委員長 | 入江のぶこ君 |
副委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
理事 | 桐山ひとみ君 |
理事 | 斉藤 りえ君 |
理事 | とや英津子君 |
北口つよし君 | |
鈴木 純君 | |
アオヤギ有希子君 | |
大松あきら君 | |
白戸 太朗君 | |
阿部祐美子君 | |
伊藤 ゆう君 | |
三宅 正彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化スポーツ局 | 局長 | 横山 英樹君 |
生活安全担当局長 | 竹迫 宜哉君 | |
次長理事兼務 | 渡邉 知秀君 | |
次長 | 久故 雅幸君 | |
総務部長 | 奈良部瑞枝君 | |
都民生活部長 | 柏原 弘幸君 | |
都民安全推進部長 | 馬神 祥子君 | |
私学部長 | 戸谷 泰之君 | |
国際スポーツ事業部長 | 稲垣 敦子君 | |
スポーツ施設部長 | 梅村 実可君 | |
スポーツレガシー活用促進担当部長事業推進担当部長兼務 | 小林あかね君 | |
事業調整担当部長 | 三浦 大助君 | |
事業調整担当部長 | 清水俊二郎君 | |
経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 | 高島 慶太君 | |
教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 田中 愛子君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 山田 則人君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
グローバル人材育成部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 吉村 幸子君 | |
教育政策担当部長 | 秋田 一樹君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 |
本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
報告事項(説明)
・第三十三期東京都青少年問題協議会答申について
・国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインの改定について
・第二十五回夏季デフリンピック競技大会 東京二〇二五大会概要について
・有明アリーナ管理運営事業報告書の公表について(令和四年度)
請願陳情の審査
(1)五第四号 私立学校の法令違反に対する都の行政指導の早急な改善等に関する請願
(2)五第八号 教員の不適切指導による指導死についての対策等を求めることに関する請願
(3)五第一六号 公益社団法人東京都柔道整復師会の不正会計の実態調査等を求めることに関する陳情
教育庁関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
請願陳情の審査
(1)五第五号の二 高輪築堤(第五・六街区及び第七街区)の現地保存等に関する請願
(2)五第六号 中学校英語スピーキングテスト結果の令和六年度都立高校入試への活用中止に関する請願
(3)五第一七号 特別支援学校に通う児童生徒の重複学級の認定に関する陳情
(4)五第二二号 公立の小中高等学校における長期休業中の食事の無償提供等に関する陳情
○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、委員の退職及び所属変更について申し上げます。
去る八月二十七日付をもって、公職選挙法第九十条の規定により清水孝治議員が退職した旨、また、去る八月二十八日付をもって、新たに三宅正彦議員が財政委員会から本委員会委員に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、新任の委員をご紹介いたします。
三宅正彦委員です。
○三宅委員 よろしくお願いします。
○入江委員長 紹介は終わりました。
次に、議席について申し上げます。
議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、ご了承願います。
○入江委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに生活文化スポーツ局及び教育庁関係の報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。
○横山生活文化スポーツ局長 先般の人事異動によります当局幹部職員をご紹介させていただきます。
スポーツレガシー活用促進担当部長で事業推進担当部長を兼務いたします小林あかねでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○入江委員長 紹介は終わりました。
○入江委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○馬神都民安全推進部長 第三十三期東京都青少年問題協議会の答申についてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料第1号、第三十三期東京都青少年問題協議会答申についてをご覧ください。
本件は、いわゆるトー横を念頭に置き、令和五年一月に、知事が東京都青少年問題協議会に対し、犯罪被害等のリスクを抱える青少年への支援について諮問し、同年七月に答申が出されたものでございます。
まず、1の現状でございます。
トー横には、数年前から多くの青少年が集まっており、悪意のある大人によって児童買春の被害に遭うなどの状況にあります。
また、青少年の一部は、近くのホテル等に一人または複数名で泊まり、犯罪に巻き込まれるなどの状況にあります。
彼らは、家庭や学校における悩み、興味本位等の様々な理由で来訪しており、その多くは、SNS等でトー横を検索して来訪しているとのことです。
次に、2の現在取られている主な対策です。
1の状況に対し、都や警視庁、新宿区等においては、これまでも対策を講じてきておりまして、それぞれの主な取組が示されております。
続いて、3の犯罪被害等のリスクを抱える青少年の支援に向けた課題と解決の方向性でございます。
1及び2を踏まえまして、トー横に被害等のリスクを抱える青少年が集まること、加害者となり得る大人が青少年の周りに存在していること、そして、被害場所等となり得る空間が存在していることの三つを課題として捉え、それぞれの対策の方向性が示されております。
最後に、4の都として喫緊に取るべきさらなる対策でございます。
3を受けた具体的な提言がなされております。
(1)の青少年への対策においては、SNS上でオープンとなっている青少年の投稿を収集、分析するなど、一歩踏み込んだ実態把握を行うことや、相談内容に応じた適切な関係機関につなげること等ができるよう、従来の支援活動にとらわれない相談窓口等の体制を構築すべきとの提言がなされました。
(2)の悪意ある大人への対策では、ターゲティング広告を用いた啓発について、関係機関の意見等を踏まえるなどして改良すべき等との提言がなされました。
(3)の被害場所等となり得る空間への対策では、ホテル、ネットカフェ等への青少年の宿泊に関する実態把握を行うとともに、トー横における青少年の被害態様等について啓発を実施すべきとの提言がなされました。
なお、第三十三期青少年問題協議会答申の本文を資料第2号として添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○三浦事業調整担当部長 それでは、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインの改定についてご報告いたします。
お手元の資料第3号をご覧ください。
初めに、1、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインの改定、(1)、改定の経過でございます。
本年二月の文教委員会でご報告いたしましたとおり、今後の国際スポーツ大会における大会運営組織が公正で信頼されるものとなるよう、都は、有識者からの助言を反映したガイドラインを昨年末に策定いたしました。
その後、国において大規模な国際又は国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方に関する指針が策定されましたことから、都は、令和五年六月に有識者会議を開催し、ガバナンスのさらなる強化に資するようガイドラインの改定を実施いたしました。
次に、(2)、ガイドライン改定の概要ですが、大会運営組織のガバナンスの確保に向けた体制整備につきまして、五つの着眼点に基づき、大会運営組織の取組例として、次の内容を追加しております。
初めに、ア、役員等の適切な選任では、選任方針及び選任理由等に関する情報の公表及び役員等の行動規範、誓約書の公表を追加しております。
次に、イ、コンプライアンスの確保では、危機管理及び不祥事対応体制の構築として危機管理マニュアルの策定等及び懲罰制度の構築を追加しております。
続きまして、ウ、予算、契約、調達の内部統制、外部チェックの仕組みでは、リスクアプローチの監査手法の導入及びマーケティング業務の委託等に関する方式の検討経緯や選択理由等の公表を追加しております。
エ、利益相反に伴う問題の防止では、専門人材の直接雇用等の対応及び民間企業からの出向者の権限の公表を追加しております。
最後に、オ、情報公開では、都の条例に準じた情報公開制度の導入を追加しております。
続きまして、一枚おめくりいただき、次ページをご覧ください。
2、一般財団法人東京二〇二五世界陸上財団の設立でございます。
ガイドライン改定も踏まえまして、一般財団法人東京二〇二五世界陸上財団が設立されましたので、ご報告いたします。
初めに、(1)、設立の経緯ですが、令和五年六月三十日の世陸財団の設立時理事会におきまして、代表理事の選定、ガバナンス確保をはじめとした今後の財団運営についての申合せ等を行った上で、七月四日に日本陸上競技連盟が世陸財団を設立いたしました。
次に、(2)、財団の概要ですが、まず、ア、設立目的については、東京二〇二五世界陸上の準備及び運営に関する事業を行い、もって大会を成功させること、また、大会を通じ、都民及び国民のスポーツの普及、振興を図り、健康増進と豊かな生活の形成に寄与するとともに、開催地である東京及び日本のプレゼンス向上に資することとしております。
続きまして、イ、組織概要は記載のとおりでございます。
最後に、(3)、財団の運営についてですが、まず、ア、世陸財団の目指すものですが、多くの人々に夢や希望を届けるため、陸上やスポーツの魅力と価値を世界へ広め、それらに親しめる取組を推進していくこととしております。
また、今後の国際スポーツ大会のモデルを示すため、シンプルな運営などを通じた持続可能な大会を目指すとともに、スポーツの根幹であるフェアネスを体現した信頼される組織とすることとしております。
次に、イ、ガバナンス確保の考え方ですが、二〇二五年に東京で開催される世界陸上を成功させるためには、都民、国民の理解や共感を得ることが不可欠であり、また、スポーツの根幹はフェアネスにあり、国際スポーツ大会の運営組織も公正で信頼されることが求められることから、ガバナンス確保について、財団は正面から取り組んでいくこととしております。
その具体的な取組として、役員等の公正な選考、厳正な契約手続、利益相反問題の防止、実効的な監査体制及び手法、情報の積極的な公開を挙げております。
なお、改定後の国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインの本文を資料第4号として添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上です。
○清水事業調整担当部長 それでは、第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五大会概要についてご報告いたします。
お手元の資料第5号をご覧ください。
初めに、1、策定の目的でございます。
令和四年九月にデフリンピックの日本開催が決定し、令和五年四月に大会運営組織が設立され、大会準備が本格化しております。
今般、一般財団法人全日本ろうあ連盟、東京都、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団の三者で大会ビジョンや実施競技、競技会場等を大会概要として取りまとめ、八月に公表いたしました。
今後、大会準備をさらに加速させるとともに、大会への関心を高めてまいります。
次に、2、主な内容でございます。
(1)、大会ビジョンについて、デフスポーツの魅力や価値を伝え、人々や社会とつなぐ、世界に、そして未来につながる大会へ、誰もが個性を生かし力を発揮できる共生社会の実現の三点といたしました。
(2)、大会日程等についてですが、ア、開催期間は、令和七年、二〇二五年十一月十五日から十一月二十六日までです。
イ、参加国、選手数については、七十から八十の国、地域、約三千人と見込んでおります。
ウ、準備運営体制については、一般財団法人全日本ろうあ連盟と東京都が大会準備運営に係る業務を分担し、競技、会場運営などの運営実務は公益財団法人東京都スポーツ文化事業団が担います。
最後に、実施競技、競技会場等についてですが、こちらは別紙に記載しておりますので、後ほどご覧ください。
なお、第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五大会概要の本文を資料第6号として添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○高島経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 令和四年度の有明アリーナ管理運営事業報告書の公表についてご報告いたします。
お手元の資料第7号をご覧ください。
本件は、有明アリーナの管理運営事業について、運営権者である株式会社東京有明アリーナの令和四年度の業務実施状況と、その事業評価の結果を公表するものでございます。
まず、1、対象となる事業期間ですが、令和四年四月一日から令和五年三月三十一日まででございます。
次に、2、業務実施状況でございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、東京二〇二〇大会の開催が一年延期となった影響により、運営開始も一年延期となっております。
令和四年度の維持管理期間は令和四年四月一日から五月三十一日まで、運営期間は令和四年六月一日から令和五年三月三十一日まで実施したところでございます。
具体的な業務内容でございますが、(1)、統括管理業務では、監査役会等によるチェック体制の構築やホームページ上でのアンケートを実施いたしました。
次に、(2)、開業準備業務では、開業告知業務やスポーツ団体等の各種利用者に対する内覧会等の営業活動を実施いたしました。
次に、(3)、運営業務では、メインアリーナは八月二十日、サブアリーナは九月一日に供用を開始しました。
メインアリーナの年間利用実績は、スポーツ利用日数が二十日、稼働率が六八・三%、サブアリーナの年間利用実績は、スポーツ利用割合が五八・一%、稼働率が九四・八%でございました。
その他の主なものとしまして、ジム、レストラン等の運営、地域住民の意見等への対応、施設への初期投資などを実施しました。
次に、(4)、維持管理業務では、設備等の保守点検や清掃、警備等を実施いたしました。
続きまして、3、事業評価の実施についてでございます。
事業評価は、運営権者による適正かつ確実なサービスの提供がなされているかをモニタリングにより確認、評価するものでございます。
実施手順は、まず、(1)、運営権者によるセルフモニタリングを行います。
二ページをお開き願います。その後、(2)、都のモニタリングを行います。都のモニタリングの際には、都の示した要求水準を満たしているかなどを確認し、有明アリーナ管理運営事業モニタリング委員会により専門的な意見を聴取し、モニタリング結果を事業評価として取りまとめます。
続きまして、4、事業評価の結果でございます。
(1)、統括管理業務、開業準備業務、維持管理業務につきましては、それぞれ要求水準書の内容に従い実施されております。
(2)、運営業務につきましては、メインアリーナは、初年度に必要な年間スポーツ利用日数である三十七日を達成できておりません。運営権者より、要求水準書に基づき、今後は、年間スポーツ利用日数六十日以上を達成するとともに、今年度の未達成日数については、令和七年度までの四年間の平均で達成するとの申出がありました。
都としては、要求水準の達成に向けて、早期から関係団体へ働きかけを行うなど、必要なスポーツ利用日数を確実に達成するよう取組を徹底するよう求めております。
サブアリーナは、高い稼働率を維持しており、引き続き都民のスポーツ利用の場としての役割が期待されるところでございます。
近隣対応につきましては、イベント開催時の周辺混雑に対し、引き続き意見を聴取し、地域住民への丁寧な対応が求められるとしております。
(3)、財務状況につきましては、税引前当期純損失が発生しておりますが、純資産及び現預金水準も勘案し、財務状況の悪化等の問題は認められませんでした。
なお、公共施設等運営権対価については、予定どおり都に納付されております。
最後に、(4)、総合評価でございます。
令和四年度は、メインアリーナにおけるスポーツ利用日数を除き、要求水準の未達状態や財務状況の悪化は認められず、各種サービスの提供等は順調に行われております。
メインアリーナのスポーツ利用日数につきましては、本施設は東京二〇二〇大会のレガシー施設であり、東京の新たなスポーツ、文化の拠点となる施設であるため、引き続き各種スポーツ団体へ働きかけ、既存利用者に加え、新規利用者を獲得するなど、今後は要求水準を確実に達成するよう取組を徹底すべきとしております。
また、運営に伴い寄せられる各種意見に対しましては、引き続き、主催者とも連携し、随時適切な対応を行う必要があるとしております。
なお、参考資料としてモニタリング委員会の委員名簿、資料第8号としまして事業報告書を添付しております。後ほどご覧いただければと存じます。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
○アオヤギ委員 それでは、資料要求させていただきます。
まず第一点が、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインと国のガイドラインとの相違点についてお示しください。
次ですけれども、一般財団法人東京二〇二五世界陸上財団の役員一覧と都派遣人数の推移。
三点目が、有明アリーナのメインアリーナ及び−−スポーツ利用と、それ以外の利用の件名とそれぞれの日数。スポーツ利用は、観客の有無及び利用料の有無が分かるようにお示しください。
以上です。
○入江委員長 そのほかございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 では、ただいまアオヤギ委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○入江委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
請願五第四号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○戸谷私学部長 請願五第四号、私立学校の法令違反に対する都の行政指導の早急な改善等に関する請願につきましてご説明を申し上げます。
お手元に配布してございます請願・陳情審査説明表の表紙と、次の請願陳情件名表をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。
本請願は、杉並区の山野玲子さんから提出されたものでございます。
要旨でございますが、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
一点目は、学校法人早稲田実業学校が運営する早稲田大学系属早稲田実業学校の高等部の生徒二名が、教職員から不適切指導や組織ぐるみの非違行為を受けて長期不登校となり、放置されている件について、都の行政指導の方法を早急に改善し、被害生徒が生命、心身、財産、重大事態から救済されるよう指導すること。
二点目は、私立学校に法令違反がある場合に、生徒の最善の利益を優先し、人権を徹底して守るための条例を知事部局が制定すること。
三点目は、私立学校において教員の不適切指導や児童生徒間のいじめ等の問題が発生した場合は、子供、教育に関連する条約、法律及び条例に基づき、公立学校、私立学校の区別なく、子供の人権を最優先して対応すること。
四点目は、都議会において、三点目の趣旨を速やかに実現するための体制整備について意見書を提出するなど、国に対し要望すること。
以上、四点でございます。
現在の状況でございますが、私立学校は、生徒指導等について、法令や国の基準、通知等に基づき、それぞれの学校において適切に対応するものとされております。
都としましては、保護者や学校からの意見、相談があった場合には、丁寧に対応するとともに、保護者等からの意見等については、学校に対して情報提供を行うなど、必要な対応を行っております。
なお、いじめ重大事態につきましては、法令等にのっとった対応を行うよう、学校に対し指導助言してございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願いを申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○とや委員 共産党のとや英津子です。私から意見表明を行います。
請願五第四号、私立学校の法令違反に対する都の行政指導の早急な改善等に関する請願について意見表明いたします。
この請願は、いじめ防止対策推進法にのっとって、重大事態となり、第三者委員会が立ち上がっていると聞いています。
この法律にはガイドラインがあり、保護者に対し、丁寧な説明や寄り添った対応を学校設置者に求めております。請願者の思いを十分酌み取って対応することが必要だと考えます。
私学部は、学校がガイドラインにのっとった対応になっているのか把握をして、指導助言することを求めたいと思います。
以上、趣旨採択とさせていただきます。
以上です。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第四号は不採択と決定いたしました。
○入江委員長 次に、請願五第八号を議題といたします。
なお、本件については、関連のある教育庁の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
理事者の説明を求めます。
○戸谷私学部長 請願五第八号、教員の不適切指導による指導死についての対策等を求めることに関する請願につきましてご説明を申し上げます。
お手元に配布してございます請願・陳情審査説明表の二ページをご覧ください。
本請願は、北区の高橋和之さんから提出されたものでございます。
要旨でございますが、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
一点目は、公立学校、私立学校、高等専門学校等の校種の区別なく、東京の全ての児童生徒の不適切指導による自殺、いわゆる指導死をなくすため、東京都総合教育会議において協議すること。
二点目は、公立学校、私立学校、高等専門学校等の校種の区別なく、都が率先して指導死の調査を行い、対策を講ずること。
三点目は、学校法人武蔵野学院が運営する武蔵野高等学校の生徒が平成三十年十一月二十四日に自死した指導死の事案について、再調査すること。
以上、三点でございます。
現在の状況でございますが、総合教育会議は、知事と教育委員会が教育政策の方向性や重点的な施策等について協議、調整する場であり、必要に応じて、テーマを選定し開催しております。
次に、学校において児童生徒の自殺または自殺が疑われる死亡事案が発生した際は、事実や死亡に至る過程等をできる限り明らかにするため、国の指針に基づき対応することとなっております。
この指針におきましては、各学校は、事案発生時点で把握している事実関係を整理するため、基本調査を実施することとされております。
また、その後、基本調査等を踏まえ、必要な場合には、私立においては学校または当該校を所管する学校法人が、公立においては当該校を所管する教育委員会が、遺族の意向も踏まえつつ、心理等の外部専門家の意見を求めるなど、詳細調査を実施して報告書を取りまとめ、今後の自殺予防、再発防止のために報告書を活用することとされております。
さらに、都は、武蔵野高等学校における平成三十年の事案発生後、学校に対して、国の指針に基づいて調査するよう指導し、学校は、これを受けて第三者委員会を立ち上げて調査を実施しております。
なお、本件につきましては、保護者が学校等を提訴し、司法の場において訴えが棄却されております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願いを申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○アオヤギ委員 共産党のアオヤギ有希子です。この請願について議論していきます。
この間、指導死について議論されてきました。さきの議会では、とや議員が、学校の対応が、生徒指導提要に照らしても当該教員の対応が逸脱していること、調査結果が黒塗りで再調査が必要であると指摘をしてきました。
子供によるいじめも、教員による不適切な指導も重大な人権侵害であり、子供の生死にかかわらず、早期に対応されなければなりません。
また、現行の制度では、教員が不適切な指導、加害者になったときの制度に不備があるのは明らかだと思いますので、さきの議会では法整備を求める意見書を提出しましたが、残念ながら採択には至りませんでした。
今もなお、保護者の方が、子供がなぜ亡くなったのか、真相を明らかにしてほしいと思うのは当然の願いだと思います。
私学部は、先ほどの説明でも、さきの議会からの対応が変わっていないということを確認しておりますけれども、そこで、まず最初に伺いますけれども、今回の請願項目には総合教育会議で協議してほしいということが書かれています。
地教行法によれば、総合教育会議の構成員は知事と教育委員会になっています。私立学校については知事の職務権限に属し、公立学校については教育委員会の職務権限に属します。
総合教育会議で協議する事項の一つに、児童生徒等の生命または身体に現に被害が生じ、または、まさに被害が生じるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置が示されています。
知事としては、私学教育の自主性を尊重するのは当然ですし、教育委員会に対しても、首長部局からの独立性を尊重しなければなりません。同時に、命に関わることについては、しっかり向き合い、対策を考えていくというのが、この法律の趣旨だと思いますが、見解を伺います。
○戸谷私学部長 総合教育会議は、知事と教育委員会が教育政策の方向性や重点的な施策等について協議、調整する場でございまして、必要に応じて、テーマを選定して開催するものでございます。
○アオヤギ委員 今のは一般的なお話だと思いますけれども、なぜそのような文言が入っているのか、見解を聞いたところです。保護者の方が再調査を求めているときにこそ、開かれるべきものだと思います。指導死をなくしていくための協議をぜひ持っていただき、沖縄県知事のように再調査を判断していただきたいと思います。
教員による不適切な指導に対して、再発防止、保護者が納得いく形の第三者委員会の設置など、ルールがない中、当面の間は、私はいじめ防止対策法のガイドラインに準じた対応が必要だと思います。
いじめ防止対策法は、そもそも大津のいじめ事件の翌々年に制定され、大津のいじめ事件では、教員の対応も問題視されていました。その事件をきっかけにつくられ、近年ではさらに、保護者への対応、再発防止の観点で第三者委員会を設置し、第三者の委員の選定は保護者も関与ができる内容まで書かれたガイドラインを文科省は出しています。
学校や学校設置者の基本的な姿勢については、特に自殺事案の場合、学校外のことで児童生徒が悩みを抱えていたとしても、自殺に至るまでに学校が気づき、救うことができた可能性がある、したがって、いじめが背景にあるか否かにかかわらず、学校設置者及び学校として適切に事実関係を調査し、再発防止策を講ずる責任を有していることを認識することと書かれています。
こうしたガイドラインを踏まえ、重大事態の認定が進み、学校設置者である各自治体で、今、第三者委員会が立ち上がっているケースが少なくありません。
そこで、都教委に伺います。都教委では、学校でいじめが起きた際、第三者委員会を立ち上げ、子供の関与だけではなく、先生による加害など関係がある場合、一連のものとして教員の調査も行われ、調査結果が公表されるという対応がされるということでしょうか。
○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、都立学校で発生したいじめの重大事態について、事実関係を明らかにするため、いじめ防止対策推進法の規定に基づき、いじめを受けた児童生徒の保護者の意向等を踏まえ、当該児童生徒、他の児童生徒及び教職員等に対して調査を行うことといたしております。
また、調査結果の公表については、事案の内容や重大性、いじめを受けた児童生徒の保護者の意向、公表した場合の児童生徒への影響等を総合的に勘案して判断いたしております。
○アオヤギ委員 いじめの場合は、教職員による加害があった場合でも、きちんと一連のものとして調査がされているということでありました。
第三者委員会の調査結果で、先生から生徒への加害が判明した場合は、どのように対応されるのでしょうか。
○吉村教育庁人事部長 教員による体罰や不適切な指導などが発生した場合には、事実確認の上、非違行為の態様、被害の大きさ、信用失墜の度合いなどを総合的に判断し、厳正に対処しております。
○アオヤギ委員 先生からの体罰やハラスメントを生徒から相談が都教委にあった場合、調査や対応の結果を当事者に返すのか、お答えください。
○吉村教育庁人事部長 相談者が氏名や学校名等を明らかにして具体的な調査を希望された場合には、調査後、結果をお伝えしています。
○アオヤギ委員 もし指導死もいじめ防止対策推進法の対象となれば、黒塗りの調査結果を保護者に渡すということはあり得ません。調査結果を公表するか、まず保護者に承諾を得て公表となります。
仮に因果関係が分からなかったとしても、再発防止の観点から、いじめはなかったと軽々に判断しないことということが冒頭に、ガイドラインに書かれていますけれども、教員の規定がないからといって、このガイドラインに準じた対応がされないのは、とても不合理だと感じます。
私学部に伺います。教員の加害に対する第三者委員会の設置や保護者に寄り添った対応のルールがない当面の間、いじめの重大事案に準じた対応が、先生による加害、不適切な指導に対して必要ではないでしょうか。
○戸谷私学部長 生徒指導は、各学校が生徒指導提要等に基づきまして責任を持って実施すべきものでございます。
学校において法令違反があった場合、通常、都は、学校に対し、事実関係及び今後の対応について確認を行うなど、適切に対応しているところでございます。
○アオヤギ委員 いじめ防止対策法では、知事が再調査をする権限を持っています。教職員による加害が起きたときも、学校が素早く対応し、私学部、都教委が傍観者とならないように、これに準じた対応が必要だと思います。
不適切な指導や指導死が起きた場合の対応のルール化が必要ですが、第三者機関の調査やその結果の公表、再発防止の取組を定めたルールづくりについて、私学部はどのような考えを持っていますでしょうか。
○戸谷私学部長 生徒指導は、各学校が生徒指導提要等に基づいて責任を持って実施すべきものでございます。
生徒の自死につきましては、国の指針に基づきまして、学校が調査を行い、必要な対応を行うものとなってございます。
○アオヤギ委員 痛ましい子供の死が繰り返されないように、最大限、私学部、都教委が力を尽くしていくよう強く求めて、質疑を終わります。
○阿部委員 私からも、請願第八号、教員の不適切指導による指導死についての対策等を求めることに関する請願についてお伺いいたします。
六月の文教委員会でも、学校法人武蔵野学院が運営する武蔵野高等学校の生徒の自死に関して請願が出され、質疑が行われました。
その中で、東京都は、保護者等からの意見などには適切に対応しているとの答弁はありました。
国の指針に基づき調査を行うという指導を都が行ったことによりまとめられた第三者調査委員会の調査書では、不適切な指導があったことが明記をされております。
しかし、学校の対応並びに再発防止への提言という最も重要な部分が、学校側の判断で全て黒塗りとなっているという極めて不誠実な状況でした。
その後、調査書の黒塗り部分は開示されたのか、いまだ黒塗りのままなのか、確認させていただきたいと思います。
○戸谷私学部長 都は、事案発生後、学校に対して、国の指針に基づき調査するよう指導し、学校がこれを受けて調査を実施したところでございます。
国の指針では、調査結果につきまして、学校が遺族に対し適切に情報提供するものとされておりまして、保護者に対しどのように情報提供するかにつきましては、国の指針を踏まえ、学校が判断するものでございます。
○阿部委員 生徒の自死というのは極めて重大な案件です。かつ、その生徒への不適切な指導が学校内で行われたということが客観的に認定をされているという、その状況の中で、いかに私立学校に教育の自立性があるといえども、自らの改善策を開示しないというのは、これは国のいう適切な情報提供に当たると都は考えるのか否か、お答えください。
○戸谷私学部長 国の指針では、学校は、詳細調査の実施によりまして報告書を取りまとめるとともに、今後の自殺予防、再発防止のために、これを活用することとされてございます。
また、国の指針では、調査結果につきまして、学校が遺族に対し適切に情報提供するものとされておりまして、どのように情報を提供するかにつきましては、学校が判断するものでございます。
○阿部委員 指針では適切に情報提供をするというふうに書かれているというご答弁でした。もう共通認識になっていると思います。
どのように情報提供するか。黒塗りというのは情報提供に入らないです。黒塗りの紙を出して、これが適切な情報提供だと。これは社会通念に著しく反するものだと思います。それを見ても、なお、国が適切に情報提供をする、それを、ある意味、見ているだけだということでは、都としての、私学部としての、所管としての責任といいましょうか、立場としては、あまりにも弱いのではないかと思います。
いじめ対策推進法では、公立、私立学校の児童生徒が他の児童生徒に対して、いじめ、すなわち心身の苦痛を感じる行為を行うことを禁じています。
教職員が不適切な指導を行い、児童生徒に心身の苦痛を感じさせる行為を行う、このことを禁じる法令が存在しない。行政も、適切な対応並びに再発防止策を取ることが求められていない。
これは著しくバランスを欠くものだとは考えないのでしょうか。
○戸谷私学部長 生徒指導は、各学校が生徒指導提要等に基づき責任を持って実施すべきものでございます。
学校において法令違反があった場合、通常、都は、学校に対し、事実関係及び今後の対応について確認を行うなど、適切に対応しているところでございます。
また、東京都としては、学校や保護者からの意見、相談があった場合には、丁寧に対応するとともに、保護者等からの意見などについては、学校に対して情報提供を行うなど、必要な対応を行っているところでございます。
○阿部委員 東京都は、毎年、約二千億円もの税金を私学助成として都内私立学校に支出をしております。私学の建学の精神や教育内容の自立性、これは堅持されなければいけないと思っております。しかしながら、生徒の命にも関わる重大事案について真摯に向き合わない法人に対しても一律に税を投入することが本当に妥当なのか、そうした違和感すら出てくるところです。
不適切な指導が常態化していたり、生徒の命や尊厳に関わる重大な問題を隠蔽することなどがないように、行政として一歩踏み出す、あるいは私立学校全体として自主ルールを定めることを促していく、様々なやり方、何らかのアクションを起こすべきだと思います。このことを求めて、私の質問を終わります。
○桐山委員 ミライ会議、桐山です。よろしくお願いします。
六月の文教委員会でも質疑をさせていただきまして、今も議論がありましたけれども、調査結果につきましては、黒塗りの部分で、全くもって開示をされない極めて不適切な判断だったということで、非常に、その対応につきましても、私どもも再調査を求めるということで、さきの質疑の中でも発言をさせていただいたところであります。
さきの文教委員会の中でも、教員などによる指導を原因として自殺などの重大事態が学校外で発生をした場合、それに対処する法律も条例も存在をしない、そして、これが法的な空白の領域となっているということについて、課題を提起させていただいております。
そこで、令和五年度総合教育会議はまだ開催をされておりませんが、総合教育会議は、どのような場合に、また、どのような頻度で開催をすることとしているのか、生活文化局及び教育庁、それぞれにお伺いしておきます。
○戸谷私学部長 総合教育会議は、知事と教育委員会が教育政策の方向性や重点的な施策等について協議、調整する場でございまして、必要に応じて、テーマを選定して開催しております。
○秋田教育庁教育政策担当部長 繰り返しの答弁となり、恐縮ですが、総合教育会議につきましては、知事と教育委員会が教育政策の方向性や重点的な施策などについて協議、調整する場でございまして、必要に応じて、テーマを選定して開催しているところでございます。
○桐山委員 それぞれお伺いしましたが、それぞれのご答弁は全く同じで、総合教育会議は、知事と教育委員会が教育の政策の方向性や重点的な施策等について協議、調整する場であると。こちらは、必要に応じて、テーマを選定して開催していくんだということであります。
私は、さきの文教委員会の請願に対して、総合教育会議の議題にのせたらどうか、まさに私学、都立、教育、生文と関係なく、公私関係なく、子供の命を最優先に考えるならば、総合教育会議にのせるべきだというふうに申し上げてきました。そして、提案もさせていただきました。
そこで、この指導死ということに対しての問題意識なんですけれども、今でも、現実、不適切指導によって不登校のお子さんがいたり、あるいは不適切な指導によって自らの命を絶つという現実があるわけであります。
それぞれにお伺いいたしたいのですけれども、この指導死に対しての認識、どのようにお考えなのでしょうか。ぜひ生文と教育庁、併せてお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 生徒の自死につきましては、その原因も含め、国の指針に基づき、学校が調査し、必要な対応を行うものとなってございます。
生徒指導につきましても、各学校が生徒指導提要等に基づいて責任を持って実施すべきものであるというふうに考えてございます。
○小寺教育庁指導部長 公立学校におきましては、所管の教育委員会が、各学校において生徒指導が適正に行われているかどうか、日常的に校長と連携しながら把握し、必要に応じて、改善に向け指導助言を行っております。
また、子供の自殺が起きたときには、事実や背景をできる限り明らかにするため、学校及び所管教育委員会が調査を行い、必要な対応を行っております。
○桐山委員 先ほどから申し上げているように、私学に対しては、国の指針に基づいてだとか、また、指導提要で不適切な指導が今回改定されて入っているから、それを個々の学校に任せて、適切に指導してくださいよと。それで子供の命は守れるのでしょうか。教育庁も同じですよね。
なぜ私はこのテーマについて、こんなに全国、東京だけの問題じゃありませんけれども、全国の子供たちの命を守れない状況を放置しているのでしょうか。だからこそ、先ほどから質疑の中でもありましたように、東京都としては、法整備が整うまでの間、なぜ行政側として行政指導を行ったり、あるいは、直接、聞き取り調査や再調査など、第三者を使いながらでも取組を行わないのでしょうか。これを放置していることが考えられないんですよね。
それぞれ、先ほどから申し上げているように、子供の命に、公立だからとか私立だからとか、関係ないじゃないですか。
だからこそ、総合教育会議の中で、まずお互いに持っている情報をテーブルの上に乗せて、じゃ、これをどういうふうに解決をしていけばいいのかということぐらい、なぜできないんですか。それについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
それぞれ課題意識を持っているんだったら、ぜひテーマとして上げるべきだと思うんですけれども、その点についてはどのように考えているのでしょうか。お聞かせください。
○戸谷私学部長 繰り返しになるのですが、生徒指導というのは、私立学校においては、各学校が生徒指導提要等に基づいて責任を持って実施すべきものでございます。
当然ながら、国の指針で、学校においては、詳細調査の実施によりまして報告書を取りまとめて、今後の自殺予防、再発防止のためにこれも活用すると同時に、東京都においては、生徒や保護者あるいは学校からの意見や相談があった場合については、丁寧に聞き取りを行って助言をするとともに、保護者などからの意見については、学校に対して情報提供を行うなど、適切に対応しているところでございます。
○秋田教育庁教育政策担当部長 総合教育会議についてでございますけれども、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、総合教育会議につきましては、知事と教育委員会が教育政策の方向性や重点的な施策等について協議、調整する場でございまして、必要に応じて、テーマを選定し開催しております。
○桐山委員 何か、それぞれの認識を聞かせてもらっていても、特段、指導死について、テーマとして上げるとか、あるいは、そういう認識を持たれていないのかなというふうな感想を持ちました。
国に先駆けて都独自に実施をしているもの、施策、たくさんありますよね。条例についても、国が法律がないなら、都の条例で先駆けてつくって、後追いで国が法整備をするとか、これまでだってたくさんあるじゃないですか。
子供の命に関わる指導死に対して、国に先駆けて都独自の制度をつくらないとしている東京都の政策の優先順位づけという考え方は、どのようにお考えなのか、生文と教育庁、それぞれ伺います。
○戸谷私学部長 生徒の自死につきましては、その原因も含めて、国の指針に基づいて、学校が調査し、必要な対応を行うものとなってございます。
生徒指導につきましても、各学校が生徒指導提要等に基づきまして責任を持って実施すべきものでございます。
都といたしましては、生徒や保護者からの意見、相談があった場合については、丁寧に聞き取りを行い助言するとともに、保護者等からの意見につきましては、学校に対し情報提供を行うなど、適切に対応しているところでございます。
○小寺教育庁指導部長 公立学校におきましては、所管の教育委員会が、各学校において生徒指導が適正に行われているかどうか、日常的に校長と連携しながら適切に把握いたしまして、課題等があれば、必要に応じて、改善に向け指導助言を行っております。
また、子供の自殺が起きたときには、事実や背景をできる限り明らかにするため、学校及び所管教育委員会が調査を行い、必要な対応を確実に行っているところでございます。
○桐山委員 小池都政では、当初、七つのゼロを公約に掲げられて施策も進められていると思います。子供の自殺こそ、ゼロを目指して対策を講じるべきだというふうに考えます。
指導死ゼロについて、国の制度任せでは、東京都として積極的に取り組まないという理由について、生活文化スポーツ局及び教育庁についてお伺いします。
もう一つ加えさせていただきますと、子供を笑顔にするというプロジェクトもあると思うんですけれども、子供を笑顔にするよりも、子供の命を守る政策をなぜ取り上げないのかということも併せてお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 生徒指導は、一人一人が抱える個別の困難ですとか課題に向き合い、個性の発見と個々のよさや可能性の伸長、そして社会的資質、能力の発達に資するものでございまして、これは、各学校が生徒指導提要等に基づき責任を持って実施すべきものでございます。
なお、東京都といたしましては、生徒や保護者からの意見、相談があった場合については、丁寧に聞き取りを行って助言を行うとともに、保護者等からの意見については、学校に対して情報提供を行うなど、適切に対応しているところでございます。
○小寺教育庁指導部長 繰り返しの答弁の部分もございますが、公立学校におきましては、所管の教育委員会が、各学校において教員の生徒に対する指導が適正に行われているかどうか、日常的に校長と連携しながら把握し、改善の必要があれば、必要に応じて指導助言を行っているところでございます。
また、都教育委員会は、子供に気になる様子が見られた場合や、子供や保護者から相談があった場合には、丁寧に寄り添って対応するよう、都内公立学校に指導助言を行っており、積極的に取り組まないということではないというふうに捉えております。
また、笑顔にするプロジェクトと命を守る対策というお話でございましたが、都教育委員会は、東京都教育施策大綱で、誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育を目指しております。
子供の命を大切に、また笑顔も大切にしながら、今後とも教育施策を進めてまいる覚悟でございます。
○桐山委員 特に私学につきましては、今ご答弁いただきましたけれども、生徒指導は、一人一人が抱える個別の困難や課題に向き合って、個性の発見とよさや可能性を伸ばしていくとか、あるいは、各学校が生徒指導提要に基づき実施をしていると先ほどから何度も繰り返されているかと思いますが、生徒指導は各学校が判断をして実施するものという趣旨でしょうか。
子供の自殺は、防止を各学校に任せていては、私は駄目だというふうに思っています。いじめ防止法ができたりしたのも、それらの背景からだというふうに思います。学校に任せておけないからこそ、いじめ防止法ができたんですよ。
指導死を学校に任せておいて、この指導死というのが今後妨げると考えられているのかどうか、改めて伺います。
○戸谷私学部長 繰り返しになりますが、生徒指導は、各学校が生徒指導提要等に基づき責任を持って実施するものでございます。
なお、生徒指導提要では、先ほど申し上げた一人一人が抱える個別の困難や課題に向き合うということとともに、生徒が安心して楽しく通える魅力ある環境づくりといったものも、個性を伸ばす、あるいは能力の発達に資する取組と併せて記載をされておりまして、指導をする際にそれらを参考にして、また、同じく指導提要に書かれております、理論、考え方ですとか、実際の指導方法がございますので、そういったものを学校の責任において実施すべきものだというふうに考えてございます。
○桐山委員 私学、これ、何とかしましょうよ。私はそう思います。
学校法人武蔵野学院が経営する武蔵野高等学校におけるこの指導死事件について、どのような調査を踏まえ、再発防止対策が講じられることになったのか、改めて伺います。
その後、この報告をきちっと受けられているのかどうなのかも併せて伺います。
○戸谷私学部長 武蔵野高等学校の生徒の自死の事案についてでございますが、学校は、国の指針に基づきまして、基本調査及び詳細調査を実施しております。
国の指針におきましては、学校は、詳細調査の実施によりまして報告書を取りまとめ、今後の自殺予防、再発防止のためにこれを活用することとされておりまして、学校は、そうした指針に基づき対応を行っているものでございます。
なお、報告書につきましては、事件当時、調査結果の所管庁への報告は求められていなかったものでございます。
○桐山委員 前回もこの議論をさせていただきましたけれども、そのときは再発防止の関係の報告の義務がなかったから、もらっていなかったということだったのですけれども、今現在も何も報告を受けていないという認識でよろしいのでしょうか。
前回の請願後、この武蔵野学院に対して、何らかアクションを起こしたことがあるのかということも改めて伺います。
○戸谷私学部長 武蔵野高等学校におきましては、先ほど申し上げたとおり、基本調査及び詳細調査を基に報告書を取りまとめて、それを活用することというふうに指針ではなってございます。
私どもは、当時、その報告を求められていなかったということでもあり、やはり我々としては、報告書というものは受け取ってはございません。
現時点で、特段、保護者からの意見ですとか、学校からの相談等はないという状況でございます。
○桐山委員 担当としては、私学部としては、当時も今も報告は受けていないし、こちらから何らかアクションをしたこともない、対応していないということが分かりました。
また、この武蔵野高等学校の事例から、東京都として、指導死を防止するための施策の推進について得た教訓というものがあるのですか。ぜひお聞かせください。
○戸谷私学部長 生徒の自死について、国の指針におきましては、学校は、詳細調査の実施により報告書を取りまとめ、今後の自殺予防や再発防止のためにこれを活用することとされております。
都といたしましては、生徒や保護者から相談があった場合には、丁寧に対応するとともに、保護者等からの意見などにつきましては、学校に対して情報提供を行うなど、必要な対応を行ってございます。
○桐山委員 先ほどから何度も申し上げていますけれども、国の指針では、学校が報告書を取りまとめて、今後の自殺予防や再発防止のために活用することとされていることは理解はしていますが、都は、報告も受けていないで、その改善や課題にしっかり向き合って丁寧に対応し、保護者等からの意見がなかったら何もしないという、そういう態度で本当によろしいのかなというふうに思うんですね。
この武蔵野高等学校の事例にしっかり向き合っていただいて、再調査を含めた事件の解明、そこから導かれる教訓や再発防止策を、今後、東京都による防止策をしっかり横展開できるようにすべきだと思いますが、都の見解を伺います。
○戸谷私学部長 東京都は、これまで同様に、各学校に対して、法令等に基づいて適切に対応を行っていくように指導をしてまいります。
また、学校からの相談等の場面におきましては、都が把握している対応事例の紹介も含め、引き続き適切に助言を行ってまいります。
○桐山委員 法律も制度もないならば、なぜ動かないのですかということは何度も申し上げています。指導死についての報告につきましても、改善をしたといっても、自らが改善要望に対してのそれら教訓を得られないで、子供の命を救えるとはいえないんじゃないでしょうか。
先ほども申し上げましたように、教員による不適切指導というものは今でもありますよ。公私関係なく、これは今後も起こり得る問題だというふうに思います。
指導提要に不適切指導について書かれているから、それをしっかり徹底してくださいねという学校任せにするだけじゃなくて、都教委の方も、研修して先生に理解が深まったというだけじゃなくて、しっかりと総合教育会議の中でそれぞれが、これ、何とかしたいと思うのであれば、制度やルールをしっかりつくっていただいて、ぜひ子供の命を守れる東京都でいてほしいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第八号は不採択と決定いたしました。
○入江委員長 次に、陳情五第一六号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○柏原都民生活部長 陳情五第一六号、公益社団法人東京都柔道整復師会の不正会計の実態調査等を求めることに関する陳情につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます請願・陳情審査説明表の三ページをご覧ください。
本陳情は、奈良県奈良市鍼灸柔整政策フォーラム共同代表、大山利彦さん外一人から提出されたものでございます。
要旨でございますが、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
一点目は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に照らし、公益社団法人東京都柔道整復師会における不正会計の実態調査を行うこと。
二点目は、同会が、現時点においても公益社団法人としてふさわしい団体であるかについて再調査を行うこと。
以上、二点でございます。
現在の状況でございますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律では、公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において、公益法人に対し、必要な報告を求め、または事務所に立ち入り、その運営組織及び事業活動に係る帳簿、書類等を検査し、もしくは関係者に質問することができる旨規定されております。
都では、同法に基づき、毎年度、法人の運営や会計状況等を記載した事業報告書をはじめとした書類等の確認を行っているほか、法人事務所への立入検査をおおむね三年ごとに行い、帳簿書類等の確認や役職員への聞き取り調査などを行っております。
当該法人につきましても、これらを通して法人の運営状況等を確認しております。
なお、本陳情で指摘されております事項につきましては、法人において第三者委員会による調査を行い、是正措置を講じており、都は、法人からその報告を受けております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。よって、陳情五第一六号は不採択と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
○入江委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。
○浜教育長 令和五年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明を申し上げます。
ご審議いただきます教育庁所管の案件につきましては、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例一件でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○山田総務部長 それでは、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和五年第三回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。
提出予定の条例案は一件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
二ページの新旧対照表をご覧ください。
東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画に基づきまして、東京都立八王子南特別支援学校を設置するものでございます。
施行日は、公布の日でございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○アオヤギ委員 一点です。
八王子南特別支援学校の開校に伴う学区の改変の予定が分かるものをお願いします。
○入江委員長 そのほかはよろしいでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 では、ただいまアオヤギ委員より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○入江委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○秋田教育政策担当部長 それでは、私債権の放棄についてご報告申し上げます。
お手元に配布しております文教委員会資料(報告事項)の一ページをお開き願います。
東京都債権管理条例第十三条に基づき、教育庁が令和四年度に実施した私債権の放棄についてご説明させていただきます。
令和四年度に放棄した私債権は、都立図書館の複写料金二件で、金額は合計一千百七十円でございます。
当該債権は、東京都立中央図書館の郵送複写サービスに係る料金で、平成二十四年度に発生し、以降、債務の支払いが滞っている債権でございます。
債務者に対しましては、支払いの催告など、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、債務者が所在不明の状態で、実質的に回収不能となっていること、また、既に消滅時効に係る時効期間が経過しておりますが、時効の援用の確認を得ることもできないことから、令和五年三月にこれらの債権の放棄を実施したところでございます。
なお、当該債権発生時は、複写料金につきましては後納制でございましたが、平成二十六年十二月に前納制に変更しておりまして、今後、同様の事案は発生いたしません。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言をお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○入江委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
初めに、請願五第五号の二を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○岩野地域教育支援部長 請願五第五号の二、高輪築堤(第五・六街区及び第七街区)の現地保存等に関する請願についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
本請願は、港区の高輪築堤の全面保存を求める会共同代表、大西広さん外六人から提出されたものでございます。
本請願の要旨は、高輪築堤の第五街区、第六街区及び八ツ山橋に至る第七街区の再開発計画の策定に当たっては、日本の明治近代化を象徴する世界文化遺産級の文化財である高輪築堤が現地に保存されることを基本として進めるよう、JR東日本株式会社に要請することを検討していただきたいというものでございます。
これに関します現在の状況でございますが、都教育委員会は、令和二年八月、一街区から六街区までの地区を高輪築堤跡の港区遺跡ナンバー二百八とし、埋蔵文化財包蔵地として周知しております。
また、品川駅から八ツ山橋間に位置する品川駅街区地区についても、令和五年二月に追加し、周知しております。
文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において事業者等が開発等を行う場合には、都道府県教育委員会に届出が必要とされております。
届出があった場合には、東京都文化財保護条例等に基づき、試掘調査、立会い調査、発掘調査等を指示するなど、適切に対応をいたします。
なお、品川駅北周辺地区の五街区、六街区及び品川駅から八ツ山橋間に位置する品川駅街区地区の発掘に関しては、開発事業者からの届出は提出されておりません。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
高輪築堤第五街区、第六街区並びに八ツ山橋に至る第七街区の現地での保存を求めるとJR東日本に要請するよう求める請願であります。
請願書では、港区教育委員会の資料から、高輪築堤は、当時の日本の鉄道技術、土木技術を将来に伝える唯一無二のもの、英国から輸入された鉄道という仕組みをどのように日本の技術で実現させたかを今に残す貴重な遺構であり、港区だけでなく、東京都、我が国の歴史を理解する上で重要なものであると紹介されています。
また、日本イコモス国内委員会が開発計画の見直しの要望を出すとともに、多くの学会、協会も要望書を提出していることなどが紹介されています。
また、国内委員会ではなく、イコモス本体の方が、今、神宮外苑の再開発で改めて注目を浴びているヘリテージアラート、遺産危機警告を発出したことも記憶に新しいところです。
私、本当に、この高輪築堤、全部残すべきだと思っています。その立場から質問したいと思います。
まず、一般論として都の文化財保護の仕組みをお聞きしたいと思うんですが、東京都指定文化財は、どのような場合に指定をされるのか、教えてください。
○岩野地域教育支援部長 東京都指定文化財につきましては、東京都文化財指定基準に基づき、東京都教育委員会が指定いたします。
指定に当たりましては、東京都文化財保護条例に基づき、あらかじめ都文化財保護審議会に諮問するとともに、所有者等の同意を得ることとなっております。
○とや委員 通常は、ご答弁のように、都教委が基準に基づいて指定をする、その際、審議会に諮問すると同時に、所有者の同意を得る必要があるということになるわけです。
当然、都として所有者や開発事業者などと話をすることになると思うわけですが、高輪築堤の場合は、最初から国指定の史跡として指定をされたと聞いています。
これに関わって、都として何か意見を述べる機会があったか、JR東日本あるいは港区と情報共有や話合いをしたことがあるのかどうか、お答えください。
○岩野地域教育支援部長 高輪築堤につきましては、事業者が設置いたしました高輪築堤調査・保存等検討委員会におきまして、事業者や文化庁、港区教育委員会等の関係機関とも情報を共有いたしております。
○とや委員 情報も共有してきたということですが、検討委員会の資料によれば、二〇一九年四月に、工事中に石垣が発見されました。その後、二〇二〇年、翌年八月に遺跡の発見届が出されて、都教委は、周知の埋蔵文化財包蔵地に登載をしたわけです。その翌月には、お話がありました高輪築堤調査・保存等検討委員会が設置され、その後、基本的にこの検討委員会を通じて、事業者とは情報共有をしてきたというふうに聞いています。
情報共有だけなのかどうかなんですが、ご承知のとおり、これまでの第四街区までの開発については、高輪築堤は、第七橋梁橋台部などの一部保存、信号機跡の移築保存にとどまっています。遺構の大部分を失う結果となってしまったわけです。
これは本当に、都民だけじゃないですよね、国民的にも批判が集まって当然だと思うわけですが、こうした結果も踏まえて、請願者は、今度こそ、第五街区、第六街区あるいは第七街区の遺構はしっかり現地保存してほしい、そのために、都は積極的な役割を果たしてほしいと望んでいるわけです。都は、非常に大きな権限を持っているわけですから、そのぐらいできると私は思っています。
ところが、第五街区、第六街区についても、現在進行している環状四号線、京急連続立体交差事業の工事によって、既に築堤に影響が出ているということが分かっています。
環状四号線事業、京急連続立体事業それぞれについて、高輪築堤に関する文化財保護の手続はどのように行われたのか、その結果はどういうふうになっているのか、そして、それらは都民にどのように知らされたのか、お答えください。
○岩野地域教育支援部長 環状四号線事業につきましては、試掘調査に基づき、令和三年七月の高輪築堤調査・保存等検討委員会におきまして、記録保存とすることが承認されております。その後、事業者の届出を受け、発掘調査が行われ、築堤の盛土や群くいの一部を検出しております。
京急連続立体交差事業についても同様に、検討委員会における承認を得て、令和四年から順次、発掘調査が行われ、盛土の一部等を検出しております。
検討委員会の議事録につきましては、事業者のホームページ上で公開されております。
また、調査結果につきましては、今後、港区教育委員会が報告書としてまとめる予定と聞いております。
○とや委員 特に環状四号線の工事では、調査で見つかった盛土や群くいは、既に一部壊されてしまっています。これ、東京都の責任は大きいと私は思っていますよ。
それは、調査・保存等検討委員会において、公共交通機関の開発だ、五、六街区は開発計画とは切り離すことが承認された、これが確認されたということで行われていると聞いています。
しかし、一方で、調査・保存等検討委員会は、二〇二一年四月、高輪築堤跡の保存の方針についての見解において、五、六街区については、築堤の現地保存を考慮した開発計画を策定することを要望するというふうになっているんです。ここには東京都も入っていますよね。
ですから、JR東日本の再開発は、より柔軟に対応することが求められていると思いますし、また、それはできるはずだと思います。この点で都教委のイニシアチブが強く求められているというふうに考えます。
世界遺産登録の審査も行うイコモスから、世界遺産に匹敵すると評価されている高輪築堤ですが、教育的観点からも保存する価値があると考えますが、いかがでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 高輪築堤につきましては、専門家等による高輪築堤調査・保存等検討委員会の検討を経て、調査、保存方針がまとめられております。
本方針を受け、令和三年九月に第七橋梁等が国の史跡に指定されており、指定に当たりましては、我が国の歴史を理解する上で重要な文化遺産として、都教育委員会として国に意見を付しております。
今後も、検討委員会における助言を踏まえ、発掘調査を指示するなど、適切に対応してまいります。
○とや委員 適切に対応するんだったら、全部残すべきなんですよ。それができるのは東京都なんだから。
昨日、都市整備委員会で我が党の委員が、イコモスがヘリテージアラートで、岸田首相や小池知事に高輪築堤の保存への最大限の努力を求めました。これについて知事がどのように対応したか質問したのですが、確たる答弁はありませんでした。
神宮外苑を含め、ヘリテージアラートが短期間に二回も発出されるというのは、日本と東京における大企業あるいは行政の文化遺産に対する姿勢、社会的責任についての認識に深刻な弱点があることを示すものだといわざるを得ません。
しかし、今ならまだ挽回のチャンスは残されています。まだ残っているんだから。
高輪築堤の保存に努めることの値打ちは、いろんな角度から考えられると思うんですよ。
例えば、知事がいうような国際都市を標榜する立場からは、インバウンドの魅力的なコンテンツだったり、社会的責任を果たすことによって高まる企業価値、いろいろあると思うんですが、私は教育委員会には、ぜひとも都の文化財保護条例がうたう理念、もって都民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献するという見地にしっかり立っていただきたい、そして、その職責を果たしていただきたいと思うんです。
文化財保護を所管することは、地教行法に定められた教育委員会固有の職務権限です。五、六、七街区で高輪築堤をしっかり現地保存できるかどうかは、都教委にかかっているといっても過言ではないんです。
まずは、検討委員会において、現地保存に向けて積極的発言を行っていただきたい。また、検討委員会の枠にとどまらないで、JRに指導、要請を行っていただきたいと思います。さらに、高輪築堤をめぐる現在の状況について、リアルタイムで都民に積極的な周知を行うことを求め、請願の採択を主張して、質問を終わります。
○桐山委員 桐山です。よろしくお願いします。
それでは、高輪築堤の現地保存等に関する請願について質疑をさせていただきます。
高輪築堤は、一八七二年に開業した日本初の鉄道を建設した際、現在の田町駅付近から品川駅付近に造られた、長さ約二・七キロにわたって海上に堤を築いてレールを敷いた海上鉄道敷の遺構です。
築堤の規模は、明治五年、一八七二年に鉄道が単線で開業したときは幅約十七・五メートル、明治三十二年、一八九九年に三線に拡幅した後は、幅二十一メートル強、高さは三・八メートルでした。そうした築堤が、当時の様子を残したまま発見されたんです。
二〇二一年四月、JR東日本の高輪築堤調査・保存等検討委員会は、第七橋梁を含む築堤、長さ八十メートルと、北側の公園に隣接する築堤、長さ四十メートルを現地保存し、加えて、信号機跡地を含む築堤、長さ三十メートルを近隣に移築することとしました。
これに対して、二〇二二年一月二十八日、ユネスコ世界遺産条約の諮問機関でありますイコモスは、ヘリテージアラートを発出し、JR東日本に対し、行政のトップの名も連ねてありますが、現在進行中の高輪築堤の掘削、記録、破壊サイクルを即時に中止をし、これまで実施されているよりもはるかに広い一般の立入りを許可すること、堤防の大部分の破壊を前提とした開発計画を見直し、堤防の残りの部分をそのまま完全に保存するよう求めています。
また、関係国の省庁、地方自治体及びその部門に対し、国内外で重要性と価値の高いこの遺産の保存を確保するように最大限努力をし、また、専門的なサポートを提供する用意があるとも述べています。
そこで、東京都は、ユネスコ諮問機関でありますイコモスのヘリテージアラートの国際的な意義及び国内における意義についてどのような認識を持っているのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 ヘリテージアラートにつきましては、国際記念物遺跡会議、イコモスが専門家の評価により危機のあると判断した文化遺産について注意喚起し、保護や解決方法を提示するための文書であります。
○桐山委員 ご答弁があったように、このヘリテージアラートというのは、危機にあると判断した文化遺産について、注意喚起というよりも警告だというふうに認識をしておりますが、そのような文書であるということであります。
私たちは、ビジネス環境を整えるために文化遺産を破壊する東京ということになれば、文化度で大きく評判を落とすのではないかと懸念をしています。都市間競争にも支障が出るとも考えています。
このヘリテージアラートにつきましては、先ほど申し上げたように、危機がある、世界遺産に匹敵する遺構が壊されそうな場合に出るんです。警告ですよね。
そこで、この埋蔵文化財を保護する立場であります教育庁は、ヘリテージアラートをどのように受け止め、どのように対応しているのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 高輪築堤の調査保存等につきましては、事業者が設置いたしました、考古学、鉄道史、近代史等に関する専門家等が入りました検討委員会におきまして、令和三年四月に調査保存方針が取りまとめられております。
本方針を受け、現地保存することとなった箇所につきましては、同年九月、国において史跡に指定されております。
その後、史跡の保存と有効な活用を目的とする専門家等から成る検討委員会を設置し、令和五年三月に高輪築堤跡保存活用計画が策定され、同年五月、文化庁長官の認定を受けております。
今後は、本計画に基づき、地域の歴史的価値向上及び地域社会への貢献を目指し、引き続き、関係者と連携を図りながら、史跡の公開に向けた具体的な整備等について検討を進めることとしております。
○桐山委員 今お伺いしているのは、埋蔵文化財を保護する立場である教育庁は、このヘリテージアラートを受けて、どのように受け止めているんですかということを伺っています。
今回のヘリテージアラートにも、もちろん、先ほど出ておりました岸田首相もはじめ、その当時は藤田教育長に出されておりますけれども、現在続く教育長宛てにも届いているという観点から、どのように受け止められているのか、この文書の内容について、文化財を保護する立場である教育庁はどのように感じているのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 高輪築堤の調査・保存等検討委員会につきましては、現在も行われております。
検討委員会におきましては、調査方法や調査結果を踏まえた保存方法等について検討が行われており、今後も、検討委員会の助言を踏まえ、適切に対応してまいります。
○桐山委員 先ほどから、JR東日本がつくられた保存検討委員会の中の助言とか、専門家の先生が入っているから、そちらの方で助言を伺いながらというお話があったと思うんですけれども、そもそも東京都で設置をしているわけでもなく、いわゆるJR東日本がこれから開発を進めようというところの検討委員会の中にオブザーバーとして入っているわけじゃないですか。それらの意見をうのみにして進めるということは、あってはならないというふうに考えているんです。
これまで埋蔵文化財を保護する立場から−−教育委員会の中に置かれている、それこそ守っていかなきゃいけない立場ですよね。その立場の方々が、このヘリテージアラートを受けて、この書いてある中身について、今までの答弁の中で何もおっしゃっていないじゃないですか。
ここは本当にすばらしくて、世界遺産に匹敵をする遺構としてあるんだと。我々としては、今後、調査、発掘しなきゃいけない街区も残っておりますけれども、どのように受け止めているのかということを伺っているんですよ。
これは、東京都としては開発を進めて−−現地保存が望ましいと思いますけれども、その現地保存を求めているものに対して、埋蔵文化財を保護する立場から、このヘリテージアラート、どう受け止めているんですかということを伺っております。ぜひもう一度、ご答弁をお願いします。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、高輪築堤の調査・保存等検討委員会等につきましては、現在も行われております。
検討委員会におきましては、調査方法、調査結果を踏まえた保存方法について検討が行われており、今後も、検討会の助言を受け、適切に対応してまいります。
○桐山委員 同じ繰り返しの答弁になると思うんですが、日本だけでなく、世界的にも非常に重要な意味を持つ遺産として、この遺産の重要性がきちっと把握されていない状態で再開発と撤去を進めることについては、やはり国及び都の文化財保護政策上は重大な問題だというふうに思うんです。ぜひ引き続き、文化財保護の視点から、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。
次の質問ですが、このイコモスのヘリテージアラートに対して、先ほどから申し上げているように、東京都は何のメッセージも出していない、返答もしていない状態なのかということについてお伺いしたいと思いますが、これは本当に国際社会が注目をしているというふうに考えておりますが、この返答メッセージも出していない理由について伺います。
○岩野地域教育支援部長 令和二年八月に遺跡の発見届が出され、同年九月に、考古学、鉄道史、近代史等の専門家から成る調査・保存等検討委員会が設置されております。
検討委員会では、調査方法や調査結果を踏まえた保存方法等について検討が行われており、令和三年四月に調査、保存方針が取りまとめられており、適切に対応しております。
○桐山委員 申し上げているのが、開発を進めるその保存検討委員会の中の助言等を適切に行うことも大切だと思うんですけれども、東京都としての考え方を持ってどのようにしていくのかということについて、やはり全世界が注目をしているというふうに思うんですね。
イコモスに対しての返答は、今後しないという認識でよろしいのでしょうか。今こういう警告を出されておりますけれども、イコモスは、ヘリテージアラートを尊重して、専門的なサポートも用意があるんだよと。それに対しても、何もサポートも受けずに、何も検討しないで、そのまま放置しておいてよろしいのでしょうか。
そのあたりについてもお伺いします。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、高輪築堤につきましては、令和二年九月に調査・保存等検討委員会が設置されております。
こちらの検討委員会におきまして、専門家も含め、調査方法や調査結果を踏まえた保存方法について検討が行われ、保存方針が取りまとめられております。それに基づき、適切に対応してまいります。
○桐山委員 先ほどもそういったお答えをしておりますけれども、そのように一回でもお返事を出してあげたらいいじゃないですか。
イコモスは、先ほど申し上げたように、ユネスコ世界遺産条約の諮問機関なんですよね。世界遺産に関しては、東京都も西洋美術館があって小笠原もありますけれども、世界遺産に関してお願いしておいて、イコモスの指摘に対しては無視するんですかということになるわけですよ。
イコモスのヘリテージアラートをぜひ尊重していただき、国際社会への発信を通して東京の文化度の向上に資するべきと考えますが、今後、イコモスの専門的サポートは得るつもりがないのかどうなのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、高輪築堤等に対する調査・保存等検討委員会におきましては、現在も行われております。
検討委員会におきましては、調査方法や調査結果を踏まえた保存方法につきまして検討が行われており、今後も、検討会の助言を受け、適切に対応してまいります。
○桐山委員 イコモスには、ぜひ返事をしていただきたいというふうに思います。または、東京都からしっかりとしたメッセージを発信していただきたいというふうに思います。
私たちは、人口減少時代、次の百年の人口半減時代における東京の再開発は、空間をつくって、際限なく高層ビルを建て続けて過剰供給状態をつくり出すのではなくて、江戸開府以来の四百年にわたって守られてきた庭園や公園がたくさんあります。また、高輪築堤や日比谷公園、明治神宮外苑など、このような近代遺産もしっかり守って、歴史を感じさせる文化都市の形成であるべきだというふうに考えております。
ぜひ今後とも、神宮外苑をはじめ、様々、この高輪築堤の問題もしっかりと注視をさせていただきますことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第五号の二は不採択と決定いたしました。
○入江委員長 次に、請願五第六号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○瀧沢グローバル人材育成部長 請願五第六号、中学校英語スピーキングテスト結果の令和六年度都立高校入試への活用中止に関する請願についてご説明を申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の二ページをお開き願います。
本請願は、千代田区の都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会代表、池田真澄さん外二千八百十九人から提出されたものでございます。
本請願の要旨は、都において、中学校英語スピーキングテスト−−以下、ESAT-Jという−−結果の令和六年度の都立高校入試への活用を中止していただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、昨年度実施したテストでは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しております。
今回のスピーキングテストの音読の問題につきまして、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて、英語として自然となるよう文を作成し出題したものであり、学習指導要領を逸脱しているとの指摘は当たりません。
受験した中学三年生に対して、今後の学習に役立つよう、必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度などの観点別の評価結果を記載した資料を提供しております。
スピーキングテストにおける不受験者の措置は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などに対し、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。
こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的な最善の方策でございます。
八人の受験者の評価の修正につきましては、機器不良が原因であると判断されております。万が一の機器不良に備え、主音声だけでなく、タブレットからの録音も同時に行い、どちらかの音声で採点できる仕組みを備えております。
個人情報につきましては、法令等に従って適切に扱っております。
中学校の英語の授業においては、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど英語を使ったコミュニケーションを図る様々な学習形態を工夫しているほか、ICT機器の活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流を実施するなど、様々な効果的な指導を主体的に行っております。
スピーキングテストは、こうした中学校での学習内容を踏まえて出題することにより、授業で学んだ内容の到達度を確認し、英語指導の充実を図るために実施するものでございます。都立高校入試においては、話すことを含めた英語の四技能の学習の成果を測るため、引き続き、その結果を活用してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○鈴木委員 東京都教育委員会が実施する中学校英語スピーキングテストは、英語の習得状況を検証し、都立高校入試では実施されていなかった話すことに関する評価を実施するとともに、高校での使える英語力を育成するための指導の充実を図ろうとするものであると認識しております。
さらに、今年度からは、中学校一年生から二年生もテストを受けられるようになり、中学校三年間を通じて、スピーキング能力の向上に向けて計画的に取り組んでいくと報告もありました。
昨年度の英語スピーキングテストの結果を見ると、前年度よりも成績が向上しており、国が実施した全国学力テストの結果でも、都の英語力は一位であり、これは、東京都教育委員会が英語スピーキングテストをはじめ様々な取組を全国に先駆けて実施し、子供たちが頑張った成果であると考えます。
英語スピーキングテストが目指す英語の四技能をバランスよく身につけることができるよう、指導の充実を図り、その到達段階を客観的に把握し、入試において適切に評価することは、これからも当然に実施すべきでありますが、一方で、英語スピーキングテストへの様々な意見もあると仄聞しております。将来の子供たちのために、昨年よりも今年、今年よりも来年と、よりよいテストを目指し、改善に取り組んでいただきたいと要望いたします。
最後に、本請願について、我が会派は不採択と意見を述べさせていただき、発言を終えます。
○伊藤(ゆ)委員 私からも、中学校英語スピーキングテストに関する請願について質疑をさせていただきたいと思います。
まず初めに、昨年度から本格的に入試で導入の進んだスピーキングテスト、そもそも、東京都が国に先駆けて導入をいたしました、その背景について伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 都教育委員会は、小中高校における一貫した英語教育の推進により生徒の使える英語力の育成を目指しており、スピーキングテストは、その取組の一つとして実施をしております。
本テストは、中学校における学習により身につけた話すことの力を客観的に評価するとともに、本テストの結果を都立高校入試に活用することで、生徒の高校における学習につなぎ、中学校と高校における英語指導の充実を図ることを目的に実施をしております。
○伊藤(ゆ)委員 そうした背景があった上で昨年度のスピーキングテストを振り返って、都として、子供たちの英語教育への向き合い方がどのように変化したというふうに認識しているのか、伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 スピーキングテストにより、生徒は、自身の話すことの力を客観的に理解した上で学習に取り組むことができるようになります。
例えば、本年度から実施しているオンライン英会話を適切なレベルで受講するなど、都教育委員会が実施する施策との相乗的な効果も期待できると考えています。
教員からは、生徒に英語で話そうとする積極的な態度が育成されている、あるいは生徒の音読の音量が大きくなったなどと、肯定的な変化を実感する意見が寄せられております。
本年度から実施した、TGG、TOKYO GLOBAL GATEWAYのサマーキャンプにも多くの生徒が応募するなど、学習に対する積極性が増しているというふうに認識をしております。
○伊藤(ゆ)委員 余談ですが、うちの娘も、今年、ついに中学三年生になりまして、来年というのでしょうか、今年というのでしょうか、入試を迎えるに当たって、スピーキングテストを初めて受けさせていただくことになろうかと思います。
一般的な公立中学校に通っていますけれども、このスピーキングテストの導入については、決して関心が低いわけではなくて、やはり受験生として、うちの娘も大変関心を寄せているのと併せて、このスピーキングテストが導入されるということになってから、我が家においても、積極的に英語の映画を見たり、ドラマを見たりということを心がけるようになったという意味では、やはりその取組方が、入試によって随分変わるものだなというふうに実感をしているところでございます。ちょっと余談でございました。
さて、そのスピーキングテストですけれども、今般、ベネッセとの協定期間が満了して、新たな事業者がブリティッシュ・カウンシルになったというふうに伺っています。
この募集に当たって、募集要項、改善されたというふうに聞いていますけれども、どのように改善をされたのか、また、この応募した企業の状況について伺えればと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 令和五年度でベネッセとの協定期間が満了し、新たな募集者はブリティッシュ・カウンシルになったということでございますが、それに向けましてのご説明になります。
緘黙や吃音の生徒等に対する体験受験の設定ですとか、音声データの提供の方法など、より円滑に実施できるよう、運営を改善してまいります。
また、一、二年生のスピーキングテストの実施等を規定しております。
こうした新たな要項に基づいて募集したところ、ベネッセから応募がなかったということでございます。
○伊藤(ゆ)委員 分かりました。ベネッセが応募されなかったのはベネッセのご判断だということだと思いますので、あえて東京都にこの件について伺うことはございませんが、ただ、これまで事業者として引き受けられていたベネッセから、今度は新たにブリティッシュ・カウンシルへと事業者が替わっていくことになったことは間違いないかと思います。
そういう意味で、従来のベネッセからブリティッシュ・カウンシルへと替わることになりますけれども、これまで議会や様々なところから、このスピーキングテストに関する課題について、るる指摘があったかと思います。
そうした指摘を受けてきた課題については、この新しい事業者に適切に引き継がれると認識していいのか、伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ご指摘のとおり、都教育委員会がテスト事業者としてこれまで行ってきた蓄積を伝えまして、ブリティッシュ・カウンシルと連携して取り組んでまいります。
○伊藤(ゆ)委員 様々な課題、指摘があったと思いますので、実現できるもの、改善できるもの、できないもの、様々あろうかと思いますが、今の答弁のとおり、改善すべき課題については、しっかり新しい事業者へと引き継いでいただきますようにお願いしたいと思います。
これまで、今申し上げたような指摘をされてきた諸課題があろうかと思いますが、この新しい事業者、ブリティッシュ・カウンシルとのいわば契約において、ですから、今年度の実施がなされるであろう契約において、既に改善が見込まれているもの、あるいはその改善が確約されているものがあれば、ここでご紹介をいただきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ご質問の中で、まず、今年度の実施において、既に改善が見込まれているものというご質問というふうに承りまして、これまでの報告と重複する部分もあるかと思いますが、この秋に実施予定のことについてご説明をさせていただければと思います。
昨年度の実施状況や中学校、区市町村教育委員会からの意見を踏まえて、次のような幾つかの改善を予定しております。
まず、試験会場についてですが、会場を増やし、原則、同一の自治体内にするほか、地域の交通事象に応じて、引き続きバスを手配してまいります。
また、生徒や保護者への周知についてでございますが、四月と七月に案内を配布済みでございますが、十一月にも、また追加で配布を予定しております。あわせて、ホームページの掲載情報を分かりやすく整理をしております。
また、合理的な配慮についてですが、緘黙や吃音の生徒等への体験受験の新設、中学校や生徒等への周知を工夫するということとともに、申込み期間の延長を行っております。
当日の運営について、機器の操作方法の案内や不具合の確認など、試験監督から生徒への案内をより分かりやすく工夫するほか、イヤーマフは、昨年と同じものを使用いたしますが、使用方法をリーフレット等で詳しく案内をする、また、当日は軽食を取ることを可能としたいと考えて計画を準備しております。
採点につきまして、昨年度生じた機械の不具合にも備えて、引き続きバックアップを確保するとともに、試験監督から生徒への丁寧な確認をいたします。
また、採点の再点検も実施してまいりたいと考えております。
済みません、長くなりました。以上でございます。
○伊藤(ゆ)委員 大変丁寧にご答弁をいただきまして、ありがとうございました。ただ、恐らくは、解説していただこうと思うと、もっと改善すべき点があり、かつ確約されているものもあろうかと思いますので、また細かく、追って確認をさせていただく機会があろうかと思いますので、その機会によろしくお願いしたいと思います。
大分、今お話しいただいた中でも、これまでの質疑などで出てきた課題改善に向けて、事業者と共に東京都が取り組んでいる姿勢というものが伺えたかと思います。
かつ、今回、ブリティッシュ・カウンシルを選定した理由についても伺っておきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 理由といたしまして、教育機関や企業など約一万一千五百か所にIELTSという試験を採用されているというほか、東京外国語大学ですとか東京女子大学における入試活用の実績があるなど、これまでに十分な試験実施の経験を有しているということ、それから、世界中で英語教育の実績があり、使える英語力を育成するという目的を共有できているということなどがございます。
○伊藤(ゆ)委員 分かりました。ありがとうございます。
それから、これまでの質疑などの中で何回か指摘を受けたと思うのは、試験中に隣の子供の声が聞こえて内容を聞き取りづらかった、あるいは、発声した内容に隣の子供の声が入り、採点者が本当に正しく採点できているのか不安であるとの指摘もありました。
これらについて、事業者や子供たちから、懸念されていた問題の報告がこの間あったのか、伺っておきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 前半実施と後半実施の教室が隣接していた場合に隣の教室の音声が聞こえたという指摘、また、同一の教室の中で近隣の生徒の音声が聞こえたという指摘と、二種類あるというふうに認識しておりますが、都教育委員会は、テスト終了後に、事業者及び配置した都職員からの報告及び全ての区市町村教育委員会からの状況等の聞き取りを行いまして、解答に影響するような事例はなかったということを確認しております。
また、スピーキングテストの性質上、周りの音が録音されるということは十分に起こり得るというふうに考えています。解答音声は、高機能集音マイクを口元に設定して録音するということにしており、隣の生徒の音声は、受験者本人の音声の録音状態と明らかに異なります。採点に問題はございません。
今年度の実施に当たりましてですが、教室や机の配置を工夫するなど、生徒がより集中した環境で受験できるように工夫するとともに、ほかの生徒の声が録音されていても採点には問題がないという旨も、生徒にしっかりと周知をして実施をしていきたいというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 このスピーキングテストそのものではないのですけれども、模擬テストを受けた、もう一回申し上げますけれども、このスピーキングテストそのものではありませんが、次の受験に向けて、模擬テストをスピーキングテストで受けた子供の体験談として、いささかおっちょこちょいなところもあったんだろうと思いますが、早くにスタートボタンを押してしまって、そして、かなりちょっとこう、まだほかの子たちがスピーキングしていないときからしゃべり始めちゃったみたいなことがやっぱりあったようです。何度もいいますが、この間のスピーキングテストではありませんが、模擬テストでね。
今、ご答弁のように、仮にそういった報告がなかったとしても、新しい試験ですから、こうしたスピーキングテストが年々改善されて進化していくことは望ましいことだというふうに思います。この間も申し上げたかもしれませんが、最初から完璧である制度や試験というのはなかなかございませんので、これは改善させていくということに尽きると思います。
私たちが気づかないような課題が現場で起きている可能性というのは、やっぱり、どこまで行ってもあろうかと思います。
ですので、そこで、今後、試験を受けた子供たちから抽出アンケートを取るなど、できる限り、やはり試験を受けた現場の子供たちなどの声を拾って改善につなげる努力をしていくべきではないかと思いますが、その点についての所見を伺いたいと思います。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 静粛に願います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これまで、区市町村教育委員会等から聞き取り等を行い、状況の把握に努めてきたところでございます。
昨年度も、機器の不具合等につきまして、試験当日に試験監督から生徒に確認をしております。
今年度は、それに加えて、試験の終了後にも、実施上の問題がなかったか、当日に重ねて確認をするなど、より丁寧な対応を行ってまいります。
実施状況を確認し、改善につなげていく方法については、ご提案も含めて、今後検討をしてまいります。
よりよい試験となるように、不断の改善に取り組んでまいります。
○伊藤(ゆ)委員 ぜひ今提案の方法も含めてご検討いただければというふうに思います。
最後になりますけれども、私自身もいささかそうなんですけれども、何年、英語教育を受けても、話せない、聞き取れない、また海外で通用しない、こういう日本の子供たちの英語力を根本から見直すために、都は、一つの改善策としてスピーキングテスト導入を決断されました。
試験への導入を経て、改めて日本の子供たちの英語力の向上と英語教育の在り方についての都教育庁の見解を伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 英語の授業が、読むこと、書くことに、ともすると偏重し、聞くこと、話すことが不十分であったとの指摘もあり、国も学習指導要領を改訂し、聞くこと、読むこと、話すこと、そして書くことなどを総合的に育成するということを示してきているというところでございます。
都教育委員会は、世界に羽ばたくグローバル人材の育成を目指しており、英語は、そのために必要なコミュニケーションツールでございます。
子供たちが、将来、国際社会で活躍していくために必要となる使える英語力を身につけることができるよう、東京から日本の英語教育をリードできるよう、様々な取組を遅れることなく積極的に行ってまいります。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
私からも英語スピーキングテストについて伺っていきたいと思います。
昨年の中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jは、約七万人の生徒が受験しました。顔写真のデータを含む個人情報のネットでの登録から当日のテスト実施まで、生徒、保護者、教員の負担は計り知れず、ESAT-Jに振り回された一年であったという声、簡単に点が取れそうなことだけいってしまった、アチーブメントテストとしてならまだ理解できるが、公平、公正といえないものをなぜ入試に使うのか、ベネッセのサイトに登録した個人情報の管理への不安が解消されないなどの批判の声が、いまだやむことはありません。
中学校の教員は、何か変だと思いながらも、とにかく登録だけはさせなければならないと、不登校の生徒には家まで訪ねて働きかけ、ESAT-J対策に明け暮れたといいます。
本来なら楽しいはずの英語スピーキングが、都立高校入試に活用されたことで多くの人たちを傷つけ、入試本来の公正性、公平性、安定性も失われる事態になっています。
都教育委員会は、都民の声を受け止め、まずは直ちに入試への活用をやめるべきだと考えています。
私どもとしては、請願者の願意に賛成の立場から、以下、質問したいと思います。
まず、今も出ていましたが、音声の開示についてです。
都教委は、昨年九月、入試の透明性の確保という趣旨で、テストで録音された解答音声の開示をすると答弁しました。最終的には、入試の透明性の確保ではなく、今後のスピーキングの向上に活用することを目的として、希望者には音声データを開示しています。音声開示の目的が途中ですり替わっている点も、都議会と都民を愚弄するものといわざるを得ません。
それにしても、一体、音声データ、つまりESAT-Jでタブレットに録音された音声というのはどんなものだったのか。勇気ある生徒と保護者が、開示された音声データを記者会見で公表されたわけですが、テストの解答音声という非常にデリケートなものなので、会見に集まった記者限りの公開だったということですが、聞いた記者の皆さんは、一様に驚きの表情を隠せなかったということです。
私どももお願いしまして、開示された音声データを聞かせていただきました。集まった複数の会派の議員たちで、スピーカーに耳をつけて必死に聞いたのですが、ほとんど聞き取れませんでした。
解答時間が四十秒の問題で、その生徒は四十秒ほぼ全部話したそうですが、開示されたのはたった十一秒。ほかの部分は、他の受験生の個人情報保護の観点から開示されなかったということです。つまり、ほかの受験生の声が入っていたということです。そして、開示された十一秒も、言葉として聞き取ることはほとんどできませんでした。
そこで伺いますが、他人の音声を取り除いたら、本人の声がほとんど識別ができない。こんな録音の状態で、採点者はどうやって採点をしたのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点については、都教育委員会は事業者と協定を締結し、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する複数の担当者が専門で行う採点体制を構築して、公平、公正な採点を担保しています。
○とや委員 採点者の持つ資格を聞いているのではありません。開示されたデータが言葉として聞き取れないようなものなのに、採点者はどうやって採点したのかと聞いているわけです。
都教委のホームページには、提供する音声データは、受験者本人以外の個人情報を保護する観点により、記録された音声データから受験者本人の音声を抽出処理したデータとしている、なお、受験者本人の受験時の声が小さい場合は、抽出処理した結果、一部音声が聞き取りづらかったり、周囲の音が入ったりする場合がありと断り書きをしています。
しかし、一部聞き取りづらいどころの話ではありません。四十秒話しているのに、聞き取れる部分がないわけです。
こんな音声を開示されて、採点は公平、公正にやっているといわれても、安心できるわけはないんじゃないでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今、理事からも、非常にデリケートだというお話がありました。それがどのようなものだったかということを確認するすべがございません。私どもの方には、音声を提供した方々から、問合せ等は一件もありません。
私たちは、それがどういうものだったかを確認できずに、そのような閉ざされた中で示されたものについて、ここでお話をされても回答をすることはできません。
繰り返しこれまでもお話をしてきましたが、本人の音声、それから周りの音声は明確に区別できるということを確認しております。
また、本人の解答がどの程度あったのかは、それはその子供の解答によりますよね。そういう個人の解答の質について、こういうところで議論をするということ自体、配慮を十分に要するものだというふうに考えます。
○とや委員 聞いていないんだったら、ちゃんと聞いてくださいよ。拒否して聞こうともしないじゃないですか。今度、呼んできますからね、保護者の皆さん。来てください。
子供たちが、こんな音声を開示されたって、本当にちゃんと採点してくれたんだろうかと安心できるわけないのは当たり前じゃないですか。保護者は、他人の音声が自分の解答として使われる可能性があるテストを入試に使っていいのかと訴えているわけですよ。こういう声こそ真摯に受け止めるべきだと私は思います。
この音声データの提供は、都立高校入試が不合格だった生徒は合格発表直後の三月六日から請求できたわけですが、合格者は五月一日からです。つまり、高校入試の本人の得点や答案の開示に準じた扱いになっていて、そうはいっても、入試の一部として不審な点があれば申し出ることも想定して、日程の設定になっていたと思うわけですが、こういった音声が開示されても確認のしようがないです。
入試の透明性、公平性の担保に、何の意味もないんじゃないでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今の理事のお話の、何の意味もないというのがどういうことを指すのか、ちょっと分からないので、直接のご答弁は難しいかというふうに思いますが、提供する理由につきましては、先ほど理事からもお話がありましたけれども、それを本人が聞くことによって今後の学習に役立てるということで説明をしておりますので、申請があった方には提供しており、それを活用して、今後も英語力を伸ばすためにつなげていっていただきたいというふうに思いますし、その効果というのは十分にあるというふうに考えております。
○とや委員 今後の学習に役立てるとか、いろいろいっていたのに、あんな音声開示では確認できないから、意味がないといっているんですよ。意味が分からないなんていわないでくださいよ。
今、部長は音声を聞いていないとおっしゃいましたけれども、聞こうと思えば聞ける環境にあると思いますよ。ぜひ聞いていただきたいなと思います。
こうした音声のデータの開示では、都民に対して入試の透明性、公平、公正性を証明できるわけがないです。どんな音声を採点したのか、ブラックボックスです。これ一つとっても、ESAT-Jは入試に活用すべきでないということは明白であります。
しかも、都教委の掲げる音声開示の目的、今、私、いいましたけれども、受験者本人が、話した内容を解答例と照らし合わせて、よりよく相手に伝えるために気をつけることや、使うとよい表現を考えるなど、今後の英語スピーキング、話すことの力の向上に活用することを目的として音声データを提供するとしているわけです。今、部長もおっしゃいましたけれども、全然できません。
開示されるのは、先ほど紹介したような四十秒のうち十一秒、しかも、言葉として聞き取れないような音声データなわけです。これでどうやって今後の学習に役立てることができるのか、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 この一連の質問が始まる前にお話ししたように、理事が前提としてお話ししているものについて、私たちは共有していません。
提供する音声を聞いていないということではなく、今、理事が取り上げて、全く分からなかった云々とお話ししているその状態というのがどういうものかは把握していない、こちらの方では、そういう話を受けていないということをお話をしているわけですから、それで、できないという前提でお話しされても、答弁のしようがありません。
○とや委員 聞こうと思えば聞ける環境にあるはずですよ。それを、そうやって逃げたら駄目ですよ。聞いていないから分からないなんて逃げて。どう考えても学習に活用できるわけがないんです。
ここにも、今の一連のお話を聞いていますけれども、都教委の皆さんの大きな欺瞞があると指摘せざるを得ません。
ぜひ私、今、聞いていないとおっしゃったので、聞く機会を設けますからね。じゃ、聞いていただけますか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ここで個人の音声データの扱いを答弁する、理事と私たちの間で決めるということではないと思います。これは個人の本人のものですので、それに適切な対応をしてまいります。
○とや委員 聞いていただきたいと保護者の皆さんがおっしゃっていますから、ぜひお願いします。
次に、虐待、人権侵害ともいうべき昨年の試験実施の内容について伺っていきたいと思います。
昨年のテストでは、イヤーマフがきつくて頭痛になりながらやったとか、音量の調節ができなくて途中で頭が痛くなった、試験にならなかった、たった十五分のテストのために七時間も拘束され、昼食も取れなかった、こうした声が寄せられたわけです。
これらは、子供たちにとって明らかな人権侵害ではないでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほどご説明をいたしましたけれども、移動時間の短縮を図る、あるいは実施前に昼食を取れるように今年度は案内しています。
○とや委員 実施前に試験会場で軽食を取れるようにというお答えがありました。これから中学生に案内するということでよいと思うんですが、必ずやっていただきたいというふうに求めておきます。
また、イヤーマフがきつくて試験にならなかったと。これも本当に、子供にとって高校入試というのは、ほぼ生まれて初めての、一世一代の一回きりの、非常にストレスを感じる試験なわけで、そのときにイヤーマフがきつくて試験にならなかったという声が寄せられるというのは、都教委としても、本当に重大な問題だとして受け止めていただきたいのですが、こういう声にはどう対応し、改善するのか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 イヤーマフにつきましては、遮音するためにイヤーマフをつけているということはご理解いただいていると思います。
適切に調整しながら装着するという案内について、先ほどもちょっとお話ししましたが、ガイドライン、リーフレットの中でも重ねて説明するということで、両立を図っていくということで行っていきたいと思います。
○とや委員 これから周知をするということだと思うんですが、初めて使うイヤーマフを、快適な状態を十五分以上保てるように調節して着用するというのは、私は大人でも大変だと思います。
眼鏡のつるに当たって、こめかみが痛くなったとか、イヤーマフの中でイヤホンが耳から落ちてしまったりとか、でも、イヤーマフには触っちゃいけないとかいわれたわけですから、耳から落ちたまま、よく聞こえない状態で試験を受けざるを得なかった、イヤホンが耳に合わなくて耳が痛くなったとか、様々な声が寄せられたわけです。
苦痛があっても直せない状態で試験を受け続けさせるのは、私は問題だと思います。必要があれば途中で直せるような対策を取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しになりますけれども、公平、公正な実施を行うということとの両立をどう図っていくかについては、今年度も、丁寧に、よりきめ細かく対応していくということで準備をしています。
○とや委員 やっぱり中学生に苦痛がないように対応するんだということを、きちんと答弁していただきたいんですよ。これ、できないというのは、本当に問題だと思いますよ。こうした一つをとっても、私は入試活用は問題があるんじゃないかと思うんですよ。
中学生に苦痛がないように配慮していただけますね。ちょっとそこはご答弁をお願いします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 個別の生徒の状況に応じてきめ細かく対応していくということは、これまでも行ってきていますので、引き続き対応していきます。
○とや委員 そこがきちんと答えていただけないということを考えると、やっぱり入試活用に問題があるといわざるを得ないわけです。
また、試験会場のトラブルについてなんですが、ベネッセの最終報告では、解答に影響を与えるトラブルはなかったと、先ほども答弁ありましたが、一言書いてあるだけなんですが、それじゃ、当日の会場で解答に影響を与えないトラブルはあったのかどうか、なかったのか、そして、都教委はその報告を受けているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しお話ししているのは、解答に影響を与えるトラブルはなかったということであります。
それ以外、実施上の状況ですとか、中学生ですので、生徒への様々な対応などがあった場合、その都度、事業者が当然適切に対応しているわけですが、それについて、都教委とも情報を共有しております。
○とや委員 情報を共有しているということですけれども、解答に与えないトラブルとしては、どのようなものがあったのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これも、これまでお話ししていますけれども、例えば電話の対応のことであるとか、会場を間違えたとか、そういうことについてお話ししてきているところですね。
それ以外に、中学生個々のことですので、きめ細かくその場でいろいろ対応しているということはありますけれども、それを細かく、ここでお話しするというのは差し控えたいというふうに思います。
○とや委員 何でいえないのか、全く理解できません。
解答に影響を与えないトラブルということでいえば、以前も指摘したことがありますが、試験監督が個人情報の記載された名簿を教室に忘れたとか、試験監督に不適切な声かけをされたとか、私たち、本当に多くの声を聞いています。何か耳を塞いでいるんじゃないかといいたくなるぐらい聞かないですよね、こういう声ね。
子供の人権を守って適切な環境での受験を保障するというのであれば、こうしたトラブルをしっかり把握して、公表をし、再発防止策を検討するのが当然だと思います。ところが、都教委は、適切に対応というだけで、そうした部分に蓋をして背を向けているといわざるを得ません。今もちゃんとお答えになりませんでした。
中学生の試験にふさわしい環境の確保という点でも、今年度はどれだけ改善されるのか、疑問を呈さずにはいられないですよ。さっき、いろいろいいましたけれども、そんなものじゃ済まないですよ。
そこで、もう一点伺いますが、ESAT-Jでは、採点が終了後、再点検をすることになっています。今年度の試験について、再点検はいつ行いますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 再点検についてですが、採点の精度を高めるとともに、スピーキングテストの都立高校入試への活用等に向けて万全を期すため、受験者全ての解答音声データ等について、遅くとも都立高校の出願に間に合うよう再点検を行う予定でございます。
○とや委員 出願に間に合うようにと今おっしゃいましたけれども、出願の受付の初日より前という意味なのか、それとも出願受付の最終日、あるいは取下げ提出に間に合うようにという意味なのか、確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 今お話ししたのは、都立高校の出願に影響がないようにということで、そのような表現をしていましたが、できるだけ早くということで、当然取り組んでまいります。
○とや委員 結局、出願に間に合うように点検を行う予定だということだと思うんですが、昨年の試験では、再点検の結果、採点ミスが結局八件も見つかりました。それが公表されたのは、入試の出願受付の最終日でした。
ESAT-Jの点数が変われば志望校の変更もあり得るわけで、それが出願中や出願後に判明するとなれば、生徒や保護者は、精神的にも時間的にも大きな負担を負うことになるんじゃないかと思うんですね。もっといえば、出願初日に間に合えばよいというものではないわけです。
再点検を、生徒に結果を通知する前に行っていただきたい。再点検までやってから、結果を生徒に通知すべきではないでしょうか。お答えいただけますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 それは、再点検ということについて、どう捉えるかということだと思うんです。
お話のとおり、評定が確定する前に、繰り返し、精度を高めるために採点をしっかりやるということは、先ほどの答弁でも前半部分でお話ししたとおりで、採点の精度を高めるとともにということで、なるべく早く、去年のことも踏まえてやっていくというのは当然の前提であります。
ただ、それに加えてということでお話をしているので、理事のいっていることと相反することではないというふうに思います。
いずれにしても、万全の体制を取るためにしっかりやっていくということであります。
○とや委員 再点検は、どうしたって必要でしょう。どんなに万全な対策をしたって、それ、やるといっているんだから。
そもそも、結果の通知が一月で、保護者から遅過ぎるといわれているわけですよ。さらに、出願期間、出願の間近あるいは出願後になって点数が変わる可能性があるというのは、大きな欠陥じゃないでしょうか。このまま入試に使うというのは、やっぱりやめるべきだということを重ねて求めておきます。
そして、大きな問題である不受験者の問題についてです。
この間も何度もいってきましたけれども、不受験者の扱いによって入試に不公平さを生じることについては、試験当日の環境をどんなに整えたとしても、事業者を替えたとしても、解決することのできない問題だと指摘されております。
三月にもこの問題を質問しているんですけれども、都教委は、不受験者、すなわち障害や疾病などのやむを得ない事情や、国私立中学生などの理由で、ESAT-Jを受験せず、仮の点数が与えられたのは何人だったのかというふうに聞いても、公表しませんでした。かねてから指摘されていた逆転現象が起きたのかどうかも明らかにしようともしない態度です。これでは不受験者の扱いが適切だったのかということを検証しようがないですよ。
今日は、さらに伺いたいと思うんですが、都教委は、不受験者には、受験した高校別に、ご自身の英語学力テスト、二月の入試当日のペーパーテストですね、これと得点が同じ、あるいはまた、近い十人の受検生のESAT-Jの成績の平均値を不受験者の仮の点数として与えるということにしていますよね。
これは、英語の学力テストとスピーキング力は相関関係があるという仮定の前提により成り立つものだと思いますが、本当に相関関係があるかは疑問が呈されてきたというふうに思います。
もちろん、ある程度、相関関係があったとしても、一人一人の生徒に着目すれば、必ず相関があるとは限らないわけですが、それでも相関があるということを前提に仮の点数を算出しているわけですから、少なくとも、学力テストの点数とESAT-Jの点数に相関があるかどうか、これは検証すべきだと思います。
昨年度のテスト結果で、ESAT-Jと都立高校入試当日の学力テストの相関性は確認できたかどうか、伺います。
○村西都立学校教育部長 事故や病気といったやむを得ない理由によりまして受験することができなかった生徒など、いわゆるスピーキングテストの点数がない生徒、不受験者にテストに相当する点数を付与するに当たりましては、都立高校入試において与えられた材料の中から、どれがよいかということになります。
我々としては、本人の英語学力検査の得点が最も参考になる数値であるというふうに考えて、これを基に相当する点数をやっております。
なお、英語学力検査の結果とスピーキングテストの結果に係る相関性につきましては、分析するということは考えておりません。
○とや委員 相関性について確認することは考えていないということです。相関性を確認しないで、何で英語学力検査の得点が最も参考になり得る数字だというふうに考えられるのでしょうか。全く分かりません。非科学的だといわざるを得ません。
もう一点、都民から指摘されているのは、不受験者の仮結果、これは出願時には不明なわけです。通常の受験者との関係で公平性に欠ける事態が生じるということです。
仮の点数が分からない下で志望校を決定しなければならないのは、不受験の生徒たちに不利に働くんじゃないか、こういうふうな指摘がありますよね。どう解決するのでしょうか。
○村西都立学校教育部長 そもそも不受験者の措置は、先ほどおっしゃった、吃音、緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気のやむを得ない理由により受験することができなかった生徒でございます。こうしたスピーキングテストの点数がない生徒に対して、零点にせず、著しく不利にならないよう、都立高校入試において最も参考になり得る数値である本人の学力検査の得点を基に付与するものでございます。
こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試におきましては必要な措置であり、最善の方策であると考えております。
○とや委員 何か、やってあげているみたいなことをいわないでほしいですね。吃音だとか聴覚障害などのある生徒が受けられないテストを入試に活用しているのは、あなた方です。不利をつくり出しているのは都教委じゃないですか。それで仮の点数を与える措置にしても、それはその生徒の本当の実力ではないわけですし、出願前に点数が分からないという不利は解消することができないわけですよ。そこを何で分からないのかなと思うんですよね。このことも厳しく指摘しておきます。
最後に、今年度からの中学一年生、二年生のスピーキングテストと来年度からのESAT-Jは、ブリティッシュ・カウンシルが新たな事業者として決定したわけですが、ベネッセは、応募すらせずに撤退したわけです。応募すらしなかったということに、ESAT-J事業の破綻が表れていると思います。
今日は、ここから先はなかなか、ちょっと時間もあれなので、別の機会に質問していきたいと思いますが、一点だけお聞きしておきたいと思います。
新たな事業者の募集要項では、ESAT-Jの実施日程の条件として、試験日は、原則として一日とし、同時間帯に一斉に実施しますとありました。これはどういう意味でしょうか。八万人が同時にテストを受けるという意味に受け取れますけれども、違うのでしょうか。
昨年のように、ある日の同じ時間帯に試験会場に集合して、前半、後半に分けた実施方法も可能なのか、伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 理事お話しのとおりで、去年、今年の形式も可能であります。
文章として改めて引用いたしますが、原則として一日とし、同時間帯に一斉に実施しますというのは、一回というふうには書いてございませんで、募集の段階ですから、様々な提案を受け付けるという観点から、一回あるいは複数回での実施、それらも広く提案をいただくという趣旨で、どちらでも可能な形で記載をしています。
ちなみに、来年どのように行うかについては、現在調整中であります。
○とや委員 一日の同時間帯に一斉に実施するとあれば、八万人が一回で同時にテストを受けるというふうに受け取るのが普通だと思うんですが、一回あるいは複数回という解釈が、いつ、どこから生じてきたのか、非常に不可解です。
いずれにしても、昨年は、試験が前半、後半に分かれていることで、後半組の生徒に前半組の生徒の解答音声が聞こえたわけで、後半組の試験の前に、前半組と後半組がトイレで会うことができたとか、これは不公平だとかの証言が多数出てきたわけです。そうした中学生自身の訴えを正面から受け止めれば、同じ問題で前半、後半に分けて試験を実施するのは、あり得ないと思います。
そして、今日の質疑を全体として三十分ぐらいやらせていただきましたけれども、やっぱりESAT-Jを都立高校入試に活用すべきではないというのが、ますます浮き彫りになったと思います。瀧沢部長は、ちゃんと正面から答えないですよね。逃げるんですよね。
請願は採択を主張します。
同時に、ベネッセが撤退し、ブリティッシュ・カウンシルが事業者として選定される下で、今日の時間だけでは議論を十分尽くせたとはいえませんからね。したがって、請願自体は継続審査を主張して、質疑を終わります。
○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後四時二十分休憩
午後四時四十分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○阿部委員 私からも、引き続き、請願第六号、スピーキングテスト結果の都立高校入試への活用中止に関する請願についてお伺いいたします。
まず、昨年度といったらいいのでしょうか、初めて行われたスピーキングテストの全容がどのようなものだったかについて確認をしていきたいと思っております。
公立の中学校の三年生生徒約八万人、スピーキングテスト申込みは七万六千人余、そして、受験者は七万一千人余ということでありましたが、五年度都立高校入試において、都立の公立中学校三年生の受検者数は何名であったのか、また、このうちスピーキングテストの受験者、不受験者はそれぞれ何名であったのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試におけます各受検者の在籍中学校別の人数等につきましては、入学者の選抜を行う各高校において把握しておりますが、都教委として集計はしておりません。
○阿部委員 ありがとうございます。
各高校において把握している、これ、在籍中学校別という言葉の解釈ですけれども、これは、公立なのか、私立中学なのかという意味での在籍中学校別の人数ということでよろしいのでしょうかね。学校名というところまで聞いているわけではないので。
かつ集計はしていないというのは、各高校においては把握しているけれども、都教委として、それを集約して持ってはいないということでよろしいでしょうか。一旦、確認です。
○村西都立学校教育部長 今のご質問でございますけれども、各高校におきましては、各受検者から志願書であったり、または調査書という個別のデータが集まっているという意味でございます。その個別のデータを見ると、当然、出身中学校、私立、国立とか、そういった情報がある。そういう意味で、各高校においては把握しているという意味です。
ただ、都教委が全部それを集計しているということはやっていないということでございます。
○阿部委員 令和五年度の都立高校入試選抜において、スピーキングテスト不受験者に対する措置を受けた者の人数、あるいはその内訳についてはいかがでしょうか。
○村西都立学校教育部長 不受験者につきましては、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、事故や病気などやむを得ない理由により受験することができなかった生徒など、こういった不受験者に対する措置を受けた者の人数につきましては、入学者選抜を行う各高校において把握しておりますが、個人の属性に係る事項であるとともに、試験の実施運営に係る情報でもあるため、公表しないという形にしております。
○阿部委員 今のご答弁、公表しないということは、都教委としては、そうした人数は把握はしているけれども、その公表はしていないという意味でよろしいでしょうか。
○村西都立学校教育部長 先ほどの在籍中学校と同じように、どういった理由で不受験者になっているかとか、そういったことについては、各学校ごとに把握しているということでございまして、都教委として、その学校の情報を持っているわけではないということでございます。
○阿部委員 これ、ぜひトータルとして、私、把握しなければいけないと思っているんです。
このスピーキングテストを中学校三年生全員が受けて、そして、これを都立高校入試で活用していく。アチーブメントテストと都立高校入試と、ある意味、組み合わせたような、かなりイレギュラーな形の試験になっております。こうした形の試験というのは、ほかに例がない。そのために、様々な配慮ですとか、あるいは様々な特別の措置が必要になってくる。
その中で、この試験全体がどのような仕組みで設計をされていて、アチーブメントテストから都立高校入試に合わせていくための、そのフィッティングをするための仕組みというのがどのように活用されている、どのように機能しているのか、そうしたものをしっかりと検証する必要があると私は思っています。
私はというよりも、その試験の性格として、このやり方が本当に正しいのか、より適切であるのかということを後から確認するためには、そうした人数も含めて適切に運用されているということが内部で検証される必要があると思っているのですが、そのためには、こうした数字は必ず必要なものだと考えております。
都教委として、その数字を、たとえこれからでも把握をして、このテストの設計自体を評価していくという考えはありますでしょうか。
○村西都立学校教育部長 委員のおっしゃっている趣旨は、ある意味、理解しております。我々としても、各高校にあるそういったデータにつきまして、制度設計上、きちんと生かしていく、そういったことは必要なことであるというふうに思っています。
先ほど、鈴木委員または伊藤委員からもご指摘がございましたが、よりよい制度の改善に向けて、今回は初めてということでしたけれども、不断の努力をしていくというのは、これは必ずやらなければいけないというふうに思っていまして、それは、スピーキングを含めた入試制度につきまして検証を行わないという、私、そういうことをいうつもりは全くございません。
具体的な試験情報を把握している高校と都教育委員会が連携して、よりよい制度に向けた検討はこれまでも行ってきていますし、今後も同様に、その点については対応していきたいというふうに思っております。
○阿部委員 検証はこれまでも行ってきたし、これからもやっていきたいということ−−はい。これからもやっていきたいというご答弁をいただきました。
次に進みます。
六年度入試においてもスピーキングテストを行うのであれば、その不受験者に対する措置というのは、前の年と同様に行うのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストにおける不受験者の措置は、繰り返しになりますが、やむを得ない事情により受験することができなかった生徒に対して、都立高校入試において最も参考になる数値である本人の英語の学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を付与するものでございます。これは、著しく不利な状況をつくらないという意味で、我々としては制度設計しております。
こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては必要な措置であると認識しておりまして、令和六年度入試におきましても、引き続き実施していくということでございます。
○阿部委員 ありがとうございます。必要な措置であると思います。
と同時に、やはりこれも人数が大切になってくると思います。
やはり、こうしたテストになかなかなじまない特性を持った生徒たち、いろいろな意味で、中学校の中には一定数存在すると思っております。それが一般的な中学校の生徒の数に比してどの程度存在しているのか。それと、今回、不受験者として認められて措置を受けた数とが、どの程度類似しているのか、あるいは、ある程度の相差があるのか。もしそこに差があれば、それはやはり情報が行き渡っていない、措置が行き渡っていない。本来であれば受けることができたはずの措置が、必ずしも一人一人の生徒に行き渡っていないということを数字が表してくれるものと思います。
ですので、この数字をしっかりと把握することが必要であると考えておりますので、ここは、検証するということでしたので、ぜひ数字に基づいた検証をしていただきたい。
そのお考えがあるか、ちょっと確認させてください。
○村西都立学校教育部長 ご案内のとおり、不受験者については、例えば吃音、緘黙のある生徒ですとか、当日いろいろなコロナの感染とか、そういったことで、内訳の内容自身は公表することはなかなか難しいというふうに思っておりますが、各高校において、その情報にあって、各高校と都教委が連携して、本来、この不受験の制度があって、しっかりと受けられているかどうかという部分については、その部分についての検証は、やることは別にやぶさかではないというふうに考えておりますので、その意味での、先ほどいった全体の見直しをいろいろやる中で、制度がしっかり使われているかという部分では検証はしていくものだというふうに考えております。
○阿部委員 高校でとおっしゃいましたけれども、これ、受験の前、試験を受ける前に行き届いていないといけない問題ですので、これは中学校の中でできるように、これは市区町村との連携も必要かと思いますけれども、とにかく、そうした生徒が配慮を受けられずにテストを受けてしまった、その結果、希望する都立高校に入れなかったということがないように、これはぜひ、周知というだけではなくて、検証も含めて確認をしていただきたいと思います。
令和五年度都立高校入試において、スピーキングテスト不受験者に対する措置が、受検者の合否にどのような影響を与えたかについても、これは検証を行う必要があると考えております。
誰が、いつ、どのような検証を行ったのか、あるいは、行っていない場合は、その理由と、検証せずに令和六年度入試においても措置を行うことの妥当性についてのお考えを伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試では、学力検査の得点と調査書点の合計に今回のスピーキングテストの結果の点数を加えて総合得点を算出し、その総合得点により合否を判定することとしております。
先ほどの、事故や病気等で受験できなかった生徒などスピーキングテストの不受験者には、そもそもこのテストの点数がないために、不受験者の措置によりテストに相当する点数を付与し、総合得点を算出している。それで合否を判定するということでございます。
この不受験者の措置は、都立学校入学者選抜要綱に定め、公表している措置でございますので、この措置が特別に何か影響を与えるという考え方につきましては、我々としては成り立たないというふうに考えております。
○阿部委員 成り立たない。その考え方自体、成り立たないということであるのですけれども、このお言葉だけは、私、そのままそっくりお返ししたいんですよ。
この間、一回目の都立高校入試への活用というのがありましたけれども、不受験の人にどのような考え方で点数を、みなし点を与えるかということについては、これが最もベストだろうと皆さんも考えられたんだと思うんです。それで、いろいろな検討を加えられて、これがベストであろうという仮説を立てて、そのとおりに実施をされたと。そこまでは、一回目であれば、そういうやり方というのはあるかもしれません。
ただ、もう、一回テストが行われたわけですよ。そうしたら、仮説のまま次に行くのではなくて、その仮説に基づいたらどのような結果になって、どういう立場の、どういう点数のお子さんが、こういう点数を受けてこうなったというようなことを、今度は検証しなくてはいけない。仮説と検証というのは、常にセットでなければいけないと思います。それがある意味、科学的なアプローチということだと思うんですよね。
ですので、このやり方がベストだからこうやるんだと、仮説のまま二回も三回も四回もやっていくというのは、これは、やり方としてはあまりうまくないし、他者からの見え方としても説得力がないものだと思います。
という意味では、一回、仮説の基に行ったものであれば、次のテストの前にきちんと、それがどのように作用したかを検証すべきだと思っております。
まだしていないのであれば、早急に取りかかるべきだと思います。重ねてお伺いします。
○村西都立学校教育部長 先ほども申し上げましたが、今回、事業実施要綱を定めて不受験者の措置を入れ、ない方には、その不受験者の措置で総合得点で合否を決めていくと。
その決めは、委員もおっしゃるとおり、それはそれとして、この制度自身が、どういう運用で、本当に我々が想定したとおりになっているかということについては、先ほど申し上げたとおり、検証なり、そういったことは必要だと。その部分については、ほかの制度と同じようにやっていきたいというふうに考えております。
○阿部委員 方向性としては受け止めるのですけれども、それは、次のテストまでにその検証が終わるというふうに考えてよろしいのですかね。
○村西都立学校教育部長 もちろん、検証はしっかり行ってまいりますが、一方で、入試制度については一定程度の安定性も必要でございますので、去年始めたばかりですので、その検証は引き続きやっていくのですけれども、どのタイミングでと、来年からすぐにということは、さすがにそれは難しいだろうということでございます。ただし、検証としてはやってまいります。
○阿部委員 では、仮説が仮説として、その確からしさが証明されないまま二回目に取り組むというのが都教委としてのやり方だという意味に受け取りました。
もし違っていたら教えてください。
○村西都立学校教育部長 仮説ということではなくて、このように不受験者の措置を入れて総合得点を算出するということで、都教委として、これは最善の方策であると決めたわけですから、仮説のまま入試をやっているということで、この仮説を検証していなくて本格実施だみたいなことであるという意味であるとすれば、そうではない。
きちんと入試制度として、我々として制度設計をした上で入試を毎年行っていますので、ただ、その入試制度も絶対のものではなくて、未来永劫そうであるとは、私は、こういうあれではないと。
繰り返しになりますけれども、先ほど鈴木委員、伊藤委員からありましたとおり、よりよい制度に向けて、改善に向けて、しっかりと取り組んでいくというのは重要なことでございますので、そういう意味合いにおいて、今の委員の言葉を受け止めているということでございます。
○阿部委員 この議論は、そろそろ終わりにしたいとは思いますけれども、これ、最善であると決めたと。最善かどうかというのは、決める問題ではなくて、検証されて、事実としてそれが評価されて、初めてそれが最善といえるわけですから、そこのことを考えていただけると、やはり検証をするまでは、それは仮説にすぎないというふうに私としては受け止めておりますし、それをやってみて、都教委が考えられたオリジナルの方法が、非常に確からしさが高くてよかったということであれば、それは信頼性が増す問題ですし、それが出てこないうちは、そんな方法でいいのかという疑問が常について回ってしまう。できるだけ早くやった方がいいと思います。
それから、様々な実施の上での課題も、一回目で出てまいりました。それは先ほどからいろいろありましたので、できるだけ割愛をしていきたいと思っておりますけれども、一つ、プライバシーに対する配慮ということで、保護者の同意等々、保護者が知らないうちにネットで学校で申し込んでいたというような話もありました。
これについて、何か改善点があれば教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 保護者から同意を得るということについては、昨年度も取り組んでいるところでありますが、改めて実施要綱にもきちんと示し、生徒用のマイページにおいても明確に記載をし、周知を図っております。
○阿部委員 昨年度との違いがあまり感じられなかったのですけれども、文言、見え方を工夫していただけるということでしょうか。
会場並びにスタッフの確保というのは、改善点はありますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 重複するところがあるかもしれませんが、事業者との協定に基づいて適切に実施をしていくわけですが、会場数を増やす、それから試験監督についても、それに応じて変化するというふうには当然想定していますが、基本協定、実施協定に基づいて必要数を的確に配置してまいります。
○阿部委員 ありがとうございます。
そういうご答弁なんですけれども、前回もほぼ同じようなご答弁をいただきつつ、直前まで会場が決まらないとか、直前まで試験監督がなかなか見つからないとか、そのような状況であったわけですね。
それを踏まえて今年の改善点を教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 前提の認識が少し違うのかもしれません。
直前まで会場が決まらなかったということではないと思います。ただ、今年度は、それを早い時期から、スケジュールを前倒しして準備しているということは、改善点としてというか、そういうことでやっております。
監督についても、もちろん早いうちから募集していくわけですけれども、昨年、コロナがあったりで、予備の方も含めてぎりぎりまで多数応募していたということで直前までやっていましたが、それは直前まで不足していたということではないというふうに私たちは認識をしております。
いずれにしても、会場も、それから監督についても、早くから確実に準備していくということは、改善といいますか、それは当然の、改善に向けた取組ということで実施をしてまいります。
○阿部委員 ありがとうございます。会場の確保が遅かったわけではないということではあったのですけれども、都教委が予告していた時期には、会場の通知というのは、昨年はなされなかったわけですよね。そのことを踏まえますと−−それで学校も大変困ったという声がたくさん寄せられました。会場がいつまでも分からない、通知が届かないというようなことが今回はないように、よろしくお願いいたします。
それから、大体、出たでしょうかね。その他、機器の不具合がありました。これについては、最終的に理由は分からなかったといいますか、防ぎようがないということなんでしょうかね。
その故障の原因については、結局、事業者に対してずっとアプローチをかけていたけれども、分からなかったというふうにしか私聞いていないのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 機器の不具合については、ヘッドセットに問題があったということでご報告申し上げていますので、タブレットではなくて、ヘッドセットに問題があったということで把握をしています。
○阿部委員 いや、タブレットに問題がなければ、ヘッドセットにはあっていいという話ではないので、何でそんな話になるのか分からないのですけれども。
あらゆる機器については−−要は、ヘッドセットでなぜ音を拾わなかったのかというのは、最終的には分からなかったというふうに私は聞いておりますけれども、そうした周辺機器も含めて、故障がある、不具合があると、また同じようなことが起こってしまうのではないか。
とすると、それが本番で起こらないようにするために、何らかのプラスの措置が必要だと思うんですけれども、そこは考えていらっしゃいますか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 もちろん、ヘッドセットの不具合があったから仕方がないということではなくて、ただ、機械なので、やはり少なくても、一定程度そういうことが出るということは当然想定して、そのためのバックアップを取っておくということが重要だと思うんですね。
ですから、機器については当然チェックをして、そういうものを極限まで減らしていくということをするのと同時に、ヘッドセットに不具合があっても、タブレットの方でサブ音声を録音できるというシステムを取って、昨年もそれを使ったわけですので、それについては、引き続きしっかりとやってまいります。
○阿部委員 ありがとうございます。ダブルで録音するというのも、それはフェールセーフの考え方で、悪いことではないと思うんですけれども、試験の前に確認するというようなやり方もあるのかなというふうに思っております。
それから、採点結果の後の点検のフローについてお伺いしたいと思います。
採点後の二回目のチェック、いわゆる点検に関するフローというのはどうなっていますでしょうか。
先ほどもちょっと質疑で出ましたけれども、時系列で教えていただければと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 試験の実施の日と、それから成績を返す日にちについては、もう公表しているところですので、当然ながら、返すまでに万全の体制で繰り返しやっていくということで、それの精度も高めるということをまず一つやっていくということを先ほどお話をしたつもりなんです。
それに加えて、二回目ということで、遅くとも都立高校の出願に間に合うようにも改めて再点検を行うということで、昨年度よりもさらに、日程もできるだけ前倒しをする中で、しっかりやっていきたいというふうに思っています。
○阿部委員 ありがとうございます。
今のご答弁の中で、返却の前に繰り返しといういい方をされていたと思うんですけれども、これ、返却の前に何回かのチェックを行っていくという意味でよろしいですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 細かいフローについては、これまでも公表していないのですけれども、昨年度のケースというのは、一旦、成績を最終的なものまで出した後に、さらにもう一回やったということで、全体のものをもう一回やったということで再点検といういい方をしているんですけれども、これまで、それぞれの採点について、体制については、複数で繰り返しやっているという趣旨でご理解いただければと思います。
○阿部委員 スピーキングテストは、都立高校での指導改善、学習環境改善に結びついているのかということを確認させていただきたいと思います。
また、都立高校に進学しない生徒については、どのように指導改善に結びつけていくのかということも併せて確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 各都立高校において、入学者から提出されたスコアレポートによりまして生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うということで、適切に活用しております。
生徒は、CEFRによる自分の話すことの力を理解した上で、重複しますが、オンライン英会話、今年全校でやっているわけですが、適切なレベルで受講するなど、英語力の向上に結びつけています。
また、テストの終了後には、受験した生徒一人一人に、スコアや到達度、それから個々の解答状況に応じた学習アドバイスなど、個人に返していますので、そのスコアレポートを返却するとともに、受験した生徒が在籍する中学校にも、情報を同じく提供しています。
○阿部委員 ありがとうございます。学校内での様々な学習に意欲が出てきたということであれば、それはいいことだと思うんですけれども、実態として、それだけではないように感じております。
英語、とりわけスピーキングというのは、むしろ実技科目に近くて、ある意味、水泳をイメージしてみますと、学校での授業時数というのは極めて限られていて、大人数でやっていて、しかも一斉に行われて泳ぎ方というのを教えている。だけれども、ほとんど実践の機会がないままに、テストだけは入試に使いますよという形でいきなり出てきたわけです。
そうすると何が起こるかというと、余裕があるご家庭というのは、スイミングスクールにお金をかけて行かせる、あるいは、時間とエネルギーがあるご家庭は、親御さんが一生懸命教える、でも、その他の少なくない子供たちは、逆に苦手意識を持ってしまう、それによってすごく差が開いてしまう、教育格差を生んでしまう、そういうことも起こり得るわけです。
実際に、このスピーキングテストの話が出てから、周辺では、小学校、中学校でも英会話スクールに通う子供たちが大変増えました。また、東京の中で教育費の拡大というのも広がっています。
こんな中で、学校の中での英語のスピーキングの時間を増やしていく、あるいは一斉の人数を減らしていく、様々なスピーキング能力を上げるための努力をし、アチーブメントテストをし、その上で高校入試に活用していくというのであれば、私たちもこんなにいいません。
しかしながら、そうした授業の努力ですとか、あるいは学校の英語の先生を増やしていくですとか、あるいは一斉授業の人数を減らすとか、そうしたことをしないままに、まずスピーキングテストだけ入れてしまうことによる弊害の方が大きいのではないか。
そんな中で、今のスピーキングテストが、ある意味、大ざっぱに入れられてしまったこの順番の狂いというものが、非常に大きな影を落としていると思っております。
もっと子供たちの英語のスピーキング能力を上げていきたい、それは私たちも同じように考えておりますが、だからこそ、このスピーキングテスト、今の都立高校の入試から始まるという、このやり方を見直していただきたいと思います。
以上です。
○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
それでは、中学校英語スピーキングテスト結果の令和六年度都立高校入試への活用中止に関する請願に対して質疑を進めていきたいと思います。
私どもミライ会議は、この中学校英語スピーキングテストは公平で公正でないということを、この間申し上げてきました。そして、先ほども質疑の中でも出ておりましたが、不完全な問題を、不完全な制度を入試に活用するということは、断固として許されるべき問題ではないというふうに考えておりますので、引き続き、この点についてもしっかりと注視をし、そして、直ちに活用中止に対しましても強く表明をしておきたいというふうに思います。
二〇二三年七月十三日、教育庁は、令和五年度の中学三年生の中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jは、引き続きベネッセに、そして、中学一、二年生のESAT-Jにつきましては、ブリティッシュ・カウンシルを事業者として選定するとプレスリリースをしたところです。
そこで、以下、文科省の全国学力・学習状況調査と比較しながら、少し質問を進めたいと思います。
文部科学省は、中学三年生を対象として、令和五年四月十八日火曜日に、令和五年度全国学力・学習状況調査を株式会社内田洋行に委託をして実施しました。参加率は九五・一%、国立学校八十校一〇〇%、公立学校九千四百八校一〇〇%、私立学校二百九十校三六・三%ということです。
また、中学校英語話すこと調査として、ICT端末を活用し、文科省のCBTシステムを用いたオンライン音声録音方式で、文部科学省が指定する一部の中学校五百校程度で実施をされました。
この間も申し上げておりますが、文科省が実施をするこの学力テストについては、昭和五十一年五月二十一日の最高裁判所大法廷裁判があり、文部大臣の調査要求に対しては、教育委員会においてこれに従う法的義務がないこと、学力調査の実施も、当該市区町村教委が文部大臣の要求に応じ、その所管する中学校の教育に係る調査として行ったものであることも示されているところです。
そこで、都教委のESAT-Jの実施要綱に対しては、市区町村教育委員会においてこれに従う法的義務はないこと及びESAT-Jの実施も、区市町村の教育委員会が、都教委の要綱に応じて、自らの判断でその所管する中学校の教育に係る調査として行ったものであると考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 中学校英語スピーキングテストですが、教育基本法第十六条第三項に定める、地域における教育の振興を図る観点から都教育委員会が行う施策でありまして、区市町村と相互に役割を果たしながら、協力して実施したものでございます。
○桐山委員 今のご答弁ですけれども、確認ですが、区市町村と相互に役割を果たし、そして、区市町村と都教育委員会それぞれの役割がどうなのかということを伺いたいと思います。
また、協力の下ともご答弁されておりますが、まず、教育委員会と区市町村教育委員会は独立、対等の関係にあることは、もう承知の事実です。
そして、都教育委員会のESAT-Jの実施要綱に従って、区市町村教育委員会がこれに従う法的義務があるのかないのか、この辺についても端的にお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 質問の趣旨は、それぞれの役割を個別にというお話かと受け取りましたが、事前にお話を伺っていないことで、今、詳細の資料を持っていないので、それについて、お答えを差し控えたいというふうに思います。
区市町村との関係につきましては、繰り返しになりますが、区市町村と相互の役割を果たしながら、協力して実施をしているということでございます。
○桐山委員 この文科省の学力・学習状況調査は、各学校において調査責任者及び担当者を指名し、適切に実施体制を整備し、平日に実施もしています。教科の授業時数の一部として取り扱うことができて、外国語は一・三単位時間相当とされているといわれております。
そこで、東京都が実施するESAT-Jも、学習指導要領の到達度を調べる調査ということを何度も伺っておりますけれども、文科省の調査と同様に、平日に実施し、教科の授業時数の一部として扱うことが適当と考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 日程につきましては、区市町村教育委員会あるいは中学校からの意見も踏まえ、検討をこれまで重ねてきて、平成三十一年に公表した中学校英語スピーキングテスト実施方針において、週休日または祝日に実施することとして実施をしているものでございます。
○桐山委員 今のご答弁ですけれども、区市町村教育委員会あるいは中学校からの意見も踏まえというご答弁でありますけれども、具体的に、どこの区市町村教育委員会あるいは中学校からどのような意見があって、このような祝日に実施をすることに決定したのか、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これについても、細かい検討会の名称については、今、手持ちにありませんので、正確にお答えすることは差し控えたいと思いますが、三十一年に公表している実施方針よりも前、もう検討は十年ぐらいしているわけですから、それぞれ検討会を実施して、その中に、例えば区市町村教育委員会の幹事等々の代表の方、あるいは中学校の代表の方、それぞれでご協力いただいて意見をいただいていると。
それ以外に、もともと都教育委員会と区市町村教育委員会の間には、情報共有するためのそういう仕組みというものもありますので、個別にそれぞれ、様々な意見を受けながら実施をしてきたということです。
どのような意見があったのかということについていえば、日程については、ここにあるように、週休日または祝日に実施することが望ましいという意見を受けて決定したということでございます。
○桐山委員 資料がないということですが、これは平成三十一年に公表して、それぞれ十年ぐらいかけて、今ご答弁にいただいた形で、平日には実施しないで、週休日または祝日に実施するということです。
あくまでも、この当時は、一、二年生を多分想定していないというふうに思っているんですけれども、一、二年生は平日に実施をする予定はないのですか。
この辺についても、それぞれ状況が−−中学三年生だけじゃなくて、中学校一、二年生も今年度発表されたのですから、状況が変わっているので、この辺についての意見について、平成三十一年に公表されておりますけれども、変更すればいいんじゃないでしょうか。
そのあたりについてのご意見等も出ていないんですか。これからするんですか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 三年生のテストと一、二年生のテストについては、分けて考えるのが妥当だと思います。
一、二年生については、これもそれぞれからご意見をいただきながら、今後−−今、調整をしているところですので、日程について、今、確定したことをお話しすることはありませんが、ESAT-Jは、三年生の日程については、これまでどおり、同じ扱いでやっていくということについてはご了解をいただいておりますので、変更することはございません。
○桐山委員 変えるつもりはないということですけれども、分けて考える理由がよく分からないんですよ。アチーブメントテストで到達度を測るテストは変わりがないはずですから、そこの部分については、また引き続き議論させていただきたいというふうに思います。
文科省の学力・学習調査は、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる、さらに、そのような取組を通して、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することを目的としており、そのために、調査の実施日を年度当初の四月ということで実施をされているかと思います。
そこで、中学一、二年生のESAT-J、今後のですけれども、各学年の学習状況を鑑み、毎年度一月から三月までの期間で実施するというふうに方針を示されておりますが、実施日は、区市町村教育委員会との調整に基づき、この期間内に各中学校において設定するとしていますが、具体的に、なぜその期間で定めたのか、その根拠を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 各学年の一年間の学習の到達度を測るため、毎年度一月から三月までの期間に実施するものでございます。
○桐山委員 今のご答弁ですけれども、各学年の一年間の学習の到達度を測るためとの答弁ですけれども、各学年の授業は三月まで行われます。
まだ各学年の授業が終了していない状況でも、各学年の一年間の学習の到達度を測れるのですか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 一月から三月までの実施の時点までに測るということで、十分意味を果たせると考えています。
○桐山委員 教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるのか、伺っていきたいと思います。
さらに、そのような取組を通して、どのような教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 スピーキングテストの実施により、話す力を客観的に把握し、指導の充実を継続的に図っております。
○桐山委員 今回、文科省の学力・学習調査で比較をさせていただいていますけれども、先ほど冒頭に申し上げましたこの学力調査の目的として掲げられていることと、ほとんど同様の考えですよね、基本的に。
なのに、なぜこういうESAT-Jに基づきましては、そのような、平日にやらないとか、あと、一月から三月までの期間で実施をするとか、そういう検証サイクルをしっかりと確立できるのかということが疑問で仕方がないのですけれども、再度質問しますけれども、指導の充実を継続的に図っているとの答弁ですが、中学校や高校での具体的な指導事例というものがあるんだったら、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 文科省の試験と比較されるということで、それは一つの考え方としてあってもいいとは思いますけれども、それと比較して違うから、説明としていかがかという指摘には、我々は立っていないわけですね。これは独自の試験として実施をしているわけです。
中学校、高校での活用につきましては、先ほど来、答弁いたしましたけれども、その結果を踏まえて、子供たちにとっては、その結果を把握した上で、進学後にも引き続き、それを踏まえた上で、それに合った、自分の力に合った学習に取り組んでいくということで、個で活用することもできますし、それぞれの中学校でも、学校での状況を把握して、その年度、令和六年度以降も改善に役立てていく。
高校に進学後についても、先ほどお話ししたとおりですので、割愛をします。
○桐山委員 指導の充実を継続的に図っているというご答弁のところで指導事例を伺おうと思ってはいるんですけれども、実際のところ、昨年度行った中学三年生は、もう既に高校生になっています。
様々な問題があり、スコアレポートも返ってきました。スコアレポートを見て、定型文のような形で改善、あなたは、ここをもう少しこうした方がいいんじゃないかというアドバイスは書かれておりますけれども、それは、ほぼほぼ定型文ですよね。
そして、音声データにつきましても、後ほど質疑をさせていただきますけれども、一体的に授業改善とか、あるいは指導の充実を継続的に図れるような内容になっているのかということなんです。
なので、先ほどから、そういうことも含めて検証すればいいんじゃないかとか、出ていると思うんですけれども、ぜひこの辺については、引き続き議論をさせていただきたい課題かなというふうに思っております。
それから、話す技能を高めていくためには、ESAT-Jのような都教委の統一的に、オリジナルテストとおっしゃっていましたけれども、そういうテストではなくて、日常の授業の充実が重要だということを常々申し上げてきています。
中学校の各学年の学校教育法施行規則に定める外国語の標準授業時数は百四十時間となっていますが、まず、話す技能を養う授業は何時間あるのか、伺います。
あわせて、全ての公立中学校にALTが配置をされていると考えておりますが、このALTが参加をしての話す技能に関する授業は、各学年とも何時間あるのか、お答えいただきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 学習指導要領では、英語は、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことのいわゆる四技能を総合的に育成するというふうにされています。
授業は、各学校が年間授業計画に基づき実施するものであり、話すことの指導が具体的に何時間分行われているのか、何時間程度行われているかについて、都教育委員会としては把握してはおりません。
また、ALTが参加する授業時数については、設置者である区市町村教育委員会が適切に管理をしております。
○桐山委員 確認ですが、この話すことの指導が具体的に何時間程度行われているかは把握をしていないとの答弁なんですけれども、今後も把握する考えはないということでよろしいのでしょうか。
また、ALTが参加する授業時数については区市町村教育委員会が適切に管理とのご答弁ですが、この区市町村教育委員会に確認すれば把握できるにもかかわらず、今後も把握する考えはないということなのか、ぜひお聞かせをください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 授業については、各学校及びそれを所管する区市町村教育委員会の下で実施されているわけで、ALTについても同様に、どちらも都教育委員会として何か調査するようなことは考えておりません。
また、つけ加えてお話ししますが、英語については、四技能を総合的に、つまり組み合わせながら育成することとされていますので、そのことも併せてお話をさせていただきたいと思います。
○桐山委員 分かっておりますよ。四技能をバランスよく、学習指導要領に基づいて英語教諭が授業を実施していることは十分承知しているけれども、しかしながら、今回、都教委がオリジナルのこのようなアチーブメントテストを作ったわけですから、実際問題、その試験対策のような流れになるのではないかという、そこで、その授業日数の中で、違った意味で、いわゆる受験対策というような授業になりかねないということも懸念をしていかなければならないのかなというふうに思っているので、このような質疑もさせていただいているところです。
ぜひこういうところは、把握しないとかという無責任なことをおっしゃらないで、それぞれの区市町村に確認すればいいだけの話なんだから、そういうところも、自分たちのデータとか、そういうことも含めてしっかり管理をしておくということもやってくださいよと思います。
次に行きますけれども、中学二年生のESAT-Jの結果を教育指導の充実や学習の改善等に役立て、その結果を中学三年生のESAT-Jの結果で測るというのであれば、その結果を含めて、中学校の校長が話す技能を含めて英語の四技能を調査書に記載し、生徒が受検する都立高校に送付するのが筋だと考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 調査書点については、各教科の学習の記録を点数化したものと規定しており、各教科の学習の記録欄に記載をされています。
一方で、中学三年生のESAT-Jの結果は、各教科の学習の記録欄ではなく、学校内外の活動の事実や実績等を記載する諸活動の記録欄に記入することとしています。
○桐山委員 それぞれ、これまでの調査書点については、継続的な評価をされてきているというふうに思っているんです。先ほどから出ていた四技能の評価というものが、これまでも継続的に評価をされて、先ほどご答弁にありましたように点数化をしたものというふうにされてきているというふうには思っておりますけれども、前回も議論しましたよね、わざわざそれを抜き出して、学校内、外の活動の事実や実績等を記載する諸活動の記録欄に記入をするという、今までにないことを昨年度から導入されてきているわけであります。
このことについては、これまでも、多分、意見の相違でずっと議論をさせていただいているかと思うんですけれども、そもそもここに、先ほど質疑をさせていただいた質問の中でも、その結果を含めて、中学校の校長が話す技能も四技能としての評価として調査書にしっかりと記入するというのがアチーブメントテストの本来の姿なんだと思うんですけれども、結局、都立高校の入試活用にするから、そういう諸活動の記録欄に記入せざるを得ない状況の一手間が増えているわけですよね。
だから、その辺については、本当に意見の相違なんですけれども、そのあたりについても、今後、引き続き議論はさせていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
生徒の話す技能を伸ばすなら、実際に中学校で英語の授業の教諭やALTの意見を聞いて、各中学校または区市町村の教育委員会が適切な外部試験を選択して授業に生かして、そして、都教委は、その費用を補助する方が効率的だと考えておりますけれども、都教委の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 理事がそういうご意見だということについては認識をいたしましたが、本テスト、スピーキングテストにつきましては、教育基本法第十六条第三項に定める地域における教育振興を図るという観点から、都教育委員会が行う施策として実施をしているものでございます。
○桐山委員 私どもは、これまでの議論の中でも、そのように申し上げているつもりでございます。
次に、ベネッセからブリティッシュ・カウンシルに事業者変更したことについて質疑を進めていきます。
令和五年度に、中学一、二年生からESAT-Jの事業者がベネッセからブリティッシュ・カウンシルに変更になりますが、今回の事業者募集に当たって、事前の意見交換をされたのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 事業者募集に当たって、事前の意見交換は実施していません。
○桐山委員 実施していないということのご答弁でした。
都教委は、これはもう長い年月をかけてベネッセと緊密な関係というものを築かれてきたというふうに思うわけでありますが、ベネッセが継続して担当してくれていた方が、手続的にも迅速に行えると考えられたのではないかなというふうには推察をしております。
都教委は一貫して、このESAT-Jは東京都とベネッセによる共同実施であり、適切に行われていると、何度もこの場でも説明をされてきております。
共同実施者であるベネッセが、都教委に断りもなく降りてしまっていることが、本当にそうなのかなというふうに思うんですけれども、都教委は、この事業者募集に当たって、ベネッセと事前の意見交換をしたのか、及びベネッセに対して応募しない理由を聞いたのか、改めて伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 まず大前提として、五年の契約で始めて五年が終わるからということで、新しい事業者を募集しているわけです。
事業者募集に当たって、ベネッセとの事前の意見交換は実施をしていません。
今回の募集要項につきましては、これまでの実施状況を踏まえて、都教育委員会が新しく作成したものであります。こうした新しい要項に基づいて募集したところ、ベネッセからは応募がなかったということでございます。
○桐山委員 今のご答弁に対してなんですけれども、確認です。
適切にこれまで実施をされてきたということを述べられておる中で、今回は募集要項の変更をされています。
募集の条件も変わらなければ、この事業を実施している業者が次回も応募するものと考えるのですけれども、ベネッセは、適切にこの事業を実施していなかったという認識でよろしいのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 適正に実施してきた、あるいは、していると認識しています。
○桐山委員 先ほども議論がありましたけれども、今回はなぜ、この募集要項については、これまでの実施状況を踏まえて新しく作成をされたのでしょうか。
募集要項についての、改めて変更した点について、ぜひお聞かせをください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほど同じ答弁を、お答えをしたと思うんですけれども、この五年間の実施を踏まえて、例えば体験受験の追加、あるいは一、二年生の実施等々を、主に変更を加えたということでございます。
○桐山委員 今回、確かに、一、二年生が急に新たに導入をされたので、そのあたりについては、一、二年生も受けてくださいということでの変更があることは承知をしているところですけれども、この五年間の評価として、これまで基本的には、私も含めてですけれども、適正な実施を−−課題、問題がたくさんある制度設計になっているし、改善要望というものもかなり、この場合についても、保護者の声だったり、子供たちの声も含めて要望してきているつもりですけれども、基本的には、形態、形ですよね、その制度設計の形態は全く変えない状況の中で今後も取り組んでいくというような実施要項として新しく作成をされたのかどうなのかということも、もう一度伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 基本的なというのは非常に抽象的で、お答えが正確でなくなると思いますので、正確な答弁は控えたいというふうに思いますが、繰り返しになりますが、これまで五年間やってきた、それは、遡れば十年来、区市町村教育委員会とも意見調整をしながら実施の形をつくってきたわけです。ですから、それを基本にするのは当然だと思いますが、必要な改善については改善していきたいと思いますので、募集要項は、それを踏まえて新しい提案を受けるということを想定しているものなわけです。
新しいやり方というのをこちらの方で決めてやるというものではないので、先ほどの日程の話についてもありましたけれども、様々な提案を受けるという、それぞれの団体のノウハウを最大限生かしたいということでやっているわけで、そういう形で、基本的には今までと同じというふうに考えていますが、必要なものは、あるいは時代の要請に応じて改善をしていくというのは、当然していかなきゃいけないものだと思っています。
○桐山委員 改善をしていく内容が個々に出てくるのであれば、前回のベネッセの事業については、かなり閉鎖的で、情報が開示されないこともたくさんありますので、こういった、どこがどういうふうに改善をして進めていくのかということもぜひ開示をしていっていただいて、ぜひ、そういうところも保護者にも分かるような、生徒にも分かるような形で開示をしていくという取組を行っていただきたいというふうに思います。
それから、前回の事業者選定は、ベネッセのほか三者が応募をしたと聞いております。五年前ですね。
ブリティッシュ・カウンシルは、前回も応募したのか、今回初めての応募だったのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 事業応募者については、東京都情報公開条例に基づき、公にすることにより当該法人の競争上または事業運営上の地位、その他社会的な地位が損なわれると認められるために公表しないということで、公表していません。
○桐山委員 分かりました。
では、ブリティッシュ・カウンシルが今回決定しましたけれども、ブリティッシュ・カウンシルとは、前回から話合いをこれまで−−今回初めてなのか、それとも前から話合いを持ったことがあるのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 ブリティッシュ・カウンシルというのは、英語教育に関して、ご存じのように、非常にプレゼンスの高い団体であります。ですから、都教育委員会としては、様々な分野で意見交換をすること、機会というのは当然あります。
ただ、先ほどお答えいたしましたが、今回のこのことについて、事前に意見交換をするということはしていません。
○桐山委員 これまで都教委は、ESAT-Jの採点を行うベネッセの子会社の名前についても、企業秘密として公開をしてきませんでした。ベネッセとの対話も、都教委との対話も実現していません。
今回、ブリティッシュ・カウンシルは、今ご答弁いただいたように、ロンドンに本部を置く政府外公共機関として、情報公開とか、あるいは受験者や保護者、専門家との対話に積極的ではないかと期待をするところです。そうでなければ、直接、ロンドンの本部まで、掛け合っていかなきゃいけないのかなというふうに、保護者の中でも声が上がっているところです。
次に、事業者が替わることで、生徒や保護者、専門家との対話や、情報公開への方針転換をすべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほどの答弁と重複いたします。
これまでも、教育委員あるいは様々な検討会で保護者の代表、英語教育の専門家、それから区市町村教育委員会、中学校、高校の校長等々から意見を聞き、制度設計をして実施してきている。先ほどお話ししたとおりです。
また、プレテストにおいても、生徒からの声も聞いています。
また、これまでも、法令等に基づき、非開示となるもの以外は公開をしてきております。
○桐山委員 そうおっしゃるのですけれども、基本的にはこれまで、例えばプレテストまでの間はいろいろと試行錯誤をして、制度設計するまでにはいろいろと、おっしゃっている専門家の先生や区市町村の教育委員会や中学校の校長など、様々な意見は聞かれてきたんだと思うんだけれども、本格実施して、昨年度ですよ、昨年度実施をしたときに−−プレテストは子供たちから、生徒の声を聞いているけれども、実際のところ、これまでのご答弁だと、全く子供の声を聞いていないじゃないですか。
私たちは、この場でさんざん、子供たちの声を拾い上げて、こういう状況だったよと、私は何度もいっていますよ。ここにいらっしゃる、私も含めて全員がその場にいなかったんだから、どういうふうに試験を受けてきていて、音漏れの問題ですとか、もしかするとカンニングができた環境だったのかとか、そういった様々な声を聞いていないじゃないですかということなんです。
ですので、今後の、先ほども委員の方から質疑がありましたよね。子供たちの意見は聞いた方がいいから、アンケート調査の実施をしたらどうかみたいな話で、別にご答弁されていませんけれども、そういう声をしっかり聞く中で取組を行っていかないと、今度−−先ほど申し上げたブリティッシュ・カウンシルが今度受けていて、中学の二年生はプレテストを行うんですよね。
そうすると、まだプレテストだから、そのプレテストを学校内でやるのか、それとも外でやるのかも分からないのですけれども、このブリティッシュ・カウンシルの情報公開の徹底とか、受験者や保護者や専門家との対話、もし我々が要請をしたときに、しっかりと対話をしてくださる、そういうブリティッシュ・カウンシルに期待するわけですよ。
前が、いわゆるベネッセが、申し訳ないけれども、そういうことを都教委の皆さんと閉鎖的な部分をつくってきたわけですよ。
ですから、そういう生の声とか、保護者の上がってきている声とか、そういうのを真摯に受け止めていただきたいんです。
今、改善しますという話もあったと思うんですけれども、何をどういうふうに改善するんですか。何を課題だと思っているんですか。我々、さんざっぱら、課題いっぱいあるよねということをこの場でずっといってきていることを、何にも聞いてくれなかったじゃないですか。
ここへ来て改善をしますというのでしたら、何をどういうふうな課題があるから、どういうふうに改善するのか、教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 先ほどの答弁と全く同じになりますので、詳細に話すことは割愛したいと思いますけれども、例えば試験会場、それから生徒、応募者への周知、合理的な配慮、試験当日の運営あるいは採点等々について、改善を既に今年からしていくし、ブリティッシュ・カウンシルとも今後調整をしていく中で、それについては万全の体制を取っていきます。
○桐山委員 同じ答弁をしてくださっていいんですよ、別に。私、拒んでいないから。お願いします。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 重複を避けてご質問をお願いいたします。
〔桐山委員「私の質問時間内なんだけど。私の質問内に、普通にさっき答弁したやつを答えたらいいだけの話じゃない」と呼ぶ〕
○入江委員長 重複は避けて、そして、不規則発言はお避けください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 簡潔にというお話もあったので、それを踏まえて答弁をしたということですが、委員からのご要望ですので、もう一度お話をいたします。
試験会場については、会場を増やし、原則、同一自治体内とするほか、地域の交通事情に応じて、引き続きバスを手配する。
生徒や保護者への周知については、既に案内を配布済み、十一月にも配布の予定、ホームページの掲載情報を分かりやすく整理をいたします。
合理的な配慮については、緘黙、吃音の生徒への体験受験の新設、中学校や生徒への周知の工夫をするとともに、申込み期間の延長。
そして、当日の運営については、機器の操作方法の案内や不具合の確認など、試験監督から生徒への案内をより分かりやすく工夫するほか、イヤーマフにつきましても、使用方法などをリーフレットで詳しく案内をします。また、軽食を取ることを可能とします。
採点につきましても、昨年度生じた機器の不具合に備え、引き続きバックアップを確保するとともに、試験監督から生徒への丁寧な確認をいたします。
また、採点の再点検を実施いたします。
○桐山委員 ありがとうございました。
丁寧にしていただきましたけれども、子供たちの生の声は、今後、聞くつもりがあるのでしょうか。
また、アンケート調査などの実施というご提案もあったところなんですけれども、アンケート調査の実施も、今後速やかに行うという考えをお持ちなのか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 実施状況を確認して改善につなげていく、そういう方法については、先ほど委員からもご提案があったように、ご提案の方法も含めて今後検討していくというふうに先ほども答弁したところでございます。
○桐山委員 やるかやらないか、あまり分からないんですよね。これまでやってくれなかったので。
前年度の中学三年生が、全く不完全な制度のままで都立高校入試に活用されているんですよ。生の声を、やっぱりあの時点でしっかりと聞くべきだったんだと思いますよ。それが、やっぱりその次の改善につながるものなんじゃないかなというふうに思います。犠牲者を増やさないでいただきたいと思います。
次に、開示された音声データについて伺っていきます。
解答の音声データの開示については、期間限定で、希望した受験者だけ聞けるようにしました。
採点者が採点した音声データと開示された音声データは同じものなのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 提供している音声データは、受験者本人以外の個人情報を保護する必要があるために、本人の音声を抽出処理した上でデータとして提供しています。
○桐山委員 また、トリミング加工された受験者の音声データは、何をいっているのか聞き取れないものもあります。これ、先ほど、とや理事の方からもありましたけれども、聞き取れないものもあります。
教育長は、受験者の音声データを聞いたことがあるのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 音声サンプルデータは、教育長も含め、都教育委員会の職員が確認をしています。
音声データの提供については、協定に基づき、事業者が適切に実施をしています。
○桐山委員 もう一度伺うのですけれども、教育長を含め、都職員が確認とのご答弁ですけれども、浜教育長は確認をしたということでよろしいでしょうか。
お答えをいただきたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 音声サンプルデータにつきまして、教育長も含め、都教育庁の職員が確認をしています。
○桐山委員 浜教育長は、いつ頃、どこで、どのような状況で、何件ぐらい、このサンプルといわれている音声データをお聞きになったのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点に関わることでもありますので、具体的なことについての公表は差し控えます。
○桐山委員 周りの音声が入って採点不能なESAT-Jの成績を基に都立高校の入試選抜が行われる場合は、選考委員会委員長である校長の判断が適正に行われないと考えますが、教育庁の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 解答音声は、高機能集音マイクを口元に設定して録音しており、隣の生徒の音声は、受験者本人の音声録音とは明らかに異なるということを確認しています。
○桐山委員 先ほど、浜教育長も、この音声データについて確認をされたとのことでした。
浜教育長ご自身の認識というものはどのようなものだったのか、伺います。教育長に伺います。
○浜教育長 私自身もサンプルデータを確認いたしましたが、解答者本人の声と周囲の声は明らかに録音状態が異なっておりまして、採点において聞き誤ることは決してないということを確認しております。
○桐山委員 教育長、ありがとうございます。
そのようなご答弁をいただいたところではありますけれども、例えば、採点不能なESAT-Jの音声データが確認されれば、都立高校入試の適正さを確保するため、都教委は、直接、全音声データの総点検をすべきだと考えますが、教育庁の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しの答弁になるかと思いますが、採点については、協定に基づき、事業者が適切に実施しています。
○桐山委員 明らかに違う音声があったとしても、それはしっかりと聞き取れたということだったと思うんですが、実際のところ、採点ミスはありましたよね。
あったと思うんですけれども、それでも適切に実施されたということなのでしょうか。伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 採点ミスというふうには、私たちは整理をしていないんです。機器のトラブルであって、採点自身は適正に行われていると。
ただ、それも含めて、再採点を行うことによって成績を修正したということについては、もちろん重く受け止めております。
それらを含めて、バックアップデータで評価を返したということも含めて、適正な範囲で実施できたというふうに考えています。
○桐山委員 バックアップデータの関係もありまして、先ほども採点ミスだという認識はないということですけれども、採点ミスですよね、成績を修正したんですから。そのことについては、やっぱり重く受け止めていただきたいというふうに思います。
アチーブメントテストの実効性を高めるには、音声データは、受験生全員がクラウドにアクセスをして自分の音声データを入手し、解答例と照らし合わせて自己評価して、今後の学習に生かせるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、この音声データの開示は、中学三年生だけでなくて、ブリティッシュ・カウンシルが今後実施する際に、一、二年生も行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 三年生については、希望する全ての生徒を対象にオンラインで音声データを提供することにより、自分の音声と解答例を照らし合わせて、学習の成果に基づいた目標を立てられるようにするなど、テストの結果を話すことの力の向上に活用するようなことが可能となる仕組みを構築しています。
一、二年生を対象としたスピーキングテストの詳細につきましては、現在調整中でございます。
○桐山委員 今回、音声データは、やられたらよく分かると思うんですけれども、まず、東京都の電子申請のIDを取らなきゃいけないという作業があります。保護者及び受験生本人が音声データを入手登録、申請をするんですけれども、保護者が取る場合は、保護者と親子関係を示す書類の添付ですとか、本人が申請している場合は、受験票のコピーの添付をしなきゃいけないとか、もう面倒なんですよ、はっきりいって。全員に返してあげたらいいじゃないですか、毎回いっているけれども。
今回、新たなブリティッシュ・カウンシルになっていく状況の中で、音声データをクラウドに上げて返せるという状況をつくるということも、私、一つの改善だと思うんですよね。
実際のところ、これ、聞いていただければ分かると思うんですけれども、本当にこれが本人のための授業改善につながるのかと。都教委は一生懸命そういうふうにおっしゃって、授業改善になれば本当にいいと思うんですけれども、果たして−−いわゆるコミュニケーションツールとして、しゃべったことで向こうから答えが返ってくる話じゃなくて、答えしか述べていないものの音声を聞くだけなわけですよ。
もちろん、ホームページのサイトの中で、解答例ですとか、こういうふうにしてくださいとか、いろんなアドバイスが書かれていたとしても、おっしゃるような授業改善につながるというところまで、なかなかいかないですよ。
希望者のみとかという話で、我々は提供していますよというのではなくて、やはり受験生全員が即座に聞けるような対応を取った方が私はいいと思うんですけれども、その点については、もう一度、ご回答をお願いいたします。
○瀧沢グローバル人材育成部長 提供された音声を活用することに意味があると思うから、全員に返した方がいいというふうにお考えなんだと思うんです。我々は、返すことについては意味があると思うし、活用してもらいたいというふうに思っています。
ただ、同時に、個人のデータですから、セキュリティをしっかり担保して提供していかなきゃいけないというのは非常に重要なことなわけで、簡便性と、それから、そこのセキュリティをどう両立させていくかというのは、非常に慎重に進めていかなければいけない新しい取組でもあります。そこを踏まえて、ある意味、慎重に実施をしています。
今度、新しい協定に基づいて実施をするブリティッシュ・カウンシルとの取組については、現在準備中でございます。
○桐山委員 そもそも、この音声データの開示は、やはりフィリピンで採点をされることがブラックボックスであるという指摘の中で提案があった、そういうところでの透明性を担保するために音声データの開示という要望から、都教委が音声データを希望者において開示されるようになったんだけれども、実際そうではなくて、後づけで、授業改善につながるというような流れに途中から変わってきているんですけれども、やはりそれもしっかり検証しないといけないと思うんです。
実際のところ、じゃ、音声データを開示した生徒が、幾ら個人情報だからといったって、それが本当に授業改善につながるのかどうなのかという、生徒の声とか保護者の声を聞いてみるのもいいんじゃないかなと思うんですけれども、その点についても、今後、中学一、二年生を対象としたスピーキングテストの詳細については現在調整中だということですので、新たなるブリティッシュ・カウンシルにどのように対応していただくのか分からないですけれども、授業改善につながるように、到達度を示すアチーブメントテストなんですから−−入試に活用するから、すごくハードルを高く設定をしなきゃいけないんだと思うんですよ。到達度を測るテストで即座に返していただけるような、本当に授業改善につながるような内容にぜひ改善をしていただきたいなということを申し添えておきます。
改めて聞きますね。令和五年度においても、中学校の三年生のESAT-Jの結果を都立高校入学選抜に活用するおつもりなのか、改めて伺っておきます。
○村西都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜におきましては、義務教育の最終段階として、学習指導要領で求められている力が身についているかを測る必要がございます。
英語については、聞くこと、読むこと、書くこと、そして話すことの四技能の習得状況をしっかりと測ることが重要でございます。
都教育委員会は、話すことの技能を評価するスピーキングテストを着実に実施し、引き続き、その結果を都立高校入学者選抜に活用してまいります。
○桐山委員 分かりました。活用することには、私は反対です。
ESAT-Jでは、問題の作成及び採点、さらに実施も業者に委託をするなど、実質的に業者テストと変わらないのではないかと考えておりますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 本テストは、教育基本法第十六条第三項に定める地域における教育の振興を図る観点から、都教育委員会が実施する施策でございます。
スピーキングテストは、都内公立中学校の英語指導の改善に資することを目的として、東京都が決定した出題方針に基づいて、都独自の内容で出題するものでございます。
○桐山委員 都教委では、ESAT-Jの試験問題を監修していること、採点が適切に行われていることを確認していると説明してこられましたが、既に終了した令和四年度のESAT-Jについて、試験問題の監修はどのように行ったのか、採点が適切に行われたことをどのように確認したのか、具体的に伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 試験問題の作成に関する具体的な内容については、極めて秘匿性が高い機密事項のため、公表をいたしておりません。
採点の確認方法については、公平性、公正性を担保する必要性から、秘匿事項としております。
○桐山委員 中学一、二年生のESAT-Jと中学三年生のESAT-Jでは、学習指導要領の違いによる設問の違い以外に何があるのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 中学一、二年生を対象としたスピーキングテストの詳細については、現在調整中でございます。
○桐山委員 都教委は、中学三年生対象のスピーキングテストは、結果を入学者選抜で活用することから、より一層の公平、公正を確保するため、都立高校等で実施をしたと答弁していますが、中学校の校舎でテストをするのと、通学校以外の場所でテストをするのと、具体的に公平と公正のそれぞれの観点からどこが違うのか、伺います。
中学校でESAT-Jを実施すれば、カンニングなどの不正が行われるのではないかというふうに考えているのか、中学一、二年生と違って、三年生のESAT-Jを中学校で実施できない理由を、また明確にお答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 スピーキングテストは都教育委員会が実施するテストであり、都教育委員会の管理下である都立高校などを主な会場として、公平、公正に実施したものであります。
中学三年生対象のスピーキングテストは、結果を入学者選抜に活用することから、より一層の公平、公正を確保するため、都立高校等で実施をしています。
○桐山委員 これ、確認なんですけれども、今のご答弁の中では、より一層の公平、公正を確保するためとの答弁なんですけれども、このより一層というのは、具体的に何を指すのか、どのようなことなのか、ぜひ伺いたいと思います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 会場の確保、会場の設定、教室の設定等々について、より高い公平性、公正性を確保するということから、都の施設を中心に行っているということです。
○桐山委員 ここも何度か質問させていただいていると思うんですけれども、もちろん一、二年生は、在籍する中学校でやるというような形でもって今後やられるんだと思うんですけれども、なぜ中学三年生は、より一層、外に出ることによって公平、公正に、何がどういうふうに担保されるんですか。ぜひそこを教えてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 繰り返しになりますが、会場の確保、それから教室、それから教室内の準備等々、様々あるわけですが、それらを誰がどのように行うかも含めて、区市町村教育委員会等とも意見交換をしながら、最終的にこのように決めたということで、より公平、公正な環境という観点から議論した結果、このようにしているということです。
○桐山委員 これ以上、そこは求めませんけれども、基本的に、中学校で試験をすることによって、やはり公平、公正な環境が保たれないといわれているように聞こえるんですよ。外じゃないと駄目だと。それは入試に活用するからでしょう。入試に活用しなかったら在学校でやるじゃないですか。
だから、現中学校でやると、カンニングもできやすい環境だしとか、公平、公正でない環境だといわれているようなものじゃないのかなというふうに思います。
ちょっと時間がないので飛ばします。−−このままいきます。
令和四年度の中学三年生のESAT-Jは、中学校以外の場所で、中学校での学習がほぼ終了する令和四年十一月二十七日、日曜日に行われ、結果の通知は令和五年一月十二日でしたが、この日程では、都教委が実施するESAT-Jに自主的に協力する中学校として、英語教育の充実や改善に役立てるというESAT-Jの目的を達成することができないというふうに考えていますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これも繰り返しになりますが、テストの日程については、区市町村教育委員会や中学校等からの意見を踏まえ、この時期がベストであるという意見をいただきながら、中学三年生までの学習成果を発揮できる最適な時期として決定しているものであり、また、返却されたテスト結果を基に、中学校において進路指導を行う期間等も確保しているというふうに考えています。
○桐山委員 そのような意見がいわれていることは、ご答弁で先ほどからも述べていらっしゃるということで理解しますが、この時期の問題なんですけれども、中学三年生までの学習の成果を発揮できる最適の時期とのご答弁でした。
これは、十一月までで中学三年生の学習は終了しているのでしょうか。それ以後は新たな学びはなく、復習するだけという認識でよろしいのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 卒業するまで、もちろん学習するわけですが、その実施を、テストを受けるときまでの力を試すということで受験をしてもらうということであります。
○桐山委員 このESAT-Jの結果を、都立高校への進学後、学習指導に役立てる目的があるというのであれば、都立高校でどのような体制を整え、どのように役立てているのか、具体的事例を伺います。
また、私立の高等学校に進学をした公立中学校の卒業生については、私立の学校にESAT-Jの結果をどのように役立てるよう要請し、どのように役立てられているのか、伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 各都立高校において、入学者から提出されたスコアレポートにより生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うなど、適切に活用しています。
生徒は、CEFRによる自分の話すことの力を理解した上で、例えばオンライン英会話を適切なレベルで受講するなど、英語力の向上に結びつけています。
また、テスト終了後には、受験した全ての生徒一人一人に、スコアや到達度及び個々の解答状況に応じた学習アドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、私立学校にも情報を提供しています。
○桐山委員 都立高校の入学者選抜におけるESAT-Jの活用というのは、都教委が行う学力検査の点数でもなくて、中学校の校長が作成する調査書でもなく、東京都がESAT-Jを実施し、その結果のデータを都教委が有しているにもかかわらず、わざわざ中学校からESAT-Jの点数を申告させるという回路を取っています。これは本当に涙ぐましい工夫といわざるを得ません。
他方で、数字を見ると、令和四年度公立中学校卒業者進路状況調査結果によれば、公立中学校の卒業生は七万八千四百九十三人、進学者は七万七千二百三十九人、都内公立が四万百五十三人、同私立が二万五千三人、同国立が二百六十九人で、都外他県への進学者は三千二百九十八人でした。
また、令和五年度東京都立高等学校入学者選抜受検状況総括表全日制によれば、募集人員三万七百二十三人、最終応募人員四万二千百二十八人、受検人数は三万九千六百八人でした。
さらに、公立中学校卒業者のうち、都立高校の入試の学力検査で英語を受検した人数は、三万四千五百七十八人の四四%でした。
そこで、令和五年度東京都立高等学校入学者選抜受検状況総括表により、都立高校の学力試験の受検者数は把握されており、また、都立高校の受検に当たっては、中学校から調査書も送付されてくるので、都立高校の受検者及び合格者について、公立中学、私立中学、国立中学、都外中学生の数字は、集計しようとすれば集計できるはずですが、それをしない理由について伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試における受検者、合格者の在籍中学校別の人数等につきましては、入学者選抜を行う各高校において把握しておりますが、これらの情報は、都教育委員会としての入学者選抜に係る事務には直接必要がない情報であるため、集計をしておりません。
○桐山委員 先ほども阿部委員の方からも質疑があったと思うんですけれども、これ、集計したらできるんですよね。こういうことをしっかりと検証していかないと、本当に自分たちの感覚だけで今後進めていかれたら困るんですよね。ぜひ検証をするようにデータを集めてほしいんです。肌感覚とか、そういう感覚とかじゃなくて、やはりデータ分析をしていただく。今、様々な施策の事業の判断をするときにも、データに基づいて東京都はやっていると思うので、ぜひデータ収集を積極的にやっていただきたいというふうに思います。
そこのちょっと再質問になるんですけれども、各高校において管理をされているという答弁というのは重要だと思うんですけれども、データはあることというのが、答弁を聞いていて分かるんですよ。データを持っていらっしゃるんだなと。
なので、入学選抜に係る事務には直接必要がない情報との答弁ですが、私立中、国立中、都外中学生にはスピーキングテストの仮想点数がつけられて付与されているので、やはり入試の合否の判定に影響を与えることになると思うんです。
ですので、このスピーキングテストの仮想点数の付与や、付与される生徒数の把握というものは、入学選抜に係る事務ではないというふうに聞こえてしまうのですが、それでよろしいですか。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会が行う入学者選抜に係る事務というのは、スピーキングテストの不受験者に対する措置、例えば、具体的な得点の付与の方法、いわゆる選抜方法の制度設計を決定することでございまして、一方、各高校は、その選抜方法の制度設計に基づいて具体的な入学者選抜を行う。それは校長の権限になっているというところで、その部分で違いが出ているということでございます。
○桐山委員 各高校において、そのようなデータ管理をされているのですから、ぜひそこも、自分たちもデータに基づいて検証をしていただきたいということを強く求めておきます。
中学三年生のESAT-Jの結果を都立高校入学選抜に活用し、都立高校入学後の学習指導にも生かすというなら、対象の公立中学校全ての三年生でなく、都立高校の英語科目を受検する全ての生徒を対象にすれば、ESAT-Jの受験者数も、公立中学校の卒業生七万八千四百九十三人ではなく三万四千五百七十八人で、ESAT-J受験者は四四%となって、短期間に採点もできて、大幅な経費削減にもなると思うのですけれども、かつ平等、公平な受検となると考えますが、都の見解を伺います。
○瀧沢グローバル人材育成部長 本事業は、中学校における話す力の学習成果を的確に評価するアチーブメントテストとして実施するものであり、中学校及び高等学校での指導の充実を図るとともに、結果を高校入試に活用することで、高校での学習に円滑に接続し、生徒の学ぶ意欲を向上させるという、これらの目的で実施しているもののため、中学三年生全員を対象として行っています。
○桐山委員 いろいろ、るる質疑をさせていただきましたけれども、私は、本当に課題がまだ山積みだと思っています。アチーブメントテストとして、子供たちの到達度を測るテストとして、実際、学校の授業の中で導入をしていただく部分には賛成の立場を取らせていただいておりますけれども、基本的に、先ほども委員の中から出ていたように、不完全な状況で都立の入学の選抜の試験にそれを使って、日々改善、毎年度改善をしていきますというようなもの自体を入試に活用するということは、入試制度においては、あってはならないものだというふうに認識をしております。
引き続き、この議論については、一、二年生についてはまだまだ、これから調整ということでご答弁をいただいておりませんので、私どもも、今回、この請願の賛否については継続を求めておりましたけれども、引き続きしっかりと、ある一定の段階で、委員にも、議会にも、都議会の中でも、素早く、速やかに報告をぜひしていただきたいと思うのですけれども、最後に、決まったことに対しての報告はしていただけるのかどうなのかをお伺いしまして、私の質問を終わります。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これまでも、決定事項については定例の教育委員会で公表し、そのときには、必ず文教委員の先生方には資料をお配りしております。
それぞれ、その時期に応じて、情報について知っていただくということは、これまでもやってきたことですし、今後もしていきたいというふうに考えています。
○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。質問に入っていきます。
まず最初に、ESAT-Jのスコアレポートに書かれているCEFRについて伺っていきます。
CEFRは、欧州評議会が提唱している理念ですけれども、ヨーロッパは地続きで国境があり、様々な言語を話す人々がいて、一人の人の能力の中に、例えば、ドイツ語は読んだり書いたりできるけれども、フランス語は話すだけなど、様々な言語の能力を持った人々が交流し、経済活動をしている、そうした事情の中で生まれてきた理念であり、一つの国の中で様々な言葉が使われているという意味の多言語主義とは違うということを、都教委も念頭に置いて使っていただきたいと思います。
ですので、英語の話す力のみの指標というものではありません。しかし、大学入試の改革の際には、そのCEFRを各民間の試験の難易度を合わせるものに使われ、そのことも厳しく批判されました。そして中止になりました。
当然ながら、CEFRの本体は、日本の学習指導要領のことも何にも関知しておりません。
ESAT-Jは、CEFR、A1からA2を測るテストで、かつ学習指導要領にも準拠しているというのは、二つの規則が入っている、ダブルスタンダードであると考えます。
ですから、IRTを使ってテストの難易度をA1、A2に等化したといわれる昨年の問題に、学習指導要領逸脱の問題が入っていたとも考えられます。メイ ハブ シーンが、もし中学三年生の学習指導要領にのっとった簡単な単語に置き換えられたら、難易度が変わってしまうのではないかと思います。
都教委は、令和元年から現在まで、問題は全て等化しているというふうにいっていますから、都教委が監修するといっても、等化を本当にしていたら難易度は変わってしまいますので、指摘したら、変えられないというふうに思います。
都教委は、今後のテストもずっと等化するということを答弁しました。問題の等化をするには、企業間−−ベネッセとブリティッシュ・カウンシルの間で、等化は不可能であるということは明らかです。都教委もご存じだと思います。
私は、文書質問で等化のことを何回か聞いておりますけれども、都教委からは、ESAT-Jグレード、つまりCEFR-Jで評価するものなんだと、こう繰り返し答えてきました。
そこで伺います。CEFRでブリティッシュ・カウンシルとベネッセの問題の、テストの難易度を同じにすることができるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 統計処理を行うことにより、それぞれの結果をESAT-Jグレードに対照させることで、共通の基準で到達度を把握することができます。
○アオヤギ委員 共通の基準でとおっしゃいますけれども、難易度は同じになるということなのでしょうか。確認させてください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 何についての難易度なのか分からないので、ちょっと答えができないのですけれども、ベネッセとブリティッシュ・カウンシルの難易度を同じにすることができるかという質問の内容が把握できないんです。
それぞれの問題、それぞれの生徒の解答をESAT-Jグレードに対照させることで評価を出しているわけです。
ですから、ベネッセとやっている時代のもの、それもESAT-Jグレードに対照させますし、今度ブリティッシュ・カウンシルとやるときにも、それで等化させる。同じ基準に対照させるのですから、結果的に同じ共通の基準で到達度を把握できるんだという回答をしています。
○アオヤギ委員 とても曖昧な答弁だと思います。
ESAT-Jグレードに合わせるんだという話ですけれども、このスコアレポートについてですが、あの点数がどういうものなのか、改めて説明すると、受験生が取った、最初に問題を解いた素点を合計しても百点にはならなくなっています。その素点をベネッセがIRT処理という処理をして、百点満点に点数を伸縮させます。そして、その百点満点の点数を、今度はA、B、Cと六段階にESAT-Jグレードにします。ベネッセでいうとCEFR-Jに落とし込んで、八十点から百点の得点は二十点になる。今度、十六点、十二点と、四点刻みに振り分けられます。その点数を入試の合計点に入れますから、何段階も加工した点数を入れるわけです。
だから、入試では、例えば七十八点の人と七十九点の人に差がなくなってしまうということになります。また、一点差というのも、この七十九点、七十八点の違いは、何か一つの問題が間違ったから、その方が七十八点になったというわけではないということなんですね。
GTECのホームページによりますと、IRT処理というものがどういうものか、詳しく書かれてあります。こう書いてあります。引用します。
GTECでは、問題や採点観点の素点段階それぞれに難易度等の情報が設定されておりと書いてありますから、これがアイテムバンクからの問題だと。
そして、これらと受験者本人がどの問題に正解したかの情報に基づいてスコアが算出されます、そのため、同じ正答数や素点合計であっても、正解した問題や観点によってはスコアが異なります、また、IRTを用いたテストでは、精度を高く測定するために、測定したい英語力の範囲より簡単な問題や難しい問題も出題されます、よって、幾つか正解していてもスコアがゼロ点になることや、全ての観点が正解ではなくても満点になることがあるというふうに書かれています。
これはGTECの難易度の測った問題の集まり、バンクを使って等化されているので、CEFRに合ったスコアが出せるということです。このバンクの問題を使って難易度を合わせているということです。
都教委は、もちろんアイテムバンクを持っていませんので、等化をするといったらベネッセのアイテムバンクを使うという、この処理がされるというふうに思います。
また、ESAT-JがCEFRに準拠しているのだという根拠は、事業者が提出した資料、CEFR及びCEFR-JとGTECのスコア対照表が、令和元年度の事業計画に載っておりますけれども、そのスコアは、二〇一八年にベネッセが発表した、GTECスコアとCEFRレベル関連づけの調査報告の閾値、点数の境目と一緒です。
ですから、例えばスピーキングの点数の表なんですけれども、GTECのA2の2が二百二十点とか、A2の1が百九十点ということで、同じ書類が同時期に−−ベネッセが大学入試のときに文科省に提出した関連づけ調査報告と同じということで、この報告書の検証の仕方なども、大学入試改革のときに批判が集まったものです。
ですから、CEFRで難易度を合わせるということをどのように検証するのか、都教委がそのようなことを検証することが、事業者から出されたものを検証できるのかということが問われています。CEFRの閾値の設定が事業者任せであることは間違いありません。
そこでお伺いします。ESAT-JグレードがCEFRに基づいているといえるのかというと、それはベネッセがCEFR-Jで対応づけしているからです。
このCEFR-Jというものは日本国内で使われている基準ですけれども、新しい事業者、ブリティッシュ・カウンシルは英国の団体ですからCEFRで対応づけするのだと考えられますけれども、新しい事業者にも、この六段階のESAT-Jグレード、AからFのスコアを生徒に返すように募集要項で求めています。
CEFRをCEFR-Jにする、ESAT-Jグレードに変換する、六段階にカッティングしなければなりませんけれども、それは事業者がやるというふうに聞いておりますが、都教委が、その範囲がそれが正しいとどのように確認するのでしょうか。そのようなことが都教委にできるのでしょうか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 具体的な評価方法については、現在調整中であり、今後決定していきますが、当然、必要なことなのでしっかりやっていきます。
○アオヤギ委員 専門家が対応づけしたもの、そして、新たにブリティッシュ・カウンシルが六段階に切ったものを都教委だけで確かめることというのはできないと思います。
このCEFRの、六段階のカッティングをされ、四点刻みで入試に活用されますから、この事業者のカッティングが合否判定を左右するといっても過言ではありません。こうしたことを事業者任せにすることで採点がブラックボックス化して、何でこの点数になったのか、生徒は分からないという状況です。そもそも、そういうものは入試にふさわしくないと指摘をします。
一点を争う入試で、自分で点検できない、都教委もそれを正しいかどうか点検できないという状況です。そして、CEFRの評価に誤差があるということが、事実あります。
都は、第二回定例会の他の議員の一般質問で、ESAT-Jの目的と成果について聞かれ、四技能の習得を適切に反映することができたと答弁しました。
そして、その答弁の中で、令和四年度の国の調査では、CEFR、A1レベルの中学三年生は五九・五%だと述べられました。私、これを聞いたとき、ちょっとびっくりしたんですね。
この国の調査というのは、英語教育実施状況調査なのだということです。どうしてESAT-Jのことを聞かれているのに国の調査で答えるのか、びっくりしたのですけれども、問題は、この国の調査の中身が、実際に試験をやった結果ではなくて、一部、A1レベル相当以上の英語力を有すると思われる生徒の割合、これが一六・九%含まれています。教員のアンケート結果によって構成されているということです。
一方で、東京都が正しく測ったというESAT-JのCEFR、A1以上というのは、九〇・七%もいることになっております。
そこでお伺いします。東京都教育委員会は、令和四年度の中学三年生のCEFR、A1相当以上の割合は、国の調査の五九・五%という見解なのか、それともESAT-Jで得られた結果の九〇・七%という見解ですか。どちらですか、お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 どちらなのかという選択をする問題ではないと思うんですね。どちらの結果も違うルートを通じて数字を出しているものですので、どちらの数字も、それぞれ経年変化で見るものについては、それなりの妥当性があるというふうに思います。
また、そもそも国の調査というのは四技能についてでありますが、我々のものはスピーキングだけですので、そこに違いが仮にあったとしても、それはあり得ることだというふうに思います。
どちらなのですかという、どちらかを選択するという問題ではないと思います。
○アオヤギ委員 ESAT-Jの結果を公式にいえなかったということですよね。都自身がそういう、テストによってばらつきがあると今おっしゃいましたけれども、そういうものなんです。
CEFRは参照枠であり、○○できるという学習者のためのアドバイスが書かれているものであり、試験で得られる結果も違うし、大きくぶれるというものだということです。そのような結果を都立高校入試に活用してしまったんです。
ESAT-JのCEFRの値が九割という結果は、IRT処理がブラックボックスで確かめようがない、本当に等化されたのかという疑問もさることながら、隣の声が録音されたというケースもあり、開示請求では、ほかの人の声が入っていたことを理由に開示されない、開示された人は一人もいないという状況です。個人情報の開示です。
ですから、隣の声が録音された音声データが非常に多くあったんじゃないか、そして、点数が上昇したんじゃないかということが考えられます。
また、都教委が加工したデータは、先ほど、とや議員も、皆さんいったように、十一秒の、声とも聞こえない音があったということでした。
先ほど、とや議員の方からは、声が複数入った状況でどうやって採点するんですかと聞きましたけれども、私からは、本人は黙っていて、そして隣の声が入った場合、その点数、採点というのはどのようにされるのか、お聞かせください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 本人が答えずに周りの声が入ったのであれば、それは当然採点されません。
○アオヤギ委員 採点されない。でも、音は入っている、本人が一言も話せなかったという場合は、音が入っていると思いますけれども、そういったことは本当に採点されなかったのか、これが問われていますけれども、それは、本人の声がなかったんだから比べようがありませんよね。隣の人の声と本人の声を比べたと、さっきから答弁していますけれども、そういうのはどのように聞き分けるのか、示されませんでした。
また、ほかの人の声のみが録音された場合、それを採点してしまう可能性は否定できませんでした。
ですから、この状況下で、環境下で、大きく平均点が、昨年十一月二十七のテストで上がった可能性もあると指摘をしておきます。
そして、ブリティッシュ・カウンシルのバリー・オサリバン英語評価研究開発部門主席は、昨年のインタビューで、スピーキングテストでは、誰が評価し、どのような条件下でテストが行われるかを透明性を持って学生に伝えなければならないと発言していますので、ぜひ新しい事業者には、ちゃんと公表していただきたいと思います。
そして、私どもは、昨年の試験以降の都教委が発出した決裁文書を全て開示請求しました。目的は、採点の再点検というのが、どういう指示で、どういう内容を指示したかという文書を開示するためでしたが、採点の再点検の決裁文書はありません。
なぜ再点検したのか、何を再点検したのでしょうか。事業者にそういう指示、どういうものを出したのでしょうか。お答えください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 これも昨年度に繰り返しお話をしてきたことですが、スピーキングテストの都立高校入試への活用等に向けて、万全を期すために、予備日に実施した試験の結果を返却した後、改めて受験者全ての音声データ等を再確認することにもともとしており、それを実施したわけであります。
○アオヤギ委員 もともとしていたというのですけれども、協定書にも、もともとスケジュールが書いてありますが、二月のスケジュールは書いていない、スコアレポートを返した後のスケジュールは書いていない。協定書にも書いてありません。
当時、私も聞きましたけれども、その文書がないということは、いったいわないの世界になっちゃうんですよね。何を点検したのか分からない、本当に全部点検したのか証拠がないという状況です。
再点検について、都教委は、あるパートで無言だった場合にバックアップデータを点検するよう事業者にいっていなかったという説明があって、これは都教委の指示の不十分さが原因ですので、追加支出が必要なのかなと思っておりましたが、協定の範囲内だということです。募集要項に遡って、そこに、何かあった際に体制を取るんだという募集要項になっているからやったんだというふうに聞いております。だから、協定書に書いていない事業者の作業になりました。
この点検内容を指示する文書が説明されなければ、なぜやったのか、本当に全部点検したのか、点数が下がった場合というのがあったのかどうかなど、分かりません。
こういった状況の下、次に、ベネッセの最終報告についてなんですけれども、隣の席から音漏れがあった、前半の部屋から声が聞こえたなど声が寄せられていますけれども、都教委は、区市町村からそのような声が上がっていないということで、区市町村と学校とは、ふだんから何かあったら相談する関係だから、声が上がってくるはずだけれども、なかったという主張ですけれども、私たちに寄せられている声があり、保護者の方も学校に声を上げたり、都教委にも電話していますが、取り合ってもらっていません。
これは、都教委が主張する区市町村との関係、学校との関係が目詰まりしているというふうに考えられます。こうした声を検証し、改善を図らなければ、今年も失敗するということが必至だと考えます。
また、事業者がつかんでいる実施状況も検証しなければならない。おととしのプレテストのベネッセからの最終報告では、試験監督が交通事故を起こしたとか、様々なトラブルが書いてありました。しかし、昨年度、入試に活用した試験の最終報告には、その試験監督からの報告がどこにもありません。ページがない。
五年前の募集要項には、スピーキングテストの実施後の検証と書かれ、ア、問題の内容に関すること、イ、実施の方法に関すること、ウ、運営に関すること、エ、経費に関することを事業者が毎年報告することになっていますが、にもかかわらず、五年前の募集要項で求めている検証がなされていません。
これは、ベネッセがゼロ件だと報告したのですか、それとも都教委が書かなくていいと指示を出したのですか、どっちですか。
○瀧沢グローバル人材育成部長 解答に影響を与えるトラブルはなかったということが、まず大前提、一番大事なところであります。
また、実施上の状況ですとか、生徒への対応については、その都度、事業者が適切に対応して、都教委と情報共有しているわけでございます。
○アオヤギ委員 つまり、ベネッセがゼロ件と報告したということを意味しているんじゃないですか。こうやって事業者のせいにするということですかね、都教委は。ベネッセは、毎年、調査報告書を出しております。報告する準備をしていたかもしれません。
また、重大なことに、ブリティッシュ・カウンシルの応募した募集要項には、五年前の募集要項に書かれている、さっきいった検証するという文言を消して募集していますから、検証されないということです。
昨年の試験監督をされた方が記者会見で実施状況を告発していますけれども、先ほどいったように、隣の声が聞こえたとか、隣の教室の声が聞こえた、生徒の写真を含む個人情報の書類が教室に残されていた、また、当日、試験監督で来なかった人がいた、模試よりひどい状況だったということを告発しています。証言しています。
にもかかわらず、少なくともこういうことが報告書に書かれているはずなんだけれども、試験監督にどういう状況か聞いていないという疑いもあります。実際、この方は、報告しようと都教委に電話をしましたが、折り返しの電話がなかったというふうにいっていました。
こうした、いわば内部告発、公益通報に当たる情報をきちんと都教委が耳を傾けて確認して、トラブルがあったというならば、今回の入試活用を見送ろうという冷静な判断が必要だったと思います。
そうした証言からも、七万人の試験の実施体制がいまだに確立していないということを厳しく指摘をします。
ESAT-Jは税金を投入した公共事業ですので、七万人に対する試験監督、先ほども質問がありましたけれども、どれくらい必要なのかというのは公表しなきゃいけないんですよ。そして、その要求水準に事業者が応えたかどうかというのを点検する必要があるんですよ。
ですので、人数をお示しください。
○瀧沢グローバル人材育成部長 当日の運営に関して、監督の必要数、それは適正に行うということを協定で決めております。
その具体的な数字を明かさなければならないという根拠が何なのか、承知できませんので、それについては、これまでの答弁と同じで、必要数を的確に確保し、実施をしています。
○アオヤギ委員 分からないということでびっくりしますけれども、地方自治体で議案で議決する際に、どれだけ要求水準を出して、例えばほかの局、都教委内部でもちゃんと要求水準を出して、そして、これが事業実施できないと分かれば契約解除もしているじゃないですか。そういったことを、何か認識が不足していると思いますよ。
そして、これを公表して、できなかった、できたということを、私たちが、都議会がチェックする、そういった役目を持っているわけです。こういったことで、契約解除、入試に活用しないという判断が必要だったはずです。
こういった基本的な情報を何か隠して、入試に突き進むということは許されません。検証しなければ、早晩、破綻するというふうに思います。巻き込まれるのは子供たちということです。
入試におけるトラブルがあったときの是正措置のことも聞いてきました。救済措置、都立高校入試では行われてきたことです。しかし、ESAT-Jは、それが示されていません。
それでは、都立学校教育部長にお聞きしますけれども、文書質問でも、様々なトラブルがあった場合、テストの結果を入試に活用しないなど、こういったルールについて、是正措置のルールについて聞いたところ、昨年の状況を説明するという答弁でしたけれども、是正措置や救済のルール、例えば、どのような場合、都立学校で起きたリスニングのときのような場合は是正措置するか、お示しいただきたいと思います。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの実施には、万全を期してまいります。
どのような場合に、どのようなルールで、どんな措置を取るかというのは、具体的事象、その状況に応じて適切に対応していくということでございます。
○アオヤギ委員 昨年も同じ、去年の今頃、質問したと思いますけれども、適切な対応というふうにいいますけれども、されなかった。やっていくといったけれども、されなかったわけです、去年は。是正措置、救済措置のルールが一切説明されませんでした。
去年の入試の活用を考えても、何が起ころうとも、どんな環境で試験が行われても、入試活用だけは必ず実施するというテストだということだと思います。
こうしたトラブルを隠し、改善がされない、万が一のときの是正措置も示されない、試験体制が整えられたのか情報を出さない、このようなテストはスピーキング力向上以前の話だと思います。ESAT-J及び都教委の瑕疵だと思います、私は。
さらに、個人情報も、写真も、成績情報も含めて四年間保存され、そして、開示しようと思っても開示されておりませんので、情報開示の条例の規則では、情報が開示されないと訂正もできない、削除もできない、こういう状況なんですね。そういったテストなんです。
私学単独の子にも受けさせて、昨年、交通費かかりましたよね。そういったものでもあるし、支出があると。
様々な瑕疵が残され、解決されていません。
私は、委員の皆さんにおかれましては、スピーキング力向上と聞いて予算に賛成したという方でも、やっぱりそれ以前の、公共事業として最低限の情報が示されない、試験体制が確立されていないことが明らかですので、ぜひこの請願に賛同をいただいて、入試活用を止めていただきたいとお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
○入江委員長 発言は終わりました。
○とや委員 この際、請願五第六号の継続審査を求める動議を提出させていただきます。
都議会では、複数会派が継続審査を求めたときは、結論を出すのではなく、審査を継続し、引き続き議論することを、各会派の合意で進めてまいりました。
特に今回、英語スピーキングテスト、ESAT-Jについては、今年度から新たに一、二年生に導入するためを含めて合計三十五億円もの予算が計上され、事業者も替わるということになっております。よって、十分な質疑が必要だと考えます。
今回も継続としていただきたく、動議を提出させていただきます。
○入江委員長 ただいま、とや理事から、請願五第六号の継続審査を求める動議が提出されました。
ただいまの動議は、起立により採決いたします。
本動議に賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第六号の継続審査を求める動議は否決されました。
これより採決を行います。
請願五第六号は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第六号は不採択と決定いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後六時五十四分休憩
午後七時十分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
次に、陳情五第一七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○落合特別支援教育推進担当部長 陳情五第一七号、特別支援学校に通う児童生徒の重複学級の認定に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の四ページをお開き願います。
本陳情は、新宿区の障害のある子どもたちの教育・生活をゆたかにする東京の会代表、三原瑞穂さん外六千六百五十六人から提出されたものでございます。
本陳情の要旨は、都において、特別支援学校の児童生徒を、障害の実態どおりに重度重複学級の対象として認定していただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かにつきまして、児童生徒の発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定してございます。
なお、教職員定数につきましては、児童生徒数に応じて編制された学級数を基に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等に基づく都の配置基準により、適切に配置しております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○伊藤(ゆ)委員 本陳情に当たりまして、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、特別支援学校の、特に重度重複学級の現状について伺いたいと思います。
まず、この重度重複学級は、今現在において何学級あるのか、伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校における今年度の重度重複学級の数は、六百二十三学級でございます。
○伊藤(ゆ)委員 それは昨年度と比べてどれぐらい増えているのか、また、令和元年に比べてどれぐらい増えているのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校の重度重複学級の数は、昨年度より二十八学級増加、令和元年度と比べると四十六学級増加してございます。
○伊藤(ゆ)委員 学級数がそれぞれ増加していることは分かりました。
あわせて、実態の確認をさせていただきたいと思います。
今年度の実際の肢体不自由特別支援学校の学級編制において、重度重複学級と普通学級の児童生徒数は、それぞれ一学級当たり何人になるのか、また、全体を平均で割り返しますと、一学級当たり何人になるのか、伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都の学級編制基準では、重度重複学級は一学級三名、普通学級は、小中学部は六名、高等部は八名の編制としてございます。
今年度の肢体不自由特別支援学校の学級編制では、重度重複学級は一学級当たり約二・八名、普通学級は一学級当たり約四・二名、全学級を平均すると、一学級当たり約三・六名となってございます。
○伊藤(ゆ)委員 普通学級についても、一学級当たり約四・二名ということなので、六名の配分に対していえば、それを割り込む形で一定程度充足しているようには感じます。
しかし、この後申し上げますけれども、必ずしも、これからまた増えていくこうした障害を抱えるお子さんたちに対して、絶対的に十分だとはいい切れませんので、後ほど申し上げたいと思います。
本陳情では、障害の実態に沿って、児童生徒が重度重複学級の対象に認定されていないとの指摘がございますが、都としての見解を伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かについて、児童生徒の発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を適切に認定してございます。
○伊藤(ゆ)委員 障害の実態に沿って適切に認定しているという認識でよいということですね。
児童生徒の障害の実態を踏まえますと、一方で、今後も重度重複学級を増やしていく必要はあるというふうに思います。先ほど申し上げたように、重度重複の障害を抱えるお子さんの数というのは、やはり年々増加傾向にあることはいうまでもないかと思います。
こうした学級を増やしていくべきと考えますが、所見を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 学級編制基準に基づき、今後、対象と認定すべき児童生徒数が増加すれば、これに対応して、重度重複学級も適切に増やしてまいります。
○伊藤(ゆ)委員 以上の質疑から、生徒児童に対し重度重複学級の認定が、必ずしも実態に即して行われていないとはいい切れないということが分かりました。
しかし、重度重複障害を抱える子供の数が年々増加している傾向は明らかであり、東京の都市力で、こうした障害、スペシャルニーズを抱える子供たちを包摂していかなければいけません。
日本は、先進国の中でも成熟した文明国家です。成熟した文明国家の首都たる東京は、誰一人取り残すことのない包摂性の高い教育環境を絶えず築き上げ、日本全国の教育環境を牽引していく責務を負っています。
全ての子供たちが、日本に生まれ、東京に生まれてよかったと思える教育環境にするため、改めて、都には、重度重複学級の増設をはじめ、誰一人取り残さない教育環境の整備を求めて、質疑を終わります。
○アオヤギ委員 共産党のアオヤギ有希子です。特別支援学校に通う児童生徒の重複学級の認定に関する陳情について質疑をします。
特別支援学校の児童生徒を、障害の実態どおりに重度重複学級の対象として認定してほしいとの陳情です。このことは長年問題になっており、つい最近も、この陳情者以外の保護者の方からも同様の訴えを伺いました。改善が必要だと考えています。
子供たちは、一人一人に合った働きかけがあれば、必ず成長し発達します。それを可能にするのが重度重複学級です。特別支援学校の普通学級は、児童生徒六人で一学級、重度重複学級は三人で一学級と法律で定められており、重度重複学級が適している子供たちは、きちんと重度重複学級に編制して、手厚い教育を保障するのが当然です。
ところが、東京都は、子供たちが実態どおりに重度重複学級に認定されていない、そのため必要な教育が受けられていない、特別支援学校の児童生徒数は大幅に増えているのに、重度重複学級はほとんど増えていないのはおかしいといわれ続け、我が党も、何回もこの問題は取り上げてきました。
実際、特別支援学校の児童生徒数は、二〇〇二年度には七千四百七十四人、二〇二二年度は一万三千二百四十四人と六千人も増えているのに、重度重複学級は、二〇〇二年には五百七十三学級、二〇二二年度は五百九十五学級と微増という状況です。
それに対する都教委の答弁は、児童生徒の発達や行動、疾病の側面から総合的に判断して、重度重複学級の対象を認定しているというものです。
総合的に判断するにしても、何らかの基準がなければ判断できないと思います。どのような基準で判断しているのですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かについて、毎年度、児童生徒の発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定してございます。
○アオヤギ委員 二つ以上該当するとは、例えば肢体不自由と知的障害とか、知的障害と視覚障害などの重複障害があるという意味ですよね。その重複障害が法律で決まっている程度に該当すれば、重度重複学級の対象になるということです。
とすると、特別支援学校に通う児童生徒が増えれば、当然、法令で定める障害の程度に二つ以上該当する人数も増えるでしょうから、重度重複学級が、少し増えていますけれども、ほとんど増えていないというのは、やはり正しく認定されていないと考えざるを得ません。
実態どおりに認定され、重度重複学級に入れなければ、子供たちは十分な教育を受けることができません。また、学校の教員配置数は学級数にもよりますから、決まりますから、重度重複学級がきちんと編制されていなければ教員数が少なくなり、普通学級に入れられてしまった重複障害の子供だけでなく、学校の子供たち全体が影響を受けることになります。
そこでお伺いしますけれども、例えば特別支援学校では、給食やトイレ指導も重要な教育だと思いますが、見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 食事や排せつの指導は、特別支援学校で行っている教育活動の一つでございます。
○アオヤギ委員 トイレ指導は、自立に向けた大事な教育です。ところが、それが十分に行えない状況があると伺っています。
ある肢体不自由特別支援学校では、担任の先生が個別には付き添えないので、トイレは介護職員に連れていってもらい、おむつを替えているということです。でも、本当は教員が一緒にトイレに行って、丁寧に関わり指導すれば、おむつを外せる子も少なくないそうです。ところが、今の教員配置では、それができません。非常勤として学校に関わっているある教員のOBの方は、子供の学習権を奪うものだと、本当にもどかしそうにおっしゃっていました。
実際、普通学級に在籍していた子供が転校して重度重複学級に入れたら、丁寧な指導をしてもらえるようになり、排せつの成功が増え、おむつを外すことができましたという声もいただいています。
また、転校を経験した、ある知的障害特別支援学校の保護者の方は、前の学校では、授業参観に行ったら、文字を書けないお子さんに、点と点を線でつなぐという、その子にとっては簡単過ぎる課題が渡され、先生は、ほかのお子さんの対応で手いっぱいで、半ば放置されていてショックだったと切なくなったそうです。
ところが、転校して、幸運なことに教員配置が手厚くなったら、そのお子さんは、なぞり書きができるようになり、自分の名前も模写できるようになったということです。すごくうれしかったし、感動した、学ぶ環境で子供の成長が全然違ってくると実感した、特別支援学校の先生は愛情たっぷりで志が高い人ばかり、一人一人の子供に丁寧に向き合える環境をつくってほしいと、そのお母さんは訴えています。
また、このお子さんは、一年生のときに学校で大けがをしてしまったことがあるそうです。幼稚園のときは、マンツーマンで先生がついてくれて、けがもなくて、トイレもできるようになった、特別支援学校に入ったら、六人のクラスに担任の先生が一人で大丈夫かなと思っていたら、給食台に登って落ちて頭蓋骨を骨折してしまったということです。
先生は、本当に一生懸命やってくれていたので、苦情をいう気持ちにならなかったけれども、やはり教員が足りないと実感した、先生も心を痛めてしまい、つらかったと話してくださり、私も心が痛くなりました。
子供たちの実態に見合った教員が配置されない状況では、最低限の安全を確保することも難しくなりかねません。
保護者たちは、今の学級認定に納得していません。それで、説明責任を果たしているといえるのでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 保護者の声につきましては、今後も真摯に受け止めて説明してまいります。
○アオヤギ委員 真摯に受け止めるのであれば、障害の実態に応じて重度重複学級に認定していただきたいと思います。
そもそも東京の重度重複学級への生徒の在籍率は、他県に比べて低過ぎます。陳情者も、近県の特別支援学校における重複学級数の割合は、肢体不自由校はおよそ九〇%、知的障害校はおよそ三〇%となっているが、都立の肢体不自由校はおよそ三四%、知的障害校はおよそ一九%であると述べています。
なぜ、このような違いが生じていると考えているのか、伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 重複障害の認定については、法令の定めにのっとり、各都道府県が責任を持って行っており、各都道府県の割合が必ずしも一致するものではないと認識してございます。
なお、都立特別支援学校の全学級に占める重度重複学級の今年度の割合は、知的障害教育部門は約一九%でございますが、肢体不自由教育部門は約四二%でございます。
○アオヤギ委員 なぜ違いが生じているのかと伺いましたが、理由はお答えいただけませんでした。理由も説明できないのでは、責任を持って行っているとはいえません。
先ほど、部長は、重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、法令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要と答弁されました。この法令とは、学校教育法施行令二十二条の三のことで、特別支援学校の対象となる障害の程度が、肢体不自由の程度はこれ、知的障害の程度はこれ、視覚障害の程度はこれという具合に定められています。
そこで伺いますが、肢体不自由校に設けられている、準ずる課程、知的代替、自立活動主とは、それぞれどんな教育課程ですか。どんな児童生徒が対象になるのですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 準ずる教育課程とは小中学校等に準ずる教育課程、知的代替の教育課程とは知的障害特別支援学校の各教科による教育課程、自立活動を主とする教育課程とは、障害に応じた指導である自立活動を主とする教育課程のことでございます。
児童生徒の個々の障害の状態、心身の発達の段階等に応じて、適切な教育課程で学べるようにしてございます。
○アオヤギ委員 知的代替とは、知的障害特別支援学校の教育課程のことです。つまり、知的代替で学んでいる子供は、知的特支の対象となる障害の程度だということですね。そして、肢体不自由校に在籍しているのですから、当然、肢体不自由校の対象となる障害も持っているということです。つまり、知的代替の教育課程で学んでいる子供は、法令に定める障害の程度に二つ以上該当していることは明白です。
自立活動主の子は、重複障害でより障害が重い子たちですから、これも二つ以上に該当していることは明白です。
法令に従えば、肢体不自由校に在籍し、知的代替や自立活動主の教育課程で学んでいる子供たちは、重度重複学級に編制するのが当然だと思いますが、いかがですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる障害の程度については、法令の定めにのっとり、発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、認定してございます。
それぞれの教育課程の対象となる児童生徒は、主に学習内容に対する理解の程度を考慮して決定してございます。
教育課程は、学習内容の理解の程度についてでございます。学級編制は、児童生徒一人一人のそれぞれの状態によるものであるため、両者は単純に比較できるものではないと考えてございます。
○アオヤギ委員 また総合的に判断という言葉が出てきましたけれども、その判断は、法令の定める障害の程度に該当するか否かを判断するものですよね。最初にそうご答弁されました。
そして、法令の定める障害の程度に二つ以上該当する子供は重度重複学級に編制するというのは、義務標準法で定められていることです。二つ以上に該当する子供というのは、肢体不自由校でいえば、知的代替や自立活動主の教育課程で学んでいる子供たちのことです。
他県ではそこをしっかりやっているからこそ、重複学級の割合が東京の約二倍、さらにそれ以上となっています。
肢体不自由校だけでなく、知的障害、盲、ろう、病弱、どの学校でも同じです。重度重複学級は、障害の実態どおりに認定することを重ねて求め、陳情は採択を主張して、質問を終わります。
○阿部委員 陳情一七号、特別支援学校の重複学級に関する陳情について意見を申し上げます。
特別支援学校の現場、重度化が進む中で、近県に比べても、東京都の都立特別支援学校の重複学級の比率は決して多いわけではありません。というより、極めて少ない状況にあります。
そんな中で、保護者の方からもお話を聞いたところですと、例えば生徒が尿意を伝えたにもかかわらず、支援者の数が足りないために、長く待たされてトイレに間に合わなかった、そのような事例もあるというふうに聞いております。それは生徒の尊厳にも関わるところですので、そうした環境は、ぜひ是正する必要があると考えます。
一方で、先ほどのご答弁にもありましたように、令和元年度から比べても四十六学級の重度重複学級が増えているなど、一定の増加のスピードというのは見られるかと思います。
そんな中で、今後も、必要な重度重複学級の設置というのはぜひ積極的に進めていただきたいと思うと同時に、例えば学校図書館への司書の配置、あるいは看護師、理学療法士や作業療法士等の専門職の積極的な配置、あるいは介護職員、そしてまた、通学バスの安全推進員ほか、様々なスタッフの充実も同時に必要であると思っております。
特別支援学校、教育に加えて、生活のケアや安全の確保、そして、卒業後の移行あるいは余暇の楽しみをつくっていく、そしてまた、家庭や、あるいは関係機関との連携も進めていく、様々な機能が期待をされております。きめ細かなニーズに対応できるチームづくりをぜひ図っていただきたいと思います。
その際に、介助員を入れたから加配教員を引き揚げるというようなことのないように、ぜひ、より環境がよくなるという方向に向けて努力を続けていただきたいと思います。
以上、意見を申し上げます。
○桐山委員 ミライ会議、桐山です。よろしくお願いいたします。
特別支援学校に通う児童生徒の重複学級の認定に関する陳情について質疑をさせていただきます。
私たちは、この陳情の趣旨には賛成です。障害の実態に応じた重度重複学級の設置、先生方の配置が行われていない、学級の数、先生方の人数という形に合わせて、この重度重複学級の必要性の総合的判断が行われているとのことです。
例えていえば、体の成長に合わせてオーダーメードの洋服を仕立てていくという状況ではなくて、既製服に体を合わせるということだというふうに感じております。
他方で、直ちに障害の実態に応じた学級の設置や先生方の配置を行うことがすぐにできないということも理解をしている中での質疑をさせていただきます。
まず最初に、学校が総合的に判断をして普通学級に認定する前に、まず、都の医療部門、福祉部門と連携をして、重度重複障害のある児童生徒の実態を正確に把握するための調査を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
調査は実施してございませんが、児童生徒の実態は各学校が把握してございます。
都教育委員会は、校長から申請のあった児童生徒について、発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象を認定してございます。
○桐山委員 実際、実態調査は実施はしていないとのことですけれども、ただいまの答弁では、児童生徒の実態は各学校が把握をしているので、都教委は、校長から申請があった児童生徒について、様々な観点から総合的に判断をしているとのご答弁をいただいたところです。
実態調査を踏まえて、重度重複障害のある児童生徒のための学級の数の確保や先生方の確保を、五か年計画など計画的に実行していく計画的アプローチを取るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かについて、毎年度、児童生徒の発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定しており、教職員定数については、児童生徒数に応じて編制された学級数を基に、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により、適切に配置してございます。
○桐山委員 まず、先ほどの答弁の中では、実態調査は現在のところされていないという状況の中で、基本的に各学校が把握をしていて、今のご答弁ですと、標準法に基づく都の配置基準により、適切に配置をしているというご答弁でした。
さきの委員間の質疑の中でも、毎年度、年々、この学級数が増えているということは認識はしているところですけれども、しかしながら、全体における特別支援学校に通う児童生徒の数が年々、全体として増えているということも合わせると、やはり、こういった重複をする障害の程度のあるお子さんたちの人数も年々増加傾向があるということだというふうに思います。
その中で、知的障害と身体の障害の重複障害のある児童生徒の場合、知的障害の程度または身体障害の程度のいずれか重い方の学級に属することとなって、どちらの学級に属しても居場所がない状態に置かれているといわれているような保護者の訴えも私のところにも届いています。
重複学級では、どのようなクラス分けが行われているのか、伺っておきます。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会が特別支援学校への就学を決定した児童生徒について、複数の障害種の学校の中から、可能性を最大限に伸長する教育を行う学校を指定してございます。
特別支援学校では、重複する障害にも可能な限り配慮した上で、それぞれの児童生徒に適した学級を編制するとともに、教科等の指導の際には、障害等の実態に応じた学習グループを編成してございます。
○桐山委員 引き続き、こういった、それぞれに適した学級を編制していくことと、重複をされているお子さんの程度も様々だと思うので、こういった教科等の指導の際には、本当に実態に応じた学習をしていただくということは大変重要だということは認識をさせていただいているところであります。
保護者の訴えの中では、実際のところは、知的と身体と重複をしていて、重い方に移行したけれども、やはり合わなかった子については転校を希望されるお子さんも中にはいたと思うんですけれども、年々、そういう転校を希望された数というのはどのぐらい把握をされているのか、そのあたりも一度教えていただけますでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校から、年度途中に他の学校に編入するケースはございます。
ただ、今、初めて聞いたお話でございまして、数字は持ち合わせてございません。
○桐山委員 ありがとうございます。そういったケースもあるということは分かりましたが、数というのは、また後ほど伺いたいと思います。
重度重複学級の生徒が、今後、学校を卒業後に、生徒を受け止めるシームレスな体制がつくられていないと、子供たちは次のライフステージに的確に移行できません。
卒業後に受け止める福祉や労働部門と、送り出す教育部門との連携は不可欠だと思いますが、どのように対応されているのか、また、どのようにしていくのか、伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校では、卒業後の円滑な移行を見通し、在学中から、進路先となる事業所での実習や関係機関との連携による個別移行支援計画の作成に取り組んでございます。
卒業後三年間は、生徒が在学中に身につけた力や、必要とする支援等の情報を、進路先や関係機関と個別移行支援計画を通じて共有してございます。
○桐山委員 特別支援学校に在学中には、どの程度の障害のある方であっても、在学の、例えば学校にいる三年間とか、あるいは六年間とか、そういった流れの中で、それぞれに合った技術とか、それぞれに合った個別の移行が、引き続き連携が取れてできるように支援をしていただきたいなというふうに思っています。
本陳情におきましては、特別支援学校の重度重複学級というものが、陳情者の方々の思いを受け止めますと、やはり近隣県と比べて極端に少ないと東京都がいわれております。
教育庁は、総合的に判断をしているんだというふうにご答弁もいただいておりますけれども、実際のところ、やはり保護者の声としても、支援が必要な教育が子供に届いていないという実態もあるんだという声もあるわけですから、引き続き、このような実態調査はぜひしていただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。
また、障害の程度の実態に即して認定するよう求めまして、私の質疑を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第一七号は不採択と決定いたしました。
○入江委員長 次に、陳情五第二二号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○岩野地域教育支援部長 陳情五第二二号、公立の小中高等学校における長期休業中の食事の無償提供等に関する陳情についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の五ページをお開き願います。
本陳情は、練馬区の山本正子さんから提出されたものでございます。
本陳情の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
1、公立の小中高等学校の長期休業中に、児童生徒に対して、朝食または昼食つきの自習室、図書室、広場室等を提供し、生活保護や就学援助を受けている世帯の児童生徒の利用料金を免除する政策を検討すること。
2、願意1を実現するための予算を確保すること。
3、国や自治体などの関係機関に働きかけることとして、(1)、願意1及び願意2が広く実現されること及び(2)、公立高等学校において、長期休業中か否かにかかわらず、給食、昼食を購入することができるクーポンや国産の牛乳等が生活保護世帯、住民税所得割が非課税の世帯の生徒に提供されるよう、就学を支援する制度のより一層の充実や学校給食法の整備を行うことでございます。
現在の状況でございますが、都では、区市町村立小中学校において、放課後や週末、長期休業期間中に、地域人材を活用し、学校などで学習支援等を行う地域未来塾や放課後子供教室の取組が推進されるよう、国と共に区市町村への財政支援を行っております。
都立高等学校定時制夜間課程では、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律に基づき、国産の牛乳を含む給食を実施しております。
なお、都は、子供食堂推進事業などにより、区市町村が地域の実情に合わせて実施する食事の提供について支援をしております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○とや委員 陳情五第二二号、公立の小中高等学校における長期休業中の食事の無償提供等に関する陳情について意見を申し上げます。
コロナ禍での一斉休校の期間、給食が食べられなかったことなどにより、子供の成長や健康における給食の重要性が再認識されています。
学校に行っていれば、給食で一日三食のうち一食が食べられていたのが、突然、家庭で負担しなければいけなくなり、公的な支援が対応できていたかといえば、難しいことも多かったと思います。
陳情者のおっしゃるように、学校の通常の長期休暇中も同様で、夏休みには給食がないので、困窮し、子供の体重が減ってしまったということも起きています。
また、長期休暇中の子供たちへの居場所の提供や、学童保育も含めた昼食の提供が課題となり、取り組む自治体が増えています。
小中学生だけでなく、高校生に対しても、給食や食事の保障は当然検討されるべきです。お隣の韓国では、高校でも給食が無償で提供されていますし、国内でも取り組んでいる学校もあります。
物価が高騰し続ける中、東京都でも、こうした課題に取り組むことはますます重要になっていることから、この陳情には趣旨採択を主張して、意見といたします。
以上です。
○阿部委員 陳情二二号、公立小中学校における長期休業中の食事提供に関する陳情について申し上げます。
本件陳情内容は、小中高校の長期休業中に困窮家庭の子供たちに食事を提供するということを骨子とする提案で、これを広範に実施することは、その範囲や手法から見て、少々困難な点もあり、採択を主張するには至りません。
しかしながら、経済的に厳しい状況にある児童生徒に対する食事の提供、そして、そのことが学習状況ともリンクする、そうした考え方自体は見るべきものがあると考えます。
都立高等学校定時制夜間課程での給食無償化や通信制課程のスクーリングの際の食事提供などは、単に食事を提供する、そして、食を支えるというだけではなく、不登校対策としても有効ではないかと考えます。
そろそろ都教委も課題解決型の柔軟な思考を持って、どうすれば子供たちを支えることができるのか、どうすれば不登校対策をもっと進めていくことができるのか、中退を防ぐことができるのか、そうした発想から検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○村西都立学校教育部長 都立高校の定時制夜間課程における学校給食費につきましては、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律におきまして、勤労する生徒が負担することとされており、その取扱いについては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
また、今お話がありました通信制課程の高校の生徒に対する給食等の在り方につきましても、今おっしゃられた不登校対策などその目的や、設置者の任務、経費の負担、国の補助などにつきまして、やはり、定時制夜間課程などと同様に、国において、まずは法律によって整備されるべきものであると考えております。
○阿部委員 どこまで聞いても国の責任で、国においてということでご答弁をされるのですけれども、逆になぜそう考えてしまうのか、私は甚だ疑問です。
都教委は、今、都立高校、特に定通に通う生徒たちの状況をもっと見ていただきたいと思います。たくさんの課題があります。不登校あるいは高校の中退、そして、そうした状況に対して、子供たちがその後どのような人生を送っていくのか、それに対してどのようなアプローチをしていけば結果が出ていくのか、一人でも多くの子供たち、不登校を防ぐことができるのか、中退を防ぐことができるのか。これまでやってきたことがあまり成果が出ていないからこそ、その数字が減っていないわけです。であれば、それを改善するためには、今までやらなかったこと、今までやってこなかったことをやるしかないじゃないですか。
中教審では、子供に対して、課題解決型教育をやっていくというふうにいっております。ぜひ都教委も、課題を認識し、課題解決型の施策を打っていくことを強く求めて、私の意見とします。
以上です。
○桐山委員 公立の小中高等学校における長期休業中の食事の無償提供等に関する陳情に対して質疑をさせていただきます。
私たちは、学校給食法に基づく児童生徒に対する長期休業中の学校給食の提供は、法の趣旨に照らして、採択するには難しいというふうに考えています。
しかし、児童生徒の学校の長期休業期間中の食事の確保は解決をしなければならない課題であると認識をしており、その趣旨には賛成をしています。
特に給食費を無償化する、また、補助を出している自治体の学校に通学している子供たちについては、家計の負担が増えるばかりでなく、保護者が働いて家にいない場合には、昼食を食べられない子供たちも出てくるのではないかと懸念をしています。
そこで、長期休業中の子供の食事を確保するため、都や区市町村の子供食堂を担当する部局と連携をして−−先ほど、現在の状況の中でも、福祉局が子供食堂推進事業などで支援をされていることも認識をさせていただいておりますが、子供食堂を担当するこういった福祉と連携をして、また、調理施設等を備えている高齢者の施設や福祉会館など、公民館なども連携をして、夏休み子供食堂、冬休み子供食堂の仕組みづくりなど、その一環として、都立高校の場所を提供することとしてはどうかと考えておりますが、都の見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都の関係局におきましては、子供食堂推進事業などにより、地域の子供たちに食事や交流の場を提供するとともに、子供や保護者の生活状況を把握し、必要な支援につなげる子供食堂に対して、区市町村を通じて支援をしております。
都教育委員会としましては、地域のニーズに合わせて、都立高校の場所の提供について、区市町村から具体的な相談があった場合には、各都立高校の施設の実態に応じて個別に判断することになると思います。
○桐山委員 こういった夏休みや長期休業期間中の子供たちの食事の提供というものも課題としてあるとは思いますので、各区市町村から具体的に、そういった都の子供食堂の補助を使ったり、フードパントリーの事業とかもやっていると思いますが、そういった食の支援ということで、具体的に場所を貸してほしいみたいな相談があった場合には、実態に応じて個別に判断をされていくと、前向きかなというふうに受け止めさせていただきましたので、ぜひそのように対応していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第二二号は不採択と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時五十八分散会
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