのような状況でしょうか。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、区市町村に対しまして、地域連携、地域移行に向けた協議会の設置や休日の指導者の配置などに係る経費を補助しております。
また、全ての区市町村から進捗状況や課題等を聞き取りまして、必要な助言を行うことにより、地域連携、地域移行を後押ししております。
○風間委員 各地域の優良な事例というものは、ぜひ参考にしてもらえればなと思いますけれども、従来の部活動は、放課後の学校内で教育的活動要素があることから、地域移行をする際には、習い事のように応益負担とならないよう留意していく必要があると考えています。都教委としては、こういった都内地域で格差が出ないように支援していくことが必要だと思いますので、そのあたり、今後よろしくお願いします。
続いて、学校の現場においては、よりきめ細やかに子供たちに対応していくための取組も必要だと考えています。
都教育委員会が進めるエデュケーションアシスタント配置支援事業について、予算規模と実績について伺います。
○矢野人事企画担当部長 令和五年度のエデュケーションアシスタント配置支援事業の予算規模は五地区百校でございまして、五地区八十四校に配置をしております。
○風間委員 今年度は五つの自治体で行われているということですけれども、希望しながら都教委に選定されなかった自治体もあると聞いています。百校の予算がありながら、実際には八十何校かということで、これが使い切られていないというのは、大変にもったいないなと思うわけですね。
選定されなかった中野区の教育委員会にもヒアリングをしてきましたが、やむなく、全額、自治体予算で事業をやっているそうです。エデュケーションアシスタント事業をやっているそうです。
学校現場からも好評ということなので、今後、東京都全体で広がっていくように予算の拡充が求められるところだろうなと感じているところですが、課題についても多々ヒアリングをしてきたのですけれども、やはり人材の確保には苦労したということです。
今後、都としては、エデュケーションアシスタント、この人材確保の支援も必要だと考えますが、都の見解を問います。
○矢野人事企画担当部長 エデュケーションアシスタントは、区市町村教育委員会が公募し、選考の上、採用しています。
都教育委員会は、区市町村教育委員会が人材を募集するに当たりまして、東京都教育支援機構の人材バンクの活用も促しております。
○風間委員 ぜひ、このエデュケーションアシスタントを進めていくようにお願いをします。
外部人材によるきめ細やかな子供たちへの対応としては、学校生活支援型のスクールサポートスタッフということにも注目をしています。
先ほど、ほかの委員からの質問でも、従来の事務方のスクールサポートスタッフ、これは私の地元でも、多くの学校で大変に貴重な存在だということは耳にしているところでありますが、この学校生活型について、今年度の配置状況、そして、現場の反応、評価等について教えてください。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会では、学習に集中しにくい児童等への対応を教員に代わって行う学校生活支援型のスクールサポートスタッフを、令和五年度は二地区四十九校に配置しておりまして、教員の負担軽減につながるとして、学校から評価を得ています。
○風間委員 私も、地元の学校の先生だったり、保護者の方だったり、特に低学年の間はなかなか授業に集中し切れない子供たち、それを、一人の先生が三十五人、または三十人とか、なかなか見切れないというような話も聞いてきたところでありますので、そういった支援型というのには大変に注目をしているところですので、ぜひ今後、検証をした上で、これも広げていってもらえればなと思います。
学校現場で子供を支援する外部人材としては、スクールソーシャルワーカー、これを拡充していく必要があると、去年の一般質問でも私は求めたところであります。
文科省の二〇二一年度の調査では、全国の国公私立小中学校で、不登校の児童生徒が約二十四万五千人と過去最多、一方で、三六・三%に当たる約八万九千人は専門的な支援を受けられていなかったというような報道もありました。
このような不登校児童生徒への対応を含めて、スクールソーシャルワーカーの配置は大変重要であると考えています。
都内でも、自治体によって、その配置人数にはかなりの差があり、都としては、これは全地区でしっかりと配置していくように注力していく必要があるんじゃないかと考えます。
都教委が進めるスクールソーシャルワーカー活用事業強化モデル、これについての現状、実施状況を伺います。
○小寺指導部長 スクールソーシャルワーカー活用事業強化モデルは、子供や家庭への福祉面からの支援を強化するため、令和四年度から三年間の計画で、区市町村教育委員会が所管する全ての小中学校にスクールソーシャルワーカーを週一回三時間以上派遣する地区に対し、補助を行う事業でございます。
令和四年度は十一自治体に、令和五年度は十九自治体に補助を行っております。
○風間委員 不登校児童生徒の激増に伴い、昨年度、文科省から、各都道府県教委には校内教育支援センターの設置を求める通知がありました。
都教委が配置している校内別室指導支援員の規模と取組状況について伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の子供が多い小中学校を対象としまして、三十七地区二百九校に、校内の別室であれば登校できる子供への対応を行うための支援員を配置し、学習指導や相談対応等を行えるようにしております。
○風間委員 不登校の子供への対応というのは、大変センシティブな問題もありますから、丁寧な対応が必要だと感じているところであります。
今の配置されているこういった支援員の中には、無配慮な言葉がけをする支援員もいると耳にすることもあります。支援員の配置は重要な取組であり、誰にでもできる業務でもないことから、都教委として、採用や研修についても支援していくよう求めます。
都立高校でも、今年度から校内別室指導に取り組んでいるということですが、どれほどの都立高校で、どのように行われているのか、教えてください。
○小寺指導部長 都教育委員会は、今年度、不登校や教室の雰囲気になじめない生徒の居場所を確保し、登校支援するための校内別室指導推進事業を、都立高校十七校で実施いたしております。
これらの学校では、例えばソファーや個人用ブースを設置し、別室の環境を整備するとともに、支援員が一人一人の状況に応じて学習支援や相談対応を行うなど、教室に入れない生徒が安心して学び、教室に戻れるよう取り組んでおります。
○風間委員 都立高校では十七校とのことですけれども、その他の高校にも不登校生徒はいるわけであり、対応が求められるところであります。
都教委は、中学校時に不登校であった生徒を受け入れるための高校として、三部制のチャレンジスクールを設置していますけれども、生徒はどのように学んでいるのでしょうか。
また、全ての都立高校で、不登校の生徒に対してどのような支援を行っているのかを伺います。
○小寺指導部長 チャレンジスクールは、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて学べる定時制、総合学科、単位制の高校であり、少人数指導により、基礎、基本を重視した学習を行うなど、きめ細かい指導を行っております。
また、都教育委員会は、全ての都立高校に心理の専門家であるスクールカウンセラーを配置するとともに、学校からの要請を受け、福祉面からの支援を行うユースソーシャルワーカーを派遣しており、教職員がこれらの専門人材と連携し、不登校の生徒に寄り添った支援を行っております。
○風間委員 都立高校の場合には、義務教育課程ではないことから、不登校になった後の対応等も、生徒にとっては様々な選択肢がある状況だと思います。中には退学だとか転学を希望するような生徒も、私の知り合いにもいたりしますので、不登校生徒に対して寄り添った対応をしていくようにお願いをします。
不登校になる理由は様々ですけれども、その一つには、いじめが理由という児童生徒も一定数います。
いじめ対策として都教委が取り組む、子供が安心して生活できる学校づくり検証事業に期待をしていますけれども、その概要と実施状況を伺います。
○小寺指導部長 子供が安心して生活できる学校づくり検証事業は、いじめを早期に発見、解消し、深刻化させないための取組を支援することを目的に、校長経験者等をいじめ対応サポーターとして学校に配置し、教員に対して、子供や保護者への対応の在り方について助言等を行うものでございます。
現在、都立学校二校で実施し、区市町村立学校一校で実施の準備を進めているところでございます。
○風間委員 いじめ問題の対応については、法律家などの専門家も含めて対処することが必要なケースもあろうかと思います。
都教委が取り組む専門家を活用したいじめ問題サポート事業については、どのような内容なのか、また、実施状況も教えてください。
○小寺指導部長 都教育委員会は、令和四年度から、区市町村において、いじめの早期解決に向け、弁護士等が保護者の相談に応じる体制を構築する専門家を活用したいじめ問題サポート事業を、モデル地区一地区において実施しております。
○風間委員 いじめ抑止対策については、学校現場で日常的に取り組んでいく必要があろうかと思います。いじめの問題の対応については、不登校や子供の命に関わる問題でもあるので、いつでも相談できる体制と、必要に応じて専門家に相談できる仕組みが重要であると考えています。
今、概要説明をいただいた二つの件に関しては、パイロット的に取り組んでいるものなのだろうと感じましたけれども、いずれも、検証した上で都内全域に広げていくことを求めます。
続いて、子供を守っていくという観点では、ユネスコによる国際セクシュアリティ教育ガイダンスにのっとった包括的性教育を進めていくことも重要です。
改めて都教委の見解を伺います。
○市川指導推進担当部長 学校における性教育は、人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、子供が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要があると捉えております。
○風間委員 昨年八月に、日本財団の有識者会議が包括的性教育に関する提言書を発表し、いわゆる歯止め規定の撤廃、見直しが掲げられましたが、文科省は、昨年十月には、歯止め規定の撤廃はしないと明言しました。
このような状況下、都教育委員会の取組と都内公立学校における性教育の現状を伺います。
○市川指導推進担当部長 各学校では、全体計画や年間指導計画に基づき、学習指導要領に示されている性に関する指導の内容について、子供の発達段階に即して組織的、計画的に指導しております。
また、都教育委員会は、性教育の意義や指導方法等を掲載した性教育の手引を全公立学校に配布するとともに、各学校の担当者を対象とした連絡会で、外部講師の活用事例について情報提供するなど、学校の取組を支援しているところでございます。
○風間委員 また、都教委による生命(いのち)の安全教育の推進についても期待をしていますが、取組の現状を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、子供が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにすることを目的とした生命(いのち)の安全教育を推進するため、令和四年度、文部科学省の委託を受け、板橋区の小中学校一校ずつと、都立忍岡高等学校をモデル校に指定し、効果的な指導の在り方について研究を行ってまいりました。
本年度は、モデル校の実践事例を教員向け指導資料としてまとめ、都内公立学校に電子データで配布するとともに、都内全ての公立学校の安全教育担当教員対象の研修会で活用を促すなど、普及を図っております。
○風間委員 ご案内のとおり、包括的性教育に関しては、単に、いわゆる性教育だけではなく、子供の人権問題にも関わってくる、健康に関する問題にも関わってくることでありますので、都教委としても、ますます進めていくことを求めます。
健康管理という意味では、給食の存在というのは大変に重要であり、また、SDGsやエシカル消費といった、これからの持続可能な、この地球の在り方ということを考えれば、地産地消の給食推進というのは、大変に重要な視点だと考えています。
学校給食については、予算的なものも含めて制約もあるとは思いますが、都教委としては具体的にどのように取り組んでいるのか、教えてください。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、学校栄養職員に対する研修等を通じ、学校給食における地場産物の活用を促しております。
○風間委員 都内には、給食で提供できるほどの農地がない自治体というのもかなりあるわけですけれども、東京全体で、地産地消はどのように推進しているのでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 農地のない都心部の学校等において東京産の地場産野菜等の活用が図られるよう、産業労働局と連携し、地産地消を推進しております。
○風間委員 エシカル消費の観点から、東京における持続可能な農地保全という意味では、単に地産地消の推進だけでなく、有機栽培農産物の地産地消がより理想的であります。これからも、庁内連携によって、こういった観点でも推進していくことを求めます。
最後に、英語スピーキングテストについても伺います。
私自身も、私たちの会派も、英語のスピーキング能力というのは大変に重要なことであり、これをアチーブメントテストとして行っていくということについては必要だと考えているところであります。
そこで、今年は、一、二年生にも、この英語スピーキングテストが行われるということですけれども、いつ行われるのか、内容はどのようになっているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 令和五年十二月にESAT-J YEAR1及びESAT-J YEAR2のサンプル問題を公表し、令和六年一月から三月までの期間内において各中学校が設定した実施日に、各中学校において実施する予定でございます。
試験は、各学年で同一の問題により実施することとしており、到達度を測るためにふさわしい問題を検討しております。
タブレット端末及びヘッドセットを使用し、解答音声を録音する方式で実施をいたします。
○風間委員 この一年生と二年生の試験は、アチーブメントテストとして実施されるということですが、中学校において成績判定の材料になるのかどうかということを確認します。
○瀧沢グローバル人材育成部長 中学校における成績判定の材料にはならないと考えております。
○風間委員 日程もばらばらになるということですし、内容は同一ということから、近年では、一つの地域の塾に複数の中学校の生徒が通ったりも当然していますから、情報が漏れる可能性というのも当然あります。
これが成績判定にされるとなると、公平性という観点で課題があると思いますので、ぜひこれは成績判定にならないということを徹底してもらえればなと思います。
今回、ベネッセからブリティッシュ・カウンシルに事業者が替わるという発表があったわけであり、来年は、三年生の英語スピーキングテストにおいても事業者が替わってしまうということで、この事業者間での引継ぎ等は行われるのか、確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会には、英語スピーキングテストを継続的、安定的に実施していく責任があると認識しております。
都教育委員会が必要な情報等を事業者に提供してまいります。
○風間委員 事業者の持つ知的財産権というものがあるでしょうから、それを引き継ぐということもないのだと確認をさせてもらいましたし、東京都の教育委員会の責任ということについても確認をさせてもらったところであります。
では、昨年行われた英語スピーキングテストについては、これまでもさんざん、この文教委員会でも、議場でも質疑があったところでありますけれども、一つの大きな問題としては、テストの実施体制というところがあったんだと認識しています。
特に四年度の試験、前半、後半に分かれて実施された際に、教室が隣同士で、ドアが開けっ放しであったということから、前半の試験の解答をしている音声が隣の教室まで、待機している生徒たちに聞こえてきたという指摘があったわけですけれども、今年度の実施に当たり、都は、これを改善していくのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、事業者と派遣した職員及び区市町村教育委員会からの報告により、解答に影響を与えるような事例はなかったということを確認しております。
今年度の実施に当たりましては、前半に試験を行う教室と後半に試験を行う教室が隣接しないようにするなど、教室配置を一層工夫するということで、生徒がより集中した環境で受験できるようにしてまいります。
○風間委員 何百も試験会場があったわけであり、そこでそういうことが全くなかったということは、何か根拠があるのかなと思いますけれども、私たちは、去年、実際に受験した生徒から上がった声として、深刻だと思っています。
都教委の今の答弁だと、その声を無視するんだなということ、そういったスタンスは大変に問題があるんじゃないかと思うんですね。
今年は、そういうことがないように工夫するということですので、また私たちも、今年の受験者たちから実情をヒアリングしてみたいなと思っているところであります。
一方で、教室内の隣席の生徒の解答者の音声が聞こえたという証言も、実際にはありました。これ、多数あったわけですね。
この問題は、教室内の人数を変更するなど、改善を今年図るのかどうか、確認します。
○瀧沢グローバル人材育成部長 テストは、カナル型と呼ばれる耳の中に入れ込むタイプのイヤホンを装着した上に、イヤーマフと呼ばれる、まあカバーですね、これをつけ、ホワイトノイズと呼ばれる音を流すことで、周りの会話を聞き分けることができないように実施しております。
スピーキングテストですので、周りの声が聞こえるということはありますが、今お話ししたように、聞き分けて、その影響を受けて解答するということはないということを確認しており、試験実施上の問題はないと考えております。
なお、今年度は、教室内の机の配置を工夫するなど、受験環境の一層の改善を図ってまいります。
○風間委員 これはまた、去年の受験者たちからの報告は、うそだったかのような答弁ですね。受験生から寄せられた意見なので、私たちは問題視しているわけであり、実際、一年半前、私も議論をさせていただきましたけれども、プレテストの段階から、時間をずらしてほかの解答者の声が聞こえたということは、問題として指摘していたわけですよ。それに対して、なかったかのように答弁をするということは、さほどの改善策も図られないんだろうなと思います。
実際に、今日、配られた資料を見てみましたら、ベネッセとの協定では、都立高校の教室だと、原則上限二十八名というふうに書かれていますから、一つの教室内で二十八名といったら結構な人数ですので、その席をずらすか、分かりませんけれども、その工夫で声が聞こえない距離になるとは到底思えません。
もう一つ、問題としては、都立高校の受検を考えている都外の公立中学生、去年は、このESAT-Jを希望しても受験できなかったという問題がありました。
今年度は、この辺、改善されたのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都外の中学校等に在籍する第三学年生徒で都立高等学校入学者選抜の受検を予定しているなど、必要な場合は受験を可能といたしました。
○風間委員 こういった問題は改善されているのかと思いますけれども、可能にしたということで、必須ではないわけですね。同じ都立高校を受検する中学三年生の中には、ESAT-Jを受験するかしないか、選択できる人たちがいるということです。
不受験の場合には仮の点数が付与されるという生徒がいるということですから、やはりこれは、選べる選べない−−都内の公立中学生は、都立高校を受ける際に、これを受けなきゃならないわけで、受けなかったら零点になってしまうというわけですから、公平な受検制度ではないということが確認できました、今の答弁で。
この不受験者への仮の点数付与というのは最も重大な問題だと、昨年から指摘してきたところであり、テスト理論と心理統計学の専門である南風原先生が、昨年度の仮の点数配置がいかに問題があるか、詳しく指摘をしているわけです。
今年度も、この仮の点数配点ですか、同じような方法を取るのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの不受験者の措置は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、当日、事故、病気となった生徒など、やむを得ない理由によりテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して、著しく不利にならないよう、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。
様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、必要な措置であり、最善の方策であると認識しております。
この不受験者の措置につきましては、九月に公表した都立高校入学者選抜実施要綱に記載しており、今年度も、実施要綱に基づき、昨年度と同様に実施いたします。
○風間委員 都教委は、この南風原先生の指摘を確認していないんでしょうね。問題があると指摘されながら、自ら決めた制度が最善の方策だと豪語して、不受験者には点数を与えてやったんだといわんばかりの答弁だったんだなと、今、感じます。最善だと主張するのであれば、その問題の指摘にしっかりと反証する必要があるんじゃないでしょうかね。
まず、最も参考になり得る英語学力検査の得点とのことですけれども、英語スピーキング力と英語学力の相関、この根拠は何でしょうか。去年受験した生徒たちの結果の相関分析などはなされているのか、確認します。
○村西都立学校教育部長 不受験者の措置は、やむを得ない理由によりテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して、テストに相当する点数を算出して付与するものでございます。
都立高校入試では、中学校が作成する調査書と、都教育委員会が実施する学力検査の二つの選考資料がございます。
都教育委員会としては、最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出することが、その意味で最善の方策であると認識しているところでございます。
したがいまして、英語学力検査の結果とスピーキングテストの結果に係る相関性については、分析するということは考えておりません。
○風間委員 重要な答弁でしたね。分析しないんですね。英語スピーキング力と英語学力の筆記テストは、必ずしも一致しないという指摘もありますし、その相関度合いというのはどの程度のものなのか、それも検証しないというのは、大変に問題ですね。
英語の調査書点の方が、スピーキング−−四技能の評価がなされているわけですから、もしかしたら、そっちの方が相関度合いが高いかもしれないですよね。
分析しないということですから、自らの方策が最適だと豪語するのは、ここでもなされたことですし、検証すらせず強行しようとする姿勢は、行政として本当にあるべき姿なのかなと疑問に思います。
不受験者に対して仮の点数が与えられることで、逆転現象が生じる可能性があるということも、南風原先生は論証しています。
昨年度の状況を踏まえ、都として、この仮の点数付与の適切性について検証はしたのでしょうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの不受験者の措置につきましては、都立高校入学者選抜実施要綱に定め、事前に公表した上で実施しております。
したがいまして、都教育委員会としては、スピーキングテストの不受験者の措置によって逆転現象が生じるという考え方、捉え方をしているものではございません。
○風間委員 事前に公表しているからといって、英語スピーキングテストを受けたくても受けられなかった受検生が去年いるわけですね、実際に。
検証もしていないのであれば、仮の点数配置が与えられた受検者にとっては、公平、公正に英語スピーキング力を示す数値が与えられたわけではないということですから、南風原先生が、他人の平均値から導出する仮の点数には、統計的回帰と呼ばれる普遍的な現象が起こり、逆転現象が生じると証明しているわけですね。最近出された書籍の中に細かく書かれていますから、ぜひ皆さん、読んでください。
これは専門家による論理的な主張であって、これを覆すだけの成り立たないという根拠は何なのでしょうか。逆転現象という考え方が成り立たないと今おっしゃいましたから、その根拠は何なのでしょうか。
教育庁内には、南風原先生以上のテスト理論や統計学の専門家がいるんでしょうか、教えてください。
○村西都立学校教育部長 先ほど来申し上げているとおり、やむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができず、テストの点数がない生徒に対して、テストに相当する点数を付与するに当たっては、都立高校の入試の選考資料のうち最も参考になり得る本人の英語学力検査の得点を基に算出するのが最善の方策であると申し上げております。
また、こうした不受験者の措置や合否判定の方法、ルールにつきましては、要綱に定め、事前に公表した上で実施しているものでございますので、こうした不受験者の措置によって総合得点等に逆転現象が生じるという考え方や捉え方自体、成り立たないということを申し上げております。
なお、不受験者の措置については、教育に関し、識見を有する教育委員会の委員に報告の上、適切に決定しております。
○風間委員 考え方が成り立たないというのは、教育庁の願望ですよね、むしろ。実際に成り立つんだということを、科学的にこう、主張されているわけであるから、科学的にきちんと反証すればいいわけですよ。それができないということであれば公平、公正な制度ではないということであるから、人生を左右する子供たちの入学選考に使うべきではない、こんなことをずっと続けるんですかという話になるわけですよ。
専門家が教育庁内にいるんですかといって、教育委員に確認をしたということです。私が知る限り、教育委員の皆さんの中に、南風原先生以上のテスト理論や統計学の専門家というのはいませんよね。しかも、教育委員会で、この件に関しては何ら発言されていませんよね。ということは、教育庁の中で決めた制度、これを決めた人たちが中にいるということですよね。その中には専門家がいるんですかということに関して、この答弁がないわけですから、専門家でない、テスト理論等の素人がつくった制度だということなんじゃないですか。
反証するならしっかり反証してもらって、反証できないなら一旦やめた方がいいですよ。やめれないのであれば、こういう不公正、不公平な制度のまま、いたずらに毎年毎年、子供たちがそんな制度の下で都立高校の入試選考が行われるということが続いてしまいます。ですから、一旦止めて検証するということが重要です。
大学入試センターも止めました。止めた理由としては、こういった大きな制度変更をする際には、広く周知をした上で理解を求めていく必要がある、それに足るだけの材料がないということで見送ったという判断をしているわけですよ。真っ当だと思いますね。
東京都の教育委員会は、これだけ問題点が指摘されながら、自分たちのつくった制度は正しい、これが最善の策だといって、子供たちにこれを無理強いしていく、こういう姿勢なんだと思います。こんなこと、行政がやっていいことだとは到底思えませんし、この判断をした教育庁の責任は本当に重たいですよ。
今、裁判が起こっているということですから、ぜひその責任を重々に認識してもらって、今週末行われるのはもう仕方ありませんが、これを反映するしないという検討も必要かと思いますし、来年度以降、これを入試選考に使わないということの判断はまだまだできるはずですから、ぜひそういった判断をするように求めて、私の質問を終わります。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
まず、外国ルーツの子供の日本語教育について伺います。
都内の外国人の児童生徒が多い区市町村は、令和四年度日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の学校種別在籍状況によると、江戸川区二百十六人、葛飾区百八十八人、足立区百六十八人、大田区百六十三人と続きます。
公立小学校、中学校、高等学校における外国人の人数及び話す言語別人数については、小学校、中学校の順で多くなります。
母語別に見ると、中国語千三百二十九人、その他言語千六十六人、フィリピノ語三百四十九人、英語三百四十人です。
公立校に設置されている日本語学級の数と生徒数を教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 令和五年五月一日時点で、日本語学級のうち、学級数と児童生徒数でございますが、小学校五十学級七百三十六人、中学校二十八学級三百九十四人、義務教育学校二学級二十八人でございます。
○田の上委員 外国人の児童生徒が日本の学校で学ぶには、小学校就学前の日本語学習の機会を提供することが大切ですが、実際に対策を講じる区市町村と都の連携はどうなっているのか、伺います。
また、都としての独自措置及び区市町村に対する支援について伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会の日本語指導を担当する指導主事を対象とした連絡協議会を開催し、最新の情報提供や区市町村教育委員会の取組に関する情報交換等を実施しております。
また、都教育委員会は、区市町村の学校が活用する日本語指導に係る支援員の派遣などの費用を国の補助制度に上乗せして負担するなど、区市町村教育委員会の取組を支援しております。
○田の上委員 国の補助制度に上乗せした支援をしているということであります。
学期途中で転入する場合は、どのように対応しているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 区市町村立小中学校における外国人児童生徒の受入れにつきましては、設置者である区市町村教育委員会が学校と連携し、状況に応じた対応を行っていると承知しております。
○田の上委員 その対応の中身がよく分かりませんけれども、未就学の頃から日本で暮らし、保育園や幼稚園などに通っていた場合は、就学してからも、あまり日本語の問題がないような気がいたします。ただ、ある程度の期間、外国に居住をしていて転入をした場合、特に対応が必要な児童が増えているのではないかなというふうに考えます。
小学校や中学校で、日本語が分からないために授業についていけない外国人の児童生徒について、分からないまま置いてきぼりにして授業を進めることは、クラス全体にとってもよい影響を及ぼさないと思います。
例えば、学習補助者をつけるなどの特別な措置を講じることも一つの方法と考えますが、都の考えを伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 区市町村教育委員会では、地域の実態に応じて、小学校や中学校の日本語指導を支援する取組が行われております。
都教育委員会は、区市町村の学校が活用する日本語指導に係る支援員派遣などの費用を国の補助制度に上乗せして負担するなど、区市町村教育委員会の取組を支援しているところでございます。
○田の上委員 先ほどと同じ答弁でありました。先ほどの支援内容を活用すればいいというようなことだと思います。
日本語指導に係る支援員派遣等の費用について、区市町村教育委員会の取組を支援とのことですが、支援員派遣等の等とは何でしょうか。ほかにどのような補助があるのでしょうか。
日本語指導に係る支援員派遣の補助割合と実績、また、活用が少ない場合の理由について伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 日本語指導に係る支援員派遣ですとか、あるいは日本語の教室の運営に係る委託料など、これを国の補助制度に上乗せして負担しているという実績がございます。
また、補助率についてでございますが、国が三分の一、都が三分の一であり、令和四年度につきましては、七自治体に対し、合計五千九百八万円の支援を行ったところでございます。
区市町村教育委員会は、地域の実態に応じて補助金の申請を行っているというふうに認識をしております。
○田の上委員 日本語教室の運営に係る委託料等もあるということでございます。区市町村での活用が少ないのが大変気になりますが、原因分析をしていただきたいと申し上げます。
公開授業で小学校に行きますと、外国ルーツの子供たちがいます。結構います。算数の授業でも、国語の授業でも、ついていけずに、本棚の本を自席に持ってきてはぱらぱらめくり、また本棚に返し、また別の本を持ってきては、まためくって返しというようなことを続けていました。
多くは、日本語の環境にも、時間とともに慣れてくるのかなというふうには思いますが、このまま授業についていけない場合は、進学時に大変苦労するのではないか、義務教育が終わったときに苦労するのではないかと懸念をするところです。
日本語学級や民間の日本語教室など、様々な機会に日本語を学ぶことはできますが、五時間目、六時間目まである授業を、そのような状態で授業についていけないまま過ごすのは、あまりにも酷であります。
様々、私も聞き取りをしてまいりましたが、学校の担任の先生や教科担任の先生も忙しくて、どうしても全体で授業を進めていくことが中心となってしまうあまり、ケアをすることができていません。支援員派遣が活用できるよう、都としてのさらなる支援を要望いたします。
高等学校における外国人生徒などに対して、日本語の習得に向けて、日本語指導に外部人材活用、多文化共生スクールサポートセンター事業の実施を行っているということですが、外国人のニーズとサービスの提供の状況について伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、東京都教育支援機構と連携し、日本語指導が必要な生徒が在籍する都立高校に、日本語指導を行う外部人材のほか、通訳や研修会講師などの専門家を紹介しており、学校からの全ての申請に応じて対応しているところでございます。
○田の上委員 高等学校の場合は、外部人材の派遣等、学校からの全ての申請に対応しているというご答弁でありました。
日本語翻訳アプリの性能は極めて高くなっており、翻訳の速度も上がっております。
学校の授業において、外国人の児童生徒のために、日本語翻訳アプリを活用する方策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 既に授業において、生徒は、教科書や配布されたプリントなどを翻訳アプリを活用して学習するなど、指導に活用されているというふうに認識をしております。
○田の上委員 既に活用しているということでございますが、区市町村立小中学校の場合も、授業で翻訳アプリを活用している事例があるのでしょうか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 同じく区市町村立小中学校でも、授業の内容を正しく伝えるために、インターネットの翻訳サービスなどを使いながら授業を進めているというふうに聞いております。
○田の上委員 インターネットの翻訳サービスということであります。算数の授業や国語の授業のときにタブレットを開くということは、なかなか、毎回ではないと思うんですけれども、どのようにデバイスを使っているのか。特に小学校の場合、気になります。
私も、グーグルレンズを使って翻訳をしてみました。できますけれども、やはりデバイスがないとというところであります。
先ほども述べましたけれども、私の知る限りでは、日本語対応が必要な児童について、授業でアプリを使っている様子は見受けられませんでした。今後、都として調査をしていただくことを求めます。
外国人ルーツの子供の保護者も大変です。学校から毎日のように配布されるプリントが理解できず、困っています。
アプリによる配信やメールによる配信があれば、翻訳ソフト等を活用することができると思いますが、今後、転換をしていくべきではないでしょうか。見解を伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 文部科学省の調査によりますと、都内では、既に多くの公立学校において、学校と保護者間における連絡手段のデジタル化を図っております。
○田の上委員 デジタル化は図っているのであろうとは思いますが、具体的には、どのようにデジタル化をしているのでしょうか。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 デジタル化の内容は、保護者向けのアンケート、欠席、遅刻連絡、学校からの日常的なお便り、緊急時における学校からの一斉連絡でございます。
○田の上委員 アプリは、それぞれ自治体で異なるのかなというふうにも思います。令和四年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査−−先ほどおっしゃっていた調査でございますが−−では、緊急時における学校からの一斉連絡につきましては九三・四%となっていますが、学校からの日常的なお便りは六〇・七%になっています。
また、この調査では、自治体ごとに実施しているか否かの調査という形になっていますが、実際は、同じ自治体の中でも、学校ごとにかなり対応が違います。
私の子供が通う小学校では、ほぼ毎日プリントで配布をされます、お知らせが。隣の小学校では、お知らせのほとんどはデジタルのようであります。
先日、別の小学校に通う保護者が、プリントを理解することができず、近所の方に毎日内容を教えてもらいに行っているのだという話を聞きました。
学校から配布されるプリントを、即時にホームページにテキスト化して掲載することも必要かと思います。PDFではなく、翻訳できる形にするべきと考えますが、いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 PDFや紙のプリントを直接翻訳できるツールというものも普及してきているということで、保護者や生徒が状況に応じて適切に活用している事例があるというふうに認識をしております。
実際に、生徒が授業で配布されているプリントを既存の翻訳アプリを使って学習しているという事例を聞いたことについては、先ほどお話をしたとおりでございます。
○田の上委員 私はあまり聞いたことがないんですけれども、どこから聞いて、どの自治体の、どういう学校から聞いたのでしょうか。お聞かせください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 具体的に複数の区市町村から聞いておりますけれども、先方からの要望等もあり、細かい具体的な事例については公表することを差し控えてほしいという意向があったために、今回の答弁でも、答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
○田の上委員 もちろん、いろんなツールはあるんだと思います。あるんだけれども、じゃ、どれくらいの外国ルーツの保護者、生徒に普及しているのか、そこが問題だと思います。保護者への周知、説明をするという丁寧な対応が必要だと考えております。ぜひお願いをしたいと思います。
外国ルーツの児童生徒は、増えているとはいえ、まだ日本の公立学校の中では決して多くなく、特別な日本語指導が必要な児童生徒は、さらに少ないのかとは思います。けれども、学校生活の中で困難を抱えている事例は、私が耳にするだけでも幾つもあります。こうした事例に耳を傾けながら、何ができるのかを考えていくのが教育委員会ではないでしょうか。
区市町村とも連携をしながら、外国ルーツの児童生徒、また保護者の課題を解決するべく、ぜひご支援をお願いいたします。
次に、給食の無償化であります。
日本農業新聞の調査では、三割の自治体で給食の無償化を実施し、そのうちの四割は自主財源で行っているとされています。これまでにも何度も質問をさせていただきましたが、また改めて伺います。
都が区市町村の公立小中学校の児童生徒の給食費を十分の十、支援するとすれば、どのくらいの予算規模となるのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校の学校給食につきましては、学校設置者が実施しており、学校給食費につきましては、各学校設置者が決定しております。
都教育委員会としては、お答えする立場にございません。
○田の上委員 都は、毎年、学校給食の実態とした統計調査を行っているかと思います。
完全給食の実施校、ミルク給食実施校、未実施などに分類し、また、調理場などについても調べ、詳細を報告書として発表しています。
都内区市町村立小中学校の年間の給食費の総額は幾らになるのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 学校給食法では、学校給食は学校の設置者が実施するものとされております。都内全区市町村立小中学校の年間の給食費の総額については、把握しておりません。
令和四年五月一日時点の完全給食実施校の小学校児童生徒数及び中学校生徒数に小学校及び中学校それぞれの一食当たりの保護者負担平均額、年間の平均予定給食回数を単純に掛け合わせて試算すると、小学校が約二百九十億円、中学校が約百三十三億円となります。
○田の上委員 様々な要素があるので、完全な数字ではないけれども、おおよそ小学校が約二百九十億円、中学校が百三十三億円ということであります。
都立学校の年間の給食費の総額は、では、幾らになるのか、小中学部と高等部に分けて教えてください。
○村西都立学校教育部長 都立学校における義務教育の小中学校と高等部の食材費等の給食費の総額については、令和四年度の一食当たりの平均単価、給食対象者数及び平均年間予定回数を掛け合わせた額は、義務教育の小中学校が約七億八千万円、高等部は約五億五千万円でございます。
○田の上委員 小中学校が約七億八千万円、高等部は約五億五千万円とのことでした。
先ほど来、給食の無償化についての質問、要望というものもありますが、私たちミライ会議も、給食の無償化をぜひ実現してほしいというふうに思っているところであります。
〇一八サポートについては、国に率先して行った東京都でありますが、給食無償化については、国が行うべきこととして、国に率先して行わない理由について伺います。
○岩野地域教育支援部長 食材費等の学校給食費は、法において保護者等が負担することとされており、その取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
○田の上委員 いつもと同じ答弁でありました。
先日の各会計決算特別委員会の全局質疑においても申し上げましたが、私の地元の江戸川区をはじめ、既に給食無償化を始めた自治体では、特別支援学校に通う区民を対象に無償化を実施、もしくは今後計画をしているということであります。東京都において、この状況をきちんと鑑み、公立学校や都立学校の給食費について、改めて無償化を検討するべきであるというふうに申し上げます。
次に、教員の働き方改革です。
教員の働き方改革については、これまで何度も質問をしており、学校閉庁日や在校時間のICTでの管理、把握などを進めてきていただきました。
スクールカウンセラー等は、会計年度任用職員として採用されております。これについては地方公務員法が適用されているということであります。
教員の働き方改革に際し、スクールサポートスタッフや部活動指導員がなかなか見つからないという自治体に紹介できるように人材バンクが設置をされていますが、TEPROの人材バンク事業で紹介したサポーターは、どのような形態で活動しているのか、伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 業務の内容等により、それぞれボランティアや会計年度任用職員として活動していると聞いてございます。
○田の上委員 それでは、財団が紹介した人が公務上の災害に遭った場合、どのような補償があるのか、伺います。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 無償ボランティアについては、TEPROにおいてボランティア保険に加入しており、有償ボランティアについては、ボランティア保険を紹介していると聞いてございます。
また、会計年度任用職員については、労働者災害補償保険法の規定が適用されます。
○田の上委員 これは、紹介するに当たり、労働災害などの対応を明確に説明をした上で各学校に配置するべきものと思います。
労災とボランティア保険では、かなり違います。また、勤務の頻度によって会計年度任用職員として採用している場合もあるのかと思いますが、今後、都が紹介しているサポーターにつきましては、形態も、必要に応じて見直すべきであると要望をいたします。
教員の通勤時間について、自宅からおおむね九十分以内で配置をされているというふうに認識しておりますが、この長い通勤時間が疲労の原因の一つであり、おおむね六十分以内で通勤できるように改善すべきであるという文書質問をしたところ、教員の異動先を検討するに当たっては、東京都公立学校教員の定期異動実施要綱に基づき、個々の事情を配慮した上で、おおむね九十分までを標準とする通勤時間になるよう、異動候補者の通勤所要時間のめどを調べ、異動先を決定している、全職員の実際の通勤時間を把握しているものではないという答弁がありました。
先生の疲れは、子供たちに影響をいたします。どうして全職員の通勤時間を調べないのでしょうか、伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、新規採用教員の配置や教員の異動に当たりまして、通勤所要時間の目途を調べた上で、定期異動実施要綱に基づき、おおむね九十分までを標準とする通勤時間になるよう配置先を決定しており、通勤時間は、おおむね九十分以内となっております。
また、育児や介護等の事情について個別に把握し、通勤に支障のない配置となるよう配慮しております。
○田の上委員 配慮してくださっているということではございますが、休日の学校所在地域への行事への出席なども含め、この通勤時間の問題は、教員にとって大変大きな負担となります。専門の教科により、異動する場所が限られるなどの課題はありますけれども、出勤時間の早い教員が、おおむね六十分以内に通勤できるように改善すべきと考えます。
妊娠している教員、子育てをしている教員にとって、通勤時間はさらに重い課題です。これまでは自転車で駅まで行かれた人も、妊娠している場合は自転車に乗ることはできません。不妊治療など、妊活支援を福利厚生に取り入れる企業も目立つようになりました。
体の負担を軽くするために、通勤時間の短縮や就労時間の短縮などが必要ですが、見解を伺います。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、柔軟で多様な働き方を推進するための時差勤務に加えまして、妊娠中の教員について、交通機関の混雑等を考慮し、母体と胎児を保護するための妊婦通勤時間を制度として設けていますほか、育児休業等から復帰後の教員が育児と仕事との両立を図ることができるよう、育児時間や育児短時間勤務、部分休業といった制度を設けてございます。
また、教員の人事異動に当たりましては、育児等に係る事情にも配慮いたしまして、通勤が過度の負担とならないよう異動先を決定しています。
○田の上委員 ご答弁いただきました。
妊婦通勤時間は、一日につき六十分の休暇が取得できるということでありますが、教員の場合は始業時間が早いため、終業時間を早くするという利用の仕方が多いというふうに聞きました。
また、時差勤務と併用できるということで、混んでいる通勤時間帯を避けることができるというふうなご答弁もありました。
また、育児等に係る事情にも配慮して、通勤が過度の負担とならないよう異動先を決定しているということでありますが、異動の際に保育事情を使えるのは母親になるため、母親が自宅近くで勤務になっても、父親の勤務は遠いままであり、結局、育児の負担は母親のみになってしまうというご意見をいただいております。両親とも保育事情を取れるようにするなど、工夫が必要です。社会情勢に応じて、新たな課題として検討していただきたいと要望いたします。
続いて、教員の異動についてです。
介護や体の不調など、様々な理由により、現在、赴任している学校に通勤することが困難であるという場合があります。
異動希望があった場合の教育庁の対応について伺います。
○吉村人事部長 教員が本人の体の不調や介護、育児等の事情により現任校への通勤が困難な状況となった場合には、個別の状況を聞き取り、必要に応じて、次年度の定期異動において、通勤の負担が少ない学校へ配置する対応をしております。
○田の上委員 考慮していただいているということであります。
通勤時間短縮と地域密着のために、人事異動については、基本的な権限を区市町村の教育委員会に渡し、東京都は非常時の異動などを担う方が効率的ですが、そのように人事制度を改めるため、何が障害になっているのかという文書質問をいたしました。
人事権は東京都であるという当たり前の答弁がありましたが、地域単位の異動なども考えるべきではないでしょうか、伺います。
○吉村人事部長 教員の人事異動では、都全体の教育水準の向上とともに、教員の資質、能力の向上と人材育成を図ることを目的として、区市町村立学校の教員が、採用後、一定の期間で地域性や特色の異なる学校を複数経験する仕組みとするなど、教員に多様な経験を積ませることとしており、異動範囲を限定することは考えておりません。
○田の上委員 異動範囲を限定することは考えていないというご答弁でありましたが、教員の働き方改革をする上で、課題となっていることを全部洗い出していくぐらいの心意気が必要ではないでしょうか。改善していくべきだと考えます。
多様な経験を積ませることは、遠くへ異動することではありません。負担軽減に鑑み、異動範囲を考えるべきだと主張をさせていただきます。
東京都教育委員会運動部活動の在り方に関する方針にのっとり、科学的トレーニングの積極的な導入等により、短時間で効果が得られるような合理的でかつ効率的、効果的な活動を推進するスポーツサイエンスプロモーションクラブを指定しました。令和四年四月に五十六部活動が指定されております。
バドミントンの強化指定校であった地元江戸川区の小岩高校では、部活を好成績に導いてきた顧問の先生が本年四月に異動になり、バドミントン部に所属する生徒、保護者から困惑の声が寄せられました。
教員は、原則として現任校に三年から六年間在籍すると異動になると聞いていますが、人によっては長期間に及び、同じ学校に配置されている場合もあるかと思います。
どのような場合に異動が見送られるのか、伺います。
○吉村人事部長 現任校に六年間在籍した場合であっても、病気による休職や妊娠、育児休業などの場合のほか、学校経営上、引き続き勤務させることが必要と認められる場合には、次年度の異動の対象としておりません。
○田の上委員 必ずしも異動の対象としていないということであります。病気や妊娠等のほか、学校経営上、引き続き勤務させることが必要と認められる場合には、異動の対象としていないということでありました。
今回の小岩高校の保護者からの声を聞くと、特定の顧問の先生の指導を求めて入学するケースが多くありました。何のために入学したのか、むなしさと憤りを皆さん訴えておりました。
強化指定スポーツ校の顧問を異動させることについて、どのように考えているのか、伺います。
○吉村人事部長 教員の異動は、都全体の教育水準の向上と人材育成の視点に立ちながら実施しており、部活動の顧問につきましても、各学校の人事構想を踏まえながら、適材適所で人員を配置しております。
○田の上委員 人材育成の視点から実施をしているんだということであります。
小岩高校では、スポーツの特別推薦枠の中にバドミントンもありますが、中学生時、進学を決める際に情報がなかった、この顧問の先生がいなくなるということが分からなかったのは大変残念であります。進路を決める前に、何らかの発表があるべきだったのではないでしょうか。
また、SPCに指定している学校の場合、学校長や支援センターに任せるだけではなく、教育庁の責任で、次の優秀な指導教員を配置するべきだと考えますが、見解を伺います。
○吉村人事部長 部活動が盛んな学校の入学説明会等において、保護者やこれから志願する予定の生徒に対し、部活動の顧問は異動により替わる可能性があることを、あらかじめ伝えることとしております。
また、都立学校全体で、それぞれの部活動の指導が可能な教員の人材情報を管理しており、異動があった場合、学校の人事構想に基づき、必要な教員を配置するようにしております。
○田の上委員 保護者やこれから志願する予定の生徒に対し、部活動の顧問は異動により替わる可能性があることを、あらかじめ伝えるようにしているということでありますが、小岩高校では、今年度入学した生徒たちも含め、皆さん、困惑をしています。
しっかりとした告知ができていたのでしょうか。答えられますか。
○吉村人事部長 ご指摘のように、昨年度、小岩高校において、しっかりとした説明がなされなかったことは大変遺憾でございます。
改めまして、部活動の顧問は異動により替わる可能性があることを、入学説明会等において伝えることを周知しております。
○田の上委員 小岩高校では、後任の指導教員も配置しており、前任者の指導を仰ぎながら全体の指導を行ってくださっていると聞いております。異動になりました前任の顧問の先生は、週末にボランティアで部活を指導しに来てくださっていましたが、残念ながら、数日前にやめてしまったという報告を受けました。
この小岩高校では、女子は関東大会出場、男子はインターハイ予選シングルス三位を果たした大変優秀な学校であります。
もし適当な教員を配置できない場合、外部人材の活用も考えて、SPCとして活動するべきではないでしょうか。見解を伺います。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、SPC、スポーツサイエンスプロモーションクラブに指定した部活動に対しまして、専門的に技術指導ができる指導者やフィジカルトレーナー及びスポーツ心理士などのスペシャリストを配置し、科学的なトレーニングが充実するよう支援しております。
○田の上委員 ご答弁いただきました。
小岩高校の場合は、コーチが三名いるというふうに伺っていますが、どの方も不定期であり、月に何回か来てもらえるよう、現在、お願いをしているというふうに聞いています。
そして、皆さん、結局、ボランティアベースとなっているのが現状であります。一部活当たりの予算のこともありますが、せっかくSPCに指定をするのであれば、強化体制を整える、また体制を維持するというのは、当たり前なのではないかと考えます。
SPCは三年間の指定であり、小岩高校は、令和六年度もバドミントンの特別推薦枠があります。今後もSPCとして、この体制をどのようにしていくのか、ぜひ真剣に再考していただきたいと要望をいたします。
次に、入試対応です。
公立高校入試の受検日と月経が重なった生徒への対応について、文部科学省は、十一月十六日の参議院文教科学委員会で、追試は可能とする通知を年内に都道府県などに出す考えを示しました。
毎日新聞によると、九月に全四十七都道府県にアンケートを実施し、受検日と生理が重なった生徒への対応を尋ねたところ、追試の対象になると回答したのは十五道府県にとどまったとのことです。都は入っていませんでした。
東京都は対象にならないとも答えていないようでしたが、これまでどのような対応であったのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試におきましては、インフルエンザ等の学校感染症に罹患した場合など、やむを得ない理由により、学力検査当日に受検できなかった生徒に対し、後日、追検査を実施する措置を行っております。
また、追試験の受検には、原則、医師等の診断書や中学校長等からの申請など、第三者機関からの証明を必要としております。
追試験の実施に当たりましては、個々の生徒の置かれた状況や事情等を考慮した上で、個別に対応しております。
○田の上委員 生理などにつきましては、デリケートな問題であります。この生理が重い場合というのは、月経困難症であったり、子宮筋腫であったり、様々原因がありますが、必ずしも医療機関にかかっているわけではありません。第三者機関からの証明は簡単ではなく、個別対応が必要であります。
このことについて、お答えできますか。
○村西都立学校教育部長 追試験の受検には、原則、第三者機関からの証明を必要としておりますが、その実施に当たっては、個々の生徒の置かれた状況や事情等を考慮した上で、個別に対応しております。
○田の上委員 ご答弁いただきました。
今後の周知についてはどのように考えているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会におきましては、今後発出される国の通知内容等を確認した上で対応を検討してまいります。
○田の上委員 体調に不安を抱えている生徒は多くおります。そして、女子生徒につきましては、なかなかそれを話すことができないという場合もございます。しっかりと周知をしていただき、行き届くようにしていただきたいと思います。お願いいたします。
次に、教育委員会の開催に係る事務についてです。
令和四年度及び五年度に、教育委員会が地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正法第十四条に規定される会議において議決を行った事案は、どのような事案について、何件かあったのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長 都教育委員会におきまして議決を行った事案の例といたしましては、都立学校設置条例の改正など条例の立案依頼、教員等の懲戒処分、都立学校で使用する教科書の採択などでございまして、件数は、令和四年度が七十三件、令和五年度は現時点で八十四件でございます。
○田の上委員 それでは、令和四年度及び五年度に、教育委員会が法に規定されている会議において報告を受けた事案は、どのような事案について、何件あったのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長 都教育委員会におきまして報告を行った事案の例といたしましては、都立高校の魅力向上に向けた実行プログラムや、笑顔と学びの体験活動プロジェクト、学校における働き方改革などについてでございまして、件数は、令和四年度が五十九件、令和五年度は現時点で三十七件でございます。
○田の上委員 中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jは報告事案なのだと思いますが、これまで、報告に対し、どのような意見があって、どのように事業に反映されたのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長 都教育委員会におきましては、英語スピーキングテストに関して、その実施年度や入学者選抜における活用方法などについて、複数回にわたり、教育委員会の定例会へ報告してまいりました。
教育委員からは、家庭環境等により有利、不利が生じないようにすること、丁寧に説明を行うことなどについてご意見があり、これらを踏まえて準備を進めてきたところでございます。
○田の上委員 あくまでも報告事項であり、そして、議論にはなっていないというようですね。
法では、教育委員会を合議制の執行機関として残すとともに、その職務権限は変更しないことから、最終的な決定権限は教育委員会に留保され、これがゆえに、教育委員会を独立行政機関とされていますが、行政のほとんどは教育長以下の教育官僚に委ねられ、合議体である教育委員会は報告を受けるだけの機関となっている実態なのではないかと考えます。
教育委員会は、合議体としてどのような行政を行っているのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長 教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等に基づき、都道府県及び区市町村等に置かれる合議制の執行機関であり、同法律等に基づき、その権限に属する事務を執行しております。
○田の上委員 権限に属する事務を執行しているという答弁でありました。
教育委員会は、教育委員が独立行政機関として合議体の決定による行政を行うか、教育長及び教育庁による行政を知事と議会の民主的コントロールの下に置くか、いずれかの改革が必要と考えますが、都の見解を伺います。
○秋田教育政策担当部長 先ほどの答弁と重複して恐縮でございますけれども、教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等に基づき、都道府県及び区市町村等に置かれる合議制の執行機関であると認識しております。
○田の上委員 特に意見は述べられないということかと思います。
教育委員会は、地方の教育行政を担う独立した機関であり、政治的中立性、継続性、地域住民の意向の反映、レイマンコントロールなどの特性を持つ行政委員会であります。教育行政における重要事項や基本方針を決定する機関のはずですが、教育庁が決定した事項の報告を受けている事例があまりにも多過ぎます。
地行法の改正前、改正後にかかわらず、教育委員会は、活発に議論をし、方向性を出し、事務局がその方向性に即して具体的な施策を実施していくということが本来の姿であります。教育委員会は、事務局から報告を受けた内容を議論するのではなく、その方向性を主体的に打ち出していくべきものと考えております。
都教育委員会の消極的な姿勢は、誠に残念であります。
次に、ESAT-Jであります。
資料を要求させていただきまして、資料をいただきまして、ありがとうございます。
十一月二日に要求させていただきまして、公立、私立、国立、都外とに分けて、都立高校の受検者数と入学者数を求めたものであります。在籍中学校別ではありません。
受検者の一覧で内訳を示せなかった理由としては、入学者選抜の実施、運営等に関わる情報であり、公表していないというふうにしています。
東京都立高等学校入学者選抜実施要綱、同細目の何に該当しているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 資料要求のありました、都内の公立中学校、私立中学校、国立中学校、道府県別の中学校、受検者数のその内訳につきましては、各学校においては集計しておりません。
また、これらの情報については、個人の属性に関わる事項であるとともに、試験の実施、運営に関わる情報であるため、公表しないこととしているものでございます。
○田の上委員 どこに該当するかは、お答えいただけませんでした。
次は、じゃ、入学者について伺います。
先ほどもESAT-Jの質疑がありまして、不受験者数について質疑があったかと思いますが、しっかりとしたデータが欲しいと私は思いました。
入学者数について、どうして都立日比谷、西、田柄、江北、昭和の五校について記載がないのでしょうか。理由を伺います。
○村西都立学校教育部長 日比谷高校や西高校など五校におきましては、資料要求のありました、公立中学校、私立中、国立中学校、道府県中学校など入学者数の内訳については集計しておらず、多様な地域等から通学していることなどを関係者に説明する目的などから、在籍生徒の居住する区市町村別の人数や一部の出身中学校についてのみ、学校要覧等で情報を提供しております。
都教育委員会としては、学校が行うこうした具体的な情報提供の内容は、それぞれの学校の実情や地域の実情に応じまして、各学校が判断すべきものであると考えております。
○田の上委員 各学校が判断すべき内容ということですが、これは、私が資料請求をいたしましたけれども、委員会として資料請求したものであります。議会が請求したものに対して、データが不完全なものをくださったというわけです。
どういうふうに考えていますかね。
○村西都立学校教育部長 もちろん、委員会からの資料要求については、最大限、出せる範囲で応じていくというのが我々の姿勢でございます。
ただし、全て、必ずしもそれが当てはまらない場合等が−−先ほどの受検者の内訳ですとか、入学者についても、それぞれの情報提供の内容は、地域の実情や学校の実情に応じて決定していくものだというふうに判断しているところでございます。
○田の上委員 つまり、校長先生が、その五校の校長先生が判断したということで情報提供がなかったということでよろしいですか。確認します。
○村西都立学校教育部長 各学校の庶務をつかさどるのは校長でありますから、校長の判断ということでございますが、都教育委員会としても、学校が行う具体的な情報提供の内容は、実情に応じて各学校が判断すべきものであると、都教育委員会としても考えているところでございます。
○田の上委員 都教育委員会は、各学校が判断すべきであると考えていると。議会の軽視ではないですかね、こういうの。ほかの高校は、ちゃんと数字を出しているんです。
これ、別に個人情報じゃないですよ。私、さっきもいいましたけれども、学校別に教えてくれといっているんじゃないです。公立、私立、国立、都外、それだけです。
個人情報には思えないんですけれども、この情報を公開することは、何か問題があるんでしょうか。都教育委員会の見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、学校は、保護者や地域住民等、様々な関係者に情報を提供し、様々な評価を受けるという形になりますが、学校が行うこうした具体的な情報提供の内容は、実情や地域の状況に応じて判断するということでございます。
○田の上委員 これ、そんなに難しいことを聞いているわけじゃないんですよ。入学者がどういうところから来たのかというのを聞いているだけなんです。それも拒否されるということでありますが、これはすごく大事なことなんです。データとして示していただき、それを調査として、そしてまた質疑をしていくというものなんです。ぜひこのことをしっかりと考えていただきたいというふうに思います。
第三回定例会の一般質問で、ESAT-Jの結果を、生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うことに活用しているという答弁があり、教育現場でESAT-Jの結果をどのように使って生徒の話すことの力を把握しているのか、具体的に幾つか事例を示してお答えくださいと質問をしたところ、都立高校でスコアレポートを提出されているというご答弁でありました。
具体的に、都立高校でそのスコアレポートをどのように活用しているのか、お示しください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都立高等学校では、生徒の話す力を把握した上で、習熟度別指導のクラス分けを行うことや、具体的な目標を設定し、継続的に話すことの活動を行うことで、生徒のモチベーションを絶やさないよう指導につなげるなど、ESAT-Jの結果の活用を図っております。
○田の上委員 習熟度別指導のクラス分けなどに活用しているということであります。
確認でございますが、四技能を習得するということが大事でございますので、学力検査の結果も併せてクラス分けに活用しているというふうに捉えてよいのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ご指摘のとおりです。
○田の上委員 教育委員会で、教育委員の皆様でESAT-Jの音声データを聞く機会をつくっていただけないかと質問をしたところ、音声データは確認しており、確実に採点できるという答弁でありました。
教育委員の皆様で音声データを聞いてほしいという質問の答えになっていませんでしたので、改めて伺います。いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点に使用した音声データと生徒に提供している音声データ、これは別のものであります、改めてですが。
採点に使用した音声データの録音状態は、確実に採点できるものであるということを、教育委員会事務局において確認済みであるということを答弁したところであります。
したがいまして、教育委員会が聞く機会をつくるということは考えておりません。
○田の上委員 採点に使用した音声データの録音状態は、確実に採点できるものであることを確認済みであるということでありました。
その音声データは、どの会場の何人分を聞いたのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点をする音声と提供する音声は別ですので、今のご質問の中身は、音声データというのは、提供された、その音声のことだというふうに解しますけれども、都教育委員会は、音声データの提供を適切に行うことは可能であるということを、必要数のサンプル音声により確認をしております。
手順や録音状況の確認はできており、全数の確認が必要とは考えておらず、必要な分だけ確認をしたということでございます。
○田の上委員 全数が必要とは考えていないということですが、では、必要数とは幾つなのでしょうか。教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 音声データの状況を鑑み、我々が必要だと考える、その必要数としてサンプルデータを確認したものでございます。
○田の上委員 具体的な数字は示せないということでよろしいですか。−−はい。
採点時と開示音声のデータは別であるというご答弁をいただいておりましたが、加工したものを開示請求のデータとして提供をすることは、情報開示請求の開示となるのでしょうか。ご教示ください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点に用いた音声データに対して保有個人情報の開示請求があった場合ですが、ほかの受験者の音声等が含まれていることから、個人情報保護の観点から開示することはできません。
都教育委員会は、保有個人情報の開示によらず、本人の音声のみを抽出した音声データを、受験者本人が今後のスピーキングの力の向上に活用することを目的として提供しているものであります。
○田の上委員 他の受験者の音声が誰のものなのか、識別できるのでしょうか。これは個人情報に当たるのでしょうか。確認をいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 関係部署等とも協議の上、その可能性を排除できない場合には開示するべきではないという判断をいただいて、そのように対応をしています。
○田の上委員 個人情報に当たるというふうに判断したというお答えなのかと思います。
東京都の場合、情報開示請求での不開示情報は、各局が不開示、一部不開示をするときに、総務局の情報公開課と協議をするはずです。
先ほど、ちょっとほかのところと協議をしたというお答えもありましたが、この音声データについても、情報公開課と協議をして、このような結果になっているんでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 開示請求につきましては、情報公開課と協議の上、決定しています。
○田の上委員 教育庁は、テスト終了後に区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、教育委員会からは、中学校から解答に影響を与えるようなことはなかった、中学校から意見や報告は受けていないという答弁を繰り返していました。
私たちミライ会議は、再三、中学生からも直接声を聞くべきだという主張をしてきました。しかし、昨年、当事者だった中学生は、もう卒業してしまいました。
改めて伺いますが、全ての公立中学校で、テストを受けた中学校三年生から声を聞くべきですが、来る十一月二十六日のテストの後に中学生の声を聞くつもりがありますか。伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これまでどおり、事業者及び都教育委員会が実施状況を確認するとともに、区市町村教育委員会を通じて状況を聞き取ります。
また、受験者からの申出につきましては、当日及び試験実施後も受け付けております。
○田の上委員 これまでどおりなんですね。でも、我々、再三指摘していますが、教育庁がおっしゃっていることと我々が主張していることは違うんですよ。子供たちからは、大変不具合があったという声が多いわけです。ぜひこれ、ちゃんとした聞き取りをしてほしいと思います。アンケートであったり−−少しじゃ駄目ですよ。サンプル抽出みたいなのじゃ駄目です。そうじゃなくて、多くの声を聞き取れるような仕組みをつくって、そして次に臨むというのが当たり前じゃないですかね。主張いたします。
次に、十一月二十六日のESAT-Jと昨年のテストとを比較し、改善した点を伺いたかったのですけれども、過去に同様の答弁があったので割愛をいたします。
次のテストでは、会場を増やし、原則同一の自治体内にするなどのことをしたということでありますけれども、会場の広さの配慮には違いがないのかなというふうに思います。また、前半、後半に分けて、終わるまで生徒を拘束している状況も変わらないのかと思います。
中学校を会場とすればよいのですが、今回のアチーブメントテストが摩訶不思議なアチーブメントテストで、高校入試に活用するアチーブメントテストなので、中学校を会場ということが無理なのかと思います。
高校入試に活用するのなら、学力検査にこのESAT-Jを組み入れるべきですが、学力検査に入れない理由は何でしょうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 英語学力検査において、話すことの検査を実施していない理由につきましては、話すことの検査における採点、評価には相当程度の時間を要するため、都立高校の入試、学力検査の日程内で実施することができないことがその理由でございます。
このため、授業で学んだ内容の到達度の確認等を目的に都教育委員会が実施するスピーキングテストの結果を都立高校入試で活用することとしているものでございます。これによって、英語の四技能を入試において測るということでございます。
○田の上委員 先ほども風間委員もおっしゃっていましたけれども、採点や評価が難しいこと、時間がかかるということは、国の大学入学共通テストの導入時にも同じことが議論されたわけです。そして、見送られた課題なんです。なぜ、どうしたら学力検査に組み込むことができるのかを検討しないのか、都教育委員会は、なぜそこまで踏み込まないのか、大変不思議であります。
別日程でのテストになってしまいますので、また都立高校に出向いてテストを受けなければいけない中三生、明らかに大変な負担であると考えています。
ESAT-Jの結果は、学校内外の活動の事実や実践等を記載する諸活動の記録欄に記入することとなっております。
他自治体に見られるように、こういった民間テストの結果を生かすのであれば、点数配分を一点ないし二点程度にするべきではないでしょうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けまして、スピーキングを含めた四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視した施策を展開しているところでございます。
都立高校入試におけるスピーキングテストの結果の活用に当たり、学習指導要領で求められる四技能の習得状況をしっかりと測り、使える英語力の育成を重視するという考え方の下、適切に配点しております。
○田の上委員 四技能の習得は、以前より文科省でもずっといってきたことであります。しかし、英語だけ配点が多くなる、スピーキングだけ学力テストではないという配点は、明らかにおかしいです。
都教委が監修とはいえ、都教委がつくった学力検査ではなく、民間のテストの受験ですから、例えば英検何級といったような点数の配慮と一緒に、同じようにするべきではないかと考えます。
現在、GTECを取り入れている自治体はどれぐらいありますか。過年度と比較して増えているのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 数値については把握しておりません。
○田の上委員 では、今年度の中学三年生は、アチーブメントテストとしてESAT-Jを受けるに当たり、どのような授業を中学校で受けているのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 中学校では、英語の授業において、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど様々な学習形態を工夫して、ICTの活用などにもより、英語が堪能な地域人材や他校の生徒との英語を用いた交流を実施するなど、学習集団の規模にかかわらず様々な形態の指導を効果的に行うことにより、英語四技能、話すことも含めた力を伸ばしております。
○田の上委員 今のご答弁では、ICT機器の活用もしているということですが、ESAT-Jに合わせたものではない、そういう授業ではないということでしょうか。確認いたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ESAT-Jの出題する形式は、ふだん授業で行われているその形と同じものであります。音読、それから質疑、それから四こま漫画のストーリーテリング、そして意見、理由というもので、これはふだんの授業で行われている活動です。
ESAT-Jに合わせた授業という考え方がどのようなことを指しているのか、ちょっと把握しかねますが、そのようなふだんの授業を行っていて、それを的確に評価する試験として実施しているということでございます。
○田の上委員 ますますこのテストを受けた人たちの声を聞いていただきたいというふうに思っております。
中学校の先生はこれまでも、スピーキングの授業に対して、コミュニケーションを大事に対話を重視してきたというような声もよく聞いております。こういったものが、じゃ、本当にESAT-J、タブレットに向かって話す、そういったものに生かされているのかどうか。なかなか難しいのではないでしょうか。ぜひ声を聞いていただきたいと思います。
今年度でベネッセとの契約が終了となり、来年度以降のESAT-Jの事業者はブリティッシュ・カウンシルでございます。
東京都は、ESAT-Jの事業主体、ベネッセコーポレーションに、ESAT-Jの運営主体として多額の公費を投じて行った、入試活用までするアチーブメントテストであります。
この撤退の理由については、明確な説明が必要だと思います。東京都は、ベネッセからどのような撤退の理由を聞いたのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これまでの実施の状況を踏まえて、必要な改善を図って新しい募集要項を作成しました。それを示して募集をし、次期事業者としてブリティッシュ・カウンシルに決定したという経緯であります。
なお、応募するか否かは事業者の判断によるものであると考えております。
○田の上委員 応募するか否かは事業者の判断によるもので、撤退の理由は聞いていないということでいいのですかね。
中学校一、二年生を対象としたブリティッシュ・カウンシルのESAT-Jは、これまでのESAT-Jと何が異なるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 実施する学年や出題の範囲等が異なるということになります。
あわせて、一、二年生を対象としたYEAR1、YEAR2は、中学校で学習した話すことに関する技能の習得状況の成果と課題を検証し、中学校学習指導要領の目標の実現に向けた指導のさらなる充実を図ること、これを目的としております。これは共通です。
また、三年生を対象としたESAT-Jでは、この目的に加えて、高等学校における指導の充実と、それから都立高校入学者選抜への活用が加わるという点が違うということになります。
○田の上委員 もちろん、学年が違えば出題範囲は異なるんだと思います。また、目標の実現に向けて指導していくということでございます。
出題形式については、違いがないということでしょうか。また、試験の運営についてはいかがでしょうか。中学校の先生も関わるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 すみません、後の方の質問がちょっとよく聞き取れなかったですが、中学校の先生が関わるのかということですね……(田の上委員「試験の運営に関してですね」と呼ぶ)試験の運営について関わるのかということですけれども、基本的には関わらないということで調整をしております。
それから、出題の形式につきましてですけれども、これは、今現在、検討しているところでございます。
○田の上委員 中学校の英語の四技能を習得するための授業で、スピーキングはどれくらいの比率を占めているのでしょうか。その他の技能と比較してお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 四技能をバランスよく育むことが必要であり、中学校においては、学習指導要領に基づき、生徒の実態等を踏まえて工夫した授業が行われているというふうに認識をしています。
○田の上委員 四機能のバランスというのであれば、テストも同様に、四技能のバランスに配慮し、学力テストに組み込む、ほかの技能と配点を同じにするなどしなければならないと考えます。
次に、国語教育等についてです。
質の高い教育を行うために、コミュニケーション能力を涵養する国語力を高めることが全ての基礎であると考えますが、都の見解を伺います。
○小寺指導部長 子供のコミュニケーション能力を身につけさせるためには、国語の授業をはじめ、全ての教育活動において、自分の意見を述べるための論理的な思考力や、相手の意図を正しく把握し、感じ取る力、自分の考えや思いを表す表現力などを育むことが重要であると捉えております。
○田の上委員 私たちは、まず相手の思いを把握すること、こちらの思いを伝えることができる道具として言葉を使っています。
英語などの外国語の学習において最も重要なことは、言葉を通じて分かり合える関係を築くことだと考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 学習指導要領において、外国語科の目標は、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る資質、能力を育成することを目指すとされています。
都教育委員会は、こうした学習指導要領の趣旨も踏まえ、いつでも、どこでも、誰でも英語を学習できる環境と、英語で交流する機会を充実させることで、自分の考えや意見を英語で発信する力の強化に取り組んでおります。
○田の上委員 日本の児童生徒が何年も勉強しても英語が話せないというのは、学校で、文法を間違えないできれいな発音で話さなければならないと教えているからだと考えます。
もちろん、読む英語、書く英語については、きちんとした文法や適切な単語を選択しなければなりませんが、それと並行して、聞く力と話す力では、国や地方によって、様々な英語の発音のくせやアクセントがあることも知っておく必要があると思います。
英語は共通語になりやすい言語でありますが、世界には様々な英語があることも説明し、日本語式の発音でも恥ずかしがることはないと教えることは、コミュニケーション能力を高めるという趣旨からしても効果的だと考えます。東京都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 学習指導要領解説編において、英語は、世界中で広く日常的なコミュニケーションの手段として使用され、その使われ方も様々であり、発音や用法などの多様性に富んだ言語であるというふうにも書かれています。
各学校では、学習指導要領に基づき、適切に指導が行われていると認識をしています。
○田の上委員 タブレットを相手に英語を試験する方法は、子供たちにとって、楽しくもなく、英語力がつくわけでもない非日常的なものであって、英語のコミュニケーション能力がつくとは到底思えないのですが、高校の英語の先生は、ESAT-Jの結果をどのように活用しているのか、生の声をお聞かせ願えませんでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほどの答弁と重複するところがございますが、都立高校では、生徒の話す力を把握した上で、習熟度別の指導のクラス分けを行うこと、具体的な目標を設定し、継続的に話すことの活動を行う、それによって生徒のモチベーションを絶やさない指導につなげるなど、ESAT-Jの結果の活用を図っております。
○田の上委員 もう再三、様々意見をいってきているので、短く終わりにしたいというふうに思いますが、この委員会で様々な委員から意見があったこと、そして我々がずっと指摘していることをぜひ考えていただきまして、ESAT-Jはこのままではいけないと思っております。ぜひ改善をしていただきたい。そして、入試活用は、今のままではできないと思っておりますので、主張させていただきます。
以上です。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
先日公表された東京都の教員採用の受験倍率なんですが、採用見込み者数の増加などの影響で、全体で一・六倍と深刻な状況にあると認識しております。東京都教育委員会では、教員確保に向けて様々な取組を進めており、受験者数は十二年ぶりに増加に転じたということであります。
必要数を確実に確保するためには、今後も教員確保に向けた取組を進める必要があると考えます。
今回、新たな取組の一つに、大学三年生前倒し選考があり、これは、採用選考や教育実習等、多くの準備が求められる大学四年生での負担を軽減するために導入したと仄聞しております。
初めて実施した今年度は、二千五百名余りの学生が受験し、約千八百名が選考を通過したということでありました。
通過された方が教員になるためには、来年度、本選考を受験して合格する必要がありますが、来年度、着実に受験してもらうためには、通過者に東京都の教員を目指し続けてもらえるよう、継続的な働きかけが重要だと考えます。
取組について伺わせていただきます。
○吉村人事部長 教員志望者や採用予定者には、教員採用ポータルサイトのマイページに登録してもらうこととしており、大学三年生前倒し選考の通過者も同様でございます。
登録者には様々なイベント情報を発信しており、十月に実施した採用セミナー、TOKYO教育Festa!では、前倒し選考通過者の中から、参加者全体の二割を超える約二百名の参加がございました。
今後、イベント情報に加えまして、現職教員による自分の新規採用時の経験や外部人材の活用事例など、志望者の関心の高いトピックを、週一回程度、コラムにして紹介してまいります。
こうした取組を通じまして、前倒し選考通過者に都の教員になる意欲をより高めてもらい、来年度の確実な本選考の受験と人材確保につなげてまいります。
○鈴木委員 三年生前倒しの通過者は、その多くが東京都の教員志望者だと思いますので、来年度、確実に受験いただけるよう取組を進めていただきたいと思います。
次に、今、答弁がありましたTOKYO教育Festa!について伺います。
TOKYO教育Festa!は、教職に興味のある方が、現職教員との対話や体験活動を通して東京都の教員を目指すきっかけをつくるPRイベントとして、令和四年度から実施しております。
このような教員採用に特化した総合イベントは、全国的にも先進的な取組であり、教員確保にも有効だと考えております。
今年度のTOKYO教育Festa!の実施状況について伺わせてください。
○吉村人事部長 今年度のTOKYO教育Festa!には、昨年度から大幅に増加した九百名を超す参加がございました。
今年度は、昨年度人気のあった、給与や休暇など勤務条件の解説ブースや、現職教員が実際に受講する研修を体験するコーナーなどに加え、若手教員が震災時の実体験を語り合うトークセッションや、来場者向けの交流ブースなどを新たに企画いたしました。
また、都内全区市町村教育委員会と連携し、各区市町村独自の教育施策や教育資源を紹介するパネルを展示して、東京の教職の魅力を具体的に発信し、好評を博しました。
○鈴木委員 今年度も新たな展示を企画するなど、意欲的に取り組まれていると思います。
また、昨年よりも倍近く、九百名ということで伸びていると思うんですけれども、今回のフェスタについてどのように評価しているのか、伺います。
○吉村人事部長 今年度は、特に社会人の参加者が大幅に増え、転職者ブースは常時満席で、百十名を超す個別相談に応じるなど、多様な層に教職の魅力が浸透し始めていることが実感できました。
また、参加者アンケートでは、話してくれた方々が生き生きとしていて、教員という仕事が改めて魅力的に感じた、ブラックな職業だと聞いていたが、実際は制度がしっかりしており、自分らしく働ける場所だと知ることができたといった意見が多数寄せられ、都の教職への志望をさらに高める機会となったと考えております。
TOKYO教育Festa!の内容につきましては、今後、区市町村とも連携し、各ホームページやポータルサイトに掲載するなど、都の教職の魅力をさらに広く発信してまいります。
○鈴木委員 教員志望者を増やすためには、様々な取組により教員の負担軽減を図り、効果を上げていくことが重要であると思います。
私は、昨年の決算特別委員会分科会で、希望する全ての小学校に配置されているスクールサポートスタッフの活用について伺わせていただきましたが、必ずしも教員が直接行う必要がない業務をサポートする体制の充実が不可欠だと考えます。
そこで、スクールサポートスタッフ導入により、学校現場からどのような声があるのか、また、今後の活用についても伺わせていただきます。
○矢野人事企画担当部長 スクールサポートスタッフを配置した学校からは、事務的な作業に費やす時間が大幅に減少し、子供と向き合う時間が増えた、教員の心理的な負担軽減につながったなどの評価を得ています。
今後も、区市町村教育委員会の意向も踏まえ、スクールサポートスタッフを活用した教員の負担軽減に取り組んでまいります。
○鈴木委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
また、今、精神的なという部分があったのですが、現場で働いている教職員の心の病の予防、早期発覚、早期対処を目的として、教員のメンタルヘルス対策としてアウトリーチ型相談事業を行っていると思いますが、今年度の実施状況と成果について教えてください。
○吉村人事部長 教員のメンタルヘルスサポートを強化するため、臨床心理士等が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を、令和五年度は四十地区約九千人を対象に実施しております。
また、今年度からは対象者を拡大し、小学校の全ての新規採用教員や病気休職等から復帰した教員約二千人に対しても面談を行っております。
本事業では、相談内容や傾向を分析し、職場の改善点等について区市町村教育委員会や各学校に助言を行っております。
面談を受けた教員からは、人に話すことで自分の課題を客観的に理解できた、教員以外の人と話ができて心が軽くなったなどの声が寄せられております。
○鈴木委員 ありがとうございます。このメンタルヘルスサポートというのは、やはり離職率というものも多少は防げる、そういった効果もあると思いますし、また、現場での子供との対応というのが、やはり、常に精神的に安定している状態で臨んでいただきたいので、引き続き、こういった事業をよろしく、進めていただきたいと思います。
また、最後に一点だけ、防災教育について、一問、質問させていただきます。
令和五年度は関東大震災の発生から百年を迎えるということで、こういった文言は様々な機会でいわれてきましたが、子供たちも防災に関心を持ついい機会であることは間違いないと思います。
東京都教育委員会は、今年度、関東大震災復興百年教材を作成していると思います。
これまでの取組及び今年度の成果について伺わせていただきます。
○小寺指導部長 都教育委員会は、本年度、関東大震災から百年の機会を捉えて、子供たちの防災意識を高めるため、都内国公私立学校の児童生徒を対象にデジタルブック形式の関東大震災復興百年教材を作成いたしました。
この教材は、震災当時の様子や復興の過程を写真や動画で紹介するなど、先人の知識や教訓から、震災時に自分ができることを考える内容となっており、各学校では授業や防災訓練等で活用いたしております。
例えば、九月一日−−震災の当日になるわけですが−−に、この教材で授業を行った学校を私どもとして視察いたしましたところ、震災当時の動画を視聴した子供が、百年前の今日、自分たちの住むまちが大きな地震に遭い、激しい火災が起きたことを目の当たりにして、災害を自分事として真剣に学んでいる様子が見られたところでございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。デジタルブック等で、こういった子供たちの、自分事として真剣に捉えてくれるという部分では、こういったデジタルブックというのは、興味を持ってくれるという部分では、すごい大事なことだなと思います。
また、防災教育の一番の目的は、やはり命を守ることだと思っております。震災への備え方、また、災害発生時の対処の仕方など、そういった具体的な部分もこれからも教えていっていただきたいと思います。
また、百年の機会というよりも、今後も引き続き、そういった防災教育について、常にいつ起きるか分からないということでありますので、努力していただきたいと要望させていただきます。
以上で終わります。
○伊藤委員 では、私の方からは、まず、不登校生徒に対応した入試制度の在り方について伺いたいと思います。
もう既に、都内でも三万人近い不登校のお子さんたちがいらっしゃるということが報道をされています。平成三十年度に九千八百七十人だったのに対して、都内の公立中学校の不登校生徒だけ見ても、令和四年度では一万六千二百十七人、急増しているところであります。
今、私の息子、それからまた娘も、地元の公立中学校一年生、三年生、通わせていただいていますけれども、受けている印象としては、どうでしょうかね、一クラスに二、三人ぐらいは不登校になってしまっているというような印象がございます。
中には、小学校の頃から私自身もよく知っているお子さんであったりということもあり、様々な要因があるんだろうということは推察されますけれども、いずれにしても、不登校になった方々に対して、都としても様々な形で対応したり、ケアをされているということは承知していますが、そもそも、どうしても人間関係の問題であったりして、学校を思い出すだけでも具合が悪くなるというような子もいらっしゃいます。
そういったお子さんにとってみると、中学校はもう、なかなか通うことができないけれども、高校の入試もきっかけに、新しい高校に行くことでリセットしたいと思っている子も相当数いらっしゃいます。
しかし、特に都立高校の受検においていうと、実技科目が、当然、いわゆる内申点として評価をされるわけでありますので、これは不登校ですと、ペーパー試験であればまだ対応可能ですけれども、どうしても点数が取れない科目というのが出てきてしまう。そういった中において、都立高校の入試に対して、非常に不安を抱いている不登校のお子さんというのがたくさんいらっしゃることと推察をしています。
そこで、現在、都立高校入試では、不登校生徒に対してどのような取組を行っているのか、まず伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、小中学校で不登校経験があるなど、これまで能力や適性を十分に生かし切れなかった生徒が、自分の目標を見つけ、それに向けてチャレンジする学校としてチャレンジスクールを設置しております。
チャレンジスクールでは、特徴的な入試を実施しておりまして、学力検査や調査書によらず、作文や面接により、生徒の学習や学校生活の意欲を見る入試を行っております。
また、不登校生徒が増加傾向にあることを踏まえ、中学校や高等学校の校長、保護者などの委員で構成されている都立高等学校入学者選抜検討委員会におきましては、不登校生徒など多様な生徒に対応した入学者選抜の在り方に関する検討を行っております。
現在、検討委員会では、多様な生徒に対応した都立高校入試に係る特別部会を別途設置し、生徒を送り出す中学校側や受け入れる高校側の意見を集中的に聞くとともに、他の自治体の入試状況等も調査しながら、入試制度について総合的に検討を行っております。
○伊藤委員 この件については、本年の三月の文教委員会でも、この場で私の方から、今の課題認識を質問させていただき、そして、今のような取組をしていくというような旨の答弁もいただきましたので、まさにそれが始まったというふうに、今、承知をさせていただきました。
様々な事情がある中で不登校になってしまった生徒や保護者の不安を解消すべく、こうした、今の答弁のような議論というものを深化させていって、そして、入試のあるべき姿というものを改めて示していただきたいということは、ここで要望しておきたいと思います。
そして、あわせて、日本語指導が必要な生徒に対する入試制度についても伺いたいと思います。
都教育委員会が三月に公表した資料によると、都内の公立中学校における日本語指導が必要な生徒の数は、令和四年度、外国籍の生徒が六百八十三名、そして、日本国籍の生徒においても日本語指導が必要な生徒というのは二百五名いらっしゃるということで、必ずしも外国籍に限っているわけではないということであります。
ただ、日本国籍であっても、当然、日本語指導が必要な生徒が、今申し上げたように少なからずいるわけでありますが、この日本国籍を有しつつも日本語指導が必要な生徒に対するケア、対応というものが、まだまだ不十分ではないかという観点から質問をいたしたいと思います。
第二回定例会における我が会派の代表質問に対し、東京都教育委員会からは、日本国籍であっても日本語を母国語としない生徒に対する都立高校入試の在り方について、必要な検討を行っていく、こういう答弁がありました。
現在のその取組状況を伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都立高校では、海外に在住していた日本国籍の生徒を対象とする特別枠を設定した入試を、都立高校四校で実施しております。その入試におきましては、三教科及び面接等で選抜を行っております。
また、外国籍の生徒を対象とする特別枠を設定した入試を、在京枠として八校で実施しており、これは、教科の学力検査によらず、作文、面接で選抜を行っております。
また、都立高校の一般入試で行う学力検査問題におきましては、これは国籍を問わず日本語指導を必要とする生徒に対し、平仮名等のルビを振る措置や、辞書の持込みと、それに伴う時間延長の措置も行っております。
都教育委員会では、日本語指導が必要な生徒の数が今後増加していく状況も見据えて、先ほど申し上げた入学者選抜検討委員会において、こうした生徒に対する入試制度の在り方について俎上にのせて、同様に検討を行っているところでございます。
現在、検討委員会では、日本語指導が必要な生徒に対応した入試に係る特別部会、これも別途設置して、中学校や高校での学習状況等をヒアリングするとともに、他の自治体等の入試制度も調査しながら検討を行っております。
○伊藤委員 まさに、日本国籍であっても日本語指導が必要である生徒というのは確かにいらっしゃるわけで、今、答弁いただいたような検討もしていただいているということでありますが、この特別枠の八校の入試を受検できないという状況でもあるということが分かりました。なので、本来は、国籍を問わず日本語指導が必要な生徒に対する入試制度の検討が、やっぱりこれは必要なんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
今後とも、この検討というものを深めて、議論、検討していただき、また、議論を深めていただけるように要望をさせていただきます。
あわせて、調査書点の取扱い、いわゆる都立高入試における内申点の取扱いについて伺いたいと思います。
先ほど、不登校生徒が非常に多くなっていることによって実技科目などに対する内申点の不安があるということは指摘をさせていただきました。
いうまでもありませんけれども、都立高校の一般入試においては、学力検査点と調査点の割合が原則七対三。簡単にいうと、当日のテスト、そして、ふだんの内申点というのが七対三になる、こういう割合で試験が行われています。
ただ、私も、今回とりわけて、子供たちの入試に当たって、よくよく学ばせていただきましたけれども、この内申点を算出する際には、いわゆる教科科目が一倍だとすると、実技教科の評定は二倍になりますよね。ですから、体育とか音楽とか、実技科目に対する内申点の比率というのが、二倍ですから、非常に大きくなるということでございます。
先ほども申し上げたように、授業への出席が困難となった不登校生徒はもとより、例えばなんですけれども、音楽などにおいては、当然、発声をするとか、合唱で声を出すというような場面がありますし、また、そうした場面における態度、あるいは、音域というのでしょうか、音量など、声音など、当然、評価の対象になってきます。しかし、もう声を出すこと自体が精神的に苦痛だと感じるお子さんもいます。
ただ、どうしても都立高校入試に向けて実技科目で点数を取るために、相当無理をして声を出すというようなケースもありますし、例えば体育なんかでは、努力しても努力しても、どうしても泳げないお子さんというのもいます。
当然、それぞれお子さんには特性がありますので、それぞれの特性を育んで伸ばしてあげるというのが、例えば公立中学校における先生たちの役割でもあろうかと思います。ですが、やっぱり二倍となると、これはかなり大きな比率になってくることもまた事実です。
そこで、その他、一定の分野で特異な才能を持つ生徒などもいらっしゃいますので、多様な生徒にとって今の都立高校入試は受検しやすいものとなっているのかという大きな観点からも検討が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 大変難しい課題である、しかも、大きい課題であると認識しております。
都立高校入試では、今、委員からご説明があったとおり、学力検査に基づく選抜においては、主に中学校三年間の学習の成果を見る学力検査と、中学校における日頃の学習の状況等を見る調査書を用いて選抜を行っておりまして、学力検査の得点と調査書点の得点の比率は、原則として七対三となってございます。
また、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の実技四教科は学力検査を実施しないために、調査書を点数化するに当たって、学力検査を実施する教科は一倍、普通に換算するのに対して、学力検査をしないこうした実技教科は二倍として算出しております。
しかし、現行の入試制度は平成二十八年度選抜から実施しておりまして、この間、不登校生徒の増大や学習指導要領の改訂、またデジタル化の進展など、生徒を取り巻く環境も大きく変化しておりますので、今後、様々な関係者から、都教委として、東京都教育委員会として、しっかり意見を聞いてまいりたいというふうに思っております。
○伊藤委員 答弁の冒頭にあったように、非常に難しい問題でありつつも、非常に重要な問題でもあります。当然、教育は時代に合わせて変化もしていきますし、当然、評価の仕方も、時代の求めに応じて変化していくものだというふうに思います。
そういう意味で、子供を取り巻く環境が大きく変わってきていますので、今後とも、東京都教育委員会で議論をここもしっかり進めていただいて、時代に合ったものに、また改善されることを要望しておきたいと思います。
次に、工科高校の魅力発信について伺いたいと思います。
平成三十一年ですから、もう四、五年ぐらい前になりますけれども、三月の予算特別委員会で、私が都立工業高校改革をするべきだという提案をさせていただきましたところ、改革のための検討会をつくるという答弁を都からいただきました。
それから、まさに四、五年がたち、工業高校が工科高校と変わりましたし、また、名称が変わっただけではなくて、それに併せて、先ほど質疑のあった、例えばTokyo P-TECHなど、IT企業との連携による授業の内容の改善というのも相当図られたというふうに承知をしています。
先般、町田工業高校にも視察させていただきましたし、また、蔵前の工業高校−−いわゆる工科高校ですかね、今は−−にも視察をさせていただきましたところ、昔の工科高校あるいは工業高校とは、本当に大きくイメージが変わっていて、来ているお子さんたちも、もともと、例えばITあるいはパソコンが好きだ、アニメが好きだ、そして、今までは中学校の中でも、特別アニメが好きだ、パソコンが好きだといってもマイノリティーだったものが、工科高校に来るとマジョリティーになれて、そして、共通言語でいろんな友達と会話を弾ませることができるというようなこともリアルに聞かせていただきました。
しかし、一方で、この工科高校、数がありますけれども、まだ定員割れしている状況があるということで、ここは、魅力が伝われば、当然、就職にも非常に強い学校でありますので、もっと人気が出るものというふうに期待をしています。
第二回定例都議会の代表質問において、我が会派からの工科高校の魅力を広く都民に発信すべきとの提案に対して、都は、工科高校のPRイベントを新たに展開するとともに、工科高校の紹介冊子を全ての公立中学生に配布すると答弁されました。
私は、大学に行かなくてもいいという一つの選択肢をつくっていくという観点からも、工科高校には大きな可能性を感じています。
さらなる教育内容の充実とともに、やはり、この魅力発信により一層力を入れていくべきと考えますが、都教育委員会の具体的な取組内容について伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、工科高校で産業界における技術革新やデジタル化のニーズを踏まえた先進的な学科改編を行うなど、教育内容の充実を進めているところでございます。
こうした工科高校の魅力を発信するため、今年度、工科高校専用のリーフレットを新たに作成し、工科高校で習得できるスキルや改編する先進的な学科の内容を紹介しております。
また、九月末には、工科高校のPRイベントを新たに開催し、全ての工科高校がブースを設け、工科高校の生徒が中心となって、自分の学校の魅力についてPRを行いました。イベントには、中学生やその保護者など約二千名が来場し、工科高校をもっと知りたくなったなどの声をいただいております。
今後とも、ものづくりのスペシャリスト育成に向けた支援やデジタルスキルの習得支援など、教育内容の充実を図るとともに、工科高校の魅力の発信につきまして、工夫を凝らしてまいります。
○伊藤委員 この間、今答弁にあった、工科高校の魅力を伝えるフェスタの方にも参加させていただきました。本当に、たくみの域に達しているともいえるような、ねぶたなども展示されていました。ぜひ、あのねぶたは、あまりにもよくできているので、この東京都庁のどこか、あるいは都議会のどこかへ展示してください。やっぱり都立高校生にとってみても、自分が作ったものが、より多くの人たちの目に触れるというのは、今後の励みになるのではないかと思います。
先般、こちらにいらっしゃる藤井委員長とも、先ほど申し上げたように蔵前高校に行ってまいりました。行ったときに、例えばドローンを動かす、あるいはロボットを操る、そういった具体的な、時代に合った教育を受けている現場というのもかいま見ましたけれども、何よりもCADを本当に使いこなして、そして、自分に与えられた課題に沿った建物を、CADの、パソコンの空間の中で作り上げていく。それは遊び半分じゃなしに、配管から、配水管から電気設備まで、その建物の中にCADを使って組み込んでいくというような姿を見ますと、まさにこれは即戦力の人材だなというふうに感じたところです。
ですので、PRイベントにおいても、そういった様々な工夫がされていましたが、やっぱり学校に来てもらうということが一番伝わりやすいところでもあろうかと思いますので、ぜひ−−やっぱり近隣の中学校の子が、その近くの工科高校に行くというケースが多いと思うので、工科高校においては、近隣の中学校に出向いていって、そして、ぜひ学校を見に来てくれというような取組もしていただきたいなというふうに思います。
それから、先日、これは新宿にある、DEと書いてDE−SCHOOLというのですけれども、DE−SCHOOLというフリースクールにもお邪魔をさせていただきました。
ここは、小学四年生だったですかね、から中学三年生までのお子さんたちが、大体、毎日二十人から、もう少し来ているのでしょうか。先生たちがついて、ここはパソコンが一人一台ずつ貸与される形で、フリースクールなので、基本的には朝から夕方まで、平日、毎日お子さんたちが来られて、そこで、それこそ自分たちでゲームを創作する。いわゆる、はやっているフォートナイトみたいなものも自分たちで作って、そして、隣のお兄ちゃんとかお姉ちゃんに教わりながら、どんどんどんどん、ゲームそのものがうまくなるんじゃなしに、ゲームを作る技術を上げていくというような訓練もしていました。
非常に楽しそうに過ごしている姿というものを、そのフリースクールで拝見したわけですが、これは見ていて、このフリースクールに通っている−−もちろん、フリースクールといってもいろんなフリースクールがありますけれども、例えば、このDE−SCHOOLにおけるフリースクールに通っているお子さんたちを見ていたときに、この子たちと、それから、いわゆるさっき申し上げた、例えば都立蔵前工科高校などの相性は非常にいいだろうなというふうに思いましたので、地元の中学校もさることながら、ぜひ親和性のありそうなフリースクールに対して、やっぱり都立工科高校から、ぜひうちにここから来てくれないかというような形でご案内をしてさしあげることも非常に有効ではないかというふうに思いますので、これはぜひ考えていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、今年度新たに作成しました工科高校の紹介リーフレットを、都内の全ての公立中学生に配布いたしました。
今後は、今お話のありました、このリーフレットなどを、これまで情報がなかなか届きにくかったフリースクールや不登校生徒などを支援している区市町村の教育支援センターにもしっかりと配布を行いまして、そこに通う生徒にも工科高校の魅力が伝わるよう、取り組んでまいります。
○伊藤委員 それから、受験生チャレンジ支援貸付事業について伺いたいと思います。
これも、かねてから私ども、また、会派を挙げて予算要望をしてきた経緯もございます。このチャレンジ支援貸付事業、つまるところ、塾代支援事業になりますが、中三、あるいはまた高三のお子さんに対して二十万円、基本的には塾代を貸し付ける、そして、進学できたら、これは返さなくていいということで、九九%は免除されているというふうに承知をしています。
そういう意味では、とりわけて対象世帯になっている低所得世帯において、非常に喜ばれている事業だというふうに思います。
親の経済格差がやっぱり子供の教育格差にならないようにしていくということが、今、東京都教育委員会が掲げている誰一人取り残さない教育行政なんだろうというふうにも思いますので、この受験生チャレンジ支援貸付事業、より告知をしていただいて、多くの方々にやっぱり知っていただくということが何よりも重要ではないかと思います。
まだまだ予算的には余裕があるということですので、恐らく、ご存じない方も多いんだろうと思います。
そこで、再三、これまでもお願いしてきましたけれども、そのPRについて、改めて現状の取組について伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、今年度も、福祉局と連携し、受験生チャレンジ支援貸付事業につきまして、全ての都立高校と公立中学校に対し、その内容が分かりやすく伝わるよう工夫したチラシの配布に加え、リーフレットと校内掲示用のポスターを配布し、周知しております。
また、進路に関する面談時やSNSの活用など様々な機会を捉えて、生徒や保護者に対して周知するよう依頼しております。
その結果、区市町村教育委員会等におきましては、校長会や保護者会、進路説明会での事業説明、また、保護者に対するメールでの事業案内を行っていただくなど、幅広い広報につながっております。
○伊藤委員 かつては、各市区町村の方で、そのチラシとかリーフレットを作られていて、中には、これではちょっと、なかなか伝わらないだろうなというようなものも散見をされました。なので、ぜひ東京都の方でひな形を作ってほしいということで、こういう中三向け、高三向けの分かりやすい、あるいはまたキャッチーなものを作っていただいて、今、これが配布されているというふうに承知しています。できれば、二十万円とか金額も入れていただくと分かりやすいと思うので、裏には入っていますけれども、またこれは工夫してください。
こうしたものが、学校の、まさに教育現場の中で配布されているということではあるんですが、加えて、私どもの方から、ぜひ進学塾、学習塾においても、これは連携をして、そしてお子さんたちにこれを届けてほしいということをこれまでも要望してきました。
そういった取組状況について伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 昨年度に引き続き、今年度におきましても、全国学習塾協会を通じ、都内の学習塾に対し、さらなる事業周知の働きかけを行いました。学習塾協会には、会報やSNS等により事業を周知していただいております。
チラシ配布後、事業のインスタグラムのフォロワー数は約一・五倍に増加しており、さらに、学習塾協会へ、昨年度と同数の百二十部のチラシを追加配布すると聞いております。
引き続き、子供たちが家庭の経済状況等にかかわらず希望する進路を選択できるよう、学習塾への働きかけを行うとともに、学校や区市町村教育委員会とも連携し、事業の一層の活用に向けて取り組んでまいります。
○伊藤委員 将来的には、必ずしも塾に行かなくても、まさに公教育の中で、希望の進学が努力さえすれば遂げられるという教育環境をつくることが、これはもう目標だと思います。
これは別に理想じゃなくて、本当にそうしていかなきゃいけないと思いますが、現段階においていえば、やはり塾に行ける子と行けない子の教育格差というのも、明確に数字で表れていますので、それが経済格差を伴わないように、こういう支援策が当面あってしかるべきだというふうに思います。
今、学習塾への取組についても答弁をいただきましたけれども、塾の方も、少子化の中で、こういう支援があるから、ぜひこれを使ってうちの塾の負担を軽減してくださいよというような形で、知らなかった保護者の方に対して周知するなんていうこともあるというふうに聞いています。実際に、塾でこれを聞いて、二十万円分、本当に助かりましたというお声も私自身聞いてきましたので、ぜひこれを周知していただきたいと思います。
周知の仕方として、インスタとか、様々なSNSもあろうかと思いますが、もう一つには、やっぱり、特にSNSにおいては、インフルエンサーをしっかり使っていくということも重要ではないかと思います。
ですから、今、ビリギャルで主人公のモデルになった女性なども、教育界で非常に活躍をされていますが、例えば、そういう親和性のあるような方とかにPR大使になってもらうとか、そういうことも、ちょっと工夫として考えていただければということを申し上げておきたいと思います。
最後に、関東大震災から百年ということもあるので、これは要望だけ申し上げておきたいと思います。
基本的には、これは区市町村の問題であり、公立小中学校の問題なので、これは東京都教育委員会として認識をいただければありがたいというふうに思います。
というのは、小学校、中学校で当たり前になっている防災頭巾です。
防災頭巾は、これは関東の人、私も関東の人間なので当たり前だというふうに認識していますけれども、関西に行くと、必ずしも防災頭巾というのは、関東ほど当たり前のものではないということも聞いています。
というのも、由来をずっと調べていくと、防災頭巾は、東京大空襲のときに焼夷弾からお子さんたちを守るということで、とりわけて、火災からやけどなどをしないように顔などを覆って守るということを目的に防災頭巾というものが普及したというふうに承知しています。
ただ、もう七十年、八十年たって、学校の構造が大きく変わりました。当時は木造で、そして、直下型の地震が起きた場合においても、火災というものが非常に大きな危機だったと思いますけれども、今や、火災よりも、どちらかといえば、躯体は耐震化されてしっかりしているんでしょうけれども、上の天井なんていうのは、これは新耐震基準に入っていませんから、いってみれば、上から、天井からいろんな落下物が落ちてくるなんていうことは容易に想像できるわけです。
ですので、これはやっぱり頭を守るということが非常に重要で、学校の先生たちは、防災頭巾じゃなくてヘルメットをかぶっているわけですね。
ちょいと調べたら、衆議院も、一九八七年には、それまで防災頭巾だったものが全部今ヘルメットに変わったそうです。ですから、国会議員の皆さんも、今はヘルメットで、いざというときには避難をされるということなんですが、都内の小中学校を見渡すと、ほぼ防災頭巾。
今はもう折り畳みのヘルメットもありますので、これはぜひ東京都教育委員会からも認識をしていただいて、周知をしていただいて、その安全性みたいなことについて認識を持っていただけたらというふうに、まず思います。
ちなみにいいますと、これは国の機関がもう既に公式に発表していますけれども、学校の中には、自分で買ってきてください、指定のものじゃなくて防災頭巾を買ってきてくださいというものが結構あって、中には、本当に安いものですと、かえって火が顔に回ってしまうと。中の綿が非常にこう、可燃性のものになっていたりするケースがあるそうです。
ですから、国の機関が注意喚起しているような話なので、意外とそれを地方自治体が知らなくて、自由に買ってそういうものが普及していますけれども、これはぜひ東京都からも啓発していただいて、できることなら、この際、ヘルメットに誘導していただきたいということをお願いして、私からの質疑を終わらせていただきます。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後六時三十一分休憩
午後六時五十五分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○たかく委員 それでは、私の方から、六項目にわたって質問をさせていただきます。
最初に、教員の働き方改革についてです。
教育は人なりといわれるように、我が国の将来を担う子供たちの教育は、教員にかかっております。その意味で、教員とは、極めて崇高な使命を持った仕事であります。
学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることであります。
しかし、社会の変化に伴い、学校が抱える課題が複雑化、そして多様化する中で、教員の長時間勤務が看過できない実態が明らかになっております。この教員の働き方改革を早く進めなければ、教員志望者の減少や欠員の補充等をはじめ、様々な課題が今後ますます深刻化していくものと考えます。
最初に、教員の長時間労働の改善が必要と考えますが、都教育委員会はどのように考えているのか、お聞きいたします。
○矢野人事企画担当部長 教員の長時間勤務は、子供たちの学びを支える教員の心身の健康に影響を及ぼすとともに、日々の教育活動の質にも関わる喫緊の課題でございます。
このため、学校における働き方改革の推進により長時間勤務を改善し、教員一人一人の心身の健康の保持の実現と、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備していくことが必要でございます。
○たかく委員 教員の長時間勤務を是正するために教員の負担を軽減して、児童生徒にしっかりと向き合っていかなければ、いい授業は行えません。そのために、できる限り、教員に覆いかぶさっている、この負担を取り外すことが重要と考えております。
働き方改革について、都教育委員会では、これまでどのように取り組んできたのかをお伺いいたします。
○矢野人事企画担当部長 都教育委員会は、平成三十年に学校における働き方改革推進プランを策定し、多様な取組を推進してまいりました。
具体的には、学校閉庁日の設定等による教員の意識改革を進めてきたほか、副校長を補佐する支援員やスクールサポートスタッフ等、外部人材の活用による教員の負担軽減を図ってまいりました。
また、都立学校で定期考査採点分析システムの運用を開始するなど、デジタル化による業務の効率化を推進し、児童生徒への指導に注力できる環境を整えてまいりました。
○たかく委員 今、答弁にありましたが、教員の教材作成等の事務作業を支援してくれる専門的なスクールサポートスタッフは、学校にはなくてはならない存在と考えます。
また、副校長の補佐をする支援員を配置することは、副校長の校務負担を軽減し、所属校職員の人材育成や、また保護者、地域との連携業務等、副校長の本来業務遂行に大きく貢献しているものと考えます。
このスクールサポートスタッフの拡充、そして、副校長を補佐する支援員の配置拡充を求めるところでありますが、実際に、これらの配置によって、どのくらい勤務時間が縮減されているのか、また、今後の取組についてもお伺いいたします。
○矢野人事企画担当部長 令和四年度にスクールサポートスタッフを配置した学校では、配置前と比較しまして、教員一人当たりの一週間の在校等時間が三時間三十八分縮減いたしました。
また、令和四年度に副校長を補佐する支援員を配置した学校では、配置前と比較し、副校長一人当たりの一週間の在校等時間が二時間四十八分縮減しました。
引き続き、区市町村教育委員会や学校の意向も踏まえ、外部人材を活用した教員の負担軽減を図ってまいります。
○たかく委員 今の答弁ですと、例えば、副校長一人当たりの一週間の在校時間が二時間四十八分縮減された、週五日とすると、一日三十分以上縮減されているということで、相当な効果があるということを認識いたしました。
こういった教員の働き方改革を進め、長時間労働を是正していく上で、いろいろな対策が必要でありますが、抜本的には、教員の授業の持ち時間を軽減し、教員の定数を増やしていく、こういったことが課題解決に向けての効果がある対策と考えます。
そういった意味から、東京都として、予算措置であるとか人的措置を充実させて、教職員の人材確保、育成を進めるための教育条件や勤務条件の整備を行っていただくように要望して、次の質問に移ります。
次は、ALTについて、一点だけ質問させていただきます。
ALTとは、アシスタント・ランゲージ・ティーチャーのことで、外国語指導助手のことをいいます。子供にとっては、英語の先生で外国人の人という方であります。あくまでも助手として、ALT一人で授業をすることはできず、英語担当教員と一緒に授業をする立場であります。
小中学生に対する英語教育を推進するに当たり、ネーティブの人を活用することは非常に重要と考えます。しかし、一方で、区市町村の小中学校で勤務するALTの方から、授業において英語を話す機会が与えられていないとか、また、採点のみを担当させられたという声を現場では聞いております。
区市町村立学校のALTは、あくまでも区市町村の教育委員会が配置していることは承知しておりますが、ALT活用の趣旨等を十分理解した上で進めていくことが必要と考えます。
区市町村教育委員会に対する都教育委員会の取組についてお伺いをさせていただきます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、都立学校において、生徒の音読に際しての発音などの指導、ペア、グループでの対話練習などにおける教員の指導補助、また、教材の文化的な背景などについての解説などでALTを活用し、生徒が国際社会で活用できる発信力を高められるように取り組んでおります。
今後、こうした都立高校における活用の好事例などを指導室課長会などを通して区市町村教育委員会に情報提供することなどで、区市町村においてALTが効果的に活用され、さらなる英語教育の充実が図られるように促してまいります。
○たかく委員 このALTというのは、あくまでも区市町村の採用ということでございますけれども、都の教育委員会においても、区市町村の教育委員会と緊密に連携を取っていただいて、ALTの方をしっかりと活用できる、有効活用されるように進めていただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
次は、不登校対策について、何点か伺います。
全国で不登校の児童生徒が急増しております。文部科学省の調査では、二〇二二年度の不登校の小中学生は、前年度より約五万四千人増え、約二十九万九千人と過去最多になりました。
また、東京都内の公立小中学校の不登校の子供は、二〇二二年度の調査によりますと、過去最高の二万六千九百十二人となっており、不登校対策は、今、喫緊の課題であります。
小学校や中学、高校と、不登校の原因はそれぞれ異なるところではありますが、不登校の理由としては、文科省のデータによりますと、無気力、不安、親子の関わり方、遊び、非行、友人関係などなどとなっております。
様々な要因があるとしても、未来を担う子供たちが学校に行けない状況が続くことは、本人、家族にとっても、また、社会にとっても大きなマイナスであり、不登校の状態をいち早く克服できるようにしていかなければならないと考えます。
不登校が急増している現状について、都教育委員会の認識と不登校対応の取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都内公立学校における不登校の子供の人数は増加しておりまして、その要因や背景は、複雑化、多様化していると捉えております。
そのため、都教育委員会は、学校において不登校の子供一人一人の状況に応じた早期からの支援を実現できますよう、中学校への教員の加配、小中高等学校へのスクールカウンセラー及び校内別室指導支援員の配置等を行っております。
また、学校に通えない子供の自立や学びを支える場を確保するため、区市町村が設置する教育支援センターにおいて相談指導等を行う支援員の配置を行う場合の経費を補助しております。
さらに、興味、関心に応じた活動を通して子供の自立を支えることができますよう、フリースクール等協議会を開催し、学校とフリースクールが連携した支援の在り方等を協議しているところでございます。
○たかく委員 今、答弁がありましたが、不登校対策としては、教育支援センターへの支援や、スクールカウンセラーを全小中学校に配置などを実施しているとの答弁でもありました。
不登校の子の学びの場の確保の一環として、自分の教室に入りづらいときの居場所確保として、校内別室指導支援がスタートしております。この校内別室指導は、不登校の子供の学びの場として、不登校の未然の防止と学びの確保には効果があると考えます。
ここでは、子供の悩みや不安に寄り添い、相談を受けたり、教室とオンラインでつないで受ける授業の補助や、習熟度に合わせたドリル学習の支援など、個に応じた指導を行っているとのことであります。
別室指導支援員が一人一人の子供の状況に応じて対応し、一層の効果を上げられるようにすべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の子供の多い小中高等学校に、校内の別室であれば登校できる子供への対応を行うための支援員を配置し、学習指導や相談対応等を行えるようにしております。
支援員が子供の不安や悩み、学習の定着状況等に応じて適切に対応できるようにするためには、不登校担当教員等によるコーディネートが重要であることから、都教育委員会は、担当者教員連絡会において、教員と支援員が連携して行った効果的な支援事例の共有化を図るなどしております。
○たかく委員 先ほども他会派からの質問がありましたけれども、令和五年度での別室指導は、小学校で三十七校、中学校で百七十二校、都立高校では十七校とのことです。今後、全小中学校への配置を急ぐべきと要望させていただきます。
東京都教育委員会では、日本語指導が必要な子供や不登校の子供たちの居場所、学びの場として、仮想空間上にバーチャルラーニングプラットフォームを用意し、令和四年度から、新宿区教育委員会と連携し、デモ運用を実施してまいりました。
このバーチャルラーニングプラットフォームについては、今までも他会派から質疑がありましたので、私の方からは割愛させていただきますが、しっかりと今後、これも展開していただくように要望させていただきます。
次に、都立高校における不登校の対応についてでありますが、都立高校の中途退学防止のためにも、入学させた生徒を最後まで責任を持って丁寧に指導していくことが重要と考えます。
不登校の生徒を支援していく上からも、オンラインを活用した学びの場の対応は重要と考えております。
都立高校では、学校に通わずオンラインを活用するなどして学習している生徒に対し、どのように支援し、単位認定を行い、進級や卒業につなげているのか、お伺いいたします。
○小寺指導部長 都立高校では、学校に通えず、自宅で学習する生徒の個々の状況に応じて、オンラインによる授業配信、一人一台端末等を活用した教材や課題のやり取り、家庭訪問による指導など、様々な工夫により、学習機会が保障されるよう努めております。
なお、現在、国において、不登校の高校生が自宅等で行うオンライン学習について、柔軟に単位を認定できるよう議論を進めていることから、都教育委員会は、国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
○たかく委員 今、答弁がありましたように、オンライン学習というのは、そもそも国の制度で、国で単位を認定できるように、今、議論が進められているというようなことが分かりました。
現在、それで、都立高校のオンラインを活用した学びの場での単位認定については、学校長の判断とされております。この学校長の判断ということも、ある学校においてはやる、ある学校においては進めない、こういったことで、統一的な単位認定の在り方の検討を進めるべきと要望させていただいて、次の質問に移ります。
次は、医療的ケア児支援についてです。
二〇二一年に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、医療的ケア児とその家族に対する支援に関し、国と地方公共団体の責務が規定されました。
私は、今年の予算特別委員会で、在宅レスパイト事業の時間拡大であるとか、また、通学に関わる福祉タクシー代を随時精算可能にする、こういったことを提案させていただいて、具現化させていただいた次第でございます。
また、修学旅行等の宿泊学習では、医療的ケア児の保護者は付添いを求められており、その際の費用は保護者負担となっておりましたが、予算特別委員会で、こうした経済的な負担を軽減すべきであると要望させていただいて、そのときの答弁では、医療的ケア児の就学に関する経済的負担を軽減していく、こういった答弁をいただきました。
そこで、この宿泊学習における保護者の負担軽減について、現在、どのようになっているか、状況をお聞かせください。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和五年度から、学校から保護者に宿泊を伴う行事への付添いを依頼した場合に保護者が負担していた経費について、家庭の収入によらず、全額を就学奨励費で負担するよう実施要綱を改正いたしました。
令和五年十月時点での実績は、二十二校六十六人について、新たに全額が就学奨励費の対象となってございます。
○たかく委員 宿泊学習での保護者付添いの経費については、家庭の収入によらず、全額を就学奨励費で負担するよう改善されたことを確認させていただきました。
本日提出された資料によりますと、令和五年九月の一か月における車両の運行状況の集計では、特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行に占める看護師乗車割合が八三・二%と出ておりました。
徐々に看護師の確保が進みつつあることは分かりましたが、今後も看護師乗車割合を上げていくこと、そして、医療的ケアのある児童等が、保護者の付添いを極力減らしながら、校外学習であるとか宿泊学習に参加できるように、体制をしっかりと整備していくことが求められております。
校外学習及び医療的ケア児専用通学車両など、医療的ケア児への支援には、その意味で看護師が必要であります。
その看護師の確保策についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 看護師の確保策について、これまで学校への募集横断幕の掲示、スクールバスへのマグネットシートを活用した募集、民間の人材紹介会社の活用などに取り組んでまいりました。
令和五年度からは、インターネットへの募集広告を開始するとともに、関係機関と連携して、就職相談会へのブース出展回数を増やすなど、充実を図ってございます。
○たかく委員 いろんな方策を取られておりますが、なかなか、やはり看護師不足、人手不足の状況は続いており、今後とも看護師確保に努めていただき、この乗車割合を増やすことができるように要望して、次の質問に移ります。
次は、強度行動障害への対応についてお伺いをさせていただきます。
強度行動障害とは、生まれ持った障害とは異なりますが、重度の知的障害を伴う自閉症の人に多く、自分の気持ちや困り事を伝える方法が分からないため、自分自身や、また周りの人を傷つけたりする行動が増えてしまう状態のことと聞いております。
私は、以前、強度行動障害のあるお子様を受け入れる障害児入所施設を視察させていただきました。また、強度行動障害のあるお子様を持つ保護者の方からも、切実なお話を承りました。
そうしたお子様が通っている特別支援学校の先生や入所施設の職員、そして保護者の方々が非常にご苦労されていることを学ばせていただき、この強度行動障害については、本当に考えていかなければならないものと思いました。
そこで、特別支援学校において適切な指導を行うことは大変重要だと思いますが、都教育委員会の認識、そして、強度行動障害の未然防止も含めた指導方法の具体的な事例についてお伺いをさせていただきます。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校における指導については、強度行動障害の特性や一人一人の状態を正しく理解した上で、適切な指導方法を選択していくことが重要でございます。
具体的には、学習の予定や手順などが抽象的で曖昧な場合には、写真や絵などを用いて視覚的に表示し、理解しやすくなるよう工夫しております。
また、児童生徒が自傷や他害などの行動を繰り返す場合には、コミュニケーションの手法として、サインやタブレットを活用した意思表示の方法等を習得するよう指導してございます。
○たかく委員 この強度行動障害のあるお子さんへの指導については、今まで強度行動障害のお子さんの対応をしてきた、例えば、しいの木特別支援学校であるとか清瀬特別支援学校などの先生方が中心となって、試行錯誤しながら現場で取り組んできていると聞いております。
この現場の教員の悩みに応えるためにも、これまで特別支援学校において培ってきた強度行動障害に関する指導のノウハウを全ての都立特別支援学校に広げて拡充させていけるようにすべきと考えておりますが、見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 強度行動障害は、自閉症との関係性が高く、これまで都教育委員会は、自閉症の指導方法について研究を進めるとともに、特別支援学校では専門家を招いた校内研修を実施するなど、指導方法の充実を図ってまいりました。
現在、学識経験者、障害児施設や特別支援学校の関係者などにより構成した検討委員会を設置し、強度行動障害の特性に着目した適切かつ効果的な指導等の在り方について検討を行っているところでございます。
○たかく委員 この強度行動障害は、後天的に生じるものといわれており、適切な支援をすれば和らぐとされる一方で、対応は非常に難しいといわれております。
特別支援学校で培った強度行動障害に関するノウハウを、しっかりと全ての特別支援学校に広げていただくことを求めて、最後の質問に移ります。
最後に、学校での薬物乱用防止の取組について伺います。
都議会で第三回定例会の公明党の代表質問でも取り上げましたが、近年、市販薬をオーバードーズ、いわゆる薬の過剰摂取をする若い世代が増加しており、若者が市販薬をオーバードーズしたことで救急搬送されるなど、社会問題化しております。
薬物使用と生活に関する全国高校生調査二〇二一の調査においては、過去一年以内に市販薬の乱用経験があると答えた高校生が、約六十人に一人の割合となっていたとのことであります。
また、東京消防庁の令和四年度での市販薬のオーバードーズに関する搬送人員では、年間搬送人員百四十三名のうち、二十歳未満の若者が五十四件と約三八%を占めており、特に若い女性を中心に依存、乱用が広がっているとのことでありました。
現在、このように、中高生の若い世代において市販薬の過剰摂取が社会問題となっております。若い世代の薬物乱用を防止するためには、学校における指導が重要と考えます。
現在の取組状況、そして、今後の対策についてお伺いをいたします。
○市川指導推進担当部長 現在、小中高等学校の児童生徒は、保健の授業において、医薬品の正しい使用方法を含めた薬物乱用による健康被害について学習しております。
また、都教育委員会は、警察職員や薬剤師等を講師に招いた薬物乱用防止教室を年一回以上開催するよう、区市町村教育委員会及び都立学校に周知しております。
今後、都教育委員会は、各学校の担当者を対象とした連絡会で、青少年の薬物乱用の現状について情報提供することなどにより、各学校での指導の充実に努めてまいります。
○たかく委員 この件は、保健医療局が中心となって、東京都では、啓発活動、規制や取締りなど総合的な薬物乱用防止対策を実施していると聞いております。
保健医療局と連携を取りながら、子供たちの薬物乱用防止に向けた対策をしっかりと進めていくことを求めて、私からの質疑を終了させていただきます。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
まず、英語スピーキングテストから伺っていきたいと思います。
昨年実施されたテストは、中学三年生の当事者、保護者、教員らから多くの批判の声が上がりました。その後、議会での質疑や、都民からの要望や申入れ、質問などが寄せられてきましたが、都教委は、どれもまともな対応をしてきませんでした。このような態度は改めるべきだと、まず最初に申し上げます。
そして、今日は、二十六日に実施が迫った今年度の中学三年生に対して行われようとしているESAT-Jについて、また、新たな事業者によって実施される年度末と来年度のテストについて伺っていきます。
まず、十一月二十六日実施予定のESAT-Jについてです。
前回も質問しました音漏れについてです。
英語スピーキングテスト、ESAT-Jにおける解決することのできない最大の問題が音漏れであり、普遍的な問題として、試験を実施してきた専門家などから指摘をされています。先ほども、他の議員から質問がありました。そして、それを克服できているという話は聞いてはおりません。
都教委は、ESAT-Jを実施するに当たり、こうした課題を解決したいということでイヤーマフを導入していますが、イヤーマフを装着する目的と効果について確認をさせていただきます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 物理的に外音を遮音することを目的としています。
カナル型と呼ばれる耳に入れるイヤホンを装着した上に、イヤーマフ、これをつけまして、ホワイトノイズと呼ばれる音を流すことで、周りの音を聞き分けることができないようにしています。
○とや委員 先ほども紹介がありましたが、音の遮音は困難だということが、この間の生徒の声でも、プレテストの中でも明らかになっています。
瀧沢部長は、昨年の決算での、今日、一緒にいますが、斉藤委員への質問には、これまでも、イヤーマフをつけることにより、周りの音が聞こえないということは実証で確認をしてきておりますと、このように答弁をしていました。
しかし、昨年、アンケートが実施され、私たちの元には、影響があったという事例が数百件、大量に寄せられ、やっている途中、前の人の声が聞こえた、結構はっきりと単語が聞こえたという証言、イヤーマフが意味をなさないほど周囲の声が聞こえた、時間差を使って解答をまねすることも可能な環境だったとか、体験したからこその証言内容を示すと、浜教育長は、解答に影響を与えるような事例の報告はないと答弁しました。瀧沢部長も、周りの会話が聞こえたとしても、聞き分けて解答することはできないということは検証しているところでございますと、このように答弁が変化してきました。
不公平な試験の状況についてのこれらの中学生の証言について、本当に誠意を持って対応してきたとはとてもいえません。
先ほども風間さんがおっしゃっていましたけれども、まるで中学生がうそをついたかのような答弁を繰り返してきたわけです。中学生本人の声を聞くべきとの質問についても、さっきも田の上さんがおっしゃっていましたけれども、その必要性はないと切り捨ててきました。
そこでお聞きしたいと思いますが、イヤーマフについて、実証は、いつ、何回行いましたか。昨年使ったものから更新をしているのでしょうか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 新たにESAT-Jを導入するに当たり、令和元年十一月から十二月にかけてプレテストを実施したところであります。その際から、イヤーマフを用いる現在の方式を取っております。
事業者は、テスト実施前に、実際にイヤーマフ等を使用した検証を行っており、テスト中に周囲の解答を聞くことは難しいということを確認をしています。
なお−−また、当然、事務局においても毎年度確認をしております。
昨年度使ったものからの更新はしておりません。
○とや委員 毎年度実施をしてきた、検証してきたといいますが、都教委の担当セクションの職員がちょっと装着してみて、隣の職員の声を聞いてみた程度と聞いています。どういう環境で実証したのか、これについてもよく分からないです。同じ環境で中学生に実証してもらったわけではありません。実験台にされた中学生の声は聞かず、職員が数人で行ったと聞いています。丁寧な対応が要求されるのに、やってこなかったのではありませんか。
この問題は、二〇一八年、平成三十年入学者選抜検討委員会特別部会、これはフィージビリティー調査の際に行われた検討部会ですけれども、ある委員から指摘されて、周りの生徒の話した英語が気になり、集中できなかったと答えた生徒が二〇%以上いたと。
入試を受検する四万人規模、この当時、四万人で考えていたんだと思いますが、その割合は一万人以上になる、一万人以上が周りを気にして集中できない状況があった場合、何度か挑戦できる検定試験ならよいが、一度しか受験できない上、入試で活用するとなると大混乱になる可能性があると意見を述べていました。そして、本番は八万人が対象となる試験であります。委員からは、限りなくゼロにしないと入試活用は難しい、そういう意見が出ていたわけです。
事務局はこのとき、改善すると答えていますが、結局、今日まで遮音は困難であり、イヤーマフをつけることによって頭痛がするとか、不快な思いをしてテストに集中できない環境をつくっているんです。
そして、その後の二〇一九年の五月の入選検でも、仕切りのある個別のブースのような場所で実施する場合と、普通の教室のようなオープンスペースで実施する場合では、隣の声が聞こえる可能性があることから、結果が異なってくるという意見も寄せられていました。教室のサイズが重要であるという意見もあったわけです。
そして、こうした声を無視して、結局、本番が昨年度行われてきたわけです。これらの懸念は現実のものとなりました。
しかも、あれだけ子供たちから意見が寄せられていたのに、昨年使ったものから改良もしていないということです。やったことといえば、十月にイヤーマフの装着方法を記載したチラシを配布したことだけです。
スピーキングテストを実際に行ってきた専門家からは、イヤーマフは時代遅れだといわれました。本来なら、イヤーマフを装着せず、三メートル以上離れて、間隔を空けて試験を行うものだと述べられていました。
一回きりの試験に初めて挑む子供たちは、緊張で張り詰めた状態です。生徒がテストに集中でき、気持ちよく試験を受けられる環境を保障すべきだったんです。しかし、都は、生徒を教室に詰め込んだんです。民間事業者に委託してやっていることですから、会場の確保や試験監督などの経費を抑えるために詰め込んだんだと判断せざるを得ません。そして、昨年のような結果が起きました。
今年は、資料をいただきましたけれども、一クラス二十八人程度と実施計画には書いてありましたが、それでも多いと思います。
さらに人数を減らして、イヤーマフの装着はやめるべきだと強く求めますが、いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 教室の中での机の配置、あるいは先ほどお話ししたカナル型のイヤホン、イヤーマフ、ホワイトノイズ、それらの対応をすることで実施するということについては、これまで計画していたとおり実施をいたします。
また、距離との関係も、そのような意見をお持ちの方もいるのかもしれませんが、何か担当者が二人で検証したというような、そういうお話もありましたが、検証は、当然ながら、繰り返し適切な方法でやってきております。
また、実際にスピーキングテストは、今、様々なテストが実際に資格、検定試験として実施されているわけですから、そのノウハウも当然生かしながら実施もしておりますし、大学等々でスピーキングテストを実施している方へのインタビューでも、新聞にも報道されていましたが、周りの音は聞こえたとしても、解答には影響ないというふうに、記事にもなっていたところであります。
ですから、実際に試験を受けたことがあったり、あるいは運営をしたことがあるのであれば、同じように実施可能だということは分かっているというふうに思います。
○とや委員 中学生ですよ。高校入試ですよ。大学じゃないんですよ。
それに、周りの音が聞こえたとしてもと、今おっしゃいましたけれども、解答に影響がないといいましたけれども、採点する側は、もしかしたらそうかもしれない。だけれども、それはブラックボックスで分からないです。
そして、中学生は、入試を受ける環境にない、そういうふうにいっているんですよ。そこの環境への配慮は全くないじゃないですか。何をいっているんですか。
子供の声も聞かず、保護者から、人数を減らして十人未満にしてほしい、そういう要望が来ていることにも耳を傾けない。受験の環境というのはとても大事だということは、皆さんの方が、私たちよりよくご存じのはずです。さらに人数を減らすこと、イヤーマフをやめることを強く求めておきます。
今年は、初めて一、二年生にテストが行われる予定です。このテストを行うのは、新たな事業者であるブリティッシュ・カウンシル。来年度からは、三年生対象のESAT-Jもブリティッシュ・カウンシルとなりますが、疑問点について伺っていきます。
都教委は、十月十七日、これまではESAT-J Pre1、Pre2としていた一、二年生が行うテストの名称をESAT-J YEAR1、YEAR2とすること、YEAR1、YEAR2のサンプル問題を十二月に、三年生が受けるESAT-Jのサンプル問題を来年二月に公開すると発表しました。
サンプル問題は、一、二年生対象のものは難易度が変わってくると思いますが、出題構成については、これまでのESAT-Jと同じ構成ですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これまでの問題をベースに考えるということはありますけれども、今、検討中でございまして、今後、サンプルとして発表していくということであります。
○とや委員 まだ検討中なんですか。
五月に発表した事業者の募集要項では、出題構成について、当面の間は、二〇二二年までに実施したテスト、つまり、現在のベネッセが行っているテストと同じ出題構成とするということを原則としますとなっています。同じ出題構成であるなら、特に三年生については、わざわざサンプル問題を公表するのが大変疑問であります。
来年度の実施に向けて提供だといっているんですが、例えば、今年度実施予定のESAT-Jについても、昨年度実施の問題、いわゆる過去問が公開されているだけです。
受験生にとってみれば、過去問により出題構成などについて知ることが可能であって、入試でサンプル問題が提供されるのは、出題構成を変更する場合だというのが通常のやり方です。
サンプル問題をわざわざ公表するのは、違う出題構成とするからですか。募集要項で同じ構成とする、同じ出題構成をするとなっているんだから、同じ出題構成なのではありませんか。
そこら辺、はっきりとお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 来年度のESAT-Jは、令和四年度までに実施したものと同様の出題構成を原則にするというふうに公表しております。詳細については、現在、検討中であります。
サンプル問題の公表については、生徒の学習や教員の指導に資することになるということで出すものであって、何かそれが変更になることと連動しているかというのは、それは邪推であって、そういうことではなく、様々な問題を提出するということは、それぞれ生徒についても教員についても有効なことだと考えて、手厚くやっているということです。
○とや委員 邪推じゃありませんよ。通常のやり方じゃないですか。それをちょっと変えているんじゃないですか。だから聞いているんですよ。
詳細はこれからということで、同じと答えられないのでは、来年度の試験はどうなるのか、受検生の不安が募ってくるわけです。
しかも、この募集要項では、同じ出題構成とするといいながら、一方で、問題数、実施時間、今日も資料に出していただきましたが、現在のベネッセのテストでは−−資料じゃないや、ごめんなさい、募集要項ですね。募集要項はもう発表されています。現在のベネッセのテストでは、大問が、大きな問題が四問であるのに対し、四問から五問にすると幅を設けています。そして、テストの実施時間は、現在は十五分ですが、十五分から三十分程度を目安としますとなっています。テスト時間が二倍となれば、同じ出題構成になるとは到底思えません。
現在のテストと違う問題形式、構成や時間などを想定しているのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今の記述は、募集要項に書かれているものであります。ですから、これから、今年度を入れれば六年間にわたる試験についての方向性を示しているわけです。ですから、若干の幅を持たせて四問から五問、あるいは、時間についても十五分から三十分程度というふうに記しているわけで、その表している心としては、五年間、六年間の間に問題を改善していく、それを縛るような、そういうことがあってはならないという観点から、よりよい様々な提案をいただくということで、このようなものにしたものであります。
多様な事業者が応募することを妨げないようにということ、それから、これまでの実施状況なども踏まえて、少し幅を持たせる中で、基本事項として定めたものであります。
それから、繰り返しになりますが、来年度のESAT-Jについては、令和四年度までに実施したものと同様の出題構成を原則とすることとしており、詳細については検討中であります。
○とや委員 私、このスピーキングテストの募集要項を拝見させていただきました。問題の幅のある問題数と実施時間の項というのは、スピーキングテストの基本的事項ということで、事業者に求めている出題方針なんですよ。出題の企画です。その中に出ているんですよ。六年間でどうするかというのは、また違うところに出ていて、ちょっとこの募集要項の構成自体、そうしたら、おかしいんじゃないかといわざるを得ません。
昨年も今年も、問題数は四問、時間は十五分です。もし五問で三十分ともなれば、同じような試験になるとは到底思えないわけですが、募集要項ではそれを許容してしまっている。しかも、同じ出題構成なら過去問で十分なのに、サンプル問題を公開する。疑念は深まるばかりです。
なぜ私がここにこだわるかといえば、来年度には問題が変わる場合、受検生が大きな被害を受けることになるからです。
通常、出題構成等、入試の内容を変更するときは、二年前には公表するというのがルールです。都教委自身も、この募集要項の中で、ESAT-Jの内容の変更を行う場合は、原則として、変更する年度の前々年度には変更する内容を東京都教育委員会と協議の上、確定しますとしているわけです。
入試というのは生徒の進路に関わる問題ですから、心構えや準備などができるように、きちんと前もって知らせることが必要ですし、二年前には公表するのが、大学などでも共通したルールになっています。
ESAT-Jの出題構成が変更になって、そのサンプル問題を二月に発表するなど、考えられない話で、被害を受けるのは受検生です。
そんなことはあり得ないですよね。もう一度、確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 そんなことがないかという、その内容がちょっとよく分からなかったのですけれども……(とや委員「じゃ、もう一回いいましょうか」と呼ぶ)じゃ、お願いいたします。
○とや委員 もう一度いいますね。ESAT-Jの出題構成が仮に変更になり、そのサンプル問題を二月に発表することは考えられないですよねと聞いているんです。
被害を受けるのは受検生なんだから、そんなことがないのなら、ないと、きちんとここでお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 問題については、今、検討している最中ですから、ここで答弁することは避けます。
ただ、我々の要項にも書いてあるとおり、様々、いろいろな配慮をする必要があるということは指摘のとおりで、認識をしています。そもそも、これは選抜のために行う試験ではありませんから、生徒たちに力を発揮してもらう……(とや委員「選抜じゃない。何いっているのよ」と呼ぶ)入試のために使うのではないというのは、いわゆる相対的な評価をするための試験ではありません。
絶対的な評価をするための試験ですから、その趣旨からいって、十分に授業の中で頑張って勉強してきてもらって、そして、その力を出してもらうことを意図しているわけですから、何か急激に変更するというような意図で行動するということはないということを、今、ここの要項でも書いていたわけですが、いずれにしても、今、検討中で、今後、予定どおり発表をしていきたいと思います。
○とや委員 この間の様々な、先ほど私が紹介した入選検の特別部会の報告や議事録を見ても、入試に使うことが目的だとはっきり述べているじゃないですか。何をいっているんですか。ごまかさないでください。
結局、今、瀧沢部長は、はっきりとしたことはいえないわけです。絶対にあり得ませんといいませんでした。もし二年前に告知するルールを逸脱すれば、都立高校入試の権威も信頼も地に落ちることになります。公平、公正なテストができなくなる可能性もはらんでいるということです。
しかも、五年ごとに事業者を選定し直すとなると、五年ごとにころころ問題が変わることになります。今年度まで行われるESAT-Jの著作権はベネッセにあり、当日の問題の土台となるデータやノウハウも、全てベネッセが持っているわけです。
新たな事業者であるブリティッシュ・カウンシルが、同じ出題構成を、問題を作り、問題を等化し、採点や評価まで行えるとは到底思えません。ブリティッシュ・カウンシルは、ブリティッシュ・カウンシルの持っている、ベネッセとは違うノウハウでやるしかないのではありませんか。それを五年ごとに繰り返すことになるわけです。
こんな危険で、受検生に不安を与えるテストは中止をする、廃止するしかありません。
公平さ、公正さを担保できないテストを入試に持ち込むのは、私たちはやめるべきだと考えています。しかし、都教委は、一度始まったテストをやめる勇気も決断もできません。昨年度以降のESAT-Jにブリティッシュ・カウンシルを選定し、結局は、また行おうとしているわけですよね。
そこで、運営費などについて伺っていきたいと思いますが、来年度の英語スピーキングテストについての予算要求額についてお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 約四十三億八千万円であります。
○とや委員 四十三億八千万円、物すごい金額です。これは来年度行われる三学年分のテストの費用ですが、内訳は出せないということでした。
では、お聞きしますが、一昨年のテストについて、ベネッセに支払った費用は幾らですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 令和三年度のベネッセの負担金は、約三億八千万円であります。
○とや委員 一昨年はプレテストが行われた年で、中学二年生が受けています。この金額は、YEAR1、YEAR2の参考になるものです。そして、今年のベネッセについては五億円です。
三・八億円を二学年分にすると七・六億円、今年のテストの分と合計しても十二億六千万円です。ブリティッシュ・カウンシルとは、かなり高額な契約をしたことになるわけです。
しかも、六年間で二百十億円を見積もっています。私たちは、この額を聞いて、本当に驚きました。なぜこんなに高いのか、何が違うのかと思いました。これは、都民誰もが感じる疑問です。
ブリティッシュ・カウンシルの見積額の二百十億円の使い道についてお答えください。
あわせて、ベネッセと比較して、かなり高い金額でブリティッシュ・カウンシルが選定されていますが、その理由をお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 六年間のテスト実施に関して必要となる作問、実施、採点などの費用であります。
なお、ブリティッシュ・カウンシルは、新たに三学年全てでテストを実施することに加え、タブレット端末などの機器の調達などが新たに必要となることから、ベネッセとの単純な比較はできないというふうに考えております。
○とや委員 ブリティッシュ・カウンシルは、これまで事業を受けてきたベネッセと違って、タブレットも自前で持ち合わせていません。だから、東京都が税金投入して購入します。仮にタブレットの費用だとしても、なぜ六年間で二百十億円もかかるのでしょうか。
今年度の二十八億円と来年度の予算要求額四十三億八千万円、これを二百十億円から引くと、残りの四年間で、毎年、平均約三十四億五千万円もの税金を投入することになります。費用の低廉化を目指していたはずが、ここへ来て、法外な価格で契約し、都民の税金を投入するということになります。
しかし、その理由について、都民にちゃんと示しているでしょうか。説明もしていません。あまりに非常識であり、ここまでして実施する事業なのかといわざるを得ません。これだけ多額の都民の税金を投入するのであれば、納得のいく説明があるべきではないでしょうか。
都教育委員会として、都民に対して説明責任を果たし、理解と納得を得るべきではありませんか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、グローバル人材の育成を目指して、英語力を基礎に、様々、国際理解、多文化共生の理解等々を育成するために、多様な、様々な取組に取り組んでおります。スピーキングテストは、その中の位置づけの一つであります。
これまで三十年来、英語については、いわゆる四技能を総合的に育成するということで指導が行われてきているわけですけれども、その中でスピーキングだけは、入試で直接評価することができないという状況が続いています。
しかし、世界的に見ても、歴史的に見ても、英語といえば四技能のテストであるのは、これはグローバルスタンダードであり、日本だけがそれがない試験にこだわるということはぜひ打破したいというのが、これまでの議論のベースにあったというふうに思います。
生徒の中にも、スピーキングが得意だ、覚えたり読んだりすることは苦手だけれども、話すことは得意だという生徒もたくさんいるわけで、そういう生徒をぜひきちんと評価してあげたいというのが、現場の教員、そして、私たちの共有する認識であります。
そのために実施しているわけでありますので、それについては、これまでも説明をしてきたところですし、ここの場でも繰り返しいってきたことだというふうに思います。
○とや委員 税金投入の内容について、なぜなのか、納得いく説明をしてくださいといっているのに、過去の経緯から今までのことを話しているだけじゃないですか。そういう説明はやめてください。
やっぱり、ちょっと常軌を逸しているといわざるを得ないですね。都民からも、そういう声がたくさん来ていますよ。そこは、ぜひ認識しておいていただきたいと思います。
次に伺いたいのが、ESAT-J受験者の解答音声データの提供についてです。
これは、今年度も、次の年、来年度もおやりになるというふうに聞いていますが、先ほども二人の委員から質問がありましたが、九月十五日のこの委員会で取り上げたとおり、ある生徒に開示されたものは、四十秒間解答したのに、開示された音声はたった十一秒。しかも、そのほとんどは、言葉として聞き取れないものでした。これで提供したといえるのか。
音声データについては、保護者の前で聞いてほしいと要望が上がっています。そして、英スピ議連からも申入れをしました。しかし、今もって、瀧沢部長は拒否したままとなっています。
都民や都議会に対し、こんな対応をしているのは、グローバル人材育成部英語スピーキングテストの部署だけです。生徒が目的にかなった音声データを受け取ることができたのか、確認するのは東京都の責任です。
そこで確認をしますが、今年度のESAT-Jについても、受験した生徒の音声データが開示されることになっていますが、音声データの提供の目的について伺っておきます。余計なことはいわないでくださいね。
○瀧沢グローバル人材育成部長 一応、正確を期すためにですけれども、開示請求による音声ではなく、私たちが音声提供している音声データのことだというふうに解してお話をいたします。
受験者本人が、話した内容を解答例と照らし合わせて、よりよく相手に伝えるために気をつけることや、使うとよい表現を考えるなど、今後のスピーキングの力の向上に活用するために、それを目的として実施するものであります。
○とや委員 話した内容を解答例と照らし合わせる、話すことの力の向上に活用するということです。
データの提供は、昨年、当初にはなかった計画で、追加で覚書を結びました。ベネッセと音声データの提供支援業務の契約を結んでいます。
では、お聞きしますが、今年のESAT-J音声データの提供について、責任の主体は東京都ですよね。また、音声データの提供支援業務の流れにおいて、役割分担と責任分担、これも昨年度と同じかどうか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 音声データの提供は、スピーキングテスト実施主体である都教育委員会が行うものであります。
具体的な業務の流れにおける役割、責任分担は、昨年度と同じであります。
○とや委員 同じ責任体制でやっているということであります。
先ほど、田の上理事の質疑の中で、全件確認をしているのかというような趣旨の抽出データについての質問に対し、サンプル音声により確認をした、そして、全件確認が必須とは考えていないというご答弁です。
しかし、東京都の責任で行っています。そして、個人情報の保護についても抵触するおそれがあるわけです。そういったことを考えるならば、全件データを都教委が確認するのは当たり前です。
なぜ全件が必須と考えていないのですか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、音声データの提供を適切に行うことが可能であるということを、必要数のサンプル音声によって確認をしております。
手順や録音状況の確認はできており、全件確認が必須というふうには考えていません。
○とや委員 個人情報が入っている、いろんな子の音が入っているかもしれない、それは、あなた方も認めているんですよ。それを一件一件確認して、目的の子供の声だけを抽出しなければならない作業です。そこにほかの子の声が含まれていたら、それはそれで問題でしょう。だから、全件確認する必要があるわけでしょう。何で、流れについて確認したから、だからいいんだといえるんですか。
ちょっともう一回、お答えくださいよ。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になりますが、都教育委員会は、音声データの提供を適切に行うことは可能であるということを、必要数のサンプル数により確認をしております。
その作業については、事業者が適切に行っているというふうに考えており、全件確認が必須とは考えておりません。
○とや委員 実施計画の中で、事業者が行うのは提供の支援業務だけです。責任は東京都にあるんです。だから、その文言を見ると、事業者は、あらかじめ東京都の承認を得るものとする、了解を得るものとすると、はっきり書いてあるんですよ。
それなのに全件確認をしない。これはもう東京都が責任放棄をしていると。これで何か起きたら、どうするんですか。
瀧沢部長は、前回の質疑で、問合せは一件もないといいましたが、ちゃんと確認していますか。保護者は、都教委に電話しても、がちゃんと切られる、後でかけ直すといってもかかってこない、うそまでつかれています。
音声データについては、記者会見して報道もされて、そして、英語スピーキングテストに関心がある人で、このことを知らない人はいません。しかも、四十二名の議員連盟を通じて、保護者の前で聞いてほしいと正式に要望しているんですよ。
保護者の前で聞くべきです。いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 いわゆる提供されている音声は、いわば筆記の試験であれば答案に当たるものであります。それは、高校生になっているんでしょうけれども、その生徒の答案に当たるものを、本人ではない大人が扱うということ自体は不適切であるというふうに判断いたします。
その内容については、本人しか確認できない部分、本人がいっていることでありますから、それを周りで判断するということ自体が不適正であって、それを聞くということも、目的から照らして必要ではないというふうにいっています。繰り返しになりますけれども、それは採点に使った音声とは違うものであります。
時間が何十秒中何秒という話もありましたけれども、それ自体も確認のしようがないわけで、それをみんなで聞いて何か判断するということ自体、適切であるというふうには考えていませんので、それについての答弁は差し控えたいと思います。
○とや委員 保護者も本人も了承を得て、保護者があなたに聞いてほしい、教育長にも聞いてほしいと、そういうふうにいっているんですよ。いつまで逃げているんですか。聞いていないとか、その必要がないとか、個人情報だとか、そんなことで逃げること、許されないですよ。この問題はまだ終わっていませんから。はっきり申し上げておきます。
この質問の最後に申し上げますが、瀧沢部長が議連の申入れに出席を約束したにもかかわらず、何の断りもなく欠席をしました。行政の管理職に就く者として、議会との関係において、あるまじき態度です。その後も謝罪もありません。教育者としても問われます。このような態度は改めるべきだと厳しく指摘をして、次の質問に移ります。
中学生の部活動と教員の関わり方などについて伺います。
部活動の歴史はとっても長く、一八八〇年代に遡るということを知りました。いろいろ経緯があって今に至っているわけですが、多くの子供たちが部活動に参加し、目的を持って、目標を持って活動をしています。
一方で、ブラック部活といわれるように、子供の自主性を後景に追いやって、命まで奪われるような問題もあります。
同時に、教員の負担も大きく、学校から部活を切り離すというだけでは解決しないこともぜひ認識していただいて、生徒や保護者、教員など関係者の議論が重要だと思います。
部活動の主人公は、何といっても子供です。まず、このことについて、都の認識を伺います。そして、子供を中心に据えて子供の意見を聞くことを提案しますが、いかがですか。
また、現場の教員の皆さんの負担についても、直接、話を聞くべきです。併せてお答えください。
○浜教育長 今のご質問の前に一言、瀧沢部長の名誉のために申し上げます。
何の証拠もないことを、行き違いがあったのかもしれませんが、お約束はしていない、何の証拠もないことについて、一方的に、個人的に、個人名を挙げて非難をするのは不適切と思いますので、ここは抗議をさせていただきます。
○とや委員 委員長ね、私、もう既に違う話をしているのに、教育長は全く違うことをいいました。これは、議会の運営上、おかしいです。こんなこと、誰だって許されないですよ。だめだよ、そんなことしちゃ。何いっているんですか、教育長でしょう。(浜教育長「いわれっ放しで反論ができないということですか」と呼ぶ)そういう話じゃないでしょう。こっちは、ちゃんと証拠もあります。しかも、私、もう部活の話をしているんですよ。(浜教育長「個人の名誉に関わること……」と呼ぶ)何をいっているんですか。
そういう、その、何というかな、教育長が感情的になって、それこそ、あなただって証拠もないでしょう。私は持っていますけどね。それなのにそんなことをいう。おかしいでしょう。(浜教育長「一方的に……」と呼ぶ)
○藤井委員長 発言は指名後にお願いいたします。
○とや委員 ほら。やめてください。(瀧沢グローバル人材育成部長発言を求む)やめてください。私、今、もうね、部活の話をしているんです。委員長、もうやめてくださいよ。
○藤井委員長 そのまま質疑を……
〔「発言中だよ、議員が。委員が発言中だよ、今」と呼ぶ者あり〕
○とや委員 そうですよ。もう部活の話をしているんですよ。時間がないんだから。
部活動は、生徒の自主的、自発的な課外活動−−そうだ、これ、答弁してもらっていないんですけど。負担についても、直接、話をすべきですと、併せてお答えくださいって、私、聞いているのに、何で違う人が答えるんですか。
○市川指導推進担当部長 部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により行われる課外活動と捉えております。
都教育委員会は、昨年七月から部活動検討委員会を開催しておりまして、その構成員である中学校長や保護者代表等を通じて、生徒や教員の意見を把握しております。
○とや委員 本来、部活動は、生徒の自主的、自発的な課外活動、そのとおりだと思います。しかし、そうはなっていない現実も一方であるわけです。
例えば、サッカーで部活をやっている子は、せめて月に一日か二日休みがあれば、もっと頑張っているのにとつぶやいていました。しかし、一方で、こうしようと考えていたことが試合中に生きたことが楽しい、ふだんの練習の成果が発揮された瞬間ともいっていると聞きました。こうした子供の声を直接聞いていただきたいと、私、申し上げたんです。
東京都こども基本条例は、子供の意見表明と施策への反映の項、第十条で、東京都は、子供を権利の主体として尊重し、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとすると定めています。この条文を遵守するなら、子供の意見を聞くべきです。
さらに、この間の過熱化、体罰、暴言などへの反省は欠かせないと思います。
そして、今日の問題を引き起こした一番の問題は、教員の負担が大きく、限界を超えたことです。授業準備や気になる子供のケア、自身の家庭のことなどに加えて、時間外勤務が前提の部活動顧問の負担はあまりに深刻です。
まず、問題の解決には、教員に部活動を強要しないこと、教員以外の部活動指導員の待遇を改善して確保することが必要です。いかがですか。
○市川指導推進担当部長 都は、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないという国の方針を踏まえまして、本年三月に学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画を策定いたしました。
都教育委員会は、この計画を踏まえまして、地域のスポーツ、文化芸術団体や大学と連携を図り、都内公立中学校における部活動指導員の確保に努めるとともに、国の基準に基づき、報酬の一部を補助しております。
○とや委員 生徒の部活動を抱えているのは教員です。こうした課題を解決するために、地域連携や地域移行が検討されてきたんだと思いますが、副校長会などからは、地域移行といっても、地域でかなり格差があり、指導員不足など受皿の問題など、簡単に移行できるものではないという声が上がっています。
部活動の地域移行は、子供、保護者、学校や地域の関係者の合意を前提に、慎重に検討することを求めます。いかがですか。
○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、部活動検討委員会において、地域の実態に応じ、部活動の地域連携、地域移行が円滑に進められるよう、継続的に検討を重ねてまいります。
○とや委員 関係者からは、地域移行による部活動の有料化、自己負担が増えることなど、混乱と破綻など懸念の声も寄せられています。
国は、地域連携、地域移行に向けた実証事業において、参加費用負担の支援等について検証していると聞いていますが、都としても、こうした懸念にも応えられるよう求めておきます。
部活動に関連して、教員の異動についても伺います。
優れた部活動実践に取り組む先生が異動してしまうと、子供だけが取り残される、こうした事態も起きています。
都は、教員の異動についてルールを設けていますが、どのようなものでしょうか。異動の特例と併せて、一般教員と主幹級教員、それぞれお答えください。
○吉村人事部長 都教育委員会は、都全体の教育水準の向上を目指して適材適所の配置を行い、教育活動を活性化することを目的として、定期異動実施要綱を定め、教員の異動を実施しております。
この要綱において、教諭、主任教諭及び主幹教諭は、いずれも、原則として、現任校において引き続き三年以上勤務する者を異動の対象とし、六年に達した者は異動するものとしております。
ただし、現任校における勤務年数が六年に達した者であっても、学校経営上、次年度も勤務させることが必要であると都教育委員会が認めた者につきましては、異動の対象としておりません。
○とや委員 都内では、部活動を頑張りたいという生徒が、学校での取組を聞き、わざわざ遠くから通学してくる生徒もいると聞いています。しかし、都の決めた異動ルールによって、先生が他の学校へ異動になると、生徒の希望に応えられない、部活そのものの存続も危うい状態になると聞きます。
機械的に異動させるのではなく、教員の希望や学校の状況を勘案し判断すべきですが、いかがですか。
○吉村人事部長 都教育委員会は、各学校の学校経営計画に基づく人事構想などを把握した上で、都立学校全体の人員配置や人員育成の観点から総合的に検討を行い、教員本人の希望も考慮した上で、異動の有無を決定しております。
○とや委員 部活の指導ができる顧問がいることで、例えば、文化、スポーツ推薦で入学してくる生徒もいます。部活動を頑張りたいという生徒のニーズに対応している学校は、それ自身が特色としてあって、生徒の進学先を選択する際の判断材料にもなっています。ところが、異動ルールを優先すると、生徒は、はしごを外されたような状況になるのではないでしょうか。この点も受け止めていただきたいと思います。
その上で、結果的に部活動を指導していた顧問の先生が異動となったとしても、生徒や保護者の納得を得ること、引継ぎを十分すべきです。都の対応を伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、都立学校全体で、それぞれの部活動の指導が可能な教員の人材情報を管理しており、異動があった場合、各学校の人事構想に基づき、必要な教員を配置するようにしております。
各学校において、異動の対象となる部活動の顧問につきましては、年度の早期に、校長が面談等において、本人が次年度の異動対象であることを伝え、校内の指導体制の引継ぎに向けた準備に取り組ませることとしております。
また、部活動が盛んな学校の入学説明会や保護者会において、保護者や、これから志願する予定の生徒に対し、部活動の顧問は異動により替わる可能性があることを、あらかじめ伝えることとしております。
こうした取組によりまして、部活動が継続的、安定的に行えるようにしております。
○とや委員 中学の三年間で部活動を頑張ってきた子供たちが、経済的理由で私立の部活動が盛んな学校を諦め、都立高校に入学する場合もあります。こうした生徒の思いにも、都立高校は応えてほしいと思います。
ある先生は、生徒の部活動の経験が教員志望へとつながるケースも多く存在し、このような動機で志望した生徒は、熱意ある熱心な教員となるのではないかと見解を述べています。部活動の教育的意義を考えていただいて、六年間の異動ルールについては、柔軟性を持って対応していただけるよう求めます。
そして、部活動顧問をしていた教員が異動となった後でも、生徒がこれまでどおり部活動ができるよう、引継ぎをしっかりとしていただけるよう重ねて求めて、質問を終わります。
○西崎委員 私からは、まず初めに、コミュニティスクールについて、少しだけ伺います。
学校運営協議会を設置して、地域の学校として運営をしていくというコミュニティスクールでありますけれども、ある意味では、古くて新しい課題なのかなというふうに思っております。
日本におきましては、二〇〇〇年代前半頃から、少しずつ、本当に少しずつ歩みを進めてきておりますが、一方で、二〇一七年からは、法改正により、小中学校が学校運営協議会を設置することが努力義務化をされたということでございまして、こうした流れを受けて、設置校というものは増えてきているのかなというふうに認識をしておりますけれども、まず初めに、都内小中学校のコミュニティスクールの設置状況について伺います。
○岩野地域教育支援部長 都内区市町村立小中学校の導入状況につきましては、令和五年四月一日現在で、七百六十八校、導入率四一・一%でございます。
○西崎委員 ありがとうございます。全国に比べると、若干、割合が低いような受け止めはありますが、そういっても大差はないということで、現状をお聞かせいただきました。
実は、私の地元の目黒区でも、二〇二五年度から設置をしていこうということが表明をされて取り組んでいるところでございますが、一方で、実は、この目黒区では、二〇〇八年度から二年間、モデル実施校として二校で導入したという時期がありましたけれども、いってしまえば、最後の検証で挫折をしたということで、その後、広がりが止まっていたという状況にございました。
もちろん、都内、また全国的に見ても成功してきているというところもある一方で、地域によって様々な事情があるということも事実かと思います。
もちろん、そもそもの導入の判断、それを実施していくことというのは、設置者である区市町村が行うというものでありますけれども、一方で、この支援というものも重要になるのかなと思っております。
そこで、区市町村のコミュニティスクール設置に対する都の支援について伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、区市町村に対し、コミュニティスクールの推進体制を構築するための経費の一部の補助と併せ、導入事例や優れた取組等を紹介する研修会の開催など、区市町村立小中学校における導入の支援をしております。
○西崎委員 実際の具体的な補助金であったり、研修会も、都として研修会を行っているということでございます。
先ほど、四四・一%でしたか、四一・一%か、失礼いたしました。ということで、努力義務になってから、今、六年がたつところですけれども、都内でも、まだ半数以上が残されているということでございます。
繰り返しにもなりますが、学校の立地であるとか、その地域性、区市町村の教育委員会の考え方であったり、現場の先生方の問題であったり、様々なリソースによって、一か所で成功したものがそのままほかの場所で成功するというわけではないというのが、なかなか難しい点なのかなと思っておりますし、だからこそ、二〇〇〇年代前半からのこの二十年の歩みというものも、緩やかに進んできたのかなと思っております。
私の地元の目黒区でも、これは区内全校に広げていくという考え方を示しているところでありますし、また、恐らくは、ほかの地域でも、今後、徐々に加速をしていくものかと思います。
繰り返しになりますが、基本は、区市町村、設置者の取組であるということであろうかと思いますが、東京都にも役割を果たしていくということを求めたいと思います。
次の質問に移ります。
ここからは、私のライフワークであります子供の事故予防という観点から、学校における事故の防止について伺ってまいります。
ちょっと初めに問題意識を明らかにしておきたいと思いますので申し上げますが、いわゆる子供の事故件数というものは、重大な事故は減っていますけれども、例えば実際の都内の救急搬送件数というものを見ても、これは減っていない。むしろ、若干増えているというような状況にございます。
対照的なのが、例えば交通事故でいったら、これは明らかに件数が歴史的に減っているということがございますので、明確に違いが出ているわけです。
これは何でかというと、理由は明らかでして、例えば交通事故であれば、徹底的に原因を分析して再発防止策を、例えば、それが道路の問題なのか、交通ルールの問題なのか、車両の問題なのか、そうした分析をして実際の再発防止策を講じるということがこれまで重ねられてきて、件数が減ってきたということです。
しかしながら、子供の事故というものは、監護者に責任をある意味では押しつけて、具体的な対策をおろそかにしがちだったということ、このことが子供の事故の件数が減っていないという数字に結びついているというのが私の問題意識でございます。
典型的な例が、これは東京都の教育委員会にも関わる話なのかもしれませんが、都内の小学校、二〇〇八年に杉並区立の小学校で発生をした事故でありまして、六年生の男児が屋上の天窓から転落して亡くなるという大変痛ましい事故が、十五年前でありますけれども、発生をいたしました。
実は、この事故が起こったときに報道がされましたけれども、この事故が起こる前にも、そうした天窓から転落をするという事故は、全国で繰り返し発生をしていました。その中で、またこの杉並区で起こってしまったというわけです。
このときは、当時の校長先生と担任の先生が責任を問われて、罰金刑まで確定をしています。
一方で、文部科学省は、全国の学校に通知は出したのですけれども、注意喚起の通知を出したのですけれども、具体的な対策を徹底するということが取られなかったために、この僅か一年半後の二〇一〇年の四月には、今度は鹿児島県の小学校で天窓からの転落事故が発生をしています。
こういうことをもう変えていきましょうよ、具体的な対策を取っていきましょうよというのが私の問題意識でありますので、これに基づいて質問をさせていただきたいと思います。
特に子供の事故につきましては、見ていなかった親が悪いとか、目を離した先生が悪いとか、だから、次からはもっとちゃんと見るようにしましょうという話になりがちですけれども、それでは防げないというのが現在の専門家の常識であるかと思います。
まして、東京都が子供政策強化の方針の中で、子供の事故予防については、ずっと子供から目を離さないことは不可能という前提に立って、変えられるものを変えていこうと打ち出しているわけでありまして、この考え方を教育委員会も含めて全庁的に共有していくということは、極めて重要であると思います。
そこでまず、安全教育推進校について伺いたいと思います。
これは子供に限りませんけれども、事故予防であったり、傷害予防の原則として、三つのE、エデュケーション、教育と、エンバイロンメント、環境や製品、そして、エンフォースメント、法制化というものがあるといわれております。
そのうちの一つがエデュケーション、これは、必ずしも子供だけを対象にした概念ではございませんが、子供たちに発達段階に応じた安全教育を実施するということは重要であると考えます。
都教委は、安全教育推進校として、今年度、十二か所を指定しているというふうに聞いておりますけれども、この安全教育推進校で具体的にどのような取組が行われているのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、全ての学校において安全教育が適切に行われるよう、先進的な取組を行う小中高、特別支援学校を安全教育推進校として指定し、その実践や成果の普及を図っております。
例えば中学校では、生徒が地域の消防団や町会等の協力を得ながら避難所運営を体験したり、高等学校では、生徒会が中心となって、警察と連携し、自転車用ヘルメットの着用を呼びかけるチラシを配布したりしております。
○西崎委員 消防団や町会であるとかの、場合によっては警察などとも連携し、実践的な活動をされているということでございました。
子供の安全は大人が責任を持って守っていくというのが第一ではありますけれども、やはり安全教育の観点から、子供たちが危険に気づく、危険を見つけるという能力を養うことは、将来を考えたときにも有効であると思います。多くの事故は防げるという考え方を取ることは、非常に重要だと思います。
それでは、次に、この安全教育推進校で、今もおっしゃっていただいた様々な取組があろうかと思いますけれども、この成果、これをどのような横展開、どのように普及をしているのかというところについて伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、安全教育推進校で行われている事業を他の学校の教員に公開するとともに、多くの実践事例を、災害安全、交通安全、生活安全などに分類して分かりやすくウェブサイトに掲載するなど、成果の普及を図っております。
○西崎委員 恐らく結果発表というものもあるんでしょうけれども、それ以外にも実践事例のウェブ公開など、展開を図っているということでございます。
これは恐らく、制度上、二年ずつ更新されていくというものになろうかと思いますので、これは、やはり重要なのは、同じようなことが今度は別の場所で行われるというだけではなくて、新たに指定をされるところが、年々、その取組が進化、バージョンアップしていくということが理想的になるかと思いますので、ぜひこの情報共有をしっかりと進めていただきたいということを申し上げておきます。
次に、こうした実施、実践の研究の成果というものを蓄積していくことも含めて、東京都は安全教育プログラムというものを作成しているかと思います。
まず、この安全教育プログラムの概要と、また活用方法について伺います。
○小寺指導部長 デジタル指導資料、安全教育プログラムは、学校における安全教育の基本的な考え方や、様々な場面を想定した避難訓練の具体的な事例などを掲載した教員向けの実践的な指導の手引でございます。
各学校では、職員会議や校内研修などにおいて、これを活用し、安全教育に関する指導の充実を図っております。
○西崎委員 教員の皆さんの指導の手引として、安全教育を充実するということを目的に作られているということで、活用されているということでございます。
この中では、生活安全、交通安全、災害安全という、先ほどもちょっとおっしゃっていただきましたけれども、安全教育の三領域で、それぞれ指導する事項というのが細かく示されています。
この中を細かく見ていくと、小学校の生活安全の中において、フィールドワークによる実践的な授業ということにも言及をされています。実は私、以前、香川県の小学校で行われた安全授業の取組ということを学んだ経験がございます。これは、子供たちが自分たちの学校の中の危険箇所を探し、情報共有をして、危険マップを作るというような取組でありました。
これ、身近な校舎に潜む危険を探すというのは、まさに実践的な取組だなと思って注目をさせていただいたところでありますけれども、この安全教育プログラムにも小学生のフィールドワークということが示されているわけでありますが、この小学生のフィールドワークの取組と効果について見解を伺います。
○小寺指導部長 安全教育プログラムには、地域で起こる犯罪等を回避し、安全に行動できるようにするための小学校の実践事例を掲載しており、各学校では、これを活用し、児童が通学路や通学区域の公園等を実際に歩きながら危険な場所がないかを考える活動等を通して防災意識を高めているところでございます。
○西崎委員 今、どちらかというと、防災とか防犯とか、そういうような観点からの見解をお示しいただいたかと思いますけれども、やはり事故予防でも、もちろん同様の考え方になろうかと思います。
重要なのは、私、ABC理論と呼んでおりますけれども、先ほど触れたように、変えられるものと変えられないものというものをしっかり区別をして、その上で変えたいものを変えていこうという、こういう考え方を子供たちに理解をしてもらって安全教育を進めていくということが重要であろうかと思っています。
その上で、もう一つ、安全教育プログラムの中から細かい点を伺いたいと思いますが、生活安全における必ず指導する基本的事項と様々示されておりますが、この中に、海や川に行くときの言及がなされているわけでございます。
これ、水の事故というものも、やはり減っていないという状況がございまして、本年、二〇二三年の夏期、七月と八月だけで、東京都は、全国最多の三十一件、十八名が亡くなっているという状況にございます。これは子供だけじゃないですけれども、そういう状況がございます。
そう考えると、都教委として、海や川の危険性を伝えるという教育をきちんと行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、児童生徒が野外で安全に活動できるようにするために、海や川には保護者や水泳の熟練者と一緒に行くことなどを安全教育プログラムに示し、学校で繰り返し指導を行うよう促しております。
○西崎委員 今、一例として挙げていただいたので、ちょっと全容がどうかというのはあれですけれども、保護者と一緒だったり、きちんと泳げる人と一緒でも、やはり事故というものは発生をするかと思います。
いわゆる事故全体で見ても、子供の不慮の事故死というもの全体で見ても、屋外での溺水事故というのは、常に上位に位置をしています。これを防ぐのに有効なのが、やはりライフジャケットだと思っています。この着用の有無で生存率に大きな差が出るということは、もうかねてから指摘をされているところでございます。
今、海や川での活動に関する安全教育の中では、このライフジャケットについては特に触れられていなかったのですけれども、私、二年前の一般質問で伺った際には、国の資料を配布するなどして、各学校でライフジャケットの着用などを子供に伝えているというような見解も示されていたところでございますし、また、そのときも申し上げましたが、二〇一九年には、当時の生活文化局の調査でも積極的な着用を呼びかけているということがございました。
そこで伺いますけれども、これは改めて伺うことになりますが、学校の校外活動等で川や海で活動する場合、ライフジャケットの着用を義務化すべきだと考えますけれども、見解を伺います。
○小寺指導部長 各学校では、校外学習において川や海などで活動する場合には、水難事故の防止のために、十分配慮して実施しております。
都教育委員会は、河原等で活動する際には水につからないなどのルールを設定する、船の上での活動の際は児童生徒にライフジャケットを着用させるなど、安全対策の徹底について安全教育プログラムに示すなど、学校の取組を支援しております。
○西崎委員 様々、十分配慮しているということでありましたけれども、船の上でライフジャケットを着用させるというのは、そもそも義務でありますから、当たり前だと思います。
水につからないなどのルールということもありましたけれども、これは、やはり想定外というものをいかに考えていくかというのが重要かと思います。例えば、足を滑らせたり、どこかから落っこちたりして川の深みにはまるということも考えられますし、もしくは、川であれば、上流で天候が急変をして鉄砲水が押し寄せてくるという事故も過去には起こっているわけでございますので、ライフジャケットの着用を求めないというのは、ちょっと認識が甘いんじゃないかなと、これは常々指摘をさせていただいているところでございます。
一方では、子供にはライフジャケットは大事だと伝えているということですけれども、実際に海や川で活動する場合には着用しなくていいよということであれば、整合性が取れないと思います。
このライフジャケットを着用するルール設定というのは、先ほどの3Eでいえばエンフォースメント、法制化ということでありますけれども、判断で変えられるものであろうかと思います。
他県の取組を見ると、自治体としてライフジャケットのレンタルをするというような実施例も出てきておりますので、こうした事業も視野に検討を進めていただくということをこの場では求めたいと思います。
次に、熱中症対策について、一問だけ伺います。
地球沸騰化ということも表現をされる時代になりましたけれども、子供の熱中症による事故というものは、実は、相当以前から発生をしてきて、亡くなる方であるとか、重い障害が残るという事例も確認をされてきたところでございます。
その中で、災害級の暑さと近年指摘をされる中で、その対策や予防策というものは、スピード感を上げて進んできたものと思います。
都は、かつての体育・スポーツ活動中の熱中症予防マニュアルから発展するような形で、昨年、二〇二二年に熱中症対策ガイドラインというものを策定したかと思います。
これがどのように活用されているのか、伺います。
○市川指導推進担当部長 各学校では、熱中症ガイドラインに基づきまして、体育活動や校外学習を実施する際に、必ず暑さ指数を計測し、実施について判断するとともに、熱中症警戒アラート情報の入手に努め、適切に対応しております。
○西崎委員 今の中では、実施について判断という点が私は非常に重要だと思っておりまして、危険であれば中止するということかと思います。
私、今年、実は、子供のスポーツに関わる指導者や保護者の皆様への調査というのを独自に、熱中症に関して行ったのですけれども、当然、皆さん、熱中症の危険性は認識をしているんですけれども、じゃ、例えば、熱中症警戒アラートが発令をされたときに活動を中止しようというこのルール設定まで至っていないという事例が、非常に多く確認をされました。
やはり、こういうことを考えると、昨今の災害級の暑さというものは、ABC理論でいえば変えられないものであろうかと思います。なので、今、お示しもいただきましたけれども、それ以外の変えられる要素、暑さへの備えであったり、そもそも実施するかしないかの判断というようなものは変えられるわけでありますから、危険側の想定に立って行うということが必要であることは、改めて指摘をさせていただきたいと思います。
次に、ここからは、ハード面から学校での事故予防について伺ってまいります。
都立学校においては、定期的に施設及び設備の安全点検を行うこととされておりまして、これについては、全ての学校で実施されているものと承知をしております。
その場合、これまたほとんどの場合は、点検のチェックのための表というものを作成して臨まれていることかと思いますけれども、じゃ、都教委の方で、それぞれの都立学校の安全点検について、点検表の内容とかは把握しているものなのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立学校におきましては、今、委員からお話のあったとおり、法令に基づき、各学校が、それぞれの学校種や施設環境等を考慮の上、必要な安全点検を行っております。
点検の項目、内容としましては、教室の床や窓等の破損、戸棚の転倒や照明器具の落下、プールや運動場の危険物等での項目があり、各学校において適切に対応しているものと認識しております。
○西崎委員 今、少し具体的な点検の項目であるとか内容というものもお示しをいただきましたけれども、基本的には各学校による対応ということですので、把握を必ずしもしているというわけではないということかと思います。
一方で、学校の施設や設備に起因する事故というものが全国で繰り返し発生をしているということに鑑みると、本当にそれで大丈夫なのかなという疑問がございます。
そこで、特に、今年の三月、消費者安全調査委員会が公表した調査によりますと、この点検表の質に関する問題点が指摘をされているということでございます。
この調査では、実際の点検表、これを取り寄せて分析、調査をしたということでございますけれども、例えば、その点検項目が、教室だとか家庭科室などとあまりに大ざっぱである事例であるとか、もしくは、窓、床となっているけれども、じゃ、窓とか床の何をチェックすればいいのか分からないという事例、果ては、そのチェックすべき項目が、黒板の汚れのように危険性の低い箇所を点検項目にしていた例とかが実際にあったということが指摘をされています。
こうしたことを受けて、この調査報告では、労働安全分野におけるリスクアセスメント等の知見を参考とした改善が必要であるというふうな指摘を発しています。
そこで、都立学校の安全点検の改善について見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 各都立学校におきましては、先ほど答弁した法に基づく安全点検を行うとともに、他の自治体での事故事例を基に国から発せられる注意喚起の通知等を踏まえて、適宜、点検内容に加えるなどの改善を図っております。
点検の内容でございますけれども、今、具体が書いていないというあれで、ちょっと私も幾つか、気になって見てみたのですけれども、それなりに具体的な、都立学校では書かれているということを、ちょっと併せて申し上げておきます。
○西崎委員 ありがとうございます。補足の情報もいただきまして、基本的には、適宜、改善も見ているよというようなお答えだったかと思います。
今、最後に付け足していただきましたように、様々な項目ということもありますけれども、そうしたものも含めて、現在、文部科学省で学校安全の推進に関する有識者会議というものが開かれておりまして、この点検項目というものを含めて広範な議論や検討がなされているところということで、年度内には取りまとめを行うということも耳にしております。
今後、これに注目をしていただいて対応していくということはもちろんでありますけれども、やはり現時点で、学校施設、設備というのは、子供が現に今使っているものでありますから、先ほどの消費者安全調査委員会に指摘された様々な観点を踏まえて、効果的な安全点検が行われるということは常に注意をしていただきたいと、この場では求めさせていただきます。
その上で、第三定例会でも、かかりつけエンジニアというものを提案させていただきましたけれども、外部人材の活用というものも視野に入れていただきたいということを要望させていただきます。
次に、具体的な安全対策について伺ってまいります。
かつて、大阪の地震で小学校のブロック塀が倒壊をし、下敷きになった小学生が亡くなるという大変悲しい事故がございました。
これは非常に話題となりまして、全国的にも、対策がそれ以降、進められていると承知をしておりますし、東京都でも取組が進められてきたと思いますけれども、都内の公立学校におけるブロック塀等の安全対策、これの実施状況について伺います。
○村西都立学校教育部長 平成三十年の大阪北部地震によるブロック塀倒壊事故を受けまして、都立学校においては、現行法規に適合しない塀や著しい破損のある塀の安全対策を実施してまいりました。
安全対策が必要な都立学校二十八校のうち、令和四年度末までに十九校の安全対策を実施しております。
区市町村立学校のブロック塀等の対策につきましては、全ての学校で安全確保の対策が実施されていることを確認いたしております。
○西崎委員 最後のところで、区市町村立の学校では、全ての学校で安全対策が実施をされているということで、一方で、都立学校では一部が残されているということで、少しお聞きをすると、隣接する地権者の方との調整の問題など、様々なケースがあるというふうにお聞きをしておりますけれども、ぜひ全ての学校で完了するよう取り組んでいただきたいと思います。
同じような観点から、学校における遊具などの安全対策事業も行われているということをお聞きしておりますけれども、都内公立学校の遊具等の安全対策、この実施状況について伺います。
○村西都立学校教育部長 昨年度実施しました都立学校における遊具等の安全点検の結果を踏まえまして、今年度、必要な修繕や撤去を行うこととしております。
都立特別支援学校におきましては、修繕等が必要な十一校のうち九校が施工済み、または現在施工中であり、都立高等学校等におきましては、修繕等が必要な三十二校のうち三十校が施工済み、または施工中でございます。
区市町村立学校の遊具等につきましては、学校が法に基づく点検や必要な対策を行い、安全確保が図られております。これに加えまして、今年度実施している区市町村立学校における遊具等の安全対策支援事業も活用し、速やかな安全対策における取組を進めております。
すみません、先ほどのブロック塀の都立学校につきましては、今後も計画的に、今現在、進めているところでございます。
○西崎委員 先ほどのことも含めまして、現在進行形のものも含めて、これ、学校の改修や改築などに合わせてというような考え方もありますので、それぞれの個々の事情はありますけれども、基本的には、この遊具等への対策というものは進められているというふうにお聞きをさせていただきました。
一方で、先ほども文科省の動きを少しお話を申し上げましたけれども、今、学校の安全点検そのものが課題を抱えていて、今後どうなっていくかというような時期にもございますので、今後、その安全点検の在り方、文科省が取りまとめをするということによっては、遊具に限りませんけれども、追加で様々な対策が必要になるということも考えられるわけでございますので、状況に応じて、適宜、安全対策、区市町村への支援も含めて行っていただきたいということを求めておきます。
最後に、ここまでは事故予防という観点から、ABC理論であるとか三つのEを踏まえて伺ってまいりましたけれども、事故が発生してしまったときの対応についてお聞きをしたいと思います。
様々、事故予防策というものをどれだけ徹底をしても、学校における事故をゼロにするというのは、現実的には非常に難しい部分もあるのかなというふうに思います。
一方で、冒頭、杉並区立の学校における事故事例について申し上げましたけれども、事故が発生をしてしまったら、その分析や検証、再発防止策というものを徹底し、それを全都的に共有するというのが非常に重要であろうかと思います。
そこで、都立学校の管理下で事故が発生した際の対応及び再発防止策について伺います。
○山田総務部長 都立学校で事故が発生した場合には、都教育委員会に報告されることになっております。
また、都教育委員会におきまして、発生した事故の原因を確認し、各学校に注意喚起を行っております。
○西崎委員 都教委の方で事故原因を確認し、注意喚起を行うということで、言葉にすると大分さらっとしているわけでございますが、きちんと再発防止策まで徹底共有できるような体制をつくるというのが非常に重要であろうかと思います。
東京都としても、いうまでもなく多数の学校を抱えておりますので、この事故事例というものはきちんとストックをして分析や対策を実施するということが非常に重要であろうかと思いますし、部署が変わりますが、子供政策連携室が準備を進めている子供の事故情報データベースとの連携というものも、今後検討するべき項目になろうかと思います。
さらには、第二定例会で我が会派の議員が指摘をさせていただきましたけれども、様々な事故情報が集まっている日本スポーツ振興センターの学校等事故事例検索データベースの分析であるとか、もしくは、文部科学省からも、学校事故対応に関する指針に基づく詳細調査報告書の横断整理という、これは事例集でありますけれども、こういったものも公表されておりますので、その活用ということも考えられるかと思います。
不幸にも事故が起こってしまった場合でも、対策によって防げる事故であれば二度と起こさないという気概を持って取り組むことが非常に重要であろうかと思います。
これで最後にしますが、学校における事故予防は、先ほどの文科省の動きも含めまして、大きな岐路に立っているかと思います。監護者に責任を押しつけるだけではなくて、変えられるものを変えていくと。科学的、客観的な根拠に基づく予防策を講じることで、防げる事故を大きく減らしていくという方向に今向かっていくべきだと私は考えます。
その中でも子供の事故予防については、先ほども少し申し上げました、東京都は、日本中見渡しても唯一無二といえるくらいすばらしい、一歩踏み出した、踏み込んだ方向性を掲げているわけでありますから、ぜひこの考え方を教育委員会でも共有していただきまして取り組んでいただくということを求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○川松委員 文部科学省が先日公表しました令和四年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査においては、小中学校の不登校児童生徒数、そのうち学校内外で相談、指導等を受けていない児童生徒数が、それぞれ約三十万人、また約十一万四千人に上りまして過去最多となっていることと、そして、いじめ重大事態の発生件数も九百二十三件と過去最多となり、さらに、そのうち約四割が事前にいじめとして認知されていなかったことなど、全国的に極めて憂慮すべき状況であるということが判明いたしました。
この状況は非常に深刻でありまして、子供たちが誰一人取り残されず安心して学ぶことができる環境を早急に整えるため、盛山正仁文科大臣は、このたび不登校・いじめ緊急対策パッケージを取りまとめることとしたわけであります。
このパッケージによって、不登校児童生徒の学びの場の確保や心のSOSの早期発見など、各教育現場での取組を支援できるよう緊急的に取り組むこととしておりまして、大臣自らが先頭に立って、この状況に対応するとしています。
これまでも都内の各教育現場におきまして様々な取組を行ってきたわけでありますが、なお一層、不安や悩みを相談できない子供たちがいる可能性や、子供たちの不安や悩みが従来とは異なる形で表れたり、一人で抱え込んだりする可能性等も考慮して、子供たちのSOSを早期に把握、対処する取組を強化しなければなりません。
都教委幹部の皆様方には、その思いをいま一度強く持って目の前の課題に取り組むべきこと、そんな思いで幾つか質問をしてまいります。
まず、不登校の状況です。
さきに示したように、全国の小中学校における不登校児童生徒数は約二十九万九千人という過去最多、九十日以上欠席している児童生徒数、学校内外で相談、指導等を受けていない児童生徒数も過去最多となっています。
文科省では、安心して学べる学校づくり等のため、三月に策定したCOCOLOプランの対策を前倒しして、併せて、不登校施策に関する情報が児童生徒や保護者に届くよう情報発信を強化しているわけでありますけれども、都教委においては、不登校の子供への支援をどのように行っていくべきと考えているのか、認識を伺います。
○小寺指導部長 不登校の子供に対しては、学校復帰のみを目標とするのではなく、社会的自立に向け、一人一人の状況に応じた多様な学びの場における支援を実現することが重要であると捉えております。
○川松委員 まさに不登校の児童生徒全ての学びの場の確保は課題となっているわけですが、今、答弁にあったように、一人一人に合わせた対策をきめ細かく展開していくことが重要です。
今日のこの委員会の質疑でも、不登校という言葉が何度も出てきているわけですけれども、一人一人、状況は異なります。自分でも理由がよく分からないままに不登校になっているというケースの報告も、最近は目立っています。
それゆえに、多角度から児童生徒を見詰めることが必要であり、現場の各教員の先生方のマンパワーで成り立っているという側面もありますが、やはり大切なのは、ほかの教員や児童生徒が一体となって不登校の児童生徒と向き合うということなんだろうなというふうに考えております。
この不登校になった生徒が学校に通えるようにすることのみを目的としないで、多様な場を確保していくことの方針は極めて重要です。一方で、我が会派は、学校としては、不登校の児童生徒が教室に戻れるよう支援することも大切であると訴えてまいりました。
これを受けて、都教委では、教室に入ることができない児童生徒に対して校内の別室での学びを充実させることができるよう、小中学校に支援員を配置しておりますけれども、改めてその具体的な取組と成果について教えてください。
○小寺指導部長 都教育委員会は、今年度、不登校の子供が多い小中学校を対象として、三十七地区二百九校に別室指導支援員を配置しております。
支援員は、悩みや不安の相談対応、教室とオンラインでつないで行う授業の補助、ドリル学習の支援など、校内の別室において一人一人の状況に応じた対応を行っております。
配置している学校からは、別室での少人数の関わりをきっかけに、担任や友達とコミュニケーションが図れるようになった、別室での学習で自信をつけ、支援員の付添いにより教室での授業に参加できるようになったなどの報告を受けているところでございます。
○川松委員 引き続き、今、答弁にあったような動きを入念に進めていただきたいというのは誰もが同じだと思いますけれども、学校に来てくれる、オンラインで授業が受けられる、この別室といったものをゴールとは考えずに、やはりクラスメートの仲間たちと共に学べるような状態に向けて大人たちが何ができるだろうかということを、強く繰り返し私たちは訴えているところであります。
この心の小さなSOSの早期発見のために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの皆さんの力も必要だと考えていますし、子供たちのこのSOSの相談の窓口を周知していく、そういった点にも力を入れていかなければならないんだろうなというふうにも思います。
さきに触れたように、不登校に至る背景は多種多様でありまして、都内各地での様々な事例についてはデータベース化などをすることによって総合的な対応策を探っていくような、これは未来に向けてですけれども、そういった対応も重要ではないかということを指摘しておきます。
一方、いじめ対策についてです。
いじめの重大事態化を防ぐための早期発見、早期支援の強化は、これまでも重要であるといわれてきましたが、さらなる取組が必要であります。
全国的な動きを見ても、文科省単独ではなくて、こども家庭庁とも連携して、重大事態に至るケースの共通要素の分析なども行われております。
当然、教育の現場においては、これまでも長きにわたって、いじめ対策については様々なことに取り組んできたのはいうまでもありませんけれども、昨今の現場を見ていて、私は各教員の皆さんの負担増を危惧しています。
一般的に、初動対応となるのは担任の先生であることが多いと思いますけれども、そもそもの担任業務等の日々の仕事に加えて、いじめ対応というものをやっていく、そのことには、時間が限られていますから限界があるんじゃないか、今のような体制が、必ずしもいじめ事案解決に有効であるのかどうかということを考えなきゃいけない時期に来ているんだろうと思います。
都教委が策定したいじめ総合対策では、子供が抱えるいじめなどの問題に対して、学校が保護者との信頼関係に基づき、連携して解決を図っていくことが大切であると述べられています。
つまり、児童生徒との向き合いだけでなく、当然ながら、各保護者との信頼関係に基づいて対応を進めていかなければならないということでありますけれども、都教委は、教員が保護者からの相談に適切に対応できるようにするために、どのような取組を行っているのかを伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、教職員が保護者との適切なコミュニケーションを通じて、協力していじめ等の子供の問題に対応できるよう、学校問題解決のための手引を作成し、教職員が保護者とのやり取りの際に配慮すべき視点や、必要に応じて外部の専門家の助言を得るなどの適切な対応例を掲載し、学校での活用を促してまいりました。
また、いじめに関する保護者からの訴えにどのように対応すべきか、ロールプレーを通して理解を深める校内研修プログラムを開発し、教職員の対応力の向上を図ってまいりました。
こうした取組により、初期対応が適切に行われ、保護者との信頼関係が築けるようになったなどの報告を受けているところでございます。
○川松委員 今取り組んでいることは、引き続き力を入れていっていただきたいのですが、今、この点についてあえて言及するのは理由がありまして、一般的に、担任の先生のさじ加減で、いじめの事案の最初の種が解決したということだったり、事態重大化と最初の判断がなされるということは、結果として、現場の先生一人で背負っているケースもたくさんあるんじゃないかと思うんですね。
これだと、さっきいったように、担任の先生の業務があって、そして精神的な負担も重なっていくと、正常な判断ができないことになるかもしれない。同じクラスの中にそういった事案が何件も出てきた場合に、本当に対応できるのかということも、みんなで僕は考えていかなきゃいけないと思っています。
私は、それゆえ、当初から、第三者的な立場で児童生徒や保護者に寄り添うとともに、学校側にも指導できるような立ち位置となる組織、外部機関が、この際、必要なのではないかということを指摘しております。今後、そのような体制づくりについては、引き続き、様々な場面で提言し続けてまいりたいというふうなことを触れておきます。
このいじめ問題について、最後に一言ありますが、学校は、一人一人が社会で生きる基礎を養い、国家、社会を支えるために必要な基本的な資質を養う場であることを踏まえて、各区市町村教育委員会とも綿密に連携し、よりよい学校づくりに向けた取組を進めていただけますよう、都教委の皆さんに要望いたします。
さて、次の話題ですが、私、東京都議会議員に初当選以来、東京が世界で一番になるには、未来に向けて、世界で渡り合える人材をどう輩出していくかということの重要性を訴えてまいりました。
その際、世界各国の教育プログラムを研究した中で、都立国際高校が導入するとした国際バカロレア、いわゆるIBの可能性について、繰り返し触れてまいりました。
そして、平成二十七年度に、全国の公立学校で初めてとなるIBコースが都立国際高校に設置されてから八年が経過したわけですが、これまで、一期生から六期生まで、東京から世界に羽ばたいていく卒業生を輩出していますけれども、改めて原点に立ち返って、この設置の目的を伺います。
○根本教育改革推進担当部長 都教育委員会は、次代を担うグローバル人材の育成と、海外大学への進学資格の取得を目的といたしまして、国際高校にIBコースを設置いたしました。
IB教育では、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、よりよい、より平和な世界を築くことに貢献する探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としております。
○川松委員 このIBですけれども、年齢ごとのパートで、PYP、MYP、DPとプログラムが分かれておりましたが、国際高校のIBコースでは、国際バカロレア機構が認定したDP、ディプロマプログラムを実施しておりまして、生徒たちは、特徴的科目、創造性、活動、奉仕において、思考力や挑戦する力などのグローバル人材に必要な資質、能力を身につけています。
ただ、これを一条校でやっていくという取組ですから、学習指導要領を踏まえた上でのDPの実践、本当にこのIBコースの各生徒の努力は称賛されるものであると思います。限られた時間の中で日本の学校の勉強もする、そしてIBも実践していく、本当にすばらしいことであるなというふうに考えております。
そういった積み重ねの日々の末に、国際バカロレア機構が実施する統一のテストで出されるスコアによって、国内外の大学への進学資格というのを取得できるという仕組みになっていますが、この国際高校IBコースでの具体的な取組、そして、その成果についてはどうなっているのか、教えてください。
○根本教育改革推進担当部長 IBコースでは、探求型、双方向型、批判型の学習を行い、その中で学ぶ方法と態度や、生涯にわたって学び続ける姿勢を身につける教育を行っております。
中でも、ディプロマプログラムの特色の一つであるCASという社会体験活動におきまして、生徒は、ケニアでの福祉活動や国際映画祭でのボランティアなどに取り組んでおり、様々な社会貢献活動を通して自分自身を成長させております。
その結果、令和五年三月の卒業生十九人のうち、十二名が海外大学に進学しており、中には、医学や宇宙工学の道に進んだ卒業生もおります。
○川松委員 最後の、今、進学実績に触れられましたけれども、これについては、IBコースで全人教育を展開していった先に、それぞれの生徒たちが、自分とは何かということを追求して、その上で選んだ道ですから、国内外、様々な学部、学科、コース、どこに進んだとしても同じ価値があり、そして、各生徒たちがさらなる探求心で道を切り開いてくれることというのは、心からみんなが期待していることだと思います。
さらに大切なのは前段部分でありまして、IBが求める学習像をより深く模索していけば、今答弁にありましたように、生涯にわたって学び続ける姿勢を身につけられる、こういったことなのかなというふうに思っています。
今回の質問に当たって、私、この担当者の方と調整していましたけれども、今お話のあった、このIBの精神にのっとって国際高校IBコースを批評してほしいと、私、いったんですね。担当者として、今のIBコースをどういうふうに思っているのか、批判してくれと。
結果、答えは出てきませんでしたけれども、IBを導入するということは、生徒たちにこれだけの大変な負担をかけるということは、教員たちだけが学校現場においてIBを実践するだけではなくて、やはり都教委の担当部局を含めて、全てがIBの精神でこの学校を充実させていく、そういう考えでなければ、私は、真の意味での人材育成というのはできていかないんじゃないのかなというふうに考えております。
先ほどあったように、国際高校のIBコースは、様々なところに進路として進んでいっているわけですけれども、海外大学の理系に進んでいる生徒も多い。つまり、これはもう、いわゆるマスの授業のレベルも、相当レベルが高いものになっているということは容易に想像ができます。
大きな成果を残しているんだと思いますけれども、さらにその先、卒業生たち、大学を卒業した後も含めて、どのような状況になっているのか、そして、今後の取組について伺います。
○根本教育改革推進担当部長 平成三十年三月に卒業しました一期生につきましては、その多くが大学の卒業時期を迎え、国内外の大学院で研究を続けたり、企業等で働き始めております。
都教育委員会は、これまでの成果の蓄積も踏まえ、引き続き、海外大学進学に向けた支援を継続してまいります。
今後、生徒の探求心や幅広い教養、他者を理解し協働する力、調和の取れた国際感覚、豊かな人間性を育むことで、将来、国際社会で尊敬され、信頼される人材として国内外で活躍できるグローバル人材を育成してまいります。
○川松委員 ということで、都立高校の出身者が東京や日本のために世界中で活躍しているということは、とても喜ばしいことなんだと思います。
ただ、そうなってくると、これから重要なのは、このIBコースの質を確保し続け、さらには、常に上昇させていかなければならないという使命だと思います。そのためには、何といっても、よりよいIB教員に国際高校で教えたいというふうに選んでもらえる学校になっていかなきゃならないんじゃないかと思います。
現在、日本国内だけを見ても、全国各地にIBを取り入れる学校があるわけですが、やはり、この先生の確保に重点を置いている学校が多数だというふうに私は捉えています。
特に、普通の一般的な感覚だと、大学に進学する場合には、補講というか補習というかを含めて予備校に行きます、予備校でも勉強して大学受験を目指しますといいますが、そもそも、高校の外でIBを指導できる予備校がほぼありませんから、日々の学校での学習の積み重ねが、ディプロマでのスコアを取るための重要な要素になってくる。
そうすると、教員をどう確保し、そして、教員と共にどう学校を成長させていくかということが大切なんですが、このあたりのIBコースの教育の質はどのように担保されているのか、教えてください。
○根本教育改革推進担当部長 質の高いプログラムの実施に当たりましては、国際バカロレア教育の理念に精通した上で、探求型の授業を英語で行うことができる教員の確保が必要でございます。
このため、都教育委員会は、玉川大学大学院のIB研究コースに日本人の教員を派遣してIB教員資格を取得させるほか、特別専門講師としてネーティブ講師を採用するなど、安定的な確保に努めております。
○川松委員 というふうに、生徒の皆さんが頑張っていると同時に、先生たちも常日頃から頑張っているということがよく分かりました。
今日は、かいつまんでポイントを絞って質問いたしましたけれども、まだまだこの国際高校IBコースの可能性は引き出せると思っています。そして、一人でも多くの中学生に、この学校、このコースの存在を知ってもらって、より幅広い生徒が希望してくれるような情報発信も重要なのではないかというふうに思っています。
これだけの教育を都立高校の学費で受けられるというのは、ほぼ全国的にもない貴重な場だと私は考えていますので、せっかく都教委としては導入したこのDPですから、より探求して、今度は世界の、国内だけじゃなくて、世界のバカロレアを推進している学校から、東京にあるあの学校はすごいなと評価されるスコアを出し続ける、そして、東京の教育って何だろうかと興味を持ってもらえるような、何というんですかね、中心にある、国際バカロレアという教育の輪の中で中心になるような学校に育てていっていただきたいということを要望いたします。
今日のやり取りを聞いていて、最後に一言申し上げます。
先ほどの、とや理事の質疑の中で、浜教育長、瀧沢部長との見解にかなりの相違があるように見受けられました。特に本件は、継続的に、この文教委員会のみならず、本会議でも議論されているスピーキングテストに関するものです。
浜教育長が少し触れられたように、一個人の名誉に関わる問題であるならば、この委員会として、このまま先ほどの状態で放置しておくのは、私はいかがなものかと考えます。
ですので、先ほどのやり取りを聞いたままでは、私個人だけじゃなくて、恐らく、広く都民の皆さんも気になるんじゃないかと思うんですね。
ですから、この後、藤井委員長の下で、理事会等でこれははっきりさせないと、名誉がかかっていると教育長はおっしゃっているんだから、理事会等で協議していただきたいということをお取り計らいをお願いいたします。(「発言したこと自体問題だよ」と呼ぶ者あり)こうやっておっしゃっているんだから、白黒、理事会ではっきりさせた方がいいですよ、委員長。よろしくお願いします。
○藤井委員長 質疑は以上でしょうか。(川松委員「質疑は、今、最後に一言、委員長に要望いたしました」と呼ぶ)質疑を続行いたします。
○かまた委員 じゃ、取りあえず、最後の質問をさせていただきたいと思います。
教育行政の役割は、教育がより効果的に進められるよう、人材と物の確保、環境の整備充実を進めることであります。そして、子供にとっての最大の教育環境は教師であり、人材でありますので、人材確保という面で質問をさせていただきます。
私が小学校に勤務していた頃、何度も思ったことの一つは、外部人材をつける予算はもらえるけれども、その人材はなかなか見つからないということでありました。
そのような中、東京都教育委員会では、公益財団法人東京都教育支援機構、いわゆるTEPROを創設しまして人材配置支援を進めているとのことで、都教育委員会が一番大事な学校課題に向き合う、この取組を評価しているところでありますし、また、その成果を大いに期待をしているところであります。
そこでまず、外部人材についてお伺いをいたします。
TEPROでは、外部人材を学校へ紹介するSupporter Bank事業を実施しておりますが、より多くの方々にSupporter Bankを知っていただき、サポーターとして登録していただくことが何よりも重要であります。
そこで、サポーターの募集に向けて、どのような広報に取り組んでいるのか、お伺いをします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 TEPROは、令和二年四月にSupporter Bank事業を開始しており、様々な活動分野のサポーターが教育活動を支援することで、教育の質の向上や教員の負担軽減を図ってございます。
サポーターの募集に当たっては、TEPROのホームページ、SNSでの発信、大学、公共施設等へのリーフレットの配布などに加え、自治体広報紙や車内広告など、多様な媒体を通じた広報活動を行ってございます。
今後とも、積極的な広報を展開し、サポーター登録者の増加に努めてまいります。
○かまた委員 考えられますあらゆる方法で広報してくださっているとのことですが、大切なことは、学校のニーズに応じた人材バンクとなっているのかという点であります。
そこで、現在、Supporter Bankに登録されておりますサポーターの数と、サポーターが学校でどのような活動をされているのか、お伺いをいたします。
○篠企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和五年十月末現在、一万三千八百七人がSupporter Bankに登録してございます。
サポーターの活動としては、例えば、保健室登校の児童への寄り添いや、教室で教員をサポートする学習支援等を行ってございます。
学校からは、教員が児童の様子を多面的に把握できるなど、児童理解の促進につながったという声や、教員が指導に専念でき、教育的効果が高まったという声がございます。
○かまた委員 このSupporter Bank事業は、令和二年度に開始をされていまして、今年で四年目となりますので、そろそろ、当初の思い描いていた理想と現実のギャップとか、また、学校という場所への人材マッチングだからこその見えてきた課題もあると思います。今後は、学校の先生方の間で、TEPROの人材バンクはよいよとうわさになるぐらい学校が助かる、そのような工夫されたスキームを考えていただきたいと思います。
そして、今、何よりも喫緊の課題であるのが、産休、育業代替教員がいないという現実であります。
つい先日も、ある小学校の副校長先生からお電話をいただきました。その内容は、要望というよりは、現状を聞いてほしいという内容でして、現在、校内で四人の方が産休や育業を取られていて、間もなく五人目の方が産休に入られるということですが、代替教員が見つからないため、副校長の自分が担任を務めるという内容でした。
公立小学校では、副校長が副校長業務をこなしながら担任も務めるという状況は日常化しております。
東京都教育支援機構では、産休、育業代替教員の確保支援を進めていますが、その内容と、学校からの依頼件数、東京都教育支援機構が紹介した件数、任用につながった件数についてお伺いをいたします。
○吉村人事部長 学校が産休、育業代替教員を探す負担を軽減するため、学校から依頼を受け、希望に沿った候補者を探し、紹介する支援を、今年度からTEPROで実施しております。
令和五年十月末までに、今後の予定も含め、約七百八十件の依頼があり、これまでに約八十人を紹介し、二十五人が任用されております。
○かまた委員 約七百八十件の依頼のうち、お聞きしたところによりますと、学校側で候補者を見つけたなどの理由で四百件弱が取り下げているとのことですので、単純に計算をしても、あと三百八十件。その中で任用されたのが二十五人とのことで、代替教員が見つからないで困っている学校が多いという現実に変わりはなく、産休、育業代替の臨時的任用教員の十分な確保が最重要課題であります。
そこで、臨時的任用教員を確保するための都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。
○吉村人事部長 都教育委員会では、臨時的任用教員を確保するため、先ほどご紹介申し上げましたTOKYO教育Festa!や民間の転職フェアで個別相談会を開催するほか、地方を含む電車広告の掲載や転職サイトでの募集案内などを行っております。
また、教員養成大学やハローワーク、教員採用選考会場での募集チラシの配布や新規の教員免許取得者への制度周知、小学校校長会や退職校長会等の関係団体に対する知人等への声かけ等の依頼なども行っております。
引き続き、様々なPR活動を推進し、臨時的任用教員の確保に努めてまいります。
○かまた委員 先ほど紹介をしました副校長先生に、一番望むことは何ですかと伺いますと、とにかく人を探してほしいとの答えが返ってきましたけれども、現場の副校長は、膨大な業務の合間に、電話やメールをして人を探します。また、学級担任や教科担任を見つける場合、学校現場では配属しないという選択肢はありませんので、見つかるまで探しますし、見つからなかった場合は、自分が副校長業務をこなしつつ、担任業務と、また人探しを同時進行で進めていくわけであります。この状況下に置かれる副校長の精神的な負担は非常に大きく、経験した者にしか分からない大変さがあります。
都教育委員会でも、小学校長会や退職校長会等の関係団体に知人等への声かけ依頼もしてくださっているという答弁を伺いまして、確保に向けての努力をしてくださっていることを改めて感じたところではありますけれども、それでも、もう一重、知恵を絞っていただきまして、例えば、依頼を受けたものの、採用決定まで至らなかった学校に出向いていただいて、最後まで頑張るという声がけでもしていただけたらというふうに思っております。
そして、せっかく立ち上げてくださった産休・育業代替教員等確保支援事業ですので、産休代替を探してみました、でも、該当者がいませんでしたで終わらせるのではなく、この学校の代替教員が見つかるまで責任を持って探し続けますという、そういうスキームの構築を考え出してほしいと切に願いまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、エデュケーションアシスタントについてお伺いをいたします。
本事業を始めるということを伺ったとき、私は、これもすばらしい取組で、成功すれば学校現場が非常に助かると感じておりました。
そこで、エデュケーション・アシスタント配置支援事業の概要と実施状況、アシスタントの身分や採用方法についてお伺いをいたします。
○矢野人事企画担当部長 エデュケーション・アシスタント配置支援事業は、教員の負担軽減及び教育の質の向上を図るため、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校低学年で副担任相当の業務を担うアシスタントを会計年度任用職員として配置する事業でございます。
事業の初年度である令和四年度は一地区二十校に五十七人を配置し、令和五年度は五地区八十四校に百二十四人を配置しております。
アシスタントは、区市町村教育委員会が公募し、選考の上、採用しております。
○かまた委員 事業開始二年目の今年は、五地区百二十四人に採用がされたとのことですので、アシスタントを配置した学校の声と、今後の事業の展望についてお伺いをいたします。
○矢野人事企画担当部長 アシスタントを配置している学校からは、学習内容の定着が進んだ、教員のストレスチェックの結果が大幅に改善したなどの評価を得ております。
今後も、区市町村教育委員会の意向も踏まえ、エデュケーションアシスタントを活用した教員の負担軽減と教育の充実を図ってまいります。
○かまた委員 エデュケーションアシスタントは、教員の負担軽減と教育の充実のために始めた施策でありますので、まずは人数的な拡充を進めていただきたいと思います。
また、併せまして、今後の検討材料としまして、このエデュケーションアシスタントの方が学校に毎日勤務してくださるような常勤採用となることもぜひ検討していただきたいと要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
続きまして、都立高校魅力発掘・発信プロジェクトについてお伺いをいたします。
都教育委員会は、一人一人の個性や能力を最大限に生かすため、進学指導重点校の設置や工科高校の改善、そして、エンカレッジスクールやチャレンジスクールの開設など、都立高校の特色を出すための努力に全力で取り組んでくださっております。
この努力を後押しするため、私自身も都立高校の魅力を伝えていくことに努めていきたいと思っておりますけれども、都教育委員会では、今年度新たに、都立高校のPRサイト、#だから都立高を構築しました。私もサイトを拝見しまして、高校検索がしやすく、動画での学校紹介があり、工夫されているなと感じました。
そこで、改めて、都教育委員会が都立高校PRサイト、#だから都立高を構築した目的と、構築に際して工夫した点についてお伺いをいたします。
○村西都立学校教育部長 都立高校PRサイト、#だから都立高は、都立高校への進学を希望する中学生や保護者向けに、その多様な特色や魅力を効果的に発信するために、百八十六校の都立高校の情報を一元的にワンストップで提供するプラットフォームとして、今年七月に新たに開設いたしました。
当PRサイトでは、学科や指定校、盛んな部活動、チャレンジスクール等の多様なタイプの学校などから都立高校を検索できる機能を持たせております。
また、全ての都立高校の学校案内パンフレットをサイトに掲載するとともに、直接、それぞれの学校のホームページにもアクセスできるようにしております。
さらに、学校生活や雰囲気をリアルに伝えることができるよう、今、先生のご紹介にあった学校紹介動画を制作して視聴できるようにもしております。
各学校が実施する施設見学会や文化祭などの学校行事についても、関連する情報を掲載するなど、各都立高校の特色や魅力を広く発信しております。
○かまた委員 都立高校百八十六校の情報が一元的に提供されるプラットフォームということで、学校見学会の時期には、見学会のお知らせサイトが多く閲覧されており、また、学校行事の情報がしっかりと分かりやすくなっているサイトになっております。
そこで、この都立高校PRサイトの存在を、より多くの中学生や保護者などに知ってもらうことが重要ですけれども、都立高校PRサイト、#だから都立高を中学生や保護者などに周知していくに当たりまして、実施した具体的な取組についてお伺いをいたします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、当PRサイトの周知とその認知度を向上させるため、都内全ての公立中学校三年生向けに配布した都立高校の案内冊子にサイトのQRコードを掲載するとともに、LINEなどのSNSや都内地下鉄主要駅などのサイネージへの広告掲出を実施しております。
また、中学生や保護者が進路情報などを収集する受験情報サイトにもリンクバナーを掲出しております。
こうした取組の結果、現時点のサイトのページビューは約百二十三万件となっており、引き続き、当サイトを通じて都立高校の特色や魅力を発信し、生徒一人一人の進路実現を後押ししてまいります。
○かまた委員 民間の受験情報サイトにもリンクバナーをつけたり、中学校三年生に配布をしております都立高校の案内冊子にも掲載をしてくださったりと、様々な手を打っていただいていることが分かりました。
都立高校の卒業式などに参列をしますと、生徒たちがよく育っていることや、先生方が生徒を大事にしていることを感じ取ることができますし、公立の学校というのは、誰一人取り残さない教育の場として、これからも大きな役割を担うと私は考えております。
都立だからこその特色や魅力をしっかり私も伝えていきますので、引き続き、都立高校の特色や魅力の構築に向けてご尽力をお願いします。
続きまして、最後の質問に入らせていただきます。
英語スピーキングテストについてです。
英語スピーキングテストにつきましては、二〇一九年から様々な議論が重ねられておりますが、この施策が、スピーキングテストの実施にとどまらず、都立入試にも活用していくとのことで、私は、英語の授業が変わるな、コミュニケーション能力も大事にする授業に変わっていくんだと期待をしました。また、入試にも活用するということで、都教育委員会の授業改善への本気度を私も感じたところであります。
学校現場では、既に実施、活用が始まっていまして、現場の先生方も、子供たちも、英語でコミュニケーションを図れるよう、チャレンジを開始しております。
導入当初は、教員も子供も不安で大変だったとは思いますけれども、この取組によりまして、授業は確実に変わり、授業を受ける子供たちも、英語で外国の方とコミュニケーションを取れる喜びを味わったり、また、語学を学ぶのは人と関わるためであるという実感を得始めたりしているそうであります。これは校長先生方が話をされておりました。
だからこそ、今、最も重要なことは、子供たちがスピーキングテストに安心して取り組める環境を整備することであり、間違っても子供たちの不安をあおるようなことはしてはならないと私は考えております。
そこで、これまで議論された心配を、もし子供や保護者の方が抱いている場合は、子供の一番近くで学びを支えている学校の教員に伝えていただき、その子供の不安や思いを学校に丸ごと−−恐らく、このテスト以外のいろんな不安をお持ちの方だと思いますので、それを丸ごと学校に受け止めていただいた上で、改善すべき点がある場合は、速やかに学校と教育委員会の連携で改善を進めていくべきであり、子供たちの教育活動を政争の具にしてはならないと私は強く考えております。
そこで、原点に戻るためにも、本事業が子供たちにとってどのような価値があるのか、改めて確認をしたいと思います。
英語スピーキングテストは、十一月二十六日に、二回目となります本年度のテストが実施をされます。
この間、様々な議論がありましたけれども、改めて、都教育委員会がスピーキングテストを導入した狙いについてお伺いをいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 グローバル化が進展し、多くの外国人と交流する機会が増えていくこれからの時代を生きる子供たちには、自ら進んで積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度や豊かな国際感覚を身につける必要がございます。
都教育委員会は、そのために必要な施策を積極的に進めており、英語スピーキングテストも、その一つでございます。
スピーキングテストでは、受験者のそれぞれの解答において、相手の求めていることに答えているかといったコミュニケーションの達成度など、英語を使ってできることを積極的に評価をしてまいります。
試験は五日後に迫っております。ふだんの学習の成果を自信を持って発揮してもらいたいというふうに考えておりますし、今、ご指摘がありましたように、我々事務局としても、不断の準備をしっかりやって、子供たちの学びや先生たちの教育をしっかりサポートしていきたいというふうに考えております。
○かまた委員 今のご答弁の中で、自信を持ってほしいとの言葉がありましたけれども、それがとても重要だと私は考えております。
教育に携わった者としてお伝えしたいと思いますけれども、子供を育む上で、タイミングや状況を間違えて使用してはならない言葉があります。それは、子供たちに投げかける、何か問題はあったという、その言葉であります。この問いかけは、使用するタイミングを間違えると、子供の不安や不信を増長させます。まさに今日の議論が、そのタイミングのずれであると私は考えます。
子供のためには、このチャレンジをすれば、英語でいろんな人と関われるようになるよと前向きな言葉を、子供の今の努力がどんな価値につながるのか、そういう励ましの言葉をかけていくことが重要であります。
また、先ほど伊藤委員もおっしゃっておりましたけれども、私も同感でして、受験やテストの結果が全てではないという、そういう価値観を伝えること、そういう価値観もあるよということを伝えることは、とても重要だと考えております。
受験の採点方法は、ある程度の線引きが必要ですので、大人のこだわりが、ともすると子供たちに受験至上主義を植え付けてしまう場合もあります。
とにかく、でも、私が一番重要だと思うことは、教育議論、子供たちのための未来を政争の具にしてはいけないということでありますので、この議論の続きは別の場所でやらせていただきたいと思います。
教育委員会の皆様には、誰一人取り残さない英語スピーキングテストの実施、活用、この誰一人取り残さないということは、ここで今、話をしている私たち全員、同じ思いでありますので、このことを念頭に置きながら、ぜひ、より一層の改革、また取組準備を進めていただきたいと思います。
以上をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時二十四分散会
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